第063回国会 本会議 第5号
昭和四十五年二月十八日(水曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和四十五年二月十八日
    午後二時開議
一    国務大臣の演説に対する質疑
                (前回の続)
    …………………………………
 第 一 皇室会議予備議員の選挙
 第 二 皇室経済会議予備議員の選挙
 第 三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員
  の選挙
 第 四 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 第 五 検察官適格審査会委員及び同予備委員
  の選挙
 第 六 国土総合開発審議会委員の選挙
 第 七 東北開発審議会委員の選挙
 第 八 九州地方開発審議会委員の選挙
 第 九 四国地方開発審議会委員の選挙
 第 十 中国地方開発審議会委員の選挙
 第十一 北陸地方開発審議会委員の選挙
 第十二 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 第十三 離島振興対策審議会委員の選挙
 第十四 国土開発幹線自動車道建設審議会委員
  の選挙
 第十五 台風常襲地帯対策審議会委員の選挙
 第十六 首都圏整備審議会委員の選挙
 第十七 北海道開発審議会委員の選挙
 第十八 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 第十九 鉄道建設審議会委員の選挙
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
 日程第一 皇室会議予備議員の選挙
 日程第二 皇室経済会議予備議員の選挙
 日程第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備
  員の選挙
 日程第四 裁判官訴追委員及び同予備員の選挙
 日程第五 検察官適格審査会委員及び同予備委
  員の選挙
 日程第六 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第七 東北開発審議会委員の選挙
 日程第八 九州地方開発審議会委員の選挙
 日程第九 四国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十 中国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十一 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第十二 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 日程第十三 離島振興対策審議会委員の選挙
 日程第十四 国土開発幹線自動車道建設審議会
  委員の選挙
 日程第十五 台風常襲地帯対策審議会委員の選
  挙
 日程第十六 首都圏整備審議会委員の選挙
 日程第十七 北海道開発審議会委員の選挙
 日程第十八 日本ユネスコ国内委員会委員の選
  挙
 日程第十九 鉄道建設審議会委員の選挙
   午後二時四分開議
○副議長(荒舩清十郎君) これより会議を開きます。
    ―――――――――――――
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
○副議長(荒舩清十郎君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。角屋堅次郎君。
  〔角屋堅次郎君登壇〕
○角屋堅次郎君 私は、日本社会党を代表し、昨日の成田委員長の質問に引き続き、主として国民に関心の深い内政、経済問題について、佐藤総理及び関係大臣に率直にその所信をお尋ねいたしたいと思います。
 総理は、さきの施政方針演説において、一九七〇年代は人間性豊かな社会の建設を目ざすと述べています。しかし、佐藤内閣が真に国民の期待にこたえ、国民が何を求めているかを真剣に考慮し、具体的な施策をもって国民にこたえることなしに、いかに福祉国家の理想を説いても、国民の共感を得られないことはもちろんであります。過般の総選挙において、政府・自民党は予想以上の勝利をおさめたが、国民の国会に寄せる期待は、各党の勝敗を越えてきわめて大なるものがあることを痛感いたしております。
 私は、質問に入るにあたって、まず総理にお伺いいたしたい。総理は毎日配達される各種新聞のどのページからお読みになっていられますか。また、どんな記事に関心を持って、それを政治に取り入れられておりますか。解散、総選挙以来今日までの短い期間に、われわれ政治家として考えさせられる実にさまざまな事件や記事が報道されております。
 去る一月二十六日のA新聞は、四畳半に家族五人、その中で中学生の少女が押し入れの下の段で勉強し、寝ていることを報じております。
 公害関係の問題については、二月五日のA紙が、小中学校児童生徒の公害文集の中からその幾つかを報道しておるのでありますが、東京都のある中学生は、「整理体操で大きく深呼吸をしなさいといわれても、それはむりだ。この羽田では、深呼吸は小さく小さくすることになっている。」とつづっています。
 物価の問題では、二月十三日のY紙の「ほがらか天国」に、「異常続き」という題で、「タマネギを切るとなぜ涙が出る」という問いに対して、「はい、一個五十円もするからです。」というコントが載っています。――笑いごとではありません。これが物価に対する庶民の偽らざる実感だと思います。(拍手)
 さきの総理及び各大臣の所信表明は、このような庶民の実感とぴたり一致したものでしょうか。本年度の膨大な国の予算も、これらの庶民の要求を大きく前進させたものでしょうか。その意味では、経済の高度成長による繁栄とは一体だれのものかが問われていると思うのであります。すでに、本年度予算については、わが党の成田委員長が鋭くその性格を指摘いたしたとおりであります。
 この際、佐藤総理にお尋ねいたします。
 あなたは、人間尊重と社会開発をうたわれ、また物価の安定を強調されておりますが、はたして本年度予算はそれを十分満足したものでしょうか、まじめにお答え願います。
 財政運営の責任者である福田大蔵大臣にお尋ねいたします。
 七〇年代の当初予算は、国際経済の動向と国内の景気見通しをいかに判断し、また今後の公債政策のあり方をいかに位置づけて本年度予算に取り入れられたのか。予算運営にあたっての心がまえと、国際的に注目されている将来の日本の円の切り上げ問題に対する見解をあわせてお答え願いたいと思います。
 私は、冒頭に取り上げました庶民の生活を念頭に置いて、以下、国民生活の重点課題について、政府の所信をお伺いいたします。
 その第一は、物価の問題であります。
 政府は、今年の経済見通しの中で、消費者物価の上昇を四・八%と予定いたしております。しかし、ここ数年来の物価上昇は、毎年、定期預金の利子を上回るほどの高騰ぶりを示し、四十三年度四・九%、四十四年度は、当初見通しの五%を大幅に上回り、五・七%と見込まれております。しかし、東京都が四十三年六月に行なった物価に関する世論調査によれば、今日の物価について、約八〇%の都民が、一〇%以上の値上がりをしているという実感を持っており、このうちの半分の人は、年二五%以上の物価値上がりを感じております。これが庶民の生活実感であります。Y紙の昨年一月の一万人の意識調査によれば、物価値上がりの最大原因は政府の経済政策の貧困にあると答えた人が第一位を占め、二八%をこえております。物価安定に対する政府の責任は、きわめて重大といわなければなりません。
 特に、今日のような状況のもとで問題なのは、年金で生活をしている人、あるいは零細な大衆預貯金者の事実上の損失であります。かりに、五%の複利計算によれば、二十五年後には物価は三・四倍となり、三十年後には四・四倍となっております。したがって、二十五年間積み立て三万円年金をもらうといっても、二十五年後の値打ちは一万円にもならないのであります。まさに、現在及び将来にわたって、物価で泣かされているのは庶民であります。
 端的に、佐藤総理にお伺いいたします。あなたは、組閣以来、常に物価安定の重要性を説かれ、これに政治生命をかけると公言されてまいりました。一体、あなたが政権担当以来取り組んできた物価安定の具体的な内容は何なのか、どの点に効果があり、どれがいままでにできなかったのか、この際、明確にお答えを願いたいと思います。(拍手)
 また、四十五年の消費者物価の上昇を四・八%に押える自信がほんとうにあるのか。もし、あるとするならば、そのための具体的な施策は何かを、あわせお示し願いたいのであります。(拍手)
 物価問題懇談会は、大企業のカルテル、再販維持価格など、いわゆる管理価格の規制を強化するよう、繰り返し答申してきました。大企業製品の小売り価格と輸出価格の間には大きな隔たりがあることは、すでに周知のところであり、消費者の批判の的になっております。この際、主要物資価格調査法を制定して、国民生活に密着をしておる重要な価格については原価調査などを行ない、価格監視体制を強化すべきではないのか、総理の誠意ある答えをいただきたいのであります。(拍手)
 第二に、社会保障の問題であります。
