第051回国会 本会議 第28号
昭和四十一年三月十七日(木曜日)
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 議事日程 第十五号
  昭和四十一年三月十七日
   午後二時開議
 第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
 第二 日本開発銀行法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第三 国家公務員等の旅費に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
 第四 都市開発資金の貸付けに関する法律案
  (内閣提出)
 第五 科学技術庁設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 第六 裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 第七 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
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○本日の会議に付した案件
 鉄道建設審議会委員の選挙
 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 日程第二 日本開発銀行法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
 日程第三 国家公務員等の旅費に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第四 都市開発資金の貸付けに関する法律
  案(内閣提出)
 日程第五 科学技術庁設置法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
 日程第六 裁判所法及び裁判所職員定員法の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
 坂田農林大臣の沿岸漁業等振興法に基づく昭和
  四十年度年次報告及び昭和四十一年度沿岸漁
  業等の施策についての発言及び質疑
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣
  旨説明及び質疑
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
   午後二時六分開議
○議長(山口喜久一郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 鉄道建設審議会委員の選挙
○議長(山口喜久一郎君) 鉄道建設審議会委員の選挙を行ないます。
○海部俊樹君 鉄道建設審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
○議長(山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。
 議長は、鉄道建設審議会委員に永井勝次郎君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(山口喜久一郎君) 日程第一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長天野公義君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔天野公義君登壇〕
○天野公義君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 御承知のとおり、公正取引委員会の任務は、最近の経済情勢においてますますその重要性を増しておりますが、公正取引委員会事務局の機構、人員は、まだ必ずしも十分ではない実情であります。
 本案は、このような実情にかんがみ、広島地方事務所の新設、並びに公正取引委員会事務局の定員の三十人増員を行なおうとするものであります。
 本案は、去る二月四日本委員会に付託され、同月十六日安井総理府総務長官より提案理由の説明を聴取した後、熱心なる審議を行なったのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 かくて、三月十一日、採決の結果、本案は多数をもって可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、公正取引委員会事務局、特に地方事務所のなお一そうの拡充、カルテルの事後監視、中小企業等協同組合法による価格カルテルの再検討、及び下請代金支払い遅延の取り締まり強化を内容とする附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(山口喜久一郎君) 日程第二、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、日程第三、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
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    …………………………………
     理 由
 職員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行における日当、宿泊料、移転料等の定額を引き上げる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事金子一平君
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔金子一平君登壇〕
○金子一平君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 初めに、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、日本開発銀行の業務の円滑な運営に資するため、次のような改正を行なおうとするものであります。
 すなわち、まず第一に、日本開発銀行の借り入れ及び外貨債券発行の合計額は、現在自己資本の三倍以内に制限されておりますが、この借り入れ金等の限度額を自己資本の四倍に引き上げることといたしております。
 なお、本改正により、同行の貸し付け及び債務保証の限度額は、自己資本の四倍から五倍に改められることとなるのであります。
 第二に、日本開発銀行の監事の権限の明確化をはかるため、監事が監査の結果に基づき必要があると認めるときは、総裁または大蔵大臣に意見を提出することができることとするほか、大蔵大臣に提出する財務諸表等に監事の意見を付さなければならないことといたしております。
 本案につきましては、慎重に審査いたしました結果、去る十一日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して藤田高敏委員より、資本金をそのままとして借り入れ、貸し付けワクの倍率を変更することによって業務内容の拡大をはかることは、全く便宜主義的であるといわざるを得ないこと、開銀の運用資金量を増大して、総体的には長期の設備資金を拡大、補完することは、現下の経済情勢にそぐわないこと、また、寡占体制を確立する産業分野に対する融資よりも、現状のワク内において、おくれた産業分野、特に国民生活に関係の多いばい煙規制、汚水処理対策、交通事故防止対策等に融資の重点を置くべきであるとして、本案に反対の旨の意見が述べられました。
 次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決となりました。
 続いて、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における公務員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行における口当、宿泊料及び食卓料につきましては三割程度、また、移転料につきましては六割程度、それぞれその定額を引き上げることといたしております。
 本案は、審査の結果、去る十一日、質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決となりました。
 なお、本案に対しましては、全会一致をもって附帯決議を付すべきものと決しました。
 附帯決議の要旨は、内国旅行における甲乙両地方の区域区分について再検討すること、移転料について制度の合理化をはかること、並びに日額旅費について実費を下回らないよう定めること、というものでありまして、これに対し、福田大蔵大臣より、附帯決議の趣旨を尊重し、実態調査の上、善処する旨の発言がありました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 都市開発資金の貸付けに関する法律案(内閣提出)
○議長(山口喜久一郎君) 日程第四、都市開発資金の貸付けに関する法律案を議題といたします。
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    …………………………………
     理 由
 大都市における都市の機能を維持し、及び増進するために行なわれる事業の用に供されるべき土地を地方公共団体が先行的に取得する場合において、これに必要な資金を国が貸し付けることができることとする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員長田村元君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔田村元君登壇〕
○田村元君 ただいま議題となりました都市開発資金の貸付けに関する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、大都市における都市機能の維持及び増進のために行なわれる事業の用に供されるべき土地を地方公共団体が先行的に取得する場合、これに必要な資金を国が貸し付けることができるようにしようとするもので、そのおもなる内容は次のとおりであります。
 まず第一に、国は、地方公共団体に対し、次の土地の買い取りに必要な資金を貸し付けることができるものとすることであります。
 その貸し付けの対象となる土地の一つは、首都圏の工業等制限区域または近畿圏の工場等制限区域内にある工場等の敷地で、計画的に整備改善をはかる必要がある区域内にあるものとし、その二は、政令で定める大都市の秩序ある発展をはかるために、整備されるべき政令で定める主要な公共施設で、都市計画として決定されたものの区域内の土地とすることであります。
 第二は、第一による貸し付け金の利率及び償還方法について定めるものとすることであります。
 すなわち、前述の首都圏または近畿圏の工場等制限区域内にある工場等の敷地についての買い取りに必要な貸し付け金の利率は年五分五厘とし、償還期間は三年以内の据え置き期間を含み十年以内とすることといたし、また、政令で定める大都市における主要な公共施設の整備のための土地についての買い取りに必要な貸し付け金の利率は年六分五厘とし、償還期間は四年以内の据え置き期間を含み十年以内とすることといたしております。
 本案は、二月九日当委員会に付託され、二月二十三日建設大臣から提案理由の説明を聴取し、三月九日、十一日と慎重に審議を重ね、十一日に質疑を終了し、三月十六日に討論を省略して直ちに採決いたしました結果、全会一致をもちまして原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(山口喜久一郎君) 日程第五、科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事岩動道行君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔岩動道行君登壇〕
○岩動道行君 ただいま議題となりました科学技術庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、非金属無機材質に関する研究等を強力に推進するため、科学技術庁の附属機関として無機材質研究所を設置し、同研究所の事務を振興局に所掌させること、及び科学技術庁の定員を四十五人増員することであります。
 本案は、二月二日本委員会に付託、同十五日政府より提案理由の説明を聴取し、三月十六日、質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第六 裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第七 訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(山口喜久一郎君) 日程第六 裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、日程第七、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
     理 由
 下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、地方裁判所に裁判官の命を受けて特殊の事件の審理及び裁判に関して必要な調査をつかさどる裁判所調査官を置くこととし、並びに判事及び裁判官以外の裁判所の職員の員数を増加する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
     理 由
 国家公務員等に対して支給する旅費の定額の改定に伴い訴訟費用等臨時措置法の規定による証人の止宿料等の最高額を増加し、また、一般の公務員についての低額恩給の改善等に伴い一部の執行吏の恩給を増額する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
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○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長大久保武雄君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔大久保武雄君登壇〕
○大久保武雄君 ただいま議題となりました二法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、第一に、裁判所法の一部を改正しようとするものであります。
 すなわち、最近の地方裁判所における工業所有権に関する事件及び租税に関する事件の受理件数の増加、審理期間の長期化等の傾向にかんがみ、この種事件の審理及び裁判の適正迅速化をはかるため、地方裁判所に、新たに、裁判官の命を受けて、この種の特殊専門的な知識経験を必要とする事件の審理及び裁判に関して必要な調査をつかさどる裁判所調査官を置こうとするものであります。
 第二に、裁判所職員定員法の一部を改正しようとするものであります。
 すなわち、最近の高等裁判所における未済事件の増加、審理期間の長期化、少年の保護事件の増加等の傾向にかんがみ、高等裁判所における訴訟の適正迅速な処理及び少年保護事件の調査の充実をはかる等のため、判事の員数を二十七人、裁判官以外の裁判所の職員の員数を、裁判所調査官六人、裁判所書記官二十七人、家庭裁判所調査官二十五人、計五十八人増加しようとするものであります。
 次に、訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、第一に、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正しようとするものであります。
