第055回国会 法務委員会 第28号
昭和四十二年六月三十日(金曜日)
   午前十時四十三分開議
 出席委員
   委員長 大坪 保雄君
   理事 安倍晋太郎君 理事 高橋 英吉君
   理事 中垣 國男君 理事 濱野 清吾君
   理事 加藤 勘十君 理事 横山 利秋君
   理事 岡沢 完治君
      千葉 三郎君    馬場 元治君
      猪俣 浩三君    中谷 鉄也君
      西宮  弘君    沖本 泰幸君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 田中伊三次君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
 出席政府委員
        法務大臣官房経
        理部長     辻 辰三郎君
        法務省入国管理
        局長      中川  進君
        公安調査庁長官 吉河 光貞君
        外務省欧亜局長 北原 秀雄君
 委員外の出席者
        内閣官房内閣調
        査室長     大津 英男君
        外務省中南米移
        住局旅券課長  内藤  武君
        外務省欧亜局外
        務参事官    岡田  晃君
        会計検査院事務
        総局第一局長  斎藤  実君
        最高裁判所事務
        総長      岸  盛一君
        最高裁判所事務
        総局経理局長  岩野  徹君
        専  門  員 高橋 勝好君
    ―――――――――――――
六月三十日
 委員山下元利君、神近市子君及び下平正一君辞
 任につき、その補欠として橋口隆君、中谷鉄也
 君及び猪俣浩三君が議長の指名で委員に選任さ
 れた。
同日
 委員猪俣浩三君及び中谷鉄也君辞任につき、そ
 の補欠として下平正一君及び神近市子君が議長
 の指名で委員に選任された。
同日
 理事松前重義君同日理事辞任につき、その補欠
 として加藤勘十君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
六月二十九日
 司法書士法の一部改正に関する請願(塩川正十
 郎君紹介)(第二一二七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 法務行政に関する件
 人権擁護に関する件
 裁判所の司法行政に関する件
     ――――◇―――――
○大坪委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の辞任に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、理事松前重義君より理事辞任の申し出がありました。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任に関しましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、加藤勘十君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○大坪委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、内閣提出、会社更生法等の一部を改正する法律案、及び田中武夫君外十二名提出の会社更生法の一部を改正する法律案について、並びに、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案について、それぞれ参考人の出頭を求め、その意見を聴取することとし、その日時及び人選等につきましては、委員長に一任願うこととするに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大坪委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
○大坪委員長 裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 俗に申しますいわゆるスパイ事件の問題につきまして、本日は本委員会が取り上げるのでありますが、同僚各委員の質問を援助いたしますために、事実問題について私から整理をして質問をいたしたいと思います。
 まず第一に、ソビエトの法廷におきます判決が一体いかなるものであったかという点が、質疑をいたします問題の焦点になるわけでございます。そこで、承れば、すでに判決の骨子が届いておるそうでありますから、判決文の骨子をこの際明らかにされることを望みます。
○大坪委員長 横山君、外務省の方はまだ入ってないそうです。
○横山委員 それでは到着次第、直ちにその判決文の骨子を出していただくようにお願いいたします。
 順序が逆になりますが、第二番目に、法務大臣に、これに関連をいたしますので報告を求めたいのでありますが、先般私から申しました最高裁、弁護士会、つまり法曹界に米軍からいわゆる問題の援助が、どのものがあったかの御報告を求めます。
○田中国務大臣 最高裁のことは、最高裁からお答えいたします。
 法務省関係機関に対して、米軍から――御質問のあった事実は、調査をしてみましたが、それはございません。法務省の職員がアメリカに参りましてアメリカで研究中に、研究費の一部を寄贈を受けたような事実は一、二あるようでございます。機関それ自体が寄贈を受けたという事実は、今日まで調べたところではございません。
○大坪委員長 最高裁の方はまだ入っていません。
○横山委員 来てないですか。――じゃ、外務省の方は入ったそうですから、御報告を求めます。
○大坪委員長 横山君、もう一ぺん発言してください。
○横山委員 判決の骨子がすでに日本に届いているそうでありますから、外務省から報告を求めます。
○北原政府委員 先般、外務委員会で御説明いたしたとおりでございますが、もう一度読ましていただきます。「日本の内閣調査室及び世界政経調査会の指令を受けソ連の国家的軍事的機密に属する情報、日本の関係機関に提供されることによりソ連の利益を害するよう使用されうる性格の秘密情報を蒐集しようとし、又実際に写真撮影肉眼観察及びソ連市民との会話によって蒐集した。これはスパイ活動でありロシア共和国刑法第六五条に規定された罪を犯したものと認められる。但し被告が正直に企てを供述したことは情状酌量に価いする。」以上でございます。
○横山委員 それは判決の骨子ですね。
○北原政府委員 これは弁護人から出ました判決の骨子でございます。
○横山委員 全文ができれば印刷して委員会に配付をされたいのでありますが、それはいつごろになりますか。
○北原政府委員 この点も先日外務委員会で御説明いたしましたとおりでございますが、ソ連では判決文は裁判の直接の関係当事者のみに手交するのが慣例となっているのです。そこで、原則としては当方は入手できないわけでございますが、しかし、本件の全貌をはっきりと明らかにいたしますために、われわれとしてはこれをぜひとも入手したいということをソ連当局に申し入れております。いつごろ入手し得るかという点についてはお答えできません。できませんと申し上げますよりも、せっかく努力いたしておりますが、いまのところ見通しははっきり申し上げかねる次第でございます。
○横山委員 これはぜひとも、今後の問題に必要でございますから、十分努力をされ、将来のために判決文を入手されんことを切望いたします。
 内閣調査室長にお伺いいたしますけれども、先般の予算委員会の記録を見ますと、内閣調査室の行なう情報活動のうち、日本放送協会へ七百三十万円、内外情勢調査会に五千二十三万五千円、共同通信社に七百二十万円、ラジオプレスに五百四万円、共同通信社開発局に二千八百九十三万七千円、海外事情調査所に対して四千五百二十八万七千円、世界政経調査会に対して一億七千八百九十一万六千円、東南アジア調査会に三千二百六十一万四千円、国際情勢研究会に五千三百三十六万八千円、国民出版協会へ七千八百九十三万三千円、民主主義研究会へ七千六十六万五千円。実に膨大な調査委託があるのでありますが、これらはこの金額によって何々を調査してもらいたいということを明示されるわけでありますか。
○大津説明員 委託団体につきましては、委託事項を指定しておりまして、一つ一つ申し上げますと、日本放送協会につきましては……。
○横山委員 いいです。それで明示されるわけですね。
○大津説明員 はい、そうであります。
○横山委員 それでは、世界政経調査会に対する一億七千八百九十一万六千円に匹敵する調査項目を具体的に列挙してください。
○大津説明員 東南アジア及び中東諸国を除く世界各国の政治、経済、社会事情等の調査並びにこれに関する資料の作成ということを委託しております。
○横山委員 きわめて概括的な調査項目ですが、ほかにその項目について、本年度は一億七千八百九十一万六千円を支出するのであるから、今年度はこれに匹敵する、この項目を調査してもらいたいという具体的な明示をなさらないのですか。
○大津説明員 政治、経済、文化、社会生活、その他万般につきましての、そのつど、そのつどの問題につきましての調査資料の作成ということをお願いしておるわけでございます。
○横山委員 そうしますと一億七千八百九十一万六千円の算出根拠はどういうことですか。
○大津説明員 資料として提示を受けておりますものは、定期的なもの、それから不定期の各種の資料がございますが、四十一年度で申し上げますと、月刊摘要、時の焦点、北朝鮮月誌、中共資料、国際共産主義資料、月刊中共情勢、中共月誌、中華人民共和国組織別人名表、ソ連東欧資料、ソ連関係重要事項年史、世界各国の軍事情勢資料、こういうふうなものが資料として出されるということになっております。
○横山委員 少なくとも一億七千八百万円という膨大な国民の血税でありますから――私が国民にかわって求めているのは、一億七千八百万円という膨大な金額であるから、さだめし算出根拠があるだろうということを考えているわけです。現にほかの東南アジア調査会には三千二百六十一万四千円、海外事情調査所は四千五百二十八万七千円と、千円という区切りもついているわけですね。ですから、どうして世界政経調査会だけが最もハイレベルの、一億七千八百万になるのかという点がわからないわけです。大蔵省もそれを査定をしておると思うのでありますが、大蔵省に提出いたしました査定を受けるための要求の根拠を本委員会に御提出くださいますか。
○大津説明員 これらの資料は、先ほど申し上げましたように、そのとき、そのときに必要な情勢に応じたものを提出しておるわけでございますが、それにつきましては、印刷費あるいは調査費とか、あるいはその他翻訳のため必要な、もとになるいろいろな刊行物とか、そういうものの購入費とか、いろいろなものがございまして、そういうものの積算に基づいてやっておるというようなことでございます。
○横山委員 私の申し上げておるのは、大蔵省に出された算出根拠を提出されますかということです。提出してくれますね。
○大津説明員 委託団体のほうに申しまして、提出するようにいたしたいと思います。
○横山委員 委託団体の問題じゃないのですよ。内閣調査室としてこれだけの調査委託をしたんだから、その査定があるはずだ。また大蔵省へも要求の根拠があるはずだ。内閣調査室の一億七千八百九十一万六千円の内容を提出してもらいたいと言っている。
○大津説明員 提出するようにつとめたいと思います。
○横山委員 その中に情報収集費というものは入っておりますか。
○大津説明員 調査費というものがあると思います。
○横山委員 その情報を収集する上において、その方法については一切あなたのほうは関知しないのですか。
○大津説明員 世界政経調査会の活動の内容そのものにつきましては、私のほうはタッチをいたしておりません。
○横山委員 法務大臣にお伺いをいたしますが、これだけの金額を出した世界政経調査会の情報収集の方法について、スパイを働いた内河氏は、内閣調査室の依頼であるということを明示しておる。内閣調査室と世界政経調査会の委託を受けてやったと明示しておる。そして旅券の申請なんかも明らかにインチキである。そういう点については、法務大臣としてはどうお考えでございますか。
○田中国務大臣 問題の人物でございますが、これは外務省所管の事項でありますけれども、事は重大であるということで、外務省より本人の出入国記録のコピーを法務省に取り寄せて調べましたのでわかったことでございますが、昨年の十月十九日旅券をとっております。期間は二十五日といたしまして、ソ連の船に乗り込んで横浜を出国いたしまして、モンゴルに向かったという記録が明白に出ております。それ以外のことは、この人物がどういう道順でどういう行動をしたかということは、現在では法務省にはわかっておりません。所管事項外のことでもあるし、そのこと自体は私にはわかっていないのでございます。これが判明いたしますのは、やはり判決の謄本を何らかの苦心によって取り寄せまして、これを拝見する以外にはここでお答えをする材料は出てこないのでございます。どういうスパイ行為を行なってどうしたかということについては私はさだかでない、こういう事情でございます。
○横山委員 内閣調査室にお伺いしますが、今日の時点において内河氏は世界政経調査会の職員であったかなかったか、そのソ連へ行っている間は。それはどういうふうに判断していますか。
○大津説明員 内河さんは、八月末で退職をしておるということでございますので、職員ではございません。
○横山委員 旅券はどういう名義で申請をしていましたか。外務省ですか。
○内藤説明員 旅券は、観光という名目で八月二十二日に申請がありまして、それに対しまして、八月二十五日に、観光という渡航目的で旅券を交付しております。
○横山委員 会社の名前は。
○内藤説明員 会社の名前は、所属会社は武田洋行ということになっております。
○横山委員 武田洋行は存在せず、観光ではなかったということは、明らかに旅券法に違反しておりますね。どういう措置をされますか。
○内藤説明員 今回の場合は、モンゴルの場合につきまして手続を申し上げますと、渡航趣意書というものをとりまして、その際において渡航目的だとかそういったことについてチェックいたしております。そして観光のような場合でございますと、モンゴルの場合においては外務省で審査いたしまして、一々その所属先についてまで全部調べないで出すということにいたしております。
○横山委員 だから、今後どうするのですか。旅券法違反ではないか、虚偽の申し込みをしている。
○北原政府委員 この武田洋行という会社が、どういうものかという点でございますが、これは外務省で調べましたところ、この内河氏の姉の主人というのがやっておりますささやかなるボールペンをつくる会社でございます。これはちゃんと会社として存在いたしております。
○横山委員 その会社が存在し、その会社の職員であり、月給を払っておることは確認しましたか。
○北原政府委員 これは現実に幾ら帳簿に基づいて出しているというところまでは、私どもは承知いたしておりません。しかし、内河の妻からの説明によりますと、報酬を得て働いていたということでございます。