 わが国の社会保障の水準は、国際的に見て、きわめて立ちおくれております。経済審議会がまとめた生活水準の国際比較によれば、昭和五十年の社会保障水準は、上位三カ国平均を一〇〇として、実に三八%という水準の低さであり、生活環境水準の低さと並んで、著しく立ちおくれております。政府の国民生活白書によれば、国民所得に占める社会保障費は、四十一年度六・三%にすぎず、経済の高度成長の中で、十年間に一%も上がっていないのであります。社会保障は憲法で保障された国民の権利であります。特に、社会の恵まれない人々のために社会保障を充実することは、福祉国家の建設を目ざす政府の義務でもあります。
 今日、社会保障の充実を待ち望む生活保護世帯は約六十五万世帯、百三十九万人もいます。朝日訴訟に例をとるまでもなく、わが国の保護水準はまだまだきわめて低く、最低限度の生活すら維持することが困難であります。また、母子世帯数は五十一万をこえ、その約一割が生活保護を受けております。今日、寝たきりの状態にある老人は六十五歳以上で四十万人、七十歳以上で二十万人となっており、そのうち、身寄りのない寝たきり老人が八千人をこえております。さらに、作家の水上勉氏から提唱されて大きな社会問題になった、いわゆる重症心身障害児は、昭和四十年度調査で一万七千三百人おるといわれております。
 社会党は、これまで社会保障の水準を昭和五十年度に西欧並みの、国民所得比で一五%の水準に引き上げる年次計画を提案してまいりました。
 この際、総理にお伺いしたいことは、わが国の社会保障を充実するために年次計画を持たれる用意があるかどうか。また、当面五年間の社会保障水準をどこまで持っていく考え方であるか。ずばりお答え願いたいのであります。(拍手)
 現在、経済社会発展計画は再検討の段階にありますが、特にこの際、社会の恵まれない人々の社会保障については、短期に全面的な解決をする政治姿勢こそ、総理の言う人間尊重の立場からも強く要請されると思うのであります。
 すでに昨日の代表質問でも取り上げられました児童手当については、昭和二十五年の社会保障制度審議会の勧告以来、わが党は終始これが実現に努力してまいったのでありますが、本年度は準備金として二千万円が計上されたにとどまり、その実施が見送られたことは、明らかに公約違反であり、その政治的責任はきわめて重大であります。一体どこに障害があったのか、明年は必ず実現できるという確約ができるのか、明確にしていただきたいと思います。
 第三の課題は、公害、交通事故の問題であります。
 今日、わが国の公害問題は、熊本、新潟の水俣病、富山のイタイイタイ病、四日市の公害ぜんそく等の例からも明らかなような、死者、自殺者まで出るという深刻な事態であります。最近は食品公害にまで波及し、国民の健康と生命を守る広範な公害対策が真剣に要求されております。もちろん、公害関係立法も、このような社会的要請にこたえて、形の上では逐年整備の方向にありますが、内容的には、政府の公害対策に対する基本姿勢に根本的な誤りがあり、そのため仏つくって魂入らずの感が深いのであります。すなわち、政府
 の公害対策は、人間の健康と生命より企業優先であり、経済の健全な発展との調和の美名に隠れて、いまだに公害まかり通るというのが日本の実態であります。(拍手)
 熊本の水俣病の原因究明が十数年遷延され、第二の水俣病を新潟に発生させた例など、まさに政府の政治的責任といわなければなりません。
 いまや公害は、世界的にも大きな政治問題となり、最近の報道によれば、アメリカのエクソン大統領は公害特別教書を出し、企業に対し、罰金あるいは操業停止命令などを含む総合的な公害対策に乗り出しておられます。また、ヨーロッパ諸国の国際会議においても、公害問題と取り組む共同行動に着手し、公害基金、公害環境基準をつくろうという提唱がなされておるのであります。
 かかる国際世論の動向とわが国公害の現状から見ても、政府の公害対策に対する姿勢は根本的に転換さるべきであり、この立場から、次の諸点について簡潔にお尋ねをいたします。
 その第一は、新潟の水俣病、富山のイタイイタイ病、四日市の公害ぜんそく等、公害裁判にまで発展している問題について、政府は、従来いかなる対策を実施し、また今後、再度災害の防止、被災者の救済、裁判の促進等のためどのような措置をとろうとしているのかということであります。
 その第二は、公害罪創設に対する政府の見解であります。
 その第三は、今回創設されることになりました公害衛生研究所の今後の研究テーマの重点についてであります。
 その第四は、新しく提案をされます政府の公害紛争処理法案に、わが党が主張する裁定制度を採用する問題に対する政府の見解についてであります。
 その第五は、公害に苦しむ子供や老人の健康を守るため、空気のきれいな、静かな環境で、定期的な保養が行ない得る計画を、公費負担で実行する考え方はないかという点であります。
 以上の諸点について、総理並びに厚生大臣の明快な御答弁をいただきたいと思います。
 次は、交通事故の問題であります。
 交通事故による死傷者は年々増加の一途をたどり、このままで進むならば、昭和六十年までには延べ三千万人の死傷者に達すると推測されております。政府は、自動車の保有台数が十年間に百万台から千五百万台に増大したと誇っておられますが、交通事故やモータリゼーションにより、国民の生命と健康がいかにそこなわれているかという事実も、見のがしてはならないのであります。
 最近、政府の交通安全対策本部は、交通事故による死者を半減させる目標を発表いたしました。しかし、自動車保有世界第二位、面積比の密度世界第一位、事故増加率世界第一位という現状では、よほど強力な対策がない限り、交通戦争には勝てないのであります。
 ドライバー教育、交通規制等、もちろん必要でありますが、歩行者優先の立場から、歩道と車道の完全分離、安全施設の完備、救急医療対策の整備などを積極的に進めるべきであり、また、自動車損害賠償法を改正して、支払い最高限度を一千万円に引き上げることも、すみやかに実施すべきであります。
 政府の安全対策が、予算を十分出さず、交通反則金の繰り入れに依存しようという考え方では、事故半減も、日暮れて道遠しといわなければなりません。(拍手)
 この際、交通安全基本法を制定して、総合対策に取り組み、交通戦争に勇気ある戦いをいどむべきであります。総理の率直な御見解を承りたいと存じます。
 次に、庶民が待望しております住宅政策に入ります。
 本年度は、一世帯一住宅をうたった住宅建設五カ年計画の最終年次であります。都市における住宅事情は今日ますます深刻化しておる状況であります。昨年十月、総理府の行なった住宅統計調査では、全国で住宅難世帯は三百六十万世帯にのぼっており、主婦連の調査でも、せめて隣室に気がねなく大声で笑える部屋がほしいと訴える東京都の間借り人世帯は、八十万世帯に及ぶと発表しておるのであります。この状態では、押し入れで勉強しておる少女はいつ押し入れから出られるのでしょうか。政府は、新たな住宅建設計画について具体的にどのような対策を持っているのか、ぜひお示し願いたいのであります。
 当面の四十五年度予算においては、政府施策住宅のうち、公共賃貸住宅のワクをふやして、公営住宅二十五尺公団住宅十五万戸に拡大し、住宅難の緊急解消に役立てるべきではないかと思うのであります。
 また、今後の政府の住宅建設計画においては、かねてわれわれが主張しているとおり、公的建設の比率を高め、その内容を質的に充実するとともに、国の助成を強化して、高家賃化を押え、家賃を収入の一割にとどめるための積極的な施策を講ずべきであります。
 最近、多摩ニュータウンに関連して報道された公団住宅建設の難航問題一つを取り上げてみても、住宅建設を集団的に行なう場合には、当然必要な学校、保育所、集会所あるいは上下水道等を含めた総合的な基本施設が必要であり、単に団地をつくってみても、基本的な施設を伴わなければ親切な町づくりとはいえないのであります。今後、民間資金の導入による開発構想が伝えられておりますが、いいところは国と民間が手を結んで開発を進め、あと始末は地方自治体の財政や居住者の家賃に転嫁していくのでは、本末転倒であります。これらの点について総理の基本的な見解を承りたいと存じます。
 今日の住宅問題のネックは、言うまでもなく、しばしば指摘されておるとおり、土地問題であります。特に、都市周辺の地価の値上がりは、庶民の持ち家の夢を打ち砕いております。現に、六大都市ではこの十年間平均十三倍以上の値上がりを示しており、政府の思い切った地価抑制対策を望む声はきわめて強いのであります。この問題についてはきのうの本議場でも取り上げられましたが、この際、あらためて政府の御方針を総合的にお聞かせ願いたいと存じます。(拍手)
 次に、農政問題についてお尋ねいたします。
 当面の焦点である米の生産調整は、明らかに農業基本法農政の失敗と過度の外国輸入食糧依存の結果でありますが、現実に過剰在庫が累積し、食管運営の立場からもある程度生産調整をやらざるを得ないとしても、問題は、強制的な上意下達方式でなく、農民の理解と協力を得ることが基本であります。そのため、次の諸点が明らかにされなければなりません。
 その第一は、食管制度を、米の過剰を理由に、また生産調整の結果いかんを口実にして、改廃する意思のないこと。その第二は、来年以降の生産調整をどうするのかについて明らかにすること。その第三は、転換作目については価格等について十分な保障を与えること。その第四は、過剰在庫の処理は、米の生産調整のみによるのではなく、積極的に消費需要拡大政策をとること、等が必要であります。政府にはたしてその用意ありやなしや、責任ある答弁を願いたいのであります。(拍手)
