第065回国会 大蔵委員会 第6号
昭和四十六年二月十二日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 毛利 松平君
   理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
   理事 竹本 孫一君    木野 晴夫君
      奥田 敬和君    木村武千代君
      木部 佳昭君    坂元 親男君
      佐伯 宗義君    高橋清一郎君
      田村  元君    中島源太郎君
      登坂重次郎君    原田  憲君
      中村 寅太君    坊  秀男君
      福田 繁芳君    吉田 重延君
      森  美秀君    佐藤 観樹君
      阿部 助哉君    藤田 高敏君
      平林  剛君    古川 雅司君
      堀  昌雄君    小林 政子君
      塚本 三郎君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中川 一郎君
        大蔵省証券局長 志場喜徳郎君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (全国銀行協会
        連合会会長)  岩佐 凱實君
        参  考  人
        (全国信用金庫
        協会会長)   小原 五郎君
        参  考  人
        (日本経済新聞
        編集局次長)  黒川  洸君
        参  考  人
        (総合政策研究
        会理事長)   土屋  清君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十二日
 辞任         補欠選任
  西村 榮一君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  塚本 三郎君     西村 榮一君
    ―――――――――――――
二月十日
 所得税法の控除対象配偶者基準の引上げに関す
 る請願(向山一人君紹介)(第四二四号)
 零細企業の税制改正に関する請願(赤松勇君紹
 介)(第四二五号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第四二六号)
 同(横山利秋君紹介)(第四二七号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第四九六号)
 同(横山利秋君紹介)(第四九七号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第五六八号)
 同(横山利秋君紹介)(第五六九号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第六一〇号)
 同(横山利秋君紹介)(第六一一号)
 税関等に保管する引揚者の物資処理に関する請
 願(田畑金光君紹介)(第四七五号)
 映画等の入場税減免に関する請願(濱野清吾君
 紹介)(第四九八号)
 同(宇野宗佑君紹介)(第五六七号)
 元朝鮮、台湾両銀行の在外預金返済に関する請
 願(堀昌雄君紹介)(第五八三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 預金保険法案(内閣提出第一三号)
 貸付信託法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一四号)
 証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第九号)
 外国証券業者に関する法律案(内閣提出第一〇
 号)
     ――――◇―――――
○毛利委員長 これより会議を開きます。
 預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、まず預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、その意見を聴取することといたしております。
 本日御出席いただく参考人は、金国銀行協会連合会会長岩佐凱實君、全国信用金庫協会会長小原鐵五郎君、日本経済新聞編集局次長黒川洸君、総合政策研究会理事長土屋清君の各位であります。なお、土屋参考人は都合により出席がおくれますので、さよう御了承を願います。
 参考人各位には、御多用のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。両案につきまして、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 なお、各位の御意見は、最初に十分程度御意見をとりまとめ願い、その後は委員からの質疑により承ることといたします。
 最初に、岩佐参考人からお願いいたします。岩佐参考人。
○岩佐参考人 全国銀行協会連合会の会長であります岩佐でございます。
 本日は、預金保険法案及び貸付信託法の改正法案について参考意見を述べるようにということでお呼び出しがございました。
  まず、預金保険法案について意見を申し述べます。結論といたしまして賛同いたします。
 七〇年代は、よく激動の時代といわれますが、まさに、わが国をめぐる内外の情勢を一べついたしますとその感を深くいたします。しかし、これは根本的にはわが国の経済力が、ここ数年において飛躍的に成長したことに基因するものでありまして、従来のように、資本、為替、貿易の面において海外に対し門戸をかたく閉ざしておくことができなくなったためと考えます。
 こうしたことから、今後ますます各種の自由化の努力を払うことが内外ともに要請されておるわけでありますが、それだけにまた国際化の大きなうねりが、わが国の経済に押し寄せつつあるわけであります。たとえば、最近のアメリカにおける短期金利の急速な低落が、わが国の金融に及ぼす影響を見ておりますと、その感を深くいたす次第でございます。
 こうした観点から、わが国の経済のあり方を七〇年代の長期的展望のもとに再検討すべき時期に達していると考える次第でございますが、このことは、金融界につきましても全く同様のことがいえようかと存じます。昨年七月に金融制度調査会から大蔵大臣に対し答申がなされましたのも、こうした七〇年代の金融制度のあり方についての重要な意見であったと存じます。
 さて、今後の金融界を考えますとき、二つの大きな方向があると思います。
 一つは、すでに申し上げましたように、金融の国際化であります。これは単に外国銀行との競争が激しくなるということだけではなく、金融そのものが国際化することを意味しております。これに応じて、金融機関に対する行政も自由化の方向へ漸次進むものと考えられますが、これは金融機関にとり、きびしい時代の到来を意味するものであります。
 もう一つは、金融機関の大衆化であります。ここ五カ年間に都市銀行の口座数は五〇%も増加しておりまして、銀行預金がほんとうに国民大衆に密着しつつあり、預金の支払い手段としての地位が高まるなど、国民生活の一部となりつつあるといえます。預金の安全性の要請は、一段と強くなりつつあるゆえんであります。
 以上のように、金融機関は従来以上にきびしい時代に入りつつあるといえますが、同時に、従来以上に国民大衆と密着した公共的使命の発揮が必要になりつつあると存じます。こうした観点から金融制度調査会の答申の大きな柱である預金保険制度の創設がなされようとしていることは、時宜を得たものと考える次第でございます。
 ただ、この際、関連して二つほど申し述べておきたいと存じます。
 一つは、預金保険制度の創設により、預金の安全性が一段と確保されることは大きな進歩でありますが、一般産業会社と同様に、国際化の進展に伴いきびしい時代に突入する金融機関が万一破綻を来たしますと、社会的影響はきわめて大きなものがあると存じます。金融効率化の目的は、適正な競争を通じ、低利安定資金を供給することであると考えますと、なおさらのことでございます。
 もとより、金融機関といたしましては、今後とも従来に引き続いて諸準備金、引当金など、自己資本の充実を含め経営内容の健全化に一段と努力してまいる所存であります。
 また、預金保険が創設せられる場合、保険料が過大な負担になり、資本コストの底上げにならないようにすることが大切であります。この点、法案によりますと、保険料率は大蔵大臣の認可を前提にして運営委員会が決定することになっており、負担者の声も十分反映するようであり、けっこうなことと存じます。
 出資については、政府、日本銀行、民間がおのおの一億五千万円ずつ拠出する予定でありますが、官民協調してこの制度を意義あるものにしていこうとの姿勢のあらわれと存じます。
 以上のような点から、この預金保険法案に賛同いたしたいと存じます。
 次に、貸付信託法の改正案について意見を申し述べます。本件につきましては、全銀協としての統一見解はございませんので、信託協会の見解を申し述べます。
 貸付信託は、昭和二十七年創設されて以来今日まで、電力、鉄鋼などの緊要な産業あるいは住宅公団に対し長期安定資金の供給を行なうとともに国民大衆の資産形成に必要欠くべからざる貯蓄として定着するに至っております。
 しかし、最近における産業構造の変化、資金需要の多様化に伴い、国民経済的要請に対して、より即応するため、このたび、貸付信託の資金を国民経済の健全な発展に資する分野、すなわち生活環境改善、社会開発関連、流通機構整備等へ供給するとともに、個人住宅ローンにも行ない得るように改正案が提案されておりますが、時宜を得たものと存じます。
 また、資金の運用方法として、支払い準備など一定の範囲で有価証券保有を行ない得ることとする改正案につきましても、国民経済的要請に即応するとともに、公社債市場育成にも資する適切な提案と存じます。
 以上の観点から、貸付信託法の改正案に賛同いたします。
○毛利委員長 小原参考人。
○小原参考人 ただいま御紹介をいただきました全国信用金庫協会の会長の小原でございます。
 平素、私たち信用金庫は、諸先生方に非常にお世話になっておりますることを、この機会をおかりいたしまして、厚く御礼を申し上げます。
 本日は、ただいま本委員会で御審議中の金融関係二法案について意見を申し述べるようにということでございまするが、預金保険法案についてはすでに昨年十月七日に開催されました金融証券小委員会でも申し上げましたように、信用機構の維持をはかるため、預金者保護の特別措置として預金保険機構を創設することについては賛成でございます。
 私たち金融機関といたしましては、信用の維持向上をはかることはきわめて大切であります。このため、信用金庫業界といたしましては、昨年の金融機関における不祥事件等にもかんがみ、一そう自粛自戒し、節度ある行動を堅持して経営の健全化に心がけるとともに、業界といたしましても預金者に迷惑をかけないよう常に留意し、措置いたしておる次第でございます。
 現在国民の所得水準が上昇し、一般国民大衆の預金も次第に増大してきておるのでありまするがわが国経済の均衡ある発展と、上昇しつつある物価の抑制をはかり、国民生活の安定と向上を実現するためには、国民大衆の貯蓄心を一そう高揚する必要性が痛感されるのであります。それには、私たち金融機関自身の経営努力のほかに、アメリカやカナダ等の例にならって、国民大衆の預金を保障するための特別な措置をとり、制度的にも預金の安全性が確保されることが大切であろうかと存ぜられます。
 今回創設されようとしておる預金保険について一、二希望を申し述べてみたいと存じます。
 まず第一に、この預金保険機構により保障される預金の限度についてであります。これは政会で定めることとなっており、現在のところ百万円が予定されているようであります。この限度は、最初の試みでもあり、また保険料の負担等の関係もあって、一応やむを得ない額とは存じまするが、将来、国民所得の上昇、生活水準の向上に伴い、預金保険機構の充実と相まって、その限度を引き上げることも検討する必要があろうかと存ぜられます。
 第二は、この預金保険機構を創設するにあたっては、保険料の負担が増大し、金融機関のコストの上昇となり、貸し付け金利の引き上げを招かないよう、特に御配慮をお願いいたしたく存ずるのであります。このため政府が一億五千万円の出資をすることになっておりまするが、できればこのほか国庫余裕金等をこの機構に預託をし、その運用益を積み立てて機構の基礎を強化するような御配慮もお願いいたしたいと存ずるのであります。
 また、責任準備金等が十分積み立てられない過程で保険金の支払いを必要とする場合は、日本銀行から借り入れができるように措置されているのでありまするが、一般大衆預金者に安心感を与えるためにも、政会に譲られているこの限度額を余裕あるものとするとともに、その借り入れ金の返済等のため保険料の負担が急激にふえないよう留意する必要があろうかと存ぜられます。
 最後に、中小企業専門金融機関の経営の健全性保持の問題であります。この預金保険機構によって保険されまする預金は、当面百万円までであって、これを超過した預金については保障されていないのであります。しかし、信用機構の維持をはかるためには、すべての預金者の預金が保護されることが大切であろうかと存ぜられます。このため、信用金庫業界といたしましては、業界内部において、全国信用金庫連合会を中心として五百億円の資金をプールし、自主的な相互援助制度を強化する方針を決定しているのでありまするが、何よりもまず経営の健全性を維持し、基礎が強化されることが第一の要件であります。それには、この機構を創設するにあたって前提として考えられておりまする適正な競争原理が導入された場合、われわれ信用金庫など中小企業専門金融機関が経営上不利な条件下に置かれていることも御配慮の上、このような条件ができるだけ是正され、真に適正な競争が確保できまするよう、行政その他の面でも御留意くださることを特にお願いいたす次第であります。
 次に、貸付信託法の一部改正の問題であります。
 現在、貸付信託によって吸収されておる資金の中には、中小企業や国民大衆の資金が多額に含まれておると存ずるのであります。それにもかかわらず、その資金は、資源の開発その他緊要な産業に対する長期資金の供給ということから、そのほとんどは大企業中心であって、私の承知している限りでは九八・三%が大企業に貸し付けられ、中小企業にはあまりにも少ない、わずかに一・七%程度が向けられているにすぎないのであります。
 わが国経済の均衡ある発展をはかり、豊かな国づくりのため、中小企業の合理化、近代化が政策的にもきわめて重要視されておりまする現在、このような大企業に偏重した資金の供給は是正されなければならないと存じ、金融制度調査会の席上でもこの点、私の意見を申し上げたところであります。この意味で、資金の供給分野を広げる等の今回の改正には賛成であります。
 しかして今後、改正の趣旨を生かし、中小企業その他国民大衆の資金は、中小企業の合理化、近代化あるいは国民大衆の生活環境の整備に資せられるよう希望する次第であります。
 以上で私の意見を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○毛利委員長 黒川参考人。
○黒川参考人 日本経済新聞東京本社の編集局次長をしております黒川でございます。
 浅学の者でございますが、お求めに応じまして預金保険法及び貸付信託法の一部改正法案につきまして、意見を述べさせていただきます。
 まず最初に、預金保険制度の新設に関しましては、基本的には賛同いたすものでございます。
 すでに参考人お二方から述べられましたところでございますが、これからの日本経済は前途に非常に多くの課題をかかえておりまして、産業、金融のいずれの分野におきましても、従来の延長線上でものを考えていき、かつ行動するというようなことは許されなくなっているように思います。経済の国際化、自由化というような問題一つをとってみましても、それが日本経済にもたらします変化の大きさは、あえて申し上げるまでもないことと存じます。しかしながら、そのような試練に耐え、それを乗り越えていくところにわが国経済のほんとうの発展、成長があると思います。そのために必要不可欠の条件、幾つかございますけれども、一つをあげれば、経済全体の効率化ということでなかろうかと存じます。
 このことを金融政策あるいは金融行政という問題に即して申し上げますと、金融機関への行政と預金者の保護行政を峻別いたしまして、前者につきましては、今後、金利機能の活用と適正な競争原理の導入によりまして経営の効率化を一そう促し、低利でかつ良質な資金の確保供給、収益の預金者への還元ということをはかっていくことが望ましいかと考えます。もちろん、自由競争原理に基づく金融行政あるいは金融の効率化といいましても、金融機関が破綻するまで競争させるというようなことは明らかに行き過ぎだと存じます。金融機関の公共性、社会性から見まして、一方では健全経営の確保が今後とも一そう重視されなければならないと存じます。大蔵省当局によります最近の金融行政が、こうした方向に沿って現実に展開されていることは認めるにやぶさかでございませんが、今後とも一そうの努力を願いたいと思います。
