第061回国会 内閣委員会 第31号
昭和四十四年六月十三日(金曜日)
    午前十一時三十八分開議
 出席委員
   委員長 藤田 義光君
   理事 伊能繁次郎君 理事 佐藤 文生君
   理事 塩谷 一夫君 理事 塚田  徹君
   理事 三原 朝雄君 理事 大出  俊君
   理事 浜田 光人君 理事 受田 新吉君
      足立 篤郎君    赤城 宗徳君
      井出一太郎君    内海 英男君
      亀岡 高夫君    菊池 義郎君
      田中 龍夫君    渡海元三郎君
      野呂 恭一君    葉梨 信行君
      古内 広雄君    三池  信君
      山口 敏夫君    淡谷 悠藏君
      岡田 春夫君    木原  実君
      楢崎弥之助君    華山 親義君
      平岡忠次郎君    伊藤惣助丸君
      鈴切 康雄君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 有田 喜一君
 出席政府委員
        防衛政務次官  坂村 吉正君
        防衛庁長官官房
        長       島田  豊君
        防衛庁防衛局長 宍戸 基男君
        防衛庁人事教育
        局長      麻生  茂君
        防衛庁衛生局長 浜田  彪君
        防衛庁経理局長 佐々木達夫君
        防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君
        防衛庁参事官  江藤 淳雄君
        防衛施設庁長官 山上 信重君
        防衛施設庁総務
        部長      鐘江 士郎君
        防衛施設庁施設
        部長      鶴崎  敏君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省条約局長 佐藤 正二君
 委員外の出席者
        専  門  員 茨木 純一君
    ―――――――――――――
六月十三日
 委員葉梨信行君、山口敏夫君及び石橋政嗣君辞
 任につき、その補欠として亀岡高夫君、渡海元
 三郎君及び稻村隆一君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員亀岡高夫君及び渡海元三郎君辞任につき、
 その補欠として葉梨信行君及び山口敏夫君が議
 長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第五号)
     ――――◇―――――
○藤田委員長 これより会議を開きます。
 この際、塚田委員より発言を求められておりますので、これを許します。塚田徹君。
○塚田委員 六月十二日午前の本委員会においての楢崎委員の質疑中、私の不用意な発言で同委員に御迷惑をかけましたことは、まことに申しわけございません。
 ここに発言を取り消し、遺憾の意を表します。
○藤田委員長 ただいまの発言に関連する部分の措置につきましては、委員長において適当に処置いたしたいと思います。
     ――――◇―――――
○藤田委員長 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。
○楢崎委員 昨日は、審議の途中でああいう問題になりました。私はむしろその発言の内容というよりも、やはり与野党この時期において、防衛二法案がどういう性格を持つか、これは重要な法案でございますから、相ともに考え、相ともに審議をする、そういう立場でやってほしい、私はそう思うのです。
 そこで、昨日の休憩前に戻りますが、きのう私が申し上げた四十年の統合年度戦略見積もり、これは確認をいたしておきますが、四十年の統合年度見積もりはありますか。
○有田国務大臣 昨日質疑中の、いまお尋ねの昭和四十年統合年度戦略見積もりという文書は、さっそく調べましたところが、確かにありました。文書はありました。しかし、御質疑の中で指摘されたような事実はありませんでした。なお、この文書は極秘の文書でございまして、事柄の性質上提出いたすことができないことは御了承願いたい、かように思います。
○楢崎委員 文書は確かにある。昨日の防衛庁の担当者の記者会見によれば、私が申し上げたことはその見積もりの中にはない一あるかないかは出してみないとわからない。現物を出さずに、その証拠を示さずに、私が言っているのはいかにもにせもので、つくりごとを言っているような印象を与える記者会見をなさる。もし私が言っていることがないならば、ない事実を示さなくてはいけない。そうではありませんか。何を証拠にないとおっしゃる。証拠を示してください、ないという証拠を。
○有田国務大臣 その文書をはっきり調べました。その文書の中には御指摘のようなことはありません。それが一番はっきりしておると思います。
○楢崎委員 一番はっきりしておるのは、あなたたちはその事実を示さずにそんなことを言ったって通りませんよ。
 それでは、イロハの(イ)、これが「方針」になっている。そうなっていますね。順次聞いていきましょう。
○宍戸政府委員 先ほど大臣からお答えのとおり、戦略見積もりという文書はございますが、これまたお答えのとおり極秘文書でございますので、その内容について私から申し上げるわけにはまいらない、そういうことで御了承願いたいと思います。
○楢崎委員 (イ)が「方針」こうなっておる、そうですがと聞いている。これも極秘ですか。(イ)が「方針」になっていることも言えないというのは、これは極秘なんですか。そしてABCと、こういうことで書かれておりますね。どうですか、スタイルは。私が取り上げました、ピックアップをしたのです。「作戦実施」は(ウ)になっておる。それだけはひとつ明らかにしてください。
○宍戸政府委員 先ほど申し上げましたような文書の性格でございますので、内容に触れて私から申し上げるのは御遠慮申し上げたいと思います。
○楢崎委員 私がきのう取り上げましたのは、(イ)の「方針」の中のEの項をまず取り上げました。それから(ウ)の「作戦実施」のうちAの中の(1)を取り上げた。なお(イ)、「方針」の中のBあるいはCについては核兵器あるいは核戦争のことが書いてある。しかしそれすらも言えない、そして私の言ったことはその見積もりにはないとおっしゃっても、そういうことを信頼するわけにはいかない。したがって私は、あなた方が出されない以上は――私が言った事実はある。それが証拠に、念のために申し上げておきますが、自衛隊法違反の問題の例の恵庭事件の第二十一回公判、公判記録二千五百四十三丁から四十六丁にかけての質疑応答、質問者は内藤弁護士であります。答弁者は有名な三矢計画の統裁官であった田中義男元陸将であります。この質疑応答の中で、田中証人はこの事実を否定しておりません。だからあなた方もそれをよく読んでください。あまり私が言ったものを事実はないとか、にせものとかおっしゃると困るのじゃありませんか。
 私はこの際はっきりしておきますが、なぜこういうことを私は明らかにしたいかというと、佐藤総理は国力、国情に応じた自衛力の増強とか、あるいは国民とともにある自衛隊とか、この「方針」にもありますとおり、そういうことを要請されておる。あなた方の立場に立っても、国の防衛というものは国民的な合意がない防衛というものは成り立ちませんよ。したがって自衛隊というのはどういうものか、どういうことをやっておるか、これを明らかにすることが国民合意を求めるゆえんではありませんか。この点については私は与党の皆さんといえども異論はなかろうと思う。そこで問題は、自衛隊が、明らかになっては困るような事実を実はやっておる。したがって、こういう点を、事実は一体どういうことをやっておるのだ、あるいはほんとうはどういう構想を持っておるのだ、そういうことを国民の前に明らかにする義務がわれわれにはあるわけであります。そうしてまた、えてしてユニホーム組は視野を狭く持ってものごとを考えがちである。したがってここにシビリアンコントロールというものがいかに重要であるかということも、これまた国会で再三明らかにしたところであります。シビリアンコントロールの大きな機能を果たすのは私はこの国会であろうと思う。国民の代表によって構成されておるこの国会が、やはりシビリアンコントロールの一つの機能を果たすものであると思う。とするならば、もし行き過ぎとかあるいは不当とかあるいは違法とかいうような事実があれば、これをチェックするのはわれわれの責任であろうと思う。そういう観点から私はものごとを明らかにしていきたい。単に暴露するとか、あるいはきわもの的にものを取り扱うとか、そういう意味じゃないのです。きのう私が取り上げましたのも、これは現時点において、沖繩返還の問題とからんで自主防衛自主防衛と言われるが、一体今後の防衛の構想の方向、あるいは防衛の計画、そういうものはどういう方向を向いておるであろうか、それを明らかにするための一つの問題点として、参考として出したのです。何もこれを暴露することが私は目的としておるところじゃないのです。そういう点で私はいまからの質問を続けていきますから、こういう点について御協力をいただけますか、防衛庁長官。
○有田国務大臣 楢崎さんもよく御存じと思いますけれども、われわれが防衛をやっておりますと、おのずからそこに秘密というものが出てくるんですよ。だから、きのうも御質問に答えたように、われわれはこの文書の機密というようなことに対して厳重にやっておるわけです。もちろんあなたたちがシビリアンコントロール、ことに私も昨日申しましたように、国民とともに歩む自衛隊をつくりたい、そのためにいろいろと話し合うことはけっこうです。ことに私はきのう、ここの最高機関であるところのこの委員会の席ではっきりと、憲法の条章の許せる範囲、そして日本の国民感情というものがあるから、核というような問題はこれは別といたしまして、その範囲において日本の自衛力を、ここまで日本は国力がついたんだから、アメリカさん、アメリカさんとばかりこじきのような根性を出さずに、みずからの手によって守っていこうじゃないか、こういうことを私はっきり言明したんだから、皆さんとともに論じ合いたいんですけれども、機密の文書というものを中心にしてこの場でやることは、まあ楢崎さん、これはひとつごかんべん願って、そしてやっぱり、私もせっかく答弁しておるんですから、私の言うことも信頼してもらって、そしてお互いにこの大事な防衛問題を論じ合いたい、かように思いますので、私のほうもできるだけあなたの御質問に対して忠実に答えますから、あなたのほうもひとつそういう良識を持って、なごやかにほんとうの大事な防衛問題を論じ合う、こういう気持ちになってともどもに進みたい、かように考えております。
○楢崎委員 よろしゅうございます。しかし、証拠も示さずに、君の言っておるのはにせものとか、つくられた偽作によってやっておるということも、ひとつお取り消しをいただきたい。(「証拠は君から出すべきじゃないか。」と呼ぶ者あり)資料というものは政府が出す責任があるわけです。
  〔「ないところから証拠が出るわけがない。」と呼び、その他発言する者あり〕
○藤田委員長 静粛に願います。
○楢崎委員 そこで、これはやはり素通りするわけにいきませんから、けさも東京新聞で、「わが国の防衛を自前でやるとした場合の費用、人員、整備」と題する文書がここにスクープされております。これは防衛庁は御存じでありますか。
○有田国務大臣 私もけさその新聞を拝見いたしましたが、私はそのことを知っておりませんから、政府委員をして答弁させます。
○宍戸政府委員 私は知っております。事情をお答え申し上げます。
 国会議員のある方から、資料として、つまり御勉強の資料だと思いますけれども、新聞に出ましたような条件、つまり、かりに日米安保がない場合、かりに憲法の制約がない場合、そういうことで、つまり簡単に言いますと、自前と言いましょうか、アメリカとかフランスとかソ連とかと同じような条件で、かりにそういうことでわが国の防衛力を試算すれば、一体どんな見当になるだろうかということで試算してみてほしいという御依頼がございました。われわれとしましては立法府の方からのいろいろな資料要求は、与党の方も野党の方も問わず、いろいろしょっちゅう受けております。それについて、必要な、また能力でできるものはいろいろ御要求に応じております。いま申し上げましたこのことは、実はたいへんむずかしい問題でございまして、しょっちゅうこういうことをわれわれは考えておりません。もちろんわれわれが防衛力を整備します際に、三次防をつくったり、年度の業務計画をつくったりするのは、これはしょっちゅうやっておりますので、すぐつくれます。年度の防衛計画、しかしこれは日米安保条約を前提にし、憲法を前提にして当然つくっております。しかし、それを抜きにしてつくれという御依頼は、実はなかなかむずかしいことでございましたけれども、御依頼でございましたので、なけなしの知恵をしぼってつくってみたということでございます。こういうことでございます。
 内容は、ほぼ新聞に載りましたような内容のものをわれわれが試算してみた、こういう性格のものでございます。
○楢崎委員 それでは、これは自民党の国防部会か何かからでございますか、要求者は。
○宍戸政府委員 ある国会議員の方でございまして、国防部会という部会ではございませんでした。
○楢崎委員 個人でございますか。
○宍戸政府委員 いわば組織でなくて、議員さんとしての個人の御依頼かと思います。
○楢崎委員 それでは、われわれも立法府に籍を置いておりますから、立法府の人から要求があればできる限りやるとおっしゃるから、その試算されたものを参考のためにわれわれにもぜひお見せをいただきたい、どうですか。
○宍戸政府委員 私どもに御依頼された議員さんの御了解を得られれば、(「何を言っているんだ」と呼ぶ者あり)――得られれは、出して差しつかえないかと思っております。
○楢崎委員 いや、私は要求しておるのですよ。だれか知りませんが、その方と私と、国会議員として、立法府の一員として、差別があるのですか。私も同じ要求をします。出してください。
○宍戸政府委員 先ほど申し上げましたようないきさつでございますので、エチケットとして、礼儀としてその方の御了解をいただきたいと思います。
○藤田委員長 ちょっと楢崎委員に申し上げます。ただいま楢崎委員から要求されました資料につきましては、委員長として適当に、公正に善処したいと思います。
○大出委員 ちょっといまの委員長の発言、気になるので、関連して発言させていただきたいのですか、よろしゅうございますね。−実は、この記事、東京新聞に載っておりますのは、配付された文書とほとんど字句は違っていない。一字一句違っていないと言い切れるかどうかわかりません、見たことですから、写真をとったわけではないのですから。だから一字一句違っていないのかどうかと言うと、ちょっとそこまで言い切れぬけれども、私の見た限り一字一句違っていないと思う。率直に言って。それで、あなたのほうは、一人じゃない、ちゃんと配付をされて、あなたのほうは回収をされたわけです。出された資料をあなたは回収をされておる、防衛庁は。そうして回収をしてしまって、数を当たってみて、社会党に原文がないということをあなた方は確信をお持ちになった。リコピーでもいいからということまで言ったわが党の議員もいる。あなた方のほうはとうとうこれを一生懸命押えられて、原文は社会党にないということをあなたはいま確信を持っておられる。これは私はやはり同じ国会に籍を置く者として、非常に不穏当なやり方だと思っておる。私も質問をしようと思っておったところです。したがって、やはりここまで明らかなものは――私が目で見ておりますから、してみると、ここにあるものは一字一句と言いたい、言いたいが、速記をとったわけでもなければ、写真をとったわけでもない、これこそエチケットに反する。そうでしょう。だから、命じた男がいる。そこまであるものをあなた方のほうがこれはあくまでも伏せておかれるとするならば、これこそ不穏当ですよ。国民に疑惑を増すだけですよ。だからこういう点はフランクに、そういう意味で出したのならば――安保というものがなかったならば、いわば日本だけの独力でということになったらどういうことになるのかと聞いた人がある。資料を出せと言った人がある。あなた方は、内局でおつくりになった。そしてお出しになった。出したが、どうも問題になりそうだということになった。質問しようと考えた人もある。あなたはちゃんと御承知のはずですよ。そこでいろいろな話が私のところにも参りました。陰のほうでは、その段階までいっておるのですから、これは委員長、善処というのじゃなしに、やはりお出しになるかならぬかという点で、出すべきものだと思いますから、これはやはり出していただかぬと困りますよ。ますます疑惑が深まるだけです。そういうことはいけませんよ。お互い国会議員ですから。
○宍戸政府委員 私から申し上げるまでもないことですけれども、国会議員の方を差別するというようなことは全くございません。ただ私が先ほどお答えいたしましたように、ある国会議員の方からの御依頼でつくったものですから、その方の御了解をいただくことが当然のエチケットであろうということを申し上げただけでございます。
 それから、回収したというようなこともお話しでございましたけれども、実は私の局でつくりました。私も見ました。しかし回収したというふうな事実は全くございません。私は回収するつもりは全くございません。つまり、先ほどの戦略見積もりというようなのは極秘でございますから、御要求があってもお出しできない。これはそういう性質のものではなくて、防衛庁の見解というものでもございません。ただ試算をしたという、お勉強の材料だけでございまして、防衛庁の極秘文書でも何でもございません。ですからエチケット上のことを申し上げているだけで、したがって私は回収するということを命ずるわけもございませんし、そういうことを命じたことも全くございません。全くその依頼された方のエチケットだけでございます。
○大出委員 もう一点だけ。関連ですからこれでやめますが、防衛局長、実は私どももその文書を目にしたり聞いたりした段階で相談をしたのですよ。これはひょっとすると――憲法の制約、憲法の制約ということを何べんも防衛庁長官、きのうもおっしゃったが、憲法というものが、ああいう規定がなければ、経済力も高まった日本だから自前でやりたい、しかし憲法の制約があるからいたしかたないと言わぬばかりの御答弁です、きのう。私は当時それを見たときに、これは一つ間違うと、防衛庁が、国会というような場所でこのことを審議されたのではちょっと困るが、しかし世間一般に、安保というものがあるから費用その他の面でこの程度で済んでいるんだが、自前でやればこのくらいのことになりますよということを、あるいはPRしたいのかもしれぬというような気にまで実はなった。したがって、これまたばたして正面から取り上げてものを言っていいのかどうかということも実は気にした。またそういう相談を人ともした。そういう事実があった。まさかここへぼんと載るとは思わぬから。そうでしょう。そこまでわかっていることなんですから、ここから先、だれと言えばエチケットに反する。私もそう思うから言わないだけのことです。そこまでのことなんですから、しからばあらためて私かあるいは楢崎さんが、じゃ安保というもの、憲法というものをのけてみて、防衛庁が研究している国際情勢その他を考えてみて、まさに安保というものと縁が切れた自主防衛という立場で日本という国を完全に守るというたてまえで考えたら、どういうふうなものの考え方で、費用はどのくらいかかるのかということをあなたにお願いしたら、そうなると、出さなければならぬ筋合いでしょう、差別しないとおっしゃるんだから。ですから、そういう意味で、同じことを楢崎さんも言っているのだから、それはひとつあらためてお出しをいただきたい。出してください。ここまで裏のほうはわかっているんだから、それ以上言わせることはないでしょう。参考までに出してください。かえって不明朗ですよ、ここまで明らかになっていることを。だれか言えと言ったって、ぼくだって言えないじゃないですか。
○有田国務大臣 いまの問題は議員個人として御要求があった。しかも非常な仮定の仮定の前提があるわけですね。それでありますから、楢崎委員個人あるいは大出委員個人、こういうことなら、これは委員長と相談してもけっこうですが、これは機密文書でもないから、私としては、当局がつくった内容をほしいといえば当然出してしかるべきものだと思っております。ただその前提があるだけに、それが防衛庁の見解だなんということを思われてはたいへんな誤解を招きますから、これはあくまで仮定の仮定で、かりに憲法がなかったらあるいは安保条約がなかったら、そういう前提ですから、これが防衛庁の見解だというようなことになられては大きな誤解を招く、そういうことじゃないという前提において、委員長と相談しまして出すことにやぶさかではない、私はかように思っております。
○楢崎委員 それでは委員長の善処方をお願いします。
 そこで、先ほど来申し上げておることとも関連します。いま取り上げたことも関連いたしますが、実は長官はそんなに思っておられても、いわゆる制服の方は憲法の存在をどう見ておられるか、これが私は問題であろうかと思います。(「そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)そこで私は、抽象的に言っても皆さん方納得されぬので、これから先は一々文書なり書かれたものによってそれを明らかにしていきたいと思うのです。そんなことはないというやじがすぐ飛びますからね。それでどういうふうなことを考えておられるか。これは一端です。
 これは「日本の安全保障」、日本国際問題研究所及び鹿島研究所編、三十九年に出されたものです。この本は、はしがきに、当時の大平外務大臣あるいは福田防衛庁長官の、りっぱな本だからこれを皆さん御一読をぜひお願いするという推薦文がついている。その中で源田さんが書かれておるのです。御承知のとおり現参議院議員、例の問題が起こる前は自民党の国防部会の会長、かっての航空幕僚長、こういう肩書きの方、御案内のとおりです。こういう方が、「国防――局地戦・全面戦と日本の立場」こういうことで書かれておる。これはあとでもいろいろ引用したいと思いますが、ただいまの憲法にどういう考え方を持っておるかということだけ明らかにしておきたい。関係のあるところだけ抜き読みしてみます。「ほんとうに虚心坦懐に、日本の国防というものをもう一ぺん見直して、それに応じたようなやり方をやり、そして、その上でアメリカとどういう具合に手を組んでいくのか、あるいは台湾なり朝鮮なりとはどうやって手を組んでいくか、今は台湾、朝鮮――沖繩はアメリカを通じてできますが、台湾朝鮮とは手を組めない。防衛的には憲法の制約もあります。」これから先が大事なんです。しかし「憲法の制約は、解釈によってどうにでもできると思うのでありますが、台湾、朝鮮と手をつながないと、戦略的に見ましても、日本の防衛は成り立たない。」こういうことを言われておる。憲法の解釈なんてどうにでもできるんだ、こういう見方です、憲法の制約なんというものは。ユニフォームの方々の見方というものは、私はこれであろうと思うのです。だからたいへん危険であるということを申し上げておるのです。
 そこで先に進みますけれども、自衛隊の防衛計画との関係がありますが、自衛隊が守らなければならない順位があろうと思うのです。防衛目標の順位と申しますか、わかりやすくいえば。これはどういうふうになっておりますか。
○有田国務大臣 順位という意味はよくわかりませんけれども、やはり侵略に対して防衛するという任務を持っておるのですから、そういう侵略の形態がどういうところから来るかによって、そのときの情勢によって考えていかなければなりませんので、その順位というのが、こういう順で、こうでこうだということを、ここで、抽象的というのか、全然そういう仮定を画して、実態をつかまずして言うことは私は困難だと思うのです。
○楢崎委員 私が申し上げているのは、たとえばまず自衛隊が守るのは日本における米軍の基地が第一である。それから自衛隊基地、そういう意味のことを私は言っている。そういうことではありませんか、いわば。そういうことはあるはずですね。
○宍戸政府委員 守らなければならない順位というのはたいへんむずかしいお尋ねでございますけれども、一般論は先ほど長官のお答えいたしたとおりで、われわれは昨日からのお尋ねの戦略見積もりをやりましたり、それから年度で防衛計画や整備計画を立てます。いろいろな侵略要素を仮定として設例しながら、いざというときにはどうする、平時はどうする、どういう訓練をするというふうなことは当然やりますが、地域的にあるいは事象的にこれが第一で、これが第二で、これが第三だというふうなことは、実はそういうことを実際置くことは非常にむずかしゅうございますので、たとえば陸上自衛隊で申し上げますと、かりに着上陸があるとしますと、いろいろな要素から見て、直ちに東京のどまん中に着上陸があるというふうなことがあるとは普通考えられないので、かりにあるとすれば北部のほうであろうかとか西部のほうであろうかとかいうことを考えながらいろいろな配置を考える、訓練をするというようなことはやります。それから海上自衛隊でいいますと、海上の防衛というのが第一で、この程度の能力がある、こういう作戦をやるべきであろうというような基礎的研究はやります。しかしいま先生がおっしゃったような、どの基地が第一でこの基地が第二だというふうなことまでは実際問題としてなかなかやりようもございませんで、そこまでは全体の防衛計画でつくることはなかなかむずかしいと思いますが、ただ考え方として、第一に米軍基地だ、第二に自衛隊基地だというふうな考え方を一般にとっておるということはございません。
○楢崎委員 ところが、制服の方々はそれを考えておられるのですね。だから私は、時間もありますからこちらから出してみたいと思うのです。同じく源田さんのいまの著述の中にあるわけです。これも抜き読みをしてみます。「今現在の日本においては、ほとんどだれも言わないと思うのでありますが、表面化されても非常に問題になるような性質なのであります。」まず冒頭これを言われておる。これを明らかにすると問題になる。しかし、「今の日本の航空自衛隊というものが、何を目標として訓練をし、何をやるべきかというと、アメリカがやり、イギリスやドイツやフランスが現在やっているのと同じような形において、その空軍を使うべきである。ということは、そのうちの攻撃的な面は日本はやらないことになっておりますからやらないのですが、防御の主体というものは、」ここからです。「防御の主体というものは、アメリカの持っている反撃力を守る。日本自体が反撃すれば、日本自体の反撃力を守ることである。」いまはアメリカが第一線に立ちますから、「アメリカの反撃力の飛び立っていく基地を守る。」これが防衛の主体なんです、少なくとも航空自衛隊の。その次は何かと書いてある。「その次に考えられるのは国土の防衛であります」そしてその次に考えられるものは何かというと、「やはり陸上戦闘ということで追撃しなければならぬ。城下の誓いをさせるということが、最後にどうしても起こってくる。」こう書いてある。つまり、はっきりしておるじゃありませんか。まず第一は米軍の基地だ、その次に日本の国土の防衛、三番目には、今度はいよいよどこかの敵地に行って、そして追撃作戦を陸上自衛隊が行なって城下の誓いをさせると書いてある。たいへんわかりやすい。そして、これは日本の国民は広く読んでくださいと書いてある。防衛庁長官も推薦されておる。そうでしたね。どうですか、これは。こういう考え方は間違いなのですか。
○宍戸政府委員 陸海空とそれぞれ防衛計画がございますが、空の防衛計画の問題でございますのでかりに空のことで申し上げますと、将来あり得る侵略者から日本の国土の上空を守るということが、空の防衛計画の主眼でございます。ファントムをお願いしたり、104をお願いしたということもそういうことでございます。日本全体の空を守る。その際にわりあい侵略しやすいところ、しにくいところということがいろいろ計算できますので、しやすいところにこちらの重点を置く、それが抑止力になるというような考え方をいたします。日本の領土、領空を守るということが主眼であります。
 それからもっと部分的な問題で申し上げますと、たとえば先生もよく御存じの三次防でナイキ、ホーク等の場所をきめております。これは政経の中枢だとか交通の要衝だとかあるいは防衛の要衝だとかいうことも同時に当然考えます。それでナイキやホークの配置を御存じのように東京の周辺に第一に置きます。同時に防衛の要衝である北海道にも置きました。それから防衛の要衝でありかつ経済の要衝である北九州にもわりあいに先順位として置いておる。全体の104の配置は御存じのようにずっと北から南まで、日本全体を守るために七スコードロン置いてある。こういうことから申し上げても、またよく御存じの三次防の例からごらんいただいても、私が申し上げるようなことが空の防衛計画の主眼である、こう御理解いただきたいと思います。