 さらに、予算の最終段階で猪突の間に決定した五十万トンに見合う農地買い上げの問題についてであります。一体、政府は自信をもってこの案を決定されたのか、きわめて疑問であります。さらに、田中幹事長の言う農地法廃止につながる発想が隠されていないか。今回の農地転用の基準緩和は、一歩誤れば農業経営の基盤をゆるがし、土地ブローカーの跳梁を許すことにならないか。これらの点について具体的にお答え願いたいのであります。(拍手)
 昨年の予算委員会における私の農業者年金の創設に関する質問に対し、佐藤総理は、四十五年に実施すると答えられ、本年度約束どおり提案されることになりました点は、私も敬意を表するにやぶさかではございません。しかし、今回示された内容では農民の期待とほど遠く、農民の社会保障制度の確立には十分こたえていないと思うのであります。われわれもまた今日この問題については対案の用意があり、対象も単に農民だけではなしに、農林漁業者全体に拡大すべきであると考えておるのでありますが、政府に今後その用意ありやなしや、関係大臣よりお答え願いたいと存じます。
 この際、佐藤総理より、七〇年代における日本農林漁業の役割りをどう考えておられるか、御所信のほどを承りたいと思います。(拍手)
 次に、日米繊維交渉についてお伺いいたします。
 日米間の経済関係の大きな問題として、米国の繊維製品輸入制限の問題があります。この問題は、明らかにされておりますように、米国側から被害立証資料が提出されております。しかし、この資料では、米国が繊維品の輸入制限をすべきであるという根拠は見当たらないのであります。繊維の輸入規制について、かりにわが国と米国の間で二国間協定が結ばれるようなことになれば、わが国は、東南アジアのみならず、EEC諸国からも不信を買うことになり、わが国の輸出貿易は重大な影響を受けることになります。構造改善や設備近代化が進められておる中小企業を主体とする繊維工業は、深刻な打撃を受けるのみならず、輸入規制の動きは、くつなどの雑貨や、鉄鋼、電気製品にまで発展することは必至であります。
 これについて政府は、昨年五月九日の本会議で満場一致可決された米国の繊維品輸入規制反対決議を尊重し、ガット違反である二国間協定を結ばず、あくまでもガット総会の場において、共通通商政策として解決すべきであると考えるが、総理はどう考えておられるのか、お伺いいたしたい。(拍手)
 ことに、この問題については、昨年十一月佐藤総理が訪米し、ニクソン大統領と会談した際、沖繩返還問題と取引したということがいわれておりますので、それも含めて総理の明快な答弁を願いたいのであります。(拍手)
 最後に、佐藤内閣の政治姿勢について、率直にお尋ねいたします。
 佐藤総理は、昨日わが党の成田委員長が、各党が全会一致で認めた予算の修正について、政府に応ずる用意があるかとただしたのに対し、総理はきわめて高姿勢で修正を拒否されたのであります。これは国会の審議権を無視し、国会の権威を全く否定するものといわなければなりません。(拍手)さすがに温厚な民社党の西村委員長まで本問題を取り上げ、総理の責任を追及されました。私は、国会が国権の最高機関として審議の結果、満場一致で予算の修正がまとまる場合、これに応ずべきであると考えております。なぜなら、それこそまさに主権者たる国民のための政治であると信ずるからであります。(拍手)
 民主政治は言うまでもなく世論の政治であり、議会制民主主義確立のためには少数意見尊重の基盤がなければなりません。総理は、その施政方針演説において、七〇年代の政治の指針として、内面の充実と、内における繁栄と外に対する責務との調和を強調されております。世界に向かって調和を呼びかけられた佐藤総理が、なぜ国会における調和の姿勢がとり得ないのでございましょうか。(拍手)もし総理の胸中に、三百議席の大台確保という絶対多数の背景を意識し、党あって国会なし、この思い上がりがあるとするならば、それは国会と国民のためにまことに不幸な事態と申さなければなりません。(拍手)私は、佐藤総理が真の議会制民主主義擁護の立場に立ち、国会正常化のために、成田質問に答弁をされた点について、もう一度、一日たって反省された点も含めて、前言を取り消され、謙虚に今後の国会運営に対処されますように強く要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 角屋君にお答えをいたします。
 まず最初に、新聞の読み方からお尋ねでございますが、私は、新聞を見るときは、まず第一面から順を追って見ます。この点をはっきり申し上げておきます。しかしながら、私は、ただいまの政治問題についての第一面にも注意いたしますが、三面記事といわれる、いわゆる国民の日常生活をいかに各新聞が受けとめておるか、こういう点についても十分注意しておるつもりであります。私は、政治の責任者といたしまして、国民生活全般について注意深く見ているつもりであります。
 時代のテンポが早く、政治の対応策が必ずしも十分でない面が多々あることは十分承知しております。このおくれをどうすればカバーできるのか、日夜心を痛めておるような次第であります。一九七〇年代は内政の年であるという私の発想の生まれたゆえんでもあります。私は、経済発展に伴って生ずる国民生活上の諸問題の解決こそ、七〇年代の政治の最大の課題であると考えており、全力をあげてこれに取り組む決意を、重ねてこの機会に表明しておきます。
 次に、人間性豊かな社会の建設は、七〇年代の政治の課題として、先般の施政方針演説におきまして明らかにしたとおりであり、四十五年度予算におきましては、その第一年度として、積極的にその肉づけをはかったものであり、特に大幅な減税の実施、社会保障の顕著な充実、社会資本の整備の促進、物価安定のための配慮等に十分その意図をおくみ取りいただけるところと考えます。それぞれの詳細な内容につきましては、いずれ予算委員会等におきまして、具体的に、御納得がいただけるようにいたしたいものだと存じております。
 次に、物価問題についてお答えをいたします。
 国民生活の重要課題として、まず物価問題についてお尋ねがありました。政府としても、物価安定を第一義として予算編成を行ない、また、今後の経済運営を行なうものであることは、その具体的内容とともに、昨年来の御質問に答えて、しばしば明らかにしたとおりであります。重ねて詳しくは申しません。
 四十五年度の消費者物価の上昇を四・八%にとどめることは決して容易に実現できるものとは思いませんが、財政金融政策の総力をあげてその実現につとめてまいる決意であることを、重ねて申し上げておきたいと存じます。
 なお、角屋君は、物価安定のために主要物資の価格調査と監視体制の強化をはかれとの御意見でありましたが、独占価格や買い占め価格等の不当な価格形成が行なわれる場合には、これを規制する必要があることはもちろんであり、このため、公正取引委員会や関係省庁の機能の強化については、今後とも、御注意がありましたので、十分配慮してまいる考えであります。
 御提案の主要物資価格調査法の制定につきましては、種々利害得失が考えられますので、なお、いましばらく十分勉強さしていただきたいと考えます。
 次に、社会保障について、今後の五年間にどこまで高めていくかとのお尋ねでありましたが、現在、経済審議会におきまして、新しい経済社会発展計画を検討中であり、いずれその策定の暁におきましては、計画目標年次である昭和五十年の姿について、明らかにできるものと考えております。
 この場合、角屋君は、社会の恵まれない人々の社会保障について、全面的かつ早急に対策を行なえとの御意見でありますが、私も、できる限りそのような気持ちで施策を進めてまいりたいと考えております。
 次に、児童手当についての私の考え方は、昨日、公明党の竹入君の御質問に対して詳しくお答えしたとおりで御了解いただきたいと思います。四十五年度に実現に至らなかった基本は、その際にも申し上げましたように、関係審議会で十分な成果を得るに至らなかったことのほか、関係者の御理解を得るまでには機が熟さなかったことにあり、今後、関係各位の十分な御理解、御協力のもとに、りっぱな成果を得て、この新しい制度の可及的すみやかなる発足実現に移せるよう、最善の努力を払ってまいる決意であることを、重ねて申し上げるにとどめたいと存じます。
 次に、公害問題でありますが、公害はその性格上、因果関係の立証上困難な問題が多く、政府におきましては、従来、重大な公害問題が発生した場合には、関係各省が協力して原因究明のため必要な調査、研究を推進するとともに、所要の対策を講じ、他方、責任の明確化にもつとめてきたところであります。しかしながら、公害被害者に対する民事上の補償問題の解決には相当の時間を必要とするなど、司法制度による救済のみによっては必ずしも十分に対処し得ない実情であり、このため政府では、公害被害のうち、当面緊急に救済を必要とする著しい健康被害については、昨年末に成立を見た健康被害救済特別措置法に基づき行政上の措置として、本年二月から、大気汚染や水質汚濁によるいわゆる公害病認定患者の医療費などの円滑な救済をはかることとし、費用につきましては、企業に社会的な責任を分担させるたてまえから、産業界にその二分の一を拠出させることといたしました。
 また、公害紛争については、行政上の制度を設けてその迅速かつ適正な解決をはかることを目的とした公害紛争処理法案を近く国会に提出し、御審議を願う予定であり、本法の運用を通じ、企業責任の問題も次第に明らかにされ、また補償問題等の早期解決にも資するものと、かように考えております。