○横山委員 これほど重大な問題を、会社の帳簿も確認もしないで、奥さんがいろいろの雰囲気や――いろいろの説得が行なわれていることは想像にかたくないのでありますが、そこにつとめておったらしいということでこの問題をあいまいにしてもらっては困るのであります。この際ひとつ明白に、ほんとうにそこの職員であったかあるいは給料を払われておったか、常時そこにつとめておったかということを調査をする必要があると思うのであります。してくれますね。
○北原政府委員 関係主管官庁とも連絡いたしまして、適当にやりたいと思います。
○横山委員 私はソ連の軍事法廷が調査をし、そして本人が内閣調査室並びに世界政経調査会の依頼によってやったのだと自供していることをかなりの真実性があると私は認めるのでありますが、この点について政府側はどういう考えですか。どなたか答弁していただけますか。――法務大臣いま聞いていらっしゃらなかったですか。つまり私が聞いているのは、内河氏が軍事法廷で自供し、そして判決がされたことは、信憑性があると思わざるを得ないと言っておるわけです。もしそうだとすれば、明らかにそれは旅券法違反、虚偽の申告をし、虚偽の目的を書き、そしてスパイ活動をしたのだということを推定をされる本件について、日本政府はどうお考えでありますか。技術的なことじゃないですよ。実際の問題に対してどうお考えになりますか。
○田中国務大臣 失礼しました。先ほどから申し上げるように、裁判の判決文は、努力をすれば手に入るものと思います。私の所管で手に入れる道はございませんが、外務省に努力をさしておりますから、これはやがて手に入るものと思う。それが手に入りました上で、一体この内河なる人物は本件に関してどんなことをやったものかということが明らかになってくるものと思います。これは、はたしてこの行動が、どこに立ち寄ったものか、どういうことをしたものか、サイトシーイングで旅券が出ておるわけでございますから、観光以外の行動があったのかどうか、どういう道順、どういう経路を経てソ連の領土に入り込んだものかということを、詳細に具体的に責任ある調べをいたしました上で、わが国にはお説のとおり旅券法がある。旅券法に違反をしておるものとの証拠が明瞭になりました場合は、外務当局とも綿密な連携をとりまして、旅券法違反として捜査をしたい、こう考えるのであります。問題は、この段階において、熱心なる御質問に対して申し上げにくいのでありますけれども、何にいたしましても判決文全文がわが政府のどこにも到着しておらぬ。熱意は持っておるのであります。到着しておらぬ。到着を待ってこれに手をつけるという以外にないのでございます。からだはこっちにいないのであります。逮捕の道もないというわけでございます。そういうことでございますから、どうかその点は、今日の時点においてはこういうお答えを申し上げる以外道がないということを、どうぞ御了承いただきたいと思います。
○横山委員 外務省にお尋ねいたしますが、三木外務大臣は、釈放交渉を続ける立場を明らかにし、そしてでき得べくんば上告をすべきことを期待しておるような模様であります。外務省は一体、法務大臣のいまのお考えと少しニュアンスが違うようでありますが、釈放交渉を続け、上告をすることを期待するという考え方はどういう観点でありますか。
○田中国務大臣 大事なことでありますので、私の所管ではございませんが、ここには政府は私よりほかおりませんので、私から責任のあることを申し上げるほうがよかろうと存じます。
 これは、わが国の国民の人権という、人権保護の立場という立場から考えまして、わが国の国民が外国において罪を犯し、裁判にかかり、判決を受けておる。その裁判が進行中というような事情にあります場合においては、その人物がどのような立場で、どのような行動をとったかは別にいたしまして、日本政府は、わが国の国民の一員でございますので、これに対しましては刑の軽からんことを希望し、早期釈放を要求するということは、当然しなければならぬ政府の義務である、こういう立場で政府はやっておることでございます。しっかりやれということを私どもも言うておるわけでございます。
○横山委員 内閣調査室の仕事のしかたでございますが、いまのところあなた方はこれだけの調査委託をしたんだ。それで仕事をしてもらうのだ。仕事のしかたなりやり方なり、おれのほうには責任がない。委託をされたほうがやったことであって、私のほうには責任がない、こういう立場のようでありますね。そうであるとするならば、きわめてけしからぬことだ、無責任きわまることだと私は思う。この種の膨大な国民の血税を使用して、そしてあとで資料が出てまいりますれば、私どもも妥当な仕事であるかどうか念査をいたしますが、それにしてもこの税金の中から、もしもスパイ行為が行なわれておる。そうしてその機密費として流れておる。それが日本とソビエトのいまの外交情勢に対して悪い影響を与えるとするならば、この内閣調査室が委託をいたしますその会社に対して、今後のあるべき方法について注意をし、警告をしなければならぬと思うのであります。この点について、今回の事件について、おそらく長官あとでいらっしゃると思うのでありますが、御協議をなさったと思うのでありますが、どういう結果になりましたか。
○大津説明員 もとより私ども委託団体につきましては監督の立場にございますから、そういう意味で問題がありますれば、そういう点について御趣旨のようなことを私どももつとめなければならないのは当然でございまするので、私どもといたしましては、今後も一そうそういう点につきましての監督を厳にするような措置を講じてまいりたいと考えております。
○横山委員 少しはっきりしないのですが、今後これらの外郭団体に対して、かかるスパイ行為と疑われるような行動をしてはならぬとか、具体的にどういう注意をなさいましたか、まだしていないのですか。
○大津説明員 先ほど申し上げましたように、内河さんの場合におきましては世界政経調査会を退職をしておる、そして個人の資格におきまして観光旅行に出かけたということで、世界政経調査会とは関係がない、内閣調査室とも関係がないということでございますので、私どもとしてはその点世界政経調査会に対しまして、そういうことをやらせたということではございませんので、そういうふうなことをまだ言う段階ではない、かように考えます。
○横山委員 それは明らかに詭弁ですよ。政府が世界政経調査会に委託をする、調査会はまただれかに委託をする、その委託を受けただれかはまただれかから情報を買うという形式的なしかけさえつくれば幾らでもできるのです、そうでしょうが。あなたはそういう形式論で政府に責任がない、またこの世界政経調査会に責任がないと言いのがれをしようとしておりますが、国民はそれでは納得しませんよ。だから情報を買うについては、いやしくも結果としてかくのごとき国際的な問題になり国会の問題になるのであるから、その調査の方法、あり方については厳戒を要するということは当然のことではありませんか。あなたはなおも私は買ったんだから知らぬ、買ったところはまたもう一つの下請から買ったんだから知らぬということで国民が納得すると思いますか、どうなんです。
○大津説明員 繰り返すようでございますけれども、このたびの内河さんの問題につきましては先ほど来申し上げておるようなことでございまするが、一般的に申しまして、そういうことがないように厳戒しなければならないという点につきましてはお説のとおりでありまして、その点はよく趣旨を徹底するようにいたしたいと思います。
○横山委員 この世界政経調査会がどのような情報の収集をしておるか、内閣調査室の言っておることが間違いないのかという点については、くつの裏から足をかくようなことでありまして、質問を続けましても私は納得ができないのであります。先ほど私が理事会で提案をいたしましたが、この際世界政経調査会の責任者である会長の広岡謙二ないしは黒川幸雄事務局長を参考人として出頭を求めたいと思うのでありますが、委員長に善処を願いたいと思います。
○大坪委員長 次の理事会あたりで御相談いたしましょう。
○横山委員 最高裁がいらっしゃったようでありますが、先般私が求めました、法曹界におきましてアメリカ軍ないしはそれに関連をいたします財団等から寄付を受け、そして研究を委託される、ないしはまた研究の結果を向こうへ報告するというような問題、ないしはこれに関連をいたします軍、財団等の関連を御報告願いたいと思います。
○岸最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねは、軍から何か援助を受けたことがあるかどうかという点でございますが、これは絶対にそういう事実はございません。
 財団からどうかというお尋ねでありますが、その点は最近新聞にも載りましたが、アジア財団から資金の援助を受けた事実はございます。しかし、その内容につきましては、詳しく御説明いたさなければ御理解できないと思いますけれども、アジア財団と申しますのはカリフォルニア州の法律に基づいてつくられました民間団体で、米軍とは全然関係がないものと理解いたしております。そのアジア財団が、裁判所関係といたしましてはかれこれ十年前になりますか、司法研修所の卒業生、これは若い判事補、検察官、弁護士、そういう人たちが、アメリカの各大学の試験を受けてスカラシップをとった場合に、それぞれの大学へ留学をいたします。その際に、渡米したついでに裁判所を視察する、あるいは研究資料を購入するとか、そういう目的のために三百ドルとかあるいは五百ドルとか、そういった程度の金を留学する人個人がこの財団から資金の援助を受けておった、現在でもそのやり方が続いておるということはございます。
 それから最高裁判所としましては、会計法上の手続をとるべきものは、寄贈を受けた図書とかそういうものは、これもかれこれ七、八年前のことと思いますが、有名なシェルダン・グリュック教授の「少年非行の予測」という、これは世界的にも有名な本でありますが、それを寄贈を受けまして、そうしてちゃんと会計法上の手続を踏んで各家庭裁判所に配付した、こういう事実はございます。
 それから二年前に、第二回アジア司法会議というものが東京で開催されました。第二回アジア司法会議と申しますのは、アジア諸国の最高裁判所の長官が会議を持ちまして、そうしてそれぞれの比較法制的な研究、そういうことについて討議をする会議でございますが、第一回は四年前にフィリピンで開かれました。そうしてフィリピンで開かれたときに、次の第二回は東京で開くというふうにきまりまして、そうして一昨年の八、九月ごろ一週間ほど東京で開いたことがございます。それにつきましては、もちろん必要とする予算措置は講じてございましたが、予算でまかなえない、つまり招聘した国のうちで出席の予定の国が、突然まぎわになってその国の国情で出席を取り消したというような金はほかのほうに流用できません。ただ接遇関係で金をアジア財団から約千ドル受け取ったことがございます。しかし、それを受け取った主体は、アジア司法会議の事務局というものが設けられておりまして、その事務局として、担当は秘書課長でございましたが、いろいろ遠来のお客に対する英文の観光資料あるいはおみやげ品、そういったことのために、アジア司法会議の事務局としてそういう援助を受けたことがございます。それから家庭裁判所関係では、家庭裁判所の裁判官が海外出張いたしましたときに、これはやはり先ほどの司法研修生のスカラシップと同じような意味において、行ったついでにもう少しいろいろ各地の裁判所の実情を見る、そういうことのために、その裁判官個人として財団からこれも三百とかあるいは五百とか、その程度の旅費日当といいますか、滞在費といいますか、そういった費用を、これは個人の資格で、財団と個人との関係で援助を受けておるということはございます。ですから、裁判所そのものとして財団から、つまり国として財団から援助を受けたというのは、先ほど申しました図書の寄贈を受けた、大ざっぱではございますが、そういう事情がございます。
○横山委員 私の持ち時間がなくなりましたので、最後に問題点だけ提起をしておきたいと思いますが、内閣調査室の問題について国会の記録を見ますと、三十三年七月、内閣委員会におきまして、八木昇委員の質問に答えまして、政府は否定はいたしておるのでありますが、三十二年、モスクワの平和友好祭のときに、百五十五名が旅券の交付を受けた。そのときに二人、内閣調査室のメンバーである者、安野英夫、川岸清、その二人が、三浦武夫あるいは山岸清というような名前でソビエトへ行った。そして二人は理研映画社の社員という名目で行った。そしてソビエトにおいてこれがずいぶん問題になったということがあり、政府はこれを否定しておるようでありますが、最終的に政府の措置は、旅券法違反としてこの処置をしたということが実相の模様であります。内閣調査室は、以来今日まで、直接自分のほうで調査をした事実は、かかる問題でやらせた事実はないのかどうなのか。時間の関係で後日また聞くつもりでありますけれども、ほんとうにないと言い切れるのかという点を明白にしていただきたいと思うのであります。
 それから第二点は、公安調査庁に聞きますけれども、公安調査庁はたしか質問検査権はないのでありますから、最近伝えるところによりますと、内閣調査室、公安調査庁の両職員が、外国から帰りました、特に共産圏から帰りました人々に対しまして、供応し接待をし、そして情報の入手をさせ、そしてそのお礼をそれぞれ払っておるという事実は、これは認めておられるようであります。こういうやり方を今後も継続をされるつもりなのかどうか。また公安調査庁は、CIAその他外国のこの種の機関と連絡があり、情報の提供、交換をしておるのかどうか、これらの点を一括してそれぞれお答えを願いたい。
○田中国務大臣 公安調査庁関係を私からお答えを申し上げます。
 公安調査庁が海外の情報の取り方でございますが、これは新聞、雑誌、通信その他公然と行なわれておりまする資料を入手いたしまして、これによって情報を取るということをいたしておりますほかに、ただいまおことばのありましたような、外国から帰ってきた人、こういう帰還をいたしました旅行者をとらえていろいろ話を聞く、あるいは資料の提供ができるものについては極力資料の提供を願う。その資料の提供を願うについて、食事が必要ならば食事もする。また、価値ある資料を提供してくれた人に対しては、その資料の価値の限度において金員をもってお礼を差し上げることもする。こういう方法で、そのお礼は行き過ぎないことを限度としておりますが、そういう努力を今日までしておるわけでございます。こういう態度は、資料の提供者に対して、外国から帰った者に対してお礼を金員で支出をする、めしを食うというような態度は、今後もこれを継続していきたい。これ以外に日本のような立場においては外国の情報を取ります道はない、こう考えておりますので、こういう態度は今後とも予算に盛られておりまする限度において、この金を使っていくという方法はやむを得ないもの、こういう考え方でございます。
○大津説明員 ただいま法務大臣からお話がございましたけれども、内閣調査室におきましても、帰国者からの資料を提供を受けるというような場合におきましては、ただいまお話がありましたと同様のことが行なわれております。
