第065回国会 予算委員会第一分科会 第3号
昭和四十六年二月二十二日(月曜日)
    午前十時六分開議
 出席分科員
   主査 田中 龍夫君
      伊藤宗一郎君    奧野 誠亮君
      坪川 信三君    小林  進君
      辻原 弘市君    沖本 泰幸君
      鈴切 康雄君    岡沢 完治君
   兼務 川崎 秀二君 兼務 小林 信一君
   兼務 田中 武夫君 兼務 楢崎弥之助君
   兼務 横路 孝弘君 兼務 田中 昭二君
   兼務 鶴岡  洋君 兼務 和田 春生君
   兼務 青柳 盛雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 植木庚子郎君
        文 部 大 臣 坂田 道太君
 出席政府委員
        内閣法制局第二
        部長      林  信一君
        内閣総理大臣官
        房広報室長   松本 芳晴君
        防衛庁参事官  高瀬 忠雄君
        法務大臣官房長 安原 美穂君
        法務大臣官房会
        計課長     伊藤 榮樹君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 貞家 克巳君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        法務省刑事局長 辻 辰三郎君
        法務省矯正局長 羽山 忠弘君
        法務省保護局長 笛吹 亨三君
        法務省人権擁護
        局長      影山  勇君
        文部省初等中等
        教育局長    宮地  茂君
        文部省大学学術
        局長      村山 松雄君
        文部省社会教育
        局長      今村 武俊君
        文部省体育局長 木田  宏君
        文部省管理局長 岩間英太郎君
        文化庁長官   今 日出海君
        文化庁次長   安達 健二君
        社会保険庁年金
        保険部長    八木 哲夫君
        食糧庁次長   内村 良英君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
 分科員外の出席者
        行政管理庁行政
        監察局監察審議
        官       小林  寧君
        法務大臣官房人
        事課長     藤島  昭君
        外務大臣官房領
        事移住部長   遠藤 又男君
        厚生省環境衛生
        局公害部公害課
        長       山本 宣正君
        厚生省医務局次
        長       松下 廉蔵君
        厚生省社会局庶
        務課長     岸野 駿太君
        厚生省社会局老
        人福祉課長   永原 勘榮君
        厚生省保険局医
        療課長     松浦十四郎君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  辻原 弘市君     小林  進君
  鈴切 康雄君     沖本 泰幸君
同日
 辞任         補欠選任
  小林  進君     辻原 弘市君
  沖本 泰幸君     鈴切 康雄君
同日
 第二分科員川崎秀二君、田中武夫君、楢崎弥之
 助君、田中昭二君、青柳盛雄君、第四分科員小
 林信一君、鶴岡洋君、和田春生君及び第五分科
 員横路孝弘君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十六年度一般会計予算中法務省及び文部
 省所管
 昭和四十六年度特別会計予算中文部省所管
     ――――◇―――――
○田中主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。
 この際、分科員各位に申し上げます心質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力をお願いいたします。
 なお、政府当局におかれましても、答弁はできる限り簡潔、明瞭にお願いいたします。
 昭和四十六年度一般会計予算中、法務省所管を議題とし、政府から説明を求めます。植木法務大臣。
○植木国務大臣 昭和四十六年度法務省所管予定経費要求の内容につきまして大要を御説明申し上げます。
 昭和四十六年度の予定経費要求額は千七十一億六千六百十四万三千円であります。前年度予算額九百四十九億七千二百七十八万五千円と比較いたしますと、百二十一億九千三百三十五万八千円の増額となっております。
 増減の詳細は別途の資料により御承知願いたいと思うのでありますが、その内訳を大別して御説明いたしますと、第一に、人件費関係の増百三億四千四百二十五万二千円であります。これは、公務員給与ベースの改定等に伴う増額分、昇給等の原資としての職員基本給及び退職手当等の増額分がおもなものでありますが、そのほかに、副検事、法務事務官等四百六十五人の増員に伴う所要人件費が含まれております。
 ここで増員の内容につきまして申し上げますと、一、交通事件、産業犯罪事件の増加に対処するとともに、公判審理の迅速化をはかるため、副検事三十六人、検察事務官五十二人、二、登記事件、国の利害に関係のある争訟事件及び人権侵犯相談事件の増加に対処するため、法務事務官二百人、三、刑務所における看守の勤務条件を改善するため、婦人補導院からの振りかえ増十九人を含めて、看守百人、四、非行青少年対策を充実するため、少年院教官十九人、少年鑑別所教官十一人、保護観察官十三人、五、出入国審査及び在留外国人管理業務の増加に対処するため、入国審査官三十人、入国警備官三人、六、暴力主義的破壊活動に対する調査機能を充実するため、公安調査官二十人となっております。他方、昭和四十三年の閣議決定に基づく定員削減計画による昭和四十六年度削減分として四百十八人が減員されることとなりますので、これを差し引きますと四十七人の定員増加となるのであります。
 第二に、一般事務費の増十四億九千五百二十二万八千円であります。これは、事務量の増加に伴って増額されたもののほか、積算単価の是正、職員の執務環境の整備改善及び保護司実費弁償金の単価引き上げに伴う増額分などであります。
 第三に、営繕施設費の増三億五千三百八十七万八千円であります。これは、法務合同庁舎等施設の新営費等が増額されたものであります。
 次に、おもな事項の経費について概略を御説明いたします。
 第一に、法務局、地方法務局において登記、台帳、供託、戸籍等の事務を処理するために要する経費として十八億九千三百六十四万円、第二に、検察庁において刑事事件を処理するための検察活動に直接要する経費として十億三千九百十七万円、第三に、拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院の被収容者の衣食、医療、作業等に要する経費として八十億五千九百三十一万三千円、第四に、保護観察に付された少年等を更生させるための補導援護に要する経費として私十五億五百九十三万四千円、第五に、出入国の審査、在日外国人の在留資格審査及び不法入国者等の護送、収容、送還等を行なうのに要する経費として一億五千三百二十万四千円、なお、外国人登録法に基づき、在日外国人の登録及び指紋採取の事務を処理するために要する経費として三億五千四百九十六万八千円、第六に、公安調査庁において処理する破壊活動防止のための調査活動等に要する経費として十二億九十一万七千円、第七に、法務局、検察庁等の庁舎及び刑務所、少年院等の収容施設の新営整備に要する経費として四十六億二千百五十五万一千円が計上されております。
 さらに、昭和四十六年度において、新たに計上された経費としては、本年四月及び六月に実施される予定の地方統一選挙及び参議院通常選挙関係の検察経費として九千四百八十万七千円であります。
 以上が法務省所管予定経費要求の大要でありますが、このほか建設省所管の官庁営繕費に、法務本省等の冷暖房設備費として三億五千六百七十一万六千円、大蔵省等所管の特定国有財産整備特別会計に、松山刑務所等十七施設の整備費として三十三億三千七百五十一万三千円及び盛岡少年刑務所等の四施設の整備のための国庫債務負担行為として十九億三千百五十九万円が計上されております。
 最後に、当省主管歳入予算について一言御説明申し上げます。
 昭和四十六年度法務省主管歳入予算額は三百九億九千九百八十三万二千円でありまして、前年度予算額二百九十四億二千百二十七万二千円と比較しますと十五億七千八百五十六万円の増額となっております。これは、過去の実績等を基礎として算出されたものでありまして、その増額のおもなものは、罰金及び科料と刑務所作業収入の増であります。
 以上、法務省関係昭和四十六年度予算案について、その概要を御説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
○田中主査 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○田中主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
○田中(武)分科員 植木さんが今度新しく法務大臣になられまして、おめでとうと申し上げていいのか御苦労さまと申し上げていいのか、それはそれといたしましても、植木さんがこの予算委員会で、ほんとうにわれわれが敬服するような真摯な態度でずっと委員会に詰めておられました姿を見て、心から敬意を払っておったわけであります。こういう人でなければ法務大臣はつとまらない、こういうようにすら思っておるわけでございます。
 そこでひとつ、まず新法務大臣にお伺いいたしたいと思うのですが、実は、これは政党政治ですから、政党人が大臣になるのは当然といえば当然でございますけれども、私は、法務大臣というような人はむしろ、中立性といいますか、を持つべきでなかろうか、そういう意味から、党籍を離脱というようなことはどうかと思いますが、できればそういうこと、少なくとも地方の選挙応援なんかにはあまり出かけられないほうがいいんじゃないか。前の小林さんのことを申し上げてはどうかと思うが、小林さんは、おれが法の取り締まりの中心というか元締めだ、おれが目さえつぶっておればそれでいいんだから、どんどんと選挙違反をやりなさい、あるいは、私は兵庫県ですが、姫路市長選挙の応援に、当時の法務大臣、名前は申しませんが参りまして、当時まだ地方の選挙には連呼ができないときだったのが、乗っておってどんどん連呼をやった、法務大臣が乗っておってということで地元の新聞が騒いだことがあるわけです。
 そういう意味から、いかがでしょうか、ひとつ、ほんとうの中立を保つという意味において、できれば党籍を離脱、そうでなくとも、地方の選挙応援なんかにはお出かけにならないほうがいいんじゃないか、そのようにすら思うわけですが、これについて御所見を承りたいと思います。
 さらに、新しい法務大臣になられましたのですから、この際、もう御承知のように、前の臨時国会以来、本国会の予算委員会を通じましてもいろいろと論議になっておりますいわゆる公害に関する無過失責任制の採用、この問題につきまして新法務大臣としてどうお考えになっておるのか。
 さらに、これはむしろ直接法務の問題ではございませんが、成田空港の問題で、代執行がきょう、あすにも行なわれるということで、地元の人たちは三百人からがいわゆる地下壕に入っておる、警官を三千人動員する、このまま強行すればおそらく死人が出るのではなかろうかと思いますが、むしろ少しぐらい時期を延ばしてもう一度話し合ったほうがいいんじゃないか、こう思うのですが、この三点について、新法相として、御所見を承りたいと思います。
○植木国務大臣 ただいま田中さんからいろいろ過分のおことばをいただきましたが、私としましては、かつては法務省に職を奉じたこともございますけれども、相当前のことでありますし、変転きわまりない最近の国際情勢、国内情勢等から考えまして、はたして御期待に沿い得るやいなや、非常に心配いたしておるのでございますが、私の誠意をもって、極力皆さまの御期待にこたえ、またその職責を全うするのが今日として当然の仕事である、かように考えておる次第でございます。
 法務大臣が非常に法秩序を守るべき大事なポストである、これが、たとえばただいまお話しのような選挙の際等において選挙応援等に各地へ飛び回るとかいうようなことは慎むべきではないのか、あるいはやめたらどうかというような御趣旨のお尋ねでございますが、私は全くその御所見には耳を傾ける点が深いのでございます。私自身もともと至って口べたでございますし、あまりそういうことは得意でございませんこともありますのみならず、私の仕事として、ただいまお話のような、そういう趣旨においての出処進退をはかるということが非常に意義のあることだと考えます。しかし私もやはり一衆議院議員として、あるいは自由民主党の所属の一員といたしまして、全部そういうことはやめようとかいうようなことをお約束するわけにはまいりませんが、必要な場合にはやはり出かけていくのもやむを得ないと思っておりますけれども、なるべくそういうことを避けるほうがいいじゃないかということについては、ただいまの田中さんの仰せの点に非常に私は、私の反省のあるいは今後の動きの貴重な御意見として、今後ともぜひ参考にさしていただいて、身を処していきたい、かように考えるわけであります。
 それから次の質問の公害問題につきまして、無過失損害賠償責任制度の確立についての考えを言えということでございますが、御承知のように、現行民法が近代法の大原則である過失責任主義を採用しておることはもう御承知のとおりでございます。もっとも原子力産業または鉱業のように例外的に無過失損害賠償責任を採用したものがございます。それはいずれも御承知のように、原子力損害の賠償に関する法律の第三条とかあるいは鉱業法第百九条等ありますけれども、これらの事業が高度の危険性を有するということで、特別に例外的にきめられてあるものと私は承知しておるのでございます。
 公害にもいろいろ種類もございますし、また関係企業の無過失責任を認めるかどうかという問題は、公害の態様の問題でありますとか、企業活動の実態等を慎重に調べた上で、そうしてこれが共通的な無過失損害賠償責任という制度を、公害問題について直ちにこの際持ち込み得るかどうかについては、非常に検討を要する複雑な事情が実態の中にあろうと思うのであります。こういう意味から考えまして、非常に困難な仕事ではありますけれども、しかしまた他面考えなければならぬような面もこの公害問題についてはあり得る。そこでやはりわれわれ当局としましては十分検討を加えなければならない。そうしてその問題に対する対処をしなければならぬと思いますが、主としてやはりこれは当該企業の実態を把握している所管役所のほうで十分もっと資料を集め、研究を重ねて、われわれ法務当局にも十分説明をしてもらって、その上できめるべき筋合いのものじゃあるまいか、かように考えておる次第でございます。
 それから最後に成田空港の土地収用の強制代執行の問題についてのお話でございますが、この問題につきましては、千葉県の空港建設公団等の関係機関が、慎重なる配慮を持って処置されるものと期待しておるのでありまして、まだ私もこの問題については当該公団当局からは承っておりませんし、事務当局にも特別な説明をまだ求めておりませんが、おそらくは十分慎重にいこう、そしてあやまちないようにしていこうという考え方でおってくれるものと考えておるのであります。
 以上お答え申し上げます。
○田中(武)分科員 分科会ですし、時間がございませんから議論はやめにして次にいきたいと思います。
 次に、政府は沖繩返還記念に恩赦を行なう、こういうことで、この沖繩恩赦というのがだいぶ世論に上がっておるわけです。この沖繩の恩赦には私は二つの面があると思う。一つの面は法制の異なる沖繩で罪に問われた人たち、この人たちを本土並みに救済しようという面がある、私はこれはけっこうだと思う。ところがもう一つの面、これは本土で恩赦法に基づいて実施しようとするものでありますが、これには私は大きな問題があると思うのです。ことにことしは御承知のように選挙の年、こういわれております。すでにこの沖繩恩赦を見越して相当はでに、中には口で少々やったって今度は恩赦でパーになるんだからやらなければ損だ、こういうようなことを口にしている候補予定者あるいはそのまわりの人もおるわけです。そこでこの際第一の点につきましては、私はそれは考えるべきだと思うのです。第二の点については慎重に考えてもらうと同時に、選挙違反等についてはやるべきでない、こういうように思っております。そういうことをやると、ますます政治不信が高まると思います。したがいまして、きょうは実は内閣のほうからも官房長官ないし副長官に来てもらって、法務大臣と双方へお願いしたいと思っておったのですが、急だったもので内閣のほうが間に合いません。しかし実際の実務は法務省がやられるわけですから、これについて御所見を承りたいと思います。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいま御質問のいわゆる沖繩恩赦とかいうようなことばが若干新聞紙上に出ておるようでありますが、この問題につきましては、実は政府当局におきましてまだ何ら具体的な話もあるいはそうした問題についての準備行為もしておらないのが実情でございます。お話のような、現地にいわゆる米軍当局が施政権を持っておったその関係の分は当然かもしれないが、しかし内地の分についても一斉に云々ということはいかがなものかという御意見のように思いますが、確かに一つの御見解だと思います。しかしいよいよ法の前に平等に、沖繩であろうと内地であろうと、全部公平に取り扱わなければならぬ事案でございますから、はたしてそれをどういうふうに扱うか、どういう内容にしてやるかということは、いずれこういう問題が俎上にのぼりますときには十分その点は気をつけてまいりたいと思います。ことに選挙違反等についての御意見も私の重要な参考材料にさせていただきたい、こう思っておる次第であります。
○田中(武)分科員 絶対に選挙違反などは今度は入れるべきでない、それを強調しておいて次にまいりたいと思います。
 実は福島の老人ホームで所長が信書十四通を開封して一カ月以上も本人に渡さなかった、あるいは集団食中毒があったが医者にも見せなかった、こういうことで、これは福島地方法務局の人権擁護委員会へ提訴せられているようでありますが、こういう問題が起きております。こういうことについて法務大臣はやはり人権を守る、これのいわば元締めでございますから、ひとつ御所見を承りたいと思うのですが、いかがでしょうか。私もたくさん用意していますので簡単に……。
○植木国務大臣 ただいまの御質問に関しましては一応私も事務当局から聞きました。しかしこの問題については、私は、大事な、法務省にも関係がある、ことにいまお話しのような人権擁護に関する仕事は、われわれの所管におきましても重要な一部門を受け持っておるのでございますから、これらについては今後とも十分戒心して、その責任を全うすべきであると深く心に期しております。
○田中(武)分科員 それではもう福島の事件はよろしい。
 次に、いま各地で問題になっておるのですが、医師の健保報酬の水増し請求、現にいま警視庁が捜査をしておるのもございます。それが健康保険法その他から詐欺罪等々ということにつきましては、これは別の問題として、ここで私が取り上げたいと思いますのは、たとえば、単なるかぜを肺炎、あるいは正常な出産を異常出産、中には、あまり人に知られたくないといったような病名がつけられて、そういうようにカルテを書く。水増し請求するためには高い薬を使ったようにしなければいけない、そのためには、かかっていない病気を書かなくてはできないわけなんです。ところが、それが既往症となって、その人には一生ついて回るわけなんです。かかっていない病気にかかっておるというようなことを書かれたために、かりに大けがでもして大手術をするときに、それが前にこういう病気があったからというようなことで手術ができないというようなことで、手術すればなおるのが、それじゃ手術ができない、心臓病なんて書かれておったら、困ったことになる。いろいろケースはあると思うんですが、カルテに書かれたやつは本人はわからないのです。これは、健保の水増し請求というだけでなくて、一面人権のほうから見てもゆゆしい問題だと思うんです。厚生省には、それぞれの事件について、その水増し請求についての告発その他もあり得ると思います。同時に、そうでなくて、人権擁護という立場からこれをひとつ取り上げていただきたい。
 そこで、厚生省は、もうそういう事実がある、こういうことだけ、認められる答弁でけっこうです。法務省のほうには、それに対してどうお考えになるか。ここで、法務省からむしろ厚生省に申し込まれて、そうして双方打ち合わして、そういうようなことについて、何か医師に対する警告あるいは通達というものを出す必要があるんではなかろうかと思うんですが、いかがでございましょうか。
○松浦説明員 ただいま先生御指摘なさいました医療機関における不正あるいは不当といったようなことは現実にございまして、昭和四十四年度におきましても九十三件につきまして監査を行ないまして、これらについて行政処分をいたしておるところでございます。
○植木国務大臣 ただいまの私への御質問に対しましては、おそらくは今日までも、厚生省の、こうした人権問題に関係のある仕事でございますから、事務的には十分連絡はとっているものとは思いますけれども、なおこの問題については、仰せのとおり非常に大事な問題でございます。また、厚生省が監査をせられるにあたりましての御態度等についても、いろいろお願いもしたり、あるいは、失礼でございますが、御注意も申し上げて、そして、今後こうした問題がなるべく起こらないように持っていきたい。私もすでに、今日、平生、この職につくつかないに関係なく、いろいろ耳にすることもありますので、これに対しての取り締まりなりあるいは御監査あるいはそれに対しての処理のしかたが、もっともっと厳重にやっていただくべき筋のものだと思っておりますから、機会を得まして十分気をつけてまいりたい、かように思います。
○田中(武)分科員 これは人権擁護局長さんから御答弁いただきたいのですが、いままではそういう医師の水増し請求ということで、健康保険上の詐欺その他の事件として扱ってきたと思う。そして一方、いま私が申し上げているような人権問題としてはあまり扱っていなかったと思うんです。そこで、ひとつ厚生のほうへそういう点を協議せられて、医師に厳重なる通牒、通達、警告、何かしてもらいたい。同時に、そのような事実に対しましては、むしろ人権擁護委員会が、提訴を待たず人権問題として取り上げていく、こういうことにすべきだと思うのですが、いかがでしょう。
○影山政府委員 御指摘の件は、医師のカルテは本来秘密で、人にわからないはずのものでございますが、ただいまのような事実がありますことは、やはり人権上問題があると思われますので、ひとつ御指摘の点を十分考えまして、しかるべく処置を今後とっていきたいというふうに考えております。
○田中(武)分科員 しかるべくじゃなくして、これはもうここでひとつはっきりと、人権擁護の立場から厚生省へ申し入れて措置をとる、そういうように答弁願いたいと思うのです。
○影山政府委員 厚生省とも十分協議をして、その点に遺憾のないようにしたいと思っております。
○田中(武)分科員 労働省見えていますか。――それじゃ労働関係はあとにいたします。
 これは福岡県の飯塚市ですか、に起こった問題ですが、生活保護を受けておる人が市の清掃車にひかれた。交通事故です。そうしたところが、市のその係の上司は、これをなるべく外に出ないように押えて、そうして示談に持ち込んだ。たいしたけがじゃなかったと思うのですが、二万五千円という見舞い金を出した。ところが市の福祉事務所は、それは収入になるのだ、したがって、そうするならば生活保護は停止せられるということで、そのままそっくり二万五千円を市へ納入さしたというのです。本人は、たいしたけがでもなかったようですから、マッサージとか温泉へ入るとかあんまをとったとか、こういうような程度だったようですが、これだけは別の支出になっているわけなんです。法律上、私はそれは別に収入があればそれだけ生活保護から差し引くという法律があることはわかっております。しかし、こういうことがはたして情を持つ法律と言えるのか、私は法は正義ではなかろうか、こう思うわけなんです。しかも、これは大きな一つの人権問題ではないか、このようにすら思うわけなんです。新聞によりますと、生活保護者はひかれ損、こういうことで問題になっておるようですが、厚生省と法務省の双方から、この問題について、ことに法務省のほうは、人権という上に立っていかにすべきか、ひとつお答えを願いたいと思います。
○影山政府委員 ただいまのお尋ねの点は、私ども、新聞等によって知ったわけでございますが、詳細の事実の点がわかりませんけれども、お話の点のように、やはりこの生活保護の政策実施の運用の面におきましては、法はやはり基本的人権というものを踏まえて、十分その点の考慮を加えて運用されるべきものと考えております。
○田中主査 厚生省は……。
○田中(武)分科員 もうよろしい。
 労働省が見えたようですから、もう時間もないので簡単に申し上げます。
 いま、れっきとした大企業で公然と人権無視の労働政策というか労務対策が行なわれておる。たとえば、便所事件というのがあります。これはある組合の役員が便所へ行って、これはもう数分というか。そんなにかからないで帰っていると、上司に呼びつけられて始末書を書けと言われたが、いや、それはということで書かなかったら出勤停止処分にした。あるいは村八分事件というのがあります。組合の役員等は配置転換をして仕事を与えない、いわゆる干すというやり方です。あるいは食堂へ行っても人がものを言わない。なぜかというと、言うならば職制からにらまれる。あるいは新刊書を、新書版の本でも専門書を読ましてそれの感想文を書けというようなことだけをやらす。あるいはまた夫婦でつとめておるわけなんですが、これは相当な熟練工というか年数を経ておるところが夫婦ともにどぶ掃除とか草引きとかそういうことをやらされておる。しかもその奥さんのほうが自分の上司に、なぜ私たちだけがこうさせられるのかと聞くと、おまえのおやじに聞けと言われた。その主人は社会党員であります。もし必要なら全部会社名を申し上げてもよろしいが、いまここでは申し上げません。あるいは組合の役員がおりますと、しかもそれは係長クラスの者ですが、今度は新聞の切り抜きだけをさす、こういうような、いわゆる村八分といいますか干すといいますか、そういうことでやめていかねばならない人、私が申し上げておる中には、不当労働行為あるいはまた人権擁護委員会へ出た問題もあるし、泣き寝入をしているものもあります。
 そこで時間がないので、もう詰めて申しますが、そういう事実について労働省と法務省ひとつ十分話し合っていただいて、先ほど厚生省に申し上げたように、これも労働法による不当労働行為等々でなくて、一面人権問題としてこれを警告をする、そういうようなことをひとつ双方から約束をしていただきたいと思います。
 もう一つ、これはいま現に問題になっておりますのでもう事件の内容は申し上げませんが、磁気テープ、いわゆる情報です。磁気テープを複写したということで、これが東京地検ですか、東京地検へ告訴せられておるのがある。これからは情報化時代といわれます。したがって、そういう情報は一体何なのか。もしそれを盗んだ場合あるいは複写した場合、これは窃盗になるのかならないのか。刑法では御承知のように物を対象とする。しかし電気のようなものはということで、その当時、刑法ができたときには電気だけであったと思いますが、「電気ハ之ヲ財物ト看做ス」とわざわざ刑法でうたってあるわけですね。この複雑な情報化時代に産業スパイが活躍する。そういうときにこの情報というものがいかに守られるべきか。あるいは情報を何らかの方法で複写をしたり、とった場合は、これは窃盗として成立するのかどうか。これは刑事局長からお伺いいたしまして、もう時間もきたようですから、答弁だけ伺って終わります。
○石黒政府委員 ただいま先生御指摘の事件はたぶん大阪に本社のある会社のことであろうと思います。この会社におきましては、昭和四十二年以来労働紛争が続きまして、こじれにこじれておりまして、この間かなり適当でない行為もあったように承知しております。私どもといたしましては、そのつど関係者に注意を与え、場合によっては警告を与えております。特に基本的な労使関係そのものを話し合いによって解決することが必要であるということで、団体交渉等によります基本的な解決促進方に努力をしている次第でございます。
○影山政府委員 この件は、ただいまお話しのように、各地の人権機関に申告がございまして、その中で人権の立場から看過できないとして説示等の処分をいたしたものもございます。その他につきましては労使両方の言い方にそごがございまして、これを直ちに人権侵犯だといって処置する資料に乏しいものもございます。いずれにせよ、この問題は全国各地にまたがる問題でございます。労働委員会にもかかり、あるいは裁判所にも係属しております状況でございますので、これらの結果をしんしゃくしながら適切な措置をとってまいるというつもりでおります。
○辻政府委員 ただいま御指摘の情報をとったという案件でございますが、これは二月三日にすでに東京地検に告訴されましたが、二月九日に告訴の取り下げが行なわれております。
 そこで、この情報の性質といいますか、これに対する法的の問題でございますが、ただいま御指摘のように現行刑法におきましては、医師とか弁護士とかそういう方々が業務上知得した他人の秘密を漏らせばこれは犯罪になるという刑法の規定がございますが、企業の機密の問題については規定がございません。そこで、本件の告訴も磁気テープの窃盗であるとか、臓物故買であるとかそういう形で告訴がなされたわけでございますけれども、もともとこの点やはり近代の情報化社会におきましては問題があるわけでございます。そこで現在刑法の全面改正を検討いたしております法制審議会におきましては、企業秘密の漏示罪というものを設けることに決定いたしまして、一応の素案もできておるわけでございます。そういう形で将来は刑罰の対象になっていくべきものであろうというふうに考えておる次第でございます。
○田中(武)分科員 ちょっともう一点だけ。一点は、いま申しましたような労務対策、これが人権を侵すということがたくさんある。表面に出ておるのは氷山の一角だと思うのです。そこで法務省と労働省が共同の名前、あるいは法務省だけあるいは労働省の名前でもよろしいが、協議をせられまして、一応警告を出してもらいたい。いかがでしょうか。これをはっきりと御答弁いただきたい。
 それからもう一つは、法制審議会で云々と言うが、刑法の改正なんというのはまだ先のことですよ。したがって、この複雑な情報化時代に処するために、これははっきりとした態度が必要と思うのです。素案を得ておるということなら、その素案はやはり物とみなすのかどうか、あるいは他のほうか、その点をすみませんがもの一ぺん御答弁いただいて終わります。まず、はっきりしてください、両方でやるのかやらないのか。
○石黒政府委員 先生御承知のごとく、ただいま進行中の団体交渉ないし中労委の和解で根本的解決ができません場合には、先生のおっしゃいましたような方法を込めまして法務省と相談して適当な措置を講じたいと思っております。
○田中(武)分科員 出てきておる具体的な一つの問題を中労委でいかに片づけるか、そんな問題じゃないのですよ。そういう答弁をするなら私は引き下がりませんぞ。はっきりとしたそういうものは各地にたくさんあるんだよ。やるのかやらないのか。しかも双方が協議した結果、こういうものを出しますということを私の二十八日の締めくくり総括まで原案をとってください、そういう答弁をするなら。――いや、もうそれ存でよろしい。出してもらえますか。それをひとつ主査、主査報告にとどめてください。
○植木国務大臣 ただいまの御質問につきましては、それぞれ労働省は労働省としての権限のもとに適正な運営をはかるべきことは言うまでもございません。それからまた、われわれの法務省といたしましては、人権擁護の立場から十分考えていかねばいかぬじゃないかというお話、それはいずれもそれぞれの責任と義務を持っているのでございますから、事務的に十分事務当局で連絡をとり合って、そしてその交渉といいますか、連絡の状況のいかんによってはまた十分に適切な、両方が互いに権限相侵さず、しかもまた適正な法の運用をそれぞれの立場でやれるような措置を検討いたしてみたいと思っております。
○辻政府委員 先ほどの企業秘密の漏洩でございますが、これは将来刑罰の対象といたします場合には、物ということではなしに秘密漏洩という形の犯罪としてとらえるように考えておるわけでございます。
○田中(武)分科員 いまの問題、はっきりしてもらわなかったら、締めくくり総括で詰めます。
○田中主査 本件の御要望につきましては、また副主査と談合いたします。
 次に沖本泰幸君。
○沖本分科員 私は主として同和対策特別措置法に関連する問題を主体としてお伺いしたいと思います。
 まずこの特別措置法は十年の時限立法で、できてからもう約三年近くなります。これができますときには、明治四年八月の太政官布告で解放令が出て以来の大きな差別問題を解決する糸口であり、広い意味で大きな問題としてこれが政府で取り上げられて、与野党一致してこの法律ができたわけです。しかし法律ができて、政府のやり方を見ておりますと、法律さえつくったらいいのじゃないか、こういうふうにしか見えないわけです。これは全体としていえることでございますが、結局中身が十分伴ってこない。そうすると、十年の時限立法ですから、だんだん年がたつに従ってやり残しがどんどん起きてきて、はたしてこの十年で差別問題が解決するのかどうか、こういうふうな疑いが持たれつつあるわけです。法務省関係以外の問題では、予算の面で地方自治体が、非常なしわ寄せがきていま困っておる。そういう状態がいま起こっておるわけです。ですから、いわゆる逆にもう一つまた差別が起きつつある。法律をかかえ込んだ地方自治体はどうしてもこの法律どおりにやっていかなければならない。政府の補助がないために自分のほうの財源からこれを補わなければならない、そのために非常な出費がかさんでくる。こういうふうな内容から、どういうわけでそういうところばかり金をつぎ込むのだというふうな問題も現在起きつつある。その点また差別が別に起きてきている、こういうふうな現況にあるわけです。
 そこで、ものの面ということよりもむしろ法務省が担当なさる差別の問題につきましては、人権の問題が一番主体になってきております。いま一番問題になっているのは裁判問題が問題になっておりますけれども、すでに以前に問題になりました戸籍上の問題これは一応解決したように見えるわけですけれども、しかし人々の心の中にはいわゆる根強い差別、こういうものがここかしこにずいぶんあるわけです。ですから、いまだに差別問題にひっかかった人たちが自殺をしたり、あるいはいろんな村八分にあってみたりということがあるわけですね。
 一例をとってみますと、たとえば、中学校を卒業した方が、部落の出身であるということのために大会社へ就職できない、こういう差別もあったわけです。やっと就職するようになったところが、今度は生活保護の問題がからんで十分でないというような労働問題も起きてきておるわけですけれども、この十年の時限立法を受けられた法務省としましては、人権に関する問題で、どういうふうな内容でこの十年間で差別をなくする方法をとっていらっしゃるか、その点について御説明願いたいと思います。
○植木国務大臣 同和事業に関する特別措置の法律が先年仰せのとおりできまして、私もこの問題については深い関心を前から持っておりましたので非常に期待をしておったのであります。ところがここ一両年、ただいまお説のとおり予算その他の措置を考えますと、われわれの側におきましてはそうそんなにたくさんの予算が要るわけじゃありませんが、各省所管に分かれておるその措置の対策をやるための経費として、よほど財政当局も御苦労は願っておるとは思いますが、私の大臣になる前の個人的な感情としては、もう少し何とかならぬものかということを考えておりましたので、いつも関係の当該特別措置の問題については、いろいろ側面から当該責任の役所にお願いをしておりました。しかし何しろ財政の非常に多難な際でございますから、なかなか思うように至っていない点もあります。
 そこで私はただいまお話しのように、こんな調子でやっていったら、あの措置法が考えておったようないろいろな施策を十年の臨時立法でやれるかといわれますと、私もその点にやや疑念を持っておるのであります。ですから、これは大いにひとつ他の関係大臣とも御相談をして、もっともっと力を尽くしていただくようにやってまいりたい。ことに普通こういう場合に例がございますように、かりに十年計画であっても、もしそこでその間にある程度の十分な措置が講じられなければ、また延ばせばいいのだというような考えでいってはこれは非常にまずいのじゃないか。だから、なるべくひとつ十年以内に目的を達するということにぜひ関係大臣とも御相談を申して進んでまいりたいと思いますが、最悪の場合、そこに残るものがあれば、それはまた当然三年間なり何なりあとの必要な仕事をやるための期限を延ばしてでも、あくまでもやるのが筋ではあるまいか、かように思っております。
○沖本分科員 大臣の御所見は承ったわけでございますが、いま法務省として具体的に差別をなくするやり方として、十年間なら十年間に毎年具体的な問題を積み上げていって解決していく、こういうようなものがなくてはならないわけですね。ですから、法務省のほうとしてどういう方針で臨んでおるか、あるいはこれを具体的に解決するのにはどういう方法をおとりになっていらっしゃるか、そういうふうなものの具体的なことについてお伺いします。
○影山政府委員 法務省の人権機関といたしましては、この同対措置法にありますように、人権擁護機関の充実、それから同和問題に関する人権思想の普及高揚、人権相談活動の推進ということを重点としてまいるつもりでございまして、予算面についてはただいま大臣からもお話がありましたように、随時なるべく予算をふやし、また人員の点も少しずつではありますけれども、増員を認められております。そして、先ほど沖本委員御指摘のように、この問題は何と申しましても人々の心の問題というふうに考えておりますので、このいわれのない社会的な悪である差別の思想をなくするために、人心の啓発ということに重点を置きまして、この問題に対処いたします人権機関の職員の研修、それから人権擁護委員に対する研修、その他人権問題に関する講演会その他を開催いたします。そのほかに、各地に人権問題に関する相談を受ける場所、施設、機関を随時開設いたしまして、力強く啓蒙を進めていきたい、こういうふうに考えております。それで、ちょっとこまかくなりますけれども、昨年一年で扱いました同和問題に関する事件は、百四十四件ございますが、このほかにもなお潜在的にいろいろ問題があると考えられますので、ただいま申しました講演会の開催、相談施設の拡充、充実というような点に力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○沖本分科員 ちょっといまの御答弁伺っていますと、受理件数は百四十四件、これはわかるわけですけれども、そのほかは考えているというお答えなんですね。ですから、これからやろうとしてお考えになっていらっしゃるのか、あるいは、人権に関する相談所をいま幾つつくっている、これから先何年に向かってどういう規模のものをどれくらいつくる、そこでどういうものを消化する、こういうふうな具体策がなかったのでは、これは全然向こう向きに進んでいかないと思うのです。そういうことですから、ただいまおあげになりました研修会とか、講演会とか、人身に関するいろいろな人権の問題で研究したり啓発していったりする、こういう内容はわかります。ぜひともそれはやっていただかなければならないわけですが、そうすると、現在までそういうものがどの程度進められてきたか、内容についてちょっと具体的に御説明願います。
○影山政府委員 現在までに、措置法施行後一年間の実績と申しますか、同和地区住民を対象とする常設相談所は、これは地方法務局の各窓口、それから、各支局、これが全国に地方法務局四十一カ所、支局二百四十カ所というところで行なっておりますが、そのほかに特設の随時行ないます相談所は二十八県、取り扱い件数は七十件ということになっております。
 それから、それが相談関係でございますが、同和問題の研修会、講習会は、開催回数百二十二回、参加人員約一万名という数字になっております。
○沖本分科員 これが具体的にどんどん前向きに進んでおると、だいぶ消化されていって問題が解決しているということになるのですが、解放同盟からの要求によりますと、四十六年度に実施してもらいたいという要求の中に、同和問題にからむ人権侵害防止のため次の措置をやってもらいたい。人権相談所、これはいまおっしゃっている問題ですが、地方の法務局における専任職員の配置、広範に日常生活すべての差別事件に対処できるようにしてもらいたい。あと、予算の増額と、こういう三点をあげていらっしゃるわけですが、この二番目の法務局における専任職員の配置こういうものはどうでしょうか。
