第065回国会 社会労働委員会 第17号
昭和四十六年四月二十二日(木曜日)
    午前十時四十四分開議
 出席委員
   委員長 倉成  正君
   理事 伊東 正義君 理事 増岡 博之君
   理事 粟山 ひで君 理事 田邊  誠君
   理事 大橋 敏雄君 理事 田畑 金光君
     小此木彦三郎君    大石 武一君
      梶山 静六君    小金 義照君
      田中 正巳君    堀田 政孝君
      松山千惠子君    向山 一人君
      山下 徳夫君    吉田  実君
      渡部 恒三君    後藤 俊男君
      島本 虎三君    山本 政弘君
      有島 重武君    古川 雅司君
      渡部 通子君    寺前  巖君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 内田 常雄君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        厚生省医務局長 松尾 正雄君
        厚生省薬務局長 武藤g一郎君
        厚生省保険局長 戸澤 政方君
        厚生省年金局長 北川 力夫君
        社会保険庁年金
        保険部長    八木 哲夫君
        自治大臣官房参
        事官     佐々木喜久治君
 委員外の出席者
        経済企画庁国民
        生活局参事官  山下 一郎君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十二日
 辞任         補欠選任
  中島源太郎君     吉田  実君
  箕輪  登君     堀田 政孝君
  古寺  宏君     有島 重武君
同日
 辞任         補欠選任
  堀田 政孝君     箕輪  登君
  吉田  実君     中島源太郎君
  有島 重武君     古寺  宏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五七号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○倉成委員長 これより会議を開きます。
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。渡部恒三君。
○渡部(恒)委員 私は、本委員会に提出の厚生年金保険法等の一部を改正する法律案を中心として、今後の政府の基本的な老人対策について質問をしたいと思います。
 まず第一に、この法案の中心をなすものは、今日の物価の上昇という社会情勢に適合して廣金額を一〇%引き上げるという内容でありますが、大臣は、この一〇%の引き上げで、今日の社会情勢、経済情勢の中での年金額として十分なものとお考えになりますか。
○内田国務大臣 これは渡部さん御承知のとおり、厚生年金の年金支給額の改定、したがってまた、それに対応する保険料の改定というようなことは、当然状況に応じて行なわるべきことでございまして、いまの厚生年金保険法の仕組みのもとにおいては、五年ごとに財政再計算期というものを設けまして、その際に支払われる金額と、またその財源調整、つまり掛け金といいますか、保険料を幾らにしたならば幾らの年金が払えるか、こういうことをその際の財政経済あるいは物価、賃金、生活水準等の状況に照らして再計算をすべきだ、こういうことになっております。したがいまして、従来は五年に一度ぐらいの状況で、その間のいろいろな経済変動に応ずる対応策を織り込んで年金額等を改定をいたしました。最近それを改定いたしましたのは昭和四十四年でございます。したがいまして、同じ考え方で進めますならば、次の財政再計算期は昭和四十九年ということになりますが、しかし、私どもは、最近における著しい経済変動に応じて、昭和四十九年の財政再計算期を待たないで、四十四年から二年たつ今日でありますから、中間的にとにかく、財政再計算ということではなしに、一応物価等の関係のみを考慮した最小限度の給付額の是正というものをすることがよかろう、実はこういう考え方をとったわけでございます。でございますので、その結果が、これは年金の計算には均等分と所得比例分とございますが、均等分につきまして一割五分の引き上げをやる、所得比例分をも合わせまして、受給者が受けておる部分全体を考慮してみますると、全体としては一割程度になる。そのくらいは少なくともここで中間的に上げておこう。しかりしこうして、その後においては、昭和四十九年の財政再計算期においてさらに根本的な検討をすることになりますが、しかし、私はそれまで厚生大臣におらぬかもしれませんけれども、四十九年の財政再計算期というものもさらに前に持ってきて、状況に応じた改定というものを、今回の措置に引き続いて根本的な再検討をやりたい、こういう考えを持つものであります。そのつなぎとしての今回の措置というふうに御理解いただきとうございます。
○渡部(恒)委員 大臣が、四十九年の財政再計算期を待たずに、今日の経済情勢の中で今回改正に踏み切ったということは、私ども非常に共鳴するし、大臣の決断を称賛してよいと思うのですが、「厚生年金保険制度緊急改正に関する意見」というのが社会保険審議会厚生年金保険部会から出ております。これをおそらく参照して今回の改正案ができたと思うのですが、この中に、「当面の応急対策として、年金の価値維持の見地から、少なくとも最近二年間の物価上昇等を考慮した補正措置を講ずること、」これが望ましいとしてあるのですね。そうすると、昭和四十二年度の消費者物価指数を一〇〇とすると、四十四年度が一一〇・八、四十五年度が一一九・三ということになっております。したがって、四十四年、四十五年という二年間を参照しておれば、これは一〇%ということでは、とうてい今日の物価高に追いついたものにならないというふうに私どもは考えざるを得ないのですが、これについて大臣のお考えを伺いたい。
○内田国務大臣 一昨年の財政再計算期、昭和四十四年度の改定の際には、昭和四十四年度の予算で措置をいたしましたために、四十三年度の物価というものは四十四年には織り込まれないで、四十一年、四十二年の物価の動きを織り込んで、四十四年のあの抜本的といいますか、思い切った二万円年金の実現をやったわけでございます。しかしそれは四十一年、四十二年の資料でございますから、もうたいへん古くなっている。そこで、今度やります場合には、いまお話の四十五年度というのはことしの三月まででございますから、四十五年度の物価の動きというものは、この予算を組みますときにはもちろんまだ反映されておりません。したがって、四十三年、四十四年の物価の動き、つまり四十四年度の財政再計算期に取り入れることができなかった続く二年間、四十三年度、四十四年度の物価の動きを見ますると、それがおおむね一〇%ぐらいの引き上げであるということで、今度の一〇%ということにいたしております。昭和四十五年度の物価の動きは、いずれこの次にやる財政再計算期、これは私がさっきから申しますように、繰り上げて実施したいと思いますが、そのときに織り込む、こういうことに相なるわけでございます。
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○渡部(恒)委員 いまのお話ですが、何か政府や役所のやっているのは常に時代の動きに何年かあとを追っかけていくというふうにいわれているのですが、これも四十五年の物価上昇というものは考えないで、四十四年までで計算している。しかも、実施時期は四十六年の十一月からですね。そうすると、せっかくこういうのをやっても、その法律が通ってそれが実施されるころは、もう全然、二年前三年前のことを基準にしているから時代に合わない。これが役所仕事だというふうに国民から考えられやすいのですが、われわれからいわせると、公務員の給与なんかは、人事院勧告で通っていくと必ず前にさかのぼって支給されますね。これはいつも前にさかのぼって支給される。ところが、こういうものはいまこれが通っても、実施時期は十一月、こういうものを早めてやって、少しでも国民的要望にこたえるというお考えはありませんか。
○内田国務大臣 いや、私も全く同感の点がございます。御指摘のとおりで、役所仕事というのは、かたいことがいいということからでもございましょうが、いつも過去のまとまった数字、資料などを基礎としてやるものですから、それが実行に移される場合には、すでにある程度ずれてしまっておるというようなことは御指摘のとおりだと思います。しかしこれは年金でございますから、やはり掛金のほうも、財源になるわけでありまして、その両面を考えまして、一般勤労者の賃金もこのくらい上がるだろうというような見込みをつけて、その掛け金分を先に上げておくというわけにもまいらない。物価のほうも、これは私は経済企画庁長官や大蔵大臣でもございませんからこういうことを気楽に言えるのかもしれませんが、物価はどうも今後もある程度上がるということに見なければならないとすれば、このくらい物価が上がるだろう、実施のころは、たとえば今度の改正をいたしますのは、ことしの十一月でございますが、そのころまでにはこれくらいの物価が上がるだろうということを考えて措置をするのは、政治家としてはそういう考え方も持ちたいと思いますけれども、しかし、政府の考え方としましては、これから先も物価が上がるにきまっているからこれくらい年金分も引き上げていく、あるいはこれくらい賃金も上がるであろうから保険料のほうも引き上げて先取りでいただいておく、こういうようなわけにもまいらないというところに問題があるようでございます。
 それよりも、私は政治家として考えますのは、そういう毎年毎年の物価の上昇なり賃金の上昇なりを、あと追い的に資料として年金額を改定していくということよりも、これから先国民の関心というものはやはり、一体老後どうして暮らしていくのだ。これは医療の問題にいたしましても、生活保障の問題にいたしましても、核家族化で子供がそう親のめんどうを見ないというような状況に対応して、年金というものは老人の生活の支柱なんだから、物価や賃金ということを離れて、ある程度思い切って先の見通しをつけた老人対策というような、そういう面から策を立てるべきだと私はつくづく思うものでございまして、そういうことにつきましては、物価上昇とか賃金の上昇を離れまして、老人対策というような見地から、年金対策というようなことにつきましても重点を置いて考えてまいりたい、こういうふうには思いまして、いまそれぞれ計画をつくらせておる段階でございます。
○渡部(恒)委員 厚生年金は大臣御承知のように現在二千二百二十二万人、ほとんどのわが国の民間勤労者が入っている。いわばわが国の老後保障の社会保障政策の柱とも言うべきものですね。ところが、最近政府関係の道路公社あるいは住宅公社といったような人たちが、どうもこの厚生年金に入っておるのはいやだ、団体共済のほうに入りたいということを強く希望しているのですね。私ども表面だけで勉強してみますと、団体共済のほうも厚生年金のほうも国庫負担分は二〇%、同額ですね。それから事務費を国が負担しているということも、これは同じですね。ところが、そういう人たちが厚生年金のほうはいやだ、団体共済のほうに入りたいといって騒いでいるのは、何かやはり厚生年金に魅力がない。制度的な欠陥が何かあるか、あるいは民間事業所の勤労者ということだから、われわれひがんで考えれば、お役人さんの共済よりは何かあまり政府が力を入れてないのかというような考えを持たざるを得ないわけですが、大臣のお考えをお聞きしたい。
○内田国務大臣 私は、ほんとうの実態を知りませんので、年金局長ともこれはひとつ御議論をいただきたいと思いますが、そういう動きがあることを私も大臣として気がつかないではありません。それは渡部先生たいへんいいところに気がついてこの問題を提起していただいたと私は敬意を表するわけでありますが、どうもそれについては二つぐらいの問題があるように私は思います。
 年金給付、年金制度というのはいわゆる長期給付でございまして、一ぺん年金の受給資格がつきますと、その方が死ぬまで、生きている限りは年金が支給される、死んでも今度はまた遺族年金として、そのまた何割かが支給されるという長期給付の問題でございますので、この計算を立てますのには、いま年金受給者がどのくらいあるか、あるいは掛け金をする方がどのくらいあるか、いまどれだけの金が集まって、その財源でどれだけの年金を払えるかという短期的計算ではなしに、長期的な計算のもとに年金制度というものは成り立つわけです。それでこれはいまの日本の人口の年齢構造につきましても、このごろ世間の人がみな知っておりますように、これからだんだん老人がふえていきますから、年金が始まりましてまだ何年もたってない今日では、年金受給者よりも掛け金者のほうがはるかに多い。いまおっしゃるように二千二百万掛け金者がおりましても、年金給付を受けておる人はまだ百万人にもならない。老齢年金給付を受けている人はおそらく七十万かそこらしかありませんので、金が余りまして、積み立て金として運用する状況でございますから、その金を短期的にみんな払ってしまうつもり――むずかしい専門用語があるようでございますが、賦課方式の考え方でいきますと、かなり高い年金の支給額を実行することができるか、あるいは掛け金額を思い切って引き下げることができますが、しかしこれが五年、十年、二十年の後には、掛け金をなさる方の割合よりも年金をもらう方々のほうがずっとふえる計算が当然見込まれておりますので、そういう長期計算を、これは利息などの面も考えてアクチァアリーというのでしょうか、算数計算の方式によってやってみますると、決して乱暴な年金給付金の引き上げもできなければ、あるいは掛け金の引き下げというものもできるものではありません。各職場団体などにおきましても、長期計算をやってみると、決して魅力があると言われる年金の方式はとり得ないわけでございまして、私どもはむしろその点を、将来どうなるだろうかということをかなり実は心配もいたしておるものであるということが第一点。
 それからもう一点は、やはり年金ですから、全体の制度の中で所得の少ない人、多い人、そういう人もまぜこぜにしまして、一定の期間つとめてそして退職されて、一定の年齢になった場合には、所得に関係なしに年金が出るという方式こそが、私は社会保障制度の一環としての社会保険制度、年金制度だと思うわけであります。給料の高い人だけ集まっている人々が、おれのほうだけやれということになりますと、給料の低い人々についての年金というものは非常にプアーなものにもなりかねない場合もあるように私は思うわけでありまして、国がやはりいろいろな職場団体の勤労者をまとめてでき得る限り総合的な形で年金制度をやるというところに、社会保障制度としての意味があるということも考えなければならない。
 こういう二点を考慮をいたしながら、この問題には対応すべきだと考えますが、これは年金局長から、私の言ったことに遠慮なしにひとつ御説明いただきたい。(「そんな答弁のやり方はありませんよ」と呼ぶ者あり)渡部さんに対するお答えの中で、大臣として私がおおむねの見当を申し上げ、細目については政府委員から答弁させますからということを、実は先ほど申し上げての補足説明ですから、お許しを願いたいと思います。
○北川政府委員 ただいま渡部委員からお話のございました住宅公社あるいは道路公社の職員につきましての団体共済への移行の問題が、現在起こっていることは事実でございます。この問題は、ただいま大臣からも申し上げましたように、基本的に社会保障制度としての年金制度はやはり一元的に運営したほうが、年金制度の趣旨に照らしましても、将来のいろいろな条件の安定性から考えましても好ましいことは、これまた御承知のとおりでございます。そういった面から、いろいろこの問題は問題があると思います。ただ、やはり功罪はあると思うのであります。非常にわかりやすい話として、共済でございますと、大ざっぱな原則といたしましては、最終三カ年の報酬の四割というふうなものが老齢年金として出る、あるいは開始年齢が早いというふうな点、そういう点が言われておりますが、ただ、そういった面以外の給付の問題を考えますと、たとえば加入期間、資格期間と申しますかそういう面では、厚生年金では四十歳以後十五年間あればいいというふうな短期の措置を講じておりまするし、さらにまた既裁定の年金額の引き上げということになりますと、厚生年金のほうがはるかに有利になっておる。さらにまた遺族とか障害年金につきましても、その加入期間につきましては厚生年金のほうが有利であるというような点もございまして、給付の面でも、総合的に判断をいたしますると、いろいろ問題はありましょうけれども、優劣おのおの半ばするのじゃなかろうかという点があると思います。さらにまた保険料負担という面から考えますと、ただいま国庫の補助あるいは地方公共団体の補助というふうな問題がございましたけれども、そういった問題はさておきましても、やはり相当な負担額が共済関係ではあるわけでございまして、そういう点を考えますると、私はこの問題についてはいろいろ議論がある、基本的にはいま大臣からお答え申し上げましたような問題がある、そういう意味でございますので、今後この問題をどういうふうに処理するかという問題がございますけれども、やはり当初に渡部委員が御指摘になりましたように、厚生年金保険自体が二十九年の改正以来二度の大改正を経まして、現在制度的には相当高い水準になっているわけであります。しかしながら、この程度ではまだまだ不十分であるということも事実でございますし、特に最近における老齢化現象の急速な進行でございますとか、あるいは核家族化の進行でございますとか、あるいは生活水準をはじめ各種の水準の急激な上昇でございますとか、またそういったものが今後相当長期間続くであろうというような一応の予測というようなものを前提といたしますると、厚生年金そのものをさらに一段と充実をするということが現在きわめて必要な状態であると思いまするし、そういう意味合いから私どもは、まさに渡部委員御指摘のとおり、厚生年金保険が今回応急的な改正をお願いしておりますが、今後の改正の際には格段の充実をいたしますように私どもも努力をいたしまするし、また先生方からもひとつ十分な御協力をお願いを申し上げたい、このように考えております。
○渡部(恒)委員 いまの局長の答弁もだいぶ抽象的だったのですが、現実に数字を見ますと、厚生年金の給付額は四十五年九月末で十六万九千円ですね。このとき共済組合のほうですと、国家が三十万四千六百円、地方が三十五万一千二百円ですね。そうすれば、これはだれだって自分の将来のことを考えれば、自分が有利だという道を選びたいのは当然ですね。これは局長自身の立場になったって、こういう制度とこういう制度があって、こっちに入っておけば十五万円だ、こっちに入っておけば三十万円だといえば、これはだれだって三十万円のほうをとりますね。ただ基本的に、そうだからといって、これは全体的な意味の社会保障ということで考えている年金制度で、おれは向こうのほうが得だ、おれは損だということで離れていけば、年金制度そのものが崩壊してしまいますから、局長の言わんとする意味もわかりますけれども、しかし現実に向こうのほうがこっちにいるよりも得だといって離れたいという者を押えるというのには、やはり向こうに行かなくても、こっちでも十分あなたらの老後は保障されるのだという具体的な説明というものがなければおそらく困難だと思うのですが、どうですか。
○北川政府委員 確かに現時点におきましては、渡部委員のお話のように、厚生年金保険の給付と共済サイドの給付におきましては、御指摘のような格差があるわけであります。これは制度的に非常に厚生年金は制度が浅くていわゆる未成熟状態でございますから、今後の課題といたしましては、できるだけこの成熟化対策を促進をするということと、それからそういうことによってできるだけ厚年のレベルアップをはかるということが一つあろうと思います。私どもはまさに先生がおっしゃったような問題意識を持つわけでございますけれども、年金制度の問題としては、先ほど大臣も申しましたように、やはり小集団グループの長期給付の保障ということについての相当な希望というものがございまして、そういう面から考えますると、制度全体を一応ながめている立場から見ますと、今回の問題についてたてまえとして非常に疑問を持つわけでございます。現実の姿は先生おっしゃるのに私は間違いないと思います。
○渡部(恒)委員 そこで局長に具体的なこと二点ほどお聞きしたいんですが、今度の改正で標準報酬の上限の引き上げがありますね。十万円から十三万四千円に引き上がる。したがって、これは保険料が上がるわけです。ところがこれは支給額にははね返らないという不満をみんなが持っておるわけでありますが、これに対してどうお考えなのか。
 それからもう一つは、いまの答弁の中で、確かに厚生年金のほうが支給額は不利だけれども掛け金は少ないということは、確かにそのとおりです。農共が千分の九十六、公務員が千分の八十八、これに対して厚生年金は千分の六十二ですから、これは掛け金は非常に少ないわけですけれども、ほんとうの老後の安定というもののためにある年金としては、いま汗を流して働いているときに多少の掛け金を納めても、少しよけい納めても、将来老後が完全に保障されるということのほうが大きな問題だと思うのですね。ただ目先の問題になると、確かに掛け金を上げるということになれば、いまの場合、掛け金に対しては事業主と勤労者と両方で負担していますから、勤労者も反対、それから事業主のほうもおもしろくないということで、非常に目先のことを考えると、なかなかむずかしい問関があると思いますけれども、しかし厚生年金がほんとうに、さっき出たような、こっちよりも団体のほうが有利だからあっちに移りたいというような問題がなくして、公平に、厚生年金に入っている民間勤労者が決して団体や公務員というものにひけをとらない老後の安定があるんだという制度を根本的に解決するには掛け金の問題があると思うのですが、これについてどうお考えになりますか。
○北川政府委員 ただいまお尋ねの前段の問題でございますが、標準報酬の上限の上積みにつきましては、いまお話ございましたけれども、やはり標準報酬は、御承知のように給付の中で報酬比例部分として給付にはね返ってくるわけでございまして、短期保険と違って、当該年度において直ちにはね返ってくるというような、そういう仕組みのものではございませんけれども、長期的に考えますると、これはもう当然はね返ってくる。しかも十万円の上にさらに上積みをいたします関係上、この今回の影響を受けます被保険者の方々は比較的高給の方々が多いわけでございますから、したがって退職の時期もそう遠くないというふうなグループの方が比較的多いのではないか。こういうふうに考えますると、はね返りというものは十分考られやせぬかというふうに私ども考えております。
 それから第二点の問題でございますが、共済年金の場合と、それから厚生年金保険の場合の負担の問題でございますけれども、若干の負担を多くしても、将来の給付の高いほうがやはり精神的にもいわゆる豊かな心を持ち得るのじゃなかろうかという御意見だと承知いたしておりますが、私どもまことにそのとおりだと思います。ただ今度の厚生年金保険の改正におきましては、先ほど大臣から申し上げましたように当面の応急的な手直しでございますので、そういった保険料の面まで手をつけるだけの財政的な根本的な再計算というものはやっておりません。したがいまして、将来の財政再計算期、これは四十九年になりますか、若干早まりますかわかりませんけれども、そういった際に、年金を組み立てるもろもろのファクターをいろいろ計算いたしました上で、どの程度の給付を将来保障すべきであるか、またそのためにはどの程度の保険料負担というものが必要であるか、そういったことを総合的に見直してみなければならぬと思います。そういう意味合いで、現時点におきましては、最初申し上げましたように確かに共済年金と厚生年金と比べますと差異はありますけれども、将来保険料負担ということのかね合いも考えながら給付の一段の充実を考えたいというのが私どもの、制度全体を扱っておる立場での意見でございます。
○渡部(恒)委員 それでは次に進みますが、積み立て金の運用。これはいま四十五年で四兆四千億の年金のお金があるのですが、これが年金福祉事業団へ還元融資されている分が二五%、あとは政府の財政投融資に七五%まかせられておりますけれども、前に厚生年金保険積み立て金の還元融資のワクについてはこれを拡大するようにという国会の附帯決議等もあるようでありますし、また社会保険審議会の答申でも、できるだけ還元融資、やはり積み立てておる人たちの福祉にもっとワクを広げて使うべきだという声が強いのでありますが、大臣はこれについてどうお考えになりますか。
