第051回国会 法務委員会 第49号
昭和四十一年六月二十三日(木曜日)
   午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長 大久保武雄君
   理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
   理事 小島 徹三君 理事 田村 良平君
   理事 濱田 幸雄君 理事 井伊 誠一君
      鍛冶 良作君    唐澤 俊樹君
      四宮 久吉君    田中伊三次君
      千葉 三郎君    濱野 清吾君
      早川  崇君    森下 元晴君
      藤田 高敏君    横山 利秋君
      志賀 義雄君
 出席政府委員
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      日原 正雄君
        法務政務次官  山本 利壽君
        検     事
        (刑事局長)  津田  實君
        検     事
        (矯正局長)  布施  健君
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      村上 茂利君
 委員外の出席者
        議     員 田中 武夫君
        検     事
        (民事局参事
        官)      宮脇 幸彦君
        大蔵事務官
        (銀行局銀行課
        長)      高橋 英明君
        労働基準監督官
        (労働基準局監
        督課長)    藤繩 正勝君
        専  門  員 高橋 勝好君
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六月二十二日
 委員濱野清吾君辞任につき、その補欠として池
 田正之輔君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として
 濱野清吾君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十三日
 委員佐伯宗義君及び山田長司君辞任につき、そ
 の補欠として鍛冶良作君及び藤田高敏君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員鍛冶良作君及び藤田高敏君辞任につき、そ
 の補欠として佐伯宗義君及び山田長司君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
六月二十二日
 刊法の一部を改正する法律案反対に関する請願
 外八件(坂本泰良君紹介)(第五九八九号)
 同外十一件(横山利秋君紹介)(第五九九〇
 号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
 会社更生法の一部を改正する法律案(田中武夫
 君外二十名提出、衆法第一九号)
 法務行政及び検察行政に関する件
     ――――◇―――――
○大久保委員長 これより会議を開きます。
 田中武夫君外二十名提出の会社更生法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は去る三月十六日提案理由の説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑に入ります。横山利秋君。
○横山委員 ここ一、二年来全国的に非常に倒産が出てまいりまして、今国会におきましても、また前国会におきましても、会社更生法が焦点に上がったのでありますが、その間政府側のこの会社更生法の一部改正に対する審議が非常に渋滞をしておる模様でありまして、タイミングを失うおそれがあると痛感をしておるのであります。この間にあって、田中武夫君ほか多くの皆さんから、会社更生法の一部を改正する法律案が議員提案として上程をされました。まことに時宜を得たものだと思うのでありますけれども、どうして一体政府側は、この喫緊の問題について作業が進展をしていないのか、まず政府側の会社更生法の改正に関する今日の状況から伺いたいのであります。
○宮脇説明員 ただいま御指摘の会社更生法は非常に問題をはらんでおることは政府側としても承知いたしております。そこで、昨年十二月十七日、法務大臣より法制審議会に諮問が発せられまして、目下会社更生法委員会におきましてこの審議が行なわれております。その中に、重要な問題として、社会党案に指摘されておりますような労働者の賃金債権等の取り扱い、また下請代金等の取り扱いを中心的に目下審議しておるような状況でございます。
○横山委員 あなたもお認めのように、非常にその作業がおくれて、私は景気の回復がそう容易でないと思いますものの、こうしておる間にも毎月数百件の倒産がある。その倒産について、もちろん全部が会社更生法の適用を受けようと希望しておるわけではありませんけれども、山陽特殊綱以降、すみやかに会社更生法を適用して、この法律の現状不備な点を是正して、そして適正な法律の実効をあぐべきであるというのは、まさに天の声、地の声、人の声だと思うのであります。
 先般、私が本会議におきまして、法務大臣に対して、田中武夫君やほかの諸君の改正案についての見解を求めましたところ、全くけっこうな意見であるからということでありました。もうほんとうにけっこうな意見であるというならば、なぜ緊急に法制審議会の作業を促進して今国会に間に合わせないのか。とかく法務省の作業が、いつも他の省に比べまして作業が渋滞し、論議を重ねるばかりであって、タイミングを失なうことはなはだしいもの ある。いつごろ成案化され、いつごろ国会に上程ができるのか、その予測を伺いたい。
○宮脇説明員 法務大臣もたしか答弁申し上げたと思いますけれども、今国会に提出できればはなはだ幸いであると存じまして、その作業は進めてまいったわけでございますけれども、何分にも膨大な法律の中におきます位置づけも必要でございますし、破産法との調整をとるなど、問題が非常に幅広いものでございますので、残念ながら今国会に間に合わなかったのでございます。目下のところ、次の国会には提出いたすべく努力を重ねておりますので、そのような次第を御了承いただきたいと存じます。
○横山委員 普通で言えば、次の国会は、本年の、これから行なわれます五十二国会ということになる。しかしながら、通常のこととして臨時国会が召集される可能性は、毎年のこととして予想にかたくないのでありますが、もしも秋ごろに臨時国会が開かれるような段階になりましたならば、その臨時国会にも、すみやかにやる必要があるのでありますから、会社更生法の改正案を上程をするという腹をきめておられるのであるかどうか。次の通常国会という漫然たるお考えであってはならぬと思うのですが、この点はどうですか。
○宮脇説明員 目下の作業状況から申しますと、横山先生御指摘のように、次の臨時国会に提出できるかどうか、目下のところ自信がございませんけれども、一日も早く提出できますように努力いたす所存でございます。
○横山委員 田中委員にお伺いしたいのでありますが、この社会党案と称せられるものは主として五項目あるのであります。私が拝見をいたしましたところ、この五項目は、会社更生法そのものの骨格は認めて、緊急必要性のあるものに限定をされたような感じがするのでありますが、この際、会社更生法全般について田中君の見解を伺いたいのであります。
 一つは、株式会社の中で、うどん屋株式会社とか八百屋株式会社というような規模の小さいものもある。もちろん、それも会社更生法を適用することになっている。そういう現状でよろしいのであるかどうか。すべて株式会社であれば会社更生法を適用するという今日の状況についてどうお考えか。
 また、同じように合資会社、合名会社については適用しないというように感じておるのでありますが、この点についてはどうなのであろうか。
 また、第三点として、大企業と中小企業と明確な区分はできないのでありますけれども、いまの株式会社にはピンからキリまであるわけでありますが、この会社更生法の更生手続が非常に時間がかかる。手続も審査も非常にむずかしいのでありますから、一説としては、中小会社については、簡易な更生手続を設けるべきではないかというような意見もあるわけであります。田中君が提案されました五項目は、それらの骨格の問題には触れていないのでありますが、この際これらの適用範囲はどういう見解で審査されましたか、御意見を伺いたいのであります。
○田中(武)議員 ただいま横山委員が言われたように、提案説明にも申し上げておりますが、根本的な会社更生法の改正検討が必要である。しかし、さしあたり急を要するものについてということで、五、六項目にわたる改正案を出したわけであります。
 そこで、根本的にはどう考えておるかということでありますが、まず現在の会社更生法を見ますと、株式会社であるならば、大であろうが小であろうが、法律の上では同じようなことになっております。しかし、たとえば予納金の問題、あるいは管財人の選任の問題、あるいは更生計画の樹立というような問題等を考えましたときに、いわゆる零細中小企業等はこの会社更生法の適用は事実上受けがたい。したがいまして、現在の会社更生法の適用を受けまして、言うならば生き延びておるといいますか、こういう会社は同じ会社の中でもいわゆる中以上の会社でございます。そこで、株式会社ならばどれでも適用になるような現在の規定に対しましては、根本的な検討が必要ではなかろうかと思っております。
 さらに、いわゆる中小企業の多い有限会社とか合名会社はどうかということでありますが、有限会社については、私は若干意見は違いますが、合名会社等につきましても、せんだっての当委員会で商法の改正、これが論議になりましたときに意見が出ておりましたように、大企業といいますか、巨大企業と中小企業を同じ商法の株式会社の規定でいいか。同じ株式会社でも、中小企業には別な規定が必要ではなかろうかということも議論になっておりましたので、そういう点についても検討の必要があるだろうと思っております。
 それから、中小企業については、もっと簡単な何か更生の方法を考えるべきじゃなかろうか、こういうことにつきましては全く同意見でございます。それではどうすべきかということにつきまして、直ちにいま名案を持っているわけではございませんが、現在の会社更生法のような煩雑な手続と相当長期な期間を必要とする手続でなく、もっと簡素な方法によって更生できるような方法を中小企業に対しては考えていくべきではなかろうかと考えております。
○横山委員 私は更生手続その他実務についてあまり経験があるわけではありませんが、法務省に伺いたいのであります。
  〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
 どうも感覚的に議論をして恐縮ですが、裁判官が更生に関していろいろ審理をし、あるいは管財人を指定し、いろいろなことをやるわけでありますが、とかく理論的な問題に没頭をして、筋を通すということのあまり、その会社がつぶれかけであって、そいつを再建をすることが緊急な必要性、あるいは人間関係、タイミング、経済の実情、そういうことについて、裁判官がはたして適当な産業的経験なり知識、常識その他を持っているかどうかという点に多大の疑問を抱いておるわけであります。したがいまして、裁判所及び裁判官がこの種の産業の実態に触れて、かゆいところに手が届くような、タイミングを失なわないようにいたしますためには、会社更生法の運用についてはもう少し何か配慮をする必要があるのではあるまいか、裁判官の全部が全部とは言いませんけれども、何らか裁判所を補助するような機構というものが必要ではあるまいか、また、管財人の指定につきましても、どうも管財人に適当な人がない。二人のうち法律家と実業家といいましても、なかなか幅がない。そういう法律の運用にあたって、実際体験、それから裁判所の機構を援助する機構、そういうものについてくふうをすべきではないかと思いますが、いままでの更生手続の実際からいってどんなふぐあいがありますか、御意見を伺いたい。
○宮脇説明員 ただいま横山委員の御指摘の点は、一つは補助機関を設けるべきではないかという点、さらには管財人に適当な人を得るにはどうすべきかという点と理解をいたします。
 第一の補助機関の点でございますが、この点は会社更生法改正の最重要問題の一つと考えておりまして、目下その点の検討を進めておるわけでございます。すでに各界から寄せられました改正意見の中にも、会社更生審議会あるいは会社更生委員会のような補助機関を設けるべきであるという具体的な提案も出ておりまして、私どもももっともな提案だと考えておるわけでございます。現在裁判所で行なわれております更生手続開始前の調査は、必ずしも統一的な扱いでないようでございますけれども、各地の実情に応じて最善の努力はやはりされておるというふうには理解いたします。しかし、何ぶんにも裁判官は法律的な専門家ではありますけれども、経済問題あるいは企業会計などの知識が乏しいことは否定できません。それでありますからこそ、補助機関の問題が最重要の問題というふうに考える次第でございます。
