第052回国会 災害対策特別委員会 第6号
昭和四十一年九月二十六日(月曜日)
   午後一時三十三分開議
 出席委員
   委員長 日野 吉夫君
   理事 稻葉  修君 理事 渡辺 栄一君
      井出一太郎君    大竹 太郎君
      加藤 高藏君    倉石 忠雄君
      小島 徹三君    河本 敏夫君
      櫻内 義雄君    谷垣 專一君
      中山 榮一君    永山 忠則君
      藤本 孝雄君    星島 二郎君
      細田 吉藏君  早稻田柳右エ門君
      石田 宥全君    野口 忠夫君
      松平 忠久君    山花 秀雄君
 出席国務大臣
       国 務 大 臣 橋本登美三郎君
        国 務 大 臣 森   清君
 委員外の出席者
        総理府総務副長
        官       上村千一郎君
        総理府事務官
        (内閣総理大臣
        官房参事官)  上田 伯雄君
        総理府技官
        (科学技術庁研
        究調整局総合研
        究課長)    緒方 雅彦君
        総理府技官
        (科学技術庁国
        立防災科学技術
        センター所長) 寺田 一彦君
        大蔵事務官
        (主計官)   長岡  実君
        文部技官
        (管理局教育施
        設部長)    中尾 龍彦君
        厚生事務官
        (社会局長)  今村  譲君
        厚生事務官
        (社会局施設課
        長)      飯原 久弥君
        農林事務官
        (大臣官房参事
        官)      石田  茂君
        農 林 技 官
        (農地局建設部
        長)      小川 泰恵君
        農 林 技 官
        (農地局建設部
        災害復旧課長) 松井 芳明君
        農 林 技 官
        (林野庁指導部
        治山課長)   高桑 東作君
        通商産業事務官
        (中小企業庁計
        画部長)    本田 早苗君
        運 輸 技 官
        (気象庁予報部
        長)      今里  能君
        運 輸 技 官
        (気象庁観測部
        地震課長)   木村 耕三君
        建 設 技 官
        (河川局長)  古賀雷四郎君
        建 設 技 官
        (河川局防災課
        長)      坂井 秀正君
        建 設 技 官
        (道路局企画課
        長)      豊田 栄一君
        建設事務官
        (住宅局住宅総
        務課長)    角田 正経君
        建 設 技 官
        (住宅局住宅建
        設課長)    沢田 光英君
        建 設 技 官
        (国土地理院測
        地部長)    原田 美道君
        自治事務官
        (財政局財政課
        長)      首藤  堯君
        消防庁次長   川合  武君
    ―――――――――――――
九月二十六日
 委員壽原正一君、田村良平君、舘林三喜男君、
 中川一郎君、湊徹郎君、森下元晴君及び中澤茂
 一君辞任につき、その補欠として加藤高藏君、
 小島徹三君、河本敏夫君、永山忠則君、星島二
 郎君、早稻田柳右エ門君及び野口忠夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員加藤高藏君、小島徹三君、河本敏夫君、永
 山忠則君、星島二郎君、早稻田柳右エ門君及び
 野口忠夫君辞任につき、その補欠として壽原正
 一君、田村良平君、舘林三喜男君、中川一郎
 君、湊徹郎君、森下元晴君及び中澤茂一君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 台風第二十四号及び第二十六号による災害対策
 長野県松代町周辺の地震による災害対策
     ――――◇―――――
○日野委員長 これより会議を開きます。
 災害に関する件について調査を進めます。
 まず、先般の台風二十四号及び第二十六号による被害状況等につきまして政府当局から説明を聴取いたします。森総務長官。
○森国務大臣 委員の皆さん方には、私、総務長官となりましてから初めてだと思います。この際、ごあいさつを申し上げたいと思います。
 私、先般の内閣改造によりまして総務長官となり、そして防災関係の仕事を担当することになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、台風第二十四号、第二十六号の災害による被害状況と政府のとった措置について御説明申し上げます。
 九月二十四日から二十五日にかけて本土を縦断いたしました台風第二十六号と、それと前後いたしまして西日本を襲った台風第二十四号の被害状況と、それに対してとった政府の措置につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 今回の災害は、台風の進行に伴う強風と波浪、また局地的な集中豪雨により、台風の進路に当たった静岡県、山梨県、埼玉県、群馬県、宮城県、福島県をはじめとして、全国各地に被害をもたらしたものであります。
 これらの台風による被害の状況は、九月二十六日午前九時現在の警察庁調べによりますと、全国三十六都道府県を合わせまして、死者、行くえ不明者三百九名、負傷者七百十一名、家屋の全壊、流失二千百二十九棟、家屋の半壊七千九十六棟、床上浸水七千七百十二棟、床下浸水四万五百九棟、罹災者は、一万七千六百七世帯、六万七千七百八十九名となっております。
 施設関係被害額につきましては、関係各省において現在鋭意調査中であります。
 災害救助法発動につきましては、群馬、埼玉、静岡、宮城、山梨の各県で合計四十二市町村に現在のところ適用されております。
 政府は、二十六日十時三十分より関係各省庁局長クラスによる連絡会議を開き、また、十一時三十分より関係閣僚が出席して対策を協議いたしました結果、本日、災害対策基本法第二十四条に基づき、私を本部長とする非常災害対策本部を総理府に設け、緊急に必要な応急対策を強力に推進することといたしました。また、明二十七日には被災地に政府調査団を派遣することを決定いたしました。まず、山梨県には私が団長となり、その他にも、静岡県に澁谷直藏建設政務次官を、また群馬、埼玉両県には松山千惠子厚生政務次官を団長とし、関係各省庁の担当官七、八名よりなる政府調査団を編成し、被害地域の状況を視察するとともに、現地における対策の状況、要望等を聴取し、あわせて被災者をお見舞いいたすことにいたしました。本部といたしましては、これらの各調査団の調査結果により必要な応急措置を実施してまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
○日野委員長 次に、長野県松代町周辺の地震による災害対策につきまして調査を進めます。
 まず、最近の被害状況等につきまして政府当局から説明を聴取いたします。橋本建設大臣。
○橋本国務大臣 ただいま森総務長官から二十四号並びに二十六号台風に対する被害状況の概要を御報告申し上げましたが、今回の疾風迅雷のごとくやってまいりました特に二十六号台風によって死者、行くえ不明合わせて三百十数名、負傷者七百余名を出しましたこと、災害に当たられました方々に対して深く弔意を表する次第であります。
 もちろん、この原因等について政府並びに県当局と十分なる連絡をとりつつ調べておりますが、大体報道せられるように、山津波あるいは台風による家屋の破壊等によって災害が起こっておるわけであります。もちろん、建設関係から申しますと、従来ともいわゆる上流地区における防災はできるだけ予算の配分を得て措置いたしてまいりましたが、近時におきますところのいわゆる集中豪雨というものはどこへやってくるか非常に検討しにくい。いわゆる富士五湖といっておりますが、あの地域における風水害は、従来は比較的少なかったのであります。今回は、二十六号台風があの付近を通過し、また、大きな集中豪雨を来たしましたために、非常に富士山麓関係は特殊な土壌であることその他の事情からして、たいへんな災害が起きたわけであって、心から被害者に対してはお悔みを申し上げ、政府としては、先ほど申し上げましたように、直ちに非常災害対策本部を設置して急速なる対策を講ずる方針でまいっております。
