第061回国会 社会労働委員会 第41号
昭和四十四年十月九日(木曜日)
    午前十一時八分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 田川 誠一君
   理事 谷垣 專一君 理事 河野  正君
   理事 田邊  誠君 理事 田畑 金光君
      藏内 修治君    齋藤 邦吉君
      中野 四郎君    加藤 万吉君
      後藤 俊男君    島本 虎三君
      中澤 茂一君    西風  勲君
      浜田 光人君    森本  靖君
      八木 一男君    山中 吾郎君
      山本 政弘君    本島百合子君
      和田 耕作君    大橋 敏雄君
      岡本 富夫君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        労 働 大 臣 原 健三郎君
 委員外の出席者
        防衛施設庁長官 山上 信重君
        法務省人権擁護
        局長      上田 明信君
        厚生大臣官房長 戸沢 政方君
        厚生大臣官房国
        立公園部長   中村 一成君
        厚生省公衆衛生
        局長      村中 俊明君
        通商産業省化学
        工業局長    後藤 正記君
        郵政政務次官  木村 睦男君
        郵政省人事局長 山本  博君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        自治省行政局行
        政課長     遠藤 文夫君
    ―――――――――――――
九月十七日
 委員岡本富夫君辞任につき、その補欠として伏
 木和雄君が議長の指名で委員に選任された。
十月九日
 委員枝村要作君、平等文成君、八木昇君、山田
 耻目君及び伏木和雄君辞任につき、その補欠と
 して山中吾郎君、中澤茂一君、浜田光人君、森
 本靖君及び岡本富夫君が議長の指名で委員に選
 任された。
同日
 委員中澤茂一君、浜田光人君、森本靖君及び山
 中吾郎君辞任につき、その補欠として平等文成
 君八木昇君、山田耻目君及び枝村要作君が議長
 の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○田川委員長代理 これより会議を開きます。
 厚生関係及び労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
○河野(正)委員 御承知のように十月六日、富山県伏木港におきまして貨物船「熊福丸」で三名の釜山帰りの船員がコレラ保菌者ということで隔離をされました。ところが、この間ずっと経過をたどってまいりますというと、当初韓国でコレラ患者が発生をした。しかしそれはビブリオ菌による食中毒だ。そこで九月五日には関門すなわち門司検疫所、北九州でも防疫体制を解除した。ところが、九月九日、新型のコレラ、こういうWHO(世界保健機構)に対する報告があって、そこでまた政府としては大あわてでこの水ぎわ作戦を再開する。ところが、厚生省も現地においでになったようですけれども、九月十七日には、あれは新型ではないのだ、エルトール型である、こういうふうに、経過をたどってまいりますると状況というものは二転、三転する。新聞その他報ずるところによりますと、全く韓国の情報に日本の防疫体制が振り回されておる、こういうきびしい批判がございます。こういうふうに情報に振り回されるというようなことでは、確固たる指導方針がないというようなことでは、国民の不安というものはつのってまいるばかりでございますから、そういう意味で私は、今回のコレラに対しまする厚生省の防疫体制に対してはこの際一考を要する問題でないか。ある意味においては、反省を要する問題ではないか、私はこういうことを感ずるわけでございますが、この点について大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのか。私どもはやはり国民の不安というものを除去しなければならぬ、防いでいかなければならぬ。そういう意味で厚生省の確固たる防疫体制に対しまする方針というものをこの際お尋ねをする義務が私はあると思うわけであります。そういう意味でひとつ大臣の的確なお答えを願いたい。
○斎藤国務大臣 ただいま河野委員のおっしゃいますように韓国でコレラらしいものが発生した。コレラであるとかないとかまだわからないというような状況が若干続きましたが、情報によりまして、これはおそらくコレラであるであろう、万全の措置をとるにこしたことはないというので、したがって、まだコレラの汚染地区とWHOから通告のあります前からも、コレラの水ぎわ対策というものには万全を期しておったわけでございます。正式には汚染地区と宣言をされるまでには法的な措置をとれない面がございましたけれども、しかし、事実上の措置といたしまして、ほとんどそれにひとしい措置をとってまいりました。汚染地区ときめられた後はなおさらであります。
 しかし、韓国の中におきましても、たとえば釜山その他の地域は汚染地区ということになっておりませんので、したがって法的の取り締まりには若干めんどうな点があるのでありますけれども、しかし、汚染地区と同様の事実上の取り締まりをいたしております。伏木港においてああいう保菌者が発見をされた。たまたま保菌者でない者が上陸をしたということがあったりいたしておりますが、今後はさらに厳重に船の中の検査、ふん便の培養の結果がはっきりするまでは事実上上陸をさせないように、さらに強い通達を関係の府県へも出しまして協力を求めて、そして国内にそういうものの入ってこないように万全の措置をとっておるわけでございます。
○河野(正)委員 万全の措置をとったというお答えなんですけれども、ずっとこの経過をたどってまいりますると、私どもは必ずしもそういうふうに理解するわけにまいりません。すなわち、六日富山の伏木港で日本船員三名のコレラ保菌者が発見をされた。ところが、これらの船舶は仮検疫済証で入港をいたしております。そして乗り組み員の上陸は一応やってくれるなということであるけれども、さきには韓国の「住幸号」では八人が上陸をして買いものしたり飲食したりしておる。そこで、万全を期したと言われるけれども、いま申し上げたように、まだ検疫中で最終的結論が出ておらないそういう船舶の船員が上陸をする、あるいは飲食をするということになると、これは結果を見なければわからぬけれども、あるいはコレラ菌が実際に上陸したかもわからぬという危険性というものは当然あると思うのです。あるかないかは別として、そういう危険性があるということは否定できないと思うのです。
 それから、きょうは時間の制約がございますからなにですが、この伏木港の「熊福丸」の際にも、港湾関係者や家族が船に出入りをしておる。それが実は二十一人に及ぶといわれております。しかも、その後も念入りに、七日には高岡市内の四人の中学生が見学のため乗船したともいわれております。こういうことがありますと、厚生省はそれぞれ各府県に対して適切な指導をしたということであるけれども、私はやはり現在の検疫体制に問題が存在するのじゃないか、こういうことを指摘せざるを得ぬと思うのです。ですから、いま申し上げましたような経過を見て、大臣としていまの日本の検疫体制について再検討の要があるというようにお考えにならないのかどうか、ひとつこの際御見解を承っておきたいと思います。
○村中説明員 国内に入りましたコレラ汚染地域からの船の取り扱いについてでございますが、これはただいま大臣もお答えを申し上げましたとおり、一応国際的な取りきめに基づいた大前提が一つございます。さらに、それを中心にいたしまして、国内の検疫法というたてまえの二段がまえで処理をしておるところに、いろいろ私どもにいたしましても的確にいかない困難性があるわけでございます。
 ただいま御指摘の国内に入った汚染地域からの船の取り扱いについて、富山県の伏木港の例が出ましたが、最初門司で汚染地域からの船ということで検疫をいたしまして、このときに検便を実施をして、定めに従って仮検疫済証という証明書を出して次の寄港地へ回航をさせたわけでございますが、従来の仮検疫済証の発行後の船の回航先は、必ずしも検疫体制ができる港だけというふうな指定はいたしておりません。したがいまして、第一次の検疫が終わりますと、船の側のスケジュールに従ってそれぞれ港に行くというふうなことになっておりましたが、ここで山口県の宇部港あるいは今回の伏木港の例を検討いたしました結果、やはり汚染地域からの船について検便を実施している間は、結果が出るまでは何らかの方法で、たとえ次の港に行っても、監視体制が整っているというところにのみ回航させることが適当であるというような判断をいたしまして、これは国際的には若干まだ疑義が残りますけれども、国内の取り扱いとして通知をいたしまして、船側の了解を得て納得をさせて厳重に処理をするというふうなことで、回航先は検疫港であるというふうな通知を昨日用意をいたしました。さらに、港に着きました船につきましては、検便の結果のわかるまでは接岸しないように、荷役の作業もしないようにというふうな相当きつい取り扱いについて私の名前で通知をつくりまして、これを、大臣もお答え申し上げましたような、都道府県知事及び検疫所あてに出しております。
 こういう形で、繰り返しになりますけれども、国際的には若干の問題はありますけれども、現在次々と、このように二度までも保菌者の状態の船が国内の港に入るというふうな事態に対処して、できるだけの処置をするというのが今回の私どもの考え方でございまして、これを十分徹底させて、いまの御質問の御懸念のないような措置を今後新たにとってまいりたい、こういうことでございます。
○河野(正)委員 きのうあわてて、いま検疫中のものは接岸をさせぬとか、荷役を禁止するとか、あるいはまた、監視体制の整った検疫港にのみ回航させるとか、こういう措置がとられたということが御報告あったわけです。
 ところが、三十七年に台湾コレラが発生をして、その後日本においても、いま国際的に国際衛生規則を前提とするお話しがあったわけですけれども、当時はそれを越える規制をする時代があったわけです。そこで検疫結果が出るまでは検疫泊地で完全に停船を命ぜられた。ところが、その後そういうきびしいことをやってもらうと経済的打撃が大きいという理由で、四十二年四月、厚生省は通達でいまのように検疫を非常に緩和をした、こういう経過があるのです。
 このことは、私は結果的に検疫体制の一歩後退だと思うのです。そういう検疫のために長らく船をとどめておくと経済的打撃をこうむるという理由で規制を緩和した、こういう経過があるわけです。それでまた今度やかましくなったらまたもとに戻す、こういう一貫性のない検疫体制に対する指導方針というものは、私は国民としても納得ができぬと思うのです。やるならやはり既定方針どおり貫いてもらわなければいかぬ。既定方針どおり貫くというと、いろいろ業者、財界その他から意見が出て、結果的にはそれをゆるめる。業者や財界の経済的影響だけじゃないでしょう。国民に及ぼす影響がいかに重大かということを認識してもらわなければ私は困ると思うのです。
 そこで、従来は国際衛生規則がある。そういう規制があるから、その規制を中心としていろいろと検疫体制というものをつくらなければならぬ。それは私はけっこうだと思うのです。ところが、それよりもきびしいことをすでにやっておって、その後財界からの反撃で緩和した。こういういきさつがあったことを私どもは重視しなければならぬと思うのです。
 それで、いま局長からいろいろお答えがあったけれども、そういう、あるときはきびしい体制でいく、あるときは非常に緩和した体制でいく。結果的にそのことが非常に大きな影響を国民に与えるわけですから、そういう一貫性のない検疫体制に対する指導方針というものは私どもは納得ができぬと思うのです。ですから、今度の案件そのものは、いまおっしゃるとおりでしょうが、私は根本的にいまの厚生省の検疫体制というものは誤っておる、こういう指摘をせざるを得ぬと思うのです。
 この点はひとつ大臣から明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  〔田川委員長代理退席、谷垣委員長代理着席〕
○斎藤国務大臣 かつて経済上の理由で緩和をしたことがあったとおっしゃいましたが、私は、危険性があるにもかかわらず、経済的な理由で緩和をするというようなことはあってはならぬことでありまして、過去においても、おそらくある程度緩和をしても危険性がないという確信のもとにやったのだろうと思うわけであります。今後も、少しでもコレラが上陸をする危険性があるというならば、経済的の理由によってその危険性をある程度がまんをしようというようなことは、これは絶対あってはなりませんから、その点は厚生省の方針といたしましては、いかに経済的に損害があろうとも、そういう危険性が少しでもあるならば、むしろ経済的な損失よりも、危険のないことを確保するという方針でまいっておりまするし、今後もまいりたいと思いますので、御了承いただきたいと存じます。
○河野(正)委員 防疫というものはどこにも危険性があると私は思うのですよ。これは目に見えぬのですから、この場合には危険性がないんだということは私は言い切れぬと思うのです。これは形やら目に映る問題じゃございませんから、そういう意味で、ただ一方的な判断によって危険性がないからといって、従来の方針を曲げて新しく厚生省が通達を出すというようなことは、私は国民として納得できぬと思うのです。しかし、経済性を優先させてはいかぬという大臣のお答えですから、この点はぜひそういう方針で今後臨んでいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 そこで、いま一つここで伺っておきたいと思います点は、いろいろ監視体制の整った検疫港でなければ船の回航は許さぬというようなお話がございました。ところが、今度の「住幸号」の場合を見てまいりましても、あるいは「熊福丸」の場合を見てまいりましてもそうでございますけれども、なかなかいまの防疫体制では監視が十分うまくいかないという状況にございます。いずれ最後に申し上げますけれども……。
 そこで私は、いろいろあろうけれども、やはり上陸等は禁足令を出して、ともかくはっきりするまでは陸に上げないくらいの指導があってよかろうと私は思うのです。それは個人の人権その他あろうと思いますけれども、そのことが結果的には非常に大きな影響を国民に与えるわけですから、公共の福祉のためには、私はそのくらいのしんぼうはよかろうと思うのです。ですから、現行の検疫法あるいは国際衛生規則によりますとなかなかむずかしい点はあろうけれども、結果的には、その点が盲点となって今度のような事態が出ておると思うのです。宇部港あるいは伏木港のような事件が起こったと思うのです。それで私は今回の事件をひとつ反省をしながら、検疫体制については禁足令等を含んで再検討を行なうべきじゃないかというふうに考えるわけですが、この点はいかがですか。
○村中説明員 検疫体制の再検討の御指摘でございますが、昨年から国際衛生規則の改定という問題がWHOで行なわれておりまして、今回の総会で大綱がまとまりました。これとは別に、昨年の五月に厚生大臣の諮問がございまして、現在伝染病予防調査会で、伝染病予防法とあわせまして検疫法の改正についていま審議をいたしております。いろいろ新しい国際情勢あるいは医学の進歩、こういったもののからみの中で、今後のわが国の伝染病の対策にマッチするそういう法改正を私ども実は答申をいただくことを期待しておるわけでございます。この審議の過程の中で、ただいま河野委員の御指摘も私どものほうから申し上げまして審議をしていただきたい、こう考えております。
○河野(正)委員 そこで、せっかく御検討を願うということですから、あわせてこの際指摘をしておきたいと思うのでございますが、それはいま大臣からも局長からも、しばしば厚生省は厳重な防疫体制を指令しておる、こういうことでございます。ところが、いま一番私どもが心配いたしておりますのは、空の玄関といわれておりまする空港の防疫体制と検疫体制というものは一体どうか、この点が非常に盲点で私どもが憂慮する点でございます。
 御案内のように、空港の場合には書面審査だけでございますし、その人がたまたま伝染病の潜伏期であれば――潜伏期ですからしたがって健康体ですね。そうすると、この書面の審査だけで入国ができるということになりますと、かっこうは健康人と同じです。菌は持っておっても、潜伏期の期間でございますれば、全くの健康体と同じでございます。そういうことでありますと、水ぎわ作戦で万全の体制を期していただいても、空のほうからはどんどんそういう危険というものが国内侵入をする。こういうことでは全く頭隠してしり隠さずという結果になるわけですから、せっかく御検討願うなら、一体こういう問題をどういうふうに今後処置していくのか、これらの点についてもひとつぜひお願いをしたい、こういうように思いますが、この点はどうですか。
○村中説明員 国内の検疫体制の中で、特に国際線を利用する汚染地域からの航空機の乗客の取り扱いの問題についてでございますが、これは御承知のとおり、全くWHOの規則をそのまま取り扱った形で現在国内の国際空港での検疫処理を行なっておりまして、御承知のとおり乗客については、異常があるあるいはそういう訴えがあったという者について、コレラの場合ですと検便ができるわけです。汚染地域から来て、異常がない、しかもコレラの予防注射をやっていたというふうな証明書を持っている場合には、これはパスさせざるを得ないわけでございます。
 ただ問題は、いまの御指摘のように、もしも潜伏期の中にあるというふうな問題はどうやってチェックするのかという点につきましては、現在空港で行なっています方法は、御承知のとおり質問書を用意いたしましてこれに記入をしてもらいます。さらに、健康カードを渡しまして、これで健康上の留意事項を書いて手渡している。もう一つは、これは入国手続にもからんでまいりますけれども、国内に入ってから五日間の旅行先の予定を書く、これを検疫所のほうで受け取る。もしもこの期間の中に、大体コレラの場合ですと二、三日というのが潜伏期間と考えられておりますが、五日間の足取り、行動予定表を受け取りまして、もしもこの期間中に異常があればもよりの医療機関あるいは保健所で健康診断を受けとるというふうな形で――韓国との交通も激しいということから、今回の問題につきましては、特に日本医師会とも協議をいたしまして、もしもこういうふうな患者が出たり、ぐあいが悪いような患者を見た場合には、できるだけそこで防疫体制のルーティンに乗せるような、そういう協力も実は受けておるわけでございまして、端的に申し上げますと、隔靴掻痒の感がなきにしもあらずでございますが、現在許されている国際検疫法の相当の幅の中での処理というのがただいま申し上げたような点でございます。
○河野(正)委員 全く隔靴掻痒の感があって、どうもお答えもすっきりしませんね。特に汚染地区との問題で一番関連がございますのは、たとえば米軍基地、横田、立川、三沢、こういうところは軍人がどんどん汚染地から来ているわけですよ。ところが、これは全くノーチェックですね。そうすると、いま異常があったとかなかったとかいう話があるけれども、あったときはもうおそいわけですね、もうばらまかれているわけですから。だから、私どもが言っているのは、そういう空からのコレラの侵入というものを一体どうして防ぐのか。それには一つは空港の問題がございます。一つは米軍基地の問題がございます。こういう問題について、政府としていままで米軍側といろいろ折衝された経過がございますか。この点いかがですか。
○村中説明員 米軍の軍用機あるいは基地の関連の防疫体制についてでございますが、これは御承知のとおり昭和二十七年の五月に取りきめができて、現在汚染地域から来訪する者についての検疫は、これに基づいて実施をいたしております。その後三十五年になりまして、この方法についてさらに確認が行なわれた。それから、たしか四十一年だと存じましたが、基地内で発生する取りきめに基づいた伝染病の情報交換についての取り扱いについて取りきめいたしております。さらに昨年、東京都内の王子の陸軍病院の伝染病の取り扱いにつきましても、これは直接米軍のほうと私がいろいろ話し合いをいたしまして、それぞれ伝染病の発生時あるいは患者の取り扱いについていろいろ相談をいたして現在に至っております。基地の検疫問題につきましては、繰り返しになりますけれども、そのような過去の取りきめをもとにして現在も行なっているということでございます。
○河野(正)委員 そういう姿勢だから困るんで、実は王子の病院の場合は、私はあの節この委員会において取り上げた経験がございます。問題は、日本政府側が積極的にチェックできないというところにあるわけですよ。ですから、米軍側で要するにいろいろ緊密な連携をとっていただければ非常にけっこうですけれども、日本側が積極的にこの問題のチェックができないところに私は非常に不安と問題があると思うのです。そういう意味で私は申し上げている。いまの答弁では、全くあなたまかせですよ。そこであらためてそうだということになっても、そのときはおそいわけなんですよ。その際一番迷惑をこうむりますのは日本の国民ですからね。ですから、時間もないのでその点ばかりやっていても始まりませんから、いまのような姿勢では困るということだけ申し上げておきたいと思います。
 今後空からのコレラその他の伝染病の侵入、あるいは米軍に対するいろいろな取り扱いということについては、もう少しき然たる態度で臨んでいただかなければならぬと思うのです。そうせぬと、国民の不安と疑惑というものは除去できぬと思うのです。そういう意味で、ぜひ大臣から、今後の姿勢についてのお答えをいただきたい。時間がございませんから簡単でけっこうでございますが、一言お答えいただきたい。
○斎藤国務大臣 ただいまの御趣旨を体しまして、万遺憾なきを期したいと存じております。
○河野(正)委員 時間がありませんから最後に一問だけお尋ねをして終わりたいと思います。
 それは一つは検疫方法というものが、先ほどちょっと述べましたが、非常にゆるくなっている。たとえば昭和三十七年、八年当時は、汚染地区から来る船舶は、三回検便をして陰性となるまで入港をさせなかった。ところが、今日では一回で済む。しかも、今日までの経験で見ますと、三回目に菌が確認されたというような事例があるわけです。一回目はなかったけれども、三回目で発見されたという事例があるわけです。そういうことがありますと、一体今日の検疫方法はどういうものであるかというような疑問も出てくると思います。そこで、今日の検疫方法については再検討の必要があるのじゃないかということが一つ。
 いま一つは、防疫陣が非常に手薄である。特に今度の関門港のごときは、東南アジアの窓口ですから、特に力を注がれてしかるべきだと思うのですが、防疫陣が非常に手薄になっております。外国経由の船舶が関門港だけで毎月平均五百隻入る。しかも、そのうち三百隻は韓国を経由してきておる。ところが、その検疫の業務に携わります防疫陣が非常に手薄で、そのために、今度のような事件が起こってくると、昼めしをとるひまもない。それにまた欠員もある。こういうことでは、完ぺきを期したとおっしゃるけれども、私どもは、はいそうですかというふうに納得するわけにはまいりません。
 そこで、先ほど申し上げました今日の検疫方法について再検討を加える必要があるのじゃないかということが一つ。それから、時間がございませんから多くを申し上げませんけれども、いま申し上げましたように、検疫体制を早急に充実すべきではないかという点、この二点について簡単にお答えをいただきたい。
○村中説明員 第一点の検疫法の改正につきましては、きょういろいろ御指摘のありました御意見も十分頭に入れながら検討してまいりたい、こう存じます。
 第二点の検疫体制の強化整備につきましては、全く私どももそのとおり考えておりまして、今後も予算その他の面について十分努力をしてまいりたい、こう考えます。
○山本(政)委員 ちょっと関連。局長にちょっとお伺いしますけれども、駐留軍の港湾関係、船舶関係に従事している人たちについての防疫というのはどういうふうになっているのですか、それをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○村中説明員 港湾の労務者についてでございますが、これは毎年、たとえばコレラの場合ですと、流行を予測される夏場を前にいたしまして、有効期間を計算した五月前後ぐらいまでにはコレラの予防接種を港湾労務者を含めまして全部実施をいたしております。大体これが七、八〇%程度の実施率になっておりますが、今回の韓国のコレラに関連いたしまして、その後追加の形でほとんど一〇〇%を上回るような状態で港湾関係の荷役、それから税関、そういった一連の船、航空機関係の予防接種を実施いたしております。
○山本(政)委員 港湾は一〇〇%いっているのだけれども、空軍関係はどうなっていますか。
○村中説明員 駐留軍関係、特に航空基地についても同じような体制、国内の港湾労務者に準じた形で行なっております。
○山本(政)委員 そういう答弁をやるからいけないというのですよ。港湾関係は四千六百人完了している。けれども、空軍関係はいま全然やっていないでしょう。そういう監督がいかぬと私は言うのですよ。空軍関係は全然やっておりませんよ。それは調べてください。そういうあなた方の手落ちがいかぬと言うのですよ。船舶関係をやるなら、空軍関係もきちんとやるべきでしょう。空軍関係はやっておりませんよ。もう一ぺん確かめてください。
 もう一つお伺いいたしたいのは、たしかその注射というのは、駐留軍の健康保険関係でやっておると思うのです。私は、こういう問題については国でこれをやる、これがほんとうだと思うのです。これは厚生省関係でやるのか、あるいは防衛庁関係でやるのか、それは別といたしまして、そういう問題があるときには、やはり国でやるべきだと思うのだけれども、この辺はどういうふうにお考えになっておるのか、それだけでけっこうでございます。
○村中説明員 ただいまの空軍関係の予防接種につきましては、至急その実態を把握したいと存じます。
 なお、これを含めました駐留軍の労務者に対する予防接種でございますが、現在全般的な港湾労務者につき一ましては、これはたしか国が費用を負担した形で組合と一緒にやることになっております。これに準じてそっちの駐留軍関係も行なわれるべきだと考えております。実態はよく把握しておりませんが、これも国に準じた形でいくような、そういう方向に持ってまいりたいと存じます。
○山本(政)委員 それでは質問を終わります。
○谷垣委員長代理 浜田光人君。
○浜田委員 貴重な社労の時間をわざわざ差しかえをいただいたのですが、すでに三回ばかり内閣委員会で厚生大臣の出席を要請したのですが、御都合が悪くて出席なさっておらないので、本日は事務当局は別として、大臣と毒ガス問題についてその真相を明らかにし、さらにこれが処理についての見解をただしたいと思うのです。
 そこで、前国会でも、この毒ガス問題は、米軍が沖繩に貯蔵しておる、さらに国内でも製造しておるのではないかということで問題が提起されたことは御案内のとおりだと思います。しかし、国内にまだ旧陸軍が製造した毒ガスが、千トン以上といわれておりますが、私はあえて何百トンという表現をするのですが、何百トンもの毒ガスが国内にある、こういわれておるのですが、その事実について厚生大臣の御答弁をいただきたい。
○斎藤国務大臣 旧日本軍がつくった毒ガスがまだ国内にあるという確証は、私は聞いておりません。先般大久野島でごうの中にそれらしいかんがあるということで急遽これを発掘いたしまして、そしてただいま試験中でございますが、何でも四本のうち発煙筒とそれから催涙ガスのようなものがあった。そこで、催涙ガスといわれるようなものにつきましては、その毒性をただいま試験中でございます。さらに、そういうものがまだあるという疑いがあれば、これを発掘いたしまして、そして心配のないようにすべきである、かように考えていま措置をいたしておるわけでございます。
○浜田委員 ただいま大臣は、毒ガスらしいものがあるということは知らぬ、こういう御答弁のようですね。しかし、実際占領軍が進駐してきて、一部は太平洋の二千メートル、三千メートルの深海にコンクリートに詰めて投棄したでしょうが、一部は製造しておった大久野島の防空ごうの中に格納したというのは、引き継ぎの書類か口頭か何かで明確になっておるはずです。そういたしませんと、昭和三十六年に大蔵財産から厚生省に所管がえしたとき、さらに国民休暇村を設置したときに、国費八百万円も投じて、その貯蔵、格納、そうした防空ごうを何のためにふたするんですか。そういう人の住んでおらない島の防空ごうをふたしなくても――旧軍港都市などというものは、やっといまどきは国も少し補助を出しましたが、もう三十年代には、防空ごうなどには手をつけてはおらないのです。それに、人も住んでおらない島に八百万円も国費を投じてふたをするというのは、そこに何がしか危険なものがあるからふたをするんでしょうが。そういうことがないなら何もふたする必要はないじゃありませんか。そういう点、大臣どうですか。
○斎藤国務大臣 大久野島にあったいわゆる毒ガス、これをどういうように処理をしたかという引き継ぎの書類は一切ないそうでございます。
 そこで、防空ごうをふたをしたというのは、そういった防空ごうの中に子供や人が入ったりして危険があってはいけないと、そういうことでふたをしたのであろうと思います。中に毒ガスがあるということを知りながら、それを防除するためにふたをしたというようには聞いておりません。
○浜田委員 あなたの部下である公園部長は、当時の最高責任者である山中峰次中佐にも聞かれて、さらに、当然政府の中の役所から役所に移るときにそれらも指摘されておるだろうし、だが比較的軽い、いわゆる俗にいう赤筒はこの島のほうで処理した。処理したというのは防空ごうの中に入れたんですよ。そしてホスゲンとかイペリットとかいうものは、米軍が深海に処理したと、こういわれております。すると、赤筒も毒ガスの一種なんですよ。しかも、あの防空ごうに入れた赤筒には、昭和十四年から日本陸軍はわざわざイペリットを混入しておるんです。そういうものがその防空ごうの中で処理されたと、こう言われておる。それを知らないで――私、知っておったら、休暇村を設置したのはどうした、こうなるのかもわかりませんが、そういうしらを切られるよりか、すみやかにその実体を発掘して、調査して、あればどう処理するのかと、こういうことにすみやかにならなきゃならぬと思うんですが、いまだにそれが、われわれはあるということは知らない、また聞いてもおらないと、これではきわめて危険な状態に放置することになると思う。今日、あの毒ガスがどうだということは、アサヒグラフで綿密に報道され、各新聞、テレビはずっと報道しておるんですよ。ぼくの切り抜きでも何十枚もある。それを主管庁である厚生省は、いまだに知らないと言ったりしておる。私は、いままでの委員会では次のような発言はしなかったんだが、主管大臣である厚生大臣が、いまだにそうしらを切られるとするなら、もしこれの中に何百トンという赤筒がある、しかも、イペリットが混入されておる赤筒である。これを、いまの学園紛争は、ずいぶん発煙筒らしきものをどちらもやっておる。こういうものを、夜漁船に乗っていって、全学の諸君が三箱、四箱も持って帰るのはわけないですよ。そうしてそれをいまのような状態で使ったらどうなるのですか。これはたいへんな問題になりますよ。しかも、実際何百トン――千トン近い毒ガスがある、さらに日本がすみやかに処理せぬということになると、国際的にも私は重大な問題になってくると思うんだ。それを、いまだに引き継ぎがなかった、知りません、危険はございません、そう思います、こういうことを言っておって、具体的にそういう危険な状態が起き、国際上の大きな信頼問題にも発展したらどうなるのですか。そうして、ないないと言われるのなら――私は具体的に言っているんだ。私たち社会党でも、みずから発掘調査しようと言っているのだ。実際防空ごうのそうたいした穴じゃありません。それを一メートル四方ぐらい切り取って中から引き出すことは簡単でしょうが。そうして、あるとするならどう対処するかということを、すみやかにぼくは処置を講ずるべきだと思うのですよ。そういう点について大臣どうですか。
