第068回国会 決算委員会 第2号
昭和四十七年三月十日(金曜日)
    午前十時十一分開議
 出席委員
   委員長 福田 繁芳君
   理事 白浜 仁吉君 理事 菅波  茂君
   理事 森下 元晴君 理事 綿貫 民輔君
   理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君
      阿部 文男君    荒舩清十郎君
      小坂徳三郎君    中村 弘海君
      中山 利生君    金丸 徳重君
      坂井 弘一君    瀬長亀次郎君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 赤城 宗徳君
        通商産業大臣  田中 角榮君
 出席政府委員
        農林大臣官房経
        理課長     石田貞二郎君
        農林省農政局長 内村 良英君
        農林省農地局長 三善 信二君
        農林省畜産局長 増田  久君
        食糧庁長官   亀長 友義君
        林野庁長官   福田 省一君
        水産庁長官   太田 康二君
        通商産業省重工
        業局長     矢島 嗣郎君
        運輸省船舶局長 田坂 鋭一君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      山口 光秀君
        農林省畜産局競
        馬監督課長   塩田 清隆君
        会計検査院事務
        総局次長第五局
        長事務取扱   鎌田 英夫君
        会計検査院事務
        総局第四局長  田中  稔君
        農林漁業金融公
        庫副総裁    岩尾  一君
        中小企業金融公
        庫総裁     吉岡 英一君
        中小企業信用保
        険公庫総裁   近藤 止文君
        参  考  人
        (日本中央競馬
        会理事長)   清井  正君
        参  考  人
        (日本中央競馬
        会理事)    中西 信吉君
        参  考  人
        (日本中央競馬
        会馬事部長)  瀬川 良一君
        参  考  人
        (日本中央競馬
        会施設部長)  阿川 三郎君
        参  考  人
        (日本自転車振
        興会会長)   岡村  武君
        参  考  人
        (日本船舶振興
        会理事長)   芥川 輝孝君
        決算委員会調査
        室長      池田 孝道君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月一日
 辞任         補欠選任
  中村 弘海君     荒舩清十郎君
同月四日
 辞任         補欠選任
  北山 愛郎君     安宅 常彦君
同日
 辞任         補欠選任
  安宅 常彦君     北山 愛郎君
同月八日
 辞任         補欠選任
  北山 愛郎君     安井 吉典君
同日
 辞任         補欠選任
  安井 吉典君     北山 愛郎君
三月八日
 辞任         補欠選任
  阿部 文男君     中村庸一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中村庸一郎君     阿部 文男君
同月十日
 辞任         補欠選任
  石田 博英君     中村 弘海君
  菅野和太郎君     小坂徳三郎君
  芳賀  貢君     金丸 徳重君
同日
 辞任         補欠選任
  小坂徳三郎君     菅野和太郎君
  中村 弘海君     石田 博英君
  金丸 徳重君     芳賀  貢君
    ―――――――――――――
昭和四十六年十二月二十九日
 昭和四十五年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その2)
 昭和四十五年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その2)
 昭和四十五年度特別会計予算総則
 第十条に基づく経費増額総調書及
 び経費増額調書
 昭和四十五年度特別会計予算総則
 第十一条に基づく経費増額総調書
 及び各省各庁所管経費増額調書  (承諾を求
 (その2)           めるの件)
 昭和四十五年度一般会計国庫債務負担行為総調
 書(その2)
昭和四十七年一月二十一日
 昭和四十五年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十五年度国有財産無償貸付状況総計算書
二月十日
 昭和四十六年度一般会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その1)
 昭和四十六年度特別会計予備費使
 用総調書及び各省各庁所管使用調
 書(その1)
 昭和四十六年度特別会計予算総則
 第十一条に基づく経費増額総調書
 及び各省各庁所管経費増額調書  (承諾を求
 (その1)           めるの件)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十四年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十四年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十四年度政府関係機関決算書
 昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十四年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (農林省所管、農林漁業金融公庫、通商産業省
 所管、中小企業金融公庫、中小企業信用保険公
 庫)
     ――――◇―――――
○福田委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十四年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は農林省所管、農林漁業金融公庫、通商産業省所管、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫について審査を行ないます。
 まず、農林大臣から概要説明を求めます。赤城農林大臣。
○赤城国務大臣 農林省所管の昭和四十四年度歳入歳出決算について概略を御説明申し上げます。
 まず、歳入につきましては、収納済み歳入額は、一般会計において六百四十五億九千九十八万円余、食糧管理特別会計各勘定合計において五兆七千五百二十七億九千三百五万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において千七百五十六億九千百九十二万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計外六特別会計の総合計において千八十八億二千八百四十万円余となっております。
 次に、歳出についてでありますが、支出済み歳出額は、一般会計において八千四百八十九億三千六十七万円余、食糧管理特別会計各勘定合計において五兆七千四百五十一億八千九百七十三万円余、国有林野事業特別会計各勘定合計において千七百四十二億四千七百八十七万円余、農業共済再保険特別会計各勘定合計外六特別会計の総合計において七百五十億三百二十八万円余となっております。
 これらの経費は、農業の生産性の向上、農業生産の選択的拡大、農業構造の改善、農産物等の価格の安定及び流通の合理化、農業従事者の福祉の向上と地域の振興、農業団体の整備強化、林業の振興、水産業の振興その他農林漁業金融公庫資金の拡充、災害対策事業、食糧管理事業、国有林野事業等の諸事業の実施に使用したものであります。
 これらの事業の概要につきましては、お手元にお配りいたしております昭和四十四年度農林省関係決算概要説明によって御承知を願いたいと存じます。
 これらの事業の執行につきましては、いやしくも不当な支出や批難さるべきことのないよう、常に経理の適正なる運営について極力意を用いてまいりましたが、昭和四十四年度決算検査報告におきまして、なお不当事項として相当の件数の指摘を受けておりますことは、まことに遺憾に存じております。今後とも指導監督を一そう徹底いたしまして、事業実施の適正化につとめる所存であります。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
○福田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めとう存じます。田中会計検査院第四局長。
○田中会計検査院説明員 昭和四十四年度農林省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に不当事項として掲記いたしましたものは、工事関係が二件、三百六十三万八百八十七円、補助金関係が八十三件、一億一千三百三十六万三千四百二十七円、計八十五件、一億一千六百九十九万四千三百十四円でございます。
 まず、工事関係について説明いたします。
 八号及び九号の二件は、監督及び検査が適切でなかったため、土運船の改造工事の施工が設計と相違し、改造部の強度が設計に比べて著しく低くなっていて工事の目的を達していないと認められるもの、監督及び検査が適切でなかったため、コンクリートブロック練り積みの胴込め及び裏込めコンクリート等の施工が設計と相違し、その強度が設計に比べて著しく低くなっていると認められるものでありまして、監督、検査の充実強化など適切な処置を講ずることが緊要と認められるものでございます。
 次に補助金関係について説明いたします。
 一〇号から六七号までの五十八件は、いずれも公共事業関係のものでございまして、コンクリート工事などの施工が不良で設計に比べて強度が著しく低下しているもの、石積み及び石張り工事などの施工が設計に比べて粗雑となっているもの、事業費の精算が過大になっているものなどでございます。このような事態につきましても毎年度の検査報告に掲記してその適正をはかるよう注意を促しているところでございますが、なお、今後一そう指導監督の強化をはかるなど、工事の適正な施行について配慮の要があると認められるものでございます。
 六八号から九二号までの二十五件は、公共事業関係以外の一般補助関係のものでございまして、補助の対象とは認められないものを含めて事業を実施したり、事業費を過大に精算しているものなどでございます。このうち九一号は、農業近代化資金の利子補給補助金に関するものであります。この補助金は農業協同組合等の融資機関が農業者等に対して行なう農業近代化資金の融通を円滑にするため、都道府県が利子補給を行なっておりますが、それに要する経費について交付されるものでございます。この九一号の事態は、借り受け者に対し本制度の趣旨を十分徹底させていないなどのため、融資金の借り受け者が事業を全く実施していなかったり、申請額より少額で実施したりしているものなどでございます。これらと同様の事例につきましては、昭和四十一年度決算検査報告に掲記いたしまして、融資後における借り受け者の事業実施状況の把握につとめるよう注意を促したところでございますが、なお、このように多数見受けられる状況でございます。
 次に九二号は、都道府県が国からの農業改良資金助成補助金と自己資金とを財源として農業者等に無利子で貸し付ける農業改良資金関係のものでございます。この事態は、借り受け者に対し本制度の趣旨を十分徹底させていないなどのため、借り受け者が事業を全く実施しないで貸し付け金を貯金のまま保有しているものなど、道県の貸し付け金の運営が適切を欠き、補助の目的に沿わない結果となっていると認められる事態でございます。
 次に、是正改善の処置を要求したものについて説明いたします。
 その一は、コンクリート二次製品等を使用する工事の施行について是正改善の処置を要求したものでございます。農林省の直轄工事あるいは補助工事で水路の護岸などの材料として使用するコンクリートさく板、コンクリートブロックなどのコンクリート二次製品や用水取り入れ施設の水門として工場で製作させた鋼製とびらの工事で、できぐあいの悪い製品が使用されている例が少なからず見受けられました。これらはいずれも工場製品でございますが、工場製品を使用する工事の監督、検査のやり方の基準をきめるなどいたしまして、今後このようなことが起きないよう、適切な方途を講ずる必要があると認められるものでございます。
 その二は、草地改良、開拓パイロット両事業における土壌改良等の施行について是正改善の処置を要求したものでございます。農林省が直轄で、あるいは都道府県などに補助いたしまして草地改良事業及び開拓パイロット事業を施行しておりますが、これら事業で行なわれた土壌改良の効果があがっていない畑や草地が相当数見受けられました。つきましては、今後、このようなことが起きないように、工事の監督、検査を適確に行なうなど十分に指導する必要があると認められるものでございます。
 その三は、開拓パイロット事業の事業効果について是正改善の処置を要求したものでございます。農林省が昭和三十六年度以降実施しております開拓パイロット事業は、農業経営規模を拡大して農業構造の改善、自立経営農家の育成をはかることを目的といたしまして、山林、原野などの未墾地を開墾して農地にする事業でございますが、農地が住宅地などに転用されておりましたり、耕作されないで荒廃していたりしておりまして、事業の効果があがっていない個所が多数見受けられました。つきましては、今後、このようなことが起きないよう、営農指導を積極的に行なうなど事業の効果をあげるよう処置する必要があると認められるものでございます。
 その四は、外国小麦の買い入れ予定価格のうちに含まれる海上運賃の積算について是正改善の処置を要求したものでございます。食糧庁では、輸入商社に支払う外国産小麦の買い入れ価格に含まれている海上運賃の積算にあたり、荷役能力を相当以前のもので積算しておりまして、荷役能力が向上しております現在の実情には合わなくなってきている状況でございます。つきましては、最近の港湾荷役の実態に注目し、適正な海上運賃を積算して買い入れ予定価格積算の適正を期する必要があると認められるものでございます。
 その五は、内水面圃場整備事業による造成農地の他目的転用について是正改善の処置を要求したものでございます。これは、農林省の補助を受けて、造成した農地の一部が住宅用地として転用されていたものでございます。この補助金は造製農地を他に転用したときは補助金を国に返させるという条件を付けていましたものでございまして、すみやかにその条件に従った処置を講ずる必要があると認められたものでございます。
 以上の不当事項及び是正改善の処置を要求した事項のほか、本院の質問に対して当局において処置を講じたものについて説明いたします。
 災害復旧事業の事業費決定に関する早期検査の結果、工事数量の計算誤りのため工事費が過大に見込まれているなど適切でないものがありましたので当局の見解をただしましたところ、農林省では事業費決定額を減額修正いたしました。
 なお、以上のほか四十三年度におきまして、土地改良事業等における直轄工事の間接労務費の算定並びに外国麦の買い入れに伴う検数につきまして是正改善の処置を要求いたしましたが、これに対する農林省の処置状況につきましても掲記いたしております。
 以上簡単でございますが説明を終わります。
○福田委員長 次に、農林漁業金融公庫当局から、資金計画及び事業計画等について説明を求めとう存じます。岩尾農林漁業金融公庫副総裁。
○岩尾説明員 農林漁業金融公庫の昭和四十四年度の業務の概況につきまして、御説明申し上げます。
 まず、昭和四十四年度の収入支出決算について御説明いたします。
 昭和四十四年度における収入済み額は四百七十三億三千六百六十七万円余、支出済み額は四百八十六億四千三百万円余でありまして、収入が支出に不足すること十三億六百三十三万円余となっております。
 以下、これを収入、支出の部に分けて御説明いたしますと、まず収入の部におきましては、本年度の収入済み額は四百七十三億三千六百六十七万円余でありまして、これを収入予算額四百七十四億四千八百三十八万円余に比較いたしますと、一億千百七十万円余の減少となっております。
 この減少いたしましたおもな理由は、一般会計からの補給金受け入れが予定より少なかったためであります。
 次に、支出の部におきましては、本年度の支出予算現額四百九十億七千二百七十三万円余に対し、支出済み額は四百八十六億四千三百万円余でありまして、差し引き四億二千九百七十二万円余の差額を生じましたが、この差額は全額不用となったものであります。
 この不用額を生じましたおもな理由は、委託金融機関に対する手数料の支払が予定より減少したためであります。
 次に、昭和四十四年度における損益について申し述べますと、本年度の総益金五百七十七億二千八十四万円余に対し総損失は五百六十一億六千九百五十六万円余でありまして、差し引き十五億五千百二十八万円余の償却引き当て金繰り入れ前利益をあげましたが、これを全額滞貸償却引き当て金及び固定資産減価償却引き当て金に繰り入れましたため、国庫に納付すべき利益はありませんでした。
 次に、昭和四十四年度の貸し付けの概要について御説明いたします。
 昭和四十四年度中における貸し付け決定総額は千九百八億九千百十二万円余で、前年度に比し百四十億四千二百三万円余の増加となっております。
 これを業種別に申し上げますと、農林漁業経営構造改善七百九十五億五千百万円余、農業構造改善(土地基盤整備)六十一億百九十六万円余、土地改良五百三十億四百七十八万円余、林業百四十五億五千九百四十九万円余、漁業百十六億百七万円余、共同利用施設及び新規用途・乳業百十四億五千四百三十七万円余、自作農維持五十七億六千七百七十六万円余、その他八十八億五千六十七万円余となっております。
 以上、貸し付け決定状況につきまして御説明申し上げましたが、これに対しまして四十四年度の貸し付け回収実績は六百四十三億七千七百二十三万円余で、前年度の回収実績に比較いたしますと八十六億七百十四万円余の増加となっております。
 この結果、昭和四十四年度末における貸し付け金残高は八千五百九十億三千五百五十二万円余となっております。
 次に、昭和四十四年度の貸し付け資金の概要について御説明いたしますと、本年度における貸し付け資金の交付額は千九百十九億四千七百二十五万円余でありまして、これに要した資金は、資金運用部資金からの借り入れ金千三百八十六億円及び簡易生命保険及び郵便年金の積み立て金からの借り入れ金七十億円並びに貸し付け回収金等四百六十三億四千七百二十五万円余をもって充当いたしました。
 以上が昭和四十四年度農林漁業金融公庫の業務の概況であります。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
○福田委員長 次に、通商産業大臣から概要説明を求めとう存じます。田中通商産業大臣。
○田中国務大臣 ただいま議題となっております昭和四十四年度通商産業省所管の歳入歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、通商産業省所管の一般会計歳入歳出決算につきまして御説明をいたします。
 昭和四十四年度通商産業省主管の歳入予算額は三十一億四千四百三十九万円余であります。
 これに対しまして収納済み歳入額は三十二億四千九百二十二万円余でありまして、これを歳入予算額と比較いたしますと一億四百八十二万円余の増加となっております。
 これは、アルコール専売事業特別会計から一般会計への納付金が予定より多かったこと等によるものであります。
