第052回国会 法務委員会 第7号
昭和四十一年十月十九日(水曜日)
   午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 大久保武雄君
   理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
   理事 田中伊三次君 理事 濱田 幸雄君
   理事 坂本 泰良君
      唐澤 俊樹君    千葉 三郎君
      中垣 國男君    神近 市子君
      楢崎弥之助君    畑   和君
      山田 長司君    横山 利秋君
      吉田 賢一君    志賀 義雄君
      田中織之進君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        国 務 大 臣 森   清君
 委員外の出席者
        総理府事務官
        (特別地域連絡
        局総務課長)  林  忠雄君
        警  視  監
        (警察庁刑事局
        長)      日原 正雄君
        検     事
        (刑事局刑事課
        長)      石原 一彦君
        法務事務官
        (入国管理局
        長)      八木 正男君
        外務事務官
        (北米局長)  安川  壮君
        大蔵事務官
        (大臣官房財務
        調査官)    山本  靖君
        国税庁次長   中嶋 晴雄君
        厚生事務官
        (国立公園局管
        理課長)    岸野 駿太君
        専  門  員 高橋 勝好君
    ―――――――――――――
七月二十九日
 委員神近市子君辞任につき、その補欠として三
 木喜夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員三木喜夫君辞任につき、その補欠として神
 近市子君が議長の指名で委員に選任された。
八月二日
 委員上村千一郎君辞任につき、その補欠として
 大西正男君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
 委員大西正男君辞任につき、その補欠として村
 上勇君が議長の指名で委員に選任された。
同月八日
 委員濱野清吾君辞任につき、その補欠として瀬
 戸山三男君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十五日
 委員村上勇君辞任につき、その補欠として濱野
 清吾君が議長の指名で委員に選任された。
十月十七日
 委員神近市子君辞任につき、その補欠として和
 田博雄君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員和田博雄君辞任につき、その補欠として神
 近市子君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
 委員山口シヅエ君辞任につき、その補欠として
 大村邦夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員大村邦夫君辞任につき、その補欠として山
 口シヅエ君が議長の指名で委員に選任された。
同月十九日
 委員山口シヅエ君、山田長司君及び西村榮一君
 辞任につき、その補欠として楢崎弥之助君、畑
 和君及び吉田賢一君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員楢崎弥之助君、畑和君及び吉田賢一君辞任
 につき、その補欠として山口シヅエ君、山田長
 司君及び西村榮一君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 理事上村千一郎君八月二日委員辞任につき、そ
 の補欠として田中伊三次君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
七月二十九日
 一、刑法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  第五十一回国会閣法第三八号)
 二、会社更生法の一部を改正する法律案(田中
  武夫君外二十名提出、第五十一回国会衆法第
  一九号)
 三、裁判所の司法行政に関する件
 四、法務行政及び検察行政に関する件
 五、国内治安及び人件擁護に関する件
の閉会中審査を本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 法務行政及び検察行政に関する件
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
○大久保委員長 これより会議を開きます。
 理事の補欠選任についておはかりいたします。
 去る八月二日、理事上村千一郎君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっております。その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、田中伊三次君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○大久保委員長 去る九月、暴力犯罪の実情等について調査するため、各地に派遣いたしました派遣委員より、この際報告を求めます。小島徹三君。
○小島委員 去る九月五日より行なわれました派遣委員の第一班及び第二班の調査につきまして、一括してごく簡単にその概要を御報告いたします。なお、詳細の報告書を別途提出いたしておりまするので、会議録にとどめていただきたいと存じます。
 私どもの調査は、熊本、広島、呉、松山などの各都市において、(一)暴力事犯の実態、(二)法務省、裁判所関係庁舎の整備状況、(三)現地の要望事項の三つの調査項目につきまして懇談会を開き、あるいは関係施設を視察するという方法によりまして、これを行ないました。
 今回の暴力事犯の調査にあたって特に印象を受けましたのは、取り締まり当局側は一様に、被害者側が暴力団員のお礼参り等をおそれて捜査に協力することを回避する傾向が強いため、捜査に多大の努力を要したと述べていることであります。一方被害者側は、(一)検挙されても保釈などですぐ出てくる、(二)お礼参りなどをさせないように厳重に監視してもらいたい、(三)言論による暴力事件など、物をこわすなどの具体的事件にならなければ警察はなかなか事件を取り上げてくれないなどの意見もありました。なお、刑務所職員や警察官で暴力団の誘惑におちいりやすい根本原因を究明すべきであるという意見もありました。このため、各県におきましても最近被害者の保護に特に意を用いているようでありまして、保釈についても、関係者が非常に慎重に扱う傾向にあるようであります。
 最後に、暴力団員の収容にあたっては各刑務所とも、職員や同房者等に暴力をふるうなど、その取り扱い等に非常に苦労されているようでありました。たとえば所内における対立抗争を避けるため、暴力団を系統別に各地方の施設に分散するなど、その処遇方法について非常に意を用いているようでありました。
 次に、施設の整備状況でありますが、私たちは、松山刑務所、熊本地裁山鹿支部、同宮地支部、熊本地検山鹿支部、同宮地支部その他を視察し、その増改築等について種々の要望を受けましたが、その詳細は別紙報告書に譲りたいと存じます。
 以上簡単ですが、御報告申し上げます。
○大久保委員長 この際おはかりいたします。
 ただいまの概要報告のほかに、詳細な派遣委員報告書が委員長に提出されております。これを会議録に掲載することといたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○大久保委員長 去る十月三日から三日間にわたりまして、沖繩の司法制度等について現地視察を行なってまいりました委員より発言を求められております。
 この際、発言を許します。濱田幸雄君。
○濱田委員 訪沖議員団視察の報告をいたします。
 まず概説について触れます。
 衆議院法務委員長大久保武雄君を団長とし、自民、社会同党所属の法務委員七名よりなる衆議院法務委員訪沖議員団は、去る十月三日那覇空港に到着以来、二泊三日の間スケジュールどおり関係各方面を訪れて事情の説明を受け、必要事項について懇談をとげ、また南部戦跡を巡拝し、那覇市内をはじめ土地問題その他基地をめぐる問題が発生している中南部各地を視察し、十月五日夜無事羽田空港に帰着いたしましたが、以下その視察の経過並びに結果について簡単に御報告申し上げます。詳細は報告書に譲ることといたします。
 次に、視察の目的について触れます。
 沖繩は戦後種々の事情から今日の国際的地位に置かれることになりましたが、その発足以来非常に多くの問題に直面してきたばかりでなく、現在においても土地問題、国旗掲揚問題をはじめ、経済的、社会的に注目すべき幾多の問題をかかえているのに加え、去る六月十七日突如発生をいたし、全沖繩県民の関心の的となった裁判移送の問題をめぐって激しい国民的運動が展開されつつあること、並びに裁判移送命令の撤回要望に対し、米国高等弁務官は、去る九月二十八日民政府裁判所の裁判官の任命その他さきに移送を命じた二つの事件、すなわち友利事件と第二サンマ事件の審理処理に必要な手続を進め、右の移送命令の撤回要求を拒絶いたしました。その後辞職することになったのでございますが、まことに多事多端の状態にあることは公知の事実であります。
 私たち訪沖議員団は、沖繩における社会、経済事情、政治事情の視察を行なうことを目的とし、沖繩の人々が当面する前記諸問題の解決をはかるためにする交渉権その他の権限を有するものではありませんが、法務委員会としても、また法務委員といたしましても、前記裁判移送問題をはじめ、沖繩における司法制度、法律制度をめぐる問題について深い関心を持ち、国会における活動を通じ、いわゆる沖繩問題の解決に努力するのは当然のことでありますので、このたびの視察の重点がこれら裁判移送の問題に指向されたことは当然のことと申さねばなりません。
 次に、視察と懇談の状況について説明をいたします。
 訪沖議員団は、(1)まず民政府を訪れ、高等弁務官特別補佐官兼副民政官ステーブラー大佐及び民政府法務部長リックス大佐と会見し、沖繩の経済、社会状況並びに裁判移送問題についての説明を聴取し、質疑を行なったが、裁判移送問題について当面の責任者であるリックス大佐は、話が微妙な点に触れると、「それは民政府裁判所が判断決定することであり、裁判所の判断に影響を及ぼすおそれのある発言は差し控えたい」とのみ答え、明確な回答に接することはできなかった。なお、高等弁務官欠員の米国民政府において、沖繩統治の重責をになっておるワーナー民政官とは那覇到着の日に会見し、あいさつをかわしております。
 次に、琉球上訴裁判所を訪れ、仲松上席裁判官ほか全裁判官と懇談をし、本件裁判移送問題の発生原因とその経過について詳細な説明を受け、問題点の内容とその所在を知ることができるとともに、得るところ大きいものがありました。
 さらに、琉球政府立法院を訪れ、長嶺議長、山川副議長その他多くの立法院議員の方々と会見、懇談会形式によって当面の諸問題について詳細な説明を受け、意見の交換をなし、また裁判移送問題について関係議員より、立法院が全議員の一致をもって裁判移送命令撤回要請の決議を行ない、関係各方面に対して活発な運動を行なうに至った経緯等について特に詳細な説明があり、これに対し若干の質疑が行なわれました。
 最後に、琉球政府須貝法務局長、比嘉検事長その他の係官と会談し、裁判移送問題、土地問題、国旗掲揚問題、その他沖繩が当面している各種の問題について、問題の内容と政府側のとりつつある施策その他について説明を受け、相当突っ込んだ質疑応答が行なわれました。
 なお、このほか時間の許す限り那覇市内における各種の施設を視察し、さらに基地の町コザ市その他を視察し、基地問題その他の諸問題の実体に触れ、多くの人々と会見をし、沖繩の経済、社会事情や沖繩の民心の動向等を知ることに努力いたしました。
 最後に視察の結果に触れます。
 以上申し述べました視察、懇談その他の手段方法により、訪沖議員団は、サンマ課税事件等についてこれまであまり伝えられていなかった第一サンマ事件その他如上の問題の処理について参考とするに足る多くの貴重な事柄を知ることができました。そして、この種の問題は、単に法律問題として解決するだけでは足りず、より高い政治的見地ないし良識的考慮に基づいて解決すべきものであることを看取し、沖繩出発の際の記者会見においてもその旨を述べたわけであります。いずれにしましても、現在沖繩が置かれておる地位や沖繩の同胞が当面している問題については、心の痛むものが少なくないのでありまして、われわれは国会における活動を通じ、これらの問題の解決に努力しなければならないことを痛感をしたのであります。
 以上をもって訪沖議員団の沖繩視察に関する報告を終わります。
     ――――◇―――――
○大久保委員長 裁判所の司法行政に関する件並びに法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 ただいま報告がございました沖繩の問題につきまして、森長官並びに法務大臣に質問をいたしたいと思います。事態を正確に知るために、説明を省略するために、ここに立法院のアメリカ合衆国大統領あての決議がございますから、この決議をまず朗読して、質問に入りたいと思うのであります。この決議はきわめて明白に全沖繩県民の強力な意思を表明しているものと私は思うのであります。
  去る六月七日、高等弁務官は、琉球上訴裁判所に対し「アメリカ合衆国の安全、財産又は利害に影響を及ぼす特に重大な事件」であるとの理由で、いわゆる「友利事件」及び「さんま課税事件」のアメリカ合衆国民政府裁判所への移送命令を発し、六月十六日琉球上訴裁判所はこの命令により、両市件の移送を決定した。
  当院は、六月二十一日、この移送命令は民主主義に反し、県民の裁判権を侵害するものであり、かつ、司法制度を自らの統治目的に利用しようとする不当な干渉であるばかりではなく、琉球政府裁判所の権威を無視するものであるとして、高等弁務官に対し移送命令への抗議と、その撤回を要求する決議をした。また、高等弁務官のこの不当な措置に対する全県民の不満と撤回要求の戸は日増しに高まりつつある。それにもかかわらず、今日に至るまで高等弁務官が当院の決議の趣旨に添う具体的な措置をとっていないことは、誠に遺憾である。
  いうまでもなく、沖繩県民の生命、自由、財産等に関する基本的人権を保障する司法機能の砦は、琉球政府の裁判所でなければならない。われわれは、沖繩県民が国際法上当然享有すべき基本的人件の保障が琉球政府の裁判所においても全うされなければならないと考える。
  よって当院は、本移送命令をすみやかに撤回するよう強く要求する。なお、あわせて琉球政府裁判所の判事の高等弁務官による任命及び承認制度の廃止を含む司法における自治を大幅に拡大するよう要求する。
  右決議する。
    一九六六年六月二十九日
               琉球政府立法院
 アメリカ合衆国大統領
 アメリカ合衆国国防長官
 アメリカ合衆国上院議長
 アメリカ合衆国下院議長あて
 私はこの決議を見まして、決議の内容並びにそれに盛られておりますことばといいますか、あるいはそのかたい意思といいますか、きわめて率直果敢に、アメリカ合衆国大統領をはじめ関係機関に強力な意思を出しておることを痛感をいたします。普通であるならばかくも強い表現は用いないであろう。率直に言って本院が――本院というのは衆議院でありますが、本院がいろいろな決議をいたしますけれども、かくのごとく強烈な表現を盛ったことはあまり例がないと思う。しかもアメリカ政府の統治のもとにある琉球政府立法院がかくのごとく反発をし、かくのごとく強烈な表現を用いておりますところに、全沖繩県民の気持ちをそぞろに想像することができようかと思うのであります。
 そこで、まず第一にお伺いをしたいことは、この問題か起こりましてから佐藤総理がラスク長官と会見をいたしまして、伝うるところによれば善処を要望し、善処するものの答弁があったそうであります。それは事実であるかどうか。事実であるとするならば、一体、今日の事態は、日本政府としては善処をせられたものであると考えるかどうか。なるほどワトソン高等弁務官は更迭をした。しかしながら、本件の具体的な措置としては、すでに移送命令は実施に移されて、裁判官は任命せられて、裁判は開かれて、そうして結審をして判決をするばかりとなっておる。かくのごとき状況をもってして、一体、一国の総理大臣がアメリカの国務長官に善処を要望し、善処をしたと新聞、ラジオ、テレビにおいて報道されたということについて責任が持てるのかどうか、その点をお伺いいたします。
○森国務大臣 佐藤・ラスク会談におきまして、佐藤総理から特にこの点を強く要請したことを私は聞いておりますし、それから、さらにラスクから検討しようという話を聞いたことも私は知っております。私自身も八月一日に沖繩担当の立場に立ちまして、ワトソン高等弁務官をはじめ、あらゆる機会にこの問題はすみやかに善処してもらいたい、こういう申し入れをしてございます。
○横山委員 私の第二の質問は、それだけ一国の総理大臣や森長官が懸命になって努力をし、検討しようと言ったことは、今日の事態として善処せられ、検討せられたと思っておるかどうかということです。
○森国務大臣 これは私が申し上げるまでもなく、平和条約第三条によって沖繩がすべてアメリカの手中にあるというこの冷たい現実というもの、これは私は無視するわけにはいかないと思います。しかしそればどう考えてみても、移送問題というものは、同じ血の流れている日本人としてどうしても遺憾に思うわけでございまして、したがって、私は就任早々にエマーソン公使にお会いいたしましたときにも強くこの問題を主張いたしましたところが、アメリカ側の言うのには、ともかく琉球政府が裁判所に関する琉球政府の立法さえできれば、その全判事の任命はすべてまかせる、そして前進させるからというふうな返事を受け取ってきております。さらに総理としても、これは強く要請したものの、結果的にはこれがああいう移送問題に発展してしまいまして、まことに遺憾だとおそらく思っておると存じます。
○横山委員 普通の人ならともかくとして、これだけ全県民がかなえのわくような大騒動になり、しかもわれら法務委員会の調査団の一つの結論も、法律的諸問題、これはあとで触れますが、それを越えて政治的解決がどうしても必要であると考えられる、そうしてその政治的解決については、やはり日本政府とアメリカ政府との折衝に待つところ多いとわれわれは考えた。それで総理大臣をはじめあなたがいろいろ努力をした。いまあなたのお話によれば、その立法院による決議の、判事の任命並びに承認制度については善処をするというようなお話であるけれども、いわゆる友利事件、サンマ事件については何らの善処の余地もなく、そうして偶然かどうかはわかりませんが、本院の私ども調査団が行く直前に高等弁務官は更迭になり、そしてその直前に裁判官が任命になる。まさにばたばたっと裁判をやる。そして、済んじゃったよというような態勢を示しましたことは、私ども調査団といたしましてもきわめて不満な感じがいたします。きわめてばかにされたような感じがいたします。ですから、これは努力をした、頼んだ、けれども頼んだ結果というものが、友利事件及びサンマ事件については何ら効果をあらわさない。しかのみならず、どんどんやってしまって、既成事実にしようとした。そういう点について日本政府としてはどうお考えでありますか。これはもう裁判になったんだからほうっておくよりしようがない、頼んだけれどもだめだった、こういうようにお考えでしょうか。
○森国務大臣 ワトソン高等弁務官が退任するにあたって、突如としてこの問題が再び生きてまいりまして、私としては従来から強くワトソン高等弁務官をはじめとしてアメリカの関係者にるる私どもの考え方について申し述べてきたやさきであるだけに、非常に驚きました。驚きますと同時に、先ほど申し上げましたように、沖繩の実情を知れば知るだけに、これはまことに遺憾なことである、こう感じて、引き続き私は努力を続けているつもりでございます。
○横山委員 そうすると、恐縮でありますが、いまあなたの努力をしておるということは、どういうことですか。いま裁判は結審になっているじゃありませんか。そして判決を待つばかり。この段階で努力を、何をなさっておるのですか。
○森国務大臣 これは当然私の立場といたしましては、先ほども申し上げましたように、沖繩の施政権というものはアメリカが握っておることは、これは厳然たる事実であります。したがって、われわれが容喙すべき立場でないかもわかりませんけれども、しかし、われわれは同じ日本人として、こういうことは何とかしてうまい解決方法がないかというので申し入れているわけであります。これでもってすべて終わりだと私は考えておりません。引き続き努力を続けたいと思っております。
○横山委員 先ほども報告の中にありましたが、サンマ事件ですね、私どもが参りまして認識を新たにいたしましたのがサンマ事件であります。私もずいぶん勉強させられましたので、十一の魚を一ぺんの間に言うことを覚えたのです。アジ、イカ、カジキ、キビ、ナゴ、サバ、サメ、サワラ、サンマ、スケソウダラ、マグロ、こういうのですね。この魚は税金がかかっていない。それを取っておる。法律上取るべく明記されてなかったのに取った。それで第一回に玉城ウシさんが、六三年八月に、これについて違法であるからといって裁判したら、勝ってそして返してもらった。もらったら、アメリカのやったことは、その人はではまあしかたがない、あとの人は返す必要がない、こういうのですね。あとの人は返す必要がない、その金を出したときから、玉城ウシさんだけは別にして、全部取って、合法的なものにするという布令を出した。私も実は大蔵委員をやっておるのでありますが、税金というものは過去にさかのぼって課税をするということは例を見ない。減税をするということは例がある。これから税金を取るということなら話はわかるけれども、過去にさかのぼって、裁判によって、いわゆる琉球政府が負けたというか、アメリカ政府が負けたというか、そういうものの罪を合法化するために、過去にさかのぼって課税をするということは、どう考えても不当なものである。また、課税の公平からいってとうてい理屈に合わないものである。どうしてこんなことが堂々と白昼やれるものか。私はアメリカ政府の高等弁務官の良識を疑うので、この点についてどうお考えでございましょうか。
○森国務大臣 私は、琉球の漁業株式会社が起こしたこの裁判に対しては、アメリカとしても十分わかっていると思います。こうしたことが派生的にさらに次々と起きてくることをおそれた結果ではないかというふうに私自身は解釈しておるわけであります。
○横山委員 派生的な問題というのはどういうことですか。
