第068回国会 本会議 第21号
昭和四十七年四月十四日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十七号
  昭和四十七年四月十四日
    午後一時開議
 第一 労働保険特別会計法案(内閣提出)
 第二 火炎びんの使用等の処罰に関する法律案
  (法務委員長提出)
 第三 簡易生命保険法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 第四 土地改良法の一部を改正する法律案(第
  六十五回国会、内閣提出)
 第五 昭和四十七年度分の地方交付税の特例等
  に関する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改
正する法律案(内閣提出)及び公害に係る事業者
の無過失損害賠償責任等に関する法律案(島本虎
三君外七名提出)の趣旨説明及び質疑
 日程第一 労働保険特別会計法案(内閣提出)
 日程第二 火炎びんの使用等の処罰に関する法
律案(法務委員長提出)
 日程第三 簡易生命保険法の一部を改正する法
律案(内閣提出)
 日程第四 土地改良法の一部を改正する法律案
(第六十五回国会、内閣提出)
 日程第五 昭和四十七年度分の地方交付税の特
例等に関する法律案(内閣提出)
 石油開発公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出)
 下水道事業センター法案(内閣提出)
    午後一時五分開議
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)及び公害に係る
  事業者の無過失損害賠償責任等に関する法
  律案(島本虎三君外七名提出)の趣旨説明
○議長(船田中君) 内閣提出、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案、及び島本虎三君外七名提出、公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関する法律案について、趣旨の説明を順次求めます。国務大臣大石武一君。
  〔国務大臣大石武一君登壇〕
○国務大臣(大石武一君) 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の環境問題は、経済の急速な拡大と都市化の進行の過程で、深刻な社会問題となっているところであります。このため、政府におきましては、先般来の国会で体系的整備が行なわれた公害関係諸法に従い、公等規制の強化をはじめとして、各般の施策を強力に進めてまいったところであります。
 しかしながら、公害により被害を受けた人々に対しては、すでに行なわれている行政上の救済掛構に加えて、事業者の民事上の責任を強化して、私法的な面においても一そう円滑な救済ができるような措置を講ずることが強く要請されているところであります。
 今回の改正法案は、このような要請に対処して、人の健康に有害な一定の物質が大気中または水域等に排出されたことによって、人の健康にかかる被害が生じた場合における事業者の無過失損害賠償責任について定めることにより、公害によって被害を受け大人々の保護の徹底をはかろうとするものであります。
 以下、改正法案のおもな内容について御説明申し上げます。
 第一に、工場または事業場における事業活動に伴って一定の有害な物質が大気中に排出されたこと、または一定の有得な物質を含む汚水等が排出されたことにより人の生命または身体を害したときは、当該排出にかかる事業者は、故意または過失がない場合であっても、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずることといたしております。
 この場合、有害な物質として無過失責任の対象となる物質は、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法において人の健康に被害が生ずるおそれがある物質として規制の対象とされているもので、硫黄酸化物等複合汚染を常態とする物質をも含めることといたしております。
 第二に、損害が二以上の事業者の共同不法行為によって生じた場合において、その損害の原因となった程度が著しく小さい事業者については、裁判所が、その損害賠償の額を定めることについて、その事情をしんしゃくすることができる道を開くことといたしております。
 第三に、本法律は、その施行の日以後における有害な物賢の排出による損害について適用することといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。よろしく御検討のほど、お願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 提出者島本虎三君。
  〔島本虎三君登壇〕
○島本虎三君 公害に係る事業者の無過失損害賠償責任等に関する法律案につき、日本社会党、公明党、民社党の三党を代表いたしまして、提案の理由及びその内容の概略につき御説明を申し上げます。(拍手)
 今日、わが国の公害は、一部の地方にとどまらず、全国的に深刻な問題となってきております。東京、大阪、瀬戸内海などの水や空気の汚染が、人間の許容限度を越えており、太平洋沿岸はもはや漁場としての価値がなくなるほど破壊が進んでいるのであります。日本の自然美の象徴とされてきた琶琵湖、諏訪湖なども汚染の一途をたどるのみであります。陸上においても、プラスチックなどの産業廃棄物が、処理の見通しのつかないまま打ち捨てられ、土呂久等の休廃止鉱山よりの被害は言うに及ばず、いまやPCBの被害は全国的な規模で進み、この有害物質が国民の体内に限りなく蓄積されているというおそるべき状態であります。まさに人数の生存にかかる事態にまで至っているのであります。
 こうした事態は、もともとわが国の公害対策が根本的に立ちおくれ、また、司法による救済になじみにくい問題であるため、いまや現行法のみによっては、公害による被害者を急速かつ確実に救済することはきわめて困難であります。
 かかるわが国の実態からして、われわれは、公害被害者救済のため、無過失賠償責任制度の立法化を急ぐべきであることを繰り返し主張するとともに、公害国会と呼ばれた第六十四臨時国会におきましても、無過失損害賠償責任に関する法律案の提案を行ってきたところであります。
 政府も、ようやく、公霊にかかる無過失賠横賛任の法制化の必要性を認識し、今国会に提案をされておりますが、その内容は、大気汚染防止法、水質汚濁防止法の一部を改正するにとどまり、しかも、これらの法律によりすでに規制の対象とされている特定有害物質による健康被害にのみその適用範囲を限定しているばかりでなく、環境庁原案でただ一つの前進として評価された、因果関係の推定規定さえも削除されて、全く題名に値しないほどの無過失賠償責任制度になっているのであります。
 増大する現在の公害の実態を考えますならば、無過失賠償責任制度を大気汚染、水質汚濁に限定しなければならない理由は、全く乏しいといわなければなりません。
 また、新潟水俣病判決に見られますように、今日、公害訴訟の判例においては、厳格な過失責任主義の立場を緩和して、因果関係についても、企業側が汚染源になり得ない理由を証明し得ない限り、その存在は事実上推認され、すべての法的因果関係が立証されたものとするとして、広く被害者の救済をはかっていることは、すでに御承知のとおりであります。この点で、政府案は、こうした現状に逆行するものといわなければなりません。
 いまや、国民が心から求めてやまないものは、このような判例、新しい学説に示された、進歩的な諸点を十分に配慮した無過失賠償責任の法律であると考え、かつ、これによらなければ、複雑にして多様化した現在の公害、環境破壊に対処できないと考えて、本法案を提案した次第であります。
 次に、本法案の概要を御説明申し上げます。
 第一は、本法案は、公害によって他人に損害を与えた事業者の無過失損害賠償責任、事業者に対する公害の差止請求及び規制権限を持つ行政機関に対し住民が規制権限の発動を請求できる等の制度を確立し、公害についての卒業君の社会的責任を明らかにするとともに、被害君の保護を目的としているのであります。
 第二に、公害の定義についてでありますが、無過失責任、因果関係の推定などの適用範囲は、明確に限定される必要があるので、基本法における典型七公害を限って限定列挙することが妥当であると考えた次第であります。
 また、事業には、国、地方公共団体等の非収益的な活動も含まれるもので、当然事業者としての責任を負うべきことを明記した次第であります。
 第三は、無過失損害賠償責任につきましては、人の生命、健康、重大な財産的被害に限らず、広くすべての損害に適用することといたしました、
 ただし、異常に巨大な天災地変、または社会的動乱によって生じたものは、この限りでないとし、不可抗力に対する免責事由を明らかにしたのでありますが、これは不可抗力以外はすべて責任を課するのだという趣旨であります。したがって、たとえ損害が第三者の行為によって生じた場合といえども、事業者が賠償の責めに任ずることとし、事業者はその第三者に対して求償権を持つこととしたのであります。
 第四に、複数原因者の損害賠償責任ですが、共同不法行為者に対しては、その寄与度を問わず、全損害について賠償の責任を課することを明らかにいたしました。
 もし初めから分割責任を認めれば、すべての事業者は当然のごとく分割責任を主張し、立証に多くの日数をかけ、その責任を免れようとするおそれがあるからであります。しかし、損害の発生について、その原因となった程度がはなはだしく小さいと認められる事業者、すなわち中小零細企業については、損害賠償の額をきめる際、裁判所は特にその事情をしんしゃくすることができることといたしました。
 第五の、因果関係の推定でありますが、従来の訴訟では、故意、過失及び因果関係の立証は被害者側が行なわなければならず、訴訟上多大の困難を伴ったものであることは御承知のとおりであります。そこで、その救済をはかるため、因果関係の推定規定を設けたのでありますが、この推定規定は、可能な限り各種の公害の数型に応じてこまかく規定することが望ましいと考えて規定した次第であります。
 第六の、消滅特効につきましては、民法は三年ですが、本法案では七年とし、進行中のものは進行がやんでから起算することとしたのであります。
 第七の、民法の適用についてでありますが、不法行為について、この規定にないものは、すべて民法の規定によることとしたのであります。
 第八は、損害賠償保障制度でありますが、国は損害賠償を保障する制度を確立する措置を講じなければならないとしておりますが、損害賠償の担保として事業者拠出による公害基金制度等を考えておるのであります。
 第九の差止請求ですが、損害を受けた者または受けるおそれのある者は、事業者に対して、公害の原因となる行為の停止、操業の停止など、必要な損害防止の措置をとることを請求できることといたしました。これがなければ真に公害の排除はでき得ないものと考えるからであります。
 第十に、規制措置請求ですが、今日行政の公害規制権限は強化され、地方公共団体に委譲された権限も一そう強化されているはずでありますが、これが有効に発動されない面がありますことは、まことに遺憾であります。したがって、生活環境の汚染、損傷、破壊に対して、行政機関が規制権限の発動を怠っているときには、権限の発動を求めることができることとし、住民の監視を盛った、公害の積極的排除を明確にしたのであります。