 次に、四十四年度通商産業省所管の歳出につきましては、当初予算額は九百十六億一千三百七十九万円余でありまして、予算補正追加額六億四千百三十三万円、予算補正修正減少額十一億四千四百三十一万円余、総理府所管から移し替えを受けた額十二億四千七百十三万円余、大蔵省所管から移し替えを受けた額百七十七万円余、文部省所管から移し替えを受けた額三十九万円余、計十二億四千九百三十万円余、前年度からの繰り越し額八十四億六千五十三万円余、予備費使用額一億六千三百十二万円の増減がございましたので、歳出予算現額は千九億八千三百七十六万円余となっております。
 これに対しまして、支出済み歳出額は九百九十五億六千八百八万円余でありまして、歳出予算現額と比較いたしますと十四億一千五百六十八万円余の差額となっております。
 この差額のうち、翌年度へ繰り越しました額は十億五千七百五万円余でありまして、不用となりました額は三億五千八百六十二万円余となっております。
 四十四年度におけるこの経費の執行につきまして、そのおもな事項の大要を御説明いたします。
 第一に、貿易振興及び経済協力費であります。
 四十四年度の予算現額は二百八十二億二千六百八万円余でありまして、その支出済み歳出額は二百七十七億四千六百四十万円余であります。
 この経費は、日本貿易振興会が行なった海外市場調査、国際見本市への参加、貿易あっせん等の事業に対する補助金、貿易振興関係団体が行なう海外市場の開拓事業に対する補助金及び昭和四十五年三月に開催された日本万国博覧会の会場の建設その他の準備等のための補助金等でございます。
 第二に、中小企業対策費でありますが、四十四年度の予算現額は三百十億五千七百二十六万円余でありまして、その支出済み額は三百十億二百十万円余であります。
 この経費は、中小企業構造の高度化を促進するため中小企業振興事業団が行なった指導、資金の貸し付け等の事業に対する出資等と、中小企業の近代化を促進するための中小企業設備近代化補助金等でございます。
 第三に、技術振興関係費でございますが、四十四年度の予算現額は百六十九億一千六百六十八万円余でありまして、その支出済み額は百六十三億六千六百七十四万円余であります。
 この経費は、将来の技術開発の核心となり技術的波及効果の高い大規模な国産技術の研究開発を積極的に推進するための大型工業技術研究開発事業及び通商産業省の試験研究機関における特別研究の実施等に要したものでございます。
 第四に、公共事業費であります。四十四年度の予算現額は八十億四千二百四十一万円余でありまして、その支出済み額は七十九億二千五百五十五万円余であります。この経費は、工業用水道の建設工事に対する補助金等でございます。
 次に、不用額を生じました経費のおもなものは、貿易振興及経済協力費二億九百六十三万円余でございます。
 以上をもちまして通商産業省所管の一般会計歳入歳出決算に関する説明を終わります。
 次に、当省所管の各特別会計の決算について御説明を申し上げます。
 第一に、石炭対策特別会計でございます。
 四十四年度収納済み歳入額は九百八十二億四千九百五十一万円余、支出済み歳出額は九百四十億七千四百五十三万円余であります。
 収納済み歳入額と支出済み歳出額との差額は四十一億七千四百九十七万円余でありまして、翌年度へ繰り越しました金額は二十七億四千四十一万円余、剰余金は十四億三千四百五十六万円余となっております。
 四十四年度におけるこの経費の執行につきまして御説明をいたしますと、石炭鉱業合理化安定対策費六百九十八億六千八百九十六万円余、炭鉱離職者援護対策費四十九億二千九百十一万円余、産炭地域開発雇用対策費二十四億六千四百十八万円余、産炭地域振興対策費五十六億二千百九十一万円余、鉱害対策費百一億一千六百八十四万円余を支出いたしております。
 第二に、アルコール専売事業特別会計でございます。
 四十四年度収納済歳入額は九十億二千三百七万円余であります。支出済み歳出額は七十億三千七百二十六万円余であります。この会計の損益計算上の利益は二十三億四千六百七十二万円余となっておりますが、期末資産の増加相当額一億九千二百八十四万円余を控除した残額二十一億五千三百八十七万円余は一般会計に納付をいたした次第でございます。
 第三に、輸出保険特別会計でございます。
 四十四年度収納済み歳入額は二百五十五億四千三百八万円余、支出済み歳出額は六十七億七百十一万円余であります。四十四年度における保険引き受け件数は五十五万一千件、その保険金額は二兆四千五百九十億四千五百万円でありまして、前年度に比し六千四百九十九億八千五百万円の増加となっております。
 第四に、機械類賦払信用保険特別会計でございます。
 四十四年度収納済み歳入額は十二億八千九百二十九万円余、支出済み歳出額は一億四千二百六十五万円余であります。保険引受件数は一万三千件、保険金額は百九十三億一千三百万円でございます。
 以上をもちまして通商産業省所管の特別会計歳入歳出決算に関する御説明を終わります。
 なお、一般会計及び特別会計の事業の詳細につきましては、お手元にお配りいたしております昭和四十四年度通産業省所管歳入歳出決算概要説明書に記述してございますので、御了承をお願いいたしたいと存じます。
 最後に、四十四年度通商産業省所管の決算につきまして、会計検査院より不当事項として指摘を受けたものがありますことは、まことに遺憾に存じております。
 今回、不当事項として指摘を受けましたものは、中小企業設備近代化補助金を財源とする県の貸付金の運営が当を得ないもの二件でございます。
 この指摘事項につきましては、直ちに返還を命じまして、県の特別会計に収納済みであります。今後この種事例の発生を未然に防止するためより一そうの指導監督を行ない、かかる事例の絶滅に努力いたす所存でございます。
 以上をもちまして通商産業省所管の一般会計及び特別会計の決算に関する御説明を終わります。何にとぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○福田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めとう存じます。田中会計検査院第四局長。
○田中会計検査院説明員 昭和四十四年度通商産業省の決算につきまして検査いたしました結果の概要を説明いたします。
 検査報告に不当事項として掲記いたしましたものは、九三号及び九四号の二件でございます。
 これは、中小企業者の設備の近代化に資するための貸し付け金の財源として国が交付した中小企業設備近代化補助金に関するものでありますが、いずれも貸し付け対象設備が既往年度に設置されたものであるため貸し付けの対象とすべきでないもので補助の目的に沿わない結果となっていると認められるものでございます。
 以上、簡単でございますが説明を終わります。
○福田委員長 次に、中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫当局から、資金計画、事業計画等について、この際、概況説明を願いとう存じます。吉岡中小企業金融公庫総裁。
○吉岡説明員 昭和四十四年度におきます中小企業金融公庫の業務の概要について御説明申し上げます。
 昭和四十四年度のわが国経済は、前年度に引き続く内外需要の増勢と国際収支の大幅な向上があって、終始根強い拡大歩調を持続し、年央以降金融引き締め措置が実施されはしたものの、実体経済面はさして変化は見られないままに推移しました。
 このような一般経済の動きを反映して、中小企業の景況はおおむね順調に推移しましたが、企業の資金繰りの面では回収条件の悪化等もあって、年度末ごろには徐々に繁忙化を呈するに至りました。
 この間中小企業の設備投資は、需要の増勢に対処した生産能力の増強及び発展途上国の追い上げ、労働力不足の深刻化等に対処した合理化、省力化を軸に前年度を上回る増勢を示しましたが、年度末にかけての投資態度は資金調達面の不安から慎重さが見られました。
 当公庫は昭和四十四年度の当初貸し付け金を三千二百七十一億四千四百万円と定められましたが、その後年末、年度末の中小企業金融対策として四百五十億円の貸し付け資金の追加が認められましたので、これにより前年度実績に比較して一九・八%増に相当する三千七百八十六億八千六百九十二万円余の貸し付けと、ほかに中小企業投資育成株式会社に対する十七億円の貸し付け、及び設備貸与機関に対する十七億四千六百八十八万円の貸し付けを実行いたしました。このうち、設備資金は三千七百八十六億八千六百九十二万円余の八一・五%に相当する三千八十五億七千百六十六万円余、運転資金は同じく一八・五%に相当する七百一億一千五百二十五万円余となっており、また直接貸し付けは三千七百八十六億八千六百九十二万円余の四一・一%に相当する一千五百五十八億六百万円(六千五百三十九件)、代理貸し付けは同じく五八・九%に相当する二千二百二十八億八千九十二万円余(四万一千四百九十四件)となっております。
 年度末総貸し付け残高は七千七百四十八億八千六百九十九万円余で、前年度末に比べ一千三百八十九億七千六百四十三万円余、二一・九%の増加となっております。
 昭和四十四年度の融資にあたりましては、わが国経済の開放経済体制への移行及び労働力不足の進展等の事態に対処して、中小企業設備の近代化及び中小企業構造の高度化を一そう強力に推進することとし、中小企業近代化促進法の指定業種に属する中小企業者及び構造改善事業に参加する企業に特に配意するとともに、特定機械工業、輸出産業、流通機構の近代化、合理化並びに産業公害防止施設、産業安全衛生施設及び港湾運送施設の整備について配慮いたしてまいりました。
 なお、昭和四十四年度におきましては、中小企業者の一そうの便益に供するため滋賀県大津市に出張所を開設いたしました。
 次に日本開発銀行から当公庫が承継しました復金承継債権等につきましては、回収促進に努力いたしました結果四百七十四万円余の回収を行ない、昭和四十四年度末残高は三千四百七十三万円余となり、当初承継しました百十九億八千八十三万円余の九九・七%を整理いたしたことになります。
 最後に当公庫の損益計算について申し上げますと、昭和四十四年度におきましては、三十二億七十七万円余の償却前利益をあげましたが、固定資産減価償却引当金繰り入れ額七千三十五万円余を差し引きました残額三十一億三千四十一万円余は、大蔵大臣が定めた滞貸償却引当金繰り入れ限度額以内であり、またこれを繰り入れた場合の昭和四十四年度末滞貸償却引当金残高も大蔵大臣が定めた限度額以内でありましたので、その全額を滞貸償却引当金に繰り入れました結果、利益金はなく、国庫納付はいたしませんでした。
 以上、中小企業金融公庫の昭和四十四年度の業務概要の御説明を終わります。
○福田委員長 次に、近藤中小企業信用保険公庫総裁。
○近藤説明員 中小企業信用保険公庫の昭和四十四年度の業務の概況につきまして御説明申し上げます。
 御承知のとおり、昭和四十四年度のわが国経済は、四十四年九月、景気調整策が講ぜられたにもかかわりませず依然拡大基調を続け、中小企業の事業活動も引き続き好調でございましたが、中小企業を取り巻く経済環境は、若年労働力の不足等依然きびしいものがあるとともに、金融引き締めの浸透に伴い資金繰りは逼迫化傾向のうちに推移いたしました。
 こうした情勢の中で、信用補完制度におきましても、中小企業金融を一そう円滑にするため、その充実強化がはかられた次第でございます。
 すなわち、保険事業の円滑な運営をはかるための原資といたしまして、保険準備基金四十億円及び信用保証協会の保証活動の円滑化をはかるための原資といたしまして融資金六十五億円、合計百五億円が国の一般会計から出資され、本制度の一そうの強化推進がはかられた次第でございます。
 まず、保険事業におきましては、公庫が全国五十一の信用保証協会との間に締結いたしました保険契約に基づく保険引き受けは、件数で七十六万四千件余、金額で一兆六十一億九千二百八十八万円余になっております。これを前年度に比較いたしますと、金額で二百億八千八百二十万円余、比率にいたしますと二%の増加になっております。
 この結果、昭和四十四年度末の保険引き受け残高は、件数で九十七万三千件余、金額で一兆三千八百七億四千六百二十四万円余となっております。
 なお、保険金の支払いは百六十一億五千百十一万円余になりまして、これを前年度の百八十三億九千二百二十四万円余に比較いたしますと、金額で二十二億四千百十二万円余、比率にいたしますと一二%の減少になっております。
 一方、融資事業におきましては、昭和四十四年度におきまして国の一般会計から新たに出資されました六十五億円及び既貸し付けにかかる回収金三百四十一億九百万円、合計四百六億九百万円をもちまして、長期貸付三百七十九億九千五百万円、短貸貸付二十一億九千九百万円、合計四百一億九千四百万円の貸し付けを行ないました。これを前年度に比較いたしますと、二〇%の増加になっております。
 この結果、昭和四十四年度末における貸し付け残高は五百五十八億八千五百万円になっております。
 次に収入支出及び損益の概況について申し上げます。
 まず収入、支出について申し上げますと、収入済み額は百三十五億七千九百五十六万円余、支出済み額は百七十一億一千五十四万円余でありまして、差し引き三十五億三千九十八万円余の支出超過になっております。
 損益計算につきましては、さらに支払い備金等の整理を行ないました結果、総利益は百五十六億三百四十四万円余、総損失は百九十億七千三百九十万円余になり、差し引き三十四億七千四十六万円余の損失を生じました。
 以上簡単でございますが、昭和四十四年度の業務の概況につきまして御説明申し上げた次第でございます。よろしく御審議をお願い申し上げます。
○福田委員長 これにて説明聴取を終わります。
    ―――――――――――――
○福田委員長 この際、委員諸君におはかりいたします。
 ただいまの両件審査のため、本日、参考人として日本中央競馬会理事長の清井正君、同じく理事の中西信吉君、馬事部長の瀬川良一君、施設部長の阿川三郎君、なお日本自転車振興会会長の岡村武君、日本船舶振興会理事長の芥川輝孝君、この諸君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○福田委員長 御異議ないようですから、さよう決定いたしました。
 なお、つけ加えて御了承得たいのでありまするが、参考人からの意見の聴取は委員の質疑により行ないたいと存じますので、これまたさよう御了承願います。
    ―――――――――――――
○福田委員長 質疑の申し出がございますので、これを許します。綿貫民輔君。
○綿貫委員 私はちょうど一年前のこの決算委員会の席におきまして、公営ギャンブルの持っております特質、さらに弊害、これらの提起をいたしまして、特に中央競馬会にメスを加えることによりまして行政の姿勢を正し、国民の利益を守るという方向を示したのでございますが、以来約一年間、不況にもかかわらず、このギャンブル熱はますます熱を帯びてまいりました。最近のギャンブル白書によりますと、競馬、競輪、オートレースなどに集まった人は、この一年間に一億一千三百万人、総売り上げ高は一兆九千五百億円といういずれも史上最高の記録を示しておるのであります。中でも競馬界の過熱ぶりはすさまじいものがございまして、中央競馬会に例をとってみますと、昭和四十三年度においては二千四百億円の売り上げでありましたが、昨年の決算では四千億円を突破するというような状況でございまして、三年間に二倍増というようなことになっております。
 さらに内容を分析いたしてみますと、昨年のダービーにおきましては、一日の売り上げが百億円、このようなものすごい記録を示しておるのであります。それにつれまして、昨年有馬賞を得ましたトウメイなどは年間一億円の賞金を獲得するということで、馬主さんもますます潤うという調子であり、さらに競馬会は年間二百億円をこす留保金を残すというような形になっておるわけであります。昭和三十六年度の公営競技調査会の答申の、いわゆる不拡大方針、昨年も申し上げましたが、これに基づく精神からして、こうした現状を今後どういうふうにとらえていかれるか、ひとつお伺いをいたしたいと存じます。畜産局長にお願いします。
○増田(久)政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたとおり、最近におきます競馬の過熱ぶりというものは目をみはると申しますか、われわれもあぜんとするぐらいの過熱ぶりであるということを率直に認めざるを得ないわけでございます。その間にいわゆる競馬公害というような問題をいろいろ生じておりまして、このまま放置するわけにはいかない。ただ、三十六年の答申の時代と現在の間ではもう十年以上の年月の流れがありますし、その間に国の経済、社会、人心、すべてが移り変わってきております。そういうことを考慮いたしまして、昨年の十月、農林大臣の諮問機関といたしまして競馬懇談会というものを設け、学識経験者十数名のお集まりを得まして、競馬のイロハ、競馬の目的は何ぞやという基本に戻りまして、競馬の行政、競馬のあり方というものをこの際再検討したい、そういうことで目下鋭意検討いたしている段階でございます。
○綿貫委員 それでは、あとから農林大臣もお見えになりますので、私は、この懇談会の結論を待って法改正までするのかどうかということを突っ込んでお話ししたいと思っておりますが、問題は、このような拡大現象は、自然に拡大するのだからしようがない、したがって、対症療法として場外馬券場ももっとふやせばいいじゃないか、あるいは馬主に対する賞金もどんどんふやせばいいじゃないか、あるいは運営面においても予備費をまあ適当に流通させてもいいじゃないか、こういうようなルーズな経営に私はなってもらっては困ると思うのであります。やはりこれはファンあっての競馬であるということを基本に今後ともお考えいただきたいということで、後ほどこれは大臣に、この基本的な問題についてはお尋ねいたしますので、ここでこの項は終わります。
 ところで、安眠をむさぼっておったという表現が適切かと私は思いますが、中央競馬会に突如として目をさますような大事件が起こりました。それは昨年の年末の流感馬問題でございます。十二月十九日は有馬記念賞ということで詰めかけた競馬ファンは、突然寝耳に水のように二十一頭出馬取り消しということを聞かされたのであります。ファンの中からは、これは謀略じゃないか、中止したほうがいいのではないかという強い声があったのでございますが、これが強行されました。しかも一番人気のあったメジロムサシは五着にとどまりました。しかも同じように、この馬は四十度の高熱を出して隔離されているのであります。ファンから公正なレースが行なわれなかったのじゃないかとの疑惑が投げかけられて、不信感が強まっていると同時にこの二十一頭が取り消した十九日に、中央競馬会は、馬事公苑で百六十九頭のうち百六十頭が、つまりほとんどの馬がインフルエンザA2型にかかっているという事実を公表しているのであります。公正なレースへの疑問が残るのは私は当然だ、こう思います。競馬を開催するのが使命である中央競馬会、競馬の上にはたして公正という字がついておったのかどうか、非常に疑問に思うわけでございますが、これについて開催委員長である中西理事の御所見をひとつ伺いたい、こう思うわけであります。
○福田委員長 それでは、ただいまの綿貫君の御質問に対して清井理事事長よりお答え願いとう存じます。
○清井参考人 ただいまお話がございましたことについて、私からまずお答えを申し上げまして、足りない点は中西からお答え申し上げることにいたしたいと存じます。
 先般の、先ほど畜産局長からお答え申し上げました件につきまして、まず申し上げたいと思います。
 私ども競馬をやってまいりまして、私責任者となってまいりましてから数年たっておりますが、その間非常な発展を遂げておることは、先ほど先生の御説明のとおりでございますが、私ども決してこれはいたずらに過熱をあおるというようなことはいたしておらないつもりであったのでございます。ただ、その競馬の開催の責任者といたしまして私どもが最も念願といたしておりまするところは、競馬の公正な施行、これが何といっても一番大切なことである、これは申し上げるまでもなく、勝馬投票券というものがかかっておりますから、お金がかかっておりますので、そのもとになる競馬の施行ということにいささかも他から疑惑を受けるようなことがあっては相ならぬ、競馬の公正な施行をまず第一にしなければならぬということは、これは私だけのみならず競馬を施行する者全体の考え方として、今日まで私どもはそれを貫いて実行してまいったつもりでございます。
