第063回国会 物価問題等に関する特別委員会 第16号
昭和四十五年七月十日(金曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 松平 忠久君
   理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君
   理事 登坂重次郎君 理事 松山千惠子君
   理事 武部  文君 理事 渡部 通子君
   理事 和田 耕作君
      江藤 隆美君    小坂徳三郎君
      向山 一人君    戸叶 里子君
      有島 重武君    松本 善明君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      佐藤 一郎君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        委員長     谷村  裕君
        公正取引委員会
        事務局取引部景
        品表示課長   中村 雄一君
        経済企画庁調整
        局長      新田 庚一君
        経済企画庁国民
        生活局長    宮崎  仁君
        厚生大臣官房審
        議官      横田 陽吉君
        厚生省薬務局参
        事官      下村  孟君
        農林省農政局参
        事官      遠藤 寛二君
        通商産業省重工
        業局長     赤澤 璋一君
        通商産業省重工
        業局電子機器電
        機課長     関山 吉彦君
        日本専売公社総
        務理事     牧野 誠一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
○松平委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
○武部委員 私どもが当委員会で消費者保護基本法を制定いたしました際に、残留農薬についていろいろ論議をいたしました。当時論議をいたしました際には、農薬の害について、さほど私どもも知識を持っておりませんし、また国会の論議でも、さほど真髄に触れたような質疑も行なわれなかったわけでありますが、その後農薬の害が予想外にひどい。特にアメリカにおいてこの農薬の問題が非常にきびしく取り上げられて、わが国においても、アメリカの状況に応じて、まねをしておるというとたいへん語弊がありますが、そういうような政策がとられつつあるわけであります。
 そこできょうは、前回私が要求をいたしました、農林省及び厚生省の提出をされた農薬の残留量――これは牛乳問題に端を発したわけでありますが、その他の野菜なりあるいは水なり、そういうものについて資料をいただいたわけであります。これに基づいて、農林省なり厚生省に若干の質疑を行ないたいと思います。
 そこで、その前にお伺いをしておきたいのは、現在の農薬の登録数はどの程度あるか。さらに一カ年間の農薬の生産量、さらにその近年の伸び、金額、農薬会社の数、こういう点をざっとあらまし、農林省としてつかんでおられる実態をひとつ御説明いただきたい、こう思います。
○遠藤説明員 お答え申し上げます。
 現在の農薬の登録銘柄数は、四十四年九月末で約六千件でございます。実際製造されておりますのは、これは正確なところはわかりませんが、四千五百件程度であると思います。四十三年の登録銘柄は五千五百七十四件でございまして、四百件ないし五百件くらいがふえているわけでございます。
 それから、農薬の中でいろいろの種類がございますが、これは成分とか薬の形、たとえば粒でございますとか粉でございますとか、あるいは乳剤とか、そういう種類分けで大きなカテゴリーに分けますと、約四百種類くらいのものがございます。
 それから、生産の量でございますが、生産量は、ちょっといろいろな成分がございまして、量で申し上げるよりも金額で申し上げたほうがいいと思います。四十三年度が七百五十四億円の生産でございまして、四十四年度が八百八十六億円でございます。四十三年度の四十二年度に比べましての生産の伸びが一二%、それから四十三年から四十四年への伸びが一七%でございます。
 それから、製造会社の数は約三百五十でございます。大部分はローカルのメーカーでございまして、全国的なシェアを持っています大きなものは約五十社でございます。
○武部委員 農薬会社の数が三百五十社で、大手が大体五十社、この中で外国資本の技術提携をし、さらに資本の導入をしておる大手のメーカーがあると思うのですが、そういうのは大体どのくらいで、この外国の技術提携ないし資本の導入の相手は、主としてどこでしょうか。
○遠藤説明員 技術導入をいたしております会社は、審査が私どもの局を通ってまいりますものしかつかめないわけでございますが、それが二十六年以来で技術導入が三十三件でございます。それで、それに対します援助の対価の支払いが、年間約三億円くらいにのぼっております。
 それから外資導入会社は、製造会社につきましては、外資が入っておりますのは、私どもの調べております範囲では三社でございます。それで、外資比率は三社が五〇%、一社が四七・五%でございます。
 外資の導入先は、私まだ調べておりませんので、後ほど調べましてまたお答えしたいと思いますが、技術導入はイギリス、アメリカ、オランダ、イタリア、スイス等数カ国にわたっております。
○武部委員 最初に概略だけお伺いして、あとで総括的に御質問いたします。
 問題になりましたBHCのことについてお伺いするわけでありますが、BHCはいまどのくらい在庫があるか、また、禁止をされた禁止のやり方。いろいろ私ども資料をいただいたわけでありますが、このBHCの原体は一体どのくらい生産をされておって、それがあなた方の通達ではどういう形で製造禁止になったのか、そうして、いま在庫が大体どのくらい推定をされるのか、こういう点についておわかりでしょうか。
○遠藤説明員 BHCの生産等の問題でございますが、たしか先生にお答え申し上げたかと思うのでございますが、昨年末のストックが、ガンマBHC換算で約二千五百トンだと申し上げました。これは詳細に申し上げますと、原体そのものでありましたものが、ガンマBHC換算で千二百八十一トン、製剤になりましたもののガンマBHC換算が千二百トンで、正確に申し上げますと二千四百八十一トンあったわけでございます。そのうち原体になっておりましたもの、千二百八十一トンと申し上げましたものの――ややこしくて申しわけないのですが、ガンマBHC換算でなくて、原体で申し上げますと九千八百五十トンになるわけでございますが、それのうちの千三百九十一トン、約千四百トン、ガンマBHCに直しますと約百五十トンないし百八十トンくらいになるわけでございますが、それくらいのものが、その後国内向けに製剤をされまして、残りは全部輸出に向いております。そのために、国内で出荷いたしましたものが、今年度は製剤として約三万トンくらい、ガンマBHC換算にいたしますと千三百五十トンくらいが国内向けに出荷をされました。去年の量は、製剤といたしまして七万トンから九万トンあったわけでございますので、大体それの三分の一程度の出荷になったわけでございます。数字だけ先に申し上げます。
 それから、私どもは、牛乳のBHC汚染という問題が起こりまして、厚生省から御連絡を受けまして、私どものほうは、先般も申し上げておりますとおりに、十二月の十日に、BHCのメーカーに対しましてそのお話をいたしました結果、十二月の十日にメーカー側は、新しく原体を生産することをやめるという自粛をいたしたわけでございます。
 それから、一月二十八日になりまして農林省が通達を出しまして、えさに使う作物については一切BHCを使わないこと、それから、普通えさでないのですが、稲に使いますと、稲をとりましたあとのわらをえさに使うというものがございまして、稲わらで入ってくるものがございます。その稲わらでもえさになるとわかっているものについては、BHCをまいてはいけない。もう一つは、そういうことをやっておりましても稲わらが流れるおそれもあるかもしれませんので、稲わらにつきまして全体を下げるために、BHCの散布はメイ虫の防除のうち大体一花期日。穂ばらみ期以後はまいてはいけない。穂ばらみ期より前でなければBHCはまいてはいけないという通達をしたわけであります。それはなぜかといいますと、穂ばらみ期以後、特に秋のウンカが出まして、それにまきますと、米なりわらなりに非常に残留量が多くなるわけでございます。穂ばらみ期より前にまいております場合には、オーダーが一けた下がるというデータを持っておりますので、そういう措置をとったわけでございます。
 全面禁止をなぜしないのかという問題が当時出たわけでございますが、この前いろいろ御説明申し上げましたけれども、四十四年で、御承知の有機燐剤の中で劇毒になっております。パラチオンの使用が終わったわけでございまして、四十五年からはパラチオンの使用をとめてしまったわけでございます。それの肩がわりになるものとして、百万ヘクタール分くらいの薬がなければならない。BHCが元来、稲の虫の防除の薬の半分を占めておりますので、ほかの薬で置きかえるといたしましても急にはいかないということで、やむを得ざる措置として、穂ばらみ期以前はまかせようということにしたわけでございます。
 そういう経過がございますので、いろいろ先生方におしかりもいただき、御指導もいただいたわけでございますが、六月の二日になりまして一これは大体メイ虫の、一花期の防虫が始まる時期でございます。その時期に重ねて前の通達の内容を繰り返しまして、厳重な通達を各県にいたしました。同時に、各県がとりました手段、方法につきまして、これは秋まで見ませんと、こちらのルールに反したようなものもあるかもしれません。秋までの結果、稲作期間が終わる時期の十月の末までにやりました方法及び規制、それから指導の状況というものを報告するように通達したわけでございます。それと同時に、私どもはいろいろなブロック会議等におきまして、各県の担当官及び各県の農業団体の方、そういう方に私みずからも話をしましたし、植物防疫課の係官等を派遣して指導いたしまして、末端にわれわれは約一万八百人ほどの防除指導員というものを持っておりまして、そういう人たちに指導をしてもらいまして、その徹底を期するという方法をとってまいりました。
 そういう方法をとってまいりましたので、私どもといたしましては、その成果が十分出てくると信じておる次第でございます。
○武部委員 いまの、成果が十分出てくるということについては、あとでいろいろ意見を申し上げますが、BHCはメーカーが自粛をするということになったけれども、輸出向きについては禁止していない。いろいろな抜け穴が私はあると思うのです。それはあとで一括して申し上げます。
 きょうはBHCだけ申し上げるわけでありませんので、そこで、具体的に資料でお伺いをいたしますが、農薬というものがどのくらい残留しておるのかということをお伺いをいたしました。私はここに資料をいただいたのを持っておるわけですが、まず厚生省のほうからいただいた「米、野菜中のガンマBHCの残留量について」というのがあります。農林省農政局からいただきました「農薬問題に関する資料」というものがございます。私はこれを見て非常にふしぎに思ったのであります。
 たとえて申し上げますと、厚生省が出しておられるキャベツの最高残留量は〇・〇八一となっております。ところが、農林省の資料によりますと、同じキャベツで最高は〇・四五四PPMとなっております。農林省の資料は〇・四五四PPM、これは非常に高い数値であります。許容量が〇・五PPMですから、大体これと合っている数字であります。厚生省は〇・〇八一という数字を出しておられる。これは一体どうしたことか。なぜこんなに違うのかということを、たいへん私は疑問に思いました。さらにキュウリについて申し上げますと、同じように最高残留量が、厚生省は〇・〇五三PPM、農林省は〇・一九OPPM、これは四倍近く違うのであります。
 一体、国の機関が私どもに資料を提出するのになぜかくのごとく違うのか、非常に疑問に思います。もちろん、この最高なり最低なりというものをとる場合に、若干の相違があることはわかります。前回厚生省が私どもに提出をしていただきました牛乳のBHCの検査結果でも、最低、最高の中にはたいへん大きな開きがあることはわかります。しかし、この最高なり最低の数字というものは、きちんとしたものが出ておるわけです。ところが、厚生省と農林省となぜこんなに違うのか。これは明らかに残留農薬に対する検査機関といいましょうか、検査機構といいましょうか、そうしたことが全くいいかげんなものだ、整備されていないということに、私はこれを見て、しろうとなりに気がついたわけであります。
 さらに、今度は水の点について、BHCが散布されて、流れて水にどういう影響を与えるのかという点について、一体政府はどういう資料を持っておるのか、こういうことをお尋ねをいたしました。農林省の資料によりますと、「河川水中のBHC(四十四年九月の調査)」というのがございます。これを見ますと、採取した場所はほとんど関東――千葉、霞が浦、神奈川県、こういうところの河川水中のBHCを調査をして、資料としてお出しをいただきました。もう取るに足らない〇・〇〇〇二、全く微々たるものであります。こういうものが出てきました。
 こんなに少ないものだろうかと思って、私はしろうとなりにいろいろほかの資料を見ました。たまたま、この資料要求について、経済企画庁国民生活局から「BHCによる水系汚染」という資料が私の手元に来ました。
 この資料とこの資料とを突き合わせてみたわけです。経済企画庁は自分でやるわけじゃないですから、どこから来たものか見たら、ある新聞の記事から大体出所はわかりました。この新聞の記事もここに持っておるわけですが、それと大体似ておる。この記事の中に――「水田に水の乏しい九〜十月には河川水中への流出は少ない。」経済企画庁はこう書いておる。まさにそのとおりなんです。九月、十月は河川水中にはBHCは少ないのです。ところが、農林省の調査は一番少ない九月をとっておる。こういうようなやり方では、はたして現在BHCなり残留農薬というものがどういうぐあいに河川なり、あるいは野菜なり肉なりに残留しておるかという調査が、全くてんでんばらばらです。統一的なものは全然見られない。私はしろうとだけれども、そういうふうに感じたわけです。
 こういうことを感じながら以下質問をするわけですが、こういう具体的な資料をもとにして考えてみても、いまの残留農薬というものが一体どの程度、どこにどのような形で残留されておるかということの根本的な一つの体系というものがいまの政府にはない、これもはっきり言えると思うのです。
 そこで、時間がないので先を急ぐわけですが、私どもはつい先日、北陸、東海へこの委員会から視察に参りました。ちょうど私も、宿でテレビを見ておりました。七月三日であります。七月三日の夜のNHKのニュースの番組の中に、相当のスペースをさいて農薬問題を報道いたしました。おそらくごらんになったと思うのです。さっそくあくる日、名古屋の消費者との懇談会の席上で、御婦人の方からこの話が出たのです。その人も見ておったわけです。これはたいへんなことだという話が出ました。私どもは専門家じゃありませんから、それにはあまり受け答えができませんでしたが、仙台の中央放送局が相当な人手をかけて、時間をかけてあの番組をつくったと思いました。
 そこで、くにへ帰り、ずっとこの内容を調べてみたわけです。私はここに報道された全文を持っておりますが、この全文をずっと見ますと、さっき参事官がおっしゃったような、BHCは今後減少するだろうとか、あるいはあなたがおっしゃったパラチオンの問題等が、一体東北でどういう形で使われているのか、この報道の内容を見て、いまの農林省なり厚生省のやっていることが現実に実施されておらない、こういうことを非常に感じたわけであります。おそらくメモをとった人はいないわけでしょうから、ざっと見ておる程度でしょうから、私はこの中の重要な点だけを申し上げてみたいと思います。
 仙台中央放送局が東北全般について資料をとった中で、あの放送の中にこういう点がございました。
 ちょうどいまつゆの晴れ間に、稲の病虫害の共同防除をやっておる。そこで、これまで東北地方で使われる殺虫剤全体の四〇%がBHCやDDTだ。去年は東北六県を合わせて一万七千トンが水田や果樹園にまかれた、こういうことを報道しておりました。しかし、現実にこの農薬が牛乳やお茶などの農産物に残留して人体に影響があるというので、農協あたりが中心になって農薬の取り扱いについて説明会を開いて、できるだけ害の低い農薬を使うようにという説明をしておる。そこまでは農林省の指示が行き渡っておるようですね。問題はそのあとです。
 そういう呼びかけはしておるけれども、農家には去年買い入れた手持ちのBHCがかなり残っていたほかに、使用規則の通達が出されたことしの初めには、すでに多くの農協がことし使うBHCの買い付けを済ましておった。これは私も調べてみましたが、現実です。全く間違いない。あなた方の通達が出る前に農協が買っておる。私のくにもそうです。調べてみた。農協が在庫のままほっておくわけがない、農家に全部出ておるのですよ。またBHCは、他の殺虫剤に比べると値段が三〇%から五〇%安いことから、米の生産調整と生産者価格の据え置きで経営の苦しい農家にとっては、安いBHCの使用を全面的にやめるまでにかなりの抵抗がある。したがって、各県の見込みどおりにBHCの使用量が減るということは危ぶまれる、ということを報道しておりました。
 また、特に青森県の津軽地方のリンゴ園、これはBHCやDDTはもちろん、毒性が急激にあらわれるとして、あなたがいまおっしゃった、去年まで製造が全面的に禁止されたパラチオンも、依然として使われておる。これはリンゴにつく、ダニが、毒性の強いパラチオンでなければ防除できないことと、パラチオンにかわる農薬を使うとすると四倍の費用がかかる。そして、不振に悩むリンゴ農業が、いまだにパラチオンの使用をやめることができない。この窮況をやっておりました。あなたもごらんになったことと思うが、そういう事実が報道されておりました。
 さらに、あなた方のこの通達を私もここに持っておりますが、できるだけ農家には、BHC等の使い方にも親切丁寧にやっておる。しかし、現実には、あの画面が写し出したように、乳牛のすぐそばまで、わらのすぐそばまでBHC等を散布しておること等が、事実写し出されておりました。そういうことがここに載っておりましたが、取り扱いや管理がずさんである、こういうことがはっきり、この画面と一緒に報道された。
 さらに、秋田県の横手市にある平鹿総合病院の農村医学研究所では、おととしの春、農薬中毒研究班をつくって、農薬が人体にどのような影響を与えるかについて研究を進めてきた。その結果、具体的な実験例が出ました。六千人の農民を対象に調査した結果、農薬の影響で視力が急激に衰えたと見られる患者三十六人、このうち五人はすでに失明しておった、こういう報道でした。さらに、いもち病の防除をしているうちに農薬が目に入って、数日にして両目の視力が衰え、治療を受けに来たときは手おくれ、こういう例があった。これも報道されました。こういうように、いま毒性が低いといわれる農薬でも、直接ふりかかったときにはたいへん害が大きいということを言っておりました。
 また、BHCは、その毒性が土壌の中に十年近くも残留し、徐々に自然を破壊していく、こういうようなことが報道されておりました。
 あなたのほうの通達は、確かに私もいただいております。お出しになっておる。しかし、現実には、自粛というメーカーの製造の実態、さらには、輸出はこれから除くということ、さらに、あなた方が提唱された以前に、すでに多量のBHCが農協に手渡り、それが農家に渡っておる、そういう実態がありますね。こういう実態について、私がいま述べたことについて、あなたはどういうふうにお考えでしょうか。
○遠藤説明員 いろいろお話がございましたけれども、先生のおっしゃいましたとおり、私どもといたしましては、末端までの指導を通達等によりましてやったわけでございます。確かに前年度から持ち越したBHCも、それほどたくさん持っているとは思いませんけれども、多少は残っていたということは、これは私どもも、あるかもしれないと思います。しかし、御承知のように――そういうことであるから、全体のBHCが減っているというのはどうもおかしいというお話でございますが、元来牛乳の中のBHC残留量も、東北地方はわりあい少ない地方でございます。といいますのは、もともと、まいております量が、関西の各地区に比べますと非常に少ないわけでございます。報道等によりますと、去年どおりまいているようなことであったわけでございますけれども、それにいたしましてもずっと少ない。それからもう一つ、私どもも前から言っておりますように、後期の防除というものにBHCを使うということは、東北地方の場合、元来非常に少ないわけでございます。関西各地におきましては、従来の受注量に比べまして非常に減っておりまして、たとえば長崎とか高知とかいうような県では、もう防除暦からはずしてしまってほとんど使わせていないというようなことで、関西の秋ウンカ地帯というようなものを中心にしまして、関西では非常に減っております。その結果、実際に出荷いたしました量が、先ほど申し上げました数字のように、平年の三分の一ぐらい減っております。
