第055回国会 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第7号
昭和四十二年六月三十日(金曜日)
   午後二時二十七分開議
 出席委員
   委員長 小沢佐重喜君
   理事 赤澤 正道君 理事 四宮 久吉君
   理事 丹羽喬四郎君 理事 古川 丈吉君
   理事 島上善五郎君 理事 堀  昌雄君
   理事 門司  亮君
      稻葉  修君    白浜 仁吉君
      永山 忠則君    藤尾 正行君
      大柴 滋夫君    小松  幹君
      西宮  弘君    畑   和君
      岡沢 完治君    伏木 和雄君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 藤枝 泉介君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    島 四男雄君
        自治省選挙局長 降矢 敬義君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   林  康平君
        自治省選挙局選
        挙課長     山本  悟君
        自治省選挙局管
        理課長     鈴木  博君
    ―――――――――――――
六月三十日
 委員灘尾弘吉君、長谷川四郎君及び矢尾喜三郎
 君辞任につき、その補欠として稻葉修君、藤尾
 正行君及び西宮弘君が議長の指名で委員に選任
 された。
同日
 委員稻葉修君及び藤尾正行君辞任につき、その
 補欠として灘尾弘吉君及び長谷川四郎君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一四四号)
     ――――◇―――――
○小沢委員長 これより会議を開きます。
 政治資金規正法及び公職選挙法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 前会に引き続き、質疑を行ないます。稻葉修君。
○稻葉委員 私は、今回の政治資金規正法の改正法律案につきまして、第一に、政治資金規正の目的と憲法二十九条との関係について、第二に、本改正案の第二十二条第一号及び第二号と憲法第二十九条第二項との関係について、第三に、国家公務員法百二条第一項及び人事院規則一四−七と本改正案第二十二条第三号との関係について、すなわち公務員の政治的行為の禁止と公務員職員団体の行なう寄付との関係につきまして、自治大臣に質問を申し上げます。
 第一に、今回の政治資金規正法改正の目的は、審議会の答申にもありますとおり、まあ平たく言えば、政治をされいにするということではなかろうかと思うのです。議会に対する国民の黒い霧による信頼の失墜を回復しようというのがその目的であって、そういうことを憲法二十九条第二項にいう公共の福祉に当たるものとして、個人の財産権の処分に制約を加えようということを規制しているものと思うのであります。財産権の処分は基本権ですから本来自由であるべきでありますから、政治的寄付を金額によって制限するということは、一般的には必要のないことですけれども、政界粛正という公共の福祉を確保するために、今回の政治資金規正法のきわめてシビアーな改正案になったというふうに心得えますが、自治大臣もそういう御意見でしょうか。
○藤枝国務大臣 今回特に個人の寄付の制限額を設けたということにつきましては、これは、あまりにも多額な個人の寄付というものが政治力に関係のある政治団体あるいは政党等にされることによりまして政治があるいは影響を受けてはならぬということでございまして、これはいわゆる公共の福祉に従って財産権というものは処分さるべきという憲法二十九条のその限界を示したもの、こう考えておる次第でございます。
○稻葉委員 昨年来の政界の黒い霧に刺激されて、本来選挙制度の改正等と相まって一環として行なわれるべきだけれども、これは特に急ぐから答申をした、こうなっておりますね。そうしますと、昨年来ひんぱんに起こったああいう事件を抑制しようという目的があるわけです。ところで、昨年来のああいう不祥事件は、金額の多寡というよりは金の性質、出どころが悪い、または使い方に条件がついている、権力と金力が結びつくということを遮断すべきものであって、浄財を額によって制約するということは、個人の財産権の処分意思の自由という憲法のたてまえを束縛するのではなかろうかというふうに思いますが、どうでしょうか。
○藤枝国務大臣 元来、個人の財産の処分の方途は自由であるべきがたてまえだと存じます。しかしながら、個人の献金といえども非常に多額なものは、ただいま申し上げましたように、政治権力と結びついていろいろ問題を起こす可能性があるということで、財産権処分が公共の福祉に利用されなければならないというその限界と申しますか、基準の限界を示したものと考えておるわけでございます。これはやはり昨年来の政界のいろいろな実情、もちろんただいま御指摘のように量か質かという問題はあろうかと思いますが、選挙制度審議会におきましては、やはり質のほかに、量としてもある程度のものは制限するのは憲法二十九条に違反するものではないという見解を持たれたと思いますし、私どももそのように考えている次第でございます。
○稻葉委員 そういう自治大臣の御見解は少し掘り下げて考えなければならぬ問題だと思いますので、なおその点につきまして質問を継続いたします。
 国民総参加の政治、国民の政治、今日の日本国の民主主義政治のあり方として、大衆に、ある政党あるいはある個人がその主義、主張、政見等を周知徹底せしめるということは相当な金の要ることであります。しかし、その金と政治権力の悪因縁を断てばいいのであって、その要る金を無条件に純真な目的でだれがどこからお出しになろうと、それを制約するということは、きわめて議会政治、民主政治の発達にブレーキをかけるものではなかろうか。そういうやり方は、二十九条二項にいう公共の福祉と関係のないことで制約する不当な基本権の侵害である。たとえば、係累も何もない財産家が遺言をして、自分のこの金は、こういう主義主張を自分は持っているものだから、自分の主義主張と似通っているこの政党に寄付したい――その額が一億円であるかもしれないし、五億円であるかもしれない。そういう金は、もはや死んでしまうわけですから何ら条件がついてない。何らの汚職を生む素因を包蔵しているものではありませんね。それをも二千万以上こえる場合は、死んでしまうのですから処罰はないかもしれぬが、違法であるというてブレーキをかけるのは、きわめてまれな例ではありますけれども、悪いやつを征伐するためにこういう純情な市民の意思を財産権の処分について曲げるということは、憲法の精神に反するではないか。多くの悪人をこらしめるために一人の善人を殺してはならぬ。これが民主憲法の精神ではなかろうか。明治憲法とはそういう点において、基本権についての考え方が根本的に違うのではなかろうか。いいですか。明治憲法の公共の福祉による基本権の制限は、法律の留保というものがありましたね。法律の留保、すなわち法律をもってすれば基本権の制限もできたわけです。ところが、新しい憲法では立法権をも制約するのであって、たとえ政治資金規正法という法律をもってしても、そういう重大な基本権の侵害は憲法違反の疑いが実に濃厚ではなかろうかという点に心配をするわけです。ああいう不祥事件が起きた、ああいう連中を憎むがために、こういう善良な寄付をも将来永久にできなくしてしまうということはどういうものであろうか、非常に憂慮されることであります。現在はみんな、ああいう不祥事件のために自分たち自身についても非常に困る、国民にばかにされて代議士は困る、もっとしっかりやらなければいかぬ、こう思います。それはそう思うけれども、そのためにその感情にとらわれて、個人の純真な財産の処分権について公共の福祉と何らの関係のない、理由のないことで制約するということは、憲法二十九条二項の精神とは全く相いれないものであるというふうに考えますが、どうですか。
○藤枝国務大臣 ただいま、遺言による贈与というような非常にまれな例をおあげになったわけでございますが、その点多少、いま稻葉さんのお述べになりましたようなことがあろうかと思いますが、一般的に申せば、繰り返すようでございますが、多額な金によって政治権力に影響を与えることは、これはやはり公共の福祉上制限してよろしいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○稻葉委員 あなた、こういう法律は悪いやつのためにあるんだとジェームズ・プライスも言っている。悪いやつのために法律はあるんだ。(発言する者あり)いや、ああいう悪いやつがいたからこういう法律ができた。しかしながら、そのために善良な、純真な者の政治参加の権利をもチェックするというのは(「定数不足、定数不足」と呼ぶ者あり)これは、基本的人権を極度に尊重しようという新憲法の精神に反する。まれな例である、数が少ないということでそれを通り過ぎるべきでは断じてないというふうに思いますが、どうです。
○藤枝国務大臣 確かに元来政治献金、ことに個人の政治献金というものは自由であるべきであり、また、政治資金というようなものは、国民全体並びに政党あるいは政治家みずからが自分を規制していくという本来のたてまえだと思います。ただ、従来いろいろな事情がございまして、政治資金は公開さるべきものとして現在の政治資金規正法、いわば公開法ともいうべき規正法ができておるわけでございますが、昨年来のいろいろな事情からいたしまして、この程度の制限はやはりやむを得ないのではないか、いな必要ではないか。しかもそれは、なるほど個人の財産権の処分についてある種の制限を加えますが、単に実例のありました悪いやつと申しますか、それだけではなくて、やはり一般論として、個人があまりにも多額な寄付をするということは請託その他が伴いやすく、政治勢力にいろいろな影響を与えるおそれもある。そういう意味においては、やはり公共の福祉に従って利用するというその憲法の精神を逸脱するものではないんじゃないかというふうに考えております。
○稻葉委員 もう一度繰り返すようですけれども、憲法二十九条は「財産権は、これを侵してはならない。」ただ第二項に「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」こうあって、あなたの御答弁は、とにかく目的、動機のいかんを問わず、金の質を問わず、どんなものでも額は二千万円をこえたらいかぬのだ。それは、二千万円をこえることによって公共の福祉を害する。会社の場合は二千万、個人の場合は一千万、そういう理屈は一体どこからくるんだろう、もう少し詳細に答弁してもらわなければ、私にはわからない。
○藤枝国務大臣 確かに、二千万円は善で、二千百万円になったら悪だという理由をあげろとおっしゃられましても、なかなか正当な理由はあげ得ないと思います。ただ会社につきましては、少なくとも分相応な――分不相応な寄付はいけない。分相応、その分相応というのを資本金の千分の二・五、あるいはそれで二千万円を頭打ちにしたというのが審議会の御意思でございまして、まあそこらにめどをつけたということでございます。また、個人につきましては、特に憲法二十九条第二項の関係がありまして、いろいろ問題があろうと思いますが、しかし先ほど来お答え申し上げますように、個人についてもあまり多額な額というものは、政治勢力にいろいろな影響を与える可能性があるというところに公共の福祉というところを見出しておるわけでございます。
