第052回国会 法務委員会 第1号
本国会召集日(昭和四十一年七月十一日)(月曜日)
(午前零時現在)における本委員は、次の通りであ
る。
   委員長 大久保武雄君
   理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
   理事 小島 徹三君 理事 田村 良平君
   理事 濱田 幸雄君 理事 井伊 誠一君
   理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君
      唐澤 俊樹君    佐伯 宗義君
      四宮 久吉君    田中伊三次君
      千葉 三郎君    中垣 國男君
      馬場 元治君    濱野 清吾君
      早川  崇君    森下 元晴君
      神近 市子君    中嶋 英夫君
      山口シヅエ君    山田 長司君
      西村 榮一君    志賀 義雄君
      田中織之進君
―――――――――――――――――――――
昭和四十一年七月十五日(金曜日)
   午前十時五十分開議
 出席委員
   委員長 大久保武雄君
   理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
   理事 田村 良平君 理事 濱田 幸雄君
   理事 坂本 泰良君
      鍛冶 良作君    四宮 久吉君
      田中伊三次君    中垣 國男君
      濱野 清吾君    森下 元晴君
      神近 市子君    山田 長司君
      横山 利秋君    志賀 義雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 石井光次郎君
 出席政府委員
        法務政務次官  山本 利壽君
        検     事
        (刑事局長)  津田  實君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (特別地域連絡
        局総務課長)  林  忠雄君
        検     事
        (矯正局長)  布施  健君
        専  門  員 高橋 勝好君
    ―――――――――――――
七月十五日
 委員佐伯宗義君及び中嶋英夫君辞任につき、そ
 の補欠として鍛冶良作君及び横山利秋君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 委員鍛冶良作君及び横山利秋君辞任につき、そ
 の補欠として佐伯宗義君及び中嶋英夫君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
七月十一日
 会社更生法の一部を改正する法律案(田中武夫
 君外二十名提出、第五十一回国会衆法第一九
 号)
 刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、第五
 十一回国会閣法第三八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 法務行政及び検察行政に関する件
     ――――◇―――――
○大久保委員長 これより会議を開きます。
 まず、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政等の適正を期するため、本会期中において
 一、裁判所の司法行政に関する事項
 二、法務行政及び検察行政に関する事項
 三、国内治安及び人権擁護に関する事項
以上の各事項につきまして、小委員会の設置、関係各方面よりの説明聴取及び資料の要求等の方法によりまして、国政調査を行なうこととし、規則の定むるところにより、議長の承認を求めることにいたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
     ――――◇―――――
○大久保委員長 次に、国会法第七十二条の規定による最高裁判所の長官またはその指定する代理者の出席説明に関する件についておはかりいたします。
 今会期中におきまして、本委員会の審査または調査に関し、最高裁判所の長官またはその指定する代理者から出席説明の要求がありましたとき、その承認に関する決定につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
     ――――◇―――――
○大久保委員長 これより法務行政及び検察行政に関する件について、調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
○横山委員 本委員会は、かねがね沖縄並びに日本国内におきまして一大政治問題となって発展をしております沖縄における裁判移送の問題を議論をいたしまして、本日より本格的な調査に入るわけでありますが、その前に、政府として、この沖縄の裁判移送問題をどういうふうに取り扱っておるのかという点をただしたいと思うのであります。
 それは、法務大臣があとで御出席になるそうでありますから、主として事務的に、まず政務次官ないしは関係局長から、この裁判移送問題を日本政府としては事務的にどういうふうに取り扱い、どういう経緯が今日まであるか、まずそれから伺いたいと思います。
○山本(利)政府委員 この問題は、琉球の施政権が米国にありますので非常にデリケートな問題でございます。もちろん琉球に住んでおります者は日本の国民であり、その潜在主権も認められておるわけでございますから、その幸福については、日本の政府も十分に関心を持ち、その幸福を祈っておるわけでございますが、この裁判権の問題も非常に複雑なのでございまして、今回のこのことの概要その他について、刑事局長から説明させます。
○津田政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますが、いま政務次官が申しましたように、非常に日本側におきましても関心を持っておる事柄であり、沖縄における住民、すなわち、日本国民の福祉の増進についてはきわめて関心が深いのみならず、その福祉の増進については、日本政府としても十分の努力をいたさなければならない立場にあるわけでございます。
 そこで、この問題につきましては、これは政府部内の所管といたしましてはいろいろあるわけでございますが、私ども法務省といたしましては、刑事局という問題ではございませんけれども、一応問題点の解明並びに検討ということはいたした次第でございますし、そのことにつきましては、すでに私どもといたしましては、上司、すなわち法務大臣まで、私どもの解明した内容を報告はしてある次第でございます。
○横山委員 事の実態を十分に知る前に、沖縄における裁判制度の概要を、多少時間的に何でありますけれども、同僚諸君とともに承知をしたいのでありますが、沖縄における裁判制度の概要はどうなっておるか、まず伺いたい。
○津田政府委員 現在沖縄におきましては、米国民政府及び琉球政府がそれぞれ別個の裁判制度を運営しておるわけでございます。琉球政府が運営する琉球民裁判所は、主として沖縄住民に対する裁判権を行使しておるわけであります。しかしながら、米国民政府の裁判所も、高等弁務官の行政命令の条項によりまして、琉球民裁判所から移送された事件を受理し、あるいは琉球民裁判所が裁判を行なった事件を再審理するという権限を持っておるわけでございます。そこで、結局沖縄には琉球民裁判所と米国民政府裁判所の二通りの系列がありまして、琉球民裁判所におきましては、治安裁判所、巡回裁判所、上訴裁判所の三つの裁判所があるわけであります。また、米国民政府裁判所におきましては、民事裁判所、刑事下級裁判所、刑事同等裁判所、上訴審裁判所、これだけの裁判所があるわけでございます。
○横山委員 問題のいわゆる友利事件についてどういうふうな調査をされましたか、その事案をひとつ伺います。
○津田政府委員 これは本年六月十六日、琉球上訴裁判所、すなわち、琉球民裁判所のうらの上訴裁判所から米国民政府裁判所に移送された事件であります。これは立法院議員の当選無効訴訟事件でありまして、昨年十一月施行されました琉球立法院議員選挙に立候補した友利候補が、さきに選挙自由妨害により罰金五十ドルに処せられております。これは判決の上では、公民権は不停止ということになっておりますが、これが理由となりまして、米国民政府の布令である琉球政府掌典第二十二条後段の重罪に処せられ、その特赦を受けない者は立法院議員の被選挙権を有しないという規定に該当するものといたしまして、その得票を無効とされ、砂川候補を当選人と決定されたことになったわけであります。そこで、この砂川候補の当選無効訴訟を友利候補が提起したわけでありますが、第一審の琉球政府の中央巡回裁判所――これは琉球民裁判所でありますが、これにおきまして、本年二月二十三日、琉球政府掌典第二十二条の規定による被選挙権の制限は合理的なものではなく、米国大統領行政命令、一九五七年六月五日、行政命令第一〇七一三号の住民の自治の理念及び同行政命令の各規定の趣旨に反する違法、無効なものである、かりにそうでないとしても、右第二十二条の規定は民立法である立法院議員選挙法の規定に抵触し、行政命令に定める手続をなすことなく公布されたものであるから、民立法が優先適用されるという旨の判決をしたのであります。これに対しまして、中央選挙管理委員会は琉球上訴裁判所に上訴しておる、それが去る六月十六日上訴審から米国民政府裁判所へ移送された、こういうことになっておるわけでございます。
○横山委員 いま一度砂川候補の繰り上げ当選が無効である旨の判決の要旨を言ってください。
○津田政府委員 琉球政府章典第二十二条、すなわち重罪に処せられ、その特赦を受けない者は立法院議員の被選挙権を有しない、こういう規定による被選挙権の制限は合理的なものではなく、米国大統領行政命令、これは一九五七年行政命令一〇七二号の住民の自治の理念及び同行政命令の各規定の趣旨に反する違法、無効なものである。かりにそうでなくても、この被選挙権を制限いたしました第二十二条の規定は、議員立法である立法院議員選挙法の規定と抵触しているわけである。そして行政命令に定める手続をしないで公布されたものであるから、議員立法のほうが優先適用される。したがって、この友利候補に被選挙権がないという前提ではない、こういうことになる趣旨の判決であると思うのでございます。
○横山委員 かりにそこまでの話として、日本の選挙法と比較をしたらどういうことになりますか。
○津田政府委員 これはこまかい規定でありますので、はっきりはいたしませんけれども、要するにこの琉球政府章典第二十二条後段の重罪に処せられて、そして特赦を受けない者は立法院の被選挙権を有しないという規定はもちろんあるわけでございます。それから立法院の選挙法の規定によりますと、先ほど申しました選挙自由妨害であれば、これは公民権不停止になっておるという過去の判決になっている。そこで、公民権不停止であれば当然被選挙権があるという前提が一方で考えられると同時に、それはそうではなくて、立法院議員選挙法の規定そのものの形式からいえばそうなるのではあるが、琉球政府章典第二十二条の後段のほうが当然適用されるべき性質であるから、重罪に処せられて、まだ特赦を受けていないのであるから被選挙権を有しないんだ、一方でそういう立法があるわけです。この両者の立法が抵触している場合に、どちらが優先するかという問題に対する判断でございます。日本におきましてはそういう判断については、立法は一本で相互矛盾ということはないわけでございますから、少なくとも形式的な相互矛盾はかりにあるといたしましても、これは日本の最高裁判所が最終的にはきめ得ることでございますから、そこで解釈は統一されるという意味において、この二つの立法の矛盾というものは最終解釈ではなくなることになるわけでありますけれども、ここに二つの立法があり、その解釈の矛盾をどういうふうに判定するかという琉球上訴裁判所のこの決定が、さらにより上級な制度によって再審査されるかどうかという問題に結局なるのではないかと思うのであります。
○横山委員 かりにそうだとして、その重罪で特赦の恩恵を受けた云々という、この重罪という判断ですね、米国法その他において重罪とはどういう判断をするものでありますか。罰金五十ドルといえば、一万八千円ですか、それが重罪に匹敵するという解釈はとても成り立たないように思うのだが、その点はどうですか。
○津田政府委員 一九五二年の米国民政府布告第十二号琉球民裁判所制という向こうの法制がございます。この民裁判所制の第一条の七の一というところに軽罪及び重罪の定義があります。その重罪の定義といたしまして、「死刑及び罰金を併科するといなとにかかわらず、一年をこえる期間の懲役(禁錮)をもって罰することのできるすべての犯罪は重罪とし、」こうなっております。一年をこえる期間の懲役をもって罰することのできるすべてのと、つまり犯罪の性質できめておるわけでありますから、本件については具体的の刑は五十ドルの罰金のようですけれども、犯罪の性質からいえば、この選挙自由妨害はこれに当たるわけであります。したがいまして、この規定の解釈からいえば、これは重罪に当たるということになるわけであります。
○横山委員 日本でいう重罪とはどんなものです。
○津田政府委員 日本では重罪、軽罪の区別は現在ございません。そこで何年以上の懲役もしくは禁錮というようなことをもって一応の基準になるというようなことになっておるわけであります。重罪、軽罪という定義規定はございません。
○横山委員 常識上重罪というと、われわれの常識でいえばかなり重い罪というふうに考えられるのですが、ここにいう、一条の七の一ですかにいう重罪が、われわれの考える重罪ではないという感じがするのですが、率直な御意見を伺いたい。
