第063回国会 予算委員会 第7号
昭和四十五年二月二十七日(金曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
   理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君
   理事 坪川 信三君 理事 藤枝 泉介君
   理事 細田 吉藏君 理事 大原  亨君
   理事 田中 武夫君 理事 大野  潔君
   理事 今澄  勇君
      足立 篤郎君    相川 勝六君
      赤澤 正道君    植木庚子郎君
      江崎 真澄君    大坪 保雄君
      大野 市郎君    大村 襄治君
      奥野 誠亮君    賀屋 興宣君
      上林山榮吉君    小坂善太郎君
      笹山茂太郎君    田中 龍夫君
      登坂重次郎君    西村 直己君
      野田 卯一君    福田  一君
      藤田 義光君    古内 広雄君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      森田重次郎君    赤松  勇君
      川崎 寛治君    北山 愛郎君
      久保 三郎君    楢崎弥之助君
      西宮  弘君    細谷 治嘉君
      相沢 武彦君    小川新一郎君
      坂井 弘一君    松尾 正吉君
      塚本 三郎君    河村  勝君
      谷口善太郎君    不破 哲三君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        労 働 大 臣 野原 正勝君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      保利  茂君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      山中 貞則君
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)(行
        政管理庁長官) 荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)(科学技
        術庁長官)   西田 信一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 中曽根康弘君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      佐藤 一郎君
 出席政府委員
        内閣官房副長官 木村 俊夫君
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        内閣法制局第一
        部長      真田 秀夫君
        行政管理庁行政
        管理局長    河合 三良君
        行政管理庁行政
        監察局長    岡内  豊君
        防衛庁長官官房
        長       島田  豊君
        防衛庁防衛局長 宍戸 基男君
        防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君
        経済企画庁調整
        局長      新田 庚一君
        経済企画庁国民
        生活局長    矢野 智雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    八塚 陽介君
        経済企画庁総合
        開発局長    宮崎  仁君
        法務大臣官房長 安原 美穂君
        外務省アジア局
        長       須之部量三君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省条約局長 井川 克一君
        外務省国際連合
        局長      西堀 正弘君
        大蔵省主計局長 鳩山威一郎君
        大蔵省主税局長 細見  卓君
        大蔵省関税局長 上林 英男君
        大蔵省理財局長 岩尾  一君
        大蔵省銀行局長 青山  俊君
        文部省初等中等
        教育局長    宮地  茂君
        農林大臣官房長 亀長 友義君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        農林省農政局長 池田 俊也君
        農林省畜産局長 太田 康二君
        農林省蚕糸園芸
        局長      荒勝  巖君
        通商産業省企業
        局長      両角 良彦君
        通商産業省化学
        工業局長    山下 英明君
        運輸省船舶局長 佐藤美津雄君
        運輸省鉄道監督
        局長      町田  直君
        運輸省自動車局
        長       黒住 忠行君
        海上保安庁長官 河君 一郎君
        労働大臣官房長 岡部 實夫君
        建設大臣官房長 志村 清一君
        建設省計画局長 川島  博君
        建設省都市局長 竹内 藤男君
        建設省河川局長 坂野 重信君
        建設省道路局長 蓑輪健二郎君
        建設省住宅局長 大津留 温君
        自治大臣官房長 鎌田 要人君
        自治省行政局長 宮澤  弘君
        自治省財政局長 長野 士郎君
        自治省税務局長 降矢 敬義君
        消防庁長官   松島 五郎君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      高木 文雄君
        予算委員会調査
        室長      大沢  実君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十七日
 辞任         補欠選任
  川崎 寛治君     加藤 清二君
  西宮  弘君     堀  昌雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和四十五年度一般会計予算
 昭和四十五年度特別会計予算
 昭和四十五年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。細谷治嘉君。
○細谷委員 私は、社会党を代表いたしまして、主として地方自治の本旨、こういう観点から若干の質問をいたしたいと思います。
 最初に、自治大臣にお尋ねいたしますが、昨年の一月六日、大蔵大臣と自治大臣の間で五項目についての覚え書きが取りかわされました。その第
 一項に「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしないこととするとともに、昭和四十三及び四十四年度においてとられた特例措置を今後は避けるようにすることとし、別途地方交付税の年度間調整の措置を検討する。」こういうことが書かれてございます。ことしもまた、四十四年度と同様に、予算編成上の一つの目として、地方財政の問題が取り上げられたわけでありますが、一体今度の予算ではこの覚え書きがどういうふうになっているのか、まずお尋ねしたいと思います。
○秋田国務大臣 前大臣時代に覚え書きがかわされたことは聞いております。したがいまして、いわゆる貸し借りはこれをいたさないよう、これを避けるよういろいろ配慮をいたしましたが、大蔵省側とのいろいろ折衝をいたしました結果、万やむを得ざるものといたしまして、御承知のとおりいわゆる三百億円の貸し借りを繰り返したわけでございます。まことに遺憾でございますが、しかし、交付税の自然増収も十分ございますし、したがって、行政水準のある程度の向上を期するに十分なる――十分とは申し上げかねるかもしれませんが、ある程度の財源も確保できることであり、いろいろ大蔵省との要求の折衝の諸般の事情を考慮いたしまして、かつはまた今回の国及び地方財政を通じまして刺激的にならないように警戒中立型の予算を組むという趣旨からも、その趣旨に沿うものといたしまして、この処置をとったことを御了承を願いたいと存じます。
○細谷委員 時間もありませんから、ひとつ答弁は簡単明瞭にお願いしたいと思うのです。
 大臣、フィスカルポリシーみたいなものを持ち出したわけですが、特例措置は今後はやらないというのをたてまえとしたわけですね。それが今度、いま御答弁のように三百億円またやったわけです。これはやはり覚え書きを尊重してないですよ。そのとき、その場です。
 その上に、大臣、私はあなたに質問したいのでありますが、年度間調整については検討する、貸し借りもやったわけですね。その上に、この間あなたが地方行政委員会において所信表明を行なったわけですが、こう言っております。「地方交付税につきましては、地方財源の確保に配慮しつつ、あわせて、明年度以降における地方財政の健全性を確保する見地から、地方交付税の自然増収額等をも勘案し、昭和四十五年度において三百億円を減額繰り延べするなどその総額について所要の特例措置を講ずることといたしたいと考えております。」一方、大蔵大臣の予算委員会における説明を書いてあります。「地方交付税交付金につきましては、その増加状況等を勘案しつつ、四十五年度においては、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰入れ額を三百億円減額する等の措置を講ずることとし、四十四年度当初予算に対し」云々と書いてあります。大蔵大臣の説明は年度間調整なんというのに触れてませんよ。あなたのこの所信表明を見ますと、年度間調整は、大蔵大臣とは、なにができたように言ってありますね。事実ですか、これは。
○秋田国務大臣 年度間調整をやったという考え方ではございません。表現が、そういうふうにおとりになりますれば、ひとつ誤解を解いていただきたいと存じます。
○細谷委員 あなたは地方自治を守る立場から覚え書きを書かれた。そして、やらないという原則になっておる特例もやった。そして大蔵大臣があなたのような所信表明を言っているんならわかるんだけれども、あなたが年度間調整ができたような所信表明の中で、この文章は、そっくりそのままなっているでしょう。大蔵大臣と自治大臣の立場は逆ですよ。これは問題だと思うのですね、私は。大蔵大臣、年度間調整は検討するということになっておりますが、まだ話はできていないんでしょう。
○福田国務大臣 まだできておりませんです。覚え書き第一項でいっておりますように、年度間調整を制度的に検討してみたい、こういうふうに考えたんですが、これができなかったことを非常に残念に思っております。
○細谷委員 自治大臣にお尋ねいたしますが、年度間調整というのはこれから検討したいと大蔵大臣も答えたんですが、自治大臣のお考えになっておる年度間調整の基本的な方針とどうあるべきだというのは、どういうふうにお考えになっているのか、大蔵大臣は、どういうふうな基本的な方針で年度間調整をすべきか、それをひとつ両大臣にお聞きしておきます。
○秋田国務大臣 ただいま大蔵大臣から御答弁のありましたとおり、年度間調整につきましては、制度としてさらに検討をするというお約束になっております。したがいまして、今後折衝をするわけでございますが、この段階におきまして、私といたしましては、年度間調整ということばは非常にあいまいで、多岐にわたりまして、誤解を生みやすいのでありますが、これはあくまでも地方財政の主体性において、そのイニシアにおいて年度間調整というものをやるならばやるべきものであって、大蔵省ベースなりあるいは国の財政との関係においてやるという観念は持っておりません。
○福田国務大臣 ただいま秋田大臣からお答えしたとおりであります。
○細谷委員 大蔵大臣から、年度間調整についてまあ制度ということがずいぶんひっかかるのですが、自治大臣の言うとおりだと、そのとおりですね。
○福田国務大臣 そのとおりであります。
○細谷委員 自治大臣の言うとおりということを再確認していただきました。自治大臣は地方財政の自治性においてと、自主性においてということは具体的にはどういうことですか。
○秋田国務大臣 文字どおり自主性においてでございまして、地方財政のたてまえから考えていいか悪いかという点を主体性を保持しながら考える、こういう意味に解しております。
○福田国務大臣 まさに地方自治は自主的に運営されなければならない。そこで中央財政でもよく期待をするということばを使っておるのです。こういうふうに地方財政はすべし、こういうふうには言っておらない。地方財政はこのような方向で対処すべきであることを期待する、こういうふうに申し上げておるのはそういう趣旨でございます。
○細谷委員 自治大臣からも具体的におっしゃらない。あなたのほうの具体的な地方財政の自主性においてということはどういうことかといいますと、本来この交付税というのは地方の固有財源ではないか、したがって、年度間調整をかりにするとするならば、三千五百ある地方自治体それぞれにおいてやるべきがたてまえである、もし一歩譲ってやるとするならば、三二%分というのは、一般会計をトンネルしないで、そのまま特別会計に入れていって、そして年度間調整をすべきである、国と地方との間では貸し借りとかなんとかするような国と地方との間の年度間調整ではないのだ、これがあなたのほうの主張であると私は理解しておりますし、また地方制度調査会等が答申の中にうたっておることであります。ところが、大蔵大臣のほうの主張というのは、いや年度間調整というのは国と地方との間でもやるべきだ、だから貸し借りは当然なんだ、交付税率は当分の間いじらぬけれども、国と地方との間でやるべきである、それがフィスカルポリシーなんだ、こういう主張なんでありますから、従来食い違っておった。しかし先ほど再確認したところでは、自治大臣の自主性においてやるということについて、そのとおりでありますとおっしゃったわけでありますから、自治大臣、私がいま申し上げたのが自主性においてという具体的内容ということであるならば、大蔵大臣もそういうことだ、こういうふうに理解しなければならぬのでありますが、たいへん重要な点であるし、いつも予算編成段階でもめておることでありますから、もう一度ひとつはっきりしていただきたい。
○秋田国務大臣 いわゆる特会直入の制度と申しますか、お話が出ましたが、私もそのとおり考えております。したがいまして、今回大蔵大臣との折衝におきましても、その問題が出たのです。そして当方といたしましては、いわゆる特会直入の制度につき強くこれを主張し、年度間調整というものをやるべしとするならば、その制度のもとにやることを主張いたしたのでございますけれども、意が合いません。したがって、これを今後の討議に移しまして、御承知のような処置に出たのでありまして、その御趣旨へただいまお述べになりました趣旨につきましては、私もそのとおり心得ております。
○細谷委員 大蔵大臣、もうあなたの答えは要らぬですよ。自治大臣の考えどおりだと言っておった。それをある程度具体的に、もう一般会計を通さないで直接入れるべきである、国と地方との間で三二%のワク内の貸し借りはやるべきじゃない、こういう具体的な考えを言われて、そういうのが自主性の内容なんだ、こうおっしゃったので――また頭を振ってちゃだめですよ、あなた。同じ意見だとこうおっしゃったのですから。総理大臣に聞きますと、またどうもその中間のあやふやなことを言うといけませんから、私は総理大臣の答弁を求めませんけれども、よろしいですね、大蔵大臣。
○福田国務大臣 交付税は国の財源です。交付税のもとになる所得税、法人税、酒税、これは国の財源です。三千幾つもある地方団体、これは財政の状況がまちまちであります。それを調整するためにその三税の三二%を地方団体に交付する、こういうのでありまして、どこまでも所得税、法人税また酒税は国の財源であることにはこれは間違いはない。ただ、私が申し上げましたのは、地方財政の運営ですね。これは中央が干渉すべきものじゃない。これはあくまでも自主的に行なわるべきである、かようなことを申し上げたわけであります。
○細谷委員 あなたはまた少しおかしくなってきたのです。国税三税、いわゆる所得税、法人税、酒税というのは国税でありますけれども、そのうちの三二%というものは地方交付税であります。その地方交付税というのは地方の自主財源である、固有の財源であるということをあなたおっしゃっているでしょう。むろん、どうそういう年度間調整をするかはある。私が言うのは、国の貸し借りなんということで、国と地方との間のやりとりで年度間調整をすべきじゃなくて、自治大臣が言うように、特別会計に直接入れるなら入れる、そして地方団体、地方財政というワク内においてフィスカルポリシーに協力するというたてまえを私は否定するものじゃありません。そういう点で、あなたが自治大臣の考えに同じだと言ったことは前進ですよ。ですから三二%の問題を、これもまた根本的にその性格を議論いたしますと、これはまたたいへん時間を食いますから、私はそこには触れません。しかし、国と地方との事務の配分、こういうものに基づいて地方交付税率というのがきめられた、その三二%というのは国がとっておる税でありますけれども、本来それは地方の財源である、こういうことはもう議論の余地がないと思うんです。ですから、年度間調整は決定しておりませんけれども、ひとつ自治大臣の基本的な立場に立ってやるということでありますから、時間の関係もありますから、私はこの程度にしておきます。
 そこで、大蔵大臣、どうもいつも予算編成のときになると、あなたはさっきおっしゃったようなことで、国の財政硬直化の最大の犯人はあたかも地方財政であるかのごとくおっしゃるのでありますけれども、これは私は誤りだと思うんです。
 そこでお尋ねしたいのでありますが、二九・五から三二になったというのは、いまの鳩山主計局長が主計局の次長時代であって、私は当時の地方財政の事情からいって非常な適正な措置であったと思うのでありますけれども、その後、交付税率については一ぺんも変わってないんですよ。その間に国税の減税等は行なわれたわけですね。それまでは国税の減税があった場合には、交付税法の趣旨にのっとって地方財政に影響がないように交付税率を変更してきた。そういうようなことで、ここ数年四十二年、四十三年、四十四年、四十五年と交付税率は変更されておらない。私は、それまでの慣例からいけば、交付税率はやはり三二%より上げてしかるべきである、こういう考えに立っておるわけなんです。たとえば、交付税法の六条三項に、著しく基準財政需要額と収入額とが異なってきた場合には、交付税率を変えるなり制度を変えるなりしなければならぬということがうたわれておるわけなんですね。そこで、大蔵大臣はいつも交付税率を減らすということをまっこうから攻撃しかけてくるわけでありますが、一体それの根拠は何ですか。
○福田国務大臣 私がこの前大蔵大臣をやっておったときは、たしかあれは二九・五%でしたか、交付税率は。それをあの大不況で自治体の財政が苦しいというので、三二%に上げたのです。いまになって考えてみますと、あのときは時限にでもしておけばよかったなあ、こういうふうに考えておるような地方財政の好転ぶりでございます。その後の状態は中央財政よりは地方財政のほうが非常に改善を見ておる、こういうふうに見ておるわけでございまして、そういうことからいいますと、三二%の改定ということも考え得られないことではないと思います。しかし、両大臣の覚え書きというようなこともあります。国会における御論議等も私もよく承知しております。そういうことを考えまして、三二%はこれは動かすべきではない、さような結論に今回は到達いたしたわけでございます。
○細谷委員 参考のために自治大臣にお尋ねしておきますが、四十一年の交付税率の変更、これは当時の大蔵大臣は現大蔵大臣、現在の主計局長がそのときの主計局の次長です。大蔵大臣はああいうふうにおっしゃっていますが、自治大臣、かりにそれまでの例に基づいて国税の減税に伴って交付税率を上げておったと仮定したならば、いまどのくらいに交付税率はなっておらなければならぬのですか、参考までにお聞きしておきます。
○秋田国務大臣 新任早々で、十分その数字等の具体的な点は出ませんが、相当高率になっていなければいかぬのじゃなかろうかと考えております。
○細谷委員 大臣は新任早々でありますが、私が伺ったところでは、四十一年までの国税減税に伴っての交付税率を直してきたと仮定すると、自治省の計算では四〇%をこえておらなければならぬということになるのですよ。逆にいえば、それまで大蔵大臣に地方財政は協力して動いてきた、こういうふうに言ってもいいわけです。
 そこで参考までにちょっとお尋ねするのですが、総理府長官、交付税率の話が出ましたので、新聞によりますと、沖繩が返ってきた場合には、交付税率はいまの三二%でやるのだと大蔵省が考えている、こういうことが出たわけです。そんなことはないと思うのですね。これはさっき言ったように、交付税法の六条三項等の精神からいっても、全く情勢が変わってくるわけですから、その場合に交付税を上げなければならぬと私は思っておるのですよ。総理府長官、どう思うのですか。
○山中国務大臣 大蔵省がどう言ったのか知りませんが、どう言おうと、交付税率というものは、県によって異なるべきものでないと私は思っております。したがって、沖繩が復帰いたしましても、やはり交付税率は三税の三二%であるべきである、こう考えておりますが、ちなみに大体沖繩と類似県の平均をとりますと、本土で現状で三二%で配られております金が、大体四十三年度では百六十二、三億になります。反面、沖繩を一政府とみなしまして、一国とみなして本土との収支じりを見ますと、約七百二億くらいの沖繩側から見る入超になっておりますから、ここらのところは、行財政の体系が全然違いますので単純に比較はできませんけれども、返ってまいりましたならば、特別会計の構想を固めまして、これはやはり交付税率は三二%で置くべきものであるけれども、しかし、その他の一般財政による援助というものが特別会計の中で相当考えられてしかるべきではなかろうか。そのはしりといたしまして、現在まだ国税を納めていない地域である沖繩県に対しまして、県政援助費といたしまして二十億を新規に予算を計上したのは、その考え方のはしりと受け取っていただきたいと思います。
○細谷委員 総理大臣、いま沖繩については、交付税率は三二%がしかるべきだという議論ですけれども、これは私はおかしいと思うんですね。現在、交付税が、沖繩県じゃありませんからいっていないわけですね。今度は新たに沖繩に対しても、本土と同じように、返ってきた場合には、交付税を配ってやらなければならぬ。そうなりますと、現在の三二%のワク内でやるということは、本土の自治体のピンをはねるということになるわけですね。ですから、これはやはり相当分の交付税率を上げるのが正しいあり方であると私は思うんですよ。いかがですか。
○山中国務大臣 少し私の答弁に誤解があるようですが、私、本来の三税の三二%の国全体の地方の財源のワクの中でピンをはねて沖繩に回そうと言っているのではなくて、やはり沖繩も、三二%の交付税率体系の中には国税を納めるようになる反面、現在は沖繩政府が国税も取っておるわけですから、本土ならば国税であるべきものも取っておるわけですから、その三二%をもらう権利があるということを言っているのであって、そのほかに特別にめんどうを見なければならないものは、これはいまの本土の全国民の御了解を賜わった体系の中で、一般財源からこれを補てんしていくべきであろうという考え方を申し上げたわけで、県政援助費の二十億がそのはしりでございますと、こう申し上げたわけです。念のために申し添えます。
○細谷委員 総務長官のことばは、三二%ということではなくて、沖繩の交付税は、本土の自治体並みにやるべきである、むろん税制等々は一体化していかなければなりませんけれども、それはそのとおりであって――そうなってまいりますと、沖繩が新しく加わる――これは交付団体として加わるわけでありますから、一つの県がふえる。五十になるか知りませんけれども、市町村が加わってくるわけでありますから、これは相当額の交付税を配ってやらなければならぬということになりますと、当然三二%というのはプラスアルファをしてやらなければならないのではないか。これはもうたいへん重要な問題でありますから、総理にお伺いしているのです。
○福田国務大臣 交付税の三二というのは、交付税特別会計がこれを受け入れるわけです。そこで地方、地方の実情において配分すると、まあそこまではいいわけですね。ただ沖繩が交付額がふえるから、三二というものを上げるべきじゃないかというようなお話でございますが、三二%というのは、これは地方の財政需要、また財政の状況、そういうものを総合してきめておるものでありまして、沖繩県が参加してきたからこれを変えなければならぬ、こういうようなものとも考えませんし、また、沖繩ばかりじゃありません、ほかに貧弱なところが、どうも過密、過疎で出てきた、こういうことであるから、三二をすぐ変更しなければならぬというふうには考えておりません。あくまでもこれは総合的な話でありまして、特別会計が三二%を総合的に受け入れまして、これを配分するというたてまえのものでございます。
○細谷委員 総合的ということで話をはっきりお答えになっていないわけですね。やはり総合的に考えれば、沖繩が新しく交付税を交付すべき団体に加わるわけでありますから、理屈上三二プラスアルファということに交付税率を変えなければならぬじゃないかということを私は申し上げているわけです。総理大臣、これは先のことでありますけれども、総理大臣のお考えだけひとつお聞きしておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私は、これは重大な食い違いがあると思っております。先ほど言われるように、交付税は三二%、これはもう先ほど言われるように、私の記憶をもってしても、二九・五%から三二%までにだんだん上がってきた。同時に、たばこやなんかもだんだんふえている。これは交付税の財源ではございませんけれども、だんだんふえて地方には交付しておりますね。そういうことは別として、ところでいまの三二%、これは一般の問題ですから、私はこれは適当なときがあれば、もう一度中央、地方一緒にして財源の再配分、これは適正であるべきであろう、かように思います。
 それは、先ほど大蔵大臣は、――減らそうという考え方、必ずしも私が減らそうというわけじゃございませんが、適正であるべきだ、かように思っておりますが、この配分の方法も一つあります。しかし沖繩だけは、これは特別なものですから、沖繩に対して特別に財源を補助しないと沖繩県はやっていけないだろう、たいへんおくれているように思う。その財源を三二%の交付税の中から出したというと、これは他のほうでもらうべきものが減ったと、こういうことになるだろうと思いますね。そういうことのないようにあんばいしようというのが、先ほど来言っている総務長官の話でございます。どうもそこらにやや話が食い違っているのじゃないかと、私は伺っていながら聞いたのであります。
 沖繩自身の行政水準は低い、これに対して特別なものをやらなければならないこと、これはわかっております。しかし、その財源自身は、本来の交付税の財源をあそこだけ特別にたくさん分けてやると、他のものがもらうべかりしもの、期待が少なくなる、こういうようなことになるだろう、こういうのがお説ではないかと思って聞いたのですが、そういうことはない、それは別に考えましょう、こういうように言っているので――私は、大事なのは、むしろ中央、地方を通じてのこの交付税率のあり方、これがはたして適正なりやいなや、最近の経済が発展している状況のもとにおいて、非常に不況なときにだんだんふやしたあの状態がそのまま維持されていいのか、また事実それをさらにふやしていいのか、これはもう自治体の長もされた細谷君だから、いろいろ地方でやりたいことはうんとあるのだ、そういう意味から、もっと国の財源がほしいと言われることもわからないではありませんが、そこらのことを、別に国と対立する地方自治体、こういうものはないのですから、そこらは一体だ、一体で考えるのだ、こういうことで十分考えていきたいと思います。
○細谷委員 話は食い違っていないのです、総理。総理の言うとおり、沖繩が返ってきた場合には、交付税ばかりではなくて、いままでのへこみについては、積極的な、援助ということばは適切ではないでしょう、財政支出をしなければならぬ、同時に、交付税もやらなければならぬ、そうなってまいりますと、三二%のワク内でものを考えますと、他団体に対するピンをはねることになるのでありますから、理屈上も率をプラスアルファをしなければならぬのではないかということを私は申し上げているわけであって、そのことをはっきりしさえすれば、食い違いはないのですよ。その辺をはっきりしないものですから、食い違いであるように総理には聞こえると思う。
 そこで、時間もありませんから、大蔵大臣、今度の予算編成にあたりまして、あなたは、法人税率の留保分についての五%、言ってみますと、一・七五引き上げの見合い額として、市町村民税減税補てん債の償還費にかかわる元利の補給、これと特別事業債の元利の補給を打ち切りましたね。これはどうしてなんですか。
○福田国務大臣 中央財政、地方財政は、よく申し上げますが、車の両輪のようなもので、お互いにその自主性を尊重しながらも助け合わなければならぬ、こういうふうに考えておるわけであります。昭和四十年のあの大不況のときは、国からかなり多額の援助をしておるわけであります。いま国のほうがむしろ苦しい状態である、そういうような状態のときには、地方が国に対して協力、援助をしてくれる、これこそが車の両輪として国政を動かしていくゆえんである、こういうふうに考えたわけであります。その援助の方法として私どもは、国民健康保険の国庫負担分を一部地方に肩がわりさしていただけないかとも一時は考えたのですが、しかし、これは無理だな、どういうふうに考えまして、ただいま御指摘の二つの補給金と交付金、この分について二年間――しかも二年間の暫定措置です。暫定期間中御援助を願いたい、こういうふうに御了承を得たわけであります。
○細谷委員 問題は、これは私は大蔵大臣の国会における約束を踏みにじったやり方だと思うのです。市町村民税減税補てん債、これは三十九年にできた制度であります。言ってみますと、本文方式とただし書き方式とがありまして、居住権はどこへ行っても自由であるのに、ある自治体に行きますと住民税が三倍にもなる。こういうことで、これはやはり本文方式に統一すべきではないかということになりました。ところが、住民税をよけいかけているところは財政が貧弱であるから、ひとつそれには地方債を発行して補てんしよう、その元利は見てやろうということで法律までつくったんですよ。そして、法律によって今日までやってまいりまして、四十五年度がこの元利補給の一番山場にきたのです。ずっと上がってきました。そして来年からは少し下がっていくのです。その山場にきた。総額にいたしまして、元利、補給だけで百十七億円、これをちょん切ったんですね。法律をつくって、山場が来て、あとわずかというところならばいいけれども、一番山場のところで、一番額の多いところで、しかも対象は貧弱団体です。貧弱な町村ですよ。それの元利補給金を打ち切った。そして、地方財政は好転したんだ、裕福になったんだから、ひとつ交付税で見ろと言う。わざわざ法律までつくって、国会の議決を得たことを無視して、その途中でこれを打ち切るなんということは、これはけしからぬことだと私は思うのですよ。かつて固定資産税の問題について三年間の調整があったときに、三年目のときに打ち切ろうとして国会でたいへん問題になったでしょう。それを今度もまたやっているのですね。何のために法律をつくるのですか。法律を法律で消す、それはできないことはないでしょう。しかし、こういう特別な措置をしなければならぬということで法律ができたのを、今度打ち切ったということは、これはけしからぬ、どうしても理解できない。総理大臣どうお考えですか。
    〔委員長退席、小平(久)委員長代理着席〕
○福田国務大臣 これは確かに異例なことでございます。しかし、地方財政、中央財政相協力する――私は、地方財政がまたある何かの事情で非常に困ったという際には、また中央は協力しなければならぬと思う。しかし、中央に比べて、相対的ではありますが、地方にゆとりがあるという際には、地方が協力する、これで初めて国政が動くのだと思います。そういうようなことで、現実に昭和三十九年、四十年、四十一年、これは地方財政の非常に苦しいときです。ですから国は地方を援助しておる。そのときから比べますると、かなりの改善が地方財政に見られる。そういうような今日の時点において、異例ではありまするけれども、そういう措置をとる、これはまことにやむを得ざることであった、こういうふうに考えておるわけであります。
○細谷委員 これは地方財政のゆとり論とか裕福論とかいう形で、車の両輪という形でごまかす筋のものじゃないわけですよ。貧弱団体の、しかも貧弱団体にまるまる減った税収を見てやっているわけじゃないですよ。本文方式、標準団体の一・五倍を上回っておる部分についての措置を見ているだけにすぎないのですよ。そうしてわざわざ法律までつくって、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律というものまでつくって、そうしてその山場に差しかかった際に打ち切って、そして二年間ということでありますが、二年過ぎますともう、ことしは百十七億円でありますけれども、八十億円になっちゃうのです。義務を果たしておらぬじゃないですか。その法律を、山場に差しかかったとき打ち切るなんというのは言語道断、けしからぬことですよ。総理ひとつ……。
○佐藤内閣総理大臣 たいへんおしかりを受けております。まあおしかりに値するものだという立場だと思いますが、私は、先ほど大蔵大臣がるるその間の事情を説明しておる、それを聞きながら、やはり何と申しましても、さっきも申しましたが、国と地方、これは対立するものじゃないのだ、やはり全体として国の運営を考えていくべきものだ。したがって、最初から、地方が困れば中央も無理をしてでも地方を助けるということが望ましいし、また、中央において非常に困ることがあれば、やはり地方も適当に、自分たちも歯を食いしばりながら中央に協力する、こういう状態であってほしいと思います。これは一般的、抽象的の原則を申しておるのであります。そういう立場に立って今回の処置がとられた、かように思っております。
 私、ただいまのような事情等がいろいろあろうと思いますが、しかし、交付税の配分において貧弱市町村に特に手厚くなること、これは当然だろうと思うし、また、御指摘になりましたように、住民税が各自治体でずいぶん相違がある、住民税がさようなことでは困りますし、住民税のごときはだんだん軽減すべき筋のものだ、そういうものはやはり交付税で補てんさるべきものだろう、かように私思っておりますので、その配分にあたりましては、さらに注意をいたしまして、そうしてそこらの公平な配分といいますか、必要なる財源は補てんするように十分気をつけてまいりたい、かように思っております。
○細谷委員 配分の問題とかなんとかじゃ、私はこれは了解できないのです。わざわざ貧弱団体に対する措置としてとった法律、山場に差しかかるときにこれをストップするなんて、息の根をとめるというととじゃないが、眠らせるなんというのは、これはけしからぬことだと私は思っておる。どうしても了解できない。
 それから特別事業債、これは大蔵大臣も御承知のように、昭和四十一年にたいへんなへこみがありました。国が初めていわゆる国債を発行したとき、そして減税もやったときでありますから、したがって、交付税制度はがたがたになったわけですね。本来交付税で基準財政需要額に見ておったものを、その年のベースによって、九百十八億円と記憶しますけれども、これをカットした。そこで私は、当時本会議におきまして、これは四十一年の三月十一日でありますが、この特別事業債に関連して質問をした。「起債に切りかえた六百億円」、これは前年度ベースであります。「何とかして国が措置し、最小限元利の補給等は保証せねばならぬと思うのでありますが、」と、こういう質問に対して、大蔵大臣はこう答えておる。大蔵大臣、当時の大蔵大臣はあなたですよ。「基準財政需要のうち、投資的経費六百億円を特別事業債財源に振りかえた、これは国でその元利の補給等は保証すべきではないかというような御意見でございまするが、この六百億円に限らない、今回の特例債千二百億円あるのです。六百億円はその半分なんであります。」親切に教えていただいたのですね。「この全体につきまして、将来毎年の元利が支障なく払えるように財政上の措置をとりたい、さように考えておるのであります。」あなたの言い分でありますと、私は基準財政需要額からカットした六百億円は、どうしてもこれは国が将来責任を負うてやるべきだと言ったら、いや、特別事業債というのは千二百億円ある、六百億円は千二百億円の半分であります、というたいへん高等数学を教えていただいたので、それまで見ておると、あなたはおっしゃっておった。そしてこの問題につきまして、あらためて当時の地方行政委員会においても附帯決議が行なわれた。そしてその際に、大蔵大臣も参りまして、どう答弁したかというと、さきに本院におきまして議決されました地方税法の一部を改正する法律案、それから特別事業債の元利償還は、「実質的に地方財政の負担とならない方法で処理する所存であることを申し述べます。」こう答えておったわけです。そして今日までやってまいりました。四十五年度はそれが幾らになるかといいますと、大体百億円です。これは総理大臣、一番山が昨年でした。四十四年です。今度が山をちょっと下りかけたところ。そこでこれをまたぶった切ったのです。これは国会における本会議、委員会におけるあなたの約束を、これをまた踏みにじっている。これについてどうお考えですか。
○福田国務大臣 いま細谷さんからお話がありましたが、そのとおりです。いきさつはまさにそのとおりなんですが、その後財政需要が、中央、地方、非常に変わってきておる。そこで、昭和四十五年度の予算編成にあたりまして、これを何らの手段を講じませんと、一兆三千億円四十四年度であります地方交付税交付金が一挙に四千億ふえるんです。これは実に三〇%の増額になるわけである。これでは一般会計の財政規模を押し上げちゃう。これは一九%にも及ぶ増額をしなけりゃならぬという状態にもなる。それから景気情勢というようなものを判断いたしますと、中央においても地方においても節度ある運営をしなきゃならぬ、そういう時期である。そういうことを彼此勘案いたしますと、どうもこの四千億円もふえる地方交付税ですね、これについて何らか調整をしなければならぬ。その額を大体一千億円ぐらいの程度と、こう見たわけでございます。しかし、なかなか調整の道もむずかしい。先ほど御提案申し上げましたような国民健康保険の一部肩がわりということも考えてみましたが、これもなかなかむずかしい。非常に御指摘のように異例なことではございますけれども、特別事業債の元利補てん金、これをひとつ御協力願おうか、こういう考えになり、自治省においても快くこれを了承してくださる、こういうことに相なりまして、私も感謝をいたしている次第でございます。
○佐藤内閣総理大臣 おわかりいただけるのじゃないか、あるいは御同情いただけるのじゃないか、かようなことばのほうが適当かと思います。もちろん冷酷非道な大蔵大臣ではない。十分事情は考えて過去のような答弁もしたのでございます。当時のような事情のもとにおいて、中央と地方を比べながら、これは地方で負担するのはたいへんだ、これは中央でやろう、こういうことで申したのでございまして、それが今回は事情の変化によって、中央がずいぶん困っているから、こういうことで無理を言っておる、かように御理解をいただきたい。ことに昨年借りました金がなかなか返せない、こういうような状況もございますので、よほど中央は困っているのだというこの事態を御認識いただくと――ただ私、立つまでもないことだと思っていたのですが、聞いていると、大蔵大臣がちょっと気の毒になりまして、ずいぶんくふうをして、中央、地方のあんばいをしながら努力してきたにかかわらず、今回の処置で過去の思いやりが全部吹き飛ぶような話になると、これじゃ実際の実情についての理解をやや欠くのではないだろうかと思って、よけいなことですが、実は立ったような次第です。御了承願いたいと思います。
○細谷委員 総理からいま冷酷無比ということばがありましたけれども、私は大蔵大臣は冷酷無比だとは言っておりません。約束を破ってばかりいるじゃないか、信用できないじゃないか、これだけははっきり私は言えると思う。
 自治大臣、これは今度の予算編成の問題点の目だ。米価問題を中心にした農政の問題と地方財政の問題は目だと、こう言われておった。去年はそれに国鉄再建の問題がありましたけれども、私は自治大臣、いつの間にか大蔵大臣になって、ノーズロですよ。もうこれからやらないという貸し借りはやった。年度間調整については、大蔵大臣がまだできておらぬというのを、大蔵省と全く同じペースでやっている。そうして、この市町村民税の減税補てん債も、大蔵省の言うとおり、のんだ。特別事業債もそのとおりのんだ。ノーズロであなた大蔵大臣と話し合うのなら、これは話し合いがつくですよ。寄せて二で割るような筋のものではないでしょう。何でもかんでも全部あなた、大蔵大臣のぺ−スにはまってやったとしか私は言えない。これだけは私は苦言を呈しておきたいと思うのです。
 そこで、一つ申し上げたいと思うのでありますが、自治大臣、今度はまた四十五年度に返すべきはずの三百八十億円、いわゆる四十三年度の四百五十億円の三分の一、四十四年度の六百九十億円の三分の一、合わせて三百八十億円というのが四十四年度の補正予算に計上されてきた。これはおくらしたのではなくて、早めちゃったのだからいいじゃないかと言うけれども、これがまた国会の議決と違ってやってきたわけです。これを一体どういうふうに使うのですか、お尋ねいたします。
○秋田国務大臣 交付税の自然増とも合わせまして、ベースアップのために地方財政分として借りておる分もございますから、それに充てまして、そのほか土地開発基金等にも、この際、公共土地等の買い入れに充てる措置を講じますとともに、残りましたものは後年度に繰り延べる、こういう措置をとりまして、いま補正予算を御審議をお願いしているわけでございます。
○細谷委員 今度の補正予算で、交付税は九百九十五億円計上されておるわけですね。そのうち、純然たる三税増分としての六百十五億円のほかに、先ほど申し上げました繰り上げて返ってくる三百八十億円があるわけですね。これを、大臣の話によりますと、地方公務員のベースアップの財源措置、それから土地開発基金に使う、残りは翌年度に繰り越す、こういうことなんでありますが、二月の二十四日の新聞によりますと、総理の例の五十万トンに関連して、十一万八千ヘクタールの土地を買収するのに大蔵省はこれを充てたい、こういうことで、三百八十億円繰り上げで返したうちから三百四十五億円を土地開発基金に回すという記事が、大蔵省の考えとして出ております。ほんとうですか、これは。
○福田国務大臣 その数字につきましては私は承知しておりませんが、私のほうとしては、地方交付税が今回補正予算によって交付されるわけでございますので、そのうち、なるべく多額のものを土地開発基金的なものに使用してもらいたい、こういうお願いをいたしておる、これは事実であります。
○細谷委員 自治大臣、一体九百九十五億円は、さっきは抽象でありましたけれども、具体的にはどういう数字になるのですか、お答え願います。
○秋田国務大臣 九百九十五億円の内訳は、国税三税増加額かける三二%が六百十五億円、四十四年度特別分繰り上げ額三百八十億円、合わせて九百九十五億円になるわけでございます。
○細谷委員 質問に答えてないのですわ。それはさっき私が言ったのです。九百九十五億円はどういうふうに処理するのか、こう聞いているのです。
○秋田国務大臣 給与改定分として三百三十一億円、それから土地開発基金の増として二百八十二億円でございまして、残りを後年度に繰り越すわけでございます。
○細谷委員 昨年、土地開発基金というものを自治省がつくらせて、そのために六百二十七億円を配ったのですね。今度の、さっき言った二百八十二億円というのは、どこに配るのですか、これは。府県ですか、市町村ですか。