○内田国務大臣 私、全く渡部さんの言われること、よくわかりますし、賛成でございまして、そういうような方向に積み立て金の運用の幅を広げることによりまして厚生年金加入者の方々にもこの制度の意義をさらに大きく理解をしていただくのがよいと思うわけであります。ただこの積み立て金、現在のところは二五%が直接還元融資でございますが、あと七五%が厚生年金加入者に全く関係のない方向に使われているかというと、これは御承知のとおりそうではございませんで、他の郵便貯金その他の国家事業の積み立て金と一緒に大蔵省資金運用部に入りまして、そこであるいは農林漁業金融公庫に、あるいは中小企業金融公庫に、あるいは公害防止事業団といったようなそういう向きにこれらの資金が活用をされていることも、これまた御理解をいただかなければならない点でございます。しかしなかなか、そういうことを申してもわかりにくいことでございますから、同じ住宅にこれらの積み立て金が使われておりますならば、二五%のワクを広げることによりましてその広げられたワクの中で住宅に融資をするとか、あるいはまた中小企業の従業員も厚生年金に入っておられるわけでありますから、中小企業金融公庫に還元融資のワクを広げてその中から融資をするという形のほうがわかりやすいのじゃないかと私は考えるものでございまして、そういたしますならば、これらの財政投融資の現在の計画に別段のそごを来たすものではないと私は思うわけであります。そういう線で大蔵省のほうとも打ち合わせをいたしております。長い間このワクの拡大のことにつきましては論議がされておりましたけれども、その進捗は遅々としておりまして、最近では二五%プラスアルファというようなこと.で、毎年プラスアルファの分を乗せてはおりますけれども、根本的な解決に至っておりません。それで私はいま申しましたような私の構想というようなものを大蔵省に持ち出しまして、できる限り早い機会に、渡部さんの言われますような線、また私が考えておりますような行き方をも実現いたしまして、加入者の皆さん方の御理解や、また各方面の御期待にこたえたい、こう考えておるわけでございます。
○渡部(恒)委員 いまの大臣のお話ですと、これはいままでは年金積み立ても全部資金運用部で一元的に預託されておるわけですね。これを、この積み立て金の性格から特別勘定というようなものをつくって、できるだけ趣旨に沿うような使い方をしていくというようなお考えですか。
○内田国務大臣 特別勘定といいますか、要するにワクを拡大していく。特別勘定をつくって、その特別勘定運用のために特別の審議会を設けるというところまではいかなくても、二五%のワクを拡大して、そのワクの中で住宅なり中小企業なりの資金のめんどうを見ていけば、全体とすれば大蔵省側が、あるいはまた国家資金の運用上別段の支障を来たすことにはならないじゃないかというように私は考えまして、そういう線で御提案の線を拡大していきたい、こういうふうに考えます。
○渡部(恒)委員 私ども、しろうと目で見てのことなんですけれども、二千二百万人からの加入者がおるわけです。しかもこれは民間事業所で働いている人ですから、北海道で三年間つとめてやめ、東京に来てまたつとめているとか、あるいは東京でつとめていて、九州のいなかに帰って一時休んでいた者がまたつとめる、二年間は積み立てるがまた休む、また三年ということで、非常に繁雑になるし、まだ厚生年金の性格が完全に理解されていない場合は、せっかく二年か三年積んだものを捨てちゃう、事務的に継続していかないという問題が非常に多いと思うのです。これを根本的に解決するには――これはちらりと耳にしたのですが、何か厚生省で、日本は社会保障の完備した国だというふうに持っていくためには事務的なものを完全にする、そのための方策として社会保障番号というものを国民全部につけて、いわゆるコンピューターシステムによる事務能率、これを誤りないように期していくという考え方があるというようなことも聞いておるのですが、これに対してはいかがですか。
○八木政府委員 お答え申し上げます。
 まず、厚生年金に二年間ほどいて退職したというような問題があるわけでございますけれども、現在、一応国民皆年金というたてまえでございますので、厚生年金からはずれますと国民年金に移行するということで、現在のたてまえでは通算年金制度ということで、被保険者期間がむだになるということにはなっていないたてまえにはなっておるわけでございます。しかしながら、全国民を対象といたしまして完全な資格の記録なりあるいは裁定、給付ということを行なうという意味から、私どもといたしましても、従来は手作業でやっておりましたけれども、現在は社会保険庁におきましてコンピューターを導入いたしまして、資格なり記録の管理あるいは裁定、支払いを一元的に行なっているわけでございます。私どもといたしまして、今後被保険者もふえてまいりますし、受給者も急増してまいりますので、これに備えましての事務体制の完備あるいは関係者に対する制度のPRというものをできるだけ徹底してまいりたいというふうに思います。
 それから御指摘のございました社会保障番号の問題でございますけれども、確かに欧米先進国等においてはこの制度が実施されておる国も数多くございます。それから年金制度の立場でまいりますと、各制度間にまたがった場合の二重加入の問題でございますとか適用漏れとか、そういう問題を考えました場合に、こういう問題を十分検討する必要があるのではないかというふうに考えております。なお、現在、厚生年金、国民年金の資格の記録の管理等が別個に行なわれておりますので、そういうような面からもこの問題は真剣に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○渡部(恒)委員 次に、これは大臣にぜひお答えいただきたいと思うのですが、御承知のように、戦後最大の外交問題といわれてきた沖繩復帰がいよいよ実現して、今度、秋に沖繩復帰の国会が開かれる。いろいろな問題が出てきておりますが、厚生年金保険の被保険者の権利を沖繩復帰の際には十分保護し得るような処置を講じてもらいたいという意見が強く出ておるようでありますが、これは大臣、どのようにお考えですか。
○内田国務大臣 沖繩の復帰に伴う年金対策でございますが、沖繩の年金体制は本土よりも整備がおくれておる状況にございます。そういう現実に立ちながら、しかも沖繩の年金の受給者あるいはまた現在加入をされておる被保険者の権利が、でき得る限り本土の法令のたてまえと同じような利益を受け得るように調整をすべきだと私どもは実は考えておるわけでありまして、この間の調整についての具体的な措置につきましては、現に総理府等とも打ち合わせながら作業をいたしておるところでございます。これを要するに、究極的には本土と一緒にするわけでございますので、その間のつなぎの措置につきましても、でき得る限り本土並みの利益が受けられるような調整を本土復帰と同時にしてまいりたい、こういう考え方で進めたいと考えております。
○渡部(恒)委員 大臣のお話を聞いて安心しました。この問題については万遺憾なきを期すように要望しておきたいと思います。
 そこで、最後に、老人対策の問題ですが、これは大臣の見解をお聞きしたいと思うのです。御承知のように、わが国の老人問題は、最近ようやくいろいろといわれるようになってきたのですが、最初に二つお聞きしたいと思うのです。
 一つは、いままで老人対策が、わが国の場合特におくれていた。というのは、わが国の国民的な性格として、いわゆる家族主義的な伝統によって、老人は当然子供や孫が守っていく、これがわが国の本来の家族伝統だったわけであります。ところが最近、残念なことに、こういう伝統がだんだん薄れていって、いわゆる複式家族というものが少なくなって、単式家族になってきている。これが最近のわが国の社会変化の大きな特質だろうと思うのです。私は農村出身の議員ですが、私のほうなんかでは、いま、御承知のように過疎問題ということで、人口がどんどん減っていくという悩みを持っております。ところが、人口は減りながら、住宅は足りなくなっている。最近の農村の傾向は、人口は年々減りながら、住宅は足りなくなって、どんどん新しい住宅が建っている。これは、一軒のうちの複式家族というものがなくなって、いわゆる伝統的な日本の性格を一番持っておる農村においてさえも、全部単式家族に移ってきているということです。こういう一つのわが国の社会の変革というものを十分に認識した上で、老人対策を立てていかなければいけないと思うのです。
 もう一つは、御承知のように、いまわが国の老人人口は、七%ですが、これから十年か二十年たつと倍になって、老人人口が一四%にもふくれ上がる。とにかくこれからのわが国のいわゆる人口比率における老人の占める割合というものは、異常なまでにふえていくだろうということは、これはいろいろな統計や何かで明らかになっておると思うのです。こういうわが国の社会情勢の変革というものに対応して、老人対策をいま根本的に立てていかなければならないと思うのですが、自由民主党もいま老人対策小委員会というものをつくって、基本的な老人問題というものに取り組む姿勢をようやく出しておるわけでありますが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
○内田国務大臣 老人対策の必要性につきましては、いま渡部さんが御指摘のような幾つかの社会変動から非常に大きなこれからの社会福祉の課題となってきておること、私も同じような認識に立つものであります。複式家族の核家族化あるいはまた国民の老齢者に対する扶養意識の変革といいますか変遷、さらにまた老齢人口の急速なる増加というようなこと等々、いろいろの面からこれは大きな課題でございますので、総合的な見地から老人福祉対策というものを十分準備をいたすべきであると考えます。これは生活保障の面、つまりその点から年金の問題というものも先ほど来御論議がございますように見直さなければなりませんし、あるいはまた病気がちな老人の医療対策もございます。また老人の収容施設、老人ホーム等の施設につきましても、今日の現状に照らしまして、私はさらにこれを急速に充実する必要があるとも思いますし、さらにまた人間の寿命が長くなりまして、私どもも年齢構造からいいますとだんだん老齢層に入れられるわけでありますが、しかしなおこのとおり元気でありますので、そういう元気な老齢者に対して生きがい、働きがいの場を与える、こういうことも老人対策として私は非常に必要なことであろうと考えますので、いろいろな面を総合的に取り上げて検討する老人福祉対策というものの必要性を私どもは痛感をしております。
 そこで、厚生省におきましては、いままでの老人対策というものは社会局でやっておったのが中心でございましょうけれども、いまの年金問題につきましては年金局もございますし、また医療問題につきましては保険局、医療局等の関係も出てくるというようなことでもございますので、省内を横にはらった老人福祉対策樹立のためのプロジェクトチームというようなものをつくりまして、何とか昭和四十七年度予算の概算要求の際にまとまった構想を持って大蔵省に折衝をいたしたい、こういう考え方のもとに、御指摘の点につきまして具体的な施策の樹立に努力をいたしておりますので、どうか今後とも皆さま方からこの上ともよろしくいろいろ御教導を得たいと考えております。
○渡部(恒)委員 いまの老人対策を国、地方自治体でいろんなことを最近やっていただいておりますけれども、端的に言うならば何か思いつきで一貫性がない、私はそういう気がしてならないのです。たとえばこの年金問題ですね、これは老人の、老後の生活の安定、年をとってから安心して生活できるということの対策としては、これが基本、根本になるわけですが、何かいままでは年金問題と老人対策というものが全然切り離されて考えられておったようなんですね。だからこの年金問題というのが老後の生活の安定をはかる老人対策の柱だ、そこにいろんな問題と関連させて老人対策というものを有機的に結びつけて総合的にしていかないと、何かただぽつぽつと思いつきのものを一つ一つやっているというような感じがするのですが、大臣はいかがお考えですか。
○内田国務大臣 私も正直に申しまして、厚生省に長年在職したというわけではございませんが、厚生省へ参りましても、年金は年金として年金局で、たとえば老齢福祉年金の問題までも所管をいたしております、まあ役所の仕組みというものはそういうものかもしれませんが。でありますから、社会局の老人福祉課と老人福祉年金の議論をいたしましてもあんまり話が通じない。これは年金局のほうのしかるべき担当者と話をしないと通じないというような点もなきにしもあらず。そういうようなことを渡部さんが御指摘だろうと思います。
 さらにまた老人についての住宅の問題というようなものも、いまあなたの福島県で、過疎ではあるけれども住宅が足りないというような問題、それは家族が分裂をいたしまして、老齢者世帯というものが別にできるからでありますが、そういう場合の住宅のつくり方というものは、若い人に対する第一種とか第二種とかいう公害住宅とはまた違った構想のもとにあってしかるべきですが、これの所管は厚生省を越えて建設省だ、こういうことにさえもなるわけでありますので、そういう面を、何しろ日本の一億余りの人口の今日七%のものが、もうやがて十数%の厚い老齢層にまでなるわけでありますから、省内各局による縦割りあるいは各省による縦割りというようなことを乗り越えました総合的な見地からの老齢者対策というものの必要性を、あなたのおっしゃるとおり私は感ずるものでございますので、そういう面にも留意をいたしながら、先ほど申しましたような老人対策の総合的な施策のためのチームをとりあえず厚生省の中で編成をいたしたわけであります。住宅等の問題につきましては、さらに一そう建設省のほうとも打ち合わせをいたす、こういうようなことにまで進めてまいりたいと、かように考えております。
○渡部(恒)委員 いまの大臣のお話、わかったのですけれども、ただ、老人対策ということを考えると、私は三つの基本的な問題を解決しなければならないと思います。
 一つは、いま大臣のお話しになったような厚生省が所管する問題ですが、これは日本の老人がだれでも老後安心して生活できる、いわゆる老後の生活の安定ということであります。しかし、これは人間ですから、そんなら年とってからもただ食べて、飲んで、眠っているというだけでしあわせかというと、決してそうでないのですね。私はヨーロッパ各国の老人ホーム等も見てまいりましたけれども、かなりりっぱな施設に老人が収容されている。コーヒーを飲ませられて、おいしいごちそうも出てくる。ところが、それで老人がしあわせそうかというと、決してしあわせそうじゃないのですね。何かうんとさびしそうな顔をしている。むしろ日本の農村の山の中で、あの孫を背中にしょわされて働かされているばあちゃんのほうが、かえって生きがいを持っているというような面もあるのですね。ですから、この老後の生活安定というのはもちろん第一の柱でなければならないけれども、二番目にはやはり人間は生きている限り、自分が生きているということを世の中が必要としているのだという一つの生きがいというものがなければだめだと思うのですね。それが日本のいままでの家族的な伝統の中では、老人が孫の子守をしたりうちの留守番をしたりいろいろして、やはり一軒のうちに年寄りがいなくては困るということで、これは生きがいがあったのですね。ところが、最近どうも若い人たちがおしゅうとさんと一緒に生活をしたがらないということから分離してきて、老人の一番大事な生きがいが、いまの若い人たちのものの考え方、生活様式の変化によって奪われつつあるのですね。だから、やはり老人に生きがいを持たせるということは、またまわりの者の敬老精神というか、これは根本的には私は教育、道徳、思想の問題だと思うのです。これを二番目に充足してやらなければ、これは解決しません。
 それから第三番目には、いまのような日本の社会構造の中で、現在でも手不足だということになっているわけですね。若年労働力が足りない。ところが、これから十年たつと老人層が倍になる。若い人たちが少なくなる。しかも日本の経済は年々成長していく、人手がよけい必要になってくるということになりますと、当然やはり老人にも――老人の健康をそこなわないで働くことは何も悪いことでないわけですね。これは、六十五歳になったって、七十歳でりっぱに総理大臣つとまっている人がいるのですからね、もっとやると言って。ですから、七十歳でも世の中のために幾らでも働けるわけです。これはやはり、老人にも生きがいを持たせるような、健康をそこなったり、みじめな思いをさせるのではなくて、老人が明るく健康で生きていく、生きがいを持って生きていくための仕事、職場を与えて、あわせて日本の経済のいまの手不足というものを解決するという、この三つを総合関連させて、やはり日本の老人が死ぬまで安心してしあわせに生きがいのある人生を送れるというふうにしてやって、これは老人対策ができ上がったということになると思うのです。そういう意味では、もう老人対策といえば、これは厚生省の所管ですけれども、厚生省の役所の範囲だけでは根本的な老人対策はできない。少なくとも文部省、労働省といったような関係各省とあわせて協議して老人対策を立てるべきだと考えるのです。大臣は、文部省あるいは労働省に呼びかけて、いまのように考人を大事にする国民思想を啓蒙する、また老人が生きがいを持って、健康をそこなわないで、日本の経済の発展に協力できるような仕事を持てるようにしていくといったような、総合的な老人対策に取り組む意欲を持っていただきたいと思うのですが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
○内田国務大臣 まことにごもっともなお考えでいらっしゃいまして、私も同感でございます。老人対策というものは、単に物的の面ばかりではなしに、働く生きがいというようなことにつきましても、これからみんなが長生きをするわけでありますので、その面の配慮というものを十分に私どもは政策の中に入れることはきわめて大事なことであると存じます。現に厚生省の範囲だけにおきましても、御承知のように六十五歳以上の老齢者につきまして無料職業紹介所というようなものを設けてもおりますし、また、従来の単なる――七万幾千かの老人クラブ、これに助成をいたしておりますが、それだけではなしに、老人の社会活動チームといいますか、社会開発チームといいますか、そういうようなものも現地適応の組織をつくっていただくことを助成することにもいたしました。また、いろいろな社会福祉の施設がこれから充実の対象になるわけでありますが、それらの処遇につきましても、元気な老人、またすでに第一線を引退された、たとえば看護婦さんでも発掘して、そうしてこれらの社会福祉施設などで、昔とったきねづかで活動していただくというようなことの面も私は開拓の余地があると考えますので、そういうことにつきましても十分配慮いたしてまいる所存でございます。ただ、機構を、私は権限争いを申すわけではありませんけれども、内閣に別に、環境庁ではございませんけれども、老人庁というものをつくることがいいかどうかというようなことになりますと、私は必ずしもそれがいいとも思えませんので、私どもはなわ張り根性を捨てまして、各省の御協力を受けるというようなたてまえのもとに、渡部さんがいまお述べになりましたような関係各省の方にも御協力をいただきながら、この老人福祉対策というものを総合的に広く取り上げて充実をいたしてまいろう、こういう意欲を持つものでありますことを御承知いただきたいと存じます。
○渡部(恒)委員 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
○増岡委員長代理 次に、後藤俊男君。
○後藤委員 ただいまいろいろなお話がございまして、いま年金関係を考えてみますと、国民年金がある。それから厚生年金がある。それから共済関係の年金がある。年金関係も幾種類かあるわけでございますが、特に国民年金につきましては、ことしの五月から十年年金といわれる月五千円の支給が始まることになろうと思うのです。厚生省が新聞でも発表されておりますが、このまま進んでいきますと、昭和五十何年には、六十五歳以上のお年寄りが一二%以上になる。非常に数がふえてくる。現在のところ約一兆円近くの国民年金の積み立て金がたまっておりますけれども、昭和七十年になり、昭和八十年になると、これは赤字になる可能性が強い。ですから国民年金の問題につきましても、再計算の時期が昭和五十年でございますが、さらに厚生年金の再計算の時期が昭和四十九年、その四十九年、五十年を一つの機会にして、国民年金と厚生年金とを統合して大改正をひとつやろう、しかも一九七〇年代の社会保障の一本の柱として力強くひとつやっていこう、こういうような厚生省の発表された新聞記事を私読んだことがあるわけでございます。この厚生年金と国民年金の関係、さらにいま私が申し上げましたような問題につきまして、厚生省として、それじゃ四十九年ないし五十年にはひとつ大改正を行なう、こういうような方針がはっきりしておるとするのならば、ひとつその大方針の大綱をまず最初に承りたいと存じます。
○内田国務大臣 先ほども渡部委員に私からお答えを申し上げましたし、また後藤さんから御発言がございましたように、厚生年金、国民年金の法律上の財政再計算期は、それぞれ昭和五十年あるいは昭和四十九年でございますが、最近における社会経済の動向が非常に急激なものがございますので、私の気持ちといたしましては、それを待たないでもっと繰り上げまして、給付額にいたしましても、あるいはまた掛け金にいたしましても、さらにまた積み立て方式、賦課方式というような問題もございましょうが、そういうようなことにつきましても検討を加えたものを少し繰り上げて早く早く実行をしたいと、私は現在のところこういう気持ちでおりまして、そのようなことを事務当局にも指図をいたしておるわけでございます。しかし先般一部の新聞で私も見ましたけれども、厚生年金と国民年金を統合して新しい一本の年金制度として発足させる可能性があるかどうかということにつきましては、まだ何ら結論も得ておりませんし、
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
私はこの統合につきましても、統合の方向でやるべしという、事務当局へも指図をいたしておりませんのが実際でございます。ただそういうことの可能性についての自由な研究を年金局のほうではいたしておるであろうと思いますので、そういう自由な研究についての新聞方面の報道があったのではないかと考えます。
 いずれにいたしましても、これから先、年金問題というものは大きな課題でございますので、私どもが漫然と単に物価指数だけを取り上げたり賃金指数だけを取り上げて糊塗していけば済むものだとは私は考えませんので、深く広く検討をいたしてまいりたいと思います。
○後藤委員 私もいま別にでたらめ言うたわけじゃなしに、新聞の記事でそう書いてありましたもので、再計算期にはひとつ国民年金と厚生年金の統合等も考えられるというようなことがほとんどの新聞に載っておりましたもので、お尋ねをしたようなわけです。
 で、現在、先ほど言いましたように共済年金の支給を受けておる人、国民年金の支給を受けておる人――国民年金の中には拠出年金もあれば、老齢福祉年金と二色あろうと思います。それから厚生年金を受けておる人、これは六十五歳以上を調べますと一体どれぐらいな数になるのでございましょうか。それとあわせて、国民の中で厚生年金加入者がどれぐらいである、国民年金加入者がどれぐらいである、共済組合に入っておるのがどれぐらいある――これはこまかい数字はけっこうでございますけれども、大まかに国民の加入の分布と申しましょうか、その数だけをお知らせいただきたいと思います。
○北川政府委員 少し時点が古うございまして、最近は若干ふえておりますけれども、昨年三月末現在の数字を申し上げます。
 国民年金、厚生年金、その他各種共済合わせまして、現在の適用者数は大体五千二百万を若干上回っているのじゃなかろうかと思います。その中で国民年金は二千三百四十万でございます。厚生年金が二千百五十八万でございますが、先ほどもお話がありましたように、最近では二千二百二十万ぐらいに伸びておる。それから共済関係は、国家公務員共済組合が百十四万、地方公務員等共済組合が二百四十七万、公共企業体職員等共済組合が約八十万、私立学校教職員共済組合が十八万六千人、農林漁業団体職員共済組合が約四十万、以上合わせまして、大ざっぱに申し上げまして大体五千万ないしは五千三百万程度ということであります。
