第063回国会 予算委員会 第3号
昭和四十五年二月二十三日(月曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
   理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君
   理事 坪川 信三君 理事 細田 吉藏君
   理事 大原  亨君 理事 田中 武夫君
   理事 大野  潔君 理事 今澄  勇君
      足立 篤郎君    相川 勝六君
      赤澤 正道君    植木庚子郎君
      小沢 一郎君    大坪 保雄君
      大野 市郎君    奥野 誠亮君
      賀屋 興宣君    川崎 秀二君
      上林山榮吉君    小坂善太郎君
      笹山茂太郎君    田中 龍夫君
      登坂重次郎君    灘尾 弘吉君
      西村 直己君    野田 卯一君
      浜田 幸一君    福田  一君
      藤田 義光君    古内 広雄君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      森田重次郎君    赤松  勇君
      川崎 寛治君    北山 愛郎君
      久保 三郎君    楢崎弥之助君
      西宮  弘君    細谷 治嘉君
      相沢 武彦君    坂井 弘一君
      中川 嘉美君    伏木 和雄君
      松尾 正吉君    麻生 良方君
      河村  勝君    谷口善太郎君
      不破 哲三君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        労 働 大 臣 野原 正勝君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      保利  茂君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      山中 貞則君
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)
        (行政管理庁長
        官)      荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (科学技術庁長
        官)      西田 信一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 中曽根康弘君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      佐藤 一郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長宮 高辻 正巳君
        内閣法制局第一
        部長      真田 秀夫君
        防衛庁長官官房
        長       島田  豊君
        防衛庁防衛局長 宍戸 基男君
        防衛庁人事教育
        局長      内海  倫君
        防衛庁経理局長 田代 一正君
        防衛施設庁長官 山上 重信君
        経済企画庁調整
        局長      新田 庚一君
        経済企画庁国民
        生活局長    矢野 智雄君
        科学技術庁長官
        官房長     矢島 嗣郎君
        科学技術庁原子
        力局長     梅澤 邦臣君
        外務省アジア局
        長       須之部量三君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省欧亜局長 有田 圭輔君
        外務省経済局長 鶴見 清彦君
        外務省条約局長 井川 克一君
        外務省国際連合
        局長      西堀 正弘君
        大蔵省主計局長 鳩山威一郎君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省関税局長 上林 英男君
        大蔵省国際金融
        局長      奥村 輝之君
        国税庁長官   吉國 二郎君
        文部省管理局長 岩間英太郎君
        厚生省環境衛生
        局長      金光 克己君
        農林大臣官房長 亀長 友義君
        農林大臣官房予
        算課長     大場 敏彦君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        農林省農地局長 中野 和仁君
        農林省畜産局長 太田 康二君
        食糧庁長官   森本  修君
        通商産業省通商
        局長      原田  明君
        通商産業省貿易
        振興局長    後藤 正記君
        通商産業省企業
        局長      両角 良彦君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    三宅 幸夫君
        中小企業庁長官 吉光  久君
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        労働省労政局長 松永 正男君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        労働省職業訓練
        局長      石黒 拓爾君
        建設省計画局長 川島  博君
        建設省道路局長 蓑輪健二郎君
 委員外の出席者
        年算委員会調査
        室長      大沢  実君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十三日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     小沢 一郎君
  大村 襄治君     浜田 幸一君
  相沢 武彦君     伏木 和雄君
  矢野 絢也君     中川 嘉美君
同日
 辞任         補欠選任
  小沢 一郎君     江崎 真澄君
  浜田 幸一君     大村 襄治君
  中川 嘉美君     正木 良明君
  伏木 和雄君     相沢 武彦君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十五年度一般会計予算
 昭和四十五年度特別会計予算
 昭和四十五年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。今澄勇君。
○今澄委員 私は、本委員会でいろいろ議論がありましたが、重複を避けて、本日は、佐藤・ニクソン会談に伴う安保条約の性格について、並びに自主防衛といわれておる中曽根防衛庁長官の方針と四次防について、さらに核防条約と繊維規制等の外交問題について伺いたい。時間があれば、円の切り上げの問題、脱税等、税の不均衡の問題、さらに日本のインフレをいかにして抑制するか、残存輸入制限品目等の問題について伺いたいと思います。官僚のメモでなしに、ひとつ大臣の自信ある答弁をお願いいたしたいと思います。
 第一番に私がお聞きいたしたいのは、佐藤・ニクソン共同声明であります。これは総選挙の前に、本会議でざっと上なでをしただけでありますが、考えてみると、これは条約にも比すべき重要なわが国の方針を定めた大問題であります。この佐藤・ニクソン会談で、条約に示してあるように、安保条約の堅持、これは約束をせられました。おそらく核防条約も、このときに調印することを約束したものと私は思っております。貿易の自由化も明文に書いてありますが、ギブ・アンド・テークと書いてあるから、その中に、おそらく繊維の自主規制もあるのではないかと私は思っております。なるほど沖繩の返還という大きな事実をかちとるためには、わが国側も多くの代償を約束することが必要であるかもしれません。だがしかし、私は、これらの問題の真相をひとつぜひ国民の前に報告をしていただいて、わが国が今後の七〇年代に臨む基本的な外交、経済、その他の方向について、ひとつぜひ私は国民の前に明らかにしていただきたいと思います。
 佐藤・ニクソン会談の共同コミュニケで、日米両政府は、「相互信頼と国際情勢に対する共通の認識の基礎に立って安保条約を堅持する」――英文で見ると、「ファームリー・ツー・メーンテーン」となっておりますが、「堅持する」ことを表明した。この「堅持する」ということばは、日本語では堅持だけれども、向こうの新聞を見るというと、ニューヨーク・タイムズの十一月二十二日及び十一月二十二日付のイブニング・スターなどは、これは無期限に堅持するものであるということを責任ある署名入りで発表をいたしております。すなわち米国側は、この安保条約は無期限に保持されるものと受け取っておると私は聞いておりますが、政府は、一体この堅持というのはどういうことなのか、これがもし目先、当分の間ということであるならば、一体どのくらいの年限なのか、それとも半永久的にこれは堅持するものであるのか、この辺のところをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、ニクソンと私との共同コミュニケが出されております。また、これと同じ趣旨のことを私はこの国会の施政方針演説でもはっきりしたつもりでございます。私、この日米間の問題がとかく軍事的にだけ云々されやすい、このことは非常に誤解を招くのではないか、かように考えますので、特に日米間が政治、経済、あらゆる面において相互に理解と提携がなければならないということを申し上げております。この基本的な思想があの共同コミュニケにも実は出ておるのであります。したがって、アメリカの新聞が何と書こうと、私どもはその点では責任は負えませんから、これは私、共同コミュニケを軽く見たという意味じゃございませんが、その点で私が申し上げることをひとつ御信頼いただき、また国民の皆さんもそうあってほしいと思います。
 そこで、私は、いまの状況の国際情勢のもとにおいて、ただいまの安保条約、これにはいろいろの御意見が各政党でございますけれども、私どもは、これを堅持することが、これを守ることが本来の国益に合致するものだ、かように思っております。またアメリカも同じように、ただいまの状況を堅持する、こういう国際情勢のもとで判断を下しております。
 これが一体いつまで続くのか、どんなことになるのか、こういう点は、これは国民がきめることだ、かように私は申し上げましたが、そういう意味でとくと国民の動向もよくわれわれがつかんでいかなければならない、かように思います。ただいま私どもがあらためて安保条約の改定をするとか、特別な期間を定めるとか、こういうことはしないつもりでございますから、その点であるいは無期限だとか、こういうように心配される方があるかもわかりません。しかしながら、私は日本国民は必ずしもさようには思わないだろうと思います。しかし、いまからあと、七五年になったらこれは改定するのだとか、あるいはなくするのだとか、こういうこともきめてはおりません。これは結局国民の動向等を判断して、時の政府が十分考うべきことだ、かように考えております。したがって、ただいまの点では誤解がないと思いますし、また私は、アメリカと日本との関係、これはあらゆる面において提携すべき関係にあるのだ、かように思っております。
 そういうことで何もかも、いろいろの話をいたしました。申すまでもなく、私がアメリカへ出かけた、これはいわゆる沖繩の返還問題、これと取り組むということが私の基本的な問題でございます。しかしながら、なかなか大統領と総理が会うというのは、そうしょっちゅうではございませんから、会いました機会に、目に触れ、あるいはわれわれが感ずる事柄で、国際一般の問題から二国間の問題に至るまでいろいろな話が出た。このことはそのまま、ただいま御指摘になりましたように、あらゆる面で話をいたしました。しかしながら、それで両方が直ちに特別な約束に到達したとか、こういうようなものでないことは、これはおのずから話の性格上おわかりがいくだろう、かように思います。それらの点が共同コミュニケに載っております。私どもが約束したものは、目的が沖繩の返還でありますから、その点については明確に書いてありますけれども、その他のことは抽象的にならざるを得ない、かような状態であります。また、繊維の問題が両国間における経済上のただいま重大問題でありますから、もちろん触れた次第でございます。しかし、御承知のように、当時ジュネーブですでにもう会議が始まっております。したがって、われわれは、その会議をぜひとも進行さして、円満な妥結をはかろうじゃないか、かような話し合いはいたしました。しかし、その条件等について大統領と私が話をするにしては、二人とも不適当な問題だ、かように考えております。
○今澄委員 繊維の問題はあとでお聞きすることにいたしまして、安保条約がことしの六月すでに期限が来て、あなた方のほうは自動延長で踏み切るのだから、国会にはこれは議論にならないわけなんですね。今国会のこの予算委員会が、安保条約の議論をするこれは最後の場になるおそれがあるんですね。だから私がお聞きしたいのは、もう一年ごとにこれをどちらかの通告で廃止することができるという時代に入ったにもかかわらず、中曽根長官は、去年の十月ごろには、もう五年もやって、一九七五年ごろにはこれは云々というような話も出ておる。だから私は、ただ無期限で、あと七五年になんという話をしてもらったのでは、これは話にならぬと思うんですよ。もとより自由民主党も、長期にわたりこれを堅持すると党のほうも決定をしておるのですから、あなた方の党の決定と、向こうのニューヨーク・タイムズが出しておりまする記事を見ると、この「共同声明においてニクソン大統領と佐藤総理は、一九六〇年の相互安全保障条約を無期限に保持することに同意した。」ニューヨーク・タイムズともあろうものが、全然根拠のない記事をこの情報時代に書くとは思われません。さらにもう一つ、イブニング・スターは、ヘンリー・S・ブラッシャー氏の氏名入りで、「共同声明において、両国は――公然と初めて――安保条約を無期限に継続延長することを約束した。」と報じておるのでありまして、私はこの二つの事実から見ると、なるほど一年前の予告でこれを廃棄することに法律上はなっておるが、少なくとも安保条約というものが今後半永久的に日本を拘束するということになると、これは当然国会にかけるべき安保条約という条約そのものの大きな問題であると思うので、重ねてひとつ総理大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 安保条約を堅持するということは、日米両国で合意をいたしました。しかし、無期限だとか、あるいはいつまでだとか、さようなことは約束はいたしておりません。
○今澄委員 まあ、あなたの口からこの期限がどうだということは、なかなかそれは言われますまい。だがしかし、私は、安保条約を堅持するというこの英語の翻訳と、これらの外国の報道などから見て、この安保条約は、少なくとも長期にわたり、半永久的にしばらくのところはこれを保持する、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。それとも、たとえば五年であるとか十年であるとか期限を切って大体考えておる、まあ十年ぐらいを目安にして、また検討するということに解釈しますか。これについてひとつ総理大臣に明確なお答えを願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 明確にと言われますが、できるだけ簡単に短くというお話でございます。それで、結論だけ申しますが、私ども約束をいついつまでというようなことをしたわけじゃございません。ただ、無期限な状態というか、ただいまの自動延長の状態といいますか、その状態に入るのだということを確認したというだけでございます。だからこれは無期限だとか、あるいは五年だとか十年だとか、さようなものではない、ただ自動延長、そういう形に入るのだということを約束し合った、こういうことでございます。
○今澄委員 のれんに腕押しで、どうもはっきりいたしませんね。私は、とにかく国民がいま一番疑惑に思っておるのは、この安保条約を一体どの程度政府は堅持していくつもりであるか、一体どのころの国際情勢で再検討をするつもりであるか、われわれはいますぐ再検討すべきであるということをかねがね主張いたしておりますが、はっきりとした議論が国民の前に出ないことはまことに残念であります。
 それからもう一つは、事前協議の内容でございますが、この共同声明を見ると、「事前協議制度に関する米国政府の立場を害さない」ということばが書いてあります。なお、韓国との問題については、韓国が武力的云々として、「事前協議に対し前向きにかつすみやかにこれに応ずる」と、こうなっておりますが、この「前向きにかつすみやかに」というのと、「事前協議制度に関する米国政府の立場を害さない」という、この二つについては非常に問題があると思うのですよ。こういう重大な点はひとつぜひ詳細に御説明を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いま事前協議という制度のあることは、御承知のとおりであります。そうして事前協議の場合、そういう協議を受けたら、これは協議ですから、イエスもあればノーもあるという、これが在来から佐藤内閣の一貫した態度である、このことも御了承おき願いたい。そのもとで、ただいま隣国韓国に問題が起きた、こういう場合に一体どうなるのか。こういたしますと、近火御見舞いではございませんが、隣がとにかく火をふいた、こういう状況でありますから、私どもも安閑としてはおれない。これまではおわかりだろうと思う。ただ、その場合に、私どもはちゃんと憲法がございますから、その憲法の条章は私ども国民を、また政府を拘束する状況にあります。しかし、日本にいる米軍それ自身を日本の憲法で拘束することは、これは困難だ、かように思います。そこで、ただいまのように隣の国、韓国で戦火が起きた、こういう場合に、これは何と申しましても、いまの時代は早急にものごとをばたばたときめないと、これがじんぜん日をむなしくするようなことでは対応できません。そういう意味から、できるだけ早くそういう場合の処置をつけよう、これが私どもの考え方であります。事前協議を受けた場合に、われわれが、イエスといい、あるいはノーといい、その返事はできるだけ早くしようじゃないか。ことにただいま国連軍として米軍のいる状態を考えると、これがやはりあそこにいる兵隊だけで守れないような状況、そういう点も想像しなければならないだろう。そういう場合には、安全確保のためにわれわれが前向きで処置しよう、こういうことになるわけであります。どうぞ御了承いただきたい。
○今澄委員 あなたのナショナル・プレス・クラブにおける演説を見てみると、「特に韓国に対する武力攻撃が発生するようなことがあれば、これは、わが国の安全に重大な影響を及ぼすものであります。従って、万一韓国に対し武力攻撃が発生し、これに対処するため米軍が日本国内の施設・区域を戦闘作戦行動の発進基地として使用しなければならないような事態が生じた場合には、日本政府としては、このような認識に立って、事前協議に対し前向きにかつすみやかに態度を決定する方針であります。」と、こう述べておられます。その韓国が平穏無事であるならば、これは日本国民にとってそう大きな関心じゃないのでありますが、少なくとも北鮮側からのゲリラの侵入が昨年来約七、八百件にも及ぶほどの緊張を続けておるこの韓国に万一問題が起きたときに――事前協議というのは、こちらがノーと言う場合があるんじゃない、事前協議というのはノーというのが基本原則なんです。いやだと言われては困るから向こうは話しかけるので、イエスというなら何も向こうから相談しなくたって、事前協議の規定などは要らないのです。時間がないから、事前協議についてもここで岸さんとだいぶやりとりしましたが、きょうは省略いたしますけれども、しからば、わが国がイエスと言う場合もあるがノーと言う場合もある、ノーと言う場合もあるがイエスと言う場合もあるというところは、これは重大な問題なのでございまして、今度のこの「事前協議に対し前向きにかつすみやかに態度を決定する」というのは、イエスという場合もあり得ると私は解釈をしますが、ひとつ総理のはっきりしたお答えを願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いままでも申しておりますように、事前協議である限り、ノーもイエスもある、かように思います。したがって、われわれが前向きにこれを決定する、とにかく前向きにノーと言う場合もあれば、前向きにイエスと言う場合もある、これはそのとおりなんです。具体的にそれではどういう場合にイエスと言い、どういう場合にノーと言うかという、そういう具体的な条件は、なかなかただいま、いまの状態でこういう場合はイエスですとか、こういう場合はノーですとかいうことは申し上げかねます。これは御了承いただきたいと思うのです。しかし、いままでの、プエブロ号事件が起きたからといって、あるいはまた偵察機が撃墜されたからといって、これらが日本から特別に援助、そういうもので協議を受けたような状態もございませんから、その辺ではもう御心配はないことだ、かように御了承いただいてけっこうじゃないか。ただいまも御指摘になりましたように、数十回も北鮮からゲリラが入ってきている、こういうような状態なら、これだけなら問題はないのだ、かように御理解あってしかるべきだと、私は御安心をいただくためにも、その点はつけ加えさしていただきたいと思います。
○今澄委員 そうすると、さらにそれを掘り下げると、いまの北鮮からのゲリラは対象にはならぬというのですが、国連が侵略と認定するかしないかというのが、いまやはり両国間の紛争では重大な国際法的根拠に立つのですね。だから、国連が侵略と認めない国境紛争もあります。三十八度線において常時やっておるが、ちょっと大規模なやつがあるかもしれない。だがしかし、それは国連が認定しないのもあるだろうし、国連がそれは侵略であると認定する場合もありますが、韓国に関する事前協議においては、国連が侵略と認定する国境紛争以外においては日本はイエスと言うことはありませんか。
○佐藤内閣総理大臣 具体的なお尋ねでございますが、先ほど来申すように、国連が認定するという、これはやはり時期的には必ずしもいつ認定するか、なかなかきまらぬだろうと思います。私ども、韓国に戦火が広がる、こういう場合には、この国連の認定ばかりが条件ではないだろうと思います。そういう点を具体的にその場において判断しなければならぬ、かように私は思いますので、ただいまの限定されたお尋ね、こればかりではないのだということを申し上げておきます。
○今澄委員 とにかくそうすると、国連が侵略と認定しない場合にもイエスと言うことがあるかもしれない。韓国の紛争というものは、防衛庁の四次防の国際情勢の判断というものを見てみると、この中にも、韓国は非常な危機に立っておって、今日の情勢から見ると、いつ重大な情勢になるかはわからないと、こう判断をしておるのですから、現実に韓国をめぐる国際情勢は、これは緊迫しておるわけですね。そういうときに、私は日本国の総理が、国連が侵略と認めるものについてはわれわれは事前協議にイエスを与える、だがしかし、国連が侵略と認めなければイエスは与えないというような一つの基準ぐらいは国民の前に明らかにしなければ、国連の決定はおそくなるのだから、そんなものを待っておったのでは間に合わないというのでは、もうどんな場合においてもイエスを与えるかということになると、これは重大なことになると思うのですが、もう一度ひとつ御答弁を願いたい。
  〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
○佐藤内閣総理大臣 国連が侵略と認める場合、こういう場合は、それはもう問題はないだろうと私は思います。ただ、国連がまだ侵略だと認定する前、その期間中に私どもが協議を受けた際に、われわれがどうとるかということでございます。いまの今澄君のお話だと、私が何だか国連が侵略だと認めなくてもいいのだというような言い方のように聞こえますが、そうではないのですよ。そこは誤解のないように願う。国連が認める前にもすでに侵略状態が起きているかもわからないし、そういう具体的な事態についてわれわれが時期を失せず対処する必要があるのだ。国連が侵略だと認めた場合は、これはもう非常にはっきりしている。また国連が認めないと申しましても、問題が起きて国連にかかって、そうしてそれが侵略ではないと、こういうものに対しては、これはもうはっきりわれわれも、おそらく事前協議もないだろうし、またそういうものは受けても、おそらくノーと言うでしょう。でありますが、国連でそういうものを取り上げる前の状態でどんなことになるか、こういうことについて私は拘束はなかなかできない、こう言うのです。いま国連の決定そのものがすべての条件を決定するのかと言われるから、そうではございませんということを申しただけで、これは時期を失せず早期に決定をすべき問題だ、かように思うから、重ねて申し上げておきます。
○今澄委員 どうもこれもはっきりしないですね。これはやはり私たちは何もかにも反対という考えではない。安保条約を薄めて自主防衛のかまえをとりたい、多くのワクと制約は加えるが、日本の独立は自分の手で守るべきであるという考え方にわれわれは立っている。だが、しかしながら、いまのこの韓国の情勢を前に見るときに、安保条約のこういった質的変更ともいうべき重要な問題については、はっきりした説明を総理は国民の前になさる義務があると私は思います。「台湾地域での平和の維持もわが国の安全にとって重要な要素であります。私は、この点で米国の中華民国に対する条約上の義務遂行の決意を十分に評価しているものでありますが、万一外部からの武力攻撃に対して、現実に義務が発動されなくてはならない事態が不幸にして生ずるとすれば、そのような事態は、わが国を含む極東の平和と上安全を脅かすものになると考えられます。従って、米国による台湾防衛義務の履行というようなこととなれば、われわれとしては、わが国益上、さきに述べたような認識をふまえて対処して行くべきものと考えます」ということがここに載っておりますが、これまたわが日本にとっては、台湾海峡がもし緊迫して、金門、馬祖の問題でも出てくるということになれば、これはたいへんなことなんでございますが、この点についてひとつ総理に、この台湾海峡のほうのあなたのお話はどういうことを意味しておるか、お聞きをしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 幸いにして、ただいま台湾海峡ではそういうような心配する状況はないようでございます。まずこの点を十分はっきり申し上げておいて、そうしてあとで書いてある事柄を御理解いただく、かようにお願いしておきます。
 私は、いまの状態が緊迫した状況でないということがまず前提でありますから、そういう点をよく理解してもらって、そうして火をふくことのないようにわれわれが回避する、そういう万全の策をとるべきだ、かように思っております。
○今澄委員 私は、少なくともこういう台湾海峡においてアメリカが紛争を始めたときは、わが日本もこれに、韓国と同じように日本も防衛の必要があると認めるというようなことになれば、現在の情勢が平穏だからとか、そういうようなことでなしに、これは私は一種の条約だと思うのですよ。私は総選挙前にこれ集会議で――ただ単に本会議質問だけで、これに触れないなどというようなことは、もってのほかと思うのですよ。あなたのほうの党の松本俊一さんも、毎日新聞の紙上討論で、佐藤・ニクソン共同声明は条約と同じ重要性のものであるということを言い、自民党の皆さんが言っているんですよ。そういった条約と同じような重要な問題について、いまのところ台湾海峡は平穏だから、もう読んでもらったとおりであるなどというようなことじゃ、これは国民が承知しませんな。総理ひとつもう一ぺん御答弁願いますよ。
○佐藤内閣総理大臣 コミュニケそのものは、いま言われるように、両国の最高責任者が合意したものでございます。したがって、コミュニケの性格は一体どういうものか、条約なりや、あるいは両国政府の意思決定なりや、ずいぶん国際法学者が議論したところであります。まあちょうど前国会に今澄君がいらしたら、おそらくその点をただいまのような意味でお尋ねかと思います。私は、しかしもうすでに共同コミュニケの性格というものは、両国間の条約とは違う、しかしながら、両国の政府をやはり縛るものだ、こういうことには一致した意見でございます。だから、いま条約というものが両国の政府ばかりじゃなく国民まで縛っておる状況というものとは違うという程度だし、したがって、その制定のしかたも、コミュニケの場合は両国政府で最高責任者が約束するというそれだけで、まあ手続もよほど違っておる。これらの点もお考えをいただいて、いま、性格的にはこれは両国政府を縛るものですから、私は、少し話が長くなりますが、前大統領、ジョンソン大統領と約束をした、そのことを、ジョンソン大統領はかわってニクソンさんになりましたけれども、今回の話し合いで、そのときの状況のもとに沖繩返還の話をすることができた、それだけの効果のあるものだ、いわゆる両国政府の基本的なもの、これを縛っておるものだ、かように私は考えております。したがって、そういう点は、いま言われますように、条約とはいわゆる締結の手続その他が違っておりますけれども、両国政府を縛るという、そういうことにおいては同じようなものだ、かように思っております。
○今澄委員 この声明が、両国政府を縛るものであるという重大な御答弁がありました。私は、もし両国政府を縛るものであるとするならば、佐藤・ニクソン共同声明だけが両国政府を縛るのか、それともこのナショナル・プレス・クラブにおける佐藤総理大臣の演説とこの共同声明を合わせて縛るのか、どういうことに相なっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いま私十分記憶はしておりませんが、プレス・クラブにおける演説、これは私の意見だと思います。どこまでも両国政府を縛るものはコミュニケとして発表したものである、かように御理解をいただきたいと思います。
○今澄委員 ところがこれまた向こうの新聞を見ると、共同コミュニケだけが両国政府を縛るものでない、日本における国内向けのために、共同コミュニケに盛りにくいものは、このプレス・クラブにおける佐藤総理の演説をもって両者合わして一つであるというのが、向こうの有力紙はいずれもこれを書いておるのであります。だから、ニューヨーク・タイムズが――いかに新聞といえども、日本の朝日、毎日、読売その他が、そう、うそを書くとは思われません。私は今日情報産業時代に新聞を軽んずることは大間違いだと思います。これは有力な大きな一つの証拠になるのであります。
 私が見るところによると、ニューヨーク・タイムズは、「ホワイトハウスで発表されたニクソン・佐藤の共同声明及びナショナル・プレス・クラブにおける佐藤総理の演説に基づくおもな結論は以上であると行政府筋は述べた。」これは調べてみると、この「行政府筋」というのはジョンソン次官をさしておる模様であります。彼らは「以上の二つの発表は相互に補完して一つの政策声明を形成するものであることを強調した。」もう一つのイブニング・スターのほうは、「昨日、ナショナル・プレス・クラブで佐藤総理が述べた演説は、沖繩交渉において重要な役割を占めるものであった。このスピーチは、取りきめ全体の一部であり、両国ともコミュニケの公式の追録と考えている。」というのですが、佐藤さんは、これらの報道に関して、これは声明だけが両国を縛るものであって、この佐藤演説は全然縛らないのか、いや縛らないことはないが、コミュニケほどの拘束力はないのであって、参考文書であるのか、いやそれとも両方とも厳密に言えば縛るのであるか、これは大事なところですから、ひとつ明確にお答えを願っておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 公の文書としては共同コミュニケ、このとおりでございます。しかし、それじゃ新聞記者クラブ等で発表した事柄は、それと違うことを言っているか、こういうことを言われるならば、さようなことはございません、これはやはり意見は十分それをふえんしているものはございます、こういうようなお答えをいたします。
 私は、新聞に全然別なことは約束してはおらぬつもりでございますから、それらの点では誤解のないように願います。何だか、いまのような私の答弁だと、新聞は新聞、共同コミュニケは共同コミュニケ、政府が責任を持つのは共同コミュニケだけで、新聞のほうはでたらめだというようにもとれますが、そういうようなことはございません。また新聞社の諸君も、共同コミュニケと全然別なことを私がしゃべったら、それは許してはくれませんから、その辺は、ふえんはふえん、かように御理解いただいて、両国政府の公式のコミュニケ、公式に縛るものはコミュニケ自身だ、こういうように私は申し上げておる。ただいまのその他の発表事項が、このコミュニケを基礎にしていろいろふえんしているものがあると思いますが、それらは同一のものだ、かように御理解いただいてけっこうだろうと思います。
○今澄委員 いや、はっきりしませんが、だいぶ明らかになりましたので、この辺で次に移りましょう。
 この声明を見ると、「両者は、万一ヴィエトナムにおける平和が沖繩返還予定時に至るも実現していない場合には、両国政府は、南ヴィエトナム人民が外部からの干渉を受けずにその政治的将来を決定する機会を確保するための米国の努力に影響を及ぼすことなく沖繩の返還が実現されるように、そのときの情勢に照らして十分協議することに意見の一致をみた。」となっております。これは沖繩の返還に待ったがかかるのであるか、この「そのときの情勢に照らして十分協議することに意見の一致をみた。」というのはどういうことであるか、ひとつ具体的にお答えを願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 一九七二年に沖繩は返ってくる、核抜き、本土並み、それは間違いのないところでございます。その範囲内において戦争がなお続行されていたらどういうことになるのか、アメリカから、あらためて協議するからその協議に応じてくれ、こういうことであります。そのときにはよく相談しましょう、これだけでございます。
