第068回国会 地方行政委員会 第26号
昭和四十七年五月十八日(木曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 大野 市郎君
   理事 上村千一郎君 理事 大石 八治君
   理事 中村 弘海君 理事 豊  永光君
   理事 山本弥之助君 理事 小濱 新次君
   理事 門司  亮君
      高鳥  修君    永山 忠則君
     橋本登美三郎君    綿貫 民輔君
      細谷 治嘉君    山口 鶴男君
      横山 利秋君    桑名 義治君
      和田 一郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   中村 寅太君
 出席政府委員
        警察庁長官   後藤田正晴君
        警察庁刑事局保
        安部長     本庄  務君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   宮地 享吉君
        警察庁刑事局保
        安部防犯少年課
        長       川崎 幸司君
        警察庁警備局警
        備課長     鈴木 貞敏君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 加藤  孝君
        参  考  人
        (日本労働組合
        総評議会法規対
        策部長)    古賀  定君
        参  考  人
        (一橋大学名誉
        教授)     田上 穰治君
        地方行政委員会
        調査室長    日原 正雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 警備業法案(内閣提出第八五号)
     ――――◇―――――
○大石(八)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長所用のため出席できませんので、委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。
 内閣提出にかかる警備業法案を議題といたします。
 本日は、本案について、参考人として、日本労働組合総評議会法規対策部長古賀定君、一橋大学名誉教授田上穰治君、両名の方に御出席をお願いいたしております。
 この際、参考人の方に一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人には、御多用中のところ当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。本法律案につきまして、それぞれのお立場から何とぞ御忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。
 なお、議事の順序でありますが、初めに、御意見をそれぞれ約十五分程度取りまとめてお述べをいただき、次に、委員諸君からの質疑に対してお答えをお願いいたしたいと存じます。
 それから、御意見の開陳順序は、古賀参考人、田上参考人の順序でお願いをいたします。
 古賀参考人。
○古賀参考人 ただいま委員長から指名されました総評法規対策部長の古賀であります。
 ただいまから、本委員会で審議中の警備業法について、労働組合と労働者の立場から意見を申し述べたいと思います。しかし、きのう参考人としての指名を受けまして、十分研究も積んでおりませんので、参考になるかどうかはわかりませんが、忌憚のない意見を申し上げたいと思っております。
 法案提出の背景を私は詳しくは知りませんけれども、四十五年の九月、那珂湊市長の暴力ガードマンの採用、そうして取材妨害等がテレビ、新聞等で報道されましたり、また、報知新聞、宮崎放送、細川鉄工所などの労働争議に介入したガードマンの問題が、参議院、衆議院の法務委員会あるいは社会労働委員会、予算委員会等でそれぞれ追及がされたという事実、そのほか、刑事犯罪を犯した悪質なガードマンが多々いるということ、こういうものに対する国民のきびしい批判が背景にあるのではないかと、このように思うわけであります。
 また、われわれ労働組合の立場からいたしますと、最近、労使間の紛争に、経営者が悪質ガードマンを前面に立てまして、憲法で保障された労働基本権の行使を侵害する行為が非常に増加しております。したがって、紛争の長期化、さらには労使関係を悪化させるという傾向が強まっているところから、組合の中にもガードマンを規制する法律をつくるべきだという意見があるわけであります。
 しかし、私たちは、この警備業法というものが法律によって制定されることについて、一まつの不安と危惧とを持っているものであります。なぜかと申し上げますと、現在の警備業者の取り締まりについても、警備業者が警備員をそれぞれの企業に紹介または供給する場合等については、職安法の三十二条あるいは同四十四条によって、労働省はある程度きびしくチェックすることができるのではないかと思うからであります。また、争議時におけるガードマンの不法行為については、刑法二百四条、同二百八条、または暴力行為等処罰ニ関スル法律等々によって適切な取り締まりが可能であると思います。
 争議時における労働者の行為に対する取り締まりはきわめてきびしいものがありまして、逆に、ガードマン等の暴力行為について労働組合ないし労働者が告訴、告発をいたしましても、その検束、送検というのがなかなか時間がかかっております。このように十分な取り締まりが行なわれていない現状の中で警備業法という法律が制定された場合、その法認の中で、右翼、暴力団等が、警備業者として警棒を携帯した公然たる武装集団として、企業及び権力の先兵として労働運動弾圧の役割りを果たす危険性があると考えるわけであります。
 こうした大衆運動弾圧の危険性を払拭するためには、政府が本国会に提出をいたしております法案の内容を修正または補強する必要があると思います。しかし、十五分という制約された時間でありますから、詳しく申し述べることはできませんので、重要な項目についての修正意見と簡単な理由について述べざるを得ません。
 その第一は、法案の第二条、「定業」の第一項の二号及び四号は削除すべきであるということであります。皆さん御承知のとおり、警察法第二条は「警察の責務」として「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当る」と明記してあります。この二号は公共の場所における交通整理でありますし、四号は個人の生命、身体の保護であります。これらは警察の最も重要な任務の一つであるからであります。したがって、こういう重要な任務は警察が当然行なうべきものであって、会社組織である警備保障業者にゆだねるべきものでないと考えるわけであります。私どもが承知いたしております某警備保障会社は、その業務内容として、特定個人の身辺の警護、争議、各種紛争などに関する情報、調査、予防計画の立案、意見具申及びその解決等を業とすることをうたっております。私が削除を求めました四号が労使紛争介入の契約根拠となっているからであります。私どもが承知をいたしております某放送の経営者は、ガードマンを採用する理由として、労使関係の中では刑事事件になりがたい、しかし、ガードマンである第三者に委嘱した場合には刑事事件になりやすく、組合弾圧が容易であるということを言っております。こういう事実等から、二号、四号等は削除すべきであると考えるわけであります。
 その第二は、第三条の「警備業者の欠格事由」及び第七条の「警備員の制限」についてであります。それぞれ、三条一号及び七条一項の法原案に、「禁錮以下の刑でも粗暴犯罪者の場合は、」ということを挿入をして、欠格及び制限事由を厳格にする必要があると思います。地方行政委員会調査室から提出されておりますこの資料を見ましても明確なとおりに、警備保障会社の経営者または役員に犯罪前歴者が多いことを指摘しております。法三条の調査基準によって調査されたものであれば、修正のとおりにこの基準を強化いたしますと、この犯罪前歴者というものはもっと多数の人員になるのではないかと考えるわけであります。特に、労使紛争の場合警備員を派遣されますが、その場合、古典、暴力団、体育糸学生というのが臨時採用の形で採用され、労使紛争の前面に立っておるという事情が顕著にあります。したがって、業者の欠格事由や警備員の制限条項等をきびしくするということは、法制定の趣旨からも当然であろうと考えます。
 なお、ここで、警備員は登録制度としておくことが必要ではないかと思います。港湾労働者の職業紹介のためには海湾労働者手帳というものが交付されておりますが、警備員を登録し、これに準ずるような警備員手帳というものを交付し、毎年一回登録を審査する等々の処置が必要であろう、このように考えます。
 その第三は、法案の第四条でありますが、四条は、都道府県公安委員会への届け出制になっておりますが、私どもは、二都道府県以上に関係するものは労働省または通産省、一県の場合は県知事の許可制にすべきであるというふうに考えております。したがって、そうなりますと関係条文は以上の趣旨によって修正すべきであろうと考えるところであります。
 法案は、公安委員会への届け出制によって法十三条、十四条、十五条を適用し、警備業者の監督、指導及び営業停止の権限を持つようになっておりますが、現在の公安委員会と警察との関係等から、十分な監督、指導が行なわれるとは思われませんし、このことを固執する場合は、私どもが非常に懸念をし、危惧をしておる右翼、暴力団または警備業者の警察予備隊化の疑念というものをますます深くせざるを得ないのであります。提出されておる資料でも明らかなように、諸外国の事例でも免許制度の採用が多数であり、その免許行政官庁も、カナダ、スイス以外は、警察関係以外の一般官庁であるようであります。
 以上の立場からも、冒頭申し上げましたように修正すべきであろうと考えます。
 その四でありますが、第八条の「警備業務実施の末本原則」についてでありますが、この点が労働組合が最も重視するところであります。法案は、労働権、争議権、所有権、表現の自由など、権利侵害の防止に留意しておられますし、この点は理解することができますが、労組法第七条には使用者の不当労働行為を禁止しておりますが、これと同様に列挙主義をとって、もっと明確に明示することが必要ではないかと思います。たとえば、労働組合の正当な活動、争議行為には一切介入してはならないとか、労使紛争中の企業とは契約してはならないとかいうふうに列挙することが好ましいと思います。
 なぜかと申し上げますと、私どもが調査した一、二年の間にも、報知新聞、宮崎放送、日本テレビ、日向糖業、千代田学園、那珂湊、東京発動機、森村製作所、細川鉄工所、光文社、教育社、京葉ボーリング、ゼネラル石油など多くの企業で、正当な団体交渉権や団体行動権が暴力的行為で侵害され、負傷者が発生をしている事実があるから特に重要だと考えるわけであります。四十六年二月十八日の衆議院予算委員会における当時の野原労働大臣の答弁でも、労使の関係はすべてお互いが話し合いによって円満に解決すべきであり、ガードマンが労働問題に直接介入することは絶対避くべきであるとの回答が行なわれておりますが、こういう立場からも、いま主張したような修正が当然必要だと思います。
 その五は、第九条の「服装」についてでありますが、法案もこの点については十分留意されております。したがって、ただ一つだけ申し上げたいのは、四十五年十一月、三十二名しかいない京葉ボーリングの争議に四十名程度のガードマンが、防府装備のついたヘルメット、てこを着用し、こん棒、たてなどを携行し、機動隊類似の服装をしてピケ隊の排除を行ない、二名の負傷者を出したという事実があります。したがって、今日、労使紛争の前面に立ってくるガードマンの服装等は全く機動隊と同様の装備をいたしておりますし、これらの点については特に禁止を要請したいという意見を持っております。
 その六は、護身用具としての警棒の保持なんでございますが、調査対象者中、資料の中でも、六四・八%の人が護身用具は必要はないという意思を表明しておりますが、こういう立場からでも禁止すべきであろうと思います。本委員会に提案されております法案の内容でも、この点についてはきわめて留意されておりますが、特にこれらの点については禁止をお願いしたい。やむを得ない場合でも、労使関係に関する限りは絶対禁止すべきであろう、このように考えます。
 ここで、私が、委員の皆さんに補強として特にお願い申し上げたいのは、労使関係の無用の混乱を防止し、労使関係の正常な発展のためにも必要だと思いますが、経営者が警備業務を依頼するときは、その目的、業務内容、派遣要請人員、期間等につき、労働組合と事前に協議をし、その了解を得るような条文の挿入が必要ではないかと考えるわけであります。また、警備業者もしくは警備員が労働争議に不当に介入したり、不当労働行為的行為を行なった場合は、警備業者や警備員のみの罰則適用ではなく、その依頼をした企業の責任者の罰則をもともに加えるべきであろうし、それとともに、不当労働行為については、第三者であるガードマンの行為についても、労働法第七条の責任が経営者にあることを明記していただきたいということであります。
 そのほか、十五条の営業停止の期間及び十八条、十九条等の罰則についても強化すべきだとの考え方を持っておりますが、これは皆さんの検討の中で、諸法規との関係で十分検討をいただきたいということを申し上げておきます。
 これらの、私が申し上げました修正意見等が全く挿入されないということになりますと、九三・二%という多くの国民が希望して制定されようとしているこの法案に、仏をつくって魂を入れないという結果になろうかと考えます。したがって、私どもは、こういう修正内容が入らないということについては絶対反対をせざるを得ない。こういうことを付言をしながら、私の意見を終わらせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました(拍手)
○大石(八)委員長代理 ありがとうございました。
 次に、田上参考人にお順いします。
○田上参考人 田上でございます。時間の関係で簡単に意見を申し上げたいと思います。
 まず、第一の、条文で申しますと第二条のところでございまして、先ほども古賀参考人からお話がありましたが、警備業の本質、あるいは種類というか、目的がどこにあるかということでありまして、たとえば御指摘のあった一項四号に「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」というふうなことがあがっておりますが、確かに、この中には、警察法の第二条にある「警察の責務」の中に含まれておることがかなり入っておると思うのでございます。その場合に問題になりますのは、警備業法のほうでは、従来は警察官の職務とはなはだ似ておりましたけれども、この際はできるだけこれを区別しようという方向にあると見るのでございます。そこに立法の大きな趣旨がある。たとえば、服装の点においても、一般の世間の人が容易に本来の警察官と警備員と区別が、識別ができるようにしようということがねらいでございますし、あわせて、法案の第八条のほうでは、先ほども御指摘がありましたが、警備員は決して警察官のような特別な権限を持っているのではないとしております。つまり、言いかえますと、一般の市民と同じ程度のことしかできない。市民に自由にできることは警備員としても一応認められるけれども、一般の市民に認められないような行動をとることは警備員としてすべて許されない。これは先ほども御指摘がございましたが、ある意味で当然のことでございます。大体、全体として見ますと、警備業法というのは、規定をしなくても当然と思われるようなことが根本にあります。それくらいに世間では誤解されている。あるいは、警備員自体が、服装やいろいろな事情もございましょうが、何か、権力意識をもって権力を乱用するような心境にあるようでございます。一がいに言えませんけれども、そういう傾向が見受けられる。そして、かなり不法な事態が御指摘のようにあるものでありますから、そういう意味で、当然のことを注意的に規定する必要がある。当然でありますけれども、なおこれを明確にしなければならない。ここに大きな立法の趣旨があると考えるのでございます。
 でありまするから、そのことは、もう一度第二条に戻りますと、警察が本来すべきことでありますが、さて、この警備員を民間の団体で契約によって依頼する。警備を依頼するということは、これまた一般の市民として、ある意味では自由にできることである。根本は、特に、第二条一項の四号でありますと、一種の正当防衛とかのような考え方があると思いまして、その意味では、われわれ一般市民として、自分の生命、身体に危険を感ずる者が警備員に依頼して守ってもらうということは当然にできる。かように見るのでございます。警備員のほうも同様である。でありますから、この警備業法の第二条に列挙されておりますような内容は、実は、当然市民の社会生活において許されることである。しかし、これをただ自由に放任いたしますと、非常な弊害が現実に発生している。そこで、当然できることを、そういう不祥な事態をなくすためにきびしく取り締まっていく。そこにこの法律の趣旨があると思うのでございます。
 したがいまして、たとえば政府のほう、官庁方面で、特に警備員によって警備を依頼するというようなことになりますと、これはやはり警察の本来責務に属することでありますから、警察法と矛盾いたします。けれども、民間の団体が、あるいは一部極端な例は、警察アレルギーのような傾向もございますから、本来警察官に依頼すべきことを、それは好ましくないと考えて、警備業のほうによって身辺の保護を求めるということを一がいに禁止する理由はないと私は思うのであります。要点は、だから、そういうことによって生ずる弊害をできるだけ防止するということでありまして、正面から法律で禁止するということは、ある意味で、憲法の保障する職業選択の自由あるいは営業の自由と申しますか、これを規制することでありますから、その面から申しますと、やはり、公共の福祉ということから、一体どの程度まで許されるかという問題がございます。
 私の考えでは、この法律は適正な実施が目的でありますから、そこで、いまの八条とか九条にあります乱用の禁止あるいは服装などについて、誤解、錯誤の生じないようにつとめること、教育あるいは資格の制限という点において従来の欠点を極力是正していくことが必要でありまして、この場合に、繰り返し申し上げますが、八条にも明記されておるように、警備員は警察官にかわるものではない。
 いろいろ御指摘があったと思いますが、これは、法律によって、特に警備員の職務について公認したというふうには考えないのでございます。むしろ、弊害を除去する意味で規制を加えているだけであって、公的な性格を与えてはいない。したがって、警備員の行なう職務は警職法の適用はなく、わずかに正当防衛、緊急避難の場合の行動にすぎないという取り扱いも一応あるようでございますが、これは一般の市民に当然認められた行動であって、生命を守るということ、あるいは他人の生命を守るということも含めまして、むしろ、人民から奪うことのできない一種の自然権的なものでございます。
 その他、あまり問題はないと思いますが、警備の中で、交通事故などの発生を警戒するとか、あるいは盗難の事故などの発生を警戒するというふうなことでありますと、これは当然のことと思うのでございます。むろん、警察に警備を依頼するということも本筋かと思いまするけれども、だからといって、民間人、民間の団体が警備業のほうに依願することを禁止するということは、法的に見てちょっと不可能だと思うのでございます。
 そこで、第三条の「欠格事由」というのがございますが、この欠格事由もきびしく考えるべきでありまして、大体、犯罪の前科のあるような人に対して警備を依頼するということは、一般の市民にとってははなはだ危険なことでございます。それによって窃盗を防止する意味で、むしろ逆に警備員によって財物を窃取されるような事態も起こり得るからでございますが、ただ、この場合にも欠格事由をきびしくしまして、当然にそういう――あるいは先ほど御指摘がありました禁錮以上の刑に処せられた者、あるいはそれよりもっと範囲を広げるという案もございますが、しかし、これをきびしくいたしますと、そこにやはり問題があって、憲法の平等の原則ということから見てどういうものか。たとえば、御承知の選挙権などを考えますと、懲役、禁錮等かなりきびしい刑罰を受けた者でありましても、刑の執行を終わった者、あるいは執行猶予の期間が過ぎてしまったような者については一応復権の手続を必要としない。公選法に違反した場合には、なおその場合に復権の手続を要するのでありますが、一般の法令によって処罰された場合にはそれすらもない。懲役、禁錮の刑に処せられた苦であっても、この執行を終わりますと、一応選挙権が回復されるのでございます。従来、旧憲法時代には、公権停止とか公権剥奪というような考えがございまして、六年以上の懲役になった所は、復権手続をとらない限りは、何年たっても選挙権なり被選挙権が停止される、奪われてしまうというような制度がございましたが、今日は、そこに多少の御異論があるかと思いますが、平等ということから、できるだけ国民を差別しないということで、私はこれは少々甘いと思いますけれども、そういう制度、そういう選挙権などは、刑の執行を終わった者については当然認められるということでございます。ここの、法案の三条では、三年間その資格を認めないということでございますが、これは御承知のように、質屋とか古物商の常業の取り締まりに関する法律でございますとか、あるいは道交法にもやや近い三年ということで、三年以内の期間、一度交通違反でもって免許を取り消されたような着は、再度試験を受けて免許されることは法律で認めないようになっておりますが、そういうことから申しますと、私も、先ほど古賀参考人がおっしゃったように、第三条などはもっときびしくしてもよろしいと思うのでありますが、ただそれには一応の限度がある。でありまするから、もう少しこれを広げるということならば異論はございませんが、やはり、あまりきびしくするということは、昔は考えていたけれども、今日の法制では少しむずかしいんではないかという感じがするのでございます。
 それから要点を申し上げますと、もう一つは第八条のところでございまして、ここでこういうことを書いても、どうもおざなりのことであって、あまり効果がないんではないか、もっときびしく、たとえば罰則をここに当てはめるとか、あるいは労働運動などを明示して、それを犯してはならないというふうに規定したらどうかという御意見を伺ったのでございます。ただ、刑罰の点はあまりはっきり伺っておりませんが、もし、この八条違反に直ちに刑罰を科するということになりますと、やはり、刑罰の理論として、罪刑法定主義から申しますと、この規定のしかたがかなりあいまいである。犯罪構成要件を明確にしないと、罰せられる者の人権を侵すおそれがある。先ほどの古賀参考人の御意見に私がここで議論するのは不適当と思いまするが、ただ、一般の世間の意見としてお伺いいたしますと、もっとこれをきびしくせよということは、いまの労働権を守るとかいうような意味においては当然でございますが、その反面に、規制される関係の業者あるいは警備員の立場の人権というものがやはりあるわけでございますから、その程度を一般的に申すと、必要の最小限度にとどめる。ことに、刑罰を科することになりますと、これはもっと明確な規定が必要であり、そこに、この法律の一つの趣旨、規定のしかたでありますが、たとえば、私、ちょっとふしぎに思いましたのは、欠格事由に該当する者が実際に警備業を営むことができるかどうか。できないと三条に書いてありますが、実際は、やっておりますと、当局のほうでそのことがわかれば直ちに営業の廃止を命ずるという第十五条の規定になるようでございますが、そして、その廃止あるいは営業停止などに応じないときに初めておしまいの罰則によって処断される。だから、第三条違反だけでは刑罰を受けないというふうになっております。