 その他、公害訴訟には多額の費用がかかり、地方公共団体などが一部費用負担をもしている例もあることを考慮し、訴訟上の救助規定を設けるとともに、公害に関する資料を公開することが告人監視を強め、公害排除を前進させることから、資料公開を明示する文書等の提出命令等の規定を設けました。
 さらに、この法律の施行前に公害の原因があり施行後に生じた損害についても、この規定を適用することといたしました。これは、公害被害の原因と結果の間がきわめて長期にわたることを考慮し、公害被害者の救済を第一とすることがきわめて重要であるからであります。
 以上、本法案を提出いたしました理由並びにその概要を御説明申し上げました。
 何とぞ、政府案と対照の上慎重に御審議の上、すみやかに可決されんことをお願いいたしまして、提案理由の説明といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)及び公害に係る
  事業者の無過失損害賠償責任等に関する法
  律案(島本虎三君外七名提出)の趣旨説明に
  対する質疑
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。土井たか子君。
  〔土井たか子君登壇〕
○土井たか子君 私は、日本社会党を代表いたしまして、政府提案の大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 佐藤総理は、四十五年の九月、渡良瀬川のほとり、宇都宮市で開かれました一日内閣で、無過失賛任を早急に提案することを約束されました。しかし、同年末の、その名も公害国会と呼ばれた第六十四臨時国会では、無過失損害賠償責任法案をもって、臨んだ野党三党の強い主張にもかかわらず、この問題に関する法案は、ついに政府から提案されることがなかったのであります。それから今日まで一年九カ月に及ぶ慎重に検討される期間があったわけでありますが、今回、ただいま提案されました法案は、国民をがっかりさせる、国民の期待に全く反するものとなっているのであります。
 すでに、無過失損守賠償法案をめぐっては、学者グループ案、日本弁護士連合会案、そして、本国会に提案されました野党案も含めまして四つの案がございます。この四案を比較すると、政府案が、公害の現状から最もかけ離れ、被害者の急速な救済という実際面においても、最も立ちおくれが目立ちます。
 さて、その重要な点の一つ。一体、政府は、今回の法案から何ゆえ、初め環境庁原案にあったいわゆる因果関係の推定規定を削除されたのでございますか。これが第一問であります。
 この削除は、財界、自民党の圧力によったのでありましょうが、通産省までが環境庁原案に圧力をかけたというのは、一体何事でありますか。
 だれでもがよく知るように、そもそも、公害について事業君の無過失責任を立法化することが必要とされる理由は、被害者の急速な救済をはかることにあります。助けのないままに放置され、ただ忍従をしいられてきた公害被害者は、最近ようやく訴訟によって権利を回復しようと立ち上がりつつありますが、故意または過失の有無及び因果関係の存否について、被害者側と企業側との岡に激しい主張の対立が生ずるため、それだけ裁判は長期化することになるのであります。イタイイタイ病第一次訴訟は、無過失責任を定めた鉱業法百九条を根拠としていたため、他に比べて比較的早期に第一審判決をかちとることができたのでありますけれども、それでも、訴訟提起から判決までの三年余りの間に、イタイイタイ病患者は二十一人この世を去っていったのであります。
 この例からもわかりますように、公害による被害者については、とりわけ急速な救済が要請されているのであります。そのための手段が、故意、過失の有無を問うことなく被害者の救済を可能にする無過失責任立法であり、その基本の部分、すなわち無過失責任法案の大骨は、因果関係に関する被害者側の立証責任を軽減するための因果関係の推定規定を設けるということであります。
 その趣旨とするところは、一般的に、被害者に原因究明のための科学的知識を備えていることを期待することはできません。また、知識を駆使して原因を究明するための経済的負担にもたえ得ません。さらに、被害者にとっての大きな障害は、発生源と思われる企業が、企業の秘密を理由に、企業内立ち入り調査を拒み、原因究明を妨害していることであります。
 他方、企業側について見ますと、生産工程をみずから管理して専門的知識を独占しているのですから、その気持ちさえあれば、自分の工場が発生源でないことを立証することは容易なはずであります。それにもかかわらず、従来の訴訟にあらわれた企業者側の応訴態度は、イタイイタイ病にいたしましても、水俣病にいたしましても、四日市ぜんそくの例にいたしましても、真実を明らかにしようとする態度ではなく、被害者側の主張を批判するためにのみ調査研究を行ない、未解明の部分についての解明を被霊者に求めることによって訴訟の長期化をはかるという特徴があらわれています。そればかりか、故意あるいは過失によって生じた公害による被害が問題化することを、地域に対する支配力を通して、あるいはわずかな見舞い金や補償金を支払うことによって封じようとしてきたのが企業の行動様式ではありませんか。
 このような現状を考えて、新潟水俣病判決などに見るように、ある企業が公害による被害の発生源だと合理的に推定できる程度の事実を被害者は立証すれば足り、企業者はこの推定をくつがえし得る反証をあげない限り責任を免れないとする考えは、すでに判例上定着しつつあります。だが、この解決は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である国会の立法で明文の規定を設けて事に当たることが、被害者をはじめ国民の望んでいるところではありませんか。因果関係の推定を立法化することは、まさに、法の目的である公平の理念を、公害における被害者と加害者の間に実現させる最低の要件であります。
 佐藤総理、総理最後のおみやげとして、因果関係の推定規定を復活させるおつもりはございませんか。少しは国民から見直されるチャンスがあってもよいのではないかと思います。明確な御答弁を求めます。
 また、この規定押えの立て役者としての田中通産大臣、いかがでございましょう。
 そうして、昨年七月就任以来、四日前公害や熊本の水俣病を現地視察されるなど、公害患者にじかに接されたこともあってか、同規定に意欲的であった大石長官、因果関係の推定規定だけは守り通してほしいという強い国民の陳情にどうおこたえになるのか、ひとつ正直なお答えをお聞かせいただきたいのです。(拍手)
 さて、次に、一体、政府は、何ゆえ事業者の無過失責任の及ぶ範囲を極度に限られたのでありましょうか。これが第二問であります。
 政府案は、無過失責任の及ぶ範囲を三重に限定いたしております。その一つは、無過失責任立法を単独立法の形をとることなく、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部改正によって実現しようとすることにより大気汚染及び水質汚濁による被害に限り、その二つは、原因物質を大気汚染防止法及び水質汚濁防止法によって規制の対象とされている物質に限り、その三つは、救済の対象を人の健康にかかわる被件に限り、財産的損害は対象の外に置いているということであります。
 このように三段がまえの限定をした理由は、外堀、中堀、内堀を掘って企業の城を守り、企業責任をできるだけ回避しようという政府の魂胆が、ありありとうかがえるのであります。かつて、ごうごうたる国民非難の的となり、公害対策基本法の条文からは姿を消した経済の発展との調和条項が、またぞろここに、姿を変えて返り咲いたとしか言いようがないのであります。
 これまでの公害の歴史を見ても明確なように、企業の責任が問題になったのは、大気汚染、水質汚濁以外すべての公害類型においてであり、未規制物質についてであります。カドミウム、有機水銀は、現在は規制の対象になっておりますが、イタイイタイ病や水俣病が発生した当時は、税制の対象外に置かれておりました。科学技術の進歩が今後新たな公害発生物質を増大させることを思いますと、このような未規制の物質による被害こそ救済措置が必要とされているのであります。今日問題になっておりますPCBがそのよい例であります。昨日も、公害対策・環境保全特別委員会と科学技術振興対策特別委員会が、参考人を招いて、PCB汚染の実態と対策の実情を調べるための連合審査会を開いたのでございますが、その質疑の中の企業側の発言で、三十四年ごろすでにPCBが人体に影響があることを知りながら、国内で本格生産に生産をせっせと重ねてきているという実情が明らかにされております。
 また、無過失責任の対象となる被害を人の生命と身体に限定いたしておりますが、これは重大な誤りであります。言うまでもなく、人の生命、身体は、DDT、BHC、カドミウム、PCB等々の公害被害に見られるように、人間の口から、すでに汚染されている食品を通じて人体は被害を受けるのであります。健康破壊と生活破壊とは、分離して考えることができません。被害一般の無過失の対象を人の生命と身体に限るのは、根源を押えずして上っつらだけを取り上げるわざと言えましょう。さきの因果関係の推定規定が無過失責任立法の大骨なら、この無過失の対象をいかにするかという問題は肉の部分であります。大骨をはずし、肉を切り、ふぬけのからの無過失立法で、どれだけ被害を食いとめ、救済を実現することができると言えるのでしょう。(拍手)なぜ無過失の対象をこのように狭く限定したのですか。大石長官、これこそ誠意の見せどころとして、はっきりした御答弁を聞かせていただきたいのです。
 第三の問題は、複数原因者の責任の範囲についてであります。
 野党提案が連帯責任制をとっているのに対して、政府案は分割責任となっております。分割責任を認めると、公害企業は競って分割責任を主張し、みずからの責任を免れようとすることは、これまでの公害紛争の事例を見ても明らかと言えましょう。無過失損害賠償責任制度は、責任を広く課すことによって、他面では企業がみずから公害を防止するねらいが十分考えられてしかるべきでありましょう。政府案のような共同不法行為の責任の範囲では、複数公害の規制は有効に働き得ません。なぜ複数公害原因者の連帯責任制をとられなかったのでしょうか。この政府案では、またまた、大どろぼうを逃がしてこそどろを追っかける始末、むしろ、このような案のままなら、この規定は削除するほうがよいという意見すら国民の間にあります。(拍手)大石環境庁長官、ひとつこの点、納得のいくお答えをお願いいたします。
 四番目に問題としたい点は、政府案に、公害発生施設に対する差止請求が欠落しているということであります。