○影山政府委員 この点は、昨年に専任職員を三名増加いたしました。本年も予算上二名の増員が認められております。将来もなお増員をはかっていきたいというふうに考えております。
○沖本分科員 大体解放同盟の方々がおっしゃっているのは、同和地域にいらっしゃる方々が約四百万ということをおっしゃっていらっしゃるわけです。そうすると、差別の対象になる方が四百万です。そうすると、それに対して差別感をお持ちになる方は、同数というわけにいかないわけですね。全然心の中に潜在する問題ですから、それがどういうときにどういう形で出てくるかということは、これはわからないわけですけれども、そういう人たちを、いわゆる憲法の中で保障されている、われわれは法のもとに平等である、こういう立場でものごとをやっていくということになりますと、ただ相談だけに終わる、こういうことでなくて、むしろそういう問題に対し、われわれは偏見を持ってはいけないのだ。われわれ日本人が、アメリカの黒人の差別について、いろいろなことで批判をし、いろいろな形で論評を加えていっている。評論家もいろいろそういう点問題にしている。アメリカのガンでもあると、こういうふうにいわれておるわけです。これはもうはっきり、色が違ったり、スラム化していったり、いろいろな問題、あるいは人口がどんどんふえていく、こういうものが白と黒の対立で、白人のほうがとにかく極端な差別をやっていっている、こういうことになるわけです。
 しかし、同和の方々というのは、別に戸籍が違うわけでもなければ、血液が違っているわけでもなければ、皮膚の色が違っているわけでもない。同じ民族の中にあって、その地域に生まれたばっかりにそういう宿命を背負わなければならない。これは全くたいへんな問題なんですね。
 たとえば、ある地域をとっていえば、ある地域に昔から数十世帯いた。それがだんだん都市化されていったり、人口の移動によって、あるいはスラム化の問題から、そこに人々がどんどんふえてくる。それがいつの間にか、そこにいらっしゃる人たちが全部差別感を持って見られてくる。いつの間にかそうだとかこうだとかということになっていく。ですから、根拠のない問題なんですね。ひどいことを言うと、朝鮮征伐を太閤秀吉がやったとき、あるいは神功皇后がやったときに、そのときの捕虜ではないか、いまだにずっとそう思っていらっしゃる方がいらっしゃる、こういうふうな根強いものが心の中にあるわけです。それで、そのままそう受けとめていらっしゃる。だから、同じ民族の中で、異人種ではないか、こういうふうな感覚があるわけですね。これは全く憲法の本質にももとりますし、そういうことがあってはならないわけです。ですから、表面に出して言うと、私たちは、そういうことを口にはしておりませんと言うけれども、いろいろなところでその問題が出てきている。一番かかってくるのは、就職の問題、結婚の問題、こういう問題が問題化されてまいります。ですから、やはり法務省としても、そういう問題に対するがっちりした、一番法律の根本を扱っていらっしゃる、公平に扱わなければならない、人権の本質というものを握っていらっしゃる法務省が、この問題を解決する具体的な方針あるいは内容というものをお示しになって、広く国民に問うていただく、こういうふうなことが行なわれなければ、まずそこから解決していない、こういうことになってくるんじゃないか。それは予算の関係、人員の関係、いろいろあるとは思いますけれども、それが十年間で、政府自体あるいは法務省自体が、この時限立法の十年の期限の中で完全に解決しよう、こういう方針なり具体策というものがあり、それが進められていかなければ、これはなかなか解決しないし、また、こういう人の心の中に存在するものが十年でがっちり片づくとは考えられないわけですけれども、少なくとも人々の心の中に、そういうものを払拭してしまうような内容のものを盛り込んでいただかなければならないわけです。そういうものについて具体的な、これからこうしてみようというものはありませんでしょうか。いま、われわれ一番政府のあり方で問題にしておりますのは、法律予算というものはいろいろあって、大蔵省で削られてしまう。ところが、アドバルーンをあげてやるところの政策予算というものは、もうそれ以外の問題だ。ですから、いかに政策をあげて、こういうことをやりたいというようなことを大々的におっしゃってみたところで、結局、いまきまっている法律予算が削られているわけですから、できそうなこともないというのが、現在政府の置かれている一番の大きな欠点じゃないか、こういうふうに考えられるわけです。ですから、それは法律が定められて、いつも有効にその法律が適用化されていくというのであれば別ですけれども、どうしてもこの問題を十年で解決しなければならないというふうになるわけですから、その点についてお答え願いたいと思います。
○影山政府委員 確かに御指摘のように、この問題は非常に重要な問題でありまして、人権擁護の問題の中でも重要な問題の一つでございまして、これは単に職員を増員したりするだけでなく、何としても全国民の心にひそむといわれるそういう思想の排除ということには全力をあげなければいけない問題でございます。そこで私どもは、その乏しい職員の、あるいは予算の中から、それらを全職員の力をあげ、あるいは全国に九千五百名おります人権擁護委員に活動していただき、その他これは法務省だけではございませんで、地方公共団体もたいへん熱心にやっていられると思っておりますので、地方公共団体その他各方面協力して、各地域に応じたこういう啓発活動を増進していくというやり方が一番いいのではないかというふうに考えております。
○沖本分科員 これはぜひともお願いしたいわけでございます。ただ、局長さんの場所でおやりになるということじゃなくて、大臣にこれはお願いしたいわけですけれども、まず、法務省所管の関係でいらっしゃる方々に、この問題を真剣に取り上げて考えていただかなければならないということになるわけで、たとえば、児童委員であるとかあるいは保護司であるとか、こういう方々は、相当前から私よく申し上げますけれども、御年配の方が非常に多いわけです。非常な高年齢になると、お考えになっていることがもう固まってしまっておって、なかなかお変えにならない、こういうところにやっぱり問題があるわけですね。よくいいますけれども、たとえばいま六十、七十という御年配の人権擁護に関係していらっしゃる方方の保護司なりなんなりが、現代の十代のお子たちを見ると、ゴーゴーを踊ったら不良だとか、ボーリングやったら不良だとか、そういう極端な考えを持っていらっしゃるわけです。ですから、そういうところの考えをもう根底から変えていただくような体制をとっていただかなければ、現在非常に健康な明朗な子供が変なそういう感覚からゆがんでしまうということもあり得るわけでございますから、こういう点十分にお考えになって、まず法務省のほうから姿勢を変えていただく、中を十分検討していただく、こういう点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○植木国務大臣 沖本さんのいろいろ重ねての御質問に対しましてお答えいたしますが、どちらかといいますと、御承知のようにあの特別措置法は、対象地域における生活環境の改善だとか、社会福祉の増進あるいは産業振興、職業安定あるいは教育の充実、さらにわれわれに一番関係のありますのは人権擁護活動の強化、この最後のものが実は私どもの受け持ちの部分なのであります。こういう私のほうの法務省受け持ちの人権擁護というような点につきましては、差別の問題だとか変なことが起こったり、あるいは間違いが起これば、これに対しては厳正な態度をもってその間違いを起こした人に対しての措置を講じなければならぬ。ただ、どちらかといいますと、間違いが起こったときにする仕事であり、それまでの間は、先ほど申し上げます関係の人権擁護局の各地における職員の整備とかなんとかで、その面から大いに努力をするという、私はどちらかといいますと、こういう仕事は十年間でできるものでないということははっきり覚悟をしている。これはいつまでも長く続けて、一般的にこうした間違いの思想が普及したり、あるいは深まっていったりしないようなことをするのですから、精神問題だ。あなたのおっしゃるとおり、精神上の問題だ。だから、これはなかなかこれでうまくいきました、なりましたというふうにはならぬと思う。私はどちらかといいますと、義務教育の上で、学校における実際のやり方、あるいは道路、あるいは水道でありますとか、街区整理とかいうようなものを、早く普通のところと同じようにしてあげなければいけない。それをしてあげるのには当該地区の人たちは、場合によると比較的小人数の関係でありますから、町全体として、市全体としてはなかなかそういう手が及ばぬ。また資力も、現地の者はそれを負担する力がない。そこで私はそうした物質的な面においての各省の仕事は、仰せのように、十年計画なら十年計画でなるべく早くそこで全部するようにしなければならぬと考えますと言っておったのはそこなのでありまして、十年計画は、やはりそういう考え方でごらん願ったらいかがかと、これは私見でございますが思っておりますので、また御参考にしていただけるとたいへんしあわせでございます。
○沖本分科員 けっこうでございますが、つけ足して言うなれば、しばしば公平な判定をしていただく方々の頭の中に差別がある、こういうことに問題があるわけです。その点は、十分その問題に携わる方々の頭の切りかえ、そういう点について十分な御配慮をまずやっていただきたい。それから全般にわたってやっていただきたいことをお願いしたいわけでございます。あとつけ足し的なことになりますが、同和と違いまして、触れたことがありますのでこれは刑事局長さんにお願いしておきたいと思いますが、これは大阪の検察庁で私自身が経験したことなんです。私がエレベーターに乗ると、被疑者がやっぱりなわつきのまま、私と一緒に何人か刑事さんに連れられて調べ室に行く。上がっていくエレベーターが同じだ。狭いエレベーターの中、事故が起きないとも限りませんし、またそういうふうに検察庁の玄関から、被疑者が一般人と同じように出入りするということ自体一般人に対する精神的な影響も大きゅうございますし、また被疑者自体も、そういう問題に触れて、精神的な一つの圧迫を受けていく、こういうことにもなると思うのです。だといって、特別に変な、そのこと自体が圧力をかけて自白のもとになっていくような、精神的な圧迫を受けるような護送のしかたも、これは人権問題としていけないということになるということでございますが、少なくともそういうところを一般人と一緒に、ごみごみして一緒に上げていくということは、これはどっちかというと考えものじゃないかと私は考えるわけです。
 もう一点。時間がきましたから、一緒に御答弁していただければけっこうですけれども、前にもお話ししたことがございますが、特捜なら特捜の関係で捜査をおやりになる。いろいろな点で検察庁が捜査をおやりになるわけですけれども、各県の警察のほうは、機動力を十分使って、部長さんクラスは全部車があるわけですね。ところが、おべっか使って言う意味じゃありませんけれども、検察庁はがたがたの車を修繕して、やっと何台かを持ち回りで乗っていらっしゃるような傾向が非常に強い。これで仕事を終えて、帰るのもおそくなってがたがたしてくる。出勤の点、いろいろな点からいくと、公平にものごとを捜査していただかなければならないというような点から、各地の検察庁自体に機動力が非常に薄いのじゃないか。そういうことのためにむしろ事件を長引かしたり、あるいは検事が疲労こんぱいして捜査が長引いたり、こういうことがあってはむしろかえってならない、こういうふうに考えておるわけですが、以前にその点についてお話しして改善されたとは伺ったのですが、その後どうなっておりますでしょうか。その二点だけお伺いして質問を終わりたいと思います。
○辻政府委員 第一点の、大阪地検のエレベーターの件でございますが、大阪地方検察庁、新しい庁舎ができまして、たしか四台のエレベーターがあるわけでございます。そのうちの一台か二台には、職員専用ということで、職員と身柄を拘束いたしました被疑者が使うことになっておるわけでございますが、そういう意味で、身柄を拘束いたしております被疑者と一般の方々とは、接触されないというたてまえにしておるわけでございますが、事情を聞いてみますと、エレベーターが混雑するとか何かの点と、それからエレベーターガールがいない自動式になっております関係で、たまたまそれに一般の人が入られるというようなことになっておるようでございます。この点につきましては、大阪地検におきましても、かねてから何か善処をしなければいけないということで検討をいたしておるところでございますが、先ほど御指摘もございましたので、早急にこの検討を進めるようにいたしたいと存じます。
 それから、検察の機動力の点でございますが、この点につきましては、検察業務に支障のないように、自動車の配車その他年々改善されてまいっております。なお、そのほか突発的な事件で多数の車が要るというような場合には、一般の車を借り上げるとか、その他金で解決をしておるということで、一般の検察の機動力については、十分に善処をいたしておるところでございます。
○沖本分科員 以上で終わります。
○田中主査 次は、岡沢完治君。
○岡沢分科員 私は、新しく法務大臣に御就任になりました植木さんに四、五点の問題について、御就任早々でございますから詳しい御答弁というよりも、新法務大臣の姿勢を中心にした御答弁でけっこうでございますけれども、当面の課題を取り上げさしてもらって質問いたしたいと思います。
 最初に、この四月ごろにいわゆる裁判官の新任、再任の問題がございます。元法務大臣としての御経験もございますし、中身についてはすでに御承知だと思いますけれども、いわゆる青年法律家協会に所属する裁判官の中で、司法修習生第十三期出身の方々は、十年目の再任期をこの四月に迎えるわけでございます。また、新しく裁判官に任官する予定の二十三期の司法修習生の新任問題がございます。この問題につきましては、青法協のあり方、あるいは札幌地裁の福島裁判官の言動等とも結びつきまして、かなり社会的にも、政治的にも、また国会においても論議されてきたところでございまして、すでに佐藤総理から予算委員会の総括質問の場で、単に青年法律家協会の会員であるということを理由にして再任をしないということは考えないという御答弁がございました。
 御承知のとおり憲法第八十条によりまして、下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によりまして、内閣で任命されることになっております。もちろん法務大臣も内閣の構成員でございますし、所管大臣であろうと思いますが、先ほど佐藤総理が予算委員会で明らかにされた方針で正しい、新法務大臣も同じ御所見であるかどうか。すなわち、青年法律家協会の会員であることを理由に裁判官の任官を許さないとか、あるいは十年目に達した第十三期司法修習生の再任を拒まないというお態度であるかどうか。確認的な意味も含めて新法務大臣の所見を聞きます。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいま御質問の青年法律家協会に関係の深い、あるいはその会員と申しますか、そうした判事さんがあるかもしれないが、そうした方々の中にこの際十年目の再任問題がある。あるいは今度新たに裁判官に任命される人たちの同様の問題がある。これに対しては、総理がただいま仰せになりましたとおりの発言をこの席でしておられましたことは、私も予算委員の一人として当時承知しております。したがって、この問題は基本的な大事な問題でございますから、おそらく総理も最後までそういう御態度でいかれると思いますし、私もまた閣僚の一員として、またこれについて当然の関係の深い者として、総理にその御方針でやっていただけるように、何と申すのですか、お手伝いを申し上げなければならぬ、こう考えておるわけであります。
○岡沢分科員 それではいまの御答弁、確認をさせていただくと、青年法律家協会の会員であるということで新任、あるいは再任の拒否はあり得ないとお聞きしてよろしゅうございますね。大事な問題ですから、ちょっと確認いたします。
○植木国務大臣 結果的にはあり得ないと申し上げていいのかもしれませんが、総理の仰せになったことも、青法協の協会所属というだけの理由で、せっかく裁判所当局から申請してきたその内容に対して、それを否認するというようなことはしないということを言っておられたのですから、私は結果的にもそういうふうになるだろうと考えておりますし、またそうしなければならぬとこの際深く期しておる次第であります。
○岡沢分科員 それではこの問題に対する質問は終わりまして、やはり法曹の身分に関連する質問でございますが、元法務大臣として小林前法務大臣の御発言、御記憶にあると思いますけれども、いわゆる法曹養成制度、裁判官、検察官、弁護士の養成制度に関連いたしまして、昨年五月、当時の小林法務大臣が、佐藤総理の了承を得たということを前提にして新聞記者会見をされて、いわゆる分離修習、裁判官や検察官になる任官組と、在野法曹になる弁護士希望の者と分離をして司法修習の課程を踏ませるという構想を御発表になり、昨年の法務委員会等における御答弁では、七月じゅうに法務省内の意見をまとめたいというような御意向を明らかにしておられました。
 その法務省内の意見のまとまりは、私たちが小林前法務大臣に聞いた範囲では、結論はお出しにならなかったようでございますけれども、新法務大臣も、さきの経験から十分御承知のとおり、法曹というのは裁判官、検察官及び在野法曹の弁護士という三者で構成されておりますし、戦後の日本の法曹一元化の思想に基づいた司法研修所制度というものは、世界でも類のない長所を持った制度だということで、特に法曹人からは高く評価されておるわけでございます。
 ただ、当時の小林法務大臣は、司法修習生出身者の中に任官希望者が非常に少ないということを一つの理由にされ、もう一つは、弁護士になる、いわば私企業に就任する者を国の税金で養成するというところにも問題があるという点にもお触れになりながら、分離修習の構想を明らかにされたわけでございます。
 ところが、この法曹養成制度は司法の根幹に触れる問題でございまして、当然に司法制度調査会等の答申なり審議にかけられるべき筋合いのものだと私は思いますし、また法曹三者といわれる最高裁判所、法務省、そして日本弁護士連合会等が十分な意思疎通のもとに、十分な納得の上で正しい結論を出されるべきものだというふうに私は考えるわけでございます。ことに司法研修所は、最高裁の所管に属すると私は理解しているわけでございます。私は、当時の法務大臣にも直接意見を申し述べましたけれども、法務大臣は法務行政の最高責任者ではありますけれども、この問題を軽率に、思いつきで発言されることについてはやはり問題があるのではないか。現に最高裁判所等の御意見を聞きましても、何の相談なしの御発言であった。まして日本弁護士連合会には全く寝耳に水の発言をなさいまして、やはりそれが、しかし政府の最高の法務行政の責任者の発言であるだけに、たいへんな重みを持ちました。しかも、総理の了解を得たという御発表でございましたので、その後、日本全国の弁護士あるいは弁護士会、また弁護士連合会とも、あげて反対、特にまた非常に大きな論議を呼び、あるいはまた反対運動を起こしておるわけでございまして、法曹に与えた影響というのはきわめて大きかった。また現にその問題は、尾を引いて、いまだに全国で各単位弁護士会あるいは日本弁護士連合会でも大問題の一つとして論議を呼んでいるわけでございます。このいわゆる分離修習、法曹養成制度の根幹に触れる制度の政正について、新しい植木法務大臣は、やはり前法務大臣小林さんと同じ御見解なのか、新法務大臣として見識をもって白紙に戻していわゆる法曹制度全体を検討されることは私は当然だと思いますけれども、当然に法制審議会あるいは最高裁判所、日弁連等との十分な連携のもとに制度を考えられるという慎重なお態度なのか、まあニュアンスの違いでもけっこうですし、私は新法務大臣としての見識があってしかるべきだと思いますので、この法曹養成の分離修習の問題についての大臣の見解を聞きます。
○植木国務大臣 ただいま御質問になりましたいわゆる修習の分離制度と申しますか、そうした考え方が最近ああして話題になりましたことはよく私も承知しております。実はその御発言の中にもちょっとお触れになりました、判検事の適当な人を得ることが、いまの制度ではなかなか骨が折れる。その点やはり前小林大臣も非常に御心配をされて、その対策の一つとしてお考えになったやに聞いておるのであります。実はこの問題は、もう私が前回に法務当局の地位におりましたとき以来、やはり私も同様な悩みを持っておりました。いまほどではなかったと思いますけれども、裁判官あるいは検事というものをあの修習生の中から得るということについて、なかなか骨が折れる。こちらで来てほしいと思っても、なかなか希望に応じてくださるような方が、必ずしも希望に応じていただけぬという場合もありますので、どうしたらいいだろう、何とかしなければならぬというので非常に苦労いたしたのであります。当時私が、もういよいよ制度ができたときには辞任いたしましたが、臨時司法制度調査会を内閣に当時の池田総理にお願いをしてこしらえていただいて、そして実はこういう問題も、あわせて一緒に解決するその重要な問題と私は考えておったのであります。単なる私見でございますが、当時私の思いましたのは、やはり一つは給与の問題が大きな関係があるように思えます。法曹一元化の問題もよくわかりますが、民間の方で優秀な方に来ていただきたい、あるいは将来のあるぴちぴちした方々に検事畑にも入ってもらいたい、裁判官にもなってもらいたいと思いましてなかなか得られない一つの原因は、どうも給与問題がだいぶん原因になっているんじゃないかしらん、こう思いましたのであの制度をこしらえてもらったんですが、長い間、私の辞任後でございますが、御研究になりまして、出ました結論は、どうやらあまり給与問題には、武士は食わねど高ようじというお気持ちでもあったのかどうか知りませんが、あまり深くはお触れになっていない。私はむしろ、やめてしまったあとでしたが、非常にさびしかったのです。やはり人間というものは生活というものが非常に大事であります。だから、これが安心して生活ができる、給与も十分とはいかなくても、まあこれだけいただければ民間に行って弁護士をしようがあるいは検事をやっていようが同じだと言えるぐらいのものに何とかならぬものだろうかというのが私の念願でございました。したがって、前小林大臣が御着任になりましてから後、ただ機会があって、お互いに私語した際のことでございますが、私は、これは気をおつけになってやらなければいかぬ。いや、おれも何とかせなければいかぬとおっしゃるものですから、しかし、この問題はなかなかむずかしいから、十分気をつけてやっていただきたいということも申し上げておったのです。それで、あんなような結果になっておりますので、今日もいまそれをやるか、どう考えているかと言われますと、私はこれはよほど慎重にやってまいりませんと、なかなか関係当局の御了解あるいは御理解を得にくいと思っておりますので、十分気をつけたい。もし現行制度を直すために法律を改正しなければならぬとか、新しい立法が必要だというような場合には、こういう問題は十分ひとつ法制審議会でも練っていただいて、そして何とかよき結論を得たいものだ、かように私は思っているのでございます。
○岡沢分科員 いまの大臣の御答弁は、私は同感するところが多いわけでございますが、それだけにさらに確かめおきたい点がございます。
 慎重にというお態度、私は非常に当然だし正しい対処のしかただと思うわけでございますが、慎重の中で、いま司法制度調査会にも十分はかってということをおっしゃいましたということは、司法制度調査会の結論を待たずに、法務省だけの意見として分離修習を大きく表に出すということはないというふうに解してよろしゅうございますか。
○植木国務大臣 ただいまの重ねての御質問は、仰せのとおりと私は考えております。しかし、いまあなたの仰せになりましたことばじりを用心するわけじゃありませんが、何らかの考え方が出てきそうなときに、その審議会を通ってからでなければ一切口外しないとか、そういう意味じゃないのでございましょう。
○岡沢分科員 そうじゃありません。
○植木国務大臣 その点ならば御理解のとおり、私も大事な問題は、立法を要するものは言うまでもありませんし、そして場合によればやはりこれは立法が必要だと思いますので、そういう場合には十分審議会で練っていただいて、そうしてその上で決定にしていきたい、こういう意味でございます。
○岡沢分科員 司法制度調査会にはかるという御趣旨はわかりました。重ねて、先ほど申し上げましたように法曹三者というのがございます。この分離修習の問題につきましても、最高裁判所及び日本弁護士連合会、他の法曹二者とも十分連絡をとり、その意見も聞いた上で結論を出すというお態度であると確認してよろしゅうございますか。
○植木国務大臣 仰せのとおり御了解願ってけっこうであります。
○岡沢分科員 先ほど大臣の御答弁の中に任官志望者が少ない理由として給与問題をおあげになりました。私も在野法曹の一人として実態を幾らか知っている一人でございますが、確かにやはり給与問題が、特に初任給が低かったことが任官希望者を非常に少なくした理由ではないかというふうな感じがいたしておりますし、現に私が聞き及んでおります限りでは、御承知とおり今度の予算で裁判官、検察官に対する初任給について、予算上特別の配慮がございました。その結果かもしれませんが、二十三期の修習生の中で、任官希望組、私は裁判所のほうの御意見は聞いていませんが、検事希望は昨年等に比べて急速にふえたと理解しているわけでございますが、もし御承知でございましたら、事務当局でけっこうですから、わかっている範囲の二十三期の修習生で任官希望組の数、従来との比較においてお知らせいただきたいと思います。
○伊藤政府委員 御指摘のとおり昭和四十六年度予算におきまして、判事補、検事の初任給に月額二万三千円の初任給調整手当がついたわけでございます。私どもはその成果が相当反映しておると思いますが、昨年検事に任官しました者は修習生から三十八名でございました。本年検事の任官を志望しております者が本日現在五十五名でございます。相当ふえておるように思っております。
○岡沢分科員 これは大臣の直感が正しかったわけでございまして、私は分離修習をすれば裁判官、検察官がふえるというよりも、むしろ給与の問題が、現代人の、特に若い者の気質等も反映しているのかもしれませんが、如実に数字の上で、初任給の特別手当の結果、任官希望者が、比率にすれば相当な増加率だと私は思いますが、数字ではっきり結論が出たようでございます。だから私は、必ずしもいわゆる法曹一元化の養成制度が、任官希望組が少ないという理由には当たらないような感じがいたします。
 もちろん、給与問題がすべてではございません。特に私は心配しておりました、二人の法務大臣の続いての黒星が検察官志望に大きく影響するのではないか。おそらくいまの志望別の統計は、二人の、西郷法務大臣あるいは小林法務大臣の問題が表面化するまでの希望調べだと思いますが、幸いにして、新法務大臣は堅実で見識のあるお方だということが新聞等でも報ぜられました。まあ急に二人の前法務大臣の黒星が任官志望に響くとは思いませんが、しかし、私の同僚の松本善明議員なんかに言わせますと、検察官志望が非常に少なくなったのは、例の犬養法務大臣のときにいまの佐藤総理大臣を指揮権発動で救った、そういうところから、検察に対する権威といいますか、検察に対する信頼というものを修習生の中で失わせるような結果が、特に検察官希望を少なくしたというようなことを指摘しておりましたが、いろいろな角度から、なぜ任官希望者が少ないかという点は配慮されるべきだし、またそれに対する対策というのはもちろん必要だと思います。また、国民の立場からいたしましても、優秀な人材が裁判官、検察官に多数希望する、任官するということは非常に喜ばしいことでございますから、いろいろな問題点をえぐりながら正しい結論を出すことに私は異議はございませんけれども、前々法務大臣のように、軽率にと申しますか、司法制度調査会あるいは最高裁あるいは日弁連との意思疎通もなしに、十分な検討もなしに結論を出すということだけは避けていただきたい。
 先ほど来の植木法務大臣の御答弁では、私の意思がそのまま受け入れていただけそうでございますが、重ねて、慎重対処の中身について、先ほど具体的にもおっしゃっていただきましたが、独走することがないということだけこの際明らかにしてもらって、次の質問に移りたいと思います。
○植木国務大臣 念のために、誤解をしてくださると困りますので申し上げておきますが、検事志望とかいう人たちがだんだん少なくなって困っておった、私もその感を持っておったということを申しまして、その原因に給与問題を一例としてあげましたが、あれは一つの例を私はあげただけでございまして、いろいろ私見もございますけれども、まだそれは申し上げるべき時期じゃない、事務的にも十分検討した上でなければいかぬと思っておりますので、この点誤解のないようにしていただきたいと思います。
○岡沢分科員 それでは次の質問に入ります。
 大臣に御就任になりましたのが二月十七日でございますか。御承知のとおりに、二月十九日に津地検は、例の、この予算委員会で問題になりました石原産業等に対しまして、法人と個人に対しまして、工場排水規制法違反あるいは港則法違反等で起訴をされた事実がございます。
 私のお尋ねいたしたいのは昨年臨時国会でいわゆる公害罪法も成立いたしましたが、公害事犯に対する検察の姿勢についてでございます。私は、石原産業等に対する津地検の起訴が間違いであるとか、それを否定する立場からではもちろんございませんけれども、たまたま国会で、あるいは予算委員会の総会であれだけの論議を呼んだ、そのために、従来の検察の処分内容からいたしますと不起訴になる事案が起訴になったというのでは、これは公平の原則に反するのではないか、やはり検察のお立場というのは適正、公平、あるいは迅速ということが要求されるわけでございます。私は、従来不起訴であったから今後も不起訴であれという意味ではもちろんございません。しかし、たまたま政治的な論議を呼んだ、そのために――国民の目から注目を浴びなかった場合には不起訴になったであろう国会で大騒ぎをされたから起訴になったというのでは、起訴された側としては納得いかないものがあるのではないか。時代の変遷、社会、経済情勢の変化に応じて起訴、不起訴の基準等も変わっていくことは、私は十分承知いたします。それだけに、今度の津地検の起訴に見られたような公害事犯に対するきびしい姿勢というものが、今後全国の検察庁の処分基準として、いわゆる統一された方針として堅持されていくと理解していいのかどうか。検察が地域によって、あるいはまた相手によって不公平な処分であってはならないということは当然だと思いますので、いわゆる今度の港則法違反等に対する津地検の態度を、今後の検察の基本的な処分方針だ、姿勢だと解していいかどうかお尋ねいたします。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 公害関係の検察問題の今後の姿勢といたしましては、私はやはりすべて、あえて公害の問題のみならず、一般の態度といたしまして、刑事事件はことに処理が早くなければいかぬ、処理が早くなければならぬということは、捜査も早く適切にやらなければいかぬ、そしてその処理についても十分気をつけて適正にいくようにしなければならぬということは申すまでもないところでありますが、最近世界的に問題になっておりますこの公害問題については、わが日本としては、現在の政府といたしましても、世界に先んじてりっぱな公害防除を、ひとつ実効をあげたいという意気込みでおりますので、この点については、私はなおさらこうした問題についてのわれわれの処すべき態度が非常に大事である。それには何といっても、やはり公害問題であっても、だから必要以上とか申しますが、ただいたずらに厳重でさえあればいいのだというようなことではいかぬと思うのでありますが、やはりこの大きな大目的を政府としても掲げておりますし、われわれとしてもそうした考えで今日までおりましたが、いま責任の場に立ってみますと、ますますもって一いやしくも指弾をこうむるような、怠慢になるようなことはもってのほかである。ただ、この問題は、非常に技術的にも、あるいはその内容等についても、なおみんなの知識、勉強が足りない点も私はあろうと思いますから、こういう点について特に早く内容を充実して、そして御承知のように、できるならば一日も早くその担当の検事さんについても勉強をしてもらって、そして適切な措置に直ちに出れるということをこの際大急ぎでやらなければいかぬ、いやしくもそれらしい疑いの問題、公害らしい問題が起これば、これについていかに処すべきかということは、ぜひとも適切であり、しかも公平であり、迅速であり、しかも処理は早くやるというようなことを、今後方針としてまいりたい、かように存じておる次第であります。
○岡沢分科員 適正、公平、迅速は私どもからも指摘させていただいたので異議はないのです。
 私がいま一番聞きたい点は、津地検の厳正な態度と申しますか、一般的に申しますと犯罪行為はもう是正されておる、今度適用になりました法令の中の一部については、もう時効に近い、従来であればおそらく起訴猶予の事案だったと思うのです。それを世論が、あるいは政治的な問題になったから迎合的に起訴されたというのでは、私は被告人の立場からした場合に納得できないものがあろう。私は今度の起訴が、先ほど申しましたように、けしからぬと言っているわけじゃもちろんございませんが、今度の津地検のような態度が、全国的な公害事犯に対する基準、検察の姿勢を示されたものであると解していいかどうかということを聞きたいわけであります。
○植木国務大臣 津地検の例についての、あるいはあの態度でよろしいんだという御所見のもとにの御質問と思いますが、津地検の問題にしたあの石原関係の問題等につきましては、私はその内容、実態を実は詳しく知らないのであります。あの態度がいいとすれば、私もおそらくりっぱにやってくれておるものと思いますが、あの問題を反省して、そしていい材料でございますから、これが各方面ともあの態度でよろしいという批判が多ければ、これを一つの模範といいますか、今後の態度の指針の参考にさしていただこう、かように考えております。
○岡沢分科員 幾らか技術的なことになりますので、刑事局長からでけっこうでございますから、津地検の起訴、この処分は一応の今後の全国的な公害事犯に対する検察の姿勢、基準であると解していいかどうかお尋ねします。
○辻政府委員 御指摘のとおり、石原産業事件につきましては、津地方検察庁におきまして公判請求をいたしたわけでございます。この事件につきましては、御承知のとおり昨年の一月に検察庁といたしましては事件を受理いたしておるわけでございます。それから、この問題につきましては相当研究すべき法律問題があった上に、事実の確定につきましてもたいへん困難な要素があったわけでございます。そういう関係で、昨年の一月に受理いたしました事件を、本年の二月十九日に起訴いたしたというような関係になっておるわけでございます。検察としては検察のペースで十分事案の究明と法律の解釈に当たってきたわけでございます。もちろんこの事案の捜査の末期におきまして、国会でいろいろ御論議のあったことも検察としても考慮といいますか、知っていたと思うのでございますが、検察は検察の立場で適正な処理をいたしたものと考えておるわけでございます。
 なお、先ほども大臣からもお触れになりましたけれども、検察庁といたしましては、本年の四月一日から、全国の検察庁に大臣訓令をもって公害担当の検事をつくりまして、公害関係の法令、あるいは一般の関係の知識というようなものの涵養につとめるということにいたしております。そういたしまして、検察全体として公害検察が適正に全国的にバランスのとれた遂行ができますように、十分の準備をいたしておるところでございます。
○岡沢分科員 大臣も刑事局長も、私の一番聞きたい点については触れておられないのです。というのは、公害検察の基準が、津地検の今度の起訴を一つのめどにしていいのかどうかということを聞いているわけなんです。石原産業の場合は、たまたま国会で論議され、あれだけ社会問題化した。実際は、しかし一年余も前から捜査に入られながら、海上保安庁の告発を受けながら、結論が出ないままであった。おそらく国会で論議されず、世論がやかましくなければ、うやむやに過ごされたのではないかというわれわれは心配を持っている。逆に、それがいいというわけじゃないのです。問題化されたから、世論がやかましいから――私は検察の姿勢というのは厳正公平でなければいかぬ。世論に迎合してもいかぬ。圧力に屈してもいかぬ。だから今度の津地検の起訴が私は非常に大きな、ある意味では検察の基準を与えたのではないか。石原産業だけ問題化されたら起訴になる。あるいは当然従来であれば略式で済んだものが公判請求になる。これでは私は世論に流された検察だ。決して今度の処分がきびし過ぎるという意味ではないのです。それならそれできびしい態度を全国一律に、まあ私は公害の防止が単に検察の力だけで是正されるとか、またそれがすべてだなんというような考え方は毛頭持つものではありませんけれども、しかし、少なくとも検察というのは、公益の代表者として、各方面への配慮もしていただきながら、しかし、いまの公害問題が、日本の政治的あるいは社会的、経済的な最も対処すべき課題の重要な一つであるだけに、私はその基準がはっきりしなければ国民もある意味で不安をぬぐえないのではないか。
 だから重ねてお尋ねいたしますが、石原産業に対する今度の津地検の公判請求、起訴が、一つの公害事犯に対する検察行政の基準と解釈していいかどうか、その点をお尋ねしたいのです。
○辻政府委員 今回の石原産業事件についての起訴処分でございますが、これにつきましては検察といたしまして、単に津地方検察庁のみならず、検察全体としても十分検討をいたした結果でございます。その意味におきましては、検察全体の姿勢が石原産業事件の処理にあらわれているということになるわけでございます。今後におきましても、公害事犯につきましては検察全体で十分これを考えて、事案事案に応じて適切に処理をしていくことを期している次第でございます。
○岡沢分科員 時間の関係で次の質問に移ります。
 先ほど申し上げましたように、大臣は二月十七日に御就任になった、翌日の二月十八日はお忙しかったから御記憶にないかもしませんが、東京地方裁判所ではサリドマイド事件の初めての証人調べが行なわれました。このサリドマイドの裁判、五年間の準備手続を経ましてようやく、いわゆる証拠調べに入ったというわけでございます。公害裁判は、四大裁判をはじめといたしまして、非常に立証その他で問題点が多過ぎますために長期の裁判になっていることは御承知のとおりでございます。サリドマイドの場合にいたしましても、約十年前から被害児が生まれて、思い切って訴訟に持っていってから五年たってようやく第一回の口頭弁論、これでほんとうに被害者が救われるのかどうかということを考えました場合、やはり無過失賠償責任制度の法制化ということは、私は公害対策の被害救済の面に関します限りは最大の問題点、課題だ、当委員会あるいはまた本会議、予算の総括等を通じましても、政府も、無過失賠償責任制度の法制化なくしては公害問題の解決はないという意味の御答弁を、山中総務長官等を中心になされているわけなんです。
 ところが、法務大臣の就任のごあいさつで、出入国管理法についてはきわめて積極的な御発言がございましたけれども、無過失賠償責任については、私の知る限り、新聞報道でございますから確認をしたわけではございませんが、無過失賠償責任に対しての新法務大臣の抱負といいますかお考えというのは、きわめて消極的であったと解するわけであります。私は、公害裁判の実態を見、そしてまた、現実に公害で原告になる被害者の資力、あるいは生活態度、あるいは科学的、技術的な面での知識等を考えました場合に、いわゆる当事者訴訟主義をとる現在の民事裁判において、しかも、過失責任主義の原則、あるいは挙証責任が被害者にあるというような前提に立った民事裁判で、公害の被害者を救うことはきわめてむずかしい、形は公平であるけれども、実質的には最も不幸な者に無理なことをしいているのが現在の日本の民法であり、民事訴訟法ではないかと感ずるわけでございます。それだけに、この不合理をどうして解決するか。結局法律なりあるいは政治が、被害者の救済をじゃましているといわれてもしかたのないような現制度を改正することがわれわれの責務であり、政府の責任であろうかと私は思うわけでございます。無過失賠償責任制度の法制化について、あるいは挙証責任の転換についての民事訴訟法等の改正について、法務大臣はどういうふうにお考えになっているか、方向だけでもけっこうでございますし、率直な意見の披露を伺いたいと思います。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 無過失損害賠償責任の問題についての私の考えを述べろということでございますが、まあ私からいまさらくどくどしいことは申し上げる必要はないのですが、現在の現行民法というものが、これは近代法の大原則でありますところの過失責任主義を採用していることは、これはもういまさら申し上げる必要もないのですが、一応前提として、しかしこれは大事な問題ですから、私はやはりこの基本的な原則というものはそう軽々しく変え得るかどうかにはなかなか研究の余地があるものだ、こういうふうに考えるのであります。