○秋田国務大臣 府県でございます。
○細谷委員 昨年、この予算委員会でも北山委員が、あるいは大蔵委員会でも、また地方行政委員会でも、一体土地開発基金に地方交付税を配るのは、地方交付税法三条違反じゃないか。いってみますと、この分は土地開発基金の分ですよと、ひもをつけて配るわけですから、「地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」と交付税法三条二項にうたってあるわけですね。それに違反でないか、交付税をひん曲げるものじゃないか、こういう指摘があったのですね。今度のやつは、それに輪がかがっておる。二百八十二億円というのは、府県に配る。市町村は四十五年度の分から配るというわけでしょう。大蔵省の考えている新聞の数字と違いますけれども、そうなってまいりますと、十一万八千ヘクタール、それを対象にして具体的なものにはっきりとひもをつけて、土地開発基金というものに配ってやるわけですから、これはもういよいよ交付税法違反ですよ。地方交付税法第一条には「地方自治の本旨の実現に資するとともに、地方団体の独立性を強化することを目的とする。」ということで、この法律はできているのですね。自治大臣、これはいかぬですよ、こういう配り方は。いかがですか。
○秋田国務大臣 その分は地方交付税の伸びの中に見ておるわけでありまして、特別にこうとひもをつけておるわけではございません。そうしてまたこの分を全部十一万八千ヘクタール購入に、土地、水田購入に充つべしということをいっておるわけじゃございません。地方が必要とする公共用地等の需要を満たすことは、当然地方公共団体としてやるべきことでありまして、それに今度の水田の買い上げということが考えられますれば、それにからめてやることは、これは国策に沿うゆえんでありますから、そういう趣旨から申しまして、これは地方交付税の本旨にもとるものでは決してないと考えておる次第でございます。
○細谷委員 それは国策に地方団体が逆行することは、問題があるでしょう。しかし、国策に沿うゆえんだからというので、こんな配り方、これはよろしくないですよ、あなた。この交付税の基本的な性格は完全にゆがめられている。それでなくても交付税全体というものが、昭和四十四年度を契機といたしまして、いよいよ国の補助金的な性格を濃くした、こういうふうにいわれております。いってみますと、住民の生活そのものに対する需要額に対する交付税の補てんという形よりも、いわゆる産業基盤整備のために交付税を交付するという色彩が非常に、事業費補正等を通じて、濃厚になってきた。いってみますと、地方交付税はいよいよ補助金的な性格を濃くした。しかも一条なり三条の精神というものを無視して、いわゆる地方自治の本旨を無視して、こういう配り方、これは私は誤りですよ、大臣。総理大臣、こういう交付税は、いよいよこれは問題があると私は思うのです。しかも、農林大臣等にも聞きたいわけでありますが、私は土地開発基金という制度は、地方自治法二百四十一条にあるわけですけれども、一つのひもつきで――ひもつきじゃないというでしょう、ひもつきで、現実にひもつきであることは間違いないわけですから、こういう配り方はよろしくないのであって、いま総理大臣が予算の審議中にこの十一万八千ヘクタールの問題については政府の案を出すとおっしゃっておりますけれども、それをやられるのならば、これはやはり別ワクの地方債等の増ワクをすることによって、それに対する利子補給等を考えていくという方途でなければいかぬと思う。この土地開発基金制度を、それを目がけて適用するということは誤りじゃないかと思うのですが、総理はいかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 いまずいぶん何か使途を限定して交付税を分けるということはまかりならない、これは法律の第三条の規定するところだ、さような御指摘でございます。私はそのとおりだと思います。私は、今回分ける金がそういう意味でやはり使われておると思います。いまどの金がどうだというわけのものじゃないだろう、どこからか土地開発基金にやはり資金が必要なんだ、しかし交付税から出たものか、あるいはその他の一般のもののやりくりか、なかなかそれはいわく言いがたきものがあるだろうと思いますよ。しかし、とにかくそれだけのものを土地基金はつくりたいのでしょうから、そういうものを地方でもやりたいだろうと思います。それは私は、地方の自由選択で基金ができるということは望ましいことじゃないかと思っております。いわゆる法律に違反しない、またその趣旨も生かしていくようにわれわれは一そう注意しなければならぬ、かように思っております。
○細谷委員 これは明らかに法律の精神に沿わない。それは、ことばは、ひもはつけませんと、こういうふうに答弁なさっても、これはもう事実上はひもつきの財源なんですから、交付税制度のこれは変質です。これも問題点があるということを特に申し上げておきたいと思う。
 それから次に、きのうもちょっと質問が出たようでありますが、地方の財源問題について、一、二ちょっとお尋ねしておきたいと思うのです。
 今度、国税の所得税の課税最低限は百二万円まで標準世帯で上がりました。ところが依然として、住民税も上げましたけれども、三十万円の差というのは変わっておりません。本来三十六年までは、本文方式でやっておったところは、これは同じだったんです、最低限は。三十七年以降わずかの間に大幅にこういう格差ができたのでありますが、ひとつ大臣、すぐお答えできるかどうか知りませんけれども、所得税はずっとこう上がってきますね。それから住民税の課税最低限はそれより三十万低いわけですが、その所得と税額との間のクロスポイントがありますね。これはどのくらいになりますか、今度の税制改革で。
○秋田国務大臣 正確には記憶いたしておりませんが、百十万か百二十万の、ほぼそういう線じゃないかと思います。
○細谷委員 事務当局。
○高木説明員 お答えいたします。
 夫婦と子供三人のサラリーマン家計を一応基準にとってみますと、四十五年の所得の額と四十五年度の住民税の額が一致いたしますのは所得百二十六万円でございます。
○細谷委員 そういたしますと、百二十六万以下の所得の人は、所得税よりも住民税のほうが高い、こういうことになるわけですね。
 厚生大臣にお尋ねいたしますが、新聞に、二月二十四日に、四十三年度の厚生省の調査として、国の一世帯当たりの平均所得というものが発表されておりましたね。それによりますと、第一グループ、低いほうから二五%、これは四十九万円以下になっているということであります。第二グループというのは下のほうから五〇%、二五%から五〇%の間、その人が七十五万円以下だというのであります。第三グループというのは下から七五%のところまで、いわゆる五〇%から七五%の人は百九万円以下だというのであります。これはそのとおりですか。
○内田国務大臣 たしか、ただいま御指摘の数字は昭和四十三年度の数字であったと思います。しかし、今日では、細谷委員も御承知のとおり、国民の一人当たりの所得が千何百ドルということはもう常識になっておりますので、今日の時点でとりますと、平均をすれば私はさらにそれよりかなり高い数字でなければならないと思っておりますけれども、あの厚生省の調査が、国民所得が伸びない時点のときであったか、あるいはあれが総理府の全国調査と違いまして、かなり局限された狭い範囲の調査でもあるようでございますので、少し低くあらわれているような感じを私は正直のところ持つものであります。
○細谷委員 いずれにしても四十三年度そのとおりでありまして、四十三年度の一世帯の平均所得は一一・五%前年度に対して伸びた、そういうことでありますから、かりに四十四年度でも、とにかく下のほうから二五%、第一グループというのは六十万円以下です、これは。そうしますと、国民の大部分というのが百二十六万以下ですよ。そうでしょう。そうなりますと、その人たちは所得税の重税感というのはもうひしひしと感じておりますけれども、それ以上の住民税の重税感というのは、これははっきりしておりますね。総理大臣、いま所得税よりも一般の国民の重税感というのは住民税にあるんですよ。ですから大幅にこの住民税の課税最低限は引き上げるべきであると思うのであります。ちなみに、四十四年度の個人住民税の納税義務者の数を調べてみますと、三千五百三十二万人おるわけですね。所得税の納税義務者というのは、大蔵省の資料によりますと二千四百五十九万三千人。いってみますと一千万人以上違うわけですね。それほど住民税というのは今日過酷だと私は思うのです。ですから、これは当然私は所得税の課税最低限と一致させなければならぬ、こう思うのでありますが、総理いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 単純に理論的に、一致させるのが当然だ、こう言われても、そのとおりなかなかならないと思います。しかし、いまおそらく七十万程度が住民税の最低課税限かと思っておりますが、私はできるだけ、住民税といえども零細なところからかき集めるというようなことはやめて、ただいま言われるような方向にさらにさらに努力すべきだろう、かように思います。とにかく、住民税そのものが地域住民の利益のためですから、地方の問題として処理される、しかし、中央からやはり適当な補助、援助がなければそういうこともやれないでしょうから、私は細谷君の言われることはしごくもっともだと思いますが、各自治体において、努力目標としてただいまのような点をやっておるのじゃないだろうか、今回やや住民税に改善を加えたのも、そういう意味じゃないかと思っております。
○細谷委員 総理はじめ、特に自治大臣、これはたいへん過酷なことであります。ですから、これは、市町村長がもう都道府県民税を一緒に取るのはいやだと言う。怨嗟の声を県の分までかぶって市町村長がやるからいやだと、こう言う。それほど重税感というのがあるということを申し上げて、何としてでもこの課税最低限は大幅に引き上げるべきだ、こう私は思っております。
 そこで、次にお尋ねいたしたい点は、この所得税よりも過酷な住民税、その住民税よりまた過酷な税金があるのです。それは何か。国民健康保険税なんです。四十三年度の国民健康保険税と市町村民税を比較してみますと、四十万から五十万ぐらいの世帯では、住民税の五倍の保険税を払わなければならぬのですよ。そういう実績になっております。五十万から七十万の所得の人は三六倍の国民健康保険税を払っておるというのが現況であります。
    〔小平(久)委員長代理退席、委員長着席〕
いってみますと、国民健康保険に入っている人たちというのは、これは零細な人たちです。会社保険に入っておらぬ人です。政管健保よりも給付は悪いのであります。いわゆる農家の人たち、そういう人たちが多いのでありますけれども、こういう所得税から住民税、それを上回る国民健康保険税を納めているわけでありますから、たまったことではありません。医者にかかるのは、なおすのじゃなくて、死ぬということなんです。そこまで私は深刻さがあると思うのであります。特にこの二月から医療費の改定がありましたから、これは青天井であります。条例できまったものを所得割りだ、あるいは資産割りだ、家族割りだという形で、割合がきまっているだけでありますから、税は野方図であります。
 そういうことでありますから、私は大蔵大臣に予算編成の際に、国民健康保険税はたいへんですよということを、党を代表してお会いしたとき申し上げましたが、この問題について、これは厚生大臣の所見も伺いたいのであります。そういう過酷な税を取っておりながら、国民健康保険というのが、国民皆保険の中でやってまいっておるわけですけれども、それをまた大蔵大臣は、さっきもお話がありましたが、今度の予算編成の際に調整交付金を加えて四五%になっているのを五%削る、そうしてあと地方で負担してくれ。地方で負担するということは、これは税がまたさらにアルファがつくということになったんですね。この点に関する限りは、総理が何と言おうと、大蔵大臣はきわめて冷酷無比な態度をとったと私は――幸い結論的には切りませんでしたけれども、考えること自体がすでに冷酷ですよ。これについてひとつ厚生大臣、今後、こういう過酷な国民健康保険税があるわけでありますから、どうお考えなのか。
○内田国務大臣 私は、国民健康保険税あるいは国民健康保険料として取られておる金額が、今日決して安いものではないという実感を私自身も持つことは、それは細谷先生と思いを同じくいたしますが、これも御指摘がありましたように、国が結論においては、大蔵省も五%を切らないで、四五%を医療費に対してとにかく補助をしておる残りにつきましては、これはいまもおっしゃったような応能負担、応益負担等の原則によりまして、社会保険というようなたてまえから加入者の方々に負担をしていただいておるわけであります。もっともこれは免税点というものではございませんけれども、これも御承知と思いますが、所得の低い方々につきましては、六割なり四割なりを軽減をして、その軽減分は調整交付金で埋めるというようなこともやっておりますが、私といたしましては、そういうものの軽減されるその限界の人々の幅をできるだけ、これは免税点はないけれども、引き上げるようにしたいと思いますし、また全国三千幾つかの町村がそれぞれの立場でやっておりますので、何かやはりこれも標準健康保険料のようなものの構想を取り入れていくような考え方で、加入者の負担をできる限り私はモデレートなものにしたいと考えるものでございます。
○福田国務大臣 国民健康保険につきましては、とにかく四五%国がこれを負担する、これはずいぶん財政当局としては手厚い処置をしておるというふうに考えておるわけでございます。しかし国民健康保険は、雇用者、雇い主というものがないものですから、そこでいろいろ摩擦感を起こすというようなことで、その制度のあり方としては、いま抜本的改正ということが言われますが、その辺も一つの問題点になろうかと、かように考えておるわけであります。
○細谷委員 いずれにいたしましても、所得税が過酷だ、それ以上に住民税が過酷だ、そして国民健康保険に入っておる人たちの負担というのは、文字どおり死ねというような過酷さを持っておる、こういうことでありますから、私は、四五%を下げるのではなくて、さらにこれを上げていく、こういう方向で検討をすべきではないか、こういうふうに考えております。
 そこで、次に申し上げたいわけでありますけれども、先ほど来議論がありました地方財政と国の財政、いってみますと、国のほうでは税金を七割取るわけでありますけれども、実際に使うのはその半分程度、あとは補助金とか交付税だ、こういう実情になっております。裏を返して言いますと、地方のほうは三割程度の税金をもらって、実際はその倍以上の支出をやっておる、こういう財政構造になっておることは御承知のとおりであります。ところで私は、今日のこの段階におきましては、国税と地方税との配分というものを、これはすでに地方制度調査会等の答申がありましたけれども、事務の再配分とも関連をするわけでありますけれども、これをやるべきである。同時に、住民と一番密接な関係を持っておる市町村の税というのがいよいよ詰まってまいっておる。いってみますと、国と府県のほうは比較的税収が順調に伸びていく、いわゆる税の弾性値は高いけれども、市町村は非常に弾性値が低い、伸びていかない、こういうことでたいへんな問題が現に出てまいっております。これについてひとつ総理、どうお思いか。たとえば法人税の例を申し上げましても、国のほうで六六%、三分の二程度取る、三分の一程度が県と市町村に来るわけでありますけれども、その法人活動を中心にやっておる都市あたりでは、法人税としては六%程度しか入っておらぬ、こういう実情であります。私は問題があると思うのですよ。この点についてどうお考えなのか、お聞きしておきたい。
○佐藤内閣総理大臣 私もそういう点、ただいま細谷君の言われることがわからないではございません。大体の傾向はそういう方向になっておると思います。
 なお、これらの点は専門の大蔵大臣から説明させます。
○福田国務大臣 私も見ておりまして、私の立場としますと、地方の財政にはなるべくこれは自主性を持ってもらいたい、中央としては関与はいたしたくありませんけれども、見ておる感じといたしましては、どうも府県に比べて市町村の財政のほうが苦しい状態にある、こういうふうに思っておるのです。これは感じです。そこで、何か地方交付税の配分においてそういう点を配慮しながら運用に当たらなければならぬかな、こういうふうに考えておるわけでございますが、これは地方自治で、私どもは、あまりものを言いますと、また自主性を害する、こういうことでおしかりを受けすから、そういう感じを持っておるのだということだけを申し上げさしていただきます。
○細谷委員 確かに、たとえば大阪の例をとりましても、大阪市民が納める税金というのは国に七割入っていく、そして二割が大阪府に入っていく、市に入っていくのは一割程度、こういうことでありますから、日本の代表的都市なんというのが全部国からの交付税を配分していただかなければやっていけぬ、こういう実情は、国と地方との税財源の配分というばかりじゃなくて、地方団体における税財源の配分ということも検討する段階に来ているのではないか、こう私は思っております。
 そこで、財政面から、言ってみますと、いよいよ地方自治の本旨という線から逆行するような状態にあるわけでありますが、同時に、私は、行政面からのいわゆる中央集権化というのが急速度に進んでいっておるのではないかということを憂慮いたしております。
 そこで、いろいろ問題点がありますけれども、最初にひとつ行政管理庁長官、私の選挙区の先輩でありますけれども、お尋ねしたいのであります。
 臨時行政調査会三十九年あるいは地方制度調査会等の答申がありますけれども、やったことといえば、一省庁一局削減と、それから総定員法ぐらいのものであって、何にも進んでおらぬ、こういう現況であります。
 そこで私がお尋ねしたいのは、昭和二十二年にできました地方自治法附則第八条に基づいて、当分の間の措置として地方自治法施行規程、いわゆる戦争中の法律が地方自治法に移行する橋渡しの法律というのが依然として今日通用しております。これは私はきわめて遺憾なことだと思う。臨時行政調査会も地方制度調査会もこれを指摘しておるわけでありますけれども、一向進まぬ。むしろ私は、国は今日それを進めようとしない、そういうふうに言って差しつかえないと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
○荒木国務大臣 お答えいたします。
 いわゆる地方事務官制度といわれるものの話かと思うのであります。このことにつきましては、一昨年閣議でも問題として取り上げまして、その具体的な実施をはかるべく推進検討中でございます。結論が早く出ませんので、何もしてないのじゃないかという意味の御非難がございますけれども、現象的にはそうですが、苦心惨たんしながら推進していることだけは御報告ができると思います。
 問題は、労働省、運輸省、厚生省に関係する課題でございますけれども、労働省、運輸省の関係におきましては、相当具体的に詰めが進んでおります。厚生省関係は、国民健康保険をはじめとする諸制度の抜本的改革ということがしょっちゅう問題になりまして、それとの関連において、現実にはその解決を待たざるを得ないというふうなことでストップしておる実情であります。
 以上御報告申し上げます。
○細谷委員 二十二年にできた法律で、しかも橋渡しのような、経過措置のような地方自治法施行規程というものが依然として今日存在しておる。しかも、いってみますと、職業安定行政あるいは厚生省のものは知事の部局の中に組み入れておりますけれども、ただ指揮監督するだけで、人事権というのは知事が及ばぬ、陸運行政というのは知事の判こが必要でありますけれども、別のところでありまして、知事の部局にない、こういうことでありますから、私は責任体制が全くどこにあるかわからぬ、こう申し上げなければならぬと思うのです。私どもにも考えがありますけれども、これはずいぶん臨時行政調査会も指摘したし、一向進んでおりません。巷間、行政改革については佐藤総理はやる気がないのじゃないか、こういうことがうわさされておりますけれども、こういう現実の問題があります。ひとつこの問題についての総理のお考えをお聞きしておきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 行政制度あるいは改革、これは私はほんとうに熱意をもってこれと取り組んでおるつもりであります。ただいま御指摘になりましたように、一省庁一局削減、これもずいぶん理屈に合わないようなことまで思い切ってやりました。また総定員法ができたということも御承知のとおりであります。いま地方事務官制度の話が出、縦割りの話が出ている。そこでもう一つ問題は、いまわれわれが中央でやっておりますものが、各省の権限争いもございますが、そういう権限を明確にすることと、もう一つは、やはり何と言いましても国民そのものが、みずからが自主的におやりになること、こういうものを、国民に返すものはずいぶんあるのじゃないかと実は思っております。そういう意味で、ただいまもその方向で努力しております。私は、中央においてもこの努力をしておるのだが、地方自治体もただいま申し上げるような方向でぜひとも努力が願いたい。私は、非常に思い切って進んだ市町村、そういう例も知っております。そういうものに右へならえがぜひともほしいように思います。郡役所は整理されたが、それにかわるような地方事務所というものがいつの間にかできている。これなどはまず地方で、自分たちでおやりになることだから簡単にできることじゃないだろうか、かようにも思います。ことに私は、非常に細谷君は自分でも努力されたことだと思うが、市町村のあり方としては非常に変わってきております。これはもう明治初年から見まして格段の相違だ。大改革が行なわれておる。しかし、その上級組織はそれぞれまだまだ改善すべきものがうんとあるんじゃないだろうか。いま縦割り行政だということが云々されるが、それにはそれ相応の理屈がある。また、いまのような、総体的に見ましてやはり簡素化の方向で事務の処理をすること、そこらに課題があるんじゃないだろうかと私は思っております。ただいま臨時行政調査会あるいは地方制度調査会等が、自治体の関係では、主としてこれらのものをあんばいしつつあります。私は、ただ単に中央、地方との間の事務の配分ばかりでなしに、やはり今度は府県と町村との間の事務の配分、これらのこともあわせて考えなければならない。そういうものを一体として考えることが必要だろう。だから取り組むべきものは非常に多い。やはり基礎的なものは一体何なのか、こういうことで、これはじっくり考えてただいまやっておる。ただいま同じ選挙区の荒木大臣から事情をよく説明されました。私は、荒木君になりまして基礎的な地ならしをしておる段階のものが非常に多いと思っております。またおそらく中央におきましても、私も官僚の出でありますから、官僚どもの考えることもわからないじゃないが、まだまだセクショナリズムが非常に強い。そういうものにメスを入れない限り真の国民のための行政には取り組めないんじゃないかと思う。絶えず念頭はどこにあるのか、国民にあるんだ、この考え方で、国民のための行政、国民に利益するもの、それをひとつ考えて進んでいきたいと思っております。長い話をして相すみません。
○細谷委員 そこで、いろいろ問題があるわけであります。せんだっての新聞にも出ておりましたけれども、最近この委員会でも問題になりましたが、いわゆる官僚の天下り、公団に行くあるいは在職中のあれを利用して民間会社に入っていくということがこの委員会で指摘されましたけれども、同時に私は、問題の点は、中央官庁から非常にたくさんのいわゆるエリート、こういう者が自治体に行っております。そして、枢要なポストを握っております。せんだっての新聞によりますと、六百三十人をこえておる、こういう状況であります。こういう姿は、新聞によりますと、自治省の官房長はそれは幹部要員を育てるためにやむを得ないことだ、こういうことを言っておりますけれども、これはけしからぬと私は思うのです。住民に密接な関係の行政をやっておるところで、養成も必要でありますけれども、養成が目的で、しかも中央のほうだけ向いて、枢要なポストを占めて行政をやられては、これはたまったものではない、こういうことであります。しかも、これが年々歳々各省競って送り込んでおる。大蔵省あたりでも、やはりどこそこの総務部長に送っておる。各省競って行っております。その人たちは二年か三年、はなはだしいのになりますと、一年ごとにポストが変わって、二年か三年すると中央に帰ってきておるというわけでありますから、いってみますと、点数かせぎに行っているだけであって、住民のほうを向いておりません。こういうことでは、これは人事を通じての中央集権化というのが明瞭に出ておると私は思うのです。これは直していただかなければいかぬと思う。財政面を通じて地方自治をむしばむ、行政面で締めつけていく、そうして人事で押えつけていくということでありますから、これはもう新しい中央集権化というのが進むのはすべての条件が整っておる、こう申さなければなりません。それは地方自治の本旨からいってよろしくない、こう私は思っております。これについて、私はその地方に行ってその人材を活用していただくということを否定するわけじゃありませんけれども、そういうところにポイントはないのでありますから、問題であると思います。総理、こういうものを抑制する御意思があるかどうか。
○佐藤内閣総理大臣 お答えいたします。
 これは二通りに分けて、公社、公団等の人事――公社、公団は政府の仕事の延長だ、こういう意味で比較的中央から出かけておる者が多い。それらの者がただいまのように二重の退職金を取って転々とするというようなことのないように注意をいたします。これはすでにお答えしたとおりであります。
 ただいまお尋ねになりましたこと、また御意見を述べられたのは、主として中央と地方――府県との関係だろうと思います。御承知のように、私が申し上げるまでもなく、片一方で地方事務官の問題、それがなかなかうまくいかないとか、こういう問題がございますが、それよりも地方自治体それ自身が自主的にものごとをきめるべき立場にあるのでありますから、中央の人材を養成するという役所ではありませんし、昔の内務省というのとは今日の制度は変わっておりますから、私どもは必要のないところにただいまのような中央の役人を出すようなことは、積極的な考え方は持っておりません。しかし、地方におきましては、いろいろな事情等がありまして、中央の人を望んでおる、そういう者に来てくれというような事態が多いのであります。それらの点は私もこれから十分注意いたしまして、それらの点がしばしば地方議会の問題にもなり、地方議会で承認しなければそういうことはできないとか、何か特別な制限を設けるとかというようなこともあるのじゃないかと思っておりますが、なおそういう点については考える。私のほうで積極的に中央から地方に人事を押しつけるようなことはございません。それだけはこの機会に明確に申し上げておきます。その点を御了承いただきたいと思います。
○細谷委員 押しつけるというよりも、これは補助金つきで人が送られていく、こんなように言っていいと私は思うのです。これはたいへんな問題です。中央が採用するにあたっては、もうおれのほうではそういうふうに府県に配置することまで考えて採用しているといっても差しつかえないと思うのでありますが、これは地方自治の本旨に照らしてよろしくない、こう思います。
 そこで次にお尋ねしたいのでありますが、財政面を通じ、行政面を通じ、そうしてさらには人事を通じて地方団体というのを締めつける、地方自治の本旨と逆行する姿が顕著になってきておるのでありますが、たとえば、いま問題の公害行政であります。せんだってもある新聞に出たのでありますけれども、たとえば法令と条例との間の、「スモッグよそに法律論争」、こういう見出しで出ております。いってみますと、公害問題というのは、住民の生活、生命に関係がありますから、地方団体はやむにやまれず積極的に取り組んでおります。自治省の調査によりますと、それによる四十三年度あたりの費用というものも相当出しておるということが発表されております。ところがこの法律論争をやっちゃいかぬわけですね。問題は条例でやっておったものを、今度法律があとでできます。あと取りするわけですね。そうして、いやそれは法律違反なんだ、こういうことで問題が起こっております。この点について、たとえば四月一日から施行されます東京都のいわゆる条例をめぐっての問題でありますが、通産省、厚生省はどうお考えになっているのか、お尋ねしておきたい。
○内田国務大臣 私は決して法律論をいたすつもりはございませんが、ことに公害の防止というようなことは、現場第一線にある地方公共団体の協力なくしては、これは規制ができるものではない。また監視、測定もできるものではない。国は原理、原則やまた全般、ことに主要なものを通ずる排出規制とかいろいろなものをつくりますけれども、それらの実施についてはまた公共団体の監督にまたねばならないものも多くございますので、これは中央、地方一体となって、法律論ではなしに、ほんとうに国民の健康なりあるいは生活環境を守るためにやるべきだ、こういう考えを持つものでございます。ただし、細谷先生も御承知のとおり、条例というものは法令の範囲内でつくられることに憲法上もなっておりますし、また公害基本法におきましても、いま申しますように根幹的なことは国がきめて、それを実施するために、また国の根幹からはずれた各地方のそれぞれの事態に即した排出基準なり、あるいは、ばい煙の発生施設などについて、そういうものは条例できめるべし、こういうことになっておりますから、国が地方のやることを押えることもよくないけれども、国が原理、原則や主要なものについてきめている排出基準等をさらに条例でそれをまた殺すというか、矛盾するようなこともこれまた適当ではないので、私は東京都につきましても、十分打ち合わせてやっていただくように指導をいたすつもりでおります。
○宮澤国務大臣 公害についての基準をどのように設定するかということは、結局生活と産業との調和点を求めるということになるわけであります。その調和点をどのようにきめるかということは、時代が進んでまいりまして、技術の進歩がある、あるいはまた公害は規制しなければならないという観念が定着をしていくということに従って、私は時代とともに企業の側にきつくなるということは、これは当然だと思います。また企業にもそれを覚悟していただかなくてはならないと常に申しておりますが、いずれにいたしましても、一つの時点においては一つの調和点というものがあるわけでございます。そこで、国がそういう基準を各地方にきめましたときには、それがその時点における両者のぎりぎりの調和である、こういうふうに考えなければならないと思います。したがって、大気汚染防止法でございましたかの中に、法律と条例との関係についての規定があるということは、私はそういう意味合いだろうと思います。
 ただいま御指摘になりました東京都の場合について申しますと、国がある規制の基準を考える、しかもそれをどういう施設について、あるいはどういう単位について考えるというようなことを一度国がきめました場合に、その当該団体がそれと違う基準をきめますと、規制を受ける側としては二つの違った基準による矛盾した基準を受けることになり得るわけでございますから、そういうことはあってはならないというのが大気汚染防止法における両者の関係をきめた規定である、こう考えております。
○細谷委員 公害基本法に産業との調和と書かれたその調和ということに重点が置かれて、早くから自治体の固有事務として条例、規則等でやってまいったこと、それを国があと取りして、その基準より低いものをきめた、であるから地方自治法十四条によってその上回っておる分は無効だ、こういうようなこと。あるいは一つの川がある。ある部分について指定されておる。それ以外のところについては、これは市町村の固有事務として条例等で取り締まって規制をしてきた。今度はそれをひとつ法律でまたあと取りしよう、こういうことになりますと、産業の調和という名のもとにおいて、その実情にそぐわないような、公害を防止する、健康を守るという形においてつくられておらない。ここに問題があると思うのですね。たとえば、国の法律、大気汚染防止法によりますと、煙突の一本一本、その吐き出し口の亜硫酸ガスの濃度をきめる、こういうことになりますけれども、煙突が一本の場合と十本ある場合は、これは違うのです。ですから煙突一本一本を規制するという国の基準、工場全体としての亜硫酸ガスを見なければならぬという都の条例の精神。これは都の条例というのは住民の生活、健康というものに重点が置かれてきた。それを地方自治法十四条違反じゃないか、あるいは公害基本法の「準じて」ということ、そういうことをもって法律論争――私もこの問題についてしろうとでありますから、法律論争するつもりはありませんけれども、むしろ公害問題というのを国が押えつけておる。地方団体が実情に即してやろうとするのを規制しておる。しかもあとから出ていって憲法九十四条、自治法十四条で押えていく、こういう阻害者の立場になっておる、こういうふうに申さなければならぬと思う。これはたいへん重要であります。時間がないからもっと突っ込んだことをやりたいのでありますけれども、厚生大臣、これは言ってみますと、地方独自の条件から規制が行なわれておるわけでありますから、国があとで法律をつくっていくのならば、それを下回るような規制はしないで、やはり基準としてそれ以上のものをつくっていただかなければ困ると私は思うのです。これはいかがですか。
○内田国務大臣 私が先ほど御答弁をいたしました趣旨も、お尋ねのように中央、地方十分打ち合わせて、そして国民の健康と環境を守るべきだということを申し上げたのであります。
 いま東京都の例が出ましたが、これは細谷さんは法律を御研究だともちろん思いますけれども、国が法律によりまして地域を指定するとか、あるいはいま煙突の例がございましたけれども、そういうようにばい煙排出施設ごとにきめるなり、あるいは工場をまとめてきめるなり、そういう排出基準をきめようとする場合には、関係都道府県知事の意向を聞かなければならないということに一方なっておるわけであります。そこで厚生省といたしましては、この前、東京都地域内における排出基準をきめる際には、東京都にも協議をいたしましたところが、残念にも東京都のほうから御返事がない、協議に乗ってこない、こういうような事態もございます。しかし、私はそれをどうこう言いませんが、そういうことがお互いにないように、十分これはやっていきたいということを、あまり法律論に入らないで、御指摘をいたしたいと思います。
 それからもう一つ、公害防止のためには、これも御承知のように、健康を守るためとそれから環境を守るためと両方の目的がございまして、健康を守るためには、もうこれは厚生省の方針としても内閣の方針としても、産業との調和については顧慮しない。待ったなしで健康優先だ。ただし第二番目にあります環境を守るためには産業との調整をはかる、こういうことになっておる次第でありまして、第一にはとにかく健康優先ということで基準等もつくっておりますことを、あわせて申し述べさせていただきます。
○細谷委員 こういう問題で地方がやむにやまれず条例をつくって、地方団体の固有のものとしてやっておった、そして国が法律であと取りをしてこれを全体的に規制しようといった場合に、しばしば地方の条例よりも水準の低いところで法律なり政令等できめられることがあります。これがしばしば問題になっております。今度の例もその一つであろうと私は思うのです。今後そういうことにならぬように、やはり法律の制定等については、あと取りする場合には十分配慮して、憲法九十四条だとか地方自治法十四条だとかいうことで法律論争が起こらないように、ひとつ十分に配慮をしていただきたいと思います。
 そこで、あと時間もあまりないのでありますが、今日過疎問題、過密問題と、こういうことで深刻な問題が起こっておるわけであります。この予算委員会の冒頭、小坂委員からも地方制度の問題について若干質問があったわけでありますけれども、いま道州制の問題が論議されております、第十四次の地方制度調査会もこれを取り上げております。せんだっての予算委員会の質問において佐藤総理は、いまの制度に道州制をしくのはこれは屋上屋であると、こういうことだけをおっしゃって、それ以上総理らしいビジョンなり構想というものは一言もおっしゃらない。ところが総理大臣、私は自治大臣にもお尋ねしたいんでありますけれども、新全総計画というのを発表された。その中には新全総計画を推進するにあたって、広域生活圏というものをつくらなければならぬ、いまの府県の境を越えたもっと広い広域行政体制をつくらなければならぬ。そういうことで、現実に建設省では地方生活圏、あるいは自治省では広域市町村圏、最近では運輸省では都市交通圏構想、こういういろんな構想が発表されております。そして、従来自治省はがんとして百万をこさなければ指定市にしない、しないと言っておりましたが、最近指定市問題が出てまいりました。私は指定市そのものについてはけっこうなことだと思います。しかし、どうもその背景というのが、都市問題についていま制度調査会が検討をしておる段階に、広域市町村圏なり、地方生活圏構想なりというのが建設省と自治省で争いながら進められておる。こういう諸般の情勢を考えますと、すべてが道州制へ道州制へと進められておるんではないかと考えざるを得ないのであります。したがって、二重行政だなんていうことじゃなくて、もう、いわゆる広域市町村圏というもので――市町村というのを否定して自治体としては広域市町村圏を土台とする、そして府県は要らないんだ、そして道州制だ、こういう地図をひた走りに走りつつあるのではないかと思うのでありますから、ひとつ総理、二重行政なんてそんなものじゃないんですから、この問題についてのお考えをお聞かせいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━私は、先ほども申しましたように、いろいろ権限の配分等についてのお話をいたしましたが、ただいままでの県あるいは市町村、中央、この三つだけで話をしないで、もう少し変わった考え方があってしかるべきじゃないかということを申しました。また、いまお話がありましたように、私どものこの考え方について、ただいま……(発言する者あり)いまその不適当なことばがございますれば幾らでも取り消しますが、ただいま私が申し上げますように、この本筋はそういうことじゃないかと思っております。私が本会議で申しましたのは、ただ道州制だけをひとつ取り上げて道州制はどうだと、こういうような聞き方がどうも不十分だ、ただいま御指摘になりますように、これはもう申すまでもなく広域行政、広域経済圏、広域生活圏、そういうのが問題になっておりますから、それはもう府県にとらわれない、こういうところでやるべきだろうと思います。私はそういう意味で、この地方制度調査会等でこれらのことをあわしてやはり考えておるのじゃないか、かように思っておりますから、その問題だけを取り上げて云々しておるわけではございません。私はそういう意味で、ただいまのお尋ねで、私の考え方を説明する機会を与えられたことを非常に喜んでおる次第であります。
 なお、私重ねて申しますが、私の発言中不穏当な点がありましたら、それはひとつ幾重にでも訂正さしていただきます。
○細谷委員 私は、総理のいまの発言には非常に不愉快です。それは防衛問題とか、何か知らぬが、大きな問題はやらなければならぬでしょうけれども、じみな問題でそれぞれの委員会でやればいいじゃないかということでしょうけれども、総理も委員会に来ないでしょう。しかし、そういう具体的な国民生活に関係する問題も重要でありますから、あえて取り上げている。私はもっと率直に言えば、こういう地方制度の問題なりあるいは全総計画等のいろいろな問題がありますから、そういう問題について時間をかけたかったのでありますけれども、あえて具体的な問題からやったのであります。ですから、まあ佐藤総理の「━━━━━━━━」という予算委員会での論議というのは、ワクがあるわけじゃないと私は思う。
    〔発言する者多し〕
○中野委員長 細谷君に申し上げますが、ただいまの総理の発言の中で……(発言する者多し)ちょっと静かに。もし適当を欠いた発言がありましたなれば、これを訂正するようにいたしますら、よろしくお願いいたします。(発言する者多し)静粛に願います。――速記録を調べてと申し上げておるのですから、御了承願います。総理みずからも、不穏当なことばがあったら訂正すると言っておられるのですから、御了承願います。
○佐藤内閣総理大臣 別に他意があって申すわけではございません。そういう意味で予算――その点がお気に召さなかったら、ただいまの点は私は……(発言する者多し)不規則発言はやめていただきたい。不規則発言はやめていただいて、私が質問者にお答えをいたします。それが不愉快ならその点は取り消すと先ほど申しておるのですから、そのとおりでございます。
○中野委員長 細谷君、御継続を願います。
○細谷委員 取り消したのですが、いまの道州制についての私の質問について総理は何もおっしゃっていなのですよ。一体どういうビジョン、構想をお持ちなのか、これをはっきりしていただかなければいかぬです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま全体として考うべきだということを私は申しました。これでおわかりじゃないかと思いましたが、そのことの一環として道州制をどう考えるか、これはやはりいままで御審議をいただいておりますように、わが党といたしましては、在来の府県制のあり方、これは広域行政、広域生活圏に不適当だ、かように思っておりますので、ただいままでのところいわゆる都道府県合併特例法案を出しております、これである程度まかなえるのじゃないかと思っております。したがって、ただいまのような道州制そのものが国民の世論となりまして、そういうものが動けばもちろんそういうことにわれわれが従うことに異存はございません。しかし、ただいま申し上げますように御審議をいただいておる。今日非常な改革をしないで進めつつあるその状態を御了承いただきたいと思います。
○細谷委員 いろいろと質問したいのでありますけれども、私は先ほども申し上げたわけでありますが、新しく発足いたしました第十四次の地方制度調査会に、道州制の推進論者の中心である日商会頭の永野さんというのが新しく委員に起用された、こういうようなことからいきましても、これはやはり道州制を強力に推進する、いってみますと、財界の要請に基づいて、地方自治の本旨、自治体はどうあるべきかという、こういうサイドからの問題の取り上げ方ではなくて、いわゆる産業界の要請という形で道州制というのが取り上げられておる。すでに永野私案なるものも出ております。これは知事の公選だとかなんとかと言っておりますけれども、これは地方自治の本旨から見ますと、私は全く考えられないものだと申さなければならぬと思うのですよ。地方制度というものを考える場合に、地方自治の本旨というものを忘れてはいかぬと思うのでありますが、もう一度、総理、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われるとおり、私はいわゆる道州制というものに、中身を知らないうちに賛成をするということはいかがかと思っておりましたので、どちらかというと、否定的な言辞をいままで弄してきております。しかし、ただいまその問題も地方制度調査会で正式に取り上げて審議しておる段階でございます。私はその結論を待たなければならないと思いますが、もし私の意見を求められるならば、現状に大改革を加えるということならこれは別ですが、いままでの、改革があまりなくてただ道州制だけを導入するということには、私は反対でございます。
○中野委員長 細谷君に申し上げますが、お約束の時間がすでに相当経過しておりますので、そのことをお含みの上、結論をお急ぎ願います。
○細谷委員 総理、新全総計画、こういうものが出されておりますね。その推進体としての道州制ということがいま財界等から取り上げられておると私は思うのです。せんだってその全総計画について運輸大臣のほうから、全総計画を手直しすべきである、こういうことも出ておりました。大正十二年に起こりました関東大震災、これは六十数年というのが一つの周期だというのであります。もうそろそろあぶなくなってきているのですね。たとえば房総半島等の隆起というような記事がもうすでに出てまいっております。そういう点で、防災上の大きなプロジェクトをこの全総計画の中に織り込んでいかなければいけないのじゃないか、その対策をしていかなければならないのじゃないか、こう思いますけれども、最高責任者としてどう考えているのか。