 それから、先ほどお話がございました昭和三十二年の問題は、私その当時のことあまり詳しくございませんので、よくわかりませんけれども、当時のその人物は内閣調査室の者ではないということははっきりいたしておるということでございます。
○横山委員 私の質問は終わります。
○沖本委員 関連質問。入国管理局長さんと外務省にお伺いいたしますが、最近米軍の基地を使って学者あるいはそれに類する方々が外国に旅行していらっしゃる。相当数あるということをいろいろな点から読んだわけです、聞きもしましたけれども。その点に関しまして、いま横山委員から御質問があったような方々も、そういった内容とも関連して、日本から外に、民間機でなくて軍用機を利用して出ていらっしゃるのじゃないか。最近ベトナム問題が激しくなって、米軍機のほうのスペースがないので乗れなくなったけれども、いままではしばしばそういう会議の開催に出ていっておるという事実があるわけですけれども、こういう人たちはやはりこういう資金との関係があるのではないでしょうか。それにつきまして、そういう関連があるかないか、どういう立場の方々がおもに米軍基地を使って出国なさったのか、こういう点につきましてお答え願いたいと思います。
○中川(進)政府委員 米軍基地から外国へおもむかれる日本人は、確かにおられるわけでございますが、ただいまちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんので、どれくらいの数であるか確かではございませんが、そうたくさんな数ではないと思います。まして、その内訳におきまして、こういう方々がどこからどういうお金をもらって、どういう用務で出られるかということは、私どもといたしましては、その詳細に関しましては不明でございまして、これは観光に出られるとか、あるいは就職のために出られるとか、あるいは会議に出席のために出られるとか、そういう大きな意味の出国の目的、旅行目的はわかりますが、その詳細、これは米軍の主催するこういう種類の、どういう会議に出るのだというところまでは、私どもの旅行目的のところでは記載する必要がないことになっておりますので不明でございます。
○内藤説明員 いまのお話の点は、出入国管理の問題でございますので、入国管理局長がお話ししたとおりでございます。
○沖本委員 それでは後ほど、そういう点についてできるだけのリストをちょうだいしたいと思います。
○中川(進)政府委員 かしこまりました。調べましてわかるだけのことを御報告したいと思います。
○田中国務大臣 ただいまのお尋ねに関連をいたしまして、これは大事なことと思われるので一口御報告申し上げておきます。
 どういう種類の人が米軍機を用いて出入国をしておるかという問題でございますが、これは軍人、軍属、特に多いのは軍人、軍属のアメリカの家族でございます。それに便乗して日本人が乗せていってもらうということが真相のようでございます。したがって、金銭をどんなものをもらっておるか、われわれのわかるところではございませんが、運賃は払っておらぬように思います。
 そこで軍人、軍属、家族、そういう立場、そういう地位でない者がこれを利用する場合に、かってに便乗さして往復しておるのかということになると、これは重大なことでございますから誤解のないように申し上げますが、軍人、軍属、家族であって、本来これに乗って往復することができない人は、すなわち日本人が便乗いたします場合においては、成規の旅券手続をとりまして、旅券を与えて、旅券によって正規の出入国をしておる。ただ乗って行きます者が、便乗しておるというだけの事情でございます。この点を申し上げておきたいと思います。
○沖本委員 では、これもついでにあわせて、あとでけっこうですが、旅券の交付を受ける場合に一応手続をなさって得られた方々のその旅券の交付、そういう米軍機に便乗さしてもらうという手続とか、あるいはそういう交渉が、どこを通じてどういうふうになさって乗っていらっしゃるのか。聞きますと五ドル払えばいいとかいうふうなことも聞いております。そういう関連性はどういうところから生じておるのか、日米協定の中にあると思うのですけれども、外務省はそういうことを全然御存じないということはないと思うのです。ですから、いますぐとは言いませんけれども、その氏名は管理事務所のほうでわかると思いますから、米軍機を使って出られた方々の氏名のリスト、あるいはその方の職業なり、身分なりというものについて、後ほどリストを――これは外務省のほうでも、いわばどういうことで旅券を得られたかということを、両方で御協議なさってそういうリストをいただきたいと思います。
○大坪委員長 西宮弘君。
○西宮委員 できるだけ重複を避けてお尋ねをいたしたいと思いますが、できるだけ簡明にお答えを願うようにお願いしておきます。
 私も三、四年前にソ連に参ったのでありますが、私のそのわずかな経験から申しますると、今度の事件は相当に大きな事件であるということだけは明らかだと思うのです。と申しますのは、たとえばこういうところは撮影をしてはいかぬ、こういう制限があるわけでありまして、これはわれわれ日本人から申しますとちょっと神経質に過ぎるのではないかと思われるようなところまで禁止をする、こういうことがガイドブック等に書かれておるわけであります。われわれもそういうことを承知して行ったわけであります。しかし行ってみますと、実はそれほどたいしたことはないので、たとえば最も問題だとされておりまする飛行場などを、われわれも誤ってといいますか、興味本位で撮影をいたしたりいたしました。われわれと申しますのは、国会議員であります私は、民間団体に便乗してまいりましたので、ほとんど全部が民間の人でありますが、そういう人も興味本位に飛行場の写真などをだいぶ撮影をしたりしたわけであります。そうしますると、だれかが参りまして、もうやめてくれ、こういう注意を受けたので、それ以上撮影をしなかった。こういうことなどがあったわけでありまして、日本で聞いておったほど大騒ぎをされておるわけでもありません。あるいはいろいろ話を聞いてみますと、たとえばある人でありますが、同じようにハバロフスクで写真の撮影をして、やめろと言ったがどうしてもきかない、それでモスクワまで行ってから、モスクワから強制送還をされた、こういう話を日本へ帰ってから聞いたのであります。あるいはその映した写真のフィルムを没収された、こういうような話も聞いたことがあります。
 いずれにいたしましても、これらの制裁は、その問題の写真を没収されるということであるとか、あるいは場合によってどうしても応じないというような場合には身柄を送還される、こういうことがいわば最高の制裁であるように私どもは今日まで承知をしておるわけです。それ以上のことはいままでなかったわけであります。ところが、今回はあのような重大なる制裁を受けておるわけでありまして、これはただごとではないということがその一点からも十分に承知できると思うのであります。ということになりますと、あの問題の人物は、だれの命令で、あるいはだれの委託でやったかは別問題として、これはまたあとでお伺いをいたすことにいたしまして、少なくとも、ソ連の状況を何らかの形でさぐり出そう、こういう意図、目的をもってやったに違いない、こういうことだけは断定をすることができると思うのでありますが、外務省の局長がおられるようでありますが、その点いかがでありますか。
○北原政府委員 いろいろいまの御説明伺いました。しかし、現地でどういうことをしたかということにつきましては、これは先ほどからお答え申し上げておりますとおり、われわれ全くつまびらかにいたしておりませんので、この点現状におきましては何ら判断をいたすすべがないわけでございます。
○西宮委員 とにかく、この人はだれの委託を受けたかは別問題にして、そういう特殊な目的をもって行ったこの人物そのものは、そういう意図をもってやったということは疑う余地はないと思うのです。それはあの人の家族、あるいは勤務先――家族と申しますのは、妻の話あるいは長野県の郷里の親の話、あるいはこの人のねえさんにあたる武田洋行の社長の奥さんの話、その他等々、いろいろ合わせてみますと、全くそう断定する以外にすべがないと思うのであります。
 それでは外務省にお尋ねをいたしますが、この間去る二十四日に外務省が発表した中に、本人は無実だとか、早く釈放してくれるようにしてくれとは一言も言っていない。ただ、この事件が一般に公表されなければ早く帰れるだろうと述べ、この事件を伏せておいてくれと強調した、こういうふうに言っております。このため外務省は二十三日まで事件は公表せず、家族にも外部に漏らさないように依頼をした、こういうふうに外務省は発表しておるわけですが、これは何を意味するのでしょうか。
○北原政府委員 ただいまのお読みになりました発表につきましては、どういう発表であったか、外務省といたしましては本件につきまして正式な発表をいたしたことはまだございません。この事件は、昨年現地で逮補されまして以来、今日まで発表いたしませんでした。発表できない理由といたしましては、先方から逮捕したという通告がございました。それから直ちに外交機関を通じまして即時釈放の申し入れを行なったわけであります。しかしながら、なぜそのとき発表しなかったか。当方といたしましては、先方がいかなる理由で内河氏を逮捕したかということを当分の間明らかにいたさなかったわけでございます。だいぶたちましてから、これも外交機関を通じまして、スパイ容疑であるということを連絡してまいりました。そこにおきまして、われわれといたしましては、この事件を直ちに、帰趨がわからない前に東京において発表いたしますことは、かえってソ連当局の行動の範囲を拘束するのではないか。われわれといたしましては、あくまでも無実、直ちに釈放されることを布望しておりましたので、そういう意味でこの事件の発表を差し控えたわけでございます。
○西宮委員 これは権威ある新聞が、いずれも外務省の発表として報道しておるので、もしそうでないとすれば、これは外務省で取り消すなり何なりそういう手続が必要だと思うのでありますが、外務省が正式に発表したのでない、こういうことであれば、おそらくだれかが話をしたことを書いたのだろうと思いますが、とにかくこれは権威ある新聞に報道されておるところですから、もう一ぺん十分調べてもらいたいと思います。とにかく、これによると、そういうことで公表されなければ本人が帰れるだろう、そういうことを言っておるとか、したがって、いかにもこの事件は、なるべく公表しないようにしておる、こういうことで、いまその発表はとにかくとしても、いまの局長の話でも、そういうことで長い間伏せておった、こういうことから推しても、私は、この本人自身は、そういう特殊な意図を持って行った人である、こういうことだけは避けられないと思うのです。それに対して、たとえば治安当局の見解として、新聞に出ておるのですが――治安当局というのは公安調査庁あたりをいうのかもしれませんが、ソ連は、内河さんを自分たちのスパイネットに入れようとして失敗したため、今度はスパイ罪に引っかけてきたのではないか、逮捕してから半年の間かかったのがその工作期間だったのだ、こういうふうに――これは新聞ですからこのとおりにしゃべったかどうかわかりませんが、きわめて断定的にこういう見解を述べて、公安当局はそういう見方をしておる。この辺は、私は全く危険だと思うのです。
 そこで、それでは内閣調査室にお尋ねをいたします。室長さんがおいででありますから。
 これも新聞でありますが、調査室の首脳部の談話の中に、大体現在日ソ間でスパイをする必要があるであろうか、こういうことを言っておるわけです。つまり日ソの間でスパイをするなんという必要性は全然ないじゃないか、こういう意味のことを言っているのですが、その根拠はどういうことですか。
○大津説明員 私ども、現在の日ソ友好というような点ももちろんございまするが、ソ連の事情につきましては、公然資料と申しますか一般に公開されておりまする新聞、雑誌その他いろいろな資料を通じまして、政治、経済、その他文化等の面についての資料を入手することができまするし、そのようなことをする必要は全然ないということでございます。
○西宮委員 先ほどの法務大臣その他の御説明にもあったわけですが、たとえばソ連その他に行ってきた旅行者から話を聞いたり、いろいろそういうあの手この手を使って探り出そうとしているわけですね。それなどは明らかに、公表される文書なりラジオなりそういうものだけでは足りない、それを補うためにやっておるのだということは明らかだと思う。かつて、五十九年だったと思いますが、中共に行きました新聞記者を、向こうに行ってきた情報を聞こうということで、内閣調査室が非常に執拗にそれを追及いたしまして、そのために当時非常に問題になったことは御承知だと思う。そういうことで、いまでも新聞記者の諸君などが帰ってくると、講演会をしてくれ、こういうことで要求をされているというのは、ごく最近でもやっておることです。それに応ずる人も応じない人もありますけれども、これは始終やっておる。だから、そういう面からいろいろ何かを探り出そうという努力をしておることは明らかだと思うのでありますが、それでは室長さんに、その調査室の任務、性格を簡単にお答え願います。
○大津説明員 内閣調査室は、「内閣の重要政策に関する情報の収集及び調査」、それから「各行政機関の行う情報の収集及び調査であって内閣の重要政策に係るものの連絡調整」を行なうということが、内閣法あるいは内閣官房組織令というもので性格づけられておりまして、それに基づいて、内閣調査室といたしましては情報の収集及び資料の作成、調査というような仕事をいたしておるわけでございます。
○西宮委員 要するに内閣調査室の性格が問題だと思うのでありますが、これはあるいは官房長官などからもお答えいただければ、なおけっこうだと思います。
 これが発足いたしましたのは昭和二十七年ですね。その際、最初に三月の十日に調査室をどのようなものにするかという第一案ができて、二転、三転いたしまして、最終的には三月二十六日に第四案を示した。その第四案が最終の決定版になったわけであります。
 それを見ますと、非常に長いのでありますが、一、二その中から拾ってみますると、たとえば、「弘報宣伝に当っては、言論、出版に対する統制の再現という誤解を招かないよう、政府はつとめて表面に出ず、所謂「見えざる手」となって民間の団体及び個人の活動を推進する」、こういうことをいっておるわけであります。
 あるいは、少しその先へまいりますとこういうこともいっている。「人の思想観念は習熟によって形成される。一つのテーマをあらゆる角度より反復一貫して取扱い、標語的に簡易化された美しい言葉が生活感情の中にまで浸透した時、国民感情、国民精神は形成され、動揺を防ぐことが出来る」、これはまるでいかにも大政翼賛会みたいな、そういう忠君愛国なんか、始終やっていればそれが国民の精神になるのだ、こういうこともその中に書かれておるわけであります。
 だいぶ先のほうにまいりますると、「又革命勢力に対する国民の抵抗意識によって有害なる宣伝(言論、出版、演劇等)の影響をできるだけ狭い範囲にとどめる方法」として「例示」、「(1)有害なる宣伝組織の資金面を制約する。資金カンパに大口に応じている会社に対する融資を止める等。」つまりそういうところに会社などが金を出してカンパをしている、そういうことがあったならば、その会社には金を貸さない、こういうことでそののど首を絞めようというわけですね。