 他方、預金者に対しましては、従来金融機関自体の経営保全、経営の健全化ということに重点が置かれまして、いわば預金者に対する保護は間接的にしか行なわれていなかったと申し上げて差しつかえないように思います。しかし、最近におきます預金の大衆化の問題ですとか、先ほど岩佐参考人がお述べになりましたように支払い手段としての預金の普及というようなことですとか、さらに、基本的にはまた国民生活の安定、物価対策としての貯蓄の増強というような面からの必要性が一そう高まっているということ、さらに申し上げますと、預金は国民にとって最も普通な一般的な貯蓄手段でございまして、他の事情がいかようであれ、根源的にその安全ははかられなければいけない性質のものだというふうに考えられます。これらの観点から見まして、直接預金者を保護する制度の確立はきわめて時宜にかなったものと存じます。まして、さきに述べましたごとく、今後におけるわが国経済の国際化とそれに伴う産業構造の変革、企業の経営的環境の激変などをあわせ考えますと、金融機関の万が一の破綻に備えまして預金者保護と信用秩序の維持のために万全の体制をとることが望ましいと存じます。これにより、わが国経済の現状から見まして、まだしばらくは続くと思われます間接金融中心の資金供給体制の基礎が、一段と堅固なものになると存じております。
 このように、預金保険制度は預金者保護のためのいわばきめ手の一つと考えられるものでございますが、それが字義どおり有効な制度であるためには、運用の面でも目的にかなった考慮が払われねばならないと考えます。今回の法案によりますと、保険機構は執行機関と意思決定機関を明確に分離しておりまして、後者、つまり運営委員会につきましては、金融について専門的な知識を持たれる方々を中心に、自主的な運営体制をとることになっているようにうかがわれます。これは預金者保護の第一義的責任者が金融機関そのものである、かつまた、運営委員会の方々の大局からの判断、意思決定いかんというものが、直接預金者の審判に触れるというような意味で適切なものであろうかと存じます。
 このほか、保険金支払いのために行なわれる日銀からの借り入れの問題ですとか、保険料率などにつきましては政令に委託されることになっており、これらはいずれもまた重要な問題でございますけれども、機構の円滑な運営のために適切な規定が必要かと存じます。なお、料率につきましては参考人お二方から、金融機関が資金コストを増高させないようにというおことばがございましたが、私もこれには賛成いたすものでございます。
 以上、預金保険制度につき意見を申し述べましたが、この際申し添えさせていただきたいと思いますのは、預金者保護といいましても、この法案によればいわば一定の限度まででございますから、行政当局による検査、指導などによりまして、金融機関の経営の健全化を確保することの重要性は、この制度をもっていたしましても一向に衰えない。むしろ従来以上に重要な問題になろうかと思います。もちろん、このような情勢に対して、金融機関の方々が一そうの御努力をされるよう願いたいと存じております。
 次に、貸付信託法の一部改正案でございますが融資先の制限の改正、拡大、信託財産の運用方法の改善の二点が中心になっているようでございますが、いずれも適当かと存じます。とりわけ融資先の拡大によりまして、個人向け住宅ローンや流通部門の近代化などへの融資の道が開かれることは、資金需要の多様化、産業構造の変化に即応するものと評価いたします。また後者につきましては、大衆化した貸付信託の支払い準備の充実とともに、金融面からの景気調整の手段が一そう整備されるというような意味も含めまして意義のある改正かと存じております。
 以上でございます。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
○毛利委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 ただいま参考人の方々から非常に高邁な御意見を承りました。しかし、預金者大衆は今日インフレーションのもとで非常に不利な貯蓄をしいられておるのであります。そしてこの金融機関の利用の増大――いまお話がありましたように非常に増大しておる。またそれが国家の過保護のもとで実現されておるという事実に、これまた非常な怒りを覚えておるのであります。こういう状況のもとで、最近は銀行事故というものが続発をいたしております。ほんとうに血と汗の結晶を預金した預金者の人たち、この人たちが、この預金の安全性を脅かされておるといっても過言ではないと思うのであります。こういった問題を明確にしないまま、委員会で抽象的な預金者保護論をやっていることは、これは当委員会の一員としてまことに恥ずかしいことであります。
 そこで、幸いに本日は、参考人の岩佐さんは例の問題の十九億円事件の富士銀行の頭取でもあられます。また銀行協会の会長という要職にあって、この事件に対しては公私ともに最も責任ある人でありますので、この問題を究明するにはまさに打ってつけの参考人であると思うのであります。
 預金者の立場に立って、今日まで不明確な問題をもう少しひとつ明確にして、この法案がねらっておるところの預金者保護の徹底という点でひとつ質問をさせていただきたいと存ずるのであります。
 まずこの問題が起きて、この調査に岩佐さんは直接支店においでになりましたですか。
○岩佐参考人 当該事故の起こりました雷門支店へは直接は参りません。しかし、私といたしましては、いまも阿部先生からいろいろと御指摘がございましたような点につきまして深く反省をいたしまして、そして本部のそれぞれの担当の者に厳重に命じまして、こまかい点にわたるまでいろいろと調査をさせた次第でございます。そしてその結果に基づきまして、日常のいろいろな業務上の処理の方法、内部管理体制の問題、それから行員の教育の問題、それから管理者としてあるべき態度というような点につきましていろいろと指示をいたしました。さっそく直ちにできることは直ちに実行もさしてまいりましたし、それからそれに引き続きまして、改善すべき点はいろいろと改善を重ねてまいって今日に至っておるのでございます。そして一面におきまして、いまも先生から御指摘がありましたように、富士銀行の問題はしばらく別といたしまして、銀行界全体にも幾多の不祥事件といったようなものが出てまいったことは事実でございますが、そういうことを踏まえまして、銀行協会といたしましても昨年の九月の初めに業務管理等改善委員会というものを設けまして、そしていろいろな角度から、こういうようなことが再び起こらないようにいろいろ意見の交換をし、検討を重ね、そして銀行全体として改むべきことをいろいろと具体的に出しまして、そしてそれらに対しましていろいろとできることから着々改善を実行しつつあるというのが現状でございます。
 具体的にそういう点について一、二申し上げてみたいと思いますけれども、銀行の窓口の事務取り扱いの厳正化というようなことで、従来とかく十分でございませんでした通帳、証書等の保管を厳正にして、そしてお客さまの印章等については預からないことを原則にするとか、有価証券等の便宜的な預かりといったようなものを禁止するとか、それから外国為替業務等につきましても取り扱いを一そう厳重にするようにはかっていくとか、それからたとえば時間外集金というような、過剰サービスと称せられるようなものを自粛いたしますとか、あるいはまた一般的な問題といたしましては、銀行に関してよろず相談所というようなものを東京、大阪、名古屋に設置いたしまして、いろいろな点につきましての、預金者の方々、お取引先の方々のいろいろな苦情であるとか、御批判であるとかいうようなものを承るというようなこと、あるいは内部管理体制の問題といたしましては、検査制度につきまして銀行間でそれぞれやっておることの情報を十分交換いたしまして、そしてこれを改善していく。不祥事件、不正事件の起こらないような検査制度、あるいはそういうことがかりに起こりかけましてもすみやかに発見されるような、そういう検査制度というものを設けていくとか、それから、これは前回の私がお呼び出しを受けました当委員会において御指摘のあったようなことでもございましたが、連続休暇制度を導入するとかいうようなこと、その他銀行の店舗外で現金の授受をするというようなことにつきましては、これはとかくあやまちをおかすもとになりますので、厳正化をはかっていくとかいうような点につきましては、ある程度というよりも相当程度実行されつつあるといってもよろしいかと思うのでございます。
 その他、今後におきましてもいろいろな点におきまして、さらにいま先生の御指摘のようなことを踏んまえまして、内部管理体制のさらに一そうの改善であるとか、同時に預金者、お取引先に、また一面において御不便をかけないような正しい、よいサービスをやっていくにはいかにしたらいいかというような点にただいま取り組み中でございます。
    ―――――――――――――
○毛利委員長 ただいま土屋参考人が出席されましたので、この際十分間御意見を承ることといたします。土屋参考人。
○土屋参考人 預金保険法案について、私は賛成であるという立場から意見を申し上げたいと思います。
 預金というのは国の重要な財産でありまして、それを預かる金融機関においては当然その保全に十分の用意がなければいけないのでありまして、そのためには、まず金融機関がみずから現金その他の有価証券をある程度保有して、それで緊急の場合に備えるという自己準備が必要であります。そしてまた、それを補うものとして準備預金制度という制度が法律で制定されておりまして、預金の一定割合を日本銀行に預けるということも行なわれております。
 しかし、実情はどうかといいますと、いま銀行の自己準備と申しますか、現金または有価証券で預金の引き出しに備えるというその体制は、必ずしも十分とは言えません。預金対貸し出しの比率、いわゆる預貸率というものは、戦後日本の金融機関は非常に悪化しておりまして、まだ非常に欠けるところがあると思います。
 それから準備預金の制度でありますが、これも法律ができてから十年以上になると思いますけれども、諸外国に比べてその準備預金の率そのものが非常に低いということでありまして、これも十分な機能を発揮していないという状態であります。
 そうなりますと、一体預金の保全について一般大衆預金者の安全感をどう保障するかということになりますと、現在アメリカ、カナダ等で行なわれている預金保険制度を導入して、一定額まではその預金保険の中から万一の場合にも返還するという制度を設けることが考えられる。金額は幾らか、これはまだ、政令できめられると思いますが、常識的に言って私は、百万円くらいまでの預金は大衆預金の範囲に入れて、大衆預金はその限度では保障するという制度を設けることが、国民金融機関に対する信頼を保ち、そして貯蓄増強にも資するゆえんじゃないかというふうに考えております。
 いままではそういう制度がございませんし、そして金融機関の自已準備並びに法律による準備打金も非常に手薄でありましたから、どうも大蔵小の金融行政を見ておりますと、預金者を保護するために金融機関を保護するという色彩が強くなる。つまり、預金を守らなければいけない、預金を守るためには金融機関を守らなければいけないというので、金融機関にいわば過保護的な傾向が出てまいりまして――ということになりますと、一言しても非常に経営効率の悪い金融機関に焦点を合わせることになります。ちょうど護送船団で考えてみるとよくわかりますが、一番船足のおそい船に焦点を合わせて護送船団を組んでいく、こういう形になっております。それと同じように、金融機関を保護する、預金保護のためには金融機関の破綻を防止するということになりますと、その一番船足のおそい、効率の悪い金融機関に焦点を合わせるという結果、非常な過保護が行なわれている結果になっている。それが金融行政というものをすっきりさせない一つの理由になっているんじゃないか。
 預金金利の変更の問題あるいは貸し出し金利の決定の問題、そういうことを全部がつまりそういう金融機関を保護するということに結びついて、しかも船足のおそい金融機関に焦点が合いますので、それが金利政策そのものをも円滑な運営を妨げるということにも結果的にはなってきているんじゃないかと思います。ですからここで預金者保護と金融機関保護とをはっきり区別しまして――もちろん金融機関がつぶれては困るのでそれに対する取り締まりなり監督規制を十分行なうことは当然でありますが、ともかく預金に不測の事態が起こった場合にも最低限度の大衆預金は保障する、こういうたてまえにしたならば、その金融行政というものが効率的に進められることになるのじゃないかというふうに私は考えられます。
 この預金保険制度にやや近いものがかつて国会に提案されたことがございまして、これもやっぱり十年ぐらい前だと思いますが、預金保障基金法案ですか、あるいは経営保全法案、この二つが提案されたことがございます。そのときにも私はこの国会で意見を述べたことがあるのですが、これは成立しませんでした。それはなぜ成立しなかったかというと、そのときにはこの二法案の対象を相互銀行と信用金庫にしぼったということだったと思います。もう少し範囲が広かったかもしれませんが、普通銀行は除外して相互銀行と信用金庫を対象にする、こういう法案だった。そうしますと、そういう相互銀行や信用金庫には何か特別の保障基金が要るんだ、ほかの金融機関は要らないんだ、何か相互銀行と信用金庫だけが特別に悪いんじゃないかというような評価を加えられるおそれがあるというのが、非常な反対を惹起した理由だと思う。特に経営保全法案というのは、かなり金融機関の責任者に対して、その任免までについて国が発言し得るような、そういう規定も入っておりました。多少強権的だという印象もあって二法案が成立しなかったんじゃないかと思います。その後私もいろいろ考えてみますと、やはりそういう預金保険のようなものが要るならば、それは全金融機関を対象にしないと困る。普通銀行は非常に監督が十分に行なわれて安全だからこれは除外していい、あるいは力もあるから除外していい、相互銀行や信用金庫だけだといったようなことになりますと、これはやはり同じような反対を招いて成立しないんじゃないか。だからやるとすれば普通銀行、相互銀行、信用金庫、全部を含めた金融機関を対象にしてやるほうがいい、こういうふうに考えております。
 ただ問題は信用組合でありまして、今度の法案の対象には信用組合も入っていると思うのでありますけれども、ちょっと私はこれには必ずしも全面的に賛成しない。というのは。信用組合というのはたてまえは協同組合法に基づく機関でありまして、つまり一般大衆の預金をどんどん受け付けるという性格のものではない。実情はどうなっているのか、いろいろ問題がありますけれども、信用金庫であれば一般大衆の預金を受け付ける。しかし信用組合のほうはもたてまえとしては協同組合でもその組合員の預金を受けるもこういうたてまえになっている。したがって、そういういわば仲間内の預け合い機関でありますから、信用組合に対する監督は都道府県知事ですかが当たっておっても 必ずしも金融の責任者である大蔵省がこれにタッチしていない。その点も信用組合の人的な構成、それから訓練等においてもいろいろ、私はまだ足りない点があるのじゃないかと思うのです。したがっても本来のたてまえとしては、私は、信用組合というものは、その性格上、一般大衆の預金を無制限に受け付けるものではありませんから取り扱いを別にしたほうがいいと思うのですが、しかし先ほど言ったように。そうすると信用組合は何か別のもので非常な危険があるのか、除外すると何か特別の問題があるのじゃないかというような感じも起こす懸念がある。したがって、信用組合をこの対象に加えるとすれば、それだけ十分なる信用組合の強化並びに監督についての方策を今後準備していかなければいけないのじゃないか。私はいま信用組合が一番脆弱だと考えております。これは先ほども申しましたように。それだけの人的な機構も整備されていないもそれだけの訓練も受けていない面非常に末端になると監督も十分いってない、したがって一番保険事故が発生しやすい。だからへたをいたしますとも普通銀行などがせっせと預金保険で金をためる、当然それは普通銀行の負担は大きいわけです、預金額に応じますから。そのためたものは、普通銀行にはほとんどそういう破綻はこないと考えるとすれば、それが逆に、普通銀行がためておいたのを信用組合のほうに投ずる、こういう結果になってしまう。それでもいいのですが、しかしそうならないように、あくまでも金融機関相互の共助組織だということであれば、これが信用組合などに集中しないように、信用組合の強化並びに監督については今後十分の措置を考えていかなければいけないのじゃないかと思います。
