第051回国会 農林水産委員会 第50号
昭和四十一年六月二十一日(火曜日)
   午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 中川 俊思君
   理事 大石 武一君 理事 倉成  正君
   理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君
   理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君
   理事 東海林 稔君 理事 芳賀  貢君
      伊東 隆治君    池田 清志君
      宇野 宗佑君    金子 岩三君
      小枝 一雄君    坂村 吉正君
      笹山茂太郎君    白浜 仁吉君
      田邉 國男君    高見 三郎君
      綱島 正興君    中川 一郎君
      野原 正勝君    野呂 恭一君
      長谷川四郎君    藤田 義光君
      松田 鐵藏君    森田重次郎君
      卜部 政巳君    川俣 清音君
      兒玉 末男君    千葉 七郎君
      松浦 定義君    湯山  勇君
      中村 時雄君    林  百郎君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 坂田 英一君
 出席政府委員
        農林政務次官  仮谷 忠男君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      森本  修君
        農林事務官
        (畜産局長)  檜垣徳太郎君
        林野庁長官   田中 重五君
 委員外の出席者
       専  門  員 松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
六月二十一日
 委員西宮弘君及び山本幸一君辞任につき、その
 補欠として日野吉夫君及び川俣清音君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員川俣清音君及び日野吉夫君辞任につき、そ
 の補欠として山本幸一君及び西宮弘君が議長の
 指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月二十日
 昭和四十一年産なたねの基準価格引上げに関す
 る請願外六件(宇野宗佑君紹介)(第五五五九
 号)
 同(大坪保雄君紹介)(第五五六〇号)
 同(中馬辰猪君紹介)(第五五六一号)
 同外六件(草野一郎平君紹介)(第五五八七
 号)
 同外三件(田中六助君紹介)(第五五八八号)
 同外四件(倉成正君紹介)(第五六一五号)
 同(中馬辰猪君紹介)(第五六一六号)
 同外十三件(中島茂喜君紹介)(第五六一七
 号)
 同外八件(三原朝雄君紹介)(第五六一八号)
 同外二件(徳安實藏君紹介)(第五六一九号)
 同外五件(山崎巖君紹介)(第五六四六号)
 同外六件(荒木萬壽夫君紹介)(第五六五八
 号)
 同外六件(池田清志君紹介)(第五六五九号)
 同(黒金泰美君紹介)(第五六六〇号)
 同外六件(西村英一君紹介)(第五六六一号)
 同(廣瀬正雄君紹介)(第五六六二号)
 同外四十一件(森下元晴君紹介)(第五六六三
 号)
 同外三件(竹内黎一君紹介)(第五六七六号)
 同外五件(荒木萬壽夫君紹介)(第五七〇二
 号)
 同(大坪保雄君紹介)(第五七〇三号)
 同外六件(周東英雄君紹介)(第五七〇四号)
 同外三件(田口長治郎君紹介)(第五七〇五
 号)
 同外五件(舘林三喜男君紹介)(第五七〇六
 号)
 同(徳安實藏君紹介)(第五七〇七号)
 同外十一件(中島茂喜君紹介)(第五七〇八
 号)
 同外三件(山崎巖君紹介)(第五七〇九号)
 農林省林業試験場開放に関する請願(鈴木茂三
 郎君紹介)(第五五八六号)
 同(賀屋興宣君紹介)(第五六五七号)
 同(宇都宮徳馬君紹介)(第五七〇一号)
 開花枯死竹林の早期回復対策費補助に関する請
 願(山中貞則君紹介)(第五六二〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関
 する法律案(内閣提出第一一一号)
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一四五号)
     ――――◇―――――
○中川委員長 これより会議を開きます。
 入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案及び農業災害補償法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許可いたします。芳賀貢君。
○芳賀委員 農災法の改正案に対して、主要な点について質問をいたしたいと思います。
 第一の点は、今回の家畜共済の制度改正によって、どのような期待効果があらわれるかということについて、具体的に述べてもらいたいわけであります。
 その第一は、現行の制度は一頭単位の引き受け方式でありますが、これが農家単位の包括共済方式に変わるわけであります。ただ、現行制度のもとにおける主要家畜の加入状態等を見ますと、乳用牛におきましては、有資格頭数は百三万一千頭、現在の加入実績が五十万九千頭で、加入率は約五〇%、肉用牛については、有資格頭数が百五十一万頭、加入頭数九十九万四千頭、加入率六六%、馬については、有資格頭数が二十五万八千頭、加入頭数が十八万四千頭、加入率が七二%、これを基礎にして、改正後のいわゆる保険需要の増大等に対する見通しについて明らかにしてもらいたいわけであります。
○森本政府委員 最近の加入率は、ただいま御指摘のとおりでございます。今回の制度改正によりまして、どの程度加入がふえるかというお尋ねでございますが、計数的に何%になろうということを推定するのはきわめてむずかしいのでございますけれども、先般来もお答えを申し上げておりますように、あるいは国庫負担の拡充といったような点、あるいは共済事故に対する選択制の採用といったような観点、あるいは加入方式を一頭単位から包括方式に原則として改めるというふうな加入奨励上の数種の改正をするわけでございますので、加入率あるいは加入頭数についても相当な増加を見る、こういうふうに考えております。計数的にどういうふうになるかということは、なかなか数字の推定はむずかしいのでございますが、加入についても相当な好影響があるものと考えております。
○芳賀委員 少なくても共済制度の改正だから、現行法に比べて、今度の改正点というものは、幾多利点を持っておるわけですから、常識的に考えても、加入頭数がふえる、いわゆる保険需要が増加するということは、おおよそ予測されるわけでありますが、しかし、ある程度の確実な予測が立たないと、いわゆる数理的な保険設計が確実に立たないということになるわけでありますし、この点は数年間農林省においても研究された点でありますからして、確実なものということはできないとしても、大体確実に近い見通し、予測、それはできないことはないと思うのです。
○森本政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、現在の加入率が御指摘のようなことで、将来数字的にこうなるだろうということはなかなかむずかしいのでありますが、たとえば乳用牛等について見ますと、現在加入率は、先ほど御指摘がありましたように約五〇%ということでありますが、戸数の加入率、つまり、飼育農家戸数に対する共済に入っておる農家の戸数の比率を見ますと、約八〇%ということになっております。おそらく、現在多頭飼育をしております農家であって、少なくとも半数あるいはそれに近い加入をしておる農家は、全頭加入に近づくのではないか、こういうふうな推測をいたしております。そういうふうな一例を申し上げましても、相当程度加入が進捗するのではないかということが御推測いただけるというふうに思います。
○芳賀委員 それでは見通し等については、後刻資料を整理して出してもらいたいと思います。
 その次にお尋ねしたいのは、昨年の十月に農林大臣から酪農近代化方針が公表されたことは御承知のとおりであります。これによりますと、乳用牛については、昭和四十一年から四十六年までの六カ年計画になっておるわけですが、昭和四十年の乳用牛の全国頭数は百二十四万頭で、飼養戸数が四十万戸、二戸当たりにすると三・一頭ということになっておるわけです。大体乳用牛は一戸三頭平均。これを北海道と北海道を除いた内地地域に区分いたしますと、北海道においては、昭和四十年の現況が三十万頭で、飼育戸数が五万戸、平均六頭となっております。内地府県においては、九十四万頭で三十五万戸ですからして、戸当たりにして二・七頭、つまり三頭平均を割っておるわけです。これが昭和四十六年の第一次の近代化計画が達成された場合においては、全国の乳用牛頭数は二百四十万頭、戸数は若干減りまして三十七万戸これを一戸当たりにしますと六・五頭ということになるわけです。それから北海道におきましては、四十六年には八十万頭で、戸数が五万戸、十六頭平均、内地府県においては、百六十万頭で三十二万戸の平均五頭ということになるわけです。これを共済制度に照らして、いわゆる有資格頭数の割合というものを乳用牛の飼育頭数の八〇%ということで計算いたしますと、全国平均は昭和四十六年の近代化計画達成時においては五・二頭、約五頭平均ということになりますし、北海道は十二・八頭、約十三頭、内地府県は四頭ということになるわけであります。
 このように近代化計画というものが具体的に実行に移されて、もちろんこれは政府の施策上の熱意いかんにもよるわけでありますが、この計画に対応して、今回の改正された家畜共済制度の一歩前進が、どういう形で、この近代化方針実行の暁に、いわゆる家畜頭数あるいは保険需要の面において増加傾向を反映するかという点は、政策上から見ても重要な関係がある点であります。この点は、単に経済局所管の共済事業ということでなくて、畜産局においてもこれは重要な問題でありますからして、この際、両局長から、近代化方針を中心にした今後の家畜共済の見通しについて意見を述べてもらいたい。
○檜垣政府委員 酪農近代化方針は、御承知のとおり、昨年の十月に公表いたしたわけでございますが、その最終年次の四十六年度の目標頭数は、芳賀委員からお話のあったとおりでございまして、全国平均では六・五頭程度になり、北海道は四十六年には十五、六頭程度の飼養になるということでございまして、今回の家畜共済制度の改正が実現いたしますれば、いわゆる近代的な酪農の飼養規模というものを、複合経営において五頭以上、酪農専門経営においては十頭ないし十五頭以上というものを目標にしておるのでありますが、これが進展をいたしますためには、いろいろな条件も必要でございますが、急速な多頭化の過程における疾病もしくは死廃の事故に基づく危険を分散する必要がある。それに対する保険需要というものは当然起こってくるわけでございます。それらの中核的な酪農家の育成という観点から見ますれば、今回の改正が、国庫負担の関係におきましてもそれらの政策にマッチするように配慮されておりますので、われわれは酪農近代化計画の達成に大きく貢献するものであろうというふうに考えております。
