第068回国会 大蔵委員会 第20号
昭和四十七年四月十九日(水曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 齋藤 邦吉君
   理事 宇野 宗佑君 理事 木野 晴夫君
   理事 藤井 勝志君 理事 山下 元利君
   理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君
   理事 竹本 孫一君
      上村千一郎君    奥田 敬和君
      木村武千代君    倉成  正君
      佐伯 宗義君    坂元 親男君
      地崎宇三郎君    中島源太郎君
      野中 英二君    原田  憲君
      坊  秀男君    松本 十郎君
      三池  信君    毛利 松平君
      吉田 重延君    吉田  実君
      阿部 助哉君    佐藤 観樹君
      平林  剛君    藤田 高敏君
      堀  昌雄君    山中 吾郎君
      貝沼 次郎君    伏木 和雄君
      二見 伸明君    和田 春生君
      小林 政子君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 水田三喜男君
        労 働 大 臣 塚原 俊郎君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  田中 六助君
        大蔵省主計局次
        長       吉瀬 維哉君
        大蔵省銀行局長 近藤 道生君
        林野庁長官   福田 省一君
        通商産業大臣官
        房審議官    飯塚 史郎君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 青木 慎三君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
 委員外の出席者
        日本専売公社副
        総裁      泉 美之松君
        日本国有鉄道副
        総裁      山田 明吉君
        日本電信電話公
        社副総裁    秋草 篤二君
        日本開発銀行総
        裁       石原 周夫君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
 辞任         補欠選任
  中川 一郎君     野中 英二君
  岡沢 完治君     和田 春生君
同日
 辞任         補欠選任
  野中 英二君     中川 一郎君
  和田 春生君     岡沢 完治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第一九号)
 準備預金制度に関する法律の一部を改正する法
 律案(内閣提出第一八号)(参議院送付)
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出第三九号)
 国の会計に関する件
     ――――◇―――――
○齋藤委員長 これより会議を開きます。
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案
 準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案
  〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○齋藤委員長 これより、両案について政府より提案理由の説明を求めます。田中大蔵政務次官。
○田中(六)政府委員 ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 初めに、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について御説明いたします。
 日本開発銀行は、昭和二十六年設立以来、経済の再建及び産業の開発を促進するため、民間金融機関が行なう金融を補完、奨励することを目的として、長期資金の供給を行なってまいりました。設立当初におきましては、日本開発銀行の融資は、経済の再建を基本的な目的とした基幹産業中心に行なわれておりましたが、その後経済社会の進展に伴い、漸次変容を遂げ、最近では、都市再開発、流通近代化、公害防止等いわゆる社会開発に資するものの比重が高まっております。
 このような状況に即応し、さらに、最近における既成市街地の整備改善、大規模工業基地の建設等についての新しい要請に、より一そうこたえていくためには、日本開発銀行の機能の充実をはかることが必要であると考え、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、すでに申し述べました状況から、日本開発銀行の目的のうち、「経済の再建及び産業の開発」を「産業の開発及び経済社会の発展」に改めることといたしております。
 第二に、日本開発銀行の業務の範囲を拡充することといたしております。
 まず、現行法のもとでの日本開発銀行の貸し付け業務は、設備の取得等及び土地の造成の資金の貸し付けに限られておりますが、都市再開発事業等の円滑な遂行をはかるため、既成市街地の整備改善事業によって建設される施設につきましては、分譲部分の建設資金も貸し付けることができることといたしております。なお、住宅の建設を主とする事業につきましては、住宅金融公庫の貸し付けの対象とし、両機関の業務分野の調整をはかることといたしております。
 次に、日本開発銀行の業務の範囲に新たに出資を加え、産業の開発の程度が低く、その振興を促進する必要がある地域において、大規模な工業基地の建設事業を行なう者に対し、大蔵大臣の認可を受けて、所要資金の出資をすることができることといたしております。
 第三に、日本開発銀行の借入金等の限度額を引き上げることといたしております。日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度額は、現行法では、自己資本の額の六倍とされ、また、貸し付け及び債務保証の限度額は、自己資本の額と借り入れ等の限度額の合計額とされております。しかるに、日本開発銀行の昭和四十七年度の貸し付けは、財政投融資計画によりますと、四千七百三十億円と予定されており、これに債務保証を加えますと、同年度末の貸し付け等の残高は、約二兆七千五百五十億円に達すると見込まれますので、現行法の限度額をこえることになります。そこで、日本開発銀行の業務の円滑な運営をはかるため、長期信用銀行の債券発行限度等を勘案して、借入金等の限度を、この際、自己資本の額の二十倍に引き上げることといたしております。
 次に、準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。
 金融制度調査会は、昨年十二月に、準備預金制度の活用に関する答申を行ないました。この答申におきましては、国際化の進展、国内構造の変化等に伴う今後の新たな金融環境に対処して、有効、適切な金融政策を実施していくためには、その手段の整備をはかることが緊要であるとの観点から、今後、準備預金制度の機能を強化し、その活用をはかることが適当であると述べられております。
 今回の制度改正は、この答申に基づくものでありますが、まず、改正の目的について申し上げます。
 今後の経済政策におきましては、政策目標の多様化に伴い、財政、金融、為替等の諸政策を総合いたしましたポリシーミックスの確立がますます必要となりますが、金融政策も、その一環といたしまして、その手段の多様化と整備をはかることが必要であります。
 この観点から、金融政策の手段を検討いたしますと、公定歩合操作等の金利政策は、市場メカニズムに基づく金利機能を活用するという見地から考え、今後とも一そう強化をはかるべきであります。
 しかしながら、内外資金の流出入が増大する国際化のもとにおきましては、金利操作にあたって国際金利水準をも勘案しなければならないという制約が出てまいりますので、今後におきましては、直接の金利操作手段でない準備預金制度の機能を充実することが必要であります。
 また、同じく、今後は、内外資金の流出入が活発になるであろうことを考えますと、この際、海外からの短資の流入によって国内の金融市場が撹乱されることを防ぐ手段を講じておくことが必要であります。
 他方、国内における景気調整政策としての金融政策の有効性確保という観点からも、過去におきまして、引き締め期に引き締め政策の対象外の金融機関の貸し出しが急増するという現象が見られたことに加えまして、最近では日銀の一般貸し出しがほとんどなくなるという事態になっておりますこと、また、今後はわが国における外国銀行の活動が次第に増大するであろうことが予想されますこと等を考えますと、今後は、市中全体の流動性を調整して、金融政策の有効性を確保するため、準備預金制度を整備する必要があります。
 以上の理由から、この際、長期的観点に立って準備預金制度を整備し、その機能の充実をはかることが必要であると考え、ここに、この法律案を提出することとした次第であります。
 次に、この法律案の内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、法律上、準備預金制度の適用対象となる金融機関に、生命保険会社を加え、また、適用対象となる勘定として、現行の預金のほか、金融債、貸付信託の信託元本等を加えることにより、金融政策の有効性を確保しようとすることであります。
 第二に、準備率の最高限度を現行の百分の十から百分の二十に引き上げ、この制度の弾力的な活用をはかることであります。
 第三に、準備預金を計算する方法として、現行の残高を基準とする方式に加えて、増加額を基準とする方式をも可能であるようにすることであります。
 最後に、海外短資の流入のルートとなると考えられる非居住者自由円勘定等に対し、他の一般の勘定と区別して、最高一〇〇%までの準備率を適用し得るようにすることであります。これにより、短資流入を効果的に規制するとともに、流入した短資の国内金融市場に与える影響が遮断されることとなります。
 以上、日本開発銀行法の一部を改正する法律案外一法律案につきまして、その提案の理由と内容の大要を申し述べました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同下さいますようお願い申し上げます。
○齋藤委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○齋藤委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 ただいま提案になりました日本開発銀行法の改正案でありますが、昨年でございましたか一昨年でございましたか、開銀法を当委員会にはかりましたときに、私ども経済の再建の問題はすでに終わっているのではないかということで、少なくとも第一条の目的については、当面の情勢に見合った目的に改めるべきであるという問題提起を当委員会でいたしました。そこで今日、いま提案がなされたわけでありますけれども、私は、今度の第一条に対する改正の部分でありますけれども、いささかこれでは不十分ではないかという感じがいたしておるわけであります。すでにいま提案説明の中でも政務次官が読み上げられましたように、「昭和二十六年設立以来、経済の再建及び産業の開発を促進するため、民間金融機関が行なう金融を補完、奨励することを目的として、長期資金の供給を行なってまいりました。設立当初におきましては、日本開発銀行の融資は、経済の再建を基本的な目的とした基幹産業中心に行なわれておりましたが、その後経済社会の進展に伴い、漸次変容を遂げ、最近では、都市再開発、流通近代化、公害防止等いわゆる社会開発に資するものの比重が高まっております。」こうなっておるわけであります。
 そこで、しかしいま日本の全体の産業の状態というのを見てみますと、「産業の開発」というのは一体どういうことかということを少しさだかにしておかなければならないと思うのでありますけれども、少なくとも過去から今日までには産業の開発は、どちらかといえば、もちろん近代化も行なわれてきましたが、かなり量的な開発ということに比重が置かれて今日に至ってきたと私は思うのであります。しかし、今日これだけの設備能力を持ち、どちらかといえば少し設備能力が多過ぎるのではないか、需給ギャップも生じておるという現状にあって法律改正するというときには、私はやはり産業の開発というものの中で、これまでの量及び質という二面にわたるどちらかというと比重が量にかかって、質がなおざりになっておったわけではありませんけれども、量にかかっておったのを、やはりここで転換をするという必要があるのではないか。
 そうすると、その場合には、今度の修正案によりますと、これまで「経済の再建及び産業の開発」こういう順位に並べられておりましたものが「産業の開発及び経済社会の発展」、こういうふうに実は置きかえられてきておるわけですね。「経済の再建」というのが実は私はこの開発銀行法の主たるものであったと思っておるわけです。「産業の開発」というのは経済の再建に必要な産業の開発を行なうのだ、「及び」ということで並べてありますけれども、経済の再建に必要な産業の開発だった、こういうふうに実は理解をしておったわけでありますが、今度は「産業の開発」が前にきて、「経済社会の発展」はあとにきておる。法律で文字を並べる場合には先にきたほうがやはり主要なものであって、次に並べられていてもこれはやや従たる感じを免れない、こういう感じがするわけであります。
 そこで、ちょっとそこらの関連についてお伺いをしたいのでありますけれども、「経済の再建」に見合うものは経済社会の新しい発展ではないのか、こういうふうな気がいたします。なぜ「産業の開発」のほうが今度は優先をして前に出て、「経済社会の発展」という、言うならば「経済の再建」に見合う、さらにもっと包括的な課題をうしろに下げたのか、この点を最初にちょっとお伺いしたいと思います。
○近藤政府委員 この「経済の再建及び産業の開発」をどういう表現に改めるかにつきまして、いきさつといたしましていろいろの議論がございました。その際の私どもの議論の中身が、ただいま堀委員の御指摘になりましたような方向で表現を変えるべきであるということで、産業の開発を通じて経済社会の発展ということをあらわすにはどういう表現がいいかということに議論がしぼられてまいったのでございます。産業の開発という場合に、従来のように単にものをつくればいい、従来もそれだけではなかったとは存じますが、単にものをつくればいいというだけではなくて、公害問題等企業の社会的責任にも十分留意した意味での産業の開発、それを通じて経済社会の発展全般に資するという表現をいたしますにはどうしたらよろしいかということで、いろいろ法制局とも相談いたしました結果、「産業の開発及び経済社会の発展」という書き方にいたしますれば、産業の開発を通じて経済社会の発展全体に寄与するということに読み得るということで、このような表現にいたしたわけでございます。
○堀委員 やっぱりちょっとそこが違うのですね。私は、いま前段に申し上げたように、経済の再建をするという主要な大きな目的がある。経済再建という中には産業の開発もありますが、ほかのものもあると思うのですよ。産業の開発だけが日本経済の再建ではなかったと思うのです。だから、その意味では「経済の再建」という大きな課題を前に置いて、その中で特に「産業の開発」に資する部分という意味に比重をかけて開発銀行ということになってきたのじゃないかと思っておるわけであります。ですから、常にこれまでの第一条の書き方は、少なくともそのときの、要するに全体としての構造上の必要というものをまず明らかにして、その中における開発銀行の役割りというような形に私は書かれておったと思うのです。やはり今日必要なのも、政府関係の機関でありますから、現在の政府の方針というのは、経済優先より社会福祉優先ということで、要するに政策の基本を置きかえておるというのが特に昭和四十七年度予算を構成する場合におけるいまの政府の考え方であると思うのです。私はそのことは正しいと思っておるわけです。そうしますと、やはりいまの産業の開発を通じて経済社会の発展というのではなくて、経済社会の新たな発展に必要な産業の質的な開発というようなことが本来の目的たるべきではないのか。ですから、いまさっき申し上げたように、その産業の開発ということが、たとえばあとに触れられておる都市再開発、地方開発というのは、これは産業の開発とは直接結びつきません。そうすると、ここに比重を高めて提案の趣旨説明も書かれておるわけですね。