 したがいまして、ただいまの御指摘のインフルエンザ問題で、たまたま有馬記念当日で問題になりましたけれども、このレースを施行するに際しましては、むろんただいま申し上げましたように、競馬の公正な施行ということを基本的な概念として私ども貫いてその当時の競馬のレースの開催にも臨んだような次第でございます。むろん開催の責任者といたしましては、開催実行委員長を任命いたしまして、たまたま中西理事をして当時の開催の責任者といたしましたけれども、責任者といたしましては私でございますので、最高方針なりそのつどの責任は私がとって、すべて施行いたしているような次第でございます。
 御指摘の有馬記念レースでございますが、当時その前にもうすでに御指摘のように馬事公苑で馬がインフルエンザと思われる病気にかかった事実がございました。そこで、私どもといたしましては、これはたいへんだ、おそらく日本に初めてあることだけれども、これはおそらくインフルエンザかもしれない、当時まだそうではないかという疑いでございましたけれども、非常な蔓延ぶりでございましたので、これは外国からのインフルエンザが入ってきたのかもしれないから、厳重注意をすることを要するということで、十六日、もうすでに有馬記念レースの始まる前から私のほうで防疫会議を開きまして、この対策を講じておったような次第でございます。馬事公苑と、引き続いて東京競馬場にもその二、三日前に病気の馬が出ました。そこで、私どもは競馬を施行するに際して、病気の馬が競馬に出るということがあっては相ならぬ、御指摘のとおりでございます。いささかも病気であるとか病気の疑いがある馬がレースに出れば、レースの公正な施行を害するから、これはとめなければならぬという立場で、すでに有馬記念の前日のレースのときの朝、その日に出る予定の馬全部について熱をはかりまして、病気にかかっている馬はないかどうかということを、ふだんとは違って、一々私のほうの獣医が立ち会いまして検査をいたしたわけでございます。ところが一頭の発熱もないということで、ようやく有馬記念の前日のレースは完全に行なわれました。有馬記念の日の当日でございますが、朝熱をはかりましたところ、発熱した馬が三頭あったということで、これは熱がありましたから当然出走を辞退いたしました。そのほかに、朝馬を競馬場から運んでくるわけでございます。そういうときに一緒の車で運んできた馬とか、あるいは同じ厩舎に隣合わした馬、こういうものはうっかりすると熱が起こるかもしれないから、これもとめようということで、そこで二十一頭の馬を出走をとめたのでございます。これは熱を出しているのは三頭であったのですけれども、二十一頭の三頭以外はまだ熱が出ていなかったけれども、熱が出た馬のそばにいたから熱が出るかもしれないという私どもの防衛対策といたしまして、馬主といたしましては出馬を希望したのでありますけれども、私どもといたしましては、公正な競馬をするという立場からレースをとめた、こういう経過になっておるような次第でございます。したがいまして、競馬についていささかも、病気でありながら、単に競馬をするがために病気の馬を出したということは絶対にございません。ただ、御指摘の馬でございますが、この馬につきましては、その後いろいろ問題がございまして、新聞紙等にも書かれたことがございますが、実はこの馬につきましては、馬主さんも、もし熱があったら出すことはできないというお話でございましたし、私どもといたしましても特に注意をいたしまして、競馬に出る前三回にわたって熱をはかったのでございます。むろん、これは私どもばかりではございません。当該調教師、当該馬丁も立ち会いの上で三回も熱をはかりました。そこで、平熱であって元気であるから絶対間違いないという調教師の言もありましたし、われわれも、専門の獣医も検査いたしました結果、熱はないということで出走さしたというような実態、これは事実でございます。そういうことでございますので、御指摘のように、熱があるにもかかわらず、競馬を盛んにするために無理に走らしたのではないかというような問題がございますれば、私どもといたしましては、そういうことではなしに、注意にも注意を払ってレースをしたつもりであるという私どもの心がまえを御説明申し上げまして御了解を得たい、こう存ずる次第でございます。
○綿貫委員 たいへん御丁寧な弁解がございました。私の調査では、メジロムサシの馬主の北野豊吉さんは、出走前に何度も、馬の状態がおかしいので、ファンの迷惑を考え、また馬がかわいそうだから、ひとつ出馬を取りやめさしてくれということを中西開催委員長に申し出ておられました。しかしこれが認められなかったという事実があるわけであります。しかもメジロムサシと同じ輸送車で運ばれた三頭の馬は高熱のために出走をさせられていない。いまの理事長のお話ですと、非常にデリケートな動物であるから、そういう高熱のある馬と一緒に来たものが、熱をはかったらだいじょうぶだったから出したんだというような、機械をはかるような、そういう考え方で出馬をさせられたのじゃないかと思うわけであります。その人気馬のメジロムサシを出さないとレースにならないという考え方が非常に強かったのじゃないかという疑惑を持たれてもしかたがないと私は思います。しかも馬主というのは馬に対する愛情、愛着というものはだれよりも強いわけであります。その馬主さんがやめさせてくれと言うたのに、熱をはかったからだいじょうぶだ、出せというような、やはりいわゆる競馬場の機構というものが非常に強い権限を持っておるという関係からして、しぶしぶ出させられたのじゃないかというふうに推測をいたすのでございますが、これについてもう一度御答弁を願います。
○清井参考人 ただいまの御指摘でございますが、北野氏の発言についてのお話ございましたが、ちょっと、私どもといたしまして、北野さんがこう言ったということまで申し上げるのはいかがかと思いますけれども、私どもの説明としては先ほど申し上げたとおりでございまして、決して隠しだてをいたしておるつもりではございません。私自身も当時はレース場に出ておりまして、北野さん自身にお会いしたのでございます。北野さん自身からお話を伺っております。北野さん自身に御相談したのであります。北野さんとしては、先ほど申し上げたとおり、熱のある馬は出したくない、それはそのとおりでございます。したがって私どもも慎重にこの取り扱いをしたということでございます。事実は決して、御指摘のとおり熱のある馬を、レースを盛んにしたいということで無理やりに出したということではないということをはっきり申し上げたいと思います。
○綿貫委員 あとから申し上げますけれども、地方競馬においても、獣医さんあるいは審判官、それらがぐるになって不正レースをやった例があるわけでございます。これは私は不正レースとは申し上げませんけれども、非常に強い権限を持っておる。あとからの告白を聞いてみましても、もしこれにさからうとわれわれはめしを食っていけないという人種がたくさんおるわけであります。そういう意味からしまして、この競馬場の開催を握っておられる競馬会というものの権限が非常に強いものだというふうに私ども推測をしておるわけであります。したがって、話をしたからだいじょうぶだったというようなお話でございますけれども、私は、それ以上のことは、ここで追及いたしましても水かけ論になると思うから申し上げません。しかしそういう疑惑を持たれてもしかたがない結果になった。私は、これはやはり万全の対策を講ずべきだったと思います。そういう点であくまでも公正なレースというものが基本であるという理事長のその精神があるならば、私は、もう一ぺんこれについてお考えをいただく余裕がなかったかどうかということを非常に残念に思うものであります。
 そこで、引き続きましてそのインフルエンザの感染ぶりでありますが、二千頭を数えるということまで発展をいたしまして、この春に開催される予定のレースが十八レースも中断されております。これはまことに競馬史上かつてないことでありまして、その後の経過と、総額においてどのくらいの売り上げ損になったかということをお聞かせ願いたいと思います。
○増田(久)政府委員 中央競馬が十六日休みましたし、それから地方競馬は延べで六十八日休んだことに相なるわけでございます。
 中央競馬につきましてどれだけの損が出たかということにつきましては、現在おおむね代替競馬をやる予定にして番組みの編成を組みかえたわけでございますので、中央競馬については、結果的に締めてみなければ、幾ら損かということはわからないわけでございます。ただし、一月、二月のどれだけの売り上げが減ったかと、こういうことになりますと、非常に単純な話で申しわけございませんけれども、大体平均的に一日二十五億売れるであろう、その十六日分が損であった、したがって、その一割の損であるということに相なるわけでございます。約二億といたしまして、国庫にその一割が入るということでいたしますと、ざっと四十億から五十億程度の国損であった、単純計算としてはこういうことになることと思います。
 それから地方競馬につきましては、これは明らかに番組上かわりの日を組むというわけにいかないという実態があるわけで、この二月の損はほとんどまるまる県当局の損害になってくる。その額は、われわれの推定計算では約十九億から二十億の間ではないか、こういうふうに推定をいたしておるわけでございます。
○綿貫委員 自然拡大ということで、競馬の過熱から絶えず予定を上回る収入があるから、多少こういうハプニングが起こって収入が減っても、そう大勢に影響はないじゃないかというような安易な考えもあるのじゃないかと私は思います。
 いろいろと、国庫に対する納付金が減ったからということでございますが、その他このレースが開催されないために直接間接にファンのいろんな娯楽を奪ったというような無形の損失もあります。また競馬関係の従事者の中で、レースが開催されないために、生活面に非常に大きな打撃をこうむった者もたくさんあると聞いております。
 そこで、私は計画の変更についての詳細を手に入れておりますけれども、これからこの十八回のレースにかわって売り上げをひとつ取り返そうという計画が立てられております。地方の福島が八回、新潟の日程もずらす、あるいは中京、京都、大阪などの大レースに焦点を合わせる苦肉の策が見られるのでありますが、はたしてこの臨時計画で、受け入れる側の交通公害やあるいは他のギャンブル公害、あるいは正しいレースが行なわれるかどうかということについてその見通しをお聞かせ願いたいと思います。
○清井参考人 東京につきまして、第一回と第二回を中止いたしまして、二月二十六日の中山から平常どおり開催することができたわけでございますけれども、一日十レースといたしまして百六十レースばかりなくなったわけでございます。しかし、御承知でございましょうが、競馬の番組の編成というのは専門家が非常に苦心してつくるわけでございますけれども、だんだん勝ち抜き勝ち抜きということで条件を上げてまいっておりまして、一着になった馬ばかりで次のレースをやる。それから条件づきで、百万円以上の賞金を取ったものだけというふうにいろいろ条件レースというのがございまして、だんだん勝たない馬から一勝ずつ上がってきたもので勝ち抜きレースという形でレースを組んでまいっております。そういうような番組の編成からいいましても、東京が二回なくなってしまったということになりますと、これは番組編成上からも重要な欠陥が起こるというようなことがございますし、一つには、東京でやめておりましても、関西で競馬をやっておりますので、そこで関西の馬と東京の馬とで差ができるといったような非常にむずかしい問題がございます。かたがた、御指摘でございましたが、これを取り巻くファンはもとよりでございましょうけれども、関係業者の方も大ぜいおられるということで、二回やめたものをそのままにしておくのもいかがか、できればやめた分も代替競馬として編成がえしたらどうだという考え方のもとに、私ども非常に苦心をいたしまして組みかえを実行いたしたわけでございます。むろん組みかえをなすにあたりましては――ふだんの場合におきましても、これはむろん地元と緊密な連絡をとっております。地元の市町関係はもとよりでありますが、警察その他競馬場のすぐ地元の方々にも、いついつこういう競馬をやるがどうだということをあらためて打ち合わせて御同意を得た上でやっております。
 したがいまして、今回変更いたす場合においても、たとえば今度福島は、いままで二回やるのを三回やります。それから東京を七月に一回やります。こういうことにつきましても、それぞれの福島市、府中市の警察、消防、地元というような各方面に十分当たりまして、そういう面の意見を全部聞いた上で実行いたしているということが、いままでの習慣でありますし、今後もいたすつもりでございます。そういった関係から、ただいま申し上げたとおり、東京で二回やめました分を四月の福島と七月の東京というふうに組みかえをいたしたような次第でございます。
 中のレースにつきましてもむろん問題がございます。たとえば先ほど御指摘ございましたダービーでございますが、これが日本の競馬中の一番の大レースということになっております。これは東も西も、両方の強い馬が同じ条件で走らなければならない、こういう前提がございますので、いま申し上げたとおり東京が二回レースをやめたということだと非常にハンディキャップがつきますので、そういったことも考えまして、大レースは全部四週間おくらせました。おくらすにつきましても、これまたいろいろ関係者の意見を聞かなければなりません。そこで十分関係者の意見を聞きまして、合意を得た上でダービーを四週間おくらせまして、それに伴う関係の桜花賞とかオークスとか菊花賞とか皐月賞という大レースがございます。それにつきましても全部それに合わせておくらせるということでやったわけでございますが、いずれにいたしましても二回やめました分をさらにおくらせる。したがってそれと影響ある分を若干ずらすということでやったわけでございますが、御指摘のございました点は全部私どもあらゆる関係者の同意のもとに実行いたしました。したがって、それによって起こる、将来競馬開催によって起こる地元に対するいろいろな影響につきましては、今後十分配慮していかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
○綿貫委員 従来、競馬の開催地における公害問題については、昨年も申し上げましたけれども、市民を守るための警察官がレースの開催時に動員をされて、競馬のための警察官に変わっていく、これについてもいろいろ批判がございました。その口をぬぐうがために、競馬会としては警備をしてくれた警官にチップ程度の祝儀を出す。それが一時は県警本部にいろいろと納付金みたいな形で納められておったこともございます。これだけレースが盛んになるならば、自前でガードマンを雇って警戒すればいいじゃないかというような声もあるくらいでございまして、今後さらにこれがエスカレートいたしますと、そういう問題も含めてさらに公害問題が大きくこういうしわ寄せによって起こるのじゃないかということを非常に憂えるものであります。
 そういう点で、ただいまの理事長のお話もございましたが、特に競馬監督課長にお尋ねしたいと思いますが、レースは、馬が真剣に走ると大体十三日から十四日間休まないと次のレースにはほんとうの力が出ない。だらだら走るのであればそれは幾らでも走れますが、やはりファンは真剣に競うレースを待望しておるわけでありまして、その真剣なレースを何か内容において糊塗するような問題が出てまいりますと、これはやはりファンを無視したレースになるという可能性が強いわけでありまして、今度のこの組みかえによりましてほんとうにそういう内容のある、充実したレースが展開されるのかどうか、そういう監督ができるのかどうか、その確信についてひとつお尋ねをしたい、こう思うわけであります。
○福田委員長 綿貫君に申し上げますが、監督課長も来ておられますが、あなたのただいまの質問は畜産局長からまずしてもらおうと思いますから、御了承願います。
○増田(久)政府委員 先生のおっしゃいますとおり、番組が若干込み合うことによって馬が数多く使われる、あるいはその間に馬の頭数が少ないさびしいレースになるという可能性はあり得ると思います。その可能性は十分あるわけでございますが、現段階で申し上げますれば、先生御承知のとおり、いま厩舎のないぐらいに馬があふれ返っておるという実態があるわけでございます。そういうことで、私は番組で十分ファンに報いられるだけのレースというものは組み得るだろうと思っております。そういう点につきましては、なお競馬会と十分相談をいたしまして、そういう全力疾走しないでファンに対して失望させるような、そして競馬が組めないよう事態にならないように、十分注意をいたしたいと思います。
○綿貫委員 ところで、この流感馬の問題の直接の原因は、その後の発表によりますと、十二月四日に発熱、原因はニュージーランドから輸入された馬がA2型のインフルエンザを持ち込んだというふうに発表されました。しかし、その後否定されております。また一説には、中央競馬会の馬事部長が買い付けた馬が感染源だともうわさされております。しかし、いずれにいたしましても、競馬監督課の課長が、ビールスがどこから感染したかはっきりしないので中央競馬会に責任はないということを新聞紙上に発表しておりますけれども、これは問題ではないかと思います。責任の所在は、やはり競馬の監督官庁である農林省の監督課と、それから競馬会の防疫体制というものが基本でなければならないと思うわけでありますが、すでに三カ月も経過したことでございますから、その責任の所在を明確にすべきだと思いますので、これをひとつお聞かせ願いたい。
 また、十二月四日の発熱から十九日の有馬記念まで事実をほおかむりしておられたのではないかというふうにも勘ぐられるわけでありますが、事実かどうか、これをひとつお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
○増田(久)政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、ニュージーランドから輸入いたしました五頭の馬を媒体としてこのインフルエンザが発生をいたしたわけでございますが、動物検疫所を三日に出まして、四日に福島の競馬場に行って、そこで最初の発生があったわけでございます。その後その馬がインフルエンザであるかどうかということはよくわからない、しかもそういうことの届け出がなかったわけでございます。それで現実にわれわれのところに、どうも普通のかぜではなさそうだということが伝わってまいりましたのが十二月十四日でございます。その結果、家畜衛生試験場で検査して、これはまさにA2型であると判定した。そこではじめてインフルエンザということが確定をいたしたわけでございます。その間に、十二月の十一、十二日に馬事公苑で大会があったわけでございます。そこでまたいろいろな人が集まってくる。そこのところから馬事公苑の馬が十四日に病気の発生を見るということで、それからネズミ算式に各地に、南関東の競馬場あるいは東京、中山、あるいは福島、福山、新潟、春木、こういうようなところに飛び火していって、全部で在厩馬の九割までがかかってしまった、こういう経緯でございます。