 それからも預金保険というのは、保険という名を冠していますけれどもも実はこれは保険ではないのですね。保険というものは、生命保険にしても損害保険にしても、保険数理というものがあってもそろばんがとれるような計算になっている、これが純粋の保険だと思います。預金保険というのは、事故が発生するその確率というものが非常にこれは不確定であって、ある意味ではわからないといってもいい。したがってもこれだけの預金を積んだからこれだけの事故が発生してそろばんがとれるという、そういうような厳密な保険数理に基づくものではない。私は、これはいわば、預金保険というものは一種の金融機関に対する税金のようなものだというふうに考えている。そう言うと金融機関の方々は憤慨されるかもしれませんけれども、やはり国民大衆の預金を預かっている以上、それに対してある程度の負担をするいう、そういう考え方に立つ以外に、保険という理屈ではなかなか説明がつかない。また国民の大事な財産を預かっているものでありますから、まあ一種の安全に対する税金みたいな気持ちでこれはやはり協力するということが大切じゃないか。これは普通銀行などでは、自分たちはもう厳重な監督を受けているのだから、まあ預金保険なんかむしろ迷惑だといったような空気も一部にあったかと聞いております。それは確かに普通銀行は、信用組合などと比べれば比較にならぬほど安全度が高いと思いますけれども、いま申しましたようにも金融機関全体の連帯性という観点から、若干それがコストに響き、それだけ負担が大きくなるということはありましてももやはり整備すべきものじゃないかというふうに考えております。
 それから、今度の法案を拝見しますと、非常に機構が簡素化されたような仕組みになっておる、これはたいへんけっこうだと私は思います。これはアメリカもカナダで多少やり方が違ってくるのでありますけれども、私はあくまでもこれは金融機関の相互の連帯性に基づく信用の確保がねらいであるとすれば、これに複雑な機構を持ち込まないほうがよろしい。預金保険のその主体、それが直接金融機関の経理まで立ち入って検査するといったようなことはもう必要ないのでも それぞれそれは検査機関と連絡して仕事を進めるという形でできるだけ簡素な組織にすることが望ましいのではないか。これによって国民が、預金が最悪の場合でも百万円は返るんだという安心感が得られれば、それだけ負担増にはなりますけれども恥全体としては私は金融機関としても決して反対すべき理由はないし、また金融行政としても、先ほど申しましたように、これからは金融機関の過当な保護という観点と金融行政というものを切り離してやっていくことができますと刊その点においても大きなプラスになる。その意味においてこの案が実現されることを望むものであります。
 それからもう一つ、貸付信託法の改正でありますが、これも私は時勢に適合した妥当な改正だと思っております。貸付信託法ができましたのが昭和二十年代の終わりごろも二十六、七年ごろだったかと記憶いたしますけれども、あのときはいわゆる重要産業の資金をどう確保するかということが大きな問題でありました。その重要産業というのは特に基礎産業でありますが、基礎産業に対する資金不足を補う一つの手段として貸付信託制度が導入されましてもこれは当時の情勢に合って急速な伸びを呈し、ある役割りを果たしてきたと思うのでありますが、今日はもう重要産業という観念が通用しなくなりました。何が基礎産業なのかも非常にあいまいになってきて、かつてのように鉄鋼とか電力とかもそういう基礎産業、重要産業に貸付信託の資金を導入するということではむしろ経済の実情に合わない、それほど経済の分野が広がり、かつまた変わってまいったのでありますから、その実情に応じてその運用の範囲を広げるということはけっこうではないか。貸し付けの範囲を住宅ローンその他にも広げるようなことになったことは、 私はたいへんけっこうなことではないかと思います。
 とともに、その運用において、いままでは貸し付けであって、有価証券等の保有に運用するということにも、その発足から見ておのずから制限があったのでありますけれども、しかし今日のような情勢になりますと、公社債市場を育成するということが日本の金融政策の上において急務でありまして、それを助長する一つの手段といたしまして可貸付信託の運用においてそういう有価証券取得というものを認めるということも いま申しましたような公社債市場の育成ということの一助にもなるので、時勢に応じた適切な方策だ、こういうふうに考えられます。
  以上であります。
    ―――――――――――――
○毛利委員長 参考人に対する質疑を続行いたします。阿部君。
○阿部(助)委員 中断をいたしましたが先ほどいろいろと具体的な対策を進められておるといりお話をお伺いをいたしました。しかしその対策に進められるには、私たち常識から考えますと、過去の問題、これをまず究明をいたしまして、そり反省の上に立って今後の対策を立てるというのか普通だと思うのでありますが、例の問題は何かまだ、どういう仕組みになっておるのかという問題が国民にはさっぱりわからぬわけであります。大蔵省の「富士銀行雷門支店における不正融資事件の概要」という報告をいただいて見ましたけれども、これもまことに文章が不可解でして、全般つながりのないところに突然こういうことが書いてあるのですね。「事件発見までに同行の本部、書門支店の支店長、次長の何れも気が付かず、まして巷間噂されるような外部との関連、政治的背景などは一切ない由である。」こういう断定、まあ「由である」ということになっておりますが、非常に断定的な表現をされておるのであります、これは大蔵省のほうからお伺いしますと、銀行のほうからの御報告を受けてこの文書が作成されたように聞いておるのでありますが、「一切ない」という断定をするところまで銀行は調査をなさったのでございますか。
○岩佐参考人 いまの阿部先生の御指摘、その点につきましては十分調査をいたしまして、そして関係はないと私確信を持っております。
○阿部(助)委員 もう一つは、この資料でもそうですが、いままでいろいろ報道をされておるのを見てまいりますと、菅沼なる者は為替業務の専門家だという。専門家というのは、むずかしいことだということだと思うのですが、為替業務のむずかしいというのは、これは事務処理がむずかしいのでなしに、為替変動やらいろいろなものをにらんでおる情勢判断がむずかしいのであって、事務処理というものはそれほどむずかしいのじゃないのじゃないでしょうか。そして、この文書にありますけれども、彼は十五年間、銀行に雇われる早々、ほとんど早々といっていいほど大半を為替業務に専念をしてきた、携わってきたわけであります。十五年間たって専門家になったからこの業務に携わるということならば、専門的な云々というのが理解できるのでありますけれども、銀行員になる早々から為替業務を担当してきたということを見るならば、専門家ということばを非常によけい使っておるけれども、私はここに何か不可解なものを感ずるわけでありますが、専門家というのは、どういう点がこの為替業務のむずかしさなのか、ひとつ簡単にお教え願いたいのです。
○岩佐参考人 いまの阿部先生の御指摘、まことにごもっともの点がございまして、むずかしいというのは、いろいろな外貨の扱いでありますとかという点が一番むずかしい点かと思います。それから事務の処理といたしましては信用状の扱いであるとか――それは自然、若干の専門の知識は必要といたしますし、それから外国語の問題もございます。そういうような点から、やはり入行後早早にそういう仕事に入れまして、そうして訓練をしていかなければならないという面もございますこれは御了承いただけると思うのでございますがしかし根本の問題といたしましては、そういうことの以前に、銀行員として当然持っていなければならない良識、常識、それからモラル、そういうものが大事なことだと思いますので、こういう点につきましては、私といたしましては、行員の教育ということについては常々十分なる注意を払ってきたつもりではございましたが、その点において若干不行き届きな点がございましてああいう人間が出たということ、これはまことに遺憾に思っておる点でございます。そういう点を踏んまえまして、行員の教育ということにはさらに一そう留意してまいっておるのが現状でございます。
 それで雷門の場合、そういうこともございまして、支店長、次長、本来ならば当然諸勘定を十分チェックしていかなければならない立場にある者が、この事務のシステムの上においてのチェックを、きめられたとおりやらないで、欠くるところがあったということ、これもまことに遺憾な点でございます。それで菅沼が、そういう外国為替の特別な知識を持っているということを悪用いたしまして、本来外国為替でないものを外国為替勘定を利用いたしまして不正を働いたという次第でございます。
 そういうことでございますので、阿部先生の御指摘のございましたように、外部の方から見られまして納得ができかねるというような点、まことにごもっともな点があるのでございますけれども、それは要するに、支店長、次長等の管理の職にある者が、管理の万全を期するに大いに欠くるところがあったということ、それから菅沼なる者のそういう特別な知識があるというようなこと、それから学歴も十分持っておるというようなこと、そして、平素の勤務ぶり、普通の勤務ぶりと申しますか。通常の勤務ぶりにおいては、勤務ぶりとしては一応よかったといったようないろいろな要素に幻惑されまして、そして菅沼なる者を盲信いたしまして、そういう不正が行なわれておるということを気づかなかったということでございまして、この点につきましては、先ほども申し上げておりますように、チェック機能を十分働かせていかなければならないということで、この点についてのいろいろな改革を、あの事件を深く私としては反省もいたしまして取り組んでまいっておる。それで再びそういうようなこと、たとえ小さなことにいたしましても、そういうようなことの起こらないようにいま万全の努力をいたしておる次第でございます。
○阿部(助)委員 いまお話で、まあ外部の方には不可解だ、こうおっしゃるけれども、実は私いろいろな銀行を歩いていろいろな方から聞いてみたのですが、これは外部の人間だけではなしに、銀行マンの方々も、全く不可解だということはもうどこに行ってもそういうふうにおっしゃるのでして、私、銀行の外部だから不可解だということではなしに、まあ銀行マンの方々もひとしくこれは全く不可解だ、こうおっしゃっておるのでして、その点は、非常に岩佐さん反省しておられる点は認められますけれども、どうもその辺まだわからぬのであります。というのは、次長や支店長がどうのこうのということもあとでお伺いしますけれども七いまコンピューターが大体普及しましても富士銀行さんのところでもやはりそれを使っておる。そうすれば、コンピューターというものには数字が合わないものが当然出てきておるんじゃないでしょうか。これが一ぺんかなんかでありますればそれはこういう事件はあり得るということも考えられますけれども、これだけの期間でこれだけのものが雷門支店から金が片方出ていくとすれば、コンピューターの帳じりが合わなくなるんじゃないでしょうか。コンピューターというのは、そういうふうに合わないものなんでしょうか。
○岩佐参考人 はなはだ申しわけない次第でございますけれども、私もコンピューターの知識ははなはだ弱うございまして、申しわけないのでございますけれども、それはひとつお許しいただくといたしまして、コンピューターが合わない、そういうことは全然ないことだ、こう思います。
 それで、当行の場合におきましては、菅沼が悪用いたしました買い入れ外国為替勘定というような勘定は、四十三年の十一月に本部に集中されまして、コンピューターに乗せたのでございますが、肝心のそのコンピューターに乗せるデータを、中間で不正な取り扱いをして送らなかったというところに根本的な原因がございますので、コンピューターが合わないということではないのでございまして、この点、了承いただきたいと思います。
○阿部(助)委員 いや、合わないことがあるのだそうです。それは一任預かりだとかいろいろなことをやると、少し合わないことはあるのだそうです。ところが、合わなくとも、そこにはなぜ合わないかということが明確にはなるのですね。だから、こういう問題はほんとうは起きない、こういうことなんでして、しかし伝票を送らなくたって、そうすると別のほうの現金のほうの計算が合わなくなるというのが、これが普通だそうであります。ですから、どうも伝票を彼がごまかして送らなかったとか、いろいろなことも、調べれば調べるほど、これはいままでの発表や大蔵省のほうの説明では、私にはわからなくなってしまうわけであります。
 そこで、もう一つお伺いしますが、なるほどこの口座へ振り込むまでは菅沼のにせの伝票でこれはおやりになった。これで金は入った。しかし今度、手形や小切手で金を引き出すときに、口座台帳を見るとしょっちゅう赤字になっておるわけですね。そうすれば、その金を支払うほうの係は、当然のこととしてそれを支店長や次長に、これだけの預金がないにかかわらず金を取りに来ておるとすれば、これは連絡をするのが普通だと思うのです。しかも、この大蔵省のあれを見ますと、皆さんのところでは二へんにわたって、トムソンは不良会社であるから貸し越し契約はしないということを決定をしておられるのです。貸し越し契約はしない、そういう会社に何千万円という金がしょっちゅう貸し越しになっておるのですね、この台帳を見ますと。特にあの事件が発覚をする直前の数カ月においては貸し越しになっております。そうすれば、そこまで菅沼が一人でやるはずがないんでしょう。あなたは、昔は二人制でどうだこうだということを、この雑誌で、わが党の堀さんとの対談でも言っておられますけれども、いまだって、 為替勘定の伝票を切ってトムソンの口座へ金が移った、そこまでは彼が一人で伝票を書いてやったということはわかるのですよ。しかし、今度引き出すときに、口座には金がないのですよ。千何百万という金がしょっちゅう赤字の貸し越しになっておる。そうすれば、この金を出すほうの係は、支店長か次長にこの事態を報告をするということは当然であろうし、これだけ、二度も皆さんの本店のほうで、この会社は不良であるから貸し越し契約をしないのだという拒否をしておる会社であるとすれば、支店長、次長が独断で、サラリーマンが独断で、これだけ大きな金をかってに支店の権限で出すということは、常識として考えられないというのが、どこでもの、私の調べた銀行屋さんも口をそろえてそうおっしゃるのです。そこは私もその思うのですが、いかがですか。
○岩佐参考人 いまの御指摘の点でございますけれども、しりが赤字というお話でございますけれども、赤字になりましたのは時間的な問題でございまして、その直後に不正の融資をいたしまして、それでその赤字を直ちに解消いたしまして、しりとしては黒字になったということでございますので、ほかの係の者が不審を持たなかったということであるわけでございます。
 いまの御指摘のような点につきましては、私どもといたしましては、あの事件を調査いたしました以後において十分反省をいたしまして、たとい時間的にそういうような赤字になるというようなことがあった場合においては、直ちに次長なり支店長なりに当該係の者が連絡をして、そうしてそれをどういうふうに処置されるのであろうかというようなことを十分打ち合わせねばならないということにいたしたわけでございます。一口に申し上げれば、いま先生の御指摘のありました点につきましては、その店内の相互の連絡ということが不十分であった、はなはだ欠くるところがあったということでございまして、この点については、即刻各それぞれの営業店にも通達をいたしまして改善を進めた次第でございます。
○阿部(助)委員 いや、いまのお話、ちょっと私には理解ができないのであります。彼が伝票を切って、トムソンの口座へ金が入るまでは――これも問題があるのですけれども、一応認めたとして、しかし、金を出すほうは別なんですよ。しかもこれはしょっちゅうと言っていい程と赤字になっておるわけです。
 それだけ大きな、しかも千数百万円というのがしょっちゅう貸し越しになっておるということになれば、支店長、次長が、一ぺんや二へんならいざ知らず、あれだけの長い期間にわたって、しかも全然気づかなかったということもふしぎでありますし、またほんとうは毎日その日の終わりに帳じりを見るのが、これは普通だそうであります。それも何年にわたり、特に何カ月にわたって目をつぶったというか、つぶされておったのか、これはわからぬけれども、とにかく支店長、次長が、一ぺんや二へんじゃない、これはごらんになればもうほんとうにひどいものなんです。これが気がつかなかったということは、どんなにほかの銀行屋さんに聞いてみても、これは納得ができないのですね。そこがどうもいまの御答弁では私にはわからぬのですが、もう一ぺん言ってみてくれませんか。
○岩佐参考人 いまの先生の御指摘でございますけれども、現金の支出はほとんどございませんで、交換の呈示でございます。したがって、交換呈示の小切手の決済ということで、さっき時間的にと申し上げたわけでございます。