 でありまするから、大体、この法律は、そういう、実体的な規定に違反して資格がないということから直ちに刑罰とはこないのでありまして、一応そこに、資格のない、欠格事由に該当するということについて、行政当局の認定を入れまして、その認定に違反したときに初めて刑罰という手順を踏んでいるようでございます。こういうことははなはだ手ぬるいという感じもいたしますけれども、はたして、具体的に、法律三条なら三条違反ということが裁判官によってすぐに認定してよいものかどうか。まず、その前に、あるいは検察官が起訴するということがあってよいかと申しますと、まず、行政当局の判断によって正式に違反ということをきめてもらう。それから、それになお従わないときに初めて刑罰、それくらいにいまここでは、一応の法律の立法の趣旨は、刑罰を科することあるいは一般に規制を加えることについて慎重な態度をとっているというふうに見られるのでございます。この考え方は、むろん程度問題でありますが、一がいに非難はできない。ある程度この法案をもう少しきびしくするということならば私も考えられますが、一応行政出局の判断を中に入れないで直ちに規制するということは、規制される者の人権に対してどうもきびし過ぎるのではないかと一般的に思うのでございます。
 それからもう一つ。時間がございませんが、十条の「護身用具」の点を簡単に申し上げたいと思います。
 これは一項のほうを見ますると「法令の規定により禁止されているものを除き、」というふうにございます。だから、ここでも、先ほどの八条で申し上げたように、当然のことを規定している。一般市民として行なえることであり、あるいは、自分の身を守るための必要なものを警備員においても携帯することができる。かように思うのでございまして、いわゆる武器となりまして、たとえば銃刀法が適用されるような武器の場合には一般市民に禁止されておりますから、むろん警備員も許されない。また、かりに警棒のようなものでありますと、直接銃砲刀剣ではございませんが、これも軽犯罪法によってある程度の規制は加えられまするし、もし、それを使って、いわゆる実力の行使、規則を加えることになりますと、そこに警職法との関係がありまして、普通の人のようなことしかできない。警察官にならっての武器の使用にあたるような行動はできない。そこにきびしい規制が加えられますから、少なくとも、武器を、この法律によって、警備員が警察官と同じように行使するというようなことはとうてい考えられない。むしろ、その点の誤解を避ける意味で明確に規定を設けたと思うのでございます。もちろん、十条では、第二項がもう一つありまして、一般の市民としては持てるものであっても、あるいは近ごろのヘルメットの学生が持っておるようなものでありましても、特に警備員につきましては、必要があれば、公安委員会のほうが認めまして、その携帯を禁止することができる。そうなりますと、たとえばたてでありますとか警棒あたりが問題だと思いますが、必要があると認めて、かえって、そういうものを警備員が持つことは危険であると考えれば、公安委員会のほうで禁止または制限できる。かように一つ制限がかかっておりますから、一般市民でできることであっても当然には許さないということになっておりまして、法規的には、これで一応警備員の行動から生ずる危害を防ぐことはできるのではないかと思うのでございます。
 繰り返して申し上げますと、このような八条とか十条の規定、さらには初めの警備員としての特別な権能というか、権力は、何も法的に認められていない。そして、もう一つは、警備業というものは、普通のいわゆる公企業とか、特許企業とか、あるいは国が保護する公共的な事業のように、国の保護は何も用意されていないのでありまして、むしろ企業にとってはマイナスの面だけで、制限を加え、規制を加えるだけでありまして、そういう意味におきましては、企業の性格は公的なものとは認められない。むしろ私的な業務であり、しかもそれは、どちらかというと、社会にマイナスの面がかなりある。そういう意味のものとして、民間企業として規制を加えるという態度でございますから、公認というふうなおことばもありますが、別に法律が警備業を特に公認したとも思いませんし、民間の事業を特に警察と同じレベルに格上げしているというふうにも思われないのでございます。
 それから、もう一つは、先ほどの労働争議との関係のお話でございまして、これもまた古賀参考人に対するお答えというわけではございませんが、私の考えを申し上げますると、八条に関連してお話がございましたけれども、警備業の目的は第二条で、かなり幅の広いものではないかと思うのでございます。しかし、実際はそんなところは第二条の四号が問題だということでございましょうが、この場合も、文字だけを見ますと、身辺において危害の発生を防止するということになっておりまするので、労働争議に不当な弾圧を加える、いわゆる介入をするために警備業がもし使われるとすれば、これは明らかに制度の乱用であり、きびしく非難されるべきものでございますが、しかし、おそらく、具体的になりますと意見が分かれると思うのでございまして、たとえば会社のほうでは、何も労働争議の弾圧ではなくて、会社のほうの役員の生命を守るためであるという理屈をつけることができるかと思うのでございます。生命を守る。生命、身体の安全ということになりますと、これは、ある意味で、人権のほうから絶対なものでございますから、要は、法律で抽象的に規定することよりも、はたしてそれがどちらが真実であるのか、つまり主たる目的が争議の弾圧のほうにあるのか、あるいは文字どおり身辺の保護のほうにあるのかという具体的な認定を待って決定さるべきものであって、法律の明文で、具体的な事情を越えて、一般に、労働争議の場合に、警備会社と経営君側とでもって契約を結んではならないというふうに書いてしまいますと、少々これも行き過ぎがあるのではないか。つまり、具体的な事情の裏づけがないときにもしいたしますと、逆手をとられるおそれがある。法律の規定は常に両面を考えるわけでございまして、取り締まるほうの必要と、さらに取り締まりを受ける者の人権をどの程度まで制限できるか。私は警備員を別に知っているわけではございませんが、警備員のほうもやはり職業選択の自由というものを主張する余地が十分ございます。市民としてできることは当然にやってよいのではないかという言い分もあると思いまするので、それとの比較検討をする必要がある。先ほどの護身用具などにつきましても、警備員もやはり自分の生命、身体の安全を守る必要があるということも一方の理屈でござい出して、それを一般に禁止するということになりますと、これは逆に言えば、むしろ一般市民との間の不当な差別をすることになるのじゃないか、平等の原則に反するではないかという議論が他方で考えられるのでございます。
 そういう意味におきまして、結局、この労働争議の問題につきましては、私的自治として一般市民が当然できる一つの民間業務を規制するということを考え出すと、やはり、特別な公共の福祉の必要がないと法律的には規定しにくい。その必要性というのは、常に警備員を経営者側で使いますと、それが必ず労働争議に不当な干渉あるいは弾圧を加えることになるという、その点が明確になりませんと、そういう事例が多いというだけで直ちに法規的につじつまが合うのかどうか。法律に書きますと、今度は必ず逆の立場から憲法違反という議論も起こり得るわけでございまして、私の考えは、要するに、労働争議などにつきましては、具体的な場合に、先ほどから御指摘のあるような乱用のないように、あるいは警察当局その他において、あるいは労働省のほうできびしく監視していくということをお願いしたいのでございますが、法律の規定に書き込んでしまいますと、また抽象的な議論になりまして、具体的に必要の場合を越えて、なお、いかなる意味においても、労働争議中の会社は警備員を絶対使ってはならないというところまで参りますと、あるいは会社の真意というか、あるいはそういう悪意をもって警備員を頼んだのではないという場合のこともないとは言えない。つまり、会社側の人身事故のようなものが多発するような場合には、常識的に警備員を頼むことも一つの行き方ではないかと、かように思うのでございます。法律の中に入れることについては若干の疑問を持っているということを申し上げておきます。
 それから、なお、その他の点では、時間もだいぶ過ぎたようでございいすが、十四条、十五条、十六条、このあたりは、警備業に対する規制としてはまことにもっともな規定だと思うのでございまして、「指示」は一番軽いものである。それから、やや悪質なものに対するきびしいものが「営業の停止。」さらに、最後は十五条第二項にございますが、「営業の廃止」。こういう段階をとっておりまして、法文の上でも「指示」など十四条によって処理できない場合に十五条。こういう段階をつけてございます。十五条で著しく適正な実施が害されるおそれのある場合、そしてもう一つは営業の廃止の場合が一番きびしいのでございますが、これはある意味で当然のことであって、三条の欠格事由に該当する場合でございますから、実は、念のために一応当局が認定を待って、それから刑罰というふうに持っていくための一つのクッションでございますから、この場合は、特に規制される者の、相手方の立場を考慮する必要はない。営業停止の場合、十五条一項でありますと、聴聞の手続を要しますけれども、二項のほうは、むしろ当然のことであって、十六条の適用はないのでございます。こういう点も法律はかなり比例原則的な考えを忠実に書きあらわしている。かように見るのでございます。
 時間も参りましたので、なお御質問がございましたら、あとでお答え申し上げたいと思います。
 以上をもって私の意見の表明を終わります。(拍手)
○大石(八)委員長代理 以上で参考人各位の御意見の御開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○大石(八)委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
 なお、質疑の際は、参考人の御氏名をまずお示しを願います。
 それから、質疑者の方にお願いをいたしますが、実は、参考人等の御都合もございますので、時間は十二時までに終了をいたしたいと思います。いま質問をお届けの方が三名ございますので、それぞれの質問者の方は、そこらを御配慮を願って、簡潔にお願いいたしたいと思います。
 最初に、横山利秋君。
○横山委員 田上先生にちょっと端的にお伺いをいたします。
 ガードマンの犯罪が最近多いのですけれども、ガードマンの犯罪について、ガードマン会社と依頼会社との間に契約がある。その補償条項で金額もきまっている場合が多いのですけれども、ガードマンの不用意、過失、重大な責任があった場合に、その契約がたとえば六千万円なら、六千万円だけだから、それを払えばそれで済むということになるのでしょうか。その点、簡潔に御意見を伺いたい。
○田上参考人 私の考えでは、具体的に損害についての立証があれば、その契約の範囲を越えて、不法行為の場合には賠償の請求ができると思っておりますが、ただ、契約で、取りきめた金額の範囲内でありますと、特別なそういう立証をまたずして容易に賠償をしてもらうことができる。この程度に考えておりなす。
○横山委員 唐突な質問をお二人にしたいと思うのですが、会社がガードマンを頼むなら組合もガードマンを頼むということは、理論上あり得ないことではないと思うのです。ガードマン同士がけんかをするということに相なる。そういうことは、ガードマン会社がお互いに話し合って、両方ともそれならやめようじゃないかということになるか。あるいは、金さえもらえばガードマン会社は依頼に応じてやればいいじゃないかということで、勇往邁進するということが理論上――現実問題としてあり得ないかもしれないし、あり得るかもしれないと思うのですが、ガードマン会社同士がけんかするというようなことを予想しますと、これは組合と経営者の間にそういうことを誘発をしないようにしなければならぬと思いますが、どうお考えでしょうか。お二人の御意見を伺いたい。
○古賀参考人 いま横山先生から質問があったようなことを考えた組合が実はあるのです。ただし、労働組合の場合は労使関係でありまして、それも暴力行為等によって紛争を激化させ、長期化させるというのを目的としていないわけですね。したがって、正常な関係の中で、組合側から見て不法な会社の行為、法理にのっとらないことを追及するということはあります。しかし、ガードマンが前面に出てきて暴力をふるうということなんで、わがほうもそういうガードマンを依頼をして双方にやらしたらいいのではないかという意見を持った組合が実はあるのです。唐突な賛同じゃございません。しかし、それは法治国家における労使関係の正常なあり方じゃないという立場から、労働組合はそういうことをしないのでありまして、したがって、私が第八条で特に強調したように、この原案も「団体の正当な活動に干渉」云々というのは、この説明を見てみましても「労働権、争議権、」云々ということで重視してございますし、そのことをもっと明確にすべきだという立場から申し上げているわけでございます。
○田上参考人 いまの御意見、大体私も同じように――暴力ということになりますと、それは経営者のほうも、あるいはそういうガードマンを依頼した組合のほうも、両方の行為がやはり違法となるのであって、依頼そのものよりも、むしろ、暴力を行使する警備員の行為はいずれも犯罪というか、程度によりますけれども、そういう意味において当然法的に規制されなければならない、かように思うのでございます。それはむしろ警備業法以前の問題ではないか。警備業法は、むしろ一般の市民生活における法律を守ることを前提とし、また、それ以上の特権を関係者に与えない。何か、警察官の職務執行のように、拳銃を使用してもいいとかというふうな、そういう意味で普通の人に許されないような行為まで警備員に与えるわけではない。こういう意味で、私どもは非常に常識的に考えますと、警備業法がなくても当然守らなければならないという線で、将来この法律のもとでも、ただ一応念のために、違反を防止する意味でそれを明確にした法律というふうに考えるのでございます。
 以上でございます。
○横山委員 田上先生御存じだと思いますが、国際警備連盟というものがございます。その規約を引用いたしますと、たとえば第一条には「政治的中立を守る自治体である。」それから第八条には「その国での社会的評価、経済及び経営倫理度が高く、政治的中立を貫くことが会員たる資格である。」第九条には「雇用または被傭者が組織するシンジケート又はコミティーは会員として認めない。」そこで(註)がありまして「企業が合同で組織する自家用警備組織又は労働者自衛警備組織を排し、警備会社は一部の利益に奉仕すべきものではないという意味。」こういうことがある。私は、国際警備連盟として非常に高い水準の規約だと思うのです。いま日本で国際警備連盟に入っているのはほんの少ししかありません。そして、ここ数年、雨後のタケノコのように、何でもかんでもガードマン会社をやればもうかるというわけで、非常にできておるわけですね。この規約にございますように、一部の利益に奉仕すべきものではないという倫理、政治的中立という倫理というものを法制定にあたって――なるほど、あなたのおっしゃるように、法的なものではない、いわゆる私的なものだといいましても、この際あるべき姿というもの、法の倫理をつくろうとする趣旨というものを明確にしておきませんと――日本では警備会社がなくなるわけではなく、むしろこれからどんどん近代的経営として発展をするとするならば、あるべき姿は、特に慎重に、特に強く打ち出さなければならぬと思うのでありますが、どうお考えでありましょうか。
○田上参考人 いまの先生の御意見、私も大体同じように考えておるのでございますが、外国の警備保障会社の実態をちょっと私知らないのでお答えができないと思いますが、それは日本のような、全く法律的に根拠のないというか、法律的に特別な権限を与えていない、言いかえれば民間人としての警備の業務に従事するということではないのではないか。もう少し特別な保護というか、あるいは権限を警備会社が持っているという国もあるのではないかと思うのでございます。もしそうだとすれば、それに応じて特別な、警察官に準ずる政治的中立性なり、その他の制限をかける必要がある。かように見るのでございますが、日本の場合には、まだそこまで警備業の実態がいっていない。しかし、法的な根拠なく、何か一部で誤解がありますように、事実上警察官に準ずるような印象を持たれ、また、警察官の職務を半ば行使するような実態があるのではないかと思うのでございますが、どうも、私も経験が浅いのですけれども、私のほうでは労働争議は存じませんが、大学の紛争などで警備員を頼むことがございます。そういう場合に、学生あるいは教師の印象では、何か、警察官、機動隊などとあまり迷わないような感じがしていたが、しかし、最近はよほど大学もなれてまいりましたから、非常に違っておる。つまり、警備員は機動隊のような頼みにはあまりならない。つまり、金ばかりかかって――これは金額もよく覚えておりませんが、一日一人たいへんな費用がかかるようでございますが、それの割合にはただ形だけであって、いざ学生が大ぜい来ますというと、彼らはすぐ逃げてしまうというふうなところがございます。これは労働争議の場合はもっと勇ましい警備員があるように新聞などで聞いておりますが、一般に私どもの知っている範囲では、警備員はあまりたよりにならないということで、しいて申しますと、そういう暴力学生と暴力によって力で渡り合うということより、むしろ学生の写真でもとってもらったらどうか、そのほうが効果的ではないかというガードマンの使い方でございますが、その程度の期待しか持っていない実情でございます。
 お答えになるかどうかわかりませんが、やはり外国の警備会社のほうは、もう少し警備員に法的な力があるのではないかという感じがいたします。警察官に準ずる実体を持っておるとすれば、当然そういう特別な規制を加えておかないと、今度は警備員の相手方のほうの人権を侵害するおそれがある。
 なお蛇足でございますが、この法案に対して私が無条件に修正の必要なしと、こういうふうなことを申し上げたようでございますが、私もいろいろと考えてみますと、たとえば秘密保持の役務というのが、これは外国の制度にあったようでございますが、警備員についても、若干日本の法律として考える余地があるのではないか。つまり、ガードマンを頼みますというと、会社なりあるいは会社の資産とか、あるいは施設の状況につきましてかなり詳しいことを知るわけでございますから、そういう場合に、その知識を逆用されては困るということで、そういう意味で、特に知り得た知識、秘密については、これを漏らしてはならないというふうな程度のことは、条文にございませんが、なお入れる余地はある。かように考えております。
○横山委員 古賀さんに伺いますが、あなたの修正希望の要点の中に、聞き漏らしたかもしれませんが、こういうことについてはどうお考えになりますか。警備業とは、いわゆる法律用語で言う業として行なっておるものなのか。あるいは、臨時に頼まれてこの種の業務を行なう者、つまり、きょう一日ストライキをやっておるからひとつ行ってくれというような、臨時に頼まれて行くものはこの法案に含まれると解釈をなさっておられるのかどうか。
 それから、第二番目に、那珂湊の市役所の事件のように、たとえば〇〇組で働いておった組員がそこをやめて市役所へ行って臨時職員になるというようなことは、この法案ではたしか規制をしておらぬわけですね。そういう点についての修正はどういう御意見をお持ちであろうか。
 それから、一番つまるところは、総評として、八条だと思うのですね。私も、この八条は、前段と後段とがあいまいであって、前段と後段とは問題が違うんだから、前段は訓示規定なんだから、むしろ八条を区別してはっきりさせるほうがいいと思う。そして、他人の権利及び自由を侵害することと、個人または団体の正当な活動というものとは相矛盾する場合があるんだから、ほんとうにこれはあいまいだと思うのですが、ここのところをどういうふうに修正をしたいか。その点、一番重点な問題でございますから、はっきりひとつ御意見を伺いたい。
○古賀参考人 第一点の質問でございますが、まず、私どもも、この法案を昨日受けまして、全部詳細に検討したわけでございませんので、必ずしも当たっておるかどうか知りませんが、質問にありましたように、臨時採用をして派遣をする。これも警備業者に雇用された警備員というふうにぼくは理解をしたわけです。というのは、現状の中でも、労働争議の場合は、先ほど意見で申し述べましたように、緊急に暴力団的な人を採用して派遣をするわけです。そして、その場合、警備業者と会社の契約の中で人員派遣がなされておる。したがって、それは職安法の四十四条なり三十二条ということで当然取り締まりができたんじゃないかというふうに考えておるのですが、それすら取り締まらない。ということから、第一点の質問については、那珂湊の問題等も含まれているのではないかというふうに解釈しておりました。もしも間違いであればお教え願いたいと思うのです。
 それから、八条の修正事項なんですが、この原案にあります「留意するとともに、」というところまでは、横山先生から指摘があったように、ぼくも訓示規定だと思っているのです。だから、私どもの修正意見として明確にしておるのは、訓示規定は規定として明らかにしながら、次のように修正することが必要ではないかと考えておるわけです。この法案の原案を大部分は生かしまして、「他人の権利及び自由を侵害し、」云々とありますが、「又は個人の生活と正当な活動に干渉はしてはならない。」これが第一号です。第二号としては、この「団体の正当な活動」というものをもっと明確にするという立場から、「警備員は正当な組合活動及び争議行為には一切介入してはならない。」この二点を列挙的に明記すればいいのではないかというふうに修正条項として考えているところであります。
○横山委員 古賀さんにそこのところをちょっとお伺いしたいのですが、第十五条の二項は「公安委員会は、第三条各号のいずれかに該当する者が警備業を営んでいるときは、」とありますね。そうすると、現に警備業を営んでいない者が臨時にガードマンの仕事を頼まれて会社に派遣をする場合――警備業を現に営んでいない者というと、たとえば、清掃会社をやっておるとか、あるいは何か露店活動をやっておるとか。そういう警備業を営んでいない者が頼まれて派遣をしてこの第三条に定義するような仕事をやった場合はこの法律に該当すると見られないおそれがあると思うのですが、その点はどうお考えでございましょうか。
○古賀参考人 先ほどの質問の中でちょっと私勘違いをしたのですが、那珂湊の問題を、私は、新聞で知る限りの判断で申し上げますが、やはり警備業を営んでいなかった人が、私どもの表現で言います暴力団的な人を紹介をしたという事実でございますね。ああいう場合はこの法律では適用されないのではないかというふうに判断いたします。