○稻葉委員 財産権の内容の政策的な制限、これが二十九条二項の意味ですね。それは食管法による米の自由販売の禁止であるとか、独占禁止法による株式保持の最高限の限定であるとか、文化財保護法による文化財の処分の制限であるとか、こういうのが公共の福祉による制限として認められておるわけです。で、何が公共の福祉かは、そのときどきの社会の事情によって判断せられるべきであると思うのです。政界腐敗の除去が公共の福祉ということには当たらぬだろうと思います。ところで、額が二千万円なり、あるいは個人の場合一千万円なりをこえることは、そういう多額な金は、必ず政界腐敗の原因になる、こういうことで、それが公共の福祉上の制限に該当するのだという御答弁です、あなたのは。ところが、先ほど申し上げましたような例は、政界腐敗の原因になりますか、公共の福祉を害しますか。まれな例だとは言うけれども、そのまれな個人の基本権を擁護しようというのが憲法全体を流れる精神です。それを永久に法律で固定化して殺すのは考えものじゃなかろうか。殺すという意味は、できないようにするという意味です。
○藤枝国務大臣 例におあげになりましたような遺言による贈与というような場合において、はたしてそれが政治勢力を左右するようなおそれがあるかというと、それはおそれはないのが普通だと思います。しかし、そういうまれな例だけでなくて、一般論として二千万円、一千万円、もちろん先ほどお答え申しましたように、二千万円、一千万円のほんとうの理論的な根拠がどこにあるかとおっしゃられると、それはございませんけれども、ただ、会社については分不相応な、あるいは個人についてもあまりに多額なというようなことが、必ず政界の腐敗につながるかというと、それは普通の場合はつながらないと思います。しかし、つながるおそれもある、こういうこと、あるいは会社が分相応以上のものを寄付するというようなことが、政界腐敗につながるおそれがある。私はそういうところを公共の福祉とかみ合わせて考えてよろしいのではないか、そう考えておる次第でございます。
○稻葉委員 どうも自治大臣の公共の福祉に関するお考え方が非常にかみ合わない、憲法の解釈とわれわれの解釈とがかみ合わない。つまり政治には、正しい政治行動あるいは選挙活動にはやはり相当な資金を伴うべきものだ。そういうきれいな政治運動というものは、むしろ民主政治の世の中においては奨励さるべきものだ。そこで、きれいかきたないかということで区別するのが妥当で、金額で区別するというのはきわめて独断だ。つまり、結びつきやすいとか、いままで結びついたとかいうことだけでやるべきものじゃなくて、私はそういう点については公開の原則を規律、徹底するということで国民の判断を、主権者の判断を仰げば十分である。現に昨年来の黒い霧の事件につきましても、公開の原則さえ徹底されておれば、ああ、あれはいけない金だということは、国民は判断します。相当に反省されているということは、国民の批判がきわめてきびしいということの証左です。したがって、公開の原則を徹底することによって、少ししんぼう強く政界の浄化を待つべきもので、感情にとらわれて、先ほど言ったような個人の基本権の制限を永久に――永久にではないけれども、法律をまた改正すればいいのですから。これが通りますと、そういうふうに固定化するということをどうして公共の福祉だというのか、私にはどうも理解がいきかねます。しかし、あなたと私とは全然見解が異なるのじゃなくて、あなたは少し原案にとらわれているものですから……。まじめにもう一度憲法の精神に立ち返って原案を検討するということをせずに、もう先入観で独断できめちゃって強弁をするから、公共の福祉上金額を制限する必要があるんだというふうにおっしゃるけれども、それははなはだしい間違いであると思います。
 次に移ります。
 かりに金額で限界を設けることが公共の福祉による財産権の制限として必要なんだというあなたの見解をとるといたします。かりにですよ。私は承服しませんけれどもね。限界を認める場合も、寄付だけを禁ずるのか、つまり、金銭の譲渡、所有権の移転だけを禁ずるのか、それともこの法律は、金銭の貸借、貸与は二千万円ないし一千万円という最高額の制限はないのか、どうなっているのでしょうか。私にはこの法律のどこにもないように見受けられますのですよ。
○藤枝国務大臣 これは所有権と申しますか、財産権の移動があった場合に限るわけでございまして、借り入れ金につきましては、この制限の範囲外でございます。借り入れ金は、外でございます。
○稻葉委員 そうしますと、この法律の目的は、昨年来の政界の不浄化を是正しようという目的があるとおっしゃった。そのために、あまり多額な金額を譲渡するということは政界腐敗と結びつきやすいおそれがある。そういうおそれをなくするということは、公共の福祉だから、憲法二十九条第二項に該当し、財産権の処分を制限するという理由にあなたはいままでされましたね。私は承服しませんけれども、かりにそれを承服するとして、それなら個人が一千万円譲渡するのはいかぬけれども、二千万円、極端にいえば無利息、無期限でお貸しします、九十九カ年お貸ししますというのは、この法律の目的を達成できないように思うのですが、そういう点については、どういうことになるのでしょう。
○藤枝国務大臣 借り入れ金はこの制限の外でございますが、借り入れ金というのは当然返すわけでございます。政党その他の政治団体というものは、これは営利団体でございませんから、おそらく将来返す場合には寄付あるいは党費、そういうもので返すということになるものと思います。借り入れ金を、債権を放棄した場合には、その際にこの寄付の問題がからんでくるわけでございます。
○稻葉委員 それはあなたにお聞きしなくてもわかるのです。そんなことを聞いているのじゃないのです。この法律の目的は政界浄化のためなんだ。あまり多額なものを与えるとろくなことをせぬという意味でしょう。それなら与えないで、五十年なりあるいは二十年なり十年なり、その利息がないとおかしいというので、一年に百円利息つけますというようなやり方でやることをチェックしないというのは均衡を失し、この法律の目的を達成しないじゃありませんかということを聞いているのです。目的を達しますか。悪いやつほど悪知恵があるものですからね。その悪いやつが悪知恵を働かせることをきちっと押えるのでなければこの法律の目的は達成せぬでしょう。やるならもう少ししっかりやったらどうですか。まことに矛盾しているじゃありませんか。そういうただ一時の社会現象に幻惑されて、何とかして理屈をつけて、憲法二十九条の公共の福祉に当たるのだという理論を急ぐがために、こういうばかな抜け穴ができている。そういうところはもう少しきっちりおやりになったらどうですか。
○藤枝国務大臣 政治資金規制というようなものは、本来国民並びに政党、政治家の良識にまつべきものであろうと思います。ただ従来のいろいろな問題、政治情勢からいたしまして、単に公開の原則ばかりでなく、資金の量について制限をすることになったわけでございます。したがいまして、これらの一連の問題は、やはり国民あるいは政党、政治家の良識を信頼するほかないと思うのでございます。もちろん、罰則等がありまして担保はいたしておりますが、やはりこうしたものは国民の良識、政党や政治家の良識を信頼しなければ十分な効果を発揮できないわけでございます。したがいまして、ただいまお話しになりましたような、悪知恵を働かしてやるというようなことを私どもは前提にはしていない。そういうことは行なわれざるものという前提に立っておるわけでございます。
○稻葉委員 あなたは二つの矛盾したことを言っているわけです。信用ができないから額で規制するのだと言っている。良識にまつべきものだというのなら額についても良識にまったらどうですか。一方においては良識にまたれない、悪いやつがいて良識にまっちゃいられないから規制をきびしくするのだというなら、こういう方向で悪いやつがますます悪知恵を働かして幾らでも脱法行為をやるということをチェックしないでよろしいという理由はどこにあるのだろう。一方においては良識にまつと言う。良識にまつなら、これは公開の原則だけで足ります。やみくもに国会対策の資金に使われたり、そういうことではないのだということを公開すれば国民は信頼しますよ。良識にまつなら、そういう公開の原則についてはっきりしないということをはっきりさせれば足るのであって、それ以外に額を規制するというのなら、良識にまたれないからやるのだという理屈でなければならぬ。それならば、もっと良識のないそういうやり方をチェックする方法が法律上なければ、法律として不備だと思うのです。どうですか。
○藤枝国務大臣 この二千万円あるいは一千万円という額が大体国民の良識の額だというふうな考え方を一方に持っておるわけでございます。しかしそれと同時に、この法律を脱法行為によって悪知恵を働かして破ろうと思えば、それはいろいろあろうかと思いますが、そういうことを一つ一つ穴をふさいでいくというような性格の法律ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○稻葉委員 この憲法が施行されて二十年にはなりますけれども、それ以前の明治憲法下にあった時代は非常に長い。そういう関係でまだ未熟だという今日、それを法律で何とかして直そうということをあまり急がずに、もう少し国民間の良識の醸成をお待ちになるのがいいのではなかろうか、それには公開の原則を徹底すれば事は足りるのではなかろうかということを申し上げているのですが、あなたはお待ちできない状態だと御判断なさるわけですか。
○藤枝国務大臣 第五次選挙制度審議会の答申の中にもありますように、これは他の選挙制度の改正の一環として政治資金の規正も考えるべきだということでございますが、しかし昨年来のいろいろな政治の情勢につきましては、いまお話しのような国民の良識あるいは政党や政治家の良識の醸成ということももちろん必要でございますが、それと同時に、やはりこの程度の資金の規制は必要ではないかということが、選挙制度審議会の意見でもあり、私もさように考えるわけでございます。
○稻葉委員 どうもこれをやりますと、そういう一千万円ないし二千万円の額をこえて所有権の移転は違法だから、所有権の移転を伴わない方法でやろうというようなことが行なわれる。ことに選挙など相当激しい戦いになりますと、候補者はえてしてそういう弱点を持っておりますから、どうしてもそういう方向に走らざるを得ぬということになる。私はやるつもりはありませんけれども、そういう方向を醸成することになって、かえって国民の政治に対する信頼を失わせる結果を招くおそれを持つ法律になりはしないだろうかと思うのですが、心配ありませんか。
○藤枝国務大臣 確かに、御指摘のように、一つの法律ができた、何とかその裏をくぐろうというようなことになりましたならば、これはまた非常に政治の不信を招くわけでございますが、私どもは、やはりそういう点につきましては、国をあげてと申しますか、いろいろな面におきまして、国民の政治教育、政治意識の高揚あるいは政党の近代化、組織化等をはかっていただいて、そうしてそういう法律ができればすぐ抜け穴を考えるというような風潮をなくしたいものだというふうに考えております。