 これを建設省関係から見ますと、いわゆる建設関係の土木災害は、人々に対してそれほどのたいへんな死者もしくは負傷者を出したにかかわらず、土木関係の災害は比較的少なくて済んでおります。少なくと言ったところで相当なものでありまするが、そうした人命損傷から考えれば比較的に少ない状態であります。直轄災害から申しますと、河川が四十七ヵ所で三億二千百万円、道路が十七ヵ所こわれまして四千二百二十万円、海岸が一ヵ所で七千二百万円、直轄関係はいわゆる破損個所六十五ヵ所で合わせて四億三千五百二十万円、ただ、最近、これは今回の台風のみならず、近時集中豪雨を伴った災害では直轄災害よりは補助災害が非常に多く、今回の場合も補助災害は全体で二千七十五ヵ所ありまして、その金額も四十四億五千八百万円というぐあいに、直轄一に対して十の割合いになっております。この点はやはり従来ともに中小河川、補助河川あるいは地方道に対して予算の上においても十分にやってまいったつもりではありまするが、全体の面から見ればなかなかそうはまいらないということのために、不十分であることはこれを認めざるを得ません。そういう意味から考えましても、来年度の予算におきましては、中小河川、補助河川あるいは地方道等については積極的な予算をつけてまいりたい、かように考えて目下予算的な措置を検討中であります。いずれ事務当局からもこまかい点の災害報告は申し上げてもよろしいかと思いまするが、本日は私に対する御質問が松代地震に対するお話でありますので、それについてごあいさつを申し上げます。
 私、建設大臣になりまして、従来この松代付近地震対策連絡協議会の会長は建設大臣がやっております関係上、建設大臣が交代いたしましたので、私がその推進役、対策協議会会長を引き受けることに相なったわけでありまして、今後ともに皆さんの御支持、御協力によって最善の措置をいたしたいと、かように考えております。
 実は私、松代地震がひどくなりましてから一年二、三ヵ月になりますが、当時私官房長官のときに、このような頻発する、群発といいますか、いわゆる地震、しかも強度が四あるいは五、こういうような地震が頻発的に起きるということに対して、もちろんこれは地元における災害は目に見えて増大をしてまいっておったわけでありますが、しかし、今日の立法からいたしますと、これを直ちに災害扱いができなかったのでありまするが、皆さんとも御協議申し上げ、また各方面の意見も聞き、いわゆる災害と同じような考え方でこれに当たるべきであろう、こういうことからして、私が官房長官のときに、関係各大臣に集まってもらいまして、そこで松代付近の地震に対する基本的な考え方、これは一種の災害とみなして措置を行なおう、こういうことで、御承知のように、あるいはプレハブ教室を増設する、あるいは地割れ等起きました際に特殊な措置を講ずる、あるいはまた、中小企業がこれがために大きな影響を受けておりますので、これに対して特別な率をもって金融の措置を講ずるとか、あるいは消防等に対しても格段の措置を講ずる等やってまいったのであります。最近になりまして御承知のようにかなり大きな地すべりが起きまして、あるいは一時は、地震がまあまあ落ちつくのではないかという空気もあったのでありましたが、それから間もなくして地震の地域も拡大され、しかも震度も相当高いものが起きつつあって、せんだって御承知のような地すべりが起きたわけであります。そこで私たち非常に心配いたしますのは、このような地震が今後――もちろん、これはわれわれ人知をもって、あるいは地震学をもってしてもなかなか予知はむずかしいようであります。必ずいつごろ大きなものが起きるんだ、こうも言い切れない。しかしながら、相当心配すべき状況であるということも事実である。そういうことからして、予防対策といいますか、事前対策は何をやるべきかということ、もちろん、これは学術的には科学技術庁をして深度ボーリング調査を進める、この点につきましては科学技術庁にも私からお願いをして、従来やってまいった深度調査を今後も続けてやってもらいたいということによって、学術的なある程度の根拠を得ることができるだろうと思うのですが、頻発地震あるいは地すべり等によって起きましたそれ自体の復旧は、これはもちろん当然関係各省において、法の命ずるところ、また行政措置として行なえるのでありますから、最善の措置を講じてこれが対策を行なっております。それよりもやはり私たちが心配になるのは、今後、万が一にもそういうことはないことをわれわれは希望するのでありますけれども、万が一にも大きな地震が起きました場合に、そういう人を事前にあるいはそのときに収容し得るような住居といいますか、そういうものを考えなければいかぬのではないだろうか。実はいわゆるプレハブ教室といいますか、仮設教室といいましょうか、これは大体あの付近の全体の一割ぐらいを一億数千万円をもって老朽校舎の生徒はそこに入れるような措置を講じております。老朽校舎に対してはそうでありますけれども、これからもっと積極的に調査をして、なおそれらに該当するものも考慮に入れ、かつまた、万が一の場合には臨時に収容し得る、こういう意味でも、何かそういうものが積極的に必要ではないだろうか、こういうことで、せんだって来具体的な対策等の検討を目下進めておるような状態でありまして、せんだって澁谷政務次官が調査班の班長として現地に参りまして、種々希望をお聞きいたし、かつまた、こちらの考えておることをも打ち合わせいたしまして、県当局並びに市町村当局と十分なる打ち合わせの上、最善の道を講じていく、かようなことで、いろいろ措置を講じてまいりたい所存でおるわけであります。しかしながら、先ほど申しましたように、何といいましても、予知することのできないものであるのみならず、あまり事を大げさにすることによって不安を増大せしめるということもどうであろうかということも心配になります。しかし、まあ用心にしくはないのでありますから、できるだけ事前措置というものを検討を加えてまいりたい、かように考えておる次第でありまして、皆さんの十分な御注意によりまして、あるいはありがたい御意見があれば十分これを尊重し、その事において最善の措置を講じてまいりたい、かように考えておる次第であります。どうか今後とも御支援、御協力あらんことを心からお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
○日野委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。櫻内義雄君。
○櫻内委員 私はたまたま一昨日から昨日にかけまして静岡県下の吉原市、富士市方面におりましたので、その実情につき、また関係者からの種々強い要望もございましたので、この際、今度本部長になられました森総務長官、また橋本建設大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。
 その第一は、ジェット台風といわれただけに、今回の台風に際して、静岡県下、少なくとも私がおりました吉原市、富士市についての警戒体制というものは十分でなかったと思うのであります。その原因は、気象庁の警報は出ておったのかもしれませんが、それが徹底をしておらなかったうらみがございます。
 実情を申し上げますと、吉原市で午後十時十五分ごろまで私は座談会に出席をしておりましたが、その際、その地の消防団の関係者あるいは市会議員の方々など御出席でございまして、私のほうから、どうもこれは台風が近いのではないか、こう申し上げましたが、これといって十分なる警戒体制に入っておらないように見受けたのであります。私どもも別段今度これだけの被害を起こした台風が来るものとは思わず、吉原市から富士市の宿へ帰りまして、たまたまテレビのスイッチを入れましたところが、これからの番組を変えて台風についてのいろいろ報道をしたい、こういうことで、間もなく、ちょうど十一時でございますから、一時間足らずで静岡県下、吉原市や富士市のほうに台風が来るのだということで、非常に驚いたわけでございます。
 なお、今度の台風の模様について、静岡県ではそれほどの雨量ではなかったと思うのであります。このジェット台風、二十六号台風が静岡県に上がってそうして山梨県へ向かう、その山梨県へ入ってから非常な集中豪雨をもたらしておると思うのでありますが、台風がこういうようなコースをとった場合に、山間部に入って集中豪雨が起こるというようなことは、専門家ならば大体の予想がつくのではなかったかと、その後思われていたし方がないのであります。
 なおまた、この台風の際がちょうど満潮時に当たったわけでございます。したがって、富士市、吉原市における顕著なる被害、これは後ほど建設大臣にお聞きしたいと思うのでありますが、これは満潮時と台風の上陸とがぶつかって、そのために非常なる災害を起こしたと思うのでありますが、遺憾ながら、当時の状況を考えまするに、この満潮時に備えての警戒体制はなかったように思うのであります。
 これらの点につきまして、本部長とされまして、さっそく現地にもおいでだということでございますから、山梨県や静岡県の諸情報を十分おとり願いまして、今後、もし警報が非常におくれたとかあるいは警戒体制が十分でなかったために思わぬ災害を起こしておったというようなことがかりそめにもあったといたしますならば、まことに遺憾に思いますので、この点を十分御調査をちょうだいしたいと思うのであります。本部長のほうにただいま私の御指摘申し上げた諸点について何かお聞き及びの点があれば、この際お漏らしをいただきたいと思います。