 だからそのことは、今日の日本経済の中で非常に重要な問題だと考えておるわけです。都市再開発、地方開発という問題は非常に重要な問題である、その認識において私と皆さんの間にはそう差はないと考えておる。そうすると、産業の開発を通じて経済社会の発展ということ、こういうことでは一体地域の開発、都市再開発というものと産業の開発との関連というのはどうなんだろうか、こういうふうに私は感じるものですから、いまもちょっと財政部長である宇野先生とそれから藤井先生にそのことを申し上げておったわけでありますけれども、そこで、やはりこの際、この法案は四月一日実施というふうに書かれておりますから、ひとついまの問題についてはおそらく政務次官も私とあまり大きい差はないのじゃないか、こういう感じがするわけであります。そこで表現はさらに皆さんでお考えいただくとして、「経済社会の発展」というのを前に据えて「経済社会の発展及び産業の開発」少なくとも順序はそうならなければ、私はいまの提案の趣旨説明も満度に表現されないことになるのではないか。
 それに多少つけ加えれば、これまでの産業の開発とこれからの産業の開発はやや違うのだから、特に産業の質的な開発といいますか、もちろん量も多少ひっかかるでありましょうけれども、質的な開発に重きを置く。さらに「経済社会の発展」はこれでけっこうだと思うのでありますが、何かこの点は、私は第一条をこう拝見して、何だかさかしまになっておる。かつては「経済の再建」が先で、「産業の開発」があとであったものですから、これを「産業の開発」という狭義のものを前へ出して「経済社会の発展」という広義のものをうしろに下げたというのは、どうもいまの福祉優先の政府の姿勢から見ても適切でない、こういう感じがするのですが、そこらは政務次官、これは政治的なあれになりますから、政務次官の感想をひとつちょっと……。
○田中(六)政府委員 産業の開発がまさしく量的なものから質的なものに転換している四十七年度予算でございますので、堀委員が御指摘のような感じがいたしますが、私は、すでに質的な転換をしているという前提に立つならば、産業の開発の中身が、もう考え方が違っているのだから、「及び経済社会の発展」ということを一緒に並列させているという考え方に立てば、これでもいいんじゃないかという気がいたします。
○堀委員 字を前とうしろに下げたからどうということはたいした差はないようでありますけれども、各種銀行法なりこういう法律は、一番重要なのは私はやはり第一条の目的だと思うのです。その目的に沿って今後資金の配分その他が行なわれていくのが相当だ、こう考えますので、私はいま地域開発へ都市再開発の運用の姿をちょっと試算をしてみますと、昭和四十五年にはこの二項目だけで二八%程度であったものが、四十七年度の皆さんの融資計画では三二%まで高まってきておる、たいへんけっこうだと思っておるわけでありますが、これはさらに実はいまの都市問題という非常に重要な問題、さらに過疎を含めた地方の問題という今日の日本の経済の構造的な問題を考える場合に、やはりこれは民間金融機関よりも政府関係の機関が行なうのが私は当然だろう、こう考えますと、たいへんくどいようでありますけれども、この際、四月一日のほうを修正しなければならないわけでありますから、この法律を修正する際にひとつこれをひっくり返して、「経済社会の発展及び産業の開発」ということにするほうがこれまでの経過から見ても、今日時点における政策の配慮から見てもたいへん自然でいいのではないか。
 前段で銀行局長の言われた産業の開発を通じてということであるならば、前のときも「産業の開発及び経済の再建」でよかったんじゃないのか。それを逆に「経済の再建」を前に置いたということは、やはりわれわれとしてはそれなりにそのときの意味があった。ですから今日では、私は、「経済社会の発展」というほうが前にあって、「産業の開発」がうしろに下がるというのがやはり自然の姿だ、こう思うわけであります。政務次官まあいいとおっしゃったのですが、これはひとつ委員の皆さんも一応お考えをいただいて、これは将来に非常に重要な問題でございますのでさらに検討させていただきたいと思うのであります。
 次は、今回法律を改正して出資が行なえることになるようであります。十八条の五号でありますが、その中で「産業の開発の程度が低く、その振興を促進する必要がある地域において大規模な工業基地の建設事業を行なう者に対し、大蔵大臣の認可を受けて、当該建設事業に必要な資金の出資をする」こうなっておりますが、「産業の開発の程度が低く」というのは、一体どの地域からを産業の開発の程度が低いと認定をするのか、最初にちょっと伺います。
○近藤政府委員 産業の開発の程度が低いという場合に、包括的にまず申し上げますと、三大都市圏以外の地域、その地域全体につきましてケース・バイ・ケースで判断をする。それから実行上の問題といたしましては、さらにその中で北東公庫の対象地域を除きまして、結局、三大都市圏及び北東公庫の管轄地域、それ以外の地域につきまして、ケース・バイ・ケースで選定をいたすということになろうかと存じます。
○堀委員 三大都市圏というのは、おそらく、京浜それから名古屋、阪神、この三つだろうと思うのですが、そうすると、北九州はもうすでに、この開発の程度の低いほうへ入りますか。
○近藤政府委員 一応考え得る対象地域には入っているわけでございますが、具体的に北九州のどの部分にどういうプロジェクトができるかということを見ました上で、ケース・バイ・ケースの判断がなされるというふうに考えております。
○堀委員 その次に、「大規模な工業基地」とあるのですが、大規模というのは、どこからが大規模でしょうか。
○近藤政府委員 大規模の程度をどこからという画一的な線はまだきめられていないわけでございます。これも、ただいまの対象地域と同じようにケース・バイ・ケースに考えられる問題であろうかと考えております。
○堀委員 法律ですから、ここに大規模と書いたら、大と中の境は大体どのくらいかという目安がないと、大と書いた意味がないと思うのです。ですから、大というのはどこから上ぐらいな工業基地を大というか。まあ一般通念でけっこうですからね。やはり何らかそこにけじめがないと、何となく大きければいい。これは相対的になれば、百あるのが五十より多い、しかし実際には大というのは三百ぐらいからではないかとか、何かそういう、工業団地にしても何らかの基準が当然あってしかるべきではないか、こう思うのですけれども、その点はどうなりましょうか。
○石原説明員 法律の問題でございますが、私の感じを申し上げますと、従来、御承知のように拠点開発ということを申しまして、新産都市とか工特地域というものがございます。たとえば鹿島について申しますと一千万坪くらいの土地でございましょうか。今度、大規模ということばを法律に使っておるのは、私、承知いたしておりませんけれども、御承知のような新全国総合開発計画というものがございます。これでは、必ずしもその境目を正確に申しておるわけではございませんけれども、たとえば二千万坪であり、三千万坪である、あるいはそれ以上であるというようなことを考えまして、例示的でございますが、たとえば、むつ小川原地域でございますとか、あるいは九州におきます周防灘地域、あるいは志布湾地域というようなことを一応例示をしておりますので、従来の新産都市、工特地域というよりは、もう少し単位の広いものだというふうに考えるのが、大体現在のところであろうかと存じます。
○堀委員 実はいまので、大規模ということの輪郭が大体わかりました。私も、大規模というのは、法律に大規模と書く以上、これはかなりの大規模なんだろうとは思いましたけれども、いまお話しのは、確かに大規模で二千万とか三千万とかいうことであれば大きな面積でありますから、新たな意味での工業基地の建設事業ということになると思いますね。それはそれでけっこうなんです。
 そこで、この「大規模な工業基地の建設事業を行なう者に対し、大蔵大臣の認可を受けて、当該建設事業に必要な資金の出資をすること。」こうなるわけですが、一体この出資と貸し付けはどういうふうに違うのか。もちろん違うことは私も承知をしております。出資というのは、言うなれば新しい事業の資本に参加することでありますから、当然それと貸し付けとは違うというのは私も承知しておりますけれども、ここであらためて法律を改正して出資ということを必要とする理由は何によるのか、ちょっと聞いておきたい。
○近藤政府委員 融資と出資の違いはいろいろあるわけでございますが、大きな違いといたしましては、金融機関による直接の経営への参加ということが出資の場合にはある程度行ない得るわけでございまして、開発銀行が大規模の工業基地の経営自体に参加をするということは、それらの地区におきまする公共性の確保、その観点から、先ほど来堀委員のお述べになりましたような、新しい社会開発のビジョンに沿いますために、民間の大企業だけにゆだねておけないような分野に対しまして、政府機関がみずから出資を行なうことによりまして、単なる貸し付けでは達成できないようなコントロールを行ない得る体制をしく、そういう必要から出資が行なわれるということにいたしたいというわけでございます。
○堀委員 先ほどのお話を聞いておりますと、現在まだこの出資の制度はつくる、新たなプロジェクトというものはさだかにはきめてない、これからこの制度をつくってプロジェクトに対して新たに対応する、こういう考え方に立っておるわけですか、これは。
○近藤政府委員 そのとおりでございます。
○堀委員 そうしますと、ここで直接経営の参加をすることによって公共性の確保をはかりたいと言われることは、たいへんその点ではけっこうだと思うのです。この出資の割合ですね、経営への参加は、幾ら出資が少なくても参加はできるわけですけれども、公共性の確保ということは、少なくともその企業に対する影響力が行使できる条件が伴わなければ、これはできないわけですね。一体その資本の中に対する、ここで考えている出資の割合、目的がいまの公共性の確保という目的であります以上、ある程度これに対する影響力を行使することができる客観的条件を整えなければならないと、こう考えますけれども、大体はどの程度を目安にしておるのか、ちょっとお伺いしたい。
○近藤政府委員 ただいま申し上げましたような目的を達成いたしますためには、開発銀行及び関係公共団体の出資分を合計いたしまして、全体の半分以上ということが一応の目安になろうかと思います。
○堀委員 いまのはそうだと思います。それが筋道だと思うのですが、私はいま今度の法案を拝見しておりまして、次に触れる問題とも関連があるのでありますが、いまの方向は賛成なんです。方向は賛成なんですけれども、そのことによって相当大きな費用の負担というものが開発銀行に来るのではないだろうか。もちろん地方自治体その他にもこれらの参加については限界があることでありましょうから、ややもすれば開銀そのものにそういう負担がかかっていく。大規模工業団地の整備ももちろん重要なんでありますけれども、しかし、私はどうも今日的時点で考えますと、やはり比重の上では、前段で申し上げました要するに社会開発のほうですね、都市開発、いまの地域開発にこれは関係がないということにはなりはせん。あると思います。いまの問題があると思いますけれども、どうもややちょっと地域開発にしては、大規模工業団地というものはやはりかなりロットの大きな生産力のあるものをそこにつけようということになりますから、地域開発の段階とはやや趣きを異にする、結果的には地域開発に役立つことでありましょうけれども、すでに茨城県における鹿島の問題を見ましても、何だかひさしを貸しておもやをとられつつあるのではないかという感じすら私ども抱いておるわけでありますけれども、その点で全体とのバランスの関係というものもかなり考慮を必要とするのではないかという感じがするわけでありますが、当面、出資に対して開発銀行としてはどの程度の原資を振り向ける意思があるのか、これは開銀のほうからひとつ伺いたいと思います。
○石原説明員 ただいまのところ、四十七年度でどの程度の出資をいたすかということは予定をいたしておりません。おりませんが、いまお話のございましたように、大規模工業基地の土地の取得なりあるいは造成なりそれに関連する仕事が、当面まず対象として考えられるわけであります。それは相当な金額に相なるだろうと思います。ただ、出資によりましてまかないます部分は、御承知のようにその一部でございますから、それを先ほど銀行局長お答えいたしましたように、関係公共団体と私どもで半分、少なくとも半分、まあ半分以上ということでございますれば、私どものほうの――それともう一つは融資の問題が将来出てまいります。金額的には融資のほうが大きくなるかと思いますが、出資のほうが非常に大きな金額になって私どものほうの資金計画なりあるいは経営の上で支障が生ずるというような大きな額にはならないかと思います。御承知のように、北東公庫はすでにむつ小川原の出資をしております。その額などを頭に置きましても、出資の点で非常に大きな額になるというふうには考えておりません。
○堀委員 いまちょっと北東公庫とむつの開発のことをお触れになったのですが、いまの部分はどのくらいの資金、資本規模でスタートし、それに対して開発公庫の出資は一体どのくらいで、関連公共団体の出資はどのくらいになっておるか、参考のためにひとつお答えをいただきたいと思います。
○近藤政府委員 むつ小川原開発株式会社の資本金が十五億でございまして、北東公庫の出資額が六億円、資本金全体に占めまする比率が四割程度でございます。
○堀委員 いまもう一つの地方公共団体といいますか、それは幾ら出ていますか。
○近藤政府委員 地方公共団体によりまする出資が一億五千万円でございます。
○堀委員 今後に予想されるものは、出資としては大体この程度ということでしょうか。もう少し大きくなるのじゃないでしょうかね。これはいまのむつ小川原ですか、それとその他の関係を私はつまびらかにしておりませんけれども、あそこはちょっと地理的にもその他の諸条件から見て、どうもいま考えられておる志布志湾ですか、あの辺の開発とかそういうところと比べると、今度のもののほうが少し大きなプロジェクトになる可能性があるのじゃないかという感じがしておるわけですが、その点は大体いま大規模な工業基地のスケールの問題になりますけれども、同じ程度のものということになりますか。ちょっとそこを聞かせてくだざい。
○石原説明員 先ほどちょっと申し上げましたように、新全国総合開発計画というものがございまして、遠隔の地域に大規模な工業基地をつくろうということになっておるわけであります。ただ、いま現地のほうでは公共団体あるいはその関係のほうで案をつくっておられるようでありますが、まだ私どももこれを拝見する段階に至っておりませんけれども、全体の開発のスケール、あるいは何と申しましても出資というのは、こういうことは当然当分の間黒字にならないものでございますから、したがって出資がそれを、そのある期間を乗り越していく非常に大きなささえになるものでございますから、事業計画、資金計画のようなものが明らかになりませんと、どの程度の出資が必要かということは申しがたいのでありますが、まあ大ざっぱに、むつ小川原であれだけ大きな計画をやっておるわけですから、それをひとつ頭に置いておけば、大きいかというお尋ねに対しては大きいだろうというお答えをする自信はまだありませんけれども、そこら辺を頭に置いておけばよろしいのではないかということです。
○堀委員 もう一つの問題は、出資をいたしますと当然さっきの影響力の行使、影響力の行使をするためにはいまの企業に人間を持っていく、こういうことが大体一般金融機関の側においても間々見られる例でありますね。私はそれについて、人が出向の形で派遣をされることについては、これはいまの公共性の確保の面で必要なこともあろうかと思うので、これを否定するものではありませんけれども、出資をすることによって何か退職者の行き先に当てようなどということになったのでは、これはどうも大蔵省は問題がしょっちゅう指摘をされておるところでもありますし、今度は大蔵省の先の関係機関がさらにまたその先にクモの巣のように手を伸ばすことはたいへん適切でない、こう考えるのですが、この問題について、いまはそんなことはないけれども先になったらわからぬというのでも困りますので、この際、この法律で出資をきめますときに、出向についてはもう問題はありませんけれども、要するにここに就職をするというかっこうの開発銀行からの転出は、これはやらないという確約をこの際ちょうだいしておきたいと思うのですが、いかがでございますか。
○近藤政府委員 ただいまお示しになりました御趣旨に沿った運営を厳にやってまいりたいと存じます。未来永劫一人も行かないかということになりますと、これは人の個別の能力その他そのときの状況、いろいろな状況がございますので、一人もというところまで私がいまここで確約を申し上げるということはいかがかと存じますが、しかし趣旨といたしましては、少なくとも人事を目的としたそのようないわゆる天下り的な人事の運営というものは絶対に排除いたしまして、この公共性を確保する。大型大規模工業基地の公共的な運営を確保するための出向というような形で運営が行なわれるということを、厳に守ってまいりたいと考えております。
○堀委員 ひとつ政務次官、これは政治的にも非常に重要な問題でありますので、いま局長はちょっと遠慮をされて何か先のことはどうもというお話のようですが、そういうことになりますと、裏返したようにある時期がたてば行けるんだという答弁になりかねませんので、これはどんな時期が来ても要するに就職のような人事は行ないません、これは非常に重要なことですから、いま大蔵省とその関係のところはたいへんそういう面でいろいろな角度から見られておることでもありますし、新たな制度をつくるにあたってはこの点をきちんとしていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