 次に、公害罪についてでありますが、現在、法制審議会におきまして、刑法の全面改正の審議を進めており、公害罪の新設もその中で懸案となっていると聞いております。議論の過程では、刑法で公害を取り締まるのは困難との意見も強いようでありますが、いずれ政府としてはその答申を得た上で慎重に検討したいと考えます。
 次に、裁定制度については、いま国会にあらためて提案を考えている公害紛争処理法案におきましては、裁定制度の採用を考えておらず、公害紛争の簡易、迅速な解決をはかるため、和解の仲介、調停、仲裁の制度を設けることとしております。将来、公害紛争の推移、紛争処理の経験等を勘案し、裁定制度の採用を含めて、制度全般を再検討する機会もあろうかと、かように考えます。
 次に、交通災害についてでありますが、その激増は、内政面で私が最も心を痛めている問題の一つであります。今後も、交通事故の絶滅を期すかたい決意をもってこの問題に取り組んでまいります。
 お尋ねのありました交通安全対策基本法につきましては、政府は今国会に提出する予定で準備を進めておりますが、国、都道府県、市町村の各段階において、交通事故防止のための具体的な目標や施策の大綱が示されることになり、交通安全対策を総合的かつ計画的に推進する上で画期的なものになるものと期待されます。
 なお、社会党にも独自のお考えがあるように承っておりますが、これはむしろ委員会で御審議を願い、とくと私どもも御意見を伺いたい、かように考えております。
 交通安全対策につきましては、来年度予算の編成にあたっても、交通施設の拡充、交通安全思想の普及、被害者救済対策の強化等、諸般の施策の飛躍的な充実をはかったところであります。今後とも一そう留意してまいります。なお、自動車損害賠償責任保険の最高保険金額につきましては、昨年末、従来の三百万円を五百万円に引き上げたところであり、今後は賠償水準の推移、この保険の性格等を考慮しつつ慎重に検討していく考えであります。
 次に、宅地問題についてお尋ねがありました。宅地、土地問題についてお答えをいたします。
 まず、一世帯一住宅はいつ実現するのかとのお尋ねでありましたが、残念ながら達成の時期を具体的に申し上げることは困難であります。しかしながら、私もできるだけ早い機会にわが国のすべての人々が快適な住居で生活できるようになることを願っていることは、角屋君と全く同様であり、今後とも住宅対策の積極的な推進をはかって、国民各位の御要望にこたえたいと思います。
 次に、公営住宅の家賃につきましては、住宅の中高層化による土地の高度利用、住宅生産の工業化により建設費の上昇を押えるなどの措置により、家賃をできるだけ安くするよう、今後ともつとめてまいりたいと思います。
 また、土地問題につきましては、地価対策閣僚協議会を設け、諸般の施策を総合的に推進しておりますが、公的規制の強化については、私有権と社会公共の利益とをどのように調和させるかといった困難な問題もありますので、各方面の意見をも十分伺って、慎重に検討してまいりたいと考えております。
 次に、角屋君からは、農政の専門家として、当面する農業問題について、きわめて適切な御質問をいただきました。もとより米の生産調整は、農政の当面する緊急な課題であるし、また、離農の促進は、就業構造の改善をはかる上において重要な施策であると考えるものでありますが、総合農政の推進については、これらの施策のみにとらわれることなく、農業を近代的産業として確立し、農業従事者の所得と福祉の向上をはかるため、四十五年度予算においては、構造、生産、価格、流通等の各般の面にわたって、施策の一そうの充実をはかっており、魅力ある近代的農業の建設につとめてまいります。
 次に、生産調整が成功しなかった場合には食管法を改正する意図があるかどうかとのお尋ねがありました。この問題はすべての農民諸君が深い関心を持たれるところと思いますので、私の所感を率直に申し上げておきたいと思います。
 米の供給過剰によって、このまま放置すれば、食管制度の存立の基盤さえゆるがされるような事態となっていることは、すでに農民諸君にも十分御認識いただいたことと存じます。このような事態を打開するために行なおうとする米の減産措置は、まさに非常緊急の措置であり、政府としては異常な決意をもってこれに臨み、他方、地方公共団体あるいは生産者団体も、これに協力して所期の目標の達成を期しているところであります。いまやその第一歩を踏み出そうとしているときでもあり、現段階においてその結果を種々そんたくすることはいかがかと考えますが、万一所期の減産が実現しないようなことになれば、食管制度の根幹を維持することはますます困難になると思われますので、このような事態を十分に認識して真剣に生産調整に取り組まなければならない、そうして食管制度の根幹を維持したい。いまはその決意だけを明らかにしておきたいと思います。(拍手)
 また、以上申し上げたところによって、農地の買い上げによる五十万トンの減産に自信があるかとのお尋ねに対するお答えともいたしたいと存じます。五十万トンの減産のためには十一万八千ヘクタールの水田の転用が必要であり、これは決して容易なこととは考えておりませんが、農地転用基準の緩和措置をはじめ、地方公共団体による公共用地の先行取得の促進、民間による宅地、工場用地等の取得の円滑化のため、関係官庁の総力をあげて適切な対策を進め、極力その実現をはかってまいる所存であります。
 次に、農業者年金制度は、日本農業の現状にかんがみ、農業経営者の老後の生活の安定に加え、優秀な農業担当者の確保、経営移譲の促進、経営規模の拡大など、農業構造の改善に資するという観点から、総合農政推進のための施策の一環として考えたものであり、これは角屋君からもほめられて私もたいへんありがたく、正しく評価していただいておるとお礼を申し上げます。
 その対象者は、一定の要件を備えた農業者といたしております。したがいまして、林業者につきましてはその大部分が農業者でもあり、実質的に本制度の対象となり得るものと考えますが、漁業者については、漁業が農業と事情を異にする点もあるので、当面本制度の対象とすることは考えておりません。
 次は、日米繊維問題についてのお尋ねでありました。この問題については、すでに衆参両院においての決議もいただいておりますので、私どもは国会の決議を尊重し、そしてその線に沿ってただいま繊維問題と取り組んでおる次第であります。
 私が申し上げるまでもなく、日米間の関係におきましては、十分その友好関係を持続するように注意していかなければならないことは、冒頭の施政演説でも申したとおりであります。しかし、この問題につきましても両国関係の利害が衝突しておる、こういうような状態がありますので、政府も、民間の業界の立場にも十分の理解を示しながら、ただいまいろいろ案を考えておる最中であります。言われるような自主規制というもの、これは何と申しましても民間の業界の理解なしには、また承認なしには進め得ることではありません。政府だけがとやかくいたしましても、きまる問題ではありません。また、この問題がいかにも沖繩の返還問題と何か関係があり、政府は密約でもしたのではないかということが流布されております。しかし、この繊維問題は、私どもがワシントンに参りまして沖繩交渉いたします際、すでにジュネーブにおいて交渉が始まっていたのであります。したがいまして、沖繩問題とこの問題をからますようなことなしに、私どもは本来あるべき姿、そのもとにおいてこれと取り組むのが正しい姿だと思います。社会党の方々におかれましても、ただいま申し上げますように、その経過等を考えられて、二つを混淆しないように、混線しないようにひとつお願いをいたします。
 次に、成田委員長に対する昨日の私の答弁が不十分であり、重ねて角屋君からお尋ねがございました。私も重ねて多くを申し上げる必要はございませんが、国会に予算といえども修正権のあることは申し上げるまでもないことで、私も十分承知しております。満場一致、そういう場合があるならば、これは政府ももちろんそれに応ずべきものである、かように思いますので、その点だけ一言申しつけ、いままでの足らなかった点を補足しておきたいと思います。
 また同時に、私どもは多数だとはいわれておりますけれども、とるべき少数党の正しい御意見は、これを採用するにやぶさかでないことも、あわせてこの機会に申し上げておきます。ありがとうございました。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
○国務大臣(福田赳夫君) 角屋さんの私に対する御質問は、財政金融運営に関する基本的方針いかん、こういうことでございますが、十四日の、財政演説におきまして申し上げたわけであります。そういうことではございまするけれども、非常に大事な問題でありまするから、あらためて申し上げさしていただきます。
 私は、いま大蔵大臣といたしまして一番心配をいたしておりますのは何であるか、これは、どうしてこの経済成長を今後長く続けさしていくことができるかという、この一点にあるわけであります。
 いま五十二カ月の繁栄、こういうことになって、戦後最長の景気上昇を続けておるわけでございますが、この成長の速度を見てみますると、年率実に実質一三%ということになるのであります。一三%成長というものが続いていくとどういうことになるか、五年半で日本の経済の規模がまた倍になる。これだけ繁栄しておる日本経済が五年後にはもう一つできます、こういうことになるわけであります。しかし、これは偉大なことには違いありませんけれども、そんなことができるはずがない。私は、そういう急速な成長の結果、物価の問題、これは摩擦熱としてかなり深刻な問題になってくるであろうと思います。