 「(2)演劇等の場合、向こうを張って優秀なものを安く(援助によって)行わせ、入場者を吸収する。或は入場券を工作して買占める。」つまり有害な演劇等をする場合には、こっちはそれよりも安いものを政府の援助でやらして入場者を吸収する、あるいは入場券を買い占める。
 「(3)市販に出る有害出版物を予知し、買占める。」こういうこともいっているわけであります。
 あるいは、ずっと先のほうへまいりますると、「「民間の権威者は政府のバックによらないでも実力のある人で、協力に応ずる人を選定する。もとより、民間の協力者を各界の人と一堂に集めて任命し、定期的会合を持ち、気勢をあげるようなことは避け、一人の協力者は他の協力者がわからない夫々の紐によって結ばれ、数人の協力の必要な時は調査官が仲に立って紹介連絡の労を」とり「民間協力者は同時に、その分野の情報提供者を兼ねる」」、こういうこともいっておるわけですね。
 こういう点から見ると、これは明らかに諜報活動というものが調査室の任務であるというふうに私どもは判断せざるを得ないわけですが、こういう点について御見解いかがですか。官房長官でけっこうです。
○木村国務大臣 いま内閣調査室の仕事についていろいろ御批判がございましたが、御承知のとおり、政府がいろいろ重要政策を立てますときに、当然それに必要な情報を収集並びに調査することは、これはいずれの政府においても当然考えられる点でございます。ただ、その内閣調査室の仕事が、その目的とかあるいは手段において非常にまずいということがあれば、これは私ども警戒しなければいけない。しかしながら、いずれの国におきましても、たとえば対外的に申しましても、相手国との友好関係あるいは国際法、国際慣例に違反しないという限界におきましては、いずれの政府機関も大なり小なりやっておることでございます。また国内的に申しましても、先ほどお話がありましたとおり、思想とか言論の統制を行なわない、それに触れない、これは当然憲法で保障された国民の自由でございますから、そういう、非常に戒心をして業務を行なうのは当然でございます。また他国の法律あるいは慣行等にも違反しないように行なうということも、内閣調査室では非常に厳重に戒めておるところでございまして、決していま御指示のような仕事の内容ではございません。
○西宮委員 あるいは官房長官あとからおくれて来られたのかもしれませんが、私いま朗読しましたのは、この調査室ができ上がる、そのときの最終決定版の中の項目の若干を申し上げたのです。したがって、こういうことが調査室の性格であるということだと、先ほどの室長の答弁とはかなり違っていると思う。私は質的に違っておるのだと思う。しかし、いま時間が十分ありませんので、こまかい論議はできませんから、先を急ぎます。
 そこで、室長に具体的にお尋ねをいたしますが、現在おります職員の中には旧軍人はおるかいないか、あるいは何名いるか。
 それからもう一つ、民間の情報員は何名いるのか、お伺いいたします。
○大津説明員 内閣調査室にも、元軍人でおった方はおられます。ちょっと人数は何人か存じません。それから民間の調査員と申しますのは、委託団体のことだと思いますが、これにもおられると思いますが、何人かということはちょっといま手元にございません。
○加藤(勘)委員 ちょっと関連して。いまの室長のお答え、とんでもない話ですよ。何人おるかわからないというのは一体どういうことですか。この中には元特高、元大陸特務機関に働いておった者がたくさんおられるはずです。そういう人を主として集めておるのじゃないですか、諜報機関として。それを、何人おってだれが何だかわからぬという。そんなことで一体よく重大な諜報任務をまかせておくことができましたね。
○大津説明員 私のほうで、内閣調査室に勤務しております職員につきましては、戻って調べますれば何人とわかると思いますけれども、ただいまお話のような経歴の持ち主はおらないということでございます。
 それから民間団体のほうにつきましては、団体のほうにつきまして調査をしなければなりませんが、いまお話のような人をかかえ込んで特殊なそういうことをやっておられるような印象をお持ちでございますけれども、そういうことはいたしておりません。私どものほうとしてはそういうことはございませんので、どこでそういうことをお調べになったか存じませんけれども、調査をいたした上ではっきりさせたいと思います。
○加藤(勘)委員 そうしたら、官房長官の時間の都合があるでしょうから、ぼくはここで主として官房長官を中心としてお尋ねして、あと西宮君に譲るということにして、私は主として官房長官にお尋ねしたいのですが、いま大津室長のお答えにも関連をしておりますが、一体調査室の機構並びに職能はどんなものですか。
○木村国務大臣 調査室は、もうお話が出たかもしれませんが、所掌事務は内閣の重要政策に関する情報の収集及び調査、各行政機関の行なう情報の収集及び調査であって、内閣の重要政策にかかるものの連絡調整、これが所掌事務でございます。
 機構といたしましては、職員が定員は七十一名でございまして、内閣調査官が十五名、その他の職員五十六名、こういうことになっております。
○加藤(勘)委員 それでは私のほうからお尋ねしますが、やはりもっと正確にしておかなければいかぬと思いますが、定員表は大体官制を見ればすぐ出てくるのですね。調査室は、官制によると、六部に分かれておって、一部が国際情勢、二部が海外情勢、三部がマスコミ一般の対策、四部が資料収集及び分類、五部が学識経験者に対する対策、六部が総合分析、こういうようになっておりますが、これはそのとおりですか。
○木村国務大臣 いまおことばの点とは多少違う点がありますが、大体同じでございます。
○加藤(勘)委員 どういう点が違っておりますか。
○木村国務大臣 第一部とおっしゃいましたが、総務部でございます。総務部調査第一部、調査第二部、調査第三部、調査第四部、調査第五部、調査第六部、こういう名称になっております。
○加藤(勘)委員 要するに、頭に「調査」がつくだけですね。
 それで問題は、この調査室が委託しておる民間団体というか、外務省の外郭団体というか、それは別としまして、とにかく十一ある。その中でいま問題になっております世界政経調査会というものは主として共産圏の情報を扱うことになっておるようですが、それはどうですか。
○木村国務大臣 決して、主として共産圏を対象にしてはおりません。
○加藤(勘)委員 だけれども、それはそれなりの分類があって、たとえば共同通信に対してはどういう方面をやってもらうとか、あるいはNHK、日本放送協会に対しては海外放送の聴取並びに記録をとるというような、それぞれの任務がおおよそ与えられておるわけなんです。その中でこの世界政経調査会というのは――東南アジア方面はまた東南アジア調査会というので、上村健太郎という人が会長か主任か知りませんがやっておる。世界政経調査会のほうは広岡謙二氏が会長か主任か知らぬがやっておる。その任務は主として共産圏を扱っておるということになっておるが、そうじゃないですか。
○木村国務大臣 もちろん共産圏も中に入っておりますが、大体四部に分かれまして、国内関係、西欧関係、共産圏関係、総合分析関係、この四部に分かれて調査をやっております。
○加藤(勘)委員 そこで、さっき聞いておりますと、この委嘱団体が調査した資料を買い取る、こういうことのお答えがありましたけれども、金は概算払いで、先に払われているのじゃないですか。
○大津説明員 概算払いいたしますけれども、あとで精算をいたしております。
○加藤(勘)委員 もちろん、概算払いですから、精算をしなければならぬことは当然なんです。先に払うということと、あとからできた物件を買い取るということとはまるで性格が違うのですよ。先に金をやるということは、あらかじめ一定の目標が定められて、こういうものについての調査をしてもらいたいということで、概算払いで先に金が与えられているのじゃないですか。
○木村国務大臣 いま情報を買うという表現をお用いになりましたが、実はこの内閣調査室と世界政経調査会とは委託契約、したがいまして、委託契約の内容によって、先払いもあり得ることでございますし、また年に四回、分割して払う合場もあるのでございます。
○加藤(勘)委員 私が聞いておるのはそうでなくて、先ほどここで、これらの外郭団体が調査した資料を買うんだ、こう言ったのです。それならば当然、物件が提出されて初めて金が支払われるのが当然なんです。そうでなくして概算払い、年に何回であろうと、とにかく概算払いで先に支払われるということは、一定の目的がなければ先に払われぬはずです。それを私は言っておるのです。ほんとうにどちらなんです。
○大津説明員 先ほど申し上げましたように、世界政経調査会は、東南アジア、中東諸国を除く各国の政治、経済、社会事情等の調査並びにこれに関する資料の作成ということを、委託をお願いしておるわけでございまして、このためには、やはり四半期に分けまして、大体の計画、それについての見積もりというものを徴しまして、その結果出てくるものは、先ほど申しましたようにいろんな資料の形で出てまいるということでございまするし、証憑書類もついて精算が行なわれるということでございます。
○加藤(勘)委員 だから、委託をしておる団体であるから、これこれの仕事をやってもらいたいというので金が先払いされるわけですね。たとえ委託団体にしろ、できた調査資料というものを買い取るというのとは、まるで性格が違うのです。できたものを買うのならば、それはその責任は全部委託団体にあるわけです。けれども、そうでなくて、概算払いで先に金を払うという以上は、その調査事項について調査室が責任を持つということは、これは当然じゃないですか。
○大津説明員 先ほども申し上げましたように、資料の提出ということは、そのときそのときのカレントの問題等を取り上げまして調査をしてもらうということでございまして、それが先ほど申し上げましたいろいろな形の資料で提出せられるということでございまして、これは委託事項に対しまして調査をし、その調査した資料を提出することによって委託事項の責任を果たすという形になるわけでございます。
○加藤(勘)委員 同じことを何べん繰り返しておっても――だいぶあなたのほうの頭、考え方は違うのです。だから、この問題については、まだ先を急ぐし時間がないから、後日に保留するということにして、きょうのあなたに対する質問はやめますが、しかし、ここで主として官房長官にお伺いしたいことは、アメリカのCIAとの関係なんです。これは関係がないとは私は言わせない。アメリカの政府と日本政府との間に密接な関係があることは、これは明白なんです。ただし、情報の交換をどうしてやっておるか。このときに、内閣の調査室というものが、CIAとの関係をどういうようにつけておるか、これを明白にしてもらいたいと思います。
○木村国務大臣 誤解を生ずるといけませんからはっきり申し上げておきますが、政府機関とCIAとの直接の関係はございません。
○加藤(勘)委員 CIAがアメリカのいわゆる民間諜報機関であるということは、そのとおりでありまするから、知らぬと言えば知らないで済むと思うけれども、いままでたびたび政府側から言われたように、外国旅行者からさえ根掘り葉掘りその国の情報を聞こうとしておる。そういう場合に、CIAが御承知のように、あらゆる方面に触覚を伸ばして諜報を入手しようとしておると同様に、日本側の諜報機関もまた、この諜報機関を利用し、相互に情報の交換をやっておるんではないですか。
○木村国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、CIAはアメリカ――外国の政府機関でございます。ただいま仰せのような外国の旅行者に対して職務に忠実と申しますか、熱心さのあまりいろいろ情報を聞くということ、これはあり得る。しかしながら、CIAとの関係は、これはやはり国の機関と機関との関係でございますから、筋ははっきりしなければなりません。そこで、私どもの推測するところでは、CIAは日本にブランチを持っておりません。アメリカにある大使館を通じて、ある程度の情報の交換はあり得ると思っております。内閣調査室とCIAとの直接の関係は、重ねて申し上げますが、ございません。
○加藤(勘)委員 それは当然そうだと思う。日本のアメリカにおける大使館なり、あるいは日本にあるアメリカの大使館なりを通じて相互の国の情報が交換される、話し合いがなされる。また安保条約に基づく日米委員会において、いろいろな意見が出されることは当然だと思います。そこで話が交換される。しかし、その場合に、日本の側から出るいろいろなアメリカに対する情報提供の中に、調査室が調べた、あるいは委嘱団体に調べさした資料が出ておるということも、これまた否定することのできない事実だと思います。ただ政府機関が、形式的には違うにしても、実体においてはこの調査室が取り上げた資料が提供されておる。もしくはそれが根拠となって話がなされておる。そう思うんですが、その点はどうですか。
○木村国務大臣 いまのおことばどおり、当然これは情報の交換がございますが、わがほうの内閣調査室がアメリカのCIAに直接関係がないことは、申し上げましたとおりでございます。ある外交ルートを通じて情報の交換をいたします際に、日本の国益に反しない限りにおける情報の交換は当然行なわれておると思います。
○加藤(勘)委員 ちょっと中間ですけれども、外務省のほうにお尋ねしたい。
 十月十九日に旅券申請をして、二十二日に許可されておる。普通民間の旅行者が、こんなに手ぎわよく、簡便に、二日か三日で書類が完成し、そうして認可まで運べるものかどうか。
○北原政府委員 そのとおりでございます。普通には、二、三日で出すというのが慣例でございます。
○加藤(勘)委員 そうすると、われわれが知っておる民間人で旅行をしようという場合に、あるいは一カ月もかかり、二カ月もかかり、非常に長期間を要しておるのはどういうわけですか。
○北原政府委員 夏場で、非常に旅券発給事務の錯綜いたします場合に、十日あるいは二週間ぐらいかかるという例はあるそうでございます。しかしながら、普通の場合には数日をもって発行しておるというのが現状でございます。
○加藤(勘)委員 共産圏に旅行する場合には、相当正確な調査がなされて初めて旅券が交付されるということがわれわれが経験しておる事実なんです。この内河という人は明らかにソ連からモンゴル、しかもモンゴルは、十月の半ば過ぎということになれば、もう寒くて観光のシーズンじゃない。そういうときにモンゴルを目ざしてソ連を経由して入る。これについて、その身元をお調べになったですか。
○北原政府委員 本件につきましては、単なる書面審査でございます。観光ということで、審査をせず、いま述べられました何らの関係官庁との連絡もとらずに直ちにこれは発給しております。
○加藤(勘)委員 西宮君がやるそうですから、私は途中でやめて西宮君のほうを先に済ませましょう。
○西宮委員 ただいまCIAとの問題が加藤委員から質問されておりましたので、私も若干お尋ねしたいと思います。
