第063回国会 予算委員会 第16号
昭和四十五年三月十九日(木曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 中野 四郎君
   理事 小平 久雄君 理事 田中 正巳君
   理事 坪川 信三君 理事 藤枝 泉介君
   理事 細田 吉藏君 理事 大原  亨君
   理事 田中 武夫君 理事 大野  潔君
   理事 今澄  勇君
      足立 篤郎君    相川 勝六君
      赤澤 正道君    植木庚子郎君
      江崎 真澄君    大坪 保雄君
      大野 市郎君    大村 襄治君
      奥野 誠亮君    賀屋 興宣君
      川崎 秀二君    上林山榮吉君
      小坂善太郎君    笹山茂太郎君
      田中 龍夫君    登坂重次郎君
      灘尾 弘吉君    西村 直己君
      野田 卯一君    福田  一君
      藤田 義光君    古内 広雄君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      森田重次郎君    赤松  勇君
      川崎 寛治君    北山 愛郎君
      久保 三郎君    楢崎弥之助君
      西宮  弘君    細谷 治嘉君
      相沢 武彦君    沖本 泰幸君
      坂井 弘一君    松尾 正吉君
      麻生 良方君    河村  勝君
      谷口善太郎君    不破 哲三君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 小林 武治君
        外 務 大 臣 愛知 揆一君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
        農 林 大 臣 倉石 忠雄君
        通商産業大臣  宮澤 喜一君
       運 輸 大 臣 橋本登美三郎君
        郵 政 大 臣 井出一太郎君
        労 働 大 臣 野原 正勝君
        建 設 大 臣 根本龍太郎君
        自 治 大 臣 秋田 大助君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)保利  茂君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)      山中 貞則君
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)
        (行政管理庁長
        官)      荒木萬壽夫君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (科学技術庁長
        官)      西田 信一君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 中曽根康弘君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      佐藤 一郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        公正取引委員会
        委員長     谷村  裕君
        経済企画庁調整
        局長      新田 庚一君
        経済企画庁国民
        生活局長    矢野 智雄君
        経済企画庁総合
        開発局長    宮崎  仁君
        法務省刑事局長 辻 辰三郎君
        外務省アジア局
        長       須之部量三君
        外務省アメリカ
        局長      東郷 文彦君
        外務省経済局長 鶴見 清彦君
        外務省経済協力
        局長      沢木 正男君
        外務省条約局長 井川 克一君
        外務省国際連合
        局長      西堀 正弘君
        大蔵大臣官房審
        議官      高木 文雄君
        大蔵省主計局長 鳩山威一郎君
        大蔵省理財局長 岩尾  一君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        大蔵省国際金融
        局長      奥村 輝之君
        厚生省環境衛生
        局公害部長   城戸 謙次君
        農林大臣官房長 亀長 友義君
        農林省農林経済
        局長      小暮 光美君
        食糧庁長官   森本  修君
        水産庁長官   大和田啓気君
        通商産業省通商
        局長      原田  明君
        通商産業省企業
        局立地公害部長 柴崎 芳三君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    三宅 幸夫君
        労働大臣官房会
        計課長     増田 一郎君
        労働省職業安定
        局長      住  榮作君
        建設大臣官房長 志村 清一君
        建設大臣官房会
        計課長     大塩洋一郎君
        建設省計画局長 川島  博君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      大沢  実君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十九日
 辞任         補欠選任
  矢野 絢也君     沖本 泰幸君
  麻生 良方君     竹本 孫一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和四十五年度一般会計予算
 昭和四十五年度特別会計予算
 昭和四十五年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○中野委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十五年度一般会計予算、昭和四十五年度特別会計予算、昭和四十五年度政府関係機関予算、右各案を一括して議題といたします。
 この際、下田大使召喚問題に関し、外務大臣及び内閣総理大臣より発言を求められておりますので、順次これを許します。愛知外務大臣。
○愛知国務大臣 日米繊維問題に関連し、下田駐米大使を喚問する問題につきましては、この問題自体が現在最も機微な段階にあり、同大使が任地にとどまって米国政府首脳等と折衝することが最も必要とされる時期にありますので、残念ながら御要請には応じられない状況にあります。
 なお、この問題に関連して、新聞紙上においていわゆる下田発言あるいは下田私案なるものが報道せられ、本委員会においても種々御質問がありましたが、いわゆる下田私案をアメリカ側に提示した事実はございません。
 いずれにせよ、出先の大使は、政府の訓令に基づいて職務を遂行しているものであります。もし訓令に違反する活動をしたり、ないしは本国政府の意向を十分に伝えていないというような印象を与えるようなことがあれば、まことに遺憾なことでありますので、かかることのないよう私からあらためて本人にも伝え、去る三月十二日、本人から今後十分に注意をする旨申し越してまいっております。
○中野委員長 佐藤内閣総理大臣。
○佐藤内閣総理大臣 いま外務大臣から詳細に報告をいたしました。日米間の問題についてただいまなかなかむずかしい段階になっております。私ども、皆さん方からいろいろ御要望なさるそのお気持ちはわからないではございませんが、ただいまの段階においては、どうもそのまま皆さん方の御要望に沿うわけにいかない。ただいま外務大臣がお話ししたような事情でございますので、御了承をいただきたいと思います。
    ―――――――――――――
○中野委員長 これより締めくくり総括質疑に入ります。田中武夫君。
○田中(武)委員 きょうはおもに私は、国会と内閣との関係、さらに行政府のあり方等について、総理に主としてお伺いいたしたいと思っておりますが、その前に、締めくくり総括質問らしく、当委員会において提起せられて、まだ十分に了解できない一、二点のお尋ねをいたしたいと思います。
 そこで、特に断わっておきますが、きょうは私、こうしてストップウオッチを持ってきております。もし長々と時間かせぎの答弁をなされた場合は、何大臣の答弁が何分何秒であるということの記録をとらしていただき、あとで公表いたします。したがいまして、できるだけ簡潔にお願いをいたしたいと思います。
 そこで、まず大蔵大臣にお伺いをいたしますが、昨年私がやはりこの締めくくり総括質問におきまして、「予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書」といわゆる財政法三十六条三項との関係について指摘いたしました点につきましては、さっそく大蔵省が二十数年の慣習を改めて、こうして新たな形式をもって提案せられたことに対しましては、敬意を表します。しかしながら同じ三十六条三項の、その次の文句のところで、またちょっと疑問が出てまいりました。すなわち財政法三十六条三項では、予備費支弁調書及び各省庁の調書、これは「次の常会において国会に提出して、その承諾を求めなければならない。」すなわち提出するのは常会であると明確にうたってあります。この件につきましては、先日も北山委員が若干触れられたようでありますが、一体この国会は常会をも含んでおるのかどうか、こういうことになるわけでございますが、もう言うまでもなく御承知のように、国会に提出――これにはいろいろの規定のしかたがございます。たとえば、財政法四十条の決算書の提出については、常会に提出することを常例とするといって、例外的なことを認めるような文章になっております。また災害対策基本法第九条、これは国会に報告せねばならない、あるいは提出せねばならないという規定はたくさんございます。大体基本法関係は「国会」でということで、その国会がいつであるかをきめていないのが多いのです。しかし、この三十六条三項だけは「次の常会」ということを特にうたっている点に、私はその重要な意義があろうと思うのです。ところが、提出せられましたこの調書を見ますと、「第63回国会(特別会)提出」となっているのです。それならば、この調書はいわゆる法律の規定でいうところの「常会」でなくとも提出できるというところの解釈の上に立たれておるのかどうか、あるいはこの国会が常会をも兼ねておるのだという御見解なのかどうか。もしそうだとするならば、国会法二条の二、特別国会と常会とあわせて召集することができる、こういう規定があります。おそらく今回の国会のような場合を予定して入れられた条文であろうと考えます。そうとするならば、当然召集行為として、特別国会にあわせ憲法上の常会を召集する、こういう手続があるのがほんとうではないかと思いますが、先の点につきましては大蔵大臣、あとの召集手続につきましては総理、どういうようなお考えか、お伺いをいたします。
○福田国務大臣 お話しのように、財政法におきましては、予備費の報告は、次の通常国会となっておりますが、今回のごとく通常国会が開かれない、しかし実際は、通常国会にかわる性格を持つ特別国会が開かれておるのであります。さようなことを考えまして、この特別国会に提出することが適当である、さように考えて提出をいたしておるわけであります。
○佐藤内閣総理大臣 解散後の国会でございますので、特別会、さように私は理解しております。また、そういうことでこの国会を開いております。
○田中(武)委員 国会法一条三項で、解散後の総選挙後の国会は特別国会という。憲法では、御承知のように常会と臨時会としかありません。その臨時会を、いわゆる臨時国会と特別国会とに分けておるわけなんです。正確に言うならば、臨時国会であります、特別国会は。したがいまして、この国会にこの予備費支弁調書を出してこられることは、これは私は財政法三十六条三項からいって、おかしい、だから出直せと言いたいところですが、いかがでしょうか。
○福田国務大臣 国会の意思といたしまして、次の通常国会ということが、その文言のとおり次の通常国会というと、ことしの暮れ開かれますが、その暮れに提出いたしなさいという御意見であれば、そういたします。国会の意思が、次の通常国会、つまり特別国会を飛ばした、この暮れに開かれる通常国会の意味であるということでありますれば、厳格にそういう意味なのだという御意思でありますれば、そのようにいたします。しかし、それは適当じゃない、特別国会だが、通常国会にかわる性格を持つ、そういうことでこの特別国会に提出するということが適当だ、かような判断でございます。
○田中(武)委員 そこで、そういうこともあろうかということで、いわゆる常会が開かれなかったのは、旧憲法下においては昭和二十年だけだと聞いております。そして新憲法になりましてからは、いわゆる国会になってからは、ことしが初めてであります。ことしというか、去年になります。どうせことしの十二月には常会の召集があるから、去年ということになろうと思います。総選挙等の関係でこうなったと思うのですが、そういうことを予想して国会法二条の二があるのですから、その手続をおとりになっておれば問題はなかったわけなんですよ。これは召集行為の手続ですね。これに問題を残しておるのだと思います。ここでこのことを私論議をいたしておりますと、次の質問の時間もだんだんなくなることになりますので、お預けをいたしておきますが、ここで言っておきたいことは、次の質問にも関連がございますが、いわゆる行政府が立法府の意思をかってに曲げて、法の行政的解釈をやったという一つの事例であろうと考えますが、いかがです。
○高辻政府委員 一応私、簡単に申し上げます。
 法律の解釈は、なるほど軽々しくはやれませんが、ただ、内閣は内閣として職務の執行に当たるものでございますから、法律の解釈を抜きにして執行ができませんために、必要な範囲において解釈をすることはこれはやむを得ない。これはお許しを願うほかはないと思います。
○田中(武)委員 お許しを願うほかはないということですが、私は、ちゃんとそのためを予想しての規定があるのだから、そうおやりになればいいじゃないか、こう思うのですが、次へ参りたいと思います。
 次は、外務大臣にお伺いをいたしたいのですが、先日の一般質問において私が質問をし、楢崎委員が関連質問をし、そして最後に私が文書をもっての回答をお願いいたしました。その文書回答に関連してでありますが、それは日米共同声明四項に関してであります。
 そこで、まず第一点は、七二年に本土並みに返る、だがしかしベトナム問題がその時点において解決していなかった場合は別途協議する、そういうことでありましたが、ベトナム問題が解決するということに対して、総理及び大統領は、そうであるという確信を持っておられるというような意味のことが前の答弁にあったと思います。きょうの新聞を見ますと、カンボジアでクーデターが起こっておるようであります。こういうように予測をしないような事件が次々起こってくる。どうでしょう。七二年の時点においてベトナムは解決するという確信を、あるいはそれに対する段階というか見通しといいますかこれを総理どうお持ちなんでしょう。
○愛知国務大臣 ただいまもお話がございましたように、書面でもお答えをいたしておりますが、確信を持ち、かつ願望を持っておる、強く願望しておるということは共同声明の上にもはっきりしておることが一つと、それから、しばしば申し上げましたように、七二年中の返還以下返還の基本に関する点については、これは、そこにいわゆる協議というものはそのワクの中で行なわれるものであるということは明白になっておる次第であります。
○田中(武)委員 確信と願望は総理なんですよ。あなたじゃないのですよ。総理、いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 いまお答えしたとおりなんですが、私ども強い願望を持っていること、これはおわかりだと思う。しかし、現実にただいま戦争はやんでいるわけではないのだ。紛争は継続している。将来のことがございますから、そこで万一の場合を考えて実はあの一句を挿入した、かように御理解をいただきたい。しかし、ただいまのように先のこと、いろんな問題が起こり得ると、かように私思いますけれども、しかし日本に返ってくること自体は、どういうことがあろうと変わらない。したがって、そういう協議する場合でも、その返ってくるというワク内で今度は協議する、かように考えております。したがって、そこまでお尋ねありませんが、協議の内容は何かといわれると、ただいまの状態でわからない、かように申し上げたい。
○田中(武)委員 時間の関係がありますので、次の質問に移ります。
 これは文書でもらった回答の第三点ですが、アメリカ軍の作戦の対象となる地域ですね。いわゆる極東の範囲、こういうことで、回答を見ますと、「米国がこれに対処するため執ることのあるべき行動の範囲は、」――極東の「安全が周辺地域に起こった事情のため」というのが上につくわけですが、「行動の範囲は、その攻撃又は脅威の性質いかんにかかわるのであって、必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。」こういうことなんです。すなわち、いままでいわれた極東の範囲内でということではない。そこで、その紛争なり武力行使、それが極東にあるいはその極東地域に脅威を与えるような性質のものである、そういう場合は行動ができるのだ、こういうことなんですね。そういたしますと、ヨーロッパで何らかの紛争が起こった、そのお互いの武力行使、これが極東の地域に影響をもたらす、脅威を与えるような性質であるとアメリカが判断したときには、そこまでも拡張ができる。すなわち、アメリカが、その武力行使の性格が極東に脅威を与える、こういう性質であると判断する、この判断はアメリカの主観的な判断であります。したがって、アメリカの考え方いかんによっては、世界のどこまでも拡大解釈はできるとこの回答では思えますが、いかがです。
○愛知国務大臣 この回答は、従来からの政府の統一解釈に変わりはございませんという趣旨を強調してあるものでございまして、政府の統一解釈の中の前段の極東の区域ということについては、しばしば申し上げましたから繰り返しませんけれども、その周辺の地域に起こった事態によって、その極東の地域の安全が影響されるという、そういういわば周辺の地域のことでございますから、そういうことでおのずから限定的に考えられるものと理解いたしたいと思います。
 それから、これは申すまでもないところでございますが、在日米軍に提供されている施設区域の使用ということに関連してお尋ねがあると思いますけれども、そうなりますと、これは事前協議の問題になり、事前協議につきましては、日本側の主体的国益を守るという立場においての判断によって、イエスもノーもある。そこでまた大きな制約がかかるということも、申し上げるまでもなくよく御理解いただいているところであると思います。
○田中(武)委員 もうあまり論争は避けたいと思うのですが、結局はアメリカの主観的判断いかんにかかっておる、極東の範囲というのは。そういうことになるのでしょう、何とおっしゃってもそうでしょう、この回答から見る限りは。だからといって、アフリカの南端に起こったことが――とは私は思いません。しかし、この文面に関する限り、そこまで拡張解釈はできますよ。どうですか。きのうのように興奮をなさらずに、ひとつ静かに、シャープな頭でお答え願います。
○愛知国務大臣 これはここにもありますように、「この区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいはこの区域の安全が周辺地域に起こった事情のため脅威されるような場合、」私は、ここに明確に表示されていることで御解釈をいただきたいと思います。
○田中(武)委員 いや、御解釈を願いたいと言われても解釈ができないから聞いておるのです。しかし、もういいです。このことによってあなたがいかに抗弁をなされようとも、国民の受けておるのは、やはりアメリカの主観的判断によってどこまでも範囲は拡大される、こう解釈をするだろうと思います。
 次に、これは山中長官になるのかと思いますが、昨日の読売新聞の夕刊です。私も新聞記事だけでよくわからないのですが、沖繩にある琉球銀行、これはアメリカの民政府の管轄にあるといいますか、指導下にあるといいますか、管理下にあるわけですが、そこが軍用地、すなわち民間所有の軍用地を担保に融資をする、金を貸そう、こういうことの制度を今週からやるということが発表せられておる。お読みになったかどうかわかりません。そういたしますと、そこに抵当権を設定して金を貸す。まあ七二年に沖繩が返るときには本土並みである、こういうことから、安全保障条約に基づくところの地位協定、これと、さらに七二年に返ってくる場合は、当然本土並みならば現在の沖繩よりか基地は縮小せられるであろうということが考えられる。そういう問題と、この抵当権設定の問題等々をかね合わせ考えた場合に、何だか割り切れぬものがありますが、どう受け取られますか。
○山中国務大臣 私も、新聞記事以外にまだその詳細は報告に接しておりませんが、その記事に関して私の見るところでは、米軍の軍用地の一括買い上げの問題は、三十一、二年ごろたいへんなトラブルの起こった問題であります。その所有権は当然地主にあることは、一括払いをされたあとでも明確であったのでありますが、一括払いの期限が、今後一年ごとに払われる機会が到来するに従って、地主の権利というものは一そう明確になる。その支払いについて琉球銀行というものが、これは資本構成がおっしゃるように米資本が入っておりますので、当然引き取るときの資産交渉の対象になると思いますが、しかし少なくとも琉球銀行という民間銀行が、その地主の抵当権というものを、所有権というものを認めて、それに対して融資をしようということは、あながち悪い面ばかりではないので、地主の権利というものを正式に認めてあるということでありますから、あとは、方向はもちろん軍事基地が縮小整理の方向に向かうことについて、これは日本政府の方針であり、現地住民の願望でありますから、その方向に阻害を来たす要因になるとは思いません。
○田中(武)委員 その点、民間地の所有権を認めたこと、これははっきりそうだと思います。しかし、先ほど言ったような点からはどうなるのかという疑問があります。
 そこでひとつ、この制度についての詳細を調査をしていただく。そうしていま言ったような問題とあわせ、どうなるのかということを後日文書でけっこうですから、御回答いただきたい。その上に立って、またしかるべき場所でお伺いすることにいたしたいと思います。
 次に、これは新聞記事ばかりで恐縮ですが、きょうの朝日新聞を見ますと、繊維交渉につきまして、譲歩しても早期妥結、通産大臣は財界と懇談を始めた、どうも総理の密約説を裏づけたようである、そういった意味の記事が出ておるわけです。密約説に対しては二回、三回お尋ねをしたが否定せられておりますが、どうもそういうことがうかがわれます。
 時間の都合で続けてまいります。
 先ほどこのことに関連しての下田大使の言動について当委員会では、下田大使を召喚すべし、ところが、現在重要な段階であるので、召喚はごかんべん願いたいということで外務大臣が発言をせられ、総理がそれを裏づけられておる。
 ところが、昨年三月三日に愛知大臣は下田大使について同じような、いやもっと違ったことを答弁し、下田喚問についてはごかんべん願いたい、こう言っておる。その一部を読みますと、本人の行き過ぎの点も認められるので、私からあらためてこの旨を伝達し、本人より今後慎重を期するよう伝言をいたします。なお、三月一日夜、本人にこの旨を伝達したところ、本人からも、今後十分気をつけます、こういう意味のことがありましたということをここで発言せられておるのです。いわば愛知外務大臣は、一札を入れたわけなのです。また同じ下田大使につきまして、一札を入れられておるわけです。いつも下田大使の言動は、予算委員会のぎりぎりまで問題になります。今回の発言が、下田私案なるものを出さなかったということについてはそうかもしれぬが、何らかの発言があったということは、これはみなそう思っておるのです。そこに総理の特命説も出てくるわけです。もう一度、二回にわたってあなたがわび証文ではないが、こういうものを入れなくてはならないということ、その下田大使に対して、総理、どうでしょう。そういう人が日本の大使としてほんとうに適当なんでしょうか。あなたが特命を出しておられるなら話は別ですが、いかがです。密約説とあわせて……。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど外務大臣からお答えいたしましたように、前回の場合と今回の場合は違うように思います。今回の場合に、特別にこちらからの命令違反とか、そういうものはないと思っております。また、何か発言しただろう、こういうことが言われますが、その国に駐在する大使ですから、当然発言すべきなのです。私は発言もしないような大使こそ意味ないと思う。(「何を発言するかだ」と呼ぶ者あり。)それはそのとおりなんです。何を発言するかということが問題なのです。(「総理大臣を無視しちゃいかぬ」と呼ぶ者あり)ただいまのところ、そういうことはございませんから、その辺は先ほど申し上げたとおりであります。
 また、私とニクソン大統領との間の密約説、その話が何度も聞かれておりますが、今回もまたお尋ねでございます。御承知のように、繊維問題というようなむずかしい問題そういう問題の中身について私どもが話し合うことは、大統領にも十分の知識がないだろうと思いますし、私自身ももちろん持っておりません。したがって、さような密約説などあろうわけがございません。しかし、私はしばしばこの国会でも申し上げましたように、両国の民族にとって、最も大きな領土問題がすらすらと解決した今日、貿易問題の一品目、そういう問題で時間をとるというようなことがあってはならない。これは終わりなき友好関係を継続していく、こういう意味で早急にやはり解決すべきだ、かように私どもは、また私は考えておる次第でございます。
○田中(武)委員 外務、通産、何かこのことについてありますか。通産大臣、横を向かないでこっちを向いてください。あなたは業界に了解工作行為に入られた、こう理解するわけですが、これはやはりそう受け取っていいのですか。
○宮澤国務大臣 従来から関係の方々には、この問題についての意見を聞き、また私の考えているところを個別に申し上げてまいりました。昨日、たまたまその中の何人かの方々に対して、現状を私から説明をいたし、また御意見を聞きましたが、いわゆる工作を依頼したというようなことはございません。
○田中(武)委員 まあ、いろいろ伺いたいのですが、時間の関係がありますので……。これからが本番であります。
 そこで、これは二月十八日のある大新聞の国会担当といいますか、政治担当といいますか、新聞記者さんたちの座談会の記事の一部を持ってきておるのですが、そこに「目につく国会軽視」、これは佐藤総理、あなたがですよ、国会軽視の発言等が多過ぎると、こういうことです。記者さんたちの座談会で出ておるくらい。あなたは三百議席の上にまあ自信を持っておられるのか、あるいはあぐらをかいておられるのかわかりませんけれども、当然、私は総理の発言の――あるいは途中で訂正せられたり、取り消されたことがあります。そういう一つ一つのあげ足をとるわけじゃないんですが、たとえば代表質問のわが党成田委員長に対する御答弁で、各党一致の余地なし。すなわち予算に関連してですが、これは、何といったって、予算は国会が審議するものだし、それをそういう余地はない、修正する余地はありませんと頭からぽんとけるということは、やっぱり三百名を持っておるので、お前たちが何を言おうがというやはり意思があったのじゃなかろうかと思います。たくさんあります。しかし、時間の都合で申しませんが、これも私はその場におって、また総理自体も途中でお気づきになって訂正をせられておるから申しませんが、細谷君に対する御答弁の中で、━━━━━━━━━━━━━━━━とか、あるいはこれは選挙前の話ですが、沖繩交渉を終わって帰られて、新聞記者との会見において、これ以上沖繩について国会が何を審議するのか、そういうことが言われたように出ておりました。この一連の発言は、どうもやはり自信なのか、あるいはおごりなのか知りませんけれども、総理の国会軽視のあらわれであろうと考えますが、いかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 私は、国会を軽視したつもりはございません。しかし、ただいまのような批判のあるところ、これは、どこまでも私の不徳のいたすところだ、かように思っております。私はむしろ、実は三百名党員がふえた――三百名ふえたわけじゃありませんが、三百名になったという、この国会では、よほど言動を慎まないと、その一々、必ず批判を受ける、おごりが必ず批判を受けると、そう思って、たいへん注意したつもりではございます。しかし、どうも不徳のいたすところ、私のねらいが必ずしも功を奏しておらない、ただいまのような御批判をいただかれ、そうしてまた各方面から私にも注意が与えられております。もちろん反省しておるところであります。私、いまさら弁解するわけでもありませんが、成田委員長に対する答弁も、私は、その後に注釈したように、これは全然修正権がないというわけじゃない、しかしよく審議し、事前にいろいろ相談してますから、そこらでごかんべんを願いたいと、かように申せばよかったかと思います。
 もう一つ、細谷君に対する問題は、これは、取り上げられるが、私自身たいへん皮肉な言い方をしたと言われてもしかたがないと思いますけれども、これは、たいへん軽い意味におとりいただきたい。どうかその辺は、私の不徳のいたすところですから、ただいまのような御批判のあること、これは重々おわびを申し上げておきます。
○田中(武)委員 不徳のいたすところということですが、私は総理を尊敬しています。
 これから、いろいろなことをお伺いいたしますが、どうも行政法のゼミナール、演習のようなこともお伺いいたしますけれども、私は、法制局長官の法律解釈を求めるのではなくして、たいへん失礼ですが、総理が主権在民の立憲民主国の総理として、どのようなお考えで国会なり行政を運用しておられるかということをお伺いするのでありますから、総理の考え方、これを率直に述べていただきたい。したがって、きのうも総理府から何を質問せられますかと、こういうことだったのですが、これはもう総理のお考えを聞くだけなんだから、あらかじめ用意してもらうことはありませんとお答えしたわけです。
 そこで、まず第一にお伺いしたいことは、民主主義と三権分立、昔はブンリュウ、いまはブンリツと言うのがいいでしょうが、三権、いわゆる立法、司法、行政と民主主義との関係なんですが、私は、この三権が相侵さず、互いにその本分を発揮する、これが民主主義の一つの土台であろう、基礎であろうと考えますが、総理、いかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 これは法律論を申すわけじゃございませんが、いわゆる政治論から申せば、御指摘のとおり、民主主義の基本、これにはやはり三権分立、かようなものだ、かように考えます。