○森国務大臣 いま櫻内さんが申されましたように、今度の災害につきましては、私も実は東京を離れておりましたけれども、まことに寝耳に水というようなそういう衝撃を受けたわけであります。しかし、気象庁としては、風雨あるいは波浪注意報、そういうふうなものは事前に出してあった、しかしながら、二十四号と二十六号が交錯してやってきた、こういうことが非常に警戒体制をおろそかにした最大の原因になっていると思います。かてて加えて、その速度があまりにも予想以上に速かったということ、あるいは、いままでの災害におきまして、災害が来ることを予想されたものが幸いにもそれがそれたり、あるいは準備したところに非常に風速が弱まったり雨量が弱まったりするようなことがあって、私は、二十四号、二十六号が相次いでやってきたこの災害に対しましては、これを迎え撃つ体制もいささか劣るものがあったのではないか、こういう感じがしてなりません。ただし、私は昨日急速出先から帰ってまいりまして関係各省に連絡をとりました結果、十分なる注意はしてあったはずだ、こういうふうな報告を受けておる次第であります。
○櫻内委員 私は思いまするに、今回の二十六号、二十四号台風のコースを通っておる従来の台風の状況からいたしますと、今回のようなことが予想できたのではないか、こう思うのであります。したがいまして、この点は本部長として気象庁に対し十分御注意を願いたいと思うのであります。
 次に、建設大臣に承りたいのでありますが、今回の災害地で富士市の三四軒屋というところがあります。ここで海岸堤防が三百メートル崩壊しております。三分の二くらいが全壊、三分の一くらいが若干面影を残しておるのでありますが、この堤防の決壊地――これは防潮堤だと思います。海岸の堤防でございます。ここへ参りましたところが、非常に地域住民の感情が高まっておる。その高まっておる原因というのは、富士川の河口にある場所でございまして、従来、富士川の砂利採取について、少し採取が過ぎるのではないか、そのために潮流の変化が起きまして、この三四軒屋というところの堤防がその基礎を非常に食われておる、危険であるということから、建設省に対してこの砂利採取について考慮をしてもらいたいということを強く願い出ておったそうであります。たまたま不幸にしてこの住民の予測が当たりまして、その結果この堤防が破壊した、こういうことから、私ども参りましたときに、部落会長の方々のお話というものは非常にけわしいものがあったのであります。この堤防の復旧についての応急措置につきましては、テトラポットなどをほうり込む方法があろうかと思いますが、それらにつきましては、住民の安心するように早急の措置をとっていただきたいと思います。この砂利採取についても、富士川が一級河川として大臣の管轄にあるのでございますから、十分御検討いただきまして、今後かかる問題の起きないように措置を講じていただきたいと思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
○橋本国務大臣 実は私建設大臣になりましてから台風がちょいちょいあったわけでありますが、そこで、新潟風水害――私がなる前でありましたけれども、あの風水害の現状をあとで参りましていろいろの点から考えまして、森長官等とも打ち合わせをしまして、従来なかったことでありますけれども、台風警報が出たら事前に連絡会議を持とう、いわゆる災害が起きてから協議をしたのでは間に合わない、やはり事前に、台風が発生しそれが近づくという状態があったときは、災害が起きる起きないは別にして、直ちに関係各省で協議を進めてそして対策を処置し、あるいはその地点には前もって人を派遣して準備をしよう、こういう方針を定めまして、従来その方針でやってまいりまして、今度の二十六号は別としまして、その前の二十号、二十二号、その他たいした災害もなく済んだことを喜んであったわけでありましたが、今度は裏をかかれましてやられたわけであります。今度の二十六号台風は、専門的にはいずれ関係のほうから御説明申し上げる機会があると思いますが、気象庁の観測をも上回って非常に速いスピードで北上してきたということが一つの原因ですが、それともう一つ、やはりところどころに集中豪雨を伴っておったということであります。先ほど櫻内さんがおっしゃるように、この三四軒屋海岸がちょうど満潮時に当たっておったのも一つの原因でありますが、相当集中豪雨を伴っておりまして、災害の起きましたたとえば山梨県の身延におきましては三百二十一ミリの雨が降っております。それから静岡県の梅ヶ島、ここは二百四十六ミリの雨が降っております。静岡県の静岡市でも二百十二ミリ、やはり相当大きな雨が降っております。これは二十四号関係と両方でありますが、愛媛県の久万、ここでは四百ミリをこえる雨が降っている。大分では二百八十四ミリ、あるいは宮崎県の東郷、ここでは三百ミリをこえる雨が降っておるというぐあいに、かなり風があってスピードがあったにかかわらず、二十六号台風は雨を伴っておった。これががけくずれその他山津波を起こした一つの原因でもあります。三四軒屋の海岸、いわゆる堤防については、いまお話のあったような問題もあろうと思います。これは河川局長が出ておりますから、詳しくは河川局長のほうから報告させたいと思っておりますが、最近日本の建築その他コンクリートの要請というものが非常に盛んであります関係から、道路関係にも使いますが、砂利が非常に不足しておる。建設省としては、これがためにほんとうは砂利公団のようなものをつくって、もっと統制ある措置を講じたいくらいに考えておるわけでありますが、いろいろの都合上公団をつくることは困難でありますので、一種の砂利対策協議会のようなものをつくって、そこで合理的な調整をはかってまいりたい、かように考えておるのです。おそらく富士川においてもいまおっしゃったような事実もあろうと思いますが、それは事務当局から説明をいたすにいたしましても、これが復旧につきましては、もちろん、今後二度とそのような災害が起こらないような、改良費を加えた十分なる復旧を行ないたい、かように考えて、善処方を私から関係当局に指示をいたしております。今後二度とこのようなことのないようにいたしたい、かように考えております。
○森国務大臣 実は今度の二十四号、二十六号台風で被害を受けました中に、静岡県の梅ヶ島というところがございまして、孤立状態になっておりました。昨日来自衛隊を各所に派遣して非常に目ざましい活躍をしてもらっておるのですが、この梅ヶ島に対しましても今朝来四十八名の自衛隊員を派遣いたしました。ところが、途中至るところに道路の決壊等がございまして、目的地に到達するのを危ぶまれたような状態でありましたが、ただいまの連絡によりますと、十時三十分に現場に到着したそうであります。そこで、なおこれだけでは人数が少ないので、百九名の後続部隊をいま派遣するように手配しております。この点御報告しておきます。
○櫻内委員 河川局長から、もしただいまの崩壊地についての情報が入っておれば承りたいと思いますが、これは後ほどお願いをいたすことにいたします。
 実はただいま建設大臣は、災害に対しては事前の対策が必要である、こういうお話で、非常に意を強うしたわけであります。三四軒屋の場合におきましても、地元住民がその事前の対策を強く要望しておったのが、十分それに対する施策が行なわれなかったということがどうも原因しておるように思われますので、大臣のおことばどおりにひとつ今後の対策を講じていただきたいと思います。
 吉原市の元吉原、ここで十三名が高潮にのまれて死亡いたしまして、六十数名の負傷者を出したのであります。その現地をつぶさに見てまいりましたが、まことに言語に絶する状況でございました。ところが、この地点におきましても、いま大臣の言われました事前の対策が日ごろ要望されておったのに、それがされなかったためにこういう大きな被害が出たのではないかというような気持ちが、付近の住民の方々に横溢しておるのであります。それというのは、防潮堤が波返しがうまくいっておらないのであります。潮流の変化のために、彎曲しておるべきところが全部砂で埋められておる。だから、むしろその埋まっておる砂を利用して潮が防潮堤を越えやすくしておるのじゃないか、こういうふうに見られるような状況にあるわけであります。波返しが全く作用しておらない。もちろん、非常な高潮が参ったのでございますから、今回の場合あの高さではどうか、こう思われます。たしか付近の方々のお話では八メートルの高さということで、そう低いものではないと思うのでございますが、しかし、満潮時にぶつかっての台風の上陸でございましたから、それよりも非常に高い波が参ったものと思うのであります。しかし、その付近の方々から言われますことは、この砂を取ってくれというのに、それを取ってくれなかったからこういう被害が起きたのだというようなことでありますので、大臣におかれましては、先ほど言われたとおりに、今後全国の災害の予想されるようなところに対しては事前の施策を十分していただくように、ここに強く要望いたしたいと思うのであります。
 吉原市の元吉原の状況、また、先ほどの三四軒屋の問題について、建設省の局長のほうで何か資料等報告がございますれば、承りたいと思います。
○古賀説明員 お答えいたします。
 静岡県へのいわゆる二十六号台風に基づく高潮、豪雨に対する警戒体制の指示につきましては、二十四日午前に災害予防連絡協議会を開きまして、その後直ちに指示いたしました。ただ、現地でさような警戒体制がとられていなかったということになりますと非常に問題がありますので、今後そういう点については十分現地の状況を聞きまして検討してまいりたいというふうに考えております。