○横山委員 田上先生はどうお考えになりますか。
○田上参考人 警備員というのは「警備業者の使用人その他の従業者」ということに法律で定義されておりまするし、また、あとのほうの監督の規定も、警備業者に使われている者、だから両罰規定のようなものも出てまいりますから、警備業と直接つながりのない、個人的に法律の第二条に書いてあるような行為を行なった場合には、これは当然には警備員としての法の適用を受けないと私も考えております。
○横山委員 その点について、従来の事例から言って、どうもこの法案の不備な点があるのではないかという感じが私はするわけですが、田上参考人に重ねてお伺いしますが、この法案にそれが含まれないとしたならば、それが法律の抜け道として発生するおそれが多分ではないかと思いますが、それを防止する方法はどうしたらいいでしょうか。
○田上参考人 私は、やはり一般法令によって規制すべきではないかと考えております。警備業法は、これが全部というのではなくて、警備業なり、警備業者なり、あるいはそれに使用されている警備員についての一応規制でありまして、それ以外のものは全く野放しというのではなくて、むしろ、法律の規定しておりますのは、周辺の人々に対して、その生命、身体、財産に危害を加える、あるいは損害を加えることのないようにという意味でございますから、これは、ある意味で、一般の法の原則から見て当然のことであって、それを部分的に警備業というワクの中に入るものについて取り上げているのであって、このワクから、法律からはずれるものについては一般の法令でよろしいのではないか。たとえば刑法の規定もございましょうし、軽犯罪法の規定もございましょうし、今日ではむろん警職法のようなものも――これも警備業と警察官とは違いますが、しかし、警察官が今度は警備業のあり方について規制を加える場合には、当然考えてよかろうと思うのでございます。一般市民の一種の暴力的な行為に対する規制と同様に考えていただきたいと思っております。
○横山委員 もう一つだけ……。
 意見の交換になって恐縮でありますが、詰めた話で、これだけ社会的な評価問題があって法定する警備業なのですから、届け出制でなくて、登録制ないしは、進んでは免許制というものが考えられてしかるべきではないかと私は思うのですが、私の感じでは、もうとにかくさしあたりつくろうという感覚がこれは少し強過ぎるような気がするのです。あるべき姿としては、登録制、免許制なりにして、ほかの法律でもございますように、この登録ないしは免許された警備業以外の者が警備業務を行なってはならないというふうにすべきではないかというふうに考えるのですが、その点だけ御意見を伺って、質問を終わります。
○田上参考人 警備業というものが独占的な、特に届け出なり許可を受けた者に限ってしか行なえないということになりますと、これは、ちょっと狭い。つまり、根本は、正当防衛とか、緊急避難というところにもあるいはつながるわけでございまして、そういうことは法律の規定がなくても、当然に民間人として行なうことができる。かように考えておりますので、それは、いま先生の御意見がありましたけれども、私は、さように、届け出をしたんに限って警備業なりあるいは警備員を使うことができるというふうには考えないのでございます。
 もう一つの御意見でございましたが、許可制と現行法案の届け出制との違いでございますが、これはいろいろなところで、デモ行進などについても言われるところでございますが、私どもは、それほど具体的には違っていないと思います。届け出制でありましても、決して無条件に放任するわけではなくて、届け出によって秘密の業務というものが禁止されるわけでございますから、明るみに出ますと、行政当局としてはこれを監視して、そして公安を害することのないように規制を加えることができるわけで、直接には、いまのこの法案でありますと、十四条以下、あるいは十二条以下ということになりますか。それから、そもそも初めから欠格者でありますと営業の廃止。これはある意味で禁止でございます。許可制は、法律的に一般に禁止を兼ねて、具体的な場合に、必要のないと判断される場合に禁止を解くという行き方でございますが、届け出制のほうも、禁止という、あるいは営業の廃止というふうな制度が伴っておりますと、結局は、一応一般には自由を認めて、しかし、具体的な場合に、必要があれば禁止していく。こういうことでございますから、多少手順の前後はありますけれども、それほどの大きな違いはないのではないか。許可制の場合にも、内容によりまして、一定の場合に許可しなければならないというふうなことでなくて、全くの当局の自由裁量によって許可をしたりしなかったりということでありますと届け出制とは非常に違いますが、そうでなければ、届け出制とそれほどの区別はないと考えているものでございます。しかし、むろん許可制のほうが届け出制よりきびしいことは確かでございますから、届け出制による規制で、不十分と思われる場合には許可制の採用も考えられますが、現状においては、警備業法として、一応届け出制であってもこの監督は行なえることになっておりますから、特に許可制に変えなければならないとは私は思わないのでございます。しかし、許可制にしたら憲法違反であるとか、あるいは法案に絶対に賛成できないとかという意味の御質問でございましたら、これは程度でございますから、許可制であっても私は反対ではございませんけれども、許可制でなければならないかというと、警備業の実情では、届け出制で一応やってみるということが適当だと考えております。
 その意味は、言うまでもなく、関係の業務というか、あるいは営業の自由をできるだけ尊重する。今日、主として風俗あるいは衛生の関係で営業の規制がかなり多く行なわれておりますが、こういうものにつきましても、常識的に言えばもう禁止したほうがいい、許可制できびしくやったほうがいいと思われるものでありましても、かなり自由に許されている。そういうところに規制を加えるには、かなり具体的に明確な、公安を害する、あるいは公共の福祉に反する事態でなければ許されないという。終戦後の一般の考え方が今日あると思うのでございます。
○大石(八)委員長代理 和田一郎君。
○和田(一)委員 時間がありませんので、一、二問だけについてお聞かせ願いたいと思いますけれども、実は、武器の点でございます。警棒といいますか、護身用具ですね。そういったものの点でございますが、田上先生は、一般人が常に常識的に持てるものはいいのじゃないかという御意見でございますが、私、古賀先生のその点の御意見をちょっと聞き漏らしたのですが、武器を持つ持たないについての御意見をまず古賀先生からひとつ……。
○古賀参考人 私が意見を申し述べたのは、当委員会に提出されております調査室の資料の中にも、サンケイ新聞が千名の人に対しての調査した結果が出ております。この結果でも、ガードマンに対する用具ですが、これは六四・八%程度の人から必要はないという意思表示があったわけですね、これは国民感情ではないかと思うのです。ただ、私どもが直接労使関係の場で見ますと、横山議員の質問にも答えたように、労働組合は暴力的行為を行なおうという思想は毛頭ないわけなんですね。それに、会社のほうで委嘱をしたガードマンが警官類似の警棒を持ってわれわれの前面に立つ。そのことによって負傷者が続出しているという現状があるわけです。したがって、原則的にはこういう護身用具というものの携行は必要はない。一般人と違う、同様でないからという田上先生の御意見もありましたが、特に、金銭輸送とか、あるいは夜間の工場なり事務所の警備等の中では、この法案の説明の中にも書いてあるように、一部そういうことを必要とする場合があるかもしれません。しかし、労使関係の場においては、警棒にしても絶対禁止していただきたいということを申し上げました。
 さらに、もう一点は、服装の問題について述べたのですが、普通、工場あるいは会社の警備要員として守衛等の任務に当たっておられる保障会社の警備員の方は、非常にスマートな服装をしておられるのです。ところが、労使紛争の前面に立ってくる場合は、全く機動隊まがい、ヘルメットにも投石よけというものがついておるし、手にも、機動隊と同様に、皮の手甲きゃはんをはめておるし、くつは非常に強固な安全ぐつである。そのくつで腹部等をけられたいう事例等もありますし、したがって、機動隊類似のそういう服装だけはやはり禁止をしていただきたい。このように申し述べたわけでございます。
○和田(一)委員 私、何も労働争議のことだけをお聞きしたわけじゃないのですけれども……。
○古賀参考人 だから、労働争議の場合は、と言ったのです。
○和田(一)委員 けっこうです。大賀先生のはわかりました。
 田上先生にお聞きいたしますけれども、一般人の程度ならよろしいというおことばですが、もし昼間警棒を持っておって――労働争議じゃなくて、普通のその辺の警備とかいろいろございますね。たとえば、日曜日等は学校等の警備もついておる。先生の宿直をやめて、そういう人がついておる場合があります。そういう場合に、一般人は昼間から警棒を持たないですね。何か身に危険を感じたときだとか、そういう予想をされるときは持ちますけれども、その点についてのお考えはどうでしょうか。
○田上参考人 お答えいたします。
 私も、ただいまのような場合には具体的に必要がないと思われる場合もかなりあると思います。先ほどもちょっとお話がありましたが、夜間のような場合はちょっと別だと思いますが、十条の第二項を使いまして、公安委員会が制限する、一般の人には許されることであっても、特に警備員には許さないということが十分可能だと思います。そういう意味で、結論的には、警備員に一定の時間、一定の場合においては警棒の携帯を許さないということも十分考えられるし、また、この法律で可能だと思っております。
○和田(一)委員 時間がございませんので、これで終わります。
○大石(八)委員長代理 門司亮君。
○門司委員 もう時間がないから、田上先生にちょっとだけお聞きしておきますが、先生のお話を承っておりますと、この法律の中にはいろいろな点があろうかと思いますが、概念的に申し上げますと、この法律はそれらの事態を実は書き過ぎておる。もう少し明確にあっさりしたものでないと、非常に疑義の多い文句をたくさん使っておるという印象がするのです。さっきからいろいろお話がございましたように、第二条についてはかなり書き過ぎた面があると私は感ずるわけであります。したがって、この「定義」が書き過ぎてありますから、結局、しまいまでずっと部分的にかなり書き過ぎたものがある。たとえば「護身用具」のところでも、こういうことを書くのなら一般人も同じでありますし、もしこういうものが必要だとするなら、この辺はもう少し厳密に書いておく必要がある。それから、たとえばその業務につく場合、「業務を行なうにあたっては」と書くということになると、これは全体を包含いたしてまいります。したがって、夜警なら夜警をする時間だけ、工場のまわりをぐるぐる回るときだけ持って歩くというなら、これはそれで一つの考え方がある。しかし、この場合も、これが義務づけられて、そして何か特権のような感じをこの文章だけ沈むと与えられますので、そういう書き足らない面と書き過ぎた面とがあって、私どもとしては、この法律を何でこしらえているのか、どうも一貫しないようなものを感ずるわけであります。その辺についての御感想だけを承っておけばけっこうだと思います。
 なお、詳しく言いますと、第二条の一項の二号において、「人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務」とありますが、これはこのとおりに読みますと、全く警察業務なんです。こういうものをここに含ましている。こういうふうに見ますと、何かしら非常に言わずもがなのようなことを言ってみたり、あるいはまた抜けたところがあるというようなことで、何か、ガードマンの職業としての保護をするような形の面がかなり強いように見られるのですけれども、その辺の御感想だけをお聞かせ願えれば幸いだと思います。
○田上参考人 いまの最後に御指摘になりました二条の一項の二号なんかを見ますと、一般の道路の場合には、警察官が行なっている交通の規制でありますから、特にガードマンを依頼するという必要はないし、また、余地もないと思うのでございます。しかし、車両の雑踏ということについでは、公というか、一般の道路のほかに、なお、私的な会社が専用するようなところもあるのじゃないか。たとえて申しますと、駅の場合は、道路でなくても、駅の構内において乗客が通行するかたり雑踏する通路もございますが、会社の場合、そういうふうなことが民間の施設の場合にもあり得るわけでございまして、そういう場合に、適宜警備業のほうに交通整理を依頼するということは許されてよいのではないかと思うのでございます。しかし、御指摘のように、いまの御質問の根本は、なぜこういうふうに業務を限定したのか、あるいはこれ以外のものはないのかあるいはこの業務について、二条にあがっております範囲につきましては、むしろ、普通の人ではできないことを、この法律によって警備業ができるようになっているのではないかということのようです。そういうふうな印象が一般には持たれると思うのでございますが、私も、そこまで詳しく書かなくても、むしろある意味で注意的な規定というふうに考えておりますので、警備業として届け出た者でなければ当然にはできないというふうに制限をいたしますと、かなり窮屈な感じがいたします。しかし、それだけ一方では、二条に列挙されたような事柄は、警察官は別としても、一般の民間でこういう営業を行なわせることは弊害がある、危険があるということから、少なくとも、この限度において警備会社が業務を行なう場合には、この法律によって規制する。しかし、私の考えでは、警備会社は、必ずしも二条に列挙された以外のことをしてはならないとは思わないのでございまして、その限度では、この警備業法から離れて、一般の市民として守るべき法規を守っておれば差しつかえない。別にそこまで禁止するような趣旨ではなかろうと考えております。
 詳しく書き過ぎたというと、なんでございますが、つまり、この法律が適用される範囲をここで二条で明記したというふうに考えまして、営業の実態は何もこの二条で限定されるとは考えないのでございます。
○門司委員 もう一つだけ聞いておきます。
 私がいまお聞きいたしましたのは、そういう議論をすれば切りがないのでありまして、道路の維持管理や整理というものには必ず犯罪がついてくるものでありまして、交通違反があれば取り締まらなければならぬ。こういう形が出てまいります。したがって、お葬式だとか、あるいは、何かの工事の都合で大きな車が出入りするから、その会社の人が事故防止のために一応協力するということにガードマンを頼むということは考えられることです。また、こんなことを書かなくたって、通常やっていることだし、またやらなければならぬことだ。その人たちの責任においてやらなければならぬことです。
 それから、あとは、刑法との関係がどうも不明確な点がたくさんある。現行犯の逮捕というようなことにつきましても、これは刑訴法によればだれでもできるのであって、ガードマンに特権を与える必要も何もないことである。ここにそういうものを書いておきながら、肝心な――その場合は、刑訴法によりますと、直ちにこれを警察に引き渡さなければならないという規定がはっきりしておる。この場合にはその規定がちっともないですね。現行犯逮捕だけはここにあげておるけれども、それから先の処置というものはちっとも書いてない。したがって、やっております人があやまってそこで身分を調べたり、あるいは会社に損害を与えるものとみなして逮捕するのでしょうから、いろんな行為に出やしないか。そういうときには、やはり、必要以上に被疑者の人権を侵す場合がありはしないか。法的に何にも根拠を持たない人がそういう行為を行ないはしないか。そういう危険性があると私は思うのです。そういうことをずっと考えてまいりますと、銃砲刀剣等についても刑法の二百八条との関係等が出てくるわけでありまして、どうもその辺の取り組み方というものは少し欠けている点がある。したがって、どこまでも憶測をすれば、ガードマンに対する特別の権限を何か与えているというような印象をことさらに与えるような気がするので御質問したわけなんですけれども、その辺の書き方等について、きょうはお約束の時間がちょうど十二時になっておりますので、これ以上は許されないと思いますが、先生の御意向で、何とかもう少し書き方がありはしないかというような点がございますならば、先ほどお伺いをいたしまして、大体先生の御意見はわかっておりますし、全体にどうという不備もあるというような御趣旨のお話があったことも承知をいたしておりますので、私は強く要求するわけではございませんけれども、その辺の事情を、もしお聞かせが願えれば聞かせておいていただきたいと思います。
○田上参考人 門司先生の言われるとおりでございまして、この法律は、とにかく警備業に関連する社会に与えるマイナスの面を除去するということ。つまりそうなりますと、警備業というものは大体病理現象であって、弊害が非常に多いから、その弊害を未然に防ごうということに注意を集中しておりまして、先ほどの違反者を逮捕するとかいうような、ガードマンがある意味で多少とも社会に貢献するような積極的な価値を認めるというふうな趣旨はほとんど入っていない。また、それが立法の趣旨ではなかったかと思うのでございます。それが、先ほどの八条にもありますように、逮捕などは、一般の原則にしたがいまして、むろん現行犯の逮捕はできますけれども、本来の逮捕は、罰則がありましても、罰則に触れるような場合にはむろん逮捕という問題は直接は考えていないと思うのでありますが、令状がなければ逮捕できないということで、これはもう初めから警備業法の範囲外というふうにして、直接関心を持ってこの法律が規定されているのは、警備業から社会に害悪を流さないように、できるだけ害悪を未然に防ぐということに集中されていると思うのでございます。それだけに、逆に申しますと、警備業者のほうから、言うと非常に不満があって、プラスは何もない、マイナスだけだというような意味。また、多少とも警備業によって恩恵を受けると言うのは悪うございますが、ある程度利益を受けている昔にとりましては、もう少し違った見方があるの、じゃないか。しかし、いまの御質問はそういう御趣旨ではないと思いますけれども、これは新しい問題でございますから、この法律が適用された結果をしばらく見まして、また、警備業をもう少し社会的に評価していいということでありましたら、法律に、保護育成あるいは特別なそういう積極的なものを、場合によっては監督の規定も入れることになるのじゃないか。現在は、公安委員会が監督するといいましても、育成するような趣旨のことはほとんど何もなくて、ただ害悪を防ぐという消極的な監督しか認められていないのでございますが、現状では、この程度で警備会社の様子をしばらく見るといいますか、実績を見た上で、なお近い将来に検討すべきではないかと考えております。
○大石(八)委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 両参考人に申し上げます。
 長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
 この際、午後一時から再開することとし、百時休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十分開議
○大石(八)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出にかかる警備業法案を議題とし、質疑を許します。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。
○横山委員 まず、この法案の審議に先立ちまして、法案が必要とされる根拠を伺いたいわけでありますが、常識的に言えばガードマン会社が発生するにはそれだけの理由があり、そして、それがもうかっていくからネコもしゃくしもどんどん会社をつくっていく。今後もまた非常にふえていく可能性がある。それは、それだけまた利潤があるからであります。しかし、一般的、常識的に考えますと、そういうものが本来出ていく過程で考えなければならぬのは、一体警察はどうしておるのか、本来警察の守備範囲ではないのかどうなのということなのであります。
 このガードマン会社に依頼をするという心理をいろいろ分析してみますと、一つには、潜在的な警察に対する不信があると私は思います。第二番目には、警察に頼んでもやってくれないからということで、これは警察側から言いますと、そこまでは私ども手が及びませんよという、警察の介入のらち外にあるという問題があろうかと思います。それから第三番目には、警察がやろうとしても、それは、やらなければならぬけれども、手不足であるからやれないという問題があろうかと思います。それから第四番目には、その依頼する会社の特殊な理由がある。もちろん警察に頼んでもいいけれども、自分の思うままにやらせたいという特別の社内理由があろうかと思います。その社内理由を分析してみますと、この法案の問題点になります会社内の争議行為もありましょうし、それから、警備員で社内採用するよりもガードマン会社がやったほうが安いという、配置転換的要素があろうかと思います。それからまた、社内の特殊な機械、特殊な品物、金だからという現出があろうかと思います。そういうふうに、まだほかにもあろうと思いますが、ガードマン会社が発生する理由の幾つかのうちは、と言っても、大半は、あるべき警察の姿を、これを契機にしてもう一ぺん問われておるというふうに反省をしなければいけないのではないかという感じが私はいたしますが、いまたくさんあるガードマン会社を規制するだけの理由はあるにしても、その根底になる警察は一体どうなんだ、ガードマン会社の続出する条件について警察はどう考えているのか、本来警察がその大半は処理し得られないのか、自分の範囲外だといって知らぬ顔ができるのか、という点について、基本的なものの考え方を伺いたいと思います。
○後藤田政府委員 ただいま御質問にございましたように、警備会社というものが続々と生まれてくる。それの社会的、経済的背景は、御指摘のようにいろいろあろうかと思います。警察がやってくれないとか、あるいは警察の介入のらち外のことであるとか、あるいは手不足であるとか、あるいは依頼者の特有の理由だとか、いろいろあることは事実でございます。そこで、警察としては、こういう事態に対して一体どう考えておるのかということでありますが、先般の当委員会でもお答えいたしましたように、この種のものが続出をするという背景を考えました場合に、警察として反省をすべき点が多々あろうかと私は思います。その点については、私ども十分考えなければならぬと思うわけでございますが、ただ、御案内のように、警察というものはやはり一定の限界もある。また、現状で、かゆいところに手が届くといったようなところまで警察が必ずしもやれないという現実もある。この現実についてはもちろん反省しなければなりませんけれども、そういう現実があることは疑いのないところであろうと思います。他面、個人なり団体なりというものが、自分自身の財産なり生命といったものを、自分の手で、できる限りの範囲で管理をし、守っていくということは、当然の基本的な権利としてあるわけです。そういったことから、片方には、何とはなしに社会的な不安があり、一方にはそういった基本的な権利があるというようなことで、その基本的な権利に基づいて、それを他に依頼をする。こういうことで今日出てきておると思います。そこで、私どもとしては、こういった社会的な背景を考えて、これは反省すべきところは十分反省しなければならぬ。しかし、いま言いましたように、警察ですべてをカバーするというわけに必ずしもいかないという現実面も否定できない。そこでこういうものが出てきた。出てきた結果、今日、至るところで、妥当でないいろいろな事案が発生をしておる。だとするならば、そういった観点から、この種の会社について、外国と同じように、弊害面を少なくとも最小限に防止をするという立法をすることによって、こういった会社のあることによって生まれておる社会的な不安というものも除去しなければならぬ。こういうような意味で、今回最小限の立法に踏み切った。これが実情でございます。