○田中(六)政府委員 憲法によって就職の自由は保障されておりますので、各個人が行くのは別でございますが、いわゆる天下りというようなことは厳にないようにしていきたいというふうに思います。
○堀委員 憲法の就職の自由は別ですけれども、いまのように直接経営の参加ということは、影響力を行使できる立場にこっちがなるわけでしょう。対等で、あるいは無関係なところから行く方については、私は何らそういうことを言う意思はありませんけれども、出資することによって相対的に有利になるところが、下位にあるほうに対して人間を送り込むということは、これは適切でないということが、いま国民一般の強い批判のまとになっておるわけでありますので、この際、このことは厳に行なわないということをひとつ確認をしたいと存じます。
 この法律案に対するもう一つは、実は債券発行及び借り入れの限度額の変更の問題でありますけれども、これまで開発銀行法が当委員会にかかりましたのは、ほとんどいつも実はこの限度額の変更によってかかってきたという経緯がございます。過去における開発銀行法の改正の年次及びそのときにおける倍率をちょっと御答弁いただきたいと思います。
○近藤政府委員 昭和二十七年の七月の改正で、借り入れ限度は、保証と合わせて一倍に改正しました。三十三年四月の改正で借り入れ限度が二倍、貸し付け保証限度が三倍と定められております。三十八年三月の改正で借り入れ限度が三倍、貸し付け保証限度が四倍と定められております。四十一年三月の改正で借り入れ限度が四倍、貸し付け保証限度が五倍に定められております。四十三年三月の改正で借り入れ限度が五倍、貸し付け保証限度が六倍に定められております。四十五年四月の改正で借り入れ限度が六倍、貸し付け保証限度が七倍に改正をされまして現在に至っております。
○堀委員 いま私が伺ったように、少なくとも二十七年以来、三十三年、三十八年、四十一年、四十三年、四十五年と都合六回の改正によって今日借り入れ限度は六倍、こういうことになってまいっておる経緯がありますね。この際、長期信用銀行法第八条によって、債券発行限度は二十倍だからというので、一挙に二十倍に持っていくということは、過去の沿革から見ましても私はどうも適切を欠くのではないか。一回か二回やって、どうもこれではということで行なわれたというのならば私どももそれなりに了解をするところでありますけれども、過去にずっと一倍、二倍、三倍、四倍、五倍、六倍と、要するに年を追って必要に応じて改正をされてきたというのが今日までの沿革でありますね。そうすると、たまたま長期信用銀行法の第八条に債券発行限度二十倍があるから、国会へ出してきて、開発銀行についていろいろと議論をされることはどうもわずらわしい、この際これを二十倍にしておきまして、約向こう十年間くらいは開発銀行の総裁も国会へ来ないで済む、たいへんけっこうだということで法律改正がなされるような安易なことは私どもとしても認めるわけにいかない、こういうふうな感じがするのであります。
 この点どうも、やはり開発銀行というものは国の機関でありますから、私どもがここでいろいろな融資の問題あるいは今度のこれについてもおそらくもしこれがずっと前に二十倍なんていうことになっておったとするならば、今日この開発銀行法の第一条の問題が論議になったかどうかということも、これはわからないと思うのですね。やはりこれはこれまでの経過のとおりに、この際それを六倍から七倍というのがやや短期間に過ぎるということであれば、それは八倍でもいい。いくら何でも、一倍、二倍、三倍、四倍、五倍、六倍、二十倍というのは、これはもう常識を逸した取り扱いだ、こう考えるわけであります。六倍から二十倍にした積極的な理由をお答えをいただきたい。
○近藤政府委員 実は前回の御質疑の中でも、それからまた附帯決議の中におきましても、もう少し制度的に、基本的に考えたほうがいい、特に附帯決議の制度面での検討というところの御説明の中にも、この限度を含めましてもう少し基本的に考えるべきであるという御議論がございまして、また御質疑の中でも二年に一度一倍ずつ引き上げていくということでは、どうも便宜主義過ぎるのではないか、この際、もう少し制度として確立をすることを考えてはどうかという御意見がございましたので、それらを勘案いたしまして、長期信用銀行その他政府機関の限度等を参考にいたしまして、基本的に二十倍ということで御審議をお願い申し上げた次第でございます。
○堀委員 どうも私、あまり説得力があるように思えません。それはいまの附帯決議の趣旨は、何も一ぺんに二十倍にしろということを附帯決議で私どもは述べたつもりはありません。要するにあまり小刻みでもたいへんであろうということについては私ども了解はしておるわけであります。しかしそれにしても、六倍から二十倍というのはいささか行き過ぎではないかという感じがするのであります。やはりどこかこの間に適当な倍率のところがあってしかるべきではないだろうか。五倍から六倍、これを七倍にしろということを私ども言うつもりはありません。しかし、幾らなんでもそれは八倍であるか十倍であるか、やはりある程度過去の沿革にバランスをとったものでないと、一、二、三、四、五、六、二十という数は、小学校の子供に聞かせてみてもこれはちょっとおかしいなと思うのが間違いないところだと思うのでありますね。
 ですからその点は私どもとしても、それはもちろんわれわれは行政調査権がありますから法律がなくても開発銀行に来ていただいて議論することはできますけれども、しかしやはり大蔵委員会というところは御承知のように法律案が非常に多いために、必ずしも十分にそういう一般的な論議ができない場合もありますから、何年間に一ぺんこういう法律が出てくることは、開発銀行の諸問題についてここであらためて検討する機会があるということは、私は非常に重要な機会にもなり得るし、同時にまた過去の沿革、これが重要視されることも当然ありますから、その沿革から見ましても一応の限度があってしかるべきではないか。ちょっと二十倍というのは、少くとも十倍、十五倍、二十倍という段階がとられて相当ではないかというのが私の見解でありますが、政務次官も提案者ですから、まさかそれがいいというお話にもならぬでしょうが、ちょっと常識的でない感じを受けるという点については、政務次官もそういう感じではございませんか。
○田中(六)政府委員 いろいろ見方があると思いますが、堀委員の見方もなるほどだというふうに考えられます。
○堀委員 まあこれはいまさら、ここで出ておりますから、ひとつ第一条の目的の問題と関連をして、理事会でも少し検討していただくのが適当ではないか、こう考える次第であります。
 そこで今度は、少し具体的な政策の中身の問題を伺うことにいたしたいと思います。実はこの開発銀行のこれまでのいろいろな融資の問題を拝見しておりまして、一つ問題があると思いますのは、金利と利子補給その他の関係でありますね。現在基準金利、特別金利とこういうことになっておるようでありますけれども、特に海運に対しては利子補給が今日もなお依然として、昭和四十九年度まで行なわれるということになっておるようでありますけれども、今日海運の問題はかなり整備がされてきておる、私どもはこう考えておるわけでありまして、コンテナ輸送等の新しい関係の問題あるいはさっき委員会が始まります前にちょっと触れましたフェリーボートの問題等新しい問題があることは確かにあるわけでございますけれども、これはずっとこう見ておりますと、海運は依然としてたいへんフェーバーが与えられているような感じがいたしてなりません。
 そこで、この基準金利以外の特別金利、それから利子補給等の行なわれた結果のコンテナ船のようなものは、財政融資については年に一%、市中融資については二%、その他のもの、船舶でも財政融資は〇・七、市中融資は二%というのが、四十六、四十七年度の利子補給率のようであります。四十八年、四十九年についてはいずれもそれが〇・五〇になり、二%。二%という市中融資については残るようでありますけれども、これらを含めてひとついまの特別金利の状態を少し詳しく御説明いただきたいと思います。
○石原説明員 基準金利というものがございまして、御承知のようにこれは市中の長期信用銀行のいわゆるプライムレートと申しますか、最優遇金利に相当するものであります。御承知のような沿革がございまして、開発銀行が発足いたしまして十年くらいまでの間は御承知のように鉄鋼、石炭、電力、海運というものに、多いときは八割以上の融資をいたしていた時期がございます。鉄鋼あたりにつきましては世銀借款でやっておりますので、特殊な金利でございまするけれども、それ以外におきましては一応六分五厘というものをベースにいたしまして、海運には融資のほか利子補給制度がございます。利子補給の問題は実は財政問題でございますので、私どものほうの金利について申し上げますと、そういうような基幹産業を中心といたします六分五厘の率が非常に大きくあった時期があったわけであります。それがだんだん鉄鋼のほうも世銀資金の打ち切りとともに打ち切られる。石炭のほうも近年におきましては非常に企業的にも採算の見通しが立つようなものだけに融資するということで、これも非常に少なくなってまいりました。海運がだいぶ減ってまいりました。三十八、九年、四十年ころにかけましては、一時全融資額の四割を占めておったことがありますが、現在は二五、六%以内になっておる。シェアから申しますとだんだんダウンをいたしてまいっております。電力もこれは御承知のようにいわゆる重油火力、重油をたきます火力は三十七年でございましたか、やめております。石炭火力は続いておったのでありますが、これも四十五年でやめております。そのほかに重電延べ払いというものがございまして、これは大型発電機の国産化という意味におきまして外国の大会社に匹敵するような延べ払いをしなければいかぬということで、重電延べ払い融資ということでまいりました。これは四十五年をもって新規を打ち切り、四十六年で全部終了いたしております。
 現在残っておりますのは原子力発電でございます。原子力発電につきましては、これは国産化ということはしなくてはならぬ問題でございます。いわゆる国産化融資ということを始めまして、このほうは御承知のように次第にふえております。ただこの融資につきましては、本年度から六分五厘の金利を七分に上げまして、同時にまた融資対象につきましても、よく第一次系二次系ということを申しますが、第一次系の水蒸気を発生いたしますまでの部分のみを融資の対象とし、その水蒸気でタービンを回し発電をいたしますタービンジェネレーターのいわゆる第二次系の部分は四十七年度から融資対象としては落としました。すなわち水蒸気を発生いたしますまでのその部分に融資対象を限定いたしました。それでも現在のような原子力発電をふやしていかなければならぬ状況でございますので、これはふえる。したがいまして、四十六年度あたりから原子力発電が盛んになってきたものでありまするから、やや六・五%の金額がふえてきております。大体そこまでの四、五年の間、ことに重油火力を打ち切りまして以来、私どものほうでは電力会社から回収が二百億近くございます。それに対しまして融資額が大体同額くらいございましたから、したがって、ほとんどふえないという状況であります。最近におきましてまたちょっとふえてまいったという状況でございます。したがいまして六分五厘のものの大口であります海運もシェアダウンをいたしまして、電力のほうもそういうことでシェアダウン。そういうことでございますので、かつて基幹産業育成の当時ございました六分五厘の金利が非常に多いという事態はだんだん変わってきておるわけでございます。
 ただ、それにかわりまして新しく起こりましたのは、先ほど来堀委員お話のございました都市再開発の問題であるとか、あるいは公害の問題であるとか、最近の例で申しますと、たとえばパイプラインであるとかいうようなものがございまして、そういうような公共的色彩の非常に強い、したがって採算的にも非常にむずかしいもの、流通関係がそうでございますが、そういうような新しい、大ざっぱに申しますと社会開発的要素の強いもの、それから技術開発というものがこれまた非常に強い要請になっておりますので、国産技術開発、あるいは電子計算機でございますとかそういうもので、新しくまたふえたものがございます。
 しかし、概観して申しますと、国産技術開発だけは六分五厘でございますが、あとは七分とか七分五厘ということになっておりますので、六分五厘の従来のものは減少してきて、そのかわり七分とか七分五厘というものの政策要素が非常に多様化してまいったものでございますから、そのニュアンスに応じましてあるいは七分とか七分五厘とかいう融資をいたしておるわけでございます。ただこれを通観して申しますと、六分五厘のもので減ってまいっておりますものが多いものでございますから、平均の融資金利は六分七、八厘でございましたのが、いま大体六分九厘、年によりますと七分をこすというようになりまして、ごくわずかでございますが、融資の平均金利というものは若干今日までふえてきておる、こういうことでございます。
○堀委員 そこで、開発銀行はいまは財政資金はほとんど借り入れをしておるわけでありますが、それに人件費その他のコストを加えまして、開発銀行の融資コストというのは一体幾らになるのでしょうか。
○石原説明員 融資コストは二つの部分に便宜分けております。一つは支払い率でございます。これはやや前に戻って申し上げますと、三十年代には三分四厘−三分六厘といわれておりました。これは御承知のように二千三百三十九億という政府出資をもらっておるわけです。この場合にはそれが非常に大きくものをいっておるわけでございますので、自己資金の非常に高かった時期は三分四、五厘という時代が三十年代の末ごろにございました。それがだんだん政府出資は増資しないものでありますから、法定準備が自己資金に加わるだけでございますので、四十六年度におきましては五分一厘二毛ということに相なっております。それに対しまして経費率がかかります。これは二厘台でございますが、四十六年におきましては二厘九毛、これが加わりますと五分四厘一毛というのが四十六年の資金コストでございます。
○堀委員 実はいま開発銀行の基準金利が八・〇%、それからいまおっしゃった比較的特利だといわれるのが七%から七・五%ですね。どうもこれはいまの金融状況全体から見ますと、いささか高きに過ぎるのではないのかという感じがしておるわけでございますが、実は最近の長期金利の、債券市場の状態を見ておりますと、十四日の日本経済新聞で、これは公社債でありますけれども、最長期ものの利回りは七%すれすれにきた。電電債は五十七年九月償還の、一番最近に発行されたものだと思いますけれども、これが十三日現在六・八四%ということで、これは流通価格でありますが、非常に流通価格が下がってきておる、こういうことは、異常な金融の緩慢を背景として、少なくとも各種金融機関が資金の余剰がずいぶんあるために、貸し出し金利を含めて私は全体に下がってきておって当然だと思うのですが、いまの開発銀行の八・〇%というものと、その他の長期の貸し出し金利との関係は、これは政策金融としては少し高過ぎるのじゃないだろうか。いまのお話を聞きますと、資金コストが五・四一%ぐらいであるならば、必要なものにはもっと低利のもので融資をしてもいいのではないだろうか。実は、開発銀行の経理勘定のことは、これはちょっと資料が古いのでありますけれども、結局国庫納付金を四十五年でも百四十九億円して、法定準備に百二十六億が回る、こういう姿で、ずいぶん国庫納付金をやっているわけです。
 私は、これを見ますと、開発銀行というものを置いた趣旨というのは、開発銀行に収益をかせがせて、国庫に金を入れさせるなどということは二の次であって、前段の、資本に繰り入れる、法定準備に繰り入れるほうはたいへんけっこうです。これがまたいまの出資と同じ効果をしていくからけっこうですけれども、こんなにコストが安くて利益が出ておるなら、高い金利で貸しておるということは政策金融の本来の任務が果たされていないのじゃないだろうか。法律の前段にも「一般の金融機関が行う金融を補完し、又は奨励することを目的とする。」こう書かれておるわけですから、やはり補完と奨励だから、それをあまり安くしてはならぬということも一つの理由があるのかもしれませんが、どうも私の感じでは、特にいま私が問題提起をしておりますような都市再開発とか、それに準ずる社会構造の変革というようなものは、本来ペイするものではありませんから、ペイしないものに対しては、その他の海運にしても電力にしても、これは利益を対象として投資をされるわけですから、やがてどこかでペイされると思うのですけれども、その点ペイされないものについては、もう少し金利についての配慮を弾力的に行なう必要があるのではないだろうか、こうい感じがするのでありますが、その点はいかがですか。
○近藤政府委員 ただいまお話のございましたような趣旨で、私どもといたしましても開発銀行の基準金利はできるだけ低下をはかってまいりたいということで、御高承のとおり昨年九月、それから去る四月一日、二回にわたりまして、合計〇・五%の基準金利の低下をはかりまして、現在八%になっているわけでございますが、これでもなお高いではないかという御意見も当然あろうかと存じます。ただ、一方におきまして、開銀法の二十二条で一般の金融機関との競争を制限している条文がありますのと、それから開銀法の同じく十九条に収支相償の原則が書かれておりますので、それらの点をも勘案いたしながら、しかし全体といたしましては極力基準金利の低下、ひいては開発銀行全体としての金利の低下を、こういう情勢のもとでははかっていくのが、大きな方向として当然要求されるところではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○堀委員 もちろんいまの開銀法二十二条では民間と競争してはならぬ。政府の機関でありますから当然でありますが、ちょっと伺っておきますけれども、都市再開発のようなものに費用が要る場合に、一体民間と開銀との融資比率というのは大体どういうふうになっておりますか。