 それで、一体このビールスはどこから入ったのだろうか。とにかくニュージーランド産の馬の五頭のうちの四頭が媒体になっていることは事実でございます。しからばこれはどこからうつったかということでございますが、これにつきまして、たまたまニュージーランドの馬が、五頭いるときに、横浜の検疫所に二十七頭の馬が、ダブった形でございますけれども、いたわけでございます。この二十七頭全部につきまして、われわれとして徹底的に追跡調査をしてみました。その結果、その二十七頭の馬の一頭もこの病気にかかっておりませんし、またその馬を媒体としてインフルエンザが出たという事実もございません。といたしますと、この二十七頭からニュージーランドの馬が感染したということにはならない。したがって、ニュージーランドの馬がどういう理由でこのビールスに、かぜにがかったのかということについては、馬を媒体としての原因追及ということではそこで行きどまってしまったわけでございます。それで結局目に見えないビールスでございます。しかもわれわれとしては検疫所に入りますと採血いたします。それから出るときも採血いたします。それで、これは結果的にでございますけれども、検査いたしたところでは、インフルエンザについては全部マイナスと出ておるわけでございます。そういうことで、この馬がどこからかかったかということにつきまして、いろいろ原因を追及いたしたけれども、現段階ではわからないというのが実態でございます。ある類推でございますけれども、一番感染しやすいのは馬同士からだろう。たとえば馬にはのどにたくさん毛がはえている。これは肉体についていればそこに反応を起こすわけですけれども、ほこりなんかと一緒になってそのビールスがその毛の間にとまって日本の国内に持ち込まれてきて、それが何らかの形でうつしたというようなこともあるいはあるかもしれない。しかしこれはあくまでも想像でございます。そういうことで、相手がビールスでございますので、そういう形で入られたとするならば、われわれとして検疫体制としてこれは守りようがないというのが実態であります。防ぎようがないのであります。そういう意味でこれはいろいろどこの責任だとかあるいは何だとかいわれますけれども、われわれとしては検疫体制としてはベストを尽くしてなおかつこういうふうにうつったということであることを御了承、御承知願いたいと思うわけでございます。
○綿貫委員 現在の防疫体制では防ぎようがなかったというお話でございますけれども、あとから中央競馬会の予算、決算の内容の中でちょっと触れたいと思いますけれども、いろいろまだ予算的にこういう問題、もっと真剣に突っ込んでいいような問題にいままで力を注いでこられなかったのじゃないかというようなことを私ども非常に疑問に思うわけであります。これは農林省がやるのか競馬会がやるのか、私はこれは一体のものだと思います。農林省に予算があるからおれは知らぬのだというようなものじゃない。やはり中央競馬会の中において、せっかくこれだけ馬がおるわけですから、その防疫体制ということについて、みずからがもっと予算をつけ、もっと積極的に研究すべき分野が残っておったと思います。そういう点でいままで多少努力不足であったというような面が見られるのじゃないかということを私は申し上げたかったわけであります。これについてはさらに今後もある問題でありますから、万全の防疫体制を確立するようにひとつさらに努力を願いたいと思います。
 そこで競馬会の体質に触れるもう一つの問題といたしまして、同じく昨年末のことでありますけれども、日本中央競馬会が茨城県の美浦村に建設中のトレーニングセンターの用地買収をめぐりまして、農地転用の不正事件があったというふうに報ぜられ、農業委員が逮捕されております。調べによりますと、中央競馬会が百億の予算で計画した美浦のトレセンの建設にからむものでございますが、当初の予定の土地買収費九億四百万円があっという間に十五億六千万円にはね上がった。これはブローカーの介在により不当な利益が中に介在したのではないかという疑惑が持たれております。中央競馬会の中にはトレセン計画室というものもつくってあるようであります。しかしこれは全く官庁的なものだというふうに聞いておるのであります。トレセンに関してはもっぱら村に一任というようなことで、トレセン計画室は何か直接には責任をとらないような体制になっておるのではないかというふうにいわれておりますが、この一連の事件の真相とトレセン建設の実情をひとつ簡略に御説明願いたいと思います。
○清井参考人 御説明申し上げます。
 トレーニングセンターという英語で申し上げて恐縮でございますが、まあ訓練場でございます。これは御承知のとおり、最近公害問題が盛んに議論されましたし、競馬場の中の実情からいたしましても、競馬場のレース場の隣に厩舎がありまして、そこに馬と人が一緒に住んでいるというような現状でございます。そういうことでございますし、もともとはあき地であったものが、どんどん工場なり人家がそばまで来る、そばにうまやがあってレースをするというようなことで、まわりからもいろいろ問題が出てくる、また、競馬場自体からいたしましても、馬がどんどんふえてまいりますと、厩舎も狭くなる、用地もなかなかない、空気も悪くなるというようなこと、内的、外的な両方の条件からして、競馬場のすぐ隣に厩舎があって、そこにしょちゅう住んでいるというのはおかしいじゃないか、だから、馬がしょちゅう住んで訓練をする場所と競馬をする場所とは切り離したほうがいい、外国ではそういう例が多いのでありますが、そういう意味でトレーニングセンターというものを東と西と一つずつつくりまして、そこへ全部馬を集める、そこで毎日毎日訓練をする、そして競馬のあるときだけ競馬場へ行って競馬をするということにしようじゃないかということで、西のほうは滋賀県の栗東町にトレーニングセンターをつくりまして、これはすでに完成をいたしております。そこへ中京の馬と京都の馬と阪神の馬とが集まっております。そして、レースがあるときだけそこへ行くということでありますが、それと同じものを関東にもう一つつくります。東西一カ所ずつでございます。できました暁には、現在の東京競馬場の馬と中山競馬場の馬が、約二千頭でございますが、そこへ集まるということで、用地をさがしまして、ちょうど栗東トレーニングセンターの用地が当時の栗東町を相手にして買収をいたしましたので、それと同じ形をとろうということで関東付近に用地を求めまたし結果、やっと適地といたしまして茨城県の美浦村に決定をいたしました。
 決定の経緯を申し上げれば長いことでございますけれども、結局、私どもの基本方針といたしましては、まず県庁で認めてもらうということ、それから業者は相手にしないということ、必ず村全体が一致して誘致をしていただくということでありませんと、いろいろ問題が起こる可能性がありますので、そういう基本線で用地をさがした結果、美浦村が村をあげてぜひトレーニングセンターをこちらに誘致したいというたびたびの陳情がございました。村においても村会一致で決議がございますし、村会議員全体で誘致委員会をつくっておられるということで、村長以下村会をあげて誘致を熱心に運動されておったような次第でございます。私どもも茨城県知事とお会いいたしまして、知事さん立ち会いの上で美浦村の買い入れを決定いたした、こういう実情でございます。
 しかしながら、事志と違いまして、決定いたしまして買い入れを進めましたものの、実はその当時約束いたしました金額ではなかなか土地が手に入らないというような事情になってまいりました。当時、私どもといたしましては、大体それぞれの種類ごとに用地の単価をきめまして、たとえば田は反当五十五万、畑は反当五十万、山林は反当四十七万、原野は反当四十万、平均いたしますと反当四十八万になりますが、そういうことで約百八十町歩ばかりの土地を獲得しようということでございます。相手の地主さんは約百七十人余、そういう大仕事でございまして、私どもは直接買うわけにはいきませんので、むしろ買うよりも地元におまかせしたほうがいいということで、村が全部お引き受けいただくということで話が始まったのでございます。ところが、買い入れを始めましたところ、なかなか思うように買い入れをすることができないということで、当初計画いたしました予算よりも大幅にこれが上回ったということになったのであります。それがただいま先生御指摘の点でございます。
 たとえて申しますと、当初私どもは十億七千万円くらいあればやれるのではないかということで計画いたしたのでございますが、実際問題として約五割増になりました。そういうようなことで、非常に苦心をいたしておるような次第でございます。この原因と申しますのは、当時私は少し考え方が甘かったかもしれませんけれども、村当局としては大いに賛成をしてくれましたけれども、御承知のとおり山を一つ越しますと隣の千葉県に例の空港の問題がございます。鹿島臨港の問題がございます。それから筑波学園都市の問題がございます。そういったことで、土地の値上がりする要素が一ぱいあったわけでございます。そのほかに工業団地その他がどんどん入ってまいりまして、見る見るうちに値上がりしたということでございますので、買い入れしているうちにどんどん値上がりいたしました。したがって、農家の方は現金で売るよりも代替の土地をくれということでございます。そこで、代替地を買ってその人に交換するという形をとったわけでありますが、その代替地を取得するのに当初予定した金額では買えないということで、単価が上がったということでございます。そういうことで、どうやらやっとめどがつくばかりになりましたが、まだ二人ばかり残っております。まだ完全に買い入れが済んでいないという状況で、私どもほんとうに苦心いたしたのでございますが、これは私自身したことでございますし、村の御当局にごやっかいになりながらいまだに完全に買い入れすることができないのははなはだ残念なことでございますが、お二方に納得をいただいて買い入れを完了いたしたい、こういう状況でございます。
 そういう状況でおりますときに、昨年の暮れでございます、新聞に記事が出まして、本会の土地の買い入れと関連して何か不正事件があったということが報道されました。その新聞によりますと、あたかも私どものトレーニングセンターと関係があるようなことでございましたので、これはどういうことであろうかということでさっそく村に照会いたしましたところ、これは本会とは全然関係のない話である、ある不動産業者が宅地造成法違反ということで調べられた結果、村の農業委員会の書記か何かをごちそうしたというようなことで問題が起こったということのようでございます。そこで、その土地が本会の買い入れ予定の土地であるのか、本会と関係があるのかということを調べましたけれども、村側の回答によりますと、全然競馬関係とは無関係のことだからということでございましたので、私その点については安心したわけでございますが、思うに、その業者というのは、将来トレーニングセンターが来れば関係の人たちが大ぜい来るから土地が必要になるだろうというような、先を見越して何かやったのじゃないかというような気もするわけでございます。そういうことがありといたしますれば、私どもといたしましては、間接的ではございますけれども、あそこへトレーニングセンターをつくるということが一つの動機になったかもしれません。しかし、関係があるかということになりますと、本会とは関係がないと申し上げざるを得ないわけでございますが、いままで土地の買い入れに非常にごやっかいになっておる村側に少しでも御迷惑がかかるということがあってははなはだ申しわけないという感じはいたしておりますが、事実はそのとおりでございます。
 そういうことで、私どもといたしましては、いまだにこの買い入れに苦心をいたしておるわけでございますけれども、西のほうができてもう活動しておるわけでございますので、早く東のほうのトレーニングセンターをつくって、東京と中山の馬を一緒に持っていって、いわゆる公害というような状況を早くなくさなければならないという考え方でやっておりますので、その点どうぞ御了承願いたいと思います。
○綿貫委員 最近ファンの中からも場外馬券場をふやせというような声が非常に高まっております。また、競馬会においても増設をしようというような動きもあります。しかし、これらの問題とも関連して、このトレセンの問題にいたしましても、対症療法として、まあこうなったからこうするのだというような簡単なものではないと私は思います。むしろ競馬会の正しい姿勢、少なくともそういう疑惑を持たれないような姿勢、あるいは一つの建設問題にいたしましても、さらに周到な準備の上にされないと、ただ途中で何とか値上がりしたからしようがなかったというようなやり方では、私は今後非常に問題が多いと思います。したがって、今後場外馬券場の増設については、そういう安易な考えでやってもらっては困ると私は思います。この問題については、私ども今後競馬会の正しい姿と前向きの設備投資というものとの関連をひとつ十分注目していきたいというふうに考えております。
 次に、昨年私がこの委員会で取り上げました中山競馬場の地主と競馬会との紛争の問題につきましては、昨年、競馬会あるいは畜産局、そして地元とが同じ土俵の上に立ってひとつ裸で話し合いをしてもらいたいということを要望しておきました。最近急速に解決の方向に向かっておるようでありますが、早急に解決のめどがつくのかどうか、ひとつ畜産局長にお尋ねをしたいと思います。
○増田(久)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、われわれとしても一日も早急に片づくことを期待いたしておるわけでございます。
 詳しくは競馬会の理事長よりお答えいたしたいと思います。
○福田委員長 ただいまの綿貫君の質問に対して、畜産局長の補足として理事長の発言を許します。理事長。
○清井参考人 この問題につきましては、昨年の当委員会でも先生から御質問を受けました問題でございます。これは長い間の懸案でございまして、中山の用地の地主と私どものいわば民事的な紛争であったわけでありますが、先生方にまで御迷惑をかけるようなことになったわけでございます。私どもといたしましても、従来われわれがとってきた法律的な見解に基づいて主張をいたしてまいっておりまして、地主会といたしましては地主会といたしましての立場から御主張があったわけであります。そこで、両方が意見が対立いたしまして今日までなっておるわけでございますが、競馬会の基本的立場といたしましては、先ほど先生たびたび御指摘の点がありましたとおり、こういう種類の仕事をいたしておりますれば、やはり経理面は完全に厳重にやることはもちろんでございますけれども、競馬を施行することによって十万近い人が集まってくるような状況でございますから、何としても周辺の方々に御迷惑をかけないようにすることが必要だし、また関係の方に御迷惑をかけるとすれば、それをなるべく早く解決することが本会の基本的立場でなければならないことはもちろんでございます。ただ、この問題は、やや法律的な問題がからみまして対立を続けてきたわけでございますが、いつまでも対立を続けておりますということは、私どもの本意ではございません。何とかして至急検討を続けまして、地主会とも誠意ある接衝をいたしまして、早期に解決を見るようにしたい、こういうつもりでおりますので、御了承願いたいと思います。
○綿貫委員 ちょっといまの理事長の御発言でひっかかるところがあります。十万もファンが来てしかたがないからもう解決してやるんだ、こういうような回答に私は聞こえたのです。しかし、昨年私はこの問題でずいぶん突っ込んでお話したはずであります。借地権の問題をめぐりましてこれは国税庁と農林省の間で考え方が違う、そういうことになりますと、もう一ぺん振り出しに戻ってこの問題をやり直さなければいかぬ問題になるわけであります。私はそういう基本問題を踏まえてお話をしておるのに、何かこれは競馬会を正せとか言うておるし、それからファンも来ておるから、そろそろこれを解決してやらなければいかぬというような、そういう高圧的な発言であるのか、ほんとうに善意をもっておやりになるのか、その辺を正しくお答え願いたいと思います。
○清井参考人 私の申し上げようが悪かったのかもしれませんが、私どもは善意をもって解決したいということでございます。ただ、私申し上げたのは、競馬の事業の性格をちょっと申し上げまして、他人さまに御迷惑をかけないようにしなければならないのが私どもの本意であるという意味で申し上げたわけでございまして、昨年もきびしくお話をいただいたと思いますので、善意をもって早くこの問題を解決するように進めてまいりたい、こういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
○綿貫委員 それでは、次へ進みたいと思います。
 私は、さきの決算委員会で、農林省の天下り人事について中央競馬会の役員構成を指摘いたしてまいりました。きょうはさらにここで突っ込んでながめてみたいと思うわけでありますが、最近三カ年の決算書を見ますと、昭和四十三年二千四百二十八億七千万円の収入、四十五年には四千六十九億八千万円、つまり二カ年で伸び率が一六七%。ところが、一方役職員給与というのを比較してみますと、四十三年が十一億円、四十五年が二十三億八千万円、その伸び率は実に二一六%、これはもちろん人件費の上昇というようなことで当然ふえるということは見込まれますけれども、特にこの中で役職員給与という項目の中に、役員同額の顧問、参与手当六千万円を計上しております。一体この顧問、参与というものはどういうものなのか、そしてこの多額の顧問料というものはなぜ払わなければならぬのか、これについてひとつ御説明願いたいと思います。
○清井参考人 お答え申し上げますが、私ども競馬を実施いたしてまいります場合に、特別な知識、経験を持っておられる方に特に顧問になっていただく必要がある場合があるわけでございます。これは競馬会だけでなしに、そういう場合がほかにもあるかと思いますが、私ども競馬という特殊な事業をいたしておりますので、外との関係でやや不十分な点を感じます場合には、それぞれの専門の方に顧問とか参与という形で仕事をしていただくということにいたしておるわけであります。そういうことで、本会にも顧問という方が数名おられます。参与も、ちょっと人数を覚えておりませんが、数名おられるわけでございますが、そういう観点からいろいろな仕事をしていただく、こういう立場に考えておる次第でございます。
○綿貫委員 常任顧問とか常任参与、非常勤顧問とか非常勤参与、いろいろ名簿が参っておりますが、いろいろの歴代理事長さんもこの中にお入りになっています。清井さんもこの中に入るのじゃないかと私は想像いたしております。したがって、この六千万円の顧問、参与料というのは、競馬会は潤っておるからこのくらいの金額を出してもいいのじゃないか、こういう考えもあるかもしれません。しかし、これは、公平な考え方からまいりますと、一般市民あるいはファンからいたしますと、多いのじゃないか、あるいはそんなものは要らないのじゃないかという声もあるかと思います。この辺について、ひとつ十分検討していただきたいということを申し上げておきます。
 さらに、予備費というものの流用についてもほとんどが人件費と旅費というところに片寄っております。そうして馬事振興費だとかあるいは従業員の養成とか、免許試験あるいは調査研究、こういう費用が、予算に計上されておることもむしろ全額執行されていない、こういうような面がたくさん見られるのでございますが、これは人件費だけは予算よりもどんどん流用して多くしていくけれども、ほかの馬事振興だとかあるいは調査研究、あるいは先ほどの防疫体制といったような問題を含めて、ほんとうに正しい予算が組まれているのかどうかということに非常に疑問を持つわけであります。馬事振興ということが競馬というものが成り立つ基本であります。それの問題について予算をおろそかにして、何とかやっていけばいいというような安易な考え方は、私は非常に慎むべきだと考えております。
 そこで、先を急ぐためにさらに次を申し上げたいと存じますが、ある調教助手から私に投書がきております。調教助手というのは、地方競馬会で競馬施行規程にも明記されて、身分の保障もできておる、ところが、中央競馬会においてはそれがない、身分の保障もなく、職制もはっきりしていないと嘆いておるのでありますが、その実態というものはどうなっておるのか。これは馬丁さんや助手さんの将来について非常に大きな問題であります。先ほどの従業員養成というような費目がありながら十分に予算化されていないというようなこととを考えあわせまして、これについて前向きの検討をいただけるのかどうか、ひとつ御答弁願いたいと思います。
○清井参考人 お答えする前に、先ほどいろいろ御注意をいただきました点、私どもといたしましては、競馬の健全な発展ということと姿勢を正すという意味において、今後十分努力をいたしたいと思います。