 もちろん、私どもとしては、こういったものが出てきた背景を考えて、警察として反省すべき点は十分反省いたしておる。これが実情でございます。
○横山委員 反省はするが、すべてを警察でできないというあなたの御意見はわかりました。問題は、そこからが、今後年月を経てどういう形に落ちついていくかということを私は心配するわけであります。警察の職分であるけれども、全部が全部、手不足でそれができない。したがって、そこにガードマン会社発生の要因があり、現実としてそれを認めざるを得ない。ならば、要するに、警察の分野の一部をガードマン会社が事実上――事実上ですよ。行なうということになっていくことを現認をせざるを得ないではないか。そうすると、国民と警察の間にもう一つ、ワンクッション、事実上の警察事務というものがある。また、警察としても、本来おれたちがやることだけれども、事実上それらがやっておることを認めるということになる。便利もいいのであるから、警察としても、ガードマン会社を指導育成をしながら、事実上の警察事務がそこで行なわれていくことを確認し、そして、よりよきその業務が行なわれていくように指導する。こういう方向に事実上なっていくのではないかと私は思うのですが、その観測に誤りはないか。これは法律的な問題ではありません。そして、その傾向というものが好ましいとあなたはお考えでしょうか。好ましくなくても、実際問題としてしかたがないとお考えでしょうか。
○後藤田政府委員 私は、その点についても先般の委員会でお答えしたのですが、私は、この種のものが続出をするということが好ましい状況であるとは考えないわけです。これは、ことばは必ずしも適切でないかもしれませんが、やはり必要悪といったような考え方で対処しなければならぬと考えておるわけでございます。もちろん、ただいまおっしゃったように、事実上ということになると、警察がやるべき分野ではないのかとおっしゃれば、そうでないんだと言い切るわけにもまいりません。しかし、さればといって、警察の分野なんだ、そのとおりだということも言い得ない面もあるのではないか。というのは、先ほど言いましたように、本来、どんな人でも、財産なり生命なりは自分自身の支配下に置き、管理を自分の力でやっていくという権利はあるのですから、それを自分の力でやるか、それとも他に委託するかということは当然出てくるわけでございます。そこまで全部警察が担当すべきかというと、それはちょっと違うだろうと思う。しかし、先ほど言ったように、反省しなければならぬというのは、本来警察がもう少しやればいいじゃないかという点も、そこに手抜かりがあるから出てくる面もある、しかし、その範囲外の面もやはりあるのではないか、こういうふうに私自身は考えております。いずれにいたしましても、この種の会社が続出をするという背景については、必ずしもこれは好ましい傾向ではない、しかし、現実は、ある以上は、これの面の弊害を除去するんだということに踏み切らざるを得ないのではなかろうか、かように考えて立法いたしたような次第でございます。
○横山委員 私の言っているのは、認識としてはあなたと一緒なんです。つまり、警察の範囲外の問題もある。警察の範囲内の問題もある。両方ある。この点は一致しているが、範囲内の問題、本来警察のやるべき職分の問題をガードマン会社がやるという現実を、現実問題として認めてしまう。認めてしまって、そのガードマン会社を指導育成し、社会的地位をしっかりさせるということは、今後一体どういう方向にそれが行くかという点について、私は、少し心配をしておるわけです。しかも、いまでも、警察からガードマン会社へ役員、職員が行っておられる。これから指事育成となると、どんどんと警察からガードマン会社へ人が行かれる。指導関係は密接になる。そして、好むと好まざるとにかかわらず、それがだんだん警察の傘下機関的な状況になることば、どんなに強弁をいろいろいたしましょうとも、見え透いた話である。そうすると、いつの間にやら警察はガードマン会社を通じて問題を処理し、あるいは、ガードマン会社を通じて国民の特殊な問題については相談をする、一部の問題はガードマン会社を通じて自分の仕事をする、という傾向になっていくことを私はおそれるわけです。私が言うのはおわかりになったと思うのですが、その点は、この出発にあたってはっきりしなければならない。ガードマン会社は国民と警察の中間機関ではない。問題が起これば、あくまで警察と国民の問題であって、ガードマン会社を通じて警察事務かやっては断じて相ならぬということを私は言いたいのです。これは、起こるべき数々の問題というものが、人事に、指導に、あるいはガードマン会社の運営に、いろいろな面で役所の仕事というものはそういう方向へ走るおそれがある。犯罪事件が発生した場合においても、ガードマン会社が熟練しているから、まずガードマン会社に事情を聞いたり、いろいろなことをやったり、それを通じてやっていく傾向というものがある。そういう点を私は心配するのです。そこをはっきりしてくれ、こう言っているのです。
○後藤田政府委員 私どもも、ただいまおっしゃったような点を心配いたしております。警察の本来の分野に属しておる仕事をやる、その現実を今回の立法で認めるということになりはしないのかという御心配でございますが、私は、その点は認めないようにしたい。本来警察でやるべきことはやはり警察でやる。そして、個人なり団体なりが、本来自分自身の固有の権利として持っておる管理権といいますか、生命、財産を、自分自身のものは自分で守るという固有の権利といいますか、その範囲内のことしか認めない。本来警察でやるべきことに警備会社が手を出すということは厳にいましめていきたい。つまり、最近のテレビ等に出ておりますようなプライベートポリスの思想、これは私はわが国においては認めたくないというのが私の基本的な考え方でございます。
○横山委員 その観点からお伺いすることが適当かどうかわかりませんが、たとえば「欠格事由」の第三条について、ほんとうにその証拠を知り得るかどうか。第七条の規定についても、ガードマン会社がそれを知り得るかどうか。その点について、ガードマン業界から、期待不可能なことをきめてもらっても問題であるという、御存じのような意見が寄せられております。あなたのほうは、「警備員の名簿等」を十二条で定め、十三条で立ち入り検査するのであるから、警備員の名簿を写してきて警察で調べたところ、これは前科者である、これは執行を受けてから三年もたってないということがわかった場合に、ガードマン会社に対してそれを告知して、おまえのほうの何の何がしは違法者であるということを教えるのですか。教えないのですか。
○本庄政府委員 最初の欠格事由についての、知り得るかどうかという問題でございます。
 欠格条項は、御案内のように、第三条と第七条と両方ございます。第三条のほうは、警備業者自体の欠格事由でございます。これは本人のことでございますから、通常は一応知っておるというふうに考えております。それから次の七条でございますが、七条の一項では、「十八歳未満の者又は第三条第一号に該当する者は、警備員となってはならない。」とあって、この「十八歳未満の者」は明白でございますが、「第三条第一号」つまり、これは警備業者の欠格事由と全く同じ欠格事由でありますが、これに「該当する者は、警備員となってはならない。」これは本人に対する認識程度と申しましょうか、それを明確にしたわけでございますが、問題は、二項の「警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。」ということで、この点につきまして業界のほうからの意見が出ておるのかと思いますが、御案内のように、日本の現在の制度のもとにおきましては、他人のいわゆる前科、欠格事由について完全に知る方法というものはございません。したがいまして、この規定は、ある人間が欠格事由に該当しておるということを知りながら、警備会社がその人間を警備業務に従事させてはならないという趣旨でございます。また、警備業務につける場合には、通常、社会通念上妥当と思われる範囲内でいろいろな調査をやっておるようでありますが、そういった調査をやってもらった上で判断していただきたいという趣旨でございます。
 それから、第二の、警備員が欠格事由に該当しておるということが警察でわかった場合にどうするかということにつきましては、これは、ただいま申しました第七条の第一項で「警備員となってはならない。」ということを明確にしておりますから、警備業務に従事することはぐあいが悪い。したがいまして、警備業務でなしに、他の業務に配置転換をしてもらうとか、そういった必要な措置をとっていただくように業者に話をする。こういうことになろうと思います。
○横山委員 二つの問題ですが、知りながら、ということは、通常調査し得る方法で第三条の欠格事由に該当するかどうかを調べて、それがわからなかったら、それは罪にならないというお話です。通常の方法というのは、まあ、常識上のことをおっしゃるんでしょうけれども、あいつは前科者であるかどうか、あいつは禁錮の刑に処せられたかどうかということはある程度わかるでしょうけれども、そのほかのことについては、そんなにわかるものではない。調べようがない。警察に聞きにいくわけにいかぬとなると、この第三条は半ば空文化するのではないかと思いますが、いかがですか。
 それから、第二番目の名簿は、立ち入り検査と、それから報告を受けることによって、何のだれがしは第七条第二項に違反するという具体的な名前と、その原因をあげて警備業者に通告をするわけですか。
○本庄政府委員 この欠格事由が空文になるのではないかという御質問でございましたが、第三条の「警備業者の欠格事由」そのものについては、先ほど申しましたような理由で、空文になることは全くないと存じます。
 問題は第七条のほうだろうと思いますが、これにつきましても、先ほど申し上げましたとおり、業者が知りながら警備業務に従事させてはならない、あるいは、何ら常識的な妥当な調査もしないで警備業務に従事させるというようなことはやめていただきたいという趣旨でございまして、そういう通常、社会通念上妥当な方法、努力によりまして調査をしてもわからなかったという場合には、現在の日本の制度から申しますとやむを得ないんではなかろうか。
 それから、第二の、業者に告知するという件でございますが、やはり、これは、何のだれべえという氏名を言わないと、業者としては配置転換その他必要な措置がとれないわけでございますから、最小限度そういう措置をとるに必要な事項は教えてやらなければならないと思っております。それ以外のよけいなことはもちろん言う必要はございません。
○横山委員 あの警備員は第三条第一項の該当者であるということを警察が告知をすることは、警察に許されておる権限ですか。
○本庄政府委員 そういうことをしてよろしいという明文の権限授与規定はございませんが、この立法の趣旨から申しまして、それを告知することは認められる。いわゆるプライバシーの侵害というか、そういったものには本件の場合には該当しない。かように考えております。
○横山委員 もう一ぺんくどく聞きますが、いかなる理由があって、本法の精神から言って、どこの何条によってそれが理解せられるわけですか。
○本庄政府委員 どこの何条によってこういうことをやってよろしいという明文の規定はございませんが、先ほどからお話の出ております第三条の「欠格事由」、これを引用いたしました第七条の「警備員の制限」、それから第十四条の公安委員会の「指示」、その他、この法律の立法の趣旨等、法律全般からそういうことが認定できると思うのでありますが、具体的に申しますと、いま申し上げましたような幾つかの条文が該当するんではなかろうか、かように考えております。
○横山委員 もし、そういうことが必要性があり、妥当性があるならば、国民のプライバシーに関する基本的な問題でありますから、少なくとも、十四条なりどこかに、それが必要であり、妥当であり、しなければならないことだということが指示の中の一部に挿入をされなければいかぬ。何のだれべえは禁錮に処せられたことがあり、あるいは三年を済まない者であるというようなことを、法文の全体解釈として、プライバシーの侵害をしても差しつかえないという解釈は、私は少し強権ではないかと思う。もし、それがどうしても必要であり、この法律を貫くために必要なことであるならば、根拠法というものを明確にする必要があるのではないですか。
○本庄政府委員 法律全般からと申しましたのは、いわゆるそういう考え方のバックグラウンドになるものという意味で申し上げたわけでございまして、具体的には、先ほど申しましたような三つの条文、特に十四条の「指示」のところで、全文は長いですからやめますが、最後のほうの「当該警備業者に対し、当該警備員を警備業務に従事させない措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。」という規定に直接基づくというふうにお考えいただきたいと思います。
○横山委員 まあ、私もそういうお答えがあるのではないかと思ってはいましたけれども、とにかく、憲法上でも個人の基本的権利とされる、人権侵害という問題について触れる基本的な問題を、抽象的に法文化されるという点については、私はいかがかと思っているわけです。この点は指摘をしておきたいと思います。
 問題がそれましたが、私が先ほどからただしておりますことは、警察とガードマン会社との基本的なあり方なのであります。お答えによれば、要するに、あくまで国民と警察との関係であって、まん中に警備会社が存在をするというような行政問題はあり街ない。私的警察というものは認めないわけでありますから、その点は、今後、この法律が制定されて施行をいたしていきます過程で、あらゆる部面で、それを基本的な運営の方針としてお考を願いたいことを強く申し上げておきたいと思います。
 それから、その次の基本的な問題として、先ほど私があげました警察に対する不信の念という問題であります。少し問題がそれまして恐縮でございますが、最近、どういうものか、警察官の不法行為、不当行為というものが続出をして、新聞に目立つようであります。これは、警察官の酔っぱらい運転とか、警察官の暴行事件というものは、社会的に目立つから、あるいはよけい目立つのかもしれません。しかし、それにしても、最近私どもの目に非常に触れて、たいへん遺憾千万のような気がします。この間汽車の中で買ってまいりました週間雑誌を見ますと、五十一歳の巡査部長が人妻に横恋慕して、果てはろうぜきをしたと出ています。別にこれがあるから買ったわけではありませんけれども、まあ、退屈しのぎに買った中にいきなりその記事が出ておりまして、これが真実であるかどうかは私もわかりませんけれども、たいへん残念なことだと思います。
 試みに、昨年来の警察官の非行行為というものにはどんなものがあるだろうかと思って、私、多少整理をしてみたんでありますが、実に多いですね。「警官また不祥事飲酒しけんか傷負わす」、「深夜のひったくり男 捕えてみたら刑事」、それから「市民守るはずなのに! 二カ月で七件」、「琉球警察本部長が辞表 警部殺し、不祥事の責任とり」、ちょっと古いですけれども「他人の家で荒れ狂う」酔っぱらって「自宅と間違え?投げ飛ばし殴る」等、そのたびごとに警察庁としては全警察官に自覚呼びかけということをなさっておるわけでありますが、一体どう考えたらいいのでしょうか。あなた方が文書を一つ出したら、警察官の皆さんが、たいへん悪かったと思っておやめになることでもなかろうと思うのでありますが、「警官が愛人殺す 死体、ダムに沈める」「短銃暴発、同僚死ぬ 第七機動隊待機中の巡査」。ここに「官庁別の汚職役人調べ」がありますが、これは去年の十月の記事でありますが、警察関係が三十四人。一番多いのはもちろん大蔵省関係で、これの五百五十四人に比較いたしますならば少ないほうでありますが、こういう司法関係で一番大事に考えなければならぬところで、堂々と各省と肩を並べておられることはほんとうに遺憾十万なことだと思います。
 私、ちょっと集めただけでも、実にたくさんの警察官の不法行為というものがありますが、これは一体どういうふうに考えて、どういうふうになさっておるのでありましょうか。
○後藤田政府委員 私は、警察官の九九・九%までの者は、今日、あらゆる困難に耐えながら、使命感に燃えて仕事をやってくれておるものということを確信をいたしております。しかしながら、同時にまた、御指摘のような非行事案が依然としてあとを絶たない。私は、この点はまことに申しわけないと考えております。ただ、私どもの懲戒事案の内容等をずっと私見ておりますけれども、こういった警察官の非行事案は漸減をしておるということは、ひとつ御理解を賜わっておきたいと思います。しかし、同時にまた、あとを絶たないということも申しわけない。また、あらゆる職種を通じて、私自身いろいろな役所の経験がございますが、てまえみそで恐縮ですけれども、警察官が、他のいかなる職種に比べても真剣に勤務をしておるということもまた言い得ることであろうと、かように私は考えます。しかし、警察官という特殊な任務を持っておる以上、そういうことはあたりまえのことであって、むしろこれは絶無を期するということが私どもの本来的な姿勢でなければならぬと考えます。そういう意味合いから、私どもとしても、非行事案の内容を分析をするに、今日なお、一般的な社会的風潮が警察官の若い人たちにもやはりいろいろな影響を及ぼしております。したがって、何よりも肝心なことは、まず採用時に十分注意をすること、採用後の警察官としての基礎教育を徹底すること、さらに、現任教育を徹底をすること。その現任教育で何が必要かといえば、直接若い警察官に接しておる中間幹部が、この若い人たちの心情をよく理解をし、そして、個人的な悩みごとまで何の隔てなく直接接しておる監督者にものが言えるといったような空気、雰囲気を職場につくっていくこと。そうすることによって未然にいろいろな非行事案というものが防止できるのではなかろうか。かように考えて、そういった点について、私どもとして十分注意をいたしておりますけれども、今後とも一そう警察官というものの使命にかんがみて、指導監督に徹底をしてまいりたいと考えております。
○横山委員 私の家内の兄貴もおまわりさんですから、私は、警察社会の中を、下のほうのことはわりあいに知っておるつもりでありますが、家庭においても、あるいは地域社会においても、おまわりさんの社会は一つのかきねをつくっておる閉鎖社会だと思うのです。ものの言い方から町内会のつき合いに至るまで、おまわりさんは、自分がおまわりさんだという立場で、ある程度かきねをつくって生活をしています。そういう閉鎖社会にあってのおまわりさんは、うっくつする気持ち、何か自分を取り戻したいという気持ちが常に潜在的に内攻しておるということを私は考えるわけであります。その内攻しておるおまわりさんに、極端なことを言って、団体交渉権や罷業権を与えろとまでは申しませんけれども、あなたのおっしゃるように、中間の管理職の優秀な人が少ない。個人的な相談ごとを十分やってくれというのも確かに一つの重要な要素だと思いますけれども、そういうおまわりさんのうっくつした気持ちのはけ口というものがいろいろくふうされなければ、常に内攻をしておる。だから、一ぱい飲む。一ぱい飲んで、おまわりさんを検査するおまわりさんはおらぬのだから、まあ、パトロールに引っかかるようなことはないだろう、おれならいいだろうという気持ちが、案外酔っぱらい運転がおまわりさんに多いということにつながるのではないか。これはちょっと発展しましたけれども、要するに私の申し上げることは、この地域社会でも、家庭でも、近所づき合いでも、あるいは警察内部におきましても、常に一般社会と閉鎖した社会におるがゆえに、特殊な環境にある人たちだ。そういう人たちの、その内攻しておるところの人間開放への気持ち、ときには開放されたい気持ちというものを一体どういうふうにとらえていらっしゃるのか、伺いたいものだと思っているのです。
○後藤田政府委員 御説のように、警察官というものは、一つは仕事の性格、いま一つは、階級社会といいますか、階級制度が非常にきびしいといったようなことで、とかく世間とは何か隔てのある閉鎖社会になり、かちでございます。同時にまた、内部でも、何とはなしにものの言いにくい職域であるということになりがちであるということは、先生御指摘のとおりだと思います。私どもも、実は、そこが一番悩みなんでございます。
 私が絶えず言っておるのは、りっぱな職業人になる前に、やはり社会人としてりっぱになることが肝要だ、そのためにはどういう教育をすればいいのであろうかということであり、それに腐心をいたしております。同時にまた、内部では、先ほどもちょっと触れましたように、私もやはり自由にものが言える警察社会になってもらいたいということで第一線を指導いたしておるのでございますけれども、残念ながら、必ずしも私が考えているようにいっていないということも事実でございます。これは、私は、ただいま御指摘のような点を十分頭に置いて今後とも努力をいたしていきたい、かように考えます。
○横山委員 どうもお答えが私は腹に落ちない点がありますが、もう一つ前へ進めてみます。
 私は愛知県出身でありますが、特定の名前を出してはなんでありますが、現在の本部長さん、前の本部長さんともにりっぱな人だと思っています。ところが、ものの考え方が、私の直面した問題で非常に違っておりました。前の本部長さんは、派出所を整理統合したい、つまり交通、文化、通信がこれほど発達しておるときであるから派出所を大派出所にして機動力を持たせる、そして、いざというときに緊急に数人の人、十数人の人が動けるようにしたいということで、近所の人の、反対を押し切って、派出所の整理をいたしました。今度の本部長さんは百八十度それが変わりまして、派出所増設、そして警官の街頭進出を計画をなさいました。私は、両方とも理屈があると思うわけなのです。ただ、気持ちとしては、今度の本部長さんのお考えのほうが庶民的で、私どもの気持ちに触れると思うのであります。私も、前からでありますけれども、自分で運転しておって、おまわりさんが立っておれば、すぐハンドルをきゅっと握る気持ちになります。おまわりさんが立っていなくとも、人形さんでもはっという気持ちになるわけですね。おまわりさんが街頭におり、あるいはすぐ近所に派出所があるということがどのくらい人間の気持ちを引き締めているか、あるいは交通事犯の防止に無形に役立っているかということを感ずるものであります。それならば、前の本部長さんのお考え方が間違っておったかといいますと、間違いとは必ずしも思えぬ。ただ、そうなりますと、私ども地域住民は迷うわけですね。警察行政というものが、全国はどうあるか知りませんけれども、そう簡単に変えられてはかなわぬという気持ちは庶民の中にあるわけでございまして、そういう点は、単に派出所の問題だけではありますまいが、警察のあり方として――私は何も刑事関係を言っているのではなくて、防犯中心にしろと言っているわけではありませんが、少なくとも、警察のあり方という基本方針はどうなのだということ、その点をいま伺っておきたい。