 その中で、いまお尋ねのありました老齢年金の受給者でございますが、受給権者は、厚生年金保険で約四十五万。最近の数字を見ますと四十八万程度と承知しておりますが、昨年三月末現在では約四十五万。それから共済関係で申し上げますと、国家公務員の場合が十万四千、地方公務員の場合が約二十万、公共企業体の場合が約十六万、その他私立学校が三千二百人、農林漁業関係が一万四千人程度ということで、その他恩給等合わせまして受給権者は五百八十万人程度でございます。
○後藤委員 いま五百八十万と言われましたが、もう一つお尋ねいたしたいのは、六十五歳以上の人で年金をもらっておられる人です。大体、六十五歳以上の老人の数の四七%が年金受給者である、ところがその中の四〇%が老齢福祉年金の受給者である、厚生年金関係はわずかに七%ぐらいだ、こういうふうなことも、あるところで私は読んだことがあるわけですが、実態はそういうことになっておるのでしょうか。
○北川政府委員 ただいま仰せのとおり、六十五歳以上の場合の拠出年金の受給者は四十八万一千人でございまして、拠出年金の場合だけをつかまえますと、大体六十五歳以上の人口合計が六百八十九万八千人でございますから、約七%でございます。これに老齢福祉年金の二百七十六万人を加えますと四七・一%という数字でございまして、この数字は、年金の受給者数は四十四年三月三十一日現在をもとにして推計いたしましたものでございまして、なおまた老齢人口のほうは総理府統計局の全国年齢別人口推計四十三年十月一日現在のものによるものであります。
○後藤委員 そこで大臣、いま説明がありましたように、六十五歳以上のお年寄りで四七%の年金受給者があります。その中の四〇%というのが老齢福祉年金の受給者です。あとの七%というのが厚生年金でございます。その他の年金でございます。いわば六十五歳以上のお年寄りのほとんどが老齢福祉年金の支給を受けておるということなんです。
 そこで、この問のここの委員会におきましても、今度の国会で老齢福祉年金二千円が二千三百円と、三百円の引き上げがきまったわけです。さらに身体障害者なり寝たきりのお年寄りは、六十五歳から二千三百円支給しましょう。これもきまったわけでございますけれども、厚生年金関係が非常に少ない。物価がどんどん上がる、スライドするんだ、計算する時期を待たないで今回はこういうふうに画期的なやり方をひとつやるのだ、この気持ちは私はよくわかるわけなんです。わかるけれども、六十五歳以上のお年寄りの中で四〇%を占める老齢福祉年金が、月わずかに二千三百円で据え置きになるのですね。それも実施はことしの十月か十一月でしょう。次の引き上げがきまるまでは二千三百円ですね。そこまでお考えになるのなら、二千三百円ぐらいで押えずになお五千円ぐらいに引き上げたらどうです。きまってしまってからこういうことを言うのはあとの祭りですけれども、ただ次の国会におきましては、ひとつ老齢福祉年金の大幅引き上げにつきましても、それは社会保障の中の年金というのは一本の大きな柱だ、中心だと思いますので、そういう意味から考えていただいても、老齢福祉年金を、まあことしは思い切って三百円上げたんだ、五、六年前は百円、百円でございましたけれども、百円と三百円で三倍でございますが、思い切ったといえば思い切ったことになるかもしれませんが、思い切った金額が二千三百円ですから、もう少し次の機会には老齢福祉年金のことも、ひとつ年金の中の一部として大幅に引き上げをしていただくように考えていただく必要があるんじゃないか、こう思うのですが、これは大臣いかがでございましょうか。
○内田国務大臣 私は、考え方といたしましては後藤さんと全く同じ考え方でございまして、月二千円を二千三百円に三百円上げたということは初めてではありますが、私はもっと上げたいと思います。でございますので、ことしの八月の概算要求のときには、いまここで幾らと申し上げないほうがよろしいのでございますけれども、私にも腹づもりがございまして、そのくらいはぜひ引き上げるように大蔵省に強硬談判をいたしたいと思います。
 ただ、これは掛け金が伴わない無償の年金でございますために、結局全額が国庫負担でございます。現在でも二百数十万人、三百万人まではまいりませんが、二百四、五十万人でございますかの受給対象者に対する福祉年金の支給額というものは、金額ではたしか九百億円内外になるわけでございますので、これを倍に上げますと千八百億円ということになるわけでございます。老人対策はいろいろな面で考えておりますが、私は年金の引き上げということも大きな柱の一つとして考えるものでありまして、御激励いただいたつもりで大いにやろうと思っております。
○後藤委員 それはまことにけっこうな大臣の話ですね。いま言われましたように、この国民年金ができた当時五十歳以上の人については加入ができなかった、そういう人には老齢福祉年金を支給します、そういう形で今日に至っておりますが、出す一方で、入ってくるお金は一銭もないわけですね、その限りにおきましては。それははっきりしておるわけなんです。それでいよいよ八月から九月にわたって、来年度の問題になってくると思うのですが、大臣も、おれはおれとして腹づもりがあるのでひとつやる、こういうことなんですね。ことしでも私そうだと思うのです。二千三百円ときまってここへ提案された以上は、なかなかちょっとやそっとで変わらぬわけなんですね。二千三百円、一たんきまって提案されてしまうと、なかなかこれは容易な問題じゃないと思うのです。ああいう金額、二千三百円、数字で三千円にせいと言ったところで、なかなかこれはきまる問題じゃないのです。だから次善の問題として、十分ひとつ老齢福祉年金、いわゆる年金の一部であり、六十五歳以上の人の四七%のうちの四〇%が適用されておるのですから、しかもこれは数は減っていく一方だと思うのです。これからふえる方向にはないと思います。そういう点を考えていただくならば、老齢福祉年金の大幅引き上げを次の時期にはやる、こういうことでひとり大臣もがんばってもらうようにぜひこれはお願いいたしたいと思うわけです。
 それから、その次には厚生年金関係の問題でございますけれども、先ほども話が出ておりましたこの保険部会の答申に基づいてやられたと思うのです。この答申の中には九項目あるわけなんですね、数えてみますると。間違っておればあとから訂正してもらえばいいと思いますが、その九項目の中にはまだまだ手をつけておられない項目もあると思うのです。との九項目の中のどの項目が今度の改正案できちっとされた項目であるか、手がついておらぬ項目については今後どういうふうな方向で進めていくのかというようなことにつきまして、手のついておらぬ問題の中にもかなり重要な問題があると思いますので、ひとつ御説明いただきたい、と思います。
○北川政府委員 お尋ねの昨年八月十五日の社会保険審議会厚生年金保険部会の意見書の各項目につきましては次のとおりでございまして、それに対しましては、続いて申し上げますような措置をとっております。
 第一項目は、前段の問題として、厚生年金保険について根本的な見直しをすべきではなかろうか。特に年金額の実質的な価値を維持するために必要な措置をとるべきでなかろうかというようなくだりがございまして、それを受けて、いま申し上げました第一項目では、緊急改正として、前回改正において考慮された経済諸指標のその後の推移を参考として、当面の応急対策として、年金価値維持の見地から、少なくとも最近二年間の物価上昇等を考慮した補正措置を講ずるように。その際整理資源としては、国庫負担にするのが筋であって、保険料の引き上げは行なわない、これが第一項目であります。これに対しましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、また、ただいま御審議をいただいておりますように、当面年金額につきまして定額部分を一五%引き上げることによって、全体としておおむね一〇%の引き上げをして、当面の応急的な措置とするというふうな措置を講じたわけであります。
 その際の計算の基礎といたしましては、前回改正後の物価上昇、つまり四十二年から四十三年、それから四十三年から四十四年までの上昇率でございます一〇・八%というものを目安にいたしまして、ただいま申し上げました、ならして約一〇%程度の引き上げということにしたわけでございます。で、御議論のございました四十五年につきましては、この措置をとりました当時において、四十五年度における物価の上昇等について決定的なデータが出ておりませんでしたので、そういったものはとることができませんでしたから、そういう意味合いで、また応急的な措置ということもあって、しかも従来に例のない異例の措置であるというふうなこともありまして、一〇%程度の応急引き上げをやったような次第でございます。
 なお、保険料率の引き上げは行なっておりません。
 それから第二項目に、「女子に対する脱退手当金の特例措置は、これまでの経緯等を考慮してさらに五年程度延長すること。」というのがあります。これは、この御意見書のとおりの措置をただいま法律改正でお願いをいたしております。
 それから第三点に、「失跡者については、死亡と推定された時点において被保険者でないためその遺族の保障に欠ける場合があるので、是正措置を講ずること。」というのがございますが、これも今回の法律改正でいわば民法の特例的な措置を講ずるようなことをお願いを申し上げておるわけであります。
 それから、その次の「二以上の年金たる給付の併給調整については、現実に支給される年金の水準がまだ不十分である実情を考慮して、合理的な救済措置を講ずること。」これも法律改正の中身をごらんいただきますと、大体この御要望に沿ったような措置をとっておるわけであります。
 以上が、今回の法律改正に直接関係をいたします分でございまして、それ以外の御意見といたしましては、いわゆる積み立て金の問題につきまして、従来からも審議会あるいは国会の委員会等でいろいろ御意見をちょうだいしておりますので、この運用のしかた、あるいはこれに対する拠出者の参加の問題、あるいは利回り運用等の問題についてすみやかに実現をするように、また、還元融資につきましては、そのワクを少なくとも三分の一に拡大をするように、その他年金福祉事業団等につきましても拠出者の意向が反映するような方途を講ずるようにという御意見でございますが、これにつきましては、このすべてが現在までにおいて実現はいたしておりませんけれども、先ほど大臣が申しましたように、従来の二五%の還元融資につきましてはさらに五十億円の上積みをいたしまして、そういった意味で還元融資ワクの拡大についてはできるだけの努力はしたつもりでございます。
 また、その次にございます厚生年金基金の積み立て金の運用については、財投協力の強制というふうなことがないように、その高率運用をはかる見地から改善をはかるようにしなさいという御意見がございますが、これも、現在の段階におきましては、御要望のような線に沿ってできるだけの検討をしてみたいという段階でございます。
 その次は老齢年金についても、障害年金あるいは遺族年金と同様な非課税措置を行なうようにするということであり、また非課税措置が実現するまでの間においても、源泉徴収制は廃止をすべきである、こういう御意見がございますが、この問題はなかなかにむずかしい問題でございまして、毎年税制改正の際に、やはり老齢年金というものは社会保障というふうな見地からものを見る必要がありますので、御意見書のような線に沿って関係当局とも話し合いをいたしておりますけれども、現段階におきましてはまだ実現を見ておりません。
 それから、被保険者及び事業主の年金に対する認識を高めるために年金手帳の交付など適当な方策を講ずることという意見がございます。これについても関係当局との話し合いをいたしましたが、現在の段階ではまだ実現までには至っておりません。
 最後の沖繩復帰の際における沖繩の厚生年金保険の被保険者の権利擁護につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、閣議決定の線に沿いまして現在具体的な問題点について詰めをやっておるような段階でございます。
 はなはだ簡単でございますが、大体以上のとおりでございます。
○後藤委員 大体今度の改正案は、いま説明がありました厚生年金保険部会の答申が中心にやられておると思うのです。ところが、九項目出ておりまして、その中で三つないし四つこれは実行に移される。その中で特に積み立て金の運用につきましては、労使代表の参加というのがありますね。少なくともかけた人の代表なり、いわゆる労使の代表を参加さして管理運用に対する意見を十分反映させよ、これもやはり答申の中に入っております。これは長い間われわれも強く要望しておるところなんです。これにつきましては一体どういうことになっておりますか。いまどうやろうとしておられるのか。やらぬというのか。やるなら一体いつやるのか。その辺の説明を願います。
  〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
○内田国務大臣 私は、実はこの審議会にも出席をいたしました際に、ただいま後藤さんから御発言のありましたような御論議もございました。これに対応いたしまして二つ問題がございますが、いま御承知のように、この積み立て金は大蔵省の資金運用部の中に財源資源として一緒になりまして資金運用部の資金運用審議会で運用の方途がきまるわけでありますが、大蔵省側の意見といたしましては、資金運用審議会のほうのメンバーは労使代表とかあるいは各分野の代表とかいうことでなしに、全く中立的な少数の学識経験者をもって構成しておるというたてまえであるので、労使という観念を取り入れておるものではないのでというような考え方でおられますことが一つと、もう一つは、これは直接私どものほうの問題になるわけでございますが、年金福祉事業団はこれらの積み立て金の還元融資を業務といたしておるわけでありますから、押し詰めてまいりますと、年金福祉事業団の理事機構の問題にもなるわけであります。そこで、そのことにつきましては、労使双方からの参与の制度を実は年金福祉事業団には設けてございます。参与制度と申しますと従来形式的なことになりがちでございますので、私はなるべくこの参与制度を活発に運用するほうが、審議会におけるこういう御論議を生かすゆえんでもあると考えまして、御論議がございました直後にも、私から特に年金福祉事業団の理事長に要望をいたしまして、労使代表をもって構成する参与会の運営を活発にして、そうして年金福祉事業団の事業に反映するようにしてほしい、実はこういう要望を現実に私はいたしたわけでございます。事業団のほうでも、その意を体しまして、参与会の運営を有効にいたしておるものと考えております。
○後藤委員 いま大臣が言われた参与――参与会というものは年に一ぺんか二へんのたいしたあれもなければ、意義もないということを私は聞いておるのです。だからそういう形でなしに、実質的に年金福祉事業団の融資問題その他につきまして代表が参加できるような仕組みをひとつ考えてもらう。たとえば、あそこは理事が何名おるのですか、その中の理事を参加させてもいいじゃないですか。金を出したほうの代表を加えるのはあたりまえの話だと思うのです。そうむずかしい話ではないと思う。やろうと思えばできると思うのです。しかも、いま三分の一にもなっておらぬのですから、三分の一にワクもふやせ、しかし福祉事業にこれも使いなさい、みんなが出し合った金だから、こういう気持ちならば、出したほうの代表も、労使の代表――名前はともかくとして、そういう代表を入れて、運用についても十分意見を反映させる。この保険部会のほうも、そういうふうにやれという答申が出ておるのではないですか。出ておったら、これこそお金の要らぬ話だと思います。お金の要らぬ話だったらできるだけ実行に移すこともそうむずかしい話ではないと思うのです。厚生大臣に大蔵大臣とかけ合ってもらうほどの問題ではないと思うのです。金の問題ではなく運用の問題ですから。これはいかがですか。
○内田国務大臣 お説十分承りました。また、同趣旨も御論議も、この審議会は各界を代表する委員の方がおられますので、審議会でもお話が出ましたこともそのとおりでございますが、その際、私も参与会の運営をもってこれに対応する旨、並びに参与会は、いまお話がございましたように、全く寝たきりの飾りものということにしないで、活発に運営をさせる、こういう私の考え方も述べますと同時に、現実に年金福祉事業団の理事長に対して、私のこの考え方を申し入れをいたしまして、最近ではこの参与会の運営もかなり活発にいたしておる、こういう報告も受けております。年に二回どころではなしに、三月中においてすでに二回も参与会をやった、こういうことでございます。
○後藤委員 これはどうして理事には入れられないのですか、入れられない理由が何かあるのですか。
○内田国務大臣 事業団というのは公団、公庫、そういう機関でございまして、そこの理事機構は労使代表をもってバランスのもとに構成する、こういう仕組みになっておりません。理事機構としての適任者を理事に任命する、こういうたてまえでございますので、労使という形では理事に任命することはございませんけれども、しかし私は、さらに広い意味で、その人のキャリアなどを生かして、理事としてしかるべき方がおられます場合には、そういう別の意味で、労使代表という意味でなしに、別の理事機構としての適任者として考えられる場合もあり得るだろう、こういうふうに思います。
○後藤委員 あり得るだろうと言われますけれども、結局、そうすると労働者代表ではそれだけの人材がおらぬ、こういうことですか。
○内田国務大臣 そういうことではございません。資本家代表、経営者代表というものを理事に任命をいたしておるわけでは全くありません。いわゆる学識経験者というような立場から、しかるべき適任者を理事に任命をいたしておる、こういうことでございます。
○後藤委員 いま大臣が言われましたように、使用者代表だ、中立代表だ、労働者代表だということにはなっておらぬと思うのです。だけれども、結局いわばたまったお金というものは、お金を出した者がおるからたまりました。出した者の代表の意見を十分反映させるためには、それらの人の――何もおまえは労働者の代表だどうだということでなしに、やはり労働者は労働者としての組織があるわけなんです。じゃ、おまえは労働者代表として理事に入れということではなしに、労働者側の意見と、お金を出したほうの意見を十分反映させるために理事に任命する、こういうこともやろうと思えばやれるわけなんです。そういうのが入ってくると口がやかましいし、むずかしくてかなわぬ、だからなるべく入れないように入れないように、せめてこうしたたいしたことのないところの参与のほうに置いておいて、入った入った、こういうことにしようじゃないか、うがったことを言うとそんな気持ちにもわれわれなるわけです。だから、ぜひひとつ資金運用の問題につきましては、いわば労働者側の代表、名前はいろいろ考えられましょうけれども、いまわれわれが言わんとしておるところの気持ちを十分くんでいただいて、そういう代表もやはり理事に参加さしていただく、理事にしてもらう、これを早急にひとつ御検討いただきたいと思うのですが、いかがですか。
○内田国務大臣 検討いたしたところでございますが、それは参与制度をもって運用することが適切で、味もあるんだ。理事というのは他業兼営禁止というのが原則になっておりますし、要は参与会の参与の運営の問題であろうかと私は存じますので、参与会の運営につきましては、私どももこの機関の管理官庁といたしましてさらに活発化をはからせるようにいたしてまいりたいと思います。
○後藤委員 ちょっとそっちのほうにお尋ねするのですが、参与と理事とどう違うのですか。
○北川政府委員 理事は、先生御承知のとおり年金福祉事業団の理事でございます。理事機関としていろいろな業務に携わる。それから参与会は、俗に参与会として運営いたしますけれども、このほうは実際の予算あるいは事業計画あるいは資金の決定あるいはまた資金の交付、こういった問題につきまして参与会の御意見を伺って、いろいろそういう方々の意向が反映するようなものとして運営をしておりまして、何と申しますか、事実上のいわば拠出者の意向を反映するための機関、このように考えております。
○後藤委員 理事は何名で、参与は何名で、どういうことになっておるのか、ちょっとお尋ねいたします。
○北川政府委員 理事は四名で監事は一名でございます。それから、ただいま申し上げました参与は六名でございます。
○後藤委員 大臣、ひとつ先ほどの話でも申し上げましたように、実質的に考え方が十分反映するような方向で御尽力いただきたい、これはひとつお願いいたしたいと思うわけです。
 それから、厚生年金の加入者、国民の層でいうとどういう層の人の加入が一番多いのか、これをお尋ねいたします。
○北川政府委員 厚生年金の場合には、健康保険と違いまして、政府管掌であるとかあるいは組合管掌というような区別がございませんので、いわゆる共済組合グループを除いた方々の被用者一般、その中で五人未満の事業所が除外されておりますから、そういうものを除外した方々はすべて厚生年金に加入をしております。ただ適用事業の関係で若干適用されない事業がございますけれも、最近は適用範囲を拡大いたしましたから、ほとんどすべての事業場と大体網羅しておるというふうに考えていいと思います。
  〔伊東委員長代理退席、増岡委員長代理着席〕
○後藤委員 そうしますと、官公労に公労協関係以外ですか、大体中小企業が中心で厚生年金には加入しておる。――そうでないならないであとからひとつ言ってください。
 そこで、いまあなたが言われました五人未満の事業所、これは除外されておる、こう言われますけれども、昭和四十年の衆議院の社会労働委員会における附帯決議の中に五人未満の事業所につきましても、立法措置を考えよ、こういう附帯決議が昭和四十年についておるわけです。これは皆さんのお手元のプリントにも書いてあると思うのですが、その附帯決議がついておるのに、現在でも除外しております、除外しておりますということでは私は通らぬと思うのです。その辺の扱いは一体どうなっておるのですか。
○北川政府委員 私から一応申し上げまして、あと足らない点がございましたら実施官庁の年金保険部のほうから申し上げます。
 五人未満の事業所につきましての被用者保険の適用という問題は、厚生年金保険だけに限らず健康保険も含めましてきわめて零細な規模であって、しかも事業所が多いだけに、事務的にも非常にむずかしい点があるわけでございます。ただ、この中で現在までに事業主の意向あるいは従業員の意向等によっていわゆる任意包括適用として加入しているものも相当あるわけであります。今後この問題をどういう手順でどういうふうに被用者保険のグループに取り込んでいくかにつきましては、いま申し上げましたような技術上の問題もございますので、十分に検討してまいるというような状態でございます。
○八木政府委員 五人未満の事業所に対します適用の状況でございますが、五人未満の事業所の推定は約八十九万程度あるのではないか。そのうち現在適用になっております事業所の数といたしまして十二万四千ということで約二二%程度が加入適用になっております。それから従業員総数では大体百九十六万五千人程度が対象になるのではないかと思われますが、そのうち三十五万人が適用の対象になっております。
○後藤委員 先ほど言いましたように、昭和四十年の五月七日の第四十八回国会、衆議院社会労働委員会における附帯決議、この中に、読んでみますと、「五人未満事業所に対する厚生年金保険の適用については、改正法公布後二年を超えない期間内に立法化を図るよう努力すること。」このとおりやっておられるともうできておるわけです、二年以内にやれということですから。なお、日雇労働者に対しては、その雇用の実態を勘案し、これが適用についても速やかに検討すること。」これはこの委員会できめられたんですよ、昭和四十年に。ところが、いまの部長の話じゃないですが、九十万のうちわずか十三万ですか、これは二二%にならない。さらにいま局長の言われるように、これから検討いたします、四年前の附帯決議をこれから検討するということはこれは一体どういうことなんですか。附帯決議みたいなものは問題にならぬわけですか、ここでつけてみたって。大臣どうですか。これは社会労働委員会において附帯決議、附帯決議と一生懸命になってつけますけれども、たとえばこれはいい例だと思うのです。四十年にこういう附帯決議がついておるんです。しかも二年後にやれという附帯決議がついておるんです。この附帯決議を読んだら、その当時の大臣は、そのとおりしっかりやりますというあいさつで、しゃんしゃんと終わっていると思うのです。いま昭和四十六年です。日雇い労働者の問題につきましても書いてあるのです。この附帯決議がつきまして以来今日まで検討してきたけれども、こういうところがこうでできぬのだ、ここに支障があるんだ、こういうふうな話ならわかるのですがね。附帯決議は附帯決議で、もう法律さえ通ってしまったらあとはしりくらえ観音というような形では、これは何のためにここで真剣になって附帯決議だと各党と相談してやるのかということになってくると思う。この四十年の附帯決議の問題については一体どう扱われておるか、その御説明をいただきたいと思います。