 それから吉原市の波返しがうまくいってないのは、砂で埋まっていたからじゃないかという御質問でございますが、確かにお話しのとおりに、砂で埋まっておったような形勢のようでございます。まだ現地で十分調査いたしておりませんので、どういうかっこうで波がいきましてとうとい人命を失ったか、そういう点については調査してまいりたいと思いますが、波返しが十分にきかないような状況になっているということは非常に遺憾なことでございますので、これもさっそく連絡いたしまして処置させるようにしたいと考えております。
 それから三四軒屋の状況につきましては、先ほど大臣からお話がありましたように、砂利採取につきましては、十分われわれも注意して、規制区域並びに採取禁止区域等を設けましてやっておりますが、現地につきましてどういう事情になっていたのか、その辺詳しく把握いたしておりませんので、御指摘にもありましたし、調査して対策を講じたいと考えております。
 以上、御報告いたします。
○櫻内委員 最後に、これはただ単に静岡県の問題ではなくして、ぜひ本部長や建設大臣に御考慮をわずらわしたいことがございます。それは、この二十六号台風によりまして由比付近でトラックが転倒したということでございます。その結果、国道一号は、私は昨日午後三時に沼津の駅から汽車に乗って東京に向かったのでありますが、そのころまで非常な混乱をしたのであります。たまたま見かけまするに、行動に入っております自衛隊ですら、えんえんと長蛇の列をなしておるその車の中にはさまれて、身動きもできないという状況でございました。あの国道一号の幅員がどの程度か私存じません。たぶん三十メートルはないと思うのでありますが、この国道でトラックが転倒しておるということだけで非常な交通の混乱を起こして輸送がとまってしまう、もちろん鉄道のほうもとまっておる、こういう実情をまのあたり見ましたときに、このような幹線がトラックの転倒程度で麻痺状態になる、そしてそれにかわるべき輸送のルートというものがほとんどない。山梨県境のほうに芝川町というのがございますが、そのほうにも参りました。それは二時ごろでございましたが、町長さんが、ようやくこの方面に来る車がとまりました、たぶん国道一号が通るようになったのじゃないでしょうか、こういうようなことを言っておられましたが、国道一号が麻痺状態になった、それにかわるべき適当なルートがあらかじめ考えられていなかったといたしますと、これは非常に重大なことだと思うのであります。東京都に入る幾つかの幹線道路、これが災害でとまったというならばけっこうでございますが、今度の由比のトラック転倒で考えましたが、人為的なちょっとしたことでああいう麻痺状態を起こさせるのだというようなことをまのあたりに見まして、これについての対策というものはよほどお考えを願わなければならないと思ったのであります。今回の御調査の際には、こういう点にぜひ触れて御考慮をわずらわしたいと思います。
 なおまた、このたびの警戒体制が十分でなかったということは、昨日の午後三時現在被災地を離れます際に、いまだに電灯が復活しておらない。普通でありますならば、夜間、電力会社は災害本部を設けて詰めておったであろうと思うのでありますが、電灯は私がおる間ずっととまっておりました。その結果、かりに井戸水を使っておるところでも、動力式でありますならば水がぐあいが悪いとか、たまたま食事をしましたところで、電力がとまっておるので冷蔵庫が役に立たず非常に困っておるとか、またホテルなどで、動力がとまっているために水が出ないとか、台風が通ってしまってから約十二時間たっても電力が復活しないということから、非常にこまかいいろいろな問題を起こしておるのを見てきたのであります。これらの点も十分念頭に置かれてひとつ今後の対策をお願いいたしたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。
○日野委員長 次に、松平忠久君。
○松平委員 さっき櫻内先生からもお話がありましたが、それに関連しまして松代地震のことで御質問申し上げたいと思うのです。
 先般松代町の牧内地区で地すべりを起こしたことは御承知のとおりであります。ところが、幸いにして一名も人命の損傷がなかったわけであります。不幸中の幸いといわなければなりませんが、どうしてそういう不幸中のいわゆる幸いが起きたかと申しますと、実は東大の森本教授、中村助教授、こういう方々が、ほとんど月のうちの十日くらいはあの松代地区に行きまして、いろいろ山の地すべり地帯のこと、それが地震に関係があるということで、山を調査していただいておったわけでありますが、たまたま長雨のあのときに、夜、森本教授と中村助教授は心配でたまらないので山へ登りまして、そこで地割れの模様を検査し、しかも夜でありますから、なかなかこれは測量等もむずかしいけれども、懐中電灯を持って森本教授と中村助教授が現場において雨の中を調査しまして、一時間にどの程度地すべりが起こるかという資料を専門的に整えて、これは十七時間後には必ず地すべりが起きる、こういう判断のもとに、夜、松代町の町長のところに行って、避難命令を出していただきたいというので、町長がその教授並びに助教授のアドバイスによりまして避難命令を出したわけでございます。したがって、夜のうちに町の役場の職員が各個々の農家を訪れまして、さっそく今晩じゅうに避難をしてくれ、避難先はあっせんもするし、親戚縁者などのあるところはそこへ行けということで、取るものも取りあえず避難をさしたのであります。そしてその翌日午前中に行って身の回り品その他のものを持ち運んでくるということにしておる間に、ずっともう地すべりが発生してそして埋まってしまった。しかもそのときは地すべりの上に東大の助教授も新聞社の方々も五、六人おったのであります。これはあぶないというので、中村助教授が、地すべりのときにはこっちの方向へ逃げるんだと言って新聞記者にも指示をして安全地帯に逃げたので、生命には何らの異常もなかったわけであります。こういうことを考えますと、松代地区のみならず、日本至るところに地すべり地帯はあるわけであります。その地すべり地帯で人家、人命に影響のないところはさほどでもないと思います。しかしながら、日本の傾斜地には非常に村落も多いわけであって、かつての地すべりのあった地帯というものも残っておる。そういうところがずいぶんあるわけであります。そういうところに地震が起きたりあるいは台風が来たりするということになると、ずっと山津波が出てくる、こういうことになるのじゃなかろうか、こういうふうに考えられるわけであります。そこで、松代地区としましてはそういう地帯が至るところにあるということで、警戒体制に入るという場合においても、しろうとでは、一体この地すべりは、はたしていわゆる動く地すべり地帯であるか、あるいは過去のものであるかということがよくわかりません。そういうことで、警防団その他に大学の先生等が基礎知識を与えて、そしてそういう人たちが山を回って歩くということをいまやっているわけであります。そこで、地方公共団体におけるそれぞれの技術者とか、あるいは消防団その他のそういう警戒体制に入り得る人たちにある程度の訓練を与えていくというか、予備知識を持たしておくということが、台風その他の場合にも非常に役立つのではないか、常時からそういうような知識を持った者がその辺の視察に行けばそれが発見できるわけです。ところが、しろうとでは地すべり地帯へ行きましてもなかなか発見はできない、こういう状態だろうと思います。したがって、将来にわたりますけれども、そういうことを考えると、どうしても建設省あたりで、あるいは林野庁の関係もありますけれども、こういうところで地すべり常襲地帯というものの警戒体制というか、そういうものについて付近の人たちには一種の常識を与えてやって、警戒を厳重にするということが必要ではなかろうか、そういうことをお考えになっておられるかどうか、あるいは将来それらのことについて何らかの対策を講じておられるか、まずこの点からお伺いしたいと思います。
○橋本国務大臣 お話しのように、たいへんけっこうな御提案でありまして、実は松代地区というのはいわゆる地すべり地区というワクの中には入っていないらしいのです。それは法律は別にあるのですけれども、ただ今度は、ああした一年余にわたる地震及び雨等から起きてまいったようであります。しかし、その地すべり地区には入っておりませんでも、今回はそれに準ずる措置をするということで、災害復旧についてはこのような措置をとっております。
 いま松平さんのおっしゃったことは、先生方、地震学者の方々にたいへんに親切にやってもらったために、住家六棟がやられたのでありますが、この方々が、二十何名ですか、事前に避難されましたために一人もけが人が出なかったことは、全く不幸中の幸いであって、われわれも心からほっといたしております。