○今澄委員 そのときはアメリカが協議するといえば――返還は間違いない、返還は間違いないが、状況によって協議するといえば、基地使用以外に大きな問題はないと私は思うのであります。だから、もしベトナム戦争が終わっていなければ、この基地使用についてそのときに協議があるということに解釈をするより道がないのであります。いま沖繩にはB52が、ベトナム作戦部隊、ラオス作戦部隊、韓国作戦部隊と、作戦別におるのでありまして、私は、そのときにベトナムが済んでいないというのでアメリカ側から協議が申し出されて、済んでおらぬのだからこれらの基地を使用さしてもらいたい、そういう相談があるものと、この条項を受け取っておるのであります。そういうときは、総理は一体どういうようなお考えで臨まれるものであるか、承りたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 今澄君は、いろいろそういう場合を想定して、いまからそういうときはどう答えるか、こういうお尋ねでありますが、実は協議の内容はそのときにならないとわかりません。まだただいま、こういう場合にはこうするとかというような話は全然出ておりません。だから、その点だけは、まだそのときにならないとわからない、かように御了承いただきたい。
○今澄委員 それじゃ、沖繩が返還された暁にまだベトナムが戦争しておって、どうしても現在と同じように、アメリカはあそこの基地を使ってB52を出したいという場合においては、総理はどう考えられますか、沖繩が返ってくるのですから、返ってくるのが間違いないとすれば……。
○佐藤内閣総理大臣 これはきのうもお答えしたのですが、沖繩が返ってくることははっきりしている。だから、その場合に一体どうなるのか。返ってくるときにB52がまだおるかおらないか、またあらためてあそこまで入ってくるのか、いろいろな問題があるだろうと思いますが、そんな事柄が全然わからない。だから私は、いまからそういうことについて相談されるよりも、私どもは国益に照らして、そして国益を守る立場でその協議に応ずる、これが本来の姿であります。
○今澄委員 どうしても話が進みませんから、別の角度から聞きましょう。
 大体、安保条約は極東条項というのがあることは御承知のとおりでして、この委員会を通じて、極東条項については過去幾たびか総理大臣との間にその範囲について議論があって、問題のところであります。
 三十五年二月、本委員会において岸総理は、安保条約にいう極東の範囲とはということで、具体的な答弁がありました。すなわち、フィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれる、歯舞、色丹、国後、択捉は含まれる。北千島は含まない。中国大陸、沿海州は含まないというのが――椎名さんも、それから藤山さんもいろいろありましたが、まあ大体集計して、岸さんが私の質問のときに取りまとめて答弁されたのは、この具体的な考え方である。いまの沖繩の問題に関連するが、安保条約が極東の範囲と岸総理の答弁を通じて定めたこの限界は、変更があってこれからふえるのか、このままの状態で続くのであるか、この点についてひとつ総理からお答えを聞きたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 まあ別に極東の地域というのに地理的な限定はございませんが、しかし、いままでの説明で大体一定してきたと、かように私は考えております、いま言われたとおりに。しかし、その周辺地域というものがまだ明確になっておりません。周辺地域とはどういうところか、こういうような問題はあると思います。そこらは外務当局からも説明をつけ加えさせておきます。
○愛知国務大臣 まず、先ほどからの総理の御答弁で明らかだと思いますけれども、今回の共同声明、特に沖繩返還問題につきましては、共同声明の御承知のように第六項から第七項、第八項というところが返還問題の本体になっておりますが、七二年中、本土並み、核抜きということが本体であって、これは動かないわけでございます。そこで、返還に関連いたしまして、安保条約の条約そのものはもちろんでありますが、一切の関連の取りきめが、本土と同様に適用されるということがきめられてあるわけでございますから、この安保条約関連取りきめ一切が本土並みで、特別の取りきめがなくて、沖繩が返還されることになるわけであります。したがいまして、安保条約に用いられておる文言、その中には極東地域というものももちろん入りますけれども、この解釈その他につきましても、これは沖繩返還によっても何ら変更されることはない。したがって、ただいま総理から御答弁がありましたように、極東地域につきましても、かねがねの政府の統一解釈による答弁、このままこれが続いてまいります。そういうふうに御了解をいただきたいと思います。
○今澄委員 これを見ると、これは台湾の条項とこの岸総理の答弁を比べてみると、この岸総理の答弁では幾ら考えてみても日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域も含まれるというのでは、これはベトナムは入らぬわけですな。安保条約のいわゆる極東条項というものはベトナムその他は含まないのだ、岸総理がここで答弁したとおりであるということなら、総理からもう一度ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○愛知国務大臣 この点も従来からしばしば論議が行なわれて、政府の解釈は非常に明確であると思いますけれども、極東地域というのは日米両国が共通の関心を有しておる地域であって、そして日米安保条約によってその安定、平和ということについて寄与し得る地域ということが、地理的の概念以外に一般的概念として入っているわけでございます。そこが、日本自体の国益から申しましても、日本の安全に非常に関係の深いところである。そして一方、安保条約において事前協議の対象になる第六条の交換公文に基づくところの、たとえば戦闘作戦行動が事前協議の問題としてかかるような場合の、その戦闘作戦行為の及ぶ、つまり極東地域の安全を確保するために出動される範囲、対象ということになりますと、その周辺の地域に及ぶことがあるであろうということの解釈につきましても、従来から政府が繰り返し統一解釈として明らかにしておるところでございます。
○今澄委員 とにかく、共同声明が条約と同じ拘束力を持つというからには、この極東地域の範囲においてもここでほんとうはもっとはっきりしたいのですけれども、まあせっかく愛知外務大臣が、わかったようなわからぬことをいま言ったのですが、これは私、大事なところだと思うのですよ。まあ時間がありませんからひとつ次に移りましょう。
 問題は、沖繩について核持ち込み――まあ皆さんはそんなことは絶対ないと言うてここで答弁なさるでしょう。だが、これまた向こうの有力紙を見てみると、あなた方のここの答弁とは、みんなことごとく違っておるのはまことに遺憾でございますな。私はぜひひとつ、この日本の運命が関しておる極東条項の地域については、一体どことどことどこを守るのであって――いま愛知さんの発言は岸さんのこの委員会における発言をこれはある程度演繹、ふえんしてこれに変化を加えたものなんですよ。だから、それならば一体これはどの程度だということを、ひとつこの次の機会までにこれは御検討おきをいただきましょう。
 核持ち込みについて、それじゃお伺いをいたします。
 ニューヨーク・タイムズは、「この協定の規定の中で最も重要な規定は、すべての大規模な作戦行動は日米両国政府間の事前協議に従うというものである。具体的には米国政府筋によればこれは日本の同意を取りつけることを意味する。また沖繩から核兵器を撤収し、日本政府の同意なくしては再び沖繩には核兵器を持ち込まないということである。」これから見るというと、だが日本政府が同意をすれば持ち込んでもいいというふうに、これは解釈できる。イブニング・スターのほうは、「軍事的緊急時には、沖繩に核兵器を再度持ち込むことを考慮する意思のあることを示すものである。」といっておる。もう一ぺん詳しく読みますと、「日本の沖繩施政が同地域における米国の防衛義務の効果的遂行の妨げとなってはならないことを日本は認めた。これは軍事的緊急時には、沖繩に核兵器を再度持ち込むことを考慮する意思のあるごとを示すものである」と、イブニング紙は指摘をいたしておる。
 私は、この沖繩に関する両新聞の指摘を見ると、返還するときに核兵器を撤去することは、総理のとおり、これはもう間違いがない。だがしかし、先ほど私が申し上げましたような、ベトナム戦争がまだそのとき終わっていないで事前協議がかかる際は、その事前協議の中に核兵器の持ち込みも含まれる可能性をこれは示唆いたしておる。そうして、そのとき向こうの期待は、これは総理のことですからお断わりになるであろうとは思いますが、向こうの期待は、「沖繩に核兵器を再度持ち込むことを考慮する意思のあることを示すものである」と向こうの有力新聞がいうからには、この核兵器については断固たる総理の意思の表明がないことには、この疑惑を解消することはできないのであります。どうぞひとつこの点は、時間もないですけれども、詳細にひとつ、こういう大事な問題は――つまらぬ問題で長い答弁は困るのですが、大事な問題はひとつ詳細に御答弁を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 これは別に長い答弁は必要といたしません。御承知のように、私ははっきり非核三原則を守る、かように申しております。このことは、もう国民に、日本の新聞を通じ、あるいは国会を通じ、あらゆる機会を通じて、はっきり約束しております。外国の新聞が何といおうが、なかなか今澄君は外国の新聞をいろいろ御研究なすっていらっしゃるようですが、私は同様に日本の新聞、同時にまた国会の私の発言、これを十分ひとつ御理解いただきたいと思います。これはもう別にむずかしく、くどくどは申しません。私どもは非核三原則を守る、これだけはっきり申し上げておきます。
○今澄委員 いや、向こうとこっちがいつも一緒ならば、私は向こうの新聞は見ぬのですけれども、たとえば繊維の問題でも、向こうは約束したものとして、どうもニクソンさんはおこっておるらしい。あるいは向こうは、ジョンソン次官の意向を受けて、月火のうちにひとつ対案を出してやってもらいたいといって、大使館を通じて言うてくる。こっちのほうも一生懸命に、外務省は業者を集めてやって、通産省にも言うておる。だから、あなた、ここである答弁と向こうの姿は違うじゃないですか。具体的な事実を申し上げればそういうことですよ。私は国会でただ議論の遊戯をしようとは思わぬのです。繊維交渉というような、たいしたことはないこと一つとり上げても、向こうで言っていることとこっちで言っていることは、まるきり、あなた、総理が良心的にお考えになれば、自分でもおかしいでしょう、まるきり違うじゃないですか。だから私は国会の場において、やはり向こうの新聞もよく読み、そうして向こうの情勢もつぶさに検討し、――何にも情報なくして私は質問しておるのじゃありません。その意味においては、私はこの核の問題についてはぜひひとつ考えていただきたいことは、この国会の答弁で、核兵器をつくらず、持たず、これは憲法の条章に照らして、憲法が認めておるところである。だが、佐藤内閣としては、持ち込みは憲法が禁止しておるとは思わない。だから、この持ち込みというのは、非常にあなたのほうでは政策的な問題だとおっしゃる。その政策的な持ち込みと、このいまの沖繩の問題とが関連しておるから、しかも向こうの新聞がそれだけ書き上げておるからには、この問題についての疑惑が残るのは、これは当然なんです。もしこの疑惑を払拭したいとするならば、かねがねわれわれが核三原則を国会の決議として、一佐藤内閣のみならず、これらの問題があとあとみな拘束力があるとすれば、決議をすべきであるということを言うておるが、自由民主党が常に反対で、この決議が今日できておらない。あなたは口を開くというと、いや、それはあとの内閣を縛ったり、将来の国民の何とかかんとか言いますけれども、現に核防条約にわが国は調印をして、それらの核の問題についての将来における問題はこれはいろいろ片づいておる。なぜそれじゃ核三原則が国会の決議にならないかというと、私は、いまの沖繩の返還とアメリカの考え方と、これらの問題を明確にして、わが国民に対して安心させるためには、これは国会でどうしても決議をするより道がないと考えておるからでございまして、もう一度ひとつしっかりとした御答弁を願いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 はっきりしたことを申し上げます。持たず、つくらず、持ち込みも許さない、これが非核三原則といわれておるものであります。これを私は国民の皆さま方にはっきりと申し上げておるわけであります。ただいま今澄君に答えてはおりますけれども、マイクを通じ、この大事なことだけは全国民に必ず伝わっておると思います。私は、それでもういいのじゃないのかと、かように思っております。このいま申した事柄以上に一体どう言えばいいのですか。私はもうこれらのものは持ち込みは許さない、これでよろしいのじゃないですか。だからそのことではっきりしているから、もうこれでよろしいのじゃないか、かように私は思っております。(発言する者あり)いまいろいろ不規則発言も出ておりますが、私はこれで十分事足りていると、かように確信しております。
○今澄委員 私はちょうど二時間ほどもらっているのですが、時間もないことだからあれですけれども、佐藤さん、この問題はやはりいろいろあげ足をとるというわれわれの側の質問もまずいが、総理大臣の事なかれ主義で、まあとにかくこれならば無難という答弁も私はまずいと思うのですよ。少なくとも、事、日本の重大な問題について、どうして国会の決議でこれがやってはまずいのであるか、どうしてこれが佐藤内閣の口約束だけで信用してもらわなければならぬのであるかという点については、国民はなかなか納得せぬのじゃないですか。いまも不規則発言が出ておるところを見ると、納得しておらぬのですね。そこのところをどうして国会で決議をしてはぐあいが悪いかという理由も、あわせてひとつお答えを願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 あまり時間をとらないようにいたしますが、安全保障条約に対する考え方も各党でそれぞれ違いますね。また、日本の防衛そのものについても各党で違っておりますね。私はこれらのことを考えると、なかなか皆さん方と完全にこういうような問題で話し合うというのは適当でないのだ。とにかくただいま、いまの核防条約自身だってまた反対もずいぶんこの節出ておるようであります。これもなかなか簡単じゃないようですね。私はそれらのことを考えると、これはやはりただいま申し上げるように、簡単にいいところだけ自分たちが一緒になれるからという意味でなされても、これはやはり全体として、政治の姿勢、国防の姿勢、そういうものを正すということが必要じゃないか、私はかように考えております。だから、ここらの点もこれからとくと皆さん方と相談もいたしまして、そして、私は皆さん方の考え方が全部違っておるとか、かように申し上げておるわけでもございませんので、それはよく相談もいたしますが、いま直ちに非核三原則を国会で決議しろ、かように言われましても、私はそれには反対でございます。
○今澄委員 いや、総理の意見がそういうことであれば意見として承りましょう。これ以上はちょっと避けましょう。
 いまお話にありました防衛と安全保障条約というのは表裏一体の関係に相なっております。私どもは、この安保条約をだんだんと薄めて、自分の国は自分で守るという基本的体制をとるべきであると思います。だがしかしながら、自分の国を自分で守る自主防衛であるからというて、もう予算もないものをどんどん際限なく財源をつぎ込む、国内の防衛産業もどんどん大きくして兵器も外に売る、アジアの各地に非常な危機感を与えて、疑いを受けるというようなことじゃいけません。われわれは現憲法のワク内において外交による日本の安全を守ることを主とし、国民生活の安定を先にした財源によってこの自主防衛というものをやるべきものであって、専守防御にこれを限るということで自主防衛をひとつやるべきだということをわれわれは考えております。その点においては佐藤さんも、ここで真反対の議論をしておるものでないということは、これは御理解を願わなくちゃなりません。そういう意味合いにおいて、今度四次防ができるのですが、この四次防を踏んまえて安保条約とにらむわが日本のいわゆる佐藤内閣の自主防衛というものについて考え方を聞きたいが、せっかく中曽根長官もおられますから、中曽根長官から、自主防衛の基本的な考え方と四次防にからんでの見解をひとつお聞きいたしたいと思います。
○中曽根国務大臣 自主防衛の場合に何を守るかということがまず第一でございますが、私は、祖先から受け継いで子孫に渡していくこの国民共同体、生活共同体並びにその国土を守る、そういうふうに考えております。
 そして守るやり方につきましては、今澄議員がおっしゃったとおり、専守防御にとどまる。しかし国力、国情に応じて、それはまた客観情勢に応じて変化していくべきものであって、防衛といえば、やっぱり周囲の脅威の大きさに比例して移動していくものだろうと私は思います。固定するものではない。しかし、やはり祖先から子孫に引き渡していくという非常に長期的な、持続的な努力であり、その蓄積でもあると思います。
 そういう考えに立って、断面的にこれをとらえることはできない。したがって、ある長期間の構想を持って日本の平均的な防衛力というものを考えつつ、それに振幅を持たせながら、客観情勢に応じていく、そういう考えがいいと思います。
 四次防につきましては、いまのような考えに立って、新しい情勢もいろいろ踏まえつつ検討しておる状態でございます。
○今澄委員 ついでに中曽根さんに伺いたいのですが、この四次防について、「同計画は国際情勢の分析、長期防衛戦略構想、装備計画の三段構え」となっている、こういうことにすでに一部われわれのほうに情報が入りました。そうしてその中の情勢分析を見ると、やはり防衛計画を立てるからには、それを立てるべき情勢分析が必要でしょう。「「通常局地戦に対処するにしても、いまの自衛力では不十分で、相手方の力に応じて考えていく」方針なので、あらゆる角度から日本に対する“脅威”の実態が解明されるようである。ただ防衛庁では、四次防期間中(五十一年度)までを見通した場合、朝鮮半島などに緊張はあるものの、局地、代理戦はなく、潜在的脅威にとどまるとみているが、米中、米ソ、日米といった極東でのいろんな関係の動きを展望することにしている。」というのですが、ここで防衛庁の見た情勢分析を簡単に御報告を願いたい。
○中曽根国務大臣 いまのお読みになった新聞記事は、防衛庁が実際いま考えていることと必ずしも一致しておりません。どうしてそういう記事が出たかよく存じませんが、推測記事が非常に多いように思います。いま四次防につきましては構想を練っておるという段階でございまして、書きものにしてそういうふうに正式に出す段階に至っておりません。ただ、やはり防衛というものは、国家の総合戦略の一環であって、その一番大事な部面は外交能力であるだろうと思います。今日のような核兵器の時代になりますと、外交能力――あるいは外交的破綻というものが国際的にあると、人類の運命に関するような悲劇が起こるので、最大限の努力は国際平和のための外交的努力に各国が注がなければならぬと思い、日本も当然そういうことであると思います。そして防衛は、外交に付き添っていく、外交が表に立つ、そういう考えでやっていきたいと思っています。
 それから、現在日本の周辺を見渡した場合に、顕在的な脅威というものはそうないと思っています。しかし、潜在的には将来局地戦が起こらないとはまた言えない。そういう状態で、顕在的脅威はそうないという考えに立って、日本の防衛を固めていきたいと思っております。
○今澄委員 まあしかし、そういった構想のもとに計画を立てるとすれば、私はやはりいま国民は、自分の国は自分で守るという考え方には賛成がだんだんふえたと思うのですよ。けだしその財源が一体どの程度のものに至るかということがこの際非常に大きな問題なので、それでは中曽根さんの考えておる構想は――この間新聞に出たのはまるで違うと言うのならば、中曽根防衛長官は、防衛費は国民総生産対比、GNPに比べて一体どの程度が妥当なものであって、どういう考え方に立っているか、ひとつ御答弁願いたい。
○中曽根国務大臣 やはり他の国策とのバランスが非常に重要でありまして、特に国民生活の安定、これがやはり防衛力の基礎でも、逆になっておると思います。そういう考えに立ちまして、国民生活の安定を最大限に重要視して、その限度内において防衛力は整備すべきである、そういう点から特に社会保障費、教育研究費、公共事業費等のパリティを重要に考えております。ことしの予算を見ますと、大体社会保障費関係が一兆一千億円、これが一四%以上です。それから教育研究費、これが一一%、予算の内部において。防衛費は七・二%でございます。この程度の比率は妥当であると考えております。
○今澄委員 将来どの程度までにこれを上げようとするのか、ひとつこの四次防とからんで、ことしのでなしに、見通しについて考えをお述べ願いたい。
○中曽根国務大臣 情勢の大きな変化がない限り、その程度のパリティを維持していきたいと考えます。
○今澄委員 大体これで、その四次防を含めていまの中曽根長官が考えている財源的上限が、制約がわかりました。
 長期防衛構想について伺います。
 これを見るというと、局地戦については独力で対処し、「全面・核戦争は日米安保体制で補完することを基本に、できる限り公海上で侵略を排除する体制を確立することになっている。このため、陸海空にわたってミサイルなど近代兵器を軸とする電子化、機械化を推進し、戦術的攻撃力を強めることが重点とされている。」あなたはどう言うか知らぬが、これは担当局でできているのだが、ひとつこの点についても長官の、事務当局でない長官の考え方をここで聞きたい。
○中曽根国務大臣 現在までの防衛力整備の状態を見ますと、陸においては人員はこの程度で当分よろしい。ただ機甲力と機動力が足りない。それから海におきましては、ようやくこれは練習単位の基礎単位ができたという程度で、防衛力としては非常にまだ足りない要素がございます。特に一部の海上護衛あるいは海峡の管制あるいは周辺海峡の防御、そういう面において力が足りないと思っております。空は防空能力が、たとえばナイキであるとかその他の部面において不足している部面もございます。しかし、これから大体力を入れる部面は海並びに空の方向であるだろうと思います。
○今澄委員 問題は今度は兵器の質であるが、核兵器はさっきの総理の答弁で、これはもう議論の余地はない。だがしかし、どの程度までの兵器を持つのであるか、ミサイルは一体どうなのであるか、装備関係その他にわたってこれも長官の意見を聞いておきたい。
○中曽根国務大臣 憲法並びに国防の基本方針によりまして、攻撃的な兵器装備は持たない、そういう制限がございますので、その範囲内において専守防御に徹する、しかも非常に精巧な兵器を装備したほうがいいと思っております。(今澄委員「具体的には」と呼ぶ)具体的には、たとえば海におきましては、対潜兵器等において外国の技術導入をして、憲法の範囲内で許すものを装備するとか、あるいは空においては、いまやっておるホークやナイキを整備していくとか、そういう程度のものが考えられると思います。
 私は、しかし、将来日本として考うべきものは、やはりロケットとか電子兵器等をかなり充実させて、人間の力を省いていく、省力化につとめていくべきであると考えております。
○今澄委員 沖繩返還に伴って、沖繩の防衛というのがいまやはり重大な段階に入ってきました。防衛庁としても、これはどうしても外務省その他との話し合いがあって、本格的な沖繩防衛についての計画ができておるようでありますが、これもついでにお答えを願いたい。
○中曽根国務大臣 沖繩に整備すべき防衛力については、検討はしておりますが、どういう態様で返還されるか、返還協定の内容もまだできておりません。したがいまして、まだほんとうの検討という程度でございまして、発表すべきものはありません。
 ただ、私は、必要であると思いますのは、やはり一部の陸上、海上の警備力、それから防空力、それから気象ないしは通信関係の少量の部隊、これらは必要であると思っています。
○今澄委員 私はここで防衛問題について――これは重要な国益に連なるものなんです。これはやはり日本国家の政治の中ではたいへんな大事な問題だと思うのです。だから、この問題で私は中曽根長官のあげ足をとる気はさらさらありません。いまお話しのように、一番国民が心配しているのは、財政的にどこが歯どめであるか、兵器的にはどこが歯どめであるか、そういうことがこれは問題なのでありまして、九州の陸上自衛隊を強化して沖繩に充てようとあなた方のほうはなさっている。さらに航空関係も充実して、これも沖繩に持っていくようになさっている。いろいろあなた方のやっておられる事務当局の案は拝見いたしましたが、私は、中曽根防衛庁長官が言っておる、こういう国の国益に一番重大な、事、防衛を、内閣委員会の末席で議論し、検討し、野党側は、防衛の問題はもう必ず反対の立場に立って追及する、政府側は追及をおそれて国際的な情勢も述べないというのでは、一番日本で大事な、事、防衛について国民に知らせることはできないと思うのですよ。国民に、このわが国が置かれておる状態の中から一体どうすれば日本は安全なのであるかということを知らせる道は、私は、国会は一条ほど国会法を変えさえすればすぐできるのですから、内閣委員会から防衛問題を独立さして、防衛委員会というものをつくる、そうしてその防衛委員会で、秘密のときは秘密会をやる、そうして日本の置かれておる状態を真剣に各政党が検討をして、ほんとうに日本はこの道を歩まなければならぬというときには、力を合わせてわが国の安全を守るということが政党政治の負うべき本来のつとめであると私は思うております。
 そのような意味合いにおいて、中曽根長官がいろいろと主張いたしておる、国会の中に防衛委員会を設けたらどうかという――あなたはいろいろこの間から言うておられます、われわれは防衛委員会をつくるべく議運に正式に意見を述べて、自由民主党さえそれに賛成すればすぐこれはできるように実はなっておる。だが、なかなかこれができないというところに――多数決できめればきまるわけですから――問題があるのであって、この間、江田さんの質問では、もう何かピントがぼけて、はっきりしなかったが、私はそういう意味において、佐藤総理、この重大な防衛の問題を国民にも知らし、国民の関心をも持たせる意味において、防衛委員会をこの国会につくって、これらの問題で政府は資料を提出して、真剣に、わが国家の現状に照らしていかなる方法が一番妥当であるかということを国会にもひとつ十分意見を述べさせて、きめていただくということが必要であると思うが、この国会内に、――たった一条変えればいいのです。佐藤さんが総裁として一言、これは総裁の指導力で言うてもらえばできるのですから、この点について、私はぜひひとつこの席上で、いまの自主防衛の基本的考え方を、中曽根長官は申しましたが、佐藤さんにもひとつその考え方と委員会の問題をお聞きしておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 自主防衛の問題は中曽根長官からお答えしたとおりであります。また、防衛委員会をつくれ、特別委員会をつくれとおっしゃることも、民社党、初めて態度を明らかにされたように私伺っています。(今澄委員「前から明らかにしておる。」と呼ぶ)それは前から私どもの耳に入っておらないのです。したがいまして、今日たいへんな進歩だ、かように考え、私は大いにその発言を歓迎いたしております。しかしながら、これは民社党と自民党だけできめるべき問題でもございませんし、これは他の党からもやはり賛成していただいて、そうして委員会が各党賛成のもとにできるようなことが望ましいんではないかと思います。ことに私は、どうしても最終的に決定されない、そういう場合に多数決でというこの考え方も、私どもかねてから主張しておるところでありますけれども、できるならば、各党がこれを了承して、そうして委員会をつくるという、そういうことが望ましいんではないか、かように思っておりますので、ただいたずらに多数決だけにたよって云々、これだけは私も慎重にいたしたいものだと思っております。
○今澄委員 三百の多数をもってして、えらく総理大臣は、こういうときは低姿勢でございましたな、これは。私は、まあ、中曽根さんに聞くのは酷だから聞かなかったのです。こういう防衛庁長官の主張に私は賛成です。
  〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
防衛庁長官がこういう国民の声を聞き、国会に委員会をつくり、そうして、黙々としてがんばっておる自衛隊の諸君について大いに国民がよくわかるようなPRをしようという、こういう考え方に私は賛成でして、ぜひ、ひとつこれが実現するようにがんばってもらいたいと思う。三百名が、こういうときにおるかおらぬかわからぬような三百名じゃ、しかもあなた、自分の内閣の大臣が言うことも取り上げないで各党の御意見をというようなことでは、これは、総理、なかなか、だめでございますよ。
 中曽根さんに、時間がないからもう一、二点お聞きをしたいのは、あなたの、いわゆる米軍基地の自衛隊管理です。これはやはり将来安保条約の本質にもからむ大事な問題でして、この自衛隊の管理の問題について、中曽根長官の構想をちょっと聞きたいと思います。
○中曽根国務大臣 私は、日米間の友好と相互安全保障の体制というものは、大きな条件変化がない限り、半永久的に必要であるだろうと思っております。しかしながら、その態様については、その時代時代により異なり、両国の人心に応じて変化していくものであると思います。安保条約につきましても、昭和二十六年にできたときと、それから三十五年に改定され、また今回自動継続されるというふうに、態様は変わってきつつあるわけです。したがって、将来にわたって日米間の基本線はくずさないけれども、その態様は変わっていく可能性を認めていいと思うのです。
 私は、この、特に大事な基地問題等につきましては、これはアメリカに肩がわりするという思想じゃなくして、日本として、国家としての本然の姿を回復する、自分で行なうべきことを当然行なっていく、そういう考え方に立って自衛力を漸増しつつ、日本本来の姿に返るという意味において、基地は日本の自衛隊の管理にできるだけ早期に移して、そして先方と協議しつつ、これを共同使用にするか、あるいは継続使用にするか、あるいは一時使用にするか、あるいは民間産業に一部渡すか、そういう点は弾力的に協議していくべきものだと思います。安保条約においても随時協議という条項がございまして、そういう協議する体制にもなっております。しかし、これは両国でよく話し合いをして、相互理解のもとに完全に計画を調整しつつ徐々に行なうことが適当であると思っております。
○今澄委員 現在、在日米軍基地は百二十六カ所あります。このうち共同使用しておるのは、地位協定二条四項の(a)によりまして米軍が管理し自衛隊も使っているのが木更津、岩国キャンプ、朝霞など二十三カ所であります。二条四項の(b)で自衛隊が管理し米軍が使っておるのは東富士演習場など二カ所であります。三条に基づき第一義的な管理権を持つ米軍の独自の判断で自衛隊と共同使用しているのが三沢、板付など十四カ所であります。残る横田など主要基地はすべて米軍の専用ということになっております。こういう今日の基地の使われ方の実情から見ると、いま言われたような構想に持っていくためには、どうしても安保条約の中の地位協定を再検討しなければこの条章に抵触することが出てくるが、中曽根さんはそういう方向でどういう検討をされておるか、御答弁願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 一時使用については地位協定に書いてございますが、継続的使用についてはそういう条項は書いてありません。したがいまして、共同使用という場合、継続的に行なわれる場合には、二条四項(b)に追加して何らかの規定が必要ではないか、このことを検討させております。
○今澄委員 外務大臣、いま防衛庁長官から話があったが、継続的使用ということになれば、どうしてもこれは地位協定を改定しなくちゃならぬのですが、外務省の見解を聞きたい。
○愛知国務大臣 ただいま防衛庁長官から答弁がありましたような趣旨におきまして十分検討してまいりたいと思っておりますが、ただいま、私の現在の意見を申しますならば、現在の地位協定のもとにおいてなし得る限りのことを具体的に進めることがまず第一必要なことではないかと考えております。
○今澄委員 私、あげ足はとりませんが、きょう新聞に出ていた防衛庁側の考え方と、いまの愛知さんの木で鼻をくくったような答弁から見ると、これはまるっきり違うのですな。現実に中曽根長官は、とにかくだんだんと継続的に使用して具体的な計画を立てている。外務省は、まずいまの安保条約をとにかく動かさないということでは、まあたいしたことはないが、小さい問題ではあるが、大臣の答弁としては食い違っておりますよ。今度の綿製品の問題でもこれと同じなんですね。食い違っておるのですね。だから、政党間の意見が違う違うと総理は言われるけれども、まずは内閣の中で、こういう重大な問題はやはり外務大臣も防衛庁長官ももっと意見を合わした対策を国会へ報告してもらわにゃなりません。
 総理大臣、あなた、みかじめ役としてどういうお考えですか、御答弁願いたい。
○佐藤内閣総理大臣 お説のとおり、内閣の中で意見が統一されなければならない、かように考えまして、官房長官、外務大臣、防衛庁長官、この三者で会合を持つようにいたしております。これから一そう、今後は食い違いがないようになるだろうと思っております。この三者会合というものがいろいろ皆さんからも批判を受けておりますけれども、私はたいへん大事なことだと思いますので、ただいま御指摘になりましたような点がまず第一の問題であります。もちろんこれからさらに発展して大きな問題に取り組む場合にも必要でございますが、ただいまのところは、やっぱりこの三者でよく話し合って、そうして意見のそごがないようにすること、これが最も大事だ、かように思って始めさしたばかりでございます。
○今澄委員 佐藤・ニクソン会談後の佐藤総理のナショナル・プレス・クラブの演説をさっき私はいろいろ引用しましたが、この繊維の問題についても、矢野さんから詳しく質問がありましたから重複を避けます。私は問題の核心をそのものずばりで聞きますが、あなたはプレス・クラブの演説で、日米両国の経済問題について、互恵互譲の精神により――これは「イン・ザ・スピリット・オブ・ギブ・アンド・テーク」と書いてある。部分的な摩擦が、政治的な大きなつながりを傷つけることのないよう、国際的ルールのワク内で配慮することであると語っておられます。この国際ルールに沿った解決ということが日本の繊維問題に関する一貫した主張であります。しかるに一方では、首相は、早期解決、早期解決と、年末解決を言われるときもあるし、万博までの解決を言われるときもある。この、あなたがプレス・クラブで話された国際的ルールのワク内というのが、現にあなたが話されておるのだから、私は大事だと思うんです。この国際的ルールによって解決するという日本の正論が、早期解決のためにくずれるということになると私はたいへんなことになると思うのでありますが、国際ルールによる話し合いという線にまでアメリカがこの際折れてくることが大事だと思うんです。もし佐藤さんが、ニクソンさんとの会談で、この繊維問題について解決するという約束をされたのならば――それはどうか知りませんよ。知りませんが、されたのならば、繊維業者を説得してこれをやるか、ニクソンさんに、いや、ああは言うたが、これはむずかしいと言うて了解を求めるか、もし約束をされたのならば、そのどちらかしかないが、約束はされてないというのならば、あなたがプレス・クラブで話された国際ルールによる解決で日本はばんと押していかないと、いま、安全と防衛については安保条約によってアメリカと緊密な関係にありますが、経済的には日本とアメリカが経済戦争の状態であることは皆さんが御存じのとおりであります。日本経済がこのアメリカ経済と、日本経済が伸びていくに従って大きく角逐を生じ、争うことがありましょう。その際は、アメリカも譲るべきものは譲る、筋の通らないことは言わない、日本も筋の通らないことは、残存輸入制限品目でシャットアウトしているが、アメリカの言うことで当然なことがあれば、これはまた聞かなくちゃならない。こういうことでないと、日本とアメリカとの経済的な対立は深いしこりを残すと私は思うんですよ。その意味において、この繊維は、国際的ルールに従って解決しようという主張を日本側が突っぱれば、決して日本側の主張が間違っておらぬのであって、私は、この点をひとつ総理に聞きたいと思うんです。