 次に、管財人の点でございますけれども、従来、裁判所が適当な管財人を得がたくて、苦労された事件が数多いということも否定できないわけでございます。しかし、この点はしばしば指摘されますとおり、公平無私の管財人が最も適当であるとも言えない面がございます。たとえば非常に危殆に瀕しております会社を立て直すためには、ある程度当該会社と利害関係をともにするというふうな人、それが同時に更生手続を熱意をもって進める要素にもなりますわけで、そういった点から、管財人を得がたいという理由の中にも、そういった熱意を持っている管財人を得がたいというニュアンスもやはりあるようでございます。この点は、先ほど申し上げました補助機関の問題とあわせまして管財人の推薦母体をつくる、たとえば商工会議所等ともパイプを通ずるということも考えておりますけれども、どうもそれだけでは解決できないようでございまして、目下私どもは管財人の選任の実情なども調査し、かたがたそれによりまして何か成案を得たいと努力をいたしているところでございます。
○横山委員 田中君にお尋ねするのですが、この社会党案は、下請事業者並びに会社使用人の利益を守ることに非常な重点を置いておるのでありますけれども、その改正案のうちの第二点で、裁判所は、更生手続開始申し立てが会社使用人の不当な人員整理を目的とするものであるときは、これを棄却しなければならないことになっております。説明によりますと、会社更生法の適用は、ともすれば従業員の人員整理のための一方法として利用される危険があるので、現行法をさらに明確にし、これを防止しようとするものであります、とありまして、この趣旨は全く同感でありますが、これは御体験かどうか知りませんが、会社使用人の不当な人員整理を目的とするかしないかについての解釈なりあるいは判断の争いがかなりあると思わざるを得ないのでありますが、どういう基準をもって不当な人員整理を目的とすると見るのか、理論上並びに体験上どういう尺度をもってしたらよろしいのか、伺いたいのであります。
○田中(武)議員 会社更生の手続開始の申請にあたりましては、いろいろの原因があろうと思います。しかしながら、その原因の中において、必ずしも人員整理ということを考えなければ、会社更生手続をいま直ちにしなくてもいいのではないかというようなものも確かにあるのではなかろうか。あるいは、御承知のようにいま労働運動も強いわけでございますので、普通ならば人員の整理はできないというときに、やはり会社更生法という一つのにしきの御旗といいますか、そういった権力の介入する手続をとることによって、問題を複雑にせず、簡単に人員整理をしようというねらいがあるというのもあります。
 私の体験からいきますと、兵庫県のある会社でございますが、会社更生手続開始の申請を出しまして、結果的にはこれを取り下げましたが、その間に会社を二つに分けまして、そうして従来の会社と、それからその中で成長的な部門を扱っているところのみを商社が引き受けまして別の会社にする、そうして、そのほうには労働運動の体験を持つ者は入れない、そういうようなことが事実あったわけであります。そういう経験から見ましても、人員整理のため、ことに進歩的な労働運動の指導者、こういう人たちをうまく排除するための方法の一つとして考えられるといった点もありますので、こういうような規定を入れたわけであります。
 なお、それではこれが一体人員整理を目的としているのかどうか、これをきめる尺度は何かと言われますと、直ちにこういうものだとは言いかねると思いますが、これはその事態、その事態におきまして、やはり客観的な情勢及びその会社が置かれているその現状における付帯的な条件等の中から判断すべきものではなかろうか、このように思うわけであります。
○横山委員 法務省にお伺いしたいのですが、銀行だとか、あるいは系列の親企業は、担保なりあるいは肩がわりすべき何らかを持っており、そして下請企業並びに労働者は、その自分の債権に関する担保はないのが通常であります。したがいまして、会社更生法の法律的問題以前に、法律はそうなっているのだけれども、その以前に、金融機関なり大企業は、債権を確保し得る運用の道があるというのが現状だと思います。私の乏しい体験ではありますけれども、もうつぶれる直前に、金融機関なり大企業が債権を確保してしまう。あるいはまた、はなはだしいのは、申し立ての当日まで納品を余儀なくされた下請企業もまた枚挙にいとまがない。こういうような悪質なものにつきまして、いまの会社更生法はどういう防止措置があるのでありますか。現実問題としては、法を巧みに運用すれば、法できめましてもなかなかうまくいかないのではないかという感じがいたします。今日までの会社更生法運用の中での具体的事象の中で、法には触れていないけれども、常識的にどうもこれはけしからぬというものはどういう措置がされましたか。この点を伺いたい。
○宮脇説明員 確かに御指摘のとおり、金融機関や大会社は、更生手続開始前に会社の事業が悪化したことを知りやすい地位にありまして、したがって債権確保の措置もとりやすいということは、確かな事実のようでございます。現行会社更生法におきましては、そのようないわゆるかけ込み担保につきましては、否認という制度を設けております。また、必ずしも否認を管財人がいたしませんでも、かけ込み担保によってつけられましたいわゆる更生担保権につきましては、更生担保権扱いすることを否定するという、事実上同じ目的を達する道も、会社更生法にはないわけではございません。具体的に申しますと、更生担保権の届け出に対しまして管財人が異議を言えば、ほとんど同様の目的を達することもできるわけであります。
 なお、下請などに対しまして、更生手続の申し立てを隠しながら取引を続けたという場合には、現行会社更生法におきましては特段の手当てはしてございませんけれども、結局は刑事罰をもって臨むというほかないのではなかろうかと思います。
○横山委員 田中君に伺いますが、改正案の二百九十一条の二「過怠更生罪」という罪を新設されたのは、きわめて常識的に理解できるのでありますが、やはりこの運用によるかと思うのでありますけれども、「会社の取締役若しくはこれに準ずべき者又は支配人が更生手続開始の前後を問わず、」次の行為をした者に対して「五年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」として、「更生手続開始を遅延させる目的をもって、著しく不利益な条件で会社に債務を負担させ、又は信用取引により会社に商品を買い入れ、著しく不利益な条件でこれを処分すること。」「更生手続開始の申立てをすることができる事実があることを知っているにかかわらず、特定の債権者に特別の利益を与える目的をもって、会社の財産を担保に供与し、又は会社の債務を消滅させる行為で会社の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が会社の義務に属しないもの」、この一号並びに二号、まことにもっともなことでありまして、先ほど私が指摘したような、申し立ての当日まで納品を余儀なくさせるようなやり方は、きわめて明白なけしからぬやり方なのでありまして、この一号、二号の運用も、この現実的な事象をどういうふうにとらまえていくかについてなかなか問題があろうかと思いますが、この過怠更生罪を立法されました気持ち、並びに体験がありましたら、実情をひとつ伺いたいと思うのであります。
○田中(武)議員 いま横山君御指摘になりましたように、破産法には過怠破産罪というものがあるわけなんです。ところが、いま条文をお読みになったように、会社更生法には詐欺更生罪と第三者の詐欺更生罪、この二つについて規定がございますが、いわゆる過怠更生罪については規定がございません。そこで、いまおっしゃったような例も多多ございます。ことに一昨年ある会社の――これも中堅クラスの会社ですが、その会社更生手続開始、これが計画倒産のにおいがするということで、実は商委員会で――きょうそこにおられる藤田委員等も商工委員のときに、われわれ一緒に追及したことがございます。そうして、その会社の社長及び親会社の社長等も参考人として出席を願いまして、いろいろと追及をいたしました。いかにも計画的な、ことに親会社からの指示によるといいますか、親会社あるいは大きな商社、銀行等は、損がいかないようにちゃんとしたあとでの、しかもその手続開始申請の一週間か十日くらい前に、会長、すなわち親会社の社長ですが、それがもうすでに法律上やめて、そして登記も終わっておる、こういうことをやりまして、一週間か十日もたたないときに会社更生法の申請をした、こういうような事例がございまして、当時いろいろの角度から追及をいたしました。しかしながら、事実問題としては、何ら証拠としてはっきりしたものが出てこない。当時検察庁あるいは警察庁の刑事局長等も委員会に来てもらって追及をいたしました。一、二刑事さん等が調べたようでありましたが、証拠が出ないということで不問に付せられた例もございます。
 そこで、こういった過怠更生罪というものを設けることによって、社会正義に反するそういうふうなものによって、あるいは当然なすべき経営者の責務あるいは義務を果たさずして会社更生法へ持っていかざるを得ないような状態に立ち至らしめた者に対しては、この過怠更生罪によって追及する道を開く。そのことは、罰することが目的ではなくて、もっと経営者のモラル、あるいは経営者の企業に対する、あるいは社会に対する責任、これを認識してもらう、あるいは認識せしめる、こういうような気持ちで本条項を入れたわけでございます。
○横山委員 田中君に伺いますけれども、このような改正をすることによって下請事業者の連鎖倒産を防止し、下請代金、労働者の賃金、退職金について、共益債権とされる範囲を現行法より一段と拡大をすることは、まことに時宜を得たことだと思うのであります。ただ考えなければなりませんことは、もちろんこの立案の過程で御勘案になったと思うのでありますけれども、一つの会社がつぶれる。つぶれる責任は別といたしまして、現実問題としてつぶれる。その中で、下請とそのつぶれる企業、並びに下請の労働者を守るということは、その間においては、どこかでそれだけの金をもらわない人が出てくるという算術計算が出てくるわけであります。そのもらわない人、減らされる人、それが金融機関であるか、あるいは大口債権者であるか、どこか、へこむところが出てくる。したがいまして、会社更生法を適用して再建をするためには、この間において、この五つの改正だけではもちろんだめであろう。会社更生法を改正するならば、この五点ではあるけれども、倒産をした会社を再建せしめるためには、会社更生法以外のいろいろな諸問題があると考えられるわけであります。もちろんそれは、大きく言えば経済政策全般に関することではありますけれども、そこまで大きくいかないで、会社更生法の改正を検討される段階において、この法案以外何を考うべきかという点について、おそらく検討されたと思うのでありますが、それらの点について御検討の諸点がありましたら聞きたいと思うのであります。
○田中(武)議員 御承知のように、今回われわれの提出いたしております改正案の諸点は、まず下請企業及びその下請企業の労働者、無担保債権者及びその企業の会社更生手続開始申請をした企業の労働者、これらの人を保護しようという点にしぼった改正点でございます。
 これは昨年サンウエーブとか、あるいは山陽特殊鋼等いろいろなケースの問題が起こっておりますが、それをよく調べてみますと、銀行とか大口債権者等はあらかじめ相談を受けておる。受けておるというよりか、むしろ自分たちは損をしないように増し担保を取る、あるいはその他の方法を講じておって、それが終わってから会社更生手続開始申請をさすというような方法をとっておる。だが一面、そこに働く労働者あるいは下請企業は、会社更生手続開始申請の当日まで納品を迫られる、あるいは現に、もう窓口に申請書が出されておるような時期といいますか、時間に、手形を受け取って帰ったという下請業者もおります。
 こう見た場合に、会社更生法は、いわゆる債権者その他との公平を考えて云々ということですが、これはあくまでも形式的な公平ということであって、実質的にはきわめて不公平である。そこで、そのつんぼさじきに置かれておる、あるいは先ほど申しましたように、会社更生手続開始申請をする日に納品を迫られ、あるいは手形で支払いを受けたというような人たちをまず守らなければならぬだろう。もちろんこういう人たちは中小企業であります。したがいまして、中小企業の政策としていろいろなことを考えねばならないし、ことに仕事のあっせんといいますか、あるいは下請代金の支払いの確保、そういう点も考えております。それとあわせて下請企業、中小企業の保護を考えねばならぬと考えております。
 あくまでも、この改正点は、先ほど来あるいは提案説明で申し上げておるように、さしあたり中小企業あるいは無担保債権者、下請企業等々を保護するための改正提案でございます。したがいまして、中堅以上の大きないわゆる申請をするほうの会社につきましては、たとえば山陽特殊鋼で申しますならば、全般的な特殊鋼政策あるいはもっと大きな経済的な政策も必要だろうと思います。しかし、そのことはまず置きまして、われわれといたしましては、いま申しましたように、中小企業政策、こういう上に立って本改正案を提案した次第でございます。
○横山委員 まことに理路整然、明白にして、同僚議員とは思いながら感嘆これ久しゅうする御答弁をいただきまして敬服をいたしておるところであります。
 そこで、実は時間がないものですから、まだ田中議員にはたくさんお伺いしたい点があるのでありますが、あとのことがございますので、政務次官に、詰めていらっしゃったので尋ねておきたいのでありますが、先ほど参事官のお話を聞きますと、昨年の十二月でございますか、会社更生法について法制審議会の審議にかかったが、いまお話を承れば、まだ確たる結論に達していない、次の通常国会には何とか出せるのではあるまいか、その間臨時国会が開かれるとしても、それに出せるかどうか判断がつかないという、まことにたよりない話であります。私は、いま田中君ほか同僚議員が提案をいたしておりますこの会社更生法の一部を改正する法律案につきましては、すでに本会議におきまして、石井法務大臣から、五項目それぞれまことに妥当なものであるという御返事を賜わっておるのであります。したがいまして、もちろんこの五項目ばかりではなくて、会社更生法については多くの検討すべきことがあるにはあるのでありますが、戦後最大のかかる不渡り、倒産が続出しております今日、緊急なものは、少くとも今国会においても、政府は第一次改正として当然提案をなさるべきではなかったか、さればこそ本年一月私が代表質問をいたしまして、早く出せと言っておったのであります。どうしてこの社会党の提案を了として、この間において、今国会において成立をさせるような熱意をお持ちにならなかったのであるか。また、私の要望いたします臨時国会が開会されたならば、すみやかに提出できるように準備を整えるべきではないか、こう考えるのでありますが、政務次官の御意見を伺いたい。