○楢崎委員 そういうことをこまかく言っても国民の皆さんわからないのです。源田さんが言ったようなことがわかりやすいのです。結局はこうだということを源田さんが指摘をしておる、航空幕僚長が。まず米軍基地だ、それから日本の国土防衛だ、そしてその次は敵国に行って城下の誓いをさせる、追撃作戦をやる、こう書いてあるのです。防衛庁長官推薦、外務大臣推薦の本に書いてある。だから結局、自主防衛、自主防衛といっておるが、、日本の自衛隊はだれを守ってくれるのかというこの問いに答えるのは、一番わかりやすいのは源田さんの表現だと思います。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりですという声も自民党からありましたから、そのとおりでしょう。だから、私はいまこういった防衛構想、これもあなたが十七日に外務省とコミットされた今後の日本の自主防衛構想の一環としてこういう姿がだんだん具体的になっていく、そういうことだと思うのです。
 これは自主防衛構想のうちの最後の問題で、時間がありませんから聞いておきますが、今後の自主防衛としてあなた方は、予算の問題をきのう長官出されました。あなた方の今後の予算的な目標はGNPとの関係では一体どのくらいに置いておられるか、巷間聞くところによると一・五%ぐらい、昭和三十年ぐらいの段階のところに比率をもう一ぺん戻したい、そういうことを書いてある書物もあるのですが、どうでしょう。
○有田国務大臣 きのう本会議で私が申しましたのは、今年相当防衛予算がふえたとおっしゃるけれどもこういう程度にすぎないということを申したのでありまして、私はあくまで憲法の許せる範囲、しかも日本の国情というもの――ことに国情というものは核の問題、国民感情、そういう前提に立ってそして漸増したい。したがいまして、予算をこれだけとるというよりも、日本の防衛力をこういうようにしていく、その上に立って金がどのくらい要るということでありまして、いま国民総生産の一分五厘なんというようなことは私は考えておりません。それが一分になるとか何ぼになるということは結果的に出ますが、そういう見解で私はおります。しかしそれが国民総生産の大きな割合で占めてくるとまた民生圧迫になりますから、その辺のかね合いをしながらいかなければなりませんが、いま一・五%なんということは考えておりません。
○楢崎委員 あなたは、いまもおっしゃいましたが、これは外国に比べて少ない。ではどのくらいが適当と考えているかと聞いている。少ないと言った以上は何かの比較の基準がある。あなたはどのくらいを考えているか。かつて松野防衛庁長官は大胆に打ち出された。国民所得の二%。あるいは岸総理大臣も出されました。あなたはどうしてそういうふうに消極的にものを言うのです。
○有田国務大臣 消極的とおっしゃいますけれども、実はこの考え方というものは(楢崎委員「考え方はいいです。」と呼ぶ)こういうふうに進めておりますけれども、実は、現在は三次防でございましょう、次の段階は四次防が来るわけですね。まだ三次防の半ばですから、実は四次防の作業をやっていないんですよ。だからその結果が何%になるかということは大胆に申せられない。そういうわけですから、いまはっきりしたことは言えないということは御了承願いたい。
○楢崎委員 その少ない、少ないというのだけ言って、あなたは目標をお持ちにならぬ。それがおかしいのですよ。あなたは専門家の長官ですよ。防衛庁長官です。少ないと言うことは、どれくらいだったらいいという大体の目安があるでしょう。きょうは時間がないから、こういうことを言ってもあなたはおっしゃらないからあれですけれども、まあいいでしょう。いまのところは何もわからない、こういうことでございますね。
 じゃ次に進みます。十七日に外務省とコミットされた、そしてまた、愛知さんが持っていかれた沖繩の防衛構想、これを具体的な数字をあげてひとつ……。構想でけっこうです。もちろん構想です。こういう場合にはこうだという、つまり沖繩の基地の態様がどういう形で返還されるか、それがきまらないと実際には確定しないでしょう。こういう場合にはこう、こういう場合にはこうという試算的なもの、十七日の段階で外務省とコミットしたものを明らかにしていただきたい。
○有田国務大臣 外務省と沖繩返還をめぐっての防衛について話し合いしたことは事実です。しかし外務大臣がそのものを持っていったなんということは、きのうもはっきり外務大臣が言ったように、そういうものは持っていっておりませんということですね。しかし話したことは話しましたが、その大体の考え方は(楢崎委員「大体はいいです。数字をあげてください。」と呼ぶ)数字とおっしゃいましても、数字の点は、いろいろとこれから折衝が始まって、そうしてこうなるんだ、これもおそらく返還の時期によって違いましょうけれども、大体われわれの考え方は、四次防の中に入ってくるんじゃないかと思うのですよ。そういう考え方をしておりますから、いま直ちに、四次防のことは先ほど申したような次第ですから、沖繩返還のときにこれだけの金が要って、これだけの構想をこうするんだという段階にいま入っていない、これだけは御了承願います。しかし考え方は言わぬでもいいということだから言いませんけれども、そういう考え方だけは具体的なものを持っております。それだけは御了承願います。
○楢崎委員 こういう場合にはこれぐらい、こういう場合にはこのぐらいという数字も防衛庁にはないということですか。
○有田国務大臣 そういう数字的なことは、それは研究はしておりますよ。研究はしておりますけれども、これが研究段階においてこれだけの数字を出せとおっしゃいましても、それは狂いが来ますから、われわれ防衛庁としてはそういう数字は持ってないということで、研究段階としてのものはこれは別問題です。
○楢崎委員 何をおっしゃっているんです。先ほど防衛局長は、絶対われわれとして考えられないような、もし憲法がなかったら、もし安保がなかったら、自主防衛構想の場合はこういうものだといって数字まであげておるじゃありませんか。全く考えられもしない事態です、われわれとしては。しかし沖繩の場合はおよそ考えられる。それについて数字がどうして出せないんですか。私は要求します。さっきの問題と同じように出してください。
○有田国務大臣 沖繩の問題は、いまからアメリカと交渉に入って、まだ糸口が開かれたところなんですよ。だからいまから基地の態様とか、そういうものに対していろいろと相談があるわけですからね。そういう仮定といいましても、ないときはこうだ、あるときはこうだ、そういういろいろな場合を想像して百色――百はちいと多いと思いますが、十色もいろいろなものをいま出すということは、防衛庁としては慎まなければならぬ、こういうことですから、これは御了承願いたい。
○楢崎委員 先ほどの理屈と合わないじゃないですか。局長、立法府の方が要請されたら、能力のあとう限りその試算をして出す。こういう基地の態様の場合はこうだと、少なくとも当委員会は防衛問題の専門委員会です。だからそのくらい試算があれば出されていいではありませんか。何をお隠しになるのですか。
○宍戸政府委員 先ほどの新聞記事に関連してのお尋ねの場合は、これは防衛庁の政策とかいうことでは全くございません。国の対策でもございません。むしろ安保が必要だという前提での試算を御勉強に国会議員の方がなるための判断の材料ということで、われわれはそういう理解で試算をいたしました。防衛庁の政策でも何でもございません。ところが沖繩の場合は、これはいまは研究段階でございます。しかし、いずれ防衛庁でも正式にある段階ではきめていく筋のものだと思います。将来はさらに防衛庁から上にいって、国のきめたある数字になるという性格のものでございましょう。そのまだ研究段階のものをこの今日の時期でお出しするのはいかがであろうかということでお断わりになっておると、私はそういうように了解いたします。
○楢崎委員 それじゃ一つだけ具体的に聞いておきましょう。いま長官おっしゃいましたように、沖繩が返還される、日本の自衛隊が沖繩の防衛の一面の責任を持つ、それは四次防の段階である……。
○有田国務大臣 たぶん、なるだろうと思います。
○楢崎委員 そこで空の場合ですが、F4Eファントムは四次防の最終年度までに大体百四機決定されておりますね。これは沖繩の防衛のことは、当時含まれてないと思う。四次防の段階で沖繩の返還が具体化すれば、当然空の場合はF4Eの問題が起ころうと思う。この沖繩の返還の問題と関連をして、少なくともF4Eについては、いままで決定された百四機に対して追加調達をする必要ありと思っておられるかどうか、それだけを聞いておきます。
○有田国務大臣 いまきめました百四機は、沖繩の防衛ということは考えずにいたしております。したがいまして、沖繩がわが国に返って、日本がとにかく沖繩自体を防衛する責任がある以上は、それだけの分は増加される、これは当然だと思います。
○楢崎委員 四次防の段階で、一応百四機ときまっておるが、追加調達の必要が当然ある、その際に、大体私どもは、ただいまのところこのくらいは必要だといわれておることを聞いておるのですが、一飛行隊分くらいは追加調達の必要があろう、具体的に大体そのくらいの線でございますか。
○有田国務大臣 何飛行隊というようなことは、まだ確定はしておりません。だから、ここにこうだということは御答弁することをはばかります。
○楢崎委員 それでは、とにかくいま機数は言えないが、大体追加調達する。私は、一飛行隊分くらいであろう、このように推察するわけですが、いま言明できないということですから、いいでしょう。
 そこで、防衛二法プロパーに入っていきたいと思います。いま、いろいろこれは問題点があろうと思いますが、これは各委員分担してやりますけれども、私が考えるおもだったところを拾ってみたいと思います。
 いま、資料にもありますとおり、陸上自衛隊の充足率は九一%、いままでは九〇%に満たない年が多かった。いまの定員の十七万三千、これを満たすことをまず一番に努力したらどうかという一つの疑問があるわけですね。この点、現在の充足率と今度新しく定員増されようという、その定員増との関係については、どうあなた方は説明なさるつもりですか。
○有田国務大臣 おかげさまで、防衛に対する国民の理解がだんだん深まりつつあるように思うのです。したがいまして、充足率は、おっしゃるとおり、いままでは九〇%を割っておったけれども、それが九〇%以上に出るというように、だんだん充足率は高まりつつあるということは、これははっきりいえると思うのです。そこで、われわれは、この充足率というものを向上して、大体これを十分満たすように努力いたすつもりでおります。
 しかし、いま私たちか六千人の――陸上自衛隊は六千人ですが、その増員をお願いしておるゆえんのものは、これは部隊の編成ですね、私たちのことばでいえば編成定員といいますか、この防衛関係の増員の定員は、これは編成定員、したがいまして、人は何ぼ集まりましても、部隊というものがふえない。そこで私たちはこの六千人を、いまある三個師団の七千人のところを九千人にしたい、そういう編成をやるわけですね。そうしないと、装備とか、それからその他のいろいろな訓練とか、そういうものが整わないのですよ。そこで私たちはこの六千人をお願いして、そしてこの足らざる面の地域において部隊増強をやりたい、そうして一方においては充足率をできるだけふやすように努力したい、こういうことなんです。
○楢崎委員 そういうことでしょうが、国民の常識的な考えからいくと、現在ですら、現在の定員の十七万三千人に対して現員は十五万八千七百八人、まずその欠員の一万四千二百九十二人というのを充足すればいいではないか。これは、国民の側から見れば常識的な考えであろうと私は思うのです。だから、いまの長官の説明は、これは十分な説明にはならないと私は思うのです、国民の常識的な観点からいって。
 そこで、定員にはいろいろありますけれども、ことしの予算上は、定員の充足率は幾らに押えられておりますか。
○麻生政府委員 平均充足率は九〇・七%でございます。
○楢崎委員 そうすると、予算上は、九〇・七%以上幾ら募集してもできないということですね。私は、その辺は自衛隊のために言っているんですよ。欠員が一万四千二百九十二人あるのですね。実は大蔵省から、人件費その他の関係から予算上の締めつけが行なわれておる、九〇・七%ですか、そういうことですね。だから、それ以上は充足しようと思ってもできないわけですね。
○麻生政府委員 九〇・七%という平均充足率を考えましたのは、ここ数年来におきますところの募集の実績それから適齢者人口、それから若年労働に対する需給、そういう総合的な点を勘案いたしまして、良質の隊員を確実に九〇・七%はとれるという見込みで算出をした数字でございます。したがいまして、予算で押えられたというよりは、やはり実質的な裏づけのある数字と御理解願いたいと思います。
○楢崎委員 いま御説明のとおり、幾ら定員をふやそうと、定員を今度六千人増されようと、実際問題としては予算上縛られておる九〇・七%、そういう実態をまず私は明らかにしておきたいのです。
 そこで、人件費の問題で、もう一つ大蔵省から押えられておるものがあると思うのです。それは会社でもそうですけれども、だんだん古くなると給料が高くなる、古い人はやめていってもらう、会社の場合は合理化が行なわれます。そこで、自衛隊の場合は古い人はやめてもらう、残りたい人があってもやめてくださいと言わんならぬ。つまり、除隊率というものは予算上どのくらい見られておりますか。
○麻生政府委員 本年度の予算算定にあたりまして考慮いたしました除隊率は三五%でございます。
○楢崎委員 実績からいうて、大体そのくらいですか。
○麻生政府委員 実績から見て、大体その程度が妥当な数字ではないかというふうに考えております。
○楢崎委員 そこで、私は二、三年前にいわゆる組織募集の点について、当委員会がいろいろ問題点を指摘したわけです。なかなか集まらない、それで組織募集に変えた、相当の無理をやっておる、あるいは徴兵名簿に匹敵するような名簿の作成も行なわれておる、こういうことを二、三年前に指摘したのです。問題になった。現在もいろいろ苦労されておる。しかし、私は、この募集というか欠員の補充というか、そういうことは堂々とやられる必要があろうと思うのです。かつて大東亜戦争時代に教育召集というものがあった。会社に在籍のまんま一定の期間召集して訓練する、そしてまた、その期間が終わったらもとの会社へ戻る、かつて戦争中にそういうことがあったのですけれども、またそういう募集はなかなか困難だから、企業とタイアップをして、そういうことをなさっておる節はないか。つまり産軍共存計画と申しますか、そういう事実はありませんか。
○麻生政府委員 先生の御質問は、あるいは共存募集ということばでいわれる募集のことを申しておられるのではないかと思うのでございますが、われわれの一般隊員は二年なり三年の任期をもってつとめるわけでございます。その任期を十分に勤務いたしまして、任期が満了いたしました場合、再び社会に復帰をしていくわけでございます。したがいまして、その社会に対して、自衛隊におけるところの勤務条件ということも勘案して就職ができるということは、隊員の生活指導上におきましても、また勤務に精励するという士気の上からいっても非常に都合のいいところでございます。また他方、経済の高度成長に伴いまして、若年労働に対するところの需要が非常に増大してきております。したがいまして、若年労働力に対する需要で、産業界と自衛隊が競合しておるということは事実であろうと思います。したがって、この限られた若年労働力というものを有効に考えていくということが必要であるわけで、そういうことで、自衛隊においてまじめにつとめた者が、将来企業において雇われていくということが望ましいのではないかというふうに考えておるわけでございます。(楢崎委員「そんなことを聞いているんじゃないですよ。」と呼ぶ)それでは端的に申しまして、産軍協同という募集形態をとっておるかどうか。あるいは旧憲法時代における教育召集みたいなものをやっておるかどうかと申しますと、同じようなことをやっているということはないと思います。
○楢崎委員 一番最後の三十秒で済むのを、あなた長々と何を言っているのですか。時間がつぶれてしようがないですよ。私が聞いておるのは、そういう具体的な事実はないかということを聞いておる。ないならないとおっしゃってください。
 では、こういう例はどうでしょう。これは静岡鉄道の場合であります。当事、組織募集に切りかえる時期、たいへん困っておられた時期ですね。このときに、静岡鉄道と自衛隊の静岡地方連絡部は話し合いをしまして、そこで協約的なものをつくった。どういうことかというと、静岡鉄道は、私も行ってまいったのですけれども、いまバスが主体ですね。静岡鉄道の場合は、バスの車掌として中学卒業を採用する。そして、大体四年ぐらいで今度は運転手として養成するために、それまでは傍系会社にやって、そこで――大型ハスの運転免許は二種ですね。資格は二十一歳。そこで傍系会社にやってバスの運転免許をとらしておる。金がかかりますね。そこで考えついたのが何かというと、自衛隊の輸送隊にこれをやって、会社から金を出さずに運転免許をとらしてもとへ戻せば、こんなに助かることはない。国家の予算で運転免許をとらして、そしてまた引き取る。たいへんりっぱな構想だと思うのですね、会社のほうから見て。自衛隊のほうから見たら、欠員が多いので、これはしめたものだ、そういうことだ。つまりこれを私は産軍の共存計画だと言っておるのですね。静岡鉄道の場合はこれををやった。そして二年間埼玉県朝霞の一〇一輸送大隊、これに入隊させる、そうして大型車の運転を習わして免許をとらせて、そして除隊後また引き取る。これを休職のままやろうとした。休職のままやると自衛隊法に触れるから、一応退職という形にはしたが、しかしその隊員が行っておる間は、会社のほうは個人のために二千円ずつ貯金をやっておりますね、そういう事実を御存じですか。
○麻生政府委員 静岡鉄道から朝霞の一〇一輸送大隊に若い人が志願する、一般の試験を受けて、これは身体検査も、それから口述試験も筆記試験も、いずれも正規の試験を受けまして、そして第一教育団でまず最初の基礎教育を受けて、そうして先ほどお話のありました一〇一輸送大隊に入っておったという事実はございます。
 それから、先ほど二千円とかいうお話がありましたが、このことは私のほうでは存じておりません。われわれのほうとしては、身分関係は切れて入ってきておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○楢崎委員 そのことは、私いま申し上げたとおりです。そこで運転免許をとらして、もう一度静岡鉄道に返す。この陸上自衛隊の第一〇一輸送大隊の退職者のうち、組織的に会社に行っておるのは静岡鉄道だけですね。四十年が八名、四十一年が五名、四十二年が二十二名、四十三年が六名、これは間違いありませんか。
○麻生政府委員 第一〇一輸送大隊から静鉄に入りました者は、いまお話のありましたとおりの数でございます。ただ、一名は静鉄以外から入隊した者で静鉄へ行った者でありますので、静鉄の職員であって自衛隊に入って、静鉄に復帰したという者は四十名でございます。
○楢崎委員 そこで、私先ほど申し上げたとおり、休職のままですと兼業の問題で自衛隊法の関係が出てくるから、一応形式上退職にしてある。しかし会社のほうは行っておる人のために二千円、個人名儀で積み立て金の形で積み立てておる、帰ってきたときにはそれを支給する、こういう形になっておる。もしそういう形であるならば、これは隊員の分限、服務等に関する訓令第十条の(2)に、「職務に関して贈物又は謝礼を受けてはならない。」とありますね。こういう項に触れるのではありませんか。
○麻生政府委員 私は、二千円というものをもらっているのかどうか存じないわけでございますが、もし先生の言われるようなことであるといたしますと、職務遂行に関連して金をもらっているということではないように思うわけでございます。まあ自衛隊に入って、帰ってきて、御苦労さんというようなことで渡すのかどうか、そこはわかりませんが、要するに自衛隊員としての職務に関連して給与をもらっているというような性格のものではないんじゃないか、こう思われます。
○楢崎委員 わざわざそういう解釈をあなたがする必要はないじゃないですか。実際は明らかではありませんか。自衛隊に行っておる謝礼という名前であろうと何であろうと、二千円というものを積み立ててやっておる。そうしてほかに逃げないように、これを帰ってきたときにやる、こういう実態だと思うのです。そういうことをしてまで定員を補っておる。私は予算委員もしておりますが、われわれから見れば、国家の予算で一企業体で運転免許をとらせるなんていうようなことは、言語道断な話です。そういうことで定員が詰められていく、私は実に情けないと思うのです。静岡鉄道の入社案内を見てごらんなさい。ちゃんとそういうことは書いてあるんだ。それで、この謝礼の問題、あるいは自衛隊の静岡地方連絡部とどういう申し合わせになっておるか、これは早急に調べて、ひとつ資料として御提出いただきたい。
○麻生政府委員 われわれのほうといたしましては、企業からの志願者につきましては、要するに企業は退職するということを一つ条件にして考えているわけでございます。それから、企業から自衛隊に入隊した場合、本人の職種とか特技とか勤務場所というようなものについて条件をつけて、要望があっても、それはわれわれの自衛隊本来の人事政策に従ってやるので、それに何ら拘束をされないというたてまえで採用してきておるわけでございまして、おそらく静岡地連もこの方針に基づいてやってきておるというふうに私は考えております。
○楢崎委員 私はそれを聞いていないんです。よく調べて資料として出しなさいといっている。そういう事実がある、こういうことじゃないかということをいま聞いておるんだ。あなたより私のほうがよく知っておるんだから、調べて資料として出してくださいね。
○麻生政府委員 いまお尋ねの点につきましては、地方連絡部なりでよく調査をいたしまして、できるだけ御提出するように努力したいと思います。
○楢崎委員 時間がありませんから、もう一つ私は例をあげておきましょう。これは、不二越株式会社、ベアリングの大手メーカー、これが経営がうまくなくなって、人員の整理の必要が出てくる。この社長は有名な丸紅の市川さんが社長。経営が悪くなって市川さんが乗り込んできた。防衛産業ですね。これは三十九年五月です。そして四十年の八月に合理化案が出た。約八百名の合理化をしなければいかぬ。首切りですね。そこでいろいろと組合と交渉した。うまくいかない。そこで考えついたのが、これまた合理化したい者を自衛隊にあっせんする。その中で、これは四十年八月一日ですが、一石二鳥をねらったわけですよ。どういうあっせんのしかたを会社はしたかというと、十八歳から二十五歳までの従業員を対象として、いろんな便宜をはかる。その際に自衛隊に入隊した期間の取り扱いは次のとおり。(イ)入隊期間は休職扱いとする。(ロ)入隊期間は無給とし、昇給、昇格は中断する。(ハ)入隊期間は退職金計算のとき勤続年数に加算する。(ニ)入隊前に、社員住宅に入居している者については、入隊後も居住できるよう便宜を供与する。会社に復帰できる者は自衛隊を満期除隊した者に限定する。まあ、ざっとこんな内容です。こういう会社のあっせんのしかたは、自衛隊としてお受けになるわけですか。
○麻生政府委員 先ほど申しましたように、こうした企業に就職している者の入隊につきましては、とにかく会社をやめて退職して、一般の試験によって入るという方針できておりまするので、いまありましたような休職で入ってくるというようなことは認めなかったわけでございます。したがいまして、不二越から試験を受けて入っている者がございますが、それらの者はすべて職を辞して入ってきておるものでございます。
○楢崎委員 私は、そういうことだと思うのです。そういうことは許されないと思う。しかし、そういう形で、企業の合理化の一環として自衛隊が協力する。これのいい悪いはお互いの判断がありましょう。事実を私は言っておるのです。そういう関係において――すべてではないでしょうが、そういう関係において自衛隊が一生懸命企業と提携をして定員を増していかれておる。こういう実態を私は問題にしたいわけです。こういうふうにまでしなくちゃなかなか集まらないという現状をひとつ防衛庁長官お考え願いたい、こういうことであります。そこで、この防衛二法、いま言ったように定員増と充足率の関係、いま若干取り上げたんです。
 次に問題点としてあるのは、特に陸上の場合の六千人増は治安対策と大きな関係があるのではないか。これについて時間の許す限りやってみたい。
 そこで、まず冒頭にお伺いをしておきますが、昨年一〇・二〇のいわゆる新宿事件があった。そうしてあの防衛庁の本庁に一部学生が乱入をした。そこで、増田防衛庁長官は自衛隊員を警備につけるようになさった。現在自衛隊のどこの自衛隊が警備に当たっておるか、それは何人ですか。
○島田(豊)政府委員 先ほど御指摘の事件がございましたあとに、従来から防衛庁の施設を警備する場合におきましては、一般の警備員をもって当てておりましたが、不測の事態に対処いたしますために、自衛隊員をもって守衛と一緒に、警備員と一緒に部内の秩序の維持に当たるという趣旨で檜町警備隊を設置いたしたわけであります。そこで、お尋ねのどの部隊から配置されておるかということでございますが、これは東部方面管内の部隊を約一個中隊程度、人員にいたしまして百二十名程度を交代で配置いたしております。そうして約二十数名からなります檜町警備隊本部を設置いたしまして、この本部は常置いたしておりますけれども、具体的に警備につきます人員は、これは東部方面管内におきまして一個中隊が交代で当たる、こういう現状でございます。
○楢崎委員 そこでこの警備の自衛隊は、ああいうことがあったときに備えるわけですね。増田長官は当時、小銃などの武器は一切持ちませんとおっしゃっておる。現在どうなっておりますか。
○島田(豊)政府委員 檜町警備隊におきましては、門の警戒あるいは出入者の監視、それから構内におきますところの警戒ということでございまして、いわゆる歩哨の役目をいたしておるわけでございます。この歩哨に当たっております隊員は、小銃を携帯いたしております。これは自衛隊は小銃を携帯いたすのが原則でございますので、普通の駐とん地における警備と同様に携帯いたしておるわけでございますが、不測の事態に備えまして警備をやります場合には、通常の形態としては木銃をもって侵入者を排除する、こういう措置を考えておるわけでございまして、ふだんの警備なりあるいは侵入者の監視、これは小銃を携帯さしておるわけであります。
○楢崎委員 私はそういう事態を一番心配するのです。いまから申し上げること一またあのような事件があるとたいへんだと思うのです。また、現在の条件のもとでそういうことをやるのは間違っておる。しかし、やる者がある。そういう場合に、いま木銃とおっしゃった。しかし立哨しておる者は武器を携帯しておる。したがって、この武器の使用というものはたいへん問題になろうと思うのです、持っておる以上は。そこで私はこの種の、これは治安行動の場合でも問題になったところです。非常にこれはむずかしいところです。そこでいま、これを機会に明らかにしておきたいのですが、昨年、増田長官は、「治安行動草案」はやめた、そして指揮官の「心得」というものにかえる、そういうことをおっしゃっていましたけれども、できましたか。
○有田国務大臣 「指揮官心得」は目下検討中でありまして、まだ私のところまで来て最後をまとめるという段階には、いっておりませんが、とにかくこれをまとめ上げたい、かように考えております。
○楢崎委員 それでは、いま鋭意作業中である、そういうことですね。
 そうすると、ただいまの治安行動の訓練というものは何によってなさっていますか。
○宍戸政府委員 「心得」はまだできておりませんけれども、これは訓練をするしかたというわけではございません。指揮官がいざという場合に出動した場合の心得が主になっておるわけでございます。お尋ねの実際の訓練は、連隊長なら連隊長、中隊長なら中隊長が十数年の訓練上の経験がありますが、いろいろな設想をしまして、こういう場合にはこうする、警察の機動隊などのいろいろな経験を参考にするとか、諸外国の例を参考にするとかというふうなことで実際の訓練をやっておる、こういうことでございます。