○佐藤内閣総理大臣 もちろんいまの科学技術の状況から申しまして、地震の予知ということはなかなかむつかしいことでございます。しかしながら、われわれは過去において関東大震災という苦い経験をなめておりますので、そういうような苦い災害を二度と繰り返さないように、今日からあらゆる機会にそういう対策を立てるべきだ、かように思っております。そういう意味で、災害対策基本方針を審議しているそういう機関もございますので、その機関において、これはいいことじゃございませんが、万一災害が起きた場合にどうするかというようなことも消防庁等をしていろいろ審議さしておる段階でございます。しかしこれは、重ねてくれぐれも申し上げておきますが、現在の状態で地震が起こるとか、そういうような状態は予見はされない。しかし、これは過去においてもいつ起きたかわからない、こういうようなことでございますので、いま起きるから私どもが準備している、こういうものではない。また海底等に地震計を置く、その他によりましても科学的に予知し得るようなあらゆるくふうはしております。
 同時にまた、災害は今度はたいへんだろう、もし起きたらたいへんだ、かように考えますので、これはひとつ関東だけではございません、どこの土地で起きましても、地震対策というものを十分考うべきことだ、かように思って、いろいろ仮想した状態のもとで何かと考えておる、こういうような状況でございます。
○細谷委員 終わります。
○中野委員長 先ほど総理の発言については取り消しをされましたけれども、さらに速記録を調査の上、理事会において処理することにいたします。
 これにて細谷君の質疑は終了いたしました。
 午後の会議は一時より再開することといたします。この際、暫時休憩をいたします。
    午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時六分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、おはかりをいたします。
 明二十八日の加藤清二君の質疑に際し、商工中金理事長を、また堀昌雄君の質疑に際し日銀総裁を、それぞれ参考人として出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
     ――――◇―――――
○中野委員長 総括質疑を続行いたします、河村勝君。
○河村委員 きょう私は、内政の問題、特に物価と佐藤内閣のいわゆる社会開発の問題、この二つを中心に質問する予定でございますが、それに先立ちまして、二点だけ御質問さしていただきます。
 その一つは、繊維問題でございまして、またまた下田発言に関連するわけでございますが、昨日の夕刊をすでに外務大臣もごらんであろうと思います。これは、二十五日のアメリカにおける正式の記者会見の内容でありますから、これは外務大臣もよもや内容を否定されることはなかろうと思います。
 その中身の要点は、今度の場合、下田大使もだいぶ慎重になりまして、最初は、アメリカ側の意向はこうであるという趣旨を述べておるのですが、それは、この繊維規制について、品目別被害資料が出そろうまでは全体の交渉を一切行なわないという日本の主張は理解できない、それから、佐藤・ニクソン会談で早期円満解決の線が出ている以上、日本は対案を出すのが当然だ、これがアメリカ側の意向である、こういうふうにまず述べて、その次に、自分の意見として、佐藤・ニクソン間で早期円満解決の合意があったことを下田大使自身もその席ではっきり認めて、その上で、ワシントンの情勢は日本にきわめて不利である、だから自主規制の大綱を早急につくり上げるべきだ、こういう発言になっておりまして、これは各紙全く共通の内容でございます。
 この内容は、ガットの原則に従って交渉を進めるという従来の外務大臣の方針並びに総理はじめ全部閣僚がおっしゃっておる国会における発言とも全く食い違っております。これは、外務省の中のしきたりはよく知りませんけれども、明らかに訓令違反である、そう考えますが、外務大臣、いかがですか。
○愛知国務大臣 この問題については、昨日、一昨日も御答弁申し上げたとおりでございまして、訓令に従って下田大使としては大いに健闘しておる。それから、伝えられたような私案というようなものを提示しているという事実は、もちろんそうであってしかるべきでありますが、そういうものを提示しているという事実はない。こういうわけでございますから、この点はまず最初にはっきりさせておきたいと思います。
 それから、いまお述べになりました点については、私のほうにも、求められて新聞記者会見をした、その内容は来ておりますが、その記事のほかに、記事には出ておりませんが、いま私が申しましたようなところが非常にはっきりいたしております。それから自分の意見としては、日米間のこうした問題についてはできるだけ自分としては双方が納得するような線で早く結末がつくことが望ましい、この友好関係の中において話し合いが早くまとまることが望ましいということを申しておるわけでございまして、これらの全体の話を総合して、私と考え方は一つも変わっておりません。
○河村委員 何かいま、あなたのおっしゃったことがこの内容にはっきり出ていると言われましたが、さっぱり出ているとは思われないので、各紙共通に言っていることは、下田大使自身が、佐藤・ニクソン間で早期円満解決の合意があった上は、当然日本は早急に自主規制の大綱を出すべきだという点については全く一致しているのですね。その点が間違っているということなんですか。
○愛知国務大臣 これは一昨日、昨日も私も申しておりますように、ガットの精神の中で――アメリカ側が望んでおることは、最初からのアメリカの主張をずばりと言えば、包括的な規制を自主規制でもってやってほしいということでありましょうけれども、それに対するわがほうの考え方としては、ガットの精神のワクの中で、いわゆるインジュリーというものがあれば、その限定された品目についてしか考慮することはできないというのがこちらの態度でございまして、そういう趣旨をこちらからエードメモワールというかっこうで出しておるわけです。それに対してアメリカ側が、公式にいろいろと言っている点のほかに、アメリカ側としてはこういう点をまだ問題にしているようであるということは伝えられてきておりますけれども、これは正式の折衝の場における話ではございません。要するに、被害を与えているとかあるいは大きな被害を与えるおそれがあると認定されるようなものが立証できるならば、その限りにおいて限定的なものについて自主規制をするかどうかということが考慮されるでしょうけれども、それ以外のことは考えられないということはもう前々からの政府の方針でありますし、現にそういうふうに考えておるわけです。そうして終局的に、これはガットの中できめられるべきものである、関係のほかの国々もあることであるからと、こういうのがわれわれの態度であることは、何度も明らかにしたことでありますし、その基本線と変わりはございません。
○河村委員 外務大臣、何か間違えておられるのじゃありませんか。あなたが一昨日、昨日述べられたことは、いわゆる下田私案についてのことであって、それについてはあなたがここでもって否定をされました。私はその否定がほんとうは必ずしもそうではないという事実も知っておりますけれども、否定されたのですから、それはそれでよろしいのですけれども、しかし、いま私が申し上げているのはそれじゃないのですよ。新しいことです。二十五日にもう一ぺん記者会見をして、いま私が言いましたように、佐藤・ニクソン会談で早期円満解決の線が出ている以上、日本は対策を出すのは当然だというアメリカの意向を受けて、自分もそう思うという意味のことを、新聞記者発表をやっているのですよ。そのことについて私は質問しているのですから、そのことについてのお答えをいただきたい。
○愛知国務大臣 まず第一の点は、日米間のこうした懸案はできるだけ早く片づけたいということは、総理もきのうもここで言われているところでありますから、基本的な姿勢として何ら変わるところはございません。
 それから、米側から公式の書面も来ているわけですから、それに対して今度はこちら側から、しからばそれに対してどういう対応策が考えられるかということについては、現に関係当局間においても相談をいたしておりませんが、まだ態度はきめていないわけで、現在鋭意検討中でございますから、そういう検討ができるだけ早くできるほうがよいということは、関係者の間でも話に出ているわけですから、そういうことも含めて、基本的にその線については、私いま申しましたように、変わるところはございません。
○河村委員 あなたは答弁をそらしておられる。私はあげ足をとって言うつもりはありませんけれども、いま私が問題にしておりますのはここなんです。佐藤・ニクソン間で早期円満解決の合意があった以上、早急に自主規制の大綱をつくるべきだ、こういうつながりがある文句である。ですから、ここが問題なので、早期円満解決をはかれということと、自主規制の対案をすぐ出せということは、普通でいえばそのままつながることじゃないのですよ。それをわざわざつなげておるというところに最大の問題があるのです。そこを私はお聞きしておるので、こういった内容については各紙共通なんですから、これは間違いないと思うのですよ。そうであれば、この意味は二つしかないのです。一つは、下田大使が総理の意思か立場か、そういったものをそんたくをして、それで一種の忠義だてをしようという発言であるか、そうでなければ、大使が非常に頭がおかしくて、何かこういう妙なことを言っておるという、二つの一つしかないわけですね。そこで、前者であるならば、これは総理が変わったことをおっしゃれば別ですけれども、総理はここでもって何回もニクソンとの間には何も約束しておらぬとおっしゃっているわけですね。これはもう一ぺん御質問しても同じ答弁であろうと思うので、そうであれば、これは要らざる忠義だてをして、それによってわが国益を非常に阻害をしたということになるわけですね。後者の立場であれば、これは無能なる外交官がかってな発言をして、日本の交渉の先行きというものを非常に不利におとしいれた。どっちかになるのですね。どっちにしたって、これは非常な失態じゃありませんか。その点はどうお考えになりますか、外務大臣。
○愛知国務大臣 先ほど来しばしば申し上げておりますように、また昨日総理も言われておるように、この繊維問題について大統領との間に話が出たかどうかというようなことについては、日米間で合意した事項というものは、共同声明以外には何にもないわけです。その点もう一度明らかにしておきたいと思います。
 しかし、同時に、日米間については、これも総理からもお話があるように、また私もしばしば言っておりますように、日米間の貿易量にしたっていま往復八十億ドルをこえるというような状況ですから、こういう摩擦がときおり起こるということは避けがたい状態だ、しかし、その摩擦が起こった場合、なるべくこれを円満に解決をしていくということが日米間においては必ずできることだし、またでかさなければならぬことである、そういう全体のいわばクライメート、雰囲気の中にあって、現地にある日本の大使としては、アメリカ側の考え方はこういうことだということを、同時に正確に幅広く情報を日本側に送ってくるということが、これが職務の大きなものであります。
 それから第二に、私案というものは出ようはずもないし、ないのでありますから、これで国益を害したとか、あるいは行き過ぎた行為をしたとか、頭がどうかしたとか、そういう御批判は私は受け取ることはできません。
○河村委員 私は私案がどうかなどと一つも言ってないのですよ。私が言っておることは、総理はおわかりだろうと思うのですけれども、私が言っておることにつきまして、総理のお答えをいただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま外務大臣からお答えいたしましたように、両国の間で最も重大な領土問題でも話し合いがついたのじゃないか。繊維関係の貿易の一項目、もちろんこれも大事なことに違いないけれども、この領土問題が解決したあの状態から申しまして、両国国民で話し合えば、その程度のことは必ず片づくのじゃないか。私は、両国間の関係を維持する上から見ましても、やはり両国間の懸案事項は早目に解決するのが望ましいことだと、こういうことを何度も申し上げております。また、私とニクソン大統領とそういう問題について話があったかどうか、これは一般の外交問題の全般について、また両国間の関係についてとくと話し合ったと、こういうことを申しました。しかし繊維の問題は、これはよほど専門の部門になりますから、どうも大統領にしても私にしても、早期解決をしようというその気持ちはありましても、どういうことが望ましいということはなかなか、専門部門だから、そこまでは入っておりません。それは、先ほど来外務大臣がお答えしておるように、こういう事柄をきめるには一つのルールがあるんだ、これは何といってもガットのルールだ、そのガットのルールでこのものごとはきめたいんだ、こういう主張をかねてからしておる。だから二国間だけで云々するという、そういう筋のものではない。これはまた国会の決議もございますから、私ども政府もその国会の決議を尊重するのは当然ですから、そういう意味で十分考えなければならないと、かように思っております。
 また、いま自主規制云々の話が出ておりますけれども、これもいままでしばしばお答えしたとおり、これは業界が納得しない限り、そういうものが政府間だけできめ得るものではございません。しかし私は、ただいま申し上げますように、両国間に往復八十億ドルもこすような貿易額がある、そういうことを考えると、どこかで摩擦の生ずることは、これはまあ普通考えられることだ、しかし、その摩擦は大きくならないうちに、火花が散らないうちに解決するということが望ましいことだと、かように思います。その望ましいこと、そういうことは一体どういうことか。ただいままで原則論ばかり戦わしたってなかなか進まないんだ、そういうような意味から、あるいは外交当局で一つの具体的な提案をしていくのも、やはりこれも普通の事件の成り行きじゃないだろうかと、かように思います。そういう点において、それでは本国政府が具体的に指示しているか、さようなことは指示しておりません。何か対案を出すべきだろうと、かように申すのは、私、下田君としても、外交当局としても当然じゃないだろうかと、かように思います。ただいたずらに原則論だけを言っていて進まない、膠着状態になったそのときには、やはり適当に妥結の方法を考えていく、それでなければ話ができない。しかし、これは一方だけが譲るわけじゃない。それはお互いに譲るべきものは譲る、こういう互譲の精神のもとに具体的に話し合いがつくことが望ましいんじゃないかと、かように私は思っております。
○河村委員 総理のお話はわかります。わかりますが、この問題でいつまでも時間をとっているつもりはございませんが、私が申し上げたいのは、端的に言って、下田大使が何らか佐藤・ニクソン間で密約のごときものがあって、これはいや応ない立場にあるんだから、だから早く対案を出せというようにしかとれない発言をしているんですよ。そうでしょう。その点を私は問題にしているんで、あなたのおっしゃっていることはあたりまえのことを言っておられるし、外務大臣のおっしゃることもあたりまえのことをおっしゃっている。ところがそうじゃないんですよ、この下田大使の発言は。この下田発言をどうお考えになるかということをひとつお聞かせいただきたい。
○佐藤内閣総理大臣 私は、おそらく詳細に報告すればあたりまえのことを言っているんだと思います。私どもの考え方と別に変わった具体的なものを提案も何もしておらないと、かように思っておりますし、訓令違反、そういうものはないと思います。私はただいまこの国会の席上を通じて全国民に理解していただきたいことは、外交の問題でございますが、その下田君の発言どおりが記事になっても、ことば一言一句違わないようになかなか載らないだろうと思います。やっぱりニュアンスというものが出てくる、味が出てくる、そこにいろいろの誤解を受けやすいんじゃないだろうかと、かように思います。いま河村君から御指摘になりました下田君の話にしても、そのとり方というものにどこかにことばの味、それが取り上げられ方がやや私どもと違うんじゃないだろうかと、かように私は理解するのです。ただいま河村君のお話が全然違っておる、かように私は申すわけじゃありません。私どもも下田君の話はよく理解するつもりでおりますけれども、私は本国政府、ことに総理としてお答えしておる、この答弁をひとつ御信頼いただいて、そしてただいまの大使の出先の問題が主ではない、本国政府のこの態度が主体だ、ここに重きを置いてひとつ御理解をいただきたいと思います。
○河村委員 私は別段総理の発言を疑うつもりはありません。ただ、出先の大使がこういう――それは味とおっしゃったけれども、味がちと出過ぎておるんで、こういう発言によってわが国の利益を阻害するようなことをやるのはけしからぬと思うのですね。ですけれども、ここでもって幾ら言っても水かけ論です。ですから委員長、この下田大使喚問はもうすでに野党一致して要求しておるところでございますから、こういう問題が重なってきましたので、早急に喚問方お取り計らいをいただきたいと思います。
○中野委員長 いずれ理事会でこれは協議して適当な処理をいたしたい、こう考えておりますので、御了承願います。
○河村委員 次に、海難の問題でありますが、去る二月の十日大型鉱石船の「かりふおるにあ丸」というのが野島崎の沖で沈みました。それによって何名かの犠牲者が出ました。その直後に民社党といたしまして、続発する海難に関して救援の体制並びに原因の究明について政府に申し入れをいたしました。それからだいぶ日がたちますので、おそらく検討を十分にお済みになったことと思いますので、この機会にちょっとその検討の結果についてお尋ねをしたいと思います。
 その一つは救援体制ですが、防衛庁長官おられますか。――この救援についての問題は大体皆さんは御承知のことと思いますけれども、この船の沈んだ夜、「かりふおるにあ丸」がSOSを発信したのが夜の二十二時十分、それに対して米軍の横田基地から救難機が飛び立ちまして、それが二時間後に出ております。これは海上保安庁からの連絡を受けたわけでなしに、ただSOSを傍受しただけで飛び出して一時間後に現地に到着して、一機が上空で監視をして、一機がニュージーランド船を誘導して二十二名を救助した。それに対してわが海上保安庁は、ビーチクラフト機が六時四十五分発進といいますから、米軍機におくれること六時間半。そのうえにこのビーチクラフト機は捜索能力不足で引っ返してしまった。その次のYS11が出発したのは八時五分、八時間おくれでスタートをして、結局沈没二時間半後に現地に到着をしてしまっておる。それに対して海上自衛隊はさらにおくれてしまって、海上自衛隊の対潜哨戒機がスタートをしたのが九時十三分ですから、これはてんで間に合いっこはない。
 ここに非常に問題があるわけで、もちろん第一次的には責任官庁である海上保安庁の装備が非常に悪いということがあるので、これの整備が急務でありましょうが、現に海上自衛隊というものがあるのですから、あるものが全然機能を発揮しないというのはほんとうに情けないことなんで、それで米軍機に先立たれたというのは国辱みたいなものだろうと思うのです。その後の防衛庁の処理を見ておりますと、中曽根長官も非常にこの問題に意欲的に取り組んで、あとの人事的な処理などをはっきりやっておられるようですから、非常に積極的に取り組んでおられるのだと思いますが、今後このような場合があることを想定して、どういう態度をとっておられるか、SOSを傍受したら海上自衛隊の哨戒機が直ちに飛び立てるような仕組みにできるのかできないのか、その点を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 この間の「かりふおるにあ丸」事件の遭難に関しましては、まことに自衛隊として手落ちがあったと思いまして遺憾の意を表する次第でございます。
 当時の模様を詳細にすぐ調べてみましたが、状況を全部見てみますと、二十二時二十七分にSOSの発信があったのを横須賀通信隊が受信しておりましたが、感度不良のため聞き取れなかった。二十二時四十四分に三管本部の当該SOS再放送を横須賀通信隊が受信した。それから四十七分に上記再放送の内容を横須賀地方総監部オペレーション及び自衛艦隊オペレーションへ通報した。そして一時十五分に三管本部から四空群へ電話で「かりふおるにあ丸」の遭難状況、それから巡視船の状況、米軍機の出動状況、民間救助船の状況、海上自衛隊航空機出動可否についての照会というのを、電話であったようです。それで、その電話を受けて、四空群から三管本部へ関係要員の呼集、照明弾準備のため出動時間はいまのところはまだ未定である、そういう返事をして、そして一時五十五分ごろ三管本部、海上保安庁のほうへ、上記の事情もあり現在出動要請に応じる体制にない、出動可能になれば連絡するがたぶん早朝になる見込み、こういう連絡がしてありました。そして結局は、翌朝の六時五十分に三管本部に対して遭難状況の確認、それからP2Vを出動させること、それから出動の正式要請時刻を七時十分にすること、電話でこういう話ができて、そして七時五十七分ごろ、四空群から三管本部に対して、出動航空機の行動予定及び通信連絡方法等の連絡をした模様です。
 この状況を全部見ますと、この判断に当たった当該幕僚の判断が著しく麻痺ないしは弛緩していたと判定いたしました。そこで、この当該責任者は直ちに職を転じさせまして、それから厳重なる説諭を行ないました。
 それと同時に、全海上自衛隊並びに所管航空自衛隊等につきまして、こういう遭難船があった場合の具体的処置について指示をいたしました。たとえばSOSという発信を聞いた場合にはもう直ちに出動の体制をやれ、そして海上保安庁当局と連絡をとって当方出動の必要性ありやなしや、あるいはその情勢によっては相手の要請なくしても出動して直ちにそのことを海上保安庁側に通告するように、そういうような機宜な処置をとるように、そういう特別の指示をいたしました。
○河村委員 たいへんけっこうであります。
 それで、重ねて伺いますが、現在海上自衛隊においては対潜警戒を常時やっておるはずでありますが、対潜哨戒用の哨戒機というのは何機あって、それは常時――もちろん全兵力じゃありませんが、常時待機の体制にあるのかどうか、その点だけ伺います。
    〔委員長退席、藤枝委員長代理着席〕
○中曽根国務大臣 昭和三十五年度以降開発を実施しているのが四十三年度完成しました試作機二機を持って、そのほかに四十三年度予算約四十億円で発注した先行生産機二機を四十六年度に取得し、それからさらに四十五年度予算約百三十一億円をもってさらに五機を取得する計画でございます。
 それで、これは対潜哨戒用でございますから、いろんな機器を積んでおるわけでございまして、救難にはちょっと向かない。もしこれを救難に向けようと思う場合には、そういうレーダーその他の機器を取りまして、そしてつり上げるとか何かとか特別の装置をしなければならぬだろうと思っております。しかし、現在はまだそういうふうに改装する意思はありません。むしろこういう救難行為は海上保安庁の所管で、自衛隊法によれば、海上保安庁の長官とかあるいは各本部長とかあるいは県知事の要請を待って出動するというふうに原則的に指示されておるわけであります。したがって、これは海上保安庁が第一の職責とすべきことであって、自衛隊が過剰に出ることは慎まなければならない、そういう考えに立ちまして、むしろ海上保安庁において救難用の飛行機を整備されることが至当である、そう考えます。しかし、緊急の場合にはもちろん、ただいま申し上げましたような機宜な処置をとるように指示してあります。
○河村委員 こういう救難に出動するのは、決して過剰な行動ではないはずです。もちろん、第一次的に海上保安庁がやるべきことですから、別段私はわざわざ救難用に改造しろとかなんとか言っているわけではございません。現にアメリカのやっていることでも、現地に行って、他の船舶を誘導して、そして救助に当たっているわけですからね。それができればけっこうです。だけれども、対潜哨戒用の飛行機というのはそんな少ししかいないのですか。これはよけいなことが入ってなんですが、それで済むことかどうか、ふしぎに思うからちょっと聞きます。
○宍戸(基)政府委員 先ほど長官からの答弁は、将来の対潜哨戒機、飛行艇のことについて申し上げたわけでございますけれども、先ほどのお尋ねは、現在対潜哨戒機等がどういう待機の姿勢にあるかということでございましょうので、私から補足して申し上げます。海上災害に対する救難体制でございますが、まず艦船と航空機、両方待機をさしております。艦船につきましては、各地方総監部、横須賀、呉、舞鶴各地方総監部ごとに一隻以上待機さしまして、合計十隻、航空機につきましては、各航空基地ごとに一機以上合計十四機、二時間以内に発進できるように常時待機さしております。P2V等の対潜哨戒機をそれに充てております。
○河村委員 それでは運輸大臣にお伺いいたします。
 この申し入れ書には、同時に原因の究明についての申し入れをやっておりまして、それはこの「かりふおるにあ丸」は前年の一月に沈みました「ぼりばあ丸」と同じように、第二十次造船の同型船であります。この同型船がまだ他に十隻ぐらいあるはずで、これが一番問題になっております。ごく最近も、海事協会の相生支部長が、そういう責任ある立場にある人が、この船は通常の船に比べて水密隔壁が二枚少ない、そのために沈没の速度が速いのだというようなことを言っておるくらいでありますので、この際、根本的な調査は当然おやりになると思いますが、かつてイギリスのコメットが事故を起こしたときに、全部一応運航停止して調べたように、この種のものは人命にかかわる大事な問題でありますから、一応同型船は運航を休止して全部調べるというぐらいのことはおやりになるべきだと思いますが、いかがですか。
○橋本国務大臣 「かりふおるにあ丸」の遭難につきましては、交通行政をあずかっておる運輸大臣として、まことに遺憾に存じます。
 ただいま河村さんからの御質問でありますが、御承知のように第二十次計画船であります。ただ、この前の「ぼりばあ丸」と今回の「かりふおるにあ丸」では多少構造が違っておりまして、一方は鉱石専用でありまして、中の構造が少し違っております。したがって、沈没した原因がはたして同一かどうか、現在調査を進めてまいっておりますからして、いずれなるべく早い機会にこの結論を得たいと思っております。
 ただ、私たち運輸省としましては、もちろんこの「かりふおるにあ丸」の沈没につきましては、海難審判所でその原因を究明することになっておりまするが、防止のたてまえから、一刻も早く何らかの措置をとる必要があろうというので、運輸省の中に大型船の特別調査委員会を設置いたしまして、専門家、学識経験者をお願いしまして、せんだって第一回の総会をやりました。その目的とするところは、まず第一に、構造上の何かの欠陥があるかどうか、そういうようなことを中心にして気象、海象等も調べる。同時に私は、相談がありましたと同時に、各二百メートル以上の大きい船ですが、これが二十次船を含めて十六社で六十九隻その後できております。この船に対しまして、直ちに当該会社及びつくりました造船会社及び海事協会、その専門家の人が入港次第相当の時間を要してもやむを得ないからして、実質的な総点検−従来点検といいましてもそこまでやっていないようでありましたが、今度はトントン、チンチンとたたきまして、そうしてほんとうにいわゆる総点検を行なう、厳重にやれと。それによりまして、もし欠陥があれば、直ちに費用の多寡を問わず船会社は厳重なる補強その他を行なえ、こういう指示を行なって、入港次第やっております。そうしてこの二月、三月までの間に約四十九隻を終わります。そうして残りはなるべく早く、可及的すみやかにいま申した実質的な点検を終了して、その結果によって一応大型船の海難防止を行なう。一方において特別委員会で専門家がこれを専門に行なう。かような措置を講じて、今後このようなことのないように最善の措置をとりたい、かように考えてやっております。
○河村委員 私がお尋ねしていることの返事にはなっておりませんけれども、この問題にあまり時間を費やすとあと本論に入れませんので、この問題はまた同僚議員に後刻やってもらうことにいたしまして、本論に入ります。
 最初に、経済社会発展計画についてお伺いをいたします。
 政府では現在新しい経済社会発展計画の策定中であるようであります。現在の計画が現実の経済実態から全く離れてしまって用をなさなくなってしまっております今日でありますから、根本的な改定をすること自体は当然であろうと思います。ただ問題は、改定することではなくして、作成された計画に取り組む政府の姿勢いかんということにあろうと思います。いかにりっぱな計画がつくられましても、今日までの政府がそうであったように、それを単なるアクセサリー扱いをしておったんでは、これはつくること自体が無意味であろうと思います。もちろん、現在の計画の策定が進められたのは昭和四十年から四十一年にかけてでありますから、この時期は日本経済が一つの転換期に来て、これからは成長速度が鈍って、いわゆる低圧経済に移るんではないかというような考え方が一般的にありましたから、ですから、そういう場合に、特に経済成長の速度等について狂いが生じたということは、これはある程度やむを得ないことだという事情はわかります。わかりますが、しかし、高度成長一本やりで進んできた三十年代に対する反省の上に立って四十年代の挑戦を目ざしたというこの計画でありますから、その中で経済成長と物価の安定の両立、それと社会資本と民間設備投資との調和のとれた発展、この二つを大きく取り上げられたということは事実でもあるし、これは正しい方向であったと思います。今後もおそらく引き続きそういう目標で進まれるだろうと思うのです。だから、もし政府が最初からこの二つの課題に対して少しでも本気に取り組んでおれば、そうすれば今日の経済実態というものはかなり変わった姿になっていたはずだ、そう思うわけであります。
 それで、一体佐藤総理は、四十二年のこの計画がスタートしてから今日まで、この二つのテーマについてどういうつもりで、どういう心組みで対処してこられたのか、また、今後計画を改定するにあたって、どういう姿勢でお臨みになるのか、その点をまず伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま河村君が御指摘のように、長期経済計画を立てる場合に、国民生活が充実向上するように、また物価が安定するように、また社会開発が進められるように、いろいろの目標を持って経済の長期計画を立てたのでございます。私はこの機会に、その計画がわれわれの見通しどおりにものごとが進まなかった、うれしい方向に実は進んだ、それだけにまたいろんなわれわれの予期しないような結果も生じた、かように思います。申し上げるまでもなく、うれしい方向というのは、われわれの見込みより以上の経済発展、経済拡大が実現したということであります。また、国際収支も黒字で非常に改善された。また、経済そのものがいわゆる一国経済から国際化の段階にまで発展したということ。また、私どももいろいろくふうして国民皆労働、皆就職、そういうことをねらっておりましたが、それを通り越して、実は労働力不足の状態すら出てきた。これは経済の発展過程の見積もりがやや低かったのじゃないか、こういうことを御指摘になれば、そのとおりでございますと、かように申し上げる以外にはございません。
 ただいまのような点はいいほうばかり申し上げたようでありますが、その結果が御指摘になりましたように、物価は必ずしも低度に安定はしなかった、物価はどんどん上がっている。また、ただいまのような経済発展の結果、各種公害が至るところに出てきた、こういうような状況でございます。長期計画を立てることがいかにむずかしいかということは、この一事をもってしてもよくわかることでございます。最近はデータ整備、情報の時代でもございますから、これから先の問題といたしましては、比較的適当な正確な見積もりも可能ではないか、かように思って、−いままでのようなことのないように新しい計画を樹立する場合には気をつけていきたい、かように思っておりますが、過去の成績について御批判を受ければ、私はただいまのように率直に、われわれの見積もったより以上の拡大であった、その結果いい点もあるがまた悪い点もできておる、こういうことを率直に御披露した次第でございます。
○河村委員 この計画の中ではいろんな経済目標を立てております。それを一つの目標として政府がいろんな政策をおとりになるわけですね。その場合に、外的な条件で避けられない変化、これはしかたがないのですけれども、そうでなしに、この計画をつくる際のいろんなモデルをつくるときに、政策変数という形で、政府の政策手段いかんでもって可変な要素が幾つかあるわけですね。だから、少なくとも政府のコントロールできる範囲のものについてどれだけ政府が取り組んでこられたかというところが過去についての問題であって、全体の傾向が狂ったというのはしかたがないので、政府がどれだけ努力したということだけをほんとうは問題にすべきだと思います。
 そこで、私はいま物価と社会開発の問題をあげておるのですけれども、物価についてはこの計画期間中に大体六%から三%まで消費者物価を下げるという目標を立てておられますが、その中で公共性料金、これはかなり幅が広いのですけれども、大体ウエートにして三四%くらい、これを平均二・八%くらいに押えておるのですね。ところが、実際はずいぶん違っていると思います。それから公共投資についても、この計画では民間設備投資との関係で、民間設備投資の目標が年率九・七%、それに対して政府固定資本形成、公共投資のほうは一〇・七%で、民間設備投資よりも若干上回る速度で公共投資をやって、それで社会資本のおくれを取り戻そうという計画になっているのですね。民間設備投資に対する公共投資の割合は大体六〇%ぐらいというところを目標にしています。そういうところがどれだけ狂ったか、これは経済企画庁長官、ごく簡単にその公共性料金の値上がりの一応の目標と実績、それから公共投資対民間設備投資の計画に対する実績、それをちょっとお答えいただきたい。
○佐藤(一)国務大臣 ただいまの点でございますが、この公共料金は、御存じのようにただいまの現行計画では四・〇、それに対して全体が大体五%ぐらいのところで一ポイントの違いになっていますが、公共料金はその中で大体三・五もしくは六というくらいのところでございます。
 それから公共投資と民間設備投資の問題ですが、これは民間設備投資の伸びが、御存じのように経済成長とともに非常な伸びを示しました。そのために当初われわれが考えておりましたよりも、民間設備投資に対しまして公共投資の伸びがそこまでとても追いつかなかった。その結果といたしまして大体四割四、五分台に落ちております。それが実績であります。
○河村委員 こういう一般論で時間をとっておりますと、だいぶ前のほうで時間をとりましたので、あとの問題に進みませんので、大体傾向として実際に計画が大きく狂った原因には政府自身の責任も大幅にあるのだということを、総理大臣にも大蔵大臣にもよく認識をしていただいて、その上であとの問題に入りたい、そう思ったわけでございます。
 そこで、まず物価の問題に入りますが、物価問題について私は非常に気になっているのですけれども、政府の施政方針演説、特に総理の演説の中で国内的課題というのがありますが、そこで私は、いまの一種のインフレに対する戦いみたいな時期におそらく物価というのは一番先に来るかと思って聞いておりましたら、いつまでたっても出てこないのですね。社会開発はどうやら三番目に出てきたけれども、物価はついに一番ビリの第六番目に出てきたのですね。まさか物価についてそう軽視をされたというつもりはないでしょうけれども、それじゃ物価は大事だけれども、あまり対策に自信がないから一番ビリに置いたのかというような感じを受けたのですが、一体総理、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 物価が六番目に出たから物価が軽視された、こういうものではございません。私、いろいろ取り上げなければならない問題が幾つもございますが、全部を取り上げるというわけにはいかない。特にそのうちから政府が力を入れなければならないものを羅列したつもりでございます。そういう意味で、その順序などにあまりとらわれないで中身についての御批判をいただきたい。順序は六番目だった、しかし、その辺に大事なものが残っておる、これが大事だ、こういうことでひとつわれわれがやることをこれからまた御監視を願いたい。
○河村委員 演説の中で伺っておりますと、物価対策についてはいろいろなことが並んでおります。総理の演説の中でも、「公共料金を極力抑制」「総合的土地対策を強力に推進」「中小企業、流通部門の近代化」それから輸入の活用。大蔵大臣のほうでは、いまとダブらないものは、「総需要を適正な水準に保つ」あとは、企画庁長官のもみなダブっておりますが、大体いつも言われていることと同じであります。それでありますが、今回の予算委員会の論議を通じましても、どうも明確なものが出てこないことを非常に不安に思います。
 そこで、具体的におっしゃっております項目について少しお尋ねをしたいと思います。
 まず公共料金でありますが、どうも一年おきに高騰の傾向がございまして、ことしはほんとは怪しい年なんでありますが、本年はすでに大都市タクシーの料金の改定、医療費等が上がっておりますが、あと私鉄、地下鉄、電気料金等値上げの予測がございます。ことしの四十五年の物価上昇の抑制限度は四・八%ということになっておりますけれども、四・八%の中で公共料金は一体どの限度で押えるということになっておりますか。
○佐藤(一)国務大臣 公共料金の抑制のめどだけをとりたてまして何%というふうには特に取りきめてはおりません。しかし、先ほども申し上げましたように、大体最近における四、五年間の平均物価が五%という中で、公共料金は大体三・五ぐらいで過ごしてきております。そういう意味で、私たちも公共料金はできるだけ従来の方針でもって押えてまいりたい、こういうふうに考えております。
○河村委員 そうしますと、いままでの経済社会発展計画では、物価の抑制目標をつくる際に一応公共料金を幾らにするという抑制目標をつくっておったわけですね。これからはもうおやりにならないわけですか。
○佐藤(一)国務大臣 河村さんの御指摘は、経済社会発展計画のいわゆるデータの中の一つとして、ある程度試算の過程におきまして公共料金の数字が出てくる過程がございますけれども、それは過程でございまして、経済社会発展計画のいわゆる目標という表の数字としては、来年度についてはやはり先ほどお話が出ました四・八というのがはっきりした数字でございます。
○河村委員 どうもすべて表現が非常に抽象的で、公共料金は極力抑制とか、強力になんとかというようなそういう形容詞だけが多くて――私は公共料金を頭から全部押えろなんという主張はするつもりはありません。むしろ一年ストップしたあとに猛烈に上がるので、一ぺんに上がるときの波及効果というのは非常に大きいのですね。ですから、一定の限度をきめて、計画的にどの辺まで押えるということが一番正しいやり方だと思うのです。その辺の計画が――前の経済社会発展計画は電子計算機を回すときのデータの一つにすぎないというような言われ方をしたけれども、そういうものじゃなかろうと思うので、その辺をもう少し明確にする必要があるのではないか、それをお伺いしたわけです。
○佐藤内閣総理大臣 しろうとが答える幕ではないかと思いますが、公共料金は、私が指摘するまでもなく、多く政府の認可料金、こういうような形のものであります。大なり小なり国が関係する。物価の問題が、国が指導型というか、みずからがそういうものを上げるというような形は、これは極力慎まなければならない、こういうことを実は意味しておるのであります。幸いにことしは一番大きな公社の料金なぞは、鉄道もまた電電もこれをいじらないでおりますから、そういう意味ではけっこうですが、しかし、医療関係の料金もいろいろ上がる、また米価の水準を据え置く、こういうことでありますから、そういう意味では適当に、いわゆる政府指導型というような批判はなくて済むかと思います。また、民間の事業にいたしましても、極力合理化をはかるように指導することによりまして、料金を上げることによって事業の経営を守るという形は非常に範囲を狭める、かように指導しておるわけであります。
 そういう点で、ただいまの表現がまことに不十分ではありますが、個々の問題についての御理解をいただきたいと思います。地価等の問題もいずれあとで出てくるだろうから、そのときにお話をいたしたいと思います。
○河村委員 企画庁長官から……。
○佐藤(一)国務大臣 公共料金の抑制についてはっきりした言明がないというお話でありますが、もちろん私たち、公共料金の抑制ということが物価対策の目じるしの一つにされているということもわかっておるわけで、そういう意味においてできるだけ押えてきておるわけであります。先ほど申し上げましたように、過去におきましても、一般の物価の趨勢から見ますと、公共料金は非常に押えられております。ただ、従来米価が上がりますときに、どうしても上がり幅が大きいものですから、それが非常に大きく影響した時代がございます。最近は、御存じのように、米麦価を押えるということになっておりまして、そういうことから申しますと、公共料金その他の分につきましても極力押えますと、そう上がらないはずでございます。私たち来年の見通し四・八、それから来たるべき五カ年計画はまだ正式にはきめておりませんけれども、いずれにいたしましても公共料金をできるだけ低位に押えてまいる、いろいろと具体的な事例についてお話があろうかもしれませんけれども、これも極力押えた末に、やむを得ないものだけに限っておる、これが現状でございます。公共料金を通じて物価高が非常に激成されておる、こういうことは私ははっきりないと申し上げられると思います。
○河村委員 別段公共料金が物価を上げているというような意味で言ったのではもちろんないんで、今後物価抑制をある程度計画的にやるからには、もう少し公共料金についても、政府として長期の見通しを立てて、コントロールしていくのがほんとうじゃないかということを言いたかったわけです。
 次に、輸入政策の活用についてでありますが、これは総理も大蔵大臣もみんな共通して言っておられることで、消費者物価抑制対策といえば、政府は常に輸入政策の活用ということをおっしゃるわけですが、しかし、今日まで食肉にしてもノリにしても砂糖にしても、大体安いものを輸入しましても、輸入の割り当てを狭くしたり、あるいは関税障壁をつくったりして、現実に輸入政策が活用されて安くなったという事例はきわめて少ないのですね。バナナなんぞは安くなりましたけれども、あれでもまだ関税六〇%というようなぐあいでありまして、現実には国内産品の自給度を向上するとか、そういう名目で限界生産者のコストを基準にして価格支持政策が行なわれる。そのために輸入政策の活用ができないというのが、いままでの実態だろうと思うんですね。佐藤総理も今回再び輸入政策の活用ということをおっしゃるからには、その辺にどのような態度を持って臨まれるか。それによって初めて有効な対策ができるかできないかきまると思うんです。まずその覚悟――覚悟というのは大げさかもしれませんが、所信をお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 輸入、これは確かに価格部門にも関係がありますし、価格政策と関係があります。また同時に、お互いの生活向上の面から見ましても必要なものだと思います。そういう意味から、当方も産業の国際化ということと積極的に取り組む、この姿勢が望ましいのであります。したがって、個々の輸入の場合において、わが国産業に及ぼす影響ももちろん無視できませんから、そういうことも考えつつ、ただいま輸入と取り組んでおりますが、しかし、一般的にいわれることは、わが国の輸入制限品目、これを早く解除することだ、また、資本の自由化等についても拡大して、いわゆる産業の国際化をはかるべきだ、かように思っております。したがいまして、昨年の十月に閣議決定をいたしましたものがございますが、それを骨子にいたしまして、私どもはもっと可能な範囲に時期を早めるべきじゃないか。また、その品目も拡大すべきじゃないか、かような政策をとりつつ、ただいま取り組んでおる実態でございます。