 差止請求については、政府案以外の案、すなわち学者グループ、日弁連、野党案、それぞれがその必要性を強調いたしているところです。と申しますのは、今日、公害を防止するには、公審企業に対して公害発生施設の操業の停止等の必要な措置が適切に行なわれなければ、公害の排除はできるものではありません。さきの公害国会で、大気汚染防止法、水質汚濁防止法その他の法律で公害発生施設の計画の変更命令、改善命令、操業の一時停止等の一定の規制措置が整備されていますが、依然公害は増大の一途をたどっております。これは、公害関係法の不備と申しますより、必要最小限度の規制がいまだ不十分であり、それが国、地方自治体の怠慢に基因する場合を見のがすわけにはまいりません。行政の怠慢を許さず、また法律制度の欠陥を補い、住民に適切な規制措置の発動を請求し得る権限を認めることは、この際、公害の予防という視点から必要なことではありませんか。次期総理への短距離コースをばく進中とかいわれる田中通産大臣、その本領を御答弁の中にお示し願いたいと思います。
 さて、五つ目の点は、一体何ゆえ本法案の遡及適用を明文で禁止したかという点であります。
 野党案は、進行中のものと法案施行前の排出によるもので施行後に発見された被害についても適用するといたしております。しかし、本法の施行期日を昭和四十七年十月一日とし、本法施行前の有害な物質の排出による損害については、なお従前の例によるとした政府案からすれば、その施行前の有害な物質の排出による損害については、適用が除外されるのであります。その「施行前の」という語句が、あとの「排出」に連なるのか、それとも「損害」に連なるかによって、この立法が救済する範囲は異なってまいりますけれども、現在すでに損害が発生しているイタイイタイ病、水俣病、各地域の呼吸器疾患等は範囲に含まれないことは明らかでありましょう。この立法に望みを託されていた患者さんがいかに多いかを思うとき、実にがっかりするのであります。
 無過失責任立法は、被害者のいち早い救済が目的であって、本来ならば、免れ得た企業責任を特別に重く背負わせるものではないのでありますから、積極的にこの立法を遡及して適用する決断が下されてしかるべきでありましょう。
 法の信頼性と安定性のためには、法律の遡及適用が好ましくないといわれるのは、法の原理として周知の事実であります。しかし、それは法の領域によって異なるのであって、必ずしも常に至上命題ではございません。
 今日の人命にかかわるだけでなく、公害の広域化が異常児の出産増大という将来の人数全体に危険を及ぼす事態が予想されますとき、しかも、そうした不法行為を許さないという思想が人数全体のものになろうとしているとき、公害に限定して遡及適用を認めることは、何ら法の原理に矛盾しないと存じます。そればかりか、日本国憲法第十三条にある「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に封ずる國民のの権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の國政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあることこそ重視すべきでありましょう。形式論理ではなく、熱い血潮の通った政治家としての前尾法務大臣の御所見を伺いたいのでございます。
 さて、以上基本的な点についての質問をいたしたのでございますが、今度のいわゆる無過失賠償責任の政府案は、環境汚染の問題を公害防止という問題に矯小化して、企業責任をできるだけ回避することにその特徴がございます。いまや公害の問題は、環境破壊、健康破壊から人間の命と健康を守る問題であり、ひいては地球破壊から人類の生活とその環境を守る問題であります。つまり、日本の世界最高の高度成長は、地球破壊の最悪の犯罪人として、全世界から指弾を受けている現状認識と自覚なしに、わが国の公害対策を議論することは、もはや許されないと言うべきでありましょう。
 政府も、この際、公害防止の根本的な転換が要請されている中で、公等基本法を変えて、環境保全法を具体化して、無過失責任の裏づけとした野党案を評価すべきであります。
 自然環境は、人類共有の財産であります。この六月には、スウェーデンのストックホルムで世界的規模の議論がなされようといたしております。密約外交や食言政治ではなく、平和、人命尊重の堂々たる政治によって、初めて国民はその生活が保障されるのであります。
 佐藤総理、総理の最後の御決意と、担当大臣大石環境庁長官のお考えを求めまして、私の代表黄門を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 土井君にお答えをいたします。
 たいへん多岐にわたり、また、こまかな問題にもお触れになりました。(「重要だよ」と呼ぶ者あり)私は、重要であることには異存はございませんが、私からお答えするのは基本的にとどめますから、不足の点は他の関係大臣から追加いたしますので、事前にお許しを得たいと思います。
 まず、土井君から因果関係の推定規定を置くべきだ、こういう御意見がありました。政府といたしましても、この問題につきましては、慎重に検討したところでありますが、このような推定規定が置かれた場合、一方では、これが拡張して解釈されるおそれがあるという問題があり、また、現段階であまりにも判例の集積がなく、かりにここに何らかの因果関係の推定を明文で規定することは、判例動向を決定づけてしまい、適当ではないという問題があるので、今回、本法案には因果関係の推定規定を置かないこととした次第であります。しかしながら、今後の問題としては、判例の動向を見守りつつ、判例の集積により、その方向のほぼ定着したと見られる時期にその成文化をほかるという方向で引き続き検討したいと考えております。
 次に、公害問題についての政府の基本姿勢についてのお尋ねがありましたが、国民の健康で文化的な生活を確保するためには、公害対策の充実をはからなければならないことは言うをまたないところであります。政府は、このため、一昨年の第六十四臨時国会において、関係各種公害立法の抜本的整備をはかり、また、昨年七月には、環境保全行政の一元的行政をはかるために環境庁を発足させ、公害行政を総合的に推進しているところであります。今後も各種公害規制の一そうの強化拡充を行ない、公告の未然防止をはかるとともに、健康被害者救済の充実をはかるなど、公害対策を強力に推進していく考えでございます。
 以上、私から、二点についてお答えをいたしておきます。(拍手)
  〔国務大臣前尾繁三郎君登壇〕
○国務大臣(前尾繁三郎君) 土井さんにお答えいたします。
 無過失損害賠償責任は、御承知のように、従来の民法の大原則であります改悪、過失がない行為については損害賠償責任がないという、原則を大きくひっくり返すものであります。したがって、これを遡及適用するということになりますと、企業はあまりにも不測の責任を食わなければならぬ、かえって社会秩序を混乱させることになるのでありまして、これを採用すべきではないと思います。過去の行為に対する救済につきましては、別途考えるべき問題だ、かように考える次第であります。
  〔国務大臣田中角榮君登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 私から二点についてお答えを申し上げます。
 ただいま総理大臣がお述べになりましたように、因果関係の推定と通産省の関係について、まず申し上げます。
 無過失責任の立法化につきましては、当省といたしましても、かねてから前向きの姿勢でありましたことは御承知のとおりでございます。因果関係の推定につきましては、当初の環境庁案につきまして協議をいただきましたとき、法律的意味、影響、効果等を慎重に検討いたしました。最近の判例で見るごとく、法律に明文の規定を置かなくとも、同じ効果が期待できるという議論もあります。なお、他方、これを広く解釈すると、実際上の公害に関係なくとも責任を負わされる場合が起こり得るとの不安も産業界にあったことは事実でございます。このようなことから、判例、学説等も検討の上、環境庁は、本件に関しては判例の発展にゆだねることが適当という結論を出したわけでございます。
 第二は、差止請求権の問題についてででございます。
 公害により被害を受けるおそれのある者が、当該発生事業者に対し、事業の廃止または一部停止その他の措置をとるべきことを請求することができるというものでございます。環境庁の原案にもこの問題はございませんでした。今回の法律関係におきましては、特に検討が行なわれなかったのが事実でございます。いずれにせよ、本件につきましては、問題も多いものでございますから、慎重に検討すべきものと考えます。
  〔国務大臣大石武一君登壇〕
○国務大臣(大石武一君) 土井さんの御質問に対して順次お答えをいたします。
 その前に、いま私の考えを簡単に申し上げたいと思います。
 それは、この無過失賠償責任制度は三年越しの内閣の懸案でございます。どんなことがあっても、できるだけ早い機会に国会に提出をして、これを成立させることがわれわれの責任であると考えました。そういう意味で、この法律を一日も早く出したいということを念願いたしまして、環境庁発足以来、今日まで約八カ月にわたりまして、懸命にその法案の作成に努力いたしてまいりました。そうしてでき上がりましたのが今日皆さまにお目にかけております法案でございます。したがいまして、この法案は、決してこれは完全なものではございません。このような大きなものは、新しい考え方は、今後相当の時期にわたっていろいろ、いろいろなものをつけ加えながら総合的なものにしていく義務がございます。そういうことで、私どもは、その近い将来に完成することを願いながら、とりあえずそのようなものになり得るだけの価値のあるもの、そのような能力のあるものを出したいという考えを持っていたしたのでございます。この点をひとつ頭に入れていただきたいと思います。
 因果関係の推定の規定をとったことでございますが、これはおっしゃるとおり、われわれはある時期におきましては、この法律案の中に因果関係の推定の規定を入れたい、またそのように考えて努力しておりましたが、その後いろいろと考えました結果、最終案においてはこれはとったわけでございます。
 それはどうかと申しますと、つまり、公害というものはあらゆる様態がございます。あらゆる様態のものが、いまわれわれが考え得られないようなものもたくさんあると思います。そういうものに、一般に通ずるような一般の推定の方針をきめることは非常に困難と考えます。そういう意味で、われわれは、このわれわれがつくりました因果関係の推定の規定も、初めは一つの代表的なケースについて法律上の推定の規定を置くことだけを考えておったわけでございます。
 しかし、その後いろいろと各方面の意見も承りまして、われわれも考えまして、このような法律案、このようなあらゆる様態を持つ公害につきまして、因果関係の推定のこの規定が設けられますと、だんだん大きく発展してまいる、拡大解釈されます。そうすると、いままで考え得られないようなケースにまで発展するおそれがないとはいえないという不安があるということと、もう一つは、いまいろいろと判例がございまして、幸いに公害の裁判につきましては、このような因果関係の推定の規定がなくとも、そのような判例が十分に行なわれております。そういうよりどころをもってわれわれは、さらにわれわれがいま設けました規定より以上のすばらしい判断の裁判の考え方があるかもしれません。そのような判断が出てきた場合には、われわれのこの推定の規定はむしろ足かせとなります。そういうことを考えましてわれわれはとった次第でございます。
 しかし、今後この法律を運営してまいりまして、そのような規定が必要であるという場合には、もちろんこれは入れることにやぶさかではございません。