○田中(武)委員 そこで、次にお伺いいたしたいのですが、これは六十一国会で、ああいうことで私が議長不信任案を提案したときに言ったことばなんですが、この三権分立ということについて、総理がいまのような御認識を持っておるならば、なるほど政党政治であります。したがって、第一党から議長を出す、これは衆参そうです。第二党から副議長を出す、これが私は常道であろうと考えます。そうして第一党から出す議長の候補者につきましては、たいてい総理一任と、こういうことになる。ところが――総裁一任ですね。ところが総裁は総理である。すなわち行政府の長である。立法府の長を選ぶのに、その人選を行政府の長である総裁に一任する。ここにどうも議長の権威が、やはり行政府の下になる、一党の意のままに動かざるを得ない、こういう原因がある。三権をほんとうの意味において把握せられているとするならば、第一党から議長をお出しになることは当然ですからけっこうです。しかしながら、できるならば複数くらいの人選をして、あらかじめ野党に示し、野党の意見を聞く、そうして野党からも、この人ならばということで、全会一致で議長を選ぶ、その選ばれた議長は、全会一致で選ばれた議長であるという上に立って、公正無私な議会の運営をする、一党の思うがままに動かない、それが国会正常化の基本であり、さらにまた、三権分立からいっても、とるべき道であろうと考えますが、総理、いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 三権分立だといいながらも、ただいま議会民主主義、そういうもとで行なわれておるわが国の政治形態、それから考えますと、議長の選任は、これは国会できめられる、その候補者をそれぞれの政党の党首に一任されることはありましても、これはどこまでも国会できめられる、また総理自身、これも国会できめる、こういうことで、ただいま言われることは、やや正鵠を得ていない、十分ではないんだ、議長も国会できめる、総理もきめる、これがただいまの議会民主主義ではないかと私は思っております。そうして、やはり議会の運営をしていくのに、議長と副議長をそれぞれ政党を別にしたものにしたほうがよろしいのか、単一であることがよろしいのか、そういうことは、国会自身で議論を尽くしてきめていくべき筋のものだ、あるいは、党籍を離脱するとかしないとか、こういうお話にまだお触れになりませんが、そういうこともやはり国会自身できめるべきことじゃないか、かように私は思っております。
○田中(武)委員 首班指名を議会で行なうことと、議長を総裁たる総理に一任する、――もちろん形式的な投票をしても、第一党が当選することはわかっておるのですがね。このこととは私は意味が違うと思うのです。いや、違います。しかし、ここで論争をしておりますと果てしがないと思います。しかし私は、議会の正常な運営という上に立って、第一党の責任者としての総裁の立場から、あるいは国会と行政府とのスムーズな運営という立場からも、私の提案は考慮願いたいと思いますが、いかがです。副議長の点はよろしい、議長人事の問題だけ。
○佐藤内閣総理大臣 いま提案なさったことは、私は当然だろうと思います。これは、わが党では総裁一任に議長候補がなりますが、おそらく社会党でも、最終的には委員長一任じゃないかと思います。この候補はそういうことだが、しかしどこまでも、言われるように、国会の議長ですから、できれば各党で一致して推薦する、こういうことが望ましいこと、これはもう御指摘のとおりだと思います。したがって、私どもも、いわゆる非常に党利党略的な考え方で議長を選ぶというようなことになってはならない、かように思いますので、ただいまの御注意は十分これからもよく伺っておきたいと思います。
○田中(武)委員 次に、国会と内閣との関係においてよく問題となるのは、憲法七十三条の二号と三号の関係、すなわち外交関係におきまして、行政措置としてできるものと――これは二号です。三号の国会の承認を必要とするもの、これは条約、協定、名前はいろいろあろうと思いますが、これがよく問題になります。ところが最近は、どうも国会に一々承認を求めるのがうるさい、そういうことで、だんだん行政の範囲において片づけていかれる傾向が強い、そのように思います。
 そこで、一つ例を海外協力にとってみたいと思うのですが、海外経済協力にいたしましても、これからはますますその金額なり件数なりもふえてくると思います。ことに日米共同声明といいますか、沖繩交渉にあたっての東南アジア諸国に対してのいわゆるアメリカの肩がわり援助等々からも、また当然国連の趣旨からも、日本の経済力が伸びるに従って多くなる、私はこれを否定するものではありません。しかし、ただ一方的に、すなわちアメリカの、何と申しますか、指導下と申しますか、ある諸国にのみでなくて、私は広く東南アジアの各国にやはり同じように援助してもらいたいということが一つ、それからこれは何回も申しましたが、あまりにもこの種のことについて窓口が多いために、予算書を見てもよくわからない、したがって、一本化してもらいたいということ、さらに国会との関係におきましては、その形式が何であれ、その行為によって国が債務を負担する、あるいはそのことによって義務が生じる、一例をあげると、一九六六年でしたか、忘れましたが、三木さんの外務大臣当時だと思います。インドネシアに対するところの再融資協定、これなんかがいつも私、頭に残るのですが、当然国庫債務負担行為として憲法八十五条によって国会の承認を受くべきでなかったかと思います。そういう点におきましても、私はともかくその交渉あるいはその覚え書き協定、何でもよろしい、それが日本の国に対しての債務なり義務なりの発生原因になる場合は、すべて国会の承認を必要とする、憲法八十五条の趣旨はそうだと思うのです。憲法論議はやめますよ、そう理解しております。
 そこで、今後ひとつそのような考え方で、おまえたち野党がどうもひがんでものを考えるからということでなくて、だんだんと国会承認事項が少なくなるこの傾向につきましては、警告を出しておきたい、そのように思いますが、いかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 私は、憲法の番人とは申しませんが、行政府自身として憲法を守らないで行政がよく行えるわけはございませんし、国民の信をつなぐことはできない、かように考えております。したがいまして、どこまでもただいま御指摘になりましたような、憲法を軽視し、その憲法の擁護者である第一の、主権者の代表である国会を軽視する、こういうようなことがあってはならない、かように思いますので、今後とも十分注意してまいります。ただいまおっしゃったことについて、真正面から何ら異議を差しはさむものはございません。そういうことで考えなければならない。したがって私、いままでも憲法の条章はよく守っておるつもりでございますけれども、ただいまも御指摘になりましたように、厳重な上にも厳重にさらに努力する、その決意をこの機会に披露しておきます。
○田中(武)委員 これから私の申し上げることは、論理において間違ったことは言わないつもりなんです。
 次に、お伺いいたします。行政のあり方について、ひとつ総理のお考えをお伺いいたしたいと思いますのは、第一に確認をいたしたいことは、法治国家における行政のあり方は、法律によって行政は拘束せられる、そうして行政府の気ままなことを許さない、許されない、これが第一点。第二点は、したがって、行政に対する立法的拘束は可能な限り厳格にすべきである。これはむしろ国会自体の問題かもしれません。ともかく行政は法のもとに動き、法によって拘束を受ける、この原則の確認、いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまおっしゃることは、当然そういうことが行なわれて初めて法治国家という名前になるのじゃないか、かように思います。
○田中(武)委員 そこで、第一に問題として取り上げたいと思いますのは、法の行政的解釈ということ――これは総理が総理たるの資格あるかとうかのメンタルテストですから。法の最高、最終的な解釈は、言うまでもなく最高裁だと思います。しかしながら、常に国民と、あるいは国民に直接接触するのは行政による、あるいは行政権に基づくところの法の執行であろうと思います。ところが、行政の都合によって法律の趣旨が変えられることが間々ある。その一つ一つの事件につきまして、あるいは事項につきまして、私は関係大臣の弁明を求めるものではございません。もし法律的に議論をしようとおっしゃるならば、受けて立ちます。たとえば同じ食管法のもとで――これはかつて江田書記長なり西宮委員も触れました。やみ米が犯罪となって、七十万人をこす犯罪者が出ております。さらにそのかつぎ屋の持っておりました米は、刑法十九条ですか、犯罪の用に供せられたといって没収せられております。だが今日、これはむしろ奨励せられるべき行為のように考えられつつあります。もちろんその間に、この問題ではございませんが、政令を改正するとか、あるいは省令、通達を出すとか、あるいは何らかの行政行為が介入する、こういう場合はありますし、今回のこの食管法と自由米ということの間においてもあろうと思います。しかし、行政権が介入したからといって、法の違法性を阻却するものではございません。これはあくまで罪刑法定主義の上に立って、法みずからがきめるべきものであります。さらにココムの問題につきましては、何回か議論をして、法律的拘束力のないことは明らかであります。また日本輸出入銀行、輸銀法の第一条の「本邦の外国との貿易」という、この外国には何ら制限はございません。それなのに特定の国、すなわち中国等に対して違った運営をしておられるのも、法律を行政がかってに解釈しておる、このように思います。一つ一つの問題については、こうではない、ああではないということではありません。そういう事実があるということ。そういうことのないようにしてもらいたいと思いますが、行政府の法解釈に対してどのような認識を持っておられますか。
○佐藤内閣総理大臣 法律、必ずしも立法のときばかりの立法の趣旨ではございませんと思いますが、法律によりまして、さらにこまかな点を政令に譲るとか、こういうものがきめられておれば政令はできる。しかし、政令にしても通達にしても、これは本来の趣旨を曲げて、法律を曲げて、あるいは法律の規定を逸脱して政令や通達のできないこと、これは御指摘のとおりであります。したがいまして私は、その法の精神が守られなくてさらに政令やその他通達等が行なわれる、あり得る、かように思いません。御指摘のとおりであります。
○田中(武)委員 したがって、次には行政立法のことをお伺いする順序になります。本来法律できめるべきものを、行政権が、国会の審議を避けるために、行政立法の手段を用いる場合があります。あるいは一つ一つ法できめなくてはならないのを、めんどくせえということで、包括的に法律できめようとした場合がございます。しております。いろいろな問題がありますが、一、二の例をあげますならば、たとえば、当然法律できめるべきであろうと私は思いますのを文部省令できめておるのが、教科書の検定の問題であります。坂田さん、そのことについて議論があるならば応じますよ。学校教育法第二十一条第一項、文部省設置法第五条第一項、教科書の発行に関する臨時措置法第二条等々の規定から見る限り、当然教科書法ともいうべき法律をきめて、そうしてやるべきであろうと思うのに、教科書用図書検定規則――文部省令手。教科用図書検定基準――文部省の告示です。等々でやっておられる。このことは、すでに家永裁判として裁判所で争われておりますので、結論はやがて裁判所がつけるであろうと思いまするが、疑問がございます。
 さらに、法律で基準をきめるべきと思われるのを政令にゆだねる、あるいは行政立法がかってにきめる、こういう点があります。それは国家公務の一般職員の政治活動の禁止に関してであります。国家公務員法の百二条一項、これを受けまして人事院規則の一四−七、ここで具体的な政治的行為というのをきめております。しかし、一般公務員の政治に参加するということは、主権在民の今日当然であります。しかし、公務員としての立場上いかがかと思われる点は、絶対私は否定はいたしません。しかし、具体的なこの行為はどうか、この行為はどうかということは――憲法で保障せられ、主権在民の今日、一つの、人事院規則において具体的な政治的行為をきめていくということに対しては、私は疑問があります。あるいは、先ほど申しましたように、当然一つ一つに対して国会の意思を問うべきものを包括してまとめようというのが、たとえば六十一国会で強行採決をなされたところの総定員法であります。本来各省庁設置法によって定員はきめられており、一々法改正の手続をとっておりました。それを包括的に行なうということは、何とせられましても――これは国会において可決成立したんだ、こういうことをおっしゃると思います。数さえあればやれることです。しかし、総理、多数をもってやられたとしても、真理は残ります。社会党敗れたりといえども、真理は死なない。どうですか。そういったような、私は、多数の力を持つならば、法の……(発言する者あり)やかましい。法の真理を……(発言する者あり)まじめにやっておりますよ。どなたですか、討論があるならばお立ちください。受けて立ちます。――何でもやれるという考え方は変えていただきたいと思います。いかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 立法府が、こういう事柄は立法事項だ、そういうものがいつも問題になると思います。先ほどの外交にしても、また内政の問題にしても、本来立法事項だ、こういうものだと言われたものが、いわゆる議論の余地のある問題だ、私はさように考えておりますが、こういう点が今後ともだんだん一つの慣習にもなってくるんじゃないだろうか、馴致されるんじゃないだろうか、かように思っております。やっぱりせっかく議会制民主主義が発達しておる段階でございますから、できるだけそういう方向に進まなきゃならぬ、かように思っております。ただ、非常にむずかしいのは、いま言われる立法事項なのか、あるいは行政でそういうことはやり得るのかという、そのけじめをつけることが非常にむずかしいのじゃないか、かように思っております。ただいま政府が法律を立案し、御審議をいただくというのが大体のたてまえになっております。皆さん方が、それぞれの立法府として責任を果たしつつあられる事柄がなかなか成立をしない、こういうようなこともございますが、おそらくこれからは、国会自身が立法するのが主になる、行政は行政としてやってもいいが、しかし、法律をきめればそれに従うべきだ、かように仰せられるのも、これも当然だろうと私は思います。そこらにむずかしさがあって、行政、立法、お互いに連携をとりつつ、対立しないでうまく国政をやっていかないと、迷惑するのは国民だと、かように考えますから、国民に迷惑が及ぶようではいかない、かように思っております。
○田中(武)委員 そこで、行政立法の問題で、いつも話題となり、問題を起こしておりますのが政令恩赦であります。昨年ですか、明治百年記念ということで、政令恩赦が行なわれました。しかし、これは何といっても選挙違反者の救済である、どうも党利党略的政令恩赦ではなかろうか、当時騒がれました。私は、全部否定するものではありませんが、政令恩赦というのは、これまた罪刑法定主義の例外中の例外であります。したがって、よほど慎重の上にも慎重を期していただかねばならない、そう思っております。
 また、政令を出さないことによって国会の意思を無視してきたことの事例がございます。河川法は、昭和三十九年法律第百六十七号で公布せられております。ところが、それを運用するための政令がまだ出ておりません。十三条の「河川管理施設等の構造の基準」に対する政令、その他たくさんございます。一々、なんでしたら申し上げますが、河川法十三条二項、二十八条、二十九条一項、二項等々の政令がまだ出ておりません。なぜ今日まで五年以上もたっておるのに出ないのかということは、どうやら役所間のなわ張り争いにあるようであります。国会において成立をし、公布せられた法律が五年間も、政令が出ないためにたな上げせられておるということについては、いかがでしょう。これも建設大臣の言いわけを聞こうと考えておるのではありません。総理、いかがでしょうか。国会の意思を無視するものではございませんでしょうか。いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 政令恩赦について慎重な上にも慎重に、これは私が申し上げるまでもなく、恩赦法に基づいてやるのですから、それが慎重な上にも慎重にやられるべきは、これはもう当然でございます、御指摘になりましたとおり。今後とも一そう慎重にこういう問題と取り組みます。
 河川法の問題については、私、十分事情を明らかにしておりませんが、しかし、せっかく法律ができたのに政令ができないという、さようなことがあっては申しわけがない。したがって、私自身の責任でもありますから、それぞれ関係省を督励して、問題の所在を明確にし、やはりそれぞれを進めていくようにいたしたいと思います。
○田中(武)委員 次に、国会決議と内閣の責任、これをお伺いいたしたいと思います。
 いま私は、ここに第五十八回国会以来、衆議院の常任委員会、特別委員会、全部にわたって決議せられたのを持っております。それは内閣委員会以下十三の――特別委員会を含んで持っております。そこにおられる閣僚の皆さん方にそれぞれ関係がある決議でございます。いかがでしょう、われと思わん人があったら手をあげてください。あなたの管轄の事項を取り上げます。
○福田国務大臣 国会の御決議につきましては、つとめてこれを尊重しております。ただ、時間の関係なんかでおくれておるものもありまするけれども、これは重々尊重してやっておりますことを御了承を願います。
○田中(武)委員 何も大蔵大臣に御答弁を願う予定ではなかったのです。よほど自信がおありだったと思います。
 そこで一、二、例をあげてみましょう。これは法務委員会が四十三年三月二十九日、刑法改正にあたってやりました附帯決議、当然これは本会議に報告せられておりますから、院の決議になります。「交通事犯等の刑事事件により起訴され、休職となり、あるいは給与、恩給、退職金等について不利益な措置をうけ、後日に無罪となった場合、その救済について法改正を含む適当な措置を講ずべきである。」こういう決議がなされております。今日それは実現をせられておりません。たぶん関係省庁間で現在検討中ぐらいのことしか、お答えにならぬのじゃないかと思います。もう時間もないので言いませんが、大蔵省のも、全部あります。そういう決議がなされるごとに、関係大臣は立ちあがって、御決定の趣旨は十分尊重いたします、あるいは努力いたしますと、こう言われるわけです。それがここに持っておるだけでも何件ですか、相当あります。いかがでしょうか。こういう国会決議に対して、政府はどういうように考えておられますか。
○佐藤内閣総理大臣 これは、もう、答えは申すまでもなく、尊重すべきものである、その一語に尽きるのでございます。ただ、いまおあげになりましたような事件につきましても、いろいろ行政府といたしまして、そのままそのとおりがやれない場合もある。そういう場合に、よく国会の皆さん方に、決議をいただいた方々に御了承を得るようにしなければならない。事情の変化もあるだろうと思いますので、そういう点ができないのだ、やはり適当な機会に報告する義務があるだろう、かように私は思います。
○田中(武)委員 国会決議と同じような――だいぶん性格が違うが、決議という点においては同じですが、それに請願の採択がございます。請願は言うまでもなく、憲法第十六条に認められた国民の権利である。国民というよりも、むしろあれは「何人」ということになっておるから、国民以外でもできるわけです。また請願法の第五条は、その請願を受けた官公署は「誠実に処理しなければならない」こうなっておる。この請願の採択については、国会側のほうにも私は考えるべき問題があろうと思いますが、ともかく国会が請願を採択する。そうすると、議長の名において内閣に送付せられる。そして二年ですか、三年ですかたちますと、一冊の刷りものになって簡単なのが来るだけなんです。検討中だとかなんとか書いてあるのが来るだけなんです。
 この請願の採択、送付せられたこの請願についても、政府は責任をもって表現に努力すべきである。同時に、委員長にも私御相談をいたしたいのですが、各委員会において、ともかく国会最終日あたりにたくさんの請願を一括してきめてしまうというやり方、これは国会側にも考える必要があろうと思います。数千件にのぼる請願を一括審議をしてしまうというやり方等々も、私変えねばならないと思います。一つは総理に、一つは委員長にお願いをするのですが、この請願のことにつきましては、各委員会で請願の審査小委員会といったようなものを常に持って、ある程度たまったり、付託を受ければ、そのつど真剣に論議をしてきめていく。そのかわり、採択したものについては、必ず政府において実行せしめる。このような方法をとりたいと思いますが、ひとつこれはあとで相談することにして、委員長から議長等にも要請、または進言をしてもらいたい。採択せられたものについての政府の責任は、総理のほうからお伺いいたします。
○佐藤内閣総理大臣 請願は申すまでもなく民意、これ国民の意思を反映している。そういう意味で、これを軽視してはならない。もちろんこの扱い方については、慎重にこの問題と取り組むという態度であるべきだ、かように私は思っておる。
○田中(武)委員 次に、大臣、政府委員を含みますが、国会答弁の責任性をお伺いいたしたいと思います。
 その前に総理にお伺いいたしますが、総理は、三十九年十一月九日、第一次佐藤内閣成立以来今日まで五年数カ月、この間に何人の大臣をおつくりになりましたか。延べでけっこうです。
○佐藤内閣総理大臣 ちょっといますぐ答えられない。
○田中(武)委員 任命をせられたその総理がちょっと覚えていないほど多過ぎます。いいですか佐藤総理、あなたが政権を担当せられてから、今日まで、これは延べというのは、重任せられた人を認証式一回ごとにやはり新たに任命ということですか、それを含めまして百三十四名。参考までに申しますと、吉田内閣八年二カ月で百二十九名、鳩山内閣二年で四十九名、石橋内閣は二カ月で十七名、岸内閣が三年五カ月で六十八名。池田内閣が五年四カ月で百一名、保守党内閣ができましてから二十四年三カ月で四百九十八名、国会議員のすべてより多いですね。このように大臣がかわる。大体において一年ごとにかわる。また政府委員も大体二年、いや、それより短かい期間でかわっていく。しかも、この次はどのポスト、どのポストへ行った者は次官になる。同期の桜が次官になれば他はやめていく。そこで終着点に達するのが大体五十歳前後、こういうことですから、問題の高級公務員、高級官僚の公社、公団、民間等に対する天下り問題の原因もそこに一つある。先日来の当委員会において、たとえば大原委員の指摘した児童手当その他社会福祉等に関する大臣答弁、歴代の厚生大臣はいろいろかってなことを言い、人気取りのようなことも言っておられるが、一向にそれが実現せられていない。また西宮委員が指摘いたしました農政についての歴代農林大臣の無定見な答弁、また総理みずからなされましたところの、たとえば政治資金規正法についての御答弁等々を考えてまいりますと、大臣、政府委員の答弁はその場限りで、何とか言いのがれをしよう、そうして一年たてば人がかわっておるので、その当時私はと、こうなるわけなんです。そういう点をも含めて、大臣、政府委員の国会答弁に対する政治的、道義的責任はいかがなものでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 もちろん大臣その他それぞれの地位の声明あるいは発言、そういうものについての責任は、最高責任者である私が負うべきものだ、このように考えております。また、ただいまは議会民主主義、そういう意味で政党政治でもある、かように考えますがゆえに、やはり政党の総裁として責任を負うべきものも多々あるだろう、私はかように思っております。そういう問題が、あとで問題が残らないようにそれぞれの責任ある処置をする、かように心がけていかなければならないと思っております。
 ただ一つ、弁解がましいことを申すようですが、ただいまのような情勢下におきますと、どんどん事情の変化がございますので、そういう意味からは、さきのものをそのままやれないものもある、そういうことは御了承いただきたい、かように思います。また、大臣がどんどんかわった、かように申しましても、政党自身がかわっておりませんし、また総理自身もかわっておりませんし、その責任の所在はおのずから明らかだ、かように考えますので、その辺も御宥恕願いたいと思います。
○田中(武)委員 時間の関係等もあって、私はスマートに、議論をせずに質問を続けていきたい、審議に協力する社会党の姿を見せたい、そういうことで次へまいります。
 次は、法と通達との関係、いわゆる通達行政の問題点であります。まず総理に確認をしていただきたいのは、通達というものの基礎は、国家行政組織法第十四条の二項にそのもとを持っております。これは、行政取り扱いに対して全国的統一をはかることを目的として、上級行政庁が下級行政庁を指揮するために行なう指示あるいは命令等々の形式であります。したがって、法律的拘束力を持たない、あくまでも法の趣旨あるいは法の精神に違反するようなものであってはならない等々の制約は当然あると思いますが、いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 そのとおりでございます。
○田中(武)委員 ところが、そうでないものがたくさんございます。一々議論はいたしませんが、あります。関係の大臣、政府委員で、そうではないとおっしゃるなら議論は受けます。
 まず第一に、私が体験したものを申し上げますと、ある中小企業が設備近代化助成金の手続をとりに窓口に行った。ところが、税金完納の証明書を持ってこなければ受け付けぬと言った。ところが、法律のどこにもそんなことはきめておりません。そこでその係官に話をしますと、窓口事務取扱何とかというのを持ってきて、ここにこう書いてあります、こういうことなんです。ところが法律ではそうなっていないよと言うと、その係官自体が法律を知らない。根拠を知らない。ただやっておるのは、上から来た取り扱い規定だとか、それだけで仕事をしておる。言うならば、法はうしろのほうにあって、窓口においてはこの通達がものをいっておる。通達行政といわれるゆえんでありましょう。
 そこで、いま申しました中小企業の金融の問題については、もうこれははっきりしたわけです。
 このことについては税法関係にもございます。ここに私調べたものを持っておりますが、所得税関係では、給与所得の源泉徴収税額表の日額表丙欄を適用する給与についての定め、医療費控除の対象となる医療費の範囲についての定め、法人税につきましては、合併法人に引き継がれた資本積み立て金額がある場合の、みなし配当額の計算についての定め、広告宣伝用資産の受贈益についての定め、いろいろあります。このことは専門家の主税局長さんあたりについては議論もあろうと思います。しかし、これらが法律に沿わないということで、学者間で大きな論議になっておることは御承知と思います。当然反論もあろうと思いますが、まあ専門家でございますからお読みになっておると思うのですが、「税法学」の一九六九年の十月号、二百二十六号の一九ページから三一ページ、続いて十一月号、二百二十七号の三一ページから三四ページあたりで、各学者がそのことについて批判をいたしております。これは専門家はお読みになっておると思いますが、お読みになっておるならば、おわかりと思います。なっておらないというならば、これを読んでください。読まれたあとで、他の場所において論議をいたします。
 あるいはココムの問題については、もう何回か指摘をしたとおりであります。通産省関係でいうならば、ここに私はでかいものを持ってきておりませんが、たとえば戦略物資輸出承認等事務処理要領が外国為替及び外国貿易管理法の四十八条二項及びそれに基づく輸出貿易管理令一条六項の法の精神を逸脱したり、法に沿わないということをかって私は指摘したことがございます。私の指摘によってその点を削除したことがございます。思い当たる点があろうと思います。
 こういうように幾らでもあるわけなんですが、総理、こういう点についてはどうなんでしょう。私は全部洗い直せとは申しません。しかし、通達行政のあり方について、大所高所からの検討が必要ではなかろうかと思いますが、いかがでしょう。
○佐藤内閣総理大臣 通達を大所高所から見直せとおっしゃること、これには別に異存はございません。本来通達というものが法律を無視したり、法律の精神に反したり、あるいはそれを逸脱するものではございませんから、そういう意味で十分気をつけなければならぬこと、気をつけろとおっしゃる、さようでございます、かように申し上げる以外にはございません。
○田中(武)委員 どんどん進めます。
 次に、行政指導のあり方についてもいろいろ問題があります。まず総理との間に確認をしておきたいのは、行政指導とは何かということです。これは行政機関が特定の行政分野に関し、法令の執行、適用として個人、団体等を相手として行なうものである。したがって、強制的なものでなく、任意的なものである。法令に根拠を置かなくてはならない。それは行政機関の希望または願望である。行政指導というものの定義とすれば、こういうことが言えると思います。そうでしょう。したがって、そこから出てくるのは、行政指導の原則というのが出てきます。それは一つは、比例の原則とでも申しますか、行政目的を達成するために必要最小限度であるべきだということ。次は平等の原則とでも申しますか、その行政指導は国民のすべてに平等でなくてはならない。いわゆる無差別平等であること。さらに信義則に沿わなくてはならない。こういう信義誠実の原則とでもいいますか、これに沿わなくてはならないというような制約が出てくることは当然です。
 この行政指導の定義及びその原則を御確認願えますか。
○佐藤内閣総理大臣 大体においてただいま仰せになったとおりに私も考えております。ただ、むずかしいのは、わが国におきましては、まだ民主政治になじまない点がございます。いわゆる官尊民卑というようなことば、これは古いことばでございますが、いまなおそういうものがどこかに残っておる。こういうものをやはり早く払拭する、そしてとにかく国民の自由意思でどんどん行動をとられ、しかものりを越えないような状況になりたいものだ、かように私は思っております。
○田中(武)委員 行政指導が、先ほど申しましたような原則、定義である限り、これはあくまでも事実行為で、法律行為ではないわけです。そうですね。ところがこれが法律以上に動いておるわけなんです。たとえば許可、認可なんかをやる場合に、きめ方は、許可を与えなければならないというきめ方と、許可を与えることができる。逆な場合に、その免許を取り消すというのと、取り消すことができると、こういうきめ方があります。前者のほうは、いわゆる行政裁量を許さない、あとのほうは行政裁量を許すということ。ところが、この許可、認可にあたって、その条件に適合しておるにかかわらず、裁量を許さない、こういうものについてもいろいろな条件をつけたりあるいは覚え書き書をとったり、そういうことをやっております。
 一例をあげますならば、これは通産省の方は思い当たる点があろうと思いますが、火薬類取締法七条で、火薬類製造の許可基準が一号から四号まで定められております。これはむしろ逆な書き方で、以上の点に適合していないと認めるときは許可をしてはならないという書き方なんです。だから適合しているのかしていないかということは行政裁量です。しかし、それに条件をつけて許可をするというような例がある。答えはイエスかノーかなんです。いわゆる適合しておるとするならばイエスであり、適合しておらないというのはノーであります。もちろんその行政裁量の中に、こうこうこういう点を改めるならば適合しますというならいいのですよ。これはアンホという火薬ですが、どこそこへ売ってはいけない――これは一ぺん議論したのですから、もう議論じゃないのです、というようなことの条件をつける。こういうようなことが間々行なわれておる。たくさん事例を持っておるわけです。