 すなわち、国家公務員等に対して支給する旅費の定額の改定に準じ、民事訴訟の当事者、証人、鑑定人等の止宿料、刑事訴訟の証人、鑑定人等の宿泊料及び執行吏の宿泊料の最高額を、特別区の存する地等においては二千円、その他の地においては千六百円に引き上げようとするものであります。
 第二に、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正しようとするものであります。
 すなわち、一般の公務員についての低額恩給の改善等に準じ、一部退職執行吏の恩給の年額が六万円未満のものについては、その年額を六万円としようとするものであります。
 当委員会におきましては、以上の二法案につき慎重審議を重ね、昨十六日、質疑を終了し、討論なく、採決の結果、二法案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(山口喜久一郎君) これより採決に入ります。
 まず、日程第六につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第七につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 坂田農林大臣の沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度沿岸漁業等の施策についての発言
○議長(山口喜久一郎君) 農林大臣から、沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度沿岸漁業等の施策について発言を求められております。これを許します。農林大臣坂田英一君。
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
○国務大臣(坂田英一君) 先般、国会に提出いたしました昭和四十年度漁業の動向等に関する年次報告及び昭和四十一年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につきまして、その概要を御説明いたします。
 これらの報告及び文書は、沿岸漁業等振興法第七条の規定に基づいて政府が毎年国会に提出いたすものであります。
 まず、昭和四十年度漁業の動向等に関する年次報告について申し上げます。
 この年次報告は、「第一部 漁業の動向に関する報告書」と、「第二部 沿岸漁業等について講じた施策に関する報告書」とに分かれております。第一部の「漁業の動向に関する報告書」におきましては、沿岸漁業及び中小漁業の動向に焦点を置き、昭和三十九年を中心として漁業の動向を明らかにいたしております。
 その概要を申し上げます。
 わが国の漁業生産は、昭和三十一年以降、逐年増大の一途をたどってまいりましたが、三十八年においてわずかながら減少に転じ、三十九年にも、サンマ及びイカの不漁を主因として引き続き減少いたしました。このような漁況変動による漁業生産の停滞が見られる反面、国民所得水準の上昇に伴い、水産物に対する需要は増大し、その価格も上昇を見せ、また、輸入も、その量は国内供給量の一割足らずでありますが、増加しております。もともと漁業生産は、自然的条件の変動に左右される面が多いのでありますが、近時、新漁場開発も漸次困難となっており、また、水産資源に関する国際規制が強化されるなど、水産物需要に応ずる漁業生産の発展には、きわめてきびしいものがあると申さねばなりません。
 漁業の経営体数と就業者数について見ますと、これらはともに引き続き減少しており、特に、中小漁業の経営体数と雇用者数の減少が目立っております。また、就業者の年齢構成も高齢化しており、若年労働力の不足が見られるのであります。しかしながら、沿岸漁業、中小漁業のいずれにおいても、比較的上層の経営が増加しているのに対し、下層の経営は減少する傾向も見られるのであります。
 次に、沿岸漁家の経営を見てまいりますと、その所得水準は近年着実に上昇しております。特に昭和三十九年には、ノリの豊作に加えて魚価の上昇もあり、その所得は大幅に上昇いたしました。しかしながら、その一人当たり額を都市勤労者世帯に比べると、いまだ低位にあるのみならず、豊凶の影響を受けて、必ずしも安定的であるといえないという問題を残しております。また、沿岸漁家の生活水準につきましても、その家計費の額や漁村の生活環境等を見てまいりますと、都市勤労者との格差は依然として大きいと考えられるのであります。
 また、中小漁業の経営におきましては、漁業収入が伸び悩んでいるのに対し、物的経費や人件費の支出が増大しているのみならず、自己資本比率が低下し、支払い利子の負担が増加するなど、収益性を低める要因が見られるのであります。一方、就業者の賃金水準はかなり上昇しておりますが、労働条件及び労働環境にはなお改善の余地が大きいと考えられるのであります。
 以上は第一部の概要であります。
 次に、第二部の「沿岸漁業等について講じた施策に関する報告書」について申し上げます。これは、昭和三十九年度を中心とし、四十年度にも触れつつ、政府が沿岸漁業等について講じた施策を、おおむね沿岸漁業等振興法第三条の項目に従って記述したものであります。
 最後に、「昭和四十一年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」について申し上げます。
 この文書は、年次報告にかかる漁業の動向を考慮して、昭和四十一年度において政府が沿岸漁業等について講じようとする施策を明らかにしたものであります。
 最近における漁業の動向はただいま御説明したとおりでありますが、政府といたしましては、このような動向を考慮しつつ、沿岸漁業等振興法の定めるところに従い、沿岸漁業及び中小漁業に関する施策を着実に具体化することを基本的態度とし、昭和四十一年度においては、水産資源の維持増大、漁業地産基盤の整備、沿岸漁業と中小漁業の近代化、水産物の流通合理化及び災害対策の充実を重点に、諸施策の推進をはかるここといたしておるのであります。
 この文書におきましては、これらの昭和四十一年度において講じようとする諸施策を、おおむね沿岸漁業等振興法第三条の項目の分類に従い、沿業漁業及び中小漁業に関する施策全般につき、農林省所管事項にとどまらず、他者所管事項をも含めて記述いたしております。
 以上、昭和四十年度漁業の動向等に関する年次報告及び昭和四十一年度において沿岸漁業等について講じようとする施策について、その概要を御説明いたした次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十年度年次報告及び昭和四十一年度沿岸漁業等の施策についての発言に対する質疑
○議長(山口喜久一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。卜部政巳君。
  〔議長退席、副議長着席〕
  〔卜部政巳君登壇〕
○卜部政巳君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま坂田農林大臣から御説明の行なわれました漁業年次報告及びこれに伴う施策につきまして、佐藤総理並びに関係各大臣に対しまして若干の質問を行なわんとするものであります。(拍手)
 沿岸漁業等振興法が三十八年に制定されまして、同法に基づくいわゆる漁業白書が国会に報告されるようになってから、本年で三回を迎えるのであります。第一回におきましてはわが党の赤路議員から、前回におきましてもこれまたわが党の松井議員から、それぞれ漁業白書のあり方につきまして具体的な問題を掲げて政府の反省を求めてきたところであります。しかるに、今回におきましても、政府の態度は相変わらず本質の究明に欠けておりまして、苦境に立つわが国漁業の振興対策を打ち出すという誠意に、そしてまた意欲に欠けておることは、全く遺憾であるといわざるを得ないのであります。(拍手)
 これは、ひとり私だけが受けた感じでは決してないのであります。漁業白書が国会に提出された去る二月二十三日の新聞論調がこれを裏書きしておるのであります。すなわち、朝日新聞は「長期展望を欠く漁業白書」と題し、毎日新聞は「決め手を欠く漁業白書」と、また読売新聞は「停滞を続ける日本漁業」と題しまして、それぞれ社説を掲げ、日本漁業が近い将来当面するであろう問題についてはほとんど触れていない、漁業が幾ら豊凶に左右される産業とはいいながらも、世界的視野に立った上での一年一年の分析が行なわれるのでなければ、これからの白書としての価値はないとまでに極論しているのであります。(拍手)政府は、率直に世論に耳を傾け、かつ、えりを正すべきであります。
 漁業白書はその年限りのものではないのであります。また、本会議における質疑応答もその場限りのものであってはならないことはもとよりであります。今後におきましては、今回に見る年次報告と講じようとする施策、この関係が全くちぐはぐで、水産行政に基本なしなどというようなことが言われないように資料の整備につとめ、真剣な分析と長期展望に立ったところの強力な施策を実施するよう要望しておきたいと思います。
 かかる観点から、前二回にわたるわが党議員の質問との重複を避けまして、数点にわたって質問をいたします。
 第一点は、わが国の漁業生産の動向をどのように受けとめ、いかに対処しようとしておるのかを、ひとつ佐藤総理から基本的な態度についてとくと承りたいのであります。
 まず、第一回から今日までのその白書が示すところの生産量を見た場合に、第一回の漁業白書は、漁業総生産量の増大を掲げ、三十七年の生産量六百八十六万トン、わが国漁業生産量の最高を記録し、かつ、これを誇った年のものであったのであります。しかしながら、皮肉にも、従来世界に第一位を占めてきた日本が、その地位をペルーに奪われたのもこの年であったのであります。その後は、第二回の白書が示すとおり、三十八年は六百七十万トン、対前年比二・五%の減少であります。さらに、今回の白書におきましては、三十九年は六百三十五万トンで、前年よりさらに五・二%も減少しておるのであります。このように、白書は、端的に、引き続く総生産量の減少を報告しておるのであります。
 以上のように、わが国の漁業生産量は減少の一途をたどっておるにもかかわらず、反面、全世界の漁業生産量は目ざましい発展を続けておるのであります。しかして、三十九年には五千万トンに達して、過去十年間に二倍に伸びているのであります。一体、総理は、かかる現象をいかように判断しておられるのでありましょうか。
 しかも、白書は、この生産量の減少のおもな原因を、――先ほど農林大臣は特にこの点を指摘いたしておりますが、サンマ漁業の不振あるいはイカ釣り漁業の不振に求めておりますが、これらは漁況だとか、さらには海況の変動とか自然的要因によるものであるというようなことも織りなしまして、軽々に判断を下した上、さらに、一時的なものであるというような、安易な、無責任な受けとめ方をしていることは、これまた全く遺憾とするところであります。
 御承知のとおりに、わが国漁業を取り巻く国際環境はますますきびしくなっておるのが現実の姿でありまして、沿岸国における領海の拡張、または日韓漁業協定の締結を契機としての専管水域設定の動きが活発になっておることは心すべきことだと思うのであります。また、ソ連及び南アメリカ、アフリカ、アジア等が漁業に対して大きく進出してきたこともあわせ考えてみるときに、白書がいうように、漁業の不振を自然的現象によるものとして安易に片づけることは、許されてよいはずはないのであります。
 さらに、水産物は国民食糧のうち動物たん白質供給源といたしまして重要な役割りをになっております。たとえ近年畜産物の消費が増大しているとはいいながら、わが国にありましては、動物性たん白補給の半分以上は、依然として水産物でまかなっておるわけであります。今後におきましても、水産物の需要は増大の傾向にあることは明らかなのであります。
 以上のような各般の事情を総合判断するならば、わが国の漁業生産の減少の原因を軽々に判断すべきでなくて、いまこそ漁業生産の維持増大をいかにすべきかということを真剣に考えるべきときにきていると思うのであります。
 しかるに、講じようとする施策を見ましても、遺憾ながら、これに対処しようとする積極的な姿勢は見当たらないのであります。低位安定というか、漁業経営の安定に重点を置きまして、生産及び価格対策には、全然といっていいほど熱意が感じられないのであります。かかる点に関しまして、総理の率直な御所見を承りたいのであります。同時に、国民食糧供給の責任をになう農林大臣といたしましては、水産物に対する需要を満たすために、いかに対処しようとするのか、また、わが国の漁業生産量の目標を那辺に置き、輸入のウエートをどの程度に考えるのか、具体的にこれがための施策について明確に答弁をしていただきたいのであります。
 第二点は、水産物の価格であります。
 水産物の生産は減少する反面、需要は増大しておるのでありますから、価格の上昇は必然であります。近年水産物の価格が高騰を続けまして、対前年比一一%の上昇であります。中でも、特に庶民の食ぜんを潤す多獲性大衆魚の価格上昇率が最も高く、一八%ということは放置できないところであります。皮肉にも、漁業者は生産量の減少を魚価の高騰によって補い、ようやく漁業経営をささえているというのが、残念ながらわが国漁業の現実の姿なのであります。生産対策も含めて、流通対策、価格対策について農林大臣の御答弁を求めます。
 第三点は、水産物輸入の問題について総理並びに農林大臣に質問をいたします。
 水産物の輸入は逐年大幅に増大しておりまして、三十九年においては対前年比五一%の増であります。そして、その金額は三百二十三億円、一躍わが国も水産物の輸入国として世界第七位の地位にのし上がったのであります。私は、ここで単に輸入量の増大のみを問題にしようとは考えておりません。他面わが国が従来から水産物の輸出国として世界第一にあるということを知っておるからであります。しかしながら、水産物輸入の急増が国内における流通あるいは価格対策に及ぼす影響を思うときに、これまた決してゆるがせにできない緊要な問題であると考えるのであります。沿振法第三条に国の施策として明定されておりますとおり、水産物輸入の調整を行ない漁業経営の安定をはかるための具体的な施策を講ずべきときであると思うが、大臣の所見をお伺いしたい。ただし、従来におきましても非自由化品目として輸入割り当て制をとっておることは重々承知いたしておるのでありますから、答弁はひとつ、輸入割り当て制度の運用を効果的に行なう云々という逃げ口上ではなくて、私の指摘した具体的施策を行なうかどうかについて答えていただきたいのであります。
 なお、輸入水産物の増大のおもなるものは生鮮冷凍水産物でありまして、韓国からの輸入増大の結果であります。韓国は、日韓国交正常化という名のもとに行なわれる日本の経済援助等によりまして、今後飛躍的に漁獲力が増大することは明白であります。しかも、これが漁獲物は直ちに日本への輸入となってはね返ってくることも容易に理解されるところであります。現に、下関等各漁港には韓国漁船による直接水揚げが行なわれておりまして、市場における競合となっているのであります。しかも、日本漁船の場合は、五十三海洋丸の例に見るごとく、共同水域においてさえ発砲、拿捕されるという状態なのであります。しかも、この五十三海洋丸の件だけにとどまらず、日韓漁業協定の締結後に数件にわたって臨検されるという事件が発生をしているのであります。こうした中にあって、韓国漁船がわがもの顔にわが国の下関や清水等の各漁港に直接水揚げを行なって、競合をしておるということに相なっては、今回の事件にいきり立つ漁民の口をついて出るところの「日韓漁業協定は不満だらけだ、ただ人間尊重が取り柄で、いやいやながら納得せしめられたのに」というこのことばは、耐えがたき漁民感情からほとばしり出たことばだと私は思うのであります。(拍手)総理はこのことばをどういう気持ちで受けとめられるか、また、対処しようとしているかを承りたいのであります。