 そこで、申し上げるまでもなく、片一方で経済の国際化をはかっておりますが、やはり何と申しましても、わが国の産業、これは政府が責任を持って育成強化していかなければならない、かように思いますので、それらの点が一方的にだけものごとはできない。ただいま、これはいい例かどうかわかりませんが、冒頭に話されたアメリカの日本繊維についての問題のように、アメリカ自身が国際化、全面的な自由化を主張しておる国であるにかかわらず、特定の産業について輸入の規制をはかるとか、あるいは特別な関税障壁を設けるとか、あのように世界一の経済力を持っている国でも、そういうことをやっておるのであります。したがいまして、一方的にだけものごとは判断できない。ここにむずかしさがあり、また国民を納得さすものも、その意味においてもなければならない、かように思って、ただいま取り組んでおる。このテンポがのろい、こういうようなおしかりをしばしば受けますが、私は適当な処置ではないか、かように思っております。
○河村委員 私が申し上げているのは、その自由化のテンポがどうだこうだというよりも、実際輸入をする場合に、それがほんとうに生きるようにしてくださいということなんで、いま総理のお答えは、何とか中庸――どっちもいいようにというようなお答えで、不満でありますか、それをまた言っておりますと、停滞をいたしますので、倉石農林大臣にお伺いをしたいのですが、いまの総理のお答えも、ほんとうは何を言っているんだかわからないのです、正直言いますと。ところが、総合農政推進の基本方針というのを二月の二十日に農林大臣から閣議に報告されたそうでございますが、これは新聞の切り抜きでありますけれども、間違ってないと思うのですが、それにこういうことが書いてございます。「食料の安定的供給」というところには、「輸入政策を弾力的に運用し輸入の活用を図る必要がある。」ということが書いてございます。ところが「輸入の調整」というのがその次に出てきちゃって、「わが国農業は、経営規模が零細で生産性の低い多数の農家から構成されており農業構造の改善」「米の生産調整など困難な問題をかかえているので、」ここらはそうでしょうが、それから先がいけないので、「内外からの保護の軽減撤廃の要請ににわかに応ずることは困難であるが、内外の情勢からみて、現状に固執することはできない。」と、保護措置の軽減、撤廃の要請にはにわかに応じられないけれども、内外の情勢から現状に固執することはできない、これは何のことか一つもわからないですね。これは一体どういう意味でお書きになっておられるのか、御説明を願いたいと思います。
○倉石国務大臣 大体総理大臣がお答え申し上げた趣旨でありますが、御承知のように、農業は農業だけ取り上げて論じても、私はほんとうではないのではないか。やはり全体の産業構造の中で農業の占める地位というものを考え出さなければいけないと思うのでありますが、ただいまお話もございましたように、私どもとしては、国内で比較的生産性のおくれておると思われておる農業、これはやはり農業に従事している人口も多いし、また農産物それ自体も国民生活に必要なものでございますので、ある程度の自給度を維持するために、この生産を続けなければならぬ。しかし、生産を続けるためには、構造政策、価格政策等を十分にやりまして、農産物の安定的供給をすることが必要でございますが、しかも、今日のように自由化の波がえらい勢いで押し寄せてきておりますときには、やはりそれに対処するだけの農業の体質を改善することが必要である。その間においてはやはり急速に自由化することができないのは、いまお読みになりましたように、われわれも考えているところであります。しかし、そういう競合する農作物につきましては、いま申しましたように、できるだけ体質改善をすみやかにやって、国際競争力を維持する。しかし一方において、消費者に対する安定的供給が農業の一つの義務でございますので、そういう意味で、緊急に必要な場合には輸入を取り入れまして、たとえば先ほどちょっとお話しになりました肉類などについてもそういう手段を講じて、価格の調整をいたしながら、農業というものを維持していくことを考えながら競争に立ち向かっていく。こういうことを考えてやっているわけであります。
○河村委員 もちろん、農業というものは各国保護制度をやっておりまして、それを一ぺんに全部やめられないくらいのことは承知しております。ただ、ここに書いてありますのは、内外からの保護撤廃の要請にはにわかに応ずることがむずかしいというのなら、これは話はわかるのですね。ところが、撤廃だけじゃないのです。軽減の要請にもにわかに応ずることができない。これじゃいかに輸入政策の活用ということをいいましても、保護政策の軽減もできないようじゃ、効果かあがるわけないでしょう。これは一体どういうことをいっているのか、それがわからないからお聞きしておるので、全体の構造問題についてはもうけっこうですから、そこだけ伺いたい。
○倉石国務大臣 具体的に品目を取り上げて御説明申し上げれば非常によくわかるのであります。たとえば一つ、イモでん粉ならイモでん粉のことを考えてみましょうか。これを考えてみましたときに、私どもは広範な地域でその生産に従事しておる農業を考えてみましたときに、いまお話しになりましたように、にわかにこれを自由化することは困難だ。したがって、私どもとしては、そういうようなものにつきましては、関税の方面において割り当て制を拡大してまいるというような処置をとりながら、つまり自由化の要請にだんだんと応じられるように体制づくりをしながら、国内の農業の競争力をつけてまいる、こういうことを総合農政の趣旨で述べておるわけであります。
○河村委員 いまおっしゃったのは、内外の保護措置を軽減することじゃないでしょうか。軽減することもできないと書いてあるのとは、全然矛盾しているわけですね。軽減もやらぬとこの方針には書いてあるのです。いまおっしゃったのは、少しでも軽減しようというわけですね。そうすると、この方針とは違うわけですか。
○倉石国務大臣 私どもが総合農政の推進について書いております趣旨は、いま私がここで申し上げました趣旨を書いているつもりなのでございます。
○河村委員 どうもあまり返事になりませんが、では具体的な問題で伺います。私は、政府の輸入政策の欠陥の一つとして、砂糖をモデルにしまして、政府の施策の方向を少し具体的に伺いたいと思っております。
 農産物の過保護の見本みたいなものが砂糖であろうと思います。しかも、砂糖というのは直接の個人消費は二八%ぐらいしかありません。ですから、一見家計にあまり響かないような感じであるけれども、実はカステラ、チョコレート、キャラメル、各種飲料、全部砂糖が使われておりますし、それにチクロというのが禁止になりますと、これまた大量な消費がありますので、これが家計に及ぼす影響が高いだけでなしに、消費者物価に与える影響も、上げるのにも下げるのにも非常に大きいのです。しかも日本では安い砂糖、粗糖を輸入しながら――しゃれを言ったわけではございませんが、わずか二〇%ぐらいの自給率しかないのですね。ですから、安いのを八〇%輸入しながら、しかも世界一高い砂糖を一億国民が消費しているという事実を総理は御存じであるか。それが正当なる理由のもとに高くあるのかということを、まずごく簡単に一言だけ……。
○佐藤内閣総理大臣 砂糖の値段は国際的にいままでいろいろの経過をたどっておると私思います。この点は詳しく申し上げるまでもないと思います。したがって、一時はわが国でもみずから国産砂糖、そういうものはできないか、てん菜糖を非常に奨励したこともございました。また今度復帰する沖繩、さらにまた鹿児島の黒糖など、また土佐あたりでもそういうような問題と、国内でいろいろ考えられた。しかし、やはり国際的には、何と申しましても本来の砂糖は遠いところに安いものがうんとある、こういう状況でございます。
 そこで、国内でこれを特に保護するということよりも、思い切って国際的な価格の安いものを買い取るほうがよろしいのじゃないか、かように思いますが、ただいま申すように、過去のいろいろな沿革があって、国内産を奨励した時期があり、またそのものが残っておりますから、そういうものも念頭に置きつつ、輸入の拡大という方向に行かざるを得ない、かように思って、ただいま悩んでおる最中でございます。
○河村委員 今度はたいへん率直な御返事でございましたが、農林大臣、参考のために、現在砂糖の小売り価格が幾ら、輸入粗糖が幾らで、その差額の中で占める関税その他の公租公課の額、これがどのくらいになるか、ちょっと御説明を願います。
○倉石国務大臣 一般的なお話としては、ただいま総理からお話がございました。これもさっきのイモと同じでございますけれども、北海道においてはビート生産がかなりな定着を見ております。その他南方の地域、鹿児島県にもたくさんございますが、そういうものとの関連で、ただいま過保護というおことばがありましたけれども、私どもといたしましては、ただいまこれらの国内産の砂糖に対する手当てはそんなに過保護だとは思っておりません。
 ただいまお尋ねのことについて、最近における価格構成を申し上げます。精糖ベースで申しますと、平均輸入価格が一キログラム当たり三十一円五十銭、関税が四十三円五十銭、加工販売経費が十八円三十銭、糖価安定事業団の売買差額が二円五十銭、消費税が十六円、製品コストが百十一円八十銭、卸売り価格が百九円、そこで最終小売り価格が百三十四円でありますが、ただいま御指摘になりました関税その他経費は、関税がいま申しましたように四十三円五十銭、事業団の売買差額が二円五十銭、消費税が十六円、これだけがかかっておるわけであります。
 ついでにちょっと申し上げさせていただきますが、わが国のビートと同じような糖業をいたしております西ドイツ、イタリア、オランダ、これらと日本を比較してみますと、これば一九六九年の調査でありますけれども、西ドイツは一キログラム当たり百八円、イタリアが百三十六円三十銭、これだけは六八年度の報告であります。それからオランダが百三十二円三十銭、日本は百二十九円というところでございます。百三十円前後でありますから、こういうふうにして見ますと、 ヨーロッパでわが国のビートと同じような精糖をいたしております各国に比べて、決して高いものではない、このように見ておりますが、しかし、結論と申しまして、私どもはさらにこの糖価の事業に対しましては、合理化を促進させて、価格の低廉になるように努力は継続してさしておるわけであります。
○河村委員 農林大臣、そういううそをおっしゃってはいけないので、EECは日本と同じ条件じゃないわけですね。EECは、いまおあげになった国は、ビートが主産品で一〇〇%自給しているのですね。条件は全く違うのです。ですから、ずいぶん苦しんで、だんだん合理化して安くしようと努力していますね。ですから、米と同じように一〇〇%自給しているのですから、これは比較するのは無理であって、同じ条件で比較するなら、輸入にたよっているアメリカ、イギリスに比較しなければいけない。イギリスは七十三円ですね、アメリカは九十六円ですね。イギリスに対しては倍、アメリカよりも五割高いのです。ですから、そういう都合のいい数字だけをもって説明されるというのは非常に私は遺憾としますが、そうでしょう。
○倉石国務大臣 うそをついているわけではありませんで、これは国際砂糖の報告を読み上げたわけでありますが、私が申しましたのは、わが国と同じように甘蔗及びビートを中心とする糖業国での比較を申し上げたわけでございまして、河村さんも御承知のように、経済企画庁でも、物価の材料としてはほとんど毎日のように生鮮食料品ということを申しますけれども、物価の標準の中で私どもが見まして、農作物の中で砂糖の価格というのはたいへん安定しているものの一つではないかと思っているわけであります。決してこれがいいと言っているわけではありませんで、合理化してなるべく低廉なものを消費者に供給するようにつとめなければならないことはもちろんでございますけれども、せっかく成長してまいりましたビート工業でありますので、この上とも助成していくことがいいんではないか、こう思っておるわけです。
○河村委員 ビート工業を助成するのはよろしいのですけれども、全部助成しようとするから問題なわけですね。安定しているというけれども、これはあたりまえですよ。輸入価格が三十一円五十銭で、小売り価格が百三十四円でしょう。その間にバッファーが一ぱいあるのですからね。輸入粗糖が倍になったって、中の操作で上がらなくできるのはあたりまえなんですね。そこに問題があるわけでございます。
 それで私が申したいのは、この辺でもって自給度の向上――甘味資源特別措置法ですか、これではまだ自給度の向上ということをいっているわけですね。そういうつもりでやっておったんでは、いつまでたっても砂糖は安くならないわけですね。現に昨今、事実上、陰では撤退作戦をやっているんじゃないかと思われる節もあるわけですね。四十年でございましたか、岩手県か青森県のビートの生産を農林省みずから指導しながら、ついに全面撤退、南九州でも同じことがありましたね。ですから、事実上、自給度の向上という看板をおろさざるを得ない時期に来ているなら、もうほんとうに保護の限界というものをきめて――一体関税でいえば限度が三割とかなんとかいうような目標をきめて、それに到達できるような生産性を上げる見込みがあるものだけを育成するならけっこうであるけれども、あとは撤退、転換していくという方向をとって、同時にあわせて関税等を引き下げていくという、両方からスタートする時期に来ているんだろうと思うのです。そうでないというと、輸入政策というものは何も生きてこない、永久に高いものを食わなければならぬということになるわけですね。当然いまその時期であって、いまからほんとうに少しでも関税なり課徴金なりを引き下げてスタートすべき時期に来ている、そう考えるのですが、いかがでございますか。
○倉石国務大臣 たいへん大事なことを御指摘になったと思うのであります。これはひとり農業に限らず、時代の進展に伴って計画を変えていかなければならぬと思いますが、現在皆さんも御存じのように、たとえばイモでもそうであります。それからいまお話しのビートでもそうでありますが、そういう産地においては、あれだけ定着した産業で、多数の農業者がそれに従事しておるわけであります。しかし、われわれといたしましては、消費を考えない生産などというものはあり得べからざることでありますので、そういうことにつきましては、全体の総合農政の考え方で適地適作を進めてまいりたい、こう思っておるわけであります。
○河村委員 大蔵大臣、関税というのは、これはまさかそうでないと思いますが、財源収入をあげるために取っているのじゃないでしょうね。何かほかの政策目的によるものだと思いますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 関税は、そのかける対象によりまして、いろいろ趣旨が違います。一律ではございません。ただいま問題になっておる砂糖につきましては、国内糖育成、保護関税の性格でございますが、あわせて財政関税という性格も持っておる、かように御了承願います。
○河村委員 千億近い収入があるのですから、一応予防線をお張りになるのでしょうけれども、日本ぐらい経済力の大きな国が、関税を収入源の意味もあるというのは、ちとおかしいのじゃないでしょうか、いかがですか。
○福田国務大臣 これは、とにかく千億円という程度の関税収入でありますから、わが国の財政とすると、そう軽視できないものであります。しかし、本質はあくまでも私は保護関税だ、こういうふうに思います。ただ、それだけの収入のある関税でございますので、財政上も無視はできない、かように考えています。
○河村委員 一々伺っておりますと、時間がかかりますので、一つだけ農林大臣に伺いますけれども、砂糖には安定資金課徴金それから調整金と、二種類の課徴金がございますね。この中で、輸入砂糖の価格安定のために、安定資金課徴金というのを取っておりますが、大体輸入砂糖の上限価格、下限価格というのをきめて、それで輸入価格が下限価格を下回ったら金を徴収するということになっております。上限価格を上回ったら払い戻すということになっているのですけれども、いずれも標準が高過ぎて一ぺんも払い戻すことはなくて、年じゅう取りっぱなし、こういうのはどういうものかと思うのですが、一体糖価安定事業団でいま取りっぱなしになっている貯金がどのぐらいあるのですか。
○倉石国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。
○荒勝政府委員 お答えいたします。
 ただいま糖価安定事業団でいわゆる安定資金として積み立てております金額は、約二百億円をこえているというふうになっております。
○河村委員 そうしますと、二百億円というのは完全に消費者の犠牲において――糖価安定事業団がもうけているわけでもないでしょうが、それだけの金が召し上げられている、そういうことになるわけですね。
○倉石国務大臣 現在のような状況でありますから、そういうことになるわけでありますが、糖価安定事業団は、いまお話しのように、上限、下限を考慮しておりますので、いまは高いからそういうことになっておりますけれども、これが全部消費者に負担がかかっておる。その面からはあるいはそういうお説になるかもしれませんけれども、現在私どもがやっております糖価安定事業団の操作というもので、特にそのために価格が非常に上がる、こういうことはないわけでありますから、価格安定のためにはやはりいまの制度を続けていくことが必要ではないか、こう思っているわけです。
○河村委員 価格安定をおっしゃいますけれども、大体関税が――近ごろはちょっと割合からいうと下がりましたけれども、大体一五〇%から二〇〇%の関税で保護されているわけですね。それだけのバッファがあるのに、輸入価格がちょっと上がったり下がったりしたからといって、安定資金なんていうものは元来要らないわけですね、それをわざわざつくった上に、絶対に取りくずせないような限界を引っぱって、それで安定しているというのは、つくった値段ですからそれは安定はしていますけれども、結局は消費者にかぶっているわけですよ。ですからこのくらいひどいものはないと思うんです。時間がなくなりますからこっちで申し上げますけれども、その上に国内産糖の合理化目標価格ですね。輸入砂糖の価格がそれを下回れば、またそれから調整金を取って、それで国産砂糖の生産者にやる。さらに合理化目標価格より国内産糖の価格が高いと、今度は国の補助をやっているんですね。国で糖価安定事業団に十六億という金を四十五年度計上しておりますが、あれは一体どういうふうに使われるものでございますか。
○荒勝政府委員 お答えいたします。
 いわゆる国内産糖合理化目標価格をきめまして、糖価安定事業団はその政府のきめました値段に従いまして買い入れて、またその砂糖を売りさばいておりますが、その間多少差損が出ております。その分を、いわゆる合理化目標価格をきめまして、合理化目標価格より上回った部分につきましては政府から交付金を交付する。合理化目標価格より下の部分につきましては、いわゆる糖価安定事業団で積み立てました調整金をその赤字の補てんに使っておる、こういうことでございます。
○河村委員 私がいろいろいやらしいようなことを申し上げたのは、やはり過保護の見本であるということを申し上げたかったのです。関税、安定資金、課徴金、調整金、それでも足りないと今度は国の補助ですね。それに砂糖消費税――これはちょっと事情が違うので、でん粉関係でしょうけれども、とにかく百二十九円で家庭で買って、そのうち半分は税金ないしはそれに類似ですね。二〇%の自給度を維持するためにここまで消費者を犠牲にするというのはおかしいですね。いま物価の一番大事な時期なんですから、とにかくどこかからほぐしていかなければ、輸入政策、輸入政策なんていったって、結局はお念仏ですよ。総理、いかがですか。この辺でもってこういう過保護のものをほっておいて輸入政策を活用するなんていいましても、それはちょうど赤字ローカル線廃止みたいなものでして、いま国鉄で赤字ローカル線廃止をするといっていますけれども、なかなか説得力がないのですね。それはなぜかといいますと、政府で鉄道建設公団なんて無理やりにこしらえて、同じような種類のものを別に新しくこしらえているんですね。片一方で新しく赤字ローカル線をこしらえながら、片一方でやめろといえば、なかなか説得を聞かないのはあたりまえですね。それと同じだと思うんですね。ですから、この辺でもって砂糖についてとにかく今後の年次計画を立てて、いますぐ一ぺんにわんと安くならぬでもいいから、とにかくこの三カ年か四カ年のうちに三〇%ぐらい安くなるというような、そうした種類の目標を掲げて、それを輸入政策の模範にするというような決意はございませんか。
○佐藤内閣総理大臣 河村君にお答えいたします。
 基本的な、過保護はやめろとおっしゃること、この趣旨には私も賛成であります。いままで過保護、そういう結果がもたらしておる、国際比較においても日本の産業のおくれがずいぶんございますから、そういう政府の保護のもとに産業が成り立つにしても、過保護というような表現がされるようなものについては、十分考えていかなきゃならぬと思います。ただいませっかくそういう意味で総合農政と取り組んでいる、その中の一つに米の値段がありましょうし、さらにまた乳製品の問題があると思います。ただいま言われる砂糖の問題もある、その他でん粉の問題もあるだろうと思います。しかし、これはわが国の農業そのものあるいは農業生産者についての国の一貫した今日までの努力でございますし、またその保護的な立場を守ったからこそ生産者も非常に努力ができたと、かように思いますので、一言にして過保護はやめろ、こう言ってあるいはきめつけて、保護は行き過ぎる、こう言われる筋のものでもないかと思います。やはり地形あるいは風土等からきて、どうしても保護せざるを得ない、かような点もあると思います。ことに私は少なくともわれわれの食糧についてはやはりできるだけ自給自足、そういうたてまえが望ましいんじゃないか、完全にということはなかなかできませんけれども。そういう意味で八〇%程度は何としても自給のできるようにしたい。その中にはただいま御指摘のような甘味料もございますし、その他の飲料の問題もございますし、果実もあるし、園芸作物もあるし、すべて農産物そのものが食糧につながっておる、かように実は考えますので、それが過保護にならないように、適正なる保護のもとに育成、維持される、こういうことが望ましいんじゃないか、かように思います。河村君もまさか農産物を全部自給しろと、かようにおっしゃるわけでもないだろうし、もう国際価格に劣っておれば輸入によれ、こうまではおっしゃらないだろうと思います。私は、そういう意味で国内産業として保護すべきものも、これはしかし行き過ぎた過保護は困る、かように思いますので、一部基本の問題には賛成しながら、具体的の問題については政府の態度を支持しておるような次第でございます。ただいま言われるように、一定の目標を定めてその方向で努力してみたらどうか。これは具体的な提案でございますから、そういうものの可能なものもありますし、それの可能でないものもあります。ただいま、たとえば乳製品等については、言われるような方法で努力しておると思います。それらの点もあわせて私から説明しておきます。
○河村委員 もちろん私も保護をやめろというなら暴論ですけれども、過保護をやめろということは当然なことだと思うのです。ここで申し上げたいことは、米については、たまたま米が過剰であるというのが一つのプレッシャーになって、そこからいやおうなしに転換の道をさがさなければならぬ時期に来たという感じですね。ですから、こういう砂糖その他の輸入に関係するものは、これは物価という一つの別の大きなプレッシャーがあるわけですね。ですから、やはりそういうものを一つのてこにして、この辺でもってスタートしていくんでなければ、いつまでたってもスタートができない、そういう種類のものですから、もう少しこの辺でもって具体的にかつ積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げたいと思うわけです。
 次に、土地問題に移ります。
 土地問題はもうほんとうに行きつくべきところまで到達してしまった感じでございます。現に市街地価格は年々二〇%近くまで上がるというたいへんな状態であります。今回の総理の演説でも、地価対策の総合対策を強力に推進するですか、そんなことを言っておられますけれども、今日まで予算委員会でそう突っ込んだ議論がなされたわけでありませんけれども、いろんな提案がなされましても、何か前向きに取り組むというような程度の答弁しかなくて、具体的なことが一つもないんですね。一体もうここまで来ているのに、いま地価問題にほんとうに有効な手段を打たなかったら、諸悪の根源ということばがいわれますけれども、ほんとうにいろんな問題はもう行き詰まってしまうにきまっていると思うのですが、本気でおやりになる気がおありになるんですか、何かことし具体的なものをおつくりになる……。
○佐藤内閣総理大臣 これは本気でやります。ことに物価問題と取り組む場合に、これと取り組まなくて一般物価問題は解決されるとは思いません。
○河村委員 わが民社党では、三年前から地価抑制法案というものをつくりまして提案しておりますけれども、残念ながら少数政党でありまして、結局たなざらしのままなんです。その考え方というのは、地価対策というものは、片一方は保有課税を強化して供給を促進すること、片一方は期待利益を吸い上げていくこと、それによって不労所得を与えない、この二つしかないわけですね。でありますから、この辺でもってそういう方法で、現状で許され得る最大限度の強力な手を打ちませんと、もうどうにもならなくなると思うのです。そこで、私権制限ということが必ず問題になりますが、その限界についてどうお考えになるか、ちょっと伺いたいのですが、私はこう考えます。
 現在、これはもう法律論じゃありません。法制局長官、法律論を言うとやかましくなりますが、現実のいまの環境を前提にして現在の地価を法律の力で引き下げるということになりますと、法で強制して下げるということになりますと、これは私権の制限になるでしょうけれども、これから先の値上がり、期待権を失わしめるというくらいのところまでは、いまの常識として許される、そう考えますが、いかがですか。総理、ごく簡単に。
○佐藤内閣総理大臣 いまの、ちょっと私聞きとりにくいのですが、どういうような……。
○河村委員 これからの値上がりは、いま地価がありますね。これをいまより下げる、自然に下がるのはいいのですけれども、法律によって下げるというのは、これはちょっと無理だろうけれども、これから上がる期待利益というものは、もうこれからは与えないんだというくらいのところまでは、私権制限の限界として常識的に認められるであろうかということです。
○佐藤内閣総理大臣 これは、私は私権の問題、ちょっと問題になるんじゃないかと思います。そこで、いま地価の公示制度というものをできるだけ広い範囲にやる、市街地の近傍というか、それに接続するような、そういうところの地価の評価、これはまあ、たびたび地価評価をして、そうして適当なる課税方法を立てるべきじゃなかろうか、かように思います。いま言われるように、上がっただけの値段のものを何か政府が取り上げるような方法はないかと言われると、ちょっとそれは無理じゃないか、かように思います。
○河村委員 そのくらいやらないとだめなんですが、まだ本当に具体的な抜本対策というのは、一つも提案されておらないのですね。というのは、去年土地税制が改正されました。それから地価公示法案ができました。これで間に合っておるとお考えになるかもしれませんけれども、実際は全然役に立たぬ――と言ったならば、これは少し失礼かもしれませんけれども、まず役に立っておらぬと言ったほうが正確なんです。一体大蔵大臣、去年土地税制の改正をされまして、それで長期保有の個人の土地の税金を、初めは安くして段階的に上げていくというものをおつくりになりましたね。これ、一体少しでもきき目があるような徴候がございますか。あるかないかでけっこうなんですが、つくった以上は何か反響くらいはお聞きになっておると思うのですが。
○福田国務大臣 まあぼつぼつ私の接する範囲内において反響らしきものを伺うのです。しかし、何ぶんにもこの制度はことしの一月から実施されるというものですから、総合的にどうかというわけに見ることができないわけです。今後、まあ来年の暮れまでの段階でどういうふうな動きになりますか、私は、かなりの効果は出てくるのではあるまいか、さように見ておるのであります。
○河村委員 そういう認識だから困るのです。土地税制は去年の四月から施行になっているのです。その点おそらくお聞きになっておらないのだと思うのですがね。ちょうど私は神奈川県のスプロール地帯に住んでいるので実例をきわめて多く知っているのですけれども、大体そこに多くの土地を持っている農家が多いのです。長期保有の土地ですね、特に市街化区域になりそうなところの。この程度では手放そうという気には全然ならないというのが実態でございます。なぜかといいますと、だんだん段階的に上げるといっても、年率五%でしょう。地価は年々一六、七%上がります。ですから五%くらい上がったって、手取りはうんとふえるわけですね。
    〔藤枝委員長代理退席、委員長着席〕
ですから、段階的に上がって年五%で最高が二〇%、それが比例分離課税ですね。これが何にもきき目はないわけです。ですから、全然ねらいとする供給促進の効果が一つもあがらないのです。これをおやりになるなら、せめて年率一〇%くらいのきざみにして最一局七〇%くらいもっていくということでなければききません。それから第一、農地についての固定資産税がべらぼうに安いですからね。この点、総理に私、ぜひお聞きしようと思っているのですが、その前に自治大臣にちょっとお聞きしましょうか。
 市街化区域の農地ですね、たんぼや畑、これは一体いま固定資産税の評価額――土地の価格としてですよ、税金じゃなしに。これは幾らくらいになっているか御存じですか。
○秋田国務大臣 直接御質問の点については存じませんが、この問題は近来やかましくなっておりまして、三十八年の価格に、市街化区域予定地のような農家の農地は……
○河村委員 幾らかということさえお答えしていただければいいのです。
○秋田国務大臣 存じません。
○河村委員 大体たんぼは二百円以下です、畑で四百円以下です。ですから、それに一・四%の税金ですからね、幾らになりますか、まあほんとうに三円五十銭とかなんとかいうような税金なんですね。そういう税金しか払わないで済んで、しかも年率五%くらいずつ税金が上がったって、地価のほうは一六、七%上がっちゃうのですから、きき目のないのはあたりまえなんですね。どうしてこういうものでいいとお考えになるか。この際、まず第一に市街化区域の農地について、固定資産税を宅地並みにせよと総理は指示をされたと聞いておりますけれども、一向にその後その実績があらわれないようでございますが、いかがでございますか。
○秋田国務大臣 確かにお説のような問題がございます。これは都市施設が完備したような地区における農地について、近傍の宅地と同じような評価をして、それと同じような固定資産税を取れということでございますが、この点は技術的に申しまして、都市施設の設備の完備したという条件が一体どういうものであるか、技術的に困難な点がございます。また、いま線引き作業が完成しておらないので、これの円満にして円滑な遂行というものを見守る必要もございます。これと宅地の潤沢な供給、土地価格の抑制という点を勘案しまして考慮すべきものでありまして、自治省といたしましては、これらの点を十分検討いたしまして、前向きな考えで対処してまいりたいと思いますが、いまどうこうとすぐに結論を出すわけにはまいりません。いま申し上げましたような点を十分勘案いたしまして、妥当な線を関係方面ともよく打ち合わせ、検討の上、決定いたしたいと思っております。
○河村委員 ちっとも前向きではないんですね。総理も言いっぱなしで結果すら確認されてないじゃないかと思うのですが、この問題はほんとうに重大なんです。このままでいきますと、せっかく都市計画法が施行されて市街化区域がつくられましても、その市街化区域の中でスプロールが起こるんです。売り惜しみ、これはたいへんなものです。ですから、固定資産税評価額を宅地並みにしましても、固定資産税自体がいろいろな負担調整措置をとっておりますから、一ぺんに宅地だって上がるような仕組みにはなっていないのですよ。これ自体私は非常に不満なので、時間があればその問題を取り上げたいのですけれども、どうも時間がなくなりましたので、その点触れられないのは残念ですが、少なくともいま宅地並みの評価をして供給を促進しなければ、都市計画法の精神というものは全部つぶれます。ですから、この際これをやっていただきたい。
 それから、大蔵大臣にお答えいただきたいのは、五%ずつアップして最高が二〇%なんという、こういう安いものはやめて、思い切って一〇%ずつ上げて、最高七〇%がいいか八〇%がいいか、その辺の見当はわかりませんけれども、とにかくききめのあるようなものをやらなければ意味はないと思います。この点、総理並びに大蔵大臣にお答えをいただきたい。
○福田国務大臣 とにかく土地税制の改正は本四十四年度において実施をされるわけなんで、その成り行きを見てまた考えてみたい、かように存じます。
○佐藤内閣総理大臣 いま大蔵大臣がお答えしたように、ちょうど評価がえの時期にも来ておるようですから、そういうものを基礎にいたしまして、そうしてその評価がえした場合の価値判断、それに対する適当なる税率というか、それはよく考えたい、かように思っております。
○河村委員 税率なんていうことは、これはあとのことなんで、負担調整をどうやるかということは別にして、とにかく市街化区域の中の農地の固定資産税は宅地並みにするという原則ぐらいはこの際確認をされるべきであると思いますが、いかがでございますか。
○秋田国務大臣 ただいまお答えをいたしましたとおり、いろいろ技術的に困難な点もございます。そういう点をよく検討、研究いたしました上で決定をいたしたいと存じております。
○河村委員 それはあとに下がってくるのですが、技術的なことなんていうのは事務当局にまかしておけばいいんです。大体そんなことはないのです。線引き作業が終わらぬなんていうけれども、何でもないことですよ、ことしの一月一日から評価がえをするんですから、そのときに近傍の宅地と同じに評価しておけばよろしいのですから。線引き作業が終わったらさかのぼって一月一日に評価を当てはめればいいでしょう。技術的な困難なんて何にもないのですよ、やるかやらぬかというだけのことで。私もこれは自分の選挙にも非常にマイナスに影響するかもしれないと思っているのですけれども、しかし、いまこの時期にこれをやりませんと、ほんとうに土地政策というものは成り立たなくなります。これだけは私は予言します。ですから、総理にくどいように申し上げているのです。
○佐藤内閣総理大臣 これは河村君ももちろん御存じだと思いますが、宅地は宅地、農地は農地、そういうものはぴっちりやります。ただ、その評価が近隣の宅地並みの評価になるだろう、こういうことを私は想定はしておりますが、とにかく農地は農地、宅地は宅地、これは区別しなければならない、かように思っております。
○河村委員 ついにまともな御返事を伺えないことを非常に遺憾といたします。私は重ねて申し上げますが、これはわれわれの法案では空閑地税あるいは未利用地税というような形で提案をしております。しかし、名前はどうでもよろしいのです。やはりいま固定資産税に、自分の住んでいる土地をばかばかしく上げてもらっちゃ困ります、こういうものは安くするのが当然ですが、やはり供給促進という意味で累進的な税金をかけるとか、少なくとも市街化区域というのは、ほんとうは新都市計画法施行のときに当然出るべき話で、十二万ヘクタール水田買い上げに関連して、総理が、固定資産税を宅地並みにすることを考えろなんて言われても、私は本末転倒だと思っているのです、ほんとうは。去年の六月にすでにきまっているべき性質のものだと思うのです。私は、そのくらい緊急性あるものだと思っております。きょう御返事いただけないのは非常に残念ですけれども、これはほんとうに考えてください。そうしませんと佐藤内閣の大失政になることは間違いございませんから。
 もう一つ、土地について、地価公示制度について一つだけお尋ねします。
 これは考え方はよろしいのですけれども、公共用地の取得に対してすら、なるほど買うときには「公示価格を規準としなければならない。」というように書いてございます。ところが、土地収用法適用のときのあれを見ますと、何と書いてありましたかな、何か規準価格による価格をまた考慮しなければならないというような、ひどくあいまいなものになっておりますね。これで一体ほんとうに公共用地の取得が規準価格でできるとお考えですか、いかがですか。
○根本国務大臣 公示価格制度をきめましたゆえんのものは、現在土地が非常に高くなりつつある。特にこれが……。(河村委員「時間がありませんから……。」と呼ぶ)端的に申します。これは直ちに公示価格にきめたものをそのままの形で決定するということは困難な事情があるようであります。というのは、それぞれの地区の特殊性もございまして、それからなお、公示制度をいま実施しておるのは三大都市だけでございます。したがいまして、全国に公共用地を取得するときに、それをそのまま適用するということは困難でございます。したがいまして、これをやる場合には考慮するという程度にしなければ、現在では現実性がないのであります。この公示制度が全地区にわたって実施されることになりますれば、それに非常に近い形で実施できる、こう考えておるのであります。
○河村委員 規準価格というものはありましても、これは税制と結びつかなければ、ほんとうは何にもならないのです。この規準価格と固定資産税――この規準価格もいま算定中ですね。やっている最中ですね。固定資産税の価格も、一月一日評価ですから、やっている最中ですね。これは、ちょうど両大臣並びに総理大臣がおられるわけですが、この際、政府で評価をする土地の価格というものは一本にして、それをすべての税金の基礎にする――税率は別でよろしいけれども、すべての評価を一本にするということくらいのことはできないのでしょうか。
○根本国務大臣 私のほうから先に答弁さしていただきます。
 ただいまも申し上げましたように、公示価格制度をいまようやく実施したのが三大都市だけでございます。したがいまして、これを固定資産税ということになりますれば、あらゆる地区における固定資産税とこれを一致させるということは、現実に困難でございます。したがいまして、われわれといたしましては、でき得るだけ早くこの地価公示を各都市に実行できるようなことをまずやるべきであろうと思います。私のほうからはこれだけ御答弁申し上げます。
○秋田国務大臣 地価公示の個所がことし、昭和四十五年度で約千カ所、昭和四十八年度におきましては約八千カ所が予定されておりますが、これに対しまして固定資産税のほうは、御承知のとおり、全国のすべての土地、これは約一億五千五百万筆になるそうでございますが、これについて評価を行なうものでございます。宅地の標準地だけでも約二十六万三千カ所に及んでおるそうでございまして、公示地点を基準として全国的な評価をするということは、こういう点から見まして技術的に非常に困難な問題がありますし、また固定資産税の評価事務には相当の期間を要しますので、公示価格と評価額とを同一の時点でとらえていくということがたいへん困難でございます。したがって、いま直ちに公示価格による価額を基準として固定資産の評価を行なうということは、たいへんむずかしいのでございますが、将来、課税技術の可能な限り、公示価格との均衡を失しないよう評価することに検討いたしたいと考えておる次第でございます。
○河村委員 ほんとうは両方で同じ地面を二重にも三重にも評価するということはむだなことなんですね。ですけれども、この問題、いまここでもってお答えもできないでしょうから、それはそれで方向としてぜひおやりをいただきたいと思います。
 これは倉石農林大臣にお伺いしていいのかあるいは建設大臣かわかりませんが、例の十一万ヘクタール水田買い上げの問題でありますが、けさほどの質問の中で、土地開発基金に二百八十二億、交付金の借りたものを返すのに充当するというのが議論になっておりましたが、かりにあれが法律違反かどうかという問題は別として、それがまるまるそれに回るとしても、わずか坪三千円で買ったとしたって一万ヘクタールですね、二百八十二億が全部使われても。すると、もう大半は民間で買わせるということになるわけですね。そうなりますと、この前倉石農林大臣は、兼業農家を育成するために地方に産業を興すことが目的で大いに企業に買わせるんだということをおっしゃいましたね。しかし、企業だって、ほんとうにそんなに一ぺんに実需があるわけじゃないんですね。ほんとうに工場のために用地が必要だというのは、そうあるわけじゃないんですね。それを大いにやりますと、結局企業の投機的需要をふやすだけだ。最近は大企業中心にインフレナイズというのが非常に強くなって、いま土地の先行取得も値上がり待ちの投機的な買い入れというのが大企業に特に多いんですね。聞くところによると、去年の九月公定歩合を引き上げた際にも、そういう大企業の土地の先買いみたいなやつがやたら多いのが公定歩合を上げる一つの要因にもなった。これは私が言ったのじゃ信用ないでしょうけれども、日銀のさる幹部で言っているのがございました。そのくらいの状態ですから、結局、わずか一万ヘクタールぐらいが国で手当てができるという仮定をしても、あと全部企業に買ってください、買ってくださいとやったら、これは土地騰貴を促進して、うんと地価が上がる結果になりはしないかと心配しておりますが、いかがですか。
○根本国務大臣 私から答弁するのは筋違いかとも思いまするが、現在民間デベロパーの状況をいろいろ聞いておりまするが、最近の金融の逼塞の状況で、非常に大幅な土地の先行取得がもういま少しスローダウンしているようです。むしろ現在われわれが期待しておりますのは、先ほど大蔵大臣からお話しのありましたように、地方自治体あるいは農協等が土地を持つこと、これは農協はいま直ちには持ちませんけれども、農協法が変わればこれができる。あとは土地開発基金あるいは公共用地先行取得事業債、こういうものでやっていただきますれば、御心配の点も少なく、かつ農地転用のほうにも役立つであろう、こう考えている次第であります。
○河村委員 いや、ほんとうはそうは思いませんが、時間が来てしまったので、もうほかのことはできなくなってたいへん残念ですが、最後に大蔵大臣に一点だけ伺います。
 今度法人税を一・七五%、留保所得だけでありますけれどもお上げになったのは、上げ足らぬとは思いますけれども、たいへん進歩だと思います。ただ、その反面、合理化機械等の租税特別措置法の特別償却ですね。本来、これは景気過熱期には停止すべきことが法律で義務づけられていると言ってもいいくらいのものですね。それを逆に拡大をしておられます。一体、法人税を引き上げるくらいの時期になぜこの特別償却をおやめにならないのか。全くやることが矛盾をしておると考えますが、いかがでございますか。
 それだけを伺って終わりにします。
○福田国務大臣 法人税につきましては、御承知のように、いま法人の自己資本が非常に少ない時期でございますが、あえて景気調整的な見地からこれが引き上げに踏み切った、こういうわけです。
 それから特別措置につきましては、廃止するものもあるし、新設あるいは拡大するものもあるし、期間を延長するようなものもありますし、いろいろなものもありますが、これは特別のそれぞれの政策的意味があるのでありまして、ひとつその一つ一つについて御理解を願いたい、かように存じます。
○河村委員 もうやめようと思ったんですけれども、どうもおっしゃることがおかしいので……。
 この合理化機械等の特別償却は、租税特別措置法の六十六条の六で、これは停止すべき場合というので、日本銀行の公定歩合が引き上げられた場合において、景気調整対策上の措置を講ずることが必要と認められる期間という条文を引用して、企業の設備投資を抑制することが必要と認められる期間というのははっきり書いてあるのですね。いま、企業設備投資抑制は大蔵大臣としても非常に一生懸命やっておられるのでしょう。そういうときに、当然やめるべきものをやめない。これはもう税調でも、景気過熱期にはいたずらに景気を刺激していかぬからやめろと長期税制の答申にもちゃんと書いてあるのですね。それを温存して、法人税は引き上げたのはりっぱであるけれども、片方でそういう集積をしておるというのは、ほんとうに政策としては整合性がない、そう考えるのですが、一言だけ……。
○福田国務大臣 ただいま申し上げましたような特別の政策的意味を込めましていろいろの措置をとってありますが、なおよく検討してみます。
○河村委員 終わります。
○中野委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
 次に、不破哲三君。