 この発足当時、CIAと非常な密接な関係を持ってできたということは、歴史の事実ですから、だれも否定しないと思うのです。つまりこっちから初代の室長の村井さんがアメリカに行って見学をしてくるとか、あるいはアメリカのダレス、CIAの長官ですね、この人が五四年などには二月と三月と相次いで二回もやってくる、しかも極秘裏に。ですから、そのときには報道陣も全然気がつかなかった。あとでわかった。こういうようなことがしるされておるわけですが、そういうことで、非常な密接な連絡をとりなから出発をしたということは明らかであります。たとえば、昭和三十年の六月二十八日「内閣調査室に関する若干の所見」として、――これは政府の資料であります。ただしマル秘になっております。「CIA機構を検討して、其との比較研究」、こういうサブタイトルがついておりますが、その中には、「国務省管轄下の大、公使館としては、公式の外交機関の建前からして、情報工作面に一定の限度があり、その範囲外の面については、CIA関係者を協力させ(駐日米国大使館内にはCIA特派員が多数いる)、文字通り表裏一体の情報活動をしているのである。」こういうふうにしるしているわけであります。こういうふうに政府の報告の中にありますように、なるほどCIAのブランチはないでしょう。しかし、多数のCIAの関係者が米国大使館の中におるということはもう全くの常識であります。たとえば最近でも、ライシャワー大使が去って、新しい大使になってからCIAの関係者はふえたというようなことも新聞に報道されておるのでありまして、これはもうすでに常識だと思うのであります。ですから、特殊なブランチはないかもしれないが、それを通して密接な連絡をとっている、いわゆる表裏一体の活動をしているというようなことは疑問の余地がないと思うのです。
 室長にお尋ねいたします、あるいは官房長官に。CIAから調査室にはどういう金が、補助金みたいなものですね、そういうものが流れておるか流れていないか、お尋ねいたします。
○大津説明員 流れておりません。
○西宮委員 そういう御返事だろうと思いますが、たとえば昭和三十五年の資料を見ますると、資料といいましてもこれは民間の雑誌でありますが、雑誌としてはきわめて権威のある雑誌であります。その中に、昭和三十五年には六千万円来ている、こういうふうにいわれておるわけであります。昨今は、先ほどもお話がありましたように、たとえば裁判所関係にさえも来る、大学、学術研究団体にも来る、こういうような際に、全くその兄弟分である機関に全然来ないというようなことは、われわれむしろ常識として考えられないのですが、直接にも間接にも全くありませんか。
○大津説明員 ございません。
○西宮委員 それでは時間もありませんから会計検査院にお尋ねをいたしますが、この内閣調査室の予算の経理あるいは予算の執行という点についてはどういうふうに監査をしておられますか。
○斎藤会計検査院説明員 内閣官房調査室につきましても、ほかの官公庁と同じように検査をいたしております。検査のやり方といたしましては書面の検査、それから実地の検査と両方いたしております。
○西宮委員 それでは、たとえば調査室の業績というものについて、印刷物を見たりいろいろな事業成績等も詳細に見ておられますか。
○斎藤会計検査院説明員 たとえば、調査を委託した場合に、委託相手方の団体なり個人なりに対して、金を支払ったかどうかというようなことは調査をいたしておりますが、その業績があがったかどうかということにつきましては、検査院の検査の及ばないところではないかと考えます。
○西宮委員 その成績があがったかどうかというのではなしに、たとえば内閣調査室で出しておる印刷物であるとか、レポートであるとか、そういうものなどは全部把握をしておられますか。
○斎藤会計検査院説明員 印刷物等について、購入があればそれについての証拠書類は徴取いたしております。
○西宮委員 私はわざわざ会計検査院まで出向いて、そういうものを見せてもらいたいと言ったのですけれども、あなたがおられないで参事官でしたけれども、そういうものはわれわれの調査範囲外なので全然ありません、こういう答えなのです。
○斎藤会計検査院説明員 証拠書類はとってございます。
○西宮委員 それは人に見せられないのですか、われわれ公務員にも。
○斎藤会計検査院説明員 本来こういうものは御必要があれば原局でごらんいただくのが筋ではないか、私はさように考えます。
○西宮委員 したがいまして、私は原局まで出向いて見せてもらいたいとお願いをしたのだけれども、それはわれわれの調査範囲外なんだ、見せるわけにいかない――見せるわけにいかないじゃない、ありません、こういう答えなんですよ。私はそういうことではとてもこの膨大な金の監査などはできないと思う。たとえば昭和三十五年の特別国会で、当時の社会党党員でありました矢嶋三義さんが、そういうやり方をするから、いわゆる委託調査費だとかそういうものが、たとえば政府の高官の機密費みたいなものに使われてしまう、そういう懸念があるということで、その点を指摘をして問題にしておるわけです。ところがいまのような状態だと、おそらくこの膨大な委託費、あるいは調査費、報償費、特に報償費なんというものがそういう特定の人、一部の人の機密費みたいなものに使われてしまうのじゃないか、そういう懸念が多分にあるわけですが、会計検査院としてはそういうおそれは全くないと言いますか。
○斎藤会計検査院説明員 ただいま原局と申しましたのは、私のほうの原局を言うとおとりいただいたようですけれども、そうではなくて、内閣官房調査室のほうにそういう書類があるわけでございますので、そちらで見ていただいたほうがいいのじゃないかとさっき申し上げた次第であります。
 それから、内閣官房調査室の経費は、報償費と情報調査委託費と両方ございまして、報償費につきましては検査証明規則の十一条で簡易証明というのがございまして、簡易証明をいたしておるわけでございます。これは実地検査の場合に相手方に参りまして証拠書類を見せていただくということで、通常証拠書類を会計検査院に提出していただくことを省略しておるという趣旨のものでございます。情報調査委託費につきましてはこれはすべて証拠書類を徴取いたしております。
○西宮委員 この場合は、結局あなたのいわゆる原局ですが、そこへ行ってもなかなか困難ではないかと思ったので私は会計検査院に行ったのだけれども、それは調査の対象にしておらない、こういうお話なんで、私は非常にそれには驚いて帰ったわけです。あとでまたお尋ねをいたします。
 そこで、時間もありませんので最後にお尋ねをしたいのですが、いわゆる世界政経調査会と内閣調査室との関係でありますが、これがたとえば具体的な予算の執行なりその他、そういう点では十分に監督し、適正な予算の経理等が行なわれておるか、こういう点について、調査室はその金を出すほうの側ですから、その点については十分な責任が持てますか。
○大津説明員 いろいろ私どものほうとしては団体がございますので、その団体一つ一つにつきまして、先ほど申し上げましたように年間の計画を立て、四半期ごとにその予算の執行ということもございますが、その結果につきましては、やはり監督機関としての立場から十分にこれを監査もしていかなければならないという面もございまするし、私どもとしては、十分に御指摘のような点については努力をいたしておるつもりでございます。もし十分でない点がございますれば、今後そういう点について努力をいたしてまいらなければならない、かように考えております。
○西宮委員 その点については、残念ながら時間がありませんので、後日に譲ります。
 その政経調査会と調査室、これは仕事の面ではどういうふうに関連をしておりますか。つまり調査会がつくった資料をそのままうのみにする、こういうやり方ですか、あるいは調査室で相当チェックして出してくるということになっておりますか。
○大津説明員 ときどき打ち合わせの会議をして、指示をするというような場合も必要があるように思います。
○西宮委員 いや、私の言うのは、たとえば、これは民間団体ですから十分な責任が持てないと思うのです。そこで集めた資料、それが全部調査室の資料になり、それが政府の政策決定に重大な影響を与えていくということになると非常に重大だと思うのですが、その点については、どういうふうにして調査会を活用しておられますか。
○大津説明員 内閣調査室といたしましては、委託しました事項についての範囲というものにつきまして、十分な資料を期日までに出してもらうということがまず第一でございまするし、それから、そのでき上がりました成果というものについては、これを関係の機関に配付するなり、あるいは内閣のほうに提出をするというようなことをするとか、そういうことで活用してまいるということで委託の成果を施策に反映せしめるようにいたしておる次第でございます。
○西宮委員 私の質問の要点が十分御了解いただけないようでございますが、いわゆる調査会などは民間の団体で、必ずしも責任は持てないと思うのです。あるいは間違いがあっても責任を追求するということはできないと思うのです。ことにわれわれは、完全に途中を遮断されておるのでありますからできないと思うのです。そういう民間団体がつくった資料を、そのまま最終的には政府の政策決定に大きな影響を与えていくということになると、まことに重大だというふうに私は思うわけです。だから、その点をどう扱っているかということをお尋ねしたんだが、時間がありませんから、私は一つ例だけを申し上げたいと思うのです。これはいわゆる調査会で出した資料ですね。「時の焦点」、全く同じ、色が緑の濃いと薄いとの違いがあるだけですが、こちらは内閣の調査室の資料ですね。そうしますと、調査会で出した調査が一言半句違わずにこちらの内閣の資料に載っておるわけです。これは全くコンマからピリオドの打ち方まで全部一緒なんです。あるいはこういう表などが入っておりますが、こういう表なども完全に同じものです。全部同じものが入っておるわけですね。こういうことで、たとえば民間団体でつくったものがそのまま内閣の資料になり、それが日本の政策を決定しているのだということは、きわめて重大であり、しかも予算の乱費だというようにわれわれは言わざるを得ないと思う。そういう点で、ああいうばく大な金を使って、なぜ一体そういう民間団体にそういうことをやらせなければならないのか。そこに、いろいろさっき申し上げたように会計上の間違いが出てきたり、そういうことが出るおそれがある。おそらく今度のような事件に、たとえば政府が直接この間の内河さんというような人を派遣したということになってはたいへんだから、諜報関係などはワンクッション置こう、こういうことからやられておることだと思うのでありますが、それがしかも政府の重大な政策決定の資料になっていくというようなことではまことに問題だと思いますが、これは長官、いかがですか。
○木村国務大臣 私、就任いたしましていろいろ内閣調査室の機能その他の引き継ぎを受けまして、ただいま検討している最中でございますが、なるほど直接所掌事務と委託事務との間に、あまり大きな開きはございません。これは多少改善の要があるのではないかとただいまのところ考えております。
 いまお示しになりました印刷物は、偶然同じような時点で、その事柄の性質上なるべく広く頒布したほうがいいので、世界政経調査会として――あるいは政経調査会ではないと思いますが、そういう意味において、印刷が増刷されたものと私は解釈しております。
○西宮委員 時間がありませんので、残念ながら終わりにいたしますが、最後に欧亜局長に一言伺いますが、けさの毎日新聞には新しい重大な記事が出ておるわけです。この内河さんという人は五百万円もらってスパイ活動をした、こういうことが報道されておるのでありますが、おそらく、お尋ねをいたしましても、そういう事実はない、あるいは全く知らないという答弁だろうと思いますが、一つだけ具体的にお尋ねをしたいのは、この間のハバロフスクの裁判に、ソ連当局は、初めは日本人記者団にも傍聴させようとしたが、日本政府の申し入れによって、日本大使館の勝間田書記官だけにした、こう書いてあるが、これは事実ですか。
○北原政府委員 全くの虚構の事実でございます。全然そういう事実はございません。
○西宮委員 まだいろいろたくさん問題がございますけれども、後日に譲りまして、これでやめます。
○加藤(勘)委員 それでは木村さんがおられるようだから、私は集約して最後の質問をいたします。
 われわれがこのスパイ事件を重要に考えておるということは、言うまでもなく、国際間の問題であって、相手の国にどんな不快な念を与えるか、また、これが全体としての国交の上にどういう影響を与えるか、こういうことを非常に重要視するからです。ことにスパイ事件というようないまわしい事件を取り扱うことは、ほんとうを言えば、私はいやなんです。けれども、扱わざるを得ない。内河という人が八年の刑に処せられたといいますけれども、日本の少し古い話であるけれども、いわゆるゾルゲ事件、これに関連した尾崎君のごときは、ほとんど国民の知らないうちに死刑にされておる。私たちの知っておる人間でも、尾崎君と交遊があったというだけで数年間監獄に入れられておる。そういう事実を私たちは知っておるのです。したがって、今度の八年の懲役に対して、日本政府のほうでは、主として外務省等も、やれ抗議をするとか、やれ早期釈放を求めるとか、かってなことを言っておる。一体、判決文が手にも入らないで、真相も明白にならないときに、そういうことを一方的に言い切っていいものかどうか。これは国民をして非常に誤解を与えるような、何かソ連のほうが無理を言っておるような印象を与える宣伝としか考えられない。これは私は、官房長官は調査室の総括責任者として、当然その調査室の問題から起こったスパイ事件なんです。できれば私どもはこういうことのないことを望むのです。また事実はソ連側に誤りがあったということを望みたい。けれども、まだ判決文が手に入っておらぬと言いながら、どういう事情であるかわからない。勝間田という傍聴者、書記官の報告だけを得て、すぐ、やれ早期釈放であるとか、すぐ抗議するとか、一体ソ連の側でそんなに粗雑に調査したのでしょうか。御承知のように、日本の漁師が漁船に乗って漁業に出て、そしてソ連領にどういう関係かわからぬが上陸した。これらの場合も、スパイの嫌疑を受けて取り調べられたけれども、やはり無罪で釈放されておる。今度の場合、ことにいま西宮委員がきょうの新聞を読み上げましたが、これにはCIAとの関係さえあるというように思われる記事が出ておる。私はこれは重大な問題だと思うのです。だから、この内河という人は、世界政経調査会と内閣調査室とを混同して、政府機関と自分が錯覚を起こしてそういう陳述をしたかどうか知りませんけれども、そのいずれにしても、調査室がその根源であることは間違いない。形式上のスパイ行為そのものはどういうことであるか知らぬが、もしこれが完全に捕えられないで日本に帰ってきたならば、その報告は調査室に来るわけである。とすると、名目は一会社のサラリーマンとしての観光旅行であるというけれども、季節はずれのモンゴルに十月の末に行ったり、旅券の交付がわずか三日か四日でなされる。どうしても疑わざるを得ない。われわれが普通に考えても疑わざるを得ない。だから官房長官に望みたいことは、あなたが主管していらっしゃる調査室に対して、もう少し厳重に――何もスパイなんという卑劣な手段によらなくたって、日本のようないわゆるあけはなたれた、俗に、軍備がない――私は軍備がないとは言いませんけれども、そういう軍備がない、何も秘密を持っておらない国であるというならば、そんなに何もスパイまでやって外国の情報をとらなくてもいいではないか。公の公館を通じてとればいいではないか、こういうことが当然考えられる。どういう根拠で一体早期釈放であるとか抗議をするとかということが言われますか。国民に対する政府のてれ隠しの宣伝であるなら別問題。そうでないならば、もっとやはり慎重に扱わなければいかぬ。ごらんなさい。二十四日にこの問題が起こってから、私の目に入った新聞だけでもどれだけありますか。私は、目に入ったのは全部切り抜いてとっておる。こんなに大きな関心を持たれるに至ったことは、スパイ行為という卑劣な手段に日本政府が関係あるがごとく、あるいはないがごとく、そこにやはり疑惑を残しておるからこうなる。なぜもっと明白に、ないならないということを確信を持って言えないのか。お互いにその場だけを糊塗するような、委員会の質疑応答さえのがれて時間がたてばいい、そんな考えではいかぬと思う。こういう点について今後調査室の――先ほど会計検査院の問題も出ましたけれども、今年度の予算は二億円をこえているのです。この世界政経調査会に対しては、二億九百万円かになっている。一億何千万円じゃない。二億円以上の金を払って調査を委託する。その場合に、前払いか、できたものを買うか、そういうことが明白でない。そんなふしだらなことがありますか。また会計検査院にしてもそうだ。そういうようなあいまいな金の支出が概算払いで出されておって、それがどういう精算になっておるか知りませんけれども、それでどうして正確な検査ができるか。内閣官房の仕事だからあまり精密にできないというなら別問題。ことに諜報機関の問題なんかについては正確が期ぜられない、外部に発表ができないというなら別問題ですけれども、そうでない限りは、もっと明白にならなければならぬ。これはいずれも国民の税金なんです。決してかってにつくり出した金ではない。いずれ、先ほど横山君が要求しましたように、政経調査会の責任者である広岡氏に来てもらって、もっと明白に官房との関係を知りたいと思いますから、きょうはこれで質問を打ち切っておきます。
