第051回国会 商工委員会 第44号
昭和四十一年六月二十二日(水曜日)
   午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 天野 公義君
   理事 浦野 幸男君 理事 小川 平二君
   理事 河本 敏夫君 理事 始関 伊平君
   理事 田中 榮一君 理事 板川 正吾君
   理事 加賀田 進君 理事 中村 重光君
      内田 常雄君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    小沢 辰男君
      海部 俊樹君    神田  博君
      菅野和太郎君    熊谷 義雄君
     小宮山重四郎君    田中 六助君
      竹山祐太郎君    中村 幸八君
      二階堂 進君    橋本龍太郎君
      三原 朝雄君    湊  徹郎君
    早稻田柳右エ門君    大村 邦夫君
      桜井 茂尚君    沢田 政治君
      島口重次郎君    田中 武夫君
      山崎 始男君    麻生 良方君
      栗山 礼行君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  三木 武夫君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
 出席政府委員
        総理府技官
        (科学技術庁計
        画局長)    梅澤 邦臣君
        総理府事務官
        (科学技術庁振
        興局長)    谷敷  寛君
        通商産業政務次
        官       進藤 一馬君
        通商産業事務官
        (通商局長)  山崎 隆造君
        通商産業事務官
        (企業局長)  熊谷 典文君
        通商産業事務官
        (鉱山局長)  両角 良彦君
        工業技術院長  馬場 有政君
        中小企業庁長官 影山 衛司君
 委員外の出席者
        大蔵事務官
        (国際金融局国
        際収支課長)  福間  威君
        大蔵事務官
        (国際金融局外
        資課長)    大蔵 公雄君
        通商産業技官
        (工業技術院標
        準部長)    東  秀彦君
    ―――――――――――――
六月二十二日
 委員稻村左近四郎君、大平正芳君及び佐々木秀
 世君辞任につき、その補欠として橋本龍太郎君、
 湊徹郎君及び熊谷義雄君が議長の指名で委員に
 選任された。
同日
 委員熊谷義雄君、橋本龍太郎君及び湊徹郎君辞
 任につき、その補欠として佐々木秀世君、稻村
 左近四郎君及び大平正芳君が議長の指名で委員
 に選任された。
    ―――――――――――――
六月二十一日
 玩具、雑貨の輸出貿易振興に関する請願(倉石
 忠雄君紹介)(第五七二九号)
 電気工事業法制定に関する請願(小平忠君紹
 介)(第五八五一号)
 同(吉川兼光君紹介)(第五八五二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な
 特別措置に関する法律案(内閣提出第一二一
 号)
 工業標準化法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第七九号)(参議院送付)
 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第一
 三三号)(参議院送付)
     ――――◇―――――
○天野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案を議題として審査を進めます。
 本案につきましては昨日質疑を終了しております。
 本案に対して討論の申し出がありますので、これを許します。板川正吾君。
○板川委員 私は、日本社会党を代表して、日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対し、賛成の討論をいたしたいと存じます。
 本案は、昭和四十五年に開催される日本万国博覧会を承認し、その準備のため特別措置を規定するものでありますが、日本万国博覧会の具体的な進行はすべて今後に残されているのでありまして、その運営いかんによっては幾多の問題が予想されるのであります。そこでこの際、あらためて日本万国博覧会についてわれわれの危惧するところを明らかにし、今後の進行過程を見守りたいと思うのであります。
 言うまでもなく、日本万国博覧会は国際博覧会条約に基づくものであり、その国際的並びに国内的意義はオリンピックにまさる大きなものであります。特にアジアにおいて初めてであり、しかもわが国で開催されることは、百有余年にわたる万国博覧会の歴史上画期的なことであり、世界史的に見てもきわめて重要な意味を持つものと思うのであります。このような観点からわれわれは、国際博覧会条約の批准を促進して、昭和三十九年末にこれを承認し、日本万国博覧会に対しても、本案提出の際の本会議における代表質問の中で基本的に協力を惜しむものでないことを表明しているのでありますが、それは日本万国博覧会が策定された基本理念どおりに運営されることを前提としているからであります。
 日本万国博覧会の基本理念は次のように述べております。「私たちは過去における万国博覧会の慣例と成果を尊重しつつ、しかも東西を結ぶ新しい理念にもとづいて、このアジアにおける最初の万国博覧会を人類文明史にとって意味あるものであらしめたい。すなわち、現代文明の到達点の指標であると同時に、未来の人類のよりよき生活をひらくための転回点としたいのである。」そして、「いまこそ新しい時代が始まらねばならない。二十世紀は偉大な進歩の時代であるが、同時に今日までは苦悩と混乱を避けることができなかった。私たちはこの世界を、完全な平和が支配し、真に人類の尊厳と幸福をたたえうるところのものとして、次の世代につたえたい。この万国博覧会が、そのようなよき時代への転回点として役立ち、その場所と機会を提出しえたとするならば、私たちの光栄はこれに過ぎるものはないのである。」
 まことに格調の高い堂々たる文章であります。
 しかるに、本案審議の過程で明らかになったところによると、日本万国博覧会が、はたして「人類の進歩と調和」という統一テーマ並びに以上のような基本理念に合致した形で行なわれるかどうか、はなはだ疑わしい面が露呈されているのであります。
 われわれが危惧する問題の第一は、日本万国博覧会に招請する外国、特に国交関係のない国の招請をどうするかという点であります。現在わが国は、中華人民共和国、朝鮮民主主義人民共和国等七カ国と国交関係がありませんが、アジアで初めて開催される日本万国博覧会に、いわゆる中国、北朝鮮等を招請しないならば、その意義の大半は失われると言わざるを得ないのであります。日本万国博覧会の統一テーマも、また基本理念も、アジアで初めて開催されるという意義を深く認識したものと思うのでありまして、現実の東西問題、南北問題等困難な情勢に直面しながらも、「いまこそ新しい時代が始まらねばならない」ことを訴え、日本万国博覧会がその「転回点」となることを指向する基本理念からするならば、中国等の招請は当然の帰結と言わなければならないと思うのであります。三木担当大臣は、中国等の招請は、第二段として情勢の推移を見て処置を考慮すると言っており、また、藤山経済企画庁長官は、中国の招請は当然であると言っておるようでありますが、石坂日本万国博覧会協会会長は、きわめて消極的な態度をとっており、はたして基本理念の精神を十分理解しているのかはなはだ疑わしいのであります。しかし、政府としての正式態度の決定は、なお今後の問題でありますから、われわれは、この問題については、アジアで初めての万国博覧会という意義を評価し、中国等の招請を強く主張しつつ、政府の態度決定を監視していく所存であります。
 問題の第二は、日本万国博覧会の基本的な考え方についてであります。万国博覧会の意義は、諸国間の相互理解を深め、産業文化の交流によって世界の平和と繁栄に寄与する点にあることは、あらためて言うまでもないところであります。日本万国博覧会もこのような意義を持つ国家的、国民的行事として、ぜひとも成功させなければならないのであります。万国博覧会を成功させる要件として、第一には国民全体がその開催を理解し承認していること。第二には献身的なリーダーがいること等が必要であります。日本万国博覧会の場合も、これを成功させる最も重要な要件は、何よりもまず、主催国であるわが国の国民全部が喜んで協力するということでなければなりません。しかるに、いままでの開催決定の手続は、必ずしも十全とは言えず、国民の関心も、開催地である大阪は別として、東京その他においてはまことに低調な実情であります。このようなときに、最高のリーダーである万国博協会の会長が、その真意はともかく、日本万国博覧会によって大いにもうけると放言するようなことは、日本万国博覧会に対する国民のイメージに無用の誤解と混乱を与え、協力の意欲を萎縮させるものであります。またもしかりに、協会当局者あるいは財界の一部等の考え方の根底に、いささかなりとも、もうける万国博覧会という意向があるとするならば、せっかく日本万国博覧会を冒涜し、その精神を否定するものとして、厳に反省を求めなければならないと思うのであります。われわれは、日本万国博覧会が、国民全部の心から協力できる意義あるものとして成功させるために、日本万国博覧会の基本理念が歪曲されないよう、厳重に警戒していきたいと思います。
 問題の第三は、日本万国博覧会の準備及び開催に伴う物価の上昇、あるいは労働関係についてであります。日本万国博覧会は、昭和四十五年三月に開会しなければならないのでありますが、現在まだ会場用地の買収も完了しておりません。したがって今後、会場建設並びに関連公共事業は、巨額の費用と大量の物資を投入し、多数の労働者を集めて、急速なテンポで進行させなければ、間に合わないのであります。おそらくこうした工事は、昭和四十四年にはそのピークに達するでありましょう。このような万博突貫工事の結果、予想されるものは、まず第一に物価の上昇であります。現在でも物価問題は、最も重要な政治的、経済的課題の一つとされながら、情勢はむしろ悪化する一方であります。このまま推移するならば、万国博覧会は物価上昇に一そう拍車をかけるものとして、国民の協力はおろか、怨嗟の的となるおそれもなしとしないのであります。しかるにこの点について、政府並びに協会当局者は、問題の重要性を認識せず、方策の必要性すら考えていないのであります。政府はいまから一般的な物価対策の一環として、具体的な対策を講じ、万国博覧会の開催に支障を来たすようなことがないよう、万全の措置をとるべきであります。現にモントリオール万国博覧会の準備過程で、物価上昇は大きな問題となっているのでありまして、物価の問題は決して単なる杞憂ではないのであります。
 また、このような物価の上昇、突貫工事による過酷な労働等により、労働者の不満が爆発するおそれがあることも、予想される問題の一つであります。現に万国博覧会の歴史においては、一九三七年のパリ博覧会のように、ストライキのため開会が延期された事例もあるのであります。世論のごく一部には、このような事態を憂慮して争議行為等の規制を立法化しようとする声があり、政府与党にも、万国博覧会の期間がたまたま安保改定期に当たることを奇貨として、これに同調しようとする向きがあるやに仄聞しております。しかし、このような考え方は、問題の根本を放置して末端を押えようとするものであるのみならず、たとえ万国博覧会のためとはいえ、労働者の基本的権利を制限することは、憲法上からも絶対に許されないことであります。もしかりに、政府がこれを敢行するならば、われわれは断固として反対することを言明しておきます。政府としては、日本万国博覧会の準備過程がスムーズに進行するよう、労働者の協力を得て万全の対策を講ずべきであります。
 その他、高い理念に立つ日本万国博覧会に、競輪等の資金を使用することは好ましくないこと等幾多の問題がありますが、要は、日本万国博覧会が統一テーマ並びに基本理念のとおりに運営されることであり、そのような日本万国博覧会として、われわれは本案に賛成するのであります。したがって今後の進行過程において、日本万国博覧会が基本理念から逸脱するようならば、当然、日本万国博覧会に対するわれわれの態度も改めるものであることをここに明らかにして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○天野委員長 これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
○天野委員長 次に、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、田中榮一君外二名から、本案に対して附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提案者から趣旨の説明を求めます。田中榮一君。
○田中(榮)委員 ただいま議決されました法律案に対する附帯決議案について、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず案文を朗読いたします。
    日本万国博覧会の準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法施行にあたり、日本万国博覧会が国際博覧会史上アジアで始めて開催される画期的なものであることにかんがみ、その統一主題並びに基本理念を十分具体化し、国民全部の賛同と協力のもとにこれを成功させるよう、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一、日本万国博覧会への招請は、広く全世界の各国に行なうとともに、諸外国が出来る限り多く、とりわけアジアの諸国がもれなく参加するよう最大の努力を払うこと。
 二、日本万国博覧会全般に関する国の責任を明確化し、特にその所要経費について国の負担割合を早急に明示するとともに、関連公共事業はすべて高率補助による国庫補助対象とし、関係地方公共団体に対しては積極的な財政援助を行なうよう配慮すること。
 三、日本万国博覧会への出展は、大企業はもとより中小企業等が積極的に参加しうるよう、陳列館その他において十分配慮するとともに、出展準備のための積立金について税制上の優遇措置を講ずること。
 四、会場建設並びに周辺地域の整備にあたっては、あらかじめ跡地利用について十分考慮し、万遺憾なきを期すること。
 以上であります。