○山本(利)政府委員 ただいま田中議員提出にかかります法案についていろいろと御審議されておりますが、政府におきましても、できるだけこういう問題については御要望に沿うて一日も早く提案いたしたいと考えておるのでございまして、今回の御審議も十分参考にいたしまして、さらに審議会における審議も促進させまして、できるだけ早い機会に提案いたしたい、かように考えております。
 先日の新聞報道でございますが、橋本官房長官の談だったと思いますが、この秋は臨時国会は必要があるまいというふうな発言もあったようでございますけれども、仰せのように、年々通常国会の前には臨時国会もあることでございますので、できることならば、それに間に合うように、いろいろと法務省におきましても努力を重ねていきたいと存じます。そうして参事官からお答えいたしましたように、おそくとも次の通常国会には提出する運びに至るのではないか、かように考えておるわけでございます。
○田中(武)議員 最後にちょっと一言。会社更生法改正案に対する質疑はこれで一応終わるようでございますので、提案者といたしまして、委員の諸君に、ことに与党の委員の皆さんに、一言お願いと希望を申し上げておきたいと思います。
 実は昨年の三月二日の日に、と申しますのは、山陽特殊鋼が問題の会社更生手続をいたしましたのが三月六日でございます。したがって、その数日前に、私は中小企業政策という観点に立ちまして、当院予算委員会におきまして、現在改正点として御提案いたしておりますような諸点をあげ、当時の故高橋等法務大臣はじめ通産、大蔵各大臣に質問をいたしております。そのときに、まず櫻内国務大臣は、「私としては田中委員の御指摘の点を十分頭に置いて検討するのが、これが一番至当だと思います。」という答弁をいたしております。さらに、それでは法務大臣どうかという私の質問に対して、当時の高橋等法務大臣は、「通産大臣もそういう御意見ですし、十分検討いたしてみたいと思います。」と御答弁になっております。それから数日を出ずして、山陽特殊鋼の問題が起きたわけであります。そうして世論は一斉に、会社更生法改正という点に火の手が上がったわけであります。先ほど申しましたように、それより数日前に、私は予算委員会でその問題を提起いたしております。ところが、今国会に至りましても、まだ法制審議会の特別部会に御諮問になっておるようでございますが、政府案が出ないので、われわれ議員立法として提案した次第であります。いまの話では、来国会ということでございますが、先ほど来申し上げておる諸点及び提案説明等も十分御勘案の上に、今国会において本法案の成立のために与党の委員皆さんの御理解ある態度を要望いたしまして、最後の意見を終わります。
○大竹委員長代理 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
     ――――◇―――――
○大竹委員長代理 次に、法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。横山君。
○横山委員 暴力問題について政府側の所見をただしたいのであります。本委員会は、一昨年でありましたか、暴力法についてずいぶんあらゆる角度から論争いたしまして、この法案が通過をいたしましたその当時の審議記録はわれわれの頭になまなましい点がございます。本委員会は、先般来理事会におきまして、暴力事案について取り上げることに盛んに話題になっておったのでありますが、遺憾ながら、時期を経ずして国会の閉会を迎えることになりました。短い時間ではございますけれども、特に強く私は政府側の暴力問題に対する取り上げ方、その実情についてただしたいと思うのであります。時間の関係上、ここに六月五日の毎日新聞の社説がございますから、まず御披露をして、同僚諸君とともに検討をいたしたいと思うのであります。
 「あいつぐ警察当局の取締りによって、一時鳴りをしずめていた全国の組織暴力に、最近再建の動きが見えはじめてきた。関東では、昭和三十九年以来、大小十二団体が解散を表明したが、最近では、組織再編のための資金源の開拓に、新手の暴力が目だっている。一方関西では、強力な広域暴力組織が依然健在で、関東の解散に乗じて全国的な組織に成長している。このまま取締りの手をゆるめれば、数年前のように、暴力横行時代の再現も予想されるので、われわれは、組織暴力根絶のためにさらに敵陣的な取締りを警察当局に要望したい。最近の組織暴力の動きには、二つの傾向のあることが指摘できる。一つは、関東で見られるように、取締りの目をのがれるために、一般市民の間に潜行して、会社犯罪や詐欺などを行なう“知能暴力”であり、もう一つは、関西のように、公然と組織を表明して、一見正当な企業行為とみせかけ、裏で暴力行為を行なう“企業暴力”である。この二つとも、善良な市民の犠牲において資金をかせぎ、暴力組織を再編しようという目的では共通している。東京の警視庁では、四月から五月にかけての暴力団の集中取締りで、千三百四十九人を大量検挙し、ピストル、実弾など多数を押収した。注目すべきは、これら検挙されたものの大半が、かつて解散を表明した暴力組織連合体配下の団員であることである。彼らの暴力行為には、不動産や証券の売買、株主総会にからむ犯罪が多かった。これらの事実からみて、かつて行なわれた解散表明は、実は擬装解散であったと断ぜざるをえない。当局は、再びこのような擬装にまどわされることなく、いかなる組織再編の動きも厳に封ずるよう、強力な取締りを続行する必要があろう。一方、関西の暴力組織は、いまや、北海道から九州にまたがる強大な全国的組織に成長している。これは、関東の大組織の解散のすきをついたことと、この組織は、表面はいちおう正常な企業形態をとっていたため、取締りの手がかりがえられないためであった。彼らのいわゆる“企業”は、興行と港湾荷役の二つを柱としているが、その裏に暴力行為が介在することは歴然としている。取締り当局も、この組織に対して徹底的な取締りをすることに踏み切り、四日を期して兵庫県警察本部に取締り本部を設けた。われわれも、この広域組織を解散に追いこむまで、強力で徹底的な取締りを期待する。暴力組織の再編を封ずるためには、警察当局の取締りの成果に期待する一方、一般市民の協力が絶対に必要であることを忘れてはならない。従来からいわれていたように、暴力団との“くされ縁”が、一部社会にはいまだに残存していることを認めざるをえない。たとえば、関西の暴力団が組織温存の看板にしている興行と港湾荷役が、そのよい例であろう。これらの社会では、いままで暴力組織の力を借りなければ、その仕事や商売が成りたたないといわれてきた。しかし、そのことが暴力組織を根絶できない有力な原因であることを、関係者は十分反省しなければならない。暴力組織の再編を封じるためには、国民の一人々々が勇気をもって暴力追放のために立ち上がらなければならない。どんなに警察当局が取締りに力を入れても、民間の協力がこれにともなわなければ、とうてい暴力追放の所期の目的は達せられないのである。」以上が六月五日の毎日新聞の社説であります。
 その結語といたしております点は、私は多少の批判がないではないのでありますが、しかしいずれにしても、あれだけ暴力法の審議の際に、検察、警察当局が声を大にして、この法律が通りまするならば所期の成果を必ずおさめなければならないし、その確信があるとまで断言せられたにかかわりませず、ここ一年近くのこの暴力団の状況はまことに目に余るものがありまして、日ごと夜ごとの新聞を見ましても、カラスの鳴かない日はあっても、暴力団の記事がない日はないとさえ言い得られるのであります。警察庁からいただきました暴力団検挙状況年次比較を見てみますと、法律が通る直前直後、三十八年、九年、四十年、この比較を見ますと、三十八年には総数五万一千六十五人が三十九年法律が通りました年は、五万八千六百八十七人、四十年、昨年は五万六千七百四人、法律が通ったあくる年は、検挙人員が減っておるのであります。殺人におきましても七百六十人が五百七十七人、強盗は九百六十三人が七百八十五人、放火は二十九人が二十人、強姦は千四百九十五人が千二百三十九人、凶器準備集合は五百四十二人が二百五十一人に激減、暴行は六千五百三十六人が五千四百三十人に減少、傷害は一万五千四百四十六人が一万二千六百九十四人に減少、脅迫は八百六十九人が六百三十二人に減少いたしました。まさに罪種別におきましてはことごとく検挙人員が減少して、恐喝も減り、証人威迫も減り、窃盗が約二十人ぐらいふえておりますが、詐欺も減り、賭博が四千二百六人が六千百十七人に、これは千九百人ぐらいですかふえておりますが、器物毀棄も減り、その他刑法犯微増、暴力行為は約千人検挙人員がふえています。銃砲等不法所持はふえ、売春関係が五百人ぐらいふえ、麻薬が減り、その他特別法犯が千二百人ぐらいふえておるにとどまっておるのでありますから、要するにこれはどういうことか。かかる暴力事犯というものが減っておるか、あるいはふえておっても検挙人員が減っておるという錯覚に陥らざるを得ない。一体これは何ということであろうか。私はこの「暴力団検挙状況年次比較」を見ておりまして、これを一体検察庁なり警察庁はどう御説明なさるのであろうかと不審に考えておるわけであります。まずこの社説並びに暴力団の検挙状況が減っておることにつきまして御説明をいただきたい。
○日原政府委員 警察庁で一昨年以来暴力団取り締まりの強化対策要綱をつくりまして、それに基づいて警察の重点目標の一つとして暴力団取り締まりを続けてまいっておるわけでございます。
 最近の暴力団の傾向でございますが、暴力団体数は約四千団体十五万人と一昨年に比較いたしまして昨年は減ってまいっております。また数百団体が解散を表明いたしております。しかし社説にありましたように、その解散団体は暴力団全体からいたしますればごくわずかでございます。また解散をいたしましても依然として同じような暴力行為を続けておるものが多数見受けられるわけでございます。警察としては一昨年以来決して手をゆるめることなく、毎年継続して重点を置いて強い取り締まりに当たっておりますし、本年度も同様な方針でまいってきておるわけでございます。
 ただいま御説明の暴力団の検挙状況の問題でございますが、これは私どもはこういうふうに見ております。一昨年来の非常な強力な取り締まりによりまして、暴力団の活動が知能化し潜在化してきておるという傾向があるのでございます。また警察に検挙の端緒を与えるような暴力事件を起こすなというような指導をしておる団体もございます。これらはいずれもこの強力な取り締まりの期間を免れるために一時活動を低調化させる、あるいは潜在化、知能化させていく傾向にあるというふうに考えておるわけでございます。ただいまの数字も、殺人とか、強盗とか、放火とかいうようなものは、これは発生のほうで決して案数があるわけではございません。窃盗のような事件、あるいは詐欺というような事件になりますると、届け出のない案数が出てくるわけでございますが、そうでないものについては、まずまず届け出があるものと見ていいんじゃないかと考えられるわけでございまして、そういう面から申しまして暴行、傷害その他が減っておりますのは、いま言ったような暴力団の傾向が、この数字にあらわれてきているのではないかと考えます。現に凶器準備集合が半分近くに減っておりまするが、全国的な対立抗争事犯というものは、本年、昨年は一昨年に比して一割か二割というふうに非常な激減ぶりを示しております。この凶器準備集合は、暴力団の対立抗争事件によく使われる罪名でありますので、この凶器準備集合の検挙状況から見ましても、また私どものほうの暴力団の対立抗争事件の発生状況から見ましても、この点は明らかにうかがわれるわけでございます。
 われわれの取り締まりを通じて見ますると、一昨年来の強力な取り締まりによって、一時表面立った活動が潜在化していっている、功妙化していっている、あるいは低調になっておる、さらにここで追い打ちをかけなければ壊滅的な打撃は与えることができないということで、一昨年、昨年に比較いたしますと、ことしからはそれに倍加する以上の苦労をしないとなかなか検挙の糸口がつかめないという状況になっております。それが、お話の中にありましたように特別法犯あるいは売春防止法違反、こういうものの数字がふえてまいってきておりますのは、やはり特別法を使って内偵をし、特別法を使って検挙をする、それから賭博がふえておりますのは非現行賭博をかぎ出して検挙するというような、こういう特別法をフルに使ってとにかく検挙を続けていくという努力のあらわれではないかというふうに私どもはこの数字を見ているわけでございます。
