第051回国会 商工委員会 第9号
昭和四十一年三月一日(火曜日)
   午前十時五十八分開議
 出席委員
   委員長 天野 公義君
   理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君
   理事 河本 敏夫君 理事 田中 榮一君
   理事 板川 正吾君 理事 中村 重光君
     稻村左近四郎君    小笠 公韶君
      海部 俊樹君    黒金 泰美君
     小宮山重四郎君    田中 六助君
      竹山祐太郎君    中村 幸八君
      二階堂 進君    三原 朝雄君
    早稻田柳右エ門君    石野 久男君
      大村 邦夫君    沢田 政治君
      島口重次郎君    田中 武夫君
      田原 春次君    栗山 礼行君
      加藤  進君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  三木 武夫君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     北島 武雄君
        通商産業事務官
        (大臣官房長事
        務代理)    吉光  久君
        通商産業事務官
        (貿易振興局
        長)      高島 節男君
        通商産業事務官
        (企業局長)  島田 喜仁君
        中小企業庁長官 山本 重信君
        中小企業庁次長 影山 衛司君
    ―――――――――――――
二月二十八日
 委員島口重次郎君辞任につき、その補欠として
 山中吾郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員山中吾郎君辞任につき、その補欠として島
 口重次郎君が議長の指名で委員に選任された。
三月一日
 委員小宮山重四郎君及び田中六助君辞任につ
 き、その補欠として村上勇君及び森清君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員村上勇君及び森清君辞任につき、その補欠
 として小宮山重四郎君及び田中六助君が議長の
 指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第九四号)
 通商産業の基本施策に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○天野委員長 これより会議を開きます。
 去る二月二十四日本委員会に付託になりました内閣提出、中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を議題とし、通商産業大臣から、趣旨の説明を聴取することにいたします。通商産業大臣三木武夫君。
○三木国務大臣 ただいま提案になりました中小企業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
 政府におきましては、従来より、わが国経済における中小企業が占める地位の重要性にかんがみまして、中小企業近代化資金助成法に基づき、工場、店舗の集団化等中小企業構造の高度化に必要な資金、中小企業者の設備の近代化に必要な資金の貸し付け制度を設け、中小企業の近代化の推進につとめてきたところであります。
 ところで、工場、店舗の集団化等を行なうことは、中小企業者にとってきわめて大きな事業でありまして、資金操り面に困難を来たしている状態にありますので、これを緩和ずるため、中小企業高度化資金の貸し付け条件等について、助成内容の一そうの充実をはかることが必要であります。また、中小小売り商業の近代化を積極的に推進するためには、従来の制度に加え、新たに、小売り商業連鎖化事業を行なおうとする者に対して、資金面の助成を行なうことが必要であります。
 次に、従来の資金貸し付け制度におきましては、中小企業者の自主的な事業の実施と、必要な資金の調達とを前提としておりましたが、それらの能力に乏しい中小企業者、とくに小規模の企業者にとりましては、これらの制度を利用することが困難な面があり、それらの近代化が立ちおくれているうらみがあります。そこで、政府といたしましては、これらの小規模企業者等の工場の集団化、及び設備の近代化を強力に推進するため、従来の資金貸し付け制度による助成措置に加え、新たに施設の譲渡または貸し付け等の物的な貸与制度による助成措置を設ける必要があると考えるものであります。
 さらに、従来、中小企業構造の高度化の推進は、主として資金の助成により行なってまいりましたが、これを円滑に推進するためには、中小企業の自己資金の蓄積が強く要請されるところであります。かかる観点から、中小企業の組合が構造改善事業を進めるための資金を積み立てる場合には、新たに税制上の優遇措置を講ずる必要があると考えるものであります。これにより、資金の助成と税制上の優遇とを車の両輪として、今後、中小企業の構造高度化が一そう強力に推進されるものと考えております。
 以上のような趣旨に基づきまして、今回、中小企業近代化資金助成法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
 第一は、中小企業高度化資金貸し付け制度のうちに、新たに小売り商業連鎖化資金貸し付け制度を設け、事業協同組合等の行なう小売り商業連鎖化事業を助成の対象とすることにしたことであります。
 第二は、中小企業高度化資金の償還期間を七年から十年に、中小企業高度化資金及び中小企業設備近代化資金のうち公害防止施設にかかる貸付金の償還期間を九年から十二年に延長するとともに、個別組合員に対する工場等集団化資金の貸し付け対象に、事業の共同化に著しく寄与する設備を追加することにしたことであります。
 第三は、中小企業共同工場貸与制度を新たに設けまして、都道府県が事業協同組合等に対し、小規模企業者の工場集団化に資するための共同工場を貸与する場合に、その都道府県に対し、国が所要資金の一部を貸し付けることができることとするほか、中小企業共同工場貸与事業に関し、必要な規定を設けることとしたことであります。
 第四は、中小企業設備貸与制度を新たに設けまして、中小企業の近代化に著しく寄与する設備の貸与事業を行なう公益法人に対し、都道府県が、中小企業設備近代化資金を貸し付けるとともに、中小企業金融公庫が長期資金を貸し付けることができることとし、あわせて中小企業設備貸与事業に関し、必要な規定を設けることとしたことであります。
 第五は、事業協同組合等が行なう中小企業構造改善事業について、政府が承認する規定を新たに設け、この承認に基づいて構造改善事業を行なう場合には、法人税または所得税の課税について、特別の措置を講ずることとしたことであります。