○森国務大臣 御承知のとおり物品税の対象にはなってなかった、したがって、それが税金がとられておった、こういうことから裁判が始まったのでございますが、これに類似した問題というのは、たくさんあるわけであります。このサンマに関しましても、したがって、この一件で済まなくて、二件、三件とイモづる的に出てくる、こういうことを非常に考慮し、おそれたのではないかと私は考えておるわけであります。
○横山委員 それがかりに派生的にあっても、それらは何らアメリカのいうところの、アメリカの安全、財産または利害に影響を及ぼす特に重大な事件ではないでしょう。そこが問題なんです。沖繩の県民諸君にとって、アジ、イカ、カジキ、キビ、ナゴ、サバ、サメ、サワラ、サンマ、スケソウダラ、マグロというものは日常の問題です。それが玉城ウシさんだけに税金を返してやる、あとの人は返す必要がないということが、どうしてアメリカのこの安全、財産または利害に重大な影響を及ぼすか、この点については総務長官はどうお考えですか。
○森国務大臣 私どもとして最も慎まなければならぬことは、裁判の内容につきまして、われわれがいろいろと意見を差しはさむことは、私の立場としては、私は従来からこれは厳重に差し控えたいという態度をとっておりました。今後もそれを続けていきたいと思いますが、ただ結果的において裁判移送問題というものは、これは裁判の経過がどうあろうと、内容がどうあろうと、どうしても同じ日本人の血を受けるわれわれとしては、これは何とか善処を願いたいと思って私は努力をし、また努力をし続けておるのでございます。特に裁判官の任命等につきましては、立法院がそういう立法をすればということでございますので、日本政府としても琉球政府との間で、いま十分な検討を始めつつあるようなわけでございます。
○横山委員 私はぜひあなたになり法務大臣に頼みたいのは、ものの考えにも触れるわけですが、現実の友利事件やサンマ事件、なるほど法務大臣や総務長官が直接介入すべきことではないかもしれないけれども、その根底に流れるものの考え方というものについては、きちっとした態度、気持ちを持っておらなければいかぬと思うのです。もしもこの種の問題がすべてアメリカの安全、財産、利害に重大な影響を及ぼすというふうに断定をされたのでは、沖繩における諸君の日常生活は一体どうなるかと痛感される。私は民主政治というものに二つの大きな柱があると思う。一つは選挙が公正に行なわれることだと思うのです。いまの日本の佐藤内閣みたいに、たくさん汚職があるときには、早く選挙をやって、それで政治の信頼を取り戻す。選挙をすれば一つそこで大掃除ができるという国民のいまの気持らがあるように、民主的な公正な選挙が一つの大黒柱だ。もう一つは、常に公正な裁判が行なわれておるという信頼感が国民の中にあることだ。この裁判と選挙というものがぎりぎり一ぱい民主政治をささえるてこだと私は思っております。その二つのてこが、沖繩においては二つともじゅうりんされておるということですね。友利さんの選挙を通じあるいは友利とサンマの裁判を通じ、選挙と裁判と両方とも沖繩でじゅうりんをされておる。そうして立法院が、この問題でかくのごとき激烈な文字を連ねて、ジョンソン大統領に抗議文を送っておるということについては、日本政府としてもよほど腹をきめてかからなければこれはだめだ。ただ善処してくれ、検対しよう。その結果が何にもならなかった、ああそれでさようならというようなことでは、あなたが沖繩は日本の土地だ、日本人だというふうに言われておっても、沖繩全県民の信頼をつなぎとめるわけにはまいらぬ。沖繩に対する基本的なものの考え方を一ぺんはっきり言ってもらいたいと思う。
○森国務大臣 私もこの裁判移送問題というのは、決して好ましい形ではない、こう考えたあまりに、就任以来常に機会あるごとにこの撤回力を申し入れてきたのであります。しかし、私がいまそうは言いますものの、先ほど来何べんも申し上げておりますとおりに、沖繩の施政権というものはアメリカにあるのだということを考えましたときに、日本政府の一員として裁判の内容についてまで一々申し上げることはどうかと思いますので、将来に対して、ともかくワトソン高等弁務官が七月に発表いたしました裁判所の新しい形、これと同町に裁判官の首席による任命、この問題を一日も早く片づけて、そうした問題で二度と再びこういうことのないような努力をするのが、私の当面の一番大きな問題ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○横山委員 裁判官の任命並びに承認制度の廃止も一つの大きな問題であるということは否定しません。けれども、それだけでは解決しないことはあなたも御存じのとおりであります。
 この際、法務大臣に少し関連してお伺いをしたいと思うのですが、沖繩の問題は森さんが所管で、そして佐藤さんがラスクに会ってものを言うという陰で、法務大臣は一体この沖繩について日ごろどういうことをなさっておるのであろうか。たとえば私どもが承知をいたしましたことは、沖繩の県民でなければ国家公務員になれぬということですね。ですから沖繩から日本へ留学をし、あるいはそこで司法官になるというようなことはあり得るけれども、日本人が、本土の人が沖繩へ行って国家公務員になないということがある。私は、沖繩の裁判官諸君の今回の良識、決意というものについて並み並みならぬ感銘を受けて帰ったわけではありますが、しかし、同町に法務省として、常日ごろ沖繩の司法制度に対して助言を与え、あるいは研修制度についてもっと拡充し、そして十分その機能が発揮され得るように努力をする必要があるのではあるまいか。私のことばの中にいろいろな意味があるわけでありますけれども、法務省としていささかく今日まで沖繩の司法制度について、努力に欠くるところがあるのではないかということを痛感しておるのであります。いかがでございましょう。
○石井国務大臣 沖繩の法務省関係の仕事に関与する事件、同じ日本人であるから、法務省はもっと力を入れたらというようなことでありますが、それは私どももできればもっと力を入れてあぐべきではないかという考えをとっております。しかし、これは非常にデリケートな問題でございまして、第一は、地元の諸君がそういう心持ちになってくれることが第一でございます。そういたしますれば、私どものほうはできるだけこれに協力して進んでいくというような心持ちで今日までもやってきておるわけでございます。御承知のように、私どもが協力し得る場面といえば、いま私どもが一番感ずる問題は、米国政府の出しております布告とか布令というようなものと、琉球政府の立法にかかっております法令が施行されております。その両者の関係がなかなか複雑であって、この法制的な整備が必要な点が非常にあるように私どもは見ておるわけであります。こういう問題にもう少し私ども力を入れて、技術的な面で協力をしてあげたいという心持ちを持っておるわけでございます。こういう面が一つと、それからもう一つは、沖繩の司法制度、さっきからお話のありました司法官の力をつけるというための研修、指導という面、これはいまも現にあそこの職員たちに力をいたしておるわけでございますが、これをもっと力を入れてあげたい。そうしないと――沖繩の司法官がもう少し何と申しますか、いろいろな司法的知識のレベルがぐっと上がって、いろいろ力づくことが、いろいろな問題の解決に非常な大きな働きをするんじゃないか。いろいろな問題の起こっておるものも、いま申し上げました二つの点が、裁判以前の問題として問題になる点じゃないかというようなことを考えられるのでございます。
 これらの点につきましては、私どもは第二の点はいまもやっておりますが、さらに御要望があれば、もっと拡充する用意がありますし、第一の点で、私どもが何か力をいたすことが必要であれば、おっしゃっていただくたびにあちらに人も派遣し、いろいろお手伝いもしておるわけでございます。今後ともそういうことで、御協力の必要があり、御要望があれば、惜しみなく私どもは力を入れていきたい、こういうふうに思っております。
○横山委員 私の申し上げる沖繩の県民でなければ国家公務員になれないということは、単に司法制度のみならず、あらゆる問題で私は沖繩における諸問題解決の隘路になっておるのではないか、こう考えられるわけです。日本で、学校で、沖繩の現状を見るに忍びず、沖繩の諸君のために働きたい、沖繩の国家公務員となって働きたいという人もあり、また沖繩の県民諸君も政府も切望するとするならば、その壁を破ることが今日沖繩問題について必要なことではないかと思うのですが、森長官はこの問題についてどうお考えでございましょうか。いままでおやりになりましたか。
○森国務大臣 沖繩に関する限り、私はそれだけの問題ではなくて、さまざまなネック、さまざまな問題があると思います。
 そこで私は今回そうした問題を集約的にいろいろ考えまして、施政権、教育権の返還というふうな問題をひっさげて、目下研究中でありまして、もちろんこれを進めていきますと、例の公務員の、五年以上住んでいなければならぬというようないろいろな問題にもぶつかってまいりますので、そうした問題もあわせて考えていきたいと、せっかく努力中でございます。
○横山委員 なるほどたくさん問題がある。問題があるけれども、そこであなたはいわゆる森構想なるもの、教育権というものについて何かそこにペニシリンのようなお考えをお持ちのようであります。しかし、私ども沖繩へ参りまして、各方面の意見を聞いておったのでありますが、こう言っては失礼ですけれども、森長官の、この教育返還というものが、非常に何かやすくて、ここから入るのが一番容易で、そうしてここからあらゆる問題に発展をするというようなお考えと、現地における雰囲気とはいささか違うように私は考えるのであります。
 まず私の感覚が間違っておったら御指摘を願いたいのでありますか、現地の人たちは、あなたがこの構想をお出しになりましたほど固まっていない。非常に流動的であるということが第一に考えられる。第二番目に、あなたはこの教育の返還があれは、他の問題については固定する。つまり今日の沖繩の地位、軍事上の地位並びに第二番目に安保条約体制というもの、そうして第三にこの塊状における日米協力体制、そういうものをもっと強めるというようなお考えになっていらっしゃる。これは現地の人、かまずそうかなと思った感じは、教育の変換から次から次へと返還させていって、それは祖国復帰に結びつく、こういうような考えを持っておったのだが、ふたをあけてみたら、何のことはない、これは途中で居眠りして現状を固定化する案ではないかという考えが非常に強いのであります。しかのみならず教育の返還は、すでにあなたも体験をしておられるのだけれども、あらゆるさまざまな問題があって、これは言うべくして容易なものではない。先般の外務委員会でも指摘をされた模様でありますが、教育に関する日本の法律が直ちに適用されるかどうかに始まって、実に複雑多岐な問題がある。結局これは森さんがアドバルーンを上げて、何か夢だけばっとかいて、空気だけ伝えて、それで終わりというようなことになるのではないか。むしろ多くの沖繩の人たちは、こういうことがかりに実現されても、これによって祖国復帰の問題に水が入れられ遠のいてしまう、こういう危険性のほうを非常に強く持っておるのであります。それをひとつ明白にしていただきたい。
○森国務大臣 横山さんの見解と私の見解とはまるっきり相違をしている。私自身はいま御質問を聞きながらそう考えておりました。現実に沖繩に四日間いまして、ほとんど寝る問もなく沖繩の方の御意見を可及的多く聞くように努力いたしました。
 そこで出てきたものは、何といっても第一には早く日本に帰りたい。施政権を全面的に返還してもらいたいということか第一、第二は、要約いたしますと援助額の増額、こういうことだったと思います。
 しかし、いま沖繩の全面的返還といっても、これは言うべくして可能でないことは十分皆さん方もよく御承知のことでありますし、私もそう思っております。しかしその中でも従来から地域別返還、機能別返還というふうな問題がございましたが、私はその中から機能別の返還、その中で特に教育権という問題を取り上げたのでありまして、確かに横山さんの言われるように、この問題は言い出したのは言い出したけれども、簡単に成果があがるとは私自身も思っておりません。しかしこうした問題を取り上げて、ステップ・バイ・ステップで沖繩の問題、さまざまな問題を解決していくよすがにはなる、こう私はいまでも信念を持っているわけでありまして、そのことが沖繩を軍事基地として固定化してしまうという考え方も当たらないと思います。時代は変わっておるのでありまして、激動する世界の情勢下にあって、私どもはともかく一歩でも二歩でも前進する方策をとるべきじゃないか、こういう考えのもとに進めいくべき問題だと思います。
○横山委員 私の見ておりますのは、沖繩処理問題の基本的な考え方としてあなたが佐藤総理並びに官房長官の手元へ提出をしたと称されるものであります。それによりますと、沖繩問題処理の基本的考え方、第一に沖繩の軍事基地は極東の安全保障上の必要性のある限りそのまま存在すべきである。二、現行の日米安全保障体制下にあっては変更すべきでない。三、したがって、沖繩問題の処理は、日米両国の相互理解と緊密な協力のもとに進められるべきである。この基本的な考え方に立って、以下機能別分離返還を進めることの目的と意義を熟読いたしますと、沖繩の県民諸君が、祖国復帰にさらに遠のくであろうと危惧し、こういうことによって、できそうもないむすかしい問題にアドバルーンを上げてわれわれのものの考え方、基本的な考え方を中和するというふうに心配をいたしますのは、私はけだし当然なことだろうと思う。しかし水かけ論になるかもしれませんから、私どもの感じました沖繩県民の気持ちをあなたに伝えるだけでとめたいと思うのであります。その次は、私どももお互いにまぶたのにじむ思いをしたのですが、例の沖繩漁船がインドネシアの警備艇に国籍不明として拿捕された事件であります。
 私どももたくさん会った人たちからこもごも聞いたわけでありますが、第八南琉丸とそれから第一球場丸、一方は二十六日ぶりに釈放されたそうでありますが、インドネシアへ行くのにアメリカの星条旗をあげていくのはどうしてもいやだ、日本の口の丸はなかなかあげてはいかぬことになっておるらしい、 そこで沖繩の琉球船舶旗――D旗というのですか、D旗を改良した琉球船舶旗を掲げていった。ところがつかまって、そして、何だ、いやおれは沖繩の船なんだ、何で日の丸をあげぬ、いやこういうわけであげられぬと言うたら、そうかそうかといって釈放された。私もこの夏インドネシアに行ったのでありますが、インドネシアは御存じのとおり非常に親日的なところであります。そのインドネシアが帰りしなに日の丸をくれたというわけです。私はその話を聞いてまことに心あたたまる思いをした。おまえのところは日本じゃないか、日本人じゃないか、それなら何で日の丸をあげぬ、そんなおかしな理屈があるかといって日の丸をくれた、こういう話を聞きまして、まことに、インドネシアの好意もさることながら、それをもらった沖繩の漁師の皆さんの気持ちを察して、涙のにじむ思いをしたわけであります。聞くところによりますと、政府もこの問題を取り上げておるそうでありますが、すみやかにこの問題は解決すべきだ。そして堂々と日の丸をあげて、このばかばかしい国籍不明というようなことのないように漁船の安全操業を確保させるべきだと思うのでございますが、どうでございますか。
○森国務大臣 その点は私も横山さんと全く意見を一にするものでありますが、これも、先ほど申し上げましたように、私が就任々の大きな問題でございましたので、私はワトソン高等弁務官とお会いしたときにも強く要請しておきました。ワトソンのほうといたしましても、これはライシャワー・アメリカ大使が強くそのことを主張していたことであるからというので、会談が終わってからの私とワトソン高等弁務官との共同声明の中にも、ライシャワーということばを入れて、これは至急に検討するというふうになっております。さらにその後もずっと私どもとしては主張を続けてまいりました。なかなか国際法、公海に関する法令等のいろいろなむずかしい制約はございますけれども、昨日の日米の協議委員会の席上でもこれは、正式議題として取り上げてありまして、私どもの主張を十分話をしてございます。至急に返事をもらいたいということになっておりますから、近々には返事が来るような段階になるのではないか。これはアメカさんとしても、私が少なくとも高等弁務官にお会いしたときのいきさつからいいますと、非常に前向きのような考え方をしているように私は見受けられます。
○横山委員 即刻この問題は解決してあげていただきたい。私はインドネシアが日の丸をくれたという話を聞いて、ほんとうに感激をしたわけであります。しかしそういうことを外国にさして、何だおまえたちは民族としての気持ちがないのかといわれるほどな雰囲気というものは、もらうほうのほうがよほどつらいと思うのです。
 それから、その次の問題は、やはり裁判移送問題と並んでたいへんな問題になっております土地の取り上げの問題であります。お互い、同僚諸君とともに、戦跡地を視察をいたしました。その戦跡の中で、やはりあなたもごらんになったと思うのですが、たくさんの碑がございましたが、その碑の中の一つ二つ心に残った碑があるわけであります。一つの碑歌でございましたが、「むせびなく みたまのこえか このおかに かすかにひびくとおきうみなり」でありました。その碑の前で深沈としてお互にたたずんでおったわけでありますが、その次の碑を見ると、「みたまよ やすらかに」と書いてある。あの戦跡の丘をおりて町の中に帰ってまいりますと、あなたもごらんになったように、まさに海岸線はありとあらゆるところ、耕せるところ、住めるところ、ほとんど軍事基地でありまして、全くうず高い軍需物資が集積をされ、日ごと夜ごとここからベトナムへ軍需物資が、あるいは港から原子力潜水艦が、そしてまた人員が行っておる。まさに沖繩は極東におけるアメリカの最大の軍事基地であるという日ごろの話をもっともだと思ったわけであります。「みたまよ やすらかに」と書いてあるそのみたまの碑から見える沖繩の空が全く軍事基地で、そしてごう音がとどろいておる中でどうしてみたまが安らかに眠れようか。これは人間的な感じではございますけれども、思いを新たにいたしました。しかるに、ベトナムの激戦が続くにつれて、その軍事基地の機能は飛躍的に拡大いたしまして、ますます土地の取り上げが始まっておるわけであります。そしていままでは政府が借りて、それをアメリカ軍にまた貸しをしておるけれども、まだ使用してないところはしばらくの間は耕作をしてもよろしいといわれておった、そういう土地まで完全に使用禁止になる、そしてはなはだしきに至っては、命令すれば、六十日たてはいやがおうでも強制収用されるというような状況で、いま裁判移送問題とともに、土地の取り上げは火のつくような情勢になっておるわけであります。この問題について、沖繩の農民の皆さんあるいは沖繩の荘法院はもとより、政府におきましても、もうこれ以上は沖繩の土地を取り上げることは、軍用地に使うことはお断わりだといっておる。それは単に農民ばかりでなく、すべての政府機関もそういっておるわけです。これは何とかしてやらなければなりません。あの農民の生活のためにも何とかしてやらなければなりません。その点を日本政府としてはどういう努力をなさっておられるでありましょうか。
○森国務大臣 これまた、いまの段階におきましてはわれわれの容喙すべきことではないと思いますが、しかし、あの小さな沖繩の島にあってさらに軍用基地をふやすというふうなことは、住民感情とすれば耐えがたいものがあると私は思いますので、これも私は高等弁務官とお会いいたしましたときにも強く要請をしたのでありますが、どうか島民との間にあまりいさかいのないように、そうして島民の納得するような線で十分なる補償の上で解決をしてもらいたいという、そういう意思表示を強く要請してございます。
○横山委員 住民とあなたは立場が違うですね。銭の問題ではないと言っているのですよ。取り上げられたくないと言っておる。あなたは補償をたくさんやってくれと言う。それはえらい違いでありましょう。それでは沖繩県民の要望にこたえるわけにはいかぬ。もうあれだけの――もちろんまだ丘陵や耕作も全然できないようなところは、取り上げてないところもある。けれども、いやしくも平地であるならば、住めるところ、耕せるところであるならば、残らずといっていいほどの軍用基地であります。したがってもうこれ以上は困る。大体沖繩というところは、お互い承知しているように、そういい土地ではありません。土ではありません。必ずしも農耕に適しているとはいえない。しかしその中で何とかして食おうと思って米をつくり、サトウキビをつくっておるのです。その田畑をこれ以上取りしげられることはいやだというわけでありますから、あなたの言うように、銭を出してやってくれという話とは違うのですよ。どうですか。
○森国務大臣 島民との間で感情的な激化をしないように努力を払うと同時に、島民の納得するような方向で、たとえば買い上げの場合については十分なる補償あるいは買い上げ金を出してくれ、こういうふうに言ってあるわけであります。
○横山委員 私の質問はまだたくさんあるのですけれども、森長官が十二町に御用があるようですから、ちょっと同僚とかわります。
○大久保委員長 坂本泰良君。
○坂本委員 仙山委員からいろいろ具体的の質問があったと思うのですが、私、要点だけを一、二お聞きしたいのは、ただいま土地問題でしたか、沖繩に行ってみますと、全く二十年前の日本の敗戦当事と同じような状態がまだあるということについて、私は非常に悲しむべきことであるし、これではいけないと考えてまいったわけであります。特にこの土地問題につきましては方法が二つあって、財産権の取り上げの問題と占有権譲渡命令というのがあります。占有権譲渡命令というのは、もう命令が出たその日からそこを追い払われて、出ていけということになり、そしてそこヘアメリカの基地をつくるわけです。ですから、このような占有権譲渡命令ということになれば、憲法上保障された所有権の問題、これなんか全然ないわけです。もちろん二十年前の日本の敗戦当時は日本人から逃げていったこともあったでしょうが、二十年後の今日においてその命令が出たその日から追っ払われる、この占有権譲渡命令ということについては、潜在主権があるという日本としては、これは聞き捨てならない問題だと思うわけですが、この問題について長官はどんなお考えでしょうか。
○森国務大臣 占有権譲渡命令その他、沖繩に関する限りは、いま戦後二十年を経て一応ともかくこうした生活をしておるわれわれの立場から見ますと、いろいろな問題がございます。しかし何といっても沖繩というあの島は、平和条約第三条によってその施政権がアメリカのものであるという現状、この現実の上に立ちますと、われわれが一々この傷の問題に対して、あとう限り円満な状態におきまして島民と納得ずくですべての問題を処理してもらいたいとは思いますけれども、われわれがやることとしては、現在の立場においては容喙すべからざるものがあるのじゃないか、私はこう考えております。