 それから二番目に、一つの独立法案にしないで、大気汚染防止法と水質汚濁防止法の二法の改正に限ったということ、それから、しかも健康被害に限ったというのはどういうことであるかというお尋ねでございますが、これは先ほど申し上げましたように、私どもはこの法律をつくるためには非常な時間的な制約がございました。このような大きな一つの独立法、しかも、いろいろな、健康被害のみならず、財産であるとか、そういうものを入れますと、非常に大きな法律案になります。それはとうてい八カ月とか九カ月の期間ではわれわれはつくり上げることはできません。そういう意味で、残念ながら、とりあえずまず限定したのが一つの大きな原因でございます。
 もう一つは、御承知のように、これは民法の過失責任の原則の大きな例外でございます。したがいまして、このような新しい考えを取り入れる場合には、何と申しましても、法的に間違いのないものにいたしたいというのがわれわれの願いでございます。それで、できるだけ明確なものを入れたい、しかも、一番われわれが環境で守るのは健康であること、健康を守るのが一番大事と考えましたので、そのような面に小さく限ったわけでございます。しかし、これはいつまでもこのような狭い範囲に限っておくわけではございません。もちろん、われわれは赤潮その他の生業の問題についても十分入れたいと考えました。しかし、赤潮自体にせよ、まだ赤潮と汚水との完全な因果関係はわかっておりません。その機序解明にはもう一、二年かかると思います。そのようなことで、もう少しいろいろな問題が解決されるまで待ってこういうものを順次取り入れて、できるだけ幅の広いものにいたしたいと考えておるのが、われわれのいまの気持ちでございます。
 それから、複数原因者等の責任の問題でございますが、これは鉱業法等の場合と違いまして、われわれの考えておりますものは、業種も非常に特定されておりません。場所的にも非常に広くなります。また、原因者も多数であることが多いと考えられます。このようなことから、原因者の責任というものは、民法の共同不法行為の適用にゆだねることが一番妥当であろうと考えまして、このような方向をとったわけでございます。
 それから四番目の、差止請求権でございますが、これはこういうものも一つの考え方でございます。しかし、われわれが公害のために努力しておりますのは、公害をなくすことでございます。できるだけ規制をきびしくして、そうして監視を強化して、このような公害を起こさないことがわれわれの目的でございますので、そのようなところに一生懸命努力してまいるということを前提といたしております。それからさらに、現在段階におきましても、ある程度のこれに類したものはあるわけでございます。そういうわけで、今回あえてわれわれは差止請求権というものをここに盛り入れなかったのでございます。
 それから五番目に、法律の遡及の問題でございますが、これは法務大臣から申し上げましたようなことでございまして、一般に行為者に義務を課したり、あるいは権利を制限するような規定というものは、大体遡及しないことが法の前提だそうでございますから、それに従ったのでございますが、もちろん、いろいろな、いままでの水俣病とかイタイイタイ病患者につきましては、われわれのできる範囲におきましてその救済ができますように努力してまいる決意でございます。
 以上でお答えといたします。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 古寺宏君。
  〔古寺宏君登壇〕
○古寺宏君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま政府より提案のありました大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に関連し、旧民の健康の保護と生活環境保全の立場から、わが国の環境保全行政の基本方針及び当面する具体的問題について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず第一にお尋ねしたい点は、無過失賠償責任制度に対する政府の姿勢についてであります。
 一昨年九月に、宇都宮市での一日内閣で総理が実現を約束して以来、ようやく本日提案を見たのでありますが、血と涙の歴史を繰り返してきた公害被害者や関係の当初の期待を全く裏切った法案といわざるを得ないのであります。何ゆえ救済の対象を人の健康にかかわる被害に限定したのか。また、単独立法にしなかったのか。なぜ財産損害を除外したのか。しかも、対象を水と大気の汚染防止法に定められた有害物質によって発生した公害だけに限り、その他の物質による水と大気の汚染公害はもちろん、騒音、振動公害等を除外し、きわめて限られた範囲の公害を対象としたのか。さらに問題は、当初の政府案にあった因果関係の推定に関する規定が削除されて骨抜きになったばかりか、公害の特殊性を全く考慮せず、不遡及の原則に固執していることであります。総理が三年前に約束し、大石環境庁長官が政治生命をかけるとまで言い切った本法律案の真意は、はたしてこのようなものであったのかと申し上げたいのであります。これでは無過失無責任法案と断ぜざるを得ないのであります。
 わが党をはじめ野党三党は、国民の声に謙虚に耳を傾け、被害者の迅速適正な救済をはかるため、因果関係の推定規定はもちろん、財産損害を含めた典型公害、差止請求、保険制度、規制措置請求権及び被害については、法律施行前に遡及して適用すべきであると提案しているのであります。総理はいまこそ勇断をもって人間性豊かな環境保全行政の発想の転換を行ない、そして行動に移すべきときであります。何ゆえ、平等の原則を無視して企業寄りに後退し、因果関係の推定規定を取り入れなかったのか。そしてまた、公害被害が激増し、公害患者の死亡が相次いで報ぜられているとき、このような骨抜きの法案を提案しなければならないのは何ゆえか。全国民に、そしてまた公害の被害者に対し、納得のいく御答弁を強く求めるものであります。
 また次に、来たる六月二十五日、スウェーデンのストックホルムで開催される第一回人間環境国際会議に臨むわが国の基本的方針についてであります。
 過日外務省より国連に送付されたレポートを拝見いたしますと、その内容は、わが国の公害の実態にはほとんど触れず、政府の施策を並べたものにすぎないのであります。PCBによるカネミ油症、水俣病やイタイイタイ病こそ、公害先進国といわれるわが国の公害の実態ではないでしょうか。その意味からも、記念すべき第一回の会議に不十分な偽りのレポートを送って、はたして環境保全に関する国際協力ができるとお考えでしょうか。将来に禍根を残すようなことがあっては断じてならないと申し上げたいのであります。この点について、政府は、この会議にあらためてわが国の公害の真実の実態を資料として提出し、世界的規模に拡大する公害、環境破壊を防止するために協力することこそわが国に課せられた使命であり、諸外国の公害防止のための他山の石としてこそ公害王国の汚名を挽回することができると思うのでありますが、総理の御所見を承りたいと思います。
 次に、過日OECDの会議で採択されたPPP、すなわち、公害防止費用の企業負担の原則に対するわが国の態度についてであります。
 このOECDの決定につきましては数々の議論もございますが、あくまで原則として発生源企業がその費用を負担することは、広く告人の支持するところであろうと思いますが、政府はこのPPP原則についてどのように受けとめ、どう具体化していこうとしているのか。特に、わが国がOECDの委員会に、公害防止費用の発生者負担原則に関する例外規定を提案した意図は那辺にあるのか、お伺いしたいのであります。
 また、過日来たびたび言われております環境容量規制体制の確立についてでありますが、もはや従来の大気、水質における、PPMで規制して、薄めて排出すればよいという、環境保全のためにほとんど役に立たない拡散稀釈原理方式を廃止して、環境汚染の絶対量規制に移行すべきときであると思うのであります。また、そのための汚染のメカニズムの解決等についてどのようなビジョンをもって対処されようとしておられるのか、御答弁を願いたいのであります。
 さらに、最近、一部法律学者の中で、仮称環境権法ともいうべきものを提案する時期が到来していることが指摘されているわけであります。憲法の基本的人権を堅持する上からも、近い将来、環境とは人間のためのものであるという、高い次元に立った立法措置がなされてしかるべきかと思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
 次に、環境庁発足以来、また公害国会を経て、法律の整備は一応の形を整えたにもかかわらず、毎日の公害病患者の激増は、ついに三月末現在六千数百名をこえるに至ってしまいました。法律が整備されても患者は激増し、死の犠牲者さえ百四名にも至っている現状であります。総理は、この悲しむべき現実をどうお感じになり、今後どう対処なされようとしているのか、お伺いいたしたいと思います。
 次に、経済抑止政策と新全国総合開発計画の再検討についてお伺いいたします。
 ローマクラブが強く主張しているように、地球全体の公害が深刻となっているので、経済成長を抑止すべきであります。そして、無公害開発のモデルが公害のモデルとなりつつある鹿島の開発の二の舞いを繰り返さないためにも、青森県のむつ小川原等の大規模工業開発等について、経済優先から地域住民の福祉優先、環境優先に、発想の転換をはかるべきと考えるのでありますが、総理はいかがお考えでしょうか。
 政府は新全総の総点検作業をスタートさせる考えと聞いておりますが、現在の新全総の致命的な欠陥として、環境問題が全く取り残されていることであります。政府は、この実態をすみやかに改め、経済成長率を押え、その上で根本的な公害防止対策を打ち出すべきであると思うのでございますが、お伺いをする次第でございます。
 質問の第二点は、PCB汚染対策についてであります。
 いまや国民は一億総油症化の危険にさらされていると言っても過言ではありません。各地に相次いで汚染の実態が暴露され、人体からも、魚はもちろん、母乳からも検出されております。通産省はすでに製造禁止及び使用規制の措置をとったようでありますが、すでに放出されて回収不能になったPCH、これから発生すると思われる被害者の治療法の確立、廃棄物の処理、回収方法、汚染のメカニズム、慢性毒性の研究など、当面焦眉の急を要する課題が山積しているのであります。特に全国の汚染実態の総点検、及び第二、第三のPCB汚染に対処するためにも、政府はいかなる方針で対処するお考えか、また、これらの対策として財政措置を考えておられるのか、また、PCBについて、大気、水質、土壌のそれぞれに早急に規制基準を作成し、有害物質に指定する必要性を痛感するものでありますが、関係者大臣よりそれぞれ御答弁を願いたいと思うものであります。
 質問の第三点は、基地公害対策についてであります。
 公害対策基本法制定以来、たび重なる国民の要請にもかかわらず、いまだ基地公害は適用除外となっているのであります。
 一例を申し上げるならば、青森県の防衛庁下北弾道試験場においては、昭和三十四年以来弾道試験のために相当広範囲にわたる海域が立ち入り禁止となり、漁民は生活の場は奪われて出かせぎを余儀なくされ、また激しい騒音のために周辺の小中学校は思うように授業できず、地域住民の苦しみは言語に尽くせないものがあるのであります。この下北試験場のように、基地公害に悩む多くの国民のいることを政府は知っておられるのかと申し上げたい。私は、住民の救済対策、今後の基地公害に対する公害防止計画の策定及び自然環境保全の立場から、政府はどのように取り組んでいこうとする考えか、承りたいのであります。