 なお、お断わり申し上げておきますが、なるほど寄付するほうは二千万円、一千万円というような制限はございますが、受け取るほうの政党につきましては、政党が受け取る額の総額については何ら規制がないことだけはつけ加えてお答え申し上げておきます。
○稻葉委員 いまいろいろお答えになっておる経過を私全体的に観じまして、答申にもそういうように書いてありますけれども、将来は党員の、団体員の会費ないし党費、それから個人の寄付に依存すべきものだ、それで組織化し近代化するんだ、こういうことですけれども、法人はどうしてそれをやったならば――たとえば、あなたも先ほど言ったように、会社がやるとえてして利益と結びつきやすい、こういうことですけれども、自由主義経済体制がそのまま持続されることを望むという場合と、早く自由主義経済体制を打破して社会主義の経済体制に持っていきたいという考えと、いろいろあろうと思います。そういう際にそういう一般的な制度保持のために、自分の会社の特定の具体的利益を追求するための献金ではなくて、そういうことについてはやはり許されてしかるべきものではなかろうかと思うのです。そういう政治体制であってほしい、経済体制であってほしい、あるいはそれを改革したいというために献金をするということがどうして望ましくなくて、将来はすべて個人献金と党費、これでまかなうべきものだと断定した理由はどこにあるんでしょう。
○藤枝国務大臣 選挙制度審議会の御意見としては、そういうことがあがっております。政党のあり方としての理想図を、党費と個人献金でまかなうというあり方について、しかしいろいろ御議論があろうと思います。それがはたしてほんとうの理想図なのか、あるいは会社の寄付も受けていいのか、いろいろ御議論があろうと思いますが、選挙制度審議会の皆さまは、党費と個人の寄付でまかなうのが理想の姿だというふうに考えられておるわけでございます。ただ、現在におきまして、いまお述べになりましたように、会社も社会の構成の一員でございまして、その会社が自分の企業の存立のためにはどういう政治体制がいいのかというようなことから、その自分の好ましい政治体制をとる政党に対して献金をするということ、そのものを現在の状態において否定することはなかなかむずかしいのではないかと私は考えます。
○稻葉委員 ただいまの答弁につきましては、やや私もそういうふうに思います。私は単に議員個人または議員仲間の利益に反するからなどというて、この法律案について二、三質問を申し上げているわけじゃない。それはわかってもらえると思うのです。私はあくまでも――ああいう不祥事件はまれな例ですね。これも今後そうひんぱんに起こるべき問題ではなかろうと思うのです。あれだけ国民の批判を受け、それは社会党においても自民党においても同様ですよ。そうしたならば、ここで国会議員の良識というものは、それほどずれているものとは私は思わない。そういうまれな例にこりごりして、悪いやつを憎悪するのあまり、よい市民の善意の寄付を抹殺したり、私所有権、財産権の不可侵という、より大きな根本的な基本的な憲法上の制度をゆがめるというような結果を来たす。ひいては政党制議会民主主義の健全な発展、明朗な進展を阻害することは許さるべきものではないと思う。それは単に一個人や一政党の利益の問題とは違います。そういう観点で、ことに第三章の基本権の規定は新憲法の骨子でしょう。国民主権、平和主義、基本的人権の尊重、これは憲法改正を将来やるとしても、この原則を動かすことはできない限界だとさえいわれておる。その一カ条の憲法二十九条の問題は国民の権利義務に関係しますから、国民の代表たる国会はこの選挙制度審議会の答申は尊重するが、ことにこういう国民の権利義務に関係することは議員の重大な使命ですから私は重要だと思って先ほどから質問申し上げたわけですけれども、どうも自治大臣の答弁は私には釈然といたしません。しかし幾らやっておってもしようがないから、この問題はそういうことを誠心誠意をもって申し上げておきます。
 私はそう時間をとりません。委員長からも時間をこのくらいでということを言われておりますから、その程度でやります。
 第三に、前に申し上げましたように、国家公務員法百二条第一項とそれから人事院規則一四−七、それとこの改正案二十二条第三号との関係について御質問申し上げます。すなわち、公務員の政治的行為の禁止、公務員の職員団体の行なう寄付、これとの関係を御質問申し上げたいと思うのです。
 結論を申し上げますと、この改正案に、一般の労働組合と並んで当然に許されているかのごとく職員団体の寄付を許しておりますが、この点は公務員法と矛盾しないのか、違反でないのかという点を質問するわけです。公務員の政治的公為の制限、禁止の根拠は憲法第十五条の第二項にあると思うのです。「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」つまり政治的中立ということばで表現されている問題です。しかし、公務員といえども、個人として、一市民としての政治的権利の保障ということは確保されなければならぬと思うのです。その二つの事柄をどこでどう調整するか、これはきわめてむずかしい問題で、各国の立法例も異なっております。政治的中立に比重を傾斜する憲法、わが国の現憲法及び公務員法はそちらに属すると思うのです。そのよしあしは別として。これに反し、公務員の市民としての政治的権利の保障ということに比重の傾斜をかけているのが一九一九年のワイマール憲法百三十条だと思います。すなわち、このワイマール憲法では、第一項に、「官吏は全体の奉仕者であって、一党派の奉仕者ではない。」これはわが国憲法十五条第二項ときわめてその文言が類似しておる。しかし第二項にわが国の憲法にはない文言が付加されておりまして、「すべての官吏は、政治上の意見の自由および結社の自由を有する。」すべて官吏は政治上の意見の自由を有するということは、意見を保持する自由を有するという自明の理を申しているのではないと思う。これはこの憲法についてのドイツの法学者の一致した見解です。単に意見の保持だけではなくて、その表明、ことばであらわす、行動であらわす、その自由も包含するものである、こういうことになっておりますから、これは公務員の個人として、市民としての政治的権利の保障に強い比重がかけられている立法例である。憲法例である。これに対してわが国の憲法十五条第二項及びそれに基づく国家公務員法は、その制定の経過に徴しても、その制定の由来に徴しても、公務員の政治的中立に重きを置いた憲法であり、法律であり、公務員制度であると思うのですが、その点については自治大臣も同様でしょうか。
○藤枝国務大臣 ただいまお述べになった限りにおいては、私は同様だと考えます。
○稻葉委員 この憲法及び国家公務員法のできた二十三年の以前に、一九四七年四月二十四日、合衆国の人事顧問団が司令部に提出した報告によりますと、「職員は非政治的に行動しなければならない。職員は投票権と、その選択する政党に所属する権利をもつが、政党もしくは政治的目的のための会費、寄附金もしくは献金を求め又は受領してはならない。何人も、政党又は政治的目的のために、職員から会費、寄附金もしくは献金を求め又は受領し、もしくはこれらの行為に関与してはならない。職員は公選による公職の候補者となってはならない。職員は政党又は政治的団体の役員となることはできない。」これがこの公務員制度のできたそもそもの発端であり、由来であります。そしてその後、わが国の公法研究会等においては、これはあまりにも公務員の個人的な市民としての政治的権利保障に欠くるところがあるとの反対が強く表明せられ、この合衆国人事顧問団が司令部に提出した報告どおりには規定をされませんでした。ところがその後三年を経て、公務員法が大改正になったときには、この提出された報告書の内容に戻ったのであります。そこで、そのことのよしあしは別として、現行法を守るという立場からすれば、将来の立法論としてはいろいろ御議論がおありでしょう。ことに社会党には御不満がおありでしょう。けれども現行憲法の解釈論としては、これらの行為は禁止されているものと理解されなければならぬと思うのですが、その点は自治大臣どうでしょう。
○藤枝国務大臣 もし詳細をお答えするならば、人事院のほうからも見えておりますからあれですが、国家公務員法第百二条では、「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与」することを禁止しておるわけでございますから、こういう行為は国家公務員、これは地方公務員にもこれと同様なものがございますが、国家公務員や地方公務員はこういう行為はやれないというふうに考えます。
○稻葉委員 そうしますと、今回の改正法の二十二条の第三号に、一般の労働組合と並んで、公務員の職員団体の献金のしかたを、構成員の数による段階を設けてこれを許容する規定がございますが、この許容する規定は、ただいま申し上げましてあなたもお認めになった、これらの行為は禁止されているという、禁止されている行為の中に入らないのですか、入るのですか。
○藤枝国務大臣 ただいま申しましたように、職員は寄付を求めたり何かしてはならぬ。しかし職員自身が寄付をすることは現行法でも禁じられていないわけで、まず第一に、職員自身が自由に寄付をすることは、これは禁止されていないわけでございます。
 それから、職員が構成する職員団体そのものは、政治的な寄付をすることについて、これまた禁止をされていないわけでございます。したがいまして、現状についてのいろいろな御批判はあろうかと思いますが、現行法上は、職員団体といえども政治的な寄付ができるというたてまえでございますので、それについてはやはり会社に準じてという答申にのっとりまして、制限額をきめたわけでございます。
○稻葉委員 改正案の二十二条第三号が、公然と公務員の政治的中立保持の義務を危うくするような行動を法律上制度化するということは、それならば次に疑問が起こらないでしょうか。事実上そういう寄付が行なわれることはあるかもしれない。けれども、それを法律上公然と制度化して認める、そして現状としてはその金が主として特定の政党に限られて献金されるということは公知の事実ですが、公務員法に規定する政治的中立性、憲法の保障する公務員の政治的中立性ということと、事実において矛盾してきはしないか。公務員の政治的中立性は、国民のために守らるべき、国民の利益のための基本的な制度であると思う。それを憲法第三章の基本権の中に規定してあるのに、こういう状態でこれを制度化するということは、著しく国民一般から求められている公務員の政治的中立性を阻害し、ひいては国民の利益の侵害になると思うが、いかがでしょう。
