第063回国会 商工委員会 第36号
昭和四十五年十月十三日(火曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 八田 貞義君
   理事 浦野 幸男君 理事 橋口  隆君
   理事 武藤 嘉文君 理事 中村 重光君
   理事 岡本 富夫君 理事 塚本 三郎君
      稲村 利幸君    神田  博君
      小峯 柳多君    左藤  恵君
      田中 六助君    山田 久就君
      加藤 清二君    中谷 鉄也君
      横山 利秋君    松尾 信人君
      川端 文夫君    吉田 泰造君
      米原  昶君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        経済企画庁国民
        生活局長    宮崎  仁君
        外務省経済局長 平原  毅君
        大蔵省銀行局特
        別金融課長   北田 榮作君
        厚生省環境衛生
        局公害部公害課
        長       山本 宣正君
        農林省農地局参
        事官      住吉 勇三君
        水産庁調査研究
        部長      松下 友成君
        通商産業政務次
        官      小宮山重四郎君
        通商産業省通商
        局国際経済部長 室谷 文司君
        通商産業省貿易
        振興局長    後藤 正記君
        通商産業省公害
        保安局長    荘   清君
        通商産業省公害
        保安局公害部長 柴崎 芳三君
        通商産業省重工
        業局長     赤澤 璋一君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    三宅 幸夫君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    本田 早苗君
        通商産業省公益
        事業局長    馬場 一也君
        中小企業庁次長 外山  弘君
        運輸省航空局飛
        行場部計画課長 鮫島 泰佑君
    ―――――――――――――
委員の移動
九月三十日
 辞任         補欠選任
  小沢 辰男君     海部 俊樹君
十月十三日
 辞任         補欠選任
  中井徳次郎君     加藤 清二君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 清二君     中井徳次郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済総合計画に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○八田委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出があります。順次これを許します。加藤清二君。
○加藤(清)委員 けさの新聞によりますと、総理が外国へ行かれる、アメリカへ行かれるにあたって繊維問題について決着をつけたいという意向のようでございます。総理と通産大臣がきょうはそのために会見なさるようでございます。そこでお尋ねいたしますが、決着をつけることの内容は何でございましょうか。
○小宮山説明員 決着をつけるということより、通産大臣と総理大臣の意思の疎通をはかるというほうがよろしいのではないかと思います。
 繊維問題については業界の納得がなければという問題もございます。いろいろな記事が出ておりますけれども、その記事もどの程度まで伝えているのか、私は存じ上げません。
○加藤(清)委員 どうも理解ができませんが、決着をつけるということは、総理のアメリカへ訪問されるにあたって繊維をみやげに持っていきたいということのようでございます。したがってその内容でございますが、まさか本委員会並びに本会議等で議決いたしましたあの議決の内容に反するようなことはないでしょうね。いかがでございますか。
○小宮山説明員 加藤先生のおっしゃるとおりだと思います。
○加藤(清)委員 小宮山副大臣は、委員会並びに本会議の議決に反するようなことはないとおっしゃるけれども、総理がもしそれを侵したとしたらどういうことになりますか。
○小宮山説明員 そのようなことはないと信じております。
○加藤(清)委員 あったらどうしますか。
○小宮山説明員 いま総理と通産大臣が話し合っております。大臣、一時には本委員会に出てくるようでございますから、それまでお待ちいただきたいと思います。
○加藤(清)委員 それでは副大臣の仰せに従いまして、本件は通産大臣がここへ御出席のおりに御質問させていただきます。事重大でございまするので、万遺漏なきよう御準備のほどをお願いいたします。ただ私がここで申し上げたいことは、佐藤総理は日本の総理大臣でございます。日本の国民の意見、日本の国会の意見を尊重していただきたい。ゆめ隣の国の大統領の意見にねじ伏せられて、それに従うようなことのないよう。もしそうだとすると、かりに総理はめでたく四選なさっても、あとは難航なさることを覚悟していただかなければなりません。
 それでは事務当局で答弁のできる問題についてお尋ねをいたします。
 第一番、今度行なわれようとしておりまする臨時国会の主題は公害だといわれております。したがって新聞、ラジオ、テレビもみんな公害国会と呼んでいるようでございます。しかくさようとするならば、公害の元締めである通産省からも、それぞれの関係の法律案を提案なさると存じます。その法律案の準備がおくれているとか、あるいはその準備を完全にするために国会がおくれておるようでございます。したがって、通産省としても鋭意努力の最中だと存じまするが、一体今度の臨時国会にどの程度の法案を通産省は用意なさっていらっしゃいますか。
○荘説明員 公害関係の諸法案の準備状況でございますが、公害関係は、申すまでもなく関係各省多岐にわたっております関係上、通産省専管の法律というのはございませんが、通産省にいずれも関係が非常に深うございます。それで現在、内閣の公害対策本部を中心に、通産省も加わりまして、各省といろいろ法案の検討を進めておるところでございますが、公害対策基本法、大気汚染防止法、それから水質汚濁防止法案その他ございますが、目下いずれもまだ案を得るに至っておりません。それぞれ法案要綱を中心に関係各省間で意見の調整を進めておるという状況でございまして、御指摘のございました、臨時国会に具体的にどの法案とどの法案が間に合うかどうか、残念ながら現在の状況では、私ども事務当局としてまだ具体的には申し上げられないような状況でございます。一日も早くということで準備を進めておるところでございます。
○加藤(清)委員 漏れ承るところによりますると、十八ほど準備が進んでいるようでございまするけれども、今度の臨時国会に提案されるという可能性のある法案は何と何でございましょうか。
○荘説明員 現在各省間で考えております方針は、いろいろ法律はございますけれども、やはり一番基本になりますものは公害対策基本法でございますから、それの改正法案を中心に、なるべく早く、これをトップバッターに準備でき次第国会のほうへお出しすべきではなかろうか、こういう姿勢で準備をしております。
○加藤(清)委員 その公害対策基本法でございますが、最も問題になりまするのは、人間優先か企業優先かという問題ではないかと存じます。すでに公害紛争処理法案におきましては、企業との調和条項を人間優先に変えておりまするが、この公害基本法の場合、企業優先の条項を是正して人間優先にするという用意がございますか、ございませんか。
○荘説明員 調和条項の問題につきましては、公害を防止して国民の福祉を増進することが基本法の目的であるということを明確に次の改正では示すべきであるということで、現在各省間で案文等について研究しておるところでございます。
○加藤(清)委員 予想はできませんか。なぜこういうことを聞かなければならぬかと申しますと、実は来年から、小学校の教科書、中学校の教科書にも公害問題が取り入れられることになっておる。ところが、現在文部省で用意されておりまする梗概、これの内容は、企業優先になっているわけでございます。なぜそうなっているかというと、現在の公害基本法にのっとって教科書が編さんされているからでございます。ところが、この公害基本法が今度の国会で是正されたとなりますると、文部省が目下用意しているところの教科書、指導要領は法律違反ということになるわけでございます。したがって、ここらともにらみ合わせていただきまして、来年から行なわれる教科書――小学校は五年の後期からこれが入るわけです。それに間に合うようにしていただかないと、これはたいへんなことになります。なぜかならば、教科書は一年や二年じゃございません。向こう何年かこれが使われることになるからでございます。すなわちその内容を見ますと、公害防止は費用がかかる、しかし公害を除去するために企業が倒れるようなことがあってはたいへんなので、これの解決は非常にむずかしいことです、こういうふうに表現しておるのです。これはたいへんなことでございます。したがって、公害基本法のこの条項は、すでに紛争処理法案においては人間優先になっておるのですから、しかもあなたたちよく御案内のとおり、山中副本部長は紛争処理法案のときに、基本法においても同じようにこの条項を適用する用意がありますと答えておるのです。しかくさようとすれば、それを実行に移していただいて、文部省ともよく打ち合わせていただかないと、教科書と法律とが食い違うということになりまするので、念のためお尋ねしておるわけでございます。
○荘説明員 公害対策基本法第一条につきましては、公害を防止し、国民の福祉を増進することが基本目的であり基本姿勢であるということを明確にしようという基本方針のもとに、現在事務的な検討を進めておるところでございます。したがいまして、先生ただいま御指摘のございました教科書の問題等につきましても、当然その線に即して政府全体として方針が検討されていくということかと存じますので、公害対策本部のほうに、本日こういう質疑があったということも即刻にわれわれのほうから連絡をいたしまして、政府としてこういう問題が検討されるというふうにいたした
 い、かように考えます。
○加藤(清)委員 次に、公害防止費用負担法、これは新規の法律のようでございます。これが用意されておると聞きまするが、これはやはり通産省にたいへんな関係を持つ法案だと存じます。この場合の企業負担について、通産省としてはどのように御準備をなさっていらっしゃいますか。
○荘説明員 費用負担の法案は従来からの大きな懸案になっておりますので、ぜひ次の国会にこれを提出するという方針がすでに定められております。
 審議状況でございますけれども、通産省、厚生省、それぞれ省内に学識者をもって構成いたしました審議会、研究会等を設けまして、すでにその答申なり報告をいただいております。これを基礎に、現在公害対策本部におきまして、公共投資所管各省を含めまして総合的に検討を進めております。いまのところ、どういう公共事業を本法の対象にすべきか、あるいは対象にする公共事業につきまして、どのような割合で民間での負担をさせることにするかというふうなところにつきまして、いろいろこまかい検討をしておるところでございまして、この基本になるポイントのところにつきまして、まだ事務的な検討がかなり残っておるという状況でございますが、関係各省会議等を週大体二回くらいのテンポで開きまして、鋭意検討を進めておりますので、国会に間に合うようなテンポで必ず準備を完了したい、こういう考えで進めております。
○加藤(清)委員 公害防止費用負担法は臨時国会には提出するということですね。その内容は、企業負担の割合はどの程度に考えていらっしゃいますか。
○荘説明員 企業負担の割合でございますけれども、個々の公共事業によりまして、またそれぞれの工事が実施せられます具体的な地点におきまして、公害の発生の状況なり企業の責任の度合いなりというのがそれぞれ異なるであろうから、個別に決定をしていくということが最も妥当ではない
 かという考え方が一つの局においてありますともに、何らかの法律上の上限、下限といいますようなものをきめておきまして、その範囲で費用負担の割合を具体的にそれぞれの事業、地点につい
 てきめるようにするのが妥当ではないか。あるいはそういう場合でも、どの程度の割合をあらかじめ法律で上限なり下限としてきめるのが適当か、いろいろ技術上むずかしい問題もございまして、そのあたりを詰めておるところでございます。したがいまして、いま予想されます法案において、はたして最終的にどういうふうな扱いになってくるか、ちょっと責任をもって申し上げるには時期尚早かと存じますが、いずれにいたしましても必ず、重要懸案になっておる法案でございますので、準備を鋭意進めまして、でき次第国会のほうに御提出申し上げたい、こういう覚悟で進めております。
○加藤(清)委員 大気汚染防止法、これは改正案になると存じますが、この場合、現在の法律によりますと、電気、ガスは除外ということになっていますね。これはどうもおかしいじゃないか。現在SO2を一番多く出している工場といえば、大体火力発電のようでございます。これはもう全くのかご抜けといわざるを得ない。したがって、電気、ガスを除外してあるところを電気、ガスを含めるということが必要であるということは、もう新聞、雑誌等の論評にもたくさん掲げられているところでございます。この問題についてはどういうお考えでございましょうか。これも通産省の問題です。
○荘説明員 御指摘のとおり、電気、ガスにつきましては現在の大気汚染防止法の適用除外ということになってございますが、大気汚染の重要なSO2の関係業種でもございますので、公害防止に関します監督権を極力地方に委譲しようという基本方針が、政府としてもすでに定められておるわけでございますけれども、その方向に即しつつ、かつ電気、ガスというものは供給を確保しなければならない。供給の確保をはかることが、公害防止と並びましてもう一つの公共の福祉に関係する重要な国の施策でなければならない、こういう面が実はございますので、この公共の福祉につながる公害防止と供給確保という二つの大きな柱を、どういうふうに合理的に調整するのが一番よろしいかということにつきまして、通産省といたしましても、前向きに現在内部で検討しつつあるところでございます。
○加藤(清)委員 当然これは除外例をはずすべきである。これについて公益事業局長が来ておられますから、その立場から一言どうぞ。
○馬場説明員 大気汚染防止法における電気、ガス、これは適用除外ということになっておりますけれども、御承知のように大気汚染防止法は、一定の排出基準を地域ごとにきめまして、これをいわゆる届け出、改善命令、あるいは改善命令を守らない場合の操業停止命令というような手法によりまして基準を守らしめていこう、こういう法律であろうかと思いますけれども、電気、ガスにつきましても、その地域ごとにきめられました排出基準、これは当然そのまま適用になっておるわけでございます。
 ただ、それをエンフォースいたします手法といたしまして、大気汚染防止法は、御承知のように届け出、改善命令というような手法でまいりますけれども、電気事業、ガス事業については、先生御承知のように、電気事業法、ガス事業法によって非常に綿密な保安規制をやっておりますので、むしろこの電気、ガスにつきましては、大気汚染防止法で要求されました排出基準を事業者に守らせる手法といたしましては、大気汚染防止法の体系を使いますよりは電気事業法、ガス事業法の体系を使ったほうが、法律的にいうとより綿密にできておる。たとえば大気汚染防止法で、一般の産業は施設をつくりますときに届け出をし、その防止施設の施設計画を出して、それをチェックをする、こういう手法ですが、電気、ガスの工作物は御承知のように許可制でございます。かつ、その許可をいたしまして、その工事計画も計画段階からチェックし、さらに工作物ができ上がります過程で、動きますまでにまた使用前検査その他を行なうというふうに、規制の体系が非常に綿密であるわけでございますから、むしろこちらを使ったほうががっちり守っていくであろうとこういうことで、その手法につきまして、現在電気、ガスを大気汚染防止法の体系から抜いておる、こういう筋合いになっておりまして、この考え方は私は必ずしも間違ってはおらない、かように存ずるわけでございます。
○加藤(清)委員 わかりました。企業を指導、育成強化する立場におります通産省、その責任者である公益事業局長がそうおっしゃる意味はよくわかります。あなたはそうおっしゃらなければならぬでしょう。しかし振り返ってよく考えていただきたいことは、大気汚染防止法でもって大気の汚染を防止すると言いながら、小さな煙突や少量のガスはこれで規制するけれども、一番たくさんSO2を含んだものを吐き出す、SO2の加害者の最大なものだけは除外するということでは、大気汚染防止法をつくる意味がない。現にあなたは、電気・ガス事業法によってがっちりとこれを制限することができるとおっしゃっているけれども、はたしてそれでは現在電気、ガスの事業において大気汚染をしてないということが言い切れますか。しておればこそ、東電も中電も関電も、みんな火力発電を設営しようとすると、地元から大反対を食らっていま設営ができない状態でしょう。ということは、今日の電気・ガス事業法でがっちりと汚染防止をすることができない何よりの証拠でございましょう。
 もしそうだとおっしゃるならば、ぼくは一歩進んで次の質問をしなければなりません。今日の状況からいって、それではほんとうに火力発電からSO2を完全に除去する、そういうことができますか。
○馬場説明員 発電所はその地域ごとにおきまして、おそらく一番たくさん重油を消費する事業場であることは、先生のお説のとおりでございます。したがいまして、これに大気汚染防止法でほかの産業に要求される規制基準を適用しないということであればこれは全くよくないわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、現行法におきましては、地域ごとにそれぞれ施設に要求される規制基準がきめられておりまして、発電所のボイラー、煙突等につきましても、ほかの産業と比べまして全く同一の規制基準がかかっておるわけでございます。この基準はそのまま発電所、ガス事業場にも適用がございます。ございますが、それを事業場に守らせていく手法といたしまして、むしろ大気汚染防止法よりは規制の体系としてより綿密である電気・ガスの事業法によっておる、こういうことであるわけでございまして、決して電気・ガス事業育成のために電気事業、ガス事業を特別扱いをしておる、ほかの産業よりゆるい規制をかけておるということでは全くないわけでございます。
○加藤(清)委員 この問題は、午後通産大臣が御出席だそうでございますので、そのときにもう一度大臣にお尋ねいたしますから、それまでの間に大臣とよく打ち合わせをしておいてください。
 次、新規の法律で悪臭防止法、これが用意されていると聞きますが、これは今度の臨時国会で提案になりますか、なりませんか。提案になるかならぬかだけでけっこうです。
○荘説明員 厚生省におきまして鋭意研究しておられるということは聞いておりますが、通産省へまだ内容について具体的に御相談を受けるというところに至っておりませんので、恐縮でございますけれども、はたして提案になるかどうか、私の立場といたしましては、この席で明確な御答弁はいたしかねますので、御容赦いただきたいと思います。
○加藤(清)委員 それではもう一つ新規の法律で、公害罪、無過失責任の問題、これはいかがでございますか。提案になりますか、なりませんか。
○荘説明員 公害罪の法案につきましては、法務省におきまして、過般来、鋭意御検討と伺っておりますが、通産省はまだその内容については通報を受けておりませんので、同様、提案の時期については説明いたしかねますけれども、法務省としましては、案ができ次第国会に出すのであるという姿勢で急いでおられるということは伺っております。
○加藤(清)委員 この無過失責任について、漏れ承るところによると、法体系上全く新しいことだから非常にむずかしいということが与党、政府の間で論議されていると聞きまするけれども、この無過失責任が法律に組まれたということは、決して今度が初めてではございませんね。もう十年も前にちゃんと法律の中に組まれている部分がございます。これはお調べになるとよくわかるです。したがって、これは決して新規じゃなくて、新規だとお唱えになる人が初めて耳にしたというだけのことで、日本の法律の過去の法体系の中に無過失責任論は入っているのでございます。ですからこの点は、ひとつ勇気をもって新規の法律を編み出していただきたい。これが公害防止のきめ手になるではないかと思われるからでございます。これは要望いたしておきます。
 与えられた時間が余すところほんの少しになりましたので、質問だけ申します。
 来年度予算に公害対策の費用は、通産省としてはいかほど盛られているか。積算の中にどれほど盛られているか、これが一つ。
 それから、公益事業局長さんもよう聞いておいていただきたいですが、先ほど、法体系ががっちりしているから公害はこれで防げるというニュアンスの御発言がございましたが、現実はそうではございません。その反対でございます。
 そこで、これは石油の関係からお尋ねしますが、いま電気会社は、地元の市並びに県とそれぞれの協約を結んでおられますが、その協約に示されるところの硫黄含有量はきわめて理想的でございます。公害をなくするためにこの程度のもので、ということでございます。一例を申しますと、関電尼崎さんは本年度は一・五、来年度は一・一、再来年度は一・〇、これが約束されております。どうしてそれが保てるであろうか。今日の重油に含まれるSの含有量は、最低二・五から五以上でございます。どうして一・〇が保てるであろうか。いわく、ミナス原油をたきます、いわくA重油をたきます――とんでもない話でございます。できっこございません。できないことを契約しておられるのでございます。まさにこれは、公害モラトリアムか、不渡り手形になるおそれが十二分にございます。そこでこれに対して、通産省としてはどのように指導なさるおつもりか。
 特に考えなければならぬことは、電気、ガスの中には、おのれみずから公害を除去するための排煙脱硫装置を持っているところもなきにしもあらず。東電と中電には、ほんの一部だけございます。ところが、あとの電気会社にはこの設備がございません。電気・ガス法でどう処理してみえるか知りませんけれども、ございません。一にかかって材料にたよってみえます。その材料は、遺憾ながら世界的に見て、ローサルの原油は先進国アメリカからイギリスの実権を握っているところでございまして、日本にはますますハイサルの原油を将来入れざるを得ない状況下でございます。そのときにどうして一・一だの一・二だのという原油が、あるいは重油が確保できるでございましょう。石油精製の場合をながめてみましても、直脱をやっているのは、いまのところほんのわずかでございます。八万バーレルから十万バーレルそこそこでございます。これは重油脱硫の全体からいきますと、ほんの一部でございます。間脱の場合もまたしかりでございます。〇・三にまでしぼれましても、それとあり余るアスファルトとミックスしたり、あるいはまぜ合わせて結果は二・五以上のものを出さなければならぬというのが現状でございます。
 公益事業局長さん、ここをよく御勘案いただきまして、まさか天下の大会社の電気会社が、地元と取りかわしたところの契約書を一年先、二年先に破棄しなければならぬという事態を惹起させないように、いまからひとつ御準備が願いたいのですが、その対策はいずれきめこまかに質問いたします。いま与えられた時間がなくなりましたので、本日というより、前段はこの程度にしますが、対策があったら承りたい。
○本田説明員 お答えいたします。
 電力会社が大気汚染防止のために、低硫黄燃料によって汚染防止の効果をあげたいということに相なっております。低硫黄燃料使用の問題でございますが、御指摘のとおり、世界的に低硫黄原油の需要が増大してまいっておりまして、必ずしもその確保が楽観を許さないということは、先般の公害対策特別委員会の参考人の陳述があったとおりでございます。特に御指摘インドネシア産のミナス原油は、現在のところ増産についても限度がありますので、需要の増加と必ずしも見合わないということで、西アフリカ原油にいろいろ融資の手を講ずるということに相なっております。
 ただ、御指摘の点につきましては、総合エネルギー調査会の低硫黄化対策部会の報告では、四十八年度においてマクロ的には環境基準を順守するに見合った低硫黄燃料の供給が可能だという試算が報告されております。最近の報告によりますと、燃料の硫黄含有率は、四十八年度におきましては、要対策地域におきまして一・二%以下、過密地域においては〇・九%以下のものを供給することが可能だというマクロの報告は行なわれておりますので、これの具体的な問題につきましては、いろいろ御指摘のような考慮を払う必要があろうかと思いますが、その点についてはよく検討さしていただきたいと存じます。
○八田委員長 中村重光君。
○中村(重)委員 きょうは再販問題と、それからカラーテレビ輸出の問題と、公害問題河川や港湾等の汚染の問題等々について質問をいたしたいと思いまして、関係各省に御出席をいただいておりますけれども、時間の制約がございます。したがいまして、きょう多く質問をする時間がないと思いますから、あるいは明日またおいでを願うことになろうかと思いますので、その点あしからず御了承を願っておきたいと思います。
 新聞を広げてみますと、公害の問題が連日報道されておるわけであります。また国会は言うまでもありませんが、地方議会におきましても、それぞれの地域の公害問題に没頭しておるということで、これは都道府県あるいは市町村は言うまでもないわけでありますが、たいへん大きな社会問題に実はなっているわけです。そこで、私どもも身近な問題といたしまして、たとえばカドミウムの問題その他いろいろと本委員会を通じまして質疑をいたしまして、それぞれ政府の答弁が実はなされているわけであります。ところが、現実に政府がやっております施策等々を見ますと、当委員会において答弁をしていたことがそのとおり実行されていない。それで被害者の憤りをさらに高めていくといったような傾向があるようであります。
 そこで私は、実はいろいろな問題がありますが、東京湾の問題、あるいは死の海と化した長崎港の問題等々は明日お尋ねをすることにいたしますが、対馬の東邦亜鉛のカドミウムの問題、あるいは最近有明海でノリからカドミウムが検出をされました問題などが、関係者に大きなショックを与えているわけであります。ノリは、連日大量の三十六枚程度食べなければ人体に影響はないのだというようなことを言ってはおりますものの、ノリを食べても米を食べても、非常な危険感というものを実は感じるわけであります。公害アレルギーといってもいいような感じ方をいたしているわけですが、そこで、先般来お尋ねをいたしました対馬のカドミウムの問題あるいは諫早のノリ汚染の問題がその後どうなっているのか。原因等々について鋭意調査をいたしておると思うのでありますが、それらのことについて、まず厚生省からお答えをいただきたいと思います。――委員長、どうしたんですか、時間が参ります。
○八田委員長 厚生省が来てないのです。
○中村(重)委員 それじゃ通産省から。荘さんのほうから、その後いろいろな調査をやっているんでしょうから、お答え願いましょう。
○荘説明員 まず対州鉱山の関係でございますが、この鉱山の地帯は、御案内のとおり厚生省の要観察地域にすでに指定されておるわけでございます。通産省といたしましては、基本的には鉱山保安法に基づきまして厳重な監督を行ないまして、現在のこの鉱山からの排水は基準を相当下回る水準まで改善されておりますが、何ぶんこの地帯は古い鉱山地帯でございます上に、現在の東邦亜鉛自体が、戦争中、昭和十五年ごろこの鉱区を取得いたしまして、それ以来相当大規模に開発を行なってきたという事実もございますので、この地区の一PPM以上の汚染をされた米の問題につきましては、実は、企業が地元の自治体等の要請をいれまして前向きに補償していくということが適当ではないかという考え方に基づきまして、会社も指導してまいりました。県といたしましてはとりあえず、金額も三十万か四十万程度でございましたので、保有米につきましては一時立てかえということもやっておるようでございますが、今後は四十五年度産米等の問題も起こってまいりますし、農地の改善というふうな前向きの施策も必要になるわけでございますので、こういう点につきましても、地元の県の指導のもとに、企業としても誠意をもって極力これに対して経済的な面での御協力をいたしたいという方針をきめまして、県のほうにもそういう申し入れをしておるようでございます。今後農地につきましては一体どう改善していくか、あるいは作付転換等どう考えたらいいかということは、目下県御当局におかれまして鋭意検討を進めておられるところでございます。
 続きまして、有明海のノリの問題でございますが、大牟田川のところに問題の三井鉱山の三池製錬所というのがございます。これはたび重なる改善工事の結果、現在では排出基準をかなり下回る排水をいたしておりますが、何ぶんにも有明海全体は広うございまして、三井鉱山だけが問題ではないようでございまして、最近、福岡、佐賀、長崎県等の各県において実施されましたノリのカドミウムの調査におきましても、高い数字が出ておる点もございます。長崎県の諫早湾のところで三二PPMという高い数字が実は出たようでございまして、承知いたしておりますが、実は私どもも、これにはちょっと予想を裏切られた形で、正直言って驚きまして、調査を鋭意進めておるところでございます。現在のところ、諫早湾に直接的な排水をしておる工場関係では、カドミウムの排出をするものはどうもちょっと見当たらないような状況でございますけれども、事が非常に重大でございますので、引き続き地元、県とよく連絡いたしまして、十分な調査を至急に行ないたい、こう思っておるところでございます。