 ただ、先生おっしゃいましたとおり、私どもの注意ないしは指導というものがなかなか末端では行なわれないということが、場所によってはあるかもしれません。私どもは全面的にそうであるとは思っておりませんし、パラチオンがそういうことでまかれているというのも、私どもとしましては、非常に私どもの注意が行き届かなかったので申しわけないと思っておりますが、実際問題としてパラチオンの製造は中止されておりまして、多少それも残っていたものがあるかもしれませんが、今後とも私ども、それは厳重に取り締まっていきたいと思っております。
 それから、秋田の平鹿病院のお話でございますが、私どものほうで、その担当されましたお医者さんに調査をした方があるわけでございますが、そちらからでは、失明はしていないんだというお話でございます。
 ただ私ども、まきます薬――そこで問題を起こしておりますブラストサイジンでございますが、その薬は、元来一般的な急性毒性というのはないわけでございますけれども、目には非常に有害であるということは初めからわかっておりまして、包装等にもそれを注意してございまして、売ります場合に、それで防除する場合にめがねをかけてやれということで、そのめがねも添付して売っているということで、私どもといたしましては、そういう事故の起こりそうな薬を早くほかの薬に置きかえるように、いろいろ研究開発を進めておりますけれども、御承知の水銀剤というものがいもち病の防除剤として最も安くかつ有効であったわけでございますが、それが人体に危険であるということで、三年間で逐次廃止をいたしまして、とりあえずの措置としてブラストサイジンがそれにかわったわけでございます。それで、目に危険があるということはわかっておりまして、そういうような注意書きを付し、めがねを付しまして販売をさせておるわけでございます。そういうものがたまたま何かの事故で、あるいは不注意によって目に入ったというものではないかと思います。
 ただ、私どもとしましては、そういう事故が起こる可能性のある薬というものを一日も早くなくしたいと思いまして、研究施設等も強化いたしまして、科学技術庁等でも、理化学研究所に大きな農薬の開発研究の施設をおつくりになって、研究していただいております。そういうことで、私どもとしましては努力いたしております。
 確かに先生のおっしゃいましたように、私ども、相手が五百四十万人おります農家のことでございますので、なかなか部分的には行き届かない面があろうかと思います。その点、私どもも今後ますます注意をいたしまして、間違いのないように指導していきたいと思います。衷心からおわびを申し上げる次第でございます。
○武部委員 いまのお答えの中で秋田県の横手の平鹿総合病院の話、私もテレビを見ておって、五名失明と確かに聞きました。そのとおり報道がありました。あなたのお話ですと、調査した結果そういうことはないというのですか。
○遠藤説明員 私のほうで聞きましたのは、そういうことがなかったということをある筋から聞いたのでございますが、私どもも、これは確かになかったとは申し上げません。私ども、先生のおっしゃることがうそであると申し上げているわけではございませんので、もう一ぺん確認をしてみたいと思っております。
○武部委員 それならわかりました。
 そこで、今度は農薬全般についてお伺いをするわけでありますが、農薬がどの程度使われて、日本人の人体にはどの程度入って、それが外国と比較をした場合にどのようになるのかという点について、近ごろあちこちでいろいろな報道がなされておりますが、つい先日は長野県で出ておったようですね。この前は高知県で出ておりました。
 ここに「医学のあゆみ」という雑誌がございますが、これは四十五年の五月です。この雑誌の中に、高知県の衛生研究所が実際に人体七十四を試料として、高知市内の二病院で相当な年月をかけて調査をした結果、これは一部新聞にも出ておったようでありますが、私はこの現物をここへ持っておるわけですが、これによりますと、高知県は、三年前からBHCの使用の規制を指導しておって、四十四年度のBHC農薬使用量は、四十一年度に比し約四分の一に減少しておる。もし規制のない場合は、より高濃度の蓄積の可能性もある。こういうことを前提としながら、トータルBHCは、イギリス、アメリカ、ニュージーランドの報告に比し約三十倍の濃度で、その九七%がベータBHCであった。こういう報告がされておりますね。
 私はほんとうのしろうとですが、厚生省はこういう資料をもとに、いまの日本人の体内に、外国に比べて一二十倍ものベータBHCが残留しておる、こういう具体的な地方の実験について、どういう御見解をお持ちでしょうか。
○横田説明員 ただいま先生が申されました資料は私どもも入手いたしておりまして、これにつきまして決定的な結論というものはまだ持つに至っておりませんが、さっそく専門の学者に、この点に関しましていろいろ御意見を拝聴いたしたわけでございますが、この数字ではそれほど、非常に危険な状態でどうというそういった問題はない、かような結論をお聞きいたしております。ただ、問題が問題でございますので、この問題につきましては、これからもいろいろな角度から究明いたしまして、御心配のないような措置をいたしたいと存じます。
○武部委員 さしむき、直ちにいま、このBHCが人体に影響を与えるというようなことはないと、こういう説明でございましたね。
 そこで、この三十倍ということと、私が先ほど、農林省と厚生省の残留量の食い違いを言ったわけですが、たとえば農林省の側から見れば、水なんというようなものについてはほとんどないんだというような資料ですね。私はちょっとこれを切り抜いてきましたが、これはつい三日前の新聞です。これは長野県で千曲川の流水あるいは泥土、そういうものについて調査をした結果、ここに多量のBHCなりDDTの残留を認めたと書いてある。そういう長野県は長野県なりに、あるいは愛知県は愛知県なりに、BHCがガンの死亡患者の中から出たという、これもつい先日の新聞報道にありました。二体について実験をした結果出たということを報道されましたね。これはつい先日ですよ。そういうように、BHCなりほかの残留農薬がいろいろな形で体内に入ってくる。それを総合的に調査して発表したのが高知県だと思うのですね。
 厚生省は、そんなこと一つもしておらぬじゃないですか。高知県がこういうことをやった、あなたのほうもお認めになった。しかし、現実に残留農薬が日本人の体にどういう影響を与えるのか、こういう点や、あるいは許容の基準なり、そうしたものについてほとんど実験もされていないと言っても、私は言い過ぎじゃないと思うのです。それは、先ほど言った水の例一つとってみても、あるいはキャベツの例一つとってみても、厚生省と農林省との間にたいへん大きな食い違いの資料が出てくるのです。ですから、こういうものは政府部内で統一して、そして早急に残留等について、汚染の度合いについて、統一した資料をひとつ出してもらわなければならぬ。こんないいかげんな資料で、長野県はこんな量が出た、千葉県のほうはこんな量だというような、てんでばらばらなそういうような資料でもって、私どもは論議できないです。また、省が違えば全然違ったものが出るというようなことも困ると思う。
 そこで、きょうは時間の関係で、これ以上のことは申し上げませんが、私は農薬の問題について、ここで抜本的に考えなければならぬじゃないか。農薬取締法というものを見ますと、これは登録制ですね。登録制で、三年たったら自然消滅、それで再登録しなければならない。そういう農薬取締法ができているわけです。これは、昭和二十三年にできた法律ですね。そして、その後一回、昭和三十八年ですかなんかに水棲動物かなんかの改正をやったというだけです。それが一ぺんで、農薬取締法については改正はされておらない。
 現実に内容を見ると、これは人畜なんということは全く度外視、農作物かあるいは水棲動物、そういうものについて害がある場合にはというようなことしか、これに書いてない。ですから、やはり人畜というものが今日これほど問題になってきたのですから、この農薬取締法については、抜本的にこれは改正する必要があるのじゃないか、私はそう思うのですが、農林省はどう思いますか。
○遠藤説明員 お話のとおりでございまして、実はできました時期も古い法律でございまして、当時増産をするためにインチキな農薬が出回ることを規制するということが、第一の目的でつくられた法律でございます。法律の本旨が登録法になっております。登録規定ばかりでございまして、その後、先生のお話のございましたように、三十七、八年ごろ魚毒の問題が出まして、除草剤のPCP等の問題が出まして、そして規制を厳重にする法律改正を行なった、それだけできたわけでございます。
 いままでは、いろいろの点につきまして、法律の文面からだけでは必ずしも読めない広い範囲の解釈をしまして、いろいろな規制なり指導なりを行なって、運用で今日までまいったわけでございます。しかし、御指摘のとおり、このような農薬が間接的なあるいは慢性的な障害として人体に害を及ぼすというような、当時考えておりませんでした事態がだんだん出てまいりました。私どもといたしましても、たびたび御指摘をいただいておりますとおり、いろいろな問題点を含んでおりますので、その点につきまして、私どもといたしましては改正の方向で検討してみたいということで、先般来省内におきましても検討を始めているところでございます。
○武部委員 私は農薬取締法が、いまあなたがおっしゃったように、非常にいまの時代にそぐわない、こういうふうに思います。ですから、人畜についてこういう状態になったわけですから、抜本的な法改正を早急に農林省として検討していただきたい。できれば国会に法改正を提出していただきたいというぐらいな気持ちを持っておるわけですから、いまお話もございましたように、省内で検討中ということであれば、ぜひひとついま私が申し上げたようなことも参考にして、法改正をやっていただきたいと思います。
 そこで、最後に、この問題についていま一つ質問と、資料の要求をいたしたいと思います。
 一つは、殺虫剤DDTがアメリカで、農商務省の手によって全面禁止になった。このときに、アメリカで除草剤が問題になった。二四D、二四五Tこの二つが同時に禁止になった。
 二四五Tというのは例の枯葉作戦です。森林散布ですね。これは何か私どもが聞くところだと、発ガン性のものと催奇形、奇形を催す、そういう内容を持つ除草剤だ。しかし、日本では森林に散布されておるというようなことを聞くわけですが、これはどのくらい生産をされておるのか、あるいはどの程度使用されておるのか。アメリカでDDTの禁止の際に、同時にアメリカでこれが禁止になったのか、そういう点を、御承知ならばお伺いをいたしたい。
○遠藤説明員 除草剤の二四D、それから二四五Tでございますが、いろいろな種類がございます。これの品目ごとの数字を申し上げますか。
○武部委員 あとでけっこうです。
○遠藤説明員 あとでまた差し上げたいと思っております。
 それほどの量は出ておりません。二四Dの粒剤なんかになりますと一万二、三千トンのものでございますが、あとのものは非常に少ない数字ということでございます。二四五Tにつきましては、二四五T単剤というのはごくわずかでございます。十トン、このくらいになっております。二四Dと二四五Tの混合剤というものがかなり、これは何千トンかございますが、それは数字は、後ほど別に差し上げたいと思います。
 それから、アメリカにおきましての問題でございますが、二四Dにつきましては使用規制がされていないようであります。それから二四五Tにつきましては、ことしの四月十五日でございますが、アメリカの厚生省の発表で――これは厚生省のほうがよく御存じかもしれないのですが、私調べましたので申し上げておきますが、妊娠初期のラットとマウスに比較的多量の二四五Tを注射した。そうしたら、ラットでは奇形児を生じない、しかしマウスでは生じたということで、これは問題は、ガンではなくて奇形のほうなんだそうです。そこでアメリカでは、家庭とか湖、沼の周辺、それから植物、作物に対する二四五Tの使用方法は登録からはずす、つまり使用からはずしたわけであります。森林での使用は禁止されておりません。ただ、レクリエーション地帯とか水辺地の散布はしないようにという、これは行政指導だそうでございます。そういうことをしておるそうでございます。
 わが国では大体あまり使用されておりませんが、農薬の登録は、林業用の下草の除草剤だけに限られて登録されております。使用されておりますのも下草用に使われておるだけで、一般の農地には使われておりません。
○武部委員 それといま一つ、先ほどからあなたとやりとりした中で、相当な規制を、BHCについていろいろな通達を出した。しかし、私は先ほどNHKの報道を言ったような、なかなか現実にはそうでないという実態もあるが、たとえばことしの秋ですね、稲わらが出るわけですが、去年の秋のようなことにならない、そういうふうな自信はおありですか。
○遠藤説明員 日本全体を通じまして、去年のようになることはないと思います。
○武部委員 ぜひそうしていただかなければならぬと思うのです。
 そこで、私はこれから資料を要求するわけですが、前回私のいただきました牛乳のBHCの検査の結果、これは四十五年一月、二月のものです。その当時大阪が最高を示したわけですが、現実に七月ですから、一番新しいこの残留状況、全国の地域別についてBHCの残留状況、これは農林省じゃありません、厚生省です。厚生省に、この一番新しい地域別のBHCの残留状況をひとつお出しをいただきたい。農林省には、BHCの反当たりの散布状況を地域別にいただきたい。この二つをお出しいただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
○遠藤説明員 反当たりの散布状況でございますが、正確な数字は十月末で集めるようになっておりますが、それでもよろしゅうございましょうか。それとも、早くなければいけないでしょうか。
○武部委員 去年の十月のをお出しいただきたい。
○遠藤説明員 わかりました。
○横田説明員 ただいまお求めの資料は、いずれつくって差し上げることにいたしたいと思いますけれども、ただ問題は、現在までのところは、検査成績の報告がございましたのが二十五都道府県でございまして、その結果によってみますと、一番問題になりました長崎県では、最近は、当時問題になった数値の半分程度という数字が出ております。ただ、御承知のようにBHCは牛の体内に残留いたしておりまして、えさにまく薬をやめたからといってすぐなくなるものではございませんので、全般的に見ますと、あまり顕著に減っておるという数字になっておらないようでございます。したがって、貯蔵の飼料を食べないためのぎりぎり一ぱいの時点の十月とか、あるいは十一月とか、そういう時点の数字を調べますと、相当えさと牛乳の中に残留いたしますBHCとの関係というものもはっきりいたそうと思いますので、いまの時点の資料よりは、むしろそれに近い時点の数字などまとまってからお出ししたほうがあるいはいいかと思いますが、いかがでございましょうか。
○武部委員 それはいつごろですか。
○横田説明員 大体十月の数字が出ましてですから十一月ごろ、その辺の数字のほうがあるいはよろしいのではないかという気がいたします。
○武部委員 ただいまわかっておる二十五県についてはお出しをいただいて、そのあとは十月でけっこうです。
 もう一つ、通産省と公正取引委員会にお尋ねをいたします。時間の関係がございますから、できるだけ要点を述べるつもりですが、あなたのほうもそうしていただきたいと思います。
 これから私が申し上げますことは、まことに、あるいは取るに足らぬ小さなことかもしれません。取るに足らぬ小さいことかもしれませんが、これをやった企業が日本におけるまことに著名な企業であるだけに、私はこういうことは消費者をだまし、まことにけしからぬことだと思うので、まことに小さいことですが、あえてこの席上で明らかにしなければならぬ、こう思うのです。
 私、ここへ現物を持ってきましたが、このゴキトールという器械、このことについてこれから質問をするわけです。
 この器械は東芝がつくって販売したものであります。これは一時たいへんな売れ行きを示したものであります。
 私は、どういう宣伝をしておるかと思って、当時のいろいろのチラシを調べてみましたが、なかなかチラシが見当たりませんので、新聞の縮刷版をようやくさがし出して、ここに持ってきました。まことにたいへんよくきくように書いてありまして、これをちょっと読んでみると「ゴキブリ退治の新兵器登場」「電気の力でゴキブリビリリ!」とくる。それで、ここからゴキブリが「アれ−」と逃げる絵がついておりますよ。これは縮刷版ですから、もっと大きいのですよ。
 これが新兵器です。これは金額が千七百円。なるほど家庭にはゴキブリがたいへん発生いたしますから、そういうことでこれは大好評のうちに、いろいろ調べてみると十万とか二十万とか、たちどころにこれは売れた。もう夜を日に継いで生産しても間に合わないというくらい売れたということを、会社の諸君が言っておる。これも事実です。
 ところが、奇妙なことに、これが発売されて二カ月ほどたった、正確には四十三年七月の二日だと思うのですが、この発売がぴたっとやめになった。わずか二カ月足らずにしてこれはやめになった。これはどういうことかということで、当時も若干あったようですが、あまり目に触れないままに今日にきたわけですね。
 これは十万二十万とたくさんのものが売られておるわけですから、これを買った者は、効用をあげるだろうということは当然期待をして買っているわけです。ところが、さっき言うように、奇妙なことにぴたっととまった。通産省はこれを知っていますか。
○関山説明員 御説明申し上げます。
 御指摘になりましたゴキブリ退治器は、昭和四十三年の五月から発売されたわけでございます。その後消費者によりまして、あまりきき目がないのではないかというような意見が一部出てまいりましたので、当時、七月でございますが新聞にも報道されまして、私たちのほうで製造会社を呼びましてその事情を聴取いたしましたところ、確かにまだ、えさの問題その他で一部研究不十分なところがあったということでございまして、製造会社は七月でもって自発的に生産を中止したようないきさつがございます。
 なお生産数量は、その間二カ月の間に約十四、五万台というふうに聞いております。そのうち約八万台が出荷、販売されております。
○武部委員 きょうは時間がないのでたいへん残念なのですが、いまあなたは、えさのことをおっしゃったわけですね。そうすると、このものは二カ月間に十四、五万台生産されて、八万台近くが出荷をされて市場へ出たということですね。これは苦情があなた方のほうの耳に入ったので、業者を呼んで聞いてわかった、こういうことですか。
○関山説明員 私どもといたしましては、新聞の報道で苦情があるということを知りまして、業者を呼んだわけでございます。
○武部委員 そのときに直ちに業者は、通産省の指導どおり、苦情があることを認めて、これは欠陥があるとその場所で認めたわけですか。
○関山説明員 七月三日の新聞というふうに聞いておりますが、業者のほうは、七月の五日に生産停止という結論を出しております。
○武部委員 そうすると、その生産停止で生産をストップをしたと同時に、市場に出回っておったものについて何か措置をいたしましたか。
○関山説明員 その点につきましては、実は欠陥という御指摘でございましたが、一部はこれは非常に効果があったというような消費者からの声もあるやにわれわれ、業者から聞いておりますが、製造会社といたしましては、こういう苦情があった場合は、任意に販売店で実費で引き取ったというようなことはございます。
 それから、これは有効性、無効性が非常に決断的に決定される段階に至っておりませんので、ただ、ゴキブリの生息の状況によりまして、一般家庭でそれにどんなえさを使ったらよいかという点が、多少使用説明書などに不十分の点もあったようでございますので、そういう点は、業者のほうで販売店を通じて消費者に十分周知させるように、というような話をしております。
○武部委員 この器械は誘引剤、えさですね、これがなければ入ってこないのですよ。これは現実に、あなたのほうで実験したわけじゃないのでしょう。これは消費者が実験しておる。これは一つも入らない。入らないどころか、ある人は実験して、つかまえたゴキブリをこの中へ入れておいたら、二日ほどたったら逃げてしまった。実験をした者がいるんだ。
 私は、こんなちっちゃいことをここで言いたくなかったけれども、東芝ともあろうものがこんなインチキなものをつくって――さっき私はここで言ったが、「ビリリ!」といって、「アれ−」といって死ぬのじゃない、「アれ−」といって逃げてしまう。こういういいかげんな宣伝をして十何万台も売っておいて、そして、これの中に誘引剤も何も入ってないのですよ。一つもきかない、千七百円もして……。この中に電池が入っていますね。これはきかぬじゃないかといったら、電池もないというのですよ。消費者がおかしいじゃないかと言って行ったら、実は電池もつくっておりません、こういうふうになった。そこで消費者から苦情がいったところが、それじゃ何かとかえましょう、持ってきてください。これを持っていったら、東芝商事は、二十ワットの電球五個と交換するというのですよ。こんなばかげたことがありますか。千七百円で人に売っておいて――全然ききもせぬ、この中で昼寝しておるかもしれない。そういうものを売っておいて、それはききませんでした、悪うございました、二十ワットの電球五つとかえますから持ってきてください。――そんなばかげたことがありますか。この宣伝も明らかに不当表示です。そう思いませんか。私は不当表示だと思う。こういうやり方を東芝商事ともあろうものが――また通産省も、どこでどう知ったか知らぬが、あなたのほうは、半分くらいは効果があった――ある人間に効果があって、ある人間に効果がないなんということがありますか、そんなばかげた。あなた、業者から聞いたのでしょう。試験してみてないでしょう。試験してみた者が、はっきりわれわれのところに言ってきておるのですよ。こんなものは、この中に入ったって逃げるんだから。そんなばかげたことは許されませんよ。そうしておいて、苦情を言ってきた消費者には何かものとかえてやるとか、あるいは別なものをやるとか、こういうことをして、黙っておる者には何にもせぬじゃないですか。こんなばかげたことはない。だとするならば、これは当然不当表示です。これは厳重に取り締まるべきです。これは消費者の代表が公正取引委員会に持ち込んだはずですが、公正取引委員会の見解をひとつお伺いしたい。