 さて、賛同の第四点は、冒頭にも申し上げましたように、公害病患君の救済についてであります。日増しに深刻な苦悩の生活を送る認定患者の激増ぶりは恋しむべきわが国の現爽であります。いまや公害被害者の発生地域は全国的規模に深く広がり、深刻さを増しているのであります。率直に申し上げまして、現行の法律で不十分ながら救済措置を受けているのはほんの一部の限られた認定患者のみであります。特に医療手当の増額を含めた生活保障、疑わしき者には広く救済の手を差し伸べてあげる立場から、認定基準の再検討及び指定地域制の廃止など、本法の抜本的改正が当然はかられなければ、公害病患者の救済はできないと思うものであります。人命尊重の立場から政府の前向きの御答弁を心から望むものであります。
 質問の第五点は、全国に数千カ所あるといわれております休廃止鉱山の公害防除対策についてであります。この問題に関してわが党は、党公害対策本部を中心として現在まで、最近の土呂久、遠ケ根、松尾、木浦、笹ケ谷等全国各地の休廃止鉱山を精力的に調査してまいりました。その結果は想像を絶するずさんな管理、亜砒酸を含む各種有害物質が長期間公然と放置され、環境は破壊され、地域住民や元従業員は公害被害に苦しみながら、犠牲をしいられているのであります。数多い中小鉱山の中では、無資力のため十分な公害対策も実施できず、また鉱業権者さえもいないところがあるのであります。私は、数多い休廃止鉱山のずさんな監督行政こそ、政府の企業後先、経済成長至上主義の遺産であると、強く指摘したいのであります。(拍手)
 特に農水産、動植物の被害や人体被害に対して、いかなる対策も考えておられるのか。また、指導監督体制の強化について、今後どのような方針のもとに対処していかれるのか。さらに、この際、私は、特に政府に対し、無資力も無権者の休廃止鉱山については、仮称鉱山復旧法ともいうべき法律の整備をはかり、国や県の力で早急に公害を取り除くことを御提案申し上げたいのでありますが、当局の御所見を承りたいと思います。(拍手)
 次に、この法案に関連して、裁判の遅延の問題、及び法曹一元化の問題についてお尋ねしたいのであります。
 民事裁判が最終的に確定するまでには非常に長期間を要し、十年以上も必要とすることは御承知のとおりであります。裁判の遅延は裁判の拒否にひとしいのであります。このような裁判の実情から、裁判所の裁判を受ける権利を有する国民が、公害等については、裁判所でない公害等調整委員会の処理に従わなければならない結果となっているのであります。これは、われわれ国民が有する法の支配に服する権利の放棄であります。総理は、この裁判の遅延についていかにお考えか、御所見を承りたいと思います。裁判の遅延の解消は裁判所の充実であり、裁判所の充実は法曹一元化であると考えられるのであります。今日法曹一元化が実現しないのは、法曹三者の意見の不一致であると聞いておりますが、総理は国政の担当者としてこれの実現に努力すべきであると思いますが、その御意思があるかどうか承りたいと思います。
 最後に、一言、現行の食品衛生法及び薬事法について、無過失賠償責任制度を考える用意があるのかどうかお伺いいたしたいと思います。
 政府は、公害被害者の救済を被害者の立場に立って考えるなら、すみやかに野党三党提案の公害に係る事業者の無過失損害賠償責任法案に本案を修正されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 古寺君にお答えをいたします。
 たいへん広範に、しかも土井君と同じように、こまかな点にまでお触れになりました。私からは基本的な問題についてお答えをいたしますので、足らない点は後ほど各大臣から補足説明をいたしますから、かように前もって御了承おき願いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、公害の無過失損害賠償責任法につきましては、これは民法の過失責任の原則の例外を定めるものでありますので、その対象を限定し、大気汚染防止法及び水質汚濁助士法の改正という形式で、公約どおり国会に提出したところであります。
 その内容につきましても、公約の趣旨どおり、硫黄酸化物等複合汚染の原因となる物質も無過失責任の対象物質としており、このような措置によりまして被害者の保護をはかることができるものと、かように考えております。
 次に、第一回国連人間環境会議につきましてのお尊ねでありますが、御承知のとおり、この会議は、本年六月ストックホルムにおいて開催されるもので、その目的は、一言でいえば、世界の国々が協力して人間環境を保護、向上することにあります。
 わが国といたしましては、この会議のための準備委員会の右方メンバーとしてその準備作業に積極的に参加してまいりましたが、今後も、わが国の有する環境問題全般についての知識と経験、これを十分に生かして、六月の本会議におきましてはもとよりのこと、さらに、ストックホルム会議後も、引き続きできる限りの貢献を行なうとの基本方針で対処してまいりたいと考えております。
 また、この会議では、人間環境宣言の採択が予定されておりますが、この宣言案の中にはわが国独自の提案にかかる原則が幾つか盛られており、特に核兵器を含む大量破壊兵器の実験の停止を訴えた条項は、わが国の強いイニシアチブによって加えられたものとして、各国から高く評価されているところであります。
 次に、環境権法を制定すべしとの御主張は、環境権を法律上明記してその保護をはかれという御趣旨かと思いますが、環境権の意味するところは必ずしも明確ではありませんし、今後の検討を待つべき問題であると、かように私は考えております。
 また、公害病患者が激増しているが、今後いかに取り組んでいくかとのお尋ねがありましたが、認定患者が増加していることは事実であり、私は、国民の健康を守る立場から、かような状態についてはきわめて遺憾なことと思っております。今後はこれらの事態を踏まえて、健康被害救済制度の充実をはかる一方、本来的には公害の未然防止がまず大事でありますので、この観点から、各種公害発生源の規制の強化、監視、取り締まり体制の強化等をはかっていく考えであります。
 次に、公害防止のためには、いたずらに高度成長を求めることなく、安定成長の確保をはかることが必要であり、また、開発中心でなく、自然環境保全、公害防止の観点を一そう重視する必要があるとの御指摘がありましたが、私も基本的にはそのように考えております。
 政府といたしましては、新しい経済計画の作成及び新全総計画の総点検を行なうこととしておりますが、国土利用のあり方等の面からも、この問題について十分検討してまいりたいと考えております。
 次に、防衛基地公害についてのお尋ねがありましたが、これは防衛庁長官からお答えいたしたいと思います。
 次にまた、被害者の救済について積極的な行き方を示せ、こういうことでありますが、これまた環境庁長官からお答えさせたいと思います。
 私からは、最後の問題として、いわゆる公害裁判、これがずいぶん時間が長い、したがって、関係者もたいへん困るのだ、こういうことで、この点について私の考え方を申し上げてみたいと思います。
 大体この公害裁判につきましては、御承知のように、関係人が非常に多数であり、同時に因果関係の解明がまた困難であるなどの特殊性から、その審理に比較的長期間を要することは避けがたいところでありますが、これらの裁判を担当する裁判所におきましては、その審理の促進に格段の努力を傾注され、ようやくその成果もあがってきつつあるように承知しております。政府といたしましても、公害関係事件の一そうの適正迅速な処理が可能になるよう、昨年来、この種事件を担当する裁判官等の増員の措置を講じてきたところであります。
 ただ、裁判期間の短縮の問題は、単に裁判官等を増員するだけで解決できる問題ではなく、種々の角度から対策を検討する必要があると思われますので、今後も最高裁判所の意見を尊重し、在野法曹の協力を待て、迅速な裁判の実現のため、できる限りの努力をしていく考えでございます。そのために法曹一元化、こういうようなお話も出ておりますが、これなどは十分検討すべき事柄だ、かように思っております。
 以上、私からお答えをいたします。(拍手)
  〔国務大臣斎藤昇君登壇〕
○国務大臣(斎藤昇君) 私は、まず第一点といたしまして、食品、母乳等がPCBに汚染をされている実情を調査しているか、また、将来どうしようとしているか、これらによって健康あるいは生命が侵されておるかおらないか、また、これらの慢性毒性をいかに研究をしているかというお尋ねに対してお答え申し上げます。
 PCBの食品、母乳の汚染につきましては、昨年の六月からこれらの調査をいたしておりまして、食品については約四百点についてその結果を得ているわけでありますが、まだ完全ではございません。引き続いてやってまいりたいと思います。
 今日の自然食品の中では、魚が一番汚染度が高いように見えます。この汚染度の高い魚を引き続いて飲食に供してよろしいかどうか、その特定基準を近く、ここ一、二カ月のうちにきめたい、かように考えております。
 母乳につきましては、これまた御承知のように、京都、大阪、その他数府県において、その調査の結果の発表を見ておりますが、今日の母乳の汚染度におきましては、乳児にこれを保育のために飲ませるということにおいてはいまのところ害はないであろうという関係学者、研究家のあれでございますから、今後ともその乳幼児なりあるいは母性なり、そういった点をさらに進めてまいりたい、かように存じます。
 慢性毒性の試験、研究は、昨年から始めております。これには若干日時を要するわけでございます。そこで、そういった研究結果がはっきり出るまで待っているわけにはまいりませんので、諸外国の文献その他から推測をいたしまして、それらよりももっと厳重な意味の食品の暫定基準を近くきめたい、かように思っているわけでございます。
 なお、食品衛生法、薬事法を改正して、これに無過失賠償責任制度を取り入れる考えはないかというお尋ねでございますが、御承知のように、食品衛生法、薬事法、いずれもそういった食品や薬事からくるところの事故の防止をしようという趣旨の法律でございまして、今日、実態といたしましても、これの賠償をいかにさせるか、賠償責任をどうするかということよりも、もっと危害の防止に重点を置くべし、こういう御意見が一般的に強いようでございます。したがって、無過失賠償責任について全然考えない、無関心であるというわけではございませんが、さしあたり、これらの食品なり薬事からくるところの国民の健康被害を防止するために、これを強化するために、ただいまも食品衛生法の改正をこの国会に提案をいたし、御審議を願っているところでございまするし、また、薬事法の運用におきましてもさらに強化をいたしまして、そして、そういった事故を表然に防止をすることに重点を置いてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  〔国務大臣田中角榮登壇〕
○国務大臣(田中角榮君) 私から、三点にわたってお答えをいたします。
 まず第一点は、OECDにおけるPPP、すなわち汚染者負担の原則とわが国の公害対策との関連についてでございます。