○中村(重)委員 いま、十分な調査をする、こうおっしゃったんだが、これは水産庁とあなたにお尋ねをします。十分な調査というのはどういう調査をしようとするのか。新聞で伝えられているところによると、関係四県が合同調査をするということで意見が一致したということが報道されているわけです。ところがこれは、水産庁が公害総点検ということを指示しておられる、それに基づいて調査をしておるのではないか。そうだとするならば――いまあなたは、これは事は非常に重大であるとおっしゃった。私もそう思うのです。三・一PPMという非常に高いカドミウムが検出をされたわけですから、不安でノリなんて食べていられない。ですから、いまあなたがおっしゃった十二分の調査をするというならば、公害総点検ということで一般的に調査を指示した、それによって十分な調査ということにはならないんではないか。だから、十分な調査ということは、国として責任をもって特別の調査をしようという意味なのかどうか。それは両省からひとつ端的にお答え願いましょう。
○荘説明員 長崎県のノリの汚染の関係では、やはり諫早湾に注いでおります河川がございますから、その沿岸の工場から出るということがまず常識的に考えられます。ただ、この河川につきましては、従来まだ十分な現地調査というものが行なわれておりませんので、現在までの調査では、おそらくカドミウムの関係では縁がないのではないかというふうに考えておりますが、重点を置きまして、この沿岸の工場について早急に綿密な排水状況の調査を通産省としては実施すべきだと考えております。
 なお、工場排水だけでは問題がわからない場合が実は公害では非常に多いわけでございまして、過去におきます汚染が堆積している、これがノリ等にあらわれてくるということが多分に一般的にあり得るかと存じますので、実はそういう広域的な調査も必要になりますが、その面の全面的な海水なり海底の汚泥の関係というものにつきましては、またそれぞれの官庁のほうにお願いいたしまして、そちらのほうで調査を実施する、こういう方針で進めたいと考えております。
○松下説明員 有明海のカドミウムの含有量が他の海区に比べまして高いことは、私どもよく存じております。ただ、これがどういう原因によるものか、事は非常に重大でございますので、これを明らかにしておく必要があるかと考えております。現在、関係各県の試験研究機関と共同いたしまして調査を行なうよう指導しております。調査の内容といたしましては、関係の海域におきます水質、それから底質、そういったものにつきましての詳細な分析を行なう予定でございます。この結果が明らかになるのをまちまして、さらにどうして諫早海区のノリだけが非常に高い値を示すのか、そういった原因につきまして明らかにし、さらに調査の進め方、その他につきまして指導したいというふうに考えております。
 なお、先ほど御指摘の、水産庁が現在実施しております全国の公害総点検と、ただいま問題になっております有明海区のノリのカドミウムの汚染の問題は、全然別個でございまして、この海区は、特に関係県と共同して、公害総点検とは別個に切り離して調査をやっている次第でございます。
○中村(重)委員 私は県の公害対策室に行って尋ねたのです。ところが調査をしようにも都道府県としては金がない。また、非常に広域的な調査なのだから国が責任をもって調査をしてもらいたい、ということを言っているわけです。つい最近私は県からそうした苦しい事情というものを伺ったわけですが、いまのあなたの答弁であると、全国的に水産庁が指示してやらしている公害総点検とはこれは別のものだ、こう言う。どちらがほんとうなんですか。どの程度の調査費用を出し、人的にはどのような規模でおやりになっていらっしゃるのですか。
○松下説明員 この海区の調査につきましては、国が直接実施するということではございませんで、関係県が共同調査計画を実施しておりますので、それの調査の内容その他につきまして水産庁が指導しておるということでございます。関係県と申しますのは、熊本、佐賀、福岡、長崎の四県でございまして、私どもの関係しております水産試験場を中心にいたしまして、先ほど申し上げましたように、水質、底質その他の分析調査をお願いしておるわけでございます。
○中村(重)委員 初めの答弁は、通産省にしても、あなたのほうも、非常に積極的な取り組みをやっておるような印象を与えるような答弁だったのです。ところがいまの答弁は、きわめて消極的なおざなりの調査をやったというような印象しか受けません。そういうことではだめじゃないでしょうか。国は金を出さない、ただ水産試験場というものがそれに協力をしているという程度としか受け取れないのです。そうでなくて、もっと国から調査のための予算を出す、そして調査方法についてももっと積極的な調査を進めていく、そういうことでなければならないんじゃないでしょうか。しかも、それぞれの県がその調査の方法は違っているようです。関係四県が集まって、あんたの県はどういう方法をやっているんだ、こっちの県はどうだというようなことで、意見を交換するといったような連絡会議のようなものですよ。そういうことで、有明海というあんなに広い海域において――諫早のカドミウムが三・一PPMというような非常に高い数値を示したのだけれども、それぞれ出ているのです。だからもっと強力な、少なくとも荘局長が御答弁になったような十二分な調査をして、しかもできるだけ早く原因を明らかにしていく。そして補償の方法についても、これは至急に解決をしていく。同時に、ノリはたくさん食べなければ人体には何も影響がないんだからというような弁解的なことではなくて、少なくとも厚生省が公式にそのことを明らかにしていくということでなければ、現在の大きな不安というものを解消することにならないんじゃないでしょうか。どうですか。三省からそれぞれ答弁してください。
○宮崎説明員 御指摘の有明海のカドミウム汚染の問題でございますが、ただいま通産省、水産庁からお答えがありましたように、政府としてこれに直接調査をするという形にはいまだなっておりませんが、この問題につきまして、私のほうで若干県等からお話を聞き、また勉強したところによりますと、いま通産省からもお話がございましたが、結局、諫早湾といいますか、どうもあの地域の汚染源によるものではないようである。本明川等についての調査をいたしましても、そういった汚染源がないようでございます。結局これは相当広域にわたる汚染の問題でございまして、おそらく大牟田方面あるいは佐賀県のほうあたりが問題になるのではないか、こういうことでございますが、大牟田川につきましては、すでに水質基準がきまっておりますけれども、佐賀県の六角川水域というところについても、今年度調査を実施しております。
 しかしながら、こういったいわば広域的な汚染問題ということに対して、どういうふうにこれに対処していくかということになりますと、いま御指摘のように、相当広域にわたって統一した調査が必要になるのだと思います。実はこの問題に対して、県等からのお話も私のほうの事務当局が十分聞いていなかったようでございまして、特にそういった体制をとっておりませんけれども、話は違いますが、東京湾等については、こういった広域についてひとつ調査を相当大々的にやる必要があるということで、本年度の調整費を使って数千万円の調査をやっておりますし、また経済企画庁の水質関係においては、部会を設置していま検討を始めておりますが、おそらくそういった形での取り組みが必要になるのではないかといま私は考えております。
 この問題がいまどの程度の状況にあるのか、そういったことについて、たいへん申しわけないのですが、私も直接まだよく聞いておりませんので、そういった問題をよく勉強してみまして、早急に調査の必要があるということであれば、それに対する措置等をひとつ検討してみたい、こういうふうに考えます。
○中村(重)委員 政務次官、あなたも聞いておられて感じるだろうが、経企庁は経企庁として水質保全という立場から、特に宮崎さんは生活局長で、ノリの汚染なんというものについては関心も深いだろうし、責任もおありになる。ところが通産省の荘局長は、そうした公害の所管局長として、これは十二分にやるのだと、きわめて積極的な姿勢ですね。ところが、経企庁、厚生省、農林省等も、別に横の連絡をとってこれに対する対策に乗り出したという印象をどうも受けない。水産庁は、あなたもお聞きのとおり、きわめて積極的な取り組みをやっているのだという印象を与えたのだけれども、あとの答弁は、単に、水産試験場が各県にある――それは県もあるが、水産庁としてもあるわけですね。そこで何か指導をしているという程度。それは実際は各県がやるのだ。ところが問題は非常に広域的なものなんですよ。そして大牟田の製錬工場というのがある。そこにたぶん公害の原因というものがあるんじゃないかというように頭では考えているかもしれませんが、そこまではやってみなければなかなかわからない。してみると、有明海全域の関係県が四県ですから、これはもう当然国が強力な調査を展開していく、一日も早く原因を明らかにし、関係者の不安を一掃していくということでなければならないのじゃないかという感じがいたします。あなたはどうお考えになりますか。もしそのようにあなたも同感であるとするならば、明日あらためてひとつ関係省と話し合いをされて、有明海のこのカドミウムは非常に高値の三・一PPMというようなものが検出されたのですから、これに対して乗り出す方針をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。あすひとつ御説明願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○小宮山説明員 中村先生の御指摘、各官庁でまだ十分な調査その他をやっていないようでございます。また各県庁との連絡も十分でないように私も思います。この問題については、先生の御指摘があったように、各県庁との連絡も十分にし、また公害対策本部にも連絡いたしまして、広域の調査をするように依頼をする所存でございます。
○中村(重)委員 それではこの問題は、あすあらためてお尋ねすることにいたします。政務次官は、いま広域的な調査を国としてやるようにする、こういう御答弁であったわけですから。
 それで、いまあなたは、対島の東邦亜鉛の対州鉱山のカドミウムの問題、これに対して、これまた非常に古い山であるから、必ずしも企業に責任があるというようには考えられない――これは、きょうそのとおりきっぱりおっしゃったのではなくて、前から通産省としての、企業責任が薄いということ、公式にも非公式にもそういう態度を表明してこられた。きょうの答弁でも、企業としても、いろいろな面からこれには何らかの補償をするというようなことで、協力をしなければならないのじゃないかという意味の御答弁があった。あなたは古いとおっしゃる。なるほどこれは古い。千三百年前から銀山としてあの山は操業を開始したわけですから。だからといって、現在の東邦亜鉛に企業責任がないということは、どういう根拠であなたはおっしゃるのでございましょうか。きょうそのとおりおっしゃったのではない。前の答弁でも、あるいは県に対しても、そのようなことを通産省としては言っておられるわけです。ひとつきっぱり私どもがわかるようにお答え願いたい。
○荘説明員 はっきりとお答えいたします。
 対州鉱山地域のカドミウムの問題につきまして、現在の鉱業権者である東邦亜鉛株式会社が責任がないというふうに私ども確定的に考え、そういうことを外部に申し上げたつもりは実はございません。ただこの地域は、いま先生御指摘もございましたように、徳川時代以前のはるか昔から銀山がございまして、銀だけをとって亜鉛分の鉱石は全部捨てておった。その捨てておった捨て場の上に、現在の問題の部落がその後形成されまして、したがって、その部落周辺の土地の中には、カドミウムが亜鉛鉱石の中から長年にわたって相当出たのではないかということが文献等にも書かれておりますけれども、それはそれといたしまして、実は通産省といたしまして考えておりますことは、先ほどの御答弁でも申し上げたつもりでございますけれども、東邦亜鉛が戦争中にここの鉱区を譲り受けまして、大々的な生産を始めたわけでございます。その当時以降ごく最近まで、カドミウムという問題が実は学界でも指摘をされておりませんでして、鉱山保安法による監督は行なっておりましたが、これは検査の対象等に実はなっていなかった。その時期に相当な大増産が行なわれて、排水が川に入りまして、それがまたその部落のほうへ農業用水として引かれておったというふうな事実というものは、私どもずっと過去にさかのぼりまして、詳細に調査を行なったところでございます。
 そういう点を考え合わせますと、現在あそこの土地の中に含まれておりますカドミウムが、一体どの部分がどの程度の割合で以前のものであり、どの部分がどの程度最近のものであるかというふうなことは、これは調査の手だてもございませんけれども、相当な割合においては、東邦亜鉛時代に入ってからの排水も多分に関係があり得たのではないか。これは数字的に確定できませんので、厳密にいえば推定ということになるかと存じますが、全然関係がないというふうなことは、理屈の上からも考えることは不可能でございまして、通産省としては、東邦亜鉛も責任がある。その前の人も関係があるだろう、しかし以前の鉱業権者といいますものは、明治以降も四、五代にわたりまして、個人でありますとか、あるいはすでに消滅してしまった会社とか転々いたしておりまして、そして最終的に東邦亜鉛に昭和十五年ごろ鉱業権が移った、こういうことでございますので、現在の問題につきましては、東邦亜鉛がやはり一社しか事実ございませんので、そこはやはり、県知事の指導のもとで地元に対して誠意をもって対処すべきであるという基本的な判断を立てまして、それに基づいて会社を指導をしておる、会社もその方針に従って県のほうにも正式に態度を表明しておる、こういうことでございます。東邦亜鉛は無責任であるというふうな判断は全然いたしておりません。
○中村(重)委員 東邦亜鉛は、会社が責任があるから、したがって補償しなければならぬとは言っていないのです。県に対して申し入れをしているのは、ケース・バイ・ケースで協力をいたしましょうという意思表示なんです。だからいまあなたも、会社が全然関係がないとは言えない、そういうお答えであった。三十二年に農作物に被害が出て、当時のお金で二百五十万円会社は弁償しておるという事実があるのですよ。いいですか。最近イタイイタイ病の問題等が出てくる、カドミウムが検出をされるというようなことから、四十一年から調査にかかっているはずなんです。大体いつになったら原因が明らかになるのですか。会社は全然関係がないとも言えないし、あるいはあると断定もできない。だから国としても県としても、そうした農民の被害に対しても、調査調査ということだけで、通産省から行く、厚生省から行く、農林省から行く、繰り返して調査だけやられる。何一つ前向きの施策というのは講じられない。いわゆる補償措置であるとかなんとかは講じられない。今日に至っても特定の部落は予約米の買い付けすらなされていない。そういうことで、被害者である農民はどうしたらよろしいのか、地域住民はだれにすがり、だれを信頼をし、どうして生きていったらいいかという問題になるのですよ。
 あなたはいま対馬に調査にだれかを派遣をしておられるのだろうと私は思います。あなたのほうはいまやっているのです。いままでもそれは何回もやったかもしれませんが、あなた自身がおいでになったのではないでしょう。ともかく、からみがある。いまあなたのところに私が現地から採取してきた石を差し上げてある。からみがある。鉱石が山積みされているのですね。現在そのからみの中には金属のすべてが入っている。廃石の中にも亜鉛が入っているのです。そのままそれが山積みされているのですよ。それからカドミウムというものが下に浸透してこないということは言えないではありませんか。浸透してくるということが、当然これは常識です。明らかにそれは会社の責任なんです。千三百年前から開いた山、そしてしかも前は亜鉛でなかった、銀を掘っておった、したがってそうしたカドミウムが非常に入っているところの亜鉛というものをどんどん捨てておった、その上に村落ができているという事実は私は知っているのです。そのことだけをとらえて、現在山積みされているような、そうした廃石、それからからみ、そういうものを処理することなく今日まで放置しておいて、会社に責任がないともいえないという消極的なことでは、私はどうにもならぬと思う。早く結論をお出しにならなければいけないのです。その点、あなたはどのようにお考えになりますか。
○荘説明員 先ほどもお答えいたしましたけれども、カドミウムの排水規制というのは、ごく最近実は始まったわけでございます。それ以前は、学問の上でもカドミウムの問題というのが実は取り上げておられませんでしたために、鉱山保安法その他の公害防止法に基づく規制でも、カドミウムの排水の問題は、規制の対象として政府としても取り上げることがなかったわけでございます。そういう状態で、東邦亜鉛は昭和十五年以降相当な大きな規模であの鉱山を開発してまいりましたので、ただいま先生御指摘のございました廃石の捨て場の問題もございますけれども、坑道からも大量の水が出ますし、洗鉱場からも同様大量の水が出るわけでございます。それから堆積場からも出ます。こういうものが全体として川に入りまして、その中に、規制されていなかった時代には相当量のカドミウムが入っておったものと――量は、調査がございませんからいま確定のしようがございませんけれども、十分に推定されるわけでございます。そういう意味で、その後改善工事も行ない、鉱石の捨て場等につきましてもそれぞれ改善工事も行なっておりますけれども、東邦亜鉛が経営を行なうに至りましてからそれまでの間におきまして、相当量のカドミウムが、現在の基準に照らして申しますれば、その基準を上回っておったであろう大量の排水が、多年にわたってあそこの川に出されておったということは、数字の上では、何度も申しますが、いま確定のしようがございませんけれども、明白に推定をされるということを申し上げておるわけでございます。その意味におきまして、現在の鉱業権者である東邦亜鉛株式会社というものが法律上の責任を司法上正式に求められた場合には、責任なしとは考えられない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 なお、堆積場につきましては、ただいま御指摘がございましたけれども、従来必ずしも十分でない点がございまして、ずっと改善工事を行なっておりますし、現在も堤防のかさ上げその他の工事を行なっておりまして、そこを通った水が川の中にそのまま落ち込むことがないような措置を講じておるわけでございます。
○中村(重)委員 私が申し上げのは、農民並びに地域住民が直接被害を受けて、いま調査調査ということだけでいつまでも結論が出ないで、そのために非常に苦しんでおるということを指摘するのですよ。
 河川改修もおやりにならなければいけないのです。それから汚染された農地は客土をしなければならないのです。からみが下にあるのだから。これは農業構造改善事業、いわゆる農薬の散布等々においては問題は解決しない。あるいは米も一PPM以上は買い上げをしない。一PPM以下にいたしましても、国民感情を配慮して〇・四PPM以上というのは配給をしないという農林大臣の表明があった。ところが農家というのはいま保有米があるのです。その保有米というものが、そうした農林大臣の表明によって、実は非常に危険であるからというのでその保有米を買わない。そのまま保有米を抱いてどうにもならないでいるわけです。だからして、対州鉱山が責任があるということになるならば、その結論が出るならば、損害賠償といった昭和三十二年に持ち出したようなことを、いまも地元民としては要求はできるわけですね。それができないで実は困っている。国もしてくしない。県もしてくれない。ただやってくれるのは調査だけなんだ。四年も五年も調査をして、いつまでも結論を出さないでどうしてくれるのだという悲痛な叫びをあげているのです。
 私は、昭和三十二年に地域の代表が請願書を町議会に出し、そして町議会がこの請願書に基づいて結論というものを出している資料をここに持っているのですが、明らかに、廃液の処理について、あるいはまた、そうした廃石であるとか、からみであるとかいうものの捨て場等々について、これがそのまま放置されたままである、これが公害の原因なんだというようなことが公害委員会の結論としても出ているわけです。いろいろな資料等を総合してあなたのほうで検討されるならば、非常に古い山なんだから、からみがその当時捨てられて、その上に村落があるのだから、それはどうも企業の責任とばかり言えないのだというような、そういうことで問題の解決をうやむやにしていくというようなことにはならないと私は思うのです。今後、農林省も厚生省も、あなたのほう、その他関係省とも、すみやかに結論を出していく。そうして被害者である農民を中心とする地域住民を救済をするという方向へ進んでもらわなければならぬと思うのです。この点について、それぞれ関係省おいででございますから、ひとつ考え方をお聞かせ願いたいと思うのです。
 時間も参りましたから質問を保留いたしまして、きょう午後か、あるいは明日質問することにいたしますが、一応いまの質問に対してのお答えを願いましょう。
○荘説明員 最後に取りまとめてもう一度お答え申し上げますが、私ども、現地の実態に即しまして、いろいろ調査も行ない、判断いたしました結果、先ほど来申し上げておりますとおり、現在の鉱業権者である東邦亜鉛株式会社が、従来、法の規制のない時期に出しておりました排水中のカドミウムというものが、現在のカドミ米に関係が何%あるかということは、これはいかに調査いたしましても不可能でございますけれども、関係があるというふうに判断をいたしておるわけでございます。この判断に基づきまして、現在裁判等が起こっておるわけではございませんが、行政指導の形で、企業に対しましても、米の問題について県の要請に従って補償その他善処すべきであるということを申したわけでございます。また、県におかれて目下御検討中の、先生も御指摘になりました、前向きの農業改善とか土地の改良の問題につきましても同様対処すべきであるということを、企業に指導として強く申したわけでございます。県のほうに対しましても、企業からもそういう態度を表明いたしたはずでございますし、直接私どものほうからも、こういうことで企業を指導しておる、企業もそれを受けたということを連絡をして、県と通産省と一体になりまして今後問題を解決していこうとしておるわけでございます。
○宮崎説明員 ただいま御指摘の問題につきまして、水質の関係からまず申し上げますと、こういった事態になりましたので、やはり水質の基準を設定して排水の規制をする必要があるということで、本年度の調査費をもちまして現在調査をいたしております。年度末までに結果が出ますので、その上で基準の設定をいたしたい、こういうように考えております。その後は鉱山保安法による規制が行なわれる、こういうことになります。
 いま御指摘の問題でございますが、要するに過去の鉱山の操業による汚染の問題は非常に大きな問題のようでございます。これに対処していくために、御指摘のように、たとえば客土の事業であるとか河川改修とかいうような事業が必要になるだろうと思います。特に農地関係の事業については、すでに農地局のほうでも計画をお立てになって全国的にいろいろ調査をしておられるようでございます。この地域についての実情がどうなっておるかということは、私いまちょっと存じておりませんけれども、そういった意味での取り組みが必要になる。また、河川改修についても関連して必要になるのであれば、建設省のほうにもお話をして、やってもらわなければならぬと考えます。
 いずれにいたしましても、こういった問題に対処していくためには、単なる規制とかいうことだけではもう対処できないということは明らかでございまして、私どものほうでも、水質関係の問題についてそれぞれごとに一つのプロジェクトとして検討していく必要があるだろうということで、いまいろいろ各種のケースについて検討しておりますが、この問題につきましても、関係省とよくお打ち合わせをいたしまして、事態が解決に向かうように努力をしてみたいと考えております。
○住吉説明員 農林省といたしましても、この対馬地区に対しまして目下特殊調査を鋭意やっておるところでございます。
 この特殊調査と申しますのは、分布調査と対策基準調査に分かれておりまして、分布調査は、文字どおり汚染の分布の範囲とか分布の状態、垂直、水平の分布の状態を調査しておりますが、この対策基準調査と申しますのは、この対馬地区につきましては、佐須川水域に三カ所、椎根川水域に一カ所、それ以外に非汚染地域に一カ所、計五つの調査圃場をつくりまして、この調査圃場で、多少こまかくなりますが、水口から扇状にいろいろな比較対象の地域を設うけまして、例を申し上げますと、客土した地域とか、客土をしました上に炭カルとか溶成燐肥をやりまして土壌改良をやる地域とか、あるいは炭酸石灰をやる地域とか、溶成燐肥をやる地域とか、ベントナイトを使用する地域とか、そういう比較試験を目下やっておりまして、大体、今年の取り入れが終わりまして分析が終わりますと、これらの比較試験をやっております地域で、どの程度の客土をやった地区が一番カドミウムの含有量を少なくすることができるかとか、あるいは客土の上に、ただいま申し上げました炭カルとか溶成燐肥というような土壌改良を一緒にやったのが一番効果的であるかとか、そういう工法的な調査をいま急いでおります。これとあわせまして、現在九州農政局、県のほうで、この地区に対しまして具体的に事業の計画を立てておりまして、再三農林省のほうにも打ち合わせに参っておりますので、早急にこの事業計画を固めて、事業に着工できるという体制を急いでやっておるような状況でございます。
○山本説明員 対馬の要観察地域というところにつきましては、今年度も、健康保護という観点から、住民の検診をいたすように県と連絡をしてやっております。その具体的内容等につきましては、先般十月二日に関係者に来てもらいまして、詳細な打ち合わせをやっている。したがいまして、カドミウムの汚染地域につきましては、健康の観点からは、今後も年々中毒患者を発見するという方向で続けていくということになっております。
 現在までのところ、住民検診をいたしました後に、さらに第二段階の検診、さらに精密検診という手だてを経ていくわけでございますが、対馬につきましては、たしか五名の方が従来精密検診に回ったと記憶しておりますが、そのうち四名につきましてはカドミウム中毒でないというぐあいに、専門家のグループによる判断がなされておりまして、一名につきましてはさらに精密検診を深める必要がある、かように伺っておる次第でございます。
○中村(重)委員 それぞれお答えがあったわけですが、県との折衝等は私もよく承知しているわけです。この問題については、新聞も注意深く読んでいますし、あるいは関係者からいろいろな資料も実はとっているわけですよ。調査をしていることはわかるわけです。しかし、私が指摘いたしましたように――調査も、これは慎重にやらなければならぬ、これはわかりますけれども、調査調査の連続で、その結論が出るまで農民は米の買い上げもしてもらえないというわけで、放置されてしまっているわけです。たとえば樫根部落なんかでは、非常に高いカドミウムが検出された。その地区でとれた米だけが買い上げの対象になっていないのじゃないのです。あっちこっちの全くカドミウムが検出をされていなかった水田から収穫をいたしました米も、買い上げの対象にならないのですよ。ほんとうに気の毒なんです。
 また、客土をしなければならぬが、企業の責任であるならば、企業に損害の補償を要求できるのですよ。ところが、いま通産省が言ったように、責任もあるけれども、これは決定的なものではないということになってくると、地元住民というものはそれに押えられて、ブレーキをかけられて、企業に対してもぶつかっていけない。また企業も、自分の責任が必ずしもあるとは言えないので、きわめて消極的な態度しか示さない。そこで実際は、役所のほうでは調査をしなければならないのだろうけれども、そういうことで、直接その地域の住民というものが非常にどうにもならないでおるという実態にあるので、調査と同時に、そういったような地区にあって苦しんでおる被害者の救済というものも、並行しておやりにならなければならないわけです。そこをお忘れになっていらっしゃる。政務次官もお聞きでございますが、あなたは政治家なんだから、そういう点について十分関心を持ち、これに留意して生きた対策を講じてもらわなければならぬと私は思う。
 まだお尋ねしたいのですが、この問題はまたあとに譲ることにいたしまして、御了解を横山委員からいただきましたから、地方空港の問題について簡単にお尋ねをいたしておきます。
 対馬の飛行場、六万の人口を持っている島で飛行場がないというのはここだけですが、いま経済企画庁の宮崎生活局長が、当時の職責からこれに対処してこられたわけですが、航空局のほうでも、これに対してようやくみこしを上げられて、来年から工事にかかるということなんですが、具体的な実施計画は煮詰まったのかどうか。
○鮫島説明員 お答えいたします。
 御承知のとおり、今年度実施設計調査という予算をいただきまして、現在地形測量、ボーリング等、基礎になります調査を実施しております。これに基づきまして実際の設計の委託を出すという予定になっております。