○中村説明員 お答えいたします。
 この件につきましては、七月六日付で、日本消費者連盟創立委員会から文書で申告がございまして、さっそく調査に取りかかっておる段階でございます。
 かりに効果がない場合に効果があるという広告をいたしますれば、これは不当表示になるわけでございます。現在売ってないようでございますけれども、広告がすでになされておって、消費者が誤認をしておる、それが誤認が排除されておらないということであれば、やはり問題ではないかというふうに思います。
○武部委員 なるほど現在は、やかましくなったから、つくっていないかもしれません。効果がないんだから。しかし、現実に買って使っておる者がおるのですよ。死なぬけれども、買って使っておる。そういう事実もありますね。ですから、苦情がどんどん出てきたのです。つい先日、全然効果のない電機製品という新聞記事が出ておりましたが、その中にこれが入っていた。あれを見た人は、やはりこれはたいへんだというので、ぶつぶつ言い出したのですよ。あの電機製品の中にこれが載ってましたよ。私も見ました。そういう中から出てきた問題ですね。ですから、十何万台のうち八万台と言われますけれども、これははっきりした数字じゃありませんね、業者が言うだけですから。私どもが聞くところでは、それこそ夜に日に継いでつくったというのです。笑いがとまらぬほど売れたのですよ。そういうものを、いまの段階でほうっておくわけにまいりません。たとえこれは済んでしまったことであろうとも、公正取引委員会は厳重に調査をして、やはり適切な措置をとってもらわなければならぬ、こう思うのです。
 なおここで、これは公正取引委員会になるか通産省になるかわかりませんが、こういうようなうそをついて――これは明らかに欠陥商品です。そういうものを売って、いまなお消費者がそれを信じて、それで、入ってこぬかと思って使っておるかもしれぬ。だとするならば、これはもう明らかに末端の小売り、それから卸の段階は全部回収しておるのですから、これは欠陥商品で申しわけなかったと、新聞に明らかに謝罪広告をして、そして現金で引き取る、こういうような措置を講ずべきじゃないか。文句を言ってきた者だけを、それじゃ現金で引き取りましょうとか、あるいは自社の製品とかえましょうとか、こういうやり方は許されません。通産省どう思いますか。これは当然間違いだ、欠陥商品であると思う。謝罪広告を出して、そして消費者に対して現金でこれを引き取る、そういう措置をさせなければならぬ、こう思いますが、どうでしょうか。
○関山説明員 使用方法につきましての、またえさの問題、誘引剤という御指摘もございましたが、その点不十分な点があったということは、私どもといたしましても非常に遺憾に存じておるわけでありますが、しかし、これが全然役に立たないかどうかという点、私どもももう少し慎重に調べてまいりたいと思います。
 それから、業者といたしましては、誘引剤の問題をもう少し研究すべきではないか。一般家庭でなまもののえさなどを自分で選んでやるよりは、何かそういうふうな一つの材料を研究いたしまして、それを消費者に提供するというほうがいいのではないかということになりまして、鋭意研究を進めておりますが、残念ながら現在のところ、まだ決定的な誘引剤ができないというふうに聞いております。今後もそういう問題につきましては、消費者に対するサービスを徹底させるような指導をしてまいりたいと存じておる次第であります。
○武部委員 あなたは業者の言い分を聞いて、きくだろう、あるいは、えさを何とか改良すればきくだろうというようなことをおっしゃっておるが、私もこの点は調べておりますよ。確かに、一年間に一匹死んだというようなものです。名前も言いますよ。ちゃんと本人が言うんだから。業者も、名前も、ちゃんと控えておるんだ。試験しているんだから。一年間に一匹入った、こういうのがいるのですよ。そして確かに、誘引剤を開発すればというので、東芝も研究したようですね。ところが、そのえさができないのですよ。できないまま今日を迎えておるのです。四十三年のことなんですよ。それから二年たったって、この問題について結論が出ないのです。ですから、私がいま言うようなやり方をとらなければならぬのです。
 これはどっちなんですか。公正取引委員会なんですか。たとえば新聞に、これは欠陥商品でまことに申しわけなかった、現金と取りかえますというような謝罪文を出せと言うことができるのは、どこなんですか。公正取引委員会ですか、通産省ですか。
○松平委員長 公正取引委員会、答えますか。
○中村説明員 公正取引委員会で不当表示防止法を所掌しておるわけでございますけれども、この法律で、消費者の誤認があればこれを排除しなければならない。実際に個々の案件を扱います場合に、法的な措置として排除命令という手続もございますけれども、案件の軽重によりまして、行政指導で謝罪広告を出させるというような場合もございます。本件につきましては、まだ調査をいたしておりませんので、どういう措置をするかはわかりませんけれども、新聞広告等をさせる場合も考えられるかと思います。
○武部委員 そうすると、あなたのほうの担当のようだから、これはそういうことがわかってから、やはり買った者はこれはおかしいということになって広がりつつあるのですから、過去のことではなしに、現実問題として起きておるのですから、早急にひとつこれをあなたのほうで解決してほしい。ですから、あなたは調査したらいいですよ。入るか入らぬか、あなたのうちに持って帰ってやってみたらいいのです。そういうふうにやればすぐ出るのですから。どこだってゴキブリはいるのですから、そういう調査をしてみたらいい。いかにインチキかということが一目りょう然わかるはずですよ。そういう点については、ひとつ早急に公正取引委員会で出していただきたい。大メーカーから出ているからといって遠慮することはない。どしどしやっていただきたいと思います。
 時間がたちましたから、企画庁長官がお見えになりませんので……。
○松平委員長 あとで来ますから、あとにしてください。
○武部委員 あとでやります。
○松平委員長 公正取引委員会は、いつごろ結論を出せますか。もう四十三年の話なんだから……。
○中村説明員 できる限り早く出したいと思います。
○松平委員長 八月中に出すかね。
○中村説明員 八月中ということはちょっと……。
○松平委員長 関山君、これはどこで研究しているのかね。通産省で研究しているのかね。
○関山説明員 製造会社で……。
○松平委員長 次に、渡部通子君。
○渡部(通)委員 私、三点ほどについて伺いたいと思っております。
 最初に、螢光増白剤についてお尋ねをしたいと思います。
 先般新聞に出ておりました螢光増白剤の問題でございますが、市販のマスクと紙ナプキン、あれが発ガン性があるのではないか、こういうことで、東京都消費者センターが調査をいたした結果が出ておりました。レストランで使用されている紙ナプキン、あるいは直接口に当てておりますガーゼマスク、こういったものに発ガン性があるとなると、これはゆゆしき問題でございますが、これは消費者センターでの勧告どおりに、発ガン性があるという御見解でございましょうか。
○下村説明員 ただいま螢光増白剤の発ガン性の御質問でございますが、私どもの手元にございます資料では、一応発ガン性の心配はない、こういう資料を持ってはおりますが、日本でやりました資料が不備なものでございまして、スイスで行ないましたデータが一つあるだけでございます。したがいまして、その点についてもっと検討してみたい。
 それから、もう一つ問題がございますのは、螢光増白剤なるものはいろいろな種類がございますので、その種類一つ一つにつきまして、はたして発ガン性があるものかないものかという検討がまだ十分されてないと存じておりますので、その辺についても至急検討したい、こういうように考えております。
○渡部(通)委員 都の衛生局の話ですと、螢光増白剤は少量でも、体内に入れば肝臓に蓄積されて非常に有害である、こういう見解が発表されております。
 それから、いまお話しの螢光増白剤の種類は、確かにいろいろございます。ジ・アミノスチルベン系とかベンジジン系、いろいろございますそうですが、一般に多く使われているのはジ・アミノスチルベン系ということになっておりまして、いま使い始められたわけではないのでございますが、そのあたりの有害性、こういったものの詳細なデータというものは全然ないわけでございますか。
○下村説明員 たとえば、いま問題になっておりますガーゼマスクに使用しております螢光増白剤を例にとって申し上げますと、このガーゼマスクの場合には、ただいまお話のございましたジ・アミノスチルベン系の化合物、これを使っているわけでございます。その化合物につきまして、一般的な毒性はすでに検討済みでございます。たとえば急性毒性については、マウスを使いました実験では、毒性は非常に弱いものに属する。それから亜急性毒性、慢性毒性まではやってございませんが、三十日間のウサギを使いました実験では何らの病変を認めていない。それから経皮毒性につきまして、やはりウサギに与えました結果、一過性の軽度の発赤を見た例がある。しかし、それは間もなく消えてなくなっている。
 それから、最後の一番重要な点の発ガン性でございます。発ガン性につきましては、先ほども申し上げましたように、適当な国内の文献は見当たっておりませんけれども、マウスを使いました二年間の発ガン性の試験では一応発ガン性はないというふうに、スイスの文献は伝えております。この程度でございます。
○渡部(通)委員 先ほど申し上げました都の衛生局の見解もございますし、それから、消費者センターの調査によりますと、良識のあるマスクメーカーというものは、やはり螢光増白剤はマスクには使いたくない、こう言っている話も聞きました。
 それから、これは法の盲点でございまして、食品衛生法では容器とか包装は規制しているけれども、ナプキンが漏れている。あるいは薬事法のほうにおいては、ガーゼや包帯は規制しているけれども、マスクは漏れている。これは同じでございます。ガーゼや包帯や脱脂綿を規制するとなれば、マスクでも危険だということは常識的に考えられることですし、あるいは、容器や包装が危険だというならば、直接スプーンなどを包むナプキンが危険だということも当然考えられることです。そういういろんな要素を考えてみますと、やはりこれは危険かもしれない、こう思うのは私当然だと思いまして、スイスの結果でどうこうということではなくして、こういういろいろな問題が持ち上がった以上は、早急にひとつ結論を出して、いただきたいし、消費者に対しては安心のできるような使い道も示していただかなければならないので、この点はひとつ至急お調べをいただきたいと思いますが、大体どのくらいをめどにできるものでしょうか。
○下村説明員 ただいまガーゼマスクに限りまして製造会社を調べましたところが、約四十社ございます。その四十社がすでに、新聞報道その他を見まして、螢光増白剤をなるべく使用しないようにしようという自粛の申し合わせをいたしました。
 さらに政府といたしましては、ガーゼマスクに螢光増白剤を使ったガーゼを使う必要はないじゃないかということで、将来といたしましては、少なくとも口に直接触れるようなものにはこういった種類の増白剤を使わないように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。ただ、現在市場に出ておりますものにつきましては、国とか都道府県の検査機関を使いまして、至急いろん一な検査を受けるようにということを指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
○渡部(通)委員 現在は、螢光増白剤というものはすべての分野で使われていると思うのですけれども、特に私心配するのは、赤ちゃんのはだ着とかおもちゃですね。それから、よく洋なまなどを包む紙などが非常に白過ぎる。そういったことで、使われている範囲がたいへん広いと思うわけです。特に赤ちゃんに対するものに使われているようなものは、業界の自粛とかというのにまたないで、どしどし行政指導をしていただくべきだと思っておりますけれども、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
○下村説明員 先ほども申し上げましたように、からだに直接触れるようなものにこういう増白剤を使いますことの可否につきましては、十分慎重でなければならないと思いますので、ただいまのお話のございました、ことに小さな子供たちにこういうものを使うことの可否につきましては、当然厳重に自粛をしてもらわなければいかぬと思いますので、その辺で業界それから監督官庁、それぞれいろいろ、ばらばらに分かれている点もございますので、ひとついろんな面から慎重に対処してまいりたい、こういうふうに考えています。
○渡部(通)委員 どうも最近のものは白過ぎると私も思っておりますので、その白過ぎたらあぶないという意識も啓蒙していただきたいと思うわけです。
 いま重ねて、自粛をするというお話もございましたけれども、業界の自粛というのはたいへん信用できない場合が多いものですから、そういった意味では、法改正をなさるおつもりはございますでしょうか。
○下村説明員 先ほども申し上げましたように、対象といたしまして非常にいろんな対象がございますので、一つの法律で規制するわけにもまいらぬのではないかと、ただいま考えておりますので、その辺をもう少し検討さしていただきたいと思っております。
○横田説明員 ただいまの問題で、おもちゃの問題とナプキンの問題、これは食品衛生法の関係の問題でございますが、おもちゃにつきましては、螢光増白剤を使ったおもちゃは報告はされておりません。おそらく使っておらないのではないかと思います。ただ、おもちゃにつきましては、いろいろな問題がございますけれども、ことに赤ちゃんがなめたりしゃぶったりする可能性のあるおもちゃは、危険の点について非常に慎重でなければなりませんので、現在その規格について検討中でございまして、螢光増白剤は現在使われておらないようですが、使わせるつもりは毛頭ございません。はずします。
 それから、ナプキンにつきましては、実は、先ほど先生おっしゃいましたように、従来は、どちらかといいますとテーブルクロスと同じような解釈をいたしておるのであります。したがって、容器、包装いずれにも入らない、そういうような解釈をいたしておったのですが、ナプキンの使用の実態等から見ますと、それでサンドイッチを包みましたり、あるいはケーキを包んだりというようなこともございますので、むしろ法律改正云々よりも、そういった使われ方をしておるナプキンは、容器、包装、そちらのほうの範疇に入れて規制すべきではないか、そういうふうな見解を持っております。
 ただ、いままでのものにつきましては、先ほど下村参事官からもお答えのように、発ガン性云々につきましても、非常にはっきりしたデータ等が広く集められているわけでもございませんので、現在流通しておりますものについて即刻これを回収云々ということは、するつもりはございませんけれども、将来の問題といたしましては、むしろ法律が適用される物資というふうな感覚で、禁止するようにしてまいりたいと思っております。
○渡部(通)委員 最後に、ちょっと長官にお伺いをしたいんですけれども、いま私が取り上げました問題は、漂白剤の問題で白過ぎるという話で取り上げたわけでございますけれども、最近、こういった危険性というものがあっちにもこっちにも非常に出てまいりまして、消費者の不安というものは、たいへん重大な国の問題になっていると思います。こういう問題が起こったときに、国の機関として、危険だといったらすぐ調査をするという、テストできる体制はどうなっているのか、一体十分なんだろうかという問題でございますね。そういった点、不足していることはよくわかるのですけれども、危険だといったらすぐ調査をして、国として責任のある態度を国民の前に明らかにしていただくという体制についての長官の御見解を伺いたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 全く御指摘のとおり、率直に言いまして、国としての体制が完全に整備されておるというところまでまだいってないと私も思います。最近この問題が非常に急激に取り上げられてきておりますから、それに対応した体制を整備していく、これは一つの非常に大きな重点だと思います。率直に言いまして、多少ヒステリカルになり過ぎるようなこともないとは思いませんが、そこいらをよく慎重に検討しなければなりませんし、科学的、合理的な見地から政府というものが、そうした点について自信のある見解を持つことが、いたずらに不安を巻き起こさないという意味においても、私は必要だと思います。それにはやはり科学的、合理的な裏づけがなければいけませんし、そういう意味の体制をできるだけ整備してまいらなければ、これからずいぶんいろいろな問題がなお起こってくると思われます際でございますから、私たちもできるだけその方向で努力してまいりたい、こういうふうに思っております。
○渡部(通)委員 いまの長官の御答弁、たいへんありがたいのですけれども、もう少し具体的なお話は伺えないものでしょうか。たとえば、いま公害となれば公害、農薬といえばやれ農薬研究、あるいは、食品となれば食品衛生、ぼちぼちぼちぼち予算をぶんどって、そして調査にたいへん手間取るという体制、もう世論がここまでなってまいりますと、もう少しそういった点を総合的に統合して、何とか大きな機関なり思い切った予算をつけるなりして、その研究結果をすみやかに出すという方向、たとえ一歩でも前進した話し合いなり方向が開けているのかどうか、その点が具体的に一体進んでいるのかどうか、それをお尋ねしたいと思うのです。
○佐藤(一)国務大臣 閣議でもしばしば環境衛生問題、あるいは、いま御指摘のような公害に連なるところの諸問題をどうやって扱うか、それには現行の体制がいいか、よくいわれているような環境公害に関する庁というような独立のものをつくったらいいか、会議式な運営がいいか、まあ議論も出ています。率直に言ってなかなかむずかしい問題でありますから、まだ結論を出しておりません。
 私自身の考えは、機構をいじることもいいかもしれませんが、それにはそれでロスもあります。そういうことで、現在の機構をフルに活用する。行政の分野というものは、どこで線を引くかという引き方がなかなかむずかしいのです。ですから、新しい庁をつくればつくるで、これはこれでもって、ほかの行政との関連がどうなるかということでしょっちゅう問題が起こりますから、少なくとも現在の機構を前提にしてそれを拡充していくという方向を、いま政府としてはそういう考えでいます。
 拡充の方向は、これは政府としても大きな方針になっております。来年度の予算等にも、いずれそうした要請が、それぞれの関係から出ているわけであります。何か非常にきわ立って大きな機構を特別につくるという、そういう御要望にはちょっとそぐわないかもしれませんが、やはりできるだけの拡充をしなければなりません。また、機構の拡充だけでは済まない問題も多いのであります。問題は、政府の取り組む態度でありますから、その点については率直に言いまして、ここのところ急角度に、問題の取り上げられ方が多くなった点もありますけれども、政府としても、この問題については非常に深刻に考えておりますから、一つ一つの点について不十分な点は直していきたいと思っておりますが、全体としての取り組む体制というものについては、私は非常に真剣になってきている、こういうふうに感じております。
 公害問題について、実は閣僚協議会のようなものも設置しようかと思いましたが、現在公害対策会議があるものですから、これをもう少し活用していかなければならないというようなことで、いまその運用について検討していますし、また、現在総理府で関係各庁の問題をどういうふうにうまく調整し連絡をとるか、こういうような点について、総理府の長官が特にこれの検討を行なっている最中でございます。
 そういうことでありまして、政府としてもできるだけ全面的にひとつ努力してまいりたい、こう考えています。
○渡部(通)委員 次に、食品衛生監視員のことを私、お尋ねしたいと思っておりました。実は今回の視察をいたしましても、どこに行っても取り上げられた問題が食品の安全ということでございまして、現今の消費者行政にとってこれを何とか早急にしなければならないということを痛感して、一行は帰ってまいりましたけれども、そこの一つのささえとしての食品衛生監視員がたいへん足りないということを、各地で感じてまいりました。
