第061回国会 科学技術振興対策特別委員会 第14号
昭和四十四年六月十二日(木曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 石田幸四郎君
  理事 木野 晴夫君 理事 小宮山重四郎君
   理事 佐々木義武君 理事 齋藤 憲三君
   理事 石川 次夫君 理事 三木 喜夫君
      田川 誠一君    渡辺美智雄君
      小林 信一君    長谷川正三君
      山内  広君    吉田 之久君
      近江巳記夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      木内 四郎君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       平泉  渉君
        科学技術庁長官
        官房長     馬場 一也君
        科学技術庁計画
        局長      鈴木 春夫君
        厚生省環境衛生
        局長      金光 克己君
 委員外の出席者
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 小島 康平君
        厚生省医務局国
        立病院課長   滝沢  正君
        参  考  人
        (食品評論家) 郡司 篤孝君
        参  考  人
        (東京都葛飾赤
        十字血液センタ
        ー所長)    森下 敬一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(食品加工技術に
 関する問題)
     ――――◇―――――
○石田委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、食品加工技術に関する問題調査のため、食品評論家郡司篤孝君及び東京都葛飾赤十字血液センター所長森下敬一君に参考人として御出席願っております。
 この際、御両人に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ、本委員会に御出席賜わりまして、どうもありがとうございました。
 最近国民生活の向上に伴い、食品の保存性、簡便性などが要求され、これとともに食品添加物の使用量が増加し、消費者の知らない間に有害な添加物をまぜた食品が売られ、社会問題となるケースがふえております。このような傾向に対処していくためには、食品添加物を人体に対する安全性の面から再検討してみる必要があると存ずるのであります。
 そこで、本日は、本問題について専門家である参考人より、添加物使用食品の実態について忌憚のない御意見をお伺いいたしたいと存じます。
 それでは郡司参考人よりお願いをいたします。
○郡司参考人 郡司でございます。
 現在の日本では、三百五十八の食品添加物が許可になっておりますが、この数が問題ではなくて、その中にはかなり有害な、つまり、毒性の強いものが含まれており、その毒性の強いものは日本だけでしか許可していないというものがかなりございます。毒性というのは、急性毒性であります。慢性毒性については、日本ではほとんど検査をしておりません。急性毒性については、その毒性の強い順から申し上げますと、ニトロフラン誘導体、これはとうふ、あんこ、かまぼこ、ハム、ソーセージなどに許可になっております。次は、お酒と酢に使われておりますサリチル酸、それから、みそ、酒に使われている塩化アルミニウムあるいはデヒドロ酢酸ナトリウム、一〇五号、一〇六号、一〇三号、一〇四号の赤のタール色素、あるいはフレーバーにも日本だけしか許可してないものがございます。世界各国において、毒性が強いから禁止しているものを、なぜ日本だけに許可しているかという点に疑問が残ります。しかも、これら毒性の強い食品添加物は、特に防腐剤、殺菌料、漂白料に多く、その食品における使用用途は最も重要な位置を占めているものばかりであります。
 しかして、かような毒性のある食品添加物を、国がこれを許可するのでありますが、だれが申請するかというと、食品添加物製造業者が申請します。これは御存じのとおりであります。したがって、一般の食品製造業者あるいは消費者はこれを何ら希望していないというような食品添加物がございます。たとえば、パンに使用されているプロピオン酸などは、パンやとうふなどというものは朝つくってその日のうちに売ってしまうような企業形態をとっていたのでございますが、厚生省は、これらとうふ屋とかパン屋の意向に何ら関係なく、いわゆる食品製造業者の希望に関係なく、食品添加物製造業者がこれを申請すれば、書類が整っており、急性毒性試験、一年か一年半ぐらいのマウスあるいはラットの毒性実験によって、これが人体に差しつかえないと判断すれば、これを許可してしまうのであります。アメリカにおいても業者が申請しますが、アメリカでは、これを日本の特許のように、一たん公示しまして、いわゆる国民の前に公示して、さらに聴聞会や公聴会を開いて、これの許可を決定しております。日本の場合は、消費者や食品製造業者が全く何も知らないうちに、食品添加物が省令をもって、すなわち国会の議決を経ることなく、厚生大臣の判こ一つで、官報の片すみに掲載されると、それで許可になるわけです。
 しかして、それを許可するにあたりましては、まず申請が厚生省に出ますと、それから国立衛生試験所において急性毒性の試験をします。それで大体いいだろうということになりますと、厚生大臣の諮問機関である食品衛生調査会に回されます。ところで食品衛生調査会というのは定員約五十名の学識経験者をもって組織し、かような食品添加物の許可、禁止あるいはその他の食品行政全般にわたる厚生大臣の諮問機関でありますが、この調査会にはいわゆる消費者代表は一人ぐらいしか入っておりません。これは主婦連の高田ユリさんが一人入っております。この人を消費者代表と見るかどうかはわかりませんが、私は消費者代表として見ておりますが、一人だけ。さらに、ほかにはほとんど厚生省関係の医学博士ないし薬学博士が二十人以上占めております。いわゆる主委員というのが現在四十七人おりまして、厚生省の関係者が二十一人、それから大学の教授が十七人、農林省関係が四人、それからこれは私は非常に不満でありますが、業者の代表が三人入っております。全国牛乳協会と畜産振興事業団、森永乳業中央研究所、この三人が国の食品をきめるいわゆる食品衛生調査会のメンバーに入っております。その他二人、合計が四十七人であります。そして、このうち医学者と薬学者がほとんど全部を占め、農学を学んだ人はわずか六人であります。いわゆる食品のほんとうの学問というのは農学者がするものであります。それから臨時委員というのが現在三十七人おりますが、これもそのうち厚生省関係が二十一人、大学関係が七人、それから農林省関係が二人、さらにここに民間会社役員が六人入っております。業者の方が六人入っております。農薬工業会、曽田香料工場長、武田薬品企画部長、関東化学技術部長、江戸川化学研究所、台東株式会社、これらの役員または社員の方が六人入っております。その他一人。それから小委員会というのがありまして、添加物部会というのがあって、九人でございますが、これは全部厚生省または大学の方ばかりで、いわんや民間の消費者代表は一人も入っておりません。これに対して私は意見は申し上げませんが、消費者代表が入っていないそうした食品衛生調査会というもののあり方に対して、一国民として不満を持っております。
 このように、食品添加物は、いわゆる食品製造業者や消費者に何ら関係なく許可されております。これについて園田前厚生大臣は、前国会において、食品衛生法を改正し、日本の食品衛生法は業者保護の線が強いから、これを消費者保護の線に持っていくために改正したいということを言明したのでありますが、それは次に大臣がかわりますと、うやむやになってしまって見送りになった。そのときに、厚生省の食品衛生課長は、あるいは食品化学課長であったかもしれませんが、無害であるからかまわないと言っております。
 ところで無害であるかどうかということはだれがきめるのか、厚生省の課長が、食品添加物が無害だからかまわないと言った根拠はどこにあるのだろうかと私は思います。無害であるか有害であるかということは、慢性毒性実験をしていないのでありますから、これはわれわれ日本人のからだにおいていま実際に人体実験をやっておるというようなことに考えてもいいのではないかと思います。
 こういうことはいろいろありまして、時間がないので簡単に一つ例を申し上げますが、たとえばアメリカのFDAでは、チクロは奇形児が生まれるおそれがあるとして、つまり、チクロの中にあるシクロヘキシルアミンが人体内で分解生成しまして染色体を破壊する、そのために奇形児が生まれるおそれがあるから、おとなは一日三・五グラム、子供は一日一・二グラム以上摂取しないようにという法律が、多分四月三十日までにこれは発効しているはずでございます。はっきりしたことは私にはわかりませんが、その前の新聞報道では四月三十日に、異議がなければ発効するというふうに外電が伝えております。
 アメリカではすべての食品に標示がしてありますから、これを消費者は識別することができる。チクロを一日三・五グラム以上食べれば危険であると知れば、食べないで済むことができる。しかし、日本の場合は、これはチクロに限らず、すべてそうでありますが、防腐剤含有とか、人工甘味料含有とか、ごく一部の約十種類の食品にしか、それはかん詰めとかサイダーとか汽車弁とか、そういったもの十種類くらいが食品衛生法の別表第三によって規制されておりますが、それ以外のあらゆる食品には標示の義務はないわけです、そういった人工甘味料含有とかなんとか。しかも、人工甘味料含有だけではチクロが何ミリグラム入っているのかわかりません。したがっておとなは三・五グラム、子供は一・二グラム以上食べてはいけないといわれても、それを消費者は識別することができないわけです。これは非常に重大なことであると思いますが、これを一つの例に見ますと、たとえば安もののジュースには〇・四五グラムぐらいチクロが入っているジュースがある。安もののアイスクリームには〇・三グラムぐらい入っているアイスクリームがある。これはちゃんとデータに出ております。そうしますと、子供がジュースを二本飲んでアイスクリームを一つ食べれば、それでもうアメリカ政府のいう許容量をオーバーしてしまうのである。そのほか、ソースに入っている、あるいはつけもの、つくだ煮、ようかん、あんこ、いろいろなものに入っております。こういうものを消費者はほとんど無抵抗の状態で食べさせられているということは重大なことで、最近奇形児の発生が多いということも、これも厚生省が発表しておりますが、現在の妊婦の一三%は異常児が生まれている。これは厚生省の調査です。しかも一三%のうち七%は先天性奇形児である。これも厚生省の調査である。こういう実態、因果関係がどこにあるかということはわからないけれども、疑わしきは用いずの鉄則によって、このようなチクロのような、あるいはすべてのそういった有害な食品添加物は使用を禁止しなければいけないと思います。
 しかも、禁止する以前においても、標示をはっきりさせて、あらゆる加工食品に食品添加物が何ミリグラム入っている、グラムまで入れなければわからない、消費者は識別できない。それからまた、配合も正確にやらなければいけない。ソーセージの中にカンガルーの肉が入っていようが、ネズミが入っていようが、消費者は識別することができない。かまぼこの中にどんな肉が入っているかわからない。チーズの中にカゼインが半分入っていても消費者は識別することができないわけです。アイスクワームにのりが入っていたってわからない。こういうすべての商品に配合、どういう材料でそれが何%ずつ入っているかということを法律をもって明示しなければいけないと私個人は考えます。そうしなければ有害食品の害によってわれわれ日本人の健康は危殆に瀕するのじゃないか、私はこう考えております。
 また話が前後しますが、このチクロの害について厚生省の課長は、新聞に発表した記事で、チクロは現在の日本人が摂取しているくらいの程度では何ら害はないというようなことをいっております。厚生省の課長は、われわれ日本人がどれだけのチクロを食べているか知っているのでしょうか。知るわけがありません。個人個人がどれだけのものを食べ、どういう種類のものを食べているか知っていないにもかかわらず、現在食べている程度では人体に害がないということを新聞に発表している。これははなはだ遺憾な発言だと思います。国民の健康に何ら関心がないからこういう発言ができるのではないかと、私個人ではこう考えております。
 あるいはまた、一つ申し上げますが、厚生省がいかにそういった国民の健康に関心がないかという理由は、たくさんここにあげることができますが、厚生省の外郭団体である日本食品衛生協会というのがあります。これは私は間違ってはいないと思いますが、国から補助金が出ていると思います。そうして、厚生行政、つまり食品厚生行政の国民に対する食生活の正しい知識、それの普及というものがここの設立の目的であろうと思います。社団法人です。去年千駄ケ谷に六階建てか七階建ての大きなビルディングをつくって事業をやっておりますが、この事業が国民の食品生活の向上に役立っているかどうか疑問があります。つまり、食品業者あるいは食品添加物製造業者から寄付金ないし賛助金あるいは広告料の名目をもって多額の金を集め、雑誌、単行本などを出版し、広告を収集し、それで自己の推薦する商品に対しては推薦料というものを取って、それをお墨つきとして推薦状を渡して利益を得ている。これがいわゆる厚生省の外郭団体のやる仕事であるかどうか、ちょっと疑問に思う次第でございます。
 それからまた、最近石油食品の問題が非常に盛んになりまして、高度経済成長に伴いまして石油食というものが出てきておりますが、現在私たちは石油からつくったものを無抵抗の状態において食べさせられている状態です。たとえばグルタミン酸ソーダは九九%がグルタミン酸ソーダであって、あと一%が不純物でありますが、その不純物が、前の発酵法、大豆、糖密あるいは小麦による発酵法の場合は無害であるということになっておりますが、石油からつくった場合、アクリロニトリルというタール物質が非常に多い有害な石油製品からグル曹をつくった場合に、その一%の不純物がはたして人体に害があるかないか、タール分が除去されているかいないか、そういうことをほとんど毒性実験もしないで、現在何ら標示もなく売られているという状態に私個人として不満を持っております。
 最後に、私は五月一日のNETテレビ並びに五月十四日のNHKの「生活の知恵」、五月十六日に大阪の毎日テレビ放送で食品公害についてテレビに出演しました。これは、民放二社はいずれも毎週継続するわけでありましたが、いわゆる製薬会社あるいは食品添加物業者の圧力によって民放がそのあとをやめてしまった、あるいは番組を変えてしまったというような圧力がかかったという実例を申し上げます。いわゆる正しいことを言うと圧力がかかるという現在のそういった事態に対して不満を持っております。
 時間がございませんので、この辺にいたします。
○石田委員長 次に、森下参考人にお願いいたします。
○森下参考人 去る五月の十四日にNHKの「生活の知恵」の番組でいわゆる危険食品をテーマにしで問題が取り上げられたわけであります。私もこのとき、資料提供という形で四、五本血液を持ってまいりました。この血液は、一つは、紅しょうがで血液の水の部分、つまり血漿の部分が赤く染まっている血液であります。もう一つは、ウズラ豆をたくさん食べて、やはり同じように血漿が緑色に染まっている血液でございました。もう一つは、粉末ジュースを飲み過ぎてやはり血漿が黄色くなっている、そういう血液を何本か皆さん方にごらんいただいたわけであります。
 私自身は、日本人の血液がこういうふうに食品添加物によってひどく汚染されているということに十二、三年前に気がつきまして、以来、加工食品をとらないように、自然食品に切りかえるべしということを唱えまして、いわゆる自然食運動を展開してまいったわけであります。現在静かなブームといわれております自然食運動、これはたいへんけっこうなことでありまして、この運動を十数年前から推進してまいりました私どもの立場から申し上げますと、たいへん喜ばしいことだというふうに考えるわけであります。
 しかし、よく考えてみますと、現在一般大衆の中で、こういう形で自然食運動が盛り上がってきているということは、ここまで一般大衆の食生活を追い込んできた国の無為無策という点から考えますと、大いにこれは責められていい問題ではないかというふうに考えております。
 最近のいわゆる有害食品であるとか、あるいはうそつき食品の横行というものは、ほんとうに目に余るものがございます。現在国で許可されております食品添加物は三百五十八種類ばかりございますが、さっき郡司参考人が申しておられましたように、わが国だけで使用が許されているという食品添加物がかなりたくさんございます。外国では毒だと認められていながら、わが国では毒物として取り扱われていないものが相当数あるということにぜひ御注意を願いたいと思います。