○後藤田政府委員 私は、かねがね、言っておることは、警察の基本的なあり方というものは、善良な市民生活というものの平和を守ること。つまり、善良な市民生活を脅かす犯罪、事故を押えていくことである。これを基本の方針にいたしております。ところで、今日、御案内のように、世の中そのものが急激に変わっていく。その変わり方に応じて、人心そのものの変化も著しいといったようなことで、警察はこのままの姿でぼんやりしていると、世の中の変化に対応できない、追従していくことができなくなるのじゃないか、この点を一番心配いたしております。そういう意味合いから、私、長官に着任直後から、最近の都市化現象、過疎化現象に対応して、今後の警察をいかに運営をしていくべきかという点を、十年くらいの先を見て、一応の考え方を立て、その基本方針に乗って警察の整理をし、運営をしていきたいということで、今日まで作業をいたしております。中間発表等もいたしましたが、今月の末もしくは来月早々にそれは取りまとめをいたしまして、皆さん方の御批判を仰ぎたい。かように考えておりますが、その中の重要な柱は、やはり、善良な市民生活を事故なり犯罪から守るという基本任務を達成する上において、何よりも大切なのは外勤制度であります。この外勤制度は、御案内のように、わが国独得のもので、諸外国には例を見ない制度でございます。私は、この外勤制度の特質というものを世の中の変化に対応させながら改善をはかっていきたい、かように考えております。その一つの考え方は、前本部長の時代に、派出所、駐在所を整理をして、大派出所を置くのだとしたという考え方、これは一つの考え方であるわけでございます。ところで、大派出所制度の発想が数年前にあったわけでございます。これは、山谷であるとか、あるいは新宿であるとか、浅草であるとかといった特殊な地域においては、大派出所制度でなければ、とうてい付近住民の不安感を除去するというわけにはいかないのだという現実の必要に応じて、他面、また、人員の制約等もありまして、こういった大派出所制度を採用させたわけけでございます。ところが、残念なことに、とかく世の中は模倣をする。世の中は模倣をすると申しましたが、警察の内部も同じで、必要のないところをむやみに整理して大派出所をつくるという傾向が出てきたわけでございます。これは基本的には間違いである。国民と警察との接点は、やはり何といっても外勤警察官と交通の警察官である。この基本観念を忘れてはいけない。そこで、派出所、駐在所等の役割りというものは、その地域における住民との接点として、その管内の治安の状況をよく見ておくべきところにはふやしていくのだ。整理するところは整理して、大派出所をつくってもいいのだ。この模倣の考え方がいけないのだということで、ブレーキをかけたのが実情でございます。現在の愛知の本部長は、実は、この計画を私の特命で本庁でやっておった人間でございます。それが現在愛知県の本部長ということで行っておるわけであります。したがって、大派出所制度の長所を十分のみ込み、同時にまた、街頭に多くの警察官が立って、地理案内でも何でもいいから、ともかく市民の生活を守っていくのだという基本の考え方で警察というものは、やらなければならぬのだという考え方を打ち出した当人で、私も、その思想でやりなさいということでやらしておるわけでございます。いずれにいたしましても、こういった考え方については、近く総合対策というもので世間の一般の方の御批判を請いたいと考えておりますので、そういうものが出ましたら、おくみ取りの上、ひとつまた十分御批判を賜わりたい。かように考えております。
○横山委員 本来の質問からちょっとはずれているのでありますけれども、前提要件として、いろいろお伺いしましたから、この辺で中村さんにちょっと伺いたいと思うのでありますが、いま私が指摘をいたしましたおまわりさんの、不法行為について、長官からいろいろ御苦労のお話を伺いましたが、何か、仕組みの上でも、運営の上でも、もう一つきめ手を出してもらいたいものだというふうに私は感じています。
 それから、もう一つ。いま、外勤関係について充実をしたいというお話しで、ごもっともであります。そう望むところでありますが、先年、交通のおまわりさんが巡査部長になかなかなれぬので特例を開いてもらったわけでありますが、そこまではいいのですけれども、その上になりますと、とてもそれは試験が受からないという話だそうであります。そういう重点を置くべき地域にある外回りのおまわりさんはとても勉強はできない。そして、しかも、日中街頭に立ってぐるぐる回っておる人たちの処遇というような問題が欠けておったのでは、その重点に血潮が通わないのではないかという点、それから、先ほど後藤田さんのお話で納得をいたしましたが、本法の基礎的な観念、つまりガードマン会社をまん中に置いてはなりませんぞという点等、いままで私がお伺いいたしました所見について公安委員長の御意見をひとつ伺って、次に移りたいと思います。
○中村国務大臣 私も、横山委員と同じように、警察官の中に、いろいろ世間のひんしゅくを買うような不法行為をする者があるということにつきましては、心を痛めておるものでございます。これをどうしてよくしていくかということ。これは、第一点は、警察官が使命感に燃えるようなたくましい警察官であることが一つ。そのためには、先ほど後藤出長官も言っておりますように、採用するときにできるだけ人選をきびしくして、適材を採っていくということが一つでございます。第二点といたしましては、そういう適材を警察官の中に集めていくためには、やはり警察官の処遇というものがもっと引き上げられなければならぬという考えを私は持っております。
 御指摘の中にもありますように、警察官の仕事というものは特殊の仕事であります。警察官なるがゆえにというきびしい世間の目というものが光っておる。そのきびしい目の光っておる中で仕事を生涯やっていかなければならぬのでございます。やはり警察官といえども人間でございますから、いろいろの煩悩を持っておると思います。いろいろの欲望も持っておると思いますが、しかし、一たん警察官になった場合には、そういうきびしい目の中で生きていかなければなりませんから、そこがいわゆる使命感だと思いますが、処遇をよくするということをひとつ考えていかなければならぬ。これは警察官の人はなかなか言いにくいかもしれませんが、私は、政治家として警察行政をあずかりました場合に、現在の警察官の処遇をいいとは思いません。やはり経済的にももっと処遇を厚くせなければならぬという点。それからさらに、いま横山委員の御指摘の中にもありましたが、警察官の中で、正規の学校をしまって、そうして順序よく警察官になった人たちにはわりあいに昇進の道というものも前途に開けておると思いますが、しかしながら、中学あるいは高等学校ぐらいをしまって、そして平巡査になった人で、刑事になって二十年、二十五年つとめた人たちが、はたしてこれが生涯の労苦に報いられておるかどうか。この点には大きな問題があると思います。今日の世の中は、ことばは少し過ぎますけれども、学歴というものをあまりに重視しておる。私は、警察に平巡査として二十年、二十五年まじめにこつこつとつとめておる、その年期というものももっと重大視して、これに厚い処遇を加えていかなければならぬと思う。ただ試験に受かったからということでその人の立場が変わっていくということでは、私はそれを否定はしませんけれども、それだけでは不十分である。そこで、十五年、二十年、たとえ学校は行かなくて、試験は受からなくても、まじめに警察業務に携わっておる人には、その年期を重視して、そして、処遇していく道が開かれなければならぬと私は思います。二十年も二十五年もつとめた人が万年巡査で退職していかなければならぬということは、現在の警察行政の中での大きな欠点であると私は思っております。
 そこで、いわゆる年期を尊重していく。経験を尊重していく。そうしてまじめにこつこつと人生を警察業務に打ち込んだ人が厚く報いられていくような制度をすみやかに確立しなければいかぬ。そういうようにそれぞれの問題に解決を与えていくということと、それから、先ほど横山議員の御指摘を私拝聴しておりましたが、昔の警察と違って、今日の警察というものは庶民警察の時代であると私は思います。警察官だけで今日の事態を解決していこうとしてはなかなか困難である。庶民と一緒に社会の治安を守っていくということがやはり基本ではないかと私は思うのです。そこで、その庶民の生活の中にとけ込んで警察官が治安の確保をはかっていくという姿勢、そういうことを考えますときに、これも処遇の問題に関係がありますが、少なくとも社会の中以上の生活のできるくらいの処遇は与えてやる必要がやはりあるのじゃないかと私は思うのです。家の中が火の車で、苦しい中で庶民と一緒に生活をしていくということも、なかなかこれは人間としてはむずかしさがあると思います。
 そういうことを考えまして、私は、警察行政全般にあたたかい一つの目を向けていくことが必要であると、かように考えて警察行政をやっていきたいと思っておるものでございます。きわめて回りくどいようでございますけれども、そういうことが結局は御指摘のような問題を解決していくきめ手ではないかと、かように私は考えております。
○横山委員 全く中村さんのおっしゃるとおりなんでありまして、私は自分の卑近な例をもってしまして、家庭的にも近所づき合いにも閉鎖社会だと言いました。奥さんも、子供たちも、おとうさんがおまわりさんだという意識は離れないのであります。済んだ昔のことでありますからなにでありますが、むすこがどんな感じを狩っているかといいますと、むすこがつとめに行った。そうしたらひったくりがおった。それで、間髪を入れず、自分は警察官の子供であるという意識が働いたというのですね。それで、短刀を持っている人間に襲いかかってとらえようとして指を落とした。おまえがそうめちゃくちゃに飛んでいかなくても、何とか大声を立てて、どろぼうだどろぼうだというようなことでみんなを呼ぶ気持ちはなかったかと言いましたら、おやじだったらどうするでしょうと言うわけですね。そういう返事がはね返ってきました。もちろん、その傷の手当ては警察の費用で全部処理はしてもらったんですけれども、残ったのですね。そういうように、一家をあげて警察であるということで、警察官のむすこが大学へ行くといっても、こんなことを言っては恐縮でありますけれども、このごろは、いろいろな大学で入学金や裏の金が横行している時代でございますから、警察官のむすこが医科大学かどこかへ入れるはずはないわけです。そういうところを希望する人はないにしても、ですね。こういう点を考えますと、公安委員長のお話はまことにごもっともでありますが、実際問題としてそううまくなっておらぬと思うのですね。お気持ちは百もわかるのでありますが、実際問題がそうなっておらぬのですから、ひとつ、早くお話しのようなことが実現されるように――警察内部だって、あの畑を行ったら光り輝く道だけれども、この畑を行ったら万年巡査で、試験も受かりはせぬし、巡査部長までは行くけれどもあとはとてもだめだ、というようなことが言われているわけです。税務署内部でもそうでありますが、警察畑でもそういうことが言われているわけでありますから、不遇なところに当を当てるように、ひとつ努力をしてもらいたいと思う。
 さて、そういう前提を置きましてガードマンの中へ入りたいと思うのでありますが、私の手元に国際警備連盟の規約がございます。その規約の第一条に、「警備・調査を業とする民間機構の協会であって、政治的中立を守る自治体である。」と、「政治的中立」ということばが出てまいります。次に、五条で、「(政府機関でないという意味)な性格を維持する。」第八条で、「その国での社会的評価、経済及び経営倫理度が高く、政治的中立を貫くことが会員たる資格である。」第九条で「雇用者又は被傭者が組織するシンジケート又はコミティーは会員として認めない。」(註)として、「企業が合同で組織する自家用警備組織又は労働者の自衛警備組織を排し、警備会社は一部の利益に奉仕すべきものではないという意味。」つまり、公共性の立場を堅持するという意味でしょう。それから十条で、「一国一社制とする。」これは特殊のものでありましょうけれども、十四条で、「会の目的、規定に反し、反省の色のないものは除名する。」とあります。私どもが目についたのは、政治的中立であるということ。それから、社会的評価が高く、政治的中立を貫いていなければ会員たる資格はないという意味。それから、一部の利益に奉仕するものではないということ。これは、そういう一部の利益に奉仕するようなものは国際警備連盟に入れないという高い倫理が貫かれておるわけであります。
 私が政府案を通読いたしまして感じましたことを一言にして言いますと、要するに、いまガードマン会社が続出している、悪いこともやっておろから、さしあたりこれだけのことをきめようという思想が根底になっているような気がしてならぬのであります。けさほど参考人も、さしあたりこうやって、あと直していったらどうですか、だから私どもの意見について反対はしませんという話でした。同僚委員もそんな感じを持っていました。
 私は、まず最初に、あるべき警備会社の理想像、それからあるべき法案の終局の目標というものをどこに置いておられるのだろうかということをお伺いしたいのであります。といいますのは、法案をおつくりになる場合に、現実に必要があるか、あるいは現実に悪いことをしたからカバーする、こういうことのために問題が提起をされておるというふうに、これは当然のことでありますが、考えられます。しかし、私ども考えてみまして、警備会社というものが今後社会的な地位を打ち、国際警備連盟に加盟するような状態になるならば、それは望ましいことであるか、そういうあるべき姿のためには、たとえばガードマン会社連盟なり、そういうきちんとした自主組織が――いままだこれは国内にありませんが、そういう自主組織というものがあって、自立運営のあり方というものが基盤にならなければ、警察の取り締まりだけでは何でもうまくいくはずはない。そういう自主組織がいま皆無の状況じゃないかと思うのです。
 それから、第二番目に、個別の会社がそれぞれの警備会社と契約して間違いが起こりましたら、日本警備保障では、補償は五千万円ですか、そのくらいですね。ほかの会社では一千万円だとか、かってにそういう民事契約上のことをやっておるが、もしも警備会社の大きな過失によって相手の会社に大きな損害を与えた場合において、契約はこれだけでありますから払えませんということで済ませるものか。参考人にけさほど聞きましたら、いや、そうでもありますまい、ほんとうに重大過失でありますならば、裁判で争う余地が残りましょうというわけです。そういうことを考えますと、宅建業者だって、あるいはほかの会社だって、みんな業界で、損失補償の補償約款というもの、補償機構というものを政府の行政指導でつくっておるではないか。生命、財産を守ってやるということならば、守り得なかった場合には、警備会社はもっと責任を持つべきではないか。そういうことが自分のところで単独でできないならば、共同で負担すべきではないかということもあり得るだろうと思う。
 それから、次に、警備業は届け出になっておりますが、けさほど論争になりました届け出というものは、届け出ればそれだけの話よ、という話でありますが、内容を見てみますと、営業停止、営業の廃止ができるわけですね。しかし、強権である営業の廃止、全部または一部の停止なんということは、届け出思想とは全く違うのじゃないかという感じがいたします。そういうことを考えますと、さしあたりという感じがここにはあまりにも多過ぎるから、あるべき法律の理想像、あるべき警備会社の理想像というものをどこに置いておられるのかということを伺っておきたいと思います。
○後藤田政府委員 私ども、あるべき理想像というものはやはり持っております。しかしながら、何ぶんともに、今日の日本の警備会社の実態が大小きわめてさまざまであり、また、その業務内容も、あるものは警備だけ、あるものは警備と補償、あるものはさらに調査業務までやっておる。今日の業界それ自身がいろいろときわめて複雑でございます。そこで、私どもとしては、あるべき姿というものは描きながらも、今日、ともかく、このままに放置しておくと、これはやはり相当問題になってくるおそれがあるので、少なくとも今日弊害を流しておる警備業務、その面についてだけ、しかもそれはきわめてゆるやかな税制をかける。そうして、その法律ができた暁は、そのゆるやかな規制ではあるが、そういった法律の運用をしながら、行政指導というものによって業界の適正化をやってもらいたい。その業界の適正化には、もちろん自主組織というようなものも――今日は各県ごとにはある程度できておりますが、まだ全国的にできておりません。そういったようなことで、全国組織等もつくってもらって、そうして自主的な形の組織による適正化をはかってもらいたい。そうして、ある程度のレベルに達した後において、いわゆる警備保障会社がどういった業務運営をやるかという実態を見、その際、依然としていろいろな弊害を発生しておるとするならば、それにふさわしい補償の問題あるいは調査の問題といった点についてもやはり適正な規制措置をやらざるを得なくなるだろう。かように私は考えておるわけでございます。いろいろな点を考えまして、理想像の法律をつくりました場合には、実は、この警備会社はほとんどがつぶれてしまう、なくなってしまう、これが実態であろうと私は思います。
 先ほど許可と届け出の問題についてもお話がありましたが、これは立法政策の問題としていろいろ考えましたが、許可ということになりますと、今日の警備会社のうち残るのが一体どの程度であろうかということを考えざるを得ません。そこで、まず、届け出ということによって、われわれの視線内にこれを入れる。不都合なところがあれば、業務の停止なり廃止をさせる。そういったことをやりながら、行政指導で適正化をしていく。こういう考え方で、法律的にはもちろんいろいろ問題はありましたけれども、この程度の停止あるいは廃止ならば、届け出制度のもとにおいても十分法律的にも成り立つという法制局等の判断もあって、こういう制度にしたわけであります。その趣旨は、先ほど来申し上げておりますように、理想どおりの法律をつくるという段階にまで遺憾ながら対象が至っていないが、でき得る限りそういう理想の姿に持っていくような適正な運営をやってもらって、健全な発達を期してもらいたい。かような意味合いで立法をいたしたような次第であります。
○横山委員 看板だけは届け出にしながら、実際問題としては、欠格事由、それから名簿の提出、立ち入り検査、それから指示、営業の停止等、羊頭を掲げて狗肉を売るのですか。看板はていさいのいいように、届け出ればいいよと言いながら、実際は衣の下によろいをちらつかせてやろうなんということは、警察のやりそうなことだと私は感ずるわけです。実態がそういうことであるならば、届け出制でなくたって、登録制にしたって、許可制にしたって、免許制にしたって、変わらぬではないか。なぜそいつを四条で届け出制にして、かっこうだけはたいしたことないよというような言い方をせんならぬのか。許可制、登録制、免許制くらいにして、内容を少し補強することによって、それこそ実態と法律とが合致するのであって、届け出制にしながら、実際はかなり手きびしい。営業の自由を阻害するといって業者が文句を言っているようでありますけれども、むしろそういうのはおかしいのじゃないか、こすいじゃないかという気が私はするのですよ。これはいずれ私ども同僚諸君と相談をいたしたいところでありますが、意見の違いなら、はいたし方ありませんけれども、立法技術としてはこすいと私は思う。何か御意見がありますか。
○後藤田政府委員 立法技術としてこすいと言われると、私もちょっとお答えをしなければならぬのですが、私は、現実的解決方法をとったんだ、と、かようにひとつ御理解を願いたいと思います。
○横山委員 何が現実的か、これは議論になりますから、先ほどから労働省をお待たせして、あまりお待たせしても恐縮でありますから、労働省関係のところへ入りましょう。
 まず、ここに、私の手元に、警察庁と労働省との「覚書」があります。「公安委員会は、職業安定機関との緊密な連けいのもとに、警備業に関し、職業安定法(昭和二二年法律第一四一号)第四四条の禁止する労働者供給事業に該当することのないよう警備業者の指導に努めるとともに、職業、安定機関からの通報等により、同法同条に違反する事実が認められたときは、すみやかに法案第一四条又は第一五条の規定による営業の停止等の処分その他必要な措置を講ずるものとすること。」という三月十五日付の「覚書」を私は拝見しておるわけでありますが、これは具体的にはどんなことを言うのか。数々の事例をあげて、この「覚書」の趣旨をひとつ御説明を願いたい。
○加藤説明員 先生からいま御指摘がございましたこの「覚書」を締結いたしましたのは、具体的に直接問題があってこういう「覚書」を締結したというわけではなくて、実は、職安審議会の委員のほうから、もし警備業が労基法に違反するような場面があれば、これは職業安定法の面からも問題にする必要があるのではないかということで御指摘がございまして、こういう趣旨の「覚書」を締結をいたしまして、もしそれが労働者供給事業をやったということであれば、労働省サイドとしてもそれをやめさせる、それからまた、そういう事実があれば、公安委員会にも通報いたしまして、営業の停止などの必要な処分をしていただく、こういうことを「覚書」の形で明らかにしたものでございます。
○横山委員 それでは、第十五条の二項に、「公安委員会は、第三条各号のいずれかに該当する者が警備業を営んでいるときは、」とありますが、たとえば露天商の組合、あるいは〇〇組、あるいは清掃会社というような、警備業を現に営んでいない者が臨時に第二条の警備業務を委託を受けて行く場合は、これはこの法律に違反をするものであるかどうか、この「覚書」に抵触するものであるかどうか、御意見を伺いたいと思います。
○加藤説明員 それが警備業を営んでいる者でなければ、直接警備業法の関係の問題にはならないかと思いますが、それが労働者供給事業であれば、それは職安法の規定に違反する。こういう形になるわけでございます。
○横山委員 労働者供給事業ではないのですね。〇〇組、あるいは露天商組合、あるいは清掃会社というところにおる人たちが、その組、その会社から、どこそこでどの会社がごたごたしておって、臨時に十人を五日ばかり貸してくれと言われているから行けと言われて、そこへ行って第二条の警備をするということは、「覚書」に抵触をしないのか、この法律に抵触しないのか、両方に聞いているわけであります。
○加藤説明員 その点は、警察庁のほうから御答弁いただきたいと思います。「覚書」では、その点については何ら触れていない問題でございます。(横山委員「抵触しないのですか」と呼ぶ)「覚書」では、その点は全然問題にいたしておりません。
○本庄政府委員 何々組とかそういう名称のいかんを問わず、その組織と、それからそれに委託をする企業といいますか、会社といいますか、その間の契約――契約と申しましても、これは書面の場合も、口頭の場合もあると思いますが、その内容。また、それから、その何々組が人間を現場に配置をしてやらせておる仕事の内容。これらの態様によりましては、この警備業法の違反、無届け警備業務になるという場合もあると思いますし、あるいは、場合によりましては、これは労働省の所管でございますが、労働関係の法令の違反になる場合もあるかと思います。もう少し個々現実の契約、あるいは仕事の内容ということによって判断をいたしたいと思います。