 伺うところによると、監視員数は全部で五千名、しかし、専任の人はその中でわずか九百十二名。こうなりますと、全国の各保健所に何人ぐらい、実際に所属をしている専任の人がいて働いているということが言えるのでございましょうか。これは厚生省へのお尋ねです。
○横田説明員 ただいまお尋ねの食品衛生監視員の問題でございますが、御指摘のように、五千四百九名中専任は九百十二名ということでございます。それぞれ食品関係の営業施設は年々非常にふえておりますので、数の不足は非常に問題ではあります。ただ、しかし、私どもといたしましては、数の不足は非常に問題ではございますけれども、少ない数の食品衛生監視員を、どのようなかっこうで監視業務に従事させたならば、より効率があがるかというようなことでまず考えておりまして、二年ほど前から実施いたしておりますのが、大都市等における非常に施設の多いところにつきましては、パトロール車を配置いたしまして機動力を持たせる。それからまた、監視のやり方につきましても、その地方地方におきまして非常に問題が起こりそうな施設、そういったところに重点的な監視をさせる、そういうようなことで、いろいろ運用上の努力はいたしておるわけでございます。
 それからもう一つは、監視員の数の問題云々ということもさることながら、そこで収去いたしました物件等につきまして、はたしてそのものがどのようなものであったかということを現実に検査いたす施設、そちらのほうが実は非常に問題なわけでございます。先ほど先生のお話の中にもございましたように、中央・地方を通じましてのそういった研究なり検査をいたします施設、そういったところが非常に整っておりません関係上、せっかく収去しても、なかなかそのものの、よしあしを判別するのに時間がかかるというようなことになってまいりますと、監視員に機動力を持たせたり、あるいは重点的に監視させたり、いろいろ収去等をさせましても、結論の出るのが非常におそいから、したがって、どうしても収去の件数も減るし、したがって監視の件数も減る、こういうような因果関係になるわけでございます。
 と申しましても、最初に申し上げましたように、監視員の絶対数が非常に少なくて、なかなかお忙しくて手が回らないというような事情がございますので、この増員につきましては――この職員は、実は地方交付税によってまかなわれておる職員でございますが、毎年毎年自治省と折衝いたしまして、できるだけふやす方向ではやっておりますが、今後もこういった方向で、可能な限り増員に努力をいたしたいと思います。
 それから、保健所一カ所ごとに何人――これは算術計算はできますけれども、実はその場所場所によりまして非常にバラエティーがありますので、もし御必要でございましたら、その数字は計算いたしますけれども、いま申しましたような事情でございますので、よろしくお願いします。
○渡部(通)委員 長官に対する御質問だけということでございますので、監視員のことについて長官の御意見を伺って、私、一たんここで中止をいたしますが、いまも、むしろ監視員の人数よりも検査のほうでたいへんだ、というお話がございました。最近、BHCとか非常に微量なものを検査をしなければならないということで、ガスクロという機械でございますね、あれをもっと大量に購入して、来年度は食品の安全をはかっていただきたいということを私、申し上げたいと思っております。あるいは監視員の養成ですね、そういった点で、予算の編成期でもございますし、ひとつ食品の監視という問題に対して、人的な問題でも大幅な処置をお願いをいたしたいと思っておりますが、これは要望とも何とも言えませんけれども、最後に長官の御意見を伺って、要望にかえたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 御存じのように、監視員は補助職員でございまして、本来は自治体の職員でございます。率直に言いまして、最近の公害問題、特に私は水のほうに深く関係しているのですが、国と自治体とが一体となってこれをやっていかないとうまくいかないということを痛感しております。そういう際に、いまの問題もその一環だと思うのです。自治体にまかせっぱなしというわけではいけませんが、また自治体と連絡をとって、できるだけこれをふやすように、補助金等の予算の増額等も考えていかなければなりません。これは厚生大臣も非常に強く熱望しておることを私、知っております。
 ただ、率直に言いまして、だれでもいいというわけにいかないもんですから、おそらくこれのための養成といいますか、研修機関といいますか、やはりそういう制度とあわさないと、ただ頭数だけそろえるということでも目的を達しないと思いますし、それらを、めて、やはり今後この方面の陣容を充実してまいる、これは刻下の急務でございます。そういう意味におきまして、ひとつ厚生省ともよく相談してこの方面の充実をはかっていく、こういうつもりでおります。また、来年度の予算要求にもぜひこの面を強く打ち出していきたい、こういうふうに思っております。
○渡部(通)委員 では、ここで一たん終わります。
○松平委員長 武部又君。
○武部委員 同僚議員がたくさん質問があるようでございますから、私は二つ三つについて、経済企画庁長官の見解を聞きたいと思います。
 七月になったわけでありますが、四月、五月、の全国消費者物価の指数が判明をいたしました。もう六月も近く明らかになるようでございますが、前回、四十四年度のげたの問題をめぐって、こういう高い数字のあった場合に、はたして政府が目標に置いておるような四・八%というようなことに落ちつくかどうか、私どもはたいへん疑問だ、特に実質成長の割合から見て、四・八という数字は、これはただ単なる政治的な目標ではないかというようなことを、長官とやりとりしたわけでありますが、このげたの数字、さらに四、五、六という物価の上昇の実績から見て今後の見通しはどうなるのか、やはりあなたのほうとしては、四・八という目標は実現できるというお考えなのかどうか、その点をお伺いしたい。
○佐藤(一)国務大臣 いま御指摘のように、げたが非常に高いじゃないか、こういう議論があったわけであります。私も、そのときにお答えしましたのは、四十三年なんかの例をとりまして、これは相当高いげたでした。しかし、あの場合には四・九でおさまったのでありますが、そういうこともございますから、決してそんなにきわめて困難というようなことではない、こういうふうにお答えしておいたわけです。
 ところが、その後率直に言いまして、野菜等が上がりまして、あなたと議論いたしました後に、げたがさらに高くなりました。でありますから、困難さは多少増しておると言えないこともございませんが、主として季節商品の値上がりというものが大きな影響を持ってきております。そういうことで私たちは、現在少し下がりかけておりますけれども、こうした情勢というものは、やはり今後ともある程度続くと考えております。そういうことを考えてみますと、この四・八という数字は、少なくとも現在においてはそう困難ではないのではないかというふうに、私どもは考えております。
○武部委員 そうすると、げたは三・四になったというふうに理一解するのですか。
○佐藤(一)国務大臣 三・二よりもだいぶ高くなりましたから……。しかし、また季節高品中心でもって相当上がったことでもありますから、これの打ち方については、これまた十分に落ちるものというふうに考えておる、こういうことです。
○武部委員 そういたしますと、四・八については大体自信がありそうな話ですが、まあこれは先になってみなければわからぬことですが、私どもから見ると、げたが若干上がっておる。それから、季節商品とおっしゃるが、やはりどうも野菜はそう、さほど値下がりするとは思えない状況です。これは今度私ども、物価の委員会として東海、北陸へ行ってみて、野菜の流通機構なども見せていただいたわけですが、流通機構にたいへんな問題点があるように思います。きのうですか、経済企画庁で音頭をとって魚か何か安売りされたそうですが、そういうようなことはちょっと考えられぬですよ、私どもがいま見ると。
 そこで、四・八には自信を持っておやりのようですから、ぜひそういう努力をしてもらわなければならぬのですが、そこで、一昨々日から問題になった私鉄の運賃です。これは当然四・八の中に、もちろん入っていない数字であります。
 この私鉄は、公聴会を行なわれておりますが、おととしですか、私どもがやはり国鉄運賃の公聴会のときにも申し上げましたが、公聴会のあり方にも問題点があろうと思います。しかし、これはきょうここで取り上げませんが、この私鉄大手の運賃の問題について、経済企画庁長官は一体どういうお考えなのか。運輸省あたりでは、何かもうやむを得ぬというようなことをちらほら漏らしておるようですから、公聴会の賛否両論の意見を聞いてみても、私鉄のあり方についていろいろ問題点があるようです。申請の内容と現実とがたいへん違うじゃないか。たとえば、ある関西の私鉄大手は、百六十五社も傍系会社をかかえておる。その最近一年間の売り上げが二千七百十億円。一方、私鉄の鉄道部門だけの収入は一割弱の二百六十五億というようなことが宣伝をされておりますね。これは一番大きなやつですが、そういうような事実があるわけです。これはもう長官の前で、私鉄が不動産業者をやったり、土地売買やいろいろなことをやっておるということは、私も一々申し上げませんが、そういうような私鉄の経営のあり方なりを見て、一体今度の私鉄運賃の申請について、経済企画庁長官としてはどういうお考えなのか、お伺いしたい。
○佐藤(一)国務大臣 率直に言いまして、公聴会がちょうど終わったばかりのところでありますから、別に私ども、結論をいま持っているわけではありませんが、いずれにしても、一昨年の暮れから昨年の初めですか、申請がありましてから一年以上たちます。われわれもできるだけ、その値上げについては抑制を考えておるのであります。問題は、今後の取り扱いといたしまして、現在、私鉄各社の四十四年度の収支というものを運輸省が検討しております。いずれ私どもにもそれがくるわけでありますが、その際の処理のしかたとしては、とにかく、確かに一面において、私鉄のいわゆる投資の必要額というものが膨大にのぼっておるとか、いろいろな問題をかかえていることは事実なんですけれども、しかし半面、合理化がどのくらい行なわれているかという点を十分に検討しなければいけない、こういうふうに考えております。
 先ほど御指摘のありました鉄道以外の諸部門との関係でありますが、これについては、実は別々に考えています。つまり鉄道部門以外でもって得をしても、それを特別に計算をするということは原則としては考えないし、そのかわり、そっちで損をしても、こっちでもって埋めるというようなことは許さない。まあ別々の考え方を持っていますが、ただ同時に、その不動産部門なんかで相当利益をあげておる。これがただ不動産部門だけでなく、やはり鉄道の投資のおかげによってもうけておる点があるわけでありまして、そこいらの点をやはり十分にしんしゃくをする、これは考えなければいけないと思います。
 そこいらをどういうふうに扱いますか、各社の収支状況等も見て、ほんとうにいわゆる赤字というものが、できるだけの努力をしてなお出てまいるのかどうか、そこいらもよくひとつ検討をしてみなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えております。まあ公共料金でありますから、できるだけその影響等も考えまして、われわれとしても極力これを抑制していきたい、こういう気持ちに変わりはございません。
○武部委員 これは前のことですが、長官といろいろやりとりしたときに、自分としては、公共料金で、他に与える影響が非常に大きいので、値上げについては極力抑制をする、その裏には、値上げは認めないというような意味を込めて、去年もお話がありました。ことしも、国会でも、そういう話が私どもにございました。
 いまお話しになったのに、私鉄部門と他のものとは別々に考えておるという話でありますね。ところが、国民の側から見ると、別々じゃないというふうに見ておるのですよ。それは先行投資をやって、私鉄をつけるところへ、よそのところの土地を、私鉄それ自信が、傍系の会社にそれを最初から買わせておいて値上がりを待つ。当然考えられることで、事実それは行なわれておるのですね。そういうものから他のほうではたいへんなもうけをするというような実態なんで、それは別々だと言ったところで、別々ではないということも言えるわけなんです。
 そこで、いまのお話を聞いておりますと、この私鉄運賃について、何かいままでとちょっと長官の考え方が後退したように思うのです。それは間違いなら間違いでけっこうですが、私鉄運賃の値上げはこれからの四・八にも入っておらぬわけですから、それが上がった場合には、さっきの三・二が三・三のげたになったとしても、あと一・五ないし一・六あるわけですが、その中に私鉄運賃の占める影響というものは、私は相当大きいと思うのです。そういう意味からいって、私鉄運賃の値上げについて、長官としてははっきりどの程度のことが言えますか。
○佐藤(一)国務大臣 いま申し上げていることに尽きておると思うのであります。私は、たてまえとして分離して議論すべきだということを実は申し上げたわけでありまして、同時にまた、しんしゃくすべき面もあるわけであります。それも申し上げたようなわけであります。
 いずれにしましても、これにつきましては目下検討をいたしております。われわれとしても、この抑制をしていくということでできるだけやってまいりたい。まあ、いま武部さんのおっしゃいますように、結論という話でありますが、これはもう少し検討したい、こう思っております。
○武部委員 これ以上議論いたしませんが、それじゃ最後に、金融引き締め政策についてお伺いしたいのですが、産業界の一部に強い緩和の要求が出ておる。必ずしも閣内は一致していないというようなうわさも出ておるわけですが、金融引き締め政策について、長官はいまどういう見解を持っておられますか。
○佐藤(一)国務大臣 この問題については、閣内に意見の不一致はございません。まあ現状は、お聞き及びのように、卸売り物価等におきましても相当落ちてきたものがございます。これは一つには、海外の景気が沈静化してきたということもございますし、それから一面、やはり引き締めというものが経済の実体に浸透しまして、そして、ある意味において市況的な性格の強い商品部面においても、値下がりというものがあらわれております。また、投資意欲その他につきましてもやや沈静化が見える、こういうことも言えると思います。ただ、一面において投資意欲が沈静化したとはいいますものの、やはり金融引き締め、こういうことを頭に入れて、まあ沈静化しておるのでして、それがゆるまるということになれば、いつでもまたもとの計画をそのまま持ち出すという感じが残っておることも、事実であります。
 そういうことで、現在、局面は非常に判断のむずかしいところにきておるということが言えると思います。でありますから、この日本銀行の金融引き締めも、いわゆる従来のポジション指導というものをこのところ続けまして、そうして、ただこれは金融の問題でありますから、その季節季節の資金の需要供給の繁閑、季節的な需要供給の繁閑がございますから、それを見ながら、需給の調節についてはできるだけの具体的な措置をとる、そういうことで、今回も七−九月について、すでに日銀が、このポジション指導の方針を明らかにいたしております。
 最近、企業の手元流動性が非常に逼迫してきました。それから、その反面として企業間の信用が相当広がっております。こういうことで、企業自体の資金の手当てが全体として非常に手薄になってきておるということを頭に置いて、今度の方針が出たと思われます。特にいま金融の引き締めを緩和する、こういうようなところにまではまだまいっておりませんし、また政府、日銀ともに、そうした考え方でしばらく状態を見守る、こういうようなところだと思います。
○武部委員 では、交代します。
○松平委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 長官の時間もあるようですから、三つほどかいつまんで御質問申し上げます。
 今度金沢、福井、岐阜そして名古屋と、視察をしてまいりましたけれども、私、かねがね思っておったことですが、消費者代表なりその他の方と会って御意見をいろいろ承っておると、物価の問題を議論しておりましても、すぐ話は、食品添加物の問題とかあるいは農薬の問題とか、つまり公害に関連していく問題になるのです。つまり、もう極端に言ってしまうと、私、印象を申し上げると、地方の一般の人は、物価の問題は二の次で、食品添加物とかあるいは農薬とかいうものに対しての政府の措置のまずさというのですか、非常に総合的な施策がない、よりどころがはっきりわからないというような面に集中しているような感じがするのです。ところによって、生活消費者運動をしておる婦人の人たちは、あの人はちょっとノイローゼじゃないかと思うような人が各地にあるほどに、この問題については不安を持っておるという感じがあるわけです。こういうようなことを感ずるわけでありまして、そのほかのいろいろな問題については、あとから各省の人にお聞きしたいと思うのです。
 特に長官にお伺いしておきたいのは、つまり物価の問題と公害の対策の問題は逆になるのです。今後公害に対する対策がどんどん強化されてまいりますと、物価を非常に上げていくという大きな要素になる感じがするのです。たとえば食品公害の中のチクロの問題でも、これはチクロが危険だから砂糖にしろということになっても、やはりものによっては一五%から三〇%ぐらいの値上がりがくるというような問題がある。そのほか農薬の問題でも、BHCがあぶないからそれにかわるもの、あるいは害のないBHCということになるとまた金がかかるようになるということがある。これは一般の大企業の製品にしても、そういう問題があるわけです。こういう問題を長官はどのようにお考えになっておられるのかということをまずお伺いしたい。
○佐藤(一)国務大臣 この公害問題というのは、やはり何よりも優先しなければいかぬと私は思っております。そういう意味において、それがある意味でコストが高くなるということがあり、あるいは投資費用がかかるという場合には、私はこれはやむを得ないと思います。
 しかしながら、物価の問題は、もちろん個別商品が総合化したものが物価でありますけれども、物価はやはり全体として押えてまいる、個々の品物について、公害のための経費がふえるとか多少の移動がありましても、全体としての物価水準をどういうふうに押えていくか、こういう方向で物価対策はやってまいりたいということで、個々の商品だけ取り上げますとちょっと矛盾するような感じのところも出てくると思います。しかし、今日公害というものが非常に重要な問題になってきている際でありますから、それは当然経済のコストである、こういう前提で、物価対策にしてもその他にしても処理していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 公害あるいは食品添加物の問題についての対策をとっていくとコストが上がってくる、コストの上がってくるのをすぐさま物価に転嫁していくということが行なわれると思うのですね。しかし、それを全部そのまま物価に転嫁させたのでは、これは能のない話であって、この問題を長官、どのようにお考えになっておられますか。
○佐藤(一)国務大臣 これは具体的にケース・バイ・ケースでないと、私もちょっと判断しかねると思います。先般も、いま御指摘のチクロの問題等がありまして、それを砂糖にかえると幾ら値段が上がるとかいうような議論がございました。しかし、そういう場合に、われわれから見るとたいした違いではないというようなものを、それを理由にして値上げをするということは、ある意味においては便乗値上げのそしりを免れません。でありますから、単に公害の問題にぶつかったから、すぐそれが値上げの理由にならぬと思います。やはりもっとはっきりした基礎とデータがあって、その上でなおかつ値が多少上がることはやむを得ないとしました場合においては、コストがそれだけはっきり上がったという意味においてやむを得ないものもあろうかと思うのです。しかし、全体の食品の価格あるいは全体としての物価という問題は、それらをのみ込んで、なお全体として政策の運営によって物価水準を上げないように、できるだけ安定させるようにというのがわれわれの目標でございますから、全体にできるだけ響かないようにやっていく、こういうふうに思っております。
○和田(耕)委員 砂糖の問題は、たとえば関税を引き下げるとか、いまそういう政策もあると思いますし、あるいは企業の問題について、農薬の問題について、はっきり公害対策というものが物価を上げていくということになれば、政府は別の資金でカバーするという方法もあると思うのですけれども、別な資金でカバーするという場合、またいろいろ問題が起こってくると思いますが、こういう問題についての基本的な態度を、つまり物価をプッシュして上げていくという方向にならないような、そういうことに特に関心を持つ必要があるということを今度痛切に感じたわけでございますので、その点ひとつ要望しておきたいと思います。
 もう一つは、いまのノイローゼじゃないかと思われるほど目の色を変えた消費活動家が非常に多いということですね。この一番中心の問題は、どの程度が害があるのか、それに対して政府はどういうことをしてくれておるのか、あるいは、その実態についての解明の不安という問題が背景にあるわけですね。