○森本政府委員 畜産局長からただいまお答えがございましたが、ほぼ同見解でございます。今回の家畜共済制度の改正、特に国庫負担の階層別の比率といったようなものも、酪農近代化計画の今後の推進に資するようにといったような観点を強く織り込んでおるわけであります。同時にまた、農家の多頭化の傾向に対しまして、共済を利用する際に、国庫負担その他あるいは保険需要と給付との関係といったような点で、農家が共済制度を需要がありながら利用できないということは申しわけないわけでございますから、できるだけ利用しやすい制度につくり変えるということで、今回の改正を考えておるわけであります。
○芳賀委員 結局私が尋ねたのは、第一は、先ほど申し上げましたとおり、制度改正に伴って、相当組合員から見ると有利な点が実行されるわけですからして、それによるところの保険需要の増加と、もう一つは、強力な近代化計画というものが実行された場合、全国的には六年間に乳用牛が頭数においても約倍になるわけです。あるいは北海道においては三倍になるということが、生乳の生産の計画から見ても、これは明らかになるわけです。ですから、そういう一方における政策を通じての家畜頭数の増大と、共済制度の改正に伴うところの保険需要の増大というものは、二重に作用するわけですからして、その場合、たとえば昭和四十六年度なら四十六年度の時点において、家畜の共済における加入の状態とか、その成績というものはどの程度に上昇されるかということは、当然予測されるべきものであるというふうに考えるわけです。その点を先ほど尋ねたわけでありますが、具体的な答弁がないということは遺憾でありますが、これらの点については畜産局とも十分相談をされて、次の機会に当委員会に資料としてお出し願いたいと思うわけです。それはいいですか。
○森本政府委員 実は役所の机の上で加入の見込みというものを立てることも必要でございますけれども、また一方、改正制度を農家に説明をいたしまして、どの程度この制度を利用するといいますか、将来需要が増加するかといったようなことについて、改正制度の準備過程において実際に調査をしようといったような計画も持っておるわけであります。そういった点をあわせまして、近い将来において加入の実際的な見通しを立てたいと思っておりますので、その暁において必要な資料を調製して、お出しできれば出したい、こういうふうに思っております。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、今回の改正が農家単位の引き受け方式でありますが、しかし、改正案の内容というものは、必ずしも純粋な農家単位引き受け方式とは言いがたい点もあると思うわけです。その理由は、農家が飼育しておる乳用牛、肉用牛、馬等について、家畜の種類別にこれを別立てにして、種類別の包括共済ということになっておるわけですが、実際に農家単位でやるということになれば、これらの三種類の家畜はそれこそ包括して、農家における飼育家畜の全体を一括対象にするという形のほうが、これは生産者の立場から見れば非常に有利であるということになるわけなんですね。こういうふうに区分したということは、それぞれ掛け金率の算定であるとか、あるいは共済金額の算定の相違とか、いろいろ理由はあると思いますが、結局は国が負担する共済掛け金を実際にはできるだけ国として避けようとする意図があるということが、この家畜別の包括引き受けということになったんじゃないかと思うわけです。ただ、この中で、乳用牛については多頭化の傾向が相当顕著に進んでおりますからして、いわゆる包括引き受けによっての利点は相当出てくるわけでありますが、実例をあげると、馬の場合ですね。農耕馬の場合は、最近は農業の機械化等が進んだ関係で、最近の馬の飼養頭数というものは、頭数においても戸数においても激減しておるわけです。北海道等においても、一農家一頭以内というような現況ですからして、こういう実態をとらえた場合、家畜の種類別包括引き受けということになっても、事実上農耕馬の場合は、これは多頭経営とか包括引き受けといっても、これは何も対象にならぬということになると思うわけなんです。ですから、こういう点、乳用牛を相当多頭飼育しておる農家であっても、馬一頭程度は必ずおるわけですね。あるいは肉用牛も一緒に飼育しておる農家もあるということになれば、今回の改正は一歩前進でありますが、純粋に農家単位引き受けということになれば、これはやはり農作共済とは違うわけですからして、対象になる家畜全体を一体とした包括引き受け方式のほうが、これは制度としては高度のものであるというふうにわれわれは考えており、期待しておったわけでありますが、それが今回の場合には別立ての方式になっておるわけですが、この点に対する農林省としての見解を明らかにしてもらいたいわけです。
○森本政府委員 お説のように、完全な農家単位の包括制度ということになりますと、その農家におきまして飼育している家畜の種類にかかわらず、全体を包括して共済にかけるというふうなことになると思うわけであります。それも確かに、極度に進歩した形を想定いたしますれば、そういうことも考え得るわけでありますが、現在の私どもの検討いたしましたところでは、あるいは危険率が畜種によってかなり相違がある、またそれに相応して掛け金も差がある、あるいは共済金額も相当な開きがあるといったようなこと、あるいは病傷なり死廃の起こり方といったようなことも、それぞれ畜種によって特色があるといったような点を考慮いたしまして、第一段の制度改正としては、畜種別にやることが実際的ではなかろうかということで、今回は畜種別の包括加入方式を考えたわけであります。御指摘のような加入方式は、あるいは将来極度に経営方式も多頭飼育になるようにかなりの家畜が移行するような段階、その他技術的な難点が解決されれば、十分検討してしかるべき方式であるというふうに考えております。
○芳賀委員 これはあとで死廃病傷の国庫負担の継割り二分の一の問題にも触れますけれども、そのときまた言及したいと思いますが、特に私が指摘した農耕馬等の場合には、これは現在の加入率が頭数においても七二%、これは一番高率なわけですね。それから次に肉用牛が六六%、乳用牛が五〇%ですから、農家で馬を飼育している場合は、これは農家の立場から見ると、ほとんど加入しておると思うのですよ。ですから、そういうことであれば、完全な一括引き受け方式でこれは差しつかえないじゃないですか。たとえば乳用牛等の場合においては、この一部の事故を共済対象から除外できるというような新しい方式を打ち出しておるわけですから、同じ乳用牛の場合においても、死廃病傷事故を全部対象にした場合と、病傷部分を除く場合とは、廃用、傷害部分の体系を除くとか、そういうことをやろうとしておるわけですからして、同一家畜の場合においても数種の保険設計をしなければならぬと思うわけですよ。あるいは異常部分に対する取り扱いの問題とか、そうなれば、乳用牛、肉用牛、馬、それぞれ内容が違うので何もできがたいということにはならぬと思うのです。一種類のものさえ三種あるいは四種の取り扱いをするということになれば、これは家畜全体を一体として、いわゆる農家単位の共済制度というものを実現することは至難ではないと思うのです。ですから、いま直ちにこれができないとすれば、事情はわかりますが、これは近い将来には十分検討して、完全なものとしては家畜全体を一体とした引き受け方式がとらるべきであるという見解、基本方針というものは、農林省としても固めておいたほうがいいんじゃないですか。この点は仮谷次官から明確にお答え願いたいと思います。
○仮谷政府委員 いま局長から、いろいろ具体的な現時点における考え方を申し上げたわけでありますが、確かに非常に進んだ行き方としてそういう問題は考えられると思うのであります。したがって、まずこの改正法によって実施を行ない、そしてその技術的な面等を十分検討いたしまして、できればそういう進んだ方式で進めていくことも、これは検討すべきじゃないかと思いますから、事務的な、技術的な問題もございますので、十分検討いたしてまいりたいと思います。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、共済事故の選択制についてであります。現在までは死廃病傷一元化共済の原則の上に立って運営されてきたわけでありますが、これは昭和三十年の法改正以来すでに十カ年間の一元化共済の実績あるいは歴史的経過を持っておるわけです。今回の改正は、われわれが検討した場合においては、この死廃病傷一元化の原則というものが相当大幅に変更されておるということが見受けられるわけであります。これは制度上からいっても、非常に重大な点でありますので、この際、その理由を明らかにしておいてもらいたいわけです。たとえば死廃病傷一元化の中から、病傷事故は除外することができるとか、あるいは病傷事故及び繁殖障害の廃用事故はあわせて除外することができるとか、そういう規定が、これは全般的に及ぶわけではありませんが、特別の資格を持った場合においては、条件を具備した場合においては、その選択が認められるということになっておるわけです。これは共済事故の選択によって、当然その部分だけ掛け金が低減されるということにはなるわけでありますが、一体そういう安易なやり方というものが、この共済制度の運用上から見ても、あるいは組合員である生産者の立場から見ても、実際にこれが利益されるものであるかどうかということは、慎重を要すると思うわけであります。そのことは、死廃事故というものは従前全損とみなして、従来も死廃部分に対しては二分の一掛け金国庫負担が行なわれておったわけでして、病傷部分は国庫の掛け金負担はなかったわけです。今度はそれが死廃病傷について、それを一体として掛け金負担が国庫において行なわれるわけですからして、これもまあ多年の懸案が一つ解決したことになるわけです。その大事な段階で、今度は政府自身が選択制という形で死廃病傷の一元化をくずすようなことは、これは重大問題であると思うのですよ。特に選択の中から、これは当然なことでありましょうが、死廃事故というものは除かないことになっていますね。しかし、実際に家畜共済を通じての事故を減少させる、被害を減少させるということになれば、死廃事故の起きる前に、たとえば損害防止事業を完全に行なうとか、診療事業を通じて病傷の段階でそれを完全に治癒させるとかいうことが行なわれて、初めて死廃事故の減少ということも期待できるわけです。前段のその努力というものが選択制によって除かれるということになれば、せっかく法律に損害防止事業に対する規定を加えてみても、これは効果が相当減殺されると思うわけですけれども、この点は、制度の根本原則から見ても問題になる点でありますので、ぜひ政府としての意図を明確にしてもらいたいわけです。
○森本政府委員 死廃病傷共済を一元化いたしました趣旨につきましては、ただいま御指摘がございましたように、病傷事故をできるだけ治癒につとめることによって死廃事故の発生を防止するということで、三十年以来一元化の原則のもとに運営をしてきたわけでございます。先般もお答え申し上げましたように、現在の段階におきましても、原則として一元化の考え方は捨てるべきではない、堅持すべきであるということは、私どもも同様の意見でございます。ただ、最近の状況を見てまいりますと、一部の農家におきましては、あるいは特定の事故について経営上危険と見ないといったような農家も発生をいたしてきております。また、かなり飼育の経験を積みまして、一定の事故についてはもはや危険をそれほど深く感じないといったような経営も出てきておるわけであります。したがいまして、そういった農家と保険との関係におきましては、やや需要と一元化のもとにおける給付との関係にギャップを生じてきておるというのはお認めいただける現象ではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。そういうふうな点を今回調整しようということで、特別の場合に限って、特定の事故について選択制を採用していこうということでありまして、原則として死廃病傷共済一元化の思想は決して捨てておるわけではございません。変えておるわけでもございません。