○横山委員 この法案の裏をくぐるとしたならば、どういうことによって裏がくぐり得るかということを逆に探索をしたほうが、この法案の、実体というものはよくわかると思いますから私は言うておるのでありますが、たとえば営業の停止を受けた、三十万円の罰金、払うか、払やしないだろう。そしてまた警備業をやっておる。警備業をやっておって、また届け出をしない。また三十万円ということになる。三十万円ずつ払えばそれでしまいということになるのかという疑問が一つ。
 それから、警備業務というものは一体何なのか。業務というのは、業としてやっておるものなのか。あるいは、臨時に頼まれたから行く、本来の業務は私どもは違います、頼まれたから臨時に行ったんだという、臨時にやる場合においてもこの法律に触れるのかという点では、この法律は、オーソドックスな解釈から言うと、警備業を業としてやっておるときというふうにしか解釈されない。ところが、拡大解釈して、月に二回も行ったからそれは業だというふうな解釈をしても、法廷で一体ほんとうに争い得るだろうかということになりますと、少し牽強付会の強権乱用ということになるのではないか。その点が届け出制の弱点でありまして、もしも、登録制なり、免許制なり、許可制になって、そのうらはらに、届け出ないしは許可をされた者以外に警備業に従事してはならない、警備業ないしはそれに類する行為に従事してはならないというはっきりしたものがあればともかく、その点は、この法律の盲点ではないかというふうに考えますが、いかがですか。
○本庄政府委員 この二条の二項に、警備業の定義といたしまして「「警備業」とは、警備業務を行なう営業をいう。」ということでございますから、やはり一つの営業というものがこの内容になっておろうかということでございます。
 それから届け出制の盲点云々ということでございますが、この「業者」というのは、次の三項におきまして「届出をして警備業を営む者」となっており、同項に書いております「警備業を営む者」ということでございまして、それが許可制の場合であればそういう点は救済される、届け出制の場合は救済されないという必然的な論理関係は必ずしもないのではなかろうかというふうに判断しております。
○横山委員 それはあなたの反論であるけれども、私の質問にはオーソドックスに答えていないじゃありませんか。要するに臨時に行った場合、たとえば那珂湊の場合、市役所がどういうことだか私はよく承知しておりませんが、私の承知しておるところでは、その組なら組をやめて市役所の臨時職員になった。臨時職員として警備業務をやっているというのはこの法律に何ら関係ないでしょう。だから、そういうことになりますと、それをやれば終わりではないかというふうに感ずるわけですが、ああいうようなやり方でもここでは規制ができるのかどうかということになりますと、警備業務を業として営んでいるのではないということが相手側に立証されればこの法律は適用がされないのではないか。こういうことなんです。そこをどうしてカバーするか。
○本庄政府委員 那珂湊の場合は、いわゆる警備業者が、その職員を市役所に差し出して――差し出してというのはおかしいかもしれませんが、その市役所の正規の職員に採用してもらって、市長がいろいろなことに使ったというふうに聞いております。そしてそれを何日かやって、市の職員を退職して、また、そのもとの警備会社に戻ったというふうに聞いておりますが、それが事実であるかどうか。おそらくは事実であろうと思いますが、こういったケースは非常に微妙で、ございます。これは、かりに警備業者でなくて、何々組というものが人を出して市の職員に採用してもらった、あるいは市の職員とは限りませんが、企業に採用してもらった、そして、その中で何らかの実体的な警備業務をやって戻ってきたという場合には、これは形の上では一応この警備業法とは関係のない事案のようにうかがわれるわけでございますが、その辺が、この警備業法の一つの脱法行為として意図的にやられたというような場合におきましては、状況により、態様によりましては、この警備業法違反になるということがあろうかと思います。
○横山委員 あいまいだと思います。
 労働省に聞きますが、先ほど見ました「覚書」の「労働者供給事業に該当することのないよう警備業者の指導に努める」というのは、労働者供給事業に該当するとするならば、どういう場合に該当をしそうなのか。具体的な事例がないからわからぬとあなたはおっしゃるのですけれども、どういう場合をさして言っているのかということと、それから、職安法四十四条に該当したら、この「法案第一四条又は一五条の規定による営業の停止等の処分その他必要な措置を講ずる」というところの関連性を、一体どこで警察庁は見つけ出しておるのですか。職安法違反をしたら十四条、十五条に該当するということはどこから出てくるわけですか。その二つをそれぞれ伺いたい。
○加藤説明員 まず、あとのほうからお答え申し上げますと、十五条の「他の法令の規定に違反した場合において、」の「他の法令」の中で、この職安法違反のこともお忘れなくということで「覚書」で確認をしておるわけでございます。
 それから、前のほうの問題でございますが、これは職業安定法の施行規則第四条におきまして、労働者供給業にあたらない要件というものを四つ掲げておるわけでございます。
 具体的に警備業務の関係で申し上げますと、まず、警備業は一般に警備請負契約を締結して行なわれることになるわけでございますが、警備業務を請け負った警備業者が、第一に、警備業務から生ずる財政上及び法律上の問題のすべてに責任を負うものでなければならぬということが一つあるわけでございます。それから第二に、警備に従事する警備員をその警備会社が直接指揮監督するものでなければならぬ。こういうのが第二の要件として考えられるわけでございます。第三の要件としまして、警備員につきまして、たとえば社会保険に加入するなど、使用者として法律に規定されたすべての義務を警備会社が負うものでなければならぬということでございます。それから第四の要件としまして、みずから企画、立案した警備計画に従いまして、みずから提供する警備器材を使用して警備業務を行なうというものであって、単に肉体的な労働力を提供するものではない。こういうような四つの要件をすべて満たした形において警備業務を請け負うという場合においては、それは労働者供給事業ではない。したがいまして、警備業務を請け負います場合において、この四つの要件を必ず満たすような形において業務を実施していただくということが職安法に違反しない要件になってまいるわけでございます。
○横山委員 その反語が問題になると思うのでありますが、いま読み上げられました施行規則の四つの要件ですか、それをプリントして本委員会に提出していただきたいと思います。
 それから、もう一つ。労働省の労政局長がおいでですが、例の八条でありますが、八条は「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」とありますが、これの立案の趣旨は、二つの問題を一つにまとめたことで、「留意するとともに、」という前段と後段とを、全然問題の違うことを基本原則として一つにまとめたことに私は誤りがあると思います。第一の前段のほうは、新聞の論説にも出ておりますが、これは警備業者に対する頂門の一針として書かれておるのでしょうし、あるいは、私が冒頭に後藤田さんに言ったことも含めておるわけですが、しかし、これは訓示規定で、実際問題として、これによってたいへんなことが現実不可避的に問題として生ずるものではないと私は思う。しかし、重要な訓示規定としてここに設置することに私も異存がないのです。しかし、文章上それを「留意するとともに、」ということと、ついでに言っておくけれども、「他人の権利及び自由を侵害し、若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」ということで、院内外から一番問題になっておることをついでに片づけるということに誤りがある。本来、これは基本原則として、せいぜい一、二と書かれるべきではなかったかということが第一であります。
 それから、第二番目に、「他人の権利及び自由を侵害し、」ですが、ガードマン、警備業者が侵害をするということは、たとえば労使関係から言うならば、どっちのことを言っておるのか。おそらく弱いほう、あるいは労働者のほうというふうに考えられるわけであります。「又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」とありますが、この「団体の正当な活動」というのは、労働組合運動も含んでいると思うのでありますけれども、何が正当であるかということは、もちろん従来から論争の焦点になっておるのでありまして、社会常識上の正当だとおっしゃるかもしれぬけれども、ずいぶん問題の起こしやすいところなのであります。先ほど、午前中に、参考人からるるその御意見がございました。最も問題になるのは「又は」以下の問題がきわめて抽象的である。私が二人の参考人に聞きましたところは、ガードマン会社は金さえ出せばどこへでも、頼まれたら江戸から長崎へでも行くのか、たとえば、会社から頼まれたら会社のガードマンになり、その紛争の当事者である相手の労働組合から頼まれたら労働組合のガードマンになるのかということですが、そうなれば、ガードマン会社同士が激突をする。ガードマン同士けんかになる。血のけが多いから一そうはでにやられるであろう。そういうことになると、ガードマン会社同士が抑制するということになる。そんなばかなことはお互いにやめようじゃないかと、自律行為が行なわれると思う。けれども、それでも金をよけい積んだほうがよけい人を集めて、けんかに勝つかもしれぬ。ばかげた話のようであるけれども、そんなこともあるでしょう。あるガードマン会社に、むしろ向こうから私は逆問されたことがあるのでございますが、私どもはそんなばかなことはしませんよ、金さえ積んでくれたらどんなことでもやるという会社ではありませんと言うのですが、それは大きな会社ですから、社会的な信用を持っているのでありましょう。しかし、小さい会社はそうではございませんからね。企業ですからね。そうなりますと、ガードマン会社が頼まれること、それから自分たちがやってはならぬことということについて一定の社会常識が働かなければならぬし、特に、この紛争の焦点になっております労働運動については介入しないということをこの際はっきりさせたほうがいいのではないか。先ほどの国際警備連盟の規約にもありますように、政治的中立を貫くことだ。政治的中立というのは非常に広範な意味を持っておるわけでありまして、労働者の自衛組織にも入らぬ。会社の合同のトラストみたいなものにも入らぬ。一部の利益に奉仕するものではないという点はきわめて高い次元の問題であると私は思うのです。
 そういう私の意見を前提として、この労働組合関係、大衆運動、争議行為に対して、八条はどういうことを言おうとしておるのか。ひとつ聞かしていただきたい。
○石黒政府委員 八条の趣旨につきまして、全般的な趣旨は警察庁のほうから御説明があったと存じますが、私どもといたしましては、特に後半の「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」という点に重点を置いて考えておるわけでございまして、具体的には、これは労使双方の自由あるいは正当活動に関係ございますけれども、実際の例といたしましては、労働組合の団結権、団体交渉権、その他の団体行動権というものが問題になる場合が大半であろうというふうに考えております。それにつきまして、暴行、脅迫等の刑事犯罪に至れば、これは一般法によりましてすでに禁止されておるものでございますけれども、ガードマンの警備業務というものの性格からいたしまして、そういった刑法犯に至らないものでありましても、正当な行為について、干渉という程度にわたるということを禁止したものというふうに解しておるわけでございます。
  〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕
○横山委員 その「正当な活動」というものが、何が正当であるかについて常に労使の紛争があるわけです。何が正当であるかについては、政府の見解と私どもの見解と違う場合がある。結局は、裁判所において最終的には争われる場合が非常に多い。裁判所の判決をもっていたしましても、ビラ張りが違法であるか適法であるかについて、また判決が違う場合がある。そういたしますと、一番最初に判断をするものはだれかというと、企業者が判断をする。ガードマンを雇う企業者が判断する。おれのやろうとしておることは正当なんだから、ガードマン会社、銭出すから来てくれと、一番最初の判断の基礎は経営者が判断する。労使の紛争の相手方である経営者がまず正当なりと判断してガードマン会社を雇う。来た以上は、ガードマン会社はその指示に基づいてやるということになるわけでありますから、その点ではこの「団体の、正当な活動」を最終的にあとで判断せざるを得ないというところに私は問題があると思う。私の私見によれば、「又は個人若しくは団体の正当な活動」の「個人若しくは団体」というのは、団体でもいろいろなものがありますから、その「正当な活動」のうしろへ「労働争議」ということばを入れて、これらに干渉してはならないということを、ずばりはっきりうたったほうがよろしい。ガードマン会社の今後のためにも、健全な発展をガードマン会社にさせるためにも、こういうところに介入させないほうが望ましい。そうして、もし問題が発生をしたならば、もっと慎重に警察の判断が働くということのほうが望ましい。このガードマン会社は金で動くのですからね。法律で動くのではないのですから、警察は法律でまず――とにかくいろいろな議論はあっても、法律的な、社会的な目というものをちゃんと背にして動くのですから、私ども、文句は言いますけれども、そういう点ぐらいは信用しておるわけです。ところが、ガードマン会社は銭で動くわけですから、その銭で動くということは、まず企業者の判断で動くのですからね。ですから、ここでは争議行為にはもう介入させないというふうにはっきりしたほうがいろいろな意味で望ましいことではないかと私は考えますが、いかがですか。
○石黒政府委員 労働争議に際しましてガードマンが雇われるということにつきましては、これは非常に慎重を要するという点につきましては、私どももさように考えております。しかしながら、たとえばストが行なわれており、そのために無人になった工場におきまして、警備のためにガードマンを雇うということ自体を禁止するというわけにはまいらないというふうに考えております。そして、そのガードマンが工場を警備するということ自体は、これは認められてしかるべきである。しかしながら、それが労働組合との接点に至りました場合には、その行動は最も慎重を要する。したがって、正当な組合活動に干渉する、介入するということは一切許されない。万一そういうことがあれば、先ほど御指摘のございました公安委員会の指示、あるいは営業の停廃止といったようなきつい処分を受けるものであるということでやむを得ないのじゃなかろうかと考えます。
○横山委員 あなたは労政局長ですから、労働行政のほうで法律解釈についてあなたとやり合っても、釈迦に説法でしかたがないと思っておりますけれども、労働行政の生きた部面では、現実どういうことがいま行なわれておるか。なるほど、あなたと話し合うことは久しいんでありますが、国鉄ではストライキをやってはいかぬことになっておる。汽車をとめてはいかぬ、ことになっておる。汽車をとめてはいかぬ。とめれば首を切られる。それはだれでも知っている。知っているけれども、現実に汽車がとまるというのが生きた労働問題だということです。汽車をとめてはいかぬ。とめれば首を切られるけれども、汽車が常にとまるということを労働問題としてどういうふうにとらうべきか。これは一体、あなたの言うところの正当な争議行為であるかないか。あなたに聞けば、汽車をとめることは正当な労働活動ではないとあなたは答えざるを得ないでしょう。けれども、それでは済まぬことは、あなたも多年の経験でよく御存じの上なんです。そうしますと、労働問題だけは別の概念でやらなければいかぬのではないか。その労働問題で労使が非常にエスカレートしておるときに、制服を着たガードマンがやってきて、それがどのくらいの自律神経があるか。どのくらい法規を知っているか。あなたが言うところの、どこまでが、ガードマンが出てはいかぬという限界かという法規をほんとうに知っておるだろうかといいますと、大きな警備保障会社だったら教育が徹底していますけれども、そんな労働争議に介入するような、小さな暴力団まがいのガードマン会社で、そんな法規なんかわかるはずがないですよ。それは、すぐかっとなって見さかいもなくやるということは、小さな争議にはいつも随所にあることなんです。ですから、むしろあなたのほうが、法規問題じゃなく、労働問題として、警察庁に、これはもっと慎重にやられたほうがいいですよとおすすめになるべき立場ではないかと私は思うのです。あなたは、いや、私もそう思うけれども、こんなことでこうなったんでしようがないと、言いたそうな顔をしておるが、心情はお察し申し上げますけれども、これは警察庁としてもお考えになるべき点だと私は思うのです。正当な活動といったって、こんなものではだめですよ。どうですか。
○石黒政府委員 正当な活動につきましての限界というものは、先生御指摘のごとくに、微妙な限界になってまいりますと非常に問題がございますけれども、しかし、これは、労働組合法におきましても、何が正当で何が不当だと書いてあるわけではありませんで、要するに、労働組合の正当な活動をしたゆえに不利益な取り扱いをしてはならぬというように、社会通念にまかせておるわけでございますから、その点につきましては御懸念のようなこともあろうかと存じます。したがいまして、争議に際してのガードマンの導入ということにつきましては、私ども、最も慎重であるべきであるということを痛感いたしておりますが、一切入ってはいかぬということを言っても、これはおそらく無理なんではなかろうか。したがって、警察庁のほうでもいろいろお考えになりまして、第十一条で、その辺の教育、訓練を十分にやれというふうな配慮もしておると考えております。
○横山委員 だいぶ接近をしてきたようでありますが、一切入ってはいかぬということをきめても無理だということは、私は、なぜ無理だと逆問をしたいのです。いま法律をわれわれはつくりつつあるのですからね。ガードマンというもののある社会的水準を高めていって、そして、いま教育がなっていないから、十分教育をして、あるべき姿に持っていきたいという理想像をここで掲げようと、将来を展望しながらわれわれ法律をつくろうとしておるわけです。そのときに、労働争議に介入してはならぬと書いたところで、どうしてこれが社会的に指弾さるべきことなのでしょうか。ガードマン会社にとって、これがいま現実に、営業妨害というか、そんなものになるものでありましょうか。そして、この法案に反対されておる労働組合及び警備保障会社にしたところで、争議行為に干渉してはならぬと書くことについてどう考えるでありましょうか。そう考えてまいりますと、よりよき法案をつくる、よりよきガードマン会社をつくる、そして紛争を当事者間の争いに限定するという意味においては、百尺竿頭一歩を進めて、労働争議に干渉してはならぬとここに書くことによってどういう不ぐあいが起こるか。むしろそれは逆であって、そこを一本きちんとしておいたほうが、労使のためにも、ガードマン会社の将来の発展のためにも、まっすぐな自分たちのあるべき姿を目ざすためにも必要ではないか。経済が激動しておりますと、労働争議がない年はございません。労働争議がいつもあるところへ、ガードマン会社が商売のためにどんどんとそこに介入していかないように、ここでくぎを刺しておくことが望ましい。そういうようにガードマン会社にふたをしたらどんな不ぐあいが起こるか。もしもそれがエキサイトして暴力行為になれば、社会の目と法律の厳正な立場で、慎重であるべきはずの警察が最後に出る場合も、私はそれをいかぬとするわけではない。それはやはり社会的な目があり、法律において十分検討せられるという意味においてはいい。だが、その警察が出る前に、あなたの職分である労政局というものがあり、県庁の労政部というものがあり、労政事務所というものがあるのだから、あなた方がまず骨を折るべき段階ではないか。そういう自分の職務を忘れて、いや、ガードマン会社にとまってもらってもいいではないかという――まあ、そういうお気持ちではないと思いますが、これはひとつはっきりしてくださいよ。どうですか。中村さん、おトイレに行ってお元気がついたところで、私の名論卓説に感服してあなたは開いておられるようですが、ひとつ御賛成を願えませんか。
○石黒政府委員 先ほども申し上げましたのですけれども、労働争議の場合であっても、工場等が無人になる、あるいは場合によっては守衛もストライキに入るというような場合には、ガードマン会社にかわりの警備を頼むということはあってもやむを得ないのじゃないか。そこで、ガードマン会社が入ってきておるということ自体について、争議の場合には一切ガードマンを雇ってはいけないとまで言われますのは、これはどうも無理なのではないかというふうに私ども考えております。しかし、いまのガードマン会社を呼ぶ場合には、いろいろ問題を起こしがちだから非常に慎重にしなければならぬという点は全く同感でございますが、一切タッチしてはいかぬというのは、どうもいささか無理なのではなかろうかと私は思います。
○横山委員 それはあなたらしくないですよ。あなただって、幾多の労働運動を扱っておってよく御存じのはずだ。労働争議の最中にどろぼうが入ったとか、労働争議のときに、そのために汽車事故を起こしたとか、そんなことはないですよ。人がいなくとも、緊迫した雰囲気がそこには渦巻いているのです。私は、長年の自分の体験でわかるし、あなた、だっておわかりのはずだと思うのですが、ストライキをやっていて、そこに人がいなくとも、緊迫した雰囲気というものが常にあるので、いつもよりは事故は絶対起こらぬという確信が私にはある。それはみんな注意しますよ。だから、争議をやっているから、人がおらぬから、どろぼうが入っていくかもしれぬのでガードマンをそこに雇うというのは、あなたらしくない言い方だ。そんなものは、会社だって労働組合だってちゃんと目を光らせておりますよ。むしろ、争議の最中のほうがお互いに気をつけているものです。そんなことはあなたのほうだって百も承知の上なんで、詭弁を弄してはいかぬですよ。かりに百歩、万歩を譲ったところで、そのためにガードマンを雇って、そのためにそこから問題が発生するようなばかなことは避けなさい。それでも、私の言うように労働争議に介入してはならぬと書くことに対して、あなたは、もうほんとうに意地でもそれに反対しますか。意地でも、そんなことはとても政府としてがまんならぬことだ、どうしてもおれの職分をかけても守らなければならぬのだ、忠誠第一だ、絶対相ならぬと言う度胸がありますか。そうじゃないでしょう。