 また、この急速な経済成長に労働の需給が間に合うかという問題がある。労働の需給が急速度に逼迫するということを憂えるのであります。そういうことから賃金の上昇、それが実質的の賃金の上昇にならないで、物価の上昇、そうしてこの悪循環ということがおそれられるのであります。また、それだけ五年半の間に物が倍できたら、その輸送が一体できるか、国鉄の輸送力、道路の輸送力、海の輸送力、倍にはなりません。そういう状態であるにかかわらず、いま設備投資がどんどんと進んでおる。それが実に五年半で倍になる勢いで進んでおるのであります。これで一体いいのかといいますると、私はもう五年半倍増を待たず、一、二年にして日本経済は大きな壁にぶち当たる、こういうふうに見ておるのであります。当面最大の問題は、何といたしましても、この成長の速度を少し落とす、こういうところにあろうかと思うのでありまして、こういうことを考えながら、昨年の九月から金融調整措置をとっておることは御承知のとおりであります。
 また、財政におきましても、さあ社会資本を充実しなければならぬ、社会保障もやらなければならぬ、いろいろな要請がありますけれども、その膨張をとにかくできる限り押えるという態度をとっておるわけでございます。そういう適度の成長のもとに、経済の息長い成長、発展を実現し、その過程において、私は量的成長の六〇年代から質的成長の七〇年代と言っておりますが、この成長の成果を国民生活の中になるべく多く吸収するという考え方、それから同時に、わが日本がそれだけの経済成長、発展をした国際社会における責任というものを果敢に果たしていく、この二つが私の終局の財政目標として考えているところであります。
 昭和四十五年度の予算が、いろいろ御批判もありますが、とにかくそういう考え方のもとに、経済成長政策とはいろいろ矛盾した考え方にもなりまする面もありますけれども、生活優先という立場を踏まえまして、あの大規模の所得税減税を実行する、あるいは社会資本の充実につきましても、いま御議論のありました住宅に対しましては、実に二〇%も増加するという予算を編成する、あるいは道路だとか、あるいは下水道、そういうようなわれわれの生活面の社会資本の充実、あるいは社会保障の問題につきましても、とにかく社会保障予算は一兆一千億円をこえる、こういう状態になり、この間、成田さんから、医療費があるので実質は一三%増だという話でありますが、それはお間違いでありまして、一八%の増加であります。
 また、物価につきましても格別の配慮を用いておるのでありまして、毎年毎年何か公共料金の引き上げという問題があるのでありますが、ことしだけは予算上一切公共料金、公共サービス引き上げ、そういうものを見込んでおらぬというところで、ひとつ物価問題に対する熱意、配意というものも御了解願いたい、かように考えるのであります。(拍手)
 また、公害の問題につきましても、きめこまかに、関税の還付を行ないますとか、あるいは事業団資金を増額いたしますとか、あるいは税制において特別措置をとりますとか、いろいろの配意を加えておるのでありまして、まず七〇年代生活優先というか、質的成長の七〇年代の最初の予算としては私は正しい形をとっておる、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣内田常雄君登壇〕
○国務大臣(内田常雄君) 社会福祉重視の問題でございますけれども、生活保護世帯とか、あるいは老人、身体障害者など、社会の恵まれない人々に対する福祉政策の充実につきましては、これまでの高度経済成長政策の実績とともに、今後わが国の社会構造の変動ということも考えまして、格段の努力を厚生大臣としても行なってまいるつもりでございます。
 明年度の予算におきましても、社会福祉費につきましては、一般会計予算の伸びを相当上回る充実を期しておりますばかりでなしに、各部門につきましても、きめのこまかい配慮をいたしておるのでございます。
 たとえば、生活保護基準につきましても、前年度を上回る引き上げをはかっておりまするし、また老人対策等につきましては、養護老人ホーム、さらには特別養護老人ホームなどの増設ばかりでなしに、盲老人、つまり白内障に悩まされる老人の開眼手術を国が補助をするというような制度を創設をいたすとか、あるいは寝たきり老人の公費による精密健康診療制度を新設する等の配慮もいたしております。また、重症心身障害児者の施設等につきましては、国立あるいは地方公共団体等の収容施設につきまして、でき得る限りの助成をはかっておりまするほか、ホームヘルパー等につきましても、明年度予算において新設を考慮をいたしておる次第でございます。
 児童特別手当とか、あるいは各種の福祉年金の増設等につきましても、いろいろの配慮をいたしまして、社会福祉全般にわたりまして、その充実、整備につとめてまいる所存でございます。
 また今後、人間尊重とか社会開発の立場からも、所得の保障、社会福祉の各部門につきまして、総合的に拡充、発展を期することを私どもの最大の課題として取り組んでまいりたい所存でおります。
 なお、お尋ねがございました、わが国の社会保障給付費が諸外国に対しまして相当低いということは、厚生大臣としてこれはすなおに認めざるを得ないところでございまして、総理大臣からもお話がありましたように、ただいま策定中の経済社会発展計画におきましては、ある程度これの比率を引き上げるように私どもも最大の努力をはかっておりますことを申し上げておきます。
 もっとも、この点につきましては、わが国が最近急速度に所得の成長がありますので、国民所得に対する社会福祉支出の割合は、お話しのように六%をやや上回る程度でありましても、しかし総額は相当増加を示しておりますとか、あるいはまた年金制度が、御承知のように昭和三十六年度ごろに皆年金の制度ができまして、いまだ本格的の拠出制年金を受けておられる人々が少ない等の事情を考慮したり、あるいはまた日本特有の家族制度が相当動いてはおりますけれども、いまだ西欧並みの構造変革を来たしておらない点というようなことを考えてまいりますと、この社会福祉支出なり、あるいは振替所得なりのパーセンテージにつきましても、私は、相当この点をも考えてまいるべきではないかと考えるものでございます。次は公害の問題でございますが、今日、公害に対する関心が世界的に高まっており、また公害問題がわが国におきましても大きな課題でありますことは、角屋議員が御指摘のとおりでございます。
 わが国におきまして、公害の問題は、産業の発展に伴って昭和三十年代の初めごろから、部分的には法制的にも政治的にも取り上げられてまいりましたけれども、しかし、この問題に対する政策が総合的、計画的に取り上げられることになりましたのは、何と申しましても、昭和四十二年の公害対策基本法の制定以来でございまして、自来政府は、この法律の理念と目標に従って、大気汚染等の汚染源である硫黄酸化物、あるいは一酸化炭素などの有害物質についての排出規制の目標となるべきいわゆる環境基準の設定を進める一方、産業の発展に伴って環境汚染の著しい地域、あるいは今後環境汚染の進行が憂慮される地域を逐次指定して、これらの地域に対しましては、その地域の特性に応ずる公害防止計画を総合的、計画的に樹立させるよう基本方針を指導いたし、またそれに対して政府も協力をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。
 今後におきましても、水質汚濁とか騒音、浮遊粉じん等に関する環境基準の設定と、その目標を達するための公害発生源に対する規制の強化や、またそのための監視、観測網の整備につきましても、極力重点を置いてまいる所存でございます。
 また、お尋ねがございました水俣病とか、イタイイタイ病とか、四日市ぜんそく病等、これらの不幸な患者の方々の救済措置につきましては、政府としてもいろいろ意を用いてまいりましたけれども、前国会において成立した公害による健康被害の救済特別措置法に基づいて、所要の救済措置をこの二月からとり得ることになりましたことも申し上げておきたいと存じます。
 有機水銀やカドミウムなど有害物質による影響の医化学的解明につとめておりますことはもちろんでございますけれども、公害汚染と健康との関係全般にわたって専門的な機関をつくる必要を私どもも認めまして、角屋議員からお話がございましたような、国立の公害衛生研究所のマスタープランをただいま立案中でございます。この機関は、公害の人体や生活環境に及ぼす影響につきまして科学的な研究を行なって、その成果に基づいて的確な施策を推進する必要があることにかんがみまして、厚生省としては、従来は委託費等によりまして部分的にやっておりました研究を、ただいまの国立公害衛生施設の発足を期待をいたしまして、これによって問題の解明に大きく一歩を進めたい考えでございます。
 また、角屋議員から、公害に悩む老人や子供などの、公費で保養できる施設についての御提案がございましたけれども、これは私どもとしては、公害発生そのものをできる限り防止していきまして、かような事態が生じないことを期することはもちろんでありますけれども、しかし、児童館とかあるいは老人福祉センターなどを、公害が集中する地域に優先的に私はつくるととを考慮いたしまして、角屋議員の御期待にもこたえてまいりたいと思うのでございます。