○佐藤内閣総理大臣 今澄君のただいまの御高説のとおりでございます。私は、プレス・クラブで私が話をしたこと、これはいまだに変わっておりはいたしません。私が申し上げておるのは、そういう一つのルールがないと、やっぱり両国間の関係が密接になればなるだけに、いろいろ問題が起こるだろうと思う。いま、ことばは適当かどうかは別として、日米間の経済で角逐が行われるだろう、こういうお話をされました。しかし、とにかく、角逐があるか、あるいは競争状態か、正常なる競争か、いろいろの表現はあるだろうと思いますが、密接になればなるだけに、そういう問題は起こりやすいと思います。往復八十億ドルもただいま貿易額がふえております。したがいまして、一部に当然摩擦はあり得るだろうと思う。そういう場合に、政府がこういう問題をいかに取り扱うか。そうして、しこりを残さないようにするために、私は、早期に解決することが望ましいんだ、かように考えております。これは理屈があるからといって、もう相手方を説得する、何でもかんでもねじ伏せるのだ、こういう態度では、両国の親密な関係は維持できない。お互いに、ただいま、アメリカ側も譲るべきものは譲れ、こういうお話がありますが、それは同時に日本に対しましても、日本側にも譲るべきものは譲ったらどうか、そうして長期の親善友好関係を持続すること、そこに重点を置くべきじゃないか、一ぺんの勝負、一ぺんの取引、こういうものじゃないのだ、長いつき合いだ、エンドレスだ。こういうことを考えると、私は、双方に、理解し合う、そうしてお互いに譲り合う、こういうことが考えられるのじゃないかと思います。ただ、それも、力だけで、日本とアメリカとの力関係――経済的には私どもアメリカに負けないと思っておりますが、しかしながら、国力そのものとしてはアメリカと日本との間に国力の差のあることは当然でありますが、そういう力関係だけでものごとをきめないで、それこそ国際ルールでそういう問題を解決していく、これが大事なことではないかと思う。とにかく、私が申し上げておるのは、何でも早く解決をすることが望ましい。その場合に、無軌道に頭を下げて解決しろ、こう言うのではございません。十分納得のいくような方法で、早く、問題をいつまでも残さない、こういうことの態度が必要じゃないか、かように思っておる次第です。
○今澄委員 私は、総理大臣のような激職が、こんな繊維のことについて詳しくわかるわけはないと思うのですよ。だから、私、そう総理の責任を追及する気はないのです。だが、あなたのところに情報を入れて、あなたを動かしている下田大使などの、あなたへの説明が私は十分でなかったと思うのです。米国は、さっきも言ったように、土曜日ごろ日本に言うてきて、繊維問題について対案を出すよう要求しておるのです。日本側は、被害の詳細な、もっとやり直したものを出してくれといま言うておる。ところが、向こうは、それは出さぬで、日本の対案をいま要求しておるのです。この要求の裏には、ニクソン大統領が、佐藤首相が包括的規制に約束したと思い込んでいるという事実があったからだと米国で新聞に出ている。だから、私は、これはニクソンが勘違いしたのではないかと思うのです。思うのですが、そういうふうに出ている。首相は密約はないとさっきも言われた。プレス・クラブでも、あなたは、国際ルールに従ってやるべきである、こういうふうに言われた。そうすると、国際ルールに従ってやるんなら、これは時間がかかるのです。急いでやれば、国際ルールに従っては、これはアメリカがどうしても、私の見るところ、折れぬです。だから、私は、今度アメリカが持ってきたこの対案に、外務省は通産省に対して、これに応ずる対案を出そうなんと言っているけれども、通産省などはこれに応ずる対案を出す必要はないと思うのだ、これはルールに応じているのだから。
 通産大臣から、この言ってきた向こうの態度に対して、どういう処置をとるつもりでおるか、答弁をお聞きします。
○宮澤国務大臣 先日も申し上げましたとおり、現にわれわれに提出されました資料が十分でないと考えておりますから、追加の資料を求め、またそれについて説明を求めることが先決であろうと考えておるわけでございます。
 それから、少し長期的にものを考えますと、先ほど今澄委員が言われましたことは、まことに意義のあることだと思います。つまり残存輸入制限であるとか、資本の自由化の問題であるとか、わが国もガットなりOECDに入りましてからもうずいぶん長い年月がたっております。そのほうの施策がなかなか思うようにも進んでいないという点がございます。それなりに困難はございますけれど、やはりそういう点では、わが国も、それらの国際機関に定められた義務をもう少しできる限り守っていく努力というものは、必要であろうと考えております。
○今澄委員 私、いまの残存輸入制限品目の問題では、あとでちょっと聞きたいのですが、やはりものごとは公平にやらなければいかぬと思いますな。
 国際ルールに即した解決と佐藤さんは言われましたが、具体的にどういうふうな解決策があるのか。もうだいぶんこれはこんがらかって、もみにもんで、もう総理がいろいろ腹をきめなくてはならぬときに私は来たのではないかと思うのです。
 被害の究明が前提であると通産大臣はいまもここで言いました。しからば、被害の認定が政治的配慮によって甘いものとなれば、これは当然、はきものや電気機器やその他に波及してくることはもう申すまでもないことですね。他の製品には及ばないとこの間米国が約束したんだ、ジョンソン次官が下田大使に語ったら、下田大使は、これはジョンソン次官の発言ではあるけれども、政府の公式約束と考えてもいいんだなんて、とんでもないことを――下田大使はとんでもないことばかり言うのですが、情報を語ったということが新聞に出ているが、私はこれは当てにはならぬと思います。現に、一九六二年九月綿製品長期協定第一条で、他製品に及ぼさない旨明記されておるにもかかわらず、いま再び毛、化合繊に拡大することを要求してきておるのですから。佐藤さんにもしニクソンさんと約束がないならば、一体具体的にどういうかっこうで解決するか。残存輸入制限の中にあるいろいろの産業、来年の末までにやるのが五十五、六品目ですか、残りまだ六十何品目もありますよ。そういうものは、国内産業保護のたてまえで、全然日本側はシャットして応じない。繊維製品などというのは、もう全部自由に向こうの言うなりにどんどん出ている産業なんで、そういうガットの精神から見ても、これはまあ日本が非常に無理を言うちゃおらぬのですな。そういうものだけを泣かして、あとのものは国内構造改善が十分いかぬとかなんとかいってみなこれをシャットアウトして、そういう拙速主義をとるということは、私は日本の政治において公平感を欠くと思うのです。一体具体的にはいかなる解決策を持っておられるか、総理に聞きたい。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま通産大臣から簡単にお答えをいたしましたが、日本のなすべき残存輸入制限あるいは資本の自由化等の問題は別にいたしまして、アメリカ自身が今日までとっております政策は、産業の国際化の問題であります。いわゆる自由化の方向で本来はとっている。それにかかわらず、繊維の問題についてはどちらかというと、やや違っておる、ここに私どもは気をつけなければならない。やはりこれが、ただいまいわれるように、ただ単に公約事項だとかいうような問題なのかどうなのか。もっとやはり、私どもも自由化を拡大ができないような国内事情がありますが、それと同じような事態があるのじゃないのか、あるいはそういうおそれがあるのじゃないのか、かように思うから、そういう意味で、この問題を解決すべき時期にきているんだ、かように思っております。私は、こういう両国間に尾を引くような問題はなるべく早く解決したいというその気持ちにいまも変わりはございません。また、本来自由貿易主義の国アメリカ自身がこういう問題を提起しておる、かように考えると、その実情についてわれわれが、ある程度、どういうようなことなのか、よく理解もし、またそのインジュリを与える危険があるか、おそれなしと、かように考えるかどうか、そこらはもっとよく考えてやらないといけないんじゃないだろうかと思います。私はニクソン大統領と、まあ領土問題というのはおそらく国の一番大きな関心事だと思いますが、その一番大きな領土問題、それすら解決ができたんです。このことを考えると、私は繊維などは――繊維業界を軽くするわけじゃございませんけれど、話は必ずつくんじゃないか、かようにも思うのです。私ども貿易は拡大をしたいけれど、同時に拡大均衡という立場でいつも話し合っておりますから、この拡大の方向で話はできるんじゃないだろうか。そこらでかたくなにいままでやっていることは一切もう変える必要はなし、この態度はどこまでも守るんだ、こういって肩を張るような問題じゃないんじゃないだろうか。私は、両者がよく話し合えば結論はできるんじゃないだろうか、かように思っております。何だか政府が業界に圧力を加えるかのような表現をいまされましたが、そうじゃない。私は、通産大臣がこういう関係に立って、そうして、両国の長いつき合い、全体のつき合いから見まして、やはり結論を早く得たいという、それには幸いにして日本だけがアメリカに打撃を与えておるわけではない。繊維業界は、韓国も香港も台湾もあるいはイタリアもやはりアメリカといろいろな関係を持っておるのですから、日本だけの立場ではなしに、やはり総体の立場、そういうところで話し合いをすべきじゃないか。まあしかし、それにいたしましても、日米間のいままでの親善友好の度合いから見まして、日米間で意見の合意ができないような問題をいきなり国際問題として会議にかけても、それは話がつくものじゃないと私は思います。したがいまして、ただいままでの予備交渉というものはそういう意味で意義があるのじゃないだろうか、かように私は思っております。私は、いま言われるように、アメリカの態度等について非難するつもりはございませんし、またアメリカ自身も自由化の方向で、あらゆる面でいろいろ考えておる。しかしながら、私どもが全部自由化の方向に進み得ないのも、これは国内産業編成の時代、たとえば農業関係のものなどは、ただいま農業再編成の時代ですから、そう簡単に要求されても自由化はできない、こういうような事情もいろいろあるだろう。そういうような全体の事情をよく考えてやらないと小さな誤解がさらに拡大する、これはたいへんなことだ、かように思って、私は実は結論を急いでおるほうの一人です。これが先ほど来、急いでおるという――急いでおると、非常に妥協し、非常に譲らなければだめなんじゃないか、こういうような御心配もございますが、そうでなしに、国際間には一つのルールがありますから、そういうルールで話し合えば必ずつくものだ、かように私は思っております。
○今澄委員 この国際間のルールで話し合えば、時間が長くかかるのですよ。アメリカはなかなか高圧的態度ですわ。私は、見ておっても、まるで何だというこのアメリカの高圧的態度がけしからぬと思うのですよ。いま総理の話で、繊維産業を軽んずるわけじゃないがと言われましたが、われわれの同志、労働者をはじめとして、繊維産業でめしを食うておる者、中小企業繊維を入れて約九百万いるのですよ。これはやはり日本の経済の中で国民生活に関係する重大な問題なんです。
 佐藤さんはどうも外国の新聞ばかりと言われるから、今度は私は、日本人の歌川さんという特派員が、十一月二十二日毎日新聞の夕刊によると、「ワシントン二十一日歌川特派員」というのが出ておりますね。「首相、プレス・クラブで語る」これは日本人の記者が送った原稿です。「なぜコミュニケの中に繊維の問題がはいらなかったのか。ジュネーブの成功の見通しがあるか。」と聞いている。これに対して総理は、「ニクソン大統領との会談の中にトップ・シークレットの問題はいくつもあるが、繊維の問題は新聞にもくわしく報道されているので申上げるが、この問題は大統領と話合った。ジュネーブでこの問題が詳細に話合われているので、いまさら共同声明に盛込むこともあるまいということになった。私はこの交渉をみのりあるものにしたいし、そうなるものと信じている。」「共同声明に盛込むこともあるまいということになった。私はこの交渉をみのりあるものにしたいし、そうなるものと信じている。」続いて記者いわく「ニクソン大統領と自動車、」――ここに名前が出ている。「資本自由化の話をしたか。その詳細について知りたい。」との質問に対して、「詳細は森君(外務省審議官)が答えた方がよいが、日本の資本自由化、残存輸入制限の撤廃は閣議で決定したものもあるが、わが国の経済発展状況に応じてそれ以上の自由化を進める。」とあなたは答えたと、ここに載っておるのですけれども、これは日本人の歌川という毎日新聞の特派員が報告した記事ですが、こういう記者会見がありましたかどうですか。
○佐藤内閣総理大臣 その記事は大体正鵠を得ております。私は最後のところで、いままでの計画はあるが、その計画を早めるというような言い方をしたと思っております。いままでの計画どおり守る、あるいは計画をおくらすということでなしに、早くできるものからやっていく。できれば早めるような、そういうような前向きの姿勢を説明したと思います。
 それから、繊維の問題については、あの当時ジュネーブで会議が行なわれていたことは御承知のとおりでありますから、そのとおりを話しをしたのでありまして、われわれが、大統領と私が繊維の中身までについて二人とも知っているわけではございません。また、関係が非常に複雑でございますから、そこまでは申しませんが、とにかくわれわれはいまジュネーブで会議をしているから、その会議の成果、これにひとつ期待をかけようじゃないか、こういう話はいたしたわけでございます。
○今澄委員 いまいろいろお話を聞いて、私はこれ以上申しません。ともかく佐藤・ニクソン会談の中で――核防条約もまだやりたいと思っておりましたが、時間がなくなりましたが、とにかくいろいろのものが犠牲になっておるという姿を、私はこの席上で明らかにしたのであります。急いで強引に九百万人もの生活のかてとなっておるものを押していくことには、断じて私は反対であります。佐藤さんがいま言われたように、総理大臣がこんなこまかいことがどうしてわかりますか。私はその点は佐藤さんの言われるとおりだと思います。あなたのところに説明をするいわゆる日本の大使のやり方が悪いと私は思っておるのであります。現に下田大使は、十一月十五日の新聞でいたか、やめて、牛場外務次官があそこへ行くことになっていた。もう新聞まで、新聞辞令は各紙出ている。私は念のため見てきた。だがそれがあなた、転勤もしないでいまだにがんばっておるじゃないですか。なかなかたいした力といわなければなりませんよ。私は、矢野さんもここで言っておったけれども、下田大使が大きなガンであると思いますよ。しかも繊維のことはこの人は一つも知らないくせに、自分が出しゃばってやるから、これはだめなんですよ。いま日本におるアメリカの公使も、ほかのことはたんのうだが、大使も繊維のことは知らぬですよ。知らぬのは、ジョンソンさんも知らない。知らぬのがみなやって、あなたのところへ持ってきたから、こういう結果になったと私は思うのです。だからこの際ひとつ、私は、沖繩返還のときも下田大使は沖繩を核抜き返還でやるなどとはもってのほかだなんて言って、アメリカの代表であるか日本の代表であるかわからぬような話で、ここへ呼ぼう、呼ぼう、召喚して国会に呼ぶべきであるという議論があったが、そのときはかんべんしてやりました。もし繊維の話が解決しないようなら、わが党としては、矢野さんその他社会党さんともこれは相談しなければいかぬが、わが党としては、下田大使を国会に召喚して、予算委員会でひとつぜひこの繊維の問題の経緯について報告をさせたいと思っております。これは民社党の代表として中野予算委員長にも申し入れておきますから、あとでひとつ理事会で御相談を願いたいと思います。ぜひひとつこの繊維の問題については、私はいま経過の途中ですからこの程度にいたしておきますが、何せ佐藤内閣はもう少し様子をよく調べて、実情に即応して、これはひとつやってもらわなければならぬと思うのであります。この辺で、この問題は無罪釈放ということにいたしましょう。
 それではひとつ大蔵大臣に聞きたいのでありますが、大蔵大臣、せっかく質問の予告で案内をいたしておきましたが……。(「処分保留と言っておかなければだめだよ」と呼ぶ者あり)処分保留であとひとつ続いてやってもらいたい。そういうことにしましょう。
 それではひとつ大蔵大臣に聞きたいが、ワシントン発二十一日のAFPによると、「ケネディ米財務長官は二十一日シカゴのテレビ局とのインタビューで、円の切り上げが必要になるかもしれないと示唆した。同長官は「日本はすでに巨額の国際収支黒字をかかえており、なんらかの手段を講じなければならない」と述べ、詳細については説明を避けていた。」私が、軍事的にはアメリカの友好国にいま佐藤さんはあるが、経済的にはなかなか競争が激しいと言ったのは、ここのことなんでして、わが一国の通貨に関しても、円の切り上げを、向こうの財務長官ともあろう者が示唆するということになると、経済的な日本とアメリカとの対立というものは、新聞によっては経済戦争などと書いておるが、私は戦争とは思いませんよ。戦争はきらいですから。これは競争対立ですね。
 だが、大蔵大臣にひとつ聞きたいが、この円の切り上げをやらないのだなどとここで口先だけで御答弁されても、これはだめなんです。私が諸情勢を勘案してみると、このままほうっておけば、毎年、毎年これは十五億ドルくらいたまってきて、なかなか日本の外貨の蓄積は、あなた四十億ドルと言っておったが、もう四十億ドルはすぐに来ましょう。これはやはり円価の切り上げをやらないやらないと言っても、何もほかのことをやらないのでは、円の切り上げになると思うのですね。いま表向きにうまいことばかり言って議論が行なわれておる。どういうことかというと、みな選挙で圧力団体がおりますから、残存輸入品目で自由化する――これはアメリカと約束しておる。共同声明に載っておる。そのおもなものはほとんど農産物ですよ。幾ら国内で農民にうまいことを言ったって、このアメリカと約束した共同声明では、残存協定の八割が農産物なんです。これをあなたやるということになれば、いずれ農産物にかかるでしょう。そうすれば、それまで農業の構造改善をして、農村の近代化に金を入れて、これに見合うような農村を建設し直さぬことには、これはだめなんです。二律背反になっておるのですね。だから、この残存輸入制限品目の中で、日本経済に照らして、これをあるいは五十五品目早めるとか、あるいはこういうものはやって、もっと輸入をふやして、物価の引き上げ、インフレにも対処するとか、あるいは後進国開発、その他に日本の円をどんどんあれして、戦争が南北問題で起こらぬような対策をとるとか、私は、いろいろ円を切り上げないで済むような対策を真剣にいま政府が考えなければならない重大なときだと思うのですよ。選挙地盤の養成ばかり考えて、国会じゃうまいことを言う。そのどたんばに来ると、いまの食管法でも買い上げ制限はできるなどと言う。問題はここから出ておるのじゃないですか。だが私は、いま日本経済が置かれておる本質を踏まえて、この円の切り上げには反対です。反対だが、しかし、アメリカの財務長官あたりがこういうことを言うようになると、なかなかアメリカに対して腰の弱い佐藤内閣では、この辺の問題が次の重大な課題になるおそれがあるので、大蔵大臣にひとつ聞きたいと思うのです。
○福田国務大臣 せっかくのお尋ねでありますが、内閣としても、私といたしましても、円の切り上げについてはこれを全然考えておりません。また検討もいたしておりません。
 それから、外国から円も切り上げたらどうだという正式の意見にも接しておりませんです。接しておりますのは、いまお触れになりました自由化の問題、対外経済協力の問題、そういう種類の問題でありまして、私も、この三百六十円・一ドルという現行のレートがきめられたときは、これは少し日本に酷だなというふうに考えておったわけです。実際そうだったと思います。しかし、だんだんと日本の国力がついてきまして、やっと三百六十円・一ドルというのが定着した今日であります。わが国におきましては、御承知のように物価も上がっております。アメリカも同じような程度、あるいは多少それよりも上がるという程度ではありますが、上がっております。したがって、この円とドルとの比価をくずすというような基本的な状態はないのです。ですから、どうしても輸入の自由化、これは非常に困難はありまするけれども、これは進めなければならぬと思う。
 それから、対外経済協力につきましては、これは国内で、さあ道路だ、あるいは下水道だ、都市づくりだ、農村だと、そういうふうなことが重要な段階で海外に所得をさくのはどうだというような意見もありますが、大局的な見地を考えますと、どうしてもその方向は進めなければならぬ、そのほうが先だ。今日はそういう円の切り上げなんてことを論ずべき時期でもない、そこまで考えておる次第でございます。
○今澄委員 いま大体、私どももいろいろ書類では見るのだが、一体外貨は幾らあるのですか。外貨をちょっと内訳して詳細ひとつ報告してもらいたい。
○福田国務大臣 三十六億ドルあります。
○今澄委員 その三十六億は、アメリカやイギリスその他クレジットの供与の分も含んでおるのですか。
○福田国務大臣 運用はいたしておりますが、いわゆる長期債券とか、あるいはそういうような種類のものじゃない。運用はしております。いつでも流動し得る外貨準備、これが三十六億ドル、かように御了承願います。
○今澄委員 その運用をしている外貨とその内容について実は私聞きたいと思ったが、まあいいでしょう。
 私は、この外貨をこれだけどんどんと蓄積をしてきたからには、やはり日本の台所を預かる大蔵大臣としては――佐藤総理もニクソン共同声明でいろいろアジアの開発その他責任を負うて帰っておられるが、アジアにおいては日本の円通貨、それからヨーロッパ圏においてはドイツのマルク、これがドルを背景とした地域的決済通貨として、ドルを背景とした国際通貨として地域的な確立をすると、日本の威信も上がるし、私は、非常に貿易もぐあいがいいと思うのですね。円元決済なんていうんで、大蔵省の末端は中共貿易について了承したというのですから、これもいろいろ聞きたいけれども、まあやめましょう。とにかくそういったいろいろなむずかしい問題をやるのにも、円の確立が今日必要なんですね。
 野党ではあるが、具体的提案を申し上げると、アジア開発銀行なんていうのを十億ドルぐらいの資金でつくって、それに日本が五億ドルを出資する。東南アジアの各国が出資するが、力のないのは日本がこれにクレジットしてかわりに払い込んでやる。そうして、ここにみんな金を預けさせ、困っているところにはここから金を出して、いわゆる日本を中心とした東南アジアの後進国を助ける具体的な道を開く。そうすると、外貨も少なくなってきて、そういった円切り上げなどというような――おそらくこれはもう現実的の課題になることを私は予言しておきます。だから、そういう具体的な対策を政府はひとつ立てて、私は党利党略で言うておるのじゃありませんよ、こういう問題をひとつ解決していくということが、私は今日の大蔵省を預かる大蔵大臣として必要だと思うのですが、ひとつこれらについてあなたの御意見を聞きたい。
○福田国務大臣 まことに傾聴すべき御意見と存じます。そこで、その傾聴すべき御意見でありますが、もうすでにそれをわれわれはやっておるのです。アジア開発銀行というのが先年創立されたわけでありますが、これはまさに今澄さんの御指摘のような構想でやっておるわけです。わが国はそれに対してアメリカとともに最大の出資国になっておるわけであります。
 いま日本の対外経済協力はたいへん進んでまいりまして、まあ、ことしあたりはどのくらいになりましょうか、おそらく十四億ドルをこえるのじゃないかと思います。これを世界的に見ますと、フランスやあるいはドイツのような対外経済協力を熱心にやっておる国々、これがことしこの時点でどういう協力態度に出ますか、これを見なければわかりませんけれども、おそらくはアメリカに次ぐ最大の対外経済協力国はわが日本だというくらいになると思うのです。そのわが日本の対外経済協力の過半は、半分以上はアジアに向けられておるわけでありまして、そのアジア開発の中心をなすものは、二国間の援助ということもありますけれども、同時に、アジア開発銀行でありますとか、あるいは世界銀行でありますとか、あるいは第二世界銀行でありますとか、そういう国際機関を通じてこれを行なうということになっておりまして、まさにあなたのおっしゃるようなことを着々とやっておる、ひとつ御評価のほどをお願い申し上げます。
○今澄委員 そんなのは前からお互いさまみんな知っておるので、そういうアメリカの指導のもとに、評判の悪いそれらのあれとは別に、日本が中心となった、日本の円価を維持し、信用を高め、エコノミックアニマルなどといわれぬような具体的提案として、私は申し上げたのです。
 まあ、いろいろ理論的な、国家の大事な問題をお話し申し上げましたが、テレビが切れたので、これから私は具体的な、ちょっと国民生活に関するえらく具体的な、だがしかし、これは重大な、内閣が考えてもらわなければならない問題をひとつ質問をしたいと思うのです。
 大蔵大臣にぜひこれは性根を据えて聞いておいてもらわなければいかぬのですが、私は何も国民のテレビの前でやることはないと思うのですよ。私は、こういういろいろ脱税の問題であるとか――いま一番日本で立場が悪いのは、月給取りだと思うのですよ。私は月給取りを実に三十年間やってきた男なのです。私はぜひ日本の月給取りのために大蔵大臣に一言申したい。
 今年のベースアップで年収二百三十万円になる妻と子供二人の世帯の場合は、所得税は十六万四千円にはね上がって、わずかに四%の減税にしかならぬのであります。私は、政府が二千何百億大減税、大減税というけれども、実際のことをちょっと申し上げますよ。物価の上昇から比べてみると、これは追いつくどころか、地方税が一万一千円から今度は一万四千円に上がったのですから、このほうは三千円上がったのですから、全くサラリーマンとしてはまさに奇怪な大減税であるとして、私、この間友だちから聞いて、いや全くそのとおりだと私は思いましたよ。それでも年収二百万以上のクラスはまだいいほうで、年収が七、八十万程度の独身サラリーマンは減税の恩恵が全然皆無で、これは物価が高くなったため生活がさらに圧迫されるということになっております。また、昨年百万円の年収で三万七千八百円の所得税を取られた夫婦世帯の場合でも、ことしは百十五万円に昇給すると税額は四万九千三百円になって、全然この物価高に見合うところの生活の安定には、これはならぬのであります。わずか十五万円ふえただけで一万二千円近い増税になるというのは、これは累進から見ても私はたいへんだと思うのですよ。大体親子五人で百三万円が免税というのですが、戦後上がってきた今日までの物価高から比べてみると、私の第二秘書が六万幾らもらうのに、八千円も税金を取られておる。私はこれは国会答弁というようなものではなくて、今日の給料取りは、とにかく満額これは税金がかかるのですから、もうこれは一〇〇%源泉で取られて抜け道がない。
 私は昔さる会社の支店長と一緒におりましたが、この人は戦前三年間ボーナスをためて家を建てたのを現に私は見ておる。いま高度成長とかなんとかいっておるけれども、月給取りが一年間働いて実際にその家が建ちますか。私は今日の税制に、表向きのつじつまは合うておるけれども、どこか大きな欠陥があると思うておるのでして、この点について大蔵大臣にぜひひとつ私はお伺いしたいと思うておるのです。
 労働者の実質賃金の伸び率は、あなたはおそらくこれこれで三倍になったと言われるかもしれませんが、昭和三十五年からの十年間に名目は三倍に上がっているが、物価を入れた実質賃金をはじいてみると六四・六%であります。いや、月給取りの賃金を上げたのでは外国に輸出に困る、いや、日本のインフレが増大する、鶏と卵であなたは言われるかもしれないが、日本の品物が安いからどんどん売れるのでしょう、繊維でも。だから、アメリカが規制して、自主規制をせいとかなんとか言うんでしょう。これは品物が安いのじゃないですか。だから売れるのじゃないですか。どうして安いか。労働者の賃金が、アメリカに比べても、西ドイツに比べても、イギリスに比べても安いのですよ。労働時間が長くて安いのですよ。だから、品物が安くてどんどん売れるのですよ。だから、日本の外貨がこんなにたまったときは、漸次西欧並みに労働者の賃金を引き上げて、この一〇〇%の課税で労働者だけが泣いておるというようなことを、根本的に税制改革において考える必要があると私は思っております。ひとつ、これからまずお伺いをいたしましょう。
○福田国務大臣 いま二百三十万円の四人世帯についてお話がありましたが、それは四十四年度の話をされておるのじゃないかと思うのです。四十五年度は、これはたいへん大幅な減税をいたすわけであります。いわゆるクロヨンというような話がありまして、私どももその事態は非常に心配をしておるのです。それはなぜかと申しますと、十数年来の税制改正が課税最低限の引き上げ、これに急であるというか、それに主力をささげてきたわけでありまして、課税最低限のほうは、とにかく五人世帯では百三万円まできたわけです。ところが、税率の改正、引き下げというものが行なわれない。そこで、累進税制をとっておるわが国とすると、特に勤労者なんかの負担感というものが重かった。こういう事態を考えまして、今度大幅な税率の引き下げということをいたしたわけでありまして、いまの経済情勢からすれば、減税がどうだというような議論もあるわけでございまするけれども、そこを踏み切って三千五十億円にのぼるところの所得税減税を行なう、こういうことにし、しかもその三千五十億円の所得税減税の二千五百億円はサラリーマンに全部適用せられる、こういうことでございまして、これから御審議をお願いするところの四十五年度税制改正におきましては、今澄さんのおっしゃっているような状態ではない、そういう状態を大きく改善をしよう、こういうことに相なるわけでございます。
 それから、労働者の賃金がこの五カ年間に六〇%ぐらいしか実質的に上がらぬ……(今澄委員「十年間ですよ」と呼ぶ)十年間とすればなおさらでございます。四十四年だけを見ても、賃上げは二八%になっておる。それを物価五・七%ということを差し引きましても、一年間で一〇%以上の上昇をいたしておるわけでありまして、そのお考えのもとがどうも少し私どもとは、全くは食い違いませんが、しかし、勤労者は源泉所得税という体系で課税を受けているというようなことも考えまして、今後ともこれらの人の負担軽減というものにつきましては努力をいたしていきたい、かように考えます。
○今澄委員 いま私が申した数字が昭和四十五年度の減税の結果あらわれた数字でして、あとでひとつ事務当局にそろばんを入れさしてごらんなさい。これは追及はしません。とにかく昭和三十五年から十年の長い間を見ても、実質で大体六割しか上がってない。これは実質ですよ。だがしかし、戦前から比べると、いまの日本のこの物価高を並べてごらんなさい、これはたいへんなものなんだ。もろに受けているのが給料取りで、サラリーマンの減税についてひとつ根本的に政府においても考えて、何とかしなければならぬのじゃないかと私は思うのです。中小企業もそうだが、特にサラリーマンがえらいですね。
 ただえらいだけじゃなしに、負担の不公平がありますよ。不公平をわれわれはおそれるのですよ。なるほど、月給をもらって税金が高くても、これが公平なものなら、サラリーマンもしんぼうしたい。だがしかし、あるものは力があるからというので、あれも免税、これも免税、国税庁は人数が足らぬでなかなか査察が十分いかぬから、片っ端から脱税で取り上げるというわけにいかない。今日見てごらんなさい。宗教法人、大きな伽藍を建てて、親分はみんな相当な生活ですよ。選挙で世話になるからというて、だれも言及するものがない。花の師匠はどうですか。小原流をはじめとして――小原流はいま二億何ぼやられているが、これは払うべきじゃないといっておるけれども、大きな家を建てて、全くこれも大伽藍ですよ。たいへんな、お城のような家を建てて、これも税金がかかってないですね。法人ですよ、公益法人。学校はどうですか。学校を金もうけの道具としてやられた校長もよけいいるが、脱税した大学だってたくさんありますよ。十億何千万も脱税して、中を調べてみたら、政治献金も入っていたなんというような大学がありますね。そういう大学に、今度の法律を見ると、奨学金を渡すようになっておるですな。サラリーマンが取られる税金のきびしさと、脱税、免税についてのおおらかな態度、その免税についてのおおらかな態度の根底は、選挙で力を持っておるものほど免税について守られておるというこの事実は、断じて私は見のがすことができない。
 国税庁長官は、あなたのほうの査察した法人税関係、それから所得税関係、それから宗教法人その他のいわゆる公益法人について、ちょっとここで答弁をしてもらいたい。
○吉國(二)政府委員 昭和四十三年度で査察をいたしまして発見をいたしました税額は、四十九億円にのぼっております。これは全国の査察官五百数十名によっていたしたものでございます。
 なお、公益法人等についてのお話がございましたが、御承知のとおり、公益法人につきましては、収益事業を行なっている場合に課税をするというたてまえになっております。これは法律でそうなっております。したがいまして、ただいまお話のございました、伽藍等をつくるのに信徒から金を集めたというものは、収益事業には該当いたしませんので、その点は税法では課税の余地がないわけでございます。そういう点では、収益事業をいたしておりますものにつきましては、厳重に調査をいたしております。
○今澄委員 国税庁長官、大体法人税でも相互銀行は三五%だが、相互銀行よりも資本も大きいし、預金を預かっておる高も大きいし、役員の月給も高い信用金庫は二五%で、しかも重加税はこれにはかからないという、これはえらい不公平ではないか。
 それから、いまいうところの、あなた方が摘発したいろいろのあれを私はちょっと調べてみたが、私が見たところでは、これは昭和四十三年度の資料だけれども、脱漏所得が、東京国税局管内の任意出頭による調べを見ると、二百五十八億ある。大きなやつは任意出頭なんだな、力のあるのは。それで、力のないのは査察なんだな。そして中小企業や何か力のないやつはえらくいじめられている。サラリーマンに次いでいじめられているのが中小企業なんだな。いかに大きな力があろうと、いかにどんな背景があろうと、それは堂々とやるべきじゃないですか。大体、相互銀行と信用金庫でどうしてこんなに税率が違うですか。一ぺんちょっとここでお答えをなさい。