 実はこれは内輪のことでありますけれども、各省の予算のワクが十分でないと見えまして、あるいは実は学者の諸君がもうこれ以上滞在が予算的にできないという話もありまして、総理もたいへん心配されまして、それはどうも困る、まして引き続き地震が起きている状態で、予算がないからといって引き揚げることはこれは困るからして、緊急措置として必要があれば予備費のうちから出しても当分の周先生方に残ってもらいたいということで、その措置を講じまして現在引き続きやってもらっておりますが、おっしゃるように、地すべり地区あるいはその危険のある地区の公共団体あるいは消防団の幹部でもよろしいでしょうが、そういう方々が一応のそうした知識を得て、ある程度は自分でも警戒ができるということはたいへんけっこうだと思います。その意味において、実はそういう学問的な方法としてはまだ実証いたしておらないようでありますが、これを機会に、ことに松代のような現実に動いておる地区などは、せっかく先生方も滞在しておるのでありますから、お忙しい中で恐縮であろうと思いますが、そういう方面の一種の講習会といいましょうか、研究会といいますか、そういう知識を与える道をも講じたい。その点につきましても、関係当局と打ち合わせた上で御提案のような措置も考慮いたしたい、かように考えております。
○松平委員 その際に、現地で一つのトラブルがあるのは、さっき雑談のときに建設大臣にお話しましたけれども、いわゆる林野庁と建設省との関係というものが必ずしもうまくいっていないのではないか。そうして末端へ行きまして、ここは砂防であるから建設省だが、もっと上に行けば林野砂防だというようなことで、現地の末端の町村としては非常に困っておられる。何とかこのいわゆる地すべり地帯というか、そういうところは、林野庁の関係と建設省の関係というものを密接にしてもらって、そうしてできれば一本でできないものかということを現地のほうでは言っておるわけであります。そこで、政府としましては、この点については何らか建設省と農林省、林野庁との間に連絡会議その他のものをお持ちになってそしてうまくやっていくということになっておるのかどうか、その点についてお伺いいたします。
○橋本国務大臣 実は先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、松代地震の対策の場合は、防災会議の中に小委員会を設けまして、先ほどちょっと申しましたように建設大臣がその対策本部長を兼ねておるわけであります。そのもとに、建設省をはじめとして農林省、自治省、気象関係がありますから、運輸省、関係各省の事務当局をもって連絡協議会というものがあって、そこでそういう問題は統制をしてやることになっておるわけであります。したがって、一応政府としては窓口は連絡協議会ということで一本にやっておるわけなんですが、おっしゃるように、あるいは出先の末端ではその点が不十分である場合もあろうと思いますが、中央としては連絡協議会を持ち、その連絡協議会の指示に従って地方の末端も措置をするということになっておるわけであります。予算は、もちろん、農林省は農林省、建設省は建設省、その他各省別々に予算はとりますけれども、それも実は協議した上で一まとめにして、これは農林省、これは建設省と、こうきめてやってはおるのです。まあおっしゃるような事実がないとは言い切れないと思います。今後ともそういうことがないように――中央は一週間に一ぺんくらいずつ協議会を開いて、そうしたそごのないように進めておるわけですが、その点なお一そう地元に十分に徹底せしめて、地元が困らないように、そうして一本化でやれるように現地的な指導はしてまいりたい、かように考えております。
○松平委員 それに関連しましていま非常に困っておる点は、いわゆる落石の問題なんです。上に大きな石がありまして、それがいつ落ちてくるかわからない。そこで、この点については、たとえば戸倉町というようなところは、建設省のほうの御承認を得まして、そこへ鉄さくをつくって網を張って落石を防ぐというような工事を進めることになっておりますが、現地を視察してみますと、ちゃちな鉄さくのようなものではとてももたない。ある個所へ行きますと、鉄さくをつくったけれども、そんなものは全部大きな石でこわされて下まで落ちてくるという状態なんです。そこで、大きな石で落ちそうになっているのを、あるところでは、鉄のなわで縛ってそうして松の木の根っこあたりにそれを縛りつけておいて落とさないようなことになっておりますけれども、行ってみると、鉄の鎖のようなものはみんな切れているわけです。そこで、何とかして石を小さくして下へ落とせばいいじゃないかということで、そういうことを始めようとしましても、労務者がこわがって来ないのです。それは例の圧搾空気のあれでやりまして、がたがた音がする、振動がするということで石がずり落ちてくるのではないかというようなことで、ハッパをかける作業もなかなかできないという状態なんです。そこで、このことは労働省との関係があるように思うのです。つまり労災、あるいは労災だけではなくて何らかの措置を講じてやるということをしなければ、その作業に集まる人間がいない、こういうのが実際の状況です。そこで、何かこれに対してうまい方法はないのか。事人命にも関するかもしれないし、あるいは負傷ということもあるかもしれないので、なかなかむずかしいと思いますけれども、しかし、それはそういう補償措置というようなものを講じつつ、そしてその人に対しては災害が起こらないような方法を考えてやるとか、そういうことで石の取りはずしをするというようなことをしなければならないと思うのであります。そこで、このことは労働省とも関係があるわけでありますが、こういうことについて何かひとつお考えおきを願いたいと思います。ひとつ御所見を承りたいと思います。
○古賀説明員 これも私確認したわけじゃございませんので、林野庁で一部そういう鉄さくをやっておられます。それから道路関係で鉄さくをやっておるというのはあるようであります。そういうあぶない地点がございましたら、御提案のようなやり方をやりまして、あぶなくないように措置したいというふうに考えます。
○松平委員 それはそういうことを考えてやろうとしておるのだけれども、そこに人が集まらない。それをやろうとしていろいろ金をよけいに出してやろうとしても、石屋もだれもそういうあぶないところへ近づかない、こういう状態なんですよ。だから、やろうという考え方でもって計画はあるのだけれども、人間が集まらなくて実際はできない、こういう状態なんです。そこで、これでは、計画だけはあるけれども実際の実施はできないということになるので、何かそこに補助工事のようなものでもやっておいてやるか、何かそういうことでもって安全をはかりながらやることを考えて付帯工事のようなものを先にやってやるということにしなければならないのではないか、そういうところまでやはり配慮していただきたい、こういうことです。
○橋本国務大臣 おっしゃるとおり、人命に関することで、工事をやっておる人がけがをしたのでは意味がありませんから、おっしゃるように何か安全の措置があるだろうと思いますので、一般の労働者にやってもらうか、あるいは自衛隊がやったほうがいいか、いろいろその点検討させまして、そういうところが何ヵ所くらいありますか至急に調べた上で、最善の措置、安全のうちに取り除くということを検討したいと思います。
○松平委員 私どもの調べたところによりますと、そういうところがあの地帯に二ヵ所ありまして、その下におる者は戦々恐々としておる、こういう実情なんです。石屋を頼んで、のみでもってかちかちゃっているけれども、これでは何年たったって石は小さくならない、こういう状態です。
 それから、ただいま大臣のおことばでありましたが、東大の地震研究所の研究費が足りなくなったというので現地の人が非常に心配しておる。いまは、地震研究者の研究あるいはそれのアドバイスということは、現地住民には命の綱みたいなかっこうです。従来は学問的には地震はどうもまだ予知はできないということでありましたが、最近は東大の水管傾斜計の働きというものである程度の予知ができるのではないか。それから大臣のほうの所管である国土地理院のあの測量というものも、ある程度のヒントのようなものがありまして、そしてあの地帯にどうも地震が起こるのではないかというのが当たるという場合が多くなってきたということ。それからこの間の地すべりの予知というようなことで、学者の意見というものを非常に尊重するように現在はなっております。したがって、いま大臣からお話がありましたとおりに、今後の地震研究の予算措置というものは、予備費か何かで出していただくということが決定すればいいわけでありますが、来年度についても――聞くところによりますと、本年度の場合は、いままでに千五百万円くらいの金が予算的措置としてあったけれども、そのほかに東大のいろいろな各部の予算をかき集めてきまして、それが六百万円くらいになっておるそうであります。そういうものを合わせていままでやってきた。ところが、これ以上東大の各部からの予算をかき集めてくることもできない、こういう状態だそうであります。そこで、文部省のほうも来ておられるようでありますけれども、私が直接担当の教授に伺ったところによりますと、文部省はこれについて非常に冷淡なんだそうであります。これは名前を申してもいいのでありますけれども、もうあそこにそんなに金をかける必要はないじゃないか、こういうのが事務当局の見解のようであります。ところが、この間地すべりの視察に来まして、これはいかぬ、いままでの考えを改めなくちゃいかぬというような気持ちを持って帰ったということを聞いておるわけであります。したがって、長く地震が続いておりますので少し神経が鈍くなっているというところがどこにもあるわけで、そういうところがやはり文部省の事務当局にもあったのではないか、私はこういうふうに思っておるわけです。しかし、いまの点については、大臣から、予備費の支出までしてもいいというお話がありましたので、これ以上深入りはいたしません。しかし、これに関連しまして、ここに細田君がおりますけれども、細田君が副長官のころ、たしか六月ごろからその話が出たのでありますが、いわゆる地震センターというか、地震研究所というか、そういうものをあそこへつくるということで、関係各省がお集まりになって意思統一をして、予算措置も講じなければならぬ、そういうことになったわけです。ところが、その担当をしておるところの気象庁のほうから計画案が出ましたけれども、その計画案は私も拝見しましたが、当初、つまり六月、七月ごろ聞いておったところとは少し違った案が出てきているように思うわけです。そしてこれはその後政府部内でいろいろ御折衝等がありまして、またもとへ戻って、もとの案で気象庁が中心になってやっていくのだというふうになったように伺っておるわけでありますが、その点については現在どういうふうに動いておりますか、これは大臣なりあるいは総理府の副長官からその点をお聞かせ願いたいと思います。