 長官にも、それから公安委員長にも申し上げますが、ここはひとつよくお考えを願いたい。ここがかぎです。この法案を通過させるかさせぬかのかぎですからね。それで、私は、時間をかけて、よう体験を含めて話をしておるのです。おわかりになりまっしゃろうか。わからなければ、もっとあらゆる事例をあげて申しましょうか。この法律が通過するかいなかのかぎ、私どもが気持ちよくそうかという気持ちになるかならぬかのかぎはここですからね。それで、あなた方がある程度納得をされて、それではひとつ考えましょうということになれば、午前中の参考人の言ったことについてあともう一、二点御質問申し上げればいいやということになりましょうし、私どもも、労政局長も最後には黙ってしまったからそれではもういいや、政府としても、労働省としても私の気持ちはわかるということになって、それならひとつ理事さんで一ぺん話し合ってもらおうかということになる。そのポイントはここですが、どうですか。長官、どうお考えになりますか。一ぺん相談してもらえませんか。
○後藤田政府委員 労働争議の際の、ガードマンを雇い入れるということについて、たいへん御心配になっていらっしゃるお気持ちはよくわかります。この法律をお認め願えれば、御心配の点を頭に置きながら、この法律の第八条に書いてありますような、正当な活動に干渉してはならぬぞということは、私ども十分目を光らせていきたいと思います。私どももやはり先生のおっしゃったようなことを腹に置いているわけです。これを立法する際には、やはりいろいろなことを考えて、「個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。」と書いてあるのですから、御心配のようなことのないようにやっていきたいと考えた末に、この法案をつくったのです。この点ぜひ御理解を願いたいと思います。
○横山委員 まあ、ここでは、ああそうですかとあなたもおっしゃるまいとは覚悟をしておりますが、ひとつあとでよく御相談を願いたい。私が大きな声を立てて、汗を流して、水を飲み飲み、たばこを吸い扱い、一番力を入れたところはここなんですから、それをいいくらかげんに、おれの答弁で横山委員も納得をしてくれたと思ったら間違いで、私は決して納得をいたしておりませんから、ここはあらためて政府内部としても御相談を願いたいところです。
 さて、たいへん時間をとりましたので、あと一、二質問をしますが、午前中の参考人の意見にもございましたが、それは、ガードマン会社が個々の会社、個々の団体の内部事情にきわめて明るくなり、そしてその急所を知るということに相なります。ガードマンがそれなるがゆえに犯罪を起こしたことも御存じのとおりであります。犯罪を犯してはいかぬことはきまっておる。ガードマンが物をとってはいかぬことはわかっているけれども、そういう知り得た秘密をガードマン会社が他に漏らすことについてどうお考えでありましょうか。これは犯罪を構成しないのかどうか。いまのこの法律では犯罪を構成しないのでありますが、医者とか弁護士とかが、知り得た秘密、他人のプライバシー、会社の機密を他に漏らすということについては、別な法律で秘密保持の義務があるわけでありますが、ガードマン会社にそれを課する必要性がなぜないのか。
○本庄政府委員 御指摘の点につきましても、法過程でいろいろ検討をいたしたのでございまが、他の法律におきましては、いまお話しのございましたように、秘密保持の義務を明確化しておるのが幾つかございます。医者、弁護士その他幾つかあるわけでございます。いずれもこれはいわゆるプライバシーを守るという趣旨から規定されたものと思いますが、医者にいたしましても、弁護士にいたしましても、相手方本人が他人に絶対知られたくない秘密というものを知り得るわけでございますから、そういうものを漏らしてはならないという考え方でございます。
 ガードマンにつきましても、会社の内部のこと、たとえばどこにどういうものがしまってあるかということを知り得る状態にあることもあるわけでございますから、そういうものを漏らすことは、確かに、道義的にはもちろんよくないわけであります。しかしながら、それを医者、弁護士の秘密保持役務と同程度のものとして立法化するかどうかということにつきましては、検討の末、入れなかったわけでございます。他に人の秘密を知り得る職業というのは幾つかあるわけでございますが、その秘密を知り得る職業全部についてそれでは禁止しておるかと申しますと、必ずしもさようではございません。たとえば、いまのことばで言えば、いわゆるお手伝いさんですが、これこそ、ガードマンが知り得る秘密よりももっと他人に知られたくない一家の秘密を知り得る状態にあると思いますが、そういうものにつきましても、必ずしも法律では禁止しておりません。
 それからもう一つは、それでは、現実の事態として、ガードマンが警備中に知り得た秘密を漏らして問題を起こしてトラブルになったという事例があるかと申しますと、私たち、寡聞にしていまのところ聞いておりません。そういう現実の状態というふうなこと、それから、先ほど申しましたようなやや法律論めいたこと、そういうことを総合いたしまして今回の立案では入れなかったわけでございます。
 もっとも、そういった医者、弁護士のような、いわゆる高度の資格を要する業務でなくても、秘密順守規定を入れた法律はないわけではございませんが、それらは、それぞれの業者の状態、実態、あるいは現実の被害の発生状況といった諸般の状況を勘案して入れておるように承知をいたしております。そういったようにいろいろ検討をいたしました結果、今回の法案になっておるわけでございます。
○横山委員 ガードマンが悪いことをする。百貨店の警備を委任された、ガードマンが百貨店の物をどろぼうする、銀行でどろぼうするということは悪いにきまっておる。それはもう簡単にわかって、そして社会的な糾弾をされる。そういうことは、この法律ができるとなかなかできなくなる。そうすれば、次に起こることは、ガードマンが知り得た秘密を他に漏らして、そして漏らした秘密によって盗難が起こるということ。これはありそうなことだと私は思うのであります。そういう点については、もしそれがわかれば、もちろん、民事責任、民事的な裁判という問題がそのガードマン会社と依頼者との間に発生するとは思いますけれども、しかし、ガードマンが最も秘密を知る条件下にありながら、医者、弁護士とは違うという理論には私はどうも納得ができません。
 こまかい点で二つ伺いますが、一つは服装についてですが、公務員の法令に基づいて定められたもの、つまり、おまわりさんとは別なものにするということになっておりますが、服装だけでよろしいのかどうか。自動車なんかは、まあ、ああいうふうないまの現状だから、あれは目でわかるから、パトカーと同じことをするはずがないからという善意の期待が込められておると思うのですが、服装をおまわりさんと一緒にしてはいかぬというならば、そのほかのものについても、「服装等その他」というふうにしなければいかぬのではないかと思われるのが一つ。それから二つ目は、警備員、ガードマンのあるべき姿を将来ともに確保するためには、手帳を交付することがどうして考えられなかったのかということが二つ。以上を御質問します。
○本庄政府委員 服装の点でございますが、服装のみならず、他のいわゆる装備その他のものについても規制をすべきではないかということにつきましては、現在のところ、服装につきましては、警察官と全く似かよったような服装をいたしまして、しかも、世人の非難を受け、また、現実に問題を起こしておる事例をかなり見たり聞いたりしておるわけでございます。しかし、その他のいわゆるパトカーと称するものでございますが、そういったものにつきましては、一応、業者の自主的な規制と申しますか、あるいは行政指導と申しますか、そういったような方法で、それぞれの会社の名前を明確に車両に表示をする、塗装も変えるという方法で行なわれておりまして、格別問題があるようには聞いておりません。
 それから、手帳の問題でございますが、ガードマン手帳というものを交付したらどうかということ。これは、おそらくは、ガードマン自身の登録制、業者でなくてガードマン自身の登録制につながる問題ではなかろうかと思うのです。そういった点につきましても、諸外国の例等も見て検討をいたしたわけでございますが、現在のところ、ガードマン全員について、国または都道府県におきまして登録をして規制をしていくという、それほどの必要性はないんではなかろうかという考え方で、この点も今回の立案には入っておりません。
○横山委員 最後に、各方面の意見の中で注目すべきものは、私の手元へ来ております大阪府警備保障事業連絡協議会の意見だと思う。私も、本法案を調べるために一、二の業界の人と会って意見を聞いたのでありますが、一方の意見として、この大阪の業界の意見が最も大衆的な意見だと思いますから、その一番大事なところを読みますと、「完全な取締法的なもので、企業者を「すべて犯罪醸成の可能性あるもの」と思われる基本的思想のもとに策定されたものと言えるのであります。かかる立法は業者が民法上の契約に基き相互信頼のもとに行なっている「警備請負」という営業自由の原則を真向から無視されたものと思惟せざるを得ないのでありまして、業界としてはかかる立法そのものに根本的に反対せざるを得ないのであります。」とあります。
 この主張は、いい悪いはともかくとして、一応もっともな点がある。もっともな点があるというのは、私どもがこの主張に賛成しているわけではないのであって、むしろ法案に保留条件つきで、まあこういうことを法案として出すのも理由ありと認めておる立場から言うと文句を言うのはあたりまえだけれども、そういう必要があるんだということなんですね。ただ、その一番最後にございますが、「なお、今般、法案の提案にあたってただ一回の協議会に対する諮問もなく、かつ一片の意見開陳の場も与えられずに策定されたことは甚だ遺憾に存ずる次第であります。」とあるのは、それはどういうことだと思うわけです。あなた方も、この法案をおつくりになるについてはかなり調査もされたであろうし、統計もとられたであろうと思う。それなら、こういう業界の意見のように、賛成、反対はともかく、一回の協議会に対する諮問もなく、一片の意見開陳の場も与えずにかかる規制法律を出すということはいかがなものであろうか。これからいろいろと業界の自主規制を私も要望したいところであるし、全国組織をつくってもらって、つまらぬことに手を出すな、倫理の高い国際警備連盟に加盟し得るような社会的要件をつくれというふうに私は望みたいところでありますが、こういう文句を言わせるようなことでは、これからの業界に対する円満な指導が不可能ではないか。一体いままで何をやっておったのかと思いますが、どうですか。
○本庄政府委員 こういった立法の際には、各方面の意見を十分聞くということにつきましては、全く先生と同じ考え方でございます。ただ、その意見を聞く聞き方がいろいろあるわけでございますが、簡単にこの警備業界が組織されておりまして、そういった団体の統一的な意思を組織を通じて聞くという方法があれば、これはたいへんいい方法であろうかと思いますが、御案内のように、まだ組織というものが固まっておりません。一部の府県におきましてはできているところもあるようでございますが、目下できつつある機運でございます。したがいまして、特定の業者だけに聞くというわけにもまいりません。したがいまして、私たち、内部で検討いたしまして、一応の成案を得ました段階におきまして、ことしの二月の初めでございましたが、警察庁の保安部の試案という形で新聞発表をいたしまして、一般世論の反響といいますか、意見が入ってくるというのを期待したわけでございまして、それに上りまして、業界のほうから、まとまった業界の意見ではございませんが、断片的な意見も入っております。あるいは、業界から直接ではございませんが、マスコミ等を通じての意見も入っております。それから、たいへんお忙しいところを申しわけなかったのでございますが、国会の各党の先生方にも保安部試案を御説明して、世論の代表である国会の先生方を通じて世論も聞きたいというふうに、ない知恵をいろいろしぼってやってきたわけでございまして、先ほど申しました全国的な組織がございませんから、全国的なまとまった意見は聞いておりませんが、たとえば東京都の警備連盟といったような、そういうローカルの意見は一応入っております。
○横山委員 たいへん時間を使いましたが、私が申し上げた数々の問題につきまして、政府部内におきましても協議なさるでしょうし、また、委員長のもとでもいずれ理事と御協議なさると思いますから、その際にひとつ十分織り込んでいただくように希望いたしまして、私の質問を終わります。
○大野委員長 和田一郎君。
○和田(一)委員 ガードマンの基本的な問題は、いままでいろいろな先生方の御質問で大体わかってまいりましたけれども、実は、きょうのある新聞で、元ガードマンが、ガードマンに雇われておった時代に合いかぎをつくっておいて、それを使って六百万円盗んだという記事が出ておりましたけれども、そのことは、もう先ほどそちらに御通知してあるので、ひとつ、この問題について詳しく御説明願いたい。
○川崎説明員 まだ詳細な報告を受けておるわけじゃございませんが、ただいま先生が概要を申されたような事案があったように聞いております。
○和田(一)委員 ばかに簡単な御説明でございますけれども、これは、約一時間半ぐらい前に、ひとつ御質問申し上げるから調べておいていただきたいと言って、私は御通知申し上げておいたんですが、これは厚木ですから、電話ででもわかるし、ガードマン会社は新宿のあるガードマン会社だったんですが、ばかに簡単ですが、それしかないんですか。
○川崎説明員 ただいま和田先生に詳細御説明する資料を持ち行わせておりませんので、即刻調査いたしまして、後刻御説明申し上げたいと思います。
○和田(一)委員 じゃ、言います。この新聞記事だけですけれども、いずれにいたしましても、十七日ですから、きのうつかまったわけでございますけれども、四十五年の十一月からことしの二月まで、新宿の某警備保障会社のガードマンをしていて、そして、警備に行った会社または専務所の合いかぎをあらかじめつくっておいた。そして、先月の二十五日に横浜市のスーパーダイエー七階にある東横娯楽事務所に合いかぎを使って侵入、そこで十万八千円盗んだ。それから、つかまって調べられたところが、いままでに六百万円を盗んでおった。こういうことですよ。これは新聞の記事ですから、皆さん方の説明を聞こうと思ったんですが、しようがない。
 そこで、こうなった場合、現在はまだ何も法律がございませんからやむを得ないとはいうものの、まだ法律ができない現在、この警備保障会社の責任は、どの程度あるものだとお思いでしょうか。
○川崎説明員 当該行為が、ただいま申されました窃盗被疑者個人の意思によりまして敢行されております場合におきましては、警備会社の警備上の責任は出ないんじゃないかと思います。ただ、当該行為につきまして、まず、ないであろうと思いますけれども、警備会社が何らかの関係で共犯関係に立っておりました場合には、現行法でそれ相当の責めを問われるんじゃないかと思います。
○和田(一)委員 こういうことなんですよ。ガードマンとして派遣されて、そしてそこでガードをしながら合いかぎをつくっておったというんですよ。ですから、どろぼうを飼っていたと同じことになるわけですね。そして、警備保障会社をやめてから、その合いかぎを使ってどろぼうをしたというわけですから、この警備保障会社の責任というものはないものかということをいまお聞きしたんですがね。
○川崎説明員 先ほどは、刑事事件としての責任について申し上げたわけでございますが、民事事件としての責任につきましては、簡単には言い切れないというふうな面があるんじゃなかろうかと思うわけでございます。
 民事事件として見ました場合に、合いかぎをつくるという作業について、警備会社のほうで指導監督よろしきを得ておらなかったということになりました場合におきましては、その限りにおきまして、当然何らかの関係があるかもわからないというふうに思うわけでございます。
○和田(一)委員 どうも釈然としない答弁ですが、そうしますと、今度は保安部長にお聞きしますが、今度ガードマンの規制法ができ上がった場合、この種の犯罪が起きた場合はどうなりますか。
○本庄政府委員 法案ができました場合には、第十四条に「公安委員会は、警備業者又はその警備員が、この法律、この法律に基づく命令若しくは第十条第二項の規定に基づく都道府県公安委員会規則の規定に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反した場合において、警備業務の適正な実施が害されるおそれがあると認められるときは、当該警備業者に対し、当該警備員を警備業務に従事させない措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。」という規定がありますので、したがいまして、この警備業務に対して、他の法令を、まさにどろぼうをしたというふうな場合には、当然指示ができると思います。これは一般論だと思います。
 それから、その警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるときは、第十五条に基づきまして、直接直ちに営業停止の処分ができることになっております。
○和田(一)委員 いまおっしゃったのは、この法案ができ上がって、そしてこの種の犯罪が起きた後の問題ですね。こういう犯罪が起きないようにするためにはどうかということをこれからお聞きするわけですが、その点についてひとつ……。
○本庄政府委員 警備業務の実施が適正に行なわれるためには、いろいろの規定を設けておるわけでございますが、先ほどから議論になっておりました第八条なんかも、この基本原則として、いわゆるこの法案の憲法ともいうべきものであろうかと思います。それらはもちろん関係してくるわけでございますが、第十一条で、「警備業者は、その警備員に対し、この法律により定められた義務を履行させるため、総理府令で定めるところにより教育を行なうとともに、必要な指導及び監督をしなければならない。」とありまして、要するに、適正な業務実施が行なわれるように平素から十分教育をする。これは先生が御指摘されましたような事態が起こらないように、そういうことを起こさないように教育をやる。この教育と申しますのは、事前の教育あるいは採用してあとからの、中間における、いわゆる私たちのことばで言えば現任教育もやるわけでございます。それと同時に、個々の業務の勤務についての必要な指導、監督を十分やっていただくという考え方で臨んでおる次第でございます。
○和田(一)委員 第八条または第十一条では確かにそのとおりでございますけれども、教育という点で、これは義務教育を終えて来た人ですね。ですから、個人の一つの性格というものは相当備わって、実社会に出てきた人たちの話です。この、きのうの新聞のような場合には、計画的な犯罪行為ですね。ガードマンになって、そして、派遣された先でちゃんと満幅の信頼を受けながら合いかぎをつくっておる。これは計画的なんですね。そういう人を教育で矯正できるものですか。この十一条のような教育を行なって矯正できるかどうか。その点をひとつ……。
○本庄政府委員 その点につきましては、本質的に、先天的にそういう性格の者を、この警備業者の教育ではたして矯正できるかどうかということにつきましては、これはなかなかむずかしい問題であろうかと思います。できるという答えもいたしかねますし、しかし、必ずできないという答えもいたしかねるわけでございます。できる、だけそういう教育によって矯正するように努力をしてまいりたい。
 それから、先ほども申しましたように、教育だけではなくして、やはり人間というものは、放任されておりますと、ついでき心で、ということもございます。したがいまして、勤務についての十分な指導監督をしていただきたいと考えております、
 それから余分なつけ加えになるかもしれませんが、そういった先天的にまずい人間につきましては、おそらく、そのときだけでなくして、いわゆる前科と申しますか、盗みなどの犯罪をすでに犯している場合も多かろうと思います。そういった者につきましては、先ほどの七条について議論が出ましたように、会社はそういう者を採用しない、つまり排除していくということ、これらと先ほどの教育とを合わせて、そういう方法で措置してまいりたいと、かように考えます。
○和田(一)委員 この第三条に「欠格事由」が出ておりますけれども、これはあくまでも警備業を営んでいる者であって、そこの従業員には関係のないことですか。
○本庄政府委員 第三条は、警備業者自体の欠格事由でございます。いま私が申しましたのは、第七条に警備員の欠格事由が書いてございます。内容は第三条と同じ内容でございますので、これを第七条で援用しておる次第でございます。
○和田(一)委員 警備業の連絡協議会からいただいている意見書の中に、第七条について、「警備員の制限として第三条一項で欠格事由が定められているが、この該当の有無について警備業者が確実に調査することは現在のところ不可能である。業者としては警備員の採用にあたって選考に慎重を期し、身元調査も行なっているので、このような期待不可能なことを法律で規定することは問題である。」と出ているわけですが、この点についての御意見はどうですか。
○本庄政府委員 この点につきましては、「この該当の有無について警備業が確実に調査することは現在のところ不可能である。」というのは、日本の現行制度からいたしましてそのとおりでございます。しかし、業者としては、警備員の採用にあたっては、社会通念上妥当あるいは弁理的と認められる範囲内において各種の調査をし、その欠格条項に該当しないかどうか調べ、そして該当しているということがわかれば当然採用しないということを期待しておるわけでございまして、この業界の意見としては、そういうことをやっておるということでございますが、必ずしもそういうことを全部やっておるというふうに私たちは見ておりません。相当多数の会社はいろいろな方法でやっておるようでございますが、五百何社ある全部が全部必ずしもそうであるということは申し上げられませんし、今後もやはりそういうことが全部確実に励行されるという期待も必ずしもできませんのでそういった規定を入れたわけでございます。「期待不可能なことを法律で規定することは問題である。」という点につきましては、先ほど申しましたように、そういう努力をしてもらいたい、努力も調査も何もしないでぱっと警備業務につけるということはいけませんよ、ということでありまして、したがいまして、そういう妥当な範囲内で調査を十分やった上で判定して業務につけていただきたいという趣旨でございます。
○和田(一)委員 ガードマンが悪いことをした一つの例として出したのですけれども、これとは逆になると思いますが、私は、あるガードマン会社のパンフレットをいただきました。その中で一〇八号連続射殺魔事件というのですか、これをガードマンが逮捕したというようなことが大々的に新聞に出ておりましたので私たちも記憶しておりますが、これを見てとたんにガードマンがかっこよくなったわけです。そういうことで、ひとつその辺のところを御説明願いたい。一〇八号事件はこうであって、そしてこのようにガードマンがつかまえたということを、時間がありませんから簡単でけっこうですから……。
○宮地説明員 お答えいたします。
 ガードマンがつかまえたと先生お言いになりましたが、私のほうの資料では、ガードマンがつかまえたわけではございません。本事件は、御承知のように、四十三年の十月十一日の午前零時五十分に、東京のプリンスホテルのガードマンが殺された事件を初めとしまして、京都の八坂神社の警備員射殺事件、函館のタクシー運転手強殺事件、名古屋のタクシー運転手強盗殺人事件、こういう四つの一連の事件でございまして、この逮捕の状況は、四十四年の四月七日の午前一時三十二分ごろ、東京都渋谷区千駄ケ谷三丁目の一橋スクール・オブ・ビジネスに賊が侵入いたしましたことを日本警備保障会社の電子警報器が覚知したわけでございます。それで、新宿区内を無線自動車でパトロール中の同社の警備員の中谷利美さんが本社の指令によって現場に急行いたしましたところ、犯人がうずくまっておりまして、この警備員に向かって拳銃を発射して逃げた。こういう状況であります。直ちにこれが一一〇番に入りまして、警視庁が全署に緊急配備をいたしまして、同日の午前五時八分に、代々木警察署の松本巡査部長、吉田巡査、高橋巡査の三名が職務質問をいたしまして、明治神宮北参道の付近でこれを逮捕したわけであります。