○中村説明員 事務的な点につきまして私からちょっとお答えいたしたいと思います。
 ただいま浜田先生からお話しのございましたように、大久野島につきまして、毒ガスがまだ残っているのではないかといったようなことにつきましていろいろお話もございまして、私どものほうは、とりあえず先般八月の末に発見されました赤筒につきまして、現在厚生省所管の衛生試験所で検査をいたしておりますが、その検査の結果を待ちまして、さらに大久野島に関しましてただいま広島県を通じましていろいろと当時の関係者の方方から情報をいただいておりますので、そういう情報等も整理をいたしまして、大久野島の今後どうするかということにつきまして(「検査の結果はいつわかるのだ」と呼ぶ者あり)検査の結果につきましては、ただいま動物実験をいたしておりますが、大体この十月の半ば過ぎには一応の中間的なものは出るだろうというお話でございます。そういうこと等の結果を見まして、どういうふうに処理するか、ただいま検討いたしているところでございます。
○浜田委員 ただいま公園部長がかわって答弁されたけれども、まず皆さんが検査をしているということ――広島県はざっと砒素が七・五%ですか、一週間たったらちゃんと結論を出している。あなたのほうは、ていねいにやっているのかもしれませんけれども、国立衛生試験所に持っていってもう四十日たつではないですか。さらに、この厚生省の国立衛生試験所で研究をやっているのは、二十何年間防空ごうの中の水で、しかも片一方はあいているのだから風化は当然ある、そういう状態の赤筒一かん持ち帰って検査しておられるのですよ。何百トンとあるのは、一応はふたしておるのだから風は入らない。しかも海水は入れている。確かに調査してみると、七合目くらいは、ホースを入れるくらいな穴があとからふたをしておるから、これは入れたのだろう。ところが、防空ごうはコンクリートで底張りはやっておらないのですよ、掘っただけですから。地下水帯より上の部分については――海水はすぐ浸透してしまうのですね、したがって、十年も二十年もからっとしておると思うのです。当然のことだ。これは条件の違うものがたくさんあるのだから、それらを発掘して調査してみなければ――二十何年間も雨風にさらされた部分で調査して、これこれで――おそらく皆さんは、あることは間違いないから、あるということになったら、今度はたいして人畜に危害はないのでこれこれだ、こう逃げようと思っているのでしょうが、そういう条件の違うものを早く発掘して検査しなければだめでしょうが。それを早くやりなさいと言うのに、なかなか皆さんは発動されない。大臣は六日の日に広島県呉にスモン病で行かれた。全国でも珍らしいスモン病ですから、それに足を運ばれたことに対しては敬意を表します。しかし、前の日、日曜日であっても、これだけ大きな毒ガス問題を、国際上から見ても、国内的から見ても、せめてもう一足ちょっと伸ばしたら行かれるわけですよ。もう一足、もう少し時間をさいて、この実態を見られなかったことを非常に残念に思うのです。いろいろ御都合があったと思うのですけれども、そうするとここで議論するよりかは、あなたが直接そういう状態を見られたら、ああ、これはすみやかに手を打たなければならぬなあ、そういうことになると思うのだ。
 そこで、時間もないから議論しません。事務当局からよく聞いてください。その場合の記者会見であなたは、毒ガス問題をたいしたことはない、あまり知らないような記者会見をしておられますが、私、これまたきわめて遺憾だと思うのです。しかし、それはそれにしましても、いま申し上げたことは、私は前回内閣委員会でも言ったのです。これは重大な問題だから早く処理する方向にいかなければならぬ。たとえば、厚生省とも御相談をなさったでしょうが、自衛隊のほうはすでに現地の地方総監部に――海底にもまだたくさんそういうきわめて危険の高いホスゲンなど投棄してあるのですよ。これらを直ちに調査するようにもう指示しましたよ。しかも陸上で容易にできる厚生省がいまだに手をつけないのは、一般国民から見れば、何としても合点がいかないですよ。何とかこれで、たいしたことはないのだというように逃げられるのじゃあるまいか、こう思っている。地元の市会あたりもすみやかに政府機関でこれらを調査、処理されたいと決議しておるでしょう。たまらないからです、腰を上げられないから。そういう点で大臣の、くだらん答弁は要らぬですから、これからどのように具体的にどうするという所信を聞かしていただきたい。
○斎藤国務大臣 いろいろ御質問の趣旨も伺っております。なるべく早く衛生試験所の結果も出し、必要な手を打つように、また自衛隊とも相談をいたしつつあるわけでありますが、いろいろ大久野島に来る人たちの心配の点もございますし、十分配慮をしながら御趣旨に沿うように、実はひそかにはいろいろ手を進めておるわけでございます。御安心のいくように結論を得て、そうして調査をする必要があるということになれば至急に調査をいたしたい、こう考えております。
○浜田委員 大臣、くどいようですが、調査をする必要があればやる、そうなると議論しなければならなくなる。いまの時点で調査する必要があるかないかまだわからないのですか。その点についてわからなければわからないで……。
○斎藤国務大臣 事務的にもう少し調査をしたいからと言っておりますので、したがっていまの情報の収集やその他の点につきまして確たるものを得て、そうして、発掘をするならするというように踏み切りたい、こう考えております。
○浜田委員 事務的な調査、情報について私は言っているんだ。どうも厚生省は、たとえば南方の遺骨収集でも、役人だけ行ってわからないのだ。実際そこで戦争をして、一万二千人もの部隊の中でわずか二百か三百人命からがら帰ってきておる、そういう人たちの中から一人でも二人でも連れていけば、遺骨の収集等についても非常に能率的に、しかも限られた時間でたくさんやれる。ところが、役人さんだけ行ったりしてもなかなかうまくいかないのです。それと同じなんです。この大久野島調査でも、そこで働いておった人、さらにそういう戦後処理をした人が幾らでもおるのだから、そういう人たちと行ってやりなさいよと、こう言うのだが、やっていない。そういう人たちは、ここにどのくらい納めた、どういう種類のものを納めたと知っているのだから、現にそれを処理した第三班の班長、技術少佐の三好さん、また、たくさんここに傍聴に来ておられる人にそれに携わった人もおられる。そういう人たちと行ってやれば具体的にものが進むでしょうが。それが具体的な情報の提供だ。それを事務的にいやどうだと、こう言っているから進まないのですよ。大臣、具体的な情報提供は、そういう知った人と一緒に行ってものに当たる、こういうことでしょうが。それをやられていますか、そういう人たちと。
○斎藤国務大臣 具体的な情報提供者の方々との連絡を十分とった上でということでございますので、そういう情報の確実な提供をいま事務当局でとりつつある、かように私は考えております。
○浜田委員 では、時間がありませんから要望して下がります。
 大体事務的には中旬ぐらいまでには発掘調査をされるように聞いておるのですが、さっきも申し上げましたように、すみやかにこの問題は措置せぬと、いろいろな疑惑なり、さらにこれらが使用されて具体的に被害が起きたらたいへんなことになりますよ。そういう意味で、一日もすみやかに具体的な作業にぜひ入ってもらうことを強く要望して質問を終わります。
○谷垣委員長代理 この際、十二時三十分まで暫時休憩をいたします。
   午後零時十分休憩
     ――――◇―――――
   午後零時四十一分開議
○谷垣委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。河野正君。
○河野(正)委員 きょうは、最初にまず基地関係の労働問題について質疑を行なってまいるわけですが、御承知のように、朝鮮動乱の当時は約二十九万六千人の基地労働者がそれぞれ仕事をやっておった。ところが、最近は大体五万人程度、そうして、ある意味においてはこれを不安定の安定というのか、やや雇用状態が安定したというような状態にあったことは、御案内のとおりです。ところが、七日、在日米軍司令部は、政府に対しまして、北九州市の山田弾薬庫、東京の立川、三沢等、十カ所の基地の日本人労務者千七十九人の解雇を通告いたしました。ニクソン大統領がこの七月、ドル防衛のために、海外基地駐留の米軍二万人を削減する、こういう公表をした後の段階でございますから、したがって、この千七十九名の解雇の問題というものが基地縮小の前ぶれになるという判断もございます。が、いずれにしても、一部におきましては、これは山上長官も寝耳に水と言っておられるように、突如として一方的な通告が行なわれた。したがって、この問題は基地労働者にとってはきわめて重大な生活権の問題ですから、そういう意味で、ひとつこの際その実情というものについての御報告を受けたい、かように思います。
○山上説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御質問の中にもありましたように、この七日に米軍側から防衛施設庁に連絡がございまして、ただいまお話のありましたような立川並びに関東基地司令部付近において七百六十四人、山田弾薬庫の労務者が二百五十九人、その他横田、三沢等を合計いたしまして千七十九人という定員の削減をしたいという申し入れがございました。米側の意向とすれば、これは十一月末を大体目途にこの削減の実施に協力してほしいということでございました。
 したがいまして、これについてのいろいろな問題が今後起きるわけでございまするが、ここ数年間は毎年相当多数の駐留軍労務者が退職するということはございますが、大量の解雇ということは久しくなかったのでございまして、今回は千人を上回るという数字でございます。この定員の削減は必ずしも整理そのものではございません。削減に伴って過剰になる人員を場合によっては整理するということでございまするが、今後これの調整といいますか、内部における配置転換とか、その他いろいろな方法をとらなければいけない者に対しては、相当時間もかかることであるから、十一月末という目途でこれをやられるということに対しては影響も大きいというので、これをさらに引き延ばす、あるいは再考慮してもらいたいということについては、すでに話をいたしておるというのが現状でございます。
○河野(正)委員 大体、米軍当局は十一月末をめどにしたい、こういうことでございますが、山田弾薬庫の場合はどういうことになっておるのか、この際お尋ねしたいと思います。
○山上説明員 ただいま申し上げましたのは、一応米側としては、山田も含めて全基地について同じ考え方で申してきておる次第でございます。
○河野(正)委員 そうしますと、一説では来年の春を目途とかいろいろ情報がありますけれども、やはり山田を除いてではなくて、山田弾薬庫も含んで十一月末を目途として解雇する、こういうことでございますね。間違いありませんね。
○山上説明員 十一月末を目途に定員の削減をしたいということを申してきておることは事実であります。直ちにこれが解雇ということには必ずしもならぬかと思いますが、その辺はおっしゃるとおりでございます。
○河野(正)委員 そうしますと、元来基地の機構、配備の変更には、いままでの慣例によると大体六カ月程度の余裕が与えられておったというように私どもは承知をいたしております。たとえば板付の例を見てまいりましても、板付が予備基地化された当時は、昭和三十八年の十二月三十一日に機能縮小を発表して、昭和三十九年六月に実際の縮小に入っておるという経過がございます。ところが今回の通告は、私は直接聞いたわけではございませんけれども、新聞によりますると、山上長官も全く寝耳に水で驚いておる。こういう新聞談話が出ておることは長官も御存じだろうと思うのです。そういう意味では、基地の機構、配備の変更には、今後どういう変更が行なわれて、どういう姿になるのかということは事前にぜひ明らかにしてもらいたい、こういう要求を今日までしばしばやってきたことを政府はこの委員会においても明言をされておるわけです。そういうことであるならば、立川あるいは山田弾薬庫のごとく一方的な通告はないはずです。ところが、これは私が言うのじゃなくて、長官自身が寝耳に水だということを言っておるのですから。そういうことがあってはならぬということを、政府はいままでアメリカと折衝したはずです。ところが折衝したにもかかわらず、なぜこの基地の機構、配備の変更について事前に明らかにされなかったのか、この点をひとつこの際はっきりお答えいただきたい。
○山上説明員 基地のいろいろ変更についてできるだけ前広に情報を知らしてほしいということは、われわれもかねて申しておるところでございますが、山田の場合につきましては、おっしゃるように七日にそういう話があったのみで、その以前において必ずしもそういう情報をわれわれ得ておりません。この点につきましては、労務協約等によりますれば、人員の整理は少なくとも四十五日以前という規定がございまするので、こういったようなことを前提にして申してきたのではないかと思うのでございまするが、われわれといたしましては、基地のそういった変更等を事前になるべくすみやかに情報をもらうということのみにとどまらず、この人員の整理という問題が特に大量にわたるような場合につきましては、この処理ということには相当の期間を必要とするということでございまするので、かような方法としては好ましくない、したがって、なるべく時間をかけて調整できるようにしてほしいということを米側に目下強く申し入れておるという実情でございます。
○河野(正)委員 米側に強く申し入れたけれども、向こうから無視された、こういうことになるわけですね。ところが御承知のように、この日本人基地労働者側にその四十五日前に解雇通告をすれば解雇することができるということは、これは協約にあるわけですから、それはそうとしても、この問題というものが重大な基本的な生活権に関係する問題だということは、これはもう長官も十分御承知のとおりだと思うのです。ところが山田弾薬庫のごときは――立川も七百名からの首切りがある。しかし、もともとこれは従業員が多いのです。ところが山田弾薬庫の場合は定員は三百二名です。三百二名の中から二百五十九名という解雇ですから、これは相当のものですね。これは立川と比べてやや数は少なくても、絶対数からいくと相当の率ですね。こういうような大部分の労務者をなくすというような機構、配備の変更、これをいま長官もおっしゃったように寝耳に水のような一方的な通告でやるということは、これは非常に重大な問題だと思うのです。これは二百五十九名の数の問題じゃないのです。パーセンテージからいえば、三百二名の中の二百五十九名ですから、これはほとんど全員が解雇されるというふうに申し上げても過言ではない。そういう重大な整理というものが一方的にやられたということは、私ども全く了承することのできない問題だと思います。しかも基地労務者の組合の連合体である全駐労では、四十五日では調整がなかなかむずかしい、そこで六カ月は調整期間を置いてもらいたいというような要求が今日までしばしば出されたというふうに私どもは理解をいたしております。ところが、そういう要求というものが今日までしばしば出されておりながら、しかも今日行なわれたような、山田弾薬庫のようなきわめて特異な解雇整理というものが行わなれている。これは政府もそう思うかもしれぬけれども、基地労働者にしてみれば、全くじゅうりんされておるというふうに言っても過言ではないと私は思うのです。こういう点について一体長官としてどういうふうに受けとめられておるか、この際率直な意見を聞いておきたい。
○山上説明員 お答え申し上げます。
 山田の例にあるような、相当大量の整理が予想されるような事態につきましては、私どもといたしまして、きわめて短い期間にこれをやるというようなことは、まことに遺憾なことであると考える次第であります。したがいまして、私どもといたしましては、これの調整については相当期間をかけて、そして十分にいろいろな配置転換あるいはその他の措置がとれるような諸方策を講ずべきであるというふうに考えておる次第でございます。実は本日も合同委員会がございました。その後の参謀長との会見におきまして、この点については強く申し入れをいたし、今後の善処方を要請いたした次第でございます。米側においてはこれについては十分検討するということで、まだ結論を得ておりませんが、そういうふうにいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○河野(正)委員 今度の整理についてはいま申し上げたようないろいろな問題点があるわけですが、御承知のように、山田弾薬庫というものは、これは基地を撤廃するわけはないわけですから、現存するわけですね。そうすると、作業量はあるわけですね、やはり弾薬を確保しておかなければならぬから。基地を縮小するとは言ってないのですね。ところが機能を低下させるということではあるけれども、現実に百万坪の弾薬庫の基地というものがあるわけです。そして、その三百二名の中の二百五十九名が整理される。要するに四十名そこそこが残るということですね。基地そのもの、弾薬庫そのものは残るけれども、いままで三百名の従業員でやっていたのが、四十名そこそこの従業員でやるということですから、どうもこの首切りというものは納得できない。基地を半分にしました、あるいは三分の一にしましたということならわかるけれども、百万坪の基地というもの、弾薬庫は残っていて、しかも人間だけ減らすということですから、この整理については納得ができない。
 それから、もう一つは、いまこの駐留軍労務者の平均年齢は大体四十五歳ということになっておる。これは後ほど労働大臣にも聞いてみたいと思いますけれども、中高年齢者の再就職や転職というものは非常にむずかしい。ところが、山田の場合には特に婦人が多いというのですね。婦人の中高年齢者が多いといわれておる。ですから、山田弾薬庫で二百五十九名が首切られたならば、ほとんど転職、配転というものは無理だろう、こういわれておる。この問題はまさしく深刻な問題だと思うのですね。そういう意味で、後ほど私は統計を申し上げまして、その統計の中でいろいろ基地労働者に対します無計画、無責任な労務管理が行なわれておるということについて申し上げますけれども、いま私が若干一、二の例を取り上げた山田弾薬庫の特殊性から申し上げても、これはきわめて納得のいく問題ではない。この点についてどう考えておられるか。非常に深刻な問題ですから、ひとつ率直にお答え願いたい。
○山上説明員 この山田の場合につきまして相当数のかりに整理ということになりますと、それらの再就職というようなことについては相当問題があろうと存ずるのでございます。したがいまして、この問題につきましては、われわれといたしましても時間をかけて十分に調整を行なうほか、一体米側が今後どういうふうに運営していくかというようなことについても、さらに詳細なるところの説明を求めて今後善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○河野(正)委員 そこで、私はここで少し計数的なものを申し上げてみたいと思うわけです。
 というのは、いま私が若干触れたように、どうも米軍のこの整理、首切り、解雇という問題が全く無責任、無計画で行なわれておるという立場から申し上げたいと思うわけですが、それは昭和四十三年四月から昭和四十四年の三月までの一年間の全国的な状況を見てまいりますと、MLC、IHAを一緒にしますと、この一年間に首切り、定年、自己退職の総数というものが六千三百七十一名なんです。ところが今度は新規採用のほうは、MLCとIHAを合計いたしますと六千二百二十二名なんですね。六千三百七十一名首切って、そうして六千二百二十二名を新しく採用しておるわけですね。これなら何も首切る必要はないではないか、整理する必要はないではないかという議論が出てくるのは、これは常識的な判断ですね。当然なことだと思うのです。こういうように全くこの山田弾薬庫の場合も無計画、無方針でやられた。ところがもう基地労働者の労務管理そのものが、いま計数的に申し上げましたように、非常に無計画、無方針でやられておるということは、これはいろいろ理屈はつくけれども、はっきり言えると思うのです。だから、こういう点は私どもは納得できませんし、おそらく長官としてアメリカに対して、こういう無計画、無方針な労務管理は困るということで折衝されておると思うけれども、ひとつこの際長官の見解なり決意なり、そういうものを聞いてみたい、こう思うのです。
○山上説明員 ただいまおっしゃるように、やめていく者が六千数百に対して新規の採用者が六千数百ということでございますので、いわばバランスからいえば必ずしもそういった整理ということを強行していく必要はないんじゃないかということは、われわれも感じておることでございます。この点については米側にも反省を求めておるわけでございますが、個々の部隊等の定員というものを削減していく、これはそれぞれの任務、活動に応じてやっていく形という説明でございます。したがいまして、これの処理方法としては、配置転換等を用うれば相当程度これの問題の解決ということはできるのじゃないかとわれわれも期待いたしておるのでございます。ただ具体的に山田の場合に配置転換がどこまで可能かどうかというようなことは、これは個別に、ただいまおっしゃるような労務者の特殊性もございましょう、具体的に当たってみないとわかりませんので、今後十分に検討して善処をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○河野(正)委員 そこで、いろいろ配転その他おっしゃったが、陸軍関係――先ほどは空軍を主として申し上げたわけですが、陸軍関係を見ても、この三月と八月に約千名の新規採用の募集を行なっておるわけですね。ところが、いろいろ事情もあったでしょう、その後一部例外を除いて全面的に実は取り消しをしておるわけです。採用しますと言っておきながら、取り消しをした。年度が変わりますと、予算その他も変わりますから、私どもわからぬことはないわけですが、年度内にそういうことをやっている。これも私はやっぱり全く無計画のそしりを免れない一つのよき例だと思うわけです。こういうように、どうもアメリカ軍のやる解雇、整理というものが非常に無計画、無方針、しかも無責任、こういうことがはっきり私は言えると思うのです。長官もことばではおっしゃらぬかわからぬけれども、腹の中では私どもと同感じゃなかろうかと思うのです。これは主観じゃなくて、客観的に見て数字の上からそういうことが示されておるわけですから。ですから、こういう整理のあり方については一考も二考もしてもらわなくてはならぬと私どもは強く感ずるわけです。そこで、この点については、こういう問題については労働大臣、最高責任者ですから、そういう意味で、ひとつ労働大臣からも、こういう無責任な、無方針な労務管理が行なわれ、また整理が行なわれるというふうな労務管理について、大臣からも御見解を聞いて、こういった無計画、無方針な整理というものが今後行なわれないように努力をしてもらわなければならぬわけですから、そういう意味で、ひとつこの際労働大臣からも御見解を承っておきたいと思います。
○原国務大臣 お答え申し上げます。
 そういういろいろ離職になるような――ことに山田の場合においては婦人の中高年者が多い。非常に遺憾なことでございます。いま施設庁長官からお話がありましたように、まだ交渉中で、一応のそういう申し出がありましたが、さらに再考を促しておるというようなことでございますから、十分施設庁長官のほうからわが国のほうの当局の意向も伝えていただいて、折衝していただきたいと思います。
 そしてまた、どうしても離職するような羽目になってまいりますと、中高年の婦人でございますので、十分私どもとしましても再就職あるいは転職等について、万遺漏なきを期していきたい。またこれから施設庁とも密接な連絡をとって、時期を逸しないように、そういう就職対策を講じていく決意でございます。
○河野(正)委員 具体的にあとでもう一度大臣に御見解を承りたいと思いますが、さらにここでもう一つ指摘をしておきたいと思います点は、今度の山田弾薬庫あるいは立川、三沢、横田、たくさんございますが、そういった基地における人員整理、この人員整理というものが、やはり一つには、七〇年を前にした一つの新しい問題点ではなかろうかということを考えます。したがって、今度千七十九名の解雇通告が出されたわけですけれども、さらにこの整理対象者がふえるであろうというようなことも一方では予測されるわけなんです。もちろん、先般若干特別給付金の内容が改善されたという問題もございます。しかし、退職金問題はなかなか思うようにまいりません。これは、ワシントンまで行って、駐留軍労務者の退職金問題について、いろいろ国防省で相談をしてきた、折衝してきたといういきさつがございますが、なかなかこの問題も解決しない。ですから、この配転それから転職等、いろいろやられることもこれは当然だと思う。またどうしてもいかなければやむを得ぬが、その際には給付金なり、あるいは退職金というものが潤沢にいただけるということなら、これまた次善の策であると思います。しかし、さればといって、私どもはいまのような無責任な、無計画な解雇、整理というものは認めるわけにはまいりません。基地が撤去されれば別ですけれども、基地があって、山田弾薬庫のような特異な例もございます。基地そのものが完全に残っておって、人間だけ大幅に減らしてしまうというような特異な例がございますけれども、いずれにしても、基地が現存しながら人間だけ減らされるということについては、これは承服できない。しかし、いずれにしても、今後基地労務者の整理というものが予測をされるわけですから、そういった基地労働者の整理に対する根本的な対策としては、私はやはりこの雇用について国が責任を持つことだ、雇用について国に責任を持ってもらう、これは結局国が雇用して米軍に対して労務を提供しているわけですから、そういう意味ではやはり公務員に準じて基地労働者については処遇というものを考えてもらうことが当然のことです、民間と違いますから。ですから、この雇用問題については、国が当然責任を持つべきだというのが、私どもの基本的な態度でございます。そういう意味で、やはり基地労働に対します一貫した計画性というものが私は当然考えられなければならぬというように考えるわけですが、この点について長官としてどういうようにお考えですか、この際、ひとつ御見解を承っておきたいと思います。
○山上説明員 駐留軍労務者の提供ということは、政府の責任においていたしておる仕事でございますし、雇用される労務者は日本人でありますので、政府といたしまして、この雇用されておる駐留軍労務者の生活の安定等につきましては、これはもうどうしても十分に努力をいたさなければならぬというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、こういう定員削減等につきましては、われわれとしても十分な措置を講じて、配置転換あるいはそういったような方法をできるだけ講ずる、どうしてもこれが配置転換等で解決しない、あるいは整理せねばならぬというような場合におきましても、あとの転職の相談、そういったような方法等につきましても最善の努力を尽くしていく、そういう責任があるとわれわれ感じております。(「感じるだけではだめだ」と呼ぶ者あり)
○河野(正)委員 そこで、これで締めくくりにしたいと思いますけれども、いま横から、感じるだけではだめだと言われた、そのとおりだと私は思う。それで私は、いまお考えになったことをそのまま実行するためには、やはり私どもの言っておる駐留軍労務者の雇用安定法を策定する以外にないと思うのです。そうして法律でこの問題を一切救済していく措置というものが当然講じらるべきだと思うのです。この問題は長い間の懸案でございますから、この際労働省、特に大臣に御見解を承りたいのは、長い間私どもの見解であった駐留軍労務者の雇用安定法、この問題について大臣としてもそろそろ取り組むべき段階にきておるのじゃないかと私どもは思うわけです。そうすれば基地労働者も安心して今後仕事に従事できますけれども、いまの五万人程度の基地労働者は、安定したといいながら、不安定の安定ですね。ということですから、決して早いことじゃないわけです。この際、国が責任を持つということは、この雇用安定法を策定をして、そうして法律で一切の責任を持っていただく、こういうことだと思います。ひとつここで前向きなお答えをいただけば下がりますけれども、ああだこうだというようなお答えであれば、もうしばらく時間をかしていただいてやらなければならぬ。そこでひとつ、ああだこうだ言わないで済むような、良心的な、前向きな、誠実なお答えを大臣から最後にお願いしたい、こう思うわけです。
○原国務大臣 河野さんの御指摘ございました駐留軍労務者雇用安定法を提出する考えがあるかどうかということでございます。御趣旨の点は、私どももよくわかっております。しかしこれはいろいろ関係方面も、私のほうだけではなくて、そういう駐留軍関係もございますので、あるいは防衛庁のほうもあります、施設庁も……。でございますから、御希望の点はよくわかりますから、関係官庁等とも連絡をとって研究を進めてみたいと思っております。
○河野(正)委員 単に、研究したがどうにもならなかったじゃ困るんですよ。ですから雇用安定法に取り組むという、それは形は別としても、それを何とかしてこの際成功さして、そして少なくとも不安定の中の安定と言われておる基地労務者について、安心して働いていただく、こういう意味で一つ前向きで検討してもらわないと、検討したがどうもだめでしたということでは困るので、その雇用安定法の前進のためにやるんだという決意を最後に一言だけ聞かしていただきたいと思います。
○原国務大臣 そういう法案を出すようにという、駐留軍労務者のほうからも私のほうに陳情がきてとくと存じておるところでございます。これはやはり防衛施設庁のほうの関係でございますので、向こうともよく連絡をとって、まだ具体的にどうするというところまでいっておりませんが、研究をして善処いたしたい、こういうところで御了承願います。
○谷垣委員長代理 田邊誠君。