○吉國(二)政府委員 ただいまの組合関係の税率と一般の税率が違う点でございますが、これは、協同組合とそれに関連をする中央会等につきましては、御承知のとおり、普通の法人とは違いまして、一定の目的を達するために組合をつくって、その共同目的を遂行することにいたしておりますので、通常の法人税率とは違って、それよりも低い税率を適用するということは、戦前の特別法人税法以来の伝統でございます。これは各国も共通していることだと思います。
 それから、査察と一般の任意調査による脱税額が違うというお話でございますが、これは、査察は一年間に数十件の対象を取り上げておるわけでございます。それに対しまして、税務署並びに国税局の調査部におきましては、一般の法人個人を対象にいたしまして調査をいたしました結果、増差所得が出ておるわけでございまして、この数は数十万件のものの合計でございます。したがいまして、一件当たりで見た場合には、査察事件においては一件当たりの税額は大体数千万円にのぼりますが、個々の任意調査による分は一件当たりこれの百分の一程度になると思います。したがいまして、総体の数が違いますので、そこは当然数字が違ってまいるものと思っております。
○今澄委員 いろいろ数字で言うたのではさっぱり――あれも数字、これも数字で、お役所仕事であれですが、国税庁長官、とにかく代議士はみんな脱税を摘発するときには、間に立って業者側を守る者ばかりであるなんと思わぬでください。私はひとつ断固としてやってもらいたいと思うんだ。脱税を摘発することきびしくなくして、どうして税の公平感がありますか。
 私、大蔵大臣に聞きたいけれども、医者はどうですか。医者はいま七二%が原価で、残りに税金をかけておるですな。一番お医者さんが――お医者さんもりっぱないい医者もたくさんおるので、医者が悪いというわけじゃない。これは誤解してもらいたくないが、ほかの業種と比べてみたら、こんなに優遇されているのはどこが原因ですか。いずれもみんな大きなうちに住んでおるじゃないですか。そうして、脱税のトップを見たら――あなた方ごらんになったでしょう、産婦人科がトップで、その下が外科医と歯科医じゃないですか。脱税はトップでやっているんじゃないですか。しかも、死にかけの病人がいても、ストライキをやって、これが死んでもかまわぬなんというような今日の医療界の姿が、一体このままほうっておかれますか。なるほど医療界は投票するのに力があるかもしれない。なるほど医療界は選挙のときも何人か推薦して当選するかもしれない。だが、代議士を当選させる力があれば、そういうところは何をしても一つも注意をしないで、一般中小企業ばかりがいじめられるなんというようなことは、これは佐藤総理、不公平の最たるものであると私は思いますよ。そういう不公平をひとつ税制上を通じて改めていくということが必要なのではないか。
 もう一つは、選挙で宗教団体によけいお参りして票をもらいますよ。中には六つも七つも入っておる人がある。代議士がずらりと信者の中に並んでお経を読んで、票をもらうなんということは、一体どうですか。だが、その宗教団体は力がある。宗教法人の税金について、きょうは時間がないから言わぬが、多くの矛盾がありますよ。どうしてこれをほっておくですか。政府はもっとそれらの問題はきびしく調べて、これに税をかける必要があるんじゃないですか。いわゆる公益法人というものをやり直す必要があるんじゃないですか。それが日本の政治のためにも正しいんじゃないですか。私はなるほど、勅使河原蒼風氏の草月流だけが悪いんじゃないと思う。免許制度で花を教えているところは、御三家みんな大きな、もう御殿のようなところに住んで、十割、一つものがれることのできない月給取りが、その前を歩いて見ながら通っているんですよ。私は、だから、この月給取りのきびしい税金と、これらの情勢を比べてみると、どうしても月給取りの実質賃金というものが上がるような考え方を、そうして政治権力と手を握って、あるいは政治の力があるからというて、ぬくぬくと選挙のときのバックを力にぜいたくな暮らしをしておるというところを、もっと厳密に、ひとつ断固としてやって、負担の公平感を実現するということが正しいんじゃないですか。私はこういうことを言うて、あるいは落選するかもしれません。けれども、国会は、私はやはりそんな圧力団体におそれて本物の議論をしないようなことじゃだめだと思うんですよ。
 総理大臣の見解と今後の御処置とをひとつ伺って、私は質問を終わりたいと思います。
○福田国務大臣 御説まことにごもっともだと思います。まず第一に、医者の関係でございますが、これはたしか昭和二十九年ごろかと思いますが、制度として医療収入の経費はその全収入の七二%である、こういうふうにこの国会の議決においてきめられたんです。その国会の議決はどういうところからきたかというと、当時、医療費の単価の問題がありまして、その単価のほうのきめ方が非常にむずかしかったんです。それとの見合いにおいてきめられ、そういうふうに所得税法中特別な措置としてきめられたといういきさつがあるんです。自来ずっとこの七二%というのが今日に至っておるわけでございまするが、これについてどうも医者の経費はそんなにかかっておらないんじゃないかというような意見も出てまいりまして、非常に問題になるわけでございますが、これはそういうこの七二%がきめられたいきさつから見まして、なかなかこれの解決がむずかしい問題なんです。そこで、大蔵省といたしましては、もうこの問題を考えなければならぬ段階には来ておる、来ておるが、近く医療費の根本的な改正という問題があろう、そういう時期までに、医療費の実態、ことにその中における経費率をどう見ることが正しいか、また一点単価との関係はどういうふうに理解すべきかというようなことを、総合的に検討いたしまして、結論を得たい、こういうふうに考えておるのでありまして、これを放置するわけではないのであります。
 また、宗教法人の問題につきましては、これは集まるお金がおさい銭なんです。このおさい銭が多いか小さいか。小さいからといってこれを放置する、しかし、そのおさい銭の額が大きいからこれを問題にする、その限界が非常にむずかしい問題でありまして、苦慮しておるわけでありまするが、また、今澄さん等の建設的な御意見等も承わりまして、とくと検討してみたい、かように考えます。
○佐藤内閣総理大臣 いま大蔵大臣がお答えしたからおわかりだと思いますが、税は何と申しましても公平であること、これがまず第一に守られなければならない。もう一つは、やはり国民の負担を軽減するという、そういう方向でやはり公平な扱い方が望ましい、かように思います。しばしば言われますように、いまの医者の税にいたしましても、お医者さんの仲間でも違う。たとえば病院につとめておる者と開業医との間においては、その負担が公平ではないという、そういう問題がありますし、また学校法人等につきましても、いろいろの批判があります。また、宗教法人においても同様だろうと思うし、ことに私どもは、なくなりまして、そうして香典その他についても実はずいぶん厳重な取り立てをされておりますから、そういうことを考えると、やはり税が公平であること、そうして国民の負担が軽くなるように、国民の負担の範囲というものもやはり考えられなければならない、かように私思いますので、その原則だけ申し上げまして、お答えといたします。
○今澄委員 いま御答弁の中に一つ欠けているのがあるんですよ。やはりこれも税金がかからないで、非常に得をしておるのが政治結社なんですよ。日本の選挙がだんだん金がかかるようになった。表向き三百万なんというのは、統計を皆出しておられると思うのですけれども、その現実はいかがであるかということは、内閣の閣僚諸公が現に御承知のとおりです。私は、国民にそういう断固たる信賞必罰の態度がとられない一つの大きなネックが、政治資金規正法がそのままになっておるからだと思うのですよ。私は政治家の一人ですけれども、政治家はとにかく一人二千万までは許すとか、一会社二千万までは献金していいなんというような改正法が出ても、自由民主党が反対で通らない。派閥は五十万に押えたらもう通らない。こんなことで、あなた、そういうサラリーマンばかりいじめて大改革ができますか。サラリーマンの実質的な、とにかく今日の苦しみというものは、そういった自分だけが税法では守られて、そうして非常にぜいたくをしておる人間にはなかなかわからぬのですよ。だから私は、佐藤総理は政治資金規正法をこの国会に出されないと言われておりましたが、なるほど特別国会でそれは無理もないでしょう。政治資金規正法を一体いつの国会に出しますか。少なくとも来国会なら来国会に出す、まず政治家から姿勢を直す、断固として日本の政治の今日のこの誤りをただすというあなたの答弁を聞きたいと思います。
 これでひとつ終わりにしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま、政治資金規正法を来国会に出すか、こういうお話でございます。私は、過去三回この成立を見なかった、そういうことを考えながら、今回は、この問題と真剣に取り組み、その中身も皆さん方の了承を得られるようなそういう方向でなければならない、かように思いますので、最善の努力を尽くす、このことをお答えいたしまして、いつ出すとか出さないとか、こういうことよりも、積極的な前向きの姿勢であることを申し上げて、お答えといたします。
○中野委員長 これにて今澄君の質疑は終了いたしました。
 午後の会議は、一時二十分より再開することといたします。
 この際、暫時休憩をいたします。
   午後零時三十四分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時二十六分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これより質疑を続行いたします。赤松勇君。
○赤松委員 総理にお尋ねしたいのですが、一九七〇年代の内政における最大の政治課題は何だと思われますか。
○佐藤内閣総理大臣 七〇年代の最大の課題、その一つを言え、こういうことのようですが、私は総括して、施政演説でも報じましたとおりが七〇年代の大問題だ、かように考えております。
○赤松委員 最近、御承知のように、外国におきましては、エコノミックアニマルということばが盛んに使われております。これは日本人が経済の動物になっておる、こういう批評ですね。私は日本人でありますから、そういう批評を聞きますと腹が立ちます。しかし遺憾ながら、今日エコノミックアニマルの状態がさらに強まりつつあることは事実です。
 いま日本人の精神の荒廃が盛んにいわれております。あるいは現在の秩序がだんだん崩壊されつつある。あるいは社会モラルというものに重大な変化が起こりつつある。金よりほかにたよるものがないという、いわゆる拝金思想というものが青年の間にだんだん広がりつつある。せつな的な享楽主義というものも横行している。この社会的な背景は総理は何だと思われますか。
○佐藤内閣総理大臣 いまあげられたような精神的な問題あるいは経済的偏重主義、そういうような問題が一つの七〇年代に私どもが取り組まなければならない問題だと思っております。この意味では私も及ばずながらいろいろ心配している一人でありまして、その意味でおそらく赤松君と考えを同じくするものじゃないだろうかと、かように思います。一言にいうならば、最近の物質文明、その発展に人間性そのものがついていけない、こういうところに問題があるのじゃないだろうかと、かように思います。
○赤松委員 要するに、総理はいま、いわゆる一九六〇年代は経済第一主義の時代であった、一九七〇年代はその経済第一主義によって荒廃させられた日本人の精神というものを、人間尊重、人間回復の時代なんだ、こういうようにおっしゃられましたが、そのとおりでございますか。それでよろしゅうございますね。
○佐藤内閣総理大臣 そのとおりでよろしゅうございます。
○赤松委員 その点では社会党も総理も意見が一致しております。そこで私は、いま総理にその社会的背景を問うたところ、高度成長経済にその原因があるようにうかがわれましたが、さように理解してよろしゅうございますか。
○佐藤内閣総理大臣 高度成長そのものに責任があるのではなくて、均衡のとれた発展がない、そういうところに問題があるのです。私は、高度成長はどんどんさすべきだし、それが必ずわれわれ国民の生活の向上、充実に役立つ、かように思いますので、これが悪いのではない、ただそれに立ちおくれた一面がある、かように申し添えておきます。
○赤松委員 総理の答弁は正しいと思うのです。高度成長そのものが悪いのではなしに、高度成長経済のひずみとしてこういう問題が生まれているんだ、私もそうだと思います。そこで、最近における新聞の世論調査を見ますると、それが明確に出ているわけです。すなわち、今日の日本人の精神の荒廃の社会的背景が経済第一主義、人間軽視、人命軽視、そういうようなひずみを生んでおる。そこで私は、賢明な総理でありますけれども、この世論調査にあらわれた国民の思想、考え方というものを一応この場で明らかにしておきたいと思うのです。
 ある新聞社の調査によりますと、賃金の上昇を上回る物価上昇、住宅を建てられない地価の上昇、したがって、その生活設計に不安を感じ、せつな主義を生んでいる、技術革新、情報社会化の激変に対応できない、いらいらとした焦燥感から、いつもかけ足の暮らしをしている、こういう国民の声が圧倒的に多かったということを新聞は報道しております。
 また、調査の対象になった月五万円の収入がほしい――月五万円ですよ、五十万円じゃありませんよ、月五万円の収入がほしいという人が二七・八%を占め、月六万円の収入がほしいという人と合わせてみますると、実に五二%というものがそういう欲求不満を持っております。すなわち半数以上に達しております。働く人たちがどんなに貧しいかは、これでよくわかると思うのです。
 また、別の新聞社の世論調査によりますと、高度成長経済の評価として、四三・三%の人たちが物価上昇をもたらした点が最も悪い点だと指摘し、さらに六三・四%の人が物価上昇をもたらす政治に強い不満を持っております。消費者が物価高を非難するのは、もちろん生活が苦しいからですが、それだけではありません。生活のための計画の基礎が奪われておる。これは大蔵大臣もひとつ聞いておいていただきたいと思うのですけれども、日本人は勤勉な国民で、また貯蓄の観念が非常に強い国民です。この人たちが苦しい暮らしの中から、貯蓄をいたしましても、昨年までの物価の上昇は定期預金の金利を上回っておるじゃありませんか。これでは幾ら貯蓄を奨励されましても、貯蓄をするのがばかばかしい。ひどいインフレーションによって、生活設計の基礎が奪われつつある。これが今日の日本人のいらいらとした焦燥感を生んでいる根本的な原因だと私は思うのであります。これはひとり一般の民間の働く人たちだけの欲求不満ではありません。国民生活審議会の資料によりますと、国家公務員、地方公務員――これは下級ですよ、あるいは一般の労働者、それを含めまして定年退職者の五八・八%の人たちが老後の暮らしの不安を訴えているといっております。
 こうして物価上昇のために将来への生活のための計画の基礎が奪われ、現代の政治に絶望する状況が生まれつつある。ここに政治と国民との間の断絶状況があり、さらにこの断絶状況が一そう政治に対する不信をかり立てておるわけです。したがって、一九七〇年代において、佐藤内閣もそうです、自民党もそうです、社会党もそうです、各党、各議会の勢力は、すべてあげてこの問題と取り組んで、いかにして人間回復を実現するか、いかにして人権の、あるいは国民の暮らしの重要なことを確認するか。いわば一九七〇年代こそ、われわれがすべての力を傾注して、政策の転換、つまり経済第一主義の国民のエコノミックアニマル化を防いで、人間を回復する時代であると思います。大胆に政策転換をやっていただきたいと思いますが、この点はいかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 いまの赤松君のお説には、私、幾多の賛成しかねるものがございます。まず、申し上げるまでもなく、総体としてのいわゆる経済成長、物質文明が進む、それに精神文明がおくれをとっておる、そういう意味の点では、これは納得ができますが、いまあげられました例そのものは、必ずしも適当ではないのじゃないだろうか。たとえば月五万円あるいは六万円、そういうものが大半を占めるというその統計、これは一体どのくらいの年齢層をつかまえていわれるか、まずここらにも一つの問題があるのではないだろうか。したがいまして、そのままを私引き合いに出して、そしてもっと収入をふやすということが必要だとは実は考えません。また物価そのものにいたしましても、物価もずいぶん上がったとはいわれるが、家庭用電機製品のごとき、あるいはまた自動車のごとき、これは目に見えてどんどんと安くなっております。またお互いの生活そのものも、不十分ながらとにかく消費はどんどん伸びております。消費は充実してきておる。そこらにも生活の充実はあるように思います。ここらにも私はあげられた例がそのまま適当だと、かようには納得がいかないのです。
 しかし、それはともかくといたしまして、私はもっとこういう問題について各党がほんとうにコンセンサスを得て、真の政治の目標は国民の生活の向上、幸福にあるのだ、そういうことを念願する、そういうたてまえで経済の発展も帰一するところはそこだ、絶えずその目標を忘れないように、見失わないように努力すること、これが必要じゃないかと思います。そういう意味で、私、いまどこをどうしようというわけじゃありませんが、あげられたうちで特別な工業製品のような生産性の高い品物については、なるほど価格が下がっておるけれども、しかしながら、物価そのものは消費者物価の高騰等において見るごとく、いまの状態でいいとは思いませんし、この物価の問題が非常に国民生活に重圧を加えておる、かようにも思いますので、物価問題はもっと真剣な協力を得るような方法があるんじゃないだろうか、ここに特に力をいたしたい、かように思っております。いろいろ議論すれば議論の余地があるようです。
○赤松委員 これはまた驚くべき感覚です。おそらく、私の予算委員会における総理に対する質問をテレビを通じて国民の皆さんが聞いていらっしゃるが、いまの総理の答弁に共感をされた人は一体何人おられますか。現在各新聞の世論調査にあらわれてきておるのは、物価高に対する不満が一番大きいのでしょう。これは総理、認められますか。認められますね。――そういたしますと、国民の感情というものは、この物価高をもたらして、そして物価の安定、たとえば三年後にはインフレーションをやめて、そしてこれを安定させていく。これは総需要の抑制という面で通貨膨張を押えるという方法も一つの方法でしょう、あるいは成長率をダウンさせるというのも一つの方法でしょう。あるいは財政規模を縮小させるということも一つの方法でしょう。全体としてバランスをとりながら、同時に高度成長経済によって生まれたひずみというもの、これを先ほどの御答弁のようにバランスをとって直していくということが必要なんですね。この点が一九七〇年代の人間回復の大きな課題であるということは認められますね。そういたしますと、私は総理の発言の中からあげ足をとろうとは思いません。そういう立場であなたにお聞きしておるのではなしに、お互いに日本人ですから、いまの大衆の悩みをどのように解決するかという立場から質問をしているわけです。
 テレビのお話がございましたが、これはあとで私聞きます。これは独占の管理価格の問題であとでお尋ねしますが、お隣にいらっしゃる福田大蔵大臣は、一昨々日でしたか、新聞の報道によりますと、大蔵委員会におきまして、生産性があがって品物がたくさんできておるのに一向に値段が下がらないというのはふしぎなことだ、こういうことを言っていらっしゃるということが新聞に出ておりました。これは間違いであるかないかは別としまして、とにかくこのテレビの問題につきましては、わが党の堀昌雄君が一昨年でありましたか、本会議におきまして総理に所信をただしております。そして彼らが価格協定をやりまして――生産性があがり、非常に大量の生産をしておる。需要供給の関係から当然テレビというものが下がらなければならぬ。しかるに下がっていない。それはなぜかといえば、大手六社が価格協定をやっておる。この価格協定が明らかになりまして、現在公正取引委員会でこれは審判中です。そうでしょう。したがって、テレビが安くなったというような発言はひとつ慎んでいただきたい。国民が聞けば腹をかかえてあなたの見識を笑うと私は思う。たいへん失礼な言い方でありますけれども、そういうことになる。ですからこの問題は、価格協定による物価がなぜ下がらないか、なぜ物価が上がっていくか、この点につきましては、カルテルの問題はあとで私は申し上げたいと思うのです。
 ただ、非常にこれは抽象的な議論になりますけれども、一九七〇年代には、一九六〇年代に経済成長に寄与、貢献した多くの中堅層というものが、あるいは五十代、六十代の、そういう経済活動の第一線におった人たちが、第一線から退いていくわけです。すなわち交代が始まるわけです。そうすると、それらの人が異口同音に言っていることは、いまのようなインフレーションの中では、自分たちが第一線から引いた後の生活は不安だということは、もう六十何%、約七〇%の人がその不安を訴えておるわけです。私はこの際、総理は大胆率直に、なるほど一九六〇年代は高度成長経済の時代だ、そこに多くのひずみが生まれた、一九七〇年代ではそのひずみをなくするために、大胆な政策転換をやるということを明らかにしてもらいたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 私はテレビが安くなったと言った覚えはございません。家庭用電機製品ということばを使ったはずです。テレビもその中の一つでございます。その他にも電機製品は幾つもあります。それらのものが全部安くなった、そういうことを申し上げているのです。ただカラーテレビ、これは高くなったじゃないかとか、あるいは大きいものが高いじゃないかというような話をこまかく議論する、そういうことじゃございません。大量生産をしておる家庭用電機製品は安くなっている、そういう方向をたどっております。しかし、お説のように、物価問題はなまやさしいものじゃない。その点では私も同じような憂いをともにするものであります。
 そして六〇年代の第一線級の方々が交代された。これはもう日に新たにどんどんかわっていっておる。新しい産業も興りつつある、そして能率もあがりつつある、かように思います。そこに経済の発展という表現でものごとがいわれております。ただそのときに、いまの状態をインフレが固定しておるような表現をされると、私どもも抵抗を感ぜざるを得ない。とにかくいまのような状態が長く続くならば、それこそインフレだ、かように思います。しかし、この状態を続けないようにあらゆる努力をしようとしておるいまやさきでございますだけに、まあインフレ、インフレと言われないように実は気をつけておるのです。これはしかし、赤松君も言われるように、いまの状態、これは一部生産性を上回るような賃金アップ等が行なわれると、そこらにいろいろな問題がある。あるいは生産性を無視した物価の高騰があると、これは一つの問題だと思います。そこらがいわゆるインフレだということになるだろうと思います。そういう状態を起こさないようにいませっかく努力中でございますから、どうかよろしく御協力願います。
○赤松委員 生産性の問題は、先般日本生産性本部が発表しましたように、生産性を上回る賃金は払われておりません。はるかに生産性よりも低い賃金が払われておるということは事実です。
 それから管理価格の問題はあとから質問します。
 なお、いまのインフレの構造上の問題等につきましては、わが党の北山委員が後に質問することになっておりますから、私はこの際、佐藤内閣の政治姿勢というものをひとつ問うておきたいと思うのです。
 まず第一に聞きたいことは、総理は記者会見におきましても、あるいは本会議における施政演説におきましても、一党独裁はやらない、十分与野党話し合って国会を運営したいということを言っていらっしゃるが、そのとおりでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○赤松委員 それでは、国会運営を民主的に公平にやりたいということは、具体的には何かといえば与野党の折衝でしょう。議院運営委員会において、それぞれ与野党の勢力関係から委員が出されておる。本予算委員会におきましても、それぞれ勢力関係に応じて、その比率によって委員が出されておる。理事会において十分納得のいくだけ話し合って国会を運営していく、そういうことですね。
○佐藤内閣総理大臣 民主的には、ただいま言われるように、わかりやすくいえばお互いが話し合いをしていく、しかしながら最終的にはやはり多数決原理、これは尊重されなければならないと思います。私は、今回特別な話し合いのもとに、きわめて小さな問題ですが、この予算委員会の理事などの割り当て等についても苦心された、かように伺っております。こういうような事柄がわが党の態度であることをひとつ御了承いただきたいと思います。
○赤松委員 そこで野党、与党の折衝などはもちろん議会の正規の機関でガラス張りでやらなければならぬ、この点も間違いございませんね。よろしゅうございますね。
○佐藤内閣総理大臣 簡単に申しますが、そのとおりです。
○赤松委員 これはあとの言論妨害の問題と関連をしますから、いまの答弁をしっかり私は記憶しておきます。
 私は、各新聞の世論調査にいま出ておるところの国民のいろいろな不満というものは、被害者が加害者に対して告発をしていると思うのです。私はそういう受け取り方をしておる。総理の頭には加害者意識というものが全然ないわけですね。つまりいま指摘になりましたように、経済の成長と人間の尊重との間にはアンバランスがある、つまり経済の成長が早過ぎて人間疎外のそういうひずみが生まれてきた、こうおっしゃった。そういたしますと、国民は、高度成長経済の中におけるそのひずみの一つであり、非常な不満を持つことは当然です。被害者です。そうすると、政府が加害者ということになる。私どもは、絶えず政治をやる場合には、与野党を問わず、国民の奉仕者であるという観念を持たなければいかぬと思うのです。あなたは支配者ですか、奉仕者ですか、どちらです。
○佐藤内閣総理大臣 これは、私いまさら答えるまでもなく、主権者は国民です。したがって私どもは奉仕者でございます。ただ、いま加害者、加害意識がないと言われる、これは、私は、加害者だとは実は考えておりません。しかし、いま政治が必ずしも国民の望んでおられるとおりになかなか行なわれておらないという、そういう意味で、私ども努力の足らざることをみずから認めておる。ただいま奉仕が足らないんだ、かように私考えております。
○赤松委員 奉仕が足らないという謙虚な反省でありました。私どももまた、その努力が足らないと反省しております。でありますから、与野党を問わず国民への奉仕者として献身しなければならぬと思う。ことに権力を持っていらっしゃるあなたは、一番の責任者、最高の責任者です。でありますから、ぜひ奉仕の観念に徹してもらいたいと思う。奉仕とはサービスですね。国民に対するサービスです。これは官僚も、政治家も、ともにこの観念に徹しなければならぬ。憲法の精神はそうですね。ただ異なる点は、政治家は官僚と違って、国民に愛情を持たなくちゃいかぬわけですね。同時に一つの識見を持たなければならぬ。あるいは刻々変化する内外の情勢に応じて、これに対応する実行力あるいは対応する能力、洞察力、こういうものが必要だと思うのです。
 それで、私は、政治に対する大衆の願望というものは果てしないものだと思うのです。いついかなる時代においても、その政治に対して、一〇〇%完ぺきだという政治はありません。ただその国民の願望というものをどの程度実現しておるかというところに問題があると思うのでありますけれども、この人たちの願望というものが、今日直接民主主義の形をとらないで、間接民主主義の形をとって、そして議会を通じて人間のしあわせを達成していく、そうですね。直接民主主義の道を選ばないで、間接民主主義の道を選び、つまり議会政治を確立し、議会政治は絶えず反省しながら国民に奉仕をしていく、国民のしあわせを守っていく、こうあらねばならぬと私は思うのです。ところが、遺憾ながら今度の選挙の結果によりますと、間接民主主義というものがだんだんくずれつつあるという危機感を私は持つのです。これは二千二百万人の人たちが間接民主主義へ参加する権利を放棄した。つまり投票を棄権した、そういうところに私はあらわれていると思う。総理は、せっかく普通選挙が行なわれ、多くの人たちに権利が与えられたにもかかわらず、この二千二百万人の人が棄権するとは何たることか、これは愚衆だというような考えをまさかお持ちになることは私はないと思う。これに対してどういう反省がありますか、それを聞かしていただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 結論だけ申せばいいことですが、大体議論が一つの構成をしておりますから、お答えいたしておきたいのです。公務員そのものを、私どもは国民に奉仕するものだ、こういうことで公務員規律を定めております。またわれわれ政治家は、いま言われるように直接ではございませんが、間接に国民に奉仕する。そのためにときどき信任を問うて、国民から信任された者がそれぞれ行なっていく、こういう方法をわが国ではとっておる、かように思います。そこで、国民の願望というものをどういうように受けとめるか、これが実は大事だと思いますし、また願望を受けとめるまでもなく、みずからが公約事項というものを発表いたしまして、そうして国民の信を問う、これが選挙の態様ではないかと思います。
 そういう方向でいままでは行なわれてきておりますが、ただいまの二千二百万、こういう棄権をした、これを愚衆だと思うかというようなお話、さようには私どもはもちろん考えておりません。主権者は国民であります。したがって国民としても、おそらくいまの制度を守るという意味から選挙には加わりたい、しかし、何かと忙しい思いがしたり、あるいは病気であったり、まだまだ制度の上から見ましても完全だとはなかなか言えないものがあるように思います。特に、年末に行なわれた選挙、ここに私は非常な問題があったろうと思います。
 また、いまの問題から見ましても、自民党は得た議席数に相応する支持票はなかなか得ておらないじゃないか、これはいまはお尋ねではございませんでしたが、当然その中から出てくるかと思います。そういう問題もあります。これなどもやはりいまの選挙制度そのもの等にもいろいろくふうしなければならないものがあるように思います。
 ことに、何といいましても、年末差し迫っての選挙、これが私はたいへんな棄権を生じたゆえんではないだろうかと思う。これを選挙不信だ、政治不信だ、こういうように指摘される方もあります。政治不信も全然私は否定はいたしませんけれども、主たる理由は、年末の早々の間に行なわれたこと、かように私は思っております。
○赤松委員 忙しくて投票できなかった人もいるでしょう。あるいはレジャーに走って、そのために棄権した人もあるでしょう。しかし、一番私どもが心配しなければならぬ点は、どうせ投票したって何もやってくれないだろう、そういうあきらめですね、あるいは政治に対する不信、そういうものが根底に横たわっていないか。総理は、忙しかったから投票しなかったのだろう、そういうようにおっしゃいますけれども、私は、その認識は正しくないと思うのです。やはり政治への不信というものがその根底にあるのではないだろうか。この問題を私が重要視しますのはなぜかといえば、政治に対してあきらめる、忙しいから投票しないという、そういう習慣がだんだん拡大してまいりますと、その底辺にある政治に対する不信が、直接行動によって自分たちの政治への願望が表現されてくる。一部の学生のあの暴力に対しましては、社会党はもちろん反対です。その点では私ども反対ではありますけれども、この諸君にもこの諸君の要求、願望というものがあるわけです。この棄権をした国民の中にそのあきらめと政治不信がどんどん拡大をして、議会制民主主義の根幹をゆり動かすようなことになれば、日本の将来のためにたいへんな問題である、こういうことを私は考えています。
 総理はいま自民党の得票に触れられましたけれども、自民党の得票は三二・三一%です。厳粛に反省しなさい。三二・三一%、五〇%に達していないのです。野党全体の得票は三五・五一%、与党よりも多い。棄権率が三二・一七%、棄権は二千二百二十八万一千七十八票です。この人が棄権をしておるわけです。この点につきまして、やはり議会制民主主義の危機――三百人というのは後に無所属で当選をした人を加えて三百人になったわけです。そうでしょう。したがって、いまの得票率からいいまして、自民党そのものも、政府そのものも過半数の信頼を得てないというところに問題がある。この点についての総理の反省はいかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 これは弁解がましいようですが、無所属で当選された方十二名を入れた。これは、私申し上げるまでもなく、公認を申請された自民党の方々でございます。
  〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
その選挙区の模様等を見まして、特に公認しなかったというだけなんです。したがって、これらの票を除外することはいかがかと思う。もう一つ、まださらにあと当選されたので三人ばかりあります。特別な理由からわが党を離脱しておる、こういうような方が三名あるわけであります。これはそれらの者もやはり加えて、そうして自民党の票というものを考えなければならぬ、かように私は思いますが、それにしても自民党の票数は必ずしも三百名に、あるいは三百三名にふさわしいような票だとは私は思いません。これは主として大都市における票、ここらに問題があるように思っております。そこらが先ほども申したように、いまの選挙制度そのものに欠陥――欠陥というよりも、そのものずばりにいけないものがあるのだ、かように私は思っております。
○赤松委員 遺憾ながら選挙の結果五〇%、国民の過半数の支持を得てないという原因は選挙制度にある、選挙制度にその原因を帰納してしまうという考え方には私ども賛成できません。これは厳粛にひとつ反省をしていただきたい。少なくともこの多数の、三二%という棄権者があった。この棄権者の中には年末繁忙のために棄権された人もあるけれども、先ほど私が申し上げましたように、いまの政治に対して絶望している、不信感に燃えている、投票したってしかたがないだろう、自分たちの願望は達成できないだろう、そういうものが根底にあるのではないか。議会制民主主義の現在及び将来を心配するという点において、これは私はぜひ総理として十分に反省してもらいたい。
 もう一つの点は、いまおっしゃいました、無所属の人を含めても五〇%に達していないんです。国民は選挙の際に投票するときには、無所属の人を自民党だと考えて投票した人もあるでしょう。しかし、それはきわめてわずかだと思います。したがいまして、それを加えてそうして三百名、さらにそれを加えてもなお五〇%に達してない、この事実に対しましては、ぜひ総理は十分にひとつ反省をしていただきたいと思います。