 それから、医学的な立場から申し上げますと、こういう食品添加物がわれわれのからだの中で一体どういう働きをなしているか、どれぐらいの量が吸収されて、どれぐらいの量が排せつされるのか、あるいは一つ一つの食品添加物がわれわれのからだの中でまざり合って、複合的にあるいは相乗的な有害作用を発揮するという可能性すらあるわけでありますが、こういう点が現代医学では全く解明されていない、そういう時点において、公然とこういう食品添加物が公認されているというところに私は大きな問題を感ずるわけであります。こういう言い方は少しオーバーかもわかりませんが、私は一億反健康状態を招いた一つの大きな原因は、この食品添加物にあるというふうに考えております。
 たとえば、私どもの一般家庭の食餌の内容をながめてみますと、晩酌の酒の中には、御存じのように、サリチル酸が入っております。ソーセージには着色料であるとか保存料であるとかあるいは増量剤であるとか、あるいはつくだ煮の中には着色料、人工甘味料あるいは保存料、漂白剤、それから、御飯の米には防虫剤が入っている。そして、みそ汁には変色防止剤であるとかあるいは保存料、しょうゆの中にも保存料が入っているというような状態でありまして、少なくとも私どもは一日に大体八十種類から百種類の食品添加物を、これは好むと好まざるとにかかわらず体内に入れているわけであります。これがわれわれのからだに対して全く無影響であるということはとうてい考えられない。因果関係をはっきり証明することはかなりむずかしいにしても、何らかの形でわれわれの健康に対して有害な影響を与えているということは当然想定されるところであります。
 わが国では、この食品添加物の開発は、大体食品工業会社であるとかあるいは製薬会社あたりが開発をいたしまして、そして、政府にその使用の許可を働きかけて認可されるわけであります。ところが、外国の場合には、非常に厳格でございまして、特にドイツあたりでは、食品添加物は国が開発をいたしております。国が食品添加物というものを開発いたしまして、業者に、この添加物はこういう性質のものであるからこういうふうに使用しなさいということで指導をしております。そういうふうに食品添加物の認可の取り扱いにつきましても相当大きな違いがあるわけであります。
 それからもう一つ、わが国の場合には、一たん許可されたものは、有害だということがわかりましてもなかなか使用禁止にならない。一つの例を申し上げますと、たとえばオーラミンという、あの黄色い発ガン色素が長い間使用されておりました。これが有害だということがはっきり証明されましても、使用禁止に至るまでにはかなり長時間を要しておりまして、有害だということがわかっても、なおかつ禁止に踏み切れないというようなところにも、一つわが国の食品衛生行政の何か特徴みたいなものがあるようにうかがわれるわけであります。
 これは事われわれの生命に関する問題でありますから、有害だということがはっきりわかりましたならば、ぜひ英断をもってこれを禁止するという方向、そういう姿勢をとっていただきたいというふうに考えます。
 もっとも、現在、有害食品の取り締まりをきびしくしろというようなことがしきりにいわれるわけでありますが、現在の食品衛生監視員の数というのはたいへん少なくて、この人手では厳重な監視の目はとうてい行き渡りません。
 それともう一つは、現在の食品加工の技術といいますか、これがどんどん前進しておりますのに対して、監督あるいはその指導をする機関の体制というものが旧態依然である。この差は広がる一方でありまして、この辺の問題を国としてもぜひ考えていただかなければならないんではないかというふうに思います。
 さらに、加工食品業者がもうけ主義一点ばりで、不必要な添加物をやたらに使いたがる傾向がございます。食品の見ばえをよくするというような意味で、要らない食品添加物をやたらに使う傾向があります。業者自身に、この食品添加物というものがわれわれの健康に対して有害であるという認識が不足しております。この辺もぜひ国として、業者に対する指導を怠ってはならないのではないかというふうに考えます。
 もう一つ、これは一般消費者にも実は責任の一端がございまして、消費者は王さまといわれますけれども、この王さまはもっと賢くならなければならないというようなことを私ども考えまして、いわゆる啓蒙運動を展開しておるわけであります。国も食品業者も一般消費者も、この際われわれの健康問題あるいは生命問題をもっと最重点的に考えまして、そして、これからの新しい食品衛生の基本的なルールというものをつくっていかなければならない。そういう時点に差しかかっているように思います。疑わしき加工食品を国としてはつくらせてはいけない、また、業者はつくってはいけない、消費者はそれを買ってはいけないというような原則をこれから築き上げていく必要がある。そうしなければ、われわれの健康状態は今後一そうなしくずしにされていく可能性があるという状態でございます。
 私の意見は一応この辺で終わりにいたします。
○石田委員長 以上で両参考人からの意見聴取は終わりました。
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○石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
○石川委員 私は、一昨年でありましたか、水銀農薬の件でたいへん関心を持ちまして、外国ではどこも使っておらない水銀農薬というものを日本だけで使っておるのはおかしいではないか。そういうことが相当反映をして、去年の三月からは製造禁止ということになったようでありますけれども、実は依然として水銀農薬が現在農家で使われておるというようなことで暗然としたわけであります。ところが、農薬の許可基準というのは、外国とは違いまして、とにかく正当な防衛具をつけて正常に使って、なおかつ非常な被害があるときには許可しないというような、きわめて製薬会社に甘い基準になっておる。それと同じようなことが食品添加物にもいえるのではなかろうか、こういうことで関心を持ちまして、郡司さんたいへん熱心に、この「危険な食品」をはじめ三冊ばかり私も本を読ましていただきましたけれども、これを読んでみると、食べる食品が日本にはほとんどないのではないかというような状態です。森下さんからも、消費者がもっと賢明にならなければいかぬとおっしゃいましたけれども、これで見ますと、主食が全部だめ、しょうゆもだめ、みそもだめ、それからソースもだめ、ノリもだめ、酢もだめ、お菓子もだめ、牛乳もだめ、かまぼこもだめ、ハム、ソーセージ、それからお茶、コーヒー、サイダー、全部添加薬品が入っておる。これは幾ら気をつけても気のつけようがないのです。一体こういうことで、急性の問題については、一応厚生省としては若干の注意は払っておるのでございましょうけれども、これがずっと蓄積をされて、五十年、百年たった後に慢性の症状が出た場合には一億総慢性ということになりかねない。これはたいへんなことではないだろうか。こういうことで私も関心を持ち始めておりますけれども、ここにひとつ郡司さんと、森下さんに御質問する前に、科学技術庁の資源調査会で「食品添加物に関する調査報告」というものを一応読ましていただきました。その中で、この食品添加物の安全性に関する試験研究を総合的にやらなければならぬ。実態はどうかといいますと、大体従業員が一人から四人くらいの加工業者が五〇%以上を占めておる。それから、従業員二十名以下ではその半数が検査の設備が全然ない。それから、特に品名で言うと、ろ過剤、着色剤、甘味料、調味料という生産設備の半数近くが検査設備は持っておらない。こういうようにまことに野放しの状態になったままで添加薬品というのはどんどん食品に添加をされて、一億総人口の口の中に入っておるという状態、これはとんでもないことで、何とかこの辺で総合研究所みたいな試験研究所というものをつくり、あるいはそういった検査設備というものを厳重に監督をする。これは人間の健康、生命に関することでありますから、それはぴしっとまずやるのだということが必要ではないかと思うので、科学技術庁長官と環境衛生局長にまず御意見を伺いたい。
○木内国務大臣 ただいままでに郡司参考人、それから森下参考人から、添加物の取り締まりの状態などについてお話がありました。私ども、これはきわめて重大な問題であると思っておるのです。それに、ただいま石川委員から御質問がありましたが、そういう点にかんがみまして、科学技術庁の資源調査会におきまして、そういう状態に対していろいろ調査をいたしました。その報告は、いまお手元に行っているのでありますが、私のほうにまいりまして、そうして、これは関係各省に説明しまして、そして、所管の各省において、こういう状態に対して適切なる処置を講ずるようにということでこれは説明して、伝達いたしておるようなわけでございまして、そのうちに総合研究所を設けたらいいのじゃないかというような意見もあるのでございますが、すでに厚生省におきましては食品衛生関係を調査する機関もあることでありまするので、新しい大きな機関を設けるというのも一案であろうと思いますけれども、これは厚生省のほうの所管の問題でありまするので、そういう問題も含めて、この報告に書いてあるような諸問題について、食品工業については農林省、あるいは食品衛生の問題、これについては厚生省、おのおのこの行政上の所管の官庁において適切なる施策を講じてまいるべきものである、かように私は考えております。
○金光政府委員 添加物等に対します衛生的な許可あるいは監督の問題でございますが、添加物につきましては、急性毒とあわせまして慢性毒の検査をいたしまして、その他、添加物の利点等も考え合わせまして、必要最小限度の添加物を許可するという方針で進めておるわけでございますが、この検査機関等につきましては、御承知のように、国立衛生試験所が当たりまして、そこを中心にやっておるわけでございます。それから、地方におきましては地方衛生研究所がありまして、ここにおきましていろいろと収去検査等を行なっておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、食品の加工等、非常に複雑になってまいりまして、それに対しましては、人員の面におきまして、また、技術の面におきましても、また、設備の面におきましても、さらに改善向上をはかっていかなければならぬということは、御指摘のとおりでございまして、この点につきましては、従来も改善はいたしておりますし、現在もいろいろと検討いたしておるというようなことでございまして、世界情勢に対応した施設整備を十分進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○石川委員 非常に抽象的な御答弁で、私、満足はできないのです。この問題は、きょう一回の委員会ではとても結論が出ないと思うので、あと重ねてやらなければならぬ性格のものだと思いますので、いずれあらためてその点については追及したいと思うのでありますが、アメリカでは、先ほど郡司さんからも若干触れられたように、この申請があれば内容を公開する。公聴会や聴聞会というものをしょっちゅう公開をして、衆人環視といいますか、その中で許可をすべきかどうかということをきめるということになっておるようであります。日本では、添加薬品をつくっている業者のほうから厚生省に出れば、厚生省だけでもって省令であっさり許可をされてしまう。こういうところにも私は非常に問題が多いのではなかろうか、こう思っておるのであります。
 そこで、食品衛生法というものは、前の園田厚生大臣は、どうしてもこれは直すのだ、大幅に改正をするのだということを言っておったわけであります。それは去年の朝日新聞の八月三十一日に出ております。ところがことしの二月八日になりますと、「冷たい消費者行政」ということで、無害ならかまわない、こういうふうに態度が非常に軟化をしている。まことに私は残念でならないのであります。厚生省の方に聞きますと、無害であるということを確認したものについてだけやっているのだ、あるいは非常に微量なら差しつかえないということで許可の基準というものをしっかりきめているのだというのでありますけれども、実を言いますと、これはいま森下さんからお話がありましたように、あらゆる食品に入っている。一日に八十種類以上の添加薬品の害性、毒性のあるものを食べなければならぬということで、それが総合されたら一体どうなるのだというところまでは、厚生省のほうではお考えになっておらないと思うのです。
 したがって、そういう疑わしいものは全部食べさせないのだという方向に切りかえてもらわなければならないと思うので、その食品衛生法を改正するために、いろいろ申し上げたいこともあるのでありますけれども、この加工食品については内容の成分もはっきり明示をする、いつでも、どういうものを食べているのだ、その明示をされたものと違ったものが入っておれば、これはもちろん摘発の材料になるわけでありますけれども、そういうことで明示をするということがまず第一に必要ではないか。
 それから、食品メーカー会社の材料はどういうものを仕入れているかということを、会社ごとにはっきりさせる責任があると思うのです。これは日本人の健康に重要な影響のある問題ですから、食品メーカー会社の材料の仕入れというものは明確にして公表できるような形にする。
 それから、その食品で、もし公示のものと違う、あるいは非常にあぶなっかしいものが入っているというふうなものが摘発され、これがはっきりした場合には、これは堂々と新聞に発表して、これを食べるなということを国民に全部知らせる責任が国としてはあるのではないかというようなことが、まず最小限私は必要だと思う。
 そういうふうに、食品衛生法というものは当然改正をすべきものである、これは国民全体の世論だと思う。この点について、ほんとうは厚生大臣に来てもらいたかったわけでありますけれども、環境衛生局長からひとつ御答弁を願いたい。
○金光政府委員 食品衛生法の改正につきましては、昨年来厚生省におきましても検討を続けてまいっておったわけでございます。
 その検討いたしてまいりました内容でございますが、第一番には、現在の食品衛生法の性格が、危害を防ぐということ、安全を守るということにあるわけでございますが、それに関連した必要な改正を行なうこと、それ以外に、その標示によりまして、その中にどういった成分のものが含まれているかということを一般国民に明示するといったこと、さらには、それによりましていわゆるうそつき食品というものをなくするというようなことも必要ではないかというようなことで、従来の、安全を守るというだけの法律から一歩前進すべきではないかという議論がございまして、いろいろと検討はしてまいったのでございますが、今日までに十分な結論は得ていないということでございます。
 そういうことになっておる実情と申しまするのは、何といたしましても、やはり最近いろいろと食品が複雑になり、添加物等もふえ、また、加工等も複雑になってまいっているわけでございます。そういう意味で、まず危害を防止する、安全を守るということに焦点を置いて、その上に立って考えようというような手順で進んでまいったわけでございます。そういうことで、近々、現在の食品衛生法の政令あるいは省令を改正いたしまして、危害防止に関しましては、積極的な改正を行ないたいということで、いま最後の詰めの段階に入っておるわけでございますが、今後、さらにそれに引き続きまして、食品衛生法をいかようにすべきかということにつきましては、各方面からもいろいろと御指摘がございますので、その点につきましては、なお検討を続けてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○石川委員 それで、私が質問した第二点の食品メーカー会社がどういう材料を仕入れておるか、この明細がはっきりしないと、やはりわれわれとしては釈然としない面があるわけなんです。それが食品衛生法の管轄に入りますかどうかわかりませんけれども、これを何とか取り入れるというかっこうにしてもらいたいと思うのです。これは日本人全体の健康、生命の問題ですから、ぜひひとつやってもらいたい。
 それから、いまの食品衛生法の改正は、一体いつごろまでにするのか。これは早急にやってもらわなければならぬと思うのですが、いつごろまでにやる見通しで作業をお進めになっておりますか。
○金光政府委員 中の材料の明示でございますが、一部は食肉等のかん詰め等におきましては、材料を表示することになっておりますが、それ以外に、いろいろと内容を標示させる必要があるということは、重々私ども考えておるわけでございますが、現在の食品衛生法が危害防止、安全といった点から考えておるわけでございますので、そういった面をもう一歩前進することによりまして、これは明示することが現在の法律上可能になってくるわけでございますが、そういった点につきましては、今後十分検討したい、かように考えておるわけでございます。