○藤枝国務大臣 公務員がその職務を執行するにあたって、政治的中立でなければならぬことは、これは当然でございます。一方、先ほどお述べになりましたが、その公務員が個人としていかなる政党を支持し、いかなる候補者に投票するかということも、これは自由だと思います。そういう観点からいたしまして、現在職員団体につきましては、その職員団体が特定の政党に寄付するということについて、何ら制限を設けていないわけでございます。それはただいまも、事実上そういうことがあってもよろしいが、法律で認めるのはいかがかということでございますが、そういう職員団体が特定の政党に寄付をすることが認められている以上、やはり他の労働組合との均衡等をはかりまして、やはりある程度の制限をしなければ、この職員団体だけは逆にいえば野方図に幾らでも寄付ができるというかっこうになるわけでございまして、労働組合との均衡をはかった次第でございます。
○稻葉委員 終わります。
○小沢委員長 次に大柴滋夫君。
○大柴委員 第一に、この法案に対する政府の政治姿勢についてお尋ねをしておきます。
 第五次選挙制度審議会の発足総会に出席した総理大臣は、こういう発言をしておられるのであります。「現在各方面から政治のあり方に関して批判がなされているが、私としても強くその責任を痛感している。その改善をはかるため、進んで政界の浄化と金のかからない選挙の実現に積極的に取り組んでいく考えである。本審議会で政党の近代化と選挙の公明化もはかり得る制度を示していただきたい。答申が出た暁には、その趣旨を尊重し、勇断をもってその実現に努力する所存である。」なお、答申が出た四月九日、「今度の答申は共和製糖事件に端を発し、政界の浄化と政党の近代化という大きな目的を持っている。この問題の起きてきた理由を真剣に考えて取り組まなければ、政党も、政治家個人も、国民から取り残されるだろう。答申を受けた以上、できるだけ早く検討して国会に提出したい。提出する以上は、もちろん今国会で成立をはかるつもりだ。」さらに六月六日に静岡市において、「政治資金問題は早くはっきりして政治姿勢を明確にしたい。提案する以上は成立を期し、お茶を濁すようなことはしない。」さらに閣議の席上、「改正については各党、各人でいろいろ論議はあろう。論議は大いにやるとしても、ぜひ今国会の会期中に改正を実現させたい。黒い霧事件以来、国民の間には政党は何か悪いものだという空気があり、この際これをぬぐい去るため特段の努力が必要なのである。」と、総理大臣は、今日の国民的要望に非常にこたえる発言をしているのであります。この発言は、もちろんあなたも含めて、現在の自民党内閣というものをある程度制約していると思うでありますが、どうでありますか、藤枝さん。
○藤枝国務大臣 少なくとも当面の責任者である私としましては、佐藤総理大臣のそうした数々の発言に忠実に従いまして、この法案の成文化を急ぎ、国会に提出申し上げて御審議をいただいておるのでございまして、もちろんぜひとも御論議の上でこの法案の成立をいたしたいと考えておる次第でございます。
○大柴委員 これは提案までの過程において、新聞紙上伝えられるところによりますと、与党の何らかの機関を通して出されていると思うのでありますが、いかがでありますか。
○藤枝国務大臣 もちろん政党内閣でございますから、与党たる自由民主党のいろいろな機関を通じて提出に至った次第でございます。
○大柴委員 いろいろな機関というのは何でありますか。
○藤枝国務大臣 政調審議会、あるいは総務会等をさしたわけでございます。
○大柴委員 政調審議会なり総務会を通ったものとするならば、一体きのうから自由民主党の松野さん、あるいは灘尾さん、あるいは高橋さん、きょうは稻葉さんと、四人の方が質問をしたのでありますが、私は他の議員の発言をいろいろ云々することはきらいでありますが、少なくともこの法案を国会で成立させよう、自民党総裁である総理大臣、あるいは総理大臣である佐藤さんがおっしゃっているように、お茶を濁すことはしない、国会で必ず成立するんだ、こういうような質問の態度と思えないわけであります。第一に松野さんは、これは選挙制度をやらなければ無意味なんだ、一輪車の上に乗っていると、よほど軽わざ師でもなければどこかへ飛び込んでしまうだろうという発言をしておる。あるいは私どもがわりあいに清廉な政治家として信用していた灘尾さんですら、何か病人があるときによい診断書とは言えない、病気をなおすのは何も本人でなくて、病人がなおすようなことでなくて、お医者の診断のことばかり言っているわけであります。あるいは高橋さんのごときは、これは撤回するつもりはないかと、こう言っておるわけであります。一体総務会というのは、総理大臣が言うように、お茶を濁さなんでとにかく今国会で成立を期す、こういうつもりで提案を了承したのか、あるいはまた適当にお茶を濁すというようなことできめたのか、その間の事情というものを、もう少しいままでの与党議員の質問と比べて責任あるひとつ答弁を願いたいのであります。
○藤枝国務大臣 党の機関のいろいろな御論議というものを、私はそこに参画できない立場でございますので、どのような御決定があったかということはあとからお聞きするほかないわけで、あとからお聞きしたところによりますと、総務会においては、国会で十分審議会をするということを条件に提出をお認めになったと聞いております。それ以上の詳しいことは、私は当面のそこに参画できる資格でございませんので承知しないわけでございます。
○大柴委員 十分審議するということはなかなか微妙なことばでありますが、少なくとも総裁であり総理大臣であるところの佐藤さんは、お茶を濁すようなことはしない、今国会で成立をはかるつもりだと、こう言っておるのでありますが、これはわれわれがいままでの論議を見て実際不審にたえないのであります。一体与党というものは、出した法律をよりよく修正することはあっても成立させるのが与党でありましょう。そうじゃないのでありますか。少なくともいま政党法のいろいろな議論をしているのですが、しばらくその当面の所管大臣に、与党というものはどういうものかということについて聞いておきたいのです。
○藤枝国務大臣 まず第一に、政府としては総理大臣が発言されました各般の発言のとおりに忠実に実行していくのが、当面の責任者である私の責任であると考えております。
 それから一般論といたしまして、政策的な問題につきましては、与党が政府案を成立させるのに努力をされるということは、一般論としてそうであろうと考えております。
○大柴委員 一体自治大臣や総理大臣は、この法案を何かどこかへ持っていってしまおうといういままでの与党の質問の人をよく調べてみて、もう少しこの法案が通過するように説得の責任はないものであるかどうか。自民党出身の大臣であるあなた、あるいは総裁である総理大臣はどうでありますか、これは。
○藤枝国務大臣 もちろん政府与党でございますから、私どもはできるだけこの法案が成立いたしまするように与党の皆さまにもお願いをいたし、理解を深めていただくことについては、これは責任があると考えております。またさようにやっておるわけでございます。
○大柴委員 いままでの質問の状況を見ると、われわれはどうもあなたと総理大臣の説得があるのかないのか、たいへんふしぎであります。したがって、あなたがいま言ったように説得の責任があるとするならば、もしこの国会で何かお茶を濁したような結果になるとするならば、総理大臣もあなたも責任は十分痛感しているわけでありますか。
○藤枝国務大臣 提出いたしました以上、これが成立をはかることはやはり政府の責任でございますから、そういう意味においての責任はございます。
○大柴委員 どうも私は、自民党の各質問者のいまのような状態では、現在進んでおる選挙制度審議会並びにこの答申を出したところの選挙制度審議会の人々がおこってしまって、よほど自民党に隷属している人でないと、あるいはまたよほど腰抜けでない限り、選挙制度審議会の委員というものは全部やめるだろうと思うのであります。そして実際選挙制度審議会なんというものは、もう運営ができなくなるようなことを心配をしているわけでございます。試みにいままでのこの四人の質問を選挙制度審議会の方々がよくお読みになったならば、私は、心ある人間であるならば、人をばかにしている、いままでさんざん働かしておいて、一体自民党の議員は何をしているのだ、あるいはこの説得の力のない自治大臣や総理大臣は一体何をしているのだといって必ず辞職をするだろうと思うのであります。これは、そういう懸念はないのでありますか、どうでありますか。
○藤枝国務大臣 政府として国会の御審議を云々することは差し控えたいと思います。ただ、私どもの責任は、ぜひともこの国会でこの提出した法案を通していただきたい。そのためにはあらゆる努力をいたしたいと考えておる次第でございまして、その国会の御審議の経過についてどのような反応を選挙制度審議会の方々が示されるか、これをいま予測して申し上げるのは差し控えたいと思います。
○大柴委員 ひとつそういうことを私は十二分に注意していただきたいと思うのであります。いままで何か自民党の議員の質問を聞いておりますと、国民もなければ選挙制度審議会の委員もないという傍若無人であります。自民党が国民から批判を受けるのはよいでありましょうけれども、われわれまでも、野党までもその批判を受けることはごめんでありますから、十分ひとつ選挙制度審議会の委員がやめぬうちに御注意を喚起しておきます。
 それから一昨日の議論を聞いておりますと、ほとんどが小選挙区にしろ、そうしたならばこの政治資金の関係もよろしいのだ、いわゆるいうところの両輪論であります。しかし私は、小選挙区にすれば金がかからない、こう言ってこのたびの法案を何か次へ次へと送ろうとするところの陰謀というものが、それみずからたいへん間違いだろうと思うのであります。たとえば小選挙区制にしたならば金がかからない、選挙で金がかからないという説明はどこにもないのであります。わが国におきまして、大正十四年までおそらくこの衆議院の選挙は小選挙区制だったと思うのであります。ところが、昭和三年の普選からでありますか、初めてこれが現在の中選挙区制になったのでありますが、そのときの議論は、なぜ中選挙区制になったかというならば、小選挙区であるために供応、買収が多過ぎるから、せめて中選挙区か大選挙区にしたならば供応、買収がなくなって政界の腐敗というものがなくなるだろう。こういうようないろいろな議論に基づいて、大正十四年にわが国の衆議院の選挙というものは中選挙区になった。こう記憶をいたしているのでありますが、大臣は、小選挙区になったならば金がかからないというような一昨日来の議論に対してどういうようなお考えをお持ちでありますか。
○藤枝国務大臣 もちろん区制の変更だけでいろいろ判断することはできないと思います。私どもの望んでおります。また選挙制度審議会でも中間的な報告をされました政党本位の選挙ができるような選挙制度に改めるということだと思います。それで小選挙区なら金がかかるか、かからないかというようなことは、これはなかなか判断のできにくい問題だと私は考えております。
