第067回国会 大蔵委員会 第7号
昭和四十六年十一月九日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 齋藤 邦吉君
   理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君
   理事 丹羽 久章君 理事 藤井 勝志君
   理事 山下 元利君 理事 広瀬 秀吉君
   理事 松尾 正吉君 理事 竹本 孫一君
      上村千一郎君    奧田 敬和君
      木村武千代君    倉成  正君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      地崎宇三郎君    中川 一郎君
      中島源太郎君    原田  憲君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      三池  信君    村上信二郎君
      毛利 松平君    森  美秀君
      山口シヅエ君    吉田 重延君
      吉田  実君    阿部 助哉君
      佐藤 観樹君    藤田 高敏君
      堀  昌雄君    貝沼 次郎君
      伏木 和雄君    小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  田中 六助君
        大蔵省主計局次
        長       平井 廸郎君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        国税庁長官   吉國 二郎君
 委員外の出席者
        大蔵省理財局次
        長       大蔵 公雄君
        大蔵省国際金融
        局次長     林  大造君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
十一月六日
 沖繩振興開発金融公庫法案(内閣提出第四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十一月八日
 専売公社第一線事業所の統廃合に関する陳情書
 (栃木県議会議長沢田武雄)(第一八号)
 財政金融政策に関する陳情書(大阪市東区内本
 町橋詰町五八の七大阪商工会議所会頭佐伯勇)
 (第一九号)
 国際通貨対策等に関する陳情書(名古屋市中区
 栄二の一〇の一九名古屋商工会議所会頭土川元
 夫)(第二〇号)
 同外一件(京都市中京区烏丸通夷川上ル京都商
 工会議所会頭森下弘外一名)(第九二号)
 為替差損益対策等に関する陳情書(大阪市北区
 堂島浜辺一関西経済連合会長芦原義重)(第八
 九号)
 付加価値税創設反対に関する陳情書外四件(大
 牟田市議会議長境慧外四名)(第九〇号)
 税制改正に関する陳情書(大阪市東区内本町橋
 詰町五八の七大阪商工会議所会頭佐伯勇)(第
 九一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一〇号)
 所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二〇号)
     ――――◇―――――
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案、所得税法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。小林政子君。
○小林(政)委員 今回の減税の目的は景気対策の一環といわれておりますが、景気浮揚というならば消費支出の拡大というものをはからなければならないと思うけれども、どうお考えになっていらっしゃるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 おっしゃるとおりであると思います。
○小林(政)委員 税率を改正して、三百万から七百万の高額所得者を対象にした減税は景気の即効性に直接どのような効果があるのか、お伺いをいたします。
○高木(文)政府委員 所得税は御存じのように、所得控除と税率によって組み立てられておりますので、その双方によって減税の構成がなされるわけでございまして、その場合に、先般来御議論いただいておりますように、いずれかといえば低所得者層の減税のほうがより一そう消費需要効果が大きいのではないかという御指摘がございます。その点について、私どももあえて異を唱えるわけではないわけでございますけれども、さればといって各所得階層別に限界消費性向に著しい差があるということが証明されているわけでもないわけでございまして、その点も私ども作業の過程において十分検討はいたしたつもりでございます。そこで他の面、つまり所得税制度としての望ましい姿ということも考えながら改正をいたす必要があるという見地から、税率も込めての改正という案を御提示いたしたわけでございます。
○小林(政)委員 低い所得層に対する大幅な減税でなければ消費支出の拡大というものにつながらないということは、これはいままでの各委員からの質疑の中でも明確にされているわけです。勤労世帯の可処分所得に占める消費支出の割合というものを総理府家計調査報告書によって調べてみましても、たとえば月収六万から七万未満の場合には九四・三%、月収が十四万から十六万の場合には八一・五%、三十万以上の場合には三九%と、所得が低い層ほど可処分所得のほぼ全額が消費に支出されているということは統計によっても明らかにされておりますし、また年間収入からの貯蓄の割合等を逆の角度から調べてみましても、年間所得の二割以上貯蓄している、こういう所得層は、年収六十万から九十万未満の場合で一九・五%、逆に三百万以上の所得の場合には五二・五%、高額所得者層が可処分所得を貯蓄に回しているということも統計の数字によって明らかにされております。
 したがって、年収二百万以下の所得層に対する大幅減税でなければ、政府がいま宣伝している景気の即効性、いわゆる消費支出の拡大に直接これがつながらないということは明らかだと思います。一体政府がねらっている減税とは、高額所得者の余剰金を貯蓄を通して国債の消化条件というものをふやそうとしていることにあるのかどうなのか、明確に御答弁をお願いいたします。
○高木(文)政府委員 ただいま御提示がありました家計調査、それからまた消費動向の調査というのは、いま御指摘の問題を解く上において非常に重要な資料でございますので、私どもも家計調査あるいは消費動向調査に基づきまして、所得階層別の可処分所得なりの傾向がどういうことになっておるかということをいろいろ分析をしてみたのでございますが、ただいまの御質問、ちょっと私十分聞き取れませんでしたのですが、私どもの手元でかなり慎重に調べてみましたところでは、現在の統計の示す限りにおきましては必ずしも階層別に限界消費性向が、所得の増加に応じて消費性向が落ちる、貯蓄性向が上がるという傾向は、現在の家計費調査、現在の消費動向調査からは、しかも所得税対象階層であるところの百万ないし三百万、五百万というあたりでは明確には出てこないという結果であったわけでございます。
○小林(政)委員 私がいま具体的な数字をあげて、消費性向というものがこういうカーブをたどっている、こういう数字の上からもこのことは単なる常識だけではなくて明らかではないかということを指摘したわけですけれども現在の統計では必ずしもそういうことにはなっていないということになりますと、この統計そのものを否定されることになるのかどうなのか。
 それからもう一つは、こういった今回の減税というものは、いまのようなやり方でやっていけば減税目的とも矛盾するのではないか。この点について明確にお答えをいただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 ただいまお尋ねの点は、御指摘の数字は、各階層別の平均の消費性向でございましょうか限界消費性向でございましょうか。
○小林(政)委員 これは月別の全国平均の調査の統計をとったものです。
○高木(文)政府委員 減税の効果が可処分所得の増加にどういうふうな意味があるかということを考えます場合に、家計費調査をどう読むかという問題でございますが、おっしゃいますように平均の消費がといいますか、そういうもので見ますれば、所得が小さいほど消費が大きいというのは当然のことでございますが、問題は減税になることによって一つだけ可処分所得がふえた場合に、ふえた可処分所得がどれだけ消費に向かいどれだけ貯蓄に向かうか、そこの限界ポイントの消費性向が所得階層別にどういう傾向を示すかということが問題でございまして、それは学者の間でも、一般的には限界消費性向は所得が大になるに従って小になる。したがって、おっしゃるように、限界消費性向は低所得層のほうが、一般的に言う限りにおいては大きい。この点は、まさに小林委員がおっしゃろうとしていることと同じなんですが、そういうふうに一般的に言われているのですけれども、家計費調査の対象になっておりますところの資料をもとにして、限界消費性向を見ますと、必ずしもそういう数字が出てこないということでございます。いまの御指摘の点は、平均の数字でおっしゃっておりまするが、減税の効果がどのように消費を刺激するかという点でございますと、一減税が行なわれて、その一がはたして消費にどれだけ向かい、貯蓄にどれだけ向かうかということでございますので、むしろ議論は限界消費性向で論ぜられるべきものと思います。
○小林(政)委員 私は、その点については非常に納得できません。一般的に、所得の低い階層を調べてみれば、その勤労世帯の収入に占める消費支出の割合というのは九四・三%、これはある月の例をとってみても、ほとんど一〇〇%に近い。これが可処分所得の中で消費に使われているわけですね。それから逆に三十万以上の場合には、消費支出というのはわずかに三九%である。こういうことを見ても、減税が所得の低い層に及ぶならば、それが政府がいま宣伝をしている直接景気に即効する支出をふやすという、こういう効果が私はあるのじゃないか。このようなことを、いろいろ数字をあげられてのお話ですけれども、私どもとしては、だれが考えてもこれは明らかなことだし、そういう点はすなおに認めてもらわなければ困るというふうに考えます。
 時間がありませんので、次に入りたいと思いますけれども、先ほど今回の所得税の改正については、税制の一般的な立場からも、税率の改正等を行なったのだということでございますけれども、これはもう私は、わが国の税制というものが高度累進税率というものをとっており、担税力に応じて課税をするたてまえをとっておりますので、したがって、高額所得者の税額がその負担力を反映して大きくなるということは、これは私は当然のことだと思います。私は、税の公平ということをいうならば、なぜ租税特別措置法によって利子所得の分離軽減措置というものを総合課税にしないのか、このことこそ税の不公平ではないだろうか、私はこのように考えます。現在、百五十万円までの預金に対しては非課税ということになっておりますけれども、これは私も当然のことだと思います。しかし、二百万を分岐点にして、課税所得が大きくなればなるほど分離課税が有利になるというような、こういう制度がとられております。
 たとえば、課税所得一千万円の人で、総合課税をするとするならば、本来総合課税であるならば、税額というものは三百三十九万円になる。ところが、分離課税にすれば二百万で済む。その差額は百三十九万円。軽減割合は四一%。これは非常に不公平な税制ではないかというふうに私は考えます。税率の改正ということを、税の公平という立場から今回高額所得者に行なったというならば、なぜこのような不公平な税制をこそ、この所得に対して改めていかないのか、この点について国民が納得のできる明確な御答弁をお願いいたします。
○高木(文)政府委員 ただいまの御質問は、所得税制の目的、基本に触れる問題でございまして、重要な点であると思います。私どもは、まさに小林委員の御指摘のように、どのような過程を経て現在のこの欠点を直して総合課税の実を上げるかということを考えたいと思っております。
 そこで、預金を例になされましたが、預金につきましては、御存じのように、昭和四十五年度の改正で、それまで一五%でございました源泉徴収税率を改めまして、四十六、四十七年分は二〇%の源泉分離選択税率、四十八−五十年分につきましては二五%の源泉分離選択税率ということで、漸次源泉分離選択税率を上げていくことにしておりますので、ただいま御指摘の不公平さというものは多少とも緩和されていく傾向にあるわけでございます。しかし、それだけではなお不十分でありまして、そのあとどうするかというのは、その時点におきまして検討すべき問題であると思いますが、その際に非常に問題となりますのは、いまおっしゃった千万円なり二千万円なりというところにおきますところの総合の場合の税率がどういう姿になっているかという問題でありまして、そこのところの税率が、やはり累進税率である以上は、ほどほどに高くなければならぬことは事実でございますけれども、さりながら、そこのところの限界税率があまり高過ぎますと、総合にしようといってもなかなか現実問題として総合になりにくい。そこで、一方において、名目的に所得の額がふえている分もあるわけでございまして、これはその及ぼす影響は、低所得層だけでなくて高額所得層でも同じことでございますので、そのあたりの税率を一方において緩和しながら、一方において源泉選択税率の引き上げというようなことをやりながら、だんだんどこかでクロスポイントを見つけていくという現実的過程を通じて、おっしゃるような総合課税のたてまえを、特別措置というようなことでなしに実現をしていくような道を発見してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
○小林(政)委員 利子所得と勤労所得は、私は、これは明らかに質的にこの問題は違うと思うのです。利子所得が非常に多い場合に、これに対して限界税率というようなものも考えなければいけないというそのお話ですけれども、私は、そこのところの認識が根本的に違うんじゃないか。明らかに私はこれは税制の上で高度累進税率というものをとっている以上、やはり一千万、二千万の利子所得、いわゆる勤労所得ではない利子所得でもって、これに対する課税については、これについては累進制をとっていくということは当然だと思います。現在の制度は、いまお話のありましたとおり、昭和五十年までに――分離課税の場合ですね――二五%にしていくということですけれども、私はこれをこそもっと税制改正の中で、分離課税というものを認めるんならば、当面この税率をもっと上げるとか、あるいは総合課税にもっと近づく方向を努力するとか、そういう改正こそあってしかるべきであって、今回の景気浮揚減税などといって大きく宣伝している中で、高額所得者に対してこれを税率改正ということで恩典を与えるというような行き方では、私はちょっと筋が違うんじゃないか。税の公平ということをおっしゃるならば、負担の公平ということをおっしゃるならば、当然そこをこそメスを加えなければならないんじゃないだろうか、こういう点を強く申し上げたわけでございます。税率の改正等について今後、このような景気の情勢の中で、積極的にお考えになる意思があるのかどうなのか、この点についてお伺いをいたしておきたいと思います。
○高木(文)政府委員 この預金の分離課税制度につきましては、従来から非常に長い歴史があるわけでございまして、それを四十五年度の改正におきまして、ただいま御説明いたしましたような形で、当分、五十年まで安定をしておく、そのときの状態でそれはまた考えるということになっておるわけでございますので、その途中の段階で、いまこれに何らか変更を加えるということは、預金制度への安定性を欠くという点にもなりますので、これを五十年までの途中の段階で変えるということは現在考えておらないわけでございます。
 それから一方、一般の税率のほうの問題につきましてどう考えるかということにつきましては、これはまた所得税の今後の減税がいつどういう形でどういうふうに行なわれるかということをいまから予測することは困難でございますので、今後におきます所得税の税率構造を将来の改正においてどういたすべきかということについては、ちょっと現在の段階で御答弁申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
○小林(政)委員 だんだん時間が迫ってまいりますので、簡潔に御答弁を願いたいと思います。
 次に移りますが、ドル・ショックによる景気の見通しをどう見ているのか。
○高木(文)政府委員 現在の段階では、まだ安定した状態にございませんのですけれども、なかなか事態は複雑であり、深刻なものと考えております。
○小林(政)委員 経済閣僚会議での経済企画庁の御報告によれば、この景気は深刻で、しかも長びくということがいわれております。このような中で、政府が発想の転換というようなことを盛んに言っておりますけれども、この発想の転換の内容というものはどういうことなのか、簡潔に答弁を願います。
○田中(六)政府委員 発想の転換ということ、まあ政府が言っておるということをはっきり私も意識しておりませんが、発想の転換をせなければならないという根拠は、いままで民間主導型の経済政策であったのを、財政主導、つまり政府主導型の経済にもっていかなければならぬ、いままで国際収支などに焦点を合わしてきておりましたが、社会資本の充実というようなことでいくということだと思います。
○小林(政)委員 政府が言っておりますこの生産優先から、盛んに大臣もおっしゃっておりましたけれども生活優先ということは、国民の消費支出の増加をはかることであり、また生活水準の向上をはかることではないのか、お伺いいたしたいと思います。
○田中(六)政府委員 小林委員のおっしゃるとおりに、そういう方向でこれから行こうという方針でございます。
○小林(政)委員 わが国の国民総生産に占める個人消費支出、これを調べてみますと、一九六九年の数字ですけれども、日本の場合には国民総生産に占める個人消費支出は五一・二%、アメリカは六二%、西ドイツ五五・三%、フランス六〇・四%、イギリス六二・七%、イタリア六三・四%で、GNPが資本主義諸国第二位だという、あるいはまた経済の成長、伸び率世界第一位と言われておる経済大国を誇っておる日本が、個人消費支出の割合では、主要国中最低というような、こういう数字が出ております。これは国民福祉よりも企業成長の優先だとか、あるいはまた輸出優先政策、こういったようなものを一貫して取り続け、今日の外貨蓄積をはかってき、そのあげく国民の犠牲でいま円の切り上げというようなことも起こっておりますけれども、私は経済財政の転換というものをこの際大きくはかるべきだと思います。個人消費支出の拡大というものは当面の景気浮揚に有効だということだけではなくて、本来の税制の面からも当然このことについてははっきりとした積極姿勢を示すべきだというふうに考えますけれども、この点についてお伺いをいたします。
○田中(六)政府委員 いま小林委員は各国の消費支出のパーセンテージを指摘しておりますが、これは御承知のように、日本の場合、逆の意味で、結局所得はどこに回るか、大まかに言いまして消費と貯蓄だと思います。そういう場合、日本は貯蓄が非常に世界的に伸びておりますから、したがって、半分の消費がある程度パーセンテージが少ないのではないかと思います。それから、税率の問題でございますが、これから先も十分考えていきます。私どもは今回の税法の改正で必ずしも一方に片寄ったものではないというふうに考えておりますし、全体的なバランスを考えてやったことでございますが、御指摘のような点が指摘されておりますので、今後十分考えてやっていきたいというふうに考えております。
○小林(政)委員 私は、税制の面で積極的に消費支出というようなものを伸ばしていく、拡大していく、こういうことがいまきわめて重要だというふうに思います。このようなことが非常になおざりにいままでされてきましたし、また今回の減税というようなものが、景気刺激というような即効対策だけに終わってはならないというふうに思います。
 次に、今回の減税が非常に大幅減税だ、こういうことを言われておりますが、その根拠は何なのか、お伺いいたします。