 言うまでもなく日本万国博覧会は、アジアで初めてわが国で開催されるものであり、万国博覧会の歴史において画期的な地位を占めるものであります。日本万国博覧会は、このような意義を有するものとして、人類の進歩と調和という統一主題も、また基本理念の精神も高い次元に立って策定されているのであります。したがって、日本万国博覧会の準備、開催にあたっては、統一主題、基本理念の精神が十分具体化されるよう諸般の対策を講じ、国民全部の賛同と協力を得て成功させなければならないのであります。
 このような観点から、まず第一に考慮すべきことは、被招請国の問題であります。現在わが国は、中共等七カ国と国交関係がないわけでありますが、日本万国博覧会の諸国間の相互理解、産業文化の交流という趣旨にかんがみ、国交関係のある国のみにとらわれず、全世界の各国に招請を行ない、諸外国ができるだけ多く参加するよう、またアジア諸国が漏れなく参加するように運ぶべきであります。いろいろ困難な問題はありますが、政府としてはできるだけこれが実現されるよう最大の努力を払うことが必要であります。
 第二は、日本万国博覧会に対する国の責任の問題であります。申すまでもなく、国は万国博覧会の主催国として対外的に責任を有するとともに、対内的にも万博全般について最終的に責任を持つものであります。この点、国はさらにその立場を明確にすべきであります。特に所要経費については、財源不足になった場合、結局国及び地元地方公共団体等の負担とならざるを得ないものであります。政府も国の負担割合について適当な時期に明示する方針のようでありますが、これを早急に明らかにすることが必要であります。
 また関連公共事業は、すべて高率補助とするとともに、大阪府の用地買収費、整備費について利子補給を行なう等財政援助を考慮すべきであります。
 第三に、万国博覧会への出展は相当の経費を要するものであり、中小企業あるいはその団体の参加は、特別の方策をとらない限りなかなか困難であると見なければなりません。したがって、たとえば中小企業館を政府が建設して出展させるとか、いろいろな配慮を十分払うことが必要であります。また中小企業に限らず、出展準備のための積み立て金については、広く税制上の優遇措置を講じ、多数の企業が日本万国博覧会に協力できるようにすべきであります。
 最後に、あと地利用については、大阪府においてもいろいろ検討中のようでありますが、この地域の価値を将来十分生かすためには、会場建設計画、周辺整備計画と関連して機能的にあと地利用ができるよう十分な措置を講ずることが必要であります。
 以上が提案の趣旨であります。委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○天野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 直ちに採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○天野委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。三木通商産業大臣。
○三木国務大臣 ただいまは全会一致をもって、日本の歴史に画期的な意義を持つ万博の開催運営に関する特別措置法の可決を賜わりまして感謝いたします。
 また附帯決議に述べられました御趣旨は、これを十分に尊重して善処いたす覚悟でございます。
    ―――――――――――――
○天野委員長 おはかりいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○天野委員長 内閣提出、工業標準化法の一部を改正する法律案及び同じく計量法の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。桜井茂尚君。
○桜井委員 工業標準化法の一部を改正する法律案につきまして御質問いたすわけでありますが、それと関連ある貿易あるいはエネルギーの問題につきましても若干御質問いたしたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。また私の質問は約三十問に及びますので、なるべく時間を節約する意味におきまして、御答弁は要領よく簡潔にお願いいたしたいと思います。また三木通商産業大臣は閣僚でもございますので、単に通商産業大臣ということでなく、政府の見解というようなことでお答えをお願いしたいと考えます。
 まず最初にお伺いいたしますが、わが国におけるJISの採用状況は、世界の先進諸国と比較してどのような状況にありますか。そして国際標準化機構専門委員会におけるわが国の状況、これはどのようなものでございますか。
○馬場政府委員 お答えいたします。
 現在のJISの普及状況は、国際的に見まして相当なところ、まあ大体比肩し得るところにまできております。まだしかしなお足りないところがございますが、そういうところにきております。またISOあるいはIECなどに関しましては、積極的にそれに参加をいたしまして、その標準の高さにつきまして各国に比肩し得るように現在努力いたしておる次第でございます。
○桜井委員 ISO専門委員会の数は百十四あるのでありますが、そのうち日本が幹事国になっているのはたった一つでございます。Pメンバーに二十三、Oメンバーに八十六、Nメンバーに二、不参加一ということで、いまの院長の御答弁とはだいぶ違うようでございますが、その点いかがなものでございますか。
○馬場政府委員 御指摘のようにPメンバーは現在は一つでございますが、積極的にそのほかの規格につきましても意見を述べて、またわが国もその主張を採用するようにいたしておる次第でございます。
○桜井委員 ですから、いままでの院長のお話では、日本もだいぶ国際並みだというようなことをおっしゃられたのですが、実はそんなに国際並みじゃないじゃないか、どうしてそういうように逆のことをおっしゃったのか、その点をお伺いしておるわけです。
○東説明員 ただいまお答えいたしましたあれは、Pメンバーとしては先生御指摘のように二十三入っております。国際規格の採用状況は、世界的に見ますと若干劣る点がございますが、先般ネジにつきましてすべて規格を全部採用いたしましたし、その他軸受けとか重要な規格については極力これを採用するようにいたしております。今後ますますその採用度を深めるべく、いま努力しておるところでございます。
○桜井委員 イギリスでは幹事国が二十七、Pメンバーが百十三、Oメンバーが二という状況であります。このように日本は、JISの国際的な権威という点におきましては、各種専門委員会において活動が現在までのところ不活発であった、このように思うのですが、その点いかがですか。
○馬場政府委員 御指摘のように現在までのところ日本がISOあるいはIECにおける活動が不活発でございましたことは事実でございます。しかし、ただいま標準部長が御説明申し上げましたとおりに、これに積極的な努力を払っていることもまた事実でございますので、その点御了承願いたいと思います。
○桜井委員 今後努力を払おうという態勢にあることはよくわかります。
 ところで、このようなことはわが国工業の後進性をあらわすものだと考えられるのであります。ただ最近わが国工業の発展が目ざましく、造船、鉄鋼、ラジオ、写真機、トランジスターラジオ等々にも見られるように、世界の水準を抜いているものもかなり見受けられます。だが半面、工業の中心ともいうべき機械工業においては、相変わらず多品目少量生産の傾向が見られるのであります。私はそう思うのですが、日本の工業、ことにその技術水準について政府としてはどのようにお考えでございますか、お伺いいたします。
○上原国務大臣 わが国の技術水準は世界のどの辺か、こういうお尋ねでございますが、技術水準がどのくらいかということは比較の方法がいろいろございまして、なかなか困難な問題でございますけれども、大体におきまして世界におきまする先進諸国に比べてほとんど遜色がない、こういうところかと思うのでございます。工業技術院で調査されましたものを私どものほうもちょうだいして検討いたしておるのでございますけれども、それによりますと、工業技術院が調査されましたわが国の製造工業を主としたものにつきまして、世界水準に照らしてわが国の工業水準がすぐれておると思うか劣っておると思うか、こういうことを各業種にアンケートをしたものがあるのでございます。それによりますと、繊維工業では、世界の水準に比べてすぐれている、こういう答えをいたしましたものが三十四ございました。同じであろうというものが四十四、劣っていると答えたものが九、わからないと答えたものが十三。化学工業におきましては、すぐれておると答えたものが二十九、同等であると答えたものが四十九、劣っていると答えたものが十四、わからないと答えたものが十八。石油、石炭その他の製品につきましては、すぐれておると答えたものはございません、同等であると答えたものが七十三劣っておると答えたものが二十三、不明と答えたものが四。鉄鋼では、すぐれていると答えたものが十九、同等であると答えたものが四十四、劣っていると答えたものが二十五、不明と答えたものが十二。機械工業では、すぐれておると答えたものが十六、同等であると答えたものが四十九、劣っていると答えたものが二十八、不明と答えたものが七。電気機械では、すぐれておると答えたものが十八、同等であると答えたものが五十三、劣っていると答えたものが二十四、不明と答えたものが五。こういうことでございまして、機械のごときものでもすぐれておると答えたものが十六あった、こういうことでございます概略いたしまして、特別なものを除いては世界の先進諸国に伍してほとんど遜色がない、この辺であろうかと思う次第でございます。
○桜井委員 日本の工業におきまして、私も最近におきまして、かなり水準が高くなっている、世界の中でもあるいはそれを抜いているというものもたくさんある、そう考えますが、しかし日本の工業の中には、いまだにいわゆる二重構造といいますか、そういう傾向が若干あるのじゃなかろうか、そうしてそれらの点がいろいろと通産政策の上において問題になっているのじゃなかろうか、このように私は考えておるのであります。もしそうでなければ通産政策においていままでいろんな施策が出る必要もなかったというような点も多々あるのであります。そういうぐあいに私は考えているのですが、三木大臣はどうでございますか。
○三木国務大臣 いま上原長官からもお話になったように、大体日本の技術水準というものは世界的水準にきておることは事実でしょうが、技術の進歩というものは非常に目ざましいものがあるものですから、これはいまは水準まで達しても、よほど日本が技術開発の努力を続けないと、またその開きが開いてくる可能性は持っておる、こういう点で、今後日本が開放経済下に処していくためには技術開発力、企業あるいは政府がやはりこれにもつと力を入れなければならぬと私は思います。あるいは今後においては技術開発力の競争ということが競争の一番大きな中心になるかもしれない。したがって、民間のほうにもいろんな研究開発の税制上の特典が与えられておりますが、こういうことは、やはりもう少し技術開発するための意欲を助長するような税制の処置も検討されなければならぬし、また政府のほうでも今度初めて大型プロジェクトの研究開発に対して全額出してやろう、この予算なども私はやはり思い切ってふやしていきたい。どうしても民間の企業がリスクを負担できないようなものもありますから、そういう点で今後国の研究開発費を思い切ってふやす、民間の研究開発の努力、そういう意欲を助長するような税制上の処置を講じていくということで、一段と力を入れなければ、いままでは技術を海外から輸入して追いついたのですから、みずから開発した技術というよりかは、海外のほうから輸入した技術というものが一応国際的水準まできたのですから、みずから開発した技術によってやっていかないと、なかなか諸外国でもパテントとかあるいはノーハウにしても、やはり簡単にそれを渡さないで、いろんな条件、市場制限などもつけまして、条件というものは次第にきびしくなってくるから、そういう点で、これはもう安心はならぬと考えておるわけでございます。
○桜井委員 私もそのように思うのですが、とにかくいままでは外国技術の流入、消化によって日本の技術が急速度に発展してきたのだということで、まだまだ自国技術というものがそれほど発展したわけじゃない、こういうように私は考えております。
 そこで、ちょっとお伺いしますが、特許料その他の外国技術に支払うところの外貨の支払いはどのぐらいでございますか。大蔵省の方。
○大蔵説明員 お答えいたします。
 現在技術援助の対価といたしまして外国に対して支払っておりますのは、年度別に申し上げますと、三十五年が約九千四百万ドルでございましたものが、三十六年に一億一千一百万ドル、三十七年に一億一千二百万ドル、三十八年に一億三千四百万ドル、三十九年に一億五千四百万ドル、四十年に一億六千四百万ドルと、年々増加いたしております。
○桜井委員 わが国は国際収支が非常に問題でございますが、国際収支の対策上からいっても、自国技術の開発ということは重要であり、さらにまた今日は技術革新の時代といわれ、技術の発展が経済発展の根幹をなしておるのであります。そしてまた技術の発展には時期的な波があるともいわれております。いま外国技術の導入によって一応わが国は一定の最高水準まで到達しましたが、これに基づく設備投資も一巡して現在は過剰生産の状況にあります。不況からなかなか抜け切れない状況であります。いまわが国経済は新しい技術開発に基づく新投資が期待されているときではなかろうか、いまこそ私は自国の技術を大規模に開発すべきときである、そして技術的独立をすべきときであると確信しております。さらにまた、このような不況期だからこそ技術開発のための設備投資を大規模に行ない、人間開発も行なうべきであると考えます。このことが、ある意味において現在の不況対策にもなり、将来わが国経済発展の跳躍台にもなると考えます。この点、三木大臣はどのようにお考えでございますか。
○三木国務大臣 全く私も同様に考えております。これは不況対策というばかりではなしに、そういう意味よりかは、これは、次第に国際的な競争というものは激化するでしょうから、そのときに一番たよりになるものはやはりその国の技術、これが優秀である、国際競争力を持っておるということでしょうから、お説のように人間の開発といいますか、人間の頭脳が技術を生み出すのでしょうから、そういう意味において、教育の面から人間の能力を最大限度に発揚できるような時代に即応した教育のあり方というものも検討されなければならぬし、また先ほど申したように、民間あるいは国が、技術開発に対しての資金が要るものですから、そういうための資金をやはり出すようにしなければならぬし、そのことが新しい設備投資を呼ぶような面も非常に多いと思う。単に研究開発ばかりではなしに、欧米各国とも新しい技術革新の基盤の上に乗って非常に設備投資の意欲が出てきて設備も大型化されていく傾向もあるし、そういうので、単に研究開発のための設備投資というばかりではなくして、新しい技術面にのっとった新鋭の設備というものも今後やっていかなければならぬ。ことに大型化されてくるとどうしてもスケールのメリットというものは無視できないですから、そういう点で技術開発並びにそういう新しい技術の上にのっとった新しい設備投資というものもやっていかなければならぬ。設備の過剰を持ちながらそういうふうな老朽施設を新しい設備に置きかえていかなければならぬ。そういうことがほんとうの不況対策にもなりましょうが、一面において今後の日本経済の海外に対する競争力を強化していくことになりますから、いま言われたようなことは――非常に大事な時期に日本はきておると考えます。