 いずれにせよ、われわれとして暴行、傷害等の事件がありますれば届け出と同時にどしどし検挙をしていくつもりでありまするし、届け出は私どもの暴力団取り締まりにはぜひとも必要な事項で、御協力を願わなきゃならぬわけでございまするが、いま言ったような意味で、これから本格的にあらゆる法規を使って追及を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○横山委員 私は知能化、潜在化しておるということであるならば、いまお話しのように苦心があるとするならば、それに対抗する全国的な新しいくふうというものが必要ではないかと思うのであります。また先般の審議の際にやかましく言って、あなたのほうがどうしても出すわけにはいかないと言ったのですけれども、あのときの論争を思い起こしてみますと、地方公共団体が公共施設を暴力団に貸した、それはけしからぬと言う前に、そういうおそれある暴力団については団の名前を公表すべきではないか、地方自治体がその内容を深く知っておるはずがないから、貸したからといってあとでおこるようなことをやめて、事前にそれを公表すべきではないかと言ったのでありますが、いま差しつかえない限りにおいて、暴力団として検挙の対象となった組はどんなものがあるか、あるいは犯罪行為を犯し、今後犯すおそれが多分にある関係の組は一体どんなものがあるか、それをひとつ列挙してもらいたいと思うのであります。
○日原政府委員 あの当時も問題になりましたように、問題は、暴力団というものの定義が非常にむずかしいわけでございます。一応、集団的に、また常習的に暴力的な不法行為を行なうおそれのある団体というふうに定義しておるわけでございまして、一応そういう趣旨でもって警察が考えておる暴力団あるいは暴力団員というものは、名簿があるわけでありまするけれども、その認定なり認定基準というものがはっきりしないがために、これを公表するということは従来もやっていないわけでございます。検挙の対象となっております団体は、先ほど申しましたように四千団体、十五万人というものが対象になるわけでございます。その個々の団体につきまして公表はいたしてないわけでございます。
○横山委員 しかし、最近におきまして兵庫の山口組を含めて、組として全国的に問題になり、新聞紙上に出ておるところはきわめて多いのでありますが、最近においてその検挙を進め、調査をしておる具体的な事例を、それじゃあげてもらいたい。
○日原政府委員 現在やっております中で一番規模の大きいものとしては、兵庫の山口組関係の事件、それから熊本の土建暴力に関連した事件というようなものがございます。そのほか東京都の警視庁でもやっておるのでございますが、一応非常に大きく騒がれ、また検挙者も多いというところで申しますと、兵庫県、熊本県というようなところがさしあたりのやっておる最中の事件でございます。
○横山委員 私どもが新聞を見、ラジオを聞き、テレビを見て、ああまたかというような感じがする。そして警察、検察陣が百年河清を待つような状況で、一体いつになったらなくなるかという感じを免れがたいと思うのであります。最近において検察陣として、一体この組織暴力に対してどういう基本的かまえでやっておるのか、何か一つのくふうなり、新しい方法なり、意欲なりというものがなくては、これは日ごと、夜ごと解消しないと思うのであります。この点について、またあそこにできたから、あそこに集中攻撃する、ここにできたから集中攻撃するというような惰性でやっておるような感じがするのであります。国民の中には、ひとつ新しい創意くふうをこらして、全国的に蔓延しつつある暴力行為なり組織に、思い切った措置をなすべきではないかという世論が非常に強いと思うのでありますが、この点について、検察、警察側としては、どういう方法、どういう手段、どういう構想で今後絶滅を期しておられるのか、伺いたいのであります。
○日原政府委員 これは暴力団取り締まりの当初から考えていたことでございますが、暴力団を取り締まっていくのは一朝一夕のことではない。継続的に、途中で挫折することなく、壊滅するまで取り締まりを続けていかなければだめだという覚悟で始めた取り締まり強化でございます。したがいまして、今後とも強力な取り締まりを続けていくという体制でなければ、ほかにこの点さえやればというような妙薬はないと考えます。ただ私どもが考えておりますのは、やはりこういう暴力団が残っていくということは、そこにうまみがあるからである。そこでそのうまみのある状態をなくしていかなければ、暴力団を取り締まって検挙いたしましても、次の暴力団が発生してくる。そこでうまみのない形、環境に持っていかなければならないという点で、資金源をつぶしていく。そうしてまた一般の国民もそういう理由のない金を出さないような形に持っていく。暴力団を利用しない形に持っていく。要するに暴力団に資金を出さない、または事件があれば必ず届け出をする、こういう風習が成り立ってまいりますと、こういうものが一たん検挙されれば、あとを埋めるものがなくなってくるというふうに考えるわけでありますが、なかなかそれが一朝一夕にはいかないむずかしいことでございますが、私どもとしては、検挙することによってその銃器を取り上げ、幹部を検挙し、それを養う資金源をつぶしていく、こういう体制で臨んでおるわけでございます。
○横山委員 私どもは暴力団退治について政府側に対して援助なり支援を惜しまぬものではありますが、さりとてまた一部に留意してもらわなければならぬものがなしとはしないのであります。それは最近国会側に対して、熊本における土建暴力排除の問題に関連して人権問題が発生したという陳情がある。事の事情はよくはわかりませんけれども、暴力団退治のためにどんな方法を使ってもよし、またそれによって一、二のまずいことがあっていいというものではない、この点はくれぐれも注意をしてもらわなければならぬのであります。
 それから第二番目には、最近町におけるトルコぶろなり、あるいはエロ映画なり、あるいは暴力映画、並びにある場合においてはテレビ等においても、まゆをひそめるような現象というものは枚挙にいとまがないのであります。これらの点については直接的にそれを制限をするということについては、かなり考えなければならぬところがございますものの、暴力団組織を根絶する問題点として、どうしてもこれは見のがすことのできない問題ではないかと思います。
 それから第三番目には、あの当時いろいろと議論をいたしたのでありますが、暴力が右翼暴力に結びつき、右翼暴力が政治結社を結成し、そして政治にこれが結びついてくる可能性がありと、具体的な事象をもって判断いたしたところであります。しかも、本年ないしは明年を控えて、たくさんの選挙がこれから行なわれる。暴力が土建に結びついておる事象が各所にあるといたしますと、土建、政治、選挙という方向に発展をするということは、私どもとして容易に考えられるのでありますが、この人権問題と、それからマスコミ、映画、テレビ、看板等を通ずる問題と、それから右翼暴力と結んで政治への接近という三点について意見を伺いたいと思います。
○日原政府委員 私ども暴力団取り締まりを強力に進めるにあたりましては、絶えず警察官のこれに関連したような事故の防止ということを強調してまいっております。そういう意味でできるだけ注意してまいっておるつもりでございますが、今後とも人権問題その他にわたることのないように十分注意してやってまいるように指導をしてまいりたいと思います。
 ただし、私どものほうの考え方としては、こういうような取り締まりに関連して事故、あるいはその他人権侵害の措置があるというようなことで、それが事実でありますれば厳重な処置をいたしてまいってきておるつもりでございまするし、また今後もそういうつもりでございますが、一方において暴力団も、だんだん取り締まりが強化されるにつれまして牽制的な意味で、取り締まられるとすぐに警察官の非行を取り上げてくるというような傾向が最近特に顕著でございます。もちろんそれが真実でありますれば、私どものほうもそれを取り上げて直ちに処置をとってまいるつもりでございまするが、中には牽制的な意味で、あることないことを取り上げてくるものも二、三散見されますが、いずれにしても、私どものほうもその点は十分注意をしてやってまいりたいと考えます。
 暴力団は大義名分ということを非常に言いたがる、またそれを掲げたがる傾向にありまして、お話のように政治とかいうものに結びつくような状況のものも従来からあったわけでございます。あるいは熊本にありますような土建をめぐってのいろいろな問題、それから選挙にも影響してくるいろいろなことがあろうと思います。私どものほうはそういうことに関係なしに、とにかく不法行為を行なった暴力団についてはどしどし取り締まっていく。また、その共犯関係にあるものは徹底的に取り締まっていく、こういう形で進んでまいっておるつもりでございます。
○志賀(義)委員 最高裁判所の家庭局長に去る六月九日質問したのですが、残念ながらきょうは来ておられませんが、興心塾の塾長になっており、またそのほか二つの、三鳩学院とルンビニホームの責任者であります秋田豪諦という人が、私の質問する前日、六月八日に、東京家裁保護施設協議会会長をやめておりますが、そのやめた理由は政務次官のほうじゃおわかりございますまいな。――ところが、ここに奇怪なことがあるのです。私の質問の前の日に日野首席調査官らが委託補導施設の責任者らを集めて処遇要領案と警備細則を配り、緊急検討するように求められているようであります。その際、日野首席調査官は、最近施設のことについて国会やマスコミで取り上げ始め、うるさくなった、こういうふうに言っております。さらに私の質問したあと、補導委託先協議会会長礒という人が、国会のほうにはずっと以前からこういうことを実施しているように報告してあるので、皆さんもそのように了解してもらいたいと要請した事実が、あるかどうか、これも政務次官おわかりにならないでしょうね。
○山本(利)政府委員 私のほうでは、全然そういう連絡を受けておりません。
○津田政府委員 ただいまのそれは、法務省所管の問題ではありませんので、私のほうでは承知しておらないということでございます。
○志賀(義)委員 私の質問した翌日には、各家裁の首席調査官がそれぞれ所長のところに呼ばれ、前の日に私がこういう質問している、しかるべく手を打つように指示されたということもあるのですが、そうしますと、一体委託保護施設については一定の基準があるかという先日の質問について、ありますと言われているのに、もしいま言ったようなことが事実だとすればそれがなかった。そうして国会にはそれがあるように答弁しておいたから、そのように心得ておいてくれということが六月十日、六月十三日に言われているということになると、これは困りますがね。政務次官その点調べてくださいますか。
○山本(利)政府委員 先ほど申しましたように、全く管轄違いでございますから、その点については承知しておりませんけれども、もし私のほうでわかりましたらまた御報告いたします。いまの志賀委員のおっしゃったことで国会のほうにも言ってあるということは、そういう施設をしておるということを言ってあるからという連絡であったかもわからず、別にそれを私が弁護せなければならぬ立場でもございませんから……。
○志賀(義)委員 あなたのほうの管轄違いですけれども、ひとつ最高裁のほうに照会してください。きょうは全国高裁長官と家裁の所長との会議が開かれております。申し上げておきますが、最高裁判所及びこういう人たちのほうでは、法務省の出された少年法案には反対なのです。その点では、私はあなた方が出された法案には反対なのです。それなのにこういうふうに裁判所側が失態を起こしまして、あとでこういうふうに志賀委員の質問する前からやっておったように言えというような指示を出されるようじゃね。これはあなた方に口実を与えることになるのです。それでは困るのです。
 なお、刑事局長に伺いますが、強姦はいまでも親告罪ですか。
○津田政府委員 そうです。
○志賀(義)委員 この秋田豪諦という人がやっているルンビニホームというのは女の子を預かるところなのです。そのルンビニホームの写真は先日ここでも出しました。ところが、ここに収容されているときに暴行を受けたのです。ところが、その女が出てから別の男と組んで強姦した男を脅迫して金銭をゆすり、それに味をしめてつつもたせの常習犯になったわけです。こういうことが明白な証拠があっても強姦した男は罪にならないですか、どうでしょう。
○津田政府委員 単純の強姦でございますと、御承知のとおり親告罪になっております。その親告罪になっている理由は、本人の処罰意思を尊重する、非常に名誉その他に関する事項だからということでありますので、単純強姦であれば告訴がない限り起訴いたしましても、これは有罪の言い渡しを受けるわけではありませんから、結局起訴することはできないということになるわけであります。
○志賀(義)委員 それで委員長にお調べ願いたいのですが、ルンビニ出身の少女のいまのつつもたせというのは、ある会社の重役なんです。名前は特に秘匿します。ところでこれが愛光女子学園という少年院にいま入れられているのです。きょうは残念ながら家庭局長が来ておられませんからわかりませんが、どうしてこういうつつもたせをやるようになったのか、その動機と原因をあわせてお調べ願いたいことを家庭局長のほうにお伝えいただきたい。というのは、最初この女の子がそういうふうに転落するようになったのが、お調べになるとわかると思いますが、委託保護施設の責任者であったとすると、これはたいへんなことになりますからね。そういう点を、きょうは来ておりませんが、最高裁判所並びに最高裁判所の家庭局長のほうに至急調べるように言っていただきたいと思います。どうもとんでもないことがここにあるわけです。私はこの問題について、先日も事実に基づいて述べると申しましたが、昨年以来半年以上にわたって調べて、あまりの乱脈さに驚いているわけです。これはほんの一例にすぎないのです。ことに少年法がいま問題になっているときに、こういうめちゃくちゃなことが行なわれていてはこれはたいへんですから、この点を委員長のほうから特に最高裁のほうにお伝え願いたいと思います。