○楢崎委員 いまちょっとことばの中にもあったとおりですが、「治安行動草案」は、実はもう完成をして公にする寸前までいっておったのですね、昨年。それが増田長官のツルの一声でああいうことになった。作業しておった人はたいへんな不満があったろうと思う。しかし実際の訓練はあの「治安行動草案」でやっておったのですね。そしてまた、いまおっしゃったように、その経験によっていまも続けておるということは、「治安行動草案」というものは訓練上実際に生きておる、これはそのとおりだと思うのですね。
 そこで念のために言っておきますけれども、これをおつくりになったのは、当時陸上の幕僚長でありました陸将の杉田さんで、昭和三十五年十一月九日につくられて流された。どう「はしがき」に書いてあるかというと、「陸上自衛隊の訓練に資するため、治安行動草案を配付する。」こうなっておりますね、そして「主として連隊以下の各級指揮官及び幕僚に対し、陸上自衛隊の治安出動及びこれに関する訓練の一般的準拠を与えることを目的とし、一般の作戦行動に資し、治安行動上特に考慮すべき特異事項について記す。」こういうことになっていますね。こういうことが実際連隊に配られておる、これでやっておる。
 そこでもとに戻りますが、七〇年問題もあるし、きのうは保利長官は自衛隊を出すことは考えていないと言われておったが、しかし六〇年のときには出す寸前までいっておったわけですね。そこで私は、この武器の使用、これがもしそういうことが行なわれるならば、具体的にはいま防衛庁の警備をしておる自衛隊の問題をあげたのですが、実際に歩哨として小銃を持って立っておる。こういう事件が起こらないとは限らない。そこでもし銃を撃つというようなことがあると、これは国民に銃口を向けることになる、いかに暴徒であっても。これは非常に重要な点であろうと思う。私はそれを野党の一員としてともに心配しておる。
 そこでこの武器の使い方、これについては大体「治安行動草案」の中にあります。しかし、その「治安行動草案」のまた基礎になったものがある。そちらのほうはより具体的に書いてある。そこで念のためにお伺いしておきますが、これは少し古うございますけれども、古いということは問題ではない、それが生きておるかどうかということが問題であるわけです。防衛研修所は、防衛研修所研修資料別冊百八十号「暴動鎖圧研究の参考」という資料を出されております。それはありますか。
○麻生政府委員 これは一九五八年ですから、昭和三十三年ころです。当時の岡本という所員が研究したものがあります。これは研修所の所員として研究をして、それを取りまとめたものということでございまして、別にこれが隊員の行動の準拠とか基準とかというものになるものではないわけでございます。その当時岡本所員が研究したものでございますから、所員の研究としてはございます。しかし年度もだいぶ古いものでございますから、部数も非常に限られておるものしかない。こういうことでございます。
○楢崎委員 さっき言いましたように、古い新しいは問題ではない。昭和三十三年、そしてそれは三十五年の「治安行動」の中に大いに生かされております。比較してごらんなさい、生かされておる。いまの「暴動鎮圧研究の参考」は、これは研究ということでありますが、これは部外に出せますか。
○麻生政府委員 これは私も研修所から取り寄せまして調べたのでございますが、別に秘の表示はいたしてございません。したがいまして、御希望であればお見せするということになろうと思います。ただ先ほど申しましたように、研修所には実際には二部しかないのでありまして、一部は私こちらに借りてきておりまして、すぐいまこれをお出しするわけにはいかないわけでございます。
○楢崎委員 それではいまちょっと借りられますか。――この二八〇ペーシに「武器の使用」というところがありますね。暴動鎮圧の研究ですから、つまり治安行動ですね。先ほど申しましたような事例のようなときに参考にするものであります。だからこういうときには武器はどういうふうに使用するかという参考になるわけです。まさに表示のとおり参考になるわけです。これはやはり重要な問題であろうと思いますが、これは明らかにしてよろしゅうございますか。
○麻生政府委員 先ほど申しましたように、所員個人というとおかしいのですが、所員としての研究でございまして、防衛庁なり防衛研修所としての意見として出しておるものではございませんので、その点であれしていただきたいと思います。
○楢崎委員 差しつかえないわけですね。
○麻生政府委員 先ほど申しましたように、秘ではございませんから、別に読んで悪いとか申し上げるわけにはいかぬと思います。
○楢崎委員 先ほど言いましたように、これはたしか二編あるはずですね。そして防衛研修所研修資料別冊百八十号「暴動鎮圧研究の参考」、これが第一編になっている。第二編があるわけでしょう。
○麻生政府委員 第一と第二とございます。第二のほうは私もきょうは持ってきておりませんけれども、これは昔の徳川時代とか、何かそういう昔の古い歴史的なことを研究したものでございまして、単に史実の研究というだけのものであったように覚えております。
○楢崎委員 それではこれは時間がありませんから、あとで明らかにしたいと思う。武器使用についての非常に重要な参考になろうと思うので、これはあとで明らかにしたい。私どもとしてもたいへん心配をするところです。この武器の使用についてはあとで明らかにしたいと思います。
 そこで結論を急いでくれということでありますから、問題点だけ出していきたいと思います。
 そこで、私はきのうは保利官房長官に、時間がなかったから、七〇年をめどに、七〇年問題対策として自衛隊の出動を考えておるかということをぽつんと出したわけです。今度の定員増のねらいは治安対策という色が非常に濃い。特に陸上自衛隊は局地戦以下の問題というようなことがありますけれども、実際は治安対策を主たる任務にしておるんではないか、それをお伺いしたいと思います。
○有田国務大臣 私どもは、陸上自衛隊は治安対策を主たる任務なんということは毛頭考えておりません。先ほど、来年出動するのではないかという話もあるし、今度の定員増も治安対策のためじゃないかというお話がありましたけれども、御承知のとおり、陸上自衛隊の十八万人体制ということは一次防以来の懸案なんです。それで今日十七万三千人までいっておりますが、ひとつ三次防で仕上げをやりたいというので、いま御審議を願っておるわけです。これが治安対策のために六千人増をいまこうして提案しておるということは絶対ないわけです。ただ御了知願いたいのですが、自衛隊の任務としましては、国土を守るということも大事でございますが、同時にやはり公共の安寧を維持するために治安出動ということが法律上任務に書かれておりますね。したがいまして、私ども慎重にやっておる。めったに治安出動なんかやろうと思いません。またないことを願っておりまして、ここに赤城さんもおられますが、赤城防衛庁長官も、その当時、こういうものは慎重にやらなければならぬというので、出動をしなかったわけですね。私も同様な考えを持っておりまして、そう自衛隊が治安出動をやるなんということは考えておりません。またそういう事態が起こらぬことをこい願っておるわけです。あくまでも警察というものが治安に対しては第一の任務にありまして、しかし、どうしても警察の力だけではいかないとか、また相手がいろんないわゆる内乱的な大きな紛争になってくれば、これは任務が課されますから、そういう場合は出ぬとは申しません。けれども、私たちはそういうことを考えてこういう六千人の増員を願っておるとか、またそういうことを考えて来年にやるということは毛頭考えておりません。ひとつその点は誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
○楢崎委員 あなたはそうおっしゃいますが、何回も取り上げますけれども、源田さんは何と言っておるか。参考のために読んでみます。「まあ、こういうことを言うと具合が悪いのですが、局地戦争と言わないと、今の陸上自衛隊を使う場所がないわけなのであります。そういうことは、私は極端な言い方かもしれませんが、内乱でも起きないかぎりは、陸上自衛隊は海外派兵はできないし使う場所がないのです。」私が言っておるのではない。源田さんが言っておる。しかも、何回も言うようですが、国民はこの本を大いに読みなさいと言っておる。だから私もその指示に従って大いに読んでおる。こういうことを書いてあるのです。源田さんばかりじゃないのです。かの有名な「指揮官の心得」から、「治安行動草案」から、「幹部諸公へ」あるいは「よい中隊」ですか、一連の問題になったものを書いた杉田さんですね。杉田さんがおやめになって、過去を振り返って、過去やられたことを書いておられる。四十二年の「忘れられている安全保障」、この中に――杉田さんはいわゆる陸幕長であったわけですね。陸上自衛隊の最高責任者であった。そして例の六〇年問題のときの最高責任者であった。この方がどう書いておられます。陸上自衛隊の大きな任務は治安対策だと書いておるじゃありませんか。書いておるのです。時間がないから多くを読みませんが、それで、この認識が陸上自衛隊なりあるいは防衛庁にないからたいへん嘆かわしいと書いてある。防衛庁にないからということは、有田防衛庁長官も入るわけです。こういう認識がないから困ると書いてある。源田さんもこう言っておる。内乱でも起きない限り使うことできないのだ、航空、海上は別だ、陸上の場合はそうだ、そうでしょう。いいですか。もうちょっと念のために読んでおきます。たいへん参考になるのです。こういうことが書いてあるわけですね。陸上自衛隊を使うときは日本が負けたときであると書いてある。つまり、ほんとうに入ってこられたときのことですから、実際に局地戦に使うとすれば。その局地戦は起こらないということで書いてあるのです。陸上自衛隊を使うときは負けたとき、そのとおりだと思いますね。負けたとき、そういうことばが使ってあるのです。そうすると、それ以外に陸上自衛隊を使うということになれば治安対策以外にない。このとおりなんです。源田さんが言っておるとおり、あるいは杉田さんが言っておるとおりなんです。いいですか。そして七〇年は使わないとおっしゃるが、六〇年のときはもう使いたくて使いたくてしようがなかった。使う寸前までいっておる。いろいろ書いてあります。念のために読んでおきます。こういうことを考えておるということを知ってもらいたいわけです。つまり六〇年の一月の段階です。「極秘裡に冷戦に対する部隊の教育訓練を行い、万一の場合に備えた。」「冷戦」ということは、いま言ったような大規模の大衆運動を含むわけです。そして「それも報道関係者の目をかすめながら、過激分子を刺激せずに実施に移した」そう書いてある。日本政府も認識が足らぬといっておこっておるわけです。これに対して「日本政府もようやく事態の重要性を認めざるを得なくなり、これが対策を講じ、秘密裡に各方面より警官を大々的に東京や福岡に召集することになった。」福岡は私の郷里です。「この頃巷間自衛隊の出動の声が聞かれるようになり、外部からする自衛隊に対する工作や接触が頻繁の度を加えてきた。」こう書いてある。そして例の、私も参りましたけれども、新島の試射場の問題、このときに工事は自衛隊がやった。このときには杉田さん何と書いておるか。敵前上陸の気持ちで、敵前上陸の用意をして上がったと書いてある。そしてなおひどいことに、私はこれは問題であると思うが、いいですか、三十五年六月二十日、つまり安保が六月十九日に自然成立をしたあくる日に、杉田さんは、米国の陸軍参謀総長レムニッツァー大将、それから太平洋方面軍司令官ホワイト大将に私信を出されておるのですね。これも私は問題であろうと思う。これは六月十九日のあくる日の段階ですから、もうアイゼンハワー大統領が来られなくなった、それに対する謝罪も含めて出された。もしこういうものを出すならば、相手は米国の陸軍参謀総長、太平洋方面司令官です。防衛庁長官が出すならばわかります。これを一陸幕長が出しておるんです。そこでこれはどういうことを書いてあるかというと、「アイゼンハワー訪日中止になったことについて遺憾の意を表しつつ、政治上の問題は別として、陸上自衛隊としては命令一下十分な出動準備態勢にあったし、将来も冷戦下において十分対処する決意であることを伝え」ておられる。アメリカの陸軍、海軍の責任者に日本の陸幕長が、将来も御心配要りませんよ、将来もわれわれはこの種の事件については十分対処する決意であります。こういうことを、お伺いか何か知らぬけれども、手紙を出されておる。私はこれはたいへん問題であろうと思う。要するにこういう姿勢で陸上自衛隊はいるということを私は言いたいのです。こういう姿勢でおられるということ。
 私は、この「忘れられている安全保障」、これは大いに参考になると思います。あなた方が国会で、政府が抽象的な答弁をしておっても、実際の制服はどう考えておるか。これが国民が実際は知りたいところなんです。事態をごまかしていない。正直だから率直に書いておる。これこそが自衛隊の、あるいは日本の防衛が今後どういう方向に進むか、大きな暗示をわれわれは受けられる。そういうものをわれわれ読みながらこの法案を考えておる。単につくりごとを言っておるんじゃありません。こういう具体的な事実に基づいて、あるいは書かれておるものについて私どもは問題を提起しておるわけです。
 そこで、最後の締めに入りますけれども、この防衛二法の問題でございますが、今回は連隊戦闘団を三個編成できるようにする。この連隊戦闘団というのは、常時編成上置かれる戦闘団でありますか、あるいは運用上いざというときには直ちにつくれる体制に置いておくという抽象的な一つの戦闘団でありますか。
○有田国務大臣 いろいろとお話を承りましたが、源田君とか杉田君という人の名前まで出されておりましたが、私は防衛庁の責任者としまして、何といっても自衛隊の第一の大きな主たる任務は、日本の国土の防衛に当たるということが主たる任務であります。何とだれが言おうと、治安というものは第一には警察が当たるべきもので、われわれの任務としては、あくまで警察の補充的な意味の任務であります。せっかく任務に当たるのですから訓練はやっておりますけれども、この治安出動ということは、御指摘のように日本人が日本人を殺すというようなことはたいへんなことである。そこであくまでもこれは慎重にかまえていかなければならぬ。こいねがわくはそういうような事態が起こらぬことを願っているわけです。また同時に、日本の防衛に当たるものが陸上自衛隊だ、仕事がない、私はそれが一つの仕事だと思うのですよ。万一の場合に備えて日本の自衛隊というものがあるのです。事が起こらない、日本が侵略を受けないということは、これはりっぱに自衛隊の任務を果たしておるということで、それがまた私はいいことだと思うのです。だから、私はだれが何と言いましょうと、日本の国土を守っていくということが第一の任務であって、そして治安出動ももちろん法律で任務を課されておりますから、これを怠るわけじゃありません。しかしそういうことは軽々に発動しない。また同時に、その他いろんな任務があります。あるいは災害出動とか、あるいは警備行為とか、いろんなことがありますが、われわれはそういうことの起こらぬことが、外敵の侵略を受けないということがまた同時に自衛隊の任務を果たしておる、こう思っておりまして、それに対して陸上自衛隊が遊んでおる、仕事がなくて困っておる、そうは私は考えていないのであります。(楢崎委員「私が言っておるのじゃない。源田君が言っておるのです。」と呼ぶ)そういうような見解を持っておりますから、そういう本がどう書いておろうと、私はこういう考えでおりますということをここにはっきり申しておるわけです。(楢崎委員「あなたの前任者が読めと言っているのです」と呼ぶ)前任者はとにかく、そういうことでありますから、それはひとつお含みおきを願いたい。
 なお連隊戦闘団ですか、これはひとつ政府委員のほうから答弁させます。
○宍戸政府委員 連隊戦闘団の編成上の性格につきましては、先生のおっしゃった後段のほうでございます。つまり通常の編成上の単位ではなくて、有事運用上の単位ということでございます。
○楢崎委員 そこでこの内容を見てみますと、こちらのほうが詳しいのですが、人数のほかに持つ武器が書いてありますね。この持つ武器の内容を見てみると、ここが私の言いたいところなんですが、これは全く治安対策用ですよ、この連隊戦闘団というものの武器の内容からしましても、機動性からしても、運用上からしても。こういうものを今度の陸上自衛隊六千人の増と関連をして明確にしている。こういう構想であろうと思うのですね。私は時間がありませんから、手元に資料がありますが、この内容は治安対策と非常に関係がある、このようにわれわれは思わざるを得ない。
 それから自衛隊法の改正の場合も、直轄部隊を航空群から切り離して航空集団に切りかえる。直通にする。これは岩国の分遣隊の問題であろうと思う。それだけであろうと思う。それはそのとおりでございますか。
○宍戸政府委員 岩国の分遣隊も含みますけれども、それだけではございません。現在の航空集団は下総にございますけれども、これは司令部と五つの航空群から成っておりますが、今回お願いしております改正は、これらの航空群と並んで直轄部隊を設けることができるようにしたいということでお願いをしておりますが、これは岩国を含みます航空部隊に第五十一航空隊というのが下総にございますが、これは通常の第一線の航空隊と違いまして試験研究を任務とします航空隊でございますので、それが普通の第一線の航空部隊と並んでいるのは編成上ちょっとふぐあいな点がございますので、航空集団の直轄部隊ということにいたしたい、こういう趣旨のものでございます。
○楢崎委員 ここで問題になるのは例のPS1だと思うのですね。それでいまPS1は岩国に何機あり、その正式の編成はいつごろになるか、これを明らかにしてもらいたい。
○宍戸政府委員 現在岩国で実験しておりますPS1は二機でございます。実験中でございます。ほぼ一年くらい、大体今年じゅうくらいに試験を終わる予定にしております。その後正式な編成に入る、こういうふうに大体予定しております。
○楢崎委員 私はこのPS1は、いまの日本の実力としては最高の水準をいく対潜兵器であろうと思うのです。しかしこれは一応対潜兵器になっておるけれども、あるいはせんだって北鮮近海で撃墜されたEC121、こういった将来情報機の性能をねらっておるのではないか、そういう情報収集の飛行機、こういうふうに例のAEWですか、これと連動してそういう任務を持つようになるのではないか、あわせてAEWのこともこの際聞いておきたいと思います。
○宍戸政府委員 AEW、つまり早期警戒機といいますか、そういう構想は従来からも構想としては持っておりますし、将来も四次防等をつくる場合にも一つの問題になろうかと思います。しかしまだ構想段階で、はたしていつから実現できるかはもちろんまだわかりません。ただ先生おっしゃった北鮮で事件になりましたEC機とこのAEWとば性格はもちろん違います。構想で持っておりますAEWは、いわばレーダーサイトが低空等でカバーする場合に十分でない面もございますし、防空体制を完備するためにひとつレーダーを少し前に出そう、簡単に申しますとそういう構想でございます。かりにそういうふうな構想が実るとしまして、その前に御指摘のPS1がそれに使われるかどうか、これもまだ構想段階でございますし、PS1がそれに使われるかどうかきまっておりませんが、かりに構想が実現するとしますと、PS1は御指摘のように、最近できましたりっぱな飛行艇でございますので、候補の一つになり得るということは申し上げられると思いますけれども、ECとは性格が違うというふうに御了解いただきたいと思います。
○楢崎委員 実はまだ残しておる問題があるのですが、審議に協力をして、自後は別の機会に、予算委員会なりございますからやりたいと思いますが、外務大臣が見えたときに、残しておる問題は、お約束のとおり保留させていただいておりますから、それは機会を与えていただきたい。
 一応これで終わります。
○藤田委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時三十四分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時四十五分開議
○藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。菊池義郎君。
○菊池委員 防衛庁長官にお伺いいたしますが、先ほども問題になりました四十年統合年度戦略見積もりでございます。これが問題になっていますが、自衛隊が自衛のために海外に出動すること、これはわれわれは違法ではないと考えている。すなわち、他国から攻撃を受けて、しこうして国を守るために海外に出動すること、これは憲法違反でないと考えますが、長官はどう思いますか。
○有田国務大臣 海外に出動する、海外といいましても公海の上までならともかくとしまして、相手の領海なりあるいはその領土へ入るということは、私は憲法上非常に疑義がある、かように思っておるわけです。
○菊池委員 クラウゼウィッツの戦法を見ましても、あるいは孫氏、呉氏の兵法書を見ましても、守ることはすなわち進んで攻めることが最もいい方策である、最もよい戦術は、すなわち進んで敵の根拠地をつくことであるということをいっておるのです。それでありますから、進んで敵の根拠地をつくということは、これはすなわち守ることであると考えて差しつかえない。自衛隊が自衛のために存在するならば、攻撃を受けて敵の基地をつく、他国に侵入する、これは当然のことと考えられるのでありますが、それでも長官は憲法上疑義があるとお考えになりますか。
○有田国務大臣 あくまでわが国の防衛は、憲法のもとにおいては、私はいわゆる自衛にあると思うのです。その自衛のために海外へまで行くということは、幾ら気持ちが自衛のためといいながらも、そこに私はだんだんエスカレートするおそれがあると思うのです。それで私は、今日はやはりその限界というものははっきりと区別して、われわれはまずわが国を守るというその狭い範囲に解釈したい、かように考えております。
○菊池委員 そうしますと、敵の攻撃のままにじっとして自滅を待つ、これが最もいい戦法であるとお考えになりますか。
○有田国務大臣 座して自滅を待つということもありました。それは日本のほうから向こうの根拠をやらなければ日本はどうもしかたがないというときには、これはだいぶ昔の議論でありましたが、座して自減を待つよりも、それはしかたがないという解釈をとられましたけれども、あまりそういう解釈を広めますと、私はそこに問題が起こりはせぬか。そこで、そういういわゆるたての面を日本は守っていく、それでやりの面はわがほうはやらず、しかるがゆえに日米安保条約というものは必要である、こういう見解をとっておるわけであります。
○菊池委員 そうしますると、自衛隊はほんとうのつけたりで、安保条約によって日本を守るというふうに解釈しなければならぬということになりますが、それではまことに自衛隊は心細いと思うのであります。
 それから、前に法制局長官が、自衛のためならば核を持っても差しつかえないということを言われました。これはどうお考えになりますか。
○有田国務大臣 普通の憲法解釈としては法制局長官が言われるようなことも成り立つかと思います。しかし、御承知のとおり日本は法治国でございますが、原子力基本法を見ましても、日本は核を持たない、つくらない、こういうことがはっきり定めてありますから、私は現段階においては核は持たない、こういう考えでおります。
○菊池委員 非核三原則なんというのは佐藤総理が言い出したことなんで、このくらいばかげたことはないと思います。時と場合によっては核を持つ必要も出てくるのです。もしほんとうに安保条約が廃棄されて、自力によって日本を守らなければならぬということになりますと、原爆も水爆も持たなければならない。隣には原水爆を持っておるおそろしい国が二つも三つもある。(「三つ目はどこだ」と呼ぶ者あり)まあ、北朝鮮ですね。そういう国があります。それで、安保条約が万が一廃棄された場合を想定いたしまして、それでも核を持ってはならないとお考えになりますか。
○有田国務大臣 少なくともいまの憲法下と、それから原子力基本法というものが存在する以上は私は核は持たない、こういう考えでおります。
○菊池委員 この非核三原則は佐藤総理が言い出したことなんですが、内閣がかわりますと非核三原則は消えるのですか。どうなんですか。
○有田国務大臣 佐藤総理は、少なくとも自分が総理をやっている以上は非核三原則は守り抜く、こう言っております。しかし、人がかわったらとおっしゃいますけれども、私もいまの法律が、これは国会の皆さんが多数で協賛して、あるいは憲法をかえるとか、あるいは原子力基本法とか、そういうものを抜くということになれば、これは持つにやぶさかでありませんけれども、そういうような事態にはなかなかならない。したがいまして、佐藤内閣がかわっても、次の総理がだれになるか知りませんけれども、おそらく次の総理も核を持とうなんというところまではいかない、かように考えております。
○菊池委員 それから、沖繩が本土並みに返った場合――私はとうてい返りはせぬと考えておりますが、返った場合を想定いたしまして、事前協議が問題になりますが、政府はケース・バイ・ケースでもって、あるときノーと言い、あるときはイエスと言う場合もあるということを言われますけれども、それはまことにあいまいもこたる、ばく然たる放言であって、決して軍事専門家の口から言えることばではないと思うのであります。それで、どこまでも科学的に検討して、専門家が集まって、どういう場合にはイエスと言い、どういう場合にはノーと言う、そういうことを微に入り細にわたって検討すればこの問題はわけなく解決できると思うのです。そういう点についてどうお考えになりますか。
○有田国務大臣 この問題は私から言うのもどうかと思いますけれども、やはり日本の国益ということを考えなければならぬ。事前協議ということはもちろん協議でありますから、イエスと言う場合もありましょう。しかしあくまで日本の国のためになるというその前提の上に立ってケース・バイ・ケースで処理すべきものだ、かように私は思うのです。
○菊池委員 政府は世論にいつも押し切られておった。沖繩の返還もわれわれは考えてなかったのでございますが、いつの間にやら沖繩返還、そして最初は返還も白紙といって、それからしまいにはまた核抜き本土並みと言い出す。いつも世論に押し切られておる。ケース・バイ・ケースによってイエスと言い、ノーと言うということになりますと、あるときは世論に押し切られ、あるときは米軍に押し切られ、そして右に左にふらふらする、そういったような危険性が多分にあると思うのです。またそういうばく然たる言い方は、決して軍事を解する文化人の言うことでなく、ほんとうにいなかの百姓か、エスキモーのような頭の粗漏な人間の言うことなんです。軍事専門家が集まって、どういう場合にはノーと言い、どういう場合にはイエスと言う、それは幾らでも微に入り細にわたって検討すればはっきりときめることができる。そうすればもう動かないことになるのです。それが一番いいと思うのですが、どうですか。
○有田国務大臣 軍事専門家の考えもそれはもちろんけっこうなことですが、しかし軍事専門家ばかりの見地からそういう重大な問題を左右することはできぬと私は思う。やはりもっと視野の高い見地からはたして国益に合うかどうかということを十分見定めた上で、具体的にケース・バイ・ケースで処理すべきものだ、かように考えます。
○菊池委員 どうも歴代の防衛庁長官はみんなしろうとばかり、鉄砲の撃ち方も何も知らぬ人が防衛庁長官になる。私はしろうとのように見えても、これで昔は海軍省の嘱託をやって佐官待遇だったのですから、相当の軍事知識は持っておるつもりです。それで専門家ともいろいろ話し合った結果、この私の話が出ておるのですが、決してでたらめを言っておるわけではないのです。私はケース・バイ・ケースなんというそういったようなばく然たることばをやめにして、そしてはっきりと米軍をくぎづけにするように、どんな場合でも押し切られぬようにすることがどうしても必要だろうと思うのですが、どうですか。
○有田国務大臣 もちろん米軍の言いなりになったり、それから一部の勢力に引きずり回されたり、そういうことじゃいかぬので、やはり正しい世論を背景としながら、国益ということを十分考えた上で処理していくのが私はほんとうの政治じゃないか、かように思うのです。
○菊池委員 よく世論だとか輿論だとかいいまするが、総理もいつも委員会の答弁でもって世論の動向を察するということを口癖のように言っておるのですが、このくらいばかげたことはないと私は思う。世論なんというものの中には愚民の議論が七〇%も八〇%も含まれておる場合があるということを考えなければならぬ。外国の評論家もそういうことを言っておる。ビスマルクの伝記を読んでみると、ごうごうたる非難、攻撃を浴びながら彼は断固として自分の所信を断行して、そのあとから人民のかっさいを博している、そういうことはたびたびあるのですね。信念のかたい政治家は決して世論なんというものには拘泥しないで、どこまでも自分の信念に基づいて所信を断行する、政策を実行する、これがほんとうの一流の政治家のやること、英雄的素地の豊かな人物のやることなんです。どうか世論なんかにはあまり拘泥しないようにお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