○石原説明員 当該プロジェクトの性格によるわけでございますが、私鉄の都市乗り入れでありますとか、あるいは立体交差でありますとか、あるいは安全効果、そういうようなものにつきましては現在七分でございます。それからあとの再開発の関係につきましては、ことに流通関係でございますが、その融資率は、大都市防災街区が四〇%、特定街区が三〇%、新市街地開発が三〇%、工場分散は、公害の関係で分散いたしますのは五割、それから一般の分散の場合は三割というように、各企業の状態によりますのでこれは一つの目安でございますが、そこら辺の比率でございます。
○堀委員 そういう場合、特に都市開発のようなものは、いまの私鉄の場合もそうでありますけれども、収益にプラスになる面よりも、実際は企業の負担になっていることだろうと思うのですね。ですから、そういうときには、たとえばいまの出資があるから金利が安くなると同じように、民間と共同融資をするにしても、民間のほうがある程度高さがあっても、開銀のほうを安くしてやることによって、全体をまぜて金利が安くなるということを配慮するのが適当であって、それは決して開銀法二十二条にいうところの民間の金融機関との競争ということにならないと私は思うのですね。ですからこの際、いまの都市再開発の関係七%というのはけっこうなんですけれども、さっき申し上げた海運は、フェリーボートにしてもコンテナ船にしても、やがて収益につながってもうかるときが来るわけですが、いまの立体交差にするとか地下鉄にして中に引っぱり込むなんということは、長期の負担が残って当面の利益につながらないものでもありますから、そういうものはひとつ積極的に、大胆に安い金利を駆使していただいて、公害の問題を含め、いまの政策の基本になっておる社会福祉を優先しようという政府の政策を、金利の面でもこの際できるだけ具体的にあらわしていただく必要があるのじゃないだろうか。特に、さっき申し上げましたように、コストが安い資金でもありますしね。
 私がいま前段からずっと一貫して、一つの流れの中でものを言っておるのは、この際、産業開発よりも住民福祉を中心にするところの新たな経済社会の発展に寄与するための使命に比重をかけてほしい。そのために必要ならば、逆に言うならば、いまのこの法律の一部を改めて、国庫納付金については当分の間法定準備金にすべて繰り入れてもよろしいというぐらいのことを行なってでも、なおかつ安い金利の融資をすることができる道を開くべきではないか。そのことが、政府関係機関として開発銀行が置かれる本来の、新たなレーゾンデートルとして浮かび上がってくる問題ではないだろうか、こういう感じがするわけでありますが、政務次官は、いま私が申し上げてあります基本的な考え方ですね、これが私の第一条を改めたらどうかということにつらなってくるわけであります。第一条を「経済社会の発展及び産業の開発」ということに置きかえられないと、いまのような基本的なものの考え方が浮かんでこないのではないか、こういう感じがいたすわけでありますが、ひとつ政務次官のほうから、そういう私の問題提起に対しての考え方を承りたいと思います。
○田中(六)政府委員 公共性の確保ということがあくまでこの改正の基本方針でありますので、先ほど申し上げましたように、「産業の開発及び経済社会の発展」ということは順序がどうかというようなことは、堀委員の指摘のように、一つの流れとして質的な転換、発想法の転換というものを迫られている現実でございますので、まさしくそういうことは考えられますので、そういう点十分勘案しなければなりませんが、順序を変えるということよりも、やはりその精神というものが必要でございますので、堀委員の言う考え、あるいは発想法というものは、私どもが拳々服腐していけば、十分間に合うのではないか。したがって、堀委員の指摘するところは、私どもがこれから先の運用面でこれを実現する。たとえば、堀委員がいま指摘しておられるように、法定準備金の問題など十分勘案し、また、金利の問題につきましても、十分考える余地があるのじゃないかという気がいたします。
     ――――◇―――――
○齋藤委員長 次に、国の会計に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 ことしも、各公共企業体及び政府の経営する企業の職員の構成しておりますところの労働組合から賃金の引き上げ要求が出されて、現在当事者間において自主的な交渉が行なわれておる、こういうふうに承知をいたしております。しかし、残念ながら、私がこれまで何回も当委員会で論じてまいりましたように、本来企業の賃金の決定というものは企業経営者の責任の範囲で行なわれるべきであるという基本的な資本主義社会における概念を、現在は資本主義の状態でありますから、私は持っておるわけであります。ところが、一向にこの問題が改善をされていく見通しがない。たいへん複雑な仕組みを通じてしかこの問題の処理がされないということは、全く遺憾だと考えておるわけであります。
 そこで、最初に大蔵大臣にお伺いをしたいのですけれども、どうもこれらのいろいろな問題のネックになっておるのは、大蔵省のものの考え方が、いま私の言う、資本主義社会における企業の賃金決定は企業の経営者がその責任において行なうということをはばんでおるように私は感じておるのであります。大蔵大臣、これはどうお考えになりますか。
○水田国務大臣 これは私は、大蔵省の考え方がはばんでおるというのじゃなくて、御承知のように、公共企業体等につきましては、公労法に基づいて、団体交渉権とかあるいは団体協約の締結権は認められている、当事者能力は認められておっても、この公企業の性格が、公共的、公益的な性格を持っているというところから、予算の制約を受けているということであって、ある程度制約を受けるのは、公企業の事業の特質から見て、やっぱり一般民間事業と全く同じというわけではございませんので、やむを得ないことだろうと私は思います。したがって、その点はいいといたしましても、しかし、当事者能力の問題はここ数年来非常に要望されておりますし、確かにその点の公企業の性格がそうであろうとも改善の余地はございますが、ただ、いまのような公労法の上に、それを土台としている公企業体の労使関係をここで抜本的に改正して当事者能力を拡大するということは、これは問題がいろいろなところに関連する大きい問題でございますので、この点について、御承知のように、過去において政府の部内で検討した結果、やはりこれは一定の機関に検討してもらうことが適当であるということで、公務員制度審議会に預けてあるという形になっておりますが、なかなかこの結論はこの審議会からも出てこないということでございます。したがって、それを待っておるわけにもまいりませんので、一応現行法に基づいた上でどういうやり方があるかというようなことを考えて、この二、三年来その点では毎年少しずつ改善が行なわれているという実情でございます。したがって、本年度においても、やはり依然としていままでの少しずつ改善されたやり方によって善処する以外には当面方法がないというふうに私どもは考えております。
○堀委員 どうもたいへん歯切れの悪い答弁で、前段のほうではたいへん何かいい話のようなふうに見えておると、だんだんそれが途中でだめになってきて、もうおしまいのところでまあまあしかし少し努力するということのようであります。私はきょう時間がありませんからあまり触れませんけれども、いま大臣がおっしゃったように、公労法の定めたようにやってもらいさえすれば私どもはあまり問題はない、こう思っておるのです。公労法十六条では、仲裁による場合もあるけれども、また要するに経営者が決定した賃金については政府がそれを国会にはかって国会が認めればよろしい、こうなっておるわけでありますからね。ですから、その点はいまの公労法十六条をそのまま運用されれば支障がそんなにないんじゃないか。
 結局、私はかねてから申し上げておりますように、それを皆さんのほうで予算総則なりあるいは公社法なりでくくっておるために現実は非常に動きがとれないということになっておるわけですから、私は、公務員制度審議会でどうこうの問題よりも、政府がみずからこの問題については適当の時期に解決をつけるのが正しい労使慣行をつくることになるのではないかと思うのです。ここで公労法第一条をもう一回読んでおきますと、公労法第一条は、「この法律は、公共企業体及び国の経営する企業の職員の労働条件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによって、公共企業体及び国の経営する企業の正常な運営を最大限に確保し、もって公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」こういうふうにあるわけですね。本来私は、賃金の引き上げというのは苦情や紛争ではないので、本来的にいえば公労法の範囲に入らない問題なんですよ、実は。本来は私はそうだと思っている。それが実は皆さんのほうが当事者能力を奪うために、それが苦情になり紛争になっておるというのが今日の段階だと思うのです。大臣はその点どうでしょうか。賃金引き上げというのは一般論として苦情や紛争に該当すると思われますか、大蔵大臣。
○水田国務大臣 これは別ものかもしれません。
○堀委員 けっこうです。労働大臣はいかがですか。
○塚原国務大臣 水田大蔵大臣の見解と同じでございます。
○堀委員 そうすると、別なものが――要するにいまの公労法の定めでやらなければならぬと大蔵大臣はさっきおっしゃったですね。別なものが公労法によって処理をされなければならぬというのは、それじゃ一体どこに原因があるのでしょうか、大蔵大臣。
○水田国務大臣 これは公共企業体が賃金を決定すればいいということでございますが、これについては企業体の一方的な決定ということについては当然ここに問題が起こることでございますし、団体交渉というものが行なわれてこれが円満に妥結をするのならこれはよろしいでございましょうが、実際においてはしないのが実例でございます。したがって、いつも最後は仲裁裁定によって決定されるということになっておりますので、いままでの例を見ましたら、最初から両方ともどうせそうなるというようなことを考えておって、中間で企業体自身が有額回答をしたり何かするというようなこともなかったというのが実情でございますが、それはやはりそれではいけないというので、交渉によって妥結するのなら、そこまでいかなくてするという自主交渉の道を開かなければいけないという改善策がこの四、五年来とられておるということだと思います。
○堀委員 いまちょっと大臣の答弁、適当でない点があるのですけれども、いまの、賃金の決定が一方的な決定は当然問題が起こるとおっしゃるのは少し問題があると思うのですよ。ですから、これはちょっとあとでお考えをいただきたいのですけれども、私がいま申し上げておりますことは、どこに問題があるのか。要するに、もしかりに労使間できまって、これまで国は、これらの公共企業体やその他にあるいは予算の増額をしたとかいろいろなことを過去にやっていないんですね。ここ数年来見ておりますけれども、要するに予算総則のワクを越えて仲裁裁定できまる。新たな原資が要るようになるわけです。昨年から五彩給与費の中に組まれるようになりましたから、その新たな原資というのはこれまでに比べれば幅は少なくなったけれども、現在組まれていない新たな原資を給与費に組まなければいけない。それは手続としては仲裁裁定という手続によって組みますという手続法はありますけれども、その金自身は企業体がみずから生み出してやっておるわけですね。国があとで補助金を出したりいろいろな金を現業なりそういう企業体に実際には出していなくて、その企業体の中でやりくりをして給与の処理がされておるというのが今日までの経過だ、私はこう思っておりますが、大臣、違いますか、その点は。
○水田国務大臣 大体経過はそうなっています。
○堀委員 企業が企業の内部でやりくりしてやれることに政府がなぜ仲裁裁定などというものをもって介入しなければならないのですか。私は、もしいまのそういう制度が取っ払われれば、企業と労働者の中で話し合いによって十分処理できる、解決はもたらされるし、そのことによってストライキその他の行為が行なわれないために、国民もそれから企業も労働者もすべてが失うものなく円満な解決の道は十分開かれておる、もう予測をして、一方的な決定は当然問題が起こるというこの発想の中に労使関係の中における不信感を醸成しておるのではないか、こういう感じがするわけであります。
 ちょっとここで公社の方にお伺いをしたいと思いますけれども、皆さん方は企業の労使間で話し合いをすることによって賃金問題が平和的に解決できるという自信があるかないか。三公社来ておられるようでありますから、ひとつ順次お答えをいただきたいと思います。
○山田説明員 いずれ他の公社からもお話があると思いますが、国鉄の現在の財政事情では非常に困難な状況でございます。
○秋草説明員 先生から御質問がございましたように、過去におきましては確かに公共企業体におきます労使間の賃金決定につきましては、私どもすらもそういう疑念を持ちまして、いろいろ努力を続けてまいりました。昨今、ここ数年来非常な転換をいたしまして、いわゆる自主能力、自主回答、こういうことの有額回答の道ができるようになりました。その結果におきまして、労使間の非常な明朗な空気というものは、なかなか数字には出ませんけれども、私どもの労使間におきましては非常に大きな効果ではないかと思います。したがって、これがまた事業の成長あるいは改善に寄与するところが大きかったと思います。
 ただ御質問の完全無欠の自主能力を発揮いたしまして、完全に自主解決をしていくということは、私どもはまだちょっと疑念を持っております。それはやはり時と場合によりましては可能性のあることもございますけれども、事業というものが、非常にまた大きく国民に影響する料金の問題あるいはサービスの問題、そういうものの問題が公共企業体独自でなかなか解決でき得ないような前提条件がございますから、これは十分な配慮を必要といたしまするが、まずまず私どもは相当の自信を持ってこれは解決に当たれると思っております。今日におきましては、こういう問題は私企業におきましても当然でございますが、公共企業体におきましても世間の批判というものが相当強烈でございます。こういう情報化社会でございますから、安易な処置ということは必ずや世間の批判を受けます。したがって、相当自粛自戒して、労使双方とも努力すればやれることだと私は思っております。
○泉説明員 専売公社といたしましては、御承知のとおりここ数年来労使間におきまして、賃金を自主交渉、自主解決でやっていきたいという気持ちで交渉をいたしております。ただ御存じのように、専売公社法第四十三条の二十二という規定がございまして、給与準則がございます。その制約のもとにおいてしか交渉することができないという、そういう前提のもとにおいての交渉でありますが、そういうことで大蔵大臣の御承認を得て、経費の節減あるいは収入の増加をはかるということの見通しが立つというような段階におきましては、自主的に解決できる、このように思っております。
○堀委員 いまの御答弁、三公社聞きますと、国鉄の場合は、財政事情が困難な面もありましょうからちょっと無理があるかもしれませんが、あとの電電、専売については、いま専売公社、電電公社もお答えになったように、いまの予算総則なり公社法の規定がなければ、私は円満妥結の道は十分にある、こう考えておるわけですね。すべてがそうなればたいへんけっこうですけれども、一応やれるところだけでも、あまりに形式的な、仲裁でなければ処理ができないなどという手続法だけを重視するようなことのない、現実的な処理の解決というものは、私は当然あっていいんじゃないか、こう思っております。労働大臣、いかがでございましょうかね、これは。
○塚原国務大臣 当事者同士、労使双方の自主的な話し合いで解決されることが一番望ましいのです。しかし、大蔵大臣も言うておるように、なかなかそこに困難性があった。私もかつて給与担当をやった当時考えたことですが、当事者能力というのはほとんどゼロにひとしかった。しかし一昨年から、批判はあっても前向きになったということは、私はいいと思うのです。だからもとへ戻るようですが、やはり自主的な解決が一番望ましいが、現実に困難であるという場合には――予算はまだ通っておりません、参議院で御審議中であります。しかし、これがいつ上がるか、また憲法に従ってどうかという、これはあくまでも院のやることですから、私がとやかく言うべき問題ではございませんが、やはりこれを一つの既定の事実として、そして時期を失さない、タイミングよくこの問題に対処していくのが現実の問題ではなかろうか。理想としてはあくまでも自主的な話し合いによって解決する、それが一番望ましい姿であります。