○芳賀委員 その点をもう少し明確にしてもらう必要があると思うのです。現在までは、たとえば国の掛け金負担についても、一元化であっても、病傷部分に対しては国は全然掛け金負担をしていなかったわけでしょう。しかも引き受け方式は一頭単位ですからして、健全な家畜の場合においては、全然病傷事故を起こさないでかけ捨てで終わる場合もあったわけです。今度はそれが改まって、病傷部分に対しても国が同率の掛け金負担を行なうという利点ができたわけですからして、むしろ病傷部分については進んで加入しやすくなったわけですね。それからもう一つは、一頭引き受け単位でないですから、包括方式ですからして、いわゆる加入対象になった全体の頭数についての病傷給付の総体の限度額というものを設けるわけですから、これも従来よりは非常に改善されておるわけです。いずれを見ても、むしろ病傷部分について大きな改善が行なわれたということにもなるわけですからして、進んでこれは一元化を進められると思うのですよ。いままでは掛け金の負担もしない、一頭単位であくまでもやるということでも、これは制度のもとで無理やり死廃病傷一元化で押しつけてやらしてきたわけですよ。それが改善されたのであるからして、なおさら一元化の効果というというものは、いまの時点でようやくあらわれるわけじゃないですか。それを今度は政府のほうから選択制ではずすということはどうもふに落ちないですね。これはどうしてもおかしいですよ。
○森本政府委員 御指摘のように、従来は死廃病傷共済一元化のもとにおきまして、病傷部分について国庫負担がなかったという点が、きわめて大きな問題点であったわけです。その点は御指摘のようにできるだけ改善につとめるということで、今回制度改正案に盛り込んでおるというわけであります。しかし、他方また、いままでの共済制度につきましては、画一的過ぎるという非難も、個個の地帯なりあるいは個々の農家から起こっておりますことも、また御承知のとおりであります。そういう点を特別の場合に限って緩和していくというのが、今回選択制を採用した趣旨でありまして、形式的に見ますれば、ややどうかというふうな御指摘もわからないではございませんけれども、あらゆる要請に対して制度の改善につとめていくという趣旨からいたしますれば、おのずから両者の間に調和がとれておるものというふうに私どもは考えておるわけであります。
○芳賀委員 元来は、家畜共済についても、農作共済と同じように義務加入くらいに持っていくべきなんでしょうね。なかなかそこまでいきかねる点もあるが……。ですから、選択制によって農家の掛け金負担等を軽減できるということであれば、それは事故のない場合にそういうことが言えるわけですね。その点は、法律にも無事戻しの制度というものがあるわけですね。そういうものを活用すれば、事故が生じなかった組合に対しては無事戻しがやれるということは、これは農作共済も家畜共済も通じて言えることですからして、そういう点は運用の妙で十分効果を発揮できると思う。とにかくこの死廃病傷の一元化体制をかりそめにもくずすということが政府の考えであるとすれば、これはとんでもない間違いですから、この点は厳重に戒心を要すると思う。
  〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕
これをきっかけにしてでたらめに一元化体制をくずすというのなら、これは絶対に賛成するわけにいかぬのですが、その点はどうです。
○森本政府委員 先ほども申し上げましたように、一元化の原則なり思想は堅持していくつもりでございます。ただ、特定の場合、画一的な制度をできるだけ農家の需要に合わすという趣旨で、例外的に今回の選択制を採用した、そういうふうに考えていただきたいと思います。
○芳賀委員 次に、共済掛け金の国庫負担の問題についてお尋ねしたいと思います。
 現行制度は、先ほど言いましたとおり、死廃事故だけに対して掛け金の二分の一の国庫負担になっておるわけで、これは昭和二十四年の法改正以来行なっておる点であります。この点については、従来国会においても、特に当委員会等においては、共済制度の改正を審議するたびに、死廃病傷一元化体制の上に立てば、当然傷病部分についてもこれは二分の一を国庫負担すべきである、いわゆる死廃病傷縦割り二分の一国庫負担を即刻実現すべきであるということ、これは附帯決議等を通じてもしばしば指摘した点です。この点が、今回死廃病傷一体として同率の国庫の掛け金負担が行なわれることは、大幅な改善ということができるわけですが、しかし、今回の改正の未熟な点は、死廃病傷に対して完全な縦割り二分の一が行なわれていないという点であります。どうせ改正するのであれば、十年来の懸案事項であるからして、これは議論なしに縦割り二分の一にすべきであったと思うわけですが、なぜこれができなかったか。やらなくてできなかったのか、努力したが、いろいろな事情があって今回は実行できなかったのか、その間の経緯等についても、あわせて説明願いたいと思います。
○森本政府委員 御指摘のように、死廃病傷一元化のもとにおきまして、死廃のみでなしに、病傷も含めた掛け金部分について二分の一の国庫負担を実現すべきであるということは、しばしば国会の附帯決議にもございましたように、われわれ共済制度の担当者といたしましても、数年来の念願ということで努力をいたしてきたわけであります。ただ、今回の改正案におきましては、必ずしもそれが完全な姿で実現をしていないということも、また御指摘のとおりでございます。われわれとしても、できるだけそういった方向に努力をし、また将来も努力をしていきたいという考えに変わりはございませんが、諸種の事情から見まして、あるいは加入の状況、あるいは農家の負担力、酪農政策との関連というふうな観点から、特に重要な部分と考えましたところの六頭以上の乳用牛の農家に対しまして、死廃病傷二分の一をやり、他のものについては若干それとの比較において掛け金の国庫負担率をあんばいした、そういうふうなことになっております。われわれの念願としては、将来ともいわゆる死廃病傷縦割り二分の一の実現に努力をしたいという考えには変わりはございません。
○芳賀委員 今回の改正は、最高の部分は二分の一になり、最低は三分の一ですから、一部は二分の一までいっておるわけですね。そこで、縦割り二分の一を完全実施した場合と、今回の改正案でいく場合と、国の負担はどのくらい違うわけですか。
○森本政府委員 四十一年度の加入頭数の推定によって計算をいたしますと、国庫負担部分につきましては、約五億の差ということに試算ではなっております。
○芳賀委員 国の負担が五億少なくて済むということは、これは組合員の負担が五億よけい要るということになるわけですね。違うですか。
○森本政府委員 共済金額あるいは共済掛け金が同一という前提でありますと、計算上はさようなことになります。
○芳賀委員 これが五十億円も違うということであれば、まあ検討を要するということになるが、年間五億ということになれば、日本の畜産の大きな躍進から見た場合、これが政策上も非常に効果的である、有効であるという場合は、わずか五億程度で縦割り二分の一が完全に実行できるとすれば、これは大蔵省あたりが反対したと思いますが、説得できたと思うのですけれども、これはどうなんですか。仮谷さんから……。
○仮谷政府委員 率直に申し上げまして、この改正案は長い間の懸案でありまして、農林省でもぜひ実現をしたいと思って努力をいたしましたのが、今日まで延び、しかも今期議会で終わりのほうで提出をするということになったことは、その間の大蔵省との折衝が非常に難航を続けて、ようやくここまでに持ってきたという実情でございます。理想としては、われわれも縦割り二分の一というものをどこまでも推進をいたしてまいりたいと思うのですけれども、現行の場合は、御承知のとおり大体二割程度の国庫負担、それが改正になりますと、牛の場合で四割ないし四割弱、馬のほうは三割三分ぐらいでございますけれども、大体従来に比較しますと、二倍程度国庫負担が充実できるという形になったわけでありまして、現在の段階においては、私どもも最善の努力をし、可能なる限りの改正案をつくり上げた、こういう考え方を持っておるわけでありまして、もとより農民負担を軽減することはこれで満足すべきではございませんから、この制度を実施し、さらに将来この制度の推進とあわせて、今後国庫負担についてはなお考えていかなければならぬということは、私どもの常に忘れることのできない大きな問題だと思っておるわけであります。
○芳賀委員 この点は、特に農林委員会としては、法律改正のとき数度にわたって指摘しておる点ですね。あるいは附帯決議等を行なって、そのたびに時の農林大臣は、必ず尊重してそうしまし上うと言っておるわけです。たとえば当委員会の坂村委員が経済局長をやっておった時代から、坂村君も、必ずこれはやりまししょうということを言って、国会に出てもあまり努力していないかもしれぬが、そういう経過が実はあるわけです。ですから、いまこの段階で、これが反対とか賛成というわけにはいかぬが、やはりこの次の時点にはすみやかに、多年の懸案でもありますし、二分の一程度の国庫負担は、これを共済制度、いわゆる農業災害補償制度の一環として進める場合においては、当然なことだと思うのです。ですから、次の時点では必ず実行する――わずか五億ですからね。これは国会の中で議論するほどのものじゃないですよ。その点に対して言明をお願いいたします。
○仮谷政府委員 この改正案の中でも、ほんとうにいわゆる近代化方策を進めていって、六頭以上の飼育が充実するということになれば、すでに二分の一の国庫負担が一部分のものに適用されるじゃないかという、私ども希望的な努力もしなければならぬと思っておるわけであります。
 先生のおっしゃるように、次の時点とはではいつかという問題になりますけれども、ただいま改正案を御審議願っておる途中でございまして、これをできるだけ実施し、推進をいたしまして、そしてその実施の進行状況とにらみ合わせまして、将来もちろん引き上げることに努力しなければならぬということは、当然お約束していいと思うのでございます。
○芳賀委員 次に、掛け金の負担区分の内容について、若干尋ねておきたいと思いますが、この計算の根拠がなかなか理解しがたいわけです。最低限は国の掛け金負担が三分の一、最高二分の一で、その間において、その範囲内において政令で定めるということになっておるわけで、大事な点が政令にまかせるということになっておるわけです。
 そこで、特にお尋ねしたいのは、乳用牛の場合に、一頭から二頭までが三分の一、三頭から五頭までが五分の二、六頭から二十九頭までが二分の一、三十頭以上が三分の一、事故選択の場合が十分の三となっておるが、これは結局その多頭経営を一つの基準にして選定されたというふうに考えるわけですが、問題は、三頭から五頭が五分の二、六頭から二十九頭が二分の一、この点にいろいろ問題があると思うのです。これは地域的に見てもいろいろな問題があると思いますし、酪農近代化計画の実行の面から見ても、これは問題があると思うわけです。先ほど畜産局長から、酪農近代化を進める場合においても、経営形態として複合経営の場合には五頭以上ということを言っておりますし、また条件によって違いますが、専業経営の場合には十頭以上の場合、十五頭以上の場合と二様の規模が期待されておるわけです。そうなると、特に内地府県等においては近代化計画に即応して多頭化の方向へ進んでいっても、なかなか二分の一国庫負担に該当する六頭から二十九頭という段階に到達することは容易でないと思うのですよ。どうしても四頭とか五頭規模というものが相当の期間続くということは予測されるわけでございますからして、全国平均ということになれば先ほど私が言いましたとおり、昭和四十六年には近代化計画が完全に実施された場合に、乳用牛頭数二百四十万頭、それを加入資格頭数にすれば大体二百万頭ということになって、その場合でも全国平均は五・二頭ということにしかならぬわけです。だから、近代化計画が達成した時点においても平均頭数は五頭程度ということになれば、この二分の一の対象というものを六頭以上にしたということについては、これは非常に問題がある、理論的に見ても、これは区分の方法に問題があると思いますが、これはどう考えておられますか。