 で、御承知のように、原子力産業に関するあの法律でありますとか、あるいは鉱業のような、ああした問題について、すでに現在のわが国の制度においても、無過失損害賠償責任を採用してある部分がございます。しかし、こうした法律が出ておるということについては、これらの法律がいわゆる高度の危険性を伴うものでありまして、そしてこれについては、やはりそうした無過失損害賠償をしなければならぬような制度にする必要があるという特別な、十二分の研究の上でああした法律ができておる、こう思うのであります。
 公害関係につきましては、関係企業の無過失責任を認めるのは当然かどうか、あるいは公害の態様が一体どんなふうになるであろう。御承知のように、公害はここ近年の大きな問題に大写しになってきて、わが国の公害に関する諸般の法制も、昨年暮れに近いところのあの臨時国会で、初めて十数本の法律をおきめ願った、こういう状況でございます。したがって、今後その態様がいろいろに違う、公害そのものの種類もたくさんある、企業の活動の状況もいろいろ違う、また、これに伴うところの一般国民、あるいは関係の地区において、公害に悩まされるというような問題、私はいろいろ問題によって非常に違うと思うのです。これを横なら横に連絡をとって、こういう場合には無過失責任でやるんだ、どういう種類の公害を、またどういう程度の場合にやるかという問題は、やはり十分もっと研究せなければいかぬ、こう思います。公害に関する研究は、御承知のように、そうして政治の上でも新しい問題としていま大写しに出ておるのでありますから、これらについて直ちにそういうものをやれるかどうかという問題、いわゆる無過失責任を直ちにとっていくかどうかという問題については、私は第一番には、これを今日まで世話をしてきておられる、当該企業を所管しておられる所管の役所が一番よく実情を知ってござる。そういう方々のところでもっと早く研究をしていただいて、そしてその態様いかんというものをわれわれのほうでも十分連絡をとってもらって、その上でそうした制度をどういう公害、どういうような場合にこれを無過失責任で論ずべきかということを、その上できめるべきものだろう、こういうふうに思うのであります。その意味では、幸い事務当局でも、各省に十分ひとつ早く研究をして、実態をよく握ってもらいたいということの連絡、希望を出しておるようでございますから、その結論が早く出ることを期待してまいりたい、こう私は思う次第であります。
○岡沢分科員 いまの、所管の官庁が一番よく実態を知っている、実態を知っているかもしれませんが、現在の日本の各官庁、通産省は消費者よりも企業に、農林省もやはり消費者よりも農業生産者のほうに目を向け過ぎたがために、いろいろな物価問題その他、現実の国民生活を苦しめる方向の問題を提起していることは御承知のとおりであります。社会正義なんということを簡単にいいますけれども、結局は端的にいえば、弱い者を助ける、強い者をくじくというのが一つの大きな目安だと思うのです。公害の場合に、企業と被害者とどちらが強い、どちらが弱い立場かということは、ここで論争する必要はないと思うのです。また、無過失賠償責任制度の確立といいましても、被害のないところへ企業に責任持てというわけじゃないのです。また、企業が加害者でないものを、弁償せいというわけでもないのです。被害ははっきりしている。企業に責任がないという立証ができない場合に、当然企業は加害者として被害者を救済するのがあたりまえではないか。いまの民法あるいは民事訴訟法、因果関係あるいは挙証責任、あまりにも被害に無理をしい過ぎているじゃないかということを現実の裁判の実態等を見まして、われわれは政治家の一人としてお互いに反省しなければいかぬのじゃないか。
 先ほど大臣のおっしゃいました過失責任の原則、これは御承知のとおり十九世紀の原則です。所有権絶対の思想あるいは自由競争、あるいはいまの過失責任、この三つともいま現実に合わないから大きな問題を起こしておるわけじゃございませんか。国有農地の二円五十銭を平均にした売り戻しの問題、これだって所有権絶対の思想に固執し過ぎたがために、ここに法制局おられますけれども、法制局のかたくなな解釈が結局政治問題化し、政府の姿勢を問われ、かえって国民の憤激を買っていると私は率直に申し上げていいと思うのです。
 発想の転換と言われますけれども、ほんとうに公害あるいは土地の所有権というものについてこそ、まっ先に、いまの日本の現実からして発想の転換がなされてしかるべきじゃないか。私は、無過失賠償責任の制度の確立について、法務大臣がきわめて消極的で、しかも、責任を他に転嫁するような御姿勢だというのは許せないのです。私は確かにきょうの御答弁聞きましても過去二人、三人接しました法務大臣の中ではずば抜けて見識をお持ちだし、尊敬に値する、久しぶりでいい法務大臣を得たという感じを持っておりましたけれども、いまの無過失賠償責任に対する御答弁、御姿勢、これは私は国民の一人としても、あるいは国会議員の一人としても、現実の公害の被害者救済の必要性あるいは彼らの悩み、生活、治療、どれだけ苦しんでおるかということを考えました場合の政府の対処のしかたとはどうしても思えない。無過失賠償責任制度の立法化について、できないはずはないのです。われわれ野党は、前の臨時国会におきましても一つの案を提案いたしました。法務大臣は、無過失賠償責任制度の立法化は法律的にできないとおっしゃるのか、それとも政治的に、政策的にいまはとるべきではない、慎重に対処したいというお考えなのか、重ねてお尋ねいたします。
○植木国務大臣 お答え申し上げますが、私は公害問題については、先刻も私のお答えの中で申し上げましたとおり非常に大事な問題であり、そうしてその予防という点からいっても適切な法制ができることは必要だと思います。しかし、それについては、やはりこの無過失損害賠償の問題をとらえ上げてみますと、確かに一つのこれはある制度ができれば効果は発揮できるでしょう。しかしながら、その制度は、いわゆる現在の法制、民法の過失責任主義のたてまえからいいますと、これに対する例外になるのですから、この例外については十分やはり気をつけて、公害の態様あるいは種類等々たくさんございます。したがって、これはどんな公害に対しても適用を受けるんだというようなことになりますと、これはまたある意味からいって行き過ぎになりはせぬかということを、私自身は思うのであります。しかし、それでは、これに対して非常にうしろ向きじゃないかとか、御批判をこうむるかもしれませんが、私はこうした問題は新しい、そうして国民の多数の人たちも、ほんとうに心配をしている問題でございますから、だからこれについてはできるだけ急いで、そうして主務官庁の人たちも、そういういろいろの仰せのような態度があるいはあり得るのかもしれませんが、私はさようなことはないはずだ。今日のこの公害対策としての場合に、そんないいかげんなゆるい考えではおりはしないのだろうと、こう思いますし、われわれもこの公害対策の一つの大きな備え、それに対する予防の措置の一つの備えとしてこの問題を研究することについてはやぶさかではございませんし、むしろ早くいい対策を立てるべきだという考えは持っております。だからたとえば先般の問題について、いや前向きだうしろ向きだというような御批判をこうむるかもしれませんが、そうした問題についても、私はやはりその問題問題ごとに適切に事案をとらえてまいりたい、こう思っておるのでございまして、別に弁解するわけではございませんが、この問題について、それでは、積極的にこうします、どうします、ということを申し上げるべく私の知識もあまりにもまだ足りませんし、まだ問題の整理もできておりませんので、以上のように今日の段階においては御了解願いたい。大いにこの公害問題についてのわれわれの法務の立場からの貢献すべき仕事の大きな部門があることは、これは腹におさめて覚悟はしております。
    〔主査退席、伊藤(宗)主査代理着席〕
○岡沢分科員 官庁の姿勢については大臣と全く反対の姿であることは、石原産業と通産省の癒着一つを見ても明らかではございませんか。私は、無過失賠償責任制度の確立というのは、昨年は公害罪が目玉法案といわれましたけれども、ほんとうは公害の一般予防の最大のきめ手であり、また被害者救済の最も価値ある効果的な手段だと信じておるわけなんです。この問題を避けてお通りになるということは、政府の公害に対する姿勢がいわゆるポーズだけであって、ほんとうは企業サイドに目が向いているといわれてもしかたがないという非難を免れない。無過失賠償責任制度化に政府がどれだけの熱意を示されるかどうか、具体的に行動を起こされるかどうかということが、いわゆる自民党が企業との癒着的な政党であるのか、国民のための政党であるのかという判断の基準になるとすら私も思っておりますし、おそらく心ある国民は思っていると思うのです。その意味からも無過失賠償責任制度、問題点があることは十分承知いたします、複雑であること、あるいは種類によってもいろいろ検討すべき要素をはらんでいることも十分承知いたします。しかし、昨年の十一月の臨時国会、公害国会といわれ、その開会は、われわれ野党側から、昨年の初夏からいたしまして、法案の準備のためにということで半年もおくれたわけであります。御承知のとおり、九月の一日国会では、総理自身が、無過失賠償責任制度の立法化については検討するというお話がございました。その後山中担当国務大臣等から、かなり積極的な御発言もございました。せめて、われわれ野党が提案いたそうとしており、また前の臨時国会で提案いたしました無過失賠償責任制度、いわゆる横断的な立法化が無理底場合、個別的に、先ほどおっしゃいましたように鉱業法あるいは原子力法等の例もあることだし、考えるという御答弁が繰り返されているわけでございますが、それでは実際の具体的な一つの課題として、たとえばどういう法案の中に無過失賠償責任制度を立法化しようという用意あるいは検討をその後いずれかの省となさったのかどうか。これは法務大臣は御就任早々でございますから無理だと思いますが、事務当局でけっこうです。通産省と、こういう法案の中に無過失賠償責任制度の導入について話し合った、農林省とはどうだという具体的な取り組みがあるなら、この際明らかにしてもらいたいと思います。
○川島(一)政府委員 お答えをいたします。
 基本的な考え方はただいま大臣がお答えになりましたとおりでございますが、事務当局といたしましては、そのような考え方のもとに、昨年すでに公害対策本部と連絡をとりまして、公害対策本部におきましては、各省の関係課長会議あるいは担当者会議といったものが開かれておりますが、その会議におきまして、法務省の無過失賠償責任に対する考え方を説明いたしまして、この趣旨で十分それぞれの所管事項について考えてもらいたいということを御連絡いたしております。本年に入りましても、公害対策本部といたしましては、各省の足並みが必ずしもはっきりいたしませんので、さらに重ねて関係者の会議を開きまして、今後の進め方、実態の調査などについて協議をいたしておるのが現状でございます。
 なお、先ほど無過失賠償責任を認めることが理論的にどうか、政策的にどうかという御質問がございましたが、われわれといたしましては、これは理論的にはもちろん可能であるし、またつくることはそれほどむずかしい問題ではないと考えております、ただ、法務省というところは、企業の実態についてあまり深く承知しておりませんので、いままでの例から申しましても、民法の特別法というような形で、特殊な産業領域についての特別法をつくるということはいたしておりませんし、また非常にふえてでございます。したがって、各省がある程度の資料というものを提供していただきませんと、われわれとしてはその立案に御協力することが非常にむずかしいわけでございます。そういう関係で、目下のところは公害対策本部を中心に各省が集まって検討をしておる、こういう状況でございます。
○岡沢分科員 いま、民事局長から一般的な御答弁です。やはり具体的に、たとえばこの法案について無過失賠償責任制度を導入するというような検討をなされているかどうか。これは公害対策本部をきょう呼んでいませんから、法制局お見えでございますから、法制局に、具体的なそういう無過失賠償責任制度の導入について、各法案ごとに作業を進めておられる事実がございましたら明らかにしていただきたい。ないならないでけっこうです。
○林政府委員 お答えいたします。
 内閣法制局は、各省で立案されましたものをその後に拝見するという立場にございますので、何らその点については承知いたしておりません。
○岡沢分科員 結局、具体的には、どの省も、どの法律についても、新しく無過失賠償責任制度の導入を検討していないといっていいのじゃないですか。もしあるなら答えてください、その点、私のいまの考え方が間違っているなら、理解が間違っているなら……。
○川島(一)政府委員 まだ法案立案の段階には至っておりませんけれども、私が聞いているところによりますと、検討を行なっている省もございます。ただ、その検討の結果につきまして、現在法務省として相談を受けているというものはございません。
○岡沢分科員 私の理解が正しいとすれば、国会における総理、あるいは特に山中総務長官が、個別的な無過失賠償責任制度の導入についてはかなり積極的な発言をなされながら、現実に法案の段階に至っている法律はまだ一つもないし、また、各省も具体的に法務省と相談をする段階にきておる法案もない。しかも、理論的には無過失賠償責任制度の導入は可能であるという民事局長の御答弁がはっきりここでございました。法案をつくることも、そうむずかしくないという御答弁もございました。結局、やる気がないといわれてもしかたがないんじゃないか。政府の公害に対するほんとうの姿勢というものが、この無過失賠償責任制度の立法化にあらわれていると指摘しても私は言い過ぎではないと信ずるわけであります。今国会は期日も少ないし、おそらく国会の会期中に無過失賠償責任制度の立法化については、全面的にほおかむりで過ごそうとしておられる。許せない姿勢だし、また佐藤内閣総理大臣自身が、昨年の九月におっしゃった一日内閣での言明とも大きく矛盾する。検討検討といって、結局は無過失賠償責任を一日延ばしの姿勢でその日を糊塗しておられるとしか思われない。現実には公害の被害者、先ほど指摘いたしましたサリドマイドの子供だけではございません。水俣病、四日市ぜんそく、現に公害で苦しまれ、またなくなっていかれる方も数多くある森永の砒素ミルクの例を見ましても、日本の薬務行政のあり方というものが、この予算委員会でも大きく私は反省されるべきではないかと思う時点であるだけに、もう少し私は公益の代表者、人権の擁護の立場に当たられる法務省が、各省をリードして――なるほど具体的な事案については各省が詳しいかもしれません。しかし現実には、私が先ほどから指摘いたしましたように、各省はそれぞれ企業なり生産者なり、自分に近い、国民とは、あるいは消費者とは離れた立場の行政がなされておる実態に照らしました場合に、法務省こそ人権擁護の先頭に立って、無過失賠償責任制度の立法化については、みずから、法案を出すか、あるいは各省を督促するかという心がまえを事実をもって示してもらいたいということを指摘いたしまして、私の持ち時間がまいりましたので質問を終わります。
○伊藤(宗)主査代理 横路孝弘君。
○横路分科員 最初に監獄法の改正の問題についてお伺いしたいと思います。
 明治四十一年にできたこの法律が、いまも七〇年代の日本の中に生き続けているということ自体非常におかしなものですけれども、しかも、その監獄法に基づく運用が、やはり非常にいまの憲法に基づいたいわゆる基本的人権を守るという観点に立った運用がなされていないというのも、私たち刑務所の中の収容者の取り扱いを見て、常日ごろ感じているわけであります。昨年、前の小林法務大臣のときに、私のほうから内閣委員会でいろいろ質問をした。そのときは来年の、この通常国会までには、この前近代的な監獄法というものをぜひ改正をしたい、さらに、昨年十二月の臨時国会においても、その旨皆さん方のほうで約束されたわけですけれども、まだいまのところ、この監獄法の改正案なるものが国会に提出されていないわけであります。約束されておきながらこの提出されていない現状について、一体どうなっているのか、御答弁願いたいと思います。
○植木国務大臣 現行の監獄法の改正問題につきましては、実は私、かつて法務省に職を奉じておりました時分からのこれは問題でございます。そして非常に古い、必ずしも現在の状況になじまぬ点もあるのじゃないかというようなことから、当時も事務当局非常に研究をしておってくださったのでございます。私としても、むしろ、十年ばかりそれから期間がたっておりますが、なぜ早くできないのだろうかと疑問を持っておったようなわけでございますが、今回再び法務省に参りまして、だんだんと聞いてみますと、なかなか、いろいろ複雑な問題もないことはない。しかし、おおむね一つの目安はできかかってきておるというふうに聞いておるのでございます。事務当局としましては、もうすでに鋭意立案作業を進めてきておるのでございまして、その説明によりますと、かなり進捗してまいっておるという状況でございますが、なお今後、関係省庁などと必要な意見調整を行なうべき部分が残っておる。また、法制審議会に諮問した上で、確定案を見るまで、これはやはり問題が問題でございますから、法制審議会の十分な検討もしていただこう、こういうふうに考えておりますので、なお若干の時日がかかる、こういう係りの報告でございます。私としましては、早く督励して、なるべく早い機会にその答申も得、そして最終的なわれわれの考えもきめまして御審議を仰ぎたい、かような考えでおる次第でございます。
○横路分科員 この監獄法の改正は、改正しようという動きが大正十一年から始まっているのですね。しかも、戦後やはり何回も同じように繰り返されて、昭和三十二年には監獄法改正要綱仮草案というものができている。さらに、昭和三十九年には、刑務所仮要綱案というものが一応まとめられているわけですね。調整がつかないというのは、中で一体何が問題になっているのですか。これは矯正局長でけっこうですから御答弁願いたい。
○羽山政府委員 一口に申し上げますと、せっかく法律をつくるのでございますから、できるだけ進歩的な、行政を満たすような法案をつくりたいということに相なるわけでございます。それで、われわれが基準として考えておりますものの一つに、国際連合の専門家委員会がきめました被拘禁者処遇最低基準というものがあるわけでございます。これをなるべくならば監獄法に取り入れてまいりたい。ところが、御承知のように、監獄法というのは、監獄法だけが独立してわが国にあるわけではございませんで、わが国の刑法、刑事訴訟法という全刑事制度の中の一部分としてあるわけでございまして、たとえば、臨時外出というようなことを被拘禁者最低基準では非常に慫慂しておりますけれども、臨時外出という制度をどうやったら書けるのか、すなわち現行刑法また現に進行いたしておりまする刑法改正準備草案におきましても、懲役囚は刑事施設に拘置するというふうに書いておるわけでございます。その拘置するというようなものを受けて、なお臨時外出というようなことがどの程度まで書けるものであろうかというような点が非常に大きな問題に相なってまいりまして、その点を拾い出しますと、先般も部内の会議で御披露をし、関係部局の調整をはかったのでございますが、そのような大きな問題点が約二、三十あって、そういうものの調整に非常に手間どっておると申しますか、困難を感じておるというわけでございます。
○横路分科員 その内容についていろいろ議論したいところでありますけれども、実態を少し明らかにして、監獄法改正のひとつ参考にぜひしていただきたいと思うのです。いまあったいろいろな意見というものは、矯正局と刑事局のほうの対立として私たちも昔から聞いているわけです。矯正局のほうのいわば教育刑主義を採用した矯正局案が、なかなか内部的にあちらこちらからいじめられてまとまらぬというような話も聞いておるわけであります。そこで、そういう本筋の議論も少ししたいわけでありますけれども、時間が三十分という限られた時間ですので、少し一、二の例を明らかにしながら、いま進歩的な案をつくるためにいろいろ苦労しておるというお話でしたけれども、そういう姿勢であるならば、なぜこういういまの刑務所の実態になっているのかということを指摘をしたいと思うのです。
 これは昨年の五月六日の内閣委員会で指摘をしたわけなんですけれども、いま監獄法の中で、懲罰なり戒具の使用という問題があるわけですね。たとえば一つの例として私そのとき指摘をしておいたのは、これは昭和四十三年九月十九日ですけれども、京都刑務所の中で服役中の被告人が看守をなぐったという理由で、革手錠というのをはめられたのですね。革手錠をはめられて、しかも保護房というところに入れられて、手足をうしろ手錠で縛られたまま十日間、食事のときも、それからさらに用を足すときも、夜寝るときも、手を縛ったままにして保護房の中に入れておいたという事実を私は指摘をしたわけです。そのときは法務省のほうでは、あとで調査をしますということでしたけれども、あとで調査の結果、そのとおり事実間違いありませんでした、こういう報告を私は受けているのです。こういう明治時代というよりもさらに古い封建時代の遺物のようなことを懲罰としてやっているのですね、現に、いま刑務所の中で。私は、そのとき指摘をしたから、これはもう中でもって改められたのかと考えておったら、まだ現実に革手錠をはめて、しかも食事のときにその手錠をはずさないで、そしてめしを食べさしているわけですよ。革手錠をはめられてどうやって食事をするかというのです。犬みたいにはいつくばって食べる以外に食べる方法ないでしょう。用を足すときどうするか、足でなんとかかんとか操作をして、そして用を足すよりしようがない。夜眠るときどうするか。あおむけになっては寝れませんから、壁にもたれて寝るしか方法がない。こういう事実があるのです。
 矯正局のほうにこれはお伺いしたいわけでありますけれども、私が指摘をして以来、いままでこの問題に関して、一体どういう指導をなされてきたのか。いまもなお、現に革手錠を食事のときも、用便のときも、これをはずさないで、かけたままにしておくなんというのは、私はほんとうにこの昭和四十六年といういまの時代に考えてみて、こんなものが、法務省ですよしかも、秩序をつかさどる法の番人であるところの法務省で、そういうようなことが刑務所の中で、いま真昼公然に行なわれているということは、私は非常に問題だと思うのです。進歩的な案をつくるといういろいろなお話があったけれども、現実の運用がそんなことで、一体どんな監獄法の改正案が出てくるのか、私は非常に心配なわけです。この点について、これは大臣のほうの見解でも、矯正局長でもけっこうですから、お話しいただきたいと思うのです。
○羽山政府委員 事務当局といたしましては、革手錠その他の戒具が、非常にいいものだなどということは絶対に考えておらないわけでございまして、まことにやむを得ない一種の方法であるというふうに考えておるわけでございます。この種の戒具が、刑事施設内の規律を維持するために使用することができるということは、先ほど申し上げました国際連合の最低基準にも書いてあるわけでございます。しからば、なぜそういうものを使用せざるを得ないか。たとえばここに現在約四万人以上の収容者が入っておるわけでございますが、中に、ときどき非常に爆発的な性格の人であるとか、その他いろいろな状況がございまして、なかなか暴行とか施設の内部で大きな声で騒ぐというようなことがございまして、直ちに制圧するような、何か鎮静剤のような妙薬があれば非常にいいと思うのでございますが、なかなかそういうものがございませんために、やむを得ずやっておる。これにつきまして御指摘のようにまあ本人にとっても、また使用するほうから見ておりましても、まことにどうもどうかと思うような事態があるわけでございまして、これにつきまして行き過ぎのないようにということは、極力指導いたしておるつもりでございます。
○横路分科員 時間がありませんから簡潔に答弁願いたいと思うのですけれども、必要性といったって、食事のときなぜに、はめておかなければならないのですか。用便をするときに、なぜそんな革手錠をはめておかなければならないのですか。夜寝るときに、どうしてそういうものをはめておかなければならないのですか。それについてお聞きしているのですから答えてください。
○羽山政府委員 革手錠をはずしてやろうといたしますと、その瞬間にあばれ出すというようなことがございまして、どうにも手に負えないということがあるわけでございます。
○横路分科員 そうすると、あなたはあれですか、十日間も、食事のときも夜寝るときも用を足すときも革手錠をはめているというのは、これはもう当然やむを得ないのだ、こういうことですか。
○羽山政府委員 重ねて申し上げますが、決して望ましいことだとは思いませんが、やむを得ない、結局実力で制圧をいたしまして、徐々に反抗心を押えると申しますか、その反抗心を押えるための一つの手段としてまことにやむを得ないのだ。今度の改正法案などにおきましては、何か鎮静剤というような注射でもあるならば、そういう方法によろうじゃないかというようなことまで考えているわけでございます。
○横路分科員 法務大臣、いま矯正局長そういう答弁をなさいましたけれども、あなたお考えになって一この問題は実はいまから三十七、八年くらい前に帝人事件という汚職事件があったときに、国会で大議論になっているのです。貴族院や衆議院のほうで大議論になって、こんな封建時代の遺物はすぐやめなさいということになっているのですね。それから延々といままで四十年間も行なわれてきているのです。いま矯正局長のおっしゃったと同じ理屈を言っているのです。どう思いますか、人間として。刑務所の中に収容されている人間、煮て食おうと焼いて食おうと自由だというお考えが、法務省の中にあると私は思うのです。十日間もめしを食べるときそうやってはいつくばらせて食べさせる、用便するときも手錠をはずしてやらない、こういうような取り扱い、どうですか。私はいまの矯正局長の発言は大問題だと思う。どうですか。
○植木国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問のような事態を考えてみますと、われわれいわゆるしろうととしての感想を申し上げますと、どうもそれは時勢に合わないじゃないかという感じはいたします。確かにその感じはいたしますが、しかし、こうした被収容者の中には、いま局長が御説明申し上げましたように、やはり異常性格者もあれば、それからときにはいろいろ変わった思想的な立場から反抗を続ける、あるいは反抗をしだすというような者があることも、これはうすうすかつて聞いたこともあるのです。今回は、この問題については聞いておりませんが。だから、こうした間におけるその善処のしかたはどうやるべきか。なるほど、いま横路さんのおっしゃったように、めしを食うときもこうだ、用便のときもこうだ、しかも、それがずっと継続しておるというような姿を、おことばによって想像してみますと、何とか措置を考えねばいかぬというような感じが痛切にいたすのであります。
 ただ私は、ここで一つ問題があると思っております。それは、いわゆる刑務所における看守その他の人たちの人手の問題がある。これは私が前回のときに痛切に感じておったのでありまして、非常に人員が押えられている。そしてまたこうしたお仕事ですから、あまり希望者もたくさんはございません。少ない手数でもって、そしてこうした、中には異常な囚人もある、こういう人たちを接遇していかなければいかぬのですから、教育していかなければいかぬのですから、そこに非常に行き届きかねる部分もあるということも承知できるのです。私はもうつとに、その時分もそうですし、いまでもその意見を持っているのですが、看守の諸君の定員をもっとふやすべきだ。それは非常に国としてむだな仕事にはなるけれども、人手不足になるということで、休暇なんかも、一年通じても一回か二回か三回しかとらぬほど熱心にやってくださる方もありますが、これはみんなに求むべきことではございません。そういう意味からいいますと、私は現在の刑務所関係の職員が非常に少ないと痛切に思っているのであります。最近は御承知のように例の総定員法の関係からもやはり一様な考え方で、減らせるものは減らせ、そしてやむを得ぬものを若干ふやすというようなあのやり方では、いまの親切な教育あるいは戒護といいますか、こういう問題等についての処置がどうしても不十分になる。しかし、何とかせねばおかしいなということは、いまあなたの御説明を承っておっても、それが事実というふうに考えられる点も、局長の答弁を聞いているとありますから、何らかの措置をとにかく考えねばいかぬなということはほんとうに思います。
○横路分科員 そういう特殊的な人間に対してだけじゃなく、これは一般的に使用されているのですよ。看守に対して抗弁をした。そうするとこれはもう報復として、懲罰として戒具を使用しているのです。鎮静させるために使っているのじゃないのです、現実の運用は。だからそこに問題があるのじゃないかということを私は指摘をしているので、ここで資料として、去年一年間の戒具の使用状況を、何件ぐらい使われているかということをあとでお調べいただいて、資料として提出をしていただきたい、そういうぐあいに思います。この戒護の問題についても裁判ざたも起きているのでありまして、広島の拘置所の中での佐藤英夫という被告人の事件について、広島地方裁判所にやはり裁判が民事の損害賠償でありますけれども、提起されている、こういう事実もありますので、いまこの問題についてこまかくやる時間がありませんからやめますけれども、そういうようにあちこちで問題になってきている。先ほど話をした京都の事件もこれも裁判になっています。いずれ裁判所の判断が示されるでしょうけれども、ほんとうにいまの時代にこんな人権無視もはなはだしいケースはないと私は思いますので、ぜひ御検討願いたいと思います。
 もう一つ、東京拘置所に宮崎和夫という被告が収容されているのですけれども、この人が皮膚炎になったときにスルホリンCという有機水銀のエチル水銀を含んでいる水銀化合物の薬を使用して、その結果かえっていろいろ病状を悪化してしまった、こういうケースがあるのです。このスルホリンCという薬は、六九年の七月十八日の中央薬事審議会でもってアミノ塩化第二水銀を含む医薬品の取り扱いについての答申というのを厚生大臣に出して、その月の二十三日に厚生省の薬務局長通知というのが全国の都道府県知事あてに出されて、水銀化合物を含んでいる医薬品については、もうできるだけ製造なり使用というものをやめなさい、そして水銀化合物を含まない製剤に切りかえるような、そういう指導方針が出されているのです。実際にこの薬は、製造中止になっているというように私は聞いておるのですけれども、そういうものを東京拘置所の中で使用しているという事実があるわけです。これは大阪大学の田代という医師が、おたくのほうの大井という東京拘置所の医官に会って確かめているのです。これについては矯正局長御承知ですか。
○羽山政府委員 禁止になった薬品についての質問をするという御通告をけさいただきましたので、至急に調べまして私どのほうではDDTとBHC、あるいはそれに例のキノホルム含有量の問題ではないかと思って調べてまいったのでございますが、ただいまの御指摘の水銀含有の薬品というのは初めて伺いますので、調査をさしていただきたいと思います。
○横路分科員 こういうもう製造も中止されているような薬を、収容者だから何でもいいんだということで使われる。やはりここにも矯正行政の姿勢として非常に大きな問題があると私は思うのです。
 そこで、次の質問に移りたいと思いますけれども、ことしの予算の問題ですね。刑務所の作業収入というのが、歳入のところを見ますと七十一億若干あるわけです。被収容者の刑務所の収容費は四十六年で四十四億、刑務所の作業費というのは二十五億で、刑務所の作業収入と刑務所の収容費並びに作業費との差額というのは一億一千三百九十九万ほど作業収入のほうが多いんですね。こういう実態になっているので、これもこの間からお尋ねをしているわけでありますけれども、やはりこれは特別会計制度にして――刑務所の中の作業収入のあがった部分というのはこれは食費ですね。今度の予算で皆さん方上がった上がったと自慢されるけれども、一日当たりの刑務所の中の受刑者の食費は四十四円二十五銭ですね。それから作業賞与金というのも全部で四億円ですよ。これは一人当たりほんとうにわずかな賞与金しか当たらないようなことになっているわけですね。ですから、これは特別会計制度を考えていいんじゃないかと思いますが、検討されるという昨年の国会における約束でしたけれども、どのようになりましたか。
○羽山政府委員 今度の監獄法改正に関しまして、特別会計制を検討いたしました。現段階におきましては、なお御指摘の約七十億あるいは六十億程度の作業収入では、特別会計を設定することが非常にむずかしいという結論でございます。と申しますのは、御指摘の作業収入、収容費その他の予算のほうには、作業の指導をいたします技官の人件費などが含まれておりませんので、各国の例を見まして、そういうものまで入れるということになりますると、もっともっといまの作業のうちで定額の部分を改善いたしまして、もう少し収入が上がるようになったほうがいい。現階段において特別会計にするのは、まだ時期が早いという結論でございます。
○横路分科員 そこで一つお尋ねしますけれども、この賞与金、少し上がりましたね。一千万程度――一千万までいっていませんか、四百万ぐらい上がったわけでありますけれども、これは一人
 一日働いて幾らぐらいになりますか、平均でけっこうです。
○羽山政府委員 上がりましたところで、一番最高で一日十円ちょっと出るかと思います。
○横路分科員 最低では。
○羽山政府委員 最低では一円幾らかになるかと思います。
○横路分科員 一日働いて一円というのが実情なんですね。一日働いて一円ですよ。そして私問題だと思うのは、刑務所の中での作業中に事故にあった場合どうなるかということです。ここに一つのケースがあるのです。これはぜひ法務大臣に聞いていただきたいと思いますけれども、ある少年、当時少年、函館の少年刑務所に懲役二年六カ月の実刑判決を受けて収容中、昭和四十四年の四月十四日、これは被告人の名前はちょっと省略しますけれども、Kという人でありますけれども、刑務作業中、しかもどんな仕事をやらしたかというと、刑務所の中の補修作業みたいなことをやらせて、煙突をささえる丸太の支柱を、鉄製の支柱に取りかえる作業中に、支柱が切れてそして四メートルほど落ちてしまっわたけです。落ちてしまってどうなったかというと、下半身の脊髄が完全に損傷してしまう、労災でいうと一級に該当することになってしまったんですね。懲役二年間の刑を受けて作業中、しかもその仕事をさせられていて下半身麻痺の、将来これは労働につけないようなそういうけがを負ってしまった。皆さん方幾らお払いになりました。
○羽山政府委員 先ほどの答弁、ちょっと間違えましたので訂正さしていただきますが、一日と申しましたのは一時間の間違いでございます。
 ただいまのお尋ねの点でございますが、函館の事故につきましては、当時の予算額の最高といたしまして二十四万円の傷病手当金を払っております。
○横路分科員 二年半の刑を受けて、そして皆さん方一時間ですか、一円でも一日働けば八円にしかない。しかし、ともかくそうやって国でもって歳入としてそれをあげておいて、そしてそうやってやらしておいて事故が起きて、このケースは明らかにおたくのほうに過失があると思いますけれども、そして下半身麻痺、生涯もう不具ですよ。それで二十四万円ですよ。この人の将来はどうなるのですか、一体。今度の予算の中では、その点についてはどういうぐあいに措置されましたか。
○羽山政府委員 四十六年度の予算におきましては、これが六十四万円に引き上げになっております。
○横路分科員 先ほどお話ししたように、刑務所の作業収入と刑務所の収容費、刑務所作業費との差額が大体一億一千四百万ぐらいあるのです。作業収入のほうが多いのですよ。そうすると、その分をやはり働いた人に戻してやる、けがをした場合に、これは国が責任を持って、せめて労災並みに扱う。なぜそういうことができないかというと、これはやはり皆さん方の基本的な姿勢が、受刑者というものは、これはどうしようと刑務所のほうの、法務省のほうの自由裁量だ。煮て食おうと焼いて食おうと自由だ。賃金じゃないわけですからね、これは労災の補償じゃないわけですから、要するに、お上がおまえら少しかわいそうだから、そのとき金を出してやろう、仕事をしたんだから少し出してやろう、こういう姿勢が矯正行政の根本にあるから、下半身麻痺で二十四万円で、だからこれも裁判になった、こういう実態なんです。だからやはり私はその辺の考え方の根本を考えていただかないと、二十四万からいま六十何万に今後の予算で少し上がった。毎年毎年上げてもらわなければならぬと思います。しかし、それにしてもいま自賠責なんかの場合、労災の一級ということになれば、一時金だけでも五百万円出ます。五百万出ます。それが私はあたりまえだと思うのですね。将来この人は、一体生活をどうするか、法務大臣この問題についてどうですか。
○植木国務大臣 ただいまの北海道の函館刑務所における事案の問題に対しまして、承りますと、まことに当該御本人に対しては御同情にたえません。当時の制度がそういう制度であり、今日もいま御指摘くださり、御質問いただいたように、こうした場合における作業奨励金というのですか、その金額なり、あるいはいよいよやめてしまって最終的に幾らもらえるか、幾らもらって出ていけるかというような問題等、非常に改善されたとはいうものの、なるほど仰せのとおりそれだけもらえれば、まあよかろうという感じにはなかなかなれません。したがって、私は、この問題もよほど大事な問題で、教育刑とは教育主義の方針によってやっていくとはいうものの、どの程度まで持っていくかという、これはやはり程度が、従来の慣例にとらわれないようにして、大いに進歩的に考えてみても、なかなかそこには踏み切るのがむずかしい点があるかもしれない。しかし、それは時勢とともによほど関係の者も気をつけて、そうしてなるべく人権尊重、そして時代にふさわしい収容制度を実現していく必要があると思いますので、十分御指摘の点についても、気をつけてまいりたい、かように考えます。
○横路分科員 時間がきましたけれども、矯正局長にお伺いしますが、今度の監獄法の改正の中で、この作業賞与金の問題とか、いまのけがをした場合の補償金といいますか、これについてもできるだけ労災なり、あるいは賃金という考え方を入れる方向で――矯正局のほうの考え方は私はそうだと思うのです。そういうふうに理解しているわけでありますけれども、今度の監獄法の改正の中でそういう方向にいくのかどうか、それはどうですか。
○羽山政府委員 先ほど申し上げましたように、矯正局と申しますよりは、最低基準がそういう考え方になっておりますので、私どもはできるだけそういう方向に努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○横路分科員 いまの件も、これは最近五年ぐらいの統計でけっこうなのですけれども、こういうようなけがをして人が何人ぐらいおられて、どのぐらい支払われているかという点について、資料として提出をしていただきたいと思います。
 時間がきましたから、この関連の問題はまた法務委員会なり、あるいは内閣委員会なりで、いろいろこまかく詰めて議論をしていきたいと思いますけれども、いずれにしても刑務所の中の、あるいは拘置所の中の、看守によるいろいろな暴行の問題とか、文書図書の禁止の問題あるいは軽解禁、そのほかの懲罰の問題、たくさんの問題がまだまだあるわけでありまして、去年国会の内閣委員会のほうで指摘をしてから以後も、全然その取り扱いが変わっていないというのが現実なわけです。私は、ぜひこの行政としてお願いしたいのは、やはり国会で、たとえば来年なら来年監獄法を出しますということを約束されれば、約束は実行していただきたい。こういう取り扱いはやめるということを皆さん方が御答弁されたら、その趣旨を下まできちっと徹底させるような行政措置をとっていただかないと、この場限りでもって適当にやりとりをして、あと行政措置としては何にも知らぬ、何にもやっていない、こういうことでは、これはやはり国会無視もはなはだしい問題だと私は思いますので、その辺のところを、いまいろいろ私のほうで指摘しました問題について早急に調べられて、やはり食事のときも、用便のときも全部手錠をはめておくなんという、こういうことぐらいはせめてすぐやめていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。
○伊藤(宗)主査代理 青柳盛雄君。
○青柳分科員 先ほど田中委員のほうからも御質問がありましたが、来年の四月ごろに、沖繩の施政権が返還になることを記念いたしまして、いわゆる恩赦が実施されるのではないかということが新聞などにも報道されておるわけであります。先ほどの大臣の御答弁ではまだ確定的にきまったわけではないというお話でございますけれども、もっぱらこういうことが話題になっているということは事実でございまして、関係者の人々は、これに期待を持っている面が相当あるだろうと思います。