○田邊委員 郵政省の労働問題について当委員会でもしばしば取り上げてきたことは御案内のとおりですが、つい最近全国の職場において管理者の手による不当労働行為、不当弾圧と思われるものが随所に起こっております。社会党はこの事態を重視いたしまして、先般来その顕著な事例に対して現地調査をいたしてまいりました。私ども現地に行っていろいろと実情を調べてまいりますると、あまりにもその事態が不法であり、不当であり、管理者の抑圧行為というものがきわめて過酷なものであることを実は実際に見てまいったのであります。これは何としてもないがしろにすることはできませんので、きょうは現地を調査してまいりました各委員から具体的な事例に沿って質問をいたしたい、このように考えておるわけであります。
 私はその前に、この種の問題を本日また当委員会で取り上げなきゃならぬということに対して、たいへんな実は憤りを感ずると同時に、非常に私は悲しい思いをいたします。もうここ数年来この委員会でしばしばこの問題を取り上げてきたにもかかわらず、それが終息するどころか、逆に激発しておるというこの状態はどういうものだ、この根本的なものを改めなければ、私は幾ら口をすっぱくして国会の場所で取り上げても馬の耳に念仏、その場限りの答弁で終わっているというふうにしか受け取ることができないと思うのです。きょうは絶対そういうことで了解いたしません。したがって、政務次官と人事局長お見えでありますけれども、ひとつ私を初めとして各委員の質問に対して、郵政省の方針はかくかくである、それをひとつ粉飾することなくお示しをいただくと同時に、もし事実問題に対していまだ調査で明らかでない点は、ひとつ当委員会なりあるいは私どもに対して、これに対するところの報告と資料を提示いただくことを、委員長を通じてあらかじめ要望しておきたいと思うのです。
 大臣がお見えでございません。まず政務次官にお伺いいたしますが、いま私が申し上げたように郵政省の労務対策、労務管理、こういったものの、一体基本的な態度は何であるかということであります。いま起こりつつあるところの職場における紛争あるいは管理者の抑圧というものは、やはり郵政省の労務管理そのものに大きな誤りがあるのではないかと私どもは感ぜざるを得ないのです。もしあなた方の方針に誤りがないとすれば、その方針がたとえ正しくとも、その趣旨の徹底を欠いておる、その趣旨が間違って解釈をされておる、こういうふうに私は思うのでありまして、そのどちらかではないかと思うのであります。この委員会で取り上げた直後は、幾らか終息をする。ところがその後また続々としてその種の問題が起こってくる、こういう事態に対しては、一体郵政当局はどういうふうに考えていらっしゃるのでしょうか、まず政務次官から端的にお答えいただきたいと思います。
○木村説明員 郵政省の組合に対する方針でございますが、これは郵政省といわず政府全体の問題でございますが、特に郵政省は現業の仕事でございますので、現業従事員すなわち組合員の全面的な協力を得て初めて国民に対する責任を果たし得る立場に立つわけでございますので、その点につきましては、常に従業員、組合員の要望を聞き、また当局者もその線に沿って円満に労使間の協調を得ながら仕事をやっていくという線につきましては、従来とも変わりはございません。今後ともそういう方針は続けてまいるつもりでございます。
○田邊委員 政務次官、いまあなたのお答えいただいたことをひとつしかと覚えておいていただきたいのです。事実はそのようになってないのです。
 私続けてお伺いしたいのは、いまあなた方が相手にされる組合、その大多数は全逓労働組合であります。この全逓の労働組合が一体日本の労働組合の中でどういう立場をとっているか、これはおわかりだろうと思うのです。あなた方の労務管理上の誤りがないとすれば、この種の問題、不当弾圧、不当処分、挑発行為というものが起こってくるとすれば、一方において全逓がいわばよほどの過激な労働運動をやっている、こういうふうにとられがちでありますけれども、私はそう思いません。あとで労働大臣にもお伺いしたいのでありますけれども、私は全逓の運動の全体は、日本の労働運動の中でかなり穏健な、いわばかなり地道な運動をしておる組合じゃないかと受け取っておるのであります。といたしますならば、他の官庁、他の官公労に比べて特別な過激な運動をやってないこの全逓に対して、しばしば問題が起こっておるということになれば、これはやはり郵政当局の考え方の中に、組合を敵視をする、組合に対していろいろな弾圧を加える、組合に対して挑発行為をいたす、その目的が那辺にあるかということは私もつまびらかでないけれども、そういったことをやっていくと郵政当局に大きな非があるというふうにわれわれは感ぜざるを得ないのですけれども、いまの全逓の労働運動に対して、そしてそれを通ずる労使間の関係に対して、非常に大きなネックにかかっておる、いわば非常な紛争が現在惹起しておる、こういうふうにあなたはお考えですか。あるいは全体の流れとしては対全逓の労使関係というのはまあまあ正常に行なわれておる、こういうふうにお考えになっておるのでありますか。その点に対する現状をお答えいただきたいと思うのです。
○山本説明員 基本的には、全逓と郵政省の間におきましての関係は従来と変わっておりません。ただ若干今春闘以来変わった傾向が出ておりまして、それが労使間の新しい要素として考えなければならない点が出てきておると思います。やはり今春闘以来の労使間の関係に若干の変更を加えつつあるということはいなめないと思う点がございます。
 それは、ことしの春闘以降すべてではございません、ごく一部ではございますけれども、従来見ませんでしたような、形の上からいいますと相当激しい形での一部の活動がございます。郵便局の中でヘルメットをかぶりましたり、あるいは外に出ておりましてピケを張るにしても、従来のピケよりも非常に激しいピケを張るとか、あるいは局内における団体交渉事項の話し合いの最中におきましても、従来より相当激しい形の交渉のしかた、こういうものが従来に見られないいろいろな形で出てまいりました。またそれが、従来よりも件数にいたしまして相当、いわば暴力的な活動というようなものが行なわれております。そういう意味におきましては、ことしの春闘以降現状までにおきまして従来と違った要素が出ておるということはございますが、基本的には全逓と郵政省との間の関係というのは変更はないというふうに考えております。
○田邊委員 人事局長そういうふうに言われましたけれども、私は、あなたが言われたことをそのまま受け取るにいたしましても、それならばなぜ職場の中で、一部そういう激しい行動が起こっておるのか。この原因をあなたの側でやはり正確に把握しなければ、私は問題の解決にならぬと思うのです。ただ現象的な面でそういう行動が起こっておることが従前と変わっておる、そういうような判断だけでは問題の解決にならぬと思うのです。私どもが以下申し上げることをあなたよくお聞きをいただいて、なぜ一部にそういう現象が起こっておるのか。いわばその現象が起こる前に管理者がとった態度は一体どうなっておるのか。管理者がより以上、いわば組合員に対して、職員に対して激しい暴行を加えておるようなそういう事実はないのか。こういうことに対する正しい認識がなければ、私はあなたのことばをそのまま信頼するわけにはいかない、こういうふうに思うわけです。
 そこで、つい最近春闘にからんで処分をいたしましたね。特に国家公務員法違反ということで現場の職員、これは労働組合の幹部でない者を免職処分をいたしましたね。そういう事実があると思うのであります。一体この免職はどういう理由でもってされたのですか。免職の基準は一体どこに置いておられるのか、お答えいただきたいと思います。
○山本説明員 確かに、春闘並びにそれ以降のいろいろな問題におきましていろいろ暴力的な行為が発生いたしました。これは私のほうといたしましては、労働組合運動ではなくて、むしろそこからはみ出した行為だというふうにとらえております。免職にいたしましたのは、これは全く純然たる個人的な暴力行為ということでとらえて、私たちが従来処分をいたしております先例にもかんがみまして、懲戒免職ということにした次第であります。
○田邊委員 何人。
○山本説明員 総計二十八名くらいになると思います。
○田邊委員 その一例をとってみて、相手が暴行を加えたというか傷害を加えたというか、一体どのくらいの傷を負わしたのですか。それで、相手に一体どのくらいの重大な過失をおかしたのですか。一体どのくらいの傷を与えたらあなた方のほうは、職場から永久に追放するという労働者に対しては一番過酷な首切りという免職処分をしなければならぬのですか。その事例事例によってそれぞれケースがありましょうけれども、しかし一定の基準がなければ、あなたのほうの感じゃそのときの状態だけでもって処分をするということであってはならないと私は思うのですけれども、基準は一体どこにあるのですか。
○山本説明員 はっきりここでこれこれが基準であるということをお答え申し上げるのはちょっと差し控えたいと思いますけれども、暴力行為といいますのは起こってくる事案というものが千差万別でございまして、その起こってくる前の事情がどうであったか、それからそこで起こったときの事態がどうであったか、またそれがどのくらいの傷害の内容になるのか、いろいろな角度から検討いたさなければなりません。したがいまして、傷害の内容が長きにわたっては二カ月、三カ月というものもございます。あるいは二週間とかというものもございますが、それは単に日数だけの問題ではなくて、たとえば顔面とかそういうところに打撃を加えるというのは、これはその傷害の程度の問題よりも、その職場の中において顔面を殴打された、その殴打そのものの医学的な立場からの長さというのはいろいろあると思いますけれども、やはり普通に話し合いをしておる最中に顔面を殴打するとか、こういうような形の場合は相当きびしく処分というものを考えざるを得ないというような、いろいろな具体的ケースで違いますけれども、今度起こりましたものは、私のほうとしましては、内容につきまして十分審査をいたしまして、決してこれが行き過ぎのないように配慮した上で処分をいたしておるということでございます。
○田邊委員 それではひとつ委員長を通じて、その免職をいたしました人たちの状態、理由、それがよってきたる国家公務員法八十二条による懲戒処分の基準の一体どういう状態に当てはまっているのか、資料を提出してください。よろしゅうございますね。
○山本説明員 懲戒処分につきましての資料は、これはいつぞやもお話が出たことがございますが、これはいずれ人事院あるいは裁判その他の機関を通って、双方そういう内容につきましての第三者機関の判定を仰ぐ場合がございます。したがいまして、具体的なこまかい内容というものをこの段階で申し上げますことにつきましては、私として判断するのにちょっと時間がかかると思っております。
○田邊委員 懲戒処分をしたのですから、その一定の基準に基づいてどういう理由でしたかといことは明らかであります。明らかでなくちゃなりません。したがって、いまあなたの言われるそれぞれそういう紛争が起こり、提訴が起こり、それぞれの場所でもって説明をしなければならぬ道筋のものは別です。出せるものは出してください。
○山本説明員 私のほうが差しつかえないと思いましたものについては、提出をいたしたいと思います。
○田邊委員 それは、その書類を見せていただいてからあらためてまた質問いたします。
 いまあなたの言われたことで重大なことを実は気がついたのでありますが、暴行事件なり傷害事件なんかもその状態その状態によって違う、そうでしょう。特に、普通の話し合いをしておる際に相手方に対して暴行を加えておるような、そういう事案があれば、これは当然処分の対象にせざるを得ない、これは組合員、いわゆる組合に入り得るところの職員だけではなくて、中間管理者といわれる人たち、あるいは組合に明らかに対峙しておる人たち、この人たちが、たとえその立場は逆であっても、相手方に対して話し合いの途中で暴力行為に及んだような場合は、当然処分をするでしょうね、当然処分をしておるでしょうね。
○山本説明員 ただいまおっしゃったような内容が判明いたしまして、事実だといたしましたならば当然処分をいたします。
○田邊委員 一つの例を出しますが、東京都下谷局において、七月十七日、仲裁配分交渉の状況などをオルグするために東京地本の役員が来局をいたしましたところが、東京郵政局の労働関係の者が六人取り囲んで、出ていけという一言でもって、一斉に集団暴力を加えた。この役員の右手甲に裂傷を与えた。実際にこの傷によって、相手方の東京郵政局の管理課の課長補佐のシャツに血がついている、こういう事態があります。
 七月十七日に、やはり東京地本の役員が、職場の役員に連絡のために入室をしたとたんに、前記の労働係二名に取り囲まれて、暴力で退室させられた。
 十七日の午後、組合の書記が同様の乱暴を受けている。
 七月十八日、昼休みの最中に、この下谷の全逓の支部長が来局をして職場の支部役員と打ち合わせをしようとしたところ、先ほど申し上げた東京郵政局の管理課の課長補佐を先頭として数人によって首を絞められて室外に押し出された。その際篠田支部長は、左足首に裂傷を加えられた。
 七月十九日、東京地本の鈴木委員長が役員と一緒に来局をいたしましたところが、前記の課長補佐その他数人に囲まれて、退去要求もしないで、いきなりその課長補佐が鈴木委員長の右手をねじ上げて、バンドに手をかけて押しまくって室外に押し出した。
 さて、七月の二十三日午後四時三十分ごろ、全逓東京地本の書記が来局をして、地本の役員をたずねて職場に入ったとたんに、前記の郵政局の労働係十数人によって襲いかかられて、首を絞められ、胸部をなぐりつけられる、こういう暴行を加えられた。あまりの暴力に室外に逃げて、組合事務所に逃げ込んだ者を、二十メートルも追いかけて、暴力を加える目的で組合事務室に乱入しようとした。組合員から、ここは組合事務所だからかってに入るなと注意をされると、組合事務室であっても治外法権でないとうそぶいて強引に入室をしようとした。そこへ、たまたま私と米田代議士が実情調査に行きました。庶務課長に、局長に会いたいと言った。向こうが騒然としているから、組合事務室の前に行ったところが、いま申し上げたように、労働係が仁王立ちになって強引にその事務所に入ろうとしている。事情を聞こうとして、それならばあなたは入りたいのだから中に入りなさいと言ったところが、おまえは何だと、こう言った。私は衆議院の田邊誠だ、米田東吾だ、状況を聞きたくてここに来たのだから実情を話してくれと言ったところが、この問題は郵政省と全逓との問題だ、話す必要はない、こう言って突っぱねた。しかも、私が、入りたまえと言ってその者を引き入れようとしたところが、私の手を払って行って、おいでおいでをするのです。私も長い間郵政省の職場についていろいろと事情を知っている者の一人でありますけれども、郵政の労働係によって手招きをされたことはないけれども、おとなしく実情調査をしようと思っても、それに応じてくれない、こういう場面に遭遇したことは実は初めてであります。この実情というものは、いま申し上げたように、組合の書記に暴力をふるって、それに対して、室外に逃げた者を二十メートルも追いかけていって組合事務所に乱入せんとした、そのいわば瞬間的なできごとを私は見たのであります。
 こういう状態で、組合の役員なり組合員に対して管理者が暴力を働いているというこの事実に対して、一体あなたはどういうように考え、これに対して一体どういう処分をいたしてまいりましたか。入局を、あるいは入室を拒むということに対して極端に神経を使っていらっしゃるようであります。しかし、一番最初に申し上げたように、これらの問題は話し合いをして当然解決のできる問題でありますけれども、話し合いをするいとまもなく与えないで、出ていけという一言でもって一斉に襲いかかってくる、こういうことが一体職場でもって許されるのでしょうか。このことが正常な労使関係を打ち立てるという、あなた方の言われる状態でございましょうか。こういう暴力を働いている管理者に対してあなた方が正しい処分をすべきであると私は思いますけれども、一体どういうふうになっていますか。
○山本説明員 国会議員の方がお二人下谷の郵便局においでになって、ただいまお話がありましたような実情というものにつきましては、その後私のほうから、組合からもそれから東京郵政局側からも、事情を聞いております。しかし、それ以前のいろいろな暴力、管理者側の暴力ということをいろいろおあげになりましたけれども、私のほうといたしましては、そういう事情についてはよく存じません。また、そういう、もし非常に適当でない、あるいは非常に許せないような行為があったといたしますと、従来ですと、七月の事件とおっしゃいましたが、それ以降相当日にちがございますので、非常に許しがたいような、あるいはこちら側が反省しなければならぬようなこと、あるいはこちら側が直ちに適切な措置をしなければならないようなこと、こういうようなことは全逓との間にもお互いに意思疎通もし、またそういうことについてどんどん言ってきてもらえるように、実は私のほうは窓口が開いてあるわけでございますが、その七月の、いまおあげになりましたような事案につきましては、私のほうにも正式に組合の側から、こういう事例があったからしかるべく措置をせよというような申し出も実はまだございませんので、実情をよく調べてみたいと思います。
○田邊委員 管理者の過剰な現場指揮による暴力事件に対して、あなた方は目をつぶっておる、積極的な実情調査もしてないということは、きわめて片手落ちじゃないですか。私はあなたに対して、下谷問題についてはある程度言ってあるはずだ。その前後の事情についてもあなたのほうで調査をする、当然措置をしただろう、こういうように私は思っているのだけれども、その前後の事情に対して明白でないとすれば、さっそく調べてください。そんなでたらめな話はありませんよ。こういう現象に対して黙殺をしている以上、いかにあなたがりっぱなことをおっしゃり、さっき政務次官が正常な労使関係を打ち立てたい、こういうお話をいたしましても、これはできようはずがございません。
 いま私が申し上げたようなこともありまするけれども、一連のものとして取り上げていかなければならない問題は、表面はきわめてきれいにできておるのであります。やわらかくできておる。オブラートで包んだように、ぼろを出さないようにしてあるのであります。いわば暴力はしなくても、警察の巧妙な職務尋問のように、精神的にあるいは仕事の上でも、いわば人権侵害になるような圧迫を加えているという事例が非常に多いのであります。たまたま起こってくるところの暴力事件というのは、いわば氷山の一角であります。こういう例がしばしば起こっているところに、いま郵政の各職場というものに波が大きく立っている一つの要因があるのではないか、こういうように私は思うのです。この事態を改めなければ、職場の不満というものをほんとうになくすことはできない、職場にある不満の爆発を抑制することはできない、このように私は思わざるを得ないのです。下谷はどういまやっていますか。御案内のとおり、あそこは新しく局舎を建てる前の暫定的な仮局舎であります。私がいま言いました七月のときには、真夏でありましたからたいへんな暑さであります。あそこでもって正常な仕事ができようはずがない。ところが、仕事が怠慢である、仕事がおそいということでもって東京郵政局その他からいわば大量の管理者を導入して、組合員を監視しておるじゃありませんか。ストップウォッチを持っていって、おまえの仕事ぶりはきわめて正常でないといって、いわばおどかしをかける、そういう監視行動をやっているじゃありませんか。ストップウォッチだけじゃない。八ミリで写真を写しておる。うしろから横から前から写真をとっている。八ミリをとっているじゃありませんか。八ミリは何をとるか。作業をするためのいわば時間帯をとるのだと言っておる。ところがその組合員の表情、職員の表情を大写しにするような八ミリのとり方をしている。これは暴力でない暴力ですよ。精神的な圧迫を加えて、それに対して組合員が怒り心頭に発して管理者に対して抗議をすれば、これは暴力だと言うのだ。私はたまたま下谷局に行った際に、話し合いをしたいといって、その郵政局の係官を呼び寄せるべく彼のそばへ行きましたところが、だんだん下がっていく。君、そう言わないで、さっき組合事務所に入ろうとしたのだから組合事務所に入って話し合いをしようじゃないか。実情を聞こうじゃないかと言って手を握ったら、これは暴力ですと言う。一事が万事です。私どもに対して言ったからまだおさまっているかもしれないけれども、これが組合員なり職員に対してそういうことを言ったらどうなりますか。これは明らかな暴力だと言うのであります。あなた方のほうでもって、いわば入局をせんとするところの人たちに対して一斉に暴力を働いて、こういうことをしたことは、全国どこもありませんか。どこもしたことはないのですか。そんなでたらめな形でもってこの問題は、推移することは絶対できない。下谷の問題は至急に調べて報告してください。ストップウォッチを使い、八ミリを使って――その八ミリをひとつ見せてください。よろしゅうございますか。
○山本説明員 下谷の件につきましては、ただいまおっしゃったように、郵政局から人が派遣されまして写真をとったことは事実でございます。ただその当時の事情といたしましては、私たちから見ても少し荒っぽい措置でございますが、全国でこういう措置をとったのは下谷の郵便局だけでございます。と申しますのは、その当時下谷の郵便局は日本じゅうの郵便局の中で一番郵便物の滞留というものが激しくて、それからまた一人一人の職員の区分をしておる状態を見ましても、普通の能力ですと一時間に六十通とか六十五通とか、そのくらいが普通の区分の能率でございますが、このときには、はなはだしいのは一日に、一時間に、一分間に何通というようなはなはだしく能率を落としておる職員が散見されましたので、再三注意をした上にそういう能率調査というような形で写真を写したということは事実でございますが、こういうものをどこにおいても、いつでも、平常時においてもするなどということは毛頭考えておりません。
○田邊委員 資料の提出を要求しておきますから、ひとつその状態を示してください。
 そこで、具体的な事実についての各委員からの質問がありますから、私はきょうはそれぞれ資料を御提出願うことにして次に移ります。
 いろんなトラブルが起こっているけれども、中には幸いにして労使間でもって解決をしていることもあります。また、そうでなければならぬと思うのであります。ところが労使間でその種の問題が解決をしたあとにおいて、その者に対する処分をしておるのですね。たとえばあとで事例が出ますところの、長野県の上田局においてメーデー事件というのがありました。このメーデー事件でもって関という書記長は、その後において――この問題は地本と郵政局の人事部長でもってあっせんをいたしました。地区労の副議長のあっせん案ということでもって告訴等を取り下げて円満解決をしているのですが、その後において、この書記長は停職二カ月、そのうち一カ月は春闘の指導、一カ月はメーデー事件ということでもって処分をされておる。こういう追い打ちをかけておるのですよ。これをひとつ調べてください。そういう事実を知っていますか。
 もう一つは、いま出ました下谷の問題についてもこういう事例があります。御案内のとおり仮局舎でありますけれども、保険と貯金は鉄郵の分局を利用しておる。ところが、この鉄郵の分局は非常に不便なところでございまして、保険、貯金の外務の人たちというのは二階にいる。ところが、外に出るための自転車は地下に置かざるを得ない。地下から一階までエレベーターで運ぶ、こういう不便であります。普通の局ならば二階からおりてきて、下でもって自転車があるからそのまま乗って仕事に出られる。ところが地下でありますから非常な労力を要するのであります。したがって、これに対しては当然人員を配置してもらいたいという要求が出ました。それは、非常勤で操作するということが確約されました。ところが、その後非常勤の配置がない。またそうですよ。自転車をエレベーターでもって地下から一階に運ぶようなことでもって非常勤が来るはずがない。こういう約束違反をいたしました。したがってこれに対して操作することを組合員が拒みました、約束違反でありますから。その後東京地本と郵政局の間でもっていろいろ話し合いをいたしました。交渉をいたしまして、その結果、その代替として超過勤務手当を月二時間ずつ支給する。いわばこれはあやまりですね。郵政局は約束違反をいたしましたから、非常勤を配置できないから、その代替として超過勤務手当を二時間ずつ支給するということ、いわば郵政局が泣きを入れて、これで妥結をした。以後超過勤務手当が出ておるのであります。いわば郵政局は非常勤の配置をするといって、これができなかった、約束違反である、組合員はそういった操作に応じられない、当然であります。その後話し合いによって超過勤務手当を支給した。ところがそういう状態において話し合いがついたにもかかわらず、この下谷の貯金、保険の外務の全員に対して訓告処分十九人、注意処分十五人。支部長以下これに対して指導を行なったというのです。その他春闘の理由も加わってこれに対する処分をする、こういう形になっておるのであります。こういう話し合いが済み、円満解決がいわばその場所でもってできておるにもかかわらず、処分でもって追い打ちをかける。政務次官、これがあなたの言う労使関係を正常にするようなやり方ですか。そういうことを郵政省はいままで戦後二十数年間、伝統的にやってきたことはないはずです。なぜここに至って、こういう追い打ちをかけるような処分を発令するのですか。これが労使関係の正常な運行に役立っておるのですか、どうですか、その観点からひとつ説明してください。
○木村説明員 具体的ないまお示しの事実について私は実はまだ聞いておりませんが、基本的な考え方といたしましては先ほど私が申し上げましたとおりでございまして、職場の規律を厳正にいたして業務の遂行に万全を期することが国民に対する最大のサービスでございますので、それぞれ法律あるいはその他に規律の基準があるわけでございますから、その基準に照らしてこれに違反したような事実がある場合には、その違反した事実に基づきましてそれぞれ適切な制裁を加えるということもあると思いますが、それ以上に出てやるということは厳に慎むようにいたしております。
 具体的事実については人事局長から申し上げます。
○田邊委員 私の質問に対して、政務次官、あなたはどう考えますか。
○木村説明員 いまおっしゃったようなことがかりに事実だといたしますと、これは十分その真相を見きわめた上で判断をしなければいけないと思います。
○山本説明員 上田局の問題につきましては私も事情を私なりに少し存じております。上田局の場合は、この処分について労使において話をして、そこで話をつけたということではなくて、これをいわゆる警察ざたにすることについては、労使間でそれはやめようという話がついたということは承知いたしております。ただ、具体的に暴力行為についての責任の追及は一切しないということではないというふうに聞いておりますので、これは処分が普通の暴力行為と同じ考え方で取り上げられたと思います。
 それから下谷のいまお申しになられた内容につきましては、実は私存じませんので、この点の処分が妥当であったかどうか、もう一度よく調べさせていただきたいと思います。
○田邊委員 資料をひとつ出してください。
 上田の問題は、あとで一括して触れますからその際に申し上げますが、この際、私はひとつ政務次官にお伺いをしたいのであります。私は、郵政の職場にこういういろんな紛争が起こっていますが、一つには職場の機構に誤りがあるんじゃないかと思うのです。たとえば統括局といわれる県庁所在地の各局に、労務連絡官というものが郵政局の所属として配置をされております。この労務連絡官というものが一体どういう役割りをしておるのか。紛争時になりますと、この労務連絡官が現場の局長を指揮している、具体的な労務対策は全部この労務連絡官がやる、こういう事態です。一体こういう職務権限を、局長を飛び越えて指揮をするような、局長まで指揮するような職務権限を与えておるのですか。現場の局長の中には、従来からのいわゆる労使間のいろいろなよき慣行、これを守って円満な運営をしたいという局長もあります。そういう希望をしておる者もありまするけれども、この労務連絡官というものはこれは対して阻害を与える、あるいは郵政局から来るところの若い労働係はこれに対していわば横やりを入れる、上から圧迫をする。こういうことが紛争を激化させる要因をつくっている。この郵政局なりあるいは労務連絡官の強い姿勢というものが、いわば現在の現場の紛争に輪をかけるという状態をつくっているように私は思うのでありまするが、こういう労務連絡官というものが、各省の例からいって一体必要であるのかどうか。私はこの委員会で取り上げたこともあると思うのですが、そういうことに対して、私は、再考する必要があるんじゃないか、こういうように思いまするが、お考えがありましたら、ひとつお答えいただきたいと思うのです。
○山本説明員 郵政省の職場は他の職場と違いまして、一万六千の事業所が、いわば線ではなくて網の目のように広がっておりまして、連絡その他につきましては、他に見られないような非常な困難性がございます。しかもそれぞれ一つ一つの局所で、いろいろ労働問題というものの特異な問題をかかえておるわけでございます。したがいまして、他にあまり類例がないことは事実でございますが、逆に郵政事業の場合の組織の実態から見まして、かつ労働問題そのものというのが非常に慎重に、しかもむずかしい扱いをしなければならない点が多々ございますので、各郵便局長のよき相談相手になるという意味で、こういう制度が設けられております。制度としましては、私はこれをこのまま存続していって差しつかえないというふうに考えておりますが、労務連絡官の活動そのものにおいて行き過ぎその他があれば、これは是正するにやぶさかではございません。
○田邊委員 この問題は、またひとつ機会をあらためて、私は私の見解を述べてみたいと思うのであります。
 無用な紛争を起こすことは、私はやはり、実はささいな問題にまで規律を非常に厳格にするという、そういうことからくることも非常に多いんじゃないかと思うのであります。たとえば、いま天下周知の事実になっておりまするところの、組合が闘争時に、賃金引き上げをかちとろうというような、そういう小さなリボンを胸につけます。このリボンをつけたということでもって処分の対象にする、こういうことがいままで行なわれてきたわけでありますが、このリボン問題は御案内のとおり兵庫県の灘における問題として、四十二年の神戸地裁において、これはいわば訓告の、懲戒処分の対象にすることは間違いである、こういう判例があることは御案内のとおりであります。その後郵政省は、この種のリボンの着用等に対して、いわば一々これに対してチェックをし、容喙をし、これを処分の対象にするというようなことはございませんね。
○山本説明員 灘局の事件と申しますのは、私のほうも十分承知をいたしております。その後それと類似の事件が起こっておるというのを聞いておりません。
○田邊委員 あなた方のほうではそれに対して文句を言うことはないのですな。処分の対象にすることはないのですね。
○山本説明員 リボンの問題につきましてはごく最近また、灘局の事例とは違いまして、最高裁の裁判官会議を経ました事務総長の通達が出ておりまして、これについての最高裁の考え方というものも出ております。したがいまして、現在地方の裁判所で一応そういう判断というのは出ておりますけれども、最終的にはまだ確定したというわけではございません。この扱いについては慎重にしたいというふうに考えております。