○中村(重)委員 明年から工事に着工するのでしょう。そして何年でこれは大体竣工することになりますか。
○鮫島説明員 予算の問題でございますので、何年ということをちょっと申し上げかねるわけでございますが、大体三年以内くらいにとりあえずの使用ができるように進めたいと私どもは考えております。
○中村(重)委員 そうすると事業予算はどのくらいなのか。それから滑走路はどのくらいの計画になっているのですか。
○鮫島説明員 まず滑走路の長さから申し上げますけれども、当面六百メートルの滑走路で、先ほども申し上げましたような期間でやりたいというふうに考えております。
 事業費は大体十数億円というふうに考えております。
○中村(重)委員 六百メートルの滑走路で、どういう型の飛行機を飛ばそうというのですか。
○鮫島説明員 ただいま六百メートルの滑走路で就航できます機種といたしまして、乗客約二十人乗りの飛行機がございます。そういうものをもちましてとりあえず運用を開始したいというふうに考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 それは、六百メートルですからそのくらいでしょうが、どういう機種なんですか。六百メートルで、二十人乗りで、またどこへその程度の飛行機が飛んでいくのですか。
○鮫島説明員 特に考えられます機種といたしまして、ツインオターというカナダの会社がつくっておりますものがございます。それからイギリスでつくっておりますスカイバンという機種がございます。この二つの機種がこのような輸送に非常に向いているかと思います。
 ツインオターについて申し上げますと、主として米国の都市間の輸送に現在活躍している機種でございます。
○中村(重)委員 私は、竹敷に水陸両用の飛行機を飛ばそうとしたときに、必ず失敗する、これはおやめになったほうがよろしいということを強く申し上げたことがあるのです。ところが、だいじょうぶだ――これは県も何か、水陸両用なんて非常に困るから、陸上飛行場をぜひつくってもらいたいということで、強く反対したわけですね。ところが運輸省が押し切ってしまったんです。はたせるかな、これはもう何回か飛んでだめになってしまったんですね。そして今日に至っておる。また六百メートルぐらいの滑走路、いまお話があったような程度、そんなものであの非常に気象事情が悪いところの対馬で危険であるとお考えになりませんか。異常気象が発生するといわれているあの地域に対して、私は、六百メートルの滑走路で、そしていまお話しになったような飛行機を飛ばすということは、また竹敷の二の舞いを演ずるような気がしてならない。事故が起こってからでは間に合わないのです。
○鮫島説明員 先ほど申し上げましたように、これは現在活躍している機種でございまして、私ども危険があるとは考えておりません。
 それからなお、先生おっしゃいましたように、過去の私どもの施策がうまくいかなかったということは、前から先生にたびたび御指摘をいただいているわけでございますが、今回の場合には、実は明年の夏ぐらいから、いろいろな事情がございまして、他の離島で就航をさせる計画になっております。したがいまして、この対馬が実際に使います状態までには、十分にその実績というものが出てくるわけでございます。
 なお、申し添えますけれども、六百メートルの滑走路をとりあえずつくると申し上げましたけれども、これは将来千五百メートルグラスの滑走路になるようなところ、その一部としての工事をいたしますので、万々一、明年以降の実績によりましてこれが危険――危険というのでございますか、何らかの不都合があるということになりましたら、それはそのまま千五百メートルに計画を切りかえることができるわけでございます。ただ私どもといたしましては、対馬の実情から見まして、とにかく早く空路を開くということが一番大切かと思いまして、そのようなふうに考えてきているわけでございます。
○中村(重)委員 決してことばじりはとらえませんからね。危険ですよ。ほんとうにあそこは異常気象が発生するんだ。それで、いま私がお尋ねしようという点を、あなたが先にお答えになった。六百メートルで一応着工する、そしてその他の地区に明年から飛行機を飛ばす、その実績を見てみてこれはやはり好ましくないということであれば、とおっしゃったんだけれども、それが好ましいとか好ましくないとかいうことは別として、六百メートルで着工するが、千五百メートルまでできるような設計をしてあるというんだから、続いて千五百メートルの滑走路にこれを拡張するという計画なのかどうかということです。それをはっきりしておいてもらいたい。
○鮫島説明員 これはいささか私の私見が入りますけれども、対馬は現在航空路実績がございませんので、予測が非常にむずかしいわけでございますが、私どもといたしましては、これだけの人口のあります、しかも海上の距離が非常に遠い離島でございますから、将来は非常に多くの旅客需要というものが出てくることは間違いないのではないかと思っております。したがいまして、その時点におきましては、当然さらに大型の機種ということを考える必要があるかと思います。
 ただ、もう一つ申し上げますと、六百メートルの滑走路で、現在開発中の機種といたしまして、四十八人乗りというものが技術的には確実にできることになっております。これにいたしますと、ただいまのフレンドとYSのちょうど中間ぐらいの旅客数にもなりますので、その辺は、実際の運航によりまして、旅客の実績等から見まして、千五百に延長する時期というのは判断をするときがくるかと思います。
○中村(重)委員 たぶん大村の飛行場の建設なんかを頭においているのだろうと私は思うのだけれども、予算の関係等々からして、いま千五百の滑走路をつくるということには若干問題があるから、とりあえず六百でやっておくのだ、――そして千五百に拡張しなくてはならぬという考え方はあるわけでしょう。三年やるのだから、途中でそういうことで変更することも、前の答弁からはそう受け取れるのだが、そういうような考え方もあるのでしょう。この際あまり形式にとらわれないで――いまあなたは私見ということまでおっしゃったのだけれども、それは私見でもいいでしょう。あなた方の私見というのは、そう簡単なものではなくて、実際の実務をやっておられるのだから、まあ信頼が持てるわけなんだから。どうなんです。
○鮫島説明員 ただいま申しましたように、必ず非常に大きな旅客の需要が出てくると思います。したがいまして、工事の当初から千五百ということは頭においてやっていく。それが実際にいつ移るかということにつきましては、先ほど来申し上げましたようないろいろな事情によりまして、適宜適切な時期において判断をしたいというふうに考えております。
○中村(重)委員 これは航空会社は全日空ですか。全日空だとすると、この六百メートルの滑走路で全日空のほうは了承しているのかどうか。
○鮫島説明員 現在まだ航空会社につきましては決定しておりません。しかしながら、六百メートルということと現在考えております機種との関係につきましては、どこの航空会社が扱いましても問題がないはずでございます。
○中村(重)委員 いや、そうはいかないよ。そんなお役所的な考え方はだめなんだ。航空会社は直接責任があるのですよ。あなたのほうはつくるだけなんだ。航空会社は、もし事故でも起こしてごらんなさい、一切の責めを負わなければいけない。だから、六百メートルの滑走路で全日空が――あなたは、どこだっていいんだ、こうおっしゃる。あなた方は技術的にぴしっとそこにはまりさえすればよろしいという考え方なんだ。実際にこの衝に当たるところの航空会社が、それで納得するかどうか。重々そこらあたりも詰めていくということでないといかぬ。大体、路線権というものは全日空が――あれは長崎航空等を買収したのだから、たぶん路線権は全日空にあるのではないかと私は思っているのです。だからそこは話し合いをして、納得ずくでいくようにしなければだめですよ。長崎県との間で。長崎県知事は六百メートルでは困ると言っておるのだ。何としても千五百にしてもらいたい、そうしてYS11が飛ぶようにしてもらいたい、こう言っておるのだ。あなたのほうは一方的だ。大体、竹敷の水陸両用の飛行場、用地を出させて、当時七百万円の金を出して、そうして今日これが失敗をして五年間そのままになっているでしょう。罪滅ぼしからいっても、今度は長崎県であるとか地元住民の意向を尊重していくということ、そういうことをおやりにならなければだめなんだ。そんなお役所的な考え方でこれを処理しようなんということは間違いだと私は思う。いかがですか。
○鮫島説明員 実際にどの航空会社がこの運航に当たるかというのは、現在の時期の問題ではございません。しかしながら、このいわゆるSTOLという関係につきましては、別の航空会社におきまして数年前から非常に研究を積んでございます。したがいまして、性能あるいはそれに必要ないろいろな施設ということにつきましても、十分に詰めた研究ができております。私どもはそれに従ってやっているわけでございます。
 もう一つ条件といたしまして、先ほど申し上げましたように、来年の夏からすでに実際に運航する予定のところがございます。そういうような状況から申しまして、私どものいまの判断というのは、決して、そんなおっしゃるように無理な、あるいは危険を伴うというような判断をしておるつもりはございません。
○中村(重)委員 だから、地元負担というものもあるのですよ。いいですか。十分県とも話し合いをする、そうして実際この飛行機を、航空会社との話し合いというようなものもやはりやっていく、そういう納得ずくでおやりになったらどうですか。あなたのほうが技術的に研究したからだいじょうぶだというようなことだけではなくて。それがほんとうじゃありませんか。そこまでやると
 いうことはわかり切ったことでしょう。
○鮫島説明員 もちろん、県その他と、実際に運航するまでに問題を詰めまして、納得ずくでやらなければいけないことでございます。
 なお、当面六百メートルの滑走路を早くつくるということにつきましては、県のほうとも意見一致した上での要求をしているわけでございます。
○中村(重)委員 私がこういうように質問をしておるのは、実は私は、この前の離島振興対策審議会でも、佐藤経済企画庁長官に注意を喚起しておいた。だから、県なんかの意向というようなものも、私どもは十分把握しているのですよ。だからあなたのほうは、県との間に六百メートルという形で話がついているのだというような意味のいまのお答えだったのだけれども、実際に納得していないのです。何としても千五百メートルまで拡張するようにしてもらいたい、とりあえず六百メートルということで着工することはやむを得ぬが、千五百という形に変更してもらいたい、しきりにそれを言っているのです。
 それから、私は、二、三日前地元の対馬にも行ってきました。そして、地元住民のいろいろな考え方というものも聞いたわけです。何としても六百ということでは困る、千五百にしてもらいたいんだ、YSが飛ぶようにしてもらわなければ困るんだ、あまりにもこの飛行機を利用するところの地元住民の意向というものを無視していると、これまたほんとうに非常な憤りを持っているのです。だから、これをストップするのではなくて、計画を進めていただかなければなりませんけれども、やはり詰めの足りない点は詰めていく、そういうことで対処してもらわなければならぬと思いますが、いかがですか。
○鮫島説明員 将来千五百メートルにするということにつきましては、先生御指摘のとおりでございます。それから同時に、できるだけこれを現実的な問題として早く運用を開始したいというところにおきまして、県と私どもの意見の一致を見たことも、私は事実だと申し上げてよろしいかと思います。もちろん先ほど申しましたように、設計中でございますから、まだいろいろ調査不十分な点もございますが、この辺、調査につきましても県と一緒になってやっておるわけでございまして、これの運用の問題あるいは将来の問題、これらも当然県と一緒になって進めていきたいと思っております。
○八田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時十九分開議
○八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。武藤嘉文君。
○武藤委員 ここ一日、二日の各新聞の一面、あるいは経済面、非常に繊維の問題がまたにぎやかになってきておるわけでございます。そこで、特にきょうあたりの各紙を見ておりますと、きのう佐藤総理はわが党の福田繊維対策委員長をお呼びになりまして、たいへん熱意のあるところを示しておられるようでございます。きょうはまた、お昼前でございますか、総理と通産大臣が御協議をなされたようでございますが、そういう時期にあたりまして――また総理が渡米されるのもあとわずか五日後に迫っておるわけでございます。一体、この今回の総理の渡米にあたって、佐藤・ニクソン会談が予定されておりますが、その佐藤・ニクソン会談で繊維の問題をどうしても解決をするというお気持ちなのかどうか、政府の考え方をまず私は承らせておいていただいたほうがいい。そうしてそれに関連いたしまして、政府として、いまアメリカの上院の財政委員会にかかっておりますいわゆる七〇年通商法案、この成立の見通しとこの問題は非常に関連がしてきておると思いますので、成立の見通しについてどういうお考え方を持っておられるのか、これについてもあわせてまずお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 昨日、総理大臣と衆議院議員福田一氏とが会談をされたということは私も報道によって存じておりますが、実は今日総理大臣にお会いをして話をする機会がございませんでしたので、その内容等につきましては私存じておりません。
 それから、総理大臣の訪米とこの問題との関連でございますが、過去の経緯から考えまして、わが国の業界並びにアメリカの業界双方で満足し、納得し得るような考え方が生まれますならば、それは日米両国のために、また来たるべき佐藤・ニクソン会談のためにけっこうなことであるとは思いますけれども、そういうことが成就しません限り、この短い期間の間にこの問題の基本的な解決をはかるということはむずかしいのではないであろうかというふうに考えております。
 それから、ミルズ法案の帰趨でございますけれども、よその国のことであり、おまけに一部選挙を控えましたアメリカ議会のことでございますので、帰趨はきわめてこんとんとしておるように聞いております。武藤委員が御存じ以上に私が存じておることは、特にございません。
 ただ、ただいま一応内定しておる日程として聞いておりますことは、選挙後十一月の十六日ごろかと思いますが、異例のことでありますが、米国の国会が再開をいたしまして、下院の本会議の再開後の第一議題はミルズ法案であるということ、上院の本会議の再開後の第一議題はたしか社会保障の法案と思いますが、そういうことが内定して、その社会保障の法律案に、家族援護計画の法案とこの通商法案とをいわゆるライダーとして付帯させようという考え方が、上院の委員会の一部にある。その程度の情報しか、ただいま私持っておりません。
○武藤委員 そうすると、きょうは閣議は別といたしまして、閣議のあとは総理にはお目にかかられなかったわけでございますね。――そういたしますと、どの新聞でしたか私ちょっと忘れましたが、政府として、佐藤総理の渡米を前にして、アメリカ大使館に、繊維問題の打開をはかるために具体的な日本案を示して非公式な交渉に当たらせるようにした、こういう新聞報道がございまして、その中身といたしましては、大体日本の業界が不承不承ながらもまあまあ受け入れられやすいものではなかろうかと私は思って読ませていただきました。たとえば包括規制でなく選択規制である。あるいはその規制の期間が過ぎたら絶対に延長しないという歯どめをはっきりさせる。あるいはもう一つは何でしたか、各カテゴリー別の規制ではなくして総量規制方式をとるとか、たしか三つか四つそんなようなことが並べられておったと思います。それに期間の問題が二年ないし三年ということであったと思います。そういうものを、それでは佐藤・ニクソン会談の前に、向こうへ非公式ながらも折衝に入るための指示をされたかどうか、これについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 結論から先に申し上げますと、そのような指示はいたしたことはございません。前回スタンズ商務長官と私との会談が不調に終わりましたことは、両国にとりまして決してしあわせな結果にはなっておりませんので、かりに非公式ではありましても、政府間交渉か何かの形で始まるということにはよほど慎重でなければならないわけでございます。そのような意味で、ただいま御指摘のような指示をいたしたことはございません。両国とも、お互いのその後の国内情勢に変化があるかないかということにつきましては、これはいろいろな接触をいたしておるかと思いますけれども、ただいまのような案を具して非公式なりとも接触をしたという事実はございません。
○武藤委員 そういたしますと、先ほどのお話で、佐藤・ニクソン会談でもうまく話がつけばそれにこしたことはないけれども、いまの状況では、非常に向こうの財務省なり、特に業界なりの抵抗が強い今日において、また先ほどのお話のように私どももたいへん心配をいたしておりますが、ミルズ法案の通る可能性がまだ相当ある今日においては、なかなか向こうの抵抗は強いのではなかろうか。そういうときに、こちら側の業界に納得をしてもらえるような案で話をつけるということは、たいへん私もむずかしいのではなかろうかと思うのでございますけれども、そのようなむずかしいことをあえていたしまして、それこそ佐藤・ニクソン会談でまたこの話が持ち出され、またこれがうまくいかなかった、こんなようなことになりましては、ほんとうにたいへんなことになると思うのでございます。
 私としては、日米の現在の経済問題繊維以外にも、あるいはカラーテレビの問題、洋食器の問題、最近は板ガラスまで問題が出ておりますし、あるいは漁業の網でありますか、とにかく数えあげれば切りがないほどで、いま通産省では摩擦品目をいろいろ調査いただいておるようでございますが、そういうようないまの日本とアメリカの経済関係を考えてみますと、もちろん私は、何らかの形で、筋を通した形で、しかも日本の業界が不承不承ながらもしんぼうできる範囲で、妥結といいますか、話がつくならば、これはやはり大局的な見地に立ってこの際解決をすべきである、こう思いますけれども、しかしそういうような形でなく、ほんとうにアメリカ側の言いなりで解決をしなければならないというか、向こうの話をのまなければならないということになりますと、これはあとあととんだことになりますので、その辺私、心配をしていまのお話を承らせていただいたのでございますけれども、今後それでは――これも予測の問題でございますから大臣としてはおわかりにならないかと思いますけれども、しかし、新聞による総理の姿勢というものは、相当熱意のあるものではなかろうか。でございますので、今後総理から大臣にいろいろ具体的にお話がある可能性もあると思うのです。そういう場合には、いまお話ございましたように、やはりいままでのいきさつからまいりまして、すべてアメリカ側のペースで進まないような形、もし話をしていただくならば、あくまでも――もちろん、ものは話し合いでございますから、こちらが妥協しなければならないところもございますけれども、あくまでも一つの線というものは、先ほどちょっと新聞に出ておったということは私申し上げましたが、たとえば規制の期間の歯どめだとか、あるいは個別でなく総量規制であるとか、あるいは最初の一年はともかくといたしまして、将来においては被害の立証という問題とか、業界を納得させるにはどうしてもその辺のところが最後まで抵抗があると思うのでございますけれども、そういうものを含んだものでないと――それ以外は、期間が多少長くなるとかいうことは業界の方も納得していただけるんじゃないかと私は想像いたしておりますけれども、とにかくどうしても業界が了承できないようなところで話がつくということは、将来非常にまずいことになると思います。そういうことのないように、ぜひ大臣として、もし総理から御相談がありましたときには、この点の筋だけは通していただきたいと思いますけれども、その辺の考え方をお聞かせいただきたいと思うのでございます。
○宮澤国務大臣 総理大臣として、日米両国の関係を大所高所から考えられて、この問題が解決することが望ましいと考えておられることは、御指摘のとおりだと思いますし、しかるべきことだと私も考えているわけでございます。が、ただいま御指摘のように、わが国の業界としても譲れない幾つかの条件があるわけであると思いますし、また政府としては、しばしば行なわれました国会の御決議によって、行動の許される範囲というものは制約されております。他方で、先ほど申し上げました非公式ないろいろの接触を通じて私どもが知り得る限りでは、アメリカ側の業界における態度にはさしたる変化が見られないということでございますから、そうして考えますと、現在の環境が、去る六月にこの問題で日米交渉が行なわれました当時と、そう大きく変化をしておるとは考えにくいわけでございます。佐藤・ニクソン会談を控えまして、何か大局的な見地からこの問題が展開できればまことにしあわせなことでございますけれども、ただいまのところそういう見通しは、この数日中によほどの変化でもない限りは、なかなか得がたいというのが現状でございます。
○武藤委員 時間もございませんので……。この問題は、そういうことで、どうもはっきりと大臣からお答えがいただけなかったのでございますが、非常にむずかしいという大臣の御判断。それですから、私、先ほどお願いいたしましたように、へたな妥協を総理がしてこられると、あとになるとかえってマイナスになるということも、私は考えられるのでございます。ですから、よほどその辺は今後よく筋を通して、筋は筋といたしまして妥協できる限界というものを、おのずと大臣よくおわかりだと私は思いますので、そういう妥協できる限界だけは、もしそういう機会がございましたら、ひとつよくおっしゃっていただきたいと思います。
 次に、これも仮定の問題でございますが、いまのようなお話で、必ずしも今度の佐藤・ニクソン会談で妥結できるという見通しはまだはっきり立っていない。しかし、万が一妥結した、何らかの形で妥協ができたといたしました場合の仮定の問題でございますから、まだ具体的なお話は承れないかもしれませんけれども、新聞にいろいろ出ておりますので、ただ一応御参考に私が承っておきたいと思いますのは、いま妥協した場合には、たとえば製品の買い上げ機関をつくるだとか、あるいは金融面でめんどうを見るとか、こう言われておると新聞で報道されております。たとえば買い上げ機関を――私いろいろ新聞だけ見ておりますと、アメリカへ向けてできる製品を東南アジアへ経済援助の形で持っていったらどうかというようなことも書いてございますけれども、これはもうとてもむずかしい問題である。アメリカ人に向けてつくったものが、幾ら経済援助とはいいながら、実際東南アジアの人が着れるものであろうか。そういう着れないものをもし経済援助で回せば、これはまた日本が東南アジアの国々からそれこそ非難を受ける形になるわけでございます。ですから、少なくともそのようなアメリカ向けに用意したものを将来東南アジアに向ければいいということでは、買い上げ機関を幾らおつくりいただいてもこれは実効がない。その辺、非常にむずかしい問題でございますが、何か将来の問題としても、今度の佐藤・ニクソン会談ということだけではなくして、万が一、将来、日米繊維交渉である程度日本の業界がしんぼうする形で妥結した場合、そのような政府による、あるいはその他の機構による買い上げ機関をつくるという考えがあるのかどうか。あるとすれば、具体的に何かお考えをなさっておられるのか。あるいは一方において金融面において、たとえばそういう妥結がなされた場合に、どういう機関からどういう形で金融の援助をされようというお考えを持っておられるのか。もし何かいまそういう研究をされておることがございますれば、ぜひ承らしていただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 ただいまのお話は、昨日の佐藤・福田会談の席上出たこととして報道されたわけでございますけれども、私その話を直接総理大臣からお聞きをいたしておりませんので、具体的には申し上げることはできません。ただ私の想像では、もしこういうお話が出たといたしますれば、それはわが国の業界の自主的な決断によってこの問題が解決をする、かりにそういうふうに動くのであれば、政府としては許され得るあらゆる措置を考えてその結果に対処したい、そういう決意の表明というふうに、これは想像でございますけれども、私は受け取っておるわけでございます。現在私どもとして、具体的に何をどのようにすることが有効適切な措置であるかということを申し上げる段階に至るような研究はいたしておりませんけれども、しかし、そのようなことになれば、実際に具体的に適合したような方策を考えなければなるまい、当然そうしなければならないだろうということは、ただいまから考えております。
○武藤委員 そういたしますと、その具体的な方策というものはまだ通産当局としては何もできていない、こういうことでございましょうか。
○宮澤国務大臣 そういうことを考える用意は十分ございますけれども、実は御承知のように、そういう仮定の事態が事実になりました際に、この業界は非常に千差万別でございますから、おのおのの各業界内の分野から出てまいります要望というものが、かなり千差万別であろうと思われます。その要望を十分参酌してと申し上げたいところでございますけれども、業界そのものは、そういういわば一種の条件を前提にしたような姿勢に転換をいたしておりませんので、そのような要望をいま私どもがくみ取る方法がない。かりにそういうことになりましたら、それは十分行政の上に反映させなければならないという基本的な考えを持っておりますことには間違いございません。
○武藤委員 確かに業界が非常に強い姿勢でございますから、とてもその業界の要望を聞くことはできないということはよくわかります。ただ、今度は逆の考え方からまいりますと、こういうことで業界を納得させるには、こちらでこういうことをさせていただくからこれでひとつ話に応じてくれないか、業界、しんぼうしてくれないか、こういうのも政治として私は必要なことだろうと思うのでございますが、そういう面においてでございますと、業界の要望は聞けないけれども通産当局は通産当局の立場なりに何かこういう案を、もし何か具体的にアメリカとの間で話し合ってできそうだというときには、日本の業界に対しては示さないといけないだろう。この辺のところはあると思うのですが、何かその辺ひょっとして佐藤・ニクソン会談で――いまの話では見込みが薄いかもしれませんけれども、可能性がないというわけではございませんので、そういう場合ですと、もうあとわずかの期間であるし、その辺もう少し何か煮詰まっていてもいいような感じを私は受けるのですけれども、その辺は全然煮詰まっていないのかどうか。多少でも煮詰まっているものがあれば、少しでもお聞かせいただければ、われわれ非常に安心ができるわけでございます。
○宮澤国務大臣 この点は、私どもが業界を無用に刺激をしたくないという気持ちが片方にございますので、伝えられるところの佐藤総理大臣の昨日の発言ならびにただいま私の申し上げましたことは、かりにそのような事態になれば、政府としては、与えられた許され得るあらゆる方策は考えて、実地に適したような形で業界の苦労というものに対処していきたい、こういう一般的な心がまえを申し上げておきましたら、これで私どもの意の存するところは業界にもおわかり願えるのではなかろうか、かように思っております。
○武藤委員 もう時間がございませんので、念を押すようでたいへん恐縮でございますが、いまのお話を承っておりますと、万が一にもある程度業界にごしんぼういただいて妥協がなされたときには――これはあくまで仮定の問題でございます。政府としては全責任をもって業界の困らないように、特に中小企業の面においては十分責任をもって対処し解決をしていく、こういう姿勢である。責任をもってやるんだ、こういうふうに解釈をしてよろしゅうございますか。
○宮澤国務大臣 行政に与えられました権能の範囲、並びにもし必要でございましたら国会に所要の措置の御審議を願いまして、できるだけこの事態に対処してまいりたいと考えておりますことは、そのとおりでございます。
○八田委員長 横山利秋君。
○横山委員 いまの質疑応答を聞いておりまして、質問される自由民主党の気持ちも何だかよくわからない。答弁される大臣のお気持ちも、何ともわからない。これは国民としてはたいへん理解に苦しむのであります。
  〔委員長退席、橋口委員長代理着席〕
 先般大臣がアメリカへ行かれる前に、かさ屋の小僧で骨を折ってしかられるよと言ったら、あのときの雰囲気では、たいてい行かぬつもりだ、私はこういう理解をいたした。それにもかかわらず、佐藤さんからどう言われたか知りませんが、行かれた。予想どおりの結果になった。そして決裂をした。いまあなたからお話のように、その後さしたる状況の変化はない、こういうのですね。それでもなおかつ、私に言わせれば、マスコミを操作して、話をつけなければならぬ、こういうように政府がマスコミ操作をしておるような気がしてならぬのです。はっきり聞きたいのですが、決裂してから以降アメリカ側から、直接にもあるいは間接にも、繊維交渉を妥結したいという意思表示があったのですか。
○宮澤国務大臣 マスコミを操作というような大それたことは考えたこともございませんし、いたしたこともございません。アメリカ側といたしましては、先般六月に出されました声明のとおり、この問題を何とか解決をしたいと考えておりますことは、その後今日まで継続してそのとおりであろうと思っております。