 調教助手の問題でありますが、申し上げるまでもなく、制度は調教師と騎手と馬丁しかないわけであります。調教師だけでは仕事ができませんので、調教助手という制度を本会だけで認めております。その他は法律に規定してあるわけでございます。これはあくまでも助手でございます。したがって、調教助手には現在約二百五十人おられるわけでございますけれども、将来調教師になりたいという御希望があっても、調教師そのものの場所があまりございませんので、なかなかなれない。それでは調教助手としての身分が保障されているかというと、なかなか問題があるということで、御指摘のとおり調教助手の地位ということはそう確実なものではございません。ただし、これは全部組合をつくっておりますので、その任用とか採用、これはかってにできません。これは全部調教師の雇いでありますので、したがって調教助手はいわゆる馬丁の労働組合と別途労働組合をつくったり、あるいはその組合に入っている者もあるというようなことで、組合をつくっておりますので、そう恣意によってかってに身分がなくなるということはございませんけれども、将来の希望というものは確かにむずかしいわけでございます。したがって、この調教助手という制度をどういうふうに生かしていくか、調教師の助手としての地位を高めていくかということが、今後競馬運営上の問題点であることは確かでございます。この点につきましては、調教師にもいろいろ問題がございますので、調教師、調教助手、騎手、そういったいわゆる馬に直接タッチする仕事に従事している方を今後どういうふうにもっていくかということは競馬会の今後大きな問題であります。したがって、この点は先ほど局長から、将来法律改正も考える、競馬懇談会でいろいろ研究していただいておるというお話がございましたけれども、そういうところにも問題が出ようかと思いますが、私どもといたしましては、この制度を調教助手のみならず全部含めまして地位の向上、将来に希望を持たせる方法をどういうふうにするかということについて検討いたしてまいりたいと思いますが、いまちょっと具体的にお答えいたしかねますが、積極的に進んで研究を進めてまいりたい、こう考えております。
○綿貫委員 中央競馬会につきましては以上いろいろと指摘を申し上げました。競馬ということについて実はいろいろと先ほどから正しい競馬ということを申し上げましたが、これが正しくない競馬ということで地方に飛び火をいたしております。それは昨年の石川県の金沢競馬、ここにおきまして、あと三日で終わろうといたしておりました十二月三日のことでありますが、金沢地検の特捜部は競馬開催中の金沢競馬事務所を家宅捜索いたしました。その結果、公務員を先頭にした不正レースが発覚いたし、前代未聞の乱脈ぶりが摘発されたのであります。事件の発端は、あまりの不正でたまりかねた県庁のある職員が投書したということから発覚したわけであります。しかしその投書がされましても、県庁ではこれが無視され、県警本部でも無視され、農林省の競馬監督課でもほおかむりをされたというふうに聞いております。ところが、この告発した職員が暴力団の恐怖におびえまして、ノイローゼになって東京に出奔をし、練馬署に保護されました。ここで初めて事件が大きくクローズアップされてまいったのであります。内容は、昭和四十四年から四十五年の一年間にわたる全レースが不正レース、しかも主催者も馬主も調教師も騎手も獣医も共謀、馬券を大量に買い込み、馬に興奮剤を打っては順位を調整するという乱脈ぶりであったと聞いております。こういう不正レースを見せつけられ、ほんとうに正直者のファンはばかをみたわけであります。この責任の競馬監督課あるいは畜産局は一体この点についてどういうふうにお考えになっておりますか、お尋ねしたいと思います。
○増田(久)政府委員 われわれ競馬につきましては、それが厳正に行なわれ、公正なる競馬が確保されるようにということで、その指導については厳正にやっているつもりでございますが、特に地方競馬につきまして不正レース事件があとを断たないというのが実態でございます。四十五年にも不正レースが四件、四十六年にもやはり四件ある。それぞれ不正レースの特色として見てまいりますと、暴力団との関連において不正レースが組まれるという例が実に多いのでございます。そういう点まことにわれわれの指導が十分至らないという点について反省せざるを得ないわけでございますが、一体こういうことがなぜ起こるのだろうかというふうにわれわれ考えてみているわけでございますが、やはり競馬社会の持っている、特に地方競馬の持っている体質の古さとか、あるいは管理者の大半が収益第一主義で、管理体制というものに十分の注意を払っていない、あるいは地方競馬独特の制度でございます馬主別当、馬丁さんが同時に馬主であるとか、こういうふうな問題、それから施設が十分にできていない、こういうふうないろいろの問題があるように思うわけでございます。そういう意味でわれわれは、こういう点の改善につきましてはもう厳重にいま督促と申しますか、その管理体制の整備、施設の改善それから監視体制の強化、たとえば騎手の調整室をつくるとか、あるいは尿の検査の厳正を期すとか、あるいは保安協会をつくってその身元の調査を十分に行なうとか、こういうようなことに力を入れてやっておるわけでございますが、要は関係者の自覚でございますので、今後関係者と十分相談いたしまして、また指導いたしまして、こういうものの絶滅に全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。
○綿貫委員 昨年も私は指摘いたしましたし、今回も申し上げたいと思うのでありますが、やはり監督官庁である農林省と競馬の関係者、こういうものの癒着が非常に大きな原因じゃないかと思います。先ほどの顧問とか相談役とかいろいろなものがございましたけれども、これらも、非常にていさいのいい言い方をすれば先輩の意見を聞くということになりますけれども、これは先輩、後輩あるいは役所、こういうものとの一つの人間関係を強める、これはいい言い方でございまして、癒着を強める現象の一つだと私は思っております。そこで、この事件に関しましてはすでに逮捕者十四人、中西石川県知事は県議会を通じて県民に陳謝をいたしております。また石川県の農林部長は進退伺いを出しました。大がかりな地検の捜査が進むにつれまして石川県はもとより、全国の競馬ファンはそのずさんな監督のしかたに非常に大きな疑惑を持っておるわけであります。畜産局の競馬監督課長あるいは監督官というものは、不正レースの監視をやるのが任務だと私は思いますが、畜産競馬の運営の指導を行なうという名目で昭和四十五年の四月二十七日に金沢市を訪れ、そのまま温泉に入って、金沢競馬関係者の接待を受けておるのであります。その後贈収賄容疑で四回にわたり地検の取り調べを受けております。私は、検事の調書をはじめ、当時の出席者あるいはその日の会の出席者などから資料を取りそろえておりますけれども、これらの問題についてどのようにお考えか、もう一度重ねてお尋ねしたいと思います。
○増田(久)政府委員 農林省の監督責任の地位にある者がそういう接待を受け、そういう疑惑を持たれたということにつきましては、まことに遺憾だと思っております。しかし新聞に伝えられるような事実ではなしに、現実に不起訴になっておるわけでございまして、その点は役人としての節度は十分守ってももらったものと確信をいたしております。なお、こういうことは今後起きないように厳重に注意してまいりたいと思います。
○綿貫委員 ただいまの局長の御答弁では、不起訴になったからまあこれから気をつけるというような御答弁でありますけれども、検事の話を聞きましても、行政官として当然社会的、行政的制裁が加えられるから、それ以上の深追いをしないということをはっきり言っておるわけであります。しかし十四人のほかの競馬関係の者は全部起訴されておるわけであります。役人であるがために、行政官であるがために不起訴になったというその基本的な、多少の情状酌量を心得ずして、まあ不起訴になったからたいしたことはなかったんだ、新聞が悪いのだ、こういう言い方は私は正しくないと思います。私が先ほどから申し上げておりますことは、中央競馬会、地方競馬会を問わず、すべて競馬というものは、これだけ過熱したファンにささえられておる以上は、いささかなりとも疑惑を持たれる運営なり監督があってはならないというのが私どもの強い信念であります。それにはただいまの畜産局長の御答弁は非常にあいまいだと思いますが、もう一度重ねて御答弁を願いたいと思います。
○増田(久)政府委員 競馬の監督につきまして、いやしくも一般ファンから疑惑を受けるようなことのあることはまことに遺憾だと思います。当然だと思います。そういう線で今後十分注意してまいりたいと思います。
○福田委員長 ここで畜産局長に委員長として一言伺いたいのだが、先ほどの御答弁の中において、そういった事件で、調べの過程において、解釈のしようによると、そういった新聞とか世間には騒がれても、犯意が不鮮明であるというように推定されるもとで不起訴になったというようなことばがあったが、先ほどあなたの御答弁の中の不起訴云々ということは、この際一応きょうの御答弁でお取り消し願いたい。ずいぶん畜産局長もあるいは中央競馬会のほうも質問者の質問に沿うて鋭意検討されつつあるので、ただいまの御答弁はちょっと誤解をこうむるおそれがあるように思いますので、お取り消し願いたいと思いますが、いかがでございますか。
○増田(久)政府委員 私の本意、趣旨を誤解される点があろうかと思いますので、そういう点は取り消してけっこうだと思います。
○綿貫委員 いろいろと役所内において、かばうとか、あるいは同僚意識、先輩意識というものがあると私は思います。しかし、こういう事実が一応明るみに出た以上は、公正なさばきがないと、今後の競馬というものの存廃論につながると思います。すでに監督課長は御栄転になっておりますし、いま問題になりました監督官はなお今日現在監督官として在職中であります。こうした真の体質改善をなさずに、ただいま局長が言われたような、これから気をつけるということだけでは、私は済まされないのじゃないかと思います。すでに公営競馬の存廃論というものが一時論ぜられましたが、これだけファンの中に定着した競馬をやめろとは言いません。正しい形ならば私はもっともっと存続させてもらいたい。しかし、その中にいささかなりともそういう不純なものがあるとするならば、私は存廃論の根本に触れなければならない問題が起こってくると思います。私は今度のこの事件を見まして、ちょうど昔の悪代官とイカサマ師が結託をして賭場で賭博をやっておるような、そういう前時代的なものを思い起こされたのであります。少なくともトレーニングセンターというような近代設備をつくってまでこれからどんどん愛される競馬にしようというような動きがあるときに、こういう古い行政体質をこの際こそひとつふるって勇断をもって改善するだけの自信を持ってもらいたいというふうに強く要望をする次第でございます。
 時間がいよいよ参りまして――大臣は来られるのか、来られないのですか。
○福田委員長 綿貫君にお伝えしますが、大臣は後ほど参りまするから、ちょうどあなたの時間をちょっとオーバーしたきらいがありますし、ほかの各党の先生からの御質問がありますので、暫時あなたは御休憩願いたいと思います。
○綿貫委員 では委員長、せっかく私呼びました競輪と競艇の関係の方おりますので、その問題をちょっと触れさせていただきます。
 今回、ギャンブル問題というものが非常に過熱すると同時に国民の間に定着してまいりましたので、これに対してたとえばギャンブル税を取るとかいろいろな問題が政治の上でも話題になってまいりました。
 そこで、私はいま競馬を例にとりましたけれども、競輪、競艇、これらもやはり同じような性格のものでございます。競輪につきましても、これはいろいろ戦後の復興に尽くしてきたこともたくさんわかります。しかしながら、昔と同じような社会福祉、スポーツ振興というようなことで、一号交付金、二号交付金という比率も変わっておりません。また自転車振興会や自転車競技会あるいは市町村の関係などいろいろ複雑多岐な関係があるようでありまして、これらの問題につきまして抜本的な改正を検討されるか、あるいは運営の体質改善をされる方向にひとつ努力をされていかれるのかどうかということをお尋ねし、さらにいまギャンブルの中でも競輪だけが水曜日に休みをとって、あとは非常におおらかな気持ちで開催されておるということにつきましてもひとつお尋ねをしたいと思います。
 さらにもう一つ、モーターボートにつきましても、いろいろと騒乱事件なども起こしておりまして、せっかく当初の目的でありましたいろいろ健全な娯楽としての発展とうらはらの関係も生まれております。これらについてもひとつ今後基本的な検討をされるお気持ちがあるかどうか、これは通産、運輸両当局からお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○矢島政府委員 競輪は、昭和二十三年にできましてからもう二十三、四年たつわけでございますが、その間いろいろな問題がございましたし、現在におきましても相当問題がないことはないわけでございますので、常にその運営については深い反省を加えてまいりたいと思っている次第でございます。
 先生御指摘の交付金の問題、これは競輪の存在意義の一つになっておるわけでございますので、この運営につきましても常に検討を加えていかなければならぬと思いますが、まず、先生のおっしゃるように、競輪の収益を公益事業の振興のために積極的に活用するということは当然でございまして、これまでもいわゆる二号交付金によってその推進をはかっておるわけでございまして、今後もこの分野、すなわち公益事業の分野の需要の増大にこたえて事業の内容の充実をはかっていかなければならぬと思っております。しかし、他方、機械工業のほうにつきましても、二十九年からは自転車だけでなくて機械全般につきましても補助事業をやっているわけでございますが、そのために自転車だけでなくて機械工業の振興も大いにはかられてきたわけでございますが、今後の機械工業は六〇年代と全く様相を異にした新しい問題に直面しているわけでございます。すなわち公害問題、それから安全問題等、機械工業と国民生活の調和の要請、自主技術の開発、あるいは省力化、システム化、そういうものをやる必要があるわけでございまして、こういう情勢に即応して、競輪収益の補助の方針も従来に比べて広範かつ多様な内容をやらなければならぬ。いま言いました公害防止機器の開発、あるいは産業の情報化、システム化、中小機械工業の高度化というような点に重点が置かれておるわけでございますので、この機械振興資金に対する要望額も非常に上昇を見ておりまして、四十七年度のごときも補助予定額の二・四倍に達しておるということでございますので、新しい要請に応じて有効に使うようにしなければならぬということでございますので、その具体的補助の運営につきましてはすでに検討を加えておりますけれども、交付金の率につきまして、一号交付金、二号交付金と、率につきましては現在のままが適当ではなかろうかと考えておる次第でございます。
 以上が交付金の点でございますが、その他の運営につきまして、これまた問題がないように、特に不正な自転車競走の防止というためには常に反省を加えておるわけでございまして、そのための組織として中央に競輪公正安全中央委員会というものを設けまして、関係者でもって常に検討しております。あるいは競輪学校における教育、訓練によりまして人格形成に主眼を置いた教育をやらせる、さらに選手の訓練は各自転車競技会を中心として、常に既成選手についてもその訓練につとめているというようなことをいろいろやっておる次第でございます。
○福田委員長 これに関連して、運輸省の田坂船舶局長が出席いたしておりますから、運輸省所管のただいまの問題は田坂君に所見を申し上げさせます。田坂君。
○田坂政府委員 モーターボートの公営競技の運営につきまして、基本方針といたしまして、公正にして明るい真の国民の健全なレクリエーションたるべきものということを私どもは基本に考えまして、モーターボート競技に実際に当たられます各団体の方々と指導、監督並びに協力して運営いたしておるわけでございますが、先ほど先生からお話のございました騒擾事件につきましては、最近におきまして顕著なものは幸いにいたしまして皆無になっております。今後ともその方向で私どもは進めたいと存じております。
 なお、船舶振興会を通じまして日本の国益のために使用されております一号交付金並びに二号交付金の比率の問題でございますが、一号交付金につきましては、造船関連工業並びに海難防止の資金として使用しておるわけでございますが、特に造船関連工業につきましては、中小企業の振興を中心にいたしまして使用しております。中小企業の近代化あるいは合理化、また今後の船舶の安全並びに船舶の経済の向上、そういう方面になおさらに努力をすべき点が多々ございますので、この面につきまして、さらに今後それを二号のほうに重点を置きかえるというふうな事態ではないかと存じます。海難防止につきましても、まだ非常に問題がございますので、従来から行なっております方針でまだしばらく進めていくべきと私どもは考えておりますので、よろしく御了承願いたいと存じます。
 以上でございます。
○綿貫委員 競輪も競艇も、私は事務的な答弁を聞くために申したのではないのでありまして、今後さらに大きな政治上の課題として抜本的に検討する時期にきておると私は思います。そのやり方あるいは運営のしかた、そういうものがあると思いますので、次回にまたそういう機会があれば重ねてお尋ねをすることにしまして、私の質問を終わりますが、あとから農林大臣が来ましたら、一言だけお願いします。
○福田委員長 この際、阿部文男君より御質問の通告がありますので、これを許します。阿部文男君。
○阿部(文)委員 すでに三月一日からモスクワにおいて日ソ漁業交渉が始まっているわけであります。ことしの交渉がはたしてどのような結果になるのか、いまここで予測めいたことを申し上げたくありませんが、ことしはマスの不漁年であり、例年の交渉経過から見ましても、今回の交渉は、これまでにないかなりきびしい結果が出てくるのではないかと憂慮されるのであります。そこで、私はこの機会に、日本とソ連との間の長年にわたる北方漁業の交渉の歴史を振り返ってみて、わが国としてこれらの問題を今後どのように解決していくつもりなのか、激動する世界情勢の中で日ソ間の最も重要な懸案問題でありますので、ただいまから北方海域における安全操業及びサケ、 マス、カニの漁業交渉等、北方漁業権の補償問題について、順次大臣に質問したかったのですが、長官が見えておりますので、長官に質問申し上げとう存じます。
 まず第一に、歯舞、色丹、国後、択捉島の周辺海域における安全操業の問題について伺いたいと思います。
  〔委員長退席、鳥居委員長代理着席〕
 この問題につきましては、長官も御承知のごとく、昭和三十二年六月に、当時の門脇駐ソ大使からグロムイコ外務大臣に対して初めて安全操業の申し入れを行なって以来今日まで、延々と十五年の長きにわたって交渉が続けられているわけでありますが、実質的には、いまだに何らの進展を見ていないのが実情であります。この間ただ一つの例外的ともいえる成果は、昭和三十八年六月に成立したところの貝殻島水域におけるコンブの採取協定であります。この協定は、なくなられた高碕達之助先生が六年の間の長きにわたって非常な努力をなされた結果、ようやく実を結んだ協定でありますが、これはあくまで民間協定なのであります。
 それでは政府間の交渉はどうなっているかといいますと、日ソ共同宣言調印以来十五年間、いまだ何一つ具体的解決のあとは見られないまま現在に至っているのであります。この間、なるほど昭和四十五年五月の赤城私案、昭和四十四年九月の愛知私案、また昨年十月の赤城農林大臣のモスクワ訪問など、政府もこの問題打開のために努力をなさっておられることは了解できないわけではありませんが、とにかく具体的な成果が全く見られないまま今日に至っているのであります。この十五年の間、ソ連側の監視船の影におびえながら細細とようよう自分たちの最低の生計を立ててきた北海道漁民の苦しみは、まことに言語に絶するものがあるのであります。すでに昨年の十二月までに拿捕された漁船千三百六十三、人員にして一万一千五百八十八名にも及んでおります。この窮状を知る者にとっては、もはや一刻も放置しておけない深刻な問題ともなっているのであります。しかるに、政府のこの問題に対する取り組み方はまことになまぬるいといわざるを得ないのであります。
  〔鳥居委員長代理退席、森下(元)委員長代理着席〕
世界の情勢は日に日に変化しています。米中や日中の問題、北鮮そして北ベトナムとの接触、あるいはグロムイコ外務大臣の訪日、モンゴルとの国交回復、このように国際間の問題は刻々と変わりつつあるのに、事日ソ間の安全操業交渉については過去十五年間一向に進展を見ないのでありますが、政府はこれまでのとおりの成り行きまかせのような、まことに誠意のないスローテンポの交渉をこれからも続けていかれるのかどうか、まずこの問題に対する長官の考え方をお聞かせ願いたいのであります。