 最後に、以上の改正に伴いまして、本法律の題名を中小企業近代化資金等助成法に改めるとともに、目的の一部を改めることとしたことであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○天野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本案についての質疑は次会に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
○天野委員長 通商産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。石野久男君。
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、まず最初に、ことしは非常に大きな、四兆三千億という膨大な予算を組んで、しかもそこには公債制度が入ってきております。新しい経済の体制といいますか、そういう体制に置かれておる。そこで、こういう中で輸出振興に対する考え方というものは非常に重要だと思っております。私は、三木通産大臣に、今日の不況を克服して産業の発展を期するために相当熱心な輸出振興に対するお考えをお持ちだと思っておりますが、その輸出振興に対する期待、それがどの程度日本の総生産の中で位置づけをするものか、これは企画庁長官の仕事でもあるかと思いますが、通産業務の一端として大臣がどの程度にこの総生産の中で輸出の分野を拡大しようという意図を持っておられるかどうかということをまず最初にお尋ねいたしたいと思います。
○三木国務大臣 四十一年度は九十四億ドル、これはもう少しふやして百億ドルに近づけたいわけでありますから、わが国における国民総生産の中の割合も、その割合を金額の上だけではじき出すのではなくして、日本の場合は、経済を拡大しようというときには、国際収支と物価の問題でいつも制約を受けるわけでありますから、どうしても輸出を伸ばさなければ、日本の経済の発展といっても、その天井が低くなるわけであります。でありますから、今後は、輸出の増進というものがある意味において日本の経済の発展の規模をきめるという大きな制約を日本経済は受けておる。そういう点で、輸出というものは、国民総生産における割合だけで、その日本経済に対する寄与といいますか、それを考えられない面がある非常に大事なものであるというふうに考えておる次第でございます。
○石野委員 輸出が占めている割合は非常に大きいということはお互いにわかっていることだし、またそのために努力しなければなりませんが、この数年来、日本の輸出が国民総生産の中で占めている分野、輸出と海外からの所得、もちろんこれは資本所得もありますが、そういうものが大体一一、二%のところでとまっているわけです。しかし、今日のようなこういう不況の段階で、しかも設備が過剰で、あとでまたお聞きしますが、不況カルテルだとか構造カルテルだとか、いろんなことをやらなければ業界の再編成ができないというような時期に、国内需要というものへの期待はもちろん大事でありますけれども、それ以上に、国際収支などを考えますと、輸出というものを真剣に考えなければならぬだろうと思います。私は、やはりこの一一、二%を占めておる貿易分野の領域というものを、資本収入も含めまして、これをやはり一三%、一五%というふうに伸ばしていかなければならない、ころ思っております。そういうふうにしようとするための輸出振興策として、本年通産省はどういうようなことを主としてやろうとしておられるか、その点ひとつ大臣から聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 一つには、先進諸国に対しての輸出増進策は、市場調査あるいはまた日本の商品の宣伝、こういう面を強化していかなければならぬ。これについてはジェトロも大きな役割を果たしておるわけであります。ジェトロの機能も強化することにいたしております。また一方において低開発諸国に対しては、外貨不足でありますから、どうしても経済協力――延べ払いも長期なものになればこれは経済協力というカテゴリーに入るものでありますが、そういうもので日本の経済協力の強化、予算面にも相当そういう政府の意図が出ておるわけであります。さらに第一次産品、単に協力ばかりでなく、貿易自体も拡大する必要がありますので、第一次産品の輸入促進費という名前で初めてこういう予算をジェトロへの出資の形で計上したわけでありますが、これがやはり単に輸入を促進するというばかりでなしに、開発輸入というような考えで、第一次産品の輸入も促進するように、日本の国内産業との調整もありますが、これは進めていかなければならぬ。また共産圏貿易なども、これは過去五カ年間に五倍くらいの伸び方です。一九六〇年と比べれば五年で五倍くらいになっておる。イギリスや西独に次いで日本は共産圏貿易の規模が大きいほうであります。輸出入で十億ドルをこえるでしょう。そういうことでこの点も拡大していかなければならぬ。
 こういうことで、市場別にいろいろ貿易の振興策というものは事情が違いますけれども、しかしいま言ったような、大きく分ければ三つの大きなカテゴリーに分けられる。これに対して総合的に輸出を増進できるような施策を講じていきたい、こう基本的には考えておる次第でございます。
○石野委員 低開発国に対する特に一次産品を買い付けるための新しい予算として三億ほどジェトロに出しておる。この三億の買い付けについて、いまどのような構想をお持ちになっておられますか、その点をお伺いしたいと思います。
○三木国務大臣 いまのところでは、これを融資という――従来もこういうことをやって四億円くらいの資金を持っておるわけでありまして、都合七億円くらいの資金で、融資ということでありますが、こういうことでは私はやはり不徹底だと思うのです。だから今年度、いろいろ各方面の意見も徴し、第一次産品の輸入というものの仕組みをどうするかということは、幸いに予算で金額は少ないけれども、こういう芽を出したわけであります、政策としては新しい芽でありますから、こういうものの運用を通じて、明年度にはもう少し本格的な一つの機構をつくりたい。機構といいますか、仕組みをつくりたいと考えておりますが、今年度はまあ融資を中心として考えておる次第でございます。
○石野委員 こまかい使い方については私はここでお聞きしたいとは思っていないのです。一次産品を入れる場合に、日本の国内産業との競合という問題が各所で出てくるだろうと思います。そういう問題についての配慮はどういうふうになさっておるか、この点を大臣からひとつお聞きしたいと思います。