○森本政府委員 国庫負担の頭数区分についてのお話でございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもとしましては、現在における家畜共済への加入の状況を見ますと、三頭の階層以上、六頭の階層以上ということで、相当加入率がそういう段階において下がってきておるといったようなこと、それから全体として飼育頭数がふえてまいりますと、掛け金負担の絶対額も多いであろうといったようなこと、あるいは酪農政策における経営の育成目標といったようなことを十分勘案をいたしまして、六頭以上の農家については掛け金の国庫負担は二分の一、三頭から五頭については四割といったふうなことにいたしたいと思っておるわけであります。ただ、酪農近代化計画との違いは、酪農近代化計画では、御案内のように、経産牛が何頭ということで表示をされております。家畜共済のほうは育成牛も含めて入ってまいりますので、ここにいっておりますところの六頭とかあるいは三頭とかいうものは、育成牛も含めました頭数でございます。その点は多少頭数計算の計算のしかたに相違がございます点を御注意いただきたいと思うのでございます。
○芳賀委員 これは畜産局長からも意見を述べてもらいたいと思うのですが、全国平均で見る場合と、それから北海道あるいは内地府県とか、内地府県の場合にも数ブロックに区分した場合、特に最近の乳用牛等の飼育動向というのは、相当地域的な変化を示しておるわけです。ある地域においては全然頭数増加が期待できないというところもあらわれてきておるわけですからして、この制度を全体の普遍的なものとして適正に運営するということになれば、やはりその地域における期待される頭数のあり方というものについても的確な判断をする必要があると思うのです。それはなるたけ頭数の多いものは二分の一にしたほうが、さっき言った国の負担は軽くて済むわけですが、そういうちゃちな態度では問題の解決はできないと思うのです。これは特に共済制度ということでなくて、畜産局としてこの点は一体どう考えるのですか。
○檜垣政府委員 先ほど来農林経済局長、政務次官からお答えがございましたように、私ども畜産行政の担当の立場から考えましても、死廃病傷一元化のもとで縦割り二分の一という国庫負担が実現されることは、きわめて望ましい方向であるということは同感でございます。ただ、現段階におきまして、初めて病傷部分に国庫負担が及ぶようになったという段階におきまして、畜産行政のたてまえから、農家負担の問題ないし共済加入の促進の見地から考えますならば二、二頭の場合というのは、われわれの酪農経営の見地から見ますれば、いわば一種の副業的な酪農である、三ないし五頭というのは、農業経営における基幹的部門に発展する過渡的な経営段階であるということでございます。経産牛五頭以上、したがってそのような経営は、必ず平均的には一・五頭程度の育成牛を持っておるはずであります。でございますので、六頭以上の飼養農家というのは、これは農業経営の中において酪農が基幹的な部門を占める経営であるというふうに理解をいたし、またそういう指導目標を持っておるわけでございます。十頭以上になりますれば、市乳地帯であれば、十分専業経営としての存立の可能性がある。草資源の多い、加工原料乳に相当ウエートのある地帯においては、十五頭以上の経営が通常経営とみなされるというふうに考えるのでございまして、したがって、原則的にといいますか、一般的に二分の一の国庫負担が認められないということになりますれば、基幹的な部門として酪農を経営いたしておりますものについて、これを負担軽減、また加入の促進に寄与するような負担率を考えるということは合理的であるというふうに私ども考えておるのでございまして、現段階における負担率はいろいろ問題もあろうかと思いますが、われわれ畜産行政の立場からも、ほぼ妥当な区分ではなかろうかというふうに考えておるのでございます。
○芳賀委員 これは縦割り二分の一ができない一つの所産としての矛盾だと思うのです。ただ政令にまかされておるわけですからね。法律で三頭から五頭までは五分の二というわけじゃないですから、最低が三分の一ですからね。たとえば最低といえば一頭以下というのはないのだから、一頭が三分の一であれば、それから上はたとえば二分の一でもかまわぬということになると思うのです、政令でまかしておるわけだから。これは今後も運用上非常に矛盾がある点だと思うので、政令実施にあたっては特に十分な配慮をして――これはこの資料による表のままでは絶対よくないんですよ。そうじゃないですか。
○森本政府委員 先ほど来私からも御説明を申し上げましたし、また畜産局長からも御説明を申し上げましたようなことで、今回の制度改正の実施といたしましては、手元にお配りいたしましたようなことで国庫負担をするということで出発をいたしたいというふうに思っております。ただ、しばしば御指摘なり御要望がありましたようなことで、国庫負担の今後のあり方ということにつきましては、私どもも十分実情等ともにらみ合わせて、さらに検討し、改善につとめていきたい、こういうことで御了解をいただきたいと思います。
○芳賀委員 ただ、ここで肉用牛については当分の間一頭以上五分の二ですから、そうであれば、乳用牛についても当分の間五分の二以上でもいいんじゃないか。馬だけは残酷なようだけれども、大体一頭以内ですから、これだけ三分の一でどうしても残したいならしようがないと思うけれども、ある家畜については当分の間ということで一頭以上がやれるのであれば、その辺に弾力性はあると思うのです。そうじゃないですか。
○森本政府委員 肉用牛につきましても、あるいは農家の飼育の形態、あるいは肉用牛についての政策のあり方といったようなものの条件が乳用牛と同様でありますれば、原則として乳用牛と同じような負担の区分に従っていっていいのではないか、こういうことで、法律上も一応原則はそういうかっこうにしておるわけであります。しかし、現在の飼育の形態からいきましても、あるいはまた肉資源を一頭たりとも確保し、育成をしなければいかぬといったような喫緊の政策的な課題といったような点からいきまして、当分の間一律方式ということで考えたわけでございます。そういう点におきまして、両者の扱い方は暫定的には違うわけでありますけれども、原則的な考え方としてはさほど違ったものではないというふうに思っております。
○芳賀委員 次に、共済金額関係の点について、若干お尋ねいたします。これは法律の百十四条で共済金額の関係が規定されておるわけですが、お尋ねしたいのは、最近の家畜価格は相当急激に上昇傾向をたどっておるわけでして、これは農家の側から見れば悪い現象ではないと思うわけです。そこで、共済金額の算定方式について、これは規定にもありますが、いわゆる加入家畜に対する共済金額の決定は、家畜の共済価額に対して百分の八十をこえない範囲あるいはまた主務大臣が定める最低割合を下らない範囲で共済金額をきめるということになっておるわけですが、これは現実にはどういう加入家畜の価格の認定をやるか、この改正の時点を機会に具体的な説明をしてもらいたいと思います。
○森本政府委員 共済に関係いたします家畜の価格の評価の問題でありますが、共済組合のほうにそういった価格の評価をする評価員がございまして、そういう評価員が適正な価格を評価するということでございます。
○芳賀委員 じゃ、具体的に聞きますが、たとえば、加入しようとする家畜が乳用牛の場合に、これは適正な時価が一頭二十万円である、その乳用牛をたとえば十頭飼っておるから、包括で加入しようとする場合、その二十万円という評価は、それは適正な価格であると認定され、本人もこれは二十万円の価があるからして、二十万の限度で加入したいという場合には、それは二十万の評価額ということになるわけでしょう。そうじゃないですか。加入するときの順序を追って説明してください。
○森本政府委員 もちろん、ただいま言われましたような例でありますと、農家も二十万円だ、評価する人も二十万円だということであれば、共済価額としては二十万円ということになるわけであります。ただ、共済金額の選択の限度ということで、現在八割以内ということになっておりますので、共済金額としては八掛けということになっているわけであります。これは申すまでもございませんけれども、家畜の価格も時によって変動することが予想されますから、超過保険にならぬというふうな原則が保険を通してございますので、そういった一般的な原則にならって、そういうふうにしておるわけでございます。
○芳賀委員 順序として、いま聞いたのは共済価額ですね。それは二十万で妥当であるという場合には、二十万円が基礎になるわけですね。
 それから次には、共済金額をきめる場合には、これは定款の定めもありますが、この二十万円に対して百分の八十をこえない範囲ということになるわけですね。こえない範囲ということになると、最高限度でも、百分の八十だから十六万円以内ということになるわけですね。
 それからもう一つ、この主務大臣の定める最低割合を下らざる金額ということになってきますと、これはどういう計算でやるわけですか。
○森本政府委員 主務大臣の定める金額の範囲内というのは、大体一割から三割の範囲内でそれぞれ組合で定款で定めることになる、そういうふうな運営にしたらどうかということでございます。
  〔田口(長)委員長代理退席、委員長着席〕
○芳賀委員 この十六万円が家畜の共済金額となった場合に、掛け金の算定はどういうことでやりますか。これは特に国庫負担の対象になる共済金額というものは、十六万全部であればこれは問題はないわけですね。この点に国としてのごまかしがあるわけですね。ですから、これを明確にしてもらいたいのです。
○森本政府委員 いわゆる国庫負担対象共済金額の話であろうと思うのですが、従来は御案内のように、平均の共済価額の二分の一を限度として国庫負担の対象に共済掛け金を計算する、こういうことになっておったわけです。ただ、数年来やってまいりまして、共済価額の予算上の計算という点が、年度を経過いたしましたけれども、多少実態に合わすのがおくれておりまして、現状では昭和三十年から三十二年の平均共済価額の二分の一というふうなことで予算上の計算をいたしておりまして、共済価額が数年経過して上がってきておるということに合わすことが若干おくれておるという事態にございます。そういうことで、改正制度実施におきまして、最近年次にできるだけ共済価額を合わして、実態との乖離をなくしていきたいと思っておるわけであります。
○芳賀委員 そうすると、共済価額の二分の一ということになれば、先ほど私が申し上げた、乳用牛が共済価額二十万と共済金額十六万という場合、それはこの二十万円の共済価額の二分の一ということになるわけですね。すると、十万円ということになるわけですか。共済金額は十六万円であるが、政府の掛け金負担の対象になる共済金額というものは十万円が最高限度ということになるわけですか。
○森本政府委員 御指摘の金額が全国平均ということでございますれば、全国の平均共済価額が二十万円であれば、その二十万円の半分ということになるわけです。