○北川政府委員 ただいま後藤委員から御指摘のとおりでございまして、私どもは附帯決議についてこれを全然なおざりにしているというふうなことはございませんし、そういうような気持ちはさらさら持ち合わせておりません。ただ任意包括適用の話をいま年金保険部長から申し上げましたが、先生も御承知のとおり、五人未満の事業所の実態関係と申しますのはまことに複雑多岐にわたっておりまして、これを被用者保険グループに取り込みますために、特に強制適用として五人をこえる事業所と同様なかっこうでやりますためには相当な行政機構の整備と申しますか、そういった面のくふうも要りまするので、私どもは少なくともそれ以来現にある任意包括適用という制度のできるだけ積極的な運用ということ、積極的な活用ということ、そういったことを行ないまして、なるほどお話しのようにまだまだ数は不十分ではございますけれども、それ以前の状態に比べますと相当程度現行制度の運用によって任包の適用促進をはかってまいったわけでございます。でございますが、もとよりただいまの附帯決議の御趣旨は、そういった行政努力というふうなものだけではなくて、制度上そういったものを取り込むような仕組みを考えろということでございましょうから、そういう意味におきまして、私どもは今後も引き続いて行政努力をはかりますとともに、どのような行政機構でこれに対応すべきか、そういう問題もございまするので、そういったところを附帯決議の趣旨を尊重いたしまして十分に努力をしてまいるつもりでございます。
○後藤委員 これ以上言うておりましても、あなたのほうも話が進まないと思います。この附帯決議というのは、立法化をはかることになっておるわけなんです。立法化をはかること、これははっきり書かれておるわけなんです。だから日雇い労働者に対しては一体いまどういうことになっていますか。これも附帯決議ですよ。
○八木政府委員 立法化の問題につきましては、四十四年の法改正の際に新たに一条を起こしまして、五人未満適用の問題については、「他の社会保険制度との関連も考慮しつつ、適用事業所とするための効率的方策を調査研究し、その結果に基づいて、すみやかに、必要な措置を講ずるものとする。」というような法律の条文を新たに入れたわけでございます。
 日雇い労務者につきましては、現在国民年金に入っておるわけでございますので、やはり現在この五人未満の問題と同様の問題といたしまして、今後どういうふうに考えていくかという問題であろうかと思います。
○後藤委員 日雇い労働者が国民年金に入っておるぐらいのことは私は知っておるのです。ところが、この附帯決議を見ますると、「日雇労働者に対しては、その雇用の実態を勘案し、これが適用についても速やかに検討すること。」いわゆる厚生年金に加入できるようにすみやかに検討しなさい。これは昭和四十年度にそうなっているのですよ。それなのに現在厚生省は何もやっておらぬじゃないですか。日雇い労働者の組織もあるのですよ。いまその実態を握っておられるのですか。厚生年金にいま入るわけにいかぬのでしょう。これは四十年の附帯決議の問題を何もやらぬということじゃないですか。何もやっておらぬのでしょう。これはどうなっておるのですか。
○八木政府委員 日雇い労務者の問題につきましては、従来国民皆年金という面から適用漏れというような問題がございまして、適用促進という面につきましてできるだけの努力を払ってきた次第でございまして、国民年金制度の改善充実ということ、拠出制国民年金の改善充実という問題の中の一環といたしましてこの問題の取り扱いを考えていかなければならないのではないかというふうに思っておる次第でございます。特に日雇い労務者の場合には、事業所の移動等もひんぱんであるわけでございますし、従来国民年金に入っておるわけでございますので、国民年金から厚生年金に移行するというような移動の状態等も考えますと、厚生年金でいくか、国民年金でいくかという場合に、むしろ国民年金の被保険者という形でいくのが妥当ではないかというふうにも考えられるわけでございます。
○後藤委員 いまの説明はそうかもしれませんけれども、四十年にここで審議されましたのは、政府は厚生年金保険制度の改善拡充に一そう努力しなさい。特に左の事項につきましては早急に適切な措置をとるべきである。その中に日雇い労働者に対してもこうやりなさいということをはっきり書いてあるのです。これを私が聞いたからあなたは適当にお答えになっただけで、それなら日雇い労働者に対して厚生年金のことをいままで厚生省としてやられたことがありますか。ないでしょう。こっちから質問したものですから、あなたは国民年金のほうでできるだけどうのこうのと言われた。黙っているわけにいかぬからそう言われるのだろうと思うのですね。少なくとも私は、厚生年金の問題が四十年以来、これは四十二年が大改正でございましたか、ずっとこれは問題になっているわけなんです。五人未満の事業所の問題にいたしましても、日雇い労働者の問題にしても、これは衆議院でも参議院でも同じことをいわれておるわけなんです。これは大臣これからどういうふうにお考えでしょうか。
○内田国務大臣 附帯決議は国会の御意思でございますので、私ども行政当局としてはそれは尊重しなければならないことはもちろんでございます。しかし、附帯決議の中には、すぐそれが行政的にできること、立法的に可能なこともございますし、いろいろの手段を講じて積み上げていかなければできないことも含まれておると思うわけでございまして、そもそも事業所単位にできておるのが厚生年金制度でございます。日雇い労務者というのは一つの単位事業所に属さないで働き先を常に変えておるという特殊性もございますので、附帯決議の御趣旨を直ちに立法に取り入れるといたしましても、技術的になかなか割り切れない問題がありますために、今日までその実現がはかられていないという点があろうと思いますが、しかし社会保障制度の一環でございますから、日雇い労務者をいかにするかということにつきましては、十分附帯決議の御趣旨を尊重しながら今後引き続いて検討をいたしてまいりたいと思います。
○後藤委員 これは大臣、衆議院も参議院も先ほど言いましたような趣旨の同じ附帯決議がついておるわけなんです。だからこれはぜひひとつ今後の問題として御検討いただきたいと思います。
 それから、今度の一〇%の引き上げですがね。四十二年、四十三年でございますか――なぜ一〇〇%になったのか、このいきさつを、先ほども御説明になったと思いますけれども、簡潔でけっこうですから、もう一ぺん御説明いただきたいと思います。
○北川政府委員 前回の改正のとき、改正の指標になりましたものは四十二年までのものでございまして、今回の改正は改正後の指標をとったわけでございます。四十二年から四十三年、それから四十三年から四十四年という間にわたる消費者物価指数の伸びをとっておりまして、四十二年を一〇〇といたしますと四十四年は一一〇・八でございます。これを大体一〇%と計算をいたしましてやったわけです。
○後藤委員 そうすると、いま引き上げを行なうのに四十三年、四十四年の古い物価指数を持ってきて何になるのですか。しかもこれは十一月から実行に移すのじゃないですか。それを四十三年と四十四年、三年も四年も昔の物価指数をとってきて、これで引き上げでございます、これは一体どういう考え方なんでしょうか。ことしの十一月から実行するものの引き上げに対して、四十三年と四十四年の二、三年さかのぼった物価指数でこれを適用して引き上げを行なうというのは、私はどうしてもわからぬわけなんです。どうしてそういう古い指数を持ってくるんですか。たとえば四十五年と四十六年あるいは四十六年と四十七年、一年間に七%ずつ上がるのなら二年間で二、七、十四、はい一五%引き上げるということなら話はわかるのです。二年も三年も遠いところに行った物価指数を持ってきて、引き上げでございます、ただし保険料は上げませんよ、りっぱにやるでしょう、こういうことだと思いますけれども、それじゃ四十五年と四十六年の物価指数の大体のところはわかる、それを基礎にして引き上げる、それなら私はごく常識的なやり方だと思うのですよ。これは大臣いかがですか。
○内田国務大臣 先ほどもお答え申し上げたとおりでありまして、私はそういう物価指数や賃金指数にとらわれることも技術的にはやむを得ないとは思いますが、それよりも、年金制度というものを、老後対策としてさらにより高い、より広い見地から検討をさせようと考えておりますことをまず御承知いただきたいと思います。
 今回の改正は、役人式に考えればやらぬでも済ませるかもしれないものをこの際やってほめていただこうというような意味で、四十四年に改正いたしましたばかりのものを、次の財政計算期を待たないで一〇%まるくして改正をしたということでございまして、これは説明といたしましては、四十三年、四十四年の消費者物価上昇に見合って上げましたと言うのですが、そもそももとの数字というものが必ずしも物価と機械的にくっついてできたものとも私は思いません。いわゆる二万円年金というようなことで、いろいろの条件を想定いたしまして二万円年金というものをつくったわけでありますけれども、しかしその後における物価の上昇等も現実に行なわれておりますので、材料としてはいまおしかりをいただきましたように昭和四十三年、四十四年という二年間の物価指数をとりましたが、それは古いところを追いつこうということではなしに、四十四年の改定後さらに改正する一つの手段としてとった、こういうふうにぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。先を見越して四十五年、四十六年の物価の上昇見込みというようなものも私ども政治的に持たぬわけではございませんけれども、それに常に算術的にマッチさせるという趣旨ではございませんで、四十四年、せっかく抜本改正で上げたつもりのものを四十九年まで待たないで何がしか引き上げようという、当然のことではございますが、加入者のための利益へのサービスということでいたしておりますので、その指数への結びつきにつきましては、いま私が申し述べますように御理解をいただきとうございます。
○後藤委員 なかなかうまいことを言われましたけれども、この答申の中を読んでみましても、「最近二年間の物価上昇等を考慮した」と書いてあるのです。「最近」というのは四十三年、四十四年のことでしょうが、私は「最近」というと、大体四十四年から四十五年あるいは四十五年から四十六年、これが最も近いと思うのです。厚生省の最も近いのは四十三年、四十四年でございますか。あなたの言われる気持ちはわかっているのです。いろいろあろうけれども、再計算期を待たずにやったのだから、物価指数を考えておるのじゃない、そのことも一つのウエートとしてできるだけ引き上げるということを考えてやっておるのだから――これはあなたのおっしゃるとおりだと思うのです。ところが、われわれといたしましては、一〇%ではなしに、どうせいいことをおやりになるなら、もうちっといいことをおやりになったらどうだという気持ちなんです。社会保険部会もこういう答申を出しておるのですから、やろうと思えば私はやれると思うのです。最近二カ年間の物価指数を考慮してやれ、こういうことでありますね。四十四年、四十五年あるいは四十五年、四十六年を考えてやればこれはやれるわけなんです。このことばかりじゃないと思いますけれども、やはりこのことが一つの根拠になっておると思うのです。それだったら一〇%ではなしに一五%くらいが私は普通だと思うのです。わざと四十三年、四十四年の一〇%――勘定がいいからそう持っていったのかもしれませんけれども、その辺がどうも大臣としても遠慮しておられると思うのです。思い切ってこの文章のところに、四十四年、四十五年の物価指数を持ってきなさい、一五%ぐらいになりますよ、ということを言うと、局長あたりは、まだ四十五年度あたりの資料が出ておりませんという話が出ると思うのですが、そんなもの一々厳格なる資料がどうとかこうとかという問題じゃないと思うのです。最近の物価値上がりは毎年七%間違いないのです。二、七 十四、四捨五入して一五%ですよ。答申でも「最近二年間」といっておるのですよ。なぜ答申をまともに実行に移されないかということなんです。答申の趣旨に沿ってそういうふうに直されたらどうですか。そういう気持ちは大臣はないですか。
○内田国務大臣 これは初めから、昭和四十三年、四十四年の物価の値上がりが一〇・八でございましたからそれを材料として引き上げましたというようなことを申し上げた私どもの説明のしかたがへたでございまして、社会保険審議会の御意向も、最近の物価の値上がりが著しいものがあるから、この際中間的にひとつ加入者サービスをすべきである、こういうことを申されておるわけでありまして、最近二カ年間の実績なり実績予想に基づいた率にパラレルに引き上げなさいということではございません。でありますから、一〇%よりも一五%がよろしいし二〇%がよろしいわけでありまして、そういう意味のこれは御意見でありますので、できましたらそれは私がさらに政治的指導力をもって、一〇%ではなしに、せっかく御意見もあるわけでありますから、一五%とか二〇%とかいう引き上げをいたしまして、これまたしかるべき方面への説明に数字づけが必要ならば、こんなものは二〇%の資料をこしらえるぐらいのことはお役所の人はじょうずでございますから、これこれで二〇%になりますというものをきっとつくってもくれたかもしれませんけれども、答申の趣旨は、四十五年、四十六年の物価指数に見合った引き上げということではなしに、最近物価も変動しているから、おととし直したばかりであるけれども、さらに若干この際中間的に引き上げを考慮したらどうか、こういう趣旨でございまして、まあこれはいろいろ数字の問題や何かがございますので、元来憶病の当局でございますので一〇%とした、こういうわけでございます。
 先ほど来だんだん私が申し述べておりますように、年金というものは今後老齢者対策の生活保障の根幹でありますので、物価指数をどうとか賃金指数をどうとかいうものから飛躍いたしまして、私は厚生年金ばかりではなしに、無拠出の福祉年金につきましても、また国民年金なんかも、ほんとうは、計算をいたしますと、いまの四百五十円の保険料では、これは八千円の年金額は数理計算ではたいへん無理があるようでございますから、そういうことを飛び越えたことを引き続いてやらせていただくつもりでおりますので、この件につきましては、後藤さんの御意見、私は重々承りますが、そういう私どもの経緯やらまた気持ちを御理解いただければ幸いと存じます。
○後藤委員 一〇%に押えられるということは、保険財政として、たとえばこれを一五%にした場合には財政的に見てどういうことになるのか。いやもうだいじょうぶでございますと、こういうことなのか。財政的な面も考えて一〇%に押えざるを得なかった、こういうことなのか。そういうことは全然考えなしに、まあ答申も出たし、この際物価も上がるし、お年寄りも大事にせにゃいかぬし、それで四十三年、四十四年のところを持ってきて一〇%ときめた、こういうことなのか、その辺は局長、いかがでしょう。
○北川政府委員 財政的な問題につきましては、先ほども申し上げておりますとおり、やはり根本的には財政再計算期にいろいろなファクターを洗い直しました上で長期的な見通しを立ててすべてを算定することになると思います。今回は、先ほどからも申し上げておりますとおり、通常のそういった財政再計算期に合わせた改正ではなくて、最近のいろいろな水準のアップに伴う年金の実質価値の維持というふうな見地からとりあえず応急的にやったものでございますので、そういう意味で厳密な意味での財政計算ということは今回はやっておりません。
○後藤委員 あなたもちっとは質問を聞いておってもらわぬと、私はそんなことを聞いておりはせぬですよ。一〇%の引き上げを行なうということは物価指数のみではない、もう大臣もいろいろ言われましたように、これは引き上げる必要がある、そういうふうないろいろな意見を聞いたわけです。そこで私の聞きましたのは、再計算期というのは昭和四十九年です、これははっきりしておるのです。ところが現在、これがきまればことしの十一月から一〇%の引き上げになるのでしょう。そのことは財政的な見地からも考えて一〇%にせざるを得なかった、こういうふうな何か要素があるのかどうかということをお尋ねしたのです。一〇%であろうと一五%であろうと、別に財政的にはもう大安定いたしております、心配はございません、こういうことなのかどうかということを私は聞いたわけなんです。いかがですか。
○北川政府委員 私がお答え申し上げました中で、財政的なことは全然考えてないというふうな、そういうことを申し上げたわけではございません。ただいま先生からお話のございましたこの意見書にもございますとおり、また大臣からも申し上げましたとおり、最近の非常な物価上昇等を考慮して補正措置を講ずるべきである、またその場合には、前回の四十四年の改正の際において考慮された経済諸指標のその後の推移を参考とすべきであるというようなことがございますので、そういう意味合いで、先ほども申しましたような前回改正後の経済指標と申しますとやはり四十二年、四十三年、四十四年というようなそういうところになりますので、そこを根拠といたしまして今回の一〇%引き上げというような措置をとったわけでございます。
○後藤委員 そうすると、財政的には何も心配はない、ただ、いま言われたようなことで一〇%の引き上げを提案をしたのだ、こういうことだと思うのです。
 そこで大臣、いかがですか。いま局長が言われましたので、私もはっと思って読んだんですが、昭和四十四年に改正があったんですね。さらに今日、物価が上がるものでもう一ぺん改正しよう、こういうことなんです。それだったら四十四年、四十五年あたりを基礎にすべきじゃないですか、物価指数を考えるとするならですよ。全部が全部物価指数じゃないということは大臣のさっきの説明でわかりますよ。四十四年に改正して、物価も上がっておるからこの辺で引き上げるべきだという答申があれば、四十四年より前の四十三年、四十四年を持ってこずに、四十四年、四十五年あたりの物価指数を考えて引き上げる、これはもうあたりまえのことじゃないですか、ここで言わなくとも。それを四十四年のときには四十二年、四十三年あたりをとってきたものだから、今度はそれに続かなければいかぬということでこういう形になっておるのじゃないかと私は思うのです。これはあなたもはっきり、答申がそこまでいっておるのですから、四十四年以降について。そうすれば四十四年と四十五年の物価指数をとってこの一〇%になるかどうなるか、確実なる資料に基づいてもう一ぺん考え直されたらどうです。それを答申はいっておると思うのです。ただしあなたの説明を聞くまでもなく、全部が全部物価指数じゃないですよ。物価指数を考えるとするのなら、私はそうすべきであると思うのです。だから、二二%になるか一五%になるか、これはわかりませんが、私は別に横車を押そうとは思わないのです。ごく常識的なものの言い方をしているわけです。これはそういうふうにもう一ぺん計算をし直してもらう、いかがですか。
○内田国務大臣 たびたび申し上げますように、四十九年の財政再計算期を、私はそれを繰り上げて本格的な検討をさせまして、でき得る限り老後の生活保障になり得るような年金額というものに厚生年金を持っていきたい、そのためには財政再計算をすれば保険料をどう上げなければならないか、あるいは国庫補助の一〇%がいいか悪いかというような問題にもなりましょうし、また、いろいろ枝葉の問題につきまして審議会から特例脱退手当金というものにつきましての消極的な御批判もむしろあるようでございますけれども、今回はそれを女子従業員の利益のために、審議会などの――審議会は二つございますが、一方の審議会の御意思に多少違うような形になりますけれども、そのまま五年延ばすというようなことも実はいってまいってきておりますので、私の本心は財政再計算期に年金についてのほんとうの正しい姿を実現したい――正しいといいますか、私の社会福祉についての理念ができるだけ実現できるような姿にしたい、こう思うわけであります。その中間的と申しますか、せっかく御答申もあるものでございますから、ここで何がしかの引き上げをやりたい。しかも、それももう後藤さんお気づきのように、これから年金を受けられる方ではなしに、もう一文も保険料を払われない既裁定者についての引き上げがこれはおもでございます。通常年金などを直します場合には、必ずしも既裁定者に同じような利益が均てんするような考え方をとらない場合もあるようでございますが、今回の場合にはむしろ既裁定者の分を財源なしで引き上げようということでございますので、そこのところは多少審議会のほうからも、金額や割合はともかくとして、よくやってくれたというおほめのようなことばもいただいておるわけでございますので、あなたのおっしゃることも私はよくわかります。一〇%よりも、これはまるくして引き上げる場合には理屈はどうにでもつくわけでありますから、一五%がいい、二〇%がいいとは思わぬではございませんけれども、いま述べましたような意味で、まるく一〇%にさせていただいて、それに政府委員から述べましたような物価指数のその後の二年間の数字の理屈をくっつけましてこの際サービスをさせていただいて、保険料増収なしのサービスをさせていただいた。どうせサービスをするなら、おっしゃるとおり、それはもっと現実に、四十五年、四十六年の物価上昇をも政治的に見込んだものにすることはたいへんベターではございますが、どうも私ども多少憶病なところがございまして、今回はこういうことにいたしたわけでございます。
○後藤委員 しかも実施時期というのはことしの暮れですね。そうじゃないですか、ことしの暮れですよ。その辺はもうちょっと厚生省としても考えていいのじゃないですか。物価のほうはいま大臣がいろいろ言われましたけれども、私はその気持ちはわかっておるのです。せっかく再計算期を待たずにこれだけおやりになるのなら、何べんも繰り返しませんけれども、せめて物価指数を考慮してということなら、四十四年、四十五年くらいの物価指数を考慮してやれば、これまた変わってくると思うのです。お金も四兆何ぼたまっておるのじゃないですか。しかもこの実行がことしの年末ですよ、十一月では。こういう時期に思い切ってやったということは、それはりっぱだと私は思います。だけれども、中身の問題を考えていきますと異議がある。いろいろ意見が出てくるわけなんです。それではこれはこういうことになっておるから早急にひとつ実施する、こういうことなら話はわかるのですが、夏も過ぎて冬になって、正月前までこのまま持ち越して、十一月に実行に移す、こういうことなんですが、これらの問題も大臣、もう一ぺん考えてみるという気持ちにはおなりになりませんか。大臣が先ほどから何回も説明された気持ちは、私は十分わかったわけなんです。もうこれで出したんだから、これはにっちもさっちもならぬのだ、あくまでもこれで突っ込んでいくのだ、これで通していくのだ、こういう気持ちでしょうか。物価指数の問題、十一月の問題、考えてみると、この辺はやはり少しは考える余地があるような気がするのですが、いかがでしょうか。私はとやかくこまかい理屈は言いませんけれども……。
○内田国務大臣 一応十一月にいたしました理由を、政府委員をして説明をいたさせたいと思います。
○北川政府委員 先ほどの一〇%の問題とリンクした御議論でございまして、引き上げ幅も必ずしも十分ではないし、また実施の時期もかなりおそいという、両方からみ合った御意見だと思います。私どもがこういうことを申し上げますと、まことに当を失した面もないことはないかもしれませんけれども、やはり現在支給をされております年金が、四十四年の改正によりまして四十四年十一月から改定されたものでございますので、また今回の改正の基礎になりました指標が、先ほど申し上げましたような、前回改正後の一応確定されたいろんな物価指標というものを使っております関係上、前回の実施時期から二年を経過いたしましたことしの十一月からこれを実施するということが、従前の経緯から見ましてもやはり適当ではなかろうか、このように考えまして、実施の時期を十一月というふうにやったわけでございます。