 それから、外務大臣か官房長官にもお伺いしたいと思っておったのでありますが、ついでながら防衛庁長官にお伺いいたします。
 この間のASPACの会議で、韓国の代表も台湾の代表もみな会議のあとで記者団に言っております。沖繩の問題は決して日米両国でもってきめるべき問題ではない、ポツダム宣言やあるいはカイロ宣言、サンフランシスコ条約、こういうものをもとにして、これらの関係各国が協議してきめるべきものである、それが正当なきめ方であるということを言っておるのです。長官はどういうようにお考えになりますか。
○有田国務大臣 ついでながらというお話ですが、幸いにして外務省から条約局長もアメリカ局長も来ておりますから、ついでで私が答えるよりも、やはり外務省の人から答えたほうがいいと思いますから、ひとつ政府委員から答弁してもらいます。
○東郷政府委員 沖繩の返還問題というのは、われわれは日米間の問題と考えております。すでに小笠原あるいは奄美大島の先例もあるわけであります。他方、日本の周辺諸国が、この問題に安全保障上の問題として大きな関心を持っていることも事実でございまして、われわれはそういう事実を同時に計算に入れてかかる必要がございます。
 返還問題自体は、これは日米間の問題と考えております。
○菊池委員 政府が沖繩返還にばかり執着して、そうして南千島を忘れたような態度でおるということははなはだ遺憾でありますが、南千島が当分返らないということがわかっておっても、政府としては南千島の奪還のために努力すれば、マスコミもおのずからそれを宣伝するというわけで、国民の頭もそのほうに向いていくのでありますが、政府が沖繩沖繩と、沖繩ばかりに努力をするような態度をとるものでありますから、国民の関心がみんな沖繩のほうへいってしまう、これはばなはだ遺憾であると思うのです。沖繩は条約によってアメリカに預けた島でありまするが、南千島は暴力によってソ連に押えられておる島なんであります。そういうわけで、この二つの島の間にはたいへんな違いがあるわけでありまするから、このことも国民に知らさなければならぬと私は思うのです。沖繩を何ゆえ取り戻さなければならぬか、アメリカのほうでたいへんな恩恵を施しておるつもりでおるのですね。それを日本人はさっぱりわからない。中共は九竜半島を九十九年の約束でもって英国に租借を許しておる。ところが革命の手段によって国体が変革しました以上は、前の政権との条約はこれをいつでもぶち破って差しつかえない、これが国際法上の原則でありますが、それにもかかわらず中共はこの九竜半島を戻せなんということは一度として英国に言ったためしなし、そしてたいへんな経済上の利益を得ておるのであります。日本も、何もこの沖繩を急いで取り返す必要はない、私はかように考えておる。沖繩返還沖繩返還と騒いでおるのは共産勢力、それに沖繩人だ。百万の同胞と一億の同胞とどっちが一体大切なのか。沖繩を本土並みに取り返すことによって日本全土を失うような、そういった愚かなまねをしてはならぬと私は考えておるんです。本土並みといったところで、これはとうてい向こうは納得しないと考えておる。自由使用を許さなければできないと私は考えておりますが、そういう点について長官はどうお考えか、外務省でもどっちでもいいです。
○有田国務大臣 沖繩は、菊池さんはそういうお考えを持っていらっしゃるかもしれませんけれども、私は百万沖繩県民はもちろんのこと、一億日本国民の非常な願望だと思うんですよ。もちろん北方領土もわれわれとしては大事であり、このほうも進めなくちゃならぬと思いますけれども、国民は沖繩をそうあまり喜んでないというような、そういう感覚は持ってない。そこでまずせっかくここまできたんだから沖繩問題を片づけて、それから次いでまた北方領土にももちろん外交の手をもってそういう方面が日本に返ることをやるようにすべきものである、かように思います。
○菊池委員 沖繩が返還されますると、日本の共産勢力は時と場合によって沖繩に殺到するでありましょう。すなわち、渡航が自由になったことを幸いとして殺到するでありましょう。向こうのほうが一番おそれているのは電源を切られるとかあるいは通信網を切られる、通信網を切られただけでももう沖繩の米軍の機能は完全に停止する、それを非常におそれる。私は数年前アメリカの海軍の中将と一緒に演説をやって回って、その人から詳しくいろいろなことを聞きましたが、向こうはそういう考えでおるのです。それで、施政権の返還もたいへんなことだ、もうとんでもないことだと言っておりました。返還されたあとで共産勢力が大挙して向こうに殺到する場合、日本は警察を動員するということはたいへんなことでございましょう、たいへんな数を動員せねばならぬ、戦争にでもなった場合。そうなりますると、警備といい何といい、これはたいへんなことになるだろうと思うんですね。そういう点もどういうように考えておられますか、そういう場合自衛隊でも使うというお考えですか。
○有田国務大臣 沖繩に破壊勢力が集中すると菊池さんは簡単におっしゃいますけれども、まずそういうことにならないようにお互いに努力しようじゃありませんか。それで、もちろん警察というものがありますから、そういう勢力がそういうむちゃなことをやらないようにやっていくことが私は第一の考え方でなければならぬ。ひとつ菊池先生、沖繩が返ってきたら当然に破壊勢力が向こうに集まっていくということが、そう簡単にはいかない、そういうことのないようにして、沖繩がりっぱに返ってきて、りっぱな日本本土並みのいい土地柄になるようにお互いに努力いたそうじゃありませんか。
○菊池委員 日本の革命運動は第二期に突入しておるといわれておる、これが第四期までいくともう革命政権ができ上がるときであるということを外国の新聞あたりでも言っている人があるのですが、そのくらい緊迫しておるんですね。日本の自由主義者はちっとも共産主義の研究をしないで、そうして噴火山の上に踊っているような傾きがあるのであります。われわれは非常にそれをおそれておるわけであります。平時ですらもあのとおり沖繩は騒いでおる。交通が自由にならない今日でもあのとおり騒いでおる。いわんや交通が自由になってそうして米国が他国と戦端でも開いたとなりますと、さあもうそのときはたいへんだと思うのですね。そういうことも考えていらっしゃいますか。
○有田国務大臣 菊池さんの御心配のこともわれわれは十分耳を傾けなくちゃならぬと思いますけれども、そう簡単にそういうことにすぐなるということは考えられないので、先ほど申しましたようにわれわれしっかりしてそういう勢力があそこに集中しないように、りっぱな沖繩が成り立つように努力すべきものだ、かように思います。
○菊池委員 どうも長官と私とはちょっとばかり情勢判断が違っておるように思うのであります。今度佐藤総理が訪米するときには長官もおいでになったらどうですか。そうして補佐なさるように、それを国民は希望しておるのです。防衛庁長官が行かなければほんとうの交渉はできない。
○有田国務大臣 この折衝はあくまで外交問題ですからやはり外務大臣が行き、その際に総理も行かれるのですから、私たちも沖繩返還に対して協力はいたしますけれども、私が向こうへ行って交渉の任に当たるというようなことは考えておりません。
○菊池委員 アドバイスとして行かれることはどうでしょう。
○有田国務大臣 心ずしもアメリカに行かなくても、こちらにおきましてもアドバイスは十分できる、かように思っております。
○菊池委員 それから先ほども話が出ましたが、軍事機密漏洩ですね、技術研究開発計画であるとか、松前・バーンズ協定であるとか、三矢研究であるとか盛んに漏洩いたしますが、これは一体どういうわけですか、さっぱりわからぬのですが、どういうふうにしてこれが漏洩するのですか。防衛庁内に同調する人でもあるのかどうか、みなそういうふうに考えておるのですが……。
○有田国務大臣 過去におきまして、そういう機密漏洩があったことは非常に不幸なことで、遺憾にたえません。そしてわれわれとしましては、きのうも説明したと思いますが、現在許されておる法律の範囲内、また根本はやはり綱紀粛正の問題だと思いますので、部内におきましては、訓練その他機密文書の取り扱いに十分注意をいたしまして、そういう漏洩ができるだけないように努力しておる、こういう現状でありまして、今後とも厳重に機密漏洩が起こらないようにいたしたい、こういう考えでおります。
○菊池委員 それから新島の射爆場の問題でございますが、その後新島の猛烈な反対でもって向こうへ移転することはやめにしたということを聞いておりますが、それはほんとうでございますか。
○有田国務大臣 新島の方々が反対されておることは事実であります。しかし、私どもは何とかして既定方針どおり進みたいと思いまして、その前提としていま航空問題があるわけですね。最近飛行機が非常に発達しまして、羽田、近くは成田に国際空港ができるわけですが、ひんぴんとしてあの辺を通っておるわけですね。そこでこの新島へ行くのには米軍の飛行機との関係がありまして、ここの調整にいま努力しておる。これは人命に関することでありますので、加えて二で割るという、そういう妥協はできませんので、安全を確保しながらひとつ何とか打開する道がなかろうかというので真剣な態度で運輸省、米軍、そしてわれわれ施設庁と、三者の間でいま検討しておる次第であります。
○菊池委員 この新島移転については、まず航空機を扱う運輸省が絶対反対、それから観光の立場からして厚生省が反対、それから漁業資源を荒らされるというわけでもって農林省の水産庁が反対、三省が反対しておるのですね。それに島民が加わって反対、われわれも反対する。
 羽田には七つの航空路が集まっておるわけであります。一つはグリーン4、これは関西方面、二つはアンバー1、これは香港行き、三つはグリーン81、これはマニラ行き、四つはアンバー90、これは米国その他、それから五つはホワイト15、これは東北方面、それから六つが八丈島、それから七つが大島・三宅島、そういうように各方面に行くところの飛行機があそこにみんな帰ってきて集中するわけです。私はここに図面で書いてきましたので、見ていただきたいのですが、ごらんのように七つの航空路線がある。それで横田基地から飛んでくる爆撃機がその中へ飛び込んでくるわけです。民間機は着陸指令があるまでは上空で待機しなければなりません。その待機の時間が非常に長い場合があります。大島から羽田へ来るのはたった二十分ですが、私が乗りましたときには、羽田に降りる場所がなくて、羽田の上空を一時間もぐるぐる回ったことがあります。そういうことがたびたびあるんですね。民間機と米軍機の高度はほとんど同じで、千三百メートルから六千メートル、七千メートルぐらいあります。その上空の待機の場所が射爆場の上空にあるわけで、横田基地から来る軍用機は、その待機しておる場所でもって急降下をするあるいは反転、横転するというわけであばれるわけでございますから、危険この上ないわけでございます。
 それで米軍機と民間機とその高度を調整するということは、これは至難中の至難事で、とても調整なんてできることではございません。一回や二回ぐらい用心して事故がないかもしれぬが、なれてくると必ずいろんな事故がたびたび勃発するにきまっていると私は考えているのです。こんな調整なんてめんどうなことはございません。さらに成田の空港ができますると、この危険性は倍加するという結果になるのですね。おそろしいことなんです。水戸では過去二十年の間にこの軍用機でたった五人の死人しかないんです。新島上空ではこういったような危険性がありまするから、五年間たったら何百人死ぬかわからない、こういうことが予想されるのでございます。水戸のほうの反対は、あそこに原子力の研究所がある、これが危険だというのが反対の最大の理由でありますが、研究所には、これを設置するのにわずか十億円しかかかっていない。ところが新島のほうに移転するとなると、山を削ったなんだ、補償問題だなんだで、少なくとも百億、二百億ぐらいの金はたちどころに消えてしまう。そういうばかげた経費を使ってまでわざわざ新島に移転せんけりゃならぬか。しかも、危険は大きいというわけでございます。水戸の原子力研究所をほかへ移せば、これは簡単なことでしょう。むしろ原子力研究所を新島に移せばいいのではないかというふうに考えられます。そういう点、どういうようにお考えですか。
○有田国務大臣 菊池さん、なかなかいろんないいお考えをお出しになりますが、いまあるところのあそこの水戸の原子力センターを新島に移したらいい、そういう簡単なものではないと思うのですよ。
○菊池委員 新島のほかにどこでもいいのですよ。
○有田国務大臣 どこでもいいとおっしゃいますけれども、せっかくあそこまできたのだから、そうはいかない。そこで、私は茨城県の状況もよくわかっております。何とかして既定方針どおり進みたい。しかし先ほども言いましたように、航空の問題は相当、いまおっしゃるようにどんどんとふくそうしておりますし、その上成田空港も近く開始される、こういう状態になりまして、まことにそれは人命にかかわる大事な問題ですから、慎重に考えながら、しかし何ぶん広いこの空の間ですから、何か調整方法がないだろうかというので、せっかく運輸当局、そうしてわがほうと米軍と、三者の問でいま熱心に検討しておる最中でございます。これが何とかして打開するなれば、やはり既定方針どおり進みたい、こういう考えでいまおるところでございます。
○菊池委員 どういうように検討せられても、民間機と軍用機の高度の調整というのは、これは至難中の至難で、とても調整はできるものじゃないですよ。そういうお考えは取りやめてもらいたいと思うのです。松野頼三君が防衛庁長官のときに、これはうっかりと米軍ときめてしまった。防衛庁内で検討したかどうかは知りませんが、検討も何もしないできめてしまった。あの人は全くのしろうとでございますから、私が防衛庁長官だったらこんなこともうすぐ気づくのですけれども、しろうとには気づかないのです。おそろしい話です。めくらヘビにおじないとはこのことです。これをきめたのは三年前でありますが、どうかしろうとの考えをもとにしないで、頭を切りかえていただいて、そうしてこの危険性に十分考え及んでいただきたいと思うのであります。運輸省にしてもそれから厚生省にしても農林省にしても、いまごろ気づくなんておそ過ぎるのです。なぜそのときに言わないのか。ほんとうに官吏の頭のマンマンデーはおそるべきものです。増田長官は、地元の同意が得られなければ、そういう場合はしいて移転する考えはないということをはっきりと言い切りました。長官はいかがですか。
○有田国務大臣 もちろんそういう施設をやるときには、やはり地元の理解と納得を得なくてはやれるものじゃありません。しかし私は地元も、ねばり強くほんとうの真意をわかってもらうならば、そういう合意点に達するであろうと思っております。しかしその時点におきまして、さっき申しました航空問題がいま申したとおりでありますので、そこをいま真剣に検討しておる、こういう段階であります。
○菊池委員 長官も、何も行きがかりにとらわれる必要はないのですよ。悪いと思ったら直ちに撤回することが必要で、それが頭のいい政治家の態度でなければならぬと思うのであります。そういう中でもって高度の調整なんていうのは、それはとてもできるものじゃないのですから、この危険性を考え、直ちに撤回してもらいたいと私は思うのでございます。新島の連中、幾ら説得をしたところで、それは説得できません。特にわれわれがついておればなおさら説得は困難であります。新島というところは、あの辺は、北は青森から南は九州までの漁船が密集するところでございまして、一年の水揚げ高が百億円です。それほどの水産の水揚げ高があるところなんでございます。そればかりでなく、観光は英国のドーバー海峡に匹敵するなんということを向こうの人は言っておる。うそかほんとうかわかりませんが、そういうことを言っております。どうかこの危険性を十分考えられて、そして一日も早くこの案を撤回するように米軍とも折衝していただきたい。このことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○藤田委員長 木原実君。
○木原(実)委員 同僚の楢崎委員が幾つかの問題を提起をしたわけでありますけれども、その問題の中で、私どもにとりましてなお十分納得のいかない問題等がございますので、その辺から質問に入りたいと思います。
 長官は、昨日の本会議でも、それからまたけさの楢崎委員の質問に対しましても、防衛力の増強の方向について幾つかの答弁をなさったわけであります。
  〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
 そこでまずお伺いをしたいわけでありますけれども、国力と国情に応じて防衛力を増強していきたいのだ、こういうお考えが明らかにされたわけでありますから、しからばその国力あるいは国情、そういうものを総合してメルクマールというか、限界をどの辺にお考えになっていらっしゃるのか、具体的にひとつお示し願いたいのです。
○有田国務大臣 この防衛というものは、やはり相手国との相関関係にありますので、どこを限界に置くということは、なかなかむずかしいことです。しかしながらやはり日本は憲法上の制約もありますし、また核その他に対する特別の国情がありますから、私はあくまでそういうことを限界としながら、日本の国力にふさわしい、そういうことの許容される範囲において日本の自衛力を増強していきたい、こういう考えでございます。
○木原(実)委員 これは従来もしばしば問題になりまして、しかもそのたびに問題がはっきりしない。しかし実際問題としましては、今度の提案もそうでありますけれども、ともかく自衛隊が漸増ではなくてかなり急増の一途をたどる。しかも一点お伺いしたいわけでありますけれども、沖繩の返還が正常日程に上って、基地が返還される態様のいかんによりますけれども、これは日本の防衛政策上大きな転機を来たすのではないか、われわれこういう判断を持つわけですけれども、その辺についてのお考えはいかがですか。
○有田国務大臣 別に沖繩が返還されるのを機会に一つの転機をするとは思いません。そういう沖繩を離れましても、先ほど来言いますように国力、国情に応じた防衛力を充実していかなければならぬ。日本も昔と違いまして、相当国力がここまで伸びてきたのですから、そこでさっき申しましたように制約の限界の中でございますけれども、やはり日本人みずからの手によって国を守るという体制によって日本の自衛をやっていかなくちゃならぬ、こういうので、別に沖繩が返ってくるからそれから急に変わるというそういうわけのものではない、本来の私の防衛に対する考え方を一言っておるわけであります。
○木原(実)委員 その辺についてあとでまた詳しく触れてみたいと思うのですけれども、しからばよく引き合いに出されます国民の総所得に対して〇・九だ、こういうようなお話がけさもございました。しかしながら絶対額からすれば、国際的に見ましても、いわばかなりな予算を持っておる軍隊でございますね。しかもけさははっきりしませんでしたけれども、あるいは一・五とかあるいは二%くらいまで、つまり国力に応じてその程度の防衛予算の引き上げはあってもよろしいのではないかという言論が間々政府側のほうからも実はあるわけですね。そうしますと、国民総所得に対してかりに二%ということになりますと、これはもうすでに年間一兆億に近い予算の額になるわけですね。そういうことになりますと、抽象的に、国力に応じてあるいは国情に応じて、相手があるのだ、こういう言説だけですと、長官御案内のように、軍隊というものは、それ自体エスカレートしていく論理を持っておるわけです。歯どめがないわけです。そういうことがわれわれにとっては一番の心配なわけです。ですから国力、国情といいますけれども、抽象的にこういうことをおっしゃるのではなくて、こういう事態であるから、あるいはこういう状態であるから、相手側はこうであるからこれだけの防衛力がほしいのだ、こういうふうに問題が出されませんと、これはなかなか不安ばかりがありまして、しかも実質的にはかなりな防衛力の増強が行なわれて、一体どこまでいってしまうのだ、こういう心配が絶えずつきまとうわけです。ですからお伺いをするわけなんですけれども、この時点で、あるいは沖繩の基地が返ってくるということを前提に置いて、どれぐらいの防衛力を持てば満足がいくのか。その前に現在の状態では、国力、国情に応じて十分でないとお考えになっていらっしゃるのかどうか、その辺をひとつ……。
○有田国務大臣 日本の防衛は、先ほど言いますように、憲法上の制約もあります。また国民感情といいますか、そういう面からのいわゆる日本特有の国情からきた制約もあります。しかし、国力、国情に応じて――その国力の点から見ますと、昨日も本会議で申しましたように、本年の予算ば伸びた伸びたと盛んにいわれますけれども、なるほど絶対額は伸びましたけれども、総予算の中における比率は七・二%、去年よりやはり比率は下がっておるのです。それから国民総生産費の割合を見ましても、いま木原さんは〇・九%とおっしゃいましたが、実は〇・八四%。そうすると、国力にふさわしいといいながら、国力からいえば、いままでの関係からいえば、比率はだいぶ下がっておる。でありますから、限界はありますといいながらも、まだ日本の自衛力というものは、これは私の口から言うのもどうかと思うけれども、そんなにしっかりしたものとは思われない。だから国力に応じて、この大事な日本をわれわれの手でもって守ろう、こういう気持ちで進むべきである、こういうように思っております。
○木原(実)委員 そうしますと、現在持っておる防衛力ではともかく十分でない、こういうことは断言できるわけですね。いかがですか。
○有田国務大臣 まだ日本のいまの防衛力は十分であるとは私は思っておりません。さりとてそれならおっしゃるように、国民総生産費の一・五%でぱっといく、そういうような気持ちは私は持っていない。やはり民生安定の面も必要でございますから、おのずからそこに限度がある。でありますから、いま何%というようなことを旗じるしでいくよりも、やはり積み上げて、そうして一方においてこういうところまでいくと、これは一般国民生活に影響する、だからこの程度にとどめようじゃないか、こうそのときの情勢によって変わってくるわけですね。でありますから、そうエスカレートして、果てしなくどんどんと進んでいこうとはわれわれは思っていない。しかし、いまの状態では、まだこれで日本の自衛力は十分だとは、遺憾ながら、私は申すことはできない、こういうことですね。
○木原(実)委員 そうしますと、何が不足なんですか。具体的にいいますと、何が足らぬと思いますか。
○有田国務大臣 まあ全体の陸海空を通じて十分だとは言えません。なかんずくいま御審議いただいておる陸上自衛隊は、これはもう十八万体制というのが、御承知のとおり多年の懸案なんですねそれが一次防から二次防、三次防と今日十八万体制のうち十七万三千の体制まではきたのですけれども、もうこの十年間の久しい待望であるし、せめて陸は十八万まで持っていきたい。そこでことし六千人で十七万九千、もう一息で十八万までいける、こういうところまで持っていきたい。また全体を見ましたときに、私の見たところでは、海のほうはだいぶおくれています。空のほうはファントムというものができまして、それからバッジシステムができたりいろいろと伸びております。さりとて日本の空もこれで十分だとまでは断言できない。したがいまして、私はそういう制約があるということもよく踏まえながらも、いまの自衛力では十分でない。ここまで国力が伸びたのだから、この際皆さんの御協力を得ながら、この防衛力の体制を整えていきたい、こういうように考えております。
○木原(実)委員 せっかくの機会ですから、問題を私は詰めたいと思うのです。たまたまけさ問題になりました一部の新聞に発表された「自前の防衛」ですね。これはまあたいへん任意な試算だ、こうおっしゃいました。これはいわゆる制約が全部とれた場合の、いまの段階で日本の軍事力があるべき最上限の姿を示したものだ、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。どうですか。
○有田国務大臣 先ほども言いましたように、やはりだんだんと科学技術が進み、世界の情勢というものを見ながらいかないと、きょう新聞に載っておったあれが日本の未来永劫の最上限と私はいえないと思うのですね。しかし、あの試算のことは私よく知りませんけれども、一夜づけくらいでつくったものらしいのですが、フランスとかドイツのように憲法の制約もなく、また安保条約をはずしたら国民感情がどうとか、こんなことは実際問題として取り上げるのがおかしいが、仮定の仮定の仮定というものを前提にして、まあこのくらいのところだろうかというのが――それが私はそれでいいと思いません。私はまだほかに考えがあるけれども、まあ一応一夜づけでつくり上げた試算らしゅうございまして、あれが権威あるものであって、これで十分だ、これが最高限などということは私は申すことはできません。
○木原(実)委員 憲法上の制約がある。これはもう厳存しているわけですね。そうしますと、憲法上でいう一つの制約、限界というものが、戦力に達する度合いというものがある。防衛庁の見解として、どこまでいけば憲法のワクを越える戦力になるのか。つまり現在は戦力でないという解釈で、自衛隊が存在しているわけでしょう。戦力の解釈につきましては、御案内のように国会の中でもしばしば論議をされて、いわばほぼ平均した解釈も出ておるようにも私は理解をするわけですけれども、そういう憲法でいう戦力の限界まで、そこまで――これはまあ一つの限界という線を引きたいと思います。そこまでは現状まだいっていない、おそらくそういう解釈だろうと思うのですけれども、そういうことになれば、具体的には陸でどれくらい、海でどれくらい、空でどれくらいの装備その他を持てば戦力ということに相なるのか、その辺はどうですか。
○有田国務大臣 戦力ということばでどうするということは私はおかしいと思うのですけれども、要するにけさも楢崎君が言っておったように、たてとやりということばでしたが、日本は外国を侵略するような、いわゆる攻撃的に外国に脅威を与えるようなことはしないけれども、しかし守る力だけは十分国力の許す範囲でやりたい、こういう考えでありまして、どこまでいったらこれが攻撃的になってどこまでいったら守りだ、こういうことはなかなか限界はむずかしいですけれども、やはり兵器、装備の上におきまして、攻撃的な、侵略的なそういうものは持たない。攻撃的ということも、国内における攻撃は、それは石だって攻撃だと言えますが、そういう意味でなくて、外国の中まで行けるようなそういうことはやらない。しかし、せめて守るだけのことはしっかり整えたい、こういうことでありますから、その点はよく御理解願いたいと思います。
○木原(実)委員 これは抽象的にはそういうことをおっしゃるわけですけれども、現在の状態についてはまだ満足はできない状態である。しかし、まあけさの新聞のことは別にしまして、一つの限界はある。その限界というのは憲法の制約だ、こういう問題が具体的にあるわけですね。憲法の制約ということになれば、戦力に達するというのが一つの限界だとわれわれは考えたいわけなんです。そうなりますと、攻撃的云々の問題がありますけれども、これは単に意思の問題ではなくて、私どもの考えでは、すでに三次防の中にあらわれている。たとえばF4ファントムの問題等にしましても、明らかにこれは攻撃的なそういう性格を持った飛行機だ、こういうふうに解釈をするわけです。しかもこれは余談になりますけれども、台湾でも、朝鮮でも、同じような兵器の体系が装備をされておる。言ってみれば、その中にF4ファントムを技術的に優秀だ、こういう判断のもとに日本もまた装備をする、こういうことに相なるわけです。そうなりますと、私どもとしては、非常に攻撃的云々という問題については疑いなきを得ない。ですから、守るということ、菊池さんのことばを借りますというと、守るということは、攻めるということのほうが一義的じゃないかという意見もあるわけです。そうなりますと、攻撃力云々の問題は、これは別個の問題としてあるわけです。しかし、その話は別にいたしまして、私どもは一体現状で、おそらく来年度あたりから四次防の作業に入ると思う。そうなりますと、一体どこまでいくのだ、もしこのままでいけば、いままでも一次防から始まって三次防の間に、長官は相対的に小さいのだ、小さいのだと言いますけれども、倍々でふえてきているわけです。ですから、このままでいくと、おそらく四次防の作業というのは現在のやはり倍くらいにいくのじゃないか、巷間こういう予測も行なわれているような姿がある。そうなりますと、国力、国情という抽象的なことではなくて、これくらいまでいけば満足だというような線が絶えず構想としてなければ、私どもとしては話がかみ合わないわけです。それでお尋ねをするわけなんですが、たまたま一つの試算というものがある。それによりますと、先ほど申し上げました憲法上の制約、そういうものをやはり十分考慮に入れながら、ともかく現在の自衛隊では、陸で十五個師団、海で二十二万トンくらいの艦艇がほしい、あるいはまた空でいえば四十隊くらいの航空機の編成その他がほしい、こういうことがほかならぬ防衛庁の幹部から示されているわけなんです。それについてはいかがですか。