○高木(文)政府委員 必ずしも大幅と言っておるわけでもございませんけれども、最近の毎年お願いをしております所得税の減税の規模は、昭和四十年から四十六年までの平均で申しますと、大体千四百億円くらいになっております。昭和四十六年度はこの春の改正で千六百六十六億円ということになっておりますから、今年度の減税規模はこの春の改正だけでもうすでに平均額を上回っている。もっともその間に四十年から四十六年の間に経済規模が大きくなっておるということも考えなければなりませんが、それにしても平均を上回る。ところが、今回の千六百五十億円の減税額を加えますれば三千三百億円になるということを見ましても、決して小さいものではないということだけは言っていいのではないかと思っております。
○小林(政)委員 今回の不況は、四十年の不況に比べても非常にその規模も深刻だというふうにいわれておりますが、所得税の自然増収に対する減税割合、ことしは七千七百四十八億円の自然増収に対して、当初予算と今回との減税額を含めまして三千三百十六億円、この減税割合は四二・八%です。四十一年のときには自然増収に対する減税割合は六九・七%、四十二年のときには四八・三%、ことしはこれよりもむしろ低い自然増に対する減税割合ではないか、こういうことがはっきりと言えると思います。しかもその半額以上が高額所得者優遇のために今回は使われている。一体こういうようなことで大幅減税ということは言えるのかどうなのか、この点明確にしていただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 ただいまおっしゃいましたように、四十一年度との比較では、いわゆる自然増収額と減税額との割合は、御指摘のように、四十一年度のほうが率が大きいということは事実でございます。ただ、四十一年度の反省といたしましては、若干四十一年度は対策がおくれたきらいがございますので、今回はそのときの経験にかんがみて、思い切って年内減税が行なわれたということにたいへん意味があるわけだと思っております。その意味で、私どももどちらかといいますと、減税の規模よりは時期ということに今回の減税の意味があるのではないかと考えております。
○小林(政)委員 今後減税を行なう場合の基準というものをどこに置くのか、この点について非常にこれが明確でございません。この点について、私は何点かにわたってちょっと伺いたいと思います。
 基礎控除を毎年一万円ずつ引き上げていますけれども、その根拠は何なのか。ことしの物価上昇率等を、五・五%というものを変更していないで組まれておりますけれども、四月から九月でもすでに六から八%の上昇率で政府の見通しを上回っておりますけれども、最近の上昇率からこの物価の見通し等についてもどのように考えているのか、まずこの点をお伺いいたします。
○高木(文)政府委員 今回の減税を全く別にいたしまして、この春の減税で課税最低限は各階層平均一〇%程度上がっておるということは、この春の国会のときにお答え申し上げたとおりでございまして、かりに物価がなかなか落ちつかないといたしましても、今回の春の減税分だけで、いわゆる物価調整減税といわれる考え方程度には、昨年に比べてこの春の減税ですでに手当てが行なわれておると言えると思います。
○小林(政)委員 先日他の委員の質問に対する答弁で主税局長は、物価を全部税制で見るということはできない、こういうふうに答弁をされておりますけれども、そのことは物価調整減税というものを否定されることに通ずるのかどうなのか。減税の基準を考える場合にその点も含めて御答弁を願います。
○高木(文)政府委員 課税最低限を考えます際に、物価の動向が非常に重要な要素として考えらるべきものであることは御指摘のとおりであると思いますが、必ずしもそれだけが課税最低限をきめるときの要素ではない、他にいろいろ要素があるということではないかと思っております。
○小林(政)委員 税調でも、物価水準の上昇に見合って所得の所要の調整というものを加えていく必要があるということは明らかにいたしております。大蔵省は以前は大蔵省メニューというようなものを指定して、生活費の件はもう論議の余地がない、こういう態度をとっておりますが、いま物価の問題についても非常にあいまいであって、一体何を基準に今後減税をやっていくのか、この点についてその根拠というものを明確にしていただきたいと思います。それが明確にならないということは、大蔵省の減税というものは全くかってにできるんだ、自分たちの判断によってそれをかってにきめることができる、こういうようにとられてもしかたがないと思いますので、明確にお答えを願いたいと思います。
○高木(文)政府委員 税制調査会の審議の過程を通じて、またその結論は答申にもあらわれておりますが、今後とも所得税の構造を考える場合に、物価等の動向は最低限考えていかなければならないということはいわれておるのでございまして、その点に関する限り別に従来からの考え方とそう基本的に変わっているということはないと思っております。
○小林(政)委員 非常に答弁があいまいなんですね。明確に基準というものをここに置くんだ、こういうことで国民に明らかにしてもらわなければ、今後の減税というものを何を基準にやるのかということがちっとも明確にならないと私は思います。私はむしろ今回の減税というものは、これはもう減税をやったなどということよりも、五・五%の当初の物価上昇率、これに比べて最近の物価上昇というものは大幅に上回っている、この物価調整減税をやらざるを得なかった、そういったものであって、決して政府が宣伝しているような減税などということが言えるものではないというふうに考えます。
 時間がありませんので、あと続けて二つ、三つお伺いをいたしたいと思いますけれども、今後課税最低限についてどう考えているのか、お伺いをいたしたいと思います。
 それからもう一つは、来年度の自然増というものをどのぐらいというふうに見ているのかということが二番目。
 来年度は減税を原則としてはやらないということがいわれておりますけれども、今回の改正をそのまま適用したら、これは税の負担率というものは上がるのじゃないだろうか、この点が三番目。
 四番目は、今後新経済社会発展計画ですか、これを改正するということがいわれていますけれども、経済成長一〇%前後の伸び率というものが基礎になっているが、これを改正する意思があるのかどうなのか。改正をするということになれば、税負担水準の上昇率等についても当然改正を行なうべきだと思うけれども、この点についてどのように見直しを行なおうとしているのか。それが四番目の問題であります。
 それから、四十八年度の国債の償還との関係で、大蔵大臣は、今後一般消費税を研究するということを述べておられますけれども、この一般消費税は、付加価値税のことをさしているのかどうなのか。現在税調等にも答申をお願いするということがいわれておりますけれども、現在の準備状況というものについて明らかにしていただきたい。導入するときの必要条件というようなものはどんなものを現在検討しているのか。これらの点、まとめてひとつ御答弁をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
○高木(文)政府委員 課税最低限につきましては、今後とも物価あるいは給与水準の動向、それから他の社会保障政策との関連というようなことを考えながら、今後とも直していくということであると思っております。
 ただ、一言だけ言わしていただきたいのですけれども、物価だけが課税最低限の問題を決定するポイントではないということではないかと私どもは思っております。
 第二番目、来年度の自然増収の見込みでございますが、これは現在今年度の見込み自体がまだ明確に出し得雇い状態でございまして、かなり思い切った見通しで三千百七億円の減収を補正予算の際に見込みましたけれども、来年度につきましては非常に見通しにくい状態でございますので、いまのところ私どももたいへん弱っておるという現状でございます。ただし、従来のような一兆をこえるような自然増収は見込めない、たいへん暗い見通しであるということだけしか申し上げられないと思います。
 来年度減税はやらないということを大臣が言われたということでございますが、これはやらないというよりはやれないのではないか。いまのような自然増収との関連においてなかなかやれないのではないかということでございます。その結果、税の負担率はどうなるかということでございますが、やれないということは、つまり自然増収があまりないからということでございますので、そういう意味から言いますと、計算をしてみなければわかりませんが、税の負担率が減税をやらないからといって著しく変動する、上がるということはないというふうに私は思います。大体横ばいか、上下するにしてもたいして大きな動きにはならないであろうというふうに考えられます。
 新経済社会発展計画を改めるという作業は、これは経済企画庁のほうでございますので、どういう段取りで進むことになるのか私どももしかと承知いたしておりません。その後新しくそれが改定されました後において、それを前提としてまた税制調査会等において、税の負担率の問題等もあらためて議論されることになろうと思われます。現在の段階で、計画のほうの作業が進んでおりません段階では、こちらは特にいまの段階では特別のことを考えておりません。向こうの作業待ちという感じでございます。
 一般消費税の研究は絶えずやっております。その中において付加価値税という制度も一般消費税制度の中できわめて有力な制度であるということで考えておりますけれども、一般消費税即付加価値税ということではないので、一般消費税の中の一つとして、しかしきわめて有力な制度として付加価値税制度があるということで研究は進めております。その中で、どういうことが最も問題かという準備状況を示せということでございましたけれども、付加価値税という制度は、EECでいろいろな一般消費税が各国にありましたのをいろいろ研究してそこに昇華していったわけでありますから、そのこと一つでもわかりますように、一般消費税の中では理論的には非常にいい制度だということがいえるのだろうと思いますけれども、わが国の場合には付加価値税だけでなしにそういう一般消費税が一般的になじんでおりませんから、実施の面でうまくいくかどうか、一般に納税者の皆さんとの間でなじみやすいものになり得るかどうかというところが非常に問題でございまして、そういう意味で、理論的な検討というよりは、若干現実的な検討ということをしてみなければいけないということで、そういう意味での準備を進めております。しかし、いずれにしてもかなりの時間を要するものと考えております。
○齋藤委員長 藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私はそのものずばりで、大きく分けまして三点質問したいと思います。
 その一つは、予算委員会でも問題になったことでありますが、財政法上の関係と今回発行しておる国債の問題であります。二つ目の問題は、国債消化に関する見通しの問題。第三点は、税収減、なかんずく地方税の減収に伴う国の財政補てんないしは財政措置の問題、この三つについてお尋ねいたしたいと思います。
 その前段としてまずお伺いをいたしますが、今回の税制改正にも見られますように、また四十六年度の予算補正の予算案の内容を見ましても、租税及び印紙収入による減収は四千七百五十七億円、雑収入六百九十六億円、これが約五千四百五十億円程度になろうと思いますが、これはもちろん千六百五十億の減税分を含んでおることは論をまちません。これだけがいわば減収になっておるわけですけれども、先ほどからも質問の中にありましたが、いわゆることしずっと続いてきた不況、加えてドル・ショックによる影響というものは、この補正予算を編成した当時よりはさらに深刻な影響が出てくるのではなかろうか。これは一昨々日でしたか一学者の見解でありますが、政府のあらゆる機関に参与いたしております一橋大学名誉教授の中山教授の説ではありませんけれども、例の昭和三十年当時の大不況にも匹敵する不景気が到来するのではないか、そういう前提に立ってこの補正予算を組んだのかどうか。これはいわゆる税収減の見通しに関連をするわけでありますが、いま私が指摘をいたしました五千四百五十億円程度の減収で、年度末までこの程度の減収で済むと見ておるのか。それとももっと深刻な経済不況の影響によって、さらにこの上に税の減収というものが予想されるのではないだろうかと思うわけでありますが、その経済見通しと税の減収見通しについて、政府の見解をまずただしたいと思います。
○高木(文)政府委員 経済見通しのほうはちょっと私、十分御説明ができにくいのでございます。と申しますのは、現在の状況からどういうふうに来年度に変化していくかという見通しの問題でございますので、政府全体としてたいへん見通しが立てにくくているわけでございます。
 第二の、三千百七億円の減収を見込みましたが、それはなおそれ以上に減収が起こるかどうか、それはつまり経済の反映でございますから、そういう意味でのお尋ねと思いますが、その点につきましては、実は三千百七億円の減収を見込みましたのは、作業の都合上ちょうど一月前くらいの段階で私どものところで見通したわけでございます。その後の推移を見ておりますが、いままでのところでは、そのときつけました見当であまり大きな変化は起こっておらない状況でございます。御存じのように、三千百七億円の減収の中で一番大きいのが法人でございまして、法人税の減収が二千九百億円に及んでおるわけでございます。ところが法人税の減収というものは、その景気の動向が必ずしもぴたっとあらわれてくるわけでもありませんので、その間において会社の経理についての決算態度というようなものが中間にはさまってあらわれてくる関係もございますが、そういうものを見てまいりますと、必ずしもそう極端に各企業がそろって赤字決算をするというようなことでもございませんものですから、いままでのところ減収見込みとしてはほぼあの程度でいくのではないかと思っておりますけれども、しかし、非常に変化の大きいときでございますから、いわばあまり自信のあることは申しかねるというのが率直なところでございます。
○藤田(高)委員 これは主税局もさることながら、主計局自身の問題でもあろうと思いますし、政府全体の責任の問題にもなろうかと思うのですが、そういう意味において、これはなかなか予想しがたい条件もあることですから、確定的なことはいえぬにしても、いま私ども一番心配しますことは、非常に大きな経済界のいわゆる不景気の要因というものが、第二の歳入欠陥として国債発行を再び年度内で――これは実質論としてですよ、実質論として、第二の国債発行をやらなければ財政上のつじつまが合わんというような事態が起こるのではなかろうかという心配をするわけであります。そういう点については、もちろん見通しの問題ですけれども、次官のほうから、いまの主税局長の答弁のようなものであるのかどうか、今日段階における見解をひとつ示してほしいと思います。
○田中(六)政府委員 経済の見通しから考えますと、中山伊知郎先生も言っておるように、確かに大きな不況が訪れるという覚悟は政府もしておかなければならぬでしょうし、多くの経極評論家もそう指摘しております。経済成長率が一〇%以上ということはほとんど考えられない現状ですし、それから円の切り上げの問題、その率にもよりましょうし、それから課徴金などの撤廃、そういうものが迫られておるわけであります。不況が感じだけでなくて、現実の不況というものが訪れ、しかも自然増収というものも大幅に減るということを勘案しますと、国債の発行を再び年度内にやらなくちゃいかぬのではないかという委員の御指摘は、私どももそういう懸念を持っております。
○藤田(高)委員 私は、この問題は一応見通しについて見解を聞く程度にとどめまして本論に入りたいと思います。
 予算委員会における論議を見ましても、財政上の歳入欠陥と称するものは、先ほども指摘されましたが、厳密にいえば税収減によるそのものずばりの数字としては約三千百億、これが歳入欠陥と称するものではないかと思うのです。予算委員会の論議を通じてやりました経過は、いわゆる財政法上のたてまえからいけば、四十年に国債発行したときのように特例措置によってやるべきではないかということが論議の焦点であったと思います。それに対して政府は、私、ここに持っておるわけですが、いわゆる予算委員会に提出した資料として、「本年度の補正予算における公債発行の追加について特例法によらない理由」というものを出しておりますが、私はここで論議を深めるためにまず明確にしておきたいと思うのですけれども、いわゆる歳入欠陥と目されるものは、ラフな数字ですけれども、三千百億円というふうに理解してよろしいかどうか。
○高木(文)政府委員 税収減は三千百七億円でございますが、そのほかに税外収入の減が六百九十六億円ございますから、いわば収入の減のおもなるものとしては、その二つの合計額ということでいいのではないかと思います。
○藤田(高)委員 わかりました。私は続いてそのこともお尋ねしようと思ったわけですが、合わせて答弁がありましたが、いわゆる雑収入の減額を含めて約三千八百億円の歳入の欠陥が生じたということは数字の上で明らかであります。それはこの四十六年度の補正予算の説明書にも盛られているところでございますが、この性格論からいけば、昭和四十年度に国債を発行したときと同じ性格の赤字ではないか。四十年度はたしか二千五百九十億円であったと思いますが、いわゆるその歳入欠陥に見合う性格の赤字国債ではないかと思うわけですけれども、その点についての公債そのものの性格論はどうでしょうか。
○平井政府委員 ただいまの御指摘は、先ほど主税局長が御説明申し上げました歳入欠陥部分に対応して発行される公債は、歳入補てんのための公債、先生のおことばで申しますと赤字公債ではないかという御質問でございますが、前々から大蔵大臣が申し上げておりますように、財政法第四条第一項ただし書きの趣旨というのは、全体として後代の負担に帰すべきいわば公債をもってまかない得べき対象経費は、公共事業、出資金並びに貸し付け金等に限られるという考え方をとっておりますが、全体としての公債発行額がただいま申し上げました公債発行対象経費の限度内にとどまっている限りにおきましては、赤字公債というものではないというふうに考えておる次第でございます。
○藤田(高)委員 これは私はあとで、四十年の衆議院、参議院の議事録で、当時の大蔵大臣が答弁をしておりますことを引き合いにして明確にしたいと思いますが、いま政府委員のほうから答弁があったように、いわゆるそういう性格のものであるから特例措置によらなかったのだ、こういうふうに理解してよろしいですね。
○平井政府委員 さようでございます。
○藤田(高)委員 四十年に初めて国債発行がなされたときに、私も当時大蔵委員をしておりまして、本会議においてもこの討論に参加した一人ですが、当時の福田大蔵大臣の答弁は実に明確なのです。社会党の参議院の木村福八郎先生の例をとらしてもらえれば、その当時も公共事業と称するものは約六千億ぐらいあったんですね。ですから、ある学説、ある考え方によれば、今回政府がとっておるようなこういう便法的な措置によって、特例法による国債発行をやらなくてもいいじゃないかという考え方に対して、当時の福田大蔵大臣はわざわざ念を押されて、財政法四条にいうところの公債と、今回のような歳入欠陥、税の減収によって、いわばその穴埋めに使う公債とはおのずから性格が違うのだということを、政府答弁として明確に答えておるわけなんです。それであれば、今回の、先ほど指摘いたしました約三千八百億の歳入欠陥というのは、性格論としては、四十年のこの場合と同じものじゃないですか。どこが違うのですか。性格論で説明してください。
○平井政府委員 先般衆議院の予算委員会に提出いたしました資料で御説明申し上げておりますとおり、昭和四十年度の歳入欠陥に際しまして公債を発行いたしました経緯につきましては、法律的には必ずしも特例法による必要はないというのが私どもの考え方でございました。当時、大蔵省として、大蔵大臣が御説明申し上げましたように、考え方としては必ずしも法律的には特例法による公債を発行しなければならないという性質のものではないが、当時の事情といたしまして、戦後初めて公債を発行するという事態になったこと、並びに公共事業費の範囲につきましても当初予算において何ら規定されておりませんでしたこと、そういったこと等を勘案いたしまして、当時の考え方として特別の歳入補てん公債を出すことにいたしたということでございます。
○藤田(高)委員 この際はっきりしておきたいと思いますが、私たちの考え方というのは、大蔵省の考え方ですか、それとも政府の統一見解ですか、その点をひとつ答弁の中で明らかにしてもらいたい。
 それと、二つ目の問題としては、戦後初めてやるから特例法によったのだ。戦後初めてやろうと、二回目やろうと、三回目やろうと、法律構成として、法律の根拠法として解釈する場合に、同じ性格のものに対して同じ法律的根拠を用いずして、回数によって取り扱いを変えるなんということは、そんなことはできますか。そんなことで国民を説得する理由になると思いますか。その点どうですか。