○後藤委員 この前の改正が四十四年の十一月だったから二年後の四十六年の十一月、この前が十一月だったから今度も十一月にしなければいけないという根拠は何もないでしょう。この前の改正を見てみたら四十四年の十一月じゃわい、それじゃ今度も四十六年の十一月にしましょう、ちょうど二年間だ、こういうことでおやりになっておるだけで、何べんも言いますけれども、物価なりその他の問題を考えるときには古いやつを出してきて、しかも実行に移すのはことしの年末だ。これはまた一年間ずれてくるわけなんです。これはできるだけずらした考え方になっておるわけなんです。やろうと思えばもっと早くでもやれるのでしょう。実施の繰り上げということをやろうと思えばできると思うのです。どうしてそういうふうな、かたくなと申しましょうか、四角四面な考え方をするのでしょうか。そういうふうにしなければいけないという何か強い根拠があるのなら私は別だと思うのです。そんな根拠はないと思うのです。これは六月でも七月でも、やろうと思えばやれると思うのです、お金はうんとあるのですから。私は、大臣、この辺のところもわからぬところなんです。さっき大臣が言われた気持ちというものは、私はよくわかりますけれども、それなら、その辺のところをもう一ぺん考え直すという気持ちにならぬだろうか、こういうことを私は言っておるわけなんです。
 一応の説明は聞きました。二年前は十一月だったから今度も十一月だ、たいして根拠のある説明じゃなしに、それだけの御説明ですけれども、せっかくりっぱなことをおやりになるなら、やはり少しでも喜ばれるようなことをやっていただくという気持ちになってもらえば、一〇%の問題なり実施期間の問題等も含めましてもう一ぺんじっくりと考えてもらう、これは必要なことだと思うのです。局長は、そんなことはできませんというような顔をして、頭を横に振っているけれども、そうじゃないのか。この辺、大臣いかがですか。さっきの話は十分聞きました。私、わかっております。
○北川政府委員 もう一つだけ。前回が十一月で今回が十一月で、二年間だから二年間だというまことに紋切り型の答えで、まことにおかしな話だというお尋ねでございますが、われわれは必ずしもそうは考えておりませんで、二年間のいろいろな経済指標というふうなもの、物価指標というふうなものに沿って、それにスライドして上げていくわけでありますから、実施時期も合わせたいということが一つと、それからもう一つつけ加えて申し上げておきますと、やはり定額部分の一五%引き上げということでございまして、このために実施の準備というものにつきましては、先生御承知のように、相当な時日を要するわけでございます。で、十一月でないと絶対に実施が不可能かというふうなお尋ねでございますれば、私どもは絶対に不可能であるということは申し上げませんけれども、やはり多数の受給権者の将来にわたる権利に影響する問題でございますから、十分に慎重な準備をいたしまして誤りなきを期するというような意味では、準備期間としてもある程度間違いのない期間をとらしていただきたい、こういうふうな要素もございまして、事務的な面の堅実性、安全性というふうな面も考慮をいたしまして、十一月というふうなことについてまずその辺が妥当ではなかろうか、そういうふうなファクターもあるわけでございます。その点をつけ加えて申し上げます。
○後藤委員 いまあなたが一番最初に言われた、物価指数に合わす意味におきましてもと、こう言われましたが、その物価指数に合わす意味なら、早ければ早いほどいいのですよ。十一月まで待つ必要がないのですよ。さらにまた、安全性とかどうとかこうとか言われましたが、一口に言えば、やろうと思えばやれることなんです。絶対やれないということじゃない。やろうと思えばやれるわけです。ただ十一月に持っていった根拠は、二年前に十一月だったから二年後も十一月ということをおきめになっただけなんです。いまあなたがそこで答弁されましたのは、私の質問に対してそこでお考えになっていろいろなことをつけて答弁されたにすぎぬわけです。私はそう思うのです。十一月まで待たぬことには安全にやれないというものじゃ私はないと思います。これはやろうと思えばやれる仕事だと私は思うわけなんです。ですから、あなたと私ととやかく言うておってみても始まらぬ話なんですけれども……。
 そこで、私は大臣に、それはまあ厚生大臣として一生懸命いろいろな問題をやっていただいておるわけなんです。これだけ熱心な大臣はおられまいと私は思います。それだったら、こういう時期に、さっきの話じゃないけれども、物価の問題にしてもあるいは実施の問題にいたしましても、なるべく先へ先へずらすようなことを考えずに、出してみたけれどもなるほど後藤の言うのも一理あるわい、ここでもう一ぺん考えてみようかという気持ちに、大臣おなりにならぬかということを私は聞いておるわけです。それでもあかぬというならこれはあかぬでしょう、大臣があかぬと言うなら。だけれども、あかぬ問題じゃないと私は思うのです。いかがですか。
○内田国務大臣 私からあかぬともあくとも申し上げません。政府原案が十一月でございますから、本日は十一月実施ということにつきまして政府委員から説明をいたさせた、こういうことにひとつ御了承をいただきたいと思います。
○後藤委員 それはあなたの言われたとおりで、十一月実施の説明は受けました。受けましたが、それに対する意見を私は言うているわけなんです。大臣も長い間いろいろな話を聞かれまして、これはやはり政府のほうから出しておるのもちいと考え直さなあかぬな、こういうお気持ちにおなりになりませんかということを私は言うておるわけなんです。そういうことなら一ぺんおれも考えてみたい、考えてみるということは、必ずしも何も一〇%をなぶるとか、十一月をいじくるとか、そういう意味を私は言っておるわけじゃないのです。その辺の一ぺん実施時期なり引き上げのパーセント等については、そこまでいろいろ話があるなら一ぺん考えてみよう、こういう気持ちにおなりになるなら、私は一ぺん考えていただけばいいと思うのです。どう言われようとこう言われようと、今国会においては断固としてこれは譲らぬ。それならそれでけっこうなんです。そういう腹の人に何ぼしゃべっておっても話は進みませんから。ただ私は、そこの決断を大臣に聞いておるわけなんです。
○内田国務大臣 後藤さんからそういう御意見がありましたことを十分私も本日は銘記をいたしておきます。本日は政府原案の説明を申し上げた、こういう次第でございます。
○後藤委員 それじゃ大臣、ひとつ十分聞いていただきましたので、まことにありがとうございました。十分ひとつ聞いていただきたいと思うのです。
 そこで、厚生年金関係で現在たまっておるお金は一体どれくらいあるのですか。それが現在どういうふうなかっこうで使われておるか、どういう方面にどう使われておるか、その御説明をいただきたいと思います。
○北川政府委員 お尋ねの厚生年金保険の積み立て金の現状でございますが、四十五年度末で累積が四兆三千九百億の見込みでございます。それから、これの使途につきましては、先ほど大臣からもいろいろ御説明申し上げましたけれども、積み立て金の増加額の二五%を還元融資として一般の被保険者の福祉厚生のために使うということが直接の問題として一つあるわけでございます。
 ただ、ただいま申し上げましたような相当多額のお金が積まれておりまするし、こういったものは還元融資外に、いわゆる国民の福祉ということで、単なる還元融資だけではなくて、住宅あるいは生活環境の整備、厚生福祉施設あるいは文教施設、中小企業から農林漁業にわたりますまで、いわゆる直接国民の福祉に関係した面に大部分が還元をされておりまするし、それ以外のものはやはり国民生活の基盤を育成するような関係にもこういった年金資金は使われておるような次第でございまして、要するに、総合的にながめますと、積み立てられました年金資金というものは、国民福祉のために還元をされて使われておる、こういうふうに私どもは考えております。
○後藤委員 現在四兆三千九百億円の積み立て金がある。一年間の支出はどれくらいになっていますか。
○八木政府委員 四十五年度の保険給付金につきましては千五百八十七億でございます。それから四十六年度の予算では千八百七十三億という数字を予定いたしております。
○後藤委員 そうしますと、この四兆三千九百億円の一年間の利息はどれくらいつくのですか。
○八木政府委員 四十五年度におきます予算額といたしまして、預託金の利子収入としまして二千四百五十九億八千九百万でございます。それから四十六年度の運用収入といたしましては、三千五十八億八千三百万を予定をしております。
○後藤委員 そうしますと、積み立て金が四兆三千九百億円、この利息が四十五年度は二千四百億、四十六年度は大体三千億の利息がつく。一方、支出が四十六年は千八百億だ、こういうことなんですが、今度の一〇%の引き上げによりまして財政的にどれだけ増加するか、どれだけふえるんだ、この点をひとつ御説明をいただきたいと思います。
○八木政府委員 今回御審議いただいております改正案におきまして、四十六年度の給付費増は三十九億円でございます。なお平年度化いたしました場合に百六十億という数字になります。
○後藤委員 そうしますと、四十六年度は約二千億ということですね。一千九百億ですか、支出は、引き上げを見込んだところでそういうことですね、少々のこまかい数字はあろうと思いますけれども。そうしますと積み立て金が四兆三千九百億で、これに対する利息だけで三千億入ってくるわけなんです。一〇%の引き上げを含めましても四十六年度の支出というのは千九百億なんです。まだ一千百億はふえていくわけなんですね。こういう傾向というのは将来どういうふうな見通しになりますか。こういうことで利息よりか支出のほうが少ない、この傾向が行く先どんどん続いていくとするならば、この積み立て金が四兆円、五兆円、六兆円、七兆円、将来は十兆円にも二十兆円にもなってくるわけです。その見通しは厚生省としても立てておられると思うのですが、いかがですか。
○北川政府委員 大体現在のペースでまいりますと、受給者も先ほどからお話がありましたように早急に増大してまいりますし、そういった意味合いで、現在の私どもの専門的なアクチュアリの計算によりますと、昭和九十年ころになりまして大体四十四兆程度のものになりまして、昭和九十年から百年の間になりますと、今度は給付費が上回っていく、こういうふうな計算になりますが、これは前回の再計算の際の計算でございますし、今後もう一度これを見直してみる必要があると思いますが、大体いまのところはそういったふうな予測でございます。
○後藤委員 いまの説明によりますと、昭和九十年までは支出よりか収入のほうが多い。それで昭和九十年には四十四兆円のお金が積み立て金になってくる。昭和九十年から百年、だいぶ先の話ですけれども、その時分には支出のほうが多くなるんじゃないか、こういうふうに理解して間違いないですか。
○北川政府委員 大体そういうふうな見通しでございます。
○後藤委員 そこで私、大臣にお尋ねするのですが、こういうふうなことで現在でも四兆三千九百億円の積み立てがあるのです。これが昭和九十年まではどんどんふえる一方なんです。昭和九十年に大体四十四兆円くらいになるだろう。昭和九十年というといまから四十四年後ですか、増加の一途をたどる形になるのです。これは現在の時点における推定の計算だと思うのです。その中間における改定というのは計算に入っておらぬと私は思うのです。入っておらぬ、その問題にさわられぬこと自体が私はおかしいと思うのです。このまま推移したらどうなるかというと、大体四十九年にまたこれは改定があると思うのです。昭和九十年まで改定なしということじゃないと思うのです。そうなってまいりますと、これからの厚生年金の見通しとしてどういうふうな方向でこの財源を使っていかれるか。これはいまの局長の話じゃございませんが、雪と一緒で、積もる一方です、消えるほうは少ないわけなんです。これはいかがですか。
○内田国務大臣 私は、いまの現状をベースにしたそういうアクチュアリ計算のままでこれから四十年を経過するとは思いません。といいますのは、これは生活水準、物価も上がってまいりますから――老齢者人口の増加というものはこれは与えられた数字でありますから、いまのアクチュアリの計算に入っていると思いますけれども、物価、生活水準、経済変動というものを見て、それに応じた、また私が先ほど来述べてまいりましたような老齢者対策の一環としてのその生活保障である年金の増額というようなものをやってまいるべきだと思いますので、そうなりますと、昭和九十年までは積み立て金のほうがふえる一方だということにはならないのではないか。
  〔増岡委員長代理退席、委員長着席〕
それに応じて掛け金などももちろん修正はするわけでございましょうけれども、その収入金と年金支払いとが交差する年次ははるかにもっと前のほうに繰り上がってくるのではないかとまず考えます。また、繰り上がってきていいのではないかと私は思うわけであります。それは、純粋の積み立て金方式だけで年金制度というものがいくべきか、あるいは今日でさえも若干の修正積み立て方式をとって修正主義を加味しておるわけでありますが、さらに賦課方式というようなものも加味せざるを得ない、そうしなければ老齢者対策が立たないのではないかと、私は自分では思うわけでありますので、いまの現状をそのまま引き伸ばした計算というものはかなり変わってしかるべきものだと思います。しかし、それにいたしましても、年金による受給者と積み立て金、年金の掛け金をいたしますところの被保険者の数がだんだん逆になってまいりますまでの間は積み立て金はふえることはふえるでございましょうから、その積み立て金の運用につきましては、今日のあり方というものにさらに時代感覚や時代意識を加味いたしまして、そしてそれらの積み立て金が被保険者の利益あるいは社会保障、社会福祉というような方面に活用される。といっても、これは元も子もなくなしてしまってはしようがありません。これは支払い給源でございますので、やはり有利確実という前提のもとに、かつまた、その使用目的というものにつきましては、時代意識の高揚とともに検討を当然進めてまいるべきだと考えるものでございます。
○後藤委員 国民年金につきましても十年後には三倍ぐらいに持っていこう、こういうふうな考え方もあると思うのです。いまの財政的な立場から説明を聞きますと、現在の時点におきましては、一年間に支出するお金よりか入ってくるお金のほうが多い。いわば積み立て金が増加の一途をたどりつつこれは進んでいくわけなんです。だから、財政的にはいまのところ何か改定をやろうと考えましても、あまり無理は出てこないと思うのです。そこで問題は、先ほど大臣が冒頭言われましたように、再計算期を待たずにこういうことをやったんだ、これは非常にいいことだと思うのです。そうなってまいりますと、物価の変動というのは毎年毎年ありますもので、スライド制の実施というところへはっきり踏み切るべきだと私は思うわけなんです。新聞にも書いておりましたように、外国の年金につきましては自動調整方式でございますか、そうして物価の変動、物価の指数等が含まれるような方向で自動的に調整できるような方式を取り上げておる。これは間違いのない事実だと思うのです。そこで、この厚生年金の問題につきましてもスライド制の確立をはかる。これは今回この機会に大臣がそこまで踏み立ってこういう提案をされたということは、そのことも十分考えた上の提案であろうと私は思うわけでございますけれども、スライド制の確立につきましてはどういうふうなお考えを持ってこれからやっていこうとされておるのか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
○内田国務大臣 私は、いわゆるスライド制というものは、簡単に申すと二つの制度がある。一つは、自動スライド、自動調整の仕組みと、もう一つは政策スライド、こういう二つの行き方があろうと思うわけでありまして、私は、現状におきましては、自動調整、自動スライドというものはなかなかやり得ない、どうしても政策スライド、政策調整ということでいくのがよろしいと考えるものでございます。と申しますのは、さらにくだいて申しますと、物価が上がるにきまっているというようなことを当然織り込んで制度をつくりますよりも、私ども、物価が上がらないようなそういう努力もいたしておるわけでございますので、しかし、それがそのとおりもちろんいくとは考えておりませんが、物価を上げないのだ、こういう努力を否定するわけにはまいりませんので、物価の上がるばかりでなしに、生活水準の上昇とか、あるいはいまの老齢者の社会的な処遇というようなものに対する政治や国民の意識というものも上昇するわけでありますから、そういうことを織り込みまして、必要ならば毎年でも、あるいは一年おきということになるかもしれませんが、政策スライドをやることのほうが現実的だ、こう考えるわけでありまして、今回の措置につきましても、政策スライドのあえて一環とは申しませんけれども、一つのそれの考え方の柱である、こういうふうにも考えまして、この考え方はさらに私は発展させてまいりたいと思うものでございます。
○後藤委員 だから、いま大臣が言われましたように、スライド制の確立、機械的にやるんではなしに、政策的に、時期を見ては一年、二年たてば、こういうようなことで引き上げを行なっていきたい、一口にいえばそういう説明だったと私は思うわけですけれども、いま大臣が言われました中でちょっと気にかかりましたのは、スライド制を行なうということは、今日物価の上昇が激しいものですから、スライド制がやかましくいわれておるわけでございますけれども、スライド制を確立したからといって、物価が上がらなくてもそのスライド制で上がっていくんだということには私はならぬと思うのです。その中には物価指数のウエートというものが大きく入ってきますから、その点は私は心配はないと思うのです。だから、最近の新聞の世論調査を読んでみましても、あるいは社説を読んでみても、大臣がいろいろ言っておられるように、お年寄りに対する老後の生活、これは先ほどの議員もだいぶいろいろなことを御説明なさっておられましたけれども、そのことを考えるとするのなら、やはりスライド制の確立ということも必要じゃないだろうか、こう思いますし、それからまた、問題は、先ほどのいろいろな、今回のおやりになったところの要素を考えてみると、今回のことにつきましては、一ぺん大臣も十分考えていただくということですけれども、将来の問題として、できるだけひとつ有利な方向への引き上げを考えてもらう、そうしてお年寄りに対する扱いをひとつあたたかい扱いをするような方向でやってもらいたい。
 それから、重ねて私申し上げるわけなんですが、老齢福祉年金の問題については、これは特に厚生大臣、年金にお力も入れていただいておるわけですから、今度は思い切って倍ぐらいに引き上げる、倍にしたところで四千六百円ですからたいしたことはないと思うのです。倍にならなくとも、思い切った大幅引き上げという方向へひとつ御努力をいただく。さらに、国民年金の問題につきましては、私、冒頭に触れたわけですけれども、この辺のところでひとつ共済年金、厚生年金、国民年金と、掛け金もばらばらなら支給するお金もばらばらだ、こういうことでは、将来の問題として、やはり厚生省として一ぺん検討してみる必要があるんじゃないかと思うのです。たとえば国民年金と厚生年金との統合の問題、これは現在のところ厚生省としてはそこまで考えておらないと言われますけれども、そういうような点もひとつ十分考えていただく必要があろうと思うわけでございます。
 いずれにしても、年金問題そのものは、国民の関心の的でございまして、しかも社会保障の中の一本の大黒柱として、現在の政府としても、七〇年代の一つの大きな課題として強く推し進めていこう、その第一歩がこの法案だ、こういうように私は考えておりますので、そういう立場に立たれまして、これからの年金問題につきましても、強くひとつ国民世論に耳を傾けていただいて、社会保障を充実する、こういう意味において強くやっていただきたいというふうに私思うわけでございますが、最後にひとつ厚生大臣として、先ほどから長時間いろいろ質問もし、意見も開陳したわけでございますので、これに対する最終的な所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○内田国務大臣 年金制度には、申すまでもなく、障害年金あるいは母子年金等もございますが、やはりその中核をなしますものは老齢年金としてとらえられていることと考えます。そう考えます場合に、この年金制度は、やはり今後の非常に重要になってまいっておりまする老人福祉対策の非常に大きな柱でございますので、私は、きょう各委員から御発言がございましたこの問題に対する御意向を十分心に刻みまして、私だけの狭い考えにおちいることなく、国会の御意向をも反映させましたような年金対策というものの充実発展に努力をいたしてまいりたい、かような決意でありますことを最後に申し述べさせていただきます。ありがとうございました。
○倉成委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。
   午後一時三十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十四分開議
○倉成委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤俊男君。
○後藤委員 去年の五月に擬制適用のあれが廃止になりまして、あのときにはここの委員会でもかなり真剣なる論議が行なわれました。特にわれわれも最終的には、擬適の廃止に伴ってかなり問題を含んでおりますもので、大臣にも十分なるこのことに対する今後の配慮もお願いしたい、こういうような話もいたしまして、まあ最終的には予算で四億円の調整補助金ですか、これが出たわけでございますけれども、そこでそれ以来全国的にたくさんな組合ができまして、中央建設、それから全国建設工事業、左官、タイル、塗装の日左連の組合あるいは全国版金、こういうようないろいろな組合が六月から八月、九月にかけてできたことはもう御承知のとおりだと思います。
 そこで、そういう新しい組織ができまして、いろいろな関係で組合員の争奪合戦とまではいかぬにしても、少しでも自分の組合へ多くの加入者を獲得しよう、こういうような動きのあったことも十分御承知だと思うのです。ところがそこで問題になってまいりますのは、保険料の問題です。おれのところへ来たら保険料は安いぞ、おれのところへ来たら保険料は安いぞ、こういうような形の中で今日に至っておるというふうに私は思うわけでございますが、新しく年度が変わって、四月一日から、いま申し上げましたような健康保険組合の保険料は一体どうなるだろうか、どういうことになっておるか、この点につきまして第一番にお尋ねいたしたいと思います。
○戸澤政府委員 昨年設立されました国民健康保険組合のうち、全国建設工事関係の四つの組合につきましてその保険料の関係を申し上げますと、まずとびを主体とする全国建設工事業国保組合の保険料は、四十五年度におきましては、組合員のうち、事業主が千八百円、それから従業員は千五百円、それから家族は五百円ということになっております。それから建設連合組合につきましては、事業主が二千円、従業員も二千円、家族は五百円。それから左官、タイル、塗装業を対象にした国保組合は、事業主が二千六百円、従業員が七百円、家族が三百円となっております。それから板金業の国保組合は、事業主が千八百円、従業員は千五百円、それから家族が二百円。それから中央建設国保組合につきましては、組合員は事業主も従業員も二千百円、家族が千六百円というふうに、四十五年度はなっているわけでございます。
  〔委員長退席、増岡委員長代理着席〕
○後藤委員 いま言われましたのは四十六年度ですか。
○戸澤政府委員 四十五年度でございます。
○後藤委員 四十五年度でしょう。四十六年度はどうなっておるかもお尋ねしておるわけです。
○戸澤政府委員 四十六年度の保険料につきましては、各組合の経営状況等も勘案しまして、できるだけの健全経営についての指導をいたしまして、その結果いまきめております保険料を申し上げますと、全国建設工事業組合は、事業主も従業員も二千三百円、それから家族は五百円。それから建設連合も同じでございます。左官、タイル、塗装業の組合は、事業主が二千六百円、従業員が二千円、家族が七百円、それから全国版金の組合は事業主も従業員も二千三百円、家族が五百円でございます。中央建設国保組合は、これは組合員のほうは年齢別に区分されまして、二十歳未満が千八百円、二十歳から二十五歳までが二千三百円、二十五歳以上が二千七百円、それから家族は三百円というふうにきめておる状態でございます。
○後藤委員 いま局長が言われました保険料ですけれども、これは実際いま言われましたとおり徴収しておりますか。
○戸澤政府委員 そのように徴収しているものと私どもは考えております。
○後藤委員 それで、やはり組合の規約の中には保険料もきちっと明示すべきことになっておりますので、これは間違いなく規約に基づいて保険料については徴収されておる。万一そういうふうなこと、いま御説明がありましたように徴収されておらぬ組合があったとしたら、どういうことになるのでしょうか。