 恩赦制度が終戦後新しくとられまして、従来の天皇大権に基づく恩赦という形態ではなくて、国民主権に基づく恩赦ということになったわけでありますが、明治元年以来七十年間、終戦までの間に大体四回程度の恩赦があった。ところが終戦後は、二十数年の間に七回も恩赦が行なわれた。イギリスあたりでも、二十世紀になってからもうすでに七十年になりますが、四回程度しかない。いずれにいたしましても戦前と比べ、戦後の恩赦が非常にひんぱんに行なわれていることは事実でございます。したがって、このようにひんぱんに行なわれるに至った原因というようなものについて、またどういう方針でこの恩赦というものが実施されるのか、これは内閣の責任において事実上はおやりになるわけでありますから、したがって、この基本的な態度、そういうものについて、法務省といたしましてどう考えておられるか、まずお尋ねいたしたいと思います。
○植木国務大臣 ただいまの御質問に対しましては、過去の実績等ございまして、これらについての知識を私つまびらかにしておりませんので、おのずから、いかなる基準云々というようなことは実はまだ私には腹案も何もございません。まだ問題にもなっておらぬことでもありますからでございます。つきましては、過去の実績が何回かある、いまたくさんあると仰せになりますが、そうした場合において、それぞれの機会における一つのおのずからなる基準らしきものがあったに違いない。そうすると、それを通覧して考えれば、どんなふうになっておったかということがわかる。それが将来の、またそういう問題がかりに起こった場合におけるわれわれの指針といいますか、それの中で非難を受けたような問題については慎んでまいらなければなりませんし、また必要な部面においてはやはりできるだけのことを措置するのが当然だと考えますから、いわゆる仰せになります基準というような問題については、事務当局が存じておるならば事務当局に申させますし、一つの過去の実例としていろいろなことを、担当の者が一応あると思いますから、これについての答えをお聞き願いたいと思うのであります。
○笛吹政府委員 先ほど御指摘のように、戦後七回の恩赦が行なわれたわけでございます。それぞれ、そのときそのときのいろいろな理由がございます。あるいは最初は大戦が終局いたしました、次は日本国憲法が公布された、あるいはまた平和条約が発効しました、その後皇太子の立太子式、国連加盟、皇太子の御結婚、最後に昭和四十三年の明治百年記念の恩赦というようになっておりまして、それぞれいろいろ基準――これを通した基準というものはちょっと私承知いたさないのでございますが、およそ最近の恩赦というのは、昔と違いまして、新憲法下におきまして、従来よりも刑事政策的に考えていく。申すまでもなく、恩赦は、刑事裁判の法的な効果というものを変更する措置で、一口にいえばそういう措置でございますので、それを行政作用によってそういう措置をいたすということになりまして、相当な影響を及ぼすものでございまするから、いずれの場合におきましても、これは慎重に考えられてきめられたものと考えております。
○青柳分科員 一般的には、基準としては、社会事情が大きく変わったとか、刑罰の不公平が目につくのでこれを是正するというような場合とか、それから、先ほど局長のほうからお話がありました刑事政策的な要請というもの、こういうものが基準になるだろうと思います。
 ここで、私は、新聞の資料によりまして発見したのでありますが、昭和二十三年に恩赦制度審議会というものが意見書を政府に出しておりますけれども、政令恩赦の運用方針という題目で、国家の慶事に政令恩赦が行なわれることは差しつかえないが、それ以上に、公平の精神に基づく刑事政策的、合理的恩赦が今後の中心になるよう運用することを期待すると、こういうふうな趣旨に意見が出されているようであります。刑事政策ということは、適切にやりませんというと、司法権の独立に対する侵犯であるというおそれも出てくるわけでございまして、あまりにも無制限な恩赦というものが行なわれますというと、せっかく法の厳正な適用を行なおうとして努力しているところの検察当局、あるいは裁判所当局などの士気を阻喪するといいますか、せっかく努力しても結局はだめになってしまう、その努力は徒労に帰するというような、目に余る恩赦というものがもしありとするならば、これは恩赦の乱用ということになってくるわけであります。
 いままで行なわれた恩赦の場合でも、常にそれが世論の中で問題にされてまいりまして、特に問題になりますのは、公職選挙法違反あるいは汚職事件、また、特殊的には、政治資金規正法違反というような問題でございます。特に現内閣総理大臣である佐藤榮作氏が、国連加盟恩赦、昭和三十一年、このときに、政治資金規正法の違反で六十回くらいの審理が進行しておって、多数の証人も調べられ、判決寸前というときに、この国連加盟恩赦で不問に付されることになったとか、あるいは、現職の大臣でおる坂田英一氏も、同じく選挙違反がなくなったとか、いろいろ当時から問題になっているわけであります。どうも恩赦は、国家の慶事にあたって、広く恩典に浴させるという立場であるけれども、それはほんの一握りの人たちである。大半が政治関係、選挙違反、そういうものになるということが統計的にもあらわれているわけでございます。
 たとえば、最近の例だけを見ましても、講和恩赦の際には、非常に多く、百万人以上の対象者があったわけでありますが、選挙違反関係も相当その中に含まれておるけれども、計数上明らかでない。国連加盟恩赦の場合は、大赦令の対象になった者が六万九千六百二十七名で、公職選挙法違反がその三分の二くらいを占めているのではないか。それから、皇太子成婚恩赦は、復権ということが重点に置かれておりまして、四万五千七百九十七名、その大半が公職選挙法違反の復権である。それから、最近の明治百年恩赦、これも同じく復権の対象になったものが十三万一千九百九十一名、これも半数以上が公職選挙のものが対象になっている。こういうふうに、どうも党利党略的なにおいがする。特に政府のほうでは、最初、選挙違反は含ませないというようなことを言明しておられたにもかかわらず、いざふたをあけてみるというと、与党側、自民党側の圧力が非常に強く、結局含めるという結果になっている。これは非常に世論の中でも、あまりにも政略的である、党利党略的であるという批判が強められてきたわけでございます。したがって、こういうような恩赦を何か事あるごとに実施するというような政治姿勢というものが、やはり問われてしかるべきではないかというふうに考えるわけであります。
 来年と予想される沖繩施政権返還にあたって、どうも恩赦が行なわれるらしいということがうわさされ、それも、沖繩の住民についてだけ適用するというのであれば別に異論もあまり出てこないだろうと思いますけれども、先ほどの大臣の御答弁では、法のもとには平等だから、沖繩県人も本土の国民も別に差別すべきではないというようなお話がありましたので、そうすれば、当然本土の国民も対象になる。そこへ持ってきて、ことしは十二年に一ぺんという一斉地方選挙と参議院選挙が重なって実施される。政府のほうでは、ことしの選挙を重視いたしまして、四十六年度の予算でも、大体法務省関係でも、選挙取り締まり関係で九千五百万円という相当大きな予算を組んでおります。また、警察関係では約一億円、半数は地方自治体の負担でございますけれども、国の予算では五千九万円というものが含まれている。そうすると、ざっと二億円くらいの取り締まりの費用をかけて、この二つの選挙を取り締まろうといっておるのでありますが、せっかく取り締まりが厳重に行なわれて、有罪となる、あるいは起訴されるという状況が出てまいりましても、来年の四月になれば、それがだめになってしまうというようなことになりますというと、ことしの選挙自体がきわめて不公正な、腐敗したものにならざるを得ないのではないかということをおそれるわけであります。この点につきまして、大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか、お尋ねいたしたいと思います。
○植木国務大臣 今度の沖繩の本土復帰に関連しまして、これは国、国民をあげてほんとうに待望し、念願しておった問題でございますから、確かに大きな慶事であることはいなめないと思います。しかしながら、今日までのところ、まだ何もこの問題について、政府側としても準備行動に入っているとか、あるいはわれわれのほうが若干の事前の準備をするというようなことには全然まだなっておりませんので、何ともお答え申し上げかねますが、もしそういうことが具体化されるような機会がございましたら、ただいまの御発言は大いに参考にして、あやまりなきを期さなければならぬというふうに考えますので、私といたしましては、非常によいいろいろな示唆を与えて下さっておると考えまして、十分気をつけてまいりたい、かように存じます。
○青柳分科員 沖繩の返還というのは相当のできごとになるわけであります。その評価のしかたいかんにもよりますけれども、一応アメリカと日本との間で条約を締結するというような形態になるようであります。ところで、昭和四十年に日韓条約というのが締結されました。これは戦後二十年近くの間、南朝鮮と日本との関係が解決していなかったということを、佐藤内閣になってから大きな施策の一つとしてやり遂げたんだということが大きく宣伝されたわけでありますが、その際に、日韓条約恩赦というものが非常に要求されまして、しかも、その動機はやはり選挙違反を救い出すということにあったようでありますが、これに対して、法務当局は当時の新聞報道によりますと、前例がない。二国間だけの間の条約という程度のことで恩赦をするというのは少し行き過ぎであるというようなことであり、当時の石井法務大臣も、これは断固として拒否するという態度を表明された結果、行なわれない、見送りになったという経緯がございます。常に恩赦のことが問題になりますときには、与党側のほうから強い圧力が政府に加わってくるというのがいままでの歴史でございます。これはもう新聞報道などを全部集録してみますと、大きくそれが批判の対象になっております。一般の世論もこれを非常に重視いたしまして、恩赦の乱用ということに対して非常に反対があり、松山の市長選挙などで違反を行なった人は、市長に居すわっておる。それが恩赦でまた助かるというようなことに対しては、これはもう司法権を侵害しているものであるから、民事訴訟まで起こすというような、そういう動きすらあった例もございます。したがって、この沖繩返還に関連する恩赦というものが具体的な問題になる場合には、よほど慎重に扱ってもらわないと、恩赦制度そのものの抜本的な再検討ということも叫ばれている際でございますし、われわれは決して無関心でいるわけにはまいらないと思います。
 この問題はこれで終わりまして、次に、時間がありませんから簡単にお尋ねいたしますが、四十五年度の法務省関係の懲罰事案といいますか、そういうものを見ますと、どうも四十四年度、正確にいえば四十五年一月から十二月まででございますけれども、それを四十四年の一月から十二月までのものと比較いたしまして、非常に数がふえているように思われるのでございます。たとえば四十四年度は、人間の数で法務年鑑に載っているのを見ますと、合計は懲戒免職が二名、減給が四名、戒告が十名計十六名、それに訓告というのを加えまして八十六名、これだけになっておりますのに、四十五年度の一月から十二月まではこれは件数で出ておりますが、免職件数が十、停職件数が四、減給件数が二十一、戒告件数が六十二、これは合計して九十七でございます。このほかに訓告が何件かあるに違いないと思いますけれども、法務省のほうから私のほうにお届けくださったものには人間の数もありませんし訓告も除かれております。しかし、いずれにしても件数において訓告を含めて四十四年は百ぐらいであったものが、訓告抜きで四十五年度はすでに九十七になっているということは、異常な大きさを示しているものではないかというふうに思います。これは一体具体的にはどういう原因によってこういう現象が起こってきたのか、これをお尋ねいたしたいと思います。
○植木国務大臣 法務省内におけるこうした公務員取り締まりの上での免職、停職、減給、戒告といったようなものは、四十五年の数字についてはただいま手元に持っておりますが、おおむね仰せのとおりでございます。ただ、私の今日まで知っております範囲におきましては、それぞれ各省でこの適用については十分気をつけてやっておられると思いますが、私の前回の経験を顧みますと、むしろ私は法務省は大事な法秩序の基礎を守っていかなければならぬ、維持していかなければならぬ重要な任務を持っておりますから、これについての従来の扱いは非常に厳重にやっておられる。ほかの省にはないんだろうと思いますけれども、それはやはりほかの省よりも役所の性質にかんがみて、信賞必罰という点から、なかなか厳重にやっておられるなと、実はむしろ非常に感心しておった問題でございます。これがただいま最近の例からいうとこうだというお話でございますが、おそらくそのとおりであろうと私も思いますけれども、もしそうだとすれば、これについてはまた十分説明等も承って、各省に範たる公務員の取り締まりということについては従来りっぱな事績を持っておると私は実は思っておりますので、今後ともこれについては気をつけてまいるように進めていきたいと思います。
○青柳分科員 一般論として、大臣のおっしゃられることは、今後厳重にやるということでございますから、よろしいのでありますけれども、具体的には矯正局が非常に多いのでございます。四十四年度では計五件程度のものでございました。五人程度のものがあったのに、今度は件数でいっても圧倒的に矯正局関係は六十七と多いわけでございます。これはおそらく先ほども問題になった刑務所関係の人権じゅうりんか、あるいは汚職、そういったようなものがおもではないかというふうに考えられるのでございますけれども、具体的な事件としてこれはどんなものが対象になったのかお知らせいただきたい。
○安原政府委員 お答えいたします。
 矯正関係の懲戒処分の数が法務省全体から見ましても非常に多いのは、職員の数が多いということもありますが、もう一つは何ぶんにも矯正収容施設を運用していく職員であるということから、その収容に間違いがあってはいけない。たとえば収容者を逃走させるようなことがあっては社会的不安を起こすということもありますし、何ぶんにも自由を拘束する処分でありますので、かりそめにも基本的な人権を侵害してはならないということもございますので、さような観点から、えてして懲戒処分になるケースが多いのでございます。
 なお、中身で一番多いのは、例の逃走事件でございます。逃走したということで戒護が不行き届きであったという処分が非常に多くて、合わせて三十八名という数になっておりますし、それからもう一つは、刑務所の中で看守が物品の授受の媒介をしてはならないという執務基準がございますが、これに反して、たばことか金銭の授受をやったというケースがその次に十八、合わせて非常に多いというのがおもなものでございまして、そのほかは他の組織に比べてさほど多いということはございません。
○青柳分科員 国家公務員法によりましても、刑務所の役人には団体交渉権がありませんし、労働組合をつくる権利も認められておりません。したがって、この人たちの労働条件に関する要求というようなものは、個々的に提出するにしかすぎないという結果におちいっているわけでありますが、一般的に上厚下薄といいますか、下級の公務員の待遇というものが一つの原因になっているのではなかろうかということも考えられるのであります。同時に最高の責任者である法務大臣が、二人も続いて問題を起こすというような状況、あるいは高級の幹部の方々も問題を起こすというようなことが、相当下級の職員の立場をゆがめているのではないかというような感じがいたします。
 こういう待遇の問題について先ほど人間の数が少な過ぎるという大臣のお話もありましたが、確かにそれもあるだろうと思います。しかし、待遇をやはり保障する。できるならば、刑務所の役人だからといって、労働組合をつくる権利まで奪ってしまうというようなことがはたして妥当かどうか、そしてまた上級の人々が、その政治的な姿勢を正していくというようなことが大事ではないかというふうに考えられるのであります。そしてそれでこそ初めて訓辞とか、あるいは通達とかいうようなものが実のあるものになっていくと思うのでありますが、こういう点について、今後大臣はこういう不祥事が起こらないようにされると先ほどのお答えもありましたけれども、何らか具体的なことをお考えになっておられるかどうか、それをお尋ねいたしたいと思います。
○植木国務大臣 ただいまの御質問を通じての御意見、まことに私もごもっともだと思います。ですから、こういう問題については十分気をつけていきたいが、たとえば私も先ほど修習制度の問題のときに申し上げましたが、私も刑務所における問題等でとにかく定員の問題、給与の問題等、いつも心配をしている一人なのでございます。したがって、今回はこうした問題についても、当局におかれましても前大臣も留意されて、ことしの四十六年度のいま御審議を願っておる予算においては、若干給与の改善もしておられる、処遇の改善もしておられるやに聞いておりますから、そのこまかいところは当局から、政府委員からお答えすることにさせていただきたいと思います。
○羽山政府委員 今年の予算編成につきましては、人事院並びに大蔵省当局の御理解をいただきまして、かなり等級別定数あるいは旅費支給の面で改善をする、その他職場の環境を改善するという意味におきまして、看守クラスの職員にいろいろな器具あるいは制服の支給というような措置がとられておりまして、これはかなり改善されておるということが申し上げられると思います。
○青柳分科員 時間がありませんから終わります。
○伊藤(宗)主査代理 これにて法務省所管の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時八分開議
○田中主査 休憩前に引き続きまして会議を開きます。
 昭和四十六年度一般会計予算及び昭和四十六年度特別会計予算中、文部省所管を議題とし、政府から説明を求めます。坂田文部大臣。
 なお、大臣の説明は時間の関係上、要点のみを簡潔に願いたいと存じます。
○坂田国務大臣 昭和四十六年度文部省所管の予算案につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、文部省所管の一般会計予算額は九千八百四十八億四千三百六十三万七千円、国立学校特別会計の予算額は三千四百十億六千九百十二万二千円でありまして、その純計は一兆四百十億三千四百五十六万七千円となっております。
 この純計額を昭和四十五年度予算額と比較いたしますと、およそ一千四百三十八億円の増額となり、その増加率は一六%となっております。
 なお、昭和四十六年度予算案において取り上げました主要な事項についての説明は、お手元に配付いたしております概要説明によって御承知おき願うこととし、その内容については、議事録に参照掲載するようお願いいたします。
○田中主査 この際、おはかりいたします。
 ただいま文部大臣が説明を省略せられました部分につきましては、会議録に参照掲載することとするに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
○田中主査 質疑の申し出があります。順次これを許します。川崎秀二君。
○川崎(秀)分科員 きょうはスポーツの問題、青少年の問題を取り上げますけれども、大体ラグビー競技場の大改築ということが主題であります。昨年一年を通して、プロ野球の黒い霧ばかり追及しておりましたが、九割五分大体片づいたと思います。世の中は勧善懲悪、善のほうも大いにひとつ奨励しなければならぬと思っておるわけであります。
 現在の秩父宮ラグビー競技場は、昭和二十三年でありますか、いまのラグビーOBの諸君が勤労奉仕でつくり上げた競技場である。ほかの競技場は、たいがいは国がつくったとか会社がつくったとか、あるいはまたオリンピックというような大きなときに当て込んでつくったというようなことですが、この点では、非常に、競技場立場の精神がいい。まことにスポーツマン精神に基づいて、他に迷惑をかけず、みずからがこれを耕し、みずからの力でならし、その上に自分たちのメッカをつくったという意味で、非常に重要なものだと私は思っておるのです。ところが、このラグビー競技場は、近来芝生がぼろぼろで、それから排水も悪く、照れば馬場みたいな、馬の調教をするようなところみたいになったり、雨が降ればどろんこで、昔のシナ戦線みたいで、これは話にならないのです。これの関係をやはり整備をして、ラグビーに命をかけている青少年、学生の壮気を成果としなければならない。私は、そういう意味で、ラクビー競技場を大改築すべし、また競技場内の芝生、グラウンドをこの際徹底的に直してもらいたいというわけです。これは去年の末ごろから非常に人気があふれてきた。一つは、早稲田大学のラグビー部というものが、現役の選手、OB一体になって、勝利を獲得しよう、いかにも学生らしさがあふれておる、チームプレーに徹底しておるというので、去年の十二月ごろからにわかに人気が出て、ことしの日本選手権におきましては、一月十五日、成人の日でもあり、晴天の関係もありましたが、早稲田と新日本製鉄釜石の決勝戦は超満員であった。私も当日NHKの「青年の主張」皇太子御夫妻か来られての、あれに出席していたか、途中で抜け出して、そしてあと十五分で終了というところで行ってみると、満員札どめというのです。入れないのですが、まあ私は顔ですから、何とか入れたわけですけれども、驚いたです。五、六千人の者が場外にあふれておる。こういう状態でございますから、ぜひともこの機会にラグビー競技場を大改築して、そしていまや人気のあふれておるこの競技を一そう高めていく必要がありはしないか。オリンピック大会などというものがありますと、冬季競技も非常な人気で、ことしは札幌のプレオリンピックが非常な盛会でありました。NHKが相当ばく大な金を使って大会に協力し、またカラー中継などもしまして、冬季というもののおもしろさも見られたけれども、何といったって、興味は、戸外で戦うベースボールあるいはラグビー、サッカーというものにやはりとどめを刺す。それに水陸両競技というものがメジャースポーツと言えるでしょう。オリンピック大会と関係のないラグビー競技場が今日まで一番立ちおくれておったということでありますので、ぜひ改築をしていただきたい。文部省はことし予算を計上して、クラブハウスの建築ということについては費用が出ておりますが、四十七年度においては、すなわち来年度においては、ラグビー競技場の大改築ということに着手をしてもらえないか。これは最近スポーツ界全体をあげての声でもあります。わりあいラグビーの人は自立精神が高いがために、あまり陳情をしないのです、競技場をつくったいきさつからして。そういう意味合いで、私がかわりに申しておるわけではないけれども、スポーツ議員懇談会の社会党の阪上君、辻原さん、あるいは党の大石君、河野謙三さん、相当多くの人に相談申し上げましたら、ぜひ機会があったら、予算委員会の分科会でも言うてくれ、こういうことでございましたので、御提議を申し上げておる次第であります。
○坂田国務大臣 国立競技場の秩父宮ラグビー場のクラブハウスにつきましては、施設の規模が狭隘でございますし、また老朽化しておりますので、昭和四十五年度予算におきまして新築いたすことにして、現在建設中でございます。またラグビーの試合は、雨天あるいは雪降りにもかかわりませず行なわれるために、芝のいたみも激しく、その補修に大体毎年二百万円の補修費を投じてやってきております。昭和四十五年度はグラウンドの補修を含めまして約八百万円を投じて補修を行なうこととしておるのございます。
 なおスタンドの補修につきましては、オリンピック東京大会のときに改造、修理をいたしましたが、七年を経過しました現在、いたみも生じておりますので、今後国立競技場の意見を聞き、また先生方の御意見等も承りまして、改修につきまして前向きに検討してまいりたい、かように考えております。
 実は私も昨年の夏、菅平へ体操競技の合宿練習を見に参りました。その帰りに、ちょうどオールジャパンのラグビーの合宿練習をやっておりまして、私それを見まして、大いに力強く感じたわけでございます。御指摘のとおり最近非常に熱が高まってまいりましたので、こういうじみではございますけれども従来非常に自主的にやっておられたラグビー場の改築について、よく御相談をいたしまして、改善をすることに努力をいたしたいというふうに思っております。
○川崎(秀)分科員 要点はそのとおりでございますから、さらに私は具体的に申し上げてみたいと思うのです。
 あのラグビーの競技場は、何万入るのか実際にはよくわからないのです。一万五、六千か、まあ二万ぐらいだろうと思うのですが、中央スタンドだけは人数が四、五千人から六千人ぐらいまで入れるが、あとはばらっとしておって、立っておれば相当入れると思うけれども、御案内のように、イギリスでは最近サッカーの競技に興奮したる観衆が、帰りがけに、出るお客と、一ぺん外へ出ていたお客が、あと一分というところで自分の地元が一点入れたものだから、もう一ぺん見ようというお客と重なって、六十何人か死者を出した。ちょうどあれと同じような古さですね、あそこの中央スタンドは。出入口もトンネル一つしかない。よく事故が出ないものかと思うが、事故が出ないのは、いまのラグビーの競技場に集まる観衆は、これはいまの日本のスポーツにおいて最もリファインされた、それから出るときも粛々として出る、実に上品な観衆です。この間も私は非常に驚いたのだが、早稲田の女の子が三人、早稲田が後半で追い込まれておったけれども、最後にとどめと思われるワントライ入れたら、よかったわね、これで勝ったわねと言う。ひそひそ言うとるのですな。これはよその競技場なら大騒ぎです。ところが、ラグビーでは、試合が終わるまでは、あまり敵を刺激をしないという意味で、応援も相手を罵倒するようなことは一つも言わぬ。味方への拍手が主です。上品な観衆ですから、したがっていままで事故が起こらなかった。今後はあんな盛んな試合がどんどんとなると必ず事故が起こると私は思いますので、その意味で今度のラグビー競技場の改築は、スタンドを五万人の収容能力のあるものにしてもらいたい。片側中央が二万四、五千、あとぐるっと回って五万ということで構想を立ててもらったらどうかと思うのです。そういう意味できょうは具体的な提案を申し上げたわけですが、もう一つこの機会に文部大臣に申し上げたいのは、実はこの競技場の建設をラグビー関係者が自力でやった。故香山蕃氏をはじめ、難波経一君、山陽パルプの社長です。あるいはまあラグビーの先輩というのは財界ではかなり出世しておる人が多いらしくて、各会社のいいところもいますが、その連中がみんな香山蕃君の指令に基づいて、自分らで昔のことを思い出し、もっこをかついでつくった。もっとも秩父宮御自身が非常にラグビー競技を好きであったという、それが響いておる点もあるとは思います。私はラグビーのことでは、これは日本のスポーツ界に美風をうたわれた点では、三つないしは四つほどの佳話があると思う。それは、自力でやったことが一つと、第二は、オリンピックの競技場が非常に困ったことがある。オリンピックの国立競技場、主競技場は前からアジア大会のときからできておったわけですが、プールをどこにしようかということで困って、いまのラグビー場にしようという考えを安易に日本体育協会関係者が立てて、香山蕃君――そのころはまだラグビーは日本体育協会の、国立競技場の関係には復帰しておらなかったので、それで取り上げようとしたのですな。で、閣内の水田大蔵大臣それから荒木文部大臣、これが体協に口説かれ、香山蕃君のところへひざ詰め談判に行って、お願いしたい、何とかあれを水泳のプールにしようと言ったら、冗談言うな、これはわれわれが自力でつくったところであることが一つ、もう一つ忘れておるのは、朝霞村に選手村をつくろうというようなことを言っておるけれども、あんな遠いところへ選手村をつくってうまいこといくわけがない、選手村はアメリカに談判したら、アメリカの言うことだ、代々木の原っぱを返してくれるぞとがんばったのですな。それで、おれは断じてこの競技場を退かぬと言うていまの秩父宮ラグビー競技場が残って、そして香山君の言うとおりですな。また朝霞のキャンプも代々木の選手村に移ったという、このいきさつがあるのです。私はそのときに政界にいなかった。休憩中であった。落選中でした。ところが大野伴睦さんのところへ行ってこの話をしたら、もっともだ、そんな朝霞みたいなところへ選手村がいって、会期中選手がお通りになるときに東京じゅうが交通遮断なんかしてたまるものか、選手さまのお通りに交通遮断しては困る、それはラグビー協会長の言うことは正論だと言うて、党内をとりまとめてくれた非常な深い思い出が私にはあるのです。それから第三には、一時ギャンブルから金をもらうのはアマチュアスポーツを害するというて、香山君以下ラグビー協会の連中は全部体協から脱退したことがあるのですな。これも一つの哲理であるけれども、しかしいまのスポーツ界では、やはり競輪や競艇の金をもらわなければ、そう財源があるわけではないので、これは少し行き過ぎであったかもしれぬけれども、アマチュアスポーツの精神ということから言えば、非常に高く評価されてよいのではないか。この三つの佳話をラグビー関係者というものは持っておる。ことし早稲田大学のラグビーが勝った。私は早稲田の出だから言うわけではない。別にこれは日鉄釜石が勝とうが、どっちが勝とうがかまわぬ。しかし、ことしだけは早稲田が勝ったほうがいいだろうという一般の風潮であった。それは何かというと、それは選手のからだが必ずしもよくない。フォワードは日鉄釜石並びに日体大に比して身長で〇・三、四センチ低い、それから体重で五キロぐらい軽いのにもかかわらず、この強敵を破った。要するに十五人が一体として活動すれば、そして先輩が金を出し合って合宿をさせたりいろいろなことをすれば、非力の者でも勝てるのだ、こういう精神を発揮したので、非常に人気は向上してきた。文部大臣賞というものがあるならば、世界記録の持ち主なんかにやるよりは、ことしは早稲田大学ラグビー部にやってくれ。ほんとうです。そういう感じを私は持っておるのです。そういう意味で、近ごろあらゆるスポーツが腐敗堕落をしようとしおるその中に一服の清涼剤である。そして社会に出た後にも相当に活動を続けておる人々の多いこのラグビー競技のことに対して、いまや国が援助を差し伸べて、国立競技場になったのですから、この機会に排水のよい競技場に直してやる。それからその間はもし競技場の改築が長くなれば、第二競技場みたいなものを便宜的にどこかの競技場でも借りて、その期間のものは国がめんどうを見るというような方式で、この競技場を直してやらなければいかぬじゃないか。ラグビーは昔はイギリスの関係国だけしかやっておらなかったが、フランスもやるようになった。香港、マレーシア、それから南ア、ニュージーランド、オーストラリア、将来世界選手権もできるのです。そういう意味におきまして最も男性的な、最もアマチュア的な、最近におけるスポーツ界の精神の粋を集めておる意味での競技場の改築に、ひとつ御協力あらんことをお願いしたい。大臣の答弁を再度お願いをいたしておくとともに、再来年度、四十七年の予算でこれを実施しようとする気がまえであるかどうか、木田局長にも承っておきたい。
○坂田国務大臣 るる川崎先生から建設的な御意見を賜わりまして、私も同感でございます。十分皆さん方と相談の上、前向きに検討してまいりたいと思っております。
○木田政府委員 いま大臣がお答えになったことにつきまして、私どもも十分関係者と相談をしてみたいと思っております。御指摘のように、ラグビーが非常に多くの若者たちから関心を高く持たれるようになってまいりまして、喜ばしいことだと思っておりますが、現在の段階の利用状況は、大体平均千五百から二千人ぐらいの観客というふうに見ております。またスペースの関係等もございますし、いろいろとあの競技場の機能が、国立の競技施設として十分に果たせるようにということは、これは私どもの当然のつとめでございますけれども、大きさとか、その他機能の果たし方がどうあるがいいかということについては、ラグビーの御関係の方々とも十分相談をして進めてまいりたいというふうに思っております。
○川崎(秀)分科員 いま最近の統計、それは去年までの統計で、去年の暮れからは平均は千人や二千人じゃないです。それはやはり大学リーグが白熱してきた、早稲田が勝ちそうだ、日体大も法政、明治、慶応も強いということになってからは、私は三回行きましたが、たいがい六千、七千から二万近く入ったのもある。ですから、そういう、名前を出してはあれだけれども、二流、三流の大学同士でやれば千人から千二百人でしょう。そういうわけですから、それはあなた、野球なんかでも、巨人の試合なら満員だけれども、ほかの試合で観衆六百何十人というものがあるのですから、そんな小さなことを例に、平均の統計ばかりとられてはだめだ。そういうふうに変わってきている。一月十五日は満員札どめです。国際試合なら満員札どめになる、これから先はラグビー競技というものは非常にまじめで気合いが入ってるということで、いま民心を打っていますから、そういう意味での御対処をお願いいたしたい。五万はかりに無理でも、四万でもよろしい。この間でも外にあふれたというのは三万四、五千だと思うのです。だから、四万以上はどうしてもなければならぬ、国際試合並びに早慶両校あるいは明治、日体大がやるときには。そういう意味で、やはりマキシマムのほうも考えなければ、ミニマムばかりでは困る。どうぞひとつそういう意味での御奮発をお願いいたしたいと思います。
 ラグビー競技場の問題はそれだけでございますが、あとはきわめて簡単に。
 これは私、会長をしております関係で、あまり強く主張するわけではございませんが、おかげをもちまして国際青少年の交流が非常に軌道にのぼっておる。今年も四千万円の予算を協力していただいて非常に感謝しておる。これは毎年毎年志願者も多くなりまして、相手国も責任をもって分担をしてくれるものもあります。われわれも手前みそばかり申し述べるのではなしに、実際に去年あたり南のほうの国で、ひどい国もあるわけですな。こっちへ来て、さんざっぱらやっかいになっていながら、そのやっかいになった本人すなわち代表国のセクレタリーが、こちらの代表団が向こうへ行ってみたら本人がバカンスでいないというのです。だれかに頼んであったかというと、頼んでないというのです。そういう南――名前をあげるのはその国の非常な恥になるのでやめます。日本代表団から不満が出ました。それは、われわれが命令をしまして、そんなことが起こったのは残念だ、団員に対し、その分だけ、金を返せと言った。そんなことでおさめましたが、例外もあります。おかげをもちましてその他の交歓は非常にうまくいって、ことに日本での接待について、新しく文部省から派遣されたるこれらの海外青年の諸君が青年友の会というのをつくって受け入れをしております。たいへんなことです、事後活動をしておるわけですから。また共産圏なんかから来るのは、一つは国の費用で来る関係もあって、えらい優秀なのが来るのですね。おととしルーマニアの団長で来たのは、去年ルーマニアに行ったらいる。おまえいま何だと言ったら、国会の議院運営委員長だというのです。それはそれまでは何でもなかったのです。帰ってから代議士になって、議院運営委員長になった。日本でもあの団体で行きました中に、森喜朗君だとかあるいは中山正暉君のように代議士になった者もあるし、やがてそれぞれの国の指導的幹部になり得る者も養成しておるわけでございますので、明後年から一段とさらに御協力のほどをお願いしたいと思う次第であります。
 これをもって私の質問を終わりますが、御答弁がありましたら……。
○坂田国務大臣 青少年の国際交流ということは、まことに意義の深いことでございます。私どもも一そうこれを活発に進めていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。さらにこれを積極的に推進するためには、やはりこの国際交流を担当するところの機構の整備、それを検討する必要があるのではなかろうかということを考えまして、総理府青少年対策本部の調整を待ちつつ、前向きに取り組んでいきたい、かように考えております。
○川崎(秀)分科員 局長、何かありませんか。――それではどうも……。
○田中主査 辻原弘市君。
○辻原分科員 三、四点お伺いいしたいと思います。
 最初に、これはせんだっての毎日新聞の夕刊でありますが、たぶん御存じだと思いますけれども、ある下町の小学校で、これは父兄と先生が中心で、公害による子供の健康を調査をしたところが、その新聞に出ておりますように、ぜんそく児童が四年間に十一倍になっておるという結果がわかったということであります。それから驚いてといいますか、非常に事態を重視して、この問題を少なくとも自分の学校のみならず、全国的な運動にまで広げたいということで、非常に御熱心にやっておられるということを私は夕刊で見て、さらに少しその辺の事情を調べてみたのであります。これは一つの東京における学校の例ではなくて、おそらくや今日問題になっております大気汚染あるいは水質汚濁地域その他有害食品等々による公害が問題化している地域の学校には、大なり小なりこの種の児童のいわゆる公害による諸疾病というものが起きているのではなかろうか、こういうことを私想像するわけであります。
 そこで、時間もありませんから、詳しい事例についてのあれは省きまして、この新聞にも、当該学校の希望が詳しく述べられておりますように、必要なことは、現在学校で定期的にあるいは臨時的に就学時あるいはそれぞれ毎年時健康診断をやっております。ところがこの健康診断をやっておる根拠になっておる学校保健法は、これは昭和三十三年の法律第五十六号に基づいたもので、その後の社会生活と申しますか、社会のいろいろな変化に必ずしも対応しているとは考えられないのであります。ずっと法律から規則に至るまで私精読をしてみたのでありますが、この学校の健診という問題にひとつ今日的問題である公害に関する疾病を積極的に取り入れてはどうか、こういうことを私は感ずるのでありますが、大臣の御所見を冒頭に承っておきたいと思います。
○木田政府委員 大気汚染等の公害に起因いたします疾病といたしましては、御承知のように、目でありますとかあるいは鼻、咽喉の病気あるいはぜんそく等が一番多い例症としてあがってくるわけでございます。いま御指摘のございました学校保健法の定期診断あるいは臨時に行なわれます健康診断といわるべきものにつきましては、検査項目を定めてございまして、これは辻原委員御存じのとおりでございますけれども、身長、体重等をはかりますほか、眼疾あるいは耳鼻咽喉の疾患、皮膚の疾患の有無等を、歯の治療とか結核の治療、寄生虫等とあわせて見ておるわけであります。あるいはまた内科の疾患等も含めまして検査をいたしておるわけでございます。したがいまして、私どもも、統計の上から、全般的には最近ぜんそくの子供の比率がふえてきておるということは、この健康診断の結果の全国統計を通じて一応承知はいたしております。いま御指摘のございました新聞では十倍をこえる伸び方というふうになっておりますが、昭和四十二年から四十四年の段階でとってみまして。ぜんそくだけは全国的に小中学校とも五割前後の伸びというふうに出ております。これらの結果も結局定期の健康診断によります検査項目によって一応は把握ができるわけでございますから、その後の措置をどのように進めていくかということを、いま公害の関係で子供たちの病気をどうするかという問題の高まっております際に、私どもといたしましても進めてまいりたいというふうに考えておりまして、四十六年度には、学校がその必要を感じまして、特別の健康診断をし、また定期の健康診断の結果、さらに追跡して精密な診断ができるように予算上も補助をしてまいる、特別診断を積極的にやりやすくするというような措置を講じておる次第でございまして、一応現在の診断項目を定期の健康診断でとることによりまして十分に把握できるものではないかというふうに考えております。ただ、御指摘がございましたように、じゃいま定期の健康診断でやっておる検診の項目にいたしましても、その見方といいますか注意すべき点等について今日の時代に適合したような検査のしかたといいますか、見方をしなければならないのではないかというところから、二、三年来保健体育審議会で新しい診断項目とその診断のしかたということについて検討をいたしておりまして、近く、この四、五月ごろまでには答申をもらえると思っておりますから、その答申を得まして、遺憾のないように進めてまいりたいと考えております。
○辻原分科員 確かに法律それから政令、規則の範囲内で一応全般についての健康診断をやれるようにはできております。しかし実際問題はどうかというと、これは長い間ずっと学校の定期健診というのは大体同じような形式でやってきておりますから、どうしてもそういう惰性がある。身長、体重、病気といえばトラコーマかあるいは結核については多少注意を払う。それともう一つは、これは若干言いにくいことでありますけれども、学校医の委嘱という問題も従来いろいろ問題になって、最近のようにいわゆるお医者さんが特に非常に忙しい、ある場合には医者が営業的に活動すれば相当の収益もある、こういうような時代になると、たとえ短時間でも学校医になることはそういう営業活動が阻害される。しかもわずかしか手当をくれない。こういうことで、どちらかというとまあ社会奉仕的な意味でやってくれているお医者さんが多いわけで、そういうことから、考えても、はたしてかなりむずかしいそういった病気の発見にまで手が届いているかどうか、ややこれは疑問の点もございます。そういった点から、一応やれるにしても、やはりある場合においては非常に発見がむずかしい、ある場合においてはすぐさま治療に適切な指示もしなければならぬ。そういうのが公害病の本態なんですから、したがって注意を喚起する意味においても、私はせっかく法律にあるいは規則にずらずらっと検査項目をあげているわけですから、その中に一つ公害等に起因する疾病といったようなことをあげておいてはどうか、それがむしろ時代としては適切じゃなかろうか、私はそう思うのです。その点について大臣、これはきわめて常識的なんですがね。
