第065回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和四十六年四月十四日(水曜日)
    午後一時二十一分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 近江巳記夫君
   理事 佐々木義武君 理事 菅波  茂君
   理事 田川 誠一君 理事 石川 次夫君
   理事 内海  清君
     稻村左近四郎君    竹下  登君
      谷川 和穗君    松永  光君
      森  喜朗君    三木 喜夫君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      西田 信一君
 出席政府委員
        防衛施設庁総務
        部長      長坂  強君
        防衛施設庁施設
        部長      薄田  浩君
        科学技術庁長官
        官房長     矢島 嗣郎君
        科学技術庁計画
        局長      楢林 愛朗君
        科学技術庁研究
        調整局長    石川 晃夫君
        科学技術庁振興
        局長      田中 好雄君
        科学技術庁原子
        力局長     梅澤 邦臣君
 委員外の出席者
        防衛庁防衛局運
        用課長     福田 勝一君
        外務省アメリカ
        局安全保障課長 宮川  渉君
        文部省大学学術
        局審議官    渋谷 敬三君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十四日
 辞任         補欠選任
  稲村 利幸君     竹下  登君
  梶山 静六君    稻村左近四郎君
同日
 辞任         補欠選任
 稻村左近四郎君     梶山 静六君
  竹下  登君     稲村 利幸君
    ―――――――――――――
三月三十一日
 海洋開発の推進に関する陳情書(十都道府県議
 会議長会議代表福岡県議会議長三苫欽英外九
 名)(第一七八号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
○近江委員長代理 これより会議を開きます。
 本日は、委員長所用のため、お見えになりませんので、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川次夫君。
○石川委員 きょうは、具体的な問題ということよりは、科学技術行政全般の問題の中の重要な点だと思われる基礎研究という問題を、これからどう考えていくかということについて、実は御承知のように、地方選挙でたいへん忙しかったものですから、資料を整備するひまもありませんので、ごく大ざっぱな質問だけをきょう申し上げて、この問題は、非常にこれからの科学技術進展の基礎的な重要根本問題だと思いますので、あらためてやる機会をいただきたい、こう思うわけです。
 最初に、長官にお伺いをいたしたいのでありますけれども、科学技術関係の全体の予算としては大体順調に伸びておる。ほかの関係といいますか、政府全体の予算との関係においても、科学技術関係全体としての予算の伸びはまあ上回っておる。それで満足しているわけじゃないと思うのでありますけれども、その大きく伸びているというのは、言うまでもなく、ビッグサイエンスとしての原子力があり、海洋があり、それからまた宇宙開発がある。こういう関係が相当科学技術関係の予算を伸ばすことにあずかって力があると思うのであります。しかしながら、一方、これの大学関係を除いて考えまして、この全体の予算の中で占めるパーセントは一体どのぐらいになっておりますか。どなたかおわかりになりませんか。
○楢林政府委員 いま御質問の基礎研究費の割合でございますが、統計によりますと、四十三年度におきまして国立研究機関におきます基礎研究費の割合は約三四%になっております。
○石川委員 私が聞きたかったのはそれではございませんで、基礎研究ということを最初に申し上げたからちょっと混乱したかと思うのでありますが、科学技術関係の予算のことを私は申し上げているのです。全体の予算が国の全体の予算の中で占めるパーセント、これは昭和四十四年あたりですと一・三六%という数字が出ております。これは大学関係の研究費は除いております。それで、どのぐらいのパーセントになりますか。
○楢林政府委員 四十六年度の振興費の中での科学技術の政府一般会計予算に対する比率は一・四二%でございます。
○石川委員 そうしますと、実をいいますと、昭和四十年でありますが、このときのパーセントが一・二六%のわけなんです。それからずっと大体伸びてきたとはいうけれども、いまの一・四二%というわけですから、〇・二%足らずしかこの科学技術振興全体の予算としては伸びておらない。ところが、一方では、GNPに対して大体これを二・五%にするという目標がありました。最近の科学技術会議のほうの、これは原案でありますから本ぎまりになったわけじゃないでございましょうけれども、大体GNPの三%にしたい、こういうような意向だというふうにも新聞などでは散見されるわけなんです。そういうところからいって、この伸び方はいかにも遅々としておる。しかも、これは全部の予算でありますが、この中で占めるところの原子力関係、宇宙関係、海洋関係というものを見ますというと、パーセントとしては、科学技術関係の基礎研究の予算は非常に私は下がっておると思うのです、全体として。私はなぜそういうことを申し上げるかというと、最近いろいろな新聞で見られるように、技術導入の関係ではたいへん明るい曙光が見えてきたというふうなことを、この前、長官がここで答弁された記憶があるわけでありますけれども、しかしながら、科学技術関係の技術貿易は、日本は御承知のように、十対百、十一対百というように非常に技術の輸出が少ない。今度は大体ちょっとふえて明るい曙光が見えてきたというようなことが言われておりますけれども、この技術導入の中で、甲種の技術というのは逆にふえて、乙種技術というのはマイナス三〇%、三〇%も減っておる。プラスマイナスをして技術導入というものは減っているとはいうけれども、甲種の技術というものの導入はふえておるわけですね。全体の伸び率は減りました。鈍化しております。しかしながら、御承知のように、日本に技術を導入させるというと非常なライバルになるというようなこともあって、全部地域制限というような非常にきびしい制限をつけられた導入が圧倒的に多い。
 実は、話は飛躍するのでありますけれども、私、今回の国会では物価問題に取り組んでみたのです。取り組んでみたところが、問題が三つあります。ここでは申し上げる場ではありませんから結論だけ申し上げますけれども、生産性を向上させるということが第一点、それから、自由な競争秩序というものを維持するということ、これが第二点、第三点が、国の財政金融政策いかんというようなことが物価に対する三つの要点だと思うのです。第一の生産性向上という問題は、非常に迂遠のようではあるけれども、ビックサイエンスではこれは生産性向上ということを望めないのです。物価の問題との関連においても、基礎研究というものから取り組んでいかなきゃならぬということになりますと、いま言ったように、全体で一・四二%、これは海洋も何も含めてですよ。その中で基礎研究というものの比率は逆に下がっているはずです。ということは、ビッグサイエンスをやらにゃいかぬということで、そういうところに政治性を発揮してというか、政治的にものを判断してというか、やらなきゃいかぬのだというようなことで、これは飛躍的に伸びる。しかし、その分だけは基礎研究が圧縮をされておるという形になっている。しかしながら、どう考えても基礎研究から出発をしなければ、日本の科学技術水準の全般を上げるということは不可能なわけです。物価の問題についてつくづく私はそれを痛感した。
 そういう問題もあるし、それから、技術導入というものはだいぶ減ってきたというけれども、減ってきた理由は一体何だというと、導入するものが減ってきたのじゃなくて、日本には導入させたくないといういろいろな要素が働いておると思うのです。日本に技術を導入させればたいへんな国際市場におけるところの競争相当になる。だからなるべく日本には導入させたくないというような意図も、最近はかなり意欲的に積極的に働いておるのではないかということになれば、どうしても自主開発ということ以外には方法がない。自主開発、基本は一体何だといったら、私は基礎研究以外にはないと思うのです。そこで、文部省からもわざわざ来ていただいているので、これは教えていただくようなつもりで申し上げるんですけれども、科学研究費の最近の動向、数字でおわかりになりましたらひとつ教えていただきたい。
○渋谷説明員 学術関係の経費は、大ざっぱに分けまして経常的な研究費と特別的な研究費とございます。経常的な研究費といたしましては、国立大学の教官当たり積算校費あるいは教官研究旅費などがございます。特別的な経費といたしまして、科学研究費の補助金、一般設備、特別設備などのいろいろな設備の予算その他特別事業、臨時事業費的なものがございます。
 ただいま御質問がございました科学研究費補助金につきましては、昭和四十二年度に学術審議会から運用上の改善策につきまして答申をいただきまして、それ以後文教予算の重点事項として取り上げられまして、年々大体二割の増をいたしております。すなわち、昭和四十二年度は四十一億八千万円でございましたが、改善策を昭和四十三年度から実施いたしまして、年々二割、四十三年度は五十億円、四十四年度は六十億円、四十五年度が七十二億、四十六年度予算は八十六億円ということでございまして、この四年間毎年二割ずつの増額をはかってまいりまして、昭和四十二年度四十一億八千万に対しまして、本年度八十六億円を計上いたしております。
○石川委員 文部省のほうの関係はそのうちまた改めて打ち合わせたり、いろいろ聞きたいと思うことがたくさんあるんですが、きょうは教えてもらうという程度の質問だけにとどめておきますけれども、アメリカのNSF、これは大体予算どのくらいで、どのくらい毎年支出をしているか、金額でおわかりになりますか。
○渋谷説明員 いまちょっと持っておりませんので、あとで調べましてお答え申し上げます。
○石川委員 NSFというのは、これは政府のほうから出資をする、民間からも出資をするということで一つの財団をつくっておりまして、これは科研費に見合うものではありません。これと完全に内容が一致するのではないことはよくわかっておりますけれども、何といっても基礎研究は絶対にもう科学全体のすそ野を押し上げなければ科学の頂点は上がらないんだということで、これに対する異常な熱意を燃やして、これに対しては相当多額の予算が投入されておるはずであります。いまいろいろ御説明によりますと、大体毎年二割ふやしているからというんで、何かそれだけどんどんふやしているからいいんじゃないかというようなお考え方のようにもとれないでもないような感じがするわけなんですけれども、しかしながら基礎研究の予算が何といっても圧倒的に少な、圧倒的というとおかしいんですけれども、もとより問題にならず日本の場合には少ない。
 実は話はまたわき道にそれたような話で恐縮ですが、非常に学園紛争というものがにぎやかになる前でございます。科学技術基本法の問題について、大学の若い助手連中が私のところへ十人ばかり押しかけてまいりました。実に、若い連中は自分のやりたいということを科研費の関係で全部先生にテーマを押えられてしまってといういろいろな問題があるんでありますけれども、とにかくみじめな研究費で、こんなことで一体日本の学問の将来はどうなるんだというようなことがいわゆる学園紛争の発端をなしたということに、私は注目をしなければならぬと思うのです。それの指導をする。いわゆるビッグサイエンスというものだけで産業界と結びついているそういう研究だけが恵まれている。基礎研究をやっている自分たちは一体どうなるんだ。この研究こそはほんとうにじみな研究で日本の将来の科学の推進にとって必要なんだという使命感に燃えているんだけれども、予算が全然つかなくてどうにもならぬじゃないかというような悲壮な叫びがありました。あとで考えてみると、そういう人たちが大体指導者になっておったようであります。そういうふうな事実は、着ているものを見るともうすり切れたよれよれのワイシャツで、服といえばよれよれの服で、ほんとうにこの人が、三十歳前後の清新気鋭の学者で、学校で基礎的な自分のほんとうに良心的な研究に従事している人たちの姿かと思うと、涙が出るような感じがしたのです。ああいう人たちは一番の実力者です。これは人文科学、自然科学でだいぶ違います。違いますけれども、自然科学の場合には肩書きがあって名をなしたというような人よりもそういう三十歳前後の人たちが一番の推進力であるし実力を持っておる。そういう人たちが異口同音に基礎研究費がいかに少ないかということを訴えておる。これは大学の連中であります。これは大学だけで解決できる問題ではないし、それから最近の新聞の論説にも出ておりましたけれども、もう科学技術は農林省関係だとか厚生省関係だとか通産省関係で縦割りでいろいろやっている時代じゃない。これは横に統一していかなければならぬのじゃないか。その役割りは科学技術庁であるべきである。科学技術庁の果たす役割りはきわめて重いけれども、その力がきわめて弱いというような問題とからんで、この二つの点は一体どうこれから対処していったらいいんだという疑問を持たざるを得ないのです。
 これはあとで私整理して、いろいろ質問をし直そうと思っておりますけれども、あと一つの問題はやっと研究費が年間で一兆円をこして一兆六百四十七億円ということになったわけです。しかしその内容を見ますと、これは民間会社が七千六百三十八億円、政府負担が二千九百九十七億円というので三〇%足らずですね。二八%。こんなことは外国にはないわけですね。外国は逆です。外国は民間が三割であって政府が七割である。これはまあアメリカのようなアポロ計画みたいな膨大なものを持っているところもそうですけれども、そうでないヨーロッパにおいてもそうなっているわけです。だからビッグサイエンスそれ自体――私ビッグサイエンスを押えろなんていう気持ちは毛頭ないんです。ビッグサイエンスそれ自体もまだまだ外国並みに行ってないところに持ってきて、基礎研究は全く冷遇されている。しかし日本がほかの国に追いついて追い越すというようなことを考えなければならぬ。たとえば、ライフサイエンスとかソフトサイエンスというようなものもやらなければならぬということが科学技術会議のほうでは強調されておるようでありますけれども、これも基礎研究ですね。ところがそういう基礎研究に対する予算というものがまことに貧弱で目に見えることしかやろうとしないのか、こういうような疑問がわれわれの中には出ざるを得ない。
 それで私は文部省の方に申し上げたいのでありますけれども、大体順調に伸びているといえば伸びているんだが、二割ずつ伸ばしているということになっているんですけれども、全体で八十六億円なんて学術会議のほうの要求はすごく膨大なんですがね。しかもファンドというものを一つつくってファンドの中で年間できちっときめるのではなくて、ころがし予算といいますか必要なところには臨機応変に出せるというような形の、大きな基金というものがどうしても必要だということは、繰り返し学術会議のほうからも要望が出ているはずなんです。そういう点から言うと、これは全体の基礎科学研究費が百億円足らずなんということでは、日本の科学の将来はまことに暗いのではないかという感じがしてならないわけなんです。やはり基礎研究の中心は何といっても大学ですよ。そういう点で、これはここで議論しても始まらないのですけれども、毎年二割ふえているのだから、大体順調に伸ばしておるんだというような考え方だけでは、とても日本の科学技術を思い切って引き上げていかなければならぬという重大な使命にこたえることは不可能ではないだろうか、こういう感じがするんですが、何か所見があれば、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