○石川委員 これはまだ期日の点が明確に言われておらないようでありますけれども、きょうは希望として、できるだけ早くやってもらいたい。
 それから、この間、ちょっと厚生省の担当の方に聞いたのでありますけれども、日本よりはアメリカのほうが許可している食品添加物の品目が多いのだ、だから、日本だけが特に非常に放任になっておるわけではないのだ、こういう話があったので、私もいろいろ調べてみたのですけれども、それを、ただ数が多いとか品目が多い少ないの問題ではなくて、毒性のある添加物の許可品目は一体どうかということで検討してみますと、どうもアメリカで認められておらないものが、日本では数多く認められておるような気がしてならないわけであります。特に問題になりますのは、サリチル酸とかニトロフラン誘導体なんというのは、特に問題になるだろうと思うのでありますけれども、その点は参考人の郡司さん、どうお考えになりますか。
○郡司参考人 アメリカにおける食品添加物はかなり膨大な数にのぼっておりますが、これは食品添加物に対する解釈が日本とアメリカは違っております。これは厚生省の石居昭夫さんという技官が書いた本でありますが、これによりますと、これは翻訳でありますから、石井さんには関係がありませんが、アメリカの食品添加物は、農薬の防除剤から、あるいは動物の飼料の添加物から、あるいは洗剤から、動物の注射薬から、非常に範囲の広いものを添加物といっているわけです。その中に、日本でいう食品添加物が入っているわけです。私、それをこれから拾い出してみました。これは、あくまで私の計算でありますから、正確なものでは絶対にありませんが、この場合、アメリカの私の調べたやつには合成香料が入っておりませんので、ちょっとそれだけがわかりませんが、大体百三十三という数字がここに出ております。日本は三百五十八ですが、この百三十三は、必ずしも正確ではないということを何度も繰り返し申し上げておきます。これは私の解釈の次第ですから、これはここにはございません。
 それから、先ほど石川先生が申された毒性の強いもの、弱いもののアメリカ、日本における比較ですが、たとえば一例をあげますと、防腐剤の安息香酸は、アメリカでは〇・一%しか許可していないが、日本では〇・六%である。あるいはデヒドロ酢酸は、日本ではチーズ、バター、マーガリン、清涼飲料水(炭酸を含有するものを除く。)あるいは発酵乳及び乳酸菌飲料などに許可になっておりますが、アメリカはカボチャだけです。ソルビン酸あるいはプロピオン酸、こういうものは大体同じですが、人工甘味料は、チクロはいま申し上げたとおりです。これ以上述べると切りがないのでやめておきますが、日本で許可になっている食品添加物でアメリカで禁止になっているものはたくさんございます。これはアメリカの本にはっきり禁止と書いてあるものがそうでありまして、全部は申し上げられません。豆腐やあんに使われているニトロフラン誘導体、みそに使われている塩化アルミニウム、清酒、合成酒、しょうちゅうの過マンガン酸カリウム、赤色一〇二号、一〇三号、一〇四号、一〇五号、一〇六号の五つの色素、それから同じく銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィリンカリウム、硫酸銅、亜硫酸カリウム、硝酸カリウム、漂白用の亜塩素酸ナトリウム、これは肉の発色に使うものですが、あるいはカンピョウとかブドウ酒に使いますが、こういうのは全部禁止になっております。それから、過酸化窒素とか稀釈過酸化ベンゾイル、例の小麦の漂白で、黒いパン、白いパンで問題になっているあの過ベンですね、ああいうものも禁止になっております。あるいは被膜剤の、果実や何かにワックスで色を塗ると非常にきれいで、いつまでも鮮度を保つというものですが、これも禁止になっている。こういうものを全部ここで申し上げると時間がかかってしまいますが、それは、こういう本に載っておりますとおり、かなりの差があるということを申し上げておきます。
○石川委員 わかりました。
 それから、森下参考人にお伺いしたいのですが、先ほどちょっと郡司さんからお話がありましたように、四十代以上の妊婦に一二%の異常児が生まれている。染色体が一つ多い先天性奇形児、これはダウン症といいますが、これが二%も出ている。それから、そのほか、戦前にはほとんどなかった病気あるいは戦前よりもはるかにふえている病気としては、スモン病とかベーチェット病、小児ガン、血清肝炎、肥満児あるいは胃ガンなども急にふえている、こういうことも、食品添加物が蓄積されたその影響だというふうに理論的に結びつけることは、まだまだこれから先の研究課題ではありましょうが、どうも無関係ではないのじゃないか。これは、もちろん大気汚染という問題も一つそれにからんでくるとは思いますが、どうもそういう感じがしてならぬわけです。その点はどうお考えになっておりますか。
○森下参考人 いまおっしゃられましたように、私がいままで何冊か書いております健康に関する本の中では、この食品添加物と、それから戦後、特に最近急激にいろいろえたいの知れない病気がふえてきているということとの間には、おそらく密接な関係があるであろう、これは無関係ではないはずだという考え方を述べております。
 先ほど政府委員の方が、食品添加物の無害性というものをはっきりさせた上でこれを認可しているのだというふうに申しておられたように思いますが、食品添加物というものが、われわれの健康に対してどういう影響を与えるかということの結論を引き出すのは、私は非常にむずかしいと思います。慢性実験も行なっておられるということでありますが、少なくとも一つの食品添加物について三年ないし五年くらいの実験期間を設けて慢性テストを行なうべきである、そして、さらに胎児に対する影響なども当然考慮しなければいけないというようなことを前から唱えていたわけであります。そういう面も含めて実際には検討、調査をされて、そして、それを使用するかどうかということをきめるべきでありまして、この点につきましては、現在許可されている食品添加物の大部分のものが、たいへん甘いテストに合格をして許可されているというふうに私には考えられます。
 たとえば、一つの例だけ申し上げますが、現在色素としては十四種類のものが許可されております。この十四種類の着色料のうちの十二種類がいわゆるタール系の色素であります。このタール系の色素というものは、現在まで全世界で三千三百種類ぐらい、いわゆるアニリン系の色素が合成されておりますけれども、この三千数百種類のアニリン色素の中で、医学的にはっきり無害だと考えられているものは約三十種類だけであります。三十二、三種類のものが無害だということがはっきり証明されているだけでありまして、あとは全部有害であります。大なり小なり発ガン性があるというふうに医学的には認められているものでありまして、現在認可されているこの十二種類のタール系色素は、少なくとも無害なものの中には入っておりません。そういう意味で、この問題も、量が少なければいいという問題ではなくて、大体国の姿勢として、食品衛生に関する基本的な考え方として、こういうものをそもそも許可するということが私は間違いである、これは全面的に廃止すべきであるというふうに考えております。
○石川委員 お伺いしようとすると、もう数限りないのですけれども、具体的に個々に伺ってみたいと思うのです。
 郡司さんの本の中に書いてありましたけれども、サラダオイル、マヨネーズ、こういったものも日常われわれは毎日食べております。このもの自体が食品添加物に毒性の相乗性があるのではないかというような危険性を感じておるわけですが、サラダオイル、マヨネーズあるいはつけもの類で、そういったわれわれが日常どうしても手をつけなければならぬ、こういったものの毒性というものについてどうお考えになっておりますか、郡司さんにお伺いいたします。
○郡司参考人 私は、医学者でも薬学者でもありませんので、毒性のことについては文献をもって御返事するしかありませんので、ここではサラダオイルについてちょっと申し上げておきます。
 すべて植物油というものは、上に、採取した植物の名前がついております。大豆油は大豆からとったものであり、なたね油はなたねからとったものでありますが、サラダオイルはサラダからとったものではありません。サラダオイルというのは、いろいろな油を何種類も合わせて、これは色が全部違いますから、それを同じ色にする、したがって、きれいにする、そのためには何回も精製を繰り返します。一回、二回の精製でも、去年北九州市に発生したカネミ倉庫のライスオイル事件のような危険性をはらんでいるということを申し上げておきます。これは、一流製油会社は工場の設備が完備しておりますからその心配はないと言う人もあります。私もそう思っておりますが、一流製油会社は、大豆、なたね、綿実、カポックぐらいしかおそらく製油していないと思います。ほかの米ぬかとかあるいはヒマワリ、サザンカ、茶、カヤあるいはイチジク、トウモロコシ、ゴマ油、そういったものは全部地方の小さな下請工場でつくるのを買っているというような状態です。したがって、カネミ倉庫は北九州でも一流の工場です。それですらあのような事件が起きるのでありますから、さらにもっと小さな町工場や部落工場の油工場から買っているものに、いつどんな危険が起こるかわからない。米ぬか油一つでもあの事件が起きたのですから、サラダオイルの場合は、さらに何種類も、七種類も八種類も、ひどいのは十種類以上も油をまぜます。それも、なるたけ安い油をまぜます。植物油だから必ずしも絶対に安全であると私は言えないと思うのですが、そういうわけで、サラダオイルはある程度の危険性がある。それから、栄養的にも、精製を何回も高熱的に繰り返しますから、ほとんど油としての栄養性はなくなっていると思います。そしてまた、サラダオイルというのは、普通の油はあげものに使いますから、それほどのあれではありません。ライスオイルもあげものに使ってあれだけの害を起こしたのですが、サラダオイルは、さらにこれは全量吸収です。マヨネーズに入るのはサラダオイルです。それから、つけ加えますと、マヨネーズは、サラダオイルと食酢と卵でつくられますが、あのマヨネーズの中にサラダオイルがふんだんに原料として入っているわけです。それをそのまま食べるわけですから、その点については何らかの――たとえば、昔はサラダオイルのかわりにオリーブ油を使っていたわけですから、けっこうだったのでございますが、いまはオリーブ油が非常に高くて、もうありません。それで、だれが考えだしたのか、サラダオイルなどという、いろんな油をまぜて非常に見た目のいい、味のいいものをつくっているわけで、危険があるのではないかと私は心配している一人でございます。
○石川委員 私の与えられた時間が非常に少なくなってきましたので、多くを伺うことはできませんけれども、石油製品でノルマルパラフィンというのがグルタミン酸ソーダの原料になるということで、味の素、これもまた毎日日常使わない家はないわけでありますが、そのうちの三割ぐらいは大体このノルマルパラフィンを原料とした石油製品が入っておる。これもはたして無害なものかどうか、私はちょっと疑問を感ずるわけなんです。その点について何か御見解があれば、郡司さんのほうから伺いたい。
○郡司参考人 ただいま私の意見開陳のときにちょっと触れましたが、現在のグルタミン酸ソーダは、味の素株式会社だけが石油製法によって製造しております。原料はアクリロニトリルというものでありまして、石油の中に含まれている物質であります。あるいは酢酸、いわゆる酢の原料になる醋酸はノルマルパラフィンからつくっております。
 ところで、この害性については、ここに新聞記事の切り抜きがございますが、アクリロニトリルやノルマルパラフィンのメーカーはたくさんありますが、そのうちの大手である協和醗酵の木下常務は、この新聞記事の中において、石油、具体的には灯油、軽油でありますが、この中に含まれている有害なタールをどうしてなくすかといった技術的な問題が残されているということを書いてあります。そうして、このタールというのは、御存じのように、最も発ガン性の強いもので、先ほど申し上げましたグルタミン酸ソーダは、九九度の純度としますと、残り一%の不純物があります。九九・五でしたら、〇・五%の不純物があります。その不純物の中に有害ないわゆるタール分が残っているかいないかということは、おそらく調べていないと思います。それは物理的に、時間的に現在売っている限りにおいては、去年あたり開発したのですから、慢性的に調べられるわけがありません。
 それにつきまして、関連がありますが、これも新聞のコラム欄に出ておりますが、味の素株式会社のアミノ酸部長は、前略をしまして、
  石炭たん白企業化で数多くのメーカーが名乗りを上げているが、醗酵では世界的な技術を持っ味の素のアミノ酸部長は「研究を進めていないといえばうそになるでしょう。しかしこの件について私は大声で提言したい。」と言う。「毒性試験を進める過程で動物一代だけの実験結果ではだめ。二代目、三代目の影響、ひいてはこれを食用にする人間も二世、三世にどのような影響があるか、これをデータで納得させねばいけない。」と、いかにも食品メーカー人らしい慎重な態度。「これらデータを作成するには、一企業だけでは無理。日本の企業が一体となつて一つのグループを結成して研究を進めるのが良策だ凶と指摘したあと「どうも日本の企業はアドバルーンをあげ過ぎる。」と皮肉もちょっぴり。
 これは化学工業日報の昨年十一月五日の「制御室」といういわゆるコラム欄に載った記事であります。
 このように、アクリロニトリルあるいはノルマルパラフィンを製造している化学工業メーカーの常務が、どうも心配だといい、同時に、グル曹を製造している味の素のアミノ酸部長も、いま申し上げたようなことを個人の立場において言っているわけです。この私の二つの御紹介ですべてを御説明できると思います。
○石川委員 時間がいよいよなくなりましたので、一つだけ最後に伺いたいのですが、実は、社会新報には大きく取り上げたのでありますけれども、コカコーラの問題、これを若い連中が相当たくさん飲みます。大体一年間三十億本というようなことがいわれております。これについては、忌まわしいいろんな取引もあるんだ、リベートもあるんだというふうな取りざたもされておりますけれども、それかあらぬか知らぬが、コカコーラについては、これに対する批判、誹謗というものは全然新聞紙上に発表されないし、いろいろな圧力がかかってきまして、コカコーラについての批判というものは全然出ていない。しかし「社会新報」では、イタリアでもって、これによって受けた国民の膨大な損害請求の裁判を起こしておるということは事実であります。このコカコーラのコカというのはコカインのコカで、あるいはコーラの中にはカフェインが入っている。カフェインというものは習慣性になるということで、若い連中が毎日これを飲みたくなるという、いわば、半ば中毒症状になるというようなことから、コカコーラの弊害というものは相当あるのではなかろうかという心配をしております。ヨーロッパではあまり飲んでおらぬようであります。ドイツなんかは全然使っておらぬ。イタリアでは裁判を起こす。フランスあたりでも相当きびしい規制をするというようなことで、後進国と日本だけがどうもコカコーラに毒されておるという状態のように思うわけです。そのコカコーラは、コーネル大学やあるいはフィラデルフィア大学あたりでいろいろな研究の発表が出ておるというようなことを聞いておりますが、それが日本では全然発表にならない。この内容について、もし御存じなら、森下さんでも郡司さんでもけっこうでありますけれども、ちょっと伺わしてもらいたいと思います。
○郡司参考人 私は、先ほど申し上げましたように、自然科学者ではありませんので、どうも毒性のすべてについて自分から申し上げられないのですが、アメリカ、コーネル大学のマッカーシー教授は、ネズミにコカコーラを約三カ月間飲ましたところ、ネズミの歯がのこぎりのようになってしまった、きりのようになってしまったということで、これはお茶の水大学の稲垣長典教授がアメリカでそれを見てきております。ネズミの歯がきりのようになってしまったということは、おそらくカルシウムが不足したことでありましょうし、これはコカコーラの中には燐が少しよけいに含まれているせいじゃないかと、しろうとながら考えております。フィラデルフィア総合病院の心臓外科のサミエル・ペレット博士は、コカコーラを長い間摂取することによって、動脈硬化、心臓病、精力減退、肝臓悪化を起こすということを警告しております。これは共同通信が昨年ラジオで流した記事であります。あるいは、これはなくなりましたが、故人の櫻澤如一という食品の大家がアメリカで、このコカコーラの中に煙突のすす状の物質が出ているので――これはすす状の物質でありますから、すすでないかもしれないけれども、これがすすであるとすると、煙突のすすというのは、非常に発ガン性の強いタール性のものでありますから、非常に危険である。この程度のことでございます。