 それで、先生の御指摘のように、支店長、次長等が、はなはだ、そういう点についての基本動作と申しますか、当然やるべき厳重な管理ということに欠けるところがあったということは、まことに私としても遺憾しごくでございましたが、それは事実でございます。
○阿部(助)委員 私、きょうは残念でありますが、時間だそうでありますのでやめますけれどもとにかくこの問題は不可解でありまして、岩佐頭取自身、もう少し御調査をなすって――これは警察も警察の立場でやるでしょう。また、われわれ大蔵委員会は大蔵委員会の立場で、国会の立場でこの問題をもう少し詰めて、今後遺憾なきを期し預金者保護に、さらにいろいろな観点からあわせて万全を期していかなければいかぬのでして、どうもお話しのいまの点、菅沼一人でやったというふうにはどうしても受け取れないのでありまして私にはまだきょうの答弁では納得がしかねるわけであります。
 終わります。
○毛利委員長 関連質問を許します。堀君。
○堀委員 話は全然違うのでありますが、さっき土屋参考人もお述べになりましたけれども、現在都市銀行上位、中位、下位、地銀、相銀、信金と分けて、最近時における預貸率はどうなっておるか、ちょっと銀行局答えてください。
○近藤政府委員 四十五年の上期で申し上げますと、都銀上位九五・五%、中位が一〇一・七%、下位、いわゆる下位といわれるグループでございますね、これが九四。二%、平均で九六・九%でございます。それから地銀が八五。七%、相銀が八九。二%、信用金庫が八二。四%、以上でございます。
○堀委員 一言だけ、土屋参考人と黒川参考人に伺いたいのでありますけれども、この制度を見ておりますと、預貸率が一〇〇%をこえておる金融機関がある。本来ならばこれは実は預金保険の対象にすでになっていなければならないのでありますが、都市銀行は日本銀行との関係で、預貸率が一〇〇をこえてもなお実はつぶれないというのがいまの金融状態でございます。預金保険の発想の中で、金融正常化というものがどうも少し置き去りにされて、さらに金融機関の支払い準備などというものも置き去りにされて、本来のことは横へどけて、末梢的な部分だけで預金者保護をしようという発想は、金融問題としては実は正鵠を欠くものではないのか。やはり金融正常化をするということがより強力に行なわれる過程で預金保険も補足的に行ないたいという発想に立たなければ、預金保険をつくったらあとは預貸率が幾らになろうと、金融正常化はまあまあ当分はしかたがないのだなどということで預金保険をつくることは、私はどうも本筋からだいぶ離れているような感じがいたしますので、この一点だけをひとつ黒川参考人と土屋参考人から承りたいと思います。
○黒川参考人 御意見の御趣旨、私といたしましても確かにそういう面もあろうかと思います。ただ、私が理解する限りにおきまして、この預金保険制度が発動される時点というのは、おそらく保険事故の対象になるような大きな問題が起きたというときでございまして、おのずからその前に銀行経営の健全化ということに指向いたしまして、行政並びに金融機関当局の方々の努力が一そう払われなければいけないということは、先生御指摘のとおりでございます。
 預貸率の関係につきましては、これはいわばフローの問題というふうに考えてもよろしかろうと思いますので、なるほど御指摘のような問題はございますにいたしましても、そしてまた繰り返しになりますが、経営健全化が金融の効率化あるいは経営の効率化ということに即しまして主たる目標であることはもちろんでございますが、それを補足するという形ではやはり保険制度が必要であろう、このように考えております。
○土屋参考人 私もいまの御意見と同感でありまして、基本的には金融正常化を強力に進めなければならぬということはもちろんでありまして、それを私ども過去二十年来提唱してまいったのですが、その歩みが遅々として進まない。非常に遺憾だと思っております。
 預貸率幾らかということは、これはいろいろな基準がありますけれども、戦前でいえば大体七〇%から七五%くらいだと承知しています。戦後、いまの数字で見ましたように、いいところで八二%、やはりこれは好ましい状態だとは考えておりません。近時、一時から見るとかなり改善されましたけれども、それを一そう強力に推進していくことを私は希望しております。ただ、それが推進されるまで預金保険をやらぬでいいかということになりますと、そうではないので、やはり強力に金融正常化をやりながら、預金保険のほうは早く整備しておいたほうがいいのではないかと思っています。
 なぜそんなに預貸率がなかなか直らないか。もちろんこれは資金需要が多いということもあるのですけれども、私はやはりいろいろ突き詰めていくと、公社債市場が整備されてないということに尽きると思うのですね。これは公社債市場が整備されて、金融機関が公社債をもっと保有するという形になれば、預貸率が非常に改善されてくるのですが、いま公社債市場は、もうほとんどあれどもなきがごとし、ただ名目だけで、非常な矛盾がいろいろな面において起こっておるという状態であり貸す。ですから、一体公社債市場をどういうふうに確立をするのか、それが金融正常化を進める上のポイントじゃないか。この点はひとつ政府においても十分案を練って、急いでやらなければいかぬ問題だ、私はこういうふうに承知しております。
○堀委員 けっこうです。
○毛利委員長 藤田君。
○藤田(高)委員 私の質問時間は非常に限定されまして、約二十分程度のようでありますから、そのものずばりでお尋ねしたいと思うのです。
 順序は不同ですが、この金融制度調査会の答申の経過の中にもあるわけでありますが、今度の保険制度の対象になるものは、先ほども参考人から御意見がございましたが、銀行から信用組合まで入る、こういうことであります。信用組合はその監督権から申しましても、原則として都道府県がその監督権を持っておる。ところが、労働金庫ですね、現在の預金高は、四十五年の十月段階で約三千二百七十億、相当な預金高を持っております。もちろん都市銀行だとか普通銀行だとか、あるいは他の銀行に比べますと預金高は相対的に少ないかもわかりませんけれども、いま申し上げたような預金高を保有しておる。この労働金庫だけがなぜ今回の保険制度の対象からはずされたのだろうか。労働金庫の場合は、その監督権の立場から見ましても、大蔵省と労働省が共管の立場に立っておりますし、また一面、立場を変えて、先ほどの御意見ではありませんけれども、信用組合を入れるというのであれば、特定なメンバーの預金を取り扱っておるという性格からいっても、私は労働金庫と信用組合というのは性格的にあまり違わないと思うのですよ。そういう性格を持っておる。むしろ監督権の立場からいけば、今度の保険制度のシステムからいって、政府出資まで行なわれるこの保険制度に、信用組合がその対象になるにもかかわらず、労働金庫がその対象にならないというのはおかしいのではないかと私は思うのですが、そのことについて岩佐参考人と土屋参考人から御意見をお聞きいたしたいと思います。
○岩佐参考人 藤田先生のお尋ねでございますけれども、私まことにお恥ずかしいながら労働金庫の内容、実態を必ずしも十分によく存じ上げておりませんので、やや見当違いなことを申し上げるかもしれませんけれども、労働組合の預金は団体の、ほとんどあるいは主としてでございますか、団体の預金ではないかというふうに承知をいたしておるのが第一点でございます。
 そして信用組合と労働金庫、これが必ずしも性格として同じに考えてしかるべきものなのかどうかという点についても、私十分なる検討もいたしておりませんしも私自身よくわからない点でございますが、先生の御指摘のように、これを込めることのよしあしというような点につきましては、私としては、いま申し上げておるように、知識不十分でまことにお恥ずかしいながらも的確な私の意見を申し述べることができない次第でございます。
○土屋参考人 労働金庫の預金というのはほとんど個人預金がないのです、労働組合の預金でしてね。今度の預金保険の趣旨というのが個人の大衆預金を保護するというところにあるわけなんです。したがって労働組合の預金を保護するということまで拡張することはちょっと趣旨が違うんじゃないかと思います。
○藤田(高)委員 土屋参考人の場合はともかくとして、岩佐さんの場合には金融制度調査会の有力なメンバーですから、また直接金融機関の全国銀行協会の会長もなさっていますし、いわばその経歴から見ましても金融機関はえ抜きのベテラン中のベテランだ、そういうなにから申しますと、私は、率直に申し上げて、労働金庫に対する認識というものがまず非常に欠けているんじゃないか。今回の保険制度の審議経過を見ても、労働金庫に関する論議というものはほとんどない。ところが先ほど指摘したように、三千二百七十億からの預金高があるというのは、これはりっぱな金融機関ですよね。しかも今回のこの保険制度が零細預金者の保護にあるんだということであれば、私はむしろこの種の労働金庫を含めた保険制度をどうするかということが当然対象になるべきだと思うのですよ。いまの御答弁を聞いておりましても、労働金庫の預金者は団体だけだというふうに限定されておるようでありますが、これは決してそうでありません。みんな個人名義で預金をしておるわけですから。だからこれはもう全然認識が違っておるわけでありまして、私はそういうことで金融制度調査会が二年九カ月もかかって出してきたというこの保険制度が、そういう点では非常に大事なところを落としているんじゃないか、一番対象にすべきところがむしろ落ちているんじゃないかと思うのです。そういう点では、これは参考人の意見としてあくまでも拝聴しておきたいと思うのでありますが、私がいま指摘しておるようなことが労働金庫の実態であるとすれば、この法律制定にあたって労働金庫をその対象にすべきではなかろうか。この信用金庫の場合には任意加入でもいいではないかという形で論議をされた経過が載っております。ですから、そういう論議があったぐらいですから、私は、もし非常に問題があるとすれば、その問題の性格を浮き彫りにした形で、少なくとも任意加入の対象にするとかいうことが当然あってしかるべきではないかと思うのですが、ひとつその点についての見解をお聞かせいただきたい。これは岩佐さんのほうからお聞かせいただきたい。
 時間がありませんから重ねて申しますが、これは私一昨日大蔵当局に質問をしたことでありますが、このことに関連をして、実はこの金融制度調査会のメンバーの中には、正規の委員、臨時委員と分かれておりますが、この中に労働団体を代表する代表者が一人も入っていないのです。私は、こういう金融制度調査会の正規のメンバーに、少なくとも今回のような少額預金者を、大衆預金者を保護するという問題を論議するような場合には、当然労働金庫の代表とかあるいは労働団体の代表とか、そういう者をこの正規の委員に入れるべきだと思うわけでありますが、そのことについての見解をひとつお聞かせいただきたい。後段の問題については、これまた失礼でありますが、土屋先生十二時十五分までしかおられないようでございますので、先生の御意見もあわせてお聞かせいただきたいと思います。
○岩佐参考人 いまの藤田先生の御指摘でございますけれども、御意見の趣旨は私にもよくわかりますですけれども、私の聞いておりまするところでは、労働金庫自体がこの預金保険制度には加入したくないというような意向を漏らしておるというふうに私は承っております。
 それから金融制度調査会委員の云々の問題は、私もこれよくわかりませんけれども、事と場合によっては委員に加えられるというようなこともあるのではなかろうかというふうに私は存じておりますのでございますが……。それでよろしゅうございますか。
○土屋参考人 金融制度調査会に労働委員を加えたらどうかという御意見ですが、私は、政府のすべての審議会に次第に労働組合の代表を加えていくことが必要だと思います。それは方向としては経済審議会などにも労働組合の代表が入っておりますし、労働省関係、もちろんですけれども、次第にそういう形になるのじゃないかと思いますね。ただ、いますぐに金融制度調査会に加えるのが必要かどうかということになりますと、将来、非常に金融問題についての労働界の発言が重要になるその時点においては当然考慮していいと思いますが、現在すぐに加えなければならぬというふうにも考えておりません。ただしかし、これは全体の傾向としては労働組合の組織が大きな力になっていますから、一般的に政府がそういうことについて、もう少し認識を持っていいのじゃないかという感じが私の率直な印象です。
○藤田(高)委員 私はこれはあとで大蔵省自身に、また政府当局に対して質問することにいたしますが、労働金庫自身が加入したくないという意思を持っておるということと、こういった立法化をする場合に法律そのものの体系的な筋を通していくということとは、私は別だろうと思うんですよ。そのことが、もし労働金庫自身が加入することが適切でないということであれば、当然この答申の中にもそういう理由というものが明確に出てこなければならないだろうし、討議の過程にさえ出てこないで労働金庫は加入したくないというような、そういうことだけでは私はどうもおかしいような気がするわけであります。しかしこれは大蔵当局にこれからなお詰めて見解をただしたいと思うわけでありますが、私は少なくとも筋としては、加入対象にし、そうして先ほども言いましたように、それぞれの団体の意思というものはあるでしょうから、任意加入というような方式をとってもよろしいのではなかろうか、こう思います。この点についてはもうこれ以上申し上げませんかあとでひとつ政府当局に質問をすることにいたしたいと思います。
 昨日も私質問したことに関連をするわけでありますが、今回の保険制度は、先ほどの御意見にもありましたように、適正な競争原理を導入して、そうして銀行自身の、金融機関自身の資金の効率化をはかっていく、今回の制度の新設にあたってはそういうねらいがあるということが強調されておるわけですが、私はこれは決してそういうことになってはいけないし、また、もちろんその一定の限界もあるわけですが、競争原理を導入するということでいきますと、どうしてもそこには優勝劣敗というか、弱肉強食というか、資本の本質が働いて、金融機関自身の寡占体制、そういう資本の集中化というものがさらに促進をされてくるのではないか、これは一つの結果的な方向として。そういうことになることは、先ほど説明がありましたが、そういう面からいくと、失礼な言い方ですけれども、信用金庫であるとか、相対的に資本力の弱い銀行というのは、こういう形の制度にはあまり積極的に賛成する理由がないように私は思うわけですね。むしろ相互銀行は相互銀行、信用組合は信用組合で、縦の形で相互間の倒産以前の協力関係を結ぶ制度がありましたが、そういうものを強めていったほうが、信用金庫であるとか、あるいは先ほど申しましたように、資本力の弱い銀行の場合には、そういうことのほうがよろしいのではないかという側面もあるような気がするわけであります。そういう点についての見解をひとつ、これは信用金庫の会長であります小原さんのほうからお聞かせをいただきたい。これが一つ。
 それといま一つは、預金者保護というわけですけれども、これだけ消費者物価を値上げしておいて、そうして、一世帯当たりの預金高というのはなかなかっかみにくいようでありますが、私は平均家族四人家族として、一人百万円ずつの預金をしておったとすれば、五年程度で百万の定期預金が――物価が上がらないで、五分五厘の利子がずっとついて、そういう面の経済的な効果が預金者にはね返ってくるというのであれば、五年足らずで百万程度のものは返ってくるのですよ。そうでしょう。そういう根本的な問題に対して、政府機関なりあるいは政府のこういった諮問機関としての金融制度調査会あたりが、預金者保護という立場から考えても、この種の制度も、それはないよりはましでしょう。ないよりましでしょうけれども、根本的には預金金利の問題と物価の問題にメスを入れなければ、私は、預金者保護なんという大義名分を掲げた制度の新設というものについての理由は非常に薄弱になるのではないか、こう思うのです。このことについての見解をひとつ、土屋先生並びに黒川参考人のほうからお聞かせをいただきたいと思います。
○土屋参考人 預金金利がいままでの経済情勢の中で少し低過ぎたのじゃないかという感じは、私実は持っております。これはもちろん金融機関の採算がありますからそうむちゃくちゃに上げるわけにもいかないのでありますけれども、いまのように一年に物価が六%、七%上がるというときに、五分か六分の金利で預金をしている人は、私は実は勲章をあげてもいいくらいだと思っておる。気のきいたやつなら預金なんかしておりません。それを五分か六分の金利でがまんして一年、二年と預けているという人は、それに報いる意味からいっても、もう少し預金金利は高くてもいいのじゃないかという感じを私は持っております。ですから、今度一年半定期が二月一日から発足したのも、まあ一年半で六分でたいしたものではございませんが、そういう方向に沿うものとして私はけっこうなことだというふうに思っております。ともかく日本の場合、金利が硬直化していて、公定歩合と連動して貸し付け金利、預金金利が動くという、そういうオートマチックな仕組みになっておりませんから、あるときは預金金利を据え置く、あるときは上げるということで、結局あとになってみると非常に金利体系のでこぼこが起こっている。それでいろいろ問題があるのだと思います。預金金利については、私はいま言ったような意味でもって、もう少し高くてもよかったのじゃないか。現在金利が一般に下がってきておりますから、その中でこれ以上上げるということにもいろいろ経理上その他の問題があると思いますけれども、少なくともこの四、五年間の好況期においてはもう少し上がってもよかったのじゃないか、そういうふうに思っています。