 それから、なお先日興心塾が鉄火場になっているようなふうに申しましたが、鉄火場は都内であります。そこで賭博の現行犯で捕えられないために、そこの金銭の決済を興心塾という保護施設でやっているように思われるのです。少年がその金のやりとりを見ておって、保護施設というものはいいもんだなと、こういうように言っているんですからね。鍛冶委員もそういうことは、ほかの例も非常によく知っておられるようであります。だから私が特別にひねった質問をしているんじゃないのです。かねがね法務委員の中でも、困ったことだということになっているんです。保護施設の美名のもとにあらゆることが行なわれているんですね。国有財産の払い下げの問題までもいろいろ関連がありますから、言語道断と申さなきゃなりませんから、ひとつ委員長、そのことはよろしくお願いします。
○大竹委員長代理 はい。承知いたしました。
○志賀(義)委員 次に、きょうの新聞でありますが、松山刑務所の事件が出ておりますね。これは一体どういうことでしょう。地検がこれを取り調べているということでありますが、刑事局長のほうからこの事件について、あとにまだ般若鉄工事件の質問がございますから、簡単に。
○津田政府委員 松山刑務所の事件と申しますのは、いろいろ本日の新聞に出ておりますが、私どもが承知いたしました事件は現在捜査中であり、それは看守三名につきまして収賄の事実があるということで、本年六月十七日から二十一日までの間に看守三名を逮捕いたしまして現在捜査中でございますが、容疑事実はただいま申し上げましたように、一万円ないし五万円の収賄という容疑事実だったと思います。
○志賀(義)委員 贈賄側はだれでありますか。
○津田政府委員 贈賄側は被告人として在監しております郷田昇という者の関係者であります。
○志賀(義)委員 この事件は、一昨年六月に起こった松山の白昼乱射事件と申しますか、当時人人の耳を驚かした事件がありましたね。その一方の組の関係の者でございますね。
 ところで、初めにお断わりしておきたいのは、この松山刑務所では、三十六年九月から服役者を来島ドック大井工場の大井造船作業場で働かしており、全国でも例のないへいのない刑務所として知られておったものであります。私はこういうことは今後ともやるべきだと思いますが、刑務所の内部において、いま増収賄のことを言われましたが、このほかに収賄して監房の中で何かやらせておったことが問題になっておると思いますが、矯正局長のほうでは、その点について何か報告はありますかどうか。
○布施政府委員 ただいま刑事局長から答弁いたしましたように、今回の事件、これは六月十七日から二十一日までの間に、看守三名が逮捕された容疑は収賄でございまして、検察庁において目下取り調べ中でございます。私どもといたしまして、その内容をつまびらかにいたしかねております。しかしなら、松山刑務所の拘置所におきまして、御指摘のように秩序の乱れがあったということは事実のようでございます。その程度につきましては、これはいま検察庁でも取り調べ中でございまするし、私どもといたしましては、関係者、拘置所勤務の看守とか、それから当時の副看守長、こういった、職員の関係者はもちろん、収容者につきましても私どものほうで調査いたすことを差し控えておりますので、詳細なことはわからないのでございますが、居房のかぎをあけて自由に廊下に出してやる、まことに遺憾なことでございますけれども、たばこを持ち込ませる便宜をはかるといったようなことがあったように見受けられます。
○志賀(義)委員 刑務所でたばこは――よくそういう事件があるのですよ。それはもう刑務所の収容者というものはあらゆる知恵を働かして、チョークの中をえぐってパイプをつくって看守の吸いがらをやったり、そういうことは私もだいぶ専門家でございまして、だれが何をやるか、長い間おりましたから……。しかし、あなたはたばこのことだけ言われるけれども、女子囚人を収容した監房へ、郷田組の組長を導いて、そこで何か事件が起こったということは、検察庁の調べは別として、刑務所の矯正上の規律として、あなたのほうには何も報告がございませんか。
○布施政府委員 けさほどの新聞で拝見しまして、具体的にさような事実があるといたしますればまことに遺憾なことでございますが、私どもがいままでに受けました報告によりますと、その点に関しましては必ずしもはっきりしたものがございません。ただ、先ほども申し上げましたように、居房のかぎをあけてやって自由に廊下を歩かせるというようなことがあったわけでございますので、居房のかぎを、強制といいますか、脅迫によるものか、あるいは強奪によるものかわかりませんが、いろいろな手だてによってあけさせられたというような事情があったかもしれないということは、十分うかがえるところでございます。しさいは検察庁の取り調べの結果を待ちませんと、まだ何とも申し上げかねる次第でございます。
○志賀(義)委員 刑務所というところは、非常に規律がやかましいところですね。しかし、検察庁が調べられなければ、矯正局のほうには刑務所の中のことはわからないしかけになっているのでしょうか。
○布施政府委員 少しく事情を申し上げたいと存じます。
 私どものほうでは三月の十六日に刑務所関係の人事異動をいたしております。三月の十六日付で刑務所長がかわりました。現在の所長は楠下芳輝という人でございます。これは三月の二十五日に着任いたしました。同じ異動で管理部長、これが保安面を管理するわけでございますが、これもかわっております。これは四国の矯正管区の保安課長から松山の管理部長にかわったものでございます。堀内と申します。それから松山刑務所の庶務課長であった高田という者が松山刑務所の保安課長にかわりました。なおそのほかに、同じ日付で梅崎という保安課長の補佐をいたします看守長、これが東京から松山の刑務所へ転勤いたしております。このように陣容がかわりまして、拘置所のほうの状況を見ますと、どうも乱れがあるらしいということを察知いたしまして、三月の二十五日、所長着任の日でございますが、拘置所のほうの担当看守、それから責任者でありました副看守長、こういう者を全部配置がえをいたしております。配置がえをいたしましたために、拘置所に入っております暴力団関係者、こういう者たちが、いままでのように緩和された取り扱いを受けられなくなるということをおそれたものと存じます。三月の二十八日、これは着任後間がないわけでございますが、梅崎看守長が拘置所を巡視中に六名の者によって取り囲まれて殴打されたという事件が発生いたしております。この事件は六名でございますが、そのうち四名は郷田会の関係者でございます。あと二名は直接組員にはなっておりませんが、連絡はあるというものでございます。これらの者が梅崎看守長に対して暴行を加える、いわば処遇の緩和を求められた、機先を制したとでもいいますか、さような事件が起こった。これにつきまして刑務所側がさっそく関係者を取り調べまして、松山の地検に通報いたしますとともに、ちょっと資料がございませんので日にちは不明でございますが、五月上旬になりまして、これらの者を公務執行妨害、傷害、教唆。公務執行妨害、傷害といったような罪名で松山地検のほうに事件を送致いたしております。この事件に関連いたしまして……。
○志賀(義)委員 公務執行妨害の何ですか、一件というのはどういうことですか。
○布施政府委員 梅崎看守長が拘置所を巡視して歩きますのは看守長の職務であります。その回っておりますときに巡視を妨げるということで、暴行を加えたということと理解しております。
 その後、五月九日になりまして、このとき暴行を加えた被疑者の一人であります谷川清勝という者がおります。この谷川の弁護人――前の事件の弁護人でありますが、この弁護人がその際に谷川も暴行を受けたということで、その内容はつまびらかにいたしておりませんが、検察庁のほうに告発をいたしております。この二つの事件を松山地検のほうで取り調べ中にただいま申し上げましたような収賄の事件が発覚をしたものと思います。経過はさようなことであります。
○志賀(義)委員 乱れがあるとあなたは言われましたね、新しい責任者が着任したときに。所長着任の日に直ちに配置がえをやられた。その乱れというのは、さっき言われたようなたばこをのむとか、行儀を悪くするとかいうことだけでございましたか。
○布施政府委員 具体的にこういう点、こういう点というふうに申し上げかねると申しますか、承知いたしておりませんのがはなはだ残念でございますけれども、目が違ったと申しますか、新しいところから参りますれば、回ってみればその程度の感じはすぐに来るものだというふうに承知いたしておりますし、一つには廊下を未決の被疑者が自由に歩いておるという事情があったようであります。それらの点から乱れを感じたというふうに理解をいたしております。
○志賀(義)委員 調べた結果、検察庁のほうに公務執行妨害で訴えた。調べたときにはたばこのことなんかがきっかけであろうけれども、その他のことで廊下を俳回している看守長がとうとう襲撃を受けた。その一件についてだけ調べられたのですか。私の経験によりますと、そういうときには刑務所の中では徹底的に調べるのですよ、看守部長も看守も。そのときにいま言ったような女子監房へ導き入れる。そして読売新聞によりますと兵藤卓也、郷田会兵藤組組長、三十一歳、これは前町乱射事件で懲役六年になっておりますが、「女囚の中島千鶴子(二二)の房内のカギをあけて兵藤を入房させていたことがわかった。」この中島千鶴子というのは、郷田会の組員で、同じく「白昼乱射事件に関連して拘置中の同市夷子町、松原洋(二三)(懲役六年)の内妻で、さる二月十日、覚せい剤取締法違反で検挙され松山地裁で懲役二月の刑を受けていた。」この婦人の房へ入れたということであります。朝日新聞によりますと「兵藤は未決拘置中の十八歳の少女に乱暴した」ということになっておりますが、これは二件あるのですか。あるいは人を取り違えて一人の人をこういうふうに新聞が誤って報道したのですか。その点については矯正局長のほうではおわかりございませんか。
○布施政府委員 女区の関係につきましては、先ほど申し上げましたように、実は今回逮捕されております杉原という看守がございます。この杉原看守が女区のあります階下の担当でございます。もちろん女区は分割してあるわけでございまして、かぎをあけなければ入れないわけでございます。ところが、逮捕されました杉原看守がその階下の担当であったということから察しまして、女区に入ったということは十分察しられるというふうに存ずるのでございますけれども、ただいま御質問ありましたような中島という女性、その他十八歳の女性というものとどういうことがあったとかいったようなことにつきましては、私どもただいままで承知いたしておりません。これは検察庁の取り調べの結果を待つよりほかはないと私ども存じております。
○志賀(義)委員 どうもはっきりしません。女区というものは普通は別区画になっていますね。いまのようにかぎをあけることで区別しているところもあるようであります。そういうことがあったら、検察庁のほうでは看守を取り調べると同時に、刑務所のほうにも照会があって、こういう事件についてはどうか、看守の平生の行動、それまでのことなんかいろいろ問い合わせがあるはずでありますが、検察庁のほうではそういう点はどういうふうにされているのですか。
○津田政府委員 ただいまお話に出ました杉原という看守につきましては、やはり収賄罪でただいま逮捕、取り調べ中でございます。検察庁が取り調べておる容疑は収賄事件でございますが、関連して他に犯罪があるかどうかということは当然問題になると思いますので、その点は並行して取り調べられておるものと思いますが、現在どういう事実が認知されつつあるか、あるいはどういう事実が調査されつつあるかということは、私のほうはいま承知いたしておりません。
○志賀(義)委員 ただいま申し上げましたように、これはきょうの朝刊に一斉に出ておりますが、そうすると新聞社のほうには検察庁のこと、あるいは刑務所内のことは報道されるが、法務委員会に対してはこちらが次々に質問しないと、しぶしぶながらでも小出しにしなければならないという理由はどういう理由ですか。それを刑事局長と矯正局長とお二人から言ってください。新聞にはもう出ているのだ。法務委員会にはまだ報告を受けていませんとか、内容は存じませんとか言いながら、質問するとしかたなく小出しにする。何か法律でそういうことでもやるべきだということをきめてありますかどうか。どういうわけで新聞に発表して、法務委員会ではまだ内容がよくわかりませんとかなんとかいうようなことを言われるのですか。その点、お二人からお答えください。
○津田政府委員 新聞に出ておる事実は、先ほど御指摘のありましたようなことは私も本日新聞を見て承知いたしております。しかしながら、どういうニュースソースによってさような記事が出たかは私もわかりません。これは想像でありますけれども、その捜査過程において取り調べを受けた者、これを一々探訪すれば、あるいはある程度の外的な事実はわかるかもしれません。しかしながら、その事実が必ずしも正確であるということは言えないわけであります。私どもがいまここで御報告申し上げておるのは、容疑事実としてこれは検事認知で、ただいま申しておるのはいまの収賄の事実であります。そこでその収賄の事実の取り調べと並行して、いかなる事実について取り調べが進行しておるかということにつきましては、まだ松山の検察庁のほうから報告がございませんし、かりにその内容にいたしましても、これは捜査中の事件でございますから、一々この席で御説明申し上げることは差し控えさしていただきたいのでありますけれども、現に私はそれは承知いたしておりません。ただいま御報告申し上げた容疑事実だけを承知しているわけでございます。私どもは、新聞にさような事実が出たというのは、おそらく検察庁やあるいは刑務所当局が発表したり、あるいは新聞等に説明したことではなくて、外的な取り調べを受けた者等を新聞社が探訪したこと等によりましての記事であろうというふうに現在は推測しておる次第でございます。