○桜井委員 三木大臣も私の考えと同じようでございますので、特にお願いしておきたいのでありますが、これは今後の日本経済の発展の上に重大な問題であり、大きな影響を持つものだ。したがって、国の施策としてもこれは重大な施策でなければならないのじゃないか。もちろん、技術発展あるいは人間開発という問題は複雑多岐にわたりますから、一つ一つ具体的な問題についてお伺いするわけではございませんが、少なくとも来年度予算編成の上で、そしてまたその他民間にも研究をどんどんさせるような施策、そういうものをやる政府としての心がまえ、こういうものが私は非常に大切ではなかろうか、こう思うのでありますが、もう一度お答えをお願いしたい。
○三木国務大臣 お説のとおりで、来年度の予算編成には科学技術振興に関する費用、これは財政の許す範囲内において、できるだけ最大限度にふやすようなことに私は全力を尽くしたい。これは日本の予算の面においても科学技術振興ということがもっと大きなウエートを持つべきであるというふうに考えておりますから、努力をいたしたいと思います。
○桜井委員 それではJISの問題に返りますが、現在までわが国のJISが世界的にも若干立ちおくれておったというような点は、これは相当必然性があるのでありまして、乏しい蓄積資本から出発した急速な工業発展に伴ういびつであり、技術開発の立ちおくれに由来しておったのではなかろうか、こう考えます。
 そこで、たとえば近代工業の重要な柱の一つといわれる自動車産業をとってみるに、この産業は現在までのところ国内における販売のシェア獲得のため過当競争を行なっておりました。現在でもそうでしょう。この段階では各自動車メーカーは下請会社を自分のもとに縛りつけ、重要でない部分をそれ以外に外注することが一番有利であります。このようにして大メーカーは他社に対して自己の優越性を発揮できます。そしてそれなりの合理化は進んでいくでありましょう。このような場合、JISは無用であるばかりでなく、大メーカーにとってはないほうが得かもしれません。だが、このようにして国内で有利に立ち、大きくなった企業はいまや世界市場に進出しようとしております。この段階においてはいままでよりもより安く、より優良なものを供給できる下請会社が必要となってまいりました。ところで、御承知のように日本の企業は大きいといっても外国の企業に比べれば小さいので、こうなると、部品メーカーは一企業のワクを越えなければならなくなります。そこで今度は大企業にとってもJISが必要になってきたということになります。
 次に、中小企業としても従来多品目少量生産であり、大企業の部品メーカーとしてその支配のもとにいつもかってな注文を受け、安く買いたたかれるというような従属的な関係から脱却したい。そうして権威ある部品メーカーとして自主性ある企業として自立したい、こう考えるのは当然であります。そうしてまた政府としても国民経済的観点から立ちおくれている機械工業が独自の近代的、合理的工業として成り立つことが望ましい。だからJISの普及、奨励はわが国産業構造において以上のような必然性と合理性を持ったものである、私はこう考えるのであります。それでよろしゅうでございますか。
○馬場政府委員 御指摘のように特に自動車産業などにおきましては、この発展の段階において国内のシェアの獲得のためにそれぞれ自社の特徴と申しますか、特徴を持たせるためにいろいろな形式の部品というものが発注されたわけでございます。しかし国際競争ということを考えましたときに、国外等における競争ということを考えますと、御指摘のようにそういった規格を定めなければならぬ。そのほうが大量に、また廉価に上質のものができる、こういうふうに考えております。
○桜井委員 そうすると、一定の形状、寸法、品質等を持った統一的規格がJISによって指定され、生産を合理的、近代的、しかも安価に生産することが要求されるとなると、どうしても近代的、合理的工場でなければこれを実現することができません。しかもこの法案のように国、地方公共団体が進んでJISを使用すべき旨の訓示規定を盛るほどにJISの普及を協力的に推し進めるということであるならば、従来多品目少量生産の非合理的な生産方式をとってきた多数の中小企業を政治的、権力的力によって整理、統合するということになります。現にわが国工業並びに土木建築業の数は七十五万であり、そのうち現在JISに指定されている工場数は八千六百七十四であります。今後指定を増加するといっても、その数は全工場数に比べるならば微々たるものでありましょう。また全工場を指定し、近代的工場に引き上げることも不可能であります。したがって、一方では政治の力により将来の展望の開けたエリート工場ができるとともに、他方では将来の希望を失った多数の工場が発生するのであります。そしてこのことが政府の期待する中小企業の合理化、近代化への道でもあり、わが国資本主義発展の方向であるかもしれません。だが、いま申し上げたとおり、滅びいくものに対する対策はどのようにするのか、いつも当委員会にかけられる法案の審議の際に痛感するのはこの点であります。
 かつてJIS制定の際、浅草における零細なくつ屋さんに不安が生じ、いろいろ社会問題になったことがございます。今日、中小企業対策中零細なものに対しては共同化とか指導とかいわれておりますが、ゼロが幾ら集まってもゼロであり、共同化も小さいものほど困難であります。また個々に事業を指導し得るほど国の機関も充実してはおりません。また事業者みずから指導を受ける能力もないものが多く、そして指導を受けても事実上どうにもならないものがたくさんあります。現在の中小企業政策は、全企業中、数%も上昇し得る企業に対する保護助長政策には熱心でありますが、それ以外の大多数の一般企業、ことに底辺に対しては申しわけの政策しか行なっておりません。この点、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
 またもう一つ重要なことですが、それゆえにこそ社会保障政策の体系的確立と、その充実が、商工政策実施の上からも当面の急務である、こう考えるのでありますが、大臣はどのようにお考えでございますか。
○三木国務大臣 やはりJISで中小企業がつぶれていくというふうには考えていない。やはり中小企業自体の体質を改善していかなければならぬ。したがって、そういう場合にいま社会政策的に考える面もあるではないか、確かにそういう面も――しかしながら中小企業として、なかなかこういう変化の激しいときにやりにくい中小企業も出てくるでしょうから、そういうものに対して、経済産業政策プラス社会政策的な見地が要るということは御指摘のとおりだと思います。そういうことでそのことも加味して――社会政策そのものということで産業政策をやるわけにはいかぬが、そういう配慮も要ることは、これは御指摘のような場合があり得ると思います。中小企業庁としても、この問題に対してはいろいろ検討も加えておりましょうから、長官から具体的な問題については説明をいたすことにいたします。
○桜井委員 大臣、私が申し上げていたのを聞いていらっしゃらなかったんじゃないかと思うのでありますが、いままでJISの対象になっておりました建設業あるいは工業の数は七十六万であります。そのうち対象に指定されたのは八千そこそこであります。これをふやすとしても倍であります。しかもそれを今度は法律によって、国または地方公共団体がJISの製品を採用するようにというような訓示規定が載っておるわけです。そうなりますと指定された工場の製品はよく売れる。それ以外の工場の品物は売れなくなるのです。そこで全工場を近代化するということが産業政策上できますか。そうしたら過剰生産になるではありませんか。ですから結局その中でJISに指定された、将来に希望のあるエリート工場ができるわけです。しかしその反面には、指定から漏れたものは希望がないのであります。そしてそれ以外に膨大な量の中小企業がある。先ほど私、冒頭に申し上げたのですが、通産大臣としてお答えくださいと申し上げていないのです。中小企業対策を考えるときに、確かに産業政策としてお考えになるのもけっこうです。それは一つです。しかしその反面に、これは通産大臣の領分ではございませんでしょうが、しかし、わが国の社会保障制度というものを体系的にもっと確立し、充実する必要があるんじゃないか。そうしませんと、ある意味において非常に零細な、企業とは言えない生産の部類に属するもの、こういうようなものが、おそらく独立業者という名前でとるなら五百一万もあります。通産省管轄のものだけでも三百万あります。これは三人以下です。それほどあるのです。ですからそういう意味におきまして新製品が大量にできて、しかも規格のとれたものでいくということになれば、従来のいわゆる二重構造の下部をなす多品目少量生産でやっていたところに大きなひずみが出るのじゃないか。その点についてどうお考えなんですか、こうお伺いしているのです。
○影山政府委員 JISを普及していく段階におきまして、指定工場となり得ない中小企業者というものもあるわけでございますが、その前提といたしまして、やはり中小企業分野に著しい混乱が起こらないようにということは、JISの制定の際にも実際問題としては考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても、JISが指定されました際にJISを普及していくということになりますと、何と申しましても技術の向上とか設備の近代化、そういうことをやっていかなければいけませんが、先生御指摘のように、零細企業対策といたしましても、これは本年度から機械の貸与制度等も行ないまして、小さいところができるだけ技術の向上、設備の近代化をはかっていくという方向で努力をしていきたいということでございますが、さらに先生御指摘のとおり、いろいろとJISの問題だけではなくて、やはり産業構造の再編成問題とか、あるいは中小企業構造の高度化というような過程におきまして、脱落していくような企業が起こってくるということはあり得ることでございまして、これは先般、小規模企業の共済事業団の制度を法律制定して国会で御審議願いましたときに、桜井先生からも御指摘がございまして、そういう脱落者に対しての廃業がスムーズにいく方向をもう少し考えるべきではないかというような御指摘もあったり、あるいは社会保障制度的なことも考えなければいけないという御指摘もあったわけでございますが、そういう点で今後の対策といたしましては、中小企業庁あたりで行なってまいりますところの経済政策の面におきましても、やはり小規模企業共済制度の今後の一そうの拡充をはかっていくというようなこともやらなければいけませんし、あるいはことしから実施をいたしたわけでございますが、中小企業の協同組合が構造改善事業といたしまして、廃業のための見舞い金を出すというような場合には、これに税制上優遇措置を講ずるというような制度も行なってきておるわけでございます。そういうところも考え合わせまして、社会政策的な考慮も経済政策の中には加味をいたしておるわけでございます。さらに本来的な社会保障制度の充実ということも他方面において必要なことであろうかと思いますが、これは今後とも厚生省あるいは労働省あたりとも相談をいたしまして、その実施を推進させていかなければならぬというふうに考えるわけでございます。
○桜井委員 いままでの政府の通商産業政策につきましては、先ほどから私が申し上げておりますとおり、上に伸び上がるものに対しては保護助長政策があるのでありますが、下に落ちていくものに対してはほとんどない。しかもその政策がばらばらであります。たくさんあるように見えます。確かにおっしゃって並べればたくさんあるけれども、中身はないにひとしい。そこで今日は、私どもが主張しておるような社会主義社会ではなく資本主義社会です。ですから資本主義社会の合理性を貫こうとするならば、当然そうなるのがあたりまえであって、私は今日においてある一定のものが上に伸び、ある一定のものが下に落ちていくということは、これは資本主義の必然性だと思います。必然性は必然性でよろしいから、それに対応してそれが社会問題になったり社会不安のもとになったり、あるいはいろいろ論ぜられておる経済の二重構造の底辺上にうごめくような形になるということは非常に困った問題じゃないか。その意味で三木さんは実力者でもあるし、通産大臣としてではなくて通商産業政策というものを考えるときには、常に社会保障政策というものが根底にないと、先ほども言ったように、通産政策のワクの中でちょびちょび社会政策的なごまかしでもってものをやろうという形になってくる。もっと筋の通ったきちんとした政策をおやりになったらどうですか、こういうことをお伺いしておるわけであります。大臣の御答弁を求めます。
○三木国務大臣 根本の問題は、やはりそういうふうな中小企業の中にも優劣が出てくるでしょう。したがって、こういう時代には、優劣の劣のついておる部門の中小企業の技術あるいは経営、設備をどうして近代化していくかというところに、いま長官の話したような貸与制度なども出てきておるわけであります。そういう時代の変化に伴って非常に立ちおくれておる中小企業をできるだけレベルアップしていき、そうしてそれでもどうしてもいかぬというものはやはり社会政策の対象になる。それは御指摘のように、社会保障制度ということになる。日本の社会保障制度については、日本の国力からして相当やっておるのです。しかし、いろいろやっておるけれども、いずれも不徹底の感は免れないのであります。あるいは養老年金の制度にしても、なかなかやっておってもやはり不徹底の感はある。そういうふうな点からして、今後国力の充実と相まって社会保障制度というものをもっと強化していかなければならぬことは御指摘のとおりだと思います。しかし、あまり国力を越えて社会保障制度をやるということは許されないし、またいろいろな問題も起こるわけでありますから、国力の充実と相まって社会保障制度というものを今後充実していくのがやはり近代国家の方向ですから、われわれ通産省としては、できるだけ脱落者のないように、中小企業を一応安定してやっていけるような水準に高めていくということに努力を集中する。一方において、各方面における脱落者があることは、これはやむを得ないでしょうから、そういう人たちに対する社会保障制度というものは徹底していかなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございます。