○横山委員 第二番目に、繊維業界から、妥結をすべきである、ないしは何とか妥結をしたいという意思表示があったのかどうか。今日、佐藤さんがアメリカに行ってニクソンと会ったときに繊維交渉をするという立場で議論が行なわれておるのですが、それは繊維業界の意向を体しておるかどうかという点についてはどうです。
○宮澤国務大臣 先ほど武藤委員に申し上げておりますことを終始お聞き願っておったと思いますけれども、私どもは、佐藤・ニクソン会談がありましたときにこの繊維交渉をしようという前提で何もやっておるわけではありません。
 それから、わが国の繊維業界にその後どのような変化があったかということでございますけれども、この問題に関する限り、繊維業界に大きな変化があったとは考えられません。ただ、その後生まれております日米間の経済についてのいろいろなできごとから、いわゆる財界一般、経済人一般として何がしかの憂慮を持っておられるということ、これは新しい変化としてございますけれども、繊維業界そのものが特段に何か新しいことを希望しておるといったようなことはございません。
○横山委員 そういたしますと、決裂をした、アメリカは基本線を決して変えていない、繊維業界も変えていない、政府だけが何かばたばたあわてて、まとめられるものならまとめてみよう、ニクソンに会うのだから、当然この話をせにゃならぬから下調べをしよう――下調べどころでなくて、できるものなら体制づくりをしていこう、こういうようにお考えのようであります。政府として、言い方が悪ければ総理大臣――何か聞けば、あなたもまだ大臣に会っていない。そうして福田さんと大臣が行なわれた会談の内容をあなたはまだ御存じない。何か総理大臣だけが一生懸命にばたばたして、アメリカへ行ったらニクソンと話をせにゃならぬ、それなら繊維の話をせにゃならぬ、それなら受け入れ体制をつくらなければならぬ、そういうように先行をしておる。これはたいへん危険な状態だ。同じことをもう一ぺんやるつもりなのか。こちらからもう一ぺん話を出すなら、譲歩の姿勢をつくっていかなければならぬ。この勝負は見えているという感じがするわけであります。私の感じが間違っていますか。あなたもそう御心配になりませんか。さっきからあなたの顔を見ているのですが、いつも頭脳明晰な大臣に似合わず、きょうはいやな日だなあという顔をしてさっきから答弁をしておる。いま初めてにこっと笑われた。冗談だから笑ったんであろうけれども。さっきからあなたの顔をじっと見ておるのだけれども不愉快な問題だというものがあなたの顔にありありと見える。それならきっぱりとして、もう大原則に立ち返ったらどうでしょうか。総理大臣にも進言をしたらどうでしょうか。日本国民が、繊維業界のみならずすべてのところが、総理大臣が一生懸命やっておるけれども、あれはどうなることか。へたに話をつけてきて、繊維業界はわんわんもめる、そうして国内のあらゆる関係からつまらぬ譲歩をしたといわれる、こういうような結果が見えるという気がしてしかたがないのであります。私の判断は違っていますか。あなたの率直な御意見を伺いたい。
○宮澤国務大臣 総理大臣ばかりでなく、私自身も、日米両国の大局的な関係から見まして、このような問題は何とか早く片づけたいと終始今日まで念願しておりますことは、もう御承知のとおりでございます。しかし、日本政府のなし得ることにはきわめて限りがございますから、そこで苦労をしておるわけでございます。他方で、御承知のように、最近になりまして日米両国の経済関係には、はなはだおもしろくない幾つかのできごとが起こっておりますので、そのような問題がこれ以上悪化しないために、何とか両者で全般的な問題を考え直す方法はないだろうか。繊維だけが日米関係ではございませんから、両国とも当然そう考えておるわけでございます。これは、近く佐藤・ニクソン会談が行なわれるから、繊維をというのではございませんで、佐藤・ニクソン会談は日米間の経済関係全般を話し合う機会になりますことは、おそらく間違いない。両国の経済問題は、そのようにかなり深刻になりつつございますから。そういたしますれば、この際この問題についても、何か新しい問題のとらえようはないだろうかということを、わが国の経済界でもいろいろに御研究でございます。したがって私どもも、それを支援する形で問題の検討をしておる、こういうことでございます。
○横山委員 私はまた逆で、このようなわずらわしい問題は早く片づけたいというお気持ちがいかぬと思っている。早く片づけようと思えば思うほど、ずるずると底なし沼に行ってしまう。だから、大臣がいま最後におっしゃったように、日米の経済関係という基本的な問題に議論をするならいいけれども、具体的な当面の繊維だとか個々の問題に議論をしたら、ずるずるいってしまうというふうに私はむしろ考えるのであります。
 といいますのは、いまのアメリカのやり方というものは、いろいろな問題がその基本的な問題にある。一番普遍的な、ポピュラーな話は、ニクソンの選挙対策。そしてまた中間選挙を控えている。そしてまた七二年のニクソンの大統領選挙を控えている。こういう長期にわたるニクソンの選挙対策ということなしには考えられないということが、一つであります。それから二つ目にはアメリカは、この繊維ばかりでなく、カラーテレビから、あるいは皮製品から、次から次へとやはり問題を持ってくる。それでおりながら一方では、グレープフルーツだとかいろんな自分のところの自由化問題を持ってくる。一つの問題だけでなくて、幾つも幾つもアメリカの保護貿易政策という立場から問題を今後持ってくる。こう考えますと、今日まで、六〇年代までの日米関係と七〇年代における日米関係とは、基本的に違う条件になっておる。それと、一番最初、繊維を早く片づけなきゃいかぬと思うあまり、それが例になってしまう。私は繊維がどうなってもいいとは思いませんよ。どうなってもいいというわけではないのだけれども、長期的な展望に立って日米の経済関係を基本的に議論をするということが、まずその原則がなければだめではないか。そのようなほうが、むしろ総理大臣とニクソンが会って話をするなら大事だ。今後の日米の経済関係の基本的原則というものは何なのか、そこに腹を据えていかなければならぬと思うのであります。
 私はその基本的原則といいますか、基本的な問題の一つは、いままでは、私ども野党から言うならば、政府はアメリカさんの言うことだから、まあ、とにかくいろいろ御協力もお願いしたことだから、こういう感覚がどうしても今日まであったわけであります。手っとり早く言えば、商売がたきであります。対等の立場というものが常に基本的な姿勢でなければならぬと私は思うのです。
 それから第二番目に、この問題を繊維を通じてみましてもわかるのでありますが、アメリカの事情は勉強してわりあいによくわかる。まあ、わかっているとは言いませんけれども。ところが日本の事情はちっともアメリカにいっていない。日本の立場というものが、アメリカの政府、アメリカの関係者の中にちっとも浸透していない。一方的な向こうのペースで議論がされておるという感が免れがたいと思うのであります。対等の立場でいくには、どうしたらPRが十分に向こうに徹底するかということが、私は非常に大事なことではないかと思うのであります。
 第三番目の問題としては、報復を考えるべきである。これはあたりまえのことだ。もちろん、第四番目の自由化という点については、私どももいいだろうと思う。政府の立場もいいだろうと思う。しかし、私どもは裸になります、向こうさまは着物を着ています、それでも長い目で見て裸であったほうがいいというには、少し私は異論を呈したいと思う。だから報復の原則も当然あっていいではないか。対等の立場であるならば、平等の立場であるなら、当然あっていいではないか。こういうような互恵平等、対等といいますか、貿易のきわめて普遍的な原則を、おまえのほうも商売をやっている、おれのほうも商売だ、しかも日本の経済は非常に成長しているのだから、ちょっと考え直してもらわなければいかぬという基本的な問題について話をするならともかく、当面の繊維問題でずるずる引っぱられてしまって、それが尾を引いてしまうような話はやめたほうがいい。ほっぽっておいたほうがいい。私はあえて強弁をいたしたいと思います。だから、これからも対米経済の基本的原則というものを、ひとつしっかり総理とお話し合いをしてもらいたいし、いま大臣のお考えがあったら承っておきたいと思う。
○宮澤国務大臣 対等ということにつきましては、私は御説のとおりであると思いますので、対等の関係から初めて真実の友情というものが生まるというふうに考えておりますから、わが国の国力が回復いたしますとともに、いわゆる対等という関係に近づいていく。そういたしますと、従来の関係のような親善でない、新しいほんとうに対等な立場に立っての親善関係というものが生まれてこなければならない。われわれはいまそういう苦しみをちょうど通っている、そういう過程にあるのではないかというふうに考えております。
 商売がたきということでございますけれども、確かに両国の品物の中には大いに競合いたすものもございますが、これは売ったり買ったりということは、かたきということではなく、やはり商売としてのそういう親善関係というふうに考えるべきではないものであろうか。
 PRの問題につきましては、これは確かに私どもまだまだ努力の足りないところがございます。もっともわが国の場合は貿易の三分の一をアメリカとの関係で行なっているという関係であり、先方はそのような関係にはございませんから、おのずから関心の度合いが違う、これは基本的にあるだろうと思いますが、しかしPRの努力が足りないということは、私ども反省しなければならないところであります。
 報復云々でございますが、これもときとしては交渉上の一つの技術として考えなければならないことはそのとおりでございますけれども、現在のアメリカにおけるかなり急激な保護主義の台頭ということを考えてみますと、それにベトナム戦争以来いろいろな挫折感等々が多少異常と思われるまでに先方にあるように思いますので、いわば先方がかなり異常な状態にあると考えられますときに、そのパートナーとしてのわれわれがとるべき態度は、むしろきわめて冷静に、理性的にこれに対処することのほうがいいのではないだろうか。いわゆる売りことばに買いことばということは、この事態を早く解決するゆえんではないのではないだろうかという感じを持っております。
 それから自由化の問題でございますが、確かに現在アメリカに相当保護主義の台頭がある。しかしながら、それでもなお現在のアメリカと現在のわが国とを比べて、どちらが自由化が進んでおるかといえば、これは残念ながらわが国の努力がはるかにおくれているということは、これは御承知のとおりでございます。われわれとしてもガット及びOECDの原則に従って自由化を促進してまいるということが必要であると思います。
 それから最後に、日米両国の貿易関係の基本的な理念は何であるかということでございますが、これはやはり両国とも、自由貿易というものを進めていくということがしばしば両国の首脳によって共同で表明された決意でございますから、私どもはそれでなければならないと思っております。
○横山委員 私も、にわかにどんどん報復をやれと言っているわけではない。けれども、自分で自分の手を縛って、じゃ私は裸になりましょう、あなたのところベトナムでお疲れでしょうから、傷は私が受けましょうというようなことは、国民が納得しませんよ。関連業界でも納得しませんよ。大体、本件は、沖繩交渉の際に、佐藤・ニクソン会談によって取引されたものだということは、いま公然たる事実だ。今度はまた佐藤・ニクソン会談で、あなたのところベトナムでお疲れでしょうから、私どもが傷を少し負いましょうやというようなお考えでは、とても国民は納得しないと私は思うのであります。やみくもにやれというわけではありませんが、一つの国家として、あるいは商売の相手として、許されておる当然の報復の原則を自分から放棄する必要はないと思うのであります。どうなんですか。おやりになるつもりは毛頭ないとおっしゃるわけですか。
○宮澤国務大臣 これはもうしばしば申し上げておることでございますけれども、私どもは基本的に、自由化というのはだれのためにするのでもない、日本自身の利益のためにするものだと考えておりますから、この自由化の計画は、必要があれば、またできるならば従来のテンポをなるべく早めてまいろうというふうに今日まで努力をいたしておるわけでございます。
 またもう一つ、多少世界的な観点から申しますと、アメリカに保護主義が台頭しておるというような現段階において、わが国が率先して自由化を進めていくということは、そのような風潮を幾らでもチェックする意味で大きな意味を持つのではないかと考えておるわけでございます。
○横山委員 時間がございませんので、あわせて対米貿易の問題ですが、この間あなたのいらっしやらないときだったと思いますが、カラーテレビについて質問をいたしました。政府としては、私どもの要望である価格を全般的に引き下げさせる、それから流通過程の改善をさせるという点について、御了承を願ったわけであります。ところが、その後業界の状況を見てみますと、百鬼夜行といいますか、めちゃくちゃであります。業界の幹部が値段を下げようと言うと、大メーカーの社長が、いや絶対に下げないんだと言って系列店にレポーターを回すとか、まことにこんとんとして問題がある。このような業界の百鬼夜行のような状況は、言うならば対米輸出の問題についても、基本的な共通点があると私は思っておるのであります。内容的にはこの間詳細にわたって申し上げましたから、大臣に一言だけお伺いしたいのでありますが、全般的に安くさせる、流通過程の改善をするという点について、万難を排して強力な行政指導をなさるおつもりがあるかどうか、伺っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 私どもとしては、そのような決心をもちまして、すでにそのための基礎準備を始めておるわけでございます。
○横山委員 あと、恐縮ですが少し大臣に聞いておってもらって、電気事業法について質問をいたします。
 むずかしい法理論になるかもしれませんが、電気事業法の七十二条では、「主任技術者を選任しなければならない。」と書いてあります。ところが施行規則七十七条の二項で、三百キロワット以下は通産局長の承認で主任技術者を選任しなくてもよいと書いてあるわけであります。そしてさらに通牒では、保安協会や個人専業者に委託をすることができるということになっておるわけであります。簡単に申しましたが、私の言いたいことは、法理論として、法七十二条で「通商産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。」となっておる。これは例外規定がいささかもないわけです。法律で絶対要件としてきめられておりますのにかかわらず、施行規則で通産局長の承認で主任技術者を選任しなくてもよろしいと書いてあるということが、まず第一に法理論としてきわめておかしなことだと思う。そうしておいてまた通牒で、保安協会、個人専業者に委託をしてもよろしいということなのであります。私が言いたいことは、法律が間違っておるならば、法律を直すべきだ。しかし、法律に定められておる限りにおいては、「選任しなければならない」のであるから、それを施行規則なり通達で、選任しなくてもいいと解釈をしたり行政指導をすることは、法律に違反をしているということなのであります。私がいま申し上げているのは法理論であります。実態論として、それならば「選任しなければならない」ということが実態に合うか合わないかという点については、私も実態になかなか合いがたいところは認める。しかし、そうだからといって、政府が法律をかってに押し曲げて、へし曲げて行政行為をすることは許されないことだ。だから、法律を改正しなければ政府の行政行為は違法である、こういう観点であります。どなたか御答弁をお願いしたい。
○馬場説明員 電気事業法の自家用の電気工作物につきまして、法律のきめが先生のおっしゃるようになっており、さらに省令で、つまり置かなければならないと法律できめてあるのを、通産省令で定めるところによりまして、一定の規模以下の小さい自家用のものにつきましてはいわゆる選任の技術者を置かなくてもいい。一定の条件下ではございますけれども、そういうふうにきめておることは、仰せのとおりでございます。
 純粋に法律論として議論いたしますと、先生のおっしゃるところも確かによくわかるわけでございますけれども、法律上は、通産省令の定めるところにより選任しなければならない、こういう書き方になっておりますので、その通産省令で、置き方と申しますか、三百キロ以下のものにつきましても全然置かなくてもいいということではございませんで、通産局長の承認にかかわらしめておりますし、その承認を与える条件で、いわば小さいものにつきましては、実態面から申しまして一人一人置くのは無理であろうということから、一定のものに委託すればよろしい、こういうきめ方をしておりまして、「省令で定めるところにより」という読み方でそこまで読んでおる、こういう実情でございます。
○横山委員 それは三百代言というものです。少なくとも法律を正当に解釈をするならば、「通商産業省令で定めるところにより、」という普遍的、一般的解釈というものは、省令で選任のしかたを定めるべきものであって、選任しなくてもいい条件というものはあり得ないのがまっとうな解釈というものです。あなたがそうでないと言うのなら、法制局長官をここへ呼びましょう。疑義があるけれどもということでも言うならともかくとして、「省令で定めるところにより、」ということばがあるから間違いがないのだとおっしゃるならば、法制局長官にここへ来てもらいましょう。どうです。
○馬場説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、法律論として議論いたしますと、法律で通産省令の定めるところによりと書いてございますが、その省令で、つまり先生のおっしゃる置き方――置き方をまさにきめておるわけでございますが、置き方だけではなくて、つまり一定の条件なら選任の者を置かなくてもよろしいというところまで省令で書き得るものかどうかということにつきましては、法律的にいろいろ議論があろうかと思います。私もその点は認めます。認めますが、実態が非常にたくさんの小口の自家用電気工作物に一人一人を置かしめるということは無理だということで、省令でただいま御説明しましたような方式をとっておるわけであります。法律論としましては確かに、問題が全然ない、これは完全に正当であるというふうには、私も考えておりません。
○横山委員 第二番目の問題として――あとで整理をしますが、個人専業者が国家試験に合格をする。そして主任技術者たるの資格を持ち、資格を持った人間が通産局へ行く。そうすると、先年同僚が質問をしたときの時点で、五十五歳以上でなければだめだという。それを指摘されたら、今度は政府は、経験年数十四年、十二年、十年と経験年数がなければだめだ、こういうふうにきめた法的根拠がありません。これもひとつ端的にお答えを願いたい。疑義があるならあるでよろしい。疑義がないというなら、また法制局長官を呼びます。
○馬場説明員 先ほど申し上げましたように、通産省令で、その置き方の問題ではなくて、つまりそういうふうに処置をすれば選任の者を置かなくてもいいというふうにきめて法律上一定の疑義がないかどうかという点につきましては、先ほどお答え申しましたようなことでございますが、しかし、それを前提にいたしましていまの省令ができておりますので、省令をつくりますときに、一定の資格要件のある者、たとえば保安協会というような法人あるいは個人に頼みますときには、ただいま先生の仰せになりましたような、主任技術者になりましてから一定の経験年数を持っておる者、そういう範囲を限りまして、こういう条件にある団体もしくは個人ならば頼んでもよろしいという内容をきめること自身は、私は必ずしも無理なことではないというふうに考えております。
○横山委員 五十四条で主任技術者免状というものがあって、その第四項に、「主任技術者免状は、次の各号の一に該当する者でなければ、その交付を受けることができない。」、そのまた第一号で、「主任技術者免状の種類ごとに通商産業省令で定める学歴又は資格及び実務の経験を有する者」、ここでもう実務が入っているわけですね。それからその次に第五項で、「前項の規定にかかわらず、電気主任技術者国家試験に合格した者も、その交付を受けることができる。」、二つに入っております。第一号のほうは、実務の経験を有する者として交付を受けたものであるから、その者については十四年、十二年、十年という問題は関係はない。いいですね、その点は間違いないですね。この五十四条の第四項の第一号に該当する者は、十四年、十二年、十年という経験年数は必要はない。これはいいですね。そのとおりですね。
○馬場説明員 先生のおっしゃるとおりでございます。
○横山委員 すると、第五項の「電気主任技術者国家試験に合格した者も、その交付を受けることができる。」、ここにはこの資格及び実務は書いてないわけですね。もしも経験年数が必要であるならば、この同じ条文の中でありますから、電気主任技術者国家試験に関する受験資格なり何なりというものが定められておって、ここに経験年数が法律制定されておるならばともかく、同じ条文の中で、一方は実務の経験を有する者、一方は試験に合格した者と定められておるにかかわらず、五項だけ、合格しても十四年、十二年、十年経験年数がなければこれはだめだという法的根拠を伺います。
○馬場説明員 これは法的根拠と申しますか、通産局長がその一定の資格要件をどの範囲に定めるかという、いわゆる法律的に申しますならば、裁量の範囲をどの辺にするかというのを、各通産局ばらばらでは問題がございますので、中央の通牒によりまして一本化したという内容を定めるものでございますので、この十年、十四年というのが法律的にどういう根拠があるのかと申しますと、法律的根拠からは立たないかと思います。ただ、そういう裁量の範囲をどのぐあいが適当であろうかということについて特にこういう経験年数を要求しておりますのには、それなりの実態的な理由がありまして、つまり、こういう小さい……(横山委員「そんなこと聞いているのではない。法律的根拠だけ聞いている」と呼ぶ)法律的根拠というものはありません。
○横山委員 余分なことを言わなくてもいい。三十分だから、あと十五分しかないのです。
 法律的根拠がないのにかかわらず、国家試験に合格した者を、おまえは経験年数がだめだから雇ってやらない、許可をしてやらないということは、越権行為ではありませんか。もしもそれがどうしても必要であるならば、法律的な根拠を明白にしておやりなさいよ。
 最近新聞にも投書が出ておるわけでありますが、私は試験に合格をしました、ところが通産局へ行ったら、おまえさんは資格がないからだめだ、こういってけられた。それで関東管区行政監察局へある人が訴えた。そうしたら、行政相談室からこういう返事が来た。「電気保安管理者の選定については法的根拠に基づくものでなく、従来、所轄通商産業局長が認めた者(電気技術保安協会)との間に当該設備の工事、維持及び運用の保安に関し適正に実行ができると認められる契約を締結していますが、それの一環として採用している制度であるため、本質的には当該協会が行なうのが筋であるが、事務量その他種々な理由から肩がわりの意味で通商産業局が行なっているということで、通常の行政行為あるいは行政処分をしているという見解に立っていません。」ときた。きわめて奇怪千万なお役所の文章だと私は思うのです。これがほんとうであるならば、保安協会がやることだけれども、あれが忙しいからお役所でやってやったんだ、したがって、お役所でやったことであるけれども、行政行為でも行政処分でもありませんよ、こういう返事なんです。これもお役所です。「関東管区行政監察局行政相談室長、昭和四十五年九月十日」、この解釈は正当ですか。
○馬場説明員 ただいま先生の御指摘になりました関東管区行政監察局長の回答と申しますか、それは私ども見ておりませんので、いまその内容につきまして承知をいたしておりません。ただ公益事業局長通達によりまして、一定規模以下の自家用工作物の所有者は、保安協会に委託するか、あるいは個人の専業者に委託する場合には、先ほどお話の出ましたような一定の資格要件を持った方に委託するかいずれかである場合には選任の者を置かなくてもよろしい、こういうことになっておりますから、どちらかになっておるかどうかというのは通産局として当然見るわけでございまして、その見る行為は明らかに一つの行政行為でございます。
○横山委員 違うのですよ。この人は営業許可を早くということで通産局に面接に行ったというのです。面接に行ったら、隣に保安協会の人がすわっておる。役所の許可をもらうのに、保安協会が何でそばにすわっておるのか知らぬ。そして役所から、あなたは経験年数が足らぬからだめだ、こう言われた人間なんです。まことに奇怪千万な話だ。つまり私の言いたいことは、保安協会と役所が問題を混清しているんじゃないかということと、通産局長が、あなたのほうの全国を統一されて十四年、十二年、十年とやったことは、何らの法的根拠がないということが明白でございますから、それによって行なわれた不許可処分は違法ですよ。
 ですから、この機会に明らかにしておきますが、あなたが明白に何らの法律的基礎に立っていないとおっしゃった限りは、だれかに裁判をモデルにやってもらおうと思う。だからやめなさいよ。この十四年、十二年、十年というのは越権行為ですよ。大体、本法に基づく運用については、通産省の越権行為があり過ぎる。かりによかれと思っても、法律に定めなきことを役人はやってはなりません。いわんや、個人の営業の自由、憲法に許された職業選択の自由、国家試験によって合格された人の権利を束縛してはなりませんよ。そうでしょう。そこのところをはっきりしてもらわなければいかぬ。もしもどうしても必要があるならば、法律を制定して、みずからの行なう職務の権限を定めた法律に準拠して行為をしてもらわなければ困る。大臣、ちょっと眠っていらっしゃったようですけれども、耳は聞こえていると思いますが、私の言ったことについて正確な大臣としての判断をお願いしたい。
○宮澤国務大臣 法律の禁じておりませんことはやってもいい、違法ではない。それが適当かどうかという問題はございますが、違法ではない。法律の禁じておりますことは、いたしますと、これは違法であるし、また不適当である、こういうことになると思います。最初からお話を承っておりまして、私もこまかいことはわかりませんが、何か多少問題がありそうに伺っておりましたので、少し検討さしていただきます。
○横山委員 何かおかしいことがありそうだというのは、これほど大きな声をしているのに、もう少しはっきりしてもらわなければ困るのであります。
 いまのお役所の答弁は、法律的根拠がないということが二つありましたよ。法律にやってはいかぬときめてあることはやってはいかぬ、これはあたりまえですね。法律にきまっておること以外のことをやってよろしいかいなかということは、私の立論は、憲法における権利というものがあり、それから国家の法律によって合格をした人の権利というものを束縛しているということなんです。明白に束縛している。合格をして免状をもらって商売やろうと思ったら、おまえは実務経験が十四年なければだめだといって、商売をやらしてくれぬという。十四年、十二年、十年という経験年数が必要であるかについては何ら法律にきめられていないから、個人の権利を束縛しているではないか、こう言っている。それが、もしどうしても社会に電気保安設備のために必要であるとするならば、法律に定められるべきだ、こう言っている。決して私は間違ったことを言っていない。法律は、免状をもらったら商売ができることになっているのですよ、何らの制限なく。それを制限するということは、法律によらずして個人の権利を束縛することだと私は言っている。わかるでしょうが、あなた。どうなんですか。何かおかしなことがありそうだなんて、そんなていさいのいいことではあかんです。――大臣に聞いているんですよ。
○馬場説明員 私の意見ではなくて、先生の御質問に、主任技術者という資格をとれば商売をする権利があるのだ、こういうお話でございましたが、主任技術者試験に通りまして、主任技術者免状を受けるということは、一つの資格を持つということでございまして、その資格を持った人にどういうことをさせ、どういうことがつけ加えられなければどういうことをさせられないかということとは、おのずから別問題だと思いますので、私は、ある一定の行政行為の裁量がどこまで及ぶかという適、不適の問題はあろうかと思いますが、それによってある一定の経験年数を要求するということ自身が、憲法に違反しておりますとか、あるいは主任技術者の権利を束縛しているというふうには、必ずしも考えておらないわけでございます。
○横山委員 あなたうまいことを言うけれども、それはたいへんな誤りだと思うのですね。なるほど、百歩譲ってあなたの言うとおりにしましょうか。資格を持ったから全く自動的であるとは思わない、そこまでは譲りましょう。どろぼうをやったとか、人殺しをやったとか、過去にたいへんな間違いをおかしたとか、いま何かで問題があるとかいうことなら、私も譲ってよろしい。けれども、それから十四年必要なんだそれは権利を完全に剥奪したにひとしい。それは量の問題ではない。質的変化ですよ。そんなことはだめですよ。あなたも長年お役人をやっておられれば、私の言うことはおわかりになるだろうと思うのだ。やっていかぬというわけじゃない。それでは立法上制定をしなさい。いまやっている十四年、十二年、十年でも、各局長がばらばらになってやっておった。それをばらばらにやっておったほどでたらめなんだ、私に言わせれば。だから、統一するなら統一するように法律的根拠を置かなければならぬ。法律的な根拠というものが何もないという点については、明白に承っておきます。