 なお、政府は、講じた施策といたしまして、日韓漁業の締結を四ページにわたって大きく取り上げております。「李ラインの実質的な撤廃と、わが国の操業の実績の確保を主眼として交渉に臨んだ、おおむねその趣旨に沿って解決した」と自画自賛しておるのでありますが、先ほどの事件とあわせ、大いなる反省が必要なのではないだろうかと思うのであります。この点に対しましても、ひとつ総理からとくと御答弁を賜わりたいのであります。
 さらに、この事件とあわせ考え、同時に、私が御指摘を申し上げたように、この受ける影響については具体的な施策を怠っておるのではないかと私は思うのであります。韓国からのノリあるいは鮮魚の輸入にまつわる黒いうわさがつきまとっておることは、総理も御承知のとおりであります。その黒いうわさがつきまとってくるということは、端的にそうした対策の盲点をついて行なわれておるということを私たちは知らなくてはならないと思うのであります。同時に、こういう面に対して、すみやかにわが国の受け入れ体制を整備し、かかるうわさを取り除く具体的施策を明らかにすべきだと思います。
 さらに、外国においても、先ほど指摘いたしましたような韓国の漁船の直接水揚げなどという、こういう公海上からの輸入は禁止して、国内における流通、価格対策の調整を同じくはかっておるのでありますが、政府といたしましては、かかる法的規制措置を講ずる用意があるかどうか。これまた、総理並びに農林大臣にその御所信を承りたいのであります。
 第四点は、沿岸漁業構造改善事業に関しての質問でありますが、農林大臣にお伺いいたしたいと思います。
 構造改善事業は、沿振法の目的といたしまして、沿岸漁業の発展を促進することから始まりまして、沿岸漁業の従事者の地位の向上をはかるために、地域の特性を生かしつつ必要な事業を十年間にわたって実施するということをうたっているのでありますが、今日まで何らなすことなく終始しておるのが現状であります。しかも、構造改善事業の大きな柱である経営近代化促進対策事業は、すでに宮城、愛知、京都、山口及び長崎北部の事業完了地域が出ておるのでありますが、何ら本事業実施による効果等については検討されておらず、白書においては分析さえも試みられていないのであります。わずか二十数億の予算を計上したのみでは焼け石に水である。この構造改善事業に残されました多くの問題について、どう対処しようとされておるのか。また、事業実施地域、特に経営近代化促進対策事業完了地域についてはきめこまかい分析を行なってしかるべきだと思われるが、農林大臣の考え方を承りたいのであります。
 次は、大資本漁業の動向に関する問題について農林大臣にお尋ねをいたします。
 沿振法制定の当時から、政府はなぜかこの大資本漁業については触れたがらなかったのであります。いままで政府提案の内容は、漁業白書は沿岸漁業及び中小漁業の動向に限って報告することになっていたのであります。この点は、本院において追及され、さらに修正されて、漁業全体の動向について報告するよう政府に義務づけられたのでありますが、いまもって大資本漁業の動向については十分なる分析が行なわれておらないのであります。すなわち、今回の報告におきましては、「漁業金融の動向」の項に限って、初めて大資本漁業と中小漁業及び沿岸漁業に分類して比較を試みておりますが、「漁業生産の動向」においては、依然として、「その他の漁業」として扱っております。そして焦点をぼかし、さらに、最重点である「漁業経営の動向」については、大資本の漁業は全然触れておらないことであります。水産業の場合にありましては、中小漁業の経営と大資本漁業の経営とが密接に結びついておるということ、これはわかりますが、極端に利害が対立していることもまた御承知のとおりであります。現に、モスクワで行なわれておる日ソ漁業交渉の中心議題であるサケ・マス漁業においても、直接漁労に従事する独航船の中小漁業者が、漁獲物を母船で処理加工する大資本漁業にいやおうなく取引を強要され、出航前に魚価交渉をするということになっております。その魚価交渉も形式的でありまして、三十八年からこの方、魚価の高騰が続いておるという状態の中にあっても、一銭も魚価が上がっておらないのであります。据え置かれておるのであります。すなわち、市価一尾千円もするサケが、わずかに百五十円、市価五百円のマスが、これまた八十円に抑えられております。こういう状態の中にあっては、白書が示すように、中小漁業の衰退は当然であります。そういうことがあってよいものかどうなのか、総理はこうした現状をどうとらえるのでありましょうか。人間尊重にのっとったお答えがほしいのであります。(拍手)
 大資本漁業の動向についても、沿岸漁業あるいは中小漁業同様、明確な分析を行ない、報告さるべきだと思いますが、これまた農林大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。
 最後に、漁船の海難事故について、運輸、労働、農林の各大臣にお伺いいたします。
 飛行機事故が多発いたしておりまして、憂慮されるところでございますが、一方、海上におきましても漁船の遭難があとをたたないところであります。三十九年における遭難漁船は一千九十四隻に及び、全海難の四割を占めております。また、海難による死者一千三百十一人のうち、六百五十九名が漁船乗組員であります。しかも、この漁船の遭難の特徴は、無理とは承知しながらも、貧しいがために一尾でも多く持ち帰らなければならないその運航に基因しています。このように、漁船の場合は、避けられない遭難ではなくて、とうとい人命を失わなくて済ませるものが大部分を占めているのであります。政府においても真剣に対策を講ずべきであります。
 そこで、運輸大臣にお伺いをいたしますが、海上保安庁の遭難救助の活動につきましては敬意を表するものでありますが、ただ、この乾舷ゼロメートルに近い危険きわまりなき漁船等の現状をそのまま放置していては、保安庁のせっかくの活動も十分なる効果を発揮し得ないことはもとよりであります。そこで、国際満載吃水線条約あるいは海上における人命の安全のための国際条約等の精神を生かして、漁船を海難から守る方途をまずもって講ずべきであると考えますが、所信のほどをお伺いいたしたいと思います。漁船の遭難は、はるか洋上で起きるために、ややもすると軽々に扱われるきらいがあります。また、対策もおくれておるように考えられますが、その決意のほどを披瀝していただきたいのであります。
 次に、労働大臣に関連してお伺いをいたします。
 去る三十七年に出されました労働環境改善措置要綱、これすら、漁業経営の問題とからみ合い、十分に守られていないのが現状であります。しかも、四十年の十月には、ILOの予備技術会議が持たれ、さらに引き続き来たる六月にはILO総会を開き、漁船の設備、漁船船員の資格証明、あるいは職業訓練の問題に関して、条約等及び勧告案が採択される情勢にあると推察されますが、これら漁船船員の労働問題の改善策に対しまして具体的にお尋ねいたしたいのであります。
 最後に、農林大臣にお尋ねいたしますが、わが国漁業の労働環境なり労働条件等の改善がおくれておる直接の原因は、漁業許可制度のあり方に基因する点があることは明らかであります。公海上で行なわれる漁業は、ほとんどすべて農林大臣の許可を要するということになっておりますし、その規制は、漁船の大きさはもとより、操業海域、操業時期等、細部にわたって厳重な規制を行なっておるのでありますが、他面、漁業者の雇用状態は、歩合い制度を基調としておることも加わって、労働環境は勢い改善がおくれておることも、これまた事実でありまして、海難につながる問題となっておるのであります。また、これがために、漁船員不足、興の低下、老齢化等の問題となり、悪循環を繰り返しておるのであります。かかる観点から、この際漁業許可の制度を根本的に再検討し、四十二年における指定漁業許可の一斉更新にあたりましては思い切った改善を行ない、おそらく農林大臣はあらゆる角度からする圧力に屈し、しょせん現状維持程度の手直ししかできないであろうという不信に満ちたうわさが真実とならないように、この際勇断をもって処理されるよう、その御決意のほどをお尋ねいたしまして、詳細につきましては農林水産委員会の質問に譲ることにいたします。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 かつての水産王国日本、世界第一だといわれたものが、いまのお話のようにその首位を譲ることになりました。まことに残念でございます。しかしてこの魚肉は、われわれの生活にとりましてまことに重要な資源であります。日本国民から見ますと、魚はどうしても忘れられない。そういう意味で、特に漁業の振興等について努力してまいったところであります。しかしながら、外国の漁獲への進出もありますし、その意味ではよほど競争も激化してまいりました。また、国際規制の問題もありまして、新しい漁場の開拓ということは、なかなか困難な状況にもなっております。しかし、これらの事情に応じて、漁船あるいは漁業家の資本装備の充実もはかられておりますから、最近のような状況ばかりではない、必ずまた漁獲もふえていく、こういう状態が必ず出てくるんだ、かように私は確信いたしておる次第であります。いずれにいたしましても、漁況あるいは海況等の自然条件に左右される漁獲でございますから、一時の豊凶等にわれわれが暗い思いをすることはないだろう。ただいま申しますように、資本装備等の充実、これによりまして次の発展を期したい、かように思います。
 次に輸入の問題でありますが、輸入の問題については、中小企業や、ことに沿岸漁業に影響のあるような品物、これは非自由化されておる。したがいまして、その運用によって十分万全を期して、これらの中小企業や沿岸漁業に打撃を与えないように、しかも、一方で消費者の需要にこたえるように、かように運営をしていくのでございますが、特にさような運営云々だけでは十分ではない、こういうお話がございました。私は、さらに市場等の整備であるとか、あるいは流通機構等につきましても、格段の留意をいたすことによりまして、わが国中小漁家あるいは沿岸漁家に影響を与えず、同時に消費者の需要にこたえる、こういうことで、流通、またその取引なども整備したい、かように考えております。
 次に韓国の問題であります。御承知のように、一昨日まことに不幸な事件が起きた。私もこの事件の終息といいますか、あるいは交渉につきまして最善を尽くすつもりでございます。御承知のように、日韓の間に国交が回復して、この種の事柄はまず起こらない、かように思ったそのやさきにかような事態が起こりました。たいへん私は残念に思っております。外交交渉におきまして万全な措置をとる、かように取り組んでいくつもりであります。
 同時にまた、韓国からの輸入等については、ただいま申し上げましたような市場、あるいは流通機構、あるいは輸送等の設備におきまして十分考えることによって、消費者の需要にこたえる、同時にまた、国内の魚価には悪影響を与えないようにいたしたい、かように考えております。
 また、いろいろ黒いうわさがあるというような御指摘でありますが、両国間の関係を正常化し、また発展さしていく上におきましても、かようなうわさのあることはまことに残念であります。この種の事柄がないように、取引が公明正大であるように、一そう努力してまいりたいと思います。
 最後に、沿岸漁業につきまして、先ほど詳細に報告はいたしましたが、今日の疲弊の状況、私もこれをこのままに見過ごすというわけにはいかないように思います。沿岸漁業の振興等につきまして、それぞれ魚礁を設けるとか、あるいは養殖をするとか等々の対策を講じておりますけれども、まだまだ十分ではない、たいへん不十分であります。ことにその就業者の賃金、これはやや改善を見た、かように申しましても、まだまだ都市の工業従業者に比べましてたいへん低い状態だ。さらにその労働条件なりあるいは労働環境なり、これは私ども今後改善をしていかなければならない、かように思います。
 お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
○国務大臣(坂田英一君) お答え申します。
 ただいま総理から最も重要な点はお答えに相なりましたので、私はその他の点についてお答えいたします。
 まず、輸入量についてでありますが、確かに飼料等の需要の増加等によってだんだんふえまして、最近一割近くになっております。しかし、これは全く補完的に考えておるのでございまして、もちろん、国内における漁業生産に重点を置くしとは言うまでもございません。しかし、先ほど総理から言われたとおり、海況、漁況等によって生産が左右されるわが国漁業は、他国のそれと異なりまして、また、多種類の漁業を包含しておるというような関係から、先ほど申されました明確な目標を想定することはなかなかめんどうであり、むずかしいのでございまするが、最近、水産資源に関する国際規制も強化される傾向にありますし、また、新漁場の開発も困難、きわめてきびしい環境にあることは御指摘のとおりでございます。こういう現状に対しまして、水産政策の充実をはかって、その生産の維持増大に向かって、さらに一段の努力を払ってまいりたいと存ずる次第でございます。
 それから、水産物、特にいろいろな魚の値段が上がっておるし、年産者は、上がっておるから、ようやく少しばかり所得が上がっておるのじゃないかという、こういう問題の指摘のように思われたのでございます。魚価の上昇の傾向を見ますと――そのとおり。しかしながら、アシ、サバのような大衆魚は比較的上がりません。ただ、イカのようなものが不漁のときには非常に上がる、こういういろいろな問題がございます。しかし、概して申しますると、高級魚やあるいは加工原料となる底魚の一部の価格の値上がりの傾向を示しておるというふうに思われるのでございます。そういう関係であるのでございまするが、一方において、魚価の上昇によって所得の増加いたしておる面もあることは御指摘のとおりでございまするので、先ほど総理から言われましたように、漁業生産の維持増大の施策の強化、漁業基盤整備、構造改善事業、近代化施設等の、漁業の生産性の向上をはかって、またさらに流通改善の諸施策を拡充するということに一そうの努力を払うことにいたして、これらの問題の解決に努力をいたしたいと存じておる次第でございます。
 それから、水産物輸入の増加の国内生産に及ぼす影響、特に韓国との関係の問題についてお話がございました。これについては総理から十分お話しのとおりでございます。ただ問題として、私どもは、目下沿岸漁業等振興審議会においても、これらの問題を根本的に検討を加えておるような次第でございます。なお、現実の問題といたしましては、言うまでもなく、総理の言われたとおりでありまして、重要なものについては非自由化品目といたしておるのでございまするし、それから国内の主張、流通、価格に悪影響を及ぼさないよう、輸入割り当て制度の活用その他輸入の政策を講じまして、それらに対する悪影響を除くように極力努力をいたしておるようなわけでございます。
 それから、構造改善事業について、その後何もやっていないじゃないかということでございます。これは四十年度において構造改善事業実施地域において五つばかりの漁業近代化促進事業が終了いたしまするので、これに対する事後対策を講ずる必要がある。御指摘のとおりでございまして、四十一年度においては、このためにこの調査を進めることにいたしており、必要に応じまして、今後さらに補足整備事業を行なうというふうに進めてまいりたい、かように存じておるわけでございます。
 それから、大資本漁業について、その経営等の動向の分析がないじゃないか、これは、大資本漁業と中小企業との間のいろいろの関係をよく見なければならぬのに、それが欠けておるじゃないか、こういう御指摘でございます。これは御指摘のとおりでございまするが、御存じのように、母船式漁業などの経営体は、その経営内容も複雑でございまするし、また、これらに対する諸資料が非常にそろっておらないのでありまして、なかなかこれがこの自計にはまだ十分載せ得ないという状態でありまするので、今後とも資料の整備につとめて、年次報告の記述の充実をはかっていく所存でございますから、その点御了承を願いたいと存じます。