○田邊委員 そこで、具体的な事実の問題に対して時間の許す範囲で簡単にお伺いいたします。
 私は長野県の上田市に一昨日行ってまいりました。この局長は玉井文四郎という局長でございます。昨年の八月から上田の局に赴任をしておるのでございますが、この玉井局長が赴任をいたしましてから実はこの職場はたいへんな締めつけを受けています。非常な弾圧を受けている、こういうふうに私は実は見てとってまいりました。きわめて傲慢不遜、みずからに対してはきわめて寛容であります。病気でもってまる一日休んでおっても出勤扱いにする。四十三年十二月二日、三日痼疾で欠勤をいたしましたけれども、両日とも出勤簿の処理は出勤扱い。四十四年二月二十一日欠勤と公表されていましたけれども、午後五時七分前に出局をして出勤簿に出勤扱い。こういうみずからに対してはきわめて寛容な局長であります。ところが部下に対してはきわめて峻厳な態度をとっている局長であります。非常にこうかつな、しかも独善的な局の運営をやっている。私はこういう局長が郵政の職場におることはきわめて遺憾であると思います。
 端的に申し上げますけれども、この局長が来ましてから四回にわたって配置転換を行なっている。一年間に四回行なっている。第一回目は四十三年九月二日五人、四十四年一月十六日が二十三人、四十四年五月三十日十五人、四十四年六月二十日から九月三十日までの間に五人、延べ四十八人。この局は大体百五十人の現在員であるそうでありますが、約三分の一がこの一年間に動いているのであります。中には職場の大半が動いている、こういうのであります。しかも、この局長は言いぐさがいいのです。大体郵便局の中枢は郵便だから郵便の経験をみな一通りしてもらわなくちゃ幹部に登用できないのだというのでありますが、実際にはこの四回の人事異動でもって郵便の職場に足を入れさしたのは三分の一以下であります。言いぐさとは全く逆であります。郵便の業務は一体どのくらいでマスターできるかと聞きましたところが、半年くらいでマスターできると言う。とんでもないわけですよ。私も昭和十六年に入って、何かの見習いでもって保険と郵便と貯金と一年ごとに歩いた経験がありますけれども、一年くらいでもって仕事がマスターできるものではありません。半年で郵便の仕事はマスターできるなんという浅薄な認識を持った局長では困ったものであります。この四回の配置転換で、具体的なものとしては三回配置転換された者が三人おります。一人は昨年の九月に新しく設けた庶務会計課の第二庶務係、ことしの一月十六日に郵便課の主任に、そして五月三十日にはわずか五カ月でもって庶務課の主任に配置がえされている。もう一人は、昨年の九月五日に同じく庶務課の第二庶務掛、ことしの一月に郵便課、五月に長野郵政局に転勤。三番目の人は、一月十六日に貯金課の主任、五月三十日に郵便課の主任、そして六月二十一日に貯金課の主任に再び配置転換をさせられておる。どうですか、わずか一月足らずでもってこういう異動をいたしておるのでありますけれども、こういう異動が適当だと思いますか。こんな異動が許されていいと思いますか。局長に聞きましたら、その具体的な事由については申し上げられないと言う。私どもに話のできないような配置転換を一年に三度もして、これでもってはたして正当な局の運営ができるのでしょうか。ひとつこの具体的な事実について、あなた御存じだったら答えてください。
○山本説明員 基本的に、人事権を持っておる者はこれを乱用するようなことがあってはいけませんので、これはほんとうに慎重に自己規制をしてやらなければならぬということは当然のことだと思います。ただ、おっしゃったような具体的な事例につきまして、これはいろいろ調べてみませんとわかりませんけれども、理由が局長なりにあったのではないかと思いますが、形だけ見ますと必ずしも適当な人事だとは思いません。
○田邊委員 ひとつこれは厳重に調べて、一体いかなる事由でもって――いま私が申し上げたような三つの事由だけでいいですから、名前はわかるはずですから、ひとつ具体的に調べてください。中でも、五月三十日に移して六月二十一日に再び前の職場に移している、これが不当な人事でなくて正当な人事だとすれば、それ相当の理由があるあるはずです。私どもが一体どういう理由か聞いても答えない。ひとつ正しい答えがいただけるように、資料を出してください。
 たとえば、女子の職員に対して、郵便の窓口に三人も異動している。一体女子職員を郵便に入れなければならぬ理由はどこにありますか。しかも、この局で特異なのは、この局長が来て庶務会計課に第二庶務掛というのを置いているのです。分掌規程を見ましたところが、この第二庶務掛というのは何も仕事はないのです。第二庶務掛は「第一庶務掛に属する事務に関することを除き、局中他課他掛に属しないこと。2、前号の事務に附帯すること。」こんな掛を新しく設けなければならぬ理由がありますか。こんな第二庶務掛なんというようなものを、百五十人ぐらいの局でもって置いているところがほかにございますか。あなた御存じだったらひとつ答えてください。
○山本説明員 ただいまの配転その他の問題につきましては、私ども十分存じておりませんが、ただ、地本段階でも、こういう問題が組合と郵政局段階でもあまり取り上げられておらないようです。先ほども申し上げましたように、いろいろ御叱正いただくのは確かにけっこうでございますけれども、組合のほうと私のほうとでこの問題についてはまだ十分に話し合いが行なわれていないようでございます。本省、本部間でもまだそういう問題がございませんので、一度組合ともよくそういう問題について話をし、実態の調査をしながら、それに基づいてお答えをまた申し上げたいと思います。
○田邊委員 出すのか出さないのか言ってください。
○谷垣委員長代理 資料は出せるのですか。
○山本説明員 資料につきましては、私のほうが調べまして、出せるものは出したいと思います。内容につきまして、どこまで正確といいますか、早い時期に完全なものがつくれるかわかりませんし、それから、その中に、個人個人の異動でございますから、その個人のいわばプライバシーに関するようなものがございましたら、その場合は差し控えたいと思いますので、そういう中身を十分吟味してお答え申し上げたいと思う一わけでございます。
○田邊委員 この一年に三回も移されておる者は、最初はもうたいへんな苦痛だったのですよ。ついに、こういうぐあいにいじくり回されていくならば、当局の言うことを聞かなければどうにもならぬということでもって、全逓の組合を脱退しているのですよ。そういういわば真綿で首を締めるというよりも、具体的に首を締めて、その者に一つの方向に行かなければどうにもならぬというぐあいに仕向けている、このやり方を私どもは許すことができない。第二庶務掛というのはどうなっているのですか。
○山本説明員 第二庶務掛というものがほかの郵便局につくられたという事例はあまり聞いておりません。また、そういうものもなかったのではないかと思います。ただ、私はこれを十分調べてございませんけれども、第二庶務掛をつくったのは、大体上田の郵便局に相当数の過員があったので、その過員を一カ所に集めて有効に働いてもらおう、ばらばらに一人ないし二人の過員という形じゃなしに、その局の過員を全部そこに集めて、いわばそれを有効に総合的に使おうということでそういう掛をつくったというふうに聞いております。
○田邊委員 いわゆる組合の民主化をねらって、局長直属のいわば部隊をつくるということでやったように言っておるのですね。しかも、わずか半年くらいでもって五人の庶務掛を二人に減らし、現在一人だというのですよ。いわゆる組合民主化の目的を達成したから第二庶務掛は自然消滅だと言うのです。一年間に掛をつくり、それが消滅してあとは用がないというような、そんな掛を朝令暮改的につくるようなことは許されないと思うのです。これも調べてください。
 上田の局でもって昇給昇格をいたしておりますけれども、きわめて差別的であります。経験年数が古く、格付けが上の者を飛び越えて、若くて経験年数の少ない者、格付けが下の者を昇格させる、こういうことがございます。しかも経験年数の古い者が、たまたま全逓の上田の分会長である、あるいはほかの分会の副分会長をやっておるとこれを昇格させない。それよりも若くて級別の低い者が飛び越えて昇格する、こういう差別人事をしておる。私は昇給昇格の基準についてある程度知っているつもりであります。したがって、そういった一般の事理にそぐわないような形を上田の局でとっている。これも人事権の乱用じゃございませんか。
 時間がございませんから次になりますけれども、私は上田の局へ行って驚いたのですが、現在全逓の組合員が八十三人、全郵労が五十三人。通用口から入ろうとすると、その入り口の外側の雨ざらしのところに、全逓掲示板とは書いてないけれども全逓の掲示板が置いてある。入って右側の、いわゆる局の掲示板と相対峙する右側のりっぱなところに全郵労掲示板が置いてある。一体これはどういうことなんです。
 それから、労務情報なるものを出していますけれども、この一年間に労務情報の中でいわゆる全逓の分会なり支部なりと交渉した記録は一つもない。全郵労と交渉した内容のみ載っている、こういう話がありますけれども、これはひとつ実情を調べて報告してもらいたいのですが、よろしゅううございますね。
○山本説明員 調べて御報告いたします。
○田邊委員 この上田の局に私用離席記録簿というものがある。職員がちょっとでも席を離れたらそれに対して記録をするというのであります。その取り扱いが局長名で出ておりますけれども、その中にこうなっています。「以上のことから、私用によるわずかな離席について、当局では、どの課においても統一して許可していくことを前提として、この記録簿を設置して職員の立場を明確にするために配慮したものであります。」こういうのがほかにもありますか。しかも、ここに書いてありますように、わずかな離席について――相当長時間にわたる離席はいざ知らず、わずかな離席について、離席簿につけるというのであります。これがほんとうに職場の中においてぴりぴりした気分を与え、もう何でもかんでも局長の命令を聞かなきゃどうにもならぬ、どこへやられるかわからぬ、一体どうなるかわからぬという気分を与えて、職場に対する非常な圧迫感を与えておるという一つの証左ではないかというふうに思うのですけれども、こんなものを置かなきゃ職場の秩序が守れなかったんですか。以前の上田の局はそれほど紊乱しておったのですか。そんなことは私は聞いてない。こんなもの必要ですか。
○山本説明員 これは私ちょっと判断いたしかねますので、おそらくそこの郵便局長がそう判断をいたしので、郵便局長の判断として私たちは受け取らざるを得ないと思います。
○田邊委員 そんなものはほかの局はありませんよ。こういうことをやらなきゃならない局長の考え方、そこに私は問題があると思う。無言の圧迫を与えているこの締めつけるやり方というものに対して、私は大きな怒りを感ずるんです。こんな局長を置いておいて、職場は明朗に伸び伸びと仕事はできません。一年間に成績があがったというんで、局長室へ行ったら何がありますか。前におった直江津の局の部下に集めさしたと思われる銘石が並んでおる。そこへ何か成績があがった、あがったというので竹の筒か何かのようなかっこうの業績のしるしが立っておる。一年間にあがった、だから私のやったことは間違いない。とんでもないことですよ。そんな形でもって成績をあげなければならぬのですか。そんなことは長続きしますか。仕事の上だけではない、この局長は。結婚するときはおれの命令でもって祝賀会をやれと言うんだ。しかも、その祝賀会には局員はみんな出ろ、しかし披露宴は局長と課長と主事と友人が一人くらい、四人くらいにしぼれと言うんだ。結婚の祝賀会まで局長に指図を受けなきゃならぬ。現代の時代にそんなことがありますか。タコ部屋ですよ。監獄部屋ですよ。そんな局長をあなたは黙ってそのまま置いておくんですか。こんなことが許されては、郵政の職場は、いかに政務次官がりっぱなことをおっしゃっても、よく運行されるはずがない。政務次官、どう思いますか。
○木村説明員 いろいろ現場をごらんになりましてのお話を承ったわけでございますが、これはもうあらゆる問題にそうでございますが、すべてものには行き過ぎがあっちゃいかぬ、私はこう思います。したがいまして、いろいろ聞きました事例につきまして、いずれ省として調べることと思いますので、行き過ぎのないように十分注意したいと思っております。
○田邊委員 メーデー事件について、実はいろいろお話をしたいんですが、私の時間が二十分までですから、ほかの委員に譲らなくちゃなりませんので、一つだけ。
 ことしのメーデーの終わったあと、組合員が入ろうとしたら、入局を門でもって管理者が実力で阻止した。しかもメーデー会場には労務担当官を配置をして監視させる。メーデーが終わったあとの支部の交流会を局外でやったのですが、これに対して保険課長、会計課長が監視に来ておる。労働者の祭典に監視づきでもってメーデーに加わらなければならない。終わったらば、腕章を巻いておったというので入局を阻止する、こういう実力行使をやっておる。何か一日か二日の圧迫傷を受けた。それを告訴した。それで郵政局と省が中に入ってあっせんをして告訴を取り下げたというのであります。こんなことが傷害事件として処分の対象になるということでは、正常の労働運動はできませんね。この局長は、前に長野郵政局庶務課長もやっておった。それから次長になった。現場経験のない男です。昭和二十年後に入った。ところが、長野郵便局におったときに、地本の人たちに対して暴行事件をやったじゃないですか。地本の永野副委員長に対して、入局阻止の目的をもって突き飛ばした。コンクリートの上に転倒せしめて全治一週間の傷害を加えておる。これは玉井暴行事件として告発した。起訴猶予になっておる。こういう局長であります。こういう局長を置いて正常な運行はできないと私は判断する。もし何なら、あらためてその局長を呼んで聞きますから、あなたのほうでもってどの程度まで調べるかわからぬけれども、このメーデー事件について真相を明らかにしてもらいたい。局長に聞こうとしたら、これは答えられないというのであります。郵政局に電話をかけてくれと言ったら、郵政局に電話をかけない。無理に電話してもらったら、郵政局の人事部長が、そのくらいの事実の経過は当然お答えすべきでしょう、こう言っておる。こういう局長に対して、あなた方は一体どういう考え方を持っていらっしゃるか。私の言ったことが誤りでありますならば、対決をいたしますから、ひとつこの局のいままで私が申し上げた問題、最後のメーデーの問題、ひとつ真相を明らかにしてもらいたいと思う。その上でもって、あらためて私は当該者を委員会に呼ぶことを、あとでもって理事会を通じてお願いをしていただきますので、それを通じて、具体的な事例について真相を究明したい、こういうふうに思いますから、以上要請しておきます。よろしゅうございますね。
○山本説明員 御指摘になりました点について、私のほうで十分調査をいたします。
○田邊委員 それでは他の委員の質問がございますので、私は、いろいろな事例の問題に対して、十分納得のできる答弁が得られませんので、事実の調査をお願いをいたしまして、その上に立ってあらためて質問いたします。それまで保留をいたします。
○谷垣委員長代理 島本虎三君。
○島本委員 先ほどの田邊委員の質問に全部関連いたしますけれども、一つ一つまた別な観点から答えてもらわなければなりません。その一つとしては、次官にお伺いいたしたいのですけれども、ここで山本人事局長が答弁をし、それが人事行政として、郵政省の中で全部行なわれるのが私はたてまえだと思っております。しかし、山本局長がいかに答弁し、行政しても、それの上に立って、また何らかの指導が行なわれるような事実があるのかないのか。また、そういうようなことがもしあったとしたならばどういうことになるのか。どうするつもりなのか。政務次官、この問題はまさに大きい問題になりますので、まず概念としてこれは伺ってから、次の具体的問題に入りたいと思います。
 山本局長は、自分の権限において自分になされておる質問に対して答弁した。善処を約束する、それをやっておる。しかしさっぱりよくならない。どなたかが別な事例を出すような機構になっておるのかないのか。また、それより以上に自信を与える、そして、もしいまのような答弁があったとしても、それを阻害するような行動があるのかないのか。そうでなければ、私はさっぱりわかりませんので、あらためて聞いておきたいと思うのです。次官、これはもう綱紀粛正上重大な問題にもなろうかと思います。いかがでございますか。
○木村説明員 申すまでもございませんが、すべての郵政関係の問題の最高責任者は大臣でございます。人事局長は、人事、組合、そういった自分の所管の問題につきまして、大臣を補佐する立場にあるわけでございますので、大臣の補佐機関として所管の問題について十分検討をいたし、研究をいたし、事実を調査いたしまして、それぞれのその結果に対する措置は大臣に十分報告をし、そうして大臣が最後の責任をとって処理されるという仕組みになっておりますので、その間、ただ補佐である局長のいろいろな出しました結論について、大臣の考え方が違う場合には、もちろん最高責任者の大臣の考えによって決するわけでございますが、私が郵政省に参りましてそろそろ一年になりますが、少なくとも一年の間におきましては、優秀な人事局長の仕事に対しては、大臣も全部賛成をいたし、りっぱな補佐をしておりますので、そういったそごはない、かように私はずっと見てまいっております。
○島本委員 そうすると、ここで答弁し、そのとおりやるということ、それを実施する場合の命令や指示とかいうようなことは、あくまで適確に行なわれておるものである、この前提だけは確認しておきたいのでありますけれども、政務次官、それは間違いございませんね。
○木村説明員 適確に行なっておると思います。
○島本委員 けっこうでございます。
 これは人事局長にお伺いいたしますが、いつも問題になっておりまして、逓信委員会または社労委員会でいわゆる不当労働行為の問題、組織介入の問題、こういうような問題がいつでも大きい問題になっておるわけであります。すでにいままで調査も行なわれておるはずであります。そういうような際に、北海道の場合に限ってそういう何か異常な事態がある。それで、山本人事局長も、そのために北海道まで行ってきた。そうして五月一日には人事局長との間に七項目にわたってそれぞれ確認書もあるかのように承っております。これがあるのか、実施されておるのか、この点について局長にまず伺いたいのですが、局長いかがですか。
○山本説明員 七項目ということは私ちょっと記憶がございませんが、不当労働行為そのものについて組合と始終話をいたしておりますので、双方で話をした内容につきましては十分徹底しておるはずだと思っております。
○島本委員 それも北海道の場合は徹底しておりますか。
○山本説明員 これは地方の郵政局長が責任をもって本省の方針に従って指導しておるはずだと思います。
○島本委員 そうすると、地方の郵政局長がやっておることは、本省の指示どおりにやっておるものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○山本説明員 当然そうなると思います。
○島本委員 よくわかりました。
 それで、田邊委員のほうでも先ほど申されましたが、労務連絡官というのがあるのでございまするけれども、これはどういうことになっておりますか。職員録にはどういうふうなことに載っておりましょうか。また、その指令系統はどういうようになっておるのでございましょうか。
 まず、職員録にはどういうふうに載っておるのか、その人管なるものは、また労務連絡官なるものは。また、実際の行動はだれの命令によって動く機関なんでございますか。
○山本説明員 労務連絡官は郵政局の課長補佐の資格になっておりますので、職員録には郵政局の人事部管理課の課長補佐の欄にあるのではないかというふうに考えるわけであります。
 それから、職務並びに指揮系統の問題でございますが、これは、ただいま申しましたように、郵政局の職員でございまして、それが特定のところに駐在をいたしておりまして、その地域地域ごとに連絡事務をしておるのが実態でございます。
○島本委員 その人はだれの補佐をするのですか。
○山本説明員 これは人事部管理課の課長補佐でございまして、駐在をして仕事をする任務というのは、郵政局の人事部の管理課から指示を受けて仕事をするということになっております。
○島本委員 そうすると、他の現場の郵便局に配属されても、郵便局長の権限とは全然関係なしに行動しておることになりますが、そうなんですか。
○山本説明員 たてまえは郵政局からのストレートの指揮系統になりますが、場合によりましてはその郵便局に駐在をして局長の指揮下に入るということもございます。その場合には、局長の指示に従って仕事をするということになります。
○島本委員 じゃ具体的な例に入らなければならなくなってまいりました。その前に私は、労務連絡官の出張したりするところの業務内容、郵政局からこれが出張されて出るとすると、その業務内容等についても全部これは報告されてあるはずでなければならないと思いますが、そういうようなことは個人の権限において何をやってもよろしいのだ、こういうことにはなっておらないと思いますが、出張した場合の業務内容やこういうような関係はどういうことになっておりますか。どうも疑問の点が多うございますからこの点を聞くのです。この労務連絡官は、局長の意見に従わなくてもよろしい、それから郵政局の課長補佐として行動するその場合の出張した業務内容、こういうようなものに対してはつまびらかにしなくてもよろしいのか。それをはっきり握っておるのはどなたなのか。この点もどうもわからないですから、どうかつまびらかにしておいてもらいたいのであります。
○山本説明員 ただいま申し上げましたように、郵政局の課長補佐の仕事をする場合は、これは郵政局からの直接の指揮によって出張をし、またその出張の内容について報告するということになると思います。また、郵便局の局長の指揮下に入っている場合に、その局長の命令によって出張した場合は、当然郵便局長に報告するということになります。したがいまして、出張する事案の内容によってそれぞれ報告する先が違ってくるのじゃないかと思います。
○島本委員 先ほど田邊委員の重大なる質問に対しての答弁がなかったのでありますけれども、いわゆる懲戒免になることは、人生にとっても、人にとっても重大なことですが、この懲戒免にしてもいいような一つの基準、こういうようなものがなければめったにこの発動はなし得ないものである、こういうように思いますけれども、先ほどこの基準をはっきり示せと田邊委員が言われたのですが、どうも私は不敏にしてか十分に聞き取れなかった。これはどういうようなことになりますか。もう一度私にわかるように説明しておいてもらいたいと思うのです。
○山本説明員 懲戒免職にするケースというのは、非常にたくさん種類がございまして、たとえば犯罪を行なった場合であるとか、あるいは外部的な意味でも、内部犯罪だけでなく外部犯罪を行なった場合であるとか、あるいは労働組合運動に関係した場合とかいろいろございます。基準と申しましても種類が非常にたくさんございますし、それから起こったケース一つ一つが同じ種類の中でもその度合いが非常に違いますので、紙に書いて一律にこうということよりは、これは従来行なわれてきました処分の先例その他をしんしゃくいたしまして、できるだけ行き過ぎのないようにということで判断をするのが実態でございます。
○島本委員 労働組合に関係した場合と言いましたが、労働組合に関係すると首になるのですか。
○山本説明員 労働組合に関係をしたら直ちにということではございません。労働組合運動に関係した場合でいわゆる違法なストを行なった、あるいはそれの指導をした、あるいはそれの企画をしたとか、そういうような場合にはいわゆる公労法にいう解雇になりますが、これもいわば懲戒という一つの範疇でとらえておるということであります。
○島本委員 そのいずれにも該当しないのに首になった例があるのです。北海道に幾春別という局がありますが、御存じでしょう。調べてあるはずですから、私の言うのと合わして的確な答弁を願いたいと思います。いまもうすでに倶知安の局に栄転をしていっております渡部局長、このときの事件なんです。二年間もほとんど交渉らしい交渉、話し合いらしい話し合いはしておらない、こういうような状態を続けてきているのです。先ほど政務次官は、健全なる労使慣行が望ましいと、まあこういうようにいろいろ言っておるのですけれども、二年間も組合とも話し合いをしない、そうして一方的に何でも押しつけていく、これが正常なる労使関係だと次官思いますか。いま、これも局部的なものではない、郵政局長がやったことは全部これはもう人事局長からの命令なんだ、こういうようなことを確認したから、これはあえて言わざるを得ないのです。先ほど次官が言ったのと全部これは逆になっているんだ。こういうようなことが正常なる労使関係ですか。二年間も話し合いもしていない。そして本年の四月に、七名のいわば第二組合を発生させるような動きがあった。当然それに対して抗議するのはあたりまえですから、五月の十二日に、抗議じゃございませんけれども、郵便外務の四名の人が十三日の休暇の申請をした。ところが、生島という課長ですが、この人はもうすでに豊平局へ栄転しておるが、それを承認しないと言う。承認しないのはどういうわけだと、こういうように言った結果、承認した。承認したために休んだら、次の日十四日に、今度、配達区分を全部終わったあとに、その課長が、前の日休んだ分だと言って千五百通の郵便物を持ってきた。それはおかしいじゃないか、休暇を出した以上、あなたがちゃんとこれを整理するのが当然だ、こういうように言った際に、その課長が机に触れた。そしてそのときに、課長自身が分会長に対して、ちょっと尻を机に打っただけで何でもない、こういうように言って平然としていたところ、午前十一時ごろ、武田という貯金保険課長が――この人ももう四十四年の八月に転出してしまった人でありますけれども、生島という課長をおこりつけるようにして、病院へ行きなさい、早く行け、行けと言ったら行け、こういうように言って、本人が何でもないと言うのに、青木外科病院に連れて行ってしまった。そのときに、いわゆる労務連絡官がそこへじゃまに入っておって、そしてこの武田貯金課長に命令してこれをさしておるのです。そしてそのあとで、この生島という課長が、胸部打撲傷、右でん部打撲傷により二週間の傷害を負った。したがって、五月十五日ごろ三笠署に告訴しておるわけです。告訴されたのは分会でなく、この組合のいわば三役です。四名です。こういうようにしてやったそのあとで、今度は、七月一日にはこの四名は逮捕されるというような事態になり、そのあとで、八月二日に懲戒免になっておるわけであります。これは一体どういうことなんですか。私どももいままでの説明では全然これは理解できない。生命に及ぶような危害を加えたんでもない。本人は何でもないと言っておるのに、いわゆる労務連絡官なるものが、病院へ行け行けと言わして、連れて行っておる。そのあとでこれを首にしておる、こういうような事態であります。まして人の生活にかかわるようなこういうような首切りという事態です。一体こういうようなことがまともなんですか。この事件については山本人事局長も調べてあると思いますが、これはまともな処置ですか。処置であるとするならば、首にするだけの十分な理由をはっきり説明してもらいたいわけです。
○山本説明員 これは、ただいま非常に詳細にお述べになりましたけれども、私のほうでそこまでこまかに調査が行き届いておりません。ただ、暴行した点につきましては、資料を取って私のほうも十分調査をいたし、検討もいたしました。しかし、その事案の内容から見まして、管理者が受けました傷害の程度というのは約二週間、おっしゃるとおりでございますが、その内容その他から見まして、職場の中でこういう形の暴力行為というものが行なわれたということは、現在の職場の運行状況から見てこれを排除せざるを得ないという現場の判断を、私のほうでも了承いたしたわけでございます。
○島本委員 本人は何でもないと言うのに、病院へ行けと言って連れて行って、そうして、でん部二週間、それが首の材料になる。政務次官、これは少しおかしくはありませんか。今度は政務次官に聞く。これは許されない。胸部打撲とでん部打撲、こういうふうにいって、二週間の診断で五月十四日から公傷扱いにして休養しているのです。そうして五月二十日ごろから札幌逓信病院に入院して、六月の末に退院しているのです。七月七日から出勤しているのです。この間公傷扱いになっているのです。しかし病名は坐骨神経痛じゃありませんか。神経痛で入院していて、それが四人の首切り材料にされ、それが公傷扱いにされている。一体これはどういうふうになっているのですか。こういうふうなことが許されるのですか。次官、あなたは正常な労使関係、こういうふうに言いながらも、これは一方的な労使関係ではありませんか。坐骨神経痛であって公傷扱いにされ、二週間というのにずっと七月七日まで入院している。これも正常な労務関係として正しいことですか。認めざるを得ないことですか。指導していることですか。政務次官。
○木村説明員 具体的な内容につきましては、人事局長からも申し上げましたが、これは私、事実を十分に存じておりませんのではっきりしたことは言えないと思いますが、その事件による傷害ということと、坐骨神経痛という診断があることとは、私は一応別であろうと思います。いま御質問になりましたのは、坐骨神経痛が公傷であるかどうかという問題が一つあるのじゃないかと思いますが、その点につきましては、私これもはっきり知りませんので、公傷とはどの範囲までをいうのかということにつきましては、また事務当局から御説明申し上げると思います。
○山本説明員 私のほうに入っております調査結果によりますと、坐骨神経痛という名目は確かに中に入っておりますが、二週間の安静加療を要する傷害といたしまして、診断書は、「右でん部打撲傷兼右坐骨神経痛、左でん部打撲傷兼右胸部打撲傷」ということで内容が書いてあります。確かにおっしゃるように七月七日まで自宅療養をいたしておりますが、この事案の内容から見て、これは公傷の扱いをしたということでございます。
○島本委員 胸部打撲、でん部打撲、これは打撲傷であるから、いわゆる組合員の暴行であるとして首にしている。こういうようなことからして公傷扱いにしている。その内容は二週間、そのまま公傷扱いとして七月七日まで、それも逓信病院では坐骨神経痛だと言っている。こういうようなことが管理者の場合は優遇されるべきものなのかどうなのか。そうして労働組合員の場合には首にならざるを得ないものなのか。一体これが正常な労使慣行なのかどうか。政務次官、こういうようなことをそのままにして、あなたはいかに念仏のように正常なる労使慣行を唱えてもだめです。こういうようなことが正しいと思いますか。二週間済んでも、坐骨神経痛であっても、そのまま公傷扱いにされて、入院してもいい、こういうようなことが管理者であるならば認めてもいいのですか。組合員であるならば首にならなければならないのですか。この事件、そのままじゃどうも私はおかしいと思う。これに対して率直に、労働省の労政当局、こういうような問題に対しては一般的にどうなのか、具体的にわからないでも、概略的にあなたの考えをひとつ申し述べてもらいたい。