○津田政府委員 向こうの法制によりますと、ただいま友利候補が問題になっておる選挙自由の妨害罪は四年以下の懲役もしくは三百三十ドル以下の罰金というようなことになっております。そうすると、犯罪の性質は四年まで懲役にやれる事件であるからして、その事件の性質からいえば重罪であるというその解釈は、この両君の規定をあわせますと、当然私はなる。これは法定刑の問題をいっておるのであって、具体的の宣告刑の問題をいっておるのではありませんから、これは規定上はそうなると思います。
○横山委員 友利候補が罰金五十ドルに処ぜられた事件は、いつごろ、どういう事案であったか。
○津田政府委員 その点はわかっておりません。
○横山委員 わかっていないのですか。いつごろ、どういう事案で罰金五十ドルが科せられたということがわかっていないというのは妙な話でありますけれども、御調査をなさらなかったのですか。
○津田政府委員 これは一九六三年、すなわち昭和三十八年五月十七日営古巡回裁判所で、選挙自由妨害により罰金五十ドルに処せられた、そのことはわかっておりますが、その自由妨害の内容自体はちょっといまわかりません。
○横山委員 そのときに、判決は公民権停止になっていますか。
○津田政府委員 そのとき、先ほど申しましたように選挙権及び被選挙権不停止という、これは判決主文の中に書いてあるかどうかわかりませんが、そういう趣一旨の判決です。
○横山委員 私の聞いているのは、公民権の問題を触れてないように聞いておりますが、かりに触れてあるとするならば、いつ、期間はどうなっているのですか。
○津田政府委員 公民権不停止と私どものほうは聞いております。ですから、期間は別に……。
○横山委員 事案の内容と、それから重罪という判断が、米国関係の自由裁量になっておるような感じがするわけでありますが、それはさておき、もう一つのサンマ事件についての概要を御報告願います。
○津田政府委員 第二のサンマ事件と称するものは、やはり本年六月十六日、琉球上訴裁判所から米国民政府裁判所へ移送された事件であります。その概要は、一九五二年以降、沖縄に輸入される物品に対しましては、間接税的なものとしての物品税が課せられることになっていたわけでありますが、サンマにつきましては、一九六四年の高等弁務官改正布令第三号による物品税法の改正前は、課税物品表に明記されていなかったのでありますけれども、米国民政府は、サンマについても同法による課税がなされるべきものであるという見解のもとに琉球政府を指導していたのであります。で、一九六三年九月以降輸入されるサンマにも物品税が課せられるということになりましたところ、この改正布令第三号において、過去の課税行為を合法なものであるという趣旨の規定を置いたわけであります。それに対しまして琉球漁業株式会社が、右改正布令は米国大統領行政命令に違反する無効なものとして、すでに納付した税金の還付訴訟を起こしたのであります。昨年十月、中央巡回裁判所におきましては、課税物品表に掲げられていないサンマに対する課税は違法であり、過誤納金の返還請求権を消滅させる右改正布令第三号は、行政命令に言う不当な財産の剥奪からの保障の規定に違反し、無効であるという判決をしたのであります。そこで琉球政府から琉球上訴裁判所に上訴しておったものでありますが、これが先ほどの事件と同じく、今年六月十六日米国民政府裁判所に移送されたのであります。
○横山委員 日本において、税金を過去にわたって遡及をして課税をする、減税については往々例があるのでありますが、過去にわたって遡及をするということは皆無ですね。これはそうでございますね。御承知でございますね。これは各国における例を見ましても、私は過去にわたって遡及されるということの例を見ないように聞いておるのですが、どうなんですか。
○津田政府委員 税法の実際につきましては、まだ私どもとしては詳しくわかっていないのでありますが、私どもの一応の経験といたしましては、物品税的な転嫁する税金については、過去に遡及して課税することにはいろいろ問題があるのではないかというふうに考えられるわけです。しかし、そういう法律、規定をつくった場合に、それが憲法違反になるかどうかという問題は、まだ私どもは検討をいたしておりませんので、その辺は何ともわからないのですが、現在私どもの知っている範囲においては、過失にさかのぼって、しかも転嫁する、つまり間接税について一般に取られた例はないように考えております。おそらく常識といたしましては、税制としてはそうあるべきが常識だというふうに考えられるのではないかと思いますけれども、この点はどうも私どもは税の専門家でございませんので、いまのところ確たることはちょっと申し上げかねる次第であります。
○横山委員 税法であろうと刑法であろうと、国民に過去にわたって不利益なことを遡及をするということは、これは憲法違反はもとよりとして、一般的に考えられないと思うのですが、どうなんですか。
○津田政府委員 刑罰の問題は、これは明らかに憲法に規定があります。刑罰不遡及の原則、これは世界的な問題として当然考えられます。いまの税金の問題につきましては、あるいは直接憲法のどの規定に違反するということになるのか、あるいは違反しないかという点は、私どもとしてはまだ――これはあるいは大蔵省当局では検討済みかもしれませんが、私自体としてはまだ未検討でございます。しかしながら、いずれにいたしましても間接税的ないわゆる転嫁するものについては、過去にさかのぼって課税するということになると、転嫁先からさらに税金に当たる金額を徴収できるかという問題が課税を受けたものについて起こってくるので、いろいろ混乱が起こるのではないかという点において、遡及というものは適当でないのではないかというふうに一応は考えられるわけであります。
○横山委員 総理府からおいでになっておるようでありますが、本件について、政府は沖縄の諸君からいかなる陳情を受けられ、いかなる措置をしたか、伺いたい。
○林説明員 この問題につきまして、地元沖縄では立法院が反対の決議をなさいまして、この決議を携えまして立法院代表が先日三人本土にお見えになりました。私のほうからそれぞれ関係各省庁、国会筋その他に対していろいろその事情を御説明なさることについて紹介の労をとりまして、それぞれの向きへそれぞれの事情を御説明になった次第であります。それで佐藤総理大臣に事情を説明になったときに、総理大臣は、その問題は自分も相当な関心を持っておるので、近々米国のラスク国務長官が来られ会われるので、その問題についても善処をするようにということを私から話すというお答えをされております。そうして佐藤総理大臣は、ラスク国務長官との会談のときにその問題で善処を促し、ラスク国務長官も検討を約されたということであります。
 以上であります。
○横山委員 本問題を根本的に解決いたしますには、相当根が深く、沖縄の司法制度にまで発展をするわけでありますが、立法院の代表は、具体的に何を日本政府に要求しておりますか。
○林説明員 立法院の代表としては、移送問題そのものについての解決と、あわせて現地における司法制度の民主化の問題、その二つを御要求になっておるわけです。
○横山委員 いま少し詳しく、移送問題についてはどうしてくれ、司法制度についてはどうしてくれと言っていますか。
○林説明員 移送問題については、その移送命令の撤回を一応望んでおられました。それから司法制度の民主化というのは、これはいろいろ複雑になっておりますが、現在の琉球における司法制度の裁判官の任命制の問題その他についての改修を主張しておられるわけであります。
○横山委員 そこで法務大臣にお伺いしたいのですが、いま沖縄の司法制度並びに友利事件並びにサンマ事件についてあらましの説明を受けたわけでありますが、佐藤総理大臣が沖縄の代表と会いまして、そして関心を持っておるという話をして、ラスク長官ともお会いになったそうでありますが、本問題は政治的な問題ではありますものの準司法的な性格を持っておるわけであります。先ほども刑事局長からいろいろ、刑事局としての判断はあまりないのでありますけれども、御意見を伺ったのでありますが、法務大臣としてはどのようにこの問題を処理しようとお考えでありますか。
○石井国務大臣 この問題につきまして、私のところにもただいまお話しの方々がおいでになりました。私のところには最後においでになったのでございますが、それは、法務省からいままでいろいろお手伝いをしておること等についてのお礼をかねての訪問であったようでございます。そういうふうなことからこの問題に入りまして、いま話がありましたように移送問題、こういうものがなくなるように本国のほうで力を入れていただきたいというようなことを中心にして懇談がございました。私はこれに対しまして、こまかくいろいろここで承っても私がどう申し上げることもできないが、よく総理その他にも御陳情になり、また関係の向き向きでは事情もよく知っておるわけでございますので、これがあなた方の心持ちが通ずるようにできるだけの努力をしてもらうということが非常に望ましいことであるわけであるから、関係の皆さんとよく相談をいたすことにいたしますというような意味のことを申してお別れをいたしたわけであります。そのとき私どもに関連する問題といたしましては、沖縄の法務関係の仕事の現状が、おいでになった方も言っておられましたが、まだいろいろこちら側、すなわち沖縄側にも不完全なものがあるが、アメリカ側の布令その他と沖縄住民の立法とがいろいろ混在しておる状態がある、なかなかむずかしい関係があるというようなことで、非常に内地よりもむずかしい関係があるのに、これを扱うところの法務関係の人が非常に力が弱い状態にあるのであるから、そういうことについての力添えを願いたいというようなことでございまして、私のほうからはいままでもときどき行ってはお手伝い的にお話をしておることもあるのでございますが、今後といえども御希望がありますれば、行って何らかのお手伝いをするということもいたしましょうし、また琉球からこちらに研修生等の形で人をお出しになりますれば、われわれのほうでもよくこれをお手伝いいたすことにいたしましょう、そういうふうなことで法務省関係としては協力いたして、いろんな問題ができるだけスムーズにいくように、事務的にスムーズにいく方面のお手伝いはいたしましょう、大きな問題については、これはなかなか沖縄の地元ですぐ解決する問題でないようにも思える、これはワシントンの問題であるように思えるというようなことを考えますと、われわれが法律的にどうだこうだということ以上の問題になるようにも思えるのだから、よくひとつ相談をいたしますということを言って別れたのであります。私の考えておりますのは、これはその移送問題が適当であるとかなんとかいうことを批判するのは別といたしまして、これは私どもが批判すべき筋合いではないのでございますが、現実に地元の諸君が、こうしてもらいたい、ああしてもらいたいという希望がたくさんあるわけでございます。これは沖縄という問題を大きく取り上げております本国の日本といたしましては、この問題をただ聞きっぱなしにしておくわけにはいかないのでございまして、よく相談いたしまして、ラスク長官とどの程度に総理が話をし、ラスク長官がどういうことまで引き受けていってくれましたか、もちろん話してくれたに違いないし、そしてこれがアメリカの中央の問題になるはずだと思うので――中央の問題にならなければなかなかこの問題は私は解決しないと思います。そういうふうな面でこの問題を解決する一歩を踏み出し、そしていろいろなものがそれが土台になって解決するような方向に向かうように私どもも協力していきたい、こういうふうに思っております。
○横山委員 今回の問題は、単に移送命令が撤廃されるだけでは、第二の移送命令が出て混乱をすることは容易に想像されるのであります。つまり根本的に沖縄における立法と抵触する筒等弁務官の布令、布告の改廃にまでさかのぼらなければこれは解決をしないし、また弁務官による沖縄側の裁判官の任命、承認制度の改廃にまでいかなければ基本的な問題は解決しないと思うのです。それらの問題を解決いたしますためには、かなり日本政府として本格的な政治折衝を含めた沖縄の司法制度の検討並びに改善の方法等、具体的な調査が本格的になされなければならぬと思うのであります。法務大臣はいま遠慮しいしいものを言っていらっしゃるようでありますが、ほんとうにこれを改善させることが必要であるとするならば、法務省としてどうしても、いままでの片手間でただ調査しているのではなくて、本格的な調査をし、その改善策を検討する、どういうふうにそれをするかは別といたしまして、検討しなければならぬと思うのでありますが、この際そういうお考えがございますか。沖縄の司法制度を基本的にもう一ぺん洗いざらい検討し、それをどう改善をするかという点の検討に着手するお考えがございますか。
○石井国務大臣 ただいま私は洗いざらいここに問題を持ち出して、そして折衝をするという決心でおるということをお答えする段階にまではまだ至っておりません。しかしこの間のお話等も聞きまして、それから昨年から引き続きまして沖縄というものを非常に大きくいまの政府が取り上げております立場上から考えましても、この司法関係の問題だけをいいかげんにしておく考えはもちろんないのであります。私のほうとしてもいろいろな問題を取り上げまして勉強いたしまして、どういう程度までどうしたらいいかという勉強をこれからいたすつもりでございます。
○横山委員 そのために、私どもは私どもで最大の関心を持って調査をいたす予定でありますが、政府としても、沖縄における司法制度が一体具体的にどうなっているか、法文だけで調べるのではなくして、具体的に現地に行って、なまで触れた司法制度の運用というものを御検討される必要があると思うのです。政府として、司法制度の検討のために沖縄に調査にお出かけになるべきだと思うのですが、この点はどうですか。
○石井国務大臣 承っておきまして、とくと研究いたします。
○横山委員 最後のことばが十分わかりませんでしたが、善処なさるおつもりでございますか。