○有田国務大臣 いま御指摘の陸は何個師団とか、それから海は何万トンとか、空は何飛行隊というようなお話でしたが、そういうことも一つの検討でありましょうが、私がここに海を何万トンつくるのだとか、あるいは空を何飛行隊つくるのだ、こう言ってみましても、これは結局でたらめ言っておるということなんです。そういうことまで私は言いたくない。けさの新聞に載っておるあれも、これはもう私のところで大いに検討したというものではない。それなら防衛局長を中心にしてやったかというと、それほどのものではない。けさも防衛局長みずから言いましたように、ない知恵でつくって、一晩か二晩の間につくって、ようやくこのくらいのものだろうかという程度のものでありまして、あれを基礎にしてここまで伸ばすということは私は申すことができません。
○木原実委員 長官、私がいま読み上げました数字も、防衛庁の見解ではないと思うのです。しかし根拠のある一つの試算として、説明をされておるわけですね。ですから、われわれこれにこだわるわけではないのですけれども、ただ問題は、情勢の動きの中で作業をしていくわけですから、これだというものをきょうここで出せとわれわれは要求しておるわけではないのです。しかし、おのずから何かの当面の目標なり限界なり、そういうものが示されませんと、われわれは五里霧中なんです。従来、防衛問題というこれだけ大事な問題が、国会の中でも大騒ぎをして論議をされておりますけれども、私どもよく速記録を検討をし、論議のあとを振り返ってみましても、なかなか正直な議論になっていない。われわれのほうには、たとえば相手国がどこであるかということも政治的に明らかにされない。対象国というものも、防衛庁の中にはあるようだけれども、ないのだということになっておる。一体何を相手にしてどこから急迫不正の侵略が行なわれるのだ、こういう想定についてさえ明らかではない。しかし、おのずから想定されるものはあるわけですね。そしてそれはそれぞれ動いておるわけですから、情勢の動きというものがある。それについても明らかにされない。つまり軍隊を持っていてどこから攻めてくるかもわからない。そこまでははっきりしておるわけですけれども、それがいかなるものであるのか。相手は国民の前にはまぼろしなんです。そうしてしかもこれだけの軍隊がいるんだ。しかも現在ではまだ不十分なんだ。憲法上の制約がありますから、むちゃくちゃにエスカレートすることはございません。しかし、今度は十八万人何とかしてくれ――一体何を根拠にしてわれわれは審議したらいいのですか。相手のない、まぼろしを相手にして軍隊を持っておる、それ自体まぼろしの軍隊ということになる。こんなふざけた論議を繰り返していたのでは、おそらくこれは防衛庁自体のためにもならぬと思うのですね。国益ということばがたびたび出ますけれども、国益ではないのですね。これは国民の利益にならぬと思うのです。そういうことであるならば、やはりもう少し論理的に、だれにもわかるように、ここはこういうことになっておるのだから、われわれはこの部分については安保条約のもとでアメリカに分担をしてもらうのだ、この分についてはわれわれはやらなければならないんだ、それはこういうものだ、こう言って根拠を示してもらいたい、そういう根拠が示されておれば、なるほどそういうことであるならば、あと五年先にはこれぐらいの軍事力を持たなければならぬだろうと、国民も納得しますよ。そういう根拠を示されずして、しかもおっしゃることはすべて抽象的なんです。国力、国情に応じて強めていきたい――これだけでは先行きが不安なんです。そういうことがあるから、ひとつこれは、仮定のことについてわれわれはあれこれ言いませんけれども、もう少し根拠のある、つまりわれわれが論議のできるような御答弁なりあるいは資料の提供なり、あるいはまた防衛当局の判断なりをいただきたいと思うのですね。そういうことがありませんから、勢いわれわれとしては十分でない資料を駆使して、なおかつ防衛庁の腹を探らなければならぬ、こういうことではまことに防衛論議のこれから先のことも思いやられるわけなんです。
 そこで先ほどの問題に戻りますけれども、いま読み上げました数字については、これは御案内のように海原氏が防衛局長当時、国会の予算委員会の中で、防衛庁の一つの試算である、こう言って、二、三年前に説明をしたわけです。それをいま長官のおことばだと、これはでたらめだ、こうおっしゃられたのでは、これはもうすでに速記録に載っておることでありますから、はなはだ私は長官としては無責任だと思うのです。ですから、これは一つの試算だということで、数年前に示された数字であるわけですね。三次防以前でございます。そうなりますと、たまたまそれらしい数字が出ておるわけでありますから、私はこれを根拠にして、現在ではそういうことがどうなのか、こういうふうに問いたいわけなんです。あらためてお伺いしますけれども、その辺を一つのメルクマールに置いてよろしいかどうかということの御判断はどうですか。
○有田国務大臣 具体的には先ほど言いましたように、将来のことは四次防で明らかになるわけです。これは私のこれこそ私見とでも思っていただきたいのですが、いまの防衛庁が何もまぼろしでも何でもないのであって、これは十八万体制というのは、五方面隊、十三個師団、日本の地形やいろいろな事情を考えて、防衛的、技術的の見地からこれを定めておりまして、それでそういう要請に基づいて十八万体制ということを考えたわけですね。これは当面の問題としては何とか早く達成したい、こういうことです。そこで、この体制ができれば、日米安保条約というものを堅持しながらいくなれば、まずまず日本の陸上の責任は負えるだろう。もちろん今後一名もふやさない、こんな意味じゃないですよ。まずまず十八万体制ができれば陸のほうはそう――沖繩は別としまして、いま十三個師団あるものを十五個師団にしたり二十個師団にしようというような考えを持たなくとも、だんだんとよそが進んでいきますから、装備とかそういうものは時代の進運に沿って進んでいかなくてはなりませんけれども、頭数においてはふやさなくてもいいんじゃないか、こういう考え方にあるわけです。
 一方海は、毎年建造を進めておりますけれども、何ぶん古い艦艇をもらったりなんかしてやっておるんで、それがだんだん消耗するほうが多くなっておりますから、相当私は海はおくれておると思うのですよ、ことに海国日本としまして四面海ですから、そういう中におけるいまの海上自衛隊の、十二万トンや十三万トン程度の艦船を持っておるこの海上自衛隊というものは私は少な過ぎる。これは相当伸ばしていかなければならぬと考えております。
 空は、先ほど言いましたようにファントムというものができて、バッジその他ナイキ、いろいろなものができていまして、一応体制はできておりますけれども、しかしまだまだナイキの問題でも十分でもなし、またバッジシステムができたといいますけれども、これはもっとレーダーサイトからちゃんとやっていく方式も考えていかなければならぬ。もっと光実しなければならぬし、また飛行機の数も、また一方86がだんだんなくなってきて、104といえどもだんだんこれは減耗してまいりますから、やはりこれもこのままでいいというわけにはいかぬ。ことに沖繩が入りますと、空も、午前説明しましたように、やはりせっかく百四という計算のものが出されておりますけれども、これも沖繩が加わってくるとふやしていかなければならぬ。こういうようなことで、大体そういうような考え方を持っておるのですが、具体的に何機ふやしてどうするかということは、いまここで私がはっきり申す段階じゃない。四次防というものを、いまおっしゃるように来年あたりから着手しまして、そうして十分考えて、そうしてここまではやるのですということをはっきり皆さんに申し上げるときが四次防の前になってできてくる、かように思うのです。
○木原(実)委員 そうしますと、陸については、十八万体制でほぼ当面は体制は整う。これから先の問題としては、海の問題。空についても若干の増強を行ないたい。これが現在の時点で、多少あすを見通した段階での自衛隊を増強していく一つの方向だ、こういうふうに受けとめてよろしいわけですね。
 そこでお伺いするわけなんですけれども、そうなりますと、長官は先ほど沖繩の返還に伴っての防衛政策上の変化というか、これはたいしたことはあるまい、こういう意味の御発言がございましたが、ただいまの御発言を時期的にふえんをいたしますと、少なくとも来年度から四次防の作業に入る。当然この作業の中には沖繩の基地がどういう形でか返還をされたものに対応していく、そういう情勢が織り込まれるわけですね。そしてその中でこれからの方向というものが出されていく。そうなりますと、これはあとの問題にも触れるわけですけれども、やはり海の力の増強、こういうことを中心にして、つまり沖繩の返還と符節を合わせてこれからの防衛力の増強の方向が打ち出されるのだ、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
○有田国務大臣 そうびしゃっと割り切られると私も困るのですがね。もう一つ、誤解を招いてはいけませんから、沖繩はたいしたことはないというようなことは言っていないのですよ。いま木原さんが、沖繩返還を転機として日本の防衛というものが急に変わるんじゃないかとおっしゃるから、別に沖繩返還を転機として変わるわけじゃなくて、もともと日本の自衛力というものは現段階では十分でないし、そこで日本の国力がここまできたんだから、国力、国情にふさわしい防衛力を増強していこうという、これは沖繩と関係なく進める。しかし、沖繩が今度返還せられて日本の国土になるわけですから、これは本土と同じように沖繩自体の防衛をやるのは日本の当然の責任でありますから、第一義的には沖繩の防衛は本土と同じように陸海空ともどもにやらなくちゃならぬ、こういうことを言っておるのです。そして、それならば方向としては、いま重点では海ということを私申しましたけれども、それなら海をやって陸はほったらかすのか、空は適当でいいのか、そういうようにぴしゃっと割り切られると困るのでありまして、これはやはり総体的に見て、私はいまの三つの陸海空というものが調和のとれた責任というものを持たなければならぬと思う。そしてその統合力を発揮する。その統合力をより力強く出すためには、私は国民の支援だと思うのですよ。私は常に隊員からも聞くのですが、あの災害出動のときに身の危険をおかして勇気一ぱいでやりますね。あの勇気が出てくるのは、やはり避難民の方々が、自衛隊さん頼みますよといううしろからのかけ声、これが何ともいえない勢いとなってあの力が出るというのです。そういう意味からいいまして、せっかく日本の防衛力をより大きく発揮するためには、国民の防衛に対する理解、納得ということが必要だ。でありますから、私は自衛隊自身も、国民から信頼され国民とともに歩む自衛隊、こういうように進んでいき、同時に国民の皆さんからも、自衛隊というものは日本の国を守ってくれる自衛隊、しっかりやってくれ、こういう風潮にして、実際の有形的の自衛力の増強とあわせて一そう力強い自衛隊をつくっていきたい、かように考えております。
  〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
○木原(実)委員 沖繩の返還後の問題は、あとでもう少し詰めたいと思うのですけれども、いまの問題をひとつ集約したいと思うのですよ。四次防の作業におおむね来年度からかかる、しかもこれは一つの増強の方向ということは明らかだ、こういうことなんですね。しかも限界は憲法の戦力――軍事的にそれをとう解釈するかは相対的な関係だ、こういう形なんですね。これははなはだ問題があると私は思うのですが、ただ、この際、私どもの見解を申し上げてお伺いをしていきたいと思うのですけれども、軍備の縮小ということですね。自衛隊が軍備であるかどうかについては別の議論がありますけれども、しかし私どもは、すでにりっぱな軍隊に成長しておるという前提の上に立つわけです。つまり、日本の自衛隊はなお成長の過程であって、必ずしも縮小という動機を持たない。いままでの御発言の中、あるいは総理のいままでの御発言等の中でも、どう解釈しても縮小というそういう契機というものは何一つ見出せないわけですね。しかしながら、およそ近代的な軍隊というのは、どういう形で増強をしていってもその裏側では絶えずやはり軍備についての縮小という動機が相伴っていないと、これは私はたいへんなことになると思うのです。それはそれぞれの各国、好戦的な国は別として民主的な国においては、当然いってみればそういうマイナス要素というものを同時に持っているわけなんです。これは、あるいは軍備の縮小といい、軍備の管理、コントロールといい、そういうものがあると思うのです。
 ですから、これは長官に政治家として考えてもらいたいと思うのですけれども、ほかの部局と違って、防衛庁の長官になられた、予算をとってともかくふやしていけばいいというものじゃないと思うのですね。軍備というものは要すればないほうがいいわけなんですから、絶えず縮小への努力というものがなくちゃならぬ。しかも最近、国際的にはかろうじてジュネーブの軍縮会議の一員として日本が参加することになった。そういう問題について、きょうは外務省の方もいらっしゃいますから、あとでそのことについてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、そういう動機についてのお考え方はいかがですか。そういう発想はございませんか。
○有田国務大臣 いわゆる軍縮問題ですね。軍縮問題は平和を願うところの世界各国の共通の問題として、われわれはこれに傾聴しなければならぬことだと思います。しかし、いま実際問題として、軍縮の討議事項としては、核に関する軍縮の問題や、それから海底の軍事的利用禁止に関する問題、こういうことが主として取り上げられておるのであります。一般のことは取り上げられていない。ことに、日本のいまの陸海空三自衛隊は、日本の経済力なんかから見まして、これは私もまだまだという感じがするのですね。だから、まだ日本は成長してない防衛体制ですから、ここ当分軍縮というところにはいけない、かように私は思うのです。
 ただ、木原さんにも御理解していただきたいのだが、われわれが防衛ということをいうのは、平和を守りたいために防衛というので、何も戦争をやりたくて防衛防衛といっておるのじゃない。日本の平和を守りたい、こういう考えのもとに安保条約を持ち、そして自衛隊の増強ということを考えておるのですから、軍縮ということは非常にけっこうですけれども、いま申したような、世界的に見ましても核の問題とか海底の問題が中心となってやられておるので、日本は核も持てないし、海底の問題についてもいまそういうところまで進んでおりませんから、いま軍縮会議なんかで問題になっておる中には、日本はそれに参加しましても、日本自体がこうしなくちゃならぬ――今後そういうことをやらぬということはけっこうでございますけれども、いまこれをこうするというようなところまでいっていないことを御了察願いたい。
○木原(実)委員 この軍縮の問題は、外務省もお見えでないそうだし、議論が少し別のことになりますから、これはひとつ保留というか省略をいたしますけれども、ただお考え方の中で、なお日本の自衛隊あるいは防衛というのは成長の過程であって、こういうお話がありましたけれども、これはつまり平和のためにやっているんだ、古今東西初めから戦争をやるために軍隊をつくるというかけ声でやったことはないのです。われわれが過去にやった戦争でも、御案内のように「東洋平和のためならば」という歌に送られてわれわれも軍隊に行ったのですから、すべて戦争なり何なりにはやはり平和という目標が掲げられるわけなんです。ですから、これは軍備の問題ではなくて、平和国家としてのあり方あるいは民主主義国家としては、軍備に対しては絶えずマイナス要因をつけて軍備の拡大が承認をされる、こういうしきたりなりやり方なりというものがあるわけなんです。ところがわれわれの国には、過去においては軍備の拡大はあったけれども、軍備の縮小というのは昭和の初めに一時ありまして、これはたいへんな問題を起こしたわけです。しかしながら、少なくとも情勢の動きや、それこそ国力、国情、国際環境その他の動きに応じては、軍備を縮小していく動機があってもよろしいと思うのですね。それからまた、自衛隊の自主的な機能としても、やはり国民の負担を、たとえ国力がどれだけ増大をしても、本来不生産的なものなんですから、そういう意味では増強をしていく反面に減らしていくという動機というものを絶えず考慮に入れていかなくてはならない。これは私は、やはりお互い防衛庁の官僚ではないわけですから、政治家としては当然そういうものを配慮をし、ものによればそれを制度化していく、こういうものがないと、国民の不安は絶えないと思うのですね。シビリアンコントロールといわれるものの機能の大きな分野は、やはりそういうものだと思うのです。
 ところが、幾らこの議論をしましても、そういう発想は残念ながらいままで出てこられない。あなたの前任者の増田さんは、この席で、せめてジュネーブの軍縮会議に日本が参加できるということを非常に期待を持っておる、そういう中でやりたいというようなことを言っておられましたけれども、国際的な軍縮の問題は若干問題が違いますけれども、ただしかし、来年度から四次防にかかり、おそらくは非常な増強を考えておられる、あるいは考えるに違いない防衛庁あるいは自衛隊のあり方としては、もうこの辺で自主的な管理、軍備の縮小、こういうものについての配慮というものを十分にやはり考えていく段階ではないのか、こういうふうに私は考えるわけなんです。たいへん抽象的な話なんですけれども、私としては大事なことだと思いますので、もう一度御見解を伺っておきたいと思います。
○有田国務大臣 残念ながら、木原さんとちょっと見解が違うのです。日本は経済的には世界三大工業国の一つというところまで伸びておりますね。何といっても大国になっておるわけですね。しかし、国防ということが私はやはりいしずえだと思うのですよ。平和、平和といっても、昔も平和といって戦争をやったじゃないかとおっしゃいますけれども、今日の日本は、しばしば言うように、憲法の制約があって、みずから相手を攻めていくという行動に出られないのです。あくまでも受け身なんですね。そういう前提に立っての平和でございますから、昔のどこへ攻めていってもいいという時代の平和とは違うのです。あくまでもこれは平和を守るための自衛隊である、まずこれをひとつ御理解願いたいのです。
 それから、日本の昔のように、海軍でも三番目とかいうところまでいっておれば、それは一緒に軍縮の仲間に入っても、そういうこともありましょうけれども、日本の今日の自衛隊というものは遺憾ながら――これはそういう悲観的なことを申しては士気に影響しますから差し控えさせていただきますけれども、これでもって日本の国防は十分だ、こういう段階にはなかなかいってないのですね。そういうことからいってまだ成長の段階だから、平和はあくまで維持しなくちゃならぬ、しかし、一般の軍縮というよりもやはり日本のいしずえをつくるための防衛の力というものはまだ相当つけていかなければならぬ。こういう見解にも立っておりますから、残念ながら多少見解の違うことを遺憾とします。
○木原(実)委員 見解の違いということですから、この問題は打ち切りますけれども、しかしながら私は非常に危険なものを感ずるわけです。これは逐次やっていきたいと思うのですけれども、話を少し変えまして、沖繩の基地の返還の態様、これはしばしば政府のほうから繰り返されておるように、いわゆる核抜き本土並みということでアメリカと交渉をするのだ、こういうことを言っておられます。そしてその前提には従来の沖繩にある米軍の軍事施設は、いわゆる日本及び極東の平和にとっては非常な大きな役割りを果たしておる、このことを認めておられるわけですね。つまり抑止力としての沖繩の価値をかなり高く評価しておるわけです。
 そこで具体的に、特に軍事的な観点からお伺いするわけなんですけれども、そういわれる沖繩の、つまりアメリカの軍事施設、その機能の持っておる抑止力、これは一体どのような役割りを果たしていたとお考えになるのですか。
○有田国務大臣 沖繩には核もありますね。それからその他いろいろと前進基地あるいは補給基地あるいは訓練基地、通信基地というような総合的な力を持っておるのですね。この沖繩にあるところの米軍の基地の力というものが、いわゆる極東の安全と平和を守るためのいわゆる抑止力としての力を持っておるわけですね。そういうことでありまして、日本に返還されれば、自衛隊がまず第一義的には沖繩の防衛の責任に当たらなくちゃならぬと思いますけれども、いま沖繩における米軍の機能というものは、沖繩自体を守る機能はもちろんありますが、そのほかに先ほど言いましたように、極東の安全を果たすためのいわゆる抑止力としての相当大きな力があるのですね。私たちが、返ってくれば日本の手によって守るというのは、この本土と同じように沖繩自体を守る、その防衛力をあそこに整備するというだけでありまして、極東の安全をはかるあるいは極東におけるアメリカの友好国を支援するというようなそういうことは日本としては制約を受けておるしできない。したがいまして、日本側に返還されてもやはりアメリカの兵力はそれに残ってくる。私たちの沖繩自体を守るだけの防衛力、それだけ向こうで減るということに理屈ではなるわけでありますけれども、それらのことは、いまから交渉が始まって具体的にきめるわけですから、かくかくなるということはここで申し上げられませんけれども、そういう沖繩における機能が両面に分かれるということですね。それだけ御理解願って、われわれのやることは、本土と同じように沖繩自体を守るという、それだけが日本に肩がわりする、こういうことでございます。
○木原(実)委員 大事なことなので、日本の防衛当局としての評価をもう少し承っておきたいと思うのですが、抑止力ということばを使われましたね。しかしいま長官のおことばから推察いたしますと、極東の安全のための抑止力、こういうことは極東の全域に対して一定の攻撃力を備えた、そういう意味では威圧力を持った、そういう力だ、こういうふうに解釈してよろしいですか。
○有田国務大臣 まあ、ことばのあやをひとつ言うわけじゃありませんけれども、俗にいわゆる抑止力というものの沖繩における機能の中核は、いわゆるですよ、攻撃作戦機能、それから極東の自由諸国の防御作戦を支援する機能、こういうものがやっぱり抑止力の私は中核になっておるのだと思う。まあことばの使い方だろうと思いますけれども、そういう機能を沖繩の基地は持っておる、こう思うんですね。日本はそういうものはできないから、そのうちの守るだけの一部を責任を持つ、こういうことですね。
○木原(実)委員 昨日もこの点については塩谷さんの御質問がございましたし、それから楢崎君の質問もありましたけれども、具体的に抑止力としての機能を、たとえば中国に対して、たとえば朝鮮半島に対して、どのような形で抑止の機能を持っていたのか。つまり、何といいますかね、中国では御案内のように核の開発が行なわれている。あるいはまた三十八年度線がたいへん緊張しておる状態がある。そういう具体的な情勢に対応して、それは抑抑止力の機能を果たしていたと思うのですよ。そういう場合に一体具体的にもう少しこの抑止力の中身といいますかね、どの程度の抑止の力を持っていたのか、その辺の突っ込んだお答えはいただけないものでしょうかね。
○有田国務大臣 そういうことは具体的に、ことに米軍の関係ですからね、私は自衛隊の中のことならば一応のことは言いますけれども、米軍の機能のことですから私がとやかく言うのもどうかと思うのです。
 しかし、まあいろんな資料によって推定いたしますと、やはり現在メースBというやつがありますね、これは古いといわれておりますけれども相当射程距離もあるわけでございますから、これはやっぱり一つの抑止力だと思います。それからF105という飛行機がある。これはまあ必ずしも核を持っておるとは言いませんけれども、やはり両用ですね。両方ともいけるというものですから、これはやっぱり一つの抑止力になるでしょう。その他、先ほど言いましたように、兵器を一つ一つとらえてこれを抑止力というよりも、総合した力というものが抑止力となっていますから、一々これはこうだということはちょっと時間がかかるし、なんですが、そのほかのいろいろな総合した力というものが相当抑止力となっておる、こういうように私は考えております。
○木原(実)委員 日本のこの防衛体制なりあるいは自衛隊のいままでの配置は、少なくとも沖繩に関していえば、沖繩にそういう抑止力があるのだ、こういう前提の上にいままでの防衛政策その他が行なわれてきたわけですね。それがどういう態様であるかは別にしまして、ともかく沖繩の施政権が返還をされる。そして少なくともそれに伴って、日本側の要望としては、そういう従来の抑止力であった基地の関係が本土並みに返ってくるんだ、こういう形になるわけですね。いわゆる本土並みということになって返ってくるということになりますと、いま長官がおっしゃったような抑止力の機能というものは当然低下をする、こういうふうに考えなくちゃならぬわけですね。論理上そうだと思うのです。その辺はいかがですか。
○有田国務大臣 これがなかなかむずかしい問題なんです。それで本土並み、ことに核抜きということを言っていますね。そうすると少なくとも軍事的に見れば、核がなくなるだけ力が弱くなる、こういう見方もあるわけです。しかし、そこが私がさっき言いますように、必ずしもメースBとかそれから105とか、それ自体の兵器でどうのこうのというわけでもなし、ことに背後にあるところのアメリカのICBMというものがありますが、これは別にしましても、太平洋に配備されておるところのポラリス潜水鑑、これは沖繩にないけれども相当大きな抑止力となっておる。またその他空母などによって補う方法も私はあると思うんですね。そういうようなことで、核それ自身が抜かれましても、他の面からこの抑止力の面でふぐあいを生じないような方法が慎重に考えられるべきである、かように思っておる。いまの沖繩における抑止力は、核は抜くにしましても、それをそのまま減殺されて、それでいいというわけでもない、かように私は思うのです。
○木原(実)委員 そうすると、日本の防衛当局の見解としては、抑止力を必要とする極東の諸情勢、たとえば、ベトナムについては和平の歩み寄りが行なわれておる、あるいはまた、中国はどうなっておるのか判断は聞きませんけれども、あるいはまた朝鮮半島がどうなっておるかという判断も必ずしも十分なものは聞いておりませんけれども、そういう情勢の変更ではなくて、言ってみれば現在かりに核が抜かれるという前提に立てば、アメリカの側にそれにかわり得る、いわゆるポラリス潜水艦の問題が出ましたけれども、それにかわり得るような抑止力というものが当然あるはずだ、こういう期待の上に、特に防衛当局の見解としては核抜きということに賛成をする、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○有田国務大臣 私は先ほども言いましたように、防衛力といいますか戦力と申しますか、とにかくその力というものは、国民の深い理解と納得の上に立たなくちゃならぬ。いわゆる国民の合意の上に立たなくちゃならぬ。みんなが合意してくれれば――なかなかそういかないが、そのものが賛成してくれることが必要だと思うんです。そういうことを考えましたときに、これは理屈抜きの問題と思いますけれども、核に対する日本人の感情というものはこれは特別なものがあるんですね。それは言うまでもなく、日本が世界でただ一つの原爆の被害国ですから、そういう国民感情を無視してやることが、はたしてしっかりとした抑止力となるかどうかということは疑問なんですね。でありますから、そういうことはすなおに、核は沖繩から去ってくれということを政府は持ち出しておるわけですね。しかし沖繩の基地は重要でございますが、さっき言いましたように、沖繩に置かなくても遠くからポラリス潜水艦がおったり、また本国にICBMもあるし、また空母も沖繩の太平洋艦隊としておるし、いろいろなその他の方法が講じられまして、そうしてこの力というものは極東の安全をはかるための力ができるように、こういう前提に立って核というものは抜いていくべきだ、こういうことなんですね。