 たとえば独禁法と行政指導の関係も微妙なものがあります。いわゆる行政指導の名のもとに、独禁法が禁止しているカルテル類似行為が横行しておる。行政指導の名で、自主調整とかなんとかといい、あるいは何々の建て値制度、こういう例もございます。中には行政行為が介入することによって違法性が阻却せられるというようなばかな考え方を持った人もおる。さらに言うならば、特定産業振興法、いわゆる特振法は二回にわたって国会において審議未了、廃案となりました。したがって、国会の意思はこれを拒否したことになります。ところが、今日これと同じことが行政指導の名のもとに横行しておる。異議がございますれば、いつでも受けて立ちます。こういう点を私はたくさん調べておりますが、もう時間もたちましたので、一、二の例にとどめますが、こういう行政指導のあり方に対して、総理はどのように考え、どのように指示をせられますか。
○佐藤内閣総理大臣 先ほどちょっとお答えしたつもりですが、どうも役所が民間でやることについて介入し過ぎる、またその介入を民間のほうでも希望しておられる、こういうものがあるようでございます。いまの許可あるいは認可事項、さらに届け出事項、それらのものを考えてみましても、はたしてあそこまでやらなければならないのか、民間にまかしてよろしいのではないのか、こういう、いま言われたものの前に前提の問題が一つあるように思っております。私は、いまそういうものが整理されて、そして真に自由的な活動ができるようにいたしたいものだ、かように考えます。行政指導もさることながら、もっと民間自身でみずからが規律する、こういうことが望ましいことだ、かように思っております。
○田中(武)委員 私はいままでいろいろな点で国会と内閣、立法府と行政府との関係について例をあげながら来たわけなんです。
 そこでひとつ、これは委員長に御相談を申し上げたいのですが、憲法第四十一条で、国会は、国権の最高機関であって、ただ一つの立法機関である、こういうふうに定められております。ところが、先ほど来私は法律に沿わない行政が行なわれておるということを指摘してきたわけなんです。これは国会側においても考えねばならないと思いますのは、言うならば、子供を産んで人まかせである、その子供がどのように成長していき、どのような待遇を受けているのかということを見定めることが国会の責任であり、行政のあり方に対して国権の最高機関として監視するのが国会の役目であります。かつて、これは十五、六年前ですか、私の出てきたころ、国会に行政監察特別委員会というのがありました。これがなくなっておりますから、こういうのを復活せしめる、こういうことも必要ではなかろうかと思いますし、また、あくまでも立法というものは、国会にゆだねられたただ一つの立法機関としての責任であり義務であります。したがって、あまり委任立法をたくさんつくるのが本来の目的ではないと思います。したがって、委任立法の範囲を国会みずからがその基準をきめる必要があると思うのです。先ほど来、私は行政立法について若干の論議を提起しました。いろいろと法を無視したり行き過ぎがあるということがあります。もちろん、行政立法の多くは法律の委任を受けております。しかし、私は、あとう限り国会本来の姿に立ち返る必要がある、したがって委任立法はどういうふうにやるべきかというような基準を定める必要があります、こう思います。そういうことを含めてひとつ後ほど御相談をし、これまた議長に進言をしていただく、そのようなことをひとつ考えていただきたいと思います。いかがでしょう。
○中野委員長 田中君の御提案の点はごもっともと理解はいたしますけれども、当委員会においてはたして取り扱うべきやいなやにちょっと問題がありますので、後刻理事の間において協議をしてみたいと存じますので、御了承を願いたいと存じます。
○田中(武)委員 次に、予算と国会との関係に若干触れてみたいと思います。ようやく予算委員会らしくなったかもしれません。
 まずお伺いいたしたいのは、予算編成過程においてのいろんな問題です。ここに私一月末、すなわち復活交渉前後の二、三の新聞記事を持ってきております。ちょっと読み上げてみますと、これは朝日新聞、一月二十七日、「首なし地方自治」「部長以上の半数が予算復活へただ今上京中」、こういうことで、北海道から鹿児島に至る四十五名の知事のうち三十五名、副知事五十二名中二十名、部局長三百六十五名のうち百六十六名、中には部局長の全員が、これはいわゆる陳情のためであろう、上京しておるという、こういうことを報じております。さらにこれは三十日のこれまたある新聞の記事なんです。「庁内、差入品の山」「「予算」大詰、業者がサービス合戦」「酒びんゴロゴロ飲み放題」。中には、これは三十一日の記事です。陳情合戦の疲れで急死、病身を押して上京の千歳市会議長。いろいろまだありますが、いわゆる予算編成期から大臣折衝、復活折衝に至る間は、百鬼夜行であります。
 そこで私が特に総理なり大蔵大臣にお伺いいたしたいのは、そのような陳情があれば予算のつけ方が変わるんですか。言うならば、地方自治体はこれまた住民の税金で上京してきてやっておるわけです。相当な金を使っております。またいわゆる圧力団体といわれる団体等々の陳情、圧力、この行動費等々はこれ一般大衆の会費であります。こう見てきた場合、税金を使って税金の取り合いをやっているということになりますね。そのようなことが、だんだんとエスカレートしてくるということについては、考えねばならないと思うのです。ひとつ大蔵大臣なり総理、むだな陳情はやっても同じですからおやめなさいと――もし陳情によって大蔵大臣のさじかげんが変わるというならともかく、変わるとするなら問題です。そういうようなばかな陳情はおやめなさい、こういうことをここではっきり言っていただきたいと思うんですがね。いかがでしょうか。
○福田国務大臣 予算の編成過程を見ておりますと、いま御指摘の地方庁の役人の多数の人が上京してくる、どうも少し行き過ぎがあるような感じがします。これはひとつ直していただくようにしたいと思います。しかし、私は大蔵大臣として、あるいは老人の方が、あるいは保母さん方が、あるいは青少年の方が、あるいは御婦人方、こういう方々がいろいろ陳情、まあ予算の説明に来られる。これは私は喜んでお会いするんです。お会いをして話を聞きますが、役所から説明も聞いておるその説明で発見できなかったようなことを発見することもある。そこには、そういう来られた方々のごりやくというか、影響というものもあろうかというふうに思いますが、しかし、ただ単に陳情があるからというだけの理由をもちましてさじかげんが違ってくるということは絶対にあり得ない。今後もいたしません。
○田中(武)委員 民主政治、主権在民のもとであっては、国民の声を聞くことは絶対必要であります。私はそういう意味のことを言っておるんじゃないんです。これは、私も外国の役所へ行ったことがございますが、日本の役所のように廊下をぞろぞろと人があんまり通っておりませんですね。日本では、ともかくいつ行っても陳情、抗議というか、陳情ですねやっぱし、それがいま大蔵大臣が言われたような善意な国民の声を反映さすというのでなくて、業者が、圧力団体が横行しておるということです。そこに私、腐れ縁とかあるいは黒い霧とか等といわれる原因があるんじゃないか、こう思うのですが、どうでしょう総理、少しそういうやり方を改めていく。ともかく法律できまっておるんですよ。あるいはその他のことできまっておるから、来たからといって、ふえるわけじゃないんですよ。それを中には、いやあれはおれが取ってやったんだ、つくってやったんだと、こういうことを宣伝せられる向きもあるようでございます。どうでしょうかね。
○佐藤内閣総理大臣 私も、最近の状態については実情をよく知りません。かように申すと、いかにも総理は何ということだといわれて、おしかりを受けるかわかりません。実は私の秘書官にはよく命じて、もう予算の陳情ならおれは受けないから、だれからいってきてもおれには会わすんじゃないよと、こう言って全部面会を謝絶しているというのが現状でございます。私はしかし、ただいまも田中君から御指摘になっておるように、民主政治のもとでございますから、どうも陳情が行き過ぎた、まあ百鬼夜行というような表現はいかがかと実は思います。しかし私は、圧力団体に政府が屈する、さようなことがあってはならない、かように思いますし、幸いにして私の信頼する大蔵大臣は、その辺はたいへんうまくやっておるようでございますので、御心配のないようにお願いをいたします。
 また、党内におきましても、これらの点は特に私は注意をいたしております。最近の各政党のあり方がややサービス合戦になっているのじゃないだろうか、こういうことも実は心配しております。これは真の民主政治のあり方ならばけっこうでございますが、どうも民主政治がすなわち国民に対するサービス合戦だ、かような形で民主政治はなかなか進むものではない、かように思います。したがって、ただいま田中君の言われるように、予算編成について慎重であれ、また、圧力団体に屈することなしに政府が責任のもとにおいて、その責任で予算を組めとおっしゃること、これはもう当然だ、かように思いまして、私は大体の方向としてそのとおりにやっております。
○田中(武)委員 この圧力団体の圧力、あるいは財界の圧力等々がいつも問題になります。たとえば、こういうことは真剣に取り上げられないと思いますが、これは財界の有力者が憲法改正を口にする、こういうこともあるわけなんです。もう一度はっきりと、圧力には屈しませんと言ってください。財界に対しても言ってください。憲法改正を示唆しておりますよ。いまでこそ桜田日経連代表理事の意見ですがね。いかがです。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま私が申したように、この圧力団体あるいはその他の圧力には屈しない、私は自分の信念を貫く、こういう立場でございます。最も大事な憲法改正の問題、これは国内におきましてもいろいろ改正論者のあることは私も知らないわけではございません。しかし、ただいまの状況では少数意見だろうと私は思います。したがって、これは国民のきめる問題だ、かように考えますので、十分国民の動向を見きわめて、しかる上に憲法の改正などのような重要問題は、特に慎重が上にも慎重を期すべきだ、かように私は思います。
○田中(武)委員 予算編成にあたってのいわゆる大臣折衝復活、この段階における大蔵大臣のとられる――あなただけじゃないのです、各歴代大臣に問題があろうと思うのです。と申しますのは、大蔵原案ではばっさりと切る、そうしておいて復活折衝においてこれを復活せしめる。ここにその一々の本年度のやつを私は調べておりますが、もうその時間がないので申しません。しかし、大蔵大臣をやられるほどの人、ことに福田さん、初めから必要か必要でないかというくらいのことはわかっておるのですよ。ところが、ばっさりと切っておいて、折衝段階においてつけてやる。これは特定の国会議員、これは自民党でしょう、あるいは団体の代表者等の顔を立てる。近き将来を期してかもしれません。そういうこととしか思われないのです。もう時間がないので、私ずっとやっておりますが、いわゆる大臣折衝復活の段階において、ばっさり切っておいて復活せしめるというようなことを――これは必要だと思うのです。しかし、それが顔を立てたるというようなこと、またそのことによって、いや、あれはおれが福田さんに言ってつけてもらったのだ、こういうように言わすようなことは避けるべきじゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょう。
○福田国務大臣 とにかく概算要求は前年度の二五%増なんです。それを一七・九%にまとめる、まとめることが容易じゃないのです。でありまするので、最初は少なく出る。そしてだんだんと一週間、十日の間にそれを大体私どもの腹づもりをしているところにまとめていくというテクニックとしてやっておるのでありまして、特定の人の顔を立てるというような配意のもとにやっているのではない。予算の編成の技術につきましてはいろいろの方法があろうと思いますが、現段階においては、やむを得ないのじゃないか、そういうふうに考えています。
○田中(武)委員 だんだんと時間が迫ってきたので急いでいきたいと思います。ここでじっくりと議論をしたかったのですけれども、時間がないようです。
 次は、法と予算との関係です。これは国によっては予算を法律的に、法律と同様に扱っているところもあります。そういうことではなくて、あくまでも法は国会が審議をして成立せしめる、予算は国会が審議をして、とれまた成立する。参議院における取り扱い等は若干違うにしても、その点においてはあまり変わりないと思うのですが、たとえばきのう論議になりました塩業整理交付金の五十億、昨年予備費で支出いたしました二百二十五億の稲作転換奨励金、あれは――暫定予算か十八日間とかなんとかおっしゃっておる。これなんかも予算が参議院にいって、参議院において審議状況を見て、暫定予算がどのくらいかということになるわけです。あるいは参議院が、いや、良識ある参議院として一週間でやるのだということならば、暫定予算は必要でないということになる、そういうこと。これは暫定予算を出すのですが、それと暫定税法がすでに出ておるということ。この法と予算というものは、それを執行する法律というものは、これは車の両輪のごときもので、同時に行なうべきではなかろうかと思うのです。ところが、予算が出てきたが法律が出てこない。逆に法案は出てきておるがというか、予算に先行して法案が走るということ、まあいろいろあります。ことに同じ性格のもので、あるときは行政として、あるときは法律で基準をきめる。塩業交付金においても、きのうは私聞いておりまして、若干考え方を変えられたようですが、分科会においては、今国会には関係法律が間に合わないので、できるだけ早く交付基準をきめる、こういうような答弁をなされたようであります。こういう交付金あるいは補助金の基準とか何かを、ときとしては法律として同じものを、今度は行政措置であるいは政令でと、こういう点のまちまちなことが私は第一気に入りません。はっきりしたことをきめるべきであり、これは私は法において基礎をきめるべきである、基準をきめるべきである、このように思います。一々については申しません。
 さらに、もう一つ問題と思うのは、予算が成立し、その執行過程において一律五%を削減する。私は始末することをいけないとは言わないのですよ。しかし、国会の承認を得て、審議を得て成立した予算を、目を変えるとかなんとかいうことはいいです、許された範囲において。ところが、一律に切り捨てるとかどうとかいうことは、これはやっぱり国会承認事項じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○福田国務大臣 まず、法律と予算の関係は車の両輪だというお話でございますが、予算は、法律を要してこれを執行するものと、要せずして執行するものと両方あるわけであります。その執行にあたって法律を要するものにつきましては、まさに車の車輪である、かように考えます。それから予算で御審議願って成立いたしましたこの予算、これは予算の御審議の御趣旨を体しまして、誠実にこれを実行いたします。いたしますが、状況によりまして、そこまで支出しないでもいいじゃないかというような場合におきまして、これを限度まで実行しなければならない、さようにまで考えない。法的には支出の権限を与えられたものである、そういうふうに考えております。しかし実行は、なるべく予算の完全執行ということを考えますが、ときにはまあ全部使い切らぬでも、こういう考えを持つこともあり得る、かように考えております。
○田中(武)委員 続いて政府関係機関予算、予算と決算との関係、こういうぐあいに続くわけなんですが、時間もいよいよ迫りましたので、もう結論に入りたいと思います。
 政府関係予算については、これは分科会でも北山委員も触れられるし、私も若干触れたので、その点は省略いたします。
 ただ財政法二十八条七号の主要な云々というこの解釈の問題です。百十ある政府関係機関予算のうち十四しか説明が出ていない。あるいは特別会計が現在四十二ある、ところが説明書には二十六しか出ていない。あるいは特別会計を設けること自体、特別会計の性格等についても論議がしたいのですが、もうやめます。
 そこで、これはむしろ委員長に、同じようなことになろうと思いますが、御相談をしてみたいと思うのですが、財政法二十八条七号の政府関係機関の予算書の提出の問題ですが、主要なものについて、こうなっておるのです。そして百十もある中でいま十四しか出ていない。あとは出ていないのです。これはまあ百億以上、こういうことのようですが、いわば審議を受ける側の大蔵省が、その何が主要であるかということをきめることは、私ちょっとおかしいと思うのです。これは先日福田大蔵大臣も御答弁になっておりますが、何が主要なのか、こういう基準はひとつ相談をすべきじゃないか、こう思うのです。
 それからもう一つは、政府関係機関が、本年度相当金を使っておるのですから、どういうことをしたかということを、国会に報告義務を持たしたらどうかと思うのです。もちろん、それぞれの特殊法人の設置法に、関係大臣なり大蔵大臣の認可とか、あるいは報告義務があるようです。しかし、それだけでなくて、国の税金、あるいは国民の金、これを使って政府が本来ならばやるべきものを特殊法人がやっておるというような問題等を考えて、これはひとつ何をやったのか、百十を私調べたのをここに持っておりますが、これは一つ一つ、一体何をやっておるのかというのもあるわけですよ。だから、そういう点をひとつやってもらいたいと思う。そういう点いかがでしょうか。
 それから特別会計もいま四十二あるわけですね。今度四十三になるのですね、一つできますから。こう見た場合、これももう一ぺん考える必要があるのじゃないか。特別会計について私の議論というのは、これは一つの特殊法人と同じような機能を果たすということです。それはいろいろ議論はあります。そう考えていますが、これをひっくるめてお願いいたします。
○福田国務大臣 財政法第二十八条の主要な法人の範囲いかん、こういうことでございます。これはいままで政府のほうでそれの主要なものの認定をしてやってきましたが、国会のほうで御意見がありますれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。できる限りこれを尊重してやっていきたい。
 また特別会計、これはそれぞれその存在の理由があるのでありまするが、総合予算という見地から見ますると、なるべく少ないほうがいいのです。ですから、これも御意見がありましたならばお聞かせを願いたい、かように考えます。
○田中(武)委員 次に、予算と決算との関係をお伺いしたかったのですが、これはもう決算委員会でやります。ただ、ここで言いたいことは、決算で指摘せられたようなことが次の予算編成にあたり、予算執行にあたってどう生かされておるかということが問題なんです。これはもうそういうことでおきたいと思います。
 私は、まだあるのですが、尽きましたからこれでやめます。質問を終わりますが、総理、どうも私の質問と十分波長が合わなかったような点があるのじゃないかと思うのです。必ずしも私はこの質問が成功したと思っておりません。いかにいい音波を出しても、受信機と発信機の波長が合わないときにはこれはいい音楽になりませんので、やむを得ません。その意味において、私は必ずしも全部成功したとは思っておりませんが、まあこの程度でおきたいのです。
 ただ、一つ苦言を最後に言わしてもらうならば、どうぞ総理、おごる平家は久しからずなんて言いたくないですが、三百議席の上に立ってこれから自信を持っておやりなんでしょうけれども、国会と行政府との関係等々については、私、あらゆる点から問題だけを提起したようなかっこうになりましたが、十分ひとつ配慮していただきたい。私が提起いたしましたいろいろな問題の一つでもいい、総理なり福田大蔵大臣が取り入れていただくならば、私は望外のしあわせであります。お願いをいたしまして、質問を終わります。
○中野委員長 これにて田中君の質疑は終了いたしました。
 午後の会議は、本会議散会後直ちに開くこととし、この際、暫時休憩をいたします。
   午後零時十七分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二十八分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、去る二月二十一日の矢野絢也君の総括質疑の際、保留となっておりました米の五十万トン減反の実施計画についての問題につきまして、農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。倉石農林大臣。
○倉石国務大臣 ただいま委員長の仰せられましたことにつきまして申し上げます。
 五十万トンに相当する水田約十一万八千ヘクタールの転用につきましては、関係各省の御協力を得まして、その用途別の目標の数字が概定いたしましたので、便宜私から御報告いたします。
 用途別の目標面積は、工場用地二万ヘクタール、住宅地域用地五万九千ヘクタール、道路等交通用地一万五千ヘクタール、及びその他の建物、施設用地二万四千ヘクタール、計十一万八千ヘクタールであります。
 今回の目標数値は、過去の農地転用の実績、近年における土地需要の伸び、水田転用許可基準の暫定的緩和措置、国、地方公共団体等による用地の先行取得等の促進措置等を総合的に勘案して作成されたものであります。今後関係各省庁あげてその実施の促進指導に当たることとなっております。
 以上、御報告いたします。
    ―――――――――――――
○中野委員長 これより締めくくり総括質疑を続行いたします。沖本泰幸君。
○沖本委員 ただいまの農林大臣のお話は、わが党の矢野書記長の御質問に対して、総理がこの予算の会期中に答えを出す、こういうことに対するお答えだと解します。
 そこで、ただそれだけでは満足できない点がたくさんあります。それにつきましてもう少し突っ込んで農林大臣にお伺いしたいわけでございますが、ただいま御発表になりましたこの五十万トンの十一万八千ヘクタールというものは非常に大きな面積になります。これはわが党の矢野書記長も質問の際にお伺いしておった問題であるわけですけれども、このような大きな面積を持つものが一年間に転用するということは、いままでの水田が転用された実績なんかから考えてみましても、きわめて困難ではないか、こういうふうに考えられるわけですが、この点について大臣の御見解はどういうことでしょうか。
○倉石国務大臣 お話しのとおり、十一万八千ヘクタールは決して小さな数字ではございませんが、都市計画法によります市街化区域内に水田約十八万ヘクタールが含まれておりますこと、それから区域区分作業の進展に伴いまして、その転用が促進されるものと見込まれますとともに、工場立地調査法による工場適地にも約三万ヘクタールの水田がございます。これにつきましても工場の立地が進むことが期待されますので、これらの水田を中心に、所期の目標どおり転用が可能となるよう、農地転用基準の緩和措置に加えまして、公共用地の先行取得、民間による水田取得の指導等の措置を講じてまいることといたしております。
○沖本委員 これもさきの矢野書記長の質問の中にもございましたが、四十四年度補正予算で各省合わせて一億円の経費が計上されたわけでございますが、この土地需要の調査を急いで進めておるということと私は承知しておるわけですが、この調査の結果についてはいつごろ明らかになるのでしょうか。また、この調査の結果とただいま大臣の御説明されました目標が食い違ってきた場合、その場合はあるいは目標を修正するおつもりなのかどうか、この点について疑問があるわけですが……。
○倉石国務大臣 土地需要の緊急調査はただいまお話のございましたように、四十四年度補正予算によりまして、各省に調査費を分配いたしておるわけでありますが、各般の農地転用の見込み、転用用途などを、関係各省庁がそれに基づきまして地方公共団体または民間各界等に当たって調査することといたしておるものでありまして、四十五年三月末に回答が得られるよう関係各省庁において努力いたしておる最中であります。したがって、この緊急調査と、今回作成いたしました目標とは性質の異なるものではございますが、調査結果が明らかになれば、その段階で適切に処理してまいりたいと思っております。
○沖本委員 それでは、水田の転用を大幅に行なうこととしましても、稲の作付時期がございます。こういうところの関連を考えますと、四十五年度産米の減産には間に合わない、こう考えられるわけです。その結果、所期の五十万トン、つまり十一万八千ヘクタールの減産目標も達成することに困難が起きる、こういうふうに考えられるわけですが、大臣の御見解はいかがですか。
○倉石国務大臣 たいへんその点は私どもも苦慮し、努力しているわけでありますが、申し上げました十一万八千ヘクタールの水田転用につきましては、政府といたしましてはその円滑な推進をはかることによって、早期にその実現を期することといたしております。このために、先般すでに水田にかかる農地の転用基準を暫定的かつ大幅に緩和いたしますとともに、これにつき末端まで周知徹底をはかっておるわけであります。さらにまた、関係各省庁が一致協力して公共用地の先行取得の促進、民間による宅地、工場用地等の取得の円滑化等のために適切な対策を講じまして、水田の早期の転用による所期の減産をはかるようにつとめてまいりたいと思っております。
○沖本委員 そうしますと、今回の生産調整の百五十万トンの計画は、米作から他の作物への転換または休耕による百万トン、これは水田を他の用途に振り向けることによりますけれども、五十万トン、すなわち十一万八千ヘクタールの減反より成り立っている。かりにこの百万トンが農家の協力を得て達成される、こういうふうに仮定して考えても、あとのほうの五十万トンはきわめて困難じゃないか、こういうふうなことを考えるわけですけれども、こういう点を考えて今後――ということは、来年を含めてということにもなりますが、この問題に対してどういう対策で進んでいかれるか、大臣の所信を承りたいと思います。
○倉石国務大臣 十一万八千ヘクタールの水田の転用につきましては、先ほど申し上げましたような農地転用基準の緩和措置に加えまして、公共用地の先行取得、民間による水田取得の指導等のために適切な対策を講ずるなど、関係行政庁が一致して積極的に努力いたしますほか、民間機関等の協力も得まして、目標とする数値の達成を期してまいる考えであります。
 しかし、いずれにいたしましても、米の恒常的な過剰の実態から見まして、その需給の均衡を回復することにつきましては、今後とも相当の努力を継続しなければならないことは申すまでもないことでございます。したがって、来年度以降の問題につきましては、今回の百五十万トンの生産調整措置の四十五年度における成果などを見きわめながら、そのときに慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
○沖本委員 この問題はまだ種々の問題を見出したり、疑問点も多く出てくるわけでございますから、さらにこの点は十分検討を加えていただいて疑問点を解消していただく、こういう方向へ向かっていただかなければならない。この程度に私はとどめておきたいと思います。
 つきましては、同じ米の問題ですけれども、古々米が出た問題で、これが飼料になっていく。こういうことで、この飼料になるということにはいろいろな問題があるし、議論もあるわけですけれども、この古々米の払い下げ、飼料としていく、こういう問題について、ことしまた古米ができると、あとまた古々米ができていく、こういうことも考えられるわけです。この点を解消しようとしていままでやってこられたわけですけれども、そこで疑問点が出てくるんです。この飼料に落としたものが一番安いわけです。また加工業者に渡す米も非常に安くなっていくわけですけれども、現在のチクロが使われておる点であるとか、あるいは漂白剤、こういうようなものを考えていきますと、こういうものが飼料にならないままある程度ブローカーあたり、悪質な業者の手によって再びまた人の口の中へ飛び込んでくるようなことに変わっていかないか。そうなってくると、これはたいへんな暴利をむさぼったり、たいへんな問題が起きてくる。こういう点に非常に私は疑問を持っておるわけです。この点について農林省としては万全の対策を持っていらっしゃるのか、こういうことをささないようにできる方法をお考えなのか、その点についてお答え願いたいと思います。
○倉石国務大臣 その点たいへん大事な問題でございまして、過剰米の処理につきましてはいままでも学校給食その他販路の拡大に努力いたしておりますが、さらに大幅な需要としては全購連との話し合い等で飼料向けということが考えられてまいりました。しかし、そういうことをいたしますときには、よほど慎重にやりませんと、ただいまお話のございましたように、多くの問題が出てくるおそれがございますので、先般この委員会でも御議論がありましたように、近く学識経験者に御参集を願いまして、処理の用途、売却方法、価格等について御検討を願い、最終的な方針を立てたいと思っておりますが、とりあえずその検討の資料にも資するために飼料の、つまりえさでございますが、えさの実用化試験用の売却をいたすべく目下その方法を検討いたしておるわけであります。その場合は、ただいまお話しのように横流れの防止をどうしてはかるかということはきわめて大切であると考えられます。売却の対象工場、売却後の指導、監督などの方法について、目下慎重に検討いたしておるところでありますが、先ほど申し上げましたように、経験者等に御参集を願って、これらのことに万全の処置を講じてまいりたい、こう思っております。
○沖本委員 先ほど申し上げましたとおりに、こういうものがやみに流れたりいたしますとたいへんな問題になってきて、われわれは知らない間に今度は古々米を変わった形で口に入れさせられる、こういうおそれは十分に出てくるわけです。その点は十分考えていただいて、こういう不祥事が絶対起きないような万全の策を講じていただきたいと思います。
 次に、質問を変えさせていただきまして、繊維問題に移らしていただきたいと思います。
 きょう新聞各紙が報道しておりますけれども、繊維の交渉に関しましてはアメリカは否定的な反応を示してきた、こういう見出しで、あるいは通産大臣と財界とが懇談の中で総理のアメリカの密約が裏づけされてきている、こういうふうなことが報道されてきております。
 この問題につきましてまずお伺いいたしますけれども、さきに政府が対米覚え書きについてアメリカから追加説明を求められました。そういう時点で、基本的な点では通産省と外務省との見解は一致したようでありますけれども、外務省では何らかの色づけが必要であるというような御意見を持っていらっしゃる、こういうふうに聞いております。そこで外務大臣にお伺いしたいわけですが、この色づけというのは何を意味するものでしょう。
○愛知国務大臣 格別色づけというようなことばを私ども使っておるわけではございませんが、繊維問題につきましての日米間の話し合いについては、現在も引き続きわれわれとしても鋭意努力をして続けているわけでございます。通産省と外務省との間に緊密な連絡をとりまして、政府としての考え方は一体でございます点は、私からあえて明らかに申し上げたいと存じます。
○沖本委員 通産大臣が十七日にケンドール氏に会って、繊維問題、輸入の自由化について話し合いをされたわけですが、そのときの内容はどういうふうな内容だったのか、具体的に御説明願えませんでしょうか。
○宮澤国務大臣 先方に迷惑がかからないと思う範囲で申し上げますけれども、ケンドール氏は、一般にわが国の資本及び物の自由化の問題、それから非関税障壁の問題などについて当然のことながら関心を持っておりまして、私も同じ問題に関心を持っておりますので、そういうことを中心にこれからの考え方について意見交換をかなり長いことかかっていたしたわけでございます。で、ケンドール氏自身は、自分は繊維の問題について交渉を、もちろん政府の人でございませんから、する立場でもないし、また何人からもそういう委任を受けた人間でもない、ただ、この問題で日米間が非常にむずかしい問題になっていることには一実業家として憂慮をしているというようなことを申しておりました。特に繊維問題についてあれこれという、いわゆる交渉といったようなことに類する話があったわけではございません。
○沖本委員 じゃ、まあ新聞に出ております点についてお伺いしますが、植村経団連会長、永野日本商工会議所会頭等々の方の五人の方に会って、繊維業界の説得工作、協力を要請された、こういうふうに内容がなっております。その内容、具体的な問題は自主規制についておっしゃったのでしょうか、内容について御説明願いたいのですが。