○石川委員 時間がないから、これで私は、いずれ機会をあらためてまだまだこの問題を掘り下げなければならぬ、これは国民の立場に立って、当然われわれの義務だというふうに痛感をしております。また、参考人の方においでいただくようになるかもしれぬと思うのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、実際調べてみると、食べるものはないですよ。パンがだめ、御飯がだめ、みそがだめ、しょうゆがだめ、お菓子がだめ、ソースがだめ、牛乳がだめ、お茶もだめ、コーヒーもだめ、サイダーもだめ、食べるものは全然ない。このだめなもの全部を積み重ねて相乗性をもたらしたときの日本人に与える健康上の弊害というものはおそるべきものではないか。これは環境衛生局長も科学技術庁長官も、この重大な問題、日本の将来の遺伝の問題にもつながるし、健康の問題にも生命の問題にもつながる、急性だけで判断ができない、慢性的な要素というものもその中に含まれておるというこの重要性というものをよくお考えをいただいて、早急にこの弊害から日本人が脱却できるような方途を法律上、行政上に早急に考えてもらいたい、こういうことを強く要望いたしまして、時間がありませんので、これで私の質問を終わりたいと思います。
○石田委員長 次に、三木喜夫君。
○三木(喜)委員 きょうはわざわざ参考人として郡司先生と森下先生においでいただいていろいろお聞かせいただいたのですが、私たちはこの科学技術対策特別委員会で、森下先生には数年前にもおいでいただきましていろいろ聞かしていただきました。あれからこちら、だんだん国内でもこのことがやかましくなりまして、新聞紙は盛んにこの問題を取り上げております。ここにも書いてあるのですが、「うそつき食品」という名前で読売新聞が二十四回ですかにわたってこの問題を取り上げて、そして、一般国民の啓蒙に資した、こういうことでございます。したがって、いま石川さんもいろいろお話しいたしましたように、かなり各食品には忌まわしいところの添加物があったり、防腐剤が入ったり、あるいは人工甘味料があったり、化学合成飲料があったりして、国民の健康上非常にゆゆしい問題にもなってきておるわけであります。これは先生方のこうした御努力あるいは国民の自覚、こういうものによってきたと思うわけであります。それから一方では、法制審議会におきましては公害罪としてこの問題をいま提起してまいっております。こういう背景もあるわけであります。このままほっておくわけにいかない、もうけ主義的に人間の命まで犠牲にされてはたまったものじゃない、健康が大事だ、こういう立場に立ってきたためだと思うわけであります。
 そこで、きょうは厚生省の環境衛生局長、それから小島食品化学課長もおいでいただいておるわけですが、こういう事態を踏まえて一番国民の健康、命を守る直接のお役所としての厚生省のかまえは一体どうなのかということをお伺いしたいわけであります。そのかまえによっては、われわれとしても至急にこういう問題については法律をつくって規制せねばならぬ、これが国会の任務ではないかと思うのです。数年前から森下先生にもおいでいただいたりしてお骨折りをいただいておるのですから、私は特にそう思うわけであります。行政官としてどういうぐあいに考えておられるか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
○金光政府委員 食品による危害防止等につきましては、厚生省としましては、最近の社会情勢に対応いたしまして極力積極的な体制をとろうということで、いま検討いたしておるわけでございます。そういう意味で、現在の法規は、食品衛生法は衛生上の危害の発生を防止するというのが根本精神でございまして、その上に立ちまして、行政的な措置につきましても強化する、また、業者自体におきましても、自主管理を強化していくといった総合的な強化をはかっていきたいということで、現在検討いたしておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、公衆衛生上の危害防止以外の偽和食品あるいはうそつき食品といったようなものにつきましては、厚生省としては、現在指導という立場で行なっておるという範囲でございまして、これは公正取引委員会あるいは農林省関係と協力してやっておるのが現状でございまして、この問題につきましては、危害防止とあわせて、今後の問題として、従来いろいろと御意見もあるところでございますので、検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○三木(喜)委員 科学技術庁はどうですか。科学的な立場からこういう問題は見のがせないと私は思うのです。当委員会でももう何回もこの問題は取り上げておるわけですが、どういうふうに考えますか。
○鈴木(春)政府委員 科学技術庁で取り上げました考え方としましては、資源調査会でございますが、これは資源の総合利用というような観点で取り組んだわけでございます。現在食生活が非常に高度化して、できるだけそういったものが豊かになるというのが一つの望みでございます。それの一つの手だてとして、この添加物が使用されているわけでございますが、これを突き詰めてまいりますと、食品でございますので、これはもう国民の健康のもとでございます。そういう観点で健康を維持する、それを害さないという範囲内で考えていかなければならぬというようなことでだんだん詰めてまいりましたところ、問題点はやはり、どういうふうに持っていけばそういう害が出ないようなことができるか、その範囲内でこの食品添加物を使って、先ほど申し上げたような食生活をできるだけ豊富にしていくというような道を選んでいかなければならぬというようなことで調査ができたわけでございます。
 そういうことでございますから、できるだけこのベースになります国民の健康を害しないということを第一に考える、そういう観点で今後科学技術の点でも十分検討していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○三木(喜)委員 両参考人におかれては、対策をどのようにお考えになっておりますか。いま役所のほうからああいうような御答弁があったのですが、私は私としての意見を、いまお二人から聞きまして、率直に持ったのです。参考人のほうではどういうお考えをお持ちですか、お伺いしたい。
○森下参考人 先ほど申し上げましたように、私はいま一億反健康状態というような状態を招いた一つの大きな原因は、いわゆる食べものにある。食べものの中の特に食品添加物にあるというような考え方を持っているわけであります。
 最近いろいろな角度から公害問題が取り上げられておりますが、現在の時点では、まさしく食べものもたいへん有力な公害の一つになってしまった。食品公害という概念でこの食べものを取り扱っていかないと、うっかりしていますとたいへんなことになってしまう。そういう意味で、私どもは、こういうことを申し上げていいかどうかわかりませんが、国や厚生省にわれわれの命を預けていたのではどうなることか全くわからない。それで、われわれの命はわれわれの英知で自衛していこうというようなことで、現在自然食運動が静かなブームになってどんどん広がっていっているというのは、私はおそらくそういう考え方だと思うのです。私もこういう運動の展開に微力を尽くしてきた一人でありますが、こういう状態に追い詰めてしまったということは、全く私は情けないことである。もっとその前に国が適切な手を打つべきであったというふうに考えております。適当な手が打たれなければ、おそらくこの自然食運動というものは、もっともっと広がっていくに違いありません。また、私どもはそういう立場に立って、われわれの健康をほんとうに守っていくためには、われわれが危険な食品をやめて自然食だけでひとつ生活をしていこうというような、そういうグループが、最初は小さなグループであったわけでありますが、それがだんだん大きくなりまして、全国的な組織にいまなりつつあるわけであります。こういう運動が下から盛り上がってきたというところに、やはり考えなければならない大きな問題がひそんでいるのではないかというふうに思います。これは決して、国だけにもちろんその責任があるわけではございませんで、監督指導機関と、それから食品加工のメーカーと、それからやはり消費者と、三者がよく考えていかなければならない問題だと思います。その三者とも人間の健康という問題あるいは人間の生命という問題に対して、どうもいいかげんな程度までしか問題を考えていなかった、その結果がこういう事態に立ち至らせたのではないかというふうに考えております。
○郡司参考人 ただいま厚生省の方からのお話を聞いておりまして、私がまとめました二つのポイントを申し上げますと、食品が最近文明の進歩に伴って非常に複雑化しているということを再三お伺いしましたが、人間というものは万物の霊長ではありますが、あくまでこれは普通の動物であります。普通の動物が複雑化した――食品が複雑化していくということは、必ずしもこれは好ましいことではないと思います。食品が高度に複雑化していけばいくほど、いろいろな加工の方法によって食品添加物その他の複雑な工程を経なければならないわけで、ここに有害食品の基礎があると思います。われわれはもう少し戦前に戻ったような、いわゆる簡素化した食餌をとったほうが、からだのためにいいんではないかと思います。食品を複雑化してもうかるのは、消費者ではなくて、業者であります。したがって、この際、へんちくりんなようなことばでございますが、食品が複雑化してもうかるのは業者である。そうすると、厚生省のほうは、盛んに食品が複雑化する、複雑化すると申しておりますが、これは食品に対するちょっと納得のいかない考え方ではないか、こう思っております。
 同時にもう一つ、厚生省の方は、食品衛生法の基本は安全を守ることである、かようなことはだれでも知っておることであります。安全を守らない食品衛生法があったらたまらないので、これは子供の常識でありますが、安全を守るのが食品衛生法の基本でありますならば、十グラムぐらいで死んでしまう、あるいは十二、三グラムで即死してしまうような毒性のある薬品を食品添加物として許可していることと矛盾してはいないか、かように思います。
 先日、大阪のある座談会で、これは名前を申し上げますが、厚生省の食品衛生調査会の臨時委員の川崎近太郎先生と対談したときに、君は食品添加物を害だ害だと言うが、塩だってうんと食えば死ぬじゃないか、こういうことを申されました。塩は致死量がどのくらいであるかと聞きましたら、それはいまわからないと言うのです。私も、塩、あのしょっぱいものを死ぬほど食べるばかはいないと思いますが、五百グラムか一キロぐらいが致死量ではないか、そういうデータがあるかどうか知りませんが、しかし、五百グラムか一キロで死ぬ塩と、たった十グラムか十五グラムで死んでしまう食品添加物と一緒にして考えるところに、食品行政のいわゆるおくれというものを見ることができます。
○三木(喜)委員 私もやはり同じような考えを持つのです。エコノミックアニマルということがいわれておるわけなんですが、要するに、これは諸外国に対する日本の商業主義といいますか、そういうものに対する非難のことばだと思います。いまやエコノミックアニマルというものが自国の国民をさえ食いつぶしてしまうという、こういう状況になってきておるのではないか。これが、本問題が当委員会に提起され、そして検討される理由だと私は思うわけであります。したがいまして、厚生省のほうからも、いまああいう御意見も出ましたし、科学技術庁のほうからも意見が出たのですが、私は、こういう問題については国民の総意を結集し、英知を集めてその対策を立てる、そうして、仮借なしにそういうものを早く摘発するという体制をつくらなかったらだめだと思う。主婦会がわずかな費用で、しかも、わずかな調査機関で、食品に対して生命を守らなければならぬという立場からいろいろ調査をやっておられます。その他の機関もやっておられますが、そのことがやはり大きく国民の運動として盛り上がるために、厚生省あるいは科学技術庁ではもう手をこまねいておるときではないのじゃないか、こういうぐあいに思うわけであります。そういう調査機関あるいは研究機関をつくって、そして、法制審議会でいまやっておるところの公害罪というものとこれを結合させていく、こういうことが私は必要ではないかと思うのですが、石川研究調整局長ですか、鈴木計画局長ですか一いま石川さんは来ておられませんが、鈴木さんのお考えを聞かしていただいて、あと厚生省にまたお伺いしたいと思います。
○鈴木(春)政府委員 この添加物の問題は、利用のしかたによりましては、先ほど申し上げましたように、食生活を非常に豊富にできるという一つの可能性を持っているわけでございます。しかし、その使い方によりましては、いろいろの害毒の危険もあるわけでございますので、第一にその点を注意して使わなければならぬ、こういうような考え方でおります。
 そのためには、現在の体制、そういった点も十分検討する、今後やはり害のないような、しかも、十分に効果のあるそういった面の検討をするための研究体制といいますか、そういったものも十分今後考えていかなければならぬ。
 また、添加物のいろいろ開発にいたしましても、民間ではなかなかむずかしい面があるわけでございまして、先ほど森下参考人でしたかお話がございましたように、国がそういった添加物でいいものをさがすというようなことも必要じゃないか、科学技術を十分使っていくことによってその害を消していくことができるのじゃないかというような考え方をもちまして、研究体制、これは特に必要じゃないかというような考え方を持っております。
○三木(喜)委員 厚生省としては取り締まりの立場からどう考えられますか。こっちは研究体制ですね。研究をやっていって、その研究に合わして将来取り締まらなければいかぬですね、これは。そういうことについてどうですか。
○金光政府委員 食品添加物の取り締まりでございますが、これにつきましては、一つにはやはり食品添加物を許可するとか、あるいは再検討して削除するとかいった作業が必要でございまして、この点につきましては、従来も、先ほど申し上げましたように急性毒性試験あるいは慢性毒性試験もやっておりますし、また、再検討すべきものはして、削除していくべきものは削除していっておるわけでございます。そういったことをさらに強化していく。また、それに伴う国立衛生試験所等の整備も行なっていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
 もう一つは、違反食品等の摘発の問題でございまして、これは御承知のように、県あるいは政令市が責任をもって直接には行なっておるわけでございます。そういうことで、保健所をまずその拠点にいたしまして、保健所でそれを行なっておる。しかし、試験検査等の特に高度なものの必要なものにつきましては、各府県における衛生研究所が行なっておる。かような体制でございますが、これにつきましてもまだまだ人員、施設整備等におきまして十分でない面があるのでございます。こういった点も強化していきたいということで、いま鋭意努力しておる次第でございます。
○三木(喜)委員 いま調査の件と研究の点がありましたね。それについて法律的な公害罪の問題を私が提起をいたしました。ただ問題は、これを各府県にまかしておいて、保健所にまかしておいて今日の状況でしょう。したがって、麻薬については麻薬の取り締まり、交通違反をやったときには交通違反の取り締まりをやる。国民は各方面で取り締まられておるわけです。食品のほうでも、違反をしたものについての、どっちかというと食品関係の警察官、係官というものが摘発をするようなことにせなければ、これくらい広がってびまんしてきた今日では、押えがきかないのが現状じゃないですか。こっちを押えたらこっちが出てくる、こっちを押えたらこっちが出てくる。
 それから、厚生省、それから科学技術庁というものがこういうものについて非常にへっぴり腰である。たとえば、いままでだったら、アメリカの潜水艦が入って放射能について調べに行ったところが、いいかげんな調べ方をしておった。阿賀野川の事件が起こって有機水銀の問題が起こったということになると、いや、あっちだ、こっちだといって、いよいよ最後にそれに対して研究班をつくって、それが結論を出したのに、また科学技術庁ではあいまいなことにしている。どれが本物かわからぬようなことにしてごまかしてしまう。こういう企業にべったりの姿勢なり、アメリカにべったりの姿勢というものが、ついに今日のこういうものを私は招いておると思うのです。薬でもそうです。薬屋でも、もうけたいだけもうけて、そうして、害があるようなものをうんと国民に使わして金もうけしておる。これはまあきょうおいでいただいておるところの局長の所管範囲ではございませんけれども、やはりこれは厚生省の所管です。こう考えてきたときに、やはりゲーぺーウーといいますか何といいますか、食品衛生に関するところの取り締まり官、麻薬取り締まり官のように、企業側を取り締まったらどうですか。国民の側はいろんなことでもう取り締まられておるのですよ。スピード違反をしては取り締まられ、麻薬を使った、これはまあ国民のからだを守るために取り締まる。いろんなところで取り締まられておる。身動きができないようにしておいて、そうして、毒物の食品をうんと食べさす。これでは国民は、手をくくられてそういうもうけのために毒物を食べさせられておるようなものです。これでは困りますので、そういうことをいまお二人が言われましたが、厚生省とそれから科学技術庁と、どこでどういうぐあいにして具体化するか、研究は必要でございますとおっしゃいます。あるいは、取り締まりは必要でございますということでおっしゃいますけれども、今日までそれができなかった。まだどんどんとそういうものがはびこってくるというようなことでは困りますので……。これは強力な省ではありません、厚生省や科学技術庁というのは。もっと予算を持っておるとか、あるいはまた、非常に強い権限を持っておるところの省庁ではありませんけれども、それだけにやはり主張してもらう必要が私はあると思う。これについて御決意を聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