○石井国務大臣 直ちにやるということをここでお答えはいたしませんが、そういうことを、いつどうしたらいいかということを目標として研究いたします。
○横山委員 ラスク長官と総理大臣との会見の際に、沖縄の現地住民並びに国民が期待いたしましたものは二つあると思います。先ほど申しましたように、沖縄における立法と矛盾する高等弁務官の布令、布告を撤廃することと、裁判官の弁務官による任命制度、承認制度、その二つが一番根幹になっておると思うのですが、その点については、総理は長官とお話をなさったのでありましょうか。あなたはその報告について十分聞いていらっしゃらないということをいま伺ったように思うのですが、それほどの重大なことをあなたが、総理が長官に会われた際のお話をお聞きにならぬはずはないと思うのですけれども、大事なことでございますからあらためて確認をしたいと思います。
○石井国務大臣 まだあらためてよく聞いておりませんが、そのうち聞いたら申し上げます。
○横山委員 ちょっと意外な感じがするのでありますが、総理大臣が国務長官とお話をなさって、いろいろな重要な御相談もあった中に本件が入っておることは、新聞報道の伝うるところであります。その本件が入っておるにかかわらず、その所管の法務大臣が、それがどういうことになっておるかまだ伺っておられないということはいささか意外に感ずるわけでありますが、ちょっとそれは法務大臣として、との裁判移送問題を含む沖縄の司法制度についての関心が薄いのではないか。この沖縄を含めて国民が、これから非常な発展をする問題について、最大の関心を持っておりますのに、それは自分はまだ聞いておらないということは非常に意外な感じがするわけであります。場合によれば、これは本委員会に総理大臣も御出席を願わなければならぬことにもなろうかと思いますが、ほんとうにまだ、あれからだいぶ口がたちますのに、法務大臣はお聞きになっておられないのですか。
○石井国務大臣 まだ承っておりません。
○横山委員 それでは私は総理大臣に本委員会に御出席を願わなければなりません。委員長としてしかるべくお取り計らいを願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○大久保委員長 善処いたします。
○横山委員 それでは、法務大臣として、お考えはどうでありましょうか。その二つの問題について、根本的な解決をいたしますためには、どうしてもそれに触れて処置をしなければ、第二、第三の移送問題が起こることは間違いないのでありますが、それに触れなければ解決ができないことについては、法務大臣として御承知でございましょうね。
○石井国務大臣 さっき申し上げましたように、全般的な問題についてこれを取り上げようという心持でいろいろ相談、研究しようという意味でございます。この二つの問題に限るわけでもありませず、その二つの問題がその中に含まれることも当然だと思っております。
○横山委員 刑事局長に、話が少しはずれますがお伺いしたいのでありますが、先般沖縄で犯罪を起こしまして日本へ逃亡してまいりました犯罪人がつかまりまして、起訴せられ、裁判において判決が出まして、これは日本に裁判権がありという判決が出ましたが、その判決、いま手元にございますかどうか、どういう判決の趣旨であったのか、沖縄の諸君に関する問題でありますから、御報告を得たいと思います。
○津田政府委員 いま判決を手元に持っておりませんので正確なことは申し上げかねるのでありますが、検察側としては、沖縄の従来からの住民は日本国籍を有している日本国民でありまして、これは刑法上から申しますと国民である。したがいまして日本国外において国民が犯罪を犯した場合におきましては、刑法三条において掲げられておる罪につきましては日本国民は処罰をされるということになるわけでありまして、それは日本国外のいかなる場所においてこれを行なっても処罰される。で、あの事件はそれに該当する事件でありますので、日本国民の国外犯として日本に裁判権ありということで従来公訴を提起してきたわけであります。その検察側の趣旨が認められたものだというふうに私は考えております。
○横山委員 私も理論上当然だと思うのであります。かねて私どもは、沖縄に住む人たちは日本人であるから、当然日本人の措置をあらゆる点においてすべきであると主張してきたものでありますが、日韓条約の委員会の際におきましても、韓国と朝鮮との国籍問題に関連いたしまして、沖縄から日本へ参りますときに琉球島民という米国民政府の証明をとってくることはきわめて不当であって、日本人として処理すべきことを主張してまいりました。その後、日本政府と米国政府の間にその問題はどのようになりましたか。法務大臣は御存じでございますか。
○林説明員 この問題につきましては、去る五月に行なわれた日米協議委員会におきまして、今後沖縄から日本へ来る場合の身分を証明する書類、あるいは沖縄から日本を経由してないしは経由せずして直接外国へ参る場合の旅券、これらの発行を今後日本政府でやるようにということについての合意が成立いたしました。つまり現地における日本政府の出先、那覇南方連絡事務所においてその事務を取り扱うということについて日米間の協議がととのいました。それについては、旅券法の特例に関する法的措置その他の措置も必要でございますので、現在関係各省庁でそれらの準備をいたしておりまして、その事務手続がまとまりますれば、次の国会に御審議をいただいた上で、できるだけ早くそういうふうに実施をする運びになっております。
○横山委員 琉球島民を日本人と直すだけのことだと考えるのでありますが、どの法律に関係をいたしますか。法律改正が必要でありますか。
○林説明員 琉球住民といままで米国民政府の発しました証明書には書いてございましたが、その証明書を今度は日本政府が発行してよろしいということになりましたので、日本の旅券と同じように日本政府の外務大臣、ないしは日本に渡航する場合はおそらく総理大臣名になると思いますが、日本の関係省の発行する旅券を持つことになります。これには、右国籍日本人ということが書かれることになると思います。
○横山委員 そうすると、旅券は沖縄における日本の出先が発行するわけですね。
○林説明員 はい。
○横山委員 関連質問があるそうですから……。
○大久保委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 横山委員の質問及びそれに対する答弁によって明らかになったところは避けまして、なおあと、再び横山委員から別の問題について質問がありますから、私は簡単に承りたいと思うのであります。
 友利裁判が勝訴になった理由について、山野特連局長が説明していることがあるのであります。その点についてはここでもう一度はっきりと簡単に御説明願いたいのです。
○林説明員 琉球の第一審で勝訴になった理由ですが、これは先ほど刑事局長からも説明があったとおりでございますが、もう一度申し上げますと、友利候補を失格とすることになった根拠になります琉球政府章典という米国の布令は、大統領行政命令の趣旨に違反しておって無効ということが一点。それから、かりに無効でないとしてもという前提で、被選挙権の失格をきめている二つの法令、つまりいま申しました琉球政府章典、もう一つ立法院議員選挙法、二つの法令が現地にございますが、この二つの法令については選挙法の規定が優先に適用されるべきである、こういう二つの理由であります。
○志賀(義)委員 それと住民の立法とがどちらが優先するかという点について問題が起こってくるのでありますが、その点についてはいかがですか。琉球裁判所には布令、布告の効力を左右する権限はあるのかないのか、その点について。
○林説明員 布令、布告の効力を左右する権限があるのかないのかということが、この問題の移送になったきめ手の問題でございます。
 それからいまの二つの効力のどちらが優先するかということにつきまして、民立法のほうが優先するという趣旨の判決が出ております。
○志賀(義)委員 そこで、法務大臣が退席されますから、その前に次の問題を簡単にしますが、布令の有効、無効を論ずることが琉球裁判所の権限外だとすると、琉球裁判所は一体何をするところか。ついでに、また、琉球裁判所の判事の任命はだれがやるのか、そういう点をはっきりしてもらいたいと思います。
○林説明員 この点が、現地の法体制のもとにおいて、琉球政府裁判所の機能がどうであるかということが争いの焦点になっておりますので、琉球裁判所側のほうでは布令、布告の解釈をその効力に至ってまでやり得るという見解に立った判決をいたしましたし、移送命令をいたしました米民政府の見解は、それらの権限は琉球政府裁判所にはないのだという見解で移送命令をいたしたわけでございます。
 それから裁判官の任命は、上訴裁判所の裁判官は弁務官の直接任命であります。それから下級審の裁判官の一番上席の者は弁務官の指名に基づいて行政主席が任命いたします。それからその他の裁判官は弁務官の承認を得て行政主席が任命する、こういう制度になっております。
○志賀(義)委員 判事の任命あるいは承認ということになりますと、その判決がさらに都合が悪ければいつでも別の布令を出して、さかのぼって、このサンマの問題でもそうですか、適用することになる。それでも都合が悪ければ裁判権を取り上げるということになりますと、これで沖縄県民の財産権や基本的人権が現状で保障されているというふうに日本政府のほうで判断されるかどうか、その点いかがでしょう。
○林説明員 私どもとしては、政府の判断はどうかということまでちょっと申し上げかねます。
○志賀(義)委員 だから、判断できる人が答弁してください。政府の判断というか、どう考えているかということです。刑事局長、いかがですか。
○津田政府委員 これは米国の施政権下にある沖縄といいますか、の特殊性からくる問題でありまして、その特殊性からどういう理由に基づいて、どういう民政府に対する移送という制度が設けられているかということになると思うのであります。したがって、その関係自体はあくまでも米国政府並びにその施政下にある沖縄における問題でありまして、こまかな現地事情その他もありますので、これは私どもとしては簡単には批判できない問題でありますのみならず、いわば米国の施政下の問題でありますので、公に私どもがいまここに批判するということはできない、差し控えるのが相当である筋合いのものであると思うのであります。
○志賀(義)委員 それでは最後に一問だけいたしますが、一昨日ですか、衆議院本会議での山本議員への答弁の中で、日本には日米安保条約があるから戦争がこちらに及ぶようなことはない、こういう首相の御答弁でございました。ところが問題は、向こうが攻めてくるというのではなくて、たとえば沖縄なんかでもかってにアメリカ軍のほうで基地を拡張していく、これはもう沖縄の空を飛んだ人はだれでも感ずることですけれども、空から見ただけでも、沖縄の中に基地があるのではなくて、基地の中に沖縄があるという感じを受けるわけであります。そういう状態の中で、問題はいまのベトナム戦争が波及して日本が巻き込まれる、日本が襲われるということではなくて、日本政府がいまの沖縄の飛行場拡張その他のことで戦争を拡大していく中に巻き込まれる、それに積極的に協力させられる、そういう危険がこの沖縄の今回の問題で非常に重要な問題になっているのですが、いろいろと重ねて要請したとか首相は所信表明でも言っておられる。さてその内容は、外交上の機密だ、こういうことであります。そういう点で、少なくとも戦争に積極的に参加するということになる危険がこの問題でも起こっているわけです。自由に、沖縄でアメリカの思うとおりになるという危険があるのでありますが、そういう点について特に石井法務大臣は、先ほども横山委員の質問に対してはっきりした御答弁がなかったわけでありますが、それに対して、そういうことにならないように積極的に努力するのか、その方途は何かということを簡単に言っていただきたいと思うのです。
○石井国務大臣 沖縄における住民の安全を守るための法の問題とか、その法も住民が一番喜ぶような法であってほしいということは、私どももこいねがうところであります。その方向に持っていく場合、いわば占領治下であるという一つのハンディキャップがあることは、これはいなめない事実であります。で、その情勢下においてもいろいろな話し合いによって、旅券の話にいたしましても、日本というものをだんだんとあらわしてきておるというがごとき問題であります。住民の心持ちを離れてそこにおったって、安心しておれるわけのものでもないのであります。住民の喜ぶような法制をしくことは、アメリカ側としても喜ぶべきことだと思うのであります。そういう意味におきましても、私どもが力を貸してあげて、そうして琉球の人たちの法制、制度を、土地の人たちの力では十分できなければ、私どもが力をかすというのは当然のことだと思います。その意味において、私どもはいろいろやっていこうということでございます。どういうふうにどうやるということは、横山さん、少し消極的だと言われましたが、私は大体あまりそう突っ走っていつも答弁せぬほうでございますから、心持ちはそういうことでございます。
○志賀(義)委員 きょうはこのくらいにしておきます。
○横山委員 沖縄の問題につきましては、これからおそらく、私どもが期待する基本的な解決まで至りますには、相当の期間、相当の問題をはらんで、わが国司法制度との関連と相まって大問題になると思うのであります。大臣が、わしはあんまり突っ走らぬほうだと言うことは、自慢になるかならぬか、たいへん私は疑義を感ずるのでありますから、ぜひこの際、突っ走れとは言いませんけれども、本格的に沖縄の諸君の期待にこたえてもらわなければならぬと要望しておきたいと思います。