○戸澤政府委員 大体国保組合の事業につきましては、翌年度の予算をつくりますときに、その組合の年度の事業計画を立てまして、収支償うように組み立てられるべきものでございます。したがいまして、特別の事情がない限りは、そのきめられた保険料によって運営していく。きめられたとおりの保険料を徴収するのが当然のことであろうと思います。もし年度の途中あるいは発足して間もなく何か特別の事情でそれが事情が変わるというような場合には、これはまた修正なり補正なりする必要がありましょうが、現在のところではまだ年度初めではございますけれども、一応きめられたとおりの保険料によって賦課徴収をしているものと私どもは考えているわけでございます。
○後藤委員 それにからんで、日鳶なり日左連、建設連合、全国版金、こういう組合が七月をもって合同するというのか統一するというのか、そういう話を仄聞しておるわけなんですが、おそらく去年の擬制適用廃止以来今日までの厚生省の方針からいえば、そうはならぬと思うわけなんです。方針が変わればこれは別問題でございますけれども。この統合問題は一体どういうふうな状況に今日なっているのですか、お尋ねします。
○戸澤政府委員 お話しのようなうわさを、この四組合の中でもって合併の動きがあるというような話は聞いております。しかしこれは組合内部においてお互いにそういう話をしておる、協議しておるというように聞いておりますので、厚生省としましては別に、これは様子を見守っておるわけでございまして、昨年設立したときの方針をここでもって変更するという気持ちはございません。合併がどういう動機、理由でもってそういう話が起きているのかわかりませんけれども、経営上そのほうが非常に効率的にまた健全にいくというような見通しのもとにそういう話があるものとするならば、もう少し様子を見てから、またよく事情を聞いて対処したいというふうに考えているわけであります。いまのところは、特に変更する気持ちは持っておりません。
○後藤委員 そうしますと、去年から今日までの方針というのは、こういうふうないろいろな職種が一緒になって一つにつくるということについてはだめなんだ。少なくとも六割、七割くらいは単独職種、こういう方針で去年あたりから、全建総連あたりは非常に苦慮したことは御承知のとおりだと思います。万一いまの合併問題が出てきた場合に厚生省として一体承認をするのかどうか、認可するのかどうか、この点が一つの私は問題点だと思うのです。これは一体認可するつもりがあるのか、いままでの方針どおりいくとするのなら認可するわけにはまいらぬと私は思うのですが、いかがですか。
○戸澤政府委員 昨年、日雇健保から切りかえまして国保組合を設立した。設立のときの事情としましては、ともかくこの国保組合というのは同業意識といいますか、同業者の連帯意識によってお互いの保険事業を健全に経営していくという考え方がまず基礎になければならないわけでございます。そういう意味において全国組合については建設工事関係者の中でも連帯観念の強い同一の業種を中心にしてつくるべきである、それ以外はできるだけ小さい単位でもってまず経営を軌道に乗せることが必要であるというような考え方から、昨年設立の方針はきめたわけでございます。この考え方はいまでも変わっておりませんので、できるだけそういう方針でもってまず各組合が軌道に乗るようにすることが必要であろうかと思っております。しかし、その後もしその組合のいろいろな事情によって、単独組合では経営がうまくいかない、合併したほうが効率的にいくというようなことになりますれば、これは設立のときの方針変更になりますので、これは十分に慎重に考慮しなければならないと考えております。いまのところはまだそういう組合内部の話し合いのように聞いておりますので、私どもは昨年の方針を変更することもいまの段階では考えておりませんし、またそういう場合に厚生省はどうするかというようなことについても態度をきめておらないわけでございます。
○後藤委員 そうしますと、現在の時点ではいままでどおりの方針で進んでいくのだ、もしそういう問題が起きたときにはその時点で十分検討をしてみたい、率直にいってそういうことだと思うのです。そういうことでございますね。
 それから、その次は臨時調整補助金の配分でございますが、これは四億円の金を配分されるわけでございますけれども、私はこの委員会でも特に厚生大臣には、現在四億円になっておりますところのお金の問題につきましても、とにかく十分考えてもらいたい、こういうことで四億円の臨時調整補助金を出してもらえたと私は思っておるのです、金額の多い少ないはこれは別問題にしまして。それじゃ一体この四億円の金をどう分配するのか。現在厚生省におきましては、こういうふうに分配するという分配の方針がきまっておると私聞いております。ですから四億円の問題の意味するものは、去年の擬制適用の廃止に伴うところの――日雇健康保険の擬制適用がなくなるんですね。まあ国会における一つの大闘争でございました。それがいまになってみれば、かなり強引にやられてしまった。そのことに対するいろいろな配慮をもってこの四億円のお金が出ておる。あるいはショック代とも言うであろうし、いろいろと言い方はあろうと思うのです。そういう意味で出されておるのが四億円だ、こういうふうに私としては考えておるわけなんです。それからいままでにおきましても、保険課長にしても保険局長にいたしましても、この四億円の問題につきましては、そういう意味の説明を保険組合の各代表にもたびたび話をされておる。これはもう私も何回も聞いておるわけでございます。そういうふうな意味を持つこの四億円の問題について、厚生省としてどういう考え方で、どういうふうな分配方針をきめられたか、その結果として金額はどういうふうになるのか、この点をひとつ、われわれ数字的にはしろうとでございますので、わかるように御説明をいただきたい。お願いします。
○戸澤政府委員 この四億円の臨時調整補助金でございますが、これはああいう日雇健保から国保組合に切りかえたときの事情に応じまして、財政調整的な意味で特に補正予算で組まれたものでございます。この趣旨は地域国保に対して調整交付金というようなかっこうでいろいろ臨時に調整をしているものと大体同じ趣旨のものでございまして、今度の配分の方針、交付の方針を申し上げますと二つに大きく分かれますが、一つは家族の給付率は日雇健保時代には五割であった。それを七割に引き上げたことに伴いまして、本来ならばその分は保険料で徴収しなければならないわけでありますが、これを若干緩和するためにこの補助金でカバーしようという趣旨が一つでございます。
 もう一つの観点は、これも地域国保の場合の調整交付金と同じような考え方でございますが、医療費は各都道府県によって非常に地域差がございます。非常に高いところ低いところ、いろいろございます。そういった医療費の地域差に伴う各組合の財政負担の格差を、できるだけ調整しようということが一つのねらいでございます。そのほか特殊な事情、たとえば原爆被爆者に関する医療費が非常に高い地域とか、そういった特別の事情のあるものについては若干の考慮をいたしましたが、大体考え方としましてはいま申し上げたような交付方針で実施したわけでありまして、単なる赤字補てん、赤字を生じた組合の赤字を埋めるということを目的にしたものではないわけでございます。
 その数字的な配分の基準ですが、これはこまかくなりますので、もし必要があればまた資料でもって御説明させていただけたらと思うのでありますが、大体の考え方は、家族療養費の分につきましては、いま申し上げた家族給付率の五割から七割への引き上げに伴う医療費の増加額の四分の三相当額というものを交付の対象として算定しております。それから財政調整額のほうは、各組合の実績の医療費、これは各地域によってみな違うわけでありますが、そういう需要額から取るべき保険料の額を控除した額、これをもとにして計算しているわけでございます。抽象的でございますけれども、こういう交付基準の考え方でございます。
○後藤委員 そうしますと、いま説明された中に百三十万二千八百四十六円ですか、これは基礎数字に全部これを使っておられるわけですね。どこの組合にもこれを使っておられるわけです、百三十万何がしというのをね。それから収入のほうを計算する場合に一万五百円というのを全部使っておられますね。この二つは一体どういう性格のものであるか。
 それからもう一つは、いま局長が言われました家族の給付が五割が七割になって二割、これに対する配慮が一つ、その次には赤字に対する配慮が一つ、それを基礎にして四億円を分配した。一口で言えばそういうことですね。ところが六月に発足しておる保険組合もあれば、九月に発足しておる保険組合もある、八月に発足した保険組合もあるわけなんです。一番早いのは、日鳶あたりは六月に発足しておるわけです。いつから医者にかかったか、こいつはあれですけれども、三月いっぱいで十カ月のところもあれば、八カ月のところもあれば、あるいは七カ月のところも、いろいろあると思うのです。そうなりますと、この数字的計算によって総医療費というものは違うと思うのです。早く発足したところもおそく発足しておるところも、同じような見方で総医療費の計算が行なわれておる。そうしますと、その総医療費の多いところほど今度は分配が多いわけなんです。総医療費があって、収入があって、その差し引きの勘定の多いところほど四億円の分配が多いと計算されているわけなんです。これはもう間違いがないわけなんです。その証拠に、これは時間がないから早いところ私は話を進めますけれども、この四億円の分配が、これは端的な例を示しますと、中央建設が家族を含めて十一万三千百二十二人おるのです。これが今度の四億円の分配が三千百三十三万六千円ですね。それから日鳶のほうは、家族を含めて七万九千四百七十七名です。いわば十一万と七万九千の差があるわけなんです。ところが四億円の分配は三千万の倍で六千二十一万九千円なんですね。数字から考えましても赤字補てんが中心になっているわけなんです。話がそこまで進みますとあなたのほうもややこしくなりますから、百三十万何がしという数字は一体どういうものだ、一万五百円という数字は一体何を意味しておるのだろうか、とりあえずその説明をひとつしていただきたいと思います。
○戸澤政府委員 百三十万というのはおそらく千三百二円の読み違いではないかと思いますが、これは第一の要素に申し上げました家族医療費割りの補助額を計算する際に使っておる数字でございますが、これは昨年の十二月までの実績でもって全国の家族医療費総額を出しまして、それを被保険者数で割った平均額を出したものがこの千三百二円でございます。これを使いまして、これにその各組合別の家族の数をかけて出したわけでございます。
 それから、二番目の一万五百円というのは、財政調整額を計算する際の収入額の計算の基礎に使った数字でございますが、これはやはり昨年の十二月末までの平均の必要保険料と申しますか、実際に取っている保険料の平均額ではなくて、収支償うためにはこれだけの保険料を取るべきであるという理論数値と申しますか、その平均値を出したものがこの一万五百円でございます。
○後藤委員 そうしますと、この一万五百円というのは、こういうことですか。組合があの当時、幾つですか、数多くできたわけですね。その人方の加入しておる組合のいわゆる保険料は、平均一万五百円取るべきである、これは六月に発足しておろうと八月に発足しておろうと変わりなしに一万五百円取るべきである、さらに家族につきましては二千七百五十円取るべきである、こういう考え方の数字だと思って間違いないですか。
○戸澤政府委員 そういうことでございます。
○後藤委員 それと、先ほど局長が言われました総医療費ですね。いま言われた数字、一万五百円にその組合、組合の組合員数をかける、二千七百五十円に家族数をかける、その合計したものを総医療費から差っ引いてあるわけなんです。その差し引きして出てきたものを――先ほど言いました百三十万は間違いでございまして、千三百二円のほう、これと一緒にして、それに〇・二七五ですか、その係数をかけて、それによって四億円の分配がきめられる、こういうような仕組みになっておるわけなんですね。
 そうなってまいりますと、総医療費の問題ですけれども、この総医療費というものは一体どういうふうな計算をなさったものであるか。総医療費が多いほど、四億円の分配によけいにありつける、わけなんです。総医療費の少ないところは分配がよけいないわけなんです。この計算からいうとそう言って間違いないのです。それなら、一体この総医療費というのはどういう計算をなされたのか。
 たとえばこれを比較いたしてみますと――日鳶、日鳶といってえらい申しわけないですけれども、別にかたきにしているわけではないが、中央建設と日鳶を比較いたしますと、先ほど言いましたように、加入しておる家族、組合員数は、片方は十一万人おるわけなんです。片方は七万九千人なんです。総医療費はどうかというと、多いほうが五億八千万で、少ないほうの日鳶が六億一千万から出ておるわけです。これは、高ければ高いほど四億円の分配がたくさんになってくるわけなんです。ですから、この総医療費というところに私は問題があるような気がするのです。
 たとえば、擬制適用が廃止になったときに、組合員が四十万、家族を含めて百万、こんなむちゃしてはいけませんよと厚生大臣に私はだいぶやったわけです。その四十万の組合員の中で三十万の擬制適用の組合員をかかえておったのが、中央建設なんです。全建総連なんです。ですから五月に切りかえいたしましても、二カ月とか三カ月は向こうの恩典に浴しておる人がたくさんあるわけです。医療費として少しは帳面づらはこっちへも出てきておりますけれども、それではそういう分がこの医療費の中へ計算されておるかというのです。計算されておらぬわけです。一番大事なところの計数計算の中へそれが入っておらぬわけです。これは私は不合理だと思うのです。その例として、いま申し上げましたように、十一万人おるほうが五億八千万で、七万九千人しかおらぬほうが六億一千万。ですから、片方は六億一千万から、さきに言いました収入を引いてあれするものですから、結果的に出てくるのは組合員や家族数の少ないほうが六千万円、多いほうが三千万円、こういう不合理な形になって出てくるわけです。だからこの総医療費の計算はどういうふうな計算をされたか、これを詳細に承りたいと思うのです。
○戸澤政府委員 こまかいお話でございますが、まず総医療費の計算のしかたを荒筋申し上げますと、事業開始から昨年の十二月までの各組合の医療給付費を実際に組合員ごとに計算しまして、それにさらに一月から三月までの医療費を推計して加えたものでございます。
 その際に、お話しのように日雇健保から国保組合に移行しましたために、移行後ももとの日雇健保でもって医療給付を受けておった者というものがあるわけでございます。これは各組合によってその数は差がございます。それで、これは一々組合ごとによってまだ精算がわかりませんので、一応その関係は五%ほど見込みまして、五%ほどはそういう前の日雇健保でもって給付を受けているものというふうに見て調整しているわけでございます。したがって、実際はその五%以上に前の日雇健保で見ているものがあるとすれば、その組合は結果的には少し有利になるわけでありますが、これはまだ精算の結果がわかりませんので、一応全組合とも平均五%の調整をしているわけでございます。
 それからもう一つ、その組合員の数でございますが、これは確かに各組合によって発足の時期も違いましたし、それからまた日鳶等は発足してから途中でもってその対象をふやしたために、また組合員数がふえたというような事情もございます。それでこの組合員数につきましては、その年度間の発足して以来の平均数をとっております。したがって若干多い時期、少ない時期、いろいろあったわけでございますが、それを平均してとっておるわけでございます。
 先ほど組合員数が多く計算されたほうが損であるか得であるかといったような話がございましたが、これは医療費につきましても、そういう平均被保険者数で見ておりますし、収入額のほうも同じ数字を使っておりますので、この点は別に損得はない。組合員数が多ければ医療費もふえる、それから差し引き収入額もふえるというようなことになるわけでございますので、この点は別に不公平はないのではないかというふうに考えております。
○後藤委員 いまあなたが言われた、組合員数が多いところがどうとかこうとか、そんなことを言うた覚えはない。それはあなたの聞き間違いなんです。ただ私が言いますのは、たとえば日鳶は六月に発足しておりますでしょう。おそいものは九月の発足のところがあるわけです。それを十二月までの医療費ということで各組合ごとに全部計算しておるわけです。それが頭になっておるわけです。それから収入の金額を引いてイコールこっちへ金額がたくさん出たところへ、四億円の分配の金がたくさんいっておるわけです。全部が全部そうじゃないですよ。家族のほうがありますから。これは計算してみなさい。はっきりそうなっておるのです。だから、あなた方がどう説明しようとこう説明しようと、日鳶のように二億四千万から赤字を出しておるところへ、四億の金のうちの六千万円がひょっといっているわけなんです。いわば赤字補てんになっているわけなんです。なぜ一体日鳶が赤字かといえば、厚生省のあなた方の行政指導に従わなかったから赤字が出ている、これは間違いないですよ。そうなりますと、この四億の金は、行政指導に従わぬ、保険料はなるべく少なくしていく、そうしてやったところの組合は賞与金が多いわけなんです。くそまじめに取り組んできて、あなた方の言うことを全く守ってやってきたところの組合につきましては、この四億円の分配がまことに少ないわけです。こんな不合理なやり方が一体ありますか。正直者ほどばかを見た分配のしかたなんですよ。厚生大臣、あなたは去年擬制適用を解消されたときに何と言われたか。幾らあなたが――先ほど五%どうこうと言われましたけれども、擬制適用におった組合員四十万のうち三十万が移行しているのですよ、この中央建設は。聞いてみたら、その医療費というのは抜けておるのが多くあるわけなんです。一割以上がやはり向こうの関係でやられている、ごやっかいになっておる。これははっきりこの考え方にそういうものは全然入っておらぬでしょう。全部一律五五%になっておるでしょう。何でこんな不合理なことをやるのですか。これは数字上の計算としては、三かける三が十というようなことは書いてありません。三かける三はやはり九と書いてあります、この計算式を見ると。だけれども、根本が私は間違っていると思うのです。少なくともこの四億円は、去年からのいろいろな配慮に基づいて出た金であるから、私は言わせるならば、組合員数、それに家族数ぐらい含めて、大体それに従って案分して分けるということなら、私は話がわかるのです。サボって赤字を出したところへ四億円の金をよけい持っていく。そうなりますと、来年は九億円ですから、来年はごっそり赤字を出してやれ、また九億円金があるからよけい出しておけ。来年になれば、去年おまえらそうやったじゃないか、こういうことになるのです。だから、今後の行政指導にも私は大きな影響があると思う、四億円のこんな分配のしかたは。これは局長でも課長でもけっこうでございますが、この総医療費の問題、私はどうしてもこれは納得できない。六月から発足しているところ、八月から発足しているところ、しかも四十万のうち三十万の擬制適用の組合員をかかえておったところ、穏されたところの総医療費、これらが根本の、親の数字になってこれら全部が四億円の分配の基礎数字になってくるのですから、それはまじめにやっておる組合としては、こんなばかなことが一体どこにあるかということになる。これは、総医療費の問題は、課長でもけっこうですから、もう一ぺん説明してください。
○戸澤政府委員 結果的に言いますと、確かに被保険者、組合員数とか家族数の多いところのほうが補助金が少なくて、少ないところのほうが補助金が多くなっているという結果になっている組合も幾つかございます。しかし、それはこの補助金交付の方針を別の方式でやれば別でございますけれども、私どもがことしやりました交付の方法というのは、大体こういう調整補助金について従来地域国保についてもとってきた考え方でございまして、この方法でもって計算すれば、計算上は間違いなくこういう結果になるのでございます。一例としてあげられました中央建設と日鳶と比較してみますと、確かに組合員数と補助金でもって逆の関係になっております。しかし、これはその原因はどこにあるかと考えてみますと、中央建設におきましては、組合員も家族数も日鳶に比べて非常に多うございます。そのために保険料収入額の総額が非常に多くなってくる。その大きいものを医療費から差し引きますから、補助金は少なくなるという結果になってくるわけでございます。したがって、あの交付基準をもって計算すれば、計算には誤りはないわけでございまして、その交付のやり方が、基準が適当でないというようなお考えに立てば別でございますが、四十六年度につきましては、もしぐあいの悪い点があればまた検討いたしまして、さらに適正を期したいというふうに考えておるわけでございます。
○後藤委員 一ぺん交付の基準を示してください。
○戸澤政府委員 交付の方針の大体の考え方は、先ほど私がお話ししましたとおりでございまして、ショック緩和という意味で、家族医療費割りを一つ考えた。もう一つは、財政調整という観点から、地域別の医療費の事情を加味して考えたということと、もう一つは原爆等の特別の事情によるもの、この三つの考え方によるわけでございますが、交付の基準そのものはちょっとこまかくなりますので、もしお許し願えれば、資料でもって御説明させていただきたいと思いますが……。
○後藤委員 いまの資料はあとからいただくとしまして、いまあなたが説明される前に言われましたことは、収入が多いから四億円の分配が少なくなる。なるほどそうなっておるのですよ。ところが、収入が多くても総医療費が多ければ、それに比例してたくさんもらえるわけです。もとは総医療費が問題になっておるわけです。その総医療費が、局長が先ほど言われたように、発足してから十二月までの分と一月から三月までの分と、各組合の総計したものが総医療費になっております、そういう説明でした。そのとおりだと思うのです。そうなると、六月から発足した組合も、八月から発足した組合もあるのですよ。ここにまず問題が一つあるわけなんです。それからもう一つの問題としましては、発足しましても、全建総連、中央建設のように擬制適用四十万の組合員のうち三十万もかかえておった組合は、なるほど、国保のほうに移管をいたしましても、その間における医療費というのはある程度少しは出ておりますけれども、隠された医療費がたくさん出ておるわけなんです、擬制適用四十万のうち三十万もあるのですから。その医療費が全然入っておらぬのですよ。その入っておらぬ医療費を、これが総医療費でございます、そこから収入を差し引きます。ですから医療費が少ないものですから、イコール出てくる数字が少なくなってしまって、それと家族の千三百二円にかける家族数と合併して、それに〇・二七五をかけたものが四億円の分配、こうなっておるのです。もう一つは、収入が多いというのは、保険料の高い組合は収入が多いわけです。赤字を出してはいかぬ、赤字を出してはいかぬ、堅実な運営をやらなければいかぬということで、保険料を高くしたところは収入が多いのですよ。そうやってまじめにやった組合こそ、今度の四億円の分配が少ないわけなんです。今後の行政指導として、そんなことでいいのですか。赤字を出した組合にはどんどん金をやるわ、まじめに行政指導に従って堅実な運営をやった組合に対しては分配はあまりやらぬ、金はあまりやらぬ、こんなことでは、今後の各組合の動き方は変わってきますよ。それなら保険料を少なくせい、赤字を出したりてちっとはくれるわ、来年は九億もあるから三億くらいくれるわ、そうなるかもしれぬ。そういうふうに持っていかんとしておるような四億円の分配方法だと私は思うのです。課長は首をあちこち曲げておるけれども、総医療費の説明をしてみなさいよ。
○戸澤政府委員 お話しの気持ちは理解できますが、この財政調整補助金は赤字を埋めるという趣旨ではございませんので、全国建設組合について六千万ほど補助金を出しましたけれども、赤字の三分の一も埋まっておらない状況でございます。その赤字はやはりその組合自体において努力して解消してもらわなければならないわけでございます。
 それで、医療費の計算でございますが、先ほど申し上げましたとおり、各地域によって医療費の格差が非常にございますので、どの地域に組合員が多いかということが結果として差が出てくると思います。医療費の非常に高いところに組合員が多く集中しているというようなところは、医療費も高くなるし、東京のように比較的低いというところでは医療費は少なくなるということになるわけでございます。