 その次に、保安協会というものがある。そしてそのほかに個人の事業者というものがある。この保安協会は、有資格者一人について二十五件までやらせてもらえる。ところが、個人専業者は一人について十件ないし十二、三件しかやらせてもらえぬということについては、国家試験を受かり免状をもらった人が不当にも束縛されておると私は言っておる。きのうもここであなたとやり合いをしておるのですから、時間がないのにその説明を聞こうとは思わぬが、どうですか。きのうあれほど言ったのですから、少しはゆうべ一晩お考えになったでしょうが、その点どうですか。
○馬場説明員 保安協会に委託します場合と専業者に委託します場合とで、その委託できる件数に、先生おっしゃいましたように格差を設けておることは、そのとおりでございます。それを設けておる理由につきましては、片一方は組織であり片一方は個人であるという見地からやっておるわけでございますが、問題は、片一方は十件、片一方は二十件という格差が適当であるかどうかという問題はいろいろあろうかと思います。それは、年々そういう小さな自家用工作物というものが非常にたくさん各地にふえてまいりますし、また、これをただいまのようなシステムでやってまいりますと、それだけの資格を持った技術者がそれに対して相対的に十分確保されるかどうかという問題も、これから出てまいるわけでございますので、われわれといたしましては、そういう実情を絶えず勉強しながら、いまのような格差の与え方が適当かどうか、あるいはそれをどうするかということにつきましては絶えず検討を重ねてまいりたい、かように考えております。
○横山委員 その絶えず検討を重ねている――二年も三年も私が商工委員をやっておるかどうかわからぬで、いまここで話を聞いておるのですから。
 大体、一人の有資格者で、片一方は何ぼ組織だからといっても二十五件以上もできる、片一方はおまえ十件しかやってはいかぬ、こういうのです。しかも私が伝え聞くところによりますと、保安協会について私も一ぺん十分調べてみたいのでありますが、あなたの言う組織の中で、有資格者でない人が法律に基づく仕事をしておるそうだ。そういうことをやらせておいて、個人専業者には補助者を認めない。専業者がずっと方々の工場を見て帰ってきて、補助者に、おい、つけておいてくれ、帳面をその補助者がつけるということで、どこかでつけるじゃありませんか。補助者は、いま奥さんがやっておるかもしらぬ子供がやっておるかもしらぬ。奥さんはどんぶりばちを片づけなければならぬ。子供は学校に行かなければならぬ。補助者を一人雇ったって十分やっていけるわけでしょう。法律に基づく仕事は有資格者がするとしても、事務について補助者を認めてやって、もっと件数をふやすようにしてやりなさい。
 私は有資格者のことばかり言っておるようですが、私の立論の趣旨は、この電気事業法が改正をされましたときに、ずいぶん町の工場から、あの法律が通ったために今月から五千円なり一万円なり余分に払わなければならぬ、消防署がいつもやってくれるからそれでいいじゃないですか、こういう質問さえごうごうとわき上がったことを思い出しております。これからもどんどん設置をされる工場ももっと多くなると思うのです。だから、もっと有資格者に十分各方面のめんどうを見られるようにして、そうしてできるならば委託料も安くさせて、十分な仕事ができるように、もっと簡便にできるように、役所の届けももっと簡単になるように、そういうことをやらないではいかぬと私は思うのであります。試験に合格した有資格者で、幾らでも遊んでおる人がおります。もったいないじゃありませんか。その辺についてさっそく善処をお願いしたいと思う。あなたがそれでいいと言えば、ちょうど三十分で終わるのですが、まだいろいろなことをおっしゃるならば、もう一ぺん質問しなければならぬ。
○馬場説明員 いまこれは、よかれあしかれある制度でございますので、直ちにあくる日からどういたしますと私ここで申し上げるわけにまいりませんが、いろいろ先生から承りましたこと、また先ほど申しましたように、自家用工作物のふえてくる状況、技術者の状況は年々変わってまいりますので、ただいま仰せになりましたような趣旨も十分伺わせていただきながら、早急に検討いたしたいと思います。
○橋口委員長代理 中村重光君。
○中村(重)委員 大臣に繊維の問題をちょっとお尋ねしてみたいのです。
 先ほど来、同僚議員からお尋ねがありましたように、総理の訪米を前にして、相当活発な動きがまた出てきたような感じがいたします。アメリカから四カ国会議を開く問題について申し出があった以外に、日本側に対して、繊維交渉に対して新しい提案というのか、何か申し出があったという事実はないんでございましょうか。
○宮澤国務大臣 そのような事実はございません。
○中村(重)委員 あなたが、四日でございましたか、日タイ貿易合同委員会に出席をされてお帰りになりましたですね。記者会見されて、財界が業界の説得に積極的に乗り出していることを一応評価をされて、そこで大臣としても、業界の説得に乗り出す段階であるというように判断すれば側面から財界の動きを支援をしたい。だがいずれにしても、業界がそこまで来るかどうか、なかなかむずかしい。そこでまあ説得に乗り出すかどうかは、大慈弥次官の判断を聞いてからきめるというようなお話になっているわけですが、大臣としては、そういったような段階であるとか、説得に乗り出すべきだというようには、お考えになっていらっしゃらないのでございましょうか。
○宮澤国務大臣 ただいままで、いわゆる財界の動きにつきましては詳細に報告を聞いておりますけれども、私自身が業界に直接会って、意見を聞き、あるいは意見を申すという段階になっておるとは考えておりません。
○中村(重)委員 アメリカからも特別の申し出があっているわけではない。そうしてみると、日本の繊維問題に対するところの動きというものを、繊維関係の諸国を中心にして相当関心を持って見守っているわけですね。ある人は、日本はおそらく最終的にはアメリカに屈服するだろうといったような、あまり日本にとって芳しくないような評価といったようなものすらも出ているわけです。そういうことですから、やはり自由貿易を守っていかなければならぬという観点に立って、国会としてもあのような決議をいたしましたし、政府としても、そうした考え方というものは尊重していきたいというような意向は絶えず表明をしてこられたし、国会としても、やはり自由貿易を守っていこう、そういう一点から――先ほど大臣お答えになりましたように、千差万別ですよね。考え方も非常に多様なんですよ。ですけれども、最大公約数でまとまっているわけですね。そういったときに、業界のこの足並みを乱すような言動は政府はすべきでない、私はそのように考えるわけです。その点に対しての大臣のお答えを伺いたいことと、もう一つは、そうした国際的な日本に対してあまり芳しくない評価もあるのだから、この際自由貿易を守るという観点に立ってき然たる態度をとるということが、国際的に日本の信頼を高めるということになるのではないか、私はそのように思うのですが、その二点について大臣どうお考えですか。
○宮澤国務大臣 わが国の自由化の努力がおくれておるのでございますから、これを促進することが必要であるという点につきましては、あるいはそうおっしゃったように聞こえましたが、私どもそのように考えておるわけでございます。
 ところで、繊維の問題でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、確かに、アメリカ側にいま起こっております保護貿易主義の台頭というものは、背景はいろいろあると思いますが、やや異常な状態であって、本来のアメリカの正常な状態ではないというふうに私などは考えておるわけでございます。
 そこで、繊維がきっかけと申しますと用語が不適当かもしれませんが、あれ以後、日米経済にいろいろな問題が起こっておりまして、これが先方が正常な状態でございますと、またそうでございますが、多少いろいろな意味で異常な状態にあるというふうにも考えられますために、わが国の経済界全般が、ともかくこのような両国の関係を将来に向かって憂慮をする、したがって何かここで先方が少しでも正常な状態に戻るような方法がわれわれの側にないものであろうか、そういう動きが活発になっておるように思います。私どもとして、直接繊維業界に対してこうすべきであるといったようなことを申しますことは、これは国会の御決議の関係がございますので、かりにどう思いましてもこれは遠慮をしなければならないことでございますが、経済界自身がこの問題の処理をいろいろ考えられるということであれば、私ども、それをそういう平面に立って側面援助をするということは、これは両国の関係及び国益のために無意味ではないであろう。ざっとこういうふうに考えておるわけでございますが、しかし、それにもかかわらず、繊維業界は自分たちの立場は自分たちの立場で従来と変わらないというのでありますと、これは私どもとしてなし得ることは、実は何がしもない。事の性質が自主規制でございますから、そういうことに結局結論としてはなってしまうわけでございます。
○中村(重)委員 私の質問に対しての的確なお答えになっていないと思うのです。おっしゃるように、日本が自由化をおくらしている、残存輸入制限の品目というものもまだ相当あるわけですね。これは早く制限を解くという方針は御決定になったんだけれども、そういったいろいろなことで日本の信用というものが非常に落ちておるということは認めるのですよ。だから、自動車の自由化その他自由化をしていいものは、これは進めていくということであってよろしいと思う。ところが繊維の問題については、業界の態度は間違っていないのですね。これは政府だって、業界の態度が間違っておるということを非難的におっしゃったことはないわけです。だからして、その正しい態度というものは守っていくのでなければならない。少なくとも、繊維業界の犠牲において問題を処理するということは、私は、自由貿易そのものを乱すということであると同時に、その犠牲をしいるいうやり方であって、これは間違いであるというように思うのです。だから私が申し上げたいのは、この繊維の問題について、明らかにアメリカ側が無理であるということは国際的にも評価されているのですから、そういう際に、日本はそれに屈服するのではなくて、あくまで自由貿易を守っていくのだ、そうした方針の上に立ってき然たる態度をもって対処するということが日本の国際信用を高めるということになるのではないか。その点に対しては大臣はどうお考えになるかということを一点お尋ねをしたわけです。それらについてはいかがですか。
○宮澤国務大臣 国際的にどう見られておるか、国際的な信用がどうなるかというお尋ねでございますけれども、おそらくは国際的な――どの視点から考えますか、かりにガットというような国際的な機関の立場から想像いたしてみますと、この繊維の問題というのは、どっちの言うことに理があり、どっちの言うことに理がないということについては、おそらくいろいろ議論の分かれるところでございましょう、ガットの観点から申しますと。しかし、まあそれはともかくとして、自由世界第一、第二の大国がこの問題で話し合いがつかないということは、要するに迷惑である。よその国にとって迷惑であって、その結果ますますアメリカを保護主義のほうに追いやることは、どうもはなはだわれわれは困るので、何とか二人で話をつけてくれないかと、この辺がおそらくこの問題をめぐるいわゆる国際的な雰囲気ではないであろうかというふうに思っております。
○中村(重)委員 大臣としては、先ほど武藤委員の質問に対しても非常に慎重なお答えである。しかも私は、業界千差万別であるといったようなことについての大臣の考え方は正しいと思う。私は、佐藤総理が福田繊維問題特別委員長と懇談をされて、あとで金融問題であるとか、あるいは買い上げ機関をつくるといったようなことについて、私なりに総理の態度は非難したいと思う。しかし大臣にいまこの席で、総理の言動について私があなたに、これはけしからぬじゃないかと言ったって、あなたはそれを肯定はなさらぬだろうと思う。そこで通産大臣としては――少なくとも繊維業界は固まっているのですよ。それはおっしゃるように、考え方は千差万別、多様なんです。だがしかし、先ほど申し上げたように最大公約数で固まってきた。その業界の足並みを乱すといったようなことは、よもや通産大臣はおとりにならぬだろうと私は思うのですが、その点いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 それは先ほど武藤委員にもちょっと申し上げたとおりでございまして、業界がそのような意思表示なり態勢を別にとっておりませんのに、私が何か先回りをしてあれこれ申すということはよくないことであろうと思いまして、先ほどどのような対策があるのかというお尋ねに対しましても申し上げなかったわけでございます。
 ただ、先ほども申し上げましたように、伝えられるようなことを総理大臣が言われたといたしますと、私、確認はいたしておりませんが、おそらくこれは、かりに業界においてこの際何かのことを考えるのであれば、政府としてはそれに対応してできるだけのことはいたしたい、そういう心がまえであるということを表明せられたものであろうというふうに解釈しております。
○中村(重)委員 中間選挙の前には新通商法の上院審議は行なわないという方針を決定したやに伝えられておりますが、その点は間違いないのかどうかということと、それ以外に何か――まあ、いろんなことがあるようにもまた伝えられておるのですが、そういった、新通商法が中間選挙前に、いろんな形であったにしても成立する可能性はないと、そう判断してよろしいのではないかと思いますが、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 これは私も正式に知ったわけではございませんけれども、中間選挙後のアメリカの議会を再開すること、そうして下院においての本会議の第一議題は通商法であり、上院における本会議の第一議題は社会保障関係の法律案であって、それにいわゆるライダーという問題があるというふうに聞いておりますから、さすれば、両院の本会議に関する限り、この法案は中間選挙後の本会議の議題になることが内定しておるのではないであろうか。逆に申しますと、それより前に、つまり中間選挙が始まる休会の以前に委員会までの段階を終了しておくということが、その前提になっておるのではないかというふうに想像をいたしております。しかしこれは正式に得ました知識ではございません。
○中村(重)委員 いずれにしても、ニクソンの選挙公約で日本は振り回されている。正直に言ってひどい目にあっている。だからまた、アメリカの中間選挙が行なわれる、共和党の応援か、いずれにしてもニクソン政権を強化するような、選挙応援みたいなことを日本があわててやるなんということはすべきでない、私はそのように思います。いずれにしても日本はき然たる態度をもってこの問題には対処していく。みずからやらなければならないこと、自由化の問題あるいは残存輸入制限の問題は、日本のいろんな状態というものを十分勘案しながら対処してもらうべきである、私はこのように考えます。
 次に通産大臣と公取にお尋ねをしたいのですが、カラーテレビの対米ダンピング輸出の問題、いまたしか公聴会が開かれている段階ではないかと思うのですが、どうなっているのでございましょうか。
○赤澤説明員 テレビのダンピング問題につきましては、御承知のように九月の四日に関税評価の差しとめ措置が行なわれました。引き続きまして、この月の十四日ということでありますから明日になると思うのですが、公聴会が開かれる、こういうことになっております。
○中村(重)委員 見通しはいかがでございますか。
○赤澤説明員 公聴会ではそれぞれ、提訴側である向こうの業界、それから提訴を受けました日本側の業界の代表の者、それに財務省が加わりまして意見の聴取が行なわれる、こういうことであります。それ以後の段階といたしましては、現在なお財務省は調査を続行中でございまして、この調査の資料並びに公聴会における公述、こういったものを総合的に判断をいたしまして、最終的に、はたして日本製のテレビについて、それも全体一括ということではございませんで、個々のメーカーそれぞれの品物について、どの点がダンピング法に違反するのかしないのかという最終結論を出すということになっております。向こうの法律によりますと、関税評価差しとめの官報掲示をいたしましてから三カ月以内にその措置をとることがきめられておりますので、期限といたしましては、十二月三日までがその期限でございます。そういうことから、おそらく公聴会後適当な期間を経て、いずれにいたしましても財務省の本件に関する態度が決定、公示をされるということになると思います。
 いま見通しというお話でございましたが、何ぶんこの点につきましては、まだ米当局が調査中であり、また公聴会におきましてはわがほう代表者から、わがほうとしてはダンピングではないという事実を実態的な数字もあげてるる説明することになっておりますので、その状況を十分見きわめてみませんと、いまこの段階でどうなるという見通しをつけることははなはだ困難であろうかと思っております。
○中村(重)委員 三時までの時間になっておりますので、深くはお尋ねできません。
 公取は家電のやみ再販に対して審決をされたわけですが、この後の取り締まりはどのようにお進めになっていくお考えでありますか。
○吉田説明員 お答え申し上げます。
 家庭電器製品のやみ再販、いわゆる松下電器産業事件につきましては、去る十月一日に審決案を被審人のほうに送達をいたしました。これに対しまして、異議の申し立て期間が二週間でございますので、十月の十五日までに、もし異議申し立てがあれば出てくるというふうに思います。かりに異議の申し立て書が出てまいりますれば、委員会のほうで、審決案、証拠書類、異議申し立て書を比べ勘案いたしまして審決を出すという段取りになるわけでございます。
○中村(重)委員 それはそれなりにお答えいただいてけっこうでしたが、私が申し上げるのは、何か摘発をする、そして審判、審決なんかをおやりになる、そうした手続的なものというか、そこいらには相当力点を置いておやりになるのだけれども、実際のやみ再販をなくすといったような取り締まりというか調査、そこいらが非常に手ぬるいように思うのですよ。そこを、こういう審決もやった、明らかにこれは黒とお出しになったのだから、再びそのようなことがないように、十分厳重な調査と業界に対する取り締まりを強化していく、そういうことをおやりになる必要がある。そのことについてどのような決意を持って今後対処しようとしておられるのかという点が聞きたかったわけなんです。それはあとでまとめてお尋ねしましょう。
 次に通産省にお尋ねいたしますが、二重価格の問題に対して家電業界から行政指導を求められた。だがしかし、通産省の中にも、行政指導なんて通産省がするのはおかしいというので、反対意見もあるようでございますが、そこいらはどのようにお考えになっていらっしゃるのでございましょうか。
○赤澤説明員 一部の報道で、電子機械工業界、特にテレビの関係の社長会から行政指導を求められたというようなことがございましたが、まだ今日まで私のところにはこういう意味での行政指導をしてくださいという申し入れば正式には参っておりません。
 ただ、先生が御指摘のように、いま二重価格問題というのは、消費者にとりましても、また全国に約五、六万軒ありますテレビ等の小売り商にとりましても、非常に大きな問題になっております。そこで先般、私ちょうど不在でございましたが、社長会を開きまして、この問題についてもいろいろと討議があり、かつ本件につきましては、やはりメーカー側としては何らかの形で前向きに対処しなければいけない、するべきであるというような意見が活発にかわされたように聞いております。したがいまして、そういったような結論に基づいて今後どういうことをやろうとするのか。またその際特に、通産省といういわば中立的な機関と申しますか、国益を代表する機関と申しますか、そういうところに何らか指導してもらいたい、協力をしてもらいたいという要請が出てくることも十分想像にかたくないところであります。そういうものが出てまいりました際には、十分その辺の事情も聴取いたしまして、私どもとしても積極的に対処してまいりたい、こう考えておるところであります。
○中村(重)委員 時間がありませんから、お答えもひとつ簡潔にお願いしたいと思います。
 二重価格というのは、全くでたらめな価格をつけて、そして値段をぱっと下げて購買意欲をそそろうというやり方なんです。これは明らかに独禁法の不当表示に該当するだろうと思うのですが、公取としてはこの点どう対処しようとしていらっしゃるのですか、先ほどの答弁も含めて簡潔にひとつ……。
○吉田説明員 お答えをいたします。
 カラーテレビの現金正価と実売価格の間に二割以上四割程度の開きがあるのではないかということが、公取が地婦連に委託いたしました調査でわかったわけでございます。そこで、公正取引委員会としましては、地婦連の調査は一部の地区でございますが、全国的に同様な現象があるかどうか、いま至急調査している段階でございます。それで、かりに全国的にそういう現象があるということであれば、こういうふうな現金正価を二重価格表示の比較対象価格として用いることは、これは不当表示に該当するおそれがあるというふうに考えます。
 さらにまた、いまのは小売り業者についての問題でございますが、メーカーにつきましても、実勢価格と著しく離れたような現金正価を小売りに表示させるメーカーの価格表示のしかた、これにも問題があるのじゃないか。場合によっては不当な価格表示になるおそれがあるのじゃないかというふうに考えております。
 それから、先ほどのやみ再販の取り締まりでございますが、これについては、私どもの立場としては、審査部の活動を強化いたしまして、あらゆる手段を用いて手がかりをつかみ、違反があれば法の手続に従ってびしびし取り締まっていきたい、かように考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 独禁法に触れるということになってくると、公取としては、ではこれをどうしようとお考えになっているのかということまでも、ひとつお答えをいただきたい。
 それから、この二重価格の行政指導を業界が求めてきたという真意がどこにあるのかということについて、これは私もあなたと同じように首をかしげているのだが、へたをやると協定価格ということになりまして、これは独禁法に触れることを通産省がお手伝いするということになりかねないと思うのです。だから業界は、通産省が行政指導をやって二重価格をなくした――これは一本の価格になりますね。そのことが、独禁法除外の方向という形に進んでいくというようなことになることも考えなければならぬ。いま再販問題に対して、松下を中心といたしまして、われわれが再販をやって何が悪いのだ、薬とか化粧品とわれわれとどう違うのだというようなことで、この再販問題というものがやみ再販をさらに助長させることであり、彼らが審判に対しても、相当ここらに力点を置いて抵抗してきたということも伝えられているわけですね。それだけにこの行政指導は私は慎重でなければならぬと思います。通産大臣、ここらをあなたはどうお考えになりますか。
○宮澤国務大臣 この具体的な問題につきまして、かりに業界から通産省に行政指導の要請があって、そしていわゆる現金正価というものを解消したい、こういうことがありました場合に、私どもが行政指導を要請に従ってするということ自身――これはこまかいことがいろいろございましょうから、そういう態様など全部除きまして、そういうこと自身は、原則として公正取引委員会としては、公正取引に関する法律の違反ではない。そのような行政指導は、この具体的な問題について、現在の状況にかんがみて公取として問題にする必要がある案件ではない、そう考えておられるように承知をいたしておりますから、したがって、そのような要請があり、それが消費者の利益にかなうというふうに考えましたら、私ども行政指導をするのが本筋ではなかろうかと思っております。
○中村(重)委員 まあ行政指導をする考え方だというふうに受け取れるわけですが、私が懸念をするのは、二重価格はいけない、確かにこれは不当表示として公取も取り締まってもらわなければならぬ。ならぬのですが、へたに通産省が行政指導をする、そしてある価格というようなものをきめることを、役所がそこまで乗り出していってやることになってくると、協定価格になる。そうするとこれは明らかに独禁法除外の方向で、再販みたいなことに――まあ再販ということとちょっと違いますけれども、確かに独禁法上問題があるのではないかという点が一点なんです。そこは十分慎重にやってもらわなければならない。
 もう一点は、協定価格的なものになってまいりますと、ダンピング問題と関連をいたしまして、消費者はこのカラーテレビの値下げ運動を強くやっている、そのことの足を引っぱるということにもなりかねないと思うのです。へたな行政指導によるところの価格がきまっていくというようなことは、消費者の利益を守るのではなくて、逆に消費者の利益を阻害する役割りも果たしかねないと私は思う。やってはいけないと申しませんが、その点はよほど慎重に、大臣がいまお答えになりましたように、ほんとうに消費者の利益を守るという観点、それを逸脱しないようなことでの対処のしかたが私は必要であろうと思います。もう一度ひとつ大臣のお答えをいただきまして、私の質問を終わります。
○宮澤国務大臣 つまり業界において、長年結果として慣行になっておりますところの現金正価というものをやめ、そして今度は真実の実際の定価に改めたいということになりました際に、これを業界が一斉に行ないますと独禁法違反の疑いがおそらく濃厚であると思いますし、また、一斉に行ないませんとそのようなことは現実にはなし得ないということであったとかりにいたしまして、その際、役所がそれを指導するならば独禁法違反の疑いを阻却することができるということでございましたならば、これは入ってもいいのではないだろうか。
 ただその際、申し上げるまでもなく、その場合の価格がみんな一緒の価格に並ぶとか、あるいは一ぺんきまった価格が動かない、こういうことになりますと、これはもう全然別の問題でございまして、私どもはそういうことをしようとしているのではございませんし、そうすべきでもないと思っております。
○中村(重)委員 大臣は実態をもう少し見きわめていただきたいと私は思うのです。おっしゃることは間違ったお答えではないのですよ。ただ言いたいことは、何も業界が集まって一つの会場で、輸出はこれだけにきめましょうといって協定はしないのですよ。しても隠れてやるのです。だがしかし、ごらんなさい、サービス料金にいたしましても何にいたしましても、ほとんど同じではございませんか。右がこれだけだからわしのほうも、わしのほうもと、あれをやっているのではないのですよ。実際は独禁法違反で価格協定をやっているのです。やっているのだけれど、それがやみからやみにやっているからわからない、引っかからないというだけのことなんです。公取がほんとうに手不足でなくて、十分な陣容を持っておるならばやるでしょう。いろいろな調査をすれば出てきますからね。だから、いま行政指導をおやりになる。そうすると、ある種の価格なんという話し合いに入ります、間違いなく。それに入りますと、それは勢い協定料金、一斉にやらなくったってそれはやる。技術論ですから。そういうことはどんなにでも巧妙にやれるわけですから。そこらをひとつ十分頭に置いて慎重に対処していただきたい、そうして消費者の利益を守っていただく、そういうことを私は強く要望したわけなんで、これで終わります。
○橋口委員長代理 加藤清二君。
○加藤(清)委員 私の質問はたいへん多いにもかかわりませず、限られた時間が十五分でございます。したがって大臣、明敏な頭でもって簡潔に御答弁のほどをお願いいたします。
 最初にお聞きしたいことは繊維の問題です。先ほどからの大臣の答弁を聞いておりましてもなおわからない。私ここにおってもわからないのですから、国民の皆さんはなおわからないと思います。それはどういうことか。なぜ繊維だけそんなに解決をお急ぎになるのでしょうか。不調に終わって以来、アメリカからは何ら申し出はないと聞く。にもかかわらず、なぜみずからが進んで、みずからの国の繊維を制限することを急がなければならないのか。総理は、なぜそんなにみやげまで持ってアメリカに行かなければ義理が立たないのか、これをお尋ねします。
○宮澤国務大臣 もう先ほどから幾たびか申し上げておることでございますが、この繊維問題以後日米間にいろいろ経済問題が生まれておりまして、しかもアメリカの態度というものはやや異常なものであるとすら思われますから、わが国の経済界全般にわたって、この際佐藤・ニクソン会談もあることであり、このようなやや異常とも思われる状態を従来の自由貿易の方向に改めていきたい、こういう意見が強くなっております。それについて、繊維というものがとにかく過去このようないきさつをたどりましたから、わが国の繊維業界においても何かもう少し考える方法はないのか、またアメリカの業界においてもそうではないかというような動きが出ておりまして、私ども、もしそういうことが結果を生むならば、これは全般から見てけっこうなことでありますから、そのような経済界の動きは側面から支援をしよう、こう考えておるのでございまして、これは誤解が全然ないとは思いますものの、政府自身が繊維業界に何かをしいるというような考えを持っておるわけでは全然ございません。
○加藤(清)委員 まだわかりません。先ほどあなたは、総理の意思として、繊維が不調に終わった結果いよいよ米国を保護主義に追いやるおそれがあるとおっしゃられました。財界の一部にも、繊維のことが妥結しないゆえにその他の品目に規制が行なわれる、こういう考え方があるようでございます。ほんとにそうでしょうか。それだったらお尋ねしますが、それじゃ繊維を譲歩して自主規制をのんだら、アメリカの保護貿易主義はぴたりととまるでしょうか。他の品目については何ら抗議を申し込んでこないでしょうか。いかがでございます。