○宮澤国務大臣 けさほども同じお尋ねがございましたので、同じことを申し上げることになって恐縮ですが、私就任以来、関係者、繊維のみならず、その他関係あると思われる方々を歴訪いたしまして意見を聞き、また私の考えも申し上げてまいりました。だいぶ日がたち、また段階も変わってまいりましたから、その中で何人かの方に昨日現状それからその方々の御意見、私の見ておりますところなどをお話しいたしました。しかし、いわゆるあっせんをしてくれとか、あるいは仲介をしてくれとかいうようなことを依頼したことは昨日ございません。
○沖本委員 けさの新聞にも出ておりますが、その会談の席上で、ケンドール氏との話し合いに触れて、ケンドール氏は宮澤大臣に、ニクソン大統領は日本は何かやってくれると約束をしたと、こういうことを述べていらっしゃる。で、総理はいままでの予算委員会の中でも、約束はない、こういう回答をしていらっしゃるわけです。
 そこでお伺いしたい。この話が事実でありますれば、そのニクソン大統領のおっしゃったところの何かという点についてケンドール氏とどういうお話し合いなんでしょうか。何かとは具体的に何であるか、この点について。
○宮澤国務大臣 総理大臣と大統領との間のお話につきましては、しばしば総理大臣がこの席でも言っておられることでございまして、それに私は何もつけ加えるべきものはございません、おそらくそれはもうお二人が一番よく御存じのことでございますから。
 そこで、ケンドール氏が申しておりますことは、これは総理の言っておられることと同じことなのですが、この問題が日米間で長く解決しないときには、いろいろな波紋をほかのものにも巻き起こす心配もあるし、両国の親善のためにはよくないことであるから、できるだけ早く誠意を持ってお互いに解決しようではないか、こういう関心を大統領が持っておられるということをケンドール氏が言っておりました。これは、わが国の総理が考えておられることと同じ内容であると私は思います。
○沖本委員 そうしますと、新聞で出ておりますところの、何かやってくれる、こういう点は、自主規制に触れた問題、いわゆるアメリカのいうとおりやってくれる、こういうことではないということですか。
○宮澤国務大臣 それはそういうことにはならないと思います。ただ、誠意を持ってできるだけすみやかに日本政府が解決に努力してくれることを大統領が希望しておられるということは、私は間違いないことだと思います。
○沖本委員 そうしますと、日本側は何かやってくれる、こう期待をかけていらっしゃる、こういうふうなニュアンスに新聞ではなっておるけれども、期待をかけられるということは、いままでどおりのことではアメリカは拒否してきた、そういう態度に出ている、こういうことになるわけですから、何かを期待するということであれば、全く何かを期待している、向こうの期待がほぼわかることになるわけですが、この新聞記事に出ている点について、財界にお話をなさったことは事実でございますね。
○宮澤国務大臣 それはこういうふうに申し上げればよろしいのだと思います。
 何度もこの席でも申し上げておりますとおり、われわれとしては、一定の前提が満たされ、また一定の条件が満足されました場合には、関係各国とも相談をし、また関係業界の納得を得て、自主規制というものを政府は考えるにやぶさかでない、もしそのような前提と条件が満たされますならば、こう申しておりますことはしばしば皆さまに申し上げました。そこで、これは、言ってみれば、そういう条件、前提が満たされれば業界にひとつ自主規制を納得してもらって考えてもらおうというのでございますから、これはアメリカから見ましたら、わが国の米国に対する明らかな好意だと思うのでございます。必ず自主規制をしなければならぬかといえば、事が自主規制でございますから、これはわれわれが自発的にやることであって、それはわれわれの好意であるというふうにアメリカは考えるでございましょう。それを期待ということばで表現するならば、まさにわれわれはそういう前提と条件が満たされるならばそういうことを業界と一緒に考えてみようではないかと申しておるわけでございます。
○沖本委員 少し話は飛びますけれども、三月十七日にアメリカの要求に対して吉野公使に訓令を発したということですが、その訓令の内容はどういうことでしょうか、その点を明らかにしてもらいたいのですが。
○愛知国務大臣 在外機関に対する政府側からの関係でございますから、私からお答えいたしたいと思いますが、訓令という形の考えを政府部内取りまとめまして出しましたのは、たしか三月九日であると思います。そして、その訓令におきましては、政府の考え方の基本となるような考え方をかなり詳細に書きまして、わがほうの態度を明らかにし、これをアメリカ側にすみやかに伝達をするようにいたしたわけでございます。その後、これはやはり外交上の折衝の問題でございますから、さらにその説明ぶりに付加をするところとか、あるいは向こうの様子を見ながら補足的な説明を加えるという必要も感ぜられますので、これはその後もおりおり連絡をいたしておりますので、新しい考え方の訓令というものはその後は出しておりません。そういう意味の連絡、指示というものは一回ならずいろいろの往来をいたしておることは事実でございます。
○沖本委員 新聞などの報道によりますと、吉野駐米公使は、トレザイス国務次官補をたずねて、十品目について被害立証を求めた、こういうことでありますが、その品目については、わが国の繊維業界における地位についてはどういう地位に当たるわけですか。
○愛知国務大臣 ただいま申しましたように、三月九日の訓令というものが現に今日も日本政府の態度としては生きておるわけでございまして、その中の補足的な説明等についてその後言及したものがございますが、特に品目をあげてこちらがこういうものについては自主規制をするというような趣旨の新たな訓令は出しておるわけではございませんので、前にも当委員会で御説明いたしましたように、この問題は日米双方で関係者が非常に多いし、いろいろの心配や期待も双方にいろいろの角度からございますから、自然それがいろいろの形で情報などになって出てまいりますので、そういう関係から、ときおり観測あるいは想像というようなものも自然そこに入ってくることは、ある意味ではいたし方のないことかと思いますが、いま申しましたように、特に何々の品目についてこちらが自主規制をするというところを訓令としていっているわけでございませんから、特にその品目の内容等について御説明するということは、今日のところは不適当かと思いますけれども、しかし、具体的なこうこういう品目についてはどう考えるかというようなお尋ねでございますれば、これは通産当局からも御説明をいたすことが適切かと思います。
○沖本委員 通産大臣から、いまの点につきまして……。
○宮澤国務大臣 アメリカ側が以前に送ってまいりました資料は、いわゆる二十八品目なるものに関する資料でございます。これは必ずしも精緻なものでございません。そこで、それについての追加説明なり資料なりを求めておったわけでございますけれども、十分なものが出てまいりません。そこで、私ども考えましたが、たとえばアメリカ側の資料の中にはアメリカに生産のほとんどないようなものも載っております。それから、非常に外国からの輸入の少ないものも載っております。これらのものは、いずれにいたしましても、被害またはそのおそれということから考えますと、まことに無縁のものでございますから、そこで私どもは先方も資料なり説明になかなか苦労するのであれば、そういう、どう考えても、だれが見ても無関係そうなものは、何も資料を求めることも要るまい。そこで、アメリカ国内で一定量の輸入が外国からあると考えられるもの、これは大体まあ一割以下でありましては問題にならないと考えますから、その程度のものがどこかの国から輸入されているものについて、もう少し説明を求めたい。
 求めたいと申しますのは、話がこまかくなっておそれ入りますけれども、たとえば手袋と申しましても、スキー用の手袋もございますし、いわゆるドレスと一緒に用います社交用の手袋もございますし、工場で使います手袋もございます。アメリカの生産は主として最後のものでございますが、それらのものをただ手袋とくくられたのでは、私どもに判断のしようがございません。といったようなものについての資料なり追加説明を求めた。それがああいう報道されておるような品目の性質でございます。
○沖本委員 その報道されている品目、性質についてお述べになりましたけれども、やはりその十の品目ということに、正確にいいますとなるわけですか。
○宮澤国務大臣 これは勘定のしかた、分類のしかたがいろいろございますので、どういう勘定のしかたもできるわけでございますけれども、わが国の業界筋では、アメリカ側のデータを自分たちの出先から取っておりまして、非常に正確に把握をしております。
 そこで、いろいろ報道されたようでございますけれども、そういうところからもおそらく情報を報道機関は求めたのであろうと考えます。勘定のしかたは、これは分類のしようによりまして、いろいろかと思います。
○沖本委員 この問題について、きょうの商工委員会の参考人のお話では、業界に何の御相談もなかった、こういうことを参考人は述べていらっしゃるわけです。そこで、おっしゃっているのは、これは全く政府の外交テクニックだというふうに業界では受け坂っている、こういうことなんですが、この点について通産省あるいは外務省が御相談の上でそういう方法をおとりになったのかどうか。
○宮澤国務大臣 私どもがいま関心を持っておりますのは、何についてどのような被害またはおそれがあるかという政府としてのこれは関心でございますから、業界に相談はいたしておりません。
○沖本委員 これだけ重大な問題なんですから、一応そういう点、われわれは新聞によって内容を知る以外にない。ところが、ひるがえってアメリカは、覚え書きの内容すらずばり出しているわけです。そういうものがはっきりせずにわれわれの前で展開するということは、これは全く雲をつかむようなことで、ただ新聞の報道をつかみながら、われわれは考えていかざるを得ない。その問題自体は日本の業界、産業をゆるがす大問題になっている、こういうふうな内容で考えざるを得ないわけです。
 そこで、もう一つ伺いますが、先ほど色づけと伺いましたけれども、色づけというのは、たとえていえば十の品目、通産大臣がおっしゃったようなことが色づけではなかったのでしょうか。外務大臣、これはどうですか。
○愛知国務大臣 まず第一に、先ほど申し上げましたように、政府の部内では通産省と外務省とは特に緊密に一体となって活動いたしておるということをもう一度念のために申し上げたいと思います。
 それから、色づけというのは、先ほど申しましたように、私どもが使っていることばではございませんが、真相はいま通産大臣からもるるこまかく御説明があったとおりでございまして、政府としては、基本的な考え方によるところの訓令というものは、三月九日の考え方が基礎でありまして、そしていま通産大臣も説明されましたように、私ども政府の立場としては、被害の立証、あるいは重大なる被害のおそれのある立証というようなことに、これもしばしば当委員会でも御説明いたしておりますが、そういう点からいって二十八の品目というものを、アメリカ側としては当初以来希望しているようではございますけれども、いま申しましたような立場からいえば、その中から関係のないものと申しますか、当方からいえばそういう意味での関心のないものははずしていって、そして特にアメリカとして輸入品が多い、あるいは輸入の中で外国品の占めるシェアが相当大きいもの、そういう角度から特に被害を与えているのかどうかという点にしぼって、もう少しわれわれが納得できるような説明ぶりあるいは資料の提出ができないものだろうか、そういうことでいろいろ接触をしているわけでございます。そういう折衝の過程をもって、いろいろ先ほど申しましたように、憶測もありましょうし、懸念もありましょうから、そういうところから報道が出てきておるのであって、これとこれとこれと合わせて何品目について政府としてこうこうするという意図で、ただいまそこまで考えておるわけではございませんで、その間のいろいろな経過についての憶測等から情報が出ている。したがって、そういう点について私どもとしてはまだ何ともコメントできませんような立場にあるわけでございます。
○沖本委員 きのうの財界とのお話し合いで宮澤通産大臣は、いまアメリカの議会では輸入規制立法が通るような空気である、もしこれが通ると繊維だけでなく、他の品目まで波及するおそれがある、だから早期解決に財界も協力してほしい、こういうような意味のお話をなさったということなんですが、この点はいかがですか。
○宮澤国務大臣 他国の立法府のことをとやかく申すわけではございませんが、そのような動きが具体化するといたしますと、これは好ましいことではありませんし、決して賢明なことではないと思います。しかも具体化する可能性というものが相当高いということは、よく財界の方にお話をいたしました。しかし、先ほど申し上げましたように、本件について仲介なりあっせんなりをしてほしいということは、私は申しませんでした。
○沖本委員 このときの話の中で、結局国益という点に立ってものを考えてみれば、この際だから、繊維業界は犠牲になってもらわなければしようがない、そのためには特別立法でこの被害、損害を補償してあげなければならぬのじゃないか、こういうようなニュアンスのお話をなさっている。こういうことでもあり、財界はその点について賛成の意向を出しておる、こういうことなんですが、この点どうなんですか。
○宮澤国務大臣 前段はともかく、後段については、もししなければならないのなら、何かそういう立法なりなんなりがあるほうがいいのではないかという意見を言われたお方はございます。
○沖本委員 それは大臣がおっしゃったのじゃないですね。
○宮澤国務大臣 私ではございません。
○沖本委員 それでは大臣はまたそういうお考えをお持ちなんでしょうか。
○宮澤国務大臣 ここで私が、お尋ねがあり、お答えをいたしますことは、すぐに先方に伝わるということを考えておかなければなりませんので、ただいまの御質問の意味は私によくわかりますけれども、お答えを申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
○沖本委員 それでは二国間協定でどうしてもいくような方向にいくものか、多国間協定で進まなければならないか、初めのお考えどおりで今後もお進みになるのか、この点に問題が全部かかってくると思うのですが、総理のお考えはいかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど来外務大臣並びに通産大臣からお答えしたように、ただいま私ども方針を変更する考えはございません。
○沖本委員 それでは最初からずっと通していらっしゃる、いままでお答えになったままの総理のお考えで今後の政治の解決をはかっていく、こういうふうにわれわれは受け取っていいわけでございますね。そうすると、二国間協定でなしくずしにされていくというふうにはさせない、こういう御決意でございますか。
○佐藤内閣総理大臣 端的に申すとただいまのとおりでございますが、しかし、いまの状態をいつまでもほうっておくことは、これは双方のためにならないと思います。私はわが国の国内においても混乱がございますね。たとえば福井あるいは石川、そういうような両県の織物業界にはすでに相当の混乱がある。本来ならあるべき受注がたいへんおくれておる、こういうことが指摘されておる。あるいはその日、その日の労賃にしても、非常に低下しておる。確かに業界における混乱でもあると思いますね。したがって、わが国においても、この状態を早く解決するというか見通しをつけること、これは業界を沈静さす意味においても必要なことではないかと思うのです。また相手方におきましても、アメリカにおいても、ただいまサンフランシスコで全米の繊維業界の大会が開かれておる、こういうことを考えると、そういう混乱はとにかく避けるべきだ、かように私は思います。
  〔委員長退席、坪川委員長代理着席〕
ことに万国博でやってまいりましたアメリカの諸君、先ほど来話になっておるケンドールさん、この方に私会いましたら、やはり自分が使いに来ているわけではない、自分は御承知のようにたいへんな自由貿易論者だ、自由貿易で拡大すべきだ、こういう論者だが、ただいま繊維問題が両国の間に一つの問題を残しておる、この事実は認めざるを得ない、そういうことについて政府としてもいろいろ努力されておるようだが、できるだけ早くそういうものは解決されることが望ましい、こういうことを実は申しております。私は、これは率直に申し上げるので、ただいまのとおりだと思っております。こういう問題がいつまでも解決しないというわけにはいかない。しかしやはり解決するについてはそれぞれが互譲の精神という、いままでも申し上げてまいりましたとおり、お互いに譲り合わないと、これは話が解決するものではないと思います。お互いの場合でも、最初からの主張どおりだ、一切譲れないんだ、こう言えば相手方も非常に硬化するだろうと思います。そこはやはり互譲の精神でものごとを片づけるというか、解決さすという気持ちがあらわれなければならぬと思います。しかし、その互譲の精神にいたしましても、一方的に譲る、こういうことでは業界の方々もこれは政府を信頼するというわけにいかないだろうと思う。そこにはお互いに歩み寄りというものが必ずなければならない、かように私は思います。この問題が起こりましてから相当もう経過いたしております。そういう意味からも私は、これより以上混乱しないように、問題を波及させないように、お互いに互譲の精神のもとで話し合っていくことが望ましいのではないだろうか、かように思っております。
○沖本委員 いまの総理のお話を伺っておりますと、先ほどの特別立法云々ということの通産大臣のお話とのからみ合いというものがだいぶ私たち変にとりたくなってくるわけです。少し違うような感じを受けるわけですが、その点について通産大臣いかがですか。
○宮澤国務大臣 お尋ねの意味がちょっとはっきりいたしませんでしたが、先ほどの御質問に対する私のお答えは先ほど申し上げたとおりでございます。
○沖本委員 そうするとやはり通産大臣も総理と同じ方針でお進みだ、こうとっていいわけでございますね。
○宮澤国務大臣 さようでございます。それが先ほど申し上げました一定の前提と条件が満たされるならば自主規制というものを業界と一緒に考えてみてもいいということは、もうわが国としては相手に対する相当な好意でございます。
○沖本委員 これは結論を出すまでには至りませんからこれくらいにおかしていただきます。あとまた話の進展によっていろいろとお伺いしたいと思います。
 それでは話を変えまして、公害問題についてお伺いしたいわけでございますが、最近日本で二つの大きな公害に関する会議がございました。三月九日−十一日の三日間、東京で公害問題に関する国際シンポジウム、三月十一日から十二日、箱根で公害専門家の七カ国国際会議、三月十二日に東京宣言、こういう形でわれわれとして非常に関心の高い、一番問題として考えなければならない公害問題がここで論じられたわけですけれども、ここのところで各国の来られた学者がいろいろな点から言っておられるわけでございますが、一致した見解を集めてみますと、日本は国民総生産はなるほど世界第二位になった。そうかもしれないけれども、同時に公害のひどさも世界に比べて類を見ないぐらい悪い、こういうらく印を押しておられます。万博のはなやかさと公害に脅かされている市民との対象があまりにも矛盾しているんじゃないか、こういう点を述べていらっしゃるわけです。また、その席上で日本の代表が、国や自治体は財政技術面で企業を強く援助すべきである、こういう発言に対して、アメリカの代表は、私はそうは思わない、加害者である企業がいま以上に負担すべきである、補助金や免税措置は企業の責任をあいまいにして、かえって公害防止技術の開発をおくらせる結果になるであろう、こういうことを言っております。またある人は、このコンビナートの公害防止費の少なさに驚いた、こういう声も出ておりますし、また煙に包まれた病院がある、このでたらめな土地利用計画を一体だれが許したのか、こういうふうな発言も出ております。また住民の移転費用は企業に負担させるべきであり、公害補償は一種の生産費だ、こういう発言、あるいは規制基準を著しく越える汚水を川に流すと自治体はその工場への水道をとめてしまうべきである、また日本の代表が、酸素吸入器を二本置いてぜんそくの発作を起こしておる児童を救っておる、こういう話に対して、そういう話はもうとても信じられない、そういうところから都市機能と人口を他の地方へ分散させるほかにこの東京を救う道はないだろう、こういうふうな発言もございます。
 結論してみますと、公害に対する企業の社会的責任、こういう問題がこの場所で大きくクローズアップされたということになるわけでございます。
 そこで、今国会の総理の施政方針演説を引いてみますと、経済成長によって国民所得は上昇し、個人的な経済生活は豊かになってきた、また反面、住宅や生活環境など社会資本の整備が相対的に立ちおくれていることをお認めになっていらっしゃいます。環境基準の整備として長期的展望に立った構想のもとに推進しなければならないと、こういう点で将来への公害の展望をお述べになっていらっしゃるわけでありますが、それでは総理にお伺いしたいと思うのですが、企業の社会的責任について総理はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま国際的な問題として公害問題をいろいろ扱っておられる。私は、国内の学者あるいはまた産業界等もこの問題と真剣に取り組みつつある、かように思っております。何と申しましても、企業、加害者そのものが第一の責任者である、かように私は思います。しかし、全部、ただいままで野放図にやられた事業そのものをこの段階で直ちに企業者だけの責任で云々することもこれはやや酷ではないかと思っておりますから、そういう意味で公害対策としても、加害者、第一の責任者並びに自治体、国等がやはり一緒になって対策を立てる、これがいまの現状ではないかと思います。しかして、私自身の個人的な考え方ですが、もっと進めばさらに公害の加害者そのものが全責任を持ち得るような、いわゆる公害対策産業というようなものも別に起こってくるのじゃないだろうか、だんだんそういうものも芽ばえつつあるのじゃないだろうか、かように実は思います。最近来ているアメリカからの学者、先ほどの繊維問題等の話もいたしましたが、これらの諸君も、公害問題については一体どういうように考えるのだ、日本の東京もずいぶんひどいが、自分のほうも、ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、こういう大都市にとにかく全部が集中している、広いアメリカでももっと分散すればいいんだがこれを分散しないで、ここにみんな集まっている、そうしてかもし出す公害、これはもう耐えられないものがあるのだ、そういうものをやはりこれから経済の成長と同時に処理していかなければならぬ、こういうことを申しておりました。私もそれに同感でございます。
 また先ほどお話しになりました下水道の問題、下水の処理が今日たいへんおくれておるように私は思います。住宅だけできても、上水道はできるが、下水がどうも整備されない。工場自身もさることですが、あれだけの住宅団地をつくりながら、下水道が整備されておらない。そのことがどれだけ河川を汚濁しているかわからない、かように思いますと、国の社会資本投資それ自身にもやはり欠くるものがあったと思うから、今後こういうものを新たに考えてつけ加えていかなければならないだろう、かように思います。とにかく新しい問題でありますだけに、これからなすべき政府の持ち分、範囲なり、あるいは加害者のなすべき範囲というものはこれからだ、うんと開拓しなければならないことだ、かように私は考えております。
○沖本委員 それで、これから具体的な問題としてお伺いしたいわけですが、公害防止計画、これは基本法の第十九条にありますけれども、その中に、「内閣総理大臣は、」公害防止計画の「基本方針を示して関係都道府県知事に対し当該計画の策定を指示するものとする。」こういうふうにあります。
 そこで、昭和四十五年度の防止計画策定地域として決定したところはどこでしょうか。
○内田国務大臣 公害防止計画を策定していただくための基本方針をすでに指示いたしましたところは、御承知のとおり、千葉県の市原と三重県の四日市と岡山県の水島でございますが、続いて内閣といたしましては、東京、それから神奈川、さらに大阪、その三つの地域につきまして、公害防止計画策定のための基本方針を目下策定中でございます。さらに続いて、昭和四十五年から六年にかけましては五地域、それは名古屋、尼崎、北九州、大分鶴崎地区、それから今後また産業人口が集中するであろうと予想される鹿島地区というものを選定いたしまして、基本方針をつくってまいる計画で進んでおります。
○沖本委員 基本方針をすでに示した地域の市原、四日市、水島、こういうところの計画の進捗状況ははかばかしくないというふうに聞いておりますけれども、これが実質的な軌道に乗ってくるのはいつごろになるわけでしょうか。
○内田国務大臣 以上の三地域につきましては、必ずしも総合的な防止計画の策定がおくれているとは私どもは認めておりません。ただ、御承知のように防止計画というのは、住宅とか工場なんかの立地計画、さらにまた上水道、下水道、あるいはじんかい処理場の計画でありますとか、あるいは緩衝緑地帯の設定でありますとか等々、総合的ないろいろな施策を含んでおりますために、それらの調整が若干手間どっておる点もございますけれども、もちろんこの夏に至るまでの間には、さきに示した基本政策に基づいた計画が内閣の承認を求めるために出てまいることと私どもは期待をいたしております。
○沖本委員 それではお伺いしますが、公害防止計画とは一体どこまでの範囲をいうのでしょうか。基本法の第十九条の解釈の点ではこれは不明確なんです。ただ知事にまかしている、こういう点にあるわけなんですが、そうしますと、たとえて言いますと、下水道とかグリーンベルト、あるいは屎尿処理場、あるいは市街地開発、そういうようなものまでも含めて考えるべきであるか、あるいはまたほかの考え方があるのか、この点がわからないわけです。
○内田国務大臣 いま沖本さんがお尋ねになりましたような広い範囲のことを私どもは想定いたしまして、すでに基本方針におきましてもそういうものを含むように示してあるわけでございます。
○沖本委員 それは政府としてはっきりと示されて、おるわけですか。
○内田国務大臣 さようでございます。ちょうど私は以上の三地域のうち市原地域に対する基本方針を持ち合わせておりますけれども、その第四番目の防止施策といたしまして、土地利用に関する計画から緩衝緑地帯の設定、あるいは住宅環境地帯の確保、さらにまた下水道、上水道、都市廃棄物の処理等に至るまで、これらのものについてはこういう考えで計画を設定してほしいということを示してございます。
○沖本委員 厚生省は四十四年十二月に、公害防止事業の費用負担について、公害防止費用研究会というものを発足させていらっしゃいます。公害基本法第二十二条、費用負担という中で、「負担の対象となる費用の範囲」「費用を負担させる事業者の範囲」「負担させる額の算出方法」これは別の法律で定める、こういうふうになっておるわけですが、その別の法律は実際ないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。費用の範囲、企業負担をきめなければなかなかできない問題です。公害対策の中で一番あと回しになっているというふうに私たちは考えておるわけですけれども、この点についていかがですか。
○内田国務大臣 公害防止に関しまして企業が負担する費用には二通りございます。まず第一は、企業みずからが公害物資が排出されないような施設をみずからの施設としてやることと、もう一つは、先ほどお尋ねがございました公害防止計画に基づいてやりますところの各般の広範な国あるいは公共団体が行なう事業の費用の一部を企業に分担していただく、こういう場合の負担費用と二通りございます。
 そこで厚生省といたしましては、あとのほうの費用負担の区分につきまして、公害防止費用研究会で学者の方々また実際界の方々にお集まりをいただきまして、研究をいたしておるところでございます。これは中身が非常に広範でありますために、どの範囲を取り上げるかというようなことも非常に複雑でございますが、しかし幸い沖本先生御承知のように、基本法の二十二条はそういう費用の分担についての法律をつくることも想定いたしておりますけれども、第一項におきましては、法律をまたないでも企業負担の原則をきめておりますために、これまで各地域におきまして、幾つかの場合において話し合いで公共団体と企業との間の費用の負担がきまっておりますので、話し合いのつくものはその法律ができます間におきましてもできるだけ進めてまいっておりまして、現在のところは支障を生じておりません。しかし、この研究はさらに促進をいたしてまいるつもりでございます。
○沖本委員 いまの御答弁ですけれども、その辺が一番問題じゃないかと思うのですね。地方公共団体と地方企業とが話し合いできめる。これはきめられるものじゃないと思うのです。その話し合いの話が低ければ低いなりに話がきまってしまいますし。そこらではっきりした費用負担の性格というものがきちっときまらなければどうにもならない、その辺の問題があいまいだから現在まで進んでいかない、私はそういうふうに見るわけなんです。そこで、企業の社会的責任としての原価的な考え方をもってこの企業負担の性格を考えるべきかどうか、あるいは寄付的なもので考えていったらいいのかどうか、そこの原因になるはっきりしたものが出てこないから、その辺がはっきりしませんし、話し合いができて公害防止に力を入れてみたところで全く公害防止にならないような公害防止策ができてしまう。こういうところに問題があるということで、結局は経済の成長の伸展が法律の中に明示されていない。これは第一章の中に出ておりますけれども、生活環境にかかる基準を定めるにあたっては、経済の健全な発展との調和をはかるように考慮するもの、こういうところに国民主体が出ていない。総理もおっしゃっておりましたけれども、やはり企業の立場を考えていかなければならない。
 そこで、もうすでに先ほど御指摘しましたとおりに、学者の方々は、国民総生産力は世界二位にも上がっておるのにという点に疑問点が出てくる、こういうふうに考えられるわけです。この辺があいまいなので十分なことができてこない、この性格づけが一番根本問題だ、こういうふうに考えておるわけです。ですから、防止計画も費用負担も進展しない理由はそこなんだ、私はこう見ておるわけですけれども、この点についてどういうふうにお考えですか。
○内田国務大臣 お尋ねの点につきましては、昭和四十二年に制定いたしました公害対策基本法のたてまえが、第一条をごらんいただけばわかりますように、まず企業の責任というところから書き出しております。それから国の責任、公共団体の責任というようなことにいたしてございますし、また、御指摘がございました二十二条の第一項にも、企業は寄付的に公害防止費用を分担するのではなしに、国や公共団体が公害防止のために使った費用の全部または一部を当然負担するものとする、こういう実は書き方をいたしておりますことは、企業の責任がまず第一義的にあるものだというたてまえをとっておるものでございます。
 それからなお、現在すでにこの費用区分に関する法律が制定せられない現況におきましても、先ほども申しました千葉県の市原地区、あるいは四日市地区、大阪の泉北地区、あるいはその他の地域におきまして、できるものから国の補助あるいはそのかさ上げ等に関連をいたしまして、公共団体の費用分担も実はきまっておるものがございまして、現状においてはすべり出しておるわけでございます。