 公害については、原因者負担が原則であることは、わが国の制度もそのとおりにいたしておるわけでございます。しかし、公害除去のためには、税制、財政、金融上の措置等がとられておることは事実でございます。現に御審議をいただいております四十七年度の総予算案におきましても、昨年度九千万円であった公害除去の工事助成金として約三倍に及ぶ事業費を計上しておるわけでございます。これらがPPPの原則とたがわないかということでございますが、原因者負担の原則を貫き、その上に政府、地方公共団体と力を合わせて公害防除につとめておるわけでありますから、原則的にこの方針と反するものではないわけであります。現にある公害を防除するためには、国民の生命、財産を守るという崇高な使命を果たすわけでありまして、原因者負担の原則だけにとらわれるものではなく、政府、地方公共団体、国民すべてが協力をし合って実をあげることが望ましいことは言うまでもないわけでございます。
 第二点は、PCBに関する問題でございます。
 昭和二十九年から四十六年末までに製造されたPCBの総量は五万五千トンに及ぶわけでございます。非常に高性能なものでございまして、閉鎖性と開放性に使われておるわけでございます。閉鎖性は、御承知のとおりトランス、コンデンサー等に使われてもおりますし、家電製品にも使われておるわけでございます。また、開放性はノーカーボン紙等に多く含まれておったわけでございまして、これを故紙として回収をし、ちり紙等をつくったときに、その中にPCBが非常に多く含まれておったということでございます。もうすでにこの生産は、三社でございますが、四月ないし六月には全面的に操業を停止をするわけでございます。この残っておりますものは現在五百トンでございます。非常に高性能なものであって代替品が見つからないということで、閉鎖性のもので完全に回収できるもの、電電公社、日本国有鉄道、その他そういうものに対しては、ごく限られた部分で、回収を原則として使用さしておるわけでございます。開放性のものに対しては全面禁止でございます。
 しかし、すでに五万五千トンも製造されておるものという汚染、これを回収しなければならないことは御説のとおりでございます。これはちり紙等、全国にばらまかれておるものでございまして、これを回収しなければならないということはそのとおりなんですが、回収するということに対してどういう処置があるかということは、閉鎖性のものは別でございますが、開放性として使われたものの回収は非常に困難であるということだけは事実でございます。しかし、特定なものとしては、田子の浦で製紙工場の廃液から流れたという、PCBが含まれておるどろがございます。もう一つは、川原に積み立てられておる、PCBを相当含むものがありますので、川原に積み立てられておるようなものは、これは固定化などをするということで処理ができるわけでございます。
 いずれにしても、PCBの公害というものは非常にたいへんなことでありますので、各界の協力も得ながら、精力的にこれが公害除去につとめてまいります。
 第三点、休廃止鉱山の公害防止の問題でございますが、鉱業法によりましては、非常に古い法律でございますが、無過失賠償責任の制度がちゃんと明定してございます。しかし、数百年の長い歴史を持つものでございまして、鉱山というものは、いま大体どのくらいあるのかというと、六千カ所ぐらいが推定をせられます。しかもその中で、公害に関して調査を要するものが千五十カ所と推定をされるわけでございます。現在、通産省が主体になって、二百五十鉱にわたり公害防除の施設等を行なっておるわけでございますが、もうすでに鉱業権者のないもの、無資力等のものがございまして、いろいろな問題を起こしておることは事実でございますので、まず実態調査を行ない、公害防止工事補助金を拡大し、休廃止鉱山の公守防止に全力を傾ける。
 以上で御理解をいただきたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣赤城宗徳君登壇〕
○国務大臣(赤城宗徳君) 農水産物に対するPCB汚染の実態と対策について御答弁申し上げます。
 最近、滋賀県の草津市におきまして、かなり高濃度の土壌汚染が報告されておりますが、これにつきましては、現地改善対策試験を実施いたしておりまして、土壌と作物のPCB含有量の関係、除去方法等につきまして、具体的な検討を昭和四十七年度におきまして行なうことを予定いたしまして、目下滋賀県と打ち合わせ中であります。
 なお、農産物及び畜産物等につきましても、汚染実態と汚染機構の解明のために調査研究を実施すべく目下検討中でございます。
 なお、水産物のPCB汚染につきましては、東京湾、駿河湾、琵琶湖、大阪湾等において、かなり高濃度のPCBが検出されておりますが、農林省といたしましては、関係各省庁の組織的調査研究の一環として、関係府県水産試験場の協力を得まして、魚介藻類の汚染実態の把握、魚介藻類の蓄積機構等につきましての調査研究を実施中であります。これらの調査研究と並行いたしまして、対策につきまして、鋭意検討してまいりたいと存じます。
  〔国務大臣大石武一君登壇〕
○国務大臣(大石武一君) お答えいたします。
 だいぶいろいろ多うございますので、順序が逆になるかもしれませんし、答弁漏れがあったらお許しを願いたいと思います。
 なお、御質問のうちの土井さんにお答えした分については、ひとつ割愛させていただきたいと思います。
 それで、因果関係の推定の削除はまことにけしからぬ、おまえは政治的生命をかけたではないかという御質問でございますが、私は、この法案に対しては、非常な責任を感じております。しかし、この因果関係の削除につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。
 私は、この法律案をつくる場合にいろいろ考えました。何と申しましても、このような新しい思想を行政の中に確立することが一番大事であると考えました。そうして、この法律は、決して簡単なものではございませんから、やはりある時間をかけて、総合的なりっぱなものにしなければならないと考えてまいりました。したがいまして、今回は、時間的な制約もございますし、とりあえず一番大事なもの、明確な範囲のものだけを取り上げまして、御承知のような人間の健康被害、それだけに限ったわけでございまして、複合汚染も入れまして、こういうことで一応の橋頭堡ができ得たと考えたわけでございます。
 そこで、因果関係の削除でございますが、因果関係の推定につきましては、私も、ある一部の面では、これがあったほうがいいと思います。しかし、これが、削ったことによって、はたしてこの法案を出さないほうがいいか、これだけで出さないほうがいいか、削っただけでも出したほうがいいかということを考えてみました。その結果は、やはりこれはさらに出したほうがよりよいと判断をいたしまして、私は、いろんな御批判はございますが、この法律案をあえて提案いたした次第でございます。
 それから、人間環境会議の場合でございますが、まだその代表は決定しておりませんが、私が参るという前提のもとにお答えいたしたいと思います。
 この会議に参りました場合に、私は、やはり日本の公害の実態を十分にみんなに知らしたいと思います。そして、この地球が、このような汚染によって破壊されることがないように、われわれの経験を十分に取り入れてもらいまして、このようなあやまちを繰り返してもらわないように、いろいろ実態を十分に皆さまにお話をする決意をいたしております。
 それから、PPPのお話でございますが、これは先ほど通産大臣からお話がございましたので、くどいことを省きますが、この原則は当然でございます。われわれも、近い将来にはこれを守っていかなければならないと思いますが、現段階におきましては、どの国もおそらくはそうだと思いますけれども、とにかく、まず現在の公害の進行をとめること、公審を防止することが一番大事だと考えております。そういう面ではどんな手段を使っても、ただし妥当な手段でございますが、政府がどのような援助をしても、何をしても、私は、やはり公害をとめることに全力を注ぎたいと考えております。そういう意味で、この五月の閣僚理事会においては、この原則が採択されましょうけれども、まずいろいろとその了解、理解を求めまして、もちろん、この原則には当然従ってもらわなければなりません。それは守らなければ、日本は世界の孤児になります。守らなければなりませんが、とりあえずいろいろな面を考えまして、国としてもでき得る限りの、まず当面の間は、公等の防止にできるだけ努力してまいりたいと思います。しかし、近い将来には、このような考えを取り入れなければなりません。そういうことでございます。
 そこで、いろいろ財源のことがございますが、たとえば無過失賠償責任制度を今度ここでつくりますと、どうしてもこれと相呼応して、やはりいろいろな被害者の救済、補償その他に関する費用の問題が出てまいります。このような財源を考えることが、やはり一つの大事な問題だと思います。そういう意味で、この財源については、われわれはいろいろ考えなければなりません。
 また、公害病患者のいろいろな補償の問題につきましても、将来、やはりこういう財源を考えることが大事ではなかろうかと思います。そういう意味で、これは政府が金を出しますが、PPPからいえば、当然これは、いろいろな公害発生者から徴収することになりましょうけれども、いずれにしても政府がその音頭をとって、その中心となってこのような財源の制度をつくることが必要であろうと考えて、努力してまいる決意でございます。
 それから、飛びますが、いろいろな排出基準の場合の濃度規制なり総量の規制の問題がございましたが、これはごもっともでございます。これにつきましては、たとえば大気汚染の場合には、硫黄酸化物等は、当然これは総量も将来は考えなければならないと思いますが、ものによりましては必ずしもできないものもございます。したがって、物質をいろいろと検討いたしまして、御趣旨の方向に持ってまいらなければならないと思います。
 ただ、水につきましては、御承知のように全国一律の排出規制をしておりますので、これを総量的にとらえることは非常に困難でございます。しかし、総量的なものをとらえなければならない場面もたくさんございますので、御承知のように、各県に上乗せ基準を設定してもらいまして、一そうその規制をきびしくしておる現状でございますが、近い将来には、やはり水につきましても総量規制のことを考えまして、その総量の測定技術とかそういうものを十分に考慮いたしまして、それらの方向に進んでまいりたいと思うのでございます。
 また、環境権につきましては総理からお話がございまして、くどいことは申し上げませんが、私どももこのような行政をやっておりますのは、われわれの生活環境、健康で豊かな明るい生活環境を確立することにあるわけでございます。したがいまして、近い将来には当然環境権というものがはっきり確立されてまいると思います。われわれも、そのような権利の確立されることを心から待っておるわけでございます。