 公害責任の問題とか、あるいは公害紛争に関する裁定制度の採用はどうかということにつきましては、総理大臣から御答弁がございましたとおりでございます。
 児童手当の問題でございますが、これは政府としてもかねてから社会保障制度の重要な施策として、その実現に向かって検討を進めてまいりまして、昨年七月には厚生省設置法を改正をいたしまして、正式に法律に基づく審議会として児童手当審議会を設置いたし、自来この制度の実施の方途につきまして検討をいたしておるのでありますけれども、昨日、また先刻総理からも御答弁のありましたとおり、この制度は何ぶんにも新しい制度でありますために、社会保障制度上の他の現行施設との調整、あるいは賃金、税制等の体系との関連、費用負担等の諸問題につきまして、正直に申しまして、最終的な結論を得るに至っておりません。したがって、明年度において直ちにこれが実施の段階に至っておりませんことは、まことに遺憾にたえませんが、政府といたしましては、今後におきましても審議会の審議を促進していただいて、積極的姿勢をもってこれが実現のため対処してまいる所存でございます。
 農業年金の問題につきましても、総理から御答弁があったとおりでございます。他業に従事しておられる人々の老後の保障一般の問題といたしましては、今後とも国民年金制度の充実等をもって対処をいたしてまいりたい所存でございます。(拍手)
  〔国務大臣倉石忠雄君登壇〕
○国務大臣(倉石忠雄君) 農政の問題につきましては、総理大臣のお答えで大体尽きておるわけでありますが、ちょっと一つ補足いたします。
 最初におっしゃいました生産調整について権力を用いて強圧するなというようなお話でございましたが、私どもはそういうことのありませんように、全国の知事会、それから農業団体の代表者、町村長会、町村議会議長会などの代表者に数回集まっていただきまして、生産調整協議会というものを持ちまして、そこで何回か御相談をいたしました結果、このたび予算に計上いたしました方式をとることになったという御報告を申し上げましたところ、これらの各団体の代表者は、政府の施策に全面的に協力をして実行するという申し合わせをいただいたわけでありますから、御安心をお願いします。うまくいかなければ食管制度に手をつけるかということは、総理のおっしゃったとおりでございます。
 転換作物について、これは、これもやはり強制はもちろんできませんので、角屋さん御承知のように、北陸や東北のように単作の地帯と他の地帯ではそれぞれ事情が違いますので、先般来私ども農林省では、地方の農林部長会議を開きまして、その地域に即応した計画を、知事が中心に立って立ててもらうようにということの指導をいたしておりますので、それぞれの地方事情に応じて対策を講じてまいる所存であります。(拍手)
 過剰米の処理につきましては、もちろん大切なことでございますが、いまあるいはパキスタンであるとか韓国などにも貸しておるものもたくさんありますが、これからさらに学童給食をふやしたり、その他全購連との話し合いをいたしておりますのは、飼料のほうに用いるというようなことで、いろいろ実験しておるわけでありますが、過剰米処理については、四十五年度予算にも八十億円ばかりの処理費を計上して熱心にこれをやっておるわけであります。
 それから、農地法を廃止する意思があるかというようなお話でありますが、これはとんでもないことでありまして、今国会にも引き続いて農地法改正案を提出いたそうとしておるようなわけでありまして、都市政策をやっていらっしゃる方々のお書きになった論文の中の一こまだけを取り上げて、一部でそういうことをおっしゃる方があったようでありますが、あの論文を全部読んでいただけば、私どもの考えておる農地法と少しも抵触しておらないということが理解されるのでありまして、政府及び自由民主党においては、農地法を廃止するというふうな意思はただいま持っておりません。
 それから、農業者年金制度には、これから提出いたしますが、御賛成をいただきまして、ありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
○副議長(荒舩清十郎君) 米原昶君。
  〔米原昶君登壇〕
○米原昶君 私は、日本共産党を代表して、政府の施政方針に関する若干の重要問題について質問したいと思います。(拍手)
 総理は、施政方針演説において、民主主義の擁護、基本的人権の尊重を内政の第一の柱として強調しました。昨日の本会議でも、言論・出版の自由は民主主義社会の基本であり、これが不当に抑圧されることがないよう十分配慮する、と述べました。
 このことに関連して、第一に伺いたいのは、与党である自民党田中幹事長が、総理の言う民主主義社会の基本にそむいて出版妨害に介入した重大な疑惑がある、それを総理がいかに考え、いかに措置をとられようとしているかという問題であります。(拍手)
 最近広く問題になっているように、評論家の藤原弘達氏及び出版社が、藤原氏の著書「創価学会を斬る」の出版にあたって、公明党及び創価学会から事前に出版の中止や、内容の変更、原稿の検閲などを要求されたり、出版後もこれを一般の書籍販売ルートから締め出すような圧力が加えられるなど、重大な出版妨害を受けたことを訴えております。その中に、昨年十月、田中幹事長から、公明党竹入委員長の依頼だとして出版中止の勧告を受け、さらに出版される著書を全部公明党が買い取るという形でこの書物をやみに葬るという話をされたとの訴えがあります。これについて、田中幹事長は、公明党との関係はぼかしながらも、おせっかいをやいた、として、介入の事実そのものは認めております。もし介入の内容が藤原氏の訴えどおりであるとすれば、田中幹事長の行動が出版妨害、言論買収の行為であることは明白であります。(拍手)
 公明党あるいは創価学会を批判した書物に対して出版妨害が加えられたのは、これが初めてではありません。「公明党の素顔」の著者内藤国夫氏、「これが創価学会だ」の著者植村左内氏、「創価学会・公明党の解明」の著者福島泰照氏をはじめ、多数の人々がその被害を訴えております。特に内藤国夫氏の場合には、昨年三月に竹入委員長に直接呼び出され、大幅な原稿の書き直しを要求されたと証言しております。特定の政党や団体を批判する書物を出版しようとすると、その出版をやめさせるためのさまざまな圧力がかかる、事実上の買収工作まで行なわれる、あるいは出版物の販売が妨害される、このような出版妨害行為は、断じて許さるべきものではありません。(拍手)
 もし出版の自由の侵害が放置され、横行するならば、基本的人権と民主主義そのものが破壊されることになります。戦前の出版・言論の自由の抑圧が、侵略戦争と軍部専制のあの悲惨につながったことは、国民の記憶にまだなまなましいところであります。それだけに、今回の出版妨害問題は重大であります。
 民主主義の根本にかかわるこの重大問題について、現に多くの被害者によって問題が提起されている以上、この問題を積極的に取り上げて真相を究明することは、国政に責任を負う国会の当然の責務であります。(拍手)この点について総理の所信を明確に伺いたいと思います。
 特に、自民党田中幹事長が、言論買収の工作をしたという疑惑に対して総理はいかに考えているか、藤原氏は、これらの事実について国会で証言する用意があると言明していますが、この問題に関して、国会の場で国民の前に真相を明らかにする用意があるかどうか、明確な答弁をいただきたい。(拍手)これは総理の政治姿勢にかかわる重大な問題であります。
 次に、私は、総理の言う七〇年代の政治の基調について尋ねたい。
 総理の演説は、七〇年代の国家目標なるものを前面に押し出し、平和とか、繁栄とか、美辞麗句の連続でありました。しかし、七〇年代の政府の内外政策の方向については、総理自身が昨年ニクソン大統領との会談できめられた共同声明によって、すでにその軌道が敷かれていることは明白であります。すなわち、安保条約を侵略的なものに事実上改悪し、自主防衛の名による軍事力の画期的増強と日米共同作戦態勢の拡大が方向づけられております。これは、アメリカのアジア侵略に積極的に加担し、日本軍国主義の復活を新たな段階に推し進めるものであります。総理が、その演説で幾らきなくさいことばを避けようとされても、この真実をおおい隠すことはできません。(拍手)
 そこでお尋ねいたします。
 第一に、米軍による日本の基地使用に関する日米会談での取りきめの問題であります。
 日本自身が直接武力攻撃の危険にさらされるといった情勢ではない場合でも、米軍が極東の安全を理由に在日基地から直接の戦闘作戦行動に発進する、日本政府が事前協議でこれを承諾する場合があり得ること、特に韓国、台湾が武力攻撃を受けた場合には確実にこれを承諾する約束をしていることは、昨日の総理の言明によっても明白であります。(拍手)これは日本の安全にとってきわめて重大であり、日本が直接に戦争の危険に巻き込まれることになります。わが党の質問主意書に対する政府の答弁書では、基地の使用を許すことが、直ちにわが国を戦争に巻き込むと考えるのは正しくないと述べて、事態の重大性を押し隠そうとしておりますが、これは全くのごまかしであります。総理自身昨年の国会で、沖繩返還後、事前協議でイエスといえば、沖繩の米軍だけでなく、東京も攻撃を受けることになる、こう答えているではありませんか。米軍が日本から発進して他国を攻撃することになれば、攻撃を受けた国が日本に報復攻撃を加える国際法上の権利を持つようになることは自明の道理であります。実際に報復攻撃の権利を行使するかどうかは相手国の態度に属する問題でありますが、攻撃を受けても国際法上は文句がいえない立場に日本が立たされることは明白ではありませんか。(拍手)私は、この点について総理の明確な答弁を伺いたい。