○渋谷説明員 先ほどお尋ねのNSFの数字をちょっと持っていませんで、恐縮でございますが、ただ基本的に少し考え方が違っておりまして、アメリカの場合はNSFの資金で人件費の一部など、あるいは経常的な研究費なども出しておりまして、NSFの補助金が打ち切られますと、そういう人件費あるいは経常的な研究費まで打ち切られて恐慌を来たすというようなことも聞いておるわけでありますが、わが国の場合は、先ほども申し上げましたように、経常的な研究費といたしましては、国立大学に教官当たり積算校費というのがございまして、これは四十六年度三百五十四億円ということになっております。その他設備費につきましても、百六十六億円あるいは教官研究旅費十七億円、それから在外研究の補助金六億五千万円、そういったようなことで国立大学の研究関係経費といたしましては、千七百億円が計上されておるわけでございます。それから科学研究費補助金八十六億円などを含めまして、そういう国立大学特別会計以外の一般会計におきまして百二十八億円、その他のいろいろな経費がございまして、文部省関係の基礎研究費に該当いたしますものは、四十六年度千九百六十二億円という概算になっておるわけでございます。したがいまして、アメリカなどと非常に制度が違いますので比較しにくいわけでございますが、わが国の基礎研究費といたしましては、そういう経常的な研究費その他を含めまして約二千億近い予算が計上されておりまして、その中ですぐれた研究を格段に発展させるという趣旨のものが科学研究費補助金ということになっておるわけでございます。そういうことで、そういう経常的な研究費の増額とそういう特別的な研究費の増額とあわせまって学術の振興をはかっていきたいというような考え方でやっておるわけでございます。
○石川委員 いまの数字を見ても千億円台ですね。これは中身はちょっとずれておりますから、正確な比較にはなりませんけれども、とにかく比較にならない基礎研究に対する重点の置き方であるということだけは、まぎれもない事実なんです。基礎研究は大学だけではなくて、やはり科学技術庁としても大いに関係があることなんで、これは十分に関心を持って、側面的に――勧告権もあることでもあるし、こういうときこそ勧告権を発動してでも、こういう基礎研究を充実させる。毎年二割ふやせばいいんだということで、八十六億円を一千億円にするのに二割ずつふやすといったら、向こうだってどんどんふえるのですから、もう百年河清を待つのにひとしいということになって、これではとてもじゃないが、日本のほんとうの科学技術の推進にはならない。たとえて言うと、輸出のほうは、輸入に対して、技術の場合ですけれども、一二%というふうにふえてきたということが最近は言われておりますけれども、わずか百六十六億円ですね。こんなわずかなものでは話になりません。それから輸入のほうは、先ほどから繰り返して申し上げるようでございますけれども、だんだん日本に対してはきびしい態度で臨んできておる。日本にうっかり技術を譲れば、世界の市場を席巻されてしまう。トランジスタがいい例でありますが、そういうあつものにこりてなますを吹くというところまではいかぬかもしれませんけれども、非常な制約があるわけですね。韓国と台湾以外にはいかぬというような地域制限なんかも非常にきびしいわけですね。この技術の輸出の金額を言いますと、百六十六億円というのは、アメリカの四十分の一であるし、英国の四分の一であるし、その他のドイツあたりの二分の一――ドイツは技術の導入に対しては、輸出のほうは四〇%までいっておるわけですから、技術の輸出が大体ドイツ並みに四〇%ぐらいまではいくような目標というものを一応つくる、そのためには一体どうしたらいいのだというようなことを考えていかなければならぬのじゃないか。そのために応用開発も、もちろん私は軽視していいということは申し上げませんけれども、やはり基礎研究から出直していかなければ、そういうことにはならないと思うのです。
 そういう点で日本の基礎研究というものが非常に弱体過ぎるのではないか、これは大学も含め、それから科学技術庁も含めて。そういう点で、何か科学技術庁長官のほうではお考えがあるかどうかということを、ここであらためて名案というものがないでございましょうけれども――何ぶんにも輸入のほうにも制約が相当強い。輸出のほうはきわめて微々たるものである。さらにまたクロスライセンスというふうなかっこうで一方的に技術だけは導入できない。交換だ、クロスライセンスだというような分野も相当にふえてきているというようなことになると、二十一世紀は日本の世紀であるなんて言うけれども、技術とそれから資源の問題で、ぼくはそんなことにはとうていなり得ないと思うのです。資源の問題は、ここで言う場じゃありませんから、申し上げませんが、技術の面で必ず行き詰まるという気がしてならないわけなんです。そういう点で、これは科学技術庁が横割り行政として文部省のほうとも協調して基礎研究をどうするか。特に民間関係が七割を持っているのを、逆に政府が七割持つ、それから科学技術会議のほうの方針としては、GNPの二・五%というのを、今度は三%を目標にしようというような原案のように聞いておりますけれども、現状から離れることはるかに遠いわけです。いまのところは一・七二%くらいだと思います。(「いえ、一・九%です」と呼ぶ者あり)一・九までいきましたか、これは数字のとり方によっていろいろ違うのでありますが、いずれにいたしましても、三%まで、これは徐々にというような考え方ではなくて、これがなければ日本の科学は進歩しないのだ――しかもその一・九といっても、これは民間資本で、政府じゃないんですよ。政府のほうは、それに三割しか出していない。だから政府のほうが、むしろ積極的にそういう基礎研究の部門を強化してやらなければならぬ。私は民間の会社を出ておりますけれども、民間の研究機関も基礎研究をやっておりますが、すぐ生活につながり、すぐ利潤を生むというものでなければ、そういう基礎研究をやらないんですよ。純然たる基礎研究というのは、やはり大学なり科学技術庁が中心になってやらなければやるところがないのです。そういう意味で、私は日本の科学技術行政というものに対して、このままでは非常に暗い見通ししか持ち得ない、そういう点が一つ。それをどうするかということ、これは答弁なかなかむずかしいと思いますが、そういう問題と、それから研究機関が、いま言ったように通産省があり、農林省があり、厚生省がありというようにばらばらになっている。しかし、これは共通的な課題がたくさんあるわけですね。これを両方統合していかなければならぬという場合には、一応科学の調整費というものを科学技術庁が持っているわけでございますけれども、これだけで調整するのでは非常に弱い、私はこう思わざるを得ない。そういう場合に対処して、相当の決意でもってこの縦割りになっている研究というものを横に統合していくというような方向づけをどうやってとろうとするのか。これができなければたいへんな二重のむだ、二重投資、二重研究というものを免れないと思うので、そういう点の抱負があれば、この二点について伺いたい。
○渋谷説明員 ちょっと先ほどのを補足させていただきます。
 日本の場合、政府の研究関係投資が、国際的比較においてまだまだ少ないということは、御指摘のとおりだと思いますが、OECDその他の統計によりますと、その研究投資総額のうち基礎研究に振り向けている割合は日本はかなり多い比率が出ておりまして、これは数年前のOECDの資料でございますが、基礎研究費あるいは応用研究費、開発研究費と分けまして、その比率を見ますと、日本の場合は基礎研究に振り向けておる率が二六・七%という数字が出ております。アメリカの場合は二二・九%、イギリスは一一%、西ドイツが一九・四%、イタリアの場合が一五・三ということでございまして、全体の政府投資額がまだまだ少ないということは言えるかと思いますが、基礎研究に振り向けている率は、こういう統計によりますと日本の場合はかなり多い数字が出ておることをつけ加えさせていただきます。
○石川委員 その点について、その点はきょうは議論いたしません。議論いたしませんけれども、基礎研究とか応用開発とかいうその分類のしかたは、どうも統一されていないのですね。日本で、向こうのOECDでやった基礎研究部門というのは必ず基礎かどうかということについてたいへん疑問があると思うのです。その点は非常にこまかい話になりますからいずれ機会を改めて議論をしたいと思いますけれども、しかし総額それ自体としては、これは比較にならぬほど少ないということだけは認めざるを得ない。そういう点ではやはり問題がある。そういう基礎研究の比率が多いと仮定しても、私はその分け方が、学者に聞いてみるとどうも日本の基礎研究に入れた分野は、これは基礎研究じゃありませんよという部門がたくさんありますという話も聞いているわけなんです。だから向こうと分類がどうもぴったり一致していないというようなことも聞いておりますが、それはあとの話にいたしまして、絶対額の少ないことだけは認めざるを得ない。それから政府が出している金が非常に少ないということも、これも認めざるを得ないというような点では、やはり問題が残ろうかと思います。念のために申し上げておきます。
○西田国務大臣 物価の問題と基礎研究の問題等についても先ほど御意見を加えてのお尋ねでございましたが、私も全く同感に考えております。平素からそのように考えております。何と申しましても、物価の問題等はただ目先の問題だけで根本的な解決のできないということはおっしゃるとおりであって、やはり公害と同じように物価の問題も、科学技術がこれを処理解決していくということでなければならない。根本的にはそうであるというふうに思います。そういう立場から申しましても、この科学技術研究費等が必ずしも十分でない。だんだん増加をしておりまするが、諸外国に比べましても低い。ことに民間の研究費と政府のそれとを比較いたしまして、はなはだ諸外国に比べて逆の立場になっておることも御指摘のとおりであると思います。科学技術庁といたしまして、原子力であるとか宇宙その他こういうビックプロジェクトを持っておりまするけれども、私は科学技術庁の本来の一番大きな使命は、その大きなプロジェクトも大事でありまするけれども、科学技術全体に対する調和のとれた振興をはかっていくということが一番大事であるし、ことに外国から入る技術導入というものが、こっちが出しますのに比べてまだ、若干は改善されているとは申しながら非常な懸隔がございます。こういう点の解消のためにも、何と申しましても基礎研究が一番基本になるということはおっしゃるとおりであると思います。ただ諸外国に比べて基礎研究がやや立ちおくれておるわが国といたしまして、少ない研究費の中から基礎研究のほうにかなりウエートをかけておるということは、ただいま文部省からも御答弁申し上げましたような、数字がそのようになっておりまして、その分類等について若干の見方の違いがあるかもしれませんけれども、そういう形にはなっております。しかしながらとにかくやはりすでに技術の水準におきまして開きがあるわけでありますから、何といっても基礎研究にもっともっと力を入れなければならぬということは全く同感でございます。ことしの予算におきましても、努力はいたしておりますけれども、必ずしも十分にいっておらない。たとえば、人当研究費なんかにおきましても、その伸び率は必ずしも満足すべきものではないようでありまして、いま科学技術会議がこれから将来にわたるところの科学技術政策を鋭意検討いたしておりますが、そういう中においてもいろいろ論議されておるところでございまして、もっと基礎研究等に重点を置かなければならぬ、それからまた絶対額の増加につきましても積極的な姿勢を示さなければならぬということで、まあ大体の考え方は先生がお話しになりましたような方向に向いておるわけでございます。
 そこで総合調整の立場にあります科学技術庁といたしまして、各省のこれらの総合調整をどうやっていくのかというお尋ねでございますが、私どもも単なる見積もり調整とかあるいは特調費の配分というようなことだけで事足れりとは考えておりませんので、もう少し積極的に総合調整の機能を発揮すべきである、こういう観点に立ちましていろいろとくふうをいたしておるところでございます。ごく最近でございますが、科学技術庁の中に研究調整委員会というものをつくりまして、研究調整委員会は、審議官三名おりますが、その審議官三名と研究調整局長と四人で構成することにいたしまして、この研究調整委員会で各省庁にまたがりますところの国立の研究機関その他の研究、これが重複がないように、また最も有効な研究が行なわれるような立場に立って、私どものほうがまず基本的な考えをひとつ検討いたしまして、そして各省に私どもの考えもお示しをいたしまして、そして各省でもさらにこういう考え方に沿って御検討願って、これを科学技術庁に持ち寄っていただいて、それをもう一度練り直して、さらにその上に立って予算の要求その他を行なう、こういったような二段がまえのこともことしから実施しようということで、先般そういう委員会も設置いたしたようなわけでございます。これがぜひ効果をあげるように努力をいたしておるわけでございます。
 何と申しましてももっともっと技術水準をあげてまいりまするための根本的なものの考え方、それが必要でございますから、私どもも十分そういう機能を発揮すると同時に、財政当局に対しましても十分日本の科学技術水準を引き上げてまいりますための施策を積極的にやってもらわなければならぬということにつきましては、機会を得まして私どもも七〇年代の科学技術政策というものは近く結論が出ると思いまするし、そういうものが出ましたら、それを基本にいたしまして、またただいま申し上げました研究調整委員会というものを有効にひとつ働かせましてそして立ちおくれを挽回する、こういった姿勢でしっかり取り組んでいきたい。これは単なる答弁のための答弁じゃなくて、私ども自身そういうことを非常に痛感をいたしております。そういう御鞭撻に対しましてもわれわれはたいへんありがたく拝聴いたしておるわけでございまして、ひとつしっかりやってまいりたい、かように考えております。
○石川委員 時間がだんだんなくなってきましたから結論的に申し上げますけれども、この前も私申し上げましたように、OECDという先進国の集まりでは、後進国に対する援助ということがもちろん当然の任務として一つありますけれども、あとは経済と科学の二つなんですね。経済と科学の二本立てで、これがすべてのことを処理するという形になっておる。科学の中には、公害あり、交通対策あり、災害対策あり、日本では法律を出して、特別委員会をつくればそれでいいような、こういう考え方があるのだけれども、ほんとうは科学の分野から、科学的な観点でそれを処理するという習慣ができなければ、ほんとうの先進国とは私はいえないと思うのですよ。そこまでいかせるための認識というものを政治の間に――これは政治家自身の責任でもあるわけですけれども、内閣自体がまずそういう考え方のほうに向けていくということが、どうしても必要じゃないか。それで、先ほど申し上げたように研究費が一兆円をこしたなんて大々的に宣伝はされていますけれども、政府の分野というものは非常に少ないということと同時に、日本の会社の交際費は一兆円こしておりますよ。日本の盛衰に関する根本的な課題である基礎研究を含めての科学技術全体の予算と、費用と、それから交際費とが同じ額だというんでは、ちょっとあまりにも情けないんじゃないかという感じがします。広告費でも七千五百億円使っていますよ、日本では一年間で。これより若干多いという程度ですね。こんなことで、はたして日本の科学技術の将来は一体どうなるんだということと、いまのように科学技術会議のほうでも適切な結論が出るのじゃないかと私は期待しておりますけれども、縦割りになっているものを何としても横に統合していく。それで、プロジェクトじゃなくちゃ、もう一人一人の才能に依存するという度合いは、これから少なくなってくるわけですから、そのプロジェクトというものは横割りで全体の衆知を集めていく。二重研究、二重投資にならぬようにするというようなことのために、あるいはまた基礎研究費がきわめて少ない、微々たるものにすぎない、これじゃどうにもならぬというようなことの解決のために、科学技術庁としては非常な勇断を持ってひとつこれから立ち向かってもらわなければ、日本の将来は、端的にいうと暗たんたるものじゃないか、とても見せかけだけの繁栄であってほんとうの繁栄をもたらすわけにはいかぬ、こういう感じがするわけなので、強くこの点を要望しておきたいと思うのです。