○松永説明員 ただいまのような個別具体問題でございますので、私ども責任を持って申し上げるような資料がございませんので、何ともこの件について申し上げかねるわけでございますが、一般的にいいまして、おっしゃるように、労使交渉の場等におきまして、暴力関係が起きるというようなことが正常でないことだけは、これは確かでございます。それで、その場合に、どの程度の負傷が解雇に値するとか、あるいは停職あるいは減俸といったような懲戒に値するかというような問題につきましては、これは社会通念と申しますか、そういうもの、それから従来のそこにおける労使関係の実情というもの、そういうものを勘案して決定されるということになりますので、具体的にはやはりそれぞれの裁判所で審理、事実をよく調べるとか、あるいはまた、不当労働行為というような角度であれば労働委員会で事実審理を詳細綿密にやって決定を出すとかいったようなことになりますので、おっしゃいましたような点で、非常に負傷が軽いのに懲戒処分に値するかというような抽象的なことでありますれば、非常に軽いのに懲戒処分に値するかどうかは疑問があるということがいえると思いますが、この件ではどうだとおっしゃられましても、にわかに私も責任を持った判断を申し上げることはできないと存じます。
○山本説明員 先ほど私が答弁を申し上げましたときに読み上げました病名でございますが、これは当初普通の民間のお医者さんにかかったときの病名でございまして、その後これが五月十四日から二十七日まで通院加療していたのですが、病状が必ずしも好転をいたしませんので、五月二十七日に札幌の逓信病院へ参りまして診断を受けました。その結果逓信病院の診断書の内容には、坐骨神経痛はもう入っておりませんで、右胸部打撲傷と、右でん部打撲傷、三週間の入院加療ということで加療をいたしまして、六月二十日まで入っておったわけでございます。その後自宅療養で七月七日までということで、坐骨神経痛はその後の病名の中には入っておりませんので、念のため申し上げておきます。
○島本委員 本人は何も痛くもないんだ、ちょっと机のそばに触れた程度なんだと言っておるのに、人管なるものが、その人をちゃんと他の課長を通じてしゃにむに病院にやらしてつくり上げているのです。そして、本人は出てきたくてもそのまま入院させられているじゃありませんか。何たることですか。それに公傷扱いにしている。これはまさにつくられたしわざですよ。断じて許されない。もう少し詳細にこの問題について、懲戒免になったその人たち、どういうような理由でこれが懲戒免に値しなければならないのか、私はどうしても納得できない。これははっきりと資料をもとにして、懲戒免に値するだけの資料を付して今後私に説明してもらいたい。資料を出してもらいたい。そうでないと、いまのような状態だけだったら、労働運動をやると懲戒免になるような、あなたははしなくもそういうことを言ったけれども、そういうような印象を受けるじゃありませんか。とうてい私は納得できない。そうして、三十九名いるうち三十一名処分されている。こんなようなことは気違いざただと思わざるを得ませんよ。そのほかにもう一つ聞きたい。いまの資料を出して、はっきりこれは最後まで説明してもらいたい。次回でいい。
 それから、賃金カットをする場合の基準、それと業務命令を出す場合の基準、これについて説明願いたい。
○山本説明員 賃金カットをする基準と申しますか、これは管理者が仕事につくように命令をしたにもかかわらず仕事をしなかったということが、賃金カットの対象になります。業務命令というのは、これは当然勤務時間中のことでございますが、業務につくように、仕事をするようにという命令、これは管理者としては、勤務時間中であれば、またその仕事がそこにあれば、これは当然どういうときにおいても管理者が出せるものだと思います。
○島本委員 昭和四十四年三月三十一日午前十一時五十分ころ――これはもうはっきりしなければなりませんが、北海道の上砂川局に起きた賃金カットの例です。仕事につくように命令してもしない、こういま言いましたけれども、郵便の市内一号便の配達を全部終えて休憩室で休憩していた組合員三名に対して、秋田という通信課長が――通信課長という名前は郵政局にまだあるのですけれども、これは郵便、電信電話、そういうようなのをまだ全部やっているところがありますからあえて通信課長と言っているのだそうであります。この通信課長が、まだ休憩時間になっていない、休息は作業室でとりなさい、こういうように命令をした。休憩時間になっていないから作業室で休憩をとれ。仕事をせよとは言ってない。組合員らは、ここでも支障ないじゃないか、こういうように言ったら、五分の賃金カットです。そして休憩室と現場とはどういうふうになっているか。つい立て一枚があるだけだ。つい立て一枚しかないようなところに、この中にいて休むならよろしい、この外にいれば賃金カットである。それも仕事が終わって休んでいる時間である。また、休むことを認めている。こういう賃金カットは妥当なんですか。これはどういう理由なんですか。私はどうもわからない。休ませて、休む場所が悪いからといって賃金カットしている。こういうようなことも、あなたの言によると、全部郵政局長がそれを認めていることは郵政省が認めていることになり、あなたが認めていることになるという前提があるから聞かざるを得ないのです。これは少しどこかおかしいのじゃありませんか。こんなのがあったらどうします。
○山本説明員 先ほど申し上げましたように、賃金カットというのは、当然就労の義務のあるときに就労をしないということでございますので、ただいま例をあげられました場所がどうとかいうことは全く関係がございません。
 それから、休息時間であるか、休憩時間であるかということでこれは多少取り扱いの内容が違いますが、この上砂川の場合は、休息時間でも休憩時間でもなくて、全く就労、いわゆる普通の勤務時間内のことであるというふうに私のほうは受けております。
○島本委員 配達を終えて、そうしてちゃんと休んでいて、休むのを課長が認めているじゃありませんか。ただ場所だけの違いではありませんか。そういうような場合に賃金カットをすることはどうなんだと聞いているのですよ。具体的じゃありませんか。どうもこれは納得できない。
○山本説明員 もしかりにそういう事例がありましたらば、それは間違いでございます。
○島本委員 これはよく調査して、間違いですから、すぐこういうようなことをやるような人、そういうように命令した課長を栄転させていますから、これは十分調査し、善処しなければなりません。
 それだけではないのです。これまたおかしいことがあるのです。五月三日に――祝日になるわけですけれども、祝日の労働の発令、これは事前になすべきであるはずですけれども、秋田課長は、そのような命令は出さなくてもできるんだ、こう言って事前発令を行なわなかった。そのため五名の人たちが、今度は事前に命令するよう要求をして、きょうの就労は課長の事前発令がなかったことに原因があるので賃金カットはしないようにと要求した。ところが、そのように配慮いたしますと言いながら、午前九時近く作業についたことに対して、みんな六十分ずつあとから賃金カットをした、こういうようなことであります。課長が、やらなくてもいい、こう言って確認して、やってしまったらあとから知らないうちに賃金カットされている。賃金カットするのも、一体これは知らさなくていいのですか。伝家の宝刀で課長権限でいつでもやっていいものなんですか。あとから賃金カットされて本人はびっくりしているのです。こういうようなことも正常なる労使慣行ですか。
○山本説明員 休日に仕事をするかしないかは、前日ではなくてもっと早くからきまっておるはずでございます。したがって、もし当然に休日に出て来べき線表が引いてある人間に対して出てこなくてよろしいということを前日に課長が了解したとしますと、いまの賃金カットは間違いでございます。
○島本委員 したがって、その件についても厳重に調査して善処するよう要請いたします。
 次に、同じ上砂川局で、今度は七月七日です。強制配置がえで貯金内勤から郵便内勤になった、これは名前は田中軍太郎という人であります。これもきわめて具体的な例です。異常過ぎるのです。七月十八日までの間に二時間より職場訓練を受けていないために作業に十分精通することができない。したがって、十九日に突然、二十一日の勤務を変更、午前十時五十五分始業して午後七時終業の勤務というふうになったので、田中軍太郎君は課長に対して、一人でできないから見習いをさせてくれ、職場訓練を十分やってください、このように申し出た。その間約二十分間、申し出たこの行為に対して賃金カットされている。田中軍太郎君は、局長に対してそのことを申し出た間また十八分、計三十八分賃金カットされたということです。これは気違いざたじゃありませんか。仕事を完全にするために訓練してくれというのです。しないというのじゃないのです。職場訓練をしてくれと要請している間、賃金カットしているのです。これは気違い部落ですか。これもあなたの命令ということになるじゃありませんか。政務次官、こういうようなことを認められますか。ちょっとおかしいじゃありませんか。これも、どうせこんなことはあり得ないから局長は善処すると言うでしょう。政務次官の御意見を承りたい。自分に教えてくれと申し出たのにこれも賃金カットされておる。こういうようなことは許されません。次官、これはどうですか。
○木村説明員 具体的な事実につきましては十分調べて善処いたしますが、いまお話しのとおりだといたしますと、私はいささか妥当を欠いておる、かように考えます。
○島本委員 妥当を欠いておるのに事欠いて、もう一つあるのです。七月三十日、これは電話の主任の人ですが、休憩時間中のことです。七月三十日の十時四十五分から十一時まで、秋田課長に対して休息時間の要員措置を話しに行った。ところが、主事を通じてこいとはねつけた。その間の十分間について賃金カットをしているのです。仕事の打ち合わせに行くのに、主任であるから主事を通じてこいと言う。その話をしている十分間の賃金カット、これは何たることですか。主任も職制でしょう。課長に言うのに、主事を通じないからといって賃金カットされる、こんなばかげたことが平気で行なわれておるような局があるのです。こういうようなことはどうですか、山本さん。
○山本説明員 いまおっしゃったようなことがあるとは私は信じがたいのでございますけれども、おっしゃったような事実があるとすれば、これは行き過ぎでございます。これは直さなければいけないと思います。
○島本委員 信じがたいのはそれだけじゃないのです。もう一つある。その局長です。昭和四十四年七月十九日、組合の三名の人たちが、勤務時間外ですから局長の自宅に話しに行ってもよろしいかと言ったら喜んで、来てくれ、こういうように言うので、午後七時三十分ごろ三名の人が伺った。その局長はさっそく秋田課長に命じて自宅で酒の用意をさして、局長とみんなでコップで酒を飲んでおった。そのときに、最近の局内情勢が少し暗くなったようですね、直そうじゃありませんかと話したところが、とたんに、お前ら三人退去しろ、このように急変してしまった。何が何だかわからないので理由を聞くと、うるさい、出ていけと言って、上砂川派出所と砂川警察所に、不退去の者がいるのですぐ来てくれ、このように通報したという。これをわれわれが行って調べたところが、やはりそれは認めているのです。それは酒を飲んだ上だから詳細は忘れました、しかし警察を呼んだのまでわかっております。あと何を聞いても、忘れました、忘れました、であります。そのあとで聞いてみましたところが、警察官が逆に、こういうようなところにいてもしようがないからこの場は帰りましょうと言って帰ろうとしたときに、波川局長は、坪井和幸という人の右首にたばこの火をつけて傷害を与えているのです。これは告発されていますよ。これは一体どうなんですか。これがりっぱな局長なんですか。私はこれはほんとうに納得できない。
 また聞いてみたところが、幾春別の局長のほうではまたおもしろいことがある。管理運営規則も懲戒規程も私はまだ知っておりませんと言う。あなたは赴任して何カ月たった、二カ月だと言う。
 二カ月たっても管理者は知らなくてもいいのですか。それで、局員であるならば、仕事をよくするために手順を教えてくれ、こう言うと賃金カットされるのですか。こういうようなでたらめが行なわれているのですよ。異常じゃありませんか。あなたは調査に行ってきたでしょう、山本さん。これについてどういうように思ってまいりましたか。これは許されません。管理者であるならば知らなくてもいいのですか。組合員であるならば賃金カットなんですか。ちょっと私は了解し得ません。これに対してどう思いますか。これは直接責任ある山本人事局長と政務次官に伺っておきたいのです。こんなばかげたことは許されませんよ。
○木村説明員 御指摘の点は、一つは勤務場所でもございませんし、また勤務時間外のようでございますので、労使の問題というよりも、そこで起こった一つの事件で、どうも話を聞いておりますと、多少メートルが上がった上のことじゃないかと思いますが、これは私何とも申しようがございません。
 もう一つのほうは、お話しのような点が事実だといたしますと、これはやはり軽率ではないかと思いますが、詳細は人事局長から申し上げます。
○山本説明員 非常に率直に申し上げますと、私のほうに上がってまいります報告と、それからただいまお述べになりましたいろいろな報告と、相当大きな食い違いがございます。管理者のほうも、私のほうはできるだけ真実を伝えてもらいたい、誇張をしたり、感情に走ったりしてはいけないということは十分指導して報告はとっておりますけれども、ただいまおっしゃったこととだいぶ違う内容でございますので、もう一度私のほうでも調べてみたいと思います。
○島本委員 もう時間だからやめようと思っておりますけれども、もう一つ大きいのがあるのです。あなたの言うのは違います。私どもは調査してきて、局長と直接会って、警察官を呼んだところまで認めているのです。そして警察官は、首にそのたばこの火をなすりつけたのを見ているのです。あなたのほうの報告がそれと違うから、それは違うんじゃないか、これはあなたのほうがよほど違いますよ。局長は、その先のことは知らないと言う。警官を呼んだところまで知っていると言う。警官のほうではちゃんとやっているのを現認しているじゃありませんか。むしろこういうようなことは、管理者にあなたはよほどきびしくしなければ、このような労使慣行は直りません。直らないどころか、今度は逆にいっている例が一つある。それは、もうすでに公正なるべき人事を私物化して、それを武器として全逓の組合員を脅迫して、管理者の意思に従わせようとしているのです。それだけじゃなくて、人事上の配慮を武器として、全逓からの脱退を盛んに働きかけている。そして、あなたのほうでは、そのような人を栄進させて、そのような人の犯罪を掩蔽して、そして逆に組合員に対して弾圧を加えていませんか。具体的に旭川の郵便局の賃金不正事件があります。これは旭川の郵便局の郵便課で昨年の十二月から本年の三月にかけて、年末年始に雇ったアルバイト学生の賃金を水増しして請求して流用しているのです。この中心になった主任の秋山という人、この人には処分がないばかりじゃなく、九月一日付で主事に昇進させているのです。そして昇進しているだけじゃないです。それと前後して第二組合をつくっているのです。水増しを要求した金額、これはもうすでに明らかになっている。約六万円を慰労会に、約一万円をガソリン代に使い、残って持っていた額十四万円を郵政局の指導により戻入しているので、総額は二十万円をこすものと思われる。不正の方法は、雇用期間の過ぎたアルバイト、または当日出勤していないアルバイトの数名の印鑑を使ってこれを請求して、集配課の担当者が庶務課から現金を受け取り、ピンハネをして支払いをしたり支払わなかったりしている。こういうような事実です。これは一体どういうようなことなんですか。私からあえて言おう。このことは旭川の部内監察で四月の中旬から下旬にかけて調査しております。そして五月の上旬に結論を得まして、そして支局のほうから札幌の本局のほうへ報告してあります。当然これは処分してしかるべきものであるのに、処分になるどころか、九月一日に主事に登用しているのです。その人が九月六日にいわゆる第二組合を結成して、そしてその書記長になっているじゃありませんか。第二組合のほうに行くならばこんなことをしても犯罪にならないのですか。そうして部内では、こういうようなことが指摘されても、監察は認めておるのですか。部外からこれを指摘されると、これはもう動かざるを得ないでしょう。こういうのが内部の監察の実態なんですか。監察まで第一組合、第二組合に手心を加えているのですか。この事件は重要です。答弁を求めます。
○山本説明員 この事件につきましては、私詳細を存じませんので、帰りまして監察とよく打合わせまして、当然処分すべき内容であれば私のほうで処分いたします。
○谷垣委員長代理 島本君、約束の時間を過ぎておりますから、結論を急いでください。
○島本委員 知らないわけはありません。冗談じゃないのだ。こういうようなことが、時間不足だということで切り上げさせられたらとんでもないことだ。しかし、あなたをおこっておるわけではないから……。しかしこれは重要です。こういうようなことか平気で行なわれて――これは新聞でもはっきり問題になっておるのです。問題になっておるだけじゃありませんよ。部外から旭川の行政監察局の調査によってこれが明らかにされておるのです。全逓だ、第二組合だということでこういう差別をつけるやり方をして一体どうなるのですか。政務次官、これは事実であります。調査をするまでもないことです。どう思いますか。
○木村説明員 非常に重大な問題をたくさん含んでおる御質問でございましたので、私といたしましては、やはり省側といたしまして責任をもってこれを措置するためにも、真相を十分調査をいたさなければいけませんので、至急に調査をいたしまして責任のある処置をとりたい、かように思っております。
○島本委員 もうこれで終わります。
 こういうふうにして、異常な事態というか、枚挙にいとまがないのです。いまの点は十分調査して、そして処分すべきものはしないといけません。こういうようなことまでして第二組合を育成しているじゃありませんか。こういうようなことが公然と行なわれているじゃありませんか。労働省も大臣もおるし労政局長もおるしよく聞いておいて、こんなことを今後させないようにしてください。とんでもないことになる。まして同じ砂川で、時間外労働を命ぜられないで私がやったのだ、超過勤務一時間二百二十二円は受け取る理由はありません、こう言ったところが、受け取ないならば給料も差し上げない、こういうようにして、給料を全部法務局に供託してしまった。自分は命令されないでやったのだから二百二十二円は要りませんよと言ったら、賃金の一部だから、おまえがこれを受け取らないなら、六月分の給料全額を支払うわけにいかないと、法務局に供託してしまった。北海道の砂川郵便局です。ちょっと何と言っていいかわかりませんね。ここにありますよ、ちゃんと調査してきて。これを見てください。何だってこんなことまでしなければならないのですか。やはり管理者側は、こうまでして、つめのあかほどのことでも、自分の言うとおりに従わなければ、郵政行政はうまくいかない、こういうように考えているのですか。とんでもないことだと思う。私はこういうような実態を明らかにしました。これに対するはっきりした善処を心から望みます。
 それと同時に、いままで言ったことは、私は正確なる資料に基づいて発言しております。こういうようなことが行なわれているという――労働行政でこれは重要です。部内の責任者として、大臣いませんからこれは政務次官に願いたい。
 それから、労働行政全体として、こういうようなことはあってはとんでもないことなんですが、あるというこの事実を前にして、ひとつ大臣から今後の決意を聞かしてもらって、私は終わりにしたいのです。
○木村説明員 非常に重要な問題をいろいろと提示されたわけでございますが、十分そのお話を聞きましたので、省といたしましても、さらに真相を見きわめました上に立って善処いたしたい、かように考えております。
○原国務大臣 郵政省は多数の職員をかかえておる企業体でございますので、その運営には幾多の問題がいま出ておるということはよく知ることができました。私どもといたしましては、郵政政務次官からも郵政当局の決意な聞きましたので、その方針に基づき、労使双方が相手の立場を十分尊重しつつ、信頼感に基づいた平和的な労使関係を確立してもらうことを切に望みます。私どもの労働省といたしましても、郵政当局の奮起を促し、善処方を要望するものであります。
○谷垣委員長代理 西風君。
○西風委員 まずお伺いしますけれども、具体的な問題で改めるべき点があれば早急に改めていただくことはできますね。配置その他についても、これはもう明らかに不法である、あるいはその人がその業務に耐えることができないというような状況があったら、そういうものを実施した人々と相談して配置がえその他やってくれますね。まずそのことをお伺いしたいと思うのです。
○山本説明員 具体的な例がございませんと、非常に抽象的なお答えになってしまいます。抽象的にお答えをいたしますならば、管理者は職員の配置がえをいろいろな十分な資料をもとにいたしまして適正な配置がえをするのは当然でございますが、それが結果において不十分な資料であった、あるいは十分予測できなかった事態があったというようなことがありましたら、それについては是正をするということになろうと思います。
○西風委員 まず一つお伺いしますけれども、大阪の鳳郵便局というのがあるのですけれども、この鳳郵便局で飯田さんという人が集配部門で三十一年間仕事をしてきたわけです。ところが、今度郵便課の主事に人事異動で配転になったわけですね。他の局ですか、局内ですか。ところが、この人は、もう局の人全部が知っているのですけれども、右手の親指がないのですよ。だから郵便課へ行ったら仕事できぬわけですね。この人は三十一年間も、しかも集配部門でやっていたわけです。だから、そういう点で、こういう人事は組合とかなんとかいう前に、郵政省が全体の事業で国民の利益を増進していく上でも、そういうふうな労務政策をとられたら、はなはだしいマイナスになるわけです。ところが、いろいろ交渉しても、全然受け付けてくれないというわけですね。こういう明らかなことが、これが事実であれば、この人については特別な配慮をするということができますね。その点答弁してください。
○山本説明員 集配課も郵便課も実は両方とも郵便を扱いますので、その方が指が一本なくても、私は業務に差しつかえないのじゃないかというふうに考えます。終局的にはどの程度の身体上の障害があるのか、そういうことによってきまりますが、いままで集配で仕事をしておられたのなら、私は郵便にもいささかの支障もないように思いますが、具体的な決定というのはやはり郵便局長にもう一度よく聞いてみなければならぬと思います。
○西風委員 しかし、だいぶ違うのじゃないですか。それはもうこまかいことですから一々言いませんけれども、こういう人事はあやまちがないということはないのです。人事のあやまちはあるのですよ。あやまちがあったときにはすみやかに直すところに、上部の皆さんの指導のあり方があるのであって、それでなければ上部なんて要りませんよ。そういう人に高い給料払う必要はないわけだ。そういう点で皆さんが誤っている点があれば直してもらわなければならぬ。
 もう一つ、大阪豊中局におりました久保さんという人です。この人は四十二年、四十三年、二年連続大臣表彰を受けております。皆さんが、たいへん仕事がよくできるというので表彰しているわけです。この人は前から腰痛症、腰が痛いわけですね。腰の病気になっておりまして、転勤その他がある場合にはそういう点は考慮してもらいたいということで、事前に十分申し出をしているにもかかわらず、豊中から堺局に転任になったわけです。堺局ですと電車だけで三回乗りかえなければいかぬわけですぬ。だから、腰痛症の人にとってはやめざるを得ないような立場に最終的には追い込まれるわけです。四、五日通勤していたようですけれども、腰痛症でたびたび乗りものを乗りかえなければならぬというので、それ以後出勤不可能になっております。こういうふうな点については、当然、あたたかいということばが適当かどうか知りませんけれども、そういう配慮があってしかるべきだと思いますが、この点についても、事実であれば特別な考慮を払うということはできますね。
○山本説明員 久保さんの資料は私のほうにも実は入っておりますが、今回の異動は平常の郵政省の人事といたしましては、他の人に比べますと、これは年数その他につきまして非常に早い昇進になっております。それから、おっしゃるように、この人は表彰歴がありまして、郵便局でも勤務成績きわめて優秀だという評定をいたしておりますので、ほかの人よりも早い昇進というコースをたどっておることは事実でございます。しかし、いまおっしゃいましたように、腰痛の面につきましては実は私のほうに資料がありません。しかし、ほんとうに医学的な立場から通勤あるいは業務に支障があるということが判明いたしましたならば、それは是正すべきだと思います。
○西風委員 その次ですが、大阪港郵便局というところで今度人事異動があったわけです。その中で菅という人が主任になっているわけですね。ところが、この人よりもはるかに業務能力その他においてすぐれた人が五人おるわけです。はっきりわかる成績で言いましても、主任になりました菅という人は――私どもはこの人が悪いという意味で言っているわけじゃ決してないですから、その点はあらかじめ誤解のないようにお願いしたいのですけれども、この人は、募集成績は一番か二番ですけれども、収納率が最下位です。ところが、たとえば成績のいい人で言えば、中桐という人がおりまして、この人は募集率は三番目か四番目で、収納率は一番目か二番目というわけです。しかしこの人が統率力その他においてはなはだしくひいでているということは客観的にあり得ないわけですね。それが証拠に、この人が主任になって以来、他の人々は、別に申し合わせをしたわけではなく、この人とものを言わない、口をきかないというような状況が生まれているわけです。業務上はなはだしい阻害要因になっているわけですね。そういう点で今度の人事異動、特に大阪郵政局管内――先ほど同僚委員の人から、その他の地域でもさまざまな追及があったわけですけれども、全体として、こういうふうなやり方ですね・公平に見まして、人事ですから追い抜く場合もあると思うのです。そういうことが全然ないということは私ども考えておりません。あるときには年のいった人が若い人に追い抜かれるということがあるわけです。常識的に、古い人はおったけれども、あの人はやむを得ないというようになるのなら、これはやむを得ないわけですけれども、全体として計画的、総合的にこういうような人事が行なわれているというように私どもが見ざるを得ない資料が非常に多いわけです。
 きょうだって、島本さんも時間が足りませんでしたが、われわれもやれば二日も三日もやれるくらいの材料を持っているわけです。そういう点で象徴的なのは、たとえば大阪中央郵便局では、ここ二、三年の間に全逓の人で上へ上がったのは二、三人。数十人の人の昇任は全部郵労関係者ということになっているわけです。私ども、この間局長とも会い、次長とも会いましたが、次長や局長は公然と、全逓に所属している人が職制になったのでは、全逓がさまざまな闘争に入ったときに非常に苦しい立場になる。それだけではなくて、全逓の方針のもとに指導された労働運動をやられたのでは、局の秩序が保てない。もっとはっきりしたことばでいえば、全逓に入っておるのは昇任、昇格はあり得ないというような意味のことを公然と言うわけです。われわれ調査団を前にして言うわけですね。全逓という組合の方針の上で非常に破壊的な活動があるというようなことを言っておるわけですね。あるいは、さまざまの資料がありますが、きょうは時間がありませんからできませんけれども、阿倍野郵便局の「役職者特報」とか、あるいは中央郵便局の「部内報」とかいうようなものには、一貫して全逓の労働運動に対する積極的な攻撃の内容が、それぞれの係官の講話ないしは指示というような形でやられているわけです。これは全国全部そうです。主事が係員を呼び出して、おまえ主任になるんなら郵労に来なければいけませんよ。何千何万という証拠があるのですよ。これは、どこかの局の職制がたまたま業務に熱心なあまりにやった、上部に気に入られたいためにやったというような域を越えて、ものすごい歴然とした証拠があるわけですね。
 あなた方は、たびたび本委員会において、不当労働行為をしないという幾つかの通達を出したと言われているのですけれども、全国的に発生しております。しかも、本委員会においても、電通や国鉄のことが問題になるのは大きな争議があったときだけですね。全逓の場合のように、とっかえひっかえ本委員会で議論されるということは、非常に異常な事態ではないかと思うのです。そういうような点で、あなた方は責任感を持っておられるのかどうか、こういうことが国会で問題にならないように。われわれは、全逓のことばかり特別問題にしてやっているわけではないのです。裁判所でも言っております。全逓の案件が圧倒的に多いということを言っておるわけです。なぜ全逓だけこういうような異常な事態が他に比べて多く発生しているのかという点について、政務次官並びに人事局長の見解を伺いたいと思うのです。
○木村説明員 国会でやかましく言われても言われなくても、人事の異動につきましてはもちろん公正にやらなければいけませんし、また、その異動によってその職場全体の能率があがり、その職場の責任者が十分に職務責任を遂行できるという考えに立って人事異動はやるべきであることは申すまでもございません。したがいまして、郵政省といたしましては、人事異動に関する指導方針といたしまして、全逓の組合員であるからどうの、あるいは全郵政の組合員であるからどうのということは全然考えないで、いま私が申し上げましたような基本的な考えに従って異動をするように指導をいたしております。
○山本説明員 本委員会でたびたび私たちの労使間のことが取り上げられまして、いろいろ御叱正をいただくということは、私としてはまことに遺憾なことだと思います。労使の間でこの問題を少しでもよくするように努力したい、これは一貫しておりますが、先ほど申し上げましたように、全国一万六千の局所の一つ一つが特異な問題をかかえておりますので、完全にそういう状態というものができるまでには、やはりもう少し時間がかかるんじゃないかというふうに思っております。
 特に全逓の場合そういうことがなぜ多いかという点でございますが、これは他の事業と違いまして、非常に歴史的なものもございまして、三十三年以降の例のILOの発端になったような問題から、職場闘争というものが他の職場と比べまして非常に熾烈な時期がございました。その残りといいますか、そういう傾向というものが全くなくなっておらない。また反面、管理者側もそういうことを非常に意識をしまして、管理者側自身も、全逓というもの、また職場闘争というものに対して、他の職場の管理者と違った、非常に神経をとがらせた態度をとらざるを得ないという傾向がある。勢いそういうことが悪循環になりまして、郵政事業の場合にはそういうような問題がまま起こりがちであるということは、率直に認めざるを得ないと思います。しかし、重ねて申し上げますけれども、こういう問題については、できるだけ労使間の窓口を広くして、労使間でそういう事態の改善に当たりたいということを念願いたしております。