○三木国務大臣 御承知のように、アメリカなどからも第一次産品の相当な輸入をいたしておるわけでありますから、こういうものが東南アジアなどで日本が相当開発輸入というくらいの腰の入れ方をするならば、市場を徐々に、急激ではないでしょうけれども、変えていく方法もあるでしょう。いずれにしても日本の第一次産業部門に急激な打撃を与えるようなことは、これはやるべきでもないし、また、そういうことをやるならば非常な摩擦が起こりますから。現在相当日本は海外から輸入しておる、こういう面でもやはり低開発国に振り向けていくという努力、これなどはやり方によれば相当年限をかければそういう効果はあがる。そういう点で低開発国で開発しながら輸入するということも今後やはり力を入れていかなければならぬと考えております。
○石野委員 非常にけっこうなことを承りましたが、ただ大臣はそう言いますが、事実上仕事をやっていくという上から言いまして市場転換という問題はなかなか困難な問題があろうかと思います。そういう点で大臣の決意は相当決心が強くなかったらこれは遂行できないことじゃなかろうか。むしろ逆に憂えられるところの国内産業との競合、特に国内の第一次産業部門に対するいわゆる圧迫になってくるというようなことがあり得ると、私はこれはたいへんなことになるだろう。ことに新しい問題が出てくるだろう、こう思います。そういう点について大臣はやはりよほどの決意をなさっていなくちゃならないと私は思いますが、あらためてもう一ぺんそういう点についての大臣の所信を聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 これはやはり日本の場合でもできる限り、日本自身もいろいろ農業でもあるいは軽工業の面においても起こると思うのですが、今後どうしたところで、低開発国は貿易を拡大していかなければならぬのですから、日本として第一次産業に対しての体質改善も要るでありましょう。そういう努力もやはり日本ほしなければならぬが、しかしどういうものを日本が輸入するかという場合には、国内産業との調整ということが非常に大事な面で、そうでないと低開発国といっても国内産業がみな立ち行かぬということではなりませんから、それはケース・バイ・ケースに国内産業との調整を考えつつ、しかも低開発国に対しては日本があまりそれを輸入しても競合しない面で開発に力を入れていくということで、われわれとしても今後努力をしていきたいと考えております。
○石野委員 私は、ただいま大臣が考え方として一つの方向を出しましたが、実際にこれを具体化して実施するということになると、どうしてもぶつかってくる問題があると思うのです。そういう点よほどの決意が必要であろうと思いますので、ここではまだ具体的な問題が出ておりませんからあれこれ申しませんが、これはやはり特に留意してもらいませんと、逆に国内的な混乱が出てくるであろうということをひとつ御注意申し上げておきたいと思います。
 大臣は本委員会での所信表明の中で、産業の国際競争力の増強ということを強調されております。その中には体制金融の拡充であるとか、機械設備のスクラップ化の促進だとか、自己資本の充実、あるいは企業合併の促進という、こういうようなことをうたっておるわけです。特にこの体制金融あるいは企業合併促進、こういう問題はいろいろな面でぶつかり合うものがたくさん出てくるだろう、こう思っております。こういうことに対して国際競争力を強化させるために、最も本年度予算の中で大臣自身として力点を置くという問題点はどういうところにあるか、ここをひとつお話し願いたいと思います。
○三木国務大臣 たとえば新しい一つの予算として大型プロジェクトの開発、これはやはり金額は十億円をちょっとこえた程度ですけれども、これは国が全責任を持って、むろん民間の研究所、研究員を動員するわけですが、こういう大型な、いままで私企業のリスクではなかなか開発できないようなものについて国が乗り出していったということは、一つの新しい方向を示すものであります。国際競争力という中の根底には、会社がみな合併すればいいというものではなく、むろん日本の会社の規模は、欧米に比べれば、大企業といっても中小企業のスケールですね。どの事業を比べてみても、その一カ月の売り上げ高というのは中小企業のようなスケールで、これは会社の規模が大きいと、たとえば研究費を出すにしても、売り上げ高の何%といったって非常に違うわけですし、ことに自動車工業なんかでは、量産体制からくる一つの利点というものは、これは否定すべくもないわけですから、それは合併もやらなければならぬし、あるいはまた合併までいかなくても、業務提携などもやらなければならぬし、できるだけ企業の経営の規模を拡大していくという方向は、これはやはり進めていかなければならぬと私は思います。しかし、どれもこれも合併したら問題解決というのでなしに、日本の企業の持っている本質的なものは、やはり技術の面などは、特にこれは大切にしなければならない。これは国際競争力の中心的な課題かもしれません。そういう点で、今年度の予算でも、こういう技術開発という点では相当に力を入れたのでございます。また、企業の合併などに対しても、全部ではないが、ある企業にはこれを促進すべきであるという考えで体制金融の道も開いたという点、その他全体の施策というものが、日本の企業の体質改善には税制上あるいは金融上いろいろな施策が講じてありますが、こういうことも、結局は国際競争力強化、そういう方向から考えられた施策であると考えております。
○石野委員 伝えられるところによると、その体制金融という問題の中で、特に国際競争力を強化させようという意味から開銀を拡充する、あるいは第二開銀を設立しようじゃないかというような構想が通産省の中にある、こういうように聞いておりますが、そこまで考えを持っておられるのかどうか。
○三木国務大臣 第二開銀の考えはありませんけれども、開銀というものも時代とともにいろいろ役割りは変わってくるわけでありますから、開銀の機能の点においては、やはり時代の変化とともに、機能自体については、これのどういう点に重点を置くかということには検討を要すると考えております。
○石野委員 国際競争力を増強するための体制金融とか諸施策が行なわれることは非常にけっこうでありますが、それと同時に、そういう体制が固まれば固まるほど、落ちこぼれていく面があると思います。そろいう落ちこぼれていく中小企業に対する対策というのは、これは非常に重要だと思うのです。われわれはその中小企業部門におけるところの問題点をここで一々抜き書きにする必要もございませんが、特に中小企業について、本年度大臣として、この落ちこぼれていくものに対する救い上げというものを――ただ単に一般の労働者になってしまったらいいのだ、そういう考え方ではこれは策ではないだろうと私は思うのです。そうでなく、やはりそれらの人々を全部救い上げるような体制というものをいま考えておるのか。それともわれわれがいま心配しておるように、そういう構造カルテルとかいろいろなものをやる中で、ある程度のところまでは吸い上げるけれども、あとはもう切り捨てだ、こういう形で進まれていくのかということは非常に重要だと思います。大臣はそういう点についてどういう施策上の配慮をしておられるか、この際ひとつ聞かしてもらいたい。