○上村説明員 松平先生から御質問の地震研究センターの設置の問題につきましては、細田副長官当時からのこともございますし、けっこうな案であるというわけで、前向きに私どものほうで検討いたしておるわけであります。実は九月十七日のあの牧内地区の地すべりがございました後の九月二十日並びに九月二十二日と引き続いて、先ほど建設大臣がおっしゃった長野県松代町周辺地震対策連絡協議会を二回開いたわけです。その席上でも、この地震センターの件について触れ、なお、九月二十二日には運輸大臣もその席に出ておられたわけであります。それで、実はこれをどういうふうな機能で、またどういうような施設でやるかというようないろいろな問題が出ました。と申しますのは、とにかく地震の研究、要するに予知、予防あるいはそういう研究、また、不足な機械があればそれを入れて進めていく、そして余力ができたならば、過去における地震の状態あるいはいろいろな参考資料というようなものも付置していく、こういうふうなものの考え方か、あるいは地震の博物館式なものを主力にしながら研究施設をつけていくかという、ウエートの置き方その他の問題も出まして、気象庁を所管とされている運輸大臣も、大いにやるがいいじゃないか、ただし、現時点においては、とりあえず、その構想は研究施設並びに地震の予知とか対策とかいうような方面の点に主力を置いたセンターというもので検討してはどうかというような意見が出ております。それで、非常に前向きに気象庁と科学技術庁の間で検討をいたすというのが、この九月二十二日の時点でございまして、とりあえず御報告を申し上げておきます。
○松平委員 現地にもあの案も示されまして、現地のそばに恵愛学園という孤児院のようなものがありまして、それをよそへ移してそこにやるという話が前の案にありまして、そしてそれを移す先のところまでいま考えておるというような実情でありますので、その点ひとつお進めをお願いしたいと思います。
○上村説明員 承知いたしました。
○松平委員 それから建設大臣にもう一つ伺いたいのですが、これは、この間私ども現地へ二、三回行きましたときに、現地の要望でありますけれども、財政的に非常に困っておるわけです。いま困っておるというのみならず、将来のことを非常に心配しておる。というのは、消防施設その他つくりまして、市町村が起債である程度はまかなっておる。そこで、起債を返さなければならぬという場合に、交付税で見てもらうのは二八・五%くらいで、これではもう町の財政は破綻してしまう。そこで何としてもお願いしたいのは、激甚地指定ということができるのか、あるいは準激甚地指定というようなことにでもしてもらうか。名前は何でもいいけれども、起債の分について交付税で九五%程度見てもらうような、そういう措置をとってもらわなければとてもこれはだめだというのが、ことに松代町を中心とした付近の、いわゆる激甚地と思われるようなところの実情なんです。これは法律的にもなかなかむずかしいかと思いますけれども、その点について現地側は非常に強い希望を持っておられる。何らかの措置を御考究願いたい、こういうふうに思いますが、御所見を承りたいと思います。
○橋本国務大臣 地方の方も、だいぶ長いことでありますから、ことに目に見えない相手を相手にすることで、どの程度までやればいいかということで判断にもたいへん苦しむでしょうし、かつ従来の法制では適用できない部分が多々あるわけでありまして、その点地方公共団体の皆さんが困っておることはよくわかります。そこで、実は関係各省協議会でも、とにかく現実に地震が起きつつあり、一種の災害が出ておることは十分に理解できるので、県当局にもそう申しておるのですが、財政的なことはあまり心配なさらずに――政府としては、形式上、法律上のいわゆる激甚地指定ということはできないにしても、それに準ずるような財政上の援助は考えていく、こういう考えでやっております。運輸大臣も気象台関係を持っておるものですから、近く行きたいという意向があるようでありますから、また運輸大臣が現地で関係の人にも御相談しようと思いますけれども、その点は政府として最善の措置を講じて、地方の財政に特別な悪影響を与えないような措置を考えていきたい、かように考えております。
○松平委員 それはぜひひとつお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、いま隆起しておるところの測量をする器械を持っているのは、東大の地震研究所と建設省なんです。東大のものは、私の聞いておるところでは、あまり最優秀というような器械ではないそうであります。ところが、おたくのほうの国土地理院は非常に優秀な器械を三台も持っておられる。東大は一台しか持っておりません。これは国土地理院の仕事に関係のあるジオディメーターという器械でありましょうけれども、しかし地震の予知がある程度できるという、土地の隆起の場合には非常に有効な器械なんです。私は、このことは地すべりや何かにも非常に関係があるのではないか、こういうふうに思っておりますので、国土地理院というものを、もう少し災害対策なら災害対策といった面に活用願うようなことをお考えになったらどうか。ということは、地図をつくるために測量するという任務を持っておる国土地理院でありますから、全国至るところでやっているわけなんです。そこで、どこを重点的ということは国土地理院でお考えになってやっておることだろうと思うのですが、私は、この国土地理院のジオディメーターという器械をもっと活用なさるというか、あるいはもっと機械をふやし、人員をふやすとか、そういうことによっていくならば、ある程度の地すべりその他土地の隆起というようなことからくるところの災害というものが予知できるのではないか、こういうふうに思います。その点について、所管の大臣であられるので、将来ひとつ御研究を願いたい、こういうことをお願いしておきます。
○日野委員長 次に、井出一太郎君。
○井出委員 ただいま松平委員からたいへんきめのこまかい質問がありましたので、私は一点だけ建設大臣、本部長にお答えを願っておきたいのであります。
 それは、この前の委員会でも話題が出ましたが、先般総理はじめ現地へ行かれまして、ある程度のことはもう知事にまかせるから、知事は勇気を出してやりなさい、こう言ってこられております。ところが、知事としましても、問題は各省にわたりますから、思い切った措置をやろうとしても、まあ役所のほうは規矩準縄を尊重しますから、なかなか思うにまかせないようなことも多々あるようであります。たとえば、前回長野県のほうから、特別地域としての従来の三十六市町村を四十四に拡大してもらいたい、こういう要望がありましたが、前回の委員会のあと直ちにお聞き届け願って拡大をされたから、これはけっこうであります。けっこうなんだが、実は新たに指定された地区で、青木村でしたか、地すべりが現に発生したんですよ。だから、もしあの措置を講じておかれなかったならば、きょうあたり私は開き直るところなんです。幸い事なきを得たわけでありますが、そういう次第でありまして、もっと知事に思い切ってまかせるからやりなさいという言明を本部長の口から伺っておきたいのです。橋本さんは官房長官時代以来松代にはたいへん親切におつき合いを願ってまいりました。これは感謝にたえません。先般の改造では、御縁があって本部長になられ、上村さんも新たに総務副長官になられた。われわれの側から言うと、現地はあまりにも時期が長いのでもう疲労こんぱいなんですよ、そういうときに、いままでブルペンにおった新鋭投手がここでマウンドに上がるというわけですから、そういう意気込みでひとつ代表して橋本さんから御答弁をちょうだいできればけっこうであります。