○平井政府委員 説明をちょっと補足させていただきたいと思いますが、当時公債を初めて発行いたしたということとあわせまして、当初予算においては公債の発行が予定されておらなかった、したがいましてそれに対応して、公債発行対象経費のうちの公共事業費の範囲についても何ら論議がされておらなかった。そういった事態におきまして、年度の途中において初めて公債を発行するという事態に立ち至ったわけでございますので、そういったことをも勘案いたしまして、当時は歳入欠陥補てん公債という形で発行いたしましたのだという解釈でございます。
 なお、この考え方につきましては、現在の私ども申し上げている見解は、一応政府の統一見解とおとりいただいてけっこうでございます。
○藤田(高)委員 それは答弁になりませんね。これは私は前段委員長にも断わっておきますが、大蔵大臣が予算委員会でも答弁しておることと関連いたしまして、大臣に総括質問の中で若干時間をいただいてこれは詰めたいと思いますけれども、私は先ほどの質問に対して一応大臣の補佐役としての次官の見解も承りたいと思いますが、時間を効率的に使う意味において、私は四十年の国債発行、この問題のときに福田大蔵大臣がどう言っておるかということを、この昭和四十年十二月二十九日参議院の議事録の十四ページ、この議事録の抜粋を読んでみましょう。
 福田大蔵大臣はわが党の木村議員の質問に対して、特例措置によった理由は、なぜ政府はこういうふうに――いわゆる今回政府がこのたびとっておるようなことをしないでわざわざ特例措置によったかということを、福田大蔵大臣はこのように説明しておるのですよ。「四十年度の公債はあくまでも第四条の特例なんです。それから、四十一年度以降に考えておりますのは、財政法第四条による公債なんです。」いわゆる歳入欠陥に基づく、税の減収による公債は特例なんです、四十一年度公共事業を対象にして考える、そういう国債はこれは財政法四条による公債なんです、こういうふうに分けて、次にこう言っております。「そこに本質的な違いがある。実体的にはどういう違いがあるかということをつけ加えますと、四十年度も、木村さんのように法律に詳しい、また財政、経済に明るい人でありますと、何も特例を設けぬでもいいじゃないかと、公共事業費が四十年度予算の中にもあるじゃないか、それを引き当てとして公債を出したらいいじゃないか、こういう議論をされることになるかと思うのです。」とこう言っておるのです。これからさらに福田大蔵大臣は「しかし、これは私はどうもこじつけだと、こういうふうに思うわけです。つまり四十年度になぜ公債を出さなければならなくなったかというと、はからざる経済不況で税収が落ち込んだと、そのために出すんだと、つまり公共事業を対象とするという考え方と実質的に非常に違うのです。その実質的に違う点をちゃんとつかまなきゃいかぬ。これを公共事業費が六千億も四十年度予算の中にあるのですから、その財源として公債を出すというような構成をすべきじゃなくて、すなおにいきさつを是認して、第四条じゃないのですと、これはまあ税の落ち込みに対してやむを得ず出す公債ですという法律構成を考うべきである、」実にこれは明確ですよ。今回のいわゆる税収の欠陥に伴って措置をした国債発行と性格は同じじゃないですか。なぜ同じ内閣で、大蔵大臣と外務大臣が変わっただけで、しかもその内閣を構成する有力な大臣がおる内閣で、なぜこんなに解釈が違うのですか。政務次官、どうですか、これは。
○田中(六)政府委員 税の減収による特例と公共事業となぜ違うかということでございますが、やはりそのときの情勢、バックグラウンドがあったと思うのです。私は、国債というものがそのとき、四十年度に初めて発行されて、それまでの公債という概念が非常に意味、内容が一般的に違っておった。それが現在は国債というものが国民の間に大体定着いたしておるというところが四十年度と現在の四十六年度はだいぶん違っているんじゃないか、そういう意味からこういう措置をとったんじゃないかという気がしております。
○藤田(高)委員 私は全くいまの答弁を聞いて、不勉強というのか、知らぬで答弁するのであれば、失礼だけれどもきわめて不勉強であると思う。少なくとも大蔵委員会というのは、社会党の先輩議員もおられますけれども、いわゆる論理的に、しかも道理にかなった論議をする委員会として、他の委員会よりも非常にその点が特徴のある委員会だというふうに私は指導もされてきましたし、そのように理解もしてきましたし、ある意味においては大蔵委員の一人としてそのことを私自身率直に言って誇りとしてきました。しかし、いまのような答弁を聞いておると、これは委員会どころか、どこか井戸ばた会議で論議するような説得力のない答弁だということを率直に言って私は遺憾に思うのです。
 財政法上の解釈というのは、法律上の概念として変わるべき性質のものじゃない。少なくとも四十年の場合も今回の場合も、今回の場合でいえば三千八百億に匹敵するような赤字公債は、これは財政法上のたてまえからいったら、この種のものは国債を発行してはならぬ、こう規定しておるのですよ。出してはならぬと規定しておるのですよ。それを出す場合は特例法によるというのが前大蔵大臣の福田さんの言うようにすなおな、しかも財政法上の解釈からいって最もベターな処置のしかたでないか。こういう実に明確なことについては私はいま少し政府もわれわれ野党的な立場の者もやはり共通の認識を持っていいんじゃないかと思うのですが、どうでしょう。これは大蔵委員会の権威にかけても私はぜひそのようにお願いしたいのですが……。
○田中(六)政府委員 これは見解の相違だと思うのです。われわれはあくまで財政法第四条第一項による公共事業費、出資金及び貸し付け金の財源についての公債の発行というふうに考えているわけです。私も勉強をしてないかしておるか疑問でありますが、あくまで政府の見解というものはその一点にしぼっておるわけで、前の大蔵大臣がそういうことを言っておったといいましても、そういう一つの法律あるいは客観情勢の事情の変更というものはいつでもあるわけでございまして、第四条によって私どもがやっておるということは間違いないことで、ただあなたのおっしゃるような疑念もあるから、大臣も予算委員会で財政制度審議会にもう一度はかろうということを言っているわけです。疑点があるのを、そうじゃないと言うわけにもいきませず、私どもが主張しておるのは、あくまで財政法第四条第一項による公債の発行だという見解でございますので、その点は私も何とも申しようがないわけでございます。
○藤田(高)委員 現在、大臣としては所管が違うかもわかりませんけれども、先ほど言ったように佐藤内閣の有力な閣僚ですから、私は場合によれば福田外務大臣もこの大蔵委員会に出席を願って、そうして水田大蔵大臣も出席を願って、そこで政府の統一見解をただしたいと思います。これが一つですね。これはひとつあとで理事会にもできればおはかりいただいて、そのような御処置をとられることを委員長にも要望しておきたいと思います。
 それと、これは私自身の考えですが、政府自身は、福田前大蔵大臣のことばをかりていえば、そういう今回のような措置をやることはこじつけ論とまできめつけておるのですね。そういうこじつけによって今回の問題を糊塗しようとするのであれば、私は場合によったら裁判によってこの解釈を争ってみる必要があるんじゃないかと思います。というのは、私の立場からいけば政府は二重の法律違反をやっている。本来この種のものは、先ほど言ったように財政法四条のたてまえからいけば、当然これは国債発行してはならぬ。しかしやる場合には特例法でやるべきだということをやらなかった。特例措置をとらないから予算委員会で何となくこの問題が論議をされて――特例措置をとられたら大蔵委員会に法律案としてかかるのですよ、原則的には。われわれ自身の審議権をこういうむちゃな解釈によって奪っておるじゃないですか。どうですか、この考え方に対して。
○平井政府委員 先ほど大蔵大臣の御答弁の御引用がございましたけれども、それに関連いたしまして岩尾政府委員が当時補足説明いたしておりますけれども、当初にちゃんと建設公債を出すというようなことで公債政策を採用しているような場合であれば、その年に同じような公債政策を引き継いで公債を出していくことは考えられるけれども、本年のように公債は発行しないという方針で予算を編成して、そしてたまたま年度中に歳入が減ってきたというような場合に、これはやはり公共事業のワクがあるので建設公債でいくというのはいささか強弁に過ぎるのではないかという趣旨で特例法でいくべきだということを説明いたしております。したがいまして、当時の考え方といたしまして、当初から公債政策をとり、公共事業費の範囲がきまっている場合には、当時としても当然現在のような形になるのだという考え方で貫かれているわけでございます。
○藤田(高)委員 私は、くどいようですけれども、実に便宜的な解釈だと思うのです。これはあとでも申し上げますが、そういう解釈をとるところにいわゆる国債発行に対する歯どめというものがなくなって、法律的行為によって禁止されておるものでも大蔵官僚諸君のかって気ままな解釈によって、そして財政法四条の趣旨というものは、あれだけの戦前の歴史的な経過の中で生まれてきた、この国債発行歯どめの法律的条項さえ、かって気ままな解釈によってずるずるにはずしていくということになると私は思うのです。私は重ねて言っておきますが、建設国債を発行するという前提で四十六年度の予算が組まれていた。四十年度はそういう性格の予算編成ではなかった。しかし税の減収に伴う歳入欠陥を穴埋めする公債としての性格は、これは四十年度も今回の場合も同じじゃないですか。それが同一の性格であるのに、初めてやるからそれは特例措置なんだ、二回目、三回目、四回目になれば同じ性格のものであってもそれは特例措置によらなくてもいいのだ、こういう解釈はあまりにも便宜的じゃないですか。その点一つ。
 それと引き続いて、先ほど次官の答弁では、予算委員会で大臣はこの解釈については財政制度審議会の諮問にもかけてみたい、こういうことを言っておりますが、これは私は明らかに私がいま指摘しておるようなことについて自信がなくなったからかけるのじゃないですか、どうですか。
○平井政府委員 あとの点からまず御説明申し上げます。当時の御答弁、私、そばで聞いておりませんでしたけれども、伺っている趣旨では、政府としては、現在の解釈は正しいと思うけれども、一応そういう御議論もあるので、財政制度審議会の意見も徴したいということを申しておられたように聞いております。
 それから、最初の点でございますが、一回目であるから、二度目であるからというふうにおとりになったとすれば、それはそういう趣旨ではございませんので、先ほども御説明申し上げましたように、四十年度においては、戦後初めてだということだけでなしに、当初予算において公債発行を予定しておらなかった。しかも戦後初めての事態でございまして、公共事業費の範囲について現在のように予算総則で両院の御決定をいただくという手続もとっておりませんでしたので、そういう非常に公共事業費の範囲もはっきりしてないような段階で、さかのぼって出すということは必ずしも適当でないという問題もあったわけでございます。したがいまして、そういう意味で、初めてだからというだけではございませんので、その点はもしそういうふうに御理解いただいたとすれば、私の説明不足でございましたので、補足いたしておきます。
○藤田(高)委員 いまそういう答弁をされると、予算総則の中にそういう国債発行を前提とするような予算措置を考えておったのかどうか、こういうことになると私は思うのですよ。ますますもって予算編成のいわゆる総合予算主義のたてまえからいって、これはほんとにでたらめもはなはだしいということにならざるを得ぬのじゃないか。早い話が、この予算委員会に出した大蔵省の資料によっても、国債発行の対象額が一兆六千八百億円の範囲内に入っておるというのですが、四十年の場合だって公共事業の範囲内に――公共事業費は当時六千億あったわけですよ。ですから、先ほども議事録を紹介したように、この種の性格のものについては、法律構成の問題として当時の大蔵大臣が、これは性格が違うのです、税収減によってそれを穴埋めする国債と、それと公共事業を最初から目当てにして出していく財政法四条のたてまえによる国債とは性格が違うのです、こういうことを言っておるのも、私はそこに根拠があると思う。私は、その意味においてこの見解は、先ほど申し上げたような事後の措置の問題もありますから、以上で留保しますけれども、私はこの段階で一つの段階的な質問をしてみたいと思うのです。特例措置によらなかったのだけれども、特例措置による、法律上の措置をやったほうが過去のいま言った経緯及び財政法の解釈上からいけばよりベターであったのではなかろうか、こういうふうに思いますが、その点は次官、どうですか。
○田中(六)政府委員 たびたび政府委員並びに私も言っておりますように、私どもはあくまで財政法第四条第一項のワク内であって、あえてこれを特例法によらなくてもよいという見解でございますが、そういう大きな疑問が現実にあるわけでございますので、その点はやはり十分検討する余地はあるというふうに考えます。
○藤田(高)委員 どういう検討のしかたをされるかお尋ねしたいのですが、その予算委員会の大蔵大臣の答弁によれば、財政制度審議会にひとつはかってみようということですが、これも私は実に不見識なやり方だと思うのですよ。もし財政制度審議会にはかるのであれば、もう事前にこの予算措置、このような措置を政府がとられる前に財政制度審議会の意見を聞かれたらよろしいのじゃないでしょうか。きょうも私は実はあ然としておるのですけれども、「当面の税制改正に関する答申」が税制調査会の答申としてきょうの委員会の私どもの机の上に出ております。これなんかも実に税制調査会というのは何をやっておるのだろうか。失礼な言い分だけれども、全くアクセサリー的な調査会になっておるのじゃなかろうか。これは少なくともわれわれがここで審議をする前にこの税制調査会の正式な答申というものが委員の手に渡って、そうして審議される性質のものじゃないですか。この種のアクセサリー的なものに、いわば大蔵大臣の言う財政制度審議会を活用するというか、利用するということであれば、これは私はその審議会にはかること自身が非常に問題があると思うのですが、そのあたりに対する政府の見解はどうですか。
○平井政府委員 先ほど御答弁申し上げましたとおり、政府としては現在の解釈は正しいと考える次第でございます。ただ、予算委員会等におきましてそういった御議論もあったわけでございますので、あらためて財政制度審議会の御意見も承るということにいたした次第でございます。
○藤田(高)委員 事前に財政制度審議会の議を経て――ほんとうにまじめな意味において税制調査会なり財政制度審議会を権威あらしめるものとして、その諮問機関は諮問機関としての権威あらしめるものとして活用するとすれば、四十年のときと今回の場合とは同じ性格のものでありながら別の取り扱いをするわけですから、この種の大事なことをやる場合には、事前に専門家の意見を聞いて出すことのほうが妥当ではなかったかということを聞いているのですが、そのことについてはどうですか。
○平井政府委員 先ほども御答弁申し上げましたとおり、政府としては、四十一年度以降の公債発行についてのルールは確立しておると考えておりまして、その意味におきまして、財政制度審議会にあらためておはかりいたさなかった次第でございますが、ただ国会等において御議論もございましたので、あらためて財政制度審議会におはかりをしてみたいということにしたわけでございます。
○藤田(高)委員 これは答弁になっていませんから、あとでこれは次官の見解も聞かしてもらいたいし、あらためて大蔵大臣の見解も聞かしてもらいます。
 そこで、私は一つの提案があります。と申しますのは、きょうのこの税制調査会のなにではありませんが、なるほど十月十一日にそれは結論は出ておりますね。出てはおりますけれども、形式上の取り扱いとしては、今日われわれの手元へこういったものが出るというようなことですから、私は財政制度審議会の二十五名の委員のなにを見てみますと、これはたいへん失礼な言い分ですけれども、会社の社長、相談役、顧問、会長、頭取、総裁、社長というような形で、学者あるいは新聞社等そういう専門家は、ゆるく見て二十五名のうち七名しかいませんね。私は、こういう人だけで財政制度審議会の意見を聞いても、失礼ですけれども意見というものは非常に片寄るんじゃないか。この際、一つの提案があるというのは、どうでしょうか、この種の財政の問題の専門の学者だけで、しかも客観的な意見を、権威ある意見を集約するために、私ども社会党、公明党、民社党、共産党、こういった各党が推薦する学者も含めて、学者の意見を聞くような、そういうことをこの財政制度審議会と並行して、できれば審議会で結論を出す前に、ひとつそういうメンバーによる、私が指摘しておる問題についての解釈を集約するような手だてを政府としてやってみてはどうか、ここまでいわば意見が対立するわけですから。そういう面について政府の見解はどうでしょうか。こういう建設的な意見はぜひひとつ採用してほしいと要求するわけですが、事務当局並びに政務次官の見解をただしたいと思います。
○平井政府委員 財政制度審議会全体の委員の構成について御指摘がございましたが、御承知のように、財政制度審議会にはいろいろな部会がございまして、こういった問題を論議いたしますのは法制部会ということになっております。その法制部会の中心的な立場にお立ちになりますのは学者の先生方がございまして、そちらには学者四名の方もいらっしゃいますし、そのほかかって法制局の部長をつとめられた方であるとかあるいは会計検査院の要職につかれている方だとか、そういったいわば法律上の御見解について詳しい方々を網羅いたしておりますので、そういう点におきましては、いわゆる民間中心であるという御指摘は当たらないのではないかと思います。ただ、そういった御意見がございますが、現在の段階では、そういう意味では一応公正中立な学者の御見解を承っていけると考える次第でございます。(藤田(高)委員「何ですか、最後ちょっとわからない、私の提案に対しては」と呼ぶ)
 先ほども申し上げましたように、現在の構成におきましても、法制部会等につきましては十分そういう配慮がされておりますので、まず法制部会においてそういう点の御検討をいただければいいのではないかと考えている次第でございます。
○田中(六)政府委員 私は、この委員の提案を、まさしくそのとおりにしたほうがいいと思っております。と申しますのは、この財政制度審議会のメンバーだけじゃなくて、各審議会のメンバーを、私、ずっと考えてみますと、頭の中で反すうすると、各部会ともそれぞれ非常に兼任した人が多くて、しかもそれが非常に古い。そういうようなことを考えますと、やはり新しい学者、しかもそれぞれ考えの違った人を持っていくことが国民全般にとっていい結果を生むんじゃないかという気持ちを持っておりますので、その点は藤田委員と全く同じ考えでございます。
○藤田(高)委員 非常に私の質問も建設的であったと思いますけれども……(「初めていい答弁したたな」と呼び、その他発言する者あり)やじのほうが強くてちょっと私の質問が消されましたけれども、やはり佐藤内閣の中にも次官クラスの中にはきわめて真摯な、まじめな次官の存在することを発見しました。私のこの提案に御賛成いただきましたので、これは具体的な問題としてはおそらく私ども野党側にも御相談があるかと思いますが、この財政制度審議会とは別に、権威ある学者を集めて、大事な国の財政の根幹をなす問題でありますから、あまり立場にこだわらないので、わが国将来の財政のあり方、なかんずく国債発行のあり方についてどうあるべきかという観点から、ぜひひとつ私の提案を生かしていただくことを強く要望しておきます。
 若干、時間をこの問題でとり過ぎましたが、続いて私は、国債発行に関する消化能力の問題についてお尋ねをします。これまた時間の合理化をはかるために質問を集約して行ないたいと思います。
 まずその第一は、現在の国債の消化体制、なかんずく市中金融の消化構成というものはどうなっているかということが一つ。二つ目は、この市中金融消化構成が、聞くところによりますと、当初四千三百億の国債発行に加えて、今回七千九百億の国債発行がなされたということで、その消化構成の中身に損害保険であるとか信用組合であるとか商工中金といったような、いわゆる中小金融団体まで消化構成団体に加えるというような、そういう構想があるやに聞いておりますが、そういう考えがあるのかどうか。その場合は引き受けの割合というものはおのずから変わると思いますが、どういうふうに変わるのかということ。それとあわせて、現在四十六年度の国債として四千三百億の国債はどの程度消化されているのか、その消化されている残りがあると思うわけですが、その残額と今回の七千九百億を合わせた国債発行というものは、あとでも指摘したいと思いますけれどもいまの経済界の見通しを含めて、特にこの円・ドル問題との関連等を含めて、年内消化が可能であるかどうか、そういう見通しについて。以上、五点についてお尋ねしたいと思います。