 それで、具体的な一つの例として申し上げますけれども、実は私、非常に残念なことには、去年の公害の臨時国会の場合に欠席をいたしております。そのときにずっと新聞を見ておりますと、科学技術庁の名前がさっぱり出てこないのですね。厚生省とか通産省とかという名前ばかり出てくるわけです。それから、総理府のほうで環境庁設置法案というものをつくって、私は終わってからこれを見たのでありますけれども、おそらくこれに一体どれだけ科学技術庁が関与しているんだろうかという疑問を持たざるを得ない。大気汚染の問題といい、それから水質汚濁の問題といい、結局は非常な微粒子をどうやって捕捉するかという循環工学なんですよ。法律でどうこうするということよりは、その循環工学のシステムというものをどう確立するかという科学技術の問題だと思うのですね、公害対策というのは。ところが、そういう問題が一つも表面に出てきていないので、非常に切歯扼腕したのでありますけれども、その中で、たとえば環境庁設置法案の中で第九条を見ますと、国立公害研究所というものを環境庁の中につくるということになっています。それについては、水質とか大気汚染とか、そういったものが、生活環境、人の健康に及ぼす影響の研究、それからそれらの監視測定方法の研究、そういうふうなことが書いてあるのです。これは、出た結果を見て単に対策をどう立てるかということにしかならないのじゃないか。予防ということの観点に立って、科学技術庁が中心になって、この公害研究所というものの中核になって、予防するためにどうするのだというような観点での研究所の運用でなければならぬと思うのです。その辺、この研究所をつくることについて科学技術庁はどの程度関与をし、この第九条などについても、科学技術庁はどういうふうな役割りを持たされておるのかという点が私は非常に疑問なので、その点をお伺いしたいのと、それから第九条の第二項の中で、委託に応じていろいろな調査を行なうことができるということになっておるのです。公害研究所は、その事務に支障のない場合においては、委託に応じていろいろな試験研究及び調査を行なうことができると、こういうことになっておる。これは科学技術庁それ自体が積極的に委託をする。これは単なる出た結果について測定をするとか、影響のあとを追跡をして、トレースをして追いかけていくということではなくて、あらかじめ予防という観点でこの循環工学のシステムを確立をしていくのだというような意味におけるところの委託をするという積極的な意欲があるかどうか、それからこの公害研究所というものの中における科学技術庁の持つ役割りは一体どうなんだ、こういう点で伺いたいと思います。
○西田国務大臣 前国会で公害の問題、いろいろ重点的な検討が行なわれたわけでございます。科学技術庁と国立公害研究所の問題についてお尋ねがあったわけでありますが、環境庁は公害を扱う主務庁になるわけでございまするけれども、この付設されます公害研究所は、ここに書いてありますように、人の健康、生活環境に及ぼす影響の研究、それと監視測定方法の研究というようなことが第一の任務になっております。
 そこで、この研究所は、私は、公害を予防する、公害を防止する、こういう技術の開発というものは、これを一つの研究にまとめるということは非常に困難なことであるというふうに考えておりますし、またこの研究所が一切の公害予防、公害防止技術、こういうものをここにまとめてやるのだという考え方ではないと考えております。そこでこの法律でいろいろ規制をいたしましたり、ここでもって人体に対する影響あるいは生活環境に及ぼす影響等を研究し、また空気あるいは水の汚染、汚濁等の測定監視をやるというようなことで、これを技術的に予防あるいは排除していくというようなことは、これは現在ございますところの国立の研究所それぞれが、それぞれの立場におきまして、そして十分にその能力を発揮するということが必要であるというふうに思っておりますので、したがいまして、私どもは環境庁ができましてもこのような公害の防止技術、こういうことに対しましてはわれわれが第一線に立たなければならぬ、こういう気持ちでおりまするし、また現在ありますところの国立の研究所は、その使命感を持っておるというふうに確信をいたしております。それを大いに充実強化をはかって、そしてこのようないろいろな公害に関するところのきびしい基準等が設けられましても、経済活動が低下しないように、産業活動が停滞をしないように、基準を守りつつ、そしてなお生産能力を上げていくというためには、いわゆる公害防止技術の研究開発ということによってこれをカバーしていくということであろうと考えますし、われわれはその責任を十分背負っていかなければならぬと考えております。
○石川委員 これは、時間もありませんから、あとからあらためてやりたいと思うのですが、この公害研究所は四十九年三月三十一日までの間につくるということで、相当間があるわけですね。四十六年七月一日から環境庁それ自体は施行されますけれども、公害研究所それ自体は四十九年三月三十一日というようでだいぶ余裕がある。その間において公害研究所は一体どうあるべきかということを十分に検討する余地は残されておるし、それからこの法文から見ただけの感じでは、これは明らかに予防ではないです。出た結果についてだけのトレースということになりまして、これではほんとうの意味の公害防止の研究所ということにはなり得ないのではないかという気がしてならないのです。ここでは委託権というものがあるので、この委託こそは、予防という観点でどうすべきかというようなことは、科学技術庁みずからが立案をしなければならぬ使命があると思うのです。そういう使命に立って公害研究所に対しては予防という観点から循環工学としてのシステムを確立をするという意味も含めて、科学技術庁のほうで委託権を持つということを積極的にやるべきではないか。それだけのまた時間的な余裕もこれはあるわけなんです。そういうことがなければ科学技術庁というものはますます――先ほども言ったようにOECDでは公害なんかは全部科学技術の分野ですよ。これは法律でもって、行政でもってやるという分野じゃないのですよ。公害対策は科学技術の分野なんです。それが何か宙に浮いてしまってはずされているようなかっこうですが、四十九年までの間に公害研究所というものの中における科学技術庁の果たすべき役割り、位置づけというものをもっとはっきりさせて、単なるあと追い調査ではなくて、予防的な機能を発揮し得るような体制をつくるように、ひとつ努力してもらいたいと思うのです。この点どうお考えになりますか。
○西田国務大臣 石川先生の御質問の御趣旨は、この国立公害研究所というものを、もっと予防、公害の防止という機能を持たせるように充実すべきであるという御意見のように伺ったわけでございますけれども、現在の立案されております公害研究所でも、これをつくるのには数年を要するということでありますが、一切の公害防止をこの研究所に包括して、一括してそこでやらせるというような公害研究所を設けるということになりますれば、現在の国立研究所それぞれの分野におきまして、それぞれ公害の問題につきましても真剣な取り組みをいたしておりますが、これらを集めて一カ所に持ってくるというようなもし御意見であるといたしまするならば、これは実際に物理的にも、あるいはいろいろな面から申しまして必ずしも上策ではないのではないだろうか。これは要するに、いろいろな大気汚染その他水質汚濁等の人体あるいは生活環境に及ぼす影響の調査研究ということに重点が置かれておりまするが、これを防止するための技術開発、研究開発というようなことは、それぞれの研究所がやはりそれぞれの立場において全能力を発揮するという体制がむしろ好ましいのではないだろうか、実は私どもはそういうふうな考え方をとっておりまするし、政府全体の考え方も大体そういう方向にあるというふうに考えるわけでございます。しかしこれと全然無関係というわけではございません。十分な連絡がもちろん必要でございまするが、くどく申し上げて恐縮でありますが、いま一カ所に取りまとめて、そして公害に関しては一切そこでやるのだという体制をつくるということは、実際問題としても非常に困難であるし、また公害の問題は、各国立研究所におきましても、公害というものだけをぽんと截然とこれを抜き出してくるというようなことはなかなかむずかしい問題であって、いろいろな研究開発と公害の問題とは、裏表になったり、からんだりいたしておりまするから、そういう意味におきましては、むしろこういう体制のほうが適当でなかろうか。そして各研究所等がその公害の防止につきましての、その全能力をあげる、こういう体制をとっていくことが適当であろうというふうに考えております。
○石川委員 時間が過ぎたので、それはあとでまた議論します。ということは一つの例を申し上げます。この前の商工委員会におきまして――実は中部電力と住民の間でもって原子力発電所に対して協定を結んだ。協定を結んだら、こういう協定はきびし過ぎる。第三者を入れるとはけしからぬというようなことで、通産省からきびしいおしかりを受けたわけなんです。そのときはちょうど参議院のほうが分科会があったので通産大臣が来れなかったものですから、私は局長をつかまえて、ここで実はこの前の損害賠償補償法案のときに監視体制を確立をしなければならぬということを科学技術庁としては決定をしたわけです。また事実これから公害に対してはAECあたりは非常に神経質になり、また専門家をそろえまして――核の放射能の人体に対する影響、遺伝に対する影響というものは未知の分野ばかりなんですから、ミネソタ州以下十州は、基準をいまの基準の五十倍にしろといっておるのです。だからアメリカでは発電所ができないでいるのですよ。日本では十分の一にしてありますけれども、アメリカの、ミネソタ州をはじめとして十州というのは、五十分の一にしろ、こういうことで発電所ができないというくらい、非常にきびしい態度を州政府はとっておるのです。そういうとき、日本は被爆体験国でもあるから放射能という問題に対しては非常に関心が強い。恐怖心が強いというと語弊がありますけれども、そういうときに住民が参加をして十分納得するというような体制が最低限つくられなければ、原子力発電なんかできっこないじゃないか。それに対して住民を参加させることはけしからぬというような答弁で、何か参議院のほうでは通産大臣の答弁で済んでしまったようですが、商工委員会であと一回やり直すつもりでおりますけれども、通産省あたりはそういうふうなことでの感覚しかないのですよ。それを純粋に科学的な、国民を保護するという立場で考え得るのは、実は科学技術庁の役割りではないかと思うのです。そうなると、公害については各省でもっていろいろ研究しているからそれでよろしいのだということだけで国民が納得するかというと納得できない。これはやはり科学技術庁が純粋に科学的な見地でもって公害研究所というものに対して関与をする――私は一カ所にまとめろということを言っているつもりはないのです。これは窓口になるのです。これは窓口になるという意味では、科学技術庁としてそういう予防的な観点、人体を保護する、自然環境を保護するというような観点から、ここにどんどん委託をする。あるいはその中に割り込んでいくというようなことで、各省がやっているからそれでいいのではないかというような考え方では困るということを私は言いたいのです。
○西田国務大臣 御趣旨よくわかりました。私どもそういう気持ちでおるのでありまして、実はここまでくる段階におきましていろいろな意見があり、いろいろな構想も出ました。われわれも具体的に意見を述べました。われわれは先生おっしゃったようなのと同じ気持ちでございまして、科学技術庁が一カ所に物理的にまとめるということは非常にいろいろ問題がございまするけれども、いわゆる十分能力を発揮できるような機能的なものを機構的に考える。端的に申しますと、科学技術庁が中心になって、いわゆる姿なき研究所、物理的な建物に入った研究所ではなくても、姿なき研究所というようなものですね。そういう政府をあげてその中心は科学技術庁にある、こういう考え方でわれわれの意見を述べて、かなりの理解をいただいておるつもりでございます。そういう意味におきましていま先生の御趣旨はよくわかりました。私は、公害研究所にあらゆる国立研究所も全部一カ所にまとめたほうがいいのではないかという御意見かと思ってさっき申し上げたのでありますが、よくわかりましたので、そういう先生の御趣旨のような方向で、われわれが中心となって、公害の防止、予防、こういうことにつきましては各研究所の総力をあげて取り組んでいく、それにはわれわれが中核になってやっていく、こういう決意であることをひとつ御理解願いたいと思います。
○石川委員 時間が来ましたからやめますけれども、一言つけ加えるとハーマン・カーンは二十一世紀は日本の世紀だといっておりますが、これは資源の関係と、あとは公害の関係で、そうはならないだろうと思っているのです。一番先に滅亡するのは日本人ではないか、こういう皮肉な見方も出ているのですね。公害対策というものについても純粋に科学的な立場で、科学技術庁というものは相当の責任を持って分担をしてもらいたいということだけを強く要望して、きょうは私の質問を終わります。
  〔近江委員長代理退席、石川委員長代理着席〕
○石川委員長代理 次に近江巳記夫君。
○近江委員 この間から原子力の賠償法あるいは原子力船法の改正等、本委員会でいろいろと討議をしてきたわけでございます。そのときに私が、この原潜等の問題についてどうなるかということからいろいろ本委員会でその問題が取り上げられまして、またその後具体的な問題も出てきたわけでございます。さらにその後、防衛庁が三月三日ですか、房総半島沖のチャーリー区域でアメリカの原潜を標的に日米合同の対潜訓練をやったということも大きく報道されたわけでございます。そういう点で、原潜がもしも事故を起こしたらどうなるかという点について国民の皆さんが非常に大きな危惧の念を抱いていらっしゃる。こういう点でさらにいろいろ心配の点もたくさんございますし、そうした点についてきょうはひとつお聞きしたい、このように思うわけでございます。
 まず初めに、チャーリー区域で日米合同の対潜訓練、このようにやったということを聞いておるわけですが、概要について防衛庁からひとつ説明をお聞きしたいと思います。
○福田説明員 去る三月の三日に、先生仰せられましたアメリカの原子力潜水艦を目標にいたしました海上自衛隊の訓練を行なったわけでございます。この訓練の目的でございますけれども、原子力潜水艦が潜没いたしまして走行している際に、これを探知するということが非常に防衛上重要である、こういう見地から原子力潜水艦の潜没走航しているものを探知する探知技量の向上を目的といたしまして訓練を行なったわけでございます。これにつきましては、すでに新聞等にも一部報道されておりましたように、三月の三日の午前四時三十分から午前十一時四十分までの間約七時間にわたりまして、先ほど申し上げましたような探知技量の向上を目的といたしました一連の訓練をやったわけでございますが、訓練の海域は、先生の仰せられましたチャーリー海域でございまして、これは房総半島の野島崎からこの海域の中心部までが、ちょうど野島崎から南々東約五十マイルの地点になるわけでございます。
 参加いたしました艦艇でございますけれども、これはアメリカ側の原子力潜水艦スヌーク号でございます。それから日本側の参加艦船でございますけれども、護衛艦五隻参加いたしてやっているわけでございます。
 訓練の内容といたしましては、先ほど申し上げました目的ともかみ合うわけでございますが、潜没して走航いたしております原子力潜水艦を探知いたしまして、これを追尾するという訓練を行なったような状況でございます。
○近江委員 このチャーリー区域の練習あるいは訓練ですけれども、昭和三十六年の四月十九日の官報第一〇二九八号において「チャーリー区域」としてその区域の設定がされて、「演習及び訓練の種類」ここに「各種の艦砲の水平及び対空射撃演習を行なう。最大射程及び射高は、それぞれ二万七千四百三十二メートル(三万ヤード)及び六千九十六メートル(二万フィート)とする。」ということになっているわけですね。そうすると、「各種の艦砲の水平及び対空射撃演習を行なう。」ということになっているわけで、これは潜水艦とも原潜とも何も書いてないわけですね。官報にこう出しておきながら、そういうことを抜き打ち的にやっていいわけですか。その点、どうですか。
○福田説明員 その官報に登載されております訓練内容につきましては、特に危険なものにつきまして例示をいたしておるわけでございまして、今回の原潜の訓練につきましては、大体原潜が五十メートルぐらい潜没走航しているものを探知、追尾するというような訓練でございまして、従来型のいわゆる電池による発電をしております潜水艦に対する探知、追尾訓練というものも行なっておりまして、危険性その他から考えて安全性は全くだいじょうぶであろう、こういうような見地からやっておるわけでございます。官報に登載されておりますその例示以外についても、軽度の訓練等については行なっておるというような状況になってございます。