 それと、いま法務大臣に期待される沖縄の問題と相並んでおりますのが松山事件であります。史上これほどわが国の司法制度に対して汚辱を加えたものはないとすら私どもは痛感をしておるわけであります。あろうことかあるまいことか、刑務所の看守部長なり看守が女性を凌辱する、あるいは酒の差し入れがある、いろんなことがあるというばかげたことが白昼公然と行なわれておる。しかもそれらの囚人たちは、松山市において、これまた日本においてたいへんな問題となりました暴力団の事案である。われわれが委員会において、あれほど暴力事件について徹底的な追及をいたしておりますやさきであるだけに、何たることかということを痛感をされるのであります。この際、法務大臣は退席をされるそうでありますから、事態を伺ってからお考えを聞くのがほんとうでありますけれども、時間の都合上、今日、松山事件の問題について、法務大臣としてどのように責任を考え、どういう心境であるかまず伺いたいと思います。
○石井国務大臣 松山刑務所の不祥事件は、まことに汗顔の至りでございまして、何とも申し上げようのないものでございます。法をつかさどり、また刑務所のごとく、刑に処せられておる人たちを預って、そうしてその人たちが改心してりっぱな人間になって世の中に出ていくようにというのがわれわれの仕事だということで働いてもらわなければならぬ人たちが、御承知のような状態であったということには、何ら弁明の余地がないのでございまして、その人たちを責める前に、私どもがまず自分を責めなければならぬと思って、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。何とかしてこういうことが、またほかのほうにもそういうにおいでもあってはならない。また今後ともそういうことが起こらないようにしなければならないというので、いち早く、そのときちょうど刑務所長の会同をやっておりましたし、そういう人たちに対しまして、私ども心持ちを伝え、また検事長の会同も続いてありましたので、検事長が各地方地方においてもっと力を合わして行刑の施設等につきましても協力をするとともに、暴力団問題については、われわれはただ暴力団をあげて刑務所に入れてしまえばそれでおしまいだ、われわれの仕事は済んだという状態であり過ぎはせぬかということにもっと反省すべきじゃないか。今度の問題が、暴力団関係があるから特にその問題があったのでありますが、暴力団は、中に何人か入りましても、まだ外にも残っておる。その家族たちがいろいろ細工をする。そして中と外とがつうつうで、いろんなことを平気で連絡するというようなことだと、中におったって外におったって同じじゃないか。官費で休養に行っているというような状態になってしまったら、一つもよくなるわけがない。出てくれば歓迎会をやる。また出てくるときから旗を立てて迎えに行くというような勢いで迎えに来るというような状態では、いつまでたっても暴力団というのは絶えることがないんじゃないか、根こそぎ絶やすような方向にわれわれは力を入れているはずじゃないのかというような意味で、この間、中に入ったら外のほうを監視し、外のほうをもっとよくするように指導し、あるいは悪くなったらそいつらももっとつかまえる、ほったらかしておかないというくらいな強い覚悟を持たなければならない。
 それから中の刑務所で働いておる一人一人というものは、非常に一生懸命やっても力が弱い。一人では力の弱いものであるということを考えて、中の人たちが一体になって、暴力団がスクラムを組んでいるんだから、こちらもスクラムを組んでいかなければならぬ。全体が一体になっておらなければならない。それだけでなくて、外のほうのいろいろな法務関係の、検事局関係その他いろいろな人たちも一緒になって、これに力をかしてやらなければ、誘惑、脅迫というものが及んでいく。気の弱い者は、負けてならぬということでありますけれども、ついそれに負けてしまうということはあり得そうなことだということを考えて、みんなの責任だと思ってひとつやってくれないかというような話等も、この間から各方面で懇談し、力を入れようとしておるわけでございます。これはなかなか一朝一夕にはできない仕事だと思うのでございますけれども、心を新たにいたしまして、一也懸命やっていきたいと思っております。私も先頭に立って、こういう問題は力を入れていきたいと思いますし、それから刑務所というところが職員の待遇もなかなか思わしくなく、そして仕事関係も非常に苦しい状態だと思うのでございます。これらの施設また待遇というようなこと等も私ども考えて、求めることばかり求めるということでなく、それに対する待遇をしてやらなければならないわけでございます。
 そういうことも考えなければならないということで、この間からしきりにあれやこれやと相談をいたしておるわけでございます。これを一警鐘として、私ども全国あげて刑務所に向かって警報を発し、そして全法務省が緊褌一番して、ほかの事務に従う者も心を新たにして、こういう問題を起こさぬようにしたいというふうに心をきめでおります。このたびの問題につきましては、何とも申しわけないという意味で、ひたすら恐縮いたしておるわけでございます。あとの問題は何とかこれを少しずつでもりっぱに前進させるように努力いたしたいと思っております。
○横山委員 大臣としては、いち早く事務次官をはじめこの責任の追及をされたようでありますし、今朝承れば、高松の矯正管区長らが今月の四日に進退伺いを出されたそうであります。本件につきましては、その責任の帰趨というものを、他の官庁と違って特に明らかにせざるを得ないと私も考えておるのでありますが、大臣自身の責任はどうお考えでございますか。非常に恐縮をしておるとおっしゃるのですけれども、いつもの例と違いまして手早く次官までが責任をおとりになる、そして現場の責任からいまは中間、上層部の責任のところまで発展をしておるわけであります。過酷なことを申し上げるようでありますが、事がきわめてもうとほうもない、あきれ果てたことでありますだけに、平素の監督責任にこれは及ばざるを得ない、平素の指導責任にまた及ばざるを得ない。その最高責任者は何といっても法務大臣だと思うのでありますが、大臣自身はどういう責任をおとりになるおつもりでありますか、伺っておきたいと思います。
○石井国務大臣 私はまあひたすら謹慎の意を表して、そしてあとの始末をどうするかということをみんなと一緒にやっておるわけでございます。私がこれに対して行政上の大臣としての何か罰をされるというようなことがあれば、一通りのものがみんなまとまったところにおいてしかるべき処置を受けることがあるかもわからぬと思うのでございます。それは総理大臣がしかるべくやられる、あるいは政治上の責任は皆さん方からちょうだいすることになると思うのであります。
○横山委員 私は大臣に、総理大臣からしかられる、あるいは私どもが追究する以前の問題をお伺いしておるのでありまして、大臣は処分する立場でありますし、処分される立場でもありますけれども、いまみずからがみずからを処分する立場ではないか、こう申し上げておるのであります。いま自分で自分のあり方をきめなければならないのではあるまいかという意味をお尋ねしておるのです。これはどういう方法があるかについては私はずいぶん議論はあると思うのでありますが、大臣が本委員会におきまして特に発言を求めて、まず陳謝をされるのも一つの方法であろうし、閣議で発言を求めて行なわれるのも一つの方法であろう。私ともが尋ねてどうするのかという前に、大臣がしかるべき機会、しかるべき方法をもって身を処さなければならないのではないか、こう私は責めておるのですよ。これが、まあ大きく言えばみずから辞職をされるということもあるかもしれないし、あるいはまたみずからしかるべき機会、場所、方法を用いて自分の出処進退をお定めになるということもあるだろうと思うのですが、何らか大臣としてはなさらないと、次官までを措置をしておる段階において、大臣一人が国会で質問に答えて恐縮しておるでは、私は済まされない問題だと思う。そうでなければあなたがこの部下を戒め、これからはこういう方法でやるということだけではいささか私は当を得ないと思っておるのですが、そういうことをなさるお気持ちがあるのでしょうか、何もなさらないのでしょうか。
○石井国務大臣 横山君のおことばとして承っておきます。私自身のことでございますから、私自身が処置します。
○横山委員 それではこれ以上は申しませんが、大臣がそういうことを適当な方法でなさるものだと私は理解をいたしておきたい。きょうはこれ以上は申しませんけれども、私どもは一回理事会で御相談をいたしまして私どもなりに調査し、いろいろな原因というものを解明をいたしたいと思いますが、どうしてもこれはあらゆる部面にわたっての責任を取り上げざるを得ないと思いますので、そのおつもりでひとつ大臣自身としてもお気持ちを整理していただきたいと思うのであります。
 大臣御退席のもようでありますから、あと具体的な点について、それぞれの皆さんにお伺いをしたいと思います。
 次官か局長にお伺いするのですが、本件について責任を問われた者の氏名、処分並びに辞職なり進退伺いを出しておる者の職名並びにそのあり方等について、逐一御報告を受けたいと思います。
  〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○布施説明員 お答えいたします前に、矯正の仕事をおあずかりしておる者といたしまして、今回のような不祥事を起こしまして何とも申しわけない次第であります。深くおわびを申し上げる次第でございます。
 ただいま御質問の点でございますが、事件はただいま検察庁でまだ取り調べの終わらない段階のように伺っております。処分につきましては、すでに起訴されました看守杉原章につきましては本年の七月七日付で懲戒免職、それから丹生谷文夫看守につきましては七月九日付で懲戒免職、それから看守部長宮岡照雄につきましては七月九日付で懲戒免職、この三名はいずれも起訴されたわけでございますが、あと当時の拘置区長、それからその上の保安課長、それから管理部長、所長、それに矯正管区の関係につきましては、事件の取り調べが全部終わりました段階でございませんと、その職責を十分明らかにし得ないと考えられますので、事件の取り調べが一段落いたしました後に職責の調査をすみやかにいたしまして厳正な処分を行ないたい、かように考えておるわけでございます。
 進退伺い等の関係でございますが、これは先ほどお話しございましたように、管区長につきましては本年の七月四日、それから前刑務所長、ただいま京都の刑務所長でございますが、井上信太郎につきましては、その一日あと、五日と存じておりますが、いずれも進退伺いの書面が提出されまして、ただいま大臣官房のほうへ申達いたしておる次第でございます。現在の所長につきましては、三月十六日付で松山刑務所長に配置がえになりました。松山刑務所へ赴任いたしますと同時に粛正に着手したという関係にございまして、現在の所長はそのような関係から別に進退伺い等は出ていないわけでございます。
 以上でございます。
○横山委員 事務次官をはじめ上層部はどうなっておるのですか。
○布施説明員 局長でございます私といたしましては、これは事件の収拾をやるべきが本来でございますけれども、私は深く責任を感ずるところがございます。私の手で一体これを収拾すべきものかどうかも問題でございますし、また私といたしましては、このような問題はやはり中央におりまして矯正局全体をおあずかりしております私自身が姿を正して臨むべき問題だと考えましたし、また現場の職員に対しましても事は非常に重大であるというような考えから、六月の二十九日、ちょうど刑務所長会同が終わりましてすぐ口頭では申し上げたのでございますけれども、正式には二十九日に進退伺いを提出いたしました。私の存じますところでは、事務次官も同日進退伺いを出されました。三十日に訓告の御処分を受けた次第でございます。
○横山委員 今回の事件について、巷説伝うるところによりますと、さまざまな粉飾も行なわれ始めまして、週刊雑誌にそれがあたかも事実であるかのごとく、ノンフィクションとか、あるいはフィクションだとかいろいろなことにはでに脚色をされまして、多少事実が小説風に歪曲をされて、おもしろおかしく書かれておる部面もあるやに聞いておるわけでありますが、今日の状況において、一体何が行なわれたかということを正確に一回お伺いしたいのでありますが、取り調べ中でございますから、細大漏らさずというわけにはまいりますまいが、今日の状況において正確なところを一ぺん伺っておきたい。
○津田政府委員 まず概況を申し上げますと、本年四月二十四日、松山地方検察庁におきまして、松山刑務所拘置監における未決在監者等の刑務所職員に対する公務執行妨害傷害等の被疑事件の送致を受けて捜査をいたしておりましたところ、この被疑事件の被疑者の弁護人から、五月九日地検に対しまして、同刑務所の看守らが右事件発生当時、被疑者らに対して集団暴行を加えて傷害を負わせたとの特別公務員暴行陵虐致傷被疑事件の告発がありました。
 それより前、本年四月二十六日、同刑務所長から、別途刑務所看守らの受刑者らに対する暴行事件についての報告があり、またこれらの事件の捜査中、同刑務所内に収容されている暴力団関係の刑事被告人らが、不当な行状を重ねている事実を探知したところから、同刑務所の看守らによる右被疑事件以外の特別公務員暴行陵虐事件及び同刑務所の看守にかかる贈収賄被疑事件等についても、捜査の端緒を得ましたので、これについて鋭意捜査を遂げたわけであります。
 目下、なお捜査中の部分もございますが、現在大別いたしますと、先ほど来申し上げておりますように、刑務所看守の受刑者らに対する特別公務員暴行陵虐事件、刑務所在監者及びその関係人と刑務所看守との間の贈収賄事件、拘禁中の刑事被告人らの間の拘置監における傷害等の事件、それから贈収賄被疑事件にからむ証拠隠滅被疑事件というような事件が、現在捜査されておるわけであります。