○沖本委員 一番目に企業の責任をうたってある、こういうことになりますけれども、そうであったら、先ほど申し上げましたとおりに、この国際会議の中でいろいろな問題点が出てこないはずなんです。国とかあるいは地方公共団体が、技術的な問題あるいは資金的な問題もある程度援助してもらうべきである、こういうようなことを日本側のほうが言っている。そのことに対して、そのこと自体はすでに企業の全責任なんだ。こういうふうな話し合いが出ておる。そこらにやはりこの問題をはっきりさしているんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。そこらに結局第一章の中の、厚生大臣は企業の責任を第一にうたってあると言うけれども、この中にある「経済の健全な発展との調和」こういうような点に、悪口でいえばごまかしがある、そこに問題があるんじゃないか、こういうふうに考えておる。これが一番問題だとわれわれは考えておるわけです。ここに国民優先の問題、企業が全責任だ、こういうところに形を変えていかなければ公害問題は解決しない、私はそう考えておるわけですが、この点についていかがでありますか。
○内田国務大臣 沖本委員に公害対策基本法の第一条をぜひもう一度見ていただきたいのでございますが、公害の防止をやります場合に、私どもの目標は人の健康を保護することと、生活環境を保全することと二つ目標がございます。人の健康を保持するためには一切企業に遠慮いたしません。いま御指摘の産業との調和ということは、生活環境を保全する場合においてのみ第二項でうたってあるわけでありますので、ここらにも私どもの人間の健康優先、企業の責任第一義的と、こういうことがあらわれていることをぜひ御了承いただきたいと思います。
○沖本委員 いろいろ御教示いただいてありがとうございますが、それでは費用負担、企業の範囲、費用の算出方法についてお示しください。
○内田国務大臣 先ほど申し述べましたように、企業がみずから有害物を発生することを防止することにつきましては企業負担、それから公害防止計画というような総合的広範な計画につきましては、国、地方公共団体が負担をする分についても、企業がその全部または一部を分担する。その分担の方式、範囲等については、これは第二項で別に法律できめることも予想されておりますので、その点に関しまして私どものほうは、先生が先ほどお述べになりましたような公害防止費用研究会というものでいませっかくその範囲等を検討いたしておりますので、公害防止計画の具体化の裏づけとして、それと相伴ってできる限りすみやかに必要な場合には法制的措置をとってまいる、こういうことで進んでおるわけであります。
○佐藤内閣総理大臣 これは別に申し上げなくともおわかりだと思っておりますが、非常に明白に、ただいまのような事業者が加害者だ、こういう場合がはっきりしている、そういう場合にはわりに議論の余地はないのです。しかし、原因が加害者であることがわかっていても、どうもその施設が早くできていた、それから後に普通一般の民家ができた、たとえばはっきり申すと、飛行場のそばに住宅団地ができる、そうして騒音だといって、その加害者、この飛行場自身の責任を追及されても、これは困るのじゃないか、かようにも思うのですね。でありますから、やはり企業主体、地方団体、国、国民、一般、これはやはりこういう問題についてもっと神経過敏に取り組まないと、ただいまのような問題があるだろうと思うのですよ。
 私は、いま住宅の問題が一つの大きな問題になっていますので、ぜひとも住む家をつくれという、どこでも場所を選はないでつくる。先ほどは下水のないところの住宅は困るという話をいたしましたが、ただいま申し上げるように、やはり場所も選んでもらって、飛行場のそばに住宅をつくって騒音だ、あるいは加害者だ、こう言われてもこれは困るのじゃないか、かように思います。やはりそういうようないわゆる加害者が責任があるからなるべく避けて、その実害を起こさないようにしようと思って選んだが、その後の事情で変化が起きている。そうしてそれが問題になった、紛争の種になっている、こういう場合もあると思います。したがって、こういう問題については、単純な理屈だけではきめかねるのではないか、かように思います。
 よけいなことですが、一言申し上げます。
○沖本委員 総理は飛行場の問題をお出しになりましたけれども、そういうことを言うと飛行場の近所の人はおこり出すと思うのです。何も好んで飛行場のそばへ行ったわけではないわけですね。過密の問題が起きてやむを得ず広がっていったのが実情なんです。飛行場のそばにも行かざるを得ない。そういうところに日本の住宅事情があるわけですから、これは総理がおっしゃったことは仮定でおっしゃったのだ、こういうふうに軽くとりますけれども、そういうことを言うと、飛行場周辺の方々はそれこそ柳眉をさか立てておこるということになります。また、下水のないところに住宅があるというお話でございますが、これは横道にそれた話になりますけれども、日本の現在の住宅の建て方のあり方というものが、家を建てて下水をつくったり道路をつくったりするところに大きな問題があるわけですから、そういう点はやはり政治の問題として解決しなければならない問題だと思うわけです。
 そういうところで話をもとへ戻しまして、厚生大臣は、先ほどあなたは、よく公害対策基本法の初めを読め、こういうふうに教えていただきましたけれども、地方とよく話し合って、それがちゃんとできるのなら、国民の健康を第一にはかってこの法律ができたということであれば、こんな問題が起きるわけはないじゃありませんか。別に法律で定めるというところに抜け穴がある、また、そういうふうに地方自治体、知事まかせにしたところに大きな問題がある、こういうふうに初めに御指摘したわけですけれども、そういうところの問題が解決しない。つまり、はっきりした費用負担であるとか、企業の範囲、費用の算出方法であるとか、企業にこうしなければならないという企業責任の、社会責任の根本をお示しにならないからこういう事態が起きているわけです。そこに問題があるわけなんですが、それを、おまえさんは一番初めをよく読め、そういうことはないんだぞ、これは私は聞けないと思うのです。一体どうですか。
○内田国務大臣 たびたび申しますように、公害防止計画で非常に総合的な計画を、公害が激しい地域、また激しくなりそうな地域にその設定をお願いをする。その際には、地方公共団体とあらかじめ打ち合わせました上で基本方針というものをつくりまして、そうしてその方針を内閣総理大臣から都道府県知事に示達をいたしますので、大体もうその方針の段階で、関係の都道府県とは打ち合わせが済んでおるわけでございます。
 それで、公害防止計画の中には、これを大きく分けますと二つありまして、公害を発生する企業みずからがやらなければならない有害物質排出規制の措置、これはもう全部企業負担でございます。それから、そうでなしに下水道とか上水道とかあるいは緑地とかあるいは住宅、その他の工場立地等の問題につきましては、これは国、公共団体が負担するのが通常の場合多いわけでありますが、しかし、この公害防止計画をつくった場合には、いまの基本法二十二条によりまして、その費用の分担を関係の企業にさせる、こういうことになっておりまして、その法律の中身をつくるべく研究をいたしておりますけれども、それができるまでの間におきましても、さきの緑地等につきましても、あるいは下水等につきましても、企業との分担は実際上は行なわれておる、こういうわけでございまして、私どもは企業の負担を軽くいたそうというつもりはございませんので、当然公害防止計画の中で、一般的な都市計画のような計画の中でも、その相当の部分を企業に持ってもらうというようなたてまえを現在でもとっておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○沖本委員 それでは、通産省は民間における産業公害防止投資について調査を去年の十月におやりになりました。そこで結果として、全設備投資に占める公害防止投資の比率は大幅に増加している、こういうふうに発表していらっしゃいますけれども、特に火力発電、鉄鋼、石油精製、石油化学などにおいては著しい、こういうふうにありますけれども、どういうふうな内容を持った著しい上昇率なんでしょうか。
○宮澤国務大臣 ただいま政府委員から申し上げますが、たしか最近の数字は総投資額の五・四であったかと思います、二千社くらいの大きなところの調べで。これはストックとしてはともかく、フローとしては各国に比べて相当高い数字でございます。――ちょっとお待ちください。いま申し上げます。
○柴崎政府委員 対象企業は二千五百五十一社でございまして、従業員三百人以上の企業を調査した結果でございますが、四十年との対比で申し上げますと、四十年の公害投資が二百九十七億、そのときの全投資に占める割合が三・一四%でございます。それが四十四年度の実績見込みを調べてみますと、一千四十九億になりまして、約三・五倍になっております。このときの全投資に占める割合が五・二五%でございます。
 この一千四十九億の中身を分析してみますと、大気汚染防止法に基づきます低硫黄化のための重油脱硫装置とか、あるいは電力関係の防じん装置とか、高煙突化の工事とか、そういった大気汚染関係が約五割程度の比率を占めておりまして、その残りを水質の汚濁防止、それから騒音防止というような対策費で占められております。
○沖本委員 これはアンケート形式でお求めになった調査ですね。そこで、その中に企業が回答してきた投資額は、どういう施設をもって算出されたものなのか、また、どのようなものを称して公害防止施設というのであるか、全投資額の何に占める割合であるか、これがないと思うのですが、その点についてはどうですか。
○柴崎政府委員 このときの調査計画はアンケート調査によったわけでございます。先生御指摘のとおりに、最初の試みでございましたために、各企業で具体的にどういう工事について何ぼの投資をしたかという明細表はつけてございません。各企業に対する指示といたしましては、およそ公害防止に役に立つ設備投資としてどの程度の投資をしたかということで出さしておりますので、その内容の詳細につきましては、四十五年度の新しい調査計画の中に十分盛り込みまして、その詳細を把握したい、かように考えております。
○沖本委員 先ほどお話もありましたけれども、石油精製の中の脱硫装置、こういうものもお話が出ております。こういうものはいわば低硫黄生産設備に当たるわけであって、企業個々の持つべきもので、これは公害防止の投資ということには当らぬのじゃないでしょうか。だから、こういうものは除いて考えるべきだろう、こういうふうに考えるわけです。
 また、その調査の内容を見た範囲では、具体的な投資の額が示されておりません。これを業種別に発表してはどうなんですか。
○柴崎政府委員 ただいま御指摘の脱硫装置といいますのは、硫黄分を少なくする設備でございますので、全体的に見まして非常に大きな公害防止のための投資であるというぐあいに考えておりまして、これは公害防止投資の中から除くことはかえって矛盾があるのではないか、かように考えます。
 それから、各業種別の投資の内訳でございますが、たとえば電力で申し上げますと、四十四年の公害防止投資が百九十五億という数字になっております。そのうち、大気汚染関係は百七十九億、それから水質汚濁防止関係が三億五千万、それから騒音防止関係が七億八千万、その他の公害防止投資が四億九千万。石油精製について申し上げますと、公害投資の総額が二百三十八億、そのうち、大気汚染防止関係が二百四億、水質汚濁防止の関係が十九億、あと残り、その他の投資が若干ございます。おもな業種で申し上げますと、そのような内訳になっております。
○沖本委員 いま御発言になったとおり、正確ではないということが言えるわけです。正確なものはやはり出してそろえていただかなければ、これははっきりしないと思うのです。脱硫装置は、これは公害防止として考えるべきであるということをおっしゃいますけれども、原油の種類の中には、硫黄分の入ったものとか、あるいはパラフィンの性質のものが入っているとか、原油の性質によっていろいろ違うわけです。ですから、精製工場としては硫黄を除く脱硫装置というものは当然工業の過程として持っているものなんです。ですから、公害防止にそういうものを特別につけた、こういうことは考えられない。いままでだってそれはあるわけです。これは、その石油製品そのものを使う目途によっていろいろと違うわけですから、ただ公害が多く発生するからそういうふうないわゆる脱硫装置を特につけた、こういうものではないと、私はこういうように考えるわけです。また、業界でもそういうふうになっておると思うわけですけれども、その辺になってきますと、この点を考えあわせてみると、どうも内容的に具体的ではないということになるから、はっきりしたものとはいえないわけです。こういうふうに結論としては――まあそういうものをおとりになりましたけれども、企業の責任というものがはっきりこういうところではまだ出ていないということが言えるわけです。ですから、現在まで企業が負担しておる公害防止施設、設備投資額というようなものを、総額どれぐらいであるか、こういう点をきちっとして発表なさるべきだと、こういうふうに考えるわけです。
 そこで、日本は中小企業が多い、そういう点から、こういうところの負担はどういうふうになっておりましょうか。これは、まだないと思うのです。ですから、こういう点についても、資料を整えていただいて、はっきり調査していただくことが、公害をなくしていく一つの基礎材料、基礎的な問題になっていくわけですから、この点は十分な資料をおつくりになっていただかなければ、いまのことだけで投資が非常に上昇している、こういうふうにおきめになるということは早計だと、こういうふうに私は思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 だんだん私どもも詳細な統計をとりまして、また、そういうものができましたらお目にかけることにいたします。非常に努力は最近業界でしておりますようでございますが、何ぶんにも従来からのストックというものがございません。新しくつくっていくものが主でございますから、まだまだ十分とは申しかねるかと思います。
○沖本委員 まあ、こまかい話をやりとりしたわけですけれども、企業が何をもって投資の基準にしたらいいか、こういう点が明確ではないんです。ですから、国民自体は、そういうものがそういうふうに発表されると、そのこと自体が公害防止に投資されたものと、こう考えてしまう。そういうところに問題があるわけですから、この増大している現在の現実の問題をどうするかという点を、ただ企業まかせということではなくて――この狭い国の中で突き合って、企業と国民とが一緒になって住んでいる。これは、さっき申し上げましたとおりに、こういうところに病院をつくったのはだれだ、こういうふうな話まで出ているというような点を考えていきますと、企業の社会的責任を超越した価値観というものがこれから要請されていく、こういうふうに考えられるわけですけれども、総理はどういうふうにお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 沖本君のお説と同じです。私も同感です。
○沖本委員 まあ、蛇足的に申し上げますけれども、経済企画庁が、去年の十二月に発表された月報の中にも、公害費用の負担について責任範囲が明確になることはやむを得ないと、こういうふうに企業側から回答してきたものが六九・四%、こういうふうになってきております。企業の社会的責任が当然ですと、こういうふうに答えたものも三〇%あるわけですから、こういう点の問題を十分考えていただいて、今後の公害関係の解決を早急にはかっていただかなければならない。それにはどうしても、いま申し上げたところの基本法からまずお考えを変えていただかなければならないし、抜けている点を十分埋めていただいて――世界じゅうが公害だと総理もおっしゃっておるわけですから、公害が世界第一位というようなことにならないように、十分の政策をお立てになっていただきたいことをお願いいたします。
 それでは、問題を次に移させていただきます。
 これは総理も、この間テレビの対談の中でちらっとお触れになっていらっしゃったわけですけれども、ノリのほうです。ノリが非常に高いという話だということで、これは、いろいろ業界の中のこまごました問題がやはり問題になるので、非常にむずかしいことだというふうにテレビでお答えになっていたように記憶しているわけです。そこで、このノリの問題ですけれども、このノリは黒い霧につながるとか、去年は不正事件があって非常に問題になった、こういうことがいわれておって、この間はアメや横丁では、生産者があまり小売り価格が高いので安く一ぱいまいた、こういうことが新聞にも出ているわけです。
 そこで、とりあえずお伺いしたいことは、昨年の暮れに、前の農林大臣が緊急用で韓国から輸入されたノリが、そのまままだ倉庫に眠っているということを知っているわけですが、これはどういうふうになっていくのでしょうか。
○倉石国務大臣 昨年のノリの生産は、不作でございまして、価格も上がりました。そこで年末のノリの需要に対処いたしますため、ただいまお話のございましたように、十二月中旬に三千五百万枚の韓国ノリの輸入割り当てを行なったのでありますが、韓国側の都合によりまして、全量の到着いたしましたのは十二月末となりました。そこで一月中旬、関係者によります現物の荷つけを行ないまして、直ちに韓国側と価格の交渉に入ったのでございます。しかし、本年は国産ノリは有史以来のまた大豊作が予想されまして、生産者の共販価格も、御存じのようにだんだん低落いたしておりますが、日本の業者は、これを標準として評価いたしますので、したがって、韓国側と価格が折り合いませんで、現在まだ商談ができないという状態にあるわけであります。いずれ、わが商業ベースで解決される問題であると考えております。
○沖本委員 そのままということになりますと、いずれは商談が成り立って国内で売られるということになると思うのですけれども、そうなってくると、倉敷料とかいろいろな付帯費がだんだん加算してきて、安い韓国ノリが日本のノリより高くなってくる、そういうものが全部消費者の肩に肩がわりされるのではありませんですか、その点はどうですか。
○倉石国務大臣 いまお答え申し上げましたように、こちらのほうは大豊作が予想されて安くなる見込みでありますので、こちらの商売人が、それと見合うような価格でないとなかなかまとまりませんけれども、現在もうすでに、御承知のようにかなりのストックもあることでありますから、なるべく早く商談がまとまって、これが市販に出てくるように私どもは指導いたしたいと思っております。
○沖本委員 いまお伺いしたのは、いろいろな付帯費がついて高くなっていくところの韓国ノリ三千五百万枚が、消費者に肩がわりされないかという点なんですが……。
○大和田政府委員 韓国ノリの輸入は、実はカーゴレシート方式という一種特別な輸入方式で輸入いたしておりまして、現物を見て価格の評価をして折り合ったところで通関して輸入するということでございますから、商談がまとまるまでの金利、倉敷料は、韓国側が負担するという状況でございます。したがいまして、御趣旨のような御心配は、まずないというふうに考えております。
○沖本委員 そうしますと、急いで入れたノリは、結局韓国側が負担するわけですか。
○大和田政府委員 韓国側の関係者にとってはたいへんお気の毒なことでございますけれども、従来の輸入方式によりますと、商談ができるまでの負担は韓国側が負う、そういう契約でございます。
○沖本委員 そうすると、商談ができると、こうおっしゃいますが、可能なんですか、その商談は。
○大和田政府委員 実は、最近も日韓ノリ会談がございまして、輸入数量の打ち合わせをいたしたわけでございますが、日本も韓国もそれぞれ未曽有の大豊作ということで、輸入数量の折り合いがつかなかったわけでございますけれども、昭和四十年ごろの話し合いといたしまして二億枚ないし五億枚の輸入をするという約束がございますから、若干の輸入は当然いたすわけでございます。したがいまして、すでに昨年の十二月に到着いたしました三千五百万枚のノリにつきましても、当然商談は何らかの形でまとまるというふうに考えております。
○沖本委員 この輸入ノリに関ましては、のり協会が扱っているわけですね。
○大和田政府委員 韓国ノリの輸入の方式を申し上げますと、日本のインポーターが輸入をいたしましたものを一括のり協会が購入をいたしまして、それから約九百五十ほどの商社に対してのり協会が配付をするという、そういうシステムをとっておるわけでございます。
○沖本委員 問題は、いまだに、豊作だ豊作だといわれておるノリが、万博というような問題、あるいは春を告げる現在に至っても非常に高くて、消費者の手では高いことが問題になっている。そこで総理がその問題をお取り上げになったのだ、そう思うのですけれども、なぜその安くならなければならないノリが依然として高いのでしょうか。
○大和田政府委員 総理府の調査によりますと、昨年の十一月、十枚三百六十四円という異常な高値を呼んだわけでございますが、二月の数字を見ますと、それが約二割ほど下がっておるわけでございます。しかし、生産者価格は二月、三月と相当下がっておるわけでございますが、それに比べれば消費者価格は統計にあらわれる限りはそれほど下がっておらないのが現実でございます。しかし、私どもの実際の調査によりますと、たとえばスーパーマーケットでありますとか、あるいは上野付近の安売りで有名なマーケットに行って実態を調べますと、すでに中級品のノリが百円前後、百円ないし百二、三十円程度になっておるわけでございます。しかし、それがなお一般的になりませんのは、一般の小売り店では相当高いときのノリを買っておりますので、生産者価格がどんどん下がりましても、なかなかそれに対応できないという関係があろうかと思います。しかし、スーパーマーケットあるいはその他の安売りの市場の小売り価格の動きを見ますと、必ず一般の小売り価格も相当な速度で今後下がっていく、また、私どももできるだけそういう指導をいたすつもりでおるわけでございます。
○沖本委員 素朴な消費者の感情からいきますと、生産地で十円を割りそうになっているノリ自体を、なぜいまのような三倍もするような値段で買わなきゃならないのかというところに疑問があるわけです。われわれもまたそういうふうに考えるわけです。それ自体が高いというのは、総理がお話になったとおり、業界のいろいろな複雑な機構の中にその問題がある。総理自身がおっしゃっておったわけです。そこにあるんじゃないかと思う。そうすると、その複雑な業界の機構あるいは内容そのものを調整するのはお役所じゃないんでしょうか。
○大和田政府委員 ノリの問屋は二千軒ほどございます。それから、ノリは商品として一ぺんにできて、しかも従来の姿では豊凶常ならずという形でございますから、相当投機的な性格を持っている商品でございます。したがいまして、いろいろいままで問題もあったわけでございますが、最近におきましては生産者団体の共販が大体八五%ぐらいまで進んでまいりましたことと、それから最近におけるノリの生産技術の改良によりまして、豊凶が相当ならされる見込みでございますので、生産者団体による共販が進んだことと技術が進んだことで、私は相当ノリの価格というのは今後安定をする、また、もしもそういう事態になりましても、流通上に問題がございますれば、私ども十分これに対処いたしたいというふうに考えております。
○沖本委員 ちょっとそれではお答えにならないと思うのですがね。対応するといっても、対処していただかなければ安くならないのですよ。で、いろいろなところから聞くと、業界ではノリを安くしない一つの原因として、問屋同士のキャッチボールがある、こういうことも世間に喧伝されております。また、のり協会自体の不健全な内容の中にも問題があるのではないか、こういう点もしばしば指摘されてきているわけです。この点はいかがですか。
○大和田政府委員 二千軒ほどのノリの問屋の仲間で仲間取引がございまして、それは品物の品ぞろえということ、あるいは金融の問題等やむを得ないものもございますけれども、結果として若干ノリの値段を上げているということも私は事実だろうと思います。そしてまた、のり協会につきましても、多少問題はございましたけれども、ただいまは全部正常に復しまして、韓国ノリの場合でも百枚について手数料七円ということに明定をいたしてやっておりますから、もう御懸念はないというふうに思います。
○沖本委員 結局ノリはわれわれ日本の国民にとっては切っても切れない生活必需品なんです。これはまた物価に響く影響は非常に高いわけです。それがたくさんとれたとあなたみずからおっしゃっているわけです。そうしてその複雑な問屋の機構をおっしゃっているわけです。それを指導監督して、そうして物価を安定させるところに、消費者自体が安いノリを自由に入れられるようにしていくところに、役所の役所たるべき問題があるのではないのですか。
○大和田政府委員 ノリの小売り価格は、先ほども申し上げましたように、統計に出てまいります限りは、昨年の高値に比べて二割ぐらいしか下がっておりませんけれども、実態の感じといたしまして、スーパーマーケットその他の安売り市場ですでに十枚当たり百円内外の相場が出ているわけでございますから、一般の小売り店では、先ほども申し上げましたように、高値のときに買っておりましたものが相当あるわけで、それをすぐに下げるということはなかなか商売としてできにくい事情があろうと思いますが、私どもこの数日、実はノリ関係の問屋その他を役所に呼びまして、いままでノリの値段が高過ぎるために、とかくノリというのは贈答品に限られて、一般の国民生活と断絶する傾きがあるわけでございますから、このような豊作を契機にしてもう一度国民との結びつきをすべきではないかということで、流通業者に話をして、できるだけ安い値段で消費の促進をするようにという話もいたしているわけでございます。私は先駆的に小売り価格が相当の部面で下がっているということから、高値に抱えたものがだんだんはけるに従いまして小売り価格というものも相当下がっていくというふうに思いますし、またそういう方向で行政指導をいたすつもりでおります。
○沖本委員 あなたのお話を聞いておりますと、何か流通機構側のほうに立ってお話をしていらっしゃるように聞こえてしょうがないのです。私が申し上げているのは、消費者の立場で申し上げているわけです。必要なのは消費者がどうしたら安いノリが手に入るか。豊漁になっているのですから、豊漁というものが目の前にぶら下がりながら、それを高い値で買わなければならないところに矛盾があるのです。
  〔坪川委員長代理退席、委員長着席〕
その矛盾を指導して調整してやるのがあなたのほうの仕事なんでしょう。大臣ひとつ……。
○倉石国務大臣 たいへんごもっともだと思いますし、私ともも、豊作なのに安くならない――まあいま事務当局のお話で、若干安くはなってきております。私ども実は、お説のように一般大衆に密着しておる親しみ深い作物でありますので、これは何とかしなければならないと、部内でもたいへん苦慮しておるのでありますが、ただいま事務当局がいろいろ御説明申し上げましたように、専門的に調査いたしますと、いろいろな従来の慣習、それからいま協会等のお話もありましたが、そういうことでいろいろ理由はあるようでありますけれども、何しろ御存じのように生産者がきわめて零細でありまして、そういう人たちのものを集めて協会ができて、そして現在のような取引が行なわれておる。そこで基本的に申し上げますならば、やはり消費者大衆が素朴に考えられた事柄に合うようにつとめるのが私どもの任務でございますので、先ほど来のお話のようなことにつきましては、なおなるべく早く韓国ノリとの話し合いがつくように努力いたしますと同時に、流通機構全般について、ノリに関してさらに検討を掘り下げてやりまして、大方の御期待に沿うようにつとめたい、こういうことで実はきょうも朝からそういうことを部内でいろいろ苦慮しておったわけであります。なお掘り下げて勉強をいたしたいと思っております。
○沖本委員 お話の点なんですけれども、要は消費者に安いノリを早く出すようにしていただきたいことです。それにつきましては、日本の国内産のノリと輸入の韓国ノリとは品質も違うしにおいも違う。こういう点で、専門的に言えば区別がつかないようなところもあるというようなお話もありますけれども、生産者のほうの立場を守りながら、その間を調整しながら、いままでの外貨でどうする、こうするというようなワクをはずしていただいて自由にしたら、もっと違うのじゃないんですか。この点がどうもわれわれ納得いかないわけなんです。この点はいかがですか。
○倉石国務大臣 韓国ノリの輸入を自由にするということにつきましては、これはいろいろ問題がございます。これはいろいろな観点で、相手国もあることでありますし、そういうことについてはさらに検討いたしますが、ただいまの、豊作であるにもかかわらず価格が下がらないといったようなことについての流通機構については、十分ひとつ検討をいたしまして、大方の御期待に沿うようにつとめたいと、こう思っております。
○沖本委員 さらにもう少し伺いますが、この構造の非常に古いものを持っておるノリ問屋、卸問屋さん、こういうものの機構をある程度、あるいは大きく改革していく、こういうふうなお考えはないものでしょうか。そうしていけばこの問題は解決していくのじゃないか、こういうふうに私は考えるわけですけれども、その点、いかがでしょうか。
○倉石国務大臣 御存じのように、これは統制品ではありませんから、どの程度までできますか。とにかく現状においてラジオ、新聞等を通じてやはり一番消費者大衆の声があがっておることを、業者も私どもも見のがしてはいけないと思うのであります。したがって、そういうことについてできるだけ消費者大衆にも満足のできるように、しかもわが国のノリの生産者は、何べんか申すようでありますが、非常に零細な漁民が多いわけでありまして、そういうことも考慮しながら、ひとつ流通機構について十分に努力をして対処してまいりたいと思っております。
○沖本委員 まあいつまで押し問答してもしかたがないわけですけれども、結論は、安いノリが消費者の手に渡るように、それがやはり物価の安定につながる最短距離でもあるわけですから、その点は十分お考えになっていただかなければなりませんし、また大臣のお話しになりましたところの、ノリ業者は非常に零細業者である、こういう点もお話しでありますけれども、当然零細な業者ですけれども、その零細な業者がたたかれて生産地は非常に安い値段になっている、こういう現状なんです。そこにいわゆる統制ではない自由の問題が出てきているわけですから、豊漁だけれども生産地で非常に価格が高くて、それで消費者の手に届くときには高いんだ、これは理屈がわかります。ところが生産地のほうは安くて零細ノリ業者が非常に困っておる。それでその間のさやを見てみるとあまり高いじゃないかということで、アメ屋横町でノリをどんどん出した。こういうことも一つの問題として出ているわけですから、こういうところをよくお考えになっていただいて、こういう間の問題を除去して、ノリが国民のところに安く自由になるように、いまのような問題が毎年あれだこれだということのないように、早急にこの問題は解決の方向に向かっていただきたい、こういうふうにお願いしたいわけでございます。
 次には、放送大学につきましてお伺いいたします。
 これは文部大臣にお伺いいたしますが、放送大学の問題点というものはどういうところなんでしょうか、具体的にお示しいただいたらと思います。
○坂田国務大臣 放送を主体といたしまする教育方法といたしまして、新しい大学の設立につきまして、昨年の十一月以来放送大学準備調査会というものを設けまして検討を進めておりますが、この放送大学は、また一面におきまして、中央教育審議会におきまして高等教育全体の改善の検討をいたしておるわけでございまして、それとあわせて審議を進めておるわけでございます。
 放送大学は、新しい時代に対応するいわゆる新構想大学の一つであるというふうに私どもは考えておりますし、旧来の既設の大学の弊害をできる限り払拭したものにしたいというふうに考えております。放送大学の目的、性格、対象、教育方法等につきまして、放送の特性を最大限に生かすべくくふうを重ねますと同時に、新しい大学のあり方としても他の模範になるような大学でありたいと考えておるわけであります。