○近江委員 そうしますとこの官報では、どういうのか、これでしたら見てもしかたがないことになりますね。要するに、全然危険がなければ、原潜が来ようが何をしようがかまわない。官報ではただ「水平及び対空射撃練習を行なう。」それだけしか載っていないですよ。私、ちょっと参考に図面で示します。事務局、出してみてください。これで見ますと、練習をしたのはこのチャーリー区域である。そうしますと、あなたの説明でいきますと、危険海域がこの十三海域全部あるわけです。そうすると、この官報をずっと見ていきますと、大体全部、たとえばフォックストロット区域にしてもそうですね。あるいはゴルフ区域もそうです。そういうように大体いま言うたような内容になっておるわけですよ。だいぶ違いますけれどもね。潜水艦のことは何も書いてないわけですよ。そうしますと、この十三海域は、要するに全部アメリカの原潜があばれ回るということですね。要するに、あなたの説によれば、五十メートル潜航して危険がなければどこへ行ったってかまわぬ。だから、この海域は全部原潜がうろうろして、そこで訓練も行なわれておる、こういうことですね。
○福田説明員 官報の告示につきましては、米軍が単独に行ないますところの訓練内容、こういったものが例示されておるわけでございまして、このチャーリー海域につきましては、米軍等と連絡をとりまして、海上自衛隊がこの海域を使って訓練を行なうということもあるわけでございます。いわゆるこの一連の海域を設けたということは、一般の船舶の航行の安全、それからまた漁業の安全、こういったものがやはり中心に考えられているわけでございまして、そういう意味でいわゆる艦砲射撃等、特に一般の船舶あるいは漁船等に危険のあるものについては、ここでここの地域に限定して訓練をやる、こういう趣旨で海域を設けておるということでございます。したがいまして、それ以外の場所におきましても訓練を行なうということはもちろんあり得るわけでございます。ただこういった海域を用いまして訓練をやるにいたしましても、このときの三月三日の原潜の訓練はもちろんでございますけれども、それ以外の訓練の際におきましても、一般船舶等の航行あるいは漁船等がそこで漁業をやっておるというような状況等につきましては、状況を逐一綿密に把握いたしまして、そういった一般船舶が通る、あるいはまた漁船等がそこにあるというような場合には即刻訓練を中止する、こういうような形でこの訓練海域というものの使用の運用をやっておる、こういうことでございます。
○近江委員 そうしますと、これは海上保安庁が危険区域として出している地図ですけれども、これは土佐湾と相模湾の潜水艦の練習区域ですね、それと要するにチャーリー区域とか十三カ所の区域とはどこに違いがあるのですか。そうでしょう。どう区別するのですか。この十三海域にいまの説明でしたら原潜がどんどん入っているわけです。相模湾と土佐湾は潜水艦とこう限っているわけです。どう違いがあるのですか。
○薄田政府委員 運用課長の説明に補足いたしましてわれわれのほうの理解を申し上げますと、いわゆる先生御指摘のチャーリー区域でございますが、これは野島崎南方沖約三千七百十二平方キロを指定しております。これはいわゆる公海になっております。これは専門的にはちょっとあれでございますが、公海無害航行あるいは公海自由の原則等によりまして、やはりその海域で、本来ならいかなる国のあれであろうとも演習というか航行等できるわけでございます。この海域を特にいわゆる地位協定に基づきまして提供いたしましたのは、いわゆる施設区域等提供する精神にかんがみまして、政府として公海を指定した、こういうふうにわれわれ了解しております。したがいまして、この場合は大体常時制限という形をとっておりまして、米軍の艦艇等も常時訓練できるように考えております。
 それからもう一つ御指摘の土佐湾でございますが、これはいわゆる土佐の湾を区切りました北側全域を指定しておるわけでございますが、これはいわゆる領海と公海と両方含んでおりまして、特に領海を含むという意味で潜水艦の訓練区域ということ、これは先生御承知の告示の後半にも書いてございますが、むしろほかの船舶のためにお知らせするんだ、こういうふうな書き方になっておりまして、常時これは制限しておりません。したがいまして、自衛隊のほうの演習、これは自衛隊側からいいますと、たまたまこのチャーリー区域の公海上で演習をして、それの対象艦に原子力潜水艦ですか、あれが対象になって行動した、こういうふうに考えております。
○近江委員 土佐湾にしても相模湾にしても、いままで練習をやるという通達ですか、いまやるとおっしゃったでしょう、一回もやっていないでしょう、相模湾も土佐湾も。通達をやることになっていますと言うが、やっていない。だけれども、現実に前にはスクリューを折られているような事故も起きているわけですよ。それが全然通達を無視して米軍は練習をやっているのですか。それじゃこれは大問題ですよ。どうなんですか。
○薄田政府委員 提供海域につきましてはいま大体三種類ございまして、常時制限の海域、それから使用時制限の海域、それからこれはいわゆる制限のほうから申しまして制限をしておらない自由な海域、こういうふうな形になっております。
 いわゆる常時制限の海域につきましては、その態様によって少し違うわけでございますが、大体常時ということばで一々通告がないのもございます。あるいは三カ月ごとに通告があるのもございます。それから使用時制限のものは、原則といたしまして使用時の大体十五日前までに通告をもらいまして、いわゆる関係方面にいろいろお知らせする、こういうふうになっております。
○近江委員 あとの土佐湾とか相模湾はあとでもう一ぺん聞きますけれども、三月三日にこの訓練をやった。そこで、要するに一つ私が申し上げたいのは、官報でこのように提示しておる。これには「艦砲の水平及び対空射撃演習を行なう。」ということだけ国民に知らしておいて、そして原潜を持ち込んで、そこで合同練習をやっておる。要するに、あなたは海中にもぐっておるから危険はない、標的としてそれをとらえるだけである、こういうようにおっしゃっているわけですが、だけれども、現実に潜水艦の事故というのは非常に多いわけですよ。たとえば、スヌーク号にしたって、横須賀ですか、入ってきたときは非常に傾斜したままで入ってきたとか接触したんじゃないかとか、そういう事故でまた放射能が漏れるという心配もあるわけですよ。何も危険はないことはないんですよ。非常に危険なんです。官報ではこのように「水平及び対空射撃演習を行なう。」と、はっきり国民にはこういうように言うておいて、危険でないというようなことは言い得ないでしょう。それじゃ国民をだましてやっておることになる。官報以外のことをやっておるから。この責任はどうするかという問題なんです。しかも、いま十三海域のところでは全部原潜が入っておる。これはそうなってくるわけです。
 それで長官は閣議後記者会見をされて、「放射能の問題、航行安全の点はよく注意し、迷惑をかけないよう配慮したい。」このように語っておられるわけですが、具体的にこの原潜の対潜訓練においてどのように配慮するんですか。私がこれをなぜ言うかといいますと――ちょっとお聞きしますけれども、自衛隊が発足して以来、自衛隊の潜水艦はいままで何回事故を起こしていますか。総計で何件事故を起こしていますか、いままで潜水艦を使い出して。
○福田説明員 昭和四十年の七月十五日以降八回でございます。
○近江委員 その八回の事故は大体どういう事故ですか。ポイントを簡潔におっしゃってください。何年何月、何という名前の潜水艦か。
○福田説明員 まず最初の四十年七月の十五日でございますけれども、これは艦名が「なつしお」でございます。これは無人の運貨船と接触いたしまして衝突した、こういう事故でございます。潜望鏡を損傷しておる、こういうことでございます。相手船は全然無傷でございます。それから四十二年の四月八日でございますが、「おおしお」が呉港に停泊中、電池室にあるところの動力配電盤付近から出火したという出火事件でございます。それから四十二年の八月十一日でございますが、対馬海峡におきまして、艦名「あさしお」でございますが、訓練中に攻撃回避のために潜航中底触いたしまして、ソーナードームそれから一部機材を損傷したということでございます。次は四十二年十二月十六日でございます。これは「わかしお」という潜水艦でございますが、神戸港に修理のため停泊中に、この修理に当たっておりました従業員が一人死亡した、こういう事故でございます。それから四十四年の十一月の十九日でございますが、これは「あらしお」という潜水艦でございます。これは豊後水道におきまして浮上直後、機関に異音を感じまして急速停止したということでございますが、一部クランク軸とかあるいはアーム、そういったところに折損を発見しておる、機関の故障ということでございます。それから四十五年一月二十六日に潜水艦「おおしお」でございますが、これは広島湾におきまして浮上航行中、小型タンカーの左船首が「おおしお」の右艦尾と接触いたしまして、プロペラ翼二枚折損、相手船は無傷、こういうことでございます。四十五年五月二十日でございますが、「はやしお」、これは九州の南方におきまして聴音訓練中に目標確認のため露頂深度で潜望鏡を上昇しようといたしましたところ、深さ十八メートルで衝撃を感じまして、潜望鏡を折損いたしております。それから四十五年の九月九日でございますが、「はるしお」が津軽海峡の西方におきまして露頂深度で潜望鏡で見張りを実施しておりましたところ、護衛艦「おおい」と接触いたしまして潜望鏡を折損した。「おおい」はプロペラ、かじ等を若干損傷した、こういうことでございます。以上八件でございます。
○近江委員 やはりそのように訓練中に事故を起こしているわけですよ。そういう点からいけば、要するに五十メートルにもぐっておるから危険でないというようなことは言えぬわけですよ。そこで閣議後の記者会見で長官がおっしゃった、放射能の問題、航行安全の点はよく注意し、迷惑をかけないように配慮したいと語っておられるのですけれども、具体的に原潜の対潜訓練においてどのように配慮をするかということなんです。具体的にはどのように配慮していますか。現実にいままでもう合同訓練をやっているわけでしょう。
○福田説明員 先ほどちょっとお答え申し上げましたことと関連するのでございますが、まず第一に、訓練海域を航行いたします民間船舶の安全には特に注意を払いまして、訓練中護衛艦から水上レーダーさらに望遠鏡、こういったものによりまして正確な見張りをいたしまして常時監視をする、そして付近周辺海域に民間船舶が存在しないということを確認して訓練を実施いたしております。万一民間船舶が見えるということでありますれば直ちに訓練を中止する、こういう想定のもとに訓練を実施いたしております。
 それからなお安全性の問題でつけ加えて申し上げておきたいと思います。万一事故が起こった場合どうするかということでございますけれども、結局衝突事故ということが一番いやな事故と考えられるわけでございます。この衝突事故というのは、潜水艦が露頂しておる状態で起こるということが考えられるわけでございますけれども、その際には潜望鏡のみを海上に出している状態でございますので、潜望鏡が折損するというようなことがございましても、司令塔の一部が――これは最悪の場合でございますけれども、損傷するということにとどまりまして、内殻に被害が及ぶことは技術上ない、こういうことをはっきり確認いたしまして訓練をしたわけでございます。なおかりに内外殻に衝突によって何らかの故障あるいは損傷というようなものが起きた場合に、原子炉装置に対してはどういうことになるのかというようなことにつきましても、技術的に詰めたわけでございます。原子炉までには及ばない、こういうはっきりした確証が得られたわけでございます。そこでこの訓練の実施を行なう、こういうことに相なるわけでございます。さらにそれ以外の原因で潜水艦そのものが沈没した場合どうなるのかということでございますけれども、これも相当の深度に沈んでしまった場合を想定いたしましていろいろのケースを検討したのでございますが、あの海域等におきましては原子炉装置が水により圧壊することはない、また炉内の放射能物質が外部に漏れることもあり得ない、こういう科学的、技術的な回答を得られてこの訓練を行なっておるという状況でございます。
○近江委員 そうしますと、技術的に非常に詰めた、確証を得たとおっしゃるのですけれども、それじゃ防衛庁は中に入ったのですか。原潜の一切の点検をして間違いない、確証を得たとおっしゃったのですから、それは検討したんでしょうね。それともう一つは、科学技術庁は自衛隊から、防衛庁からこの放射能問題について相談を受けたんですか、これは。確証を得たと言うておるのですから、当然あなた方は中に入ってアメリカの原潜を見てきたはずなんですよ。その辺のところを両庁からお聞きします。
○福田説明員 ただいまの原潜の中に入ったかということでございますが、これは海上自衛隊の係の者にその辺のところをよくただしてみなければどこまで入ってどこまで見たかということは、ただいま直ちに申し上げることはできかねるのでございますけれども、私ども事務当局が海上自衛隊からの報告を受けておりますのは、アメリカ海軍がこの原子力潜水艦につきまして出しております公刊の資料等を中心にいたしまして向こうのほうにしかるべき質問等もなして、そして先ほど申し上げましたように万一沈没した場合にどうなるのかあるいは潜望鏡が折損して司令塔の一部が損傷した場合にどうなるのかということにつきましてははっきり詰めておる、かように連絡を受けております。
○梅澤政府委員 この場合の問題につきましては私のほうは連絡を受けておりません。ただこれは考え方の問題が一つございますが、私たち原子力基本法に基づきまして平和利用の範囲ということで仕事をやっております。そういう関係でその点受けるべきか受けるべきでないかということはございます。
○近江委員 科学技術庁は全然相談を受けておらないということですね。平和利用に限るんだから当然だというようなお答えですが、これはあなた電話にでもだれかすぐ行かして、原潜の中に入って確実にそれを見て、そして確証を得たものであるのか、ただ向こうが間違いないというたので、それを受けて海上自衛隊からあなた方事務当局にそういう話があったのか、その点だれか電話するなり何とかしてすぐ調べてください、本委員会で答えてください。
○福田説明員 これはどこのセクションがどういうふうに具体的にやっているかということにつきましては必ずしも海幕当局だけでやっている問題じゃないと思います。おそらく出先のところで見ておるということもございますので、できますれば、もちろん先生おっしゃるように電話してすぐ聞きたいと思いますが、簡単に答えが出てこないかもしれません。聞くだけは聞いてみますけれども、できるならば少し時間をいただきたい、そしてまた先生のほうに御報告さしていただきたい、かように思う次第でございますが、できればそのようにお願いしたいと思います。
○近江委員 しかし中へ入って見たかどうかというくらいのことは、そんなことはすぐわかるはずでしょうが。それだけの大きいことをそんなに時間をかける必要はないんですよ。要するに中に入って確認して、政府として間違いないということを確認された上でやられたのか、ただアメリカがだいじょうぶだというからやったのか、ただそれだけのことならすぐわかるでしょう。
○福田説明員 中を見ておることは間違いございません。ただどの程度見ておるかということにつきましては即答できない、こういうふうに申し上げたわけでございますが、ただいま電話で直ちにその点について問い合わせするように手配いたしましたので、お待ちいただきたいと思います。
○近江委員 要するに、そういう安全性の問題につきまして、それはほんとうに専門家が中まで見てやってくれたならよろしいよ。しかし早い話が原子力のことについて一番のエキスパートはやはり科学技術庁でしょう。あなたのほうで、そんなに原子力学者をたくさん自衛隊で置いていますか。置いているか置いていないか、それだけちょっと聞きましょう。
○福田説明員 私は施設のほうははっきりいたしませんけれども、内局にたいへんなエキスパートが一人おります。それだけは申し上げます。