○金光政府委員 食品衛生対策の強化と申しますか、国民に対する食品による危害防止につきましては、極力努力しておるつもりではございますが、御指摘のように、まだ十分ではない点もあるわけでございます。
 それで地方における監視体制の問題でございますが、これはやはり違反食品は収去いたしまして、違反食品となればこれは処置を行なっておるわけでございます。この点につきましてはやはり人員も必ずしも十分でないというようなことでございますが、保健所等におきます衛生監視員の人員配置につきましては交付税交付金に入っておるわけでございまして、それも昭和四十四年度におきましては若干の人員の増をはかったというようなことで、現在各県におきまして若干ずつ人員を増加しておるというような結果はあらわれてきておるわけでございます。
 それともう一つ、食品監視と申しますのは、やはり一つの企業体に毎日人をつけておくというわけにはまいらぬわけでございますので、企業体自体の自主管理という体制を強化するという方策も必要であろうと思うわけでございまして、そういう意味では、食品衛生管理者という制度も活用いたしまして、重要なところには置かせる、そうして、いろいろと業務の上におきましても記録をきちっと残しておくとかいったようなことで、間違いのないような体制をつくるということも必要であろうかと思っております。
 そういうようなことで、やはり役所と企業体、国民、消費者三者がそれぞれの立場で協力してやっていかなければ、この食品衛生問題は解決つかない、かように考えておるわけでございます。そういう意味で、そういったようなきめのこまかい体制も強化したいということで、いま検討を進めておるようなことでございますので、御了承願いたいと思います。
○三木(喜)委員 非常にまじめで、そうして穏当な御答弁ですけれども、要するに、公害担当官を二人か三人かふやすのに対しては、あるいは公正取引委員をふやすとか、こういう問題については政府は非常に消極的なんです。自衛官とかあるいは警察官をふやすというと五千、六千、ぽかぽかふやすわけなんです。それはやはりあなた方が国民を守るという立場に立って主張してくれぬからじゃないですか。自衛官やあるいは警察官は、また別の意味で国民を守るというておるんですけれども、内なる敵に対しての守りもせんとって、中の国民の体位、健康というものがおかされておって、これは一体どうなるのかということになるんですね。あなたのおっしゃるようなことをもう少し演繹いたしますと、自主規制をせなければいかぬし、そういう企業にべったりひっついていられない。ひっついていられないのなら、それらのつくった食品がずっと出ておるんですから、それを検査したらどうですか。やっておるでしょう、いま。その手が足らぬというんでしょう。その手をふやすところまで積極的に――局長さんなんかが、やはり国の政治を動かしておる一番中核じゃないですか。そこらでがんばってもらわなければ私はだめだと思うんです。人が足りませんのやけど、足りませんのやけど、こう言っておられたのでは話にならぬと思います。そういうようなのは、もう四十五年度の予算を要求せんならぬのでしょう。八月でしょう。それでいままだそんな姿勢で、足りませんのやけどまあ大体やっております、国会答弁をのがれるだけでは話は済まぬ。国民の健康なりあるいは命は守れぬわけでしょう。そんなふうに言っておる間にも、おかしなものを食べて、日本人の体位をどんどんそこなっていっておると私は思うんですね。あすと言わず、きょうからやらなければならぬ仕事だと思いますので、そういう決意では私は困ると思うわけです。もう少し強い決意に燃えて臨んでもらわなんだら、これはだめですよ。厚生省と科学技術庁とよくお話しをいただいて、予算編成期に入ってきましたから強力な対策を打ち出していただきたいと思います。それを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○石田委員長 次に、近江巳記夫君。
○近江委員 森下参考人にお聞きしたいと思います。
 五月十四日のNHK「生活の知恵」、これは非常に大きな反響を呼んだわけでありますが、その中で、森下さんは、着色料を体内に入れると血液が着色する、このように実物を持ってきて説明なさったわけでございますが、その点で二、三聞いてみたいと思うのです。
 一つは、健康な人でも必ず染まるかという点。それからまた、成人の場合、どのくらいの分量でそのようになるか、この二点について初めにお聞きしたいと思うのです。
○森下参考人 血液が食品添加物、特に着色料によって染色されるということは、私どももう十二、三年前から気がついておりまして、ここ十数年ずっと観察をしてまいりました。
 健康なからだでは、色素の種類にもよりますが、わりあい早くからだの中で処理されまして、血液からすみやかに体外に排せつされてしまうというようなこともございます。それから、体力が弱っている場合、特に肝臓の機能の障害などを起こしているような場合には、からだの中に長く停滞をする傾向がありますので、一がいにどれぐらいの量をどれぐらい食べればどうだということは申し上げられません。
 ただ、一般的な傾向としてはっきり申し上げられますことは、正月あたりに採血をしました血液は、正月は特にアルコール分がたくさんからだの中に入って肝臓機能、じん臓の機能あたりがたいへん弱っているというようなことももちろんあるわけでありますが、血液の血漿の色が赤や緑や黄色に染まりまして、非常にはなやかな色に変わってしまう。ほんとうは血漿というのは薄く、多少黄色みを帯びた、大体透明な感じのものでありますが、この血漿にそういう色がついてくるということは、私、ここ十数年毎年観察している事実であります。正月になりますと特にそういう傾向がひどくなります。
 ただ、色素の種類がいま変わってきております。私どもが十数年前に、なぜこんなに血漿に色がついているのだろうということで色素を抽出いたしまして、そして検査を行なったときの色素は、たとえば黄色の場合ですと、オーラミンが圧倒的に多かった。それから、赤の色素はローダミンBという、両方ともタール系の色素で、現在では食品添加物の中から一掃されておりますが、当時は入っておりまして、認可されていた状態でありますが、そういうときには、この両方の色素が血液の中にかなりはっきり出ておりました。現在は、たとえば赤色一〇四号あたりが非常に多い。そういう色素が血液の中にどうしても残りやすいというように、色素の種類は変わってきておりますけれども、その人のからだの状態によって、非常に長く血液の中にこの色素が停滞をしたり、健康であれば早くからだから排せつされたりするというようなことでございまして、どの程度の量をどれくらい、いつ食べればどうなるかというようなことを一がいには申し上げられない状態であります。
 ただ、これは食べたものでありますから、必ず一時的には血液の中に吸収される。問題は、血液の中にどれくらい長い時間とどまっているかということが問題になるわけでございまして、これはからだの中の内臓機能と大へん密接な関係があるということであります。タール系の色素をからだの中に、血液中に血漿を肉眼的に見て、血漿が染まっている状態がはっきり鮮明にわかる程度というのは相当な量であります。こういう状態はもちろん体細胞に対してきわめて危険な影響を与えておるわけでありまして、これはわれわれ十分に考えなければならない問題だと思います。
○近江委員 この着色料が血液中に入るということは先ほどの御説明でわかったわけでございますが、その他の食品添加物も血液中に入るかという問題です。
 それから、そうしたものが血液中に入ると結局生理的にどういうような結果が出てくるか、その辺のところをひとつ。
○森下参考人 これは肉眼的に、色素の場合には、はっきり識別できるからよろしいのでありますが、おそらく透明な他の食品添加物も同じように相当大量にわれわれのからだの中に入り込んでいると考えるのが妥当であります。これは肉眼的に目につかないので見過ごされやすい問題でありますけれども、現実の問題としては、かなり大量のものが入っているというふうに考えられます。
 われわれのからだに対して、どういう影響が与えられるかということでありますが、これはそれぞれ化学薬物の特性というものがございまして、神経系統に親和性を持っているもの、あるいは他の内臓の器官に親和性を持っているものがありますので、どうだということは一がいには申し上げられませんけれども、大体まず肝臓機能をおかして、それから、じん臓機能にも有害な影響が与えられるということは、一般論として申し上げてよろしいと思います。
 われわれのからだというものは自然物でありまして、非常にデリケートなバランスを保ちながら生活活動というものを営んでいるわけであります。人間がかってに試験管の中でこしらえたような化学物質をわれわれのからだの中に無神経に入れるということは、それが食品添加物であろうが、化学薬剤であろうが、これは原則として避けるべき問題であります。私はそういう考え方で、化学物質は原則としてからだの中に入れてはいけないというたてまえで健康運動というものをやってきたわけであります。したがいまして、私は薬というものを使いません。私のところには全国から病気相談でいろいろな方がおいでになられますけれども、化学薬物というものは、食品添加物もそうでありますが、われわれのからだに大なり小なり有害な影響を与えて、またその影響がないものであれば、実際に薬としてきかないわけであります。そういう考え方で、化学薬物というものは原則としてからだの中に入れてはいけないという考え方でものを考えておりますので、もちろん食品添加物もからだの中に入れるべきではないはずであります。これはもう必ず有害な影響が大なり小なり与えられていく。特に食品添加物の場合には、毎日毎日少しずつ長い時間とっておるわけでありますから、気がついたときにはもう取り返しのつかないことになっているということにとかくなりがちでありますので、この点もわれわれ十分気をつけなければならない問題だというふうに考えております。他の食品添加物も大いに入っている可能性はあるというふうに私どもは一応見ております。
○近江委員 それから、先ほども胎児のことがちょっと出たわけですが、胎児に対してどういうような影響があるかというところをもう少しお聞きしたいと思います。
○森下参考人 これも、私のいままで書いた本の中にいろいろそういう点を指摘しておりますが、胎児が持っている時間というものと、それから、われわれが考えている時間というものとは、時間の概念が全然違うわけであります。御存じのように、胎児というものは、受精をした瞬間から十カ月で一応一人前の人間に発育をするわけでして、これは人間の歴史の大体三十億年の時間を繰り返しているわけであります。十カ月で三十億年の時間を消費しているわけでありますから、これを計算しますと、大体一日二十四時間が一千万年くらいに相当するわけであります。それくらいずつ消費をして、十カ月で三十億年の時間を経過して、そして一人前の人間になるわけであります。ですから、胎児の時間というものと、われわれの持ち時間というものとは概念が全く違うわけであります。したがいまして、たとえば、母親が妊娠中にウイスキーをたくさん飲みまして、三日間酔っぱらっていたとかりに仮定いたしますと、母親はたったの三日間だけ酔っぱらったことなのかもわかりませんが、実は胎児そのものは、これは一千万年の三倍ですから、三千万年酔っぱらいの状態に置かれていたということになるわけであります。したがいまして、胎児に対する影響というものは、もう、ちょっとした影響が非常に鋭敏に響いてくるわけでありまして、胎児に与える影響というものは、これは母体に、あるいはわれわれの生体にいろいろな薬物作用が与えられるという問題とは全く切り離して、別個な次元で取り扱って考えるべき問題であります。このことを無視しているために、現在どんどん奇形児やら何やら、そういうおかしな子供が、いま、精神異常者もそうでありますが、精薄児もそうです。そういう子供たちがたいへんふえてきているというのは、私はおそらくこの食品添加物の問題と大いに関係があるというふうに見ております。
○近江委員 それから、従来食品添加物の慢性毒性の試験の場合、そうした食品添加物が血液中にどのように流れ込んで、どういう結果を及ぼすか、そういうようなテストは行なわれておるわけですか。
○森下参考人 行なわれておりません。これはネズミだとかラットを使って、致死量がどうであるとか、ごく表面的にいわゆる薬理作用がせいぜい検討される程度であります。人間のからだに対して、ましてや胎児に対してどういう影響が与えられるかというようなところまで検討しておれば、おそらく現在公認されている三百五十八種類の食品添加物の大部分が、私は禁止になると思うのです。そこまでやっていないために認可されているんだというふうに見ております。
○近江委員 郡司先生からも、先ほどいろいろとお聞きしたわけでありますが、いずれにしても、両参考人から、食品添加物というものについての非常に危険な、そういう御意見を賜わったわけでありますが、私も昨年のちょうど三月の二十一日だったと思いますが、本委員会におきまして、例のサリチル酸の問題をはじめといたしまして取り上げたわけでありますが、あのときにも、今後は積極的に取り組んでいくというようなお話があったわけです。しかしながら、私もこの間から、この調査報告を出されておったわけですが、あれをざっと目を通しました。しかしながら、われわれとしては納得のできない、そういうものが非常にあるわけなんです。
 どういう点にそれを感じたかと申し上げますと、一つは、この答申された「食品添加物に関する調査報告」、それを政府として妥当なものであるとお考えになっていらっしゃるかどうか、これが一点です。
 それから、報告は、今後の趨勢として食品添加物の役割りというものは増加する、こういう見方をなさっているわけです。しかし、これはあくまで、何か業界に迎合的な姿勢のように思うのです。しかたがないじゃないか、大勢に押されていくという肯定のそういう姿勢、このまず二点について政府からお聞きしたいと思うのです。厚生省と両方……。
○鈴木(春)政府委員 資源調査会の報告でございますが、これの報告は、最初の取り組み方といたしまして、世論調査から始め、一日摂取量の調査、あるいは添加物の製造状況、そういった広範な調査から始めて、四十一年から継続して五月に完成したわけであります。その間、専門委員の中でいろいろ検討され、その結論が出たわけでございますが、われわれそれを見まして、内容としましては十分検討されておるというふうに一応考えております。
 私どもとしましては、これをどういうふうに実際に移していくか、これは科学技術庁といたしましては、実施機関の手足がそうないわけでございますので、大部分関係各省に要望いたしまして、その実行方を進めていただくということになろうと思います。また、研究問題につきましては、当庁におきましても、できるだけお手伝いができるのではないかというふうにも考えております。そういうことで、今後はどういうふうに実行していくかということにかかると思いますので、その点は、われわれのほうでも関係各省と十分相談しながら進めていきたい、かように考えております。
 それから、役割りの増加でございますが、この点につきましては、客観的には、こういったものの必要性、需要といいますか、そういう面が多くなるということはいわれると思います。しかしながら、それを満たすために何でも使っていいということでは絶対にございませんで、その基本になります健康上無害である、使わないでいいものは使わないというその原則にもとるようなことは、絶対あってはならないわけでございまして、そういった意味で、必要性に応じてその原則にもとらないようなものを今後さがしていく、使い方を考えていくというような姿勢で臨むべきである、かように考えております。
○金光政府委員 第一問のサリチル酸の問題でございますが、これは、御承知のように、国立衛生試験所でいろいろ検討は進めてまいっておるわけでございますが、現在の使用基準と申しますか、〇・〇二五%という、いままで使っておるという量におきましては、まずは害はないということでございますが、このサリチル酸本来の性格からいいまして、やはりより安全なものが望ましいわけでございまして、この点につきましては、そういった方向に改善されるように指導してまいりたい、かように考えております。