 放送大学の対象といたしましては、高等教育の機会均等の観点から、勉学の意思を持ちながら大学に学べなかった勤労青年、主婦など、あるいはまた生涯教育の機会拡充の観点から、科学技術の進展に対応いたしまして新しい知識、技術を求める社会人あるいは職業人、それから高等学校の新規卒業者というふうに、幅広い層の教育要求にこたえたい、かように考えてやっておるわけでございますが、去る三月の十七日にこの放送大学準備調査会の小委員会の一応の中間的な試案も出ておるわけでございます。
○沖本委員 重ねてお伺いするようでありますけれども、この放送大学の特にきわだった特質でございますね。これはいまお話しになったように、現在の大学問題や学生問題の解決に寄与するようなことを考えなければならぬ、こういうふうに考えるのであれば、どういう面から現在の大学問題に寄与できるか、こういう点に疑問が出るわけですが、その点はいかがですか。
○坂田国務大臣 まだこまかいカリキュラムその他の問題についていろいろ問題がございますし、検討を進めておるわけでございます。しかし、いま各大学でやっておりまするのは、先生が教室に立って講義をやるわけでございますが、その講義にかわるものとして、テレビを通じましてあるいはまたラジオを通じまして講義をする。その単位をとりまして、そしてさらに一年のうちに、文科系統で大体十日ぐらい、あるいは自然科学系統で十九日程度のスクーリングを行なう。これは小委員会のただいまの報告でございますから決定しておるわけじゃございませんけれども、一応の試案といたしましては、そういうようなことを考えておる。一週間に日曜を除きまして大体六日、テレビとラジオを合わせまして毎日二時間ずつこのラジオ、テレビの講義を聞くということでもって、大体百二十四単位をとれる、つまり大学の卒業資格を獲得する、こういうような考え方にいまはあるわけでございます。
○沖本委員 この放送大学の特質としては、私が考えますのは、大衆に開放することができるし、ほとんど無償で学問を供給することができる、あるいは学生は自宅で受講できる、またやり方次第では全国的に高水準の学者を集めて、あるときは個人的に、あるときはグループとして、最新の教材を使って最高の質の教育内容を可能にすることができる、こういうふうに私は考えるのです。またさらに、その表現のしかたやアピールのしかたについては、大学教授よりも放送メディア関係者のほうがよく研究開発していく、こういうことになりますから、大学教授は研究とその成果を放送メディアその他で消化、理解させるため最適の表現形式をいろいろ分担して一つの講義としてつくりあげることができる。また外国との講義交換も簡単にできるのじゃないか、こういうことから、教授自体はビデオテープで自分の時間を残すことができて、十分にその時間を研究に使うことができる、こういうような点がいろいろ考えられるわけでございますが、要は放送の特質をフルに生かすことでなければ意味がなくなってくる、こういうふうに考えるわけでございますが、総理の御見解はいかがでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま文部大臣が申しますように、放送大学、いろいろ研究中でございます。どの範囲に可能なのか、文科系はすぐ考えられますけれども、理科系のものがどの程度放送大学として使えるか、そういうことも一つの問題だと思います。何ぶんにも新しい試みでございますから十分用意をして、しかる上で発足しなきゃならぬ、かように思っております。ただいま委員会がそういう意味で研究を続けている、かように私聞いております。その特徴はただいま言われるように、先生自身も自分の時間が十分に使えるし、また学ぶ者も自分の仕事をしながらも特別な時間をさいて勉強できるという、そういう便利はございます。しかし、何といいましても人的なつながりができにくい、ただ放送、無電あるいはテレビを通じてだけでございますので、やはり人的つながりがないというところに非常に大きな欠陥があると思います。また最終的には国家的に資格を付与するという、そういう制度も考えないと、ただ自分でこれだけの学習をしたんだというだけでは済まないだろう、かようにも思います。だから放送大学自身にもいいところがございますが、同時に欠点もありますので、それらの点も十分考えてまいりたいと思います。
○沖本委員 この放送大学、せっかくですからよく生かさなければならない、こういうふうに考えるわけですけれども、これを生かすにあたりましては、現在の大学制度全般はなるべくそのままにしておく、高等教育の各機関、機構、制度を新たに開放された高等教育体系としての視野から見直していくことが必要じゃないか、こういうふうに考えますけれども、総理はどういうふうにお考えでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 その点は大体私も同じような考え方でございます。
○沖本委員 これは御通告申し上げなかったのですが、ついでに一つ経企庁長官にお伺いできたらと思うのでございます。これはお答えになれる問題だと思いまして、時間がもう少しございますからお伺いしたいと思います。
 国民生活センター法案という法案が出るというふうに聞いておりますけれども、そのねらいは何でございましょうか。
○佐藤(一)国務大臣 もうよく御存じのとおりに、現在消費者とのいわゆる対話が非常に不足しておる、また消費者に情報が非常に不足しておる、こういうことが物価行政において一つの穴になっておるといわれております。そういう見地から、私どもも何とかそうした機構をつくってみたい、こういうことでもって今回御提案申し上げておる次第です。
○沖本委員 そこでこの問題を考えますと、内容から見ますと、国民の意思を反映する一つの手段としては、代議員制であるとか、あるいは世論調査、モニター、あるいは直接参加するところの大衆団交、こういうようなものが国民の意思を反映する手段としてございます。それぞれには限界とか特質があるわけでございます。そこで、この苦情処理を通じてなまの国民の訴えを吸い上げて、くみ取っていくということができれば、これは新しい方法論として生きていくのじゃないか、こういうふうに考えますけれども、総理はどうお考えでございましょうか。
○佐藤内閣総理大臣 先ほど企画庁長官からお答えしたような趣旨でこのことを取り上げたい、かように思っております。また、これは先ほどもノリの問題で、私のわずかなテレビの発言であれだけ詳しく追跡をされた、これは確かに効果があったことだと思います。これもお礼を申し上げておきますが、こういう問題は、やはり国民の生産者側、同時に消費者双方に立って、もっと突っ込んで検討を遂げなければならない問題だ、かように思いますので、今度できるものにいたしましても、ただ上っつらだけをさっとやるというようなことでなしに、ものによってはさらにこまかく掘り下げていく、こういうことが必要じゃないだろうかと思います。先ほど来の質疑応答を聞きながらも、なかなかうまく取り上げられた、かように思って――質問をされ、政府側としては困る筋ではございましたが、しかしたいへん効果のあるお尋ねだったと思います。ありがとうございました。
○沖本委員 このことで一番心配になりますのは、都合の悪いことは隠してしまう、こういうことがあるようなことがあっては非常にこれは問題が出てくる。せっかくこういうようなものをおつくりになるのでしたら必ずいろんな問題を公表していただいて、そういうものが全部寄与していく、こういうことでなければならないと考えるわけでございます。ですから、この苦情の受けつけ窓口を十分生かしていただいて、国民がこれを大いに利用して、物価あるいはいろんな問題がここで処理していけるような方向に、せっかくでございますから、大いに生かしていただくような方法をとっていただきたい、こういうふうにお願いいたしまして、質問を終わらしていただきます。
 ありがとうございました。
○中野委員長 これにて沖本君の質疑は終了いたしました。
 次に、北山愛郎君。
○北山委員 私は、予算審議の締めくくりといたしまして、いままで審議の中で保留した問題等々につきまして、質疑をいたしたいと思うのであります。
 まず最初に、総括質問の際に、昨年の国会の召集及び解散のやり方につきまして、主として憲法、法理論でもって質疑をしたわけでありますが、これは私は保留しておいたのであります。ここでまた同じような憲法論を蒸し返すのは、また時間がもったいのうございますから、よく御研究を願いたいと私は思うのであります。私の申し上げるのは、常会というものを持つという気持ちになるならば、やはり国会法の第二条の二とか、そういう規定によって、今度の特別国会が、あわせて常会の性格を持つことができたんじゃないか、こういう趣旨で申し上げたわけです。
 それからもう一点は、これはまあ政治論にもなりますけれども、昨年の臨時国会の召集であります。社会党から、手続を経まして、臨時国会の召集手続をしたのは、九月の十七日であります。これは憲法第五十三条によって召集要求をしたわけでありますが、政府が召集を決定しましたのは、十一月二十九日でありますか、二カ月以上もたってからであります。これではせっかくの少数野党の国会召集の権利と申しますか、それを保障した憲法五十三条の意味がなくなってしまうんじゃないか。私どもはこの憲法の解釈上、それは一週間や二週間おくれてもいいでしょう。しかし、政府の都合で、そんなに二カ月以上もおくらしてやるようでは、政府が召集した臨時国会と同じことになってしまう。無意味になってしまう。こういう趣旨で、この点は憲法論としましても、昨年の臨時国会の召集のやり方は、私は第五十三条第二項に触れるものであると考えるのであります。しかし、それ以上に私は、政治論として、一体国会の召集――これは常会、臨時国会の召集にしても、いま申し上げたとおり。さらに十一月二十九日に召集されて、しかも政府が約三十件の国民生活に関係の深い法案を提案して、審議してもらおうということで法律を提案しておきながら、たった一日の審議でもって二日に解散をされた、こういうやり方は、それは法律上はいろいろと解釈がつくでありましょうけれども、しかし、国民の常識からして、われわれの常識からして、おかしいんじゃないかと思うのであります。臨時国会を召集して、しかもそれは社会党が要求した国会である、そして審議してくださいという、しかも国民生活に関係の深い法案を出しておきながら、それを審議することができないままに解散をしてしまう、こういうやり方は、私はとってもらいたくないと思うのであります。これは法理論だけではなしに、政治論として、やはり国会というものの権威なりあるいは政府と国会の関係、こういうものをいまの議会政治、議会制民主主義の原則に従って運営する、こういう立場からして、ひとつ総理にも十分この点はお考えを願いたい。もし御所見があれば、お伺いしておきたいのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいま別に法理論云々ではなく、政治論的な立場からのお話であります。私どもも、この臨時国会の召集ということについて、社会党が要求された召集についていかにこたえるべきか、ずいぶん実は苦労をしたものでございます。苦労というか、苦心をしたものです。当時、申し上げるまでもなく、沖繩返還アメリカ交渉という大事な問題を控えておったものですから、この問題といかに取り組むか。臨時国会を召集して、開けば必ずそれが問題になる。そのことは、必ずしも問題を解決するゆえんの方向には寄与することがなかなか困難だろう。オープンでやることはちょっとむずかしいのじゃなかろうか。党首会談ということをお願いしたのは、そういうわけ合いでございます。したがって臨時国会を要求したにかかわらず、非常におそく開いた。そのおそくなったことは、そういうことで一応御了承をいただきたいと思います。
 そこで、今度は、開いてすぐそれを解散した。それはいかにも党利党略だと、かようにも言われるのでございます。しかし私は、あえて弁解するわけじゃありませんが、ちょうどお正月、楽しい正月を中にはさむということ、たいへんむずかしいことでございまして、私は、少なくとも、選挙をするならば正月の後にやるか、あるいは正月の始まらないうちに、それを含まない時期にやるべきじゃないだろうか。実はそこらにおいて苦心したものがあったのであります。まあ皆さん方のほうからも、とにかく解散すべしというずいぶん強い議論がございました。そのことばじりをとってどうこうではございませんが、ただいま申し上げるような国家的な行事というか、お正月という、そういうものをいかに選挙とかみ合わすかということで苦心したつもりであります。そこらにもいろいろ予期しない問題があったということ、おそくなりましたが、一応ひとつ御了承をいただきたいと思います。
○北山委員 まあ総理は総理なりのお考えでやったようでありますけれども、しかし、これは客観的に見て、どうしてもやっぱりおかしいですよ。それは正月とかなんとかということとはまた違うのです。そういう点は、十分、臨時国会の召集そのものも含め、解散も含めて、昨年のああいうやり方は、やはりお互いに――お互いにというか、みんなで考え直す必要があるのじゃないかと思うのです。また憲法五十二条第二項がなぜあるか。この深い意味もよく考えていただきたいと思うのであります。
 それで、私、次に移りまして、分科会で外務大臣にお尋ねしたことでありますが、実はこの国会でも七二年の沖繩返還後におけるB52の問題等について質疑がありましたが、私は、むしろやはり現状の、B52が存在して、そして発進をしておるという事態、これを認めるということは、われわれとしてはできないと思うのであります。これは国民感情から申しましても、沖繩県民大多数の意見でもある。しかも政府は、そういうふうな意向も示されたこともあるわけであります。したがって、七二年は七二年として、一日も早くB52の撤去をアメリカに申し入れるべきである、こういうことで外務大臣にお尋ねしたところが、そういうお考えだ、申し入れをするという御答弁をいただいたわけであります。
 そこでこの際、総理からまたあらためてこの点について確認をしていただきたいと思うのであります。
○佐藤内閣総理大臣 ただいまの北山君のお話は、これは国民的な、全国罠の願いだ、かように思います。そういう点で、日米間にそごを来たさないように私どもも十分国民の意向は伝えたい、また伝えるだけではなく、そういう方向の実現に努力するつもりでございます。
○北山委員 次に、安全保障の問題でありますが、私は一つの問題を提起したいと思うのであります。
 非常に基本的なことでありますから、この短い時間で論議することではございませんけれども、私の考えからするならば、この安全保障問題については、やはりできるなら国民的な合意が必要だ、われわれもそうしたいと思うのであります。
 私どもの考え方と政府与党の方々の考え方と非常に基本的に違う点は何か、こういうことを私は考えてまいりますと、いろいろあるでございましょうが、その第一の問題は、何を守るかということについて非常に基本的に違いがある。国の独立とかあるいは国民の生存、こういうものを守るという考え方については私どもは同じ意見であります。ただそのほかにプラスアルファがあるわけです。政府のいろいろな文書なりあるいは与党の文書を見ましても、やはり自由民主の体制、自由主義、民主主義の体制、現行の、言うならば資本主義の体制を守るということがさらにつけ加わってあるわけであります。いわゆる安全保障という名前の中に、そういう概念の中に、いわゆる国内の問題である体制擁護ということが入っているのです。それがじゃまになるのです。そうなれば、あなた方からいえば当然共産主義とか社会主義というのは敵だということになるでしょう。そういうふうに体制を守ることまでこの安全保障の中に含めているところにイデオロギーが入っている。ですから、そのイデオロギーを国民全部に押しつけるわけにいかないと思うのです。そういうものをはずしてしまうならば、国を守ろうじゃないか、われわれ国民の生命、財産を守るという考え方――手段、方法は別としてですよ、それについては大体一致ができると思うのでありますが、自由主義、民主主義の体制、いわゆる自由世界を守る、そういうことですから、これはその点が非常に違ってくるのです。
 したがって、私はそういう考え方の上に立ってお尋ねをするのですが、たとえば極東という概念、これは皆さんのほうでは地域的な概念じゃないのです。極東となれば、やはり地域としては北朝鮮も入るでしょう。そうじゃないのです。極東の中の自由世界に属する国あるいは政府、それがいわゆる守る対象としての極東でしょう。ですから、はっきりおっしゃったほうがいいのです。全部の極東の地域ではないのだ、平和と安全を守るのは。その中で同じ体制である――同じ体制かどうかわかりませんが、とにかく資本主義の制度をとっておる国あるいは政府、こういうものを守るのだ、こういうことになりはしませんか。それとも北朝鮮の平和と安全を守るのですか。そうじゃないでしょう。地域的な概念じゃなくて、それ以外の、いわゆる体制、同じ体制の地域、資本主義の地域、資本主義の世界、自由世界というものを守るという考え方が安全保障というような概念の中に入っている。それがじゃまなんです。どうですか。
○佐藤内閣総理大臣 どうも私と意見がかみ合わないように思うのですが、ただいま、体制、これまで国防の観念の中に入れておる、こういうお話ですけれども、私は、体制そのものは国民全体がきめるものだ、かように思っております。したがって、私どもは、現体制維持派、支持派、さようにはございますけれども、これはもう民族の全体としてきめるものだ、かように思いますから、これはいまのようないわゆる国防の問題としての中心をなすものではないだろうと思います。やはり何と申しましても、守るべきものは国民そのもの、国民の生命、財産、国土そのものだ、かように私は考えます。その上で国民の選ぶ体制というものができるのだ、かように思います。私はだからそういう意味から、皆さん方と私どもとがもし一致点を見出すならば、守るべきものが国土であり、民族であり、民族の生命、財産だという、それは守らなければならぬ、かようにおっしゃるなら私も同じなんで、それではどうもいわゆる非武装中立論などは出てこないように実は思うのです。私は、どうも体制というようなことを言われて、そこへ行くとちょっと議論が違ってくる、私はいまのお話を聞きながらさように考えたのであります。
 それで、極東ということば、これは何度も申したのでありますから、いわゆる北朝鮮の体制がどうのこうのという、そういうような問題ではない、韓国の体制がどうだからというような問題ではない、これはもうフィリピン以北という、そういうだけの地理的な考え方でございますから、これは何度も説明したのですから、あえて重ねては申し上げません。
○北山委員 私の意見に近いような総理の御意見で、たいへんうれしく思うのですが、ただしかし、実はここに政府の、総理府の出した「日本の安全を守るには」というパンフレットがあるのです。これは総理府が去年の十一月に出しております。これを見ると、はっきりと、「なにを守るのか」とか、「なにから守るのか」とか、「どうやって守るのか」とか、こういう題目のもとにはっきり問題を割り切っているのです。それを見ると、「なにを守るのか」というところに、「つまり、「日本の歴史と伝統を守り、さらに国民ひとりひとりの生命財産を守り、自由な民主主義の体制を守り、国全体の繁栄を守り、そしてわが国の独立を守ることです。」」こう書いてあるのですね。だから体制が入っているのです。それからそのほかの文章の中――これは政府の文書ですから、あとで読んでいただきたいのです。これは二〇ページのところに「防衛の目的が、自由と民主主義を基礎とするわが国の体制を守ることにあるのですから、どこか他の国と協力するということになれば、体制を同じくする自由諸国の一員であり、しかもその中から目的を同じくする国を選ぶのは自然の成り行きでしょう。」こう書いてありますね。もうこれはこの文章だけではないのです。いろいろな文書の中にこういう考えがあるので、総理のお考えと、いまのお話と、この政府から国民に出している文書とはまるっきり違うのじゃないですか。
○佐藤内閣総理大臣 いや、いまも申しましたように、私どもはいまの現体制のもとにおいて、民主自由主義、こういう体制だ、その体制はしかし国民全体がきめることです、こういうことを申したはずです。したがって、私どもはその体制に立っておる、それを国民も支持しているというのがいまの状態だ、かように申し上げておる。だから、そこに書いてあることと私がいま申したことと違わない、御了承いただきます。
○北山委員 それは政府与党の方々が、自由主義なり民主主義なり、いまの資本主義なり、それをお守りになることはけっこうです。私どもは意見を異にするからいろいろ論戦もし、戦いもします。しかし、それを国の安全保障という名前で、防衛の仕事の中でからませてはいけないということなんです。いわゆる国の体制の問題は、いま総理がお話しになったように、国民が民主的に選択をする問題なんです。国の防衛とは違うのです。安全保障とは違うのです。もしもそれがこんがらかってしまうならば、自衛隊をもって資本主義の制度を守るということになって、昔の封建制度と何ら変わることがないのです。大名が武士階級の力で封建制度を守るのと同じことになるじゃないですか。いまの民主主義の社会というのは、体制は国民が選択するのだ、自由にそうして民主的な手続で選択する、それが日本では可能になっている。したがって防衛というのは、そんな体制の問題じゃなくて、国内の体制問題じゃなくて、そうじゃなくて、外部から攻撃を受けるとか、いわゆる国の独立なりあるいは国民の生命、財産を脅かされる、これに対して守るということでなければならぬのです。この文書だけじゃありませんよ。いろいろな文書と総理のいまのお話とは違うんですがね、どうですか。
○佐藤内閣総理大臣 これは基本的な問題ですから、また十分議論すべき値打ちのある問題だと思っております。私は体制即いまの日本民族のあり方、これと一致しておる、かように考えるがゆえに、体制を特に取り上げて云々するという必要はないのじゃないか、かようにまで思っております。先ほど守るべきものは国土であり、国民の生命、財産だと言われた。そういう意味なら、私は社会党の諸君ももう一歩足を踏み出して、やはり自主防衛論に賛成されてしかるべきじゃないか。いま体制論でとやかく議論している際じゃないと思うんですよ。皆さん方が、それぞれの政党がそれぞれの体制を主張しておられること、これはもうすでに御説明を聞くまでもなくわかっておるのです。それはもう違っておる。だからそういうところはあまり議論する余地がなくて、同じものを守るのだ、そういう意味で守ることに立ち上がっていただきたい、かように思います。
○北山委員 これは実はこのパンフレットだけじゃなくて、第三者的な、たとえば朝日新聞で出しているものでも、いまの日米安保条約の第二条に、自由な制度を守るという項目がある、これは外国と国内の体制をお互いに守ろうじゃないかという、いわゆる国内問題を外国と約束することであって、神聖同盟あるいは昔の防共協定、これと同じような趣意であるから、これが国民合意、コンセンサスを得るためにじゃまになるのだ、そこにイデオロギーが入っているからじゃまになるのだということがいろいろな本にも書いてあるんです。ですから私はお尋ねしたんです。しかし問題は、総理の言われるように、非常に基本的な重大な問題なんです。あまりここでだけ論議しておりますと、総理のせっかくのおことばがだんだん退却、後退してしまったのではまずいと思いますので、この問題は預かりにしまして、ひとつこれは皆さんも御検討願いたい。これは重大な問題なんです。たとえば国と国との関係においても同じなんです。いわゆる体制の相違を越えて、平和共存するという基本原則、これと共通の問題なんです。ですから私は問題を提起しておきます。
 もう一つは、総理も先ばしって触れましたけれども、もう一つの相違点は、一体何で守るかといういわゆる方法、手段の問題なんです。この点について食い違いがある。われわれは、いわゆる社会党の非武装中立というのは、武装がなくなれば安全だというのではないのです。軍備によって、戦争によって日本の国は守れない国なんだ、別な手段、戦争以外、あるいは軍備以外の別な手段によって守る、これがわれわれの平和中立非武装主義の精神なんで、その点についても食い違いがあるんですよ、おそらく国民の中にはたくさん。しかし、少なくとも第一の前提ですね、何を守るかについて、やはりわれわれ国民は論議をしてこの意見を一致をさせる、いわゆる体制の問題は防衛の問題とは別なんだぞ、自衛隊は資本主義、いまの制度を守るんじゃないんだ。そうでしょう。自衛隊法にもそんなことは書いてないんですよ。自衛隊法には、国の平和と独立を守ると書いてある。体制を守るなんということは自衛隊法には書いてない。自衛隊の任務じゃないんです。ところが自衛隊の中ではそういうふうな思想的な教育もされたり、あるいは国内に、いわゆる体制に反対する勢力があるということで治安出動の訓練をしたりする。そこから問題が非常にこんがらがってくるわけなんです。ですから私はきょうは、何を守るかという問題点、この点をひとつ国民がお互いに話し合って突き詰めてみる。そこに私は一致点が出ると思うんです。
 それからもう一つは、何で守るか、これについても十分検討してみる必要があると思うんです。私はこの前の総括質問の際に、食糧の安全保障のお話をしました。特にこれは実際問題として、かりに日本が、自衛隊があって、いわゆる通常兵器による局地戦に備える、そういう事態が万一発生したと仮定して、そういうことを想定した場合に、国民の食糧をどうして確保する、そういう計画をお持ちですかと聞いたんです。そうしたら、何も皆さんは答えなかったのです。用意がないのですよ。しかし、これが問題なんですね。これは資料をまつまでもないのですが、日本という国は、食糧と原材料と燃料、この三つのものにおいて最も海外に依存している国なんですね。輸入量の中で七六・六%が外国からこういう原料とか燃料、食糧を持ってきているのです。こんな大量の資材あるいは原料、食糧を持ってきている国はないのです。たとえばアメリカなら三九・六%ですね。西ドイツは四四・七%、イギリスでも五六%ですね。日本の経済あるいは国民の生命、毎日の生存というものは、三億数千万トンの物資を持ってきて初めて成り立ってきている、こういう国なんです。ですから軍備で、自衛隊がいざというときに飛行機を飛ばしたり何かやるかもしれない。しかし、国民がもうあすからの食いものに困る、そういう事態になったときに、それを軍事的な手段で守ろうとしても守り切れない。戦前ぐらいの物資ならまだいいのですよ。三億数千万トンが世界じゅうから集まってくるのです。そして日本の平和、繁栄が実現されているのです。そういう国なんだから、そういう社会的なあるいは自然的な、地理的な条件からしても、われわれとしては攻めてきたら軍備で守るんだ、軍隊で守るんだという考え方は、特に日本の場合には成り立たないということを、社会党は主張しているのです。ですから、ここでは私は問題の提起だけにとどめますけれども、社会党の、われわれのいわゆる非武装中立という考え方は、単に消極的に軍備をなくすればそれで安全であるというものじゃないのですということ、そしてそれはただ観念論で、理念だけで言っているのではない。もちろん理念的に言ったって、これは世界人類共通の最終の目標ですよ。戦争をなくする、軍備をなくする。ちょうど総理が一昨年の国会ですか、核兵器を絶滅するというまことにりっぱなことを言われた。それと同じような目標ですよ。それをわれわれは捨てない。捨てないが、ただ理念的に言うんじゃなくて、日本というこの現実の経済なり、われわれの国土のあり方、これを考えた場合に、最も安全な道はそういう道でなければならぬ。ですから、日本の経済が発展すればするほど、日本を守れるのは安保条約ではなくて、平和憲法だということを、われわれは自信を持って申し上げることができるのです。
 そこで、私はこの点については二つの問題、何を守るか、何で守るか、こういう点をひとつ詰めて今後皆さんでも議論していただきたい、総理もお考えを願いたい、こう思うのであります。
 次にいろいろ問題点がございますが……。
○佐藤内閣総理大臣 きょうは質問を受ける立場にあるのが、いま考えろというだけではちょっと問題だと思うのです。何を何で守るかと言われる。先ほどの民族を守る、生命を守る、それから同時に国土を守る、これは社会党と私どもは同じだ。同時に自由を守るということが気に食わないようでいらっしゃるけれども……(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)これは問題なしに自由はやっぱり守るとおっしゃるのだろうと思う。いま不規則発言をなさるところでも、自由は守るとおっしゃる。そうすると、そういうのが一体いわゆる現体制ということにつながるのか、つながらないのか。つながらないで自由があるのか。自由のない体制がずいぶん考えられるのですが、そういうものを考えられるんじゃないだろう。別に私説得するとかいう意味じゃございませんが、どうも同一の部分だけを取り上げておく必要があるだろうと思います。
 そして今度は、それを守るのは平和憲法で守るとおっしゃるが、これは私どもはやや意見を異にする。やはり具体的なものがなければ、抽象的に国土、生命、財産、自由を守る、こういうわけにはいかない。普通の社会秩序を守るにしてもやはり警察というものは要るのだ、国際的な暴力に対しても、戦争こそ放棄したが、みずからを守るその責任はわれわれ国民が背負っておるはずだ、自衛隊がやはりその任務を果たすべきだ、かように私は思います。これはしかし、別に平和憲法に反するものではない、むしろ平和憲法の命ずるものだ、かように私は考えておるので、そこらはもっとお互いに――私もさらに検討いたします。ただいま仰せられるように、もっと検討しろとおっしゃるなら検討はしますが、お互いにあまり狭い考え方を持たないで、もっとほんとうにわれわれの愛する自由、ほんとうにわれわれの愛する国土、民族、生命、財産、これはどうしたら守れるかということを真剣に考えよう、これは御指摘のとおり私も考えますから、よく考えていただきたいと思います。
○北山委員 自由というその概念ですね。これはいろいろな広い意味があって、いわゆる個人の人間の本来の自由、政治的な自由とか表現の自由とか、そういうものと自由主義とはまた違うと思うのです。自由主義というのは御承知のとおり、これはもう資本主義のイデオロギーなんですね、これはいわゆる経済上の自由主義。でなければ、自由世界の中に軍事独裁政権がたくさんあるのですよ、いわゆるほんとうの自由でない国があるのです。ただ資本主義という点においては共通なんです。ですから私は、どうしても自由という場合には自由主義であり資本主義のイデオロギーであると、こう規定せざるを得ないのですね。まあこれはいいです。
 時間がありませんから、次に税制の問題です。税制の問題につきましては、今度は法人税を引き上げたりあるいは所得減税をやりまして、若干御苦心のほどは認められますけれども、しかし、問題の租税特別措置にしてもいまだに厳然として――まあやめるものはやめましたが、新たに相当なものがふえておるということで、まことにこの点は残念に思います。個々の問題は問いませんが、ただ本年の四十五年度の租税特別措置によるところの減税見積もり額というのは、きのうまでわからなかったのですが、きょう実は書類をもらいました。それによりますと三千八百四十一億。四十二年度が二千三百七十七億、四十三年度が二千六百四十八億、四十四年度が三千二百二十六億、さらにことし四十五年度の見積もりは三千八百四十一億です。
 そこで、お尋ねをするのですが、これに関連をした地方税関係の減税額の見込みというのはまだ調べができておらぬでしょうか、自治省どうでしょうか。
○秋田国務大臣 地方税全体では八百三、四十億の減税をいたしたいと考えております。
○北山委員 いずれ自治省からもこの租税特別措置による減収はね返りの資料を出していただきたいと思います。
 それからなお、これは大蔵省に毎国会要求しておることでございますが、租税特別措置の減収額については毎年いわゆる予算ベースといいますか、減収見積もりだけは出てまいりますけれども、これによって幾ら減収になったかという実績はさっぱり出してこない。これは毎国会要求しておるのです。大蔵委員会でも要求しておる。これはできないはずがないのですよ。しかも大蔵大臣、この租税特別措置による減税というのは、大蔵委員会であなたは、これは補助金に類するものである、補助金的な性格を持つものであると言われましたね、そうですね。