 現在まで在監者及びその関係人と看守との間の贈収賄事件につきまして、先ほど矯正局長が申しました三名の看守を、収賄罪ないし加重収賄罪によって起訴をいたしておりますし、また未決在監者であります郷田昇外六名を贈賄罪によって起訴いたしておりますほか、拘禁中の刑事被告人らの間の拘置監における傷害等被疑事件につきましては、未決在監者である大石充安外二名を恐喝罪等によって公判請求をしておるわけでございますが、その余の事実につきましては、ただいま捜査中でございまして、遠からず全部にわたりまして、相当の処分がなされるものというふうに考えております。
○横山委員 他の人の質問もあると思いますから、一、二の質問で他の委員に譲りたいと思うのでありますが、今回の事件にかんがみ、法務省としては、今後どういう点を検討すべきであるかという点について、議論がなされておると思うのでありますが、どういう点を、かかる不祥事故をなくするために今後検討をされ、改善をされるおつもりであるかどうか、それをお伺いいたします。
○布施説明員 私どもといたしましては、御承知のように、現場の者といたしましては、去る六月二十三日、二十四日の両日にわたる全国刑務所長の会同におきまして、法務大臣からきびしく訓辞されたわけでございますが、それに対しまして、管区長、それから刑務所長全員が一つの申し合わせ事項をいたしまして、今後絶対かかることのないようにということをいたしておりますが、その申し合わせ事項は、一々もっともでもございますし、私どもといたしましても、今回の事件にかんがみましてずいぶん反省すべき点が網羅されておるわけでございます。私どもといたしましては、それらを具体化していくにつきまして、私どもの検討した結果も盛り込んで、その具体化を推進していくという方向で今後立て直しをはかりたいと考えておるのでございます。
 矯正当局といたしまして今後かような事件を起こさないように努力いたす方向といたしましては、第一には、検察庁、警察庁等との緊密な連絡を保って、情報を収集して、暴力団関係収容者についての処理方針をはっきりと定める。暴力団関係者が刑務所あるいは拘置所に入ってまいりました場合に、特に拘置所に入ってまいりました場合には、それが暴力団の中でどういう地位を占めるか、あるいは他の暴力団とどういうつながりがあるのかといったような関係について、刑務所側といたしましては必ずしも十分な資料を持ち合わせないわけでございます。さようなことからこういう間違いが起こるのだと考えられますので、今後は検察庁あるいは警察庁にお願いし、連絡を緊密に保って、できるだけそういう処遇に必要な情報を提供していただく、これが一つでございます。
 次は、暴力団収容者に対しては、厳正な職務執行をなし得る適格者を担当職員として厳選するということでございます。これは、規律を一つ乱しますと、アリの一穴からというたとえもございますように、そこから乱れていく。たとえば、点検の際正座させるというようなことを一つ乱しましても、そこからすべての規律が乱れていくというようなことがございまして、そういう規律を厳正に執行し得る担当の職員を選んでこれに充てるということが重要なことであると考えておるのであります。従来、収容者が入ってまいりますと、刑務所あるいは拘置所では、その収容者と何らかの関係で知り合いの関係にある者は、どういう知り合い関係にあるかという届けを出すということをやっておるわけであります。知己届けと称しておりますが、今度の場合には、それが必ずしも十分に行なわれておらなかったという反省があるわけでございますけれども、これを励行いたしまして、関係のない職員、しかも執行力の十分な職員、こういう職員を選んで、暴力団関係者には接遇をさせるというようなことが非常に重要なことであろうと考えておるのでございまして、この問題を具体化して推進していきたい、かように考えるわけでございます。
 第三には、必要のある場合には、管区機動警備隊――各矯正管区で機動警備隊というものを持っておるわけでございますが、その機動警備隊、あるいは近隣の施設の職員の応援を適切に行なうということ、従来もやっておることではございますけれども、今後時期を失せず、施設側と管区の連絡を緊密にしながら、それを励行していくということを推進したいと考えております。
 第四には、必要に応じて収容者を他の施設へ分散するということでございます。受刑者の場合には、従来から保安移送ということで全国に分散移送を実施しておるのでございます。たとえば、大阪の暴力団に属する者でございますと、大阪に置いておきますといろいろ問題が起こるというようなことで、特にその幹部でございますけれども、こういうような者は北海道へ移送するというような、全国的な規模における移送を実施しているわけでございますが、未決につきましてはさような広域的な分散は不可能でございます。しかしながら、検察庁とも十分連絡を緊密にいたしまして、実情を認識していただいて、もよりの施設へ移す、あるいは、ある場合には、その拘置区でなくて、刑務所の中の一郭を拘置区にして、そこへ分散するといったようなことをなお活発に実施する必要があろうかと存じますので、この点も今後大事なこととしてさらに検討を重ね、推進いたしたいと考えております。
 次は、上級の幹部職員による巡回を励行するということでございます。保安課長、その上は管理部長でございますが、保安課長、管理部長、それから刑務所長、それから拘置所長、施設の長に至るまで常に巡回を厳密にやるということが必要でございまして、もしこのことが十分に行なわれておったならば、今回の松山におけるような不祥事もあるいはもう少し早く発見できたのではないかという反省があるわけでございます。したがいまして、保安課長あるいは管理部長、これが毎日施設の中を巡回して見回るということは当然なことではございますけれども、今後は所長に至るまでその巡回を励行してもらうという方法を推進いたしたいと考えておるわけでございます。
 次は、居房の補強とかあるいは警備器具の充実等でございます。これは、ただいままで申しましたような、職員側の心がまえと一体とならなければ、幾ら補強いたしましても、あるいは警備器具を充実いたしましても、役に立たないことにな出る、かような点もあわせて、従来もやっておりますけれども、今後もこれを充実していきたい、かように考えておるわけでございます。
 第七には、暴力団関係者による誘惑、威嚇等から職員及びその家族を保護するということでございます。今回の事件にも見られますように、おどかされますと、 ついそれを上に言いそびれてしまって、それで孤立してしまう。そのうちに脅迫あるいは誘惑に負けて、かような結果を招来するということになるのでありまして、何か事があったらすぐにそれを上司に伝える。上司もそれと真剣に取り組むということでもって、その職員あるいはその職員の家族を保護して、そういう、面からは安心して職務の執行ができるような方法を推進して、これを具体化していきたいということが一つでございます。
 最後に、職員の訓練に留意して、職責の自覚を強めますとともに、信賞必罰を明確にしていきたいということでございます。
 かような諸対策を考えまして、これを具体化し、そうしてこれが実際に行なわれているかどうかということを確かめる方法、あるいは管区の監察、それから本省の巡閲、その他の巡視等によりまして、効果を確認しながら、これを強力に推進していきたいというのが私どもの考えている今後の対策でございます。
○鍛冶委員 ちょっと資料の要求をしてみたいのです。刑事局長にお願いするのですが、先ほどから聞いておって、一番大事なことは――沖縄における問題です。沖縄の裁判所の管轄権とアメリカ軍政府の裁判権、その管轄権を明瞭にする表をいただきたいのです。
 それからさらに、一つの事件で両方やれるようなことがあれば、どっちが優先するのか、そういうことがわかるようなものを、表でよろしゅうございますからひとつ出していただきたい。
 それからもう一つ、片方でやっているところを、片方へ移送する、それはどういうときに移送するか。
 もう一つ、先ほどから考えていることは、一つの事件に二つの法律がありますから、二つとも適用される場合がありますね。それを二つとも適用されても、裁判しなければ二つとも適用になるものではないと思う。先ほどから聞いていると、一つの法律で裁判しているのに、裁判しない法律がここへきて何かものをいうように考えられますが、そういうことがあるのかないのか。大体おわかりでしょう。できたらひとつ表にしてちょうだいしたいと思います。何より大事なことはその点ではないかと考えますので、お願いいたします。
○大竹委員長代理 よろしいですか。
○津田政府委員 ただいまの御要望の表にするということは、なかなかむずかしい面があると思いますが、できる限り努力いたしまして、わかりやすい表をつくっていきたいと思います。
○大竹委員長代理 坂本泰良君。
○坂本委員 私、中座いたしまして、質疑の全部を承っていないわけですが、大体新聞に出ているのが根拠だと思うのです。そこで、横山委員が詳細にその責任問題等までも質疑されましたから、私、若干お聞きしておきたいのは、今回は拘置所の問題ですが、一般受刑者の刑務所の問題もやはり同じようなことがいままででも繰り返されておるわけであります。その点あとで若干触れたいと思いますが、最初に、やはりこの拘置所というのは――公安事件等なんかは階級的対立でそうでもありませんけれども、大体は、破廉恥的の犯罪というものは、悪いことをしたのが入るわけだから、それの監督、拘置所の処理ということはなかなか困難だと思うわけです。しかし、困難だからといって、こういう不正ができるというものではない。もう一つは、やはりこういうことになれておる。なれておると言ってはあれですが、取り扱いをしている看守は、やはりこれも人間だからいろいろと相当破廉恥的に、じょうずにやる者から誘惑をされる。そうすると、人間でありますからついそういうあやまちを起こすことになるという、そういう状況にあるということもこれは考えなければならぬと思うのです。ことに暴力団に関連する事件なんかは、暴力団としては町では相当有力なものだし、地方議員に出て、その肩書きを持ってそうしてやっておるものですから、看守も社会人であるからそういう点も影響なしとは限らないと思うわけです。そういういろんな諸情勢で今度松山事件なんというようなものも起きたように推測されるうわけですが、私は、まず最初に、現在拘置所のこういう留置人に対するやり方その他について、刑務所規則ですか、古くは監獄法と思いますが、そういう点について、何か設備を含めました拘置所の組織自体について欠点がありはしないか、だからこういう犯罪も発生するというようなことがありはしないか、こういうふうに思いますが、法務当局のほろでこういう点について、こういう問題が起きて気づかれた点等もあると思います。そういう点については欠陥その他はありませんですかどうですか。その点をまず承っておきたい。
○布施説明員 今回の松山の関係の事件につきましてしさいに検討いたしますと、一つの問題はかぎの問題でございます。かぎはまあ刑務所等の施設の大切な使命ともいうべきものでございますので、大事に取り扱わなければならぬことは当然でございます。ところが、このかぎにつきまして、構造上から申しますと、各舎房等の出入り口のかぎ、これは全部同じかぎでございます。そこで、一つの種類のかぎを持っておれば舎房の出入り口はどこでも通用するという問題が一つございます。これは全看守が持っておるわけでございます。しかしながら、一面また全看守が持っておりませんと、いざというときに間に合いかねる。たとえば災害等が発生するというような場合に間に合いかねるという問題もございまして、非常にむずかしい問題ではございますけれども、そのかぎを、収容されておりました暴力団員が、針金をどうして入手しましたか、針金で密作したというようなことがございます。そういう構造上の問題等といたしましては、そのかぎの問題はひとつこれから検討いたしたいというふうに考えております。
 それから、本件の場合は、外へ逃げ出そうというのではございませんけれども、逃走防止等のためには、一つにはやはり鉄格子等の問題がございます。従来逃走の場合によく金のこが使われまして、そういうもので格子を切られるというような問題があります。したがって、これは従来から補強してまいっておるわけでございますけれども、そういったようなものも、これは一般の問題として考えていかなければならない問題だと思います。
 それから看守の配置でございますが、松山の今度の拘置所の場合を見ますと、昼間は、区長というのが副看守長、その下に監督の看守部長、それから看守、これは一階と二階となっております。一階と二階に正担当一人、それから交代が一人、それから事務をとる看守が一人という勤務でございます。この担当、これがまた、多少なれませんと収容者を取り扱うのに不手ぎわを起こすという問題もございます。しかし、あまり一つのところに長く一人の担当を定着させますと、その間にいろんな問題が起こるという点もございます。それらの点をかみ合わせて、今後そういうふうな点についてどのように考えていけばよろしいかというような点も一つの問題と思われます。
 なお、かぎの問題でございますけれども、夜は舎房のかぎは全部保安事務所に集めまして、一つの保管の箱に入れまして、それにまたかぎをいたしまして、このかぎは責任者が持っておるという状態でございますので、そのかぎが盗まれない限り、夜は比較的舎房をあけられないというたてまえに一応なっております。松山の場合も、したがいましていろいろ問題が起こっておりますのは昼間が多いのでございます。
 機構全体の問題といたしましては、これはいま直ちにことで即答いたしかねるのでございますけれども、機構全体といたしまして、御指摘のような、考えなければならない点があるのかないのかというようなことにつきましては、今後十分検討を重ねていきたい、かように存じております。