○坂本委員 それは平和条約第三条を承認したところに禍根がまだ残っておると思うわけです。しかしながら、平和条約が発効してから十数年になる今日においては、何らかの打開の道を講じなければならぬ。特に佐藤内閣においても、佐藤首相においても、自民党においても、主権はあるといっておるでしょう。潜在主権というようなことばを使っておるけれども、その主権があるなら、十数年の今日において何らこういうような問題について、特に土地問題について解決ができないというところに、これは熱意があってやっておるかどうかわからぬわけですが、森長官はこういう問題について――一番これが大きい問題です。ことに具志川村の昆布地区、ここは村全体、いまの占有権譲渡命令によって出ていけといわれておる。その村全部が基地になると私たちは思うわけですが、そこで琉球政府の法務局長はアメリカの手先になってこういうことをやるから辞職せよと言われておる。これは中央大学を出た私の後輩なのですけれども、あんなへっぴり腰の琉球の行政府にまかしておいたのではこれの解決はできないので、むしろ逆にアメリカの犬となってやっておる、そういうひどいことをやるという沖繩島民の考え方がある以上は、そういうことをまず直しもしないで、そして潜在主権があるなんということはとうてい言えないと思うのです。教育権の問題もあるのですが、この土地問題について、何らかアメリカに施政権が平和条約によってあるとしても、日本の潜在主権がなくなったものじゃないんだ、しかも終戦後二十年の今日においてこれを放任をする、こういう非道なことをやられるということは、いかに沖繩の県民が日本国民といいながら、日本政府は何らやらないじゃないか、熱意がない、こう言われてもしかたがないわけです。せっかく森長官が任官されましたから、この問題についてはどういう方法をもってやっておられるか。ただ話をしたというだけでは納得できないと思うのです。やはり話をしたならば、その全部あるいは半分はできなくても、徐々にその一割か二割ぐらいは実現するような話をしなければ、日米合同会議というので話をしたって、話をやったうちに入らないと思うのです。こういう点についての見通しを持っておられるかどうか。また、これに対する法務大臣の、この土地問題についてそういうようなひどいことをやられていることに対してどういうお考えですか。また、こういうことを国務大臣の一員として解決するという腹がまえがあるかどうか、御所見を承りたい。
○森国務大臣 何べんも申し上げておりますとおり、施政権はアメリカにあるのでございまして、われわれとしては、一つ一つの問題をたんねんに誠意をもって解決するように努力していかなければならぬと思います。いかんせん施政権を持っている相手と交渉するのでございますから、その点は御理解いただけると思いますが、われわれはそうした沖繩に横たわるさまざまな問題について、今後も一つ一つたんねんに誠意をもって努力をし続けていきたいと思います。
○坂本委員 一つ一つ解決をすると言っても、たくさんあるわけです。このうち、やはり土地の問題が一番重大な問題だと思うのです。だから、この間もつぶさに言っておいたけれども、向こうが返事をいつするかわからない、おそらくこれに対する返事はしないだろうと私は思うのです。私は易者じゃないけれども、しないと思う。しかしながら施政権は向こうにあっても、こちらは主権を持っておるわけですから、それに対して十数年間経た今日においてもこういう取り上げの問題をやっている。ことに琉球政府の法務長官なんかは、何だ、おまえたちはアメリカの手先じゃないか、これで琉球の立法府と言えるかということをいわれておるわけなのです。そういうことのないようにするために、この際何か見通しがあるかどうか、ただ言っただけだから言いっぱなし、向こうさんの返事がない、そういうものかどうか、その点、どうです。見込みもたいもの、なくていい、言うだけですか、長官として。
○森国務大臣 率直に、私はなかなかむずかしい問題だと思います。
○石井国務大臣 森君が申しましたように、この問題は、あなたもおっしゃったように、琉球住民としてはいかにも非常に重大な問題であることは私も当然だと思います。そのとおりと思うのであります。それだから話し合いをしているわけであります。立場はいま森君の申したとおりなわけでございます。むだである、そんな交渉ではむだだとおっしゃるかもわかりませんけれども、何度もむだと思わず積み重ねて、一歩一歩前進するような話し合いを進めていく、そうしていつか必ずこれをいい方向へ持っていくというよりほか、いまのところはそれ以上のことはしようがないと思います。できないからといってほったらかさないということが一番大事なことだと思います。私とも熱意をもってこの問題に取っ組んでいきたいと思います。
○坂本委員 時間がありませんから、裁判権の問題ですが、われわれが参りまして、裁判移送の問題で弁務官のやり方が一番ひどいというのは、すでに一審で判決がありまして、そして上訴をして、その上訴の審理中にこの移送の命令をやっている。だから、もちろんやり方によっては、上訴裁判所の結論が出てから、向こうの主張するような問題があればできる。それをやらせずに、結論を出させずに、途中で裁判移送命令を出したところに大きい問題がある。そのような問題で首席判事の進退問題まで出ておると思うわけですか、そういう状態だから撤回してもらいたい。上訴裁判所で裁判をして、そうしてその結果によって、それはまたアメリカさんがやろうと思えばできないわけでもないから、占領とかそういうアメリカの軍に関係したものなら、これは別でありますけれども、沖繩の住民に対する裁判については第三国の裁判を受けたくない、これは私も長官も法務大臣も同じだと思う。わが日本の裁判問題について第三国の裁判を受けるということは、これより以上の恥辱はないわけなんです。それで結論が出て、その判決についての向こうのいろいろの布告の問題に関係するようなことがあれば、そのときにでもいいと思うのです。それを布告かあるいは布令かを一審の裁判はそれを有効無効の判断をしたというところで移送の命令をしたんじゃないか、こういうふうに考えられるわけであります。これは何と申しましても、佐藤内閣が沖繩には日本の主権がある、その主権に基づいていろいろと行動しなければならぬということを言いながら、一番大事な裁判権の問題をそのままに見のがしておるということが、私は沖繩県民の期待に反し祖国復帰について大きな問題にぶち当たっておるのではないかと思うわけです。
 向こうをよく調べると、ただそういう裁判制度かあるだけで、事件があれば軍人の裁判官を任命してやる。脱役の軍人が裁判官になってやる。これで民事の裁判ができますか、軍人で。私はそういう点から考えても、もっと力を入れて、その撤回要求を沖繩は政党政派を超越しまして、こぞって望んでおるわけですから、いろいろの問題よりまっ先にこの問題は、沖繩県民の要望にこたえた日本政府の処置がなければならぬ、こういうふうに考えますから、その点についての所見を承りたい。
 さらにまた、時間がありませんから、法務大臣には、この上訴裁判所の首席判事が辞意を出しておる、それに対して、その人がやめたならば日本の現職にある裁判官をここに持っていこう、こういうことがうわさされていますが、その点についてはいかがになっていますか、この際承っておきたいと思います。
○森国務大臣 お互いが日本人である以上は、おそらくこの裁判移送問題に関しては、坂本さんのお考え方も横山さんのお考えも、あるいは私どもの考えておることも、腹を割って話し合えば結局同じことになると思います。しかし、現実の沖繩の置かれている立場、アメリカの施政権、こうしたことを考えますときに、私はあくまでも去る七月にワトソン高等弁務官が発表いたしました新しい裁判官の任命、そして立法府において新しい構想に基づくところの裁判をつくるというこのこと、このことに非常に大きな期待をかけ、そうしたものができ上がることによって、こうした問題も一掃されてくるのではないかと強い期待を私は持っております。
○石井国務大臣 ただいまお尋ねのようなこと、はっきりしたことを私承知いたしませんが、ただ仄聞するところによりますと、どこかの簡易裁判所の裁判官を持っていくという話があるやに聞くのでありますが、しかしこれは裁判所の仕事で、私のほうは直接関係ないものでありますから、よく承知いたしておりません。
○坂本委員 その点、森長官に聞きたいのです。こういう沖繩裁判官の任命等につきまして日本の裁判官を持っていく、そういう点について長官から伺いたい。
○森国務大臣 不即不離の日本の指導等に非常に期待するところが多いそうであります。
○坂本委員 時間がありませんから何ですが、私が一番土地問題を問題にしますのは、もちろんわれわれは法務委員会としてあすこの視察に行ったわけですが、ずっと自動車に乗って、もちろん部分でありましたけれども、アメリカの飛行場から法地を回ってきました。回ってきたといっても、外から見るだけでは何もわからぬ。この基地の地下には核兵器がうんとあると推測される、それくらいのことしかできないわけなんです。もちろん想像するからよけいに想像したり、もう核兵器をあすこにどれだけ貯蔵しておるかということについて、ばく大な貯蔵をしておるのではないかという想像をするわけですね。そこで土地取り上げ問題、譲渡命令等で即応に沖繩県民の占有権並びに所有権を追い払って取得するということは、やはりベトナム戦争とよく言われておるのですが、いわゆるアメリカの軍事基地の拡張にこれは使われておるのだ、軍事基地拡張ということの前提が土地取り上げだ、いまもって強硬にこれが実施されておるということについては、これは重大な問題だと思うわけであります。したがってやはり土地取り上げの問題を中心にして、沖繩を基地化せないようにするのは、われわれ全体の考えであるし、また政府に対する要望であろうと思うのですが、その点に対しての御所見を承っておきたい。
○森国務大臣 私もその土地が何に使われるかということはつまびらかにいたしておりません。おりませんが、ただ私が観念的に思っておりますことは、沖繩における米軍の立場、あるいはアジア、世界、そういった観点からいって、あの基地の必要性というものは、私は私なりに理解しておるつもりであります。
○坂本委員 アメリカの必要のために理解しておるという、そういうことですか。あなたはあなたなりに理解しておるというのは、ちっとも日本のためでなくて、アメリカのために理解しておるというようにも考えられますが、その点どうですか。
○森国務大臣 もちろん日本本のためも含めてです。
○坂本委員 そういうことを押し問答してもしょうがありませんので、最後に一つお聞きしたいのは、教育権の問題です。供出委員が聞かれて私も承っておったのですが、問題は基地の返還は当分アメリカはやるつもりはないじゃないか。これは絶対必要だから返さないのだ。現状は変更しないどころか、いま見たようにどんどん基地を拡張しておる。したがって教育権返還の問題についても教育権だけでも返還するという御答弁があったようですが、そればかえって沖繩の祖国復帰に対する支障になるのじゃないか、そういうふうに考えるわけです。
 その第一は、教育権だけを返還してくれというなら、これはアメリカのあの施政権を持っておることを前提として、それを認めて、その一部を返してください――われわれは、当然日本のものだ、沖繩の島民は日本人である、土地も日本のものである、当然返還してもらいたいという主張をしておるわけです。これは六日ですか、あの裁判権返還についての、あすこで二万五千名の県民大会があって、私もそこに行ってあいさつをしたわけですが、そのときもこの点があらわれておりまして、森長官のいまやっておられるような教育の問題は、これは教育権返還というようなイメージに、いわゆる祖国復帰のイメージをすりかえるような問題じゃないか、かえって沖繩の祖国復帰に対しては、島民のためでなくて、反対のほうにいくんじゃないか、こういうようなことを看取してきたわけですが、こういう点についての御所見を承っておきたい。
○森国務大臣 私がかりに教育権の返還を言い出したからといって、簡単にこれが成就するとは思っておりません。非常にむずかしい問題だと思っておりますが、さらばといって、しからばそれを言い出さないで、施政権の全面返還といっても、現布の国際情勢、あるいはアジア情勢、あるいは日本の置かれておる立場、そういったものを考えたときに、私はそれは不可能だろう、こう考えます。不可能の中にも何とか一歩でも半歩でも前進したいということを願うならば、そして沖繩の将来、子供たちの将来、こういうことを考えたときに、教育権の返還が一番妥当なものである。しかも私の考え方といたしましては、このことならば、今後の推移にもよりましょうけれども、ともかく妥当な要求であり、そしてまた実現性もある程度可能な要求だ、こう私は考えておるのでありまして、それを言い出すからには、沖繩が基地として恒久化してしまうんじゃないかという考え方は、私は全くとりません。
○坂本委員 終わります。
○大久保委員長 志賀義雄君。
○志賀(義)委員 森長官に伺います。
 いま坂本委員のほうから、具志川村の農民の土地を占有権譲渡命令によって取り上げられるということになっておりますが、その面積及び取り上げる目約は、長官のほうでおわかりでございましょうか。
○林説明員 お尋ねのは具志川村昆布の土地のことでございます。これは向こうからの情報によりますと、同村にある土地二万一千二百坪、これを軍需物資の集積地として使いたい、こういう申し入れがあるようであります。
○志賀(義)委員 そのほかに、総理府として、新たに約百五十万平方メートル、那覇の付近に大集積無地をつくる、こういうことについて何か聞かれたことがございますか。
○林説明員 現在のところまだそれは聞いておりません。
○志賀(義)委員 具志川村でこういうふうにまた集積基地がつくられる。さらにいま私が申し上げたようなことも将来起こってくると思われます。ワトソンのやめたこと、並びにそのやめる前に友利裁判で裁判移送命令を出したこと、こういうことを考え合わせますと、今度の具志川村の土地の取り上げから、さらに那覇の付近にそのような広大な集積基地をつくるということ、これがベトナムの戦争にも関係いたしますと、日韓条約で重大な関係かあろうと思いますが、今後はそれによってアメリカの占領軍と沖繩県民との間の関係が非常に深刻なものになってくるだろうと思います。そういう点について、政府はどういう態度を今後とられようとしておるのか。こういうふうにどんとん拡張されていって、百五十万平方メートルという土地までも今度は大集積基地としてとられるということが実現するようなことになったら、これはたいへんなことになります。キプロスの例は、これはトルコ糸の住民とギリシア系の住民との双方の民族的対立でありますけれども、これは占領軍とそこの住民との関係であり、非常に事態が深刻になってくると思いますが、今度の具志川村の土地取り上げのことに関連して、森総務長官としては、そういう事態が進行することについて、どういうふうにやっていかれようとするのか、その点を伺いたいと思うのであります。
○森国務大臣 志賀先生の立場と私どもの政府、与党の立場は、これは全面的に違いますから、私はたとえば平和条約あるいは安保条約あるいは日韓条約、これらには賛成の立場をとっております。したがって、そういうものの中に世界の平和を求め、あるいはアジアの平和というものを求め続けていくのであります。ただ、沖繩には九十四万の人たちが住んでおられます。その状態というものは無視はできませんし、大いにこのことには耳をかして善処していきたいとは思っておりますけれども、先ほど来坂本さんあるいは横山さんにもお答え申し上げておりますように、施政権がアメリカにある現状、こういうことを考え合わせて、そのワクの中で十分われわれは島々の人たちが不満足ながらもともかくどうやら納得いくような線で努力を続けたい。が、しかし、これはあくまでも施政権がアメリカにあるという前提のもとでございます。
○志賀(義)委員 これは委員長も沖繩には飛行機で行かれたでしょうが、上から見ますと、沖繩の中に基地があるというよりは、基地のまわりにあそこの県民が住む土地が少しずつぶら下がっているような印象を受けますね。それがいまのように具志川村で今度二万何千坪かの土地が取られる。不幸にして私の言うような百五十万平方メートル、五十万坪近くのものがさらに取られていくということになったら、これはあなたのような立場をとられるにもせよ、一体百万近くある沖繩県民かどうやっていけるのか。そういうことについては、日本政府として当然考えるべきことであり、そのほうの担当者である森長官なんかも十分お考えがあるはずですか、そうういうことは、平和条約、安保条約、それから日韓条約なんかの関係で、それを是認する立場に立っておるからしかたかない、こういう立場をおとりになるのですか、どうです。その対策を伺いたいというのです。
○森国務大臣 先ほど未払は坂本さん、横山さんにもお答え申し上げましたとおりに、これは施政権がアメリカにあるのだ、そういう前提に立ってわれわれはものを考えますから、この席上で私か――先ほど申し上げておりますように、私はこの問題については自分の見解というものをワトソン高等弁務官にはお話をしました。何とかして島民の納得の上でひとつ処置をしてもらいたいという話をしておる。正直言いまして、それ以上われわれが容喙することはなかなかこれはむずかしい問題だと思いますか、まあわかっていただけるように、島々の人たちをわれわれというワン・クッションを置いてわかっていただけるような努力は、引き続き続けていきたいと思います。
○志賀(義)委員 これ以上は譲歩しがたいということをあなたは言いましたが、それが重要なんです。それならば、この具志川村に端を発してそういうことになっていくとすれば、それに対してとういう了解を求めるというのではなくて、積極的に対抗策を講じなければ、あそこは全部基地になってしまいますよ。それに対する対策はどういうことをお考えか、ワトソン高等弁務官にこちらの意思をわかってもらうというだけでなく、いまのあなたのお話を伺っても、日本政府としては、ここでひとつふんばらなければならないというところにきているように伺いました。それについての具体的な対策は何ですかということを、さっきから伺っているわけであります。
○森国務大臣 決して御質問を軽視するわけではございませんけれども、志賀さんにいまお答え申し上げたことで御了解を願いたいと思います。
○志賀(義)委員 いずれ、いま私が申し上げますように、具志川村では二万坪ですけれども、今度は五十万坪近くの基地が新たにできるとなれば、これは耕地から住宅地から、そういうものまでも含まれてくるだろうと思います。非常に重大なことになっております。こういうアメリカの計画がある、だから友利裁判も起こる、サンマ課税事件も起こるんだ。強硬政策を向こうがとってくる、勢い沖繩県民のこれに対する反抗も激しくなるし、政府としても決断を迫られるときになると思います。御了解を願いますじゃ、これは済まない事態になりますから、それだけを申し上げておきます。
 次に、北米局長に伺いますが、いまのような、基地を新しく拡張することについて、何か情報を外務省のほうでは得られておりますか。
○安川説明員 ただいま総理府のほうから御答弁かありました以上の情報を、私のほうは持っておりません。
○志賀(義)委員 そういうことについては、いま申し上げたようなことでたいへんな事態になっていくと思いますが、具志川村を一つとってもわかりますが、それに対するなにか積極的な対策を外務省としてはお持ちですか。
○安川説明員 特別な措置をとるということは、いま政府として考えておりません。
○志賀(義)委員 そういうことではもういつも後手後手に回ってはなはだ遺憾であると思いますが、それだけを申し上げて、きょうはいろいろ問題がありますから私はこれで。
○大久保委員長 横山利秋君。
○横山委員 法務大臣に、あなたの所管で相次いで起こりました二、三の問題についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず第一は、いわゆる平新艇事件の問題であります。九月十七日の午後三時二十分ごろ下関市の海上保安野に北朝鮮から密航してきたと自首をしてきたことが事の始まりで、結果としては人を殺した四人の者は韓国へ、そして監禁されておった九人の者は北朝鮮へ送還をされました。このことにつきまして、私は逆にこういう感じを抱いたのでありますが、仮定の問題でありますからお答えにくいかもしれませんけれども、大臣、かりに日本の漁船が公海で殺人事件を起こして、逆に北朝鮮へ逃げ込んだとしますね。そういう場合には、日本政府は北朝鮮へ犯罪人として引き渡しを要求しますか。それとも要求しませんか。これは今回の事件がああいう非常にショキングな事件として起こったのでありまして、何か法律抜きにしていわゆる政治的、常識的な解決をしたんたということが通り相場になっておりますけれども、しかし、逆の場合においてはどうなるだろうか。漁師か公海上で人を殺して、日本へ帰れば死刑になるといって北朝鮮へ逃げ込む。それを返してくれと日本政府は言いませんか。向こうが断わったら、ではしようがないとあきらめますか、その点どうですか。――大臣の判断を伺っているのです。八木さんに質問しているのではないのですよ。
○石井国務大臣 北鮮のほうへ亡命の形で逃げ込んだという場合において、日本政府はどうするかという場合、日本政府はこれはどうすることもできないと思います。亡命したらしかたがない。しかし国民的感情が許さぬでしょう。きっと国民的感情は返せ返せといろいろなことを申しましょう。
○横山委員 そういうことだと思いますね。国民的感情が許さないとすれば、日本政府はどうするんでしょう。
○石井国務大臣 いま申しましたように、亡命したのでありますからどうもしかたがない。国交もないのですから……。
○横山委員 今回のは亡命であるか亡命でないかにも、少し問題があると思うのです。四人の人は日本に亡命したいと言っておったんだけれども、はたして亡命であるかどうか、その事態というものが。自白をしたような、自首したようなことが全くの真相であるかどうか、それはわからない。けれども私が言うのは、亡命でなかった場合は、それじゃどうします。人を殺して日本へ帰れば死刑になりますから、北朝鮮へ逃げ込んだ、単なる殺人罪で。国交が回復してないから国民的感情が許さぬけれども、日本政府は、しようがない、何もしないということではちょっとおかしくはないですか。法律上はどうなりますか。
○八木説明員 単純な犯罪を犯して、同じような形で北鮮側へ日本人が行ったという場合、もちろん日本人が北鮮に亡命するということはあり得ません。日本では出国は自由でありまして、日本の政治組織に不満である人間はどんどん出られるわけでありますから、亡命という問題は日本人の場合にはありませんが、たとえばただ単純に漁船の上で乱闘が行なわれて、殺人を犯した人間がその船を操縦して北鮮へ行ったというような場合、国交がありませんから処置がありません。ただ実際問題としては、そういう場合にわれわれとしては北鮮と国交のある国を通じてでも引き渡しの要求をするだろうと思います。しかしながら、それに向こうが応ずるかどうかは、実行させるというきめ手は何もございません。
○横山委員 まあそうだろうと思います。今度の九人の人もソビエトに渡して、ソビエトから北朝鮮へ渡すという措置がとられたのでありますから、逆の場合はやはり日本政府がソビエトに対して、お前のところとつき合いのある北朝鮮に申し入れてくれ、それを引き渡してくれと言うのが日本政府の意思になる。日本政府はそれを表明した以上は、もし北朝鮮の政府が犯罪人なり亡命者なりを引き渡さなかった場合においては、それに対して力づくで取り上げる手段はないにしても、日本政府が引き渡しをしてくれといったことは、正しくかつ国際的にも主張のできる説得力のあることだというふうに考えるからするのでしょうね、その点はどうですか。