 それから、添加物が今後ふえていくかどうか、また、それに対する考え方はどうか、こういう御質問だったと思いますが、添加物につきましては、食品衛生法におきましても、必要最小限度に認めていくという精神は持っておるわけでございます。そういうことで世界農業機構FAO、あるいは世界保健機構WHOにおきましても、いろいろ添加物問題を検討いたしておるわけでございまして、それと十分連携をとりながら、安全であり、かつ国民の食生活上必要である、利点があるといったようなものにつきましては、最小限度において認めていくことが妥当であろうと考えるわけでございますが、全般的な考え方としては、必要最小限度にとどめていきたいというのが考え方でございます。
○近江委員 ことばではどうでも言えるわけであります。しかし内容自体はむしろ、必要最小限度認めていくというようなことよりも、趨勢としてはふえていくであろう。しかし害がなければいいんだ。極端にいえば、そういうような感じにとるわけです。報告を見ますと、食品添加物が、資源の有効利用と食生活向上のため必要であることを正しく認識させるよう啓蒙すべきである。このようにいっておるわけでありますが、そういう単純にPRをしていくに値するものであるかどうか、これは非常に一方的な評価のように思うのです。むしろ、いま両参考人の御意見を聞けば、食品添加物なんというものは危険なものだ、そういう御意見を述べられたわけでありますが、その辺のところは、どのようにお考えになっていますか。
○鈴木(春)政府委員 現状におきましては、この食品添加物は非常に使われている実情でございます。その実情の中でいろいろな害が出てきておるというようなことでございますので、現在の立場からいたしますと、そういった害を少なくとも減らさねばならぬということで国民の啓蒙、正しい使い方、そういうことはやはり十分承知してもらわねばならぬということがいえると思います。
 今後の問題としては、先ほどからお話がございますように最小限度使っていくというようなことの考え方に立つべきである、かように思っております。
○金光政府委員 PRの問題でございますが、PRという考え方はやはり添加物の正しい知識を普及すると申しますか、そういったことが必要であろうと考えております。害はまずはないと考えるけれども望ましくはないという範囲のものもございましょうし、また、これは全然害がない、不安を抱く必要もないというものもございましょうし、そういったような意味で、正しい知識を普及していくということが非常に重要な問題ではないか、かように考えております。
 それから、必要最小限に添加物はとどめるべきものであるということは、やはり量が多ければ害があるというような性格のものが中にあるわけでございますから、そういったような観点からも考えまして、できるだけ必要最小限にしていくべきだ、かような考え方でございます。
○近江委員 結局、報告は、資源の有効利用、それから経済性を食品添加物のメリットにしておるわけでありますが、非常に経済第一主義に走っておる。結局、それでは、先ほど両参考人からいろいろな話がありましたけれども、いまの説からいけばやめなければならぬですよ、これは。そういう点から、このわれわれの健康に与えるそうしたデメリットというものを、非常に意識的に無視しているような表現じゃないかと思うのです。皆さん方いまおっしゃっていることと書かれている内容とはだいぶ違うのですよ。どうなんですか、それは。人の健康ということを真剣に考えているのですか。経済第一主義とどっちが大事なんですか。
○鈴木(春)政府委員 調査会の考え方といたしましては、資源の有効利用という立場から出発した点もございますが、調査の内容といたしまして、やはり添加物の問題につきましては、国民の健康のために害にならぬということが前提になるわけでございます。したがいまして、この調査の結果からいきましても、そういう観点の結論に終始しておるというような状況でございまして、決して経済面を重視するとかいうようなことに終始したものの結論ではございません。あくまでもそれをやるためのベースといたしまして、十分そういった健康の問題、害にならぬというような点を十分確認した上で今後利用していくという観点に立った報告でございます。
○近江委員 要するに、害にならない、そういうものにしていく。先ほど厚生省のお話があったのですが、たとえばWHO、世界保健機構ですね、ここで禁止されているものについてはそういうことをやめる方向に持っていくといまも言われた。去年の三月に私が取り上げたサリチル酸の問題にしたって、日本だけですよ、あれを使っているのは。いつやめるのですか。
 さらに、先ほど郡司さんが発表された、アメリカでは禁止されておる、日本ではこのように使っておる。当然WHO機構でいろいろと禁止されておることがたくさんあるわけでしょう。WHO機構で禁止されておるもので、わが国で使用しておるものは何種類あるのですか。
○金光政府委員 FAOとWHOの中に添加物専門家委員会というものがございますが、そこで出します内容は、禁止するとかどうとかいうことでないのでございまして、それに対する評価とかあるいは検査するものさしとか、そういったものを扱っておるわけでございます。そういうことでございますが、厚生省からもそこの専門委員には加わっておるわけでございまして、終始連携をとっておるわけであります。
 それでサリチル酸の問題でございますが、日本のお酒の中に入れておるということ、これは日本のお酒という特異性もあって、明治時代から使われておるということでございますが、これにつきましては、何とか改良したものを使用するようにしたほうが望ましいのではないかということで、そういう方向でいま研究等も進められておるということでございまして、私どもとしては、近い時期におきましてそういったようないいものに改良されるであろうということを期待しておる状態でございます。
 それからWHO、FAOとの関係で、外国で使っていないが日本で認めておる添加物ということで、先ほど来色素の一部の問題、ニトロフラン誘導体の問題等が出ておりますが、色素等につきましても、外国であまり使っていないものにつきましては従来検討してまいりまして、たとえば、赤色一〇二号、一〇五号、一〇六号というようなものにつきましては一応結論を得まして、少なくともこれは発ガン性はないというような安全性が確保されておるわけでございます。それから一〇三号とか一〇四号につきましては、これも理論的には赤色三号と同じような性格のものでございますから、まず心配ないと考えるのでございますが、念のためにこれも再検討していこうというようなことで、WHO、FAOとの関連を考えながら再検討していく、かような状態でございます。
○近江委員 その勧告を――それじゃこれは好ましくない。サリチル酸をはじめとして、そこで問題になったものを日本ではどのくらい使っておるのですか。そのくらいのデータを少なくとも厚生省はきょう持ってきておるでしょう。
○金光政府委員 WHOから勧告と申しますか、注意がございましたのはズルチンの問題でございまして、ズルチンはことしの一月一日から製造禁止になっております。
○近江委員 それじゃ、これはズルチンだけですか。そこの会議でいろいろな話が出ているでしょう。そんな簡単なものと違うでしょう。
○金光政府委員 正式に勧告があったのはズルチンだけでございます。
○近江委員 だから、そこで、正式な勧告と同時に、いろいろ委員会で好ましくないという報告が出た、そういう報告が出たことに対して日本が使っているのはどのくらいあるかということを聞いているのです。
○金光政府委員 食品化学課長がその専門委員でございまして、その席に出ておりますので、食品化学課長から説明させていただきます。
○小島説明員 私、FAOとWHOの食品添加物専門家委員会の委員として出席をしておりますので、御説明申し上げます。
 現在、FAOとWHOは、世界じゅうの毒性の専門家及び食品添加物の品質規格の専門家を集めまして、各国で使用いたしております食品添加物の毒性と品質について評価を行なっております。その評価は、毒性の資料を集めまして、一日の摂取安全量というものを計算しておるわけであります。一日にこれだけはとってもよいという量をその再門家委員会のものさしに合わせまして出しておるわけでございます。私ども、その評価の出ましたものについては、日本人の摂取量がそれ以下になるようにということで使用基準を作成しております。
 ただ、そういう評価をする際に、発ガン性のあるようなものについては、委員会として好ましくないということで勧告を出した例がございまして、これはズルチンでございます。これは一昨年の専門家委員会で勧告が出まして、私どもさっそくズルチンを禁止したわけでございます。それから、その専門家委員会では食品添加物を各国で指定する際の基準というものをつくっておりまして、実は、私どもも、私どもの国内でもそれを準用いたしまして、試験をいたしまして、そしてその結果悪いものは切るということで、ここのところずっと削除の品目を落としてきておるわけでございます。私どもとしては、現在あるものについてはほとんどがそういったものさしで見て問題がないと考えておるわけでございます。
 しかしながら、食品添加物についてはより安全なものがあればそういうものにかえていけということも、専門家委員会の一般ルールとしてございますので、いいものが出ればそういうものにかえて、より安全なものにしていきたいというふうに考えております。
○近江委員 たとえば、より安全なものにかえていけ、サリチル酸の質問を私がしたときに、全力をあげてこれについては新しい製品を開発するとあなた方は答えた。できるだけそういう方向にやっていこうという、これが積極的に取り組んでいる態度と言えますか。厚生省、どうなんですか、その経過は。
○金光政府委員 もちろん積極的に考えておるわけでございまして、現在検討されつつあるものがあるわけでございます。それにつきましては、かなり評価できるような結果になることを期待しておるということでございまして、非常になまぬるい答弁でございますが、私ども厚生省の立場でも、決して軽視しておるわけではないのでございまして、積極的に考えておるわけでございます。
○近江委員 だいぶニュアンスが変わってきたわけですけれども、これだけ多くの人がやはり――まあ多く飲む人もあれば、少ない人もある。多い人は、現実に肝臓だってやはり酒飲みは相当やられておるわけですよ。ほっておけないですよ、こういう問題は。大体のめどというものはあるでしょう。やっておりますけれども、できませんでした――ゼスチュアだけでやっておるのかどうかということです。本気になって、やる気になってやっておるのかどうかということだ。大体のそういう結果をいつまでに出しますか。大体のあなた方の考えておる計画を言ってください。
○金光政府委員 現在検討いたしておるのが二、三あるわけでございますが、やはり催奇形試験といったような試験、検討もしなければならぬわけでございます。そういう意味におきまして、やはりこれは科学的にもなかなか厳密な検査を必要とするというものでございますし、現在の段階におきまして、その中で希望のあるものがあると、かりにいま考えておりましても、やはり技術的には非常にむずかしい問題だろうと思います。そういう意味で、いつの日にこれがより改良されたものが出てくるということをはっきり申し上げることは非常にむずかしい問題でございますが、できるだけ早くそういったものが出てくるような方向に努力してまいりたい、かように考えております。
○近江委員 先ほどの両参考人の御意見、あるいは私たちが勉強した範囲でも、そういう食品添加物で健康上無害であるというようなものは一握りしか私はないと思う。ほとんどは大なり小なりそういうような影響があるわけです。したがって、積極的に整理をしていこうという方向にならなければだめじゃないですか。この調査の報告書を見たって、むしろ、しかたがないというような方向じゃないですか。厚生省をはじめ、あまりにもそういう業者に迎合しておる。国民の健康をどう考えていますか。私が前にそれをやったときにも、何かそういう問題を取り上げることが小さいような考え方を持っておるような、そういう空気があった。私は、それを打ち破りました。何よりも考えなければならないのは人の生命であり、健康じゃないですか。それが現実に、いま両参考人からお話があったように、公害である、われわれの健康をむしばんでいっておる。当然抑制しなければならない方向に持っていくのがほんとうじゃないですか。ですから、そういう点で、私は、ここで食品添加物をはじめ真剣に総点検をやってもらって、積極的に整理に乗り出すべきだ、このように思うのです。科学技術庁と厚生省と……。
○鈴木(春)政府委員 近江先生のおっしゃるとおりに私どもも考えておるわけでございまして、この添加物の問題、これは科学的にも、学問的にもまだ未解決の問題もずいぶんあるのじゃないか、こういうふうに考えております。しかしながら、この添加物を利用するという観点では、世界的にもやはりある程度容認されておるわけでございまして、容認されておる範囲というのが、やはりおっしゃいますように、健康を害さぬ、毒にならぬというところが根拠でございます。しかしながら、今後また科学技術が発達するに伴いまして、いろんな問題が出てくるかとも思います。そういう点もございますので、常にこの添加物の使用につきましてはモニターをしていかなければいかぬ、こういうふうに考えております。そういう観点でも、研究機関あるいは試験機関、こういったところの充足というものがやはり根底になるという考え方で、その点を強くわれわれのほうとしては考え方を打ち出したのでございます。(近江委員「総点検をやるの」と呼ぶ)個々の認可の問題につきましては、厚生省のほうで同じような考え方で処理されておるわけでございますので、私どものほうとしては、直接それについて口を差しはさむという関係ではございません。
○金光政府委員 添加物等の総点検と申しますか、再検討につきましては、御承知のように、昭和三十八年に厚生省に食品化学課を設立いたしまして、こういった添加物等に対しましての体制を強化したわけでございます。そういうことで、それ以来、添加物につきましてはいろいろ再検討をしてまいっておりまして、御承知のように、三十九年には三品目、四十年には四品目、四十一年には七品目、四十二年一品目、四十三年一品目というように、添加物の削減を行なってきておるわけでございます。まあそういうことで、先ほど来のお話のように、FAOあるいはWHOとも連携をとりながら検討を進めておるということでございまして、これで特に問題になるようなものは、おおむね検討が終わる時期に来ておりますが、なお、これからさらに引き続き詳細に検討を続けていきたい、かように考えております。この添加物の問題は、厚生省の立場におきましても非常に重要なものとして考えておるわけでございまして、今後とも積極的に努力してまいりたい、かように考えております。
○近江委員 厚生省のいまの答弁はいいとして、科学技術庁は報告書まで出しておるのですよ、責任官庁として。そういう点検とか、そういうことは厚生省がやるのだ、そんな無責任なことがありますか。あなたは担当局長として、当然、こうしてもらいたい、私たちもこうしていきたいという最高責任者としての、あなた、意見があるでしょう。そんな無責任な、管轄が違いますからこっちにまかせます、それでいいのですか。
○鈴木(春)政府委員 科学技術庁の考え方といたしましては、この資源調査会から報告が出た、そういったものをベースにいたしまして、今後それを行政に反映させるという方向で関係の各省と御相談をするわけでございます。その間におきまして、この精神が貫かれるように十分ひとつ御相談を申し上げ、また、われわれのほうとして援助できることはお手伝いするということで実行していきたい、推進していきたい、かように考えておる次第でございます。
○近江委員 ですから、その報告書の内容が非常に手ぬるいというわけですよ。そういう強力な姿勢が感じられないというのです。これは報告書だけに基づいて、それでいく構造であれば、当然根本の基本的な姿勢がここに盛られておるのですから、それから出てくる構造だって消極的なものになるじゃないですか。それじゃいけないということを言っているのです。
 しかも、さらに、天然食品主義について非常に誹謗的な内容の部分があるわけです。これは三百三ページです。「天然食品は必ずしも衛生的、品質的、栄養的にすぐれているものではないので、天然食品主義を唱える人が、はたして食品添加物の効果と安全性に関して正しい認識をもっているか」疑問としている。これは両参考人に私は聞きたい。これは皆さん方に対する挑戦ですよ。両参考人から御意見聞きたい。
○郡司参考人 それに関連していまの先生の御質問に答えますと、いまの近江先生のいわゆる自然食品に対するお話は、ちょっとばかばかしくて答えられないような内容でございます。先ほど申し上げましたように、人間というのは普通の単純な動物なんですから、自然のものを食わなければ長生きもしないし、これはもうあたりまえの事実です。変な複雑なものを食えば悪いということは常識であります。したがって、あほらしくて答えられないようなことでございます。