○坂本委員 いかに厳重なあれをやっても、それをまたうまく利用するのは人だから、結局は人の町版におちいると思うのですが、一つ例をとりましても、松山刑務所の事件では、看守が女囚のおるところまで案内して、そこに入れて、そこで暴行したという点がありましたですね。これは乱脈の最たるものだと思いますが、関係したのじゃないかと思う。そういうところも、それは結局いかに厳重にしていても、その看守自身がそういう気で、わからないようにやれば、同僚あるいは上司の口を盗んでやろうと思えばできないことはないわけですね。しかし、その設備あるいは組織の問題でそういうことができないようなことになっておると私は思うのです。それは、ただ人間の問題については、監督の問題だけれども、拘置所も狭いところだから、女囚のおるところは全然別個になっておると思うのですが、しかしそこまで連れていくのには、距離など、相当その間に連れていけない障害があると思うのです。そういうようなところは、やはり検察庁で調べておられると思うのですが、よほど巧妙にやっておるかどうか、その点はどうですか。どんなに厳重にしてやっても、人目を盗んでやったというふうに考えればそれまでですが、そこはもっと私厳重にできているのじゃないかと思うのですが、その点いかがでございますか。
   〔布施説明員図を示す〕
○布施説明員 この図面をごらんいただくのが一番おわかりやすいかと思いますが、松山の拘置所と申しますのは、これが一階でございます。これが二階でございます。一階に独居がございます。雑居がある。上にも雑居がある。女区はここにございます。ここへ参りますまでに検事の調べ室とか書信室とかそういうものがあるだけで、あとは事務室であります。(志賀委員「事務室は常駐ですか。だれか必ずいるのですか。」と呼ぶ)一人常駐しております。ただ交代いたしましたりしましたときにたまに不在になる場合があるかもしれません。しかし、ここにだれもいない、あるいは担当の看守もいないという場合はほとんどないわけであります。本件の場合に収容者がかってなことをいたしましたと申しますのは、この杉原という看守が階下の担当です。宮岡は二階のほうの担当です。女区のところは、これはもちろん隔壁がございまして、かぎでドアをあげなければ入っていけないわけであります。構造上から申しましてさようなことになっております。
○坂本委員 そこで、私見ますと、この郷田会の兵藤組長兵藤卓也を手引きして、同刑務所内にある廊下伝いの女囚監房に入り、兵藤は未決勾留中の十八歳の少女に乱暴したことがわかっておる。これは検察庁のほうで調べて、やはりその手口なんかも調べてあると思うのですが、その点刑事局長いかがですか。
○津田政府委員 捜査の間にわかりましたことは、この拘置監の中におきまして、暴力団員と申しますか、そういうものの在監者がかぎを自由に使った、あるいはかぎを模造といいますか、偽造といいますか、そういうものをしたかぎを使って、拘置所の房から廊下へ自由に出入りしておった、こういう事実はあるようであります。また、そのかぎを用いてであろうと思うのですが、女区のほうに出入りしたという事実はございます。
 そこで婦人関係の問題でありますけれども、杉原元看守の関係で、在監中の未決の中局なる者から、便宜な処置を受けたという謝礼として情交の提供を受けたという事実は、これは収賄罪になっております。ところが、在監者の間におきまして、先ほど申しました暴力団に属する者であろうと思いますが、その者が女区へ出入りした間における当時の未決の在監者との関係でありますが、この点につきましては、松山刑務所の未決監の女区はきわめて小さく、通常三、四人しか収容されておらない。そこで、当該関係事件について告訴等は現益存しておりませんので、その内容につきましては、これはおそらくあるとすれば強姦等の事件だと思いますけれども、告訴等が現存存しておりませんので、内容を捜査をいたしておりません。ある程度の行き来はわかっておると思うのでありますが、それは結局告訴のない事実に属するかもしれない、その点については公にすることを差し控えたいと思います。婦人関係では先ほど申し上げました事実はございます。
○坂本委員 時間がありませんからあれしますが、先ほど横山委員の御質問に、現在刑務所長会同を開かれて大臣訓示があって申し合わせ事項をされた。反省すべき点は反省し、具体化を推進ずる、そして立て直しをはかる、こういうことです。しかし、これはいつもこういうようなことが起きた場合の抽象的な問題だと思うのですが、少なくともこの刑務所長の合同会議を開かれて、法的の欠陥はないかどうかの点についてはどういうふうにされたか。それから、反付すべきと、反省反省といっても、どういう具体的の問題があるから、その点はこういうふうに反省して直すべきだ、そういうようなことにならぬと、そこでその具体化を推進するとこうおっしゃったけれども、ただ具体化推進じゃ、これは何にもならぬから、どういうような具体的な方法を推進するということが――もう時間がありませんから内容を詳しく聞かぬでもいいのですが、一項目ぐらい具体的の問題があがって、そしてそれを推進するのだと、私は、せっかくここまで会同をやったら、そこまで申し合わせ、あるいはきめなければ効果がない、こういうふうに思うのです。ただ官庁的の辞令じゃこれはいかぬと思うのです。その具体化については何項目ぐらいあがりまして、それをひとつ全国の刑務所に推進して、こういう問題が再び起きないようにするのだ、こういうことが私は必ずなければならぬと思うのです。大きい二点か三点でいいわけですが、そういう点を、あったらお話し願いたいと思います。
○布施説明員 お答え申し上げます。
 先般行なわれました全国矯正管底長刑務所長会同、この合同は、実はその会同における他の協議事項を準備しておったわけでございます。そのやさきにこの事件が発覚いたしましたので、この事件の関係についてもあわせて協議をいたすということでございます。したがいまして、二日間でございましたが、全部をこれにかけられなかったという点はあります。
 そこで、申し合わせ事項につきましては、簡単に申し上げますと、一つは処遇方針の確立と、それから警備体制の確立、それから職員の士気の高揚、職員の規律の維持、それから矯正管区における随時の巡視等が大きい柱になっております。それをさらに小分けはしてございますけれども、その一つ一つにつきまして、これを具体化するのにはどうするかという点にまで協議が及ばなかったわけでございます。したがいまして、これを具体化して推進すると申し上げましたのは、今後各矯正管区等でもいろいろな機会があるわけでございます。それらの機会に、管区内の所長の会議、そういう機会にこの問題を取り上げて、さらにこまかくこれを具体化し、できることから早急に推進していこうということを考えておるわけでございます。たとえば処遇方針の確立という項の中に、検察庁その他関係機関と緊密な連絡を保ち、情報を収集して処遇方針を立てるという一項がございますが、これを具体化いたしますにつきましても、ではどのような方法でやるのか、集めた資料はどのようにするのか、それを整理する方法はどうだといったようなこまかい問題が具体的にはあるわけでございます。そういう問題を解決しながらこれを具体化していきたいということでございます。それらの点につきまして、私どものほうといたしましても、できるだけ方針を与え、その方針に沿ってこれを具体化していくように指示をいたしたい、かように考えておるということでございます。
○坂本委員 それから検察庁と緊密な連絡をとる。それから暴力団の地位、他とのつながりがどうだかわからないからどうするか。しかし、こういうことになると、拘置所は単に身柄を扱っているだけでしょう。検察庁もまだ被疑者として取り調べ中であって、人権の問題もあると思うわけですが、あまりにこういうことを、こういうような問題が起きたからといって、職員間の問題を、今度は収容されておる人の――悪いやつは悪いやつですけれども、しかしながら、拘置所というのはその身柄を扱っておるだけであって、一番要点は、他との連絡をとって、そうして証拠隠滅をやらせないとか、それから暴力団についてはその地位をよく知って、そうして他とのつながりがどうだ、ありはしないかどうか。これは身柄を扱っているわけですから、これをいかに、検察官の取り調べに対して、その拘引状によって拘束されておる人をどうするかという問題が拘置所の重大な任務だと思うのです。しかしながら、それをあまり緊密な連絡をとって、検事が調べるようなことを看守が拘置所でやるべき問題じゃないと思うのです。それから暴力団の地位その他を、これは社会的にわからなければやはり他との連絡なんかをやって、そうして証拠隠滅をしゃしないかどうかというような点についてやはり必要だと思いますが、あまりにそういうことを調べてしまうと、身柄だけを扱っておる拘置所としては、権限を逸脱するんじゃないか、こういうふうに考えるのです。また、ひるがえって、労働争議その他の公安事件等で、こういう連中はあまりそういうことをしないと思うわけですが、黙否権を行使するとか、今度は逆に、拘置所のそういう体面を保つとか、そういうあやまちがないようにするために、善良な拘置人、留置されておる人の人権を侵害する、そういうようなことがあっては、これはデリケートな問題でありますからよほど注意をしなければならぬ、こういうふうに思うわけですが、刑務所長の会同をやられて、そういうような方面に重点を置いて、そうして具体的な仕事が検察庁と同じようになっていくと、これはまた人権の問題にかかってくると思うのですが、そういう点についてどうしたらいいかというような反省と申しますか、今後の方針についてはきまったものであるか、またどういうふうにやられる方針を持っておるか、その点をこの際お聞きしておきたいと思います。
○布施説明員 御指摘のように、もちろん拘置所は未決囚を扱うところであります。したがいまして、拘置所の使命は、通謀の防止、証拠隠滅の防止ということと、それから規律の維持、これは当然なことでございます。未決の間は、もちろん黒になるまでは白だというような関係もございますし、あまり制限をきつくすべきものではないと存じますけれども、もちろん検察庁にいたしましても、事件の取り調べ、その他内容に立ち入った情報まで提供してくださるとは思いませんが、私どもは、いま申し上げましたように、規律維持をするためには、居房の配置というようなことも大事なことでございます。同じ組の者が同じ雑居に入っては困るわけであります。あるいは隣同士に幹部がおっても困るというようなことで、居房の配置というものを考えるわけでございます。これは通謀の防止、証拠隠滅の防止という観点からだけでなく、そのほかに、所内の全体の秩序維持という面からも考えざるを得ないと思うのでございます。さような意味での指導をしようというだけでございます。それ以上のことを考えておるわけではございません。
○坂本委員 それから、これは私の弁護士としての経験ですけれども、外へ独房から出してたばこをのませるんですね。そうして、のませることは別にしまして、一人が否認しておる、それとまた一人が認めておる、そうすると、口を合わせるために、のませてならないところのたばこをのませて、そこでそんなような話があったから、もう口を合わせて、これはしようがないじゃないかということであって、実際そうでないものをそうであるからというので、今度、いよいよ裁判になって、拘置所を検証して、そういう事実があるけれども、検察官の調書ができておれば、それがひっくり返って無罪になるようなことはないわけですね。そこへすでに検事調書というものがものを言ってなかなか無罪にならないわけですが、それは検察官の取り調べとしてそういうような方法もやっておることもあるだろうし、それからまた、もちろん数字のような点については、これは拘置所内でいろいろな操作をする。検事が双方立ち会いをやらせて、そこで真実発見の調書をつくればいいけれども、そうでなくて、事実と違うことをでっち上げることがあるわけなんですね。そういうような点についてのルーズな点をまた利用した点もありはせぬかと思うわけですが、そういうようなことは、やはりその看守自身と監督の点にあると思うわけですけれども、今度監督者とその看守とぐるになって、そんな口を合わしてやるというような方法でやられると、また拘置所がからだを扱っておるだけでなくて、自白とかでっち上げに協力することがある、そこまでやったのじゃこれは行き過ぎじゃないか、こういうような点もあるわけですが、そういうような点について、この問題を機会にして何かもっと別な方法が、拘置所のあなた方の商売としての体験からして、考えられておることがありはしないかと思うのですが、そういう点はございませんか。
○布施説明員 拘置所におきましては喫煙は認めないことになっております。したがいまして、担当の看守がかってに連れ出してたばこを吸わせたというようなことがございますれば、それは看守自身の規律違反でございますし、さようなことがわかれば常に厳重に処置いたしておるわけでございます。これが原則でございまして、ただいま御指摘のようなことは、具体的にお示し願えれば、さようなことの有無については調査いたしたいと思います。
 しかし、さような、たばこを吸わせて、というようなことはございませんし、それから関係の被疑者あるいは被告人を拘置所側で看守がかってに引き合わせるということはないものと信じておるわけでございます。
○坂本委員 そういうのを聞くのは無理かもわかりません。
 そこで、先ほどの独居房の分離の問題とそれから場所の分離の問題、そういう点の配慮があるということはわれわれも承知をしております。そこでもう一つ聞きたいのは、雑居房です。雑居房に八人なり十人あるいは十五人もおることもあると思うのですが、やはりその中には徳川末期時代から小説にも出ておりますような牢名主と申しますか、そういうのが現在も自然と雑居房の中にはあるというようなことを聞くわけですが、そういう点についての問題、ことに暴力団なんかが入ってくれば――もちろん暴力団の親方なんかは独居房に入っておると思うのですが、その雑居房におけるところの階級と申しますか牢名主と申しますか、そういう点がいまでもあると思っておりますが、拘置所のほうではそういうのを見のがしておるような点がありはしないか、そういうふうに思うのですが、そういう点はいかがですか。