○福田国務大臣 補助金的性格も持つ、こう申し上げております。
○北山委員 しかも一定の政策目的を達成するために、租税公平の原則の例外として暫定的にやるものである、これは大蔵省の資料にも書いてあるのです。したがって、この減税特例を受けた者はだれそれであって、どの程度減税されて、そしてその政策目的が達成されたかどうかということを確認しなければだめですよ。そうでなかったら、この租税特別措置というものは意味をなさぬのです。ただ、ある一定のものに税金をまけてやるということじゃないだろうと思うのです。確認しなければだめですよ。そういう意味からも、大蔵省徴税当局がそれを実行された場合には、その実績を把握しなければならぬし、できるはずなんです。それをいますぐ出せとは言いませんよ。いままで何回催促しても出さなかった。これを近いうちにお出しになるか、ここではっきりお約束していただきたいのです。これは当然出すべきなんです。どうですか。
○福田国務大臣 これは調べができないというものじゃないのです。しかし、するにはたいへんな人力、時間が必要なものでありまして、とてもこれをやっておったら一般の税務行政、そっちのほうがたいへん空疎になる、こういうことになろうかと思います。つまり、この特別措置なかりせば幾らになるであるのか、あるから幾らになるのか、そのなかりせばとこういう調査をせねばならぬわけでありまして、とうていこれは、お話ではございまするけれども、現実の問題として調査は不可能だと思います。
○北山委員 しかし大蔵省は、政府は、個々の法人あるいは個人に徴税令書を出して査定してやっておるじゃないですか。それで金を取っておるじゃないですか。その計算の基礎があるはずですよ。その中からその減税分を集めさえすればいいのです。ただ事項によってはむずかしいものもあるかもしれません。あるいは推定だけでしか技術的にはできないものもあるかもしれません。しかし、確実に捕捉できるものはあるはずです。そういう点はちゃんと仕分けをして、推計なら推計でいいですから――不可能だなんて言われちゃ困るのですね。そんなにめんどうなものをなぜ一体減税するのですか、たくさんいろいろな項目を。これはほんとうに特別な減税なんですよ。しかも租税の公平の原則から一つの異例として一定の政策目的のためにこれを実施する特例なんですよ。特例の部分をやりっぱなしで、あとはどのくらい実績があるのか、どのくらい政策の目的が達成されたか、それを捕捉しなくてもいいのですか、大蔵省は。
○福田国務大臣 これは不可能というものじゃないのです。実際問題としてこれは不可能だ、こういうふうに申し上げておるわけなんで、理論的にできないということはないのですが、それだけの価値があるかどうか。そういうことで、この特別措置をするにあたりましては推計はしてみるのです。大体推計で、この措置の価値、これを判断をするというほかはまあないんじゃないか。お話の筋はわかりまするけれども、現実の問題として、おっしゃるとおり毎年その実績をフォローする、これを数字的に明確にする、これは不可能でございます。
○北山委員 ですから、項目によっては推定でしかたのないものもある。しかし、個々に具体的にはっきりわかるものもあるわけなんです。その個々のものから税務署じゃ税金を取っているんだから。しかもいまコンピューターがあるときに実際にめんどくさい徴税手続で取っておきながら、しかもこういう特別措置という非常に問題になっていることをやっておきながら、見込みだけで、あとどのくらい減税になったんだかわからない、そんなことじゃだれも納得しませんよ。その点はひとつ努力してもらいたいと思うのです。
 それからもう一つは、これにはないものもあるのですね。たとえば配当所得に対する税額控除、これはこの委員会でも何回も問題になったものですが、それでたしか、四十四年度の配当所得者に対する課税最低限、五人世帯、これは二百八十二万三千八百六十六円でしたか。そこで四十五年は幾らになるのですか。配当所得者の課税最低限は四十五年はどのくらいになりますか。
○高木(文)政府委員 ただいまの配当控除は、今度一二・五%になりますと三百四万円になります。
○北山委員 私の聞いているのは、一二・五%にならない四十五年度は幾らだかと聞いているのです。もう一ぺん言いますが、この制度は四十六年と四十七年が一二・五%の控除、それから四十八年から一〇%の控除になりますね。ですから、四十五年は幾らになるかということです。
○高木(文)政府委員 四十五年で、いま正確な数字を持っておりませんが、四十五年度は一五%のままでございますから、先ほど先生がおっしゃいました数字とほとんど動かないと申し上げてよろしいかと思います。
○北山委員 私の言った数字というのは、二百八十二万幾らですか。それでいいのですか。それで間違いありませんか。
○高木(文)政府委員 一五%のままでございますから、若干税率の関係がございますけれども、ほとんど動かないと思います。
○北山委員 私どもの事務局で計算したところでは、三百五十三万二千二百円ぐらいになるだろう、こういう計算ですが、従来のままでいいですか。
○高木(文)政府委員 そんな大きな数字にはならないはずでございます。
○北山委員 肝心の税務当局が非常に不明確なんですね。二百八十二万ぐらいだと言っておきながら、今度は三百五十三万と言うと、七十万も違うのですよ、そんな大きくないと、一体どの程度なんです。
○中野委員長 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めて。
○北山委員 それではあとで――これはたしか、四十五年というのは相当高くなるはずなんです。たとえ一年だけでも、現在二百八十二万から配当所得者の課税最低限が三百五十万もぐんと上がっちゃうなんということはおかしいじゃないか、こういう気持ちで質問しているのです。あとで数字をいただいてからお聞きしたいと思います。
 それから、ここでちょっと思い出したのですが、私の平素から考えていることなんですけれども、映画館とかあるいは音楽、演劇に対する入場税ですが、この入場税はひとつ免除したらどうでしょう。これは税額としても、税収としても、あまりふえないどころか減ってきている。そして東京あたりは別として、地方の映画館なんというのはまるでそれはみじめなものなんです。そういうところから同じように入場税を取ったんじゃおかしいじゃないか。むしろ映画というものは、テレビとかそういうものに圧倒されておるんですから。すべての入場税じゃないんです、私は映画館とかあるいは音楽とか演劇とか、そういう入場税を免除することによって、むしろ映画そのものを健全にする道にもなるんじゃないか、こういうふうに考えますから、この点大蔵大臣、お考え願えますか。
○福田国務大臣 入場税の減免につきましては、総理大臣も非常に積極的であります。私もそう考えまして、実は四十五年度の税制改正の際にこれをやろうというふうに考えまして、大蔵省の原案までつくったのです。つまり競輪、競馬とかああいう種類のものは除き、その他のものにつきまして減免を行なう、こういうことでございましたが、物品税を一方において一切動かさないという考え方をとりまして、入場税を動かしますと物品税に波及をするという問題が、法律案作成の過程において出てまいりまして、非常に残念だとは思いましたけれども、ことしは見送ったのでありますが、なるべくすみやかな機会にそれを実行したい、かように考えております。
○北山委員 たいがいの税というのは自然増で年々伸びていくのですね。ところが、映画館とかそういうものの入場税はむしろ減ってきている。税額から見てもたいしたものじゃない。こういうものはひとつ、若干支障があるにしても研究を願って、ぜひ全免する方向で御検討願いたいと思います。
 それから。時間がございませんからちょっと、これはあとで資料等をいただいて御説明願ったほうがいいと思うのですが、実はことしの予算書にはちょっぴり書いておりますけれども、例のIMFあるいは世銀に対する出資、これを償還するときに、従来は一般会計から出しておったのですね。ことしから外為を使うようになった、そういうことらしいのです。これはいずれ法律が出てくるようですが、この政府の説明資料を見ましても、よくわからないのですよ。いわゆる外為特別会計の貸借対照表なんか見ても、なかなかこれはわかりにくい。説明が一つもついていないのですよ。ですから、これは不親切だと思うのです。また、この予算の説明書きを見ましても、ただ一般会計でやっておったものを今後は外為に振りかえたんだという一言だけなんですね。そうしますと、一体四十四年度では、たしか四百五十億ぐらい一般会計から世銀とかIMFに対する証券、国債の償還のために出したはずなんです。今年度は一体どのくらい償還しなければならぬという見通しですか。
○福田国務大臣 従来、お話しのようにIMFに対する出資は一般会計からこれを行ない、一般財源をもって行なっておったわけでございます。ところが、御承知のようにIMFクォータの改定が、昨年の暮れに行なわれまして、わが国はそれに対しまして四億七千五百万ドルという巨額の出資をするということになり、それに従いましてわが国は五つの任命理事国、国連でいいますと常任理事国というような地位に進むことになったわけでございます。従来一般会計から出しておりましたが、国際社会におけるわが国の地位は非常に高くなってくる、それからIMF国との関連も非常にひんぱんになってくる、そういうことを考えますと、このIMFと財務当局との接触の窓口を一元化しておいたほうがいいというふうに考えまして、一般会計から今度は外為特別会計のほうにその接触の窓口を一元化をするという措置をとったわけなんであります。それから、もう一つの理由がありますが、これは出資なんです。これは普通の支出じゃございません。そういうような関係もありまして、これは一般財源というよりは特別の財源である外為会計の外為資金を使うことが適当だ、こういうふうに考えた結果でございます。
 四億七千五百万ドルでございまするから、千七百十億円になります。そのうち二五%は金で払い込むのでありまして、これが四百二十七億五千万円、それから円の現金で一%を払い込みます。これが十七億一千万円、その合計が四百四十四億六千万円、こういうふうになります。これが従来一般会計から出資した額に相当するものであります。それから国債のほうが七四%でありまして、今度国債という名前を通貨代用証券という名前にいたしますが、千二百六十五億四千万円、かように相なります。
○北山委員 これはいまお話しになったような趣旨ですが、外為の特別会計の内訳、操作が非常に複雑で、私もいろいろ調べてみましたが、よくわからないのです。ここで一々聞いておったらたいへんなことになりますから、これは冒頭にも申し上げたとおり、こういうことこそやはり親切に説明書きを書いていただかなければいかぬと思うのです。予算の説明書きにただこう書いてある。「国債費」のところに、「なお、国際通貨基金通貨代用証券の償還については、四十五年度以降は外国為替資金で経理することとしている。」こう三行くらい書いているのです。それじゃとてもわかりません。これはひとつ資料を出していただきたい。いずれ参議院等でもやると思いますけれども、それをお願いしておきます。
 ただ問題は、四百五十億円去年は一般会計から振り込んだ、ことしはそれを外為でやりますから、それだけ財政規模が縮まったというようなかっこうになるのですね。ですから、去年と比較する場合において、去年と同じであるならばおそらく財政規模は去年に対する増率、ふえる伸び率というものは当初御説明のものよりはもっと伸びたのじゃないか、私はそのように思うので、そういう点を指摘しておきます。
 それから最後に、先ほど米生産調整のお話がございまして、五十万トン分についての水田買い上げ、農地転用、水田転用の計画が示されました。工場二万ヘクタールですか、住宅五万九千ヘクタール、道路交通が一万五千ヘクタール、その他建物二万四千ヘクタール、こういうことのようにお聞きをしました。これはまことに大ざっぱな数字でございますが、これが補正予算で一億の調査費を出してつくった数字でございますか。
○倉石国務大臣 補正予算の一億を各省に配分いたしまして、そして調査をいたしまして集約いたしたものであります。
○北山委員 そうすると、各項目の積算基礎、内訳があると思います。その内訳をひとつ示していただきたい。
 それからあわせて申し上げますが、こういう数字は、御承知のとおりに、現在毎年の農地転用というのは三万ヘクタールぐらいしかないのですね。四十二年度で二万九千五百四十四ヘクタール、それから昭和二十八年から四十二年まで十年以上の間に二十五万七千七百四十四ヘクタール、こういうふうな実績というか、いまの現状ですね。あるいは建設大臣御承知かと思いますが、建設省の四十一年から四十五年までの宅地供給見通しというのがございまして、それが全部で、四十一年から四十五年の五年くらいの間にやっと五万三千ヘクタールですね。こういうふうないままでのいろいろな計画なり調査の数値、こういうものを十分考慮をされた上に出された数字ですか。また、その内訳はどうですか。積算の基礎があると思うのです。
○倉石国務大臣 先ほどもお話のありました特別調査費一億円でいま調査をいたしておるわけでありまして、大体ああいう目標で手分けをして、各省がこれの実現につとめるということでありまして、これからやるわけであります。
○北山委員 そうすると、これは調査をした結果を積み上げた数字ではなくて、頭から割ってあって、これをひとつめどにして調査をしろ、こういうことですか。
○倉石国務大臣 いまその調査をまだ続行中でありまして、大体こういう数字でやっていこう、こういうことであります。
○北山委員 そうすると、初めいろいろ問題になった意味の数字とはちょっと違うのじゃないですか、これは総理大臣。その調査費を出して調べるのですが、しかし、こんな大ざっぱな数字で、工場なら工場が二万ヘクタールにしても、たとえば地域ごとに内訳があるとか、あるいは住宅にしても政府の分は幾ら、地方自治体の分は幾ら、あるいは民間の分は幾らとか、何か内訳がありそうなものじゃないですか。一億も調査費を出しておいて、たった四行のこんな大ざっぱな数字が出てきたなんということは、これは少しおかしいじゃないですか。たしかこの予算審議の最終までにしかるべき数字を出すというふうなお話だったんです。それがこんなふうな、これからこれをめどにして調査しますなどというような数字では、だれも納得しませんよ。どうでしょう。
○倉石国務大臣 これは一億の予算を分配いたしまして、各省で十一万八千ヘクタールを目標にして、どのようにしてどういう計画でやるべきであるかという調査費でありますので、大体目標をつくって、それによって目標に達するように努力をしてまいりたい、こういうことでありますから、いまそれに基づいてこういう見当でやっているということを申し上げたわけであります。
○北山委員 どだい、いままでの論議にもありましたように、十一万八千ヘクタールというのは、そんな調査計画をつくるというふうな数字とは違うのですよ。これが予算の基礎になっているのです。やはり食管の買い上げ数量なり食管の予算というものが、百五十万トンが減産になるということを計算に入れて予算が組まれているのですから、それを裏づける数字でなければだめなんですよ。しかも問題は、ことしの作付が済んでからじゃだめなんです。十一万八千ヘクタールを、この作付前に、国にしろ民間にしろ、これは買い上げるという見通しがどうして立つのですか。あまりにもでたらめじゃないですか。できないならできないとか、はっきりおっしゃったらどうですか。ふだんの状態の三倍も四倍もいきなり宅地を買えといって、だれが買うのですか。どのお金を出して、だれが買うのですか。
○倉石国務大臣 私どもがいま一生懸命でやっておりますのは、何べんかここでお話し申し上げましたように、いままで地方に工場を分散していきたいという計画を経済界でお持ちになっても、農地転用がきびしいとかいろいろな要望がありましたので、そういう要望にも沿えるように農転を緩和いたしたりなどして、そうして工場誘致等にも力を入れる。現に一昨日などはそういうようなことについて、財界の人々も、それから農業団体の方々なども集まって、そういうことをも含めていろいろな相談を願っておる。現に私どものほうでもそういう意味で、できるだけ農転を緩和したことと同時に、いま線引きをいたしております都市計画法の中の市街化区域にも、御存じのように全体で二十九万ヘクタール、そのうち水田が大体十八万ほどあるわけでありますから、なるべく早くそういうことを前進してもらうようにということで進めておるわけであります。私どもといたしましては、いままでの例は先ほどお話のありましたような例でありますが、それは普通にしておいて、いままでのように農転をきびしくしておってそれだけあったわけであります。したがって、今度は政府がそういう考え方に立ちましてこれから鋭意十一万八千ヘクタールに到達するように努力をしようということで調査しているわけでありますから……。
○北山委員 私も多少は地方の実情も知っておりますけれども、いままで農地法があるから工場の敷地がとれないんだなどというような実態ではないです。むしろ地方自治体が工場誘致条例なんかをつくって、また政府もそのような新産都市なりいろいろな法律をつくって、地方分散を奨励をしてやっているのですから、農地法がじゃまになって工場の敷地の取得ができなかったなどという例はあまりないんじゃないですか。いままでやってなかったことを初めてこれからおやりになるというならまだ話はわかるのです。いままである程度やっているのですよ。さらにそれの何倍も財界が土地を買うなどということは私は考えられないし、そういういいかげんなことで、財界のだれが買うか知らぬけれども、土地をどんどん買われたんじゃ、これはたまったものじゃないと思うのですよ。また、そんないいかげんなものに農民は土地を出してはならぬと思うのです。思惑でもって土地をいいかげんな名目をつけて召し上げられてしまう、そんなことになったんじゃ、これはでたらめな政治といわざるを得ない。この計画自体がたいへんなのはわかるんですよ。だれがやったって十一万八千ヘクタールなんか一ぺんに買えるものじゃないですよ。そんなことを無理してでっち上げて、そのために一億円も金を出すなどということは、ばかげているのです。そうじゃなくて、もっと別な方法を考えるべきなんです。米が余ったら米を減らせ、今度は牛乳が余ったら牛乳を減らせ、くだものが余ればくだものを減らせ、これでは日本農業はただじり貧になっていくだけなんです。もっと日本の農業を立てていくという積極的な大方針こそ、私は政府が立てなければならぬと思うのです。私も地方を座談会なんかで回っておりますと、全く農民はお先まっ暗というか、未来がないのですね。たとえ減反に協力したって、自分だって一割減反したならあとの九割で前と同じくらいのものはとるんだ、ほかの人もそうやるだろう、これはうまくいくわけがない、こう思っているのです。また、うまくいったとしても、食管制度がそれで守れるという保証がないのですよ。ちらちら農林大臣あたりが、おどかしというか、買い入れ制限が合法的だなどということを言ったりするものですから、もう農民は将来に希望を持っていないし、むしろあきらめ、疑い、怒りというようなものでいっぱいなんですよ。だから私は、米というだけの問題ではなくて、やはり日本の農業を何としても守っていかなければならぬ、そういう立場に立って問題を考え直すべきだ、こういうふうに思うのであります。
 この問題についていろいろいままで質問されました西宮委員に私は譲りまして、問題を引き継ぎます。
○中野委員長 北山君、先ほど大蔵省にお尋ねの数字の点について、高木審議官より御報告をいたします。
○高木(文)政府委員 たいへん失礼いたしました。三百四十六万一千円になります。
○北山委員 ですから私お尋ねしたのです。たとえ一年でも、いままでは二百八十二万ですよ。それが控除を今度引き下げなければならぬのですね。それでないと不公平でしょうがない。さらに今度三百五十万近くにも上がるのじゃおかしいじゃないか。だから四十五年から三百四万なりもっと下げるような、課税最低限というのを配当控除について下げるような措置がなぜとれないのか。私はその点まことに不満なんでお尋ねをしたわけなんです。
 以上で終わります。
○中野委員長 次に、北山君の残り時間の範囲内にて西宮弘君より質疑の申し出がありますので、これを許します。西宮弘君。
○西宮委員 ただいま北山委員が質問いたしました件について、私も先般お尋ねをしたわけでありますが、農林大臣は私の質問に対しまして、この問題について具体的な計画を立てますために各省で鋭意調査いたしております、こういうことでございますという答弁でありましたので、私は重ねてそれが一体可能であるかということをお尋ねをいたしましたところが、農林大臣は、可能性については十分信用しておるわけでございます、確信しております、こう答えておるわけでございます。いま北山委員に対する御答弁を聞いておりますると、どうもさっぱりどこをつかまえて信用していいのかわからぬ、こういうのが実は率直な実感でございます。一体そういう具体的な計画はいつまでにでき上がるのかということを、まずお尋ねします。
○倉石国務大臣 おそらく各省でやりますことについては、それぞれあるでありましょうが、もうすでにこういうことの計画であるから土地を譲渡してもらいたいというような話が進んでおれば、それは計画ということよりも、どんどん先行してまいるでありましょうから、私どもといたしましては、きょう申し上げましたような、大体のああいう区分でひとつ全力をあげて所期の目的を達成したい、こういうことでありますので、私どもはそれを実行に移してもらうように期待をいたしておるわけであります。
○西宮委員 その可能性については十分確信をしておりますという、かつての答弁であったわけでありますが、いま聞いてみますると、どうも一向そういう確信は持っておらないらしい。私もその点非常に残念で、これではこれから地方に帰りまして農村の皆さんに事情を話をしようと思っても、実はお話ができない。こういうことでまことに残念なんでありますが、実は私は残されました時間で他の問題を少しお聞きをしたいと考えますので、いずれあらためまして常任委員会でさらに詳しくお尋ねをしたいと思います。私は、残されました時間で言論、出版あるいは図画、写真、映画と申しますか、そういういわば憲法二十条に関連をする問題についてお尋ねをしたいと思います。
 佐藤総理にまずお尋ねをいたしますが、私どもつい二、三日前に議員が集まりまして、集会を持ったわけであります。これは実は国会の中で、正式な委員会の席でこの問題を証人を呼んで、あるいは参考人を呼んで審議をしたいということを強く熱望をし、主張をしたのでありますが、それが自民党あるいは公明党の御方針のもとで開けなかった、こういうことでありまするので、われわれは万やむを得ずああいうやり方で問題の究明をしたわけでありまするけれども、一体佐藤総理は国会の正式の場所でこういう問題を根本的に究明する、こういうことは適当であるとお考えであるのか、あるいはそれは適当ではないとお考えであるのか、お尋ねします。
○佐藤内閣総理大臣 私の意見を述べることが適当かどうかわかりませんが、私は、こういう問題は、国会で問題になったものは国会でおきめになる、そういうことがいいことだ、かように思っております。国会で問題になったことは国会でおきめになる。そうでないと、私の意見をとやかく申しますと、あるいは干渉したとか、あるいは行政府が何だということで、おしかりを受けるのじゃないか、かように思いますので、どうぞお許しを得たいと思います。
○西宮委員 おそらく佐藤総理の答弁はそういうことだろうと思って私も想像しておったわけです。しかし、この問題は、単にこの予算委員会の理事会の意見が合わないとか、そういう問題ではないので、自民党という政党がこの問題に抵抗しているわけであります。ですから、それがために開けない。したがって、その自民党の総裁である佐藤榮作さんは国会の場所で正式にこの問題を論議をする、つまり参考人、証人等を呼んで論議をするということを適当とお考えかどうか、佐藤総裁にお尋ねをします。
○佐藤内閣総理大臣 私に佐藤総裁と言って、特に名ざしでございますから……。予算委員会の理事諸公は、不規則発言ではありますが、それぞれ別な意見を言っておるようでございます。私はそこまでは指図をしない、委員会の理事諸公にまかせた、こういうものでございます。
○西宮委員 総理としてそういう指示をしない、指図をしない、それは予算委員会の理事会に対して指図をしない、予算委員会の独自性にまかせる、これは当然だと思うのですよ。しかし問題は、これは天下周知の事実ですよ。自民党という政党が、この問題についてそういう形でやるということに賛成をしておられないわけです。それがために開けないのだ。こういうことは、これはまさに天下周知の事実だと思うのです。私はその点についてどうしてもこれを明らかにしてもらわなければならぬと思う。
○佐藤内閣総理大臣 憲法二十一条の規定、言論、出版の自由、これは尊重しなければならないということはお尋ねに答えたはずでございます。それで私の、自民党の基本的な考え方は御了承いただけたものではないか、かように思っております。
○西宮委員 公明党の浅井国対委員長は先般談話を発表されまして、きょうの集会――この間のやつですね、きょうの集会は出席者が言いたいほうだいを言う一方的な集会に終始し、全く価値がなく、批判に値しない、こういうことを新聞で言っておられるわけであります。私はそれだからこそ、それだからこそ、これは国会の場所でそういう関係者に出てもらって、みんなが考えていることを思う存分に話しをする、こういうことが必要なんだと思うのですよ。ところが公明党の方々も、これには賛成をされないわけです。私は、この国対委員長が言っておられるとおり、もしこの間の人たちがそういう一方的な意見をかってほうだいに言っているのだ、こういうことであってはいけないから、だから国会の正式の場所でみんなでやろう、こういうことを提案しておるのに、それに御賛成を得られない。こういうことは私はまことにふに落ちないわけでございます。そこで私は、佐藤総理が、総理の立場あるいは総裁の立場で指図はしないと言われるならば、それでもやむを得ないと思いまするけれども、そういうことになりますると、私はどうしても痛くない腹を探らざるを得ないわけでございます。なぜそういうことになるのか、なぜこういうことに抵抗をされるのか。私が想像するならば、たとえばこういうことを開くと田中幹事長に累が及ぶ、あるいはまた公明党にいわゆる借りがあるのだ、こういうようなことが想像されるのではないか。これはあえて私が想像するというだけではなしに、新聞等がこのことを書いているわけでございます。社説にもそのことを言っているわけであります。したがって、私はぜひそういう正式の場所でみんなでお互いに正確に究明する、こういうことが当然に必要だと思うのであります。先般の会合に対しては、各新聞とも相当にスペースをさいて報道をいたしておりますのも、同じような趣旨に基づいておる。あるいはけさのある新聞の社説には、政府・自民党がこの問題について発言をしないということについて国民は深い疑問を持っておると、こういう意味の論説を出しておるわけです。佐藤総理はこの問題についてどういうふうにお考えでございますか。
○佐藤内閣総理大臣 私はどの新聞がどういう社説を書いたか、それは別といたしまして、それは御自由だろうと思いますが、すでに自民党の態度、政府の態度、憲法二十一条に対する私どもの態度ははっきりさしておりますので、これでもう国民は誤解は持たないだろうと思います。ただいま言われるように、特別な因縁があるとか借りがあるとか、こういう問題がうちの幹事長に関係があるとか、これは少し言い過ぎじゃないだろうか。私はそういうことは思わない。ただいま申し上げるように、国会を通じてはっきりした態度を声明すれば事足りるのじゃないだろうかと思っております。そうして、ことに個人的に権利が侵害されたら、そういう事実に基づいてそれぞれの救済方法はあるのでございますから、そういう方法をとられるべきじゃないか、かように思っております。いたずらに議論をするだけが能ではない、かように私は思っております。
○西宮委員 個人的な権利の侵害に対しては救済方法がある、もちろんそのとおりでありましょう。しかしわれわれは、この問題が国会で論議になっておるとき、国会の論議の対象になっておるそういう際に、われわれは、たとえば公明党の方もこういうふうにおっしゃっておるのだから、それならばみんなでこういう公の場所で議論をしたほうがかえってそういう疑いが晴れていいのではないか、こういうことを主張しておるわけであります。私は、そういう点で、一体なぜそれならば、たとえば自民党にしてもあるいは公明党にしても、こういう場所で、もし証人を呼ぶことが適当でないならば、それでも幾らでも発言する場所はあるわけです。出る幕は幾らでもあるわけだ。ところが公明党の方々も全然こういう場所では発言をされないで、たとえば機関紙その他で一生懸命宣伝をしておられる、これももちろんけっこうでありましょう、それは当然自分の機関紙でありますから。しかし、国会で問題になっておるのでありますから、私はやはりこういう場所をお使いになって、その態度を明らかにするということが必要なんだ。自民党についても同様ですよ。そのことは全く必要だと思う。なぜそれほど皆さんがおかばいになるのか、私はまことに疑問にたえないわけでございます。自民党なりあるいは公明党の方も、不規則発言ではなしに、何か私の言っておることに間違いがあったならば、関連質問の形でもけっこうですから言っていただきたいと思います。
 私はここで国務大臣宮澤喜一さんに一言お尋ねをいたしますが、選挙前の二党間の対談で公明党と対談をされましたが、その際に、公明党はファッショ的政党である、こういうことをおっしゃっておられましたが、これはどういう御意図でございましょうか。
○宮澤国務大臣 これはテレビ会社のレコードに残っておると思いますので、それを確かめて申し上げなければなりませんけれども、私の記憶では、こういうことを申したのでございます。公明党と創価学会との関係についてお話が出まして、それはあたかも――これは言われたとおりに申しますので、どうぞお気を悪くなさらないでいただきたいと思いますが、社会党と総評のような関係であるという御説明がございました。そこで私が、それでは総評というものは選挙によって議長、役員がずっと選ばれ、きめられていくものであると思うが、創価学会におかれましても、会長というものはやはり選挙という手続によって選ばれていかれるものなのかどうか、つまり宗教というのは、多数決というもののない社会であると私は思いますから、そういうところでも多数決による選挙というようなもので会長というようなものが選はれていくのでございましょうか、ただこれは宗教のことでございますから、私はあまり公に申したいことではないし、また非常に謙遜に、非難をするつもりでなく申し上げるつもりでございますけれども、その辺はどういうことなんでございましょうか、こういうことを申し上げた記憶がございます。
○西宮委員 そういう点について、この選挙の際に、公明党の方々が、宮澤さんの御意見に対して非常な不満を持たれて、これを強く批判をしておられた、あるいは攻撃をしておられたということを、私はよく承知をしておるわけであります。したがって、私はいま役員選挙の問題等について、そのやり方についてお話しをされた、私も実はその点について大きな疑問を持っておりますので、後にもし時間がございましたら、その点もお尋ねをしたいと考えておるわけでございます。
 私は、先般の分科会等でも申し上げたのでありまするけれども、こういうふうに皆さんが今度の問題について心配をしておるわけであります。これは、新聞等がこの問題を大きく取り扱っているということでもおわかりのように、国民はずいぶん心配をしておる。さっき佐藤総理は、そういう痛くない腹を探るのは西宮君の思い違いだというふうに言われましたけれども、そうじゃなしに、あの新聞等でもおわかりのように、国民の多くが心配をしておる。したがって、会長であられます池田大作さんが率先してこういう場所においでになって問題を明らかにしていただくということがよいのではないか、こういうことを私は先般もずいぶん主張をしたのでございます。私はその点は今日もなお変わっておりません。