○桜井委員 私が申し上げておる点は、通産政策もかなりばらばらにたくさんできておる。社会保障政策もばらばらにできておる。あっちの分野でもこっちの分野でもそれをやる。もう少し体系的にいかぬか。そしてなわ張り争いみたいに考えずに、その根本にもっと見通しを持った、そしてできるならば年次計画まで持って、そしてそういうことをおやりになったらどうだろうか。これが従来農林関係にもある、通産関係にもある。あっちにもこっちにも似たような政策が山ほどある。そしてそこで通産政策として一番きっちり立てなければならないものが、逆に何かそれをやるための言いわけ的なものにこれを使っているような政策が立っているという点に、私はかえっておかしな混乱が出てくるのじゃないか、こう申し上げておるのです。ではきょうは中小企業対策を論じているわけではありませんので、この程度でやめます。
 次に、貿易を振興するにはJISを外国に周知徹底させることが大切であります。わが国のJISが外国において普及されてくれば必然的にわが国の製品への発注が多くなるはずであります。ところが世界にはヤードポンド制の文化的影響がいまだに大きく残っている今日、メートル法に基づくJISの海外への周知徹底が大切なことは言うまでもありません。この点政府はどのような施策を行なっているか、また行なおうとしておるのでありますか。
○馬場政府委員 このJISの海外への普及に関しましては、先ほどお話がございましたISOあるいはIEC等の会議を通じましてJISの紹介をするというようなことを、これは国際的の会議を通じてのやり方をやっておるわけでございます。そのほかにJISの紹介に関します英文のパンフレットをつくりまして、それを在外公館あるいはいろいろな出先機関を通じまして各国に出しておるわけでございます。これにつきましてはいろいろたいへんそういう点は各国に興味を持たれまして、そういうものをもっと送るようにとか、いろいろな要求がございまして、この点についてもなおさらにこれ以上にまた努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
○桜井委員 留学生を日本に呼んで、そしてJISについての教育をするとか、あるいはこちらからも出ていって教育活動をするというような点が非常に重要なことではないかと思います。ところで本来貿易が発展するということはマーケットが拡大することであり、先ほど述べたような中小企業の摩擦が積極的な見地で解決される大きな要素になります。そこで海外の関係機関と、いま申しましたようないろいろな教育あるいはJIS宣伝ということが効果があるということは、私はそう思っているのですが、だがより基本的にはJISマークによるわが国商品の輸出が海外に伸びる、このことがJISを周知徹底させる最大の力になるのではなかろうか。一たん他の規格によってある産業が発展しますと、その後はどうしてもその規格を採用せざるを得なくなります。その最大の例はわが国においては電力であります。関東で五十サイクル、関西で六十サイクルということは、今日日本産業に決定的な悪影響を与えております。これと同様でありまして、海外においてもわが国の製品がある国の基本的な産業の中核に入りますと、その国は自動的にその型式に基づく発展をとらざるを得なくなります。ことに後進国や共産圏、中でも中共、北鮮等々建設の途上にある国々に他国に先んじてわが国製品が伸びていくということは、将来におけるわが国とその国との経済的な緊密化を高める上に非常に重要であります。またひいては文化的な緊密化ももたらします。そして親密度も増してまいります。せんじ詰めれば平和共存の道を開くことになるのであります。だから極言すれば貿易が拡大し、それによるJISの普及度が平和共存の尺度にもなる、こう言えるのであります。せっかく本法によってJISを普及しようと考えている政府は、毎々同僚議員が質問していますとおり、中国貿易、北鮮貿易に対してもより一そうの積極的な熱意を示すべきときである、このように考えるのであります。簡単に三木大臣の御答弁をお願いいたします。
○三木国務大臣 貿易についてはしばしば申し上げておりますように、日本はイデオロギーにこだわらないで共産圏との間にも貿易を拡大していこうという基本方針で、中共貿易などもこれはもう驚くべき伸び方をしておるわけであります。四億七千万ドル往復で、貿易額が昨年そういうふうに上がってきておりますから、これはますます伸びていく傾向にあると思います。共産圏に対しても貿易を拡大していこう、こういう考えでございます。
○桜井委員 北鮮その他の問題につきましてはすでに同僚議員からの質問がありますので、私は省きます。
 ところで日本の経済の動向は常に国際収支の状況により大きく影響されてきたことは明白であります。現在国内では金融緩和による金利の引き下げが行なわれ、これに反してアメリカではベトナム戦争に基づく景気の過熱を反映して金利の上昇が見られ、さらにヨーロッパ諸国での高金利政策等々を考えますと、今年の外貨収支の動向はどうなるとお考えでございましょうか。もう五カ月もたっておりますので、ほぼ見通しもついてきたのじゃなかろうかと思います。御質問いたします。
○福間説明員 お答えいたします。
 いまお話のありましたように、わが国の国際収支につきましては世界のいろいろな環境の変化もございまして、決して手放しで楽観できる状態ではないと考えております。ただ最近わが国の輸出が順調な推移を示しております。それから輸入につきましては、これから景気の回復に伴いまして若干増勢を示していくことと考えておりますけれども、現在の貿易収支の黒字幅が非常に大きなものになっておりますので、他方におきまして資本収支の面で必ずしもあまりいい状態になるとは考えられないのでございますが、国際収支全体として見ました場合、私どもとしては一応黒字基調を続けていけるものというふうに考えている次第でございます。
○桜井委員 抽象的に御答弁なさらずに、私は外貨収支をお伺いしたのですから、外貨収支についてこれこれと数字をあげてぴたっとお答えすればよろしいのです。
○福間説明員 外貨収支全体につきまして、私どものほうではまだ本格的な見直しをやっておらないわけでございますので、いまのところ数字的に国際収支の各項目につきまして、はっきりした予想数字を申し上げる段階にはないわけでございます。その辺御了承をいただきたいと思います。
○桜井委員 政府の見通しでは、一月の決定で長期が三億ドル、短期二億ドル、計五億ドルの年間赤字というように見ておるようですね。昨年私がお伺いしたときも、政府は見通しを誤まったのです。私はそうならぬだろうと言ったが、見通しを大きく誤まった。ことしはどうだろうか、そういうことを心配しているのです。ですから、ことしについてどうなんだ。五億ドルなら五億ドルと一応政府で決定しているのですから、それより少なくとも多くなるか少なくなるかくらいのことは言えるでしょう。
○福間説明員 資本収支につきましては、いまお話しのとおり、一月見通しで全体として五億ドルの赤字を見込んであるのでございます。その後の状況を勘案しますと、先のことでよくわかりませんが、今年度といたしましては五億ドルを若干上回る赤字になるのじゃないかというふうに予想しております。
○桜井委員 次に、何と言っても国際収支の動向を拡大する大宗をなすものは、いまもお話がありましたとおり、貿易収支であります。外貨収支の状況や、運賃と貿易外収支が悪化しております今日におきまして、貿易収支がことさら重要であるということは申すまでもありません。ところで、昨年は輸出が非常に伸びたので、貿易収支の黒字が十四億ドル生じたのでありますが、本年はすでに五カ月たっているのです。ですから、本年の貿易収支の見通しはどうなりますか。本年の貿易全体の額としてどのくらいになると思いますか。
○福間説明員 お答えいたします。一月の政府見通しでは、輸出につきましては九十四億ドル、それから輸入につきましては七十六億、貿易収支で十八億の黒を見込んだわけでございます。その後の状況を見ておりますと、先ほどお話ししましたように、輸出については順調に伸びておりまして、この一月見通しの九十四億ドルの達成は十分可能であろう、あるいは若干これを上回るかもしれないというふうに見ております。
 それから輸入につきましては、七十六億ドルと見ておりますが、これは今後の景気の回復がどういうテンポで行なわれるかということに大きく依存しておりますので、何ともわからないのでございますが、いまのところ見通しでは、そう急激な景気の回復が行なわれるというふうには考えられませんので、輸入は大体このくらいか、あるいはこれを若干上回る程度ではないか、そこで貿易収支としましては十八億ドルの見通しを立てておりますが、この近辺、下がったとしても、これをそう大幅に下回るようなことにはならないだろうというふうに考えております。
  〔委員長退席、河本委員長代理着席〕
○桜井委員 では次により具体的に内容に立ち入って御質問いたします。
 輸出の面から考えると、昨年の輸出は大幅に伸びたのでありますが、その中心はアメリカであり、三十九年に比し三四・六%の伸びでありました。これに比べて国連貿易開発会議で、わが国はアジア・アフリカ諸国の代表として選ばれたのでありますが、そしてしかも佐藤内閣の外交政策の重点は東南アジアを指向していると言っておりますが、だが、東南アジアヘの輸出は一六・四%の増であります。そしてアフリカに至っては、ナイジェリア、ケニア、ウガンダ、タンザニア等々、各地から輸入の制限を受けている状況であります。これに対して政府は今後どのような方針で臨むつもりでございますか。
○三木国務大臣 全体として低開発国の輸出が四八%、先進諸国が五二%、こういう状態ですが、やはり低開発国には非常に問題があるわけです。それは第一次産品の値下がりもあるし、それからまた国際競争力も持ちませんから、そういう点であまり輸出が進まないという第一次産品の問題、それから外貨が不足しています。そういうことで今後の日本の先進国の貿易というものは、従来やっておるような貿易振興策あるいはもっとそういう施策を徹底することによって、ある程度順調に伸ばしていけると思います。しかし問題はやはり低開発国に対する貿易は、新たなるくふうが要る段階になってきておる、そのためには、一方において開発輸入という、現地で日本の技術も入っていって開発して輸入してくる。飼料なんかではタイなんかでもやっておるし、石油ではインドネシアなんかでもやっておる。こういうふうな開発輸入ということも、今後もっとその考え方を拡充していかなければならぬ。あるいはまた直接に資本投資といいますか、そして向こうの工業化を助けるような意味のそういうふうな投資もやはり伴って、全体としての購買力を高めていく政策もとらなければならぬ。いますぐではなくても、将来にはまた購買力の培養になるわけです。そういうふうなことで、従来のコマーシャルベースだけで、低開発国の貿易拡大というのはなかなかむずかしい、いろいろなくふうが要る段階になってきておる。この点は、今後の日本の低開発国に対する貿易拡大の方針というものをもっとやはり再検討せなければならぬ時期にきております。われわれとしても、いま来年度の予算編成にも関連がありますから、どのようにして低開発国との貿易を拡大するかということに対しては、いま検討を加えておる最中でございます。これはくふうしなければ伸びないということでございます。
○桜井委員 後進国援助について、援助ということばが使われておるのですが、従来日本のは、これは援助というよりも賠償まで計算に入っておりましたし、それからあと経済的な延べ払いということだったんじゃないか。実際問題として、今後の問題としては、大体援助援助と申しますが、後進国の経済発展に対する協力なのか。それとも日本の貿易の促進のためにいわゆる経済的援助をするものか。そのどちらに重点があるのか、その点について御質問いたします。
○三木国務大臣 これはやはり両方に関連があると思います。国とすれば、ただ何も国家的な利益というものを無視して、サンタクロースみたいなわけにはいかぬですから、やはりそこには将来のことも考えるけれども、そのためには、ただ、いまはいろいろ潜在的な購買力はあっても外貨不足なんですから、そういう意味において経済の開発を助けて、そして力をつけなければならぬわけでありますから、むしろ商品と援助というものが並行していく傾向を持ってきておる。それを並行しないで、いま一番困っておるときに、日本が何もこれに対して援助しないで将来のマーケットとして確保するということは、むずかしいですから、やはり一方においては貿易も拡大しなければならぬし、またその国の経済的な発展ができるような条件をつくることに寄与する。その効果というものは、両方で、向こうのためにもなるし、日本のためにもなる。大体国際関係というものは全部この原則の中に入るので、向こうのためばかりやるというような協力のあり方もないし、こちらばかりのためといえば向こうだってそれは喜ばないでしょう。そういうことで、両面から考えてみて、日本は今後、国力との見合いもありますけれども、海外に対する、ことに低開発国に対する経済協力というものは、もっと条件を緩和していかなければならぬ。大体金利あるいは年限等はやはり非常なソフトな条件に世界的になっておりますから、日本はきびし過ぎるという世界の批判も受けておるのですから、この条件の緩和と、海外援助も四億一千万ドル、今年は国民所得に対して〇・六四%ぐらいですか、そういうことで、一%やろうという約束をしておるわけですから、もっとやはり努力をしなければならぬ。条件の緩和と経済協力の金額の増大ということによる。このことが低開発国の貿易の拡大にも重大な関係を持っておる、こういうふうに思っております。
○桜井委員 私はきょうはこの問題について深く立ち入るつもりではございませんので、大体以上でなにしておきたいのですが、ただ、いままでは非常に短期的な見通しで、そして短期的な経済効果だけをねらっていたのではないか。だから、やはりもうちょっと長期的にものを見なければいかぬのではないか。長期的に見ることになりますと、いわゆる現地に対する協力という点が相当大きな意味を持ってくる、このように考えております。
 次に、輸入についてお伺いしますが、輸入と輸出とは密接な関係がございます。わが国の一方的輸出が行なわれているところでは、必ず輸入制限を実施してきております。ところで、わが国の輸入の一六%は食糧品、一四・四%が石油、六%が鉄鉱石、五・三%が綿花であります。その中で特に日本経済の将来にとって重大な問題を投げかけておるものは食糧品と石油であります。当委員会は商工委員会でもありますので、まず石油についてお伺いいたします。
 昨年の石油の消費は八千三百四十四万キロリットルであり、輸入はその九九%を占め十三億ドルに達しております。将来、四十七年における輸入は一億八千万キロリットル、六十年には約五億キロリットルと推定されております。そうして、それに要する輸入金額は、それぞれ、FOB価格で十五億ドル、四十億ドル、それから、CIFで見ますと十七億ドル、四十六億ドル、このようにいわれております。これはたいへんな金額であります。しかも、今日輸入原油は、そのほとんどが米英資本を中心とする七つの石油資本に代表される外資系によるひもつき輸入であり、それは全体の七六%を占めております。しかも、これらの石油が日本に輸入されても、イランやイラクは、これを自国の輸出とみなさずに、わが国に対して輸入制限その他、各種の制限をしてまいりました。だから、これらの輸入は、わが国経済にとってはまるまる赤字になっているのであります。したがって、わが国の国際収支の悪化の根底に米英資本による石油輸入が厳然として盤踞している、この事実を見のがすわけにはまいりません。しかも、石油は今日国民生活の必需物資であり、エネルギー源としてもまた製品としても欠くことのできないことは言うまでもありませんが、これら外国資本により、日本はそののど元を締めつけられていると言っても過言でない、この事実を大臣はどうお考えでございますか。