○橋本国務大臣 先ほども申しましたように、これはもう災害が起きてから復旧するという形式ではできるものではない、したがって、それに準ずる措置として、いわゆる事前に措置を行なう性質のものであるという方針を、私は官房長官時代に、これは井出さんもおいでになったときに決定をし、相当いろいろな問題がありましたが、大蔵省もこれを了承して、その方針をとっております。しかし、いま井出さんがおっしゃるように、知事さんなり市町村長さんから見れば、はたしてあとで見てくれるだろうかという心配があるだろうと思うのですが、これはもう一種の激甚地と同じ考え方でやっておりますので、さようなことは、県知事及び関係市町村においても、むだな国費を使うとは私は考えておりません。必要限度のものをやるのですから、遠慮なくやってもらいたい。実はせんだって対策協議会を開きました際にも、たとえば仮設住宅の問題とかその他の問題の場合に厚生省はすぐ指示を与えておくように、こういうことを申したところが、いや、自分のほうからは県のほうに対して、必要があればどしどしやってもらいたい、あとで御相談なり処理の方法は考えるから、こういうことを言ってあるので、その点は心配ないような事前措置が行なわれております、こういうような話でありました。それならばよろしいけれども、何か起きてからやったのではもう間に合わないぞというくらいのことを指示いたしておりますから、もしお会いの節は、県知事なり市町村長には、必要なことはおやりなさい、政府はそれについてあとで必ずめんどうを見ます、かような方針でおりますので、どうかその点は御心配なく万全の措置を講じていただきたいと考えております。
○井出委員 もう橋本さん、けっこうです。
 私に質問の御指名がありましたから、ついでにもう一、二点伺います。これは台風関係でございます。
 今度のジェット台風といわれる非常に足の速い台風によって思いがけない大被害が起きたわけでありますが、現在の気象観測におきましてはたして手配、措置万全なりや、こういうことなんです。少し以前にわれわれよく新聞などで、米軍のレーダーに映った台風の目とか何か、いろいろな写真を見たのですが、このごろはそういうことはあまり気づかない。日本の側であまり整備されない時分には向こうさんの助けを借りたかもしれませんが、現在はもうそういうことは全くないのか、日本側だけで一切の観側ができるのか、それとも、向こうに何か新鋭のそういった機械なり設備があって、これはもうお互いのことですから、私はそれを借りて悪いというのではありませんが、いまの気象観測の体制というものは米軍の力等をほとんど借りずにやっておられるのかどうか、これをちょっと専門の方からお聞きしたいと思います。――だれかいませんか。――いなければ、ついでだから、もう一つ、議事録にとどめておいてもらって、次の機会にでも答弁をちょうだいしたいと思います。
 それは、定点観測ということがありますね、これはよく農林関係で冷害現象などを調査いたしましたときにしばしば話題が出まして、その観測船がどうも少し貧弱ではないかというふうなことをかつてわれわれ話題にしたことがあるのです。これはおそらく台風なんかの観測にも当然必要なことだろうと思うのですが、こういうものの配備がはたして十分なりやいなや。今度の台風のあの深刻な被害の教訓にかんがみてその点もきょうの話題に出しまして、次の機会にでも御返事をちょうだいできるようにひとつ御配慮願いたいと思います。
○日野委員長 さっきまで今里予報部長がいたのですが、帰られたから、ひとつその点は速記録にとどめておいて、次会に答弁を願う、こういうことにしていかがでしょうか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○松平委員 ちょっと関連して。さっき落としたのですが、この前委員会で話題に出ましたが、科学技術庁でやっておられる防災科学技術センターですか、そこが機械を中に入れて調べるというので二百メートルばかりボーリングをしたわけです。この前の話だと、来年度は約二キロぐらい掘るというようなお話があったが、承ると、そういう予算は出さないのだ、来年はこれをもうやめるのだという話を聞いておりますが、それは事実ですか、そのことを聞かしていただきたい。
○緒方説明員 ただいま松平先生のお話でございましたが、結論から申し上げますと、来年度二千メートルのボーリングの予算は要求いたしておりません。それはこういう理由でございます。一つは、現在のように激しいゆれ方をいたしております時点におきまして二千メートルのボーリングが技術的に不可能である。大体井戸を掘ります技術というのは石油工業で発達したわけでございます。掘るといたしますと、おもに石油工業の人たちにお願いして掘ってもらうということになるわけでございますから、この人たちと技術的に十分御相談申し上げたわけでございます。その結果、少なくとも現在のような地震の状況では技術的に掘れないという結論が出たわけでございます。それならば、地震が終わってから掘るのかというような問題があろうかと思いますが、その点につきましては、掘る意味その他につきましてまだはっきりと検討をいたしておりませんので、現在、地震が終わってから掘ることになるかどうかということにつきましては、まだお答えしかねる状況でございます。少なくとも現在のような地震のゆれ方の状態では技術的に掘れないということでございますので、来年度は予算を要求いたしておりません。
○松平委員 しかし、それは当初計画をしてその予算を取って掘るというときには、三年計画で掘るというお話があったわけでございますが、現在まで金を使って二百メートルばかり掘ったということなんで、その当初掘るときに、そもそもこういうふうなゆれ方では掘れないということであったなら話はわかるけれども、しかし、いままでずっと掘っておった、こういうのが、地震がやまないからそれ以上は掘れなくなった、しかも技術的にそういうことになったのだということは、どうもわれわれちょっと納得しがたいようなところがある。もし技術的にだめだということならば、初めからやらぬほうが、予算のむだづかいをせずに済んだんじゃなかろうか、こう思われるわけです。
 その点が一つと、それから、いままで二百メートル掘ったところにおいて観測をするということは何か非常に意義があったかどうか、その効果というものがあったのかどうか、こういうことを伺ってみたいと思います。
○緒方説明員 初めの御質問でございますが、二百メートル掘ります際に、二百メートルの井戸自体が、深い井戸の予備的な調査的な意味を兼ねておったということは前に申し上げたことがございますが、二千メートルあるいはそれ以上の深さのものにつきましては、とりあえず二百メートル掘ってみてから検討してみたいということでございました。
 それで、なぜ二百メートル掘ったかということでございますが、これは一つは、ただいま申し上げましたような意味もございましたし、それから、あの地区で掘れるかどうかということがあったわけでございます。ただ、二百メートル掘りましたのは、結果的にあまりゆれていない時期であった。これは現在ちょうど八月の初めごろからいわゆる第三活動期に入ったわけでございますが、掘りましたのは五月から六月にかけてということでございましたので、やや休息期と申しましょうか、第二活動期と第三活動期の間の時期に掘ったということ。それからもう一つは、これはやはり結果論でございますが、たまたま百五十メートルぐらいまで非常にかたい岩石であったために、逆に井戸がくずれないで済んだというような結果論があったわけでございます。ただ、二千メートルとなりますと、非常にくずれやすい地層がどのところで出てくるかわからない。たとえば八百メートルか千メートルまで参りまして掘ることが押えられたということになりますと、ただいま先生の御指摘のように、非常に国費のむだづかいというようなことも考えられますので、現在まだ技術的に一部の検討はいたしておりますが、少なくとも現時点のようなゆれ方ではむずかしいのではなかろうか、こういうような結論でございます。
 それから、二百メートルの意味があったかどうかという御指摘でございますが、二百メートルにつきましては、との前の委員会でも御説明申し上げましたように、いろいろな観測機器を井戸の底に設置いたしまして、現在、あるものは連続観測、あるものは定時観測ということでやっておりますが、まだあまり短期間でございますので現在そのデータの集積が行なわれておりませんが、この解析によりましては、非常に掘ったこと自体に対するよい結果が出てくるのではなかろうかとわれわれは考えておりますが、まだ解析がほとんど緒についたばかりでございますので、こういう点がよかったという点が現在申し上げられないわけでございます。
○上村説明員 九月二十二日の松代地震対策協議会の席上でただいまのような科学技術庁のお話がありました。それで、実は松平先生がいまおっしゃったようなことを私どもも申しまして、当初計画をしておるようなことが必要があるならば、現時点においては技術的に不可能であるというならいたし方ないけれども、もし可能な時期がくるならば、なるほど不可能という時点において予算措置もできないであろうが、可能な時期がくるならば予備費でこれをやるというようなことをして地元の御意向に沿うようにしてはどうか、こういうような御意見も出たのです。そうしてその向きで検討をしてはどうかというような意見が出ておることを申し添えておきたいと思います。
○松平委員 技術的なことはよくわかりませんけれども、やはり地元の人たちの感情からいえば、ことしついて、来年は予算要求しない、何しているんだというような、そういう気持ちがあるわけです。技術的に困難だとするならばこれはやむを得ませんけれども、しかし、いまおっしゃいましたように、可能であるならばやはりやってみるというところに持っていかないと、何しているんだという気持ちが出てくるのではないかと思います。