 それから、PCBにつきましては、いろいろお話がございましたからあまり重複いたしませんが、PCBは、御承知のようにまだ実態のわからないものでございます。また、その分析方法さえ確立いたしておりません。そういうことで、全国にどのように散らばって、どのような量でどうなっておるのかということは、ほとんどわからない状態でございます。これを一日も早く想定をして実態をつかまえることが必要であります。そういう点で、いま科学技術庁、厚生省で懸命の努力をして、PCBの分析法を確立いたしておりますが、大体見通しがつきましたので、近くその、環境基準とは申せませんが、指針をつくりまして、そうして総点検に入ることになっております。実態を知ることが一番大事でございます。そうして同時に、これに対する対策をして、やはり生物実験を中心としたいろいろなPCBの人体に対する影響というものを検討しなければならぬと思います。そういうものも検討いたしておるようでございますから、こういうことを総合して、できるだけ早くPCBの対策を進めてまいりたいと思います。
 次に、公害病患者の問題でございますが、これはいろいろな御注文がございましたが、その中の認定基準の改定のお話がございましたが、これは御承知のように昨年の八月でありますか、新しいものの考え方を全国に示しまして、疑わしきものを救うというような新しい認定の基準の方向をきめておるわけでございます。このようにしてできるだけ公害病患者を漏れなく救済できるように、また、その医療手当、介護手当、そういうものもできるだけ増額してまいりたいと思います。ただ、指定地域の廃止ということにつきましては、これはもう少し検討してみたいと思いますが、患者を漏れなく救うということについては、あらゆる努力をいたしたいと思う次第でございます。
 大体そういうことでございますが、あとは、薬品に無過失を適用したらどうか。薬品に無過失なんか要らないと思います。薬品の場合の問題は過失であると思います。でありますから、無過失のほうは適用する必要はないと考えておる次第でございます。
   〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
○国務大臣(江崎真澄君) お答え申し上げます。
 下北試験場は、火器の弾道試験、性能試験、こういったことで近隣市町村、たいへん御迷惑をおかけいたしております。射撃揚を移転したりいたしましたが、なお迷惑がかかるということですから、現在、騒音について厳重な認否をし、周辺の学校その他については、基地周辺整備法を適用してすみやかに措置を講じたいと思っております。
 漁業権につきましては、消滅補償という多額な補償金を払ったわけでありまするが、実は海岸線を相当とっておりまするので、漁業者が船出をするときには非常な遠距離を回らなければならぬ、何とかしてくれ、これもやはり零細な漁業者としては切実な問題だと思いまするので、御指摘の線に沿って十分ひとつ検討をいたしたいと考えております。
 今後基地公害をどうするのか。これは深刻な問題でありますが、防衛の問題は一日もなおざりにできぬ問題であります。そうかといって、周辺作民がたいへん迷惑をこうむるということでは、これはやはり民主主義の時代代にそぐいませんので、われわれとしては、この公害の防止、また基地周辺の自然然環境の保全、こういったことには十分配意しまして、環境庁はじめ関係省庁と十分連絡をとりながら、前向きでひとつ善処をしていく。これは御意見を十分承りておきます。
 また、やむを得ず騒音等でたいへん御迷惑をかけます向きについては、現在の防御施設周辺の整備等に関する法律、特別損失補償法、こういったものを、予算的な裏づけを充実して、これによって少しでもこの公害を軽減する、まじめな、前向きな努力をしてまいりたいと考えております。
   〔国務大臣木村俊夫君登壇〕
○国務大臣(木村俊夫君) 私に対するお尋ねは、新全国総合開発計画と公害の問題の関係でございます。
 御承知のとおり、現行の新全総計画におきまして、すでに環境問題を取り上げております。基本的目標にしておりますが、しかしながら、この計画策定後におきまして、御指摘のように、環境問題がさらに一そう深刻化しておりまして、国土開発の面から環境問題への対応をより明確化する必要があると考えますので、この観点から計画の総点検を行ないたいと思います。
 総点検の具体的進め方につきましては、従来の国土開発政策の成果と反省の上に立ちまして、特に環境問題については、現在各方面で進められております検討と関連させながら、一そうその重点を明らかにしてまいる所存でございます。
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 労働保険特別会計法案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第一、労働保険特別会計法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長齋藤邦吉君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔齋藤邦吉君登壇〕
○齋藤邦吉君 ただいま議題となりました労働保険特例会計法案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、労働者災害補償保険事業及び失業保険事業につきましては、労働保険の保険料の徴収等に関する法律が第六十二回国会において成立し、本年四月一日から施行され、その保険料の徴収の一元化が実施されることとなりました。
 本案は、これに伴いまして、現行の労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計を統合して、新たに労働保険特別会計を設置しようとするもので、そのおもな内容を申し上げますと、
 第一に、この会計は、労災保険事業及び失業保険事業に関する政府の経理を明確にすることを目的として設置され、労働大臣が管理することといたしております。
 第二に、この会計は、労災勘定、失業勘定及び徴収勘定の三勘定に区分して経理することとし、各勘定の歳入歳出について規定を設けております。
 第三に、勘定間の繰り入れ、借入金または一時借入金の借り入れ、予算及び決算の作成及び提出、決算上の剰余金の処理等、この会計の経理に関し必要な事項を定めております。
 なお、本案につきましては、三月二十七日内閣修正が行なわれましたが、その内容は、昭和四十七年度において暫定予算が施行されることとなりましたことに伴い、施行期日を「昭和四十七年四月一日」から「公布の日」に改めるとともに、暫定予算の期間中に行なわれる収入支出等の整理に関し所要の規定の整備を行なうことといたしたものであります。
 本案につきましては、審査の結果、去る四月十一日質疑を終了し、翌十二日採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、労働保険の適用範囲の拡大、通勤途上災害に対する労災保険法上の取り扱い、及び失業保険の給付内容の充実の三点にわたり、全会一致の附帯決議が付せられたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 火炎びんの使用等の処罰に関する
  法律案(法務委員長提出)
○議長(船田中君) 日程第二は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ君あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 日程第二、火炎びんの使用等の処罰に関する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の趣旨弁明を許します。法務委員長松澤雄藏君。
   〔松澤雄藏君登壇〕
○松澤雄藏君 ただいま議題となりました火炎びんの使用等の処罰に関する法律案の提案の理由並びにその概要について御説明を申し上げます。
 まず、提案の理由について申し上げます。
 最近、各地においてきわめて過激な集団的、組織的な不法事犯が繰り返されており、その際、いわゆる火炎びんが主たる凶器としてしばしば使用され、これまでに人身の死傷並びに諸施設の炎上等多大の被害が発生し、社会一般に大きな不安を惹起していることは御承知のとおりであります。
 ところで、火炎びんはきわめて危険な凶器であるのみならず、正当な用途に使用される余地が全くないものであり、その上、現行法制のもとにおいては、火炎びんの使用、製造または所持等を直接に処罰の対象とする刑事罰則が存在せず、また、既存の罰則をもってしては、火炎びんを使用する不法事犯を適確に処罰するには種々の難点が見られるのであります。
 このような観点から、火炎びんの使用等について特別の処罰規定を設け、もって、この種不法事犯の防遏に資するとともに、社会の不安を一掃し、法秩序の維持に寄与するため、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、本案の内容について申し上げます。
 第一点は、この法律の適用範囲を明確にするため、火炎びんの定義規定を設け、この法律において火炎ぴんとは、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れたものというだけでなく、その物質が流出しまたは飛散した場合に、これを燃焼させるための発火装置または点火装置を施したもので、人の生命、身体または財産に害を加えるのに使用されるものとしたのであります。
 第二点は、火炎びんを使用して、人の生命、身体または財産に危険を生じさせた者は、七年以下の懲役に処することとし、その未遂を処罰し、また使用に至らなくても、このような火炎びんを製造しまたは所持した者についても三年以下の懲役または十万円以下の罰金に処することとしたものであります。
 この他、火炎びんを使用する不法事犯の実態にかんがみ、火炎びんの製造の用に供する目的をもって、ガラスびんその他の容器にガソリン、灯油その他引火しやすい物質を入れた物で、これに発火装置または点火装置を施しさえすれば火炎びんとなるものについても、火炎びんを所持した者と同様に処罰することとしたものであります。
 以上が本案の提案理由並びにその内容であります。
 なお、本案の立案にあたり、当委員会において、本法施行に関し、火炎びんの使用等の処罰等に関する件につきまして決議いたしましたことを申し添えます。
 何とぞすみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第三 簡易生命保険法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第三、簡易生命保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。逓信委員長高橋清一郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔高橋清一郎君登壇〕
○高橋清一郎君 ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本案は、簡易生命保険の保険金額の最高制限額を引き上げるほか、若干の制度の改善をはかろうとするものであります。
 まず、保険金額の最高制限額を引き上げることについて申し上げます。
 現在、簡易生命保険の保険金額の最高制限額は、被保険者一人につき二百万円でありますが、最近における社会経済事情の推移にかんがみ、加入者に対する保障内容の充実をはかるため、これを三百万円に引き上げようとするものであります。