○木村国務大臣 今回の内河事件は、一私人の行き過ぎた行為から発端したものでございまして、それが現在非常にうまくいっております日ソ友好関係に多少のひびでも入れば、これは政府としてもきわめて遺憾でございます。しかしながら、この内河某といえども国民の一人でございますから、わが政府といたしましては、当然在外国民の保護という見地から、ただいまの手続をとるのは必要ではないかと考えております。
○大坪委員長 猪俣浩三君。
○猪俣委員 欧亜局長がお急ぎのようでありますから、欧亜局長に対します質問を第一にいたしたいと思います。
 先般、外務委員会におきまして、この問題のときに、三木外務大臣は、わが国はいまソ連とは親交を進めようとしておる際であるから、いわばスパイなんというものを出すはずはないんだというふうにおっしゃった、そのとおりだと思う。ところが最近になりまして、新聞の報ずるところによると、私の自宅のすぐ近くにプリンスホテルというものがある。ここにソ連の国立ボリショイ氷上サーカス団というのが五、六十人来て宿泊しておる。四月二十三日から来ておるのであります。しかるに、五月五日の午前十一時ごろ、この団長の部屋の捜索を高輪警察署員がやった。しかも、これは外事課の警部補だ。この人物は、この団長の行動についての全責任を負うておる人物だそうである。高橋久雄。しかもその日この団長は浜松市に出ることになって、それはもうちゃんと警察ではわかっておるはずだ。その団長の不在中、五月五日の午前十一時ごろ、室内捜索をやった。そのためにこの団長から厳重な抗議が外交団を通じて日本の外務省へ持ち込まれたはずである。これは最近まで一切不問に付せられておった。この経過を説明してください。
○北原政府委員 本件事実関係の所管は警察庁の所管だと思います。ただし、本件につきましては、ソ連大使館から申し入れがございまして、私ども外務省において関係当局から一応経緯の事情は聞きましたので、その範囲内で御説明いたしたいと思います。
 事件の発端は、高輪署の管轄の交番の係官が、その前に交番に対してロシヤ人らしい人が、この高輪プリンスホテルで何か物をなくして困っておるという連絡がございました。その連絡に基づきまして、交番の警官が高輪プリンスホテルに赴きまして、そうしてこの団長に面会して、それからどういう事情かということを聞こうと思って参ったよしでございます。彼がそのホテルに着きまして、団長の部室の番号を聞きまして、部屋の前まで参りましたところが、その部屋のドアがあいておりまして、中で掃除婦が部屋の掃除をしておったらしいのでございます。そこで、ついうっかり部屋の中に一歩踏み込んで、その部屋の人はいないのかということを掃除婦に聞いたわけでございますが、ちょうどそのときに、ボリショイ・サーカス団の団員の人がその部屋の前の廊下を通り過ぎたわけでございます。そこで、自分はここは団長の部屋だと知っている、部屋にだれか入っているということで、おまえはだれだということになりまして、いや、実はこういう事件のために団長に会って事情を聞きにきたのだということを言われました。その後、大使館から個人の部屋に入るということは困るという申し入れがございました。外務省といたしましては、さっそく関係当局から事情を聴取いたしましたので、それを十分に納得いくように説明いたした次第でございます。
○猪俣委員 そういう説明は成り立たぬ情勢のようだ。これは結局内河なんという事件があった際でありますからなおさらでありましょうが、非常な怒りを発しておる。このいま通りかかったソ連の団員というものは、副団長なんです。その副団長を、部屋に入ろうとしたらちょっと待ってくれと言ってとめたという。そのときに、どうも中にもう一人人物がいて、何か人がうごめいている気配がした、どういうわけだか自分を入れなかった。それからこういう集団の人たちの盗難届けなんかを、そんな交番に単独に届けるなんということはない。必ずソ連の外交機関を通じて日本の外交官に頼むのだ。それを品川駅前の交番に外国人が来た。それをすぐボリショイ・サーカス団だと思ったということもおかしな話だ。そうして団長が浜松市に行っておることを高橋という警部補は知っておらなければならぬ。これは団長の専門の係なんだ。その日をねらってやってきたということで、しかも入ろうとしたらとめたということであります。それを厳重な抗議をしてあるはずですが、あなた方のような説明で納得できないのですか、ケリはついたのですか。
○北原政府委員 私どもできる限りの経緯を詳細説明いたしまして、その後ソ連側からは再度申し入れはございません。
○猪俣委員 これは警察庁の問題であるかもしれませんから、これ以上聞きませんが、盗難届けがあったというので部屋へ入ったんだということだ。しかし私どものところの情報からいえば、ソ連のこのボリショイ氷上サーカス団というのは非常に不快な思いをして、日本に対して悪感情を持って、あなたの説明では、それで了解したと言われるようですが、絶対了解していないらしい。これは日本の警察がスパイをやっているのだという深い印象を持っているらしいのでありますから、どうかごまかしの答弁にならず、日本とソ連との国交伸展は大事な外交問題です。これに対して外務省は、熱心に彼らの感情をやわらかく解きほぐすようにもっと説明していただきたいのです。何がゆえに副団長が入ろうとしたのをとめたのであるか。そういう処置をしておる。中にボーイが入っているというが、ボーイを買収すれば幾らでもできる。警察官が二人入ってやっていたとわれわれも思われる。交番へ盗難届けをするということはないというのです。外人が盗難届けをした、それが直ちにボリショイ氷上サーカス団だと思ったということもおかしな話だ。そういうことに対しまして、これ以上は申しませんが、もっと親切丁寧に、徹底的に証拠をあげて、彼らの悪感情をぼくは融和する義務があると思いますが、いかなる努力をなさるか、その方針を聞きたい。
○北原政府委員 ただいまのお話のソ連側の主張と、それから直接事実を調べております警察庁のほうの事実の説明と、幾分私どもも食い違いがあることをよく承知いたしております。その点をも含めまして、私どもの所管課長から先方の担当官に対して十分説明した次第でございます。私どもといたしましては、一応事情は先方もよく了解してくれたというふうに考えております。
○猪俣委員 それじゃ、私は法務大臣にお尋ねを一つしたいと思います。それは法務省とアジア財団の関係であります。裁判所からは非常に詳細な御説明があったわけですが、法務大臣はごく簡単に片づけられた。そこでお尋ねしますが、ここにアジア財団日本支部の一九五七年八月から一九六六年の七月までの年次報告九冊が私の手元にあるわけです。これには詳細に、いかなる学校、官庁に金を出したかが出ておるわけです。法務省のもここに出ておりまして、あなたはさっきごく簡単におっしゃったけれども、どうもそうでもないようです。一九五七年八月一日から一九五八年七月末日までの一カ年間のアジア財団日本支部の年次報告、これにまずあらわれて出てきています。法務省の法務研修所、ここに金がきている、これはお認めになりますか。
○田中国務大臣 ちょっと拝見。
 わかりました。先ほど答弁を申し上げたとおりでございます。アジ研がアジ研としてそういう補助助成金を受けたものでない。アジ研に属する職員が旅行に際しまして、よくありがちなものでございますが、援助を受けたことはある。また先ほども申し上げましたように、法務省のあらゆる機関を調べてみましたが、政府の機関としては受け取ったものは一つもない。これは間違いないものと存じます。政府の職員の一人が個人として米国留学中、滞在中に旅費、研究費その他の交付を受けたことはある、こういうことでございまして、その文書は研修所に、アジ研に属する職員に交付をした金額であると思います。それは間違いはございません。
○猪俣委員 なお一九六五年八月から六六年七月までの年次報告には「法務省、法務関係者海外研究調査プログラム」、こうした金をもらっておる。それから「司法研修所、司法関係者米国留学プログラム」、こういう名前でもらっておる。これは法務省も関係があるかどうか。これの「アジア極東犯罪防止研修所」、こういう名目で金が出ておる。これは、どういう手続で一体アジア財団から、あなたの説明によると個人に金が渡るのですか、あるいは法務省に一たん渡って、それから個人にいくんですか。そして、こういう金が幾らであり、だれであるか、みなわかっているのですか、どうですか。
○田中国務大臣 法務省の研修所その他の機関が交付を受けたものではない。その機関に所属いたします職員が旅行、研究その他に際して交付を受けたものである。そこで、その者がどういう者であるかわかっておりますだけ、ただいま事務から報告させます。
○辻(辰)政府委員 アジア財団から援助を受けました法務省に属する職員でございますが、まず、法務省の職員が海外の大学の試験を受けまして、合格いたしまして留学いたします場合に、通常の場合には、その大学の滞在費、往復の旅費は許可いたしました大学その他のフェローシップであるとか、そういうところから保証されるわけでございます。そういう試験を受けて合格いたした職員が、海外に参ります場合に、海外に滞在中に、アメリカの場合が多いのでございますが、アメリカの国内を旅行する、こういうことがございます。この国内を旅行する費用がないというのが通常の場合でございます。かように、留学いたしました際に、国内旅行の費用ということで、このアジア財団から当該職員が個人でいただいたというケースがあるわけでございます。これは法務省所管の職員では、昭和三十四年以降現在まで十二、三名に及んでいると思うわけでございます。この一人は、金額も若干違う場合がございますが、おおむね五百ドルいただいておるというのがいままでの調査で判明いたしております。これは個人があくまで財団に参りましてお願いしていただいておるという関係でございます。
 それから、もう一点先ほど御指摘がございました、いわゆるアジ研の者がもらっているという点でございますが、これも先ほど大臣からお答えがございましたように、アジ研の所属職員が、他の関係者と、これは昭和三十七年と思いますけれども、アジア研究所が――府中市にありますが、府中市における少年非行の実態の調査を、あくまでこれは個人の資格で、他の関係機関の職員と合同して研究するという計画ができまして、この研究をいたします際に、これもあくまで職員が個人の資格で、このアジア財団から研究費といいますか、実費弁償といいますか、そういう名目で日本金にいたしまして百九十万ばかりの援助を受けておる次第でございます。これ以外には法務省の関係の職員がアジア財団から個人の資格でいただいたというものはございません。以上でございます。
○猪俣委員 これに対して、私、非常に疑義があるけれども、きょうは時間がないから省きます。もっとあなた詳細に検討してください。年次報告には、「法務省」と大きな字で書いてある。個人の名前は書いてない。「法務省、法務関係者海外研究調査プログラム」と書いてある。その点どういうふうに法務省のほうに報告され、法務省は詳細がわかっておるのかどうか。アジア財団と法務省の職員との個人関係というふうに御答弁は聞けるのですが、ところが、年次報告には「法務省」と書いてある。そういうところが少しおかしい。
 この同じ一九六五年から六六年七月までの報告に、肩を並べて「最高裁判所、第二回アジア司法会議開催」となっておる。これは一体何をやったのですか。
○岸最高裁判所長官代理者 年次報告には、御指摘のとおり、「最高裁判所」あるいは「司法研修所」「家庭裁判所」というような書き方がしてありますけれども、その実態は先ほど横山委員の御質問に対してお答えしたとおりでありまして、それは先方のつくった書面でありまして、裁判所の関係におきましては、裁判所として受けたのは七、八年前にグリュック教授の「少年非行の予測」という本の寄贈を受けました。それだけでございます。そこの表示のしかたは、財団のほうの書き方の問題でありまして、実際はあくまでも、法務大臣が御説明になったようなことと同様でございます。
○猪俣委員 この年次報告の同じところには、「司法研修所」「法律扶助協会」「東京家庭裁判所」それから「日本弁護士連合会」、これは皆さんに監督権はないわけです。これは日弁連で非常に問題になっておるのですが、こういうところに一九六五年から六六年までに一斉に金が出ておる。
 そこで、法務大臣及び最高裁判所事務総長にお伺いしますが、このアジア財団なるアメリカの財団は、どういう性格なものと御認識なんですか。
○田中国務大臣 これは米国カリフォルニアの州当局の許可を受けて、日本で申しますと財団法人に近いようなものであると御承知を願いたいと思います。