 それで、具体的に数字を計算してみますと、医療費におきましては、中央建設のほうが全国建設よりも逆に二千九百四十二万八千円ほど少なく算定されております。それに対して収入額、保険料のほうは一億六千二百万円ほど多くなっております。これは組合員数も多いためにそうなるわけでございます。そのために補助金は少なくなるという計算になってくるわけでございまして、この交付基準の考え方がおかしいと言われれば別ですけれども、一応普通の調整交付金のやり方で計算しますとこういうことになるわけでございます。
○後藤委員 じゃあ、これは大臣にお尋ねしますが、分配基準の問題にも影響があると思うのです。去年擬制適用を廃止して、かなりこの委員会におきましても激しく論議されたわけなんです。そのときの擬制適用を受けておる対象者というものは大体全国で四十万人です。家族を含めて百万。これはもう間違いないわけなんです。その四十万のうち約三十万というのが中央建設関係の組合員なんです。これははっきりしておるわけなんです。まあその問題はちょっと横にのけておきまして、これが擬制適用廃止、五月何日でございますか、あのときの大臣の一番最後の答えというのは、とにかくこれで頼む、こういう話でした。ただし将来において――将来というとおかしいのですけれども、ことしですね、来年の話として、ショック代であるとかいろいろそういう面も十分考えて調整資金を出す、こういうことも大臣としてここで言明しておられたわけなんです。われわれもその問題につきましては、いろいろ話をして、最終的に大臣のそういう意向も聞いてということで、これは終わりになっておるわけです。そこで実ってまいりまして出てきたお金が四億円ですよ。その四億円をさて一体どう分配するんだ。赤字の多いところへばかりお金がいくわけなんです。不健全経営をやっておる組合は賞与金がよけいいくわけなんです。さっきの話じゃないけれども、収入の少ないところは保険料の少ないところなんです。
 しかも、もう一つ私が言いたいのは、課長にも一ぺんはっきり聞きたいけれども、総医療費の中に、四十万人のうち三十万人の擬制適用がおって、ある程度医療費が隠されておるわけなんだ。たとえば中央建設でいいますと、全建総連の組合でいいますと、一番大事な親の数字にそれが入っておらぬわけなんです。ですから、収入を引いたところでこれはうんと少なくなるわけです。私は別に一つの組合の分配のお金が少ないからどうの、多いからどうのと言うわけじゃございませんけれども、この問題の発端というのは擬制適用廃止が発端なんですよ。それに対して、みんながえらい目にあうからというので最後に出されたのが四億円、これを出してもらったわけなんです。それならそういう気持ちを十分含めて分配をしてもらったらどうです。そういう気持ちを込めた分配の方法が私は一番正しいと思うのです。それが第一番の問題ですよ。私は数字の上からいいましても、総医療費を考えてみたって、それなら局長、あなたはさっきから説明しておられますが、擬制適用三十万の人がどういう関係になっておるか、はっきりわかりますか。総医療費のうちどれだけ入っておるか、一割以上総医療費の中で逃げていますよ。それをここへ積み重ねるとなるとまた四億円の分配が変わってくるわけです。中央建設関係をいいますと、一番不利な計算のしかたがしてあるのです。しかも数字的に計算しまして上限が千九百円で切ってあるのでしょう。これは日鳶のことばかり言って申しわけないけれども、日鳶の計算をすると千九百五円になるのです。ですから、上のほうはもう千九百円、こういうことで一番いいところの上限がつくってあるわけなんです。
 そういうことをずっと数字的にも検討して、まず第一番には配分の基準が間違っておる。赤字対策じゃないのですよ、これは普通の調整金と違うのですよ。しかも一年間を通じて、一月から十二月あるいは三月まで全部の組合が同じように運営しておったのなら話は別だと思うのです。六月から発足したところもあれば。八月のところもあれば、九月のところもある。こんなものはどうでもいいから全部総医療費、その総医療費を親にして分配しておるわけです。しかも四十万から三十万擬制適用で逃げておるのは全然総医療費に入っておらぬ、入っておらぬものはごっそりいかれておる。ですから十一万の組合と七万九千の組合と逆になって、片方は六千万円、片方は三千万円、こうなっておる。そうなると赤字対策といわざるを得ぬわけです。赤字対策なら赤字対策ではっきりやりなさい。来年から赤字を出した組合はよけいお金が取れるのですよ。来年九億円にもなる、ようし、競争してよけい赤字を出したところがどんどん金が取れる。それを慫慂するような分配方法じゃないですか。まじめに黒字でどうぞこうぞとんとんでやっておるところはお金はよけいもらえはせぬですよ。それじゃこれからの行政指導としても私は適しておらぬと思うのです。これは一ぺん全部計算し直してもらって、もう少し配分のしかたをやり直してもらいたいと思うのです。それがどうしてもできぬというのなら、総医療費はこうであってと、きちっとした納得のいく説明をしてください。そうしてもらわぬ以上は、少なくとも四億円というのは去年からわしらも一生懸命になってきたお金でございますから、適当にあなた方にかってなことをされたんじゃ、われわれは承服できませんよ。これは大臣、どうですか。
○内田国務大臣 後藤さん、私はたいへん誠意のある人間のつもりでおるわけでございまして、昨年しかられながらも、趣旨として日雇健保の中に擬制適用がああいう形で入っておることが日雇健保勘定に大きな赤字を残す原因でもあり、また事柄の趣旨からして適当でないと、こういう考え方のもとに、あの改正法律案が流れてしまった後の対応策として、擬制適用の方に日雇健保から出ていただくことをまあ強行したような形でお願いをいたしました。しかし、いままで擬制適用のもとに、それがいいことであるかどうかは別といたしまして、恩恵を受けておられた方々でありますから、これがにわかに国民健康保険にばらばらになって加入されるというようなことになりますと、いろいろのショックも起きるわけでもございましょうし、また組織上の問題もあるかもわからないようなことも多少頭に置きながら、国民健康保険組合というような制度、実はこの制度もすでにもう閉じてしまって、あまり新しいものはつくらせぬはずになっておりましたのを、私の考え方で、もう一ぺん門戸を開いて、できる限りそちらに乗り移っていただくような親切な行政をすべきである、かたがたそれに乗り移りますと、いままで家族は五割給付でありましたのが七割給付、こうなりますから、処遇もそれだけよくなるわけでありまして、擬制適用を受けておられた家族の方も、一面いい面も出てくるわけでございますが、しかし今度は独立した組合でございますから、直接その赤字のしりを政府に持ってくるわけにもまいりません。当然保険料も高くなるという問題もございましょうし、また、何よりもかによりも私が強行をさせていただいたようなことの結果、組合員の方々にも非常な無理がなるべくかからないようにしたい、実はこういう親切な気持ちもありまして、予算にはないお金を、私が大蔵大臣に閣議の席上持ち込んで、何とかひとつ多少調整金のようなことでめんどう見てやってほしい、そして組合への乗り移りを円滑にさせたい、さらにまた、これは四十六年度についても同じようなことをやってほしいというようなことをことしも述べました結果、昨年は年の途中からだったからでありましょう、四億円というものを国民健康保険組合関係の国の助成の中に新たに――補正予算でありましたか、予備費の活用でございましたか、乗っけてもらい、また四十六年度は、いまお話がございましたように、従来の一億にプラス八億円を乗せて九億円ということにいたしました。その分け方につきましては、後藤さんからおしかりを受けるような分け方であってはならないと私は思うわけでございまして、私も配分の具体的な作業に私がみずからタッチするわけでございませんのでつまびらかにはいたしませんが、せっかく私が親心でこういう仕組みをつくったわけでありますから、その配分につきましても、後藤さんその他からお小言をいただくようなことがあっては、これは親の心子知らずというようなことに実は相なると思います。
 ところで、私、いまお話を聞いておったわけでありますが、正直のところ、私はこの件の具体的な配分の状況につきましてはよく知りません。でございますから、せっかく御議論を伺ったわけでございますので、いずれこれは委員会外におきましても、御納得のいただけるような資料もつくらせまして、課長なり局長なりからあなたに御説明をさせたいと思います。
 また、幸いいま問題になっておりますこれまでのところは四十五年度の四億円の配分だろうと思うわけでありまして、四十六年度の九億円の配分につきましてはまだこれからやるわけでありますから、かりに四十五年度の経過配分につきまして間然するところがありますならば、そういうことも十分補いつつ四十六年度の配分はやったがいいと思います。ただ、私が自分のことにわたりまして恐縮になりますが、実は厚生省の役人たいへんえらいと思ったことが一つあります。というのは、実は私といえどもやはり、大臣でありますことを別にいたしますと普通の代議士でございますので、この擬制適用の国民健康保険組合への乗りかわりにつきましてタッチした具体的の組合もございます。つまり、私が世話をやいた組合もございます。そこから、お金が少ない、こういう文句を私のところに直接言ってきました。そこで、私もよくわかりませんが、こういうことを言ってきているが、こんなものよりしようがないのかということを課長に、自分の関係の組合でもありますことですから、決して職権乱用のつもりはございませんけれども、さらっと申し入れましたところが、課長のいわく、今回のお金の配分は全く政治的考慮を抜きにして事務的に基準をつくって配分をいたしておるから、せっかく大臣の関係する組合で大臣のことばがあっても、それは文句を言わないでください、こうガチャンときまして、私もたいへん不満でしたが、厚生省の役人、なかなかしっかりしたところがある、えらいやつだ、こういう気持ちもいたしまして、実は私は引っ込んでおったというようなこともございます。でありますから、必ずしも厚生省がある種の特別の関係をもってこれの配分を左右をしたり、あるいはまた、基準のつくり方などにつきまして、公務員が左右の思想にとらわれて特別の基準をつくっているというようなことはないとは私は思っておりました。が、せっかくこういう御議論がございましたので、さらに私からあなたの御納得のいくような説明を、資料を持たせましてさせていただいて、間違ったところがありましたならば、それは今後の有効なる参考にさせていただきたい、私はかように思うわけでございます。
○後藤委員 それは、いま大臣が厚生省の人はまことにりっぱだという話がありますけれども、大臣の関係する組合が交付金が少ないからちょっと何とかならぬか、それはあきませんぜ、これは私は普通のことだと思うんです。普通のことだけれども、関係大臣から話があった場合には、その下におられる人はふらふらとする場合があるけれども、そうではなしにしっかりやってもらっておる、こういうことだろうと思うんですがね、いまの話は。それとあわせて、来年度、再来年度は私は別だと思うんですよ、金の分配方法は。去年からずっといきさつがあるところに対する四億円の交付ですからね。それを分けるのでしょう。あなたさっき言われましたように、あなたが中心で擬制適用を強硬に押し切られたんですよ。われわれは押し切られたほうなんです。あなたは押し切ったほうなんです。そのときにお互いにたいへんなことだったというので、何とか考えようというのであなたが大蔵大臣に話をして、四億円出してもろうたわけです。それやったら、もうちょっと気持ちのいい分け方をしたらどうですか。おれは分配のことは知らぬわいとあなたはおっしゃっておるけれども、あなたが苦労した金を、どうすることもこうすることも知らぬということは無責任じゃないですか。そういうとうとい四億円の金でしたら、各組合とも喜んでもらえるように、これは赤字対策に使うんじゃないぞ、去年のいきさつからことしにわたってこういういろいろな情勢があるんだから、いろいろの意味を含めたお金だから、そういう考え方でこの四億円の分配をやってもらう、そういう分配基準を大臣のほうからきちっとしてもらえば、私のほうも、あなたが一生懸命やって取ってこられた金を、ああでもないこうでもないと、ここでやりたくないですよ。大体わかれば、私は文句を言うつもりはないわけですが、数字的に、数字の基礎からずっと考えていってもおかしい。どうもこれは公平ではない、うまくなっておらぬ、赤字対策のような形になっておる。その証拠には、さっきの話じゃないけれども、十一万おる組合と八万の組合、三千万と六千万と逆になっておるんですよ。それはこっちの組合は赤字があるからそうなるんだという説明ですが、そうすると来年度からどんどん赤字を出すと交付金がよけいもらえるんですね、こうなってくる。そうすると、なるべく保険料を上げぬようにしましょう、そうすると赤字の組合がとっとと出てくるわけです。そうすると、あなたが一生懸命になっておられる健康保険の財政そのものが、これまたえらい問題になってくると思うんです。ですから、そんな方向に進ませないようにするためには、この四億円の問題については、やはり家族と組合員くらいな数のところを、一律に全部そういうふうに分けろとは私は言いませんけれども、その辺を原則にしたようなかっこうで分けてもらうと、みんなが同じようにありがたがるわけです。あなたの関係しておる組合は、少ないじゃないかといって、あなたの努力にもかかわらず、おこっておる人もあるでしょうが、また中部建設関係の人は、これはひどいじゃないか、十一万の人はあなたの御努力を、かえって分配が少ないというのでさか恨みになるのです。あなたのさっきの話じゃないが、親の心子知らずと言われましたけれども、そういうことになるかならぬかは別問題であります。私は時間が来たからこの辺でやめますけれども、この分配については一ぺん再検討してもらう。これはまだ交付しておらぬでしょう。交付しておらぬはずですよ。そうして、だれが見てもなるほどというような分配基準にきめてもらう。そして私は、大臣におまかせしますから、大臣が、これならよし、これならおれが取ってきた価値があるわい、うまくやってやるという分配方法をきちっときめてもらう。あくまでこれは赤字対策じゃない、そういうような分配基準にやり直してもらいたいと思うんです。いいですか。
○内田国務大臣 私は親切のつもりでこういうことをやらせましたのが、かえりて皆さん方に不満を与えるような結果でありますと、私もまことに残念でございます。また、こういう席上のやりとりでありまして、説明もあまりじょうずにも私は聞いておりませんでした。さっき申しますように、さらに十分な説明を後藤さんにあらためてさせまして、その上で相談を私も受けるようにいたしたいと思います。私がそろばんを入れて、私がみんなやりましたと言っては話がうそになります。私も責任はあるわけでございますが、私はよく局長にも課長にも――これはあなたがこれだけお述べになったことでありますから、こちらのほうでは御質問はよくわかったと思いますが、至らぬところはまた説明をいろいろさせまして、その上で処置すべきところがあったら処置をするようにいたしましょう。
○後藤委員 では終わります。
○増岡委員長代理 次に、有島重武君。
○有島委員 貴重な時間をいただきまして本日私は、国民生活に非常に密接な関係があると思われますし、また健保の赤字にも関係ございます医薬の価格について若干の質問をさせていただきたいと思います。
 私は去る二月二十五日、予算委員会の第三分科会におきまして、医家向けの医薬品のやみ市場をやっております現金問屋の問題、この存在について質疑を行ないました。御記憶かと思いますけれども、その現金問屋での価格というのが医薬品の実勢価格であり、こうしたことから考えると、薬価基準は大幅に引き下げられるのじゃないかという見解を述べさせていただいた。そちらからは、二月、三月にもっと十分に調べて、そして薬価基準は検討なさるというようなお話であられたと思いますが、前回の質疑と関連いたしまして、医薬品の価格について、企業の規模によって価格の差がある、メーカーによって差があるという、そういった一面をもうひとつ問題提起をしておきたいと思うわけでございます。
 特に公営病院の医薬品に関する価格、これは厚生省からいただいた資料でございますけれども、酢酸アルファトコフェロール錠、これは五〇ミリグラムで一錠六円九十銭になっております。これは中外製薬のトコファール錠というのをはじめといたしまして、中小企業を含めて五十七社でもって同じ薬をつくっておるわけなんですね。それからもう一つ、塩化リゾチーム錠というのが一〇ミリグラム、これは三十九円七十銭という基準の薬でございますけれども、四十九社でもってつくっております。それからイノシトールヘキサニコチネート錠というのが二〇〇ミリグラムでもって、これは基準七円二十銭でございますけれども、六十社でつくっておるわけです。これらの製品の大メーカー、中メーカー、小メーカーの各値段と概略でもいいから公表していただきたいということを、約三カ月前だったと思いますけれども、私お願いしてあったのでございます。それをここでもって教えていただきたい。発表していただければと思います。
○武藤政府委員 先生の御質問は、いま出荷価格はわからないかということでございますが、出荷価格につきましては私どもでは不明でございます。薬価調査で調べます値段は医療機関が購入する価格を調べるわけでございまして、メーカーが出荷する、つまり卸や小売りに売る価格は現在公表されておりませんし、また不明でございます。
○有島委員 医療機関からいわれた価格でもって基準を定めておるから、メーカー側が幾らでつくろうと、そういうことについては関知しない、いまのお話はそういうようなお話ですね。それでいいかどうかということなんですよ。それで、厚生省が薬価基準を定めるときに、いまどのくらいで売られておるのか、どのくらいでつくられておるのかということを何にも知らないでやっていていいのかどうか。これは、本来はそういうことを全然知らないで薬価基準をつくっておるなんということはとんでもないことじゃないですか。いまおっしゃった意味は、私どもは関知しないということですね。ほんとうですか。
○武藤政府委員 診療報酬で支払われます薬の値段がつまり診療報酬上は問題でございますので、したがいまして医療機関がどの程度で買われるかということを調査するのが私どもの調査でございます。したがいまして、先生がおっしゃるように、その価格がいろいろ高いあるいは安いというような御批判につきましては、やはり自由競争によりまして価格がきめられていくものであるということでございます。私どもがそれを調査するというのが薬価調査でございます。
○有島委員 診療のときの薬価基準ですね、薬価基準を絶対と立ててのいまの御発言なんですけれども、薬価基準が高過ぎるのではないかという議論がこの前も出ていたわけです。それについては考えるというお話なんです。考えるについてはいろいろお調べだろうと思うのです。ただいま当然考えておられるだろうと思って、その資料を出していただきたいとお願いしたら、いまはないけれどもというようなお話でございました。いまもってないのですか。これは怠慢じゃないかとも思うのです、私のほうでわかるのですから。
 私の調査、これはそちらのような完ぺきな調査網を持っておるわけではございませんけれども、たとえばイノシトールヘキサニコチネート錠というものは、二〇〇ミリグラムでございますが、これは血圧なんかの薬、血行促進剤といわれております。これは大メーカー、中メーカー、小メーカーいろいろございますけれども、六十社でもってやっておりますけれども、薬価基準七円二十銭、同じようなものヘキサニシットというものが四円で売られておるのです。クレバミンというのが三円二十銭、ヘキサVというのが二円八十銭、これは私立病院あるいは開業医でもって購入しておるのですね。それから、同じくこれはフィトナジーオンという五ミリグラムのもの、これは血管の強化剤です。あるいは血どめ薬なんかにも使っておるようでございます。六十社でやっておるということです。この薬価が三十七円、これはメーカーの名前は略しますけれども、カチーフNというのが二十八円、K・1というのが二十二円、オーブロトンKというのが二十円。これは同じものですよ。こういうふうにメーカーによって格差ができるわけですね。これは、たとえば研究費などがかかっても、バルク、ロット、つまり原料を中小メーカーへ売るわけですから、中小メーカーと大メーカー、同じ値段でいいはずじゃないか。それが大メーカーのほうが高いわけですね。大企業のほうが薬を高い値段のところで安定させている。そういう仕組みになってしまう。いまのカチーフNというのは、これは大企業ですけれども、二十八円でやっているわけですよ。ほかでは中小メーカーでもって二十二円、二十円とできているわけですね。本来ならば大メーカーのほうが生産性も高くていいわけですね。同じ原料でもって、同じ基準でもってつくっているわけですね。経済企画庁に来ていただいていますから、こういった現象についてどうお考えになりますか。
○山下説明員 薬の医家向けの販売価格が薬価基準と異なり、また御指摘のように、大メーカーあるいは中小メーカーによっていろいろであるという現象につきましては、まあ薬という特殊なものでございますので、私どもの立場からなかなか的確な意見を申し上げるのはいかがかと存じますけれども、現実に、御指摘になりましたようにさまざまな価格で販売をされておる。まあ、これはメーカーによりまして、あるいは製造コスト、販売ルート、ブランドの力、販売政策等が異なることによってそのような現象があらわれているのかというふうに考えております。私どもの立場でこれについてどのように判断をしたらいいかということは、なかなか問題がむずかしいというふうに考えておりまして、現在のところ確とした御意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○有島委員 たいへん慎重なお答えかもしれませんけれども、これは価格と品質というプロポーションにおける競争ということが大切なことだと思うのですよ。薬の場合、全部同じですね。生産性の問題になるわけです。いまの薬の話でも、大メーカーのほうが二十八円で売っているわけです。価格をつり上げている現象が起こっているわけですね。小メーカーが安く出している。中身は同じなんですよ。こういったことについて、これはおかしいのじゃないか。おかしいとお思いになるならば、これは企画庁でも、価格形成については御専門のところなんですから、企画庁というお立場でもって一ぺんお調べいただくべきじゃないかと私は思うのですよ。それで、大企業が高い値段で価格を安定させているという一つの典型的なものでございますから、薬だけは特別だからタッチしないというような姿勢ではなく、もう少し研究していただきたい。研究していただけますか。
○山下説明員 おっしゃいますような現象が現実に存在しているといたしますれば、確かに消費者の立場から見まして問題であろうかと考えるわけです。この薬の問題につきましては、実は物価安定政策会議の第二部会で、いわゆる管理価格という問題につきまして御検討をお願いしております。そちらの方面の観点からの検討をいたすことになろうかということで、私どもは現在事務的にいろいろ検討いたしておるところでございますが、先生の御意見を十分尊重いたしまして、まあその第二部会の問題になりますか、あるいはそのほかのほうになりますかわかりませんけれども、企画庁といたしましても検討を進めるようにいたしたいと考えております。
○有島委員 これはきのうきょうの話でなくて、九〇%バルクラインというのは非常に有名なことでございますよ。それで、小企業の製品がそれでもって売れる。それで大メーカー品が売れていく。これはいままではいわゆる添付でございますか、添付はこのごろなくなったということになっておりますね。私の聞いている範囲でも、最近は添付はないそうです。添付にかわるべきものが起こっておるわけなんです。これは大臣に伺っておきましょうか。現品添付をこの前お禁じになりました。ところが、現品添付にかわるような、同じような現象が実は起こっているのだという実態は御存じか、あるいは御承知ないか、いかがでありますか、大臣。
○内田国務大臣 現品添付はなくなしましたから、薬を買われる医者のほうでも、しからば今度は値段を下げてこい、そうでなければおまえのところからは買わない、こういうことになって、それで、それは分析すると、値段は変わらないが、今度は現金のリベートがあるという形になってきているのか、あるいはそうでなしに、その値段から現品添付に相当する金額を差し引いて、いままでたとえば百錠百円であった、それに対して五十錠の添付がついておったのが、五十錠の添付がなくなってしまったから、百錠百円ではもう買わない、百錠八十円でなければならないとかなんとかいうことで、当然現品添付にかわって値段が安くなってきているのじゃないか。私どもは、バルクラインの問題はございますけれども、それをキャッチして、薬価基準というものを引き下げてきめる、こういうことになるものと私は考えております。