○芳賀委員 それでは加入家畜の個体ごとの共済金額の二分の一じゃないわけですね。全国の種類別の家畜の共済価額の二分の一ということになるのですか。それならますます低くなるのじゃないですか。じゃ、いま採用している共済価額の二分の一なら、どの価額になるのですか、三種類それぞれ。
○森本政府委員 現在は、実は共済掛け金の高さに応じて、若干地域的に段差を設けておるわけであります。平均的な話を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、共済価額の二分の一ということで、たとえば乳用牛でありますれば、九万六千円が共済価額、それに対して二分の一のものが先ほど来御指摘になっておりますような国庫負担の対象になる、こういうことであります。
○芳賀委員 肉用は幾らですか。
○森本政府委員 肉用は四万二千円であります。
○芳賀委員 馬は。
○森本政府委員 馬は五万二千円であります。
○芳賀委員 でありますから、こういうことで二分の一にしてやったとか、五分の二にしたのはおかしいじゃないですか。これはほかの保険とか共済でもそうですか、やはり共済金額というものをあくまでも基本にして――掛け金の算定というのは、共済金額を基礎にするわけでしょう。基礎にするものを除いてしまって、その以前の評価額ともいわれる共済価額の半分なんというのは、これはおかしいですよ。家畜共済しかないですよ。そんなものは日本にもほかにないし、世界でもそういうことをやっておるのはないのじゃないですか。これはこの際改める必要があるのじゃないですか。
○森本政府委員 私どもがこの問題を考えます際に、他の同種の制度とのバランスが一つあったわけであります。御案内のように、漁船保険等におきましても、実際に加入者が選択をする共済金額に対して、無制限と言うとおかしいのですが、無制限に掛け金の負担をしておるわけではございません。やはり国庫負担対象共済金額といったようなものが設けられ、それに対して掛け金の国庫負担がなされておるわけであります。また、農作物共済につきましても、ある意味では災害があった際の金額が給付されるということではございませんので、先生御案内のように、六三%というようなことで、六割三分が共済の対象になっておるといったような関係がございます。そうした他の制度との関連を考慮して、この問題については検討していかなきゃならぬ、こういう関係になっておるわけでございます。したがいまして、先ほど来御指摘がありますように、共済価額の半額では家畜共済としても少ないということは十分了承しておりまして、できれば改正制度の実施におきましては、六割前後にこれを引き上げていこうということで努力をしたいとは考えているわけでございます。
○芳賀委員 そういうことが方法とすれば、組合員の掛け金もそれと同じにすればいいんじゃないですか。それはできるのでしょう。国の掛け金負担が、こういう計算でやって掛け金が出るでしょう。それと同一になるわけですからね。二分の一の場合に、組合員の掛け金負担もこの方式でやったらどうですか。それはやれるでしょう。
○森本政府委員 組合員の共済掛け金をその限度まで押えるということはいかがなものかというふうに思うわけでありまして、多少共済掛け金がかかっても自主的に共済にかけたいという農家もおると思います。そういう農家に対して道をふさぐということもいかがなものかということで、現行制度を続けていったらどうか、こういうふうに思います。
○芳賀委員 国の掛け金計算が共済金額によらないで、共済価額をもとにしてやるということであれば、これは組合員負担の分についても、同様の計算をすれば掛け金は安くなるでしょう。国と同じ方式にやれば、掛け金は安くて済むわけで、あくまでも事故のあった場合には共済金はもらえるわけですからね。共済金というものは、共済価額じゃなくて、共済金額に基づいて支払われるわけでしょう。いま言っておるのは掛け金の計算方法ですからね。国が安くなるような計算でやる場合には、国民にも同じ方法でやらせればいいじゃないですか。それがあたりまえですよ。国のほうだけが安くなるような別な計算でやって、組合員に対しては高くなるような計算をやるというのはおかしいじゃないですか。
○森本政府委員 もちろん、問題は、掛け金に帰着をするわけでありますけれども、掛け金率をかける前の共済金額を問題にしておるわけです。そういう観点からいきますれば、いたずらに共済金額をいま言ったようなところまでしか制度的に認めないということになりますと、共済掛け金を払っても高い給付を受けたいという農家の希望を満たさないということになるわけでありますから、自主的に共済金額を限度まで選べる、ような制度は残しておく必要がある、こういうふうに私どもは考えるわけでございます。
○芳賀委員 この議論はあとにします。じゃ、六割の計算というのは、これはこの法律が通れば実行するわけですね。
○森本政府委員 もちろん、予算折衝過程において努力すべき問題でありますが、私どもとしては、できるだけそういう方向が実現できるように努力をしていきたい、そういうふうに思っておるわけであります。
○芳賀委員 次に、これは法律の百十五条の関係ですが、共済掛け金の標準率甲、標準率乙、率丙、従来は甲乙の標準率があったのが、今度は標準率丙というのが一つ加わって、この分だけは控除される内容を持っておるわけですが、この共済掛け金の標準率の設定の方法について、内容を明らかにしてもらいたいと思うわけです。特に標準率の甲については、その内容は、一つは死廃による損害部分と、もう一つは診療費用の中の技術料部分を除いた分が、標準率甲の方に入っているわけですね。標準率乙のほうは、診療費用の中の診療技術料部分ということになっておるわけですね。この標準率の算定についてもやはり影響が非常にある点ですからして、今回の改正を機会に、標準率の設定については従来とあくまで同様でやるのか、あるいは相当の改善を加えるのか、この点はいかがですか。
○森本政府委員 お話の点は、むしろ限度点数のA点数とB点数の比率という点にあるのではないかというふうに思います。現在はこの比率は約六割と四割、多少端数がございますけれども、そういうふうな関係になっておるわけであります。最近の実情から言いますれば、薬剤費あるいは診療技術といったような点が変化をしておりますので、できれば実績等を調査をいたしまして、その比率については再検討をしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○芳賀委員 六、四の割合が、いま局長の言われた実情に照らした場合にはどういうことになっておるわけですか。
○森本政府委員 現在は薬剤費が約四割ということになっているわけでありますが、最近の実情を見ますと、薬剤費の部分も五割近くになっている、こういうふうな調査が出ておりますので、そういうこともよく検討した上で、その比率についてひとつ適切な方法をとっていきたい、こういうふうに考えているわけであります。
○芳賀委員 そういうことで六、四が五、五に変わるということになると、これは相当の影響が出てくるのではないですか。そうならぬですか。たとえばこの技術料というのは、いわゆる獣医師の報酬部分ということになるわけでしょう。その割合が今度は減るということになれば、これはやはり相当な変化が出てくるということは言えると思うのです。
○森本政府委員 もちろん、その比率を変えることに伴いまして、種々の変化なり影響なりが出てくると思います。そういう点についてもあわせて検討をいたしていきたい、こういうふうに考えます。
○芳賀委員 これは病傷給付の限度の設定にも関係があるわけですが、将来、たとえば獣医師のいわゆる報酬部分等に見合う診療の部分というものは、一部また国が負担するとかというようなことになれば、これは別ですが、現在は獣医師に対しては国の負担ということはないのでしょう。国庫が行なう事務費の負担については、これは事務人件費はあるが、獣医師の人件費部分についての負担は現在やっていないわけですね。ですから、標準率の区分とか点数区分をやる場合に、獣医師のいわゆる人件費の負担をどうするかということも、これはあくまでも診療経費で持たせるのか、国が一部負担するかという、そういうことにもなると思うのですね。ですから、この区分とか割合というものを、やはり一定の明確な基準に基づいて維持できるような体制にしないといかぬと思うのです。そういう点はいかがですか。
○森本政府委員 そういう点数の比率の改定に伴う種々の問題でありますが、一つは、お尋ねがございました獣医師の人件費について国のほうで持つかという点でありますが、これは共済の性質上、やはりそういった診療給付は共済の技術料収入をもってまかなうという原則は、くずすわけにはいかないというふうに思っております。ただ、従来点数を改定いたしました際に、種々の補完的な措置をいたしておりましたけれども、その点については、御案内のように、今回の病傷の国庫負担ということで、間接的には国のほうの負担がつくという関係になるわけであります。そういうふうなことで、事態は従来とはかなり変わった関係になっているということを御理解いただきたいと思います。
○芳賀委員 次に、いま局長から先に言われた病傷給付の給付限度の設定についても、従来は一頭単位ですから、融通性は全然なかったが、今度は包括引き受けですから、六頭なり十頭の同種類の加入家畜全体に対する給付限度というものが設定されるわけです。これもその限度の適否いかんによって、これは組合員の負担にも影響があるし、あるいは診療事業にも大きな影響があるわけですから、この限度設定の数理的内容というものは大体できているのですか。
○森本政府委員 給付限度の設定は、実は料率単位の地域ごとに給付限度をつくろう、こういうふうに思っておりますので、まだいま実はその限度の数字は出ておりません。実際のつくり方の考え方としましては、家畜別に従来の診療給付の実績を調査いたしまして、大部分の家畜については、実績から見まして、診療給付がカバーできる、そういうふうな考え方で給付限度を設定していきたいということで、実際にはこれから料率単位別にその実績を調査して設定作業を進めていく、そういうふうな段取りを予定いたしております。
○芳賀委員 次に、損害防止事業の点については、これは改正案に新しく規定づけられておるので、われわれとしても非常に同感するところであります。そこで、現行法によりましても、第九十五条では、共済組合は組合員に対して損害防止についての指示ができる規定があるわけですね。当該組合員がその組合の指示に基づいて、損害防止の事業をやった場合の経費については、その組合が負担するということに、これも明らかになっておるわけです。ですから、この九十五条との関係で、今度は新しく損害防止事業に対して国が一定割合の交付金を当該連合会に交付するということになるので、これは相当強化されると思うわけでありますが、損害防止事業といっても、単にかけ声だけでは実質が伴わないわけでありますが、たとえば損害防止事業に対する国の指示が農林省から行なわれるわけですね。そこで、国が連合会に指示すべき、いわゆる主務大臣の定める特定の疾病あるいは家畜種類別の頭数、それから事業の実施機関、さらに事業実施に要する経費の点、その経費に対する国の負担額とか負担の方法とか、あるいは国以外の負担すべき額とか、その方法とか、その他実施上いろいろな事項について、国としても適正な指示をしなければならぬ、あるいは連合会から区域内の共済組合に対して指示を行なう、共済組合もまた区域の組合員に対して損害防止を行なうべき指示をするということになると思うわけです。それで一番大事な点は、国の制度として、行政的にこの損害防止事業に対する明確な計画に基づいた指示を行なって、これを効果あらしめるために、十分全国的に実行をさせるということは、これは当然なことであります。その場合に、農災制度に基づく国の指示あるいは指導もありますが、もう一つは、家畜保健衛生事業からの当然行なうべき行政的な責任というものは、これもやはり農林省として付加されておるわけです。ですから、それらの関係というものを、今後十分相互の関連あるいは密着の上に立って、どういうふうに強力に行なっていくかというその方針と、もう一つは、政令によって国の負担割合というものがきまると思いますが、一体この交付金というものは、これは国庫が負担すべきものとしての解釈で一定割合を行なうつもりであるかどうか、この点を明確にしてもらいたいと思うわけです。