 それと、時間もありますから続いて申し上げますが、いま局長も言われたように、現在これらの学校健診のあり方について保健体育審議会に諮問をせられているということを私はよく承知をしております。諮問したのはたしか昭和四十三年ではなかったかと思うのでありますが、さっきの御答弁では、四、五月ごろには云々というお話がありましたから、あえてそのことの遅滞については私は云々しませんけれども、四十三年からいままでかかってどうして結論が出ないのか。これも私は少し間延びし過ぎているという感じが深いのです。しかし、せっかく諮問をされて結論を出されるのであれば、少しこの学校健診制度というものも時代に合わしたような形に改められてはどうか。そのほうが私はむしろ適切だと思うので、せめてせっかく文部省も本年度特別健康診断というか特別児童の健康増進のために予算まで若干盛られておるわけですから、そういう趣旨からかんがみてみても、法律あるいは政令、規則等の体系をそれに合わして整備されてはいかがか。公害等による疾病というものを一項設けられてはどうかということについて、ひとつ大臣の率直なお考えを聞いておきたいと思います。
○坂田国務大臣 いま御指摘になりましたような点につきまして、やはり公害がやかましくいわれておるときでございますから、公害による疾病ということについて、ひとつこれも検討いたしたいというふうに思います。いま局長から御説明申し上げたわけでございますが、大気汚染などの公害の影響を受けておる地域の小学校とかあるいは中学校の生徒、児童を対象としまして、アンケートによる自覚症状等の調査、これは第一次検診、それに内科、眼科、耳鼻咽喉科の三診療科を中心とする第二次検診、及び疾病が発見され、もしくは疾病の疑いのあるものを対象とした専門医療機関における精密検査、これは第三次検診、こういうことを四十六年度から特別健康診断として行なうということになっておりますし、疾病の早期発見と適切な事後措置の徹底をはかるよう計画をいたしておるわけであります。このために市町村に対しても補助を出すということを昭和四十六年度からお願いをするということになっております。公害の疾病につきましては、よくひとつ検討させていただきたいというふうに思います。
○辻原分科員 私が申し上げる観点といま大臣がお答えになった観点とはやや違うのです。というのは、文部省が千七百万ですか予算を盛られて、これは非常にけっこうなことだと思うので、その点については大いに拡大をされていったらいいと私は思います。ただしかし、これはどちらかというと、むしろ定期健診等で発見をされたその後の措置についてのあれが重点ではなかろうかと思うのです。私が言うのはむしろ、全国的に必ずしも大気汚染だけじゃありませんから、水質汚濁もあれば、薬品公害あるいは食品公害等々に起因する疾病等もあるわけですから、そういうことになりますと、医者のほうもあるいは学校自体もかなり注意をしておらないと、なかなか通り一ぺんの健康診断だけで発見をされ、適切な指導をするということはむずかしいのじゃなかろうか、こういう感じがするわけです。したがって、大気汚染といえば、大体これは大都市中心なんですがね。そうでなくても全国的にかなり公害病というのはあるわけだから、ひとつこの際、学校のいわゆる就学前における定期健診、それから定期的な毎年度の健診あるいは教職員に対する健康診断書等々、先ほど申し上げた学校保健法に定められておる一切の健康診断について、先ほど申し上げたように注意を喚起するという意味で、現在でもやれないことはないのです、現在の法でも「その他の疾病」とありまするし、やれないことはありませんけれども、やはりいままでのこの規則の中にあえて「結核の有無」と書いているわけですね。こういうふうに具体的に書いているから、それについては非常に注意を払って見ているわけです。あるいは眼疾、これは明瞭に書いているわけですね。したがって、まあさっきおっしゃったようなこのぜんそくについては非常に発見がしやすい。だから定期健診でひっかかってきますけれども、その他の公害病についてはむしろなかなかむずかしい。だからどうしても私は、それらの学校健診、いわゆる学校の健康診断の中に、やはりこれは法律事項ではありませんから、文部省の規則で十分これは変えられ得るわけですから、だから「結核の有無」と書いてあるこれと同じように、公害に起因する疾病の有無とか、そういうことを一項起こされたほうが適切だと私は言うわけです。なぜかといえば、これは最近の疾病の状況というのも御存じのとおり変わってきているわけで、われわれが子供のころ学校で健診すれば、必ずいわゆるトラコーマについては非常に綿密にやってくれたわけですね。ところが最近トラコーマの子供というのは非常に少なくなってきております、これは実態を見ても。結核はそのとおりですね。そういうふうに時代によって病気の種類というものも非常に変わってきているわけなんで、したがって、そういう一時代前に重点を置いた保健法だと私は思うので、そういう意味でやはりこれを少し変えられたほうが適切であろう、こういう意味なんです。だから文部省が積極的な心組みで公害病についての特別な健診制度というものを予算化されたこのことは非常にけっこうなんで、同時に、それを学校健診制度の制度化として一般的な診断の中で注意を喚起する方途を十分講じてもらいたいというのが趣旨なんです。
○坂田国務大臣 第一段と第二段に分けてお話を申し上げたわけで、第二段はまさに先生いま御指摘のとおりなんで、それにつきましてひとつ検討しようということを申し上げておるわけです。法令も、省令等で改正するということのほうが、注意を喚起し、時代に適し、非常にいいんじゃないか、こういう御趣旨だと思うのでございます。それを検討さしていただく、こういうふうに御理解を賜わりたいと思います。
○辻原分科員 それではもう一点。それはよくわかりました。そして保健体育審議会の答申はおおむね四、五月に得られるということは確認してよろしゅうございますね。その際にこれはあわせておやりいただく、こういうことですね。
○木田政府委員 公害というのは一つの原因でございますから、その原因によって最近ぜんそくでありますとか、あるいは結膜炎でありますとか、鼻炎等の症状の子供が多くなっておるということが、御指摘のように公害病といわれるものだと思います。しかし病気の扱い方としては、これは技術的なことでございますけれども、公害病というものではなくて、やはり最近ふえておる病気の種類をどういう角度から検査するかという技術的なことは、十分に改めてまいりたいというふうに考えております。結局ぜんそく、鼻炎あるいは結膜炎、あるいはその他特定の病名のものをどういうふうにしたらキャッチできるかということにつとめることによりまして、公害に起因したものであるとか、あるいはそのほかの原因が他にあるとか、いろいろなことが理解できるようになってまいるものだと思います。
 ただ、ひとつ御了解を願いたいと思いますことは、最近学校で検査をいたします病気につきましても、非常に技術的に高度な検査等を必要とするものも出てまいりまして、どの範囲まで学校でどういうふうにキャッチできるかということはいろいろと私どもも考えなければならぬ問題点がございますから、いま保健体育審議会で検討をいたしておりますのは、最近ふえております子供たちの病気のつかまえ方、その処理のしかた、こういうことを技術的に改めてまいることによりまして、先生の御指摘になった御趣旨は十分に私ども含んでおるつもりと考えております。
 重ねてくどいようでありますけれども、公害病というものがその健康診断項目の中に入る、そういうことばの問題としてはあるいは御指摘のようなことにならないかもしれません。検査の方法としては、ぜんそくそのものであり、眼疾そのものであるということでございまして、それを学校でどう検査できるかという技術の問題に終わるかもしれませんけれども、御指摘になりました御趣意は十分に含んでおるつもりでございます。
○辻原分科員 そこで、本年度文部省が積極的な施策として取り上げた特別健康診断費とでもいいますか、その問題でありますが、これは初年度の計画として三百八十八校、二十一万人を対象にするという計画のようでありますが、問題は三分の一の補助ということで、はたして三分の二を負担して地方公共団体が積極的にこの問題に取り組んでくるかどうか、ちょっと疑問であります。せっかくの心組みが、しかも必要なことでありながら、うっかりすると予算上の問題から経費の上の関係から消極的になりはせぬかということ。やりたいところ、たとえばこれは給食なんかでも同じなんですけれども、それぞれ設置者なり義務者が経費の関係から、学校現場においては非常に希望する、ところが行政のほうではどっちかというとしりごみをする、こういう傾向が間々あるわけなんです。私はそのことをこの問題についてもおそれる。必要だけれども、やはり希望ということを前提にして考えているということなら、希望がなければこれはやれぬ。ですから三分の一といわず、せめて半分くらい、たいした予算じゃありませんから、半分くらいは国が出して、積極的に全額国庫負担でやりなさいということを私も言いたいのですけれども、まあそれも三分の一から全額ということになると少し飛躍をするから、少なくても半分くらいを出して、ひとつ地方公共団体も積極的にこの問題について乗り出してこれるような、そういう方法を考えられたらどうかと思うのですが、大臣、どうでしょうその点は。
○木田政府委員 本年度のことでございますので、どの程度の実情で地方公共団体のこういう問題に対する取り組み方を進めることができるか、私どもも一応状況を見まして次のことも考えてみたいと思っております。三百八十八というのも一応の積算でございまして、あるいはもっともっとふえるかもしれません。そうした動きはしばらく時をかしていただきたいと思います。
○辻原分科員 それじゃ次の問題に移りたいと思いますが、それは海外に在住をしておられる日本人の子弟の、特に義務教育に関する問題について、これは外務省と文部省両方に私はお尋ねをしたいと思うのですが、私どもときどき海外に出かけまして、積極的に海外で事業活動をやっておられる方、あるいは在外公館等に勤務していらっしゃる方、あるいはまた二世、三世、こういった人々から特に子供の教育問題について非常に強い注文があるわけなんです。私もそういうところから、ときどき出ましたときに、注意をして現地のいわゆる日本人学校というものを拝見させてもらったり、あるいは先生方やあるいは経営者の方々と懇談をする機会を持ったことがあります。特にそのときに私が感じましたのは、一体海外の日本人学校というものはだれがつくるのか、だれが設置者であるのか、この点に非常に強い疑問を持ったわけですが、一体海外の日本人学校というものは、だれが設置者なのでしょうか、この点をひとつまず伺ってみたい。簡単でけっこうです。
○遠藤説明員 これはその場所によって状況は違っております。大体におきましては、その学校のための理事会もしくは日本人会というようなものが主体になるわけでございます。現在、全世界に二十三校そういう学校がございますが、いろいろな場合があるわけで、一がには申し上げられないわけですが、大体において現地におります日本人の何かの形の団体というのが主体でございます。これに対しまして、現地の在外公館が何かの形で加わるというかっこうになっております。
○辻原分科員 国立のはありますか。
○遠藤説明員 国立というものはございません。
○辻原分科員 これは外務省からいただいた資料なんですが、これをうっかり読みますと、何だか国がやっているような印象を与えるのですよ。ちょっと読んでみましょうか。これは四十六年度の施策なのですが、一つは「日本人学校の拡充強化」「日本人学校は、昭和四五年度現在二三校設立されているが、新たに、デュッセルドルフ、リオ・デ・ジャネイロ、高雄、コンゴーの四地域に設置を図り、教員を派遣する。」こう書いてありますね。以降そういう表現がずっと出ておって、私は自分でずっと回った記憶によると、国が積極的に所管をしたり、あるいは少なくともかなりの責任を持ってやっているという日本人学校はあまり知らないのですけれども、しかし外務省の資料を見ると、本年度はここに日本人学校を設置する、教員を派遣すると書かれておるから、何だかこれは国がつくったり、国が増設をしたり、教員のあれをやったりするというような印象を受けるのですが、現実は必ずしもそうじゃございませんですね。もちろん、教員の派遣についてはあれだけれども、要するに私の言いたいことは、在海外の日本人学校というもののいわゆる設置運営の主体というものが、いまおっしゃったとおりまことに千差万別、しかも、規模においても大小さまざま、また管理運営等々についても、まことにさだかではない。その後段にある補習学校とか、あるいはたとえば南米、いわゆる中南米諸国に行きますと、非常に日本人の歴史も古いものだから、ずっと古い歴史を持った日本人学校があります。これは必ずしも海外に臨時的に日本人が出かけた、その子弟が行く学校ではなくて、むしろ二世、三世、場合によりますと四世、こういった、もう現地にずっと住んでおられる人々の子供さんが行かれる学校、これはあります。それはそれとして歴史も伝統もありますからよろしいのですが、しかし現在、最近のこの海外活動が活発な状況にかんがみて、日本人の海外に出ていかれる数というものも例年非常にふえている。私の記憶では、おそらく七万名以上に達しているのじゃないかと思うのです。外務省の資料によりますると、約七千名程度の義務教育の該当者がおるということも述べられておりますが、おそらく実際はそれ以上でしょう。把握できていない部分も含めると、一万名に近いのじゃないかと私は想像しているのですが、少なくともこの対象は義務教育なんですから、しかもほとんどは公務によって出かけた方々、そうでしょう。営業活動あるいは在外公館勤務、いろいろなそういう公務によって行かれる人々の子弟の義務教育、それがこういう姿で、はたして、ますます国際化していく時代を迎えていいのであろうかということを思うわけです。予算はことしは、去年の三億に比べて、六億程度としてふやしておられますけれども、私の言わんとするところは、もちろん予算もさることながら、いわゆる運営の一元化というか、運営指導方針の確立というか、そういうことをもう少し頭に置いていただきたいということなんです。
 しかもこれは外務省が主管されているわけですね。そうして文部省がこれに協力をされている形、一体それもはたして適切であろうか。文部省はこれは文化庁でおやりになっているのでしょう。そういうことも、はたしてこれは、義務教育と銘打ってやる限りにおいていい方法であろうか。教育の機会均等というのは、これは地域的に機会均等ということじゃなくて、すべての国民に対する機会均等をいうわけなんだから、かりに海外におられようと、その子弟に少なくとも義務教育としての最低の基準というか、そういうものを与えるという意味において、いささかどこかが足りないような気がするわけです。この辺のところは一体どうでしょうか。
○安達政府委員 海外勤務者の義務教育段階にある子供の義務教育はどうなっているかということが一つございます。これを純粋に法律的に考えますれば、これらの海外におきまして、日本の国内法は一応効力を及ぼさないという観点からすれば、純粋なる義務教育と観念することは困難かと思いますけれども、御指摘のとおり、日本人である限り教育の機会が均等に与えらるべきであるという観点からすれば、これらの子女の教育を日本の国内に在住する子女と同等にまで上げるように努力をしなければならない、こういう観点で考えておるわけでございます。
 現在、この子女の教育につきましては、先ほど外務省から御説明ございましたように、それぞれの地域におきまして学校を設立し、これに教員を派遣しあるいは教材を供与するというようなことにつきましては、文部省側のほうでお世話をしておる、こういうことでございます。
 御指摘のように、これらの学校の法的地位は明らかでないということがございます。これは国内法上ではございませんから当然でございまするし、また受け入れの国の立場から見ますと、これを一定のフォームのもとに、すべての国に共通するようなものを考えても、相手国がこれを受け入れないというような事情もあるわけでございます。したがいまして、現段階としては、それぞれ現地の在留の日本人会等が設置者であるわけでございますけれども、できるだけ国の力によりましてこれらの教育の水準をあげるということで、いうならば、心の中では、私立ではなくて、これが国立、公立に近いような形での運営をしていくようにしたいものだ、こういうことで内容の充実に力を入れておるわけでございます。
 ただ、これらの学校の地位ということはさておいても、これらの学校の運営について御指摘のような点を十分考慮する必要がある、こういうようなことが課題でございまして、この一月二十九日に海外子女教育振興財団という、民間の手になるところの財団法人が出発いたしました。そこで、この財団の発足を契機にいたしまして、外務省、文部省それから海外子女教育振興財団という中で相互に連絡をはかりまして、これらの学校の水準、基準の問題、あるいはまた運営の問題等につきましても、現段階にできるところの適切なる指導方策等を考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
 なお、文化庁がこの問題をやっているということにつきましては、これは現在文化庁に国際文化課という課がございまして、これが国際交流といいますか、海外に関することは、文化のみならず教育のことも担当するということでございまして、そういう観点でございますけれども、もちろん直接の初等中等教育局とも、また国立大学との関係で大学学術局とも密接なる連絡のもとにこの仕事に当たっている次第でございます。
○辻原分科員 外務省がやることが悪いとか、あるいは文化庁がやることが悪いとかいうのじゃありませんが、この在外人教育、特に義務教育の子供を扱うということについては、単なる国際文化交流という範疇とは少し違うわけですね。だから、問題は、やはり日本国内における義務教育水準に照らして、それに均衡を失しない教育を与えるということを主眼にしたならば、もう少しくふう改善があっていいのではないか、こう私は思うわけです。おそらくいろいろな不便が出ておると思います。
 そこで、具体的にちょっとお伺いいたしますけれども、かなりいろいろくふうをされて、教員の確保については前進を見ているようであります。ありますが、この派遣される教員の身分というのはどこに属しますか。
○安達政府委員 現在百名の教員が派遣されておりますが、その内訳と申しますか……
○辻原分科員 それはけっこうです。こまかい点はけっこうです、わかりますから、身分はどこに属しますか。
○安達政府委員 身分は、国立学校の教員のままで派遣されておる人は出張扱いでございまして、この当該国立大学付属の教官の身分を有しておるわけでございます。それから、公立学校の教官で派遣されている人の身分は、現在のところ必ずしも統一的ではございませんが、いわゆる国立学校と同じような形で出張扱いになっている者、あるいは職務専念義務の免除になっておる者、あるいは休職というような取り扱いがございます。私どもは、なるべく国立大学の線に沿って、一種の研修とみなしまして、現職のままで派遣されるように、いろいろな諸般の措置を講じておるわけでございます。
○辻原分科員 いろいろなんですね。いろいろくふうをこらしている点はよくわかりますけれども、こういう点がなかなか、希望者が偏在をするということにもなりますし、いいところへは多少の不安があっても行ってみたいという意欲を持っておられる先生がある。しかし、どうも、身分上の扱いも、休職もあれば、職務専念の義務を免除されて、ただそれだけで行っており、帰ってきた場合に一体どういう扱いを受けるのか、その身分保証もさだかではない。そこらにも私は一つ問題があるように思う。
 それで、たとえばここに香港があがっておりますが、私は香港を例にとって、いろいろと現地でも先生方の意見を聞いたわけですが、ここは茨城大学の教育学部があっせんをされて、非常に優秀な先生が行っておられる、文部省が、外務省が、とおっしゃるのだけれども、こと教員については、結局教員養成大学にある程度おんぶしているという形ですね。そうすると、これは国立大学としても、自分の優秀な人を派遣するわけですから、どうしても長期にわたってそれを認めておくというわけにいかぬから、ある期間が来れば、やはり一ぺん帰ってきてもらって、新しい人をまた派遣するというような措置に出ざるを得ない。これでは、現地で腰を落ちつけて、はたして教育に専念できるか。ここらにも私は問題があると思う。私の記憶によれば、たとえば、戦前に非常にたくさん出かけられておった。朝鮮は少し事情が違いますけれども、当時のいわゆるシナあるいは満州等では、たしか外務省の嘱託か外務省の職員という形で行っておったような記憶がするわけですがね。何かその辺に、身分的にも統一をするか、統一をした上にこの身分保証をきちっとする、あるいは待遇も一元化をはかるというふうなくふうも、これはやってみる必要があるんではないかと思うのですが、その辺のところは一体どうでしょうかね。
○安達政府委員 現在、国立学校から行っている方は十六名でございまして、公立のほうは四十二名でございます。来年度からは公立のほうが非常にふえます。したがいまして、全体で百二十五名になるわけでございますけれども、そのうちで公立のほうが九十一名というように、公立のほうを拡大してまいりたいと思っておるわけでございます。公立の先生の場合は、教官としての身分を持ったまま、国立学校の先生と同様に身分を持ったまま、出張扱いにしてもらう、こういうことで県当局とも話しておりまして、今後は出張扱い一本にひとつまとめていきたい。従来の方は従来のいろいろないきさつがございますけれども、今後は定員措置等も考慮いたしまして、新卒の人がございましたものもこれをやめまして、現に公立学校の教官の身分を持った方が出張扱いで行けるようにする、こういう方針で指導いたしてまいりたいと思っております。
○辻原分科員 その場合、安達さん、待遇は出張扱いということになると、その本務についての待遇というのは当該府県の教員として与えられておった待遇ということになりますね。それで、在外勤務手当というものを別途つける、そういうことですか。
○安達政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。
○辻原分科員 その際の在外勤務に要する諸手当というもの、あるいはその他の住宅とかいろいろな処遇が、他の同じような条件にあるいわゆる海外勤務員との間にかなり不均衡になっているという話も聞くのですが、その点は何か是正されますか。
○遠藤説明員 この点につきましては、現在までのところは、例をあげますと、コロンボプランから派遣されている専門家に比べまして大体二割五分見当低い状況でございます。それで四十六年度予算につきましては、給与プラス二五%の住宅手当ということにいたしまして、バランスをとることにいたしまして、大体コロンボプラン派遣者と四十六年度からは同じレベルに達することになります。
○辻原分科員 この問題はこれで終りますが、要するに、安心して在外勤務ができるように、特にいま一番困っているのは先生の確保という問題なんですから、そういう点については、やはり国公を通して、国立の学校から行く先生も、公立の学校から行く先生も、いずれも少なくとも大体一元化をする、そして一般の在外勤務者に劣らない待遇を与える。
 もう一つは、帰ってきたあとの受け入れ措置、こういうものにも、行ったがために非常に損をしたということにならないような、そういうくふう改善をひとつぜひ考えてもらいたいと思いまするし、これから教育内容の指導については、これは文部大臣にも注文をしておきたいと思うのでありますが、もちろん文化庁がいろいろやっておられるのでありますけれども、文化庁は本来この種の問題が主管ではなくて、たまたま国際交流文化交流という中に、どうもこれがやるのが適切だろうなんということでやっているのだろうと思いますから、もう少し、初等教育局とか、実際義務教育を扱っているところが積極的にタッチをし得る、そういう一つの制度というものをくふうをされて研究をしていただきたいと思います。それだけこの問題について注文をしておきます。
 これから給食の問題について少し伺っておきますが、ごく最近、行政管理庁のほうから、行政監察の結果に基づいて、学校給食の運営についての勧告書が出ております。この詳細を一々お尋ねをする時間がありませんが、私は、この勧告を見て、かなり具体的であり、しかも適切な指摘をされているというふうに受け取ったのであります。特に学校給食法の趣旨にもかんがみ、いわゆる完全給食これから給食実施学校を大幅にふやしていくということは年来の方針として堅持をしてやってきたわけですが、いまだに中学校の伸び率が非常に少ない。それからもう一つは、各都道府県によるアンバランスが大きい。しかも大都市でありながら、非常に実施に不熱心だかいろいろな事情があるのだか知りませんけれども、そういうところもある。これは給食という、衛生的な見地あるいは学校教育の立場、いろいろな点から考えて非常にいい制度でありながら、存外にそういうアンバランスが起きているということは一体どうなのだろうと思うわけなのです。一体中学校が非常におくれるというのはどういう原因があるのでしょうか。
○木田政府委員 いろいろ考えられると思うのでございますが、中学校が教科担任を基本にした校務分掌制度になっておりますところから、教師の職務分担なり学校の仕事の進め方という点に問題が一つあると思います。また歴史的に見ますと、やはり小学校から子供を育てるという意味で学校給食を進めてまいりました、そういう歴史的な過程が一つございます。第三番目に、中学校と申しましても、特に大都市の中学校が著しく普及度が悪いのでございまして、大都市には過密による中学校の急増といったような要素がからんでおります。また、一面から見ますと、学校の校地の狭隘という問題もございますし、学校給食が成規の学校教育活動に対しましてあとからつけ加わったという感覚なども手伝って、特に大都市の中学校におくれが著しいというふうに考えるのでございます。
○辻原分科員 本年度は予算的に見ますと、かなりいろいろな新しい試みが給食に関して行なわれているということ、私も予算上拝見をして、そのこと自体は非常にけっこうだ、こう思っております。しかし、いろいろなくふう改善が行なわれても、現実に実施する学校がそういうことでは、半面の問題が全然解消されていないわけですから、その点に対してひとつ積極的な推進策というものを講じていただきたい。これは希望であります。
 それから、幾つかの重要な指摘がこの行政監察の結果の文章の中に載っているわけでありますが、これは私が給食制度が始まって以来主張していることでありまするけれども、それは特に集団的な給食をやるという一般的な意味のほかに、先ほど私が申し上げた子供の体位向上あるいは健康管理、そういう面からいって、調理に対する科学的なくふうあるいは栄養学的なくふうというものはますます重要性を持ってきているわけなのです。ところが、学校給食法のどこにもそれらしきことについては現在の法律では触れられておらぬ。といいまするのは、少なくとも厚生省の所管をしている栄養改善法ですか、その中には、いわゆる栄養士及び栄養保健の指導員の適切な指導というものが学校給食を含めていわゆる集団給食の場合には行なわなければならぬことになっておりますが、学校給食それ自体に栄養士を義務づけるとか、あるいはそれに類する職員の制度を導入するとかということについては、あまり積極的に考えられておりません。この点はやはりこれからの学校給食には私は欠くべからざる重要な問題だと思うのでありますけれども、栄養士を少なくとも、これは実施校一つ一つにやるということはたいへんでしょうが、最近の傾向からいいますと、共同でやる、あるいは市町村で一元化してやる、いろいろなことが考えられているようでありますから、そう一つ一つの学校に設置せずとも、町村当たりに一人ぐらい置けば十分効果が出ると思うので、そういった指導なり、そういった面についての予算化といったようなことを考えられないかどうかということを、一度これは文部大臣の所見もひとつ承っておきたいと思います。
○木田政府委員 栄養改善法であったと思いますが、御指摘のように百食以上の食事を供するところには「栄養士を置くように努めなければならない。」という訓示規定がございます。私どもも、その趣旨にのっとりまして、学校給食の場に栄養士を設置するということには、補助金もつけまして努力をいたしてまいりました。ただ個々の学校にということは、いま御指摘のように非常に問題もございますし、また学校給食は、市町村の行政当局が全体として責任をとって行なうことでございますから、その責任のとれるような置き方を考えてまいりたいということで、さしあたりは共同調理場には必ず置くというようなことを進めておるところでございます。現在までに栄養士の数が五千三百人をほどになっておりまして、補助はその半数ほどだったかと思っておりますけれども、栄養士がそれぞれ市町村の教育委員会に置かれておるものもございますし、共同調理場その他を中心にいたしまして設置にはつとめてまいりたいと思います。
 なお、栄養上の問題がございますので、米の実験学校等を指定いたします場合には、ぜひ栄養士を設置して、栄養士等が当たれるようにということも考えまして、予算上の措置もいたしておるところでございますが、学校給食がやはり市町村を通じての、そしてまた都道府県、国の学校における給食体制として整備をしていくという面を考えまして、栄養士の置き方、その仕事の中身等につきましても、なお今後検討いたしたいと考えておるところでございます。
○辻原分科員 こういう機会に学校給食法の中に何かそういう一項を設ける必要があるのじゃないか、こう私は思うのです。学校給食法を見てみますと、その実施をさせる、設置をさせる、そういうことについての条項と、それに要する手続、こういうものがほとんど主体であって、目的以外に実際学校給食とはこうあらねばならぬといったようなことの規定というものは一つもないわけですね。少なくとも私は、いま言われた厚生省所管の栄養改善法にも、いわゆる集団給食の場合にはその調理についての万全を期するために、栄養士等のあれをかなり半義務づけているわけですから、それよりもむしろ小さい子供なんですから、しかも最近の統計なんかを見ましても、学校給食における中毒事件というのは常に多くなってるのですよ。そういう意味からいっても、私は給食法の中に栄養管理ということの一項が必要だと思うのですが、これは一体大臣どうでしょう。
○坂田国務大臣 御指摘の点は、やはり何らかそういうようなことを考えていかなければならないのじゃないかというふうに率直に考えるわけでございます。まだ中学校においては半分以下というような状況でございますが、とにもかくにも一日に千四百万食も給食をいたしておるわけでございますので、私どもといたしましては、今度の四十六年度の予算におきましても、学校給食の総合センター等もつくるということで栄養の面あるいは健康上十分吟味された物資を講入をするためにはそういう体制というものが必要ではなかろうかということで、一括購入についてあるいは県の単位で考えていく、あるいは全国的な組織を通じてやっていくというようなやり方でいかなければならぬというふうに思います。いま冒頭に申し上げましたような点につきましても留意をいたしまして、今後検討を加えていきたいと思っております。
○辻原分科員 それからもう一つの問題は、調理職員の身分というものが、これまた非常に中途はんぱであります。それから待遇もあまりよくない。そういう点から、あとで私ちょっと申し上げますが、米飯給食を実験されているようだけれども、現状から見れば、このままの制度ではそれに要する人手というのはおそらく得られぬのじゃないか、こういう感じがいたします。前から、実際この給食に携わっておられるいわゆる給食のおばさんといいますか、そういう方々からも強い希望が出ているのですけれども、学校給食で常時子供さんに接する。しかし身分は、設置者が市町村ですから市町村に属して、学校用務員と同ようなあれだと思いますけれども、どうも中途はんぱだし、待遇もよろしくない。それから希望も少ない。それから町村が財政上の理由でときたま、たとえば共同調理場けっこうだ、しかし共同調理をやれば人件費が節約できるからという意味でやられる。それですぐさまやめてくれという話が出る。非常に不安定だというわけですね。だから、栄養士の問題と同時に、いわゆる調理職員の身分制度というか、そういうものにも一考を要する点があるのじゃないか。この際学校給食法を再検討されて、そういうもろもろの問題を学校給食制度の中で解決されるようにしてはどうか、私はこういう考えを持っているのでありますが、そういう考え方は原則的にどうでしょう。
○木田政府委員 学校給食の現場における実施体制にはなおいろいろと問題が残っておることは、いま御指摘のありましたとおりでございます。調理従事員につきましても、当初は父兄の協力を得て進めてきたという経違がございましたが、今日ではおかげさまでそういう異常な状態のものはもうごく一部になってまいりました。そして標準の自治体におきます標準規模の栄養職員の配置の数も、一応平均規模で四人という私どもの積算の線にほぼ近づいておりまして、一応の体制は整ってきたと思っております。しかし、いままでの歴史的な背景がございまして、処遇その他十分な水準にまでなっていないという面はなお残っております。
 学校給食につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、いろいろな問題があったことでございますので、昨年の二月に保健体育審議会から学校給食全般について非常に取りまとめた御答申をいただきまして、ことしの予算におきましても、一歩一歩その答申の実現に向かって新しい歩みを始めたところでございます。今後なお改善努力を進めまして、そして御指摘になりましたように、学校給食全体について整備すべき体制を、法律問題等も加えて、十分考えてみたいというふうに思っております。
○辻原分科員 非常に前向きなお考えが大臣、局長から述べられましたので、非常にけっこうだと思います。
 最後に、現在やっておられる米飯給食の実験についてちょっと伺っておきたいと思うのですが、あれはいつまでおやりになりますか。
○木田政府委員 一応四十五年、四十六年の二カ年間実験をいたしてみたいというつもりでございます。
○辻原分科員 それで、これは少しお答えにくいかもしれませんが、その実験の途中にあるわけで、いま早々と結論をつけるわけにはいかぬと思いますけれども、どうでしょう、私は、結論的にいって非常にいいことだと思うのです。ただ、お米が余っておるからその処理に学校給食が活用されたというふうな低い次元でお考えになっているのではなかろうと思うけれども、もしそうだとするならば、これは学校給食という中での問題としてはいささかどうかと思う。まあしかし、あわせてその一助になれば非常にけっこうなんですが、学校給食として米飯実験をやってどうですか。学校給食の中の米飯給食というものは将来に非常な希望を持てますか、それとも実験の過程において悲観的な事情にあるのか、そこらは一体どうでしょう。
○木田政府委員 米飯の実験につきましては、一つは、学校給食におきます食材料を多様化する、そしていろいろないい食材料を使ってくふうをしてみるという基本的な方向に乗せておるつもりでございます。しかし御案内のように、お米を従来のような洗米から炊飯をいたしまして食べますということは非常に人手を要する、手間を要することでございまして、現在、一例を申しますと、ある実験地区では四校の共同調理場で米飯の実験をいたしておりますが、米飯をとりましたために、従来七人で済んでおりました調理従事員を十人にふやすというような努力をしてくれております、どうしても人手がふえるということになります。したがいまして、この米の扱い方について、もっと改善、くふうの余地がないかということが今後の一地大きい問題になろうかと思います。なおまた価格の問題等いろいろと考えなければならぬこともございます。人手のほかに価格もかえって非常に高くつくというような問題もございますし、栄養との関連も考えていかなければなりません。
 そこで、米につきましては、ただ従来どおりの炊飯を考えるというだけではなくて、もっと多様な米の加工利用ということを考えるべきではないかというふうに考えまして、食糧庁の御当局とも相談の上で、いろいろな米の加工食品の利用開発という方向での実験もあわせて行ないまして、これは現在、三十一万人ほどの児童生徒がその実験に協力をしてくれておりますから、米飯の炊飯という形での従来のものをどこまで普及できるかということにつきましては、かなりむずかしい問題もございますけれども、米を利用したいろいろな食材料の多様化という方向につきましてなお検討、くふうを十分にしてみたい、前向きに考えてみたいというふうに思っておるところでございます。
○辻原分科員 これで終わりますが、注文をいたしておきますが、現在小麦粉が約二十万トン使われているようであります。せめてその半分でも活用されれば、栄養学的にいっても、現在の米作事情からいっても、これは何がしの貢献をするわけです。ただ、その場合お話のように、高くなるというのは困りますから、私の聞いている範囲では、一食当たり六円ないし七円くらい高くつくのではないかという認識ですけれども、そういうことでは父兄負担がふえますから、少なくとも米飯あるいは米を混入することによって学校給食の費用がかさまないというようなことにもひとつくふうをしてもらいたいと思います。
 それから、われわれが子供のころに玄米パンを食べた経験からいいますと、必ずしも味は悪くないという認識があるのですけれども、最近の子供の嗜好と若干舌が違いますから、一がいにそうは言えぬでしょうけれども、小麦と混入するというような方法、あるいは炊飯をしないで、もっと簡便にこれが活用されるというような方法、これはいろいろくふうをすれば出てくると思うのでありますが、せっかく二カ年実験をやって、ああだめだったということにはぜひともならぬように、何らかひとつ米を活用する学校給養ということに成果をあらしめていただきたいということを最後にお願いを申し上げまして、時間がまいりましたので私の質問を終わります。
○田中主査 次は、小林信一君。
○小林(信)分科員 文化庁の長官がおいでになっておるようでありますから、順序を変えて、文化庁の長官のほうからお尋ねをいたします。
 長官は、四十六年二月二日、横浜の防衛施設局長あてに文化庁としての文書回答をしておりますが、「特別名勝富士山の現状変更について」という名目でございますが、この回答をしたこと、あるいはその内容等について御存じでありますかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○今政府委員 いまの御質問にありました富士山の問題でございますが、これは非常に簡単なあれで、私は、回答は存じておりますが、この問題につきまして、その返答といたしまして、具体的にかきねの問題とかいろいろなものがございますが、それは後ほど御質問によってお答えしますが、存じてはおります。
○小林(信)分科員 それでは次長からお答え願いたいと思います。
○安達政府委員 特別名勝富士山に関連いたしまして、その指定地でございます国道百三十八号線沿いの南側、富士見橋西より出口稲荷社までの間につきまして囲棚を設けたいという現状変更の申し出がございました。それに対しまして、県の教育委員会あるいは関係市町村等の意見を聞き、また技官が現地調査をいたしました。その結果、去る二月二日、文化庁の文化財保護部長名義で施設局長に対しまして、「昭和四十五年十二月五日付けで協議のこのことについては、当該指定地の風致・景観の保存好ましくはないと考えられるので、設置箇所を道路から遠ざけ、できれば現地の実態からみて指定地外に設置するよう計画を変えてください。」こういう通達を出したわけでございます。
○小林(信)分科員 その設置する物件ですね、それをもう一ぺん詳しく御説明願いたいのですが、文化庁ではどういうふうにおとりになっておいでになるのか。
○安達政府委員 その協議を受けました現状変更の内容は、国道百三十八号線沿いの南側、富士見橋西より出口稲荷社までの間に、鉄製有刺鉄線つき外柵、延長三千六百十メートル、高さ一・八メートル及び鉄製門扉、幅一・八メートルから六メートル、高さ一・八メートル、計十五カ所を設置する、こういう現状変更の申し入れでございました。
○小林(信)分科員 私が文化庁長官に特にお聞きしたいというのは、こういう問題は、ただここだけでなく、自然を守るとかあるいは文化財を保護するとかいう問題では、いままで企業優先の思想の中ではなかなか骨が折れたことなんです。しかし、最近、そういうことが政治の中にも問題視され、一般人も、この傾向に対して、人間優先でなければいけない、自然を守ろう、こういう主張が出てきたやさきでございまして、したがってその先頭を切る文化庁長官が持つところの思想というものは、この際非常に重大ではないかという考え方で、これを素材にして文化庁の御意見を承りたいわけでございます。