○大蔵説明員 まず、第一点の御質問でございまする現在のシ団の構成でございますが、これは都市銀行、長期信用銀行、地方銀行、信託銀行、相互銀行、全国信用金庫連合会、農林中央金庫、生命保険会社、証券会社、これらのものによってシ団は構成されております。なお、お尋ねの信用組合であるとかあるいは商工中金というものをこれに加えるかどうかという御質問でございますが、現在構成されておりますところのシ団メンバーに、いまの段階におきまして新しく信用組合なりあるいは商工中金なりこういったようなものを加えるという考え方はございません。
 それから、シ団のシェアの問題でございますけれども、シ団のシェアの問題に関しましては、現在におきまする消化のシェアの原則といたしましては、証券会社が結果として年間を通しまして一〇%消化をいたすことになっておりますが、証券会社のシェアが一〇%ということを前提といたしまして、残りの九〇%を、現在の原則といたしましては都市銀行が四三・五%、 長期信用銀行が九・三%、地方銀行が一九・二%、信託銀行、相互銀行、全国信用金庫連合会、農林中央金庫、生命保険会社、これらがそれぞれ三・六%の国債を消化をする、かようなシェアになっておるわけでございます。
 それから、第四番目の御質問でございますところの七千九百億、このたび新しく発行されましたところの国債が消化が可能かという御質問でございますが、何ぶんにも年度途中におきまして一挙に七千九百億という国債が追加発行されることになりましたので、資金運用部におきまして七千九百億のうち二千四百億円を引き受けまして、残りの五千五百億円を市中において消化をするということでございます。最近におきます金融情勢は非常に大幅に緩和基調にあるわけでありまして、国債の消化にとりましてはきわめて順調といえる環境にございますので、また明年一月からは、すでに御承知のように別ワク非課税のワクが五十万円から百万円に上がること、あるいは国債の償還期間を、七年から新しく明年の一月からは十年ものの発行を検討いたしておりますこと、こういったようなこともあわせ考えますると、五千五百億円の市中消化分は順調に消化し得るものと私どもは考えております。
 それから、本年度当初予算におきまして四千三百億円国債の発行が予定されておりましたが、そのうち三百億円は資金運用部において引き受けて、残りの四千億円を市中において消化をいたすことになっておりますが、そのうち十月までに三千九百八億円、すなわち残り九十二億円が消化残となっておりまして、この分の九十二億円の残と新しく追加発行されました分の消化を三月末までに消化をいたす、かようなことになっております。
○藤田(高)委員 前段発行した四千三百億の消化状態は一応理解できましたが、今回の七千九百億の消化の見通しについては、なるほど一般的には現在の時点では、答弁にもありましたとおり、市中金融が緩和基調だということでその消化の可能性は明るい、こういうことでありますが、このいわゆる円・ドル問題で円の切り上げが年内にも行なわれるであろうと、現在多国間調整によって円の切り上げ問題が論議をされておりますけれども、日銀総裁あたりがああいう談話を発表するような情勢から判断をいたしますと、円の切り上げ問題は年度内に一定の決着を見るのではなかろうか、そういうことになりますと、ここで予測されます.ことは、いわゆる投機的外資といいますか、非常に流動性の強い投機的外資がかなり多額に円の切り上げによって国外に流れ出るのではなかろうか。これはいろいろ見方にもよりましょうけれども、ある銀行の見通し調査では、現在百四十億ドルの手持ち外貨のうちで半分の七十億ドルぐらいが動くのではないか、ある説を表す者は、少なくて三十億から五十億ドルぐらい動くのではなかろうか、こういうことになりますと、市中の金融というものは急激に引き締め基調になってくる。そういうことになれば、実質的に国債を発行して、そうしてこの消化期間というものは私は約三カ月か四カ月程度だろうと思いますけれども、その間でそういう国際的な通貨問題等の関連において七千九百億というものははたして消化が可能であるかどうか、そのあたりの見通しをひとつ答弁してもらいたいのと同時に、私がさらに心配をいたしますことは、昨今の新聞論調ではありませんけれども、来年はさらに税の減収が強くなるだろう。さらに政府は来年の減税については渋い態度を表明いたしておりますが、やはり勤労大衆の側からはこの減税をやってほしいという要求も強まるでしょう。不況は来年の六月か八月か知りませんが、それくらいまで長引くというようなことになりますと、どうしてもここで来年度の予算編成に向けてかなり多額の国債発行というものが予見される、新聞紙上ではありませんが、最低一兆五千億から場合によると二兆円にも達するのではないか、こういうふうにいわれておりますが、そういうことになると、この四十六年度の七千九百億の国債発行の消化が見通しどおりにいかなかった場合には、私は、来年度においてこれはかりに――国債発行それ自体のいい悪いはともかくとして、一つの過程として国債発行をやった場合に、来年度の分を含めて国債の消化というものが非常に困難になってくるのではなかろうか、来年の見通しを含めてひとつ政府の見解を承っておきたいと思います。
○林説明員 ただいま御指摘がございました点のうちで、前半の部分に当たるかと存じますが、かりに円が切り上げになりました場合に、投機的外資が海外に流出いたしまして、そのために国内の金融が引き締まりはしないかという部分について、私からお答え申し上げようと存じます。
 お話がございました通貨調整、為替相場の切り上げ、切り下げということが起こりました結果、その以前に流入、流出いたしました投機的ないわゆるホットマネーが逆流をいたしまして、そのために国内の金融に大きなインパクトを与えるというようなことはヨーロッパ諸国ではたびたび経験があることでございまして、今回もいろいろと論議が行なわれているところでございます。同様なことが円につきましても起こるのではなかろうかということがいろいろ心配されているわけでございますけれども、円につきましては一体どういう姿で今回の為替不安、通貨不安が落着するのか、円の切り上げがかりに将来行なわれました場台に、どの程度の幅でどのような姿で行なわれるかということがはっきりいたしませんと正確な予測はむずかしいわけでございます。
 ただ、一つ申し上げられますことは、諸外国における為替投機と異なりまして、日本におきましては、去る八月の変動幅の制限の一時停止という措置がとられましたときにも、幸いにして短期的な海外のホットマネーの流入は非常に少なかった。計測方法はなかなかむずかしいのでございますけれども、八月中の証券投資の流入も一億ドルに満たない状況でございましたし、いわゆる自由円の増加というのも敏速な措置をとりました結果、少額にとどまったわけでございます。したがいまして、そのホットマネーの流出、海外の短資の流出というような事態はそれほど警戒する必要はない。問題は、いわゆる輸出前受けという形で入ってまいりました資金、これがどういう姿になるか、あるいは今回の措置がとられます前にいわゆるドルシフトをした部分が再び円に変わるか、円シフトを起こすかという問題でございますけれども、しかし、その輸出前受けの分につきましては、あらかじめ輸出で代金を受領しております。それが今後輸出いたします場合に、代金を以前にすでに受け取っておりますので、あらためて輸出代金が流入してこないというだけの姿でございますし、また若干の円シフトという点につきましても、それほど大量に、たとえばただいま御指摘がございました七十億ドルあるいは三十ないし五十億ドルというオーダーを考えなくてもいいというふうに考えております。
 いずれにいたしましてもこの問題は慎重に研究をしていかなければいけない問題だとは存じますけれども、一部の方面で指摘されておりますような、格別におそれる必要はないというふうに考えております。前段の部分はそういうことでございます。
○近藤政府委員 国内金融の部面につきまして御答弁申し上げます。
 本格的な緩和基調が続きますかどうか、その点を決定いたします要素は二つあろうかと存じます。
 一つは、ただいま林次長から御答弁申し上げました外為の散超がどういう状態になるか、揚げ超状態に転ずるかいなか。今日までの緩和基調の主たる要因は年度初来三兆円をこしまする外為の散超に原因いたすわけでございますから、その点がどうなるか、これが一番大きな問題であろうかと存じます。そしてその点は、ただいま御答弁申し上げましたような状況で、もちろん確たる見通しは今後の通貨調整の決着のしかたに左右されるところが大でございますので、ただいまのところはもちろんはっきりした見通しは出ないかと存じますが、ただいま御答弁申し上げましたような程度の状態である。一方におきましてもう一つの金融緩和の状態を左右いたします資金需要の面、設備投資がいつごろどの程度に回復をいたしてまいるか、この点につきましてはただいままでのところ、もろもろの調査によりますると相当の時間がかかるのではないかという感じがいたしております。といたしますると、内外両方の要素ともに相当緩和基調は長く続くのではなかろうかというのが、ただいま私どもの考えておりますところでございます。
○藤田(高)委員 いま前段お答えされたなにによりますと、多額の投機的な性格を持つ外貨が出ていく心配はないだろう、これはまあ見通しの問題ですから決定的なことは言えないと思いますが、私は一つのある意味における確率の高い推定といいますか想定として、これは想定は幾つかやるでしょう、政策当局としては。しかし八月十六日の例のニクソン声明があって、そして八月二十八日、変動相場制を採用する約半月ほどの間にあれだけ大きな外貨が入ってきたわけでしょう。そして、その当時たしか七十億ドル程度だといわれておったのが現在時点では百四十億ドルですか、約倍になっておるわけですね。そうしますと、この間に動いたものが全部が全部とは言いませんけれども、いわゆる八月十六日からあの半月ほどの間に動いた四十億ドルないし五十億ドルというこの外貨は、私は性格的には非常に投機的な性格の強い、流動性の強い外貨だというふうにこれは見なければいかぬと思うのです。そうだとすれば、今度円の切り上げがなされ、これは一つの見通しですが、おそらく年内に円の切り上げが固定相場制に何らかの形で落ちつくだろう、そうすれば投機性の強い外貨は円が切り上げになってからじっと持っておる必要はないのですから、これは当然フランスへ出るかドイツへ出るか知りませんけれども外へ出ると見なければならぬと私は思うのですよ。これは私はごく常識的な推定として議論されてしかるべきではないか。そういうことになりますと、いま事務当局が答弁したように、きょうの委員会としてはそうたいした動きはないでしょうという形でこなせるかも知れぬけれども、私は常識的な見通し論からいけば、あなたの答弁というものは非常に信憑性が低いのじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうでしょうか。
 と申しますのは、これが動けば私、前段指摘したように、国債の消化それ自体に重大な問題が起こるでしょう。そうするとあとで私が質問をしたいと思っておる買いオペの問題も、日銀引き受けの問題も、これはあってはならぬことですけれども、やはり国債発行というものは歯どめなき国債発行としてずるずると雪だるま式にふえざるを得ない、こういうことになるのでして、そこの見通しを誤るようなことがあったのでは、私は日本経済にたいへん重大な影響を与えるし、インフレ問題なりわれわれの国民生活、なかんずく物価問題に対して重要な影響を与えるキーポイントですから、ここはひとつ責任のある見通し論を説明してもらいたいと思う。
○林説明員 ただいま御指摘ございましたように短資の流出というものが将来の国内の金融動向に大きい影響があるのは事実でございますし、また将来の短期資本の流出というものがどの程度の規模に達するかというのは実際問題としてなかなかむずかしい予測作業でございます。ただ、私が先ほど申し上げましたのは、諸外国におきますホットマネーの動きと異なりまして、八月以来今日まで、七月末の外貨準備が八十億ドル弱でございまして、その後十月の末百四十億ドルちょっとこしております。したがいまして、六十億ドルほどふえたわけでございますが、この間における短期資本の流入というものの中には、非居住者の持っている資金の流入というものが非常に少なかった。諸外国におきましては、非居住者の持っております資本の流入が非常に大きいわけでございます。非居住者の流入がどういう形で入ってくるかと申しますと、一つは証券投資という形で入ってまいります。それから第二のルートは、いわゆる自由円預金のルートでございますが、このルートを通して入ってきた資金は非常に少なかった。したがって、この部門で出ていく外資というものは、これは七月以降に入りましたものだけではございませんで、ものによりましては七月以前に入りましたものも若干出ていくかもしれません。それまで計算に入れましても、幸いにして為替管理をかなりきびしくやっておりました関係上、その非居住者の持っておる資本の出ていく量というのは非常に限られている。これは諸外国におけるのと違ったところだと思います。
 そのほかに、居住者の関係でいわゆるリーズ・アンド・ラッグズでございますとか、あるいはいわゆるドル・シフトということで、国内で金を借りますのを海外で金を借りるといったような動きがあったわけでございます。その結果、御指摘のように外貨準備がふえたわけでございまして、これは将来における為替レートの調整の姿によりまして若干のものが出ていく。それがどの程度に及ぶか、むずかしい問題でございますけれども、すでに輸出前受けを若干ずつ食っていくと申しますか、輸出前受けで受け取った代金をその後の輸出の代金に充当していくという形での資金流出は、一部に見られているところでございます。そのようなものは、いわゆるリーズ・アンド・ラッグズの戻りというのは、比較的いわゆるホットマネーの動きよりはゆるい形で出ていくのではないかと考えておりまして、その結論を、先ほど概略の見込みとして申し上げた次第でございます。
○藤田(高)委員 なるほど諸外国との相違点を中心にして、この流動する外貨のワクというものは私がいま心配しておるようなものではなかろうという、これは一つの見方でありますが、私は前段指摘したように、やはりここ二カ月来外貨の動きぐあいから見て、それは相当流動性の激しい、しかもワクとしても先ほど指摘したようなものが動くのではなかろうか。そういうことになれば、勢いこの国債発行、国債の消化能力自身にこれは直接的な影響が生まれてこざるを得ない、こう思うわけです。
 そこで、もう時間がありませんから結論を急ぎますが、ここで事務当局にお尋ねをしたいわけですが、私は前段、見通し論としては、かなり動くだろうということをここで警告しておきます。ぜひそういう場合にいまから指摘するような、これは外貨が思ったより大きく動いたから、国債消化ができなくなったということで、この日銀引き受けの国債発行を、買いオペの規定、内規を変更してまでこの国債消化に当たらなきゃならぬ、そういうような事態だけは絶対に起こさないように、ひとつやってもらいたい。
 ここでお尋ねしますが、最近というよりもここ二、三日来、中山伊知郎名誉教授ではありませんけれども、この際思い切って日銀引き受けの国債を発行して、そして建設公債のワクももっと広げたらどうか、こういう意見、けさの新聞では日銀総裁はこれを受けて、日銀の国債引き受けはやりません、こういう形で応酬をいたしております。私は、これは単なる応酬ではなくて、いまの国債の市中消化の見通しなり動きを見ておりますと、あってはならぬことだけれども、そういう事態というものがだんだんと近づいてきているような予感がするわけであります。なかんずくきょうはお尋ねしておきたいわけでありますが、この日銀引き受けについては、これは財政法のたてまえからいっても、厳に禁止しておるところでありますが、政府は現在日銀の内部規定といいますか、処理規定で、国債発行一年以内のものは日銀は引き受けない、こういう規定はありますけれども、これを将来に向けて堅持していく方針であるのかどうか。私は、この問題は単なる内部規定として、日銀内部の内規として処理するのではなくて、いわゆる国債消化の問題と関連をして、インフレ問題にも直接関係のある問題ですから、できればこれを法律的な性格を持たしたものに、いわば法律的な性格からいえば格上げをするような措置を講じて、この日銀引き受けのワクがいつの間にか一年以内のものは引き受けぬといいながら、それがずるずると引き受けるようなことにならないような、そういう歯どめの措置を講ずるべきであると考えるのですが、そのあたりについての見解を承りたいと思います。
○近藤政府委員 現在、一年以内のものは買いオペの対象としないということにつきましては、御高承のように日本銀行法の十三条の三の第四号によりまして、政策委員会に権限をゆだねております。この権限を、あるいはそのことずばりを法律のほうに持たしてはどうかというお話もございますが、この辺はいわゆる日本銀行の中立性の問題にもからむ点でございまして、現在日本銀行法十三条の三の第四号で政策委員会の権限としておりますところを特にこの際変更するという考え方はございません。なお日本銀行当局といたしましては、この買いオペの仕方につきまして全く変更する意思は持っておりません。私どもも、先ほど来藤田委員がたびたび御指摘になりましたような歯どめの必要性というものを痛感いたしております。全く日本銀行とその点は同様の考え方をいたしております。
○藤田(高)委員 この点についていま一つだめ押しをしておきたいのですが、いわゆる来年度の予算編成に向けて国債発行による財源調達をやらなければいかぬという見通しは、非常に強い。そういう条件の中で、きょうの大蔵委員会ではああは言ったものの、やはり実質的な国債消化の能力からいって先ほど外貨の流出等その他の要因もありますけれども、いわゆる今回の赤字国債の処理の仕方ではありませんけれども、客観的な条件が非常に大きく変動した、こういうような理由で来年度あたり買いオペの条件をいま指摘しております内規、この条件をはずすようなことは絶対ないかどうか、少なくとも来年に向けて私はあってはならぬと思うわけですけれども、その点についての見通しですね、それは約束できますか。
○近藤政府委員 先ほど来たびたび藤田委員が御指摘になりましたような点、つまり国債発行に歯どめを設けるべきである、その歯どめをしっかりすべきであるという点につきましては、私どもも日本銀行当局も全く同様の意見でございます。方針といたしまして、ただいまおっしゃったとおりの方針で考えております。
○藤田(高)委員 これは私は念を押す必要もないかと思いますが、やはり事務当局の見解は即政府の見解と解釈してよろしいわけですけれども、なお念のために政務次官からひとつ、いま最後の私の質問に対してお答えをいただきたい。
 私、時間の関係で少し足らなくなりましたから、例の税の減収に伴う地方税の減収補てんの問題については保留させていただいて、これで質問を終わりたいと思います。
○田中(六)政府委員 近藤銀行局長が答えましたとおり、政府も全く同じ見解でございます。
○齋藤委員長 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 いま藤田委員から御質問があったように、あるいは景気の問題にしろ、あるいは景気の問題にしろ、あしたはコナリー財務長官が来るというし、あるいはマクラッケン諮問委員長も四日に参ってお話をしたわけですか、そういう問題について、きょうは私は若干お伺いをしておきたいと思うのです。ただ、何ぶんこれはかなり政治的な問題を含んでおりますので、実は大臣にお伺いをしたいのでございますけれども、いま都合がありますのできょうは御出席になれませんので、あしたコナリー財務長官と会われた直後にこの委員会でこのことに関して質問をするということでございますので、私は水田大蔵大臣でなくとも一応押えられる点として、きょうは第一弾として質疑をして、あとはまた午後に譲りたいと思うわけです。
 まず、国際金融局にお伺いをしたいわけですけれども、いわゆる四日にECの六カ国蔵相会議が行なわれた。それからもう一つは、同じく四日にマクラッケンが日本に来てわが政府と話をしておるわけなんですが、この二点についてEC六カ国蔵相会議での成り行きと申しますか、どういうような方向に結論がついたか、それからマクラックン米大統領諮問委員長とどのような話になったか、その簡単な御報告をまずお願いしたいのです。