○八木説明員 ただいま申し上げましたのは、日本船が日本の領海外において、たとえば公海上において日本の船員が犯罪を犯すと、御承知のとおり、いわゆる旗国主義で、管轄権は日本にあるわけでありますが、その犯罪に対して法的な措置をとるための必要から、日本に引き取りたいということを申し出るわけでありまして、その点においては今度の北鮮の――北鮮のほうは、今度の事件で私どものほうへ直接電報を打ってまいりましたけれども、向こうの意図は、いま一つの例としておあげになりましたケースとはちょっと性質が違っております。と申しますのは、もし日本の場合に、御質問のような形が起こったならば、と申しますならば、これはただ公海上における単純な犯罪行為、それに対する日本の司法権の発動というだけの問題であります。ところが、北鮮の場合、今度の平新艇のケースにつきましては、御承知のとおり北鮮は日本と全然国家制度が違っておりまして、国民が自由に自己の意思によって国外に旅行することは許されていない国であります。したがって、無断で出国したといったような場合、たとえば日本の場合、無断で出国することは不可能でありますが、何らかの形で、非常手段で密出国したという場合、それに対する制裁というのはほんの軽い罪であります。しかし、共産圏においては、法律を無視して出国した場合、その制裁は破局は死刑、通常でも十年以上の懲役というように、非常に厳重な規制がございます。したがって、当然こういう国では国の法律を無視して出国するというのは、いわゆる政治犯的なものでありまして、そういうものは日本の場合には全然存在し得ない種類の犯罪であります。したがって、今度の平新艇の場合、たまたま公海上で行なわれた行為そのものについては、いま御設例になりましたようなケースがもし日本にあったとした場合、殺人というような行為が行なわれたという点においては同じだとしても、日本の場合は、単に日本の船の士で個人的なけんかで人殺しが行なわれたというだけであって、片方の場合はその前提として、政治亡命的な動機によってそういう行為が行なわれたという点において根本的に差があったと思います。
○横山委員 ちょっとあなたの説明は苦しいと思うのです。私は今度の措置が、北鮮へ帰れば死刑にさせられる。気の毒だというような気持ちが庶民の中にあるとは思うのですよ。あるとは思うのだけれども、何か非常に政治的かつ常識的にとあなたのほうは言っていらっしゃるけれども、その間、それでは逆の場合はどうだと考えてみたら、単純犯罪にしたところで、北鮮に比べてそう罪が重くないにしたところで、逆の場合には、日本政府はあくまでソビエト政府に依頼して、逃亡した犯罪人を引き渡してくれ、これは旗国主役で、そしてどこへいっても恥かしくない論理である、どうしても返してくれ、そうして北鮮がそれを返さぬといったら何べんも口上書を出したり、文句を言ったり、そうしてやるにきまっていると思うのです。かりにその人が日本へ帰ってきて死刑に処せられるおそれがあるとしても、日本としてやらざるを得ない、あくまで努力せざるを得ない、こういうことは同じことじゃないかと私は思うのです。そこのところが今回の措置についてあまりにも政治的過ぎやせぬか。われわれがその立場に立った場合においては当然とり得るであろう措置を見のがしておる。そんなことは日本にはそんなにないと思いますよ。思いますけれども、論理上はあり得るのですから、そういうような場合のことを考えたらいささか片手落ちではないか。そういうたくさんの人を殺したのですよ。いかに亡命したいといいながら、いかに自分の命を守りたいといいながら、あの人たちは、いま北鮮において犯罪を犯し、そうして北鮮におったら監獄に入れられるという筋合いの人ではなかったはずです。ただどこかへ行きたい。あの人たちが言うことがほんとうであるならば、共産主義でないところへ行きたいという気持ちのままにたくさんの人を殺した重罪犯罪ですから、亡命どころか、もっときびしい犯罪にされるべき人なんだ。そういう人を、向こうへ行ったら死刑にさせられるから、気の毒だから韓国へやれ、韓国へ行ったら大英雄として大歓迎を受けるらしいということで、どこかそれを人道上ということばにかまけて、本来現在というところを日本政府は見失っているのではないか、私はそういう感じがしてならないのです。法務大臣、いかがでしょうか。私の言うことは間違っているでしょうか。人間的にそれはおかしい。私の論理は、日本でそういうことが起こったら日本政府はどうなさいますかということから始まったのですが、あの人たちは、そんなように韓国へ行って大歓迎を受けるべき人間的資格のある人じゃありませんよ。死刑にされてしかるべきくらいで、人をたくさん殺して、自分の命を全うするというようなことは許されていいことじゃありません。人間的に、法務大臣はどうお考えですか。
○石井国務大臣 私どもは、この事件をずっと見まして、公海の上とはいえ、そうしてまた一斉にそれだけのたくさんの人を殺したり、いろいろな非常にひどいことをしたのでありますが、あれだけの人を殺したのでありますから、あの人たちが何もなしで日本に来て、そうして亡命したいといったことと同じような感じを持って迎えるような心打ちには決してなれなかったのであります。しかし、それならばどうするかということで考えてみますると、これは不完全なような気はいたします。何か割り切れぬような心持ちはいたしまするが、この人たちの扱いは、公海におってやったもの、日本に来る前のことはわれわれの力の及ばざるところのものとして、そして日本に来てから先の問題だけとして扱い、自分の国に帰らずにどこかほかのほうへ行きたいという、それが韓国であった。あるいはこれが香港とか、ほかのところであっても、そういうところに日本は賛成して送ってやったに違いないのであります。歓迎を受けているかどうかは、これは結果的のことでありまして、われわれは歓迎されるところに送ったというわけではないのであります。あなたのおっしゃるように、何かおかしいじゃないかという心持ちはいたします。しかし、これよりほか――まあまあ、こんなところじゃないかというところの処置だろうと思います。
○横山委員 それは私は納得できませんよ。ただ、理屈をつけるならば政治的、私とあなたと違う政治的ですけれども、まあ政治的判断でやった。振り分けの荷物で、けんか両成敗に韓国にも北朝鮮にも両方かっこうのいいかっこうをした。まあまあだ、こういうことしかないというのですね。けれども、私がどうしても納得できないのが人間的な罪という問題ですね。自分が亡命したい、そのためにたくさんの人を殺してやってきた、そんなことが許されていいでしょうか。しかも、逆の場合、私の言う逆の場合には、日本政府は北朝鮮政府に渡せ、断固として渡せといって、あらゆる努力をして渡せと要求するに違いない。また、それをしなかったならば、私どもだって北朝鮮に文句を言いますよ。何で渡してくれぬと文句を言いますよ。社会党でも共産党でも、そんな、人を殺して逃げたやつは、文句を言うと思う。そういうことが政治的に考えられて、ごちゃごちゃごちゃごちゃやっているうちに、何かそれがたいへん穏当、たいへん常識的、たいへん政治的になるような雰囲気を、ムードをつくってしまって、これはお互いに法務行政、司法行政を担当する者として、そういうことはよくないと痛感をいたすものであります。しかし、いまや行ってしまったのですから、これはもっぱら法務大臣の失政の一つに今後長く数えられるでありましょう。
○石井国務大臣 失政と判断されても、それはあなたの判断だからかまいませんが、政治的の判断をしたということだけは違うということだけ申し上げておきます。これはドライに、法理的に、法律の立場にのみ立って、検事局並びに入管において事務的に取り扱ったものでございます。私が指図したのではないのであります。私が言うのは、私の立場から見ると、いかにもこんなところではなかったか、何か割り切れぬような心持ちもするけれども、こんなところではなかったかということを私は申しております。
○横山委員 法務大臣が自分で、割り切れぬ気持ちがあるけれどもとおっしゃるのはおかしいと思うのです。自分で割り切れぬけれどもというのはおかしいと思うのです。もっとその点はしっかりしてもらいたいと思います。
 それでは、四人の強制退去が韓国でなければならないという理由は何でしたか。
○八木説明員 私は、別にここで切り口上で答弁を逃げる気は毛頭ありません。私自身実は大臣からも、最初に事件が起こったときに、一応法律的に考えればこうせざるを得ないと思いますというようなことを御報告したときに、大臣は、おまえはそういう法理論だけで簡単にやっちゃいかぬ、この問題に対しては大ぜいの日本人が関心を持っておる、それをただ法律はこうだからと言って、右から左に扱うようなことではだめだ、よく政治的な、国民の考え方とか、一般がどう受けるか、このあたりの本筋ということをよく考えて処理しなければいかぬということを強く大臣からおっしゃられましたので、私ども法務省の中でも関係各局の間でたびたび議論いたしました。しかし、結局のところ、向こうの言っておる――向こうの言っておりますのは、もちろん殺人行為だけ、というのは北鮮政府の立場から見ますれば、自分の国の政治体制に不満で無断で出国するような人間は、問題なく悪者でありますから、そういう出国自体が重大犯罪であるということよりもむしろ殺人事件という点だけに重きを置いておるのだろうと思います。しかしながら、われわれのほうから見た場合には、こういう人間はいわゆる難民的といいますか、政治亡命的なものである。ただいまお話しのように、確かに大ぜいの人を殺した。たった四人の人間が逃げるために七人も殺したということははなはだけしからぬ話であって、私どもも最初からひっかかって、この連中をみすみす逃がすのはおもしろくないという個人な感情はもちろんございます。しかしながら、日本政府として、やはり法治国である日本が感情でものを処置するわけにはいかない。法律の要求するところは公海上における犯罪については日本は管轄権がないということでありますから、そのことについては苦々しいけれども、日本が処罰する理由にはならぬ。そうしますと、あとは亡命の申し出だけの取り扱いの問題になります。私どもとしては、本人がどこへ行こうと、それは外国人でありますから、日本政府は指図する立場ではない。しかし、こういう好ましくない手合いは絶対に日本には置かない。これだけでははなはだ手ぬるいとおっしゃるかもしれませんが、われわれとしてはそれ以上のことはできなかったわけでありまして、本来純粋に政治的な同情すべきケースであれば、いろいろ理由を自分で考えて日本に在留を許したでありましょうけれども、われわれは初めから日本には置かない。それがせめてものわれわれの彼らの行為に対する評価であると思います。しかしながら、同時に法治国であり、文明国である看板を掲げておる国である以上は、政治的な迫害、そういうものによって亡命を求めてきた場合、これに対してその者を本国に送り返した場合に、当然迫害が予想される。それがただ単に公海上で行なった殺人行為に対する制裁のみではなくて、それではなくて、むしろもとの政治的な行為に対する責任として処罰が待っておるという場合には、そこへ送り返すことはできないというのがわれわれの一貫した立場でございます。今度の要件につきまして、われわれがとった処置は、韓国に強制退去させたのではなくて、われわれとしては強制退去を命じ、そして自主出国を勧告した。したがって、彼らが韓国へ行こうと、香港へ行こうと、あるいは西ドイツへ行こうと、かってであります。彼らはたまたま韓国へ行ったというだけの話でありまして、決してそれはわれわれが韓国と腹を合わせてそういうことをやったというのではなくて、われわれとしては、とにかく日本から出ていけ、しかしどこへ行くということは外国人である以上はかってでありますから、自分の選ぶところに出ていけということで退去さしたというのが実際の事実であり、われわれの立場もそういうことであります。
○横山委員 結果として、人をたくさん殺して逃げてきた者を英雄視される韓国に送り込んで万歳、万歳で――人を殺して逃げてきた者を、亡命してきたという処置を日本政府はとったというわけです。あなたは強制退去をやったとおっしゃる、また法治国であるからとおっしゃるなら銃砲所持法違反、密入国、何でそういう者を起訴猶予にするのですか。
○八木説明員 実は私は法律専門家でありませんが、感情的には私も多分にいま御指摘のような気持ちも持ちました。公海上における殺人行為によって処罰することが法律上根拠がないならば、せめて何かのことで罰してやりたいという感情は、もちろん私個人としては持っておりましたが、いろいろ法務省の専門家の間で検討しました結果、こういう犯罪について処罰するといってもほとんど処罰らしい処罰にはならないんだそうであります。そういうような点も考え、またことに外国人であり、しかも初犯といったような、そういう形式的な面、こういう点については私が申し上げるよりも検察関係の方から答弁していただいたほうがいいと思いますが、そういう技術的な配慮からすると、これはほとんど裁判にしてもたいした結果が出ないということが予想されたようでございます。
○坂本委員 ちょっと関連して。法務大臣にお聞きしたいのですが、この問題が起きました直後に、北朝鮮からは全部返してもらいたいという電報が来ておる。そこで下関の検察庁で調べられるのは、とにかく銃砲その他犯罪の用に供したものを持っておるから、それを通じて、公海上のことであってもこれは十分調べるんだ、こういうような方針のように聞きまして、それは厳重にして、調べてもらわなければならぬ。ところが、いま局長のおっしゃったような、七人の人間を殺しておる。そうすると、日本政府は亡命をするという目的のために殺人をして、その殺人を犯した人間に対して退去を命ずるから、その人間はどこに行ってもかまわない、こういうようなことになっておるようですが、それはどこに行ってもかまわないというけれども、北朝鮮の船であり、北朝鮮の人民である。そうしてその人民の四名が亡命するために殺人を犯した。その立場は違う。板門店で立場が違う韓国のほうにその殺人犯を返して、そうして万歳、万歳で喜ばれる、そういうようなことを日本がする。日本は一等国になったとか、佐藤首相なんかいばっておるようですが、どこに一等国としての日本の検察陣の権威があるかという点を私は非常に悲しむのです。そういう点についてもっと考慮を払って、退去命令をやるにしても、その退去させる方法についても非常にいろいろありますが、町間がありませんから申し上げませんが、そういうようなことをさせた日本の法務省、検察陣の権威についてどうです、大臣の所見を承っておきたい。
○石井国務大臣 日本から退去を命ずる場合には、またその人がいまのような亡命的な立場で日本以外に行くというような場合には、本人の意思を尊重するというのは、これは世界共通のあり方、文明国としてみなそれをとるべきだというような形になっておることは御承知のとおりでございます。こういうふうな、いまおっしゃったように、それにはあまりに対抗的であるところに持っていくというのは、おかしいじゃないかというと、日本がどこへ行けということを指図しなければならぬことになるわけであります。ほかのところに行かない、ここに行きたいという者をほかに行けということになると、少し差し出がましいという問題になるわけでございます。それは、こういう場合においての取り扱いとして、いままで日本でやったこともなく、世界の先進国はやらないという方向にいままで扱われてきておるようでございます。その方向に従ったのでございまして、結果的に韓国に行き、そうしてそれが歓迎を受けたということなので、いかにも苦々しい、日本から見ればそう思われる方もたくさんあるということもわからぬではないのでございまするけれども、私は、この扱い方としてはやむを得なかったことだと思っております。
○横山委員 時間の関係であと二つの問題に移りたいのですが、第一は北朝鮮の技術者の入国です。もうこれはいろんなことを言われなくても、大臣、御返事がいただけると思うのです。言うまでもございませんが、あれだけ騒いで、あれだけになって、韓国の圧力によってとうとう日本政府が閣議まできめたものをひっくり返した。そうしてしばらく待ってくれということになっておるのですが、今後どういうふうになさるおつもりでございますか。
○石井国務大臣 この前の北鮮からの技術者の入国問題は、許す方針でやっておったのが消えてしまったのは御承知のとおりであります。長年待っておった人はまことにお気の毒でございました。われわれのほうも許す方針でおったわけでございますが、いろんな関係で町がたっておるうちに消えてなくなったというような状態でございます。これから先、それじゃそういう問題が起こったらどうかということの御質問だと思いますが、これはその後いろんな場合にお答えしておるように、新たな問題として出てくる問題として、われわれ新規の問題として取り扱っていく。ケース・バイ・ケースで扱うというお答えをすることになるわけでありますが、それなら、いまお出しになったら、この間のがお気の毒でしたから、どんなものでもさっさと許しますという情勢であるかどうかということは、実際に出てみなければわかりません。正直なところはそういうことであります。
○横山委員 真意がよくわからないのですが、この前のやつは、しばらく待ってくれ、でしたね。ですから、あのケースはそのまま生きており、閣議の決定も生きておる、しばらく待つという、待つ状態であると理解してよろしいのですか。一般論を言っているのじゃないのですよ。
○石井国務大臣 そのとおりの状態でございます。
○横山委員 それから、どういう情勢になったらしばらく待ってくれというのが解除されるかについては、個別に総理やあなたの御意見を伺っておったのです。私は、いま待たなければならぬという理由はもうないと理解しておるのですが、韓国における会議、いろんなものも済んだのですからね。あの当時、しばらく待ってくれとおっしゃった原因はなくなっておるというふうに、まあかってな判断かもしれませんが、判断ができるわけです。何かいまあなたはあのままの状態であって、白紙に返ったわけじゃないという意味のことをおっしゃったのだけれども、お気持ちの上から何か冷え切っておるような感じが多少する。もしそうでないとするならば、はっきり言ってほしいのです。少なくも一ぺん閣議できめ、そうして私どもにしばらく待ってもらいたいという政治的責任はきちんとおとりになってくださるものと思っておりますが、いつごろどういう条件ならいいのですか。
○石井国務大臣 あなたは、この間の提出者のほうでも待っておるようなおことばに聞こえますが、私が了解しておるところでは、あれはもう一向に話が出てこない。消えておるのじゃないですか。あれですか、生きているのですか。
○横山委員 生きています。
○石井国務大臣 生きているなら全きた話がもっときそうなものですが、どうなんですか。
○横山委員 待ってくれというから静かにしておる。待ってくれというから静かにしておるのであって、大臣がそういうことだったらいつでも出しますよ。いいですね。
○八木説明員 ただいまの、実はいろいろな方面からいろいろなことが行なわれて、当初の契約にいろいろ直接間接に影響があらわれつつあることは先生も御承知のとおりであります。そこで私は、事務官僚としては上から示された政府の決定を忠実に守ればいいのでありまして、大臣からは別に北鮮技術者を入れるなという御指示はいただいておりません。したがって、いまだに私はあの問題は生きておるし、そのうちに話があると思っております。
 そこまで申し上げる必要はないかもしれませんが、責任のがれでないということを証明する意味においてちょっと申し上げておきますと、一番中心になって仕事をやっております会社の人と私はときどき連絡をとって聞いております。ただ、彼らに対するいろんな方面からの執拗な妨害が非常に強うございまして、そのために、うっかり話を前に進めていくと、とたんにぶちこわしがくるというので、向こうも非常に私に慎重にしております。私も、私のほうから話が漏れて、そのために事案がつぶれたということになっては信義上の問題もございますし、私のほうではあくまで、何といいますか、卑近なことばで申しますれば、いわゆる、安全運転式な気持ちでやっておる。そうして、そのかわりに、われわれとしては、政府の方針としてたびたび言われたことよりも逸脱はできないから、それに合致するということを常に考えてもらいたい。そうしてじょうずにやってくれということを相手の人に言っております。私は別にこの場のがれの答弁ではございません。必ずいつかそういう問題は実現すると思いますけれども、ただ、そういったような事情で短兵急に話が進むという場合には当然いろんな妨害の手が出てくると思いますので、当事者もその点を非常に慎重にやっておるというふうに私は感じております。したがって、われわれの立場としては、くどくなりますが、上からお示しいただいた方針によって処理をするというだけでございます。
○志賀(義)委員 関連。いまの朝鮮民主主義人民共和国からの技術者の入国の問題は、かつて横山委員から質問がありましたとき、そのことの質問じゃなかったのに、意外にも石井法務大臣のほうから言われて、われわれも意外と思って、これはいいことを聞いたというように横山委員も言われました。そのときに、私は大臣に、そういうように言われてあとでまた閣議で茶々が入ったり、あるいはまた韓国政府のほうから問題が出て消えてしまうのじゃありませんか、かように懸念を申しましたら、大臣は、あくまでやるつもりだ、こういうふうにおっしゃったわけです。ところが、事実上そういうことになっておりますが、しかし、大臣のいまのお話を聞くと、非常に慎重でありますけれども、大臣としては、あくまでこの問題は積極的に解決したい、こういうお気持ちなのでございますか。
○石井国務大臣 昨年の六月、あなたのおっしゃるとおり私は申しました。そのとおりに私はずっときめております。内閣の方針としてもそのとおりきめてもらってあります。私だけの考えでなくて内閣の方針としてきめておる証拠には、総理大臣も、そのほかの大臣も、お尋ねを受けるたびに、北鮮からの人が来る場合はどういう場合だといえば、たとえば学閥的な人が来る場合、あるいはスポーツの関係あるいは商売関係、政治に関係のないような場合は、特にケース・バイ・ケースで考えて入れるようにしておるということを総理大臣も言っておるので、これは、私は言ったとおりのことを政府も承認しておる証拠でございます。しかし、実際にやる場合にいろんな問題が起こってくるので、いま許すのかどうか、ちょっと待て、というような、運営において多少の問題があるということです。
○志賀(義)委員 これは先ほども、大臣も御記憶のように、大臣から進んで申されたことですから、それで、あのときのこともあって、どうなりましたかと私か質問したら、ばかと言われるかもしれぬけれども自分はやるつもりだと言われたあとで、今度の事件が起こったのですから、そういういきさつもひとつお忘れにならないで積極的にやっていただきたい。