○小原参考人 ただいま御質問になりましたのは、信用金庫のようなものは預金保険制度の必要はないじゃないかというふうな御意見だと思います。これは、私も実は金融制度調査会の委員として出席しておりましたときにも、結局預金保険制度は預金者保護というふうなことになっておって、まあ私どもが自主的に相互援助制度をつくっておりますのは、これは金融機関を援助する、こういう二つの面で心配しておるわけなんです。そこで、預金保険制度には、これは私も金融制度調査会の席上でも申し上げたのですが、治にいて乱を忘れるなというふうなことをお話ししたことがあります。これは現在は非常に正常な経済秩序を保っておりまするけれども、いつ何どき諸外国のような問題とか、あるいは大きな災害があったとかいうふうな場面がないとも限らないので、そういったようなことを考えますると、やはり個人預金なんかに対して最小限度の預金保険をつけるということは必要ではないかということでもって、私どもの信用金庫協会としましてもこの案に賛成しておる次第であります。
○毛利委員長 参考人に対する質疑を十分間中断いたします。
     ――――◇―――――
○毛利委員長 この際、証券取引法の一部を改正する法律案及び外国証券業者に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案に対する質疑はすでに終了いたしております。
 これより討論に入るのでありますが、両案については、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、証券取引法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 次に、外国証券業者に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○毛利委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
○毛利委員長 ただいま議決いたしました証券取引法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、坂元親男君外四名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。坂元君。
○坂元委員 ただいま議題となりました証券取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表いたしまして、その趣旨を説明申し上げます。
 案文は印刷してお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただきます。
 御承知のとおり、最近におけるわが国経済の国際化の進展及び証券市場の規模拡大等の趨勢に顧み、投資者保護の徹底、企業の長期資金調達の円滑化及び証券市場の秩序維持に資するため、証券取引法の一部を改正する法律案が提出されたのであります。
 本法案は、最近の諸情勢に照らしつつ、今後の証券市場、さらには国民経済の発展に前向きに対応していこうとするものであり、これをもって有価証券の発行、流通に関する基本的な法的整備が一応仕上がることになると考えられます。
 したがいまして、当委員会といたしましては、政府に対し、今後このような法制整備を踏まえた上で、投資者保護の一そうの徹底をはかり、有価証券の発行、流通に関する制度につきまして、今回の改正の趣旨を徹底するため、今後、連結財務諸表制度の採用、監査基準の整備等をはかるよう所要の検討を行なうべきであります。
 また、公開買い付けに対する規制に関する制度についてでありますが、この制度は新しく創設されました制度でありますことにかんがみまして、投資家保護の見地に徹して、十分適正な配慮をいたし、その運営に当たられることであります。
 さらに、わが国企業の長期資金調達の円滑化と自己資本の充実に資するため、公社債市場の正常化その他資本市場の改善、合理化に一そうの配意を要請いたしたいと思うのであります。
 以上が提案の趣旨であります。
 何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げ、私の提案の趣旨説明を終わります。
    ―――――――――――――
  証券取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 最近における資本取引の自由化、証券市場の国際化のすう勢に対応し、政府は、本法の運用にあたって投資者保護につき一層留意するとともに、左記事項について更に検討を行うべきである。
一、 投資者に対する企業内容開示の趣旨を一層徹底するため、有価証券届出書、同報告書等の開示書類に関し、連結財務諸表制度の採用、監査基準の整備等を図ること。
二、 公開買付けの規制に関する制度については、新しく創設された制度であることにかんがみ、投資者保護の見地に徹し、充分適正な配慮を行い、その運営にあたること。
三、 わが国企業の長期資金調達の円滑化を図るとともに、自己資本の充実に資するため、公社債市場のすみやかなる正常化その他資本市場の改善合理化を図ること。
    ―――――――――――――
○毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 おはかりいたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。福田大蔵大臣。
○福田国務大臣 ただいま御決議の附帯事項につきましては、政府といたしましても、その趣旨を尊重し、極力努力いたします。
○毛利委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
○毛利委員長 参考人に対する質疑を続行いたします。
 まず、先ほどの藤田君の質疑に対し、黒川参考人の答弁を許します。
○黒川参考人 継続的な物価の上昇に伴います経済のインフレ化と、預金の原価の問題と、それから保険事故にわたるような異常な事態が生じたときの問題と分けて考えてみたいと思いますが、前のほうの問題につきましては、申し上げるまでもなくさまざまな総合的な対策が打たれており、その効果は必ずしも十分ではないと思いますけれども、しかし基本的には、経済の諸活動におきまして、できる限り効率的な体制をつくり、かつ、その運営をはかるということが実は基本であろうかと存じます。
 その意味で、金融面からの、一金融機関にとりましては経営効率化、あるいは制度全体といたしましては制度としての流線型化といいましょうか、そういうことがやはりこのインフレの問題に関連いたしましても重要な問題というふうに私は考えております。
 第二番目のほうの異常事態が生じたときの問題といいますのは、聞くところによりますと、一人百万円程度の保障限度ということで、一見少ないように見受けられますけれども、現実に個人預金者の九七%程度までが百万円以下の預金者であるというような現実の事態を考えてみますと、もう一つ、一行につき一人百万円ということでございます、先生の御指摘のとおりのようなことで考えてみますと、現状に即して見る限り、以上二点から必ずしも過少な保障限度ではない、まあ申し上げさしていただきますと、ほぼ現状では妥当なところではなかろうか、こんなふうに考えております。
○藤田(高)委員 ありがとうございました。
○毛利委員長 松尾君。
○松尾(正)委員 参考人の方々はだいぶ時間が制約されておるそうでございますので、私は端的にお伺いしたいと思います。
 まず、黒川参考人が時間が制限されているということでございますので、先に黒川参考人にお伺いしたいのですが、一つは保険料率についてであります。この案では差別扱いをしないように今後きめていきたい、こういうふうになっておりますが、保険料率については、先ほど土屋参考人からもお話がございましたように、信用組合、銀行相互間の相違ですね、さらに各行間の格差等がございます。
 こういった点を考えましたときに、もちろん十分御検討はなすっておられましょうが、はたして一率の料金制が差別のない扱いなのか、あるいは格差に基づいて、応能的といいますか、現在税制等でとっておるような形がほんとうに公平なのか、差別がないのか、この点に対する御意見を、これは全部の方にお伺いしたいのですけれども、先に黒川参考人から伺いたいと思います。
○黒川参考人 本来ならば、先生御指摘のように応能的な要素を含めて考えてみたらいいかと思います。しかし、そのような考え方が社会一般にすなおに受け入れられるような状態ができていればそれで問題はないかと思いますけれども、たとえば先ほど土屋参考人が申されましたように、料率の高低がその金融機関の社会的信用を反映するというようなものの考え方が、一般的に、暗黙のうちにせよ、ございますような事態のもとでは、料率に応能的な段階を設けるということにつきましては、やや現実的でないところが出てまいるのではないか、こんなふうに考えます。
○松尾(正)委員 それからもう一つは、これは順序が逆になって非常に断片的でやりにくいのですが、もう一点伺いたいのは、余裕金の運用の問題でございます。先ほどからもお話がありますように、この預金が国民の血と汗の結晶である。したがって、制度の発端が預金者を保護する、こういうところにありまして、現在金融機関が過保護扱いにされておったものを、この保護という点で預金者と金融機関の保護を完全に分離したい、ここにこの制度の発端があると思います。そこで、この法案では大臣の指定する機関に預金ができる、こういうふうにありますけれども、「大臣の指定する金融機関」というこの意味と、それから取り方によってはむしろアンバランスになり、格差を生じ、相互にひずみを生んでくるのではないか、こういう点が考えられますが、この点についてはどのようにお考えでありましょうか、伺いたいと思います。
○黒川参考人 法案によりますと、御指摘のように業務上の余裕金の運用の範囲というものを法定してございます。したがいまして、まあこれは考え方によりますと運用の形態といいますか、各種類を指定するということでございまして、個別に、たとえば普通銀行あるいは地方銀行に限るとか、そういうようなことではないと、私は理解しております。その点は、しかし、実際には行政にわたることでございますので、問題点の一つあることは確かであろうかと思います。
○松尾(正)委員 結局この点、余裕金の運用については、私は、金融機関に預金をするということになりますと、国民の血と汗の結晶が結局金融機関に預けられ、また金融機関の都合で系列化するような状態に利用されていくということは、はっきり分離したということにはなっておりますが、金融機関保護の積み重ねというふうにもなりかねないし、またそういう危険が相当あるんではないか。したがって、この余裕金については、日銀ないし政府機関に預けるということをもう徹底することがほんとうの預金者保護になり、分離という筋が通せるんではないかと思うのですが、重ねてどうでしょうか。
○黒川参考人 私、ちょっとことばが足りませんでしたけれども、種類を指定すると申しましたのは、預託、預け入れる金融機関の種類を指定するということだと存じますので、その点はちょっと訂正させていただきますが、しかし、もしそのことが各金融機関の種類別に非常にはんぱな形で行なわれるということが前提になりますと、やはり問題は起きてまいろうかと思います。しかし、そこの点につきましては、むしろわれわれといたしましても、今後十分見守っていくというとなんですが、私個人も預金者の一人でございますので、そういう点も含めまして政府の行政なり政策の展開なりを見たい、こんなふうに思っている次第でございます。
○松尾(正)委員 それからもう一点は、要するに現在の金融機関の資本率あるいは流動資産、支払い準備金等が国際的にきわめて低い状態に置かれている。こういうときに、この保険制度を設けるということによってむしろ依頼心あるいは安易感が生まれる、こういうことも考えますと、保護の積み重ねという面も案じられるわけです。したがって、先ほどからもこの点については意見の開陳がありましたけれども、むしろ私は、この制度と並行して、金融機関に対してはほんとうにきびしい指導あるいは監督等をあわせて規制していくことが、ほんとうの預金者が安心できる方法であるこの預金保険法が、預金者が安心できて、むしろこの法律が制定されることによって金融機関はいままで以上にもっと責任を持った、絶対に事故を起こさないという方向にまで持っていくことがほんとうではないか。金融機関保護、それから、預金者保護を分離したという点はまさにここにあるのではないか、私はこういうふうに考えるわけですが、先ほど十分努力をすることが必要であるという先生の御意見がありましたけれども、具体的に、それではさらに今後どの程度進めていくべきかというお考えがございましたら伺いたいと思います。
○黒川参考人 たいへんむずかしい問題で、私自身金融行政ということについて具体的にこまかく存じておるものではございませんので、あるいは不十分なお答えしかできないかと思いますけれども、一つ、やはり金融機関の経営健全化ということを通じての預金者の保護ということは、先生御指摘のとおり、これはもう基本的にそうなければならない問題であろうかと思います。それとは別に、預金者に対して直接的に保障を与えるということは、これは冒頭申し上げましたように、預金の大衆化というような点一つをとってみましても有意義なことではなかろうかと存じます。
 また、後段の問題にいたしましては、この預金保険機構を確立することによりまして、一そう金融行政なり金融政策の効率化ということが推し進められることは、もう自明というとなんでございますけれども、その方向に動きつつあるということから見ましても、そのような見通しを持つことができると思います。現に店舗の自由化の問題、あるいは異種金融機関の合併に至るまで、かなり目立った政策がとられており、今後もそのような措置をとられた基本的な思想に基づいて、さらに具体的な手が打たれるものと私は見ております。具体的にどういうことになるであろうかということにつきましては、私も十分な情報は持っておりませんので、お許しいただきたいと思います。
○松尾(正)委員 では黒川参考人については終わりましたので……。
 あと、第一番に伺いました保険料率についての考え方でありますが、これは全体の参考人に伺いたかったのですが、岩佐参考人、小原参考人にひとつお伺いしたいと思います。
○岩佐参考人 保険料率の点につきましては、運営委員会で今後いろいろな角度から検討されることになっておるように承知いたしておりますので、運営委員会におきまして、いまの先生の御意見等も加えましていろいろな角度から検討されてしかるべき問題であろうかと存じておる次第でございます。
○松尾(正)委員 あなたのお考えは……。
○岩佐参考人 まあいまの、具体的なということになりますと、銀行協会長の立場といたしましては、各金融機関それぞれの規模に応じましてという考え方が一応出ておるのでございますけれども、これが先生の御趣旨のようなことに考えるのか、あるいは平面的にと申しますか平均してと申しますか、そういうことでやりますのか、その辺がいまお話ししているように今後の問題でありまして私、銀行協会長の立場としてそれに対して何かはっきりしたことを言えるような立場でございませんので、御了承いただきたいと思うのでございます。
○小原参考人 保険料の問題でございますが、この問題につきましては、今度の機構の経営の経費のようなものが保険料に含まれるということについては、私はできるだけそれはやめてもらいたい。実際の保険金を支払ったような面についての保険料はけっこうですけれども、経費については、先ほども私申し述べましたように、何か政府なりまたどこかでもって、ひとつ保険機構のほうに財政資金のようなものを預託していただいて、その金利差か何かでもって経費は補っていただくということにさしていただくことによって、保険料も軽減されるんじゃないかというふうに考えておりますので、それを希望する次第でございます。
○松尾(正)委員 もう一点小原参考人に伺いたいのですが、先ほどからもありましたけれども、この運営委員のメンバーが機関の代表になっておりますけれども、意見としては、各層の代表を入るべきだ、こういう意見がございます。これに対して信用金庫という立場で、この機関代表だけでほんとうに預金者保護に徹する運営が可能かどうかという点については、どうお考えになりましょうか。