○近江委員 そのたいへんなエキスパートが、それじゃ原潜の中に入って事こまかに向こうの説明も受け、こっちも調査をした。したかどうかそれは聞いてもらわなければいけませんけれども、しかし普通に考えて、何といったって原子力のことを一番よく知っているのは科学技術庁だ、こういうふうに私は思うんですよ。科学技術庁はそんなことは一片の連絡も受けてないということですね。そうすると、ますますわれわれとしては安全性という点について疑わしいわけです。そういう安全性について十分でない、しかもこの間補償問題で賠償の法律をやっておる中で、この問題も私は言うたわけですが、そういうことから、この事故の補償の問題にしても非常にいいかげんだ、条約を結ぶなり何なりするなり、もっと政府として本腰を入れなければならぬということで、この附帯決議においてもっけたわけでありますけれども、そういう安全性も十分でない、補償もいいかげんだ、満足なものは期待できない、そういう状態で、この日本近海で原潜を中心としたそういう合同訓練をどんどんやってもらうということについては、国民感情としては非常に不安があるわけですよ。しかも官報には、水平あるいは対空だけしかやらないと、この海域ではいうておるわけですよ。それにもかかわらず原潜を持ってきてやっておる。どこから見たってこれはおかしいですよ。ですから、その点でおそらくあなたはいま電話で聞いているかどうか知りませんけれども、安全性の確認はあらゆる客観情勢をずっと詰めていっても、それだけ国民が納得できる安全性なんというものは、そこまでおそらく確認していませんよ。それはあなたが電話でどういう報告をされるか知りませんけれどもね。安全性も心配だ、そういう点で、日本の近海でそういう原潜がうろうろしてやってもらうことは困るわけですよ。日本近海で私はこういう訓練をやるということはやめてもらいたいと思うのですけれども、それについては自衛隊としてはどう思いますか。安全性も確認されていない。官報では原潜のことなんか一字も触れていない。国民に対する違反行為ですよ、それだったら。それをあえてこれからやるかということですね。長官は、これから安全性を配慮して十分やりますと言われますが、では国民にはどういうように安全性を保障してくれるのですか。何もないわけですよ。それでこのままさらに続行されるとなりますと、もう国民の感情というものは政府からどんどん離れていきますよ。私はそれを申し上げているのですよ。日本近海での練習はどうしますか、これ。やめますか。
○福田説明員 この訓練の問題でございますけれども、実は原子力潜水艦につきましては、外洋におきましては――と申しますのは、大体横須賀等の場合の例をとりますと、やはり浦賀水道を出てからの行動につきましては、秘密を保持するという点で非常にやかましいようでございます。そういうことでございますので、第一回目のせんだっての三月三日の訓練をするにつきましても、これは米側としてはそういった秘密の保持という点から、なかなか見通しとしては困難ではなかったかというふうに思うのでございますが、三月三日にそういうことで自衛艦によるところの探知、追尾の訓練に応じてくれたということでございます。
 今後のことでございますけれども、長官は今後も米側の協力を得られるならば続行するというふうにお答えしておるわけでございます。これは長官の新聞に対する発表でございますから、これは長官の御方針なんでございますけれども、ただ、私ども事務当局の見解でございます、これはあくまでも事務当局の見解でございますからこの辺のところを御了承いただきたいのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、新聞等にもこういうふうに簡単にわかってしまうというようなことで、米側は今後この原潜の自衛艦によるところの探知、追尾訓練というものを非常に渋るのではないか、もっと端的に申し上げますと、まず困難ではないかというのが私ども事務当局の見通しでございます。したがいまして、なかなかこの訓練を今後やるということは不可能に近いのではないか、かように思っております。
○近江委員 それでアメリカの原潜ですけれども、おそらくソ連の原潜なども遊よくしておると思いますが、おそらくその辺は非常に確認はむずかしいのじゃないか、このように思いますが、政府につかんでいらっしゃる点で、たとえば原子力潜水艦にも通常の原潜とポラリス搭載の原潜があると思うのですが、太平洋側にどのぐらい配備されておるのですか。
○福田説明員 これはいろいろな公刊資料を中心にいたしましてまとめました数字でございますが、それに基づきまして御説明申し上げたいと思います。ポラリス搭載が可能な原子力潜水艦は、太平洋側に配備されているのが八隻、かように理解いたしております。また通常の対潜水艦用の原子力潜水艦については十九隻が太平洋に配備されておる、かように聞いております。
○近江委員 そうすると、二十七隻が日本の近海にいる。これが十三海域で動き回っておるということですね。実際安全性も確認されておらないのに、そこで合同訓練するとかいろいろそういう点でわからぬことだらけなんですよ、はっきり言うて。事故の補償も満足にない、あるいは官報に掲示されておらないで動き回っておるというようなことで、非常に国民感情からいってもはっきりいって不愉快なんですよ。もっとはっきりした安全性なり事故の補償なり、あるいはどこで動くとか、要するに納得を得た上でやるというなら別ですけれども、何となしに何もかもがぼやけた上でやるということについては一応問題があると思うのですね。しかも二十七隻が動き回っておるということです。この辺、科学技術庁として何も相談も受けておらない。こういう放射能の心配とか、安全性の問題について純粋に科学的な立場でこのままほっといていいんですか。担当なさっている長官に、ひとつその辺のことをお聞きしたい。このままでいいんですか。いまこんなこと自衛隊がかってにやっておりますけれども、どう思いますか。
○梅澤政府委員 いま原子力の今後の発展というそういう関係等から日本全体の領海内の海の自然放射能の調査というものは続けております。そういう関係で日本近海における放射能の現状のあり方及び現状の汚濁、もしもしたらどうなるかというようなことがわかるように、バックグラウンドの調査というものは常に言い続けているわけでございます。
○福田説明員 先ほど先生、太平洋に配備されておりますポラリス型の原子力潜水艦と、それから通常の原子力潜水艦あわせて二十七隻というふうに申し上げたんですけれども、その太平洋は大体東経百六十度これはちょうどカムチャッカの先端から豪州の東側を結ぶちょうどあの辺が百六十度になるのでございますけれども、東経百六十度から西側が第七艦隊ということになるわけでございます。これは日本の周辺が含まれてくるわけでございますので、東経百六十度以東はこれは第一艦隊になるわけでございます。この第一艦隊と、それから第七艦隊の両方合わした隻数が二十七隻ということになるわけでございます。第七艦隊についてはその一部、かように理解すべきものであると私ども考えておる次第でございます。よろしくお願いいたします。
○近江委員 それでは、安全性のそれは来ましたか。
○福田説明員 まいりました。
○近江委員 答えてください、待っているんだから。
○福田説明員 海幕が数回この原子力潜水艦の中に入りまして見さしていただいているというところまではあれなんでございますが、どの程度まで見たかということにつきましては、はっきりまだわかっておりません。ちょっと時間をちょうだいしまして、先生にこれを報告さしていただくような措置をとらしていただきたいと思いますが、お許しいただきたいと思います。
○近江委員 入ったというのは、要するに原子力関係の専門官が入ったわけですね。
○福田説明員 専門的知識を持っている海上自衛隊の将校が見ております。
○近江委員 その専門的知識を持っておる海上自衛隊の将校ですね。その専門的な知識といってもどの程度か。その人は科学者ですか。
○福田説明員 いわゆる科学者ということになりますかどうかはあれなんでございますが、潜水艦それから原子炉を使っての、原子力が推進力になっておるところの何といいますかいわゆる原子炉関係、そういったものにつきまして比較的専門の知識を持っておる海上自衛隊の士官でございます。
○近江委員 科学技術庁にお聞きしたらわかると思うのですが、その自衛隊の中にそれだけエキスパートの将校がいるんですか。しかもいまの、その中を見たとおっしゃるけれども技術的な評価について安全性を確認できる、それだけのことはいま話を聞いておられて、確信ありますか。そんな簡単なものを中をばっぱっと見ただけでわかりますか。専門的にひとつ科学技術庁の梅澤局長にお聞きしたいと思います。どうなんですか。
○梅澤政府委員 はなはだむずかしい問題でございますが、原子炉そのもの、発電所の炉そのものについては相当の本も出ておりますし、いろいろなことで共通的な専門的問題としては相当知っている人が多くなっていると思います。ただそれが舶用炉としていわば潜水艦としてどうあるかという内容で、こまかい問題についてどうであるかということまでは、その本人の努力次第といいますか、考え方でございますので、ただ一般的には前よりもよく知っている方が多くなっているということはいえると思います。
○近江委員 何か奥歯に物がはさまったような、はっきりせぬ話ですけれども、梅澤さんはかねてからはっきりおっしゃる人であるとわれわれもそのように思っているんですが、しかし安心感はないでしょう。いまの話を聞いておって。どうですか。そんな、ほんとに形式で、内部といったってどこを――ただ階段だけおりたところかいろいろあるわけですよ。そうでしょう。いずれにしても安保条約を結んでおって実際一番密着しやっているのは自衛隊でしょう。言うならば内輪でこそこそとやっているような感じですよね。いずれにしてもそういう安全性等につきましても、これは非常に確認ということが薄いということですね。そういうような訓練がいまだに行なわれるということについては私は問題だと思うのです。ですから、その安全性のことにつきまして、いまお話しの段階だけであれば、ただ口だけで見に行きましたということであれば安心できないのです。米原潜の構造はどうなって原子炉はどうなっておるか。しかもここに一次冷却水なり何なりの心配はないとか、そういう確認をしたならば私の手元にそれを提出してください。見てこられた詳細についてどうかということを。できますか。
○福田説明員 実はこの原子力潜水艦につきましてはやはり米軍の最高の軍事機密になるということがまず大前提にあるわけでございます。その大前提があるのでございますけれども、やはり海上自衛隊といたしましては訓練をするからには、いろいろ私どももだいぶやかましく事務当局が言うものでございますから、それなりにあれしまして、私どもは結論だけをお伺いしてまずだいじょうぶだろう、こういうことでやらしていただいたわけでございます。いま一つ安全性の問題と関連いたしまして率直に申し上げますけれども、やはり原潜の外洋におきます行動というのは、これはほんとうの軍事機密になっておりまして、各国とも原子力潜水艦の航跡というものをほんとうに最高の軍事機密にしておきたい。こういう観点から米軍が今回の共同訓練に応じてくれたそのあれを見ましても、これはチャーリー海域と申しましても公海でございまして、こういう言い方はちょっと問題かもしれませんけれども、何もアメリカの原子力潜水艦ばかりでなくてそれ以外の国の原子力潜水艦もこういった公海でございますから、潜航して航行するということは当然あり得るわけでございます。たまたまアメリカのスヌークがこの海域を一部通った。その通っている一定の時点、これは外洋におきまして航跡を、少なくとも米海軍以外のものにこういう形でもって通るぞ、だからこれに対してはソーナーその他で探知してそれの追尾をやってもよろしい、こういうことを言ってくれたわけでございます。したがいまして、ほんとうにいまこういったことはまれにしか訓練としてはできない貴重な訓練だったわけなんですけれども、原子力潜水艦が潜没して航行している、こういう状況そのものをたまたま私どもは探知さして、追尾させていただいたということでございまして、危険性という点につきましては、まずまず間違いないのではなかろうか。安全性ということよりも、むしろそういった衝突とかその他の形で危険性というものはまず一〇〇%に近い、そういう状態で危険性がないということを繰り返し繰り返し検討してやらせていただいているということでございますので、その点ひとつ御了承いただきたい、かように思うわけでございます。
○近江委員 いずれにしてもその安全性の確認ということについては、いまの答弁では全然納得得られません。ですから、後日言ってもらうよりしかたないわけですけれども、いまの段階ではこの安全性の確認ということははっきり申し上げまして全然納得できません。
 そこで、チャーリー区域でこういう合同訓練をやられたわけですから、事務当局としては今後はないだろうというようなお話でございますけれども、ひとつ正式にそれらのことを米軍とよく打ち合わせをして、日本近海ではそういう練習をやらないようにやっていただきたいと思います。では、これを伝えていただけますか、どうですか。
○福田説明員 それは日米の共同訓練という意味なのでございましょうか。
○近江委員 米軍単独の……。それでは検討をして……。
○福田説明員 これはちょっと私どもここでいますぐはい、承りましたということはちょっと申し上げかねるのでございます。ひとつその辺は帰りまして、私どもその点については勉強さしていただきますが、それはどのようにお答えできるものかどうか、米軍が訓練を日本周辺の公海上でやらぬようにしてくれということを言えるものかどうかという点については、ちょっと私ども検討というよりも勉強しないことには何とも申し上げようないのでございます。ひとつそういうことでお許しいただきたいと思います。
○近江委員 いまごろ勉強してもらうんじゃおそいわけでございまして、ひとつその点は国会でこういう意見なり質問があったということでよく検討の上先方とも交渉する。――しますか。その辺のところ、もう少し方向だけでも言うてもらわなければ……。
○福田説明員 先生から委員会でのそういうたいへん強い御要請を含む御質問があったということにつきましては、長官はじめ上司によく先生の意を私なりにくみ取りまして報告さしていただきたいと思います。その点につきましてはやはり上司によく申し上げて検討さしていただきたい、かように思う次第でございます。
○近江委員 それから、先ほど私その図面をお見せしましたが、土佐湾と相模湾、これの潜水艦の訓練海域、こうなっておるのですが、これは漁業の問題から考えても沿岸の開発ですね、私この相模湾のあれもとってみたのですけれども、非常にいろいろと沿岸の開発を考えているわけですね。そういう点で、あとちょっとまとめてお聞きしたいと思うが、特に相模湾あるいは土佐湾はこの行動区域に指定されているのですが、まずこの使用状況は掌握されていますか。国会でもこれは出たのですから、どのように訓練をいままでしたか、その経過をつかみましたか。しかも、それについていままで米軍は日本側に使用の旨を通告をしましたか。土佐湾あるいは相模湾の点についてちょっと確認をいまからとっていきますから。
○薄田政府委員 お答えいたします。
 相模湾と土佐湾でございますが、前回の委員会でもいろいろと御質問がございまして、それ以外にもまたその以前にも、どういう訓練をやっておるかということはいろいろ折衝しておるわけでございます。ただ何しろこれが御承知のように本来的に二十七年以降ずっと告示をし、その間新協定になりましてまた告示を追加しておるわけでございます。何しろ御承知のように常時制限でもございません。いわゆる潜水艦がこの地域で訓練をすることあるべしという告示のしかたをしております。米軍から通知はございません。したがいまして、私のほうも把握は現在のところしておりませんが、ただし今月になりまして、われわれのレベルで米側にもいろいろ聞いてみてはおりますが、いまだ回答はきておりません。ただ原子力潜水艦については全然そういう該当事項はないというふうに非公式に聞いております。
○近江委員 米軍から非公式とかそういうようなことであって、それでははっきりせぬわけですよ。いずれにしても現実に土佐湾でもかじを折られたということもありましたし、あるいは相模湾でもマグロが放射能を浴びたということも何年か前にありましたね。そういうような点から考えていきますと、全然わからぬままでそういうような米軍の行動もあるということであります。いずれにしても、相模湾にしましても沿岸の開発なりあるいは湾内においても非常に多くのいろいろな計画もなされておるわけです。そういうところを潜水艦の訓練場所ということ自体、よく日本政府としても了解をしたなと思うわけですよ。これは当然指定解除をすべきなんですよ。当然両海域、両湾を潜水艦の訓練水域からはずす。これは当然ですよ。漁業の宝庫である、あるいは開発の青写真があれだけいろいろとできているわけですよ。そんなところをそのまま置いておくという感覚はわからぬわけですよ。これについては政府としてはどうしますか。指定解除の点について、あるいはこういう安全性等の問題について、非常に心配な点がたくさんあるわけです。そういう点、まずそういう放射能の心配等は一番科学技術庁はしなければいかぬわけですよ。科学技術庁としてはこういう指定解除とかそういうことについてどのように政府で話し合ってくれているのですか。両省からひとつお聞きします。土佐湾、相模湾のことについて……。
○梅澤政府委員 私の考えは、これは安保条約の問題から出ている問題でございますから、その関係でこちらに御相談があればそれに対して意見を申し上げるということだと思っております。