○三木国務大臣 切り捨てという考え方は政治の面から出てこない。またできる限りそういうことでなしに、企業がやっていけるような努力を積むということが政治の責任だと思います。それでもなおかつやっていけぬ者が出てくるでしょう。しかし、最後までそういう企業がないようにやはり努力をすることが政治だと考えております。だから、切り捨てるという考えはない。しかし、方向転換をしなければならぬ企業というものは、こういう経済の事情が激変しておりますから、そういう方向転換の企業というものは出てくるわけです。周囲の条件が変わったのに、自分がやっておった企業からいつまでも抜け切らないということでは、やっていけぬことになるわけでありますから、そういうところには親切な相談相手になって、企業の転換も考えざるを得ないことが起こり得る。しかし、切り捨てるという考えはない。その証拠には、今度の予算の中にも零細企業の対策というものはかなり重点を入れてあるわけです。零細企業に対する対策、たとえば機械類の貸与制度とか共同工場の貸与制度とか、これは近代化資金とか高度化資金があるわけですが、それでも零細なものはなかなかそういう資金だけでは近代化、高度化というものの目的は達せられぬのではないかということで、そういう新しい制度も設けたり、あるいは信用保証に対してのその範囲を拡大したり、条件を緩和したりしてあるとか、あるいは税制の上においても、今年度の中小企業の減税というものは、いままでの中においてはやはり相当画期的なものだと思うのであります。こういうことは、いずれも切り捨てるという思想からは出てこないわけであります。何とかして切り捨てないで零細企業もやっていけるような道はないかという政策の意図が、こういう中にあらわれておるということを私は申し上げたいのであります。
○石野委員 政府の意図はよくわかりますが、しかし、業界の実態からいいますと、大企業と中小企業の関係、特に親工場が下請工場を持っておる、下請がまた二段階、三段階になっていきますが、そういう中で政府のそういう親心がわからないで、むしろ強引に有利な部分だけまとめていこうというような線が出てくると思います。そういう問題に対する政府の指導といいますか、それらのものに対してどういうふうに施策を行なっていくかということはきわめて重要だと思います。私は回りくどいことを申しませんが、最近、特にはなやかにやっておった工場が、仕事がだんだんなくなりまして、そういう仕事がなくなってきたということによって下請工場が苦しんでおります。そういうところで締め出し、あるいは切り捨てということが非常に巧妙に行なわれてきておると思います。たとえば中小企業等協同組合法によって下請工場が一つのかたまりを持って運営をしておりますが、そういう中小企業等協同組合に対して親工場からいろいろな手を入れることによって切り捨てを行なっていこうという面が出てきます。こういうようなことはもうあちらこちらにひんぱんにあると思いますが、これは中小企業庁の方がおいでになっておってよくおわかりだと思います。こういう問題に対してどういうような指導をしており指示をしておられるか、この際ひとつ聞かしていただきたいと思います。
○山本(重)政府委員 親会社自体の仕事が非常に減ってまいった場合に、やむを得ずその下請に対する発注が減る、こういう現象がもとになりまして、各方面でいろいろ困難な問題を出しておるのでございます。中小企業庁といたしましては、当面そういう事態におきまして、困難な状態にあります下請に対しまして、できるだけ金融の面その他のとりあえずのつなぎの措置をとりますと同時に親会社に対しましては、急激にそういう発注の打ち切り等をできるだけしないように、またもし親会社その他の仕事で回せるものがあればそちらへあっせんをするというような方向で努力をしております。しかし何といたしましても、経済全体が上昇に転じて仕事がふえていくという状態をつくり出すことが、基本的な解決策でございますので、そうした面での施策が何としても最も基本的な重要な施策である、かように考えております。
○石野委員 親会社が下請に仕事のめんどうを見てやるために専属の下請をなるべく持ちたいというのが、親会社みんなの気持ちなんです。したがって、やはりほかから注文を持ってくるとあまりいい顔をしないわけです。そういうことから親工場と下請工場との悪縁が続いていくのですが、最近は大きな会社で注文がないからということで、下請工場を自動的に親会社から切り離していこうという、非常に陰険な考え方が出てきておると思います。たとえば中小企業等協同組合を下請工場でつくらせます。下請工場の中小企業が協同組合をつくっております中で、四、五年前の人員が非常に不足しておるときには、下請協同組合というような形になりますというと、なかなか人が来てくれないから、その下請をはずして、何々会社下請工場、こういうふうに一応切りかえた時期がございました。これは数年前各所で行なわれたわけです。ところが最近になりますと、下請工場に対して仕事がない、注文が出ていかない、親工場はその小さい会社を切り離してしまいたい、こういうことから定款変更の要求を親工場がしてきている事例がたくさん出てきております。こういうような事例を巧みに下請工場の組合の幹事工場を通じてやらす、こういうやり方をしているわけです。私はどこの工場がどうしているということは言いませんけれども、たとえば例を一つとりますと、定款変更の中で――現在の定款の中に組合員の資格というものがあります。その資格は、何々会社または何々会社の系列会社と取引を行なっている事業者であることという規定がいまあるわけです。その規定を今度は新しいなにでは工業を営む何々会社または何々会社の系列会社という、その系列を抜いてしまう。一応抜きます。下請発注の範囲を狭めていくわけです。継続して取引をし、なお行なっている事業者であることということで、まずそこで一つ制約を加えます。それから新たに今度は、こういうような条項を入れてくるわけです。何々会社または何々工場と継続して取引を行なっている期間が六カ月以上中断されたときは当該取引関係がなくなったものとする、こういう定款変更を要求してくるわけです。これは一見あたりまえのように見えますけれども、その及ぼす影響は非常に大きいわけです。しかもこういうような状態が組合の中に出てまいりますと、組合としてはこれはたいへんなことですから、その定款変更を食いとめようとする。ところが親工場が組合に来て、組合の幹部をがちっと押えて、それから総会を招集させる。総会招集をして、無記名投票じゃなくて記名投票でやってくれ、こう言うわけです。そうして親工場の関係の部課長ががちっとすわっておって、絶対に無記名投票をさせない。