○小原参考人 ただいまのお尋ねの面でございますが、これは金融機関としましての普通銀行であるとか相互銀行、信用金庫というふうなものばかりでなく、日本銀行の副総裁が今度は理事長になってこれも委員になられる、 そのほかまた理事の方も委員になられるというふうなことで、それらの方からもいろいろな御意見が伺えるんじゃないかというふうに考えまして、いまの金融機関のメンバーは全部で六人か七人でしたが、そんなものですから、私はそれでけっこうじゃないかと、こういうように考えております。
○松尾(正)委員 それでは最後に、もう一点岩佐参考人にお伺いしますが、この保険法の扱いが、一般信用恐慌、こういうような状態の場合に、はたしてこの保険法はどういう扱いになるか、関係になるとお考えか、その点を一点伺いたいと思います。
○岩佐参考人 一般金融恐慌といったようなものがかりに非常に大規模なものであるとしますれば、これだけではもちろん十分でないというふうに承知いたします。しかし、そういう状態というものは来させてはなりませんし、また来るということは万予想できないということでもあろうかと思いますので――、思い起こしますと、私などは昭和の初頭のあの実地の経験を経ている者の一人でございますけれども、その当時と違いまして、金融制度にいたしましても金融機構にいたしましても、あるいは社会一般の機構にいたしましても、現在においてはかなり違った姿になっておりますので、そういうようなことを予想してまで考えないでもよかろうではないかというふうに私個人は考えております。
○松尾(正)委員 以上で終わります。
○毛利委員長 小林君。
○小林(政)委員 預金者保護とは、本来金融機関が自主的にその支払い準備等の体質を強化いたしまして、金融機関自身の責任で行なうことが原則であろう、私はこのように考えます。しかし、現在金融機構の中でも不祥事件が起こったりあるいはまた倒産が事実出ておりますし、このような中で預金者の保護というものが顧みられていない現状を思いますときに、預金保険制度の創設されるということについては、これはけっこうなことだというふうに考えておりますが、私は、このいわゆる金融保険制度というものがこの時期に設置されたということについて、その政策の力点と申しますか、一体金融再編成あるいは金融の効率化、こういった政策を推し進める基盤づくりの重要な役割りを果たすという位置づけにつきまして、若干考え方の上で問題が出てくるのではないだろうか、このように考えるわけでございます。
 金融機関の競争原理の導入によりまして整理統合というものが今後強められるのあろうということが予想されますけれども、今後倒産その他についての見通しと申しますか、この点について岩佐参考人にお伺いをいたしたいと思います。
○岩佐参考人 いま先生の御指摘がありました点でございますけれども、本来ならば自主的に十分なる健全経営をやりまして、経費もできるだけ節約し、そして経営の合理化をはかり、内部留保を十分にし、諸支払い準備金を十分に積み立て、そして、そういうような事態が、多少の社会的な経済の変動がございましても、十分にそれに対応していけるような金融機関の姿というものをつくっていくことが絶対に必要であるというのは、これはもう基本的な問題であろうかと思います。それは先生の御指摘のとおりだろうと思います。
 しかし、一面におきまして、私、口述の中にも申したことでございますけれども、いわゆる大衆化というものが急速に広く進んでまいっております。大衆の中に銀行の預金というものがいろいろな形において広まり、進化しておるというのは、これはまぎれのない事実でございます。そういうようなことも一方において踏んまえまして、それから一方におきまして先生の御指摘がありましたように、何と申しましても、今後金融機関におきましても経営の効率化というものを進めていかなければならない、また進めざるを得ないというようないろいろな客観情勢も出てきております。その中において正しい意味の競争原理というようなものも、若干そこに作用されてくるということも実際問題として起こる可能性もあるのではないかと思います。こういういま申し上げているようないろいろな条件を踏んまえまして、やはりこれは日本だけじゃございません。アメリカ、カナダ等においても行なわれておることでございますし、預金保険制度というものをこの時点において導入するということも、私としては時宜を得た、また必要なことではなかろうかというふうに個人的に考えておる次第でございます。
○小林(政)委員 いまいろいろとお話ございましたけれども、私がお伺いをいたしましたのは、そのような状態の中で金融機関のいわゆる倒産なりそういうものの今後の見通しですね、少なくとも現在は安定をしている、しかし、今後の見通しについてどのようなお考えをお持ちか、お伺いをいたしたわけでございます。
○岩佐参考人 いまのお尋ねでございますけれども、その見通しということになりますと、私も的確なる見通しは持ち得ないのでございますが、そういうことが起こらないように金融機関の経営の健全化をお互いに強力にはかっていくことこそ、大事なことであろうというふうに考えておる次第でございます。
○小林(政)委員 競争原理の導入、この問題は金融効率化を推進していくということがいわれておりますけれども、正しい意味での競争、それと同時に、私は、やはり先ほどお話も出ましたけれども、金融の正常化の問題ですね、この問題ということは決して一方的にどちらに重点が置かれるということではなく、正しい競争と正常化というものが伴っていかなければならないというふうに考えておりますが、特に地域経済を中心として設立をし、活動してまいりました金融機関等、あるいは信用金庫などは、私は当然、その業務分野からいっても都市銀行その他普通銀行とはまた異なった分野を持っているであろうというふうに考えられますけれども、したがって、金融の効率化というものを考える場合にはただ自己の経営の立場からのみ金融の効率化ということを考えるのではなくて、当然正常化の問題等について、具体的にそのような金融機関に対してどのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるのか、この点についてもこの際、岩佐参考人にお伺いをいたしておきたいと思います。
○岩佐参考人 いま先生の御指摘の点、金融の正常化ということばでございますけれども、これにはいろいろな意味を含んでいると思いますが、いずれにいたしましても金融の正常化というものを一段と進めていかなければならない、あるいはある程度は今後においても進んでいくのではなかろうかと思います。その過程におきまして、一方において金融の効率化というものも経営の面からも行なっていかなければなりませんが、同時に、そのことがまた金融機関の公共的使命を果たしていく上からも、必要なことではなかろうかとも思うわけでございます。
 その金融効率化のほうの内容につきましては、いまの先生の御指摘のように、それぞれの金融機関によりましていろいろ違った要素がございますしいたしますので、一律一体に、こういう姿が効率化だということは言い切れない面もあると思います。そういう観点から考えますと、金融の正常化、効率化というものは両方とも進めていかなければならないのでございますが、先生の御指摘の金融の正常化の内容はそれじゃいかんというような点になりますと、これは一口でなかなか申し上げにくいいろいろのものを含んでおりますので、時間の限られた中においてはおわかりいただくのがむずかしい、十分私の考えを御理解いただくのがむずかしいと思うのでございますけれども、まあ一つの問題といたしましては、先ほどもお話がございました銀行の預貸率という問題もあろうかと思いますけれども、この銀行の預貸率の問題は、日本の経済の現在まで発展してきた過程、そして現段階、将来発展していくであろう方向と密接不可分な問題でございまして、日本の金融機関の場合、預貸率が他の欧米先進工業国と比べまして高いことも事実でございます。ございますが、それはそれなりの、いまお話ししているような観点で考えますと理由のあることでございます。しかしこれに対しては少なくとも、もう少しこの預貸率というものの低下をはかることが必要であろうかと思うのでございますが、これはまた金融政策当局の金融政策のやり方の問題とも関連いたします問題でございますので、おわかりいただけるように私の意見を簡単に申し上げかねるので、この程度で御了承いただきたいと思います。
○小林(政)委員 たいへん時間がございませんので、その点についてもまだちょっと納得がよくできませんけれども、もう少しお聞きしたかったわけですけれども、先へ急ぎたいと思います。
 私、特に最近の普通銀行また都市銀行などで顕著にあらわれている傾向といたしましては、非常にいろいろ多面的な制度が取り入れられまして、消費者ローンの問題だとか、あるいは自動振りかえ制度の問題だとか、あるいはクレジット加盟店の拡充の問題とか、あるいはまた、一言でいうと給料の銀行振り込み、実際現金を持ってなくても銀行からすぐに払い出しをし、そしてクレジットに入っていればそれでもう用が済むといったような、こういう多面化が非常に進められておりますし、特にサラリーマンとか中小企業の分野に対して、取引の推進が非常に積極的に最近推し進めらているように感じられます。私、こういった中で特にオンライン化等の問題も、情報化という中で巨額な資金の必要とするようなそういうものも備えつけられ、そして中小企業関係といいますか、そういう分野への進出を非常に積極的に推し進めておられるわけでございますけれども、こういう点が、業態の異なる金融機関相互の自由競争がこのような状態の中で現状で行なわれております場合には、具体的な弊害というようなものはどんなものが予想されておるのか。これは小原参考人にお伺いをいたしたいと思います。
○小原参考人 お答えいたします。
 ただいまのお尋ねの面でございまするが、信用金庫のような中小企業専門金融機関であり、また地域を限定した金融機関というふうなことからしまして、最近の――こういうところで申し上げると大蔵省の人にどうかと思いますが、店舗の問題でございます。店舗の自由化というふうなことが起っておりまして、まず第一番に配置転換の自由化こういうことで経済的に幾ぶん低いところから経済的に将来発展しそうなところへどんどん店舗が集中してくる。ことに千葉県とかあるいは埼玉県というふうな東京周辺に非常に多くなってきておる。そこで、われわれ中小企業の金融機関としまして、そういう地域でかなり中小企業の心配をしておるところでございますが、そこへ大きな銀行さんがどんどん出てくる。こういうふうな面について、私もいろいろとこれにつきましては大蔵御当局にもお願いはしてございますけれども、ただ金融の効率化というふうな観点から、金融機関がただ金がもうかるところへ店舗を持っていって、もうからないところはやめていく、こういうふうな面があるわけなんです。そういたしますと、結局銀行が裏日本のほうだとか、あるいは四国だとか、また山陰地区というふうな経済的に恵まれないような地域から、どっちかといえばもうかるところへ、どんどん自由化によって店舗が変わってくる。そうしますと、引っ越していかれたところ、銀行がなくなってしまったところの地域としますれば、これは銀行がどうも引っ越していってしまう、そこの地域は非常に経済的にだめだというレッテルを張られてしまうようなことになりますと過密、過疎ということがございますが、一そう過密、過疎に拍車をかけるというふうなことについては、ひとつできるだけ大蔵省でも考えていただきたいということを申し上げております。ですから、なかなか、効率化という問題について、また競争原理ということにつきまして、金融機関は公共的の面ですから、若干その経済力の低いところにいましても、やはりその地域のために心配しておるということが公共的の金融機関であるということでございますが、どうもその点、私ども地域金融機関としましては、遺憾な面が若干出ておるように感じる次第でございます。
○小林(政)委員 時間がございませんので、最後に一点だけお伺いをいたしたいと思います。
 いまの御意見等も、私、何点か、わずかな質問しかできませんでしたけれども、その質問のお答えの中からも感じられますことは、やはり良質の預金が一つの非常に大きな資本力を持っている銀行に集中化されていくような結果が出てくるのじゃないだろうか、この点非常に危惧を持つものでございます。
 最後に私一つお聞きしたいのは、金融二法の制定で、異なった金融機関の間の合併ですね、あるいはまた転換の道が開かれましてから、相当金融機関の合併というようなものが促進されておりますけれども、このような金融再編成とか合併について、どのような見解をお持ちになっていらっしゃいますか。基本的なお考えを一点伺って、私の質問を終わりたいと思います。小原参考人にお願いいたします。
○小原参考人 ただいまのお尋ねの面でございますが、結局合併転換法で、今度われわれのほうが銀行さんに吸収されることもありますし、また場合によれば、銀行さんを私どものほうへ吸収ができるというふうな法律になっております。けれども、どうしてもやはり大きな銀行さんのほうへ吸収されるという面が多いのでございます。しかし私ども信用金庫業界といたしまして考えておりますことは、信用金庫は中小企業なり一般国民大衆の金融機関であるということから、信用金庫に滞在しておる金は、これらの中小企業や一般国民大衆に心配するという金になっております。ところが、岩佐さんがここにおいでになって恐縮なんですが、やはり大きな銀行さんのほうへ合併したということになりますと、信用金庫にある金ならばみなのもので、大きな銀行になりますとどうしても大企業中心ということは、これはもう申し上げるまでもないことなので、これらの金が今度は大企業だけにいくだけということはありませんが、中小企業も御心配になっておりますけれども、主として大企業のほうへお入れになるということでは、私は、中小企業の発展なり国民生活の安定という面からはなはだ遺憾だ、こういうふうに考えておる次第でございます。
 信用金庫業界としましては、そういう面から、われわれ信用金庫同士の合併ということはやります。それならばもう一定の地域内なり先ほどの目的に利用できるということでございまして、一件ございましたけれども、そのほかには、信用金庫としては、私どもが指導いたしまして、信用金庫の金はこういう金なんだから、同じ金は金でも持っていく場所が違うんだからということを強調している次第でございます。
○小林(政)委員 以上で終わります。
○毛利委員長 関連質問を許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 小原参考人に一つだけお伺いしたいのでありますが、信用金庫では、預金保険の制度が前に信金あるいは信用組合、このようなところを対象としたというような経過がありましたけれども、それがだめになったということで、一種の預金者の保護というようなことと同時に、また比較的当時体質が弱かった信用金庫の場合、そのまま年率二〇%以上の預金が増大するというようなことで、非常に業界も発展をしてきておるわけでありますけれども、何らか相互援助的な制度というものを共済的に、あるいは相互保障的にやってきた、こういうことなのでありますが、振興預金制度というものは三十八年の九月に廃止されたということなんですが、そういうものが、振興資金制度としては三十一年からずっといままでも続いておる。あるいは振興基金制度、支払準備預金制度、あるいはまた、信用組合の場合には保障基金制度、こういうようなものがあるようでありますが、今回保険機構ができた場合に、こういうものを皆さんの立場でいまどういうものをやっておられるか、そのことをちょっとお伺いして、それと同時に、この保険制度にかかわらず、これはやはりこれとしてやっていく方針であるのかどうか、この点についてお伺いいたします。
○小原参考人 お答えいたします。今度の預金保険で保護されます面は、百万円まででございます。ですから、百万円以上の預金をなすっている方の保護ということが大切でございます。そういう面からいたしまして、これができましても、今回、百万円以上の面を保護するために、これはこの間も理事会で決定をいたしましたが、先ほど申し上げましたように相互援助体制としまして、五百億円の資金を集めようということで、これは三年で連合会のほうへ積み立ててもらうということでございます。現在信用金庫の資金量が八兆円でございますので、五百億円というとかなりの数字になっておるわけです。これは、信用金庫がどうかしたときにはこの金をもって心配する、こういうことでございます。そのほかに、連合会のほうに振興基金というのをつくっております。振興基金と申しまするものは、先ほども申し上げましたように若干経済的に弱いような地域に資金を流さなければならない、山陰なら山陰方面にですね。そうしたときに、あまり高い金利では振興にならないから、利子補給というふうな面で振興基金というのをやっております。これは、現在金額は少ないのですが、二十三億円ばかり持っておるわけです。