 第二に、沖繩の問題であります。
 総理は演説の中で、沖繩の復帰決定で戦後に終止符を打ったと自画自賛されましたが、沖繩問題は日米共同声明によって解決されたどころか、一そう重大な性格を持ってきたというのが現実であります。
 共同声明は、沖繩の施政権返還によっても、極東諸国の防衛のため米国が負っている国際的義務の効果的遂行を妨げない、と保障しております。沖繩米軍基地がこの国際的義務の遂行のために果たしている機能とは、一体何でしょうか。米国のレアード国防長官は、昨年の米国議会でこの機能について述べ、東アジアでの緊急事態に直ちに対処できるよう、地上兵力、空軍兵力を臨戦体制のまま集結させておく在外基地としての機能をその第一にあげております。つまり、沖繩の米軍は、朝鮮半島であれ、台湾海峡であれ、東南アジアであれ、どこで緊急事態が起こっても、直ちに出動できる臨戦体制を不断に整えており、ここに沖繩基地の死活の重要性がある、これが米政府の公式の見解であります。
 一体、総理は、緊急発進基地としての機能を含めて、沖繩米軍基地の機能を施政権返還後も維持しようとしているのかどうか、この点を明確に答弁していただきたい。(拍手)
 施政権返還後も、沖繩の米軍基地の現在の機能がそこなわれず、基本的に維持されるとすれば、この返還が本土並みどころか、沖繩をてこにして日本全土をアメリカの戦略体制に一そう深く組み込む結果となることは明白ではありませんか。(拍手)
 第三に、総理は、すべての国との友好を説き、平和に徹するとしきりに強調しましたが、アジアの社会主義国に対して関係改善のどのような具体策を持っているのか、少しも明らかではありません。周知のように、わが国は、中国、朝鮮、ベトナムなどの社会主義国とはいまだに国交を持っていません。特に朝鮮とベトナムに対しては、人事交流や貿易面にまで、他の社会主義国に対する以上に極端な制限を課し、アメリカのベトナム侵略戦争に協力するなど、あからさまに敵視政策をとっております。これは、総理のすべての国との友好という言明に全く反するものであります。
 中国との関係についていえば、これまで蒋介石政府を中国国民を代表する政府とみなす態度をとってきたことが、友好をはばむガンになっていることは周知のところであります。政府は、いまでも中華人民共和国の政府ではなくて、蒋介石政府を中国国民を代表する政府とみなしているが、一体、その根拠は何か、はっきりと説明していただきたい。(拍手)
 さらに、ベトナム民主共和国、朝鮮民主主義人民共和国に対して、今後もいままでのような敵視政策や、アメリカの侵略戦争への協力を続けるつもりかどうか、これらの点を、総理からはっきりと聞きたい。もし、朝鮮、ベトナムに対する敵視政策を続けるというのであれば、総理が平和に徹するなどというのは、七〇年代の自民党政府の真実の路線をおおい隠すための方便のことばにすぎないと断ぜざるを得ないのであります。
 第四に、日米経済関係についてお尋ねしたい。
 さきの日米会談は、経済関係の調整についても重要な取りきめをしておりますが、その著しい特徴は、アメリカ側の一方的な要求に日本が従う方向で調整しようとしていることであります。総理は、日米会談で、わが国が貿易の自由化、資本の自由化をすみやかに進めることを表明しただけでなく、残存輸入制限の廃止その他、自由化促進のため最大の努力を払うと言って、今後のスケジュールを事こまかに約束しております。これと全く対照的に、アメリカ側の義務については、共同声明には抽象的なことばがたった一言述べられているだけであります。この米国政府の態度がいかにごまかしであるかは、今回の繊維製品に対し、自主規制を押しつけている一点を見ても明らかではありませんか。(拍手)ところが、総理は、こうした不当な自主規制を要求するアメリカの意向に対しても、はっきり拒否するのではなく、早期に解決をはかりたいという、譲歩を前提とする態度をとってきました。これでは、総理の言う自由化とは、日本経済のアメリカ経済への従属を続け、日本の農業や中小企業を破壊するもの以外の何ものでもありません。この点について総理の所信を伺いたいのであります。
 最後に私は、多くの国民がいま最も苦しんでいる物価の問題について総理にただしたい。
 物価問題を真に解決するためには、消費者物価の上昇を四%台にとどめるよう努力するというようないいかげんなことではなく、こうしたインフレ政策をきっぱりやめることであります。公共料金を極力抑制すると口先で言うことではなくて、公共料金の引き上げを実際にきっぱりやめることであります。そして、断固として独占価格の抑制を実行することであります。総理は、高い生産性を実現している産業において、その成果の一部を価格の引き下げという形で社会に還元するようつとめることを強く期待する、と述べましたが、大もうけをあげている大企業に期待するだけでは、これは実現できません。(拍手)
 わが党は、国会に調査権を持った特別の機構を設け、大企業に対して徹底した調査を行ない、その結果に基づいて独占価格の引き下げを行なわせるよう要求します。この点について総理の所信を伺います。
 以上をもって、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 本来なら米原君のほうに向かってお答えするのが筋ですが、どうもすみっこですから、別な方向を向いて演説をすることをお許しを得たいと思います。
 ただいま声を大にして種々述べられましたが、私はあまり米原君と、いわゆる不毛の議論はしたくございません。したがいまして、基本的な態度をはっきり申し上げておきます。
 私は、施政方針演説で申し述べましたとおり、民主主義は国民のためのものであります。その民主主義は、言論の自由と暴力の否定によってこそ健全な発達を遂げるのであります。社会党の成田委員長にもお答えいたしましたとおり、言論・出版の自由は憲法上保障された権利であり、政府としては、言論や出版が不当に抑圧されることのないよう十分配慮をしなければならないと考えます。これが基本的態度であります。いろいろこの席から個人の名前等もあげられましたが、こういうことこそ慎んでいただいたほうがいいのではないか。(発言する者あり)実は、これは私の簡単な所見でありますが、かように申し上げておきます。私の感じをただいまのようにやじって圧迫されないように、それこそ言論の圧迫だと、かように考えます。(拍手)
 韓国や中華民国のような近隣諸国の安全は、わが国の安全にとってきわめて密接な関係を持っております。万一その安全が侵されるような事態が発生すれば、まさしくわが国の安全にとってもゆゆしきことであります。前の国会演説で、はっきり申し述べたとおり、このような場合に、わが国が自主的判断に基づいて事前協議を適正に運用、前向きの態度をもって事態に対処することは当然であるというのが政府の態度であり、それこそ自主的な態度だと、かように私は考えます。このような政府の決意こそ、アジアにおいて戦争を抑止し、平和を確保するゆえんであると確信いたします。
 第二に、施政権返還後の沖繩に残る米軍基地は、本土の場合と同様、米側との十分な協議を通じ、日米安保条約の目的に照らして、必要な基地はその存続を認め、不要不急の基地はこれを整理統合していく考えであります。
 また、B52につきましては、政府は従来より沖繩住民の不安を除くためには、B52が沖繩より撤去されることが望ましいと考え、米側に再三その旨を伝えてあります。
 なお、万々一沖繩返還時までにベトナムに平和が実現していないという事態が生じた場合における米側との協議も、一九七二年中、核抜き、本土並みという沖繩返還についての基本的大綱のワクの中で行なわれるものであり、かりにこれが行なわれる場合でも、基地の態様について、核抜き、本土並みが変更されることは絶対にありません。したがって、万々一ここにいう協議が行なわれることとなっても、これにより一九七二年中の返還が延期されたり、核抜き、本土並みという基地の態様についての合意が変更されたりすることはありません。
 お話を伺っていると、何だか本土が沖繩にいくような御意見であったように聞けました。返ってくるのは沖繩でございまして、その点を本末を混淆されないようにお願いいたします。(拍手)
 次に、わが国の平和外交はいずれの国とも仲よくするというのが政府の態度でありますから、政治体制の異なる社会主義国家に対しても、この方針に変わりはありません。しかし、アジアにおける社会主義国の場合、中共、北朝鮮、北ベトナムはそれぞれ背景が異なり、わが国との関係について一がいに論ずることはできません。
 中国大陸との関係につきましては、昨日来しばしば申し述べているとおり、各種接触の門戸を開放し、先方が応ずれば大使級会談を行なうという政府の態度に変わりはありません。国際情勢の現実と相互の立場を理解し合い、尊重し合ってつき合えば、必ず善隣友好の道が開かれるものと、私はかように考えます。
 次に、米国との友好信頼関係は、沖繩返還の合意によりまして、ますますゆるぎのないものとなったのであります。そして、その上に立つ対等の協力関係は、まさに太平洋新時代と呼ばれるものにふさわしいと考えます。日米間には往復八十億ドル以上にのぼる大きな貿易関係があり、ときに若干の摩擦が起こることは避けがたいのでありますが、国家間において最も困難な問題といわれる領土問題でさえ、友好的かつ対等の話し合いで解決した日米関係のワク内において、繊維などの問題は、その解決はそれほど困難な問題であるとは私は思いません。対米関係に限らず、対外関係にあって、わが国の自主性を云々することは、それ自体古い発想法であると思います。日本人はもっと自信をもって国際問題に処すべき時期に来ていることを申し上げておきます。(拍手)