○西風委員 これはあっちこっちで部分的に出てきている、不均等に出てきているというのではなくて、全国一斉に、一定の基準をもって、人事異動その他についてはさまざまな紛争が起きているわけです。あなた方だって、たくさん資料を持っておられて御存じだと思うのです。あなたのほうのさっきのことばをとらえて言えば、あなた方のほうの資料とわれわれのほうの資料は違うのだというふうに言われましたけれども、そういうことだけでは済まないでしょう。確かに、あなた方の資料とわれわれの資料との違いは、部分的にはあると思うのです。違いはあるけれども、これだけものすごい件数の不当労働行為類似行為、あるいは不当労働行為そのもの、あるいは差別事件、組合に対する不当介入というように分けることのできる事件がこんなにたくさん起こっていることについて、あなた方は、これは何とか積極的に打開するというような意思はないのですか。起これば起こるほどいいのですか。大阪郵政局管内では――よそでも同じだと思いますけれども、最近は、業務に対する正常な能力よりも、第二組合をつくった人のほうが早く出世するというのが合いことばになっています。現に第二組合をつくった人は出世しているわけです。そういう人のほうが昇任するわけです。そういう風潮になったら、確かにあなた方は第二組合づくりが成功するかもわからない。しかし、成功したところで、局内が無気力になって、あなた方が求めようとしておられる国民のための郵政事業、国民に奉仕する郵政事業というような目標とはほど遠い、空虚な疎外された職場になることは間違いないわけです。そうしたことに気づいてやっておられるのかどうか。そんなことは聞くだけやぼかもわからぬけれども、何とかこうした人事異動その他について、もっと公正なやり方をする御意思があるかどうか。
 たとえば、大阪で例をとりますと、今度の昇任者、上がった人は、第二組合が四十二人、七八%、それから全逓が一五%でたった八人、それから中立が四人で七%です。全逓に属している人が業務成績が悪くて、郵労に属している人が業務成績がいいということはないと思うのです。これは明らかに労働運動というような質的部分における差別が存在しているから、こういうことになっていると思うのです。私どもから言わせるならば、労働運動なんか熱心にやっている人ほど仕事では能力を発揮すると思うのです。どこの局へ行きましても、はっきりは言いませんけれども、ことばを濁して、全逓の組合員が職制になったのでは郵政事業が正常化しないというようなことを言うわけです。大体それと同じようなことを言うわけです。だから、そういう点で、こういうふうな大阪でさえ第二組合が四十二人、七八%というような極端な第二組合に片寄ったあれをやっておるわけです。かりに百歩譲って、あなた方がそんなことを実際にやっていないのだというふうに言われるにしても、これは世間は誤解するわけです。全逓もそういう立場をとるわけです。われわれもそういう立場をとるわけですから、もっとこういう点について緩和して、職場の秩序が、権力によるどうかつや強制ではなくて、職場の人みずからの話し合いで、職場の人みずからの交流によって職場の秩序が維持される。先ほど言ったように、便所に行くにもストップウォッチを持ってはかるというような、ちょうど戦争中の軍隊、兵舎内におけるような訓練のしかたは、一時的には秩序を維持することができると思うのです。しかし、長い郵政事業の将来を考えましたら、そうした秩序のつくり方は、やがて郵政事業の破壊につながるのではないかと思うのです。だから、そういう点でもっと総合的な観点、郵政事業全体の観点からいって、こうした人事行政について、これはあなた方が主観的にやったか、それ以外の意思でやったか別にして、客観的にこういう事実が出ているわけですから、こういう点についてもっと大幅に、郵政局の労働行政全体、人事行政全体について、新しい角度で再検討する意思があるかないかということをお伺いしたいと思うのです。
○山本説明員 再検討するかしないかというお話でございますが、これは私のほうの考え方としましては、全般的、全国的に見ますと、決してそういうことをとっておることもございませんし、そういう指導をしたこともございません。また、もしそういうことが意図的に行なわれるとすれば、これは是正するにやぶさかでございません。
 ただ、大阪の場合は、これは蛇足でございますけれども、全郵政と全逓との比率が全国で一番近づいておる地域でございます。また、全郵政に入っておる職員というのは大体年配者が多うございまして、主事とか主任とか役付に近い人あるいは役付になっておる人が大半を占めておる。となりますと、勢い数の上で非常に僅少の差であるということと、それから年配者が全郵政に多いということが、意図するとしないということに関係なく、結果的に、主任なり主事という層に近いところから人を選ぶとなると、全郵政の人が非常にそういう職につく数、比率というものが多くなるということは、他の郵政局に比べますといなめない事実ではなかろうかと思っております。
○西風委員 山本さん、そんなことないですね。たとえば、さっきの港の例なんかは、五人も主任に昇格する適格者がおるんですよ。それを飛び越えてやっておるわけです。だから組合員が、それは若干近づいているかもわかりませんが、全体から見ますと、あなたの言うようなことになっていないわけです。おまけに、大阪だけの問題ならあなたの理屈もあるいは通用するかもしれないが、人事問題をめぐって全国的に紛争が起こっているわけです。人事の問題なんかは、なれなかったものが怨嗟のため、嫉妬のために、そういう不正常な気持ちでやったのなら、こういう大きな問題に絶対になりませんよ。かりに全逓の組合員であっても、客観的に見て職制にするにふさわしくない、主任、主事にふさわしくないような人がならなかった場合には、何ぼ本人が騒いだって、全逓の組合の全部が騒ぐはずはありませんよ。そういう点で、人事の問題について紛争が起こっているんじゃなくて、だれが見ても、客観的事実から見て、どうも第二組合を積極的に育成するというようにとらざるを得ないケース、事実が非常にたくさん存在しているというような点から、人事問題におけるトラブルが起こっているんではないかと思うのですね。だから、そういう点については、確かに局内の人事については、局長が権限を持っているというような点があるでしょうけれども、あなた方のほうが、第二組合を育成すれば出世するというような風潮をだれ言うとはなしに生まれさしているから、こういうふうな極端な人事が生まれているんではないかというように私どもは考えざるを得ないわけですよ。だから、そういう点について、きょうはあと山中先生もおられますから、私はこれでやめますけれども、そういう点についてもっと総合的な角度に立って、こうしたことをもうあまり起こさないように郵政省自身の姿勢をもう一度再検討していただきたい。特に今度の人事異動は、全国的にひどいんですよ、先ほど出ましたように。だから、そういう点に関する抜本的な検討を私どもは皆さんにお願いしたいし、その点について郵政当局の決意を伺って、あとの方とかわらしていただきたいと思うのです。
○山本説明員 この人事につきましては、実は簡単に割り切れない面が非常にございまして、若い職員の側からは、かねがね抜てきといいますか、もう単純な年功序列でなくて、優秀な者を抜てきしてくれという声が非常に強うございます。また、年配の人からは、年功序列でいわゆる年長順にというようなことがございまして、これをどこで調和するかというのは非常にむずかしい問題でございますが、いま御指摘になったような点につきましては、こういうものは当然慎まなければならないことでございますので、こういう弊害が起こらないように何か考えてみたいと思います。
○谷垣委員長代理 山中吾郎君。
○山中(吾)委員 私、岩手の宮古郵便局を、現地を見まして、その具体的な事例を頭に浮かべながら郵政関係の労使の問題をお聞きしたいと思うのです。
 先ほどから各委員の質問を聞いておりますと、大体全国的に同じような、共通した望ましくないような事件が起こっておることを私はつくづく考えさせられたのであります。したがいまして、私の参りました宮古の郵便局の特殊の現象かと思ったのですが、全国的に郵政行政の共通事件といたしますと、これはやはり郵政行政全体の欠陥がどこかにあるのではないか、そう思いますので、これは国会において深刻に論議すべき問題であると先ほどから考えておりました。宮古の郵便局に参りましたときに、まず第一印象は、職場が非常に暗いのである。管理者、職員の対話がない。そういう中で得々と、あまり生活経験のない、法律を少し勉強した大学を出た若い三十前後の郵便局長が、人間の心理もわきまえない、人生というものを知らない者が、得々と胸を張って、これが郵便局長のあり方であるというふうな考えを持っておる。そういう者があとあと栄転をしておる。これは郵政行政の人事を含んだところに大きい何か間違った目的がひそんでおるのじゃないか、そういうことを私はつくづく感じてきたのであります。二十数年憲法が施行されても、いまなお行政の中に憲法感覚が入っていない。旧憲法感覚で行政が行なわれているのじゃないかということを感じました。宮古の労働関係を見ましても、私が見たところでは、いわゆる人事権を含む管理権の乱用、憲法上の労働基本権に対するいわゆる軽視という体質がどうしてもその中にある。具体的事例が、そういう行政感覚の中からスト弾圧人事、いわゆる組合活動に対する一つの偏見を持った人事。能率をあげるという行政の本則に基づいた人事でない、労働組合に対する弾圧という意識を含んでおる人事。さらに労働組合そのものを軽視をしておる、したがって、第二組合のような分裂、そういうものがあったほうがいいというふうな期待を含んでおったり、あるいは特に感情的に労働組合の役員を左遷さしたり、反労働組合的活動をしておる者を故意に栄転をさしたり、部内の配転をやっておる。さらに、便所に行くところその他まで監視をするような、そういう監視労働、奴隷的な、人間を軽視するような監督のしかたをしておる。これが全国共通の郵政行政の現実であるということだといたしますと、これは個々の問題を私たちが自分の便宜主義で取り上げる問題でなくて、根本問題として私は郵政行政の最高責任者に反省を求めなければならぬということを痛切に感じて帰ってまいったのであります。
 そこでまず私は、第一にこの根本のものの考え方の前提として、労働大臣にお聞きいたしたいと思います。
 公務員関係その他いわゆる人事権を中心とする管理権の行使について、そのことが同時に労働条件に非常な影響を与える場合が多いのでありますが、その人事権を行使するに際して、管理者が、人事権を行使する者が、労働条件を配慮すべきであると思うのでありますが、現在の憲法の体制、二十七条の条文からいい、あるいは労働基本権の立場からいい、あるいは公務員関係の分限令その他の立場からいって、人事権行使に際して、労働条件に十分配慮すべきであると私は思うのでありますが、労働大臣の立場から御意見をお聞きしておきたいと思います。
○原国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいまの御意見、そのとおりでございます。人事権を中心とする管理権の行使にあたりましては、労働条件を尊重する。もちろんその労働条件は労働協約に基づいておるものでございますから、労働協約にその基準が定められておる場合にはそれに従うべきことは当然でございます。なおまた、明確でない、労働協約ができていないような場合においても、職員の労働条件に重大な影響を及ぼすような場合においては、そのことを十分勘案した上で慎重な態度で善処すべきことが根本方針でございます。
○山中(吾)委員 労働大臣の識見をお聞きして、郵政関係中心にお聞きいたしたいと思います。いままでの委員の御質問の中で重複することは避けまして重点的に三点ほどお聞きいたしたいと思うのであります。
 私は郵政行政にはしろうとでありますから、私、政治感覚でお聞きいたしますので、その点について法律的に、あるいは郵政行政の慣行の中で私の理解の薄い点については、遠慮なく人事局長及び次官は教える立場をもって答弁されてけっこうであります。
 私が確かに人事権の乱用ではないかと思う一つの例として、超過勤務を口頭命令で出しておる。おい、きょうは超勤だぞ、これをやれ、これは人事権、労務管理権という立場において適当であるかいなか、次官あるいは局長にお聞きします。
○山本説明員 これは、命令のしかたはそれぞれの郵便局におきまして慣行化されている場合が多うございますので、口頭で超過勤務命令を出したということは直ちに違法とはいえないと思います。これは文書でやる場合もあると思いますし、口頭で行なわれる場合もあります。その局の実態によって違うのじゃないかと思います。
○山中(吾)委員 郵政省と労働組合の間で従前において事前に命令簿によって発令するということの慣行があるように聞いておるのですが、それはいかがですか。
○山本説明員 基本的にはそういう扱いは労使間の長い間の慣行が基本でありますが、純技術的に申し上げますならば、これは命令簿というのがあります。そこに本人が判を押すということで命令の効果が発生するということだと思います。
○山中(吾)委員 いままでの慣行はどうです。
○山本説明員 慣行は局、局によって違うのじゃないかと思います。
○山中(吾)委員 私は最も常識的に論議をしたいと思うのです。超過勤務は発令すればその時間によって超勤手当を出す。超勤手当というものは一つの権利であるから、したがって、何時から何時と記録にとどめて、そうして発令をしなければ、あとで証拠がなくて、いつ発令したか、口頭で言っておいて、超勤手当を請求する権利というものが争いになったら、始末が悪いでしょう。したがって、超勤手当の裏づけのある超勤命令というものは、一般行政のあなたは専門家なんだから、命令簿によって発令するということが常識じゃないか。それを口頭でいいという指導をあなたはされるのですか。そうしたら、あとで超過勤務手当が問題になったらどうするのですか。
○山本説明員 純事務的な扱いの面と、それから、それが命令として効力を持つかどうかという部門と違うと思います。したがいまして、口頭で命令をする、それを従業員が受け取る、しかし具体的にそれが何時から何時まで行なわれて、どういう賃金が支払われるかというのは、事務的にこれは当然帳簿という形で整えておかなければならないことだと思います。
○山中(吾)委員 それから、先ほどお聞きした協約の関係はどうですか。
○山本説明員 両者間でそこまで――どういう帳簿を設けてどういう事務を整理するかということは、両者間の協約の中にはございません。
○山中(吾)委員 命令簿によって発令しなければならぬという協約はないのですか。
○山本説明員 ございません。
○山中(吾)委員 私は、命令簿でやるとめんどうくさいからというので、口頭で、思いつきで、おい、これから超過勤務だ、というふうな行き方を宮古郵便局でやっているのを聞きまして、ずいぶん労働者を軽視するものである。超過勤務手当という制度は、本来近代労働関係からいって、一定時間、八時間なら八時間という労働があって、それに対して特にどうしても業務上支障を来たすのだという例外として超過勤務を発令するという法律の趣旨からいって、命令簿によって慎重に、必要に応じて、しかし最小限に発令するという性格のものであるというのが行政常識である。それを、上司であるから、どんなことだって命令すれば当然従わなければならぬと胸を張ってそういうことをしておるということは、はなはだしく不適当である。そういうことをあなたは指導しますか。あるいは望ましくないとして、やはり命令簿によって発令すべきものとお考えになるのか、どちらです。
○山本説明員 先ほど申し上げましたが、これは主としてそこの郵便局の労使間できめたら一番いいことだと思います。この問題については現在宮古局で労使間で話し合い中でございますが、私は、特に本省の立場で、こうでなければならぬということではなくて、そこの労使間で話がつけばそれを尊重するということでいいのではないかと思っております。
○山中(吾)委員 本省の人事局長としてのあなたの見解はどうなんだ。どちらが望ましいのです。
○山本説明員 私はどちらでも、労使間で話がつけばそれでけっこうだと思っております。
○山中(吾)委員 労使間で話がつかない場合においては、こういう口頭による命令というものでやたらに超勤を発令することができるということを認めることになるので、私は非常に不適当なものであると思う。この間行ったあと、ある程度管理者も反省をして、現在労使でそういう交渉に入っておるとすれば望ましい。それについてはこれ以上時間をかけませんけれども、あなたのような、どっちでもいいのだというような、そんな行政指導のしかたの中に、いまのような問題、混乱が出ておると思う。少なくとも超勤命令というものは、形式的に慎重に整う方向で指導すべきであるということは、これは行政常識でしょう。どっちでもいいというような投げやりな言い方をするからおかしくなるのじゃないですか。もう少し自分の御意見をお述べになったらどうです。
○山本説明員 繰り返し申し上げて恐縮ですけれども、これは労使が基本的に対立をしなければならないような性格の問題ではない。むしろ非常に労使間の基本的な信頼関係があれば、これは文書でなければならない、口頭でなければならないということで決定的に対立する性質の問題じゃないと思います。したがいまして、本省がどうしてもこういうやり方でなければいけないのだということをきわめてかかるのではなくて、むしろ現場現場の労使間で話をして、それで話がきまればその点が一番いいのではないかということを申し上げたわけでございます。
○山中(吾)委員 労使の対立がなければそういう問題は起こらないというのはそのとおりだと思う。しかし、対立すればこそ、一方口頭命令で人間の労働条件を過重にする。むしろ制限的に行使すべきものを乱発できる方向に宮古郵便局がいっておるので、不正常な状況であり、そういうときにむしろ本省が行政のあるいは法律のたてまえ論に立っていい方向に指導されるのが正しいと私は思うのであります。いずれにしても、これは現在話し合いに入っているそうでありますからこれ以上申しませんが、口頭でこういう命令を出しておるという事実、そのこと自体が労使の不正常の姿をあらわす一つの実例として申し上げておきたいと思います。
 さらに、監視労働という点について、これは私は郵政行政の中にこういうことがあるかということで驚いておるので、あなたの見解をひとつ聞いておきたいと思いますが、これは記録があるのです。四十三年年八月二十日という記録、私のもとにある文書をそのまま読んでおきますが、管理者が朝、更衣室の入口に立って、早く着物を着かえさせ、そうでなければ賃金カットをするという監視をする。さっさと着かえろ、もたもたしていると賃金カットをするぞと言って、これは関口という会計課長が中心のようでありますが、賃金カットをやるということを事実行なっておる。人間の人格というものを前提にする場合に、着物を着るときに早く着ないと賃金カットをするぞとか、何をぐずぐずしているかというのは、その辺の奴隷に対することはこれが事実ある。これは日付までそういうことで書いておるのですから間違いないと思いますが、私の常識ではちょっと想像がつかない。そして組合の本部と本省の関係においては、これもおかしいと思うが、更衣時間は五分間という時間をきめてあると聞いたのですが、それはいかがでしょう。
○山本説明員 更衣時間というのは、これは厳密に申し上げますと、八時の勤務時間開始、たとえば郵便局の窓口が八時から、お客さんが八時に来るということになりますと、八時前に更衣をして八時から窓口につくというのがたてまえでございます。しかし、たてまえだけではなくて、実際問題として、八時一分前に郵便局へ入ってきた職員が八時に窓口につくというようなことはなかなか困難であろうということで、労使間におきましては、大体五分間ぐらいというのが大まかな線で両者が慣行みたいな形で認め合っておる、こういうことはございます。しかしこれは、一分で済む人までが五分間ぎりぎりまで、一分間で着かえてあとの四分間遊んでいていいのではない。もし更衣が済めば、五分間という中であっても、それぞれ職務につくというのが当然基本的な了解ということになっておると思います。
○山中(吾)委員 大体わかりましたが、一分、二分おくれたからというので賃金カットをしている、それから、おまえは反抗をしたからといって、おまけして一分多く賃金カットをしておるという事実があれば取り消させますか。
○山本説明員 人をおどかして一分、二分つけ足しをするというようなことは、本来絶対あり得ないと思いますが、もしあったということをかりに前提いたしますれば、これは当然取り消すべきことだと思います。
○山中(吾)委員 そういう事実があれば、何分の一か賃金カットしても、人事局長は取り消すというお答えでありますから、事実によって問題を処理するようになると思いますので、それは終わりにします。
 次に、人事の問題ですが、これを見ますと、この一年の間に宮古の郵便局だけで配転が、私、これも想像がつかないのですが、前荒瀬局長から現在の江川局長に至る一年の間に三十名の配置転換が行なわれておる。従来は一年間に一名ないし二名であった。これは率からいったら二十倍ぐらいになっている。そうして、一回の配置転換の慣行が、九月、十月、十一月、二月、四回にわたって三十名の配置転換をしている。これも私は非常に驚いたのである。そうして事例を見ますと、組合活動家というものをあまり思わしくないところへ、反組合活動家というものを喜ばしいところにということが顕著にある。これは事実として出ておる。これを見ますと、労働組合に対する弾圧人事であるということは、ここでは裁判の法廷でないから言えませんが、これはもう明らかに私は出ておると見るのです。第三者のすなおな見方をしてですね。まことにそういうところから暗い職場が生まれ、そして労使の間のパイプはなくなり、行って見たところでは、非常に暗い感じで、行政能率が逆に下がる。私は、そういう局長は栄転さるべき立場は少しもないと思うのだが、栄転をしておる。これは本省のほうで、人事について、労働組合というものをすなおに認める立場を尊重しないで、どこかで、人事において、こういう不当人事、不当に労働組合を弾圧するような方向、具体的に先ほど言った第二組合をつくらす方向、労働組合を軽視する方向に人事方針を指導しておるのではないかと疑わざるを得ない。これは明確に次官からひとりお聞きしておきます。そうであるならある、ないならないと、まずお聞きしておきたいと思います。
○木村説明員 全くお説のとおりでございまして、人事等につきまして、第二組合員であるからどうの、あるいはそうでないからどうのというふうな配意は全然いたしておりません。
○山中(吾)委員 もし、そういう人事を具体的にしたということがあれば、そういう局長、管理者を、不当な人事を行ない、行政官として適当でないという立場で、それに応じた処置をいたしますか、人事局長。
○山本説明員 法律に違反した行為があれば……(山中(吾)委員「法律ではなしに行政の問題」と呼ぶ)これは、不当労働行為というのは法律に禁止されておる行為でございますので、人事を使って不当労働行為をいたしましたら、これは当然私のほうで適切な処置をしなければならないと思います。
○山中(吾)委員 人事の方針として、法律違反というのではなくて、法律の中において、行政能率を、労働組合を弾圧するということが明らかにわかるような人事、その人事を行なう者に対して、栄転さすのか、左遷さすのか、人事としてはどういうふうな人事方針をお持ちになるのかということです。法令違反とかいうことの論議の前の問題です。労働協約に結ばれておる事項からいっても不適当であるというようなことが明らかな、そういう人事を行なうような局長、課長に対しては、人事局長はどういう方針をおとりになるのか。
○木村説明員 出先の局長等、人事の責任者が、もしあなたがいま御指摘になりましたような考え方に立って、いわば偏向した人事をやるというふうなことは絶対にやっちゃいかぬということにいたしておりますので、そういうことは万々ございませんが、もしかりに、だれが見てもそういうふうな偏向した人事ということがありますれば、もちろんそれは公正な人事ではございませんので、その局長が適任でないという判断にも立ちますので、この点は十分注意いたします。
○山中(吾)委員 お聞きしておきます。
 そこで、その中で、一番はなはだしい人事が、労働組合のほうから東北管轄の仙台にある公共企業体等労働委員会にあっせんを求めて、申請が出ておる事件があるわけです、佐々木栄治と伊藤重孝の。ここはあっせん申請についての原文があるのでありますが、人事局長、読んでなければ、いま読みますが、読んでいますか。
○山本説明員 読んでおりません。
○山中(吾)委員 読んでいない。それじゃ、その要点だけを参考に読まなければいかなくなったのでありますが、「当支部内宮古郵便局において一九六九年七月一日付をもって局内配置転換を命じられた佐々木栄治および伊藤重孝について、佐々木栄治は病弱のため、伊藤重孝は通勤事情により、それぞれ配転は納得できない旨、宮古郵便局長荒瀬真幸に申し入れてきたが、これが意見は聞きいれられず、同時に七月四日に至っても支部がこの件に関して要求した団体交渉も拒否されましたので、組合側は七月四日「あっせん、調停および仲裁の申請に関する協約第一条第一項」にもとづき、この要求については団体交渉を打ち切る旨、宮古郵便局長荒瀬真幸に通告し、公共企業体等労働関係法第二十六条の定めにより、貴委員会にあっせんを求めたく関係資料を添えて申請いたします。」そしてその理由がおのおのここにあるのでありますが、時間がないので読みませんから、読んでください。必ず読んでくださいよ。そして、その後いろいろの経過を経て交渉を一回、二回、三回、四回と要求したけれども、全部拒否されたから、あっせん案の提案をしたのでありますが、その結果あっせん案が出ておるわけなんです。「七月十五日午前一時三十五分にあっせん案が口頭でもって示されました。あっせん案 本件あっせん申請にかかる二名の配転に関して、相手方は被配転者との間に積極的に意思疎通をはかり、申請人は被配転者に適切な助言をすることによって早急に紛争解決に到達するよう誠意をもって努力されたい。附言事項 一、本件の事情聴取に出席された仙台郵便局、全逓東北地方本部の各関係者は相互によく連絡をとりながら本件当事者を適切に助言され、そして助力していただきたい。二、諾否の回答は七月二十一日までにしてほしい。三、それまでに各当事者は新たなゴタゴタを出さない。四、本件は満場一致のものであります。」ということを、これは口頭で付言をしてあっせん案を出しておるのであります。これに対して管理者は何らの誠意を示さない。一回このあっせん案に基づいて善処を要望した会合において、いなかですから汽車の時間というのは非常に不便で、通勤ができなくなった。それに対して局長は、それなら徒歩で通ったらいいじゃないか、でなければ自転車に乗ってこいというようなことで取り合わないままにこういうことになって、何らあっせん案に基づいた誠意が示されていないのである。十二キロも離れた地域で、汽車通勤では規定どおりに勤務ができないことがわかっておって配転をしておるというようなことについて、これは人事権で当然のことであるからということで、何らの話し合いもしないで行なっておる管理者のやり方というのは、私は、きわめて不当であり、人事権の乱用であると思うのです。公的機関からすでにそういうあっせんが出ておるわけでありますから、その趣旨に沿うて管理者が善処をし、話し合いをして解決する誠意を行動で示すべきであると思うのですが、いまなおそういう気配が見えない。これは人事局長のほうから、こういう公的機関によって結論まで出ておるのであるから、その指導をされるべきであると思うが、いかがでしょう。
○山本説明員 この両名の者につきましては、片一方が健康上の理由、片一方が通勤上の理由でございますが、病気のほうの佐々木という人はまだ出てきておりませんので、話し合いの機会がまだございません。それから、通勤事情のほうの人につきましては、これは話し合いをいたしております。ただ、ある郵便局に勤務をいたした者が他の郵便局に配置がえになるということは、労働条件その他について相当大きな変更がございますから、これは現在一方的にやるということはいたしておりません。しかし、一つの郵便局の中での配置がえというのは、これは日本じゅうのどこの郵便局でもいたしております。それは通勤事情も変わりませんし、労働条件も変わりません。ただ、配置のいかんによりましては、内勤者から外勤者にかわる、あるいは貯金から郵便にかわると勤務時間が変わりますことは確かでございます。しかしこれは、その郵便局につとめておる他の人もそれと同じ勤務をみな通勤ということでいたしておりますので、たまたま本人が遠くであったから永久にいま占めておるポストを占めるべきであるといことになれば、同時に他の人たちにそういう官庁執務時間の勤務というものを明け渡さないということにもなりますので、これはやはり適当な、非常に長い間といいますか、年月がたちましたときには、そういう配置転換も実は行なわれることがあり得るということは御了承を願いたいと思いますが、いずれにいたしましても、その通勤時間の問題を起こした人とは現在郵便局で話し合いをいたしておるはずでございます。もししておらないとしましたら、これは私のほうから連絡をしましてさせることにいたします。
○山中(吾)委員 一般論はそのとおりだと思うのです。いまの場合は、調停申請までした問題で、はなはだしく配慮が足らない。だから私は先ほど労働大臣に聞いたのです。人事を行なう場合においては労働条件を十分配慮すべきだ。これは近代労働関係の常識です。その点、いま人事局長は、話し合いをしていると言うのですから、それで私は結論が出ると思いますのでこれでとどめますが、ただその点については、あっせん案が出ておるにかかわらず、若い局長が、胸を張って一片の形式的法律論だけでこういう問題を軽視する、そういう管理者の教育はおやめになるべきだと思うのです。私が行って受けた感じは、どうもそういう人間生活における体験の少ない者、一般のうわさでは、あれがエリートコースであって、組合を弾圧すればみな栄転するのだ。一年くらいで最初からもう栄転が予約されておることをみずから公言する。それが現実なんですが、人事局長のいまの答弁を私は信頼して事実を見守ることにします。
 最後に、遺憾なことを申し上げますが、私たちが視察に行ったときに、会議室を貸してくれと言ったら、会議室も何も貸さない。これもやはりパイプが抜けておるので非常に暗い職場である。その点、国会議員が何だ、ばか者どもがと言ったということが耳に入った。そこで局長に、こういううわさを聞いたが、そうなれば国会の権威のために私ば許すわけにいかないと言ったら、局長は、絶対ございませんと言ったから、まさかそういう国会軽視をするようなことはないと私は一応信じましょうと言って、それ以上は追及しなかったが、あとで七、八名の者が、私は聞いたんだ、文書で私は証明いたしますと言っておる。私は、そのときにまことに遺憾に思ったのは、国会は最高機関であり、そのもとに議院内閣制があって、そのもとに行政庁があり、必要に応じてわれわれが視察に行くときに、そういう雰囲気をもしつくっておるとすれば、私はやはり郵政行政について一言深刻に反省を促さなければならぬと思うのです。これがもし事実とすれば、次官にお聞きしたいと思いますが、そういう空気をつくっておる職場の管理者、それに対しては私は許すことはできないと思うのです。事実ならばですよ。事実をお調べになって善処されますか。