 次に、その他の制度の改善について申しますと、告知義務違反の国の解除権の消滅する期間を短縮すること、保険事故が保険金の削減期間内に発生した場合でも、簡易生命保険約款の定めるところにより、保険金額を削減しないで支払うことができることとすること、保険契約の解除、失効等による還付金の還付率の上限を引き上げることとすることであります。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日となっております。
 逓信委員会においては、二月三日本案の付託を受けまして、慎重に審議を重ねたのでありますが、四月十二日質疑終了、直ちに採決をいたしました結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 土地改良法の一部を改正する法律
  案(第六十五回国会、内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第四、土地改良法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。農林水産委員長藤田義光君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔藤田義光君登壇〕
○藤田義光君 土地改良法の一部を改正する法律案につきまして、審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における農業及びこれをめぐる諸情勢が急激に変化し、現行の土地改良制度が農業あるいは農村の実情と必ずしも一致しない面を生じていることに対応し、土地改良制度の全般にわたり、その改善、合理化をはかろうとするものであります。
 本案は、第六十五回国会より今国会まで継続審査となってきたものであります。
 今国会におきましては、六回にわたり、質疑及び参考人の意見聴取を行ない、四月十三日質疑を終了、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、委員長提案により、五項目にわたる附帯決議が付せられました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成君起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 昭和四十七年度分の地方交付税の
  特例等に関する法律案(内閣提出)
○議長(船田中君) 日程第五、昭和四十七年度分の地方交付税の特例等に関する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長大野市郎君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔大野市郎君登壇〕
○大野市郎君 ただいま議題となりました昭和四十七年度分の地方交付税の特例等に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、わが国経済の停滞を反映して、きびしい状況のもとに置かれている地方財政の現況にかんがみ、
 第一に、昭和四十七年度分の地方交付税の総額については、現行の法定額に、脇町地方特例交付金千五十億円、臨時沖繩特別交付金三百六十五億円、並びに交付税及び譲与税配付金特別会計における借り入れ金千六百億円を加算する特例規定を設けることとし、この借り入れ金については、昭和四十八年度から昭和五十五年度までの各年度に分割して償還することとしております。
 第二に、昭和四十七年度の普通交付税の算定方法については、市町村道、公園、下水道、清掃施設等、住民の生活に直結する生活環境施設の計画的な整備を進めるとともに、過密過疎対策、公害対策、交通安全対策及び消防救急対策に要する経費を充実し、老人医療費の公費負担制度の新設等、各種の制度改正に伴い増加する経費を算入する措置を講ずるほか、地方債を大幅に増額することに伴い、投資的経費の一部を地方債に振りかえることとしております。
 第三に、沖繩の復帰に伴い、沖繩に対して交付すべき地方交付税の一部に充てるため、昭和四十八年度から昭和五十年度までの各年度においても臨時沖繩特別交付金の制度を設けることとし、また、沖繩県及び沖繩県内の市町村に対して交付する普通交付税の算定上必要な経過措置を設けることとしております。
 本案は、三月十日本委員会に付託され、同月十四日渡海自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、四月十一日には参考人より意見を聴取するなど、本案はもとより、地方財政全般にわたって熱心に審査を行ないました。
 四月十三日質疑を終了し、討論を行ないましたところ、自由民主党を代表して中村委員より本案に賛成、日本社会党を代表して山本委員、公明党を代表して和田委員、民社党を代表して門司委員、日本共産党を代表して林委員より、それぞれ本案に対し反対の意見が述べられました。
 次いで、採決を行ないましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しまして、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案により、地方交付税制度の検討、過疎過密対策、超過負担の解消、国と地方との財政秩序の確立、地方債の充実、地方公営企業の健全化措置及び沖繩県に対する財政措置を内容とする附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 石油開発公団法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
○藤波孝生君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 石油開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長鴨田宗一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔鴨田宗一君登壇〕
○鴨田宗一君 ただいま議題となりました石油開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本案は、石油及び可燃性天然ガスの安定的かつ低廉な供給確保の重要性にかんがみ、石油開発公団の業務の拡大等をはかろうとするものでありまして、そのおもな内容は、
 第一に、石油開発公団の業務に可燃性天然ガスの探鉱資金の供給に関する業務を加え、その探鉱に対する出資及び資金の貸し付け、探鉱及び開発にかかる資金についての債務保証等を行なうこと。
 第二に、石油開発公団みずから海外における石油及び可燃性天然ガスの探鉱に必要な地質構造調査を行なうこと。
 第三に、当分の間、石油開発公団の業務として、原油の備蓄の増強に必要な資金の貸し付けを行なうこと。等であります。
 本案は、去る三月十日本委員会に付託され、三月二十一日田中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取し、以後、慎重な審査を行ない、本日質疑を終了し、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党共同提案による附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 下水道事業センター法案(内閣提出)
○藤波孝生君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、下水道事業センター法案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(船田中君) 藤波孝生君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 下水道事業センター法案を議題といたします。
    ―――――――――――――
   理由
 地方公共団体における下水道事業の執行体制の現状にかんがみ、下水道の整備の促進に資するため、下水道事業センターを設立し、地方公共団体の要請に基づいて下水道に関する技術的援助及び下水道の根幹的施設の建設を行ない、並びに下水道技術者の養成及び下水道に関する技術の開発を行なう等の業務を行なわせる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。建設委員長亀山孝一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔亀山孝一君登壇〕
○亀山孝一君 ただいま議題となりました下水道事業センター法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、地方公共団体における下水道事業の執行体制の現状にかんがみ、下水道事業センターを設立し、地方公共団体の要請に基づく業務等を行ない、もって下水道整備の促進に寄与しようとするもので、そのおもな内容は次のとおりであります。
 下水道事業センターは、都道府県知事の全国的連合組織の推薦する知事等の発起人が、建設大臣の認可を受けて設立し、その資本金は、政府及び地方公共団体からの出資金の合計額とすること、本センターには、役員として理事長、理事及び監事等を置くとともに、その運営に関する重要事項を審議する機関として評議員会を置くものとすること、本センターの業務は、地方公共団体の委託に基づき、下水道に関する技術的援助、根幹的施設の建設並びに技術者の養成等を行なうこと、及び、本センターは長期借入金をすることができるものとし、国、地方公共団体はその債務の保証をすることができるものとすること等であります。
 本案は、去る二月十九日当委員会に付託され、三月八日西村建設大臣から提案理由の説明を聴取し、自来、慎重審議を行なってまいりましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて、本十四日質疑を終了し、直ちに採決いたしました結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しましては、五党共同提案にかかる、本センターにおける正常な労使関係の保持及び下水処理技術の開発体制の確立等に関する附帯決議が付されたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 前尾繁三郎君
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        厚 生 大 臣 斎藤  昇君
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
        郵 政 大 臣 廣瀬 雅雄君
        建 設 大 臣 西村 英一君
        自 治 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 江崎 真澄君
        国 務 大 臣 大石 武一君
        国 務 大 臣 木村 俊夫君
 出席政府委員
        通商産業省公害
        保安局長    久良知章悟君
     ――――◇―――――