 もう一つ、サリチル酸の問題につきまして、近江先生の御質問に対しまして厚生省だと思いますが、サリチル酸は〇・〇二五グラムだから、量が少ないから無害だ、あるいは無害に近いということを仰せられましたが、しかしながら実際においてサリチル酸とかニトロフラン誘導体のような毒性の強いものは、確かに使用基準は少ないのでございますが、それを使用しているとうふ屋とかあんこ屋、日本じゅうの零細企業のとうふ屋が、はたして正確なてんびんを置いてグラムまではかつてやっておるかどうか、そういうことを厚生省は知っているかどうか。目分量でおそろしい毒性の強いものを入れているという可能性が十分にあるわけです。いわゆるつけもの屋にしても、とうふ屋にしても、あんこ屋にしても、てんびんなんか持ってはかっているようなところは、大中企業以外はほとんどないのじゃないか。薬は薬局で買うにも薬剤師の処方が要りますが、薬にも匹敵するような毒性のある食品添加物をとうふ屋のおやじさんやっけもの屋のおやじさんに、そう言っちゃ悪いですが、衛生教育を受けていない人にまかしておいていいものかどうか、あるいはサリチル酸も、発表によりますと、二倍も三倍も入れている業者がときどき摘発されております。こういったことをよく知っていて言わないのか、あるいは知らないのか、たいへん疑問に思う次第でございます。これだけでございます。
○森下参考人 自然食運動がいまなぜ広がってきているかということにつきましては、さっきお話を申し上げました。私どもは食品公害からのがれるためにやむを得ず自然食運動というものに関心の目を向けて、そして、細々とそういう自衛手段を講じているわけでありまして、こういう状態に私どもを追い込んだということは、全く厚生行政の無為無策の結果だと思います。そういう方たちが、自然食運動というものは、栄養的に見ても全くナンセンスだという考え方を持っておられるということも、一部私は知っております。医事評論家の中にもそういう考え方を持っておられる方がおられますが、そういう考え方がわれわれの健康問題を実はなしくずしにしているのでして、これはぜひとも頭の切りかえが必要です。そういう頭脳では、われわれ国民の健康を預けるわけにいきません。そういう意味で、第一歩から、食べものとは一体われわれのからだに対してどういう価値を持っているものであるか。私は食べものというものにつきましては、現代栄養学とはだいぶ違った考え方を持っております。新しい食品に対するそういう正しい考え方というものをまず担当関係者にしっかり持っていただくということがどうしても必要になってくるんではないか。これは問題を自然食運動だけに限定をいたしますと、われわれはやむを得ず追い詰められてこういう運動に発展をしてきているということでありまして、これはもうそうなる前に、もっと積極的に、前向きの姿勢で国の食品行政そのものがしかるべき手を打って、こういう運動にならないように、ほんとうはしかるべき手を打ってほしかったわけであります。私ども十数年こういう運動をやってまいりまして、ようやく自然食運動というものが全国的になってまいりました。これに水をぶっかけるようなしぐさに対しては、私たちは断固許しません。
○近江委員 この一節を見ても、いかに、先ほど両参考人からもお話があったそういう政府の姿勢というものが、でたらめな姿勢でやっておるか、はっきりしておるわけです。ここで、食品添加物入りの食品のほうが栄養があって安全である、こういうことであなた方はこれを書いているのですか。両局長から答弁してください。
○鈴木(春)政府委員 近江先生から御指摘のこのパラグラフにつきましては、多少表現についてどうかと思われる点があるわけでございますが、ここで言っておりますのは、現在もはやある程度の食品添加物、そういったものを利用しなければ、現在のようなこういった豊富な食生活は非常に困難になってきているというようなことを言いたかったのではなかったか、こう思います。現在としましては、もうすべての添加物を否定するというようなことはほとんど成り立たないのではないかというように考えるわけでございます。先ほど、とうふの例が出たわけでございますが、とうふをつくるには、やはりにがりを入れなければできないというような観点がございまして、何がしかやはり添加物を利用していくということが基本に、食生活ができ上がってきている、将来もそれをもとにくつがえすということは非常に困難ではないかというふうな観点に立ちますと、やはり食品添加物、これを消費者として、われわれとしまして十分に利用していける、害にならぬように使っていく、使い方の問題でございますので、そういった意味で、直ちに自然に返って天然食品のみでなければならぬというふうには一がいには言い切れぬ、かように考えておるわけでございます。
○金光政府委員 この報告書は調査会でつくった報告書でございまして、私ども直接参画していないものでございますので、このところが具体的にどういうお考えであるかということを私から申し上げるのは適当でないと思うのでございますが、私がこの報告書をいただきまして考えておるのは、これはやはりここに「必ずしも」と書いてあるというわけでございまして、結局は添加物もやはり一つの有効な面はあるのだということで、そういった意味の表現でここは書かれておるのであろう、かように思っております。
○近江委員 両参考人が先ほども御意見を述べられましたが、正しい認識を持てばこそ、これだけの叫びをなさっているわけですよ。それでは、いまそのことについてはあなた方は、これは調査会の人がつくったから、先ほどの、またその前の話では、調査会が出されたこの精神を尊重してこれをやっていきます――それじゃあなた方は、真剣に出された調査会のことを内容自体勉強していないじゃないか。当然そういういろいろな疑問点があるならば、それだけの人命を守り、健康を守る、そういう意思があるならば、この調査会のところの意見はちょっとおかしい、当然あなた方はクレームをつけてあたりまえじゃないですか。私たちが直接参画していないから――何かといえば、すぐにそういう無責任な、逃げることをやる。同じですよ、これは。いままでだって合成洗剤問題一つにしたって、歴代の厚生大臣が二人も、これは非常に害がある、すぐに研究をやって調査をしろ――どれだけあなた方は動いていますか。また先ほどから、血液の話も参考人からお聞きしましたけれども、そういう実験も全然やっていない。マウスやラットだけで実験をやっている。慢性毒性だって、どのくらい大きな害があるかわからないですよ。簡単なそういうふうな実験をやって、害がない――現実に学者は害があると言っているじゃないですか。最高権威者ですよ、きょう来られている方は。あなた方は国民が大事なのか、業者が大事か、どっちですか。あなた方がそういう姿勢なら、幾らやったってこれは進みませんよ。これは一部の人は小さいことと思うかしらないけれども、この問題については私は声を大にしてこれから徹底的にさらに追及していきます。根本的なあなた方の姿勢、考え方ですよ。真剣に国民の健康を守るという、ほんとうにそれだけの決意があるのですか。天下りで製薬会社へたくさん行ったり、そういうようなことが現実に行なわれておる。結局、われわれが非常に変な感じを持つような、そういう中であなた方はやっている。非常に毒されていると思うのです。こういう調査会の報告の中にも、全然国民の健康を無視したそういう考え方が濃厚に出ている。この際はっきり、直接の担当者であるあなた方に意見を聞きたい。どういう根本的な考え方であなた方は今後行政を進めていきますか。両局長から。
○鈴木(春)政府委員 私どもの考え方といたしましては、この添加物に関しましては、根本的に、われわれの健康に影響がない、無害であるという点を根拠に出発しなければならぬというふうに考えております。その上で、できるだけ利用していくという道も考えなくてはならぬ、こういうふうな考え方でおります。
○金光政府委員 厚生省はやはり国民の健康を守る責任を持っておるところでございまして、その意味におきましては積極的に努力してまいりたいと考えております。
 なお、慢性毒性試験等につきましても御意見がございましたが、この面につきましては、厚生省といたしましても、現在における最高の技術的な考え方というものに立ちまして、十分遺憾のないように今後ともやってまいりたい、かように考えております。
○近江委員 科学技術庁の局長、あなた、さっきから何言っているんだ。参考人は、食品添加物は危険であるとおっしゃっている。無害であるという考え方から出発して、それをいかにうまく使っていくか、そういう方向にいく。あなたはそんな考えでいくのですか。これは大問題ですよ。あなたのような局長がいるから、いつまでたったってこういう問題が解決しない。これは大問題ですよ。あなた、人の健康をどう考えているんだ。自然の姿がほんとうじゃないですか。当然、いろんな点において、量において、また、その作用において、いろんな影響がある。それはあらゆる学者が証明しているじゃないですか。それはWHO機構等においてもそういうような勧告あるいは話し合い、チェックされておるのじゃないですか。害がないものを何でそんなところで話し合いをしてチェックされるのですか。害があるという考え方から出発をして、そして、それを規制していくべきである。そういう考え方になるのがあたりまえじゃないですか。あなたは、いまおっしゃったその考え、そのとおりなんですか。これは大問題ですよ。もう一ぺん再確認します。
○鈴木(春)政府委員 考え方といたしましては、添加物は無害である範囲内で考えていかなければならぬ。その範囲内で、無害であるというものがあれば、これは利用していくべきものである。根本は、無害であるという前提を十分確認してからでなければ使うべきではない、こういう考え方でございます。
○近江委員 無害なものでなければ使ってはならない、こういう考え喜んですね。――それでわかりました。
 いずれにしても、きょうは時間がないので非常に残念でありますが、これから再々の機会を見て、これは関係者の皆さんに集まっていただいて、私も質問する以上真剣に勉強します。あなた方も国民の健康を守るという立場に立って真剣に今後行政を進めてもらいたい。きょうはもう時間がありませんから、これでやめますけれども、私たちも単なる感情論で言っておるのではない。いままで幾多のそういうような実害も見ております。そういう点で、国民の代表として私もこれを申し上げておるわけです。そういう点で、これは重大な人命に関係があるわけですから、積極的な、国民を守るという姿勢をもって今後進めていただきたい。この点を特に要望して、終わりたいと思います。
○石田委員長 次に、齋藤憲三君。
○齋藤(憲)委員 本日は科学最高の問題であります人命に関して、食品添加物の全般に関し、熱心な質疑応答の行なわれましたことを非常に心うれしく存ずると同時に、郡司、森下両先生が参考人として該博な知識をお述べくださいましたことに対して、心から感謝をいたす次第でございます。
 本問題は、ただいま近江委員が申されましたとおり、食生活上重大な問題でございますので、委員長におかれましては、今後も継続的に本問題を本委員会において取り上げられ、国家最高の機関としての結論を生むようにひとつ特段のお取り計らいをお願いいたしたいと存ずる次第でございます。
 私、直接食品添加物に関係はございませんが、一点お尋ねを申し上げておきたいことは、過日、東京都立衛生研究所臨床試験部長の柳沢文正医学博士にお目にかかりましたときに、「台所の脅威」という本を私に下されたのであります。それを拝見いたしますと、合成洗剤ほどおそるべきものはないのだということが書いてあるのであります。この合成洗剤につきましては、かつて昭和三十七年、本委員会におきましても中曽根委員がこの問題を取り上げられまして、参考人を招致し、厚生当局に鋭くその有害いかんを問われたことがあります。と同時に、社会労働委員会におきまして、このABSを誤って飲んでなくなられた方を例証といたしまして、社会党の猪俣浩造三委員が当局に向かってその有害であるかどうかという判定を求められた。それに対して科学技術庁は、一千五百万円の調査研究費を出して、有害か無害かという検討をやったのでありますが、これに対しては厚生省は無害であるという判決を下したわけであります。ところが、また、この六月二日の読売新聞「日本総点検、むしばまれた太陽」というのにこの問題が取り上げられております。ここで、ほんとうかうそかわかりませんが、時の厚生大臣園田さんが、この問題に対して厚生省の事務当局が説明をしておる最中に発言を求められて、「当時、わたしに好意をもってくれた役人が、こういったよ。“大臣、厚生省をとりまく学者たちで、製薬会社や洗剤メーカーと関係のない学者はいない。あなたのまけです”」これはどういうことからこういうことを言ったかというと、厚生大臣は、これはもう一ぺん調査する必要があるのだということを途中で言われた。ところが、それがうやむやに葬られてしまった。それはなかなか内容は複雑で、そんなに簡単にこの問題は解決できませんよということを言われたのだ、こう思うのでありますが、これを読みますと、これは一ぺん読んでいただきたいと思うのですが、柳沢文正博士も、中性洗剤は害毒があるということはわかっておるのだけれども、害毒があるという判決を下すと、事きわめて大きな問題となるので、中性洗剤害毒論者には大きな圧力がかかっておるということを言われたのでございます。私はそういうことはないんだろう、こう思っておったのでありますが、どうもこれはもう一ぺん取り上げてやる必要があるんじゃないか、食品加工のいわゆる添加物の問題とこのアルキルベンゼンスルフォン酸ソーダ、いわゆるABS、中性洗剤。この「台所の脅威」という本を、私、うちへ帰ってまいりまして、うちの人にこれを読めといったら、読んだらしいのですね。そうすると、非常に恐怖心を今度起こすのですね。中性洗剤廃止論だ、私のうちでは。これにも書いている。きれい好きなほどしわが寄る、中性洗剤の害毒で皮膚にしわが寄ってくる、こういうことが書いてある。ほんとうかうそか知りませんが、こういうものを女性に読ませれば、これは中性洗剤恐怖論になるのです。はたして中性洗剤というものは柳沢文正博士の言われるごとく大きな害毒を持っているものか、持っていないものか、もし森下先生何かこれに対して御意見があったらばひとつ御意見を伺いたい、こう思うのです。
○森下参考人 たいへんささやかな実験でありますけれども、かって私どもの研究室でいろいろ調査を行なったことがあります。これは非常に浸透性が強くて、たとえばさら洗いなどに使ったりしておりますと、皮膚を通して血液中に、いま申されましたABSですね、アルキルベンゼンスルフォネート、こういう化学物質が浸透してまいります。それで、血液の中の赤血球を溶解させたり、それから肝臓に障害を与えたりする可能性は十分に考えられます。したがいまして、私、いろいろ健康問題で講演を頼まれたりいたしますが、そういうときには、はり柳沢博士と同じように、洗剤問題に関しては有害であるから使わぬようにということをはっきり明言しております。非常に浸透性が強くて、かなり有害である。これは外国では青酸カリと同じように――青酸カリと同じということはありませんが、一応毒物扱いにいたしまして、これを使用するときには、ちゃんと長いゴム手袋を着用して、しかる後に使用するということになっております。こういう点でも、日本におきましては常非に考え方が甘過ぎるところがたくさんあるように思います。洗剤問題は、私は有害の立場をとっております。
○齋藤(憲)委員 まあ、中性洗剤の問題に入りますと時間がなくなりますから、また後日、私も勉強をいたしまして、本委員会において論議の対象
 にいたしたいと存じます。