○有島委員 じゃ、さっきのバルクラインの問題は経済企画庁にお願いいたしましたから……。
 いまの大臣のお答えです。現品添付をやめたから二通り考えられる。それで、一つには相も変わらずそれと同じような、あるいはキャッシュによる操作が行なわれているかもしれない。それは現実でございます。
 それから、大臣のお答えの中で、大臣が期待していらっしゃるところは、それによって価格が下がることである。いままで一〇〇%の現品添付をやっていたのだから価格が半分に下がってもいいじゃないかというくらいに期待していらっしゃる、そう受け取ってよろしゅうございますね。期待していらっしゃるはずなんです。
○内田国務大臣 算術的には、同数量の現品添付があったから、現品添付をやめた場合には今度は価格が半分になるということではないと思います。これは利潤を含みますし、また、それだけ市場が狭くなります。現品添付をやめにしますと、その会社の市場がそれだけ狭くなって、ほかのメーカーのものが買われるということにもなりましょうから、したがって、同額現品添付があったことをやめると、価格が算術的に半額になるということではないと思いますけれども、価格は安くなる、おそらくそれは現金のリベートというものが行なわれるという方式も考えられるコースには入りますけれども、これはまたいろいろ批判も起こりますし、現品添付と同趣旨、あるいはもっと質が悪い、たちが悪いということにもなりますので、おそらく二つの方式のうちで、直接売り渡し価格、すなわち医師の買い入れ価格というものは下げられる、こういう方向に向かっていくものと、おっしゃるとおり期待をしつつ、そういう状況の実現がなされていると私は思っております。
○山下説明員 先ほど私のお答えのしかたが足りなかったのかもしれませんけれども、先生、バルクラインの問題を企画庁のほうで調べるようにというお話でございますが、バルクラインの問題は薬価基準の問題でございまして、これは私のほうが直接この問題を取り扱うには適当ではないというふうに考えておりますので、その点は一言私どもの立場を申し上げさせていただきます。
○有島委員 そのまま直接的にバルクラインと言っちゃうとはみ出した感じがするかもしれませんけれども、そういうものの要因になっている。繰り返しませんけれども、大きいメーカーと小さいメーカーの価格の幅がこういうふうにできておる。そういったことについてしっかりやっていただきたい。
 それから、いま大臣がおっしゃったように、国民も現品添付をやめることによって薬価基準は半額とまではいかないけれども、当然下がるだろう、それから病院のほうでも、おそらくいままでよりも安くして買っているであろう、そういうふうに期待しておりましたにもかかわらず、そうでない事件が起こったから、きょうこうやって時間をとっていただいたわけなんです。
 これは一般紙に出ておりましたことなんで、おそらく御承知かと思いますけれども、「公立病院が“殿様商法”」「活性ビタミン剤四種市価の二倍で買う」という見出しで出ております。それで自治省に関係があることになりますね。自治省は、この公立病院の経営姿勢にメスを入れる、そういうふうな大きな見出しが出ておりまして、これは私どもとしては医師の診療報酬というものは増大していかなければならない、そういうふうに思っております。そういった前提で申し上げるのですけれども、薬価の問題は、従来はどっちかというと一般向けの薬、再販商品にもっぱら目を向けられていた。ですから小売りの薬屋さんが高いんだろうとかどうとか、そういうふうな問題も消費者側としては持ったわけでございますけれども、実際は市場の七〇%以上は医家向けである、そういうことでございまして、こっちのほうが問題である。そうなりますと、その中でもって公立病院が医薬品を幾らで購入しておるのか、これが公立病院の赤字にも関係が出てくる。それからもう一つは、公立病院が高く買っているといたしますと、これが薬価基準の引き下げというせっかくの努力を阻止する大きな要因になってしまう。先ほども何か一番最初の御発言はそのような印象を受けましたので、こうした点について、大臣もこの記事は御承知じゃないかと思いますので、大臣の御見解をちょっと承っておきたいと思います。
○内田国務大臣 そういう公立病院が市価あるいは実勢価格の倍も高い値段で薬を買い入れているというようなことでございますと、健康保険から支払われる薬価基準でもよほど高くきめてない限り、これは高い薬を買いまして、そうして健康保険の支払い基金からはきめられた薬価基準しか支払いを受けられませんから、その公立病院は薬を使えば使うほど赤字を生ずる、こういうことになるわけでありまして、公立病院の経営方針としては、いまおっしゃられるようなことが事実といたすならば、まことにふかしぎだと私は考えざるを得ません。おそらくは購入される当局の人が個人的な芸術でもやっている場合はそういうことがあるかもしれないが、一般的には考えられないことではないかと思います。
○有島委員 自治省のほうの御見解を……。
○佐々木(喜)政府委員 現在自治体の病院におきます薬価の費用の割合というものを見ますと、四十四年度決算で見ますならば、大体総費用のうちの三〇%、事業収入に占める割合が大体三分の一程度でございます。そういうような、費用のうちで占めます薬品費の割合が相当高い関係から、病院管理者としましては、少しでも低廉な価格で購入するようにいろいろ契約方法の改善なりあるいは各病院間の情報の交換といったようなことで、できる限りこうした購入価格の合理化という点について努力をしているものというふうに私どもは考えております。こうした薬品費の比率は、公立病院と他の公的な病院と比較しますと、大体同じような割合になっております。診療科目の構成によって若干違うかと思いますけれども、平均的には大体他の公的病院と同じような割合であるというふうに考えておるのでございます。
 一部新聞紙上でございましたように、実際に購入しております価格が薬価基準よりも上回って購入されておるという病院は、私どもが調査したところでもないようでございます。さらに、添付の問題もこの中に含まれておりまして、添付による購入価格を見ますると、大体新聞紙上で出ております数字から見ますと、大体単価が一円ぐらい安い価格になっておるのではないか。それからまた、添付が禁止されました本年度に入りましての数字を見ますと、やはり添付禁止によりまして値段も下げられておるというのが、大体どこの病院も同じような傾向でございます。ただ、公立病院を個々にとらえてみますと、その地域におきます薬屋さんの状況なりあるいはまた契約の条件等によりまして若干の差が出ておるということはやむを得ないというふうに考えておりますけれども、できる限りこうした購入価格の合理化という点につきましては、私どももその指導に努力をしてまいりたい、かように考えております。
○有島委員 自治省のほうでは公立病院の会計の中で占める医薬費のシェアというものは三〇%もあるのだから、これがなるべく安く買えるようにということについては努力しているはずだし、自治省としてもこれを監督する立場ですね。そうなりますと、大体どこの病院ではどういう薬を幾らで買っているということについては、資料はお持ちでしょうね。それについて資料を出していただけますか。
○佐々木(喜)政府委員 現在公立病院が約千ございます。医薬品の種類も相当な種類になろうと思います。私ども個々の薬品ごとの単価というものについては特にとっておりません。もし特定の品種の医薬品について、どういう程度の病院がどのくらいの値段で買っているかということを調査しろということでございますれば私ども調査可能でございます。
○有島委員 調査可能でございますということは、いままであまり調査してないということなんですか。新聞で私たちが見ていたのは活性ビタミン剤ですね。特にこうした面については、これは全国的に調査なすっているのだろうと私どもは想像しておりましたけれども、いまのお話は、調査いたしますという、これからのお話のようでございますから、これは委員長、あとで理事会ではかっていただいて、もしできれば自治省のほうからそういった資料をいただければたいへんありがたいと思います。
○佐々木(喜)政府委員 ただいまの調査の件でございますが、私どもは個々の薬の値段、どういう価格で購入しているかということは調査いたしておりません。したがいまして、もしどういう薬についてどの程度の病院、たとえば病床数の三百床程度の病院でどういう値段で買っておるかという調査でありますればそれほど時間はかからないで調査できるかと思います。薬の種類が非常に多いわけでございます。病院の数も多いわけでございます。全品種について調べるということになりますと相当な期間を必要とするわけであります。直ちに調査ということは困難だろうと思います。
○有島委員 いきなり全品種なんて話を大きくしてしまって――だからむずかしいから、だからなかなかできないからといって、さっきは薬の購入については非常に努力もするし、指導もするというお話だけれども、努力し指導する根拠になるものをやはりおつくりになってないということは少しおかしいと思うのです。
 先日も私は現金問屋のお話をしましたけれども、公営病院の納入価格が結局薬価基準の引き下げの歯どめになっているという面について、私のほうでわかっている分だけ、では公表いたしますよ。ビオタミンの問題でございますけれども、ビオタミン二五、これは薬価基準十円五十銭、京都府立医大付属病院、大阪市大病院など九病院で十円二十銭で購入しております。これは先日の分科会で私、この実勢価格を公表しましたけれども、実際には四円から四円六十銭、普通はこれが実勢価格でございますから二・五倍でございます。たとえ手形でもってやったとしても二倍になります。次にノイビタ二五、これは薬価基準十円五十銭、これにつきましては茨城県立中央病院、新潟大学付属病院など七病院で十円二十銭で購入しております。これも薬価基準よりかちょっと低いことにはなっておりますけれども、現金問屋の値段では四円二十銭で二・六倍です。それからベストンの二五というのがございます。これの薬価基準は九円八十銭、これにつきましては、青森県立中央病院、秋田県立中央病院、静岡県立病院で九円六十銭で買っておる。これは現金問屋では三円八十銭のものです。これも二倍半ですか、二・六倍くらいになっております。
 こういった問題だけから見ても、公立病院の購入価格が、公立病院の赤字を解消しようという努力とはずいぶんかけ離れているとお考えになりませんか。それからもう一つは、薬価基準引き下げの防波堤にされてしまっておる、そういったことをお認めになりませんか。これは活性ビタミン剤の例だけでございます。半値以下でもって、買おうと思えば買えるのです。もし買おうと思って買えるのにこれで買っているということになりますと、さっき厚生大臣おっしゃった、何か係の人が芸術をやっているのじゃないかというような微妙な御発言がございましたけれども、自治省は、この点はもっと突っ込んだ指導をなさるべきだと私は思うのですけれども、いかがですか。
○武藤政府委員 先生ただいま現金問屋のお話をなさっておりますが、私どもも流通関係はそうこまかいところまではわかりませんけれども、現金問屋といいますのは、東京、大阪の特殊の問屋でございまして、つまり現金で売買をするという特殊の問屋でございます。この発生は、一般の卸、これは三千くらいございますけれども、卸の中でいろいろの金融上の問題から換金の必要上そういう問題が新しく発生しているようでございます。したがいまして、現金問屋におきましては、もちろん先生がおっしゃいましたような品目は売っているかと思います。しかし、そういうふうな現金取引でございますので、一般の、たとえば公的病院でございますとかあるいは国立病院とかというところは、やはり契約入札というようなことで、支払い等も、いろいろ、会計検査院その他の厳重な方法でございますので、いま先生が御指摘のようなところでは現金問屋を利用するということはなかなかむずかしいのではなかろうか、私はかように一般的な問題として考えます。差し出がましい発言でございますけれども、一応御説明さしていただきます。
○有島委員 現金問屋の議論につきましては、もうこの前大体いたしました。それが薬の実勢価格といわれるもの、自由市場において形成されていく価格というものにほぼ近いものであろうということは、この前企画庁長官ともお話ししてもう話し済みの問題でございますから、それでいいと思います。それからまた、公立病院が現金問屋に買い付けに行くということは考えられません。考えられませんけれども、実勢価格と二倍半以上も違っているということについて、これを指導する余地があるのじゃなかろうか、さらにもう少しきびしく考える余地があるのじゃなかろうか、そういうことを申し上げているわけです。自治省に伺います。
○佐々木(喜)政府委員 私どもの薬品の購入価格というものは、やはりその基準としましては、薬価基準というのが一応の目標になるだろうと考えております。薬価基準を一体どれだけ下回った価格で購入するのが適正かということになりますと、現在の薬価基準のつくり方から見まして、その辺の指導は私ども非常にむずかしいところだろうと思います。そうした薬価基準の三分の一くらいの値段の現金問屋があるということ自体について、これは厚生省のほうで、そういうことについての実態なり、あるいはどうしてそういう価格が形成されるかということについてはよくお調べを願わなければならないというふうに考えております。
○有島委員 参事官のお立場としては、とにかくいまきまっていることは、もう基準はきまっているんだからというその線からお話しになるのだろうと思うのですけれども、私ども国民の気持ちから申しますと、いまの基準がもう少し下がってもいいのじゃないかということを前提として言っているわけなんですよ。少し個人的な話になるかもわかりませんけれども、参事官としては、いまの基準がこのままずっと永久に続いたほうがいいのか、もう少し下がってもいいんじゃないかとお考えになるのか、どっちなんですか。
○佐々木(喜)政府委員 最初に申しましたように、病院の費用の中で占める薬品費の割合は三分の一ぐらいの割合、非常に大きい構成要素を示しております。したがいまして、医療費をできるだけ下げるという点は、やはり薬品費につきましてもできるだけ下がることが望ましいわけでございます。ただ、現実に公立病院が薬品を購入いたします場合には、やはり地元の薬品問屋を中心にして購入をしていくというのが、大体いままでの地元産業というような観点から、地元のそうした薬品問屋を中心にした競争入札というのをたてまえにいたしておるわけであります。そういうことでやっております関係で、そうした問屋との関係から地域によっては値段の点がこうした薬価基準等によってなかなか下げにくいという面もあるかと思います。その点は現在、全国自治体病院協議会という横の連絡機関を持ちながら、相互にそうした薬価についての情報交換等をしながら、でき得る限り低廉な価格での購入が可能になるような方法等も講じてやっておるわけでございます。
○有島委員 これは同じ新聞記事の中に、赤字が出れば一般会計から補助してもらえば済むことだ、親方日の丸だということを、責任のある方が漏らされているのがやはり出ておりますね。これは事実関係は、個人的にこの方を責めるというわけにはいかないと思いますけれども、今後の問題として、自治省としてまだ指導のゆとりがあるということだけはお認めになりますね。このままでいいんです、地元のつながりだからしようがない、そう言われるのだとこれはまた話が長くなりますよ。
○佐々木(喜)政府委員 ただいま申しましたように、薬品価格をできるだけ低廉な価格で購入するということは非常に望ましいことでもありますし、各病院ともそういう方向でいろいろ努力を重ねているところであります。しかしながら、ただいま御指摘がありましたように、実勢価格はなお安い価格で薬品が売られておるという現実から見ますならば、さらに合理化の余地は十分あるというふうに私ども考えております。そういう意味で、各病院管理者につきましては、そうした合理化の余地があるという点は十分指摘しながら、それぞれ努力を重ねていってもらいたい、私どもはさように考えております。
○有島委員 いままでも努力しておる、しかるにこういったことがある、さらに努力せよということをおっしゃるというような意味合いだと思いますけれども、その中にさっき厚生大臣がちょっとおっしゃったように、いろいろなからくりがやはりあるのです。それをもう少し突っ込んだ指導をなすってもいいんじゃないか、そういうことでございます。
 それから公正取引委員会に来ていただいているのでちょっと……。いまの活性ビタミン剤のことでございますけれども、中国、四国、近畿地方でほとんど完全な価格協定をやっているんじゃないか。そういったことを御存じかどうか。いま申し上げた地方では、ビオタミン二五ミリグラムが全部十円二十銭という同一価格でもって購入されております。これは御承知だろうか。あるいはこれについて御意見というか御見解というか承っておきたい。
○吉田(文)政府委員 おっしゃるようにビオタミン二五は近畿、中国、四国で大体一錠当たり十円二十銭、そのほかの薬につきまして活性ビタミン剤についても、たとえばアリナミンF二五ミリ、これも十円十四銭というのが各地区がかなりそろっているようでございます。ただ、私どもとしましては、価格がそろっているから直ちにこれは協定があるかどうかという違反の疑いで調べるには、もう少し手がかりがありませんといけないので、現在情報を収集している段階でございますが、独禁法の立場から申しますと、もし卸問屋が協定をいたしまして――入札で買っているわけでございますから、入札談合、入札に際して談合して価格をそろえる、これ以上の価格でなければ売らないというような事実がございますれば、これは業者が協定してやれば独禁法の三条、それから団体がやりますと独占禁止法八条一項一号あるいは四号違反の疑いが出てまいりますので、いまそれらの点を情報を収集しながら検討いたしている段階でございます。
○有島委員 じゃ検討してくださるそうですから、それは期待しております。
 次に参ります。先ほどは薬価基準よりも大体低い線で買っておるというお話だったのですがね。これも一般紙に出た話ですけれども、東京都の場合のことが特に問題になっておりまして、都の監査事務局が一月から二月にかけて都立病院十二、それから産院五つを会計監査を行なってみたわけです。それで薬剤購入契約をしていた都の衛生局と財務局に対して都の監査事務局が一つの勧告を出した、そういうことが出ておりました。これは、常識的には薬価基準はうんと下げても当然というふうにいわれているのに、薬価基準よりも高く買っておる。これはほんとうに考えられないことだと思うのですけれども、自治省のほうは、このことについては、これは東京都だけでなしにほかにもあることじゃないかというのでお調べになったのじゃないかと思うのですけれども、お調べになりましたでしょうか。
○佐々木(喜)政府委員 先般の報道がございましたので、私どもいままで調べましたことは東京都の事情を調査いたしております。その他の地方につきましてはまだ調査いたしておりません。東京都の内容を見てみますと、監査委員会におきまして指摘されました非常に高い購入価格の薬品といいますものは、その使用数量がきわめて少ないために各都立の病院が単独で購入をしたというものに非常に高い例が出たということのようでございます。したがいまして、まとめて買うという形じゃなしにいわば一本売りのものをそのまま購入したために、一本売りの卸売り価格からすれば大体七割程度の価格で買ったのだけれども、まとめて買った場合の値段に比べると相当高い値段であったというようなものでございまして、契約金額からいいましても大体一万円前後から五万円くらいまでの間の薬品が、薬価基準を上回るあるいは薬価基準すれすれくらいのところで買われておるというような事情にあるようでございます。
○有島委員 初めにおっしゃった東京都の話だから東京だけ調べましたというのですけれども、調べられた結果はもう出ているわけですね。それを全国的にまだなさっていないとすると、これはちょっとまずいと思うのです。全国的になさるべきじゃないかと思いますが、大臣ちょっと聞いておいていただきたいと思うのです。フェナセマイド五〇〇グラム、薬価基準四千三百円ですか、これは四千四百円で契約しております。ポポンS、これは液ですけれども、一五ミリリットルかける二、これは二百四十三円に対して契約が三百十六円、七十三円高いのです。カルチュコールというのですけれども、八・五%の五ミリリットルかける一〇Aというのですけれども、これは基準が百六十円、契約単価が二百四十五円、そういうことになっています。エチコンエスというのが二グラムかける五〇、八百五十円の基準のものを九百円で契約している。ハイアラージン一〇ミリリットル、これなんかも六十五円の基準なんですが、それを百七十五円で契約しているのです。ムコファジン点眼液、これは二千七十円を二千二百五十円、百八十円高いのです。こういうようなことが東京都の公立病院では行なわれている。これはたいへん残念なことだと思うのですけれども、いままでのお話だと、基準よりは安いはずだ、こういったことは、これはもう明らかに自治省と厚生省のほうも監督不十分であったとお認めにならざるを得ないと思うのでございます。これは東京の一例でございますけれども、全国的にこうしたことについて十分監督していただいて、薬価基準の引き下げのほうに努力をしていただかなければならない、私はそう思いますけれども、最後に大臣からひとつお話を承りたい。
○内田国務大臣 あまり歯にきぬ着せないほうの私でありますから、思うままを申し上げますと、お話しのとおりでありますならば、まことに感心しないことだと私は思います。
 薬価基準というのは、御承知のとおり九〇%のところをバルクラインといたしておりますから、場合によりましては薬価基準より一割高いものを買わなければならない医師、診療所もある場合もあるわけでございますが、普通に考えますと、公立病院などは大量に買われるわけでありますから、売るほうからいうと、大量購入でよけいサービスをしてもいいわけでございましょうし、薬価基準よりも高い場合というものはあまり考えられないのではなかろうか。たくさん買ってやるから安くしろというほうでなかろうかと私は思うわけでありますけれども、しかし現実には、いろいろ申して恐縮ですが、私などもお医者さんからしかられる場合がありました。それは、薬価基準というものは実勢価格よりも安くきめられてあって、これはさっきの現金問屋とは全く反対の話でありますが、そういう値段で買えるものなら厚生省で買ってみろ、こういうようなことでしかられたこともございますが、しかしそんなのはレアケースだろうと思いますので、一般論としては有島さんが御批判をなさるのはごもっとものように思います。
 これは、私どものほうが市町村立病院のそういう経理を直接監督するというわけにはまいりませんが、設備基準というようなものがございます。あるいはまた、看護婦その他のパラメディカルなどの雇い入れの数量基準というものがございますので、そういう基準に適さないものにつきましては、これは私どもも当然やかましく申すべきでありましょうけれども、薬の購入価格のことにつきましては、国立病院は別といたしまして、厚生省が常時地方の公共団体立の病院について干渉しておるとも思えませんけれども、いずれにしてもこういう御議論が出されるようでは、これは病院そのものの経営にとってもいいことではございませんし、また国民皆保険のもとにおける診療報酬を引き上げる要因にもなるわけでございますから、私が最も警戒をしなければならないところだといわざるを得ません。
○有島委員 この前、市場価格を再調査して薬価基準を策定するのだ、こういうお話がございました。そういうことでございますので、いまがそのチャンスであろうと思いまして、こうしたちょっと目に余るようなものを取り上げてみたわけでございます。ですから厚生省におかれましても、それから自治省も、さらにさらに厳重に――厳重にといって何かいじめるようにとられてはまずいですけれども、ほんとうに合理化できる部分がまだまだあるのだということを十分御認識なさった上でもって指導監督なさるように御要望申し上げまして終わります。どうもたいへんありがとうございました。
○増岡委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会