 これは一体何をやっておるのかといいますと、アメリカに滞在をして、アメリカを研究する。サイトシーイングの場合に金を出したような例はないようですが、アメリカを理解するために、アメリカに滞在して学問を研究しておる場合に、書物が足らなければ書物代をやったり、短期の間に方方旅行したいという者に対しては、飛行機代を与えたり、宿泊料を出したりするような意味の補助金を無条件の美しい心持ちで、アメリカから申しますと、外人の客を大事にするという意味で、たいへん美しい愛情で援助をしてくれておる。場合によりますと、日本からアメリカに行きます場合の旅費もくれておる。日本において研修いたします場合の研修費の一部もくれておるというようなことをしてくれておるようでございます。先生におことばを返すようなお話で言いにくいのですが、先生のおことばによりますと、何かそういう援助を受けておることがけしからぬ、間違ったことのような印象を私はここで承っておって聞くのでありますけれども、それはむしろ逆で、たいへんアメリカの美しい行為である。そういう美しい行為を、あちらこちら広範囲にわたってしてくれておる財団であるというふうに、私は好意ある理解をしておるのでございます。
 それから一口申し上げますが、なるほどレポートによりますと、「法務省」と書いてある、「裁判所」と書いてありますが、おそらく法務省関係の職員に対する交付の金額かくのごとしという意味の統計ではなかろうかと存じますが、これは大事な御発言でございますので、それはどういう意味で「法務省」となっておるのかということを、法務省に関する限りにおいては、すみやかにひとつ調査をさせまして、先生のところにこれを御報告を申し上げることにいたします。
○猪俣委員 政府機関の方々が、そういう御認識であるから間違いができるんじゃないですか。これはもう各新聞にみな出ておる。本年三月二十三日に、サンフランシスコ二十二日発UPIの電報によれば、アジア財団は二十一日同財団がCIAから財政的支援を受けていることを公表した。そしてその公表する前に、黒い手がアジア財団にも伸びておるということをアメリカの新聞がじゃんじゃん書いておる。
 そこで、アジア財団といたしましては、それがために緊急執行委員会を開いて、この問題を検討した。その結果、これはCIAから援助を受けておることを公表せざるを得なくなって公表した。これはワシントンの共同通信の電報にも、あるいはアメリカのワシントンのAPの電報にも、あるいはサンフランシスコのいま申しましたUPIの電報にも、みんな出ておるのであります。ことしの日本の新聞にみな出ているじゃありませんか。これを全然皆さん方は無視している。内閣調査室そのものの情報活動が、CIAと何らかの関係があるということが非常に私ども気にかかって、いろいろ質問している。ところが、このアジア財団なるアジアにおける広大もない――この年次報告を見ますと、とても、これは一々見たら、奇々怪々な方面へ出ている。国会議員の世界視察費なんというものが出ている。これは一々言うたら実に奇怪なんです。しかし、時間がありません。どこの一体何党の国会議員だか知らぬが、アジア財団から金をもらって欧米視察して歩いている。そういうふうなことです。ことに昨年五月五日の朝日新聞に大きな見出しの記事が出ている。「影の政府CIA、米国内で論議再燃」、そして「裁判所にまで圧力、無気味な秘密のベール」こういう大々的な記事が出ているじゃないですか。こういう記事の出ている際に、そういうものから金の出ている財団から金をもらう。アメリカのCIAが直接金なんか出しておりません。まず全然有名無実のもうろう財団をつくり、そのもうろう財団から名前の知れている財団へ金がいって、その財団から今度はその財団の選定したものへ金がいく、こういう仕組みになっておることは、向こうからもずいぶんいろいろな、このCIAの内部のことは本にも出ておりますが、情報も出ているはずだ。それを一切お考えなしにお金をもらっている。こういうノーズロースみたいな形でおるからだめなんだ。それで、はなはだ美しいことだなんて法務大臣言っているのですが、それはあめをしゃぶらせなければ情報をとれないことは、古今東西のスパイのやり方じゃないですか。それを美しいなんてあめだけしゃぶっておれば、とんでもないことまで取られてしまう。「裁判所にまで圧力」なんて、この内容は、みんな書いてありますが、時間がないからやめます。これに対して、政府機関も法務省も裁判所も、それから内閣調査室も、もう少し真剣にCIAとの関係を考えてください。CIAが単なる情報機関でないことは、相当な破壊活動をやることは、歴史的な事実ではありませんか。幾多の例が出ているはずだ。あなた方はそれを全然知らぬのですか。全然知らぬのだったらこれはあきめくらみたいなものだ。CIAというものがキューバの作戦まで指図する、ベトナム戦争まで引き起こした原動力であることは、明らかなことじゃないですか。そういうCIAから金が出ているようなこういうアジア財団。だから、いま弁護士会では大問題になっているのだ。それを知らぬで弁護士会も金をもらっておった。民間人でも、あるいは政府機関でも、みな、知ってか知らずか、こういうことおかまいなしなんだ。私はもっとたくさん質問したいのですが、これは十分ひとつCIAの本体というものを御研究なさるとともに、用心していただきたいのだ。裁判所までCIAの手が伸びたら一体どうするのですか。法務省まで伸びたらどうするのですか。日本の独立なんて失われるじゃないですか。それに対して何かありますか、総長。
○岸最高裁判所長官代理者 先ほど、裁判所のほうにもお尋ねがございまして、お答えする機会を逸しましたので、この際御説明いたしたいと思います。
 このアジア財団というのは、政治にも宗教にも一切関係ないということがたてまえになっておるようであります。それは毎年の年次報告の冒頭にも説明されております。そしてその活動は、御承知のとおり、その年次報告にありますように、大学、報道機関その他の各方面に対して、研究、会議の開催、研修等についての援助ということでございまして、事、裁判所関係との問題につきましても、先ほど申しましたような事情で、外国の大学へ留学する裁判官、検察官、あるいは修習生が参りますときにも、何らの義務を負うてない、また、何らの題目も与えられてない、全く本人の自由に研究してよろしい、そういうことで、その研究の結果も別に報告義務を負うてない、そういうような状態でございます。したがいまして、裁判所にCIAから圧力がかかっているという御懸念は全く御無用でございます。
○猪俣委員 あなたが御無用だと言ったって、そうはいかぬのだ。そういう御無用だというような頭であると、とんでもないことになりますよ。これはそれ以上はやめておきます。
 もう一問だけで、時間がありませんから私はやめますが、内閣調査室はスパイ行動にも一切関係しておらないような御答弁ですが、旭洋丸事件というのは室長御存じであろうと思う。これは私が三十六年の四月七日の当法務委員会で徹底的に質問した事件だ。これは長くなりますから略しますが、旭洋丸という船を島根県のある港から仕立てて、そして韓国の有名な特高、スパイを一人その船に乗せて北朝鮮の新浦まで送り届けて、そこへ下ろして引き返してきたところで海上保安庁につかまったという事件だ。だんだん調べてみると、洲崎利秋という人物が出入国管理令違反でもってやられた。ところが、彼は非常に開き直りまして、これは内閣調査室その他の日本の治安関係が十分了解の上やったことだ、なぜおれを罪にするのだ、それが証拠には、この島根県の浜田の警察署、境港の警察署の署長や署員が来て、御苦労であった、そうして酒まで寄付しているじゃないかということで、ところが検察庁はこれを起訴いたしまして、裁判になりました。これが島根県の松江地方裁判所の浜田支部であった。この洲崎利秋の申し立て、すなわち、政府機関が承知して北朝鮮にスパイを送り込んだという事情を認められまして、無罪の判決が出ている。これは内閣調査室から相当の関係者が証人として呼ばれたと思うのだ。ことに内閣調査室におった人であなた方が知らぬ、聞いていないはずはないと思うのだが、福島四郎という人がおるでしょう。その下に渡邊清茂という人物があるはずだ。あなたもし知らぬなら調べてくださいよ。これは内閣調査室が非常にろうばいした事件なんだ。あなた一体いつから調査室長になったのか知らぬけれども、この判決は昭和三十八年に出ている。この人物が被告とされた、出入国管理令違反で処罰されようとしたときに、法務省の人権擁護局に訴え、私のところへ訴えて、私は全くだまされた、警察から内閣調査室の役人までが保証して行ってきたものを、仕事を終えて帰ってきたら処罰される、徳川幕府時代と同じことだ、こう言って憤慨してきまして、私はこの法務委員会で相当の質問をしたところが、明確な答弁ができなかった。しかし、これは裁判の結果、無罪になっておる。その判決の理由がそういう理由だ。どうもこの男は犯罪意識がなかった、相当国家機関が関与しているという事実が認められて無罪になりました。その国家機関のまず第一にあるのが内閣調査室なんだ。この判決をひとつ調べなさい。知りませんか、知っていますか、あなたに聞いてみます。
○大津説明員 旭洋丸事件につきまして、私詳しいことは存じませんが、この事件が無罪として決定したのかどうか、その辺私はっきり知りませんけれども、何かこの事件に関連をいたしまして、もと調査室におった人が、参考人ですか証人ですかに呼ばれたことがあるということは聞いております。
 それから、私間接でございますが、その人の話を聞いておるところでは、この被告が自分の有利な材料にするためにそういうことを言ったのである、しかし、事実内閣調査室のほうは何ら関係がなかったということを聞いております。詳しいことは存じておりません。その程度でございます。
○猪俣委員 私が教えますから調査しなさい。渡邊清茂なる人物の――これは小説「日本列島」の中に原文がみな出ているのですよ。内閣調査室長の村井氏あての手紙。これがどういうわけで内閣調査室から持ち出されたか、内閣調査室の書類が相当持ち出されているのだ。これが「日本列島」の作家の手に入っておる。これが裁判に原文が出て、彼が自分が書いたことを裁判所で認めています。この渡邊清茂なる人物は、病気のために松江裁判所まで行くことができなくて、神奈川県の藤沢簡裁でもって証拠調べをしておる。それから福島四郎という、これも内閣調査室の関係者だ。これは東京地方裁判所で証人尋問を受けていますよ。中島辰次郎という人物と一緒に受けている。そういう証拠の結果、いま申しましたように浜田支部では無罪の判決をくだして、いま検事は控訴している。広島高等裁判所松江支部でいま審理中でありますが、とにかく無罪。無罪の理由が国家機関が関与しているということを認めた結果なのです。その筆頭が内閣調査室なのです。私は三十六年の四月七日当衆議院の法務委員会で詳しく事件の内容を質問しておりますから、速記録を見ていただいてもわかる。また三輪という、防衛庁に行っている人ですが、あれは警察庁の警備局長をやっておった。あの人が先頭に立って、長官から、内閣調査室から、みんな出てきてここで証言をやっておる。それをひとつ読んでごらんなさい。そういうことのないように私は警告する意味においてこの事実を申し上げて、一切スパイ行為に関係してないようなことをおっしゃっても、こういうことがあるのだから、内閣調査室に対してはわれわれは信用が置けないということをまた警告しておきます。
 時間がありませんので、これで終わります。
○大坪委員長 中谷鉄也君。
○中谷委員 では簡単にお尋ねをいたします。
 外務省のほうにお尋ねをいたしたいと思いますが、内河事件と略称いたしますが、この事件について私ロシア共和国刑事訴訟法典というものを若干調べてみたわけなのです。その関係でお尋ねをいたしますが、この内河という人の不服申し立ての手続はすでにとられているのかどうか、この点いかがでございますか。
○岡田説明員 上告の手続はいたしております。
○中谷委員 いついたされたわけですか。
○岡田説明員 二十八日にしております。
○中谷委員 判決に対する不服申し立て及び抗議の期間という刑事訴訟法の――刑事訴訟法というのはソビエトの刑事訴訟法でございますが、三百二十八条によりますと、いわゆる有罪の判決を受けた者で勾留されている者については、判決の写しを交付された日からということに相なっている。そうすると内河という人に対しては判決文の写しがすでに交付されている、こういうようにお伺いしてよろしいかどうか。
○岡田説明員 判決の写しは、二十六日に本人に手渡されたということを聞いております。
○中谷委員 そこで、先ほど政府委員の御答弁の中にありましたけれども、すでに弁護人についても同じく判決の写しは交付されている。そうして結局、何か判決文の骨子なるものを外務省は現在所持しておられる、こういうことなのです。そこで私が疑問に思うのは、判決文にどういうふうな記載があるか、この点が論議の対象であり、一番基本なのです。すでに二十六日に内河さんには判決文が送付されている。同時に、そのころ弁護人にも判決文の送付があったと見るのが私は筋だと思う。結局、判決文の骨子なるものを、弁護人を通じて外務省が入手をしたというのは一体どういうことなのか、一体何に基づいてその骨子なるものが作成されたのか。私がなぜそのようなことをお尋ねするかというのは、この問題が問題として燃え上がっている。判決文が手に入りませんよということで、外務省は判決文の入手ができる状態であるにかかわらず、あえて入手しようとしていないのじゃないか。そして判決文の骨子なるもので何か委員会の論議をとにかくぼやかそうとしているのじゃないか、私はこういうような感じがしてしようがない。判決文の骨子というものがどのようなものに基づいてできたのか、この点をお伺いしたいと思います。
○岡田説明員 当時裁判所に傍聴に参りました日本大使館の館員が、裁判長が判決文を朗読いたしましたのを傍聴いたしまして、その傍聴いたしましたのに基づきまして、自分がその要旨を書きとどめて、そうしてモスクワに帰りまして、東京に報告をしてまいった、これが経緯でございます。
○中谷委員 先ほどの政府委員の答弁はそうじゃなかったと私は記憶してますよ。弁護人からそういう判決文を入手した、そういうように私は聞いた。
○岡田説明員 そういうような御答弁があったかもしれませんが、事実は、それは日本人がこういう場合に裁判にかけられる場合には、日本人を保護するのは当然の大使館の義務でございますので、大使館員を直ちに裁判所の公開される公判に出席させまして、そしてそれを聞いてまとめたものが判決の要旨であるというぐあいに御了解いただきたいと思います。
○中谷委員 そうすると、こういうことなんですね。二十六日にはすでに内河さんに判決文が交付されている。同じころ弁護人にも判決文が交付されたということが当然予想される。だから判決文の全文を入手するということについて、外務省としては容易に入手できる状態になる。それを二十二日の言い渡しのときの、裁判官が判決言い渡しで述べたところの事実の摘示並びにその証拠――証拠があげられたかどうかは別として、それがいわゆる要領筆記をされたものである限り、きょうすでに三十日でございましょう、国会で論議の対象の素材になっておる、容易に入手されるはずの判決文について、なぜ入手されようとしないのか、そういうことは逆に言うならば、本件についての――これはロシヤ共和国刑法典の六十五条でございましょう、要するに、問題になる点は、一つは外国諜報機関の任務を受けたかどうかという点の事実の認定の問題が一つ。いま一つは、ソビエト連邦の利益を害する目的に利用するために情報を収集したかどうか、これらの要件を充足すれば有罪になる、こういうふうな点について判決文は詳細に記載しているはずなんです。ソビエトの判決文というのは、日本と違って詳細に記載されているというのが例だというふうに私は聞いている。それをあえて入手しようとしていないのじゃないか、入手の時期を延ばそうとしているのじゃないか、こういうふうにしか私には思えないが、どうですか。