○林説明員 二点御指摘ございまして、一つはECの蔵相会議、第二はマクラックンでございます。
 まず第一点につきましては、ECの蔵相会議、これは去る十一月四日にパリの郊外のベルサイユ宮殿で行なわれました。議長はフランスのジスカールデスタン蔵相でございまして……(佐藤(観)委員「中身だけでけっこうです。」と呼ぶ)中身は二つの原即を確認したというふうにいわれております。一つは、通貨調整は世界的規模で多角的に行なわれるべきものである、これが実現しない場合に初めて地域的な解決、これはおそらくEC内部のという意味ではないかと思いますが、地域的な解決をはかりたい。第二は、通貨調整はドルの切り下げ、それから輸入課徴金の撤廃が前提である。通貨間の切り下げ幅とか、あるいはその他のいろいろな問題は、多角的調整の条件が熟するに至った場合に初めて論議が可能になる、こういうふうに申しまして、Gテン会議が来たる二十二、二十三両日午後まで開かれますが、そのときもう一度六カ国が接触をはかるということになった由でございます。これは直接政府当局がキャッチいたしました情報ではございませんで、新聞報道及び現地からの報道を総合いたしました結論でございます。
 第二のマクラックン氏との話でございますが、これにつきましては、同氏は通管調整につきまして直接の交渉を行なうために来たものではございません。企画庁長官あるいは大蔵大臣といろいろと話し合いをしているようでございますが、この通貨問題につきまして格別の話はなかったように聞いております。
○佐藤(観)委員 私はちょっとことば上の確認をしておきたいのですが、いわゆるEC六カ国蔵相会議での多角的ということですね、それから従来多国間で解決すべき問題であるというふうに言われているのは、――多角的というのは、おそらく通貨のレートだけの問題ではなくて、そこに課徴金の問題も含まれ、あるいは輸出の規制の問題も含まれるということで、私は多角的だと思うのですよ。そういうふうにとっていいのかということと、もう一つは従来この協定には十カ国の蔵相会議が中心になってやってきたわけですね。その場合に、やはり十カ国で全部で調整をするということが多国間調整ということだと思うのですが、まずその辺のことばの確認をしておいて、そのあとの私の質問にちょっと関係があるものですから、その辺の確認をしておきたいのです。
○林説明員 多角的あるいは多国間のということばの意味でございますが、これは特に十カ国内とかあるいは課徴金の問題、その他の問題に触れるということよりも二国間に対する意味合いでございまして、各国が相談し合ってきめる。ある国がある国と相談してだけきめないという趣旨というふうにとっております。
○佐藤(観)委員 そこでお伺いしたいのですが、あしたコナリー財務長官が来るわけですけれども、そのときに一番問題になるのは、私もいま林さんが言われたように、そういうふうに解決すべきだというふうに考えておるわけです。その際に、あしたコナリー財務長官が来て水田大蔵大臣と会われるということになると、いわゆる多国間あるいは多角的ということが、水田大蔵大臣のことばで、これはもう少し確認したいのですけれども、大体この十カ国蔵相会議のめどを今度のコナリー財務長官との会談で話をつけたいという趣旨のことも述べられている。これは新聞報道で公式のものではございませんけれども、そういうことになると、従来この委員会なりでいろいろ言われてきたように、多国間で、十カ国蔵相会談できめるべきであるというものが、二国間、つまり日米の水田大蔵大臣とコナリー財務長官との話で大かたの話がついてしまうのではないか。そうなると、日本に与える被害というのは非常に大きいのではないかと私は考えるわけです。
 そこで御意見をお伺いしたいのは、コナリー長官と水田大蔵大臣が会われるということは、二十二日、二十三日に開かれる予定のローマの十カ国蔵相会議に向けてどういうふうに位置づけられるのか、ここである程度目安をつけて、それを二十二日、二十三日のローマの十カ国蔵相会議に持っていかれるのか、それとも単なる腹のさぐり合いなのか、その辺のところは、今度の会談というのは、どういうふうに位置づけられて考えられているのか、その辺をお伺いしたいのです。
○林説明員 大蔵大臣とコナリー財務長官との話し合いがいかなることに相なりますか、これはきわめて政治的な問題でございますので、私から申し上げるのは不適当かと存じます。ただ、私が理解しておりますところでは、十カ国蔵相会議あるいは蔵相代理会議あるいはOECDのその他の場を通じまして多角的な意見調整がはかられております。ただ、多角的な会議では会合する人数も多うございますし、したがいまして、会議と会議との間あるいは会議が開催されている期間に会議と並行して二国間あるいはたとえばEC国の間、これをその十カ国というわけではないわけでございますが、その他の各種の二国間あるいは多数国の会議が十カ国蔵相会議などと並行しあるいはその間に行なわれることは、なるべく早く通貨問題の解決をはかる上にきわめて重要な過程であるというふうに存じております。日本とアメリカとは、今回の通貨調整に関しましてはきわめて重要な国であると目されているわけでございます。したがいまして、日本の大蔵大臣とアメリカの財務長官との話し合いというのが世界の注目を浴びることは当然でございますけれども、そこでどこまで話がされ、詰まり、そして多国間協定、多角的調整にどれだけ貢献するであろうかということは大臣からお話し申し上げませんと、私からはお答えいたしかねる次第でございます。
○佐藤(観)委員 今度コナリー財務長官が来たときに、おそらく円の切り上げは最低一五%ということを言うと思う。それに対して政府は大体一二・五%くらいができるぎりぎりのところだ。たとえば切り上げ問題についてもそれだけ意見が違うわけですが、これは単なる日本とアメリカだけの話ではなくて、あるいはECの動きなり、これと関連をして国際間でやはり調整というか解決をされなければいけない問題だと思うのです。その際に御存じのように、これはパッケージ方式で、いわゆる防衛分担金の問題から輸入課徴金の撤廃の問題、対米輸出規制の問題、あるいは自由化の問題と、こういうようにいろいろ問題がからんでいる上に、さらにEC六カ国の中の話もからんでいると思うのです。ですから、私は、ここでコナリー財務長官とかなり詰めた話をするということは、非常に今度はそういう意味ではこの前の十カ国蔵相会議のときに、日本がイニシアチブをとってまず皮切りに円の切り上げをすべきであるという論議も事実あったわけですから、そういう危険というのも一つはらんではいないか。つまりECの出方を見ながら、やはりこちらも発言をしていかなければいかぬだろうし、それにしてはやはり二国間で、日米で話をするということは、私は繊維の例を出すまでもなく、かなり押し切られる心配があるんではないか、そういうふうに思うのですけれども、その辺の心配について大蔵省内部あるいは国金局としては、今度の話がきわめて政治的であり、中身がどこまで詰まるかわかりませんけれども、そういう心配ですね、つまりこれはあくまでECの出方との関連の中でやはりわが方も話を出していかなければいけないのじゃないかと思うのですが、その辺のところ、きわめて政治的な問題になってくるので非常に答えにくいかもしれませんけれども、そういう意味で今度のコナリー財務長官との会談というのは、大蔵省としてはどういうふうな段階で、二十二、二十三日に行なわれる予定の十カ国蔵相会議へどういうふうに位置づけられているのか、もう少し御説明をいただきたいと思います。
○林説明員 ただいまお話がございました、米国側は最低一五%以上でなければ承知しないとか、あるいは政府は一二・五%までならよいがそれ以上は困るというような話は、あるいは新聞には報道として出ていたかもしれませんが、私どもは一切そういう話は聞いておりませんし、また、私どもが一二・五%ならいいとか、その種のことを内部で論議したこともございません。ただ、御指摘のとおり通貨調整というのは二国間だけできめられる問題ではございませんで、多角的なあるいは多国間の総合的な通貨問題の解決をはかるために二国間の話し合いがきわめて重要なことは事実でございますけれども、二国間だけで万事きめてしまうわけにはいかない。その意味からいたしますれば、日本がいろいろの問題を考えるにあたりましても、日米間の事柄ばかりでなく世界全体、その中には当然ECとアメリカ、カナダ、日本との関係、あるいはEC内部における独、仏、伊、あるいはオランダ、ベルギーといった国との相互の関係などもいろいろ考慮に入れながら判断をしていかなければいけないのも事実でございます。そのような点は、お話のございましたとおり、極力広い範囲で考えましてものごとに当っていきたいというふうに私どもも考えております。
○佐藤(観)委員 ちょっと林さんのことばじりをとらえるかもしれませんけれども、二国間できめられる問題ではなくて、私はきめるべきではないというふうに理解しているわけなんですね。
 それでもう一つお伺いしたいのは、二日の閣議で、コナリー財務長官以下いろいろの方が見えるわけですけれども、これらの要人との話し合いについて、通貨問題についての話し合いは水田蔵相が窓口になって当たる方針をきめたといわれるのですが、いわゆる通貨問題についての話し合いは、――ということは、私は先ほど申し上げましたように、おそらくアメリカは防衛分担金の問題とかあるいは対米輸出規制の問題とか――まあ防衛分担金の問題になると、これは単なる防衛庁の問題ということではないだろうし、それから対米輸出規制の問題というようなことになってくると、これは業務としては通産業務になるだろうし、そういう面で、自由化の問題もこれも通産省ということになると、通貨問題の窓口は蔵相が一本になるということは、これはどういう意味ですか。
○林説明員 閣議の内容でございますと、私から正確に御説明することはできないわけでございますが、ただいまいろいろ御指摘ございましたように、対外経済関係、いろいろの事柄がお互いに複雑にからみ合っております。通貨問題一つ取り上げてみましても、通貨問題の背景には、資本取引のほかに貿易その他の貿易外取引、いろいろの問題がからんでいるわけでございますし、日本の輸出競争力が強過ぎるという非難に対しまして、レートの調整で対処するべきであるか、あるいは輸出金融の関係のいろいろな施策を講じるべきであるか、お互いにからみ合っているわけでございます。ただ、私が聞いております範囲では、通貨問題は、これは大蔵大臣が所管であるから、したがって、いろいろな方がいろいろな発言をされると混乱を来たしてもいけないから、大蔵大臣が、何と申しますか、もっぱら衝に当たるというふうに御了解があったというふうに承っております。
 その他の問題につきましては、いろいろおそらく御調整になることであろうと存じております。
○佐藤(観)委員 政務次官にお伺いしますけれども、いま林さんからお話があったように、いわゆる今度の通貨調整というのは、円切り上げをどこまでするか、ドルをどれくらい下げるかという単なる通貨だけの問題ではないことは御承知のとおりだと思うのですけれども、円の大幅切り上げを向こうでは要求してくる。それとからみ合って、カラーテレビとか自動車とか電卓などの対米輸出急増品の自主規制あるいは農産物の輸入自由化、航空機、ミサイルなどの大型兵器の購入、いわゆる防衛分担金の問題、こういうようにいろいろな問題がからんでいる。いわゆるパッケージ方式でコナリー財務長官は全権を委任されて来るということで、こちらのほうは、会われるのは大蔵大臣あるいは農林大臣、通産大臣あるいは経済企画庁長官、この四人ぐらいにおもになってくると思うのですけれども、その全体の調整をとるのは、だれがとられるのですか。
○田中(六)政府委員 この調整は、閣議できめましたように、窓口を大蔵大臣一本にしぼるということでございますので、中心は大蔵大臣がなると思います。
○佐藤(観)委員 しかし、いわゆる資本自由化の問題あるいは対米の輸出規制の問題あるいは自由化の問題、このあたりはやはり所管はいわゆる通産省になるから、いま林さんが言われたように、円の切り上げの問題、通貨問題と申しますか、これを一手に大蔵大臣が窓口になるというのと少しニュアンスが違うのじゃないかと思うのですがね。一体この調整というのは、だれがとるのですか。
○田中(六)政府委員 この円の切り上げの問題は、御承知のように円の切り上げ問題だけではなくて、たとえば輸入課徴金もこちら側に言わせればからんでおりますし、向こう側に言わせれば輸入の、つまり日本の自由化の問題がからんでおりますし、いろいろからんでおりまして、通産あるいは経企庁、農林、そういうところが一応コナリー財務長官と会うわけですが、締めくくりといたしましてはやはり通貨とからんでおる。円の問題が一番大切な問題で、それにからんでおる問題ですから、やはり集約的には大蔵大臣がやるという方針で政府はきめておるわけでございます。
○佐藤(観)委員 それで、もう少し通貨調整の今後の見通しについての中身についてお伺いしたいのですけれども、とにかくいまの情勢では、ドルを切り下げないということなものだから、いまIMF体制そのものの根幹がくずれていて、金とドルとは交換を停止しておりますから、そういう意味では、それが復帰しないと、ドルを切り下げるということを言っても、金価格を上げると言っても、事実上意味がないといえば意味がないと思うのですけれども、このごろ最近言われている基準レート、ピボットレート方式、これは何かある程度既成の事実のように言われているのですけれども、これはこの前の十カ国蔵相会議のときにある程度確認をされたことなんですが、十カ国間で。あるいはまあいまの現状ではそれしかやむを得ないという方向で、大体そういうようになりそうだということなんですか。ある報道によれば、この前の十カ国蔵相会議でこの方法しかあるまいという、率についてはいろいろ、もちろん英、仏、独みんな違うわけですけれども、いわゆるピボットレート方式で今後調整していこうということについては大体一致しているのですか。
○林説明員 そのいわゆるピボットレート、あるいは新聞に出ております対ドル基準レートというものが、正確には何をさすのかというのはまだばく然としている段階でございまして、はっきりと御説明申し上げかねる点がございます。ただ、一つだけ申し上げられます点は、IMFの国際通貨基金協定の第四条の第一項、これが「平価の表示」という規定になっておりますが、これによりますと、その(a)に「各加盟国の通貨の平価は、共通尺度たる金により、又は千九百四十四年七月一日現在の量目及び純分を有する合衆国ドルにより表示する。」というふうに書かれてございます。ただ、このように金の表示がございましても、金との兌換が何らかの方法で保証されておりませんと、意味のない金表示になってしまうわけでございますが、世界の中でただ一つ、金の交換を約束してまいりました米国が、八月十五日のニクソン大統領の新経済政策以来、金とドルとの兌換を停止しておりますので、したがいまして、各国の平価というものは、その後の各国当局の通貨の量と相まちまして、現在平価体系はくずれている状況でございます。
 これを再び建て直しますために、いかなる方法がよろしいかということにつきましては、いろいろ論議されているわけでございますけれども、さしあたりドルあるいはそのほかの通貨の金兌換を復活するめどが立たない。したがいまして、金との結びつきを求めてそこへ持っていこうとする前に、何らか中間的な措置でも講じまして、それによりまして各国通貨間の相対価格だけでも安定していきたいという気持ちが各国当局間に強くなっているわけでございます。去る十月の十九、二十日のパリの十カ国蔵相代理会議におきましては、特にその点は合意されたわけではございませんけれども、大体の雰囲気といたしまして、このような方向にいくという一般の合意がきまりつつあるという感じであったというのが正確な報告だと存じます。
○佐藤(観)委員 それについて、万が一というかそのピボットレート方式できめた場合、たとえばマルクにしろ、フランにしろ、そうなるとある程度の切り上げになる。もちろん円も切り上げになるでしょうね。その際に、結局現実的にはIMF体制でいま金とドルとが兌換を停止されておりますけれども、そのとき、兌換されるときと同じようなレート、つまりピボットレート方式であってもIMF方式であっても、具体的にはその表示額というか、切り上げ幅についてはほぼ同じと頭の中で考えられているのじゃないですか。ただ基本的にはピボットレート方式で、たとえばフランならフランが七%切り上げになるという例をとりますと、これがIMF体制ができていたとしてもやはり七%、ピボットレート方式でもやはり七%というように、現状では頭の中では考えられているというふうに考えてよろしいですか。
○林説明員 現在考えられておりますのは、これも各国それぞれ正確に表現したわけではございませんけれども、国際通貨体制を暫定的にでも安定させたい。安定させるという意味からいたしますと、将来為替レートが変更になる可能性が十分わかっている状態では暫定的な安定も得られないわけでございまして、したがいまして、一たん通貨間のレートをきめましたならば、これは安定したものと受け取られる。将来何らかの措置がとられれば当然変更されるという性格のものではないというような姿のものになる可能性が多いというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 そうしますと、いわゆる金価格の引き上げということも当然行なわれないわけだし、それから金とドルとの交換というものが半永久的になるという可能性というのはそこで出てくるのじゃないですか。やはりそういう一つの制度、この方式自体は、いま次長が言われたように、ある程度期間的には長い間そのレートで交換されるものというふうに考えるべき性格のものだと私も思うのですね。そういうことになると、ますますアメリカとしてもドルと金との兌換をしようという雰囲気にもならぬし、それから金価格の引き上上げということ、まあこれは兌換がいま停止されているから意味がないといえば意味かないかもしれませんけれども、そういうことにもならなくなってくるのじゃないかというふうに思うのですけれども、それはそういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○林説明員 金価格の引き上げの問題と金兌換の問題とはやはり性格が違う問題でございまして、金の兌換につきましては、米国あるいはそのほかの国が、他国の持っているドル債権あるいはその他のその国の通貨建ての債権に対しまして金の兌換に応じるという問題は、なかなか実際問題として実現が困難であるというふうに存じております。
 金価格の引き上げの問題につきましては、これはやや様子が違っておりまして、いわゆるピボットレートというのを採用いたしましたときに、金価格の問題を完全に避けて通れるものか、あるいはそうでないものかという点につきまして、まだ完全に意見は一致していないようでございます。これはピボットレートというものの考え方でございますが、このピボットレートというのが各国通貨間の交換レートということでございますれば、これは金価格と直接の結びつきはないわけでございまして、ただ、ある国が他国との通貨の交換率をきめるに際しまして、金価格の引き上げをぜひやってくれ――一応兌換の裏づけのないものでございますが、そういう国があるいはあるかもしれませんし、その問題はあと回しにしてもよろしいという国があるかもしれませんし、その問題はなお今後検討をしていかなければならない問題であるというふうに存じております。
○佐藤(観)委員 いや、次長の言われること、ぼくはよくわかるんですよね。ですから、一つはレートが変更になる。これは次長が前に言われたように、ある程度安定的な通貨、安定的な為替相場をつくるために、ある意味では半永久ということばはちょっと語弊がありますけれども、ある程度の期間このレートでいこうというものだと思うのですね。そういう状態になる。それからそういうふうにピボットレート方式を採用していくとなると、今度は金の兌換、いわゆる正常なIMF体制に戻るということへの意欲というか、ある程度ここで安定をしたのだからこれでいいじゃないかということで、金とドルとの兌換の問題については再燃しないというと変な言い方ですけれども、そういうふうになっていく可能性というのは非常に強くなってくるのじゃないかというふうに思うのですね。