○森本政府委員 損害防止事業のやり方についてのお尋ねでございますが、損害防止事業のやり方は、農林省のほうで、損害防止事業をやる頭数あるいは機関、実施事項等について大綱を示すことになっておるわけでございます。実際には、それに基づきまして、連合会から実施計画が出てまいりまして、私どものほうで承認をして実施に移す、こういうようなことになっております。実施の過程におきまして、もちろん家畜衛生行政との密接な連絡調整ということが必要になってまいりますから、計画の立案あるいは実施過程におきまして、県庁の調整という過程、あるいは必要があれば本省段階で私のほうと畜産局とが密接に連絡をして、この間誤りがないということでやっていきたいと思っておるわけであります。
 なお、交付金についての性格でございますが、先般の卜部先生の御質問に対してもお答えをしたわけでありますが、一つは、特別会計としての国の負担といったような性格もございます。また一つは、連合会が行なう損害防止事業を統一的にやるという意味で、補助的な性格もございます。こういうふうなことで、交付金という名称を冠したわけでございます。ただ交付金の額あるいは負担割合をどういうふうにして算定をするかということでありますが、めどとしては、現在の連合会と国との共済関係における負担割合、それをめどとして、私どもは予算要求をしていく、折衝をしていきたい、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 そこで結局、損害防止事業ということになれば、実務は末端の共済組合あるいは連合会の診療所を通じて行なわれるということが主体になると思うわけです。それで、たとえば主務大臣の定める特定の疾病、主たるものはどういうことを考えておるわけですか。これは畜産局長が担当する家畜保健衛生所法に関係もあるわけですからして、この際、対象になる主要な家畜の病気等について述べてもらいたいと思います。
○森本政府委員 現在考えておりますのは、多発が予定されております疾病ということで、たとえば乳用牛につきましては繁殖障害、代謝障害、金属異物性疾患あるいは肝蛭症といったようなものを中心にしております。子、れから肉用牛は金属異物性疾患、肝蛭症、馬は代謝障害、そういったようなものを中心にして損害防止事業をやっていきたいと思っております。
○芳賀委員 次に、国の交付金は、これは家畜共済の再保険の場合はいわゆる責任歩合制でいっておるわけでして、この場合、国が七割、連合会が三割というふうになっておる。だから、損害防止事業を法律に明定して、国の指示に基づいて行なうということになれば、その経費というものは、少なくともこの責任歩合制と同じように、国が七割、連合会が三割というようなことは当然だと思うのです。ですからこれから来年度の予算編成にあたって、大蔵省と折衝してそうしたいということではなくて、この経費に要する負担割合というものは、再保険の責任歩合と同様に国は七割負担する、そのために一応特別会計に繰り入れてから交付するということがうたってあるわけですから、この点は、農林大臣御出席になりましたが、この負担区分、国の負担する割合というものをこの際明確にして、それ基礎にして大蔵省と折衝したければすればいいと思うのです。これから努力してみるなんというのはおかしいじゃないですか。
○坂田国務大臣 七割をめどにいたしまして予算折衝を進めたいつもりであります。
○芳賀委員 次に、今回の改正にあたっての運用上の問題を二、三お尋ねします。
 第一の点は、改正によって、組合員の資格が、若干字句の問題と思いますが変わっております。それは法律の十五条一項三号の規定ですが、今度は組合員資格として、「牛、馬又種豚につき養畜の業務を営む者」、これに改めるわけですね。現行法によると、「牛、馬、山羊、めん羊又は種豚を所有し、又は管理する者」というふうになっておりますが、これは解釈上どういうふうに違ってくるか、その点を明らかにしてもらいたい。
 もう一つの点は、法律にも明らかになっておりまして、これは百十一条の規定でありますが、共済組合が、その総会において三分の二以上のいわゆる特別議決を経て、組合員に対して家畜共済事業への義務加入の議決をすることができるわけですね。しかし、議決をしたからといって、それが全面的な効果を発揮しておるという事例はほとんどないわけです。ですから、この義務加入の議決の効力というものを農林省としてはどの程度に考えて、この規定を存続させておくのか、その点を明らかにしてもらいたいわけです。
 それから第三の点は、法律の百二条にありますが、いわゆる無事戻しの規定の実行の問題であります。農作物の共済については、最近、先年の制度改正後特に無事戻し制度の活用が行なわれておりますが、家畜共済の場合には、経営者からいっても、無事戻しが行なわれるということまでにはなかなか簡単にいかないのですね。しかし、今回の改正を契機にして、大幅に保険事業が拡大されるということになれば、運営の面においても相当強化されると思うわけですね。その場合、百二条の規定というものを十分生かして、一年間事故がなかったとか、あるいは支払いを受けた共済金が一定の額に満たないというような場合には、これは共済金の一部に相当する金額を払い戻せるというのがいわゆる無事戻しの規定ですから、これを今後家畜共済の面においてどう生かすかということについても明らかにしていただきたいわけです。
 この三点です。これは法律の運用上の問題ですから、要点だけを明確にしてもらいたいと思います。
○森本政府委員 第一点の加入資格の点でございますが、従来は「所有し、又は管理する者」、それが今回は「養畜の業務を営む者」、こういうことになってまいりましたが、所有する者と業務を営む者が必ずしも一致しないという事態がございます。従来は一頭加入方式でありますから、加入のときにそれぞれチェックをして加入をするということもあるわけでございますが、今回は家畜の種類ごとに農家単位にいわゆる包括加入する、そういう点なかなかむずかしいということで、加入資格を「養畜の業務を営む者」にしたわけでございます。
  〔私語する者あり〕
○中川委員長 静粛に願います。
○森本政府委員 第二点は、義務加入との関係でございますが、義務加入のほうは農作等の加入とはやや違いまして、やはり自発的な加入者の意思に基づいて加入をしていくという原則でございます。それで、義務加入の議決をいたしましても、実態的にはなかなか加入が進んでいないということは御指摘のとおりでございます。今回はそういうふうなものに加えまして、先般来申し上げておりますような数種の加入奨励の改正をいたしまして、名実ともに義務加入制度の実態を備えていくというふうなことを目標にして進めていきたい、そういうふうに思っておるわけであります。
 第三点は、無事戻しでございますが、これも家畜共済と農作共済は多少様相が違うというふうに思います。また、今回あるいは選択制の採用といったようなことによりまして、多少そういった点についても加入者間のバランスを調整できる余地も出てきたわけであります。将来、相当数共済金をもらわないといったような農家が出てまいりました段階によりまして、その事態に即した措置を検討していきたい、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、今後の共済団体に対する事務費等の国庫負担の改善の点でございます。その第一の点は、今回の法改正が実行された場合においては、内容的には事務分量が相当変化増大することは予測されるわけであります。したがって、それに伴う国の負担というものを当然積極的に増額措置が講ぜられるべきであると思いますが、その点はどうかという点。
 第二点は、事務人件費の負担についても、これは特に人件費の面に対する国の負担の内容は、たとえば給与の算定基準等についても相当大幅に改善する必要があると思うのです。国の負担を行なう場合の人件費の算定基準ですね。それは、特に最近公務員等についてもベースアップが大幅に毎年行なわれておるとか、あるいは各種の手当が増額改定されるというような場合は、年度内にその当初予算の決定の場合と変化が生じた場合には、補正措置等を講ずることが当然なことになっておるわけですが、これがなかなか迅速的確に行なわれていないわけです。ですから、これらの人件費の国が負担すべき算定基準等についても、相当積極的に的確な計算というものを行なって、迅速に行なうべきであると思いますが、これに対する政府の方針。
 第三点は、先ほどの損害防止事業等にも関係がありますが、今後、診療所の整備の問題とか運営の問題等についても、これは相当強力な指導を要すると思いますが、あわせてそれに対する助成措置等に対してはどうするかという点。
 第四点は、先ほども申し上げましたが、診療事業に従事する、いわゆる共済組合の職員である獣医師の身分保障の問題とか、あるいは給与の改善の問題とか、これに対する人件費の一部国庫負担の問題等について、今後の政府の方針というものを明らかにしてもらいたいと思うわけです。
○森本政府委員 第一点は、今回の制度改正に伴う事務費の問題でございますが、一面におきましては事務費が増高する面もございますが、一面においては事務費が軽減するといったような面もあるわけであります。そういう点から考えますと、今回の制度改正によって事務がいたずらに複雑になるということは、必ずしも言えないというふうに私どもは考えております。
 第二の、一般の共済団体の職員の事務費の問題でありますが、従来とも、国の給与ベースが上がりますにつれまして、共済団体につきましても給与の水準のアップは予算上やっております。最近、一年約一割くらいずつそういう点では上がっておると思います。ただ、事務費の国庫負担については少ないという御指摘は従来からも受けておりますので、予算折衝の過程におきまして、一般的な共済団体の事務費の増額については引き続き努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
 それから第三点は、診療所に対する助成の問題でありますが、従来から診療所の整備について数年間助成をいたしてきております。四十年から、さらに整備強化という意味で、診療施設についても損防等の際に助成をするということで、整備には引き続き努力をしていきたい、こういうふうな考えであります。
 それから第四点は、獣医師についてのお尋ねでございますが、先般もお答えをいたしたかと思いますが、一つは、共済掛け金に対する国庫負担あるいは加入奨励措置等によりまして、事実上給与等についてはかなり収入が増加するというふうに思われます。一方また、損防事業についても交付金を出すというようなこと、両面から考えますならば、獣医師に対する給与についても相当な改善が見られるのじゃないか、こういうふうに思っております。
○芳賀委員 最後に、今後の新種の共済の実行についてどうするかという点であります。これは特に農林大臣から明確にしてもらいたいのです。