○不破委員 私は、日本共産党を代表しまして、言論・出版の妨害の問題、それに関連する政府の政治姿勢の問題、それからまた日米共同声明の問題点、この二つの問題を中心に総理並びに関係閣僚に御質問をしたいと思います。
 まず第一に、出版の妨害の問題でございますけれども、この問題については、国会の外でも、この国会でこの問題がどのような決着をつけられるか、国民の間に非常に関心が高まっております。最近では、新聞の社説などでもこの問題が取り上げられて、国会がどのような取り組みをするか、本格的な審議をせよという声もあげられております。これは決して偶然ではありません。総理が、衆議院及び参議院の本会議でいみじくも言われましたように、言論・出版の自由の問題は民主主義社会の基本である、それがいかなる勢力、いかなる団体によって侵されようとも、その状態が放置されることがあるならば、民主主義の政治というものが根本から脅かされることになる、こういう重大な問題であることを、多くの国民が過去の経験から深く熟知しているからである、私はこう考えるものであります。そういう意味では、いま出版妨害の問題について多くの重大な疑惑がかけられている。しかも、その関係者が国政を担当し、この国会を構成をしている政党の幹部あるいは議員、こういう多くの人々が、これに関係をしているという問題も提起されております。私は、その意味で、今度の国会で出版妨害問題についての真相を国民の前に責任を持って明らかにする、これが国民の期待にこたえるゆえんである、こういう観点から、多少事実の問題にこまかくわたることもあるかもしれませんけれども、総理並びに関係閣僚のまじめな御答弁をお願いしたいと思います。
 まず第一にお伺いしたいのは、総理は、先日参議院の十九日の本会議におきまして、わが党の野坂議員の質問に答えて――野坂議員が、総理が総裁をやられている自民党の幹事長である田中議員の問題について、出版妨害問題という重大な疑惑がかけられている、この問題について総理の所信をただしたのに対し、このような答弁をされました。「私は総裁でございます。幹事長がどういうことをしているかよく話は聞いております。私自身が、ただいま幹事長のやった事柄を、この際に、いわゆる言論の圧迫、こういう形で取り上げるべき筋のものでないということをはっきり申し上げて」と、こういう答弁をされております。
 これに関連して、まず初めに若干の問題をお伺いしたい。それは、田中幹事長がこの問題に関してやった事柄ということは、自民党を代表しての公式の行動であるのか、それとも田中幹事長個人の行動であるのかという問題、それからまた、田中幹事長がやられた事柄について、総理が事前に承知をされていたかどうかという問題、この二点について初めにお伺いしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 党は関与しておりません。したがって事前に話は聞いておりません。事後でございます。
○不破委員 わかりました。
 次にお伺いしたいのは、それでは田中幹事長がやった事柄ということは、どういう内容のものであるかという問題であります。この点については、実際の一方の当事者である藤原弘達氏から、内容についてはかなり具体的な問題が説明をされております。これは文書でも発表されておりますが、私自身、藤原弘達氏と直接会いまして、自分で事実の調査もいたしました。どういうことが言われておるかと申しますと、まず、十月の四日に藤原弘達氏のところへ田中幹事長から電話があった。竹入公明党委員長からのたっての依頼ということで、何とか「創価学会を斬る」という書物の出版を思いとどまってもらえないかといういわば出版中止の申し入れがあった、これが第一点であります。
 第二点は、十月十五日、場所は赤坂の「千代新」という料亭だそうでありますけれども、そこで田中幹事長が藤原弘達氏と会って、こういう内容のものを提案している。これは竹入氏から依頼されたという条件だとして、第一に、もうかなり出版が進行している状況では出すなと言っても無理だろうから、出してもよいが、初版で打ちどめにしてもらいたい。第二に、その出す初版のうち千部くらいは一般に販売をして、残りは全部公明党が買い取るようにしてもらいたい。第三には、したがって初版を何部刷るか、部数と定価を言ってくれれば、その分は支払うようにしたい。こういう内容の提案を十月十五日、赤坂「千代新」での藤原弘達氏と田中幹事長の会見の際に、田中氏から申し入れられたということを藤原氏は明言をしております。そして十月二十三日、同じ赤坂の「のぶ中川」という料亭で再度の会見があったときに、藤原氏のほうからは、これについてはきっぱり断わった、こういうふうに発言をされております。藤原氏は、この問題については、これは国会において証言する用意のある責任ある事実であると、私にも直接話をしました。総理は、先ほど私が引用しました答弁の中でも、私自身幹事長のやっていることはよく知っていると言われて、これは出版妨害あるいは言論の圧迫という筋のものではないと言われましたけれども、いま私が言いましたような内容のことを御承知の上で、そういう事柄は言論の圧迫に当たらない、あるいは出版の妨害に当たらない、こういうように答弁されたのかどうか、そのことを伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 憲法で言っている言論の自由、これは多くの場合において、国の権力がこういうものに介入する、これは非常にはっきりしております。その他の場合においては、大体言論の自由が尊重されている。私なども、そういう意味ではいつもさらされております。一々これを取り上げてとやかく申しますと、ずいぶん議論があるだろうと思います。しかし私は、そういうことはいたしておりませんが、時の政府である限りにおいて、そういう批判を受け、いろいろな議論をされることも、これは言論の自由、当然かと思っております。そこらは大目に見ておるというか……。そうしてそれが行き過ぎると、やはりそれに対しては救済方法はちゃんと法律的にあるわけでございます。私は、その方法が望ましい方法じゃないかと思う。またこの問題については、すでに御承知のように、国会討論会でも、必ず田中君も出、各党から出て取り上げられている。田中君自身が、これはよけいなおせっかいをしましたと、かように申しております。その中身を一尺この席でとやかくは申しませんが、確かに田中君がおせっかいだ、もしも幹事長として行動するなら、前もって私にも相談があるだろうと思いますが、さようなことはございません。そのことは先ほども申したとおりであります。したがって私は、その程度に考えるべきものじゃないだろうかと、かように思っております。
 また、いまちょうど藤原弘達君のお話が出ましたが、私に関する事柄でも、これが誤った記事になっております。私から電話をかけて藤原弘達君を激励したというさような事実はございません。これは、この席、公の席で私はっきり申し上げるのですから、その私自身が直接電話をかけて、ただいまのような激励をしたというようなことはございません。それが、しかし文春にはちゃんと載っております。こういうような事柄も、やはり正確は期してもらいたい、かように思いますので、このことははっきり申し上げておきます。
○不破委員 問題は、田中氏がやったよけいなおせっかいなるものの内容の問題であります。その内容が、私が先ほど藤原氏の証言として御紹介した、つまり本が出される、出版の前に、これをほぼ全部を買い取りたい、いわば言論の買収でありますが、そういう提案をしているかどうか、これがおせっかいの内容であるかどうか、これがポイントだと思います。こういう言論買収の提案をしたという事実を総理が御承知の上で、あれは言論の圧迫に当たらないというふうに判定をされているのか、それともそういう言論の買収などというような、伝えられていることは、これは違うのだというふうに言われて、その程度のことであると言われているのか、そこのところをお伺いしたいと思うのです。
○佐藤内閣総理大臣 私は、田中君が、どうも少しおせっかいをいたしまして、たいへん総裁にも御迷惑をおかけしております、こう言うものですから、そうか、そんなおせっかいはやめたらいいなと、これだけ申しました。それでもう終わっております。ただいま言われるように、一々何部どうして、値段が幾らでどうこう、そんな話までは入っておりません。
○不破委員 それは、まことに無責任な発言だと思うのです。といいますのは、本会議で私どもが、あるいは衆議院の本会議では米原議員が、参議院の本会議では野坂議員が、具体的な内容をあげて佐藤総理に質問をいたしました。そうして総理は、田中幹事長のやっていることは十分承知をしている、よく知っている、その上でこれは言論の圧迫という筋で取り上ぐべき内容のものではないということを、総理の責任において判定されたはずであります。ところが、その内容については、つぶさには知らない、おせっかいということばしか伝わっていないということでは、総理が、この国民が非常に大きな疑惑を持っている問題について、まじめに取り組んで、内容について、総理の責任において、これは言論の圧迫に当たるか当たらないかということを発言されたとはとうてい思えないのであります。その点について、重ねて、おせっかいの内容を、言論買収の提案をしたということを承知の上で言われているのかどうか、そのことについて重ねて伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま申すように、おせっかいをしたということで、それより以上私も追及はしないで、田中君と――大体田中君の気性もよく知っておりますし、そのおせっかいがどの程度になるだろうか、それはわからないわけじゃありません。しかし、そういう事柄を一々とやかく申す筋じゃないだろう。私はそのこと自身が、いわゆる憲法でいう言論の圧迫、自由を圧迫したという、そういう立場でいきり立つような筋のものじゃない、私はかように思っております。
○不破委員 二つ問題がございます。一つは、総理が、言論の買収というような問題は、これは憲法違反の問題としていきり立つような問題ではないと言われた総理の評価の問題であります。これはあとで伺いたいと思います。
 もう一つは、総理が今度の国会で答弁される前に、そういう事実について詳しくは耳にされたことがないと言われた問題であります。この問題については、私は一つ伺いたいのでありますけれども、藤原弘達氏自身が、一月の十日に総理に面会を申し入れた、この問題で。それで、総理のかわりということで、木村官房副長官が首相官邸で藤原弘達氏と会見をされている。このことは確かに事実はありますか。
○木村(俊)政府委員 官邸におきまして、藤原弘達氏の来訪を受けて、会ったことは事実でございます。
○不破委員 その際、藤原氏は、木村副長官に事実の全貌についてお話をしたはずであります。ちょうど一月十日といいますと、一月六日に、田中幹事長が、例のつぶやきがあったからおせっかいをやいたという発言があった直後の、四日後のことであります。私が藤原氏から聞いたところによりますと、話のあった第一点は、この問題について、政府としてまじめに取り上げてもらいたいという意見を述べたところが、木村副長官は、まじめに取り組みたい、まじめに検討してまじめに取り組みたいという回答をされたと聞いております。問題はその次の第二点であります。その席で、藤原氏は、つぶやきがあったから田中幹事長が行動をしたというのは全く事実と違う、はっきり竹入委員長から依頼が、たってあったということを、田中幹事長自身から繰り返し藤原氏が聞いているという問題。それから藤原氏に田中幹事長が提案した内容が、まあ、ちょっと考えてくれという程度のものではなくて、言論の買収という、これから出ようとする出版物を全額金で買い取ることでやみに葬る、こういう重大な内容の提案だったということも、つぶさに木村副長官にお話をしたはずであります。そしてその際、その内容について総理に伝えてくれということで、伝えましょうという確約を得たというふうに聞いておりますが、その点は事実ではありませんか。
○木村(俊)政府委員 大体のあらましについては藤原弘達氏から承りましたが、その中で私が総理にお伝えするのは、私の判断で取捨選択をいたします。したがいまして、その大要についてはお伝えいたしました。たとえば田中幹事長云々の点については、詳しくお伝えしておりません。
○不破委員 これは非常に重大な問題であります。いま国民の世論の中で何が一番問題になっているかというと、ある政党、ある団体を批判する書物が世の中に出ようとする、これはまさに総理が先日言われましたように、出版の自由というのは、ただ、ものを書いて、印刷をして、出版をする、それだけの自由ではない。これが世の中に出て、読者の手に渡る、つまり頒布するということまで保障するのが自由であるということを総理は先日ここではっきり明言されました。ところが、そういう特定の政党あるいは団体を批判した書物が出ようとするときに、これを世の中の目に触れないようにあらかじめ葬ってしまう、これはだれが考えても出版の妨害であります。そしてそのためにその全部数、この場合ですと、初版本マイナス千部ですけれども、大部分の部数を金で買い取る、これは明白な買収といわざるを得ません。こういう事実が被害者から明らかに訴えられている。だからこそいま国民の間では、一体こういう言論の買収に当たるような行為を国政のかなり重要な部署にある人がやっていいものかどうか。それからまた、問題になっているのが、単なる私人ではなくて、国民の間で公に活動している政党である。公に活動している政党、その政党が自分に対する批判を許さないというような形で言論買収をする。これは一そう重大な問題ではないか。これはこの問題について耳にした大部分の国民が共通に思っているところだと思います。ところが総理は、この点について、それはいきり立つほどのことではないと言われました。また木村副長官は、その問題について、大事な問題だけを取捨選択した、そうして一番肝心な問題、一体言論買収があったのかどうか、その提案が行なわれたのかどうか、田中幹事長がどうこの問題に関与しているのか、その一番肝心な問題を取捨して、捨ててしまった上で、どうも総理にかすの部分だけを報告されたらしい。こういうことでは、総理といい、副長官といい、この問題についてほんとうにまじめに考えているかどうか、民主主義社会の基本として、いかなる団体、いかなる勢力、政府はもちろんですけれども、いかなる団体、いかなる勢力にも出版言論の自由を妨害することを許さないということを、ほんとうに政治姿勢の基本として据えられているかどうか、このことを非常に疑問に思わざるを得ません。重ねて総理並びに副長官の答弁を望みたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 問題は妨害というそのことばです。言論の自由を妨害したという、それはどういう事柄が具体的にそれに当てはまるのか。これがいわゆる権力を用いて政府がとやかく言う場合だと、これは最高国家権力をそういうところに使ったというので、これは非常に非難が当たるだろうと思います。しかし私人間――私の場合だとか、あるいは会社等の場合だと、その妨害ということばがどの程度が妨害となるか、これはひとつよく冷静に考えていただきたいと思う。私どもについてもいろいろな文書が来たり、あるいは記事が載ります。けれど、そんな記事どうも好ましくないからやめてくれと言う。これは私どもそういうことを言うことはしばしばございます。やめてくれと言ったからといって、それを直ちに妨害だといって取り上げて、国会の場で堂々と議論する筋のものではない、私はさように思うのですよ。特別に何か威力を用いたとか、あるいは特別に買収行為があったとか、こういうようなことだと、それは非難が当たるだろう。私は与党の幹事長のやった事柄が、先ほども申すように、これは私としておせっかいをいたしました、たいへん御迷惑をおかけしております、こういう程度のことと考える……(発言する者あり)不規則発言はやめていただきたい。とにかくこういう事柄が私は妨害ということになるかならないか、そこはとくと考えるべきではないだろうか、とにかく自分たちの目的を達しなかった、それが全部妨害だ、こういうことで妨害罪が成立するような言い方をされると、たいへん聞くほうから見ますと誤解を受けるのではないだろうか、かように私は思います。
○不破委員 一つは、私人間の問題と言われましたけれども、先日の政府の答弁でも、言論の自由への干渉の問題は、憲法で規定されているのは主として国家の問題であるけれども、私人間では全く何をやってもよろしいということではないということをはっきり答弁されています。
 それから第二に、私がせっかく具体的な事実を提起して申し上げているのに、総理はすぐにまたおせっかいという抽象的なことばの中に逃げ込まれようとされる。問題は、初めから言っておりますように、おせっかいということばで田中幹事長が表現し、いま総理が表現している行為の具体的内容は何かという問題であります。それははっきり申し上げまして、一冊の書物が出ようとするのを金で買収をする、出る本全部を買い取って、天下に頒布するのではなしに、やみに葬るということを、これは田中幹事長がそのとき明言されたというふうに藤原氏は言っておりますけれども、出た本のすべてを買い取って、買収をして、それでそれをやみに葬るこの事実、こういう買収行為を、総理は、これはたいしたことじゃないというふうに言われるのでしょうか。買収の提案を工作をしたという事実を、たいした問題ではない、与党の幹事長がそんなことをするのは多少行き過ぎかもしれないけれども、あまり荒立てて問題にするような政治問題ではないというふうに考えられておられるのでしょうか、その点伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いまもおっしゃったように、一部は市販してもいいが他はあまり外へ出さないように願えないか、かような話だったんではないかと私は思います。私は藤原弘達氏から一部もらった。そこで、過日もこの席で、この本知っているかと言われるから、知っております、ちゃんと藤原弘達氏から贈られました、しかし、私全部を読むだけの時間ございませんから、中身については何も申さない、しかし、前書きとあと書きだけは読みました、かように申した。これで一応、いまのあの本がどういう状況下において印刷されたかということは、あの前書きを読めばよくわかります。
○不破委員 さっぱり答えになっていないわけです。つまり、出された本を買収するという行為を、出版の自由を擁護すると言われた佐藤総理は、出版の自由の侵害とは考えないのかどうか。つまり、出版買収、言論買収ということを出版の自由に反するものと考えないのか、その点について、はっきりした端的なお答えを伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 一部頒布を認めた、その大部分を回収だ、こういうことのように聞いたのですが、そのとおりなのですか。――そのとおりなら一応了承してしかるべきじゃないのか。
○不破委員 内容は、正確に申しますと、たとえば十万部なら十万部の出版を予定していると、そのうち千部ぐらいは出してかっこうをつける、広告もしていることだから。残りの九万九千部は全部買い取るということになるわけであります。これが、一部認めているんだからこれは買収でない――先ほど総理は、私が指摘しましたら、頒布することまで保障するのが言論の自由だということを言われました。ところが、頒布される前に大部分を買い取ってやみに葬ってしまう。これが一体総理の言われる言論の自由、出版の自由に反しないものだとしたら、総理の出版・言論の自由を保障する責任を負うということが、きわめてあぶなかっしいものと考えざるを得なくなります。その点いかがでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 一版だけで十万部印刷するのか、あるいは六千出すのか七千出すのか、そういうことは私は別といたしまして、ただいまのように、全部をどうこうというのじゃないことだけははっきりしている。かように考えますと、これは、話し合いのつく話ならばということが前提にあるんじゃないか。そういう事柄が、両者で話がついたなら文句はないんでしょう。つかなかったからただいま問題になっている、こういうことじゃないでしょうか。
○不破委員 これは総理の政治道義に対する感覚を疑わざるを得ないのです。これで話がついてしまって、あの本がやみに葬られてしまったら、これはいよいよ重大な問題であります。せっかく田中幹事長がおせっかいをやいたけれども、藤原弘達氏や出版社の皆さんがそういうおせっかいに屈しないでこれを拒否したから、いまああいう本が日の目を見ている。総理の話でいくと、あれが話がついてやみに葬られればこれは万事めでたしめでたしで、国会で追及されることもなかったということになるかもしれませんけれども、これは言論・出版の自由を守ろうという国民の立場からいえば、たいへんな問題であります。
 もう一ぺんはっきり伺います。話がついたらば、そういう言論の買収行為というのは、いかにどんなにやられようがそれは問題ではないというふうに、総理は考えられておられるのかどうか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、いま言うように、平穏の間に話がつけばそれはたいへんけっこうじゃないか、かように申している。これは、何か威力を用いてそれをとめた、そこに圧力が加わって話がついた、こういうことではそれはいかぬことでしょう。しかし、それが平穏無事に話がつけばそんなめでたいことはないのじゃないですか。私は、そのことを率直に申しておるのです。そうしてそれは別に言論の圧迫だとかいうことじゃない。それはもう発言者自身が納得をして、そうしてやめるのですから、それは別に言論の圧迫だとかいって、かどを立てて言うことじゃない。発言者同士で――発言者がみずからやるならともかくも、第三者が、これこそ言論の圧迫だ、何をやっておるんだ、こう言って政府を責められることは、私はたいへん筋違いのような気がするのですよ。それは共産党の方でありますだけにそのことを私は申し上げたいのです。
○不破委員 いまの総理の答弁は、非常に重大な問題です。つまり、威力さえ伴わなければ、暴力による威迫がなければ言論の買収というのは天下ごめんである、めでたいことである、確かにはっきり総理はそう言われました。自分に不利な書物が出るときに、それに対して買収行為をもってこれをやみに葬る、あるいは世の中に出ないようにする、こういう行為が、これは全く天下ごめんのことであるというようになれば、言論買収がまかり通って、まさに日本の出版の自由が根本から脅かされることになる。この点について私は、総理のそういう政治姿勢をここではっきり確認をして、その次に進みたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私は買収を認めたわけじゃございませんよ。先ほど来から、買収を認める、かようなことはございませんよ。威力だけでものが片づいたというわけじゃない……、それはやはり買収もそのうちに入る、かように思います。だから、そういう事柄を含めてじゃなしに、平穏の間に、平穏無事に話がつけば、それにこしたことはないじゃないか。それが話がつかないからいま問題になっているのでしょう。
 問題になっている場合に、それはそのときの当事者から言われることがまず第一だろう。しかし、第三者である皆さん方がおっしゃる、政府の態度をこの際に確かめる……。私ははっきり申し上げますよ。憲法は守る。言論の自由、これは尊重いたします。その範囲は頒布までだ、さように私申し上げておるのです。私どもの態度をとやかく言われる筋のものはないだろう、かように思うのです。これはもうはっきりしている。
○不破委員 だから、総理のことばの定義が違うわけです。つまり、総理は出版物を金で買い取って、それで読者の目に見えないようにするということは、買収とは思わないと言われたわけですね。その際に威力が加わるのが買収であって、暴力が加わるのが買収であって、それ以外は買収ではない。だから、これが平穏に話がつけばそういうことがどんなに行なわれようが、そういう買収行為によっていろいろな書物が世の中に出ないで葬られようが、それは総理が言われている出版の自由、言論の自由には何ら影響のないことであるというふうに言われたと思います。しかし、私は、たとえ具体的な、直接げんこの形で暴力があらわれようがあらわれまいが、実際の出版物が用意をされる、これが自分に不利だということで、これに対して言論で反批判をするのではなしに、これが世の人の目に触れないように金でものを解決をして葬ってしまおうということを工作すること自体、これは重大な言論買収行為である。そういうことはいままでの歴史の中でも古今東西を通じて言論買収行為としてはっきり指弾されておることであります。そのことを一体総理はどう考えるのかということをお聞きしたわけでありますけれども、幾ら聞いても、暴力が入らなければ買収ではない、これはきわめてめでたいことであるという答弁をいただきましたので、総理の最終的な態度としてそれを伺って、次に進みたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 かってにおきめになっては困ります。私がしゃべったことは速記でそのうちはっきりするだろうと思いますから、速記をよくごらん願いたい。これは、買収するようなことがあっては言論の自由が侵害されるということでもあります。また威力を用いればもちろん文句なしに言論が圧迫されるということでございます。そういうことを先ほど申したのでありまして、私は円満に話がつけばいいじゃないか、平穏のうちに話がつけば、それはもういいじゃないか、こういうことを申し上げておる。だから私は、買収だとか威力を用いて平穏に話がついた、かようなことを言っておるわけじゃない。だから、ここはよく読み違いのないように、もう一度私の速記を御点検下さい。そうすればはっきりします。
○不破委員 いまの問題は、これは誤解ではなくて、総理がいま言われたことを私が言ったにすぎないわけです。つまり、平穏に買収されればこれは買収ではないというのが総理の定義であるといわざるを得ないと思うのです。この点については私も総理の速記を研究いたしますけれども、これは答えは明白である。つまり、田中幹事長が本を買い取るという提案をした。公明党の資金で本を買い取って、一般の人の目に触れないようにしたいという提案をした。しかし、これが平穏に話がつけばこれは買収ではないと言われたわけですから。しかし、普通の人の常識からいえば、本が出されようとしておるときに、これを買い取ってやみに葬るということが、定義でいえば買収なんです。その点について総理がいかに言を左右されようと、先ほどの答弁は私は買収を公然と認めたものというふうにならざるを得ないと思います。この点については、また後の機会にさらに政府の政治姿勢の問題として追及をしたいと思います。
 次に、もう一つの角度から質問をいたしたいと思うのですけれども、この問題では田中幹事長があらわれてきませんから、総理もあまりこわい顔をされないで、ゆとりをもって御答弁いただきたいと思います。
 その問題はどういう問題かといいますと、先日、麻生議員が取り次ぎ店の問題についていろいろ質問をされました。日本における取り次ぎの機構、その中で大手五社あるいは六社が果たしている役割り、そこで一冊の本を拒否するか受け入れるかということがどんなに出版物の頒布に対して大きな影響を及ぼすか、それは私がここで繰り返すまでもなく、麻生議員とのやりとりの中で明らかになっていることだと思います。そこで伺いたいのですけれども、もしこの取り次ぎ機構全体の中で大きな部分を占めている大手各社が、たとえば特定の政党あるいは特定の団体を批判した出版物だけを――そのほかの政党や団体を批判した出版物はフリーパスをさせるけれども、特定な政党や団体を批判した出版物だけを正規に扱わない、シャットアウトする、こういうような事態が慣行としてあるとすれば、これは総理の言う頒布まで含めた出版の自由に対する重大な妨害ではないか。こういう点について総理の見解を伺いたいと思います。一般論として伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 一般の問題として、取り次ぎ店にさような慣行があるとは私思いません。したがって、ただいまのようなそういう慣行があると言われることがどうも私にはわかりませんから、もう少し具体的にお話し願います。
○不破委員 もしそういう事態が継続的にあるとしたら、それは出版の自由の見地からいって遺憾なことであるとお考えになりますか。
○佐藤内閣総理大臣 もちろん遺憾なことだと思います。しかし、商売をやっておる連中にはやっぱり商売の一つのなにがあるようですね、何か一つの行き方が。ものによっては損をしても引き受けるとか、もうかっても引き受けないとか、なかなか意地が張るところがあるようですね。損しても引き受ける、場合によったらもうかるものでも引き受けない、こういうようなこともあるようですから、それが一般の慣行になっているということが私にわからないのです。ただ、ただいま申すような業者には一つのかたぎがあって、そういうものがときどき出てきますね。だから、これはおたくなどもときにしばしばあるだろう、おたくのものあたりはやっぱり受けないものも、受けない人もあるのじゃないか、かようなことも考えますから、そういう点が――共産党です、共産党の場合にもそういうことがあるのじゃないか、かように思います。
○不破委員 いまのは全く問題のすりかえでして、共産党は別に取り次ぎ店をやっておりませんから、その点についてはお答えする必要はないと思います。総理がそういう事態はあるわけないだろうと言われたのですけれども、実はそういう事態が現実にあるからこういう大きな問題になっているわけです。
 若干の例を申し上げますと、たとえばここに「これが創価学会だ」という「しなの出版」から出た植村左内氏の書物があります。これは四十二年の十月に出版をされることになっていて、それで大手の取り次ぎ店からも引き受けるという約束が、予約が大量にあったにもかかわらず、突然一斉にこれの引き受けが拒否された。そして実際に日の目を見ないで、一般に日の目を見ないで――これは資料として提示をしたが、日の目を見ないで、何年も経過したという事実があります。
 さらに四十四年の三月には、毎日新聞の内藤国夫記者が書いた「公明党の素顔」というこの書物、この書物がやはり同じようにすべての取り次ぎ店から委託販売を拒否された。エール出版社という出版社から出ているものでありますけれども、この出版社は現在までに十三冊の本を出しております。十二冊まではすべてフリーパスで大量に取り次ぎ店で扱ってもらっている。ところが、この書物だけはいまだに委託販売という、正規の新刊扱いをされないで今日に至っている。
 それからさらに、四十四年の十一月には、福島泰照氏が執筆をした展望社から出されました「創価学会…公明党の解明」という本が出版されました。この出版社もいままで大手の取り次ぎ店で幾らも本を扱ってもらっている出版社であります。ところが、この本に関しては一切取り次ぎを拒否された、こういう事実があります。
 さらに、先ほど申し上げました。藤原弘達氏の「創価学会を斬る」これは日新報道という出版社から出された書物でありますけれども、これも同じように拒否された。
 そして、その場合にすべて、具体的な事実を私も一つ一つ調査をしてみましたけれども、これは公明党との関係で扱うわけにいかない、あるいは創価学会との関係で扱うわけにいかないということが、取り次ぎ店の責任ある担当者から言われているわけであります。
 先ほども総理が言われましたけれども、自民党を批判している書物はずいぶんたくさんあります。しかし、私はまだ寡聞にして、総理が取り次ぎ店に話をつけて、自民党を批判した書物を出すのはやめろとか流すなとかいうことを言われたという話は聞いておりません。私ども共産党も、それこそ自民党を批判した書物以上に、共産党を批判した書物は天下にはんらんをしております。しかし、どの取り次ぎ店に対しても、共産党を批判した書物を扱うなとか、扱ったら共産党との関係は悪くなるというような事態を引き起こしたことはありません。
 日本にいま多くの政党が――多くといっても五つでありますけれども、五つの政党がある。すべての政党がお互いに公然と国民の間で活動し、互いに批判をし合いながら、国民のあらゆる批判を受ける。不当な批判を受ける場合にはこれに言論で反批判をする、これは当然政党政治の民主的な態度であります。ところがそれが、言論による批判の最も重要な部分である書籍出版による批判、出版による言論、これがそういう形で取り次ぎ店という段階で阻止される。特定の政党についてのものだけがろ過されてしまってあらわれてこない。国民の目に触れない。
 こういうことは、先日、麻生議員は取引の公正という角度からこの重大性を追及されましたけれども、私はそれに加えて、政党政治の民主的な発展という角度からいっても重大な問題を提起しているのではないかというふうに考えますが、この点に関して――これらの事実はすべて被害者が具体的な訴えをしている問題であります。これらの点について総理は、政党政治の民主的な発展――総理は言論の自由、出版の自由は民主主義の基礎であるとまで言われましたけれども、こういう事態についてどういうようにお考えになるか、伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 問題は、基本的な態度は、私が幾ら官僚出身あるいは保守政党の総裁だと申しましても、これは同一でございます。ただいま言われるように、言論の自由、これは表現の自由をも含め、また頒布、それが宣伝されることももちろん自由で徹底することが期待される。したがって、演説などもずいぶん至るところで自由に批判もし、ときにはずいぶん事実に反することまでまぜながら批判される、こういうことはございます。また、そういう書きものもございます。しかし、それは一々取り上げてとやかくは言わない。国民がよく理解してくれるという、あるところになりますと、やはり国民の英知にまたざるを得ないようなものもございます。したがいまして、私はただいま不破君が印刷物をいろいろ参考資料として出されたこと、またそしてそれが、ただ単に口先だけでなく、口頭だけの言論でなしに、書いたものまで必要なんだ、やはり民主主義としてはそういうものが徹底すること、国民に理解を持ってもらうこと、これは何としても望ましいことだ、この観点は、これはもう同じように思っております。
 したがいまして、私は今回の事件にしても、いわゆる田中幹事長がおせっかいをした、こういうことをたいへんいいことをしたとは実は言っておりません。また田中君自身も、どうも行き過ぎたとみずから反省をしておるようでございますし、ただ、こういう点はそれぞれがやはり限度をわきまえてみずからの姿勢を正しつつあるのだ、かように御理解をいただきたい、かように私はお願いする次第でございます。
○不破委員 どうも聞いたことについてのお答えがないわけですけれども、言論・出版の自由の特定な部分、出版物の頒布の自由の問題ですね。この問題について、現状がこうある、こういう事態について政党政治の民主的な発展という観点から総理はどう考えられるのか。特定な政党、それからまた、その母体になっている特定の団体、これについての批判だけが取り次ぎ機構という中で重大な制限を受けるというような事態が現実にある。被害者が訴えている。そういうことについて、しかもそれは一つの事態ではなしに、私がここに用意したのはあるいは氷山の一角かもしれませんけれども、これだけでも最近二年ほどの間にこれだけの数のものがあがっている。こういう事態についてどう考えられるか。そのほかの問題については総理の所信として伺いましたけれども、この問題についてどう考えられるか、伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 それは日の目を見ない印刷物だと言われますが、現にこうして国会に出されておる。またその中の一、二のものは私もしゃんと手に入れた筋もございます。したがって私は、いま言われるように言論・頒布の自由が全部抹殺されたと、こういう言い方は少しオーバーじゃないだろうか、かように思います。おそらく(不破委員「重大な制限です」と呼ぶ)不破君自身がそれをやはり集めていらっしゃるんですから、それも特別印刷をしたわけじゃなくて。だから、そういう重大な圧迫だと言われるけれども、そういうことをも含めて、やはり国民が批判するのではないでしょうか。私は、民主主義というものはあらゆる機会に国民の批判が行き届くこと、そういうことが望ましい状態じゃないか。そういう意味で、一冊の印刷物といえどもこれはおろそかにはできない、かように思います。
 私はそういうことを考えながら、ただ公党がお互いにしのぎを削っている姿はあまり国民としても歓迎すべきことじゃないように思いますので、こういう点は、やはり適当に自制してしかるべきじゃないかしらん、かように思います。
○不破委員 総理の答弁はいかにもこの言論・出版の妨害問題を軽視しているという印象を私受けますし、国民も受けます。そういう態度を含めて、先ほど総理が言われた、国民が批判するのではないでしょうかということを言わなければならなくなると思うんです。
 それから、さらに続けて総理の所信を伺いたいのですけれども、この取り次ぎの妨害の、頒布の次の段階ですね。小売りという段階がきます。先日の麻生議員の説明討論でかなり明らかになっていると思うのですけれども、普通の新刊書籍だったら、これは取り次ぎ店で新刊として、注文があるなしにかかわらず、全国の主要な店には卸す、これで全国の人々の手に入るわけです。目に触れるわけです。ところが、これが拒否されますと、これはよほどその本が出ていることを知ってさがす者でなければ手に入らない。現に私自身、これだけのものを集めるにはたいへん苦労いたしました。相当な苦労をしなければ手に入らないようになってしまう、こういう事態に置かれるわけです。こういう書物は取り次ぎで拒否をされて、それで小売店の注文があるものだけは扱うというわずかの抜け道を――抜け道といいますか、わずか残された道を拡大をして、それで小売り店にようやく置いてもらうという苦労をして、頒布の努力をした書物ばかりであります。ところが、その小売り店での頒布活動に対してまで大きな妨害活動が加えられてきている。これは私一人の証言ではありません。
 たとえば先日、東京で日本出版物小売業組合全国連合会というものの会合が開かれました。――失礼しました。東京ではありません、たしか箱根だったですか、会合が開かれました。これは全国で八千百二十五の書籍小売り業者を組織している、書籍小売り関係では最大の、大部分の業者を組織している団体であります。そこで、この妨害の問題が問題になって、満場で、公明党・創価学会がこういう公明党や創価学会を批判した書物の小売り店での販売をいろいろおどかしをかけたり、こういう本を置くとほかの本を扱わせないと圧力をかけたり、さまざまな圧迫を加えているということを、この八千百二十五店の小売り業者を組織している日本出版物小売業組合全国連合会の名において声明書を出して訴えております。これはだからこの被害者だけのわずかの著作者やあるいは出版社だけの訴えではない、八千の小売り業者を代表するそういう訴えとして出されている。この声明書の中には、「このたび、藤原弘達著「創価学会を斬る」に加えられた創価学会(公明党)の圧力は、われわれ業界人として黙視することのできない」ものである、といって具体的に小売り店での妨害の事実が指摘をされております。
 こういう小売り販売にまで圧迫を加えるという行為について、出版・頒布の自由を非常に尊重される総理がどのようにお考えか、伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いまの決議は決議のまま、そのまま受け取ったらいいのじゃないかと思います。とにかく非常に圧迫があった、こういうことを言っているその決議をやり直せというわけでもございませんし、われわれその業界の決議そのものはそのまま受け取るというのが現状でございます。そうして、私どものやらなければならないことは、今後ともこの種の事柄が再び繰り返されないような、そういう注意をすることが必要じゃないか。また、申し上げるまでもなく、各党ともそういうような点で御協力も願いたいものだ、かように私は思います。
○不破委員 総理はいま若干進歩した発言をされましたけれども、ともかくこの小売り業者の全国決議はそのまま受け取りたい、つまり、これは重大な問題であると言っているわけです。総理は先ほど、あまり大した問題じゃないというようなことをずっと言論妨害問題に関して言われましたけれども、このことに関しては重大な問題だとお認めになったらしいと思います。
 それで、そういうことが二度と繰り返されてはならないと総理は言われました。そういうことが二度と繰り返されないためには、こういう妨害行為がやはり間違った問題であること、二度と繰り返してはならないような重大な問題であることを、妨害行為をやった当事者がはっきりと確認をすることがきわめて重要だと思います。重大な誤りでもない、間違ったことをしたことでもないというような態度をとっておいて、それであと繰り返すのはしないと言っても、これはほんとうに国民が信頼を持つような約束にはなりません。その点で私は、先ほど総理が、田中幹事長がやった言論買収行為は、まあおせっかいをやいたんだといって頭をかけばそれで済むような程度のものだというふうに考えられておられるような答弁がありましたけれども、二度とこういう誤りを繰り返さないということを自民党の総裁として考えられておられるのだとしたら、あるいは総理が国会で、言論・出版の自由が不当に抑圧されないように政府としても責任を負うということを言われた立場から考えるならば、その言論買収の問題を含めて、関係当事者がはっきりした妨害の事実を認め、これに対する態度をとることが重要だということを強調したいと思います。
 さらに、その重大性を私は重ねて指摘する意味で、もう一つの角度からこの問題を見たいと思います。といいますのは、先日の麻生議員の質問の中では、これはもっぱら取り次ぎ業界の問題として出されました。だれが原因になってこういう重大な制限行為が取り次ぎから小売りにまで行なわれるのかという基本の問題については、まだそこまで議論が煮詰まりませんでした。しかし、私がここで指摘したいのは、こういう取り次ぎ店における妨害、あるいは小売り店における妨害、こういうものがわが国会を構成している重要な政党によってやられているということ、この点について非常に重大な疑惑がいま提起をされているという問題であります。たとえば藤原弘達氏の「創価学会を斬る」、これはいまでは総理の手元まで届けられる、町でもかなり市販されるというところまでまいりました。しかし、昨年の十一月段階では、私が聞いたところによりますと、取り次ぎ店でも一切扱わない、広告も扱わない、小売り店へ持ちこんだら断られる。こういう状態の中でほとんど町に出ないような状態にあった。そうして出版社も、このままでは出版そのものが成り立たない、こういう苦境に追い入まれていた、こういう状況に置かれていたといわれています。
 そこに、田中幹事長による提案に続く第二の買収工作が出版社並びに藤原弘達氏に対して行なわれてきた。これはIN通信社というところの社長の鶴蒔靖夫氏という人物がおります。この人が公明党からの依頼として、もういいだろう、本も出たし、ここら辺でもう一切打ちどめにして、残りは全部公明党が買い取りたいがどうかという申し入れを藤原氏にしてきた。そしてこの鶴蒔氏の提案は正式の公明党からの依頼である。しかも、それに関係をしているのは、公明党の中央幹部会員である竜年光氏、それからまた創価学会の渉外総局長である山崎氏。こういう人々と何回も会って、その意向に基づいて提案をしているのだ、そういうことを申し入れてきたということを私は直接明らかにしました。
 つまり、一方で取り次ぎ店を妨害して、実際には売れないような状態がつくり出されている。そういう中で、もう販売活動の先をとめておいて、そしてそこにあらためて買収の手が伸びてくる。こういう事態が「創価学会を斬る」という書物の場合にはあったということを私は聞いております。田中幹事長の問題にしても、そういう一連の行為の中の一つの重要な役割りを客観的にはになわされている。こういう点で私は特に重大だと思うのでありますけれども、こういうことが取り次ぎ店の妨害との関連で行なわれている。