 先ほど武部君から、農林省あるいは厚生省のBHCの含有量についての資料のいろいろなまちまちさというものが指摘されておりました。あるいは、柳町の排気ガスの問題についてのいろいろなデータもある。ああいうことが全部新聞に載って国民の目に入っていくということで、結局、現在急ぐことは、政府が全力を注いでこの公害というものの実態を、そしていわゆる許容量とか、それに対してこうしておるから、こういう努力目標をやっておるからということで、よってもって安心できるような資料をつくることが最大の急務だという感じがするのです。
 一九七〇年、これは、安保騒動はたいしたことはなかったと安心していてはいけない。この公害の問題は、心理的なノイローゼのような問題になってきますと、たいへんな問題になってくるという感じが実はするわけであって、いまの研究機関あるいは検査機関、あるいは生活センターに今後拡充していくテストの機関、これについてはもう飛躍的な予算増をもって、政府は一生懸命やっているんだということを示すことが何よりも必要だという感じがするのですけれども、長官、どのようにお考えですか。
○佐藤(一)国務大臣 おっしゃいますように、合理的なはっきりした見解が確立していないということが、やはり精神的な不安を呼び起こしている最大の原因であろうと思います。そういう意味において、率直に言って今日まで、場合にもよりますけれども、政府自身がまだはっきりした見解を持つに至らないような問題もあったわけです。そうして、研究機関の違いによって、また、学者の見るところによって意見の違いというようなものがあり、これがまた、政府のいわゆる行政機構の差によってはっきり浮き彫りにされているというような問題もあるわけです。やはり、これらをさらに合理的に詰めて、当然政府として統一すべきです。それは、少し時間をかければ、当然のことながら、そうした見解の統一もできることであろうと私は考えています。まあ最近とっさに指摘される問題が多いだけに、何かあわてふためいてその問題にぶつかる、こういう感じのケースがとかく多いものですから、印象としては、はなはだ御指摘のようにまずい面が多々あると思うのですけれども、これは、政府も相当の機関を持っております。これらでもって十分に検討をして、逐次統一的な見解をつくってまいる。
 しかし、全体として、これらの機関の整備ということがその根本であります。いま各省で来年の概算要求をつくっておりますが、いずれも、いま和田さんの御指摘になったような観点もあり、各省相当この面についての要求を強くして、そういう方向でつくっておるということでありますから、これを何とか実現させて、できるだけこの方面の充実をはかっていく、これが私はさしあたっての問題だと思います。
 それにつきましても、やはり人の問題が一番頭痛の種でございます。これをどういうふうにやるか。急激に頭数をそろえるということはなかなかむずかしい問題だと思っておりますが、これにつきましても、政府として対策を考えにゃいかぬ、養成その他のことを考えにゃいかぬ、そういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 おそらく、この委員会として、今度の調査のあれを検討して、いま申し上げたような問題について、飛躍的に拡充するように決議あるいはその他の方法でお願いすると思いますが、そういう場合に、中心になって推進していく人はやはり長官であるわけですね。長官、その問題は経済企画庁長官として、消費者行政の中心の閣僚として、特にその関連の研究機関、検査機関、そうして、まだばらばらのようですけれども、各県下にあります消費生活センターのようなものにおけるテストの機関に――他のテストの機関に依頼するということはありましても、やはりセンターとしてのある一応のレベルのテスト機関をそろえなければならない、これは今度痛切に感じました。各県民との関係でも、中央のセンターと同様に、各県のセンターもそういうテスト機関を拡充していく。相当の予算がかかると思いますけれども、それは他の予算に優先をして、つまり、いまの公害に対する感じというのはたいへんなものですから、これは長官も御存じだと思いますが、ぜひひとつこの問題は真剣に、明年度の予算の問題として、おかしくないような形にがんばってもらいたいという感じがいたします。
 もう一つ問題にしたいのは、去年の暮れから今年の春にかけての、あの生鮮食料品の暴騰暴落という問題です。これは戦後何回か繰り返された問題であるわけです。これは物価の問題の一番焦点になる問題でもあるわけですけれども、もうこのあたりで、こういう毎年繰り返されておる、しかも原因がわかっておる問題について、きき目のあるような対策が出そうだと思うのですが、この問題について、長官、何かアイデアを持っておられませんか。
○佐藤(一)国務大臣 最初の点は、ひとつできるだけ、私たちも今後、消費者行政の充実のために努力をしたいと思っています。
 生鮮食料品の問題は、確かにわれわれも、のど元過ぎて熱さを忘れちゃいかぬと思うのです。実は閣僚協議会でもいろいろの提案をしておりますが、これは引き続き、うやむやにしないように、各省の行政実績を十分にトレースしていきたい、こういうふうに考えています。
 そして、いま私どもの物価安定政策会議で検討しております生鮮食料品を中心とする流通機構の提言が、そう遠くないうちに提案されますが、そうした具体的な提案をもとにして、さらに具体策を進めなければいけない。これは各省にまたがっておることでありますから、これについては各省と協力して、こういう機会に、御指摘のように改めるものは改めていく、これがぜひ必要であろうと思います。
 卸売り市場の整備法等は流れましたけれども、これらももちろん通さなければいけませんし、主として流通問題に相当問題があると思います。それだけに、その流通機構の問題について、さらに一そう整備をはかるように努力したい。
 それからまた、生産にも問題があります。いまちょっと触れられましたように、生鮮食料品について一そうの情報化を高め、そして、作付についても、これはいま、日本は直接統制はできませんけれども、もう少し農林省の指導を強めるべきではないか、こういうことを私たちも話しております。農林省もその気になっておるのでありますが、なかなか成果があがらないのはまことに残念であります。しかし、最近の経験に徴しまして、野菜問題は、いままでと違ってずいぶん議論も重ねられまして、生産面からも、農林省として今後一そうの整備を覚悟しておるようでありますから、われわれもひとつともどもにやってまいりたい、こう思っています。
○和田(耕)委員 その問題ですけれども確かに、地方地方の府県、市等で、生鮮食料品の問題については、やるべき問題がたくさんあるような感じがいたします。農林省の指導が必ずしも各地方地方に適切に向いてないという感じも強くしておるのですが、これはあとで農林省にお伺いするのですけれども、一つは、非常に人口が都市へ集中してくるあるいは流動するという状態のもとで、所得が非常に変わってくるということで、消費の性格をキャッチできてないのじゃないか。たとえば生鮮食料品にしましても、いままで食われておったものが食われなくなって、新しい、もっと違ったものが食われてくる、あるいはそういういろいろな消費の内容が大きく変化しておる。この問題の把握が行政官庁にはっきりできてないのじゃないかという感じが強いのです。したがって、野菜その他の生産の問題について、かなりきめのこまかい手がいきましても、一方の消費者のほうの気持ちがかなり変わってきておる。それに気がつかないと、いつまでたってもこの問題の解決はつかないという感じがするわけであって、コンピューターなんかも発達してきているときですから、消費の性格をつかまえるような問題を、特に経済企画庁が中心になって、各省のそういう関係者を組織してやっていくということが必要じゃないかと思うのですけれども、そういう問題についてのお考えをお伺いしたい。
○佐藤(一)国務大臣 消費者の実態が相当時間的に急激に変化しておりまして、これに従来の生産の体制がついていけなかったという点が、最近における消費者物価上昇の一つの大きな要因であります。特に農産物についてそれが言えると思います。そういう意味でこれは非常に大きな問題で、当然のことながら、これは農林省としても十分検討しなければならぬ問題でありますが、しかし、こういう実態の変化の問題ですから、これは農林省だけでなく、経済企画庁としてもこの方面に一ぺん十分に検討というか研究というか、そっちのほうに力を入れたいと思います。現在の機構でもってこの方面の調査も十分に進めたいと思います。
 実は、そういうことも、先ほど申し上げました安定会議の部会で現在検討をいたしております。そうしたことでありますから、そこらの提言も見ながら、さらに拡充充実していかなければならない。
 率直に言いまして、あまりに変化が激しいものですから、なかなかついていけなかったのだろうと思います。しかし、もうそんなことを言っていられる段階でもありませんし、私どもとしましても、なお農林省にもがんばってもらいまして、それに即応した生産側の体制を早くつくり上げる、こういうふうにひとつ努力してほしいと思っておりますし、また私も、農林大臣とは、こうした問題ではしばしば会って意見交換もしておりますから、なお今後ひとつ推進をしていきたい、こう思っております。
○和田(耕)委員 よくわかりましたが、野菜の生鮮食料品の問題は、これはお天気の問題でしようがないんだ、頭からそういうふうな気持ちじゃ、これは解決できない。つまりは天候の問題でも、もっと精密な研究をもってすれば、それは不十分であっても対処できるようなこともできるし、この問題は、経済企画庁あたりがどうせ中心になっていかなければなりません。したがって、各省には、余っておる人員も確かにあると思います。たとえば農林統計調査事務なんかの優秀な人たちをこういうラインに再組織していく、あるいは、こういう問題については企画庁に一局を設けてもいいと思います。新しい消費の動向を具体的にキャッチするために、従来各省におる優秀な人たち、内閣にも統計局にもあるいは農林省にも、各省おると思いますけれども、そういうふうな目的を持って再組織をしていく、こういうふうなことをぜひともお願いしたいと思います。いずれにしても、これはやろうと思えばできぬことはないわけですから、いつも三年に一回ぐらい循環しておる暴騰、暴落という問題に、もっと力を入れてひとつお願いしたいと思います。
 終わります。
○松平委員長 戸叶里子君。
○戸叶委員 先ほど武部委員が質問されたことでちょっと関連して伺いたかったのですが、中座をいたしましたので、せっかく長官お見えになっておるので、一点伺いたいと思います。
 物価の安定には、やはり流通の近代化ということが非常に必要なことだと思います。そこで、きのうのお魚の直売ということで、町のいろいろな声をお聞きになったと思います。私のうちのお手伝いさんでも言ったことは、たいへん安くていいエビが買えるそうだから、たらふく食べるために行こうかと思ったけれども、あとで聞いてみると限られた数しか売らなかった、やはり行かなくてよかったわというようなことでありましたし、また、だれかに買ってもらいたいなという声も聞くわけです。ということは、いかに毎日の生活が物価高で苦しんでいるかということを、私も直接に感じたわけなんです。
 そこで、きのうのような試みをなさいましたのは、今後もこういうことを続けよう、恒久的に何かしようというお考えだったのか。それともまた、今後総合的にこういうふうな流通機構の改革をすればいいという、その一つのテストケースとしておやりになったのか、この辺のことをちょっと伺っておきたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 率直に言いまして非常に批判がございました。まあ準備も不足であったと思います。しかし、その意図するところは、閣僚協議会等でもいろいろいま直売直結というような議論が出ておりまして、そういう意味では、御指摘の一つのテストケースということがあるいは当たっておるかもしれません。
 ところが、ああした措置をああいうところで官庁自身が実行するにも、手続その他いろいろの隘路がございまして、したがって、民間がこれを実行していくのになかなか御苦労が多いということも、役所で身をもって体験したというふうに感ぜられます。
 まあ一つの経験であり、そういう意味では、あの民間の直売直結というものを今後推進していく上において一つの勉強にはなったと思うのです。あのこと自体については、いまお触れになったように品物の量が十分でなかったり、一方、非常に宣伝ばかりが走って過大な期待を一般の方に抱かせて、そのためにかえって不満を巻き起こした点もあったと思いますけれども、しかし、ああしたやり方を役所自身が体験してみるということは一つのプラスだろう、こういう気がしております。
○戸叶委員 そうしますと、きのうのように広く宣伝し過ぎたとかいろいろな問題等をなくして、欠点であったところを解消して、そして部分的にとか地域的にというようなことで今後も続けていらっしゃるおつもりがおありになるのでしょうか。この辺のことも伺っておきたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 経済企画庁自身が今後続けてやってまいるという種類のものではございません。テストとしてやってみたという程度のことでございます。
 むしろ大事なのは、そうした経験も生かしましてああした問題をもっと具体化する、全体として具体化を進めていく。そのためには、その政策を遂行する上において各省あるいは地方団体、そうした実際の処理をするところにいろいろのアドバイスも与えてやっていこう、こういうことでございます。
○戸叶委員 せっかくおやりになったことですから、それを生かして、直売というようなことをいろいろな機会におやりになって、物価の安定というところに資していただきたいと思います。
 そこで、もう一つだけ伺いたいことは、先ごろ物価対策閣僚協議会で、二十五項目を物価安定の当面の問題としてお出しになりましたが、全部できるものではないと思います。そこで、予算要求をされる場合に、どこに重点を置いてやろうとされているか。まあ五つなり六つなりに重点を置いて――全部おやりにならなければ、公約違反になりますからいけないと思いますけれども、その中でも、特にこういう点は予算も要求してやっていきたいというような項目があったならば、参考までに教えていただきたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 私いつも言っておるのですが、物価と予算という問題は、その関係はなかなかむずかしいと思います。物価問題は、いわゆる公共事業的な事業と違いますから、必ずしも予算の要求をしなくても、制度的にもこれを実現することが可能なものも多うございます。したがって、予算の多い少ないということで、その問題に重点が置かれているかどうかを判断するというのには、ちょっと適しない問題であろうと思いますが、もちろん、その過程で、必要なものについては予算措置の要るものが出てくると思います。
 たとえば、われわれとしては、一方においてできるだけ自由化を進めてまいる。そういうようなことで、農産物の自由化というような困難な問題をぜひ推進しなければいけません。しかし、また他面、一挙に急激にやることによる衝撃というものを緩和することも、政府として考えなければいけません。そういうような場合に、現在も農産物についてとられておりますが、調整的な措置をとるというような場合には、明らかに予算の必要が生じます。こういうものについては予算要求をしなければならない、こういうものもあります。
 それから、大部分の場合には、事務費であるとか人件費であるとか機構の問題であります。公取委員会の機構をさらに拡充するとか、いろいろと物価に関連してそうした各項目ございますから、それらについては、各省に分かれておりますけれども、実は私どもも、去年からこれをずっと総括的にながめて、そして各省を応援するというか、大蔵省に対してその実現について要求の際に、われわれも応援をしてこれを獲得をするようにする、こういう方向でいまやろうとしております。
○戸叶委員 私、関連ですから、もう一点でやめますが、いまの大臣の御答弁ですけれども、予算がついたから物価が安定するということは全然ないということは、私もわかっております。ただ、問題として、この間の二十五項目のうちのどういうところにどういう姿勢で取り組んでいかれるかということが聞きたかったものですから、お伺いしたのですが、この問題はまた、この次に時間をいただいて伺いたいと思います。
 そこで、もう一つだけ伺っておきたいのは、やはり流通機構の近代化などにも非常に役立つと思いますけれども、末端で働く、生活の問題を指導しているコンサルタントの人がいるわけですが、こういう人たちがもう少し各市町村の窓口などにおきまして、消費生活の相談をするとか、それから物価の問題を話し合うとか、そういうふうなことをしてもらうために、もう少し消費生活コンサルタントというものをふやして、そういう方たちのある程度の身分保障というものをしてあげれば効果があがるのではないかと思いますけれども、こういうようなことは企画庁としてお考えいただけないものかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 率直に言いまして、物価問題は中央政府だけがきりきり舞いしてもしかたがないし、また、自治体だけでもなかなかできない。これはよほど両者が緊密にやらなければならない。生鮮食料品なんかを見ても、御存じのように市場の監督権その他運営を、みんな自治体が監督をし措置しております。そういう意味で、自治体に大いにこの物価問題で働いてもらう面が非常に多いのです。それだけに、この物価問題についての自治体の関心が最近非常に深まってきておりますけれども、できるだけこの関心を高めようとわれわれ思っていまして、それらについて、特にいま御指摘の窓口の問題、全国でもって必ずしも窓口が整備されていないところもあります。知事会議で、私は特に各知事にこの点を要請したのでありますが、そうした点、県によって非常にまちまちな点もありますから、窓口の充実、それが結局、第一線の自治体の窓口が充実しなければ意味がないわけでありまして、これらについてはなおひとつ、われわれとしても予算その他を通じて、できるだけこの拡充充実をはかってまいりたい。
 問題は、その窓口は設けたのですけれども、その相談を受ける人の頭でございます。これについては、別に特定の資格のあるコンサルタントというようなものを、いま実は具体的には考えておりません。中小企業の指導なんかで、戸叶先生も御存じのように、経営のための指導員とか、ずいぶん配置している制度もあるわけでありますけれども、物価ということになりますと、これは相当広範にわたる問題でありまして、はたしてそういう何でもこなせるいわゆるコンサルタントというようなものがどの程度できるものなのかどうか、ちょっと私も、率直に言ってあまりいま自信がありませんが、いずれにしてもそういうような窓口における人間の養成あるいは能力の充実ということがきわめて大事であるということは、私もよくわかりますから、その面からして、ひとつその一環として今後検討さしていただきたい、こう思います。
○松平委員長 松本善明君。
○松本(善)委員 最初に、私鉄の運賃の値上げの問題について、少しお聞きしておきたいと思います。
 先ほど、同僚の委員の質問に対しては、できるだけ抑制をしたいという話であります。いま国民がこの私鉄の運賃問題について企画庁長官に聞きたいのは、むしろそういう一般方針ではなくて、いま具体的になってきているその問題について、企画庁長官というのは物価上昇を抑制するところの大臣だと思っておるわけですが、その大臣が、これは許さないのだ、こういうふうに一体言ってくれるのかどうかということを見ておるわけです。できるだけ抑制をするということであるならば、これは認めるということも含めているのではないかというふうに思うわけです。いまの時点で長官は、この私鉄運賃の値上げはさせないというふうに考えてはおられない、こういう意味でございますか。
○佐藤(一)国務大臣 もちろん、公共料金も価格の一つであります。でありますから、われわれとしてもよくその実態を見きわめなければ、ただ一切いかぬのだ、こういうようなやみくもなものの考え方で処理するわけには、もちろんまいりません。ですから、そういうことも含めて、その必要性の有無、その程度、全体をやはり、われわれとしては検討の対象にせざるを得ない、そう思っています。
○松本(善)委員 そうすると、私どもは物価上昇の抑制というのは至上命令のように国民から要望されている事態の中で、長官のいまの御答弁では、決して国民は納得をしないというふうに思いますけれども、さらに立ち入って伺いたいのでありますが、先ほどもやはり同僚委員から話がありましたが、関連産業の問題、傍系会社の問題、デパートであるとか土地の問題あるいは観光施設、こういうものとの関係を、先ほどは別々に考えている、あるいは場合によっては、土地の場合などは関係させても考えるという趣旨をお話しになりましたけれども、この私鉄の会社の実態と関連産業、どういう形になっていてどういうふうにもうかっているか、このことが国民の前に明らかになり、そうして一体、長官が抽象的に、別々に考えているとか、あるいは関連させても考えるとか言われておるけれども、一体その判断というものは正当かどうか、あるいは運輸審議会の考え方はどうか、あるいは最終的な結論はどうか、実際に赤字というけれども事実かどうかということが、国民の前に明らかになるということが私は必要であるというふうに思うわけであります。そういう点を調査して明らかにしていくべきであるかどうか、その点についての長官のお考えを聞きたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 それは、この数字をもとにして十分ものによって調査もし、それから審査を目下しているわけであります。いま運輸省が中心でやりまして、これをまたわれわれのほうも関与して、別にわれわれの立場としてこれを審査する、こういうふうにやるつもりであります。