○木原(実)委員 防衛庁長官の発言ですから、もう少し詰めた話を聞きたいと思うんですけれども、増田長官はかつてこの席でこういうことをおっしゃったわけです。端的にいえば、沖繩から核が抜かれるということについては、反対だとは申しませんけれども望ましくないんだ、軍事的に見た場合は。しかし、諸般の事情がある云々ということを言われました。いまの長官のおことばをわれわれが受けとめる場合には、一つには政治的に核が日本に戻ってくる、沖繩の中に核があるということは国民の感情上おもしろくない。しかも、もう一つの問題としてはそういうことで核が沖繩の島から抜かれても、ポラリス潜水艦その他のこれにかわり得る抑止力をアメリカは当然持ち得るはずなんだ、こういう解釈ですか、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○有田国務大臣 大体においてそういう考えです。それはさっき菊池さんが言われたように、軍事専門家の立場からいえばそういうものがあったほうがいいということは言えますよ。しかし、それがはたしてほんとうの力になるかどうかということは、やはり国民の多くの人が協力してくれる体制でないとほんとうの力というものは出ないですね。そういう意味からいって、沖繩を軍事上よりももう一つ高い視野からながめて、沖繩の核は抜いたほうがいいという政府の見解。そのかわりに、あれは非常に大事なものですから、おっしゃるように、また私が先ほど申したように、他の方法でそれを補うことを考えるべきじゃないか、こういう見解です。
○木原(実)委員 そこで一つお伺いしておきたいのですけれども、われわれは沖繩にメースBという核兵器が存在をする、あるいはまたそれに伴って核弾頭が常置をされているのではないかという話も聞いておるわけですね。それから運搬手段としての飛行機も御案内のとおり常駐してある。こういうふうに一連の核兵器体系なるものがアメリカ軍の手によって設備をされておる、こういうふうに承っておるわけですが、これは確かにそのとおりに理解してよろしいわけですか。
○有田国務大臣 これは実を言いますと、防衛庁といえどもアメリカから正式にこういうものがあるということは聞いてないのですね。いまから折衝するときにはそういうことがだんだんわかってくるかと思いますけれども、メースBがどうだとかあるいはF105がどうだとかいうようなことは、交換された資料その他でちょこちょこと、あくまで私ごとといいますか、米軍の中から漏れ承るようなことを総合しながらの判断ですから、私がここで公にこうあるということは言いかねるのですけれども、しかし資料が出ておるから、ないということは言えないのだから、大体御推察のようなことではなかろうか、こういう考え方です。
○木原(実)委員 これはなかなか大事なことでございまして、少なくともこれから沖繩返還の交渉にあたって核抜きということは、日本の政治の問題としてはいわば最大の政治問題になると思うのです。そして防衛庁が非公式にお出しになったかどうかわかりませんけれども、たとえばけさほど問題になりましたが、五月十七日ですか、防衛庁と外務省との話し合いの中でも、メースB以下の核がある、こういうような話し合いが行なわれておる。したがって、公式であれ非公式であれ、日本の政治の問題としては、少なくとも政府は、そういう核兵器体系があるのだ、だからこれを抜いてもらうのだ。しかも、その背景の中には、政治的に国民感情にやはり融合していかなければならないのだという大きな前提がある。そういうことになっておるのに、アメリカのほうは核があるともないとも言っていないわけです。だから、アメリカとしては核があることをやはり認めてないのじゃないですか、どうですか。
○有田国務大臣 沖繩で核があることを認めてないというような、私はそういう判断をしていないのです。やはり沖繩にどうもメースBなんというものがあるということは、これは一つの常識といいますか、またこのことはマクナマラ前国防長官もはっきり言っておるわけです。だから私は、とにかく核の弾頭がこうあってこうだというようなことはつまびらかにわからないけれども、メースBがあるとか、そういうことはもうはっきりしておると思います。そういう前提に立って政府は核抜きということを言っておるのですね。
○木原(実)委員 しかしこれは、それでも大事なことだと思うのです。それはおそらく非公式にはあるいはアメリカ内部では核があるということを認めておるかもわからない。しかしながら、こちらの側としては、核がございますかと正式に問い合わしたことはないのですね。どうですか。
○有田国務大臣 これは問い合わすこと自身が非常識だというほど、私は核はあるものだと思っていますよ。しかし一々詳細に、ここにこういうものがあって、ここにこうだということはわからない。メースBがこうだとか、こういうものがこうだというようなことはやはり常識的に、ことに防衛庁としてはそのことくらいは知っておらなければならぬ。それならおまえ見てきたか、アメリカがそういうものがあるということをおまえのほうに言うたかというと、私はそういうことは言われてないけれども、これは一つの常識じゃありませんか。さような見解に立って核抜きということを政府も言っておるし、私どもも外務省に対してそういうことを申しておる。
○木原(実)委員 これは私は大事なことだと思うのです。しかも先ほどの話の中でも長官は、極東の安全に対する抑止力の一つの柱として核兵器が沖繩にあるのだと言われた。それは信頼性のある資料かどうか知りませんけれども、さまざまな形で発射台の数まで承知しておるようなところがある。これは常識だ、こうおっしゃるわけです。ある意味では、ことばの通じ合うわれわれの仲ならば腹と腹とでということも通りますけれども、これから国際的な問題として話し合いをやっていこう――そのためにこちら側もいろいろ準備をしておるわけです。そういう際に、核はある、メースBはある、それが具体的にどうなっておるかということは常識としてはわかる。しかし常識を根拠にしてはたして詰めた交渉ができるものなのかどうなのか。
 そこでひとつはっきりしてもらいたいことは、外交交渉を通じても、あるいはこれは外務大臣に聞かなくちゃならぬわけですが、愛知外相が行かれたときも、あるいはアメリカ局長が向こうに参りましたときも、あるいはまた日本の防衛当局としても、核兵器の存在の有無についてあるいはその態機については何ら問い合わせをしていないわけですね。
○有田国務大臣 いまから折衝がありますから、これは互いに信頼と信頼でいくのですから、やはりそういうときには具体的にこういうところにこういうものがあるということを知って、また知らしてもらって交渉に入らなければならぬ。ただ、私は単なる当て推量で核があると言うわけではないのですよ。これはもう非公式といいながら、たとえばジョンソン大使が、去年の五月二十七日でございますかはっきり発言しておるのは、沖繩の米軍基地の機能は前進防衛拠点、前進補給基地、通信の中枢、核・通常兵器を網羅した局地的抑止力の四つに分けられる、こういうことを言っておるのですね。つまり核というのを入れておるのです。でありますから、やはり核があるということは当然過ぎるほど当然です。しかし、特に核の弾頭がどこに何本あるということはまだ今日明らかでない、こういうことですね。
○木原(実)委員 それではこれで夕食前の質問を終わりますけれども、そうしますと、それはこちら側に向けて言った形ではなくて、アメリカのほうでともかく何らかの資料で核があることは認めておる。それを根拠にして核があるのだ。それで交渉に入りましょう、こういうことですね。そうなりますと、核の展開をしておる態様だとかあるいは機能だとか、そういうことについては日本の防衛当局も存知しない、こういうことですか。
○有田国務大臣 これはいまからの段階でして、メースBとかいろいろなものがありますね。これはどうするか。これは核を抜いてもらわなければ困るとか、それは当然あるのですね。一番具体的にメースBというものは、これはアメリカも、去年でしたか、二、三年は残すと言っていますね。そのことばの裏を返せば、残すということは二、三年先にはなくなるというような解釈もできますね。それはいまから詰めなくちゃわかりません、それにかわるべきものをつくるのかどうかということは。しかし、おそらくいまの情勢では、そういうものは抜く、一九七二年という、外務大臣が言ったように最後の締めくくりで返還するというときにはなくす、これははっきり日本もつかまえてくるでしょう。その他、いろいろな問題は今後の折衝段階において明らかにし、そしてこれは核抜きということを向こうが合意して完全にきまれば、それは核抜き、日本もそこにかわるべき自衛隊が行くのですから、そんなことを隠しておってもこれは当然わかることだと思います。私はそういうことが日本とアメリカとの間で合意に達した以上は、きれいにそれは抜かれるものだ、こういうことでなければならぬと思っております。
○藤田委員長 それでは、この際三十分間程度休憩いたします。
   午後六時三十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後七時十九分開議
○藤田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。木原実君。
○木原(実)委員 休憩前に引き続いて、幾つかの新しい問題についてお尋ねしたいのですが、その前に長官、休憩前に沖繩の核の問題について触れられたわけなんですが、あとの質問とも関連しますので再度お伺いいたしておきますけれども、いずれにしましても、抑止力としての核が存在をしておる。もう少しこまかく伺っておきたいのですが、核が常識としてある、こういうふうに認めておるのだ、こういうことですが、具体的に言いまして、メースBの問題はわれわれも耳にいたしました。それからそれに伴いまして、たとえばそれの運搬手段になる可能性のある飛行機あるいはまたナイキのたぐい、こういうものが一体具体的にはどれくらいあるのでございますか。
○有田国務大臣 数のことでありますから、政府委員をして答弁いたさせます。
○宍戸政府委員 核に縁のありますのは、先ほど大臣からもお答えのとおり、なかなか正確にはわかりかねますけれども、一応われわれが得ております資料で申し上げますと、F105は二個スコードロン、二個飛行隊というふうにいわれております。それからメースBは二個隊、三十六基といわれております。それからナイキ八一キュリーズは二個大隊といわれております。
○木原(実)委員 私も国会の中でメースBの存在について数を明らかにしていただいたのはいま初めてなのですが、あわせてこれも他の機会に問題になったわけなのですけれども、常時核弾頭を装備しておるという面についてはどうですか。
○宍戸政府委員 そういうこともなかなかわかりかねるわけでありますが、いろいろな資料によりますと、メースBは、核非核両用ではなくて、核だというふうにいわれております。それからF105とかナイキ八一キュリーズは核専用ではございませんで、核、非核両用のものだと思います。核も使えるが非核でも使える、こういうものだというふうなところまではわかりますが、弾頭がどうだというふうなことはアメリカでも高度の秘密で、われわれにもわかりかねますし、現地のアメリカの軍人さんもそういうことはとやかく言う立場にはないというふうなことになっているようでございます。
○木原(実)委員 そうしますと、沖繩にある核の問題はいま御指摘になった範囲まではわかっておる、こういうことなのですが、あわせまして、先ほど長官はこれにかわり得る――そういうことをおっしゃったわけですけれども、これにかわり得る抑止力、こういうことになりますと、先ほどはたまたまポラリス潜水艦の問題が出たわけですが、従来沖繩にはポラリスは寄港をいたしておりませんね。どうでしょうか。
○宍戸政府委員 ポラリスが沖繩に寄港したという事実をわれわれは耳にしたことはございません。長官のおっしゃったのは、沖繩に寄港するということではなくて、太平洋に配備がされている、それが抑止力になっておる、こういう意味でおっしゃったものと思っております。
○木原(実)委員 そうしますと、いずれにしましても日本の政府としては、いまのところは、いま政府委員のほうからお答えになりましたこの種の核についてはひとつ除去をしてもらいたいということが当然外交交渉の日程にのぼる、こういうふうに判断してよろしいわけですね。どうでしょう。
○有田国務大臣 そのとおりでございます。
○木原(実)委員 そうしますと、さらにお伺いをしたいわけですけれども、これらの核の除去に伴う対策というのは、これはアメリカのほうで考えることで、われわれのほうとしては予測はつくけれども何ら考えていない、こういうことでございますか。
○有田国務大臣 何ら考えていないじゃなくて、その核を抜いてもらおうと、こういう態度で臨むわけです。
○木原(実)委員 その核を除去したあとの措置でございますが、日本の防衛当局としては抑止力の面については関与しない、つまり攻撃的な性格を持っておるアメリカの分野についてはこれから先も関与をしないわけですか。ですから、核の撤去を求めるけれども、しかし、それにかわる抑止力というものは残しておいてもらいたいというようなわけでしょう。沖繩の米軍基地が果たしてきた機能というものについての低下は望まないという一つの政治方針がいまあるわけですから、かりにメースBを含めましていまあげられたような核が撤去をされましても、そのあとの措置については別途にアメリカが考えるであろう、こういう前提でございますね。
○有田国務大臣 核を抜くということになれば、これははっきり抜いてもらわなければならぬ。私がそれにかわるべき方法と言いましたのは、たとえばポラリス潜水艦と言いましたが、これは何も沖繩におらなくとも、遠いところから抑止力になるわけですね。その他いろいろと方法はあると思うのですね。沖繩におらなくとも、遠いところから行く場合もあるだろうし、あるいは韓国とかあるいは台湾というようなところは、また別のいろいろな方法をアメリカが講じると思うのですね。そういうようなことをして、沖繩のいまの機能を、何も沖繩で果たさなくともその周辺といいますか、他の方法で極東の安全のための方策はそれを補えばいい。そういうことでございまして、それを抜いたからといって、また沖繩にかわるべきものがある、そういうことの意味ではないのですからね。
○木原(実)委員 わかりました。
 もう少しお伺いしたいのですけれども、たとえば核というのはいま防衛局長がお示しになりましたけれども、一つの兵器体系になっていると思うのですね。したがって、メースBについては撤去が行なわれた、しかしながら核弾頭を飛ばす可能性がある飛行機、こういうものが発進をするというような可能性が将来としては残るわけですね。つまり別の観点から聞きますと、メースBは撤去をしたあるいはナイキ八一キュリーズは撤去をした、しかしながらF105の常駐体制は残る、こういうようなことについてはどうなんですか。
○有田国務大臣 その105は核を抜いたものならば私たちはかまわないと思うのですね。核を置いたままあそこにおられると、これは約束が違うわけですから、F105がかりに核を持っておればこれは沖繩から去ってもらわなくてはならない、こういうことですね。
○木原(実)委員 これは核兵器体系を一切除去する、かりにこういう外交交渉が成立をしたということになれば、比較的問題は明らかなんですよ。いま御指摘がありましたように、ナイキ八一キュリーズまではこちらも明らかになっておる。しかしながら、核弾頭が常置してあるかどうかについては、これはもうたいへんな秘密であってわれわれは察知しないのである、こういうことになるわけです。そうなりますと、有翼メースBと八一キュリーズまでは撤去したけれども、たとえば105は依然として残っておる、こういうことになった場合には、これはたいへん疑うわけではないけれども、点検のしようがございませんね。どうでしょう。
○有田国務大臣 これはやはりお互いに信頼でもってきておるのですから、そう日本が査察するというわけにもいきますまいと思うのです。これはやはり約束事は約束事として果たしてもらわなくては困る、かように考えるのですね。
○木原(実)委員 そうしますと、もう一つくどいようですがお伺いしておきますけれども、将来原子力潜水艦、たとえばポラリス、こういうものが沖繩に寄港することについても、日本としては拒否をするというか好ましくないというか、撤去の線にのっとって認めない、こういうことですか。
○有田国務大臣 私はポラリスが沖繩とかそんな方々に寄港はしないと思うのですよ。これは御承知のとおり二カ月ももぐれる船ですから、そういうことをあらかじめ約束をするというか、想像してこうだということは私は考えていないのですがね。
○木原(実)委員 そこで問題をもう少しお伺いしたいわけですけれども、そういう状態の形で沖繩の基地がかりに返ってくる、こういうことになりますと、日本の防衛当局としてはここに何らかの形で何らかの形で新しい防衛体制をしくわけですね。この構想その他については時間がありましたらお伺いをいたしますけれども、その場合に、いずれにいたしましてもどういう規模でか日本の自衛隊が展開をする、こういうことになりますね。その際に、たとえば共同防衛、こういうような体制になるわけでございますか。
○有田国務大臣 有事のときはお互いに手を握りあって、日本本土と同じように共同防衛という形になりましょう。しかし、平時から共同防衛の体制を整えてどうのこうのというようなことは、やっぱりいまの本土と同じような形になりますれば、そういうことはいまのところ考えてない。
○木原(実)委員 本土の体制がなかなか共同防衛ということについてははっきりしないので、ここで問題にしたいわけなんですが、かりに沖繩が返還をされてくる、こういうことになりますと、いずれにいたしましても新しい事態になるわけですね。そこで幾つかの問題についてはやはり国民の前にはっきりしなければならぬ問題が当然出てくると私は思うのです。ですから、長官が先ほども申しましたように、たとえば抑止力の機能の面は当然米軍が分担するんだ、そして自衛隊の分担すべきものは、たとえば、陸地に対して攻撃が行なわれてきた、こういうような場合についての防衛任務に当たるんだ、こういうことをおっしゃいましたね。そうなりますと、そこにおのずから沖繩の島の防衛をめぐって任務分担というものができるわけですね。この任務分担についてはははっきりするわけですか。
○有田国務大臣 大きく考えれば、米軍が残ればそれはいわゆるやりの面ですね。日本の自衛隊はたての面、こういうことになるわけですが、しかし日本の自衛隊だけで――そんなことはないだろうが、かりに沖繩が襲われて日本の自衛隊だけではそれを守り切れないというときには、これはアメリカのほうも協力する。これは日本のいまの本土と同じようなことですね。これはそういう原則はおのずから立ち得ると思うのですね。
○木原(実)委員 これは幾つかの問題があるので、やりとたての話は少し抽象的に過ぎるので、その前に防衛局長にお伺いしますけれども、私がいま指摘したような問題について何かあらかじめの構想みたいなものをお考えですか。つまり返還を想定して――態様はいろいろあるでしょう、こっちが思うようにいかないかもわかりません。しかし、返還の態様幾つかのケースが考えられるわけですけれども、それを想定をして、その場合に日本の防衛庁として沖繩に展開をしなければならないであろう体制についての何か構想とまではいかなくても、考え方というものはおありじゃないんですか。
○宍戸政府委員 これは先ほどから大筋について長官がお答えになっておられますが、機能を分けて考えております。具体的なことはもちろんまだきまりませんし、わからないところがたくさんあるわけですが、筋としまして、たとえば陸上自衛隊の関係でいいますと、先生が御指摘のように、領土を守るという機能、それから従たる任務ですが、治安警備にも当たる、災害派遣にも当たるというふうな機能を、返ってくれば当然果たすことになるだろう、それに必要な部隊を配置することになるだろう、筋はそういうことだろうと思います。それから海でいいますと、あの辺の海を哨戒する、わがほうの船舶を警備するというふうなことに必要な海上自衛隊が必要であろう。空で申し上げますと、まずサイトを維持することが必要であろう、また防空ミサイルのようなものは現在アメリカが展開しているわけですが、将来のことを考えますと、すぐ引き継ぐかどうかは別としまして、将来はわがほうがやり得る機能であろうというようなことを考えるべきである。また要撃戦闘機はわがほうがまた維持する能力があるし、そういう機能は果たすべきであろう、かっこうとしましては、ちょうど本土でやっております陸海空の小さなものがあすこに機能的には展開する筋合いのものであろう。それが何年がかりでどういうふうな順序で肩がわりをするかということは今後の問題でございますけれども、一応何年か先の完成した姿を考えてみますと、ちょうど本土を小さくしたようなかっこうで陸海空の機能を自衛隊があそこで果たすようなことになるだろう。逆に言いますと、本土でわれわれが果たしていない米軍の機能に期待している抑止力の一環になる攻撃力あるいは核抑止力というものは総体的に米軍に期待することになるであろう、こういうふうな筋で考えておって、具体的などんな部隊をどの程度にするかということは今後の問題である、こういうふうに考えております。
○木原(実)委員 そこで私は幾つかの問題があるのですが、先ほど来、核抜きの沖繩になっても、しかしながら米軍が依然として抑止力の機能は沖繩の島を中心に果たす、こういう性格があるわけですね。そうなりますと、本土並みという抽象的なことばがありますけれども、しかしながら依然として沖繩の持っておる機能というものは、特に米軍の果たす機能というものは、抑止力としての機能を低下させない、こういう前提があるわけですね。さらに言えば、この抑止力の機能というのは、別のことはで言えば、極東の――と言ってはあれだが、敵対的な関係かどうか別にしまして、一種の攻撃力を持ったそういう機能、そういう性格の基地の態様というものは核が抜かれるといなとにかかわらず依然として残るわけです。そうなりますと、本土並みといいますけれども、これはかりに手続上のことであって、沖繩に残るであろうアメリカの基地の性格というのはやはりかなりに本土とは性格の違う基地が残るのではないのか、そうでないといままで沖繩の米軍施設が果たしてきた機能というものはまるきり性格が違ったものになってしまう。ところがそれは期待をしないというのでしょう、いままでの長官の御発言でも。あるいはまた、抽象的ですけれども、総理が本会議等で述べられた沖繩の返還後の基地の機能という面については、これが極東の安全のために果たしておる役割りというのは評価をして認めていこう、こういうことですか。そういうことになりませんか。
○宍戸政府委員 これは先ほど長官もお答えになっておるのと同じことになるかと思いますが、核の問題で申し上げますと、現在あそこに核があるという常識になっておりますが、それを抜きましても、ポラリスとかその他の運搬手段とかその他によって補てんをして、極東全体、太平洋全体から見ましてやはりアメリカの抑止力が働いておる、こういう機能を期待しながら、ごく軍事的に言いますとそういう機能が働くであろうということで核がとられるであろうということを期待しておるわけでございます。
 それから、核以外の攻撃機能といいますか、これは本土におります、たとえば三沢基地にファントムならファントムがおりますが、これは先ほどから長官のお答えのように、いわば有事の際にはもちろん防空にも寄与するかもしれませんが、主としてやりの面を担当するわけでございますが、沖繩におりますアメリカの防空部隊もそういうやりの面を果たすということは当然残るであろう、こういうことが言えるのではないかと思います。
○木原(実)委員 もしそういうことであるならば、核が抜かれ、それから沖繩の基地が返還されたときの沖繩にあるいは残存をするアメリカ軍の施設あるいは基地の機能、これは性格的に見ても、わゆる現在の安保体制下の日本の本土にある他の基地と同様のものになる、こういうふうに判断してよろしいですか。
○有田国務大臣 性格の面から言えば同じですね。御承知のとおりいまの沖繩を除いた日本の安保条約、それもやはり日本並びに極東の安全のためにあるわけですね。沖繩もやはり同様。量的とか質的――質的にはあまり変わらぬが量的に多少違う。けれども性格的にはやはり同じですね。それが本土並みということですね。
○木原(実)委員 私はやはり沖繩の基地に関連して核の問題を問題にしてきましたが、しかしながら、少なくとも政府が評価してまいりました沖繩の基地の機能というものは、具体的にいえば前進基地であり、あるいは訓練の基地であり、補給の基地であった。総じていえば、ベトナムの問題がありましたけれども、ベトナムの問題を除きましても、非常に攻撃的な性格を持っていた、それだけに強い抑止力として機能してきた、こういうことが言えると思う。ところがいまの防衛局長や長官のお話ですと、これはたてまえなり、あるいは手続なり、あるいは制度の上では本土並みになるということなんですけれども、しかしながら、他の面では、日本の政府が認めておるように、依然としていままでの沖繩の米軍基地の持っておった機能というものをそこなわないんだ、こういうことになれば、当然攻撃的な性格というものは残るという前提に立たなくてはいかぬのじゃないでしょうか。かりに核が抜かれたにしても、それにかわるべき機能はポラリスその他ということですから、これはまあわかりますよ。しかし、ポラリスその他を除いたにしても、他の手段をもってする攻撃的機能なりそういうものが残る。そういうことでは現在三沢や横田にあるような日本の基地とはかなりな違いがやはりあるのじゃないか。こういうふうに考えるのですが、どうですか。
○有田国務大臣 性格は決してそんなに違うわけじゃない。ただ、御承知のとおり、安保条約がこのまま沖繩に適用されるわけですね。安保条約のもとはやはり国連憲章にのっとってやるわけですけれども、その性格は攻撃的な兵器を持っているからといってこちらから進んでやるわけじゃない。相手が来たときに行くわけですから、日本にあるところの米軍基地と沖繩の基地は性格においてはそう大きな差はないわけですね。
○木原(実)委員 これはどうも抽象的なことで、はっきりしないのですけれども、条約上の性格の話が出ました。性格その他はそうでしょう。そうだとしても、機能としてはやはりそういうものが残らないと、いままでの沖繩の持っていた、何といいますか、抑止力としての機能は下げないというのですから、当然そういう面は残り続けるであろう、こういうふうに考えるわけですが、何かやはり私の間違いでしょうか。
○有田国務大臣 木原さんに少し誤解があるかもしれませんが、沖繩も日本並びに極東の安全のために動くところの機能ですからね。極東の安全ということは同時に日本の安全ということとつながるわけでございますから、それで私は性格的には日本における米軍の基地と、それから今後返還されたあとの沖繩の米軍基地というものは性格的には違わない。
○木原(実)委員 そういうことで大事な点ですから、さらにもう少し話を伺いたいのですけれども、核が抜かれると、それにかわるべき機能はポラリスその他とこうおっしゃったのですが、その他というのはどういうことを御想定になっているのですか。
○有田国務大臣 これはいろいろと検討しなくてはならない問題と思いますけれども、ポラリスもあるし、あるいは空母の関係もありますし、何も空母は沖繩におらぬでも、そういう有事のときは日本海の中にも行かれるし、空母の上から飛び立って、相手を撃破することもできましょうし、いろいろそういう問題があるんじゃないか。こういうことでその他ということばを使っておるわけです。
○木原(実)委員 幾つかのことが考えられるわけですけれども、私はたまたま五月十七日に防衛庁と外務省との間で検討なさったという問題点と称するものを新聞で拝見をしたわけです。その中には、たとえば核を抜いたあとの措置として、たとえばナイキ八一キュリーズにかわって、他のそれに類似の兵器を配備するとか、幾つか具体的なことが指摘をされていたように思うのです。それはものによっては、何といいますか、日本の自衛隊が肩がわりをしてもいいんだ、こういう意味の記事を見たわけなんです。だから、具体的にいえば、そういう役割りを、つまり核を抜いたあとの役割りを、自衛隊が次第によっては肩がわりという形でやっていくのかどうかという問題が一つある。