 基本的には、私はやはり今度の通貨調整の問題というのは、いわゆるアメリカの対外援助あるいは軍事援助あるいは資本の海外流出、こういうところに基本的によっている問題だから、ドルの切り上げというのをまずアメリカ側から言い出さなければいかぬという基本的な態度があるわけですね。そういう観点から申しますと、ピボットレート方式を大体きめるということになると、この価格である程度通貨が安定するということになれば、このレートというものがある期間使われるわけだし、そうなってくると、いわゆるIMF体制へ戻ろうという意欲というか、それ自体が非常に半減するというか、アメリカとしても金とドルとの兌換、いわゆる正常な位置に戻すということについての意欲というものは非常になくなってくると思うのですね。ピボットレート方式の採用というのは私はそういう意味を持っていると思うのですけれども、その辺のところはいかがですか。
○林説明員 ただいま御指摘になりましたIMF方式に戻るかどうかという問題は、長期的な国際通貨体制、安定した半恒久的ないしは恒久的に長続きするような通貨体制をどういうふうにして再建していくかという問題につきましては、利害も錯綜しておりますし、また考え方もまとまっておりませんので、したがいまして短期間にこの問題に解決を見出すことは困難であるということで、とりあえず急ぐことは、各国通貨間の相対的なレートの固定である。その固定というのも、直ちに固定するのはむずかしいから、現在のような、IMF協定の現在の規定に定められておりますような上下一%の変動幅ではむずかしいから、これを若干広げて、その二・五%とか三%くらいまでに広げて、そしてややゆとりを持たせながら各国通貨間の交換レートだけは固めていきたい。そしてとりあえず国際的な、何と申しますか、取引は安定した軌道の上に乗せておいて、恒久的にどういう仕組みの上にそれを乗せていくかという問題は追ってきめようというのが基本的な態度でございます。それで、金免換の問題は、どちらかというと恒久的な問題のほうに入りますが、金価格の問題はどうかという問題でございますが、各国通貨間の相互の交換レートという意味からいたしますれば、直接には金価格との結びつきは関係がないわけでございます。しかし、金価格の引き上げ、引き下げというのは、各国通貨間のレートを新たにきめるにあたりまして重要な問題である。それがきまらないと、各国通貨間のレートそのものもきめられないという意見の国もあるわけでございましてその点は、相互間の交換レート固定の問題の一環として考えていけばよろしいのではなかろうかというふうに考えております。
○佐藤(観)委員 まあ、あしたコナリー財務長官と水田大蔵大臣が会われるので、実はその前にいろいろな点を念を押したかったわけなんです。いろいろ時間のぐあいでできませんので、一つは、二国間であまり詳しくと申しますか、やはり十カ国蔵相会議の場で、その間でやれば、相手の、つまりEC六カ国の見方がわかるわけですね。それとの関連でこの問題は解決していかなければいけないんじゃないか。そういうことから考えて、コナリー財務長官との会談というのは、あくまで意見を、はやりことばで言えばテークノートしていく。それによってこちらもものを考えるという程度に押えておくべきじゃないか。押えておくべきだと私は思うのです。
 それから、ピボットレート方式、これはいま次長言われたように、必ずしも内容的には固まったものではありませんけれども、これももう少し慎重に考えてみる必要があるのではないか。確かにいわゆる八月十五日以前のIMF体制に戻ること自体が現在国際通貨の問題としていいかどうかということは、当然問題があるわけですから、それはそうなんですけれども、単に安易にその場しのぎでやることは、問題の本質をまたそらしてしまうことにならないだろうかというふうに考えているわけです。そういう意味で、ひとつ大臣に政務次官のほうから、財務長官と会われるときには、これは単に二国間だけで話し合いがつくことではないからということで、あまりこまかいところまで――どうもこのごろの日米間の話し合いということになると、繊維の問題に見られるように、アメリカに押し切られるわけですから、ひとつその辺を注意していただくように、そしてまたあした機会があれば、水田大蔵大臣とコナリー財務長官との会談後にさらに詰めて質問したいと思います。
 きょうは、そういうことでございますので、これで終わらしていただきます。
○齋藤委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後一時五分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時五十九分開議
○齋藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。堀昌雄君。
○堀委員 先般、所得税法について質問をいたしましたときに、事務当局のほうに資料を要求したわけでありますけれども、ひとつ事務当局からお答えをいただきたいのでありますが、最低税率が一〇%以下を適用されておりますところの課税所得、要するに三十万円以下の納税者の人員は大体どのぐらいになりますか。この間も申し上げたように、この部分の階層に当たる人たちは、今回もそうでありますが、常に税率改正その他のときには、言うなれば死角のようなところに入っていて、影響がいつも受けられない、こういう立場になっておるわけであります。その点を含めて、一体どのぐらいの人数の人たちがこの部分に該当をしておるか、お答えをいただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 手元にあります昭和四十四年の民間給与実態調査によって、きわめて大ざっぱに推計してみますと、民間給与実態調査によります納税人員千六百九十二万七千人のうち、約五九%に当たります九百九十五万人が、ただいま言われました課税所得三十万円以下の人数に当たるという推計ができます。
○堀委員 昭和四十六年度の納税人員というのは大体幾らと推計をしていますか。
○高木(文)政府委員 給与と営業その他全部合わせまして約二千七百万人と考えられます。
○堀委員 いまの民間実態調査で五九%という比率が出ておるわけですから、これをいまの納税者人員に機械的に掛け合わしてみれば、大体六〇%として見て千六百二十万人、約千六百万人くらいの納税者がここの部分に当たっておる。これは大臣、いま私が触れておりますことは、現在の累進所得税構造の中で常に取り残される部分の納税者が、おそらくあなたが予想しておられるような問題よりははるかに大きな数字になっておるというふうに私は大蔵大臣としても認識を改められたと思うのでありますが、このような非常に膨大な納税者が常にそういうような税制改正の際に取り残されるという問題は、これはきわめて重要な問題だと思うのですが、大蔵大臣はこれについてどういうふうにお考えになるか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
○水田国務大臣 それらの人たちも、税率の恩恵は受けないということは御指摘のとおりでございますが、しかし、所得控除の効果というものは全員が受けるということでございますので、したがって、控除を多くする、控除だけに限るというような減税のしかたをやったら相当の効果を受けるということになると思いますが、いつも申しますように、今度の減税は率の効果と控除の効果、これを加えてできるだけ多数の人にその恩恵を及ぼすようにという趣旨から、この金額も大体見合った金額の減税をやったということでございますので、こういうことになったわけでございます。しかし、全然この課税所得三十万クラスの人に減税の効果が及ばぬというものではございません。
○堀委員 いや、いまあなたがおっしゃったように、この千六百万人の人たちというのは控除だけは有効にきくわけです。いいですね。いまあなたは、できるだけ多数の人に減税の効果を、とこう言われたわけですね。多数の人というのがこういうところにある千六百万人であり、要するに、この間からたびたびここで触れられておりますけれども、所得が三百万円以上の人たちというのはまさにネグリジブルな数しかないのに、あなたは非常にそこのところを強調されておるわけです。もう一ぺん主税局長のほうから三百万円超の納税者数と比率を正確に答えてもらいましょう。
○高木(文)政府委員 三百万円でいいますと、約二・五%強であります。
○堀委員 いまお聞きになったように、あなたは多数のために、要するに八百億を使って多数の、九七・五%のためには不十分な措置をとっておる。特にその中で――まあしかし九七・五%の中でも税率の恩典に浴する者はあるわけです。あるのですけれども、その中の主たる千六百万人というのは税率の恩典はゼロである。これを見れば私は今度の、この前も前段で触れましたけれども、皆さんのとっておられるやり方がいかに不合理な減税であるかということが問題になると思うのです。
 そこで、私はこの不合理だけを強調しても、もうそのことは同僚諸氏の質問の中でも明らかでありますので、今後大臣はこの一〇%の千六百万人の階層に対して考え方があるのかどうか。私はやはり戦前の税制の問題を考えれば、この前もちょっと触れましたけれども、基礎控除を上げる方向と同時に、最低税率を徐々に下げていくという問題を考慮する必要があるのではないか。それをどこまで下げるかは、最低税率と控除の上がり方と両方あわせていくことによって合理的にこの部分を小さくすることは可能だ、こう考えております。大臣、いかがでしょうか。
○水田国務大臣 この最低税率の問題は、堀さんも御承知のとおり、いままで税制調査会でも何回も研究されて、もう二回政府に対して答申が行なわれておりますが、諸外国の例を見ましても、とにかく一〇%以下の最低税率というものはやはり妥当ではない、できるだけ課税最低限を多くして、そうして所得水準の上がった者へ税をかけるという方向で、税率はやはりできるだけ高くしていく。一〇%前後が妥当であろうというので、もと八%前後のものを一〇%に苦心して持ってきて、そうしてさらにそれを上げるか上げないかというときにまた税調の答申が出まして、ただいまの一〇%程度が妥当だろうという答申も得ておりますので、ここにとどめておるということでございます。
 私は、やはり国民の所得水準が上がるに従って課税最低限も上げていくということはやりますが、最低税率を下げるという方向は、これはいままでのいきさつから見ましても、簡単にやらぬほうがいいのではないかという気持ちを持っております。
○堀委員 私が言っておりますのは、課税最低限を上げていきますと、そこから税の負担がゼロになる、そこからその次の階層のところで一〇%、ここの部分に千六百万人いまあるわけですね。一番不公平な処置がここで起こるわけですよ。よろしいですか。その下のところは課税ゼロ、最初の課税になってきたところのこの三十万円の所得部分についてだけ一〇%で、一ぺんに飛び上がる。そこからあとはおわかりのように税の刻みは小さいのですよ。だから、やはりここを少しなだらかな線にするということは、特に諸外国のことを言われるけれども、私がいまここで例示したように六〇%の者がここにあるということは、この問題をないがしろにしてはならぬという重要な問題じゃないですか。所得構造の変化の中でこういう事態が現実に起きておるという認識を、やはり大臣にしてもらわなければいかぬと思うのです。
 これは実は技術的な、課税の事務的な問題だと言われておるけれども、実際にはこのほとんど大部分というのは源泉徴収になっておるわけだから、税率が幾らであろうと、源泉徴収表をつくってあればそれを見て処理をするので、これが八%であろうと七%であろうと――一〇%が区切りがいいからなるほど計算上やすいかというと、現実の税の事務的な手続においてはそんな問題では実はなくなっておるわけですね。だから、私は現実に六〇%、千六百万人の者がここにあるという現実を踏まえて、その下は控除がきいてきてゼロだ、ゼロからぽんと一〇%に飛び上がるところに一番たくさん人間がいて、そしてそこが一つの死角のようになってくるという問題は、やはり私はもう一ぺん現実を踏まえて再検討を必要とするんじゃないか、こう思っておるわけです。どうですか。これがほんとうの大衆のための減税じゃないですか。二・五%のほうに比重をかけるというのが自民党政府の主たる政策というなら、これは私はやむを得ませんよ。国民に大きな声で言ってもらいたいわけなんです。自由民主党政府は二・五%が大事なんだ、われわれは六〇%の国民が大事だとこう考えておるのです。どうですか。
○水田国務大臣 それは私は考え方だと思います。そうすれば課税最低限もそう本気になってやらなくても、税率の調整でできるということになりますが、いままで考えておった方向は、一定の所得水準まではもう税をかけない、しかし、課税最低限を上げて、所得水準がこれ程度の高さであったら所得税を負担してもらってもいいというふうになったものについての最低税率は一〇%くらいから始めるのがいいだろう、こういう考え方でいままで来たのですから、なるたけその水準までいかないものには所得税をかけないという思想でいくのか、そうでなければ、この公平にいくというなら、小刻みにずっとして、その課税最低限というものにそうこだわらなくても、小刻みにずっといけば税は一番公平にいくということになるのですが、私はこれはやはり税制としての考え方の問題であろうと思います。私は、もう一定の水準までは税をかけない、この程度の水準なら税を負担してもらうという、きまった層に対する課税は、最低限やはり税制としては一〇%前後からというのが至当じゃないか、そういうふうに考えております。
○堀委員 いまの刻みは、一〇%の上は一体あなた幾らになっておると思いますか。大臣、幾らと思っていますか。一〇%の次は幾ら、次は幾ら、こうなっているのか。ちょっと大臣から一ぺん答えてもらいたい。そこがわかっていないから、いまのような答弁が出るのだと思う。――事務当局、黙っていてください。大臣、幾らですか。一〇%の上の税率は。ちょっと答えてください。
○水田国務大臣 二%アップ。
○堀委員 その次は幾らですか。
○水田国務大臣 大体二%アップ。
○堀委員 言ってくださいよ、答弁を求めているんだから。大体じゃ困りますよ、税金の税率だから。
○水田国務大臣 大体二%、三%、四%という刻みだったと思います。
○堀委員 二%、三%、四%。主税局長、正確に一ぺん答えてください。
○高木(文)政府委員 一〇%から一二、一四、天と、こう上がっていきまして、それから一八、それから今度は二一になります。それから三%刻みでいきまして二七、三〇までいって三四。
○堀委員 いま大臣のはちょっと正確でないから、確認をしておいたわけですけれども、要するに一〇%の次は一二%ですよ。その次は一四%。この差二%ずつですよ。よろしいですね。最初のところはゼロから一〇%まで飛ぶのですよ。五段階を
 一挙にここの間に飛んでいるから、千六百万人という六〇%の人間がここに入っているのじゃないですか。戦前の税制は、水田さんも御年配だから、戦前の所得税率の一体スタートは幾らだったか、御存じですか。
○水田国務大臣 千二百円。
○堀委員 税率ですよ、最初の税率。
○水田国務大臣 たしか二%以下だったと思います。
○堀委員 そうなんです。戦前の税率は二%が基本になったわけです、スタートが。だから、私がいま言っておることは、少なくともそれは二%にするというのは、これはたいへんですよ。しかし、もう少しこの間に刻みができて、まず八%のところまでつくってみて、それから今度は六%ができてというように、少しその間をなだらかにしないと、いまの一〇%のところは飛び上がって、そこからは一二、一四、二八というなだらかな線になる。このカーブのところに、立っておるところに千六百万人がおるという問題は、これは水田さん、税の問題としては非常に重要な問題ですよ。
 だから、大衆のための減税ということを考えるならば、これは私は当然この問題を検討する必要がある。確かに控除を上げていけばこの階層は減りますよ。減るけれども、立っている部分は依然として所得が上がっていきますから、残るわけですよ。だから、ここのところをやはり私はもう一ぺん再検討する時期に来ておるということを特にこの際強く申し述べておきたいと思うのです。割り当ての時間もありませんので、この点についてひとつもう一ぺん税制調査会を含めて、この現実を踏まえた上でこの税率改正の問題については今後ひとつ検討を進めるということをお約束をいただきたいのです。
○水田国務大臣 控除と税率と、これはあわせて検討したいと思います。
 で、いままでは御承知のとおり、税制調査会もそういう考え方でいましたし、私どももその考え方をとってこの委員会でもこの最低限を上げるということによって、税率は、一〇%以下の税率は最低一〇%に直そうという方向で御同意を願って、
 (堀委員「そんなことはない」と呼ぶ)やってきた方向だと私は思っております。
○堀委員 終わります。
○齋藤委員長 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、今後の税制改正は四十七年度にまたがっているものである、こういうことでお考えのようでありますが、四十七年度は所得減税の法案を出すお考えはないのかどうか、端的に。
○水田国務大臣 いまのところは、ほかの税制は四十七年度、これから検討いたしますが、所得税は四十七年度に実施しようと一応考えておるのをこの年内減税をするということにしましたので、この税制はそのまま四十七年度に及ぶものとして、新しく所得税の減税をいまのところはこれで考えないという立場で今回提出したものでございます。
○広瀬(秀)委員 そこで問題なんですが、いま堀委員からも問題が出されましたように、この低額所得のところにきわめて薄い減税を今回やられる、そうして高額所得層に対するもうたいへんな大減税をやられたわけであります。そういうことから見ますると、ただいま堀委員から指摘があった問題も非常に大きな問題だし、また私どもが考えなければならぬことは、ことしの四月から実施された所得税法改正案、前の国会で審議をした千六百六十億円所得税減税法案ですか、この際にもいわゆる経済企画庁の経済見通し五%、これはその後五・五%に修正されたが、五%ということで物価調整減税、いわゆる物価調整減税分として七百四十億がこれに当たる、こういうことになっているわけですね。物価調整減税は御承知のように、税制調査会でもいっておりまするように、「所得税の負担が実質所得に対応する税額(実質所得に対して累進税率を適用して得られる税額に消費者物価の上昇率を乗じて得られる金額)に相当する負担であれば、別に問題はない。しかるに実際には、名目所得に直ちに累進税率が適用され、消費者物価の上昇に相当する部分についても一律に累進税率が課せられるので、その税額は、上記の実質所得に見合う税額よりも当然に多くなってくる。」こういう理論構成のもとに物価調整減税というものはやらなければいけないのだ、こういうことになっているわけなんです。自来、これは三十六年以降、非常に物価の上昇が急激であった。五%台をこえるというような状況になって、税制調査会でも、この物価調整という問題を税制改正において無視することはできないのだということで、ずっとそれから以来毎年物価調整減税というものがやられてきたわけです。ことしも五・五%に見通しを変えた。しかし、木村企画庁長官が参議院の予算委員会で明らかにしたことによっても、もうことしは六%をあるいはこえるかもしれぬということを企画庁長官みずからが言っているわけです。この傾向というのは、このドル・ショックによる不況にもかかわらず、物価高騰ということは来年度にも持ち越されていくであろう、おそらく来年度も少なくとも五・五%とか六%をこえる物価上昇というものが必ずこれはあり得る。そういうことになりますと、ことしの税制改正の際にも、大蔵省の資料で五%の物価上昇ということを前提にして、さらにまた、給与所得の上昇率というようなものが一四%あるいは人員増によって給与総額は一七%というようなことで、七百四十億は物価調整減税分である、こういう説明がなされておるのです。来年絶対物価が上がらぬというならいいです。しかし、物価はおそらく六%ぐらい上がるであろう。こういうときに物価調整もやらない、こういう考えなんでございますかどうか。
 その点を少なくとも、私のまあこれは腰だめの数字でありますが、ことし七百四十億物価調整を必要としたとするならば、来年はこれはおそらく八、九百億ぐらいな物価調整を必要とする状況になるのではないかということが容易に見通される。その分だけこれは実質負担増になっていくということが言えると思うのであります。したがって、その分をすらやらない、こういうことでありますか。