○大柴委員 私は、どうも変な例でありますが、この答申案が出た一番の直接のきっかけは田中彰治さんの例だろうと思っておる。この田中彰治さんが、中選挙区であったからああいうことを起こした、彼が一名の選挙区であったならばああいうことは起こさなかった、こういうようなばかなことは言えぬと同じように、今日の両輪論の間違いというものはほとんどそこにあるだろうと思うのであります。事実小選挙区と呼ぶには語弊があるのでありますが、与党である自民党と野党である社会党の一対一の選挙というものが一番わが国の、いままでわれわれが知っている限りにおいてはいろいろめんどうくさい問題を起こしているのであります。特に例を一つ東京都知事選挙にとるわけでありますけれども――きょうは法務省の方か警察庁からだれか出席しておりますね。有名な、世間を震憾したにせ証紙事件というのがありました。あれは、私の発言がもし誤っていたら取り消しますけれども、自民党の副総裁川島さんの秘書が、何百万かの金をこの東京都の選挙本部へ持っていって、にせ証紙をつくることを相談をして、とにかく日本のこの二十数年間の選挙においては一番のきたない選挙をやり金をかけた一つの例であります。参考までに聞いておきますが、あのにせ証紙事件というものは、だれがいかほど金を持っていって、何をやって、いま法律的にはどういうようになっておるか、こういうことをお尋ねしておきます。
○林説明員 関係の政府委員であります内海刑事局長は用務のため出張いたしておりますので、かわりまして説明員林から御説明申し上げますが、お尋ねの昭和三十八年四月十七日施行の東京都知事選挙に際しますいわゆるにせ証紙事件でございますが、捜査の概要を申し上げますと、昭和三十八年の四月十五日の夕刻社会党の選挙対策本部のほうから警視庁に対しまして、原宿駅近くに掲示してある東候補のポスターにはにせの証紙が張られている疑いがあるという連絡がございまして、さらに翌日の午前十時社会党の責任者のほうから警視庁に対して告発がございました。警視庁におきましては四月十六日偽造の疑いのある証紙を鑑定を急ぎまして、同夜中に偽造と断定いたしました。同時に、四月十七日までに偽造証紙を張ってありますポスター数百枚を押収いたしました。同時に、一方におきましては、四月十六日に偽造容疑者に対する捜査を開始いたしておりまして、十七日午前零時、深夜でございますが、被疑者であります印刷関係の人たちの逮捕に入り、引き続き五月十八日には松崎長作なる自民党の当時事務局の一主任をやっておりました者などを含めまして合計二十二名を公記号の偽造と偽造公記号の使用及び選挙のいう法定外文書の配布と掲示という容疑で逮捕し、取り調べて東京地検のほうに身柄を預けて送致いたしております。
 以上が捜査の概要でございますが、ただいまお尋ねのありました副総理秘書云々の問題につきましては、この警視庁捜査段階においてはそういうような名前は出ておりませんでした。ただ聞くところによりますと、この警視庁の捜査によりまして、このいわゆるにせ証紙事件の主謀者と見られます松崎長作なる人物及びこの捜査の過程において出てまいりました肥後亨一派のはがきのいわゆる横流し事件、これをともに警視庁は検挙し送致をしておりますが、その送致を受けられたあとにおきまして、東京地検のほうでいろいろ派生した事件をおやりになっておるそうでございますが、警察段階ではそういうものはわかっておりませんでした。
 それから第二番目の御質問にあったかと思いますにせ証紙の金及びそれをつくらした者ということでございますが、捜査の段階及び第一審の判決文など読みましても、このにせ証紙につきましては一つの印刷グループあるいは行使グループ、それをやらした者という三つの段階があるかと存じますけれども、先ほどちょっと申しました松崎長作なる者がこのにせ証紙偽造の中心をやっておりまして、そうして三沢なりその他の印刷関係者にこれを偽造させ、またその他の人間に行使させたということでございます。取り落としがございますかもしれませんが、以上でございます。
○大柴委員 参考のために聞いておきますと、この松崎長作なる者は自民党の事務局の一人だ、これはよくわかりました。一体そのお金はどこから持ってきたのでありますか。事務局にはそんなにその松崎長作さんが使うようなお金があったのでありますか。そういうお調べはどういうようになっているのでありますか。
○林説明員 御説明いたします。ただいま説明いたしましたように、松崎長作なる人がこの偽造の中心をやったことに間違いないと思いますが、その金の問題のお尋ねでございますが、警察段階における捜査の結果、その関係者の供述なりあるいは証拠に基づいての捜査の結果を総合いたしましたところ、松崎長作なる者は相当金を自由に使い得る立場におったようでございますし、また金自身はどこからきたか問題があるかはしれませんけれども、にせ証紙をつくるという情を知りながら松崎長作に金を渡した者というものは捜査段階には出ておりませんでした。
○大柴委員 金を使い得る自由の立場にあった、その金の所有者というのは一体だれでありますか。
○林説明員 捜査の結果によりますと、その程度しかわかっておりませんで、所有がどうであるとか、あるいは党の金であるとかいう問題は、本件捜査の偽造の知情行使、あるいは偽造させたという共犯性については直接関係はなかったので、そのまま捜査は地検に送られております。
○大柴委員 いまその松崎長作さんは何をしていて、またどこにいるわけでありますか。天下を震憾させたにせ証紙の張本人、自由に金を使えるまことにありがたい身分でありますが、その人はどこへ行っておりますか。
○林説明員 御説明いたしますが、その後松崎長作なる者はいまどこにどうしているか捜査当局自身、また私も存じ上げておりません。
○大柴委員 こういうように自治大臣、一対一の選挙というものは、小選挙区とは違いますけれども激高をしてくればいろいろな事件を伴うわけであります。何もこれ一つにかかわらず、時間がないから例をあげることはやめますけれども、いかに小選挙区の被害があるかということはひとつ大臣も十二分によく御研究をしてほしいと思うのであります。
 質問を第二に進めますけれども、答申案に「1候補者、候補者となろうとする者(公職にある者を含む。)および候補者等に係る後援団体等は、当該選挙区内にある者に対し、寄附をしてはならないものとすること。2上記1の場合において、親族または政党その他の政治団体もしくは候補者等に対して寄附する場合は、この限りではないこと。」まことにどうも審議会は日本の現状をわきまえてたいへんよい答申をしてくれると私は内心喜んでおりました。あるいはこれを受けた自治省の案も、またほぼこれと大同小異でたいへん喜んでいたわけでありますが、いつか知らぬ間にいろいろなものが加わってきたわけであります。少なくともそのあとに、これは何条でありますか条を読むのはやめますが、「公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者がもっぱら政治上の主義又は施策を普及するために行なう講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償としてする場合は、この限りでない。」まことにわかったようなわからぬようないろいろな抜け穴をつくってきたわけでありますが、これはひとつつくられた事務当局のほうにお尋ねをいたしますが、「もっぱら政治上の」から「この限りでない。」というところまでひとつ具体的に、酒を持っていくことはよろしいのだとか、後援会がどこから出てきたからそれに寄付することはよろしいのだとか、これを説明をしてもらいたいと思うのであります。
○降矢政府委員 「もっぱら政治上の主義又は施策を普及するために行なう講習会その他の政治教育のための集会に関し必要やむを得ない実費の補償」、これは政治教育をもっぱらやる集会でございまして、そのために「必要やむを得ない実費」というのは、旅費あるいは弁当代、こういうものを考えて必要やむを得ない最小限度の実費、こういう表現をいたしたわけでございます。
○大柴委員 具体的に聞きたいと思うのでありますが、たとえばこの講習会というのは――講習会でなくてもよろしいのであります。集会というものは、どこかほかの団体が行なって、それが自分と関係あれば、それに必要やむを得ざる寄付をしてもよろしいのでありますか。
○降矢政府委員 これは、百九十九条二に書きましたのは、候補者がみずから政治上の主義、施策を普及するための集会を行なう場合だけを特に例外として認めたわけでございます。
○大柴委員 では、「集会に関し」などということばをなぜ使うのでありますか。講習会または他の政治教育のため集会を行なう場合というように、それをなぜ明確にしないのでありますか。主体となって行なう場合とか、それをなぜ明確にしないのでありますか。
○降矢政府委員 これは候補者の選挙区内に対する寄付禁止の例外規定でございまして、候補者がみずから選挙区内に寄付をする場合の除外例としてこれを書きましたので、主体は、候補者あるいは現職にある者がみずからやる場合ということが本文から当然出てまいりますので、いま申されましたような主体というものをあえて明確にする必要はなかったわけでございます。
○大柴委員 よく私どもの選挙区においても、国会議員あるいはその他の議員が温泉などへ招待をいたしまして、もっぱら行なうかどうか知りませんけれども、政治教育なるものを行なうらしい。こういうのは、温泉でありますからもっぱらではないわけでありましょう。温泉でもっぱら政治教育を行なうということが成り立ちますか。
○降矢政府委員 このただし書きの趣旨は、温泉場とかそういうことではなしに、普通のたとえば国会報告演説会というようなものを通常の演説会の形式で行なう、そういうことを考えまして、特にもっぱらという表現をいたしたわけでございます。
○大柴委員 それでは、温泉などへ行っていろいろのことをして、そこへ行って候補者が寄付金を出した場合には処罰の対象になりますか。
○降矢政府委員 処罰の点につきましては、この規定は、選挙に関して従来どおり通常一般の社交の程度を越える場合に、従来の選挙法と同じ刑罰を望むということに規定をいたしてあるわけでございまして、一般的に全部これが処罰になるということは規定いたしませんでした。
○大柴委員 つまり、全く自由だということでありますか。やってはいけないというけれども、やっても別にとがめない、こういうことでありますか。
○降矢政府委員 この選挙区内の寄付禁止につきまして、親族、政党及び政治上の講習会を例外規定にいたしました。しかし、御案内のとおり選挙法における寄付という概念は非常に広うございまして、したがいまして、場合によりましては、いわゆる普通の社会生活におきます通常のつき合いとして行なわれるようなものも、すべて選挙法上は寄付として扱われております。したがいまして、これをすべての場合について罰則で一切禁止するということは、そういう実際の社会生活との関連におきまして非常に困難な事態が生じますので、罰則につきましては、選挙に関して行なわれた場合にのみとどめたわけでございます。
○大柴委員 もう少し具体的な例を引いておきます。選挙区から消防団体か何かが二百名ぐらいバスで国会見学に来た。自分の選挙区の人であるから、いろいろ説明をする。帰りに、ひとつバス代として四、五万円お持ちください、まあそのくらいかかったでしょう、実費です、といって出すような場合は、これはどうなりますか。
○降矢政府委員 ただいまのようなものは、もっぱら政治上の主義、施策の普及のための講習会その他の政治教育のための集会に入らないというふうに考えております。