記名投票でやらす、こういうやり方で定款変更をさせるというようなやり方が行なわれているのです。こういう場合通産当局としてはこれを認めるのかどうか、こういうことを許しておいていいかどうか、私たちの考え方では、ある地域において一つの会社があって、それの下請工場というものがありますると、大きい会社の下請工場というのはそれ自体が一つのクレジットになっておると思います。そういうことからもしその協同組合から離れていけば、金融の面がそれ自体でとまっちゃうんですね。ところが私が、こういう問題について中小企業庁指導課の諸君に聞きますと、そういう提案が出ても、この協同組合から受ける組合員の利益というものは、大体手形の割引と技術の訓練がこの組合で得られるところの利益なんです。しかしもう発注も何もなくて、仕事がなければ手形の割引もなくなる、あるいは技術訓練も行なわれませんから、大して不利益が出てきませんので、どうにもなりませんという御意向を承った。そういうことであるとするなら、私は通産省の指導方針としては非常に無定見だと思う。無定見どころか、むしろ親会社と結託をして、こういうことを行政上黙認するということになるのではないだろうか、こういうふうに私は思いますので、こういう問題については明確なひとつ通産当局の御意見を承っておきたいと思います。これはおそらく全国的に出てくる、しかも非常に広範に多地域にわたって出てくる問題だと思いますので、この際明確に御所見を承りたいと思います。
○山本(重)政府委員 ただいま御指摘の問題は、法律論として考えますと、具体的にそうした定款変更の申請があった場合にはたして拒否できるかどうかということにつきましては、慎重になお検討を要する点がございまして、若干問題があると思います。しかし現に起きている問題は、単に一片の法律論だけで解決していい問題でございませんので、私たちとしましては、おそらくいま先生がお話しになっております背景にあるお考えの案件につきましては、さっそく私のほうでも現地に人をやりまして、そうして親会社のほうの事情もよく聞き、また調査もして、できるだけ法律論で解決するのでなく、実質的に適当な解決方法が出るように県の当局のほうともよく連絡をとって、いま対処しておる次第でございます。基本的な考え方としましては、これは協同組合のことでございますから、いまお話しのように親会社が何らかの圧力を加えて、そうして親会社の都合のいいようなことをさせるということについては、これはもう絶対排除しなければいけないというふうに考えております。
 それから結局は親会社の組合に対する発注の問題になると思います。そこで私たちとしては、特に注意を払っておりますのは、こういう苦しいときに親会社が自分のところの仕事が少なくなってくるというので、いままで外注に出していた仕事を自分のところでいわゆる自社生産に切りかえる、こういうことをすることについてはきわめて好ましくない。やはり自分のほうもできるだけ外注に出すということで努力をして、この苦しい不況をお互いに耐え忍んでいく、こういう体制が必要なのであります。いま起こっておりますことにつきましては、親会社のほうによくわれわれの意向を伝えまして、親会社のほうでも自分の仕事が相当減っておる、外注の量が減る以上に実は自社生産の分が減っておるような状況でございますので、現段階においては、その点は親会社のほうも十分誠意を尽くしていると見ざるを得ないのではないかと存じます。
 それから具体的にこの組合員の資格変更の問題につきましては、なおそうした実質問題の見きわめをもっとよくやりまして、それに基づいて円満に解決するようにしたい、かように考えておる次第でございます。
○石野委員 この点は一地域の問題だけじゃなくて、特に巨大資本によって運営されておる企業というのはそういう傾向を多分に持っておると思いますので、これは厳に行政指導を適確にしていただきたい。ことに親工場が下請工場に対して無言の圧力をかけながらワクの中に入れていくというやり方は常時に行なわれておることなんです。ただ産業地域の中での行動力が非常に狭いものですから、どうしても理屈はわかっておっても、いやおうなしについていくという傾向がありまして、それを今度はいいことにして親工場が下請工場を締めていくということでは、とても中小企業に対する施策は浸透しないだろう、こう思いますので、この点特に大臣にも注意していただきたい、こう思っております。
 私はいま物価の問題や何かとも関連をしながら、また一面においては国際競争力やあるいは産業構造の体制をどういうふうにするかという問題にからんで不況カルテルの問題があります。この不況カルテルの問題については、物価の問題とも関連があり、やはりいろいろカルテル価格の問題等が出てまいっておりますし、ことにカルテルを構成する、特に繊維などにおいては、いろいろやはり業者間の中でも問題が多いと思います。こういう問題について、いま当局はことしのこの経済の中で、この不況カルテルの指導、方針、そういうようなものについてどういうような見解をお持ちになっておるか。特に公取のほうの決意はどういうものであるかということをこの際ひとつ聞かしていただきたい。
○三木国務大臣 御承知のように、中小企業団体法によって調整事業が行なえることになって、非常に合理化カルテル――合理化カルテルというか不況カルテル的なものができるわけです。しかし価格の協定という場合には、これは設備制限やあるいは生産制限を非常にやって、やむを得ない場合以外は価格の協定はできないことになっているわけで、価格協定の場合には、やはり公取委の同意を必要とすることです。価格協定をやってあるのは輸出関係のものがほとんどです。だから、物価に対して非常な悪影響があるとは思わない。しかもそういうカルテル行為がアウトサイダーを規制する場合には、中小企業安定審議会などにもかけなければならぬことになっておりますので、中小企業というものの立場からこういうふうな行為ができることが法律上認められたわけでありましょうが、しかしこれが非常に長期にわたっておる。(「十年間もやる」と呼ぶ者あり)やはり中小企業自体が一つの体質の改善をやって、そしてそういうことをしなくてもやっていけるようにするということでしょう、調整行為が認められておるのは。そういう長期にわたってカルテル行為をやって、しかも体質の改善も行なわれないというもので、いま御指摘のような非常な長期のものもありますから、これは一ぺん再検討をしてみる時期に来ておるという考え方を持って、中小企業団体法によるカルテル行為というものは一ぺん全部検討をしてみたいという考え方を持っております。これは無制限にずっといくというそういう形で、――中小企業というものは、これは弱い立場ですから保護しなければならぬけれども、そういう形で中小企業というものを保護していくということが、中小企業の体質改善にもならない面もある。そういう点で検討をしていきたいと考えております。