 それからもう一つこの機会に申し上げたいのは、水道がだめになって井戸を使う。この間もそうなったのですが、ところが、井戸水が濁ってしまってだめなんです。二日くらいの間井戸水が濁っておる、こういう実情なんです。そこで、給水車を配給しなければならぬという問題が出てきておりますけれども、この給水車の配給というものがまことにうまくいかない。これらの点は現地でもっとよく対策を考えていずれ政府のほうに御相談に来るのではなかろうかと思います。これもすぐ人命に関する問題でありますので、これは厚生省の所管かとも思いますけれども、現場から何らかの対策が上がってきましたならば、ひとつお考えおきを願いたい、この際御要望申し上げておきます。
○上村説明員 いまのお話も連絡協議会の席上で出まして、私どものほうといたしまして、地元の御要望と、現時点におきまする地元の方々の不安感と申しましょうか、御心配がごもっともであるから、そういう御要望があれば、積極的に沿うように検討をいたそうではないかという空気でございますことを、率直に御報告申し上げます。
○日野委員長 倉石忠雄君。
○倉石委員 連絡協議会の方にちょっとお尋ねしたいのですが、何回か前の当委員会でもお話がありましたけれども、いま松代地震について井出、松平両君のお話は直接災害関係でありますが、この災害の影響でいろいろなところにその飛ばっちりが出ているわけなんです。たとえば、松代にもありますが、松代周辺にはたくさん温泉場がございます。もうこのごろは、幾ら宣伝しても、長野県と聞いただけで観光客がみな逃げてしまうということで、この地震の始まる前からそれ相当の近代的な設備をやるために、旅館業者などは設備資金をかなり投入して競争的にやっておる。それに今度の地震でありますから、その設備は八〇%ぐらい以上来客があって初めてやっていられるのに、三〇%そこそこでは、もちろんそろばんがとれないわけであります。まあ政府機関のいろいろな協力もあって、商工中金ですか、金融はたいへん地方銀行も一生懸命やってはおるようでありますけれども、何しろ、資金は政府資金でありますけれども、その貸し出しについては当該金融機関が八〇%ぐらいの保証をしなければなりません。したがって、当該金融機関は、自己資金ではなくて政府資金を運用するのでありますけれども、その場合の貸し付け条件というものは非常に厳格である。そして普通の金融の場合と大差ないことをやっておるわけでありますから、さなきだに客がなくて収入減でありますところへ、貸し出しの条件がきびしい、利払いは普通にやられるということでありまして、たいへんいま困窮している。業者が困窮するだけではなくて、そこに働いておる従業員というものも、首切るわけにいきません。安定したときに募集してもすぐ間に合いませんし、したがって、そういうものをかかえて浪費を続けている。それからまた、客のないことによって、その地方のいろいろな商店がそれに並んで大きな打撃を受けておるわけであります。こういうことについては、なかなかむづかしい問題があると思いますけれども、いまの状態で放置しておくということは、ゆゆしき結果を招来すると思いますので、この点について政府側も思いやりのある調査研究をしていただいて、適当な措置をとっていただきたい、こういうのが要望なんでありますが、御意見はいかがですか。
○上村説明員 ただいま倉石先生からおっしゃいました件につきましては、事情はそのとおりであろうと思いますし、また業者の方々もほんとうに御心配され、苦心をされておると思うわけであります。私どものほうといたしましてもその線に沿って検討いたしたいと思いますが、ただいま中小企業庁のほうから来ておりますから、具体的な問題につきましては、そちらから答弁をさしたいと思います。
○本田説明員 借り入れ金の返済は、当初の条件に沿って返済等をやることが困難な場合もあろうかと思いますが、そうした場合の借り入れ条件の変更につきましては、三金融機関に対しましては、事情に応じて御相談に乗れるように当初から指示してございますので、困難な場合には御相談に来ていただきたいと思います。それから、特利等につきましても、場合によっては問題が起こるかもしれませんが、その点につきましても、事情に応じて考慮をいたしたいというふうに考えます。
○倉石委員 思いやりのあるやり方だと感謝いたしますが、その場合に、政府側ではそういうような指導方針をとられておりましても、やはり窓口の銀行というのは、いま申し上げましたように非常にきびしい条件で同じようにやるわけでありますから、その辺の指導について、やはり政府側ももう少し実際のことを検討してやっていただきたいと思います。
○本田説明員 その点につきましては、御要望に沿うように、三機関とも話し合うようにいたしたいと思います。
○倉石委員 消防庁の方見えていますか。――地震はどうなるか、神さまでなければわかりませんけれどもも私どもの松代を取り巻く周辺というのは、古い城下町が多うございまして、道幅が狭いところが多いのです。いま補助の対象になりますポンプは、自動車ポンプだけのように聞いておりますが、そうですが。
○川合説明員 そうじゃございませんで、自動車ポンプは今回の場合に限っては補助の対象としておりませんで、むしろ、いま御指摘のように、可搬式といっておりますが、運ぶことのできるもの、これも性能がいま進歩しまして非常によくなっておりまして、大ざっぱに申しますと、ポンプ自動車の三分の二ぐらいの圧力は持っております。要しまするに、普通の場合にはポンプ自動車も対象にしますが、松代地震に対する対策としては、御指摘の点を勘案いたしまして、自動車ポンプでなく、小型の可搬式動力ポンプを補助して、それを奨励しております。
○倉石委員 それがいいと思うのです。可搬式でないと、少し激甚な震災がありますと、往来にいろいろなものが飛び出したり倒壊してきますから、自動車ポンプなんかとても運行不可能だと思う。したがって可搬式を必要としますが、その可搬式というのは、政府側でも調べておいでになると思いますけれども、いま指定されている各町村では、彼らの財政事情もありまして、可搬式を手に入れることは、御承知のとおり相当な苦痛なんであります。したがって、こういうものをもう少し余分に手に入れることをめんどうを見てやりませんと、いざというときに相当な災害を生ずる。震災のあとの火災が人災を呼んでいるわけでありますから、そういうことについて、地元の訴えをもう少しよく聞いていただいて、そして可搬式をふやしていただくように考えることが必要ではないかと思うのですが……。
○川合説明員 御指摘のとおりでございまして、一般の私どもの補助をいたしております率よりも、この場合に限りまして、高率の補助で従来二度ほどいたしておりますが、さらに今回、たとえば上田市あるいは上山田町等、それから新しく八ヵ町村加わりましたわけでありますが、その分につきましても、ただいま申しました可搬式ポンプにつきましての補助を行なうことにいたしております。
○倉石委員 もう一つ伺いたいのでありますが、いまさっき私が申し上げましたような事情で、じかに災害を受けておるおらないにかかわらず、この地震というもののためにこうむっておる経済的な負担というものがこの指定されておる地域にかなりあるわけです。そこで、それらの町村というものは、自治体としての運営をやっていくだけについても、いま申し上げたようなことで、地方税としても担税力がだんだんなくなってきておるわけでありますから、なかなか苦しいわけです。そこで、特交等について自治省はこういう点に特段の理解ある措置を考えていただくことが必要ではないか。しばしばここで論議されておりますように、台風災害のようなものは、すでに完了してすべての災害が歴然としてわかるわけでありますけれども、いまの松代地震というのは、これから何が起きるかわからないという不安な状態、それによって脅かされておるための物質的負担増でありますから、そういうことについては、自治体に対してもう少し思いやりのある態度で善処していただかなければならぬと思いますが、こういうことも協議会ではお話しになっておるのでしょうか。
○上村説明員 協議会でそういう話が出ております。出ておりまして、自治省のほうでその点をよく地元の御要望に沿うように検討をしてみる。と申しますのは、いろいろな諸法規の関係もございますので、その法規との関連のもとに――地元の不安感というものは非常に長い間続いておりますし、想像に絶するだろうと思っておりまして、ぜひその線に沿うようにやるべきであるということは、もちろん出ておるわけであります。具体的な点は自治省のほうからお聞き賜われば幸いだと思います。
○首藤説明員 御指摘ございましたとおり、地元の市町村はもともとそう財政力の強いところでもございませんし、地震を受けておりまして、その各種の対策に諸種の経費がかかるものと心得ております。それに対しましては、御指摘の特別交付税の措置あるいは地方税関係の措置、十分実情に合うように検討して措置をいたしたいと考えておる次第でございます。
 なお、本年度は、交付税等の関係におきましても、当面の資金繰り等に資するために繰り上げ交付等の措置もとったわけであります。なお、四十一年度分につきましては、一月の末になると思いますが、各種の経費を取りまとめまして特別交付税等の措置で救済をいたしたい、このように考えて、検討中でございます。
○日野委員長 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時二十二分散会