○太田(康)政府委員 先生からのお話にもございましたとおり、昭和三十二年以来北方安全操業問題につきましては話し合いを進めておるわけでございますけれども、おっしゃるとおり見るべき成果がないということはまことに遺憾であるわけでございます。政府といたしましても、この問題はまことに人道上の見地からもゆゆしい問題であるというような基本的立場に立ちまして交渉を続けておることは御承知のとおりでございまして、現に昨年の一月にも政府レベルによる交渉をいたしたのでございますが、その際におきましては、対象水域の範囲をはじめ日ソ間の見解の隔たりが大きいというようなことで、話が進まなかったことは御承知のとおりでございます。その後、新関大使とイシコフ漁業大臣との会談を続けるとともに、昨年の十月農林大臣が現地にいらしたときも、イシコフ漁業相とこの問題の話し合いをなされましたし、さらに本年の一月に訪日したグロムイコ外務大臣に対しまして、福田大臣あるいは私どもの赤城大臣からも本問題の早期解決を申し入れるというようなことで、解決につきましては種々前向きに取り組んでおるわけでございます。
 先ほど申し上げましたように、この問題につきましては、私どもといたしまして、北海道沿岸漁民の多年の宿望でもあり、なおかつ人道上ゆゆしき問題であるというようなことから、拿捕防止の観点からも早期に解決を要する問題であるということで、今後も積極的に対ソ交渉を進めてまいりたいということを基本姿勢にして、この問題に取り組んでおるということでございます。
○阿部(文)委員 ただいま赤城大臣がお見えになりましたので、次に大臣にお伺いいたします。
 昭和四十四年の九月に訪ソされました愛知前外務大臣による新提案、いわゆる愛知私案につきましては、昨年の一月交渉の際に、ソ連側が歯舞、色丹のごく限られた若干の水域という対案を出しましたが、
  〔森下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
日本案とあまりにもかけ離れておるので、日本側が操業水域について意識的に本格的な話し合いを避けたと聞いているのであります。この問題について当時の新聞の報じるところによりますと、政府内に、安易な妥協は避けたほうが長い対ソ関係から見て得策だという意見と、とりあえず歯舞、色丹の安全操業協定を結んで、国後、択捉周辺についてはその後の交渉で解決するという二段階説とに意見が分かれたということでありますが、その後このことに対する意見の統一をなされたのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○赤城国務大臣 北方の安全操業の問題は、領土、領海にからまると非常にむずかしい問題でございます。御承知のように、歯舞、色丹は日ソ共同宣言で日本に平和条約ができたときには返すことになっている。ところが国後、択捉は返さない。ところが日本では歯舞、色丹、国後、択捉まで日本の固有の領土だからこれは返還を要求する。こういうことで、愛知私案においては、私の当時は歯舞、色丹の周辺だったのですが、国後、択捉まで四島を入れて、その四島の周辺で安全操業をさせろ、こういうふうな愛知私案を出したわけであります。ところが向こうから見れば、そういうことになるとこれは領土にからんでいるのじゃないか、領土にからんでいるので、領土を取り戻すための前提として安全操業をこの周辺でやろうという要求だ、こういうふうにとりますから、なかなかこの安全操業の解決が困難でございます。でございますので、御承知のように、去年私がソ連へ行きましたときにも、安全操業というものは人道上の問題でもあり、あるいは日ソ国交の関係でもある、そういう関係だから、領土問題は、前からそうでございますが、少したな上げして、領土、領海に関係なしに、あそこで漁業する日本の漁船、漁民を拿捕したり抑留したりするということは国交上もよくない、だから北方領土問題は後日の問題として、人道上の問題あるいは両国の平和の問題からいって安全操業問題の解決を先にしようじゃないか、それにはその区域を歯舞、色丹だけでも私はいけない、国後、択捉まで含めたいのだが、それを四島の周辺ということになると領海に関係するから、そういうことでなくて、魚がたくさんおるところ、したがって日本の漁民、漁船が拿捕、抑留される可能性が一番多いところ、そういうところで安全操業をさせるようにしたらどうか。ですから妥協ではなしに、観点を変えて、そしてそのところで日本の安全操業をさせるようにしたらどうかという提案をしたわけであります。その提案に従いまして、初めはなかなか向こうもそれに乗ってくるというような考え方もなかったようですが、最近におきましては、イシコフ漁業大臣がこの問題につきましては向こうの代表でありますから、外務大臣ではなくて、イシコフ漁業大臣がこの交渉の代表権を持っておりますから、新関大使とイシコフ大臣との話し合いで、だんだんその線に近づいての話し合いしてもよさそうな空気があるのでございます。現在の段階ではそういうふうな段階で、新関大使とイシコフ漁業大臣との間で交渉を進めております。
○阿部(文)委員 次に、対象水域についてお伺いしたいのであります。
 愛知私案の第一項では、対象水域を歯舞群島、色丹、国後、択捉の周辺およそ三ないし十二海里の水域において安全操業を認めることになっておりますが、現地漁民の要求は、これがゼロ海里であります。できたら、接岸操業したいのであります。この主ないし十二海里というのは、日本政府はどのような見解に基づいて――いま赤城先生からもお話がございましたけれども、どのような判断で下されたのか。領土問題に関するわが国の主張からいっても、これは当然ゼロ海里ということになるのじゃないかと私は思うのでございます。このことに対する大臣の御所見をお伺いしたいわけでございます。
○赤城国務大臣 対象水域につきましては、御承知のようにソ連側は領海が十二海里でございますが、日本は三海里、そこに問題もあるわけでございますので、三海里から十二海里の水域、そして歯舞、色丹ばかりでなくて、国後、択捉まで含めて三海里から十二海里の水域をもって、そして先ほど申し上げましたように、全部ではなくて、歯舞、色丹、国後、択捉の周辺で、最も魚がおって、したがって拿捕されたり抑留される可能性の多いところ、日本にとっては安全操業を非常に必要とするところ、そういう場所をきめまして線を引いて、そういうところにおいて安全操業をさせるようにと、こういうふうに対象水域を詳細に水産庁と日本の外務省と相談しまして、場所をきめて向こうへ提示してあるわけであります。
○阿部(文)委員 ただいまの大臣の答弁でも大体わかりましたけれども、もう少し突っ込んでこのことを水産庁長官にお伺いしたいと思います。
 この対象水域の問題については、最近の拿捕事件を島別に分けてみた場合に、四島周辺のうちで国後、択捉周辺のものが半数近くを占めておるのであります。また漁場の状況などから、操業水域が次第に国後、択捉付近に拡大しているのであり、このような意味から、北海道漁民もゼロ海里を強く主張するのであります。政府は、歯舞、色丹、国後、択捉各島を日本固有の領土と主張しているにもかかわらず三海里を提案するということは、あたかもこれらの島に対するソ連側の主張を暗に認めたことにもなるわけであります。
 私が昨年六月モスクワに参りまして個人的にイシコフ漁業大臣とお会いした際も、イシコフ大臣は、原則として歯舞、色丹に限って考えているということでございましたけれども、従来のかたい態度から若干ながらニュアンスが異なる発言になってきており、ソ連側の柔軟な姿勢がうかがわれたのであります。
 またさらに、一月の末に来日したグロムイコ外務大臣の発言などを見ましても、最近の世界情勢のしからしむるところであるとは思いますが、わが国に対する態度の変化をはっきり示しているのではないかと考えられるのであります。
 以上のようなことから、この際、わが国の主張としては、現地漁民の強い要望にこたえて、ゼロ海里、四島周辺ということで交渉を進めていくべきじゃないかと考えるのであります。この点について長官からもう少し突っ込んだ御答弁をお願いしたいし、またもちろん純然たる対象水域ということだけを考えますと、いろいろ問題もあり、国際的には国際海洋法会議における領海の問題となってくるのは当然であります。今日までわが国は一貫して三海里を主張してきたのでありますが、世界の趨勢からして十二海里説を唱えざるを得なくなってきた場合、日ソ間の交渉において領土問題を一時たな上げするという両者の立場を考えると、わが国の安全操業は一体どうなるかということが問題となってくると思うのであります。日本が領海十二海里説をとった場合には、四島周辺の操業はほとんどできなくなるのではないかと心配されるのですが、この点について長官、どのようにお考えになっているか、お伺いしたいのであります。
○太田(康)政府委員 安全操業の問題につきましては、先ほど大臣のお答えにもございましたとおり、われわれといたしましては、過去におきます四島周辺の拿捕の状況あるいは漁獲の状況等の調査もございまして、魚の最もとれるところでしかも拿捕の多いところ、これを対象にすべきではないかということで、当初確かにステップ・バイ・ステップということで二島周辺で始まって、さらに国後、択捉も対象にしたらよろしいというふうなことがあったわけでございますけれども、四島周辺でいま申し上げたようなところを対象にいたしておることは御承知のとおりでございまして、先ほども大臣からお述べになったとおりでございます。
 ところで、領海の幅員の問題にからみまして、現在わが国は三海里の立場に立っておるわけでございますけれども、一九七三年に第三回目の国連の海洋法会議が開かれることになっております。その場で、現在最も多くの国々が領海につきましては十二海里というものをいっておるわけでございますので、この点につきましての国際的な合意が得られれば、わが国も必ずしも従来のとおり三海里という主張にこだわるものではないというのが従来のわれわれの見解でございます。
 そこで、安全操業の問題とからみまして、その点が一体どうなるのかというお尋ねでございます。われわれが三海里から十二海里という主張をいたしておりますのは、先ほどの大臣の御答弁にもございましたように、現在置かれている環境も考慮いたしておることでございますが、その具体的な中身といたしましてわれわれが考えておりますのは、この水域がわが国漁民にとりまして戦前から漁業を行なってきた歴史的な実績を持った水域であるということが一点でございます。なお、もう一つ考慮しなければなりませんことば、現にその四島にはソ連住民が居住しているというような実態もあるわけでございますので、そういったことも考慮して、先ほど申し上げましたように、三海里から十二海里の間で魚がうんととれて拿捕の多いところだということに重点を置いての安全操業の折衝ということになっておるのでございまして、海洋法会議でわが国が領海幅員についてどういう態度をとるかという問題と安全操業の問題とは直接に関係がないというふうに解しておるのでございます。
○阿部(文)委員 安全操業に関する質問は以上で終わりますが、私が冒頭述べましたように、北海道の漁民は、過去に多くの漁船が拿捕されて、また自分たちの船が沈み、死者が出ておるにもかかわらず、なおも毎日出漁していくということは、この四島周辺が父祖伝来の昔からの漁場であり、また漁業にしか生計の道がないから、あえて危険をおかして出漁していくのであります。
 北洋漁業の交渉の歴史は長かったのでありますが、政府は今日までこれといった何らの方策もなく、いたずらに月日を重ねてまいったといわれても抗弁ができないのが現状であろうかと思います。過去の交渉の過程を率直に振り返ってみて、何か日本政府の交渉に臨む姿勢というか心がまえの中に、もうひとつ一本筋の欠けた面があったのではないかと私は思うのであります。日ソ間の交渉に当たる双方のメンバーを見ましても、ソ連側は、漁業問題に取り組むこと四十年というイシコフ漁業大臣を先頭に、モイセーエフ全ソ海洋学研究所副所長のような水産問題の専門家が一貫して対日交渉に専念しているのに対して、日本側はどうかといいますと、昨年すでにもう国連大使に就任がきまっておった中川大使を日本の代表にしてみたり、続いて、決して漁業の専門家とはいえないモスクワの新関大使あたりが交渉の責任者となっているようでは、一体どこまで真剣にこの問題に本腰を入れているか、私は非常に不可解に思うのであります。赤城大臣も、農林大臣として、また対ソ問題の権威者として、そうお思いになりませんか。とかく事大主義といわれている面があるソビエトに対して、もっと責任のある日本の閣僚クラスの地位にある人を私は出すべきだと思うのであります。大臣が昨年モスクワにわざわざおいでになって、せっかく新しい交渉のレールを敷かれ、予備交渉をやってお帰りになってこられたのに、その後これらの問題についてほとんど進展を見られないままになっておるのが事実だと私は思います。大臣に対して少しくどいようでございますが、この際、わが国からも、ソ連側と堂々と対抗して長期的にかつ最も強力な漁業交渉のメンバーを構成して、もっともっと真剣にこの問題に取り組む時期が来ていると私は考えるのであります。領土問題とともに日ソ友好の最大の障害となっておるのが安全操業問題であります。最後にもう一度、簡単でよろしゅうございますから、大臣からこのことに対する決意のほどをお聞かせ願いたいのでございます。
○赤城国務大臣 ごもっともだと思います。長くなりますけれども、安全操業の問題は、国交回復の翌年からずっと十年間くらい続けておったのが、向こうが舞台に乗ってこなかったのです。私は大臣をやっていませんでしたが、川島さんと行ってコスイギン首相に談判して、コスイギン首相が検討しようと言い出したことから安全操業が舞台に乗ってきたということでございます。
 でございまして、いまのお話のように、ソ連はもう何十年とこのほうにかかり切りの専任の大臣もいるし、外交的にも相当ベテランのイシコフ大臣みたいな人がいるのですから、日本でもほんとうはこれ専門といいますか、これに取り組んでいく人などがあっていいと思うのです。そうでないと、国交関係も漁業関係も始終変っておってはしようがないと思うのです。しかし、幸いに農林省の水産庁は一貫して始終これにタッチしているものですから、よく勉強しているようでございますが、お話のようなことになることは、私は大いに期待して、希望いたしております。
○福田委員長 ただいまの赤城農林大臣の御答弁に関して、阿部君の御質問に対する水産庁の太田長官の決意を伺いたいと思います。
○太田(康)政府委員 大臣からも御答弁があったわけでございますけれども、われわれといたしましては、現在たしか十五の国際条約に加盟をいたしておりまして、それぞれ委員会を持っておるわけでございますけれども、日ソ漁業交渉につきましては、今回の漁業委員会の交渉の問題あるいはカニの政府間交渉の問題、これは先ほど来話にございましたように、われわれの先祖伝来の漁場として重要な漁場でもございますし、わが国の水産業の中におきますところの地位からいいましても、われわれがこの交渉にあたりましては最も重点を置いておるということは十分納得していただけるだろうと思うのでございまして、われわれも、いまお話のございましたような点につきましては、さらに十分念頭に入れまして、一日もすみやかに本交渉が円滑に進むように今後ともつとめてまいりたい、かように考えております。
○阿部(文)委員 次に、長官にお伺いしたいと思います。現在モスクワで行なわれております日ソ間のサケ・マス・カニの交渉について、時間の関係もありますので、三点にしぼって簡単にお伺いしたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、大臣は昨年、日ソ漁業予備交渉のためモスクワを訪問され、諸問題解決のためイシコフ漁業大臣と精力的に御折衝なさったことに対して、私は心から深甚なる敬意を払うものでございます。そして大臣のソ連訪問により多大の成果があったと聞いておるのでありますが、その中で、私はまず第一点として、当面のサケ・マスの交渉について伺いたいのでございます。
 先ほど申し上げたとおり、本年もすでに三月一日より交渉が始まっておるわけでありますが、例年出漁期の直前になっても交渉がまとまらず、常にはらはらさせられておるのであります。私はこの点の打開策として、日ソ間に長期協定の締結をぜひ考えるべきであると思うのであります。数年前、日ソ漁業交渉の際に、漁獲量毎年十万トンで長期協定を日本側が提案し、これに対してソ連側が等量漁獲を主張してきたので、わが国はこの提案を撤回した経緯があると聞いているのであります。それ以来政府は、長期協定については断念されているようでありますが、私は、今日の情勢からして、その長期協定の提案と、これが締結が絶好の機会だと考えるのでありますが、政府の長期協定に対する考え方を伺いたいのであります。特に赤城大臣はしばしば個人的にもイシコフ大臣と面談されており、お互い長期協定についてもお話しされたということも私聞いているのでありますが、その辺の事情を含めて長官にお尋ねしたいのでございます。
○太田(康)政府委員 この問題につきましての政府の基本的な態度は、阿部先生のおっしゃったことと全く同様の態度で臨んでおるのでございます。
 御承知のとおり、過去の経緯を申し上げますと、河野農林大臣の時代にそういったこともあったわけでございますけれども、少なくとも、毎年の日ソ漁業委員会の交渉をスムーズに進めるためには、積極的にこの問題に取り組むべきであろうというふうに考えるわけでございますし、現に、御承知のとおり、昨年赤城農林大臣が十月に訪ソされましたときに、イシコフ漁業大臣ともこの問題について話し合いをされたわけでございます。その点につきまして、イシコフ大臣も、十分日本側の主張はよくわかる。しかし、御承知のとおり漁獲量の決定につきましては漁業委員会が最終的な決定をするわけでございまして、その際、まあどういう基準で数年間の取りきめをするかというようなことが議論になったわけでございまして、日ソ両国の科学者によりまして、今後数年間のサケ・マスの資源状態についての予測をおこなうようにお互いに努力しよう、その努力の結果が実れば、ひとつ基準量というものをきめまして、その範囲内におきまして毎年の日ソ漁業交渉できめる漁獲数量が円滑にいくというようなこと、当然不漁年、豊漁年考えまして、かなりの長期取りきめもできるというような展望を持ちまして、そういったことを今後やろうということに合意を見たわけでございまして、われわれとしても、今後その実現に積極的に取り組んでいくべきであろうというふうに考えている次第でございます。
○阿部(文)委員 次にお伺いしますが、昨年の秋、赤城大臣が訪ソして行なわれましたサケ・マスの予備交渉では、ソ連側の態度は依然としてきわめてきびしいものがあったようでありますが、特に本年のサケ・マス漁業については減船の問題を事務ベースで強く打ち出してきたと聞いているのであります。ソ連側はここ数年二ないし五割の減船を一貫して強く主張しており、マスの不漁年に当たる本年の交渉の最大の焦点となることば明らかであります。もともとこの問題は、単なる日ソ交渉の問題でなくて、北洋漁業の長期安定を目ざすわが国のサケ・マス漁業にとって重大な問題でありますが、この点について政府の心がまえをお尋ねしたいのであります。
○太田(康)政府委員 御承知のとおり、日ソのサケ・マスの資源状態につきましては、わが国のほうといたしましては、近年安定している、こういうふうに見ているわけでございます。
 また、漁船の数をどうするかということにつきましては、確かに先生御指摘のとおり、ここ二、三年来ソ連側からの主張といたしまして、減船の数字が交渉の過程において出てきたことは事実でございます。その際、われわれといたしましては、漁船の隻数をどうするかというような問題は純粋な国内問題であるというような見地から、従来の、交渉の場におきましてはこれを拒否してきたというのが経過でございます。ただ、われわれといたしましても、今後におきます北洋漁業の安定をはかっていくというような見地から、現在の隻数が適当であるかどうかというような点につきましては、絶えず検討しなければならぬ問題でございまして、それぞれの経営の安定あるいは管理の問題というような見地から、その点についての検討はしなければならないだろうというふうなことは考えるわけですけれども、私どもといたしましては、長期的に見ますれば、長期的な観点からどう取り上げるかというようなことについての検討はいたさなければならぬわけですけれども、従来の経緯といたしましては、いま申し上げたようなことで、これについての交渉におきましては拒否をしてまいったということでございます。