○北島政府委員 ただいま通産大臣がお述べになりましたのは、通産省の所管の中小企業団体法に基づく商工組合のカルテルでございます。これにつきましては、通産大臣が御認可になります際に公正取引委員会に同意を求めたり、あるいは協議されたりするわけでございますが、この場合におきましても、公正取引委員会といたしましては、中小企業の体質の問題もありますが、できるだけ短期間に終わらせないと、いたずらに中小企業の近代化、合理化をおくらせることにもなりますし、あるいはまた一般消費者、関連事業者の利益も害することになりますので、できるだけ短期間にするようにお願いしております。なお公正取引委員会が直接認可いたします独占禁止法上の不況カルテル、これは昨年来、一昨年の不況事態に際会いたしまして現在十七ございますが、これらはそれぞれあるいは三月なり半年なり、長くても一年という期限でありまして、これにつきましては独占禁止法上の要件、すなわち需給のバランスを著しく失しましてそのために価格が平均生産費を下回って、そのままおけば当該事業者の相当部分が事業の継続困難なり、こういった場合に認めるわけでございます。そのほか、ただいまの要件に当てはまりましても、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害する場合にはこれは認可できないことになっております。ことに公正取引委員会といたしましては、一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害することはないかという点について慎重な検討をいたしております。なお、いたずらに長期にわたりますと、ただいま中小企業の場合に申し上げましたように、またそれ以上に不当に一般消費者、関連事業者の利益を害することになりますので、この点は更新の時期において十分慎重に検討いたしておるわけでございます。
○石野委員 いま大臣から、カルテル問題については一応再検討の時期にきておるという御意見でございました。こういうものが長期にわたってあるということ自体が問題だと思うのです。ところが新聞などによりますと、むしろ通産当局のほうで、カルテルの延長ということについては、やらなければならぬのだという意向を持っておる、こういうことがいわれておる。そうすると、いまの大臣の御答弁とその情報とをつき合わせますと、どっちみち長いこと続いてきておるのだから、相当長期にわたって腰を据えてカルテルをやらそうじゃないか、こういうように逆に大臣は考えておるのじゃないかとさえ私は思うのですが、はたしてそういうように大臣は考えておるのですかどうか。
○三木国務大臣 不況カルテルの場合は非常にきびしい条件があって、これは中小企業団体法、事業協同組合法によるカルテルのようなそんな無制限な長期のものではないわけです。不況カルテルというものは緊急事態に対処する一つの行き方として、奨励すべきものではないけれどもやむを得ない。そういうことによって企業がみな共倒れになるという事態は、産業の秩序からいっても避けなければならぬし、また公取もきびしい目を光らせておりますから、不況カルテルというものがそう無制限に長期にわたることはない。これは奨励もしないけれども、やむを得ない場合は不況カルテルを結成せざるを得ない。しかし中小企業団体法とか事業協同組合法によるカルテル行為は、これは非常に長いものがあって、件数も両方合わせれば千件にも近いような件数がある。いたずらにそういう形で中小企業を温存するということは、中小企業の体質の改善にも役立たない場合が出てくるのではないか。したがってこの問題については再検討してみたい。不況カルテルの場合はこれはやむを得ない場合であって、これは緊急な事態に処する産業の秩序の上からもやむを得ない場合に限るものであって、みな不況カルテルで腰を落ちつけて日本の産業政策を指導していこうという考えは私にはありません。
○石野委員 私は時間がございませんので、あとまだお聞きしたいことがありますが、別に用事がありますので、次に譲らしていただきます。
○天野委員長 田原春次君。
○田原委員 先日の商工委員会で二、三質問しようと思っておりましたところ、大臣も全然来ないし、それから政務次官も来ないし、局長も来ない。約四十分待ったわけです。御承知のように、われわれも分科会等でいろいろ割り当てがあって忙しいし、また大臣も忙しいことはわかる。しかし、自分の商工委員会だから、来れなければ来れない、かわりをもってやるとか、あるいは何分後に来るとかいうことにしてもらいたいと思う。今後しばしば商工委員会を開くことですから、この間のようなことが再びあるかどうか前もって確かめておかなければならぬと思うので、一応御答弁願いたいと思います。
○三木国務大臣 先般は行き違いがありまして、あれは公取の問題をおやりになるということで、そういうことで行き違いがあって、これが予定が変更になったということで、私は局長をみな連れて急遽かけつけたときにはすれ違いであったのですが、今後は十分に注意をいたしまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。
○田原委員 通産省の政府委員の中には連絡を主とする仕事の人もおるのだから、そういう場合はぜひ事前に連絡してもらいたいと思うのです。われわれ社会党も和戦両様でありまして、妥協もしますれば戦いもしますから、その点は今後十分時間を尊重して、大臣の出られるときにやる、出られぬときには議案によってはほかのものをやるということにしてもらいたいと思います。
 次に、質問に入りますが、きょうのある新聞によりますと、東京都の総合開発審議会がきのう会合して、近く答申を出すという。それによりますと、向こう二十年もすれば東京都の人口は三千万になる、それに対する都市分散対策というものがどの程度政府でできておるか。これはたとえば官公私立大学、短期大学等を合わせますと、約五十万くらいの人口になる。それだけの分散では足らぬ。どうしても商工人口と言いますか、工場の地方分散というものがなくちゃいかぬと思うのです。しかしながら、言うべくしてなかなか行なえぬことでありますが、これに対する通産省としての考えを持っておるかどうか。たとえば代替地を与えて東京近郊に移す。その場合、代替地における水道とか港湾あるいは交通関係あるいは病院等の厚生省の関係、いわゆる子弟の宿舎や小中学校、高等学校等の増設の問題等あると思うのです。これはひとり通産省だけの問題じゃないけれども、通産省としては当然考えてしかるべきことじゃないか。人口過密の東京の都市の対策としての通産省の考え方はあるかどうか、きまっておるかどうか、そういうことをひとつ大臣から直接聞いてみたいと思う。