○大柴委員 大臣にお尋ねいたしますが、われわれは実際この答申案が出たために、日本の政界も、いままで国会へ来れば何か東京見物をしておみやげを持って帰って、あの先生はえらい人だ、あの先生はずいぶんやり手だというようなつまらない情勢から日本の政党というものが脱却できる唯一の答申案だと私は思ったわけであります。少なくとも今日の関係においては、私は公営選挙を徹底することと、この種のことを徹底することが一番実現可能なものと、こういうように思っているわけでありますけれども、なぜこういうところに、こういうような答申のまことにわれわれにとっては喜ばしいところの案件に、尾ひれ羽ひれを加えて、ことさらにつまらない選挙運動をやる代議士を助長するようにしたか、経過をひとつ。藤枝さんもずいぶん自治省の案として戦ったとありますから、その辺のことをひとつ御説明願いたい。
  〔発言する者あり〕
○藤枝国務大臣 島上さんも御承知だと思うのでございますが、この候補者の選挙区への寄付禁止につきましては、当初は審議会の委員の皆さま方も、国会議員その他政治家の社会生活の問題もあるから、社交的な、社交上許されるようなものを除いて寄付禁止をしようではないかということが途中ありました。そして最後には全面禁止という形になったわけでございますが、ただいま選挙局長が御説明申し上げましたような社交上の問題といってもなかなかつかみにくいことでございますので、それで特に政治家が選挙区で活動される最も大きな政治活動は、党なり自分の主義主張を選挙民に徹底するようないろいろな講習会、集会等をすることが一番政治家としての選挙区における活動と思いまして、この点を除いてその他はすべて禁止するということにいたしたわけでございまして、審議会の途中で行なわれましたいろいろな国会議員等の政治家の社会生活あるいは社交上の問題というようなことを、具体的にそれでは選挙区における政治家の政治活動として何が一番多いかということで、この政治教育に重点を置いて、自分が主催し、しかも必要やむを得ざる実費弁償、旅費とか食事代とか、それも常識的に考えられる食事代、こういうものだけを除いたわけでございます。
○大柴委員 どうも大臣も行ったり来たりしているわけでありますが、実際こういうことはお互いにもう少し、せっかく答申の線が出たわけでありますから、守ることが、われわれのためにも、日本のためにも、将来のためにもいいだろうと私は思うのであります。中間的な立場にある大臣の立場を考えますと、いろいろと思うのでありますが、どうでありますか、将来の日本の政治のために、せめてこの項だけは答申の厳然たる精神に戻ったほうがよろしいのではないかと思うのでありますが、大臣はひとつそういうようなつもりで総理大臣に働きかけて、返すつもりはありませんか。
○藤枝国務大臣 この点は、特に政治活動をなさっておる国会議員の皆様のいろいろな御体験からいろいろな御意見があろうと思います。したがいまして、この点については、私どもはいま申し上げたように考えましたけれども、十分御審議をいただきたい一つの条項であろうと考えております。
○島上委員 関連して二つほど聞きますが、いわゆる政治教育、国会見学に連れてきまして、国会というところはこういうところで、こういうふうに審議をしてやっておるところであるといって、招待した議員が政治の話をする、国会の現状はこういうふうであると話をする。これはこの法律でいういわゆる政治教育とみなすかどうか、その点まず御返答いただきたい。
○藤枝国務大臣 もっぱら主義、施策を普及する、徹底するということでございまして、国会見学は、もっぱらその主義、施策を普及するという政治教育には入らないと存じます。
○島上委員 私は、いまの点も大きな骨抜きだと思いますが、後援団体がする寄付の点も大きく骨抜きになっておりますね。後援団体がする総会等の集会または行事における供応接待、これは通常用いられる程度の食事を除いて、禁止されてますね。禁止されてますが、衆議院の場合には、解散の日の翌日から禁止されておって、解散の日までよろしいわけですね。これまたこの禁止規定が事実上何の役にも立たない、実効のあがらない、骨抜きになっておるのですね。大臣、これで一体実効があがるとお考えですか。骨を抜いてないというお考えですか。私は、これは実効があがらない全くの骨抜きになっておると思う。骨抜きはそのほかにもたくさんありますけれども、せめて当初の自治省試案程度ならある程度の効果が期待できましたけれども、解散の翌日からですから、逆に裏から解釈すれば、解散の日までよろしいということになる。これで実効があがるとお考えですか。
○藤枝国務大臣 後援団体というものは、もっぱらその政治家の主義、主張を徹底するためにある常時活動している団体だと思います。したがいまして、このような規定にいたしたのでございまして、実効があがるかあがらないかということは、解散までというような――衆議院におきましては解散というものが通例になっておりますが、御承知のように、任期のあるものにつきましては、従来よりも大幅にその活動期間の禁止をいたしておるわけでございまして、その点は一歩前進だと考えております。
○島上委員 後援団体はもっぱら主義、主張を推進するためだとおっしゃいましたけれども、私はそういうよい意味の後援団体はまれだと思うのです。百に幾つしかないまれな場合だけであって、全然ないとは申しませんけれども、大体は温泉に連れていったり、飲み食いをやったり、後援会の総会でどういうことをやっておるか、実態は御承知と思うのですが、私の知っている限りでは、後援会というものは、折り詰めに一本つけて、芸能人を呼んで、飲み食い、どんちゃん騒ぎをするのが大部分です。そこで自民党の政策はこうであるとか、党の政策を普及するためのいわゆる政治教育をもっぱらやる後援会などというものはきわめてまれだと思うのです。それが実態なんです。特にあなたのほうでは、これは選挙区制とからめてきっと議論すると思うのですけれども、同じ選挙区にある自民党同士が激烈な競争をする場合に、どっちの後援会も自民党の政策を普及するならば、本人の後援にならぬじゃないですか。政策とは縁のない飲み食い、旅行、こういうことを盛んにやっておるのが実態です。
 それでは、そういう後援会の行事は、この緩和規定に該当しない、こういうことになりますか、そういう解釈をとりますか。
○降矢政府委員 百九十九条の二の、つけ加けました、もっぱら政治上の主義、施策の普及という政治教育に、いま島上先生のおあげになったような、単に飲み食いをするというようなものは当然入らないと考えております。
○島上委員 それではないんです。後援団体がする寄付及び後援団体の総会その他の集会及び行事における供応接待、この項目について質問しているんです。これは解散の翌日から禁止されておるけれども、解散の当日までは禁止されないわけでしょう。緩和されたわけでしょう。
○降矢政府委員 ただいまの百九十九条の五の規定でございますが、御案内のとおり、現行法は、衆議院については、解散の翌日から選挙の当日まで禁止されております。今回衆議院につきまして、通常解散がございますので、解散の日の翌日から選挙の当日まで及びその翌日から三カ月間というふうに期間を延ばしまして、禁止期間を全体として従来の九十日を百八十日に延長したわけでございます。
○大柴委員 質問を進めますが、いわゆる答申案の政治資金の規正に関する事項に、「政党の政治資金は、個人献金と党費により賄なわれることが本来の姿であるが、」云々と書いて、いまは「その実現は困難と思われる。」しかし、「政党は、できるだけすみやかに近代化、組織化を図り、おおむね五箇年を目途として個人献金と党費によりその運営を行なうものとし、」云々と書いてあるわけです。この二つの思想、つまり政治資金は個人献金と党費というものの考え方と、政党はすみやかに近代化、組織化を五年間のうちにはかれ、こういう答申のものの考え方は、この法律案ではどこかへ行ってしまっているわけであります。考え方ですよ。いろいろ理屈をつければ柄をすげることもできるわけでありますが、どういうわけでこの考え方というものがどっかへ行ってしまっておるわけでありますか。
○藤枝国務大臣 この答申にもありまするように、確かに今回御審議を願っておる法律案の中には、この考え方は入っておりません。ただ私は、こうした近代化、組織化というようなものは、各政党と言うとおしかりを受けるのかもしれませんが、各政党が努力をして、そうして国民の期待にこたえるべきものであるという考え方を持ったわけでございまして、答申も「当審議会は差し当り、次の措置を講ずべきもの」、このさしあたり次の措置を講ずるということを成文化することによって、この答申を忠実に実行したものと考えた次第でございます。
○大柴委員 大臣はさしあたりというところへ力を入れて、この考え方が入っていないことはみずからお認めになったわけでありますが、一体政党の政治資金は個人献金と党費によってまかなわれるのが本来の姿であるというならば、選挙制度審議会がつくったものの考え方についてどういう判断をなされておりますか。
○藤枝国務大臣 やはり政党の理想の姿としては、党費あるいはそれに加えるのに個人の献金、これでまかなえるような近代化、組織化をすることが政党の理想の姿ではなかろうか。もちろんこれにはいろいろ御議論もありましょうけれども、私は理想の姿としてはそれがいいのではないかと考えております。
○大柴委員 あなたは一昨日でありますか、どなたかの質問に答えて、会社といえどもその運命を政治や政党にゆだねているから、会社が献金をするということも少なくとも悪くないのだ、こういうような御返答をしているわけでありますが、いまの答弁と違いはいたしませんか。
○藤枝国務大臣 理想の姿としてそういうことであろう、ただ現状においてはなかなかそこまではいかない。そして一体それじゃ会社というものが政党に寄付をしてはいけないのかというと、先ほど稻葉さんにもお答えいたしましたように、会社といえども社会の構成員の一つとして、その会社の存立がいろいろな主義政策によって左右されるということから、会社が関心を持ち、そうして自分の会社の存続をよりよくするような主義主張を持った政党に寄付をするということを禁止する理由はなかなかむずかしいのではないかというふうに考えております。ただ、政党の努力によりまして、党費と個人的な寄付によってまかなえるような理想の姿になることについては、いろいろ御議論はありましょうけれども、私はやはり一つの理想の姿だと考えておるので、決して矛盾したことを申し上げているわけではございません。
○大柴委員 しかし答申は、いまはやむを得ない姿であるが、理想の姿に向かって五年間努力をしなさい。こう言っておるわけでありますね。そうすると、どうも私は大臣のものの考え方は、いまはやむを得ない姿でなくて、いまは普通の姿、悪くない姿、ほめられてもいい姿ぐらいに、ものの考え方が非常に違うのではないか。理想なら理想というものを掲げている姿ではないように思うのでありますが、これはどうでありますか。
○藤枝国務大臣 私は、理想の姿としてはやはり党費でまかなえるというような政党が理想の姿であろうと考えております。それでは現在の姿が悪いものか、私はいまの政党の姿が悪いというわけにはいかないと考えております。
○大柴委員 大臣、営利を追求する会社が多額の金を政党なら政党に献金する、これは私らは何か暗黙のうちによいことがあるだろうということをみなが、株主なりあるいは重役が考えるから営利会社というものはある政党なら政党に献金するわけじゃありませんか。