 その第一は、果樹共済事業については、もうすでに準備完了の段階であるというふうに考えておりますので、少なくとも来年度、昭和四十二年から実行するということになれば、この次の通常国会あたりにはこれは当然法改正をしなければならぬということになるわけですね。これはどうするかという点であります。
 その次には、多年の懸案である畑作共済の事業についても、相当の年月調査を進めておりまして、特に実験的な意味も含めて、現在北海道に対してこの実験をやらせておるわけでありますが、その実験の結果を待って直ちにこれは制度の実施に踏み切るべきであるというふうに考えるわけですが、その実行の目標は一体いつごろを予定しておるかという点。
 第三点は、最近の畜肉事情等からいいましても、現在は肉豚の種しか対象になっていないわけでありますが、肉豚全体を対象にした共済制度についても、これは当然必要であると思うわけであります。これも農林省として相当研究を進めておりますので、この肉豚共済に対する実行の体制を一体どうしているか。
 以上三つの共済事業をやる場合においては、言うまでもなく、国の再保険事業が必ず伴わなければこれは何も意味がないわけですから、これは言うまでもない点であります。この三つの新たなる今後行なうべき共済事業の実施の見通しについて、農林大臣から明らかにしてもらいたいわけであります。
○坂田国務大臣 果樹の点につきましては、調査の結果が本年出るのでございますから、本年度中に成案を得るように努力を進めてまいるつもりであります。
 それから畑作の点でありまするが、北海道、それから内地の調査を検討して、成案を得るよう検討したい、かように存じております。
 肉豚につきましては、これも調査の結果を待ってなるべくすみやかに成案を得るようにいたしたい。
 これらのやり方は十分検討することにいたしたいと存じます。
○芳賀委員 以上で農災法の改正に対する質問を終わったわけでありますが、この際、特に関連いたしまして農林大臣にお尋ねしたいのは、漁業災害補償法の改正の点についてであります。特に問題は、この漁災法が本委員会で成立を見た場合において、国の再保険事業をすみやかに実施すべきであるという点で、附帯決議あるいは政府案の法律の改正の中において、制度の検討なるものを国会が明らかにしておるわけです。明確にしておきたい点は、現在の漁災法の附則第二条の制度の検討における第二項については、「前項の検討は、漁業共済団体の共済責任を保険する事業を政府の事業としてすみやかに実施することを目途として行なわなければならない。」、なお、漁災法成立の際の附帯決議、これは三十九年五月二十六日に付した決議でありますが、その第一項に、「両三年中に政府の保険事業を実現すること。」ということになっておるわけです。そうすると、おそくも明年、昭和四十二年度から一番大事な国の再保険事業というものを実行しなければならぬ段階がきておるわけであります。これに対する農林大臣としての実行体制というものは、いまからちゃんと整えておいてもらわなければならぬわけでありますが、四十二年度から漁業災害における国の再保険事業を必ず行なう、この点に対して、これは当然、農災法も漁災法も、農林漁業政策を進める場合においてはどっちが軽い、どっちが重いというものではないと思うわけです。今回の法律改正を通じてみても明らかなとおり、あるいは来年から果樹共済をやる場合においても、国が再保険をやるということが前提になっておるにもかかわらず、漁業災害補償法においてはいまだに再保険事業を行なっていないということは、これは非常に片手落ちであります。ですから、この際、農林大臣から実行についての責任のある答弁を願いたいと思います。
○坂田国務大臣 ただいまお尋ねの件でございますが、来年度を目安に実施するようにいたしたいので、さように準備をとり進めてまいりたいと存じます。
○中川委員長 他に質疑もないようでありますので、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
    ―――――――――――――
○中川委員長 まず、入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案について議事を進めます。
 この際、田口長治郎君他二名から、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる本案に対する修正案が提出されております。
    ―――――――――――――
○中川委員長 提出者より趣旨説明を求めます。田口長治郎君。
○田口(長)委員 私は、自由民主党、日本社会賞及び民主社会党を代表して、内閣提出にかかる入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。
 修正案はお手元に配付いたしておりますとおりであります。朗読を省略して、以下修正の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
 修正の内容は二点であります。
 すなわち、その第一は、法案では、旧慣使用林野の整備にあたって、「旧慣使用権者の意見をきく」こととしておりますが、旧慣使用林野成立の経緯にかんがみ、「すべての旧慣使用権者の意見をきく」ことと修正することといたしました。
 その第二は、都道府県知事が旧慣使用林野の整備計画を認可する基準として、入り会い林野整備計画の認可の場合に準じ、一部の者に対し権利の集中等をもたらすものでない旨の基準を加えることにいたしました。
 以上、簡単ではございますが、修正案の趣旨について申し上げました。何とぞ全員の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○中川委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○中川委員長 本修正案について別に質疑の申し出もありませんので、これより原案及び修正案々一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。中村時雄君。
○中村(時)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、内閣提出にかかる入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案及び同案に対する修正に対し、賛成の討論を行ないます。
 御承知のとおり、入り会い林野等におきましては、旧来の複雑な権利関係により、その利用状況は一般に粗放であり、農林業経営の発展及び農山村民の所得の向上に十分寄与しているとは言いがたい現状から、従来入り会い林野等の整備に関して多くの努力が払われてきたところであります。しかしながら、これら権利関係はきわめて複雑であり、法律的にもその解決に多くの困難があったため、十分な成果を見ることができなかったのであります。
 このような従来の経緯を考えまするとき、このたびこの法律案が提出され、新たな観点から入り会い林野等の権利関係の近代化がはかられることは、時宜を得た措置と考えます。
 特に、この法律案は、従来の整備の方向とは異なり、あくまでも農山村民の立場から、これらの自発的な意欲を前提として解決の方向を見出そうとするものであり、かつ、国はこれを積極的に助長しようとする姿勢をとっていることは、入り会い林野等の農山村におけるその役割りから見て、適切な解決の方策と考える次第であります。
 しかし、この問題は、事権利関係に及ぶものであるため、当委員会では慎重な審議を進め、学識経験者等の参考意見を徴し、さらに現地調査を実施したところでございますが、いずれもこの法案の持つ意義をかなり評価して、その成立を期待する向きがきわめて多かったのであります。しかしながら、本法律案は手続法であるため、特に権利関係の整備にあたって慎重な配慮が必要であることから、旧慣使用林野の整備にあたって権利者全員の意見を聞くこと及び一部の者への権利の集中を排除する等、二点にわたる修正を行ないました。
 したがいまして、この法律案、成立の暁には、これを裏づける政府の関連施策の充実と適切な指導と相まって、全国数百万に及ぶ農山村民に新しい希望をもたらすものと確信して賛成討論を終わらせていただく次第であります。(拍手)
○中川委員長 林百郎君。
○林委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となっている入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案に対する反対の討論をいたします。
 言うまでもなく、本法によって、徳川時代から二百数十年間、働く農民が営々として苦しい戦いによって築き上げてきた全国二百三万ヘクタールに及ぶ入り会い権を消滅させる道が開かれるのであります。
 このことは、農民、ことに現実に入り会い権によって山林を営農のため利用している多くの中貧農にとっては、事はすこぶる重大であります。
 政府の説明するところによれば、本法は入り会い林野または旧慣使用林野の土地の農林業上の利用を増進するため、これらの土地にかかる権利関係の近代化を助長して農林業経営の発展に資する、そのために、入り会い権を私権化することによって消滅させる、こうあります。しかし、本法の真のねらいは、次のごとく、決して農民、特に中貧農農民の利益にならないばかりか、かえってこれに反するものであると考えます。
 すなわち、第一に、本法案によって、結局は経済力の弱い中貧農から入り会い権を取り上げることになり、ひいては離農の促進を早めることになります。すなわち、中貧農は、今日なお現実に行なわれておる、直接入り会い地を利用する種々複雑にして多面的な入り会い権の行使が、この法案によってできなくなる道が開かれます。すなわち、権利の私権化の名のもとに、単なる抽象的、名目的権利となり、入り会い権が変質いたしまして、しかもその権利や持ち分は、林業の近代化、農林業経営発展の名のもとに、重い経済負担を背負うことになります。結局それに耐えられない者はこれを手放すことになるのであります。すなわち、整備計画の樹立の際の費用の負担、あるいは利潤追求の資本主義的な大林業経営は、重い資金を必ず負担し、導入することになります。そして苦しい農業経営の現状のもとでは、中貧農は結局この経済的負担に耐えかねて、自分の抽象的な私権を持ちこたえることができず、遂にこれを手放すことになり、その結果は離農を早めることになります。
 第二に、政府が今日考えておる市町村の統合、合併、すなわち、政府の言いなりになる政府の末端機関となり、しかも安上がりの地方自治を実現するための市町村合併の障害を取り除くことが、この法案の目的の一つとなっております。すなわち、市町村合併の抵抗となる市町村有地や財産区有地における地域住民の権利を事実上取り上げてしまうのであります。そうして、それによって市町村合併の円滑化をはかろうとしております。
 本法第三章に規定されております旧慣使用林野整備は、このための立法であり、しかもこれを当該市町村の議会議決によって行ない得るようにしてあります。
 第三には、パルプ独占資本をはじめとする大木材消費資本の要求に応じようとするものであります。すなわち、入り会い林野の高度利用とか近代化の名のもとに、未利用地の利用化と称して、現在薪炭材あるいは下草、その他農民の営農に必要な資源の供給源となっておる入り会い林野を、国の補助金等を投入して、パルプ原木その他大木材消費資本の利益に奉仕する林野に変えていくことをねらっておるのであります。
 第四に、入り会い権を私権化した上、都道府県等の権力を介入さすことによって、これを富農に集中する、それによって大山林地主の企業的林業経営、資本家的、富農的林業経営の育成をはかって、政府のいわゆる農林業構造改善事業への道を整えようとしておるのであります。これによってゆらぎつつある自民党の農山村の支配力を再編、強化しようとする、そのてこに利用しようとしております。