○布施政府委員 たびたび申し上げますように、ただいま検察庁のほうで収賄容疑で調べております。実は私どものほうでは直接関係者に当たって調査するということは差し控えてもおりますし、収賄の金をもらったという事実すら、実は刑務所側ではいままでわかっていないわけでございまして、ましてただいま御指摘のような女区の問題等につきましては、これは新聞がいかなるニュースソースでニュースを取りましたか存じませんけれども、刑務所側といたしましてはまだそこまでわかっていないわけでございまして、新聞には発表するが、国会では小出しにするといったようなことは毛頭ございませんので、御了承願います。
○志賀(義)委員 刑事局長のお話によりますと検察庁、また矯正局長のお話では、刑務所側では発表していない。つかまった本人たちからであろう。――本人はみんな逮捕されているのですよ。ぶち込まれているのですよ。相互の連絡のないように、おのおの西条、伊予、久万の各警察署に分散留置して調べている。そうしますと、どこから漏れるかたいがいわかるじゃありませんか。それがこの法務委員会に出てくると、いや本人から漏れたんだろうなんといって見えすいたことを言われる。それじゃ法務委員会を愚弄することになりますよ。愚弄し続けられるものかどうかは松川事件、菅生事件その他でもうあなたの先任者がここで経験済みのことだ。こうばかにしているから、結局ここでとっちめられることになっちゃう。ですから、まあ殷鑑遠からず。あまりそういうことをされないほうがいいと思います。
 さて、ここで看守が、拘置中の組員の情婦と密会していたという容疑も浮かんでいるそうであります。このようになりますと、まさに御乱脈というよりほかはないわけであります。おまけに、先ほど申しました中島千鶴子という者は、覚せい剤取締法違反でやられております。なお、宮岡照雄という大洲拘置所看守部長が収賄の疑いで捕われている。これは暴力団郷田会会長郷田昇の妻多都子、これも逮捕されております。これで自宅で二万円もらい、同会長の手紙を無検閲で送ったり、たばこを吸わせるなどということが問題になっておりますが、先日のある新聞には、この郷田多都子という人も何か麻薬関係、覚せい剤か、関係があるようなことが言われておりますが、先ほど申しました中島千鶴子も覚せい剤取締法違反ということになっております。ひとつお調べ願いたいことは、松山刑務所の拘置所の中へ麻薬が持ち込まれていたことはないかどうか。この点を検察庁並びに矯正局のほうで調べていただきたいと思います。刑務所の中にまで麻薬が入るということになれば、これはもうアメリカ並みですね。そういう点もひとつここであえて申し上げておきますが、お調べを願えますかどうか。
○津田政府委員 もし刑務所内へ麻薬が持ち込まれるというようなことがありますれば、これは非常に重大なことでありますので、当然取り調べの対象になるものと思いますが、もちろんそれは捜査の端緒を必要として、それから取り調べるわけでありますけれども、ただいま御指摘がございましたけれども、その旨の捜査については十分要望することにいたしたいと思うのであります。
 なお、先ほど被疑者は逮捕されているのに外部に話が出るはずはないではないかということをおっしゃいましたが、これはそうではなくて、私が申し上げたのは、取り調べのための関係人、あるいは参考人が、だれそれが取り調べられたということは外部にわかるわけです。したがいまして、それをたんねんに当たれば全貌がわかるということは、これはあり得るわけです。現に私どもは東京におきますいろいろな重要事件につきまして、どうしてさような事実がわかるかということについてはきわめて慎重に調査をいたしたことがある。それにつきましては、絶対に検察庁から漏れたはずがないのにわかるのは、これはやはり取り調べを受けた参考人についてたんねんに、たとえば新聞記者が探訪する、そういうようなことをすれば事件の全貌はある程度わかる。それが随時検察庁の、あるいは国会においての御審議、御調査の前に先々にとあらわれてきて、非常に私どもは苦境におちいった事実がございます。そういう際に、非常に検討してみたが、結果はそうであった。したがいまして、この件がまさにそれだとは申しませんけれども、そういうことは当然あり得るというようなこと、本人から出るということはこれはございません。これは逮捕されているから本人から出るはずはございません。その点は本人から出たという前提であれば、これは私は誤解に基づくものではないかというふうに考えます。
○志賀(義)委員 誤解と言われるとあなたのほうで困ることが一つ起こりますよ。兵藤卓也という人物が中島千鶴子という女区に入っていた婦人のところへ行ったというのは、関係人がありますか。関係人は看守ですよ。あるいは看守部長ですよ。あなたの言われること、つじつまが通らないじゃないですか。刑務所の中だけで起こったことで、外から入ってかぎを明けたとか、二人のあいびきあるいは暴行を、だれかそのことについて外の参考人があるとか、そういう問題じゃないでしょう。あなたの言うことはつじつまが合わない。だから、あとの質問がありますから、もうあなたの答弁を聞いたって、また何だかああだこうだと言って、あなたはかえってここの心証を悪くするから、これ以上答弁されなくていいです。とにかくこの問題については刑事局もそれから矯正局のほうも徹底的に調べていただきたい。ことに麻薬関係のものでありますから、これでもし刑務所の中、拘置所の中で麻薬云々というようなことになったら、これは一大事ですから、そういう点はよく調べていただきたい。あとにまた委員の質問がありますから、私はこれで終わります。
○津田政府委員 お答えいたしますが、拘置所と申しますのは、日々人の出入りがあるわけでございます。ですから現在こんな人が拘置されているかどうかということではなくて、拘置所に拘置されている者で日々出入りがあるわけですから、それをたんねんに調べればわかり得る可能性があるわけであります。絶対に外部に出ないものではございません。拘置所には毎日人の出入りがございます。人の出入りというものは、つまり拘置されている者の出入りがあるわけですから、それによってわかるということは当然あり得るということでございます。
○志賀(義)委員 私は、長年拘置監にいたから知っているけれども、それは答弁になりませんよ。こっちのほうが専門家だ。
○大竹委員長代理 藤田君。
○藤田(高)委員 先般、富山県の般若鉄工の賃金不払い問題に関連することについて、労働省基準局並びに法務省関係に質問をしたわけですが、先日の委員会におきましては必ずしも現地の実態把握について十分でない、こういうことでございましたので、後日の委員会においてさらにその実態について御報告を願いたい、こういう注文をつけて前回の委員会は終わったと思うわけでありますが、その後両当局においてお調べ願った経過について、また特にこの事件が不起訴に終わっているわけでありますが、不起訴になった理由ですね、内容、これをひとつ答弁できる範囲においてお答えをいただきたいと思うわけであります。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの般若鉄工関係の事件につきましては、問題はかなり複雑であると私は思っております。したがって、前回の御質問以来電話等によりまして十分現地の検察庁等に対して事情を取り調べたのでございますけれども、なお完全に私どものほうに調査内容というものが手に入っていないという面もございます。したがいましてこの問題につきまして私どもといたしまして、検察庁におきましては不起訴処分をいたしておりますが、不起訴処分の再調査ということではございませんけれども、私どもが検察庁のした処分の内容につきましてはなお調査を続けたいというふうに現在は考えておるわけでございます。
 そこで、ただいままでのところ、どういうことになってさようなことになったかと申しますと、御承知のとおり同会社につきましては昭和三十七年の三月に更生手続の開始決定がございまして、その以後野村憲一なる元北電常務が管財人として更生会社の処理に当たってきたわけでございます。そこで更生計画に基づきますと、更生担保権、更生債権の数はおよそ十三億円近くになっておりまして、更生担保権に関しては五年間、それから更生債権については十年間、それぞれ毎年三月末に等額の分割弁済をする。年間約一億六千万円くらいになりますが、そういうことになっておりまして、第一の弁済期が三十九年の三月末日であったわけです。ところが当時資金難でありまして、この三月末日に第一期の弁済ができない状況であったので、野村管財人は五月十一日に至りまして、裁判所に更生担保権三分の一の支払い免除、更生債権の利息全額の支払い免除等の更生計画の変更申請をしたのでありますが、これは後になりまして、同年の十月十四日に不認可になっております。しこうして、職員に対する賃金の支払いの問題でありますが、これに対しましては、その更生債権の支払い期である昭和三十九年の三月には二千万円の借り入れを管財人がいたしまして、さらに、四月には、材料費、あるいは外注費の支出の繰り延べ、手形割引、それから、五月、六月には、各五千万円の借り入れ等の措置をとりまして、他の支払いに先がけて各月の賃金の全額を支払ったわけです。しかしながら、七月以降は、材料の仕入れ先、外注先が支払い延期に応じなくて会社の更生に協力を拒みましたため、やむなく現金支払い等により必要材料、部品、在庫品を加工して、その売り上げから優先して賃金の一部を支払ったものでありますが、その後、資金の手当てがつかず、九月末に結局倒産をいたしまして、七、八月の支払い期の賃金の大部分が不払いになった、こういう状況にあります。
 そこで、当時の会社の資産状況を見まするに、会社の預金は、六月末には七千八百万円程度あり、七月末には七千七百万円程度あったわけでありますが、八月末には三千二百万円程度に減少しております。そこで、問題は、かような預金があったにもかかわらずなぜ賃金が支払えなかったかという点でありますが、これらの預金はいずれも定期預金、あるいは定期積み金でありまして、借り入れ先は主として北陸銀行であった。しかもその借り入れ金の担保としてこの預金債権を提供してありました。そこで、その担保としての預金についての払い出しの、つまり担保解除を求めたのでありますけれども、これは銀行の認めるところになりませんので、結局この預金は現金化することができなかった、こういうようなことであります。そこで、この六月末、七月末には、当然未払い賃金をカバーするだけの預金があったわけでありまするけれども、いま申し上げたような事情でこれを引き出すことができなかったということに帰するようであります。また、八月末になりまして預金額が急激に減少しておりますのは、北陸銀行が借り入れ金の一部を相殺をいたしました結果、かように預金額が激減したという結果になりまして、結局九月には倒産のやむなきに至った、こういうような事実になっております。
 そこで、私どもとしまして、なお調査を要するというふうに考えましたのは、手形決済の関係が、かなり小額でありまするけれどもできておる。それから、他に借り入れ金返済というものも若干六、七、八のころにあるわけです。かようなものがどうしても翌月の会社継続のために必要であったかどうかという点、すなわち、これを賃金に支払うことができなかった理由がはたして正当かどうかという点につきましては、これは現地検察庁で取り調べをいたしておると思うのでありますけれども、いま私のところに納得し得るだけの材料がございません。そこで、最初に申し上げましたように、この点につきましてなお調査をいたしました上、この不起訴処分が適当であるかどうかということを私どもとして一応判断をしてみたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○藤田(高)委員 基準局のほうのお調べになっておる状態はどういうことでございましょうか。
○村上(茂)政府委員 先生御承知のように、労働省といたしましては、賃金不払い事件として昭和三十九年十月十九日にこれを送検いたしたわけでありますが、その後、いま法務省から御説明があったように、そのような概況と私どもは承知いたしております。
 その中で、賃金不払いについてどういうような推移をたどったかという点につきまして、定期給与について申しますると、約一億二千三百万円の賃金不払いが昭和三十九年の七月、八月、九月、十月を通じてございましたが、最高に達した時点におきましては約一億五千万円という金額にのぼりました。その後昭和四十年十月までの間に約四千五百万円が支払われたのであります。しかし、御承知のように昭和四十年二月十七日におきましては破産宣告という段階に至ったわけでありますが、なお、かつ、第一線の労働基準監督署といたしましては、そういった法律的措置が進行する中にありましても、できるだけ不払い賃金については支払いの努力をしていただきますように、その後も、これは十分とは言えないかと存じますけれども、できるだけの努力をいたしまして、昭和四十年十二月二十五日には約二百六十万、本年の三月二十五日に百六十五万、かようなささやかな金額ではありますが、破産宣告後におきましてもこのような努力をいたしたわけであります。
 しかし、これ以外に退職金について相当巨額の不払いがございます。労働省が承知いたしております金額は約二億九千七百万円の巨額に達しておるわけであります。いわゆる社内預金の不払いがあるのではないかといったような話も聞いたのでありますが、この退職金の不払いが社内預金といったような形に転換されましていろいろ問題になったものというふうに私どもは了解いたしております。
 概要でございますが、そのような経過でございます。
○藤田(高)委員 法務省及び基準局長にお尋ねします。