 最後に、物価に関連して幾つかのお尋ねがありました。最近の物価の動向は、米原君の見解と多少異なっておりまして、たとえば、家庭用電気製品等の生産性向上の著しいものの価格は低下しているのに対し、生産性の低い生鮮食料品やサービス等の価格上昇が大きいため、全体としてかなりの上昇を示しているのが実態であります。農業、中小企業、流通部門等について、その近代化、合理化を一そう推進するよう構造政策を重点的に推進しているゆえんでもあります。
 なお、いわゆる独占価格、寡占価格等につきましては、今後ともその弊害が生じないよう、現行独禁法を厳正に運用し、競争条件の整備をはかってまいります。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
○副議長(荒舩清十郎君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 皇室会議予備議員の選挙
 日程第二 皇室経済会議予備議員の選挙
 日程第三 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予
  備員の選挙
 日程第四 裁判官訴追委員及び同予備員の選
  挙
 日程第五 検察官適格審査会委員及び同予備
  委員の選挙
 日程第六 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第七 東北開発審議会委員の選挙
 日程第八 九州地方開発審議会委員の選挙
 日程第九 四国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十 中国地方開発審議会委員の選挙
 日程第十一 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第十二 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 日程第十三 離島振興対策審議会委員の選挙
 日程第十四 国土開発幹線自動車道建設審議
  会委員の選挙
 日程第十五 台風常襲地帯対策審議会委員の
  選挙
 日程第十六 首都圏整備審議会委員の選挙
 日程第十七 北海道開発審議会委員の選挙
 日程第十八 日本ユネスコ国内委員会委員の
  選挙
 日程第十九 鉄道建設審議会委員の選挙
○副議長(荒舩清十郎君) 日程第一ないし第十九に掲げました各種議員及び委員の選挙を行ないます。
○加藤六月君 各種議員及び委員の選挙は、いずれもその手続を省略して議長において指名せられ、皇室会議予備議員、皇室経済会議予備議員、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員、裁判官訴追委員の予備委員の職務を行なう順序については、議長において定められんことを望みます。
○副議長(荒舩清十郎君) 加藤六月君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(荒舩清十郎君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、皇室会議予備議員に
      益谷 秀次君    松田竹千代君を指名いたします。
 なお、その職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、皇室経済会議予備議員に
      石井光次郎君    原 健三郎君を指名いたします。
 なお、その職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、裁判官弾劾裁判所裁判員に
      南條 徳男君    大橋 武夫君
      小山 長規君    灘尾 弘吉君
      畑   和君    沖本 泰幸君
      佐々木良作君を指名いたします。
 また、裁判官弾劾裁判所裁判員の予備員に
      小澤 太郎君    古屋  亨君
      美濃 政市君    松永  光君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、裁判官訴追委員に
      中村 梅吉君    田中伊三次君
      小島 徹三君    中垣 國男君
      鍛冶 良作君    森山 欽司君
      田中 武夫君    中谷 鉄也君
      大野  潔君    吉田 賢一君を指名いたします。
 また、裁判官訴追委員の予備員に
      上村千一郎君    大村 襄治君
      羽田野忠文君    武部  文君
      林  孝矩君を指名いたします。
 なお、予備員の職務を行なう順序は、ただいま指名した順序によることといたします。
 次に、検察官適格審査会委員に
      森田重次郎君    瀬戸山三男君
      丹羽 兵助君    西宮  弘君を指名いたします。
 また、橋口隆君を森田重次郎君の予備委員に、藤波孝生君を瀬戸山三男君の予備委員に、山下元利君を丹羽兵助君の予備委員に、千葉七郎君を西宮弘君の予備委員に指名いたします。
 次に、国土総合開発審議会委員に
      森下 國雄君    本名  武君
      白浜 仁吉君    丹羽喬四郎君
      野田 卯一君    中井徳次郎君
      佐野 憲治君    小川新一郎君
      池田 禎治君を指名いたします。
 次に、東北開発審議会委員に
      亀岡 高夫君    田澤 吉郎君
      熊谷 義雄君    華山 親義君
      古寺  宏君を指名いたします。
 次に、九州地方開発審議会委員に
      相川 勝六君    廣瀬 正雄君
      中馬 辰猪君    細谷 治嘉君
      瀬野栄次郎君を指名いたします。
 次に、四国地方開発審議会委員に
      加藤常太郎君    仮谷 忠男君
      村上信二郎君    井上 普方君
      広沢 直樹君を指名いたします。
 次に、中国地方開発審議会委員に
      亀山 孝一君    竹下  登君
      谷川 和穗君    卜部 政巳君
      山田 太郎君を指名いたします。
 次に、北陸地方開発審議会委員に
      佐伯 宗義君    植木庚子郎君
      坂本三十次君    米田 東吾君
      西中  清君を指名いたします。
 次に、豪雪地帯対策審議会委員に
      笹山茂太郎君    大野 市郎君
      地崎宇三郎君    安宅 常彦君
      相沢 武彦君を指名いたします。
 次に、離島振興対策審議会委員に
      櫻内 義雄君    白浜 仁吉君
      田村  元君    大西 正男君
      中村 重光君    松尾 信人君
      小宮 武喜君を指名いたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に
      田中 角榮君    鈴木 善幸君
      水田三喜男君    辻  寛一君
      佐々木秀世君    山中 吾郎君
      小濱 新次君    鈴木  一君を指名いたします。
 次に、台風常襲地帯対策審議会委員に
      中村 寅太君    中馬 辰猪君
      福田 繁芳君    川崎 寛治君
      坂井 弘一君を指名いたします。
 次に、首都圏整備審議会委員に
      野田 卯一君    岡崎 英城君
      鴨田 宗一君    高田 富之君を指名いたします。
 次に、北海道開発審議会委員に
      本名  武君    田中 正巳君
      地崎宇三郎君    岡田 利春君
      斎藤  実君を指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に
      竹下  登君    河野 洋平君
      藤波 孝生君    三木 喜夫君を指名いたします。
 次に、鉄道建設審議会委員に
      田中 角榮君    鈴木 善幸君
      水田三喜男君    辻  寛一君
      楯 兼次郎君    松本 忠助君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○副議長(荒舩清十郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        労 働 大 臣 野原 正勝君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣 佐藤 一郎君
        国 務 大 臣 中曽根康弘君
        国 務 大 臣 西田 信一君
        国 務 大 臣 保利 茂君君
        国 務 大 臣 山中貞則君君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
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