○和田(一)委員 わかりました。ガードマンが直接つかまえたわけじゃないということですね。
 そのときに、そのガードマンの方はおそらく調べられたと思うのですけれども、どういう護身用具といいますか、そういうものを持っておったかという点、わかっておればお答え願いたい。
○宮地説明員 こまかい護身用具の状況までちょっといまここに書いてありません。これから調べますから……。
○和田(一)委員 わからなければけっこうです。
 ちょっと後藤田長官に見てもらいたいのですけれども、これはあるガードマン会社の写真です。見えますか。それで、服の上からバンドをしている。左の肩から右のわき下へバンドのつり皮をしているわけです。これはバンドに何か雇いものをつり下げなければならないときの用意だと私は見るのですが、この点について何か御感想がございましたら……。
○後藤田政府委員 何をつるのか私にもわかりませんが、要するに、警察官の服装に近似し過ぎるという見方を私はいたします。ただ、それをつっておるのは右側でしたね。だから、これは警棒をつるのにしては形が反対なような気がします。警棒は左につるわけですから。要するに、警察官に似ておるということと、服装のかっこうがいいということじゃないかと思います。これは拳銃なんかはとんでもない。もちろん持てないわけですから、そんなことを考えておるわけじゃ毛頭ないと思います。
○和田(一)委員 いまの提示しましたのは、服の上から帯皮をして、それを左の肩から右のわき下のほうに向かっておろして、しかも帯革でそのバンドを押えている。つり下げているというかっこうです。長官がおっしゃったように、確かに警棒は左に持つわけです。丹下左膳なら右かもしれませんけれども……。ですから、右のほうへ重いものをつり下げられるようにするということは、ちょっと考えて、拳銃と見るのです。拳銃は左へつり下げるわけにいきませんが、これは確かに何もつり下げてはおりません。それから、鉄道公安官のような方々は、やはり確かに同じようになっておりますけれども、たしか、十センチ四方くらいな黒いものが右のわき下についておりますが、これは聞きましたら、手錠か何か、そういうものらしい。いずれにしても、重いものをつり下げることは間違いないのですが、まさか、拳銃をつり下げるためにこのガードマンがやっているわけじゃないと私は思いますけれども、警察官に似ているだけじゃなくて、ちょっとこれは行き過ぎじゃないかと思うのです。その点はどうでしょうか。
○後藤田政府委員 私は、しかし、警察官に似た服装は避けてもらいたいと思います。そしてまた、そういう意味合いでこの法案もできておりますけれども、それは、色とか、いろいろなことで区別すればいいので、そういう帯革その他は、服装をきちんとするという意味合いでやることは差しつかえないであろう。私はかように考えます。
○和田(一)委員 確かに、つり下げておるところじゃありませんから何とも言えませんが、しかし、ちょっと見た瞬間威嚇にもなるということは、確かになると思います。
 そこで、とにかく法律が発足しているわけじゃありませんから、これからつくるわけですから、いろいろ言い分がございますけれども、第十条の護身用具ですね。これは「必要な護身用具を携帯することができる。」となっているわけですけれども、護身用共というのは、具体的にはどういうものをお考えでしょうか。
○本庄政府委員 護身用具といわれるものは世の中には幾つかあるわけでございますが、先生の御質問は、認めるといってはおかしいのですが、携帯してもいいと判断しておるものはどんなものかという御趣旨だと思いますが、現在のところ、警察官が持っております警棒ようのもの、その程度のものは、たとえば夜間の警備といったような場合には携帯することは必要でしょうし、また、携帯して差しつかえないというふうに考えております。
○和田(一)委員 いま部長が夜間等はいいんじゃないかとおっしゃいましたけれども、確かにそうも思います。ところが、第十条の第一項の場合は
 「必要な護身用具を携帯することができる。」ですから、この場合は、昼間からつり下げても悪くないことになると思いますけれども、その点どうなんですか。
○本庄政府委員 この法律の規定だけから言いますと、昼間携帯したことが直ちに何か法律違反になるということはございません。しかしながら、昼間普通の警備をやっておる際に、早い話が、会社の守衛さんだって警棒を持っておるわけではございません。大体、昼間の警備というものは、そういった会社の守衛さんといった方々と同じ仕事をするわけでございますから、装備の程度も、一般の守衛さんと同じ程度の装備でおおむねやっていけるのではないかと考えております。
○和田(一)委員 それで、実は、軽犯罪法の第一条の二号ですか、「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」は、これは軽犯罪法に触れるとなっているのですね。その警棒も使い方によってはそうなるわけです。人の生命を害する場合もございます。また、害を与えることもできる。そういったものを持っている。ところが、「正当な理由がなくて」と出ているのですが、ガードマンは正当な理由になるかどうかという問題なんです。その点についてはいかがでしょう。
○本庄政府委員 「正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具」の、この「器具」を明らかに――明らかにというのはおかしいのですが、隠さないで持っていた者はひっかからない、隠して持っていた者はひっかかるということでございますから、これは故意に隠して持っていた場合には該当する場合があろうかと思います。
○和田(一)委員 ですから、ぶら下げているということがわからなくて、隠しておった場合に、正当な理由ということですから、ガードマンの場合は正当な理由になるのかどうかということです。隠すような場合もあるかもしれませんよ。たとえば、かっぱを着ておった。かっぱだと外から中のものが見えませんからね。そういうことも考えられる。
○本庄政府委員 ガードマンだからどうこうと――一般的な話よりも、これは個々の具体的な場合によると思いますが、いま御設例のような場合、雨が降っておるのでかっぱを着ておった。したがって外から見えない。これは軽犯罪法違反にはならない、かように考えます。
○和田(一)委員 ということは、ガードマンだから正当だということですか。
○本庄政府委員 ガードマンでなくても、一般の人が警棒を持つことは好ましいことではございませんが、何かの理由で持っているということがかりにあった場合、それが故意に隠し持っておるというのじゃなくして、先ほど御設例のように、雨が降っておるのでかっぱを着ておった、したがって結果的には隠れておったというような場合は、この犯罪にはひっかからないと思います。しかし、雨も降らないのに隠し持つためにかっぱを着ておったという場合には、この犯罪になると思います。
○和田(一)委員 ずいぶんややこしい話になりましたけれども、護身用具、それから攻撃用具、いろいろありますけれども、一般的に言って、皆さん方のお考えで、これはこうで、これはこうだという定義でもあればひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○本庄政府委員 護身用具と申しましても、いろいろあるわけでございましょう。攻撃的な性格の強いもの――刃物なんかも人を傷つけるものですが、しかし、護身のために持つということもあるわけです。非常に攻撃的な性格の強い護身用具と、攻撃的な性格の強くない護身用具とがありますが、たとえばたてですね。たてなんかは、本来攻撃的なものではなくして、身を守るための道具なんですから、これは本来護身的な性格のものである。その中間のもの、これは右から左までずっと拾ってみますと、非常に多くの種類があろうかと思いますが、私たちが考えておりますのは、もっぱら本来の護身を目的とする用具ということを考えておるわけでございます。
○和田(一)委員 ですから、具体的にはどういうものを言うのかということをひとつおっしゃっていただきたいと思います。
○本庄政府委員 先ほども申しましたように、この警備業法の実体として考えておりますのは、警察官が持っております警棒様のもの、それに相当する程度のもの、こういうことでございます。
○和田(一)委員 そうしますと、あるガードマンが六尺棒を持っておったという場合はどうなんですか。
○本庄政府委員 これは、法案の十条の一項では、「法令の規定により禁止されているものを除き、」と書いてありますから、法令で規定されている鉄棒とか、そういうものはもちろんでございますが、それ以外のものを持っても、この一項の違反には直ちにはならない。一項には関係ないわけです。ただ、二項で、「公安委員会は、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会規則を定めて、警備業者及び警備員に対して、護身用具の携帯を禁止し、又は制限することができる。」となっておりまして、この公安委員会規則に定めた携帯の禁止あるいは制限に該当する場合には、六尺棒はこの法律違反になるということでございます。
○和田(一)委員 公安委員会の規則でございますから、皆さん方も、大体どの辺までというお考えはおそらくあると思うのですけれども、じゃ、六尺棒は、きめなかった場合は、それは護身用具になるわけですね。そうですね。そうすると、六尺棒ぐらいまでは護身用具として見られるというお考えですか。
○本庄政府委員 六尺棒を持っていけないということをきめない場合は、これは合法な護身用具とみなされるわけでございます。
 なお、この公安委員会規則は、都道府県公安委員会規則で、都道府県ごとにきめるわけでございますから、府県によって状況は若干違うかと思いますが、私たちの指導方針といたしましては、一般的な話といたしましては、先ほどから申しておりますような、警棒程度のものに現在のところ限定するように指導をしてまいりたいと考えております。
○和田(一)委員 現在のところは警棒程度に指導する。大体それ以下にされるようにしたほうがいいん、じゃないかと思うのですけれども、先ほど一〇八号の事件をお聞きいたしましても、結局はガードマンが連絡をして、そして警察官がつかまえたというわけですからね。直接乱闘したわけじゃないわけですね。午前中の参考人の御意見なんかを聞きましても、やはり、一般人が常識的に持っているものはいいん、じゃないかということも言われましたけれども、一般人は昼間から持って歩きませんね。それから、何かほんとうにあぶないという身の危険を感じたときぐらいは持つかもわかりませんけれども、しかし、このように法の十条でぴしっときめますと、これだけは持ってもかまわないのだという一つの意識が出る。これが一番危険じゃないかと私は考えるのですが、その点については、だいじょうぶであるという御確信がおありでございましょうか。
○本庄政府委員 だいじょうぶであると確信いたしております。
○和田(一)委員 次に、別な質問になりますけれども、服装の点です。先ほど長官もおっしゃいましたが、よく工事現場でダンプが出入りしますね。そのときに、道路の中央に出てピーッとやるわけですよね。一般の通行をとめちゃって、そしてダンプがさっと入るわけですね。完全に車の流れをとめちゃって、そしてまず自分の会社のダンプのほうをさっさっとやる。あれはどっちが優先なんですか。
○本庄政府委員 工事現場で、工事業者から依託をされて、ある警備会社の警備員が、そこで先生のおっしゃったような工事現場のダンプの出入りに関連して、一般の車両をとめて事実上交通整理に似たようなことをやっておる例は、これは間々あるようでございます。この性格は、あくまでも、警察官が道交法に基づきましてやっておる交通整理――私、交通の専門家でございませんが、これは法律的には警察官の指示ということでございますが、それとは性格の異なるものでございまして、混乱、危害といったものを防止するためにガードマンが一般の車両に協力を依頼するという性格のものだと思います。したがいまして、形の上では、ちょっと待ってください、いまダンプが通りますからというような形のもので、ダンプもいつまでも通れないというのも、これもまた不合理なことでございますから、何とか協力をお願いしますという形のものでございます。ところが、それがややもすれば警察官的な、何といいますか、ピリピリピリッと、こういうかっこうでぴしっととめちまって、相当多数の車両をある程度の時間とめて通行させない。これは、私は、行き過ぎであろうと思います。そういったことにつきましては、そういうことのないようにさせたいと思っております。
 またちょっと条文に戻りますが、八条に、「警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、」とありますが、これはもうあくまでわかり切ったこと、当然のことを書いたわけでございますが、いま先生が御設例のようなことも間々あるように承っておりますので、今後そういうことのないようにいたしたいという趣旨で書いておりまして、この線に従って指導を十分いたしてまいりたいと思います。
○和田(一)委員 これはどちらが優先かというと大きな問題になるかもわかりませんが、案外交通を迷惑させている場合があるのですよ。信号のすぐそばでやっている場合もあるのです。信号が青のときにやられてしまったら、それこそとまってしまうこともあるのですからね。それだけガードマンの姿でぱっとやられますと、これは一瞬警察官が来てやったのだと思いますよ。そういうわけで、服装の面もしっかりと指導してもらいたいと思います。
 時間がありませんからあと一つだけ聞きますが、やはり軽犯罪法ですけれども、「法令により定められた制服若しくは勲章、記章その他の標章若しくはこれらに似せて作った物を用いた者」は、これは軽犯罪法に抵触するとなっているのですが、現在はこれに当たらないのかどうかということです。
○本庄政府委員 現在のところ、全部の警備員の服装について必ずしも承知いたしておりませんが、この「似せてつくった物」と申しますのは、ここに第九条に法案として出ておりますものよりもうんと狭い表現でございまして、この軽犯の十五号の規定は、故意に似せてつくり着用した場合ということですが、現在のガードマンの服装について、故意に似せてつくったものであるかどうかということにつきましては、なかなか認定がむずかしいのではないかと思っております。
○和田(一)委員 では、最後に、公安委員長から、この法案が通るか通らないかは別問題としまして、今後のガードマンに対するあり方、そして考え方、御感想をお聞きしたいと思うのです。
○中村国務大臣 ガードマンというのは、最近の世上の変化等に対応して最近出てきたような職業ですけれども、それが仕事の性格上とはいっても、必要以上に警察官の姿をまねておるというところに問題があると私は思います。ですから、今度の法律は、そういうことを規制するということも必要でございますが、しかし、これを規制するということもいろいろの面で非常にむずかしさがあると思います。けれども、今後のガードマンというものは、国民の良識から見て、良識の線を越さないように、あるいは先ほど横山委員がしきりに言っておられましたが、世間で不当な行為にガードマンが使われておるというようなことにならないように、そういう正常な意味での平穏を守っていくというようなことで仕事の限界はきめられなければならぬ。
 交通の場合ですけれども、いま和田委員もおっしゃるように、私らもときどき引っかかるが、あの服装をしてやっておるのを見ると、知らない人は交通の巡査が来てやっていると思われるような服装をしています。そういうことが警察に対する国民の気持ちにもやはり影響を来たすと思いますので、この法案でも規制しておりますように、警察官にあまりに似た服装なんかは避けさせなければいけない。同時に、ガードマンの仕事に携わる人の素質が、やはり人格的にもりっぱな人でなければならぬ。暴力団とか、あるいは、何か変な、世間の人が近くに行くのもこわがるような立場の者がこういうものに携わるということはやはりよくないと思いますから、そういう点では、事業に携わっておる人あるいは事業主、業界を通じて、正常な人によってこの行為が行なわれるような事業体にしなければならぬと、かように考えております。
○和田(一)委員 以上で終わります。
○大野委員長 補足して発言を許します。川崎防犯課長。
○川崎説明員 先ほど和田委員から御質問がございましたところの、川崎におきますどろぼうガードマンの事件の概要につきましてお答え申し上げます。
 被疑者は、川崎市浅田町、アパート江連荘に住む無職の小野垣菊雄という者でございます。この男は、昭和四十五年十一月から四十六年八月まで帝国警備保障株式会社につとめておりまして、四十六年九月から四十七年一月まで京浜警備保障株式会社につとめておったものでございまするが、昭和四十七年四月二十五日から二十六日の間におきまして、横浜港南区のダイエービル七階にございます東横娯楽株式会社に侵入いたしまして、ロッカーから十万八千円余りの現金などを盗み取ったものでございます。現在までの自供によりますと、合いかぎは退職後につくったというふうに申しておるようでございますが、事実関係は、必ずしもそのとおりであるかどうかについては、さらに確認の必要があろうかと存じます。なお、余罪につきましては目下取り調べ中でございます。
○大野委員長 関連して質疑を許します。上村千一郎君。
○上村委員 和田委員のお許しも賜わりまして、関連して二、三、基本的な点につきまして警察御当局のお考えを承っておきたいと思います。と申しますのは、この法案につきまして、審議の過程で各先生からいろいろと問題点が提起されておりますし、なお、この警備業法は一つの新しい立法でもありますので、この法律の基本的な性格というものもこの際明白にしておいたほうがいいと思いますので、私はほんとうに純然たる法律理論をお聞きするわけでございますので、もし、あとからお調べということがありますれば、あとからの御説明でもけっこうです。ただ、警察御当局がお考えになっておる点につきましてひとつお聞きしておきたいと思います。
 まず、依頼者と警備保障会社との間の契約の一つの代表的な見本であろうかと思いますが、手先に資料が配付されております。もちろん、依願者と警備会社との間の契約がこれしかないというものではないだろうと思いますが、代表的なものでございましょうから、この契約の内容に基づきまして、依頼者と警備会社との間の契約の性格につきまして、警察御当局はどういうふうに御認識を持っておられるかということをまずお尋ねしたいと思います。それに対しまして私のほうが考えでおります点を申し上げながら何っていきたいと思います。
 この内容を拝見いたしますと、まず、私法上の契約であろうと思います。少なくとも公法的な契約とは考えられない。私法上の契約であるとするならば、民法あるいは商法上の契約のカテゴリーの中に入るであろうというふうに考えまして、まずその中で該当すると思われるのは請負契約であるのか、あるいは雇用契約になるのか、あるいは委任契約になるのか、それとも、その典型契約に当てはまらない一種の無名契約になるのか、こういう点です。この契約の内容をずっと拝見しますと、請負契約に似たような無名契約のような感じが強いように拝見します。というのは、依頼者との契約の問題につきましては、警備業務というのに、「火災、盗難及び不良行為を予防し、かつ安全を確保するための業務を提供するもの」ということになっておりまするので、一つの仕事を完成することによって報酬の支払いを約するというような点から考えますと、まず請負契約であるという範疇に入るであろうと思われる。でございますが、一つの労務提供の行為がこの中にございますので、労務提供の行為を考えますと、雇用契約の範囲の性質もあるだろうと思います。それから、あるいはある一定の法律行為を委任する、委託するというようなものが入っておる場合は――この契約の内容には入っておりませんが、他の警備保障会社と依頼者との間の契約万般に目を通したわけじゃございませんけれども、あるいは一定の法律行為を委託するということも何も違法ではないだろう。こういうような点を考えますと、この契約、要するに警備会社の業務内容をどういうふうに把握されておるのか。と申しますのは、もし私法上のこういうような契約であるというならば、要するに私法上の契約自由の原則というものがまず確立しておるわけです。ただ、それをとめ得るのは、民法の九十条の「公序良俗」に反する法律行為は無効であるという点でとめておるわけです。そして、憲法の二十二条においては職業選択の自由を保障しておる。こういうような一連の考え方を見まして、先ほど横山委員その他からも御質問があった際の後藤田長官からの御答弁を聞いておりますと、要は、こういう内容の問題については、適法行為であるならば干渉するというわけにはいかぬじゃないか、それが特別に争議行為であろうが、あるいはどこであろうが、違法行為であるならば、法律は一様に制限をしていく、特に、その違法行為が起きやすい問題については、行政指導なりその他運営行為によって防止していこうという、こういう御説明で、私納得し得るように拝聴しておるわけですが、いろいろときょうは重要な御質問の内容が入っておりますから、この法案の基本的な性格づけというものをしておかなくちゃならぬというわけでございますので、いまの契約内容、私が質問した点について、どういうふうに一体警察御当局ではお考えになっているか、伺いたいわけです。あるいは、こんなことは、法務省かあるいはその他法制局か何かに聞いたほうが適切かと思いますけれども、きょうはそれをお呼び出しになっておるわけじゃございませんので、警察御当局がお考えになっておる基本的な法律上の性格というものについて一点。関連でございますから、時間もあまり長くおとりするのは先生方にも御迷惑でしょうから、その一点だけをひとつお尋ねしておきます。
○本庄政府委員 たいへんむずかしい法律問題になると思いますが、とりあえず、私の考えといたしましては、いま先生から、契約の幾つかのタイプを御指摘いただきましたが、ずばり、このどれだ、これ以外の何ものでもないというお答えはたいへんしにくいと思います。と申しますのは、この契約の内容が、先ほど先生がおっしゃいましたような内容でございますので、まあ、形の上では委任契約であろう。しかし、その中身を見ますと、請負に近い委任契約である。しかし、請負だとすれば、たとえば工場の場合なんかですと、十階建てのビルを建てるというような、一つの完成目標といいますか、エンドがございますが、これが実はないわけでございます。したがいまして、請負契約であると言うわけにもまいりません。だから、どちらかといえば、純法律的な性格としては、委任契約に近いのではなかろうか。とりあえず私かように考えておりますが、法務省、法制局とも詰めまして、最終的な判断を加えたいと思います。
○上村委員 以上で終わります。
○大野委員長 次回は、明十九日金曜日、午後四時から理事会、午後四時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時七分散会