 それから、漁船の海難問題について私に御質問のありました点でありまするが、もちろんこれは御指摘のとおりに、漁業経営者の経営の改善をはかって就業者の労働条件を向上するといったような、いろいろの問題について、これは農林大臣としても特に注意を要する問題であることは言うまでもございません。したがって、また当面、船舶安全法関係法令の順守、あるいは漁船の載貨基準の徹底を十分指導してまいりたい、また、漁業許可に基づいて使用する漁船の建造及び改造の許可に際しまして、船舶の安定性、航行の安全性の確保に遺憾のないようにいたさなければならぬのでありますが、今後も漁業許可制度の運営にあたりまして、海難防止の観点から必要な措置を検討してまいりたい。四十二年度における一斉更新に際しましても、海難防止の観点を織り込んでまいりまして検討をなす所存でございます。
 また、一昨日の共同水域内において起こった問題については、総理がお答えのとおりでございまして、農林大臣といたしましても、かかることが将来とも起こることのないように、厳重に外交交渉を進めて、さようなことのないように期しておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
○国務大臣(中村寅太君) 海難防止の対策といたしましては、大体大きな三つの柱があると思いますが、まず第一は、船舶の構造その他に安全性の高い船をつくっていくということが一点でございます。さらに、特に船舶の航行が非常に激しい内航等におきましては、航路の交通整理等にも万全の配慮を行なってまいらなければならないというようなことで今日やっておるわけでございます。
 それから、第二番の問題といたしましては、気象状況を完全に把握するということでございます。これはマリアナ近海におきましての遭難等にかんがみまして、現在の気象設備を強化拡充いたしまして、漁船その他の船舶等に完全な気象情報を流すことのできるような設備をいたしておるわけでございます。さらに、これを受けるほうの船舶等にも、受信あるいは送信等の設備を整えまして、そうして気象変動から受ける遭難を防いでいくというようなことにつとめておるのでございます。
 第三点といたしましては、非常の場合の救難対策でございますが、これは最近における海難がどんどんふえていきます傾向等にかんがみまして、救難施設に万全を期しておるわけでございますが、特に遠距離の海難を救助するために必要な大型の巡視船を整えるとか、あるいはYS11の大型飛行機を整備する等いたしまして、海難の起こりました際にはできるだけ早くこれを救助する方策を進めておる次第でございます。
 なお、満載吃水線の問題でございますが、これは一九三〇年七月に締結されました国際協定の中では、漁船についてはその適用がはずされておるのでございますが、いまロンドンで改定協議が行なわれておりますが、これでも、今回もまた漁船ははずされることになっております。これはやはり、漁船は種々雑多でございまして、船の型が一定しませんので、吃水線の規定を適用することが非常にむずかしい等の関係もございまして、適用除外になっております。国内法の船舶安全法の適用からもこれははずしておりますが、しかしながら、将来の問題といたしまして、漁船等の安全を確保する意味から、船舶の復原性等との関連もございますので、現在、造船技術審議会において審議中でございまして、その答申を待ちまして善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣小平久雄君登壇〕
○国務大臣(小平久雄君) 第一点は、漁船員の労働条件の改善のことであったと思いますが、これにつきましては、先ほど総理からお答えのあったとおりでございます。漁船員の労働条件は、どうも確かに近代化がまだおくれておる面が相当ございます。すなわち、一定の使用者との雇用関係がなかなか長続きしない、そういう関係もありまするし、また、特に賃金等につきましては、漁獲物をもって現物支給するというようなこともまだ一部には行なわれておる。そういうようなことがございますので、労働省といたしましては、特に賃金を明確にする、こういうことに従来も指導監督をいたしてまいりましたが、今後もこの点に重点を置いてやってまいりたいと考えております。
 それから第二点は、海難の関係でございましたが、御承知のとおり、労災保険の関係から申しますと、五トン以上三十トン未満のものはこれは強制加入になっております。五トン未満のものにつきましては任意加入ということでございますので、この小船については極力これが加入を推進いたしていきたいと存じます。御承知のとおり、また昨年の労災法の改正によりまして、事業主あるいはその家族従業員等も労災保険に加入ができるようになったわけでございまして、いずれにいたしましても、万一海難を受けた場合におきましては、その労災補償の確保を私どもとしてはばかってまいる、こういう点に重点を置いていきたい、かように考えております。(拍手)
○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(園田直君) 内閣提出、郵便法の一部改正する法律案について、議院運営委員会の決定により、趣旨の説明を求めます。郵政大臣郡祐一君。
  〔国務大臣郡祐一君〕
○国務大臣(郡祐一君) 郵便法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、郵便事業の円滑な運営とこれに要する財源を確保するため郵便に関する料金を改定いたしますとともに、郵便物の種類体系等を整備して業務の能率化を進め、あわせて、利用者に対するサービスを改善するため所要の規定の改正を行なおうとするものであります。
 まず、郵便に関する料金の改定の理由について申し上げます。
 郵便の使用料金は、昭和二十六年以来十五年間にわたって据え置かれたまま今日に至っておりますが、最近における事業収入の伸びは鈍化の傾向を示し、一方、諸経費、特に人件費の増高が著しく、昭和四十年度当初においてすでに不足を生じている状況でありまして、このまま推移いたしますときは、昭和四十一年度以降におきまして収支の不均衡はますます大きくなることが予測されるに至ったのであります。
 他方、増高する郵便物を円滑に処理し、サービスを維持、向上して、時代に即応した郵便業務とするためには、それに必要な要員を確保し、局舎、施設を充実し、その他作業の近代化をはかることが急務であります。そこでこの際、これらに必要な財源を確保するため、郵便料金の改定を行なうことといたした次第であります。
 この法律案の提案にあたりましては、郵政審議会の答申を尊重いたしましたほか、値上げ幅につきましてはできる限り低位に押えるよう配意いたしたのであります。
 次に、郵便料金の内容について申し上げます。
 まず、第一種郵便物は、従来の第五種郵便物を統合して、定型郵便物と非定形郵便物とに分けることとし、定形郵便物の基本料金はこれを十五円といたしました。郵便はがきは七円とし、年賀はがきの低料扱いは廃止することといたしております。また、第三種及び第四種郵便物の料金につきましては、それぞれの特質に応じて十分の考慮を加えております。
 第二に、業務の能率的な運営をはかるため、種類体系の整備とともに、郵便物の容積及び重量の最大最小の限度を若干改定することとし、また、郵便物を大量に差し耕す場合で、区分などについて協力されるものにつきましては料金の割引を行ない、さらに新しく、簡便な書留制度を設けることといたしております。
 第三に、郵便サービスの改善をはかるため、学術刊行物、書籍につきましては、従来より低料とし、書留郵便物の亡失などの場合における賠償限度額を引き上げるほか、非常災害の際における救助用物資を内容とする小包郵便物の料金を免除し、さらに、書き損じ等の郵便はがきの交換を行なうことといたしております。
 今般の法律改正によって料金が改定されますと、事業収支の均衡が得られますので、つとめて事業の近代化をはかり、郵便物の確実迅速な送達を期し、もって国民各位の御期待にこたえる所存でございます。
 以上をもって、この法律案の趣旨の説明を終わります。(拍手)
     ――――◇―――――
 郵便法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(園田直君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。金丸信君。
  〔金丸信君登壇〕
○金丸信君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました郵便法の一部を改正する法律案に関して、郵政大臣並びに関係の各大臣に対し、若干の質疑を行なわんとするものであります。
 ただいま郵政大臣より、今回の郵便法改正案は、郵便事業の円滑な運営とこれに要する財源を確保するため、郵便に関する料金を改定するとともに、郵便物の種類体系等を整備して、業務の能率化を進め、あわせて利用者に対するサービスの改善をするため必要な改正を行なわんとするものであるとの御説明がありました。この郵便法の一部を改正する法律案につきましては、改正の内君としまして、郵便料金の改定がありますために、ややもすれば郵便料金の値上げのみをその目的とするもののようにみなされがちでありますが、今回この改正案が提出されるに至るまでの経緯やその内容等より見まして、この法案は、郵便事業近代化の基盤を整備することを第一の目的とするものであり、単に事業財政の収支じりを合わせるための値上げ法案ではないものと考えます。
 しかしながら、消費者物価の動向が国民の関心の的となっている現在、料金値上げを含むこの改正案をあえて提案されたにつきましては、政府としてその間の事情について十分に国民の理解を符なければならないことは申すまでもないところでありまして、この際、郵政大臣より、改正の本来の趣旨、提案までの経緯等について、さらに具体的に御説明を承りたいのであります。
 今日郵便事業の実情を見まするに、いまや郵便事業は創業以来の大きな転換期に直面しているもののように見られます。戦後における社会構造の変化や産業経済の伸展等に伴って、郵便事業においても、著しい利用増加とともに、その利用内容も大きく変わり、今日においては、制度上においても実情との食い違いが目立つに至っているのであります。郵便事業の近代化は、かかる夢精のもとに企てられ、また推し進められようとしているのでありまして、政府が今日この大きな課題に真剣に取り組もうとしていることは、まことに時宜に適した態度と考えるのであります。今回の改正案に盛られております郵便の種類体系の整備等一連の制度改革は、この事業近代化のための基盤を固めようとするものとして注目されるのでありますが、この改正措置を含めて、今後の事業近代化の構想を郵政大臣より御説明願いたいと存じます。
 さきに述べましたとおり、今回の法律改正については、料金の改定措置のみがいたずらにクローズアップされているきらいがあります。他面、物価の安定が当面における最大の政治課題となっている現状にかんがみますと、料金の改定が本案論議の一焦点となることはまたやむを得ないところであろうと存じます。しかしながら、この問題について一般に行なわれている論議は、物価安定の衝にある政府がみずから公共料金を引き上げることは不当であり、また、公共料金の引き上げは、必ずや一般物価を刺激し、国民生活を一そう困窮化させるであろうとの主張であろうかと思われます。この主張は一応はもっともな考えとして受け取られはいたしますが、実は公共料金問題といたしましてはその一側面のみをとらえ、これは誇張した論議であろうかと思います。
 今回の郵便料金の値上げを例にとってみましても、家計に占める郵便料金の比率はわずかに〇・一四%にすぎず、この料金に若干の値上げがあったとしても、これが家計に及ぼす影響は全く問題にならない程度のものであり、また、一般物価に対する影響も、この時点においては決して大きいものとは考えられないのであります。しかも、料金の改定が行なわれず、事業の経営が今後悪化した場合のサービス低下による国民の迷惑を考える場合、いずれが大きいか、議論の要もないところであろうと存じます。政府は、先般来の一連の公共料金改定をはかるにあたっては、各般の事情を総合検討して改定に踏み切られたのであると推察するのでありますが、経済企画庁長官より、この間の事情について御説明願いたいと存じます。
 次に、料金の改定に関連して、郵便事業経営のあり方として独立採算制堅持の是非についてただしておきたいと存じます。
 郵便事業に限らず、国営または公社経営の事業においては、政策料金からくる公共負担ともいうべき赤字は一般会計より補てんすべきであり、独立採算制のたてまえのもとにこれを一般利用者の負担とするのは適当でないとの主張が一部において根強く行なわれております。かかる主張に対して、私どもは、一般会計の収入は租税収入であり、負担のしかたに相違はあるといたしましても、国民のふところから出る点においては事業収入と同じであること、かりに郵便事業において独立採算制のたてまえをくずして一般会計よりの繰り入れを行なえば、必ずや他の公社事業等にも波及し、これらを含めた繰り入れ額はきわめて膨大なものとなり、国民の租税負担を著しく重くするものであろうこと、また、他会計からの赤字補てんは、とかく経営を安易にし、企業努力を減退させること等の点から見まして、とるべきでないと考えるのでありますが、政府当局はいかにお考えか、郵政大臣並びに大蔵大臣よりお答えを願いたいと思います。
 次に、今後のサービスの改善についてお尋ねいたします。
 今回の改正案においては、通常郵便物の種類体系の整備をはじめ、書留制度の改正、料金割引制度の新設など、各般にわたって業務運用の効率化をはかるための改革措置がとられていて、事業運営の立場からすれば著しく合理化の前進を見ることになりますが、反面、利用者側に対するサービスの改善という面においては、書き損じはがきの交換制度の新設、災害地向け小包郵便物の料金免除、書留郵便物の補償限度額の引き上げなど、一応きめのこまかい配慮がなされてはいるものの、料金改定による負担の増大に対する見返りとしては、法文について見る限りでは必ずしも十分とは言いがたいと思われるのであります。政府は法定事項以外においてサービス改善について何らかの用意があるのでありましょうか、お伺いいたします。
 以上、いろいろお尋ねをいたしましたが、最後に、郵政大臣に対し、事業運営に関し、要望を兼ねてお伺いいたしておきたいことがあります。
 あらためて申し上げるまでもなく、今日、郵便事業に対する国民の最も切実な願いは、郵便の送達が正確迅速に行なわれることであります。この願いが完全にかなえられるならば、国民は引き上げによる料金負担の増大にも甘んずることでありましょうが、もし、この願いが空文に終わるとするなれば、この法改正を非難するでありましょう。この法律が良法ととられるか、あるいは悪法ととられるかは、一にかかって業務運営の正常化ができるかいなかにあるといっても過言ではないのでありますが、郵政大臣は、業務正常化の確保について、いかなる決意と方策をお持ちでありましょうか、お尋ねをいたします。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えをいたします。
 お話しのように、最近郵政会計は非常に悪化しております。その悪化している原因を考えてみますると、郵政会計事業の支出はおおむね人件費である。その人件費の増高が悪化の最大原因であります。そのことを考えまするときに、今後郵政会計の赤字はだんだんとふえていく、しかも硬直性を持っておるわけであります。これに対してどうしても根本的な措置を考えなければならぬと思うのであります。借金でいく、これは根本的な解決になりません。そうすると、一部で言われるように、一般会計でこれを負担するか、あるいは料金の負担でいくか、この二つしか道はないと思うのでありまするが、しかし、一般会計で負担するということは、これは国民全体の租税で負担するという問題であります。この硬直した財政を打開する、それはやはり利用者に御負担を願って、そうして郵政会計に安定した財政基礎を与える、これが一番いい、こういうふうに考える次第でございます。(拍手)私も、郵政大臣から料金値上げの話がありまして、それに賛成するかどうか、いろいろ考えてみたのでありまするが、この際としては、利用者に御負担を願う、これがやむを街ない措置である、かように考えた次第であります。(拍手)