 第五には、一部の者に権利の集中化が行なわれるという問題であります。なるほど、本法第六条には、一応一部の者に対し権利の集中その他の不当な利益をもたらすことのないように整備計画を決定するとあります。しかし、それを保障する裏づけとなる方途が何ら示されておりません。結局、時日の経過と林業経営の資本主義的大企業化の過程において、権利の変動とその集中化が行なわれることは明らかであります。それは資本主義経済の法則であり、必然の道であります。これを防ぐことのできないことは明らかです。このことは、われわれの現地調査の中でも問題となって提起されておりました。
 第六に、権利の集中化に伴って、本法第二十六条には、権利者たる農民はその権利行使については、「当該権利の目的たる土地の農林業上の利用を効率的に行なうように努めなければならない。」とあります。これは明らかに半ば強制的にその権利を大規模林業経営への出資を義務づけておるのであります。そして、従来中貧農が自己の営農上に利用しておった入り会い地に対する現実の利用権は取り上げられることになるのであります。しかもこれに対する農業委員会の役割りは、単なる都道府県知事や市町村長の計画樹立の際の意見聴取の機関にすぎず、農民の立場に立って土地使用の権利を擁護する役割りを果たすことはできないようになっております。これは第六条の三項にございます。これは入り会い権を営農上現実に利用しておる農民に対しては、営農自体を破壊されることになるのであります。
 以上が私の反対のおもなる理由であります。
 しからば、入り会い問題について真の農民的な道は何か。それは次の道であることをわが党は主張いたします。
 第一に、国有入り会い地については、直ちに入り会い権を確認して、農民にとってきわめて不利な共用林野契約、部分林契約を改めて、地元民の権利を確立し、これらの林野の所有権を現に利用している農民に無償で引き渡してやること。第二に、公有入り会い地については、即時入り会い権を確認し、入り会い地の管理処分権を全面的に農民に帰属せしめて、これらの林野の所有権を現に利用している者に無償で引き渡すよう地方自治法を改めること。第三に、私有入り会い地については、私有入り会いの利用と処分について農民の自主的な意思をもって決定し、生産農民の利益のために運営されるよう、国は全面的にこれを無償で援助してやること。小繋に見られるような一部の地主、ボスによる入り会い権の取り上げは、一切これを認めず、これらの土地が他人の所有名義になっておる入り会い林野所有権は、これを現実に利用している農民に返還させてやることであります。第四に、部落有林野の管理運営は、これを徹底的に民主化し、それを部落が共同で利用するか、または分割して個人所有とするかは、入り会い権者たる農民の民主的な決定にまかせることであります。
 以上が真に農民のための入り会い林野問題の解決の道であります。農山村農民にとって入り会い林野が今日依然としていかに大切なものであるかは、小繋事件を戦っておる小繋部落の農民たちがはっきりこれを示しております。これらの農民は、入り会い権を奪うのは農民に死ねということだと叫んで、絶対に入り会い権を手放すことを拒否しているのであります。林野を全く持たない貧農や、またきわめて零細な林野しか持たない中農層にとっては、家畜の草を刈り、放牧をし、下枝を刈り、自家用の燃料を取り、また屋根ぶきや雪囲いのカヤを刈るために、今日なお入り会い林野は絶対に営農上必要なのであります。生産農民であればあるほど、入り会い林野の実際の利用は必要となっておるのであります。しかるに、本法は、これを私権化し、林業経営の健全な発展の名のもとに、個々の農民の権利を私権化の名のもとに抽象化し、観念化し、農民の現実の利用権を取り上げる一方、これを高度利用の名のもとに、一部富農とパルプ大資本や大木材資本の利益のために提供させようとしているものであります。三党の修正案もこの法案の本質を変えるものではございません。したがって、わが党は絶対にこれに反対するものであります。
○中川委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、田口長治郎君外二名提出の本案に対する修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○中川委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○中川委員長 起立多数。よって、修正部分を除いて原案のとおり可決いたしました。これにて本案は修正議決いたしました。
    ―――――――――――――
○中川委員長 この際、東海林稔君外二名から、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。提出者から趣旨の説明を求めます。東海林稔君。
○東海林委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表し、ただいま議決となりました入り会い林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   入会林野等に係る権利関係の近代化の助長に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行にあたり、とくに左記事項に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。
 一、旧慣使用林野の整備にあたっては、市町村長は、権利者の意見を十分尊重するとともに、整備計画の策定について関係権利者の実質的な同意を条件とすること。
 二、従来入会林野等の収益によってまかなわれてきた公共的経費の確保について、国及び地方公共団体は、財政上必要な措置を講ずること。
 三、入会林野等の整備にともなう当該林野の経営形態については、生産森林組合等による協業化を促進するとともに、法制ならびに税制上必要な措置を講ずること。
 四、入会林野等が整備されたあと、農林業への利用が効率的に行なわれるよう草地造成等土地改良事業の実施、林道の優先採択、林道および造林事業の補助率の引き上げ、ならびに資金の確保等について必要な措置を講ずること。
 五、最近における民有林造林事業停滞の現況にかんがみ、これに対応するため、(イ)官行造林制度の再検討、(ロ)県行造林の助長、(ハ)都道府県が主体となって設立する林業公社に対する融資条件の緩和および法制化についての検討を早急に行なう等必要な措置を講ずること。
 六、最近における農山村よりの労働力流失の現況にかんがみ、優秀な林業労働力を確保するため、雇用の安定、労働条件の向上等について必要な措置を講ずること。
 七、本法による整備が困難である地域においても、入会林野等を農林業の発展に資するため、コンサルタント(指導相談)制度等の活用により入会集団を生産法人に移行させる等の指導を行なうこと。
  右決議する。
 以上各項の内容につきましては、本委員会における慎重な質疑応答あるいは現地調査の報告等によって明らかでありますので、詳細な説明はこれを省略いたしたいと思います。
 ただ、第一項の「整備計画の策定について関係権利者の実質的な同意を条件とすること。」という関係権利者の意味でありますが、これは権利者及び利害関係者を含む意味でございますので、申し添えます。
 以上、全員の御賛同をお願いいたしまして、提案の説明を終わります。
○中川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 これより採決いたします。
 ただいまの東海林稔君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○中川委員長 起立多数。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
 ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。坂田農林大臣。
○坂田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
○中川委員長 次に、農業災害補償法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○中川委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
○中川委員長 この際、芳賀貢君外二名から、自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派共同提案にかかる本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。芳賀貢君。
○芳賀委員 この際、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表して、ただいま可決されました農業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付するの動議を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の運用にあたり、趣旨の普及徹底をはかるとともに、本制度が畜産の発展等に一層寄与するよう左記各項の実現に遺憾なきを期すべきである。
     記
 一、共済掛金の国庫負担の対象となる共済金額の最高限度については、最近における家畜価格の上昇傾向に即応するよう引上げるとともに、共済掛金国庫負担の割合についても、さらに改善するよう努めること。
 二、家畜の損害防止事業については、その拡充に努めるとともに、再保険責任歩合を参酌して予算措置の確保に万全を期すること。
 三、家畜診療所については、獣医師職員の待遇改善、機動力の充実等その運営の改善を図るため、診療点数について常時実態を反映するよう検討すること。
 四、農業共済組合等の段階における家畜共済の責任保有に関し、その自主性の確立及び事業健全化の見地から、その拡大を図るよう早急に検討すること。
 五、果樹、畑作、肉豚等の新種共済について早急に制度化をはかること。
 六、農業共済団体等の役職員の待遇をさらに改善するため、事務費国庫負担金の増額等所要の措置を講ずること。
  右決議する。
 内容については、先般来質疑の中において尽くされておりますので、これを省略いたしまして、委員諸君の賛成をお願いする次第であります。
○中川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 これより採決いたします。
 ただいまの芳賀貢君外二名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○中川委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。坂田農林大臣。
○坂田国務大臣 ただいまの決議の趣旨を尊重し、検討の上、善処いたしたいと存じます。
    ―――――――――――――
○中川委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中川委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次会は明二十二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十五分散会