 それからさらに、内藤国夫氏の「公明党の素顔」の場合、これは問題はもっと深刻であります。私はこの点についても内藤国夫氏及びエール出版社の渡辺社長と直接面談しまして、具体的に事実を明らかにしました。国会で問題を提起する以上、自分の責任で事実を明らかにすることは議員としての当然の責務であると思います。そして明らかにしたところが、この場合にも同じようなことが行なわれております。やはり取り次ぎから断わられる。しかも、断わられる中で、公明党の代表者と出版社の代表、それから著者との間に何回か会合が持たれている。そうして行ってみて驚いたことには、この書物のゲラ刷りですね、つまり本になる前の段階で、印刷所と著者、出版社の間でゲラというものを用意します。校正用のゲラを用意します。これは全部で、出版社に聞いても内藤氏に聞いても、四通しか用意をしなかった。一通は著者の訂正用、一通は出版社の控えですね、それから一通は編集用、そうして最後の一通を、こういうものを出すんだがどうかということで、取り次ぎ店に回覧をする、注文をとるために。最初の三通は、いわば出版社と著者の側にあるわけですから、これが漏れるわけはない。ところが、取り次ぎ店に回覧をしたら――これは著者と出版社の許可を得ないで外へ出すことは、いかなる点からいってもあり得ないはずなんですけれども、公明党の代表者と会ってみたところが、その代表者がこのゲラ刷りの複写を持っていて、そこにたくさんの書き込みをして、この本をこういうように書き直してもらいたいという要求を出してきた。つまり、一方で出版、頒布は取り次ぎ段階で押えられる、しかも、それに呼応して書きかえの要求が出される。その中をゲラがつないでいるために、こういう書きかえの要求と取り次ぎ店のこの取り次ぎ妨害とが、つまり関連があるということが、はしなくもゲラの存在で明らかになったわけであります。
 しかも、この点については公明党の矢野書記長自身が「週刊朝日」の対談の中で、あのゲラは取り次ぎ店から取り寄せたものだということを認めております。そして公明党、創価学会に関係する書物が出れば、ゲラが取り次ぎ店から公明党に届くのが慣例になっておる。正確にその文章を読みますと、あのゲラを入手したのは正規のルートです。「商売の慣例でゲラの段階で取次店へ入れる。そこから来とるわけです。来ると見るわけですね。」つまり、そういうことが慣例として行なわれているということを、公明党の書記長自身が認められました。私はこれは非常に重大な問題だと思います。ここから出てくるのは、取り次ぎ店の妨害と批判の対象になっている公明党との関係が非常にむき出しの形であらわれてきているといわざるを得ない。
 それから二番目には、出版物が出されようとするときに、著者や出版社の了解なしに、事前にゲラを手に入れてそれの内容を検閲する、そしてそれの書きかえの要求をする。これはいわば私的な検閲であります。事前の検閲であります。こういうことが公明党、創価学会の場合には、矢野書記長のことばをかりれば、慣例として行なわれている。あたりまえだとして平然とされている。こういう事態があるとすれば、私は、取り次ぎの妨害の問題も、言論の買収の問題も、それからこの印刷物の事前の検閲の問題も、非常に深い言論妨害、出版妨害のそれぞれの氷山の一角であって、決して軽視することのできないものだというふうに考えざるを得ませんでした。
 そこで総理にお伺いしたいのは、こういうような出版社、著者の許可を得ないでゲラを手に入れて、事前に検閲をするというようなことが、一体民主主義という状態の中で許されるものであるかどうか。特に憲法は「検閲は、これをしてはならない。」ということを明記しております。これは検閲をしてはならないという憲法の精神に、少なくともその精神に反する行為ではないだろうか。そのことについて総理の所信を伺いたいと思います。
○高辻政府委員 憲法ということが出ましたので、私からひとつお答えをさせていただきます。総理のお話の中にもございましたように、基本的人権侵害の問題というのは、この前も私が申し上げたことでございますけれども、国政の権力による侵害というのが典型的、ティピカルな問題でございまして、私人間の問題についても、学説上わざわざ申し上げるまでもないほどいろいろございますが、御承知のとおりに、最高裁判所の判例では、基本的人権も、個人の自由意思に基づいて、私法関係において制限をすることは、別に憲法上の問題ではないという判例があることは、御承知のとおりだと思います。これは二十六年と二十七年にございますが、それを引用するまでもなく、話がほめた話かほめられない話かというのは、おのずから話は別でございますが、総理のお話の中に憲法違反を何か軽視をしておるような御指摘のように見受けられた個所がございましたが、総理が仰せになったところの気持ちを申せば、これは憲法違反ということじゃなくて、私がふえんを申し上げるわけでありますけれども、個人の間でいえば、個人がその自由意思に基づいてその話に乗れば、それで済むことではないかということ、そのことが別に憲法に違反するということはあるまいではないかということを言われたわけであります。
 いまの検閲の問題にいたしましても、これは国政の権力が検閲するということは、もう考えられもしないことでありますけれども、個人間の問題としての道義上あるいは、何といいますか徳義上の問題としては、むろん十分に批判をされなければならない問題でありますが、法律上の問題としては、それがあるいは刑法上の問題になるとか、あるいは民事上の損害を受けて賠償請求の問題になるとか、そういう問題で片づく問題だろうと思います。むろん、憲法違反といって悪いということはないかもしれません。これはしかし、たとえば窃盗が憲法違反だと通常いいませんが、そういうような関連でいえば、そういうことになりましょうけれども、全然無縁ということはありませんでしょうが、私人間の問題としては、ただいま申し上げたような趣旨が基本のことでございまして、それには徳義上の問題は残ろうけれども、法律上の問題としては、むしろ国法のたてまえにどこに違反するかという問題になると思います。むろん、徳義上の問題が残ることは申すまでもないことでございます。
○佐藤内閣総理大臣 ゲラが四つできる、その一つを注文用に各販売店に回すんだ。これはおそらく引き受ける受けないにかかわらず、そういうものを送り込むのだろうと思いますね、これは普通。そういうものがあれば、必ずよこしてください、こういうものか、もっと商売上から自由にやるだろう、そうすると、そういうものを引き受けた店は、やっぱりそれを自由に使えるんじゃないかと一応私は思います。そうしてそういう際に、それの中身を読んでみて、どうも事実に反するじゃないか、こういうようなことがあればそういうところの訂正をしてくれ、これは私は普通だろうと思います。ただいま言うように、そのものは、これはもう一切商売上の秘密だ、一切漏らしてもらっちゃ困るんだ、こういうことでやられておるのか、普通の状況のもとにおいて、そういうことが漏れてもしかたがないという状況で、事前に注文をとるような意味でゲラ刷りを回しているのか、そこらにも一つの問題があると思います。これはもう極秘のもので一切外へ漏らしてもらっちゃ困る、こういうものがあるにもかかわらず、それが外に漏れる、かようになると、ただいま言われるように、いろいろ批判を受けることになるだろう、かように思います。しかし、ただいま申すように、注文をとるような意味でまず出した、そのゲラ刷りを読んでみて、どうもこれは事実に反する、こういう点はどうも困る、われわれの仲間がこれを買うにしても、ここはちょっと困ると思えば、それはやっぱり修正してくれと言う、これは普通のことじゃないでしょうか。そういう点が私は、いま言われるように、目くじら立てるような問題じゃないんじゃないかという気がするのです。
○不破委員 総理の答弁は、聞けば聞くほど重大でありまして、いま多くの国民が言論の自由に対する侵害として問題にしていることが、総理の頭では、答弁では、全部あたりまえのことではないか、それはあってもかまわないではないかということになってしまう。ことばの上では言論・出版の自由の尊重を言われるけれども、実際の侵害の行為については、これを擁護する。総理はたしか施政方針演説で、局主主義の擁護を強調しながら、実際にはこれを軽視する風潮ということを言われましたけれども、まさに総理のそういう態度は、出版・言論の自由を強調しながら、実際にはこれを軽視する風潮の最たるものだというふうにいわざるを得ないと思うのです。
 その点については、先ほども申しましたように、さらに追及をしたいと思うのですけれども、最後にもう一つ、これは言論の自由についての、また総理の持っている尺度のテストみたいな結果になるかもしれませんけれども、放送の問題について伺いたいと思います。
 つまり特定な政党が、その政党に対して批判をしているからということで、ある人間を放送番組に載せないようにとか、そういうことを放送局に申し入れたりする行為、これは放送に対する干渉をなすかどうかという問題です。政党の名においてこれこれの人物は放送番組から排除をしてくれ、つまりマークをしてくれということを申し入れる場合、これは放送の自由に対する干渉になるかどうか、このことについて伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 まあ放送、マスコミ、こういうものは、事実を報道することに重点を置かなきゃならぬと思います。したがいまして、しばしばそういうものが曲げて放送される、それにこういう公的機関が使われる、こういうことはやはり経営者としてもさようなものを避けなきゃならぬ、かように私は思っております。したがって、ただいま言われた例がどういう事例が私にわかりませんが、とにかく最近の放送の番組等を見ますると、ずいぶん思い切った番組があるようであります。これはいかがかと思いますから、そういう点は経営者も注意してもらいたい。これはただ一般番組についての私の批判でもありますが、同時に個人的な批判、あるいは政党等についてもそういうようなものが出てくる危険がある。こういうことはやはり慎しむべきではないか。公的機関です、どこまでも。さように考えていただきたい。
○不破委員 番組の内容についてではなくて、ある人物を、わが党を批判しておる人物であるから、放送番組で扱うときは注意をしてほしいというような、ある特定の人物の排除の要求を政党がするという問題です。放送法には第三条に、放送番組編集の自由ということが明記をされています。「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というように、外部からの干渉を厳に排除しておる。しかし、もし国政に責任ある政党が――責任ある与党という意味じゃないですよ、国政に責任のある、責任の一端をになっている政党が放送局に対してそういう干渉をするとしたら、これは放送の自由に対する干渉ではないか、そういう問題です。一般論としてお聞きしたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 私が最も卑近な例を一つ申しますから、おこらないで聞いてくださいよ。どうもよけいな話をすると言われないように。
 私がアメリカへ参りましたときに、副大統領がマスコミと実はけんかをしておる。そしてそのけんかをしておるこの副大統領を何と考えるか、どういう感じを持つか、こういって国際記者クラブで記者諸君から聞かれました。私はそれに答えて、同じような感じを持つ、しかし同時にまた、時にたいへん正しく報道していただくとほんとうにうれしいのだ、そういうこともあるのだが、時にはずいぶんひどい記事を見たり、ひどいことをやっているな、こういうように思うことがあるのだ、こう言ったら、大笑いで、実はその場は済みました。これはアメリカの話しなのであります。(発言する者あり)だから、いまも申し上げますように、おこらないで聞いてくださいと言っておる。私は、この問題にしても、そのぐらいのゆとりがあっていいのじゃないだろうか。それは副大統領は、ずいぶんマスコミとまつ正面に取り組んで論争をした、こういう事件でございます。いまちょうどそういうようなお話が出ておるのじゃないか、かように思っておりますが、ただいま私は、各放送局それぞれの経営者は、これは常識のある方々がそろっていますから、ただいまのように特別な事柄、これはあまり心配しないほうがよろしいのじゃないか、かように思っております。
○不破委員 経営者のほうを心配しておるわけではなくて、政党の側からそういう問題が出されているという事実を、私、最近この問題に関連して発見しましたので、これはきわめて重大な問題である。出版の妨害問題がさらに放送の自由に対する干渉にまで関連をしているというふうに痛感をして、提起をする次第です。といいますのは、ここに日本テレビの労働組合が出しておる「斗争ニュース」があります。これを見ますと、昨年の十一月十九日に、公明党の代表者――失礼ですが、名前をはっきりあげさせていただきますと、大野潔副書記長が日本テレビをおとずれて、日本テレビの放送の内容について申し入れがあった。前半は出された内容の問題についての批判でありますけれども、後半がきわめて重大なわけです。藤原弘達氏は最近事ごとに公明党を誹謗中傷しているので、番組に出させるのは注意してもらいたいということを、公党の代表者が日本テレビに公式に申し入れたということが、この「斗争ニュース」に書かれております。
 それで私、経過を調べてみますと、この問題は、いま日本テレビの中では、労働組合が知って、経営者にその真相の究明を申し入れて、いま経営者と労働組合の間の重大な協議事項になってきておるという状態であります。私は、これが事実であるとするならば、先ほども申しましたように、出版の妨害の問題から端を発して、さらにそれ自体非常に奥行きの深いものであることは、私が幾つか事実をあげて申し上げましたけれども、さらには、それに関連をした放送への干渉、放送法で明確に明記されている、何人といえども、放送の内容に関しては、法律に基づく権限によることでなければ干渉してはならない、こういう放送法の第三条に反する干渉が行なわれている。これはさらに、今日の言論・出版妨害問題が非常に重要な側面を持っているという問題であると思います。この点について、先ほどの総理の御答弁によりますと、アメリカの例でありますけれども、政党がそういう問題に干渉するのはよくないという点では、比喩的に言われたのであろうと思います。おそらく自民党も、これからこの態度を守られることと思いますけれども、ここには非常に重大な問題が提起されているということを、最後に申し上げたいと思います。
 それで、私――答弁されますか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま、日本テレビの組合の、それは何と言ったらいいですか、通報欄にそういうことが載っている。おそらく組合は、それを問題にしなかったと思います。また、日本テレビもそれを問題にしていないことじゃないだろうかと思う。たいへんな威力を感じたとかどうこうだというなら、ただいまのようなことをここで御披露なさるも適当かと思いますが、ほとんど日本テレビで問題にならないことなら、やはりそういうことは、お互いに政党間の問題でございますから、なるべく読み上げられないほうが私は適当じゃないか、かように思います。
○不破委員 総理への質問という形式では、問題は、総理の先ほどのような答弁、すべて国民が非常に大きな疑惑を持ち、国会で問題が解明され、そして政府が国会で宣言されたように、ほんとうに出版・言論の自由を守る保障を政府としてとるという立場に立つならば、当然重視しなければいけないすべての問題を、総理は非常に軽視をされているということが、今度の討論の中から明らかになったと私自身は感じております。
 しかし、問題は、そういうことで片づくような単純な問題ではありません。言論・出版の妨害の問題といい、言論の買収の問題といい、あるいは取り次ぎ店に対する干渉と妨害の問題といい、小売り店への圧迫の問題といい、事前検閲の問題といい、すべての問題は、どれ一つをとってみても、ほんとうに言論・出版の自由を擁護しようとする立場の者にとっては、決してゆるがせにすることはできない。これはあたりまえのことではないかといって笑って済ますことのできない、きわめて重大な問題であります。だからこそ、多くの国民が、いま国会にこの事態の真相の究明を求め、国会が国政の最高の機関として、また、言論の最高の府として、民主主義の舞台として、この問題について明確な解答を出すことを求めていると思います。
 そういう点で、先日、赤松議員から、また麻生議員から証人の喚問の要請がありました。これは真相の究明のためにそういう要請が出されたものと思います。それに私はつけ加えて、私自身、証人の喚問を求めて、委員長が、この国会でこの問題が適切に取り扱われ、国民の期待にこたえて真相が究明されるように、そして総理のいう、二度とこのようなことが起こらない保障が、国会の審議と結論を通じて打ち立てられるように配慮をされることをお願いをしまして、私の質問を終わりたいと思います。
 私が喚問を求めたい証人は、藤原弘達氏だけの証言では、一方の側からの証言であるということで片手落ちになると困りますから、また、他方の側の当事者である田中幹事長と竹入委員長に証人としての証言を求めたい。さらに、問題は、単にこの「創価学会を斬る」という藤原氏の書物一冊ではありませんから、私が先ほどあげました「公明党の素顔」の著者である内藤国夫氏及びエール出版社の代表、それから「これが創価学会だ」の著者である植村左内氏、「創価学会…公明党の解明」の著者であり、被害を訴えている福島泰照氏、これらの人々を証人として喚問することを求めたい。よろしく委員長のお取り扱いをお願いいたします。
○中野委員長 不破君にお答えを申し上げますが、この問題は、すでに理事会で話し合いを進めておりますので、いずれ次の理事会等において適宜措置するようにいたしたいと思っております。御了承をお願いいたします。
○不破委員 次の質問に移りたいと思います。だいぶ時間が経過しましたので、要点だけ述べたいと思いますが、問題は、日米共同声明の問題であります。これは本会議での米原議員の代表質問の際にも申し上げましたように、この問題は、七〇年代の政府の政治路線の全体にかかわる非常に重大な問題点である。日米共同声明について、今度の討論の中でいろいろ討議がされましたけれども、私は、まだ国民の前に明らかにすべき重要な問題点が幾つも残されていると思います。その点に関連をして若干の点を御質問したいと思います。
 第一は、沖繩の施政権返還の条件の問題であります。
 この点について、一つは、核抜きということが繰り返し強調されております。ところが、国民の間には、いろいろな疑惑がある。私自身、その点についての疑惑を、総理の繰り返しの答弁にもかかわらず、ぬぐい去ることができません。なぜかならば、この核抜きという点では、アメリカ側で、有事核持ち込み――七二年返還の時点には核兵器を置かないけれども、将来有事の際には核持ち込みをする余地が残されているということが、繰り返し強調されているからであります。この点について、この総括質問で一連の多くの議員が質問された際に、総理は、こう答弁をされました。アメリカ側の新聞あるいはアメリカ政府の解釈、こういうものを援用されないで、日本の新聞、日本政府側の代表者の解説、これを引用して問題を議論してもらいたいということを、たしか今澄議員の質問に対して総理はお答えになりました。それで、私は、総理の御注文に従いまして、日本の新聞に出た日本政府側の代表者の発言に関連して、そのことを伺いたいと思うのです。
 それは、昨年、日米共同声明が調印をされたその日の晩に、木村官房副長官が日本経済新聞の記者と記者会見を行なっております。その記者会見の記事は、直ちに日本の新聞にも報道されました。その中に、木村官房副長官は明瞭にこのように書かれております。核を持ち込まないとはいっても――以下が引用でありますが、有事の場合には、たとえば日本の存亡にかかわる場合には、イエスという場合は当然あり得る。それから「非核三原則といっても「作らず」「持たず」は別として、「持ち込まない」という点については、国家の危急存亡の時は広く国民が判断すべきことだ。」というふうに日経の記者との記者会見で答弁をされております。つまり、ここには非常に重大な問題が、あの日米会談に参加をされた日本側の閣僚のことばとして述べられている。持ち込まないというのは、有事の際には別である。日本の国家存亡の場合には、事前協議で核持ち込みという申し入れがあった場合に、イエスという場合があり得る。それから、政府の非核三原則についていえば、つくらず、持たずは別として、これは将来にわたって守るけれども、持ち込まないという点については、これは国家危急存亡の場合には変更があり得る。この二つの点を木村官房副長官自身が明瞭に答えられております。この木村副長官の言明と、当時、たとえばジョンソン次官の背景説明の中でアメリカ側の政府が行なわれている説明と全く符節を合わしている。そうなれば、幾ら総理があとからいろいろ言われても、この会談に参加された直後に、まだ会談の雰囲気が非常に濃厚で、ほとぼりもさめないときに、こういう言明が政府の一員からあった。それがアメリカ側の解釈と符節を合しているということになれば、有事核持ち込みという疑念を国民が持つのは当然ではないかというふうに思うわけであります。その点について総理の見解をあらためて伺いたいと思います。
○木村(俊)政府委員 私の名前が出ましたので、まず私からお答えいたします。
 その当時の新聞記事をよくお読みになっていただけばわかると思いますが、有事とは何ぞやということをテーマにして対談しております。すなわち、事前協議における有事――これは第六条による有事の場合の解釈、それとわが国が危急存亡、たとえばある国から直接の核攻撃を受けるというような場合における有事とは、おのずから違うと思います。したがいまして、非核三原則があろうとも、非核三原則をまくらにしてわが国民が討ち死にしていいかどうかというところの判断を申し上げたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 木村官房副長官のような説もございますが、私がニクソン大統領と話をした、これは、核は日本に持ち込まない、絶対にさようなことはしない、これは確約でございます。私が、だれが何と言おうと、ただいまこの国の最高の責任者でございます。その最高責任者の言うことを信用しないとおっしゃればこれは別でありますが、国民の大多数の方は最高責任者の言うことは聞かれるだろうと思います。私はどこまでも非核三原則を守る、これを言い続けてまいっております。またそれで今回の昨年末の選挙も戦ってまいっております。これはただ単にいまあらためて申し上げるばかりではございません。私はもう選挙中もこの点は非常にはっきり申し上げております。ただいまも新しく追加されるような状況ではございませんので、この点をはっきり申し上げておきます。
○不破委員 いま二つの答弁がありましたけれども、木村副長官の答弁によりますと、副長官は国家の危急存亡というような有事の場合には核持ち込みはあり得る。それから総理の答弁によりますと、総理の見解では、どんな場合も含めてあり得ない。二つの答弁がされました。そうすると、あの会談に参加をした代表団の中では、木村副長官の意見は少数意見であるというふうに考えてよろしいのでしょうか。つまり閣内及び代表団内で意見の不統一があるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 たいへん申しわけのないことですが、代表してニクソン大統領と話し合ったのは私だけでございます。外務大臣も立ち会っておりません。木村副長官ももちろん立ち会っておりません。そのことをはっきり申し上げておきます。私が責任を持ってお答えする、以上のとおりであります。それは木村君は木村君で、個人的な見解はあるだろうと思いますが、しかしアメリカとの関係においてさようなことはございません。これだけはっきり申し上げておきます。
○不破委員 先日も木村副長官が同じような言明をされている文章を私は拝見しましたので、佐藤内閣の中に、たとえ少数であれ、そういうことを公然と言明される意見がある、それが日米会談の直接の関係者の中からある、しかもスポークスマンという仕事をやられていた当事者からそういうことが公然と言われている。これに対して国民が重大な疑惑を持つのは当然であると思います。したがって、私はこの疑惑については、決していまの総理の答弁によっては簡単に解消されない。総理自身、きのうは非核三原則が将来の政府によってあるいは変更されることがあり得る、その場合にはもちろん国会に明らかにしなければいけない性質のものだということも発言をされております。そういう点で今後の有事核持ち込みの問題についてはさらに追及すべき問題が残っておると思いますが、もう一つ沖繩返還の条件の問題について、時間もありませんので、先へ進みたいと思います。
 もう一つは、七二年返還と例のベトナム戦争の継続という問題であります。この点については、私どもが昨年政府に提出しました質問主意書の中でも質問をいたしました。ところが、その回答は、大体七二年にベトナムで戦争が継続されているというのは実際にはほとんどあり得ない事態である。しかし、現在アメリカが和平交渉をやっているときに、もう戦争が終わっているよという前提でものを書くわけにはいかないので、あり得ない事態についても一応想定をして書いてあるだけで、たいして心配は要らないんだ、形式問題であるというようなことが書かれておりました。その種の答弁は今国会でも佐藤総理は繰り返されております。ところが、現実はどうかといいますと、アメリカがベトナムから完全に手を引くという態度をとらない限り、ベトナムでの戦争が長期化の形勢にあるということは、これは最近では多くの人が認めるところになっております。たとえば昨年十月、アメリカの国会でウエストモーランド陸軍参謀総長は、ベトナムの戦争は今後数年継続するであろうということをはっきりと証言をしております。それからまた、レアード国防長官は、そういう事態に関連をして、東南アジアでB52が果たす役割りは、これから先大きくなりこそすれ少なくなることはないというふうに証言をしております。つまり、七二年にベトナムでのアメリカの侵略戦争は継続している、そうして沖繩を拠点にしたB52の南爆が、その戦争行為の中で重要な役割りを依然として果たしているという事態は、これは決してありそうもないことではなしに、かなり大きな可能性を持って沖繩返還の目の前に控えている事情だというふうに考えざるを得ないと思います。したがって、七二年の返還の条件を正確にわれわれがつかむためには、これは理論上の問題であって、たいして気にすることはないといって片すみに追いやるのではなしに、こういう事態のときに一体どうなるということが日米会談の取りきめの真相であるかということを明らかにしなければ、七二年、本土並み、核抜き返還ということを額面どおり受け取るわけにいかなくなる、そういう角度からその点についての質問をしたいと思います。
 この点に関して佐藤総理がこの予算委員会で答弁をされた内容は、大体こういうことであったと思います。協議の内容についてはいまだ何の取りきめもないけれども、これが七二年、本土並み、核抜き返還のワク内で行なわれることは間違いない、それは心配は要らないという答弁であったと思います。それでよろしいでしょうか。
○佐藤内閣総理大臣 それでよろしゅうございます。
○不破委員 それでは伺いたいのですけれども、第一の問題は、そういう事態のもとで返還の時期を延期する、あるいは変更するという問題が、協議が始まった場合、協議の対象にならないという点で、アメリカとの間に事前に了解がはっきりついているかどうか。あるいはそれとも、なるけれども日本の態度ははっきりしているからそういうことはあり得ないということなのかどうか。その点について伺いたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 あの声明書をお読みになると、はっきり返還と協議と二つが書き分けられて、返還はする、しかしそのときになおベトナムの事態が続いておれば、そのときに協議をする、こういうことでございます。その協議の中身は一体何か、これは何かわからない、そのときにならなければ。先ほどとにかく戦争はそれまで続く、必ず不幸な状態が続く、こういう結論を……。(不破委員「可能性が。」と呼ぶ)可能性と言いかえられましたが、強く言われますけれども、これも不破君の頭のいいところでひとつ判断していただきたいのは、アメリカ自身はとにかく撤退計画を、これはいまも引き続いて行なっております。
    〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
私は、撤兵計画がどんどん行なわれておる限りにおいて、七二年にはおそらく戦争はやむ状態じゃないかと思っております。また、やまなくとも七二年に沖繩は返る、返る以上本土並みになることは、これは当然でありますし、本土が沖繩化するのじゃございません。また沖繩の核兵器はそのときにはきれいになくなります。そうして核抜きで沖繩を本土と同じように扱うようになる、こういうことであります。それから後の問題は、ただいまの協議もさること、もう一つは、さっきから議論になっておる持ち込みがあるかないか、それは三原則を守る、こういうことでございます。
○不破委員 その協議の議題も内容もまだはっきりしていない。その場合に、返還時期の変更という問題が協議の対象になり得るかどうか。つまりはっきりしていない事態で七二年を迎える、その場合に、アメリカのほうから返還時期の変更という問題を提起しない、この返還時期の変更ということは一切協議の対象にしないということについて、あらかじめの話し合いができているかどうかということを伺っているわけです。
○佐藤内閣総理大臣 一九七二年中に返すと、かような状態でございます。
○不破委員 どうもずばりの答えにならないのですが、これは問答の繰り返しになりそうですから次に進みます。
 しからば問題になっているB52の発進ですね。B52の発進を七二年に返還された後に認めるかどうかという問題が協議の対象になるということはあり得るでしょうか。
○愛知国務大臣 共同声明については、この委員会で前にも御説明いたしておりますが、七二年中返還、本土並み、核抜き、これで沖繩の返還を合意されたわけです。したがって、一九七二年中返還、核抜き、本土並みというものはきまっておって、総理のおことばでいえば、そのワクの中で協議ということが、場合によって万々一あり得るわけですから、その中で、いま御質問になったようなことは含まれません。返還されれば本土並みになり、核抜きになりますから、安保条約関連取りきめが一切沖繩に適用される。
○不破委員 そうするとB52の発進を返還後認めるということは、一切協議の対象にならないというふうに断定をしてかまわないのでしょうか。
○愛知国務大臣 安保条約並びに関連取りきめが返還後においては適用されるわけです。したがって事前協議という問題は、返還後におきましては、一般原則は前々から申し上げておりますように、これは観念的なお答えになりますが、イエスもあればノーもある、これは一般論として。それから御質問の協議という問題は、事前協議というものとは全く別のものでございますし、それから本土並みになるわけですから、関連取りきめには特別の変更なしということが合意されているわけですから、返還以前にこれを予約するとか特別の取りきめをするとか、そういうふうなことはございません。
○不破委員 コミュニケではこの協議の内容は規定されていないけれども、目的は規定されている。それはコミュニケの第四項の後半の部分ですね。つまりベトナムの問題を解決する米国の努力に影響を及ぼすことなく返還が実現されるようにその内容を協議するということになっているわけですね。したがって伺っているわけですけれども、この協議の中に、返還後のB52の発進、この点について協議の対象になるということは絶対あり得ないということをいまから断言をされていいわけですね。
○愛知国務大臣 もう少し文理的に申しますと、六項、七項、八項というのが沖繩返還に関する中心の事項ですね。それからいまお述べになっているのは第四項で、情勢の一般的な見通しというものも含んでいるわけですが、この六項ないし八項というのが沖繩返還に対しての厳然たる原則なんですから、それに抵触するような協議というものは入らない。これは裏からいえば、返還後には一切事前協議その他のことが本土と同様に適用される、こういうことになるわけです。
○不破委員 もっとわかりやすいことばで御答弁いただきたいのです。つまり私が聞いているのは具体的な話なんです。B52の発進について協議をする、発進を認めるか認めないかということについて、返還前の第四項できめられている協議の内容にそれが含まれる――あるいはもっとことばをかえていえば、返還前の協議で返還後のB52の発進を認めるということは一切あり得ないということを政府の責任ではっきり言われているわけですね、いまの答弁は。
○愛知国務大臣 そのとおりでございます。
○不破委員 そうすると疑問が一つ出てくるわけですけれども、アメリカのほうは、先ほどもちょっと言いましたジョンソン次官の背景説明によりますと、沖繩返還問題で一番大事なところはこの協議のところなんだということを指摘をしているわけです。それでここで約束を取りつけたということを非常にアメリカの側は重視をしている。先日佐藤さんは、ニクソン大統領が言うこと以外はあまり信用しないでほしいというようなことを言われましたけれども、そういうと私どもも愛知外相に答弁を求めてもむだなことになってしまうわけで、愛知外相が答弁されるのは、私どもは政府の統一見解を伺っているというふうに伺っています。同じように、アメリカでジョンソン国務次官が公式に共同声明の解釈を発表されれば、これはニクソン大統領も責任を負っている政府の統一解釈ということにならざるを得ない。そういう意味で、アメリカではこの条項を非常に重視をしているわけですね。ベトナム侵略戦争、ベトナムの戦争が継続をしている場合には、返還ということになっても、アメリカの努力に差しさわりがないように返還されるのだという約束を取りつけてある。これは明らかにアメリカが日本から取りつけた約束です。総理も外相も、アメリカへ行ってアメリカから取りつけた約束は非常に強調されるけれども、アメリカにした約束については、これは一般的見解を述べたものであるとかいって大体軽視をされる。これは非常に論理的でないと思うのです。アメリカははっきりその約束を取りつけたといっている。そのアメリカが、努力をしている当事者のアメリカが、この努力をするためには返還後にB52の発進は必要だということを協議の中に提起をしてきたら、それについてはこのコミュニケの約束との関係で、一体そのことをどういう根拠で協議すること自体を拒否されるのか、そのところを伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 いま簡単にお答えをしたんですけれども、やっぱりそこのところは大事なところですから詳しく御説明しなければいけないので、先ほど申し上げたとおり、返還はこの共同声明の六ないし八項で行なわれるわけです。したがって、返還ざれた以降においては、一切の安保条約関連取りきめが変更なしに適用されるわけです。したがって、その返還以前に、返還後における安保条約関連の予約的な取りきめをするということはあり得ないわけなんです。ここが大事なところです。
○佐藤内閣総理大臣 それはいよいよわからなくなるといって不破君からしかられるかもわからぬが、いままで申し上げましたように、協議の中身は何らまだきまっておらないのです。だからそれがわからない。それをいまから協議の中身にこういうことはございませんか、ああいうことはございませんかと聞かれても、それは返事ができないのです。だからいま外務大臣が答えるように、返還前の状態と返還後の状態はせつ然と分かれるんだから、返還後においての協議される事項というものは、いままでの本土と同じような形においての事前協議、まああとの協議と、こういうようなことになるんだ、かように御理解いただきたいと思います。
○不破委員 いまの総理のお答えが一番正確なんだと思うのです。つまり協議の内容はわからないんだ、何が出てくるかはそのときになってみなければわからない。だから返還後の事前協議についてはきまりがあるけれども、返還前の協議については、これは事前協議ではないということを愛知外相が先ほど言われたとおりですから、それとも違う。何が出てくるかわからない。そうすると、はっきり私どもの疑念を申し上げれば、いざそういう事態になったときに、アメリカからこういう事態だから七二年の返還はちょっと延ばしてくれということを持ち出さないという保証はない。ジョンソン次官の説明をかりれば、あれは七二年返還という目標をきめたんだ、目標だと言っております。法的拘束力がある、七二年どんなことがあっても返還するんだということをいっているわけではなくて、目標をきめたんだということをジョンソン次官がはっきり言っている。だからあの協議の中には総理が言われているように、何が入ってくるかわからないというのですから、七二年の時期の変更が出てくるかもしれない。あるいはどうしても七二年に返してくれというのなら、B52の発進を認めてもらいたいという問題が出てくるかもわからない。どういう問題が出てくるにしても、これについていまからそういう問題は全然出てこないということを総理があらかじめ否定をされる根拠もないというのが、いまの答弁を伺っていて、真相ではないか。そうなると、私どもの疑問もいよいよ深まらざるを得ないわけなんです。
○佐藤内閣総理大臣 大事な点は、いまの不破君の疑問を持たれる点に非常な飛躍があることです。それは何かというと、ただいまわれわれが説明し、また外務大臣が声をつとめて説明しておること、七二年中にこれを返すということ、これには変わりがないのでございます。だからそのワク内で協議が行なわれる、こういうことをいっている。このことを、それまで飛躍して、何が出てくるかわからぬから、七二年に返らぬのじゃないか、そこまで疑問があるのだ、こういうように言われることは、やや頭がよすぎるから、適当なところでおとめになるように、私どもの額面どおりひとつおとめになることをお願いしておきます。
○不破委員 時間もありませんので、この問題はさらに次の機会に続きをやらしていただくことにしまして、最後に一問だけ伺いたいと思うのです。
 と申しますのは、今度の日米共同声明で非常に重大な問題は、戦闘作戦行動への発進を許諾する問題ですね。これはここでもずいぶん議論がされましたけれども、この問題が前面に出てきている非常に重大な問題だと思います。この点については非常に多面的な問題点がありまして、次の機会に愛知外相なり総理なりに伺いたいと思うのですけれども、ここで一つだけ質問を終わるにあたりまして伺いたいことは、戦闘作戦行動へのアメリカ軍の発進を許諾するという問題ですね。これがどういう内容を持つのかという問題なんです。
 朝鮮半島で武力衝突が起きる、台湾海峡で起きる。その場合には、戦闘作戦行動への発進を許諾する問題について、前向きの態度をとるというふうに、総理は言われました。この前向きというのは、前向きにイエスもある、ノーもあると、何だかわからないことを言われましたけれども、ともかくイエスもあり得る。そのイエスがあり得るという場合、たとえばアメリカが朝鮮の事態に対して武力行動を展開する、横田なり板付なりいろいろな基地から飛行機が飛び立ち始める、そういう飛行機がきょう横田から飛び立つことについて事前協議があって許諾をする、そうしてまた夕方板付から飛び立てば、それについて事前協議があって許諾をする、そういうように個別の作戦行動について一つ一つ許諾をするというのが、事前協議で戦闘作戦行動への発進を許諾するという意味なのか。それとも、そういう場合もあり得るけれども、その事態に備えてアメリカ軍なりが展開する一連の行動に対して、包括的に許諾をするというのが事前協議で前向きにイエスを言うという場合のこれなのか。これかこれかということはお答えにならないかもしれませんけれども、少なくとも包括的に許諾をするという場合が、戦争の常識からいえば一番ありそうなことだと思うのですけれども、その点について伺いたいと思うのです。
○愛知国務大臣 しばしば申し上げておりますように、この事前協議を含む安保条約の運用については、沖繩返還前後において何ら考え方も変わっておりませんし、それから運用等に関する了解事項その他も全然変わっておりません。
 そこで、いまお尋ねの問題ですが、これはやはりケース・バイ・ケースで判定をしなければならない。自主的に国益を中心にして判定をするということで考えておりますのが、従来からの政府の解釈、態度でございます。
○不破委員 包括的な許諾ということはあり得ますか。
○愛知国務大臣 この問題も、基本的には事前協議がかかるというような事態を起こさないように、国際紛争が起こらないようにするということが基本でございますから、あらかじめ、こういう場合にはこういう態様でというようなことを用意しておりません。要するにケース・バイ・ケースで判定をする、自主的に国益を守ってと、こういうことで考えておるわけであります。
○不破委員 しかし、これはきわめて重大な問題ですから、たとえば総理のナショナル・プレス・クラブでの演説によりますと、「前向き」の次に「すみやかに」というのがついている。事前協議の申し入れがあったらすみやかに態度をきめるという場合には、たとえば包括的な許諾があり得るのかどうかとか、事前協議において戦闘作戦行動を許諾するのは、個別に厳密に審査をして一々の作戦行動に許諾をするということだけなのか、そこら辺の問題については、ケース・バイ・ケースで将来の問題であるというふうには済まされない問題だと思うのですけれども、端的に包括的な許諾が将来あり得るのかどうかという質問にお答え願いたいと思うのです。
○愛知国務大臣 これは事柄の性質上、飛行機が一機飛ぶ、その一機ごとにというようなことにはならない場合もあり得ると思います。
○不破委員 いまの問題で総理の答弁。
○佐藤内閣総理大臣 外務大臣が丁寧にお答えいたしましたので、もう私からつけ加えるものはございません。ただ私に対していま、この「すみやかに」ということばまで入るのでいろいろ心配だと言われるが、これはすみやかに結論を出さないことには、何といいましても戦火が火を吹いている、そういう際に、いまさら小田原評定でもないだろう、かように思いますので、それはすみやかに、これは当然と、かように御了承いただきたい。
○不破委員 それで、いまの愛知外相の答弁ですと、包括的な許諾もあり得る、実際の戦争の場合を想定しますと、武力衝突が起きて対処をするという場合に、外相が言うように、飛行機の一機一機について、この戦闘作戦行動は認める、認めないというようなことは実際に起こり得ないわけなんです。だから、戦闘作戦行動への発進を許諾するという場合には、実際には一番ありそうなことは、その衝突の事態に対して包括的な承認ということが一番ありそうだ。これはだれでも常識的に考えれば想定のつくことなんですね。
    〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
つまり、その場合には事前協議で承認をするということは、承認した以後の事態については、もうほとんどその事態に関する限りはアメリカ軍が日本の基地を自由使用できるようになる、そういう重大な事態を戦闘作戦行動への承認という問題が生み出すのだ。総理が言う、前向きに対処をする、「前向きにかつすみやかに」対処をするということが、実は全くのフリーハンドでアメリカ軍に日本の基地の使用を許す結果を生み出すのだというふうな大きな問題を引き起こすと思います。この点については、次の機会にさらに外相あるいは総理に伺うことにしまして、この問題について外相が、特にあれば御答弁いただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○愛知国務大臣 特に一言申しておきますが、安保条約は第一条も第七条も、よく御承知のとおり、国連憲章という中で自衛権ということで、それを目的にいたしておるものでありますことを、お忘れなく御記憶にとめていただきたいと思います。
○佐藤内閣総理大臣 いま、本土内の米軍基地がみんな使用される、これだけではなくて、いわゆる戦争に巻き込まれる危険が多分にあるわけです。したがって、私どもが国益に照らして判断するという、そこに重大なる意味がある。このことは御指摘になるまでもなくよく私どもも心得ておりますから、いいかげんな返事はするつもりはございません。ただいま申し上げるように、われわれ、わが国益を守る、その観点に立って結論を出すのだ、かように御了承いただきます。
○中野委員長 これにて不破君の質疑は終了いたしました。
 次に小川新一郎君。
○小川(新)委員 公明党の小川でございます。
 質問に先立ちまして、言論問題でたいへん総理にはいろいろと御苦労をかけておりますが、明快なる御答弁、また客観的に、あらゆる角度からの追及に対して、私どもも冷静な判断の中で総理の御答弁を聞いておって、いろいろと私も勉強になっております。