 もう一つお伺いしたことは、文化庁が所管をする名勝地区、これはいまの道路の問題も、ただ道路だけか、その道路に付随してどれくらいの面積がついているのか、そういう点も詳しくお伺いしたいと思うのです。
○安達政府委員 特別名勝の富士山の指定の範囲の問題でございますが、主体は五合目以上の山の部分と、これから登山等がございます。ただいま問題になっておりますところの部分は梨ケ原県道と申しまして、両側約百メートルの地域を含みまして、長さが三・四キロでございます。これはアカマツとかカラマツなどの樹林が点在しておりまして、一種の典型的な路傍景観、こういう考え方で指定をいたしておるわけでございます。
○小林(信)分科員 そこで文化庁の責任とするところなんですが、それは、いま道路でいえば道路に付随して百メートルと言いましたが、その地域だけを保護すればいいのか、名勝という名前がつくのですから、富士山の五合目あるいは登山口、そうしてこの道路、そういうものを含めた景観を守る責任があるのかどうか。ただその指定された地域内の汚損というもの、そういうふうなものだけ守っていればいいというお考えでいるのか。もっと景観として、それを背景とする部分に至るまで直接どうするということはできないにしても、できるだけ意見を述べるようなことをしてそれを守るというふうなことがあるのかどうか。ここら辺が見解の違うところになると思うのですが、どういうふうに把握しておられるか。この問題は単に富士山麓だけの問題じゃない。最近問題になりました全国の風致地区とか名勝地区とかいうふうなものが、その周囲のいろいろな建物等によって、その景観がそこなわれるというふうなことを非常に一般大衆が嘆いておる事実があります。そういう意味から、これも単に文化庁の仕事としては、その地域内を現状変更する、そのことについてだけ注意しておればいいというふうに考えておられるのかどうか。そこら辺の見解、特に長官にお願いしたいのはそこなんですが、次長でもけっこうです。
○安達政府委員 たいへんむずかしい問題を提出されましたので、あとからまた長官に述べていただきますけれども、現在の文化財保護法というたてまえで名勝というものをどうとらえるかということでございまして、名勝というものは非常に地域が広く、またその周辺も多いわけでございます。そこで、富士山のような名勝というものは、どこからとらえ、そしてどの範囲におきまして現状変更を禁止すべきかという観点になるわけでございます。したがいまして、富士山の本質的な部分が何かということになるわけでございます。現在の考え方は、主として五合目以上と登山道を一応本質的な部分と考えておるわけでございます。これを広くするということはもとより望ましいことではございますけれども、それは同時に、私有財産権の大きな制限にもなるわけでございますし、また他の利益、公益との関係もございます。したがいまして、文化財保護法におきましても、所有権その他の公益との調整に留意しなければならない、こういうように述べておるところでございます。したがいまして、文化財保護の観点から、本質的な部分はあくまでこれを守りたいということで、これはあまりに広く過ぎると、かえってこれが守り切れないというようなこともございますので、本質的な部分を指定をして、これをあくまで守っていく。そしてその他の地域につきましては、これは一般の世論の問題とか、その世論の支持というようなことによりまして、これを本質的な部分にまで影響を及ぼさないように努力をしていかなければならない問題である、かように考えておるわけでございます。
○小林(信)分科員 相変わらずの次長の雄弁でもってまくし立てられて、何かいいような気がするのですが、本質的なものを守るためにも、本質を守ればいいのだという考えでもって、はたして守ってきたかどうか。私は、ひとついままでの文化財保護の現状というものを考えていきたいと思うのですよ。本質的なものを守るためにも、それを取り巻くものからまず私どもは保護するというふうな立場でなければ守られない。富士山の五合目以上を本質的に考えるなんというお考えだったら、私は何もあそこを指定しなくてもいいと思うのです。たとえば、あの五合目以上は山梨県の所有でございますが、指定されておるために、山梨県では何度かあそこの樹木を伐採させてくれ、もし規制するなら分割的に――文部省の文化庁の言い分では、あれは中部地方から奥羽地方あたりまでの形態というものをなしておるから、分断することはできない、さらに生息する動物も、そういう地帯を含めたものがあそこに生息しておるんだ、こういう考え方から一切あそこには手をつけさせない。道路をつくるにどうか知りませんけれども、手をつけさせない。もし言うとおりに、あそこに生息する動物も保護するとするならば、あそこでもって大砲なんかどんどん撃ったら、ほんとに生息する動物を守ることができるかどうか。本質というのは、ただその地域だけのものでなくて、相当影響するものを含めて考えていかなければ保護できないと私は思うのですよ。大体、富士山へは日本人が行くだけでなく、外国人も来るわけですが、その場合に、富士山はきれいだなと言うときに、富士山のどこをつかまえてきれいだと言うのか。やはりあれは山麓を包含した中で富士山の景観というものが考えられるんだと私は思うのです。少なくともそういう考えがなければ、何も指定地にして、そしてこの保護法を適用する意味はないと思うのです。もっと本質を守るためにも広くものを考えていかなければ守られないのじゃないか。そうして世論を聞いてというようなことを言っておりますが、この際は世論を指導するようなことが文化庁の仕事であって、それで初めてこういう自然を守ることができるのじゃないか。あの下のほうに桂川という川が流れておりますよ。その桂川も含めて、あるいは富士五湖も含めて富士山の景観というものをお考えになっておらなければならないと思うのですが、あの桂川なんていうのは、せんころ私も文化庁に注文をして施設局長と会ったことがありますが、そのときに、あそこが非常に汚染をしたり、あるいは溶岩流が流れてきて、従来アユが住んでおったのが住まなくなってしまった、そのことについて抗議をしに行ったところが、何と言ったかというと、これは局長じゃない、局長についている役人が言ったのですが、私のところばかりじゃないんだ、工場の汚水も流れてきますというようなことを言って、責任転嫁をしようとする。ほんとうに桂川を守ろうとする人はだれかというと、あそこで漁業をやっている人なんだ。漁業をやっているといっても、漁業組合をつくっておりますけれども、趣味で釣りをする人たちだけですよ。その人たちは、自分が実際釣りをするという心境の中で、この桂川の渓谷を守ろう、昔の自然を取り返そう、そんな力でいまの日本の自然というものは守られようとしておるのですが、そういうものに大きな力を与えたり、先べんをつけるのは、私はそういう名勝地を守るという文化庁の大きな仕事でなければならぬと思うのですよ。いまのような考えはおそらく今長官は持っていないと思う。すぐれた文化人として選ばれて長官になった方です。普通のお役人さんが長官についたのでなくて、今先生のような優秀な方がつかれたのは、私はそういう点を思い切り出していただけるからだと思うので、この際そういう点も強くお願いをしたいと思うのです。
 そこで、私はこの文章に文句を言いたい。いま次長が読まれた中を読んでまいりますと、「当該指定地の風致・景観の保存上好ましくないと考えられるので、」ここはいいですよ。しかし、このことばは使ってあっても、あとのほうは何ら意味がない。「設置箇所を道路から遠ざけ、」その次は、「できれば現地の実態からみて指定地外に設置するよう計画を変えてください。」できればですよ。できれば指定されている地域外につくってくださいというのですからね。こんな消極的なことばはないと思う。できなければ、やむを得なければ指定地内にいまの鉄線を長さ三千六百メートル、高さ何ぼ、そういうものを張ってよろしい。富士山へ行く人は、あるいは五湖をめぐる人はどうしてもあの道路を通るわけなんですよ。そうしたら、あの道路を名勝地の区域に入れる必要はないじゃないですか。道路のそばに持っていってバラ線が三千何百メートル、しかも高さ何ぼ、そんなものを張ったら、私はもう名勝地として指定する意味は全然なくなってくると思う。文化庁の意思は、それでもがまんをするというふうな意思がこの中に含まれている。なるべくならば、こう言っている。おそらく、私は、長官がもしこれに直接答えるとするならば、あとのほうの文句は要らない。景観の保存上おもしろくない、これで回答になると思うのですよ。それくらいの考え方がなければ、景勝地を守る、名勝地を守るというふうなことは私はできないと思うのですが、私の考えに異議があったらひとつ答えてください。
○安達政府委員 最初に、前段の指定地外の問題につきまして、最近のように開発等あるいは公害の問題がやかましくなってまいりますと、現在の指定地だけの思想という問題で解決できるかどうかにつきましては問題があるわけでございます。これは現行の文化財保護法だけではいけない、あるいは新たに文化財保護法の改正等でも行なって、そういうものを適切な方法によって保護するというようなことが新しい課題である、かように考えておることをつけ加えさせていただきたい。
 それからもう一つ、富士山につきましては、これは山梨県と静岡県にわたるわけでございますが、実は五合目以外の部分ももう少し指定をしたい、こういうことで静岡県と山梨県と話し合いをしたわけでございます。静岡県のほうは御了解いただいたのでございますけれども、山梨県のほうは御了解がいただけないままになっておるということは一つございます。
 それから、第三のこの通知の問題でございますが、実は道路のわきに松林が相当ございます。ある場所につきましては、この松林で、もしかりに有刺鉄線をやっても見えないというような個所もないわけではない。そこで名勝というものの観点から言いますと、やはり一種のながめでございますから、見えないということも一つの要素でございます。史蹟等であればそれをこわすということはございますけれども、名勝の場合はそういうこともございますので、われわれといたしまして、これは名勝の破壊になるといって、中につくるのは一切いけないということをいうよりも、むしろ設置者側で自粛していただくということが将来にわたっての保存にも役立つというようなことから、こういうような表現にしたわけでございます。
○小林(信)分科員 見えないようにしてもらいたいということは、私は十分察知できます。できますが、実質上そういうことはできないのですよ。そしてそれが設置されればまたどういう事態が起きるかというようなことを考えたときに、文化庁としてはもっとそれ以上高度の見解というものは出せないものか、こういうふうに心配するもので。とにかく原野でしょう。だから、百メートル離れようが二百メートル離れようが、自動車で通りながらずっとバラ線の張ってある三千六百メートルというものはわかるわけで、そしてこれはやはり演習地はここからということになるわけで、そこからいろいろなものが類推され推測されて、富士山の景観というものは全くそこなわれるのではないか。もちろん何といってもあそこでもって演習地に指定されていることが解決されれば問題はないわけです。
 そこで時間がありませんので、ほかに質問申し上げようと思ったのですが、これはまた委員会等でお聞きすることにいたしまして、長官に一言お願いしたいのです。というのは、企業優先か人間優先か、この問題はもうわかり切ったことだと思います。ところが企業もあるいは人間も両立できるというふうな思想が政府にはありまして、そういう中でおそらく文化庁長官とすれば、ほんとうに人間優先でなければいけないということを言われると思います。しかしそれだけに、いろいろな経済成長の中で、工場等が計画をされるときになかなか御苦労なさるわけですが、いままでめったに聞いたことないと思いますけれども、防衛と自然を守るとかあるいは人間を尊重するとかいう問題についてはどちらを優先しなければならぬか。もし自然も守る、ことに日本の象徴ともいわれる富士山であるというようなことを考えれば、あそこに演習場を置くなんということはおもしろくない、そういう思想から、バラ線なんかをあそこに張るということは文化庁としては好ましくないというような理論は出てこないかどうか、長官に一言お答え願いたいと思います。
○今政府委員 いまのお話でございますが、景観、風致という問題は役所であるとか法律であるとかいうことになりますと非常にめんどうなことになります。私は実は住んでいるのが鎌倉なんで、歴史ある山、これは法律的にもいけない山をある会社が無断でこわしてしまった。そうして君は住んでいるのに何ごとだと町の人からはなはだ言われているのですが、古都問題は私のほうでやっていない、古都保存法は私の管理下ではございませんとは私は絶対に答えませんでした。実はそうなんですが、こわしてしまったらまことに残念であるということには市民である私も同じように考えております。しかしいまでもその問題がまだ解決しないで告訴中であります。
 ですが、法でもって何かする、これは線引きなんでございますね。風致とか自然保護とかというものを線引きする、線でこれを区別するということ自体が非常に不安定、不確かであり、風致という点から申しますと、線を引いてこの中は古都であるとかあるいはこれは指定のものであるということになりますと、それじゃその線のはずれたところはどうかというような問題になれば、こっちから見ていると、同じことなんです。線なんてありはしないのです。だから、架空につくったということが風致とかいうことになりますと非常に困ったもので、線なんかないほうがいいのです。ところが法律というようなものになりますと、どうしても線引きをしてその区域内を守ろうということになります。そういうことの矛盾というものを私は日夜感じているのでありまして、いまおっしゃられるとまことに私は胸が痛いのでありますが、一体これをどういうように解決するかというと、線引き以外にいまのところ方法がないとなりますと、私はあの線引きはやめたほうがいいということはいま即座にはお答えできませんけれども、そういうことの不正確さあるいは困ったことであるということを感じておることには私は全く同感でございます。
 ただ、富士山にいたしましても、あの広い山ろくを考えますと、どこからというとまあ五合目ということにきまったのだそうでございますが、この富士山は上もいいが山ろくもまことにいいのでありまして、この線引きというものに対してもまたいまと同じような問題がございます。ただ、その下のほうのいまの名勝のところですが、そこにカラマツであるとかそういうものがある道だけを特に指定したのであります。その道のすぐわきにいま次長が申したさくをつくるようなことでありまして、それはひとつかんべんしてもらいたい。道のすぐそばあるいは名勝の指定のすぐわきに――これは法律的にはしかたがないのですが、すぐわきにだけはやめてくれというので、実は防衛庁に対する回答と申しますが、私のほうでは頼むからもうちょっと離してくれというので、百メートルというようなことを申したのです。百メートルがはたして景観を害さないかどうかということの御質問には、それは何とも――百メートルくらいならいいだろうという、はなはだあいまいな回答で申しわけでございませんが、そういうようなわけでございます。
○小林(信)分科員 時間がなくなりましたからこれ以上申し上げませんが、法律にあまりに縛られ過ぎた気持ちでおいでになれば、奈良の東大寺の向こうのほうに赤い屋根、青い屋根が出て、これは奈良、あの地域の景観を害する、これはあそこへ行く人がみんな言うことなんです。これはだれが一体その問題を解決してくれるでしょう。私は、そういう意味でいまの長官のおことばというのは残念です。文化庁からそういう回答が出たということで、それをいい材料にして今度は地域の人たちの了解を得、そしてバラ線を張っていく。いまに富士山のふもとというのは、富士山の姿よりも、激しい演習場の姿、それに対する闘争の展開されるものを見なければならぬような状態になると思うのです。そういうようなことを考慮いたしまして、私は、人間優先、自然を守る、一体だれがその仕事をしなきゃならぬか、非常に疑問を感じて、終わらしていただきます。
○田中主査 次は、田中昭二君に質問を許します。
○田中(昭)分科員 昨年から公害問題がたいへん国会でも取り上げられるようになりましたが、これに対する対策も国をあげて取り組んでおるわけでございますが、私の出身であります九州に九州大学がございますが、この九州大学が昨年暮れ近くに公害問題を起こして報道されております。おもに医学部、薬学部の地区、いわゆる大学から出ます汚水排水処理が問題になっておりますが、このことにつきまして文部省はどのように御存じなのか、まずお尋ねしたいと思います。
○岩間政府委員 御指摘のように、昨年末以来このことが地方の新聞に取り上げられまして、また福岡の市議会でも問題になっておるということを承っているわけでございます。私どもといたしましても、非常に重要な事柄でございますので、さっそく新聞を取り寄せまして、また係官を呼び寄せまして、この問題については一応事情を聴取しているような次第でございます。
○田中(昭)分科員 いまの答弁で、その実情を聞いたということでございますが、私は、このような問題が起こりました場合に大事なことは、そのいわゆる事情聴取並びに現状の把握、どういう問題が具体的に起こって、それはどういう性質のものであるかということをよく認識した上で、その問題の起こった原因、根本原因は一体何なのか、またその問題を通して関係者はどのような心配をしておるのか、動きをしておるのか、こういう問題が大事ではないかと思います。ただその場限りの、どういう報告を聞かれたか知りませんけれども、もう少し誠意あるお答えを願いたいと思います。
○岩間政府委員 私どもが聞いておりますのは、大筋を申し上げますと、ただいま御指摘になりましたように、医学部、薬学部地区から、特に危険な薬品あるいは試薬というものが、十分な処理をされないままに博多湾に流れて、博多湾を汚染しておるというふうなことでございますが、私どもで調べましたところ、現在福岡市におきまして公共下水道処理施設が四十九年の末までは未整備であるというふうな状況のもとに、九州大学におきまして現在、校内の排水処理のために五十トンの沈でん槽を設けておるということでございます。
 それから先のことにつきましては、やや報道と、それから学校関係者の意見が食い違ってまいるわけでございますけれども、この五十トンの沈でん槽で人体に害がある程度のものは出しておらないはずであるというのが、大学側の意見でございますけれども、報道等によりますとそれでは非常に不十分だということでございまして、ただ私どもも大学側の意見だけでこの問題が十分に認識されるかどうかという点につきましては、片一方の意見だけではこれは不十分ではないかというふうな感じもしているわけでございます。これにつきましては十分に、排出水等の検査それから処理方法それから処理施設を使用すれば、どういうものが必要なのか、そういう点をさらに検討いたしましてこれに対する対策を立てるということが必要ではないかと考えて、現在大学におきましてもこれに関する専門委員会を設けて検討中でございます。そういうものにつきまして十分報告を受けまして、それに基づきまして必要な対策を立てるということにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○田中(昭)分科員 私が言うことをよく聞いてくださいね。失礼な言い方ですけれども、私がまだ聞いてないことをあなたはどんどんお答えになっておるようです。
 大臣にお答え願います。いま、私が言いましたように、こういう問題の現状認識、その大学の体制といいますか、こういうものについては私は大事な問題があると思うのです。
 一つ、二つあげてみますと、いまお答えになりました、流しておる廃液が人体に害がない。そんなことは学生の一方的な意見かもしれませんけれども、化学的な変化を見てみても、明らかにそういうことは言い切れない。だから九大側からそういう報告を受けたならば、それをよく文部省としては検討して、そして事実そうなのかどうかということを明らかにしなければ、たったこれだけの問題だけでも学生はまた騒ぎます。騒がぬでいいものを騒ぐ。これがまた、何にも知らない地域住民はそういう被害を受けなければならない。私が、文部省が報告を受け、その報告を文部省の許可を受けて百瀬薬学部長が発表したものから見てみましても、有機溶媒でもアセトン、メタノール、エタノール、エーテル、酢酸エチル、こういう劇薬物に匹敵するようなものが流されておるのです。ですから、時間もあまりありませんから、こまかい一つ一つに入れませんけれども、私はもう少し文部省の、いま私が言いましたそういう問題が起こった現状認識について大臣の御意見を伺いたいと思います。
○坂田国務大臣 この九州大学の排水処理につきましては、ただいま局長から申し上げましたとおりに、五十トンの沈でん槽を設けまして、これを通して市の公共下水道に流す、こういうふうにしておるということでございます。しかしながら、これにつきましていろいろ市民の方々にたいへん心配をかけ、あるいは危険な感じを持たせておるということにつきましては、そのままではいけませんので、九州大学と連絡をしましたところ、九州大学では、その排水処理専門委員会というものを設けまして、排出水の検査、処理方法、処理施設というものをどうしたらいいかという具体案をいま検討をいたしておるわけです。したがいまして、その具体案が出ましたならば、今年度、四十六年度の施設整備費が計上されておりますから、この中で処理をしていくという方針でおるわけです。その九大のいわば専門委員会の検討を、具体策をわれわれは待っておるということでございます。その際には、いま御指摘になりましたように、地元の方々やあるいはまた県当局、市局等の意見等も十分把握いたしました上――ただ九大当局の専門委員会だけの話をそのままうのみにして処理するということでなく、十分ひとつ周囲の事情等も、あるいは住民の方々の御要望等も承りまして処理をいたしたい、かように考えております。
○田中(昭)分科員 どうも大臣も、私言っておりますことの――それはいろいろなことをやられることはいいわけですけれども、こういう問題が起こってくるには、これは起こってくることはある程度しかたないと思うんです、そういう薬品を使っていろいろやるのですからね。いまお話を聞いておりますと、九大から報告を受けて、文部省としてはそれに応じたいろいろの手を打ったということをいまお述べになりますけれども、そう言われれば、私も、この問題につきまして事情を聞いたときに、経過を聞いてみますと、昨年、私のほうの公明党の市会議員がこの問題を取り上げて、そして指摘しておるわけですけれども、そういう背景も考えてみますと、ただ、こうした、ああしたと言うだけでは、応急の処置と根本的な解決にはならない。それを一つ一つ聞いておりましても時間がございませんから、一つ申し上げますと、この有機溶媒にしましてもいままでたとえば五十トンの沈でん槽があった、その沈でん槽をもう少し大きなものにしてりっぱなものにしてやるというようなことのようでございますけれども、この沈でん槽は、こういう有機溶媒がかりに薄められても、その害がなくなるものじゃないのです。ですから、そこはひとつよく検討されて、していただたきい。それで、現在排水が相当な量でございますが、それが実際そういうような施設によってどう処理されていくかという問題もあるわけでありますから、ただ四十六年度に何がしかの予算をとって施設をつくりたいというようなことの前の問題をもう少しはっきりしてもらっておかなければいけないと私は思います。そこで、できましたならば、もう少し具体的に、今後どのような施設をつくろうとしておるのか、その構想だけでもようございますから、お聞かせ願いたいと思います。
○坂田国務大臣 いま申し上げましたように、沈でん槽を設けた。しかしながら、沈でん槽を設けて、一応それでいいというふうに考えておるわけじゃなくて、それでもなおかつ問題があるのじゃなかろうかということがあったがために、九大当局におきましても、御承知のように排水処理専門委員会ができまして、そしてその排出水の検査とか処理方法とか、処理施設であるとか、それでいいかどうかということを検討して、そして、これで悪いとなれば、どうすればいいか、そうすると、それに対しての予算の要求がおそらくあると思うのでございます。それにつきまして、当局から言ってきたのをうのみにするのじゃなくて、現地のいろいろな方々の意見も聞きながら、われわれはそれに対する予算もつけ、また万全を期していきたい。あるいは、当面なすべきことは何であるか、あるいは、もう少し広範に、恒久的に、根本的に考えなければならぬことはどういうことであるか。それから、これは単に九大だけの問題ではないのじゃないか。あるいはよその大学でもそういうことをやっているのじゃないか、そういうようなことについても、われわれ文部当局としては、今後調査もし、あるいは指示もし、指導もしていかなければならない、また予算もつけていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
○田中(昭)分科員 九大からほかの大学のことにお話が進みましたから、それではほかの大学では大体どういうふうな状況になっておりますか、その一、二、わかっておればお答えいただきたいと思います。
○村山(松)政府委員 私どもも、九大の問題を契機として、現在詳細に調べておるところでございますけれども、九大と同じように、市の下水道の終末処理が十分じゃないというところがございます。そういうところの大学、たとえば、京都大学の研究所でございますとか、あるいは東北大学あるいは高等専門学校の中にもそういうところがあるわけでございますが、そういうところを特に重点を置きまして、現在こまかく調べておるところでございます。私どもも、九大と同じような程度の問題を持っているというのは、ただいま申し上げましたように、京都の宇治地区の研究所というようなところ、ほかに数校あるのじゃないかというふうに考えております。なお、東北大学などでは、すでに排水処理施設を整備いたしまして処置済みのところもございますけれども、なお問題が残っているところにつきましては、ただいま大臣から申し上げましたような対策もあわせて考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○田中(昭)委員 あまりはっきりしないような、私、よくわからないのですが、今後こういうような、全国の大学についてもいろいろな古い施設もありましょうし、新しい施設をつくらなければならないところもありましょうし、そういう問題についてどのように対処していかれるのか、その基本的なお考えをさらにお答え願いたいと思います。
○村山(松)政府委員 先ほど大臣も申し上げましたように、この問題の解決につきましてはほかの施設のいろいろな問題に先立ちまして、それを多少延ばしましてもこの問題については取り組まなければならないということ、先ほど大臣から申し上げとおりでございます。私ども、この問題につきましては、むしろ文部省のわれわれよりも大学のほうがよく事情もわかっておるし、またそれに対ます対策も考えられる能力を持っておるというふうに考えるわけでございまして、九大の場合には、先ほど申し上げましたように、特別な専門委員会をつくって、それについていろいろ対策を講じておるということでございますので、私どもも、大学自体が、ほかの問題よりもまずこの問題をまっ先に取り上げて、そうしてこれに対する対策を立てる、それに対しまして私どもは予算上のいろいろ配慮をしてまいるというふうなことにいたしたいというふうに考えております。
○田中(昭)分科員 先ほどから聞いておりますと、何か排水処理専門委員会ですか、そういうものをつくったというようなことをおっしゃっておりますが、これも私どもで市当局へ問題にしまして、そうして私も事情を聞いて当事者たちに当たって、そういう排水処理委員会というものをつくらなければいけないという事情になった、こういうことなんですよ。大臣、よく聞いておいていただきたいと思うんですよ。それは、その委員会が今後どういうふうに運営されていくかということがまた問題だと思うんですね。いろいろなそういうものがつくられた場合に、ほんとうに心配しておる人たちは委員会に何も関与できない、タッチできない、いわゆる隠れみのになってしまって、問題の的確な把握もできないし、進んで処置をしようというふうな委員会ではないことが多というふうに聞いております。また現状から見てみてもそうだろうと思うのです。教師と職員の方でおつくりになるということですね。ですから、私は、そういう問題を考えてみますと、私が当初申し上げましたように、こういう問題が騒がれていく、また、こういう問題をためにしようとする動きもあるのです。私はそれのほうが問題だと思って、そういうものが起こらないように、それを直すためにはどうすればいいかということを、私は、文部省はいろいろ指示することよりも、よく話し合いをしなさい、そういう意味で質問しておるわけでございますから、何も非違事項をいろいろ指摘するわけじゃありませんから、その点は十分考えて、最後にひとつ誠意ある御答弁をお願いしたいと思いますが、いままでの答弁を聞いておりまして私が心配しますことは、この大学当局の起こした――起こしたということよりも、いわゆる排水、廃液等を流したことによって目に見えない、一般人にわからないような被害、ひいてはあの九州でも博多湾といえばたいへんきれいなところであったようでございますが、そういういわゆる大学の付近の住民生活の破壊といいますか、それを何とか救ってやる、さらには自然を、博多湾というものをいままでそういう排水等によってよごしてきたその責任といいますか、そういうものを感じて、大学当局並びに職員並びにそのものに携わる人たちが進んでいままでの御迷惑をかけた反省の意味からもそういう姿勢で臨まなければならない、こう思うのです。こういう考え方に、大臣、賛成できますか。
○坂田国務大臣 御指摘のとおりだと思います。私、熊本県でございますが、水俣病が発生しまして、熊本大学がこの研究をやりまして、そして原因の究明あるいは治療の方法ということにつきまして非常に努力をいたしたわけでございます。そのために相当の費用も、研究費も文部省では出したわけでございます。同様に、たとえばイタイイタイ病等の御質問もございましたけれども、これに対して金沢大学が研究をしておる、あるいは岡山大学農学部の部門において検討しておるということがございまして、公害発生源に対しまして科学的なメスを入れておるのが大学の研究でもあります。しかし、その大学それ自身が研究をするその結果としていろんな工学関係あるいは理工学、医、歯、薬というようなことをやりますと、ある廃液が排出をされるということも、これはやむを得ないことでございます。やむを得ないことでございますけれども、企業が公害の発生源となったようなことは断じてやってはならないわけでございまして、むしろその研究を進める上におきまして、そういうものが絶対地方の住民に危害あるいは害を起こすということにならないように文部省としては指導していかなければならぬ責務があろうかと思うわけでございます。いま九大につきまして御指摘がございまして、そのことから全国で問題点が指摘をされたわけでございますから、われわれも十分ひとつ全国の大学当局に対しまして厳重な指導をしますし、また改善すべき必要な経費というものが要求がございますならば、これに対して万全の措置を講じていきたいというふうに、かように考えておる次第でございます。
○田中(昭)分科員 私がいま申し上げましたことについては大臣も同感だという御発言でございましたが、そういう考え方に立ちますと、ただ文部省が指示したり監督したりすることだけではこの問題は進展しないのではないか。
    〔主査退席、伊藤(宗)主査代理着席〕
先ほどお答えになりましたような、これは地元のその大学が主体になってやらなければならないのだというようなお答えがありましたし、そういうことを考えてみますと、私はやはり現地の当事者たちが進んでいわゆる被害を与えたという反省に立つならば、今度は、どのような状態で今後その被害が起こらないようにしたり――ちょっとその前に、いま大臣、この排水、廃液で何か害はあまりないというようなお考えに立っておられたら間違いだと思いますから、その点ございませんね。その点やはり害があるという認識に立って……。そうすると、いま申し上げましたように、起こりました原因を、最高学府である大学において何か最善の方法はないか、さらにはいままでよごしたものを何とか取り返すというようなことについて、率先して大学の先生方並びに当局もそういう研究か何かを始める、研究に取り組むというような姿勢があってしかるべきだと私は思いますが、いかがでございましょうか。
○坂田国務大臣 この公害問題がこれほどやかましくなっておるわけでございますから、そしてまた一部の大学等におきましては、あるいはある研究室等におきましては公害そのものの発生源についてきわめて鋭い研究を始めておるわけでございますから、大学の当局も、地元にそういうような問題が起きたとするならば、責任を考えまして、十分これに対処する検討、研究をいたすことだと信じておりますし、また私どものほうも、地元からのお話で大学当局が動くということだけじゃなくて、われわれも指導行政といたしまして、そのように大学当局をしむけていくというふうに考えておるわけでございます。しかし、何を申しましても、第一次的には大学当局がやはりこれを考えていただくことでございますので、その点はやはり大学当局の真剣な検討ということを期待をいたすわけでございます。
○田中(昭)分科員 くどいようでございますけれども、時間がありますから、時間まで伺いますが、いま大臣のお答えでよくわかりましたが、そこで私は、くどいようですけれども、やはり大学の先生方が、最高の知識、また人間的にも良識のある方たちでございますから、過去にそういう海をよごし、付近住民に心配のあるようなことをしたということに対して、私は、だれからしむけられなくても、先生方がまず何かのそういうもののいわゆるつくろいといいますか、そういう意味で始めてもらいたいと思いますが、そういうことを大学当局者から内々指示いただくようなことはできませんか。
○坂田国務大臣 先ほど申し上げましたように、やはり世の中がこのように公害問題を真剣に検討し、そして人間の生存そのものに問題があるのじゃないかということをいっておるさなかでございます。いま先生もおっしゃいましたように、最高学府であるし、また良識のある先生方であるわけでございますから、そのことにつきましては、相当責任を感じ、あるいは今後住民の方々に危害を及ぼすような廃液は出さない、あるいはそれを処理する場合については危害のないような形にしてしか出さないのだ、こういうようなことについて、もし必要なお金が足りないからそういうことができないのだというようなことでございました場合は、われわれのほうで十分これを見てあげる用意がある、こういうことをひとつ申し上げておきたいと思います。
○田中(昭)分科員 たいへんありがたいおことばをいただきましたが、何をやるにもお金がつきますから、ぜひこのお金の問題については特段の配慮をしていただきたいと思います。
 もう一ぺん確認の意味で申し上げますが、この前から当局者の方と折衝いたしまして、今後いわゆる施設をつくっていく場合には、特にこの九大の場合には何とか考えていきたい。そこで貯留槽といいますか、いままで五十トンのものを、まだ大きなものを考えておる。また曝気槽といいまして、何か空気を吹き込んでやるのがあるそうでございますが、そういうものも計画したい、こういうお考えがあるかと聞いておりますが、その点も間違いなくそういうことでやっていただけるかどうか、確認の意味でお聞きしておきたいと思います。
○坂田国務大臣 九大からそういうような申し出がございますれば、十分検討いたしたいと思います。
○伊藤(宗)主査代理 和田春生君。
○和田(春)分科員 本日は私学の問題、特に大学の問題はマスコミでもたいへんたくさん取り上げられておるようでございますが、その陰に隠れております私立の高校あるいは幼稚園に対する政府の方針ないしは助成方策、こういう問題に焦点をしぼってお伺いをいたしたいと思います。大事なポイントについては文部大臣よりお答えをいただきたいと思いますが、私の質問の中の技術的、数字的な問題につきましては、それぞれ政府委員の方からお答えをいただいてけっこうであります。
 まず最初に、現在におきます私立の高校と公立高校、私立の幼稚園と公立幼稚園の在学生の比率を、全国と東京都につきましてお伺いをいたしたいと思います。
○岩間政府委員 ただいまお尋ねの比率でございますけれども、高年学校の場合は、全体の高等学校の生徒数に対しまして三〇・四%、それから幼稚園の場合には、全体の幼児数に対しまして七六%を占めておるということでございます。東京都の数字が手元にございませんが、東京都の場合にはさらに私学の生徒数あるいは幼児数の地位は高いものというふうに考えられます。おそらく九割近くまでいっているのじゃないか。それから高等学校の場合には、三〇%を相当こえているというふうに考えられるわけでございます。
○和田(春)分科員 全国では約三分の一の生徒が高校で私立に入っているわけでございまして、いま東京都のことについては手元に数字がないというお話でございましたけれども、私のところにことしの資料はまだございませんが、昨年の資料がございまして、実に六〇%をこえているわけであります。高校生の大かた三分の二近くが私立の高校に入っている、こういう状態になっているわけであります。しかも、御承知のように最近東京その他二、三の都道府県では高校への進学率が九〇%をこえておりまして、男女ともに全国平均で約八〇%が中率者から高校に入る。こうなってまいりますと、高等学校というものは一つの義務教育化している、こういうふうに言えると思います。また幼稚園も、昔のように一部の富裕な階層であるとか特殊な人が行くだけでなくて、前期義務教育とでもいいますか、ほとんど――私、ここに正確な資料は全体的には持っておりませんけれども、多いところでは小学校に就学する児童の七割、八割、九割というふうに幼稚園に行っているというところもあるわけであります。これまた大部分が私立に通っている、こういう状況になっているわけなので、そうすると、高校の場合にも準義務教育化をしている。しかも教育に対しては機会均等でなければならぬということは言われているわけでございますけれども、これだけ大きく依存している私学に対する国としての責任の持ち方、助成ということになりますと、たいへんお粗末である。一言で言ってそういうふうに表現できると思うのです。
 そこでお伺いいたしたいのですけれども、全国と東京都に分けまして、資料をお持ちでしたら、高校在学生一人当たり、私立の場合に国庫からの補助は平均幾らをしておるのか、公立学校では一人当たり経費を幾らかけているか、この点につきまして、高校と幼稚園についておわかりでしたらお伺いをいたしたいと思います。
○岩間政府委員 手元に資料がございませんので、たいへん恐縮でございますが、国から現在補助をいたしておりますものは、幼稚園の施設整備費の補助、これが四十六年度で三億二千五百万、それから高等学校につきましては、高等学校の産業教育の設備費の補助、これが四十六年度で三億一千二百万、それから高等学校の施設整備費補助、これが三億二千八百万、それから理科教育の設備費が三億二千五百万……。
○和田(春)分科員 途中ですが、そういう総額をお伺いしているわけじゃないのです。在校生一人当たりに、高校の場合――幼稚園の場合はわからなければよろしいですけれども、高校の場合に国庫の補助としては一人平均幾らになっているのか、それから公立高校の在校生一人当たりの経費は幾らかかっているのか、それをお伺いしているわけで、そういうことを質問するから資料は用意してきてくれというふうに先にちゃんと通知をしてあったのですけれども、的確にお答えを願いたいと思います。
○岩間政府委員 たいへん恐縮でございますが、ちょっと先生の御趣旨がわからなくて手元に資料が整っておりませんが、ただいま申し上げます補助金を、高等学校の場合でございますと約百四十万、それから幼稚園の場合でございますと百三十二万の大体四分の三でございますから、約百万でございますか、それで割ってみますと国からの援助がわかるわけでございまして、総額と援助費は、いま計算してみましょう。
○和田(春)分科員 きょうの質問は高等学校と幼稚園に重点を置いて、国家の助成とか、そういう問題について焦点をしぼって質問をするということをちゃんと事前にお知らせをしてあるのですよ。それにもかかわらず、そういう点、はっきりした資料を持ってこないというのは、いかに現在の政府が私学を軽視しておるかという一つの標本じゃないかとぼくは思うのです。文部大臣、笑いごとじゃないのですよ。これは相当深刻な問題になっていると思うのです。私の手元にも資料があるのですけれども、ちょっと古くて、四十五年、四十六年のものではないものですから、これはひとつ政府にお伺いをしたいに思って聞いているわけです。四十年に調べた資料が私の手元にあるのです。かなりこまかく調べているのですけれども、東京都の場合、公立と私立の比較になりますと、公立では生徒一人当たりに三十二万二千五百三十四円年間でかけている。ところが私立に対する助成金というのは一人当たりわずかの一万六千六百六十九円であって、その比率は二十一対一になっているわけなんですね。とにかく現在、私学のウエートが、先ほどの御答弁にもあるように非常にふえている、ウエートが非常に高まっているという中で、公立に対してはこれだけの経費がかかっているけれども、私立のほうに対してはこんな少ない経費、これは結局父兄の負担あるいは学校の先生の犠牲、そういうような形でかぶってきていると思うのです。こういう現状について、文部大臣、このままでいいとお考えか、悪いか、その点をひとつお伺いしたいと思うのです。