 それからもう一つは、先ほどから伺っておりますと、北鮮北鮮ということばが出るのですけれども、北鮮ということばを朝鮮の人はもう非常にいやがるのです。これは、例の鮮人ということば、もう一つは不逞鮮人なんて言われたことで、北鮮と言われることを非常にきらいますので、全国に発表されることでございますから、新聞社なんかも北鮮というようなことばを使うのは、いまはもういかがわしい新聞以外にありませんので、そういう点は、大臣や局長なんかは率先して御注意願いたいと思います。たとえば、日本に戦前からいる朝鮮人や中国人、特に台湾人ですね、これなんかに対しても、第三国人と言うと最近では非常に気にするようでありますので、とにかく大臣でも局長でも北鮮ということば、これも官報の議事録にまで出ることばでありますから、委員長もそういう点は注意して、大臣や局長が御同意なさるならば、議事録はそういうふうにお改め願いたいと思いますが、いかがでしょう。
○八木説明員 北朝鮮の正式の名前は、たしか朝鮮民主主義人民共和国という名前だと思いますが、国交がない国でありますので、別にわれわれは悪意で言っておるわけじゃございません。ただ、たとえばよく中国のことをシナと言うと、軽べつするとかなんとかいわれておる。ところが、中国というのは、自分がいわゆる中華思想であって、えらいんだ、まわりはみんな野蛮人だというので中国という名前を使っておるのであります。私個人としては、シナと呼んで何が悪いかと思っております。しかし、それをきらうなら、きらうことばを無理に言わなくてもいいんじゃないかということで、私は中国と言っております。北朝鮮の場合、これは朝鮮民主主義人民共和国という非常に長いことばですし、また、われわれ日本が承認していない国であるし、私は、少なくともここで政府の役人という立場で答弁を申し上げておりますときには、承認していない国をいう場合には、その国の正式の名前を使わなくちゃならぬという義務はないと思います。一般的に北朝鮮といっておりますが、北鮮と申したのは確かに略式の呼び方で、悪いとおっしゃるのでしたら北朝鮮というふうに言ったらいいかと思います。英語などでもノースコリアといっております。
○志賀(義)委員 せめて普通、新聞などで使っております程度にしたらいいのじゃないか。北鮮というのは非常にきらうのです。
○横山委員 いま同僚委員からも話がありましたように、苦情だけちょっと申し上げておきます。
 先ほど八木さんがおっしゃったように、私どももこの問題については、実効をあげるということが目的でありまして、しばらくとおっしゃったのでしばらくじっとしておるにすぎないのであって、満を持しておるわけです。その点、いまの法務大臣のお答えは、どうも大臣があれほど熱意を込めておっしゃった気持ちと少し違うような気がするのは遺憾千万と私は申し上げておきます。一たん法務大臣として腹をきめられ、そうしてこの道を行くと決心をされたことを少し足踏みをしていらっしゃるだけだ。どうぞその政治責任をひとつ貫いてもらいたいということを特にこの際要望しておきます。
 最後は、先般ありました日中の青年友好大交流のための旅券発給を法務省は外務省とともに拒否されました。拒否の理由をいろいろと外務委員会の議事録等を調べてみましたところ、要するに政府側の言い分は、若い者が向こうへ行ったら、紅衛兵で騒いでおるときだから、赤に染まって帰ってきては困る、だからいかぬ、こういうような表現だと理解をいたしましたが、法務大臣もそんな解釈ですか。
○石井国務大臣 ことし約六百近くの人が日中青年大交流のために中共に招かれていくということでございます。その旅券の申請があったわけでございます。関係各省相談いたしました結果、全面的にこれはお断わりする、やめたほうがよかろうということになったのでございます。
 それは、第一は、この旅行は全部あちらまかないでございます。往復の旅費、滞在費を中共のほうで負担されるということでございます。そうして政治的、革命的な非常にどぎつい教育をされるようなことが伝えられておるのであります。また昨年この日中青年大交流に行って、帰ってきた人たちの様子を見ますると、いろいろ教育、指導を受けてきて、そうして各地においての言動はあまりかんばしくないように私どもは見ておるのであります。第三番目に、いまお話の、時期といたしましては、紅衛兵のいろんな動きがあって、中国そのものも非常な動きの激しい状態のさなかで、そういう際に、非常にたくさんの日本青年が参っていろいろ動くということはよくないことではないかというようなこと等、いろんな意見が出ましたが、結局旅券を発行しないということになったわけでございます。
○横山委員 世間は笑っていますよ。えらい旅券旅券と気のきいたことを政府は言うけれども、荒舩運輸大臣は何とかいう業者を連れていく。それから農林大臣は何とかいう信用金庫の副理事長を通訳といって連れていく。しかも政府が銭を出しておる。めちゃくちゃじゃないですか。それでもって、この日中青年友好に六百名の人が行ったら、まっかになって帰ってくる。教育されるでいかぬ。行く人はどういう人たちだか知っていますか。いわゆる日本共産党の人じゃないのですよ。青年をそんなに信じないのですか。中国へ行った自由民主党の者はいい、また大宅壮一氏や新聞記者はいい、それから劇団の人はいい、あれこれはみんないい、青年だけが、行ったらまっかになって帰ってくるからいかぬ、片一方では保釈中の人間が大臣について行く、信用金庫の副理事長が大臣について行く、韓国は韓国で妙な業者が随行としてついて行く、世間のもの笑いですよ、どう考えますかそういうことを。私は、この六百名が多いとか少ないとか、もう少し考えたらどうだとかいうことなら話はわかりますが、まるきり今日の政府の旅券発給なり外国行きの扱いというものは言語道断じゃありませんか。みずからをたなに上げて何で他をそしる資格がありますか。どういう条件ならよろしいとか、こういうことなら話はわかるけれども、そういう青年を信じない。しかも、その行こうとする人たちは、自主的に自分たちで行って、自分たちで見て、大いに議論をしてこようというて意気込んで行く人たちはかりで、紅衛兵についてだって、中国へ行った人、人それぞれで、思い思いの判断を持って帰ってきていることは皆さんも承知のとおりです。何でこれだけがいかぬのですか。何でべらぼうな保釈中の者がいいのですか。その点はどう考えますか。
○石井国務大臣 青年諸君が行くことを全面的に禁止するという方針ではないのであります。この行をいけないということを言っておるわけであります。この行に対しましての中国側の受け入れ態勢はこうであるということを、いろいろ発表されておるものがあまりにも激しい状態であるということが青年に対してもよくないし、日本の国益にならない、私どもはそう思うのであります。またこの人たちが違う形において、何人かずついろいろな機会において中国を視察に行くとかいうような場合が今後とも起こるでありましょう。そういう場合はケース・バイ・ケースで認めるということも当然あり得ることでございます。
○横山委員 各大臣の随行その他の旅券発給がめちゃくちゃであることについて御答弁がないのはどういうことですか。
○石井国務大臣 各大臣の問題は、各大臣から自粛いたしまして恐縮の意をいたしておるのでございます。私も同じ閣僚の一員として、同僚の一員といたしまして、問題を起こしておることは――内容は私は知りません、どういうことがほんとうのことか知りませんけれども、問題を起こすことにおいては、非常にお騒がせしていることを恐縮に存じております。
○横山委員 あなたが、わしの問題でないから知らぬというのはおかしかないですか。韓国へ行き、アメリカへ行くのですからね、あなたのところの法務省に関係がないとは言わせませんよ。そういう点については全然法務省としては責任がない、こう言い張りなさるのですか。
○石井国務大臣 それはおかしいのじゃないでしょうか。旅行者がだれを連れて行ったと一々私のほうで調べるというほうが……(横山委員「出国の申請をするじゃないですか」と呼ぶ)それを私が一々知っておってとうというものじゃないと思います。
○横山委員 それはおかしいな。公用旅券で出ているのじゃないですか。そんなばかなことないですよ。
○八木説明員 日本人の出国は御承知のとおり有効な旅券を持てばいいわけでありまして、外務省の旅券課で合法的に旅券を発行した以上は、法務省としては犯罪が行なわれておるとかいうような特殊な通報を持った場合は別といたしまして、合法的に外務省から発行された旅券を持った日本人が出国する場合に、それを飛行場もしくは港で押えるということは不可能であります。
○横山委員 それなら何で日中青年交流だけ大臣がえらいがんばってそんなことを言うのですか。えらい自分の責任のように、どうしても認めぬとどうして言うのですか。――御答弁がないですな。いいですよ。とにかく大臣、最近の出入国管理について大いに異議がある。国民の中でもうけんけんごうごうたるものです。今日の汚職や政府に対する攻撃は、大なり小なり、直接ないしは間接に法務省が関係があるということを忘れないようにしてほしい。私はこの日中青年交流の問題についても大いに異議がある。どんどん幾らでもまだ行っているのですよ。いま中国へ行ったり来たりしているのは年に数千人じゃないですか。紅衛兵を見に行く人が自民党だって幾らでもおるんだ。その中でこの青年交流だけはいかぬという理屈はないですよ。さっきの平新艇にしたところで、きわめて政治的で筋が通らぬ。青年交流でも筋が通らぬ。これはもう十分に御反省をなさらなければいかぬと思う。近い将来に、いま大臣が多少考えを直しておっしゃったようでありますけれども、この日中の青年交流自身がいかぬというわけではない、いまは時期が悪いということであるから、適当な方法で適当な申請をすればそれは差しつかえない、こういうように理解してよろしゅうございますね。
○石井国務大臣 違う目的で、違う団体等で出てくれば、そういう問題はケース・バイ・ケースで考えるということを申しました。この連中を色を変えてそのまま持って来たからといって、それが許されるという意味ではございません。それだから、この人たちは顔ぶれがいけないとかなんとかいうわけじゃないから、この人たちの中で、またほかのことでお出かけになる場合は、あるいは許される場合もあるということを申したわけでございます。
○坂本委員 そういたしますと、この青年友好交流の問題について旅券が出ないというのは、旅券法の何条に基づいてこれを拒否せられるのですか。
○八木説明員 御承知のとおり、これは外務省の旅券課で旅券を出さなかったのであります。したがって、私から旅券法の内容について御答弁するのはちょっと筋が違いますけれども、私が承っているところでは、渡航趣意書が出たので、その趣意井に対して旅券を出さないという意向が伝えられた、だけでありまして、旅券の申請があったのじゃないというふうに聞いております。また、旅券法一三条一項五号に、日本国の利益もしくは公安に一審である場合には旅券を出さないという規定がございます。それに基づいて外務省で処置したものと了解しております。
○坂本委員 旅券法十三条の一項五号の「外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由」、これですね。そこで、法務省の関係は、公安を害する行為、こういうことで、必ず申請があれば法務省のほうにこの問題で照会といいますか、法務省のオーケーがなければ出さぬということで、今度は一人も出さぬということになっておるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
○八木説明員 そういうわけではございませんで、利益もしくは公安を害するおそれがあることが考えられた場合に、われわれのほうへ当然意見は聞いてまいります。しかし、法務省が害があると言ったからという理由で外務省が拒否するのではありません。日本政府としてでありまして今度の事件について、外務省は別に日本の公安を害することはないと思っているのだけれども、法務省が害すると言うから出さないなどということは言っておりません。外務省もこれを出すことが日本国の利益もしくは公安を害するおそれがあると認定し――外務省もといいますか、政府全部がそういう意見を持った、そのためにそういう処置が行なわれたということでありまして、ある省がどうしたとか、ある省がそうでないとかいうことは全然ありません。
○坂本委員 そこで大臣にお聞きしたいのですが、先ほどからいろいろのお話がありましたけれども、この交流の全部を出さないということについては、公安上どういうことが関係するからできないか、その理由を承りたい。
○石井国務大臣 さっき申しましたように、今度招かれて行きますのが向こうの全費用で行きまして、そして向こうにおいて教育をするんだ、観光や交流は二の次であって、革命的な教育を施すのだという方針のもとにこれを呼ぶのだということが伝えられておるのであります。そういう目的で日本の青年を連れていって教育されることは日本の公安上も好ましくない、日本の平和上も好ましくないということであります。それから昨年の例を見ましても、帰ってきた連中にやはり好ましくない言動が相当あるというようなこと、それからまた、ただいまの時期といたしましては、紅衛兵の盛んに騒いでいるときでありますから、こういうときに日本の青年が六百人も一緒になって行くことは時期としても非常におもしろくないというようなこととみんな合わせまして、今度は許さないということだと思います。
○坂本委員 あとの、去年行った者について好ましくない者がたくさんある。それは少しはあるけれども、そうたくさんあるとは私なんか考えていないのですが、その前の革命的な教育をやるとか全費用を持つとか言われておる、これは推測になるわけです。こういう旅券のような重大な問題に対して推測をもって判断するのは間違っておる、こう思うのですが、大臣いかがですか。単なる推測か、何か根拠があってやられるか……。
○石井国務大臣 推測だけでなく、いろいろな書いたものがきておるのであります。そういうものを集めましての判、断でございます。
○坂本委員 御答弁が抽象的なんですが、推測とかいろいろなものだ、帯いたものがあるとか言うが、どういうものを具体的に総合して判断されたわけですか。少なくとも日本国民には、外国に行きたい人は旅券をもらう権利があるわけです。その権利を阻害するならば、推測その他によってそういう判断をすることはできない、そういうふうに考えるのですが、もっと具体的にその根拠をはっきりしてもらいたいと思います。
○八木説明員 全額旅費は自分が出すというのは向こうの電報にございます。ただ趣意計を出しに来た人は、自分は全額もらうのではなくて片道はおれが払うのだというようなことを言っておる人もあるようですが、向こうの本来の電報では全額負担ということを言っております。
 それから革命教育をやるということは、いろいろな現地の新聞とかラジオの報道とか、いろいろそういうものの中にたくさん出ております。今度日本から呼ぶ青年団というものは、ぜいたくなものを食わせて物見遊山をやらせることはもってのほかである、彼らを徹底的に革命戦術で鍛えて日本に送り返さなければならぬということが向こうの新聞などにどんどん出ておりまして、私どもは一々何月何日付の何新聞にどういうものが出たということは言う必要はございません。いずれ利害関係人から訴訟があると思いますが、訴訟になった場合は少なくとも行政訴訟になって――一々そういうことはいまここで申しませんが、そういうことになればまた別のことであります。
  〔「そんなことを言うたら笑われますよ、革命教育をやるとか……」と呼び、その他発言する者あり〕
○大久保委員長 静粛に願います。
 楢崎弥之助君。楢崎君に申し上げますが、大臣は一時という約束ですから……。
○楢崎委員 聞きましたから、簡単にやります。
 一点だけ聞いておきます。革命教育、革命教育とおっしゃいますが、革命教育の内容を御存じですか。ちょっとそれを聞かせておいてください。私ども日本社会党は革命をやらんとする政党でございますが、革命教育とは何でしょうか。
○石井国務大臣 日本に革命を起こせというようなことを、それが革命教育であります。
○楢崎委員 日本に革命を起こせ、その革命はどういうことなんでしょうか。こういう憲法に保障された権利を侵害するときには、もう少し納得のいく具体的な理由を述べていただきませんとこれは了承するわけにはいきませんよ。革命、革命といって、一言で何を言っておるのですか。日本に革命をということはどういうことですか。もう少し内容を、どこがぐあいが悪いのか。日本社会党も平和革命を目ざしておる政党でありますが、国益に反するのですか。自民党の利益に反することはわかりますよ。現在の佐藤内閣、与党の利益に反することはわかりますけれども、日本の国益に反するという点から革命、革命とおっしゃいますが、これはどういうふうに害があるのでしょうか、その内容を明示していただきたい。
○石井国務大臣 政治を合法的に改革していくのではなくして、非合法的に改革していくのが一つの革命の手段だと思います。その方法はいろいろあるでありましょう。そういう内容をいろいろ教えようというのが革命教育の手段、これは内容はさまざまあると思います。
○楢崎委員 大臣、それはたいへんなことばですよ。そうすると、中国は非合法な手段で日本に革命を起こさせる教育をするとあなたは確信を持って拒否をされたのですか。重大ですよ。中国が非合法的な手段で革命をやれなどという教育をする、それはいかなる根拠に基づいてそういうことをおっしゃるのですか。それは重大ですよ、今後の日本と中国の関係において。
○石井国務大臣 そういうおそれのあるところにやらぬでもよろしいというのであります。
○楢崎委員 非合法な手段で日本において革命をやる、そういうことを中国が思っておるとおっしゃるのですね、そうですか。あなた方はいろいろな場所で、あるいは情報であなた方の判断を集約されたのでしょうが、いろいろな情報も、違った情報もあります。中国は革命を輸出しないということはしょっちゅう言っております。それを、非合法な手段で革命を日本青年にやらせようと思って待ちかまえているのだというようなあなたの認識であれは、これは大問題です。日本の法務大臣としてそういうことをおっしゃるから、現在の佐藤内閣は中国を敵視しておると言われるのです。そうではありませんか。ではあなたは中国を敵視していないのですか。
○石井国務大臣 私は中国を一つも敵視いたしておりません。中国と平和裏に交流をしよう、中国と貿易を起こすべしということを岸内閣のときに私は主張しておった。いまでもそうです。いまも交通問題では私は非常に熱心な一員です。しかしお互いがお互いの国を尊重し、お互いのあり力を尊重していこうという心持ちだけはくずしたくないという心持ちを持っております。
○楢崎委員 外務委員会でも申し上げたのですけれども、紅衛兵の発表の壁新聞には、今度の日中青年交流については礼儀を重んじよう、内政干渉にわたるようなことはすまい、そして非常に盛大に行事をやろう、そういう呼びかけもあるのです。私はそれがほんとうだと思うのです。それを一方的に非合法な手段で革命をやる教育をやるんだという判断を法務大臣がなさるということは、私どもその点はどうしても納得いきかねるのですがね。あなた方の集められた情報というものを、私は一方的な偏見による、ためにする理由であろう、このように思うのです。客観的な条件はそうなっておりません。全く言いがかりです。それらの情報について、私はもう少し詳しいところをあなた方から出してもらいたいと思いますね。とこの、どういう情報なのか、どうですか、大臣。
○石井国務大臣 いま楢崎君のおっしゃるような壁新聞もあるかもわかりません。あるでしょう。そういうふうなものもあるかわかりませんが、私が言ったような壁新聞もあるわけであります。そういうものは私はここに持っておりませんが、必要とあれば、どこかにあるはずでありますからごらんに入れたいと思います。
○坂本委員 時間がありませんが、民主主義は局主主義あるいは革命は革命――大臣なんかは革命と簡単におっしゃるけれども、その革命の問題について偏見的なところがあるのじゃないかと思うのです。やはり革命という問題については、学問的にも実行の上においても、これは慎重に考えなければならぬ問題だと思うのです。ただ革命だ。資本主義が悪かったらやはり社会主義に変えなければならぬ。われわれはその革命のもとに、そういう革命を達成するために戦後議員にも出ておるわけです。ですから、そういうように簡単に革命というので片づけてしまうことは私は日本のためにもできないだろう、そういうふうに考えるわけです。したがって、そういうような考えのもとにおいて、少なくとも公安を害するというようなことが結論づけられてこの旅券が発行されない、こういうことになればこれは大きな間違いだと思いますから、この点については十分考慮してもらいたい。ことに公安の問題については、外務省が旅券を出すといっても、法務省のほうからオーケーがいかなければ絶対出ないでしょう。これはいままでの事実でわかっております。したがいまして、この旅券は国民が持っておる権利であります。だからこれはやはり慎重に再検討し直して、そうして政府のまた大臣の間違っている点は間違っている点にして、今後の問題に善処していくというのが政府、大臣のとるべき道ではないか、こういうふうに思うわけです。六百人に対して一人も旅券を出さない、こういうようなことは、革命だ、革命を教育されるから一人もやらないのだ、こういうことでは私は旅券の問題については相ならぬと思う。ですからそういう点を十分考慮されて、その点については再検討を要望いたしまして私の質問を打ち切りたいと思いますが、その要望に対する大臣の所信を承っておきたい。
○石井国務大臣 私どもは慎重に考究いたし、各関係各省話し合いの上で決定いたしたものでございます。いまの御意見はとくと承りますが、決定いたしたものをただいま右左にこれを変更するというようなことは考えておりません。ただし御意見は参考としてとくと承っておきます。
○大久保委員長 午前中の議事はこの程度にとどめます。午後は二時半から委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時二十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時五十二分開歳
○大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 法務行政及び検察行政に関する件について、質疑を続行いたします。畑和君。
○畑委員 時間はあまりかけません。簡単に法務省のほうにお尋ねをいたしたい。
  〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
 例の、何回かこの法務委員で問題になっておりました、われわれも何回か質問をいたした事件でございます。茨城県の岩井町の町長の古原さんという人にまつわる選挙違反事件並びに背任横領でしたか、そういう関係の収賄、そういう告発が出ておる事件、それについて現在捜査をしてもらっておりまするが、その捜査の状態、これについて聞きたいのです。