 私は国内問題に限って総理並びに関係大臣の御答弁を要求しているわけでございますので、どうか私にもひとつ明快なる御答弁のほどをよろしくお願いする次第であります。
 それから福田大蔵大臣はなにかからだのぐあいがお悪いようでございますので、なるたけ早く私はやらしていただきます。
 それでは、大蔵大臣に土地問題についてお尋ねしたいのですが、これはほんとうはゆっくり時間をかけて論争しなければならない。もう御存じのとおり、わが国の都市問題の一番大きなガンになっております土地問題、率直に私お尋ねいたしますが、この都市問題解決の方策といたしまして、いろいろといわれております税金問題。大蔵大臣関係のある財政、税金から入っていけばいいのですが、これは総理のお考えをまず聞かなければなりませんので、率直に言って、おからだがぐあい悪いからそういつまでも責められませんが、大蔵大臣どうですか、土地問題の解決は税金だけで押えられるとは私も思っておりません。しかし市街化区域内の農地問題、これは非常に大きな問題でございます。あとで建設大臣にゆっくりこの点はお尋ねしたいのですが、市街化区域内に線引きをされました中の農地、この農地に対しては大蔵大臣、どのようなお考え方を持っているかという点なんですね。固定資産税、空閑地税、こういつた問題をいまはなばなしく至るところで論じられておりますが、この点について大蔵大臣は、この固定資産税の面なんかは、自治大臣のほうもありますけれども、これは税金の面で土地問題というものの考え方をひとつ聞きたいのですが……。
○福田国務大臣 土地問題はもう七〇年代に当面している最大の問題の一つだと思うのです。ただこれが税だけで解決するかというとなかなかそういかぬだろうと思います。しかし税制の中におきましても何がしかの貢献をなし得る、こういうふうに考えまして、四十四年度には土地税制の改正を行なうなどの措置をとったわけであります。それでまあ非常に問題になりますのは、御指摘のように固定資産税というか、土地資産課税問題、私もいろいろとこの問題を考えてみましたが、どうも現在の制度、この中におきましては固定資産税の運用よろしきを得る、このほかないと思うのです。そこで、具体的な問題として市街化区域の農地をどうするかという問題でございまするが、これは非常に重要な問題である、せっかくただいま検討いたしておる、こういう最中でございます。
○小川(新)委員 私は大蔵大臣が固定資産税を検討するという、検討という問題なんですが、いやしくも一国の大蔵大臣といたしまして、財政を預かっている、その立場に立って土地問題を――根本建設大臣は、これはあとで話が出ますが、砂をかぶりどろをかぶり、命をかけてもこの土地問題は解決していくというような御決意が出ているので、これは私は新聞で読んだのだから、直接建設大臣にお尋ねしたわけじゃございませんが、この土地問題に取り組む大蔵大臣の姿勢としては、ただ固定資産税を検討するという段階ではもうないと思うのです。
 そこでもう一歩、私は固定資産税、空閑地税、また譲渡差益の問題、それから法人の譲渡差益、すなわち分離化して、はっきり個人と同じように税金を法人にもかけたらどうか、こういういろいろな意見があるのに対しては、もう一歩大蔵大臣の深いお答えをいただきたいのでございますが、からだのぐあいが悪いので私も詰められないので、人情もろいもので私ちょっと困るのですが、ひとつお願いしたいのですが……。
○福田国務大臣 とにかく四十四年度におきまして、これはもう画期的な土地税制改革をやった、こういうふうに私どもは考えているのです。その成果を見る必要がある。土地問題は非常に重大な問題であり、私もこれはいまも申し上げましたとおり、最大の問題であるとまで考えておりますので、税制上役に立つという方策がありますれば、何とかしてこれを立法化したい、かような考えでありまして、熱意は小川さんにまさるとも劣るところはない、こういうふうに存じております。
○小川(新)委員 大蔵大臣、固定資産税は、そうすると、ことし四十五年の評価がえですね。いま線引きが一生懸命行なわれていますと、そうするとここをはっきりしていただきたいのは、市街化区域内における農地の固定資産税はそのまま農地並みに四十五年、四十六年以降も、次の評価がえまでは考えられないと理解してもよろしいかどうかが一つ。
 次は、法人の、会社の土地の譲渡の差益、これは個人がやるように、法人は非常に守られております。私が詳しく言わなくてもわかると思いますから、その点。二点お尋ねしたい。
○福田国務大臣 固定資産税は残念ながら私が主管ではないのです。自治大臣のほうからお答えをさせていただきます。
 それから法人税課税問題ですね。土地譲渡所得に個人同様、短期譲渡はこれは軽減する、長期譲渡はこれを重課するという方式を適用すべしという意見、これにつきましては個人でも事業者につきましては、これは四十四年度の税法を適用しておらないのです。そうしますと、その権衡、振り合い上、法人たる事業者にどうするかという非常にめんどくさい問題が起こってきまして、法人につきましては所得を総合してその基準税率並びに今度の増率を適用する、こういう以外にはないと思っています。
○小川(新)委員 これはあとでまたお尋ねするとして、ぐあいが悪かったらちょっとお休みになってけっこうですから……。総理大臣にお尋ねいたします。総理、まことに物価対策に御熱心であることはよくわかっておるのですが、物価指数の問題なんですが、土地問題、住宅購入費、これらは一体、あとで総理の基本理念というものをお尋ねしなければなりませんが、なぜ物価指数の中に土地の購入費とか住宅の購入費をいままで入れてなかったのか。今後これらは物価指数の中に含めてまいるのか、この点、ひとつ総理大臣にお尋ねをいたしたい。
○山中国務大臣 統計局を所管しておりますので、私からお答えいたします。
 物価指数の中に、諸外国でも土地は入れておる国はございません。住宅について入れておりませんのが日本と西ドイツでございます。入れておりまするのがアメリカ、イギリス、カナダでございますが、アメリカは国柄もありまして購入価格そのものずばりを物価指数に入れておるようであります。イギリスのほうはもし住宅を持っておる人が借りておるとしたら、いわゆる借家しておるとしたらという置きかえを行なっておるようであります。カナダは償却、これを見るという形で入れておるようであります。いずれのほうが正確でありますか、日本の場合において日本の地形、土地事情その他から、いずれの方式を採用するが是かについて、いろいろと考え方の違いがあろうと思いまするので、統計局にいま検討を命じまして、日本の土地事情に最もふさわしい物価指数のとり方はどういう国にならったほうがいいか、あるいは日本では独特のものとして何が考えられるかということをいま検討さしております。
○佐藤内閣総理大臣 いま担当の総務長官が失礼をいたしました。どうも消費者物価の取り上げ方がいろいろまちまちでございます。やっぱり消費大衆、そこらを目当てにして、最も多い、扱いやすいようなもの、そういうのが問題になる、かように理解しております。したがって、ただいままでそれを取り上げておりませんが、特にこれを取り上げろとおっしゃることについて、何か説明を伺わしていただければいいかと思います。
○小川(新)委員 私はなぜこういう問題を取り上げたかと申しますと、現在国民生活の、たとえばこれは総理大臣から――これから土地の理念の中に入ってくると思うのですが、土地というものは一体商品なのか、また一体どういうものなのか、これは瀬戸山さんが土地は商品でないという理論を展開した。佐藤さんが、沖繩の返還が終わらない限りは戦後は終わらない、これも日本の国土を愛する一念から発した、みずからの国はみずからの手で守るのだ ――日本の国土を愛さない者はありません。これは自民党であろうと公明党であろうと変わらない。われわれはそういう日本の愛国者、特に総理は愛国者の一人であると私も確信してお尋ねするのですけれども、この土地理念というもの、これがはっきりしませんから、いろいろと都市問題の混乱を起こしている。そしていま庶民に実際の物価インフレもコストインフレもすべて土地インフレからきているという意見があるわけであります。そういう中において私どもが生活をしていく上に住宅問題やその他の問題を論ずるときに、その基盤となる土地の問題が一番関心を呼んでいるわけです。御存じのとおり東京周辺の土地は一年間に二五%も値上がりしておる。これは商品価値として値上がりしておる。新宿の高野フルーツ・パーラーの土地は一坪が何百万円もしている。銀座の服部時計店のあたりは一千万円もしておる。ちょっとこれは常軌を逸しております。こういうことが一体日本のわが愛する国土、総理も愛しておるし、私も愛しておる国土に対して、こう混乱、荒廃しておったのでは、これはお互いに政治家として責任があるのじゃないか。まして国民が住宅という一つの大きな夢を満たすためにも、土地をどうやってわれわれの手に購入するか、こういうことになりますと、この消費者物価指数の中に入らないのは、土地が物ではないのだ、財産ではないのだ、土地というものは国土、国のものなんだ、だからこういう物価指数の中に踏み込まないのだ、こういうふうに私は理解しておった。そのために入っていないのじゃないか。しかしいまお尋ねいたしますと、住宅購入費というものをおそまきながらも今度四十六年からというのですね。――検討中ですか。じゃまだ入れるとも入れないともはっきりしないのですか。そうするときのうですか、これは物価委員会で出て、新聞にちょっと載っておりますが、社会党の武部さんの質問に対して、消費者物価指数に住宅の値上がりを組み入れたいと岡部秀一統計局長が答えておりますが、山中総理府長官はまだ検討中である……、はなはだこの答弁が食い違っているように思いますが、新聞が間違っておるのかどうかわかりませんが、私はこういうふうに土地というもの、住宅というものがわれわれ国民生活に重大な影響を与えておる、当然これは物価指数の中に入れるべきであると思うけれども、土地の理念からして、土地が商品でないという観念からいけば、こういうところに入れるべきでない。その辺のところは非常に大きな思想問題、理念問題になりますので、総理大臣にこの土地の問題についてはもっと詳しくお尋ねしたいのですか、その前に私の質問する意図というものは、ただいま発表したように、総理府長官からまずこの食い違いのところだけ御説明いただきたい。
○山中国務大臣 統計局長は私の部下でございますから、私の指示どおりにいたすと思います。私が検討中と申しましたのは、そのような作業はさしてよろしゅうございますが、日本において制度としてこれは永続していかなければなりませんので、来年は取り入れた、再来年はやめたという物価指数はおかしいですから、そういう高度の判断は私がする責任があると思いますから、私の段階においては、私責任者として検討中と申し上げました。そのとおりに下僚は従うと思います。
○佐藤内閣総理大臣 申し上げるまでもなく、土地の値段がべらぼうに上がっている。そういうものが物価に悪影響なしには――そういうのが上がった、そういう状況が長く許されるべきでもないだろう、かように思います。パリやあるいはロンドン等におきましても、日本ほど土地の値上がり、かような状態はございません。そうして特別な財産として処理されておる。ただわずかに――そういうものを商品に還元するような方法がございませんから、土地の値段はどんどん上がり、それで銀行は融資する、こういうことになっております。こういうことは変態というべきではないだろうか、かように思いますし、これから新しい家を持ちたい、持ち家政策をもっと徹底させようという場合に、服部の土地が直ちに役立つとは思いませんが、やはり服部の土地あるいは三愛の土地あたりが一つの基準になりまして、順次右へならえするとどんどん上がっていく、かようにもなりますから、これはやっぱりこういうものが金融の対象にならないような方法はないものか、私どももやっぱり考えざるを得ない、かように思っております。この点では同じように心配している者でございます。金があったら土地を買え、こういうようなことになって、ただいまも農地整理をしよう、耕地整理をしようという際に、その方向にいわゆる先買いがどんどん行なわれる、投機的に行なわれる、これはたいへんな問題だ、かように思いますので、今回の農業政策の転換にあたりましてもそういう事態を十分注意して、その間違いが起こらないようにしなければならぬ、かように思っております。私にお尋ねになりましたのは、ただいま言うような特殊な土地の値上がり、これを一体どうするかということでお尋ねになったと思いますし、またそういうものは全部国のものじゃないかというような御発言があったかと思います。しかし私はただいまのところ、この値上がりは困ったことだなとは思いますが、それかといって国有論を振り回すというまでにはまだ発展しておりません。誤解のないように願っておきます。
○小川(新)委員 総理、困ったことだという御理解、まことに困ったんです。それで憲法第二十九条の財産権、またその三項には公共の優先がいわれております。民法第一条では「公共ノ福祉ニ遵フ」こういう関係がいわれておりますが、土地というものは、土地論争がはやると、必ず私権に公共が優先するのかと、こういう問題が非常に議論されておりますし、そこに理念がない。ただ困っただけでは困るし、ただ小手先だけで税金で押えるとか、土地の利用区分をはっきりするとか、いろいろ私も建設委員会におりますから、都市問題についてこまかい問題を研究させていただいておりますが、はっきり総理大臣は、一体土地に対する理念とはどこにあるのだ。土地は国のものなんだ、利用権は国民のものなんだ、だからお国が必要なときにはこれを国に利用させてくれ、だけれども正当なる補償を払って、民主主義下における土地の正当なる代価というものは支払うから、ひとつ協力してくれないかと、こういうふうにいままでいわれてきております。しかし混迷深いこの土地問題というものは、そう簡単に解決できない。そこで私は、土地は一体だれのものなんだ、また、地価とは何なんだ、こういうものは佐藤総理がはっきりと、明快なる理念を出せば、この間、私ちょっとこの予算委員会で先輩である江田さんの話を聞いたのですが、総理、ツルの一声、ツルの一声なんて言っておりますが、私はツルの一声とか佐藤の一声できまるものじゃない、きまるのは佐藤総理の理念だ、土地に対するその明確なる理念、最も国土を愛し、自主防衛に力を入れる佐藤さんのような愛国者が、ほんとうにこの土地の理念というものを明確にしなかったら、国民にいたずらに混乱を巻き起こし――今日土地問題なんというものは、あらゆるところに出そろっている。マッカーサー憲法、またワイマール憲法等にあるとおり、土地というものは、明確にマッカーサーですらも理念を出しておる。私は佐藤さんが歴代総理の中で最も勇敢に土地問題に取り組み、なおかっこの混迷深い一九七〇年代の都市問題に大いなる力を発揮したという歴史の一ページにあなたの功績を飾らして、私どもも応援して、なっていただきたいと思っている。その立場から、理念を一体どこに置かれるのか、ひとつお尋ねしたい。
○佐藤内閣総理大臣 あまり持ち上げられても困るのですが、私は近代的な場合に、いわゆる私権、個人の権利、これがどうも公共の利益と相反する場合がしばしばある。こういう点を整理しないと、ただいまのような問題はなかなか片づかないんじゃないだろうかと思っております。
 これはまあ特別な例でありまして、あまりいい例ではございませんが、これから道路ができる、これは公共の用に供する、こういうような場合に、その土地が絶対に、どんなにしてもその道路をつくることに反対だ、手放さない、こういうようなことを、いまの法律のもとではある程度やり得るのですね。そういう抵抗をやり得るのですよ。しかしまあただいまは強制買収権がございますから、そういうことも比較的に個人の考えているとおりにはなりません。特別な公共施設をつくろうというような場合に、一坪地主というものができたりして、その公共の施設の建設をはばむというようなことは、もう現にやっておりますね。私は、こういうところに問題があるのじゃないだろうか。やっぱり国というものが考えられる。まあ国とまでいわなくとも社会というものが考えられる。一人だけの生活じゃないんだ、共同社会をつくっているんだ。その意味においてその社会にやはり協力する。奉仕とまでは言いません、協力するだけは少なくともしなきゃならない。そういう立場でものごとを考えると、おのずから権利の主張にも限度があるだろう。そうしてその場合において、必ず理解のできる結論を得るのじゃないだろうか、かように私思います。
 いまの土地の問題も、土地の私有権、所有権と公共の利益との調和の問題に発展せざるを得ないのです。私はたいへん回りくどいお話をいたしましたが、土地の場合も、この私権、私有権が非常に優先して、それが絶対の権利を振り回す、こういうことがあってはならないんだということを申し上げたいので、そこにおのずから限度があるだろう、また、そういう意味で御協力願うならば、結論が必ず出るだろう。地価の高騰にいたしましてもおのずから限度があるのだと、かように私は思っております。まだまだしかし、その結論に到達するまでにずいぶんいろんな手がかかるんじゃないだろうかと思っております。もっと法律も整備しなければならぬだろうが、ただいまのような国家権力を振り回さなくとも、国民が一人一人が協力するような、そういう事態にあってほしい。かように考えると、地価などどんどん上げなくとも済むんじゃないか、かように私は思います。
○小川(新)委員 総理のようなそういう理想論だけでは土地問題が解決しないところに、今日まで混迷を深めてきたんですね。だからひとつ総理、そういうところがはっきり――この大事な七〇年代、国内問題に真剣に取り組むと言われているので、そう何か抽象論的な、いままで言い尽くされたようなことだけでなく、私のように純粋にこうやってまじめに質問しているのですから、ひとつ明快に土地理念というものは答えていただかなければ困るのです。
 それで、その前に建設大臣、建設大臣は自民党でも実力者であり、私も建設大臣としては尊敬しております。あなたが土地問題に非常なる決意を示した大臣談話というのを聞いておりますが、具体的には一体どういうことなのか。それを聞いて、総理はまたどういう御感想を持つか、またあとお尋ねしますが、土地問題に限ってお尋ねしたい。
○根本国務大臣 地価がこのように非常に高騰したことの原因は、いろいろ複雑した原因が総合されて出てきていると思います。それは最近における日本の経済が急に伸びまして、そうして都市化が非常に進んでおる。そういうために、過密都市においては非常に土地が値上がりしています。ところが一方において過疎地帯になりますと、これまた非常に地価が暴落しています。ほとんど人がいないというような状況になっております。こういう現状でございまして、こういうような状況下にあってどういうふうに土地問題に取り組むべきかということが、小川さんの指摘されたように七〇年代における最大のこれは内政問題だと信じております。
 ところで、しからばこの都市過密化のところで、どうしてこんなに土地が急激に高くなっているかというと、まず第一にあなたが御指摘になりましたように、土地を持った者は絶対に損をしない、得をするんだというような事実が出てきました。それには税制の問題もございます。それから、政府が都市再開発のためにいろいろの公共投資をしてまいります。ところが、いま日本においては欧米と違いまして、土地所有権絶対主議が法律学者の中においても一般の中にも定着してしまっております。他の方面においては、いろいろの財産権が公共の利益のために、これが調整されてもたいした抵抗がございません。たいした抵抗というか、土地ほどの抵抗はございません。しかるにまず第一、政府が土地に関して公共のためにこれを入手しようとする場合に、もう徹底的なこれが抵抗としてあらわれます。しかも、それがいわば国家権力に対抗するというような変な置きかえられた議論でやられておるために、道路あるいは宅地を政府が入手するとき、あるいは公共団体がやるとき、これは非常な抵抗がございます。これは一々申し上げるまでもない、御承知のとおりであります。そういう結果、いままで土地収用がなかなかできなかった。ところが先般、数年前、ようやく収用法が改正されまして、それと同時に公共関係の仕事についてはどしどしこれを適用していこうというような気風になったということと、現在一般の国民が何としてもこの土地問題を解決しなければ、どんなに高度成長でも生活の安定感がないという、これが非帯に国民の意識として定着してきた。そういう意味で、これから相当思い切った政策ができるであろう。そこで、具体的にどういうことをやるかということについて、これはたいへん複雑ないろいろの手法がございます。これを総合的に、今度は総理の指示のもとに、内閣全体としてこれは取り組んでいかなければならない。したがって、土地問題は、ただ単なる税制の問題でもなければ、またこれは水の問題とも関係があるし、それから、一般国民の御理解をも得てやらなければ、これは立法それ自身がなかなかできない。そういう意味で、小川さんが、重大な提言をしていただいて激励してくださったことについては、深く感謝の意を表する次第でございます。
○小川(新)委員 私が感謝されなくてもいいのです。土地問題を解決してくれればいい。だけれども、大臣、どんなに袋だたきになっても、どんなことをやっても、その土地問題には前向きの姿勢にならないと、施政方針から見るとばかに後退しちゃって、総理の御指導を受けて、また内閣全体とはかってと、何か私も当てがはずれたような感じがするのです。おれはこういうことを思っておるのだ、国民のためにこういう土地政策をやるのだ、この問題は、たとえ総理大臣といえども説得してでも、根本のこの土地対策を主張しなければ国民はたいへんだと、国民の側に立って、大臣ひとつ土地問題を真剣に、あなたのいま胸に描いていらっしゃる土地構想、また土地対策――まあ土地基金なんという大きなものを広げました。また慣行水利権の問題、あとから出てきますが、そのほか公団住宅の問題。住宅公団には今度は土地を一生懸命にやらして、将来は上ものは載せないような、つくらせないような、画期的な発言まで飛び出している。ここ矢つぎばやに、私は新聞を見ておって、新しい大臣の方々の中では根本建設大臣の写真が載らない日はないぐらいに、新しい政策が次から次にと、談話または考え方というものが打ち出されている。ああ七十年代というものは、かくも土地問題に真剣に取り組んでいく政府の姿勢、われわれ公明党も、これをほんとうに検討し研究し、また、お互いに歩み寄るところは歩み寄って国民のためにしなければならぬと、私も土地の研究をしている一人としていま考えておりますが、それにしてはいまの御答弁は何だか抽象的でわからない。
○根本国務大臣 たいへん御激励を受けておりまするが、この世紀の大問題を、私の決意はあなたもおわかりのとおりです。しかし、私一人がいま全部自分の責任と手腕でできるということではないのです。そこで私は一つの構想をいろいろと出しておるわけでございます。こういうようなことをやるべきである。そこで、そういう点について、建設省の役人の皆さんにも、こういうふうなことで研究してほしい、あるいはまた、関係閣僚にもそれを申し出、そうして問題を提起しておる現在の段階でございます。
 したがいまして、あなたが非常に期待されておったということもありがたいことでありまするけれども私は後退したのではございません。私の構想は構想として、いま大いにこれを実現のために努力していることでありまするが、いまこの際、具体的にどれこれということになるならば、これは私の権限外のことが相当ありまするので、その意味で、これは関係閣僚とも十分相談をいたし、内閣全体としてこの問題に取り組まなければならぬということを、これは客観的事実でございますので、その事実を申し上げている次第でございます。いずれ問題がいろいろと具体的に御質問があるようでございますから、そのときにお答えすることが適当でありまして、私がここで私の構想を全部申し上げるということになりますれば、二時間たっぷり私が一人でしゃべらなければなりませんので、そうなりますと、たいへん御迷惑だと思いまして、一問一答で進めてまいりたいと思います。
○小川(新)委員 さすがに根本建設大臣であります。私も敬意を表します。なるほど二時間あなた一人にしゃべられたのでは、私は迷惑しますし、国民も困りますから……。
 総理大臣、憲法第二十九条の財産権と二十五条の国民の生存権、これはどちらが優先するとお考えになっておりますか。
○高辻政府委員 たいへんむずかしい御質問だと思います。いずれも基本的人権、片や社会権、片や財産権といわれるものでございますが、やはり私は、どちらが上だという言い方はどうかと思っております。
 ただ、そう言いますと、先ほども建設大臣からお話がございましたが、法律学者というものは、どうも、ともすると所有権絶対の考え方に堕しがちであるというお話もございましたが、そういう見解もございますが、私は、実は所有権ないし財産権というものは、いま御指摘のお気持ちにもあるのだと思いますが、確かに非常に変わってきていると思います。一七八九年の人権宣言以来からと、それから一九一九年のワイマール憲法時代以来とは、まるでやはり違う。日本のいまの憲法からいいましても、財産権というものは何か絶対的な内容を持った権利であるかのごとき考え方はなくなりまして、やはり社会から信託されたといいますか、社会的制約をになった権利であるというふうに考えられているというのが二十世紀的憲法の考え方だろうと思います。
 二十九条の御指摘でございますが、二十九条一項は、確かに「財産権は、これを侵してはならない。」とありますけれども、二項の、財産権は、公共の福祉の制限といいますか、福祉に従ってその内容がきまるということになっております。それからまた、第三項は、言うまでもございませんが「公共のために用ひることができる。」その公共の福祉という場合に、よく最近出ております表現の自由とかいうようなものと非常に違いまして、その公共の福祉は、やはり社会的妥当性とか、政策的合理性とか、そういう見地から考えてしかるべき問題ではないかと思っております。そこに、この財産権の内容あるいは行使について相当社会的な面から考えていく余地が非常にあるのではないかというふうに考えておるわけです。したがって、わざわざ生存権との関係を申し上げなくても、それだけでおわかりいただけるのではないかと思います。
○小川(新)委員 私は、いまのお話を聞き、非常に心強く感じたのですが、住宅問題で、総理、赤ちゃんができたら立ちのいてくれ、こういう契約のあるアパートがある。また、子供を泣かせたくないために、若い母親が生まれたての赤ちゃんの上にふとんをかぶせて、殺したという事件がある。こういうことは、私たち人間の基本的権利をもう侵害していく住宅問題。大体、八十三万世帯、東京都には木賃アパートに住んでいる不幸な方々がいる。かわいそうといえばかわいそうです。なぜかわいそうかといえば、公営住宅にはいる資格があっても、はいれない。百三回も申し込んで、はいれない人がいる。また、公団住宅にはいるにはちょっと家賃が高い、いろんな面で制約を受けておる。しかたなく六畳一間に親子がひしめいておる。これはまことにかわいそうな話がいろいろとあります。
 こういう中から都市問題というものを考えたとき、私が言うように、公共の精神、また基本的な人間の生存権、これが当然上だと私は理解するのです。その上に立った土地理念というものを総理が打ち立てなければならぬ段階だ。どうですか、総理、この点……。
○佐藤内閣総理大臣 ただいままで仰せになったことはおおむね私も賛成です。
○小川(新)委員 そうしますと、やはり生存権のほうが上のように私、理解してよろしいですね。――ありがとうございました。それだけの御答弁をいただいておけば、私どもも都市政策をつくる上に総理の気持ちを反映してつくることもできます。
 次に、そういう都市問題の中で、いま法律がここまで公害問題を取り上げまして、東京都の例をとりますと、スモッグ、これは大気汚染防止法、水質保全法、工場排水規制法または騒音規制法というような法律があって、ここできめてある。ところが、これはどなたかのお話があったように、一本の煙突から出る大気の汚染をする排気については規制があっても、何百本、何十本と集まったその大気の汚染の規制がない。そこで東京都は、こんなことでは、この法律では弱いのだ、私のほうでもっと強いのをつくるのだといって、異常な決意で美濃部都知事が四月の一日から実行しようとしておる。条例をつくっている。そうしますと、これは法律よりも強い条例ができてくる。それはどっちがいいとか悪いとかわかりませんが、まず法制局長官、こういう問題が出たときにはどうなんですか。
○高辻政府委員 法律と条例の関係は、非常に御説明のような場合に、正直いって困る問題でございますが、この法律のたてまえからは、法律の範囲内とかあるいは法令に違反しない限りにおいて条例は効力を有するというたてまえになっていることは、御承知のとおりでございます。
 したがって、この法律と条例との関係が一体どうなっているかということは、具体的な条例の中身をよく見ませんとわからないのでありますけれども、もしも条例の内容が正しい、法律のほうがおくれているということでありますれば、いままでの法の体系からいえば、やはり法律を直すとかいうような方向から考えていかなければならぬ問題であって、条例と法律が抵触するが、もう中身はいいんだから、条例は大手を振って生きていけばよろしいというふうには、法律的な解釈問題としてはそうはなりかねる。やはり法律が悪ければ法律を直さなければいけませんが、しかし、その法律が現存している限りでは、条例はやはり抵触する限りは引っ込まざるを得ない。それがどこが引っ込むかどうかは、私は条例のことを、現実の条例をよく見ておりませんから責任をもって申し上げられませんが、そういう関係になるということは、法律のたてまえからいっていたしかたがないということを申し上げたいと思います。
○小川(新)委員 これは実際問題として起きている話をお話ししているのであって、そんなことは、起きたらどうかなんという話じゃない。これは現に東京都の美濃部さんが四月の一日から、いまの東京都の、この環七ぜんそくとかあらゆる公害問題が発生しているこの大気汚染または水質問題、こういった都市問題にもう政府のつくった――われわれ国会でつくったのですが、この法律が手ぬるい、もうがまんできない、条例をつくるのだといって、いまいきまいているということばはちょっとおかしいのですけれども、やはり美濃部さんも都民の側に立ってこうやっているのだと思うのです。
 そうなると困るのは、法治国家としてこういう事例があっちにもこっちにも起きてきたらどうなるのだという心配が出てくる。ただいまのような、法律が合わないならば直す。それではこの東京で起きている事例については総理大臣、どういうふうに裁定を下してくださいますか。
○内田国務大臣 総理大臣の前兵公害担当の私から意見を述べさしていただきたいと存じます。
 これは私は、いま法制局長官からもお話がありましたように、法律論もあることですが、公害の問題というのは、地域住民に密着する場合が非常に多いので、私は、地域の知事の意見というようなものは十分用いられるべきである、こういうことを初めから考えるものでございます。でありまするがゆえに、現在公害対策基本法というようなものがありまして、その骨幹となるようなことは国がいろいろきめてまいり、国の責務、国がやるべきことをきめておりますと同時に、地方団体のまたやるべきこともきめております。ただ、そのきめ方が、国が骨幹となることや共通のことはきめて、国がきめ切れないところのものを補足的に地方が条例できめるということになって、相互に打ち合わせるという規定がございます。そこの打ち合わせを十分やっていただければ、これは私は法律問題を取り上げなくても解決する問題だと考えますので、私どものほうも、東京都に密着する問題としてこの問題を十分取り上げたいと思うし、また東京都のほうでも、国が骨幹としてきめておるいまの制度について十分検討していただきた。
 一つは、小川さんのほうに誤解もあろうと思いますが、現実にはこういう問題です。いま国がきめておりますのは、たとえばボイラーで申しますとい一つの工場にボイラーが三本ありますと、そのボイラーについておる煙突、この施設ごと一つ一つについて排出基準というものをきめております。しかもそれは大きさをきめまして、たとえば熱の伝導面積十平米以上のものについて国がきめておるのですが、今度は東京都は一つ一つきめないで、工場をまとめてきめようという方式をとろうとしておるので、どっちがきついものであるかということは、実際はまだ打ち合わせて計算してみないとわからないような事情でございます。いまの法律の体系からいきますと、国が十平米以上のボイラーについて規制をしておるとすれば、それにきめてない十平米以下の小さいボイラーについて地方はきめていくとか、あるいはボイラー以外のいろいろな施設で、国が告示や政令で載せていないようなものについて地方が補完的にきめていく。そうしないと、これは大気は一つでありますから、東京だけでなしに、これには千葉もあるいはまた川崎もみなくっついておりますから、大気の状況を同じように保ちますためには、その発生源の施設についても、やはり全体の立場から国がきめたほうがいいものが多いわけでありますから、それの満たされないところを条例で補っていくという行き方をとっていただきたい、こういうことを私どもは考えております。
○小川(新)委員 わかりました。理由はわかりましたが、現実としては知事と会って話し合いを大臣がして解決する、こう理解していいですか。
○内田国務大臣 結論としてはそうでございますが、実はこの法律論を出しますと、国が骨幹となる基準をきめますときには、地方長官――じゃない、これは昔のことばで、都道府県知事の意見を聞かなければならぬということになっておりまして、意見を求めたのですが、向こうからも意見が十分出てこない。したがって、ちょっと抜き打ちの形で東京都がきめようとしておるようなところがありますので、これは私もさることながら、両方の局長同士で十分打ち合わせた上で、地域住民の利益になるようにきめてまいるのが実際的になるかと思います。
○小川(新)委員 大臣、法律論争も大事だけれども、実際はスモッグで嘆いているのは国民なんですからね。知事がこういう諮問をしたとか答えたとか、そんなことは私ももう知っておりますよ。だけれども、革新知事だからどうのこうのじゃなくて、もっと話し合いをしてきっちりしなければ、必ずこれはごたごたが起きますよ。その点一言でいいです。
○内田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。しかし、東京には神奈川県である川崎も続いておりますから、厚生省としては、川崎のことも考え、千葉のことも考えながら、東京の規制の方法につきましても、全体として東京湾周辺の大気の環境基準が守られるようにいたしたいと思います。
○小川(新)委員 そうすると、東京都の条例に、その精神にふさわしいように法律を改正していく、そうして東京都知事が言っていることに国が接近していく、こう理解していいですか。
○内田国務大臣 法律論を繰り返すわけではございませんけれども、双方とも法律、条例できめてあるのではなしに、国のほうは法律に基づく厚生省通産省の告示できめてございますし、都のほうも条例そのものできめるのではなしに、条例に基づく告示のようなものできめるのでありますから、法律あるいは条例そのものをお互いに改正し合うということでなしに、全くこれは行政的に話し合いでいけるものでありますから、小川先生の御趣旨もよく体しまして、双方で円満に打ち合わせてまいるのが一番いいと私は思います。
○小川(新)委員 大臣がそこまでおっしゃるのだから、この問題はスムーズにいくのだと解釈いたします。期待しております。
 次には、都市問題の中での市街化区域と調整区域の問題が盛んになっておりますが、建設大臣、市街化区域というのは、一体当初ではどれくらいの面積を当局では計算しており、また、その市街化区域の中にどれくらいの公共投資を投下すると建設省では計画を立てたのですか。
○根本国務大臣 市街化区域の面積は、現在進行中でありまするので、これはまだ正確な数字はつかめません。ただ、これは御承知のように、都道府県知事が一定の基準に基づいて線引きするのでございます。ところで、本省で当初いわゆる机上計算をいたしたことはあるようであります。その当時におきましては、約八十万ヘクタールと想定して、たしかどなたかの質問に対してそういうふうにお答えをしておったようでございます。そうしてこれの開発のためには、この市街化区域の一応の目標を達成するためには大体二十一兆円程度かかるであろう、こういうことを申し上げておったようであります。ところが現状においては、あなたも御存じのように、若干固定資産税の問題と関連して農民の方々が一部抵抗したり、いろいろの各地において地域的な利害関係がありまするので、地方においてなかなか進まない向きもあります。しかし、よくこの趣旨を徹底することによって漸次その抵抗もなくなりつつあるようでありまして、予定より若干おくれておりまするけれども、本年の六、七月ごろには大体線引きができるであろう、こういうふうに報告を聞いておる次第でございます。
○小川(新)委員 これに対してはまだ議論があるのですが、またあとにしますが、防衛庁長官おられますか。――じゃ建設大臣、市街化区域内にあると予想されている在日米軍基地はなぜ調整区域に指定されたのか、また市街化区域には指定されないのか。私の住んでいる埼玉県朝霞、これはちょうど町のどまん中にありまして、そこを通らないと道路が縦断できない……。
○根本国務大臣 この市街化区域に入れるのは、今後およそ十年内に市街化するという想定のもとにやっているのでございます。したがいまして、基地が解除されるという明確なあれがございますれば、これは入れることができると思いまするけれども、現在その基地が十年内に解除されて市街化されるというはっきりした見通しがない限り、これは除外されるという解釈をとっておるのでございます。
○小川(新)委員 これは長官が来るまでに総理大臣、ちょっと私の意見を聞いていただきたいのですがね。アメリカの兵隊さんは、公共投資もしない、十年後に市街化するようなへんぴなところにあなた方いなさい、われわれ日本人は市街化のするところにいるのだ。隣のへいのところまでが米軍基地です。そこは調整区域なんだ。こんなことは、地図を見ると森の石松が目をつぶったような姿になっておる。丹下左膳みたいなかっこうになっておるのです。なぜかと申しますと、佐藤さんは、アメリカ軍は日米安保条約という一つの中で日本を防衛してくださっている、こうおっしゃっているのですが、そういうパートナーシップを組んでいる相手を市街化もしないようなところに置いておくのですかという説が出てくる。だから、調整区域とか市街化区域なんというもの――じゃ十年間この基地が返ってこないという予想も立ってくる。そこのところは、市街化区域、調整区域というものは、在日米軍基地が首都圏の中にある横須賀なんかどうするのですか。あんなところは市街化調整区域なんでしょうか。米軍基地のところから、公共下水道や上下水道というものがすぐ隣のキャンプ朝霞なら朝霞市に入ってくる。また神奈川県なら横須賀の市に入ってくる。そこだけ取り除いて公共事業をできないなんて、そんなことはできないのであって、そういう中を市街化区域に指定すべきである。またできないならば、もう一つここに用途指定地域を設けて、そうして米軍基地というものは早期に返還しなければならぬという考えに立っておるのですが、そうすると、米軍基地には、日本の公共投資といったような事業の関連の上に、都市問題にいろいろと隘路が出てきますが、こういう点については総理、どういうふうにお考えになりますか。
○根本国務大臣 先ほども申し上げましたように、市街化区域と調整区域の標準は、十年間に都市化する、しかもその都市化は一ヘクタールに対して六十人以上の人が住めるというような基準のようでございます。ただし、現在現実に米軍基地があるのを、これを市街化区域に入れても市街化することが現実にこれは不可能でございます。都市計画をそこでやることができないのです。できないのを入れるということは、これは合理的ではない、こういうことです。そうして公共事業と基地のいわゆる施設の問題については、これは調整可能であろうと存じます。施設局は御承知のように基地についてもやっていけるはずでございます。下水道その他も場合によっては共同でやるということも考えられると思いまするが、いずれにいたしましても、基地そのものが市街化するということは事実上困難でございます。
○小川(新)委員 それなら建設大臣、これはあなたのところからいただいた資料なんですけれども、在日米軍施設のうち、公団住宅用地として転用方を申請中の主たる国有地、キャンプ所沢、キャンプ朝霞、調布飛行場、キャンプ王子、グラントハイツ住宅地区、このようにして約百八十一万八千平方メートルばかりもくろまれている。こういうことは都市化するということをもくろんで、市街化するという予定のもとに住宅公団が転用方を申請中じゃないのですか。
○根本国務大臣 申請した結果、返還がはっきりしますれば、直ちにこれは市街化区域に編入するのでございます。それが現実に申請だけしておって向こうのほうからの承認を得てないから市街化区域に入れられない、こう解釈していただきたいのであります。
○小川(新)委員 防衛庁長官。建設省では首都圏のこういう住宅問題や市街化問題に対して、こういうふうに転用地としていま申請しているんですね。これはすみやかに首都圏の在日米軍基地は返らなければならぬ。これは新聞で見たのですが、長官が、漸次これを返してもらったら自衛隊のほうに移管するのだ……。これはあれですか、こういうキャンプ所沢、朝霞、調布、キャンプ王子、グラントハイツ住宅地区なんというものも、もしも返還になったときには自衛隊のほうに行っちゃうんですか。
○中曽根国務大臣 ただいまの御質問の中で二つ問題があると思います。一つは、市街化区域に編入するという問題でございますが、これは米軍のほうともよく相談をいたしまして、返還の見通し、時期等もよく調整して、それができましたら建設省のほうにも連絡いたしまして、両方の省でそごのないように十分連絡を緊密にしていきたいと思っております。それから第二に、いまのような地点はその情勢に応じて、民需と申しますか一般の使用にも供せられるところは供してもいいと思っておるのです。ですから私が申し上げた中には、自衛隊と一緒に共用するのもありますし、また、情勢によっては民間に返還することもあり得る。そういう民間の部分も含めてあります。
○小川(新)委員 長官、ちょっと。そこでけっこうです。百八十一万八千平方メートルのいま申し上げたこの軍事基地を住宅公団が転用地として申請中なんです。そのことは建設大臣のほうから防衛庁長官のほうに、こういうのをやっているんだということのお話がありましたか。
○中曽根国務大臣 それは聞いております。それで、現にグラントハイツは今度は返還になる見通しでございまして、五十億円の予算も計上して、住宅公団にあきましたら渡す予定で、ことしから作業にかかる予定であります。
○小川(新)委員 長官、そうしますと、いま言ったキャンプ王子とか所沢、朝霞、調布飛行場等は、住宅公団の申請が出ておりますから、もしも返還になったときには、自衛隊の基地にはならないと理解してもいいですか。
○中曽根国務大臣 それはその場所場所によってみんな違うと思います。たとえば調布飛行場のようなものは、運輸省からも借りたいという話もありますし、自衛隊のほうでも使いたいというのがございます。立川についてもまた同様であります。そういうわけですから、ケース・バイ・ケースによって関係各省で相談をして最も適切なところに使う、そういうことになるだろうと思います。
○小川(新)委員 建設大臣、ただいまの長官のお答えが、実はまだよく連絡がついていないような御答弁なんですが、長官の意図も聞かなければ、こういうものは出せないと思うんですよね、所管の防衛庁のほうで一応持っているんですから。それを住宅公団でどんどんこういうふうに申請している、それはどうなんです。
○根本国務大臣 この申し出は昨年やったそうでございます。土地が首都圏内で非常に少ない、それでできるだけ国及び公の土地を宅地化すべきだ、こういう国会の皆さん方の要請に従って、建設省がそういう申し出を昨年した、こういうことでございます。そのときに私直接関係しておりませんから、どういうふうな話し合いの結果そういうふうにしたかということはつまびらかにしておりませんので、もしその説明が必要とするならば、事務当局から説明いたさせます。