○宮川説明員 ただいまの御質問でございますが、いま原子力局長からも申されましたように、行動区域は安保条約に照らしてこれを今後アメリカが使うということを容認する、これは実は、先ほどから御議論ありましたけれども、薄田施設部長から申し上げましたように、領海と公海と両方になっております。公海につきましては先ほどから何度か御指摘がありましたように、国際法上一国の主権の及ばないところでございますから、したがいまして、それぞれの国がそれぞれの行動をするということについては制約がないわけでございます。ただ幾つかの演習水域というものを指定いたしましたのは、これも先ほど施設庁のほうから御指摘がありましたように、あるいは航行の安全とか、あるいは漁業に対する損害とか、そういう観点から、安保条約の目的に従って米側から公海でこういうことをやるということは日本側としてはこれを容認するけれども、同時にそのために生ずる、たとえば漁業の損害とかそういうものにつきましては、今度は政府として漁民に対して補償をする、こういうことでやっておるわけでございます。
 そこで指定解除の問題でございますけれども、これはやはり先生おっしゃいましたように、いろいろ国民感情とかそれから不安というようなことはよくわかりますけれども、他方やはり安保条約の目的からいきまして演習というものが必要かどうかという点もあわせて考えなければいけないと思います。
○近江委員 安保条約、安保条約とおっしゃいますけれども、要するにいま直接的な被害が出ているかどうか、その調査を何もやっていないわけですよ、政府は。湾内の放射能調査やっていますか、監視体制をとっていますか。そういうような配慮も何もなしに、のうのうと、これだけの不安を与えながらほっておる。一番の大きな被害は漁業に従事する者あるいは沿岸の人たちの不安ですよ、要するに。そんなものはうろうろしてもらっては困る。あなた被害がないなんておっしゃるけれども、たとえば被害状況を見ても、ここに日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律、これは昭和二十七年七月二十二日にできて改正が三十七年九月十五日、法律百六十一です。この第一条に、「日本国にあるアメリカ合衆国の陸軍、空軍又は海軍が水面を使用する場合において、必要があるときは、農林大臣の意見をきき、一定の区域及び期間を定めて、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる。」そのあと、損失の補償やいろいろ出ておるのですが、水面でしょう、要するに。潜水艦は確かに水中を航行するのですよ。そうすると魚群が逃げたり網を引っかけるとかいろいろなことがあるわけですよ。そういう直接的な被害、あるいはそれに従事する人たちあるいは沿岸の人たちが放射能をもらって、またそれによって汚染されるのやないか、さまざまな心理的なそういう負担というものはものすごく大きいわけですよ。そうでしょう。こんな狭い湾内を潜水艦の行動区域だとのうのうと置いておく感覚がわかりませんよ。国民のそういう不安を無視するのですか、ただ単なる安保条約だからということで。そうでしょう。そんな態度でいいんですか、政府として。国民の気持ちをわからないのですか、そういうデリケートなところ。絶対これは指定を取り消すべきですよ、早急に、この相模湾と土佐湾の指定解除。
 それから十三海域も官報にうたってあるのには潜水艦とかそういうものは入ってないわけですよ。それだって、しかもそこで合同訓練なんかやっておる。違反ですよ、これ。そんなところははっきりやめてもらいたいですね。政府として、強硬に米軍と交渉してもらいたい。どうですか、これ。
○石川委員長代理 ちょっと御注意申し上げます。
 政府関係者の答弁の声が低くて聞こえないそうでございますから、まことに恐縮でございますけれども、大きい声でわかるようにひとつ御答弁願います。
○宮川説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、私先ほど国民感情あるいは漁業の被害、こういうことを考慮しなければいかぬということを否定したわけではございません。そういうことをしなければいかぬ。他方同時に安保条約の目的ということもあわせて考えなければいかぬ、こう申し上げただけでありまして、決して無視するとか考えなくていいと申し上げたわけではございません。
 それから先生の御指摘のありました漁業の操業制限等に関する法律、これは私先ほど御説明のときに申し上げた法律、これを頭に置いておったわけでございますけれども、御指摘のようにこれに基づきまして農林大臣、すなわち漁業を主管する農林大臣の意見を聞いて、区域、期間を定めて操業を制限し禁止する。その場合に補償をやるということをやっておられるわけでございます。
 湾内の放射能云々のことにつきましては、これはちょっと私お答えしかねます。先ほど原子力局長のほうから領海については自然放射能でございますか、これの調査をやっておられるというお話があったかと思います。
 それからもう一つ、告示に艦砲射撃とあった、したがってそれ以外の演習をやることは違法であるというような御指摘がございましたが、これは実は大前提が、先ほど申し上げましたように公海でございまして、各国がいろいろな演習をするということは何ら禁止されてないわけでございまして、この告示をやりましていろいろ通報しておりますのは、あるいは漁業者に対しての、あるいは船舶の通航に対しての安全の見地から知らされる。同時に先ほど申し上げましたように、たとえば漁業につきましては日本の国民がそれによって被害を受ける場合には政府が補償する、こういうことのためにやっておるわけでございます。したがいまして違法というような、あるいは国民をだましているというような御指摘がございましたが、これはちょっと少し違うのではないかと思います。しかし繰り返して申し上げますけれども、決して国民の不安とかあるいは漁業の損害とかそういうことを、かまわない、こういうことを私申し上げているわけではございませんので、その点おわかりいただきたいと存じます。
○近江委員 それで先ほどから申し上げているのですが、指定解除のそれについて、これはもう陳情だって何だっていっているわけですよ。その点について米軍と強力折衝をして取り消す意思が政府にあるのかどうかということを聞いているのです。これは指定区域になっている分ですからね。
 もう一つは、今度は科学技術庁に聞きますけれども、要するにバックグラウンドとしての放射能測定ですね、土佐湾、相模湾はやっているのですか。どうなんですか。
○梅澤政府委員 そこを特にという考え方ではやっておりません。ただ日本全体の海の放射能レベルを常に把握するという形で計画的にそれと一緒にやっておりますから、先生おっしゃいます相模湾を定期的に三カ月にどうとかこうとかという、そういう形では大体やっておりません。しかしわれわれとしては日本全体の海のバックグラウンドを知っておくという形の範囲内として、ここは入っております。
○宮川説明員 いまの重ねての御質問でございますが、私先ほどお答え申しましたように、やはり一方において国民感情とか漁業に対する被害とか、そういうものを考えなければいかぬと同時に、やはり日本の防衛のための安保条約というその目的に照らして必要かどうかということをあわせて考えなければいかぬというふうに存じます。
 なお先ほど指定解除というお話がございましたが、その点、先ほど申し上げましたように、この海域を指定しておりますのは、一つは、航行する船舶とかあるいは漁船とかに周知させる。いわばそれによって、演習をやる場合に、演習が行なわれるのだ、したがってそれに気をつけろ、そういう意味があるわけでございまして、指定を解除ということは、おそらく先生のおっしゃいましたところは、同時に演習もやらすな、こういうことかと思いますが、それがなくてただ指定解除ということになりますと、むしろかえってわからなくなってしまうということになると思います。
 それともう一つは、これも先生おっしゃいましたように、たとえば原潜をとりましても、アメリカの原潜だけではなくてほかの原潜もいる、そういう場合に、そこまで考えませんと、はたしてこの指定解除とおっしゃったことが、先生の目的とされるところを達成する方法なのかどうか、もう一つこういう問題もあるのではないかと思います。
○近江委員 これは湾内ですよ。これは日本の領土ですよ。そうでしょう。領海の中に入っているところですよ。向こうの言うままで、何にも用意がない。そんなことではもう全然だめですね。
○宮川説明員 途中で失礼でございますが、湾内とおっしゃいましたけれども……。
○近江委員 相模湾と特に土佐湾のことをしぼっていまお聞きしているのですよ。
○宮川説明員 ただ先ほども施設部長から申し上げましたように、領海とそうでない公海と両方ございまして、領海ということになれば……。
○近江委員 これは地図の上から見たって、こんなところが潜水艦の訓練区域ということ自体、これはむちゃくちゃですよ。あまりにも漁民の意思とかなにを無視していますよ。それは一部は公海になるかもしれぬ。しかし、これはもう完全な湾内ですからね。これはもう領土なんです。これだけいろいろな陳情なり何なり来ているわけですよ。この点を今度は西田長官に申し上げたいのですよ。これだけ二カ所も指定されているところに、バックグランドとして日本の全土と日本の近海は同じような考え方でやっています。少なくとも原子力潜水艦の訓練区域であれば、一番危険性が多いのですよ。ここをなぜやらないのですか。一番最初にここは調査をやって、少しでも異常があれば、それでもって米軍も責めるということができるわけですよ。故意に、全体を調べているんだという、こういう方針なんですか。危険性は一番あるんじゃないですか、潜水艦の行動区域になっているんですからね。当然そこに入ってくるということは考えられるのです。そんな一番危険の多いところをはかりもせぬで、全体と同じように扱っています。何を考えているのですか、ほんとうに。故意にやっているのですか、局長は。
○梅澤政府委員 領海内に潜水艦が入ってくるということは私も存じませんでした。したがいまして、先ほどのような御答弁を申し上げたわけでございます。したがって、領海内に潜水艦が入った場合にどうするかということについては検討さしていただきたいと思います。
○近江委員 そこで梅澤さん、検討のこととして、指定解除はいまからもう政府で責任もって米軍等と交渉してもらうようにして、これからもう一ぺん私お聞きしますけれども、きょうあすに指定解除がすぐできるとはやはり考えられないわけです。そうなってきますと、当然まっ先にバックグラウンドの調査として、この相模湾、土佐湾の監視体制なり、あるいはバックグラウンドをすぐに測定をする、この体制をとってもらわなければ困るわけですよ。いままで局長はお知りにならなかったんだからやむを得ないとして、わかった以上は、当然その体制をとってもらわなければ困るわけです。それについてはどうですか。
○梅澤政府委員 これは十分関係省庁と御相談して検討させていただきたいと思います。
○近江委員 それで、政府としては、この二カ所のこんな湾内のところで潜水艦に訓練をやられたのではたまったものではないですよ。気持ちの上でももうほんとうにどうしていいかわからない。これだけ国民に不安を与えて、それでものうのうとただ日米安保条約があるから、片一方ではわかるけれども、しようがない、そういう態度でいくのですか。これは西田長官もこの場に居合わせて終始お聞きになっていらっしゃると思いますが、この問題は閣議で、特に土佐湾と相模湾の指定解除については米軍と交渉してもらうようにひとつ強力に政府の方針としてまとめていただきたいと思う。それについて長官としてどのように今後動いていただけるか、お聞きしたいと思うのです。
○西田国務大臣 閣議の問題にするかどうかは別といたしまして、いま領海内で米軍の潜水艦が演習をしておるということが事実でありますれば、その影響が一体どうであるかということを私ども調べることが必要であろうかと思います。それで、そういうことも前提にいたしまして、その結果がそこに非常にふさわしくないというようなことでありますれば、ひとつ政府部内の関係の省庁間におきまして十分協議をいたしまして、そして善処すべきものかと思います。
○近江委員 影響調査というのはあらゆる角度からなさると思いますけれども、これはちょっと、まず周辺の人たち、漁業に従事する人たちの気持ちの上から、感情的な問題からいってもそうだし、そうした具体的な、たとえば魚族の散逸の問題とかいろいろあるわけですよ。ここははっきりしているわけですよ。大体こんな狭い湾内を訓練海域にするということ自体が誤りなんです。今度は、防衛庁、施設庁来られてますから、一番関係するところですから、これはよく中曽根長官なり何なりに申し上げていただいて、強力にひとつ政府として指定解除の方向に米軍と交渉してもらいたい。あなた長官の代理として防衛庁の説明に来られておるわけですから、ほんとうに真剣にこれは私は申し上げたい。どうですか、それは事務当局として。どなたでもけっこうです。
○薄田政府委員 施設の提供の関係でございますので、私からお答えいたします。
 御指摘のとおり、これは陸上でもそうでございますが、いわゆる安保に基づく提供目的、それから提供内容等詳細に検討いたしまして、不要のものは返還するという協定にもなっておりますので、そういう線に従いまして、それからまた地域社会の発展あるいは地元の方の御計画、こういうものが複雑にからみ合っておりまして、陸上の場合もそうでございますが、いろいろ検討しております。同じように海上訓練につきましても、全国的に十三カ所あるわけでございまして、いま御指摘の相模湾、土佐湾、確かに公海を含みます領海の中へ入っておるわけでございます。まあ漁場の関係は、先生のおことばでございますが、魚族が散るということまで私ども思い及びませんでしたが、いわゆる制限しておりませんので、通常の漁業操業はおやりになりかつ収益をあげておられるもの、こう思っておりますが、一方先生おっしゃいました不安というものは、いわゆる実態とはまた別に感情としてもあるわけでございます。これはいわゆる施設提供の目的を、先ほど私御説明いたしましたように、在日米軍の実態等も少し、いま実は申し込んでおりますので、そういうような結果を得ました上で、これは外交上の問題もございますので、いろいろ各省と前向きに検討いたしたい、こういうふうに考えます。
  〔石川委員長代理退席、内海(清)委員長代理着席〕
○近江委員 まあその点指定解除の方向で、これは極力ひとつ、各省も来られておるわけですから、力を合わせて、一日も早くその解除をしていただけるように力を入れてもらいたいと思うのです。これについてはさらに長官、長官の立場としても、いま部長さんからもお話がございましたし、バックアップをしていただいて、強力にお願いしたいと思うのですが、いかがでございますか。
○西田国務大臣 その実態なり影響なり、そういう点を関係省庁がそれぞれの立場で検討いたしまして、そして各省庁間におきまして十分協議して態度をきめるべきものだと考えます。したがいまして、その影響が非常にある、汚染あるいはその他心理的影響もありましょうし、実態的な影響もあるということでありまするならば、これは先ほども申し上げましたように政府部内において協議の上結論を出し、そして善処すべきものと考えます。
○近江委員 その点はひとつ指定解除の方向に努力していただく。それから科学技術庁に対しては、梅澤局長も検討するとおっしゃいましたが、その指定解除の日にちが来るまで、すみやかにこのバックグラウンドの調査並びに常時測定監視体制を早急にとっていただきたい。これについて要望しておきます。長官、この点よろしゅうございますか。これはもう当然だと思うのです。
○梅澤政府委員 いま長官が申し上げましたように、私どもその実態を調べさせていただきたいと思います。それで、私たちのほうが早急にとるべきこととなれば、できるだけ早くとりたいと思います。
○近江委員 それから、この指定が解除されるまで、さらに潜水艦の行動時日を明確にして、すべての練習の事前通告を、放射能測定の体制とあわせて厳格にしてもらわないと困るわけです。それについてはここで約束できますか、どうですか。
○宮川説明員 これは、先ほど運用課長もおっしゃいましたように、潜水艦、特に原子力潜水艦の行動については高度の機密性があるという見地からも、率直に申しましてこれはむずかしいことだと思います。
 それから、先ほど私一度申し上げまして、湾内は領土であるというような御発言がございましたけれども、やはり国際法上、領海と公海とこれはステータスが違いますので、その点はやはり区別して扱わないといけないと思います。
○近江委員 あなた何言っておるのですか、さっきから同じことばかり。いま部長さんもはっきりと、これからその方向でやるとおっしゃっているのでしょう。何を繰り返しているのですか、同じことばかり。もっと誠意を示したらどうですか。
  〔内海(清)委員長代理退席、石川委員長代理着席〕