○岡田説明員 ただいまの判決文が本人に手渡されたであろうというのは、私どもは本人から直接その判決文が渡されましたということを聞いたわけではないわけでございます。弁護人を通じて本人に手交されたというぐあいにわれわれは報告を受けておるわけであります。それで、判決文を入手する努力が足りないのではないかというお話でございますけれども、本省からはモスクワの大使館に対しまして、数度にわたりまして訓令を出しまして、至急判決文を入手するようにソ連側に申し入れをいたしております。それでそういう判決文の入手を遅滞させるというような意識のもとにそういう行動をとっておらないということをはっきり申し上げます。
○中谷委員 刑訴法の三百二十八条、御存じですか。
○岡田説明員 ソ連のですか。
○中谷委員 そうです。この刑訴法三百二十八条によりますと、判決文の交付が不服申し立ての起算日になっておりますね。ですから、私はあなたの御答弁の中に、在外日本人のとにかく権利を保護するのだというようなことをおっしゃっておられるけれども、判決文が交付されたというようなことについては、ソビエトのとにかく政府が選んだ官選の弁護人、その人から間接的に聞いているのだというふうなことで、私はそういうふうなことについての権利保護のための熱意があるとは思えない。そのことをなぜ――本人との面会が禁止されているわけではございませんでしょう。だから容易に入手できるにかかわらず、入手していないということを私は言わざるを得ないと思う。八方手を尽くしたといいますけれども、それなら結局弁護人に対して判決文のとにかく交付方――コピーすれば簡単なものですよ、そういうようなものについての入手について努力をなぜされないのか、この点はいかがですか。
○岡田説明員 この問題はもう少しわれわれ考えてみたいと思うのですが、要するに私どもはしばしばこの判決文のその入手方を申し入れておるわけです。実際問題として、弁護士は、裁判関係者、つまり裁判官、検事、被告及び弁護士以外は閲覧禁止の由である、それで入手できなかったということを第一回目のときは言ってきておるわけです。しかしそれにもかかわらず、何とかして判決文を入手したいということで、これまで数度にわたりましてモスクワ大使館に対しまして訓令を出して、判決文を入手するように行為をとっております。
○中谷委員 三百二十八条には、いわゆる関係者以外に見せないなんという規定はどこにもありませんよ。そうでしょう。それが弁護人が入手していると思われるものをなぜそういうふうな努力をしないのか、これは私は故意に努力を怠っているとしか思えない。この点、私はやはり指摘せざるを得ないと思うのです。ただ、そういうことばかりを申し上げてもいかぬから、現在おたくのほうで入手している、いわゆる本件行為というものの概要については、法廷の言い渡しを要領筆記をしたところの勝間田という書記官の方の報告、これがその基礎になっていたということだから、六十五条の関係でお尋ねをいたしますけれども、勝間田書記官の報告は、そうすると、六十五条の「外国諜報機関の任務を受け、」この外国諜報機関というものについては、具体的にどこの国の何という名前の、ということが明示されなければならぬ、この点については判決文の中にはどのように明示されているのか、この点はいかがでしょうか。
○岡田説明員 これは本人が自白したといわれるその裁判……。
○中谷委員 判決のときにどう言ったかということを……。
○岡田説明員 判決の理由書の大要でございますけれども、それをいま読んでいるわけです。「日本の内閣調査室及び世界政経調査会の指令を受けソ連の国家的軍事機密に属する情報」という形で言っておりますので、「日本の内閣調査室及び世界政経調査会の指令」ということを言っておるようでございます。
○中谷委員 そこで証拠の関係では、それは何に基づいてということを、もう一度確認をいたしたいと思います。
○岡田説明員 それは勝間田書記官が、法廷で聴取した裁判長の判決文を自分で記録したものに基づいて書いたものでございます。
○中谷委員 そうじゃないのです。要するに、それは事実の摘示でございましょう、事実の摘示と、それがどんな証拠に基づいているか、その証拠は何に基づいているかということを聞いているのです。そういう判決の言い渡しを勝間田書記官が聞いたということはいいのですよ。その事実の摘示、内閣調査室という名前と、いま一つ名前が出てきた、調査会の名前も。それはどういうような証拠に基づいているという判示であったかどうかということについてお聞きしておるわけです。意味は理解いただけますね。
○岡田説明員 内閣調査室及び世界政経調査会の指令があったかどうかという、それを何に基づいて裁判長が判断したかということは、勝間田書記官の報告から見る限りははっきりわかりません。
○中谷委員 もう少しお聞きしたいのですが、結局、政府の一貫したこの問題についての御答弁は、要するに、日本政府はこの問題については関係はないんだ、こういうことが一貫した御答弁だったと思うのです。ところが、内河という人が内閣調査室の指令を受けたということで判示されておる。だから、端的に申しまして裁判を受けている。そしてそのことによって身体を拘束される、いわゆる自由剥奪を受けるというのは、これは内河さんだけれども、日本国の名誉というものもかかっていると思うのです。そこで内閣調査室という名前が出てきた。すでに内河さんは不服申し立ての手続をしておる。その中で、内閣調査室としては、それは関係がないというマイナスの立証になるわけですね。そういう事実があったという立証ではなくて、ないという立証になるのですけれども、そういうようなことについて、不服申し立てをした内河というまぎれもない日本国民、この人のためにどういうようなかっこうで立証をしてこの内河という人を助ける努力をするのか、こういう努力はいままで全然しなかった、あるいはそういう努力のしようがないんだということになれば、各委員がお尋ねをしたように、内閣調査室の指令を受けているということはあり得るじゃないか、推定できるじゃないかということの議論も成り立つと思うのです。内閣調査室としては、そういうふうな立証をすることの努力をされますか、あるいはそういうようなことについての自信がありますか、その点はいかがですか。
○大津説明員 内閣調査室は、この事件につきまして、関知しておらないということは再三申し上げておるとおりでございます。結局この問題は、やはり上告されたということでございますれば、上告を通じまして、その判決によりましてまた明らかになるのではないか、このように考えております。
○中谷委員 そんなことはあたりまえのことで、裁判の進行について室長からお聞きするつもりはないのです。問題は、自由剥奪をされた内河という日本国民の保護をするんだと外務省は言っておられる。直接の名前が出たのは、内閣調査室なんだ。そうだとすれば、外務省としては――特に外務省は何かすすめて不服申し立てをさせたということなんだけれども、その点について、一体どのようにこの問題に取り組んでいかれるのか、全然そういうことの取り組みをされずに、ただ、関係ないんだ、日本国政府は関係ないんだということだけであれば、これは私はおかしいと思うのです。その点についてはどうでしょうか。外務省からお答えいただきたい。
○岡田説明員 日本国民が、在外におきましてこういう問題を起こした場合に、その日本人の生命を保護するということは当然政府が行なわなければならない義務でありますし、また、日ソ関係がこういうように好転しているときに、こういうことがあり得るはずがないというのに、こういう事件が起きたわけでございますので、われわれといたしましては、在外公館を通じて、在ソ大使館を総動員することはもちろん、東京におきましても、必要な場合には、ソ連側に対しまして十分家族の真情その他をも訴えまして、そして本人が早く帰国できるように運動を続けていきたいと思います。
○中谷委員 家族の真情を訴えるということは、有罪無罪の話と違いますよ。日本人が自由を剥奪されたことについて、内河さんの家族がそのことについて涙していることはあたりまえです。ただ問題は、日本国政府の指令に基づいて、そういうふうな情報収集をしたのだという、日本国政府のあまりかっこうのいい話でなくなっている。そのことについて、不服申し立てをした内河という人の生命を保護するという立場から、いま一つは、日本国政府が、そういうふうな判決文の中で、そういうことが認定されていることについて、どのようにして、その事実を反証をあげて立証していくか、その点についての積極的なプログラムをお持ちでないのだということなら、まず私の申し上げたいのは、本人の自白は、拷問をされたとか、本人が頭が狂っているとかいうことでない限り、その自白は信用されるでしょう。それを日本国政府内閣調査室は関係ないのだと幾ら皆さんがおっしゃっても、その点についての立証がなされない限り、また、その点についての立証の努力をするということをこの国会の論議の場においておっしゃらない限り、国民は納得しないと私は思う。そうでしょう。この点についてはどうでありますか。
○岡田説明員 まず、第一に判決文を入手することであろうと思います。判決文を入手することができなければ、どういうような形でそれが犯罪になるかということはわからないわけでありますので、判決文を入手するために、あらゆる努力を続けていきたいと思います。
○中谷委員 そうすると、こういうことですか。起訴されて、二十二日に言い渡しを受けるまでの六カ月間、反証をあげるための努力は全然されなかった。要するに、言い渡しを受けるまで、内閣調査室の指令を受けて、起訴状についての、そのような事実についての確認があって、その点についての反証のための努力というのはどのようにされたのか。その努力の継続でありましょう。何も、言い渡しがあって、自由剥奪八年を受けたから努力の開始をされたのではないでしょう。いままでどういう努力をしたか。反証のあげ方について、どういう努力をしたのか。先ほどの政府委員の御答弁では、外交交渉をおやりになったということですけれども、問題は、その内河さんという人の自白があるらしいから、おたくの立場からいうと、それをくだかなければならぬわけでしょう、内河さんという人が、そういう指令を受けてないという立場からいくと。その点についての努力をどういうふうにされたのか、今後どのようなプログラムのもとに努力をされるのか、こういうことについての御答弁は、はなはだ明確を欠くと思うのです。
○田中国務大臣 明白にしておきませんと政府のためにもならぬと考えるので、その筋を私から申し上げます。
 この判決の原文を入手すれば、どういう結果が明らかになるかと申しますと、いままで論議しておりますことから申しますと、一体ソ連の裁判所は、いかなることを証拠に、どういう証言を根拠に、どういう物的証拠を根拠にして、日本政府の内閣調査室が関係をしたか、いかなることを根拠にして、それを判決文の上にあらわしたかということが明らかになるわけでございます。それを明らかにいたしました上で、反証の問題が起こるのではなかろうか。そうじゃない、こちらは関係がないのだ、こういうことを明白にする必要がある。日本政府の言うことをソ連が信ずるのか、事件の本人が窮して発言した発言を信ずるのか、それとも認定をするに至った論拠となった証拠を信ずるのかということになってくるものと思います。そうして、そういう努力はだれがするのかというと、これはソ連国における刑事訴訟法に基づいて、これに関係をいたしまする上告弁護人がこの努力をする、本人が努力をすること以外に努力のしようがないから、そういう立証を訴訟関係人以外の外務省がやるとか、外務省の出先がやるとかいうことは、どの国においてもできるはずはない、こういうふうに考えるのでありますから、外務省としては、一日本国民が罪を犯しておしかりを受けておるという事件でありますから、一国民という立場において、外交交渉で身柄の早期返還が行なえるように、拘束を受けておるものならば、早く身柄が自由になるように、早く送還ができるようにということを、外交交渉によって努力をするという以外に努力の道が許されるはずはないのでありまして、事件そのものの証拠関係を明らかにして、本人の罪が軽くなるように努力をするということは、これは弁護人がする道であろう、また本人自身がする道であろうというのでありますが、言い古されたことであるけれども、大事なことは、誓って内閣調査室は本件の行動について関係はない、あるというならば、判決を調べて、その根拠を明らかにして、これをあくまでも糾明したい、こういう決意を持っておることだけを申し上げておきます。
○中谷委員 これで質問を終わりますが、私は外務省のお立場というか、いままでの努力についてはきわめて不満です。本人がふびんだというようなことをおっしゃるなら、一審判決を受けるまで、本人についてそういう資料を提供するとか、あるいは裁判所にそういう資料を突きつけるということはできたはずです。そういうことを全然おやりになっていない。日本国民の一人として――指令を受けていないなら、自由剥奪八年なんというのはとんでもないことなんです。そういうふうな努力をしていない。そういうふうな努力をしていないということは、これはそういう努力のしようがないのじゃないかという国民の疑惑を払うわけにはいかないだろうと私は思うのです。しかし、この問題については、判決文というものを入手されたらその段階でという話だから、もう一度外務省に念を押しますけれども、判決文は何としても入手されますね。そのあとでこの問題について私は質疑を続行いたします。判決文は入手しやすいものだと思います。入手できますね。
○岡田説明員 判決文入手のためにあらゆる努力を続けていきたいと思います。
 ただ、いまの点には外務省の努力が足りないというお話でございますので、もう少し事実を申し上げておきたいと思うのであります、これは義務でありますので。勝間田書記官がしばしば現地へ参りまして、そうしてその本人に会ったときに、本人にどうして起訴されたかということを聞こうとすると、全部とめられてしまうわけでございます。そうして、これは軍事法廷でございます。軍事法廷で、弁護人は一切の事由――検挙の理由というものについては話をしてはならぬということを、勝間田書記官は厳重に申し渡されておるわけです。会って聞く場合も、からだは健康であるかどうか、家族は健康であるかどうかということだけしか話してはいけないと言われておるわけです。そうして検挙の事由がわかりましたのは、公判になって初めてわかったわけでございまして、外務省はそれまでの間、検挙された理由がわからないので、どういう理由で検挙したのかということを、現地にも参り、またモスクワでもしばしば現地政府に対して明らかにするよう要求しております。しかしながら、先方は、これは軍事裁判であるから一切申すことはできないといって峻拒しておるという状況でございます。これは事実でございますので、御報告申し上げます。
○大坪委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十二分散会