○宮澤国務大臣 繊維とその他の問題との間に相互因果関係があるというようなことは、これは証明もできないことでございますから、私そうだとは申し上げかねます。ただ、そのような幾つかの問題が共通な土壌の中から生まれつつある、そのような土壌がさらに今後悪化することは、日米両国のためにも世界自由貿易のためにもよくない、こう考えておるわけでございます。
○加藤(清)委員 私はむしろ、その繊維の不調の結果が米国をいよいよ保護主義に追いやっているというような考え方とは、まるきり逆な意見を持っております。
 実例をもって示します。それは繊維の業界が一番よく知っております。どういうことか。すでに繊維業界は自主規制を行なっているのです、コットンの場合。このコットンの問題をのみさえすればあとは絶対他に及ぼさないとLTAの第一条に明記されている。にもかかわらず、御案内のとおり、二国間でしかも短期の一年、二年というのが、これがSTAになり、LTAになり、いまではあれから十何年。ことしも満期切れということになっておりまするけれども、なおこれをアメリカは継続しようとしている。こういう苦い体験を持っている。むしろ通産大臣は私よりははるかに頭がおよろしゅうございまするからよくおわかりでございましょうけれども、繊維が不調に終わって無理やりな自主規制という名の強制を受けずにいるということは、他の日本の輸出品に対する防波堤になっていると私は思っておる。もしここで繊維が無理やりに強制させられてしまったとするならば、これはむしろ外堀を埋められたと同じ結果になる。次は内堀を埋めよと言ってくるにきまっているのです。それがアングロサクソンの過去にとった前例なんです。なぜ繊維が自主規制をのめば他の品目が助かるなどという考え方が、業界というよりは財界に起こってくるのでございましょうか。だれがそういう指導をしておるでしょう。もしそういう指導をする人があったとするならば、裏づけがなければならぬはずなんです。繊維がのんだらあとは全部かんべんしていただけると、だれかが約束しておるのでございますか。約束があったらお示し願いたい。ニクソンさんがそう言ったのか、スタンズさんがそうおっしゃったのか。そういう約束が取りつけられているというなら、またこれ考え方が変わるわけなんです。ぜひお示し願いたい。
○宮澤国務大臣 別段そういう約束があるとは聞いておりません。
○加藤(清)委員 そうなりますと、佐藤総理はアメリカを訪問するにあたって、なぜ、繊維業界を納得させて、自主規制に応ずるような空気をつくって、それをみやげに持っていかなければならぬのでしょうか。理由は何です。中間選挙なんです。これはそれ以外にいま急にそれをしなければならぬという理由は見つからぬです。御案内のとおり、ベトナムは和平の座についてからすでに数年もたっている。なおベトナムは、自分の国の不利になるような条件については屈服していない。同じように、ニクソンさんはベトナム和平についてこの間提案がありました。これは提案があったんです。繊維はないんです。提案があったにもかかわらず、ベトナムの方々は、これはアメリカの中間選挙に利用されるだけであって決してベトナムの国益を増すことではないと言うて断わっているんです。ベトナムでさえもそうだ。あれほど難儀して戦争している、早く戦争をやめたいというところでさえも、なお不利な条件では妥結をしないという精神なんです。なぜ日本が早く、自主規制と称するアメリカの強制的なゴリ押しを、言うことを聞かなきゃならないのか、国民の理解に苦しむところでございます。明快な答弁を願いたい。
○宮澤国務大臣 現在のアメリカの保護主義への傾向を代表するものは、もう御承知のとおりミルズ法案といわれるものでございますし、この法案のよって来たるところが繊維の問題に端を発したことも、よく御承知のとおりでございます。そのこと自身が、正しいことであったか、適当なことであったか、また判断そのものが合っておるかということになりますと、私はこれは全部いなと答えざるを得ませんけれども、しかし、それはよその国に起こったことでございまして、それを左右する力は私どもにはないわけでございます。そういうことが、この問題の背景にあろうと思いますので、そういうふうな土壌が悪化することはできることならば防いでおくことが望ましい、こう考えております。ベトナム戦争はもう勝ち負けの話でございましょうし、片方は貿易の、商売の話でございますから、その間のどう申しますか、アレゴリーというものは別段成り立たないのではないかと思います。
○加藤(清)委員 時間がありませんから、そのアレゴリーについての論争は避けますがね。理解ができないのです。理由がわからない。さっぱり理由はない。しいて邪推をすれば、邪推と言っていけなければ推論すれば、さきの総選挙に沖繩のみやげをもろうたので、今度の中間選挙に何か恩返し、返礼をしなきゃならぬ。そこで考えついたのがこの懸案の繊維の早期妥結ということではないか、こう勘ぐりたくなるのです。そうではないのでしょう。そうではないでしょうが、ただ急げ急げという督促はあっても理由を明示されていない。
 そこでお尋ねするのですが、しいてゴリ押しに急げば、その結果は国会決議違反ということになるおそれが発生すると思いまするが、国会の決議に反するようなことを総理がやられるだろうかどうだろうか。それはほかの人のことでわからなければ、通産大臣は決議違反と疑われるような行為を今後なさるか、なさらないか。もしそれが総理の側にあったとしたならば、通産大臣としてどのような助言をなさるか、ここらを承りたい。
○宮澤国務大臣 これは先ほどから、この際政府のなし得ることの限界は国会の御決議によって制約されておりますと申し上げたとおりでございまして、この点は政府を代表して申し上げることができます。
○加藤(清)委員 もし総理が行かれて、さきにも密約説が出ておりまするが、また今度行って密約をなさったとします。それを業界が承服しなかった場合に、この自主規制はいかが扱われるでございましょうか。
○宮澤国務大臣 前回も密約はなかったと存じておりますし、今回もないと思っております。
○加藤(清)委員 あった場合を想定して聞いておりまするが……。
○宮澤国務大臣 そのようなことはないであろうというふうに申し上げておるわけでございます。
○加藤(清)委員 先般の質問に、もしそのようなことがあったら報復手段を考えます、目下検討中でございますという答弁が、私の質問に対しありました。御記憶ございませんか。報復手段を検討させていると、新聞にもこれは出ております。
○宮澤国務大臣 何の報復ですか。
○加藤(清)委員 アメリカが一方的にミルズ法案その他の関係法案を通してゴリ押しをしてきた場合の報復手段――時間がないものですから急いで簡単に申し上げておるところなんです。検討させているという答弁でございましたが、検討の成果がもうあらわれてもいい時期だと思います。どんな報復手段を検討なさったですか。
○宮澤国務大臣 一般論といたしまして、ミルズ法案のような法案が通りますと、各国が報復を考えるであろうということは、伝えられるところによれば、証言に立ちましたアメリカの政府当事者が述べておるとおりでございまして、私は一般論として、そういうことは言えるであろうと思います。
 ただ、わが国がどのようなことを考えておるかということについては、これはただいま申し上げないことが適当であろうと思います。
○加藤(清)委員 時間が参りましたので、もう一間だけお願いします。
 午前中に質問しましたから、局長から申し送りと申しましょうか、伝達があったと存じまするけれども、SO2をいかに除去するかという問題でございまするが、これについて将来計画から需要を考えますると、SO2の発生がますます多くなると見なければなりません。しかるに輸入の原油、重油は、ますますハイサルを買わなければならぬという状況下でございます。こういうやさきに、各地の発電所が地元と非常なローサルファの原油、重油をたくという約束をしておられます。これが全部実行に移そうとしたら、できる相談ではございません。したがってこの際通産省としては、業界、特に電力業界、鉄鋼業界、石油業界と相はかられまして、マクロの立場から行政のよろしきを得て、公害の発生地区、特に限度を越えている地区についてはローサルを回すように、しからざるところはランクを設けて、それぞれ全国的にバランスがとれるようになさる必要がいま迫ってきていると思います。
 そこで先般、私は調査もしましたし、業界に質問を発しましたところ、電気事業連合会の会長木川田さん、それから当該公害発生の工場を持っておりまする関西の芦原さん御相談の結果、こういう答弁書をいただきました。
 「尼崎第一火力のの公害対策について(一)尼崎第一火力は可能な限り予備力化する。しかしピーク時、緊急時には関係官庁に連絡して良質の油を使用して発電する。」、つまり関係官庁とよく連絡をして、とこうなっております。「(二)ピーク時、緊急時以外については、関西電力は広域運営の主旨により、他電力会社から電力の融通をうけて対処する。」、二番目は、でき上がった電力まで融通し合うということでございます。したがってそれ以前に、公害多発地帯のことにかんがみて、材料の面を融通し合うようになさることがよりよい政策ではないかと存じます。これは、今日答弁ができなければあとでもけっこうで、書類で答弁していただけばけっこうでございます。
 私の持ち時間が終わりました。失礼します。
○宮澤国務大臣 尼崎の古い火力を動かさなければならないような事態になぜなったかということから、実は問題を始めなければならないと思いますが、これはまあお時間の関係もあり、申しません。やはり電力、火力の立地というものは、総合的な判断の上に各方面に協力をしてもらわなければならない問題とだけ申し上げておきますが、現実にただいまのような問題について、確かにローサルファの需給というものはかなり苦しゅうございますから、しかも、排煙脱硫等々の方法のない過密地帯にあってその火力発電を動かさなければならないということになりましたら、やはり需給関係がバランスをはずれておりますような事態では、できるだけ優先的にローサルファのものをそっちへ回してやらなければならない。そういう行政指導は、どうしても需給が見合いませんときにはやむを得ない、やはりすることが適当ではないかと私は思っております。
○橋口委員長代理 岡本富夫君。
○岡本委員 南北問題を解決する上で重要な柱とされているところの発展途上国、これに対するところの先進国の特恵供与、こういうことがいろいろ論議されまして、大体七一年のできるだけ早い時期にそれを実施するということがきまった、こういうことでございますが、大臣はこの問題については非常にお詳しい、こういうことで若干解明をしたいと思います。
 そこで、当然ここから起こってくる問題は、わが国の経済に対するところのマイナス面、特に中小企業、こういうものに対しては非常に大きな問題が起こってくると思うのです。
 そこでその前に、これとひっかけて一緒に、DAC、すなわち開発援助委員会が先日東京で行なわれて、そのときに、タイドローン、すなわちひもつきですね、これをわが国も廃止する方向に向かって結論づけられた。ちなみに一九六八年の全世界の十六カ国の平均が五六・二%であったが、わが国は八二・六%というようなひもつきをやっていた。しかしこの発展途上国に対する海外援助についてタイドローンを廃止するということになった。それに対して、わが国では、コンサルティング企業協会、これが政府の肝いりで結成されて、最初は十三社、それから三十四、五社になっておるらしいですが、その中で日本工営というのを除けば非常に規模が小さいように思うのです。そうしますと、アメリカのハルザ一社、あるいはまた英国のスコット・アンド・ウィルソン、こういう大きな会社は、アジアの開発、あるいはまた、そうした後進国の開発に対するところの情報網あるいは人材というものを相当持っておる。しかし、わが国にはそうしたものが、この面を見ますと非常に小さい。
  〔橋口委員長代理退席、浦野委員長代理着席〕
こういうことを考えますと、タイドローンすなわちひもつき援助をやめたそのあと、どういうようにこの問題を生かしていくか、これについてひとつ大臣に、この点については非常にお詳しいということを聞いておりますので、お聞きしたいと思うのですが、いかがでございましょう。
○宮澤国務大臣 わが国の対外との関係でございますけれども、やはりずっと品物の輸出を中心に今日までやってまいりましたが、だんだんそればかりでなく、あるいはプラントを出す、また先方のプロジェクトに参加をするというようなことが、これからわが国が伸びていく道だというふうに考えておりますが、そのいずれの場合にも、たいていはまずこのプロジェクトのもとになります調査というところから事が始まると思いますので、その際わが国が優秀なコンサルタントを持っておるということが、ただいまのような目的から申しますと、どうしても必要でございます。そして先ほど言われましたように、わが国には、国際的に信用のある、そのようないわゆるコンサルタントのファームというものがきわめて数が少ないのでございますから、そういうものをもっともっと育てていかなければならない。そのことは、たまたま援助がアンタイドになりましたときにも、最初のコンサルテーションから始めていけば、自然そのコンサルタントの推薦いたすようなところへ仕事が落ちてくるというような、たまたまそのような関係にもなりやすうございますから、それは結果を申すわけでございますが、考え方としては、これからのわが国のいわゆるプロジェクトへの参加、あるいはプラントの輸出というようなことから考えまして、コンサルタントというような、そういう技術的なサービスをする企業というものをもっともっと育ててまいらなければならないと思っております。
○岡本委員 大体年間六千万ドルあるいは七千万ドルというような大きな海外援助をしておるわけでありますけれども、西ドイツなんかも、ひもつきはやめたと言うておるけれども、裏ではやはりちゃんとやっているような状態であります。そこで、いま大臣は、やはりわが国にもそうした強力なコンサルタントが必要である、こういうことでありますけれども、これについて現在具体的な政府の案、こういうものがありましたならば、これは貿振局長でもけっこうですからお願いします。
○後藤説明員 お答えいたします。
 仰せのとおり、日本のコンサルティング業界が現在まだ世界的な水準に達しておるものが非常に数少ない点は、今後のひもつき援助が廃止されました場合にたいへん大きな弱点になってまいると存じます。先生から御発言ございましたように、確かに、最初にまず調査をし、それに伴う計画をつくり、それから具体的なプロジェクトの建設からそれの運転開始に至るまで、この一連のコンサルティングの仕事につきましてコンサルタント会社がその国の開発に参加をし、その国の政府に有力なるアドバイスをしているということは、ひいて、とりもなおさずその国からのプラント輸出というものにおのずから落ちついていく傾向があることは確かでございます。したがいまして、今後ともわが国としましては、おくれておりますコンサルタント企業の育成強化、同時にまたそれに伴います、今後輸出の最有力商品となって将来性を持っておりますプラント輸出というものにつながってこなければならない、かように考えております。
 現在の施策でございますが、現在プラント協会がございまして、これは、おもなるプラント機器のメーカーと、それから日本で目ぼしいコンサルタント企業というものとで構成されておる協会でございます。これに年間約二億二、三千万円の補助金を出しまして、これは五〇%補助でございますが、海外のコンサルタント受注に対する調査等の補助をいたしております。そのほかに海外コンサルティング企業協会というのがございます。主としてこれは約三十ほどの会員を擁しまして、土木、建設関係を主とした業者の集まりでございますが、これに対しましても補助金を出しまして、そのつどそういったコンサルティング業務をやるにあたりましての仕事について補助をいたしておる、こういう状態でございます。
 今後わが国のコンサルティング業界というものをいかに育成強化していくかというのはたいへんむずかしい問題ではございますが、日本の技術開発力のレベルアップとともに、今後とも、このタイド、アンタイド論議を契機といたしまして、十分進めていかなければならないところかと存じます。
 そこで、現在までのところは、コンサルタント企業も弱うございますし、それから政府の補助、育成強化策もまだまだという感じでございますが、将来におきまして、いま通産省は外務省、運輸省、建設省と四省協議をいたしまして、まずこういった海外の技術開発、海外の技術協力、ひいては国内的に言うと、コンサルタント企業の育成というものに一番大切なのは経営コンサルタント、さらに技術コンサルタント、この両面を兼ね備えた人材を育成することが必要であるということで、目下四省で、仮称でございますが日本国際開発センターというものをつくって、民間との協力を得まして明年度からこれを発足させて、大々的に人材の教育と発展途上国の開発計画というものに寄与し得るようなマスタープランにまで入り込めるような、そういうアプローチをいたすという方向で現在立案中でございます。
○岡本委員 国際開発計画センター、これは理事長に東芝の土光さんあたりをお願いするというようなうわさもありました。大臣もよく御存じだと思うのですが、私も海外をずっと視察しまして、日本の海外におけるところの援助資金でもっていろいろ工事をやっておりますのを見ますと、ただダムをつくったとか、発電所だけつくったとか、その利用計画、あるいはまた相手国はおそらく農業国でありますから、かんがい用水をこうして揚げるとか、要するにそのあとのアフターケアといいますか、親切にその国に援助をしてないものですから、結局は非常に中途はんぱなものになっているというような状態をあちこちで見てまいりましたけれども、いま日本国際開発計画センターというのをつくろうというお話でありますが、そうしたものを十分ひとつ取り入れて、そして指導していただきたい、これは要求しておきます。
 そこで、特恵関税が実施されることによって、まず台湾あるいは韓国、こういうところから輸入が激増すると思うのです。事実、たとえばセーターにしましても、台湾製なんかにしますと千二百円くらいで売っておる。国内ではやっぱり二千円近くかかる。そういうようにして、安いものですから相当入ってくる、こういうことでありますけれども、しからば対共産国、すなわち中国、こことの差というものが非常に大きくなってまいります。そのためにいま一番わが国でも力を入れなければならぬのは、日中国交回復、日中貿易ではなかろうかと思うのです。たとえばアメリカがくしゃみをすれば日本がかぜを引くというような、先ほどからの繊維の問題あるいはカラーテレビの問題、こういうようなことをなくするためには、やはりどうしても日中貿易をここで何とか考えなければならぬ時代に入ってきた。これはもう大臣もそうお思いと思いますけれども、これについて、中国と台湾あるいは韓国とでは、日本との貿易の差というものがますますできるのじゃなかろうか、こういうように懸念されるのでございますが、それについてどういうように調和していくか、これをひとつお聞きしたいと思います。
○宮澤国務大臣 特恵というものは先方の要請によって与えるものでございますので、別段要請もないのにどこかの国に特恵を与えるということは本来ないことでございます。したがって、ただいま中共に特恵を与えるということは私ども考えておりません。
○岡本委員 私の質問が悪かったのかもわかりませんけれども、韓国あるいは台湾、こうした国と中共との差というものが出てくる、ますます開いてくるということになりますと、日中貿易が大きく阻害されてくるのじゃないか、こういうことでございますが、それについて大臣は、ただ、中共から要請がないのだからする必要はないだろう、こういうことで簡単なお答えでありますけれども、やはりわが国の将来性から考えたら、ここでどうしても日中国交回復、日中貿易が必要ではないか、大きな面から考えると。何が阻害してこういうように中共も台湾や韓国と同じようにならないのか、どうしたらいいのか、これについて大臣のひとつお答えをいただきたい。
○宮澤国務大臣 それには、その前提となりますお互いの貿易関係とかいろいろなことがございますので、それを申し上げますとたいへん長くなりますが、要するに特恵は、相手国が、自分のところは発展途上国であり、先進国に比べて競争力が弱いから、そこで特恵を与えてくれということで特恵というものが生まれてまいりますので、中共自身は、自分のところを発展途上国と考えておりますか、あるいは先進国と考えておりますか、それは私つまびらかにし得ませんし、先方から別段そういうことについて意思表示があったわけでもございませんから、当然特恵というものの対象として考えていない、こういうことを申し上げておるわけです。
○岡本委員 いま申しましたように、結局、台湾、韓国、日本、こういうような軍事同盟みたいなものになってしまうおそれがある。そこでどうしてもここで中共を中に引き込むためには、中共の国連加盟というものが必要ではなかろうか、こういうように思うのですが、それについて大臣の所信をひとつ、これは大きな問題ですけれども、お聞きしたい。
○宮澤国務大臣 中共の国連加盟についてというお尋ねでございますけれども、私もただいま政府の一員でございますので、その問題につきましては所管の大臣にお尋ねをいただきたいと思います。
○岡本委員 やはり日本の大きな方向をきめる閣僚の一人であるあなたでありますからお聞きしたんですが、それはお答えできないというようなあれですからしかたがない。
 そこで次にお聞きしたいことは、ガットの三十五条国、すなわち日本との間に差別している国がありますね。これは御承知のように、ポルトガル、スペイン、オーストラリア、あるいはナイジェリア、アイルランド、こういうような国がありますけれども、この三十五条国、これに対してはどういうお考えを持っておるか。これをひとつ通産大臣にお聞きしたい。
○宮澤国務大臣 三十五条の国は、ただいまヨーロッパ大陸にもごく少しはございますが、アフリカ等に現在多いわけでございます。そこで私ども、特恵は、三十五条援用国、いわばわが国とガット関係に入っていない、わが国を差別待遇しておる国には特恵を付与しない、与えないことがあるということを申しておるわけでございますが、まあ先方にもいろいろな事情もあることで、国によって違いますけれども――でございますから、三十五条をアフリカ等々の国が援用していない、したがってこちらももう特恵の話は初めからいたしませんという態度がいいのか、あるいは、特恵を考えるがあなたのほうも三十五条援用を考え直したらどうかというアプローチがいいのか、国によっておのおの事情も違うと思います。その辺は与えないことがあるということで、この特恵をとにかくスタートしたいと思っておりますけれども、具体的な国々によってやはりいろいろ考え方があろうかというふうに思っております。
○岡本委員 そうすると大臣の考えとしては、こうした三十五条の援用国、すなわち日本を差別している国に対しては、原則として、もう向こうのほうから何らか言ってこないと与えない、すなわち日本のほうから手を差し伸べていくという考えはないわけでございますね。
○宮澤国務大臣 それは必ずしもそうかたくなに考えておるわけでもございません。先方にもいろいろ事情があることでございましょうから、かりに、日本として特恵を考えてくれ、あるいはそうすると自分のほうも三十五条援用のこともまた考えるというような、そういう交渉が生まれ得る可能性もございましょうしいたしますから、木で鼻をくくったようなやり方を一律にするのがいいのかどうかということについては、これはその相手国との交渉のしかた、その国の国情、わが国との関係等によって異なるのではないか。多少その点は弾力的に考えていいのではないかというふうに思っております。
○岡本委員 先般私はフランスに行きましたときに加藤大使に会いました。そうしますと、日本から来る訓令というものが十四、五等国のような訓令が来るんだ、外国では日本は、もうヨーロッパあたりでも経済大国、一等国に見ているんだから、もう少し大まかな大きな態度でひとつ訓令をもらいたいというようなことも言っておりました。したがって私、この問題はやはりわが国のほうからひとつ大きく包容していくような――世界各国とわが国が友好関係を結ぶためには、やはりもう少し前向きな考えが必要ではなかろうか、態度が必要ではなかろうか、こういうように思ってお聞きしたわけであります。
 そこで、時間があれですから、次にさしあたっての国内問題ですが、こうした特恵関税が採用されましてどんどん発展途上国から追い上げになってくる、こういうことになりますと中小企業は非常に困ってくるわけでありますが、それに対するところの施策のうちでまず貿易調整こういうものが必要ではなかろうかと思うのですが、これもなかなかいままでのようにはいかないでしょうが、この方策について大臣から所信をお伺いしたい、こう思うのです。
○宮澤国務大臣 貿易調整というふうに言われたと思いますが、それはやはり、失業の多い国あるいは労働賃金の安い国とわが国のような国では、おのずから労働集約的な商品のコストは違ってまいりますし、また労働者そのものが、生産性の高いほうへ自然に動いていきたい、また行く状況でございますから、お互いのために、そのようなものはできるだけ発展途上国に、無理をしてはいけませんが、趨勢としては譲っていくようなふうに考えてまいりませんと、わが国のほうも困ってまいりますし、また発展途上国も新しい分野に入れないということでございますから、特恵のような方法によりましてそういう方向を育てていくということは必要なことではないかと思っております。
○岡本委員 どうもはっきりしませんから、じゃこれは担当の通商局長さんから説明願います。
○室谷説明員 お答え申し上げます。
 いま先生の御質問の趣旨は、特恵の供与により関連中小企業に影響が生じた場合に、この特恵の扱い上何らかの措置を講ずる必要があるのではないかという御趣旨に考えられます。その点に関しましては、現在全体的に中小企業に及ぼす特恵の影響に関します対策につきまして検討中でございますが、貿易の調整面におきましては、まずシーリングの運用管理につきまして、ある程度現在弾力的に運用をするという考えでおりますが、影響業種につきましては、これは機動的に慎重に運用を行なうのが一つではないか。また場合によっては、現在の五十四品目につきましては、カット幅を無税ではなくて五〇%ということになっておりますが、影響のある品目につきましては、場合によってこれをセレクテッドプロダクトにする、あるいは例外品目の入れかえをするということを考慮してまいりたいというふうに思っております。
 なお、影響面におきましては、国内のみならず第三国市場への輸出面で生ずる場合がございますので、そういう場合には、状況によりまして、当該国においてもその影響の度合いが激しいというような場合には、その国に対して政府側の発動、あるいはそれが不可能な場合には、一般の関税の引き下げをしてもらうことによって、特恵関税との差をできるだけ縮めてもらうというような措置について、外交的な要請も行なってみたらどうかというふうに考えている次第でございます。
○岡本委員 そうすると、特恵供与の国に対してこうした貿易調整は行なわないのだというような発表を、最初このUNCTADですか、開発委員会ではしておりますが、若干ニュアンスが違うわけであります。それではたして発展途上国のほうが文句言わずにいくだろうか。こういう点について非常に懸念があるわけでありますけれども、その点についてひとつお聞きしたい。
○室谷説明員 いまの御指摘の点につきましては、過ぐるつい十二日で終わったわけでありますが、UNCTADの特恵特別委員会に各国から最終的なスキームが出ておりまして、わが国も当然このスキームを提出いたしております。従来のスキームに比べますと、後進国の要望を十分参酌いたしまして、これに改善を加えた案を提出いたしたわけでございます。
 先ほど私から申し上げました貿易調整措置と申しますのは、この特恵によって国内的に中小企業にはなはだしい影響が生じた場合に、この現在提出しておりますスキームの範囲内において行なうことでございまして、スキームを大きくくずす、あるいはUNCTADで約束したこの内容を変更するものではないわけでございます。
○岡本委員 向こうが了解すればよろしいのですけれども。
 そこで、わが国も例外品目として繊維、はきものあるいは絹、カーペット、麻、こういうものがありますけれども、そこでたとえば兵庫県で神戸あたりではケミカルシューズ、こういうものが非常に盛んになっておるわけでありますけれども、こういうのは例外品目として扱われる、こう考えてよろしいかどうか、これをひとつお聞きしたい。
○室谷説明員 そのように考えております。
○岡本委員 では次は、中小企業が今度は発展途上国に追いかけられて、この特恵関税によって非常に行き詰まりが出てきた、こういう場合の業種転換、あるいはまた金融上の措置、こういうものについて明確にひとつお答え願いたい。
○宮澤国務大臣 従来から行なわれております各種の構造改善措置、あるいは中小企業の高度化といったようなものは、すべて今日この事態を予想して進めてまいったものでございます。と申しますのは、この特恵の問題は、議論が始まりまして数年間たっておりますので、この事態を予想し得たわけでございます。したがって、そういうものを今後も続けていくことが従来どおり必要でございますが、さらに、ただいま言われましたような事態がかりに発生いたしましたときに、たとえば倒産あるいは業種転換といったようなことが集団的に必要であるというようなことになりますときには、従来だけの措置では対処し得ないことがあろうかと思っております。そこで、御指摘のような意味での財政金融あるいは税制等の措置を、そのような事態が万一発生いたしましたときに対処するために用意をしておく必要があるのではないだろうか。これはいずれも立法事項になるように考えられますので、準備ができ次第特恵の問題と同時に国会に提出をいたしまして御審議をいただきたい、こう思っております。