○堀委員 そこでちょっと労働大臣にお伺いしたいのですが、実は昨日私どもの赤松委員長その他党の代表が労働大臣と官房長官にお目にかかりまして、いまの有額回答の問題についてお話を申し上げました。その中で、要するに予算の成立を一つ前提条件とするけれども、しかし有額回答を公社がやれるように取り計らいたいというようなことを官房長官、労働大臣から御発言をいただいたというように、私どもは聞いておるわけでありますが、電電公社及び専売公社は、政府からそういう有額回答を行なってもよろしいという通知を受けておりますか、いまの時点までに。昨日していただくというふうに聞いておるのですが、先にちょっとそっちを伺ってから労働大臣に伺いましょう。
 電電公社、有額回答についての政府の何か見解が皆さんのところに来ておりますか。
○秋草説明員 ここ数年来……。
○堀委員 きのうの話のあとのことだけ言ってください。
○秋草説明員 具体的には、何も有額回答をやってよろしいという御指示はございません。
○堀委員 専売公社はどうでしょうか。
○泉説明員 専売公社のほうにも、政府からそのような御連絡はございません。
○堀委員 きのうはそういうふうに私ども伺っておるのですが、労働大臣、官房長官と御一緒においでになったので、官房長官お呼びすればよかったんですが、時間がありませんから労働大臣だけにしたんですが、これはどういう真意だったんでしょうか。ちょっとここで重ねて明らかにしておいていただきたいと思います。
○塚原国務大臣 これは事実をはっきりしたほうがいいと思いますが、参議院の予算委員会が終わりまして、私、衆議院の社労に呼ばれまして出てまいりましたら、赤松君と平林君それから労働局長その他の方がおられまして、理事会の部屋にお入り願いたい、実は有額回答の問題、ただいま参議院で審議しているのでとやかく言うべきではないし、これは大蔵当局とも私はよく打ち合わせをしなければならぬ。もちろん水田大蔵大臣とは私は相談いたしております。しかし諸般の情勢から考えて、タイミングを失しないということは、つまり予算が通るということを前提として有額回答もなし得るという見解は、確かに官房長官も私も表明いたしました。その間、私は一分くらいですぐ社労の社会党から矢のような催促が来たものですから、社労に行ってしまいまして、そのあとのことはわかりませんが、端的にいって、これは財政当局、水田さんともよく相談いたしておりますが、予算が通ってからでは間に合わないというようなタイミングの問題がありますので、そういうことを申し上げたわけであります。それが真相であります。
○水田国務大臣 その点、実はきのう参議院の予算委員会でも質問が出まして、私、答えましたので、ここで申し上げたいと思いますが、政府でいまその方針がきまっているわけではございません。いままでも暫定予算中に有額回答ができるかどうかというような問題は、政府の部内で検討はしておりました。それと同時に、民間の賃金を勘案してきめなければならぬということになっておりますが、まだ民間の賃金状況というようなものがわかりませんので、したがって企業体当局は、いま有額回答を渋っておる時期であろう、当然そういう時期であろうと考えられますが、しかしこれはもう少したって、予算がどうしても通らぬという間は一切有額回答ができないものかというような考え方について、労働大臣、われわれのほうでは、政府が有額回答をするということは、もしこれを受け入れられた場合には、これは確定債務になることでございますので、確定債務というものを予算の通らない間にかってに企業体が持てるかどうかということは、これはむずかしい問題でございますが、しかしすでに予算審議がここまできている実情を見ましたら、予算が成立した場合はというような一つの条件つきな考え方で有額回答の方向も適当な時期にしようと思えばあり得るという解釈を、一応気持ちを相談したということでございまして、政府でそういう方針をきめてしまったわけではないので、まだ依然として検討段階ということになろうかと思いますが、したがって各企業体にそういう方針を通知しているとかいうようなことはまだ現在のところございません。
○堀委員 ことしは例年に比べて、春闘の問題は早期に解決したいというのが実は労働組合の側の意向のようであります。私どもが伺っておるところでは、最終的には二十七、八日ぐらいにどんなことがあっても最終的結論を出したいというのが労働組合の側の見解のようであります。
 そこで私は、過去の例を見ますと、実は――昨日鉄鋼の回答が出ました。鉄鋼の回答はベースアップについては昨年と同じ六千円、定昇が千六百五十円、合わせて七千六百五十円ということで昨日出ました。最近の状態をずっと見ますと、この鉄鋼の回答を公労協の回答が下回ったことはない。いつでもこの鉄鋼の回答よりも上回って公労協の賃金の回答が出されるという過去における姿であります。そう考えてきますと、これは当然に、鉄鋼がそういうふうに昨年と同額――ちょっと多くなりますね、百五十円くらい多くなっています。これは定昇の増加分であろうと思いますが、そういうことであるならば、やはり公労協においては少なくとも昨年と同じ額の有額回答、昨年は四千四百八十八円という有額回答が実は四月二十七日に行なわれているわけでありますが、ことしは昨年並みということで六千七百六十円、昨年並みの有額回答をすることはそれより少しは上回るにきまっておるので、下回った例はないのでありますから、この際はまずすみやかに昨年並みの有額回答をしていただくことが、実は国民がいろいろな不測の事態の影響を受けないで済むことになるし、あとの決着の問題については、それ以後の労使間の問題あるいは公共企業体等労働委員会等の問題で処理をされてしかるべきではないか、こういうふうに私、感じておりますので、少なくともこの件については、いま労働大臣も時期を失せずとおっしゃっておりますが、まさに時期を失しないということがこの際非常に重要でもありますし、額の問題については鉄鋼が昨年と同額であるということならば、おそらく今後の全体の賃金のきまり方は昨年と同額となると思いますので、その点についてはひとつ配慮をして、すみやかにこれらの有額回答が行なえるような指示を政府の内部において決定をしていただきたい。要するに時期を失すればそれだけ国民も被害を受けることになるし、政府としてもそのことは必ずしも望ましい方向ではないと私ども考えておるのでありますが、この点ちょっと労働大臣から先にお答えいただきたい。
○塚原国務大臣 堀委員すでに御承知のように、あれは三十九年でありますか、池田総理と太田総評議長との間にいわゆるトップレベル会談がありまして、当事者能力を持たせる、それから民間賃金というものを見てからやれというのが一つのプリンシプルだったと私は思っております。ですから、われわれはこのプリンシプルを急に変えようという考えは毛頭ございません。これは尊重しなければならないと思います。
 なるほど鉄鋼は昨日出ました。参議院でございましたか、鉄鋼が出たからすべてもうわかったじゃないかという御質問もありましたが、やはりこれで民間賃金が出そろったとは私は思っておりません。しかし造船、電機、私鉄等これから相次いで来るでしょう。あるいはかなり早い時期に来るのではないかと思っておりますが、やはりそういう動向も見きわめなければなりません。
 それから、いま堀委員から昨年の例、それから今年度の、非常に含蓄に富んだ御発言もございましたし、また議員諸君から、また組合の方々から、各方面から私に対していろいろなアドバイスもちょうだいいたしております。私はこれをよく頭の中に入れております。しかし今日の段階でその池田・太田会談のプリンシプルを曲げないということももちろんその一つであります。それから大蔵当局との詰め、水田さんとの相談、それから関係閣僚会議等もこれあり、それをどういうふうな形でやり、それでいつ、幾らというようなことは今日の段階としては私としては申し上げられない、このことはひとつ御了承いただきたいと思います。
○堀委員 大蔵大臣、私、これまでここでずいぶん春闘の問題をやっていまして、たいへん曲がりくねったむだな手続が多過ぎると思うのですね。確かにいまおっしゃったように民間賃金というものを一つ目安にすることは、この電電公社法第三十条、専売公社法第二十一条にちゃんとそのことは書いてあります。しかし、民間の賃金の動向というのは鉄鋼がきまればそれで大体こうなっておるというのが過去の経緯であるならば、要するにそこらをにらんで、まあそれと同じであるかどうかは政府の判断もありましょうけれども、一応やはりいまのような短期間で問題を処理するときに、労働大臣がいまおっしゃったように造船あるいは電機、私鉄が出てこなければできないなんということになると、これはたいへんな混乱を国民が受けることになりかねないわけでありますから、私どもはその点は、政府は少し勇断をもってこれらの問題に対処していただく必要があるのじゃないか。いま労働大臣がいみじくも時期を失しないようにとおっしゃった。今度の公労協の賃金問題で一番重要なのは私は時期を失しないということだと考えております。あわせて、この人たちの労働が正当に評価されるということでは、いまの法律、電電公社法では「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」「前項の給与は、国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」専売のほうは「公社の職員の給与は、生計費並びに国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮し」と、いずれもなっております。民間の企業の実情というのは、私は過去の例では鉄鋼産業のきまりできまると思うので、大蔵大臣もここらでひとつ鉄鋼産業の回答を十分頭に置いて、時期を失せざる処置を三公社五現業に指示できるようにすみやかに決定を願いたいと思うのでありますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
○水田国務大臣 労働大臣の考えはさっき申しましたようなことでございますので、そういう指導を当然労働大臣もすると思います。実際においては有額回答の時期、内容は公共企業体がまず自主的にきめる問題でございますので、この点はいまの段階はまだ私どもが口を出す段階ではございません。しかしタイミングを失しないようにとかいうような、労使間の紛争を避けるためのいろいろな指導は、主務官庁である労働大臣が十分考えてやってくれることと思っております。
○堀委員 いまのことは、手続は労働大臣がおやりになりますけれども、ざっくばらんな話が、私どもがここでこの問題をやるのはやはり予算の関係は大蔵省が所管をしておることでありますから、大蔵大臣がその気になって労働大臣と、あるいはその他の方と協議をしていただかないことには、金の話は労働大臣がおきめになるわけにはいかないだろうと思いますので、私はやはりその点は大蔵大臣が責任をもってひとつ処理をしていただくことがこの問題の平和的な解決に大きく資するわけでありますから、その点大蔵大臣、ひとつもう一ぺん責任を持った御答弁をいただきたいと思います。
○水田国務大臣 有額回答については、当然その前に各企業から相談があるものと思いますので、これは善処いたします。
○堀委員 じゃ、相談があれば考えは述べられる、こういうことですね。企業側から相談があれば、大蔵省としての考えは大臣は述べる、述べれば当然それを受けて企業側は有額回答をする、こういうふうな仕組みになる、こういうことを確認してよろしゅうございますね。
○水田国務大臣 普通なら相談しなくてもこれは独自に回答できる問題でございますが、回答するについてどうしても大蔵大臣との協議を必要とするという問題は当然相談が来るものと思っております。
○堀委員 相談が来るもの、じゃないですよ。あなたは相談が来たら意見を述べて、そして有額回答がすみやかにできるように処置をしてくださるねと聞いているのですよ。あなた、さっきそういうふうな趣のことを言われたから、だから相談がきたらあなたの、大蔵省としての考えをそこではっきり言えば、それに基づいて公社側は有額回答できるわけですから、その点をはっきりしてくださいと言っておるのですから、あなたのおっしゃったとおりです、ごう言ってくれればいいのです。
○水田国務大臣 ですから、相談しなくても有額回答ができる場合は相談が来ないのですが、相談しなければなかなか有額回答ができないという場合には相談がある。その場合には相談に乗って有額回答ができるように努力するということです。
○齋藤委員長 広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 いま、大蔵大臣から、そういう場合には有額回答できるように努力をしますという回答がありました。ところが、この同じ公共企業体関係でも、国鉄及び林野庁ですか、これは経営が赤字になっておるというようなことで、先ほど国鉄副総裁も、ほかの公社並みにはいきませんというような答弁があったわけなんです。この点については、そういう場合においても同じ公共企業体等労働関係法の適用を受ける労働者の賃金問題がそういうことでいいのかどうか、やはりこれは歩調をそろえてやれるようにするのが当然であろうと思うわけでありますが、労働大臣のその点における見解をまずお聞きをしておきたいと思います。
○塚原国務大臣 新聞等もいまの二つの問題について触れておりまするし、いま広瀬議員からの御質問でありますが、そこまで詰めた議論はまだいたしておりませんが、私としては、同じように扱っていくのが至当だろう、このように考えております。
○広瀬(秀)委員 では、労働大臣けっこうです。
 そこで、国鉄、林野庁関係は経営が赤字になっている。国鉄の場合、この国会に予算のほかに運賃値上げ法案が出ている。こういう問題もかかえておるということ、しかも運賃値上げによる収入というものを約千七百八十八億ですか見込んでおるというような段階で、まだその法案が昨日から審議が始まったばかりという段階で、有額回答などはとてもといった状況であろうと思うわけでありますが、先ほど大蔵大臣おっしゃったように、そういうところは電電なりあるいは専売なりとかなり事情が違う。そうすれば、さっそくほかが有額回答できるという状態になって、それとやはり労働大臣も労働行政の立場において同じように取り扱っていきたいということになれば、当然相談に来るだろうと思うのですね。これは相談せざるを得ない。金を握っておられる大蔵省と相談せざるを得ないということになるわけでありますが、大体歩調を合わせてやはり何らかの措置を講じて有額回答が同様にできるようにはからうおつもりがあるかどうか。昨年も同じような時期に当時の福田大蔵大臣に私、同じような質問をいたしたわけです。事情はほとんど変わりない。ことしは運賃法が出ているということは一つあるけれども、変わりはない。それらの問題についてはほかの公企体と国鉄あるいは林野――ことしは林野も同じような立場だけれども、そういうものに差別を設ける気持ちはないのだということを表明されたわけですが、大蔵大臣、いかがでございますか。
○水田国務大臣 国鉄の予算の中には一定の昇給財源というものが見込まれてはおりますが、しかし、それは今年度運賃のアップが通過するというようなことが前提の予算でございますので、それが実現できるかできないかというようなことによって、この国鉄の財政というものは相当大きい狂いを生ずることと思います。したがって、そういう段階で、国鉄当局が有額回答をいまのところするかしないかというようなことは、私どもにはいま簡単に見当もつかないし、国鉄当局はおそらくそういう問題では十分検討している段階であろうと思います。
○広瀬(秀)委員 国鉄は国鉄なりの検討は当然するであろうけれども、先ほどあなたがおっしゃったように、とうてい国鉄のいまの立場としては、他の公社なりあるいはほかの公企体労働関係法の適用を受ける事業主体が有額回答を出しておる、国鉄だけは出せない、これは何とかなりませんかということであなたのところに相談に来られることは目に見えていることです。その場合に、いま労働大臣がおっしゃったように、同じような形で有額回答を出せるように大蔵省としては協力をしてもらわなければ、やはりこの紛争というものは解決をしないし、また有史以来の大きな迷惑を国民大衆にかけるようなことになりかねないと思うのです。
 もう一つは、国鉄の経営の赤字というものの本質は一体どういうものなのかということをしっかり考えておいていただきたいし、国鉄の賃金は、職員の平均年齢が高いにもかかわらず相対的に低くなっておるという、いわゆる国鉄の勤務態様というものが、労働時間でも、明らかに全産業よりも多くの時間働いておるし、あるいは労働の態様等におきましても、深夜労働あるいは危険労働、屋外労働というようなきわめて不利な条件にあるこういう問題、危険度も高いし、あるいはまた責任の非常に高い労働をやっておる、そしてそういう状況にあるのだということ、しかも国鉄がなぜ赤字が出たという問題については、その赤字は国民の福祉になっているのですね。この国民が受けた福祉、国民が受けた生活上の利便そのものがそのまま国鉄の赤字になっておる、こういうものに対する国の責任というものはやはり明らかにしてもらわなければならぬ。そういうような立場から、国鉄の経営がそういう形で赤字になっておる、経営が困難になっておるというようなものについては、大蔵省の責任において、それらの問題について解消するということで、ほかの公共企業体並みには全般を通じてこの賃金問題の解決にあたってそういう方向でいくべきである、このように思うのでありますが、そういうことに大蔵大臣の見解を確認してよろしゅうございますか。