○布施説明員 昔は確かに牢名主とかあるいは添え役というようなものがいろいろ畳を重ねておったりしたようなことがあるようでございますけれども、現在拘置所でさようなことがあるかと仰せになりますと、一つの雑居房の中である者が俗にいうボス化するといったようなことは、これは規律を乱すもとになるわけでございまして、私どもとしては、さようなことのないように処遇の面で差別的な取り扱いをしないということを厳重に守るように指導はいたしておるわけでございます。しかし今回の松山事件では同房の者を恐喝したというようなことも起こっておりますから、今後も居房配置等につきましては十分慎重を期するように指導いたしていきたいと存じております。
○坂本委員 これは警察の留置場が主かもしれませんが、拘置所の留置場でもやはりある程度ちゃんと親玉がまん中にすわって右左にずっとこうすわって、今度は何番目になった、その次はその上になった、それから、出る者がおるからそうするとそこに上がった、それは一部認めたほうが雑居房の中の秩序を維持するためにはあるいはいいようにも外見上は見られますけれども、実際はそれは不平等だと思う。そういう点をもう少し厳格にやらなければ、そういうところから看守の統制等も乱れてくるのじゃないか、こういうふうにも推測されますけれども、そういう点について、今度の問題を契機にして気づかれたような点はございましょうか。
○布施説明員 今後の松山の事件につきまして、ただいま申し上げましたように同房の者がおどかされた、あるいは暴行を受けたというような事実があるようでございまして、大いに反省させられるのでございますけれども、ただいま御指摘のように、そういう中で名主的なものができるということになりますと、千里の堤もアリの一穴からということになると思います、その点御指摘のとおりだと存じますので、今後さようなことをいかにして取り締まっていけば一番いいかというような具体的なことにつきましても、今後大いに検討いたしたい、かように考えております。
○坂本委員 次は、保釈なんかの点で非常に関係をしてくるわけですが、拘置所に入ってしまいますと、それの持病とかその他の拘置にたえるかどうかの診断については、拘置所の中の医者でなければ絶対信用しないわけですね。しかし、その拘置される前からその持病ができて、そして特定のいい医者にかかっておる人は、その人の証明等も持っていって保釈の原因にもするし、医者によっては、そんなことを拘置所の中の医者が言うようじゃそれはほんとうの医者じゃない、私のは間違いない、というようなことで、それで検察官に保釈の要求に行っても、いや、それは町医者の診断じゃだめだ、拘置所内の医者でなければだめだ、こういうことを言うわけですが、この際承っておきたいのは、そういう権威を持つ拘置所の医者ならば、どういうような医者を拘置所内に専属としてやっておられるのか、全国的に、これは大体でけっこうですから、完全な医者がおるところといないところとあるわけですが、そういう点についてちょっとお聞きしておきたい。
○布施説明員 ただいま医師の定員は二百十五ということになるわけでございます。うち二百八名が一応充足されておりまして七名が欠員ということになっております。しかし、この医者の配置の実情につきましては、都会地と僻地等によりましてなかなかうまく配置できないという困難な問題をただいまのところはかかえております。たとえば東京都のように、各医科大学もたくさんあるというところでは医者の配置にさほど困難を来たさないわけでございますが、しかし一方たとえば北海道とか、あるいは九州の一部とか、大学所在地でないところになりますと、医師の配置がなかなか困難な点があるわけでございます。したがいまして、大都会の周辺につきましてはあまり心配はないと私どもは存じておるのでございます。その他、地方によりましてはさような点にいろいろ配慮をいたしまして、手が足りないというような場合には非常勤の職員を配置いたしまして、そして不足を補うというような方法でやっておるわけでございます。
 質問の問題になりますと、これはただいまここで全部にわたってお答え申し上げかねるわけでございますけれども、大体大都会では御心配になるような医師はない、むしろいい医師もたくさんいるということを私ども信じておるわけでございます。
○坂本委員 この点は、この際ひとつ参考にしたいので、資料をお願いしたいと思います。
 最後に、七月二日の新聞に、「宮崎でも看守の乱脈」、こういうことが大きく出ておるわけです。「松山刑務所などの乱脈ぶりが非難されているが、宮崎県都城市早鈴の都城拘置支所でも看守が未決拘置中の女性二人にいたずらし、先月二日、宮崎地裁都城支部で懲役一年を言い渡されていた。」こういう点を見ているのです。これは刑事局長も御存じと思うのですが、矯正局長その他も、やはりこういう問題も松山の刑務所の拘置所の事件と同じように今回は取り扱っておられるかどうか、その点をお伺いしておきたい。
○布施説明員 御指摘のように、宮崎刑務所都城支所におきまして一つの事件がございました。これは看守は山崎良夫という者でございます。これは、都城拘置支所の二階に女区があるのでございますが、その舎房担当として勤務しておりましたが、その一部にある女区収容中の女子被告二名に対して、ことしの二月十六日から四月一日までの間に五回にわたって、これはいずれも日中でございますが、居房のとびらを開いて中に入って、女子の被告人にわいせつな行為をしたという事案でございます。この場合は情交を結ぶというところまではまいっておりません。これは警察のほうで発覚した事件でございますが、四月の十八日に起訴されまして、六月二日に一審の判決があった。即日控訴申し立てがありまして、目下控訴中の案件でございます。身柄のほうは五月四日に保釈になっておるわけでございます。
 矯正当局のほうといたしましては、この事件につきましても調査いたしましたが、いわゆる暴力団等との関係、そういうものはございませんで、いわば山崎看守の個人的な性向のいたしたところであると考えておるわけでございます。
 本人に対しましては四月十六日に懲戒免職の処分をいたしております。その他の監督責任につきましては、目下進行中でございます。
○坂本委員 最後に、先ほど拘置所の医者のことをお聞きしたのは、これは関連の問題になるのですが、今度は刑の確定した受刑者の刑務所の問題でございますね。これは未決勾留の問題とは多少違ってくると思うわけですが、先般北海道の白鳥事件の村上国治被告のことで、年とったおかあさんが死にそうだからぜひ一目会わせてもらいたい、そういうことで陳情がありまして、最高検まで私も細迫、黒田氏などと請願に行った覚えがある。刑の服罪者であって、本人よりも、おかあさんのほうがぜひ一目顔だけでも見たい、そういうようなことで何とかできないものかと言ったのに対して、特にこれは治安事件で否認事件であるし、面会ができないというようなことでとうとう面会させずに、ある刑務所からある刑務所に移るどこかの駅ででも、顔だけでも見せてもらえぬかということで請願に行ったけれども、法は曲げられない、受刑者に対してそんな面会なんかはできないのだということでとうとうできなかったわけです。これはもう数年、去年かおととしかと思うのであります。今度はこの被告みずからが病気になった。これは北海道の網走監獄におるわけです。非常に病気をしているから何か請願をいたしておる。こういうふうに聞いておるわけですが、私は松山の刑務所の事件を見て、片一方には法の峻厳を痛烈に言いながら、そうして事、現在の社会に相反する共産主義者であったら人道も何もない、私は涙をのんで陳情に行ってできないということで帰ってきたわけですが、そういうことをしながら、この刑務所の一環である拘置所自身がこういうだらしのないことをしておる。法には涙がある。だからそういう危険は絶対ないように保証するからやってもらいたいということでもできないわけなんです。そういうふうに刑務所の問題は厳格にしておきながら、片一方でこういう問題を起こす。これはあまりに片一方に偏した、思想、信念が違うから断じてできないのだというよう主考え方に立つから、その反動として私はこういうような事件が出てくるのじゃないかと思う。
 刑務所については、贈収賄の問題等で、あの懲役人の食事の頭をはねて処罰されておるのも数回われわれは聞いておるわけなんですが、そういうような点について、この刑務所の取り扱いについてはあまりに寛大にしてはいけないと思います。もちろんこれは厳格にしなければならない。しかしながら、その厳格にする看守や看守長自身の監督不行き届きだというのでこういう問題を起こしながら、片一方には絶対涙も血もない処置をしておる。これはそういうことをほんとうに厳格にやれば、その反動が一方には必ずくる、こう昔からいわれているのです。そういう点があるから、やはり具体的のケースの問題について実際その請願をする人、保証をする人についてのことがあったら、秘密裏にいろいろなことをやらずにやはりやるべきが刑務所の行き方じゃなかろうか、こういうようなことを私はふだん考えておりましたから、この事件のことで特に痛感をしているわけですが、大臣がおられませんから、法務次官、ひとつそういう点もあわせてやってもらいたい。
 なお、私は、何もこの刑務所の問題に関連した人を厳罰にするばかりがこの粛正をはかり拘置所の任務を果たすということにはならないと私は思うのです。さっきから由しますように、やはり設備等を含めた組織の問題の確立と、要は人の問題だと思うのです。これを構成する看守、監督官その他の人の問題だと思うのですから、やはり当面の事件の責任のある人がこれは相当の責任をとって、懲戒処分とか配置がえとかいうようないろいろな方法もこれもやむを得ないことだと思いますけれども、それをやっただけで法務当局の責任がここに解除されたわけではない。要は、今後こういうことが起こらないようにすることが必要であるし、そういう見地から、先ほど、申し合わせ事項がどういうふうになっておるか、それが具体的にどう実行できるか、こういうことをお聞きしたわけなんです。そういう点についての今後ひとつこういうことがないようにする心がまえといいますか、そういう点についての大臣にかわる次官の御所見を最後に承わっておきたい。
○山本(利)政府委員 ただいま坂本委員からのおことばまことに当然なことでございまして、各刑務所における設備の問題についても十分に今後警戒し、改良すべき点は改良しなければなりませんし、また勤務状況につきましても、先ほど大臣から信賞必罰という態度で臨んでいくということでございますが、その点も今後十分注意しなければなりません。また同時にこういう職につく人たちはたまたまいまのような間違ったことをいたす者もございますけれども、また一生懸命でその任務の遂行に日夜努力しているたくさんの職員もあるわけでございまして、こういうことがうまくいきますのは、いまも坂本委員の仰せのごとく、要は、最も肝心なのは人にあると思うのでございます。職責を果たそうという心がまえ、また人間としての修養あるいは自分の職務のいかに重大かということを自覚しておるかどうか、それらの点すべて総合いたしました人間によることでございますから、今後この方面に職を得まして、まじめにつとめる者に対しましては、とかく仕事の性質上社会的にも明るい部面に出ない人が多いわけでございますから、その待遇も十分考えまして、よい人をこの方面に集めるようにすることも非常に大切なことかと存じます。
 また刑務所に入りました人たちがさらに出所いたしましてから重ねて罪を犯さないようにすることが、本人のためにも社会のためにも最も大切な点でございますから、その矯正教育がほんとうに行なわれますように、今後法務省におきましても各方面で努力いたしまして御意に沿いたい、かように考えます。
○大竹委員長代理 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 時間ですから簡単にいたします。
 当時拘置監は、収容者は何人で、それからこれの治安に当たる、昔は戒護といっておりましたが、いまは何といいますか存じませんが、その人たちは何人で、昼間及び夜の状態は、非常にオーバーワークになっていたことも一つあるのではないかと思うのですが、その点はどうですか。こまかいことはいいですから、あらましのところを伺いたい。
○布施説明員 松山刑務所の――当時とあまり大差ないと思いますが、七月十日現在で申し上げます。
 職員の定員が百七十三でございますが、大井の作業場の関係もございまして、それも含めまして現在百八十名おるわけでございます。そうして保安課の職員、つまり警備保安の関係が九十八名でございます。
 収容者は、受刑者が七月十日現在で六百九十一名、うち七十四名が大井の作業場へ行っております。
 四国拘置所のほうは面十一名おるわけでございます。その当時は、大体似たような数であったと存じております。
 その負担でございますけれども、これは保安職員、保安課長以下全員をとりますと、松山の刑務所では、大体一人当たり八・二人という数でございます。
○志賀(義)委員 全体でなくて拘置監だけでいいんですよ。問題は拘置監で起こっているんですからね。
○布施説明員 拘置監だけをちょっと計算しておりません。
 昼間の拘置監の勤務配置は、区長というのがございます。副看守長それから看守部長、監督部長、その下にいまの階下と階上に正担当が一人ずつと、それから拘置区の事務をとります看守が一人、それからあとは交代の看守が一人、それから女区のほうの関係で女子が一人、これは入浴とか運動とか、そういうときだけ立ち会います。
○志賀(義)委員 それは婦人ですか男ですか。
○布施説明員 婦人です。それから夜の勤務、これは夜の普通の状態に入ってまいりますので、階上、階下は一人ずつ配置になります。そして今度は全体を含めました場合に、当直看守長、その副長の副看守長、看守部長というものがあるわけでございます。夜の勤務に従事いたします数は全部で二十一名でございます。
○志賀(義)委員 拘置監で……。