○阿部(文)委員 次に、カニの交渉の問題について簡単にお伺いいたします。
 昨年のカニ交渉で、漁獲量がタラバガニで三割減になるというように、日本側はソ連邦に一方的に追い込まれているのはまことに残念と思うのであります。この交渉に際しては、大陸だな資源論争が行なわれ、これがいつも紛糾し、なかなかまとまらず、サケ・マス同様例年出漁期間近になってしまうというのがいままでの例であります。大陸だな条約に加盟していない日本側としては、ソ連側の主張を認めるわけにはいかないのはよくわかるのでありますが、この際、日ソ交渉において大陸だな資源論争と漁獲量の交渉を別々に分離する方法が考えられるべきだと思うのでありますが、水産庁の考え方をお聞かせ願いたいのであります。
○太田(康)政府委員 御指摘のとおり、従来のカニ交渉におきましては、ソ連側はカニは大陸だな資源であると主張し、日本側は公海の資源であるというようなことで、そのために延々一月半もその立場の論争を繰り返してきて、なかなか漁獲量の問題あるいは規制の問題等の話し合いに入らなかったというのが従来の例であったわけでございます。
 そこで、お尋ねのように両方切り離してという御議論でございますが、この点につきましても、実は先年赤城農林大臣が訪ソされました際に、イシコフ漁業大臣と強くお話をなさった点でございまして、お互いの立場は立場だから、それぞれの主張することは、これは主張しなさんなというわけにはまいらないだろう、しかし、このことでいつまでも交渉の具体的中身に入らないというようなことではおかしいので、お互いの主張はできる限り早く主張し合った後は、まあお互い従来その立場を相いれないとはいいながらも、具体的な解決をはかってきておるわけでございますから、直ちに漁獲高の問題あるいは規制の問題等に入ろうじゃないかというような提案をなさったわけでございまして、この点につきましてはイシコフ大臣も十分おわかりいただいたと思うのでございます。
 なお、本年の一月におきましても、グロムイコ大臣に私どもの大臣あるいは外務大臣等から、日ソ漁業交渉を、もちろんカニの政府間交渉も含めてでございますが、すみやかに妥結するようにというようなことも強く申し入れをいたしておりますので、本年度はカニの問題につきましても、従来に比べますとスムーズにまいるということを期待しておるのでございます。もちろん、資源の状態等から見まして、またいろいろ問題もあろうかと思いますが、いま言ったようなことを踏まえた上で、交渉団にすみやかに妥結するようなことを期待しておるというのが現状でございます。
○阿部(文)委員 最後に、北方海域にかかわる旧漁業権の補償措置の問題についてお尋ねしたいと思います。
 戦後、漁業制度改革に伴い、旧漁業法による漁業権はすべて消滅してしまったわけでありまして、これら旧漁業権に対する補償金として総額百八十一億という巨額の資金が投入されております。これは昭和二十五年の新漁業法の施行の際に、旧漁業権に対して補償を行なったものであります。ところが、これに先立って昭和二十一年に占領軍司令部から、外郭地域の行政権分離という覚え書きが出ておりまして、日本の地域から千島列島、歯舞諸島、色丹島というものが分離されたことになっておるわけであります。国後、択捉、歯舞、色丹島、この四島がソ連に占拠されたため、わが国の行政権が及ばないということで、この四島にかかわる漁業権が覚え書きの時点で消滅してしまったという理由で、昭和二十五年から行なわれた補償措置の対象からはずされておるのであります。すなわち、この四島の関係の漁業権としては、専用漁業権九カ所、各種漁業権千四百六十一カ所を数えて、これらの権利は法によって解散も清算も行なわれず放置されたまま今日に及んでいるのであります。そして、これらの権利を持った人々はすべて引き揚げさせられて戦後非常な労苦を重ねて、現在北海道を中心として居住しているのであります。国会でこの問題が取り上げられたのは、戦後十五年たった昭和三十五年が最初であり、その後衆参両院の外務委員会並びに沖繩・北方問題特別委員会などが何回か委員を派遣され、そのつど地元から強く補償の要求を受けていることは報告書にも明らかなところであります。わが国はあくまで四つの島がわが固有の領土であると主張する立場をとり、たとえば現在すでに文部省では昭和四十四年八月から、この四島は日本の領土であると教科書にはっきり示すことにしておりますし、また建設省では、国土地理院が昭和四十四年四月から、地図の上に明確に国境線を入れてわが国の領土としており、法務省関係でもこの四島にかかる財産権の相続を認め、あるいは自治省においては、交付税の面積算定にあたってもこの島々を北海道に含めるなど、各省においてはっきりと見解を明らかにしているのに、ひとり水産庁のみ、これまでどおりの見解を取り続けていかれるのか。旧漁業権についての現時点における水産庁のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
○太田(康)政府委員 先生の御質問の御説明の中にもございましたように、昭和二十一年のたしか一月二十九日付のGHQの覚え書きによりますところの行政分離措置によりまして、北方地域に対してのわが国の法令が適用されない状態となったその時点で旧漁業法に基づきますところの漁業権が消滅したというのが政府の公式見解になっておるわけでございます。
 そこで、ちょうど内地では、昭和二十五年から二十七年にかけまして漁業制度改革がございまして漁業補償をいたしたのでございますが、そういった意味での漁業補償の対象に、歯舞、色丹、国後、択捉の漁業権についてはならなかったという事態になったのでございますが、北方地域におきますところの施政について存する特殊事情、あるいはこれに基因いたしましたところの北方地域の旧漁業権者等の置かれている特殊な地位、これにかんがみまして、これらの方々が生業資金あるいは生活資金を得られて、少なくとも生活の安定をはかるということの必要のために、これらの方々に資金を融通するための北方協会、現在では北方領土問題対策協会でございますが、これに十億円の出資をいたしまして、その運用益で先ほど申し上げましたような生業資金あるいは生活資金の貸し付けを与えるということによりまして、まあ漁業権の補償ができないことにかわるという措置の一環としてそういったことを政府が講じた。なお、御承知のとおりこの通常国会に、現在の運用益だけの資金では、実際に生業資金なり生活資金をお借りになる方々の資金需要を十分満たすわけにはまいらぬということで、従来この協会は短期資金の借り入れしかできなかったわけですけれども、長期の借り入れ資金ができるような制度改正をいたしまして、現に市中から二億円を借りる、これを貸し付けの原資にする。その際、実際の運営の金利が四分くらいでございますから、差額の五分についての利子補給をするというような予算措置も講じまして、さらに貸し付けワクの拡大をはかるというようなこともやってまいったのでございます。
 まあそういうようなことを申し上げましても、結局先生お尋ねのように、将来話がついて復帰というようなことになった場合にどうするのだというような問題があろうかと思いますが、これらの点につきましては、いろいろ過去に前例もあります。それから漁業権につきましては、先ほど申し上げましたように消滅したというのが一応の公的解釈ではございますが、実際に扱うときになりますれば、過去におきますところの漁業権者というようなものは十分調査もできておるわけでございますので、新しく漁業権を付与する場合には、当然そういった実態は考慮されるであろうというふうに考えておるのでございます。現段階におきましては、漁業権に対する措置といたしましては、いま申し上げたようなことになっておるということでございます。
○阿部(文)委員 私の質問は以上で終わりますが、私は、北方問題を解決するためには、ソ連邦に絶大な信頼のある赤城農林大臣のお力には非常に期待するのでありますが、日ソ漁業問題は、農林省や業界だけにまかせるのではなくて、日ソ両国の最高責任者が話し合う時期にきていると思うのであります。本年一月末にグロムイコ外務大臣が来日し、せっかく佐藤総理の訪ソを要望してきているのですから、この際、赤城大臣から佐藤総理に対して、北方問題を一挙に解決するためにぜひ訪ソされるよう御進言を願いたいのであります。この問題は、戦後の処理として最後に残った一番大きな問題でありますから、佐藤総理の在任中にぜひ解決していただきたいと思うのであります。長年にわたって全国民の悲願でありました日ソ平和条約を一日も早く実現して、北方問題を解消するために、重ねて総理に対する赤城大臣からの強い訪ソの御進言をお願いいたしまして、私の質問を終わりといたします。
○赤城国務大臣 御意見としてお聞きしておきますが、私、昨年も佐藤総理に――領土問題の解決というものは、行ったからすぐというわけにはいかぬだろうけれども、とにかくソ連からいえばフルシチョフ時代から、日本の総理にたずねてきてくれということを言っていましたし、いまのコスイギン首相も、佐藤総理の訪ソというものを希望している。ですから私も去年も、行ったらどうですか、そういうふうに言っておったのです。私は行ったほうがいいと思うんですよ。なおすすめてみたいと思うのですが、その点で……。
○福田委員長 次に、綿貫君の先ほどの関連質問をこの際許します。
○綿貫委員 赤城農林大臣に一つお尋ねをいたしたいと思います。
 先ほど来中央競馬、地方競馬の問題につきまして、いろいろと畜産局長あるいは中央競馬会の理事長さんなどの御意見を伺ったわけでございますが、今日の競馬というのは、畜産を目的にした競馬法に縛られて運営をしているわけでございますけれども、すなわち今日、もう競馬の過熱は御存じのとおりであります。先ほど畜産局長にお聞きいたしますと、競馬懇談会というものもおつくりになったようでございます。そこで、先ほど特に地方競馬において、金沢競馬において不正レースが行なわれまして、監督官庁の農林省の役人もこれに巻き添えを食うというようなたいへん不祥事が起きております。こういうような問題、あるいはさらに最近はのみ行為というものがはかり知れないくらい行なわれております。こういういろいろ社会への影響力を持つ、波及させておりますこの競馬の問題につきまして、競馬法というものについて抜本的に改正を検討される御用意があるかどうか、これをひとつお伺いしてみたいと思います。
○赤城国務大臣 いろいろな問題が起きた場合には、それに対処する方法はいろいろあると思います。しかし何でも起きれば法律を改正しなければならぬという考え方ばかりでやるということはどうかとも思います。しかし、いま御指摘のような競馬に関してのいろいろな問題も起きております。ですから、これは真剣に考えていかなくちゃいけない問題と思いますが、いまお話しのような懇談会とか審議会においても、いろいろ諮問しておりますから、その答申の結果によりまして対処していきたい、こう考えております。
○綿貫委員 競馬、競輪、競艇ということで、いわゆるギャンブルということで取り上げられておりますけれども、前々から私は指摘しておりますように、競輪、競艇におきましては、いろいろの交付金という形で社会福祉その他に具体的に交付をいたしまして、むしろ社会的にたいへん感謝をされておる面もあります。ところが競馬に関しては、納付金というような形で一括どんとやれば、あとは自由にしていいんだというふうな非常にあいまいもことした形であるために、非常に大きな競馬に対する疑惑やあるいは不信感というものが生まれておるように思います。そこで第二納付金というような形で、たとえば競馬というものは国際的なものでございますから、海外留学生のためにある一部の資金を流用するとか、あるいはもろもろの社会福祉のために施設を建設するとか、そういうふうに第二納付金というようなものを検討される時期に来ておるのではないかというようにも考えるのでございますが、これについて大臣の御所見を伺いたいと存じます。
○赤城国務大臣 いまの競輪、競艇なんかと同じように、中央競馬では社会事業とかいろいろな方面に金を支出しております。中央競馬のほうでは納付金というようなことでやっておりますが、これらの点についても、いまのお話も含めて懇談会や審議会等においてよく相談するといいますか、はかってみたい、こう思っております。
○綿貫委員 ぜひ前向きに御検討願うように強く要望いたしておきます。
 終わります。
○福田委員長 この際、坂井弘一君より質疑のお申し出がありますので、これを許します。坂井弘一君。
○坂井委員 限られた時間でございますので、質問はできるだけ要点をしぼって申し上げたいと思います。答弁もひとつ簡明にお願いいたしたい。前もってお願いしまして、順次質問をいたしたいと思います。
 順序としまして、民有保安林の買い入れでございますが、民有保安林事業計画に基づいて今日まで進められてきたわけでございますが、昭和四十四年度並びに四十五年度の民有林の買い入れの実績、つまり予算額、決算額それから不用額、まずそれを示していただきたいと思います。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。民有保安林の買い入れでございますが、昭和四十四年度は予算額で七億八千万円、買い入れの金額は七億七千三百二十八万八千円、四十五年度は予算現額で八億八百万円、実績は七億三千四百二十五万三千円、かようになっております。
○坂井委員 不用額はいかほどですか。
○福田(省)政府委員 不用額は四十四年度は六百七十一万二千円、四十五年度は七千三百七十四万七千円、かようになっております。
○坂井委員 四十五年度不用額は七千三百七十四万七千円、かなり多いようでございます。これはあとで触れるといたしまして、こうした民有林、民有地の買い入れの目的並びにその法的な根拠を示していただきたい。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。民有保安林の買い入れにつきましては、昭和二十九年五月法律第八十四号で制定されました保安林整備臨時措置法に基づきまして、水源の涵養それから土砂の流出の防備、土砂の崩壊の防備、こういう国土の保全上重要な機能を有しておりますところの保安林の買い入れを行なうことにしておるものでございまして、三十九年度から四十五年度までの間に実績は五万一千ヘクタールでございます。
○坂井委員 目的としますものは、いわゆる国土の保全ということでございましょうか。
○福田(省)政府委員 目的といたしますところは、ただいま申し上げました水源の涵養あるいは土砂の崩壊防備、そういうふうな国土の保全、つまり公益的な機能を維持していくためにこれを買い入れするということでございます。
○坂井委員 わかりました。
 では民有地、民有林を今度は買い入れする場合、いわゆる権利関係の有無についてお尋ねしたいわけでございますが、地上権あるいは抵当権その他占有権等、いわゆる所有権以外の一切の権利、そうした権利のある山を購入したようなことはございませんか。
○福田(省)政府委員 ただいまのところ、過去におきましてはそういう権利関係がありまして紛争関係を生じているものについて購入した実例はございません。
○坂井委員 いまの国有林野等の管理及び処分に関しますところの訴訟事件が四十五件あるはずでございます。違っておりましたらお示しください。非常に多いわけですね。これはいわゆる管理処分が適切を欠いたのではないか。前段私お尋ねしましたそういう権利関係の有無については、この訴訟事件は関係ないかもしれません。しかし件数が非常に多いということでございます。したがって、今後においてそうした訴訟事件に発展しそうな心配のあるようなものはございませんか。
○福田(省)政府委員 ただいまのところでは、予定しております中には、そういったような問題を生ずるおそれのあるものはございません。
○坂井委員 それでは具体的にお尋ねいたしたいと思います。
 昭和四十五年度に購入いたしました大塔山、所在は和歌山県西牟婁郡大塔村でございます。この大塔山を、前所有者中部林産から林野庁は購入をした。その価格は三億五百五十万円、面積が千三百十ヘクタールでございます。
 あらためてお尋ねいたしますが、この大塔山を買収しました目的、根拠、三億五百五十万円という金額の算出の根拠は何でしょうか、明らかにしていただきたい。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。この大塔山を購入いたしました根拠は、先ほどお答えしましたとおり公益的な機能を有する保安林を国で購入したものでございまして、その算出の根拠につきましては、評定の基準がございまして、その基準に従って購入したものでございます。
○坂井委員 保安林臨時整備措置法に基づく目的をもって購入、買収をした、これが法律的な根拠であります。また唯一の目的だと思います。ただし、この大塔山に限ってはその他の目的があったのではございませんか。その辺をはっきりしてもらいたい。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。この大塔山につきましても、他の保安林の購入と同じようなことでございまして、やはり目的はこういう保安林の公益的な機能を維持するために購入したものでございまして、それ以外の目的はございません。
○坂井委員 それでは申し上げますが、この大塔山を国に買い取ってもらいたいということにつきまして、地元は強く要望したはずであります。地元の要請が非常に強いものがある。強い地元のこの要望の理由は一体なんでしょうか。たいへん強く国に買い上げを要望したはずであります。その理由は何でしょうか。
○福田(省)政府委員 地元からそういう要望がありました理由は、放置しておきますならばこの山が相当荒れる、つまり先ほど申し上げましたように、土砂の流出とかあるいは崩壊とか、そういう危険があるためにぜひ購入してもらいたい、こういう要望があったのでございます。
○坂井委員 このまま放置するとたいへん荒れる。なぜ荒れるかといいますと、そこに根本的な理由がある。いわゆるこの山の紛争であります。これは皆さん方のほうが先刻御存じのはずであります。あらましを申し上げますが、日本で事件山として、紛争山として有名な東西両横綱と称する山がある。いわく、一つは東の磐梯山、西の大塔山、まことに名高い事件山であります。百年来の紛争である。持ち主が転々としておる。私は「紀伊風土記」というような本を読みました。非常に古いものです。その中にまぼろしの山とある。魔の山とある。面積が七千ヘクタールあるいは七千何がしか、どんどん変わっていろいろあるのですが、実測をいたしますと、国が買ったときには千三百十ヘクタールでしょう。まきにつかみどころのないような山、しかも紛争が絶え間がなかった。所有者は転々としておる。血まで流れたいわく因縁つきの有名な紛争の山であります。そのような山であるということはあなた方のほうが先刻御存じであったはずです。そして地元から強い要望が出た。このままではこの山は死んでしまう。当然でしょう。そこでこの山を買い取ることにした。買い取る目的はむしろそこに比重があったのではございませんか。その辺のところを、いきさつをはっきりしてもらいたい。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。ただいま先生が御指摘なさいましたように、いろいろとそういう問題はあったように聞いております。しかし、やはり私たちといたしましては、当初申し上げましたように、保安林として重要な地帯であるということ、また地元から強い要望があったということを考慮いたしまして買い入れすることにいたしたものでございます。
○坂井委員 では、ちょっと戻りますが、買い入れた相手は名古屋の中部林産です。中部林産という会社が設立されたのがいつでしょうか。同時に、この会社と契約したのはいつでしょうか。契約予定価格というものもあるはずです。買い入れを決定した時日はいつでしょうか。明確にしてください。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。中部林産株式会社が設立いたしましたのは昭和四十二年十一月十日でございます。また大阪営林局とそれから中部林産株式会社との契約をいたしましたのは昭和四十五年一月二十七日、それから同じく四十五年の五月十五日と、二回に分けて契約いたしております。