○水田国務大臣 そういう方向でいくべきであるということはもうそのとおりでございまして、そのために国鉄で申しましたら、国鉄の財政の立て直しをやらなければならないということから、四十七年度の国鉄予算におきましては、国鉄自身の企業努力をすべきもの、それから運賃の引き上げによるもの、一方国の財政援助によるものというようなものを十分考えて、国鉄が再建されるような方策を私どもは今度立てたわけでございますので、その方式に基いた予算が今年度の国鉄予算だと思います。したがって、その予算のどこかがくずれるというようなことでございましたら、これは国鉄の財政は他の公共企業体の財政と全く違う立場になるのでございますから、一緒に扱ってやろうとしてもできないという事態が起こるかもしれない、そういう問題をいま国鉄自身は持っておるのだと私は考えております。
 ですから、せっかく再建方式をこれできめて、国も千百三十四億という昨年の三倍以上の助成をするという責任を持つということをやったのでございますから、国鉄自身にも当然国鉄のすべきいろいろな責任を果たしてもらうということによって、初めて他の企業と同じような取り扱いを今回の場合もやはりできるということになるだろうと思います。私どもは一緒にそういう扱いをしたいためにいま骨を折っておるということでありますから、このあれがくずれるということでしたら話が違ってくると思います。
○広瀬(秀)委員 いろいろ答弁があったわけだけれども、要するに、ほかの公共企業体並みに扱いたいという気持ちであることには変わりはない、そういうことですね。
○水田国務大臣 気持ちはそのとおりでございます。
○広瀬(秀)委員 時間がありませんので、林野庁せっかくおいでいただいたけれども、時間の制約でできませんので、あとでまたやりたいと思います。
○齋藤委員長 和田春生君。
○和田(春)委員 先ほど来質問が出ておりますけれども、いまの公労委やあるいは公共企業体の当事者能力についての問題点がいろいろたくさんあるわけですが、それはもう時間がたいへん限られておりますので、その点は省略をいたします。実態に即して実際的な質問を端的にいたしますので、大蔵大臣からはっきりお答えを願いたいと思うのです。
 先ほど来の同僚委員のやり取りを伺っておりますと、公企体の当事者から相談があった場合にはというようなていさいのいいことを言っておりますけれども、全部大蔵省がリモコンをしているわけなんで、これはもう天下周知の事実でございまして、国鉄の総裁といえども自分の判断で幾ら出すということは答えられないのです、この賃金問題は。したがって、そういう意味で大蔵大臣にお伺いをするわけです。先ほどの質問と多少重複をいたしますが、公労委の調停段階で三公社五現業からそれぞれ有額回答を出させるようにするのかしないのか。イエス、ノーではっきりとお答えを願いたいと思います。第一点の質問です。
○水田国務大臣 これは政府が出させるのか出させないのかという問題じゃなくて、民間の賃金問題の進みぐあいとかいろいろなものによって各企業体が判断してこれをやるべき問題でございますので、政府がこれにこうという命令でやらせるという性質のものではございません。
○和田(春)委員 そういう言い抜けをしちゃいかぬですよ。私は公労委の調停、仲裁をずっと実際にやってきて、裏も表も知っておるんですから。春の賃上げ闘争大詰めにきているので、最初冒頭申し上げたように、実態的にお伺いしているんです。命令するかしないかは別ですよ。三公五現が大蔵の応諾なくして自発的にできますか。自発的にやった事実が一度でもありますか。ないでしょう。だからいま調停にこれからかかって、仲裁裁定までいくんでしょうけれども、少なくとも公労委の仲裁の段階において、有額回答を出させるようにされるのかどうかということを聞いているわけです。
○水田国務大臣 調停以前の段階で自主交渉段階からもうすでにいままでやっておる……。
○和田(春)委員 それで私はその点を聞いているんですが、調停にいく前の自主交渉の段階で有額回答を出させるようにするというわけですね。そうすると、その有額回答は労使によって立場は違いましょうけれども、団体交渉で解決の土台になる額を出させるようにするつもりかどうかをお伺いしたいのです。
○吉瀬政府委員 従来の例からいいますと、自主交渉段階の第一次の有額回答でございますが、それを手がかりにいたしまして、調停、仲裁というような、結果においては解決のめどになっているような形をとっておると私ども思っております。
○和田(春)委員 そういう抽象的なことや手続を聞いているんじゃなくて、いまもう四月もそろそろ下旬に入るわけです。自主交渉の段階で有額回答を出させるといっても、まあ出したというだけの儀式のものもありますよ。今回の賃上げに臨んで少なくとも労働側から見れば低過ぎると言うにしても、いわゆる客観的に見て、それは解決の土台になるという数字を出させるようにするつもりかどうかということをお伺いしているんです。
○水田国務大臣 それは法律でも一般公務員の給与とそれから民間の賃金を勘案してきめなければならぬということになっておりますので、一応民間の賃金の上がりぐあい、妥結のぐあいを見て有額回答がされるという以上は、これがやはり妥当な、合理的な数字であるべきであるというふうに考えます。
○和田(春)委員 よくわかったようなわからぬようなあれですけれども、先ほど来の質問者も取り上げておりましたように、ここ数年来の賃金決定のパターンをいえば、鉄鋼大手の回答が金額的に下限を示しておる。大体造船大手が上のほうの、上位のほうの水準を示している。その中間できまっていくというのがずっといままでの経過であります。もし民間の賃金水準に見合って妥当なものを勘案をするという形になると、少なくとも鉄鋼大手の第一次回答、これは金額の問題ではありませんよ、水準として昨年と比較した場合にそれ以下のものではない。それ以上の線において客観的妥当な回答を出す、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○水田国務大臣 それは、各企業体がどういう回答をしようかということをいまいろいろ検討している最中だろうと私は思います。したがって、これは大蔵大臣がこういう回答を出すとか出さないとか、いまそれを言える時期ではないと私は思うのでございます。
○和田(春)委員 そんな調子のいいことを言うてもだめですよ。いつでも有額回答が出てくるときに、各企業体の独自性に基づいてそれぞれの独自の回答案が出てこないのですから。ずっとそろった同じものが出てくるので、もう大蔵省が全部リモコンをして、大蔵省がうんと言わない数字は出せないというのが実態じゃないですか。だから大蔵大臣にお伺いしているのです。だから、そういう意味で、各企業体の総裁にしても企業の運営についてはかなりの権限を持っているかもわからないけれども、いいか悪いかは別としても、賃金決定という問題に関する限り自主性がないのですよ。裏のだんなさんは大蔵省なんです。大蔵大臣、そういう立場に立ってお答えください。
○水田国務大臣 そうではなくて、大蔵省が公共企業体の有額回答の額をきめるということではなくて、これは各企業体から、これくらいの有額回答をしたいというものがまず各企業体においてつくられてくるのが当然でございますので、現在のところはまだ民間の賃上げ問題が進んでおりませんので、したがって、各企業体に、有額回答の企業体自身の案というものも現在まだできていない、ほんとうのものができていないという段階でございますので、私のほうでその段階でどうこう言うことはこれは適当でないと思っております。
○和田(春)委員 虚構にしがみついてそういう態度をとっておるから、労使の紛争を激化させるばかりなんですよ。ストライキを公労法によって三公五現の職員の諸君は禁止されておる。にもかかわらず、そういう行為が起きると、法律違反だ、法律違反だと言うけれども、実際に決定権を、実権を握っている大蔵大臣が、四月も終わりのこの段階に来て、そういう考え方を持っているようだから、起こらなくてもいい紛争を起こさせるのだと私は思うのです。
 いつまでも押し問答をやっておっても、時間がありませんので、具体的にお伺いいたしたいと思います。
 国鉄副総裁がお見えになっておりますが、国鉄は運賃値上げ法案もまだ審議が始まったばかりであります。暫定予算も組んでおるわけであります。再建計画というものも、非常に重大な問題が起きているわけです。国鉄は、国鉄当局の自主性に応じて有額回答を行なう余裕はありますか。
○山田説明員 いまお話しのように、四十七年度予算におきましては、御承知のように他公社並みに五彩のベースアップの予算、それと二・七%の昇給の予算とは入っておりますが、これはまだ成立いたしておりませんで、いま御審議中でございます。かりにそれがいずれ成立する――と私ども期待いたしておりますが、いたしましても、その資金の手当てといたしまして、大蔵大臣も再三お述べになりますように、大きなものといたしまして運賃値上げ分が約千八百億円ございます。それから、政府からいただく補助金その他が約千百億円ございます。そのほかに国鉄自体の経営努力というので、これはなかなか計量まではできませんけれども、具体的ないろいろな合理化案件、これは私ども大きな組合が三つございますが、それぞれに提示いたしましていま詰めをやっている最中でございます。そういうように財政的にはまだこうするということを確信をもって言える体質になっておりませんことは非常に残念に思うわけでございまして、率直に申しますと、こういうふうなベースアップをお願いしたいという金額を政府に御相談に参るのに何か敷居が高いという率直な気持ちで苦慮いたしておるわけでございます。
○和田(春)委員 そういうことでははなはだ困るのですが、きのうあたり佐藤総理がずいぶん不謹慎な怪しげな発言をしたものですから、ひょっとするど国鉄の運賃値上げ法案がつぶれるかもわからぬですね。期限切れで廃案になるかもわからない。そうなると全く国鉄は処置なしなんですが、それにもかかわらず、なおかつ一般の賃上げがあれば処理しなければならぬわけです。
 これは、大蔵大臣に端的に最後にお伺いいたします。国鉄関係の予算がどうなろうと、運賃値上げがどうなろうと、これは他の二公五現にも関係することですが、仲裁裁定は完全に実施する、そういうたてまえにおいて善処をするということをお約束願えますか。
○水田国務大臣 仲裁裁定は十分尊重いたします。しかし、実際にできない場合には、これは意見を付して国会の議決を求めるという措置をとらざるを得ないという場面があるかもしれません。
○和田(春)委員 重ねてお伺いをいたします。
 そうすると、ことしの賃上げについては、予算上資金上の問題として、仲裁裁定が出ても実施しないことあるべしというお答えですか。そうなると重大な問題ですが、時間の関係がありますから質問を保留いたしますけれども、また他の場合に追及いたしたいと思います。それとも従来の慣行を尊重する、仲裁裁定を実施するということに誠意をもって当たるということをお約束なさるか、どちらか、最後にもう一回お伺いしたいと思います。
○水田国務大臣 それは政府としては十分努力をいたしますが、これは実際において不可能という場合が出た場合には、これはそういう措置をとらざるを得ない、これはそういうことでございます。
     ――――◇―――――
○齋藤委員長 次に、石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案は、昨十八日、質疑を終了いたしております。
 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 石炭対策特別会計法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○齋藤委員長 起立多数。よって本案は原案のとおり可決いたしました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○齋藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
○齋藤委員長 午後二時より再開することといたし、この際、暫時休憩いたします。
   午後零時五十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十五分開議
○山下(元)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び準備預金制度に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。山中吾郎君
○山中(吾)委員 この法案をずっと検討してみましたが、目的改正を含んでおる法案としては重大な改正だと私は感じておるので、言えば、戦術的改正でなくて戦略的改正といいますか、そういう重大な意味があるので、内部的に利率をどうするとかそういう問題でない、たいへんな中身を含んでおるので、戦術的質問に対する戦術的答弁では、この法案の改正に合わないと思う。したがって、私は戦略的答弁をお願いしたいと思うのですが、この目的改正を見ますと、「経済の再建」という目的は取って「経済社会の発展」という新しい目的を入れて、従前の「産業の開発」はそのままである。非常に大きい移行があるわけです。こういうこの法案を提案する際に、大蔵省並びに開発銀行の総裁においても、過去に対する評価、それから現在の経済情勢に対する分析、そして今後この開発銀行の日本経済の発展に対する使命、そういう戦略的な検討をいろいろされて出されたのではないか、そういうことについての御見解をまずお聞きしておきたいと思います。
○近藤政府委員 大きな戦略として、いかなる経緯を従来たどってまいり、今後いかなるビジョンをもって開銀の目的を変えていこうとしておるのかという御質問でございますが、御承知のように、開銀発足当初のねらい、これは電力、海運、石炭、鉄鋼というような基幹産業に対する重点融資で始まりまして、三十年代には、高度成長の一翼をにないます機械工業、石油化学に対する融資等に分野が拡大されました。また、地域開発が始まりましたのも、このごろ、三十四年からでございます。そして四十年代に入りましてからは、産業開発融資といたしまして、開放体制移行に対応しまして、国際競争力の強化という観点から、石油化学、特殊鋼などの体制整備が取り入れられますとともに、わが国独自の技術開発を促進いたしますため、国産技術振興等の融資が増大してまいったわけでございます。さらに最近では、大都市における過密状態の是正のために、大都市再開発とかあるいは物価対策と関連いたしましての流通近代化、さらには公害防止というようないわゆる社会開発、国民生活優先というような方向が取り入れられてまいったわけでございます。
 そこで、この第一条の「経済の再建及び産業の開発」が「産業の開発及び経済社会の発展」ということに変えられざるを得ませんゆえんのものは、もはや再建という時期は過ぎたということのほかに、産業の開発というものが、単にものをつくればいいというものではない、公害問題等企業の社会的責任にも十分配意し、またそうしなければ産業の発展はあり得ないという最近の状態を踏まえまして、産業のそういう意味での開発を通じまして経済社会の発展をはかる。特に経済社会の発展というのは、気持ちとしてはまさに生活優先の社会の発展という意味でございますが、開発銀行が銀行である、金融機関であるという関係から、経済社会の発展とうたっておりますが、そういう方向に向いてこの開発銀行の目的をも変更してまいろうという趣旨でございます。
○石原説明員 大体銀行局長のお答えをいただいたので尽きておるかと思うわけであります。先ほども堀委員のお尋ねに対して申し上げたわけでありまするけれども、たとえば社会開発ということばでいわれまするのは、内容は必ずしも正確でない点もございますけれども、かりに、たとえば地域開発あるいは都市開発、公害というようなものを合わせてみますと、四十七年度におきましては四〇%ぐらいの融資割合に相なります。四年前ですか、四十二年度におきましてはこれが二六、七%でございまするから、金額全体がふえておりまするうちでの構成比の上からいきまして、そういうふうにいわれる社会開発的なものがふえている。なお、いま申しましたのは都市開発と地域開発等の関係でございますので、たとえば、それ以外に、ことし八十億という新しいガスの項目を設けました。これは特定導管という、大体東京、大阪の周辺に環状線をつくりまして、それからガスを出す。それと合わせまして、天然ガスの気化装置と申しますか、輸入いたしました天然ガスを気化いたします装置を合わせまして、天然ガスの無公害燃料で供給をふやすというようなことも入っておりまするから、そういうものを合わせますると、四割をだいぶ上回るような状況でございます。こういうような傾向が今後、先ほど銀行局長のお答えになりました趣旨におきまして、だんだん開発銀行の主力になってまいるんじゃないかというようなことで考えております。今後も、そういうような社会福祉と申しまするか、国民生活と申しまするか、そういう都市問題あるいは公害問題、環境問題、そういうようなことに、これは大部分は公共投資と申しまするか、国、地方団体のやられることでありまするけれども、民間企業のやられる割合がだんだんふえてまいりますので、私どもそういうところに非常に力を注いでまいりたいというふうに考えております。