○藤枝国務大臣 企業が、自分の企業が存立していくのに好ましいような政党形態というものについて関心を持ち、それに寄付をするということは、いわゆるそれによっていろいろな、政治の姿をゆがめようとかそういうものでなく、一般論として、自分の企業が存立するのに望ましい政治形態を望むことは当然ではないかと考えるわけでございます。
○大柴委員 何か選挙制度審議会の中に、会社の政治献金というものは家出娘と同じで、必ず私生児を連れて帰ってくると言ってたしなめられた人がいるそうでありますけれども、営利会社の寄付というものが、要するに権力につながっている自民党にはいまこんなにあるわけでありますが、社会党にはちょぼっとある。いろいろ自民党に出す関係上これは社会党にも出すのでありましよう。そうすると、こういう献金というものは将来の目標として、あなたのほうは、将来の理想の姿としては個人並びに党費だというのでありますけれども、こういういうことを明瞭にしない限りには、この案では、ちょうど答申では下関まで行きなさいと、こう言っているけれども、とりあえず名古屋まで行きましよう。名古屋まで行ってみて、また都合が悪ければこっちへ帰るのだという、こういうような要素を含んでいるだろうと私は思うのであります。だからはっきりすることは、少なくとも政党の政治資金云々と、五カ年を限って組織化と近代化をやれというような答申の精神はここに全くない、こうわれわれは断ぜざるを得ないのでありますけれども、大臣はいろいろ言っておりますけれども、理想を掲げてとにかくやるのだということはないけれども、これはどっちのほうでありますか、大臣は。聞けば、何か理想としては持っている。しかし政治献金も悪いとは言わないというようで、はなはだ中途半端でありますけれども、どうも私たちが考えてみて、一番このところが本改正案の私はみそでありくそであろうと思うのであります。だからひとつ大臣の忌憚のない、私はこれはこういう事情でだめなんだ、松野先生がおっしゃるように、そんな学者先生の理想論というものは、ことばではいいけれども現実からわれわれはできないならできないと、ひとつはっきりその態度を示してほしいのであります。
○藤枝国務大臣 いま、会社は政治献金すべきでないというような御議論もうちに秘めてのあれだと思いますが、この理想の姿へ近づく一里塚として今回、会社は二千万円、個人は一千万円というような制限をいたしましたのも、そこへ近づく第一歩を踏み出したという意味においては、私はやはり理想の下関に向かっているものと考えている次第でございます。
○大柴委員 ぜひひとつ、名古屋まで行って途中からまた東京へ引き返すことのないように御努力を願いたいと思うのであります。
 それから何か自民党の内部で、政治資金と選挙資金は別であるという修正案を出そうというようないろいろ御議論があったように聞いておりますが、あなたも含めて総理大臣はそういう解釈をとらない、これより別の、選挙に限っては別だというような政治資金の解釈をとらない、こういうようにわれわれは判断してよろしゅうございますか。
○藤枝国務大臣 政治資金と選挙資金を分けるというようなことはとうてい考えられないわけでございまして、選挙資金も政治資金の中に含まれるわけで、また答申を忠実に実行するためには選挙資金を別に取り出すというようなことはとうていこの答申を忠実に実行するゆえんでないと私は考えております。
○大柴委員 この答申の中に五カ年を目途として近代化、組織化をはかれというようなことがあるわけでありますが、これはわれわれが考えましてもたいへんむずかしいと私も率直に認めておる一人でありますけれども、それにしても、この答申の人々と法律をつくる人々とは何か対話があったわけでありますか。そういうことはむずかしい、一体どうやったらよろしいんだと、立法に携わる自治省の方々と答申をした審議会の委員の方々との間に、こういうようにやったらどうだ、ああいうようにやったらどうだ、それはなかなかむずかしいとか、そういうような対話があったんでありますか。
○藤枝国務大臣 私自身はこの答申のできる委員会並びに総会等に出ておりませんので、報告を受けた限りでございますが、御承知のように国会議員の方々も選挙制度審議会の特別委員になっておられまして、そこではいろいろ国会議員の方々から御意見が出たということは伺っております。
○大柴委員 これはいずれ参考人として選挙制度審議会の方が来られたときにまた聞いてみたいと思うのであります。
 第四の質問は、特定会社の寄付の禁止並びに制限のことであります。国から補助金とか負担金をもらっている会社あるいは資本の出資を受けている会社、利子補給を受けている会社、そういう会社の寄付の禁止をしたのはあたりまえでありますが、制限をした中に、答申では「国または公共企業体と請負その他特別の利益を伴なう契約の当事者であるものおよび特定の政府関係金融機関から融資を受けているもの」これは云々と書いてあるのでありますが、今日わが国の政府関係金融機関というものは十一だかあると思っておりますけれども、法律案の二十二条の二の三項で輸出入銀行、開発銀行、農林漁業金融公庫、北海道東北開発公庫の四つに限っているわけであります。あとの残余の国民金融公庫とかいろいろの政府関係金融機関というのはどのようなものがあって、こういうところから金を借りているのはなぜ対象外にはずしたか。その御返事を願いたい。
○降矢政府委員 政府関係金融機関はただいま御指摘のように十一、ただ環境衛生公庫がまだ未成立でございますので現在十ございます。審議会の段階の御議論におきまして、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等、中小企業あるいは庶民金融というものを対象とするものを除いてはどうかという御意見もございました。そこで今回この国民金融公庫以下六つを除きまして、いま御指摘のように四つの金融機関にいたしたわけでございます。
○大柴委員 なぜ除いたのかということ、単に小さいから除いたとかなんかではなくて理由をひとつ明確に。
○藤枝国務大臣 除きましたものは、たとえば中小企業金融、庶民金融あるいは医療公庫というようなものでございまして、これらはいわゆる中小企業者に貸す資金でございます。したがいまして、これらの資本金も少のうございますから、最低限の五十万円程度のものをもし寄付をしようとしても、そういうこともあり、またただいま選挙局長がお答えしたように、審議会の審議の過程におきましても、そういう中小金融等は除いていいんじゃないかということが御議論にありましたので、除いたわけでございます。
○大柴委員 つまりあれでありますか。こういうところから金を借りている額は小さいから、それなら金を借りている人が小さければ政界へ寄付するのも小さいわけでありましょう。だからそんなことは法律の精神を通すためにわざわざこれに限る必要はないんじゃないか。案外多いのでありますか、こういうところから金を借りた、国民金融公庫から金を借りた人が某代議士に何万円やるとか、あるいは住宅金融公庫から金を借りた人がどこどこへ十万円やるというのが多いのでありますか、どっちでありますか。
○藤枝国務大臣 詳細調べておりおませんが、ほとんどそういう方からの寄付というものはないと見ております。
○大柴委員 自民党のような大きな政党はなくとも、個々の政党というのは多いから、こういう案件が議員から出てきたんじゃないですか。どうも私どもはそういうところのもあの考え方が納得がいかないわけであります。
○藤枝国務大臣 決してそういうものが多いから除くというようなことでなくて、審議会の御審議の過程においても、中小金融などは除いていいんではないかという御議論もありました。また詳細に調査はいたしておりませんが、実際にそのような住宅金融公庫から金融を受けている、あるいは国民金融公庫から金融を受けているというような会社等が政治献金をしているという例も、非常にまれであるように私は考えております。
○大柴委員 なかなかそうでないところに、こういうものが除かれたと私は思うのであります。しかし、私は最後の一点だけを質問してあとは同僚委員に譲りますが、この最終の項に、この法律のうち選挙人名簿にかかわる改正規定は昭和四十二年十二月一日から、その他の規定は政令で定める日から施行すると、こう書いてあるのでありますが、一昨日の質問に答えて大臣は、六カ月あるいは長く見積もっても最大九カ月あれば準備は完了すると私は思う、こう大臣みずからおっしゃっているわけでありますが、それならばなぜその施行期日というものを法律ではっきりとしなくて、何かわけのわからぬような、いうところの参議院の選挙に金がないから金集めをしてから実行するという多分の疑いを持たれるような案件を、大臣みずからこういう文章で載せているのはどういうわけでありますか。
○藤枝国務大臣 これはしばしばお答え申し上げたように、今度は国民全般に関係することでございますので、国民に周知徹底をする。しかもこの法律はしばしば御議論のありましたように、いろいろ立ち入り検査や何かをやるのでなくて、ほんとうに国民、政党並びに政治家が良識をもって運営していただきたいということでございますので、周知徹底あるいは選挙管理委員会の準備等に相当の時日を要すると思いまして、それを常識的に考えて六カ月ないし九カ月と申し上げたのでございますが、参議院の御議論などでも、九カ月は少し長過ぎるぞという御議論もありました。しかし、私も六カ月では自信が持てないというようなことで政令にゆだねたわけでございまして、何らこれをかん詰めにするとか、そういう意図を持っておることでないことだけは御理解いただきたいと思います。
○大柴委員 大臣は、六カ月ではとにかく自信は持てないけれども、九カ月では自信が持てる、こうおっしゃるわけですね。
○藤枝国務大臣 常識的に考えて九カ月あれば足りると思います。しかし、九カ月という字を出すこと自体、少し長過ぎるぞというような参議院の御議論もありましたので、実はこういうようなことにしたわけでございます。
○大柴委員 法律をつくるときには、九カ月が長過ぎるにしても、こういうことを政令にゆだねなくて、ひとつちゃんと明記をしていただきたいと思うのであります。
 私の質問は、大体以上をもって終わります。
○島上委員 六カ月では自信を持てないが、しかし、六カ月ないし九カ月なら、九カ月以内で周知徹底せしめることができる、ですから九カ月なら自信があるということですか。そうすると、当然法律の中に明記すべきだと思いますけれども、明記するという修正案が出た場合には、これに応ずる御用意がありますね。
○藤枝国務大臣 一般論で申しまして、しばしばお答え申し上げましたように、委員会の御審議の結果、私はこの政府案が一番いいものと考えておりますが、よりよきものがみなさんの御相談でできますのに対しまして、原案を必ずしも固執するものでないということを申し上げておきます。
○島上委員 私はほかのことを聞いておるのじゃないのです。この点だけを聞いておるのです。六カ月なら自信はないけれども、九カ月ならば自信があるというならば、九カ月ないし八カ月ないし七カ月というような範囲で明記するという修正ならば、あなたは自信があるわけですから、これに応ずる御用意があるわけですね。この点だけを聞いておるのです。
○藤枝国務大臣 委員会で御修正になられることを、私は決してそれをいやおう言うことはないと思います。