 それからもう一つ、ポラリスと航空母艦の話をなさいましたけれども、一つの情勢の問題としまして、たとえば韓国なら韓国に核を含めた近代兵器が展開をした、あるいはグアム島の基地の整備が進展をした、何かそういう具体的なことがあって、相対的に沖繩の持っておる核基地としての機能が低下をした、それだから沖繩からアメリカが核を抜いても実際に抑止力としては影響はないであろう、これは推測ですからわかりませんが、そういうふうに考えてもよろしいのかどうか、つまり、たまたま長官がその他とおっしゃったことの中には、アメリカが沖繩にかわってすでにポラリスや航空母艦その他を含めて極東の他の国々、他の島々にそういう基地の設定をあるいは行なったという事実があるのかどうか、あるいはまたそれがはっきりしないとすれば、核を抜いたあと、自衛隊の手でその力を事実肩がわりするような体制を、一つの構想としてお考えになっておるのかどうか、その辺のことをひとつ明らかにしてもらいたい。
○有田国務大臣 別に韓国に新しく基地ができるとか、あるいはグアムのいまの基地を拡大するとか、そういうことは私は聞いておりません。しかし、やはり太平洋におけるポラリスというものは相当大きな威力を持っているし、また、さっきの航空母艦も、これは相当の飛行機を積んでおりますしね、いろいろとそういう方法はあり得ると思うのです。
 それからもう一つおっしゃるナイキハーキュリーズというのは、これは局地的なものですね。いわゆる要撃で、向こうから攻めてくるやつを下から撃ち上げるやつですから、それは核があると困りますが、しかし核が抜かれると、日本のいわゆる沖繩の土地を守るという任務からいえば、わが方が引き継いでもいいものですね。そういうものはいまからの向こうとの折衝です。これは、引き継がないといえば、また日本で使われぬとなれば、日本の自衛隊としてまた別のナイキ――まあホークも陸軍のほうですが、やはり沖繩を守っていくためにナイキ、ホークというものをつくらなくちゃならぬと思いますが、そういうことはいまからの折衝でありまして、核を抜いたという前提に立つならば、日本がそれを受け継いでやってもよろしい、こういう考えですね。
○木原(実)委員 もう少し角度を変えますけれども、沖繩がそういう形で核抜きで返ってきたという場合に、具体的にそれでは自衛隊が自主防衛といいますか、沖繩に展開をして防衛の任に当たらなくちゃならぬ。これはどこまでも防衛的な任務だ、こういうことなんですが、その具体的なことについて、多少の構想をお持ちですか、どうでしょう。
○有田国務大臣 多少の構想といいますが、やはり沖繩の土地を守るためには陸上自衛隊も必要でしょうし、ことに島々がたくさんございますから、それに対する海あるいは空ですね。それは、やはり沖繩の土地を守る以上は、日本として、先ほど防衛局長が言いましたように、日本本土の縮図のような陸海空を通じたものはあそこに置かなくてはならぬ、これは一つの考え方だし、また当然のことだ、こう考えております。
○木原(実)委員 問題は少し残るようですけれども、さらにお伺いします。
 そうしますと、沖繩の基地がそういう形で返還をされた、それで自衛隊が新しく進出をしていく、こういう形に相なるわけですね。その場合に、残存をする現地のアメリカ軍と、それから日本の自衛隊との一種の任務分担みたいなものは当然行なわれるわけですね。その場合に、新しく何かそういうことについての取りきめか何かをやるというようなことに相なりませんか。
○有田国務大臣 事務分担といいますか、どういうことか知りませんが、私は、いわゆる作戦協定というようなことはいまの段階では考えていない、と申しますのは、常にいろいろと侵略を受けるそういう様相が違いますから、あらかじめかくかくということは考えていない。やはりそういうことは取りきめしなくても、平素から意思疎通をはかって、そしてお互いに共同責任を持っておる、こういう感覚で常におつき合いをしていると、いざというときにはそれにふさわしい分担といいますか、そういうものが自然にできてくる、かように思っております。
○木原(実)委員 先ほども、陸海空にわたってこういう形でやりたいのだというやや抽象的ですけれどもお話がございました。特に海が足りないという話が出ましたですね。それに関連をするわけですけれども、当然海域の安全の衝に当たるというか、護衛といいますか、そういう線が延びていくわけですね。現在は海上自衛隊の行動半径の中には沖繩の海域は入っていないわけですね。そうなりますと、一体、沖繩返還に伴って、海上自衛隊が護衛の任に当たる行動をする、どの辺まで延びるということになりますか。
○有田国務大臣 沖繩はやはり列島でございますので海岸線が相当長いわけですね。本来からいえば、沖繩の島とその周辺部、こういうことになりますけれども、一面海上輸送の確保といいますか、安全、これはやはり日本が守っていかなければならぬ関係上、どうしても沖繩返還に伴う面積は小さくとも、海上の部分は相当の幅があるものだ、かように考えております。
○木原(実)委員 それの西南の線の限界は、おおむねどの辺までお考えですか。たとえば、台湾海峡あるいはフィリピン諸島あるいは石垣島まで……。
○有田国務大臣 台湾海峡とかそんな遠いところまでは行きませんが、やはり南西諸島、沖繩の島の一番東まではわれわれのほうとしては少なくともその海上輸送の円滑化確保という点については、われわれの任務としてやっていかなくちゃならぬ、かように思っております。
○木原(実)委員 そうしますと、具体的にいいまして、すでに小笠原の問題を含めまして、海上自衛隊の行動半径は広がっているわけですが、実際に海上輸送の安全を確保するために、任務を果たすに必要な、たとえば艦艇は間に合うんですか。
○有田国務大臣 いま申しましたのは、そういう構想でございまして、やはり物理的に年月がかかりますから、七十二年に移ったからすぐ日本がそこまでぱっと責任持っていくということは物理的にはむずかしい。しかし、そういう前提に立っていわゆる四次防計画を打ち立てて、そしてその方向に進んでいく、こういう考えでおるわけであります。
○木原(実)委員 四次防ということばがありましたけれども、これは四次防の中で当然検討をされる一つの課題である、こういうふうに受けとめていいわけですね。
 そこで、お伺いをするわけなんですけれども、これは私もしろうとでよくわからないんですが、海上輸送の任務を果たすために一番必要なものは何ですか。昔は駆逐艦というものがあったと思うのですけれども、いまは、たとえば潜水艦が必要なのか、どうなんですか。それはひとつ局長のほうから……。
○宍戸政府委員 主として護衛艦でございます。自衛艦隊の中に護衛群というものを持っておりますが、三次防で考えておりますのは、四群にしたい。きょう現在ではまだ三群でございますが、これがお尋ねの海上のわれわれの船舶の護衛に当たる。さらに空が必要でございますので、P2Vという対潜哨戒機がございますが、こういうものを飛ばしまして潜水艦を見つけて対処するというふうなことが大体の構想でございます。
○木原(実)委員 私どもは、三次防の審議の過程で知らされたことは、潜水艦、たとえばそれには海峡の封鎖であるとかいろんな任務があるし、それからまた、防衛の重点が、何といいますか、やや東北のほうに片寄っていた、あるいは北海道に。そういう印象を受けていたわけなんですけれども、しかしその後の変化で、たとえば小笠原の返還があった。今度また沖繩の返還が日程にのぼってきた。そうなりますと、西太平洋、それからおそらくは台湾以南もそうだろうと思うのですけれども、いずれにいたしましても、海域が非常に広がってまいりましたですね。そういう事実が進行しておるわけですけれども、いま長官がおっしゃったように、南のほうは石垣島という限度でもよろしいと思うのです。そうして、その東のほうには、小笠原という新しく返ってきた領土がある。この行動半径だけをとりましても非常に大きいわけですよね。しかも、海上輸送という面についてはこれから先、ますます何といいますか重要性を加えてくる。こういう前提があるわけです。そうなりますと、そういう海域の重要性にかんがみて、どれくらいの艦艇があれば少なくともその範囲については日本が自前の力で、それこそ自前の力で守り得るのか、あるいは現在の艦艇の力では十分とは言えないでしょうね。それならば、どのくらいの戦力があれば、任務が果たせるのか、これは相手があることですから、状況の変化ということはあるでしょうけれども、かりに現在の防衛庁が把握をしておる状況の中でどれくらいのものがあればその任務が満たされる、こういうふうにお考えですか。
○宍戸政府委員 これは非常にむずかしい問題でございまして、簡単にちょっとお答えいたしかねるわけでございますけれども、先ほどのお尋ねと関連いたしまして、沖繩列島といいますか、琉球列島が返りますと、その領土、領海を守るのはわが自衛隊の任務でございますので、舞鶴なり佐世保なりに自衛隊を置いておりまして、付近の、沿岸の警備をいたしておりますが、ちょうどそういうものと同じ機能を果たすものが、ある規模のものが沖繩に必要であろうということはまず言えると思います。その分だけ当然本土よりふえてまいります。
 それから、いまお尋ねの船舶がずっと輸入、輸出のために動いている。これを守るというのは、いま沖繩が返ってくることと直接には関連をいたしません。沖繩が返ってくることと直接関連いたしますのは、沖繩の沿岸警備でございます。これは現在われわれやっておりませんから、その分だけプラスになります。それから船舶を守るというのがいまのあとのお尋ねの主眼点だと思いますけれども、これは沖繩が返る返らぬということとあまり直接には関連いたしません。
 そこで、現在足らないだろうというお尋ねについては、われわれも不十分だという感じを持っております。たとえば、ことしの輸入量でいいますと三億数千万トンでございますね。それをかりに全部、これも大西洋、太平洋、全世界から運ぶわけでございますから、これを全部護衛をつけるということになると、これはむしろアメリカの第七艦隊をもってしても一つ一つ護衛をつけることは不可能だし、おそらくまた、そういう必要もないだろう。しかし、現在のわれわれの十二万トンや十三万トンでは、おそらく――有事もいろいろな様相がございまして、侵略の様相も多種多様でございますから、簡単に何十隻かの船を船団を組んで、それに何海里か護衛をつけるというふうな単純なさばきにはなかなかいかないだろうと思いますけれども、いずれにしましても十二、三万トンでは十分な護衛能力はないだろうという感じを現在持っております。試算いたしますと一またこれは誤解されるとあれなんですけれども、全くの試みの算術でございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在護衛群が三群、間もなく四群になります。ちょっと先ほどのお尋ねの中で限界があるようなお話でございました、石垣島だとか小笠原だとか。そういうふうに小笠原まではわれわれが全部やって、それ以外は第七艦隊なら第七艦隊に全部やってもらうのだというような任務分担があるわけでは実はございません。またそういうぐあいにはいかないだろうというふうに思います。われわれが持っております護衛群でかりに試算いたしまして千数百海里くらいの間を、三億数千万トンのものをかりによると計算いたしますと、輸入量のほぼ七分の一か六分の一くらいしか護衛をつけられない。それも五十隻ぐらい船団を組んだ計算で往復さしても、ほかのところをちょっと別にいたしまして、そういうふうな計算をかりにいたしますと、六分の一か七分の一くらいのことしか護衛をつけられない。だから一般的に不足である。しかし戦争、いくさの様相を見定めて、もっと遠くまで護衛がつけられるようなことであれば、ほかのほうが忙がしくなくて、もっと距離が延びるかもしれません。逆にいろいろな全面戦に近くなりまして、もっとほかが忙しくてとても小笠原やら台湾のほうまで行っておれない。近い海峡を守るのに手一ぱいというふうな要素であれば、そういう護衛をするわけにもまいらない。いろんな要素がございますので、単純にお答えするわけにはなかなかむずかしいわけでございますけれども、何と申しましても、十二、三万トンでは十分な作戦計画といいますか、防衛計画はなかなか立てられない。まだまだ不足であるという感じは持っておりますが、それでは何万トンあってどうだというふうに具体的に数字を示せとおっしゃいますと、なかなかこれもむずかしい問題でございまして、それこそおしかりを受けるかもしれませんが、国力、国情に応じて、逐次増強していくということを考える以外にはなかなかないんじゃないかというふうに感じております。
○大出委員 関連。三原さんが帰られるような時間にもなって、どうもこれはいつまでやっていいのか疑問を持つのですが、おたくのほうの理事さんも飛行機の時間でお帰りになったから、ぐるぐる回ったってしようがないから、そこをはっきりさしてもらいたい。局長さん、幾らそんなこと言ったって、日本本土自体に対するいまの自衛力、これを考えてみればそれはどうせ幾らぐるぐる回って、構想がないとか、いや陸海空いずれかの自衛隊で守るんだとか、そんなことを言ったってしようがないんで、たとえば、いま地方隊の話が出されたけれども、日本では五つしかないのです。佐世保だとかやれ横須賀だとか……。そうなると、沖繩というものが、返ってきたといってみたって、日本全体で五地方隊しかない。そうすれば、精一ばい置いたって一地方隊しか置けないのが常識だ。そうでしょう。その辺のところまで隠して言わない必要はないと私は思っている。ところがあなたが検討しておる空は、領空侵犯があるでしょう。日本の場合だってそう。そうすると、104の話、さっきおっしゃるが、七飛行隊しかない。一飛行隊といったら十八機だ。編成上からいけば。効率的に運用しようというんだから、予備がついているというだけで……。そうなれば、日本全体で104Jというものは七飛行隊しかない。とすれば、86Dがなくなっちゃって、86Fというものは八つあったのが七つになって、また減っているでしょう。そうなると沖繩に何飛行隊だって置けやしませんよ。だから104にしようというときにも、私の質問にあなたは、沖繩が返ってくるとなれば、一飛行隊ぐらいのことはあらためて追加しなければならなくなるかもしれませんと答えている。議事録に載っておる。そうなると、当面の段階として、沖繩を考えるとすれば、何飛行隊を置こうということはできない。あたりまえのことですよ。そうすれば、一飛行隊ぐらいしか置けないのが常識でしょう。陸にしたって日本全体で十三個師団しかない。この九対四の比率を七対六に変えようというので、六千人にふやそうというのでしょう。RCT三つぐらいつくろうというのでしょう。レジメント・コンバット・チームなるものを三つつくろう、こうおっしゃるのでしょう。三つ足して七対六になる。九千人師団が七つ、七千人師団が残り六つ、こうなるという世の中に、沖繩返ってきたからといって、日本の本土の中で七千人を何とか九千人にしなければ、前に一つあって、後に二つあって、もう一つ四連隊にしなければ戦闘上困るんだというので、ふやすということを長官先ほどしきりに言っておるが、残っておる六つだって、二千、二千、二千足して、全部九千人師団にしたいということはあたりまえのことだ。意味がない。いま提案する理由がなくなっちゃう。そうするとまだ足らない。とすると、沖繩が返ってくるという段階をいまの当面の段階で考えれば、混成一個師団ぐらい置けば、七千か九千かは別として、そのほかに北海道に四個師団、四万二千人を置こうといったって、そういうわけにはいかない。そうなると、ぐるぐる回っておらぬで、木原委員が一生懸命質問しておるから、そこらのところを、あるものはおたくのほうで言うてくれたら、ものごとはっきりする。そうでしょう。どうなんですか、そこのところは。いいかげんではっきりしてくださいよ。聞いていてじりじりするから……。
○宍戸政府委員 具体的な数字は実はまだ研究段階、検討段階でございまして、朝から大臣から何回かお答えになりましたようなことで、機能といいますか、数字といいますか、そういうことでしかお答えできる段階でないものですから、ぐるぐる回ってたいへん恐縮でございますけれども、考え方だけを申し上げているわけでございます。考え方は先刻御承知のようで、そのことを繰り返しませんけれども、数字でございましたら、いまのところはごかんべんいただきたいと思います。まだ申し上げるような具体案ができ上がっていない、こういうことでございます。
○大出委員 でき上がっていないと言っておる間に、あっちからもこっちからも、いろいろなことが世の中の雑誌だ、やれパンフレットだ、やれ新聞だとか、いろいろなものにやたら載っかっていて、御本尊の防衛庁がきまっていない、きまっていないと言っておるところに混乱があるのです。だから、かちっとしたものではないとしても、現在検討中である、考え方は御承知のとおりだとおっしゃる、そう変わっていない、あなたの考えとほくが見ておる考えと。そうでしょう。だからおわかりのはずだ。あなたのほうも言っておる。その辺のポイントについて、大体そんなふうな検討はしておるけれども、しかしかちっとまとまるのには、沖繩返還交渉なるものもこれから続くんだから、時間がかかります。世の中に出ておるくらいのところ、それに近いところくらいまでは、あなたのほうでそれとなく肯定をして見せなければ、国民を前にして討論にも、国会審議にもならぬじゃないですか、そうでしょう。そこらのところは長官、ある程度は触れるように、向い合って質疑もやっておるんだから、またせっかく防衛論争をこの時間までやっておるのだからね。あした土曜日だからと思っておる人がたくさんいるんだから、その辺のカンどころは言いなさいよ。そうでなければ筋が通らないでしょう。そこらどうでしょうか、しろうとの質疑じゃないから……。
○有田国務大臣 勘どころはあんたの勘どころ、それぞれの勘どころがございます。しかし沖繩問題は、いまから交渉に入ろうというのでしょう。佐藤さんとニクソン大統領が会って、こうだという、そういうところから具体的に入るのですから、いまは交渉はまるで入口にいるところですね。そこら、勘どころはいいですよ。しかし政府といたしましては、防衛庁としては、一つの責任ある官庁ですから、研究段階だからこうだといっても、そう勘ばかり言えないですから、それで慎重に言っておるのですけれども、そんなにあんたのおっしゃる良識の範囲を出るものではない、こういうように感じ取ってもらえばいいと思いますね。
○大出委員 関連ですからそう長くは申しませんが、勘違いをしてはいけませんよ。勘どころ、勘どころ、良識、常識の範囲を出るものではないとおっしゃったから、それが勘どころなんだ、こう言ってくれれば、おおむね勘どころはわかる、そうでしょう。それが常識だ、そこのところを明らかにしてくれたからそれでいい。
 もう一だけ質問してこれでおしまいにします。
 さっきのお話の中に、沖繩の抑止力という意味における機能というものは、グアム島周辺に基地のあるポラリスなどの、あるいはテニヤン、ロータあたりまで含むことになるかもしれぬけれども、そういう抑止力というものが加わっておるのだから、メースBなんかいささか古い、古くなっても機能低下ということにならないということを考えて、返還後も沖繩の抑止力機能というものは、そのまま引き続いていくんだ。そこにポイントを置いておられる。またそう答えておられる。それはそれでいい。問題はなぜ沖繩基地の態様を含めて、抑止力が低下しないようにといっておるかというと、単なる安保条約の問題だけでないから、アメリカもそう言っておる。韓国はどうなる、三十八度線で問題があったらどうなる、台湾は一体どうだ、フィリピンとANZUS条約に基づいてニュージーランドは問題にしないでも、やはりそういう問題があるということでしょう。そうすると、核抜き本土並みとおっしゃるのだけれども、全く本土並みと変わりないとあなたは説明されるが、そうはいかない。本原氏が言っている。なぜかというと、それでは日本に施政権が返ってくれば、安保条約の適用を受ける基地でしょう。そうすると、三十八度線で何かがあったときに、アメリカは沖繩からいきなり直接戦闘作戦行動に飛んでいけますか。いけないでしょう。いけないとすれば、同じであっても機能低下はする。そうすると、持っている機能というものは、抑止力も含めて、完全に安保条約のもとで維持しようというならば、韓国の三十八度線で何かがあったら、いきなり沖繩から飛んでいかなければならない。韓国が心配です。そうでなければ飛んでいこうとした場合に、安保条約の適用下ならば、岸さんの答弁にいっている歯どめだというのがほんとうならば、なかなかそう簡単にイエスは言えないのですよ、事前協議ということになると。愛知さんがことしの三月の予算委員会でお答えになったのは、台風だ何だといってポラリス潜水艦が緊急避難という場合に、そういうことがあるだろうからノーとばかりは言っていられなくなるのかもしれぬ、イエスと言う場合もあるかもしれぬ、こういった程度なんですよ、まだ事前協議というものについては。そうでしょう。そうだとすると、安保の適用下の沖繩基地というものは日本の施政権のもとにあるのですから、事前協議というものの条項は厳として存在する。そうすると、やはり三十八度線に飛んでいこうといったっていけない。これは間違いなく機能低下ですよ。そうでしょう。台湾海峡に何かあったって飛んでいけない。まず事前協議が必要になる。そうでしょう。そうすると、完全に機能低下をさせないようにするのには、そこにもう一つ何かが必要でなければならぬはずだ。明らかに違う。本土並みではありません。機能低下をさせないという前提ならば、そこらのところをいろいろ割って聞いているのですけれども、あなたのほうはそこらのところに触れようとしない。あくまでも本土並みだ本土並みだ――いまのところはどうなりますか。
○有田国務大臣 これはあくまで本土並みでありまして、安保条約もあそこに適用される。そうすると、事前協議というものが当然行なわれる、これは当然なんです。ただ私が、抑止的の機能を低下させない――これはやっぱり比較的の問題ですよ。核がなくなれば、軍事的にいえば低下することは明らかです。比較的低下させないというような考えのもとにほかの方法をということを言っているのですから、これはそう一銭一厘といえども間違いないようにそのとおりというわけじゃない。すべて国防というものは比較的の問題ですから。それで私は極東の安全をはかるためにそうはなはだしき不安がない、まず安定ができる、こういうことなれば、これはやっぱりそういう方向でいくべきだ、かように思っておるのです。
○大出委員 私のあれじゃないからこれ以上言いませんが、私も何も一銭一厘、五厘、三厘を言っていない。ずばり聞いている。機能低下をさせないという前提であなたはしきりにさっきから答えておられるから、それなら直接戦闘作戦行動に飛んでいくという場合に、事前協議にひっかかるでしょう。あなた認めるでしょう、それがノーと言えば飛んでいきようがないのだから、完全に機能を維持していこうというならばはずさなければどうにもならぬことになる。そうでしょう。そこのところをあなたは逃げちゃいけないと私は言っているのだ。それはわかりませんと言うなら、あなたはさっきから答弁しているけれども、完全に機能低下をさせないようにといったってそれは不可能なんだ、事前協議があれば、事前協議がノーならば。イエスと言うなら別ですよ。そうでしょう。だからそこのところをお答えになるにあたって、そう遠回って逃げないで、やはりずばりずばり言っていただかぬと、日が暮れて夜が明けちゃうのですから、そういうふうにお答えいただきたい。
○有田国務大臣 決して逃げるわけでも何でもなくて、初めから安保条約も適用される、こういう前提に立ってものを言っておるのですから。事前協議は当然ある、ただ事前協議は――あなた事前協議はノーと言うことばかりだとおっしゃいますけれども、私は、あのときの議論は、核についてはノーと言うことを岸さんは非常に強く強調されました。しかし、ほかのことについてむしろあなたたちのほうが、何ぞんなこと言ったっておまえはノーズロでみんなイエスイエスと言ってしまうんだろうという、そういうことを向こうが言われたくらいなんですよ。しかし、それはそういうような考えでなくて、われわれはあくまで日本の国益ということを前提としながらケース・バイ・ケースによって判断していくのだ、これをはっきり言っておるわけです。
○大出委員 いまたいへんなことをおっしゃるので、私もこれは歴代防衛庁長官に質問してきたのですが、核についてはノーである。いいですな。あなたはいまはっきりノーだとおっしゃった。核以外のものについてはノーではないのだ、核はノーだけれどもとおっしゃる。核じゃないほうはイエス、イエスだ。いいですな。そう承っておいていいですな。
○有田国務大臣 いまの場合、むしろ野党の諸君が――野党というか、社会党さんが主としてであったろうが、政府に対して責めるのは、おまえたちはノーズロで何もかもイエス、イエスと言うのだろう、こういうことを盛んに言っておったですね。歯どめということが中心になったときは、私速記録を見ますと、核を中心にして歯どめ歯どめということが論争されておって、ほかのことはむしろあなたのほうが逆に、事態が起こってないからいいようなものの、何だ政府はイエス、イエスでいくのだろうというような質問があったくらいに私は思っておるのですよ。でありますからそういうことで過去のことはとやかく言わぬが、われわれはあくまで国益ということを中心として考えて、そしてケース・バイ・ケースによってノーと言うこともあるし、イエスと言うこともあり得る、こういうことを言っておるわけです。
○大出委員 そうすると核はノーでいいんですね。核以外のものはケース・バイ・ケースで、イエスと言う場合もある、ノーと言う場合もある。いいですな。
○有田国務大臣 いや、私はそんなこと言っておりませんよ。
○大出委員 いまあなたは核はノーと言ったじゃないですか。核はイエスですか。
○有田国務大臣 いままでの論議のときにそういうことを、核のことは核抜きということを前提としてかかっておるじゃありませんか。だから、核はないという前提でいかぬと……。また核までイーエス、イエス――せっかく抜いたものをまた入れるということになると、そういうようなことは考えてないのですから、核抜きということはその前提がある、こういうことでひとつ話を進めていただきたいと思いますね。
○大出委員 そうすると、核がないからそれには触れないとおっしゃるのですね、あなたは初めからないのだからと。そうすると、いわゆる事前協議というものは核が対象にならないのだから――そうですね。(「ノーと言う」と呼ぶ者あり)ノーも何も初めからないのだとおっしゃるのだから。そうでしょう。私が核はノーでいいんですなと言ったら、せっかく核は抜いたのだから、ノーなんて言うはずがない。抜いちゃってないのだからノーも何も核はない。核なしなんだ。そうするといま言う事前協議は核でないものをさしておる。あなたの言う事前協議は、それはケース・バイ・ケースでイエスと言う場合もあるしノーと言う場合もある、こう理解していいんですね。はっきりしておけばいいのです。
○有田国務大臣 それが原則ですが、万一ということもあるから、もしも核を置こうとかりに、言うてきたときは、それはノーですね。そういうことです。
○大出委員 それは私が言ったことじゃないですか。それなら防衛庁長官、核を持ち込むと言った場合はノー、いいですかと言ったら、ノーなんて言ってくれなくても初めから核なしだとあなたはおっしゃる。そうすると、もし核が来たときにはノーと言う、そのほかのものはケース・バイ・ケースで、イエスと言う場合もノーと言う場合もある。いいですね。
○木原(実)委員 実はほかの委員の皆さんにたいへん御迷惑なんで、私の質問がまだ若干残っておるのですが、大出委員のほうから多少ずばりと私の伺いたいところに話が進んでいったわけです。ただたいへん御迷惑なんで、もし委員長のお許しをいただければ、次回に少しばかり時間をいただいて――引き延ばしをやっておるわけではございませんから。御配慮いただけたらと思いますが、やってよろしゅうございますか。
○藤田委員長 どうぞ。
○木原(実)委員 それではもう少しお伺いします。
 私が長官からいろいろ聞きたいと思った肝要な点が幾つか同僚議員のほうから出たわけなのですが、先ほどの質問をもう少し続けたいと思うのです。
 結局沖繩返還後の日本の防衛対策といいますか、自衛隊の展開の構想その他について、私はおおむねのめどというものを明らかにしたい、こういう観点から質問を申し上げておるわけなんです。それはないとおっしゃるし、なかなか数字のことで申し上げにくい、こういうお話もございました。深くは追及はいたしませんけれども、しかしながら、もうすでに沖繩の問題が政治の日程にのぼって久しいし、かなり外交面でも動きは始まったわけです。事防衛の問題ですから、それを裏づけするようなおおむねの構想なり考え方なりというものはあってもいいのではないかというのが実は私の前提なんです。そのほかに他意はないわけです。ところがなかなか数字を含めたそのほかの問題が出ないものですから、私もいろいろ遠回りをしておったわけです。しかし、その問題をあまりこれ以上おっしゃりたくないというのですと、良識の線で私のほうも考えていきたい、こういうことで進めさしていただきたいと思うのです。