 この前にも実は同僚の議員から質問をして、早く捜査を完結するようにという要望がなされましたが、そのときに刑事部長か刑事課長か承知いたしておりませんが、当局のほうから、おおむね八月末までに決着をつけるというようなお話があった模様であります。私はそのときはおりませんでした。ところが、その後いまだに決着がついておらぬのでありまして、実は私も九月の二十何日かに水戸の地検に行ってまいりました。それで野中検事正ともお会いをいたしまして、捜査の督促もかねてどんな状況かということは聞いてはきたのでありますけれども、まあ鋭意やっておるという話でありましたけれども、いまだに何の結論もないということについて、法務省のほうで、現地の模様がどうなっておるか、どう承知しておられるか、その点についてしぼってお尋ねをいたしたい。
○石原説明員 先般の当委員会における質疑で、私の答弁で八月中には終えるであろうと申し上げたわけでございます。その後東京でいろんな大きな事件等もございまして、その波及といいますか、地方も忙しくなりましたものですから、予期どおりいかなくなったことは非常に申しわけないと思っております。それで地検に聞きましたところが、ただいまお尋ねのように、選挙法違反が一つと、それから背任収賄事件、この二つに分かれるわけであります。選挙法違反のほうにつきましては、大体の捜査を終えたのですが、まだ少し補充捜査をする分があるそうでございまして、この分については鋭意捜査中であるということでございます。それから背任収賄事件につきましては、大体事実確定のための捜査は一応終了した。あとは証拠、とりました供述調書あるいは物証等によりまして事実の認定、法律上の問題点がないかどうかを検討いたし、それが終わった後に東京高検とも相談をして最終処分をする予定である。事件が事件で相当騒がれておる関係もございますので、急いで処理する予定であるということでございます。
○畑委員 捜査の開始が相当あとになったという関係もあるし、また被告発人の身柄等がそのままであるというような点、いろんな点でなかなか捜査が手間をとる。技術的に証拠関係等でなかなか骨が折れるということは私も承知をいたしておりますが、ともかく地方的には相当注目を呼んだ事件でございますので、なかなかむずかしい点はありましても、最後は裁判所の判断を仰ぐというような立場でやってもらいたい。とにかく裁判の公判の維持がむずかしいというようなことで、検察陣が憶病になることがある。また、いろんなほうの陳情も現にあるようであります。相当な肩書きを持った弁護士さんとか来ておるように聞いておりますので、そういった圧力等にも屈せずに、技術的な問題等も最後には裁判所の判断を仰ぐというような立場でやってもらいたい。しかもできるだけ早くやってもらいたい。現地のほうでは、どうしたんだろうということでだいぶ疑問視しておる向きもあるようでありますので、この点を現地のほうに連絡をさらにしていただきまして、早急に補充捜査等も完了して、決着をつけてもらいたい、かようにお願いいたしますが、よろしゅうございますか。
○石原説明員 御趣旨よくわかりました。
○大竹委員長代理 坂本君。
○坂本委員 いまの問題ですが、吉原町長は、町長をやるのが五期くらい、そうして助役も置かない、収入役も置かない、こういう変わった独裁的な人で、かつて工場誘致をして、その金の支出もその工場から出さずに、これは土地の改良区の水利に関する問題ですが、それも町から出しておる。そうして一方には顧問料として五万円ずつを毎月取っておる。こういう事実があげられておるわけです。ですから、いま畑委員も申されましたように、ぜひこれは厳正公平にやってもらわなければならぬのと、もう一つの理由は、かつて消防ポンプを買った。ところが、それに反対した者に対して、消防団長をしておったから、そのポンプを持っていって、その家にじゃんじゃんポンプで水をひっかけるし、近所にもかけまして、そうしてそれが非常な問題になりまして、いわゆる暴力行為等処罰ニ関スル法律で捜査が開始され、それに対して三万五千円でしたかの罰金で略式で終わったわけです。そこで今度は何だおれのやったのはたいしたことはないのだ、三万五千円くらいの罰金で済んだじゃないかというのでその町の劇場を借り切ってそこで祝賀会をした。その犯罪に対する裁判の処置に対して、まことに無礼きわまるもので、法を無視することはなはだしい町長であるわけです。したがって、そういうことがあるからこの工場誘致に関連しての問題が起きるし、収賄の問題も起きる。選挙運動のごときは、われわれも調査に参りましたが、新年に、一月並びに二月にかけて後援会を組織しまして、そうして後援会に酒を持っていく。その酒が、捜査上、数百本にのぼっておるわけです。この問題等も、やはり塚田氏を不起訴にしたようにして――二十万円すつ自民党の県会議員はもらっておる。もらっておるけれども、塚田氏は自民党の議員である。だから、ちょいちょい金を出していたのだから、この金を、取り立てて選挙違反として、いわゆる買収とか票集めのための金としてやったことについは公判の開示ができない、こういうような意味で趣旨で全部あれは不起訴になっておる。それでやった塚田氏自身も不起訴になっておる。これには元検事総長でいま弁護人をしている人が弁護士として出かけて行っておる。だから、塚田の問題でも最高検に行った際には、最初は厳重にこういうものはやらなければならぬという方針が、あとで参りますと、今度は検事の話では、どうもいろいろなかなか解釈等の問題もあってね、というようなことばだったのです。そうすると、案の定、今度は選挙違反を犯した者を擁護するような不起訴の理由が述べられて、そうして当委員会でも刑事局長がその理由を述べられておって、これは速記録にもあるわけです。それを見ればはっきりわかりますが、何としても、われわれの感じでは不起訴にするために弁護するような理由になっておる。そういうようなことがあれば、やはり綱紀が退廃し、やはり今度の荒舩の問題とか上林山みたいな大臣が出てくる。これはやはりこういうようなことを検察庁で見のがすから、それが自然と全国的に風靡して、そうして現在の綱紀の弛緩、汚職、疑獄が充満をしておる。表面にあらわれるのは氷山の一角だといわれるが、これは一番悲しむべき問題でありまして、それがやはり内閣の総辞職の問題、解散、選挙の問題というふうに広がっておるのでありまするから、やはり下は下なりに軽微であるからというので一厘事件その他については犯意の問題として論ぜらるべき問題でありますけれども、二十万円金を渡すとか、あるいは聯合紙器の会社が出すべき金を、出さずに町から出して、その町長がその会社の顧問料という名義で五万円も毎月取っておる。こういう点はやはり徹底的に究明しなければ、私は綱紀弛緩の問題、粛正の問題は解決しない、こういうふうに考えるわけであります。
 しこうしてこの町の問題は、町長派は別としまして、その他は自民党の方も社会党も共産党も、すべて一致して財政革新のために立ち上がった。その方々の告発の問題になっておるわけでありますから、これは厳重な捜査とその結果によりまして私は起訴すべきである、こういうふうに考えるわけでありますから、法務当局もひとつ地検並びに――これは下妻支部の事件だそうでありますが、非常に熱心に捜査を開始されておるということはわれわれは非常に感謝をいたしておるわけであります。しかし、その感謝の結果が、新潟の事件みたようなことになれば、そのほかにあげれば幾らでもありますけれども、そういうことになれば、せっかくの検察当局の捜査あるいは起訴が、住民に与える影響というものは非常に大きいものがある、そういうふうに考えます。これももと相当の地位にあった弁護士が行く、あるいはその町長の関連の国会議員その他があの手この手でいけば、なかなか水戸の地検としても、考え方はどうもいろいろありますからというようなことも聞いておるわけですから、その苦心の点はうかがえますけれども、いままで申し上げましたような綱紀の粛正をする、こういう悪質な選挙運動は許されないというこの見地に立って、ひとつ厳重な起訴処分にしてもらいたい、かように考えまするが、所見を承っておきたい。
○石原説明員 捜査になりますと、毎度申し上げることばで恐縮でございますが、厳正公正に事件を処理するというのが検察庁のたてまえでございます。この事件につきましても、参考人等非常に多数を取り調べなければなりませんし、事実ある面では複雑な点もございますが、証拠によって確定するという点におきましては、厳正な捜査が行なわれるものと期待しております。
○大竹委員長代理 田中織之進君。
○田中(織)委員 あとに共和製糖関係の融資問題に関していま国会の委員会で追及しておる問題があるようでありますから、簡単に検察行政に関連した問題で三つばかり質問をいたしたいと思います。
 一つは、ちょうど昨年の八月十日の第四十九国会の当委員会で、私が、和歌山県の東牟婁郡那智勝浦町、俗に勝浦温泉として知られている観光地でございますが、ここは国立公園に指定されておりまして、その景勝の地の砂丘であります。これは大蔵省の管理する官有地、未登載ではありますけれども官有地で、一部は最近調べましたところ那智の法務局出張所に官有地として登記されている点も明確になったのでありますが、そこを和歌山県知事が公有水面だということで埋め立て許可をいたしまして、そこに現在一部にはかなり高級な観光旅館が建てられておるのであります。これは国立公園法に基づきますと、そういう水面の埋め立てについては厚生大臣の許可がなければいけないのでありますが、八月十日に取り上げたときには、この件については、国立公園局の管理課長でございましたか、許可を与えていないという実は答弁がありました。それに関連いたしまして、その砂丘の砂を採取して売り払って相当な利益をあげたという問題なり、あるいは知事の背任問題等の関係で告発が出た事件について、私は委員会で質問をいたしたのであります。そのときに津田刑事局長が出まして、この件については確かに告発が出たのであるけれども、和歌山地検のその後の調査によって一応不起訴処分にした、しかし私が具体的にあげたような問題については、不起訴処分には一応したものの、問題があるので、さっそく最高検察庁に連絡をいたしまして、和歌山地検において十分再検討させることにいたした次第でありますというお答えをいただいておるのであります。
 その後私も、その再検討の結果がどうなるかということを注目をいたしておったのでございますが、実は最近になりまして――いまその検事さんは和歌山地検におらぬようであります。鈴木検事とたしかおっしゃったそうでございますけれども、鈴木検事に告発人の山本武男君というのが汽車の中でお目にかかって、どういう関係か私の国会の速記録を山本君が入手をいたしておったので、こういうように刑事局長が答弁されているのだが、鈴木検事さん――これは調べの担当の検事さんのようでありますが、その後再調査はどうなったのでしょうか。これは告発人ではありますけれども、一応不起訴処分になったものについて問うということは、はたして権限があるのかどうか、いかがかと思うのでありますが、告発人としては、国会の刑事局長の答弁で、最高検が指示して和歌山地方検察庁に再調査をさせるということを答弁されておるならば、関心を持つので、聞くのは無理からぬことだと私は思うのであります。そのときに鈴木検事は、別にそんなものは上から指示を受けたことはない、あれはそのまま不起訴だ、こういうように言われたということであります。私はその意味で、きょうは刑事局長もおりませんから、国会で私の質問に答えられたように、最高検を通じて和歌山地検に再調査を指令されたのかどうかということについて、この際追及する考えは実は現在持っていません。ところが、これを不起訴にいたしました結果が、やはりその埋め立て地の処分の問題にいろいろな問題が起こってきておるわけです。
 そこで、ことしの五月二十一日でありますけれども、同じ関係者の山本武男という那智勝浦町の住人から和歌山の地検へ、この埋め立て地が実は公有水面ではなくて、いわゆる未登載の官有地である、一部は那智の法務局に官有地として登記をされておるという関係が明確になったのに、さらに調べてみますと、最近において、その同じ官有地を埋め立てたということを理由にいたしまして、十一筆にわたって、寺本磐彦君というのが保存登記をやって、法務局は、書類は完備していたのだろうと思いますけれども、それを受け付けた、こういう形でその官有地に二重登記がなされているというような事情が判明をいたしてきたのであります。そこで山本君のほうから公正証書に対する不実記載の問題と、いわゆる官有地は国有財産でありますから、そういうものを侵奪したのだ、不動産侵奪罪の二つの罪名で重ねて告発をいたさなければならぬような事態になったのであります。聞くところによると、五月二十一日とかに告発状を出したそうでありますが、ことしの八月二十日過ぎに相当長時間にわたって告発人から供述調書を和歌山地検でとられたということでございますが、その後、捜査段階の問題だとはいいなから、かなり時間が経過いたしておりますので、それがどういうようになったのかという点をこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。
 この問題をなぜ私が重ねて取り上げるかと申しますと、後に国立公園局から厚生省の担当者が見えておれば伺うつもりでありますが、その同じ委員会で取り上げたあそこの勝浦湾に弁天島という島があるのです。その島と陸地との間を最近漁業協同組合が網干し場という名目で知事に埋め立てを申請をいたしたのであります。ところが埋め立て申請の中に約七百坪でありますけれども、やはり官有地――これは登記をいたしておりますが、埋め立て地の部分だという形で入っております。奇怪なことに、埋め立て申請に対して、自然公園法に基づく厚生大臣の認可を申請しましたら、それに工作物の新築許可という申請目的以外の条件をつけて、厚生省が認可をしておる。それに基づいて現在埋め立てが強行せられておるわけであります。地元としては、先般も申し上げたのでありますが、日本一だといわれる那智の滝、それからいま申し上げた砂丘、弁天島などの勝浦湾に散在する島々、海岸に出る温泉というような関係で、これは自然公園法に基づいて国立公園に指定されている。その風致を著しく害するような関係で、地元では町民大会等を開いて騒いでおるような状況にございますので、やはり検察庁に出された問題については、私は先般言ったのでありますけれども、自然公園法とかいうような、ある意味から見れば直接刑法等に関連した問題ではありませんけれども、自然の保護あるいは国土保全というような観点からできている法律にやはり罰則というものもあるわけなんで、そういう関係のものは、いま坂本委員の質問にも刑事課長お答えになられておりますけれども、検察庁がほんとうに公正な立場に立つならば、一市民の提訴であろうと、十分刑事局長もこれは問題があるというように判断せられるような事案については、徹底的に調査と捜査を進められて結論を出していただかなければ、私は検察庁の威信にもかかわる問題だろうと思うのです。そういう点から重ねて伺うのでありますけれども、その点はいかがになっておりましょうか。
○石原説明員 けさほど先生からの質問の通告を受けまして、先ほど向こうに連絡いたしました。ところが、いまの、鈴木検事の名前も出ましたが、担当者がかわりましてはっきりしないのでございますが、それから時間もなかったので詳しいことを聞けなかったのでございますが、電話で聞いたところによりますと、最高検から話がございまして検討をしたそうであります。その結果、官有地か公有水面かが争点になっているわけでございますが、公有水面という認定だという形になりまして、最初の不起訴の処分を維持したという形だそうでございます。この点につきましては、先生もう御存じのとおり、窃盗と詐欺、背任等が告発事実になっておるわけでございまして、この部分についてそのような処理が行なわれて、それを維持したというぐあいに聞いたのでございます。ところが、電話を切りましてから考えてみますと、先生いま御指摘の、自然公園の点だろうと思いますが、その点が残るのではないだろうかということを感じまして、いずれあらためて現地のほうでも記録を検討しておいてもらいまして、その上で連絡しなければいけないのではないか、かように思っております。
 それから、いまの五月二十一日の告発の点でございますが、その点、実はいま初めてお伺いしたような次第でございまして、その点は聞いておりません。いずれ、きょう早く終わりましたらきょうなり、あるいは明日でも現地に連絡してみたい、かように思っております。
 それから最後に告発関係についての処理でございますが、告訴、告発事件について非常におくれるような印象がございますことは、私どもも遺憾に思っているところでございまして、特に検察庁に対する告訴なり告発は、国民が検察庁を信頼してなされたものでございますので、その点の早期処理についてはわれわれも関心を持っておるところでございます。先般十月四日に全国地検の刑事部長の会同を行ないましたが、その際にもこうした事件の早期処理の方向について協議した次第でございます。
○田中(織)委員 その点について、官有地じゃなくて公有水面だということで知事が認可をいたしたのでございます。ここにその関係の図面を持ってきておるのですが、これは今度五月二十一日に出した告発状に添付されておると思うのでありますけれども、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字天満字木戸浦ということで七千六百二十平方メートルについては官有地であるという、これは四十一年十月十一日の和歌山地方法務局那智出張所の古久保正弘登記官の証明書の謄本であります。それから同じように、東牟婁郡那智勝浦町大字天満字川口――この地名のとおり、那智川でありましたか、川口があって、和歌山県史によりますと、古いことになりますけれども、明治何年かに大水害が起こってその付近が相当荒れたということが県の歴史にも残っておるように、川口があったのです。そういう川口だとか、――いま申し上げた川口の場合は、一万一千三十工平方メートル、地目海岸地であります。これは地番が八百三番地ということになっております。これも摘要の欄には官有地として法務局に登記をされておる。この同じ地番のところに――実はこういう斜線で書いたところが許可して埋め立てを受けたところですが、この線までが砂丘の線で陸地であるということは、私、先般の委員会で、何年か前にとった航空写真を持ってきた記憶があるのであります。そういう関係で、これがやはり官有地であるという関係から、――実はここに護岸があるのです。護岸については、もともと砂丘の護岸として建設したものではないので、埋め立ての関係ということで護岸をやった関係から、建設省はこの護岸についてはまだ検査をしないのです。しかもこの付近一体が砂丘だということになりますが、この部分は約三万坪であります。寺本磐彦君というのがこの埋め立てをいたす埋め立て会社の責任者であります。現在これに道路をつけるわけにもまいらないで、実際寺本君としても埋め立てのためにばく大な金を投じて困っておるだろうとは思いますけれども、実はこういう部分を処分することもできないような状態にあるのです。しかも、この中では約二千坪ばかりを埋め立てるために、また、先般申し上げたように、この砂丘の砂を土木工事などに売り払うために、相当大きな機械で砂をとったのがごぼっと深い池になって、二千坪ばかりあるわけだ。現状をごらんになればわかるのであります。いまごろになると、それはもともとあったため池だというのは、その点から見ても理屈に合わないのです。そういうような実情にあるので、この問題については、先ほど申し上げたように、五月二十一日に出したのは、いま私が申し上げた官有地だという法務局の登記の上に、寺本君らの名前で十一筆の自分の土地の登記が二重登記をされておるというような実情にあるので、その点から見れば、あとで私有地だといって申請しまして登記所に出した書類というものは事実でないことを記載しておるという関係から、いわゆる公正証書に対する不実記載の問題として該当条項による新しい告発がなされておるわけです。
 それから別に、この前の事件の関係者でありますけれども、この部分、これはやはり勝浦の温泉に向いての部分でありますが、これは三千坪ばかりで小さいのであります。これも一部公有水面でありますけれども、やはりこれも十一筆にわたって砂丘の上に個人の土地が登記申請をされ、これは埋め立て工率をやった関係で、大阪の豪商に三億ばかりの担保設定がついておるやに私も聞いておるのでございます。この上には、すでに四、五軒観光旅館が建っておりまして、その関係の旅館等の工事も、江簡関係の建設会社か何かが引き受けて、工事代金の関係で、この部分がいわゆる官有地を民間の土地だ、埋め立てたのだということで二重登記したものが、江商に担保に入っているというような関係になっておるわけなんです。きょう大蔵省の国有財産局からお見えになっていれば、近畿財務局の和歌山財務部にお問い合わせになれば、この関係がいわゆる未登載の官有地だということがはっきりいたしておるのであります。和歌山県知事としては、それを県への移管がえを申請したそうでありますけれども、大蔵省のほうでは、近畿財務局のほうではそれを突っ返したということを聞いております。この点については先般も申し上げたのでありますけれども、和歌山の行政監察局が、苦情処理の形で持ち込まれた問題で、立ち合っておるわけです。それにもかかわらず、やはりこの問題等については、私は国立公園局のほうもはっきりしないと思うのです。私の昨年の質問に対しては、それが申請のときの関係と違うならば、自然公園法に基づく趣旨に反するならば、原状復帰を命ずるということまではっきり答弁をされておるのでありますけれども、それをやらない。こういう問題について責任は責任として明らかにしないから、この景勝の地の海津がいろいろな名目で埋め立てられて、風致を害している。埋め立ての許可をとったものの一つの利権になって、埋め立てれば坪三万円にも五万円にも売れるという形で何億というものを、そういう県とのつながりのあるものが利益をおさめておるというような状況になっている点は、私は国有財産の管理をやる国有財産局としてもやはりこのままほうっておくわけにはいかない問題だと思うし、たまたまいま申し上げましたように、再調査の結果も、やはり公有水面であった、官有地ではないのだ。もし公有水面であるならば、今日、こういう形で約三万坪の土地が埋め立てられたままで処分できないはずはないのです。道路もつけられないし、せっかく埋め立て工事でやった護岸について建設省の認証も得られないというような事態は起こらないはずなんですから、その点については、やはり検察庁は現地について実情をお調べになって、この問題について捜査の端緒として告発が出されていることについては、まあしろうとのことでありまするから、刑法の関係条章の問題はあるいは違うかもわかりませんけれども、もし捜査の結果これが法に触れるということであれば、やはりしかるべき法条によって処置しなければいかぬのではないかというふうに私は考えるので、その点は、きょうここで五月二十一日に新たなる公正証書不実記載の問題なり不動産侵奪非などで告発が出ているということは初耳だということであれば、そういう前のいきさつがあるだけに、重ねて徹底的にひとつお調べをいただきたいと思うのですが、刑事課長いかがですか。
○石原説明員 よくわかりました。たいへん恐縮でございますが、いまの不動産侵奪と公正証書原本不実記載で告発した人の名前をお教えを願いたいと思います。
 それから地番――いまの官有地か、公有水面かということになりますと、土地の特定が問題でございますので、その点をもあわせてお知らせ願えれば、私のほうであらためて脱地に確かめてみたいと思います。