 私は、この際あなたにさらにお尋ねしておきたいことがある。それは何かといえば、行政改革の問題です。天下り官僚人事の問題です。これは、あなたが官僚出身であるということのために特に官僚を庇護するというような、そんな理屈をいま言おうとしているんじゃないのです。あなたはすでにもう官僚から卒業されまして、そうして総理大臣として、まありっぱな政治はあまり行なってはいないようですが、しかし行なおうとしております。そこで、行政改革は国民がつとに要望しておるところであり、天下り人事の問題についてはしばしば答申もあり、また勧告もあり、あなた自身もこの問題に触れていらっしゃるわけです。私はもう一度あなたの反省を促したいのは、昭和三十九年の九月二十九日に臨時行政調査会の答申がありました。この答申の中に「公社・公団等の改革に関する意見」というのがあります。「政府関係機関等は独立法人であるというものの、それが各省庁の監督下にあり、その役職員も本省となんらかのつながりのある者が大部分を占めているため、実質的には各省の外部団体または出先機関に等しい様相を呈し、中央の縦割り行政の弊がそのまま持ちこまれている。」自律的運営能力を有する法人については人事の合理化をはかるため、二、官庁との人事交流は、創設時を除いては原則として行なわないものとすること。二、官庁の都合本位による役員人事をやめて、役員は部内外からも積極的に登用することとし、かつ本省からの直接登用による役員は原則として役員の半数以下とすること。」これが当時の答申でありました。
 さらに、昭和四十年五月の閣議で「特殊法人の役員は適任者を広く各界有識者から人選する」ということを原則に次のような基準をきめております。「一、公務員出身者からの選考は、関係官庁にとらわれず広く各省庁から適任者を選ぶ。二、公団、公庫の役員のたらい回しを厳に慎む。三、清新な気風を反映させるため、常勤ポストに高齢者の起用を避ける。」これが閣議決定です。さらに四十二年の二月と昨年十一月の閣議で重ねてこの基準を確認し、「事前に内閣官房と連絡し調整をはかる」ことを申し合わせていらっしゃいますね。
 さらに「特殊法人の整理と行政管理庁の審査権限について」意見書を行政監理委員会が出しております。これは昭和四十二年七月二十日、「特殊法人については、単に整理統廃合に限らず、これと並行して、たとえば役員の数、任命方法、給与・退職金の基準など、人事・予算会計のあり方についても全面的な改革を行なう必要があり、また、それが国民世論の要望するところであると信ずる。」こういう意見書も出されております。
 さらに、昭和四十四年三月十七日の決算委員会におきまして社会党の田中武夫議員があなたに対して質問をした。このときにあなたは、役員の給与は一つの基準をつくっているが、公社、公団にも大小がある。立法化については、公社、公団を全部ひっくるめ、役員のあり方をもう一度検討してみたい、こういう答弁をしていらっしゃるわけです。その後どのようにされましたか、公社、公団を整理統合し、かつおっしゃったような対応策を講じられましたかどうか、お尋ねいたします。
○佐藤内閣総理大臣 私も官僚の出身であります。ただいまも官僚臭がだんだん抜けたような言い方をされておりますが、(赤松委員「全然ない」と呼ぶ)全然ないと言われるが、私も、三つ子の魂百までということばがありますので、絶えず反省しつつ、そういうことの批判を受けておるような次第であります。
 そこで、いろいろお話がありましたが、大体忠実にこれからも臨調の答申を守っていくつもりでございます。ただいま言われました最後の退職金の問題等も、最近これを採用いたしまして、閣議決定をしております。この結果、どのくらいになりましたか、いずれ……(「六十五を四十五」と呼ぶ者あり)いま不規則発言のようだが、そのとおりのように改正をいたします。(赤松委員「不規則発言をあなたの発言にされたら困りますよ」と呼ぶ)私、実は……(「じゃ大蔵大臣」と呼ぶ者あり)
○福田国務大臣 公団、公庫の役員の退職金については、お話しのようの次第も考慮いたしまして、約三分の一方これを減額することに、つい最近決定をいたしました。
○赤松委員 確かに閣議できめられたことを私は新聞を通じて承知しております。新聞の見出しは、三割削るとしてあります。四年在職した者が千四百六十六万四千円退職金がもらえるわけです。いまおっしゃったのを適用してみますと、なお千十五万二千円もらえるわけですね。以下私は具体的に、総理が決算委員会で答弁をされ、あるいは閣議で決定をされたことが現在忠実に行なわれていない、あるいは非常に不十分である、また改革すべき点は多々あるということをこの際指摘をして、内閣総理大臣の責任ある答弁をしてもらいたいと思うんです。
 私はここで二、三の例をあげますけれども、天下りの順序がどのように行なわれておるか、これは国民の皆さんが私のこの発言を聞いたらびっくりなさると思うんです。
 まず酒井俊彦君という人がいらっしゃる。この人は現在北海道東北開発公庫の総裁です。(「なくなった」と呼ぶ者あり)死んだっていいじゃないですか。この経歴を、私は天下り、いわゆる渡り鳥人事の実態を明らかにするのですから。そこで、この人はどういう経歴を持っているかといえば、大蔵省の為替局長、輸出入銀行の監事、国民金融公庫の副総裁、北海道東北開発公庫の総裁、これだけ渡り歩いておるわけです。これを俗に渡り鳥といっていますね。
 次の渡り鳥は小倉俊夫、運輸省の会計課長それから帝都高速営団の理事、それから国鉄副総裁、東北開発総裁。
 松田一隆君、これは法務省の局長、それから国民金融公庫の理事、そして科学技術情報センターの監事、商工組合中央金庫の監事。
 河野通一君、これは大蔵省の理財局長、開発銀行の理事、それから商工中金の副理事長、国民金融公庫の総裁、ずいぶん渡り歩いておりますね。たいへんけっこうな御身分だと思うんです。これは民間でいいますと、労働者などは定年になって会社をやめますと、もうほとんどその会社は雇ってくれません。たいへん困っておる人がたくさんおるわけですから、どうも官僚族というものはこういう特権があるようであります。そこで、この諸君が渡り鳥のように渡り歩く。一つの枝から次の枝へ渡る、枝をかえるたびに退職金が渡るわけです。その退職金がどれぐらい払われておるか、これを中小企業の労働者と対比してみましょう。ぜひ国民の皆さんもこのことを記憶しておいていただきたいと思うのです。
 まず浜田成徳君、この人は日本科学技術情報センターにいらっしゃいますが、理事長です。報酬は一カ月三十六万円、在職期間は三年十カ月、退職金は一千万円。端数を取り除きましょう、一千万円。中小企業退職金共済法により毎月千円掛ける中小企業の労働者の場合、同じく在職三年十カ月でどれぐらいもらえるかといえば四万八千九百円。日本科学技術情報センターの理事長は一千万円、中小企業の労働者は四万八千九百円、これは一体どうしたことですか。一つの枝から一つの枝へ渡るたびにばく大な退職金が入るんです。いま私があげましたこの四つなり五つなりの公団、公社を歩いているうちに、すごい退職金が入ってくるわけです。
 次に、海外技術協力事業団、これはたいしてあんまり仕事をしていないようですが、ここの理事長の渋沢信一さんがどれぐらいもらっておるか。俸給は三十六万円、在職期間七年、そこで彼がやめたときには一千九百六十五万六千円。これを在職七年の中小企業の労働者に適用いたしますと、十万九千四百三十円です。一方は千九百六十五万六千円、中小企業の労働者は十万九千四百三十円。
 林敬三という人がいる。これは日本住宅公団の総裁です。彼の報酬は四十一万円、在職年数三年十カ月、もらった退職金は千二百二十五万九千円、中小企業の労働者がこれと同じように三年十カ月在職した場合に退職する際には四万八千九百円。
 稗田治という人がおる。この人は住宅公団の理事だ。報酬は二十六万五千円、七年十カ月在職をして一千六百万円もらっている。これは中小企業の場合でいえば十二万八千四百三十円、どうしてこんなに違うんですか。もちろんそれぞれの役職、ポストによってあるいは俸給表によって違うとは思うのですが、この点などは根本的に改めなければならぬと思う。
 もう一つ例をあげますと、水資源公団の総裁の柴田達夫という人、これは俸給が四十一万円。会議員の諸君うらやましいだろう、四十一万円だ。どうだ諸君。そして在職期間が七年と一カ月、もらった退職金が何と二千二百六十五万二千五百円、二千二百万円ですよ。そしてこれを中小企業の労働者に適用してみますと、中小企業の労働者はわずかに十一万一千二百五十円しかもらえない。
 総理、私は、これは資本主義の機構でありますから、こういうような凹凸はあると思うんでありますけれども、しかしこれでは国民は納得しないと思うのです。もし三年十カ月おって一千万円もらえる。先ほど言ったように、五つの公団、公社、これを渡って歩けば、五つあれば五千万円彼のふところに入るんですよ。私は、佐藤内閣の政治の姿勢として、こういうことを許しておいていいのかどうか。これは昨年の国会におきましても問題になった。総理、こっちを向きなさい。この点についてあなたは佐藤内閣の政治姿勢として、やはりきびしくこの問題は考えなくちゃならぬと思うのです。これは決算委員会におけるあなたの発言を見てもわかる。であるから退職金を三割削減したんだとおっしゃるかもわかりませんが、三割削減してもなお非常にばく大な、いわゆる庶民からいえば夢物語のようなばく大な退職金が払われておる。どうですか、これをひとつ抜本的に改革して、そして公社、公団の整理統合を思い切ってやる。そして役員の数を減らす。国民はこういう老齢の、言っちゃ悪いけれども、もう、とうの立った人に、税金の中から退職金を払うために、あるいは報酬を払うために税金を出しておるわけじゃない。この点思い切って、ひとつ佐藤内閣の政治姿勢としてやっていただきたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま公社、公団等の退職金の問題について詳細にお話がございました。そこでつとめておる方と、いわゆる重役、責任のある人と比べることは一体どうかと思います。ただ民間の場合に、民間の社長級と、公団の総裁級あるいは理事長級、こういうものが一体どんなに扱われているか、これは比較になるんじゃないだろうかと思います。私は、そういう意味では一応の均衡はとれている、かように考えます。しかし、ただいま御指摘になりましたように、渡り鳥、いわゆる公団から公団に次々に回るという、こういうことは厳に戒めなきゃならない、かように私は思っておりますが、いままでそのことを考えながらも、適材適所主義で人を配置することはなかなか困難でありまして、そこで、どうも特別な人になりますと何回も使われる、こういうようなことに結果としてはなっております。しかし、御指摘もございましたし、今後ともそういう点について非常な不公平な取り扱い方をしないように、この上とも気をつけてまいるつもりであります。重ねて申しますが、公社、公団というのはやはり官庁の延長でありますために、臨調等で公務員を使うなと言われましても、これが官庁の一機関という、そういう形のものが比較的多いものですから、どうも公務員が出かけやすい、そういうこともございます。これらは私が官僚だからそう言うというんじゃないんで、現実の問題の処理でそうなる。そこで、いま言われる、御指摘になったように渡り鳥という、そういうような非難を受けないように、こういうことでこれはよほど気をつけてまいらなきゃならない、かように思っております。
○赤松委員 どうですか総理、決算委員会のあなたの答弁ですね、あれはいつごろまでに実行されますか。
○佐藤内閣総理大臣 決算委員会の答弁、それは順次、私ども実施しております。公社、公団の新設等については厳に戒めておる。また、これはその後におきましても――それは公社、公団ができておりますよ。できておりますが、厳重に、それを増加しないように努力しておることだけは認めていただきたい、かように思います。
○赤松委員 増加しない、増加しないと言いながらつくっているというのですからね。およそおかしなものです。これはひとつ整理統合をがっちりやるように要望しておきます。
 この問題は国民の非難の的になっておりますから、私はさらに踏み込んで論及してみたいと思います。
 総裁――自民党総裁だ。佐藤内閣総理大臣、官庁のなわ張り争いがあるようですね。各公団、公社の人事を見ると非常にうまくできている。というのは、各省から天下ってきたのが大体同じ割合になっているのです。そうしますと、どうも明文化してはいないけれども、何か慣行上、割り振りの基準がある、こういうように思えてならないのです。私はこの種の総裁、理事長などをきめる場合には、部内昇格すべきであると思う。新進気鋭の、若い手腕のある、能力のある人、ほんとうに国民への奉仕観念に徹した有能な諸君がたくさんおります。この人たちをどんどん登用すべきだと思うのです。もう古ぼけた使い古しの者を、高給でもってわざわざその公団、公社に持ってくる必要はありません。これはどうですか。総理、ひとつ思い切りやってみたらどうですか。
○佐藤内閣総理大臣 思い切って御意見は尊重してまいりたいと思います。
○赤松委員 それではそういうように理解しておきます。
 参考のために水資源公団における役員ポストの割り振りをちょっと紹介しておきましょう。総裁は建設省から出ております。これは建設次官をやっていましたね。それから副総裁は農林省から出ておる。農地局長をやっておりました。金子という理事は経済企画庁から出ている。それから五十嵐という理事は厚生省。環境衛生局長をやっていましたね。それから竹村という理事は大蔵省。これは造幣局長をやっておる。それから藤岡という理事は通産省から出ている。小林という理事は建設省から出ている。戸嶋という理事は林野庁から出ている。畑谷という理事は建設省から出ている。堀という理事は農林省から出ている。佐々木という理事は農林省。というようにございます。行政管理庁からもいっておりますね。原田という監事です。これを見てみますると、経済企画庁一人、建設省が三人、厚生省一人、農林省三人、通産省が一人。非常勤のほうは別といたしまして、こういう割合になっておる。それぞれ官庁に仲よく割り当てまして、そしてもう使いものにならぬ古ぼけた官僚を、このうば捨て山に持ってまいりまして、ここで高給を与え、ばく大な退職金を与えておる。これが今日の官僚機構の実態です。
 しからば、これらの人たちの役員給与は人件費の中にどういうパーセンテージを占めておるか、このことを私は明らかにしておきたいと思う。三公社、あなたの御出身の国有鉄道公社のほうは、これはその割合を見ますると四十一万八千九百人に対しまして、その給与の割合は〇・〇二%ということで、これは非常に少なくなっていると私は思います。専売公社のほうも、これも役員給与のほうは〇・一五%。ところが役員給与が人件費の中で非常に高いパーセントを占めておる公庫がある。公営企業金融公庫の場合を見ますると、人件費総額が一億二千三百四十三万四千円です。その中で役員給与が実に二千三百五十三万四千円。二千三百五十三万四千円、こういう給与で、割合からいいますと一九・〇七%、民間会社でこんなのがありますか。一九・〇七%というところの高い比率を示しておる。中小企業信用保険公庫の場合はどうかといえば、人件費総額が四億六千五百三十万五千円です。役員給与がこの中でどれくらい占めておるかといえば、三千百六十五万二千円、六・八〇%、それから医療金融公庫はどうかといえば、人件費の総額が二億です。この中で役員給与は実に二千七百八十八万円、一三・八七%、非常に高い比率ですね。環境衛生金融公庫、これは人件費の総額が八千万円。
  〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
これに対して役員給与が何と二千三百五十三万四千円、二九・一四%を占めていますよ。これは一体どういうことですか。三分の一は役員の給与じゃありませんか。これをさらに役員一人に対する職員の数を申し上げますと、日本国有鉄道が四十六万一千百十四人が予算定員で、役員一人に対して一万八千七百七十三人の職員です。環境衛生金融公庫ですね、ここでは役員一人に対して職員九人。予算定員は四十六人。役員一人に対して職員九人。これは一体どうしたことですか。こういうように、職員のほうはどんどん行政整理をしていく、あるいは定員を減らしていく。しかし、役員のほうはふやしていく、あるいはこれを減らそうとはしない、こういう実態ですね。これはぜひ改めていただきたいと思うのです。あなたがお考えになってもおかしいと思うでしょう。総裁、理事長、それから副理事長、理事、監事、これが四十六人しか職員がいないところに九人の役員がおるのですよ。九人。これはどういうことです。役員ばっかりじゃありませんか。しかも、これがばく大な報酬を取り、また退職するときにはばく大な退職金をもらっておるというのが、今日の官僚機構の実態なんです。私は、何も金を出すなと言うんじゃないのです。国民の税金ですから、正しく使ってもらいたい。必要な金は使ってもらってよろしい。しかしながら、問題は使い方です。こんなばかな使い方がありますか。環衛金融公庫の実態を大蔵大臣は御存じでしょう。そのとおりでしょう。――ちょっと待ってください。これはあなたが言おうとすることは、ぼくが答弁してあげるよ。これは代理貸しをやっておるので、国民金融公庫のほうへその委託事業をやらしておるので、実は非常に職員は少ないのだ、こういうことを言おうとしているね、いま答弁しようとして立ち上がったのは。そうでしょう。そのとおりだ……。そんなことはわかっていますよ。わかっていますが、国民金融公庫が代理貸しをやっているけれども、これは非常に環衛関係の業者も迷惑しておる。迅速にいろいろな手続が進んでいかない。かなり事務が渋滞しておる。こういう点、私はいろいろ指摘したいと思いますが、時間がありませんからこれ以上言いませんけれども、総理、ひとつ先ほどの御答弁のように、この際行政機構の改革の一環として、公社、公団、公庫等についてはぜひ断固として勇断をもってやっていただきたい、これを希望します。
○佐藤内閣総理大臣 希望されて、私も立ち上がることもないかと思いますが、赤松君がよく御存じの愛知用水公団、これがなくなりましたね。これはずいぶん抵抗がありました。しかし、断固勇気をもって、勇断をもってこれを整理した。これがいままでの非常に私ども苦心した例であります。これはひとつほめていただいて、そういうようにまたやれ、こういうことをひとつ言っていただきたい。
 それからいま言われました役員給与とその他の問題との比率でございますが、どうも仕事の性格上もいろいろ問題がありますから、そこらにただいま言うようにパーセンテージだけでは議論はできない、かように思います。また、愛知用水を水資源公団に吸収した例もございますから、今後とも整理の方向にも私どもが努力する、また、新しいものをつくる、こういうことはできるだけ避ける、こういう方向で行きたいと、方針だけはっきり申し上げて終わります。
○赤松委員 愛知用水公団のことをおっしゃると、間違った答弁になりますから、これはよほど注意してもらいたいと思う。愛知用水公団を解散させようというのが政府の当時方針だった。それで私は河野一郎さんが農林大臣をやっているときに――建設大臣だったか、建設大臣をやっておるときにいろいろ折衝をしたのですよ。そして、あの構想は官僚の中から出たのじゃありませんよ。建設省の中から出たのじゃないのです。愛知用水――木曽川から伊勢湾に水を引くという構想は、終戦直後に久野庄太郎という一農民がそれを立てた。あなたのところに陳情に来たでしょう。それが実って、そしてあの大きな事業になったわけです。ところが、その際に集めた人材というのは、日本全国の有能な人材を集めたのです。ですから、それを解散してそれぞれのところに返すのでなくして、一つの機械化部隊としてこれを国土開発に利用したらどうかということから、御承知のようにその後水資源公団と一緒になったわけですね。ですから、私は公団が要らないとかなんとか言うのじゃありません。それぞれ国土開発のためにやっておりますけれども、いま申し上げましたように、役員の占めるその比率が非常に高過ぎる、あるいは給与の面、退職金の問題等に問題があるということを指摘したのであって、公団そのものが要らないのだということはちっとも考えておりませんから、どうかひとつ誤解のないようにお願いしたいと思うのです。
 そこで今度は、成田委員長、江田書記長が軍備の限界についてあなたに質問しました。これに対して遺憾ながら十分な回答がない。そこで私は、この問題は佐藤内閣の政治姿勢に重大な関係がありまするから、簡単に触れておきたいと思うのです。
 明治以来の日本の政治史を見ますると、幾つかの内閣が倒れ、幾人かの総理大臣が暗殺をされております。その暗殺の歴史を見ますると、軍備拡張を叫ぶ軍部と、それを押えようとする政府との間に衝突が起きておる。御承知のように陸海軍大臣は陸軍もしくは海軍から出すことになっておりまして、それを入閣させないということで内閣を倒しておりますね。そういう例が幾つかあります。若槻、濱口、犬養というような日本の政治史に特筆されるべき政治家の皆さんも、このやいばに倒れておるわけです。あの当時天皇が統帥権を持った中においてもああいう状態が起きておる。今日帝国憲法と違って平和憲法ができている。この平和憲法の中では、天皇にかわって国民が主権者になり、同時に行政府の長であるあなたには自衛隊を指揮する指揮権、それから内閣を統率する統率権、なかんずく各国務大臣を自由に罷免することができるのです、現行憲法は。明治憲法よりも内閣総理大臣にはるかに強い権限を与えておるわけです。私はこのことが重要だと思うのです。これは、保利さんなど、ずっと古い政治家で苦労をされてきておりますから、よくおわかりだと思うのですけれども、軍事力というもの、軍隊というものは、つくればこれは物理的にある程度拡張していくのです。ふえていくのです。これは非常に物理的な力を持っています。ですから内閣総理大臣はこれを押える力を持たなくちゃなりません。私はここで非常に感心するのは、ほかのことではいろいろ意見が違いましたが、吉田元首相ですね、吉田さんが私は偉かったと思うのは、安保条約ができまして、サンフランシスコ平和条約が締結をされて、それからアメリカが三十二万五千人の再軍備を要求してまいりましたね。その際に吉田元首相は、まず日本の産業復興が第一だという観点に立っておられたと私は思うのです。当時社会党も、再軍備をしてむだな金を使うよりも、まず産業を復興させよう、まず経済をよくしていこうということを主張しました。この点では、吉田元首相と社会党とは一致しておったわけです。それは、吉田さんの手によって保安隊ができました。警察予備隊もできました。できましたが、とにかくあの人は、アメリカの熾烈な要求、三十二万五千の再軍備をやれという要求に対して、当時大蔵大臣をやっていらした池田前首相をワシントンに派遣されて、国務次官補のロバートソンと折衝させられました。そうしてある程度それを押えてきたわけです。私は昭和三十年にこの予算委員会で、当時、鳩山内閣総理大臣、重光外務大臣に質問しました。それは、鳩山内閣がアメリカで西太平洋地域における共同防衛にサインしてまいりました。その点についてただしたことがある。遺憾ながら、アメリカの要求を押え切れずに、その後ぐんぐん再軍備が進められた。警察予備隊が保安隊になり、保安隊がさらに自衛隊に発展してまいりました。
 そこであなたは、日本の内閣総理大臣として、また自衛隊を指揮する指揮権を持っていらっしゃる最高責任者として、一体日本の経済と見合ってどの程度の軍備が必要なんだ。おそらくそのめどは持っていらっしゃると思う。やみくもに何でもいいからふやせばいいというものじゃないでしょう。それがちっとも出てこないわけです。国情に応じてとか、いろいろな抽象的なことを言っていらっしゃるけれども、それがちっとも出てこない。ですから、川島副総裁は先般、自民党の三役でしたか、あるいは政府でしたかへ申し入れをして、軍備の限界についてひとつこの際討議をして結論を出そうじゃないかという申し入れをされた。あなたは一億の国民をしょっていらっしゃる、この日本の国土の平和と安全を守る責任を持っていらっしゃる。これは一体どうする。どういうようにお考えですか。
○佐藤内閣総理大臣 これはもうしばしばいままでも申し上げたと思います。私どもは、通常兵器による局地、この防衛の責任を果たしたい、これがいままでの限度として私どもは考えておるものであります。
○赤松委員 わかりませんよ、声が小さいから。
○佐藤内閣総理大臣 大きい声で申し上げます、それは失礼しました。
 通常兵器をもって局地的侵略に対応する、そういう力を持とうと、こういうのでございます。
○赤松委員 わかりました。局地的な戦争を想定していらっしゃるということは、いまの発言でよくわかりました。
 そこで、日米共同声明にいう韓国または台湾海峡の緊張が日本に重大な影響を及ぼすというのは、具体的にはどういう場合ですか。
○佐藤内閣総理大臣 これはとにかく近火見舞いみたいなものです。隣の韓国で事態が起こる。あるいは台湾海峡で問題が起こる。それが傍観できない、こういうことでございます。しかし私どもはいまの憲法のもとに外国に出ていくような考え方はございませんから、日本の軍隊自身がそういうところに出かけるものでないことは、これははっきり申し上げておきます。
○赤松委員 近火御見舞いというような不謹慎なことばを使いなさんな。あなたは内閣総理大臣ですよ。ばかなことをおっしゃるな。そうじゃないですか、火事見舞いなんて、不謹慎ですよ、そんなばかな答弁は。不見識ですよ。私が聞いておるのは、日米共同声明の中でいっておる韓国及び台湾海峡の緊張というものは日本に重大な影響を及ぼすという、その緊張の状態とはどういう場合を想定されておるのかということを、私は聞いておるのですよ。火事見舞いに行けなんということを聞いておるのではないですよ。ふざけなさんな。
○佐藤内閣総理大臣 いま答えたのが、近火御見舞いでおこられた。それともう一つ、軍隊ということばを使ったようですが、そうじゃございません、自衛隊ですが、自衛隊が出かけるようなことはございません。こういうことで前の答弁をひとつ訂正させていただきます。
 私が申し上げるまでもなく、韓国に事態が起これば、これはたいへんな問題が起こるのだ。
○赤松委員 どういう事態かということを聞いておる。想定しておるのか……。
○佐藤内閣総理大臣 これはそこに戦争が起こるということがあればということです。
○赤松委員 どこと戦争をやるのですか。
○佐藤内閣総理大臣 それはどことやるかわかりません。私どもは、いま日本自身が仮想敵国を考えておりませんから、そういうことはございませんが、しかしとにかく韓国自体でそういう事態が起こればこれはほうっておけない状態だ。したがって、ただいま自衛隊自身も、そういうことについてわが国に飛び火しないように、これは飛び火といったらおこられるかもしれませんが、とにかく私どもはそれに巻き込まれないように十分気をつけなければならないし、わが国にある米軍自身が、こういう点で米軍自身のみずからの行動をとる、こういうような場合に私どもは協議に応ずるというのがいまのたてまえであります。
○赤松委員 いまの答弁はさっぱりわかりません、何を答弁されておるのか。自衛隊が出て行くか、行かないかということを聞いておるのではなしに、韓国及び台湾海峡における緊張状態が日本の平和に重大な影響を与える、その重大な影響を与えるというのは、たとえば韓国あるいは台湾海峡でどういう事態が起きたときとか、局地戦争ということをさっきおっしゃいましたね、それならば局地戦争を起こす当事者はどこだと想定されておるかということですよ。だってその想定がなければ、日米共同声明というような、条約にかわるような重大なものをニクソンと約束なさるはずはない。
○佐藤内閣総理大臣 いま台湾だとか、台湾海峡だとか、そこで問題が起こる。こういうことがいま想定されておるわけじゃありません。もしも万一事態が起こったらと、こういうことでございますから、そこらは御理解をいただきたいのです。どうもそんなわけのわからないことを言っておる、こういうことですが、もちろんこれは想定でございますから、そういう事態はないことを心から望んでおるのです。しかし万一事態が起きた場合に私どもは傍観はできないだろう。そこにまた巻き込まれる危険もあるだろうから、そういうことは十分注意しなければならない。また私どもが本土にある米軍自身、これまた米軍自身が本土の基地を使うようなこともありましょうから、そういう事態をいろいろ考えるということであります。
 ただ、いまどことどこが戦うとか、それを考えているのかというようなお話になると、私どもは、その危険はないようにいま思っております。
○赤松委員 ごまかしはやめてください。二月二十二日の新聞によれば、防衛庁は、第四次防衛計画の中で次のようにきめたということが報道されている。侵略は公海で排除できるよう戦術的攻撃力を強化する。これは局地戦争を意味するが、いまあなたが局地戦争ということをおっしゃったが、この局地戦争を想定して確かにこの防衛庁の決定はなされておる。しかも、第四次防衛計画は五兆円に達するということをいわれておりますけれども、この戦術配慮が防衛年次計画の根幹をなしているのですよ。したがって、防衛庁がこういうことをきめたかどうか。きめたとすれば、侵略は公海で排除できるよう――一体どこが侵略してくるのか。それを想定しなければ、戦術的攻撃力を強化するということにはならぬじゃないですか。これはどうなんです。
○佐藤内閣総理大臣 最高責任者である私、さような事態をまだ知りません。私の耳に入っておりません。新聞で何と伝えようが、そういう計画がないとはっきり申し上げておきます。
○赤松委員 新聞の間違い、あるいは誤報、もしくは新聞が誤って報道した、こういうことになりますね。よろしい。それだけ聞いておけばよろしい。あなたにその考えはないとおっしゃれば、それでよろしい。
 そこで、私は具体的に聞きますが、イギリスの軍事年鑑によりますと――これはいま世界で一番権威があるといわれています。あなたはしばしば中国の内部のことはわからない、こうおっしゃる。私はそのとおりだと思います。わからないというのがほんとうで、私も二回中国に参りましたけれども、二回行ってもなかなかその実態がつかめないというのが実際なんです。そこで、このイギリスの軍事年鑑によりますと、いま中国海軍は戦艦、巡洋艦、空母がありません。せいぜい駆逐艦数隻、潜水艦が三十隻、魚雷艇が百五十隻、これが実態のようです。そして彼らの商船隊の能力は百三十万トン。日本の場合は二千四百万トン。そこで、私は次にお聞きしたいのは、こういうような貧弱な海軍力しか持たない中国が日本に侵略してくると真剣に考えていらっしゃいますか。その点はどうですか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、日中関係で、いま戦争が起ころうとは思っておりません。
○赤松委員 それでは、仮想敵国はない。ないけれども、まあまあ軍隊を置かなければさびしいから軍隊をつくるんだということぐらいのものですね、あなたのお考えは。わかりました。
 そこで、次にお尋ねしたいのは――この点は、私どものほうの委員諸君がさらにあとこの種の、平和と安全の問題については徹底的に追及します。私、もう時間がありませんから、この問題は、次のことを申し上げて終わりたいと思います。
 この種の議論はあまり国会でされていないわけです。ということは、もしどこかの国が日本を占領する、敵前上陸をして占領する、そういう場合に一体どれくらいのものが必要なのか。これは防衛庁の資料でありますけれども、その場合に、日本は輸入にたよっているわけですね。国内輸送の四二%を海上輸送にたよるわが国が、これは昭和四十三年度の数字ですが、平年度の輸入量を二億三千万トン必要とする。有事の際の必要最小限度をその四〇%とした場合一億トンの輸送が絶対に必要になる。一日当たりの石油類を十五万トン輸入しなければならないわけです。一日二万トン級タンカー八隻分が必要です。その他石油以外の物資は十二万トンで、一万トン級貨物船十二隻分がわれわれのぎりぎりの生活に必要な輸入量になるわけです。これを輸入するためには、三日ごとに船団を組んで、一船団六十隻でフィリピンあたりから日本との間を往復するとして、平均十二ノットの速力で片道六日かかる。したがって、四船団でローテーションを組むと、これだけですでに二百四十隻の船を常時動かさなければならぬ。これは整備、修理で通常三分の一は航行を休むから、三百三十隻の船を持たなければ、日本の国民の最低生活を保障することはできないわけです。したがって、いま私が明らかにしました中国の海軍力、商船隊では、日本を占領するとか日本を侵略するということは軍事的にも不可能です。中国もまた、そんなことは考えてはおりません。したがって、あなたは、何度聞いても、局地戦争に備えて、しかし仮想敵国はない、こういう答弁です。これは、国民はおそらく納得しないでしょう。
 そこで、私は特にこの際強調しておきたいのは、その場合、たとえば侵略して日本を占領したという場合、あるいは局地戦争が起きたという場合に、一番問題は石油の問題だと思うのです。いまおそらく日本の石油の備蓄量は十五日分くらいじゃないですか。通産大臣にあとで――答弁要りませんが、十五日分くらいあると思うのです。そうすると、例の財界から出ているマラッカ海峡防衛論ですね、あんなものはナンセンスです。あるいは中国沿岸沿いに石油を運ぶとすれば、潜水艦対策をやったって上から一発食らえば、それでしまいなんです。でありますから、そういう経済的な見地から考えましても、日本を占領するとか日本に対して攻撃を加えてくるとか、局地戦争が起きるとか、そういうことはあり得ない。だから社会党は中立平和外交というものを唱えておるのです。はるかに社会党のほうが現実的な政策を持っているということを明らかにして、次の問題に移ります。
 総理が先ほど触れられました大企業の価格協定の問題であります。この問題につきまして先ほど申し上げましたように、二月十九日の大蔵委員会で、大蔵大臣は、生産性の上がっている大企業の製品価格が下がらないところに物価上昇の一つの問題がある、そうおっしゃったのですか。
○福田国務大臣 私は、今後の物価問題は非常にむずかしい、物価問題のあるべき姿としては、低生産性部門、たとえば農業、こういうほうでは価格が上がる傾向を持つであろう、しかし大企業、合理化し得る企業においては価格が下がる傾向を持つであろう、そこで、そのバランスが大事なんだ、その総平均が安定するように持っていくことが必要なんだ、こういうことを申し上げたわけであります。
○赤松委員 わかりました。私は、物価対策として先ほど言いました構造上の問題もありますけれども、政府がしばしば指摘しておりますように、価格協定の問題、それによる管理価格、これが物価上昇の一つの原因、物価を安定させない一つの原因になっていると思う。この点は、おそらく佐藤総理と私ども社会党との意見は一致すると思います。問題は、どうしてそれを排除するかという問題になってくる。第二は、中小企業の労働生産性が低いんだ、その近代化をはかって労働生産性を高めていかなければならぬ、これも重要な物価対策の一つじゃないかと思いますが、大蔵大臣どうですか。
○福田国務大臣 確かにそう思います。つまり、賃金が今後上がる傾向は、これは免れません。ところが、大企業のほうはその賃金の上昇を吸収して、製品の価格を据え置くとか、あるいはむしろ低くするとか、そういうことが可能でございますが、生産性の低い中小企業のほうは、賃金の高いものをフルにそのサービス料金なり価格にかぶらなければならぬ、こういう傾向を持つ。そこで、どうしても中小企業また農村、そういう方面の生産性を向上する、これは物価対策の一つの大きなかなめでなければならぬ、かように考えております。