○三木国務大臣 これは、今後の世界をどういうふうに見ていくか、われわれは、アウタルキーのような考え方で経済はやっていけない、各国ともそうだと思う。やはりそれは外交上の努力も伴いますけれども……(桜井委員「私は、この事実を認めるかどうかだけお聞きしたのです。」と呼ぶ)だからそういうことで、そういう事実であっても、この事実というものがいざというときには心配ではないかというような見地から、この事実というものを否定するというか、こういう事実というものは何とか他に方法を考えなければならぬというふうには早急に思わない。これは、原子力などの開発などはやらなければならぬですけれども、そういう事実があることは、これはわれわれとしても厳然たる事実です。しかし、だからといって、ほかにすぐにエネルギー源を取りかえられるというような方法はない。だから現実においてはやむを得ない事態である。しかし、内容については、いま御指摘のあったひもつきなどは、これはもうできるだけ、少なくとも半分はひもつきでないような形で原油を輸入できるような努力をしたい、こういうふうに考えておりますが、その事態は現時点においてやむを得ないものである……。
○桜井委員 大臣、あまりそれずに簡単にお答え願いたいのですが、エネルギー源として、原子力といたしましても、これは今世紀末でもなければ、ちょっと現実の問題としてはなかなか困難じゃなかろうかと思います。それまでの間はやはり石油が重要な地位を占めるのじゃなかろうか。それで、いまわが国経済として、絶対にこれら外資系石油会社から石油を輸入しなければならないかどうかということになると、ある程度輸入をしなければならないということは事実であります。だがしかし、EEC諸国でもいっておりますが、大体フランスのごときは、国の経済の四〇%程度は自分の国で支配できるような、そういうものを持っている。イタリアにおきましては、ENIという国策会社がある、こういう状況でございます。わが国としても、ある程度の独立性を持った、自分の国の政府の、国民の意図するように動く、そういうエネルギーというものが絶対に必要じゃないか。確かに、いま申しましたように、ある程度これら外資系から輸入しなければならないということは事実でございますが、といって、アラビア石油のごときは、膨大な埋蔵量を持っております。そうして、最近もまた次々に油田が発見されております。しかもここにより以上の資本投下をするならば、生産し得る量は実にばく大なものになります。それにもかかわらず、現在すでに千七百万トン程度出せる能力があってさえ、本年は千四百万トンしか国内へ持ってこられない。サルファ分が高いとかいろんなことをいって、外資系の人が引き取りたがらない。しかも、カフジに隣接して二キロしか離れないところに、アラムコは、ここ一、二年の間に、アラビア石油が成功しましたものですから、突如としてアラビア石油の二倍の設備をいたしました。そうして縁の下からカフジの石油を抜いていくというような状況でございます。しかもその石油を日本がまた買っているのです。何のためにわが国はアラビア石油を開発しているのか。その上わが国の漁業会社が大陸だなで魚をとって日本に持ってきても税金はかかりません。しかるに同じく日本の会社が大陸だなで油をとって日本に持ってきたら関税がかかる。これはどういうわけか。大陸だな条約があると言いましても、今日わが国はこれを批准しておりません。とするならば、国内政策としてはこれはおかしいじゃないか、こう思うのですが、以上の点についてお答え願います。
○両角政府委員 お答えいたします。
 ただいまお話がございましたように、アラビア石油の引き取りにつきましては、政府としましても従来これが円滑に引き取られますよういろいろ努力をいたしてきた次第でございまして、アラビア石油の引き取り量は着実に増加してまいっておる次第でございます。将来ともこの円滑な引き取りを促進するように一そう努力をいたしたいと考えております。
 なお大陸だなの問題につきましては、わが国は大陸だなに関する国際条約に参加いたしておりませんが、国際慣習といたしまして大陸だなにおきます地下資源の開発の権利というものは、その沿岸国に属しておりまするし、またサウジアラビア及びクウェート両国は大陸だな資源に関する領有宣言を行なっておりまする関係上、本件アラビア石油によりまして開発されました石油につきましては、輸入の貨物として取り扱わざるを得ないというふうになっておる次第でございます。
○桜井委員 ですから、わが国は大陸だな条約は批准していないのですから、国内政策としてはおかしいじゃないか、こう言っておるのです。それは慣行としてそうなっておるというのは知っていますよ。それは諸外国がそうやっているというのも知っています。だけど日本の国内政策としては大陸だな条約は批准していないのですから、これはちょっとおかしいじゃないか。
○両角政府委員 御指摘のとおりの御見解もあるわけでございまするが、一応国際慣習といたしまして大陸だなの開発権というものについての領有が認められておりまする関係上、国際慣習を尊重いたさなければならないと考えております。
○桜井委員 それは私も知っていて言っているのです。ですから国際慣習がそうだというなら大陸だな条約を批准すればよろしい。それからやったらよろしい。国内政策としてはおかしいじゃないか、こう言っているのであります。
 時間がありませんから、なるべく早く進めたいと思います。
 また最近新聞の伝えるところによれば、アラビア石油に対しアメリカの石油会社の資本が入る、そう書いてありますが、このことについての政府の見解はどうなのか。アラビア石油が開発資金に困り、また原油の販売に困ってこうせざるを得ない事情もわかりますが、わが国のエネルギー政策はこれでよいのかどうか。先ほども申しましたとおり、現在でも十三億ドルの赤字の根源をなしておる、それこそある意味ではわが国の景気、不景気の根源もなしておる。そこで円資金によって持ってこられるものを開発しなければおかしいじゃないか。そういうことでわが国のエネルギー政策というものについておそらく最近エネルギー調査会でも研究なさるでしょうけれども、しかし一応お伺いしておきたいと思います。
 さらにまたここまでアラビア石油を追い込んでしまったことに対して、政府はどう考えておるのか。何にも反省していないのか、何にも責任を感じていないのか、その点大臣にお伺いいたします。
○三木国務大臣 アラビア石油の原油についてはサルファ分が多いという難点もありますけれども、しかし日本の力によって開発した原油でありますから、将来アラビア石油の国内の引き取りの確保あるいは経営の自主性というものを確保していくというような点の障害がないということでなければ、これはやはり外資が入ってくるということに対して許すわけにはいかぬですから、そういうことがないならば、これはそういう場合を考えていいではないかということで、いま検討を加えておるものであります。
○桜井委員 そこで、EEC諸国でも、先ほど申しましたとおり、石油の三、四割は自国政府の自由になるものを確保しなければならない、そうしてフランスのごときは四〇%を確保し、しかもサハラ砂漠より産出する石油については、優先的に各企業に引き取らせております。イタリアにおいては国の機関というべきENIが存在し、強力な国家的施策が実施されております。米資本の強い西独においてさえ、政府では成功払いで探鉱を奨励しております。だが、わが国では、石油業法がございますけれども、従来価格政策はありましたが、国民経済的見地に立った石油政策というものは、従来なきにひとしいような状態じゃなかったか。この点どのようにお考えですか。
○三木国務大臣 石油政策、総じてエネルギー政策というものがいままで確立しておったとは言えない面もある。これは非常にエネルギーの革命的な変革が行なわれて、そういう客観的な事情もあったと思うのですが、そういう意味において石油なども、いま御指摘のように海外の油田なども相当積極的に開発しなければならぬということで、石油資源開発会社を中心として、今年度も探鉱の資金も相当に――全体の金額としてはいろいろ御批判もありましょうけれども、昨年度に比べれば二十億円の予算も計上いたしまして、そしてこれは大蔵大臣とも、今後必要があったら増額するということで、予算編成のときにそういうもとにおいてきめたわけでございますから、今後積極的にカナダ、アラスカ、あるいはインドネシア、イラン、イラクなども日本の石油開発に対しての申し出もありますし、各国からもそういう申し出もあるわけでありますから、今後積極的な姿勢で海外の油田開発に当たりたい、そういうことによって日本人の資力によって開発した原油をできるだけふやしたいという考えでございます。
○桜井委員 ニューギニアにおいてフランスの国家資本の入っているSNPAと提携して開発する構想が進んでいるそうであります。この点はけっこうだと思います。ところで私が昨年ENIに行ったときに、ENIと日本と共同して石油を開発するということはどうか、そうしてスエズ運河もあることであるので、スエズより東でとれた石油は日本に供給し、スエズより西でとれた石油はENIに供給するという構想はどうかとENIの幹部に提案しましたら、大賛成である、私どももお国と同様に米英資本の支配に苦しんでいる、日本との提携は非常に喜ばしい、早急にその提案の実現ができるよう期待しております。こう答えております。アフリカにおいて例をとった場合、いま言ったとおり、これをENIに供給するならば、わが国の外貨取得にもなります。一朝事あるときの資源確保にもなります。この構想について大臣はどのようにお考えですか。
○両角政府委員 ただいまお話がございましたように、ニューギニアにおきまするSNPAと石油資源開発との合弁事業は現在具体的に進行中でございまして、海外開発を積極化する意味におきましてきわめて望ましいことかと考えております。あわせましてこのほかにも外国系の企業と日本の企業とが海外の原油開発のために相協力して努力をいたすということもたいへん好ましいと考えますが、その際日本の企業が自主性というものを保持するということを前提に、政府としてもこれを援助してまいりたいと考えます。
○桜井委員 さらに重要なことは、以上のような世界各地における開発を急速に進めるにいたしましても、今日のわが国における外資系石油精製会社のように、原油の輸入がひもつきであって、それ以外の原油の処理を拒否するというような態勢ではどうにもなりません。国内における石油精製業こそわが国の国民経済の利益に協力するようなものでなければ、事実上開発輸入はアラビア石油のような障害に当たらざるを得ません。これをどうするつもりか、この点お伺いいたします。
  〔河本委員長代理退席、委員長着席〕
○両角政府委員 お答えいたします。
 海外開発を進めまして原油の自主的な輸入が高まるにつれまして、いわゆるひもつき原油というものが他方で存在いたしますと、輸入の自主的な面での弾力性が失われるという点は御指摘のとおりでございますので、われわれとしましてはひもつき原油問題等をできるだけ自主的な輸入ができるような方向に漸次改善をいたしまして、あわせて海外開発を促進するという態勢で臨みたいと考えております。
○桜井委員 現在、民族系全部を集めたら四四・二%ありますが、民族系の資本も、外資ことにアメリカの石油資本からの借款が多額にのぼっており、一ドルにつき四・五バーレルというひもつきになっております。これでは民族系といったって、真の意味での自由はございません。
 そこでお伺いいたしますが、戦後今日まで電力、石炭、鉄鋼、造船等に対する財政投融資はどのくらいありましたか。そしてまた石油に対してはどのくらいありましたか。
○三木国務大臣 二十六年ですか、開発銀行ができて三十年までの間は、電力、石炭、海運、鉄鋼の四大産業にほとんど八割程度は開銀の融資が向けられておった。ところが三十一年から四十年までは六割くらいに減って、石油がふえておるのです。石油は二十六年から三十年までは〇・三%ですか、それが三十一年から四十年をみると五・四%くらいになって石油がふえておるわけです。
○両角政府委員 石油関係につきましては、昭和四十年度は石油資源開発に対しまする出資が七億、共同石油会社に対する開銀融資が四十億ということでございますし、四十一年度につきましては、それぞれ二十億、六十億という数字を計上しております。
○桜井委員 そのほかのものはどうですか。
○両角政府委員 それは当局所管ではございませんので……。
○桜井委員 こまかいことは省きますが、とにかくいま大臣がおっしゃったのとは違って零コンマ程度のパーセンテージしかないのでありまして、現在まで石油に対してはほとんど財投というものはなかった。やっと去年ちょっぴり、いまおっしゃった程度のものがあったんだということであります。しかるに、先ほど申しましたように、何か国際収支の赤字というものに対する警戒心といいますか、そういうものがどうもちょっと抜けているのじゃなかろうか。これはほかのことで議論するときには、しょっちゅう国際収支の問題が日本経済と関係しているということをおっしゃるのです。それで外貨が底をついてまいりますと、すぐ金融引き締めだ、それで不況だ、そしてまた中小企業の倒産だ、こういうことになる。ところがその外貨を一番ただ単に使ってしまう石油の原油が実に十三億ドルもその根底にあるのだ。だからこの問題を解決しませんと、わが国の経済の体質上非常に大きな問題があるのだ。この点をはっきり認識しておきませんと、政策をお立てになる上におきまして非常にまずいのじゃないか。その根源が、先ほど申しましたように石油につきましては財投がほとんどない。ですから従来は、先ほど申しましたほかの産業には重点を置いてきたけれども、今日国際収支の重大な原動力の根本をなしている石油に対して、国としての大きな政策というものが貫かれていない、こういうことが非常に残念だと思います。ですから、この石油がわが国貿易にとって赤字の最大の原因なんだ。しかも外国資本によって国民経済ののどもとを押えつけられているのだ。そうしてわれわれはバスに乗っても電車に乗ってもあるいは電気をつけても、自動耕うん機で耕うんしても、さらに家庭で炊事をしても着物を着ても、あらゆる分野で石油の消費を行ない、そうしてメージャーと称する外国資本は原油でトン当たり千円以上もうけておる。五千円のところで千円以上もうけている。そうして肥え太っていくのであります。したがって、今日における外貨不足による不況の根源も、その結果の中小企業の倒産も、みな根底に外国資本の支配ということと関係があるのだ。このように重大な石油産業に対して、いままで政策らしい政策はなかった。それは占領下であったという事情もございます。それからまた敗戦後の復興期という特殊な事情もございます。そのことは私も認めますが、しかし、今日に至ってはこの問題をほおかぶりで過ごすということは、これは怠慢ではないか。外国資本はまさに経済的侵略政策、これをわが国に実践しておるのです。このことが国民の不利益はもとより国民経済の独立の基礎を脅かしているといっても過言ではないのであります。大臣が言うように、今後世界の開発を進めるというならば、フランスのように確固とした姿勢を持った体制というものをつくらなければどうにもならない、こう思うのですが、この点大臣のお考えをお伺いします。