○三木国務大臣 われわれとして商工業関係のこれが適当な立地計画のもとに、あまり一つの地域に集中せないで、商工業が発展していくことが、国の均衡のとれた発展の上においては必要である。そういう点で新産業都市あるいは工業整備地区、こういう指定を行なったということも、これは産業を地方に分散しようという意図があらわれておるわけであります。ところが、不幸にしてああいう指定を行なった後の日本の経済の状態は非常な不況で、設備投資の意欲というものを現在企業が失なっておる。そういうことで足踏みをしておりますが、こういう政府がいままで考えておる産業の地方分散という考え方は、これは推し進めていかなければ、東京が三千万もの人口ということになれば、いろいろな障害が出てきて弊害があるわけでありますから、そのためにはどうしても、ただ人間に住めと言っても、そこには産業がなければいかぬわけでありますから、将来われわれは新産業都市であるとか工業整備地区の指定をしたという、指定をしただけでは意味がないので、今後はやはり政府の指定というものを育て上げていくために、これはいままでのやり方以上に政府が力を入れなければならぬ。この点については、こういう地方産業を開発しようという政府の従来の施策というものには検討を加える必要があると私は考えております。
○田原委員 それは新産業都市、広い意味における全国的な問題なんです。いま私が聞こうとするのは、東京都の人口、産業、文化等をいかに分散するかということに対して、問題は狭いですから、しかし困難でありますが、やれないことはない。たとえばとりあえず通産省の方針としてやれることは、これはそういう法律が伴うかどうか知りませんが、工場の新設を禁ずるあるいは工場の増改築を禁ずる、こういうような処置ができるかどうか、これが一つ問題だと思います。
 次は、東京近郊に一大工場団地を設けて移すという方針を立てるかどうかということ。それに行ったものに対してはどういう利益を与えるか。たとえば何年間を限って各種の税金を免除するとかあるいは金融的措置をするとかということができるかどうか、これは毎日毎日忙しさに追われておると、間もなく千万の人口をこえるのですから、いまからそういう問題について――私は非常に三木通産大臣にある意味において期待しておるのです。あなたが内閣における重要閣僚として重きをなしているのですから、それだけに東京都の人口分散における通産省の役割りというものを考えて、必要によっては大蔵省その他も引きずっていかなければならぬ場合もある。税の措置とか金融面とか……。そういうことに対して具体的に何か考えておりますか。これは東京都民がみな聞きたいことだと思うのです。
○三木国務大臣 首都圏整備地区においては工場の新設というものは許可制になっておりますから、これは認めるべきではない。新しい工場を東京都のような人口の過密でいろいろな問題を起こしておるときに、工場を東京都のようなところに新設することは抑制しなければいかぬ。そればかりでなしに、すでに東京にあるような工場に対しては、できるだけ東京から出ていって、団地化などもそういう人口の都市集中というものに対しても一つの役割りが私はあると思う。そういうことで工場が地方に出ていくような場合については、これはわれわれとしてはあらゆる便宜を払って、できる限り東京都のような場合では新設は押えたい。すでにある工場なんかも地方に出ていきやすいような条件を作ることが必要である。そういう形で人口があまりにも集中する事態というものを抑制する必要があると考えております。
○田原委員 それならば具体的に首都圏整備委員会、それから病院等については厚生省、住宅、水道、港湾等については建設省、それから鉄道その他については運輸省というように、各省が至急に会合して、そのおのおのの受け持ちから見て困難な問題を片づけていくようにしなければならぬ。そういう点をきょうは要望するだけにしておきます。
 第二点は、万国博の問題であります。先日、どの委員会かの答弁か、あるいは新聞であったかと思うのですが、大臣のおことばとして、国交未回復国からも当然参加させるべきだといっておるのでありますが、これは当然なことだと思うのですけれども、たとえば東ドイツ、西ドイツ、ヨーロッパにおいては、そういうことは実現されておるのですね。あるいは朝鮮の北と南、あるいは中国の大陸と台湾、あるいはベトナムの北と南、そういうもので、日本の万国博に出品を希望しておるものがあれば、あるいはそれを機会に視察、商談に来たいものがあれば、当然これは許すべきものだと思うのですが、この委員会でもひとつ大臣の決意を聞いておきたいと思う。
○三木国務大臣 万国博覧会という一つの場は、相互の理解を通じて世界の平和を促進するという大きな目標がやはりある。そういう意味において、積極的に参加したいというものに対しては拒むべきではないというのが私の考えておる原則であります。個々の問題については、それはそういうものの希望があるかどうかという具体的な問題が起こったときにそれは考えるべきでしょうが、私の考える原則論は、積極的にこれに参加したいという国は拒むべきでないというのが、私の考えておる原則でございます。
○田原委員 この間北朝鮮から商談で打ち合わせに来ようとしたものに対して、法務省はいまだに許可をしておりません。一方、アメリカの態度を見ますと、軍事外交面では非常に強いことをいっておりまするが、大臣も御承知と思いますが、香港に行ってみますと、アメリカの商社、プラントメーカー等が二百二十六社来ておるのです。これは私が調べたのではなくて、外務省の香港総領事館の調べた報告によると、出ておる。一体何のために香港にアメリカの商社、メーカー等が二百二十数社行くか。日本と商売したいなら東京に置けるし、フィリピンとやりたいならマニラに置けるし、台湾とやりたいなら台北に置ける。これが香港におるというのは、政治や軍事のいろいろな強いことは別として、商売では先にやってしまおうというあらわれではないか。現に二百二十数社で合計数百人の駐在員を置きまして、豪華な生活をしておって、それで十分ペイするのです。だから、それから見れば、五年後の万国博覧会に、よもや、入国謝絶であるとか、あるいは商談の進行阻止であるとか、あるいは出品の阻止であるとかいうことは、いまの大臣の答弁で、ないと思います。ですから、これは、通産省としても、将来大臣がやめられて、あれは三木大臣の答弁だというのでなく、省議としてコンクリートにきめておいてもらったほうがよくはないか。平和を旨とする日本で、ことに貿易面に直接関係のある万国博のことでありますから、いやしくもそういうことのないようにしてもらいたいと思うのです。もう一回御答弁を得て、次の問題に進みたいと思います。
○三木国務大臣 私は原則的にさように考えておりますし、そういう考え方で指導をしたいと考えております。
○田原委員 次は、貿易振興の上からの二、三の希望を述べて質問をしたいと思います。