○岡本委員 よくわかりました。これはいままでも、中小企業対策として、中小企業振興事業団、あるいはまたそういうところから金融をするとか、あるいはまた税制上のいろいろな助成がありますけれども、特に特恵問題については、これは決して業界の責任、あるいはまた経営者の責任、そういうものではなくして、わが国の国全体の責任になってくるわけですから、特にこれは、いま大臣がおっしゃったように、特別法を設けなければならぬ、こういうように私も思っておったわけでありますが、大臣が次の国会でこの特例を出す、こういうことですから了承しておきます。
 そこで、もう一つこまかい問題ですが、転廃業について、特にその企業に労働するところの労働者、こういう人たちに対するところの手はどういうように考えておるか、これも重ねてお聞きしたい。
○宮澤国務大臣 これは申すまでもないことでございますけれども、特恵によって海外からの輸入の税率が減免される、あるいは第三国へ輸出をいたしますときに、先進国であるわが国と特恵を与えられた発展途上国である競争国とが違った条件に立つ、そのいずれかによってわが国の業界に損失が生ずるということになるわけでございますけれども、その程度のことで企業がやっていけなくなるということは、これはすべて政府の責任であって企業の責任ではないというふうには一がいに断ずるわけにはまいらないのでありまして、これは申すまでもないことでございます。しかし、そういうことはまたあり得ることでありますから、その場合に対処する方策としては、先ほど申し上げましたように、いわば企業側の対策、経営の側の対策と同時に労働側の対策がやはりなければならぬはずであります。
  〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
つまり、ただいま御指摘になりましたようなことがかりに起こったときには、職業訓練とか就職あっせんとかということは、これはやはり労働側に対しても一つの措置が考えられなければならないであろうと思いますので、先ほど申し上げました一連の措置と申し上げる中には、そういうものもやはり含むことが妥当であろうと思っております。
○岡本委員 労働者対策もこの法案の中に組み込む、こういうようにお聞きしたわけでありますけれども、そこで、その内容につきまして若干だけお聞きしておきたいのは、そうした転廃業するところの企業の従業員、労働者ですね、この人が再就職するまでどういうようなめんどうを見られるような考えであるか。いつまでも何年間も失業対策において金を出すわけにいかぬだろうし、そういうようなこまかい点についてはお考えになっているかどうか。いま大臣がおっしゃったように、この特恵問題はもう数年間ここでやかましくいわれているわけでありますから、こうしたこまかい対策についてもやはりお考えになっていると思うのです。それが一点と、それからもう一つは、特恵の調印の実施が七一年から始まるとして、十年間というような期限を切ってありますけれども、その間においていろんなことが若干起こるんではないか。十年間そのまま野放しにするのか、それともその間においてチェックがあるのか、そういう契約もあるのかということもひとつお聞きしたいのです。この二点について……。
○宮澤国務大臣 わが国の労働の需給関係から申しますと、かりに特恵でただいま仰せのようなことが起こりまして、大きな、あるいは長期な失業問題が起こるということは、実はあまり考えなくてもいいのではないかと思っておりますが、それにしても職業再訓練のような問題は、これは必要でございましょうし、また短期的にどうするかという問題は起こってまいりましょう。したがって、法体系の考え方としては、短期的にはそれ相応の手当を給するとかいうようなことが、やはり必要になるのではないだろうかと思っております。ただ、実は、政府としてまだ法律案を十分整備しておりませんので、私としては大まかな考え方を申し上げておるというふうにお聞き取り願いたいと思います。
 それから、この特恵の年限の問題でございますが、毎年一応実績についてレビューをする、それから三年ごとに、その三年間のできればいわば少し大きな意味での見直しをやってみる。それを三年ごとにやりまして、九年目になりましたら、これをさらに再延長すべきものかどうかということをもう一ぺんレビューをする、たしかそういうような取りきめだったと記憶しております。
○岡本委員 時間ですから最後に大臣に。
 十一日の閣議で宮澤大臣が、自動車の自由化を半年繰り上げて来年の春から実施するということを報告されたやに伺っておりますけれども、これはもう閣議決定はいたしたわけでございましょうか。それが一点。それから部品業者あるいは販売業者も、やはりこの資本の自由化の中に組み込む、こういうことになったのでしょうか。これをひとつ明らかにしていただきたい。
○宮澤国務大臣 ただいま仰せられましたとおりのことを閣議了承を得ましたので、政府の方針として決定したものと御了承を願いたいと思います。
○岡本委員 終わります。
○八田委員長 川端文夫君。
○川端委員 佐藤訪米まであと十日ほどでありますが、六月決裂いたしました繊維問題が、また再燃しておることは御存じのとおりであります。けさからもその問題に対して質問が行なわれているわけですが、そこで私はひとつ冒頭に聞いておきたいことは、外交問題ではないとも言えるし、あるとも言える繊維交渉の問題に対して、佐藤・ニクソン会談が当然行なわれるであろうと予想できるわけですね。この場合において、佐藤さんがニクソンさんともし宮澤通産大臣と違った取りきめをされた場合に、宮澤さんとしてどういう処置を考えなければならないかということ。あるいは、そういうことはあり得ないということをここで言いきれるかどうか、ひとつお聞かせおきを願いたいと思うわけです。
○宮澤国務大臣 総理大臣がアメリカの大統領とどのような話し合いをされるかということを私が申しますことは、幾らか僭越のそしりがあろうかと思いますけれども、この問題につきましては、私が所管の閣僚でございますから、私の考え方というものは、当然総理大臣において尊重していただけるものというふうに考えております。
○川端委員 もちろん通産大臣ではあられるけれども、当然国務大臣でもあるわけですから、私は一種の意思疎通なしとは言わせないわけです。しかし佐藤総理は、きのう十二日ですか、自民党繊維対策委員長の福田さんとお会いになって、何とか日米繊維交渉についてめどをつけたいと相談されたと伝えられているわけです。またその際、総理は、日米間の話し合いがついて日本側が自主規制をする場合、中小企業対策を十分配慮したいということが新聞で報道されております。続いてまた去る十月六日、あなたの部下である大慈彌事務次官は、もはや筋論だけで押し通す段階ではない、そろばんをはじきながら解決策を考える必要もある、通産省として目下その具体案の検討を急いでいると談話した旨を新聞では報道しております。筋論の段階ではない、わが国側の基本方針である、被害なきところに規制なしという従来の方針を曲げる、後退させるということに相なると思うのですが、この点は、けさからの答弁と、佐藤総理並びにあなたのところの通産省の高官である大慈彌次官の発言とが、食い違いがあるとお思いになりませんかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 佐藤総理大臣ばかりではなくて、私もそうでございますが、この問題がなるべく早く互譲の精神によって解決することを望んでいるということは、従来からのことでございまして、特に、総理大臣が新しい、あるいは従来の考え方をお変えになったというふうには考えておりません。
 それから大慈彌次官の談話でございますが、直接に聞いてはおりませんが、そんたくいたしますのに、これはいわゆる政治問題というようなものではなくて、ビジネスとして業界が純粋に対米の商売あるいは世界に対する商売という観点から考えればいいのではないだろうか、業界人としてはそう考えるのがほんとうではないかということを申したのでありましょうと思います。政府がごうごうと言うことは、政府がこれについてはなし得ることがほとんどないわけでございますので、政府としてどうということを申したのではないと思っております。
○川端委員 そうすると大慈彌事務次官の発言は、通産省の公式発表ではない、こういうようにおっしゃりたいわけですね。
○宮澤国務大臣 いいえ、そうではございませんで、かりにそういうことを申したといたしますと、それは業界としては、やはり商売のことでありますから、商売上のそろばん、近い将来、遠い将来にわたってのそろばんをはじいて、業界としての態度をきめればいいのではないかということを申したものというふうに考えております。
○川端委員 私ども、いままで宮澤通産大臣を信頼して、筋論で今日まで日米交渉されてきた、こういうふうに理解いたして信頼してきたわけですが、いま総理がアメリカに行かれる前のいろいろな人との話し合いの発表なり、あるいは大慈彌次官の発表なりを聞きますと、従来の基本方針を転換するという考え方に立って総理がアメリカに行く準備をされているように聞こえてならぬし、考えられてならないのですが、この点は、転換なら転換するというこの考え方の基礎になるものを、やはり明らかにされることが必要でないかと思うのですが、いかがなものでございましょうか。
○宮澤国務大臣 政府としてのとるべき態度は、国会の御決議によりまして一つの基準を示されておるわけでございますから、それから逸脱するわけにはまいりません。業界が業界として、いわゆる純粋な商売として考えられることは、これはまたおのずから別でもろうというふうに思います。
○川端委員 まあこれは新聞の記事ですから、あまり取り上げてはどうかと思いますけれども、佐藤訪米に対して、ニクソン・佐藤会談に対しての繊維問題妥協がおみやげだという記事が方々に載っておるわけですね。このおみやげとはまことに不穏当といわなければならないし、もしそのおみやげ的な意味が含まれておる、商売だから相手側の立場も理解し、何がしかのおみやげが必要だとするならば、昨年の沖繩返還交渉という場合における密約説を裏づけることにもなるんじゃないかと思うのですが、このおみやげ説を、私どもはおみやげでない、これは正しいんだということをやはり――おみやげなんというけちなことはを使わないように、通産省として、通産大臣として国民の前に明らかにされる義務があるんじゃないか、こういうふうにも考えるのですが、あまりにも不穏当なことばが流行していることに対して、やはりこれからの交渉に対しての考え方を何かベールで包んで明らかにされない一面があるように思えてならないのですが、この点をもう一ぺん明らかに御答弁願いたいと思うわけです。
○宮澤国務大臣 政府としてそのようなことばを使いましたことはございませんし、またそのような観念を持ったこともございません。
○川端委員 アメリカのミルズ法案がまだ審議中でありますし、先ほどからも話がありました、中間選挙前のかなり議会側の突き上げによる強い態度であれば幸いだとは思いますけれども、もしこれが佐藤・ニクソン会談によって、ミルズ法案が成立する以前に何らかの妥結点を出されたとするならば、私はやはり、日本が負けた、屈辱したという印象はぬぐい去ることはできない。民主主義の政治下にある以上は、なぜこうせなければならなかったかということを明らかにされる必要があると私は思うのですが、それならば、総理は絶対妥協等はかってにされないものである、私はそう信じていると宮澤通産大臣からの言明をお聞きできるかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。
○宮澤国務大臣 総理大臣はもともと、このような問題は互譲の精神で解決しなければならないということを、しばしば本院でも言っておられるのでありますから、私はそういうお考えをお持ちであろうと思います。これは日米両国の高い見地から私はそれも必要なことであろうと思います。
 ただ、しばしば申し上げておりますとおり、このことは問題が自主規制でございますから、わが国の業界がそういう気にならなければ、政府にはそれを実施いたします力はないわけでございます。このこともよく総理大臣は御承知でございますから。
 そこで、ただいまのようなお話になっていくということは、つまり業界の意思と関係なくそのような話し合いができ上がるということは、これは考えられないわけで、あり得ないことだと思います。幸いにして業界もいろいろものごとを考えられ、業界自身の損得を判断した上で一つの案が出てくる、そしてそれで話し合いがまとまるということであれば、そのことはまことにけっこうなことでありまして、それを屈辱というようなことばで呼ぶことは、私ははなはだ当たらないのではないだろうかと思いますが、先ほどからるる申し上げておりますとおり、ただいまそのような現実のきざしがあるかと申しますと、なかなかそのようなきざしは、私の知っております限り出ておらないわけでございます。
○川端委員 私は、相手国の立場を絶対理解するなという立場を申そうと考えていませんし、一切の妥協に反対するという硬直した考え方を私ども民社党は持っていないのです。しかしながら、従来政府がとってきた態度を転換なり変更する場合においては、民主主義の責任政治下においてはそれを明らかにする必要がある。それが何か一人か二人のトップ会談でそういう形が出るおそれがあるのではないかということを案ずるあまり御質問申し上げているわけでありますので、この点はないと理解してよろしいわけですね。業界が納得しなければできない。あるいは業界を説得する力が強く、やむなく納得させられる場合もありましょうし、あるいは大所高所から見て、納得、妥協する場合もありましょうけれども、政府みずからが方向転換する場合に、国民の納得できる条件において方向転換をする以外にないはずだと思うのです。この点は自信を持ってお答えできるはずだと思うのだが、いかがなものでしょう。
○宮澤国務大臣 これはもう何度も申し上げておりますので御承知でございますが、政府だけがかってに方向転換をするというわけには、この問題はいかないわけでございまして、業界がこういう考え、ここまでならば受け入れられるということがわかっておりませんと、何人といえども、わが政府の名においてそれを先方に伝えるというようなことはできない。履行不能な約束をするわけにはまいらぬわけでございますから、そういう意味では、会談に臨まれるのはもちろん佐藤個人ということではなくて、わが国全体の事情を知り、事情を掌握された総理大臣が会談されるのでありますから、その点はおのずからよく御存じの上で会談に臨まれるということは間違いないと思います。
○川端委員 本来総理大臣に聞くべきことを通産大臣にお聞きしているのだから、われわれが考えて申し上げていることを私はもう一ぺん繰り返します。
 われわれは、商売のことでもあるし、いたずらに一切の妥協を排せよとは言わぬが、しかしながら方向転換をする場合においては、十分業界だけではなく国民に理解と協力を求める。いまのことばで言えば、合意を求める態度こそが前提でなければならぬという考え方に立って、秘密的にものをきわめていただきたくないということを申し上げておることを、十分総理にもお伝え願いたいと思います。
 第二に、繊維交渉と並行いたしまして、日米間の最近の貿易問題について少しお尋ねしたいわけです。
 最近御存じのように、午前中からも質問がありましたけれども、カラーテレビの関税評価の停止の問題やら、金属洋食器の関税割り当ての復活、あるいは板ガラスの問題など、たいへんたくさんこまかく出てまいっておるわけです。そこでこれも新聞記事をとらえての質問でございますけれども、九日の新聞報道によると、政府は金属洋食器の対米輸出規制問題について十月末までに関税割り当て制の復活を認める、ただし第一次低税率のワクを年間一千万ダース強とすることで米国政府と合意する方針と伝えられております。まずこの事実関係を、大臣か繊維雑貨局長からでもいいですが、お聞かせ願いたいと思います。
○宮澤国務大臣 これはこれから交渉に入る事案でございますから、私どもがどのような訓令を現地に向かって発したかということについては、申し上げないことが適当と思います。
○川端委員 そうすると、この新聞はかってにいわゆる自分の意思で書いたので、どこからも情報をとっていないという理解のしかた、特に通産省からはこういう意見が出ていないという理解のしかたでよろしいわけですね。
 もう一つ、ちょっとその前につけ加えておきます。これを妥結すれば明年一月一日から実施するとも新聞記事は伝えておるわけです。この点も含めてひとつお答え願いたい。
○宮澤国務大臣 新聞が取材されますことは、これは新聞の責任においてされることでありまして、私どもそれを否定も肯定もする立場ではございません。ただ当委員会で、私がこの交渉についてどのような訓令をしたかということは、これは公のことでございますから、申し上げないことが適当であるというふうに申し上げておりますので、したがいまして、妥結したときにその実施はいつであるかというようなことも、これも交渉のいかんにかかわることでございます。
○川端委員 私、先日燕市の要請に応じて燕市を視察してまいったわけですが、金属洋食器の生産と輸出の主体は新潟県の燕市であることは、いまさら私が言うまでもないことです。現地に行ってみましても、全く典型的な地場産業であり中小企業の寄り集まりであることは御理解願いたいと思うのです。
 この問題を前にいたしまして産地では、産地ぐるみの高度化ないし高度化のために、本年度、政府から金属洋食器構造改善の承認を受けて、目下実施中でありますが、最近のように、米国の保護貿易政策の強化や、これとは別に特恵関税供与の時期が迫っております中で、関連中小企業の業界はたいへん不安な状態で、毎日寄り寄り会議を続けておる。その対策にほとんどあらゆるものを捨てて、アメリカに向かって目を向けて、なさなければならないことも手おくれ、あるいは見落としている一面を、私は行って指摘してまいったこともあるわけですが、それはそれとして、これらに対する処置は万全の処置が必要だと思うのですが、何か準備をされているかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○三宅説明員 ただいま御指摘のとおり、金属洋食器の構造改善計画がようやく軌道に乗ったところにこの問題が出てまいりましたので、非常に憂慮しておるわけでございますが、まだ数字その他もきまっておりませんけれども、いずれ何らかの決着がついた場合に、産地に相当の被害が出る危険性もございますので、そういう事態になりましたら、商工中金あるいは国民金融公庫等の短期資金を十分に活用いたしまして、所要運転資金の確保をはかりたい、かように考えております。
○川端委員 そこで伺いたいのですが、今回の米国の関税割り当てが、一千万ダース。かりに強になってわずか上回っても、一千万ダース前後ということになれば、昨年の実績は一千五百万ダースを上回っておるわけですね。私はこれは、日本から背負って投げ売りした実績は一つも聞いておらないのです。アメリカが買い付けにきて、あるいは中には、アメリカの大手のメーカーがマークを入れないものを買っていって、アメリカの製品としてマークを入れて国内に売っておるという下請的な扱い方で今日作業いたしておる燕市の実情の中で、一千五百万ダースを突破いたしました対米輸出が、一千万ダースと妥結されたという仮定に立ちますと、三分の一の減産、減少になるわけですね。この事実に対して、あの現地へ行ってみた場合に、これで混乱が起きないとはだれも言えないのじゃないか。こういう問題に対してこまかい準備をされているかどうか、お聞かせ願いたいと思うのです。局長でけっこうです。
○三宅説明員 お答えいたします。
 現地のほうでも、万一の態勢に備えていろいろの案を練っておられるようでございますので、私どもも、金融的な側面ないしは現行制度の許す範囲内において十分のそれに対する体制をとりたいということで目下検討中でございます。
○川端委員 外務省から見えているかしら。この問題に対して、これもまた新聞報道でありますけれども、在米大使館は、通産省からの具体的な解決策について何ら訓令を受けずに、交渉は事実上ワシントン大使館に一任された形と伝えられている、こういうように新聞に発表されて、これは米国の申し入れを通産省はのむだけだというふうに伝えられておるが、これは事実かどうかお聞かせ願いたいと思います。
○平原説明員 お答えいたします。
 私、その新聞記事を見ておりませんし、先ほど宮澤大臣から申されましたとおり、新聞の責任だと思いますが、私の承知しておる限り事実と反します。
○川端委員 どうも外務省は、前の繊維交渉の場合においても、結果としては決裂いたしましたが、下田発言等があったりいろいろなことが伝えられておるし、言うならば、アメリカと仲よくする、親善を深めて続けたいという意図はわかるけれども、どうも軟弱外交というか、貿易に対しては事情を知らないままにかなり譲歩したサゼスチョンを与えているように伝えられておる。この点はわれわれは見のがしてはならぬ一点ではなかろうかと考えておりますし、きょうは時間の関係上、私は発言いたしました以上、ここへいま持ってきておりませんが、あした切り抜きを用意いたしましてあなたに差し上げて、もしそういう事実がないならないで、今後もやらないということを言い切れるのかどうか。貿易上の問題に対しては、やはり十分通産省の意見を尊重して外務省も行動をともにするということが言い切れるということを、大臣にかわって御答弁できるかどうか、御答弁願いたいと思います。
○平原説明員 巷間、外務省と通産省の意見が違うというようなことを、おもしろ半分に相当書かれることもございますけれども、ちょうど私のところにずっと通産省の同僚がここに並んでおられますけれども、私、自信をもって、経済外交に対して通産省と外務省の連絡が非常によろしいということを、はっきり申し上げることができます。
○川端委員 仮定の議論をいたしてもしようがないから、質問はこの辺にいたしまして、具体的な燕市の実情に対して、局長からでもけっこうですから御答弁願いたいと思うのですが、構造改善は政府が指導いたしまして、指定いたして設備投資が盛んに行なわれたことも、これまた事実としてお認めになるはずだと思うのです。この設備投資をしたものが、対米輸出の減少によって動かせない。償還、返還等に対しての困難がまず当面出てくると思うのですが、これらの問題に対しては業界の責任であろうかどうか、この点をひとつ見解をお聞かせ願いたいと思うのです。構造改善をやるために、政府の御指導もいただいて資金を借りて準備いたしました。ところが対米輸出が減ったために機械を全部フルに動かせない、そういう状態の中に、金融機関から借りました返済の期日が来ても返せない状態が出てきたものは、業界のおまえの不手ぎわである、おまえの責任であると言い切れるかどうか、その真意を伺いたい、こう申し上げているわけです。
○三宅説明員 構造改善計画の基本計画が設定されましたのは昨年の暮れでございまして、したがいまして、本年に入ってようやく設備投資が行なわれ、あるいは承認が行なわれたり、貸し付けが行なわれたりしている段階で、まだその貸し付け実績等は小規模でございます。したがいまして、ただいま御指摘の問題はもう少し事態の推移を見てからでないと判断がつかない問題でございます。
○川端委員 私は、こういう環境の変化なり国際間の急激な変化に伴って出てまいる財政逼迫、これらの問題に対しては、日本の中小企業を守るという立場から、いうならば援助措置が当然とらるべきと思うのです。この援助措置に対して十分お考え願いたいと思うのですが、時間の関係上次に入ります。
 これもまた新聞に出ていた記事で申し上げるのですが、総理は、繊維の対米輸出が今後自主規制をする場合、政府に製品買い上げ機関を設置するほか、金融面でも特別措置をとりたいと積極的な考え方を示したそうだ、こういう記事が出ていたわけです。このような総理の考え方からすれば、金属洋食器の対米輸出に対する自主規制の問題が起きたらこの問題も同じように扱っていいのじゃないかと思うのですが、これはどうお考えになっていましょうか。
○宮澤国務大臣 その繊維との関連での総理のお話というものは、先ほどお答え申し上げましたとおり、私は確認いたしておりませんわけですが、そんたくをいたしますのに、繊維業界においていろいろ案を考えられるのであれば、政府としてもそれに即応してあらゆる支援の措置は考えたい、こういう考え方、心がまえを言われたものであろうと私は考えておるわけです。
 そこで、いまの金属洋食器の問題でございますが、これについても構造改善等、あるいは今後商工中金等による融資などについては、先ほど担当局長から申し上げました。私どもできるだけのことは、やはり地域をあげての産業でございますから、考えてまいらなければならないと思っておりますが、二つの問題は多少性格も態様も違っておりますから、それに応じたような考え方をしていかなければならないであろうと思っております。
○川端委員 私は燕市を見に行きまして、帰りに新潟県の県庁で亘知事に会って帰っておるわけですが、八月に起きた問題であるから何とかして対米交渉を有利にしたいということで、現地が総力をあげていることは私は認めて帰ったわけです。しかしながら、幹部がそのことに忙殺されまして、金融の問題に対しては十分下部の意向をくみ取っていないのではないかという感じを、個々の工場を視察したとき受けて帰ったわけです。したがって、年末といえばもう間近でもありますし、これらの問題に対して、私は単に金さえ貸せばというわけでものを言っているのではありませんが、少なくとも緊急融資として、できた製品に一時期在庫融資をするくらいの準備は、一般的な年末融資と切り離して考えてもらいたい。そのことができないかという感じを持って帰ったのですが、いかがなものでしょうか。
○宮澤国務大臣 問題の性質それから交渉の片づき方等々によりまして、どういう対策がしかるべきかということを考えてみたいと思っています。
○川端委員 大蔵省にもあわせてお聞きしたいと思うのですが、冒頭に、金融引き締めを緩和しようという意味において公定歩合の引き下げが伝えられておるわけです。公定歩合の引き下げは日本の産業界に対する影響も大きいわけですが、通産省としてはどういう見解をお持ちであるか。日銀が発表いたしました公定歩合の引き下げに対して、通産大臣としてはどういうお考えをお持ちか、お聞かせ願いたいと思います。
○宮澤国務大臣 この問題は、従来から毎月一回、経済企画庁の月例報告を中心にいたしまして議論をいたしておりますところで、今回、日銀総裁が十−十二月のポジション規制について発表されましたところは、私は妥当な線であると考えております。
 公定歩合の問題につきましても、これも大蔵省と日銀総裁等でいろいろお考えでございましょうし、また私としても、内面的には自分の考えておることを申し上げておりますけれども、判断は日銀総裁が諸般の事情を見てされれば、それでよかろうというふうに考えております。
○川端委員 金融引き締めが行なわれてからまる一年になるわけですが、いよいよ年末をを迎えようとしているわけです。もう十月の十日ですからあと幾日もないわけですが、年末融資に対して特別な財政措置を、私どもが聞いているところによると、千二、三百万の用意をされようとしたとか伝わっているわけですが、その内容は事実かどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
○宮澤国務大臣 この点は、過日、中小企業関係の三金融機関分といたしまして、千九百億円余りの追加貸し付けの規模の拡大を、大蔵大臣に正式に要請したところでございます。これは年末融資に当たる分でございます。
○川端委員 大蔵省なかなか渋いから、出すか出さぬかという問題もあると思うのですが、引き締めも長かったし、そういう意味において、特に中小企業の年末融資はきびしい条件にあることを考えていただいて、さらに、先ほどの燕のような特殊な事情は一般的な年末金融に加えてほしくない、これはこれなりに別ワクとして要求していただきたいことを、私から希望申し上げておきたいと存ずるわけです。
 そこで私は、時間の関係もありますからかけ足で幾つかの問題を申し上げます。
 一つは、先ほどから話のありました対米事情の変化に伴う産業の変化なり、あるいは特恵供与に伴ってくるところのいろいろな中小企業の変化等に対しての問題であるわけですが、政府が政策金融と銘打ちながら、必ずしも政策金融になっていない金融ベースで行なわれて、貸し付けもかなりきびしい条件にあるというこの事実は、きょうの短い時間で話をすることはどうかと思うから申し上げませんけれども、ともかく支店によっては、一年かかっても毎月の貸し出しにおいて申し込み額を消化できないというほど詰まっておる。したがってどうしてもきびしくならざるを得ない。政策というものが忘れ去られて単に金融になっている考え方に対しては大きな不満を持っておることに対して、大臣はいかにお考えになっているかお聞かせ願いたい。
○宮澤国務大臣 それは、市中銀行、あるいはいわゆる政府以外の私企業としての金融機関は、おのおの貸し出し方針を持っておりますし、またその中で企業の育成というようなこともいろいろ考えておりますが、政府金融機関は、まずおしなべていろいろな意味での政策意識に基づいて貸し出しをするわけでございますから、いわばこれらは政策金融ということが申せるかもしれません。私ども、願えればもう少し資金量を豊かに、あるいは金利を、貸し出す条件をもう少しゆるやかにということは絶えず努力をいたしておるつもりですけれども、なかなか私どもが思ったとおり実現していないということも事実でございます。ですから、それは今後とも引き続いて努力をしてまいらなければならないと思っております。