○木村説明員 国会議員が国政調査のために地方に出かけられました場合に、必要な会議の場所を提供してはいかぬというようなことがあっては、これはもってのほかだと思います。まさかそういうことはないと思いますが、もしそういう事実がありましたら厳重に注意をいたします。
○山中(吾)委員 質問はこれで終わります。
 いずれにいたしましても、宮古郵便局だけの問題ではなくて、全国的に郵政行政の共通現象として、労働組合の軽視、人事権の乱用あるいは監視労働といいますか、行政の行き過ぎが明確に出ておるので、労働組合に対して、対等の立場で論議は幾ら戦わしてもいいが、からめ手から、そういうものを軽視し、弾圧政策をやることは断じて許すわけにはいかないので、宮古関係を皆さんで調査をされて、私の調査と符号するかどうかを次の機会に論議をすることにして、全体の問題としてもしあれが事実ならば、私は郵政行政に特に反省を要望して私の質問を終わります。
○谷垣委員長代理 河野正君。
○河野(正)委員 先ほどまで田邊議員をはじめとして、わが党のもろもろの議員から、今日の郵政省が行なっております労務管理が非常にきびしいと申しますか、不当と申しますか、そういう点についていろいろ具体的な事例をあげての質疑がございました。私もそれらと関連していろいろ申し上げたいことがたくさんあるわけでございますけれども、大体もう労働大臣、郵政政務次官、人事局長は、それぞれ一体現在郵政がどういう労務管理をやっているのかという大体の傾向というものはおわかりになっておるのじゃないかと思うのです。あれだけ長い時間をかけていろいろやったにもかかわらずまだわからぬということになったならば、これはとんでもない話である。そこで私は、時間の制約等もございますから、なるたけ重複にわたらぬ程度でひとつ一、二の点をあげてこの際明快なお答えをいただきたいと思います。そして、もうどうしても納得のいくような答えがなければ、私は最後に一点委員長に対して提案をいたしたいと思います。そういうことをひとつ前もって指摘を申し上げながら一、二の点についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 その一つは、かねて私は、当委員会においても、いろいろ郵政の労務管理というものが非常にきびしい、きびしいというのは、単に一般のきびしさ、客観的に見たきびしさではなくて、むしろ人権を侵すような形で行なわれておることは、これは非常に特異的なものだということで、私は今日まで何回か当委員会においてこういう問題について取り上げてまいりました。そこで、私も従来からのそういう経緯がございますから、そういう問題と関連のあるようなことをひとつこの際取り上げてまいりたいと思います。
 それは、先ほど大阪の例について西風委員のほうからいろいろお話がございました。その中で、親指がないので郵便の区分の業務に非常に支障を来たす、こういう例がございました。ところが、承っておりますると、局長は集配であろうと区分であろうと一向関係ないんだ、こういうようなお答えで軽くあしらわれたように実は自席で理解をいたしました。ところが、私どもが大阪に参りましていろいろ現地の事情を承りますと、集配をする場合と、実際内務に来て区分をする場合には、右手の親指がないことは重大な支障があるということを私どもは承ってまいりました。これは、それこそできるできぬではなくて、要するに右手の親指がないわけですから、そういうふうにからだのどこかに故障があるということを承知しながら、しかも区分機に入れる場合には人さし指と親指が非常に重要な役割りを果たしてまいると思うのです。そういうことは形の上に姿は見えるわけです。親指がなくなれば十分な能率をあげることはできない、十分作業をすることはできない、そういうことを承知しながらそういう職場に配置転換をするということは、私はきわめて重大だと思います。
 そこで、この点は私は、不当というよりも、むしろ労使関係それ以前の問題です。人権を侵しているわけです。そういう理解に立つわけですから、私はこの点に対しては、ひとつ法務省の人権擁護局長に対して、もしそういう事例があったとするならば、一体法務省としてはどういうふうにお考えになるか、この際ひとつ御見解を承りたい、かように思います。
○上田説明員 私のほうは実情を十分に調査しないと一がいに申し上げかねるのでありますが、事実を調査した上、おっしゃるように人権の問題があるというふうに認定いたしましたときには、それ相当の処理をいたしたいと存じております。
○河野(正)委員 いま提訴もいたしておりませんし、また調査の段階でもございませんから、私はここで結論的な御見解を承ろうとは思いません。ただ、いま申し上げまするような事例がもしあったとするならば、人権上どういうふうな御見解をお持ちですか、そういう意味でお尋ねをしておるわけですから、そういう意味でのお答えをひとつお願いいたしたいと思います。
○上田説明員 いま御質問の程度で、親指がないということが内勤でやると非常に不自由だ、その不自由さが問題になってくるのだろうと思います。その不自由で事実上全く仕事ができないというような状態なのか、若干人よりもおくれるという程度なのか、そこらあたりの問題をよく調査しないと何とも申し上げかねるので、能率がそれで下がるという程度なのか、仕事ができないという程度なのか、そこらあたりが人権としては非常に問題になってくるのではないかというふうに考えますので、いま直ちにここで、いまのお尋ねの限度におきまして、人権侵害であるというふうに断言もできないし、人権侵害でないというふうにもちょっと断言いたしかねる次第でございます。
○河野(正)委員 どうも法務省は、郵政のそれぞれ偉い方がおられるから、御遠慮なさっておられるのかわかりませんが、問題は、いま私どもが調査してきたように、親指がないために非常に仕事がやりづらい、こう言っているわけですね。そのことは心理的に非常に大きな圧迫を与えておるわけでしょう。能率が落ちるか落ちぬかということは、結果的には、心理的にその人に対して非常に大きな圧迫を与えるわけでしょう。それが組合が違うとか違わぬとかということでもしそういうことをやったとするならば、これはたいへんなことだと思うのです。ですから、そういう仕事をあてがわれたそのことが心理的に非常に大きな影響を与えたとするならば、人権侵害に相当しないかどうか、こういうことだと思うのです。ですからここで断定的におっしゃることは必要ないと思うのです。何も提訴しているわけでもありませんし、いまからの問題ですから。
 そこで、そういう場合にはおそらくどうであろうというようなことでもけっこうですから、そういう意味でお答え願いたいと思う。何もここで、調査しておられるわけではないですから断定的なお答えを得ようとは思わない。思わないが、本人が少なくともそのために能率が落ちるし、非常に心理的な圧迫を受けておるというわけですから、そういう場合には、人権侵害ではございませんが――どこまでもこの議論は仮定の問題です。もしそういうふうな御見解を示されれば、私どもは私どもで何らかの処置をしたいという考えですから、そういう意味でひとつお答えを願いたい。
○上田説明員 お答えいたします。
 われわれといたしましては、いまおっしゃったように、とにかく公務員に対して給料を払って仕事をしてもらう以上、ある程度しっかりやっていただかなければならぬことになるわけですが、人権問題といたしましては、なぜそんなことを郵政省がしたかということが非常に重要な問題になってくると思います。仕事もろくろくできぬようなところへなぜ配置したか、そういう事情といいますか、背景といいますか、そういうことを明確にしないと、人権上どうこうということはちょっと申しかねる次第でありまして、決して、郵政省の方がおいでになるのでそのほうに遠慮して申し上げているわけではございませんで、純粋に考えまして、やはりその背景といいますか、なぜそういう人事をしたかということを明確にしないと、何とも申し上げかねると考える次第でございます。
○河野(正)委員 実は私ども、その背景について問題があるからこの問題を取り上げておるわけです。ですけれども、ここで人権擁護局長といろいろやりとりしても始まりませんから……・。
 そこで、そういう親指がなかった場合に、区分を行なう場合に能率が落ちないのか落ちるのか。さっき山本さんは、落ちぬのだ、同じことだ、西風君の質問に対してはこういうようなお答えだったのです。次官のほうもいまお答えする用意があるようですから、一応次官としてのお答えを承って論議を進めてまいりたい、このように思います。
○木村説明員 私は、この話はここで初めて聞いたわけでありますが、これは人権じゅうりんだとかなんとかいう以前の問題だろうと思うのです。人事の愛情の問題だろうと思います。また、そういう親指が一本ない人に、そういう程度の仕事をやらして能率があがらなければ、これは能率の面からいっても損でございます。したがいまして、私はこういう人事は愛情を持ってやるべきだと思いますので、よく実情を調べて善処したいと思います。
○河野(正)委員 大体そういうことだと思います。私どももそういう人事をやられた背景というものが不当だという認識に立っておるから、あえて特にまずこの問題を取り上げたわけです。
 そこで、今度は熊本の例です。先ほどは、身体障害者でございますから、私はここであえて名前を申し上げませんでした。熊本の場合は、中央郵便局の田川耕太郎君という職員がおられて、そしてこの田川君の奥さんが流産しそうになった。そこで看病や子供等の世話があるので年休が必要だということで年休を申し出たが、聞き入れてもらえなかった、こういう案件でございます。いまいみじくも木村次官は、血の通った労務行政、要するに管理者側と職員というものは温情というものがなければならぬ。ところが、私どもがここで郵政の問題を取り上げてまいっておりますのは、私どもは国民の立場から取り上げてまいっておるつもりです。というのは、郵政業務というのは御承知のようにサービス行政です。要するに郵政の業務をスムーズにやっていただいて、そして国民に対して奉仕をしてもらおう。いろいろ処分をする、労使関係が激化をする、そうすると郵便がおくれる、国民はたいへん迷惑です。ですから私どもは、どこまでも郵政と従業員との関係というものは、常に円滑にスムーズにやってもらいたい。ところが、処分をする、処分をすれば当然そこの関係が不正常になる。そこで結果的に迷惑をするのは国民ですから、そういう意味で、郵政業務というものはサービス行政である、国民に対するサービスを行なう機関である、しかも国の機関である、そういう立場から私どもはここで取り上げてまいっておることをひとつ十分お聞き取り願っておきたいと思います。ところが、この田川耕太郎君の問題を一つ取り上げてまいりましても、少なくとも国民に対してサービスをする、そのためには当局側は職員に対して温情ある態度で臨んでいかなければならぬ、そういう舌の根もかわかないいまでございますが、いまのように職員の奥さんが流産しそうになった、看病しなければならぬ、子供のめんどうを見なければならぬ、そこで年休がほしい。なぜ年休をやらぬのでしょう。むしろ私は、そういう申し出があったならば、一日でも二日でも休みなさい、ひとつ徹底的に奥さんの看病をしてきなさい、これが人情だと思います。これが社会的な常識だと思います。私は客観的にだれにこの問題を取り上げて聞いても、そういう答えが出てくるだろうと思う。こういう事例があるが、こういう事例に対して、次官はいま温情ある措置が必要だとおっしゃったが、そういうことばを踏まえて、もしこういう事例があるとするならばどういうようにお考えになりますか、次官からひとつ明快にお答えをいただきたい。
○木村説明員 労使の関係におきましても、また人事管理の面からいいましても、血の通った、あたたかい愛情のある人事をやるべきである、私は常にそう思うのでございます。しかし、三十万の従業員をかかえまして、それぞれ各方面に大なり小なりの職場を持って責任者がおるわけでございますので、そういう点については十分注意もいたしておりますが、あるいは中には正当な判断を誤って、かりにいま御指摘になりましたことが事実だとすれば、そういった行き過ぎの点もあろうかと思います。女房が流産をして弱っておるというときに年休がほしいということが事実であるとすれば、私は少々の業務上の支障はがまんしてもある程度の休暇をやるべきじゃないか、かまうに思います。要はそういうふうな精神で今後さらに現地の責任者への指導を十分徹底いたしたい、かように考えております。
○河野(正)委員 そこで、いまの熊本の田川事件に関連をしてですが、いま私は田川君の奥さんが流産しそうになったと言いましたが、実は早産で子供が生まれて、未熟児でございますからなくなりました。そこで告別式があったわけですけれども、この田川君の弟さんも郵政の職員ですが、この人がぜひ告別式に参列をしたい、こういう申し入れをしたら、二時間だけならやろう。ところが、実際に仕事場から告別式のところまでは、熊本から菊池市というところですから、一時間以上かかる。往復二時間以上かかるのです。そうすると告別式に参列できない。そういうむちゃくちゃな上司の言い分のために、とうとう休暇を申し出ました本人は告別式にも参列することができなかった。これは私は労使問題じゃない、労使関係以前の問題だと思うのです。こういう人道上許しがたいような労務管理を行なっておる。これはいまのことと関連してですけれども、またこういう事例がございますが、この点については木村次官いかがですか。
○木村説明員 示されました三つの点、ともに御指摘のように全く労使関係以前の問題であろうと思います。そういう非常にかたくなにものを処理するというふうな考え方に立って責任の地位にあって業務をするということであっては、結局仕事全体の能率もあがらない。したがいまして、こういう考え違いをもって仕事に当たっておるというふうな責任者がありますれば、十分実情を聞きまして適当に指導もいたし、そして考え方ももっと柔軟性を持って考えるように指導いたしたいと思います。
○河野(正)委員 そこで、せっかく法務省おいでのようでございますから、こういう尋常な――きびしいじゃない、きびしいというのは尋常の中の一部ですから、こういう全く人道的な面にわたるような労務管理が行なわれておる。奥さんが病気で、それに対しても年休を与えない。年休というのはもらう権利があるわけですからね。これは労働者にとって法律上保護されておるわけですから。それから、いま申し上げましたように、兄貴の子供が死んだ、それに対する告別式にも出してやらない。これは私は人道上の問題だと思うのです。こういうことは労使関係以前の問題だと私は思うのだ。それがどういう事情があっても、理由があっても、そういう問題は労使問題じゃなくて、むしろその以前の問題、人道上の問題だと思うのです。こういう問題について人権擁護局長としては一体どういうふうにお考えになりますか。これは具体的な例でございますけれども、何も提訴したわけじゃありませんし、いまここでわれわれが具体的にこういう問題についての御見解を聞いているわけですから、御見解だけでいいですからお聞かせ願いたい。
○上田説明員 お答えいたします。
 事実関係につきましては、私のほうは存じ上げません。だから、いま先生がおっしゃった限度における事実という前提で申し上げれば、人権上問題があるということを申し上げたいと思います。
○河野(正)委員 そこで、実はいままで私も福岡の中央郵便局、それから博多の博多郵便局、こういう現場におきまする人権問題を今日までしばしば取り上げてまいりました。今度私どもも大阪に参り、それから熊本に参りまして、実はいままで人権問題を重視してまいっておりますので、そういうことに特に力を注いで事情を聴取してまいりました。そうしたら、いま申し上げますようなそれぞれの案件というものが明確になったわけです。ですから、こういう案件は、少なくとも行くところ行くところにあるわけです。全国一万数千カ所の現場があると先ほど山本局長がおっしゃったが、全国を回ればおそらくこういう人権を侵すような問題は枚挙にいとまがない、私はそういうふうに理解をいたします。しかも、それは私どもじゃございません。特に当委員会におきましては田邊委員、島本委員、こういう方々が専門ですから、しばしば今日まで、郵政のいわゆる全逓あるいは職員に対しますきびしい労務管理についての案件というものを取り上げてまいりました。ところが、当委員会においては、善処する善処するということであるけれども、なかなかそれが実際実を結んであらわれてこない。成果というものがあがってこない。これでは私は国政審議の意義というものがなくなってしまうと思うのです。
 そういう意味で、私は特にこの際委員長に対して提案いたします。お取り計らいを願いたい。それは、当委員会としてこういう実態を調査するということをひとつおきめ願いたい。御確認を願いたい。そうしませんと、ただこういうことを貴重な時間を使ってやりとりいたしましても、一向実効があがってこないということになれば、国会としても当然これらに対する処置というものをしていかなければならぬ。そうせぬと国会審議の意義というものはなくなると思う。国会の審議というものがまさしく軽視されると思う。国会で行っても部屋を貸さぬ、あるいはまた、いわゆる人管、労管などがこういうことに対して無礼なことを言う。全くごろつき、ぐれん隊のような言動をする。こういうことですから、私はこの際、当委員会として実態調査を行なうということを、ひとつこの委員会の席上において確認していただきたい、かように提案いたします。
○谷垣委員長代理 ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
○谷垣委員長代理 速記を始めて。
 それでは、ただいま河野委員からの御提案がございましたが、委員長といたしましては、できるだけ早い時期に理事会を招集いたしまして、そして御提案の趣旨が生きるように、ひとつ最善の努力をさせていただきたいと思います。
 加藤万吉君。
○加藤(万)委員 時間を有効に使う意味で、単刀直入に質問をしてまいりたいというふうに思います。
 最初に労働大臣に二、三点質問をいたします。いま化学産業、あるいは鉄鋼産業でもそうでありますが、太平洋岸の臨海工業コンビナートが非常に発展をいたしまして、裏日本ないしは九州の府県において過疎地域の問題がたいへん問題になってまいりました。先般私は商工委員会でも、化学産業のアンモニアの大型化あるいは石油合成等の大型化に伴う企業の撤退についていろいろ御意見をお伺いをし質問を申し上げたのですが、その際に、その地域に土着的にある労働力をどのように活用するのか、これがたいへん問題になってくるわけであります。特に長いことその地域に企業が存在しておりますと、労働者そのものもその地域に根がはえているわけですから、新しい産業の再編成に労働力がついていき切れない、そういう状態がしばしば見受けられるわけです。
 きょう問題にいたしますチッソ株式会社の問題も同様な案件でありまして、熊本県の県議会でこのチッソの縮小ないしは撤退に伴う地域地場産業の確保という問題で意見書を採択いたしました。そうしてこの意見書が政府並びに各大臣に送達をされていると思うわけです。一体労働大臣、今日のように太平洋岸に非常に工業が集中化し、それに伴う労働力とのバランスがとれない、移動ができない、こういう状態について、まずどのようにお考えになっておられましょうか。
○原国務大臣 いまお説のとおり、近来とみに過密と過疎の状態が各方面にあらわれてきておりまして、政府といたしましてもその対策を具体的に推進いたしたいと考えておりまして、過般島根県の松江で一日内閣をつくりましたのも、そういう過疎対策をどうするかということを主眼としてやったような次第でございます。近年産業や労働力が都市に集中いたしまして、労働力の需給の地域的な不均衡が強まってきております。また一方では過密の弊害を生むと同時に、過疎の悩み、こういう両方の悩みをかかえてきておるような実情でございます。それでありますから、このような事態に対処いたしますためには、企業立地の適正化とか、地方における雇用機会の造出、特に地域開発を積極的に進めなければならないと思っております。労働省といたしましても、通産省とも連絡をとりまして、地方の地域開発のための新産都市の建設とかその他によりまして地域開発を促進いたしていきたい。それに伴ってもちろん雇用関係等も考えて、こういう過密過疎対策をすみやかにやらねばならぬと、内閣の方針としてもやっておりまして、労働省、通産省等々、その他関係各省と連絡をとって一日内閣においてもその決意を表明したところでございまして、御期待に沿うように今後万般の施策をやっていきたい、こう思っております。
○加藤(万)委員 概念としてはそれでわかるわけですが、今度の、きょう取り上げるチッソの場合には、熊本県議会もそういう決議でありますし、同時に、そういう労働者が出ることを懸念をし――事実上離職をする、いわゆる首を切られるという状況が起きますものですから、実はこの事案は地方労働委員会にあっせんを依頼をしております。ところが地方労働委員会のあっせんが、労使間の問題等もありまして、なかなか進行いたしません。あっせんでありますから、一方の当事者が拒否すれば、これはできないわけであります。そこで私は、こういう案件が地方労働委員会にかかった場合に、雇用対策法の第十条との関係をもって、いわゆる労働組合側からそういう援助を求められる一つの案件だと思うのですが、そういうものに対する、具体的に労働組合側から雇対法十条によって援助を求められた場合に、労働省として、たとえば労働委員会にそういう問題がかかったようなときに、どういう援助あるいは行政上の指導というものがあり得るのでありましょうか、御意見をお聞きしたいと思うのです。
○住説明員 いま御指摘の雇用対策法の十条には「職業安定機関及び公共の職業訓練機関は、労働者の雇入れ又は配置、適性検査、職業訓練その他の雇用に関する事項について事業主、労働組合その他の関係者から援助を求められたときは、雇用情報、職業に関する調査研究の成果等を活用してその者に対して必要な助言その他の措置を行なわなければならない。」こういうように規定されております。もちろんこの規定によりまして労働組合等から、ここに規定されておりますような問題についての援助が必要だ、こういうように申し出があれば、この規定に基づいて必要な措置をとらなければならない、こういうように考えておりますが、いま御指摘の具体的な問題につきましては、すでに労働委員会のあっせん申請ということで係属しております。それからもう一つは、労使関係の紛議が起こっておる。実は、職業安定法には労働争議に対する安定機関の不介入という原則もうたわれておるのでございますが、それと同時に、いま申し上げましたようにあっせん申請が行なわれておるという事態でございますので、直ちにどうする、こうするということは慎重を要するかと思いますが、趣旨としましては、最初に申し上げましたように、求められれば援助その他の措置をとらなければならないというように考えております。
○加藤(万)委員 職業訓練なりあるいは広域的な意味の雇用確保の条件調査なり、そういうことは、ぼくは雇対法なりあるいは安定法に基づく形で、できると思うのです。しかし今回のように、その地域で労働力として移動ができないという場合に、その範疇で雇用を求めることと同時に、その企業の中で雇用を求めていく、この二つの条件が私は出てくると思うのです。その地域で求めるということは、いま言われたように、労使関係への不介入の形ではそういう形にならざるを得ないと思うのですが、同時に、その企業の中で雇用を求めていくということも、いまの大臣の発言にもありましたように、あるわけですね。そうしますと、あっせんを依頼した中身は、いわばその企業の中で雇用条件というものを守られるであろうかという要望が労働組合の意思としてあるわけですね、存在するわけです。そういう場合に一体行政上の指導というもの、あるいは援助というものはどういうようになされていくのでしょうか。これは雇対法の十条に限らず、労使関係法に基づく労働省の行政指導という形で、どういうようにこれに対する行政上の指導あるいは援助をされるか。これは労政局長にお聞きしたいと思うのです。
○松永説明員 ただいま職安局長がお答えいたしましたのは雇対法の観点からでございますが、私どものほうは、一般に労使関係をいかに安定さすか、それからまた、紛争が起こりましたときにどのような妥当な解決をはかるかというような観点から行政をいたしておりまして、場合によりましては、労働省なりあるいは府県の労政関係の機関が解決に御援助を申し上げるというようなことは、過去においてもしばしばございましたし、私どもも、今後においてもやはり必要に応じてやりたいというふうに考えております。
○加藤(万)委員 時間を有効に使う意味で、今回のチッソの労使間紛争の内容については申し上げません。それぞれ関係機関には御連絡を申し上げている内容でありますから、したがって内容的には申し上げません。それでは、いまのチッソの紛争の状態が、地方労働委員会に組合側からあっせん申請をし、それが会社側の理由であっせんに応じられないという条件ですね。これは組合側からいえば、いわゆるチッソの水俣工場における雇用を確保したい、そこで働きたい、そういうものに対するあっせんの依頼であるわけですね。ですから、一方では雇対法の十条のある面の援助、一方では労使関係の、ある意味の行政指導、それが一緒になって、この地労委のあっせんという形で出ていると思う。そしますと、そういう中で見る、ここで求められたときには応じなければならないという条件等を兼ね合わせていくと、あっせんというものに対する行政指導というものはもっと強くあってしかるべきではないかと私は思うのですが、この辺の見解はいかがでしょうか。
○松永説明員 一般論といたしまして、労使紛争が起こりました場合には地労委あるいは中労委でこれを調整する、これが原則でございますが、先生十分御承知のような経過でございまして、水俣の市及び市議会が、市民の要望書というような形ですが、内容はあっせんに近いようなことで、両組合とも一応それを受諾といいますか賛同されて、団交を煮詰める、こういうところまで来たのでありますけれども、新労と旧労のその後の解決についての動きが多少変わってまいりまして、合化労連のほうの組合の方々は地労委にあっせん申請をしておられるわけであります。
 それで、実際問題としてどういうふうに処理するかということで、私どもも形式を離れまして、実態的に何がよき解決かということになりますと、出発点といたしましては、市や市議会の要望に沿った線で――旧労といえどもそれは受諾されておられる、そうすると具体的な問題としましてはそこがスタートになり得る。それをもとにいたしまして、労使の団交によって解決するということが一番解決に近い可能な線ではなかろうか。もちろん、地労委にあっせん申請をされて地労委のほうも判断をされて動くと思うのでありますが、これは現在の状況で考えますと、その線が解決可能に一番近いのではなかろうか。現に、御承知のように、旧労、新労ということばがいいかどうか別といたしまして、旧労対会社の団交が現在進行中というふうに伺っておりますので、私どものほうも実は昨日会社とも連絡をいたしまして、この団交をできるだけ煮詰めるように、そしてあまり急いで、早急に短期に結論を出すということでなしに、できるだけ説得をし、また自分も理解をするという態度で、ここで煮詰めてもらいたい、こういう要望をいたしております。組合側の御事情もまた後刻承りたいと思っておりますが、地労委の線につきましては、そのような手だてを尽くしてなお解決できないというような場合の手段として活用するというほうが現実的ではなかろうかというのが、現在の私の考えでございます。
○加藤(万)委員 さきの要請に基づいて、いわゆる第一、第二のそれぞれの組合が団体交渉をやって、第二組合は協定をしております。この内容につきましては、あとでこのプロセスの中で一体労働省はどうお考えになるかという見解をただしたいというふうに思います。
 そこで、化学工業局長お見えですから通産省にお聞きします。
 今回の合理化計画がアンモニアの大型化計画の問題を一部に内包していることは、御案内のとおりであります。結局、これからの化学工業、特にこれほど構造変化が激しく起きる場合には、たとえばアンモニア関係のスクラップ・アンド・ビルドをかりにいたしますにしても、全体の企業規模というものの変化がどうしても伴ってくる。したがって、先般本委員会や国会でも確認をいたしましたように、アンモニアの大型化に伴う調整要領、これは省議決定でありますけれども、この中にある最後のほう、いわゆる人員整理はできる限りさせない、そういう条件がなければ大型化の認可を行なわない、そういうものと関係してこれから起きるであろう――化学産業全般が、そういうアンモニアの問題を内包しながら、全体的に構造変化を遂げている、その際における調整要領というものが一体人員整理の問題をどういうように把握していっているんでしょうか。ひとつ通産省の見解をお聞きしたいと思います。
○後藤説明員 お答えをいたします。
 たいへんむずかしい御質問でございますが、御承知のとおり、アンモニアにつきましては第一次、第二次の合理化計画を現在実施いたして進捗中でございます。
 ただいま御質問のチッソの場合につきましても、これは旭化成の水島のアンモニア大型化計画に参加する、こういうたてまえで、その場合に、肥料部門に従事する労務者の配転計画、吸収計画等につきましては、私ども事前にこれをチェックいたしまして、差しさわりなく行なわれるということを了承いたしまして、この大型化を進めることに踏み切った次第でございます。
 しかしながら、ただいま先生御指摘のとおりに、現在化学工業全般におきまして極度に大型化が進んで、しかも、非常に急速に進んでおりますのは石油化学工業とそれからアンモニア工業でございます。たとえば石油化学の三十万トン・エチレン計画にいたしましても、それからまたアンモニアのパーデーチトンのキャパシティーの大型化計画にいたしましても、これに伴いまして企業全体としての労務の問題をどう進めていくか、これは非常にむずかしい問題であると存じますが、化学工業全般を通じていえることは、御承知のように化学工業というのは極度に資本集約的な産業でございますし、装置産業、スケールメリットを追求する産業でございます。しかも、戦後十年くらいの間にきわめて急速に成長いたしまして、現在国際的にも有数の産業にまで成長をいたしたのでございます。したがいまして、先生の御質問にぴったり合うようなお答えになるかどうか存じませんが、この化学産業の中におきましてこの構造改善、大型化を実施いたしてまいります場合、通産省の産業政策といたしましては、その各企業それぞれのケースにつきましてでき得る限り労使間の摩擦が起こらないようにということを十分考えながら個々のエチレンの大型化計画、アンモニアの合理化計画等を進めてまいる以外に、現在のところは手はないかと存ずる次第でございます。