○水田国務大臣 その点は、来年度分の物価調整も今年度もう実施したという形になっておると思います。今年度の千六百五十億の来年度の平年度化は二千四百億前後にいくでございましょうし、その中で物価調整のものはりっぱに見られている、こういうことでございます。今年二度やっておりますので、これが三千三百億円が来年度平年度化するということになりますというと、来年度当初私どもは約五千億の減税というようなことを予定していましたが、五千億には少しならぬかもしれませんが、来年度四千七、八百億円の平年度化という点から見ますと、効果を持った減税になるのでございますし、その中で物価調整も、かりに物価が七%前後上がってもりっぱに見られているというような大体計算になっておると承知しております。
○広瀬(秀)委員 これは、この今回の減税によってそういう効果があると言われるけれども、私どもはそうではないというように考えるわけで、この点論争している時間はありませんけれども、来年の所得減税は、いろいろこの委員会で指摘をした諸問題もあるわけでありますから、ぜひひとつ特に低所得者層に対するあたたかい配慮というものがあってしかるべきだということはもうずっと今日まで論議をしてきたわけでありますから、それらを踏まえて、物価調整の問題も、おそらく来年七%上がってもだいじょうぶだと言われるが、絶対にそういうことはないと私どもは確信をしているわけで、実質増税にならない措置というものを必ずとるように要求をいたしておきます。
 時間がありませんので、最後に一間だけですが、今日ドル・ショックにより中小企業も非常に苦しい立場に追い込まれておりますが、その中で中小企業減税というものがこのところ非常に怠られてきているというように考えるわけであります。特に青色申告所得者に対する事業主報酬制度を設ける、あるいは事業主報酬でなければせめて事業主控除、こういうようなものを考えて、いわゆる勤労性所得というものと事業所得というものが完全に分離をされている青色申告所得者に対しては、やはり勤労性所得分についてまで個人事業税というものをかけるというようなことにもつながっていく問題でありますから、この問題については、中小企業庁からも大蔵省に要求があり、また中小企業諸団体の一致して要求している問題点であります。詳しくここで論述するわけにはまいりませんけれども、この問題についても、少なくとも来年あたり何らかの形で、ことし特別経費準備金というようなことをやったけれども、これはまことに評判の悪い、いいかげんな中途はんぱものでしかない、こういうわけでありますので、その点どうお考えか、簡単にお答えいただいて、私の質問を終わります。
○水田国務大臣 これはことし非常に御論議をいただいた問題でございますが、特別経費準備金制度ということを一応創立したばかりでございます。しかし、これについてのいろいろな御議論はまだまだこれから出ることだと思いますので、十分検討はいたします。ただ、所得税の基本に関するむずかしい問題を含んでおりますので、なかなか早急に解決するというわけにはまいらないかもしれませんが、十分検討いたします。
○齋藤委員長 藤田高敏君。
○藤田(高)委員 私は、午前中の質問と関連をしまして、大臣にわずか五分の時間内で質問をいたしたいと思います。
 予算委員会でも大臣が、俗にいわれておる赤字公債の問題に対して、最終的に今回とった措置が適切であるか、それとも四十年のときのような特例法による措置が適切であるかについては、なおわが国財政法の根幹に触れる問題もあるので、財政制度審議会の諮問もやってみたい、こういうことになっておるわけですが、私は、実は昭和四十年に国債発行を初めてやりましたときに、この大蔵委員会でも問題にしたわけでありますが、たまたまきょうは参議院における――当時参議院の木村禧八郎先生の質問に対して、当時の大蔵大臣、現在外務大臣の福田さんは、いわゆる税収の歳入欠陥に基づく国債は、これは財政法の四条にいう国債とは性格が違うのだ、あえていえば歳入不足を補う公債、税収の減少に対処する公債、法律的にいえば財政法四条によらざる公債、こういうふうに実に同じ公債の性格を三通りも四通りも性格論づけまして、いわゆる財政法四条にいう公債と歳入欠陥に基づく公債とは違うのだ、こういうふうに実にきわめて適切に説明をしまして、いわゆる法律的にはその性格は本質的に違いがあります、なお、この財政法四条によって今回とったようなやり方をすると、これは法律的根拠としてはこじつけ論だというところまで極言をされておるわけです、その当時の議事録は。もう繰り返しませんが……。今回の措置されておることは、額こそ四十年の二千五百九十億に対して今回は減税分の千六百五十億を引きますと約三千八百億という額の違いはありますけれども、四十年のときと性格は全く同じでしょう。こういう同じ性格のものをなぜ特例法によって措置をしなかったのか。これは明らかに法律違反ではないか。大蔵大臣みずからが財政法違反をするようなことをやって国民の信頼をつなぐに足るような政治が行なえるのかどうか、この見解をお聞きしたい。
○水田国務大臣 公債の種類をしいて分ければ、財政法四条による公債と、そうでない公債と二つに分けられると思います。昭和四十年のときの公債は、福田大臣がそういうような説明をされておりましたが、同時にここにおられる藤井さんが政務次官のときでございまして、藤井さんの説明及び当時の理財局長の説明もございますが、また当時公聴会を開いた公述人の意見もございますが、それらの三人の答弁の中でも、政府部内でもこの公債の性格についての議論がいろいろあって、四条による建設公債で処理すべきであるという意見もあったことは確かでございまして、当時においてもこの公債で出すのが本当だったという意見も政府部内にございましたが、しかし、なぜそれを四条の公債でなくしたかといいますと、これも御承知だと思いますが、戦後いままで一ぺんも公債を発行していなかったということがまず一つと、それから当初予算においてこの建設公債を出しておればわりあいに問題はなかったと思うのですが、当初予算で建設公債を発行していなかった、したがって、建設公債を発行し得る対象額を規定する公共事業の範囲というものがきまっていなかった、これを予算総則において国会の議決をとってないということがございますので、年末に来て大急ぎで公共事業の範囲をきめて、そうして多量の建設公債を出すという措置はどういうものか、むしろ四十一年に正式に建設公債を出す、そのときに範囲をはっきりして国会の議決をとって出すことのほうがまぎらわしくない、そのほうがいいのだというようなことから、特にこれは四条によらない公債にするということをきめたというのが当時のいきさつでございます。
 いまから考えたら、ほんとうはまず建設公債を出して、それで不足するというものについて初めて歳入財源補てんの公債、いわゆる赤字公債というものを出すというのが順序だろうと思いますが、当時、特にそういう事情で福田大蔵大臣が説明されたような公債を出したということでございまして、性格はそう違っているのじゃなくて、本来なら財政法四条による公債を出すのが当時といえどもやはりよかったのじゃないかと私自身はいま思っております。しかし、これは国もそうやっておりますし、地方財政においても同じような規定の財政法がありますし、それにのっとって公共債によって全部中央と同じように切り抜けておりますので、これに疑義があるということになりますと、これは今後重要な問題でございますので、私どもの考え方はいいとは思うのですが、しかし、疑義が出た以上は、これはこの際やはり今後の問題として明確にする必要があると考えまして、財政制度審議会の専門家の意見を聞くということをやって、今後の運用をはっきりさせたいということで終わったわけでございますが、私は、やり方としてはこのほうが妥当である、四十年もこれでやってよかったのだというふうに思います。
○藤田(高)委員 答弁が長いですから、私はもう五分は経過したと思うのです。ですから、もう結論だけ言いますが、私は、これは少なくとも財政法違反である。大臣も繰り返しましたが、建設公債を発行してない段階で戦後初めて国債を発行するからああいったような措置をとったのであって、二回目、三回目やるから今回のような措置が適法だということは私は理由にならないと思うのです。やはり税収不足による歳入欠陥としての性格を持つものかどうか、俗にいう赤字国債である場合はやはり特例措置によるべきではないか、そうして俗称建設公債といわれる財政法四条によって処理されるものは、今回のような措置によってやることが最も適法であって一これは四十年のときの比較ではありませんけれども、今回政府のとった措置は、私は財政法違反であるということを明確に申し上げて、きょうは時間がありませんから、いずれ−私たちはそういう政府の言いのがれ、福田前大蔵大臣の言をかりて言えば、こじつけ論でこの問題を処理するようなことであれば、われわれ自身はこれに基づくこの財政処理についてはそれなりの態度を留保して、私の質問を終わりたいと思います。
○齋藤委員長 松尾正吉君。
○松尾(正)委員 十七分ということですから端的に伺いますが、前回私は政務次官に伺ってどうしても納得できない点がありますので、大臣に直接伺いたいと思うのです。
 まず、今度の減税が一般減税でなく、その性格はどこまでも政治的配慮による緊急対策だ、こういうことについては異論はないと思う。そこで、大臣に緊急対策という意味についてなんですが、災害の場合を想定しても、あるいは悪疫等が流行した場合、あるいは今度のように産業、事業所等がドル・ショック等による影響を受けた場合、これらについてはどこまでも緊急対策といえばその災害を受けた部分、あるいは疫病の場合であれば羅病をした人たち、こういった部分に対する手当て、これが緊急対策であり、いわゆる政治的な配慮であろう、こう思うわけです。
 そこで、先ほど来堀委員からも指摘されたように、ゼロから一〇%の段階が千六百万人もおる。それから前回も私、申し上げたのですけれども、先般の総理府統計局の生活を中心にした世論調査がありますが、これによると、生活に差しつかえがありますかという問いに対して、五五%、過半数の人がもう不安を感じておる。それからさらに、何かあったならば直ちに不安を感じますというのが三九%、大多数の人が生活に不安を感じている。大臣の言われる緊急対策というのは、この不況とドル問題等が起こって、これに対して手当てをしてあげようという趣旨のものであって、いまあげた想定等からいえば、当然この生活に不安を感じている、一番影響を受ける層に対する手当て、これが緊急減税の大眼目でなければならぬ、こういうふうに考えてこの前質問したのですけれども、この点がはっきりしなかった。全般に中堅層を大事にしなければいかぬというようなあいまいな答弁に終わったのですけれども、この緊急減税というものは、いわゆる税の形、算術的なものでなくて、政治的な配慮というからには、どこまでもこういう手当てを必要とするところへ手当てをするのが本来のあり方であろう、こう考えるのですが、この点について、大臣、お答えいただきたいと思います。
○水田国務大臣 私が前にちょっと触れたことがあったと思いますが、今度の措置は不況対策の一つとして、公共事業の増量ということと所得税減税による需要の刺激というようなことをねらおうとしたものでありまして、もしそのために年内にそういう措置をとってまで対策をしようというのであるならば、ことし一年とかあるいは来年一年とかというところに限った臨時の適切な措置が何かありはしないか、減税にしても、臨時的な減税措置がいいのではないかということも当初考えました。もしそうだとしますと、今回、あなたの言われるようなところへの減税、それを中心の減税ということをやってもあるいはいいのじゃないかと思いましたが、それをやることはいいのですけれども、そのあとでどういうことになるかと申しますと、いずれ所得税の改正をしなければならぬというときに、臨時にやった措置と、制度としての正式な改正をやるときに、いろいろそこに調和のとれないものがあったら、それはやはり大きな一つの支障になるということでございますので、その点をいろいろやってみますと、そういう目的からいま一定の層だけに限った減税をやると、この次の減税では全部そこが増税になってしまうというような姿が出てきますので、その点をいろいろ苦心しましたが、結局、減税というものは、税制という制度としてやろうとするからには、臨時的なものではなくて、これが将来にも続くという直し方でなかったら適当でないというようなことから、二転、三転して今度提出して御審議を願ったような制度になった、こういういきさつがございまして、確かに臨時的な措置として見れば考えようもあったと思いますが、これは来年度にも――もう来年度は大きい減税の余裕はなかなかないと私は思いますが、来年度も通用する税制ということをきめるとすれば、こういうような形にならざるを得ない。しかも去年、おととしやったもの、今年の春やったもの、ここらとの関係を長期的に見た直し方でないと適当でございませんので、そういう点を勘案した結果、こういう姿に落ちついたということで、私はこれはやむを得なかったような気がいたします。
○松尾(正)委員 税の形の上でいままでは論議をされたのですけれども、そうでなく、今度の減税はどこまでも政治的な配慮でやられたのだ。したがって税の形でなしに、いままで指摘された二百万円以下の人たち、いわゆる不況とドル・ショック等で生活に不安を感じておるような部分に対する手当てこそ年内減税だ、緊急対策だ、こういえると思うのです。ところが、いま大臣の説明を聞いた限りでは、税の形はどうしてもくずすことができないのだ、したがって景気浮揚のためにこういう年内減税をやったのだという。税の形にとらわれた――国民には、緊急に年内減税をやるのだ、それで明るい希望を持ってもらうのだと言いながら、実際に納税人員を調べてみると、二千六百十
 万人の中の九四%余りが二百万円以下なんです。しかも、先ほど堀委員の指摘した、ぼっと課税最低限から一〇%に上がる部分が六〇%で、千六百万人。この人たちの課税最低限こそ引き上げてやることがいわゆる政治的配慮だ、緊急対策だ、しかもそれが景気浮揚に一番効果があるのだということになったならば、それを選ぶべきではないか、こういうことを再三言っているわけです。
 ところが、政務次官の答弁にしても、いまの大臣の答弁にしても、どうも納得できないのは、とにかくいままでの税を考えた――これは一般減税の形ならば、もちろん考えなければいけないと思います。緊急対策で国民に報いたというのであるならば、生活に不安を感じておるところへ――二千四百五十万人に対して八百五十億という減税です。それで、二百万円をこえた部分、七百万円から三百万円程度の数というのはごく一部しかいないわけですよ。百万足らずしかいないのです。これに対して八百億でしょう。百万人に対して八百億円。この人たちはゆとりのある生活をしているのです。ところが、実際にいま言った九五%近い二千四百五十万人というのは、生活に不安を感じている層で、これに対して八百五十億円。千六百五十億円をわざわざゆとりあるほうへ半分分けるというこの措置は、ほんとうに緊急対策として妥当ではない、こう言わざるを得ないのですが、どこまでも大臣は形の上でとおっしゃるのかどうか。
○水田国務大臣 緊急対策としましたら、私どもは、税以外に、まだたとえば生活保護費の引き上げとか、年金の問題とか、たくさんございますが、こういうものはそれ自身を一ついじるということは問題でありまして、いろいろ均衡がとれて社会保障制度の一環をなしているものでございますから、これを一つ動かせば失対事業の労賃の問題にも響きますし、あらゆる点に響くということを考えますと、こういう社会保障費的な経費を臨時的な措置として活用するということは、やはり非常にむずかしい。これはそういうものにはなじまない制度であるというふうに私どもは考えましたが、同時に、減税の問題も同様でございまして、いま言ったような考え方もございますが、やるとなると、これは制度の問題としてやはり合理性を持ち、均衡のとれたものでなければならぬということになりますので、税制によって需要に対する刺激を与えようということをきめた以上は、やはり先につながる税制ということを頭に置いたこういう改革で対処する以外にはしかたがないというふうに私は考えます。
○松尾(正)委員 もう時間がないから見越して答弁しているのかもしれませんけれども、ねらいはやっぱり景気浮揚第一主義だ。いままでの質疑応答を通して、それ以外に言いようがないと思います。とにかくこれはどうしても年内減税が時間的に無理だというならば、やはり四十七年度の所得税減税には改正を思い切ってやるべきだ、ここで集中された少数意見を十分そんたくしてやってもらいたいということを強く要望しておきます。
 それから、これと関連して今回の減税、税に対する措置がきわめて片手落ちなところがある。一方に減税をやるのであったならば、一方に今日の輸出超過それから企業の優遇という問題があるわけです。したがって、これらに対しては減税をやると同時に、いままでの優遇措置、これらは改廃して財源を考えるべきだ。それなのに減税はやって、落ち込み分に対しては金がないから公債だ、こういうことでなしに、企業等はゆとりがあるわけです。これらに対して優遇措置はそのままにしておいて減税だけやって、あと足りない分は国債。こういうことでなしに、減税と並行して税の特別措置等の改廃を同時にやるべきだ、こう思うのですが、この点どうですか。
○水田国務大臣 これはぜひ来年度の税制において、いままでのそういうものを見直して、そして税制調査会にはかって実行したいと考えております。
○松尾(正)委員 それじゃ具体的に伺いますが、まず前回の委員会で一応これは廃止ないし改廃の方向で検討するという答弁を得ているものが、金融機関のいわゆる貸倒引当金制度、それから輸出課税優遇措置、それからもう一つは医師の診療報酬に対する特別措置、それから航空機燃料課税、これは実現の方向で積極的に検討したい、こういう答弁を前回の委員会で受けているわけですけれども、四十七年度にこれらについては一つ一つこれはやる、やらないということを大臣から伺いたいと思います。
○水田国務大臣 いままで問題になりましたただいまの全項目について、これは積極的な方向で検討中でございます。
○松尾(正)委員 四十七年度には特別措置については十分やりたい、こうおっしゃいましたね。いま検討中ということは、これらについては廃止ないしは改正を行なうというふうに解釈してよろしいのですか。
○水田国務大臣 そのとおりです。それを四十七年度にやりたいということで検討中ということでございます。
○松尾(正)委員 もう三分あるのですが、地方の住民税とそれから国税、所得税の課税最低限の開きが、これをだんだん一緒にしていきたいという方向でずっときたことは御承知と思うのです。ところが、御承知のように、非常に地方税、地方財政が落ち込んできましたために、来年度の地方住民税に対する課税最低限の引き上げはむずかしいということですね。いま公共投資その他社会福祉を充実していくためには、やはり地方財源というものは決しておろそかにできないと思う。これに対しては大臣は積極的に取り組んでもらいたい。これが一つ。
 それからもう一つ、実はいまわれわれが考えていることに逆行するような設備投資額に対する税額の控除を検討しておるというようなことが、経団連からも非常に強く要望が出ておりますし、通産省でも検討しておるのですが、これに対しては大臣はどう考えているか。
 この二点についてお答えいただいて終わりにしたいと思います。
○水田国務大臣 あとのほうの問題は、私のほうでは、これは積極的に検討している事項ではございません。
 それから、まあ内輪の話をいたしますと、やはり中央財政と地方財政が歩調を合わせなければ財政政策を有効に実施できない。したがって、国は所得税の年内減税をやるという腹をきめたので、ひとつ地方財政においても住民税の減税をある程度決心してくれぬかという交渉を政府内部ではいたしましたが、御承知のように、地方財政が非常に苦しくなっているときで、地方財政当局としては今年度住民税の減税ということは絶対にできない、できないばかりではなくて、中央がやった所得税の減税からくる五百二十八億円のはね返り分も国で持ってくれということで、とうとう私どもが持たされたというようないきさつから見ましても、住民税の減税というものは、こういう地方税収が非常に減っておるときにはなかなかむずかしい問題だと私は思います。したがって、今後の問題としましては、税源の問題もございますが、やはりこの異常な事態でございますから、これに対処する方法としては、やはり公共債の発行というようなことによって来年度も切り抜けてもらう。そのためには、その発行ができるだけ地方の財政を圧迫しないように、安い地方債については相当部分を政府資金で埋めるというような、いろいろな考慮をするということで来年度はしのがなければいけないんじゃないかというふうにいま考えております。