 きょうは、特に委員長並びに同僚委員の方にお願いを申し上げながら質問をいたしたいと思うのでありますが、申すまでもなく国会は国家最高の機関でございます。ここで決定したものが国家権力によって遂行されていくということが私は国政だと考えております。私はきょう特に森下参考人がおいでになりましたのを好機として、委員長にもお願い申し上げたい問題は、生命に関するいろいろな問題がございますが、いま世界的に一番大きな未解決の問題として取り上げられておるのは、いわゆるガンの問題でございます。ガンはタブーで、ガンということを口にするというと気違い扱いされるのですね、これは。しかし、これはどうしても、生命を最高の課題として取り扱っておる科学技術においては真剣に取り組まなければならない問題であります。科学技術庁であろうが、厚生省であろうが、どこであろうが、いやしくも生命というものを中心として科学技術というものを考えていけば、こういう未解決の一番大きな問題を解決しようということが最高の課題とならざるを得ないと私は思っておるのです。私は、しかし、今日ここでガンの問題を直接取り扱っていきたい、こういうのではありませんが、森下参考人が初めて国会においでになってそういう問題について所見を述べられたのは昭和四十一年四月七日だった。これは、ここに「血液とガン」森下敬一著という中に、ちゃんと、序にかえて、第五十一回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会議録第十四号から、序文として、そのときに申されたことが載っているわけです。私は、この序文を読みまして、この前、当委員会の理事会にお願いをいたしまして、昭和四十三年三月二十一日に森下博士を参考人としてここにおいでを願い、質疑応答を重ねておるわけです。そのときには、厚生省の国立がんセンター病院長の塚本憲甫先生にもおいでを願い、それで質疑応答をやっているのです。ところが、この問題に対しては、その後何らの進展を見ていない。私があれだけ熱心に重大問題をこの委員会で取り上げていただいて質疑応答を重ねた、その問題が、それっきりしり切れトンボになっているというようなことは、一体国会の権威上から見てこれははなはだ私は不満にたえない。いやしくも国会において、国民の信託を受けた選良が発言をする以上は、これは国家最高の創造的意思の決定というものに向かって私は発言しているという心がまえが、国政に参画する者の心がまえだと思っている。いわゆる国権の最高機関であるところの国会で決定したことがやはり国家における最高の意思決定でなければならぬわけですね。そういう意味から、私は一生懸命になって質疑応答をやったのでありますが、終わるというと、あと何にも進展していないということは、一体国会と行政間における関係というものはどうあるのかということに対して非常に疑問を持っておる。きょうは大臣がおられないから、これは答弁を求めるのもいかがかと思いますが、まあ答弁は別といたしまして、一体何が問題になったかといえば、これはもういまの医学上において根本的な問題なんですね。医学上において根本的な問題が対立している限りにおいて、人命の確保ということは、私は統一した見解の上にあらゆる策を施すということはできないのではないかと思う。何が一体根本的な対立か。
 そこで、森下参考人に、食品添加物の話じゃないですけれども、お伺いいたしておきたいのでありますが、これを読んでみますというと、森下参考人は、血は腸でつくられるのだ、骨髄でつくられるのではないということを言っておられる。もちろん腸の機能がとまって血がつくられない状態になったときに、可逆的に、細胞が骨髄を通して血になるという現象はある。しかし、本来からいけば、血は腸でつくられるのだ。ところが、塚本国立がんセンターの病院長は、オーソドックスな血液のあり方というものは骨髄でつくられるのだということを主張しておる。これが一点です。
 もう一点は、これを読んでみますと、森下参考人は、ガン細胞は分裂しない、赤血球が変質してガン細胞になるのだという趣旨のように読み取られる。ところが、いまの学説からいきますというと、ガン細胞は分裂する。そこでお伺いしたいのですが、その後、私は一年以上森下博士にお目にかかっておらないのです。昨年の三月お目にかかってから、きょう初めてお目にかかるのですが、一年間に、従来の所論と今日お持ちの御意見に相違があるかどうか。前にお述べになったとおりの御所見でございますかどうかということを伺っておきたい。
○森下参考人 全然変わっておりません。そのとおりであります。
○齋藤(憲)委員 私は、この委員会を通じてお願いをしてありますことは、そういう根本的に違う意見が出た場合に、科学技術庁は一体どうするのか、厚生省はどうするのかということ、そういうことを私はこの前から伺ってあるのです。森下博士の血液に関する著書をずっと拝見してみますと、ずい分熱心に勉強しておられまして、これは信じていいか信じないかは別として、相当な御研究をなさったものだと思う。しかも、森下博士は、きょうはどういう御推挽によって参考人としておいで願ったか、私はよく知りませんけれども、とにかくその権威を認めて委員会では参考人として招致されたのだと私は思うのでありますが、こういう根本的な問題が対立して、国会の問題になっておるのに、そして、その問題を早く解決するために、科学技術庁は科学的な立場から、厚生省は人命を保護するという立場から、ひとつこの問題を解決してもらえないかということを熱心にこの委員会で要望しておるのにかかわらず、その後一年数カ月たっても、これに対しては何らの進展もなければ、手を触れようともしないという行政というものがあるかどうか、どうですか。局長お二人、そういう問題に対してどうお考えになりますか。
○鈴木(春)政府委員 齋藤先生のお話のとおり、そういう重要な問題でありますれば、政府として当然それに取り組むような姿勢をとるべきだと思います。その取り組み方でございますが、これは学問的に研究しなければならぬというようなことでありますれば、文部省関係、大学関係、こういうところでも御研究になることでございましょうし、また、行政機関の付属研究所、こういうところで取り上げられる問題は、その辺でも取り上げていくことがであるかと思います。科学技術庁といたしましては、直接そういったことができる機関を持っておりますときには、科学技術庁としても直接取り上げることが可能でございます。この場合におきましては、やはり厚生省その他、直接それに御担当のところがございますので、そういうところでお考えいただくことになるかと思いますが、そのときに、研究費、そういった関係で、特にそういうものが現在準備されていないために障害があるというような場合には、科学技術庁のほうでもできるだけ御相談に応じ、場合によれば協力できるというような体制になっております。
○金光政府委員 これは私の所管ではございませんので、経緯につきましてはよく詳細存じないわけでございますが、当然、ガン対策というものは現今非常に重要な問題でございますので、学術的なこういった問題につきましては、厚生省関係におきましても、がんセンター研究所を持っているわけでございます。当然検討されるべき問題だと考えております。
○滝沢説明員 ガンの研究につきましては、ただいま文部省に三億九千万円、それから厚生省に二億七千万円の本年度の研究費がございまして、文部省のほうにつきましては基礎研究、それから、厚生省関係は、原則として臨床研究ということを主体にいたしまして、両者ともに学会の委員会にお願いいたしまして、課題につき御検討願って、それから、その課題につきましても、官報等で告示いたしまして、それに応募された方について委員会で御検討願った結果、研究費の配分をいたしております。
 そのほか、もちろん、この研究助成金以外にも、大学その他各方面において研究が行なわれ、特に小児ガンにおきましては、民間の生命保険会社等からの寄付金による研究も着手されるようなことになっておる次第でございます。
○齋藤(憲)委員 私のお伺いしているのは、最初に、昭和四十一年四月七日の、森下博士が本委員会でお述べになりましたこの説に対しましては、文部省の人も政府委員として出てきているのですね。もちろん厚生省の人も出ている。それから、私が質疑応答をやりました昭和四十三年の三月二十一日にも、厚生省の医務局総務課長の上村という方も出てきておる。それから、厚生省環境衛生局長の松尾さん、そういう方も出てきておる。ですから、この問題の質疑応答の核心というのははっきりしているわけですね。
 一体、血液というものは腸でできるのか、あるいは骨髄でできるのか。もし腸でできないで骨髄でできるのだということであれば、森下学説というものは荒唐無稽の学説で、何ら歯牙にかける必要はない。しかし、万一、骨髄造血説が間違いだということになったら、これはいままでの学説というものは根本からくつがえることなんですね。そうでしょう。
 それからガン細胞が分裂しない。一方は分裂すると言う。一体ガン対策として一年に何十億円金を使っているか。何千人、何万人の人命が失われているか。しかも、一方ではガン細胞は分裂しないと言い、一方では分裂すると言う。この問題を解決せずして一体どこからガン対策というものが生まれてくるのですか。これは根本の問題ですよ。そういうことに金を使っているのですか。
○滝沢説明員 先生の御質問の内容がきわめて学問的な問題でございますので、行政官の私として、その問題の是非あるいは真否にお答えすることはできませんけれども、私、行政官の一般的な常識としてお答えするならば、このような重大な問題は学会の場においてもっと十分検討されて結論を出すべきものではないかというふうに考えておる次第でございます。
○齋藤(憲)委員 いや、学会の場において問題を提起して、これを解決すべく計らっていくというのが行政じゃないですか。それを、おれは知らないのだ、そういう学問的な問題は学会の場においてやればいいじゃないか、厚生省はそういうことには関知しないのだといったら、一体ガン対策に対して、そんな大きな金をもって何をやるのですか。ただ臨床的にレントゲンをとって、これはガンだとかガンでないというだけですか。そうじゃないでしょう。やはり厚生省が厚生行政の本願としてガン対策を取り上げている限りにおいては、ガンの根本的な問題を解決しようというのが一番大きな問題じゃないですか。それが国会において論議されて、そういう大きな問題が対立しているのに、厚生省の人がおって、そうして、いろいろここで質疑応答しているのを聞いておって、そうして室外へ出ると、何もそれに関心を持たずして、行政的処置もとらない。科学技術庁も、これに対して熱意を示さないということであったら、国会の論議というものは、これは空論じゃないですか。何ら国会の権威というものを行政庁は認めていないということになるのです。われわれはそういうつもりで国会に来ているのじゃない。の信託によって選ばれて国政に参画しているという、重大な責任と自覚をもってここに来て、ものを論議しているから、いわゆる国権の最高機関というものが成り立っておるのですよ。そういう立場から、私はいままでがまんにがまんをして、こういう問題もいつかは世の中に出てくるのじゃないかと思っておったのだけれども、いつまでたっても、これは出てこないのです。そして、年々やはりガン対策費というものにべらぼうな金がつぎ込まれ、それによって失われる人命は年々増加していくのです。いまでは、ガンというものは老人病じゃない、小児ガンがふえている。この前も、これはちゃんと出ているのだ。小児ガンが一番小児を殺している最高の病気だということになっておるのです。しかるに、ガン細胞が、一方では、分裂すると言っている。一方では、分裂しないのだ、ガン細胞というのは赤血球がガン細胞に変わっていくのだ。一方では、赤血球というのはそんなことはやらないのだ、ヘモグロビン現象だ。その赤血球というものは骨髄でできるので、腸でできるのじゃない。一方では、そうじゃない。その赤血球というものが血となり、肉となって、人間の細胞を構成していくのだ。それは腸でできるのだ。まるで相対立しているところの議論が国会において数回論議されているのにかかわらず、行政の面においては、これに対してちょっとでも手を差し伸べていないということは、一体どういうことだ。どうですか、科学技術庁。そういうことを処理するために調整費というものが数億円とってあるのじゃないですか。
 一体、科学技術の最高の目標は何と心得ておるのですか、局長は。
○鈴木(春)政府委員 科学技術庁の目的、これはやはり終局的には、国民福祉の向上、人類の幸福というものが最終の目的である、私はそう承知しております。
○齋藤(憲)委員 そういう議論をやると際限がありませんからやめますが、科学技術庁が設置されるときに、そういう問題が提起されたのです。科学技術庁を設置する際に、問題として提起したのは、科学技術の最高の目標は一体何だということが論議されたのだ、この国会において。生命現象の追求が一番最高の問題だということになったのですよ。それは局長、不勉強で、科学技術庁が設置せられたときの速記録を読んでいないのだ。やはりその省庁に奉職する場合には、その省庁というものがいかなる目標をもって設立されたかくらい覚えておかなければ、局長はつとまらぬはずじゃないですか。それは何といったって、科学技術の最高の目標というものは、生命現象の追求にある。一切の問題は生命現象の追求から派生的に出ている問題だと私は考えているのですよ。ところが、その生命を脅かしている一番大きな問題であるガンがいまだ解決されていない。世の中は新しいガン対策、新しいガン理論を追求しているのでしょう。何十億円という金を出しているのは、そのためでしょう。一体、ガンはどうしたらなおるのか、ガンはなぜ出てくるのだ、ガンの実体は一体何だという、この追求に金を使っているのでしこう。それを、国家最高の機関に権威者が来て、そういう対立的な意見が出てきた場合に、行政はこれに対してノータッチという、そんなばかな行政であってはたまったものではない。何のために予算をとっている。何のために国民の膏血であるところの税金を使っているのだ。この問題をどうするのだ。大臣がいないからろくな答弁もできないかもしれないけれども、できるだけの局長答弁でいいから、ひとつやってごらんなさい。どうするの。答弁なしですか。――それでは答弁がないようでございますから、あえて答弁の要求をいたしませんが、一つ委員長にお願いしておきたいのは、なぜこういうことを私一生懸命になって言うかというと、こういう問題に対して今後たびたび本委員会において論議を尽くすチャンスというものは、私にはあまりないと自分では考えているからであります。でありますから、国会の権威に照らして、本委員会において問題になったことは必ず行政庁において責任をもって解決するということでなければ、結局委員会において論議をすることは空論に終わるということですね。ただ速記録に載るというだけです。おそらく、われわれが一生懸命になってこの委員会において論議した速記録も、行政庁においてはあまり熱心に読んでいないのではないか。読んでおったら等閑視されることはないと私は思う。何ら国会の権威を行政庁においては認めていないのではないか。だから、われわれが心血を注いで重大問題だと思って取り組んでいることが、もうその場限りで捨てられてしまって、一年待ったって、一年数カ月待ったって何らの反応が示されないということ、これは、一面からいうと、国会議員に対する侮辱だ、こういうことを私は与党議員として言いたくはないけれども、われわれが一生懸命になって取り組んでいる問題を、そのときそのときにはいいような答弁はするけれども、それもほっておけば一つもやりはせぬじゃないか。積極的にやりはせぬ。一体、そういう行政庁の役人ばかりおって国政が実質的に進展するか、進展しないのです。そういうところに日本の薄弱性というものが出てくるのではないか。科学技術庁をそういう意味合いにおいて設立した覚えはない。私は、そのときには、政務次官として、科学技術庁設置法に対する質問に答えているけれども、そんな意味で私は科学技術庁を設置した覚えはない。だから、私は委員長にお願いしておくのでありますが、どうかひとつこの委員会の権威において、この委員会において取り上げられた問題は、必ず行政庁において積極的に取り組んで解決の結果を示すというふうにお取り計らいを願いたいと思う。特に私としてお願いを申し上げたいのは、数回にわたって――この「血液とガン」、これは、日本の医学のみならず、世界の医学に対する根本的な挑戦だと私は考える。もし森下学説が正しいということであれば、日本人の頭脳と研究というものが世界の病理学その他に対するところの根本的な是正を行ない得る大きな功績があがる。もしもそれがナンセンスに終わったならば、それは森下博士はそこで討ち死にということになると私は思う。私は森下博士とは長い間のおつき合いなんです。「失われてゆく生命」でしたか、「失われてゆく生命」という本をお書きになりましたときには、私は国会におりませんでした。落選しておったのでありますが、その本を読んで非常に感銘して序文を書いた記憶があるのであります。その後、私は、血液とガンというものに対しまして非常に懸命な検討を加えております。昨年、私、病気をいたしまして東大病院に入院いたしましたときにも、しきりにこの血液とガンという問題について東大の諸先生方に質問をいたしましたけれども、森下学説は全然受け入れられませんでした。きわめてナンセンス扱いだった。しかし、ナンセンス扱いでありますけれども、この本を再読いたしますと、非常に研究のあとがにじみ出ておる。これはぜひともひとつ検討を加えていただきたい、こう思っておったのでありますが、きょう幸い森下参考人がおいでになりましたので、もう一ぺんこれを蒸し返してはなはだ失礼でございましたけれども、委員長にも、この問題の結論を見つけることができますように特段のお取り計らいをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○石田委員長 ただいまの齋藤君の御意見につきましては、委員長は各理事と、また、各委員の方々と十分御相談をし、大きく推進をしてまいりたいというように思います。
 この際両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、本問題調査のため、たいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十一分散会