 各地に輸出振興の面からジェトロその他が出ておることは了承しておりますし、私も旅行のたびに見学しておりますが、まだまだ足らない。全世界的に見ますと、ジェトロのショールーム、展示室等は、数においても、規模においても、とうていイギリス等に比べて、はるかに足らないと思うのです。したがって、これは、毎年度の予算でことしは何カ所つくる、来年は何カ所つくるというようなことでなくて、一挙に全世界的な規模においてつくっておいて、それから建築費とか設備の支払いについて年度ごとにやるということはいいけれども、設備そのものが予算に制約されて縛られておるというのでは、その間に、その土地における日本の競争相手の商社あるいは政府機関等がどんどん設備してしまう。ですから、私の言いたいのは、ジェトロは今日国際ショールームといいますか何といいますか、適当なことばは知りませんが、たとえばメキシコにしましても、首府のメキシコにあるだけであって、これは相当やっていますけれども、船の着きます、たとえばアカプルコみたいなところにつくったらどうか。あるいはカナダにしましても、トロントにはありますけれども、太平洋沿岸のバンクーバーにはない、こういうふうに、急速なる増設が考えられるべきでございますが、一体どういう方針で進められておるか、聞かしてもらいたいと思います。
○三木国務大臣 現在、御承知のように、海外の主要地点にはトレードセンターを置いてある、これは十四カ所であります。それから展示場を置いてあるところが十二カ所、これは日本のいろんな商品の展示をしておる。トレードセンター、展示場は四十一年度の予算においてもふやしてはおりませんが、しかし、その機能の面において、たとえば一般の見本市、今年度六カ所であったのを八カ所やる、あるいはまた専門の見本市を十カ所やる、その他アジアの国際見本市もやる、モントリオールの万国博覧会の参加の準備もするということで、トレードセンターや展示場の数はふやさなかったけれども、ジェトロのやる機能というものを明年度においては相当これを強化していくということに予算の面においてはなっておるのでございます。しかし、田原さんの言われるように、われわれもしばしば海外に出てまいりますが、大メーカーはいろいろ自分のところでそういう支店などがあるのですけれども、中小企業の場合には、なかなかそれだけの経費の負掛ができないですから、ジェトロというものはやはりこれは強化していって、ことに中小企業に対して、海外市場のインフォメーションを与え、あるいは商品の宣伝をするという役割りは非常にジェトロは大きいと思う。そういう点で、もう少しこれをふやしていくべきだという御説は、私もさように考えるのでございます。しかし、来年度はその場所はふやさなかったけれども、機能の面において相当強化してあるということでございます。
○田原委員 私は場所をふやすべきだという主張でありますが、これは意見ですから次にいきましょう。
 次は、先般予算委員会で、同僚の八木一男君が質問されまして、大臣も答弁されたと思いますが、同和対策審議会の答申に基づく前向きの施策であります。
 まず最初にお尋ねしますが、部落民というものはどんなものであるか、大臣はどういうふうに解釈されておるかお尋ねしたい。
○三木国務大臣 田原さん、徳島県の事情などをお調べになればわかりますが、私は、こういうふうなことは非常に不公平な、何らの特別に区別をする理由はない、そういう点で、私は昭和十二年当選以来、私の選挙事務長などは、そういう部落出身者の人が長い聞いたしておったわけであります。そういう意味において、そういう偏見を打破するために、私は徳島県においていままで長期にわたって先頭に立ってきた一人であります。こういう偏見は次第になくなりつつありますけれども、これは文明の大きな恥辱である、したがって、こういう事態が一日も早くいろんな慣習の上においても打破されることを願っておる一人であります。
○田原委員 学者の説を総合しますと、部落とは封建時代における軍人の落後者であるというのが一番多いようであります。つまり日本の歴史が二千六百年と見て、最初の二千年間は人間対人間の差別はなかった。強いとか弱いとかはあったのですが、それが頼朝の鎌倉幕府制度の確立以来、士農工商、勝った者、負けた者、こういうことからだんだん差別されてきたということが学者の一つの説であります。その封建時代における軍事上の落後者から社会上の落後者となり、ひいては明治、大正、昭和における経済上の落後者になったことも御承知のとおりだ。したがって、これはだれの罪とは言えないけれども、政府として最も先んじて施策を講じておくべきじゃないだろうか。厚生省、農林省あるいは文部省、建設省ともそれぞれの角度からずいぶんやっておりますが、部落民の産業構成を見ますと、農漁民が約五割、それから中小企業、肉屋であるとか、くつ屋であるとか、小さな店とかいうのが約三割であります。したがって、この三割は当然中小企業庁の対象になるわけであります。確かに年々の予算を見ますと、幾らかずつはふえておりますが、まだ抜本的でない。たまたま徳島県においてその先例を開いた三木通産大臣ならば、この際思い切った重点をそこに置いて、食うためには犯罪も犯す、あるいは食えないから教育も十分受けられない、あるいはまた食えないから結婚の自由もないというようなのを文明社会の恥部として考えなければならぬと思うのです。たいへんりっぱな御答弁を得ましたが、どうかそれを具体化していってもらいたい。ただいま中小企業庁関係でどの程度どういう予算でやっておりますか。一応承っておいて、また必要があれば質問をしていきたいと思います。
○三木国務大臣 本年度は千二百万円の予算をもって指導員を強化していろいろな経営上の指導に当たる。それからもう一つは、実態の調査というものをやはりしてみたい。これは田原さんのおっしゃるように、経済的な環境も改善するということは非常に重要な問題であります。そういう点で実態の調査あるいは指導員の配置等を通じてもっと本腰を入れて、同和対策審議会の答申も得ておりますので、この問題と取り組みたいという姿勢を本年度の予算の中には出しておる次第でございます。
○田原委員 指導費千二百万円といいますと、まあ一人に平均して六十万円かかるとすれば二十四人くらいなものだ。そうすると、部落の存在する県は三十七県になっておるのですから、東北、北海道にはありませんが、ある県には指導員がいないことになるわけですね。これはいまから増額修正というわけにいきませんけれども、とりあえずことしの分として認めても、三年計画ぐらいで各県に一名ないし数名、特に多い兵庫県であるとか大阪であるとかいうのは数名、やはり中小企業といっても各種の職業がありますから、指導員を置くようにしてもらいたい。これを希望しておきます。
 以上で、たいへん簡単でございますが、この間大臣が欠席のため残っておった質問としてこれを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○天野委員長 次会は明二日水曜日午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十四分散会