○坂田国務大臣 御指摘の点は全く私も同感でございまして、実は就任以来、どうやって私学と国立あるいは公立との格差を是正するかということに苦心をしておるわけでございます。従来文部省でもなかなか統計が出にくくて、私自身が自分で計算をいたしまして――これは大学についてですが、口癖のように言っておったわけですが、国立の三十万の、一学生当たりに対しては約八十万、東大のごときは百二十六万出しておる。ところが百三十万ばかりの私立の一学生当たりに対しては一万円以下じゃないか、これで一体大学行政と言えるのか、これではいかぬのだということを私は叫び続けまして、そして昨年度初めて人件費を含む私学助成ということに踏み切ったわけでございます。そして第二年度といたしましてことしも五〇%増。しかしこれで私は十分だと考えておりません。しかもこの前OECDがやってまいりまして指摘いたしました点もまさにこの点にあるわけで、私はたとえば国立の大学の学生一人当たりの八十万ということは世界の先進国に比べてそう劣っておるとは決して思っておりません。しかしながら、私学と国立とを合わせてそれを計算してみますると、これはいかにもお粗末である、そのことが同時に国民総所得に対する教育の費用、特に高等教育機関に対する費用というものが一九六五年ぐらいからずっと下がってきた。よその国はそれからずっと上がってきておるのにこっちは下がってきておる。この現実を踏まえて何とか私学に対して助成をしなければならぬという基本的な考え方を持って財政当局を説得するだけの資料を整備しつつあるわけでございます。しかし十分ではございません。したがいまして昨年度からもう大学にそうやったのだから、当然高等学校から幼稚園に対してもそれぞれやるべきじゃないかということで、交付税の形でございまして自治省関係でございますが、約一〇%のものを全国にやるという形をまずとって第一段階だ。しかし、これからたとえば中教審におきましても幼稚園を義務設置云々というようなことがございます。そうしますと、どうしても公立ということになる。しかし、そうするとせっかくいままで私立の幼稚園がやってきたのにそれがつぶれてしまうというようなことは一体教育上どうなんだ、やはり私学を選ぶような人たちもあるわけでございますから、それに対しての財政措置というものを考えずしては、この幼稚園の普及ということも十分問題が残されているのではないか。その条件整備をわれわれが考えて初めて義務設置云々というようなことに踏み込めるのだという基本的な気持ちを持っておるということだけをひとつ申し上げておきたいと思います。
○和田(春)分科員 大学の問題については文部大臣いろいろと御苦労なさっているということにつきまして、内容の賛否はいろいろ意見がありましょうけれども、その御努力については私も敬意を表したいと思います。しかし、いま文部大臣もおっしゃられたように、大学だけが切り離してあるわけじゃなくて、その基礎には幼稚園、小学校、中学校、高校とあるわけで、特に高校教育の重要性というのは今日の日本で非常に高いものだとわれわれは考えるわけなんです。大学ももちろん日本の有為の人材をつくるという意味でたいへん重要なものかもわかりませんけれども、まだまだ大学へ進学するという者は高校卒業生の四分の一程度でございますか、その程度であろうと思うのです。ところがいま申し上げましたように、全国で平均八十%が高校に行くわけですね。これで私学に非常に大きな部分をたよっているという状態についてもっと積極的に考えてもらう必要があると私どもは思うわけなんです。ところが努力をしてきているというお話でございますけれども、私の手元にある――学校の名前は差しさわりがありますから遠慮いたしますが、これはその経理の内容につきましてずっと学校当局からもざっくばらんに資料を出してもらって協力をしていただきました。もちろん私学を経営して悪いことをしたり、もうけたりしているような変なのも一部にはおりますけれども、これは犯罪行為ですから別といたしまして、この学校について見ますと、四十一年から四十五年まで五カ年間に生徒の負担金というのが経費の中に占める割合が四一%、四五%、四九%、五六%、六〇%というふうに、年々生徒の納付金、つまり授業料として納める金額の負担割合というものがふえてきておるわけであります。これはある宗教法人関係のカトリック系の学校でございますけれども、宗教法人の助成金というのが大体毎年三分の一、三〇%前後を占めている。こういう状況になっておりまして、生徒の納付金の比率がぐんぐん上がっていっているわけです。同時に、この学校で人件費というものもこの五カ年間について見ますと、五〇%、六〇%、六三%、六三%というふうに人件費のウエートというものが非常にふえてきておる。非常に苦しい経営になっているわけです。
 一方国庫からの補助金というものをその中で見てみますと、待遇改善費として都を通じてもらっているものは一応別に考えまして、四十一年度は五十三万六千円、これが四十二年になりますとちょっとふえて五十八万。ところが四十三年は五十一万九千円、四十四年は二十一万一千円、四十五年はゼロ、逆に国庫からの助成金というものはこの学校について見るとどんどん減ってきておるわけなんです。こういう事実について政府の努力のあとは全然認められない。また減ってきた理由についてあとからお伺いいたしたいと思いますけれども、坂田文部大臣、この実情をどうお考えですか。いいとは言えないと思うのですけれども、直すんなら直す、自分の任期中にからだを張って予算をぶんどってきてでも直そうという決意がおありかどうか、その辺も含めてお伺いしたいと思うのです。
○坂田国務大臣 これは従来からのいろいろの経緯がございまして、そういうような私立学校に対する体制というものが実は整っていなかったと率直に申し上げたいと思うのでございます。でございますから、急に充実ということにはまいりませんけれども、しかし私といたしましてはやはり私学の社会に果たしておる役割りというものを十分認識をいたしておりますから、そして今後父兄負担等が非常に多くなる、納付金が多くなるというような事態あるいは同時に国からの力というものも十分でないというような点については抜本的な対策というものを考えたいと思っております。私の任期中にということをおっしゃいますけれども、それはとても無理かと思いますけれども、少なくとも方向は文部省は先生の御指摘の方向で最大の努力をしなければいけない。次の大臣、次の大臣、そういうふうにお願いをしたいと私は考えております。
○和田(春)分科員 もちろん文部大臣の在任中というのはことばのあやでございまして、政府として一貫してやっていただかなくてはいけないわけです。
 なお、いま例にあげた学校について見ますと、ここは教職員が六十四人おるわけでございますけれども、四年制の大学を卒業して初任給がわずかにトータルで三万二千三百円でございます。年齢が三十六歳で平均給与が三万七千円ということになっております。たいへん低いようですが、これはいわゆるシスターズ、修道女の人たちが奉仕的に非常に安い給料で先生を引き受けておるものですから平均は安いのですけれども、ちょうど学校を卒業して六年目になる人で三十歳、独身の男子が三万九千五百円という基準内給与でございます。このほかにいわゆる待遇改善費という補助がございまして、一番多い人が年間十八万円、最低は高校のほうのあれで四万四千五百円、月にいたしますとせいぜい三千円程度であります。これは私立の学校でいきますと、まだこれよりもっと悪いところもあるわけなんです。しかし公立の学校、一般の今日の産業社会における初任給とか収入というものと比べますと非常に安過ぎるわけですから、なかなかいい先生を確保することは困難であります。やはり教育は人だと思うのです。こういう給与をせめて、私学に対する補助金もいろいろありますけれども、公立学校の先生の平均給与並みに引き上げるという点について積極的に国が助成をするという必要があるように思うのですが、その点いかがお考えですか。
○岩間政府委員 御指摘のように、私立の高等学校あるいは幼稚園の先生の給与というのはかなり低うございます。前に調査いたしました四十年度につきましては約一万一千円ぐらい高等学校の場合には差がございました。四十三年度に調査をいたしたときには、それが八千円ぐらいの差になっておりました。私立学校自体といたしましてもその改善につきましては非常に気をつかっておるということがわかるわけでございますけれども、まだ公立学校並みまでにはいっておりません。しかし、年齢別に見ますと、高等学校の場合には三十五歳以下は大体公立学校と同じぐらいでございます。幼稚園の場合には、二十五歳以下でございますと大体同じでございまして、高年齢になるほど差が開くというふうな傾向がございます。
 それで、こういう給与につきましてできるだけ公立学校の給与に近づけるようにというお話でございますが、私どもも昨年から、大学につきましては国が直接人件費を含めて経常費の補助を行なっておる、それから高等学校以下につきましては、地方交付税を通じましてそれが行なえるように手当てをいたしておりますが、そういうふうなことによりまして、できるだけ私立学校の人件費を公立学校の給与に近づけたいというふうな努力をしてまいっているわけでございます。
○和田(春)分科員 いま調査になった大ざっぱな数字述べられたわけですけれども、これにいわゆる夏、冬の臨時手当とか、ボーナスとか、そういうようなものを一切がっさい含めますと非常に差がある。おっしゃるように初任給でもすでにある程度差がある、それが高年齢にいけばいくほど差が開いてくるわけです。そうすると私立の学校で長く教鞭をとるということは相当の個人的犠牲を払わなければいかぬという形になるわけであります。転職をされる先生もなかなか多い、なかなかいい先生が見つからない。そしてその高等学校でいえば、先ほど言ったように東京都では六割をこす生徒が私立の学校で学んでいる。全国でも三分の一の生徒が学んでいる。私はこれは非常に問題ではないかと思う。国家なり、あるいは都道府県、地方自治体が、公立学校を、十分収容できるだけのものをつくっておいて、そして私学は独特の教育方針に基づいて自分の好みに合った教育をする、それをまた慕って、よいと思う生徒ないしは父兄がそこの学校に入れるというのならばあまり気にする必要もないのですけれども、先ほど来何度も言うように、八割もこえるほど進学するようになっておって、収容するだけの入れものというものを国も地方自治体もつくっていない。そして大多数の人が私学にいかざるを得ないという条件をつくっておいて、そしてそこで教鞭をとる先生に対しての待遇が非常に悪い。授業料というものを通じて父兄の負担は、設備費や研究費を含めて非常にたくさんの負担を負っているということは、まさにこれは教育の機会均等ということをその面で私はぶっこわしていると思う。したがって、やりたいというお話ですけれども、こういう事実というものは、今後の日本にとって教育が非常に重要であるという点で私はまことに遺憾であると考えるわけなんです。そういう点がひとつ文部大臣、具体的にこうしたい、こういうふうにしたいということを抽象的な、思うではなくて、これこれの方法について全部現在検討しているとか、考えているとか、そういう問題があったらここでお述べいただきたいと思うのです。
○坂田国務大臣 実は、率直に申し上げまして、具体的にこうということをここで申し上げる段階でございません。ただ御承知のように、この五月には幼稚園から大学までの中教審の答申がいただけるということでございます。それまでに実は私どものほうでも、それからまた中教審のほうでも、長期教育計画というものを策定する考えでございまして、それに対する計量計算もいたしたいと考えておるわけでございます。そういたしますと、実現可能なところで一体毎年国民所得に対して何%ぐらい考えていったらそれは可能であるか、幼稚園はどこまで、あるいは大学は幾つぐらいまたふやすならばいいか、あるいは現在の高等教育機関に学ぶ学生数をどれぐらい考えたらいいか、あるいはその際における私立と公立と国立との比率はどれぐらいが適当であろうか、あるいは高等学校の問題もそれと同様のことが考えられると思います、あるいはまた日本列島全体をながめまして、たとえば医学部であるとか、あるいは医科大学というものをどうするかもまた検討課題でございますが、その配置等につきましても、やはり一定の計画があってしかるべきじゃないだろうかということも考えておるわけでございまして、いましばらく時間をかしていただきたいというふうに思います。
○和田(春)分科員 大学の話も出ましたけれども、やはり基礎が非常に大事だと思いまして、順々に基礎から積み上げいかなくちゃいけないと思う。
 たいへんこれは具体的なことをひとつお伺いするのですが、実は私も首を突っ込んでいろいろ調べてみますと、私立学校に対する補助というのは、いろいろめんどうくさい基準が一ぱいありまして、こま切れに、一つ一つはたいしたことがない金額が、ちびちび出ているんですね。さっき例にあげた学校は、補助金ゼロというのは、要らないのかというと、そんなことはない、のどから手が出るぐらいほしいんだという。ではなぜ請求しなかったかというと、たとえば理科の実験に顕微鏡というのを国が基準をつくっている。大体の基準でいくと、その品物は一つが二万四、五千円から三万円ぐらいの顕微鏡だ。最近の指導要領によれば、中学校からすでに微生物の実験をやるという形になると、こういう安ものでは焦点が合わない、ちょっと立体があるものですから、まあ小さな虫か何かを見るぐらいならいいけれども、この顕微鏡では焦点が合わなくなる。そこで学校の先生としては、生徒に使わせるのも、教師用という四、五万する顕微鏡なら何とかできる。ところが、これを買おうということになると、国の基準からはずれるということになって、補助金がついてこない。ところが、国の基準に合うものを買って生徒に使わせるということになると、いまの微生物の実験にその顕微鏡は実際は役に立たない。そういうような形で、結局補助金はほしいのだけれども、国の補助金の基準というものが現実とかけ離れているために、みすみすとれないのだという実情を訴えられたわけなんです。そういうような点についてももう少し、こま切れで、そういうみみっちいことをいわずに、せめてそういうものについて、物件費、設備費、施設とか、教材費等について、実情に合った補助をするというお考えはあるかどうか、お伺いをしたいと思うのです。
○岩間政府委員 御案内のとおり産業教育あるいは理科教育の設備の補助と申しますのは、一定の基準までに達するまでの補助でございます。その点の制約が一つございます。
 それからただいま先生から御指摘いただきましたように、一応の基準がございまして、その基準によって補助をする、二つの面があるわけでございますが、基準等の面につきましては、これは絶えず教育の内容も変わってまいるわけでございますので、そういう点につきましては、さらに努力をいたしたいというふうに考えております。
 それから先ほど、大臣から申し上げましたように、このほかに地方交付税制度によります財源措置の方法があるわけでございまして、ただいまのところはそちらのほうに主力を注いでおります。
 具体的に申し上げますと、四十五年度は人件費を含む経営費等の補助につきまして、地方交付税で八十七億程度の財源措置をいたしましたが、来年度はそれを百十億程度に、つまり約八割増ぐらいに広げたい。それに対しましては、府県のほうではまた八十七億に対して本年度は百六十七、八億の実際の補助を行なっております。そういうことによりまして、私学に対する助成を年々大幅に増大したいということは、大臣からも申し上げましたとおりでございます。
○和田(春)分科員 時間がそろそろ切れるようになってきたわけですけれども、確かに交付税のほうから回っている、あるいは地方自治体が自主財源でいろいろ助成をする、いろいろありますけれども、それを一切がっさいひっくるめましても、私がいま例にとりました、これは中堅の私立の学校でありますけれども、四十三年の一六%、これは国と都の一切の補助金を全部合算していわゆる総収入に占める割合です。一六%をピークにいたしまして、四十四年は八%、四十五年は六%というふうに、実際問題として減ってきているんです。ふえているんじゃないんです、この学校についていうと。それは要らないからじゃないのです。さっき言ったように、いろいろ細分をされているものを割っていくと、それぞれに基準にひっかかるということのためになかなかもらいにくい、あるいは学校のほうで基準に合わせるような用意ができないために、よく地方でもありますね、私費負担をやれば補助金をつけてやるけれども、負担ができないものだから補助金がつかないというようなこともほかにもありますけれども、けれども、いろいろな事情がからみ合っている。そういう点を考えますと、こういうこまごまこま切れではなくて、すでにもう義務教育化した高等学校あるいは前期義務教育化した幼稚園等については、在学生徒一人なら一人について、単価幾らなら幾らというものを国庫は補助をしてやるんだ、あるいは地方を通じて地方自治体からそういうものは助成をするんだ、そういうはっきりわかりやすい方法にして、そしてちゃんと目標を定めて、創意くふうを発揮しながらその学校の運営というものをやっていけるようにすべきであると思うのですけれども、そういうお考え方についていかがですか。つまり補助のやり方の改革です。
○坂田国務大臣 これも実を申しますと経緯がございまして、先生もうすでに御承知と思いますけれども、たとえば産業教育振興をつくりましたときに、初めて私学にも助成をする道が開かれておる。たしかこれは昭和二十六年、しかも、これが議員立法なんです。政府立法じゃございません。私どもも一緒になってやったわけです。ところが、その次にできました、昭和二十八年だったと記憶しますが、理科教育振興法であります。これは初めは、とにかく公立の理科設備ということで、私学というものは頭にはあったんですけれども、そのときに予算が取れなかった。そして数年後に初めて私学にも及ぼせということでやっと取れた。そして、それがずっと拡大しまして、今日私学にも産業教育の関係の設備費あるいは理科教育の設備費が入っておる。あるいは私学に対する施設の、私立幼稚園に対する施設も、あるいは設備の費用も、やっとスズメの涙ほど補助金が出てきて、そしてやっとここまできた。ここで私は、やはり私学に対する政府の姿勢、あるいは私学に対する社会的な意味というものが変わってきた。これはもうはっきり認識しなければいけない。政府も認識しなければいかぬ、それから国民の方々もまた認識していただかなければならぬ。同時に今度は私学に従事しておられる先生方も、あるいは経営者の人たちも、大学から幼稚園に至るまで、その社会的な責務というものも一方において考えていただかなければならぬということで、一ぺんこれは総合的に、いまおっしゃるようなことも含めまして検討をする段階じゃなかろうか、これは私もそういたしたいというふうに思っております。
○和田(春)分科員 いま文部大臣から、かなりはっきりしたお答えがございましたけれども、もちろん私学経営者も自覚を持つことが必要でしょうけれども、やはり国が先頭に立ってはっきりした方向と施策を示すということが一番大事であると思いますので、その点格段の御奮闘をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○伊藤(宗)主査代理 楢崎弥之助君。
○楢崎分科員 まず、最初に大臣にお伺いをしたいのですが、二、三の歴史的な事実について大臣の認識を知りたいものですから……。
 まず、昭和十二年七月七日、シナ事変が勃発しました。この契機となった事件はどういう事件であったと御認識がございますか。
○坂田国務大臣 私、乏しい知識でございますけれども、蘆溝橋事件から出発したと思います。
○楢崎分科員 その蘆溝橋事件とはどういうでありましたか。
○坂田国務大臣 これは文部大臣としますと、なかなかここの答弁は大事でございますので、間違ったことをしてはいけませんわけでございまして、一応鉄道爆破ということ、これが日本がしかけたとかいうようなことで、いろいろ問題になったというふうに理解しております。
○楢崎分科員 次に、大東亜戦争は、アジアの自由独立のために日本が敢然と立ち上がった、そういうふうに御認識でしょうか。
○坂田国務大臣 私もよくそこの史実関係がつまびらかでございませんけれども、そういう認識ではなくて、私の乏しい認識から申しますと、当時いろいろ、物資の関係等について、経済的な問題で、アメリカを含めましてその他の国と、日本としてはいろいろの主張があった、それがいれられないというようなことで起こったのじゃないか。その当時の日本国民としては、やむにやまれぬようにして起こったというふうにわれわれは理解しておった。しかし、史実としては、またいろいろこれは議論があるところだというふうに了解をしております。
○楢崎分科員 次に、現在の中国、旧満州も含めて、中国共産党がこれを取ったというふうに認識することは間違いだと思いますが、どう思われますか。
○坂田国務大臣 どういうことか知りませんが、ちょっと私、どういう質問か、あるいは聞き違えたかと思いますけれども、あのとき、一応、蒋介石政権とわれわれのほうは戦いを交えたと思いますが、その間革命が起こって、そして現在の中華人民共和国の人たちと蒋介石政権との間にあのような事態に立ち至った、こういうふうに理解をしております。
○楢崎分科員 実は私がいまお伺いしたのは、本に書いてあるとおりのことを聞いたのです。これは「少年日本史」、平泉著。いまのお伺いいしたところを、ちょっと長いですが、読んでみます。「昭和十二年七月七日夜の北京郊外盧溝橋事件であります。それは夜間演習を行なっていた日本の小部隊が、中国軍から射撃を受けたので仕方なしに応戦したというのですが、関係者の話を総合すると、日本と中国との開戦を希望する第三者の工作らしく」、次は、「戦争がすんで見れば、満州も支那も、すびて共産党のものとなって了った」、今度は大東亜戦争のところです。「敢然としてアジアの自由独立を取戻そうとして起上った大東亜戦争は、」とあって、以下、大東亜戦争で日本が血を流したからアジアの独立国がどんどんふえたのだ、こういうことが書いてある。これは、いまも大臣がお答えになりましたとおり、全く歴史的な事実に反する。
 この「少年日本史」が、昨年から、国内の特定の県で、県教育委員会を通じて、中学校、小学校に配付されておる、こういう事実を御承知でしょうか。
○宮地政府委員 いま先生がお示しになられました、平泉さんの著になりますその「少年日本史」が、教科用図書ということでなく一般に市販されておるという事実は知っております。それから、一、二の県に、ある篤志家がそれを学校に寄贈したいというような申し出があって、それが学校に配られたところがあるという事実は承知いたしております。しかし、子供に教科用図書あるいは副読本として使われたということは、私どもも承知いたしておりません。
○楢崎分科員 これは明確にどの県で県教委を通じて配付されたか、具体的にわかっておりますか。
○宮地政府委員 私どもが聞いておりますところは、石川県と富山県でございます。その他にもありますかどうですか、そのことは承知いたしておりません。
○楢崎分科員 文部省としては、こういう本を、少年が大いに読むべきであると、推薦されますか。「少年日本史」ですから……。
○宮地政府委員 文部省といたしましては、教科書以外の特定の書物を推薦するといったようなことは制度的にはいたしておりません。映画につきましては文部省特選とかいったような制度がございますが、教科用図書につきましては、その本に限りませず、文部省推薦図書というのは一冊もございません。
○楢崎分科員 私は、そういう意味で言っているんじゃないのです。もしこういうものを生徒に読ませる先生がおったらとめますか、事実に反するのだから。
○宮地政府委員 教師が子供に、その本を読めということを強制しておるということであればとめたいと思います。その本に限りませず、ある参考書的なもの、読みもの的なものを子供に読むことを強制するという事実がございますれば、私どもは適当なことと思いません。しかしながら、学校の先生方が子供の読みものとしまして――いろんな書物が出ております。そういうような場合に、子供の父兄等は、自分の子供にどんな読みものを読まそうかということでいろいろ心配しておられる。そういったような場合に幾つかの本を先生方が、こういう本を読んだらいいでしょうといったようなことは学校でもやっておられると思います。
○楢崎分科員 こういう事実に反する本は、むしろ差しとめなければいけないと思うのです。文部大臣はこの本を読まれたことありますか。
○坂田国務大臣 ところどころ読んだこともあります。
○楢崎分科員 子供の教育上どう感じられましたか。
○坂田国務大臣 教科書ということではなくて、読みものとしてならばいいんじゃないかというふうに思っております。
○楢崎分科員 これはたいへんなことを承りましたね。子供が読みものとしてこういうものを読んで、こういうことを事実であると認識したらどうなりますか。この内容は、ほんとうに読まれましたか。そしてあなたが、子供がこれを読むことはいいことなんだとおっしゃったら大問題ですよ。責任もってそうおっしゃるのですか。
○坂田国務大臣 私は拾い読みしましたわけでございますから、あまり的確に申し上げられないわけでございまして、私が読みました限りにおいて申し上げただけでございます。ですけれども、いま何かいろいろ歴史的史実とあるいは違ったようなところもあるような御発言でもございますし、われわれそれを精査しないと、それがいいとか悪いとかは何とも申し上げられないのじゃないかというふうに思います。
○楢崎分科員 それだったらいいとか悪いとかでなく、まだ申し上げられないとおっしゃればいいんですよ。子供が読んでいいようなことをおっしゃったでしょう。そういう無責任なことを文部大臣が言ってもらっちゃ困りますよ。この思想がもしいいんだったら文部省の教育方針として大問題になります。
 文部省教科調査官の山口康助という方がおられますが、この方は「歴史教育を再建する」という座談会に出られて、この「少年日本史」について、推薦ということばは使ってないが、非常に支持したようなことを言われておりますね。これは事実ですかね。
○宮地政府委員 いまお尋ねのこと、どのようなことを申したか私直接には存じませんが、一般に文部省といたしましては、教科書以外の図書がいろいろ出ておりますが、その場合に、全部の子供に副読本として使わせる、あるいは家庭の読みものとしてもこれを読みなさいといって強制すること、そのこと以外のことは自由であるという基本的な考え方を持っております。したがいまして、文部省としては、その限りにおいて、その本に限りませず、どのようによい本であろうと悪い本であろうと、(楢崎分科員「そんな一般的なことですりかえてもらっちゃ困りますよ、私はこの本のことを言っているんだから……」と呼ぶ)その「少年日本史」に例をとりましても、もちろん教科書ではございません。それをさらに副読本として使う、あるいは子供に強制してぜひこれを読めということ以外であれば、それを子供が、あるいは先生がよい読みものだと思われることは自由であろうと思います。
○楢崎分科員 自由ですか。こういう歴史観に基づき子供を教育することは自由ですか。
○宮地政府委員 教育をする教育のしかたではなくて、いま先生のお尋ねはこういう本をどうだということでございますので申し上げました。たとえばよく「毛沢東語録」の教育をしておられる先生などもございますが、(楢崎分科員「いや、その話を聞いているんじゃない」と呼ぶ)私どもそれを、「毛沢東語録を使って」学校で副読本のようにして読ませる、あるいはこれを読めと強制すること以外であれば、教師が、「毛沢東語録」という本がある、いろいろおもしろいことが書いてあるといわれても自由ではなかろうかと思います。
○楢崎分科員 主査、ちょっとやめさせてください。「毛沢東語録」とは何です。「毛沢東語録」をだれが聞いていますか。何で問題をすりかえるんですか。だめですよ、そんなことを言ったら。私が問題にしているのはこの「少年日本史」ですよ。何でそこに毛沢東が出てくるのですか。「毛沢東語録」が県の教育委員会を通じて出されたことがありますか。何を言っているんですか。あったら言ってください。
○宮地政府委員 私の説明がまずうございましたらおわびいたしますが、私が申し上げておりますのは、その「少年日本史」に限らず、あるいは「毛沢東語録」を例にあげましたが、先生がお尋ねだといってお答えしたわけではございませんが、「毛沢東語録」を使って教育をしておった先生があって、その方が懲戒処分にされたといったようなことがございますので、「少年日本史」に対して「毛沢東語録」といったようなものも同じように、それを強制的に使ったり、強要して子供に読ませたりということでなければ自由であろうという例に引きました。お尋ねない点を申し上げまして失礼いたしました。
○楢崎分科員 あなたは偏向してますよ、考えが。私が問題にしておるのは、この「少年日本史」が、県の教育委員会を通じて各学校に配られておるということです。何で「毛沢東語録」が出てくるんですか。何ですか、それは。あやまりない、ここで。何で「毛沢東語録」にすりかえるのですか。教育委員会が配っておるから問題にしておるのですよ。また、文部省の役人が、この座談会に参加しているから問題にしているのですよ。時間が三十分ですから私は多くを言いませんが、これは島根県、静岡県の浜松市、富山県、石川県、全部教育委員会が扱っておる。しかも、教育委員会はどこからこの本をもらっておるかというと、その地方の財界が一括買い上げて、時事通信社から買い上げて、そして贈呈しているんですよ。
 そこで私は、この「少年日本史」を扱った長谷川才次なる人のことにちょっと触れてみたいのですけれども、この「少年日本史」がどのような宣伝がなされておるかというと、ここに宣伝のあれがあります。武藤貞一という人がその推薦のあれを書いている。いま戦後の歴史は歪曲されておるということをずっと述べて、「これこそ二十五年にわたる」――この本がです。「これこそ二十五年にわたる黒雲をつんざいて、初めて正統日本史の世界へ少年の心を導き入れる一大国民教典である。」そう書いてある。これを教育委員会が扱っている。しかも、財界がこれを仕入れて、無料で教育委員会に進呈をしておるんですよ。仙台においては、これを配るために、いいですか、これを配るために、県知事と、それから東北電力の社長、七十七銀行の社長等が歴史を守る会か何か、架空の会をここに設定している。ないんです、実体は。その会が配ったようにして学校にばらまいておる。こういうことが許されますか。私は文部大臣にその実態を調べてもらいたいと思いますが、どうですか。そしてあなたは、よくこれを精査してください。そして文部大臣として、この本がそういうふうに流れていくことについてどう思われるか、それをいずれ明白にしてもらいたいと思う。この予算委員会は二十五日までですから、それまでにひとつ明確にしてもらいたいと思います。どうです。
○坂田国務大臣 できるだけ調べてみたいと思っております。
○楢崎分科員 そこで私は、こういう本を出しておる時事通信社なるものについてちょっとお伺いをしたいんですが、内閣の広報から来ておられますか。――時事通信社関係の会社、情報社、あるいは調査社、どういうものがありますか。
○松本(芳)政府委員 時事通信社のほかに別働隊で時事画報社、それから世論調査を専門にしている中央調査社、それからこれは私ども関係がございませんが、外交知識普及協会、そういったものがあると思っています。
○楢崎分科員 まだほかにあるのですけれどもね。把握しておられませんか。
○松本(芳)政府委員 はい。
○楢崎分科員 それではお伺いをしたいんですが、総理府は毎日二時間ニュースフォトを買われておるのですか。
○松本(芳)政府委員 「ファックスニュース」のことでしょうか。――テレファックスのことだろうと思いますけれども……。
○楢崎分科員 内閣調査室は時事通信社から、毎日情報をファックスで送信を受けているわけですか。
○伊藤(宗)主査代理 調査室は来ていないのですけれども……。
○楢崎分科員 私は、この広報関係の全部わかる人といってお願いしておいたんですけれどもね。
 それでは時間がありませんから、これは確かめておいていただきたい。これはどういう通信の方法、どういう電波を使っておるか。何メガサイクルの電波を使っておるか。
○松本(芳)政府委員 ちょっとメガサイクルのことはわかりませんので、調べてお答えします。
○楢崎分科員 それから総理府は、内外情勢調査会に情報の委託費を出しておるんですか。
○松本(芳)政府委員 それは広報室ではございません。調査室だと思います。
○楢崎分科員 これも調査室ですか。では調査室に来てもらわなければいけませんでしたね。
 内外情勢調査会は大体どういうことをやっておる団体ですか。それは広報室のほうで把握していませんか。
○松本(芳)政府委員 講演会、それから出版物の配付等をやっているように聞いております。
○楢崎分科員 これは、では調査室が来ておりませんから、機会を別につくっていただきたいと思いますが、この長谷川才次氏なる者がやっている時事通信関係は、いろいろなものを出しているのですね。そしてこれは政府から委託費が出ておる、三、四のものについて。そしてついでにあなたにお願いをしておきますが、「時事ファックス」が各省に渡されておる、買われておる。この予算が幾らであるか。それからさっきのテレファックス、テレックスのこともお願いしますね。それから内外情勢調査会に幾ら出しておるか。いいですか。
 それから特に外務省について調べてもらいたい。「ホットニュース」を買っておりますが――だれか控えていますか。外務省関係だけちょっと言っておきます。「ホットニュース」を購入しておるが、これは四十六年度の予算は幾らになっておるか。それから「時事ファックス」、それから「パシフィック・コミュニティ」、これだけは外務省関係として調べておいていただきたい。
 そこで、たとえば時事通信関係、実際はもう時事通信とほとんど同じなんですけれども、名目だけ別会社をつくっているのです。そしていろいろ出しているのです。「時事解説」というのがある。これはちょっと持ってきておるものだけ読んでみます。それから「内外情勢調査」、それから「マスメディア会報」というのがある。いいですか。どういうことを書いてあるか。これは全部長谷川才次氏の分です。新しいところからいきましょうか。「時事解説」これは四十六年二月十三日土曜日のものです。小林放言について「言論不自由国」、表題が。「知事選挙の応援演説でちょっと口を滑らしたことが、国会で取り上げられると、とたんに大臣が辞任するというのだから、大臣の相場も暴落したといわねばならない。」これから始まっておるわけです。「片言隻語をつかまえられて、いちいち責任を問われたら、どなたもそして一日も公的地位には止まることができなくなるだろう」「公的発言についてもある程度までは免責という慣行が成立しなければ、日本は言論不自由国となろうし、国会での審議は空まわりに終わりかねない。」いいですか。この前の小林放言事件についてこういう見解を堂々と出しておる男なんですよ。「わたくしは今度の小林法相の「失言」?は、実は本人の本音だと思うし、そしていっていることはいちいち真実だと思う。」どうですか。「慌てて辞任というのは、もっとも拙劣だ」、これが時事解説の小林放言です。
 それから「内外情勢調査」、これは本年一月謹賀新年号です。ここに長谷川才次氏が巻頭言を書いておる。おもだったところだけ読んでみます。「太平洋新時代で域内が自主的に防衛策を講ずるという段になれば、どうしても東亜の重鎮として、ないしは世界の経済超大国として主役を演じなくてはならない。とすれば憲法第九条を維持することはむずかしい。」「一夜漬けのチャンコ鍋料理」の憲法、いいですか。「そろそろ範を帝国憲法にとって「日本人のための日本人による日本人の」真憲法をつくらねばならぬところへ来ていると思う。」次は、「しかし憲法の拠って立つところは「国体」だ。とすれば教育勅語をもう一度筐体からとり出して、読み直す運動を起こさねばならない。」これは「内外情勢調査」、四十六年一月。
 同じく四十六年二月の「内外情勢調査」、沖繩のコザ事件であります。これに対して、コザ事件が騒ぎ立て過ぎて――これは「マスメデア会報」に詳しくそのことは載っております。そして、この「少年日本史」について触れておりまして、これは自分のところが出しておるから、自分で宣伝しておるわけです。「少年日本史」を刊行したのも、「地の塩、世の光」となるつもり」であります。「「真憲法」の制定から「教育勅語」の弘通、そして国史の復興と「週刊時事」は大きな旗じるしをかかげて世論の啓発につとめて」おります。「マスメディア」――コザ事件のところです。「ああいうやり方は」――ああいうやり方というのは、コザ事件で沖繩の人が騒いだ、あの事件です。「ああいうやり方は「法治国家のつらよごし」だと、むしろ沖繩県民をたしなめるのが社会の木鐸としてのつとめではなかったでしょうか。」ざっと読んでみても、こういうものです。こういうものを出しておる時事通信関係に政府は大きな援助をしておるのです。これを、私は徹底的にこの時事通信社関係を洗う必要があろうと思う。
 それで、私は先ほどの関係の結果を待って、これをどう取り扱うか、主査と副主査のほうでどう取り扱うかひとつ話をしていただきたい。
 これで終わります。
○伊藤(宗)主査代理 小林進君。
○小林(進)分科員 文部省にお伺いいたします。けれども、日本の義務教育の比率はどれくらいいっていますか。一〇〇%いっていましょうか。時間ありませんから、早々に質問に答えてください。
○宮地政府委員 大体一〇〇%とお考えいただいていいと思います。
○小林(進)分科員 大体などということではなしに、こういうことはやはり基本問題ですから、正確に言ってもらわなければいけない。義務教育を受ける義務の根底をなすものは、属地主義ですか、属人主義ですか。日本人ならば必ず義務教育を受けなければならないというのか。日本の国内に住んでいる者は、必ず日本の教育を受けなければならぬのか。この点をひとつ明確にお聞かせをいただきたいと思います。
○宮地政府委員 日本人は、義務教育を受けなければならない、そのように私どもは解しております。
○小林(進)分科員 そうすると、属人主義でございますね。日本人ならば世界のどこにいようとも、必ず義務教育を受けなければならない、こういうことになりますな。
 いま、局長のお話でわかりましたから言うのですが、そこで、一体日本人であれば、世界のどこでも受けなければならぬのでありまするから、それは皆さん方は受けさせる義務がある。日本以外にも、海外に相当日本人の義務教育年齢に達しておる人、受けなければならない人がたくさんいるわけでありますから、いまの局長のお話によれば、世界のどこにいようとも日本人である限りはちゃんと国は責任を持って、その人たちの義務教育を遂行しなければならぬ責任があるはずです。それをおやりになっているかどうかお聞かせ願いたいと思います。
○安達政府委員 海外子女の教育を担当しております関係で、ただいまの問題についてお答えを申し上げたいと思いますが、御案内のように、憲法で「すべて国民は、その保護する子女に対して法律の定めるところにより普通教育を受けさせる」という義務が規定されておるわけでございます。この規定に基づくところの法律といたしましては、学校教育法があるわけでございますが、学校教育法では、学齢児童生徒を就学させる義務は保護者にあるというようにきめておるわけでございまして、その義務を履行しない場合におきましての罰則の規定、その他があるわけでございます。この規定と申しますのは、海外に在留するところの学齢児童生徒について適用がない、こういう関係になっておるわけでございます。しかしながら、日本人である限りは、この義務教育に相当するものを受けさせるように国家としては、教育の機会均等の観点からこれをやらなければならない。そういう関係で純粋なる意味での義務教育とは言いがたいのでございますけれども、その国内におけるところの水準まで及ぼすように努力をする、こういうことになっておると考えます。
○小林(進)分科員 いまあらわれたのはどなたですか。名前を言ってくださいよ。わけがわからないのがのこのこあらわれきて……。
○伊藤(宗)主査代理 安達文化庁次長です。
○小林(進)分科員 若干、何とかという次長と局長との答弁の食い違いがありまして、こういうことをちょいちょい限られた時間の中でやられたのではこっちはかなわない、
    〔伊藤(宗)主査代理退席、主査着席〕
かなわないが、そのたびに答弁を修正されたのじゃますます時間を食ってくる。私の限られた時間は三十分なんですから、はなはだ迷惑しごくなんだ。そういう言いわけをしなくて済むような答弁をしてくださいよ。あなた方は日教組をいじめるときには実に果敢勇猛でおやりになるけれども、こういう基本的な問題になるといつでも言いわけをしたり、答弁をし直したりばかりしている。これが一番文部省の悪いくせですよ。一番悪いくせだ。