○宮川説明員 私、先ほどは指定解除の問題であったかと思いますが、もしはっきりしておりませんでしたら重ねて申し上げますけれども、決して、指定解除をすべきじゃない、そういうことを私申し上げたのではございません。いろいろなことを考え合わせて検討しなければならない。(近江委員「努力をしますと言えばいいんじゃないですか」と呼ぶ)ですから、ほかの省庁からも言われましたように、私も、きょうの議論をさっそく持ち帰りまして上司に報告いたすとともに、関係省庁と協議していきたいと思います。
○近江委員 そういうあなた方自体が、政府の態度が大体国民の意思を無視しておる。これだけみんな心配しておるんだから、われわれは代表として言っているのですから、その御要求なり何なりはよくわかりました、政府としても努力しますと言えばいいのですよ。そんな米軍を守るようなことばかり言わぬと、――もう一回聞いたらわかるのですから、同じことばかり繰り返したりせぬでもいいのですよ。ひとつ政府としても強力にその指定解除の方向に努力していただきたいと思うのです。長官、これは特に強く要望しておきます。
 それから、私のその地図をちょっと貸してください。
 いよいよ沖繩返還がされるのですが、沖繩海域にこれだけ米軍の練習場があるわけですよ。いままでは施政権が向こうにあったものですから盲点になっておった。いままでここへ自衛隊が行って米軍と、原潜を含めた合同練習は一回もやったことはありませんか、どうですか。
○福田説明員 沖繩へ行って海上自衛隊が演習したという例はございますけれども、いま先生がお示しになられましたあの地図上のいわゆる海域では、ございませんです。
○近江委員 そうすると、地図上の海域では、ないけれども、原潜を含めた合同練習は、沖繩の近海なり沖繩のほうでやったことはあるわけですか。
○福田説明員 原潜の訓練というのは、先ほど申し上げました三月三日以外は共同では全然やっておりません。おもにターターの訓練、こちらの施設ではとてもできませんものですから、その施設と申しますか、機材を使ってやった訓練が数回ある、こういうことでございます。
○近江委員 そうしますと、あの地図を見てもらったらわかりますが、沖繩のほうはもう何十、何倍にも当たる指定海域を持っているわけですね。そうしますと、今後政府は、この施政権返還がされた場合、当然米軍との間の安保条約と米軍の地位協定による提供区域の範囲を、あらためて確定あるいは明示し、あるいはまた、この海水面についての漁業補償基準等をきめなければならぬわけです。これについていまどういうことになっておりますか。もういよいよ沖繩は返ってくるわけですよ。政府としてはこれについてどういう作業を進めてますか。いま現実にここではアメリカの原潜がもううようよしているわけですよ。日本近海の十三海域のことが非常に大きな問題になってきたのです。沖繩もこれの何十倍の海域がそういう危険な状態にあるわけですよ。これはどうしますか。沖繩はどうなっているか、その概要についても聞かせてください。
○長坂政府委員 防衛施設庁としましては、沖繩の本土復帰に備えまして、いろいろ陸、海、空の沖繩における演習場等の実情把握につとめてはおりますけれども、まだ最終的に全部が全部確認を終わったわけではございませんけれども、この段階で申し上げられますことは、やはり本土の海上演習場と同様の漁船の操業の制限を必要とする場合があるならば、そのような漁船の操業を制限する区域というように指定をしなければならないであろうし、それから、そういう漁船の操業を制限するような必要性が生じた場合には、そのつどそれを告示等の方法によって漁業者に周知徹底をはかるというようなこともやらなければならないだろうというような考えに基づきまして、いま関係省庁とこの取り扱いにつきまして鋭意検討をしておるところでございます。
 現段階で申し上げられますことは以上のところであろうと思います。
○近江委員 そうすると、この十七カ所の海域の訓練場、先ほど地図をお見せしたが、あれはそのまま何も当然引き継ぎはしない、全然白紙にして今後検討していく、こういうことですね。それをベースとしてまた検討するということですか。
○長坂政府委員 現段階ではたいへん申し上げにくい時点でございますので、どういうふうに申し上げていいか、ちょっと答弁に窮しておりますけれども、この扱いとしましては将来の形態つまり最終的な形態として海上演習場として指定をすることになりますれば、先ほど来政府委員のほうから申し上げておりますような、三種類にわたるかと思いますけれども、それぞれの制限条件、使用条件等を明示いたしました提供のしかたといいますか指定のしかたをせざるを得ないのじゃないか、このように思っております。
○近江委員 もう時間もありませんからこれで大体終わりますが、いずれにしても安全性の問題等が確認もされてない、心配がある、補償の問題も全然はっきりしておらぬ。十分な補償ですね。しかも官報では掲載もされてないのに原潜を入れてやっておるというようなことで、いろいろな点において非常に国民を無視しておる。また国民の感情を無視しておる。それに対する誠意が非常に欠けておるということですね。私全般的にいろいろな点でお話をいたしましたけれども、そういう点、きょうのこういう質疑を通じまして、ひとつ土佐湾あるいは相模湾については早急に指定解除をしていただきたい、国民の皆さんを安心をさせていただきたいと思うのです。そしてまたこれからは官報等においても正確にそういうこともやるべきである。書いてないことをやるようなそういうこそくなことをしない。そして十三カ所のあの練習海域もできるだけもっと遠くへ持っていくとかその指定をはずしていく、あるいは沖繩のあれだけ広大な海面です。漁業においても大きな打撃を与えますが、返還になるわけですから、ひとつよくその点も検討していただいて、十分に県民の意思を反映できるようにお願いしたいと思うわけです。
 いろいろ申し上げたいことがたくさんありましたが、あと山原さんが待っておられますので一応これでおきまして、あとまた一、二問出てさましたらあとで若干時間をいただいて質問をしたいと思います。一応これで保留しておきます。
○石川委員長代理 次に山原健二郎君。
○山原委員 いま近江さんが質問されましたのでなるべく重複しないように質問をいたします。
 まず第一番に、いまも言われたのですけれども、ちょうどこの科学技術委員会で三月十八日にこの土佐湾を含む日本近海におけるアメリカの潜水艦問題が論議されたその翌日三月十九日に、中曽根防衛庁長官が閣議におきまして防衛上原子力潜水艦を中心とする日米合同演習というのは必要だ。放射能汚染とか航行安全さえ気をつければ今後ともやっていく、こういう発言をしておるわけで、これはまさに国民に対する挑戦だと私は思いますし、同時にこれはいままでタブーとなっておったいわゆる非核三原則に対するまさに挑戦だと私は思うのです。新しい事態を迎えた、こういう感じがするわけですよ。というのは、いままでしばしば国会においても自主、民主、公開の原則を強調してきた平和利用という問題と、米軍の原子力潜水艦と日本の自衛隊の合同演習という形で新たな事態を迎えて、そして非核三原則というものに対する侵害が行なわれ始めたというふうに考えても間違いない。これは重大な問題でありまして、この点についてそういう心配がないのか、これからもしばしば繰り返していくという防衛庁長官の発言からしますと、これはまさに重大な、原子力の平和利用ということに関する別の角度からの侵害であるというふうに思うのですが、この点について私は科学技術庁長官の見解を先に伺っておきたいのです。
○西田国務大臣 米原潜との合同演習が非核三原則に抵触するあるいはまたその侵害であるという御見解は私は適当ではないと思うのであります。つまり核をつくらない、持たない、持ち込ませないということにおきまして、日米安保条約はもちろんこのアメリカの核を抑止力として期待をしておるわけでありますから、その意味におきましてアメリカの原子力によって日本の安全を確保するという立場から見ましても、私は非核三原則の原則からはずれたものではないと考えます。
○山原委員 長官として現在のところただいまのような答弁しかできないかもしれませんが、いままでは原子力潜水艦艦艇の寄港に対して国民の間から非常に大きな関心が持たれて、これに対する反対運動あるいは国会の中でも論議されるたびに非核三原則というのが出されるわけですね。ところがこれが寄港どころではなくして、いわば日米両軍の、自衛隊と原子力潜水艦という米側の持っているものとが癒着をした演習、それをしばしば繰り返していくということになりますと、これはまさに別の角度からではありますけれども、直接日本の自衛隊が原子力潜水艦を持つという形ではないわけですけれども、しかし日米安保条約の路線からいうならばこれは明らかに非常に危険な内容を持っておると私は考えておるわけです。これは当然科学技術庁としても厳重に警戒をすべきでありますし、同時にこの問題は外務委員会その他においても問題になるところだと思うのですが、これはそんな簡単な、長官の答弁のようななまやさしいものではないと思うのです。原子力というものに対する国民の感情、いままでの長い経過から申しまして非常に危険な問題が突如チャーリー区域における日米合同演習の中ではっきり出てきたという面できわめて重大な問題だというふうに考えるのですが、その重大性については認識をされるかどうか伺っておきたいのです。
○西田国務大臣 その重大性とおっしゃる意味がよくわからないのでありますが、先ほど御質問になりましたようないわゆる非核三原則がくずれていくのではないかという意味における重大性を御指摘になっておられるならば、私はそのようには考えておりません。このようにお答えせざるを得ないのであります。
○山原委員 別の段階でこの問題については質問をしたいと思うのですが、先ほど近江さんに対する答弁でこれは防衛庁はごまかしているのじゃないかという点があるわけです。足摺岬南方にあるリマ海域は公海ですか。
○長坂政府委員 公海でございます。
○山原委員 先ほど近江さんが官報の問題を出されましたけれども、官報と違ったいわば使途変更ですね、チャーリー区域の官報に出されておる米軍の使用目的と違った目的、そういうものについては公海だからかまわないんだ、こういうお話ですが、ではリマ海域の場合はどうですか。私はいまあなた方の答弁を聞いておりまして、リマ海域の場合は米第七艦隊の実弾射撃、そういう規定があるわけですよ。ところが、日時は忘れましたが、いまから数年前です、使途変更の通知が来ているのですよ。これは単なる実弾射撃でなくして、これから空対空、空対水の演習の拡大ですね。空対空というのは、航空機同士の演習なんです。空対水というのは、おそらく海軍と空軍との演習だろうと思うのです。それが来ましたときに、防衛庁を通じて米軍はしばしば関係の五県――高知県、愛媛県、大分県、宮崎県、鹿児島県に対しましてこの演習拡大の承認をしてもらいたいという要請が県知事に来ているのです。それに対して、各県において非常に慎重な審議がなされて、あるところではそれは絶対に容認しがたいという回答をしておるところもありますし、承認しておるところもある。リマ海域の場合には、そのような手続が踏まれているわけです。空対空というのは航空機同士ですから、リマ海域の上空でやるわけですから、これはあなた方の言う、下を走っている、海上を走っている漁船とは関係ないのです。漁船には影響ないのです。そういう演習であるにかかわらず、県知事に対して通達が来て、了承してもらいたい、合意を求めておるわけですね。ところが、チャーリー区域の場合は何ら行なわれていない。しかも、図面から見るならばチャーリー区域のほうがはるかに陸上に近い。同じ公海だといっても、房総半島に近いところでしょう。そういうところで、しかも原子力潜水艦という、日本国の一番注目しているこれを演習に使う、そういう使途の変更について、何で少なくとも関係官庁に対する通告を行ない、また合意を求めないのですか。公海の原則は自由である、こういう形だけではこれは説明つかないと思うのですよ。その点どうなんですか。
○薄田政府委員 先生御指摘のリマ海域は、たしか私の記憶では四十二年だったと思いますが、一部変更で、先生御指摘のような各関係方面の御了解を得て、おっしゃいましたように空対空、空対水の関係を追加いたしております。これは恒常的に常時制限水域、これはチャーリーも同じでございますが、こういう形態で訓練が多くなるということで、そのときに改定を見ております。チャーリーの場合はたまたま自衛隊が――自衛隊の訓練をやるときにはまた別個のいろいろ告示等もやるわけでございますが、今回の場合はたまたまその海域で自衛艦の訓練をやって、その対象艦にアメリカの原子力潜水艦がなったという、こういう単発的なあれでございましたので、こういう手続を踏まなかったものと思います。
○山原委員 ちょっと説明がつかないですね。リマ海域における空対空の演習、空対水の演習というのは、これは特に米国がベトナム戦争、特にトンキン湾事件を中心として演習が活発になりまして、それからその後演習の追加、演習の拡大ということで、しかし、そういう状態の中であっても、少なくとも了承は求めるという手続を踏んでいるわけですよ。房総沖のチャーリーの場合は、自衛隊が入っておれば、原子力潜水艦がどんなことをしてもいいということになるのですか。少なくとも千葉県ですか、知事に対してあるいは漁業協同組合に対して、こういう演習が行なわれるという通告をしたのですか。あるいは合意を求めたのですか。三月三日から行なうという通告をするとか、あるいは事前においてそういう演習が行なわれるので了承してもらいたい、あるいはチャーリー区域の使途変更をするから合意を求めるというようなことをやったのですか。これは重大な問題ですよ。各県の県議会は、リマの使途変更の場合に何回も県議会を臨時に開いて、そしてたいへんな問題になったのですよ。そしてそれに対して、国防上やむを得ないというような意見も出たりして、それが多数を占めて、しかしそれに対する補償金をはっきりとるということを各県とも行なっているわけでしょう。ところが、房総沖のチャーリー区域については県知事も知らないという状態で、秘密裏に行なわれていること、これは明らかに原子力潜水艦という問題が入ってきたから、これは米側も隠し、あなた方も県民に対して隠したのではないか、千葉県に対して隠したのではないか、伺っておきます。
○薄田政府委員 御指摘のチャーリーの原潜を対象艦としての行動、これは、いま防衛庁が席をはずしておりますが、実は防衛庁のほうのいろいろな訓練計画でおやりになったというふうに聞いております。先生御指摘のように相手が相手だから隠したというふうにはわれわれ毛頭考えておらなかったわけであります。
○山原委員 公海で何でもやってよろしいというのだったら、リマもチャーリー区域も指定する必要はないわけです。リマと、しかもチャーリー区域に対してはこういう演習をやるのだということを指定して、そして日本政府はそれを認めてきているわけでしょう。その使途変更をするときに、一方には通告をする。少なくとも防衛庁を通じて各県の知事にやっている。一方では何も知らさない。それは一体どういうことですか。だから、原子力潜水艦の問題については隠しているのではないですか。千葉県知事は知っているのですか、あそこで演習をやっていることを。千葉県知事に対して使途変更の合意を求めましたか。求めてないのですか。求めてないのですね。
○薄田政府委員 どうも同じ防衛庁でたいへん恐縮なんでございますが、今回の訓練につきまして、われわれ施設部としても存じておりませんでしたので、いわゆるそういう告示がなされたものと思いますが、これまた明言いたしまして間違っていると困るので、後ほど防衛庁のほうからも聞いてみたいと思っておりますが、通常はなされるわけでございます。今回の場合、どういたしましたか、ちょっと私明確に知っておりませんので、私のいまの知識では、きっとなされてないで、御指摘の千葉県知事も御承知ではなかったのではないか、こういうふうに考えております。
○山原委員 中曽根防衛庁長官はこれからしばしばやると言っていますが、どこでやるのですか。
○薄田政府委員 申しわけありませんが、担当が違いますので、ちょっと明確にわかりませんが……。
○山原委員 こういう重大な問題がすでにこの委員会で三回、三日にわたって論議されておる段階で、そういう答弁しかいただけないのは非常に残念です。