  〔国務大臣郡祐一君登壇〕
○国務大臣(郡祐一君) 第一には、郵便法改正の本来の趣旨というお話でございます。おっしゃるとおり、このたびの郵便法の改正が、収支の補てんだけを考えておるものではございませんで、一昨年郵政審議会から近代化についての答申があり、昨年は料金の改定についても答申がございました。これらの答申に従いまして、独占事業としての責任上、事業の近代化をはかるということ、ことに利用者のために、御指摘もございました送達の迅速正確を期する、この点に最も重点を置いて提案いたしました次第でございます。
 次にお尋ねの、またこの点にも関係するのでありますが、今後の事業の近代化構想、またサービスの改善という御指摘でございます。確かに、今後の事業近代化構想につきましては、このたびの法案の中にもございますように、種類体系を整備いたしたい。一種と五種とを寄せて、そして形を整えた。これはやがて機械化を導入し得る前提に相なるのであります。こうしたことによりまして国民の御要望にこたえることができまするし、ことに、法律に規定している以外の改善についてというお尋ねがございましたが、この点については、これも初めに御指摘の送達速度を改善するという目標を達成いたしますために、あとうべくんば、その日の夕方に出しました郵便は翌日相手方に着くようにいたしたい、こうした考え方で、航空機に搭載いたしますること、託送をいたしますること、また、自県内あるいは近距離間におきましては専用自動車便を極力増しますこと、こうしたことによりまして送達速度の安定ということを主眼に置いてこれからの作業を進めたいと思います。ことに、局内作業を機械化いたしますために、小包の専門局であるとか、大型局であるとかいうものをつくりまして、そうして局舎の近代化をはかる。また、きめこまかくという御要望がございましたが、現在の四キロの速達範囲を五キロに延ばすとか、書籍小包等の便宜もはかるとか、でき得る限り小さい面についても考慮いたしておるわけでございます。したがいまして、いまも大蔵大臣が申しましたように、公共料金の改定についてはでき得る限り慎重な態度をとりましたが、御指摘のように、〇・一四という家計への影響、また、大企業は別といたしまして、一般家庭の御使用になる郵便物は二割程度というようなことから考えましても、独立採算制のたてまえから、借り入れ等によりまして将来の利用者に御負担を残すことは決してすべきことではないということ、このような見地からこのたびの値上げをお願いした次第でございます。
 最後に御指摘の業務の正常化ということは、確かに多くの従業員をかかえております郵便事業でありまするから、そうしてこれは物を増加して収入を増していくということが事業の使命でございますから、物の増加をはかりますためにも、職場規律を厳正に確立いたしまして、そうして国民の御要望に沿うてまいりたいと思う次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) 郵便料金の値上げにつきましては、十二月の九日に郵政審議会からの答申が郵政省に出まして、私どもそれ以来郵政省とともに検討をいたしたわけでございます。しかし、御承知のとおり、郵便料金は三十六年に若干の手直しを小部分いたしただけで、十四年間、今日まで据え置きでございます。今後も、今日の経済発展の状況から見まして、必ずしも料金の収入が非常に多くなろうとは考えられません。したがって、赤字が累積することになりますので、これを今日ある程度料金の引き上げによりまして補てんいたしますことは、やむを得ないことだと思います。特に、先ほど来お話がございましたように、郵便経費の中の七〇%が人件費でございまして、これらのものを将来とも見てまいります上においてもこの必要があろうと思います。しかし、郵便料金は国民各層の生活に影響を持つものでございますから、したがって、私どもといたしましても慎重に検討いたしました上、二八・八%の値上げを承認し、同時に、通信教育あるいは農産種市、定期刊行物等につきましては、郵政審議会の答申よりもこれを低目に押えることにいたしまして、承認をいたしたわけであります。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(園田直君) 栗原俊夫君。
  〔栗原俊夫君登壇〕
○栗原俊夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま郵政大臣から趣旨説明のありました郵便法の一部を改正する法律案に対し、総理大臣並びに関係大臣に若干の質問をいたしたいと思います。(拍手)
 本法律案は、全国民が物価高に悩んでおる中に、政府が鉄道運賃の値上げに続いて放つ公共料金値上げ第二弾として、国民が非常に重大関心を持っておる法律であります。
 まずお伺いいたしたいのは、料金値上げのこの法律案と、政府が申しておる物価安定対策との関係についてであります。
 総理大臣は、その施政方針演説において、不況の克服、物価の安定を最優先として、来年度の政策目標においても、物価安定を最重要項目とする旨を言明されております。最近における政府の施策を見ますと、これまで行なった政府の物価対策はまことに実効があがっておりません。いわゆるから念仏に終わっております。はたして政府に物価安定のための意欲があるのか、熱意があるのか、国民大衆は深い疑いの眼を向けておるわけであります。(拍手)
 去る一月二十八日発表の総理府統計局の計数によりますと、昨年の全都市消費者物価指数は、前年の上昇率三・八%を大幅に上回って七・六%という、過去十カ年間の最高の値上がり率を示しております。これが佐藤内閣の物価安定を内容とするという物価対策の正体であり、実績であるといわなければなりません。
 佐藤内閣は、このような物価上昇に拍車をかけるように、本年一月一日、消費者米価の値上げを行ないました。続いて私鉄運賃の値上げ、さらに国鉄運賃の値上げの強行、健康保険料、これを追って国営独占事業である郵便料金の引き上げまでもいま行なおうとしているのであります。これら一連の公共料金の値上げは、必ず連鎖反応的に一般物価の値上がりを呼び、今後の物価をますます騰貴の一途に追い込むことは間違いございません。
 政府は、今回の郵便料金の値上げについて、郵便料金は家計総支出の中でわずか〇・一四%を占めるにすぎない、したがって、今回の値上げのごときも、家計に及ぼす影響はとるに足らないものだ、こういうことを言っておるようでありますが、冗談も休み休み言ってもらいたい。(拍手)政府は、台所を預かる家庭の主婦が野菜ものの一円、二円の上げ下げにも一喜一憂しておる、こうした国民大衆の生活の実態を全く知っておりません。世間では言う。役人は昼はゴルフに打ち興じ、夜は美酒に酔いしれて、国民大衆不在の政治を推し進めておる、こう非難されても、おそらく弁解の余地がないという状態であろうと思うのであります。(拍手)
 物価の安定という問題は、当面国民生活にとって最大の課題であります。政府は、四十一年度の消費者物価の上昇を五・五%程度にとどめ、また、三カ年以内に三%程度に落ちつかせたい意向を明らかにしております。一方において、みずから一連の公共料金の値上げを策しながら、他方においては物価の鎮静を国民に説くということは、矛盾撞着もはなはだしい、全く欺瞞政治といわなければなりません。(拍手)政府の手によって完全に抑制できる立場にある公共料金をみずから引き上げながら、どうして一般物価を抑制することができるのか。この問題を具体的に、かつ、国民にわかるように、納得のいくような説明を、総理大臣及び経済企画庁長官に要求いたします。
 また、経済企画庁長官に対しては、さきの経済演説において表明された公共料金値上げに関しての反省について、具体的な内容をもって国民に説明をしていただきたい、このように思います。
 現在、郵便事業の経営について、相当な困難が生じていることは、国民だれもが承知しておるところであります。四十年度の予算において、異例の赤字を計上している事実等にかんがみても、事業のあり方については抜本的な改善の必要があると認められているのであります。わが党は、郵便事業経営の根本的改革について、従来からしばしば独立採算制の再検討の必要なことを力説してまいりました。事業の現状はその必要を一そう痛感させるものがあります。
 現在郵便事業においては、新聞等の定期刊行物を内容とする第三種郵便物や、通信教育の教材、農産種苗等を内容とする第四種郵便物の料金が採算を割って設定され、これらによるいわゆる公共負担ともいうべき赤字が年間約六十億円に達しております。これは四十年度予算の不足額五十六億円を上回っている実情であるのであります。今回の料金改定は、これら公共負担から生ずる赤字を補てんする必要から行なわれたものと見られておるのであります。かかる公共負担が郵便利用者のみにかけられることはきわめて不当な不公平なことであるというべきであって、当然政府の責任として一般会計からの繰り入れをもって充当すべきものと考えられるのであります。(拍手)現に、アメリカの郵政事業においては、原則としては収支相償うたてまえをとりながらも、国民の福祉その他の公共的目的のための、採算を度外視祝して行なわれる公共的サービスによって発色した不足分は、一般会計から補償することとしておるのであって、一九六三年における補償額は、わが国の金に換算して約一千四百億円、事業総支出額の約一〇%にも達しているのであります。
 元来、独立採算制は法律上明定された制度ではありません。戦後に始まった一つの政策にすぎないのであります。したがって、これは不動の鉄則とすべきものではないのであります。他面、国が郵便事業を直営するゆえんのものは、国民だれしもが利用できる安い料金の通信手段を保証するにあるわけであります。この点よりして、書状、けがき等の料金についておのずから限界があるのは当然であって、将来にわたって独立採算制を堅持すべきかいなかは、問題の存するところであります。
 今回の改正案では、独立採算制のたてまえを踏襲して、六十億円に近い第三種、四種の赤字を第一種、二種の収入で補てんする仕組みとしておりますが、さきにも述べました、物価に対する影響や赤字の出てくる性質等にかんがみて、この際一般会計からの繰り入れによって値上げを回避すべきではないか、こう考えるのでありますが、政府は物価抑制を重点とするのか、郵便独立採算制を重しとするのか、どっちなのか、改正案撤回の意思はないか、こうした問題等について郵政大臣及び大蔵大臣の答弁を求めるものであります。
 また、値上げを回避する当面の方法として、郵政省の所管する郵便貯金特別会計の剰余金約一首億円を使用する方法はないだろうか。あるいはまた、郵政省の手で集められている郵便貯金の資金を効率的に運用し、その増収分をもって郵便事業の経営改善に資することは考えられないか。かりに一分の利回りの向上をはかったとしても、二百六十億円程度の増収を期待できるはずであります。これらについても両大臣の答弁をお願いいたします。
 次に、郵政大臣にお尋ねいたします。
 今回の郵便料金値上げについては、昨年十二月九日の郵政審議会の答申に基づいて策定されたものとされておりますが、この答申に先立って、郵政大臣は、同年十一月二十七日の経済政策会議において発言し、五カ年間の収支見通しに立って本年四月から郵便料金を三六・八%引き上げる案を提案しており、また、総理大臣は、この提案について実施期日を七月一日とし、値上げ率については上げ幅を極力押えるべき旨の裁断を行なったと報ぜられております。一方においては事業財政の改善方策を諮問しながら、他方ではその答申も待たず確定的な引き上げ率を算定し、また実施期日を指定するがごときは、同審議会を全く無視した仕打ちであるというばかりでなく、国民を瞞着したきわめて非民主的なやり方といわざるを得ません。(拍手)さきの消費者米価決定の場合もしかり。また、国鉄運賃においても同様であって、諮問機関を有名無実に追い込む佐藤内閣独善政治の姿であります。
 しかも、答申内容の取り扱いについても少なからぬ疑義があるのであります。すなわち、審議会の答申は、たとえば第三種郵便物について、一般利用者に負担をかけないためにも、限界費用に近い額をもってその料金とすることが適当だとして、低料扱いの基準額を二円から五円に引き上げるべきであるとしているにもかかわらず、今回の政府案ではこれが三円となっていて、限界費用に近いものとすべしという審議会の意思は、第三種の料金のすべてにわたってほとんど顧みられていないのであります。限界費用の点から見ますと、現在低料扱い以外の第三種郵便物の単位原価は十円四十六銭、単位収入は八円三銭で、差し引き二円四十三銭の赤字となっております。この種の第三種郵便物は、年間約二億余の取り扱いがありますから、この取り扱いのために年間約五億円の赤字を生じております。また、低料扱いの第三種郵便物の単位原価は八円五十八銭、単位収入は二円二銭で、差し引き六円五十六銭の赤字であり、その年間取り扱いは約八億でありますので、この取り扱いのために年間約五十二億円の赤字が免じております。以上、赤字を合計すれば約五十七億円となり、今回の料金値上げを見込んでも、なおかつ約四十数億円の赤字は残存するわけであります。この赤字は、当然他の郵便利用者が負担することとなります。このような事情にあるにもかかわらず、審議会の改定案を取り入れなかったことは理解に苦しむばかりでなく、このことは、政策的料金について一般利用者に過大な負担をしいるべきではないとする答申の中心的な考え方を否定したものとして、とうてい納得することができません。前にも述べたように、政策料金については審議会の答申とわが党は別個の見解を持っておるものであります。しかし、このたびの政府の答申案の処理のしかたは、佐藤内閣の独善的な性格のあらわれとして見のがすことができません。
 以上の諸点について、総理大臣及び郵政大臣はどのように考えておられるか。特に諮問機関に対する考え方、答申の取り扱い方等について、政府の基本的な態度を御説明願いたいのであります。
 次に、今回の郵便料金の値上げについては、全く安易に企図されたものであるという印象が強いのであります。さきにも述べましたように、国民生活に重大な影響を及ぼす国営独占事業の料金値上げはあくまで慎重であるべきで、これが回避のためには最大の努力を尽くすべきであることは言うまでもありません。しかるに、今回の値上げ案決定の経緯を見ましても、事業運営の能率化、経営の合理化等について真剣な努力のあとが少しも見られないのであります。最近における事業の実情を見ても、窓口機関の配置や管理機構のあり方などについて相当に改善の余地があると認められておるにもかかわらず、これらに対する改善は一向に行なわれておりません。たとえば、窓口機関の設置を見ても、経営上矛盾の多い現行制度のままで年々八百に余る小局が惰性的に増資され、しかも、これらが予算単金の関係上、比較的緊急度の低い地域に配置されておるという実情であります。また、小局管理機能についても、集約によって経費の節約をはかることが可能と見られるのであります。
 今回政府から提案された郵便法の改正案を通覧いたしますと、料金について全面的に値上げがはかられておる一方、郵便物の形態による料金差等の設定、重量、容積の制限の強化、制裁的規定を新設するなど、実質的に郵便の利用条件の低下をもたらす改定が行なわれることになっておるにかかわらず、他面、サービスの向上と目されるものは、わずかに書き損じはがきの交換制度を設けた程度にすぎません。総じて利用者の負担強化一方の改正案と見ることができます。伝えられるところによれば、法律改正の暁においては、政府は、はがきを大型化するとか、あるいは一部の郵便物を航空機に搭載する措置を講ずるとか、いろいろ申されておりますが、かかる申しわけ的な措置をもってしては、法改正の見返りとしてはあまりにも不十分であります。