○布施説明員 拘置監だけの数字をいまとっております。
○志賀(義)委員 あなた詳し過ぎて、話が散漫になりますからいいです。
 私が聞きたいのは、この図で見ますと、ここに女区がありますね。この女区は監房が二つですね。――二つですか、三つですか。
○布施説明員 二つです。
○志賀(義)委員 これは雑居房ですか、独居房ですか。両方とも雑居か、独居か。
○布施説明員 いずれも雑居でございます。
○志賀(義)委員 それじゃ聞きますが、浴室は女区にあるのですか。ここに男の浴場があるが、ここに連れていくのですか、どっちですか。
○布施説明員 ちょっと詳細な図面を用意しておりませんのですが、女区のみの浴場はなくて、男子も使用いたします浴室、それを時間を変えて入れていくということでございます。
○志賀(義)委員 全国の刑務所、こういう組織になっていますか。女区は完全に別になっておりますか。みんな拘置監ではこういうことになっておりますか。全体見てこういうのが多いか。浴場も男のほうへ時間を見て入れるということにするのか、それはどうです。
○布施説明員 設備の点から申しまして、全国的にはやはりそういった分界を設けたものが非常に多いと思います。新しくできます拘置監を持ちます刑務所につきましては、もちろん女子の入浴は別にいたしておるわけでございますけれども、従来の施設につきましては、ほんとうの意味の女区、たとえば東京拘置所とか、そういうものを持たないところは女子専用の入浴場というものを持たないものもたくさんあると存じます。
○志賀(義)委員 この前私は重要なことをちょっと伺ったのですが、女区のここのかぎもほかのかぎも全部、さっきのお話を聞くと同じようなものですね。それから今度調べた結果、ここの拘置監の雑役夫は普通は受刑者をやるのだが、未決を便宜に使って、しかも暴力団の組の者にここを自由に歩く――未決者を使っておりましたね。しかもそれが合いかぎをつくっておったでしょう。そういうことはみなわかったはずですね。その点を答えてください。
○布施説明員 かぎの点につきましては、先ほども申し上げましたように、舎房のかぎは全部同じでございますし、それから出入り口の小門かぎと申しますが、これも全部同じでございます。暴力団関係者のある者がその小門かぎを密作しておるということも事実でございます。
○志賀(義)委員 合いかぎを幾つつくっておりましたか。
○布施説明員 これは私どものほうの調査、つまり捜検をやりまして発見いたしましたものは一個でございます。しかし、それ以上に使われておった形跡は濃厚でございます。
○志賀(義)委員 監獄法によりますと、第三条「監獄ニ男監及ヒ女監ヲ設ケ之ヲ分隔ス」「懲役監、禁錮監、拘留場及ヒ拘置監ノ同一区画内二在ルモノハ之ヲ分界ス」この場合は分界になりますね。――ところが監獄法施行規則第二十九条によると典獄、監獄医、教誨師及ヒ女監取締ヲ除ク外監獄官吏ハ単独ニテ独居拘禁二付セラレタル婦女ヲ巡視スルコトヲ得ス夜間独居房ニ拘禁セラレタル婦女ノ巡視二付キ亦同シ」、こういう規定が設けてありますが、全国に女監の担当は婦人の役人でなくて男がやっているところは多いのですかどうですか。地方のこういうところは、便宜でちょっと分界するくらいのところはみな男ですか。
○布施説明員 常時たくさん入っております拘置所をかかえておりますところは、専属の女子の看守が配置されておるわけであります。ところが松山の場合も、これは常時平均すれば三、四名という数でございます。その他小さいところになりますと、常時一人かあるいは二人というような支所が非常に多いわけでございます。そのような支所に専属の女子看守というものを配置することは、操作上非常にむずかしい問題があるわけでございます。一人入っておりまして、それを全く区別して女子だけで扱うといたしますと、昼間の勤務と夜の勤務合わせまして、交代を含めますと四人の女子看守が必要だということになるわけでございまして、現在の状態をもってしましては、そこまで行き届いたことが財政上もできかねるような状態でございますので、男子が巡視をいたすこともございます。特に夜間等は男子が巡視いたしますけれども、この場合は、先ほど申し上げましたように、舎房のかぎは全部保安事務所のほうで一括して保管しておるわけでございまして、舎房のかぎは持たずに歩いております。何か事があればすぐに保安事務所のほうへ知らせて、責任者がかぎを持ってきて立ち会いの上であけるということでございます。
 そこで、ただいま御指摘の施行規則、これはいささかそのとおり行なえないという状態でございますけれども、その精神は十分にくみ入れてやっておるつもりでございます。
○志賀(義)委員 局長、いささか行なえないでもないでしょう。全くやってないじゃないですか。監獄法施行規則四十三条「監獄官吏ハ典獄ノ命令アルニ非サレハ他ノ監獄官吏ノ立会ナクシテ監房ヲ開扉シ又ハ在監者ヲ出房セシムルコトヲ得ス」、こうなっておりますね。ことに女監の場合はなんですけれども、そういう法律できめていることですよ。そういうこともせずにおいて、かってにここに出入りするから、いまの都城のようなことやこの松山のようなことも起こるわけですね。ほかにも起こっておりますか。こういうのはことしになりましてこの松山と都城だけですか。
○布施説明員 ことしはこの二つでございます。都城と松山だけでございます。ただ、遺憾なことでございますけれども、昨年水戸刑務所の土浦の支所で一件起こりました。この場合は夜間、これはかぎはやはり保安事務所のほうへ保管されておったわけでございます。かぎを持って歩いてはいけないわけであります。事があれば保安事務所から責任者がかぎを持ってかけつけて、立ち会って開房する。ところがこの場合には、舎房のかぎを保管しておる箱のかぎをかってに持ち出して――これは担当の当直の責任者が自分の机の引き出しの中のすずり箱の中へしまってあった、それを無断で持ち出してかってに開房したという次第であります。
○志賀(義)委員 それで、この松山刑務所の全体の配置図であります。ここは拘置監ですね。この窓の外からいろいろなものをほうり込む。その手口もいろいろあります。私もいろいろ知っております。中でどう受け取るかも知っております。かぎを暴力団の組の者が持ち、それでかってに外に出るところのかぎを開閉することができる、時間をきめてあればどんどんどんどんやれるわけですね。それはいわゆる外との連絡がついての何なんかについては今度は追及されましたか、どうですか。それは検察庁のほうの関係で、刑事局長、そういうものを調べてみて逮捕された者はありますか。というのは、どうも監房の中に、この前私が心配して聞いたとおり覚醒剤も持ち込んでいるようですが、覚醒剤のほうの調査、そういうことについては検察庁はお調べになったんですか。
○津田政府委員 関係事件のうちに、拘禁中の刑事被告人関係で、出所後ウイスキー等を所内に投げ込むべく脅迫していたいわゆる脅迫未遂の事件 というようなものがございます。(志賀(義)委員「それはウイスキー……」と呼ぶ)ウイスキーとたばこであります。そういうものがありますから、 それを取るためには所外に出る。所外と申しましても、監房あるいは廊下外の外側に出る必要があるわけであります。そういうことが行なわれていたんではないかと思うのでありますけれども、そこの詳細につきましてはまだ捜査中でございますのでわかっておりません。ただしそういう恐喝事件が起訴されておりますので、その事実の関連として、当然そういうことはあったのではないかと推測されます。
○志賀(義)委員 この構造ですね、これから見ると、ここに廊下がある、ここに浴場がある、そしてここは先ほどの書信室とかなんとかでいろんなことでできることになる。これは完全にこちらからも遮断して、男の看守なりそれから暴力団が合いかぎを持っていたりしたら何が起こるかもわかるでしょう。同じやり方にしてももう少しやり方があるんじゃなかろうかと思いますけれども、根本はやはり人が足りないことにあるんじゃないですか。いま全国の刑務所で平均、昼夜勤務をやった翌日は、おそいときには何時までですか、連続何時間くらいになりますか。
○布施説明員 昼夜勤務は、御承知のように朝八時半から翌日の八時半までということでございますが、その八時半に終わりまして、あと居房捜検をやって帰るわけであります、それに約一時間ほどかかる。そのままさらに居残りというのはなるべくやらさないようにということを指導いたしておるわけでありますが、あと日曜日の行事等もございますし、そのようなことで超過勤務というのはかなりな時間にのぼっておると思います。
○志賀(義)委員 どのくらいにのぼりますか。
○布施説明員 全国の実態は、実は申し上げるほどの統計はとっておりませんが、私どもとしましては一カ月に四十七時間くらいの範囲でおさまるように指導をいたしておるわけであります。
○志賀(義)委員 それが大切なところですね。あなたのほうはまだ統計もとっておられないというのですね。ところによると三十一時間連続勤務なんというのがあるでしょう。それはあなた調査していないからわからないんだけれども、そういう点を調査してごらんなさい。そうしますとどうしたって人間、刑務所の役人勤務していると、だんだんそういう点から健康状態も、ひいては精神状態も悪くなりましょう。これは何ですか、いま言ったように人は足りませんわ、こういうことは起こるわ、どうせくずの集まるところだから、こんなことは平気だというので、ほったらかされておくならともかく、いまのような人手不足のときは募集してもなかなか人が来ないでしょう、だんだん減るのですか、やはり人員は維持できますか、定員より不足しておりますか、その点伺いたいと思います。いじめるのじゃないから、率直に言ってください。
○布施説明員 確かに看守の数が十分であるというふうにはもちろん私ども考えておりません。したがいまして、どのような勤務体制をとるのが一番合理的かということで、実は三十九年以来実態を調べ始めておるわけであります。それの結果が出ますれば、どういうのが最も合理的なのかという一応の結論が出ると思うのでございますけれども、ただいままでのところは従来の配置でまいっております。欠員はただいまのところ全国で百八十二名でございます。その百八十二名――これは大体政府の方針もございますし、全部が充員できるわけではございませんので、したがいまして、採用の問題でございますけれども、採用の関係はいま申し上げました百八十二名は、政府の方針でたな上げするというような点もございまして、埋めれば埋まるものもそのままになっておるという数でございます。採用の状況につきましては、三十九年ころまではあまりよくございませんでした。しかし昨年からは四倍に近い応募者があるわけであります。ただそれが地域的に片寄っておるということはございます。九州とか四国あるいは東北のあたりでは十倍近い応募者もいる、片一方東京とか大阪あるいは名古屋、こういったような工業地帯あるいは商業地区といったようなところでは非常に応募者が少ないわけでございます。したがいまして、応募者の多いところから採用して、できるだけ少ないところへ回すという順繰りの方法をとっておるわけでございます。
○志賀(義)委員 薄給で、そして社会的地位も低く、社会に接触も狭い、それでこういうことが起こるのだと一がいにいわれておりますが、それはそれで、私どもは法務省のほうでもう少し積極的な方法を講ずべきだと思います。松山刑務所は、御承知のとおり新しい試みをやっておりますが、これを機会に、そういうものまでもぶつつぶすような行き過ぎたことをやるのは私は正しくないと思うのです、実際人が不足するときに、私も戦争の終わりごろにあったことがありますが、最後には彫りものをしたあんちゃんまでが来るのですよ。それでなければ役人がいないのだ。そしてそれが遊びに行って性病をもらってくる。医者に言うのがいやだから私に治療してくれというので、ずいぶん乱暴な治療をしてやったこともあります、もう二十何年たっておりますから言いますけれども……。いまは私は刑務所の人手が足りないと思う。それで、これはさっき大臣が言われたこと、またあなたが言われたことも、客観的にそういうことが起こってくる状態ですね、この構造から、予算の関係から。そういうことは考えないで、抜きにして、いわゆる綱紀粛正式に上からばかりやって、まっ先にあなたと竹内次官とが戒告処分を受けたりして、そういうことだけで解決できますか。もっとそういうところを調べて、その方面も考えなければこれはできないことじゃないですか。前代末聞の次官と局長との――事件が起こってまだ内容も全貌もはっきりわからない、ここでもまだ私どももわかりません、新聞にはどんどん書いてあるのに。あなた方そういう答弁をなさるときに、もうさっそく処分を受けられる、こういうことになっておるのですが、それでは問題の解決はできないのじゃないですか。それでせっかく少しずつでもよくしていこうという、松山刑務所の新しい試みなんかも芽をつぶすようなことになってしまっては、これはアブハチとらずなんです。だから、きょうは時間がありませんから伺いませんけれども、そういう点についても、今度の事件を教訓として前向きに解決するようにしていただきたいと思います。私はもう法務省の予算の問題でも、ことに最高裁もそうだけれども、何と予算の取り方がへただといってときどきけしかけることもあるぐらいです。だからそういう点ではわれわれも協力しますから、きょうはやっつけるために言っているのではないんだ。もう少しあなた方、しっかりしてやってください、こういう意味なんですよ。
 きょうはこれで終わります。
○大竹委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。
 なお、先ほど布施矯正局長が呈示いたしました図面は、これを参照として会議録に掲載いたしたいと存じますので、御了承を願います。
  〔図面は本号末尾に掲載〕
○大竹委員長代理 次会は来たる十九日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時五十一分散会