 それで、私は高知県の出身ですけれども、ちょっと申し上げてみますと、土佐湾というのは大体カツオ、マグロ、メジカ、サバを中心として、現在操業しておる隻数が四千百隻、土佐湾でやっておるわけです。しかも、その中にははえなわ、一本釣り、小型漁船が多いわけですね。そういう状態にあるのです。年間の水揚げが七十億円です。しかも、この土佐湾を通ってインド洋あるいはマラッカ海峡それからさらにアフリカ近辺まで漁船がマグロ、カツオ操業に行っておるわけです。これは百七十隻あるわけです。これは全部土佐湾を通っているわけです。そこで、潜水艦の演習場、しかもその潜水艦の中には現在の極東における米軍の配置状況から見て、原子力潜水艦もそこへ出没してよろしいということになりますと、先ほどお話がありましたように、たいへんな不安というものがあるわけですね。漁民の数は五万ですからね。それに家族を含めて相当数の人間がここで生活を営んでいるわけですね。そういうことがありながら、しかも防衛庁長官は、これをしばしば繰り返すのだ、こういうことになってきますと、これはまさに重大な問題となっているわけですよ。だから、皆さんのところへもおそらく陳情その他が来ておると思うのですけれども、そこでは演習していないんだ、一度もやったことないんだ、こういう米側の回答だけで、再び県民の怒り、漁民の怒りというものを消そうとする、そういう動きがあるわけですね。
 そこで、私は防衛庁のほうは演習をした事実はないということを発表しておると聞くのですけれども、これは県知事の口からも発表されておるわけですが、全く事実がないという確証はどこでつかんでおるのですか。防衛庁はどなたに聞いて、米軍が、普通の潜水艦の場合には回答がない、それから原子力潜水艦についてはやった事実はないというふうなことを聞いているわけですが、これはどこから聞いた話ですか。
○薄田政府委員 いまの御質問の、多くの方々がこれに関係されてたいへんな御不安をお持ちだということはわれわれも承知しておりますし、それから地元の方々のいろいろの御要望等も承っております。いまの御指摘の知事のあれは、お見えになったとき、私と総務部長と二人でお会いしたわけでございますが、そういうふうなことは私のほうからは申しておりません。ただ、米軍にいろいろ問い合わせ中である、こういうふうには申しました。そういうふうには明言いたしておりません。
○山原委員 防衛庁としましては、原子力潜水艦が土佐湾あるいは相模湾で演習をした事実はない、あるいは航行した事実もないというふうな形の受け取り方ですか。そうではないのですか。あるいはわからぬという形ですか。
○長坂政府委員 事実はないかどうかというお問い合わせ、これは実はたいへん申し上げにくいわけでございますが、先生御承知のように、在日米軍といたしましても、原潜の行動については、いつどのような場所を通ったとかあるいは通らなかったとかいうようなことについては、一切公には発表はいたしておらないわけでございます。したがいまして、私どもの僚友でございますところの施設部長以下が在日米軍等の関係者といろいろ話し合っている間におきまして、そういうような事実に触れての明言は、いかなる場合でもそれは発表できないわけでございます。そこで、私どもいろいろな担当者からの話を伺っておりますと、心証といたしまして、そのような原潜が土佐沖に入ったというような事実はないような、そういう心証として私どもは得ておる、そういうふうにしかお答えできない立場にあることを御了承願いたいと思います。
○山原委員 相模湾の場合はちょっとわかりかねますが、土佐湾の場合は先ほど領海、公海の話が出ましたけれども、一九五八年の国際条約の「領海及び接続水域に関する条約」、これの第七条の第一項、第二項によりましてこれは明らかに領海なんですね。湾は領海ですが、その際に湾の面積が問題になりますけれども、いま追検しましても、これは明らかにすべて領海、足摺岬から室戸岬の突端を一直線に結んだ内側というのは、これは中央にコンパスの足を置きまして半円形を描いた場合に、これに入る範囲が領海ということになっているわけです。湾は領海、そして湾の範囲はその半円形の中に入るということが、これは国際条約の中にはっきり出ているわけで、これははっきりしておいていただかなければなりませんが、相模湾、土佐湾いわゆる行動区域となっているところは、これは領海なんですかあるいは一部公海の部分があるのですか、伺っておきます。
○薄田政府委員 条約の領海法の問題だろうと思います。外務省おりませんが、ただ外務省も土佐湾につきましては、距岸三海里説というものをとっておりまして、われわれのほうにもあそこは公海と領海を含んでおる、こういうふうにたびたびの折衝でも言っておりますので、土佐湾は距岸三海里は領海部分である。いわゆる先生おっしゃいましたいろいろな表現がございますが、内水面とかいろいろな条約等あるようでございますが、土佐湾については公海の部分が入っておるというふうに了解いたしております。
○山原委員 いずれにしてもこれは領海があることは事実で、まさに波打ちぎわまでが行動区域となっておるわけですね。相模湾の場合もそうですから、これは非常に重大な問題ですが、さらにその使用状況については今後もわれわれは知ることができないのですか。いままでも昭和二十七年に指定区域として指定されまして十九年たっているわけですよ。その間一度も通報もなければ何もないわけです。日本政府すらわからない。わが国の領海で日本政府が何もわからないという状態はこれからも続いていくのですか。これだけ国会で問題になっても、なおかつこの状態が続くのですか。国民は知らないままでおるという状態ですか。
○薄田政府委員 いわゆる演習の通告なり把握の問題でございますが、これはわれわれの考え方が至らないといえば至らないわけでございますが、いわゆる漁業制限という関係を主といたしまして、いわゆる操業制限等に御迷惑のかからないように通告するという趣旨が少し先走っておりまして、そういう関係でこの当該区域は、いわゆる無制限水域というふうに了解しておりましたのと、それから陸上でもそうでございますが、個々の演習場でいろんなことをやっているわけでございますが、そういう場合にも一々通告がないのが常識的にもなっております。しかしそういう考え方がいいかどうかという問題もわれわれ新たに反省しておりまして、今後も、先ほど先生の前の御質問にもお答えいたしたわけでございますが、特に領海面も含んでおる。それから地元の方々の御不安というものがわれわれ身にしみてよくわかっておりますので、対米折衝などは――いわゆる施設庁レベルの対米折衝と御了解いただきたいと思いますが、いまどういうふうになっておるのかという実情を問い合わしてはおります。それで今後こういうものを知らせてくれないかというふうないわゆる申し入ればわれわれとしてはやりたいと思っております。われわれだけではなく、また外務省等の折衝等も要ろうかと思いますが、われわれとしては先生がおっしゃるような状態にはならぬように努力することにやぶさかでないというふうに御了解いただきたいと思います。
○山原委員 そうしますと、これはまさに努力ということ以外にはないわけで、向こうは原子力潜水艦の航行、演習については秘密にしておるということになってきますと、この前も申しましたように佐世保、横須賀に入港する以前二十四時間前に通告があるだけで、原子力潜水艦、原子力艦艇については日本国民、日本政府は全く無防備な状態に置かれておるというふうに理解してよろしいですか。向こうに問い合わせをするとかあるいは知らしてくれという懇願をするとかいう状態だけであって、日本政府と日本国民はその点では全く向こうの言うままであって、何ら情報、その他の通報を受けない、こういう状態になっているわけですか。これは安保条約の性格に関連してきますけれども、そういう状態ですか。「むつ」が就航するにあたって損害賠償の法律をつくりましたけれども、一番ひんぱんに入ってくる一番危険なものについては無防備ということになるわけですが、そういう状態だというふうに認識してよろしいですか。
○薄田政府委員 こういう御質問に私がお答えするのはたいへんどうも立場が違って、そういう御質問ですと外務省を残していただければ幸いだったと思うのですが、どうも私何とも、無防備とも――いわゆる二十四時間前に原子力潜水艦が入港するときには通告を受けるということは私も承知しておりまして、それ以上のことはお答えできないので申しわけありません。
○山原委員 これは科学技術庁長官に伺う。こんなことでよろしいかという問題です。どんなふうにお考えになりますか。近江さんの御質問、私の質問を聞いておって、これでよろしいですか。閣僚として私は意見を伺っておきたいんですよ。
○西田国務大臣 先ほども近江委員にお答えを申し上げたのでありますが、米原潜が領海内で演習が行なわれておることが事実であるといたしました場合に、これらの各般の影響というものをひとつ十分検討、把握いたしまして、それでその結果によりまして関係省庁が十分協議いたしまして、必要があれば必要な措置をとることが適当であろう、こういうふうに申し上げたのでございまして、その実態を知らない――いまいろいろ漁民の方々が不安があるとか、それは心理的不安がございましょう。そういうことも含めましてひとつ十分その実態を把握いたしました上で適当にひとつ対処すべきものだろう、こういうふうに考えております。
○山原委員 不安があるのは漁民じゃないんですよ、日本政府ですよ、まさにこれは。そして実態ということを言われますけれども、実態はわからぬわけですからね、いまのお話を聞きましても。どなたにもわからぬ。わが国の領海の問題について日本政府がわからぬということになれば、これはだれにもわからぬわけでしてね。そういう状態に置かれているところに問題があるわけで、時間の関係があるそうですから、これ以上申し上げませんけれども、これは非常に重要な問題だと私は思っているんですよ。
 防衛庁の方がおられるときにもう一つ伺っておきたいのですが、とにかく昭和二十七年から十九年間相模湾もそうですし、土佐湾もそうなんですが、米潜水艦の行動区域として許されて使われていないということになりますと、これはもう不用施設ですね、米側にとっては。だから不用施設は返還するという原則からいうならば、これは当然解消すべきだ、これは解消要求をしてもおかしくはないわけですよ。だから直ちに資料を示さなければ、使っていないという判断も可能なわけですから、この十九年間もの間使っていないとするならば、これは当然漁民に返すべきでしょう。これは政府が米側に対して不用施設の解除、これを要求しても全くおかしくはありませんし、当然のことだと思うのですが、この点について先ほどもお尋ねがありましたけれども、長官、その点についてどうですか。十九年間も使っていないというのだったら不用施設ですよ。三年や四年使っていないというのだったらまだ話はわかりますけれども、十九年間も一度も日本政府に対して演習の通告もない、何にもないというのだったら、これは全く不用施設でしょう。そんな不安なものを残すよりも解除すべきでしょう。解除を要求してもおかしくないのですから、直ちに要求する決意はありますか。
○西田国務大臣 これは所管が違いますので、解除を要求するとかしないとかというお答えを私からすべき立場ではないと思います。ここに防衛庁の政府委員も来ておりますから、外務省なりあるいは防衛庁として御判断なさるべきものと思います。私の立場は、要するにいろいろ各般の影響、ことに放射能等の影響があるというようなことであるならば、私どもといたしましては、十分関係省庁と協議いたしまして善処をするということでございまして、その施設区域が適当であるとか、全く必要のない区域であるからこれを返還要求すべきものであるかということは、私の立場からはちょっと申し上げにくいのであります。
○山原委員 私は科学技術庁長官としてよりも、日本政府の閣僚としてそういうことをやってもらいたいという意味で言っているわけです。
 防衛庁に聞きますが、この不用施設は当然行動区域指定を解除してもおかしくないと思うのですが、どうですか。
○薄田政府委員 先ほどお答えいたしましたように、いわゆる二十七年から使っておらないという断定もできないし、使っておるという、たいへんあれでございますが、その実情を在日米軍のほうに実は四月の初めに問い合わせをしております。それからまた、今後の彼らの予定というものもあろうかと思いますので、その辺を実態を見きわめました上で、関係省庁と折衝の上、使ってないという先生の仮定のあれでございますが、一応そういう形でございましたら当然解除のほうの申請をと申しますか、交渉に移るべきだと思っております。これは蛇足でございますが、中曽根長官も実態の把握につとめて検討しろという御指示もございますので、先生方の御意向を承りましてやろう、ちょうどやろうとしておるところでございます。
○山原委員 防衛庁は、その実態の把握をできる自信がありますか。
○薄田政府委員 施設区域の使用の実態でございますから、いままで長年の対米的なつき合いと申しますか、そういうことからある程度のことは教えてくれるのではないかと思いますが、それが直ちに公表できる、できないという問題は別問題でございます。
 それからもう一点、原子力潜水艦の問題、これは先ほど総務部長から御答弁になりましたように、使用してない心証は得ておる状態でございますが、これについてもいわゆるパブリッシュできるかどうかということは、私の段階では申し上げられないと思いますが、何らかの返事はくるものというふうに考えております。
○山原委員 防衛庁、最後に、先ほど私が質問しました房総沖チャーリー区域の演習の使途目的の変更、これはリマ海域の場合と、完全に向こう側の態度と防衛庁の態度と違いますからね。これははっきりさせてもらいたいのです。で、この房総沖において演習をする場合、これは漁業協同組合には連絡しましたか。どこからどこの範囲においてこういう演習が行なわれるから、この間は漁船は退避せよとかいうようなことは行なったのですか。それを行なわないでやったのですか。
○薄田政府委員 先ほど来お断わりいたしましたけれども、どうも私の答えられる範囲を越えておりますので、申しわけございませんが、通知の点も、私、詳細存じておりません。私は、単発的なことであったのでそういうことだろうと思いますが、防衛本庁のほうと海幕等と先生の御趣旨をきょう持ち帰りまして検討さしていただきたいと思います。
○山原委員 私も政府のほうに文書による質問を出しておりますので、この回答が間もなく出るようですが、それに基づいてまたこの問題については質問したいと思いますので、十分検討しておいていただきたいと思います。
 それから最後に科学技術庁のほうに、スヌークの問題ですが、これは科学技術庁が横須賀に出先機関を持っていますね。スヌーク号が傾斜して入港したという問題について、この前はなかなかおわかりにならなかったのですが、科学技術庁としては横須賀に出先機関を持っているのじゃないですか。そのほうから通報はなかったですか。
○梅澤政府委員 横須賀の監視体制でございますが、これにつきましては横須賀の市のほうに委託いたしまして、実際には私たちのほうの指導でやっております。したがって、行きます場合には班長というのが原子力局から出ております。それで調査いたしておりまして、スヌークの問題もいろいろございましたが、放射能による汚染その他の動きも全くございません。
○山原委員 事故の問題はなかったのですか。
○梅澤政府委員 何ら全く異常ございません。
○山原委員 私は、直接ではありませんが、科学技術庁の出先の方に伺ったのですけれども、やはりスヌークが入ってきたときには傾斜しておったという事実を認めておられますし、潜望鏡のところを足場を組んで直しておったということも、正確ではありませんけれども、そういうことを言っておられるのですが、そういう報告なかったのですか。
○梅澤政府委員 スヌークが入港時にやや傾いたというような報道がございました。それに基づきまして直ちに米側に問い合わせましたところ、かかる事実は全くないということでございます。
○山原委員 米側というのはどこですか。
○梅澤政府委員 それは外務省を通じて米側に聞いていただいたわけでございます。
○山原委員 係の方がスヌークが傾いて入ったという、これはもうきわめて物理的なものですが、その問い合わせでそういう事実がなかったということでわれわれ了承していいのでしょうかね。スヌークが傾いて入ったという事実があるわけでしょう。米側はそういう事実はないと、こういう。その事実がないということをわれわれは信用しなければならぬのですか。傾いて入ったという事実は皆さんが見ているわけですからね。その目の前で目撃したものすら、米軍が事実がないといえばわれわれはその米側の意見に従わなければならぬのですか。なぜこれ探求されぬのですか。
○梅澤政府委員 さっき申し上げましたように、うちから約三名これが監視にいっております。それからは放射能その他そのときの現場として異常はないという報告で、いま先生おっしゃいました点については、私も直接そういう傾いたのを確かに傾いたということは、それは報道も見たのだと思いますが、その現場によっての判断もございますので、そういう点は調査さしていただきたいと思います。
○山原委員 終わります。
○石川委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十五分散会