 今日、国民はひとしく郵便物送達の不安定に悩み、正確迅速な送達の確保を願望しております。郵便事業当面の最大の課題は、この国民の願望にこたえることであります。政府があくまでもこの郵便法改正案の成立を願うならば、この際郵便送達日時の標準を設定し、その完全実施を国民に公約し、国民に協力を求めるという決意が必要であると考えます。郵政大臣はかかる決意をお持ち合わせであるかいなか、公約ができるかどうか、明確に答弁を願いたいのであります。
 以上、政府提出の郵便法の一部を改正する法律案について、数点にわたり政府の見解を求めてまいりました。わが党はもとより本案には反対であります。政府が翻意して、本案を撤回されることが最善であると信じますので、政府がいさぎよくその措置をとられることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 二点についてお答えいたします。
 この内閣の本年の課題、私どもに課せられた課題は、物価を安定さすことと、同時に不況を克服することにある。これを機会あるごとに説いてまいりました。したがいまして、ただいま問題になっております物価については、真剣に私ども取り組んでおる。経済企画庁長官から大体の目標等については後ほど詳しく説明されることと思います。その点に立ちまして、公共料金の改正をする。もちろん、公共料金は、国民の消費者物価に及ぼす観点から、これを軽視してはなりません。したがいまして、公共料金の引き上げ等につきましては、できるだけその値幅を小さくする、同時にまた、その時期等につきましても考慮を払っておるのでありますが、最も私どもが考えなければならないことは、公共事業が果たす社会公共に対する責務の完全なる遂行ということであると思います。今回の料金改定をしなければ、この社会公共に対する責務の遂行上支障を来たすというのが私どもの最も心配しておる点であります。かような点から申しまして、今回の値上げはほんとうにやむを得ない措置である、かように思いますので、どうか御了承いただきたいと思います。
 第二の問題といたしまして、審議会その他政府の諮問機関、その意見、答申については、もちろん私ども尊重すること、これは法律で規定しておろうがおるまいが、そういうことなしにこれは尊重しなければならない。また、さような立場で政府は今日までまいっております。消費者米価の引き上げの場合におきましても、また鉄道運賃の改正に際しましても、これらの審議会の意見を十分尊重してまいっておるのであります。具体的な問題等につきまして、あるいはその答申と違うではないか、かようなお話もないではございませんが、そういう点があれば、それこそ行政機関がその責任において尊重しながらもこれを実施したのだ、かように御了承いただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣郡祐一君登壇〕
○国務大臣(郡祐一君) 栗原さんにお答えいたします。
 第一に、独立採算制の再検討ということをおっしゃいました。独立採算制をはたしてとっておるかどうかというようなお考えのようでありまするが、これは、特別会計法の第一条を見ましても、企業的に経営いたすものであるということをいうております。したがいまして、総括原価主義で価格をきめてまいる。そういたしますると、第三種郵便物等について社会的意義から若干低位に押えましたものを、他の種類においてこれをカバーいたすということは、総括原価主義からいうても当然なことだと思います。
 また、郵便貯金会計からの剰余金を使用できぬのかというようなお話がございました。郵便貯金会計は、申すまでもなく、国民の貯金による資金を安全に運用いたしまして、預金者に利益を還元いたさなければならないものであります。そうだといたしまするならば、現在考えておりまする窓口の機械化だとか、その他各般の預金者への御便宜は供与いたさなければ相なりませんけれども、現に剰余金はございますが、しかしながら、現地の経営費の増加等から見まして、必ずしも私はいまのような利ざやが得られるかどうか疑問だと思います。そうだといたしまするならば、郵便貯金会計からの繰り入れということは無理であり、また、御指摘のございました預託利率を引き上げられないかというお話がございましたが、現在六分五厘の預託利率でございまするから、現在の金利全体から申しまして、七分五厘にいたすということは、私はこれは無理なことだろうと考えるのであります。
 第二に、諮問の点がございました。この点は、おっしゃいますように、十二月に答申を受けまして、十一月の末に大体の料金の改定のことをきめたのでありまするが、この場合には、すでに十数回審議会は特別委員会を開きまして、料金の改定をせざるを得ないという報告を受けておりまして、よく審議会の意向に沿うていたしておるのでございます。したがいまして、近代化の点については一昨年の答申を、料金の点につきましては十分折衝をいたして昨年の審議会の答申を尊重しておる次第でございます。したがいまして、答申を尊重しながら、でき得る限り低位に押えた、こうした点を御了解いただきたいと思うのであります。
 次に、値上げ案決定をいたしたが、さらに合理化なり改善についてくふうはないかというお話でございます。結局、一番くふういたしますことは、やはり送達速度を安定するということだと思います。しかし、私は、大都市間には翌日配達は可能だと思いまするけれども、これはやはり、年度を追うてすべての設備を充実してまいって、そうして送達速度の安定をして国民の御期待に沿う、こうでなければ相ならぬと思います。そのために、本年度もすでに、先ほども航空機、自動車等の利用を申し上げました。しかし、こうしたことをさらに充実してまいることによって送達速度の安定をはかり得ると思います。
 御指摘の小局の管理機構につきましては、現在のままで私もよろしいとは思っておりません。小局の管理機構については種々検討をいたしたほうがよろしいと思いまするが、特定局、簡易局の増置につきましては、本年いたしましたような数を将来も増置する必要はないと思います。しかしながら、本年の特定局、簡易局の増置は、これは、要望のまことに強い、また、まことに国民に対して不便な点を改めるということであります。
 そのようにいたしまして、最後にお話しになりました送達の安定の問題でございまするが、これは何と申しましても独占事業の生命でありまするから、要員、物的の設備を十分確保いたしてまいりたいと思います。そうして、国民の十分な御理解によりまして郵便事業を完全に遂行いたす所存でございます。したがって、撤回する等の考えは全然ございません。(拍手)
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私に対する御質問は、第一問が、物価を押えられるかということ、第二間が、経済演説における反省というのはどういうことか、こういうことでございますが、逆に御答弁していったほうがおわかりいただけると思いますので、そういうふうにいたしますから、御了承願いたいと思います。
 経済演説におきまして私が反省しておると申したのは、今日経済が非常な不況であって、しかもその不況下におきまして物価が商い。そうして、その物価の高い中においてわれわれは公共料金を上げざるを得ないような事態になった。この事態に対しては、われわれやはり反省をして、どういうわけでこういう事態が起こったかということを考えていかなければならぬと思います。物価というものは、決して原因でなくて、政策の結果だと私は思います。したがって、過去にとられた政策について、どういう点からこういう問題が起こってきたかということを考え、将来再びこういうような事態を立ち起こさないように、できるだけわれわれは政策の上において十分な配意をしてまいらなければならぬ、こういうことを私考えておるのでございます。したがって、今後物価を安定させてまいりますことは、長期にわたって私ども必要でございますが、いま申したような見地に立って申しますと、今日の物価というものはやはり構造上の問題等々からきております。したがって、これをかなり個々にシラミつぶしに解決をしていかなければならぬという問題が政策の中であると思います。したがって、いま直ちにこれを抑えるということは相当困難なことでございまして、ある方は、賃金をストップしたらいいじゃないか、ある方は、公定価格制度をつくったらいいじゃないかと言われますけれども、これらのものは、私は、今日の事態、またわれわれが主張しております自由主義経済の中でとるべきものではないと思います。したがって、過去の反省から見た構造上の問題について十分な手を考え、そうして今後あやまちのない経済政策をやることによりまして、将来の物価安定をはかり、再び今日のような状態を政策面の結果として起こさないように努力していきたい、こう考えております。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 ただいま、郵便貯金の剰余金、また郵便貯金を高利回りに運用して、その余剰を今回の郵政事業特別会計の料率引き上げ停止のために使ったらどうだ、こういうお話でありますが、ただいま郵政大臣からお答えがあったとおりです。郵便貯金は郵便局を窓口といたしておるものですから、ちょっと混同を生じやすいのでありますが、郵便貯金と郵政事業とは全く別個の性格のものでありまして、この間において混同は許されないので断ります。
 また、租税をもってこれに充当すべしというお話でございますが、これにつきましては、先ほど金丸さんのお話にもお答え申し上げました。また郵政大臣からお話もありましたが、まあいろいろお考えもありましょう。ありましょうが、今日、郵便事業会計の収支が将来非常に暗い、しかもこれが人件費の重圧で非常に硬直化しておる、そういう状態を考えますときに、どうしても安定財源を与えなければならぬ。一昨の一般会計からの繰り入れでは、これは安定しないのです。そういうようなことを考えまして、利用者負担――今日われわれは減税もしなければならぬ。ただいまお話しのようなことをするとこの減税が減殺されることにもなるわけでありまして、一方においては利用者負担を願い、また、他方におきましては大幅な減税をして国民の負担を軽減する、かような考え方のほうが適切である、かように考えた次第でございます。(拍手)
○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
○副議長(園田直君) 内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案について、議院運営委員会の決定により、趣旨の説明を求めます。自治大臣永山忠則君。
  〔国務大臣永山忠則君登壇〕
○国務大臣(永山忠則君) 地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨と内容の概略を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正にあたりましては、住民負担の現状と地方財政の実情とを考慮して、個人の住民税、個人の事業税等について軽減するとともに、固定資産税及び都市計画税の負担の調整等をはかることを中心として、所要の改正を行なうこととしたのであります。
 次に、以下順を追って、その概要について御説明申し上げます。
 第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。
 まず、所得割りにつきましては、基礎控除及び扶養控除をそれぞれ一万円、専従者控除を青色申告者につき二万円、白色申告者につき一万円引き上げるとともに、配偶者控除を創設して八万円の控除を行なうことといたしました。これに伴い、道府県民税所得割りの税額控除の特例は廃止することとしております。
 なお、退職所得については、他の所得と区分し、退職時に課税することといたしました。
 次に、法人税割りにつきましては、法人税の税率の引き下げによる減収を回避するため、税率を調整することといたしました。
 第二は、事業税についてであります。
 個人の事業税につきましては、事業主控除を一万円、専従者控除を青色申告者につき二万円、白色申告者につき一万円引き上げることといたしました。
 第三は、娯楽施設利用税についてであります。
 ゴルフ場の標準税率を六百円に引き上げるとともに、その税収入額の六分の一をゴルフ場所在市町村に交付することといたしました。
 第四は、料理飲食等消費税についてであります。
 免税点を二割引き上げるとともに、旅館及び飲食店その他これに類する場所の一定の奉仕料は、課税標準から控除することといたしました。
 第五は、固定資産税についてであります。
 土地に対する税負担の均衡化を漸進的に確保するため、宅地等については昭和四十一年度から所要の調整措置を講ずることといたし、農地については現行の据え置き措置を当分の間延長することといたしました。
 また、土地の免税点を引き上げるほか、土地にかかる昭和四十二年度の固定資産税の評価については、原則として昭和三十九年度の価格に据え置くことといたしました。
 第六は、都市計画税についてであります。
 都市開発の促進に資するため、宅地等については、昭和四十一年度から三年度間所要の調整措置を講ずることといたし、農地については、現行の据え置き措置を当分の間延長することといたしました。
 以上のほか、不動産取得税、鉱区税、電気ガス税等について軽減合理化をはかるとともに、所要の規定の整備を行なっております。
 以上の地方税制の改正に伴い、昭和四十一年度におきましては二百五十七億円の減収となり、平年度におきましては五百十五億円の減収となるのであります。
 以上が、地方税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
     ――――◇―――――
 地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
○副議長(園田直君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。重盛寿治君。
  〔重盛寿治君登壇〕
○重盛寿治君 私は、日本社会党を代表して、ただいま政府が提案をしました地方税法の一部改正案について、若干の質問を行ない、あわせて今日の地方財政の危機について、政府は一体いかなる施策を持ってこの危機を打開せんとしておるのか、その基本的な考え方についてたださんとするものであります。(拍手)
 四十一年度の税制改正の特徴を見ますれば、第一に、七千三百億円の国債を含む合計二兆円をこえる公債発行が物語るごとく、わが国税財政の危機の深刻化という状況のもとにおいて税制が改正されるということであります。
 第二に、政府が広言するいわゆる大幅減税の内容は見かけ倒しであります。まず、政府発表による減税規模は、国税は平年度三千六十九億円、初年度二千五十八億円、地方税は平年度五百十五億円、初年度二百五十七億円で、国債発行に基づく大幅減税であると自画自賛をしておるのであるが、この減税額を改正前の税収総額と比較すると、わずかに六%ではありませんか。三十二年度のいわゆる一千億減税のときこれが八%であったのと比較してみれば、むしろ小規模減税であって、まさに羊頭狗肉であるといわなければならぬのであります。
 第三の特徴は、このような小幅減税の中において、特に大企業向けの特別措置だけは拡大されておることであります。すなわち、従来の減税が所得八、企業二の割合であったのに対し、今回は、所得減税一千四百六十五億円、企業減税一千五十五億円で、これに大企業に対する特別措置による優遇を含めれば、事実上は五対五になり、これではいわゆる所得税の減税をさしみのつまにして企業減税をはかったといっても過言ではなく、佐藤内閣の税財政は、いわゆる人間尊重ではなくして、大企業尊重の政治であるといわなければなりません。(拍手)