○松本(善)委員 いまのお答えは、私鉄経営の実態というものを調査をし、その結果を明らかにしていくという考えである、こういうふうに伺ってよろしゅうございますか。
○佐藤(一)国務大臣 そうした経営の実態というものは明らかにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○松本(善)委員 もう一つ伺いたいのですが、この私鉄の経営につきましては赤字だといわれておりますが、私鉄の決算報告書ですね、これには幾通りもある。運輸省に提出する運賃値上げ申請用の決算報告書と、大蔵省に出す有価証券報告書とは違うというようなこともいわれておるし、それから、ある大手私鉄の社内誌には、報告先によって異なったものができるのだ、これらを公然と書いております。もうかっているとか赤字であるとか、もうかっていないとかいうことを言うけれども、その決算報告そのものは、こういうふうに何通りもつくられている。この実態について、長官は一体どのようにお考えになりますか。
○佐藤(一)国務大臣 もしそういうような事実があったといたしましても、もちろん政府といたしましては、極力その実態を明らかにしなければならぬわけですから、われわれに提案されたものが最初の糸口ではありますけれど、それをさらに深めて審査をするということでありますから、結局真の姿というものは一つしかないわけですから、政府として現在努力を払ってその点を明らかにし、その実態の上に立って方針をきめる、こういうことであります。
○松本(善)委員 私は、この決算報告書が何通りもできるということは、要するに私鉄経営者のほうで私鉄経営の実態を隠している何よりの証拠だと思うのです。そういう意味でやはりこの実態を究明をしていく。ただ企業側から出てくるものを見ておるというだけでは足らない。そういう観点で政府がきびしく私鉄経営の問題を見ていく、こういう態度でやってもらわなければならないものであるということを指摘をして、次の問題にいきたいと思います。
 一昨日谷村公正取引委員長から、記者会見で、独占禁止の管理価格対策の問題について発言がありました。独禁法の運用では限界が来ておる、大企業の規制については国民全体が見守っていく監視機構が必要であるというような趣旨のことを述べられました。
 第六十三特別国会で、私もこの委員会でたびたび問題にいたしましたが、総理大臣も経済企画庁長官も、生産性の上がっている企業や産業に、その利益を物価値下げという形で社会に還元してもらいたいという趣旨の発言が、何度もありました。これは繰り返されてはいますけれども、実際には実行されていないというのが実情ではないか。この委員会では、長官は、公正取引委員会にこれを期待しているのだというような趣旨のことも答弁をされました。ところが、その公正取引委員会の委員長が、独禁法では限界があるということを言っておるわけであります。
 政府として、現在物価安定の対策上から、この独占価格を規制するという措置を立法で強化する、そういうお考えはないかどうか、この点を伺いたいのであります。
○佐藤(一)国務大臣 この点は、いわゆる所得政策という問題に触れるわけであります。実は所得政策については、いろいろと議論もあることはわかっております。しかし、われわれとしましては、所得政策というような、本来のいわゆる自由主義的な手法とは多少矛盾するような方法にいく前に、現在のわれれわに与えられたところの価格対策というものによって十分にこの事態を改善していける、こういうふうに目下考えております。率直に言いまして、特にそれを立法でやるというようなことになれば、一種の統制経済ということにもなるわけでありまして、われわれとしましては、目下そこまでは考えておりません。
○松本(善)委員 このことがそのまま所得政策とは私は考えない。所得政策ということになると、いろいろなそのほかの議論がありますが、問題を私は限ってお聞きしたいと考える。
 公正取引委員会の委員長が、独禁法では限界があると言っているわけです。物価対策というのには限界があると言っているわけです。物価対策の上から独禁法を強化するという問題を考えないかということを言っておるのです。その点についてはいかがですか。
○佐藤(一)国務大臣 公取委員長がこの間の記者会見でいろいろの発言をしているということを、ちょっと私も耳にしました。まあ一面においてはアメリカ流に、むしろ企業の分割を促進するという方向にするか、あるいはイギリス流に、利潤を統制するという方向でいくのか、いろいろと方法はあろう。しかし、いずれにしましても、もしもそういうような利潤の統制とかいうような問題になってくると、これについては政府全体としての検討を要する問題である。したがって、独禁法だけでは限界がある。こういうふうな経路の記者会見があったと、私はこう聞いているのです。
 そういう意味で、いまお答えいたしましたように、一面において独禁法というものの欠陥がもし具体的にあるならば、これはもちろんわれわれとしても、十分にこれについての制度改正についてあずかるつもりでおりますが、まだ、それについて具体的なものはありません。これは実は、公取委員長とも今後検討してまいりたいと思っております一つの事項であります。
 それから、全体としては、私がいま申し上げましたように、結局これらの問題は、せんじ詰めるところ、価格をいかにコントロールするかということでありますけれども、実態は利潤なり賃金をある程度コントロールする、こういうことに連なる問題でございます。そういう意味において、われわれとしましても、この点についてはよほど慎重にしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○松本(善)委員 やはり公取委員長の発言で、現在の公正取引委員会の人員や予算では不十分だということも発言しておりますが、この点についてはいかがお考えでしょう。
○佐藤(一)国務大臣 最近公取問題、ますます重要性を増しております。そこで私たちも、これについての機構拡充ということは、やはり物価の面から見ても非常に重要なことであるというふうに考えていますから、ひとつ今度の予算要求でも大いにこれを応援したい、こういうふうに考えております。
○松本(善)委員 もう一つお伺いしておきたいのは、公正取引委員会の見解と通産省の見解とが食い違うということが、このごろたびたび起こっております。たとえば家庭用石けんや合成洗剤について、公正取引委員会は管理価格的色彩が強いということを言っている。そうしたら通産省は、業者との懇談会で、そうじゃないという方向の意見を出した。あるいは鉄鋼の減産についても、通産省の鉄鋼業務課長が出席をしておる、鉄鋼各社の集まりである月曜会に疑いがかけられたというようなことがあります。通産省が物価対策に協力しないで企業の側に立っておる、企業の利益を守っておる、こういう非難がずっといろいろな形で行なわれております。しかも、経済企画庁は各省の寄せ集めで発言力が弱い。これを黙認しているのではないか、そういうことも言われておる。この点について企画庁長官は、通産省がこういう非難を受けている、また経済企画庁もそういうように非難を受けているということについて、どのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 具体的な問題についても、しばしば通産省と連絡を十分いたしまして、そうして処理してきているものもございますし、通産省、いわゆる生産というサイドに立ってものを見る立場が強いことは、これは確かであります。しかし同時に、今日物価問題、公害問題、そうした問題についても相当強い関心を持っておる。また、これは当然だと思うのです。そういう意味において、結局生産自体のためにも、この物価問題というものを重視しなければなりませんし、公害問題を重視しなければならぬ。そういうことでありますから、私は、最近の通産省の行き方、個々のものによってあるいは不十分なものがあるかもしれません。しかし、できるだけそういう全体の政策の中において生産を進め成長を進めていく、こういう角度は、私は十分持っておると思っております。
 ただ、具体的な問題についての取り扱いについて、あるいはまだ不十分なものがあるかもしれません。これらは、具体問題としてできるだけわれわれも努力をして、問題があればこれを指摘し、通産省の意見、立場も聞きながら、ひとつ適正、公平な立場でもって処理をしていく、これは当然のことだろうと思っています。
○松本(善)委員 私もこの委員会でたびたび指摘しましたが、独占価格の問題についても政府は口ではいろいろ発言はしたけれども、ほとんどやっていないというのが実情だと思いますし、それから、いまのような新聞紙上でのいろんな非難というものは、根拠なしに言われていることではないと思うのです。この際に、経済企画庁が、あれは役所としてあるけれども、実際は仕事しないところだ、こういうような非難、が起こらないように、私はこの時点で真剣な努力をしなければならぬ、そのことを要求いたしまして、経済企画庁長官に対する質問は、これで終わりたいと思います。
○松平委員長 和田耕作君。
○和田(耕)委員 いまの公正取引委員長の谷村さんの記者会見の問題、私も公正取引委員長にこの問題をお伺いしたいと思っておったのですけれども、ちゃうど松本君からその質問が出ましたので、そばで聞いておりまして一ぺん長官にただしてみたいと思っておったわけですから、お伺いしたいと思います。
 ここで谷村さんが問題にしているのは、二つの問題だ。実際上支配的な地位を占めてきた巨大企業に対して独禁法は無力であるという問題が一つと、プライスリーダーの問題について効果的にチェックできないという、二つの問題を提起しているように思うのです。
 そこで八幡、富士の合併のときに、私は佐藤総理大臣にも、当時の宮澤長官にも、だいぶしつこくただしたのですけれども、二つの会社の合併ということは、これはやむを得ないことであって、それに反対はしない、ただ、できた場合に何ともできないような独占組織ができてくる可能性があるので、それに対しては政府としての効果のある監視機構というものは必要であるということを、佐藤さんにもただした。佐藤さんは、あるときには、それはごもっとも、お説のとおり必要だと思います。という答弁をしたことがあります。そのあとで、必要であるようなないような、結局ないようなことになってしまったような感じがするわけですけれども、ここで谷村さんが、この問題を取り上げておるということは、私は非常に重要なことだと思います。
 これは、いまちょっと長官の松本君に対しての答弁を聞いておりますと、何か谷村さんとは違って、いいことばでいえば慎重だ、あるいは消極的だという感じを受けたのですけれども、それはそうではなくて、こういう事実上の独占体という巨大な企業が実力でもって市場を支配していくということは、非常に各方面で可能性があることなんです。これに対して独占禁止法というものがいかにも無力であるということでございますから、手がつけられないという面もあると思いますから、このように問題はひとつあらためて監視機構、どういうふうなものになるか、これを検討願いたいと思いますけれども、やはり野放しでないような指導のできる監視機構がぜひとも必要だと思います。こういう問題について、ひとつ長官のお考えをお伺いしたいと思います。
○佐藤(一)国務大臣 私も谷村君に直接聞いたわけじゃありませんが、いま和田さんがお話しになった限りにおいては、要するに独占禁止法自体について、まずこれの運営については、私は大いに強化していいと思います。それにまた、これを物価対策の側面から見ましても、この公正取引委員会を強化し、そしていわゆる独占と称するものの弊害が、いわゆる価格の硬直化に連なるような事態をできるだけ未然に防いでいく、こういうような意味でもって、私は非常にけっこうだと思っているのです。決して消極的ではないつもりであります。
 ただ問題は、何か谷村君の真意もよくわかりませんけれども、要するに、場合によって所得政策に連なる、それでこういうことは公正取引委員会だけではできない、こういうことを言っているように私には理解できるのです。確かにそういう面があるでしょう。ですから、ただ、いわゆるプライスリーダーというものを、現行の独占禁止法の運営でどうにもならないと言ったかどうか知りませんけれども、かりにもしそういうことがあるとしたら、それは決して必ずしも不可能ではないと思っていますが、そこらは今後――いま本人が来ましたが、よく本人とも話しまして、そうしてよく確かめてみたい、そういうふうに考えております。
○和田(耕)委員 物価安定政策会議の提案の中に、いろいろな自由競争の条件をつくっていくということを基本に出しておる。私はあの問題について、この前も、伊東光晴君に来ていただきまして、いろいろとただしたことがありましたけれども、結局物価安定政策会議の基本の観念は、自由な競争条件を整備さしていく、そしてそのあとで、ぐあいの悪い問題は独禁法を強化していこう、そういう発想だと思うのですね、基本の考えは。まあそれはそれとして、わからぬことではないのです。それだけで私は解決できないと思いますけれども、このプライスリーダーの存在というものは、やはりあの提案のいかんにかかわらず、これは問題にすべきことであるという意味で、谷村委員長の記者会見などでどういう内容かよく知りませんけれども、その二つの問題については非常に賛意を表する次第であって、ひとつ前向きに御検討いただきたいと思います。
 ちょうど谷村さんお見えになりましたので、一言谷村さんにお伺いしたいのですけれども、一昨日の記者会見の問題、いま長官にお考えをただしておるわけですけれども、これは何か具体的に一いまの独禁法では考えられない事実上の大きな独占体に対して何かをしなければならない。これは監視機構をつくらなければならないということ、もの一つのプライスリーダー云々の問題というのは、どういう考えで委員長はこういう提案をなさったのですか。
○谷村説明員 どういうお話がただいままで出ておりましたか存じませんが、御質問の点につきましては、一昨日確かに記者会見のときに、私の頭の中を去来しておるいろいろな問題というような程度の前提を置きまして、話したことでございます。
 で、なぜそういうことを申し上げましたかといいますと、私ども、実は国会が終わりましてから、いわば勉強の時期に入ったわけでございます。だいぶ国会中に宿題をたくさん出されております。その宿題の幾つかをいま基本的に、まあいわば勉強しているわけでございますが、実は私は、大体大きく三つの柱というものを立てまして、それで問題を整理したわけでございます。
 その一つには、たとえば日本の経済がここまでまいりました場合には、非常に国際的な問題が多くなってくるというような意味において、国際化対策というふうなことも一つのテーマとしてあげております。
 それから、言わずもがなでございますが、国民生活とか、あるいは消費者保護とか、これは従来とも考えてまいりました線でありますが、そういうのを、いかにわれわれがいま持っております手段等をより有効に、あるいはより適切に使ってやることができるか、さらには、もしそれで不十分であるとするならば、どういう手段をつくったらいいのか、それははたして私どもが与えられております仕事、すなわち競争維持政策あるいは独占禁止政策、あるいは公正取引の政策、そういった面からだけでいいのか、それとも、それ以外に何があるのか、かような非常に――何だ、おまえ、初歩的なことをやっているじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、そういうようなことを実は勉強し始めているわけでございます。たとえば表示問題などはそういう点からも、いろいろ国際的にも問題が出てまいっておりますし、国内的にも一体これでいいのかというふうな問題の勉強のしかたをいたしております。
 そうして、その一つは、私はやはりこれだけ経済が技術的にも高度化し、また、いわば経済圏と申しますか、経済の交流の幅でも巨大化し、また、いろいろな意味で情報化が進んでまいりますそういうときには、やはり一つの経済の流れとして企業の巨大化とか、経済の高度化とかいうことが問題になってくる。そうして、それはある面でいえば、大企業対策ということばも使われましょう。また、ある面でいえば、管理価格対策ということばでも言えましょう。いま独占体というふうにおっしゃいましたが、必ずしも独占という姿になっておらなくても、寡占の姿が出てくるということも避けられないかもしれないというようなときに、一体――われわれは、できればそれは輸入もふやし、国内の競争条件も整えて、よりよい市場における競争の姿が経済の発展を促し、また消費者の保護、国民生活のためにもなるということは考えますけれども、それだけではたしてわれわれは十分だろうか、かような勉強もいたしておるわけでございます。
 そうして、具体的にいま私が記者会見で申しましたのは、実は去年の二月ころから独占禁止懇話会という、私どもの、いわばこれは私的なお集まりを願っているところでございますが、そういうところで、いろいろな私どもの政策についての勉強をしていただいております。そういう懇話会の席で、いわゆる管理価格の問題というのを取り上げたわけでございます。そうして、去年は初めのうち、二月と四月に一般的な考え方をやり、そして去年の十二月からこの一月、二月、三月、四月、五月、六月と七回くらいにわたりまして、やや突っ込んだ議論を実はしておったわけでございます。それを、この七月の二十二日でございましたか、もう一ぺん懇話会を開きますときに、ある程度みんながいままで議論したことを取りまとめてみよう、こういう段階になっております。そして記者会見のときに、新聞記者諸君のほうも当然そういう段階にあることを存じておりますので、話がそこに及んだわけでございます。
 そこで、私どもがいろいろな話をしておるわけでございますが、競争条件をできるだけ維持していこうということは考えられますけれども、それだけではなかなか手が尽くせないという問題は、私ども日本の国内だけでなくて、これは欧米諸国においてもすでに問題になっておることなのだ、それについてどういう考え方があるか。たとえばアメリカあたりでは、もうすでに巨大企業に対しては、むしろ競争条件を整備させるために分割を考えてみたらどうか、こういう提案をなさった報告も実はございます。しかし、それでは角をためて牛を殺すことになるのじゃないかという議論もございます。それから、逆にヨーロッパあたりでは、むしろ企業が大きくなることそれ自体を悪いとは言わない。しかし、大きくなった企業が反公共的な行動をすること、これをやはり正すべきじゃないか。この正す方法としてはどういう方法があるか。これはやはりある程度国民の利益を代表するという意味において、政府がその行動をチェックし、監視し、場合によっては勧告し、場合によっては、さらにもっと中に入っていくということも必要ではないか、かような考え方もあるというようなことを紹介いたしました。
 その一つの例としまして、ついおととい、私はそれを手にしたのでございますが、イギリスが、このたび労働党内閣から保守党内閣にかわりましたが、労働党内閣時代のこの三月に、従来ありました独占委員会、モノポリーズコミッションという、私どもと大体同じような仕事をしております――もっとも事務局は、これは当然のことながら、向こうは一般の行政機関でございますが、それのいわば問題を付託されていろいろ審査したりするようなモノポリーズコミッションというものと、それからもう一つ別にございます、御承知の価格及び所得国家委員会とでも申しますか、ナショナル・ボード・フォア・プライシス・アンド・インカムズ、この二つの委員会を一本にしてしまって、新しく産業及び労働力委員会というのでございましょうか、コミッション・オブ・インダストリー・アンド・マンパワーという委員会に一本に統合してしまう、こういう法律を実は提案したのでございます。それを提案したことは知っていましたが、詳細な法律案と提案理由説明のようなものが手に入りまして、たまたまそれに、新聞記者会見をやるすぐ直前にちょっと目を通したものですから、それに触れまして、提案理由の中に、たとえばいまのような意味で、イギリス経済においても、経済のある発展段階としてはどうしても大きな企業ができてくる。大きな企業ができてくることは、これはむしろその必要があってそうなったのかもしれない。われわれの問題とするのは――これはイギリスの方が言っているわけですが、その企業がいかなる行動をとるかを見ることであるというようなことがあって、そして独占の問題と申しますか、そういう大企業の行動を監視するという問題は、ある意味では競争が不完全になってきておる、有効な競争条件が失われてきておることに対する一つの国民的利益を守ってやるという意味からいえば、これはモノポリーズコミッションの問題である、独占委員会の問題である。しかし、一方のほうから見れば、その大企業が、たとえばコストを価格にすぐ転嫁できやすいような不完全競争の状況になっている場合には、そのコスト問題、生産性問題あるいは賃金問題、物価問題、そういう立場からやはりこれを見なければならない。いままでは、あたかもそれは川の両岸であるように、全く離れたものであるというふうに思っていたかもしれないが、いまや問題は、一つの問題の両側面であるのだということが書いてあるのですよ、というような話を始めまして、それからだんだん話しているうちに、あなたは、イギリス的な考え方とアメリカ的な考え方とどっちがいいと思いますかと言うから、それは公取委員長として、いまちょうど御勉強いただいているときに、どっちかと言うわけにいかぬけれども、でき上がって、せっかく営々と努力して大きくなったものが、あまりでかくなったから半分にしてしまうぞというような考え方よりは、ビヘービア、行動を国民にかわって見ていくというほうが私の性分に合うような感じです、というようなことを実は申し上げました。