○川端委員 法人税においては、貸し倒れ準備金なり貸し倒れ制度というものも認めておるわけです。やはり政府としても、政策金融である限りにおいては、ある程度の貸し倒れというものをおそれたならば、政策のメリットは減殺されてしまうのではないか。やはりそれはリミットはなかなかむずかしいと思いますよ。だれがやってもなかなか容易ではないのですけれども、貸し倒れをおそれるあまりに、担保を強要したり貸し付け条件を非常にきびしくするおそれが出ておることを、金融引き締め下であったせいもあろうけれども、われわれは見のがしてはならぬと思っておるわけです。
 この点は大蔵省にもう少し聞きたいことはありますが、資料だけ要求して質問を打ち切りたいと思いますが、この政府系の政策金融に対して、貸し倒れ、こげつきの条件なり、それらの額が総額の何%までここ二、三年出ておったかということを、私は来たるべき通常国会において、この問題に対してもう少し掘り下げて、同僚の了解を得て話し合ってみたい、質問をしてみたいという気がありますので、その資料をひとつ委員長にお願いいたしておきたいと存じます。政策金融のこげつきなり貸し倒れの内容と、総額に対するパーセンテージというものを、ひつとわれわれに提示願いたい。このことをお願いいたしたいと思うのです。
○八田委員長 それはわかりました。
○川端委員 それでは時間ですからかけ足で……。
 前々から言っておる産業公害に対する準備は容易ではないと思うけれども、産業公害に対しての準備が行なわれていない。そこで政府は、けさほどからいろいろな問題で議論がありましたけれども、研究、検討の時間が長過ぎて、国民の不安を解消するという勇気と速度が非常にのろい。特に、先般えらい問題になりましたあの田子の浦のヘドロの処理の問題等に対しても、かなり民間の技術開発を行なっている事実があるんだから、政府がみずからの手で研究をし検討の方針を立てる前に、民間の衆知をも集めるという努力が足りないのじゃないか。この点、特に私が聞いておるところによれば、かなり有望な処置のしかたの機械を開発している会社もあると聞いているんだが、なかなか役所は新規なものを取り上げようとしない。実績を見てからという形になって具体的に足が前に出ていかない傾向がある。したがって、こういう研究、施策を行なう場合に、特別処置というもの、あるいは勇気というものが必要だと思うのだが、この点は、公害の問題に対して見えている通産省の公害課長でもけっこうですから、そのことをよくお願いしておきたいと思うのです。
○柴崎説明員 お答え申し上げます。
 政府の公害技術開発に対しての熱意の問題でございますが、これは通産省といたしましては、工業技術院を中心にいたしまして相当重点的にこの面には努力しておるところでございまして、工業技術院の十五の試験・研究所のうち十一の試験・研究所におきまして、それぞれのテーマ別に研究を進め、なおかつ本院にそれらの研究所の研究結果を総合的に展開すべくチームをつくりまして、責任者をそれに充当して大々的にいろいろの技術の開発について推進しておる最中でございまして、来年度の特に新しい方法といたしましては、特に公害技術につきまして、それぞれの現地の特殊事情に合わせました具体的な研究というものを大幅に開発するために研究委託制度というものを新設いたしまして、ただいま先生御指摘のような、非常に有望な技術を持っておるところを選びまして、特にそれを専門的に研究させるというような体制も整えましてやりたいということで、現在大蔵省にそういった制度の新設並びに予算につきましていろいろお願いしておる最中でございます。
 それから、個別問題として田子の浦の問題がございますが、これは港湾管理者としての県が中心になってヘドロの問題も解決するということでございますので、いま県が中心でいろいろ具体的な機器その他の選択をしておるわけでございます。その過程におきましていろいろ相談がございますので、それらに対しましては全面的に協力するということで、通産省で持っておりますすべての知識をこれに供給して県をアドバイスしておるというのが実態でございます。
○川端委員 一言申し上げますけれども、私も中小企業の経営者の一人なんです。工作機械なんかの場合に、高度な工作機械を頼んでも二年なり三年かかる場合もあってなかなか間に合わぬ。しかし職人あがりの考えた治具工具をつけ加えることによってかなり高い能率をあげることができる場合もあり得る。これは必ずしもベストではないけれどもベターである場合がある。いま公害の問題が国民的にこれほど世論の燃え上がっているときに、まずベストをさがしておる学者の集まりは時間がかかるではないかというおそれもあるし、したがって、ある程度でも、一歩でも解決できるものは解決するという勇気が必要な時期ではないかと思うので、ひとつ十分そのことをお考え願いたいわけです。これは答弁は要りません。
 時間の関係で次の方がお待ちでありますから、申し上げたいことはありますが、なお足らざるところは後日お伺いすることとして、きょうの質問は終わります。
○八田委員長 松尾信人君。
○松尾(信)委員 私は、アメリカにおける関税評価差しとめに関連いたしまして、現在どのくらいの品目が関税評価の差しとめを受けておるか。さらにその輸出金額は大体どのくらいになるものか。そして、関税評価の差しとめまではいってないけれども、いまやはりダンピングの疑いありとして調査中のものがありますが、それがどのくらいの品目か、その金額はどのくらいになるかというような点をただしてまいりまして、いろいろ事後処理の問題で繊維の問題等が山積しております。そのような問題の解決についても、ここでわが国としても、きちっとした対外政策、貿易政策というようなものが確立されていませんと、いろいろ忙殺されていて、前向きの姿勢がいつまでもとれない。事後処理の面と、今度は事前処理的な面というものを考え合わせまして、そしてきちっとした方向を打ち立てていきたい、またそのようなものが立っておらなければ相ならぬということを総合的にまとめて、最後に通産大臣のお考えというものを承るつもりでありましたけれども、五時までで大臣がお帰りになりますので、そういうことを前提にして質問をして、そうして明らかにしながら、いろいろの対米問題をどうしていくかということについて私がここで質問しようとしておるということをまず御理解願いまして、前提を一切省きまして、大臣の日米関係の処理についてどのようにやっていくべきかということを承りたいと思うのであります。
○宮澤国務大臣 これは従来からいろいろの機会に申し上げておることでございますが、繰り返してまとめて申し上げますと、わが国の輸出の伸びというものは、毎年ここのところ二〇%あるいはそれ以上ございまして、これはわが国の経済成長率からいえばさして異とするに足りませんけれども、わが国以外のどの国の標準から見ましても非常な高率でございますので、したがって輸入国側からいえば、日本商品の輸入というものが急速にふえつつあるというありさまであります。そのこと自身が相手国に脅威を与えやすいのでありますが、また国によりましては、自分の国の賃金水準とわが国の賃金水準とを比べ合わせて、それについて文句を言いたい気持ちを持っている国もあるわけでございます。他方で、そのようないわば経済大国になりつつあるわが国の、いわゆるガットあるいはOECD等の規約の順守の程度と申しますと、これは御承知のとおり、残念ながらはなはだ不十分でありまして、国によりましは、いわば自由貿易が一方交通になっておるということを、わが国に対して強く不満を述べられているような実情でございます。
 そのような実情でありますので、わが国としては、今後輸出がなるべく同じ品目が一カ国に向かって目に見えて急増するというような事態を避けるように、輸出仕向け先をできるだけ世界に広く分散する。あるいは輸出が伸びるにいたしましても、その伸び方を比較的相手に警戒心を起こさせないような方法でやるといったような配慮は、今後きわめて必要になるのではないか。同時に自由化についての努力を推進していくことが大切である、こう考えておるわけであります。
 たまたま、そのような背景のもとに、アメリカにおきまして、これはベトナム戦争あるいは人種問題等、よってきたるところは深いと思いますけれども、保護貿易主義の台頭がございまして、そうしてそのさしずめの対象として取り上げられましたものが繊維であるわけでございます。繊維だけに限って申しますれば、これはおそらくガット等の規則に照らして、わが国の繊維に責められるべき点は私はたくさんあるとは思わない。むしろ厳密に申せば、ガットに違反をしておるというふうには、私ども考えないわけでありますけれども、たまたまこの繊維というものが比較的労働集約的なものでございますので、アメリカの賃金水準とわが国の賃金水準との違いということもございます。アメリカにおいて地域産業であるという点もございまして問題になった。そうしてそれが直接の動因となってミルズ法案というようなものが提出されておって、これがことし成立するか、あるいはまた来年成立するか、いずれにしても成立の可能性が高いと考えられます。そういたしますと、このことは世界全体の自由貿易の基調を逆流させるような結果になるということをおそれるわけであります。
 と同時に、そのような土壌の中から、テレビでありますとか、あるいは金属洋食器でありますとか、いろいろな問題がここのところ続いて起こってきておるわけでありまして、私はそのようなアメリカの事態は異常であるというふうに考えますけれども、これはやはり一国のものの考え方の潮の流れでございますから、そういう流れがこれからなるべく早く終わるように、ほんとうの永続的な動きにならないようにするために、貿易のパートナーとしてのわが国がどうすればいいかということをここで考えなければならない。これはよほどみんなが一緒になって知恵を出し合わなければならない問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○松尾(信)委員 全くそのようなお考えだと思います。しかし、現実にいろいろアメリカの関係というものを是正していく場合に、筋を通していかなくちゃできない分と、今度は日本のほうで前向きに積極的に、資本の自由化とか、または残存輸入制限の問題等々につきまして、やっていける分とあろうかと思います。現実にはいろいろな問題が起こっておりまするし、それは大きなウエートを問題の商品というものがそれぞれ占めておりまするので、これを解決していかなくちゃできませんし、また繊維等については、あくまでも日本の筋というものを通していかなくちゃいけないものがあります。片や筋を通し、片や積極的に日本がいろいろ自由化等の面でやっていく面とありましょうが、そういうかみ分けで非常にむずかしい問題ではございますけれども、あくまでも筋を通すべきものは筋を通し、そして積極的に日本が前向きにやれるものは前向きにやって、そういう中からやはり試行錯誤的に、アメリカのすることでありまするので、いろいろのことが出てきましょうけれども、あるいはものによっては決裂し、あるいはものによってはまとまっていくというような面でどのようにそういうことをお考えになっておるか。具体的にはどのようにしていこうとなされるのか。いまの対米関係のいろいろの問題点を取り合わせまして、どのように対処するかという腹がまえだけを一言聞いておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 これも先ほどから申し上げておるところでありますけれども、まずわが国ができるだけ自由化努力を進めることによって、相手に門戸の開放を望むのならば自分の門も開かなければならない、これが基本であるというふうに思っております。
 それからもう一つ、現にアメリカで起こりつつあります風潮に対しては、先ほどから報復というようなお話もございますけれども、これは相手国がやや異常な状態にあるというときに、われわれパートナーとしてとるべき道は、むしろ冷静に、譲れるものがあれば譲って、そして相手がさらに異常な状態を深めないようにするといったような配慮も必要なのではなかろうか、かように考えております。
○松尾(信)委員 先ほどからも、互譲の精神でやっていく、そのようなお話も出ました。それは基本的にはそうでありましょうけれども、日本側の譲る場合の互譲という、その互譲の中の日本側の譲り方というものがやはり問題でございますので、ひとつしっかりそういうものを立て分けられまして、今後ぴしゃっとした外交並びに貿易政策というものについてがっちりやっていただきたい、これを強く要望しておきます。時間がありませんので、この貿易問題については以上にとどめておきます。
 次は有明海の汚染に伴いまして、これもお願いしたいのです。大臣だけにちょっとお聞きします。
 有明海の汚染で非常に先ほど論議されたのでありますけれども、長崎県の諫早湾のほうに非常に汚染度の高い三・一PPMというカドミ汚染のノリが出ました。福岡県なんかは一・幾ら、佐賀県が二・幾らと申しまするのに、長崎県だけで三・一もカドミの汚染があったという事実であります。県といたしましても非常に心配いたしまして、工場排水によるのではないかというような調査もいたしましたけれども、先ほど通産省の局長が答弁されましたとおりに、諫早湾における工場からの排水によるものとは認められないというような御答弁でありました。私もそれはそのとおりであろうと確信を持っております。ところが現実にはその汚染の高いノリのために漁業者がいま非常に不安になっておる。それは値段をたたかれるという問題でございます。総合的な調査を一日も早くしてもらいますけれども、先ほど政務次官は、関係省庁と打ち合わせて調査を取り進めてまいります、このような責任ある回答でございました。この点につきましても、まず時期的には十一月一ぱいくらいには関係省庁と打ち合わせをして、そうして有明海の総合的な調査、特にこの諫早湾における汚染の根源というものをただしてもらいたいというのが一点。
 もう一つは、やがて四十五年産のノリが十二月から出回ってまいります。二月、三月には最盛期になってまいりまするので、値段をたたかれていくという不安が非常に漁民にはいま多うございまして、一割値段がたたかれましても一千万円以上の損害でございます。そういうものは、県としても負担すべき筋合いでもありませんでしょうし、問題は、そのような非常に汚染度の高いカドミが原因不明であって、その調査がまず急がれる問題であります。次には、調査中にもなお漁民としては値段がうんとたたかれていく、それは大きな金額になる、そういう問題についても政府としてどのようなお考えで進まれるか。簡単でけっこうでありますから、責任ある答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 発生源がどこであるかということを確かめなければならないわけでありますが、ただいままで調査し得た範囲では発生源はないということであります。といたしますと、他県よりいわば海流に乗って移動してきたものであるかどうかということになるわけでございます。その辺はかなり大がかりな調査をしなければなかなかわからぬことだと思いますが、現にそのようなものを検出したということ、今後もはたしてそうであるのかということも確認しなければなりませんし、かりにそうであるとしますと、それがよってきたるところもまた突きとめなければならない。これは長崎県のみならず中央関係省が協力してやらなければならぬことだと思いますが、なるべく早く現地住民の不安を除くように、私ども一緒に努力をしなければならないと思います。
○八田委員長 松尾君、大臣のお約束の時間ですから……。
○松尾(信)委員 では重ねてお願いでありますけれども、ひとつ十一月中くらいにはそのような調査をやっていただく。それから値段のたたかれ、値くずれという問題についても、よろしく今後ともに御配慮をお願い申し上げます。どうぞ、大臣、けっこうでございます。
 では先ほどのことで、大臣には結論から申し上げたわけでありますので……。
 アメリカにおける関税評価差しとめ、これはいまどのくらいの品目があるのか。日本からの輸出というものがどのくらいあるかということについて、まずお答え願いたいと思います。
○室谷説明員 お答えいたします。
 現在、米国でアンチダンピング法に基づいて調査を受けている品目は、最近特に問題になっておりますテレビ等を含めまして十四品目ございます。全体の輸出金額といたしましては、四十四年の実績をとりますと約三億五千万ドルになっております。そのうちテレビが二億六千万ドルということで大半を占めておるわけでございます。
○松尾(信)委員 いま十四品目とおっしゃったのは、現在関税評価差しとめの分と調査中のものとひっくるめたお話ですか、いかがでしょう。
○室谷説明員 そうでございます。
○松尾(信)委員 では、もう時間がありませんので要求だけしておきますけれども、税関評価差しとめの対象品目、これがどれとどれとどれで、どのくらいの輸出があるんだということを、四十四年と四十五年、最近までですね。それから、評価差しとめまではいかないけれども、現在ダンピングの疑いありとして調査中のものは何品目で、そうしてそれの輸出実績、四十四年、四十五年、最近までというようにして、これはそれじゃ出していただきたいと思いますが、いいでしょうか。
○室谷説明員 後ほどお手元まで提出いたします。
○松尾(信)委員 そのような関税評価の差しとめを受けておる品物のアメリカにおける現在の通関の実情というのはどうなっておるでしょうか。
○室谷説明員 関税の評価差しとめと申しますのは、いわゆるダンピングの提訴に基づきます緊急措置でございますので、正式にダンピングということが決定をいたす前の措置でございます。したがって、その評価は一応ペンディングにされるわけでございます。ダンピングの決定が正式になされますと、その評価差しとめを受けました時期にさかのぼってダンピング関税が課せられるということになるわけでございます。ただ、評価を一時差しとめてはおりますけれども、関税当局によるダンピングマージン、つまり関税当局、財務省が査定いたしました日本の国内価格マイナス輸出価格、そのダンピングマージンの推定額にひとしいボンドを関税に預託することによって仮通関をすることができるわけでございます。関税評価差しとめのあとの通関にあたりましては、輸入業者が保証金を積み立てることになっておりまして、現在関税評価差しとめを受けておる品目の保証金を申し上げますと、輸入価格についてテレビが九%、チューナーが二三%、コンデンサーが一〇%ということに定められております。
○松尾(信)委員 そうしますと、その保証金のボンドですね、そのボンドしたものは、いよいよこれが白となった場合にはいいでしょうけれども、判定の結果黒となった場合にはだれがそれは負担するのでしょうか。
○室谷説明員 ただいま申し上げましたように、輸入業者が一応これを預託いたしておるわけでございまして、正式に決定をいたしますと、黒と出た場合にはそれが没収、あるいはダンピングマージンにつきまして、その正式に決定を見た額との差額を徴収なりあるいは返されるということになるわけでございます。
○松尾(信)委員 だれが負担するのですか。
○室谷説明員 輸入業者が積み立てておりまして、輸入業者がその積み立てられた金額を正式に没収なり、あるいは追徴、あるいは返される、こういうことになるわけであります。
○松尾(信)委員 そうしますと、アメリカにおける輸入業者というものは、いま九%なら九%というものを保証金としてボンドしておいて、それが判定なされまして黒となった場合には、その保証金というものはアメリカの負担になる、日本の輸出業者の負担ではない、メーカーの負担でもない、こういうことになるわけですか。
 そうしますと、ダンピングという問題自体が、日本における売り値とアメリカにおける売り値とが違うのだ、向こうには安売りしておるのだということでありまして、それをアメリカの業者が負担してくれれば私はけっこうだと思う。いまのお答えどおりであればいいと思いますけれども、どうも数字から考えると、日本の負担に転嫁されるのじゃないかという気がしてしようがないのですけれども、アメリカの関税法等からは、それはあくまでも輸入業者の負担である、こういうことでございましょうか、重ねてお尋ねいたします。
○室谷説明員 法律的に申しますと、輸入業者が負担をするたてまえになっております。ただ実際の取引上は、その点につきまして輸出業者のほうに転嫁されるおそれは実態問題としてはあろうかと思います。しかしながら、それが実際面で明らかになりました場合には、私もはっきり記憶しておりませんが、たしかダンピングの面できびしい何か法律上の、転嫁をしてはいかぬということになっておりまして、転嫁される場合にはさらにその法的な措置を受けるというふうに了解いたしております。
○松尾(信)委員 そうしますと、いよいよアメリカの輸入業者としましては、白か黒かの判定に非常に心配がある。黒になりました場合にはそのようなものも負担していかなければいけないとなりますと、いよいよ日本からのそのような品物の輸入を手控えるでありましょうし、現在調査中の品目についても日本からの輸出というものは大いに阻害されておるのじゃないか。黒の判定までには六カ月くらいかかると聞いておりますけれども、調査中の期間がうんと長いのだし、また差しとめされて三カ月等の期間があるとしまして、相当の期間、こういう品物というものは円滑なる交流、輸出また輸入がなされないので、この日本の輸出が大きく減ってきておるのではないか。それで先ほどから実績を聞いておるわけであります。これはテレビでも二億だとか、合計三億五千万ドルとかいうように大きな問題でありますと同時に、そのような輸出懸念からメーカーの生産の手控えだとか、また中小企業に対する発注の取り消しだとかいう問題もあわせて起こりまして、国内の中小企業は非常に混乱しておる、倒産も続出しておる、こういうことを聞いておりますけれども、中小企業に対する影響というものを聞きたいのでありますが、おわかりでしょうか。
○赤澤説明員 いま通商局あるいは中小企業庁のほうでは、まだ全般的な調査が十分してないようでありますが、私の所管しておりますテレビの関係で申し上げてみますと、テレビの輸出は本年の一月から八月までで二百九十六万台、前年同期に対しまして一四・七%増ということであります。昨年の四十四年、これは暦年でございますが、四十四年のテレビの輸出の伸び率が約三二%でありますから、現実に三二から一四・七と、半分以下に伸び率が落ちてきております。これはもちろんいまのお話がありましたような、主としてアメリカ向け輸出がテレビ輸出の大宗でございますから、それが大きく影響しているということは言えるように思います。
 第二に在庫の状況でございますが、これにつきましても、やはり非常な在庫の増を来たしておりまして、これは六月末の数字でございますが、カラーテレビの面で見ますと、メーカー在庫並びに流通在庫合わせまして約百十六万台、相当な在庫でございます。今後さらに、いまのようなテレビに関するアメリカ側の意向が漸次明らかになってくると思いますが、やはり輸入が手控えられてまいると思いますので、こういったことになってまいりますと、国内のいろいろな問題があるところにもってきて、輸入が手控えられてくるということで、ある程度の影響が出てくるものと思っております。
 ただ現状で申しますと、私ども承知いたしております限りにおきましては、テレビの生産計画はむしろ増産を若干控えるといったような感じがございます。従来は、十二月は非常に売れますので、下期になりますと相当増産するわけでございますが、現状ではむしろ増産を手控えるといったようなことで、まだ減産をするとか従来よりも落とすというところまではいっていない。それからテレビについて、御承知のようにいまトランジスタ化をやっておりますので、違った機種のテレビをつくって売り出そうとしております。そういったことから、テレビ関係の下請中小メーカーに対しましては、まだ深刻なと申しますか、それほど大きな影響が出ているというふうには考えておりません。しかしいずれにしても、今後の輸出の動向、国内におきます各種の消費者あるいは流通段階での問題の推移、こういったことによりましては、当然今後とも問題が出てくるのではないかということで、その動向を十分注意しながら見守っておるというのが現状でございます。
○松尾(信)委員 いまカラーテレビのお話を承りましたけれども、やはり広い中小企業の分野がありますので、差しとめの分につきましても、また調査中のものにつきましても、中小企業に対するそういう影響というものは早く実態を掌握されまして、あとでわかっただけをお示しいただきたい、これをお願いしておく次第でございます。
 なお、局長は先般アメリカに参られまして、いろいろ新しいアメリカのそのような動きを知っておられるわけでありますが、この公聴会、またはダンピングに対する総体的な差しとめのもの、調査中のもの、そういうものについてどのような考えを持ってお帰りになったか、これを承りたいと思います。
○赤澤説明員 先般アメリカへ参りまして、主として私ども所管をしておりますテレビのダンピング問題について、アメリカの財務省の責任者と約一時間半ばかり話し合ってまいりました。そのほか、現地の大使館、総領事館等の方々とも意見の交換をいたしました。アメリカの財務省のほうの考え方は、ダンピングの問題というのは、ちょうど独占禁止の問題と同じように、いわば公正にして自由な競争というものを確保するための一つの手段である、したがって、自分らは決して保護主義的な形でこれを扱うつもりはない、こういうことがまず第一に向うの考え方であるということを明らかにいたしました。と同時に、従来ダンピング法の扱い方というものは、いかにも長年月をかけて、しかも陣容も少なくて、かえって通商関係を阻害しておるということも事実であるから、したがってこういったものについては、すみやかに陣容もふやし、そして早くこの問題についての結論を出して、一日も早く自由にして公正なる競争が再開されるようなことをしたいと考えておるということを、向こうは基本的な考え方として申し述べたのであります。
 これに対しまして私が特に強調いたしましたことは、これはテレビの問題がそうでございますように、ほかの問題についても、あるいは共通の問題としてもあろうかという立場で向こう側に説明をいたしましたが、その点は、一つは国内の流通過程あるいは流通の経費といってもいいかもしれませんが、こういったものの見方について、日米間に非常に大きな相違があるのではなかろうかという点であります。つまり日本のテレビの小売業者、約五万軒ないし六万軒といわれておりますが、こういった電器の小売り商というものは本来非常に小さな商店でございまして、電球であるとか乾電池といったようなものを売っておった。そういった小売り商が二十万円近くもするテレビを、しかも月賦でもって売る。どの店に行っても少なくとも五台や十台のテレビは店に飾ってあるというような、非常に急速なテレビ需要に応じてこれを売りさばいていくというためには、なかなか金融的にも販売促進の面でも十分やっていけない。これについては、やはりそのために必要な経費というものは何らかの流通段階で負担をされていかなければならない。こういった点については、アメリカにおける小売り業の実態とは非常にかけ離れておるのではなかろうか。国際ダンピングコードにも、当該国における流通の実態というものについて十分な考慮を払わなければならないということが書いてあり、アメリカのダンピング法も当然それを受けてやっておるわけでありますが、何ぶん国情が違いますので、そういった点についての認識が不十分ではなかろうかという疑念を私が持っておるということを、向こう側に数字等をあげまして強く説明をいたしました。先方はそういった点につきまして、十分自分らとしては法律のたてまえのもとに忠実に実施しておるつもりであるけれども、なおいまのようなお申し入れについては十分配慮をし今後慎重に検討したい、こういうのが向こうの態度であったわけでございます。
○松尾(信)委員 大体わかりました。まだ調査中の品目もたくさんあります。それで、いまお話しのような日本の流通経路、流通のあり方、そういうものをアメリカに早く認識させるべきである。これは民間の業者が主体でありますことは当然でありますけれども、これが向こうのアンチダンピング・ローとかなんとかにひっかかってまいりますと、これはやはり政府の問題にもなってまいりますので、局長とされましても、根本的にこのダンピング問題というものを解決する。なおなお、懸案中のものも相当なものがあるから、しっかり腰を据えて解決していただきたい、納得するような方法をとっていただきたい、これを強く私は要望いたします。
 なおなお、そういうことでありまして、終局的には日本のアメリカに対する姿勢、外交上の問題並びに貿易上の問題に触れてまいりますので、ひとつしっかり研究されまして、このような方向でやっていくのだということを大臣にも進言されまして、確たる通産行政というものを立てていただきたいということを念願いたします。これはまた要望であります。
 時間もありませんのでこれでやめますけれども、最後に公害関係であります。先ほど私が大臣に要望いたしましたとおりでありますので、有明海の総体的な調査というものを時期的に急ぐ、十一月にはその結論を出すということが一つ。それから大臣も言われましたけれども、不測の事態によりまして非常に多量にカドミの出た諫早湾の泉水海地域の漁民、これがいま大きな不安にさらされておる。その値下がりの問題につきましても積極的に取り上げて、そしてその解決をはかるようにしていくという二点を深く心にとどめられまして、今後しっかりやっていただきたい、これを要望いたしまして、全体的な私のきょうの質問を終わりたいと思います。
 以上です。
○八田委員長 次回は、明十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会