 このような佐藤内閣の姿勢は、政治の地方税財政対策にも如実にあらわれています。周知のごとく、地方財政は、昭和三十七年ごろを境にしまして非常に悪化の一途をたどってきたのであります。四十年度においては、深刻な不況の影響を受けて重大な歳入欠陥を生ずるに至っております。もしこのまま放置するならば、地方自治そのものが危険な状態に立ち至ってしまうことは明白であります。しかも、現在の地方財政の危機を、昭和二十九年、三十年をピークとする財政危機と比較すると、三十年当時は、農村地域の県や市町村ほど赤字が深刻であった。現在は、東京都をはじめ大都市及び人口二十万以上の都市ほど深刻な赤字に悩まされ、次第に中小市町村に波及しているのであります。特に、従来から政府、大蔵省によって富裕団体とみなされてきた東京都の場合について見ますと、三十九年度普通会計の赤字は約百三億円に及び、これは同年度の都道府県全体の赤字額の実に九割以上を占めておるのでありまして、いまや東京都は富裕都市ではございません。
 第二は、水道、交通などの地方公営企業と国民健康保険事業などの特別会計の赤字が非常に深刻になっておることであります。一体、政府は、このような地方財政の赤字の原因について、どのように理解され、みずからの政治責任について、いかなる認識をお持ちになっておられるのか、佐藤総理並びに永山自治大臣の所見をお聞きしたいのであります。
 これと関連して、この際伺っておきたいのは、いままで指摘してまいりました地方財政危機に対する政府の打開策の内容についてであります。予算委員会等における自治省の説明によると、歳入歳出、差し引き二千七百八十億円の財政不足が指摘されておるのであります。この財政不足をカバーするために、自治省は、まず地方交付税を当初は五・九%引き上げるべく主張したが、結果は、妥協して二・五%、すなわち五百八十六億、四十二年度からたばこ消費税の税率四・四%アップを含みとする臨時特例交付金新設により四面十四億、地方債二千八百九十五億円、四十年度に比べ七七・六%増という地方債、特別事業債の大増発等をやって、それでもなおかつ、非常な不足を来たすので、さらに固定資産税と都市計画税の増徴で百億、超過負担の一部是正の二百五十億、経費節約で百五十億を浮かすという方向を出しておる。
 これが一言に言って四十一年度の政府の地方税財政対策の骨子でありますが、そこで、私はお聞きしたいのは、第一に、四十一年度の地方債計画を見ると、四十年度当初四千八百四十九億に対し、四十一年度六千七百五億という巨額な地方債が発行されることになるのでありますが、国債発行による大企業への奉仕とインフレ政策の矛盾を、地方債の大増発という形で地方自治体にしわ寄せをしていくこの政府のやり方は、地方財政がますます借金に依存せざるを得ない結果を招き、将来大きな禍根を残すものといわなければならぬのであります。
 第二に、一千二百八十億円の地方特別事業債は、政府資金五百億、公募債七百八十億となっておるが、この公募債の市中消化は、国債と競合して、その消化がきわめて困難視されておるのであります。もし、市中消化が果たされなかった場合は、一体どうなる。地方自治体は、事業を切り捨てるか、あるいは一そうの赤字に追い込まれることになると思うが、これに対する政府の見解はどのような御見解になっておるのか。この点は特に福田大蔵大臣並びに永山自治大臣の答弁をお願いいたします。
 第三は、今日まで政府がとってきたところの地方税財政の基本的な姿勢についてであります。先般の予算委員会でわが党が追及いたしましたように、政府は、国民に対する約束を破って、固定資産税の増徴をはかろうとしています。これは、相次ぐ物価騰貴の中で住民への負担を一そう増大させようとする住民収奪の方向であり、全く国民を欺瞞したものといわなければなりません。この方向は、水道、交通などに対する政府の対策の中で、さらに露骨に示されておるのであります。政府の地方公営企業再建措置は、あくまでも独立採算制を維持し、料金値上げ等住民負担の増大と、労働者を犠牲にした企業合理化の徹底によって、財政危機を乗り越えようとしておるではありませんか。四十一年度の対策を見ても、再建債二百億円、そのうち六分五厘をこえる分についての利子補給費わずかに一億五千万円を計上しておるにすぎません。しかも、その見返りとして、料金値上げと労働者に対するきびしい合理化を押しつけようとしているなど、一体どこに公共性の姿があらわれておるのでありましょうか。
 政府は、この地方財政悪化の原因を直視し、みずからの責任を痛感し、地方税財政対策の大転換をはかる決意があるかどうか。特に地方公営企業の再建について、かねてわが党が主張してきた政策を受け入れて、抜本的な施策を講ずべきであると思うが、これらの点について、佐藤総理、福田大蔵大臣、永山自治大臣の所信を伺いたいのであります。
 第四に、自治省のいう百五十億円の経費節減の中身は何であるかということであります。従来の政府のやり方から見ますならば、経費節減に名をかりて、地方自治体に働く職員の賃金、特に旅費であるとか、超過勤務手当であるとかの削減をやる、期末手当の削減をやる、いわゆる労働条件の切り下げを行なうよう地方自治体に強制するのが慣例でありました。地方自治体に対する十分な財源の措置をせずにこのような対策をとることは、いたずらに住民と労働者へのしわ寄せを強めることになると考えませんか。経費節減に名をかりて労働条件の改悪はやらないと確約できますか。総理並びに自治大臣の責任ある答弁をお願いをしたいのであります。
 第五は、地方税法の改正の基本方向についてであります。すでに述べてきましたように、税制の改正は、国民福祉の向上、租税負担の軽減という方向でなされなければなりません。特に地方税法の改正にあたっては、今日の地方財政の赤字を招来した政府の責任を反省し、住民福祉の向上と地方自治を守るという認識がなければなりません。しかし、この改正案は、その態度のあらわれがどこにも出ていません。私は、少なくとも次の諸点がこの改正案の内容に盛り込まれなければならないと思います。
 第一は、地方自主財源を充実するために、国税と地方税の配分割合をこの際思い切って五対五にすべきであります。すなわち、所得税、法人税の一部、たばこ消費税等の税率引き上げによる地方移譲、揮発油税の移譲、地方道路譲与税の市町村配分、ゴルフ税の増税など、行政事務の再配分のもとで国税、地方税を通ずる税制改革が必要であります。
 第二は、大衆負担の軽減と大企業に対する特権的減免措置の改廃による地方税負担の公正化が必要であります。住民税、事業税、固定資産税、電気ガス税、料理飲食等消費税などについて、勤労者、農漁民、中小企業に対する減税を行ない、あわせて固定資産税及び電気ガス税の大企業向けの特別措置を改廃すべきであります。また、住民の税外負担の解消をはかることも考えなければなりません。
 第三は、地域格差を是正し、財政需要の実態に即応する税財源の付与を行なうべきであります。農漁業を主体とする自治体、産炭地の自治体などの低い行政水準、産業基盤の陥没、人口流出などの実態に対しては、地方交付税の傾斜配分を行ない、都市の人口と産業の流入による財政需要の増大に対しては、これをまかなうに足りる税財源の確保をはかるとともに、地方交付税配分基準を改めるべきであります。また、地方交付税率は三七%に引き上げ、これらの要請と歳入減補てんに充てるべきであります。
 第四は、国と地方の間の行政事務の再配分と、補助負担制度に抜本的な検討を加え、補助負担の対象、単位、数量等を実態に沿うように適正化し、国と地方、都道府県と市区町村の間の負担区分を明確にすべきであります。
 以上の点について、政府はこれを施策として実行に移す意思があるかいなか、佐藤総理、福田大蔵大臣、永山自治大臣の答弁を承りたいのであります。
 申し上げるまでもなく、今日の地方財政の深刻な危機は、憲法に保障された地方自治をじゅうりんし、地方自治体を、独占につながる自由民主党諸君の政府に直結せしめ、国の下請機関として高度成長政策に奉仕させてきたところに重大な原因があります。政府は、この責任を痛感せられ、わが党の地方自治政策を十二分に取り入れて、根本的な対策を講ずるよう要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 四十一年度の、国も、また地方の予算も、景気が思わしくありませんので、そういう意味の歳入減、地方税あるいは国税、同時にその主税等が思わしくありませんから、交付税もまた少ない。しかるに、片一方で公共事業費や社会保障費等の支出は非常に増高しております。いわば、歳入が思わしくなくて歳出は非常に多い、こういうことでございますから、四十一年度に対しましては、それぞれ交付税率を引き上げるとか、あるいは地方特例交付金を設けるとか、あるいは特別事業債を発行さすとか等々いたしまして、四十一年度予算のつじつまを合わせております。しかし、これは四十一年度としてさような状態をとったものでありますから、かような状態が長く続いてまいりますれば、これは地方財政として非常に危険な状態にあることは御指摘のとおりであります。したがいまして、税制調査会等におきましても、恒久的な独立財源、また、地方税の税収のあり方等についてくふうするということでありますので、長期にわたっての見通しとしては、私は別に心配はいたしません。できるだけ早目に独立した健全な財源を確保するようにいたしたい、かように思います。
 また、地方公共団体が行なっております公共事業等の現状におきましては、それぞれがみんな苦しい立場にあるようでございます。しかし、私は大局的にこれを見まして、やはり独立採算制でこれらの事業がその健全な運営をはかるべきだ、かように私は基本的には考えております。この点をお答えいたしておきます。
 その他の点につきましては、所管大臣からそれぞれ答弁いたすことにいたします。(拍手)
  〔国務大臣永山忠則君登壇〕
○国務大臣(永山忠則君) 大都市の財政も交付団体になりましたことはお説のとおりでございますので、交付税率の引き上げ等も、その観点から強力にこれが引き上げを進めたような次第でございます。
 なお、たばこの消費税を売り上げ本数に案分してこれを一般財源に恒久化しようということも、都市財政の確立のために努力をいたしておるのでございます。
 また、起債のワクに対しましては、旧来、公共事業で申しますれば四〇%ぐらいでございましたが、今度は九〇%から九五%ぐらいに引き上げております。教育関係もしかりでございまして、都市財政の確立のために力を入れねばならぬと考えておる次第でございます。
 なお、地方財政が巨額の借金で行き詰まるのではないかというように言われておるのでございますけれども、その借金の倍率からいえば心配するほどのものではございませんし、さらに、この借金は地方開発、また都市開発、さらには農漁山村、中小商工業者の力の育成強化に充てられるのでございますから、地方の経済力がよくなると考えますので、将来におきましては、この借金は再生産を見まして地方財政をむしろ安定せしめるものであると考えるのでございます。
 なお、この特別債の千二百億に対しましては、将来、政府がこれに対しまして財政的措置を考えることが考えられておるのでございます。
 さらに、公募債等市中消化の問題につきましては、政府と地方は一体観に立ちまして、地方の財務部あるいは財務局、あるいは日銀の支店、金融関係並びに地方団体が協議会をつくって、そうしてこれが消化に万全を期する体制をとっておるのであります。しかも、これは早期にこれが実現を来たすべく、いまそれらの準備を進めております。さらに、地方連絡協議会においても、これが消化方について努力をいたしておるような次第でございます。
 固定資産税の問題は、負担均衡の調整を目途とするものでございまして、さらに、都市計画税につきましては、都市の再開発に資するための税源措置としていたしておるのでございます。
 また、公営企業の関係につきましては、その公益性と受益者負担と、さらに経営の合理化の三者を総合運営いたしまして、健全なる経営をするという目途でございまして、断じて首切につながるものではない、経営がよくなることによってますます労働者の地位は向上いたすものであると確信を持っておる次第でございます。(拍手)
 さらに、経費の節減が五%になっておるのでございますが、国も五%節減をいたしておるのであります。地方がその財政を建て直そうとするならば、まず第一に、その主導者である、理事者である者が中心となりましてそうして合理化を推進し、効率化をはかるということは、何といっても、この地方財政確立の政治的姿勢でございます。(拍手)これをやることによりまして、安定したる地方財政が確立するものであると私は信じておるような次第でございます。
 さらにまた、地方の関係では、傾斜配分については格段の措置をいたす、あるいは辺地債等もこれを拡大いたすのみならず、人口が激減いたす点につきましては、激減緩和の措置をとりまして、そうして地方財政の安定をはかることに全力をあげておるような次第でございます。
 さらにまた、根本的に地方財政を確立するということはお説のとおりでございますので、事務の再配分と並行いたしまして、補助金の合理化、調整をいたしまして、そうして地方に財源の再配分をいたしまして、地方財政の確立に対しましては今後も一段と努力をいたす考えでございます。(拍手)
 社会党のお示しになりました諸案件に対しては、十分将来検討をさしていただきたいと考える次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。永山自治大臣からほとんど私の答うべきところをお済ませくださいましたので、ごく簡単に申し上げます。
 まず第一が、四十一年度の地方起債の総額が六千七百七億円で、これは過大ではないかということでございますが、昭和四十年度におきましても五千四百六十億であります。つまり、それに対しましてわずかに千二百五十億円の増額である。国は、昭和四十年度の当初予算に比べまして、七千三百億円の公債を発行する、こういうことになる。そうすると、それとの関連ということを考えますと、地方でも相当の起債が行なわれるべきところでありますが、先ほど自治大臣からお話がありましたように、中央におきましても特別措置を講じ、起債によることをなるべく抑制するというふうにいたしたわけですが、しかし、わずかに千二百五十億円の増加である。この経済情勢におきまして、そういうような措置にとどまりますこと、なお、地方財政における赤字は、四十一年度ではこれで七%になります。起債額は七%に相当いたしますが、戦前基準年次におきましては、二七%くらいの公債を出しておったわけです。そういうようなことに比べましても、まずまずというところかと、かように存じます。
 なお、千二百億円の特別債、これの消化ができなかったらどうするかというお話でございますが、政府は、こればかりじゃないのです。一兆三千数百億にのぼる各種の公募債、これをみんな消化しなければならぬという立場にあるわけでありますが、預金の伸びの状況もきわめて順調でありますので、地方債の消化につきましては、決して御迷惑はおかけいたしません、こういうことを申し上げておきます。(拍手)
 なお、地方財政の根本的な立て直しを考えておるかということでございますが、今日、地方財政が悪化しておる、これはそのとおりであります。しかし、その最大の原因は、今日の経済不況であります。この不況が回復されるにおきましては、地方財政も面目を一新すると思います。その状況を見まして根本的な各種の対策をとらなければならぬ、かように考えます。しかし、その中でも、公営企業につきましては、これは独立採算という企業が慢性的な赤字状態になろうとしておる、これは早急に手をつけなければならぬ。ただいま自治大臣からお話がありましたように、これはもう国民の世論であり、天下の声であるといっても差しつかえないと思うのです。政府もできる限り協力するという形においてその再建をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(園田直君) 門司亮君。
  〔門司亮君登壇〕
○門司亮君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました地方税法の一部を改正する法律案の内容その他について、総理並びに主として大蔵大臣にお伺いをしたいのであります。