 そこで私は言いたいのだけれども、さっきも局長はおおよそ一〇〇%などと言っておられますけれども、属人主義でいくのなら日本の義務教育は一〇〇%じゃない。いいですか、もう言いわけを聞かなくてよろしい。一体日本人の、海外において、なおかつ小中学校の義務教育を受ける範疇にいる児童が何千人おるか、何万人おるか。その数字をひとつお聞かせ願いたい。
○安達政府委員 約七千人でございます。そのうちで日本人学校という施設に収容いたしまして、日本人としての、あるいはわが国の指導要領に基づく教育を受けておる者が約二千五百人でございます。
    〔主査退席、岡沢主査代理着席〕
○小林(進)分科員 まあこれから先は、先ほどもわが党の辻原委員から細部にわたった質問があったはずでありまするから、私は、重複を避ける意味において、これからの追及はやめますが、ただ、いまも言われるように、義務教育は日本人でもう一〇〇%完成しているなどという甘っちょろい気持ちで、同じ日本人でおりながらそれぞれの公用や公務やあるいは営業、経済の問題でやむなく海外に出ておる人たちの子弟の教育を勘定に入れないような、そういう文部省の姿勢が私は気に入らないのだ。こういうところに思いをはせていれば、一〇〇%義務教育は完成していますなんという答弁がはね返ってくるわけはないのです。その姿勢をひとつ直していただいて、いかに海外にいるそういう人たちが、その自分たちのかわいい児童の教育のためにどんなに苦しんでいるか。
 たとえて言えば、在外公館の中にいる書記官、事務官等もそうです。自分の子供の教育のためにみんな出し合って、そうして教師を雇い入れたりしておる。その費用だって、国からもらう賃金、俸給の中では莫大を占めておる。それまでの犠牲を払いながら子供の教育をしながら、国内の教育におくれてはいけないという、たいへんな悩みの種の一つになっている。何もあなた方はめんどうを見ようとしない。しかも先ほど辻原さんの質問に答えるあなた方の話なんかを、様子を聞いていると、何か慈恵的、恩恵的だ。ことしはそれでも六億の予算を組んで、去年よりはよけいどうも教師も派遣してやるし親切に日本人学校も育成するような話をしているが、こんなものは慈恵や恩恵的にやるべきじゃないです。国がもっと責任をきちっと感じて、日本人であるならば山の中にいようと――もし国内にいればあなた方は、そうですよ、山の中にいようとどこにいようと、義務教育を受けなければ、あなた方の責任においてこれは追及してもどうしても勉強させなくちゃならない。それが海外になると、いまも何とかという次長が言うように、海外はどうもわれわれの責任でないような話をして、そしてこれをうっちゃらかしていく。その姿勢がよくないよ。ほんとうによくない。文部省が一番悪い。こういうところをひとつ厳然と責任を感じて、地の果て、潮の果てにいようとも、日本人がひとしく義務教育を受け得るように――なに、法律の盲点があったら改正すればいい。そういうのはすぐ改正案を出しなさい。私どもはすぐ賛成してあげますよ。父兄や保護者の責任なんて言わないで、国家の責任にして教育しなさい。そのために大蔵省が金を出さないというなら、幾らでも金を出すように私どもは応援いたしますから。そういうところで教育の善政をしくようにひとつしていただきたいと思うのであります。文部大臣、おわかりになりましたか。
○坂田国務大臣 小林さんの熱烈なる御指摘、私も肝に銘じまして、日本の子弟の教育が十分にいくように、前向きに努力をいたしたいと考えております。私も実は去年二週間ばかりイギリス、フランス、ドイツを回りまして、実はジュルセルドリフでも現地の要望を聞いておりました。そして一週間に二回でございますけれども、仮の手狭なところを借りて一生懸命やっておられるのを見てまいりましたし、またイギリスでもそのようなことでございます。おっしゃるとおりだと思います。大いに努力をいたしたいと思っております。
○小林(進)分科員 大臣も海外に行かれて、私どもが感じたと同じような体験を経ておいでになった。それは私は非常にいいことだと思っております。どうぞひとつそのお気持ちを直ちに政治の上に生かしていただきたいと思うのであります。
 次は、時間がありませんので、今度は豪雪地域における教育の問題についてお伺いをいたしたいのでございますが、これは六十三、臨時国会において、ここにおられる辻原さんが災害対策委員長のときに、特別豪雪地帯法という歴史的な法律をつくっていただいたわけでございます。この法律に基づいて、文教政策の面においても、たいへん角度の変わったところで予算措置をしていただかなければならない多くの問題が出てきたわけでございます。
    〔岡沢主査代理退席、主査着席〕
 特別豪雪地帯というのは、御承知のとおり累年平均積雪積算値が一万五千センチメートル以上、こういう規定がありまして、これほどの雪の降る地域に該当するものを特別豪雪地帯として教育の施設その他の面においてめんどうを見る、こういうことになっているわけでございます。この法律が通りましたのが昭和四十五年の十二月二十六日でございますので、当然この法律に基づく新しい予算が四十六年度にはでき上がっているものと、私は、これは推定をいたしております。もしできていなければ、文部省はあの六十三、臨時国会における豪雪地域の審議の場合に、調子のいいことを言って国民をだましたということになるわけでございますから、まさか教育の府にいらっしゃる文部省が人をだますようなそんな悪いことをなさるとは考えられないのでございます。
 そこで、まずお伺いいたしまするが、公立文教施設の補助基準面積の拡大について、四十六年度はこの特別豪雪地帯にはどういうふうにこの補助基準面積を拡大をしていただいたか、私はそれをお伺いしたいのであります。これは六十三国会の豪雪地域の法案審議の中にはしばしば繰り返されたことであります。雪の降る地帯の子供たちは、半年は戸外に出られないのだ。屋内運動場の中で遊んでいるのだ。その屋内運動場における補助基準が、雪の降らない地方と同じでは不公平じゃないか。だから、この基準はどうしても拡大すべきであるという熱烈な要望があって、文部省が善処しますという回答をしておるのでありますから、どのようにこの基準を変えて予算をお組みいただいたか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
○岩間政府委員 豪雪地帯の問題につきましては、いろいろ御要望がございますが、一つには事業量の拡大、これはただいま先生から御指摘いただいたとおりでございます。それから負担率の引き上げという、大きく分けますと二点になると思いますが、事業量の拡大につきましては、小学校の校舎を中心にいたしまして、小中学校合わせまして二十二万平米、それから屋体につきましても事業量の拡大をはかっております。これは御承知のとおり、私どもとしましては、一定の基準に基づきまして総ワクとして予算をもらっておるわけでございまして、その具体的な配分につきましては、これは法律の趣旨に基づきまして、これから実際具体的な配分を行なっていくということでございますので、法律の趣旨に基づきまして、できるだけ豪雪地帯の屋体の整備、それから校舎の整備等につきましては努力したいというふうに考えております。
 それから負担率の引き上げにつきましては、これは要求しておりましたけれども、残念ながら実現を見ませんでした。もし、これに対する手当てを行なうといたしますと、まず、政府といたしましては、予算措置があったあとで立法措置が必要でございます。あるいは国会におきまして立法措置が講ぜられました場合には、既定の予算の範囲内で処理をする、そういうような形になると思いますが、この点につきましては、具体的に予算の要求が実現いたしませんので、今後の課題として残ったわけでございます。
○小林(進)分科員 豪雪地帯の一致した要望といたしまして、校舎及び屋内運動場を補助基準面積のおおむね一・四倍程度に建築をしているので、この事実をひとつ認めて、こういう形で補助をお願いしたいといっておるのであります。あなたはできるだけとおっしゃった。できるだけなどということばじゃなくて、具体的にこの一・四倍の基準の要求が一体実現さしていただけるものかいなか、これをお聞かせ願いたいのでございます。
○岩間政府委員 補助の基準につきましては、現在校舎につきまして温暖地の一・二四倍、これから屋体につきましては一・一二倍というふうな比率で行なっておるわけでございますが、一応来年度の予算もこういうふうな基準で行なっておるわけでございまして、この改善につきましてはさらに努力を重ねたいというように考えております。
○小林(進)分科員 それでは特別豪雪地帯をつくって、あなた方に特別お願いした、それに善処いたしますということがちっとも形にあらわれていないじゃありませんか。それは従来どおりということじゃありませんか。そういう誠実さのないやり方なんですよ、文部省というのは。
○岩間政府委員 ただいまちょっと数字を間違えたわけでございますが、必要面積で申しますと、校舎につきましては一・二八倍、これから屋体につきましては一・〇五倍ということになっておるわけでございます。この基準の問題は、予算の折衝の過程でそこまで手が回らなかったわけでございますけれども、採択につきましては、法律の趣旨に基づきましてできる限り最重点的に採択をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○小林(進)分科員 これは時間もありませんから、それはあなた方従来の数字を聞いただけの話であって、何も特別豪雪地帯になりましたから特別に教字を改めたという誠意の一片も見出すことができない。残念しごくです。これはひとつ、直ちに文部省に考えていただかなくちゃならぬ。やってくださらぬ限りは、また次の機会にやります。
 ちなみに申し上げますけれども、次には公立文教施設の整備について、義務教育諸学校施設の耐寒化を促進するため、建築費に対する国庫負担率を三分の二とされたい。これも豪雪地特別の帯法できるときに御要望申し上げているのでありまするが、これも従来どおりでございましょうか、いかがでございましょう。それでも少しは誠意の一片をお示しいただいたかどうか、お聞かせを願いたいと思う。
○岩間政府委員 この問題につきましては、かねてから予算要求をしておるわけでございますが、まだ実は実現を見ないということでございます。しかし、法律ができました限り、私どもとしましては、四十七年度をめどにさらに努力を重ねたいということを考えてみるわけでございます。
○小林(進)分科員 四十七年度めどで、ひとつの努力をいただくというお約束でございました。まあ今年度は何にもしてくださらなかった。大臣、これでよろしゅうございましょうか。四十七年度にわれわれは大きな期待を持ってよろしいかどうか。
○坂田国務大臣 ことしもそのことにつきまして折衝いたしたわけでございますが、力及ばず、いま局長が申し上げましたとおりでございますが、来年度は心を新たにいたしまして、ぜがひでもこの条件をよくするために最大の努力をいたしたい、かように考えております。
○小林(進)分科員 どうも予算は大蔵省が組むわけでございまするので、文部大臣一人で決定するわけにもいきません。これはやむを得ないと思いますが、いまのおことばは、私は大臣としては最大の公約だと思いますので、どうか、そのおことばだけちょうだいしますので、必ず実現のために御努力をいただきたい。あるいは大臣の寿命がまた来年まで続くかどうかわかりません。そのときはひとつよく申し送っていただきまして、万遺漏のないようにお願いをしておきたいと思う。
 次の冬期寄宿舎についてでございますが、同じく、やっぱり豪雪地帯においては、冬期通学因難な児童生徒を収容する寄宿舎は欠くことのできない重要施設であるので、設備費に対する補助率を三分の二とするとともに、舎監、寮母の定数措置を講ぜられたいということ。これも、あのいたいけな子供を、雪が降ると一町村で二カ所くらい寄宿舎などを設けて、そうして冬ごもりをさせているわけでございますが、こういう設備費に対する補助率を三分の一にしていただきたいというこの要望に対して、どういう具体的な御処置を賜わったかお聞かせるいただきたいと思うのでございます。
○岩間政府委員 これも、ただいま大臣からお答えしましたようなかっこうでもちまして、来年度をめどに努力をしたいというふうに考えております。
 なお、建築につきましては、私ども、各県から要望がございました場合は、漏れなくそれが実現いたしますように、従来からつとめてまいっておるつもりでございます。
○小林(進)分科員 同じ質問になりますけれども、豪雪地帯の教員住宅を整備するために、同じく補助率を三分の二にしていただきたいという点については、いかがでございましょう。
○岩間政府委員 これも同様な方法で努力をしたいというふうに考えております。
○小林(進)分科員 学校給食用物資の輸送費及び貯蔵施設について。これはいかがでございましょう。冬期間における給食用物資の輸送費及び貯蔵施設の設置について、補助率三分の二の国庫補助制度を新設し、保議者負担の軽減をはかられたという、この問題でございますが、また、来年度でございますか。
○岩間政府委員 輸送費等の補助につきましては、これはなかなか実現はむずかしいのじゃないかというふうなことでございますが、しかし、従来からこういうふうな特別の経費につきましては自治省にお願いいたしまして、特別交付税その他の財源措置を講ずるというふうな努力をしてまいりました。そういう点につきましてもさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○小林(進)分科員 輸送費は困難だとおっしゃいましたが、貯蔵の設備費いかがでございましょうか。
○岩間政府委員 こういう特定の経常的な経費につきましては、たとえばスクールバス、ボートの運行費等の例もございまして、従来から特別交付税でお願いするという方式でまいりました。その他のいろいろな経費のこともございますので、総合的に検討しなければならないという点は御指摘のとおりでございますけれども、ただいまのところ、それぞれ個々のものにつきまして個々の補助金を立てていくということは、実際問題としましてなかなかむずかしいということを申し上げた次第でございます。
○小林(進)分科員 私はちょっと寡聞にして――勉強しようと思っているのですが、時間がなくてそのままにしたのですけれども、こういう学校の施設や、あるいはその管理運営等の費用について全国一律なのか。離島振興法などという法律あるいは過疎地帯振興法などという法律がございますが、たとえば離島振興法などという法律の中では、こういう学校の施設その他についても、あるいは三分の二の補助金等、特別の補助をおやりになっている規定があるのかどうか。そういう特殊ケースがあるのかどうか、これをちょっとお聞かせいただきたいと思うのであります。
○岩間政府委員 特別のケースはございます。たとえば先生が御指摘になりましたような離島振興法等におきましては、特別の補助率、負担率を設けております。それから新産、工特と申しますか、そういうふうな特別な場合には、かさ上げというふうな方式もとっております。しかし、先ほどお話のございました経常的な経費につきましては、たとえばスクールバスの運行費等につきましては、これは別に補助の制度はございません。
○小林(進)分科員 その離島振興法、それから最近できた同和対策特別措置法等にも、何か学校施設等に対する特別の補助規定があるわけでありますが、たとえばその中における公立文教施設の整備等については、やはり私どもがお願いしておるような国庫負担率が三分の二になっているのかどうか。その比率をひとつ具体的にお知らせをいただきたい。できれば、みな表にして見せていただくといいのですがね。
○岩間政府委員 もし必要でございましたら、あとでお手元に資料を差し上げたいと思いますが、同和対策の場合には、法律上では文教施設費は対象になっておりませんので、ほかの場合と同じでございます。ただ、ただいま申し上げました離島の振興法のほかに、過疎地域対策緊急措置法におきましては三分の二の負担率になっておりまして、これは離島振興法と同じでございます。
○小林(進)分科員 実は私のお願いしたいのはそこなんでございまして、この豪雪のためにほんとうに苦しんでいる住民、特に教育施設における児童の苦しみは、離島における児童あるいは過疎地域における児童よりも数倍の条件の不利があっても、決してこれに劣るものであるとは私は考えられない。そういう善政が、離島における児童や、そして父兄の負担でございますから、父兄に対する特別措置があるならば、なぜ豪雪に対してのみその前例を用いることができないのか。私はこれが行政の怠慢ではないかと思っておる。あなたは、生まれがどこだか知りませんけれども、――しかし、どこですか。ほんとうにそれは、雪の降る地方に育ってみなさい。たいへんなものだ。そういうことを考えられましたら、せめて離島振興あるいは過疎地帯のこういう特別配慮に該当するより以上のものを、この教育施設にも施していかなければならぬ、早急に実現していただかなければならないと思うのでありまして、私はこれを強く要望いたします。
 同時に、先ほどおっしゃったように、離島なり過疎地域の施策の特別の補助金の配分の表は、ぜひ資料としてちょうだいいたしたい。
 時間が参りましたから、これで失礼いたしますが、最後にひとつ大臣、私の質問に対する御決意のほどを承っておきたいと思います。
○坂田国務大臣 ただいま豪雪地帯のお話、私も十分心得ておるつもりでございます。先ほどからるる申し上げておりまするように、離島振興法あるいは過疎地域と同様な条件が満たされるように努力をいたしたいというふうに思っております。
○小林(進)分科員 終わります。
○田中主査 次は、鶴岡洋君。
○鶴岡分科員 私は文化財保護ということについてお伺いします。
 最初に経済の高度成長政策によって、また、それに加えて自然開発、社会開発、進歩がはなはだしいものがあるわけです。最近は、日本の歴史始まって以来という環境の変化が、狭い範囲ではなくて、広域的に、しかも急激に起こっておるわけです。宅地造成とか、それから鉄道建設それから道路建設また観光ルート、観光ブームと、あらゆる面において、特に都市近郊においてはそれがおびただしいものがあるわけです。その結果埋もれた文化財、文化遺産、自然環境が破壊されて、生活様式の変化に古い習慣というものがなくなってしまい、民俗資料等が失われつつあるのが現状であります。また、農漁村においては、有形無形文化財が比較的多く保存されてきたわけですが、これも過疎化の進行、土地改良事業等によって住民が離村し、これもまた、日本の文化財として尊いものがいま失われつつある。文化財は、現代に生きているわれわれのものであると同時に、また古い過去から、祖先から伝承され、そして、未来の子孫へ託された宝ものである、このように私は思うわけです。これがいわゆる近代文化の発展の陰に隠れてしまっていくのではなくて、国民全体がこれは再認識すべきではないか、このようにも思うわけです。
 ところで、文化庁は、四十年度からこれらの点について、各都道府県の協力を得て有形無形民俗資料建造物、天然記念物調査を行なってきたと聞いておりますけれども、たくさんあるので、また広範多岐にわたるもので、それらの実態というものは掌握しにくいとは思いますけれども、最初に、簡単でけっこうですから実態はどうなっておるのかをお伺いしたいと思います。
○安達政府委員 まことに御説のような事態が起こっておりまして、言うならば文化財の危機の時代に入っていると思われるわけでございます。その観点に立ちまして、まず第一段は調査ということで、これは事は緊急を要するわけでございますので、御指摘ございます埋蔵文化財、民俗資料、天然記念物というようなものにつきましての緊急調査を急いでやっておるわけでございまして、昭和四十六年度予算につきましても、この点に配慮を加えまして、予算の増額をいたしておるところでございます。
○鶴岡分科員 そうじゃなくて、四十年度からやっているわけでしょう。その実態がいまどういうふうに出てきているか、ちょっと聞かしてもらいたいのです。
○安達政府委員 内容によりますが、まず民俗資料のほうでございますが、御指摘のように昭和四十年度から緊急調査費を都道府県に交付いたしまして、ダムの水没とか干拓、新産都市その他の開発とか、あるいは山村振興法による指定、集団離村、そういうようなことによって貴重な民俗資料が失われていくということで、現在まで約六十カ所の調査を完了しておるわけでございます。
 調査にあたりましては、有形無形の民俗資料の実態を綿密に記録いたしまして、これを調査報告書として刊行いたしておるわけでございますが、来年度はこれを予算的にも倍額程度にいたしまして、さらにこれを進めたい、かように考えておるわけでございます。
○鶴岡分科員 管理保存の面でございますが、一つの例をあげますと、千葉県の流山市に花野井家といううちがあります。この例ですが、この家は四百年前につくられたものであります。昭和四十四年ですから、いまから二年前ですか、重要文化財として指定されたわけです。ところが、指定されたとたんに見学者が非常に押しかける。それから、そのために接待がたいへんである。家の説明もしなければならない。大忙しになってくる。そこで、私生活は言うならばめちゃめちゃになって、所有者からは不満が出ておるということを、私は千葉県ですから知っておりますが、そこに住む人はいわゆる人間生活まで、指定を受けたことによって凍結されてしまう。さらに、住むに不自由なために台所等を改造するわけですけれども、それも改造もできない。見学者によってプライバシーも侵害される。これは文化庁が指定しっぱなしで、あとは無関心、住む人のことは考えないとこういうふうになってくるのではないか。
 文化庁サイドからいわせれば、早く指定しなければそれは失われてしまう、こういうふうにいうかもしれませんけれども、そういう理屈もわからぬわけでもありませんけれども、この点について、これからも大なり小なり出てくると思うのですが、どういうふうに文化庁は対処していくのか。
○安達政府委員 御指摘のございました花野井家の住宅は、四十四年六月に重要文化財に指定したのでございますが、この建物につきましては、野田市がこれを買い取りまして、そして移築費に約千六百万円かかりまして、その半額を補助いたしましたわけでございまして、現在は野田市の所有、管理になっておるわけでございますが、野田市につきましては、これを民俗資料館等として活用したい、かようなふうに伺っておるわけでございまして、私どもの伺っておる限りにつきましては、所有者の不便その他の点は、一応市の所有になって、そしてこれを将来そういう市の経営にかかるところの民俗資料館として活用するということで、問題はないのではないか、かように了解いたしておるところでございます。
○鶴岡分科員 それはいま次長のおっしゃったように、現在は野田市の所有になっています。なったというのは、先ほど私が話した結果で、維持し切れなくなって、そういう生活、状態になって、それで野田市が買い上げたわけです。流山市の花野井家が野田市に売り渡された、こういうことです。
 ですから、私ここで言いたいのは、これからもこういう事態が起こると思うのです。そういう場合には、文化庁、いわゆる国の責任で最初から買い上げるという方法を講ずるべきではないか、このように思うわけです。この点どうでしょうか。
○安達政府委員 御指摘のように、民家の保存というのはたいへんむずかしい問題がございまして、そこに所有者が現に居住せられておる場合に、どのように保護するかはたいへんむずかしい問題でございますが、われわれとしては、現在住んでおる方がそこに居住を希望され、そしてそれで適切である場合には、そういうことももちろん考えられるわけでございますけれども、所有者がそれではどうにもならないといわれる場合には、やはりこれは公有にするということで、この買い上げ等も考慮していきたいということでございますけれども、これを国が全額買って国の所有物にするというような考え方までには至っておりませんので、地方公共団体等がこれを買い上げる場合に補助を考慮する、こういうような考え方でおるわけでございます。
○鶴岡分科員 次に、これまで行なわれてきた建造物個々の指定、保存だけではなく、いわゆる昔の面影を残す宿場の地区ぐるみといいますか、地域ぐるみといいますか、さらに屋敷とか庭、へい等のいわゆる風俗習慣、古くからのその地区にしかない環境、景観をそのまま保護していくことが大事ではないかと思いますけれども、この保護ということについてどういうお考えを持っておられるか。
○安達政府委員 現在は、建物の場合には、建物として価値のある建物のみを指定するという考え方でございますけれども、御指摘のように、屋敷がまえとかあるいは家並み全体を保護すべきではないか、こういうような課題が当然出てくるわけでございますので、これらにつきましては、たとえば家並みといいますか町並みと申しますか、そういうような調査も進めてまいりまして、これをどのようにして保存していくかということ、慎重に検討すべき課題であるというように考えておるわけでございます。
○鶴岡分科員 わかりました。
 これらの文化財についてのいわゆる文化庁の方針ですが、その中で、今度は行政の体制の点ですが、最近開発が進んで、古墳とか、また史料とか、昔のものがたくさん出てくるわけです。その陳情処理や現地の調査、そして史料の収集、さらにそれをどういうふうに処理するか指示、それから指定等、広範囲にわたって、文化庁としても多量な仕事であると思いますけれども、これに携わるいわゆる所管官庁は文化庁ですから、自治体の体制はどうなっているのか、この点をお聞きしたいわけです。
 遺跡埋蔵文化財の保存行政は、いま申しましたように文化庁が本山であるわけです。文化財保護部記念物課の所属担当技官は三人だと私は聞いておりますが、これは私、正確に聞いたわけではありませんけれども、そういうことがいわれております。中央でそういうことですから、地方自治体に行っては全くお粗末なものになっているわけです。
 昨年文化庁の調査の発表を見ると、正規の埋蔵文化財調査担当の職員が一人もいない県は北海道、東京をはじめ十四都道府県になっているわけです。一番多いのは福岡の十四人、千葉の十人、それから大阪が九人、和歌山七人、宮城七人、ほかの府県は全部一人ずつ、こういうのが現状のようであります。新聞等でせとぎわに立つ文化財保護などと騒がれている今日ですから、もっと増員して、この調査体制、それから現地調査とか陳情処理とかといろいろあるでしょうけれども、体制を充実すべきではないか、このように思うわけですけれども、次長いかがでしょうか。
○安達政府委員 まことにごもっともの点を御指摘いただいたわけでございますが、御指摘のように、現在全く置かれていない県が十二県と、一、二名の県が二十県もある、こういうことで、こういう状態をどのようにして改善していくかということが現下の大きな問題だと思います。ただ、これらの職員を置くかどうかということは、いわば都道府県の教育委員会に置かれるわけでございますので、地方自治との関連もございます。
 ところで、もう一つは、そうでないならば、現に埋蔵文化財、そういう考古関係の専門家というものを組織化して、常に機動的に動き得るような体制は少なくとも早急にやるべきであるということで、私どもはそういう体制を整えることと、しかしながら、それでもなお専門の職員をぜひ置いてもらいたい、こういうことを、機会のあるたびに都道府県等にもお願いをいたしておるわけでございまして、今後の大きな課題であると考えておるわけでございます。
○鶴岡分科員 いずれにしても、この文化財保護という点については、最初申しましたとおり、経済発展に伴って社会構造が変わる、それが急激に変化する。――経企庁の報告によると、この二十年間に二十五万ヘクタールもの宅地開発もされる、こういうことになっておるわけです。こうした状況下にあって文化財が破壊される例はたくさんあるわけです。指摘される点は多々ありますが、いわゆる中央と地方自治体の協力をさらに強め、そうして政治、行政、教育の一大方向転換がないと、貴重な文化財を失うおそれが十分に考えられるのじゃないか、このように思うわけです。
 文化財保護法という法律があります。これはもう誕生二十年になるわけです。その間には、何回か改正されましたが、最近は、四十年だったですか一部改正があったわけですね。ですけれども、中身はいろいろありますが、たとえば新しく遺跡が発見されたり既存の遺跡にかかる工事をする場合、関係者は届け出の義務はある。しかし開発は急ピッチに進む、こういう場合に、それがなされていないという場合もある。また、届け出を受けた文化庁長官は、その工事を停止するとか中止するとか、また遺跡の保存を指示するようできるようにはなっておりますけれども、反面、届けなくとも、いわゆる罰則がない。届け出ても、前のお話を聞きましたように、現場へ派遣する調査官が少ないとか、こういうことで非常に不備ではないか、このように思うわけです。
 これは大臣にお聞きしたいのですが、そういうことで、法改正もいままで何回かされてきましたけれども、この際、抜本的に法改正をするような考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
○坂田国務大臣 開発が非常に進みまして、いろいろ文化財保護に支障を来たすというケースが非常に多くなってきております。それについて、現在ございます文化財保護法というものがはたしてうまく機能しておるかどうかということについては、ひとつ検討いたしてみたいと考えております。
○鶴岡分科員 同じようなことになりますが、文化史跡や民俗資料保存の実現については、よほどの決意と周到な配慮がなければ、私は困難だと思います。文化史跡等においては発掘、調査、整備、保存等必要な経費は巨額にのぼると思われます。
 ここで、それぞれ違う住民の要望に、こうしたことについてどういうように対処をしていくのか。住民の生活向上や地域発展との調和をどうするのか。われわれは国民の文化遺産としての史跡や文化財の保護については、産業公害等によって破壊に瀕していることを耳にしたり目で見たりするたびに、これではならないと、行政の貧困を痛感するわけですが、強力な対策が即刻必要ではないか、このように思うわけです。貴重な文化財を守るためにも、国の責任において早急に手を打たなければならないのじゃないか。大臣、この点の所信をお伺いしたいと思います。
○坂田国務大臣 その点は御指摘のとおりでございまして、これから先、やはり自然の保護、これはわれわれ人間が生き続けていくために必要なもるである、そのように考えますし、同時にまた人類が、あるいは人間の知恵によって、あるいはいろいろの芸術的な文化財をつくり、そしてまた、それをいままで伝えてきたわけでございますが、また私たちの次の世代の人たちにこれをやはり伝えていく責任がある。その意味合いにおいて文化財を保護する、あるいは自然を保護するということは、大事な政治的課題であるというふうに考えますので、一そうの努力を傾けていきたいというふうに考えます。
○鶴岡分科員 次に、話題は移りますけれども、いま懸案となっている佐倉市の国立歴史民俗博物館について二、三お伺いします。
 この歴史民俗博物館建設計画は、国が明治百年記念事業として決定されたものであり、その最有力候補に佐倉城址が選ばれたものでありますが、この構想の内容から見ると、「国民が正しく国の歴史を理解し、文化の向上をはかる上において、国の歴史の発展と国民生活の変遷のあとを、歴史資料、民俗資料などの具体的資料によって把握できるような、施設を整備することは、近代国家にとって不可欠のものである。」云々ということが、いわゆる構想の内容になっております。私も先ほどから、文化財保護という点についてるるお伺いしてまいりましたが、いまここで、このような構想のもとに博物館が建設されるということは、これは国民の要望でもあり、また日本の文化遺産の保存に大きな役割りを果たすものと私は考えております。
 そこでお伺いしたいのは、この建設計画が明治百年事業の一環として決定されたわけですけれども、それからすでに二年経過しているわけです。この二年間の経過を簡単に説明をしていただきたい。
○安達政府委員 この歴史民俗博物館の設置につきまして、四十一年にその決定と申しますか、計画がきまったわけでございますが、その後四十二年度から四十四年度まで三年間にわたりまして、調査費約百五十万円の計上をいたしました。そうして四十五年度は、調査費が四百五十六万五千円というように増額されてきたわけでございます。
 この間、歴史民俗博物館というもののあり方はどうかという観点から、海外の同種施設の調査、それから、この構想についての懇談会というようなものを開いてまいったわけでございます。同時に、建設すべき予定地としてどこがいいかという場所さがしというようなことをやってまいったわけでございます。
○鶴岡分科員 具体的な構想は検討中の段階であるから、詳しいことは、国立歴史民俗博物館基本構想委員会というものができたようですから、その意見を尊重してのことだと思いますが、文部省、文化庁のほうとしての方針はどうか、一、二お聞きしたいと思います。
 現在、日本にも幾つかの国立博物館があります。上野にある東京国立博物館には、中国とか朝鮮等の外国のものが所蔵されておりますけれども、この歴史博物館にはそれらに類するものを所蔵する予定があるかどうか。また、国内の博物館にしても幾つかあります。いま言ったように東京、京都、奈良ですか、それぞれにその博物館の特異、特徴というものを所蔵して陳列してあるわけです。この歴史博物館は総合的なものになる、百億の予算だ、こう聞いておりますけれども、雄大なものでありますから総合的なものになると思いますので、それらのいわゆる京都とか奈良とか、そういうところの一部分を譲り受けて、そうしてこの歴史博物館に所蔵する考えがあるのかどうか、その点をお伺いします。外国のものと両方……。
○安達政府委員 現在の東京、京都、奈良にございますところの国立博物館は、どちらかと申しますと古美術館、こういう考え方で運営されておるわけでございます。しかしながら、同時に、たとえば東京国立博物館で見ますると、考古資料というような、美術博物館とは若干違うものも収集、展示されておる、こういうことでございますが、わが国の歴史なり国民生活の変遷を歴史資料や民俗資料に即してこれを明らかにする、国民の理解を深めるというような施設がない。そういう観点で新しい歴史民俗博物館を構想しよう、こういうことでございます。
 その意味におきましては、東京国立博物館等とは役割りが違うわけでございます。したがいまして、現に東京国立博物館に所蔵されておりますところの考古資料とかあるいは民俗資料、たとえばアイヌとか衣装とか飲食器など、そういう種類のものはやはり歴史博物館に所管がえをすべきものである、かように考えております。
 それから、諸外国の資料につきましては、これは日本の歴史なり日本人の生活に直接関連のある他民族の資料を考えよう、そういうことでございますから、たとえばアフリカとかメキシコ、そういうあまり関係のないところの資料は集めませんけれども、近在の大陸とかあるいは東南アジアのポリネシアとか、そういうようなところの関係民族の資料はやはり集めるようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
○鶴岡分科員 次に、二月四日の予算の総括質問で、公明党の同僚の小川議員が、昭和自然博物館建設の提案をしました。そのときに佐藤総理が、「この際に自然を大事にするという意味からも、ただいまのような博物館、これがあってしかるべきだろうと思います。」ちょっと抜けますけれども、「いまつくろうとしておる民俗博物館等にただいま言われるような構想がどの程度取り入れられるか、こういうことも考えていきたい。」こういうふうに答弁なさっております。この民俗博物館というのは、いま予定されている佐倉の博物館だと理解しておるわけですけれども、この総理の答弁から、自然博物館的なものは加えるのかどうか、この点ちょっと……。
○安達政府委員 この歴史民俗博物館は、人間が自然に加えてつくり上げたもの、そういうものが中心でございまして、すなわち歴史資料、民俗資料、こういうものでございますので、自然そのものをこういうところで博物館的に収集、展示する、こういう考え方はございません。ただ、たとえばかりに万葉時代の植物というもの、そういうものを一つの歴史的な観点においてとらえるということは全くないとは言い切れませんけれども、自然そのものを対象にしたものを収集なり展示資料に加える意図はございません。
○鶴岡分科員 二、三問ですから、簡単にお答えください。
 現在、その規模から見ると、予定地は面積十一万坪ということになっております。文化庁としては雄大なものをつくろうという意図があるようですけれども、最終的にはどの程度までの構想を持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○安達政府委員 現在私どもは、約十万坪にのぼるところの国有地を中心に考えておるわけでございます。
○鶴岡分科員 佐倉城址は大部分が国有地であって、そのうち二万坪は、現在厚生省所管の国立療養所となっております。博物館建設計画規模から見ても、移転の必要はもちろんあるわけです。国立療養所の移転先はどこか。どこが責任をもって実施するのか。代替地の話し合いは県となされているのか。さらに、七万坪は佐倉市の都市計画公園となっております。その代替地、公園敷地の買収に対しては、非常に市としては財政困難になっているわけでありまして、この財政面では、もちろん大蔵省になりましょうけれども、建設する所管の大臣としてはいかがでしょうか。
○安達政府委員 最初に、ちょっと事務的に申し上げたいと思います。
 まず第一番目の、国立療養所の移転の問題につきましては、県が責任をもって場所をさがす、そして厚生省との間で十分連絡をする、こういうことでございます。
 それから、都市公園に関する部分につきましては、市が積極的にすでに財政措置等も講ぜられた、かように考えておるところでございます。
○鶴岡分科員 時間が来ましたので、あと一間だけ。
 この建設予定地佐倉は、千葉県北総地域に位置するわけです。国際空港もできますので空港線、それから東関東道路、これが完成すると、東京から三、四十分の地域にあるわけです。いま申しましたように、いわゆる日本の表玄関といわれる成田国際空港も、いま開港されようとしております。そのほかに、三十六万都市千葉ニュータウンも、建設がいま進んでおります。さらにいわゆる印旛沼県立公園、文化庁でも古墳群、風土記の丘等が予定されておるわけです。こうした地域性から見て、雄大な博物館を建設するならば、この博物館を中心として有機的な、いま言いましたいろいろな要素を含めて観光ルート等が設定されたならば、いわゆる国民性、大衆性のある博物館ができる、このように思うわけです。
 そこで、市、県はもちろんですけれども、文部省、文化庁がこの博物館建設をやるわけですから、文部省が中心となって、運輸省それから建設省、大蔵省が連携をとって、観光ルートをつくるような連絡会議のようなものをつくったらどうか、このように思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。
○安達政府委員 私どもの任務は、いかにして世界に誇るべきりっぱな歴史民族博物館をつくるか、こういうところに主眼がございます。あと、いいものをつくれば必ず人が見てくださるだろう、こういう感じでございます。したがいまして、私どもが観光計画の主体になるというわけにはまいりませんけれども、そういう呼びかけがあった場合には、われわれのできる限りの協力を申し上げたい、かように考えております。
○鶴岡分科員 それじゃ最後に一言、これは大臣にお伺いしたいのですが、地元、市、県としては、この問題について非常に熱心であります。大臣もごらんになってよく御存じだと思いますけれども、先ほど申しましたとおり印旛沼の県立公園もありますし、市当局も都市計画を拡張して、そしてこれを公園として博物館の――これは建設省にお願いしなければなりませんけれども、付帯施設としようという話もしておりますし、さらに市当局としてはいわゆる総合グラウンド建設、民有地の八千余坪ですか、この獲得に多額の義務負担もやって、このように熱心にやっているわけです。経過から見て、四十四年以来、文化庁の長官もお見えになっておりますし、大臣もお見えになっているところでございます。佐倉城址というところは、歴史的にも非常に由緒あるところでもありますし、地理的にも先ほど申したところであるわけです。このような実情を踏まえて、大臣、この前おいでになったときに、計画調査策定を早急に進める、こういうお話がありましたけれども、今後の調査計画等について急いでいただきたい。それから、国家的行事でもありますから、地元としては、財政には非常な負担のかからないように、これも強く要望したいと思いますけれども、大臣としての所信をお伺いします。
○坂田国務大臣 これは世界に誇るべき歴史民族博物館を、特にユニークなものをつくりたいということで、いま文化庁は懸命の努力をいたしておるわけでございます。もちろん地元、市御当局並びに県の方々の御支援なくしては、これは達成することができませんので、この上ともひとつ御支援、御鞭撻をお願いを申し上げたいと思います。私どものほうも一生懸命、この実現のために努力を重ねてまいりたいというふうに思っております。
○鶴岡分科員 どうもありがとうございました。
○田中主査 本日はこの程度にとどめ、次回は、明二十三日火曜日、午前十時から開会いたし、引き続き文部省所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時四十六分散会