 労働組合が告訴告発をした当時、労働者の権利に帰属すべき賃金、退職金ないしは、いま村上基準局長のような見解もございますが、社内預金的な預かり金といいますか、その区分けはどのようでもけっこうでございますが、労働者の権利に帰属すべきものとしてどれだけのものがあったか、そうして破産宣告を受けた今日段階におけるこれまた労働者の権利に帰属すべきものは、なおどの程度残っているか、これをひとつ集約してお答えを願いたいのと、先ほど津田刑事局長のほうからは経過の概要については御答弁がございましたが、なぜこの告発問題に対して不起訴の処分になったのかということについての答弁がなかったと思います。この点についてまずお答えをいただきたいと思うのです。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの点につきましては、容疑事実といたしましては、七月分の賃金の未払いは四千八百五十九万六千五百十一円、それから八月分の賃金につきましては四千八百三十七万七千五百五十六円、こういう額でございまして、それを支払わなかったというのが被疑事実になっておるわけであります。
 これにつきまして不起訴にいたしました理由といたしましては、先ほど御説明申し上げましたとおりの会社資産状況で、三月末の更生計画すら実現をできなかったというような事態になっておったわけであります。その次の、それでは七月末、八月末の資産状況、収入支出の状況はどうかということにつきましては、先ほど御説明をいたしましたとおりの状況でありまして、少なくともその不払いの前月の六月末におきましては、手形割引によって約六千二百万円、借り入れ金によって五千万円、これは労働金庫からの借り入れ――こういうことをいたして六月を過ごしたわけでありますが、その次の七月末には五千万円の手形割引をいたし、借り入れ金は何もございませんが、こういうことで七月末をしのいだわけであります。そのしのいだ際にはその月の労務費はわずかに八百七十万円程度であります。そこで、その八百七十万円程度の労務費しか出していないために、四千八百万という賃金不払いが出ておるということになるわけでありますが、四千何百万という賃金不払いが出ておる際に、手形割引としては五千万の金を取得しておるということになるわけであります。そこでかような点から、一応検察庁の判断といたしましては、すでにこれらの経理内容から見てもう借り入れ金の余地がない、余地がないというよりは借り入れ先がないというようなことで、結局労務費が払えなかったということに帰着するのではないか。八月分につきましても同じく手形割引によって四千五百万円、借り入れ金によって一千万円を得ておりますが、依然として労務費は六百万円程度しか払っておりません。したがって、やはり四千八百万程度の賃金不払いを生じておるという結果になるわけです。
 そこで、一体この労働基準法の規定はどういう場合に成立するかということになるわけでありますが、もちろん賃金を払わなければ成立するのは当然でありますけれども、しかしながら、支払い側においてその支払いができない、支払いを期待することができない。すなわち何人もその状況に立った場合において支払えないというときには、これは単なる債務不履行というふうに言わざるを得ないのであって、これを刑罰に処するということは、これは他の行為に出る期待可能性がないという意味におきまして、刑罰からははずれるという問題になります。
 そこで問題は労務費、つまりかような額の賃金の不払いについて、当時の経理内容、経理の状況から見て、他に方法がなかったかどうかということに帰着すると思います。検察庁としましては他に方法がなかったと判断いたしまして、不起訴にいたしておるわけでございますが、私が先ほど申し上げましたように、ここで手形決済に、あるいは借り入れ金返済に、七月においては約二千百万円程度、八月におきましては約三千八百万円程度支出されておりますが、その支出と賃金不払いとの関係が妥当であるかどうかという点につきまして、検察庁の判断が相当であるかどうかを調査いたしたいということを考えておるわけでございます。
○藤繩説明員 監督署のほうで労働基準法二十四条の違反事件として検察庁に送付いたしましたのは御承知と思いますが、七月分と八月分の不払いでございまして、その後は先ほど局長から申し上げましたような経過でございます。現在では定期給与につきまして八千九百万円、退職金につきまして二億九千七百万円の不払いがあるということでございます。
○藤田(高)委員 順序は不同になりますが、具体的にお尋ねをしたいと思うのです。
 まず刑事局長にお尋ねをしたいのですが、ごく概括的にいえば、般若鉄工が三十九年三月段階において更生計画の実施さえできなかった、そこまで経理状態も行き詰まっておったということが、先入観的にはこれは一つの具体的事実でもあったでしょうけれども、支払い能力の面からいけば無理ではなかろうかというような意識も働いた結論のように私は判断をするわけであります。少なくとも労働基準法において、その責任を果たさない場合においては刑事罰を科するというところまで、労働者の基本権として保障されておるこの種の問題について、いわばなるほど厳格な意味における再調査ではないけれども、再度いま調査を続けておるのだ、こういうことですが、その努力は私は多といたします。多としますけれども、現実的には実は私が調べておった点もたまたま一致したのは、七月、八月、九月の段階においても手形決済がなされておる、借り入れ金の返済についても具体的になされておる、さらにその当時売却すれば十分金になり得るという資材もある、こういう条件があるにもかかわらずこの問題が不起訴にされておるということは、これは支払い能力論の面からいっても不都合ではないか、こういうふうに私どもは考えるわけであります。その点についての見解を承りたいのと、不起訴にした理由については、内容は具体的に言われておりませんが、従来の判例から見て不起訴にする理由には、一つには罪にならず、二つには証拠不十分、三つには起訴猶予、大きく分けて大体こういう区分があるようですね。それでいきますと、このたびの検察庁の処分は起訴猶予ということになっておると聞いておるのです。これは現地で労働組合の諸君が行っていろいろじか談判をやった結果、その理由と内容を聞かせと言った場合に、しぶしぶではありましたけれども、本件は起訴猶予にしたのだと、こういう答弁があったと聞いておるわけでありますが、この事実は間違いないかどうか、この点まずお答えを願いたい。
○津田政府委員 ただいまお尋ねの点でありますが、この不起訴の内容は犯罪の嫌疑不十分でございます。嫌疑不十分と申しますのは、このこと自体が罪にならないと言っているわけではございません。しかしながら、先ほど来申し上げましたように、こういう資産状態のもとにおいて支払い側にこれをほかの行為、つまり諸般の状況から支払うようにするように期待することができないのではないか、しかしそれは的確にそうだというわけにはいかない、的確にそうであれば、これはむしろ犯罪の嫌疑なしということになると思いますが、的確にそうとは言えないが、この処分の段階におきましてはこれをそういう期待し得る可能性があった、したがって罪になるのだという前提の証拠としては十分でないという意味におきまして、犯罪の嫌疑不十分である、こういうことになったということが正式のこれは報告でございますし、私もそのとおりであると思っておるのです。
○藤田(高)委員 前段の質問についてはお答えがないわけでありますが、これはあとでやってもらうことにしまして、私は検察当局の結論というものは非常に皮相的な御調査の結果、平面的な調査の結果結論を出されたのではなかろうか、こう思うわけであります。なぜならば、この般若鉄工の問題は非常に複雑な内容をかかえておりますが、例の会社更生法の適用を受けて、そして例の賃金不払い問題が起こっておるまっ最中に、御承知の梶田施設課長が怪死事件を起こしておる。これらについても不起訴になっておるわけです。きょうは時間がないからその問題は私は留保しますけれども、いわゆる三十八年の暮れからこの賃金不払い問題が具体的に起こるまでの過程において、たとえば北陸銀行がどういうことをしてきたか、たとえば約三億といわれ、あるいは四億といわれるような抵当権の設定をやってきておる。あるいはまたこの間に管財人社長として任命をされた野村憲一氏、それと元社長である般若松平、俗には般若松平グループといっておりますが、この新しく任命をされた管財人野村憲一と般若松平との間においては相当あくどい手だてがなされて、そうして一方では管財人の、般若鉄工の社長の野村憲一、一方では雄伸工機という会社の社長が野村社長、これは下請であります。また丸善製作所、これは般若鉄工の元社長であって、会社更生法の適用を受けてからは会社の役員にはなっておりますけれども、一方では丸善製作所の社長になっておる。あるいは恵友工機というのですか、代表者は内田喜代造、こういった何社かの下請工場に、会社に誠意さえあれば当然労働者の賃金の支払い代金に充当できる機械設備を百何十台も、いわば横流しに近い、もうべらぼうな値段で売却をしておる。いわば北陸銀行が経理重役として麻地重役を三十九年の一月に派遣してから、三十九年の五月段階ではいま言ったような抵当権を設定して、北陸銀行の債権に類するようなものは全部押えて、片やそういう下請に対しては般若鉄工の設備、機材というようなものをどんどん横流ししていく。こういう面についての実態的な御調査の結果あの結論が出たとするのであれば、これは支払い能力の問題、あるいは最善の努力をしたけれども現実的には払えない、したがって一定の期間待ってくれということは、これは労働問題も生きものですから私はあると思うのです。しかし、そういう労働者に本来優先して支払われるべきものが、よこしまな手段によって曲げられてきておる、そういう事実については、具体的に検察当局は御調査になって、そういう私がいま指摘したようなことについてはどういう見解をとられ、そういう条件をも加味してなおかつなぜこのような不起訴処分の結論にならざるを得なかったか、この見解をひとつ聞かしてもらいたいと思う。
○津田政府委員 ただいま御指摘のような過去の事実につきましては、ある程度私は取り調べておると思うのです。現実にはその取り調べの報告は受けておりませんからどういう程度の取り調べをしたか私は知りませんが、ある程度の取り調べはしておると思うのです。問題は賃金不払いを意識して、あるいは不払いをしてそれによって他の財産を助けるというような意味においてこれが行なわれたとすれば、これはもうもちろん問題なく犯罪が成立するという事項に該当すると思うのであります。問題は、そういうような事項がかりにありましても、本件と因果関係があるかどうかという問題が法律上の問題になるということでございます。そこで、いまのお話しのような事実がどの程度まで調べられているかということにつきましては、先ほど申し上げました私のほうでいたします調査の内容として、なおいたしたいと思います。
○藤田(高)委員 私は実はきょうのこの委員会で、いま私が質問をしておるようなことについて具体的な御答弁が願えるものだ、こういうふうに期待をして質問に立ったわけでありますけれども、その点は非常に私は残念だと思う。というのは、前回あれだけ私は注文をつけて現地の実態というものをよく調べてほしい、こういうふうに言っておるわけですから、そういう実態的な御調査がなければきょうの委員会の質疑応答の中心点というものはぼやけると思うのです。私は、これはこの委員会の質疑を通して再調査をされるということであれば、それはそれなりに調査を進めていただきたいわけでありますが、先ほども指摘したように、三十九年の五月二十五日に北陸銀行が約三億程度の抵当権を設定していますね。こういうことをやれば、手形割引さえできないという状態が六月から具体的に出てきておるわけでしょう、その結果が労働者の賃金にどうはね返ってくるかということは、これはもう直接因果関係ありますよ。いまの局長の御答弁でいえば、これはもう直接因果関係があると思う。そういうことがきょうの答弁の中に出てこないで、いま言った幾つかの条件の結果これを不起訴にするというようなことでは、私は労働者の基本的な権利なんというものは守られない。
 そこで、あえてお尋ねをしたいのは、私どもの見解からすれば、三十九年の五月二十五日にこの北陸銀行が自分の債権確保のために抵当権の設定をしておりますが、これは私は一つの詐害行為じゃないかと思うんですよ。いろいろな見通しといいますか、見通しをつけて、そしてこういう一方的な抵当権の設定をすれば他の債権者にどういう影響が起こるか、いわんや労働者の基本権である賃金や退職金は、会社がつぶれれば――もう会社更生法の適用を受けておるんですからね。これだけの抵当権を設定して、そして翌月から具体的に手形割引にしても落ちてきておるわけですから、そういう実態が生まれることは、ちゃんと北陸銀行は知っておるわけですよ。そういうことを知っておって三億も四億もの抵当権を設定するということは、一つのどさくさにまぎれて自分の債権だけを確保していく、これは明らかに私は詐害行為として見るべきじゃないか。北陸銀行ほどのものがそういうことをやれば、どういう影響が他の債権者に及ぶかということは十分私はわかると思うのです。しかもここの北陸銀行から派遣された麻地という重役は、経理重役ですから、これは十分わかると思う。そういうことをやっておる実態というものを私は、不起訴だったら不起訴、あるいは起訴だったら起訴するときの事実問題として一番中心に置くべきじゃないか。その点が何らきょうの委員会においても答弁をなされる材料をお持ちでなくて、出先の検察庁が不起訴にしたということについて、これを一応妥当と見られることについては、私ははなはだ心外であります。したがって、ここでお尋ねをしたいのは、いま富山の検察庁としては一応不起訴処分にしておるが、中央の法務省段階においては、これはなお再調査の要がある。そうして、この不起訴処分が不当であった場合、これは適切な処置を講ぜられる御用意があるかどうか、この点についてひとつ見解を伺わしていただきたい。