○小川(新)委員 私はその説明を必要とはしておりませんけれども、こういう大事な在日米軍基地が、まだ返るとも返らないともわからない時点において、住宅公団が、それだけの面積のところをこれこれしかじか返ってくると、早手回しにやっているわけだ。そういうことは建設大臣としては非常に大事な問題だと思うし、また長官としても、こういうことはおれは知らなかったとは言えないんですよ、この立場では。聞いてなくても、聞いたと言わざるを得ないし、これはあとあとにも出てくるんです。たとえば減反農地の問題なんかは、大蔵省と−大蔵大臣ぐあいが悪いんで、私はもうやむを得ず、基本的人権の問題ですから、お帰りを願ったんですが――からだが悪いのを無理に置いておいて、公明党の質問中にひっくり返ったとなったら、また言論の妨害以上に責められちゃうから、私はお帰りを願ったのですけれども、ほんとうはもっといてもらって――大事な問題が一ぱいある。総理大臣が非常に親切丁寧、懇切明快なる言論答弁をしていただいたので、大蔵大臣は次の総理大臣になるような方なんだから、ひとつおからだを大事にしてもらわなければ国益的損害だ。そこで私も協力したんですよ。ほんとうなら来てもらわなければ困るものが一ぱいある。大蔵関係で一ぱい聞かなければならぬ。
 そこで自治大臣、市街化区域内の農地の固定資産税、これは土地対策とからんで宅地並みに評価をするのか、それとも永久に評価はしないのか、この点明快に御答弁いただきたい。
○秋田国務大臣 ただいまさしあたりのところは、そういう近傍の宅地並みに準じた取り扱いをしておりません。しかし、この問題は、例の線引きの円滑な施行というものもやはり考えなければなりません。それから税制が土地政策に及ぼす影響及び関係において、これは補完的な性格を持っておりますから、土地政策というものの確立がなくて、税制だけが先へ走っていこうというところは、税を持っておる関係の省として単独に先走ることのできない点がございます。それからこの問題については税制調査会で、線引きされたいわゆる市街地内にある、そして都市設備のできました、そういう地区にある農地については、近傍の宅地と同じような取り扱いをしなさいという意向も示されておるのですが、先ほども申し上げましたとおり、それじゃ何がこの都市施設の完備した土地であるかということになりますと、実際上非常に疑問が多い。それからまた、それを実際適用しますと、大かたのものがその圏外に逃げるという場合が多々出てくる。それじゃその都市設備が全部完備したというような観念で、いま税調でいわれているようなものを取り去って線引きしたら、この市街化区域内なら、その農地はもう近傍の宅地と同じように取り扱っていきなさい、こういうことになれば徹底するわけです。
 そこで、土地政策に対する基本観念というもの、先ほど御質問になっておりましたが、やはりそこへ戻ってくるわけでございまして、自治省といたしましては、この固定資産税の市街地における農地に対する税体系というものを確立するためには、この辺の各方面の御意見を十分検討をいたしまして、慎重に考慮をしたい、こう思っております。先ほども申し上げましたとおり、前向きに考えておりますけれども、いまさしあたって宅地並みの取り扱いをしておりませんけれども、それじゃ永久にこれはそうしないのだという考えは持っておりません。諸般の事情を十分考慮いたしまして、なるべくすみやかにこれが態度を決定したいと思いますが、慎重なる態度をもって検討したい、こう考えておる次第でございます。
○小川(新)委員 総理、こういうふうに年じゅう行ったり来たりしちゃうのです、土地問題というのは。自治大臣は、自分のところの固定資産税の問題になってくると、土地の理念がないのだから私は先走れない。建設大臣の御意見は、これは私、自分で判断しているわけじゃないのです、あなたの御意見を聞いて判断したところによると、大体市街化区域に指定されるということは、公共投資をして市街化するのだ。農林大臣もおそらくここにいる農民の方々の救済方法を講じなければならぬと出てくる。そうしますと、都市サイドからいく建設大臣は、これは談話の中でも宅地並みに取っても当然しかるべきだというような御意見を持っていらっしゃる。建設大臣はこの考えはいかがですか。
○根本国務大臣 法律上市街化区域ということは、はっきりと完全に市街化するという前提のもとに線引きするわけでございます。したがって、そこは都市化するためにやっていることでございまするから、それらの土地は法律上も当然農地法は除外される、こういうことになっておりまするから、原則としてそういうところのものは十年間に農地でなくなるということを前提として、これは考えておるのでございます。農地でなくなりますれば、これは市街化の中には、商業地区あるいは住宅地区あるいは工業地区というふうなものに変わっていくわけでございます。そうなりますれば、必然的にこれの地価の評価も違ってくるのは私は当然だと思うのでございます。ただし、その場合に、農地のまま非常に高い固定資産税を取るということになりますと、農林行政上の支障も来たすでしょう。しかし、われわれはそういう固定資産税だけでなく、都市計画税ということでこれを措置することもできまするので、そうした問題を総合的に関連させて、この地価対策問題を進めていくべきであると考えておる次第であります。
○小川(新)委員 そうすると、建設大臣、市街化区域にある農地は、宅地になってからなら宅地並みの固定資産税になるのであって、農地であるうちは絶対取らないというふうに、いまのようなお考えになっちゃうのですね。それが一つ。
 もう一つは、これは農林大臣にもあとでお尋ねしたいのですけれども、農地を手放さない、土地の値上がりを待っていて、市街化区域内にある土地を手放さないということになると、何ではき出させるかといえば、税金を――いつまでも持っていると、これは農政は、市街化区域内の農地には市街化調整区域や振興地域のような農業援助はしないのですね。そうなってくると、自然まかせということ。そこで出てくるのは空閑地。私の住んでいる埼玉県蕨市では、今度こういう条例をつくりました。草刈り条例、もう一つは水たまり防止条例。東京ジャングルみたいだが、埼玉県蕨といえば二十五キロ圏、人口の密集している土地に、草刈り条例とか水たまり防止条例なんという、一世紀も前のような、未開発の土地があるということで、そういう条例をつくって空閑地、未利用地を何とかしなければならないということになる。こういうことを考えたときに、都市計画のサイドからいくならば、私は農民の側から立ってまた農林大臣に聞きますが、あなたは、そういう土地を早く出して、公共用地として取得して住宅を建てるのだ、道路もつくるのだとおっしゃっている。それは要するに、砂をかぶってもどろをかぶっても、どんなに袋だたきにあっても、都市政策の責任者として私はやっていくのだというふうに理解しておった。いまのお話を聞いていたのでは、根本建設大臣じゃなくても、ほかの大臣でも、もう私のような力のない者が大臣になったって、同じことを言っていますよ。
○根本国務大臣 私が申し上げましたことは、土地の値上がりを待って、そのために手放さないことをそのまま是認しようということではないのです。私が申し上げましたのは、一番前提に申し上げたですが、市街化するということが前提で線引きをしております。したがって、そういう土地は十年内に何らかの形において農業以外の土地になるということが前提でございます。そのときにあたって、農地に対する固定資産税だけでこれをやるとすれば、これはかなりの激変が出てきます。そこで、都市計画税をも含めてやっていきますれば、農民の諸君も協力し得る部面が相当出てくるではないかというようなことと、さらにもう一つのやり方は、これは御質問がなかったのですけれども、最近私は農業団体とお話し合いをしまして、でき得るだけ農地を持っておる農民の諸君が土地を提供して、その上に家をつくって、そうしてこれが自分の財産を保全しつつ、しかも市街化、あるいは宅地が上がらないように協力する道をも開いていきたい、こういうふうなことを言っているのであって、後退したのではございません。どうかこの点は御理解していただきたいと思います。
○小川(新)委員 ここでいつまでも議論をやっていくと先に進みませんから、残念ですけれども保留しますけれども、これはいずれ常任委員会でもう少し詰めたいと思う。
 農林大臣にお尋ねしますが、今度の減反農地というものは、農林省では二年、ここに私持ってきているのですが、次官通達では昭和四十七年の三月三十一日までということで出ておりましたが、大蔵大臣は、三年間でこれを財政手当てする……。そこで一つ問題が出てくるのですが、百五十万トンの米を減らさなければだめなんだ。そのうち、ことしは五十万トンは買い上げまたは土地を売ってしまうんだ。残りの、十一万八千ヘクタール、五十万トン分、三十五万ヘクタールから十一万八千ヘクタールを除いた二十何万何がしの土地は、休耕もしくは転耕して奨励金がつく。そうしますと、売るほうの側に立てば、ことしは売らないでおいて、休耕にさせたり遊ばしておけば、十アール三万何がしかの金がもらえるのだから、ことしは売らないで、来年売りましょうという農家が出てきます。こういうふうになったときに、これはどうなるのですか。
○倉石国務大臣 大蔵大臣のお話というのは、この間ここで聞いておったのですけれども、最終的に予算案を決定するときに、そういう話も出たというようなことを言っておいでになりました。大蔵大臣の言っておりますように、最終的に予算決定のときには、一応の過程でそういう意見も出ましたけれども、政府が今度決定いたしました方針は、百万トンは生産調整をやる、あと水田の農転等をゆるめることによって十一万八千ヘクタール。ですから、三年間で残りの分を計画的につぶしてしまうのだということにはなっておらないわけでございます。そこで、百万トンは調整、十一万八千ヘクタールの五十万トン分も、それぞれの農地転用をゆるめる等のことによって、先ほど来お話のありました公共施設のために先行投資をする等の事柄によって、必ずそれができるようにわれわれは期待をいたしておるわけであります。
○小川(新)委員 そうしますと、農林大臣、いま肝心なところに触れないのですけれども十一万八千ヘクタールという計画が減っていって、どんどん休耕、休むほうでみんな農民がことしは奨励金をもらう、来年売るんだ。そうすると、来年は奨励金がつくのですか。
○倉石国務大臣 百五十万トンの生産調整は、いま申したような方法で必ずできるものだと確信をしておりますので、その時期になってみて、もしそうでなければ、そのときにまた適用するということで、私どもとしては、百五十万トンの生産制限はできるもの、こういう自信の上に立ってやっているわけでございます。
○小川(新)委員 これはいろいろな問題があるのですが、いま言ったように、ちょっとこれをやってくると、もうそういう問題が出てくるのですね。これはできなかったら、そのときになったらまたくっつけるんだ。そうすると、三年間で大蔵大臣は一これは大蔵大臣いないからどうしようもないのですが、予算措置をする、それから農林大臣は、二年でこれを何とかこの三十五万ヘクタールは解決するのだと言っているけれども、もしも買い上げが、十一万八千ヘクタールがことし、来年じゅうに進まない場合、どうなるのですか。
○倉石国務大臣 先ほど私が申し上げましたように、大蔵大臣のことばというのは、結局政府の方針が三年間で三十五万ヘクタールをつぶすのだということをきめたといっているわけではありませんので、政府がきめた方針は、私がいま申し上げたとおりであります。
 そこで、私どもといたしましては、生産調整はもちろんでありますが、十一万ヘクタールにつきましては、政府各省の協力を得まして、それぞれの筋でただいま一生懸命で努力をしておる最中であります。これは農地転用のことがしばしばお話に出ておるようでありますが、いままで私どものところへも、先ほど来お話のありました、たとえば市街化区域などにつきましてもそうですけれども、市街化区域に編入されております農地だけで約二十九万ヘクタールあります。そのうちの十八万ヘクタールが水田でありますので、しかも小川さんも御存じと思いますが、全国的にいまいろんなことを言ってこられているのを見ておりますと、農家というのは、私は、農業、お百姓をしていくということが本務だと思っておるわけでありますが、やはり市街化区域みたいなものが出てくると、自分たちの農地も市街化区域に入れろというような希望が、これは全国的に出てきております。そういうようなことを見ますと、やはり自分の地域に対して新しい産業を誘致したり何かすることは、御承知のように、地方的に大きく望まれておったのでありますが、農地転用がきびしかったために、そういう希望も達成されずにおりました。そこで、私どもは、農地転用をゆるめることによって、そういうこともかなり促進するんではないか、このようなことをかたがたあわせて見ますと、十二万八千ヘクタールというのは、必ずしも小さい数字だとは申しませんけれども、一生懸命でやれば、私はこのくらいのものは可能ではないか。したがって、農転はそういつまでもゆるめておく必要はないので、一応当面二年間くらいにしよう、こう思ったわけであります。
○小川(新)委員 これでどこまでも議論をやっていったら切りがないが、二年間ではおそらく私はできないと思うのです。農林大臣、ばかに胸を張って、二年間でできるなんて言っているけれども、またあやまるんじゃないですか。二年間じゃ絶対できませんよ、あらゆるところから数字をはじいたって。それはまあいいです。お手並みを拝見してます。
 建設大臣、いま農林大臣はそういうことを言っていますけれども、慣行水利権のことだって解決できないのですよ。この慣行水利権、これは大事な問題ですね。建設大臣はばかに強気になって、慣行水利権にメスを入れて、都市用水確保のために断固戦うのであるというようなことを言っているが、農林大臣だって、おそらくまだ了解してないんじゃないですか。こういう農民に直接影響が出てくるような問題一つ解決できないのですから、これは土地の問題は私は断じてできないと踏んでいるのですが、慣行水利権をどこまでメスを入れるのですか。
○根本国務大臣 慣行水利権というのは、御承知のように、明治二十九年の旧河川法制定の前から取水権があったわけです。それを、この河川法をつくるときにあたりまして、河川法上の水利権として明確に認めたわけでございます。そうしてこれは河川法に基づく許可水利権と同様な権利を認めたわけでございます。これは水田耕作がずっと古い時代から農業の主体になっておりまして、この水田耕作にやはり水が一番大きな必要条件であったことから、これは古い歴史的な慣行として残っておるということでございます。ところが、最近のように都市化現象が非常に急速に進んでおりますとともに、農業経営の形態も変わっておる。営農技術も変わってきておる。こういう事実に基づいて、この慣行水利権というものをできるだけ合理的に措置していくことが必要になってきておる、こう思うのでございます。すなわち、河川改修等によって、取水施設を構築したり、あるいは用排水施設を整備するときにあたって、そのたびごとにこの許可水利権に慣行水利権を変えつつあるわけでございます。
 こういうような事態を踏みつつも、特にあとで御質問があるようでございまするが、都市化したところにおいては非常に水不足がきておりまするので、これを総合的に今度は利水計画を立てて新たなる水資源を開発しなければならない。そのときに出てくる問題が、実は水源地域と受益者地域との対立が非常に深刻でございます。しからば、なぜそういうところが出てくるかというと、水源地帯における農民の水利権に関する強い心理的な影響が、地方自治体の主張にこれが響いてくるので、できるだけこの点をも理解していただいて、現実に農業経営に必要なものはもとより十分に確保しつつも、でき得るだけ水資源の開発のために協力してもらうような協議会等を設けながら、これを進めてまいりたい。ところが、これを黙っておきますというと、慣行水利権そのものを売買して、あるいはまたそれをたてにして、水利用の資源開発的なことが妨害されるということになるとたいへんむずかしい問題になるので、これは合意の上に処理してまいりたい。その意味で、これは建設省だけでもできませんので、先般閣議において慣行水利権を含めた水全体の利用計画を合理的に進めるために、山中大臣を主体として、総理府のほうでこれを調査しつつ研究を進めていただくようになった、こういう状況でございます。
○山中国務大臣 ただいまのような建設大臣の願望が閣議で披瀝されましたので――他面においては、しかし、農民のこの水利権というものは、たとえ河川法に根拠があるにしても、許可水利権と同じ扱いを受けておりますから、基礎的な水田耕作者の権限でもありますから、ここらのところの問題をまず実態はいかになっておるかということについて調査をする必要があろう。しかしながら、現在各省ばらばらで、いまの建設大臣のお考えのような慣行水利権に対する見方もございましょうし、あるいは農林大臣は農林大臣として、農民の基礎的な権限としての考えもございましょうし、それらの問題点の前に、現在はっきり把握されていない、ばく然と慣行水利権としていわれておるものの実態はいかなるものであるかということを、私の総理府で預かりまして、ただいま二回ほど各省関係者集まりまして、実態調査をまず開始したということでありまして、これをどうするとかということは、建設大臣の願望はございましたけれども、政府全体としては、いまどのような方向に進めるのだということ以前の段階であることを御了承願いたいと思います。
○小川(新)委員 建設大臣の願望だけじゃわからないので、今度は農林大臣の願望はどうなんですか。
○倉石国務大臣 慣行水利権は、長い歴史のあることでございますし、農業経営にもいろいろ関係ありますので、政府としては、ただいま総務長官が申しましたようなことで、研究を進めてまいる、こうなったわけであります。
○小川(新)委員 そうすると、慣行水利権を買ってくれということになれば、これは買わざるを得ないのですか、建設大臣。
○根本国務大臣 現在まで慣行水利権を政府が買い取ったことはございません。これは農民の方々も慣行水利権があるから買えというような要求はしておりません。したがいまして、現在慣行水利権を政府が水資源開発のために買うという考えは持っておりません。
○小川(新)委員 いままではそうであっても、いま根本さんの都市問題に対するこの水需要という点からくると、霞ケ浦の問題だとか、いろいろ大きな水源地で争いが起きている。ただ争いが起きているのでどうしようもないから、解決するために山中総務長官のほうにまかせているといったって、これは農民のサイドに立てば、農民のほうは言うことを聞かないのであって、農民の皆さんを守るためには、その権利というものがあるんだから、それは河川法でどうのこうの、法的根拠をここで聞けばいいんですが、法制局長官に聞きたいんですけれども、時間がないから、ここでまた長く説明を受けますと、これで終わっちゃいますから聞きませんけれども、これはそんな例はないといったって、例のないことを建設大臣がいよいよおやりになるのですから、これは願望が出たんですから、そういうことを踏んまえて、総理府総務長官はいま検討しているのですから、これは重大問題ですよ。
○根本国務大臣 非常にそうした歴史的に深く根ざしたところの問題でございまするがゆえに、これは、今後水が非常に経済発展と人間の豊かな生活を確保するために必要であるから、そこで問題点をまず真剣に取り上げていただきたい、その上に立ってどう措置するかということを今度研究しなければならない、こういう段階です。いままではだれ人もこれに触れていない。しかし、われわれのほうで今後の水資源を開発し、あるいは都市開発をやるためにこの問題をほうっておいてはいけないから、そこで勇敢にこれは政府として取り組むという姿勢でございまして、決してこれは等閑に付すということではなく、これだけ真剣に取り上げておるという一つの証左として受け取っていただきたいのでございます。
○小川(新)委員 まあ一つ一つ、いよいよ根本さんのペースで都市問題が進んできておりますので私も注目しておりますが、そのことによって私権が大幅に制限されて泣くような人が出ないように私どもも監視させていただきます。
 それで、これは総理大臣にどうしても、本州・四国連絡架橋のことで大騒ぎしておりましてわあわあ言っているんですが、この問題でお尋ねしたいんですが、このいままでの経過はよく知っておりますが、簡単に、三本連絡架橋がつきますが、これは一斉同時におやりになるのでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 まだそこまでだれもきめておりません。
○小川(新)委員 そうすると、架橋公団なんというものは全然目標もないのにつくるのですか、これは。
○佐藤内閣総理大臣 建設大臣がお答えしたらいいと思いますが、いずれは橋をつくらなければならない、どの橋にするのがいいのか、この架橋公団が、いろいろ建設省でいままで調べたところをもう一度調べてみる、こういうことでございます。
○小川(新)委員 総理、建設省では二億円も予算を組んでいて、公団の設置のために要綱まで出てきて、保利官房長官が何かこれに乗り出す。建設省と運輸省とが話し合いがつかなくてなわ張り争いをやっているから私がいよいよ乗り込むんだといって、いよいよ大先輩が乗り出してきたんですけれども、総理、こんなどこもきまらない架空なものに二億円も金がついたり、公団という一つの、もうここまできたら総理、はっきりしなければいかぬと思うのです。私、さんざんほめたんです。総理何とかしてください、ここは。
○根本国務大臣 この本四架橋の問題は技術上いろいろ調査したこともございます。しかし、小川さんも御承知のように、あの架橋は非常にたいへんな技術的な問題のあるところでございます。ある意味におきますれば、日本における最大の総合的な、これはシステム開発につながる問題でございます。水深が五十メートルもあり、さらにそのほかに五十メートルもの地下構造をやらなければいかぬ。しかもこの海流の非常に速い、しかもあそこは台風の非常に多いところでございます。こういうところで、もういまだかつて世界でやったことのない長いつり橋をつくる。しかもそれが鉄道も一緒にやるということでございまするので、理論的には可能だということが出ておりまするけれども、これをやるための技術開発が裏づけられていないのであります。したがって今度の公団は、その技術開発と同時に実施計画を綿密にやるための公団でございます。この結果、今度は技術開発もでき、かつこれに対して地域社会のどの地帯が一番経済的効果と、さらにはまたこれに対する協力体制が出ておるかということで、これはおのずから着工することの順位がきまってくると考えておるのでございます。したがいまして、これは架空のあれではなく、そうした着実なる技術開発と実施計画を立てつつ着工の準備に入ることでございまして、その準備ができて初めて具体的に今度は架橋に着手する、こういうものでございます。
 なお、いま権限争いということですけれども、権限争いはいたしておりません。ただ、これは御承知のように運輸省には運輸省としての主張があり、われわれのほうはわれわれのほうとしての主張がありますので、そこで従来の慣行に従いまして、これは閣僚協議会でこういう問題をきめていくのでございます。そこで官房長官がその調整をするというのはこれはいつの場合においても同じことでございまして、ただ通例に従ってやっておるところで、権限争いをしておらないことは、橋本さんと私といても何も気まずい顔をしてにらみ合っていることではございませんから、その点は御安心のほどお願いします。
○小川(新)委員 私が聞きたいのは、予算も組まれ、架橋公団という公団もつくることも決定し、なおかつ併用橋というところまであかされておるのにどこへかけるかわからないなんて、われわれ国民の税金をそんな無計画な一この場に及んでまだ明快にその線がはっきりしないで考え中なんだ、だけれども一応連絡鉄道併用橋にもするんだ。――これは法的にもいろいろありますよ。道路特別会計法、これなんかは道路に使わなければならない。ところが鉄道併用橋になるときにはこの道路特会法とはどういう関係になるか、いろいろな問題を含んでくるのに、総理大臣はまだそのどこをどうというのはわからないんだ、架橋公団に命じて調査させるんだ。じゃ、併用橋だって、全然わからないのに、併用橋はどこにするんだ……。二億円もついているのです、建設省は。そんなに建設大臣は権限がないのですか、その点では。
○根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、三本ともこれは架橋するという前提に立ってやっております。しかし、いまどこから着工するかということの問題になりますと、総理はどこからやるということをまだきめていない、こういうことだけでございます。そしてそのために技術開発をしなければなりません。それから実施設計に入っていかなければならない。それをまずやって、しかる後これを着工するということでございます。
 それから、鉄道併用橋になった場合に、現行法の改正が必要ではないかという御質問でございますが、道路鉄道併用橋につきましては、これは道路法上、兼用工作物ということが道路法第二十条によってきめられておりますので改正の必要はない、こう信じております。
○小川(新)委員 道路法の第二十条は、「兼用工作物の管理」とありますね。それをあなたのほうでお使いになったならば、道路の占用の許可ということになるのです。そうすると運輸大臣は建設大臣に頭を下げて、併用橋の場合にはこの道路の占用の許可をひとつお願いいたします、こういうふうに頭を下げていかなければならぬのです。そんなことやこんなこと、小さい問題のようですけれども、なぜ――総理大臣言ってくださいよ、この辺で。どこがどうやらわかっているんでしょう、あなた。併用橋だのそこまでわかっていて、いまだにわからないなんというのは、それこそおとぼけの総理大臣なんていわれちゃいますよ。しっかりしてくれなければ……。
○根本国務大臣 道路局長から答弁させます。
○蓑輪政府委員 お答えいたします。
 実は、いまの二十条によりまして、鉄道と道路とが併用橋になった場合には兼用工作物として両方で金を出し合ってつくっていくということでございまして、いわゆる道路の占用ということにはならないというように考えております。
○小川(新)委員 そこで道路の議論してもしようがないのです。もう一言佐藤総理にお願いします。
○佐藤内閣総理大臣 公団までつくるんですから、できるだけ早くどこへかけるのだ、こういうことも申し上げたいのです。しかし、もう少し実施設計をやり、その他の検査を十分しないことにはこれはやはり申し上げかねる、かように思いますので、いましばらくお待ち願いたい。(発言する者あり)不規則発言があっていろいろ陳情もございますが、いまのようなとおりでございます。
○小川(新)委員 佐藤総理は、先ほどの言論問題では共産党の不破さんには明快に答えた。私には何でこう明快に答えてくれないのか。私は言論問題では、公明党、創価学会、公明党、創価学会と、いやほど耳に入ってしまうので、気が小さいものですから、ひんしゅくしてここへ出てきている。その私に向かってかわいそうだと思うのがあたりまえじゃないですか、総理。少しは答えてくださいよ、その点。
○佐藤内閣総理大臣 どうも精も根も尽き果てたようでございますから、この辺でお許しをいただきたい。
○小川(新)委員 さすがは総理大臣、にっこり笑って私の質問をかわしたけれども、いつまでもそうにこにこ笑っていられては困るのですけれども、まあそれはいいでしょう。総理の顔も立てて、それ以上聞きません。
 住宅問題で建設大臣、もう時間がないので、私うんと広げてしまって申しわけないのだが、プレハブ住宅、これが非常に大きな問題になっていますね。これからは、総理も御存じのとおり住宅産業ということばが出ている。こういう中で、あるプレハブ会社が規格にはまっていない――ここに資料がありますが、御存じのとおり、住宅金融公庫から私が家を建てるからお金を借りるというときには、あらゆるものを出さなければならない、そういう繁雑を防ぐために、プレハブ会社が一括して、おまえのところならいいだろう、こういうわけで住宅金融公庫が承認をした。ただし、これとこれとこれだけの規格のものをやらなければいけないよというのに、実は手抜きが一ぱいある。雨の降らない日に雨が降る。総理わかりますか、雨の降らない日に雨が漏るんです。それから風も吹かないのに屋根が傾いたり飛んだという報告がある。建設大臣、これはいかにいまのプレハブ工法というものがこれからの住宅産業で大事だということの一つの証左だ。これからは一軒の家を建てるというんでなくて、たとえばダイニングキッチンは三菱ハウスから買う。それからトイレをつくりかえたいときにはどこそこのハウスメーキングから買う、こうやって組み立てていく住宅産業がこれから重大な日本の七〇年代の住宅問題とかかわる。ここにそんな観念的なことを言っていると、また総理、信用しないから、私一つ持ってきたんですよ。こんなものを出したくないんですけれどもね、これをひとつ見ていただくとわかるんですが、この厚さを三十ミリにしなければいけないものが、三十ミリなんかとってもないですね、これはこういう小さいもんじゃないです。これが一つの骨組みになっておりまして、プレハブには幾つ種類があるかと申しますと、鉄骨がある、それからコンクリートでやるのがある、こういう木ワクのプレハブがある。名前はかわいそうですから言いませんけれども、二日ほど前の大阪府会においてわが党の議員がこの問題を取り上げた。なぜこういう問題が出てきたかと申しますと、これを請け負っている工事会社が、こんな木骨じゃ家がもちませんよといって、いままで自分なりに丁寧にやっていた。ただそれが時間がかかり過ぎたといって親会社からおこられた。これは取引中止になっちゃった。こういうふうな問題が事実あるんですね。こういう問題に対してはどこで一体チェックをするのか、どこが一体監督をしていくのか、野放しにしてはたしていいものだろうか、こういう問題が私どもはいま不安になっております。――名前は言うなというので言いませんけれども、ここにもありますからわかります。でありますけれども、こういうことで問い合わせがどんどん来ておりますので、事実いかがでございましょう、このチェックは一体どこでこれからするのか、どういう監督をするのか、これについての建設大臣のお考えをお尋ねしたい。
○根本国務大臣 今後住宅の非常な需要にこたえていくためには、そうして一面においては大工さん、左官の非常に人手不足の今日、プレハブ住宅を大いに活用しなければならぬということは御指摘のとおりでございます。
 ところで、いまの御質問の要点は、どこでこの住宅建設をチェックするか、あるいは検査体制はどうなっているかということに重点が置かれたようでございます。これは正確を期するためには、むしろ住宅局長から直接話したほうがいいと思いますから、そちらのほうにおまかせいたします。
○大津留政府委員 お答え申し上げます。
 プレハブ住宅につきましては、建築基準法に基づきまして、材料、構造の安全性等につきまして、建設大臣が認定を行なっております。プレハブ住宅を個々に建築する場合には、建築主が建築確認申請を行ないまして建築主事の確認を受け、竣工時にはその竣工検査を受けることになっております。これが住宅金融公庫の融資を受けるプレハブ住宅の場合は、公庫におきましてその設計及び生産方法の承認を行ないまして、この承認を受けたものに対しまして融資を行なうというたてまえにしております。したがいまして、公庫融資を受けてプレハブ住宅を建築する場合には、建築主事の建築確認、それから竣工した場合の竣工検査を受ける。そのほかに、公庫から建築主事が委託を受けまして公庫の承認条件に適合しておるかどうかのチェックをしております。いずれの場合におきましても、建築主事かそのチェックの責任に当たるわけでございますが、御指摘のように、その材料や部品が工場生産でございますので、現場でチェックすることが実際上困難な面もございます。したがいまして、この種のものの工場における検査体制が現在のところ必ずしも十分でございません。したがいまして、建設省または通産省あるいは府県におきまして、直接工場に立ち入りまして検査を行なう等の方法を確立する必要があると思います。
 なお、現在プレハブ住宅建設の主要メーカーが構成員であるところの社団法人のプレハブ建築協会というのがございますが、ここにおきまして、かねがね品質管理の基準あるいは工場の立ち入り検査等につきまして、自主検査の体制を確立すべく準備を進めておりますので、建設省といたしましては、この自主検査体制をできるだけ協力して進めていきたいと、こういうふうに考えております。
○小川(新)委員 総理大臣、非常に関心を示していただいてありがとうございました。住宅問題は非常に大事なんですね。総理はほんとうにそういうところ思いやりがあるんで私もありがたく思っておりますが、ひとつほんとうにがんばってください、お願いします。
○佐藤内閣総理大臣 実はせんだって、つい二、三日前だったと思うのですが、テレビを見ていて、これはコメディーだったと思いますが、ちょっと頭ぶつければすぐ壁に穴が抜ける。いま言われるように雨も降らないのに雨が降るとか、あるいは柱がりっぱにできている、その柱が簡単に折れるとか、そういうのを見まして、たいへん私も関心がある。いまの材料を出されただけに、これはほうっておけない、かように思います。ただ単に笑話劇だけではないようですから、これは十分ひとつ取り締まるようにいたします。
○小川(新)委員 時間がございませんので、簡単にひとつ御答弁願いたいのですが、南極観測のふじが、防衛庁長官、スクリューがこわれたなんてみっともない事件でいま立ち往生しているそうですが、国からいっても年じゅう立ち往生をやっちゃ困るのです。この前も、宗谷のときにも脱出ができなくてソ連のオビ号に助けてもらった。アメリカの砕氷艦に助けてもらった。一体明確には状況はどうなっているか。スクリューがこわれちゃったということが一つ。もう一つは、今後まだ続いていくであろう南極観測について、ふじ以上の大型、強力なる砕氷艦を派遣する考えがあるのかないのか。調べてみなければおよそわからないと思いますが、このような事件が起きたということに対しては後ほどまた判明次第説明していただきます。それが一点です。
 第二点は、総理、これは国の問題ですけれども、みっともないと思うのですよ、ほんとうに。海事故を私まだ説明したいのですけれども、時間がなくなっちゃった。あわせてちょっとお尋ねしますが、最近の続発しておる大型船の海難事故、ぼりばあ丸とか、かりふおるにあ丸、また波島丸等、事故がいろいろあります。こういう問題について、総理は救援対策、またこれらの問題に対しては政府としてはどのような責任を持って対処していくのか。また、第二十次造船計画ですか、この第二十次造船計画にはこれと同型のスタイルの船が六十九隻ある。これは総理も御年輩だからよく御存じだと思いますが、旧連合艦隊の友鶴という駆逐艦というか水雷艇がひっくり返った事件があります。これはどうしてひっくり返ったかといいますと、友鶴という六百トン足らずの艦体に何インチかの大砲を載せた、魚雷を載せた、あれもしろという当時の軍部の圧力に屈して、造艦界が折れて友鶴をつくり上げた。ところが波もないのにひっくり返ったというので、これは当時の連合艦隊が大騒ぎをしておる。それから駆逐艦の船首がちょん切れたという事件がある。こういうことは全部当時の連合艦隊の軍事力増強の圧力によってできた姿だということですね。ところが最近の大型船は、エコノミックアニマルといわれているような経済の利潤追求のために、人命の安全なんというものはそっちのけで船をつくるということに重きを置かれているようにうわさされております。事実そうであるかないか、私は専門家でないからわからないけれども、六万トンも四万五千トンもする、数万トンもするこの大型船が――それは百トンや五十トンの漁船が沈没したのとは違う。ここに大きな海難上のいろいろな問題が起きておりますが、こういう二点についてまず長官並びに総理にお尋ねします。
○中曽根国務大臣 ふじ号の事故はたいへん遺憾なことでございますが、右舷のスクリューが四枚折損いたしました。それで現在は十二ノット程度の航行力を持っておりますが、ことしは氷のぐあいが悪いようです。と申しますのは、一つはロケットを打ち上げたりいたしまして、そのために接岸時間が長くて、そのために氷の状況が悪くなってきた。こちらへ引き返すときが少しおくれたわけでございます。そこでいま各国の協力を求めておりますが、ソ連のオビ号が十三ノットで四日間ぐらいの距離におります。そのほかアメリカの船はかなり遠いところにおるようでございまして、できるだけ各国の船の協力を得て脱出するようにしたいと思っております。普通の力でまいりますと、一日半で普通の海に脱出できる時間的距離にはございますけれども、氷の状況は依然として変わっておらないようです。
 それから、船には二枚のプロペラを用意しておりますが、これはドックへ入らないと修理はできないようです。
 それから新しい船のことでございますが、ふじ号は、性能としては非常に優秀な性能で、五千トンの船としてはあれがベストの製作品であるといわれておりました。これ以上大きい船をつくるということは、目下のところは考えておりません。しかし、前に国会の科学技術特別委員会におきまして原子力推進のもっと大型のものをつくったらどうだ、そういう決議が満場一致で実は行なわれております。将来は、そういう点も考えたらいいのではないかと思います。
 以上でございます。
○橋本国務大臣 総理大臣に対する御質問でありますが、私が所管大臣でありますからお答え申し上げます。
 かりふおるにあ丸の海難事故発生につきましては、海運行政をつかさどっておる私としてまことに遺憾に存じます。最近同一区域で四隻の海難がありましたが、そのうち二隻がお話のような第二十次船の船であります。ただ内容の構造は多少違っております。この事情にかんがみまして、もちろんこれらの構造につきましては国際的な基準に従ってやっておるのでありますから、われわれは万遺憾ないものと考えますけれども、現実に沈没をしておるのでありますから、それで今回約七十隻――六十九隻ですけれども、それらを、従来総点検といいましても外部から見る程度でありましたが、今度は荷物を全部引き揚げまして、そして現実に専門家が数名乗ってこれを十分なるトントンの調査をする。さようなことによって、もしその間において修繕すべきものがあれば、持っておる汽船会社に対して強くこれを指示して、これを補強させる、こういうことをやってまいりたいと思っております。
 なお、救難体制のお話がありましたが、午前中にもお話し申し上げましたけれども、運輸省としては、大型の三百五十トンの巡視艇、それから、飛行機等を用意してやっておりまするが、なおこれでも十分とは申し上げられません。したがって、海員組合等からは飛行艇を用意してほしいという御意見もありましたが、なかなか現在のところでは、はたして飛行艇で荒天に間に合うかどうかの問題もありますので、なお今後救難体制については万全を期して間違いのないようにいたしたい、かように考えております。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま詳細に運輸大臣からお答えいたしましたが、何と申しましても日本は世界一の造船国であります。最近のパーセンテージを見ると、一年間の造船四八%、これはもう世界で半分もとにかく日本がつくっておる、そういうところでありますだけに、その日本でつくった船が危険だとかあるいは事故を起こすとか、こういうようなことがあってはならない、かように思って、ただいまも運輸省を督励して再点検をやらしておる最中でございます。また、造船業界そのものも、これらの過去の事故等にかんがみまして、いろいろくふうしておるようですが、とにかく事故を再発しないように再点検することが何よりも必要だろう、かように思います。
○小川(新)委員 大蔵大臣がきょうはおられませんので、実は聞きたいことがあったのですが、総理大臣、いま橋本運輸大臣が実に大事なことをおっしゃった。飛行艇もほしい、船ももっと大きいのをほしい。もうほんとうに胸一ぱいのような声を出されて言っているのですけれども、大蔵大臣がいないですね。これは買ってあげてください。総理、どうですか。
○佐藤内閣総理大臣 できるだけその予算編成に際しまして、これらの事柄も考えていかなければならないと思います。いま足らないところを海上自衛隊のほうから補ってもらっておるというのが現状でございます。私は、運輸省が持ちましても、一機だけでもいけない、非常に広い海域でございますし、それらのことも考えながらどうしたら最も効率的に運営ができるか、さようなことを考え中でございます。
○小川(新)委員 橋本運輸大臣、いま総理がお答えになったように、買ってくださるそうですから、買ってもらってください。そしてもう一つ……
○佐藤内閣総理大臣 買うとは言わないですよ。
○小川(新)委員 買わないのですか。ぼくは買ってくれるのかと思ったのだけれども、そうじゃないのですか。そういう点はしみったれていますね。あれは、人命救助のためには一生懸命やる、そのくらいのものは買うと私は聞いたのですが、どうなんですか、それは。
○佐藤内閣総理大臣 もちろんいま申し上げましたように、最も効率的な方法を考えよう、したがって、海上自衛隊の協力を得てと、こういうことを申したわけであります。
○小川(新)委員 だめらしいですけれども、これはまた買ってもらえるまで私叫び続けます。なぜこういうことを言うかと申しますと、これは大事な人命救助の問題で、何も公明党のメリットのために言っているのじゃないのですから、これはあくまでも総理がうんと言うまで私言います。
 もう一つ言いたいことは――大蔵大臣がきょうはいない、私は大蔵大臣に最後まで聞きたかったのですけれども、おからだのぐあいが悪いというから、うんと聞きたいことがあるけれども、まさかぐあいの悪いものをいつまでも置いておくということはわが党の精神に反します。わが党は御存じのとおり人間性豊かな、それこそもういい政党なんですから、その私どもが言うわけにいきませんので、きょうは大蔵大臣がおらないので、非常に詰めることができませんでした。またの委員会のときにひとついろいろな点でお話しさせていただきますが、最後に、これは運輸大臣、タクシー問題で、東京のタクシー運賃の値上げは三月一日からでございますね。これは実施しますが、メーターを新しいメーターにするタクシーもあれば、まだまだ旧メーターを使って料金表でやっているのがある。大阪の例を引くまでもなく相当な混乱を起こしておりますので、この点の混乱の責任が、もしも起きたときには運輸大臣が負うのでございましょうか。ひとつこの対策はどうなっているのかお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。
○橋本国務大臣 ただいまお話がありましたように、東京関係で一〇%のタクシーが不合格であります。大阪で六%であります。新メーターをつけることが実際上技術的に一日や二日でできないものでありますから、急がせましても二カ月くらいかかります。その間、合格になりましたタクシーでも旧メーターを使わざるを得ません。したがって、新旧料金の計算表とか、その他業者及びタクシー運転手等を教育いたしまして、万全の措置を掲げて使用の皆さんに御迷惑をかけないように最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。
○中野委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。
 以上をもって総括質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○中野委員長 この際、公聴会の公述人の件について御報告いたします。
 公述人の人選等につきましては、さきに委員長に一任願っておりましたが、理事会において協議の結果、次のとおり決定いたしました。
 すなわち、三月三日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、日本勧業銀行調査部長中村孝士君、国学院大学経済学部教授正木千冬君、午後一時三十分より意見を聴取する公述人の方は、評論家俵萌子君、また三月四日午前十時より意見を聴取する公述人の方は、三井物産会長水上達三君、横浜国立大学経済学部教授井手文雄君、午後一時三十分より意見を聴取する公述人の方は、日本労働組合総評議会総務企画局長大木正吾君、以上六名の方々を決定いたしました。
 なお、以上の方々以外に三月三日午後に一人、四日午後に一人の方については、目下委員長のもとで選考中でありまするので、御了承願います。
 以上、御報告を申し上げます。
     ――――◇―――――
○中野委員長 明日は午前十時より委員会を開会し、昭和四十四年度補正予算の審査を行ないます。
 本日はこれにて散会をいたします。
    午後七時四分散会