○小島委員 関連して。私はこれは真剣に考えていただきたいと思うのです。いま国立公園があちらこちらでむちゃくちゃに、何というのですか、観光ブームでほんとうに景勝の地がこわされつつある。今日のああいう業者のやり方というものは、私はあまりにも当然を胃液するものだと思います。のみならず、それによって国民に与える精神的な打撃というものは、非常に大きいと思うのです。のみならず、これは国立公園でたまたまそういう問題が認められるということになったら関西にはそういうところが相当たくさんあると思うのです。あそこが許されるならおれのところだってかまわないじゃないかということになったら事は重大だと思いますから、その点については厚生省のはっきりした意見を聞いてもらいたい。厚生省は、こういうことに対して国立公園局の何らの許可もなしに県知事がかってに認可したとか、土地が官有地であるかないかということは私にはわかりませんけれども、その点も問題になるかもしれませんが、もっと広い意味では、国立公園はそんなにかってに厚生省の許可もなしに埋め立てることができるものであるのかないのか、はっきりしてもらいたい。もしこれは認可が出ていないということであるならば厚生省としてはしっかりした態度をとってもらいたい。私はそれを特にお願いしておきます。
○田中(織)委員 五月七日の告発人は、山本武男君と申しまして、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大字天満千六百六十二番地、告発されたのは同じく那智勝浦町大字勝浦寺本磐彦、それから問題の土地の地番は、那智勝浦町大字天満木戸ノ浦四百四十二番地の海岸官有地六万九千六百八十五平方メートルについてでございます。
 同じ番地の上に寺本磐彦君名義で十一筆の――これは那智丹敷浦観光土地株式会社の代表取締役寺本磐彦君名義で十一筆にわたっていわゆる二重登記がなされておる問題でございます。もし何であれば、この告発書の写しをお貸しいたしてもよろしゅうございます。
  〔「国立公園であることは間違いないだろうな。」と呼ぶ者あり〕
 国立公開であることは間違いない。この点については、昨年の八月十日の本委員会における質問で、その公有水面についての埋め立てについては、自然公園法に基づく厚生大臣の認可は求めてきておらないということを、当日出られた国立公園局の担当者が、そういうように述べられているわけです。
 そこで、この点についてはひとつ法務省のほうで和歌山地検を督励して、いま小島委員からも関連の御質問もございましたが、これは幾ら観光ブームに乗っても、そのもとになる自然をこういう形でこわしていったのでは、観光ブームが結局実らないことになるわけなんで、やめてもらいたいと思いまするので、徹底的にひとつ捜査を進めていただきたいと思います。
 そこで国立公園局から担当者がお見えになっておれば、その節も実は私は丹敷浦の埋め立てに関連して、いま問題になっておる弁天勘との間の埋め立て計画が進められて、この次は必ずそうなってくる。そういうことになれば、これはゆゆしい問題だということを実は申し上げたのです。厚生省の担当者は、特にそのことについてはもうその当時から反対陳情があるので、厚生省として実は十分に注意するということをお答えになっておるわけであります。ところが、昭和四十年六月十日付で、特別地域内水面埋め立て許可申請書なるものがか自然公園法第十七条に基づいて、那智勝浦町の漁業協同組合の組合長理事浦川恭太郎君の名義で厚生大臣あてに出されたのであります。これは、「自然公園法第十七条第三項の規定により吉野熊野国立公園内の特別地域内における水面の埋立の許可を受けたく次のとおり申請します」というのか申請書であります。目的は、漁具保全施設(漁具干場)造成、行為地は和歌山県東牟婁郡那智勝浦町大宇勝浦一〇六一番地の地先、施行方法として、一万三千九百三十平方メートル、うち護岸敷千四百九十四平方メートルか入っておるようであります。工事の方法としては、小金鳥漁港のしゅんせつ土砂をもって埋め立てを施行する。予定期日、着手許可後三ヵ月以内、完了着手後一年、こういうことで申請書が出たのであります。ところが年月日ははっきりいたしませんが、大臣からの許可書がおりている。それは案の1として、「勝浦漁業協同組合」、「昭和四〇年六月一〇日付申請の吉野熊野国立公園特別地域内工作物の新築を次の条件を付して許可する」、年月日、大臣名、「埋立地は申請目的以外の使用をしないこと。」、これは「特別地域内工作物の新築を次の条件を付して許可する」ということになっている。申請書は、私が先ほど読み上げたように、網干し場として埋め立てをしたい、造成のためだということになっている。ところが、新築許可についてという文字が入っている点が、私どもには理解ができない。それから局長名で和歌山県知事あてに通達が出ているのについては、こうなっています。「吉野熊野国立公園特別地域内、工作物の新築許可について」、「昭和四〇年九月一四日観第二一七号で進達のあった標記については本日別途条件を付して許可されたから申請者に指令書を交付されたい。」ということなんです。これは国立公園課長もお見えのようでありますけれども、埋め立ての許可を申請したことに対しては、自然公園法に基づいて厚生大臣が認可をしなければならぬことになるのでありますが、その認可が工作物の新築許可という形になるのですか。その点はいかがなものでしょう。
○岸野説明員 お尋ねの点は、実はあそこの地域の海面が、国立公園の区域に入ってなかったわけでございます。これは吉野熊野、伊勢志摩の一部等につきまして、古く戦前に指定を受けました国立公園にありましては、大体陸地まで国立公園の区域にしておりますが、浮面を国立公園の区域に入れてないという場所が若干残っておるわけであります。たまたま弁天局と本土との境の水面も、よく調べましたら、国立公園の区域でないということが判明したわけでございます。それで、向こうから出ました書類をどういうぐあいに処理をするかということでいろいろ検討が加えられまして、その結果、結局現在の自然公園法でもって許可の対象になる部分は、あそこで護岸をつくりまして、その護岸の陸地に接着する部分は、当然陸地のほうにかさ上げがなされまして護岸を接着させたということで、実際に許可をいたしました内容は、埋め立て地の許可ということではできませんで、結局国立公園の区域に入っております陸地のほうに埋め立てをいたしました護岸を接着させるために、工作物としての石垣の積み上げがなされた。結局そういうことで、現在の法律の制度及び公園区域を告示いたしました線を継ぎ合わせました結果、結局私どもといたしましては、公園法上で、あの海面を国立公園の特別区域とすることができない。これは何ともいたし方がないわけでございまして、結局工作物の許可、その際に、先生から昨年御指摘いただきましたように、厳重によく注意をしろという御意見もございまして、埋め立て地については、そこに書いてあるような漁具の干し場以外はだめだよということを条件に付したわけでございます。この条件も、ほんとうの条件といえるかどうかということは、いろいろ問題かあろうかという気もしたわけでございますけれども、やはりあそこはともかくかなりいいところでございますから、われわれといたしましても、最終的にはあそこは申請どおりには認めませんで、最小限度漁具の干し場としてどうしてもあそこが必要だという強い主張がございましたので、ともかく若干幅を狭めていただきまして、それで漁具の干し場に必要な最小限度の埋め立てということで、産業との調整をはかって、あそこは実際問題として埋め立てが行なわれるということを、結論としては事実上承認というかっこうになった。形式的には、先ほど申し上げましたような結果がよくよく調べてみますとありまして、これは、申請書は確かに埋め立て地の申請ということで出ておりますけれども、工作物の新築許可ということで、自然公園法上の措置をとったわけでございます。ただ、そういうような問題がございますので、先ほど先生がお読み上げいただきました局長の通知の中には、近いうちにやはり問題があるので、海面も国立公園の区域内に編入する必要があると考える。それであるから、それについてどこの海面とどこの海面をいろいろな他の、たとえば漁業権等他の産業との調整をはかって、どの区域を風致上特に国立公園の区域に編入すべきであるという意見を早急に出してもらいたいということを、あわせて向こうには求めているわけでございます。それで、私のほうは、いずれ向こうの意見が出ましたならば、自然公園審議会等にはかりまして、必要な海面はできるだけすみやかに国立公園の区域内に編入をいたしまして、こういうような問題が生じないようにしていきたいというように考えておるわけであります。
○田中(織)委員 あなたは、この前来られた管理課長の上村さんですか。
○岸野説明員 いえ、かわりました。
○田中(織)委員 実は上村管理課長のこの前の答弁では、「場所は古野熊野国立公園中の特別地域でございます。」ということを冒頭に述べられておるわけです。弁天島の関係、したがってそれは遁辞だといわざるを得ないと思います。実は現在まで若干――私は坪数はよくわかりませんけれども、網干し場は名目で、埋め立てた部分があるのです。海岸の道路に沿うて、そこから外にある。それをさらに広げるという形にはなっているけれども、現在でもそれは綱干し場には使っていないのですよ。このごろ勝浦湾内も沿岸漁業というようなものはほとんどありませんし、最近の新しい化繊の網というものは、むしろ水気があればあるほどいいので、化繊は水を切って網を干すというような必要は、現在の沿岸漁業にはないのです。したがって、これは漁業組合で申請をする関係から見て、網干し場という理屈をつけなければならぬけれども、この勝浦の漁業協同組合には、脱在一億二千万円の赤字、借金あるのですよ。しかも網干し場としてはもう必要はない。現在あるもので、網干し場にはいわゆる渋をたくための――昔の糸の網というものは渋をたくのです。その渋をたくところの小屋もありますけれども、現在は子供の好球場になっておるのです。ところがこの間、和歌山県知事がそこへ視察に来るときに、ぽろぽろになっている網をわざわざ引き出して、干しているようなかっこうをつけて、こんなもの何で出してきたのか、きょうは知事が来るからかっこうだけしなければいかぬと、そこの漁業組合の諸君が言っているのです。これは工事費は約八千万円です。そのうちで漁業組合の負担が三千万円ですけれども、現在やはり一億二千万円からの赤字をかかえておるのですから、漁業組合が負担するものについては、これは地元の多分紀陽銀行ではないかと思うのですが、そういうところから融貧を受けなければならぬ。あと五千万円は国と児から補助金を出すのですけれども、これは網干し場ではなしに、海岸を域め立てて、そこに旅館なとを建てるものとして、あるいはそういう裏契約かすでにあるかもしれないというようなことが、現地では取りざたされているのです。そこでいま国立公園局、厚生省の担当者が言われるように、この水面が国立公園の特別地域に入っていないのだとすれば、あなたたちが、いわゆる自然公園法に基づいて水面埋め立ての許可を出されるということ自体が、権限のない地区にやるような形になるわけです。しかも埋め立てを申請するというここであなたたちがよろしいという許可をするならば、工作物の新築について許可をするというようなあいまいな許可をすること、申請の目的の網干し場以外にこれを使わせない、たとえば制限登記をするというようなこともあります。そういう方法はあると思うのですけれども、これについては私は具体的に名前は申しませんけれども、やはりある政治家が動いているのです。こういうような形で、現地の反撃が非常に強くなっているので、おそらくその動いた人も現在は後悔されているのじゃないかと思うのでありますけれども、これではいわゆる那智勝浦の国立公園としての意義が死んでしまうのです。それから現在、国立公園局におられた方で、和歌山県の港湾課か何かへ担当者として行かれている方があるそうですが、実はその人が私が取り上げた問題から――あそこにたしか玉ノ井ですか、旅館があるのです。現在ある網干し場から玉ノ井まで白いペンキでしるしをつけているそうです。その線までの埋め立てはやむを得ないということで、和歌山の行政監察局と厚生省の公園局の担当者とが立ち会って引いた線があるそうです。ところが今度厚生省が認可になったものは、弁天島の中間ぐらいまでいくところの相当広大な埋め立てになっているのです。その中には島嶼もありますし、それから埋め立て地の中には約七百坪の、これは登記されているのですけれども、それも埋め立て地の名目の中に入っている。実はそれを専用使用したいという願いを県へ出したところが、これは官有地だからということで県が不許可をした書類をある人か持っているのです。ところがこれも今度厚生省のほうへ申請した埋め立て地域の中に含まして申請するというような関係で、景勝の地ですから、海岸は土地はあまりないのです。それだからそれを新たに造成するというような関係について、これはたとえば地方当局というようなものは、景勝を損なわない形で、県などとの関係で十分やるということならなんですけれども、だれか思いついた者が営利を目的にやるというような形では、これはもう法律あること自体か意味をなさないというようなことになるので、特にこの漁業埋め立て、網干し場として埋め立てている関係についても、公園局のほうでさらに現地をお調べになって処置していただかなければなりませんし、それからこの前管理課長が私に約束をした、先ほど刑事局に対して私が伺った部分については、現在道路もつけられないし処分もできないような状態にあるわけでありますから、それらの問題についても公園局としてお調べにならなければならぬ。何でも聞けば、和歌山県の土木部の港湾課に厚生省の公園局から、現地を担当されてこられた係官が現在出向しておるということで、名前は私は聞いておりませんけれども、それがいつの間にか線がふくれてしまうというような形になっている。この点もひとつ国会での答弁でなにされるだけではなしに、現地にとっては非常に重大な問題になっておりますので、ひとつ担当者を派遣して調べていただきたいと思う。
 それからもう一点、ちょうど警察庁の刑事局長もお見えになっておられますから申し上げますが、やはり県の関係でそういうものをやるものですから、那智勝浦の町長が、やはり町有地約千三百坪について町議会の承認も何も経ないで、南紀開発という会社へ町長が売り渡している。現在すでにその会社の名義になっております。町議会の承認も何もありませんから、町議会で問題になってきて、あとで町議会がそれを一たんは戻したような形で、地籍の訂正だとかなんだとかいう手の込んだ細工をやっておるようでありますが、それを町民が聞いて現在問題にしておるのですが、この点についても和歌山県警の本部長あてに告発状が出ています。最近告発状が出てから、町会議員の一人が三千五百万円ばかりのうちで一千万円だけ先付け小切手で先月の二十六日に町へ納めたということになっておるようでございます。これも告発をされて、新宮署ですでに告発人からは供述調書などもとっているようでありますけれども、町長の責任問題だということで町民大会や何か開かれているが、警察が握っているというわけではないだろうと思います。告発が出て騒ぎ立ててから一千万円だけは納まっておるようでありますけれども、やはりこの海岸地帯で問題の土地の一角であります。これは新宮署の所管でありますけれども、新宮市ではなくて隣接した町でございますが、実はこの弁天島も南紀開発へ売り渡す計画で町長がいろいろ細工をしている。元県会議員で私もよく知っておりますけれども、何かの考え違いからそういうことになったのではないかと思うのですが、こういう自然公園の重要な地帯に、一連のそういう問題が起こってきている点は、私非常に遺憾だと思いますので、ひとつこの点も徹底的にお取り調べを願いたいということだけ申し上げて、その調べの結果もあとでまた別の機会に伺うことにいたします。
○大竹委員長代理 坂本君。
○坂本委員 私は先般来衆参の各委員会で問題になっておりますいわゆる共和グループの問題について質疑をしたかったのでありますが、時間がありませんから刑事課長に御質問をしたいと思います。
 これは、このように国会でも非常な問題が提起されて、その委員会でみずから傍聴して聞いた者は感じておりますが、さらにまた会議録を見ましてもこれだけの事件であり、これだけの不良貸し付けで、さらにその金が、いわゆる公式と申しますか、その金融を受けた方針に従って使われずに、大部分の、それも数十億の金がどこか外に出ておる。しかも、それは社長の邸宅――これは大邸宅といっても数億でございましょう。しかし、そのほかに有価証券、あるいは日本の有価証券でなくて外国の有価証券を買っておる。うまく融資を受けて、それを正当に使わずに、だぶついた金の抜け道はそれである。それから、ダイアモンド、その他の貴金属にかえて、それを某所へ保管しておる。特に国有林の払い下げの問題については、三千五百万円ですか、これが払い下げであって、そのものが四十五億円の担保になって、農林中央金庫あるいは農林漁業金融公庫から金が出ておる。こういうような堕落した、綱紀の弛緩した、しかも政界に献金をされておる、また献金をしていないならば、そういうふうに外国の株券を買って隠匿をする。こういう問題が出ておるから、これについては告訴、告発があるまでもなく、当然職権で捜査を開始して、徹底的に究明してもらうのが日本の検察庁の当然のいき方ではないか、こういうふうに思うわけですが、その点についての見解を承っておきたいのであります。
○石原説明員 共和製糖の与件では私もたびたび出て答弁しておりますが、具体的な事件でございますのが一点と、それから非常に騒がれた関係もありまして、非常に捜査がしにくい、一般的に申し上げて、しにくい関係になるわけでございます。そこで端緒があれば捜査をするというととを参議院の決算委員会でも申し上げたのでありますが、それは一般的なことでございまして、現在の具体的な要件に関しますと答弁しにくい点がございますので、その点、具体的な今度の事件で捜査をしたかしないか、するかどうかという点につきましては、答弁を差し控えさしていただきたい、かように考えております。
○坂本委員 これは委員長にも聞きたいのですけれども、こういうのは各委員会で散発的にいろいろやるのではなくて、これは当然刑事問題を含んでおることに間違いないと思う。ですから、職権で調否すべきであると考えますから、これは大臣にも言って、事務当局はさっそくこれに着手してもらいたい。
 そして、私の一瞬疑問に思いますのは何かといいますと、共和グループというのが、いろいろ委員会、その他を総合しますと、えたいのわからない問題になっておるわけです。共和製糖というのがあるかと思えば、今度は共和糖化、それから東洋果糖、日本糖化と、こうあります。この共和糖化と東洋果糖と日本糖化の三つが合併をしまして、共和糖化というものになっておる。それから共栄糖化、四国糖化、それから南島開発、それから南栄糖業、それから関西セブンアップ。この共栄糖化から四国、南島、南栄関西セブンアップ、こういうグループが共和産商というグループになっている。しかもこれに対しては日本開発銀行、三和銀行、宮崎銀行、平和相互銀行、それから株式会社東食、それから農林漁業金融公庫、農林中央金庫、これらが多額の融資をしているわけですね。そうするとこれが合併をしたりあるいはグループを組むということになると、えたいの知れないのがあって、金はたくさん国家の金が出ておる。その借りたのはどこが責任を持つかということについて、これははっきりしていないと思うのです。こういう点については食糧庁、林野庁並びに農林大臣の出席も求めていましたけれども、出てこられない。だから、私は法務省のほうに申し上げるのですが、こういうようなあやしい、えたいの知れない会社が、合併をしたりあるいはグルプをつくったりしてわからない。これが何十億、いわゆる七十億といわれる金を借りて、ごまかしの一手じゃないか、こういうふうに考えるわけであります。だからぜひひとつこれは日本の検察庁として、捜査の権威として、せひともこういう資本家あるいは企業家が、巧みな方法で国家の金を借りてごまかしておる点についてのメスを当然職権で入れてもらいたい、こう思うわけです。
 もう一つは、他の委員会で質疑があったと思うのですが、この共和製糖の社長の菅貞人氏の問題であります。これが、聞くところによりますと、昭和三十四年十一月に日本の国籍を取得せられておる。それまでは韓吉昌といって、何でも終戦後、あるいは前かわかりませんが、留学生であった、こういうような人が、現在のような経済組織において、いわゆる一獲千金を獲得するようなことはできないのに、これをやる以上は、何かそこに脱税、あるいは巧みに金を借りて払わない、こういうような問題があって、この社長の身辺に疑惑をかけられておるのが匿名の預金である。先ほど申しましたように貴金属にかえてどこかへ保管するとか、あるいは外国の有価証券を他人名義でとっておる。非常に巧妙な手が使われておるように思いますから、こういう点について、徹底的のあれをやらなければならぬ。先般他の委員会でも質疑があったと思いますが、七年前に公文書偽造事件で告発を受けまして、それの結果がどうなっておるのかわからなくなっておる、こういうような方がいまいわゆる共和製糖の社長である。そして大邸宅を建築をしておる。こういうような点は、われわれ法務委員会としても、ぜひとも法務省、検察庁に徹底的にこの捜査をやってもらわなければならぬ、こういうふうに考えるわけですから、この点について刑事課長ひとつ大臣に言って捜査をすべきだと思うのですが、どうですか。
○石原説明員 ただいまお尋ねの点で、捜査の内容につきましては、先ほど申し上げましたように、ここで答弁いたしますのは差し控えさせていただきたいのでありますが、先生のおっしゃるように共和グループ――とにかくグループらしいのでありますが、いかなるもののグループか、全くえたいが知れないという形になっております。私どもも一般にそうでございますが、いろいろな捜査上参考となるような資料がありますと、それぞれ検察庁に送っているわけでございます。今度の事件につきまして参議院の決算委員会で問題になりまして以来、委員会の速記録、あるいは雑誌等にも出ておりますので、その点はしかるべく方法をとりまして検察庁に送ることを考えております。
 〔大竹委員長代理退席、委員長着席〕
 それから最後に、七年前の告発があったではないかというお話、昨日の衆議院の決算委員会でも問題がございまして、私のほうできのうの朝から調べているのでございますが、東京地検なのか、ほかなのかはっきりいたしませんし、だいぶ古いことのようでございまして、まだ告発があったという点ははっきりしてない状態であります。