○三木国務大臣 新たなる機関をつくったらどうかというお話ですが、せっかく石油資源開発株式会社があるのですから、これを強化することによって海外の油田開発の使命を果たすことにさせたい、こう考えておるわけであります。
○桜井委員 私はそれは賛成なんです。石油資源がどういうぐあいにやりましても、とにかく石油資源でいいかどうか、あるいはまた帝国石油が乗り出すことで矛盾が出るかどうか、こういうことは別問題にしまして、要するに問題は、外資系の石油精製会社が日本を支配している、これをどうする。これが何とか解決つきませんと、引き取り手がないのです。引き取り手がなければいかに開発を進めるといっても、これはどうにもならない。この点どうなんですか。
○両角政府委員 御指摘のとおり非常に困難な問題があるわけでありまするが、外資系企業のひもつき原油の輸入は、長期の基本契約を結んでおります関係上、今後機会をとらえましてできるだけ契約内容は日本側の自主的なものに更改するような方向で政府としても努力をいたしたいと考えます。
○桜井委員 外資系もなかなかがんこでして、行政指導程度ではなかなかうんと言わない。法律ができて、国の法律だといえばやむを得ず納得するのですが、従来の例から見ますと、単に行政指導という程度ではどうにもならないのであります。また開発輸入を進めるといっても、採油の事業は多分に冒険的であると同時に、利権料を支払わなければなりません。相当多額の基金がなくては、実際問題として外国との利権協定は結べません。現在のようにたかだか石油資源における海外開発分二十億円、こんな程度のお金では、相手国と機動的に利権協定を結ぶということは不可能であります。またそのリスクに対してどのような処置をするのか。西独方式をとるのか。これらの点についてのお考えを示していただきたい。
○両角政府委員 海外開発を進めまする場合に多額の資金、しかも長期の資金が必要であるという点は御指摘のとおりでございますので、政府といたしましても、従来石油資源開発会社を中心にかような資金の供給を努力いたしてまいった次第でございますが、今後も開発体制を一そう積極化いたしまするためには、石油資源開発会社に対する財政資金の投入の大幅な増額等々の方策を実現いたしたいと考えます。
○桜井委員 また原油公団構想も立ち消えになったようでありますが、私は通産省の原油公団構想さえ不満であります。開発原油を輸入するのみならず、イラン石油あるいはソ連、ルーマニア等からの石油、あるいはフランスのSNPA、イタリアのENIからの輸入等々取り扱うべきものなんです。このように考えておりますが、この点についてどのように大臣はお考えですか。これは重要ですから大臣からひとつ……。
○三木国務大臣 いま言われるのは石油開発公団のようなものが必要だということですか。
○桜井委員 原油公団構想というものが通産省にあった、それが立ち消えになったのです。
○三木国務大臣 御承知のように、原油公団の組織をもって海外の原油の開発あるいはまた日本への輸入というようなものをやる、そういう機構をつくったらどうかということで研究はしておったのでありますが、今年度の予算編成のときまでに間に合わなかったので、これはもう全然その構想を見捨てたわけではないので、今後検討してみたいと思っております。
○桜井委員 当面イランからの原油のわが国への輸出が要請されております。これは新聞紙上で見たのでございます。それに対して三木大臣いろいろ何か言っておられますが、これはアングロ・イラニアンから利権料としてイランが獲得した石油であります。したがって品質はアングロ・イラニアンのものと同一であります。もしこれを日本に輸入するならば、彼らは日本に対する輸出とみなすと言っております。これは低開発地域の輸出入の問題解決の一つの方途であります。価格の問題で、値段が高いというならその点で交渉すればよろしい。好意的にこれを輸入する努力をするかしないかということが問題であります。引き取る会社がないというならば、その会社は、日本の経済外交、ひいてはアジア・アフリカに対する友好促進という経済外交に障害を与えるものであります。わが国に好意を持つ国をさえ敵に回すようにしむけるものであります。わが国外交の七、八割が経済外交であるといわれるとき、国益に反する会社の行動に対し、政府はどのように処置するつもりでございますか。
○三木国務大臣 先般も総裁が見えましてきわめて好意的で、われわれとしても石油業界のほうにも紹介の労もとったのでございます。ただ、原油が自由化されておりますから、その価格というものは国際的に競争できる価格でないと、それを引き取れということを強要することは非常に無理でありますので、その点、海外との競争ができるような価格で供給されるならば、政府はやっぱり今後石油業界にも話をして、できるだけイランの石油を引き取るように努力をしましょうと言ったわけであります。問題はそういう条件の点がどうかという点にかかっておるのでございます。
○桜井委員 次に、ソ連石油の輸入の問題についてお伺いいたします。ソ連からの石油輸入はバーター制であるので、国際収支の赤字の原因とはなりません。しかもソ連石油は、ところにもよりますが、多くは比較的に硫黄分の少ない、良質の石油であります。公害問題が大きく社会問題化している今日、ソ連石油によってハイ・サルファの中近東石油にブレンドするならば、公害対策上も非常に好結果を生ずるはずであります。しかもEECにおいてさえソ連石油の一五%程度の輸入は国益に反しないといっております。そしてイタリアのごときは二三%程度現にソ連石油を輸入しております。昨年も私はこういうことについて質問いたしましたところ、前大臣はけっこうなことであると答弁なさいましたが、三木大臣はどのようにお考えでございますか。
○三木国務大臣 御指摘のとおりソ連の石油がサルファが少ないことは事実でございまして、したがっていまは全輸入量の〇・五くらいの程度ですが、やはりこれは将来ふやしていく余地がある、貿易協定においてもそういうことで、石油の輸入量もふやすというような形において貿易協定も結ばれたわけでございます。
○桜井委員 ところで数年前ソ連から、ハバロフスクからナホトカまでのパイプライン設置につきパイプを日本が輸出し、その見返りとして石油を日本に供給するという案が提案されました。だがその当時アメリカ政府よりパイプのソ連への輸出は好ましくないとの申し入れがございました。そこで日本政府はうやむやにしてしまったのです。この問題についてその後どうなっているかと昨年私は質問したのでありますが、政府から明確な答弁がございませんでした。そこで私は昨年、植村ミッションと相前後してソ連を訪れました。そしてその際ソ連の貿易省の高官に、この問題についてソ連側は現在どのように考えているかと質問いたしましたところ、いまなおオープンであり、日本からの提案があるならば真剣にこの問題を検討する用意があるとの回答がございました。さらにまたシベリア開発に際し、日本の石油プラントをソ連が輸入し、その見返りとして石油で返すという方法はどうかという質問をいたしましたところ、これまたけっこうであるとの回答を得ました。このことはすでに外務省にソ連駐在の日本大使館から報告してあります。また木材のパルプ・プラントについては、向こう側より積極的な要望があったくらいでございました。現在のわが国は不況であり、鉄の生産は千万トンにも及ぶ過剰設備をかかえております。この際、前述のパイプライン等の契約に成功するならば、日本の不況は一挙に解決するでありましょう。日本の鉄鋼生産能力の将来における拡大の見通しから考えても、これまた重大な問題であります。この件につき三木大臣はどのようにお考えですか。
○三木国務大臣 パイプラインの問題は、まだ政府間ベースとして何も交渉が行なわれていないのです。しかし将来交渉が行なわれるならば、原油の輸入量ともにらみ合わせてパイプラインの輸出問題というものは検討いたしたいと考えております。
○桜井委員 行なわれていないわけであります。それは私がいま申し上げましたとおり、ソ連側に聞きましたらソ連側としては提案したのだ、日本側から返事がなかった、だから今度は日本側から提案がある番だ、日本側から提案があるならば、私どもはこれを慎重に検討いたします。こう答えているわけです。ですからこっちから提案しなければそれは話にならないのはあたりまえです。ですからその問題についてどのようにお考えか、こう聞いているのです。
○両角政府委員 お答えいたします。
 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、現段階におきましては本件、パイプラインの輸出問題につきましては、私どもとしては何ら関知をいたしておりませんので、将来さような要望が民間等で出てまいりました際には、十分検討いたしたいと考えます。
○桜井委員 何かおかしな答弁です。これは大臣からひとつ御答弁願います。私の聞いているのは、こっちから提案しなければ――向こうはもうとうに提案したのだ、民間でも日本鋼管などはさんざんやっております。
○山崎政府委員 この件につきましては、私従来モスクワに駐在した当時からの関係がございますので、特にお話申し上げたいと思いますが、一九六一年当時に実はお話がございまして、先方から提案がございましたときに、私ども現地に参ったわけでございますが、当時の提案はイルクーツクより持ってくるパイプを引けということでございましたが、六一年当時は実はタイシェトまでしかパイプがございませんので、交渉ベースとしてはどうも話にならない。その後六三年に河合ミッションが行きましたときに、フルシチョフのところへ直接会いに行きました。やはり向こうはオープンである。しかし、まだイルクーツクまでパイプはいっておらぬ。今後の問題といたしましては、結局イルクーツクまでパイプは引かれまして、あと四千五百キロのパイプを引かなければならぬわけでございます。それで、その当時の計画によりますと、千二十ミリのパイプを引きまして、大体年間一千万トン、そういたしますと、一千万トンのコミットをするということが条件になっておったのでございますが、技術的にも相当難点がございまして、とにかく零下四十度ぐらいになるということで、日本としてはちょっと見送っておるという、むしろコマーシャル上の問題とわれわれは了解しております。
○桜井委員 技術的には解決して、かえって日本鋼管のパイプを向こうが模倣するということになりゃせぬかと心配しているくらいなんです。それですから技術的にはもうそれは絶対だいじょうぶでございますというようになっているのです。これは日本鋼管の方を呼んで聞いていただいてもけっこうですよ。ですから、そういう状況で、日本の技術としてはそのぐらいのことはできる。問題はそういう決意があるかどうか、そしてそれを提案する気持ちがあるかどうか、そしていまの段階としてはちょっと大きいからむずかしいというならば、日本の鉄鋼生産の拡大と見合って、それについてやるのかどうか。どうせ布設するにしても三年じゃできない、五年ぐらいはかかるでしょうから、相当の長期計画を立てなければなりません。私はソ連に参りまして学者の諸君とずいぶん話し合い、あるいは諸大臣と会ったのですが、そのとき、日ソ貿易の拡大の基礎は何か、こう聞きましたときに、やはり根本は石油問題を解決する以外に拡大の見通しはない。しかもその場合に一番大切なことは長期契約でございます。これ以外にない、そういうことを言っております。私もそうだろうと思う。それですから、これはもう三木大臣に腹のうちをひとつお伺いする以外に幾ら聞いても……。ただ気があるかないかと聞いているだけですから。
○三木国務大臣 この問題は、いま言ったようないろいろな技術上の問題もあるでしょうが、これは今後前向きの検討をいたすことにいたしましょう。
○桜井委員 次にお伺いいたします。日米貿易経済委員会が近く開かれるようでございますが、自由化ということが盛んに言われているようですが、自由化ということはどういうことですか、そのことについてお伺いいたします。そしてまた何のために自由化するか、何か自由化が世界的要請だとかなんとか、しょっちゅうそういうことでごまかしてやっておりますが、その自由化というのはそもそも何で、何のために自由化するのか、その点をお伺いいたします。
○熊谷政府委員 自由化といいますのは、御承知のように商品の自由化の品目でまだ残っておるものがございます。その問題が討議の対象になろうと思います。それと同時に、いま言われております一番の問題は、資本取引の自由化という意味でございます。
○桜井委員 私の聞いているのは、自由化とはどういうことを意味するのか。それを、あなたのおっしゃるのは、自由化とは自由化である、こう言っておるが、自由化とはどういうことを意味するのか、そしてまた何のために自由化をするのか、こういうことを聞いている。
○熊谷政府委員 向こうの言っております自由化は、現在資本取引につきましては外資法によって規制しているわけでございますが、それをフリーにしてくれ、こういう意味の自由化でございます。それから、何のために自由化するかという意味は、御承知のように、OECDに加入し、IMFの八条国に移行いたしました際に保留はいたしておりますが、国際協定に加入した以上は原則として自由にしていく。ただ、日本の経済を撹乱するとか、あるいは中小企業に非常に大きな影響を与えるという面もあるので、その問題を保留いたしております。そういうものをできるだけ例外を少なくしてくれるように、こういう意味を向こうは言っておるわけでございます。
○桜井委員 何を答弁しているのかさっぱり私にはわからないのです自由化とはどういうことか、そして何のために自由化するか、こう聞いておるのです。それを、自由化とは自由化である、OECDに入ったら自由化である、国際条約に入ったから自由化だ、自由化することが任務でござい、こういう形の答弁であるが、そもそも自由化とはどういうことで、何のために自由化をするのか、こう聞いておるのです。
○三木国務大臣 これは、自由化の内容は、資本あるいは証券あるいはクレジット、とにかく直接の向こうの資本の投資というものをいまスクリーン制度をもって非常に制限を加えておるのです。日本は国際条約の場合においても十八カ条の留保条件をつけて、厳重なスクリーンをかけて一々認可しておるのですね。この制限を撤廃するということがやはり自由化の効果である。そういうことをすることが効果である。それで、なぜやるかといえば、一つには、OECDに加盟したときに、国際経済の一員に日本はなる、こういうことを決意して入ったわけであります。そのために、その条約には調印しておるけれども、留保条件はつけてあるわけですよ。だから、自由化のために日本の産業はあるわけではないのですから、日本の産業に混乱を起こすようなことはできないけれども、しかし大きく見れば日本はこういう先進国の仲間入りをして世界経済の一員になったのですから、できるだけそういう制限は――商品も自由化していくし、資本も自由化していくというのは、これからやはりそういう形の中で日本経済がやっていくということは、日本のあり方としては当然のことである。その裏づけには、日本はそのためにOECDに入ったのではないか、そういうことであります。