 さらに海の問題についてひとつ聞きたいわけですが、先ほど防衛局長からああいう御返事がございました。一つの問題は、局長の話の中にも、まず港湾なりあるいは基地、拠点を防衛するのだ、あと輸送の問題については云々というお話がありましたけれども、そうなりますと、御承知のように、現在もそういうことになっておるのでしょうけれども、さらに線が延びますというと、これはどうしてもやはり緊張した状態の中で、それを言ってみれば、日本の海の勢力が自前の力で防衛をしていかなくちゃならぬという当然新しい任務を付加される。しかも御承知のように、万一かりに国籍不明の何かから攻撃を受けた、こういう場合については、日本の安保条約では、御案内のように、艦艇に対する攻撃に対しては安保条約は発動しないということですね。ほかの、たとえばNATOその他のことについては、艦艇に対する攻撃についても発動するということになっておりますけれども、安保条約の場合は、陸の攻撃については、侵略の問題については発動をするけれども、海上での、われわれの商船その他が攻撃を受けた、こういう場合には発動をしないわけですね。その辺の解釈はどうですか。
○宍戸政府委員 五条の発動の要件のお尋ねかと思いますが、これは、日本国の施政のもとにある領域における武力攻撃――正確に申し上げますと、「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って」「行動することを宣言する。」ということでございますので、わが国の領海内の艦艇に攻撃があれば五条が発動される、領海以外のところであれば五条は発動されない、こういうことになると思います。
○木原(実)委員 そうしますと、これはいわゆる公海上の攻撃ということになるわけですか。つまり、領海というと日本の場合は十二キロですね。その範囲内でわれわれの商船あるいは艦艇が攻撃を受けたという場合には安保条約は発動をする、しかしながらそれ以外は、つまり島から島へと船が動くわけですから、いわゆる公海の上で攻撃を受けたという場合にはその発動はないわけですね。
○宍戸政府委員 領海は三海里。御承知だと思いますけれども。公海上の場合は五条は発動されないということになろうかと思います。公海上でわが国の船舶にかりに攻撃があれば、海上における防衛あるいはわが国の自衛隊による護衛というふうなことになろうかと思います。
○木原(実)委員 その辺を少しお尋ねをしておきますけれども、そうしますと、領海外でわれわれの船が攻撃を受けた、こういう場合にはこれはどこまでも、言ってみれば自前の防衛をやらなくてはならない、こういう勘定になるわけですか、どうですか。
○宍戸政府委員 そのとおりでございます。
○木原(実)委員 そうなりますと、先ほどの問題に戻るわけですけれども、当然それだけ海域が延びていくということに相なる。問題は、先ほど大出委員のあれにもありましたけれども、そういうことを含めての海の防衛の体制そのものについての当然の構想があっていいと思うのです。私の聞きたい点はその一点なんですけれども、それについては、長官のおことばによりますというと、四次防の中でその点はウエートのある問題だ、これから解決していきたいんだ、こうおっしゃっておるわけですね。私どもやはり心配する。
 それに関連して問題にしたいと思う点は、公海上で攻撃を受ける可能性の問題は別にしまして、攻撃を受けた場合に単独でやらなくてはならない、こういう形に相なっているわけですけれども、これは従来もそういう場合に対する対処のしかたという問題についてはそれぞれの対応策というものは考えてきているわけですか。たとえば、領海外の問題についてはアメリカの力にたよるとかなんとか、こういうような関係になってきていたのですか。それとも全然野放しだったのですか。
○宍戸政府委員 わが国の領土、領海に攻撃があって、共同対処ということが始まったあとは公海上でも共同対処するということはあり得ることは前提にした上のことでございます。先ほど申し上げましたのは、全然わが国の領土、領海に攻撃がなくて、公海上のわが国の船舶だけに最初に攻撃があったという場合には、わがほうの自衛権が発動するだけであって、安保条約の五条は発動しない。いま申し上げたのは、わが国の領土、領海に攻撃があって共同対処が始まった、つまりそういう意味の俗にいえばいくさが始まったあとは太平洋なら太平洋のいわば共同対処をするということになる、こういうことであろうと思います。
 お尋ねの、そういうことを野放しかというふうなことでありますと、わがほうの海上自衛隊でできるだけのことはする。それからアメリカの第七艦隊の制海力に相当期待するというふうな考え方を持っておるわけでございます。わがほうの自衛隊でどの程度までできるかというふうなことについて先ほどくどく申し上げましたけれども、いろいろな要素がありますが、かりに数字で試算して申し上げますと先ほど申し上げたような数字が試算として出てくる、こういうことでございます。
○木原(実)委員 私はなぜこういうことを聞くかといいますと、これは沖繩の返還のいかんにかかわらず、御案内のように中東の石油に依存をする度合いが強いとか、いずれにしましても、日本の貿易の関係で船の足がずいぶん伸びているわけですね。しかも先般も塩谷委員から御質問がありましたように、スエズ以東のイギリスの撤退とか、いろいろの状況の変化があるわけですね。そういう場合にどうするのかというかなり大きな問題が依然として残っておると思うのです。しかもいまのお話ですと、五条は、われわれの領海内で攻撃を受けた場合には発動をする、こういうことであったわけですけれども、第七艦隊の制海力その他に依存をするという根拠は結局安保じゃないですか。ですから、領海外でもわれわれはいままで安保に依存をしてきた、こういうことになりませんか。
○宍戸政府委員 わが国の領土、領海に侵略がありましたそういう有事の際には、日米安保を基礎にいたしましてわが国も当然相当やりますけれども、アメリカの、たとえば第七艦隊が背後に控えているということでございますね。ですから、公海上の船舶の護衛についてもなるべくわが国のものはわが国でやりたい、しかし限界がございますので、たとえば第七艦隊が相当広く制海をしている、そういうことであれば侵略者のほうは、その第七艦隊が制海権を持っているところにはめつたになかなか出てこれないだろう、だからわりあい安全に航海できるであろうという期待を相当程度持っている、こういうことを申し上げているわけです。
○木原(実)委員 そうしますと、これは厳密に言いますと、アメリカのほうに第七艦隊の制海力がある、こういうことで、ある意味ではアメリカ頼みということで、こちら側としては手が回らなかった、こういう状態が続いてきたわけですね。つまり十二海里以外の公海上の問題については。
○宍戸政府委員 三海里の領海以外は全部第七艦隊に依存するということを申し上げているわけじゃございません。それが相当な力として、たとえば西太平洋に何か有事があった場合には、安保がありますから、第七艦隊の制海力に相当期待をいたします、しかし、わが海上自衛隊もわが国の船舶を護衛するという能力はある程度は持っている、それをできるだけ活用するということを申し上げている。込みになってやるわけでございますね。領海以外のことは全部第七艦隊に依存するというわけでもございませんし、それかといって、わが国だけでやるというわけではございません。わが国でやれる部面はできるだけわが国でやろう。背後にアメリカの相当な制海力が控えておるので、両方合わせて、相当安全に航海できるような対処のしかたをしたい、こういう構想を持っておる、こういうことでございます。
○木原(実)委員 もう時間がございませんので、あまりくどく申し上げませんけれども、先ほど申し上げましたように、いままでは、まあ、その種の問題が、日本海の漁船の保護その他の問題はございましたけれども、しかし、われわれの国の船が公海上で不当な攻撃を受けるというような事実がありませんでしたから、問題にならなかったと思うのです。しかしながら、一つの展望としては、いま申し上げたように、日本が守っていかなくてはならない航路の線というものが延びるわけですね。しかも、その中では、幸いに第七艦隊の制海力のある範囲ならいいですけれども、それから先、しかもこれはしょっちゅう戦争のにおいのする地帯が多いわけです。しかも、その中で、イギリスは撤退をしていく、そういう状態があるわけです。私は、これを、ある意味では、日本のそれこそ動脈を守るわけですから、かなりのウエートをもって防衛庁がやらなくてはならぬじゃないか。そういうことになると、これはまた、先ほど来、船をふやす、海上の勢力をふやすというお話がありましたけれども、これはまあたいへんなことじゃないですかね。それ以上の問題は政治の問題ですが、ただ、事実の問題としては、いろんな状況の変化があるわけですから、それを想定をして、この長い足、しかも貿易に依存している日本の国としては、経済的には非常に大きな動脈を守るんだということになると、どうですか。もう、いまの海上自衛隊、あるいは空を含めてもそうですけれども、範囲を越えますね。当然越えると思うのです。やはりそういう問題についてはとても考え及ばないことですかね。何かその辺について試算をなさったことはございませんか。
○宍戸政府委員 有事といっても、いろいろな場合がございますけれども、相当いわば俗に言えば忙しい場面、先ほど申し上げましたような、北も西も相当いくさがあるというふうな場合に、インド洋まで出かけていく余裕があるかということになりますと、これは正直申し上げて、十二、三万トンではとてもそうはいかないだろうというのが常識だろうと思います。しかし、逆に、そういうような直接の侵略の様相はかりになくて、北海道が襲われるとか、東京が空襲を受けるというような様相がかりになくて、しかし、インド洋において、国籍不明の潜水艦なら潜水艦にわが国の船舶がときどき攻撃を受けるというふうな様相がかりにあるとしますと、つまり、北海道なり東京付近が自衛隊としては手がすいているという事態に、特殊な船を、ある大事な船をぜひ護衛しろということであれば、船としては、そういう大事な船団を相当な距離まで護衛することは可能であろう。つまり、様相次第であるということになろうかと思います。ただ、一般的にいって、十二、三万トンでは、そういう場合にしても、相当限界がある、こういうことかと思います。
○木原(実)委員 これ以上は、この問題は、まあ、政治の問題ですから、お尋ねをいたしませんけれども、いずれにいたしましても、つまり、もう日本の持っておる軍事力ではそれ以上のことは守れないという、事実問題としてそういうことが出てくると思うのです。
 そこで、私どもは、それ以上の問題は政治の問題ですから、ここでの議論はいたしません。いたしませんけれども、一つの武力によって守り得る限界というものが、逆に出てくるような感じがするわけです。
 それから、もう最後にいたしますけれども、もう一つお伺いしておきたいのは、先ほどちょっと触れましたけれども、共同防衛という体制ですね。沖繩の事態について、先ほど来大出委員のほうから質問もありましたけれども、沖繩でも、日本のそれこそ本土並みの体制をとるわけなんですが、米軍との間の共同防衛体制というのは、これはしばしばいままで問題になりました。問題になりましたけれども、いまだにさっぱりわからぬわけですね。一体、具体的にいって、陸海空それぞれの機能の違いがあると思うのですが、この共同防衛という体制はあるわけですか。
○宍戸政府委員 一般的な意味で、共同防衛という体制はあると申し上げるべきだと思います。つまり、先ほどから海のことを例にして申し上げましたけれども、たとえば、第七艦隊の制海権に期待するというようなことは、一種の共同防衛でございます。空なんかは、現に三沢にも横田にもいるわけでございます。かりに空から侵略があれば、要撃は主としてわが方がいたしますけれども、その基地をたたくという必要があれば、米軍がやるというふうなことに、有事の場合にはなろうかと思います。それも一種の共同防衛であろう。先ほどからお話の出ております、いわゆるやりの面を米軍が担当し、たての面を日本の防衛が担当するということが、共同防衛の一種の形であろうというふうに考えます。
○木原(実)委員 さっき局長からも、やりだ、たてだという話が出たんで困るのです。私がお尋ねしたいのは、やりだ、たてだということで話が伝わっていて、さっぱり中身がわからないわけですね。だから、形があるというだけでは困るわけです。これはたいへんなことですから。
 共同防衛ということがかりにあるというなら、この分野についてはアメリカ軍が受け持つ、この分野については自衛隊がやるんだ。当然しかるべき任務分担があるわけですね。御案内のように、たまたま予算委員会でも、岡田春夫委員が、例の松前・バーンズ協定というようなものを出しました。こんなものは、ずいぶんあちこちですでにものの本に書いてあるようなものなんだけれども、防衛庁は、それは存在しないとおっしゃったのですか、何か非常にあいまいでしたよ。ともかく、あの当時の長官は、おれは知らないとおっしゃったのですよ。長官が知らないような形で部隊が――あの場合は空の関係ですけれども、ああいう協定を結んでそれが実際に生きている。こういう姿がたまたま明らかにされた。私は、当然、共同防衛という体制があるならば、それぞれ陸海空と機能は違いますけれども、それぞれの具体的な問題についての任務分担の取りきめなり、あるいは、その話し合いに基づいた何かがないと、これは、いざというときになったときに困りはしませんか。かりに自衛隊でいう急迫不正の侵入があった。自衛隊ば出かけた。しかしそのときに、何かがなければ、期待としては、アメリカはそのときに一緒にやってくれるだろうというものがありましても、取りきめがないからおれは知らぬよと言ったときには、皆さんのおっしゃる安保条約も実際は抜けがらになるわけです。だから、陸海空それぞれの部隊の行動なら行動の中で、具体的な取りきめがあってしかるべきじゃないのか。あるいは、もう少し上のレベルの中で、安保条約に基づいた何かの中で、そういう共同防衛を前提にした任務分担の取りきめその他のものがあってしかるべきじゃないのか、こういうふうに聞いているわけなんですが、どうですか。
○宍戸政府委員 これは先ほど長官からお答えがあったように思いますけれども、まず、先ほどお答えしましたように、共同防衛の機能はある。安保がありますので機能はある、それから、お尋ねの具体的な、軍隊用語で言えば作戦協定というふうなことのお尋ねのような感じがいたしますが、これは、有事もしくは有事に近くなれば、当然、つくらなければならぬだろうと思います。たとえば、連合軍がマッカーサー司令部ならマッカーサー司令部あるいはアイゼンハワー司令部ならアイゼンハワー司令部をつくるときには、具体的にイギリス軍は何月何日どの程度の規模で上がるということをつくるということは当然であろうと思います。あるいは、その前にも当然そういう連合軍をつくればつくったんであろうと思います。そういう意味では、作戦協定は、有事もしくは有事に近くなれば当然必要になってまいりましょう。わが軍は北海道のどこを担当する、米軍はどこを担当するというふうな担当区分は当然、つくらなければいくさはできないだろう。おっしゃるとおりだと思います。しかし、それがきょう現在、なければならぬかといいますと、必ずしもそれはそうではない。常時幕僚同士の意思を疎通しておいて、安保が基礎になっておりますので、わが国の能力もわかります。三次防でどれくらいの能力がある、きょう現在どれくらいの規模があるということは、向こうも知っておりまするし、米軍の太平洋軍なら太平洋軍の能力も知っておりますので、有事のときに頼もうとしたら、おれは知らぬぞということ、そういうことは、安保で確実に基礎があるわけでございますので、地域分担だとか機能分担だとかいう具体的な協定をきょう現在まだつくっていない。また、すぐつくる必要は必ずしもない。お互いの信頼感をもとにして、平時は確実な意思の疎通をはかっておけばいいという、幸いにしてそのあとすぐいくさがあるとか、来年すぐいくさがあるとかいふふうな様相でないので、その点は幸いなことではないかというふうな感じがいたしておるわけでございます。
○木原(実)委員 ではお伺いしますけれども、有事あるいは有事に近いような状態になればそういうことは必要になってくる。しかし、いまは幸いにして平和であるから、ないのだ、こういうことですね。しかし、そういうものでしょうか、たとえば、あれは四月十五日でしたか、御案内のように日本海で北朝鮮軍によってアメリカの飛行機が撃墜をされた事件がありましたね。あの当時のことは、自衛隊はどういう行動をとられましたか。
○宍戸政府委員 自衛隊は特別な行動には出ておりません。これは安保条約その他には関連をいたしておりませんので、自衛隊はただ事情を見守っておったということでございます。
○木原(実)委員 それでは、自衛隊としてはあの事件が起こったということを当日承知したわけでしょうね。それを知らされたということはございませんか。
○宍戸政府委員 正式には外務省を通じて承知をいたしました。
○木原(実)委員 御案内のように、府中の第五空軍の司令部には同居しておるわけですね。そして事実上アメリカの飛行機が撃墜をされ、それに対して行動を起こした、続いてエンタープライズが日本海に入った、こういう状態が続いたわけです。そのときには、外務省を通じて自衛隊はこういう事件が起こったのだということを知らされただけで、ほおかぶりしておったわけですか。
○宍戸政府委員 正式には外務省を通じて通知を受けました。御指摘の府中に司令部がございます。アメリカの司令部もございますし、わがほうの司令部もございます。事実上はそこでわがほうもそういう事件があることを知りました。しかし、自衛隊の行動が直ちに必要であるというような事件ではないというふうなことで、事態を見守っておった、こういうことでございます。
○木原(実)委員 重ねて伺いますけれども、たとえば部分的に緊急発進の体制をとる、常時やっていることですが、その程度のこともやらなかったということですか。
○宍戸政府委員 スクランブルの体制は常時とっております。この事件に関して特別な措置は、たとえば、警戒体制を上げるというようなことはいたしておりません。通常の警戒体制、常時やっている警戒体制のままでございます。
○木原(実)委員 先ほど有事の際には協定が必要であろうとおっしゃいました。アメリカ軍がいわゆるスパイ行動、情報活動、こういうことをやっていて、たまたまあの事件が起こったということですね。長官にひとつ解釈を伺いたいのですけれども、この種の偵察行動あるいはスパイ行動、そういうものはいわゆる作戦戦闘行為といいますか。そういうものの範疇には入らない、こういうふうにお考えですか。
○有田国務大臣 偵察行為は、これはもう木原さんもよく御存じと思いますが、これはひとりアメリカだけがやっているわけじゃなくて、それぞれやっておるわけですね。これが作戦戦闘行動に入っておるとは私たちは考えておりません。
○木原(実)委員 これは日常的な活動だ、こうおっしゃるのですが、そうしますと、防衛当局としては、戦闘作戦行動というのは具体的にはどういうことですか、どういう範疇の問題ですか。
○宍戸政府委員 戦闘作戦命令をもらって出撃する場合、簡単に言いますとそういうことでございます。
○木原(実)委員 命令を出すのは総理大臣だと思うんですがね、どうですか。命令は手続なんですから、どういう範疇の場合にその命令が出るのですか。つまり、どういう範囲、どういう状況、どういう行動……。
○宍戸政府委員 米軍のことでお尋ねじゃなかったのですか。米軍の出撃のことでございませんでしょうか。
○木原(実)委員 米軍の出撃のことですが、日本の防衛庁として、戦闘作戦行動と解釈するのはどういう状況、つまりスパイ行為は日常の業務であるから戦争行為に入らないのだ、こういうお話がございましたから、しからば、どの種のものが戦争あるいは作戦行動といえるのかどうか、こういうことを尋ねておるわけです。これは現実に撃ち合いが始まる……。
○宍戸政府委員 大統領が命令を出して、あるいは大統領の委任を受けた司令官が命令を出して、そうしてたとえば、仮定の話ですが、三沢なら三沢にいる飛行機がまさにある地点を爆撃に行けという命令を出して、三沢から発進するという場合に、事前協議でいう戦闘作戦行動に当たる、こういうふうに思います。
○木原(実)委員 どうもなかなかはっきりしないのですけれども、私のお伺いしたいのはそのことではなくて、そうしますと、かりにあの種の事件が起こった、それから、あの場合は幸いにしてあれで状況が終わりになりましたけれども、さらに発展をして、事実上の交戦状態に入る、そういう場合でも、命令がなければこれは作戦とは認めない、戦争とは認めない、こういうことですか。
○宍戸政府委員 日本から発進する場合がそもそも事前協議の問題だろうと思いますが、半島なら半島の上空で戦争すべしという命令があって、日本の領域から発進する場合が、問題になるような発進行動であろう、こういうふうに思います。
○木原(実)委員 どうもこれまたいろいろ回るものですから、これはいいかげんに切り上げますけれども、私の申し上げたいことは、先ほどのいわゆる共同防衛といいますか、その問題に関連をしてくるのですけれども、つまり、わがほうは行動はあるというんですね。安保条約があるわけだから、日米両軍隊の共同防衛行動というのはある。しかし、これは有事の際か、有事が近くなければそういう協定を結ぶ必要はないのだ、こういうことですから、いまはただ暗黙の了解の上で存在をしておる、こういうことになるわけですか。
○宍戸政府委員 それは繰り返すようでございますが、暗黙の了解というのじゃございませんで、基礎ははっきりいたしております。安保条約ということで、もちろん相互の信頼感というのが一番基礎になりますが、それを条文にあらわした条約がございます。攻撃があれば共同して対処するということは、条約に加えてまたたびたび声明もございますから、それが共同防衛の基礎であろうということがはっきりいたしております。具体的な軍事上の作戦協定というようなものをいま持っているわけではない。平時は意思の疎通をはかっている。つまりいろいろないくさの様相が千差万別でございますから、北から来る場合もありましょうし、南から来る場合もありましょうし、海上だけに限られる場合もありましょうし、空が第一の場合もありましょう。そういうものを、あらゆる場合を想定して具体的な作戦協定をつくるということはなかなかむずかしいことでございますので、基礎ははっきりいたしておりますけれども、具体的な作戦協定をきょう現在つくっているわけではないということを申し上げているわけであります。
○木原(実)委員 そうしますと、先般問題になった松前・バーンズ協定というようなものも存在はしないということですね。
○宍戸政府委員 これは恐縮ですけれども、先生何か誤解していらっしゃるのじゃないかと思いますが、松前・バーンズ協定は存在いたしております。前長官もそういう趣旨で答弁しておられると思います。といいますのは、これはレーダーサイトの移管を受けました、本土のレーダーサイトを一時米軍が管理いたしておりましたのを、約十年ぐらい前と思いますけれどもわがほうが移管を受けました、そのときの協定でございまして、むしろ有事のときのことでなくて、サイトを使って領空侵犯を知る手続が必要でございます。それまではわがほう力がございませんでしたので、しょっちゅうやっております領空侵犯に対するスクランブル、これを米軍が全部やっておりました。それをわがほうが全部引き継ぎました。現在ほとんどわがほうがやっておりますが、その協定でございます。それは現在存在しております。先ほどからおっしゃる共同防衛というようなこととは直接関連はございません。
○木原(実)委員 そうしますと、共同防衛とまではいかないまでも、日常共同行為といいますか、それについては個々の協定があるわけですね。たとえば、バッジのシステムが完備をして稼働し出した。この中にいろいろなアメリカサイドのものも入ってくるわけですね。そういう場合の、たとえばバッジの問題をめぐっての業務上の協定のようなものはございますか。
○宍戸政府委員 そういう給与とか貸与とか、それを受けて装備をいたすというようなことに関するいろいろな協定は各種ございます。
○木原(実)委員 私も少ししり切れトンボであれなんですけれども、そうしますと、繰り返すようですけれども、共同防衛という問題については有事の際もしくは有事が近いというような状況の中で作戦の協定として結んだ。したがって、現在は形はあるけれども、それ以外のものはございません。こういうことですね。そうしますと、問題は、沖繩の基地が返還をされて、新しく日本の自衛隊が沖繩に何らかの形で展開をする。しかも一方では、形は違うけれどもアメリカの抑止力としての部隊は残ってくるんだ、そういう状態があるわけです。そういう場合にも、あらためて、進出をする自衛隊と、それから核が抜かれるかどうかわかりませんけれども、核抜きなら核抜きのアメリカの在沖繩の軍隊その他と共同防衛上の協定を結ぶ、あるいはまた、それに近い何らかの取りきめをする、こういうようなことは、本土並みですからやらなくてもいい、そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
○宍戸政府委員 繰り返すようでございますが、安保という大きな協定といいますか、約束があります。沖繩が返れば沖繩にもそれが適用になるということで、沖繩の米軍とわが自衛隊とはそれを基礎にして共同防衛に当たるという点は、本土一共通になろうかと思います。たとえば、いろいろなレーダーサイトをどういうふうに引き継ぐとかミサイル基地をどういうふうに引き継ぐとかいうようなことについて、いろいろな協定はあるいは必要になってくるかもしれません。しかし、主としてお尋ねであろうと思われる作戦協定みたいなものを、特に沖繩だけについてつくるというふうなことは、たぶん必要ではないだろうという感じがいたします。
○木原(実)委員 それではもうこの辺でやめますけれども、最後に、そういうことになったにしましても、沖繩の基地としては、私どもの考えでは、きょう一日質問をしましても、わからない面がたくさんあるわけですが、ただ抑止力という形が残る、性格が残るという意味では、どうもやはり攻撃的な力を持ったものが残ってくる。そこに新しく自衛隊が展開していく。そして共同防衛体制といわないまでも、沖繩の島をめぐって協力の体制ができる、こういう形になると思います。そこで、協定の問題その他をお尋ねしたわけですけれども、これはまた別途の機会にいたしたいと思います。
 そこで最後にお伺いをいたしたいわけですけれども、防衛庁長官に、問題になっております――きょうは外務省がいらっしゃらないので別の機会にしますけれども、事前協議という問題、先ほど大出委員がお尋ねしましたけれども、事前協議については、核についてはこれは全然はまらないという前提だから、これは問題はない。そして残余の問題についてはケース・バイ・ケースである、こういうふうにおっしゃった。ケース・バイ・ケースの中でイエスとノーという場合がある。ノーという場合はまだいいわけです。イエスという場合の問題、このイエスの中には、沖繩の基地、日本の新しく返ってきた国土としての沖繩の基地から、たとえば他の国々に発進をしていく。そういう場合には、これははっきり作戦上の行動ですから、イエスという場合には当然そういうものは含まれないんだ、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
○有田国務大臣 それはやはり私が先ほど来言っておりますように、そういう場合、日本の国益に合致するという場合はイエスということもありましょう。しかし、何ぼ米軍がいまから作戦行動をするといいましても、日本の国益にならぬということになればノーというでしょう。それはそのときのケース・バイ・ケースによって正しく判断して、イエスとかノーということをきめなければならない、私はかように考えます。
○木原(実)委員 これで終わりますけれども、国益ということばはたいへんりっぱなことばですけれども、しかし行動を説明することばとしてはたいへん抽象的なんです。それでわれわれの心配が残るわけですけれども、しかしながら、この発進についてイエス、ノーの唯諾を与える、与えないという問題については最後まで残る問題なんですが、事前協議の問題については国益の基準といいますか、そこまでお考えになりませんかね。承諾を与える場合、拒否する場合――拒否する場合は抽象的なことばしか返ってきませんけれども、それではいずれにしましても、事前協議の問題については、外務大臣も出てまいりましたときに再度やることにいたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○藤田委員長 次回は来たる十七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後八時五十六分散会