○畑委員 関連して。いま共和製糖のことが出ましたが、いまの刑事課長の答弁によれば、両院のいろいろな、これに関する議事録等も検察当局のほうに、資料にしてそのつど送っておるというような話でございますが、そういう資料にもと思いまして申しますが、きのうも決算委員会で言ったのですが、いわゆる共和グループというのが、いかにどうもインチキとわれわれが見ざるを得ないかという一つの例を申し上げます。北海道精糖というのがございます。これが昭和三十年の九月十五日に北海道の深川町というところで発足しておる登記簿上これが最初の登記です。これが三十一年六月十日に横浜市の丸山町というところに移転をしております。その次三十四年五月十二日に社名を日本機械と変更いたしました。三十四年の五月二十二日、すなわち十日過ぎて社名を東京通商と変更。さらにまた三十四年の六月一日千代田区丸ノ内丸ビルに移転、同じ月の三十日に、今度は横浜市の磯子区丸山町にまた移転をしておる。それから同じ年の今度は十二月二十二日に社名を京浜商事に変更して丸ビルに本社を移転をいたしておる。現在京浜商事と申します。こういうふうに本店をしょっちゅう変え、また社名をしょっちゅう変えておる会社です。
 それから京浜砂糖という会社がある。これは三十四年の四月十、五日に社名を京浜商事――この京浜商事と先ほど言った北海道精糖のほうにありました京浜商事とは別の会社なんです。しかもそれが一日違いでダブッていないのです。前の京浜商事、北海道精糖が商事になった京浜商事と、その次に京浜商事が今度はほかの社名になったのが一日違いです。すなわち前の北海道精糖が最後に京浜商事になったのは三十四年の十二月二十二日、あとで申します京浜砂糖が、社名を京浜商事を高橋商事と変えたのが三十四年の十二月二十一日で、二十一日と二十二日と一日違い。こういうような同じグループの会社であって、京浜商事というのが、別の会社がたまたまあったんだけれども、一日違いで一致していないのです。ダブっていないのです。こういうような奇妙きてれつのことがある。
 それからもう一つ、京浜製糖という名前の会社がございましたが、それが三十二年の八月七日に、やはり先ほど出ました同じ横浜市の磯子区の丸山町二百六十四番地に移転をし、三十四年の六月二十五日に社名を広島商事と変更しまして、広島県に移転しております。これがたまたま重政誠之代議士のむすこさんの義典さんの住所と一致をいたしております。しかも義典さんがこの会社の重役となっておる。それから三十四年の九月八日に千葉県の海上町に移転をいたしまして、社名を相沢商事と変更し、さらに三十五年二月十日に社名を内外機械と変更いたしております。それから三十五年の二月十七日に、東京都中央区日本橋室町一丁目二番地に移転をいたしておる、こういう状態でございます。
 それからさらに、宝不動産株式会社というのが、三十四年の四月八日に成立登記をいたしておりますが、これが代表者一人を除くほか、関係の人の奥さんが全部名前を連ねておる会社でございまして、これが三十四年の十二月十九日に代表者が今度は菅貞人さんになった。取締役もほとんど奥さん方が姿を消しております。三十五年五月二十五日に丸ビルに移転をいたしております。
 こういうことで、まことに流転きわまりない会社が傍系会社として三つ、四つあるわけです。私は非常にふしぎに思いまして、きのうもちょっと口に出したのでありますが、きょう時間がございますから、こちらで関連して申しますが、これはどういうためなのか。脱税のためではないか。こうして本店等をひんぴんと変えるということは、そういう脱税に大いに問題があるのじゃなかろうか。先ほど言われました北海道精糖の告訴事件ですが、これもきのう私、課長さんに申し上げましたけれども、ひとつこれもよくお調べを願いたい。こちらもちょっと正確なことがはっきりいたしませんので、なんでございますけれども、こういう流転きわまりない会社の一番最初の当時のことでありまして、この当時すでに管貞人氏がこの会社を手に入れておりまして、自分ではまだ当時は代表者になっておりません、ただ、日本の国籍を取得してから前面にすべて出ております。そういうことになっておるので、まことに奇妙きてれつだと思うのです。こうした関係会社をたくさん持っておる菅貞人氏が、わずかに十年ぐらいの間に、膨大な七十億ぐらいも、農林中央金庫から、開発銀行からと、いろいろ融資をばく大に受けておる。それでまた先ほど申し上げました不動産会社、農林開発興業という会社、これはトンネル会社になっておりますが、これが高槻ほか二件の土地の交換等をいたしておる、こういうことでございます。したがって、相当疑問が持たれるわけでありまして、これも速記録に載ると思いますから、これは結局検察庁に渡ると思いましたので、私そういう意味もあって、もう聞きあきたと思いますけれども、実はそういう意味で申し上げた次第であります。ひとつ、そういう相当疑惑を持たれておる会社でございますから、調査をして、そして職権でやっていただくのが当然かと思います。
 さらに一つ最後に承っておくのですが、きのうの決算委員会の質疑を通じまして、いままで参議院のほうにおきましてはそういうことはなかったのでありますが、きのう初めて、公庫のほうで四億円の金をブトウ糖工場をつくるということで融資をしたのだけれども、それが精糖工場のほうに回っておる、公庫法に違反してそちらへ流用したということが明らかになったから、これを繰り上げて、すなわち期限の利益を失わせて、償還を命じたということを、公庫の当局がきのう言明をいたしました。少なくともその点までは衆議院のほうになってから前進をいたしたのでありますが、これも、公庫法に違反をいたしておるのだそうでありますので、これがどういう刑事問題になるか、わかっておったら、もしそうだとすればという仮定でけっこうでございますから、ひとつ刑事課長からお答えをいただきたい。前のことは別にお答えを願う必要はありません。
○石原説明員 私も昨日衆議院の決算委員会のほうに出席しておりまして、ただいまの点を伺いました。ただ、事実まだ確定いたしておりませんし、公庫法も私読んでおりませんので、わかりませんが、昨日の委員会及び本日の委員会の会議録ができましたならば、しかるべく措置をとりたいと思います。
○大久保委員長 志賀義雄君。時間がありませんから簡単に……。
○志賀(義)委員 いずれあらためてこの問題は伺いたいと思いますが、共和製糖の問題、捜査の一々の内容は別として、およそ、いま灯委員からも質問がありましたが、どういう事件として検察庁としては取り上げられるのか、その見当はついておるのでありましょうか。
○石原説明員 ちょっと御質別の趣旨がはっきりしない点がございますが、私、参議院の決算委員会で申し上げたことは、一般的に申し上げまして、捜査の端緒があれは捜査は開始される、もちろんその捜査には警察でやる捜査と、検察庁でやる捜査と、両方含むわけでございますが、端緒があれは捜査は開始するであろう。その端緒の中には投書だとか風評だとかあるいは委員会の審議ということも入るであろうということを申し上げたのであります。しかし、具体的に本事件について検察庁がどういうことをやるかという点につきましては、捜査密行の原則もございますので、答弁することは差し控えさせていただきたい、こういうような趣旨でございます。
○志賀(義)委員 新聞によりますと、菅社長はどこか国外に逃亡したとかなんとかいうことが出ておりますが、どうもそうではないようでございますけれども、どこにいるのか、検察庁で確かめておられるでしょうか。
○石原説明員 私どもからは検察庁には何も聞いておりませんし、また、捜査の実体に入りますものですから、聞く必要もないというぐあいに考えております。したがって、その結果も聞いておりません。
○志賀(義)委員 聞く必要もないというのはどういうことですか。共和製糖についていろいろな事件があるのですから、社長がどこにいるかは、やはり検察庁の当局は調べているだろうし、はっきり申しますが、実は東京都内のホテルを転々としているのじゃありませんか。そんな話をお聞きになりませんか。
○石原説明員 転々としているかどうか、私いま初耳でございまして、聞いておりません。
 先ほど聞く必要はないと申し上げましたのは、捜査のことでございますので、検察庁にすべてまかせている形でございますから、私のほうから特別に聞くことはしていない、こういう趣旨でございます。
○志賀(義)委員 そういう点は、やっぱり証人に呼ぼうとか呼ばないとかいうことが、国会で問題になっているんですから。しかし、検察庁と警察のほうでは、菅社長がどこのホテルを転々としているかもうわかっているんでしょう。ただ新聞社や何かに押しかけられては困るので、その方面には知らせていないというか、そういう暗黙の了解で、検察庁と警察ではもうおわかりなんじゃないですか、いつどこで何をやっているか。どうですか。そういう話をお聞きになったことはありませんか。
○石原説明員 聞いておりません。
○志賀(義)委員 それで、先ほど坂本委員、畑委員からも問題があげられたこのグループと申すか、まことに何と申しても奇怪しごくのことでございますが、検察庁でお調べになったところでは、この会計のやり方、経理のやり方は、共和製糖とその子会社と、どういうやり方をやっているか、そういう点をお調べになりましたか。
○石原説明員 先生御質問が非常におじょうずなんで、検察庁でお調べになったところではとおっしゃるので、うっかり答えますと、捜査の秘密で申し上げられないと言ったことと実は矛盾することになるわけでございますが、その点は調べる必要があればもちろん調べているでありましょうし、調べる必要がなければ調べていないのだろうと思いますが、その内容について私から申し上げることはできかねるということでございます。
○志賀(義)委員 私の言うのは、どうもこれはアメリカ式のコンソリデーテッド・バランスシートの方法をとっているように思います。ですから、これはいまの灯委員の言ったことからもよくお調べになったほうがいいと思う。そこをもし調べないでいらっしゃると、この間参議院の決算委員会でも問題になったように、いろいろなものがまた焼かれたりなんかするおそれがありますが、そういう点はむろん、一々内容はいいですが、やっておられるでしょうね。検察庁としては当然のことと思いますが……。
○石原説明員 必要があればやりましょうし、必要がなければやらないと思いますが、そこは全部検察庁にまかせてあるということでございます。要するに、私申し上げたい点は、いろいろな事実がありましたときに、犯罪事実として構成できるかできないかといいますのは、やはり証拠による収集であろうかと思います。その収集を捜査としてはもちろんやるわけでありますが、その証拠の収集が、非常に騒がれておりますときには非常にむずかしいという御事情もお察し願えると思うのであります。その意味におきまして、一つ申し上げますと、それではこの点についてはおやりになったかと、こういうふうなお尋ねもあるわけでございますので、事、捜査なので、ひとつ検察庁にすべてのことをおきかせ願いたい、こういう趣旨で申し上げている次第でございます。
○志賀(義)委員 中嶋国税庁次長、いらっしゃいますね。――じゃ、伺いますが、国税庁に査察部というのがございますね。
○中嶋説明員 ございます。
○志賀(義)委員 そこで、特別査察班をいま組織されておりますか。
○中嶋説明員 先生のおっしゃる特別査察班という意味がよくわかりません……(志賀(義)委員「この事件について」と呼ぶ)この事件につきましては、査察事件としてはいま追及いたしておりません。
○志賀(義)委員 法務省のほうに伺いますが、国税庁のほうに何か連絡のあったことを刑事局としては御承知、でしょうか、どうでしょうか。
○石原説明員 私どもは何ら報告を受けておりません。
○志賀(義)委員 なぜ私がこういうことから聞くかと申しますと、去年の森協事件、ことしの田中事件、政界、財界と関係があるということは新聞もいろいろいい、衆参両院の委員会でも明らかになっているのです。ところが、結局のところ、これが詐欺恐喝、あるいは脱税ということだけにしぼられて、吹原、森協事件にしてみたところで、今度は法廷の証言あるいは参考人の陳述になりますと、事件が問題になった当時は全然金銭の授受はなかったようにいわれておったのに、議員の口から、百二十万円金をもらったということが本人から言われたりする。田中彰治君の事件にしても、結局これは脱税と詐欺恐喝にしぼられてしまった。どうも森協事件と同じですが、今度の事件も悪くすると脱税、詐欺恐喝ということになるかどうか、あるいは特別背任横領になるかどうか、そういうところにおしぼりになる下心でやっておられるのかどうか、私はそこを伺いたいですね。
○石原説明員 具体的事件を離れまして、一般的に申し上げますと、先生の御質員の御趣旨は、脱税なんかでやるのは形式犯だし、きたないのではないかという御趣旨が裏にあるのではないかと思いますが、私どもとしましては、脱税犯は国家財政の基本になる問題でございまして、自然犯に近いともいえるのではなかろうか。英米法、特にアメリカなんかにおきましては、すでにもう自然犯と同じ形になっているわけでございます。したがいまして、最近における事件処理におきましては、そうした会社経理といいますか、脱税といいますか、そういう方面についても、検察官も検察事務官も知識を涵養するとともに、そうした事件をもやるべきであるということで、国税庁とも一致協力の体制で一件を処理しているということでございます。
○志賀(義)委員 私は、別にあなた方がきたないやり方とかなんとか言っているのじゃないのですよ。あなたのおっしゃった自然犯の問題としてやられるのはよろしかろう、それはそれでけっこうです。しかし政界、財界との関係を切り離すために、国家財政の基本に関する問題として――一般の庶民は税金で非常に苦しめられておりますね。入り口から入ってくる税金をけ飛ばせば、窓から入ってくるというようなことをフランスの農民に関して昔いわれたことがありますが、税金というものはいまはどこからでも入ってくるのだ。それくらい一般の庶民は税金を取られているのです。だから大きい脱税がある、森協の場合は結局百六億円になった。あれは森脇自身は三十六億円ぐらいでかんべんしてもらえると思ったらしいが、そうはいかなかった。一般庶民は、われわれがしこたま税金を取られているのに、こんな脱税があるということでそちらへ目を向け、そして政界、財界との関係からは目をそらせる。そういうきわめて巧妙なやり方を検察庁がとっておられるのではないか。どうも今度の共和製糖事件もこれほど問題になったらこのままうやむやにすることはできない。しかしながら、政界、財界あるいは政府関係の金融機関、そういうものの関係は一切問わないで、悪いのは会社の責任者だ、それが脱税をやったとか、あるいは特別背任横領があったとかいうようなこういう点にしぼられると、二度あることは三度ある。森脇、田中、今度の共和製糖事件、こうなりますと、検察庁の手口がみなわかってしまうのですよ。またやった、またごまかした、そうなるおそれがありますが、そういうおそれについてはあなた方はみずから十分戒めてやっておられるか。検察庁はどうか、検事総長はどうか。その点あなたはお聞きになったことがありますか。
○石原説明員 当委員会に参りますと、常に叱咤激励で、ときには叱咤と激励が離れまして、おしかりと激励を両方受けるわけでありまして、ただいまの先生の点もややその点に近いようでありますが、私どもといたしましては、厳正公平に捜査をするということがたてまえでございまして、これはあらゆる会同、長官会同、係検事会同含めまして、事あるごとに大臣訓示あるいは局長指示をもって通知しているところでございます。
○志賀(義)委員 もう一つ中嶋さんに伺ますが、特別査察班は共和製糖と取引のある会社、このほうは全然調べておられませんか。あるいは特別査察班――あなた、ないと言われたが、ないとしても、国税庁では取引のあるところを調べておられるかどうか、その点はどうです。
○中嶋説明員 ただいま特別捜査班、特別捜査班は編成していないというふうに御答弁申し上げましたが、共和製糖グループ、これはもちろん取引関係のある会社があるわけでありますから、これらにつきましては法人税の税務署における調査、あるいは社団法人につきましては国税庁における調査、これらは、それぞれ通常の調査方法によって調査をいたしておる、かように考えております。ただし、全部これを調査しておるかどうかは、私、ちょっとただいま資料を持っておりませんが、通常何割かのものは調査をいたしております。その範囲でやっております。
○志賀(義)委員 そうすると特別査察班は組織していないが、調査はしている、こういうことでございますね。それで、どれくらい脱税があるか見当つきましたか。私のほうには大体見当がついていますが。
○中嶋説明員 志賀委員お手持ちの資料がございますれば、私どもいただきたいと思いますが、ただいま私どものほうでも調査をいたしておりまして、これはほかの委員会でも長官から御答弁申し上げたことがあると思うのでございますが、共和製糖グループという――大体の場合におきましては、欠損申告、あるいは黒字が出ましても、過去の欠損の繰り越しでその利益が消えてしまうという場合が多いわけでございますけれども、このグループの中で通算いたしまして、三つの会社を四つの期につきまして調査をいたしました結果、黒字が発見されまして、税金を納付させております。金額につきましては、もちろんこまかい数字でございますので、もし御質問があればまたお答え申し上げます。
○志賀(義)委員 では質問しましょう。ひとつ言ってください。大まかな数字でよろしゅうございますよ。
○中嶋説明員 たとえば共和製糖につきましては、四十年九月期につきまして実地調査をいたしております。税額にいたしまして百万円程度のものを納付させております。あと、新和製糖というのがございますが、これの実地調査を三十七年八月期、三十八年八月期につきまして行なっております。これにつきまして、四十七万円、六十六万円程度の税額を納めさせております。
○志賀(義)委員 さっき森脇のことを申し上げましたが、森協自身は三十六億ぐらいと計算した、私は第一回分で八十億ないし九十億はやられるだろうと言ったが、大体八十八億です。第二回目で合計百十億ぐらい、だろうと私は予想しましたら、あなた方がやったのでは大体百六億になりました。それゆえ、いまお出しになった共和製糖関係の数字は非常に少な過ぎるのですが、何せ、これはアメリカ式のコンソリデーテッド・バランスの方法をとっているので、非常にむずかしいかと思いますが、まわりだけでなく、そのものずばりにお調べになったら、コンソリデーテッド・バランスの背後で森協に次ぐような大きい金額になるのではありませんか。そういう点の見当はおつけになっているでしょう。全然おつけになっていないんでしょうか。
○中嶋説明員 共和製糖グループにつきましては、十数社の会社があるわけでございます。これらはそれぞれ内容につきまして取引が複雑、錯雑しておりまして、先生のおっしゃるように、これを通算しませんとわからないと思いますけれども、これを通算いたしましても、森脇事件ほどの税額が出るかどうか、これはちょっと私は疑問だと思います。
○志賀(義)委員 ひとつあなたのほうも少ししっかりして、やってください。また、してやられますよ、いまみたいなことじゃ。
 それから私は、そのように脱税にしぼって国民の目から政界、財界の関係をそらせる、こういうふうに言いましたのは、実は参考までに申し上げます。昨年の八月十一日の衆議院決算委員会で田中彰治君が聞きましたところですが、どうも奇怪な発言をしているんです。吹原、森脇事件のことを言っておるのです。自分のやられたときの経験から、森協についても言っているんですが、そのあとでかようなことを申しておる。こういうことは検察庁でお調べになったのか。法務省の刑事局では御存じなのか。ちょっと読み上げます。これは大橋、森脇の関連について言った分。「まだ一人、名前は申しませんが、日本の暴力団の大将で逮捕されておらぬものがある。これなども、土地を売ったりあらゆることをして脱税している。いまの大橋が持っている土地もその一つ。これは十五億で売った。七億五千万は日通に売って、七億五千万は日綿に売った。これは三倍に売っている。」こういうことを言っております。こういうことを衆議院の決算委員会で言って、一般に新聞を通じて知られているところは、衆議院決算委員会を舞台にしてこういうことを取り上げて、あとでうまくやっているということでしたが、そういうことがありました。決算委員会が舞台になっているでしょう。こんなことを彼が言っている以上当然検察庁はお調べになったと思うが、今日まで新聞を通じてわれわれが承知するところでは、このことは一つも検察庁のほうからも発表されていないし、これはお調べになったんでしょうかどうでしょうか。
○石原説明員 私、刑事課長になりましたのは本年六月末でございますので、昨年のことはわかりませんが、必要な委員会の会議録は法務省でも受け取っておりますので、必要とあれば見ているであろうと思います。
○志賀(義)委員 これは必要だと思いますから、帰ったらすぐに刑事局長にも、それから検事総長にも言ってくださいよ。そしてその結果をお知らせ願いたい。これが全然言われていない。はっきり申しましょう。青山墓地の移転問題がありまして、八王子の土地を大橋富重が五億円という評価をした。これを七億五千万円ずつで、いま言った会社へ売っていると、こういうことがある。これについては大橋富重、日通と日綿実業とが、それぞれ相当の金額についてかつあげを食っている、こういうことが言われておりますが、それは事実であるかどうか。こういうことが調べられずに、いつも問題になるのは脱税、あるいは詐欺、恐喝、あるいは特別背任横領ということです。政界、財界に関することが全然出てこない。国民はみんな政界、財界に関係があると思っている。こういうことがありますから、あなた、去年のことで知らないと言われるなら、ひとつお調べになって、この次ここへ委員長を通じて御報告願いたいと思います。
 こういう疑惑がいまある。この疑惑を晴らす必要がある。
 きょうの朝刊を見ました。朝日、毎日、もう一つ東京だったか、日本経済だったか、バナナの政治漫画が三つ出ております。
○大久保委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○大久保委員長 速記を始めてください。
 では問題をなるべく要点だけに……。
○志賀(義)委員 口原さん、バナナはお調べになりましたか。これはどうも切り離されて、それがくさくなると因ると思ってね。
○日原説明員 いろいろ情報を集めておる最中でございます。
○志賀(義)委員 では、石原課長に伺いますが、検察庁ではバナナは取り上げないことにした、お蔵にしたというようなことはございませんか。
○石原説明員 私、バナナの件については聞いておりません。ただ、警察で事件を調べますれば、あとで事件送致という形で検察庁に参るわけでございますので、もし、ただいま日原局長の御答弁の事件が成立いたしますれば、当然検察庁に送致されてくると思っております。
○志賀(義)委員 バナナはお蔵にされないほうがよかろう。それは腐るものですから、蔵に入れますと、あとでよけいにどうにもこうにも鼻持ちならないことになりますからね。これもどうも政界、財界に関係がある、特に政界に関係があるようであります。相当広く関係があるようでございますから、これをお蔵にされると、やはり脱税で事件をしぼっていって、それだけで政界のほうとの関係はやらない。これはノリでもコンニャクでも同じことです。そういうことのないように私も刮目して待っておりますから、ひとつそういうことのないように、私はそれだけ申し上げて、きょうは私の質問を終わります。
○大久保委員長 本日はこれにて散会いたします。
  午後四時五十三分散会
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