○桜井委員 何か言っていることが歯に衣を着たようでさっぱり私にはわからないのですが、それは自由化の現象形態であり、その自由化の条約を結んだという事実であるということにすぎないのであります。では、なぜOECDに入ったのか。こういう議論をすると切りがありませんからやめますが、とにかく自由化といってもわが国の国民経済の利益ということと結びつかなければこれは何ら意味がないんじゃないか。結局その根本にわが国国民経済の利益があるから、自由化することによって国民経済は利益になる、だからOECDにも入ったのだ、こういう見地がそこにあるんじゃないか、こう思うのですが、その点はどうですか。
○三木国務大臣 一切の日本のそういう国際条約の加盟ということは、それは国家的な利益に反するようなことはやるはずはないし、やるべきでもない。その根底にあるものは、そうすることが長い目で見れば――やはり目盛りの短い長いはありますよ。しかし大きな見地から見れば国家的利益に合致するということでOECDにも入ったし、あるいは資本の自由化もやるということが根底でございます。
○桜井委員 ですから、外国の利益のためにやるのじゃなくて日本の国民経済の利益のためにやるのだ、こういうことだろうと思う、長い目で見て。しかるに、先ほど述べましたように、わが国に入ってきている石油資本は、いまではわが国の石油産業の発展のために大きな障害になっております。しかもわが国の国民生活ののど元を押え、そして世界石油資本による日本国民搾取の大きなパイプとさえなっています。このような外国資本によるわが国侵略に対する対抗施策は今日までほとんどとられておりません。こういう現況、こういう状況のもとにアメリカから資本の自由化が要請されているのであります。近く開かれる日米貿易経済委員会に大臣はどのようなお心がまえで臨むおつもりか。いま言った大きな点について国内の体制ができていない。野放しだ。そして国民経済は非常な不利益を受けている。これにどういうつもりでお臨みになるのですか。
○三木国務大臣 私は、大きい目で見れば、やはり資本の自由化というものは日本の経済のためにプラスになる。しかしプラスになるためには日本の産業体制を整備して、外国の資本が入ってきてもそのために日本の産業が撹乱されるということであっては、それは資本の自由化というものは国の利益に合致しないわけでありますが、しかしながら、将来はやはり資本の自由化は方向としてはやるべきである。やるために日本の産業の体制を整備して、そして日本の経済がいろんな制限のもとに温存されるのではなくして、やはり貿易も自由化される、資本も自由化される、その中にあって国際競争力にうちかっていける産業体制をつくることが急務である。それまでの間は多少の段階を置かなければ、いきなり資本の自由化といったところで、いまそういう条件はない。しかし、いつまでも条件が整わなければやらぬということでは、これはできるわけがない。そのことが日本の経済のために必ずしもいいとは思わない。だから、将来はやるという前提のもとに産業の体制を整備することが今日必要なことだと私は思っております。
○桜井委員 ですから堂々めぐりして……。それならば先ほど来申し上げているとおり、石油精製事業は、今日、日本において、日本の国民経済の桎梏になっている。そして一ドルについて四・五バーレルなんというひもをつけて、そして五千円くらいの原油のところで千円ずつもうけていく、こういうような形、しかも日本経済の赤字の根源をなしている。こういうところに対してまだ施策が行なわれてない。こういう点について政府は抜本的な施策を行なうつもりがあるのかどうか。それをやらずに自由化自由化といったって、国内体制がとれてないじゃないか。この点どうですか。
○三木国務大臣 だから私が申し上げておるのは、国内体制を整備して、そして資本の自由化に対しても日本の産業が撹乱されないような、そういう条件を一日も早くつくり上げることが必要だということを申し上げておるのでございます。
○桜井委員 それでは石油産業についても国内体制を整備するのですね。一例ですけれども……。
○三木国務大臣 石油産業についても国内の体制を整備するために努力することはもちろんでございます。
○桜井委員 次に、法案に関する小さなことをお伺いいたします。今度の法律で加工技術を特に挿入した理由は何か。今日加工技術が急速に発達し、独自の技術を持った加工工場が独立してきたことも事実であります。だからこれを追加することに反対ではありません。だが、なぜ今日までこれをJISに指定しなかったのですか。いままでの法律でも十分これを指定し得たのではありませんか。従来政府はじきに法律を曲げて解釈し、拡張解釈するくせがあるのでありますが、なぜこのような技術的な問題に限って狭く解釈したのでございますか。
○馬場政府委員 このJIS、工業標準化法が制定されましたのはいまから十数年前でございまして、当時の状況からいたしまして、まず物を安く生産するというような要請もございましたものですから、そのJISの表示に関しましても、品物につきまして表示制度を採用したわけでございます。したがいまして、その後、いろいろ産業の発展、それから技術の発展に従いまして加工専業者がふえましたことはただいま御指摘のとおりでございます。そうしますと、加工でございますと、品物の形にならないものがありまして、そのためにこの解釈上の不都合が生じまして、今回こういうことをお願いしている次第でございます。
○桜井委員 最後にもう一度貿易の問題に返りますが、アジア・アフリカ地域への輸出は、これら地域の国民所得の停滞と相まって、現在伸び悩みであるばかりでなく、わが国の出超に対して激しい反感さえ生じております。ところで、二年前までアメリカとの貿易の赤字はほぼ五億ドルであり、カナダ三億ドル、豪州三・五億ドルでありました。そしてその赤字をアジア・アフリカ地域の出超でまかなっておったのであります。昨年はカナダ、豪州の赤字がそれぞれ一億四千万ドル、二億一千万ドルでありますが、アメリカとの貿易はバランスがとれるようになりました。その理由は何でありますか。そしてまた昨年の世界貿易におけるわが国輸出の増大の最大の原因は何でありますか。
○三木国務大臣 アメリカの場合は、アメリカの好況、アメリカの景気のいいということが日本の輸出を促進させ、一面において不況ということも輸出をプッシュした原因にもなって、おる。一方において輸入の面では、景気が悪いものですから輸入が減ったということで、バランスが、対米貿易において最近になく黒字になったわけでございます。全体として貿易が伸びた原因は何かといえば、根底にあるものは日本の国際競争力だ。品物が安いばかりでなく、いろいろ品質の上においても国際競争力を持ってきたということが根底にある。そのほかには、日本の不況もあったでしょうし、あるいは貿易業者の努力もあったでしょうし、いろいろなものがその背景にあったけれども、根底にあるものは日本の国際競争力が非常に強化されたということだと考えております。
○桜井委員 アメリカにおきまして非常に鉄鋼が不足しておる。それで日本の鉄鋼が非常に伸びた。あるいは海外に石油製品、ビニールとかその他いろいろそういうものが伸びた。そしてアメリカの製品が伸び悩んでいた。国内の好況で需要が一ぱいになり、供給が追いつかなかった点を日本がそれにかわって出たということだろうと思うのでありますが、その点、これは通商局長さんですか、もうちょっと具体的にお伺いいたします。
○山崎政府委員 具体的に申しますと、アメリカの現在の動向は設備投資がきわめて旺盛でございまして、鉄鋼関係その他家庭耐久消費財に対する設備投資がきわめて旺盛であること、これが一つでございますが、もう一つは消費財に対する需要が非常に多いこと、これはアメリカの人口構成が若くなっておるということ、それから若年層の結婚する率が非常に高まりまして、両方とも十八歳未満が四割というような登録状態でございまして、非常に若年層が人口構成からふえましたことと、結婚して家庭を持つのが非常に早まったのでこの購買力が非常に強いこと、それから長年の好景気のために貯蓄性向というものはむしろ下がりまして、消費性向がきわめて強いというベースがございます。ところがアメリカの設備投資が、特に家庭耐久消費財に対する設備投資が追いついておらない。したがいまして、現状では確かに限界サプライア、つまり要するに、設備でまかない縁る生産でまかない得ない需要に対して日本から入れますということは、御指摘のとおりでございます。
○桜井委員 その根底に、実は新聞にもしょっちゅう出ておるのですが、ベトナム戦争による需要、そういうものが限界需要のところで拍車をかけたということはございませんか。
○山崎政府委員 これは割合から申しますと、幾らかということは申し上げられませんが、これは否定できませんけれども、ただこれをあまり大きく見る必要はないかと私は思います。と申しますのは、全体が昨年度の国民成長による税収と申しますのは千二十五億ドルになっておるわけでございまして、予算も千億ドル超過いたしましたが、これにベトナム関係の戦費百三十億ドルが入っておるわけでございますが、その結果としてこれがプラス・オンして需要に出たかと申しますと、ある程度――五万キロ・ハイウェー計画をいまスローダウンしています。それからいわゆる社会開発の経費も落としております。その関係でベトナム戦費が全部オン、プラスの影響があるかと言われると、それほどプラスになっていなくて、ある程度公共事業というものを縮小しているということで、その影響はあまり大きく見なくてもよろしいのではないかというふうに私は考えます。
○桜井委員 それはパーセントの問題ではなくて、ある一定の限界まできたときに、それが追加需要として出てまいります。そうするとインフレに対する一つの刺激剤になるのじゃないか。それをただパーセントだけで、百三十億ドルだからたいしたことはない、こういうぐあいに考えている学者はアメリカにもいないと思うのですが、その点いかがですか。
○山崎政府委員 私もその点は否定いたしません。いたしませんが、ただ百三十億そのまま影響が出てきたという見方はとらないほうがいいんじゃないかということを申し上げました。
○桜井委員 わが国の今日の不況を乗り切るために、通産省、政府の考え方としては、輸出を増大しなければならぬ。それもごもっともでありましょう。だが輸出増大の原因というものは、結局いま局長さんから言われたようないろいろな原因。しかし若い人たちの結婚が早くなったというのもベトナム戦争のせいかもしれませんよ。そういうようないろいろな原因があって、ベトナム戦争というものがアメリカ経済に及ぼしている影響というのは、私が先ほど来相当言っているように、こういうものが案外に刺激剤になって大きく出ているんじゃないか。そうしますと、輸出が伸びるためにはベトナム戦争が続いたほうがいい。そういうことを財界が、――もし私が財界人ならそう考えるのが当然じゃなかろうか、こう思います。ですから、この財界をバックにしている自民党として、やはりそういうぐあいに内心は考えるのじゃないか。だから口では平和平和と言っているけれども、ほんとうは腹の底は輸出のほうがいい。こういうことを考えておりはせぬか。その点が日本の政治の内に何となく底流としてあるんじゃなかろうか。そうすると、われわれがベトナム戦争に対して、何とか平和に持っていこうという本格的な努力をしたって、人がなかなか信用してくれぬ。ですからそういうことのないように努力しなければならないのでありますけれども、三木大臣のお考えを伺います。
○三木国務大臣 いまのお話は、きわめて疑い深い話で、この時代にそのことが多少の貿易の拡大になっても、戦争の継続を望んでおるという者はだれもいない。もしああいうベトナム戦争が拡大されるならば、貿易どころではないですよ。何としてもアジアの平和安定というものと、多少の貿易額というものと、それをプラス・マイナスしたならば、またそのために持つ将来の不安、危険、そういうものを考えたらば、何もこのバランスシートに見合うものはないですよ。そういうことで、どうか財界や保守党がベトナム戦争の継続を望んでいるというような疑い深いようなお考えは御無用に願いたい。いまの時代で平和を望まない者はない。戦争というものの観念が昔とはすっかり違っておるというふうに御理解を願いたい。
○桜井委員 私もそうあることを望んでいるのであります。しかし政治が経済の上部構造とよくいわれておりますが、やはり主観的に考えるならば、個々の人々はみな日本人である限り平和を望み、善意であるだろうと思いますが、その根底の経済がアメリカ一辺倒にならざるを得ないような状態になっていくということになると、政治もまたそうならざるを得ない。ましてや資本の自由化が要求され、アメリカの巨大資本がわが国経済の中に入ってきてシェアを確立するということになるならば、これはわが国の独立を根底からゆるがすことになるおそれもあるのであります。現に先ほど石油の例で申し上げたとおり……。真に国民経済の独立と政治における自主性を念願するならば、今日のような貿易構造を改めなければなりません。国民経済の自立と、真の自主性を確立するためにも、先ほど私はJISの普及度が平和共存のメルクマールにもなる、こういうようにも申し上げましたが、私はほんとうにそう考えるのでありまして、ほんとうに貿易が促進するならば、その中に文化的なつながりも出てくるし、経済的な交流を通じて、親密度その他一切のものが出てくる。そういう意味におきましても、ソ連や中国等の、この赤字の原因とならない、そして低開発国のように支払いの不安もない、そして急速度に発展しておる共産圏貿易は促進すべきである。こういうときこそわれわれはある意味において促進をして、われわれの体質の中に、そういう平和的なムードというものをつくっておかなければならない。私は先ほどソ連貿易が今日の不況の解消のために、またわが国経済の発展のために重要なことを申し上げました。中国貿易とて北鮮貿易とて同様であります。このことなしに真の自立というものはないのじゃないか。佐藤内閣の現在の姿勢というものがこの問題を離れて、こういう経済基盤の問題を離れてやっていきますというと、狂いが生ずる。そして対米従属を深め、ベトナム戦争が拡大ではなくても継続するということが、逆に望ましいなどというようなことになると、その犠牲が中小企業、農民、労働者大衆、すなわち国民に転嫁されるという結果になるのであります。その意味におきましても、私は貿易構造の転換というものを、特に進歩的だといわれる三木大臣に強く要望いたします。以上をもって私の質問を終わります。
○天野委員長 加賀田進君。