 そのほかに振興資金というのをやっております。振興資金と申しますのは、これも今度、私もこの間実は沖繩に参りましたのですが、沖繩が来年復帰しますと、あそこにも信用金庫ができますので、そういったような、沖繩が非常に経済的に低いというふうな面に対しましては、これらに対して若干の振興資金のような面と呼び水的の面を心配してあげることが必要じゃないかというのでもって、これは連合会独自の金でもってやる。この三つの面でもって今後やっていきたいというので、預金保険ができましても、われわれ業界の信用金庫に預金された方に対しては、業界としては、善意の預金者には決して御迷惑をかけぬ、こういうふうな体制をとっておる次第でございます。
○毛利委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、御多用のところ御出席いただき、貴重な御意見を述べてくださいまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 午後二時より再開することとして、暫時休憩いたします。
    午後一時八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十七分開議
○毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 預金保険法案及び貸付信託法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。古川君。
○古川(雅)委員 預金保険法案について二、三お尋ねをいたします。
 最初に、預金保険制度を制定するに至った動機でございますが、これは一昨日、藤田委員の御質問に対しての御答弁がありましたが、もう一度お伺いをさしていただきたいと思います。
 この制度はいままでなかったわけでございまして、今日こうして制度を設けるということに至ったその背景につきましては、いろいろ御説明がございました。この必要性については、当然前々から議論があったということでございましたけれども、なぜいまこうして制定に踏み切らなければならないか、もう少し具体的に、いわゆるやむにやまれず制定に至ったのであるというような背景についてまず御説明をいただきたいと思います。
○近藤政府委員 お答え申し上げます。
 まず、具体的に預金保険制度をどうしても成立させたいという気持ちはかなり前から事務当局等を中心にいたしましてはあったわけでございますその一番大きな理由は、従来金融機関が破綻に頻しました場合に、これを救済いたします方法といたしましては、近隣の金融機関がこれに肩入れをする、あるいはこれを救済する、そういう方法をとりますか、あるいはまた、その業界全体の中央協会が乗り出しまして、直接これを救済いたしますか、そのいずれかの方法によるしか方法がなかったわけでございます。
 ところが、そのいずれの方法につきましても、非常な限界がございまして、たとえば近隣の金融機関といたしまして、何らかの救済の手を打ちたいという気持ちはやまやまであっても、その実力が伴わないという場合もございますし、あるいはまた、その金融機関自身の株主に説明するためにも、何かこれを吸収するなり救済するなりすることによってメリットがなければ説明がつかぬ。そのメリットをたとえば店舗行政に求めるということが常であったわけでございます。ところが、そういうことになりますと、著しく店舗行政の筋をゆがめることにもなりかねない、そういうようなことが一つの原因であったわけでございます。
 たまたまここ三、四年来、金融制度調査会を中心といたしまして、金融機関のいわゆる過保護な行政を改めるべきであるという動きが起こってまいりました。そのためには、やはり相互の間に適正な競争をさせなければならないということになってまいりました。その観点から、たとえば店舗行政につきましても、できるだけ自由化をしていったらどうかというような議論が出てまいったわけでございます。そういう背景のもとにおきましては、従来以上に、近隣の金融機関が救済に乗り出すという方法につきまして大きな限界が出てまいることを感ぜざるを得ないわけでございます。そういうような点からまいりまして、この際どうしても火急の問題といたしまして、預金保険法の御審議を願い、成立を願うということになったわけでございます。
○古川(雅)委員 預金者保護の万全を期すということを表に出してきたということでございます。と同時に、いままでの政策が、いわゆる銀行過保護であったという一端もお認めになったわけでございますが、これまでの銀行に対する政策上、たとえば預金金利の最高限度が定められて、常に一定の範囲の利ざやが確保されている、あるいはまた、店舗の増設、これも一律に規制をされておりまして、現在ある金融機関についてはある程度のシェアが確保されていた、さらに配当率も最高が押えられている、こういう政策が行なわれてきたわけでございますが、今度の預金者保護という政策がとられた以後においては、これまでのこうした銀行に対するいわゆる過保護という非難のあった政策についてはどのように進められていくのかこの点をお願いいたします。
○近藤政府委員 ただいま御指摘のありました諸点につきましては、今後ともできるだけ自由化、弾力化という方向で、いわゆる適正な競争原理の働くような方向に持ってまいりたいというふうに考えております。ただ、これは、預金保険制度ができるとできないとを問わず必要なことでございまして、これはこれで、ぜひとも推進をいたしてまいりたい。かたがた預金保険制度も、万一の破綻の場合に備えまして、別個の法問題として、できるだけすみやかにつくり上げたいという気持ちでおるわけでございます。
○古川(雅)委員 その点、先日も指摘されたところでありますが、いわゆる金融機関をの保護ということから預金者保護という政策を分離さしていく弊害として、企業体としては倒れる心配がないかというところに一つ問題があると思いますが、非常に安易な競争が行なわれるのじゃないか、そういう心配が絶えずなされてきたわけでありまして、表面には預金量を争うために、採算を度外視して各種の経費が使われる、そういう心配はないかという、その点についてはいかがでございますか。
○近藤政府委員 確かにお示しのように、いままでは、預金量の競争、量的な競争というものを中心にいたしましてたいへん激烈な競争状態が展開されておったわけでございます。
 今回金融制度調査会が主として取り上げました方向は、その量的な競争を、いかにして質的な競争に転化していくべきであるか、そういうことでございまして、先ほどお触れになりました店舗にいたしましても、配当にいたしましても、金利にいたしましても、そういう量的な競争を質的な競争に転化するための手段として取り上げられた問題でございます。そこで、この預金保険制度も、金融機関保護から預金者を直接保護するという方向に向かいますことによりまして、金融機関同士がいたずらに量的な競争を行なっても、それで十分保護されておるという状態では必ずしもないという状態になることが一つの方向として、金融制度調査会の議論の中にもそういう議論が出てきておりますが、少なくとも量的な競争というものはこれからできるだけ避けるという方向で進めてまいらなければならぬというふうに考えております。
○古川(雅)委員 預金者保護という目的のもとにこの制度を今度制定するわけでありますが、その一つの理由に、預金の大衆化の進展ということをあげていらっしゃいます。
 そのほか、金融機関相互間の業務の連携度の増大、ここまでは一応わかるわけでありますが、その次の、いわゆる経済の国際化に伴うわが国をめぐる経済環境の変化等の事態にかんがみという一項がございますけれども、この点についてひとつ具体的に御説明いただきたいと思います。
○近藤政府委員 これは二つの側面がございまして、一つは、経済の国際化に伴いまして、わが国の産業機構が激変するような事態を迎えつつあるわけでございます。そういう産業構造の激変に備えまして、かなり苦しい立場に立つ中小企業、これに対する金融を十分につけていきますためには、中小金融機関を中心とする金融機関自身の体質の強化、そういうことが必要であるわけでございます。それが一つの側面。
 それからもう一つは、外国の金融機関が進出をしてまいることによりまして、金融機関自身もかなり新しい競争の側面が出てくるかもしれないということ、それらの点をもかんがみまして、金融機関が相当の激動期を迎えつつある、金融機関のみならず、産業界を含めましてでございますが、そういう状態に即応して、やはりこの預金保険制度というものがぜひ必要であるという意味でございます。
○古川(雅)委員 ただいまの件でございますがこういう事態を想定しているといいますか、一般的に信用恐慌がこれから起こり得る、そういう可能性があるということを多少見込んでいるのかどうか、その点についていかがでございますか。
○近藤政府委員 信用恐慌というような事態は、行政上のあらゆる努力あるいは金融機関自身の努力、そういうことを積み重ねまして、いかにしても避けなければならないことであろうかと存じます。預金保険制度は、そういうことを未然に防ぐというための手段でもあり、また、初めから金融機関がつぶれるということを想定して特に設けるものではございませんで、いわば伝家の宝刀と申しますか、なるたけなら抜かずに済めば抜かずに済むようなことが望ましい。しかし、そういう制度的なささえというものは、やはりどうしてもあることが必要である、そういう制度であろうかと存じます。
○古川(雅)委員 この制度を制定する必要性というのは前々からあった、しかも、今日いろいろな環境の変化等にかんがみ、いよいよ制度を設けることに踏み切ったということでございますが、当然そこには、これまでこうした預金者を保護する政策をとれなかった、これを制定できなかった事情があるかと思いますが、その点についてはいかがでございますか。
○近藤政府委員 これは従来は、先ほど申し上げましたように、たとえば店舗行政というようなものが非常に自由化されていない段階におきましては、ある程度そういうようなことによりまして、近隣の金融機関によって救済をしてもらうというような方法で救い得た面もございまして、それでも預金保険制度の創設というものは非常に必要なこととして、昭和三十年ぐらいから何度かこの法案の御審議をお願いしたいという動きはあったわけでございますが、たまたま金融制度調査会がこれを取り上げまして、昨年の七月に御承知のような答申の中に最重点項目としてこれを取り上げましたので、急速に具体化をいたすという運びに相なったわけでございます。
○古川(雅)委員 銀行局当局としてはかなり早い時期からこの制度の制定をお考えになっていたようでありますが、いわゆる大銀行等の抵抗があって制定ができなかったというような事実はございますか。
○近藤政府委員 抵抗というほどではございませんが、たとえば自分たちがつぶれないのに会費を払うということに対して若干の消極的な感じ、これは確かにあったろうかと存じます。
○古川(雅)委員 そうしますと、この制度を今後永続させていくというお考えのもとに今回御提案になったのか。そのお考えがあるとすれば、これまで多少消極的であったといういま御答弁でございましたけれども、そうしたある一部の銀行筋から抵抗が起こってこの制度が行き詰まっていくというような事態はお考えになっておりませんか。
○近藤政府委員 先ほど申し上げました消極的な気持ちと申しますものはごく一部でございまして、現在では全国銀行協会の中における大銀行、都市銀行の合議体におきましても、全面的に賛成であるということになっておりますので、一たびこれが法制化されまして制度が動き出しましたあとにおいて、特にこれに対する抵抗というようなものはなかろうかと存ぜられます。またかりに都市銀行にいままで破綻がなかったといたしましても、信用秩序というものは大銀行から小さな信用組合に至りますまで一体となって、一つの信用秩序になっておるわけでございますから、そこのどこのすみに問題が起こりましても、やはり問題はいずれは大きな銀行にも波及せざるを得ないというたてまえのものでございますから、都市銀行も十分その点を認識いたしまして、今回は完全にこの法案に賛成をいたしておるものというふうに了解いたしております。
○古川(雅)委員 もう一度確認させていただきますが、今後この制度を永続させていくという方針でスタートするわけでございますね。
○近藤政府委員 永続をさせるというつもりでございます。
○古川(雅)委員 次に、この預金保険の機構の問題でございますが、いただきました資料によりますと、まず資本金については政府、日銀、加入市中銀行等それぞれが三分の一ずつ、四億五千万とするということでございますけれども、この点はこの間も御質問がございましたのですが、もう一度伺いますが、この一億五千万とした理由、均等に三分の一と定めた根拠についてもう一度御説明願います。
○近藤政府委員 まず均等に三分の一ずつにいたしましたゆえんのものは、先日も申し上げましたように、信用制度の保持育成ということは、第一次的には民間の金融機関自身で責任を負うべきものである。それから次には、中央銀行がその職務の非常に大きな一つといたしまして信用制度の保持育成を任務といたしておりますので、中央銀行が負担すべきものである。それから最終的には政府が、一国の信用制度の保持育成という重大な問題につきましては最終の責任を負うべきものである。こういう考え方に立ちまして、それぞれが等分の金額を拠出するということでございます。それが特に一億五千万でなければならないという積極的な根拠は非常にむずかしいわけでございますが、たとえばこの運用益を通常の利率で回しました場合に、今度予定をいたしております機構の事務局の経費をまかなうのにはどのくらいがよろしいか。きわめて大胆な試算をいたしますれば大体三千万円程度で運営できるかということが考えられますので、それを六%なり七%なりで運用するという比率で逆算をいたしますと、まあ四億五千万くらいあれば大体できるのではないかというようなこと、そういうことで一億五千万ずつの出資ということを考えておるわけでございます。
○古川(雅)委員 当然この資本金につきましては、どこにおいてどのように運用していくかという目途はあらかじめ立っていらっしゃると思いますが、その点ひとつ御説明いただきたいと思います。
○近藤政府委員 これは大蔵大臣の認可を受けまして機構が自発的に定めるということでございますので、私どものほうであらかじめどこそこということは、あまり指図がましくしないつもりではおりますが、大体考えられますところは、国債とか政保債とか各金触機関に対する預託であるとか、そういったようなことに運用されることが予想されるわけでございます。ただこれはあくまでも自主的に機構において運営委員会がきめまして、あと大蔵大臣の認可を受けるという形に相なっております。
○古川(雅)委員 機構の実際に運営に当る方々は、これはいわゆる運営委員会の委員になるわけでございますが、この発起人の決定に始まって運営委員の選定に至る過程におきまして、この発起人がそのまま運営委員になっていくということが考えられるかどうか。そしてなおかっこのメンバーの構成、選定にあたっては大蔵省はどの程度関与できるのか、意見をはさむことができるか、その点まず伺いたいと思います。
○近藤政府委員 機構の性格から申しまして、各業界の代表が中心になって発起人になり、その発起人がそのまま運営委員会の委員になるということがいまのところ予想をされるわけでございます。
○古川(雅)委員 この業界の代表についてでありますが、きょうの午前中の参考人との質疑応答におきまして、いわゆる労働金庫が入っていないじゃないかという御指摘があり、これは入るべきだという御意見もございました。銀行局当局としてはどのようにお考えでございますか。
○近藤政府委員 この点はだいぶ内部でも議論をいたしたところでございます。その結果、労働金庫当局にも一御相談を申し上げたわけでございますが、かなり消極的でございました理由は、私どもとしても消極的だったわけでございますが、その理由は、労働金庫の場合には労働金庫法の第十一条の第二項で例外的に、地域内に住所を有する労働者に加入を認めておりますが、そのほかは団体本位でございます。そしてその例外的な十一条二項該当の個人が現在全体の一・四%程度でございまして、ほとんど全部団体からなっております。それから、しからば信用組合の場合はどうかということになりますと、中小企業等協同組合法の第八条で一応一般個人全部を対象にいたしておりまして、法人についてだけ中小企業に限っておるという状況でございます。したがいまして、信用組合の場合には一般個人が加入する、原則としてそういうことになっております。それから労働金庫の場合には、原則としては団体に限りまして、例外的に地域内に住所を有する労働者という表現で個人が認められております。そしてそれが全体の一・四%になるということでございますので、筋といたしましても、私どもは消極的でございますし、同じような理由から金庫当局も消極的であったというふうに考えております。