 最初に総理にお伺いをしておきたいと思いますことは、総理は、かつてこの演壇から、国の政治と地方の政治とは車の両輪のごときであるということを言われたことを御記憶だと思います。これが両輪のように動くということについては、政治でありますから、それを裏づけする行政に対する財政の処置が十分でないと、両輪のようにうまく動かない。国は、御承知のように、本年度は七千三百億の借金をされて非常に窮屈のように見えますが、総体の予算の約八〇%は税金でまかなわれておることは御承知のことと思います。地方は、これとほとんど同じような四兆一千億の予算ではございますが、その中で、地方税でまかなっておりますものは、わずかに三八%であります。これでどうして車の両輪のように動くかということである。ことに、この一兆五千七百四十一億という地方税の総額と、給与その他の関係費と、同時に公債費を合わせてまいりますと、どういう数字になるかというと、給与の総額が一兆四千六百七十九億、ことし払わなければならない借金の元利の合計は千七百七十六億であります。これを加えますと、税金全部を集めましても、六百九十四億という、約七百億の赤字が出るのであります。これで一体どうして車の両輪のようにやっていけるかということである。私は、ほんとうに総理が車の両輪のようだというお考えがあるならば、この辺をどういうふうに是正されようとするのか、まずそのことを具体的にひとつお示しを願いたいと存ずるのでございます。
 そこで、こういうふうに、地方財政というのは、その税収でまかなう分が給与と借金を払えばなくなるような状態になっておりますときに、税収の面からこれを拾ってみますと、いろいろな問題があろうかと私は考える。
 そこで私は、率直に、きょうは税制面だけをひとつお尋ねをしておきたいと思いますが、ここで実は、国と地方との税財源に対する調整を行なうべき時期ではないかということを私は考えております。しかし、このことは、国の財政の非常に窮迫でありますときに、なかなか困難かとは思いますが、しかし、国の財政の中で地方に移譲のできる分がどのくらいあるかというようなこまかい数字は別にいたしまして、率直に、地方財政をまかなうために今日私どもが要求いたしておりますのは、予算委員会におけるわれわれの組み替え案の中にもありましたように、この際、たばこ消費税を、専売益金の金額を、これに移譲する必要がありはしないか。約千八百億くらいになろうかと思いますが、こういうものは地方の住民の嗜好品でありまして、これからくる税源というものが国に取り上げられるということは、地方住民の経済力と、さらに消費と、行政の関係から申し上げましても、当然これは地方に移譲すべき財源だと私は考えるが、これに対するお考えは一体どうなっているかということ。
 それから、もう一つの問題は、国の産業政策からまいりますいわゆる租税特別措置法によって、大企業、大産業が減税をされております分が、大体二千二百二十億円に達しておるでございましょう。今日、企業の公共性が非常にやかましくいわれております。あるいは社会性が唱えられております。企業の公共性とは、御存じのように、企業が成り立ちますには、地方の、いわゆる地域社会の行政上の恩恵と、行政上の保護を非常にたくさん受けなければ、今日の企業は成り立たぬのである。従業員がふえれば住宅の必要があり、あるいは子供の教育のための学校が必要になり、あるいは道路や橋梁というような、地方自治体の負担は非常に大きいのである。したがって、これらの地域社会に結びついております企業の公共性をわれわれが考えてまいりますと、国の産業政策で減税されることのよしあしは別にいたしまして、現在減税をいたしておりますから、それはそれといたしましても、その余波を地方の公共団体が受けなければならないという理由はどこにも見つからない。したがって、私は、この二千二百二十億の国の特別措置からくる、地方の受けております六百三十九億という地方税の減収は、ぜひこれは地方にひとつ振り当てていただくような法改正が必要ではないかということが考えられるのでございます。
 その次に問題になってまいりますのは、国有資産等の所在市町村交付金及び納付金に関します今日の問題を是正する必要がありはしないかということでございます。このことは地方税法の中で多少の問題があろうかと思いますが、税法の三百四十八条に、いろいろな国の施設については、これに税金をかけてはならないようなことが書いてある。しかし、今日の憲法の指向いたしておりまするものは、御承知のように、国と地方とは独立の一つの行政組織のような形で、いわゆる地方自治の本旨によって地方行政を行なえということを憲法は示しております。こういう観点から考えてまいりますると、国の所有するものでありましょうとも、いかなるものでございましょうとも、そのことのために地方の自治体が財政上の犠牲をしいられるということは、憲法のたてまえからいって、いささか問題がありはしないかと私は考える。こう考えてまいりますと、今日この対象になっておりまする国有資産、いわゆる国有貸し付け資産、あるいは公有貸し付け資産、さらに空港用の資産、あるいは国有林野の問題、さらに発電所あるいは変電所及び送電施設、これらの資産に対して今日税金がかかっておりませんが、これらにかりに地方税を――現在は、税金がかかっておらないかわりに、さっき申し上げましたような国有資産等に対する納付金、交付金というような制度を設けておりまするが、しかし、これは、実際の税額に照らしてまいりますると、大体半額しか交付金、納付金という形で納めていないのであります。そこで、これらの問題を全部現在の税制に当てはめてまいりますと、ここに大体二十八億余の税金が、いわゆる地方の財政が犠牲になっているという数字が明らかになってくる。
 さらに問題になってまいりますのは、日本専売公社であり、あるいは日本国有鉄道であり、日本電信電話公社というような、この国の一つの大きな仕事として行なっておりまするものに対しましても、これと同じような措置がとられておりまするから、これにかりに地方税法に示しておりまする税率をそのままかけてまいりますと、ここで大体二百億くらいの税財源があるはずでございます。こういう問題がどうして国と地方との間の財政調整の中で行なわれないかということである。
 さらに、私は、もう一つの問題として考えなければなりませんことは、日本住宅公団が所有いたしておりまするいわゆるアパート、貸し室に対しまする地方税の問題でございます。これは、法律によらないで、いわゆる地方税法の附則の第四十二項と四十四項及び自治省の通達によって、これの減税が五億六千三百万円行なわれておる。こういうことは、地方の自治体の中に住宅公団ができてまいりますると、先ほど申し上げましたように、地方の自治体には非常に大きな迷惑をかけておる。したがって、ここから固定資産税相当額を地方に納めさせるということは当然でなければならない。このことは、御承知のように、千葉県等におきましては、これは事実かどうかわかりませんが、新聞を通じて拝見いたしますと、公団を建てられると地方の自治体は非常に迷惑をするから、公団は建てないようにというようなことが千葉県でいわれておるということがございますが、こういうことからきておるのである。
 私は、こういう問題を考えていきますと、そうした問題による地方の自治体の減税されておりまする、あるいは減収になっておりまするものが約九百億にのぼろうかと存じます。これだけが当然地方の自治体に税収としてなければならないものが、政府の施策によって、大企業、大産業を擁護するというたてまえの上において地方自治体が犠牲になっているということは、何と申し上げましても、今日の地方の自治体の財政状況を見るときに、忍びがたいものといわなければなりません。(拍手)これに対して一体大蔵大臣はどうお考えになっているか、その点をこの際ひとつ明確にしておきたいと存ずるのでございます。
 もう一つの問題は、従来しばしば問題になってまいりました、一時は自治省において立案をいたした経過もございまするが、今日の消防に対しまする、いわゆる損保協会等に対しまする課税の問題でございます。これを消防施設税とかりに申し上げます。御承知のように、消防施設に対しましては年々かなり大きな額を地方の公共団体はつぎ込んでおります。そうして、出火を防ぐと同時に、あるいは延焼をこれで押えていく。一軒の家が延焼からのがれれば、のがれた本人は非常に幸福であると同時に、これによって利益を得るものは、いわゆる保険会社でございましょう。地方の自治体の財政上の大きな負担と住民の犠牲的働きによって、その利益が一保険会社に帰属するというようなことは考えられない。したがって、私は、先ほども申し上げましたように、企業の公益性から考えてまいりましても、これらの税金はどうしても徴収する必要があるのではないかということである。ところが、この問題はしばしば議論をされ、さっき申し上げましたように、自治省では一応立案はいたしてまいりましたが、大蔵省の強い反対でこれが実現していないというのが現状ではないかと考える。一体大蔵省はどうお考えになっているのか。一保険会社が大事なのか、地方の自治体の財政が大事なのか、この際はっきり理屈を通してもらいたい。このことを私は強く大蔵大臣に要求をいたしたいと存ずるのでございます。(拍手)
 こういう形で、今日の地方の税制を論じてまいりまする場合に、以上申し上げましたようなことは、決して国の財政に大きなひびが入るわけではございません。私は、国の財源をこっちに持ってこいというのは、たばこ消費税だけでありまして、ほかのものは全部行政措置でこれがまかなえるはずである。だといたしますならば、国も非常に苦しいからという言いわけでなくして、当然地方になければならない税財源は、ひとつ思い切って地方にこれを与えていただくようにするということが、この際最も好ましいことだと考えるが、これに対する総理並びに大蔵大臣の所見をお伺いいたしたいと思うのでございます。
 最後に、もう一つ税制で申し上げておきたいと思いますことは、先ほど自治大臣からお話のございました、固定資産税の土地に対する免税点を引き上げたというお話でございますが、土地に対する免税点を引き上げることも一つの方法であるかもしれない。しかしながら、今日この固定資産税そのものを十分に検討する必要がある。固定資産税は、御承知のように、土地と建物と償却資産という異なった三つの課税客体によって、これが一本で処理されておる。これは私は十分検討する必要がありはしないかということが一つであります。
 もう一つの問題は、その中の償却資産が、現実に、事業の用に供する機械器具すべてを総合して十五万円までが大体免税点になっておりますが、これは、今日、いかなる小規模の企業家といえども、あるいは農村に参りましても、くわ、かまから今日の耕うん機というようなものを全部集めてごらんなさい。中小企業のところに行って、リヤカーから自転車から全部集めてごらんなさい。大体十五万円くらいのものがなければ事業ができないのはあたりまえのことである。ところが、これに十五万円だけしか免税点をしないで、それ以上にかけておりますから、今日不況下に非常にあえいでおりまする中小企業や、あるいは収支のバランスのとれない農村に対しましては、いたずらに大きな税負担になっておるということが私は言えるかと存ずるのであります。
 私は、土地に対する免税点の引き上げよりも、むしろこうした実質的な税の改正を行なわれるということのほうが実利的であり、理論にも合うのではないかということを考えております。
 これ以上申し上げますことは、時間に制約を受けておりますので差し控えますが、この点についての御答弁をひとつ明確に要求いたしまして、私のきょうの質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 中央と地方自治体とは、これは車の両輪だ、こういうことを申しました。また、同時に、私どもが民主政治を育て上げていく上には、どうしても地方自治体が行政的にも財政的にも能力を持つことが必要だ、かように思います。かような観点に立ちまして、私どもの施策もそこに集中されております。いろいろ地方財源に適当なものを具体的に御提案がございましたが、これらのことについても、もちろん慎重に検討しなければなりませんけれども、ただいま地方交付税の税率を引き上げた、あるいは臨時特例交付金の制度を設けたとか、こういうようなことは、来年度の地方財政の窮乏に対処する、こういう意味で政府がとった施策でございます。その他におきましても、将来恒久的な立場に立って地方財源の独立、また健全的な財源を確保する、こういうことが税制調査会その他においても検討されておるところでございまして、政府におきましても、そういう点について今後とも一そう努力してまいるつもりであります。
 先ほど来御提案になりました個々の具体的な例、たとえば国有財産あるいは国有林野の貸し付けの問題であるとか、納付金制度をいかにすべきか等々の問題も、これらにおきまして十分検討していただきたい、かように私は思っております。
 その他の点につきましては、それぞれ所管大臣からお答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま、地方自主財源が非常に乏しいじゃないか、こういうお話でございますが、自主財源といいますか、地方税法による財源だけをとってみますると、これはもう少ない。お話しのとおりであります。しかしながら、さような形で地方財政の需要を全部充足する、これはまた非常な欠陥があるわけであります。つまり、地方自治団体ごとに格差を生ずる、こういう問題が出てきますので、政府といたしましては、交付税、譲与税、こういう制度をとりまして、格差の調整ということをとっておるわけでありまするが、交付税、譲与税を加えたものを自主財源だというふうに考えますると、相当程度の自主財源を持って地方財政は運営されている、かように考えるわけであります。
 また、たばこ消費税の全額を地方に移譲すべしというようなお話でございますが、これは全額ということはなかなか問題があろうかと思います。しかし、昭和四十一年度におきましては本数割りで移譲するということにいたした額があるわけでありまするが、これが消費税化につきましては四十二年度において考慮してみたい、かような考えを持っております。
 また、特別措置、つまり租税特別措置です。これが地方に不利に働いておるのではないかというような御意見でございますが、特別措置措置といって目のかたきのようにされておりますが、これは、そのうち千四、五百億円は零細貯蓄者に対する免税措置であります。四百億円は中小企業、いわれるところの大企業免税というのは約三百億円なんです。お話しのような状況ではないということを御了承願いたいのであります。
 なお、総理からお話がありましたが、国有財産所在の市町村納付金でありますとか、国鉄、専売の問題につきましては、今後の検討問題として慎重に取り上げてみたい、かように考えております。
 また、消防施設税を新設すべしという意見につきましては、これは、結局、火災保険会社に課税をせい、それを消防施設の財源にせい、こういうお話のようでございますが、結局これは火災保険の契約者の負担になってしまうのです。消防というような住民全体の利益をはかるために、一部の契約者に負担を課するということがはたして適当であるかどうかということは、よく考えなければならぬ問題である。私は、さような意味におきまして、消防施設税を採用する考えは持っておらないのでございます。(拍手)
○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        農 林 大 臣 坂田 英一君
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
        郵 政 大 臣 郡  祐一君
        労 働 大 臣 小平 久雄君
        建 設 大 臣 瀬戸山三男君
        自 治 大 臣 永山 忠則君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        郵政省郵政局長 長田 裕二君
        郵政省経理局長 浅野 賢澄君
        自治省財政局長 柴田  護君
        自治省税務局長 細郷 道一君
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