○赤松委員 総理も、施政演説において「政府は、経済成長を適切に保ちつつ競争条件を整備し、中小企業、流通部門の近代化をはじめとして、積極的な生産性向上対策を進めていく」、こういう演説をなすっていらっしゃいます。私もそのとおりだと思います。
 そこで、中小企業がいま当面する問題は何だという問題なんです。その労働生産性を向上させるのに障害となっておるものを明らかにしなければならぬわけです。その障害となっているのは、一つは金融、一つは労働力だと思います。
 そこで、時間がありませんからもうこまかいあれは申し上げませんけれども、通貨供給残高が前年に比べて三五%もふえた昭和三十七年の統計を見ると、全国銀行が貸し出した設備資金が一兆九千四百二十一億円、このうち大企業の多い製造業向けが九千七百八十一億円ですね。それから生産性向上をしなければならぬところの小売り、卸企業などはわずかに八百八十五億円、四・四%にすぎぬわけです。この傾向が今日までずっと続いているわけですね。その結果、これが労働生産性の格差にはっきりあらわれている。昭和四十年から昭和四十三年度までの労働生産性の上昇率をあげてみると、製造業が年率一七・四%、これに対して卸売り業が五・一%しか上がってない。小売り業は四・六%にとどまっている。その間、製造業は一三・六%の賃上げをやっているわけです。これは生産性を下回る賃上げだ。非常に利益をあげているわけだ。ところが、卸、小売り業はそれぞれ一三・二%の賃上げを行なっておる。そうすると、生産性を上回る賃上げをやらなければならぬ、またやっている。そうしなければ労働力が確保できないわけなんです。ですから、金融の面では恵まれてない、労働力の面ではこれまた大企業本位になっているということで、今日このまま放置すれば、中小企業というものは続々倒産すると私は思う。現に労働力不足のために倒産した中小企業はたくさんあります。
 これは総理、ぜひ聞いておいていただきたいと思うのだが、今日、中小企業の労働者募集のためのそれは、労働省職安行政によって非常にきつい規制を受けている。ところが、大企業の場合はもう現地に専従の募集人を置いて、そして大っぴらに職安法違反をやっているわけなんです。とても中小企業は太刀打ちできません。そこで私は、この募集行為についてはひとつハンディをつける。つまり、いまの募集は、今度はもう八月ごろから始めるというところまでいこうとしておるようですけれども、一月ぐらいから中小企業、それから三カ月か四カ月置いて大企業、これはなかなか行政指導ではそんなにできませんよ。第一、大企業は労働省なんか問題にしておりませんから、これはなかなかできないとは思うけれども、ひとつ強力な行政力でこういうふうにハンディキャップをつけて、そして中小企業の労働力確保のために保護的な行政をやる考えはないかどうか。
 さらに、金融については、本年度の国民金融公庫は二千三百六十四億円です。それから環境衛生金融公庫は五百七十億円ですね。これはどうですか、環衛金融公庫を一千億ぐらい、国民金融公庫を三千億ぐらいにする意思はないかどうか。あるいは総理にここで聞きたいことは、中野委員長もぜひ聞いておいてもらいたいんだが、与野党間で――これは予算の根幹を動かす問題ではありません。したがって、予算の大修正ではありません。ただ、いま言ったような環衛金融公庫については一千億円、国民金融公庫については三千億円、そういうことで与野党が一致をして修正をこの予算委員会でした場合には修正に応じますか、これはどうですか。総理どうです。
○福田国務大臣 全体として中小企業の金融はかなりやっておるんです。それで、中小企業金融の主力は何といっても市中の銀行その他の金融機関ですが、景気調整下の状態を見てみますと、十月から十二月の実績がはっきり出ていますが、これなんかはいわゆる銀行というのが前年同期に比べて二二%ふえる。ところが、中小企業を担当する信用金庫、これのごときは五四%ふえる、こういう状態であります。政府関係はそれに比べますれば規模の小さいものでありますが、これも御趣旨のような点を考えまして、大体前年に比べて一八%増というかなりの予算を組んでおるわけであります。環衛金融公庫を含めましてただいまここで御提案がせっかくありましたが、まずこれでやっていけるんだ、他のバランス上適正な額である、かように考えております。
○赤松委員 来年度はどうです。
○福田国務大臣 来年のことは、来年の時点において、とくと考えたいと存じます。
○赤松委員 総理にお尋ねしたいのですが、この間、成田委員長の本会議における質問に対して、予算修正権の問題に触れられました。私は、もう時間がありませんからこの問題に深くは触れませんが、いま具体的に私が提案しました中小企業の金融について、その資金量をふやす、そういう与野党間の意見が一致した場合には、この程度の予算修正には応じられますか、これはどうです。予算の根幹をゆり動かすものじゃないです。
○佐藤内閣総理大臣 もちろん、国会の予算修正権を否定するものじゃございません。しかし、ただいまも大蔵大臣が申しますように、適当な案分配置をしたと、かように申しておりますので、とくと検討したい、かように思います。
○赤松委員 とくと検討というお話では納得はできませんが、次に移りましょう。
 そこで私は、公共料金の問題、それから物価と減税の問題に言及したかったのでありますけれども、私に割り当てられました時間がだんだん迫ってまいりましたのでこれを省きまして、ただ一点、この際お聞きしておきたいことがある。これは福祉政策です。
 総理は施政演説の中で、「経済繁栄の恩恵にあずかることの少ない老人、母子家庭など恵まれない人々に対して、あたたかい充実した援助の手を差し伸べなければならない。この見地に立って、生活保護基準及び福祉年金の引き上げを行ないたい。」こういう演説をなすっていらっしゃる。そこで、本年度予算におきましては、老齢福祉年金、無拠出のものです。これは社会党が従来国会に提案し、またこれを促進してまいりましたが、ようやく二千円の額に達したわけです。
 御案内のように、私どもは児童手当の問題につきましては、昭和二十八年以来、国会で社会党はこれが実現のために努力してまいっております。さらに社会党は、この老齢福祉年金の問題につきましては、昭和三十三年四月の八日に国会にこれを提案しました。多賀谷真稔君、滝井君、それから私など加わりまして、これを立法して国会に出したわけです。その際に、政府も自民党の諸君も、掛け金なしの、つまり無拠出の年金というものは年金体系をくずすものだということで、強く反対されました。私どもは、拠出年金が相当長期にわたって拠出をしなければならぬ。したがって、その間のつなぎとして老齢福祉年金をつくるべきだということで、当時私どもはいろいろ議論をしまして月額二千円――もちろん所得制限をしましたが、月額二千円ということで国会に、いま申し上げたように昭和三十三年四月の八日に提出をしたわけであります。今日それがようやく実現いたしまして、本年度予算の中には社会党案が実現しました。何でも反対する社会党じゃありません。ちゃんとこのように建設的に、福祉の問題につき、ましてはこのようにやっておるわけです。
 そこで、お尋ねしたいのですが、いまの所得制限はあまりにもきびし過ぎる。それから月二千円ではいまの物価の水準と比較して少な過ぎる。これを社会党の主張のように所得制限をゆるめる、月五千円に引き上げる意思はないかどうか、これを聞いておきたいと思います。
○福田国務大臣 二千円を五千円にする、これはなかなか国費も相当かかる問題でありまして、容易なことじゃございませんけれども、今後ともこの種の問題はとくと検討してまいりたい、かように存じます。
○赤松委員 大蔵大臣からとくと検討して前向きの姿勢で善処をしたい、こういう答弁でありますから、来年度予算を大いに期待しておりますから、それまで大蔵大臣やっておってくださいよ。あるいはあなた総理大臣になるかもわからないけれども、なるべく大蔵大臣でおってもらいたい。
 そこで、これはひとつ総理にお尋ねしたいのですが、あなたのきらいな東京都の美濃部知事が、七十歳以上の老人の医療費を無料にしておりますね。これは対象人員が三百万人中に十一万人になっておりますけれども、これを全国に適用しましても、私はそうたいした予算は必要ないと思うのです。社会党はいままで、三歳以下の子供さん、六十五歳以上の老人に対しては、入院料、診察費、薬代、こういう医療費を無料にして、そうして政府でめんどうを見るべきだ、こういう政策をつくり、これを今日まで実現するために努力してまいりました。美濃部さんでできることが佐藤さんにできないわけはない。「私は榮ちゃんと呼ばれたい」と言う総理ならば、ぜひひとつ美濃部さんに上回る福祉政策をこの際やってもらいたいと思いますが、いかがですか。よく相談してください。
○佐藤内閣総理大臣 六十五歳といえば、もちろん私も入りますし、もう七十歳も近いのですから、私どももただいま言われるように、所得制限なしにその制度が受けられれば、たいへんけっこうなことですが、しかし、これはなかなかむずかしい問題があるようです。ただいま各種審議会等におきまして、いろいろ案を検討しておりますが、審議会の結論を得たからといって、それで直ちにできるわけでもありませんが、私は、そういうものがまず第一に行なわれなければならない。ことに幼児についてのお話がありました。三歳以下の幼児の医療費についてもお話がありましたが、特殊な心身障害児等については、これはただいまでもめんどうを見ておる、こういうことであります。これを全般に拡大をするということについては、なお研究の余地があるだろう、かように思います。
○赤松委員 検討していただけますか。
○佐藤内閣総理大臣 これは老人等と同じように、各種審議会の結論をまず出さなければならない問題だ、かように思います。
○赤松委員 各種審議会の答申を待ってとおっしゃいますけれども、これを各種審議会に諮問する意思はありませんか。諮問しなさいよ、思い切って。
○福田国務大臣 ただいま社会保障制度審議会で検討しております。
○赤松委員 それでは答申があったら、ぜひ検討してください。
 ただ私、総理に申し上げたいのは、あなたも六十五歳以上になりましたな。しかし、社会党の考えは、六十七歳になろうと、あなたが七十歳になろうと、あなたにはやる必要はないと言っておるのですよ。いいですか。所得制限を撤廃して、三井の社長にも三菱の社長にも、佐藤榮作先生にもやろうというのじゃないのです。あなたなんかには要りませんよ。あなた、鼻紙代にもならぬでしょう、その程度の金は。したがって、私どもは所得制限を撤廃しようというようなことを言っておるのではないのです。いいですか、これは誤解のないように。いまの所得制限がきびし過ぎるから、これをもう少し緩和したらどうか。しかし、いま大蔵大臣は、それはひとつ審議会の答申を待って前向きの姿勢で検討する、こうおっしゃっております。社会党は、何でも反対する党じゃないということは、いまや明らかになったでしょう。
 まだいろいろ質問がありますが、最後に憲法二十一条に関する問題につきまして、この際、政府の所信をお伺いしたいと思います。
 私が社会党を代表してこの問題を取り上げるのは、党利党略のためではありません。憲法二十一条は明治憲法になかったところの――つまり、明治憲法はこの種の問題につきましては、各法律にその保障をゆだねておりました。しかし、行政権はこれをじゅうりんしてまいったことは、幾つかの事件によって明瞭です。新憲法は二十一条によって、集会、出版、結社、表現の自由、言論の自由を保障しております。私は、この種の問題は、自民党であろうと社会党であろうと民社党であろうと、これは憲法二十一条を厳として守らなければならぬ義務があると思うのです。したがいまして、党利党略で一党一派を非難するという立場から、私はこの問題を提起しておるのではないということをまず明らかにしておきたいと思うのです。
 政府は、かつてTBSに対しまして、丸正事件の放送について検察当局から中止の申し入れをさせました。当時、私はTBSの報道局長からその報告を受けまして、直ちに法務委員会におきましてこの種の問題を取り上げました。しかし、残念ながらTBSは自主規制と称してその番組をおろしてしまったのです。また帝銀事件の平沢、これをある放送局がテープで取材をしたということを理由に、そのテープの返還を要求しました。幾つかの政府権力による弾圧事件があります。ぜひこの際、総理は、こういうことのないように厳にひとつ各省を戒め、各官僚諸君を戒めて、憲法二十一条を守っていただきたいと思います。
 そこで、最近公明党の諸君が憲法二十一条に反する言論妨害の行動をとったということから、ただいま世論が沸騰しておるわけであります。共産党は先般の本会議におきまして、この問題に米原君が触れました。しかし、総理は個人の名前を言うべきではないというところの答弁があっただけで、この憲法二十一条に関する政府の基本的な態度が明らかにされませんでした。はなはだ遺憾であります。私が以下申し上げる中には、自民党の幹部、最高幹部あるいは佐藤内閣の閣僚諸君の名前を指摘せざるを得ません。はなはだ遺憾でありますけれども、この事実を明らかにするためには、それに言及せざるを得ないのであります。
 まず最初に、憲法二十一条について総理はどのようにお考えであるか、これを明らかにしておいていただきたいと思うのであります。
○佐藤内閣総理大臣 憲法二十一条の基本的態度を述べなかったと言われますけれども、お聞き取りがいただけなかったとすればまことに残念ですが、速記にはっきり書いてございますから、私は、この基本的態度ははっきり申し上げております。この点誤解のないようにお願いしておきます。
○赤松委員 施政演説では、「基本的人権の尊重に力を尽くし、法秩序を厳正に維持することは、政府の当然の責務である。民主主義の擁護を唱えながら実質的にこれを軽視する風潮を厳に戒め、国民の期待にこたえる決意である。」こういうふうに総理は述べられております。私どもの考えと全く一致するわけであります。
 そこで、申し上げたいのは、ここに一冊の本があります。「これが創価学会だ」というものです。そうしてサブタイトルに「火に投げこまれたまぼろしの書遂に蘇る」としておる。これは非常に重大なんです。というのは、この初版の本は数万冊、日本大学の校庭で焼かれておるのです。ナチスに匹敵するような野蛮な犯罪的な行為が行なわれているのです。そして、はなはだ申し上げにくいけれども、この問題に福田大蔵大臣並びに賀屋興宣君が日大の古田会頭とともに参与をされておるということが、東京地方裁判所に出しました出版会社の答弁書の中にあるわけですね。私は、架空のことを言うのじゃありません。その答弁書の中にあるわけです。以下、これについて申し上げてみたいと思うのです。
 この本の同名の原著「これが創価学会だ」が出版前からベストセラーとしての膨大な予約をかかえたまま、読者の大きな期待をよそに、ひっそりと消えてしまってから二年余になる。その間、まぼろしの創価学会批判書としていろいろ取りざたされている。一体どうなっているのか、いつ出版するのか、早く出版してくれといった問い合わせや激励やらが山積している。しかし、一たびまぼろしと消えた「これが創価学会だ」という本は、よみがえるすべもなかった。創価学会、公明党は、考え得る可能な限りの干渉を「これが創価学会だ」の出版に全力投球で加え、ついに意思強固な「しなの出版」も折れざるを得なかった。古田日大会頭を介して、「これが創価学会だ」の印刷紙型ぐるみ、未製本分を含め、そのすべてを創価学会、公明党に引き渡し、「これが創価学会だ」の出版権を「しなの出版」は放棄してしまった。事態はそれほど逼迫していた。こうした客観情勢の中で私が、「これが創価学会だ」の出版権を他の出版社に設定することは不可能であった。よしんばそれが可能だったにせよ、結果的には再び消えていたはずだ。まぼろしはまぼろしとして、よみがえるすべはなかったのである。それほどまでに創価学会、公明党は「これが創価学会だ」の出版をきらっていた、ということで、あと事実があるのですが、時間がありませんから、これは省略いたします。
 そこで次に、毎日新聞の内藤国夫君でありますけれども、私は御本人に会いました。内藤君は各種の出版物の中でそのことを明らかにしていらっしゃいますけれども、非常に重大なことは、ある高校の教師は、宗教の問題についていろいろ生徒に教えております。たまたま創価学会に触れたということで、その校長が都庁に呼ばれ、都庁では二人の公明党の都会議員が立ち会って、その前で謝罪を強要されました。しかし、校長はそれを承知しなかった。しかし、しばしば圧力が加えられた。最後に校長はあやまりました。そして本人の教師――これは現職ですから名前は明らかにしません。その教師が今度は小尾教育長に呼ばれました。謝罪することがおまえの身のためだぞ、こういうことを説得された。それでも彼はがんとして応じなかった。ついに彼は転勤させられました、配置転換になったわけです。これは教育権に対する重大なる侵害です。許すことはできません。
 そこで、田中角榮君もこの問題に参与していらしゃる。私は藤原弘達君から直接聞きました。その内容を明らかにせよとおっしゃるならば、これから以下明らかにし、さらに私は、問題になっておったあのテープの写しもここに持っております。ですから、御紹介するにやぶさかではありません。さらに藤原弘達君と日新報道という出版社との合同メモにつきましても、全部ここに記録があります。必要ならばいつでもこれを明らかにします。
 そこで、私は委員長に要求したいのだが、これは憲法二十一条に関する重大な問題だ。総理も憲法二十一条は厳として守る、お互いに守ろうではないか、こういうことなんだ。だから藤原弘達君、内藤国夫君、さらに「しなの出版」の社長、代表者、この三人をぜひ本委員会に証人として喚問されんことを要求します。
○中野委員長 赤松君にお答えをいたしますが、いずれ後刻の理事会においてこれをおはかり申し上げて、お答えをいたします。
○福田国務大臣 いま私のことがちょっと出ましたからお答えします。私の幹事長時代のことかと思うのですが、いまのその本は、私は初めていまここで御紹介にあずかるような次第でありまして、直接にも間接にも関係いたしておりませんですから、よく御承知おき願います。
○赤松委員 本委員会散会後直ちに理事会を開いて、慎重に審議するということでありますから、はなはだ不満でありますけれども、ぜひ慎重審議、いい結論を出してください。ぜひ私の要求を認めてください。
 以上をもって終わります。
○中野委員長 これにて赤松君の質疑は終了いたしました。
 次に、北山愛郎君。
○北山委員 私は、社会党を代表して、主として内政問題を中心に若干の質疑をいたしたいと存じます。
 まず最初に、議会政治を守るという立場から質問を申し上げるのでありますが、すでに御承知のように、昨年社会党から、議会制民主主義を守るためにという積極的な提案をいたして、各党にその案を提示いたしておるわけでありますが、その中で、われわれとしては、単に国会の中で各党のやりとりをどうするかということだけではなくて、国会と国民の間をいかにして結ぶか、また政府と国会との関係をいかにして正しい姿にするか、いわゆる国会の権威を高めるにはどうしたらいいか、こういう問題にも触れておりますが、そういう角度から、私は、昨年の国会の召集並びに解散について疑義を持っておるわけであります。
 第一にお伺いしたいことは、昨年の十一月の二十九日に通常国会、いわゆる常会を召集した。召集の日は、十二月の二十七日に東京に召集するという詔書が出たわけであります。ところが、それから三日たって十二月の二日には国会を解散をしたわけであります。どうしてそういうことになるのか。政府としては十二月の二十七日に常会を開くという召集手続をしておきながら、それからすぐに、三日たってなぜ国会を解散しなければならぬのか、召集する対象をなくするような解散行為をしなければならなかったのか、私は非常に疑問に思っておるわけであります。それから同時に、そういたしますというと、同じ政府が、一方においては常会を召集し、続いて国会を解散したわけでございますから、したがって、召集行為そのものは、言うならば、事実上無効になったと考えるべきだと思うのであります。その結果として、本年の通常国会、常会はついに成立開会を見なかった、召集をされなかったと考えるべきであると思うのでありますが、その点について、その間の理由並びに法律的な根拠等を承りたいのであります。総理、いかがでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、早く国会を開くという御要望が、社会党からも出ておりました。ことにその理由が、私の誤解でなければ、私の理解したところでは、アメリカへ出かける前にどういう外交交渉をするか、早く国会を開いて説明しろ、こういうことであったと思います。私は、外交問題ですから、やはり政府が責任を持って処置する、どうも国会で公式に議論することが必ずしも外交を進めるゆえんでもないように思う、こういうように思って、なかなか開会の要求にも応じなかった。しかし、アメリカへ参りまして帰ってくると、これは一日も早くその結果を国民に知らしたい、かように考えることにもなったわけであります。したがいまして、先に召集をしたこと、これは私が出かける前にもうすでにただいまのような事態で、皆さん方もいろいろ心配しておられる、そこでどうしてもやはり早く国民に結果を知らすことが本筋ではないか、かように思っていたのであります。
 すぐ解散をしたからそれでけしからぬと、いまおしかりを受けても、これはどうもあのときの情勢では解散はやむを得ないように思っております。また解散後の国会、これは特別国会であるということは憲法できまっておりますから、その辺は手続上別に不都合はないんじゃないか、かように私は思っております。
○北山委員 総理は臨時国会のことを言っておられると思うのですが、臨時国会が十一月の二十九日から開かれた。これにも私は問題があると思うのですが、その十一月の二十九日、臨時国会が開かれておるときに、通常国会の召集の詔書が出たわけであります。それが十二月の二十七日に召集するという詔書が出た。そうしておいてその前に、いわゆる国会が召集される前に国会を解散したのでありますから、そこで、本年の常会は開催されない、召集されなかった、こういう結果になったと思うのでありますが、その点を確認しておきたいのであります。
○高辻政府委員 憲法解釈に関連する問題でございますので、私から御説明をさせていただきます。
 御指摘のように、憲法の規定によりますと、憲法五十二条に常会の召集のことが規定してございます。「毎年一回これを召集する。」それからまた御存じのように、憲法の規定には、天皇の国事行為として、解散のことがございます。もとよりこれは内閣の助言と承認によってでございますが、解散のことがございます。
 そこで、一つは常会の召集をしたこと、これはまあこの憲法の規定に従って常会があるという、このきわめて端的に事務的な観点から、開くことになっておる通常会を召集するような手続をしたわけでございます。ところが、いま御指摘のように、ただいまの憲法の規定に基づく解散行為ということがありましたために、その常会の召集行為は実際問題として昨年はなかったわけでございますが、これは憲法がこの五十二条で規定しておりますのは、召集が可能な場合の規定でございまして、解散をされた場合には、先ほども総理がお話し申し上げましたように、特別会を召集するということになっておりますので、昨年の常会は召集されないで、この会期の特別会が召集されたということに相なるわけでございます。
○北山委員 しかし、政府がこれは決定して、まあ天皇の国事行為としてやるわけでありますが、一方においては、常会の召集を十二月二十七日にやるんだ、こういう行為をしておきながら、三日たってすぐ解散をする、いわゆる召集する対象をなくしてしまう行為をしておるのでありますから、これはむしろその召集するという手続、その行為を撤回する、あるいは無効にするということに結果としてはなる。ですから、あらためて私は常会を召集すべきじゃないか、そういうことが可能だと考えるのであります。それでなければおかしいじゃないですか。それでないと、憲法第五十二条によって召集するということは、ただ召集手続をすればいいというのではなくて、現実に常会が毎年一回開かれる。成立し、開会されるということを私は意味すると思うのです。召集の詔書を出しました、それだから憲法五十二条に適合している、こういうことにはならないと思うのです。私は、憲法第五十二条というのは、現実に毎年一回は常会が開かれるのだ、こういう規定だと思うのです。旧憲法では、いわゆる召集する行為と、国会が成立するあるいに開会するということを分けて考えておったんですが、現在の憲法の召集は、現実にいわゆる十二月の二十七日なら二十七日に召集される、それがなかったのでありますから、結局常会がなかった。そこで、あらためて君集することができるわけです。これはすでに国会法の第二条の二に、総選挙後の特別会は、常会とあわせて召集することができると書いてある。そういう手続をすればいいのであって、こういう措置をしたために、現実に本年の常会はなかった。これは憲法第五十二条違反ではないか、どうですか。
○高辻政府委員 確かに憲法五十二条の常会を召集するというのは、召集詔書だけ出せばあとはどうでもいいというわけではむろんございませんでしょう。しかし、先ほど申し上げましたように、常会というのは年一回召集する。国会法の御引用もありましたが、これは十二月に召集するのを常例とするという規定がございます。通常、常会を召集することができる場合であれば、それは特別会と常会を召集して年一回の召集にこたえるということもありましょうが、解散という行為がそのことによって制限をされるかどうかという、逆にいえば、そういう問題になると思いますけれども、解散はやはり、先ほども申し上げましたとおりに、天皇の国事行為として、内閣の助言と承認による行為として行なわれるわけでございまして、それが行なわれれば、年一回の召集というものは当然できなくなる。これは憲法上そうなるということにならざるを得ないわけです。
 そこで、国会法の規定を御引用のことでございますが、むろん、十二月にもしも特別国会を召集することになりますような事態になれば、それは常会とあわせて召集するということもありましょうが、翌年にわたって――解散の時期に関連をして十二月中にこの特別会を召集することにならなかったわけでございますから、今回の特別会だけを召集したということになるわけでございます。それは会期の点からいいましても、常会であれば百五十日は確保しなければなりませんが、この会期の点も必ずしも百五十日にとらわれないようなお考えがあったように思いますが、それは常会を召集するということではなくて、やはり特別会を召集するというお考えに基づいてのことではなかったかと思いますが、これはよけいな推測かもしれません。理屈はいま申し上げたとおりでございます。
○北山委員 私が聞いておるのは、憲法第五十二条で毎年一回常会を召集するというのは、現実に召集しなければならぬ、こういう意味だと思うのです。召集手続をしておいて解散したならば、召集した人も解散した人も同じなんですから、召集行為をしておきながら三日たって解散するということは、もう召集を取り消したと同じことでありますから、総選挙後においてあらためて常会を召集すべきなんです。そのために国会法の第二条の二というのはあるのです。そうすれば、この特別国会が十二月の三十日に召集行為をされた、詔書が出たでしょう、あのときに、あわせて常会として召集したらよかったんじゃないですか。そのほうが合法的なんです。そうでないと、今度のは常会はなかったということになるのです。これは憲法第五十二条違反ですよ、どうですか。
○高辻政府委員 当時この常会の召集についての憲法の規定があるために、解散はできないのではないかというような議論がございました、現に。しかし、その点は十分に検討の上、解散がその規定によって制限を受けるというのはおかしい、やはり解散というものは国会の、衆議院の構成の基本に関することであるから、解散は、これはやることは妨げられない。解散をすれば、十二月中に国会を開くということができなくなりますから、そうなれば、そのときに常会が開かれるものであれば、御指摘のような特別会と常会をあわせて召集することもできますが、翌年にわたってのことでございますので、憲法の命ずるところに従い、特別会として召集をした。これは決して憲法に違反するということはあり得ないということだと思っております。
○北山委員 私は解散ができるとかできないとか言っているんじゃないですよ、現実に解散はしたんだから。したということは、自分で召集行為をしておきながら解散をしたんですから、取り消したと同じことですよ。そうして選挙後において常会を召集したらいいじゃないですか、特別会とあわせて。そのために国会法第二条の二があるのですから。ただ、その時期として、十二月中に召集することを常例とするというのですから、一月だってかまわないのですよ。わざわざ何も十一月の二十九日に常会の召集をするというのはおかしいのですよ、どだい。初めから腹の中では解散する気がまえでおりながら、わざわざその三日前に常会を召集するなんという行為が私は政治的に見ておかしいと思う。また、法律的に見ても、いま申し上げたとおり、憲法五十二条というのは、常会というのは毎年一回開くんだというたてまえ、これが五十二条なんだ。解散しようがしまいが――してからでもいいじゃないですか、開いたって。できるのですから。特別会と――特別会というのは常会とあわせて召集する。十二月の三十日に召集詔書を出したでしょう。そのときに、この国会は特別会であると同時に、常会であるということを書いて、そして召集すべきなんです。それが正しいやり方なんです。そうでないと、ことしは常会が開かれないことになって、憲法五十二条の違反になるんですよ。どうなんです。そのことを私は聞いているのです。解散できるとかできない、そんな議論じゃないのです。
○高辻政府委員 おっしゃる議論はよくわかります。十分にその点を検討したあげくのことで、ああいう措置を講じたわけでございますが、その理屈は、いま申し上げたとおりで、解散があれば、解散があった後の国会は特別会だ。それがもしもその年に、十二月中に常会を開くような時期に一緒になれば、それは別でございますが、解放が行なわれれば、これは当然特別会が召集されなければならない。この規定に従って今回の特別会を召集した。
 それから、前段の常会の召集詔書が出たが実際には行なわれなかった。そのことはどうなるのかというような関連でのお尋ねもございましたが、それは確かに常会が召集されなかった、されるに至るような事態ではなくなったという意味では、詔書の効力はなくなったということはむろんいえると思いますが、そのために詔書を出したからもうそれでいいのだと私は申し上げているわけではなくて、衆議院の構成の基本に関する解散というものがまず行なわれれば、その後は、憲法の五十二条だったと思いますが、あの規定はそのままには動かない、こういう考え方をとったわけでございます。これは十分に――いま御指摘の問題ではございますが、そのときにわれわれはむろん問題を十分に意識して検討の結果、いま申し上げた理由によって措置をしたわけでございます。
○北山委員 憲法論を長々とやっていると時間がたちますので、私は問題はあとに留保いたします。ということは、やはり毎年一回常会を開かれるということを前提にしておるという証拠は、たとえば財政法の三十六条なり四十条で、次の常会において国会に提出をする、いわゆる予備費の調書あるいは決算ですね、これを次の常会にと書いているのですから、当然毎年一回は常会は開かれるということを財政法は前提にしているのです。憲法五十二条もそうなんです。いまのお話しのとおりに、解散行為によって召集手続を無効にしたのですから、あらためて十二月の三十日に特別会を召集する行為をするときに、あわせて常会を召集すればよかったのです。それが国会法第二条の二に、そのためにそういう法律があるのです。私はその私の考えが正しいと思っておりますが、問題は、非常に議論をたくさんしなければならない問題ですから、私は問題を留保しまして、先へ進みたいと思うのであります。今度の予算を拝見しますと、毎年の予算委員会でも私感ずるのでありますが、非常に膨大な予算なんです。一般会計が七兆九千四百九十七億ですか、それ以外に四十三の特別会計がある。十四の政府関係機関あるいはその他にも財政投融資、こういうものを合わせますと、おそらく純計で、地方財政も入れますと、優に二十兆をこすんですね。特殊法人は百以上ある。こういうふうな膨大な予算に、ほとんど政府の説明なんというものは、こんな一冊のやつに出してある。
  〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
しかも、これを見ますと、特別会計が四十三あるうち、二十六についてしか説明書が書いてないんですよ。あとこれは説明が要らないというわけなんですか。それから特殊法人も三十一だけ書いてある。約百に達するもののうち三十一だけ、おもなるものだけ例示して書いてある。こんなことでいいかということなんです。そういうふうな簡単な説明で、しかも各省庁の支出明細書も、その予算の積算の基礎も書いてない。こういう不完全な資料で膨大な予算を審議するということは、私は、ほんとうは、毎年良心にとがめるのです。
 そこで、私は、社会党の提案として、予算制度の改革案なるものを、これも当委員会において前に出しております。たとえば、この予算委員会を一般の政治、外交あるいは防衛、経済の基本問題の委員会、いわゆる総合委員会と、純粋な予算プロパー、予算そのものをやる予算委員会に分けたらどうだ、そういうような提案もしておるわけであります。この点については、私はここでひとつ政府からも協力してもらわなければならぬと思うのです。これは国会だけの問題ではございません。
 そこで、総理にいまのこの予算委員会等のあり方、あるいは予算制度のあり方についての根本的な改革というものについて、政府もまた協力するかしないか、その意思をここで明らかにしてもらいたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 もちろん、国会できめられることだと思いますが、政府ももちろん関係なしではございませんので、いまおっしゃったことについてさらに十分掘り下げた検討をすべきだ、かように私思います。私は非常に迂遠なことを申すようですが、一番最初予算委員会で、もう一般のことについての期間を非常に費やされる、予算委員会というのは、予算を審議するところなのか、その他のことをやはりやるのか、ずいぶん最初疑問を持ったものです。ただいま言われるように、そういう事柄が全部予算に関係がありますから、外交その他全般にわたっての国政の審議が行なわれることも、これはただいまとしてはようやく私にもわかってきた。だが、やはり予算そのものについてもっとプロパーに検討すべきだろう、かように私は思います。したがいまして、適当な改正案があれば、私どももたいへんけっこうだと思いますので、具体的な案を国会においてひとつ考えていただければ、われわれも協力するにやぶさかでございません。
○北山委員 いまの問題は、実は申し上げたとおりで、一昨年でしたか、予算委員会にも出しまして、各委員にも配付をして、そして御検討願っておるわけであります。ですから、委員長においても、この問題を進めていただけるように、御協力を願いたいと思うのであります。