○古川(雅)委員 機構の運営が、こうしたいわゆる業界を代表する運営委員によって進められるわけでございますが、この点どうも、いわゆる預金者保護という観点に立ちますと、おかしいのではないかという気がいたします。いわゆる預金者の心情、心理というものをもっとくみ取って、預金者サイドの代表を加えるべきではないか。この点について、先日もございましたが、もう一度ひとつはっきりしていただきたいと思います。
○近藤政府委員 御指摘のとおりでございまして業界代表だけで構成いたすということになりますと、やはりいろいろ問題がございます。そこで理事長につきましては、特に信用制度の保持育成を主要な任務といたします日本銀行の副総裁の兼務ということにいたしまして、公共性、中立性と申しますか、預金者の側に立った議論を展開してもらう。それからまた、特に大蔵省から大蔵大臣の指定する職員が運営委員会に出て意見を申し述べる。現在銀行局長がそれに当たるということが予想されて寄りますが、そういうことによりまして預金者側の立場を十二分に代表してまいる。それからまた理事も、執行機関として、これは業界外の人をもって充てるということが考えられておるわけでございます。
○古川(雅)委員 元金の最高限度を百万円とした理由につきましては、預金者の九七%が百万円以下であるという根拠をこの間お示しになっておりましたが、いわゆる元金の保障については、その理由だけで百万円と定めているわけでございましょうか。この最高限度の百万円は、今後これを引き上げるというようなお考えを含めて今回御提案になったのか、その点ひとつお伺いいたします
○近藤政府委員 将来情勢が非常に変化をいたしてまいりました場合におきましては、あるいは検討をされるということがあろうかと存じますが、とりあえず百万円ということに考えられましたゆえんのものは、いまお示しになりました九七%ということのほかに、金額的にも大体八三%というものをカバーいたしております、そういうこと、それからまた金融資産残高が、わが国におきましては一人当たり五十数万円といったようなこと、そういったもろもろの点を考えまして定められたわけでございますが、さらに諸外国の例などを見ましても、大体アメリカにおきましては二万ドル、七百二十万円でございます。いま日米の金融資産の残高の比率が、大体六・六対一という比になっていようかと思いますが、そういうバランスから見ましても、とりあえず百万円という限度がちょうどのところではあるまいかと考えたわけでございます。
○古川(雅)委員 この元金保障ということは、一面からいうと、いわゆる貯蓄奨励ということに関連があるのじゃないかと思いますが、その点いかがであるかということが一つと、とするならば今回大蔵省で提出をされる予定の法案の中で、租税特別措置法の中に少額貯蓄の非課税の限度額を元本百万円から百五十万円に引き上げるという一項がございます。この点との関連。元金保障ということと貯蓄奨励と関連づけるならば、この額の設定にあたって当然何らかの関連性を御検討になったと思いますが、いかがですか。
○近藤政府委員 御指摘のとおりの点がございますので、百万円がいいか百五十万円がいいか、実はたいへん議論のあったところでございます。先ほど申し上げましたようなもろもろの理由で、あまり高いところまで保障するよりは、やはり百万円ぐらいのところで定めたほうが保険料率の設定や何かにもいいのではないかという議論が一つと、それからもう一つは、やはり百五十万円の算定の基礎とちょっと食い違う点がございまして、百五十万円のほうは各種金融機関に預金をいたしております場合に、それらを全部名寄せをいたしまして百五十万円まで非課税とする。ところがこちらのほうは、各種金融機関にかりに預けておきましても、その一カ所の破綻を生じました場合に、そこの金融機関についての名寄せをいたしまして百万円ということでございますので、その計算の方式が、前提がやや食い違っております。したがいましてそういう点からいきまして――もちろん片方の、破綻を生ずるというようなことはそうしょっちゅうあるわけではございませんので、そういう比較のしかたはあるいはおかしいかもしれませんが、しかし一カ所で名寄せをする場合と数カ所の金融機関のものを名寄せをする場合と、やや一カ所のほうが低くてもよろしいのではないかといったような議論を総合いたしまして、百万円ということに考えた次第でございます。
○古川(雅)委員 保険料率でございますが、これは御提案の趣旨の中にも「長期的に保険料収入が保険金を償うように、かつ、特定の金融機関に対し差別的取扱いをしない」、一律であるということをきめていらっしゃいますが、この方針は将来ともにくずさない方向をおとりになるのか、その点、確認をさせていただきたいと思います。
○近藤政府委員 将来ともにその方針でまいりたいと存じております。
○古川(雅)委員 「長期的に保険料収入が保険金を償うように」という前提がございますので、当然保険料率については大蔵当局としてある程度予測を立てていらっしゃる、見通しの率をお立てになっていると思いますが、その点、明らかにしておいていただきたいと思います。
○近藤政府委員 御指摘のとおりに、私どものひそかな計算はございます。ただ、たてまえはあくまでも運営委員会で自主的にきめられまして、これを大蔵大臣が認可をするというたてまえをとっております。したがって、そのただいまのひそかな胸算用と申しますか、そういうものを申し上げますと、金融制度調査会の答申では一万分の一という数字を出しておったわけでございますが、それよりも低くていけるのではなかろうか、大体十万分の六あたりの数字を一応の胸算用として考えておるわけでございます。
○古川(雅)委員 金融機関はその保険料の額を、営業年度の直前の営業年度の末日における預金等の額の合計額を十二で除し、これに営業年度の月数を乗じて計算した金額に、いわゆる機構が定めるその保険料率を乗じて算定をするということでございますので、当局としてもある程度の試算はできているかと思いますが、いろいろ条件はあると思いますが、最も保険料の低いところでどのくらいか、最高でどのくらいになるか、その点お示しを願いたいと思います。
○近藤政府委員 現在の預金量を前提として、ただいま私が非常に大胆な胸算用として十万分の六程度ということを申し上げました。その数字ではじいてまいりますと、一番大きな銀行で一億三、四千万、一億四千万くらい、一番小さな信用組合で千三百円くらいということに相なります。
○古川(雅)委員 これまでの金融の破綻の状況についてはおたくから資料をいただいて承知をしているわけでございますが、この中から一つの傾向を見てまいりますと、預金量の少ないところ、こういったところに非常に破綻のケースが多いということが指摘できると思いますが、この点いかがでございますか。
○近藤政府委員 従来の実例は御指摘のとおりでございまして、過去の昭和三十年ごろからの例でまいりますと、信用金庫の場合に五年に一度くらい、信用組合の場合に二年に三度でございます。一年に一・五件くらい、そういう感じでございます。
○古川(雅)委員 そのように比較的預金量の少ないところに破綻の例がこれまで多かったわけでありまして、一定の保険料率を乗じてこの預金量から算定をしていくということになりますと、きわめて保険料を少なく納めながら、この制度の恩恵にあずかるのはこうした中小あるいは零細な金融機関である。それに比して、多額の保険料を納める大手の金融機関にあっては、いわゆる恐慌には強い。当然ここには保険料率に差別的な取り扱いをしないということに対して、大手銀行から今後ともにクレームがつくのではないか、制度の運用に支障を来たすような、不満が出ると思いますけれども、この点についてはどのように対処していらっしゃいますか。
○近藤政府委員 この点は先ほども申し上げましたように、金融機関というものはやはり信用制度という側面からながめますと、大きいものも小さいものも金部一体となって働いておるわけでございますし、ことに最近におきましては銀行の預金を相互銀行が取り扱うとか、それから大銀行と信用金庫との間でいろいろ業務上の連携、提携を行なうといったようなことで、各種金融機関の間の相互連携度合いというものは非常に深まっておりますので、大銀行といえども信用制度全体としての秩序の保持、これが決して対岸の火災ではない、自分たち自身の利益にも連なるという認識がだんだんと深まってきておりまして、その点で、まず破綻のおそれがないという大銀行におきましても大きな負担をこのために払うということは、信用制度の保持という観点からいって決して損なことではないという認識に立って、賛成を得られたわけでございます。
○古川(雅)委員 これはそうやすやすと想定できることではありませんけれども、いわゆる大きな恐慌等が起こった場合、保険事故が続発した場合、保険金でまかない切れない、そういうときにはどう対処していくのかということと、もう一つは、このままいわゆる保険料を積み上げていきまして、ある一定の資金、一定の額にきたら保険料率を落とすとか、何らかの操作でコントロールをしていくのか、その両面についてひとつお伺いしたいと思います。
○近藤政府委員 前段の恐慌は、ただいまお触れになりましたように、やすやすと起こりませんように、あらゆる努力を傾注しなければならない問題と存じますが、万一そういう事態が生じました場合におきましては、当然日本銀行なり政府なりがしかるべき手を打つということ以外に方法はないかと存じております。
 それから後段の保険料は、保険金を償う程度ということに流動的に考えておりますので、将来お示しのように弾力的に、流動的に考えてまいるということに予定をいたしております。
○古川(雅)委員 保険事故を二段階に分けていらっしゃいます。この点で十分いわゆる預金者保護の目的を達することができるかどうか、これで十分であるかどうか、その点いかがでございますか。
○近藤政府委員 これで十分対処し得るのではないかと考えております。
○古川(雅)委員 過去の「金融機関破綻状況調」に基づきまして――この事例の場合、個々のケースは多岐にわたりますが、一般的に預金者の保護はどのようにとられていたか、その点ひとつデータがございましたら御説明いただきたいと思います。
○近藤政府委員 過去にこのような事例が生じました場合におきましては、先ほども申し上げましたように、まず近隣の金融機関が、この破綻を生じました金融機関を合併するとか、その預金債権の肩がわりをするとか、そういう方法で救済をした場合がかなり多いわけでございます。それからもう一つの方法は、それぞれの業界の中央的な相互援助システム、これが発動をいたしまして、たとえば信用金庫の場合でございますと、全国信用金庫連合会、ここから特に預金の肩がわりをする、あるいは資金援助を行なうというような方法によりましてこの救済に当たる。大体その二通りの方法によって救済を行なったわけでございます。
○古川(雅)委員 過去の金融機関の破綻の実情の中で、いわゆる預金者の元金が保障されたというのはどのくらいの割合に達しておりますでしょうか。
○近藤政府委員 ただいま申し上げました二通りの方法で、普通の一般の預金者につきましては、ほとんど一〇〇%に近い救済をいたしております。ただ導入預金でございますとか、そういう特殊な預金につきましては、いまだに懸案になったままで支払いの行なわれておらないものもございます。一般善良な預金者の一般の預金につきましては、まず一〇〇%に近い支払いが行なわれております。
○古川(雅)委員 過去においては、今回のこの預金者保護制度を定めるまでもなく、いわゆる自主的な互助制度によって預金者は保護されてきた、少なくとも元金については保障されてきたと理解してよろしゅうございましょうか。
○近藤政府委員 そのとおりでございます。
○古川(雅)委員 そうしますと、今度の制度につきましては、預金者保護を表面に出したといいながら、むしろやはり金融機関の保護ということが主体になるんじゃないかという、そうした疑問を感ずるのでございますが、いかがでございますか。
○近藤政府委員 その点につきましては、いままでの救済は、かなりいわゆる――俗なことばで恐縮でございますが、曲がりなりにもというやり方でやってまいりました点が多うございます。先ほどちょっと申し上げましたように、あるいは店舗行政にあまり好ましからざる累を及ぼすとか、それからときによりますと、中央組織、自助組織、相互援助組織、そういったようなものも十二分に、資金量その他において働けないという場合もございます。その両面から非常な限界を感じながらも、何とか曲がりなりにもやってまいったというのが実情でございまして、今後はこれに対して制度的な保障を与えていただくということが、特にこの店舗行政の自由化とか、そういったような情勢を前にいたしまして、どうしても必要ではないか。したがいまして、これは金融機関をさらにいままで以上に保護をするという方向ではございません。金融機関保護から預金者そのものの保護という方向に転換をいたしてまいるということが主眼となるわけでございます。
○古川(雅)委員 少なくともこれまでの金融機関の破綻の例から見れば、いわゆる直接的な預金者の被害というか、損害は保障されているわけでございまして、これは一昨日も、そしてきょう午前中からの議論でも最も強く指摘をされておりましたが、預金者の心理として、預金者がいわゆる預金者の保護の立場で求めることは、何といってもこれは物価の上昇率といわゆる預金の利率であると思います。いろいろ御意見が出たようでありますが、この制度を制定することを一つの足がかりとして、預金の利率について、いわゆる預金者保護の立場から、どのようにこれから検討をしていくか、その預金者の不安を埋めていくか、その点についてはどうお考えでございますか。
○近藤政府委員 まず先ほどの答弁のうちで舌足らずの点がございましたので補足して申し上げますと、従来の場合でも、解散に至ったものにつきましては必ずしも十分に保険ができないというケースがあったわけでございます。たとえばある信用組合の場合には五十万円までが七〇%、五十万円から百万円までが五〇%といったような救済の率にとどまったという例もございます。したがって、そういう点からもこの預金保険制度の充実、制度としての確立が特に望まれるわけでございます。
 それからただいまの御質問の御趣旨は、金利の弾力化を今後どういうふうに進めるかという御趣旨であったかと存じますが、預金金利を中心といたしましての金利の弾力化ということはぜひともこれは積極的に考えてまいりたい。またそれがいわゆる過保護といわれることに対する解決策としても一番本筋ではなかろうかというふうに考えておりますので、その点は最も前向きで検討すべき分野であろうというふうに感じております。
○古川(雅)委員 いわゆる大衆の中にあって預金者が抱いている不安は、いま御答弁をいただきましたけれども、やはり物価上昇と預金金利の関連でありまして、その点が何ら解決されない、あるいはその点についての保護を政策的に確立しない、そのままで今回のようなこうした制度をつくるということについては、重大な不満が残ると思うのであります。むしろそのほうを優先して御検討いただくべきではなかったか。主客転倒の感じがするのでございますけれども、どうもいまの御答弁でも納得がいきませんので、もう一度物価上昇と預金金利の関連について、今後必ず何らかの形で制度化して、預金金利を弾力的に操作しながら預金者を保護していくというお考えを持っていらっしゃるか、その点伺わせていただきたいと思います。
○近藤政府委員 この点は先般政務次官からも御答弁申し上げましたとおりに、やはりまず基本的には物価のほうを押えるということが主になろうかと存じます。物価に完全にスライドをして預金金利のほうを上げるということでは、そちらのほうが主客転倒になるおそれもございますので、やはりまず物価の上がり方を押えるという方向に主力を注ぎまして、かたがた預金金利につきましても弾力的な運用を行なってまいる。これは金融行政本来の方向として預金金利の弾力化を行なってまいるということと別個にやるべきであろうかというふうに感じております。
○古川(雅)委員 どちらが先かということをここで議論しても始まらないわけでございます。政府のほうはとにかく物価対策については万全を期していると言い、対策を講じていると言いながら、現実の問題としては異常な上昇率で物価が上がっているわけでございます。そうした場合、いわゆる預金をしている大衆はその物価上昇についていけない、非常に生活上苦しい状態であります。物価上昇を押えるのが先決であって、しかる後に預金金利の弾力性を考えるべきだという御発言については、いささか問題があるのではないかと思います。
 時間でございますのであとに譲りますけれども、ひとつこの点についてさらに慎重に御検討いただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○毛利委員長 次回は、来たる十六日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時十一分散会