○加賀田委員 午前中から引き続いてもうすでに一時二十分になるわけです。社会党は基準法を守るというのが趣旨なんですから、できるだけ簡潔に二、三の点だけ御質問いたしたいと思います。
 まず冒頭に、桜井君の質問に答えて大臣は、日本工業規格を推進していく上に立って、日本は今日技術開発が非常にスピードアップされたので、特にJIS規格の予算面その他についての将来の協力を約束したわけですが、それにしては今度の法律改正は非常に微々たるもので、そのことによって、JIS規格のこれからの発展を私は期待することはできないと思うのです。法律によりますと、結局、委員も二百四十名以内ということを規定されておりますし、それから三年ごとにあらためてこれを検討してみるという従来の法律と同じことになっておる。したがって、そういう技術開発が非常な速度をもって発展していく状態の中で、将来法律の抜本的な改正が必要じゃなかろうかと私は思うのですが、今度の場合には、鉱工業品の加工技術の表示をあらためて認める、あと二、三点細部にわたって少し改正されたわけでありますけれども、これを受けまとめる委員の構成とか、あるいは予算面もそうでありますが、もっと機構を拡充して、これらの問題の対処をしなければならぬと私は思うのですけれども、この法律では達成することができない、こういうように私は考えますので、大臣としての今後の心がまえについてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○三木国務大臣 いまお話しの点、私もさように考えます。今後機構の問題、これに対して実施の面においてもやはり必要に応じて検討を加えて、もう少し日本の技術開発というものが徹底して行なわれることが必要であろうということは同感でございます。
○加賀田委員 こまかい点は省略いたしますが、今日こういう法律に基づく日本工業規格というものが制定されると同時に、一面には団体規格が今日あって、そのことが工業規格、JIS規格の目的を阻害しておる点が個々に起こっているのではなかろうかと私は存じます。
 一つの例を申し上げますと、九電力に分かれている電力会社が規格を持って――電気器具、特に電線等については非常に多種多様な製造が行なわれておりまして、しかもそれが非常に互換性を欠いているというような面あるいは災害等について緊急に品不足で他の地区からそれを流用しようといたしましても、その規格に抵触してそれが流用できないという事例も過去にあったわけであります。これについてはやはり全国統一の規格をつくるべきではなかろうかと私は思うのです。これは製造過程における簡素化もそのためには達成されてまいりますし、互換性も、もちろんそのことにおいて流用することができると存じますし、いわゆる用途と電流の制限によってそう多くの何千種類という規格を設ける必要はないのじゃないかと思うのです。これは従来の九電力が、みずからの下請ではありませんけれども、関係電気製造業についての支配権を強化しようとする一つの方法からこういうものが出てきたと思うのですけれども、これは今後大きな課題としていわゆる電気関係、特に電線等について日本工業規格を設けて全国統一した形でやるような腹があるのかどうか。あるいは、もちろんこれは今日の状態の中では九電力のある程度の抵抗はあるだろうけれども、この抵抗を押してこの問題を消化すべきが今日の大きな課題じゃなかろうかと存じますが、この際その点についてひとつ決意を明らかにしていただきたいと思うのです。
○馬場政府委員 ただいま御指摘のとおり特に電線関係につきましては、いろいろ不都合な問題が発生いたしたわけでございます。こういう点につきまして、各電力会社も非常の事態その他におきまして、不都合が生じまして、その必要性を次第に認識しておるわけでございます。私どもといたしましては、こういう時期でもございますし、いま先生の御指摘のとおりのこともございますので、いままでのいろいろな問題点があるにいたしましても、これを統一しました日本の規格を制定するということの必要性を十分考えまして、電気学会に、どういうふうに単純化していったらいいかということをいまお願いをいたしておる次第でございます。これによりまして、結論が出ましたならば、それぞれ適当なところに原案の作成方を依頼したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○加賀田委員 そう困難な問題ではないのではなかろうかと存じますが、結局送電線、引き込み線、室内の工事線等について地域が違うから規格を変えなければならぬ、そういう理由は一つもないのじゃないかと私は思うのです。九州は暑いからこういう線を使わなくちゃならない。北海道は寒いから、こういう電線を使わなければならないというような温度の差もほとんどないだろうし、湿度についても特に規格を変更しなければならない理由もないだろう、だから全国規格を決定するその意思があれば、そう困難な問題ではなかろうと思う。ただ九電力が従来の関係もあって、それを整理できるかどうかという問題だけじゃないかと思います。したがって需用者も非常に不便であるし、そのために電線価格についても国民に非常に大きな御迷惑をかけているでしょうし、そういう点でもちろん御相談を願うのはけっこうだと思いますけれども、担当者としては早急に実現のために努力をしていっていただきたいと思います。
 それと同時に電気関係で一番大きな問題になっているのは、これはなかなか困難な状態でしょうけれども、結局日本の電気が広域運営ということで先般も法律が制定されましたけれども、規格制定において非常に大きな問題になってまいりますのは、いわゆるサイクルが相違しておりますね、関西と関東ということで。これが非常に大きな支障を来たしておると思うのですけれども、これをすぐ改正するというようなことはなかなか困難でしょう。しかし、六十サイクルを直流に直して、あらためて五十サイクルに変電をして送電をするというような、いわば不必要なことを今日やっておりますが、このサイクルについての当局の考え方についてひとつ明らかにしてもらいたいと思うのですが、これは長い間の歴史がありまして、そう簡単にいたすことは困難かと思います。しかし電力関係においても一つの検討課題としてもっていかなくちゃならぬ問題だと思います。
 これと同時に考えますのは、やはり電圧の問題ですね。これから家庭電化がだんだんと進行いたしてまいりますと、使用電力も相当大きくなってまいります。現在の家庭用の百ボルトでいいのかどうかという問題が起こってくるのではないかと思います。電圧が高くなれば必然的に使用する電線等についても相当セーブされてまいりますから、消費者としても相当助かるのではなかろうかと思いますが、アジア等の各地域においては二百二十ボルトが普通家庭用の電圧として使われているような状態ですから、これも新たな問題としてやはり検討してみる必要があるのではないかと思いますので、十分御検討願いたいと思います。
 それから自動車関係でありますけれども、自動車の発展の歴史を見てまいりますと、政府の非常な保護政策のもとに今日十一社等ができておりますが、そのカー・メーカーたちが部品の下請工業に一つの規格をきめて、それを全部下請部品工場でつくらせている。こういう形がずっと系列化の中に今日まで発展してきたわけです。その下請工場等が全国の自動車部品の統一規格がないために、カー・メーカーの命令どおりにいろいろの困難があろうとも製造されてきておる。そうして自由化を背景として自動車の価格は国際水準に落とさなければいけないという形の中で下請工場の価格を二回、三回にわたって引き下げを要請してきている。こういうことで部品工場自体においても、やはり全国統一でもっと一つの部品を大量生産できるような規格制定をしてもらいたい。それがコストダウンをする大きな要素ではないか、こういうようなことでいろいろ要請もいたしておりますし、資料を見ますと、自動車産業においては二百四十ほどのJIS規格が制定されておりますけれども、これについて自動車工業との話し合いを通じながらJIS規格についてもっと大幅な、部品について統一的なJIS規格を設けるような努力がなされておると思うのですが、いまの状態と、これから当局が努力しようとする決意について一ぺん明らかにしてもらいたいと思います。
○馬場政府委員 この問題は先ほどの電力会社と電線と同じような関係がございまして、どうしても力から申しますと、自動車のメーカーあるいは電力業界に対しまして、電線業界あるいは自動車部品業界が弱いという関係もございます。したがいまして、先ほど先生の御指摘のとおりで、どうしても自分のほうの、使う側の立場から考えました寸法その他のいわば規格を、各種のものをメーカーのほうが押しつけるというような傾向が従来あったわけでございます。この点はそれぞれの特徴を発揮するというような問題もございましたためにそういうことになったわけでございますけれども、今後の問題を考えましたときに、いろいろな不都合なことが現在起こっておるわけでございます。したがいまして、どういうふうに単純化したとすれば一番合理的であるかということを、純粋な技術的な問題点から考えまして、そしてそれに合わせて規格を制定していく、こういう方向で私ども努力をしておるわけでございます。
 そこで、この自動車部品につきましては、自動車技術会というものがございます。そこに、どういうふうにすれば一番合理的であるかということを調べてもらうようにお願いをしておるわけでございます。これも先ほどと同じようにその結論を得まして、それに従いまして、さらに一そうの規格の制定に努力をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○加賀田委員 どうも法律の趣旨を生かすために、JIS規格制定について当局は非常に消極的な態度をとって、法律では御存じのように、大臣が必要とするならば調査会の議を経てこれを制定する、非常に主導的な法律になっておるわけですけれども、実際の運営というのは、業者が必要を認めて要求し、それがいいか悪いかという受け身の態勢で今日までなされておるような傾向が私は多いように思うのです。したがって、自動車産業にいたしましても、電気関係にしても、そういう形ではいまの状態の中で、なかなかJIS規格を制定することは、利害関係があるし、過去の歴史もありますから、できないと思います。だから、やはりこの法律のたてまえからいっても、大臣に文句言ってもこれは法律のたてまえだけですから、当局者がそういう姿勢をとらなければ、私は、各関係団体の了承を得なければ一もちろん了承を得る必要はあると思うのですけれども、了承を得なければなかなかそれがむずかしい、こういうことで消極的な態度ではどうもその目的を達成することはできないのじゃないかと思うのです。これは単に単純化し、技術を向上さすというだけじゃなくして、要求されておるコストダウンについても私は、貢献する大きな一つの方法だと思うのです。だから、その点ではもっと私は、積極的に当局としても取っ組んでいただかなければ、この趣旨を生かすことはできないのじゃなかろうか、こういうふうに考えますので、そういう点は法律が通過する前にひとつ――法律については党としても賛成なんですから、いやがらせなことを言っているわけじゃないのです。積極的にやっていただきたいと思います。
 それから、法律の改正に関係して、メッキ等の加工業にJISマークをつけさすということなんですけれども、これはどういう方法でつけさすのでしょう。
○東説明員 品物につけられるのは品物につけますが、大体包装とか、あるいは送り状とかでございますね、親工場から下請に出て、返ります。その下請から親工場に返るときの送り状につけるとか、そういうかっこうで表示させたいと思います。
 それから、表示は、いままでの製品に対するJISマーク表示と、それから、加工技術に対する表示との区別という問題が当然起こるかと思うのでありますが、これに関しましては、従来のJISマークの周辺に加工技術の種目の名前を入れるような、そういう表示にしたいと考えております。
○加賀田委員 その点は明確にしてもらわなければ間違うと思うのです。加工というのは、全製品についてのJIS規格が制定されておるわけじゃありませんから、従来のようなマークであるいはちょっと書いたってすぐわかりにくいようなことじゃ、加工をやるメッキそのものがJIS規格だという印象ではなくて、それも含めた製品全部がJIS規格のような印象を私は与えると思う。そのことはやはり明確にしてもらわなければならない。これは加工だけなんだ、いわゆるメッキだけなんだ、こういうことはやはり明確にしていただくようにひとつ御配慮願いたいと思います。
 それから、これは最後に一つ中小企業の問題で、桜井委員からも質問があったのですけれども、これはメッキ業等加工業はほとんど中小企業でしょう。あらためてそういうマークをつけるということになってくると、その技術に達していないところと達しているところが明確になってまいりますね。そうなってまいりますと、結局、技術についての格差というものは、これからなおあらわれてくるおそれが私はあると思うのです。中小企業庁としてもそういう問題についてもちろん、おまえたちは自主的に技術の向上のために努力しろ、そこまで上がってこいということも一つの方法でしょうけれども、しかし実際問題として、零細企業はそこまで資金の面においてもあるいは技術者を確保する上においてもなかなか困難だ。そうすると、政府の河かの機関においてそれらの長術水準を海上さすような指導援助をせなければ、なかなか中小企業の今日の状態が平等に向上してこないんじゃないかと思うのです。それについて中小企業庁としては特段の配慮をどの点で考えているのか、この点を明らかにしてもらいたいと思うのです。
○影山政府委員 JIS制定に伴いまして、中小企業の技術面の向上指導につきましては、都道府県の公設試験研究機関を通じまして技術指導を行なうというのが、中小企業対策の一つの行き方であります。そこで、技術指導に必要な公設試験研究機関の施設費、あるいは、中小企業者が利用しやすいように開放試験室を公設試験研究機関に設けております。また、巡回技術指導というものも行なわしておるわけでございまして、そういうことに必要な施設費あるいは旅費等につきましては、技術指導事業費の補助金といたしまして四十一年度も予算におきまして三億一千百万円を計上いたしておるような次第でありまして、今後ともこの中小企業の技術水準向上というものにつきましては、特段の努力をしていきたいというふうに考えております。
○加賀田委員 大臣も相当力を入れると言っておりますし、そうして技術開発がずっと進行してまいりますと、そのことだけでも中小企業間における格差というものも拡大されてまいりますから、このJIS規格がさらに前進すると、そういうことが顕著になってくると思うのですが、中小企業の担当者としては、それらの体制にぜひとも万全を期していっていただきたいと思うのです。
 時間がもうだいぶ経過しましたので、時間があれば明日また質問いたしたいと思いますが、きょうはこれで終わりたいと思います。
○天野委員長 次会は明二十三日木曜日午前十時十五分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十分散会