 そこで、私は、その予算そのものについてお伺いをするのですが、ことしの予算は、警戒中立型といって、いわゆる経済を持続的に成長させる、それから物価を安定させる、こういう趣意であるという御説明であります。ところが、予算の規模から見ますというと、昨年の場合に比べて、四十四年に比べて、伸び率が高いのですね。昨年の当初予算の規模は一五・八%、財政投融資が一四%、それから政府の財貸サービスの購入というものが一二・三%の伸びということであります。ことしは一般会計が一七・九%、財政投融資が一六・三%で、政府の財貨サービスも一四・八%と、すべてにわたって昨年の伸び率よりも高いのです。ところが、その結果としてことしの経済の見通しにおいては、昨年の実績を考えますと、いわゆる一八・五%の名目成長率だったですね。ことしの政府の見込みは、名目でもって一五・八%しか伸びない、こういうことなんです。ですから、財政規模は去年よりも伸び率を大きくしておきながら、経済の見通しについては、去年の実績は一向参考になさらぬで、それよりも渋い見方をしておる。私は、これは常識的に見て、ほかの要因もたくさんございましょうが、少なくとも財政に関する限りは、去年の実績を考えた場合に、矛盾しているのではないか。やはりことしの財政の、予算の伸び率からすれば、去年以上に経済の成長が、伸び率が高いのではないか、そう考えるのが常識ではないかと思うのですが、その点について大蔵大臣からお答えを願いたい。
○福田国務大臣 確かにお話しのような御感触があろうかと思うのです。各新聞の論評等も、どうも規模が大き過ぎるというふうに見ておるわけであります。しかし、私ども政府といたしましては、いまの景気情勢から見ますると、どうしても財政が刺激性を持ってはならないということを考えまして、財政の伸びがこうなったという裏には、地方交付税交付金ですね、これが財政の約二割を占めるのです。この二割を占める地方交付税、これが二五%もふえる、こういう激増ぶりであります。ですから、どうしても全体のワクを押し上げる。そこで一見すると、刺激的だというような印象を与えますから、ことさらに私どもはその内容におきまして注意を払いまして、法人税の引き上げをいたしますとか、公債の依存度並びに発行額を引き下げますとか、政府保証債の減額を行ないますとか、そういうふうにいたしまして、実行上におきましては刺激にならないようにつとめる、同時に、金融政策におきましても、九月から調整政策をとっております。この金融面における調整政策はかなりいま効力を発揮をいたしておる。財政と金融を通じておりまするときには、決してこれは日本の経済を乱すものではない、さように考えておりますが、なお、経済は刻々流動します。その流動する経済情勢に応じて、財政金融政策の運営、これも機動的に弾力的にやっていって万全を期す、かように考えておる次第でございます。
○北山委員 たぶんそういうお答えだろうと思っておったのですが、とにかくよく問題になる政府財貨サービスが、去年は一二・三%で、ことしは一四・八%ですから、やはり予算そのものが、交付税とかそういう問題を捨象して考えても、やはり去年よりは刺激型なんですね。その点は否定できないと思う。それを補うというか、これは非常に財政金融政策としては矛盾していると思うのですが、財政のほうは膨張型にしておいて、そして金融のほうで引き締めるというのは、おかしいのではないかと私は思うのです。
 ですから、これはあとで聞きますが、その前に、この三年間毎年補正予算が組まれておるわけですね。そうしますと、福田大蔵大臣が始めました総合予算主義なるものは放棄された、ことしはあまり言っておらぬようですが、放棄された、こう考えてよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 総合予算主義は、これは放棄しておりませんです。これは、予算におきましては、なるべくこの補正要因をなくす、こういうことを旨として編成する。その時点におきましては補正の必要がない、こういう予算でありまして、ことしも、四十五年度の予算におきまして、この時点におきましては補正の必要なし、こういうふうに考えて、しかも、予備費を四十四年度よりは二百億円も増額をいたしまして千官億円とする、総合予算方針のたてまえをとっておるわけなんです。ところが、経済がたいへんな勢いで流動します。そういうような関係で、四十四年度もずいぶん努力はいたしましたけれども、補正をお願いしなければならぬ、こういうことになっておるわけでございまするけれども、旗は絶対におろすというようなことはいたしませんですから、御了承願います。
○北山委員 そういう意味であれば、わざわざ総合予算主義といわなくても、現在の予算制度がそうなんですよ。当初予算にできるだけ見込めるものは全部見込む、なるべく補正をしないで済むようにするというのは、いまの財政制度ですね。わざわざ総合予算主義というほどのことはない。少なくとも補正は絶対やりたくないと思っておったところが、現実はそれに反して、やはり補正はせざるを得なかった。私は、いつかこの予算委員会でも言ったんですが、いまのように経済が変動するときに、年度当初で予算をくぎづけにするなんということはナンセンスですよ。イヌのしっぽを持って頭の向きを変えさせるようなものだ、こう言ったのですが、そのとおりになりました。
 これはそれでいいのですが、そこで金融引き締めなんです。金融引き締めによって景気を抑制するという方法については、いろいろ問題が新しく出てきたんじゃないかと思うのです。去年の九月から金融の引き締めをやっておりますが、必ずしもその効果は出ておりません。最近になってから――選挙か済んだから金融を引き締めたのじゃないかと私は思うんですけれども、最近になってから、企業のほうも金繰りが苦しくなったようでありますが、とにかくいまの状態の中で金融を引き締めますというと、あるいは金利を引き上げますというと、輸出が伸びて貿易の黒字がふえてくる、こういうことが起こってくるんじゃないか。そこからまた貿易の面から金融がゆるんでくるということにもなり、あるいは金利を上げることによって外資がまた入ってくるということにもなり、そこでいろいろと副作用が出てくるんじゃないか。こういう点については、先ほど今澄氏のほうから、円切り上げの話がありましたが、まあ切り上げの方向に進んでいくのじゃないか、こういうふうに考えるのですが、その点はどういうふうに判断しておられますか。
○福田国務大臣 金融調整政策は九月の初めからとっておるわけですが、とってから金融面ではかなり顕著な傾向が出ておるわけです。ただ、実態の経済面、つまり金融引き締め政策のねらいの大きな問題点は、これはどうも企業の設備投資の勢いが高過ぎる。とにかく年率二五%ぐらいの勢いで企業の設備投資が増加していく、こういうような状態です。これを放置しておきますとたいへんなことになる。日本経済をほんとうに崩壊させるような事態までもいくんじゃあるまいか。そこで金融の引き締めということになったんですが、まあ、だんだんと企業のほうでも苦しくなってきておる。私は、現段階とすると、企業側で自発的に、あるいは二五%もふえようとする設備投資を幾らか繰り延べを考えるとか、あるいは設備投資計画に変更を加えるとか、そういう自主的な勢いが出てくるということになってくると、これは非常に理想的な形で今後の経済が運営されていくんじゃないかというふうに考えておりますが、引き締め政策でありますから、あるいは企業間信用の問題でありますとか、あるいは中小企業に対する影響でありますとか、いろいろ副作用が出てくるんです。その副作用については気をつけなければならぬと思っておりますけれども、金融引き締め政策のねらいとするところはだんだんと動きつつある、かようにいま現段階としては見ておるのであります。
○北山委員 そうすると、金融引き締めのねらいは何かということなんですね。以前であれば、国際収支が赤字になるから、国際収支の赤字を改善しようと、こういう意味があったわけですが、現在ではそれがないわけですね。物価を押えようとするのであるか、あるいは過度に生産が伸びることを押えようとするのであるか、どうもその辺が、ねらいがはっきりしないということと、もう一つは、いまお話があったように、実体経済のほうには引き締めの効果が出てこないうちに、企業間信用がふえたり、中小企業のほうにしわが寄っていく、下請に対する支払いが遅れるというようなことでしわ寄せがひどくなってくるんじゃないかと、私は、その点を懸念するわけであります。特に、これは現象的には非常に異常なことが起こっておることは、おそらく大蔵大臣も御承知だと思うのですが、都市銀行が例によってコールマネーをコール市場から大量に借りておるわけです。昨年の十一月のしか私は統計を持っておりませんが、一兆四千五百億というのを、コールの金を借りておる。この大半は九分以上の高い金利の金を借りておる。そしておいて貸し出しは、おそらく七分五厘かその辺でしょうが、安い金利で企業に金を貸してある。そういう現象があらわれておるのです。九分でもって金を集めて、借りて、そしてそのように安い金利で貸してくれるのだから、これこそ社会保障みたいなものですね。こういうことを、みんなどの銀行もやってくれればたいへん助かるわけなんですけれども、この異常なことが行なわれておるということ。いわゆる九分の金でもって地方銀行やら相互銀行、信用金庫、いわゆる中小企業や農協の金を集めて、そして都市の大銀行が自分の関係の大会社に金をくめんしてやっておる。一体銀行というものは、こういうやり方でいいものでしょうか。高い金利の金を集めて、安い利子でもって貸してやるというようなことを、一体銀行というのはやっていいものですか。
○福田国務大臣 本来銀行は、高い利息で金を集めて、そして安い金で貸しておったら、これは銀行が成り立ちませんから、そんなことをするはずがないのでありますが、ときにつなぎといたしまして、コールなんかでそういう現象が起こることはあろうかと思うのです。今回の金融調整、これは都市銀行に対して直撃的に、集中的に響いておる。それがまた大企業に、したがって関連して響いていくわけです。ですから、大企業に連なる中小企業、これには関係がわりあいに深いわけでございますが、そういう関連のない中小企業にはそう直接的な影響がまだない、こういうような段階になっておるのですが、いずれにいたしましても、都市銀行、それから大企業のほうの金は、非常に詰まってきたという認識は持っております。
○北山委員 金融引き締めが、そういう現象を起こしているわけですね。しかも一兆四千億以上というような膨大な金を地方の中小金融機関のほうからかき集めて、関係大会社に金をくめんしてやっておるという姿であります。したがって、非常に古典的な銀行に対する考え、いわゆる預金者のために金を運転してやるという銀行本来の昔の考えからすれば、こういうやり方は背任的行為ですよ。ところが、いまの都市銀行というのは、もう大企業と結びついて、何が何でもその資金を調達するという機関になってしまっておる。そういう機能からして、大企業と組んだ都市銀行が、いま言ったような高利の金まで借りてやっておる。しかも、そのしりぬぐいを日銀の貸し出しなり何なりでやっておる。日銀貸し出しも一兆数千億ですね。これは六分二厘五毛というような安い金利の金でプールして、そうして大企業の金融のめんどうを見てやっておるというのが、現在の日本の経済の中心じゃないでしょうか。そういうところに私は大きな問題があると思う。しかも、その大銀行の株主は事業会社であり、事業会社の株は金融機関が持っておる。お互いに株を持ち合って、そして銀行というものは、その大企業のために存在する、金のくめんをする機関だ、こういうのが日本の経済の中心、金融の中心のからくりである限りは、私は、その点にメスを入れなければ、いまのいわゆるインフレといいますか、ほんとうの正しい財政金融政策というものは、これはできないし、そこから出てくる物価高というものを押えることはできないのじゃないかと思うのです。金融引き締め――そういう機構をそのままにしておいて、金融引き締めをすれば、都市銀行は、いま申したとおりに地方からどんどん金を集めて――私のほうの銀行なんかは、もう百何十億もコールに金を出しておる。地方のなけなしの金がみんな中央に流れてきておるのです。農林中金とかあるいは農協関係の金もたくさん流れておるのです。そうすれば、金融引き締めをすればするほど、一番被害をこうむるのは中小企業であり、そういう零細な弱いものに及んでいくというからくり、機構になっておるのじゃないか。その辺はどのように思いますか。どだいこのままでいいのですか。
○福田国務大臣 これは実況を御説明しておきますが、昨年は全国銀行が非常に膨大な貸し出しをしたわけです。上半期におきまして、実に前年同期の六八・一%という増加ぶりであります。これに対しまして相互銀行はどうだというと一七三%増、それから信用金庫はどうかというと八〇二%の増加、たいへんな貸し出しをしたわけです。ことに相互銀行、信用金庫、これは中小企業なんです。そこでこの事態を何とかして改めなければいかぬ。これは、いま目標がはっきりしない、こういう話でありまするが、これは総需要を抑制する、特に設備投資の抑制をする、こういうことでございますが、調整政策を始めましたのが九月でございますが、十月−十二月、この三カ月をとってみますと、銀行は前年同期に対して二二%の増加、これに対して相互銀行は三二・六%、信用金庫は五三・九%、依然として中小企業のほうは、締まってはおりまするけれども、かなり弾力的に行なわれておるというのでございまして、この調整政策が中小企業にしわ寄せされておる、こういう傾向は見られないのであります。
○北山委員 しかし、私が示した事実、これはすでにはっきりといろいろな統計、日銀その他の数字に出てきているのですよ。
 この引き締め以来――引き締め前から、御承知のように、都市銀行においては、大企業に大量に金を貸す、貸した金をすぐ預金の形にしておく。あと、この金の運転上足りない分は高利の金を吸収してくるというかっこうに現実になっておるのですよ。こういう大企業と都市銀行との結びつきというものをそのままほったらかしておいて、銀行としては変則な運用のやり方をそのまま見のがしておいて、そして金融引き締めをやってもだめではないか。そういうところに、やはり金融引き締めのねらう総需要の抑制も実効がさっぱりあがっていない、こういうかっこうになっているのじゃないかと思うのです。
 そこで、いろいろそれに関連をして問題がありますが、結局そのあと最後のめんどうを日銀が見て、日銀が貸し出しをしているわけですね。そうすれば現金通貨が増発してくる。ですから、昨年はGNP、国民総生産を上回る通貨量がふえてくる。二〇%もふえるということが問題になっているわけでしょう。しかも、そのお札を刷る輪転機を持っているのは大蔵省印刷局で、それで、私、予算書を見ますと、一万円券が四十五年の計画では二兆五千三百億円発行するわけですね。印刷をするわけだ。これが一枚が十二円六十八銭でできる。五千円券が三千九百億円。これが一枚十一円八十六銭でできるのです。じゃんじゃんこういう安い値段で、一万円札を十二円やそこらで印刷をして、そしていま言ったようなからくりで銀行が貸出しをする、信用増発をする。そのあとのしりぬぐいに大蔵省の印刷局がじゃんじゃん機械を運転して銀行券をどんどん増発をする。これでは私は物価が押えられないと思うのですよ。いまのような引き締めは穴があいている引き締めだ。そういういまの経済、金融の中心の機構というものをやはり正常な形に規制をするということでなければ、銀行がかってにどんどん貸し出したものを、あとのしりぬぐいをやって、そして必要なお札を今度は大蔵省のほうが印刷をして出してやるというようなかっこうでは、これはだめだということなんです。
  〔細田委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、私は提案をしたいのでありますが、このような、財政のほうでは景気刺激型の膨張予算を組み、金融のほうでは引き締めをする。しかも、金融の機構はそんなふうな、言うならばごまかしみたいな機構ですよ。そういう機構でやっておる。そういう姿をやめて、やはり税制面での景気調整策をとる。これは二、三年前ですね。現在でもあるはずですが、税制面の景気調整税制というものがあるわけです。それがさっぱり発動しておらぬ。もう一つは、不要不急の事業あるいは不動産投資であるとか、そういう直接にその面に金が流れていくものを、投機を押えていくというような政策のほうがいいのではないか。いわゆる投資規制、計画的な投資というものをやらなければ、従来のような一般的な金融引き締めでは、穴があいておる上に、中小企業、弱いものがそのしわ寄せを受けるだけだ、私どもはそのように考えるのですが、そういうことを検討するお考えはないのかどうか、この点をお伺いしておきます。
○福田国務大臣 税制で景気調整をする、これはいろいろ構想を言う人もありますけれども、なかなか機動的に動きません。たとえば償却年限の短縮というようなことをやってみたらどうかというような説もありますが、やはり法人税の問題が一番効果があるだろう、こういうふうに考えまして、今回法人税の増税をいたす、こういうことにいたしたわけなんです。これは景気調整的な意味が最も大きな目標になっておる、こういうふうに御理解願いたいのです。
 それからさらに――もう一つは何でしたかな。
○北山委員 土地の不動産投資とかそういう……。
○福田国務大臣 土地の投資方面ですね。これもずいぶん気をつけているのです。全国銀行協会を通じまして、全国の銀行に対しまして、投機的な意味の不動産投資は抑制するようにということをお願いをしておるのですが、これを昔のような甲乙丙丁というような基準まで設けてやることは、またしりが抜けまして、なかなか困難です。これはやはり金融機関の自制にまつほかはない、かように考えております。かなり私どもの考えに御協力は願っておるのですが、まだこれが完全に私どもの考えておるようには徹底はいたしておらぬというのが現状でございます。なお、そういう面は徹底をはかりたいと考えております。
○北山委員 土地の問題については、実は前の国会で福田さんと大蔵委員会で相当やり合ったのですが、要するに、去年の四十四年度の土地税制というのは、農家なんかの長期保有しておる人の土地を売りやすくする、いわゆる分離課税にして安くしてやる。個人の思惑による土地の購入というものを押えたわけですね。法人は野放しなんです。そのときに私は大蔵大臣に、法人が野放しでは、どんどん一番資金力のある法人が、不動産会社はもちろんのことですが、そうでない会社もみんな子会社をつくったりして不動産投資に向かっていくだろう。いわゆる土地を法人に持っていくのが四十四年の土地税制じゃないかといって議論したのですが、はたしてそのとおりになったじゃないですか。あの土地税制が出てから、去年法人がどんどん不動産投資にさらに活発に乗り出して、そうしてその辺に金が非常に流れているし、それ、が半年間に一〇%も地価をつり上げた大きな要因だと思うのです。こういう点で、おとといわが党の江田委員から提案がありましたように、土地増価税の問題があると思うのですが、具体的に言うならば、これは社会党の案としてまだまとまっておるわけではございませんけれども、たとえば法人が持っておる土地も帳簿面では非常に安く評価されておる。今度、ことしの一月一日現在で土地の再評価が行なわれるわけでありますから、その際にその評価額によって再評価税を取ったらどうか。個人についても、大きな地主は、それに準じた今度の固定資産の再評価の際に一時的な再評価税を取るべきではないのか。そしてその財源をもって、社会開発なりいろいろな社会資本の増強のためにその原資として使うべきではないのか。それがやはり社会の公平というものを多少でも実現する道ではないのか。こういうふうに私自身は考えておるのですが、こういう点を進めるお考えがあるのかないのか。こういうやり方は、先ほど申し上げたような大企業なり、企業に対して、土地を担保にしてどんどん金を借りる、それが景気を刺激するというような、そういういわゆる地価インフレを押える道でもあると私は思うのであります。あるいはまたその企業のいわゆる資本構成というものを改善する道でもあると思うのであります。いろいろな意味があると思いますので、この点ひとつ検討していただきたい、こう思うのですが、大蔵大臣はどのようにお考えですか。
○福田国務大臣 土地の課税の問題はなかなか複雑かつ困難な問題でありますが、特にいま北山さんが頭にあられるのは、これは空閑地税的な問題かと思うのです。これをいろいろ考えてみるのでありますが、さてその空閑地とは一体どういうものかということですね。これも非常に規定することがむずかしい問題です。そこで、私のただいまの見解といたしましては、固定資産税の評価がえをするという年に当たっておるわけであります。この固定資産税の評価がえにあたって、固定資産税をどういうふうな扱いにするか、これが一つの大きな問題になってくるであろう、こういうふうに思いますが、さてこの固定資産税を強化するといいましても、またこれがかなり大きい抵抗のある問題でございます。ことに農地のごときは、この前も据え置きでございましたが、これをどうするかというようなことにつきましても、これは非常にむずかしい問題があることは御想像ができると思います。まして、評価がえをいたしますその評価がえのときに評価増税を徴収するということになると、これまたその負担能力の問題だとか、そういうことをめぐってかなり国民との間に抵抗のある問題ではあるまいか。ちょっといまのこの段階とすると、これを実現することはなかなか困難な問題ではあるまいか。そんな感じがいまいたしております。
○北山委員 私は、いわゆる固定資産を評価がえをして、固定資産税を高くすることによって、いわゆる保有税を高くして手放させるという行き方は、ある地域においては効果があるかもしれませんが、多くの地域においては、それが地代や家賃にはね返ったり、別なものに転嫁されるという意味で、空閑地税というのではなくて、法人が持っておる土地についても、帳簿面が非常に安い評価がされておる、それを再評価をして、そしてその利益の一部を税金として財産税的に取ろう、こういう意味でありますから、そういう意味でひとつ御検討願いたいと思うのであります。
 そこで、いろいろ問題がありますが、佐藤内閣になりましてからの経済の発展ぶりにつきましては、大蔵大臣の財政演説等におきましても、たいへんみごとな成長を遂げたのだというようなことで、大いに自慢されておったわけであります。そこで、この佐藤内閣になってからどういう現象が起きているかということを私ちょっと調べてみたのですが、一つは、国民所得計算の中で、なるほど経済は大きく成長をしましたけれども、個人消費の割合というものが相対的に下がっているということなのであります。それから雇用者所得の割合も下がっているのです。労働者の数というのは、御承知のとおりに、四十年からいままで三百五十万ぐらいふえているわけですね。十数%ふえているのです。労働者の数がふえたにかかわらず、国民所得の中で労働者の取り分というものは相対的に下がっておる、こういう現象が出ておりますが、これは経済の発展というもののありがたみというものが必ずしも一般庶民、ことに労働者に及んでいないということを、これは政府の統計でありますから、それが示していると思うのでありますが、この点について企画庁長官から御説明を願いたいのであります。
○佐藤(一)国務大臣 ただいま北山さんからお話がございましたが、確かに日本の経済成長が予想以上の非常に高率な伸びを示しております。御存じのように、大体雇用者所得の伸びとGNPの伸びは、景気の非常に上昇期においては、むしろどっちかといいますと、GNPの伸びのほうがやや上回る傾向がございます。景気の下向期にあたってはその逆の現象が強いのでございますが、そういうことで、GNPの全体の伸びに対しまして雇用者所得の伸びが追いつくというのがやっとぐらいのところでございます。いまお話しのように、パラレルかもしくはやや伸びが少ない、その間に大きな差があるわけではございません。しかし、御指摘のような事実は確かにございます。これは御存じのように、消費者の割合が減るといういまの御指摘は、一方におきまして、民間の設備投資あるいは輸出需要、そうした国民総生産を構成しますところの他の需要の伸びが相対的に高い関係にございます。そういうことで、全体の成長率があまり伸びが行き過ぎますとどうしてもそうした感じが出てまいりますから、私たちとしましても何とかここいらでもって伸びを安定させてまいりたい、これが明年度に対する私たちの気持ちでございますし、またただいま御存じの新経済社会発展計画におきまして私たちが考えている方向でございます。
○北山委員 いまの傾向を数字的に申しますと、これは佐藤内閣になる前はだんだんに上がってくるようなかっこうだったのですが、とたんに四十年ごろから下がり始めておるのですね。一九六五年には五五・八%、これは個人消費の割合です。それが六九年、昨年は五一%まで下がっておるのです。これを外国に比べますと、御承知のとおり、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、みんな六〇%以上なんですね。ですから本来低かった。その低いものが、経済成長、経済成長といいますか、国民は成長のありがたみを十分受けていないで、むしろその割合が減っておるということなんです。それはまた、雇用者所得についても、いま言ったように、数の上では一九六五年に二千八百十九万という労働者、これがいま三千百六十四万、ですから、労働者の数は佐藤内閣になってからでも三百五十万人もふえておるのですよ。数がふえたにかかわらず、ですから数の割合からすれば就業人口の中の六二%以上を占めておるにかかわらず、所得のほうの分配については、六五年の五六・六%からだんだんに下がってきて、昨年は五四%、これはちょっと前の計算ですから、前の所得計算、前の方式ですから、多少数字は違うかもしれませんが、傾向としては同じなんです。雇用者所得についても、アメリカなんかは七〇、イギリスも七〇以上ですね。そういうふうに、何かしら経済成長というものが、一方においては、労働者なり個人のために潤っていないということですね。それは絶対額においては潤っているのですよ。しかし、国民の中での分配の割合からすれば、労働者には、やはり分配が少ない。佐藤内閣になってから、そうなっている。そうなんです。
 それからもう一つは、法人税は非常に下がっているということなんです。これは大蔵省の統計表で見ますと、国民所得計算、国民経済計算ベースで見るというと、法人税、地方税も入れまして、法人の税負担というのは、三十九年には四二・二%であったものが、四十四年はまさに三三・四%になっておる。ですから、もしも三十九年の税率で昨年の法人所得にかけてまいりますというと、五千五百七十億円もよけい取れるのです、法人税が。ですから、税率その他が下がってきましたから、そこで五千億以上も減税をした、減税になっておるというかっこうになる。この事実、これはまあ税務署のほうの税務計算ベースでも三千七、八百億安くなっている。三十九年、いわゆる佐藤内閣ができる前から比べますと。法人、会社は、これはほくほくですね。ありがたいわけだ。したがって、政治献金もふえていくというわけなんですね。ですから、今度法人税を六百二十九億ですか、上げたというけれども、いままで大量の減税をしておったものの一部を取り返したくらいの程度であって、これは法人に対するいまのもうけですね、こういうものに対して当然の、適正な税金に戻ったということはいえないのではないか、こういうことがあるから、いろいろな統計を見ても、税負担はどんどん下がっていく。法人の内部留保がふえていわゆるもうけがふえてくる。きょうの新聞を見ても、九期増益ですね、日経を見ますというと。こういうふうに、法人はほくほくだ、非常に潤ったというのが、佐藤内閣になってから顕著に出てきた、こういうふうに思うのですが、その私の見解に、どこか誤りがあるでしょうか。ひとつ大蔵大臣でも総理大臣でもいいですが…。
○福田国務大臣 法人の利益がふえつつあることは事実なんでありますが、それにもかかわらず、法人のほうは出費も非常に多いのでありまして、つまり、こういう競争の激しい世界情勢裏に立ち向かわなければならない、そういうようなことから、近代化投資、また省力投資、あるいは設備拡大投資、こういうものが非常にいま必要であります。そういうようなことから、自己資本比率というものは、その利益率と逆比例をして、だんだん、だんだんと下がってきておる。非常にこれは残念なことなんですが、そういう状態でありまして、そういうことを総合的に考えますと、法人の税が必ずしも安くなった、こう断ずることは私はできない、かように考えます。
○北山委員 法人の使う金もふえたから、税金が少なくなったからといって楽じゃない、こう言うのですが、税金が少なくなったから、どんどん余裕があって、そっちのほうにも回ったんじゃないですか。交際費だってどんどんふえていくし、政治献金もふえていくし、とにかく法人税あるいは地方税の法人負担というものは、もう顕著に佐藤内閣になってから下がった。これはもう顕著な現象だと思うのですね。ですから、いまの、経費がよけい要るということは、個人のほうがよけい要りますよ、物価が上がっているのですから。しかも、自己資本比率といいますけれども、もうかればもうかるほど、金を借りて、しかも大銀行は、先ほど申し上げたように、自分の関係の会社であれば、あらゆるくめんをしても、いわゆる高い金利の金をかき集めても調達してくれるのですから、したがって、自己資本比率が下がるのはあたりまえですよ。そういうふうなことでとにかく法人は恵まれた。特に大法人は恵まれたということなんです。
 それからもう一つは物価なんです。物価は池田内閣の当時も上がりましたけれども、佐藤内閣になっても、その上がり方は、むしろピッチが速くなっているような感じであります。しかも、公共料金の値上げについては、池田内閣当時はなるべく抑制するということに相当努力したのじゃないかと思われる。しかし佐藤内閣になると、たとえば国鉄の運賃にしても三回上げているでしょう。たしか池田さんのときには一回くらいしか上げていなかった。消費者米価にしてもしかりです。消費者米価は池田内閣の当時は三十七年に一二・四%、一回しか上げていないですね。ですから、米は、消費者は減らなかった。むしろ米は足りなかった。ところが佐藤さんになってから、四十年、四十一年は正月の元日から消費者米価を大幅に上げて、四十二年、四十三年と四年連続五十数%上げたのです。四年間に消費者米価を五割以上も上げたのですから、これは米の消費に影響してきますよ。事実そのころから米の消費はがた落ちに減ってきたのです。これはもう農林省の統計が示していますよ。三十九年ころまでは一年一人当たりの毎日の消費量は三百二十グラム前後で、大体横ばいであったものが、佐藤内閣になってから、米の消費量が減ってきた。ほかの要因もあるでしょう。もちろん、ぼくは否定しませんよ。しかし、少なくとも四年間に五割も消費者米価を上げたのですから。生産者米価は三七%しか上がっていないのです。生産者米価を上げるよりも二〇%もよけい消費者米価を上げたのですから、私はやはり米を余らした原因の一端をつくったのは、佐藤内閣の消費者米価引き上げの政策であった、かようにいわざるを得ないわけであります。そのように、公共料金についても、米価についても、これを抑制するということにほんとうに真剣にならなかった、こういう点は一体どういうふうに考えるのか。
 もう一つは、まとめて申し上げますが、昨年の八月ですか、物価安定政策会議において、総理は、このような経済成長のもとでは毎年五%くらいな消費者物価の値上がりはやむを得ないじゃないか、こういうことを言われたそうでありますが、その点についてあわせてお伺いをいたします。
○佐藤内閣総理大臣 経済全体についての長い展望、ことに北山君の御意見も交えての御発言であります。
 私が申し上げるまでもなく、とにかく景気を一方で上昇さしつつ、そうして物価を押えようという、これはいわれておるように、必ずしも矛盾するというか、二律背反の原則のものじゃないかと思うておる。しかし、それが必要なんですね。とにかく景気を続けていくことは、これは必要だ。その意味において、物価がある程度上がることはしんぼうしてもらいたい。しかし物価が非常に極端な上がり方をしては、これは困りますから、そこで調整をとれ、こういうことだと思います。
 私は、完全就労の状態になりつつあるし、また中小企業等はなかなか働く人を求めることが困難だ。これは賃金の平準化が行なわれているから、生産性が低くても、そこで上げざるを得ない、こういう状態だと思います。また農業者にいたしましても、米づくりにしても、やはり工場労働の場合と同じように、やはり賃金の、所得の均衡がとれなければならない。ここで生産者米価を上げざるを得ない。生産者米価を上げる限りにおいては、消費者米価も上がらざるを得ない。それは政府が無理をして生産者米価を上げて、消費者米価を据え置けという、そういうことにはなかなかなれない。だから、ここらから、いま言われるような点が、はたして経済成長のもとにおいて適当な物価の変動なのかどうなのか、こういうところの批判は、これは私どもも甘んじて受けるつもりでございます
 そこで、私どもがいままで言っておりますのは、経済成長はとにかく、好景気は続けたい。その意味で息の長い経済成長、それにふさわしい態度でこれと取り組もう。先ほど予算規模等についても、またその運営についても、予算、財政と金融と合わして、そうして適正に運用していくという大蔵大臣からの説明がありました。ひとり大企業ばかりじゃない、中小企業に対しても同じような考え方でございます。先ほど言われたように、どうも消費が伸びない、こういうような点について、これはいろいろの見方があるだろうと思います。また私どもの財政的な予算にしても、いわゆる立ちおくれておる社会資本の投資、これはどうしても積極的にならざるを得ないのですから、そうしてそういう社会的な資本の投資が、これは必ずしも大企業だけに利益するものだとは思いません。国民全体にやはり役立つものだと思います。またしばしばいわれておりますように、わが国の国民の消費性向というもの、そういうものに節度を守っておる、これはたいへん日本国民のいい美質だ、かようにもいわれております。私はいろいろ物価の問題と取り組んでおりますから気をつけておるのでありますが、生産性の上がっておるものは、先ほどもしかられたのですが、家庭用電機製品などは安くなっているじゃないかと言ったら、テレビは安くなっておらぬとか言われましたが、それだけじゃありません。また、今日のように自動車が普及しておることも、自動車が安くなっている結果じゃないでしょうか。私はそれらのことを考えると、工業製品についてはそう物価、物価というほどのことはないんじゃないかと思う。いま消費者物価として最も大きなパーセンテージを占めるものは、何といっても野菜や生鮮食料品あるいはサービス料金だとか、こういうようなところにこの問題があるようでございます。中小企業の製品ももちろんこの物価に関係がある。これは中小企業のほうはこれからまだいろいろお尋ねもあるだろうと思いますが、生産性を上げていく、そういう処置をとることによってその中小企業製品を安くするように努力しなきゃならぬと思います。私は、物価のうちで何が一番影響しているのか、ただいま申し上げるように、大企業のほうの管理価格、そういうものが、あるいは業界で約束した料金というようなものが守られておれば、それこそ独禁法を厳正に扱っていってこれを打破していくつもりでありますし、十分取り締まるつもりであります。そうして、ただいま申し上げるような問題について、特に私どもが消費者物価で気をつけなきゃならない野菜、生鮮食料品等については、その取り扱い、市場機構等について十分改めていって、そうして国民の福祉に沿うようにしたいと思います。私は、総対的に見まして、いろいろ御議論はございましたが、やはり好景気を息の長いもの、そういうように続けていく努力が払われること、このことが一番もとではないだろうか、したがいまして、一ぺんに非常に急激な拡大、これは慎まなきゃならない、そういうところに問題がある、かように思っていろいろ腐心しておるところであります。先ほど来大蔵大臣が説明いたしましたのも、そういう点に主要なる重点が置かれて説明された、かように思います。