○島上委員 それから、かりにあなたがおっしゃるように、この政府案で、政令にゆだねて通ったとしますね。その場合にも九カ月以上延びることは絶対にないということを、ここでもちろん確言できると思いますが、九カ月以上実施時期が延びることは絶対にありませんね。
○藤枝国務大臣 常識的に考えて九カ月あれば足りる、やってみなければわかりませんが、九カ月あれば足りると、私はいまのところ考えております。
○島上委員 そういうあいまいなことをおっしゃらずに、いまのところということは、あるいはやってみなければわからぬということは、どうも私どもそのまま信用できないような気がする。そんな答弁はないですよ。あなたは、六カ月以上九カ月あれば周知徹底せしめることができるということを談話で発表しているんじゃないですか。やってみなければわからぬ、そんなでたらめな話はありませんよ。法律を出した担当の大臣ですから、もう少し国民の疑惑にこたえるような確信を持った答弁がほしい。かりにこのまま政府原案のまま通った場合を私は聞いているのですよ。私たちは、これは明記すべきだと思っているのです。しかし、かりに通った場合でも、いつになるかわからぬ、これではわれわれも信用できないし、国民も信用できない。ああ、これは例の両輪論だ、こういうふうに疑惑を持たれてもしようがないじゃないですか。いかがでしょうか。
○藤枝国務大臣 現在の段階におきましては、私は九カ月あれば十分であると考えております。ただ、その御審議の結果がどういうことになるかわかりませんので、確約をしろと言われても――確約ができまするならば私もここに書いたわけなんでございますが、しかし、あるいはわれわれの努力によって六カ月でできることもあり、六カ月で周知徹底できれば、それはそのとき至急にやるつもりでございます。
○島上委員 それでは伺いますが、これは例の両輪論とは関係がないものと解してよろしいですか。
○藤枝国務大臣 全然そういうことは考えておりません。
○島上委員 関連質問ですから、もう一つだけ伺っておきますが、「国又は公共企業体と請負契約の当事者であった者」は普通の会社の二分の一ですね。二分の一の寄付、こういうふうに制限しましたのは、これはどういう趣旨でございましょうか。
○藤枝国務大臣 審議会の御意見は、国あるいは公企体と私法上の契約の中で特別の利益を受けるような契約、極端にいえば、国有財産をただで払い下げる、減額して払い下げを受けたというもの、その中の典型的なものとして請負というものをあげられたと私は思います。ただ、請負というものを考えますときに、これが請負だから常に特別の利益を伴うということはいえないと私は思います。また、契約担当官等はそのようなことがあってはいけないわけでございますから、そういうことではないのですが、やはり、伝統的に請負というものと国なら国の結びつきというものが密接になるのを防ぐためにやられた、特別の利益を受けるほどではないけれども、相当大きな請負をするということが国との関係でいろいろ問題を起こしがちであるというふうな意味に審議会とされては考えられたのではないか。請負が直ちに特別の利益を伴うというふうには私は考えないわけでございます。
○島上委員 少し見当はずれの御答弁ですが、大臣は、第一次審議会及び第二次審議会の答申は御存じだと思います。さっき大柴君が質問しましたように、政治資金のあり方は、党費及び個人の浄財によってまかなうべきものである。そういう思想の上に立って会社、法人、労働組合等の献金は禁止すべきである。しかし、一ぺんにやることには無理もあろうから、さしあたっては国または公共企業体と請負等の関係にあるもの、補助金、交付金、利子補給等を受けておるものは、少なくともこの関係にあるものは全部禁止すべきである。こういう答申を第一次及び第二次審議会でしました。ところが、今度は後退しまして、この請負関係にあるもの、融資を受けた関係にあるものは二分の一にしましたね。請負関係にあるものあるいは長期資金を借りているものは経済上の利害関係ですね。特別の利益かどうかというところには議論があるかもしれませんが、利害関係にあることは間違いないですね。この国及び公共企業体と利害関係にあるものは、要するに経済上の利益が伴っておる。特別の利益であるかどうかということは別にしまして、利益が伴っておる。恩恵を受けておるといってもよろしい。そういう関係にあるものが野方図に寄付をすれば弊害を伴う。黒い霧の温床になる。そこで、これは全面的に禁止すべきだという考えでしたものを、今度は後退したわけですが、普通の法人等の半額にした理由は一体どこにあるのか。私は善意に解釈して、国とのそういう経済上の利害関係が伴うからほんとうは禁止すべきだけれども、自民党の強い抵抗もあることだからこの辺は半額にしておこう、こういうような考えであったのではないか、善意に解釈してそう思うのですが、半額にした理由、特別にありましたらひとつお聞かせ願いたい。
○藤枝国務大臣 そこに並べておりますように、「請負その他特別の利益を伴なう契約」ということは、そういう特別の利益でありまして、国と私法上の契約をする。たとえば文房具を納入する、あるいは家具類を納入する、これも利益は伴うと思います、普通の利益が。しかし、特別の利益は伴わないわけでございます。ただ、請負というものは直ちに特別の利益を伴うものではないけれども、請負の歴史的な性格からいって、普通の利益を伴うものまで制限するというのはどうかと思うわけでございます。たとえば官庁に家具類を納入したり、あるいは文房具類を納入した、それだからこれは制限しろということにはならないと思うのでございます。ただ請負というものは歴史的ないろいろな性格を持っておりますので、特別の利益を伴うものと並べて請負というものをあげられたと思うわけでございます。そういう点におきまして、一種の特別の利益を伴うものに準ずるという意味において、これが寄付を普通の会社よりも少ない制限にするのが妥当――それを半分にするのがいいか、三分の一にするのがいいか。この辺は三分の一ならよくて半分ではいけないというような、そういうけじめはつけないけれども、大体の目安としてそれを半分に制限したということだと思います。
○島上委員 そのいきさつはいいんですが、半分に制限した理由を聞きたいんですよ。私は私なりに解釈すれば、本来国と経済上の利害関係があるんですから、あなたもおっしゃったように、特別の利益であるかどうかということは議論の余地があるとしましても、普通の利益があることは事実なんですから、営利企業ですから、営利を目的とする企業が国と請負をしたり、あるいは国から長期資金を借りたり――銀行で借りるよりは利子が安くて長期である。そういう金を借りるのですから、経済上の利益が伴っていることは間違いないのですね。利益を伴っておるから、そういう団体から献金を受けるということはよろしくない、こういう考えに選挙制度審議会は立っておったわけですね。それを後退して二分の一にしたのです。後退して二分の一にしたのは、普通の会社、団体と同列に扱ってはならない、半分にしたということには理由があるわけでしょう。その理由を伺いたいわけなんです。
○降矢政府委員 御案内のとおり、第一次答申のときには、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者について禁止をいたすことになっておりました。今回の答申をまとめる段階におきまして、新たに政府関係金融機関からの融資の問題が提起されました。その際、大臣が先ほど御答弁になりましたように、いずれにいたしましても融資、請負ともに私法上の契約でございまして、したがいまして、そこにただ国と多額の資金のやり取りがあり、そういう意味で一般の会社並みに献金をすることをやめて、何らかの制限をしたほうがよかろうということになりました。ただ、その限度を幾らにするかということで、審議会の最終の段階では、融資と請負契約、私法関係を含めまして二分の一というふうに相なった次第でございます。
○島上委員 これは大臣にお答えいただきたいのですが、「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金(試験研究、調査又は災害復旧に係るものその他性質上利益を伴わないものを除く。)」の交付を受けたものは全部禁止ですね。それから「国から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部又は一部の出資又は拠出を受けている会社その他の法人」、これも全面的に禁止ですね。国と経済上の関係のあるものの中で、二通りに分けておるわけですね。片方は全面的に禁止、片方は半分までよろしい、こう分けておる。その分けた理由を聞きたいわけです。
○藤枝国務大臣 補助金等を受けておるということは、あるいは出資されておるということは、これはまさに税金がそこにいっておるわけですから、そういうものから寄付をするということは、これは禁止するのが妥当である。しかし、たびたび申し上げて、島上さんとは多少意見を異にするのは残念なんですが、単なる私法上の契約をいたし、そしてそれは正当な利益は得るでございましょう。先ほどからしばしば引例いたしますように、官庁に文房具を納める、あるいは家具を納める、紙を納めるというようなことは、正当な利益は受けるでございましょうが、そのためにその会社を他の会社と区別するということはいかがかと思うわけでございます。あそこに特別な利益ということがありますのは、たとえば国有財産を無償で、あるいは減額して払い下げを受けたというような、そういう会社については、これは寄付の制限をさらに強化することが、国とのつながりがあるのでございますから、そこで制限を強化する必要があるというふうに考えたわけでございます。
○島上委員 大臣はなかなか答弁が上手で文房具、文房具とばかりいいますが、国から十億、百億というたいへんな事業の請負をしておる土建会社が一ぱいあるでしょう。そういうところを二分の一にしたという理由、これはどうしても納得できない。しかも二分の一にしただけじゃないですよ。事業量の十分の一、つまり一割以下はこれを除外しておるのですね。それから長期資金の融資を受けたところも十分の一以下除外しておるでしょう。これも大抜け穴じゃないですか。大骨抜きじゃないですか。二分の一にした理由もはっきりしない。十分の一以下を除外した理由をお聞かせ願いたい。
○藤枝国務大臣 しばしばお答えいたしますように、ただいま島上さんがあげられたように、国と何百億、何千億という契約をしておる。しかし、その契約そのものはいわゆる特別の利益があるわけでなくて、通常の利益があるだけでございます。したがって、それは文房具を納めるものと何ら変わりはないわけでございます。ただ、何百億、何千億というような国と請負をするというところに、ことに請負というものの歴史的な過程等も考えまして、それはやはり寄付は制限されるべきものだというふうに考えたわけでございますから、したがって、わずかな請負をするものについては、これを除外しても差しつかえないというふうに考えたわけでございます。
○島上委員 これは納得できませんけれども、他の同僚が質問することでしょうから――少し長くなったのは答弁がはっきりしないから長くなったんですが、他の同僚の質問にゆだねて、私は関連質問ですから終わります。
○小沢委員長 次会は公報をもってお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時一分散会