 いまのような話は、もとより競争維持政策、特にたとえば合併の事前規制とかいうような形において、できるだけ有効な競争条件を維持していく、あるいは輸入の問題でもカルテルの問題でもそうでございますが、私どもが現行の独禁法を使って、たとえば話し合いが行なわれた結果何をやっているというようなことを取り締まったりする、そういう現行独禁法のできるだけの運用でやることはもうだめだと言っている、そういう意味では全然ございません。むしろ、それをしっかりやっていこうと思っているわけでございますが、しかし、それだけではなかなか手が届かないものも出てくるのじゃないか。むしろ競争なさい、競争なさいといってフェアに競争をした結果、市場において非常に強い、りっぱな企業ができてくるということもある。りっぱにできた企業は、本来ならばもうすでに一つの競争条件をかりになくしているとはいえ、企業としてりっぱに成長したわけですから、私ども独禁政策の立場からいえば、おまえはでっかくなり過ぎていけないというわけにもいかないですけれども、しかし、それじゃ競争条件がある程度欠けてきているようなときに望むことは、まず第一番目には、いわば企業の社会的責任を自覚していただいて行動してもらう。企業といっても、ただ経営者だけではなくて、企業の中にある経営者もまたその従業員も、すべてそういうつもりで、おれのところはいいのだからといって、どんどんかってなふるまいを市場行動でしても困るし、たとえば、おれのところは賃金を幾ら上げたって、とにかく値段にかぶせればいいのだという考え方をみんなが持ってもらっては困る。それは企業に対する自己責任あるいは社会的責任を持っていただくということが、まず大事なことでございましょうけれども、しかし、それだけでは担保として不十分じゃなかろうか、そんなような雑談を実はいたしたわけでございます。
 まあ、いろいろなことが――それだけで一体、たとえば公取というものはもっと強化するのがいいのか、あるいは、それは公取という一つの問題ではなくて、もっと政府の組織なりあり方なり全体の問題であるというふうに考えるべきか、そういうことは、これからみんなでよく慎重に考えていきましょう。ただ、管理価格といえば何か公取だ公取だというような問題ではなくて、問題は非常にむずかしいことでございますよ、そういうようなことを実は申したわけでございます。
 たいへん長くなりまして失礼いたしました。
○和田(耕)委員 お気持ちはよくわかりました。
 これはイギリスの問題と関連しますと、所得政策ともろに関連してくるわけだと思いますけれども、日本の場合は、所得政策というところまでいかなくても、とにかく目に余るような寡占価格的な、あるいは独占価格的な問題について、効果のある監視機構をつくってみる必要があると私は思うのです。私は、所得政策そのものに対しても根っから反対だというわけではありません。ありませんけれども委員長が声明されたこの問題は、一応所得政策とは関連のないものとしての声明と承ってよろしゅうございましょうか。簡単でよろしゅうございます。
○谷村説明員 声明したわけではなくて、記者団といわば雑談をかわしたということでございますが、私がこういう問題を、たとえば管理価格問題とか大企業対策の問題を考えなければならないそのときには、いろいろな角度からものを考えなければならないのだ。ただ監視しているというだけでは意味がないのでして、監視するときには、どういう立場からどういう問題をどう見るかという問題があるのですよ。しかし、その問題は、決して簡単な問題ではございません。イギリスでは、すでにそういう問題として取り上げております。
 で、私ども、これはもう私の全くの私見になりますが、私は別の機会に、まあ浪人をしておりましたところから、経済企画庁のほうの新経済社会発展計画のほうの企画委員会というところの一員にもなっておりましたので、いろいろそういうことも議論したことがございますが、私は、公取委員長として、おまえそう声明したかと言われるとはなはだ困るのですけれども、私はそういう問題のときに、いわゆるインカムズポリシーとか生産性とか、そういう問題を抜きにして、ただ見ていてもそれは意味がない。しかし、その問題に結びつけていろいろしようとすると、それはそう簡単な問題ではない。総理や佐藤大臣も言っておられるように、これは全国民的に、慎重なステップを踏みながらやっていくべき問題であろう。しかし、それであるがゆえに、管理価格問題とか大企業問題とかいうことをただ言ってみても、言っているだけではだめですよ、いわばそういうような気持ちでございます。関心があるとかないとかいうと非常にあれでございますが……。
○和田(耕)委員 同僚委員からの矢のような催促でございますから……。私は関連質問で立ったわけでございまして、どうもありがとうございました。
○松平委員長 松本善明君の前に、ちょっと資料要求を申し上げます。
 戸叶委員から経済企画庁に対しまして、次の資料の要求がありました。委員長から申し上げます。
 各県の消費生活センターの実態について、次のような資料を要求する。各県の人口、それから予算、それと比較してそれぞれの県の物価、消費関係の予算、その予算が全体との比率。それから次に、消費生活センター自体の予算、それが全体のその県の予算との比率。その次に、同センターの内容の概要、これはそれぞれ違っておるようでありますから、その内容の概要。それから最後に、物価、消費関係に従事する職員の数、コンサルタントの数、モニターの数、それとその県の全体の職員との比率、こういうことを一括して表にして、資料として提出していただきたいというのが戸叶委員からの要求でありますので、委員長から申し上げます。
 松本善明君。
○松本(善)委員 八日の公取委員長の発言について、先ほども企画庁長官にも質疑をしていたのですけれども、長官のほうでは、独禁法の改正についても公取委員長のお話を聞いて検討したいという話であるし、それから、決して消極的ではなくて積極的にやるつもりなんだということでもあったし、それから、公取の人員や予算の問題についても今度の予算要求で応援したいというような趣旨の話がありましたけれども、委員長、聞いておられなかったので、一応お話しした上でお聞きしたいと思いますが、この八日の話で、管理価格対策上の独禁法が限界にきているということを言われましたが、具体的な限界、どういう問題についていまの状態では困っているということがあるのか、それをひとつ例示的にお話をいただきたいと思います。
○谷村説明員 私は具体的に、いますでに限界にきておるとか、現にいま管理価格というものがあって、その管理価格というものが国民のために悪く働いているというふうに、ある事実をつかまえて、そのためにもう何とかしなければならぬというふうに申したわけではないのでございまして、いろいろ御議論のあったところ、あるいはこれからの経済の動き、諸外国の状況、そういったところから考えてみまして、日本においてもある程度そういう意味ではで産業の集中が進み、また、別のことばでいえば寡占的な姿のものも出てきており、またこれからも出てくるかもしれない。そういうときに、一体いかなることを考えたらいいのか、そういう問題として実は話したわけでございまして、具体的にある事例があり、それに対して何にもできなかったということの結果をそういうふうに考え直さなければならぬ、と申したわけではないのであります。
○松本(善)委員 谷村さんは、はっきりした通謀の事実があれば介入できるけれども、寡占企業のプライスリーダーシップによって価格が引き上げられる場合には介入する手段がないというような趣旨のことを言われたわけでありますが、これは谷村さんの指摘をまつまでもなく、もう世上一般にいわれておることであります。はっきりした価格協定がなくても、実際上独占企業間で管理価格的なものが生まれてくるというのは、もうだれもの常識になってきておるわけであります。こういう点について、もう少し詳しくお考えを伺いたいのであります。
○谷村説明員 価格問題でもそうでございますし、また価格でなくても、たとえば、ある程度操業をこの際詰めてみようとか、ひとりでやると損してしまいますから、できれば足並みがそろったほうがいい。ところが、足並みをそろえたら必ず公取のほうに注意されてしまうというふうなのが、ほんとうならあるわけでございます、価格でも、販路協定とかそういうようなものでも。ところが、実際は非常に具体的な例があるというわけではないのですけれども、これだけ情報化が進んでまいりますと、具体的に話し合わないでも、大体――数が多ければ、これはなかなかむずかしゅうございますが、数が少なければ、ある程度大体のことが、お互いにあうんの呼吸で通ずる可能性があるんじゃないか。それが現実にどこであってどうだとは私は言えません。もし言えるのだったら、それは必ず独禁法でやるわけですから。しかし、そこらが一番問題なんで、それをまた皆さんに議論をしていただいておるところなのでございます。
 感想と申しますと何ですが、これはアメリカでもイギリスでもみんなそういうところで、これくらい高度化し情報化した社会では、少数のものが市場にある場合には、はっきりとしたいわゆる通謀とか協定とかいうことがなくても、大体話がお互いにわかるというふうなことが問題になっているというのも、いろいろな本を読むとみな出ておりますので、聞いております。日本でもそういうことがないとは言えないだろうと思いますが、そこはなかなかむずかしいところだ、こういう感じでございます。
○松本(善)委員 いま、たまたま生産調整、減産の話が出ましたが、いま鉄鋼減産が話し合われている。しかも、これは、ある新聞によれば、通産省の指導のもとにやられているのではないかという疑いを、通産省がかけられておる。この鉄鋼の業者の集まりであります月曜会において、通産省の鉄鋼業務課長が出席をして、毎週やっておるようであります。この、事実そうであるかどうかということも、これは私ども出席してないからわかりませんけれども、そういう疑いをかけるというか、そこでのつながりの中から何らかのそういう話が出てくるんじゃないかという疑いをかけるということについては、私は正当性があろうかと思いますが、この鉄鋼の公開販売制度の問題にしても、鉄鋼については、特にそういう事実上のカルテル行為を通産省が指導してきたんじゃないか、こういう非難もあります。
 それからまた、鉄鋼だけでなくて、ごく最近のことでありますけれども、家庭用石けんと合成洗剤について、公正取引委員会が、これは管理価格的な色彩が強いという指摘をした。ところが、通産省と家庭用石けん及び合成洗剤の業界の代表とが参加して行なわれた物価問題懇談会では、そんなことはないということで、業界の主張を通産省がのんだということも報道されています。
 こういう公取と通産省、あるいはそのほかの省の場合もあるかもしれませんけれども、そういう問題が、事実の有無はともかくとして、新聞では幾つか報道されております。特に通産省との関係で報道をされております。こういう問題については、公取の仕事をしておられる委員長としてどういうふうにお考えになっておるか、この点を伺いたいと思います。
○谷村説明員 二つの具体的な例についておっしゃいましたが、一般的には、私は日本の行政官庁は、ある意味でいえば業界の正しい秩序というものを一つの行政の目標として考えていると思います。しかし、もう一方では、そういう秩序の中にやはり有効競争が行なわれて日本の経済が伸びていく、そしてまた、それが国民全体のために役立つんだという競争秩序の問題を大きな眼目に置いて考えていると思います。通産省というふうなお話がありましたけれども、ある意味でいえば、通産省は、保護的色彩というよりは、競争状態をつくり出していくことをむしろ非常に一生懸命やってきた。それで、経済成長を一生懸命やるために努力してきた官庁であるというふうにも、ある意味では私は思います。そこらは、現実の行政としてなかなかむずかしいところがあるだろうと思います。
 何か具体的な例でございますけれども、私は、通産省が業者と一緒になっていろいろなことを話し合うということをやったという話を、聞いたことはございません。ただ、一ころ勧告操短という形において、個別の企業に対して個別に相談をすることを、かつて――あれはいわゆる不況のひどかったころだったかと思いますが、何かやったという例は聞いておりますけれども、最近のような状態におきまして、具体的に業者全体の操短か何かの話し合いに一緒に参加したというふうなことは、おそらくあり得ないことだというふうに思います。
 それから、合成洗剤のことにつきましては、私どもは、管理価格とは何であるか、一体それはどういう功罪、評価があるかという問題として議論をいたしましたときの一つのモデルとして、業界に七十何社というメーカーがおって、しかも、そのうちで大きなシェアを占めるものが二つあって、中ごろのものが数社あって、あとは群小、こういう業界の集中体制になっておるときに、そして、一方では再販価格というものがある。それから、いわゆる流通に対するいろいろな系列化とかそういう条件が重なっているときに、一体価格がどういう動きを示しているか、価格の動きはどうか、生産性の上昇はどうであるか、それに対して価格は市場でどういうふうであるか、そういう一つのモデルとして検討する、そういう材料としてやったわけでありまして、それが管理価格であり、けしからぬとかけしかるという話は、また別にして考えたわけでございます。
  〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
したがって、通産省のほうで合成洗剤の問題をいろいろ考えたときに、これが管理価格であるとかないとかいう御議論をなさるのは、これはまた当然だと思いますし、私どもの独占禁止懇話会でも、それをめぐってどう考えるべきかという議論は出ましたけれども、別にきめつけたり、きめつけないでおくとか、そういう価値判断の問題は出ていないわけでございます。ただ私どもは、この問題は、別途宿題になっております、たとえば再販の適正化というふうな問題のときにどう考えたらいいかという問題として、具体的な問題としてはこれからの問題として処置するつもりでおります。
○松本(善)委員 委員長の時間のこともありますので、この点については問題提起にとどめておきたいと思います。いろいろ意見の違う点もありますけれども、この程度にしたいと思います。
 もう一つ別の問題で伺っておきたいのは、ハム、ソーセージの問題で公取が勧告した。ところが、日本ハム・ソーセージ工業協同組合は、これを受け入れると言っているけれども、値段のほうは下げない、こう言うわけです。こういう問題については、公取としては一体どういうふうにお考えになっていますか。
○谷村説明員 そこが何と申しますか、弁慶の泣きどころみたいな話でございまして、私どもがやっておりますことは、価格政策をやっているのではなくて、話し合いによる共同行為を行なう、それをいけないと言っているわけでございます。そして、本件はずいぶん事実問題として私ども議論をし、かつまた、法律問題としても議論をしたところでございますけれども、ハム・ソーセージ工業協同組合という事業者団体の決定として、その組合を構成しておるメーカーたちのいわば価格競争を制限をした、こういう見方をしているわけでございます。また別の見方をすれば、あのハム・ソーセージ工業協同組合をつくっておる業者全員で共同行為をやったという、不当な取引制限の事例としても考えられるわけでございますけれども、実態はそうであるとしても、形式は何とか工業協同組合の決議という形でやっておりますので、それで独禁法の八条一項一号違反ということで処理をしたわけでございます。個々の業者をいわば排除命令の対象にしたのではなくて、組合を排除命令の対象にしたという実態がございます。
 そこで、組合としては、そういう決議をしたのははなはだ申しわけなかったから取りやめます、しかし、個々の組合員がどうするかというのは私どものあれではない、こういう話になっちまって、これは形式論になるわけでございます。しかし、その形式論の問題は別といたしまして、やはり反社会的な行為をやったということ、それは済んでしまったら、もう話し合ったことをやめてしまえば、上がった事実は既成事実でいいのか。これはいつも私どもが――武部委員にも、いつか牛乳のことでだいぶやられたこともございますが、私自身も公取に来る前に、独占禁止懇話会のメンバーでいたときに、当時の山田委員長に、それじゃ何にもならぬじゃないかと言って、ちょっと食ってかかったこともあるのでございますが、なるほど法律を読んでみると、価格をもとへ戻せというのは、私どもの排除命令の対象にはならないわけでございます。しかし、私どもとしては、やはり本来そういう排除命令を受けた場合に、しかも、この場合は非常に早く手が打てまして、事実を知ってからちょっと時間がかかりましたけれども、事実問題としてやったことなんでございますので、本来ならば、業界のほうでやや謹慎の意を表していただくとか、そういうことがあってもいいのじゃないかという気もいたしますし、それから、主管官庁である農林省あたりがそこらをどうお考えになるかということも、実は私どもが直接権限のある問題じゃないのですが、期待いたしたいところでありますし、さらには、こういった工業協同組合に相当大手のメーカー、いわゆる協同組合を組成するのがはたして妥当かどうかと思われるような大企業も入っているような点をどう考えるかとか、そういう問題としても残されているように思います。
 で、私は新聞記事を読んで、あれは工業協同組合としてはやめますけれども、個々の業者について私どもは何も言うことじゃありませんからどうもというようなのは、はなはだ遺憾な態度である。それから、個々の業界も個々の業者も、そういうことについて、あれは組合の話で、私どもは私どもということでしれっとしているのは、非常に遺憾な態度であるというふうに私は思うのです。
○松本(善)委員 まあ、この独禁法というのはざる法の典型だと言う人が多いわけでありますけれども、委員長の御答弁が、日ごろと違ってたいへん歯切れが悪いというのも、そのせいではないかと思いますけれども、私はこういうことをなくす――価格対策としてやっているのじゃないといういまのお話でありましたけれども、物価対策を非常にいま期待をされている。経済企画庁長官は、かなり公取委員長に期待をしているような発言を前国会ではしたわけでありますけれども、そういうことを実行していくということになれば、やはりこの独禁法の改正なり、その権限を持つとか、そういうようなことが必要になってくるということを抽象的、一般的に言われた、こういうふうに受け取っていいでしょうか。
○谷村説明員 何と申しますか、いまの段階で私がそういうことをはっきり申すのはどうかという問題は残るかと思いますけれども、やはり私の気持ちの中には、いまおっしゃったようなことがないとは言えないと思います。そして、それは二つあると思います。
 一つは、独禁法のたとえば不当な競争の制限とか取引の制限とかいうふうなことの解釈が、現にたとえば申し合わせがあって、申し合わせが行なわれて、それが実行されたら確かにそうなったんだといって――いわば未然においてそれを、そういう話を察知したときにすぐやるというふうなことではない。証拠がちゃんとあって、しかも、まさに競争の制限が現実に行なわれたというところでやるというたてまえになっておりますから、いまだ発せざるところをやる――要するに、たとえば勧告手続とか排除命令とか、何かそういうことをやったときというのは実は行なわれているときなんで、行なわれる前に探知して、いろいろ呼んだら、それじゃ独禁法違反になるからあれはやめましたといって、表の事件にならないでやめちゃう。国会の報告でいえば、何件の事件をどう処理したというようなことの報告をいたしますけれども、そういう報告にならない段階で実は押えていくのが、ほんとうの意味があることだ。しかし、それは独禁法のいまの法制の立て方では、そういうことにはなっていない。そういう点が一つ。この間うちから、委員の方々も、新しくかわられたりなんかした方ともよく雑談をしておりますと、自分自身でどうもやはりこれじゃどうかな、そういうお話が出ている点が一つでございます、たとえばいまのお話に関連しては。
 それから、価格の問題についてどうするか。やはり反社会的あるいは反公共的な行動をとってやったことについて、独禁法でいわれたらそれでおしまいだというのでは、やはり社会的責任が済まないんじゃないかという問題は、はたして公取の取り上げる問題であるか、あるいは、さっきからお話が出ておりましたような別の立場にあるたとえば経済企画庁とか――経済企画庁にも、いまそういう権限はございません。農林省とか――農林省も、いまそういう権限はございません。しかし、そういう何か権限を持ったような行政官庁があってもいいんじゃないか、そういう話も出ていないわけではないのです。