○北山委員 私は政府のそういうルーズな考え方は非常に問題だと思うのですね。物価上昇というものは、一年や二年急激に上がるという場合においては、先に行ったら物価が下がるということもあるので、それが本来の姿に戻れば、そう悪質なあれが出てこない。ところが、この戦後の物価上昇というか、昭和三十年ごろからの物価上昇というやつは、ほとんど十年間続いているんですよ、毎年、間断なく。景気、不景気にかかわらずずっと上がっている。そうして今後もおそらく上がるであろう。しかも、政府自身が、総理自身が好景気を維持するのには多少の物価の上昇はやむを得ないというような考え方ですね。これはこういうふうに五%にしても六%にしてもずっと間断なく上がるということは、どういう結果を来たすかということをお考え願いたいのです。佐藤内閣になってから、三〇%以上物価が上がっておるのですよ。そうすると、私、計算してみると、昭和四十年に個人の貯蓄あるいは保険、そういう個人の持っておるものが二十七兆四千八百七十六億という統計数字が出ています。これが三割、物価が上がったことによって通貨価値が下がってくる、値打ちが下がってくることによって七兆円というものは消えておるのですよ。名目だけはそれだけの名目、一万円は一万円だけれども、実質の価値が三割近くも減って、七兆円というものが減っていくということなんです。それがずっと続いておるのです。そうしてこれから先も同じように景気を持続していき、物価上昇も持続していくということになったら、せっかく貯金をしても、十年たったらどうなるのか、保険へ入ってもどうなるのか、こういうことになるでしょう。この本は実は社会党の政策審議会でつくったもので、私、宣伝するわけじゃないのですが、「国民のくらしと経済」というので、よくできておりますので、皆さんも読んでいただきたいと思うのでありますが、物価の上昇が年率五%の割合で十年間続くというと、十万円の金が十年目には五万九千八百七十三円になってしまう。五・五%の場合においては五万六千七百九十五円というように、半分近くに減ってしまうのですよ。ですから、いま農民年金はどうやらこうやら二万円ですね、二十五年、七百五十円ずつ掛ければ二万円もらえるなんていったって、十年先になったら半分に減ってしまうのですよ。二十五年くらいになったら実質数千円にしかならないでしょう。それが恩給であれ、厚生年金であれ、すべての、庶民の営々として貯金をした金がどんどんどんどん知らないうちに減ってしまうということがいまの物価上昇の意味なんですよ。一年や二年急にばっと上がったというのとは意味が違うのです。非常に慢性でしかも悪質な物価上昇だ。こういうことになれば、結局まじめに正直に働いておる国民から過去を奪い、しかも未来をなくしてしまうのです。見当はつかないのですよ。何十年働いても老後がどうなるのかわからぬ。家も建てられぬ。ですから総理は、現在が景気がよければそれが一番大事で、多少物価が上がってもかまわないという考え方、非常に危険な考え方を改めていただきたい。多少、経済成長は一七%、一八%のように急上昇しなくても、それを少しスローダウンをさせても、消費者物価の上昇を絶対押えるという気持ちでいかなければ、いま申し上げたような、全くこれは国民をペテンにかけたことになる。こういういまの物価上昇の非常に深刻な意味というものを考えてもらわぬと、人間性、人間味のある社会なんてできませんよ。未来を失ってしまうのですよ。その点をもっと厳密に考えてもらいたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまのところでようやく意見が一致するようです。私は先ほど来何度も申し上げるのは、経済成長だけを大きくするということばかり言っておるわけじゃございません。また物価も、これが全然上がらないで済めば、それにこしたことはございませんが、しかし高い成長率のもとで、大きな、高い物価の上昇があってはたいへんだと思います。しかし、国民はたいへん聡明でありまして、これらの関係をよく知っておりますから、貯蓄も、また保険もやはりそれぞれ適当に伸びております。私はこういう状態、国民が理解してくれておる限り、またその期待に沿うように、ただいまの物価上昇についても、最小限度にこれをとどめるようにしたい、これはこの上とも努力いたします。
 そこで、一たん高くなりました物価、これが経済成長も相当高いところでありますので、今度はそれを一一、二%にする。あるいはまず手始めに四%台に物価を押えることにしよう、こういうような目標をそれぞれ設けて、ただいませっかく努力しておる最中でございます。
 また、北山君のおっしゃるように、私も、国民が賛成しているからこれでいいじゃないかというような野放図な状態で政治をするつもりはございませんし、いまの状態をさらにさらに努力して、そして真に国民にしあわせをもたらすようにしたいものだ、かように考えております。
○北山委員 考えが一致したなら、これは実行してもらいたいと思うのであります。もう何回も繰り返すようでありますけれども、ずっと引き続いて十年も、これから先も続いて上がる物価の上昇というものは、非常に悪性な、深刻な、人間をむしばむ、社会をむしばむものだということです。国民はいま貯金をしていると総理は言われましたけれども、これはやむを得ずやっているのです。だんだん、このままで続いていくなら、未来の、老後の、退職後の保障も何もないじゃないですか。そういうことを心配しながら、やむを得ず貯蓄、貯金をしているのですよ。もうそろそろ、どんなにがんばったって家も建たない、五十五の定年後どうなるかといったようなことになりつつあるのですから、やはり政治の衝にある人は、いわゆる持続的な物価上昇というものの深刻な影響というものを考えて、これを押えるということにあらゆる努力を払うべきだということを重ねて私は主張申し上げるものであります。
 次に、農業の問題でありますが、農業についても同じことがいえるわけであります。ある新聞を見ておりましたところが、ある農民が、いまの農政は過去も未来もない場当たり農政だ、こう言っておりました。まさに私はそのとおりだと思うのです。私は昭和三十六年のいわゆる農業の曲がり角といわれたあの農政国会で、社会党の農業基本法を提案し、池田内閣の出した農業基本法とぶっつけて、そしていろいろな議論をしました。ほんとうにあのときから、まじめに日本の農業の行き道というものを真剣に考えておったならば、今日のような矛盾は私は起こらなかったと思うのです。
 そこで、農業問題、たくさん現実の問題がありますから、具体的なことをひとつお伺いしたいのでありますが、まず第一に四十四年度の問題であります。四十四年度は予定よりも米の買い付け量がふえておる。それからさらに自主流通米というものは一体どうなったのか。百六十三万トンの予約があったはずでありますが、現実にはどれだけ実行されたのか。四十四年度の自主流通米がどうなったのか。その辺をひとつ簡単に説明を願いたいのです。
○倉石国務大臣 自主流通米は御承知のように百七十万トン予定いたしたのでありますけれども、初めてのことでもあり、ふなれなこともありましたので、大体九十万トン程度にとどまるのではないか、このように見ております。
○北山委員 昨年の十二月の調査では、四十何万トンぐらいと聞いておりますが、年度末までに九十万トンになるという見通しなんですか。
 それからもう一つは、これは本会議で長谷川農林大臣が言明したのでありますが、自主流通米については、他の米と区分をするために、農林大臣は、産地、銘柄、生産年月日、生産者氏名まで袋に書いて、袋詰めにして売るのだ、こういうことを言明されたのです。そのとおりに実行していますか。
○倉石国務大臣 そこまで知りませんので、事務当局にお答えいたさせます。
○森本政府委員 自主流通米の実績でございますが、本年の一月までに流通をいたしましたのが約六十四万トンということになっております。先ほど大臣がお答えを申し上げましたのは、四十四年産全体で九十万トンに達する見込みであるということをお答えされたのでございます。
 それから自主流通米の配給につきまして、小袋詰めを極力指導するということでやってまいりました。私どもその状況を調査をいたしておりますが、必ずしも十分な調査ではございませんが、地域によってその実行の状況がややまちまちでございます。ある地域では八、九〇%いっておるところもございますが、それ以外の地域では、必ずしもそれに達していないといったようなところがございまして、なお小袋詰めの励行につきまして、今後十分指導監督をいたしていきたいと思っております。
○北山委員 とにかく昨年始めたこの自主流通米も、実態はさっぱりきまったことが行なわれておらない、実績もいまお話しのとおりです。九十万トンも私は怪しいと思うのです。ところが四十五年度では、やはり同じように百七十万トン予定していますね。これは実行できるという見通しですか。そしてその上に百五十万トンの、今度はいわゆる休耕あるいは水田の買い上げということなんでありますけれども、あわせてお伺いしますけれども、これは農林大臣あるいは大蔵大臣にもお伺いしたいのですが、この百万トン分の休耕あるいは転作をする分についての奨励金は、四十五年度限りですか。この点は大蔵大臣からもお伺いします。
○福田国務大臣 百万トン分につきましては、反当たり三万五千円、これは今日この段階においては今年度限りと、かように考えております。
○倉石国務大臣 自主流通米につきましては、先ほども申し上げましたように、逐次一般にも周知徹底されてまいりましたし、その妙味があらわれてまいりましたので、最近はだんだんとその需要が多くなっておりますので、私どもとしては、百七十万トンはいけるものだ、こう見ておるわけであります。
○北山委員 そうすると、いまの百万トン分の休耕、転換の奨励金は来年だけだとすれば、また明年後になればそれをつくるかもしれぬ、そうしてもかまわないというわけですね。そうなると私の言いたいのは、こういうやり方で一体減産の補償が出来るという確信を持った政策なのかどうかということです。
 もう一つは、五十万トンは水田買い上げだと言っておるのですが、これは十一万八千ヘクタールですか、一体こんなに土地が買えますか、水田が。その点一体、この計画全体が場当りだということなんです。実行性があるのか、こういうことをお伺いしたい。
○倉石国務大臣 米がだんだん過剰が多くなってきたことは御存じのとおりでございますが、この状況をもって推移いたしますと、食管制度の根幹を維持することすらむずかしくなるのではないか、こういう危機感はどなたも非常に深刻にお持ちになっているわけであります。そこで私どもも、全国の知事あるいは市町村長、それから農業団体等と、しばしばこれらの代表者に集まっていただきまして、会議を開きました結果、北山さんも御存じだと思いますが、これらの団体がいずれも、いまの場合やはり生産調整が必要であるということに賛成をしていただきまして、御協力を申し入れていただいておりますので、私どもは百万トン分についてはそういう手段でいけると、こう思っておるわけであります。
 一昨日でありましたか、あとの転用によって生産を減らすというやり方につきましては、これは十一万八千ヘクタールというのは、口では十一万八千でありますけれども現実に見ますというと、容易ならないことであると私どもも覚悟いたしておるわけであります。したがって、政府は各関係省でそれぞれ調査費をとって調査をいたしまして、できるだけこの実効をあげ得るようにいま検討を進めておる、こういうのが現在の状況であります。
○北山委員 私は総理にお伺いしたいのですが、こういうふうな百五十万トンの減産ということは、非常にむずかしいですよ。しかし、私は責任は国あるいは政府が負わなければならぬと思うのです。ですから、市町村なりあるいは農民が協力してくれる、そしてどの程度に協力するか、そういうこともあわせて全部考えて、計画全体が実行性があるのか、実行できるのか、そういうものをはかる責任が私は政府にあると思うのです。それこそが政治だと思うのですね。それを政府は、こういう方法で百万トン減産したい、しかしみんなが協力してくれなかったら食管制度はだめになるぞというおどかしでは、これは農民としては納得ができないと思うのですね。しかも、その計画がほんとうにしっかりとした、常識的に見て実行できる計画ならいいのですよ。なぜかと言えば、個個の農民は、自分は減らさなくても、ほかの人が減らすかもしれぬとか、いろいろみんな思惑が違うのですね。そういうものの寄せ集まった百万トンなんですから、そういうものも計算して、政策の歩どまりを見てやらせるのが政治というものですよ。それを百万トン、これでみんなが協力してくれなくて百万トンできなかったら、そうなればもう食管制度はだめだぞというような、おどしのように聞こえるような、そういう言い方はすべきでない。私はどうも、せんだって来の衆参両院の本会議なり委員会の言明を見てみると、まるで自信も、しっかりとした計画もないような減産政策というものを、生産調整案というものを押しつけて、そしておまえたちが協力しなければ食管制度はつぶれるぞといっておどかしておる。こういうやり方はとるべきではない。もしもこの計画が思うような成果を出さなくても、やはりそのあと始末というのは、国の責任あるいは政府の責任で負うんだ。かりに百五十万トンが半分になっても負うんだという、そういう気がまえで政治をやってもらわなければ困ると思うのです。どうでしょう。
○倉石国務大臣 私どもは食管制度があぶなくなるぞといっておどかすとかなんとか、そういう考えもありませんし、またそういうことで何もびくつくことはないと思うのであります。大体、私どもといたしましては、やはり食管というものの根幹は堅持していくべきであると考えておるわけでありますが、何しろ、いろいろ先ほど米の消費量が減ったことについて御意見がございましたけれども、現実に一人当たりの消費量が逐年減ってきておるし、それに加えて増産が行なわておるというこの現象をこのまま放置いたしておくということは、やはり国民の大多数である消費者側から見ましても、納得のできないことだろうと思うのであります。したがって、私どもは農業はどこまでも確保しなければならないから、作目の転換等には一生懸命でやりますが、やはり米の生産調整については、私どもと農村団体の人々と全く一致した見解でございますので、そういうことでみんなが協力をやっていってくださるというのが現状だと思っております。そういう精神で、ともどもに手を携えながら生産調整の努力にいま入ったばかりでございますから、期待いたしておるわけでございます。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま農林大臣からお答えいたしました。私は食管会計の根幹、また管理制度の根幹は維持する、このことは国民にもはっきり申し上げて、そしてその上で御協力をお願いしております。これはどこまでも政治だ、かように思っております。いま言われたとおり、皆さん方からも、名案、お知恵も拝借したいし、こういう点では政府は責任を転嫁するような考え方でこの問題と取り組んではおりませんから、どうかその辺の誤解がないようにお願いいたします。ことに北山君は農政通でもあられるのですから、私はそういう意味で、このとるべき事柄について、私どもも謙虚に御意見を伺うつもりでございますから、またお聞かせをいただきたい。とにかく基本的に、何と申しましても農村の方々の信頼を失うようなことがあっては、この制度は実効があがらない、かように思っております。しかし、何と申しましても米が余っていることだけは事実でありますし、それを何とかしてみんなして減らす。しかも、これをあまりいたまないような方法で、損害が現実に出てこないような方法でとにかく減らそうじゃないか、そういう政府の呼びかけでありますから、そういう意味で御協力のほどをお願いいたします。
○北山委員 私が残念なことは、米の余りかけてきたというのは四十二年ですか。もう二年以上も前なんですよ。この二年間、一体政府は何をしたかということなんですね。最初にやるべきことは、政府としてはやはり米の消費というもの、需要というものをなるべく拡大していくということに努力すべきだったと私は思うのです。しかし、このように米が余って生産がふえてきたならば、それぞれ生産調整なり何なりの手は打つにしても一方においては消費をふやすという立場でなぜ政府が国民に、消費者に訴えないかというのです。日本の国は食糧があり余った国ではないのですよ。四百万トンも小麦を輸入しているのです。大豆だって二百四十万トンも、いま市中の大豆の大半というものは全部外国産のものなんです。千六百万トン以上の家畜のえさを入れれば、大量の食糧を輸入している国なんです。ですから、もし私が総理大臣であれば、消費者に向かってテレビか何かいろんなものを使って訴えますよ。日本の国は決して食糧があり余っていないのだ、これだけ大量のものを入れているのだ、幸い米がよけいとれたから、ひとつ皆さん米を少しでもよけい食べてください……。そういう気持ちでいろんな手を打ったならば、私は米の過剰なんというのは、そんな苦労することはないと思うのです。足りないというなら困るのですが、余っているなら、活用の方法は何ぼでもあるじゃないですか。
 まず第一に備蓄米制度をなぜとらないのでしょう。私は、安全保障の問題で、この委員会の論議なんかもいろいろ聞いておりますと、防衛費をふやすことについて、通常兵器でもって局地戦に対抗する軍備を持つんだなんというようなことを言っているのですね。万一にでもそういうことが潜在的にあるということを想定してやっておられるのでしょう。そのために軍備を持つのでしょう。ところが、そういうことがかりに起こった場合に、国民の食糧は一体どうなると考えているのですか。日本の国は工業原料のほとんど大部分、食糧のいま申し上げたような相当部分、約三億三千万トンの物資を外国から入れて、そして日本の経済とわれわれの生活が成り立っているのです。そういうふうな事態がもし万一起きたときに、国民の食糧がどうなるかということを考えたことがあるのですか。まず、たちどころに乳製品、あるいは牛乳にしても卵にしても肉にしても、みんな食べられなくなりますよ。家畜の飼料というものは外国から入ってくる。それが何分の一かに減るということは明らかなんですから、そうしたら暴騰して、もう市場から姿を消すでしょう。手に入らなくなりますよ。みそ汁だって吸えなくなるのですよ。とうふだって、納豆だって、みそだって、しょうゆだってみんな大豆じゃないですか。それも大豆の自由化によって、せっかく国産で三割なり四割なりとれておったものが、ほとんどいまは外国産のものになってしまった。軍備を備えておいて、万一侵略が来たらどうするこうするというが、そういう場合に自衛隊が一体何の役目をしてくれるのですか。一体そういう場合を想定するならば、この一億の国民の食糧を、その際にどういうふうに考ておるのですか。そういう計画が一体あるのですか。それをひとつ、だれでもいいですから、お答えを願いたいのです。
○倉石国務大臣 過剰米につきましてはお説のとおりでございますが、私どもといたしましては、いま学校給食等にこれを使ってもらうことにも、文部省との間にもいろいろ研究を進めております。それから外国に対する輸出につきましては、先般パキスタンあるいは韓国、その他KRによるインドネシアへの供与、これからもまだそういうものがあるはずでございます。それからまた、いま飼料のお話がございました。なるほど濃厚飼料の輸入量はきわめて大きいのでありますが、これがはたして家畜に適当であるかどうかということにつきまして、先般来、全購連とも熱心に検討を続けておる最中で、まだ結論は出てまいりませんが、そういう方面にも用途をふやすつもりでありますが、なるべく動物の飼料などというよりも、やはりもっと活用することについて努力をすべきである。そういうことで、用途の拡大については農林省は鋭意努力を続けておる最中であります。
 いまの国防関係のことにつきましては、私は御遠慮申し上げます。
○佐藤内閣総理大臣 備蓄すること、とにかく私も、しろうとはしろうとなりに、もみ貯蔵をひとつ始めろ、こういうことを実は指摘しております。ただいまのところでは、何といいましても数量が非常に多いのですから、このままで備蓄というわけにいかない。一年分、さらにそれが一年半分にもなるとか二年分になる、これでもいかぬですから、やはりある程度は減らさなければいかぬ。あるいはまた、いまも言われるように、あらゆる方法で消費をふやしていく方法、この節はずいぶんパン食がございますが、全部玄米パン、これも一案でしょうが、やはり一割五分程度あるいは二割程度の玄米を小麦粉にまぜるとなかなかいいパンができるようであります。これあたりが普及されれば、わずかとはいいながら全国で十万トンそこらのものはやはり消費されるようになるのじゃないかと思う。いま学校給食、これあたりも始める、こういうことを言っておりますが、設備その他でも何かと不足でございますから、いま比較的国民になじみつつあるパン食、その中に米の粉をまぜること、これなどは比較的実現しやすい方法じゃないだろうか。あらゆる機会にそういうふうな努力をしたい、かように思っております。備蓄は、ただいまのようにもみ貯蔵の方向で考うべきじゃないか、かように思います。
○北山委員 肝心の問題について政府が何も考えておらないとは、私は驚いているのです。一体国の防衛であるとか局地戦であるとか、そんなことをいって、自衛隊はそのときは鉄砲を撃ったりなんかするでしょう。一体一億の国民はそういう場合にどうなるかということなんですよ。日本の国はソ連や中国やあるいはアメリカ、そういう大きな国と違うのですよ。いま申し上げたように、戦前では考えられないほどのいろいろな工業原料や食糧を、大量に数億トンのものを入れて、それで立っているのですよ。だから結論的に言うならば、社会党が非武装中立と言っているのは、現実的に考えましても、日本というのは武力やあるいは軍備でもって守れる国ではないということなんです。食糧が入ってこなかったらどうしますか。石油が減ってきたらどうしますか。みんな電灯を減らしたり、ガソリンも少なくなる。自動車も動かなくなる。だから、何かしら自衛隊だけで間に合うというような考え方は、私はおかしいと思うのです。私どもはあらゆる平和的な外交手段で、日本はそういう特殊な条件にある国であるからこそ、軍備を使うような、そういうふうなことでは国の安全保障はできないのだ、その点が、地理的なあるいは経済的な条件が非常に違うのだ、そういうふうな考え方から、やはり現実の基礎を持った議論をしておるわけなんです。われわれはもちろんそういう事態にならないことを――そういうことがあってはならないと思う。しかし、いま政府が考えておるように、万一の場合に備えて自衛隊をどんどんふやす。今年度の防衛費は総体で七千億、さらに第四次防でもって六兆円だなんていって、どんどんつくる。そういう事態が想定されるならば、そういうときに国民の食糧を政府は当然計画を持って考えているはずなんだ。何にも考えていない。少しばかり米が余るとやっかいものにして、余った、余ったといって宣伝している。もみで貯蔵したらいいんじゃないですか。五十万トンや百万トンまず逐次貯蔵する。貯蔵の倉が少なくなったら、ことしから一応農家に預かってもらうという臨時の措置もできるじゃないですか。なぜそういうふうに考えないのですか。防衛ということを考えるならば、当然そういう際の食糧をどうするのか。石油だけじゃないですよ。食糧が一番大事ですよ。いま申し上げたように、そういう事態が発生して日本の周辺で戦闘行動が起きますと、もう食糧が暴騰するのですよ。手に入らなくなりますよ。前であればみそ汁くらい食べられたが、いまはもうみそ汁もだめですよ。そばもだめなんですよ。てんぷらそばなんか、とんでもない話です。油だってころもだって、そばそのものが何割か外国から入ってくるのですから。何かテレビを見て、ボウリングをやって、そしてのんきにかまえて、そういうときには自衛隊がやってくれるだろう、そういうものでないということなんですね。だから、私は米だけがあればいいというわけじゃないのです。米とか大豆とか、あるいは乳製品とか油とか、そういうものも多少備えておいたっていいじゃないか、当然そういうことは考えられないかというのです。自衛隊が必要だといってどんどん増強する政府にしてみれば、当然国民の命というものを――守るものは国民の生存ですよ、一番大事なことは。どうやら政府が考えておるのは、あるいは自民党が考えているのは、国民の生存ではなくて、いまの自由民主の体制、すなわち資本主義の体制を守ることにどうも頭が強くいっているからそんなことを考えている。真剣に考えているなら、食糧のことは、米が少し余ったならばこれを活用するとか、貯蔵するとか、そういうようなことを考えるべきなんですよ。それをいま総理が言っているように、備蓄も考えられない、そんなことはだめですよ。はっきり答えてくださいよ。一体そういう場合の国民の食糧がどうなるか。
○佐藤内閣総理大臣 備蓄が考えられないじゃない、考えると言ったのですよ。そこは誤解のないように。おそらく速記では、はっきりぼくは備蓄、もみ貯蔵を考える、こういうようになっておると思います。
 そこで、ただいま言われましたが、防衛力、自衛隊――米の問題から直ちに自衛隊の装備にまで発展する、これはちょっとよけいな論理の飛躍じゃないか、発展ではないかと思います。自衛隊にもっと米を食べろ、こういうようなお話かと思ったら、自衛隊はよけいだと言われるので、これはちょっと私は聞けない話のように思いました。私は、国の防衛ということ、これはそれで一つの意義がある。だからこれは自衛隊自身がやはり防衛力といいますか、自衛力、自衛権の発動、それはもう当然のことだと思います。そうしていま御指摘になりましたように、食糧というものは米だけではありません。やはり米あるいは肉、さらにまた牛乳、さらにまた卵、これらのわれわれが食べるものばかりでなく、またそれらの飼料、えさも、とにかく同時に食糧全般として考えていく、こういうようなたてまえでただいま取り組んでおるはずであります。なかなかそこらのことを考えますと、米だけは非常に残るが、しかし、その他のものは不足だ、大部分は外国から輸入しておる、こういうような状況が、私どもがいま当面する農政問題として現実の問題で、あまりにも片寄った農政ではないか、ここらにもう少し、すべて飼料まで含めて、日本の自給度は一体どうなるのか、なかなか八〇%確保するということだけでも現状においてはむずかしいと思う。そういうことを考えながら、米だけが残っておる、そこにそのむずかしさがあるのです。そうして、みんなして知恵を出して、これが全体をどうしたらまかなえるか、こういうことにひとつ取り組もう、こういうのでただいま米の減産を、また減反をいろいろ協力を得ながら実施しよう、こういうようにしておるわけです。これらの点は農政通であられるあなたですから、私が申し上げるよりも、私よりももっと詳しいと思います。そして、私が総理として一番心配しておるのは、そういう点なんです。これはやはり農産物、農製品、そういうものが一体どれだけ国民をまかなうことができるか、その自給度はどういうようにするか、そこに私の目標があるわけであります。
○北山委員 時間もないから、残念ながら終わらなきゃならぬのですが、私は何も農政通でも何でもないんですよ。農業専門家じゃないのです。だけれども、私はやはり道理によってものを考える。だから、そういう意味からすれば、先ほども一番先に言ったように、三十六年のときから、これからの需要というものはやはり米、でんぷん質から、肉類であるとか牛乳であるとか、畜産物、あるいは果樹に移っていくのだということは、その当時からいわれておったのですよ。その当時なぜやらなかったのか。そのときに私ども社会党から、二百万ヘクタールの草地をつくるべきである、これから畜産を伸ばすならば、やはりえさの自給度を考えなきゃならぬから、二百万ヘクタールの草地をつくるべきであると主張したのです。そんな土地はどこにあるなんといって、自民党ひとりひやかしたのです。いまになって、今度の新全国総合開発計画ですね、あれを見ると、百四十万ヘクタールの草地を開発する。いまになって、八年たってからそんなこと言っているんです。その当時からわれわれは、この日本の零細農の規模を大きくするためには、できるだけ金をかけないで大きくするためには、やはり共同化というものが中心にならなければならぬと言ったのです。ここで盛んに論戦したんです。いまになってやっと気がついて、今度は集団的生産組織とかなんとかと言っている。すべてが後手、後手なんですよ。今度の米の問題だっていま始まっているんじゃないのです。二年も前から総合農政と、看板だけいっているでしょう。やっと最近になって、国会答弁用に総合農政基本方針なるものをただ作文しただけだ。米の消費、備蓄米にしたって、もう二年前に手をつけてやらなければならぬのですよ。そうすれば、いまだって間に合っておったんです。それがいまになってやっと備蓄米を考えます、これから考えます。そういう政治、先ほど農民が言った場当たり農政という、いまの立ちおくれた農政の、そういう農政の責任というものは、しっかり私は考えるべきだと思うのです。昔だったらこれはそれだけでもう総辞職ですよ。こんなに日本の農業を、米だけじゃなくて、酪農であろうが、果樹であろうが、みな次から次へとつぶして、しかも予算は一兆円ぐらいも使っているでしょう。地方の財政を加えたら一兆数千億の農政費を使っている。そして米だけじゃない、みんな農業全体が後退している。七百億使ったあの八郎潟があのざまですよ。そうしているのに片方で、最近私は聞いたんですが、茨城県の霞ケ浦の高浜入りの干拓を始めようとしているのです。まるでヘドロの湖を埋めて畑をつくるというんです。そのことについてひとつ農林大臣から説明してください。何でそんなことを始めるのか、いまさらばく大な金を使って。
○倉石国務大臣 今度の予算のことにつきまして、茨城県からいろいろお話がございました。いま高浜入り干拓について地元の大ぜいの方から陳情がございまして、調べてみました。この事業は昭和四十二年度に予算上の着工が認められたわけでありますけれども、漁業補償の問題で現在まで実際に工事に着手するに至らなかったわけでありますが、昨年じゅうにこの問題も解決いたしました。つまり漁業補償等すべてもうやってしまったわけでありますが、そこで昭和四十五年からやります事業につきましては、農林省の方針といたしまして、継続でも水田では困る、こういうふうに申し渡してありますので、地元では畑地の造成をはかって、将来その上で酪農、蔬菜などを中心とする営農を行なう計画でありますということで本格的に着手することになった次第でございます。こういうものでもやはり全国にやや似た形はありますけれども、いろいろな地元の御事情もありますので、水田以外に転換するということならば許したほうがいいだろう、こういう決定を見たわけであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま、米の余ることはもうわかっていた、こうおっしゃるが、たいへん気候風土等に関係のある農作物でございますので、私はただいまある程度残ったという、まあある程度ならたいへんけっこうだと実は思っております。しかし、ただいまのところは残り過ぎているというのが実情でございます。またいま草地改良、おれがいろいろ説いたがそのときに取り組まなかったじゃないか、こういう御指摘でありますけれども、私もかつて北海道開発庁長官をいたしました。そこでやはり北海道で必要なのは草地改良ではないか、町村君などとも手を取り合いまして、そうして草地改良、これをずいぶん努力したものであります。私は、努力すべきものがまだずいぶん残されておると思います。いろいろ皆さん方からも御指摘になると思いますが、大豆なども、アメリカでは採算がとれながら、日本ではどうしても採算がとれないという、そこらに何か考え方の相違があるのではないだろうか、かようにも思います。私は、必ずしも大豆そのものには、米づくりのような労力を必要としないと思う。たいへん草ぼうぼうの中でも出てくるような大豆じゃないだろうか、かように思いますから、これはやはり考え方によりまして、もっと米作中心からいろいろ変わっていくことが必要だろうと思います。
 果樹がずいぶん云々されますけれども、果樹ぐらい品種の改良を必要とするものはないようであります。なかなか続かない、どんどん変わっていく、そこらにも問題があります。しかし、何といたしましても、蔬菜、これあたりは、園芸蔬菜はもっと普及させなければならない、これあたりはりっぱに採算のとれる栽培農作物だ、かように私は指摘ができるのじゃないだろうか、かように思います。いろいろくふうはされておる。それぞれのものがそれぞれいろいろくふうしておる際でございますので、これらの方々のその元気な意気込みをくじかないように、力づけるようにわれわれは政治の面で努力すべきじゃないだろうか、実はかようにも考える次第でございまして、私はよけいなことだが立ち上がって、さらにただいまの農林大臣の説明を補足したような次第であります。
○北山委員 時間がありませんから、これだけで終わりますけれども、私の言いたいことは、やはり政治というのはもう少し真剣に実態に取り組んでいくべきだと思うのですよ。米の問題だって二年前にわかっておったことなんだから、これを何か配給米がまずくて、うまい米、うまい米といって、さも配給米がまずいようにして、結局売れなくなるようにして、食管制度がくずれるように持っていくようなことじゃなくて、やはり日本の農業の柱というのは米ですよ。その米をちゃんと守って、そして米のほかに、米だけでは足りないから、やはり畜産なら畜産を守り育てていく、あるいは果樹というふうに、一本柱じゃなくて、私からいえば、社会党の言うとおりに三本柱ぐらいにして、そして日本の農業全体として高度化していく、これを国の政治の責任でもってやっていくというほんとうの誠意を見せる。そうなれば農民だって協力しますよ。それを逃げ腰になって、何か涙金や手切れ金みたいなものをやって、どんどんどんどん日本の農業が追い込まれていく。こういう実態だから、私は自分の気持ちを、おそらく農民も同じように思うだろうと思って、私の気持ちをぶちまけるんです。政治の根本の姿勢を言っておるんです。
 農政自体のことについては、また同僚の方々もいろいろお伺いすると思いますけれども、そういう気持ちでひとつ農業を見てもらわなければいけない、私はその点を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○中野委員長 これにて北山君の質疑は終了いたしました。
 明日は、午前十時より委員会を開会し、正木良明君、川崎寛治君及び西宮弘君の総括質疑を行ないます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十二分散会