○山中(吾)委員 もう少し戦略的な御意見が答弁されると私は思ったのですが、ただこの開発銀行の対象が地域開発に移ったというだけでなくて、日本全体の経済の方向、あり方がどうあるべきかというようなビジョンが皆さんの中にあって、そして目的変更が出たんじゃないか、そうあるべきではないかと私は思っております。何となれば、第一条を見ますと、一般の金融機関が行なう金融を補完するだけじゃなくて、奨励することを目的としておりますから、開発銀行が一つの奨励をするという任務を持っておれば、どの方向に奨励するのか。日本の経済の進む方向に対する一つの識見とかビジョンがあって、はじめて奨励ということができるのではないか。産業開発あるいは市街地自主開発というその項目でなくて、開発の方向ですね、産業開発の方向、そういう方向について確固たる一つの考えがあり、その考えがもし政府とそごする場合については、政府の承認を得るとかいろいろの手続はあるにしても、そういう確固たる発展の方向に、いまでいえば七〇年代の政策転換のときでもあるから、そういうことをお持ちになって、はじめて奨励が誤りない奨励になる。方向のない奨励で、ただある地域の再開発に必要だからというだけでは済まされない、そういうふうにこの法案を見たときに私は感じた。そういう意味において、お聞きしたのでは、非常にもの足らないと思うんですが、それはいかがですか。
○近藤政府委員 その点は、まさにただいま御指摘になりましたような方向で私どもも開銀の進むべき道を考えているわけでございます。換言いたしますならば、経済をとにかく再建する、あるいは経済の発展をはかる、そして高度成長をもたらすというような従来の方向から、今後は大きく生活優先と申しますか、国民福祉優先と申しますか、そういったような方向にウエートを移してまいる、そういう方向での改正案を御審議をお願い申し上げているのがこの案でございまして、ただいまお述べになりましたとおりの方向で私どもは考えているわけでございます。
○山中(吾)委員 経済の再建というような場合は、まだ戦後の意味ですね。戦後の経済の再建を脱して、積極的にこれからの産業開発、社会の開発ということになれば、この法案に関する限りは、戦後は終わったんじゃないか。そういう法案として私は評価をして質問申し上げているものですから、そこでそういう場合に、何か日本列島、いま公害が問題になっておりますから、公害のない産業発展の方向をこの開発銀行が運営されるときに考えていくとか、あるいは海洋国日本として現在――これは、ずっと見ますと、陸上のことばかり考えている、貸し出しその他を見ると。海運というのは船ですからね。何か海洋国家日本の方向として、海に向かった、一つの新しい産業開発構想でもあってこの法案が出ておるとすれば、私は非常にロマンを感じて、これはすばらしい、大いにわれわれもという感じがするんですが、そういうものが少しも見当たらないので、非常にもの足らないと思うのです。
 私は、この日本列島周辺の大陸だなに対する水産資源をもっと科学的に開発するという事業が興れば積極的に協力するとか、また海洋開発というものは、一歩間違えばこれはもう民族生存の条件が破壊されるんですから、海洋の開発と環境の保全という重大な問題があるので、そういうことも十分考えてこの日本開発銀行が発展の方向を持っておるならば、非常に大きい役割りを果たす。そういう方向感覚がなくて貸し出しを――この法案で初めて出資が出ているんでしょう。出資ということは私は、銀行以上の銀行になることだと思うのですね。出資、何か経済に参加をしていくということ。だから私は、名前は銀行でも、非常に質的転換をするような感じがしている。そういうものがあってしかるべきではないかと私は感じた。その点が一つある。もう一度お聞きして、次の質問に移ります。
○近藤政府委員 開発銀行の運営は、まさにただいま御指摘がございましたように、山中委員のおことばを拝借すれば、ロマンを追う運営が最も望ましいあり方であると私ども考えております。言いかえますれば、常に、新しい、民間ではなかなかできにくいようなものを対象として取り上げて、そして民間で十分できるような段階におきましては、どんどんこれを卒業生として民間に送り込んでいく。その意味で、絶えずロマンを追って新入生を迎え、民間がそれができるような状態になれば卒業生として送り出すという形が、一番望ましい運営であろうかと存じております。海洋開発という問題は、非常に重要な問題でございまして、開発銀行といたしましても、ここ二、三年来、金額はまだわずかではございますが、年々海洋開発のために融資をいたしております。それから特に後段で御指摘のございました、出資という問題が入ってくれば、なおさらロマンを追う姿勢というものが色濃く出されてしかるべきではなかろうかというお話でございます。これもまことにそのとおりでございまして、そういう方向での運営が最も望ましいことだと考えております。
○山中(吾)委員 いま、突然でしょうから、そういうことを検討されて、開発銀行がこの法案の施行によって戦略的に転換をした、するんだと、そういうことを検討されるべきだ。たとえば東北電力会社の平井社長は、電力の開発ということが東北の産業開発に重大な影響を与えるという自覚のもとに、東北開発についての開発研究組織を中で持って、非常な努力をしている。そういう役割りを持つことによって、またこの開発銀行が役割りを果たすのである。そういう内容を持った改正ではないかと思うので、総裁も、事務的に、今度は借り入れ金は六倍が二十倍になったから、多く貸せるからいい顔ができるというような次元の低い問題ではなくて、出資という機能ができたというのは、非常に違ったものになると私は思うのです。そういう心がまえというものが前提でなければ、この法案の成立はたいして意味がないと思うので、御検討を願うことを要望しておきます。ことに海洋開発という観点を一つの方向として持つべきだ。
 そこで、お聞きいたしたいのは、これは私は手元にいただいた資料以外に見ていないのですが、開発銀行の概況、そこの一ページのところに役員構成がありますね。この役員の構成が、新しい目的に沿うような形になっているのかどうか。この役員は、官庁から流れていったとか、あるいは官僚の骨拾いのところであるとか、これは私は言いません、午前中ちょっと堀委員から話があったが、それはそれとして、別問題としてまた大いに論議をしてしかるべきだが、この目的に応ずる組織ができているのか。産業開発あるいは社会開発という一つの識見を持って運営しなければならぬ、単なる高利貸しの銀行ではないんだということになると、総裁から理事合わせて十名、この中が、そういう識見を含んだ構成に、役員の閲歴、経験、いわゆる学識経験というものを含んで、この目的にふさわしいものになっているかどうかということが非常に大事であると思うのです。そこで、大体の役員の閲歴等を、ひとつここで披瀝をしていただきたい。
○近藤政府委員 総裁一名、大蔵省の御出身でございます。副総裁一名、これは日本銀行の役員から行かれた方でございます。それから理事八名、そのうち四名の方は、開発銀行設立以来職員として事務に従事され、それから理事になられた方でございます。あと四名が、大蔵省、通産省、運輸省、日本銀行各一名ずつ、それぞれふさわしい閲歴をお持ちの方でございます。監事二名、一名は開発銀行の職員から上がられた方であり、一名は大蔵省から出られた方であります。以上でございます。
○山中(吾)委員 いずれにしてもまず人の問題でしょうから、どういうところから行ったからどういう識見がないと、一般論としてきめつけるということは私はしませんけれども、何かこの目的変更、経済の再建という戦後的な処理から、七〇年代を展望して日本の経済体制に一つの方向づけをしながらやっていこうとする場合には、何だかもの足らないという感じがいたします。人事の問題ですから、おいそれどうというわけにもいかぬと思うが、少なくとも、日本の経済界の学識経験が全部盛られているような感じはしない。だから、人の交代その他ということまで決定的に言うのではないが、少なくとも、これからそのメンバーで識見を高めていくというふうな教育、研究機能あるいはその他のことは、配慮すべき顔ぶれではないかという感じがするのですが、総裁、いかがですか。
○石原説明員 政府の政策金融機関でございますので、政策は政府で御決定になるわけでありますから、開発銀行は開発銀行独自にビジョンを持つというわけにはまいらぬと思うわけでありますけれども、しかし同時に、経済審議会あたりで新しい長期計画を立てようということを、大体いま山中委員御指摘のような方向で考えておる。これがいつ具体化されるか存じませんが、それに基づきましていろいろな計画がきまってまいるわけです。したがいまして、われわれといたしましては、そういうような計画に基づいてなされる政府の御決定をいただきまして、そのラインでわれわれとしては銀行の運営をやってまいりたいというふうに考えております。
 人の問題のお話でございますが、ただいま銀行局長からお話しございましたような経歴の人たちでございます。銀行部内の経験者もおりますし、各省で行政の責任のある地位にいた人でございますから、これをどういうふうにしてまとめて山中先生のおっしゃるような方向づけに誤りなきを期するかということに、従来も努力してまいりましたし、今後も努力をしてまいりたい。
 なお、若干御参考になるかと思いますが、七、八年前に設備投資研究所というものをつくりまして、これは設備投資一般の調査を主目的としておりますが、同時に、最近たとえば第三セクターという新しい考え方がありまして、具体的には流通の関係でこういう形の新しい企業が興っているわけでございます。それらは、また同時に私どもの融資対象でもあるわけでございます。そこで電算機によりますいろんな推定作業をやりまして、どういうようなあり方でこういう新しい企業が成り立っていくか、そういうことにつきましての勉強もし、また御相談にも応じてやっておるわけであります。これは、一方におきまして先生おっしゃいますような長期ビジョンの問題でもありますと同時に、また各行が具体的に新しい企業をどう育てていくかということについて相当努力もしておりますし、今後もそういう方向でやってまいりたいと存じます。
○山中(吾)委員 民間の企業からそこに一人、二人入るべきではないかとか、あるいは経済関係も含んだ学界から入ったらどうかという感じがするものですから、あるいはしろうと考えかもしれないけれども、単なる銀行ではなく、政策銀行であると私は見るものですから、検討さるべき課題ではないか。これは私も十分検討、研究したわけでもないので、第六感ですから、これ以上深めるなにはないですけれども、検討に値するのではないかということだけを申し上げておきたい。
 それで、ずっと見ましたけれども、銀行の貸し付けの四十六年度の項目を配付されたもので見ましたが、エネルギー、海運、産業開発、都市開発、地方開発ですか、この中で、いままでの「経済の再建」という目的に当たるのはどれなのか、「産業の開発」というものに当たるのはどれなのか、「経済社会の発展」に当たるものはどれなのか、一応これはこれに当たるのだということを指摘してください。第一条に、一般的にこういう目的を並べておるのですから、具体的な貸し出し項目には、これはこの目的なんだ、これはこうだということが結びついていかなければ第一条は作文にすぎないので、貸し出しの実態と第一条の目的というものが別々であるというふうなことであるはずはないと思うのですね。そこで、もちろん交錯するものはあるでしょうが、大体のところこれはこういう目的なんだと、第一条の目的と照らして御説明願いたい。
○石原説明員 午前中に銀行局長から御答弁がありましたように、「産業の開発」というのと「経済社会の発展」というのは並立して書いてございまするが、これは排他的な関係では実はございませんで、産業というものも、新しい観念のもとに開発を行なうことがまた経済社会の発展にも通ずる。両者が完全に重複するんだということではございませんけれども、非常に多く重複といいますか、オーバーラップいたしております関係であるかと思います。したがいまして、ここにあげましたエネルギー、海運以下のどれが、経済の再建あるいは経済社会の発展、それから産業開発かということでございまするが、そういう意味で、そのうちのなわ張りがどうだということはちょっと申し上げにくいのでございまするが、先ほどもちょっと申し上げましたように、都市開発、地方開発、それから一番下にカッコ内で公害というのが書いてございますが、これは非常に社会開発的色彩の強いものだというふうにお考えいただいていいかと思います。ただ、このその他の中にも、先ほどもエネルギーの中のことを申し上げたわけでありまするが、ガスの新しい導管でありますとか、天然ガスの気化装置というものは、非常に社会開発的色彩が強いわけでございまするから、排他的に都市開発と地方開発と公害とが社会開発だというふうに御理解いただくわけにはまいらぬと思うのでありますが、そういう色彩の強いものというふうに、うちわけて申し上げればそういうことでございます。
 ただ、産業開発というのは、海運、エネルギーが産業開発ということに相なるわけでございますが、この産業開発におきましても、従来の産業開発の内容とだいぶ変わってまいりまして、たとえばこの産業開発の中に、電算機の関係がございます。それから国産技術開発の関係がございます。四十七年度の場合におきましては、この二つの項目で実は六、七割を占めるような状況になっております。したがって、あとの機械振興事業法とか電子振興事業法、いま一緒の法律になっておりまするが、あるいは体制整備というようなものが、かつては六、七割を占めておりましたのが、逆にそういう技術開発のウエートが非常にふえてきているわけでございます。これは社会開発ということにはすぐにはつながらないわけでございますが、これは相当社会開発の近くにあるものだということでございます。したがいまして、この分類の中で大ざっぱな感じを、山中委員の御指摘あるいはお考えのとおりに正確なことはちょっと申し上げにくいのでありまするが、大体の感じを申し上げますれば、そういうようなことでございます。
○山中(吾)委員 私、質問申し上げる趣旨は、この一覧表の中で、業種別貸し出し残高の項目を見て、エネルギー関係の電力、石油、海運、これが今度の目的からはずされた「経済の再建」に主たる目的として出されておったものだ。そうして従前どおりの目的をそのまま維持して、さらに重点的にしようとした「産業開発」の項目は、その次の欄の特定機械、体制整備、技術開発、それは確かに中身を見ると産業開発を目的とした貸し出しに間違いない。そうして次の都市開発がいわゆる社会開発だ。したがって、この法律が目的変更されたのですから、電力、石油という基幹産業で、戦後経済の再建をはかるために主として基幹産業に主力を注いできたものを、重点はとっていく、貸し出しも少なくしていくんだ、こういう趣旨が法案の趣旨になるのではないかということでお聞きしたわけです。依然として電力とか石油とかいうふうな、あるいは海運の、経済の再建項目に対して同じようなことをしておるならば、この法改正の趣旨はない。だんだんとあとのほうの産業開発、都市開発のほうに貸し出し及び出資が重点的に動き、パーセンテージがふえていくのでなければ、この法律の目的はない。したがって、旧法において経済の再建、掲げておった目的が、とったのですから、とった分はどこに貸し出しその他の方向が影響するか。そうすると、経済再建に相当する項目はどれかということが明確でないと、今後、法案が成立して、皆さんが施行されて、来年度また私が質問するときのめどがない。これは法執行の責任でしょうから、そこのエネルギー及び海運のところじゃないですかと聞いている。そういう意味なんです。
○近藤政府委員 ただいま御指摘のような見地から産業開発の項目をあげてみますと、電力、石油、海運、特定機械、体制整備、技術開発、国際観光、石炭などになります。それから、社会開発といたしましては、大都市再開発、流通近代化、公害防止というようなものが入ります。
 そこで、それらにつきまして、ただいま御指摘のような大きな戦略的な転換がどうなされたか、また今後どういうふうにしていくつもりかという点につきましては、まず産業開発につきまして、いま申し上げましたような項目からなります産業開発につきまして、全体の融資の中のウエートを申し上げますと、昭和三十五年に産業開発全部で八二・八%でございました。それが四十年に七七・八%、四十五年に六九・一%、十年間に八二から六九まで下がってまいっております。それから、社会開発のほうで同じように五年ごとでとってみますと、三十五年に社会開発が四・五%、それが四十年に五・二%、四十五年に一五・七%、ほぼ三倍ぐらいに伸びてまいっております。今回の目的を明らかに改めさしていただくことになりますれば、こういう傾向は、実際、実態面の需要と相まちまして、さらに強く表面に出てくることと考えております。
○石原説明員 ちょっと補足して申し上げますと、先ほど山中委員の御指摘がございましたのは、貸し付け残高のほうの関係でございましたので、その点でちょっと山中委員のおっしゃるようなことに実はなっているのだということを申し上げたいわけであります。
 これは、下のほうへ出ておりますのは残高でございますから……。電力は非常な長期の融資をいたしております。二十年、非常に古い時代には水力、火力も三十年というようなものがございました。海運もいま十一年、十三年と非常な長期な貸し出しをいたしております。したがいまして、残高ベースの構成比と、それから上のほうの、四十六年度なり四十七年度の貸し付けのウエートが違うのだということを申し上げたいわけであります。