 ただ、これはこれからの行政機構全体の問題ですから、特に自由主義経済体制を前提としております場合に、どこまで業者の行動に介入できるかという問題でありますので、国民生活局長、ここにおいでになりますけれども、これからの課題ではありますが、そう簡単にすぐ言える立場にはなかなかないと思います。ということは、現実に原料も上がっております。人件費も上がっております。ですから、そういう問題を、では、どういうふうに処理したらいいのか。しかし、少なくとも反社会的、反公共的なプロセスでもってやったことについては責任をとってもらいたいということ、このような問題は、やはり私どもとしてはほんとうに考えてみるべきじゃないか、そんな実は気持ち――気持ちでございます。そう考えているとはまだ言い切れません。気持ちでございます。
○松本(善)委員 まだお伺いしたいことが幾つもありますが、時間の関係がありますので、最後に、公取の予算、人員、組織について、いまのままではいかぬというような趣旨の発言をされたようでありますが、これは、具体的にどういうことをお考えになっているのでしょうか。
○谷村説明員 たとえば表示問題等につきましても、極端な言い方をすれば、しょっちゅう目を見張り、見つけたら、できるだけ早くその是正措置を講じていく。それが形式的な排除命令とかなんとかいうことを何件出した、何件出したということではなしに、いけないと思ったら、どんどん行政的にでも処理できるような体制というものは、本来国民のため、消費者行政のためにあったほうがいいんじゃないか、そんな感じも、実は私も持っているわけでございます。
 イギリスあたりですと、非常に早くばっと、悪い表示があればすぐ、その事実を見ただけで裁判所のほうに告発してしまう。裁判所は巡回裁判所というのですか、簡易裁判所というのですか、そういうところで、悪いとすぐ、スピード違反みたいな即決裁判みたいにまいりませんが、罰金百ポンドとかなんとかいうことで、ばんばんとやっていく体制ができているようでございます。私どもはいま、独禁法の法体系に乗せて、そして、あの体系をやや簡素化した形で不当表示なら不当表示の取り締まりということをやっておりますけれども、やはり人権保護というたてまえから独禁法にございましたのは、手続としてはかなり時間がかかる。証拠がどうとか、供述をどうしてとか、聴聞をどうしてとか、そして委員会に持ってきてやる。しかも、委員会は東京に一つしかない。地方では処理できない。そういうのが、かりに表示問題一つつかまえても、国民のために、もっと行政官庁全体でそういう体制がとれないものか。あるいは中央官署だけじゃなくて、地方の地方庁、ああいうところまでも含めて、国民生活を守るため、消費者を守るためにそういったあれができないものか。だから、一体公取だけで予算をふくらまし、人員をふくらませるのがいいのか、行政官庁全体としてそういう問題についてのあれを考えるのがいいのか、たとえばそういう問題まで含めて考えなければならぬという気が私はしている。
 たとえば、さっき申し上げた国際的な問題につきましても、WHOとかFAO、そういうところが食品の表示問題について、ひんぱんに、いろいろな案をお互いに参加国の間でつくろうというような動きがある。あるいはOECDの中でも消費者委員会というのができて、そこでもあれができてくるというふうな、国際的な協力協調体制というものも一方にある。それから一方では国際的にいろいろ独禁法政策の運用をめぐっての政府間交渉、とまではいきませんけれども、問題が出てくる。あるいはまた、国際的な資本移動、技術提携というものがふえてくると、その国際的な力に対して、たとえば日本のほうが不当に圧迫される、不公正な取引をしいられるというような場合も出てくる。いろいろそういう国際間の私企業問の問題もあります。政府ベースでのいろいろな問題もあります。そういうふうになってきたときに、私どものほうでそういう国際的な問題を処理するための陣容としては必ずしも私は十分ではないという点を、着任して以来実は考えておりまして、やはりこれを強化したい。そういうことも実は考えておる。
 ですから、たとえばここの委員会の方々が、よく私どもの地方を見てくださいます。そして地方事務局の人数、機構等についてもいろいろの御意見を言っていただきますけれども、公取の地方事務局を強化するという形がいいのか、あるいはもっと別の角度から考えたほうがいいのか、公取委員長、遠慮せずに自分のところをふやせと言ってくださる方もおりますけれども、そういった問題がまだ頭の中に去来している、そういうことでございます。
○松本(善)委員 公取委員長に対する質問を終わります。
○武部委員長代理 渡部通子君。
○渡部(通)委員 きょうはたばこのことで、少し専売公社の御意見を伺っておきたいと思います。
 最近、たばこの有害性というものが非常に問題になっておりまして、問題になっておりながら、これだけはやめられないという殿方の皆さんの御意見です。きのうも話しておりましたら、少々寿命は縮まってもいいんだ、たばこをやめて人生は考えられない。――このくらいに愛されているがゆえにまた、この有害性というものも検討されなければならない、私はこう思うわけでございます。
 たばこから出る一酸化炭素が動脈硬化の原因になるという実験結果も発表されておりましたし、また厚生省の調査でも、喫煙者は非喫煙者よりはるかに高い発病率という結果も出ました。たばこ一本吸うと、十五から二十ccの一酸化炭素が肺から血液中に入るといわれております。これを排出するには三十分かかる、このような話が、最近ちまたにあふれておりますが、こういうたばこは健康に危険であるということ、有害であるということを、やはり専売公社としてもお認めでございましょうか。
○牧野説明員 私どものほうのたばこにつきましては、昔からいろいろいわれております。日本人がたばこを吸い始めましてから大体四百年くらいたっているかと思います。その問いろいろな角度からいわれた。一時は薬であるといわれた時代もあるようでありますが、大体は、少しぐあいが悪いじゃなかろうかというお話が多いかと思います。
 それで、私どももいろいろ各界のお医者さん、あるいは研究所にお願いをいたしまして、約十年ぐらいの問いろいろな研究をしていただいておるのでございますが、特にその中ではガンとの関係、ガンのうち特に肺ガンとの関係がいろいろうわさになります。これを中心にしまして循環器あるいは呼吸器等の関係も、いろいろな角度から含めまして研究をお願いしておるのでございますが、ただ、いままでのところ、はっきりとこうだというような結論まで、実はまだ至っておらないのでございます。
 先生方のおっしゃることで大体共通して言えることは、やたらよけい吸って長い期間吸うと、これは健康に悪いのじゃなかろうかというようなことは、最大公約数として言えるのじゃないか。それ以上のことは、いまの段階ではまだなかなかどうとも言えない。それからまた、たばこと申しましてもいろいろあるわけでございますけれども、こういう紙で巻いたたばこでございますとかパイプのたばことか葉巻き、そのうち葉巻きとパイプにつきましては、あまり、健康に有害であるという説がないわけでございます。それで紙巻きのたばこが悪い、特に両切りと申しますか、こういうピースのようなフィルターのついてないもの、これが悪いじゃなかろうかというようなお話はしばしばございます。結論としては、まだ目下のところ、多量に長期に吸うと、やはり健康にはいろいろな意味で悪いのじゃないかというふうに、私ども了解しております。
○渡部(通)委員 いま、やたらよけい吸って長いことというお話ございましたけれども、それは大体どのくらいか、期間のめどはございますか。
○牧野説明員 これはお医者さんの研究の結果によってかなり違いまして、また時期によっても相違がございまして、それで四、五年前までは、大体二十本ぐらいが境目になっておる、あるいは二十年とかそんな期間が境目になっておったようですが、しかしその後、最近では三十本以上吸うといかぬというようなお話もございますし、それからまた、期間についても、どうも二十年か三十年か、とにかく長いこと吸うといかぬのじやないか。それからまたもう一つ、子供のときから吸うといかぬ。それで、日本では未成年者喫煙禁止法というようなものがございまして――これは守られてないという話も間々伺いますけれども、しかし、アメリカやヨーロッパの国で、十三、四歳の者からぶかぶか吸っておるというのがかなり多いようでございますが、日本ではやはり少なくとも高校くらいまでは、少しやかましい高校だったらなかなか吸えない。見つかると退学になるというような事実もございますので、喫煙を始める年齢は、日本ではおそいんじゃないかと思っておりますが、この早いときに吸うと比較的影響が強いということも、ほぼ一般にいわれていることだと思
○渡部(通)委員 いま未成年者の喫煙の話が出ましたが、最近は、非常に中学、高校生徒の中に喫煙者がふえておりまして、非行少年の中でも半分くらいは吸っているというような話が報告をされておりました。これは文部省に聞く話かもしれませんけれども、こういう風潮はぜひ是正しなければならない。いまのお説でも、早く吸ったら肉体的にも有害である。こういう点で、未成年者の喫煙の傾向に対しては、これは直接の所轄官庁ではありませんけれども、専売公社としての参考の御意見を伺わせてください。
○牧野説明員 ただいま申し上げましたように、お医者さん方の大方の御意見も、若いころから、特に十幾つで吸い始める、中学、高校でといったようなころから吸い始めるとからだに悪いじゃないかという御意見もございますし、それからまた、日本では明治以来法律で厳に禁じておりますから、この点は私どもも、未成年者にたばこを売るとか、あるいはたばこを吸わせるとかというようなことはいけないことだというふうに存じております。
 それで、いま日本に毎年だいぶふえておりますが、かなり大きな店では、大体自動販売機というものを置いておる。大体いま三万台くらい全国でございますが、あの自動販売機には全部、未成年者にはたばこを禁じられているのだということを書かせるようにいたしておりまして、これは現実に全部の自動販売機に書いてございます。
○渡部(通)委員 同時に婦人の喫煙もたいへんふえているのですけれども、これは妊婦にとっては非常に胎児に悪影響を与える、国民の保健のためにも、これはたいへんゆゆしき問題だと思うのでございますが、その点の御配慮はいかがでございましょうか。
○牧野説明員 実はその点も、女性の喫煙は健康に有害でなかろうか、男がぶかぶか吸うのに比べると女性のほうが影響が多いんじゃないか、いまお話のありました妊娠中の女性とか、あるいは若いおじょうさんが吸うというのは特に影響があるのじゃないかということも、わりあい多くのお医者さんなんかから言われております。事実そのとおりでございます。
 それで、私どものほうとしましては毎年調べておるのですが、ある程度サンプルをとりましてどの程度吸っておるか、日本では、まだいまのところ比較的女性の喫煙が少のうございます。ただ、いまのところ、お話しのように若干ずつふえております。男ですと、成年の男の約八割近くが、多少にかかわらずたばこを吸う。女性ですと二割弱。ところが、いま、わずかずつですが、一六、七%から一八%くらいにふえてきたんじゃないかというふうな傾向も見えます。
 私どもとしましては、かつて、十年以上前ですけれども、財政収入の中でたばこが非常に大きな時代が、終戦後ございました。その時分に、やはり購買力吸収で大いに売らなければいかぬというような要請もございまして、たばこは動くアクセサリーなんというようなことばを、キャッチフレーズのようなものをつくりまして、女性が非常にかっこうよく吸っておるというようなポスターなんかも、ずいぶん出したわけでございます。その後順々に慎んでまいりまして、昨年の十一月からは、これは厳にやめるということで、女性の喫煙のポーズ、そういうようなものを、いかにもそそのかすように広告をするというようなことはやめようということで、現在はそういう考え方を一切捨てております。
○渡部(通)委員 いま、昨年の暮れからそういう行き方はやめるというお話でございましたが、ことしに入りまして、最近の新聞広告で、蘭の広告を私拝見いたしまして、きょうここへ持ってこようと思ってちょっと見当たらなかったのですが、かなり大きな蘭の広告が出ておりました。私はやはりそういう大々的に、有害性が危険視されているたばこを、新しく売り出したからといって、積極的に公社が広告をするという態度はたいへんにまずいのではないか、こう思うのでございますが、それはどういう事情でございますか。
○牧野説明員 たばこの中で何が有害なのかということが、なかなかはっきりいたさないのでございます。しかし、大部分の方は、おそらくその中に含まれているニコチン――これがなければたばこはうまくないわけですから、だんだんに少なくなる傾向にはありますけれども、やはり多少のニコチンというものがなければうまくない。しかし、そのニコチンが害になるんじゃないか。それからまたタールという、これはたばこだけじゃなく、燃焼の際にタールは出ますけれども、たばこからも出る、これもからだに悪いんじゃないかというふうに、大部分の方はやはり感じておられると思います。
 それで私どもは、ニコチン、タールの非常に低いたばこをできるだけ消費者に合うように出して、先ほどお話にありましたように、有害だ、有害だといわれながらもなかなかやめられない――私なんかもその一人でございますけれども、やめられない、情けない話ですが……。これまた、いこいといいますか、安らぎといいますか、そういうようなものにはなると思いますが、しかし、その中でも気にしながら吸っておられる方、これに軽いものを選択していただいたらどうか、それで蘭とかチェリーというのは、結局ニコチン、タールが少ない。それはソフトであるということで、そういうものを新しく出したということはお知らせしなければいかぬのじゃないかということで、新製品を売り出す際の広告だけはやりたい。広告といいますか、お知らせといいますか、そういうようなことだけはやりたいというふうに存じておるわけです。
 昨年の十一月に、私ども、新聞記者諸公にニコチン、タールの含有量を発表しましたり、それからまた、その際にお約束をして、ことしの一月末くらいからたばこ屋さんにニコチン、タールの含有量の表を置いてございますが、やはり置きますと、ルナーこれは軽いのでございます。それからセブンスター、これが軽い。それからエコーというたばこ、これが軽い。これらが非常によく売れる。急に売れるようになってきたという事実もございますので、私ども、こういう軽いのが出ましたということの広告はさせていただきたいと思いまして、出したような次第でございます。
○渡部(通)委員 しかし、あの広告を見ていますと、ニコチンの少ない、タールの少ないのをおのみなさいという、選択をなさいという指導というよりは、やはり新しいのを売り出したというような広告でしたよ。そういう意味で今後も広告をなさるというのでしたら、もう少し指導的な内容に変えていただきたいと思うのです。たとえばたばこのニコチン、タールの少ないのをのみましょうとか、そういうようにもう少し内容を指導的にリードする。新しいものを売ってもうけているという感じのほうがずっと強い広告でございまして、これは私の率直な印象でございます。これは今後の課題として、もし広告をなさるというのだったら指導にしていただきたい、こう思うわけです。
 それから、ソフトなものがよく売り切れる。――これは私は絶対量が少ないと思うのです。確かにセブンスターなど、しょっちゅう売り切れておりますが、これはやはり絶対量が少ない、生産がたいへんらしゅうございますが、絶対量が少ないということも大きな原因があると思いますので、今後はそういった生産配分もよくしていただきたいと思います。
 アメリカでは、たばこは健康を害するという表示をすることが義務づけられておりますけれども、そういったことを専売公社としてはお考えはございませんでしょうか。
○牧野説明員 世界じゅうでいろいろ議論がございまして、たばこにそういう表示をしたらどうかというような議論は、これは七、八年前ですか、イギリスの王立何とやらいう研究所が肺ガンと喫煙と関係があるというようなことを発表いたしまして、それから数年たって、アメリカの公衆衛生院ですか、それの十人委員会というのが似たような結果を統計的に発表して、それ以来、そういう議論はわりあい世界じゅうで盛んなわけでございます。これは私どもも、いろいろ調べまして承知しております。現在は、アメリカが表示をしております。それで、ほかの国でもいろいろ議論があって、検討されていることだと思います。
 それで、私どもの場合なんでございますが、これはたばこというのが非常に嗜好品といいますか、疲れたときに一服するとわりあい元気が出るとか、安らぎになるとかいうような性質のものであり、また、各方面でいろいろ健康に影響があるというようなことをいわれますけれども、ただ、イギリスやアメリカと比べますと、肺ガンという病気、これが一番取り上げられておりますけれども、これが日本ではほんとうに少ないのでございます。数分の一しかないという状態であり、また日本では、先ほどのお話にもありましたとおり、有害であるということは、わりあいよくいろいろな新聞や雑誌、いろんなことでいわれております。そこへ、せっかく嗜好品として吸っておられる方に、一々たばこに書いて、これでもか、これでもかということをやるのはどうかというような感じもございまして、私どもとしては、いまのところそういう表示をする、アメリカのようなことをやるということは考えておらないわけでございます。
 それで、それ以外に、先ほどお話もございましたように、もっと軽いもの、安心して吸えるようなもの、そういうようなものをできるだけつくっていく。それからまた、数量的にも足りなくないように出していくということで、それで非常に濃いようなもの、こういうものはどんどん減りますけれども、こういうようなものから転換させていく。それからまた、フィルターや紙にもいろんなくふうをしまして、それで燃焼の温度が下がるようにとか、あるいは一酸化炭素の発生が少なくなるようにとかいうようなくふうをして、できるだけ心配が少なく吸えるようなものにしていきたいというふうに、いまのところ考えております。
○渡部(通)委員 たいへん御円満な御答弁なので、わかるのですけれども、現在まだ、有害であるという、その医学的な因果関係がはっきりしておらないようでございますけれども、統計的にはいろいろ出ておりますので、ひとつこれだけは、確かに嗜好品で吸うときに、有害だと書いてあったんじゃ気分が悪いかもしれませんけれども、人命保護という立場に立って、今後ともあくまでも――ほんとうに人命に悪いならば、これでもか、これでもかでも言わなければならないわけでございますし、その点は今後の課題でございましょうが、私ども吸う側の立場に立って、ひとつ公社としてもお取り計らいをいただきたい。表示が必要ならどしどしすべきだと思いますし、あるいは、ニコチンとかタールの含有量を表示するとかいうようなことも一つのくふうではないかと思うわけでございます。
 ちょっと私も時間がないものですから、最後にもう一つだけ。
 こういうものを政府機関としてつくって売っていくということには、ちょっと問題があるんではないかと思うわけですが、その点の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○牧野説明員 これは昔、たばこというのは何かアメリカの土人が吸っておったそうでございますが、それがヨーロッパへ渡って、それから日本にもやってきて数百年たつわけでございます。人間が煙を出すなんていうのは悪魔のしわざであるとか、これは非常に健康に悪いとか――薬になるというような説も出ている時期もあったようでございますけれども、大体はそういう意味で、道徳的あるいは健康的にけしからぬものだという説が強い時代が長かったように思います。それで各国とも、いろいろな歴史の本を読んでみますと、ずいぶん悩んだだろうと思いますが、その結果やはりなかなかやめられない。それからまた、精神的な面では何がしかのプラスもあるようであります。というようなことで、結局無理にやめさせる、――昔はヨーロッパでは、何かたばこを吸っているところを見つけると鼻をもいでしまうというような時代もあったそうですけれども、そういうようなことをやるよりも、むしろ財政収入をあげるほうに使おうじゃないかというのが、結局長い歴史の人間の知恵なんじゃないかというふうに、私ども見ると、大体歴史ではそう読み取れる。その結果、どこの国もほとんどの国が、酒も同じでございますけれども、べらぼうに高い。普通のお米やパンや魚や肉や野菜に比べたら、あるいは衣料品に比べたら、とんでもない高い税収入をあげる、そのもとにしているということで、日本も明治の日露戦争のとき、あの時代だと思いますが、この知恵をかりていまやっているのだというふうに存じます。
 まあ、いろいろ見方はあろうかと思いますが、私、長い人間の――人間は、やはりむだも多少欲するものだというふうに思いますので、そのむだを財政収入に使っていくというのが、それでその間の調和といいますか、社会生活と財政との調和みたいなものをはかってきたというのが、人間の知恵なんじやないだろうかというふうに思っておりますので、いまのところ、まあ結局はこんなことかいなというような感じで私ども、おりますのです。
○渡部(通)委員 以上で終わらせていただきます。
 監視員の問題は、この次にまた結論だけいただきたいと思います。
○武部委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時三十五分散会