○津田政府委員 先ほど来申し上げた、再調査を要するというのは、法務省はもちろん検察庁を監督する機構でありますので、検察庁の処分が適当かどうかということは常に私どもとしては注意をいたしております。そこで、先般来いろいろ御指摘がありました事実につきまして、十分解明ができておるかどうかという点は、当然私どもとして調査しておく職責にあるわけですから、これは当然いたしたい。そこで、もしもそれによりまして、検察庁の処分が適当でなかったということであれば、御承知のとおり、不起訴処分というのは一回きりのものではありませんので、これを再起してまた捜査するということは当然できるわけでありますから、そういう場合は、再捜査をいたさなければならぬというふうに考えております。
○藤田(高)委員 私が指摘した、北陸銀行の抵当権の設定の問題、こういうことについても具体的に調査されますね。
○津田政府委員 その点は、本件の問題の直前の事実であるといたしますれば、当然捜査をしておると思うのですが、その内容はいま私承知いたしておりませんけれども、その点につきましても、もちろん調査いたします。
○藤田(高)委員 そうすると、当然のこととして、今日の段階、私がいま質問している段階でも、まだ手形があるくらいですから、その一年前は手形決済ができる条件もあっただろうし、先ほど指摘した設備機械、そういうものについても、労働者の賃金に充てようとして処置すればできる条件があったと思うのです。そういうことについてもさらに調査されますね。
○津田政府委員 先ほども申しましたように、この問題全般にわたりまして、当面は手形決済資金、あるいは借り入れ金返済資金が六、七月には若干あったということについては、もちろんそれがどういう性質のものかということは、当然調べなければならないと思います。同時に、かりに換価し得る資産があるとすれば、その換価し得る資産についていかなるものがあったか、またそれを換価することが翌月の賃金支払いその他との関係、つまり会社を継続していく上においてどういう影響があるか、その換価することによって当然会社を清算してしまうというようなことが、当時の状況としてはたして適当であるかどうかという問題は、当然これに関連がある問題と思いますので、そういう点もあわせまして調査をいたしておるかどうかを調査いたしたいと思っております。なお、もしもそれによりまして、不起訴処分が相当でないということであれば、もちろん再捜査をする必要があると思います。
○藤田(高)委員 労働基準局にお尋ねしますが、基準法の精神に沿った労働行政が行なわれておるかどうか。また労使関係において基準法が十分厳守されておるかどうか、この点については取り締まり当局である検察庁よりも、労働者のサービス機関としての、特に基準監督署、基準局のほうが、この基準法の番人としては忠実でなければいかぬと思います。したがって、検察庁のとった処分は労働省として妥当なものである、あるいは不当なものである、こういうことについてはケース・バイ・ケースによって見解が違うことがあってもいいと思うのです。私はむしろ、厳格な基準法のものさしを当てるのは、失礼な言い分ですけれども、これは主観的なものの考え方としては、私は検察庁よりも基準局のほうがきびしさがあってしかるべきだと思う。そういう点からいって、このたびの、いま刑事局長が答弁になられた不起訴処分が、基準局独自の立場で御調査されておるわけですから、基準局としては妥当なものと考えておるのかどうか、それとも基準局としても、こういう面の努力さえやってもらえば、なお賃金なりあるいは退職金なりその他の労働者の権利とも言うべきものが支払われたんじゃなかろうか。さらに一歩進んでいえば、検察当局自身が不起訴にしないで、起訴処分にするというような積極的な姿勢のもとに基準法を守る、労働者の権利を守るという態度、立場をとられるならば、労働者の権利はさらに守られたんじゃなかろうか、こういう考え方もあると思うのですが、このたびの検察庁のとられた処置について、基準局としては独自の立場でどのように判断されておるかをひとつ聞かしてもらいたい。
○藤繩説明員 労働基準法を十分順守していただきたいということは、私どもの立場上当然のことでございますが、特に最近のような経済成長を背景にいたしまして、私どもも一そう厳正に基準法を守っていただくということで、最近は強い態度で臨んでおるのでございます。たとえば賃金不払い事件について申し上げますと、従来、三十八年で送検件数が三十七件、三十九年で五十二件、その程度の送検でございました。四十年には二百二十三件を送検いたしております。私どもも決して基準法違反事件についてはゆるがせにしておるつもりはないのでございます。
 本件につきましては、ただいまも法務省からお話がございましたように、私どもといたしましても、支払い能力があるにもかかわらず、使用者の都合によって所定期日に賃金を支払わないというような場合には、明らかに基準法二十四条違反であるという見解をとっております。ただ問題は、不可抗力その他やむを得ない事由によって、使用者が社会通念上なすべき最善の努力をなしたかどうかという点が非常に問題でありまして、そういう努力をなしても支払いができないというような場合には、これはおのずから限界があるのではないかと考えておるのであります。その判断基準といたしまして、私ども内部の通牒では、たとえば刑罰をもって支払いを強制されない他の債務を弁済し、あるいは弁済しようとしたために賃金支払いが不可能になるというようなこと、あるいは使用者が賃金の借り入れについて努力しないために賃金の一定期日支払いが不可能になる、そういう場合にはやはり基準法違反になると私どもは考えておるのでございます。
 本件につきましては、もとより労働基準監督署といたしましては、諸般の事情を捜査いたしまして、その点につきましては使用者に責任ありと考えましたなればこそ、検察庁にもそのことを申し上げて適当の措置をいたしておるのでありますが、しかしながら、公訴の提起は言うまでもなくこれは検察官の権限でございまして、今回このような結果に相なったわけであります。その点につきまして、私どもといたしましていま公の席でとやかくこれ以上申し上げることは適当でないと思いますけれども、全体としてこの賃金不払い事件についての態度、考え方はいま申し上げたようなことでございます。
○藤田(高)委員 政治的な立場から考えて、基準局にこれ以上突っ込んだ答弁をしてもらうことはなかなか気の毒だと思いますので、これは一応保留しておきましょう。
 時間の関係もございますので結論を急ぎたいと思いますが、刑事局長、再調査を約束されたわけですけれども、不思議なことに――不思議なことというよりも、むしろこれは私ども経緯を知っておる者から言えば当然だと思うのですが、この賃金の不払い問題が起こって、そうしていわば計画的に破産にまで持っていかざるを得ないという覚悟を経営陣はきめたと私は思うのです。結果的には、御承知のとおり三十九年の十一月十七日に会社更生手続の廃止が決定されて、そうして昨年の、四十年二月十七日に破産宣告、こういうことになっておるわけでありますが、賃金の不払いが起こった七月から、主として九月、十月にも一部かかりますけれども、その年の暮れに、これはもう御承知でしょうけれども、こういう大きな見出しで北日本新聞あたりには、「野村社長を逮捕、般若鉄工不正事件、管財人として全国で初めて」こういう記事が出ておるわけであります。ですから、私は先ほどからも言っておりますように、手形決済がどうで、返済借り入れ金は七月、八月の段階でどうであった、こういうことも条件でしょうけれども、その隠れた形で、この管財人、社長が賃金の不払い問題を起こして、二カ月、三カ月たたないうちに逮捕されるというような事件を起こしておる。こういう問題に検察当局が具体的にメスを入れて、そういうものとの因果関係といいますか、かね合いにおいてこの賃金の不払い問題についての適切な結論を出してもらわないと、これは労働者の基本権というものは守られないと思うのです。しかも基準法によって、この二十三条から二十六条ですか、までの違反事項については刑事罰に処するという、刑事罰を科してまで労働者の権利を守ろうとする、この立法の趣旨が私はどこかに飛んでしまうと思うのですね。そういう点から、この問題については私は具体的に内容を別に持っておりますけれども、きょうは触れる時間がございません。しかし、再調査の過程では、これらの問題も含めてひとつ適切な結論が出るようにこの再調査を進めてほしい。それに加えて、この結論が早く出ますように、これは要望しておきたい。大体のめどがつくようでございましたら、あとで答弁を願いたいと思うわけであります。
 それともう一つ、これは直接この賃金、ないしは退職金の不払い問題とどこまで関係を持ち得るかわかりませんが、一つの経過としてはこれも因果関係ができるわけでありますが、この梶田という施設課長が死んだわけですね。そうして、家族が他の医者にも見せてくれ。そしてできれば解剖もやってほしい。こういう注文があったにもかかわらず、解剖もせず、他の医者にも見せないまま火葬場に送ったという事件があるわけであります。この問題についても、地元では般若鉄工の経営問題に関連をして、いわゆるこの梶田という課長は、先ほど私が指摘したように、会社更生法の適用を受けてから、更生計画に沿って再建をしていこうという過程で、施設の担当課長ですから、いろいろな資材を横流しをしたといいますか、べらぼうな値段で下請会社に安売りをやったという担当者ですから、これはそういうものについても検察当局のとった態度は非常に会社の言い分というか、そういうものに迎合して、検察当局自身、法務当局自身としての公平な機能を果たしていないという世論が、地域的な世論として当時非常に強く起こったわけです。この問題も、私は最終的にはこの問題に、一つの経過としては有力な条件として関係をしておると思います。これもあらためてひとつ調査を願いたい。この点についてもお約束できるかどうか、お尋ねをしておきたい。
 最後に、もう時間がありませんので、大蔵省の銀行局に、これは要望をいたしておきたいと思います。私どもは何もこれは告訴したり告発したり、あるいは裁判に持ち込むことを、いわんや経営者に刑事罰を科するということを目的にしておるわけじゃないのです。実際問題として、労働者が――企業がいろいろな事情でつぶれるということもありますよ。しかし、つぶれるときでも、労働者が働いた賃金ぐらいは、あるいは退職金ぐらいは、これはやはり優先的に払って、そうして店をしまうにしてもきれいにしまうというくらいなことはあっていいと思うのです。そういう点で、きょうは時間がございませんので、大蔵当局に対しては強く要望し、具体的に効果のあがる善処を要望しておきたいと思いますが、先ほど私が指摘しましたような一連の経過もあるわけでございまして、時間さえあれば、内容的にも銀行局の見解を聞かしてもらいたいと思っておったわけですが、私は銀行当局のとった態度は必ずしも適切ではない、少なくとも詐害行為として、いわば先ほど指摘した北陸銀行の三億ないし四億の抵当権の設定等については、これは本来的には解消さるべき性質のものではないかとさえ考えておるわけであります。そういう点で、山一証券にしても、あるいはその他の企業でも、――私も、ある全国でも指折りの大会社の社員を経験してきましたが、そこで二回、三回の企業整備がありました。企業が左前になったときは、主力銀行といいますか幹事銀行あたりは、その企業の再建のためには金利のたな上げくらいやるのは当然だと思うのですよ。ところが、これまた時間がないので申し上げませんが、いわゆる破産宣告を受けて、財産、債権の処分にあたっては、銀行関係は金利まで全部、これは法律的に二カ年分の金利も、担保設定をしておるものからいけば優先順位があるんだということになれば、これは法律上はどうにもできないかもしれませんが、私はやはりこの種の問題については道義的、政治的な責任もあることですし、また社会的な責任ということも考えなければいけないし、また多くの倒産会社等に、あるいは会社更生法の適用を受けるような会社に見られておりますように、銀行は少なくとも犠牲平等の負担くらいは負うというのが、私は当然とるべき態度だと思う。そういうところから、大蔵当局に対しては、現地の北陸銀行と十分御相談の上、実際問題として労働者の賃金ぐらいは支払われるような善処方、交渉方を強く要望をしておきたいと思うのです。
 以上で私の質問を終わりたいと思います。
○津田政府委員 ただいまお話しの関連事項につきましては、当然に調査の内容と思っております。実は最初に申し上げましたように、本件につきましては、前回も電話等によりまして調査をいたしたわけですけれども、ただいま私が申し上げましたように、いろいろ問題点は、まだ私どものほうではっきりいたしておりません。そこで当然現地でこれが調査されておるものなら、その資料に基づいて判断ができるわけでございます。かりに調査されていないということになりますと、その面についていろいろ資料を集めなければならねという問題が起こってくると思いますが、そういたしますれば結論が出るのは少し時日がかかるだろう。現地で、いま御質問になりましたこと、それから私ども疑問に思っていることについての資料が、全部カバーしておれば、少なくとも短い期間において結論を出すことができるというふうに思っております。いつかということはちょっとその状況がわかりませんので、いまお約束いたしかねます。
○大竹委員長代理 次回は明二十四日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十一分散会