 たとえて申し上げますと、電力が一八%という残高ベースでございまするが、これは六百十七億の中に三百十七億入ってございますけれども、これは七%程度でございます。残高では一八%だが現年度ベースでは七%である、こういうことであります。海運は、ごらんのように三四%の残高でございますけれども、現在は、四十七年度は二五・九%でございます。同じように都市開発が、これは流通近代化あわせまして一〇%でございますが、これが四十七年度におきましては一六%余に相なっております。
 そういうふうに、この残高ベースと新しい残高ベースを御比較なさいますと、どういうところに方向転換と申しまするか、変わってきたところがあるかということがおわかりになるかと思いまして、ただいまの御質問に関連してお答え申し上げました。
○山中(吾)委員 了解しました。
 そこで次に、石油コンビナートなどをもうこれ以上日本列島の中に持ってくることは、私は反対なんです、もう公害でね。もし必要なら日本列島の外で、日本の資本を出してやるべきだと思うのです。したがって、私は、こういう戦略的な改正をしたあとは、総裁及び大蔵省においても、もちろん日本の全体的な政策は政府がやるのですが、その中における方向についても、一つの貸し出し及び出資の基本方針が政策としてなければならぬので先ほどお聞きしたのですが、もう国内の石油
 コンビナートなどに協力する必要はないと思うのですが、これから新しいものはいかがですか。
○石原説明員 石油コンビナートとおっしゃいますのは、石油精製あるいは石油化学ということに関連いたすかと思いますが、これは、これからの産業政策の問題でございますけれども、おそらくは今後そういうような大きなエネルギーを消費いたします産業というものは、いわゆる今回出資のほうでお願いをいたしております大規模工業基地というものを中心にして立地をいたすかと思うわけでございます。今回出資をお願いいたしまして、先ほど銀行局長がお答え申し上げましたように、やはり国としてもそういうようなものに計画から参加してまいるという体制であろうかと思うのでありますが、それは非常に環境をよくし、環境が十分に保全せられるというようなことを頭に置いて今後の工業基地というものはつくられてまいる、こういうことであろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、出資を通じあるいは融資を通じまして、そういうような環境が十分保全せられたるもとにおいて今後の工業発展というものがあるべきだ、こういうことでお手伝いを申し上げたいというふうに考えております。
○山中(吾)委員 少し答弁がずれたのですが、石油コンビナートというもの自体が公害産業になってしまっておるから、これ以上――大いにつくっていいのですよ。しかし日本列島の外につくるときだけ出資を協力したらどうか、国内のあちこちにつくることはもうおやめになったらどうか、これは一つのこの法律運営の方針の問題ですから、そういうふうに感ずるのだが、どうだと聞いたのです。これはしろうと考えですがね。
○石原説明員 その点は、実は産業政策の問題でございますので、政府側からお答えいただくべき筋だと存じますが、石油精製にいたしましても、それによって伴います排出物の関係があると思いますが、これは私どもお手伝いをいたしております関係でいささか承知をいたしておるわけでありますが、たとえば煙から硫異を抜くというような技術もだんだん発達をいたしてまいるわけでございます。したがいまして、そういうようなものがいま山中委員御指摘でございましたように、海外立地ということも当然考えられることだと思いますし、政府もそういうような方向で指導せられるのだと思いますけれども、同時に、国内でも非常な技術開発が行なわれつつあるわけでありますから、やはりそういうような技術開発の成果をあわせ見ながら産業政策は推進せらるべきじゃないかという、これは私の感じでございます。ほんとうのところはしかるべき政府側のほうから御返事いただきませんと、私の申し上げる範囲を出る問題かと思いますが、ちょっと私の感じを申し上げました。
○山中(吾)委員 総裁の権限がどこまでか私も明確でないのだが、それなら大蔵省に聞きますが、いまのように亜硫酸の多い原油を持ってくることを前提として、現在の技術で日本列島の中にこれ以上新しい石油コンビナートをつくるときに開発銀行が大々的に協力するということは、私はやらぬほうがいいのだ。これは政府の方針で、貸すか貸さぬかということは、私は総裁ができると思うのだが、総裁はえらい自分で何にもないようなことを言うから大蔵省に聞きますが、それはできることでしょう。そうすべきだと思うのだが、そういうところにこの法律の将来の発展を見通したいものだからお聞きしたいのですが、いかがですか。
○近藤政府委員 石油化学の立地条件そのものにつきましては、これは産業政策の問題でございますので、これを国内に設けるかあるいは国外に設けるか、この辺のことにつきましては、あるいは通産省からお答え申し上げるのが筋かと存じます。ただ、これを金融政策という観点からとらえますれば、てれはまさに御指摘のとおりでございまして、今後の、たとえば開銀融資を行ないます場合におきまして、従来公害という問題を非常に軽く見て融資対象の選定を行なっていたといたしますならば、それに対しまして、今後は公害という問題に十分ウエートを置いて、その上で融資対象の選別、判定をするという方向にいくのが当然であると思います。
○山中(吾)委員 公害のない日本列島を私は希望するものですから、公害産業にはこの開発銀行はむしろ消極的であるべきだと思うので、要望しておきたいと思うのです。
 そこで、ちょっと問題に入ってきたわけですが、大規模工業基地事業者に出資というのがこの新しい内容ですが、どうして大規模工業基地事業にだけ限定したのか、私はちょっと理由がわからないのです。
○近藤政府委員 出資の対象を大規模工業基地に限定いたしました理由といたしましては、本来政府関係機関というものは、御高承のとおり、民間の金融機関が果たすべき役割りを補完するということが主たる任務でございますので、民間金融機関の手に合わないもの、具体的に申し上げますならば、土地の取得、造成、分譲を大規模に行なうものが大規模工業基地でございますので、先行投資を含めまして、多額の資金が必要になるわけでございます。そしてまた同時に、それは国土総合開発の一環として全体の計画に適合するように実施されなければならない問題でございますし、公害などの環境問題に十分配慮しながら行なわれなければならないものでございますので、これらを民間企業の手にだけゆだねるということにも、非常に大きな問題があるものでございます。
 そこで、こういった対象は何かということを考えます場合に、現在考えられますものはこの大規模な工業基地のようなものだけではあるまいか。もちろん、今後全体の社会の発展とともにいろいろ新しい問題もあるいは出てくるかと存じますが、現在の状況におきましては、この大規模工業基地のようなものが、まさに唯一の対象として考えられていいのではないかというふうに考えております。
○山中(吾)委員 大規模工業基地というのですから、たとえば日本に二カ所か三カ所ぐらいのことだけが想定されてくるのではないか。そこで、この開発銀行の資金の偏在みたいなものになるし、均衡のとれた国土計画からいえば、なぜ大規模工業基地ということに限定したかということについて非常に私は疑問ですが、具体的にはどういうところになりますか。
 それからもう一つ、工業基地というようになぜ限定したのか。開発銀行が戦略的に転換をして、均衡のとれた日本の国土の開発という大眼目があるならば、たとえば筑波の学都、あの広大なものに対してどうして出資することが制限されるのか。あるいは明日香その他の文化財都市というようなもので開発計画があったときに、どうして出資を限定するのか。開発銀行がなぜ大規模――どこまでが大規模か小規模かを聞いているのではない。それは先ほど堀委員が聞いておったから、それを私はここで聞いているのではないのですよ。大規模ということになぜ限定したか。全国的にむしろ中企業工業基地のほうが非常に大事ではないかと思うことが一つと、その次に、どうして工業基地を限定するのか。なぜ筑波のような大学園都市に対してはそっぽを向かなければならないのか。あるいはまた、いま問題になっておる明日香のような文化財都市というものが出たときに、なぜそれに対して開発銀行はそっぽを向くのかということが私は疑問になるので、その辺の考え方はどうなっているのかということなんです。
○近藤政府委員 対象が大規模である必要性、それから対象を工業基地に限った理由という点が、御質疑のポイントであるかと存じますが、まず、大規模という点から申し上げますと、中規模もしくは小規模の場合におきましては、おおむね民間自体の手によって十分それをまかない得ますと同時に、それを民間の手にゆだねましても、そこにおける住民の生活、公害問題等に対する影響があまり深刻でない場合のほうが概して多いということから、大規模に限っているわけでございます。
 それから次に、工業に限っておって、たとえば明日香とかそういうものを除外したのは何かということでございますが、やはり出資によりまして政府機関が直接関与してまいります一番の眼目は、政府自身の、と申しますか、政府系金融機関を通じまして公共性が十分に確保される、それによりまして公害等の除去が容易に行なわれるということをねらいといたしておりますので、公害の発生などに関連のございます工業基地に限定をいたしているわけでございます。
○山中(吾)委員 どうもその答弁は矛盾に感ずるのですが、公共性というのは、学都とか文化財のほうがさらに公共的だ。工業というのは、私企業じゃないですか。実体は私企業援助でしょう。私は、政府機関ですから、むしろ非生産的なものに援助するということに政府機関としての任務があるのであって、最も国家的な、最も公共的なものというのは、学都のほうであると思うのですよ。工業というのがどうして公共性なんですか。全部大資本の企業に利潤を援助することになる。しかし、間接的に現在の大資本機構ではやむを得ないから援助するのであって、もっと直接的に公共的なものをなぜ排除するかということです。
 それから、日本のような国土の中で、中規模都市の開発建設こそ均衡のとれた国土になるのであって、またその中都市ほど財政的に困難である。大規模の場合は、むしろ大資本が効率的に、また利潤採算からいっていいということで堂々と入っていく。おそらく青森のむつ開発なんかそこに入るのかしらぬ。そして一番公害を発生する地域になる。大規模工業基地が公害基地になるのであるから、少しずつ分散をしたら公害にはならないという論理で、むしろ中都市、中工業地域ということが主張されておるときなので、そのようなところが逆行しておるのではないか。局長の説明は、私の疑問の解明の逆になっている。
○近藤政府委員 開発銀行も金融機関でございますので、その意味で、金融ベースに乗るということが開発銀行法で本来定められているところでございます。それからもう一つは、公共性の非常に強いものにつきまして、金融ベース以外の方法によるべきものにつきましては、たとえば国自身あるいは都道府県、そういうものが直接これを取り上げるということが適当でございます。先ほど来申し上げておりますのは、その金融ベースに乗るものの中で最も公共性が強いものについてのことを申し上げた次第でございます。
○山中(吾)委員 金融ベースをはずせとまでは言わないのです。金融ベースに乗ってけっこうです。しかし、この目的が社会開発という戦略的転換をして、そして都市開発というふうないわゆる経済より拡大された社会開発に、法案の第一条に目的を書いておるから、私、聞いておるのです。経済、産業開発に限定しないで、戦略転換をしたのでしょう。そのときに、またすべてここに経済と結びつけなければならぬというところに矛盾があるので、金融ベースけっこうです。ただし、民間の金融機関とは違う。そのために政府が出資をしておるのですから、おのずから違うと思うのです。そのことからいって、大規模工業基地に限定するという理屈が、あまりいろいろと考えないで、何か伝統的な思考の中にずっと乗ってきただけじゃないかと私は思うので、お聞きしているわけです。
○石原説明員 先ほど銀行局長からお話がございましたように、公共性は非常に強いが収益が採算に乗りませんものは、本来の公共資金――国、地方団体、そういうふうな公共資金でおやりになることだと思います。先ほど山中委員の御指摘になりましたようなものは、本来の公共資金をもって現在処置をいたしておられると思いますし、今後もそういうことに相なるかと思います。そういうことが非常に大事だという点は、山中委員のおっしゃるとおりだと思います。そういう方向に今後公共資金の配分が行なわれるべきであろうということは、私も全く同感であります。
 それからもう一つ、先ほどお話のございました、大規模じゃなくて、中小規模でどうだろうか、工業といわないでそれ以外の、たとえば商業にいたしましてもあるわけでございますが、そこら辺はどうして対象にしないかという点でございますが、現在のところ、御承知のように、各地に団地ができております。これは工業の関係もございまするし、商業の関係もございます。これは規模の中小といいますか、小さいものにつきましては、たとえば中小企業の振興事業団でございますとか、そういうような中小関係の金融機関がございまして、これがそのほうの責任を持っておるわけでございます。ただ、これが大規模になりまして、中小企業振興事業団とかあるいは中小関係の政府関係金融機関ではまかないきれないようなものがございます。たとえば、私どものほうで、流通業務市街地整備法というものに伴いまして、御承知のように、羽田に参ります途中左側に、いわゆる京浜二区という非常に大きな流通センターがございます。この中でトラックターミナルをやる、あるいは総合卸売りセンターをやる、共同倉庫をやるというようなことにいたしまして、これに対しまして私ども融資をいたしておるわけでございます。しかしながら、これらのものは、その規模におきまして、先ほどちょっと申し上げましたように、数万坪というような大きな規模で大規模工業基地をやるというようなことに比べますと、所要資金のスケールも違いまするし、私どもが金融機関として本来例外に属します出資という手段をとりませんでもお手伝いができるし、また、お手伝いをいたしておるわけでございます。したがいまして、工業基地だけを特に偏重するというわけではございませんが、大規模工業基地ということで今回法律改正で出資の規定を入れていただこうと思っておりますのは、非常に金額が大きく、しかも資本の懐妊期間と申しますか、先行投資性が非常に強いものでございますので、したがって、何らか出資というような手段で突っかい棒をいたしませんと、国として考えまする所期の開発ができない、こういうことになるかと思います。したがいまして、先ほど銀行局長からお答えいただきましたように、将来、工業基地以外のもので、しかもある程度収益ベースに乗って、国家的に見て非常に大事というものがございますれば、これはまたそのときに、法律改正ということになるかどうか存じませんが、何らかの措置をしなければならぬことがあるかと存じます、けれども、現在でも、非常に大規模な宅地開発をいたしますると、その中に学校ができるというようなことがございます。しかしながら、筑波学園都市のような規模になりますと、これはあれ全体としては収益ベースに乗りませんものですから、したがって、現在も公共資金でやっていらっしゃるわけでございますから、そこら辺には、同じ公共性のあるものにつきましても、おのずから分界がある。私どもがいま担当しておりますところで申しますと、大規模工業基地というものにまず当面限定せざるを得ないんじゃないだろうか、このように考えております。
○山中(吾)委員 私立大学なんか金融ベースにちゃんと乗りますよ。たいそうもうけるのだ。だから、私はベースのことは触れないで、開発銀行というものは、むしろ産業開発ではなくて、国土開発銀行というようなイメージに転換しておる法案だというふうに感ずるものですから、そういうことと、それから大規模工業基地というのは、大資本の大企業援助ということに実態がなるのじゃないか、公害都市をつくるのではないかということを心配するから申し上げたのです。
 いずれにしても、私は十分実態を体験の中で知っておるわけでもないので、この法案を見て、将来どういうように発展して、どういうプラスがあり、どういうマイナスが出るかということを考えて質問したわけなんですが、いずれにしても戦略的改正だと思いますので、その辺もう少しいままでの考え方から脱却をして、識見の高い援助をしていただきたいし、少なくとも一べつしたときに、陸上だけを考えた開発で、海洋に目を向けた点が非常に抜けておるというふうな感じがしたので、そういう方向についてのいろいろの検討を含んで、この法案の運営について御検討を願うことをお願いして、私の質問を終わります。
○山下(元)委員長代理 次回は、来たる二十一日金曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することといたし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時十二分散会
     ――――◇―――――