○齋藤委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 千六百五十億の減税の問題につきまして、先ほど来同僚議員からだいぶ鋭い質問なり意見が出ております。私も全く同感でございまして、租税公平の原則からいってもあるいはまた景気浮揚という立場から考えましても、下層の低所得者のほうに厚くせなければならぬというのに、今回の税改革はその低所得者層に対して、先ほど来千六百万人の話とかあるいは二百万円以下の大衆層の問題とかいろいろ論議が出ました。さらにまた税金を納めていない人たちの負担をどうして軽減するかという問題もあるわけでございます。
 先ほど来御意見も出ておりますが、もう一度確認的に私としてお伺いしたいのは、四十七年度の税制改正というものを、今度年内減税をそのまま四十七年に持っていかれて十五カ月減税方式ということになりますと、たいへん矛盾が拡大再生産されるということになりますが、年内減税は一応これでやっても、四十七年度の所得税の減税については、先ほど来いろいろ意見の出ました点を織り込んで、より根本的な改革をする御意思があるのかどうか、その点が一つ。
 あわせて輸出振興税制や貸倒引当金について問題を出されて御答弁がありましたけれども、それと同じような関係において、これまた先ほども御意見が出ました事業主報酬の問題とそれからアメリカあたりでは、景気振興のためから特に自動車の消費税その他についても軽減の措置を考えるようでございますが、わが国においても多年問題になっておる物品税といったような問題についても、四十七年度の減税の場合には、いまのいわゆるチューインガム方式といいますか、年度内減税をそのまま引き延ばすということのほかに、プラスアルファでより根本的なものあるいはより必要なものを入れて減税を考えられる意思があるかどうか、その点ひとつお伺いいたしたい。
○水田国務大臣 アメリカでやったような投資税額控除は、さっき質問もございましたが、私のほうではいまいわゆる財政政策の転換で、設備投資に片寄った従来の政策を直して、社会資本の充実に結びつけるということを再三言っていました。その方向から見ますと、投資税額控除ということは、政策としては逆の方向とも思われますので、これはもう少し検討する必要があるだろうということで、いま消極的に考えております。
 物品税の問題は、ここでばらばらに物品税だけの問題をとって解決すべきか、もっと長い目で長期税制の観点に立って一般的な消費税というようなものとのあり方で考えていくかというような課題がいま出されておりますので、この点も来年度消費税をどういう形でいじるかというようなことについては、やはり慎重な態度を要すべきじゃないかというふうに考えておりまして、まだ来年度の物品税に対する方針は、いまのところきまっておりません。
 それから、所得税はさっき言いましたように、ほんとうは来年度実施したいと考えておったものを、特に消費活動が非常に旺盛な暮れの時期にこれを繰り上げて実施するというところに政策的な意味がございますので、今年度実施するということにきめたいきさつから見ましても、大きくこれを変える意思はいまのところございません。しかし、他の税制の改革もしなければなりませんし、そういうものと来年度の具体的な歳入、歳出の事情というようなものをいろいろ考えて、なお手直しの余地があるというようなことでございましたら、これは検討したいと思っておりますが、いまのところこれを大きく改正することは私は考えていないところでございます。
○竹本委員 時間がありませんからあまり論議できませんけれども、いま言われたのを逆にじまして、来年度まで続いていく十五カ月の減税方式であるから、そこにある矛盾をそのまま十五カ月続けていったのでは困りますから、御検討を願いたい。野党の同僚議員から指摘しておるような矛盾がありますから、その点はひとつ慎重に手直しをしていただかなければ、十五カ月であるだけに問題が多いのではないかということを指摘しておるわけであります。
 物品税の問題につきましては、いまの事業主報酬の問題等もあわせまして、われわれはどこまでも景気浮揚とかあるいは税の公平な原則とかいったような立場から、これは真剣に前向きに考えておるわけでございますが、機会を改めて論議することにしたいと思います。
 なお、もう一つは、減税の一般的な重点をどこに置くかという問題で、社会保障、社会資本の充実の問題もありますから、毎年従来の延長線の上で減税の問題を考えるだけでいいのか、あるいはある時期が来れば前後左右をもう一ぺん総合検討して、減税そのものの基本的なあり方について再検討すべきではないかどうかという問題についての大臣のお考え。
 時間がないから全部一緒に申し上げますが、先ほど、また同じような意味で問題になりました住民税の負担軽減の問題、開きがひど過ぎるという問題で、どう調整していくかという問題について御答弁もあったわけでございますが、これは前からいわれておる、確かにことしあたりは地方財政もたいへんな問題がありますが、調整しなければならないということは政府もたびたび言っておられるんだが、ことしはどうもむずかしいですといったような話では、一体何を言っているのかわかりませんが、大体の考え方として、大きな見通し、長期展望に立って、何年くらいでこれのバランスをとっていこうとされておるのか、その大きな基本的な考えも伺いたい。
 それから、これもよくここで問題になっておりますが、国税と地方税の徴税一本化の問題も、やはりこの辺で合理的に考えなければならないという問題でございますが、これも大体何年先には実現しようとしておられるのか。住民税との負担のアンバランスを何年計画で、また、徴税一本化は何年の計画でこれを実現しようとしておられるのか、その辺の基本的な考え方を伺って終わりにいたします。
○水田国務大臣 納税者から見ましたら、これは一本化してもらうほうが便利であるということ、また、国にしろ地方にしろ、これが徴収の一本化になれば非常に簡素化が行なわれることになりますので、これも望ましいことであろうと思いますが、しかし、ただ徴税だけ一本化するということで解決される問題ではない問題を持っておりますので、今後これが中央、地方の税制のあり方をどうするかということと関連して解決しなければならない問題だとも思います。
 そこで、私は、やはり住民税と所得税のいろいろな均衡のとれてないというような問題も、何年間でこれをどうこうするという方向で解決するのか、あるいは徴税の一本化ということと同時に、税制の上で、たとえば所得税の付加税をもって地方税に充てるというようなやり方によって解決するなら、こういう問題も合理的に解決されると思いますし、そこらにおいて、やはりこれも長期的な観点から解決すべき問題の一つだろうというふうに考えています。なかなかいまのような形で、地方税と中央税は性質が違うのでありますから、必ずしも住民税が中央税と同じに歩調をそろえなければならないという性質のものでもございませんので、むしろ私は、中央、地方の税制をこの際やはり変えるということへ一歩踏み出すほうが解決は合理的にいくのじゃないかというような気がいたします。
○竹本委員 一応これで終わります。
○齋藤委員長 ただいま議題となっております両案中、所得税法の一部を改正する法律案に関する質疑は、これにて終了いたしました。
○齋藤委員長 これより所得税法の一部を改正する法律案に対する討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案について反対の討論を行なうものであります。
 まず第一に、今回の改正による減税額千六百五十億は少なきに過ぐるものであり、最大のねらいとした景気浮揚策としてまことに中途半ぱなものであるとの批判を免れ得ないものであります。
 所得税の自然増収は、当初見込み六千九百四十九億円、今回の補正予算における増収見込み八百数十億をプラスすれば約七千八百億円でありまして、今回の千六百五十億に年度当初の減税額千六百六十六億を加えても減税規模は三千三百十六億であります。自然増収に対してわずかに四二.五%にすぎません。同じく景気回復を目的とした四十一年度の減税割合六九・七%に遠く及ばないのであります。少なくとも自然増収に対して六五%減税とすれば、今回三千四百億程度の減税を行方うべきであったのであります。
 第二の反対理由は、法案の内容であります。
 今回の改正案は、総理の指示に基づき、大蔵大臣のことばによれば、勤勉な国民に対するボーナスであり、景気浮揚策の目玉ともいうべきものであります。したがって、真に景気対策として減税による個人消費支出の増大、需要刺激の拡大をねらったとすれば、最も消費性向の高い低所得層を中心に減税を集中すべきであったのであります。
 そのことは当然に所得控除、なかんずく基礎控除、給与所得控除、扶養、配偶者控除を中心とする減税方式をとるべきであったと考えるのでありますが、政府は高額所得層に最も強く減税効果が及ぶ税率改正にその財源の半分を割り当て、八百十五億円、所得控除分減税八百三十五億円としている点であります。これはまさに低所得層に薄く高額所得者、局長、重役減税のそしりを免れ得ないのであり、景気回復効果をねらいながら、その法案の中身はまさに金持ち減税となり、景気回復効果は半減され、精神分裂的減税政策になっているのであります。
 大蔵省の資料によっても、最も消費性向の高い独身者給与収入五十万円のところで、四十五年対比四千四百円減額、一千万円のところで三十一万九千円と驚くべき上厚下薄を示し、夫婦子二人の標準世帯で収入百万円のところで七千五百四十円減額、一千万円のところで三十三万六千円の減税、八千万のところで四十七万一千円の減税となっているのでありまして、八千万の高額所得者に四十七万円の減税を行なう理由は全くないといわなければなりません。おそらくその分は証券投資なり貯蓄なりに向かい、消費需要を喚起する効果はないと思います。
 第三に、政府は本改正案をもって四十七年度における所得税減税を見送る構想であるという点であります。一体、今年度だけでも六%から七%に近い物価値上げがあると見込まれる状況下において、来年度もおそらく六%程度の物価上昇があることはほぼ間違いないところであるとすれば、少なくとも物価調整に対応する減税分として一千倍に近い程度は物価調整減税が必要でありましょう。これにほおかぶりをしようとする政府の考え方に対しては、全く許し得ないところであります。四十七年度においても引き続き課税最低限の引き上げを中心として、最低税率引き下げを含む低額所得層優遇の減税を行なうべきでありまして、これこそが成長から福祉を目ざす政策の具体化の一つでもあるわけであります。
 第四に、財源不足の点についていうならば、政府の税における公平の実現に対する熱意の不足を問題としなければなりません。高額所得者優遇、租税特別措置における大資本、金持ち擁護の不公平税制に対して思い切ったメスを入れるならば、所得税減税財源は余りあるものがあるはずであります。たとえば過当広告費課税の断行、交際費課税の強化、利子、配当所得の分離課税の廃止、法人保有土地に対する再評価税の創設あるいはギャンブル課税など、これらは創設をしてもいいのではないかということでありますし、また、輸出振興税制の大幅改廃、社会保険診療報酬特例措置の廃止などを断行すべきであり、これらによって所得税減税財源は容易に得られるはずであり、この点について努力を怠り熱意を欠いたことはまことに残念であります。
 以上の理由により、本法の実施によって何ほどかの景気回復効果があるとは認めつつも、今回の景気不況が今日までの不況と類を異にする、中山伊知郎博士の言をもってすれば、ばけもの的不況、こういうものに対する深い認識を欠いたはんぱ減税であり、その内容において著しく税の実質公平をそこなうものであることを強く指摘をいたしまして、反対討論を終わります。(拍手)
○齋藤委員長 貝沼次郎君。
○貝沼委員 私は、公明党を代表し、今回提出された所得税法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。
 ドル・ショックに伴い、わが国経済は、変動相場制を採用し、そしていまや円の切り上げが必至となり、不況の長期化と深刻化が避けられ雇い状態となっており、国民の間には、生活への不安感が充満しております。中でも最も大きな被害を受けるのは、これまで、政府の高度経済成長政策の犠牲となってきた中小零細企業、並びに低所得者層であります。
 国民は、不況の中の物価高という重圧を受けて、従来政府のとってきた高額所得者優遇、産業優先の財政政策を抜本的に転換することを強く求めているのであります。このことは、総理府統計局における世論調査にもはっきりとあらわれております。すなわち、昭和四十六年度の生活基盤の強さを見るために、思いがけない出費がかさんだ場合、さっそく生活に支障を来たすかどうかの質問に対して、五五%という過半数が生活に不安を感じておると答え、さらに、日ごろ生活に不安を感じていますかという問いに対し、三九%の人が不安を感じていると答えておるのであります。したがって政府は、いまこそこの声を無にすることなく、社会保障費の増額及び所得の公平な分配をはかるのが当然といわなければなりません。そのためにも、今回の緊急対策減税では、低所得層に対する大幅減税という国民生活優先の税制改革がなされなければならなかったはずであります。
 しかるに、今回提出されました税制改正法案は、相変わらず高額所得者に対する優遇の姿勢は、改められておりません。したがって、政府が大多数の低所得者層をなおざりにする租税政策を改めない限り、幾らか小手先の手直しをしても、税は不公平であるという国民の圧倒的大多数の声は決して消えないことを銘記すべきであります。
 政府によると、今回の年内減税は、昭和二十六年以来の思い切った処置であり、大幅減税であるといっておりますが、しかし、昭和四十六年度の減税分を入れても、一般会計の予算規模に対して、わずか三%にすぎませんし、予算の一割近くを振り向けた昭和三十二年度と比べてもとうてい大幅減税といえるものではありません。しかも、今回の減税分は、年度当初に行われてしかるべき減税額なのであります。これが反対の第一の理由であります。
 第二に、委員会等で大蔵大臣は、来年度の所得税減税は、とうてい不可能という含みの答弁をしておりますが、これでは、今回の年内減税は、来年度減税分を今回に回したにすぎないということになり、また、景気浮揚策のみの理由で国民生活優先の立場からの減税となっておりません。このような性質の減税をそのまま来年度に持ち込むことは、国民生活無視といわねばなりません。したがって、まやかしの減税といわれてもしかたありません。
 さらに、第三の理由として、今回の所得税減税の目的が、ドル・ショックによる景気浮揚策の一環として行われたといいながら、高額所得者優遇にしたため、景気浮揚効果はきわめて薄い中身となっていることであります。
 年間所得三百万円以上の高額所得者に重点がかかり、消費購買力の増加に直接つながる低所得者層には、ほとんど恩恵のない減税内容となっているため、政府の意図する景気浮揚効果は期待できないものといわねばなりません。景気刺激のためならば、サラリーマンの九四%を占める年間所得二百万円以下の低所得者層にもっと重点を置いた減税がなされるべきであります。
 以上、本改正案は、低所得者層冷遇という、税の本旨である公平の原則に反し、大幅減税とは名ばかりの、国民を無視するものといわなければなりません。したがって、わが公明党は、本改正案には強く反対するものであります。
 以上をもって反対の討論を終わります。(拍手)
○齋藤委員長 竹本孫一君。
○竹本委員 私は、民社党を代表いたしまして、本案に反対の討論を行ないたいと思います。
 第一の理由は、租税公平の原則から考えてみまして、今回の減税案は量、質ともにはなはだ不徹底であり、不十分でありまして、われわれのとうてい納得し得るところでありません。
 第二の理由は、私どもは従来租税の景気の調整作用、そういう機能を非常に大きく期待をいたしておるわけであります。今回の場合には特にドル・ショックに対応する一つのてこ入れとして減税にもその機能を特に期待をいたしたいのでございますけれども、先ほど申しました大衆のために厚い減税方式でありませんから、その景気回復の効果というものも非常に制限を受けるものと思います。特に景気が、日本の経済は去年、ことし大体二年不景気が続いております。やっと景気が上昇しようといったときにドル・ショックを受けまして、これからまた一年、前後三年間というものは、国民大衆の直接の責任でなく、政策による政策不況であります。そういう意味から申しますならば、今度の減税は、減税政策を通じて景気の回復に大きなてこ入れをしなければならぬ重大な使命と機能が期待されておるにもかかわらず、その逆の方向に向かおうとしておる点は、これまたわれわれの了承し得ないところであります。
 第三点は、十五カ月方式ということで今回の減税方式はそのままほとんど全部が四十七年度における減税方式となるわけでございますけれども、それは先ほど申しました租税公平の原則やあるいは景気振興のための立場から考えて、われわれの指摘した矛盾というものがそのまま十五カ月引き続いて行なわれるということになりますので、われわれはその点からも特に反対をしなければならぬと思います。
 以上、三点の理由によって民社党は本案に反対であります。(拍手)
○齋藤委員長 小林政子君。
○小林(政)委員 私は、日本共産党を代表して、所得税法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。
 この減税案の最大の特徴は、国民大衆のものと称しているが、実はアメリカのドル危機の日本への転嫁と円の大幅切り上げ、わが国経済の不況の一そうの進化の中で、戦後最大の赤字公債の増発によって大企業本位の景気刺激をはかりながら、他方国民にはインフレと収奪による犠牲を強化しようとする反動的、反人民的経済財政政策を糊塗するために行なわれた欺瞞的な政策だということであります。
 すなわち、第一の理由は、年内減税の目的が景気刺激対策の一環として打ち出しながらも、その減税内容は年所得三百万円から一千万円の高額所得者を優遇する減税であるという点についてであります。
 本来、景気刺激というならば、当然納税者の多数である低額所得者の消費支出の拡大をはかるため、低い所得層に対する大幅減税こそ実施すべきであるにもかかわらず、今回の減税は年収百万円の所得者で二千七百四十円、百五十万円で五千百円ときわめてわずかなものであり、景気刺激などといえるものではありません。減税総額千六百五十億円のうち、年収五百万円をこす所得者に三百五十億円を当てている今回の減税は、高額所得者層を対象とした減税であり、今回の減税目的にも反するものであります。
 今回の減税による政府の真のねらいは、高額所得者の余剰金を貯蓄を通して、また直接国債の消化に向けることをねらったものと断ぜざるを得ません。
 第二に、来年度減税を行なわないことを基本方針とした改正案であるにもかかわらず、基礎控除、配偶者控除、扶養控除の基本的人的控除がそれぞれわずか一万円の引き上げにすぎず、依然として生活費に食い込む課税最低限であるという点についてであります。
 四十五年度から見た基礎控除等の引き上げ額は、それぞれ二万円で九%の引き上げであり、課税最低限の引き上げ額は、四人家族で十万三千二百五十六円で一一・四%の引き上げでありますが、今年度に引き続く来年度の消費者物価の上昇の見通しから見ても、物価上昇にも及ばないことは明らかであります。当然、生活水準の向上をはかるため、現在でも生活費に食い込んでいる課税最低限を少なくとも四人家族で百四十万円程度まで引き上げるべきであります。
 第三の理由は、今回の改正案による税率緩和によってその減税効果が最も大きく働くのが年収七百万円の高額所得者であり、高額所得者を中心にした税率緩和であることについてであります。この結果、実効税率では年収二百万円未満の人の軽減は一%未満であるのに対して、年収七百万円から一千万円の人は二%以上軽減されているのであります。また、現行法と改正案の税額軽減割合でも年収五百万円の人が一番大きいのであります。この改正案では、所得税がいままで比較的担税力を反映した税制とされていた高度累進税率のたてまえをなしくずしにするものといわざるを得ません。
 以上、三点にわたって反対の理由を明らかにし、本案に対して反対するものであります。
○齋藤委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○齋藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
 おはかりいたします。
 ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○齋藤委員長 次回は、明十日水曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十七分散会