○加藤(万)委員 大型アンモニアの設備調整要領ですね、この第四項、これは労働省の方は初めてかもしれませんから言っておきますが、この大型化をする場合には、この条件でなければ認可しないという条件の一つに、設備の廃棄に伴う余剰人員の吸収等につきましては適切な見通しがあること、ということになっているわけです。いまもやりとりいたしましたように、アンモニアだけが大型化する企業もあります。しかしアンモニアの大型化に伴って他の部分、たとえば塩化ビニールであるとか、あるいはその他の部分、これがそれぞれ移動してそこに人員整理が起きるわけです。いわゆる因果関係が当然起きてくるわけです。そこで私は通産にもう一ぺんお尋ねいたしますけれども、この因果関係を、当然この通産の政策としては、大型化のプロジェクトのほうに向かうわけですから、この因果関係を抜きにして大型化が行なわれるとはまさかお考えにならないと思うのです。そうしますと、その因果関係の一つである設備の廃棄に伴う余剰人員ですね、この吸収をはかること、これはアンモニア部門でありましょう、しかし全体に関係を持つわけですから、そういうことを含めて企業の側に、たとえばアンモニアの大型化、あるいはエチレンの大型化についてサゼスチョンなり、省議の決定として出ている課題でありますから、その認可の条件なり、あるいはその企業の中における労使間の摩擦がそれで起きるとするならば、それに対して通産として介入し援助し指導をする、そういう行政上のあり方は当然あり得る姿だと私は思うのですけれども、いかがでございましょうか。
○後藤説明員 お答えいたします。
 仰せのとおりこの大型化、合理化計画、構造改善に伴いまして労使間に摩擦が起こらないように、特に労務者サイドに不利な条件が起こらないようにということは、通産省といたしましてももちろん当然念願するところでございまして、常々行政指導の態度としてこれは企業サイドに私どもその趣旨を徹底いたしておるところであります。その一例といたしましていまおあげになりましたアンモニアの合理化計画、こういうものが出てまいったわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、今般のチッソ水俣の件につきましては、アンモニア関係としてはこれは労務の配転、吸収はスムーズに行なわれるという事実、またそういう具体的な数字をチェックいたしまして私どもこれを了承いたした次第でございます。
 しかしながらこれが、加藤先生御指摘のように全般の計画としてどうするか、全般の、たとえばアンモニアなりそれからエチレンの設備というものをその企業が全体として遂行する場合に、その労務計画というものは一体妥当であるかどうかということは当然念頭に置くべきである、こういう御趣旨だと伺ったわけでありますが、私どもといたしましては、これはやはり十分その点を念頭に置きつつも、特に重点的にたとえば石油化学だとかアンモニア等、国際競争力の培養というものを至上の要請とされておりまする部門につきましては、特にその点について従来も通産の重点的な施策を行なってまいったわけでございますが、今後とも――この企業全体とそれからアンモニア部門との労使関係の問題がその中に包括されて問題が露呈化してまいったのは、チッソの例が非常に顕著な例でございまして、幸いにいたしましてまだ他の企業におきましては現在までのところこういう例は出てまいっておりませんが、今後そういう点につきましても十分に私ども留意して、重点的に、この分野の大型化というものを今後進めてまいるにつきましてもその点は十分留意いたしたい、かように存じます。
○加藤(万)委員 これは労働省にも聞いておいてほしいのですが、これからは、認可された幾つかの企業があるわけです。たとえば鹿島アンモニアというものが今度認可されました。それから日東化学が、それぞれ廃棄されていく処分工場が出てくるわけです。したがって、これから化学産業には全般的にこういう状況が起きると見ていいと思うのです。その全般の中で労働力の移動がきけばいいですよ。しかし、日東の八戸がアンモニアをやっておりますけれども、これが廃棄された場合に、八戸の人が全部都会に入ってこれるかというと、これはできません。何人かはやはり土着性を持ちますから、首切らざるを得ないという状況が起きてくるわけです。そうしますと、アンモニアについて通産が調整要領を出しまして、その中で先ほど言った人員問題については完全に吸収するという方向を出しましたけれども、それと因果関係を持つすべての事業場についても、後藤さんたいへんお骨折り願って申しわけないのですけれども、念頭に置くというのではなくて、その調整要領に基づいていっても――調整要領を出したのは国会の論議の中から出てきたわけですから、あの調整要領に基づいていっても、そこまで介入するということばは少し強過ぎますけれども、そこまで指導性を持つ通産行政があってしかるべきだと思うのですが、それについてはどうでしょうか。長い答弁は要りませんが、その点についてだけいかがお考えをお持ちかお聞きしておきたいと思う。
○後藤説明員 通産省の行政の姿勢と申しますか、行政の限界がございまして、先ほどお答えいたしましたように、私どもといたしましては労使間の摩擦が起こらないように、今後特に化学工業のごとく新しく、しかも急速に進展する産業におきまして、そういう事態が起こらないことを常に念領に置いて企業を指導いたしておるわけでございます。
 しかしながらこれは企業それぞれにつきまして、個々のケースについて立地の問題もございましょうし、その地域に関連企業があって吸収できるかどうか、こういう問題もございますし、あるいはまた労務者サイドにおいて他に配転しやすい状態にあるのかしにくい状態にあるのか、これは個々の企業におきましてそれぞれ千差万別いろいろバラエティーに富んでおる、かように考えます。通産省の指導の範囲といたしましては、私どもこの問題を十分留意しつつ他企業への吸収、地域への吸収、あるいはまた関連産業への吸収、同一企業内での配転等々、同時にまたその企業に対しましては、あるいは開発銀行の融資の問題でございますとか、あるいは地域開発の各政府機関等の金融ベースでありますとか、そういう点を通じまして地域社会にでき得る限り悪影響を及ぼさないように、同時にまた、労務者サイドに甚大な影響を来たさないようにしてまいりたい。したがいまして、この問題は個別的に処理いたしてまいる以外方法はない、かように考えております。
○加藤(万)委員 いまチッソの水俣工場は、約二千百人前後の従業員がいるわけですが、今度会社側から言われている内容を私ども間接的に聞きますと、いまのアンモニア部門の廃棄、いわゆる旭化成の水島移転、拡大、それと同時に他の部門もずっと縮小されていくわけです。そしてそれに伴って、会社側の説明では、四十七年の三月までにはおおむね九百名ぐらいにしか水俣工場はならない。そういうことになりますと、千百人近い人が移動するか、ないしは首を切られるか、ないしは自己退職をするか、そういう条件にあるわけです。
 どうでしょうか。これまた後藤さんにお聞きするわけですが、これからのチッソの水俣工場、会社はそういう計画を言っておられるそうですけれども、お聞き及びのように、廃棄した、ないしはスクラップしたもの、あるいは残るものという関係から見ていって、通産の側で見られて水俣工場にはどのくらいの人員が将来残るとお思いになりますか。
○後藤説明員 お答えをいたします。
 会社からも計画を出しておりますが、やはり会社の現在の合理化再建計画全般とにらみ合わせまして、水俣地区でチッソ自体あるいはまたチッソの子会社と申しますか、関連会社としてやっておりますようなところで吸収でき得るのはやはり九百数十名、千名くらいが限度じゃないか、かように考えます。
○加藤(万)委員 そこで、実はそこまでの展望があるがゆえに、今度の労使間の紛争はむずかしい問題になっているわけです。会社側では今回の合理化提案が、まあ第一次提案といいましょうか、あるいは第一次合理化計画というような中身をもちまして、転勤が四百十二名、そのうちに別に新規採用いたしましたから二十五名ほどこの中から引いて、その他の人員が転勤要員、したがって、もし後藤さんが言われたような形、ないしは会社が言っておるように、千名前後、九百名前後の事業場としてチッソの水俣工場を残すということになると、約一千名の中からいまの四百何十名――四百名に足りませんけれども、それだけを転勤させますと、六百人近い人が何らかの形でやめなくてはいかぬということになるわけですね。たとえば、それが希望退職であるか、あるいは会社の都合による解雇になるか、いかなる形であろうと、とにかく人が要らないということになるわけです。転勤、配転できるのは四百名、そして残る工場は九百名、そうしますと、いまの二千百人ないしは二千二百人から引いてまいりますと、どうしてもこの残った人員は整理せざるを得ないという結論になるわけです。
 そこで、先ほど労政局長が言われましたが、市の要請に基づいて第二組合と第一組合それぞれ要請は受諾をいたしました。そして、第二組合はその後具体的な協定をいたしました。その協定の中に、実はいろいろな条件がありますけれども、一番重要なところは、一体その余剰人員をどうするのかということなんですよ。第二組合との協定では病弱者、能力の劣悪者、それは六カ月間の自宅待機を命ずる、その間六〇%の賃金を支払い、自宅待機を命ずる。そして自宅待機の間に能力劣悪者は改善ができればそれなりに考えるというようなことも言っておるようでありますけれども、実際問題としては吸収するところがないわけですね。したがって、六カ月間自宅待機をするということは即六カ月後には希望退職ないしは首を切られざるを得ないという客観的条件が存在するわけです。もしもそういう形で、これから大型化に進むそれぞれの化学産業の企業が、余った人員は自宅待機をさせて六カ月後には首を切るということになりますと、これはたいへんな問題になる。いま私ども問題にいたしておりますのは、そういう形での首切りというものが慢性化し、ないしは他の企業にも波及する、そういうことがあっては――私は本来大型化というものは資本の側の要請だと思うのです。それに伴って資本は拡大再生産をするわけですから。その犠牲が労働者側だけにしわ寄せされてくる、そういう事態は通産行政の中から見ても、あるいは労働行政の中から見ても、今日の労働力不足という中から見ても、経営者側のとるべき姿勢ではないのではないか、こういうように私は思うのですが、いかがでございましょうか。
○松永説明員 たいへんむずかしい御質問でございますが、やはりこの技術革新という問題につきまして、これをどのようにやっていくか、会社の存立という、非常に過激な競争の中でございますので、それと労働問題というもの、そして特に労働者の生活に直結する問題でございますので、方法論といたしましては、組合側とよく協議をして納得づくでやる、そしてできるだけ犠牲者が出ないような形でやる、こういうことが基本線になるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 きのう、実は会社側の方にもおいでいただきまして事情を聴取いたしたのでございますが、この配転問題につきまして、実は新労のほうは配転については話がついた。旧労との間には配転についていま団交が進行中であって、配転についてのアンケートをとるということで労使の意見が一致をした。したがって、そのアンケートが出てまいりますと、総数においてはおっしゃるように四百名か四百何十名かのようでありますけれども、どの程度配転の希望者がいますか、行ってもいいというような方がおるかどうかというような見当がついてまいると思うのであります。
 一方、新労のほうとは自宅待機ということについての協定ができたようでありますが、その方々が六カ月後にどうなるかということについては、たとえば病気の方は回復されるかどうかということを見守る、あるいはまた訓練をするというようなことで対策を考える。いろいろなことを考えておるようでありますが、要するに、それらについて組合と協議をする。内容は必ずしも具体的、明確でありませんが、協議をする、こういうことになっておるようであります。したがって、まずいまの段階では新労との間にその問題が残っておりますし、旧労との間では、配転の問題についてまずその基本的な話し合いがついた、これからどうするかということになり、さらに自宅待機の問題をどうするか、こういう順序になってくるかと思いますので、やはりその旧労との間の団交を今後どれだけ密度高くやっていかれるかということにかかってくるのではないかというふうに考えております。
○加藤(万)委員 経過はそうなんです。私の言っているのはそういう意味じゃないのです。いわゆる石炭と違いまして、スクラップ化じゃないのですよ。化学産業の場合には、全体は拡大再生産なんですよ。拡大再生産の中に、少なくともそこで、たとえば年齢が高いからそれを若年労働者にかえて、低賃金労働者によって収益を得ようという考え方、それは間違いじゃないか。拡大再生産になれば、企業としてはそれで利潤が高まるわけですから、炭鉱のように、山がつぶれてそこで首切りという条件とは違うわけです。そうすると企業側は、企業が許容できる範囲で精一ぱい労使関係というものをきちっと安定させるべきではないか。配転ができない、それならばここで吸収しましょう、あるいはどうしてもこういう形では私は行くことはできませんというならば、そういう人を募ってみるとか、いろいろな条件があると思う。したがって、自宅待機などという、いわば半ば強制的な、首切り通告したと同じような形で問題を始末していくのは、拡大再生産をする化学産業のとるべき労使間の形ではないのではないか。また通産のほうの行政指導も、そういう拡大再生産であるだけに、私は、アンモニアのときにもこれは吸収しなければいかぬという条件をつけられたと思うのですよ。そういう観点についてどういう考えをお持ちでしょうかということを実は聞いているわけです。これは、労政局長と化学工業局長、両方に御答弁いただきたい。
○松永説明員 私どもといたしましても、できるだけ雇用の安定をはかりつつ、それを基本線にして労使が協議する、これが基本だと思います。ただ今回の場合におきましては、いま御指摘になりました、御批判のある自宅待機という問題について、一方におきまして、私ども承知いたしておりますのは千人、千人くらいの組合の勢力のようでございますが、協定ができたという事実が一つあるわけでございます。これに対しまして、そうあるべきであるかないかというようなことを第三者の私どもが申し上げることが、紛争解決という問題についていいかどうかという現実的配慮というものも、労使関係におきましては私どもは考えなければいかぬ問題だと思いますので、やはりその当事者であります旧労――旧労という表現がいいかどうかわかりませんが、会社と、いま幸いにして、一ぺん断絶状態みたいになりました団交を再開したわけでございますので、その点も含めて団交をおやりになる、積み重ねられる、できるだけ密度の高い団交をされるということがいいという限度で意見を述べるほうが、私どもの立場として紛争解決の面からも適切なのではないかというふうに考えております。
○後藤説明員 特にチッソの場合におきましては、技術的な革新がたいへん著しく影響した。つまり水俣に立地をしたということが、豊富にしてかつ非常に低廉な電力が利用できる、それによって、電気化学的な技術によってメリットを得ようという立地があったわけでありますが、ここに石油化学的手法による技術革新のはなはだしいものが突如急速に伸長してきた。このために非常に大きくここでチッソの主力工場である水俣にこれが響いたという事情がある点は、先生御了承のとおりでございます。
 化学工業全体として見ますれば、確かに化学工業はここ十年間に石油化学を中心といたしまして非常に急速なる伸展を示してまいりましたが、その過程におきまして、たとえばチッソのごとく、旧来の手法から急速にその主力工場を新しい手法へと転換せざるを得ないという事態におきましては、会社自体としても非常に深刻なる事態に遭遇するわけでございまして、御承知のようにチッソといたしましては、これは会社サイドから申しまするならば、いや私どもどちらにどうというものではございませんけれども、四十年の上期以降ずっと無配を続けて、現在のままの経営をしていくならば、これは会社の存廃と申しまするか、そういう事態になる。したがって、やむを得ずここに会社の再建計画の一環としてこの合理化計画を打ち出してまいったわけでございます。しかしながら、現在私ども承知いたしております限りにおきましては、この水俣の地というのはチッソの発祥の地であって、そしてまた企業としても、何と申しまするか非常にその土地に愛着を持っているという歴史的な、いわば経済外的要因も含んでおりますので、極力この工場での運転、生産を持続するという見地からとった、現在としてはまことにやむを得ざる方法ではないかというように私どもも考える次第でございます。
 何か企業サイドからのみ申し上げておるようでありまするが、たとえばチッソが相当多額にのほる投資計画を水俣地区において今後とも持っておりますこととか、あるいはまた電力を利用いたしますために新しく日本硅素工業を設立して硅素鉄の生産を行なったり、あるいはまたチッソエンジニアリングというものを設立いたしましたり、あるいはまた、まだそれほど大規模ではございませんが、一、二の企業を他から誘致いたしまして、労務者に甚大な被害を与えないというように会社としても努力をいたしておる点は、通産省としても認めておるところでございます。
 先ほど労働省からお答えがございましたように、この問題は現在労使双方の交渉の段階に入っております。繰り返して申し上げますが、通産省の産業政策の一環といたしましても、当然労使双方の間にでき得る限り摩擦が起こらず、その地域社会に重大なる影響が及ばないようにというのは、かねがね私どもの企業に対する行政指導の態度として明らかにいたしてまいったところであります。現在といたしまして、チッソとしての企業内への吸収、あるいはまた他から誘致してくる企業への吸収等々、諸般の点を通じまして、この労使間に十分話し合いが行なわれ、円満に解決することを念願いたしておる次第でございます。
○加藤(万)委員 御案内のように、新日本窒素は三十八年にたいへんな大争議をやりまして、その結果労使間の信頼関係が失なわれているという事実も、実は背景にはあるわけでございます。今度この問題をめぐって再びあのような大争議に発展する可能性も実はなきにしもあらずなんですが、そうなりますと、事実上チッソの水俣工場、むしろチッソそのものが相当崩壊に瀕する状態が企業の中にはあるように、同じように労働者の側には、あそこの土着性を持った労働力、移動できない労働者、これの首切りという事態を招来しかねない内容を持っているわけです。しかも労使関係はそれほどまでに、いま表面は団交体渉でありますけれども、中身は第二組合と協定いたしました内容をそのまま第一組合も認めろという態度でありますから、したがって交渉をやる幅というものはすでにない。ないということは、結果的にいま言ったような大争議に発展をし、労使ともに共倒れするという可能性もなきにしもあらず。そういう意味では私は通産のほうには、いま一番問題になっているのは何といっても首切りが起きるか起きないかという問題ですから、この首切りの起きない条件を行政指導の面で、いま幾つか例をあげられて、吸収する内容等もあげられましたけれども、それを拡大する、ないしは労働者が沿っていけるような、たとえば配転計画あるいは人の入れかえ、子供とおやじを入れかえるというようないろいろな提案もしているようですから、そういうことに全力をしぼるべきであって、最終的に首切りをするという、歯どめをかいながら団体交渉というものはやらすべきではないか、そういうふうに私は行政指導を強く望みたいと思うのです。
 同時に、労働省関係には、いま言ったような団体交渉の内容ですから、このままもしこの時期を逸するならば、再び三十八年当時の争議と同じような大規模な争議に発展する可能性もあるわけであります。しかもそれが化学産業全般に、自宅待機ということによって余剰人員は首切りすることができるのだということをもしも先例としてつくってしまうならば、これはこれから起きるであろう、たとえばいまの鹿島アンモニア、あるいは日本カーバイドの撤退、あるいは信越化学の撤退等もうわさされているところでございますから、そういうところまで波及いたしますがゆえに、労働省としてはそういう面の行政指導をより強められる必要がとくとあるのではないかと私は思う。したがって、そういう観点からこの問題をぜひ見てもらいたいし、また助言、指導を与えてもらいたい、こういうふうに思います。
 そこで、実は付属協定で、いろいろ、いま第二組合、いわゆる新組合との間に協定が締結されたわけですが、私は実は非常にふかしぎに思っているのです。これを締結したのは市の要請書に基づいてできたことは事実であります。この協定書に水俣市長職務代理者、すなわち助役ですが、いま市長は出張中でありますから、これが立ち会い人としてサインをしているわけであります。先ほども御説明がありましたように、この事業場における旧組合、新組合の比重はまさに半々であります。したがって水俣市に与える影響は、そういう意味で見るならばまさにフィフティー・フィフティーなんです。ところが、市の要請に基づいて新組合が協定をした。それに市が立ち会い人としてサインをするということは、これが市の意思なんですということを裏づけることに私はなると思うのです。いわば地方行政としては労使間の争議に深入りをし過ぎたという印象をぬぐい去れないと思うのです。労政局長はこういう市のあり方についてどう思いますか。同時に、きょうは自治省からも来ていただいておりますし、前に本問題については通告してありますから、自治省としての見解もの聞きをしたいというように思うのです。
○松永説明員 労使紛争につきまして、市が間に入りまして、形は市のほうからの要望書というようなことでありますが、実質はあっせんのようなものであるというふうに私考えております。そのような形であっせんを行なうというようなことは、あまり例がない事柄でございます。労働委員会とかいうような専門の機関以外でも、ある交通関係で知事があっせんに入った、あるいは昨年でしたか、炭労の争議で労働大臣があっせんをしたとかいうような、解決の面から見ますと、何がいいかというような面で、特殊事情も踏まえて、市のようなところが出るという場合も私は必ずしも拒否すべきものではない。特に水俣市の住民にとりまして、このチッソの工場は長い伝統がありますし、先ほど御指摘があった過疎とかいう問題から見ましても、地域住民にとって大きな問題というようなこともあります。それから聞くところによりますと、数年前に、これは旧労も新労も一緒になりまして、やはり市に頼んで何か紛争を解決したというような実績もある。その際にも、何か立ち会い人というようなことがあったようでございますので、そういう意味でこの立ち会い人になられたのではないか、これは推測でございます。市当局に聞いたわけではございません。ただ違いますのは、数年前のときは旧労、新労ともに同じ解決をしたわけでございますが、今度の場合には新労だけが先に解決をしたというような点が違っております。それがまた労使関係には非常に微妙に影響してまいりますので、おっしゃるような解釈をしまして、市公認だ、こういうようなことになりますと、その立ち会い人という意味が非常に強くなってくるかと思うのでありますが、私は非常に善意に解釈をいたしますと、前にもそういうことがあったし、今度もそういう意味で協定ができたんならという善意な態度ではなかろかというふうに推測をいたしておるわけでございます。ただ、確かめたわけではございません。
○加藤(万)委員 善意の解釈とかなんとかいうのじゃないのです。いま言いましたように、二つの組合があって、私は、絶対多数なら、まさにそれをもって市の安定、市民の安定というものが保たれるわけですから、いいと思うのですよ。しかしまさにフィフティー・フィフティーの組合があって、しかも一方の組合が協定したものに対して市が立ち会いサインをするということは、ぼくは労政当事者として専門的な労使関係を見ている局長として、どういう見解を持つか、そこをお聞きしたいのですよ。善意でどうとかこうとかいう問題ではなくて、そういうことが市が中に入ってあっせんや調停をすることはしばしばありますよ、それは私は否定はしません。そういうことも好ましいときはあります。しかしこういう第一、第二が分かれた時点において市が一本で確定をするということは、結果的には第一組合の団体交渉を事実上封鎖してしまうことになるわけですよ。そうでしょう。市が立ち会ってこれをきめたんですからというように会社も宣伝していますし、したがって、それを労政の担当者としてどう見るかということを聞きたいのです。
○松永説明員 私のいまの感想は、これは確かめてみないとわかりませんが、俗なことばで、言い出しっぺで何とか解決してほしいという要望をしたものだから、妥結したときに立ち会い人になったという単純なことだと思うのでありますが、おっしゃられてみれば、そのような解釈もできないことはないというふうに思います。したがって、このような地域にとっても非常に大きな問題でございますので、万全の策であったかどうかということになりますと、いろいろほかの点でもいろいろ出てくると思うのでありますが、私ども先ほど申し上げましたように、考え方としては、旧労といま団交をせっかく再開したのでありますからこれを煮詰めていくという立場から申しますと、必ずしもおっしゃったようにこの立ち会い人というものが市公認で、市はこれでなくちゃならぬのだという意味を持っているというふうには私は解釈をいたしておりません。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 労働関係のほうからの問題につきましては私どもの関係でございませんのですが、結局地方団体が御存じのように地域社会の公共の福祉全般に関心を持っているということは当然のことでございますので、そういうような見地から昨年、助役並びに議長が希望を表明したということだというふうに聞いておりますが、そのような希望を表明した結果、関係者において協議がととのった際に同じ意味において関心を持って立ち会ったということ自体、私どもの立場からいいますれば特に市の助役ないし議長の立場上不適当であるというようなことはないだろう、かように考えております。私どもの立場より見ますれば、特に職責を逸脱しているとか不適当であるというようなことはないだろうと思っております。
○加藤(万)委員 労政局長、いま自治省は労使関係についてはあまり事情を知らないだろうと思うのです。したがって、市があっせんして結果を得たものに対して立ち会い人としてサインする、軽い気持ちだったというふうに自治省では理解されているのじゃないかと思うのです。しかし、だれが見てもこれは一方に偏した行為であることは間違いないですよ。結果的には労使間の本来あるべき団体交渉にチェックしたことは間違いないわけですね。したがって労政局長の立場から見れば、そこまで介入することは地方自治体の越権行為ではないか、労使関係に関する限りは越権的な行為ではないかと私は思うのですが、いま一ぺんその部分だけ御答弁願いたい。
○松永説明員 たいへん失礼でございますが、私も労使関係をだいぶ長いことやっておりまして、結果から見ましていろいろなことがいえると思います。おっしゃったような面というのは、御指摘があればなるほどというもっともな面があるかと思うのでありますが、やはり水俣市と数十年の新日本窒素の歴史というものが密接であればあるほど、市あるいはその市民を代表する市議会が重大な関心を持っている。そうなりますと、個々の経過についてあとからの批判というものは私は自由にいろいろでき得ると思うのでありますけれども、私が現在受け取っておりますのは、非常に善意に基づいたものであって、そういう一方に偏した立場でやったのではないというふうに私は受け取っております。
 ただ、おっしゃいましたように市や市議会というものは労使紛争の解決のための機関ではもちろんございませんので、やはり俗にもちはもち尾と申しますか、そういう専門の機関でやるのが常道だと思うのでありますが、事ここまで経過が来ておりますので、しかもなお未解決の半数近い旧労との問題が残っておるこういう際に、私どもの立場からして、市当局のやり方あるいは市議会のやり方が適当であるか不適当であるかという議論が、はたして建設的にいい効果があがるかどうか。これはおことばを返すようで恐縮なんでございますが、私どもとしてはそういうことよりは団交の面を、できるだけ団交が発展しますように、組合のほうの御意向も伺いますし、会社に対しても必要な助言をして、これが円満な解決にいくようにという努力をいたしたいと考えております。
○加藤(万)委員 それじゃ時間がありませんから、最後に二つだけ聞いておきます。
 この協定書の中に六カ月間の待機期間中は六〇%賃金を支払うと協定されています。もし待機してそのまま失業したとしますと、失業保険の給付は六〇%に対してかけるようになりますか。――それじゃ、それは安定局長が見えてから答弁いただきます。
 それから第一、第二組合の問題です。先ほど全逓の論議でもたいへんありましたけれども、化学関係でもたいへんこの問題がありまして、いま埼玉県に積水化学の東京工場というのが実はあるのです。そこでは第一、第二組合がたいへんな争いをしておりまして、私も二、三度警察に要請に参った。暴行事件、暴力事件がたくさん発生しております。再びこういうことがないようにということで警察側に私は要請に参ったのですけれども、最近また再び事件が起きまして、今度は傷害事件、相当の、針で縫うというような事件がここ二、三回連発して起きています。もちろん警察でも捜査をされているようです。実はこれが送検にはなっているのですけれども、法廷に一つも出てこないのです。なかなかいわゆる起訴にされないわけです。そのために、第二組合側と思われる人ないしはそれに連なる暴力団関係の人が、第一組合をそういう意味では暴行事件でたいへん脅かしているわけです。これはひとつ事実を調査していただいて、私の手元にその結果を御報告願いたい。これはひとつ同時に要請をしておきます。
 前の六〇%支給の問題はできますか、労政局長。
○松永説明員 安定局長はもういいということで帰られました。
○加藤(万)委員 それではいまの問題も同時に、この協定書に基づいて六〇%支給し、六カ月間待機した場合には一体失業保険の給付はどうなるかということを、私どもに結果を報告願いたいと思います。
○松永説明員 ただいまの積水化学の件につきましては、さっそく調査をいたしまして御報告いたします。
 失業保険につきましては、職安局長に連絡をいたしまして、これもどのような取り扱いになるかということの御報告をいたすようにいたします。
○加藤(万)委員 以上いろいろ通産と労働関係に、お願いやら当面の問題の解決について要請をいたしました。いずれにしても私はこれからの化学産業は、こういう状態での合理化が起きてくると思うのです。組合のほうも、今回の事件を労使関係を通して見ましても、配置転換そのものには応ずる、こういっているわけです。したがって、配置転換に応ずる中で、いろいろの問題の解決は時間をかければ決して不可能なことではないと私は思う。したがって労働関係では、そういう意味で熊本県ないしは当事者間にサゼスチョンを与えていただきたいと思います。同時に通産省のほうでは、先ほど締めくくりに申し上げましたように、雇用確保を絶対的条件とは私は言いませんけれども、アンモニアの調整要領等に基づいても、それから起きてくる、あるいはそれが一部関連して因果関係を持つ今回の合理化計画でありますから、それだけに新しい企業の拡大に貢献しようという労働者の気持ちをくみ取るような資本の側の回答、ないしは交渉ないしはその結果に基づく完全雇用の確保、そういう面の行政指導を強く私は要請いたしまして、きょうの質問は終わっておきたいというふうに思います。
○谷垣委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十四分散会