 佐藤総理にお尋ねをいたしますが、いわゆる「創価学会を斬る」という書物がございますが、佐藤総理あるいは総理の御夫人はこれをお読みになりましたか。
○佐藤内閣総理大臣 これはこの前、委員会でお尋ねがありまして、私は序文というか、前書きだけは読んだ、こういうことを申したと思います。そのとおりでございます。家内は別にこれを読んでおりません。
○西宮委員 聞くところによりますると――聞くところと申しまするのは、佐藤総理の齋藤秘書官が著者に電話をかけまして、この本は私も家内も読んだ、たいへんに勇気のある態度でそれには感動した、訪米前で会えないけれども、帰ったら会いたい、ぜひがんばってくれ、こういうことを伝えたと聞いておるわけでございますが、それは事実かどうか。
○佐藤内閣総理大臣 いまの前書きを読んでみて、あれを印刷するまでのいろいろのいきさつが書いてございます。これはよくこういう本が出たものだと、実はそういうことを申したのです。私は秘書官から電話をかけろと言ったわけじゃないのです。秘書官自身が実は藤原君と高等学校からの同窓だそうです。総理がそう言ったよということを言ったのだそうです。ところが、総理も非常に勇気づけた、こういうように話が伝わっております。まあ話というものは大体そういうようにだんだん針小棒大になりますから、事実を申し上げておきます。
○西宮委員 たとえば非常に勇気ある本だということをお話しになったり、さらに民社党の西村委員長に対しては、西村さんはこの本を読みましたか、まだ読んでないならばぜひ読んでください、これはたいへんにいい本だ、私のところには余分があるから、もしないなら差し上げますよ。それで西村さんはそのとき初めて見せられた、こういうことを西村さん自身が語っておられるわけですよ。だから、それほど人にまで推奨されるならば、単に序文だけ読んだというのではいささか責任がなさ過ぎると思うのですけれども、その点はいかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 これはあの書物が出た直後、時事放談、政治放談で小汀君が取り上げていた。ちょうどその時分に私のところに届けられた本であります。したがって、ただいまのような話が大きくなってだんだん伝わっていく、さようなことでございます。
 以上で私に関係することは終わりです。
○西宮委員 それじゃ、佐藤総理に関係するところは終わりにいたします。
 次にお尋ねをいたしますのは、この間のわれわれのいわゆる議員集会でありますが、その際に、藤原弘達、植村左内、隈部大蔵、内藤国夫、著者としてはこの四人の人が証言をしたわけでありまするけれども、実はこの四人とも、若干ずつの違いはありまするけれども、やり方は大体共通している。いわゆる言論妨害をされたと称するところの事実は、大体大同小異でございます。
 そこで、新聞等でお読みかと思いまするけれども、きわめて要約をして簡単に申し上げたいと思うのでありまするが、第一は、そういうものを書いているらしい、そういうことがどこからともなく伝わると、直ちに著者に対して、たとえば書くのはやめたらどうだろう、あるいはまた題名は変えろ、あるいはまた書店等に対してはあの著者は適当ではないというようなことがあったり、あるいは学会の批判は避けてくれ、あるいは特に池田会長について論及することは絶対にやめてほしい、こういうことが、あるいは知人、先輩、あるいは職務上の上司とか職場の上司とか、そういう人を通じて言われてくる。さらに出版元に対しましては、そんなものは出しても売れないぞ、みんな返品をされてくるから商売にはならぬ、こういうことで言われる。そこで、著者はいずれもそういう印刷所なり製本所なり、そういうところに学会の関係の方がいないかどうかということを確かめて印刷に回す。それがために、みんな親子でやっているとか、そういうきわめて零細な印刷所なり製本所なりをさがして、そこに注文をしなければならなかった、こういうことでございます。たとえば隈部大蔵さんなどは、最初の出版元はそれがためにつぶれてしまっておるわけでございます。
 さらに取り次ぎ店の問題でありますが、大手取り次ぎ店はこれらをいずれも拒否をしている。しかも、公明党からそれはやめてくれ、こういうことがあったので取り次ぎはできませんということが、実は録音テープにも残っておるわけでございます。さらに小売り店の段階には、これは全部手が回っておって、それは扱わせないというような行動がとられておる。たとえば皆川参考人の供述でありまするけれども、社長以下十一名が手分けをして日本全国を回った。大体二千軒近い店を回った。ところがそのうちの八割程度はみんないわゆる潮出版社とかあるいは学会関係の方が来られて、もしそういうものを扱うならわれわれのほうのはお断わりをする、こういうことでいずれもいわば妨害をされておった、こういうことでございます。しかも、それは一回ではなしに何回かそういうことが行なわれておった、こういうことであります。あるいは広告に対しても、広告は扱わない、こういうことが行なわれたこともすでに御承知のとおりであります。あるいはゲラ刷りの段階でこれがいろいろなルートで公明党の方の手に渡っておる。これもまたいままで何回か論及をされたとおりであります。しかも、それには大ものが出てくる。大ものがあらわれてくる。たとえば日大の古田会頭などが出てくるというのは、何人かの方の証言にありました。つまり、一人ではないということです。こういう大ものがあらわれてくる。この日大の古田会頭なんというのは、これは佐藤総理ともずいぶんごじっこんの方のようでありますから、かなりそういう意味では圧力があるのではないかと思います。よけいなようでありますが、いつかも申し上げたが、佐藤総理は、この日大の会の総裁であります。社団法人日本会においでになりまして、私がこの会の総裁になったことは、自由民主党の総裁になった以上に光栄に存じておりますと、こういうようなごあいさつをしておられるほど、非常に親しいようでありまするから、これは相当の圧力になっているに違いないと思う。
 私はそこで関係大臣にお尋ねをいたしますが、こういういま申し上げたことは、いずれも共通して大体似たり寄ったりのことが行なわれておったわけであります。これらはたとえば脅迫罪であるとか、あるいは威力業務妨害罪であるとか、ないしは営業妨害であるとか、あるいはまた独禁法に対する違反であるとか、こういうことにならないのかどうか、法律的な見解をお尋ねをいたします。
○佐藤内閣総理大臣 いずれ、お尋ねの点はそれぞれの所管大臣からお答えいたします。
 ただいま古田さんの名前が出て、私と非常に懇意だ、その古田さんが出版についていろいろ妨害した、いかにも私が関係してあるかのような印象がありました。私はその点、まことに遺憾ですから、私とその点では全然関係のないということをこの機会にはっきり申し上げておきます。そしてまた、その点は取り消していただくとたいへんしあわせなんです。古田君と私とが親交があることは、これはそのとおりでございますけれども、しかしこの問題について特に親交があるということを強調されると、何だか私自身、やはり古田君に圧力を命じたか、あるいは同類であるかのようになりますので、その点が、聞く人によっては、誤解する人もあるのじゃないか、かように思うから、一言申し上げておきます。
○西宮委員 私は、速記録を読んでいただけば十分わかりますが、そういうことを、佐藤総理が古田会頭を介して、古田会頭を通じて圧力をかけたなんということは毛頭申しておりません。古田さんが出てきたことはたびたび出ている、しかもこの方は佐藤総理ともじっこんの方だから、相当のそういう意味では圧力を持っているというか……(「そこが……」と呼ぶ者あり)いやいや、総理が圧力というんじゃないですよ。彼はそういう政界の最も偉い人と親交がある人なんだから、したがって、そういう人の言動は相当の影響力を持つだろう、こういうことを申し上げたので、さらにいまの総理のお話でおそらく誤解はされないと思いますから、その点は御心配ないようにお願いをしたいと思います。私自身そういうふうに申したわけでは全くありませんから。
○小林国務大臣 ただいまいろいろお話がありましたが、言論、出版を抽象的に妨害したとかじゃましたとかいうこと、そのものが犯罪と、こういうわけにはまいりません。すなわち、じゃまする、妨害する手段として具体的の行為が脅迫に当たるか、暴行になるか、こういうことでございまして、その具体的の行為についてのことである。したがって、いまお話しになったような、単にじゃまをしたとか、こういうようなことで犯罪になる、こういうふうには考えません。
○西宮委員 それでは、その具体的な例として一つだけあげておきます。たくさんありますけれども、一つだけあげておきますが、その隈部大蔵氏は、この人は西日本新聞の東京支社の論説委員であります。商売柄詳細なメモをとっておりました。昭和四十三年の九月十一日に赤坂のプリンスホテルに、北条浩さん、これは創価学会のたぶん副会長だと存じます。この方からお呼び出しを受けまして、再三断わったけれども、ぜひ会いたいというので、このいま申し上げた日に参りました。そこでいろいろお話をされました。そのときの内容を、克明にメモをしておられました。そのメモの一節によりますると、学会の中では青年部はまことに勇ましいのだ、したがって人間革命に燃えている青年部の象は――エレファント、象ですね、象はアリ一匹も踏みつぶすのだ、アリ一匹も踏みつぶさずにはおかない、こういうことを言ったそうであります。青年部の元気のいい人たちは、アリ一匹も踏みつぶすんだ、こういうことを言われたということは、私は、相当な相手に対する圧力だと思うのですよ。あるいはいままで何べんも交通事故に気をつけろとか――学会の方もことばづかいは、これは皆さんのお話を聞いてよくわかるんだけれども、ことばづかいは非常に丁重にことばを使われるわけでございます。決してそういう乱暴な言い方をされるのではないのでございまするが、たとえば折伏教典にはこう書いてあります。まず静かに説いて聞かせ、その上反対するならば、獅子王の力をもって屈伏せしめなければならないと、折伏教典にはこういうふうに書いてあるわけです。したがっておそらくそのまま静かに説いて聞かせる、こういうやり方でございまするから、ことばそのものはたいへんに静かだろうと思います。しかし、いまのような発言は、私は、相手にとりましては相当な威圧になっていると思う。あるいは交通事故に気をつけろとかその他等々の、たくさんの問題があるわけであります。それはぜひ――いま大臣は具体的な問題として検討しなければならぬと、こういうお話でありますから、そのとおりだと思います。ですから、ぜひともこの点は十分に究明をしていただきたい。事実を明らかにしてこの国会に報告をしてもらいたい。そのことをお約束してもらえるかどうか、お答え願います。
○小林国務大臣 検察にしても警察にしても、事実があったかどうか、被害を受けた人から申告あるいは告訴、告発でもなければわかりません。したがって、あるいは最近法務委員会において――おまえを殺すぞ、こういう電話がかかってきたのは脅迫罪になるか、これは、そういうことを言えば脅迫のようになる疑いがある、こういうふうに考えますが、圧力を感じた、これは感じたかもしれませんが、感じたということが、そのことが直ちに脅迫になるとか暴行になるとか、こういうことはありません。
○西宮委員 その点が、相手が圧力を感じただけで法律違反になるかどうかというくらいのことは私だってわかりますよ。だから、その具体的な事実が、これが脅迫なりその他に該当するかどうかということは十分検討してもらって、その具体的な事実として検討してもらいたい。
 この間、十七日にわれわれはああいう集会をやったわけでありますが、あのとき、いわゆる参考人として出てもらいました人たらに、その後何か変わったことがないかといって聞きたかったのでありまするが、実は、時間がないので十分できませんでした。そこで藤原弘達さんにだけ伺ったのでありまするが、あの十七日のわれわれの会合に出てから今日までに二十回ほど、電話でいわゆるいやがらせその他を受けた。これは、最近のやり方は、夜の夜中に一時でも二時でも、電話のベルが鳴って出てみると、がちゃっと切ってしまう、こういうことを繰り返すのだそうであります。つまり、寝せないという作戦であります。ただし、そのうちに問答したものがあるので、問答したやつは録音テープになって警察に行っておる、だからそっちのほうで調べてくれ、こういうお話でございました。ですから私は、こういう事実を見てまいりますと、佐藤総理、総理がかつて、たぶん赤松委員の質問だと思いまするが、こういう問題は当事者同士で話し合いがつけば、めでたしめでたしではないか、こういうふうにおっしゃられたけれども、私は、いままで申し上げたようなことをお聞きいただいたならば、そんななまやさしい問題ではないんだということは御理解いただけるんではないかと思うのでありますが、いかがですか。
○佐藤内閣総理大臣 どうも、具体的な内容については私は詳しく知らないのです。私自身について、ずいぶん悪口を書かれますから、これは身をもって感じておることなんです。自分の悪口を書かれて、あまりいい気持ちはいたしません。やっぱり、事前にわかっておったら、そんなことを書かないでくれよ、こういうことを申しますのは、これは普通でございます。だからそういう意味で、この話がお互いに話がつくのならたいへんけっこうなことじゃないか、かようにこの前お答えしたと思います。ただいまそのようなことじゃないとおっしゃるけれども、私はずいぶん悪口を言われておる。しかし、これは事実じゃないですね。事実でない事柄をまた適当に批判を加えながら書かれるんですから、私自身としても、そういうものを耐えるというのはずいぶん忍耐が要るんですよ。その辺を御了承いただきたいと思います。
○西宮委員 総理のいまの答弁はわかりました。ただ、たとえば批判をするならお手やわらかにしてくれ、こんなのはあたりまえのことですよ。ありがちなことですよ。あるいは、事実と違ったことを言われるのは、それはまことに困る、これも確かにそのとおりだと思う。しかし、学会なりあるいは党なりに対して批判を加えるというものに対しては、こういうふうな、いわば私は組織的と言いたいですね。おそらく公明党、学会の方にお尋ねをしたら、決して組織的にだれか命令して全国一斉にやらせておるんではないんだ、こういうふうにおっしゃると思います。それは私は実は皆さんの、公明党の方々のおやりになることも大体わかっておりますから、そういう命令、特に文書をもって流すなんていうようなことはおやりにならないこともよく承知をいたしておりますから、そういう形では行なわれていないと思いますけれども、しかし、こういうふうに日本全国――さっき申し上げた人は、北陸と山陰を除いて、その他日本全国を十一人で回ったわけであります。そうして八割程度はさっきのような小売り店等がみなそれを受けている。こういうようなことを見ると、これはやはり組織的に行なわれておると考えるのが常識だと思う。私はそういうことになりますると、これは佐藤総理が言われるような、ただお手やわらかに頼むぞといった程度の問題では済まされない事件ではないかと考えるのであります。
 そこで次にお尋ねをいたしますが、先般の公述人の中に、剱木文部大臣――当時の文部大臣の話が出たわけでございます。これはおそらく佐藤総理も、それは全く知らない、こういう御答弁だろうと思いまするので、私が時間の節約上私が聞いたことだけを申し上げて、あとでお聞きになってお調べになっていただきたいと思います。事実でないならば事実でなくてけっこうでございますから、全く事実無根ならば無根でけっこうでございますから、ただお調べになってというふうにお願いいたしたいと思います。
 私は――隈部大蔵さんのことでございますが、隈部大蔵さんが第一回目に出版をされるときに、この出版会社の社長の森村洋之さんですか、何と読むのかわかりませんが、この方とそれから日進印刷の東京の支店、これは社長の弟でございます。この社長は進という名前でありますが、この人の弟であります。この人から――この会社は教科書の印刷をする会社でございます。したがって、文部大臣とはかなり接触のある会社でございます。あるいはその植村社長は、剱木さんの選挙については非常に選挙運動をやる方でございます。したがって、両人ともかなり近しい間でございます。この二人から聞いた話なんだけれども、剱木文部大臣がそういうものはやめてほしい、やめたらどうだ、こういう話を聞かされた、こういうことを言ったわけでございます。私は時間がありませんので、これはただいま答弁をいただきません。事実がなければないでけっこうですから、あとで十分お調べになっていただきたいと思います。
 次に私は――それでは簡単にお願いします。
○佐藤内閣総理大臣 私は知らないのですが、官房長官が、剱木君が否定している、そういうことは知らないとはっきり言ったという、新聞に載っておる、かように申しております。
○西宮委員 私も新聞を拝見いたしました。それならそれでけっこうでございます。ただ、そういうことが少なくとも疑われるようなことがあってはいけないと思うので、御指摘をいたしておきます。
 次に申し上げる田中幹事長の問題は、これは問題がないとは言えない。そこで、いわゆるおせっかいをしたと御本人は申しておられますが、そのおせっかいについて佐藤さんは御承知でございましたか。
○佐藤内閣総理大臣 事前にはもちろん知らない。しかし、彼がよけいなおせっかいをした、御迷惑をかけております、こう言って私のところへ来てあやまっておる。その点をこの前、不破君にお答えしたように思います。
○西宮委員 それでは事後にそういう事実があったということを総理はお聞きだ。そこで田中さんは、いわゆるつぶやきを聞いて私はおせっかいをしたんだというのでありますけれども、問題でありますることは、単なるつぶやきではない。たとえば藤原氏の言によりますと、こう言っております。竹入に泣きつかれたんだ、知っているのは池田、竹入、矢野、君とぼくと五人だけだ……。あるいは料亭に招かれた。二回行ったわけですが、そのときには、ちゃんとその人たちの分まで席が用意をしてあった。あるいはいますぐ竹入が来るから待ってくれ、こういうことを言われた。いわばそこで手打ち式をするつもりではなかったんだろうかというようなことを言っておる。あるいはその買い上げの金はもちろん公明党が持つんだ、こういうことを言っておるわけでございまして、これは総理に質問してもしかたがないことでありまするが、少なくとも単なるつぶやきではないんだということだけは十分にわかると思うのであります。
 そこで、田中幹事長はまことに多忙な方です。この方がこれほどまで手を尽くしておる。こういうことに電話をかけたり、二回まで料亭に来たり、あるいは約束の時間の十五分前に来て待っている。こういうことは常識では考えられないことでございます。私はそういう点は何かあるんではないかというふうに疑わざるを得ないわけです。これはあえて私、西宮が疑うだけではなしに、たとえば新聞等はみんなそういっております。もし佐藤総理が特に弁明したいことがあるならば御弁明を願いたいと思うのでございまするが(笑声)このことは、まあお笑いにならずに聞いてください。このことは大事な問題ですから、お聞きになっていただきたいと思う。このことは公明党の方も言っておられるわけですよ。これは先般いわゆるテープが公開された。これは秘密の会合だったそうでありまするけれども、今日では公開されておるんですから申し上げて差しつかえがないと思うのであります。しかも、そういういわゆる秘密の会合だから、ほんとうのことを言われたんだと思うのでありますが、これにはこう言っておられるわけですね。「自民党なんかにものを頼むほどわれわれは落ちぶれてはいない。皆さんにわかってもらいたいんだけれど、うちは自民党に貸しはあるけれども借りはないですよ。貸しはいろいろあるけどね。黒い霧の導火線をうちは握っているんだ。いつだって火はつけられるんだ。それなのに調子に乗りやがって、うちをおどかす片棒をかついでいるやつなんか容赦せぬ。容赦せぬとわれわれがおこるだけで向こうはあわてちゃっているんです。公明党に対して、創価学会に対して、池田先生に対して、好意的な目つきをしておかないと、総理への道に落とし穴をつくられてしまう。時限爆弾をしかけられてしまう。それこそ顔面まっさおになって毎日ふるえながら新聞を見ているのは自民党ですよ。公明党のかんにん袋の緒が切れたらどうしましょう。それがこっちにわかっているから、笑って平気なんです。」こういうことをこれは公明党の方がおっしゃっておるわけでございます。私はこういう点を見ると、これはいかにもいわゆる貸し借りがあるんだ、こういうふうに見ざるを、あるいは考えざるを得ないわけですよ。私はその点について、どうも総裁になる落とし穴までしかけてあると、何だかこれは田中角榮さんのことを言っているんじゃないかななんていうような気がするわけですけれども、私はこれでは――ああ、そうですが、お隣かもしれません、総理のお隣かもしれませんけれども、私は自民党もたいへん考えていただきたいと思うのでありますが、公明党の方も、私は実は公明党という政党は、たいへん失礼なことを申し上げて恐縮でありますが、文字どおり公明な政党だ、したがってみんな国民はそういうイメージを持っておったわけであります。ところが取引もやるんだ、取引をする政党なんだ、こういうことは私はまことにふに落ちないのであります。かつて日蓮聖人は鎌倉幕府に対抗して勇猛果敢に戦った傑僧であります。私は今日まことにうたた感慨にたえないのでございます。
 私はそこで、なぜ公明党の方が、まあことばは悪いので申しわけありませんけれども、こういうふうにうそを言われるのであろうか。第一は、先般の藤原氏の問題の際に、そういう著書については全然無根である、あの問題について容喙した、介入したというのは無根であるということを言われた。後には若干の接触があったということを言われた。さらに後には圧迫の事実はないということで否定をされる。こういうやり方でございます。あるいは先般赤松委員が質問された際にも、たとえば本を焼いたという問題について、公明党は一切関知しない、こういう談話を発表する。ところが、それは裁判の記録を見ると明瞭に書いてあるわけでございます。原告は――原告というのは創価学会と公明党でございます――この本の発行済み全部の回収に努力した結果、各被告らの――被告というのは著者ですね――所持したものを含めて十万五千三十八冊の廃棄処分を原告らの確認のもとに完了した。こういうことを裁判記録で、これは書面でお出しになっておるわけです、創価学会から。書面でこういうことをお出しになっている。われわれの確認のもとに十万五千三十八冊を廃棄処分にした、こういうことを言っているんで、全然われわれは関知しないということは全くあり得ないことだと思うのであります。もう一つの事件は、ある高等学校の教師に対して、公明党の都会議員が圧力を加えたという問題を赤松委員が指摘をいたしましたところが、それに対しては、あの教師が公明党を誹謗したので事実の調査を依頼しただけだと言っておりまするけれども、事実の調査を依頼しただけではない。そのときの匿名の人物というのは鷲見美雄という人でありますけれども、この人は昭和四十一年の一月十五日に、校長から、十七日に都の教育庁に行ってくれ、そこでは公明党から抗議が、叱責があるから、そのときには適当に受け流してくれ、こういうことを言われて指定の日に行った。そうしたらば四人の役員を連れて入ってきて――その十七日ですね、いきなり公明党の二人の都会議員から叱責を受けた。それは藤井富雄、小泉隆という議員でございます。叱責を受けた。それで弁明をしようと思ったらば、その態度が非礼であるといってしかられた。それでさらに弁明しようと思ったら、よろしい、当方にも考えがあるといって二人は退席をした。それから続いてあくる日は、公明党議員が強硬だから陳謝をしてくれということを校長から言われ、あるいは二十四日には料亭に招かれて、そこで公明党議員に陳謝をして円満解決をはかってもらいたいと言われ、あるいは二月の十九日に授業の停止を命ぜられ、あるいは三月には公明党の議員に陳謝をすれば円満におさまるんだ、それをやらなければ憂慮すべき事態が発生すると言われ、あるいは三月二十七日には、公明党の生徒からはあの先生は三月末には首になるんだ、こういうことを言われた、そして最後には、ずっと抵抗しておりましたところが、本人の意思に反して転校させられてしまった、こういう事実なのであります。したがって、これまた公明党の方が書記長談話として言われたこととは全く違うのでございまして、私はこういう点がどうして――要するに宗教団体なんでありますから、宗教政党なんでありますから、私はほんとうはこういう、うそと思われるようなことがあってはいけないと考えるのでございまするが、そういう点、まことに残念でございます。
 時間がなくなりましたので、私はこの宗教団体と政党が全く完全に一つだ、これは一々例証いたしませんけれども、全く一つだ、こういう状態は非常に問題があるのではないかと思います。したがいまして、私はこの点は憲法上の問題にもなると思う。たとえば宗教団体が選挙活動をやる、公明党の党員は二十八万と伺っておりまするけれども、創価学会の会員は七百万世帯と称しておられるわけでございます。大部分の方は創価学会の会員であります。その創価学会の会員は選挙になりますると、実に猛烈なる選挙活動をやるわけであります。こういうことは、全くの宗教団体が――二十八万人はかりに別だといたしましても、その数百万の方が選挙に全力をあげる、こういうやり方は私は全く異常な状態だと思います。これは現在の宗教法人法の明らかな違反だと思う。実は時間がありませんから御答弁はいただけないのでありますが、これは先般私も論議をいたしました。文部大臣は、それは範囲を越えている、逸脱している、こういうこと――私は別の問題でお尋ねしたんですが、こういうことをこの会議でもお答えになっております。したがって、そういうことになりますると、私はこれは――そういうお答えをいただいております。あります、速記録をごらんください。ですから、そういうことになりますると、私はまことに重大な問題だと考えます。おそらくこういう状態は、この宗教団体と政党とが少なくともこん然一体をなしている、完全に一つだ、こういうことは私は日本の憲法も予想しておらなかったんじゃないかと思う。したがって、そういう点で問題があるので、私は最後に言いたいことは、ぜひ調査会をつくってほしい。もしわれわれの認識が間違っておるならば、これは創価学会の方、あるいは公明党の方に対してもまことに申しわけないわけです。ですから、そういうことをほんとうに徹底して究明をいたしまするために、ぜひ調査会をつくってほしい。こういう会というか何というか、何でもけっこうですが、そういうところでこの問題を十分研究してもらいたい。もし私の言っておることが間違っておったら、これはまことに申しわけないんですから、ぜひそうしていただきたいということをお願いしたい。そこをひとつお答えください。
○佐藤内閣総理大臣 国会でどういうことをおきめになるか、これは別だと思います。私はいまお話で、西宮君別に結社の自由、これを否定しておられるのではないだろうと思うんですよ。憲法の二十一条、これは結社の自由というものをちゃんと保障しておりますからね。それはどういう連中だけで結社しちゃいかぬ、こういうものじゃない、かように私は思いますので、そういう点はよく御理解になって、そしてそれから先の問題は国会でおきめになることで、政府の関係するところじゃございません。
○西宮委員 前段は、もちろん私もよくわかっておりますよ。ただ政教分離をたてまえとした――結社の自由はもちろんですよ、結社はだれだってできる。ただ政教分離のたてまえ、これは憲法ですよ、憲法の規定ですよ。そういう政党と宗教団体とが一つだ、こういう状態は、私は少なくとも憲法が予想しておらなかった問題ではないか。したがってそういう点については――お答えがなくともけっこうですよ。だから、問題があるんだから、その問題を究明してもらいたい。そしてこれは、私が言ったのは、議会の中でそういう委員会をつくってくれと言ったのではないんで、宗教行政を担当する政府の中に、そういうやはり何らかの形でこの問題を究明していく――それはまあ委員会でも何でもけっこうです。何でもいいから、とにかくわれわれの判断が誤らないようなそういう機構なり組織なりをつくってほしい、こういうことをお願いしたいわけです。
○佐藤内閣総理大臣 御意見として伺っておきます。
○西宮委員 それじゃ問題だけ指摘をいたしまして……。実はさっき冒頭に映画その他を言いましたので、三分ですからお許しいただきます。
 実は万国博覧会でせっかくの展示をいたしましたのを、開館の二日前に、委任をいたしましたプロデューサー等には何らの了解なしにそれを撤去をしてしまったということが問題になっておりまして、これは中国新聞あるいは朝日新聞、毎日新聞等に報道されております。したがってこの点は私は非常に大きな問題ではないかと思うわけであります。著作権の問題だと思う。したがって、ぜひともこの点を明らかにしていただきたいと思います。これは万国博覧会の中に地方行政館という館があるわけです。その中に四人のプロデューサーに委託をいたしまして、中の飾りつけをやらしたわけです。ところが、その中にある原爆の写真とかあるいは日露戦争の写真とか――これは全部日本の古代からずっと書いたわけですよ。それを開館二日前にかってに取りはずしてしまった。しかもこれは広島の県当局と相談をした結果だということでありますが、全然そういう相談などは一切しておらない、こういうことで取りはずしてしまった。新聞ではこれはアメリカに気がねをしたのではなかろうかということを書いているわけです。そういう点に私は著作権侵害の問題があると思うので、あとでお調べ願いたいと思います。
 もう一つは、日本映画輸出振興協会であります。これも新聞に報道されておるのでありますけれども、新聞には名を伏せてありますから、その点だけ私は申し上げたいと思います。たとえば大映映画社では「天狗党」という映画、これは製作費六千万円でありますが、これに対してこの団体からの融資――これは国が二十億の財政投融資をしているわけですね。今日までに六十二億投融資をしております。それで六千万の製作費に対して一億三千一百万の融資をしておる。あるいは日活がつくりました「奔流をゆく男」というのに対しましては一億の融資をいたしております。ところがこれは途中で映画の撮影は中止になってしまっておる。こういうことでまことにでたらめな、しかもいわゆるエロ、グロ、ナンセンスといわれるような映画、そういうところに多額なそういう融資が、今日まで二十億、二十億、二十億、十億、二十億と、これだけ計上いたしまして融資をしているわけであります。さらにこれには融資だけではなしに助成金を出してほしいというような陳情が現に行なわれておるわけであります。私どもはまことに言語道断だと考えますので、ぜひこういう点を徹底的に調査をしていただきたいということを申し上げて終わりにいたします。簡単でけっこうでございますから御答弁いただきます。もしわからなければ、具体的な事実を御承知でなければ、あとで調査してからのお答えでけっこうでありますから、ぜひ国会で、調査をして返事をしてもらうというだけをお願いしておきます。
○秋田国務大臣 その事実は存じておりません。調査をいたしてみたいと思います。
○宮澤国務大臣 映画のこと、よく実情を調査いたしてみます。
○中野委員長 これにて北山君、西宮君の質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
○中野委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりをいたします。
 明二十日の竹本孫一君の質疑の際、日本銀行総裁佐々木直君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
 明二十日は、午前十時より委員会を開会し、竹本孫一君及び不破哲三君の締めくくり総括質疑を行ないます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時三十五分散会