○坂井委員 この会社は現在ありますか。もし実在しないとすれば、解散したのはいつでしょうか。
○福田(省)政府委員 この会社は昭和四十五年の六月三十日、株主総会におきまして解散を決議いたしまして、四十五年の四月九日に解散登記をいたしております。
○坂井委員 すなわち国と売買契約を結んで国が購入した、所有権が国に移転になった直後会社は解散した、こういうわけであります。これだけでもって私はこの問題を云々しようという気持ちは実はございません。あらましを皆さんによくのみ込んでいただいて、大臣はいま席をおはずしでございますけれども、公平な判断をしていただきたいということで、問題提起の順序として申し上げたわけでございます。
 そこで、実は買収いたしました大塔山の中に私設林道、私のつけた林道、この権限が私にあるという人、つまり所有権者以外の人です。前所有権者であった中部林産以外の私設林道が国が買収した大塔山の中にあると称する人、名前は田辺市の光山広、こういう人があらわれておる。しかもこの人が営林署長に対して内容証明の郵便をもって、これは私の私設林道なのだ、林道権は私にあるのだということを通知した。通知をいたしましたのは四十四年の八月三十日であります。にもかかわらず、事件があるから待ってくれということですけれども、この事件の解決を見ずしてこれを中部林産から買い受けたその理由は何でしょうか。私の持ちものは別にあるのだ、待ってもらいたい、中部林産から買おうとしておるけれども、それは待ってもらいたい。にもかかわらず、国は中部林産から買い上げた、その理由は何でしょうか。
○福田(省)政府委員 お答えいたします。買い入れを行ないましたのは、一つには、保安林の買い入れ、それから整備は林野庁の業務でございまして、御承知のように、確たる理由なしにいたずらに買い入れの計画を延ばすことは適当ではないということが一つございます。それから次に光山広と中部林産との争いは、保安林とは直接関係のない別個の債権債務の案件である、こういうふうに理解したわけでございます。それから光山広の国に対する買い入れ延期の主張は、確実な証拠、そういったものが私たちから見まして薄弱である、首肯しがたいものであるというふうに一応判断したのでございます。したがいまして、中部林産に加担したとか民間の迷惑を考慮しなかったとかいうことでなくて、一応ただいま申し上げましたような判断に基づいて購入したものでございます。
○坂井委員 長官、あなた御存じないです。光山広氏が、ここは私の林道であるということを主張しているわけです。これは相手側です。そのことを一応は主張して、そうして国に対しましてこの林道権をめぐって中部林産との間に争いがあるので、係争中なので、国が中部林産から買い上げるのはちょっと待ってもらいたい。これは保安林とは全然関係がないとあなたおっしゃるけれども、少なくとも相手側の光山広氏は、この保安林の中にある私設林道は私のものなんだと、林道権を主張しておるわけです。根拠が薄弱であるという判定をしたあなた方の根拠は一体どこにあったのかということになりますが、そういうことについて触れてまいりますと、ここでは時間が許されないと思います。むしろこれは願うことではございませんけれども、場合によれば裁判になれば裁判上の問題かとも思います。しかし、それならば私はあえて言いたいのだが、もし百歩譲っても、そのように主張する人があらわれた以上は、中部林産からこの山を買収する事前にその事情を聞いてやるということは当然のあり方であろうと思いますけれども、事情を全然聞かなかった。聞いたのか聞かないのか、また聞かなかったとしたらそれは一体どういうわけなのか、そこのところをひとつはっきりと御答弁いただきたい。
○福田(省)政府委員 大阪営林局と中部林産との間で契約をいたします前に、ただいま先生から御指摘のありましたようなことについて申し入れがあったわけでございます。これは文書でございます。その点につきまして、営林署のほうから文書で回答しておったということはございます。それから契約のあとにまたそういう申し立てが営林署のほうにございまして、やはり文書でそれにお答えしたわけでございます。文書だけでそういうお答えをしたということにつきましては、不十分じゃないかという御指摘を受ければ、そういう点は確かにあるかと思います。直接会って、もっとよく事情を話して説得させるとかいうふうなことも必要でなかったかとは思います。要するに、民有保安林の買い上げにつきましては、権利関係の整理は言うまでもなく、関係者の納得の上で行なうのが一番好ましい方法である、かように私は考えております。大塔山買入れの場合には、法律的には、買い入れを延期ないし中止するという理由は、先ほど申し上げましたように、乏しかったようではございますけれども、このような場合でも、やはり事前に反対者に対する説得を行なった上で契約すべきであった、かように考えるわけでございます。この点で関係者の理解を得るための努力が必ずしも十分でなかったことは率直に申し上げたいと思います。今後はかような紛争がなるべく生じないようにさらに指導を徹底してまいりたい、かように考えております。
○坂井委員 長官、結論をお出しになったようですけれども、これは非常に大事な点なんですよ。少なくとも私はそう思う。いま私申しましたように、また長官お答えになりましたが、光山広氏が、私設林道権は私にある、したがって国に対して内容証明をもって、暫時待ってもらいたい。それに対する文書の回答は、いま言われたとおり来ております。回答を読みます。申し入れに対する回答です。「昭和四四年八月三〇日附内容証明郵便を以て御申出の件については、貴下に対し御返事申上ぐべき事項ではありませんので、悪しからず御了承下さい。」これは回答でしょうか。私のものなんだから待ってくださいということに対する回答がこれなんです。あなたに返事する筋合いじゃない。それから、いまあなたがおっしゃった、契約後において文書を出しました。私は、ここが問題だと言うのです。契約する前に、また百歩譲ってこの返事があって後でもいいです。それならばというので本人を呼んで、どういう事情なんだ、あなたが私設林道だと主張するに足る根拠のあるものを出しなさい、いま私のほうは中部林産からこの山をどうしても買収しようとかかっているのだ、その最中にあなたが私設林道は私のものなんだと主張されてきたので、その根拠たるべきものを出してください、そういう話し合いがなければいかぬじゃないですか。しかも、それを聞き入れないで、一方的に契約をしたあとで文書を出した。その文書が、一体何ですか。「国は正規の手続を経て買入れたものであり貴殿と中部林産の間に取り交した事項については当事者間において解決すべき問題であるので国には関係ありません。」これは返事ですか。「国には関係ありません。」私がここに持っているのはこれだけのものですが、まだありますよ。弁護士関係の書類も全部あります。今日までの係争、紛争の経過も全部あります。そういうものすごく複雑な経過を事実この山はたどってきたんです。少なくともあなた方はアウトラインはわかっておったはずです。東西両横綱といわれる一方の雄なんですよ、ここは。これは何ですか。だから地元の強い要望があった。地元の強い要望、けっこうでしょう。早く紛争を解決して、山を国有林、保安林として国土保全のために事業をどんどん推進してもらいたいと地元の強い要望があった。私は、まことに当然だと思う。また、それを受けて林野庁が、ない金をはたいて購入した。まあけっこうでしょう。しかしそうであるならば、紛争がここで終結を見て、そうしてこのはげ山が緑したたった、これならば話はわかる。いいですか、長官。このようなことの推移であったがゆえに、思わざる事態が発生したじゃありませんか。林道は途中でとめられましたよ。御存じでしょう。林道封鎖ですよ。山に入れない。あなた方はことしの事業計画を持っておる。植林しなければならぬ。地ごしらえをやって、このはげ山に杉、ヒノキを植えていこう、国土保全のために緑したたらそう。やれないじゃございませんか。とめられたのが昨年の十月八日でございます。それから二カ月以上、一番困ったのはだれか。地元の山林労務者です。働けないんですよ。三千二百円の日当です。そうしてようやく十二月の末になりまして仮処分の決定を見た。ようやく通れるようになった。じゃ、これで事件が終わったのか。そうじゃない。まだ尾を引きそうだ。三千三百二十五メートルの中には国有林分もあれば民有林分もある。次から次から事件が起こりそうな可能性を持っておる。私は結果論として言うのではない。買収の時点、契約をしようとした時点において、すでにこのような事態が起こり得るであろうということは、最初から予測できたはずなんです。それをなぜあえてこの山を買ったのか。起こり得ることが当然に起こって、そうして地元民は多大な迷惑を受けた。私生活に直接影響するのです。国は事業ができない。いま長官、通り一ぺんおっしゃいましたが、それだけの答弁で私に納得しろと言ったって、これは無理じゃございませんか。再度お願いをしたいと思います。
○福田(省)政府委員 先生御指摘のとおり、保安林を買います目的は、やはり地元の下流地帯に住む住民の皆さんのことを考えてそういう保安林という制度をつくっているわけでございます。したがいまして、国有林の経営におきましては、この事業を達成していくためには、やはり地元の皆さん方の御協力を得なければできないものでございます。先ほど申し上げましたように、こういったような問題を処理する場合におきましては、よく関係の地元の皆さん方の御理解を得まして進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
 お話のありましたように、これから造林事業もいたさなければなりませんし、現に実行中でございます。これは地元の皆さんのための保安林の施設でございますし、また事業を遂行するには、地元の御指摘のような労務者の方その他関係者の御協力を得なければできないことでございますから、この件につきましては、先生の御趣旨が徹底しますように、よく指導を徹底させたい、かように考えております。
○坂井委員 残念ながら長官、それじゃ答弁になっていないようですね。私はこういう行政の姿勢に対するそのあり方について聞いておるわけです。こういうことがいいのか、許されるのか。一人の何らかの権利を主張する人がはたにあらわれても、その人の言い分は全然聞かない、それは抹殺して、そうしてあくまでも買うんだ買うんだで所有権者から強引に買い取る、また強引に売り込む、こういう形で保安林事業が進められていいのかどうか。いまあなた方のそういう姿勢であれば、この形で進めていいのだ、こうとらざるを得ない。私は前段申しましたように、一切の権利関係を排除して、きれいなものにして、しかる上において、自後においてはあらゆる紛争はこれでもう起こらないということを確認した上で手続を踏んで、そうして買い入れる、当然でしょう。財政法九条の精神もまさにそうだと思います。これにも私は疑義を感じますよ。「〔国の財産の処分及び管理〕」の二項「国の財産は、常に良好の状態において、これを管理し、その所有の目的に応じて、最も効率的に、これを運用しなければならない。」効率的に運用できない、適正な状態において管理できないような状態を事前にわかりながら、あえて購入した。財政法九条にも触れるじゃございませんか。そうなれば予算執行職員等の責任に関する法律第三条、これにも抵触するような心配も出てまいりますよ。なぜこんな無理押しをしなければならなかったのか、きわめて理解に苦しむ。山林労務者も非常に困った。これはまたあとで聞きたいと思います。時間がなければ私は資料で提出を求めたい。金が払われたのかどうか。ことしの事業計画が支障を来たして、計画が計画どおりに進まないというような事態が起こっておるのかどうか、それをどう計画の練り直しをやったのかどうかというようなことについてもさらに聞きたいと思いますけれども、まず何よりも私はいま根本的なことを言っているのでありまして、このような民有林の買い上げのあり方、これは行政の側において重大な責任である。法律上は、皆さん方は専門家であります、成規の手続を踏んだ、契約上からしても間違いないんだ、こうおっしゃるかもしれない。しかし人道上、道義上、あるいはこういうような民有林の買い上げにあたっての林野庁、官庁のとるべき姿勢としてこういう姿勢が許されるのかどうか、政治的な姿勢の問題として私は聞いておるわけです。その点に対していささか長官の先ほどの答弁は、今後はこのようなことのないようにということでございますけれども、少なくともこの山に限ってこのような買収のあり方については、やはり林野庁ないし営林局のとったこのあり方は間違いであったということをお認めになりますか。いかがでございますか。
○福田(省)政府委員 先ほどお答えしましたように、二度の文書のやりとりだけでそういうお答えをしたということは、まことに不親切であったということを私も考えます。やはり説得はもっと親切に納得のいくまで努力しなければならぬということにつきましては、十分に今後注意していきたい、かように思います。
○坂井委員 もう一言触れておきますが、仮処分排除のために不動産仮処分申請を出されましたですね。その国が出された理由の中に、本件土地につき何らの正当な権限も有しないのにかかわらず、昭和四十六年十月八日ごろ「全く債権者に無断で本件土地を封鎖した」と、こうあるわけです。これははなはだしく事実を欠いているじゃございませんか。何らの正当な権限も有しないというのは、あなた方の立場で判断をした一方的な判断だと私は言いたい。つまり、この林道は私設林道である、林道権は私に有するんだという相手側の意思はここには何らあらわれていない。少なくとも事実関係としては、先ほど申しましたような内容証明をもって、私のものですというやりとりがあるはずです。明確にすべきじゃありませんか。しかも「全く債権者に無断で」とは何ごとですか。無断ではありませんよ。ちゃんと言っていますよ。ここでいう債務者である光山広は、すなわち四十五年八月十九日ちゃんと通告を出してあります。もし国があくまでも私のこの主張を退けるならば、私設林道は私のものですから、これは封鎖します、無断使用は一切禁止しますと事前に四十五年八月十九日に通告をしてあります。そうしてしんぼうし切れないで、あくる年の四十六年十月ついにここを封鎖したんじゃございませんか。全く無断でとは何事です。これによって仮処分決定がなされた。私はあえて法律の問題に深く立ち入ろうという気持ちは実は本日はありません。しかし、そのようなこともあるということはひとつ御認識しておいていただきたい。私はただ単に一方的にいまここでいうところの債権者である国、債務者である光山広、この両者の立場をもってこれをとやかく言おうというような気持ちは実はない。むしろこのようなことによってせっかくの目的がゆがめられ、所期の目的が、事業計画がなされない、重大な損失であります。とりわけ地元の労務者にとっては生活にかかる重大な問題であります。しかもそのことをあえて私言いますことは、事前にそういうことが予測されながらこういう無理な契約をしたというところに根本的な問題があるのではないか、誤りじゃないかということを強く申し上げているわけでございまして、そのことに対してどうかひとつ長官はしっかりとした反省をしていただきたい。今後においては正す、こういうことであります。非常にけっこうであります。したがって、この問題に対してもひとつ誠意のある解決をするように努力をされる御意思はおありと思いますけれども、再度念を押してその点を聞いておきたいと思います。
○福田(省)政府委員 先ほども申し上げましたように、文書だけの往復ということについては、まことに態度が反省すべきものがあったと思います。この問題は、この時点では解決をしてはおりますけれども、十分相手方に対して了解を得るようにさらに私たちも努力してまいりたい。また今後の行き方につきましても、先ほど申し上げましたように、十分地元の協力を得なければ国有林の経営はできないことでございますので、今後の処理につきましても十分注意してまいりたい、かように思っております。
○坂井委員 私はずいぶん申し上げたいことがございますけれども、時間がございますから、そこで最後に委員長、実はお願いでございますが、ひとつこの問題に対します資料の要求をいたしたい。
 先ほど幾らかの御答弁はございましたけれども、この大塔山を購入するにあたって契約に至るまでの経緯、一体いつこれを買おうとおきめになったのか、契約予定価額なるものもございます。この面積は先ほど申しましたように二千ヘクタール、実測は千三百十、一体この山の面積はどれくらいあると見込んで契約予定価額を立てられたのか、そういう点についてもこれは明らかにしていかなければならぬ問題だと思います。したがって契約予定価額、同時に契約額、そうして契約を結びまして、その後において中部林産が解散をした、そのことは先ほど明らかになりました。しかもその後においてもさまざまな問題があるようでございます。そのことについては本日は触れません。したがって、いま申しました契約に至るその経緯を明らかにする書類、同時に、いま申しましたように、この山が林道の通行ができない状態に置かれたために本年の新植事業がたいへんな支障を来たした、どういうような計画に狂いを生じたか、同時に、すでに予定されてこの山で働こうということで契約をされておった山林労務者、この労務賃は一体どうなったか、本年度予算化されているはずですね、どうなったか、そういう経緯、並びに補足的に、あなた方が成規の手続によって購入されたのだ、こう言われているわけでございますので、それを証する書類を一切、ひとつそうした関係書類の提出を求めたい。資料の提出をお願いいたしたい。これは単にこの山のみならず、私はいま申しましたような、またあなたから先ほど御答弁のありましたような保安林の事業計画がなされておる中で、さらに四十八年に至る計画をどんどん進めなければならぬ。非常におくれておる。一方では赤字を出しておる。しかも逆に、一方の面からいえば、国土保全のために、荒れた山林原野をどんどん国が買い上げて、そして国の力でもって、国土保全という目的に資するために、どんどん事業を進めなければならぬ。そういう非常に大きな意義のある事業でございますだけに、今後においてはこのような不祥事は絶対起こしてはならぬ、そう思いますがゆえに、あえてこれを一つの事例としまして、そうした資料の提出をされますようにお願いいたしたいわけでございます。委員長、よろしくお願いいたしたいと思います。
○福田委員長 坂井君に申し上げます。ただいまあなたの要望された当局に対する資料の件は、さっそく事務局より当局に折衝させ、本件に関していかにすべきかということは、いずれ次回の理事会において諸君と御相談申し上げたいと存じます。
 そこで、本日は間もなく本会議が始まり、本会議の所要時間が大体五十分、同時にきょうの委員会の御質問がまだあと吉田賢一君が残っておりますので、各般の問題から考えて、吉田君の質疑もぜひきょうじゅうに全ういたしたい。本会議が大体三時十分前には終わりますから、三時には委員の先生各党の先生御出席願って、そこで再開いたしたい。
 同時に林野庁の長官並びに諸君に申し上げますが、そういう御要望がありますので、一応私たちの手元まであとう限りの、でき得る限りの資料を御用意願いとう存じ上げます。
 この際、本会議散会後再開することにして、暫時休憩いたします。
   午後一時四十二分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時六分開議
○福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂井弘一君。
○坂井委員 農業会議が農地転用の際に、四条、五条の許可でありますが、許可の際に農地転用許可証明なる立て札、表札を発行いたしまして代金を徴収しておる、こういう問題でございます。
 まずお尋ねしたいのは、そうした代金徴収、これが二百円から高いものは一万円というような額もあるようでございますが、そういう徴収をしておる府県、ことに非常に高価な代金を徴収しておったというような県は一体どこなのか、あるいは金額は、私いま二百円から一万円、こう申しましたけれども、どれくらいの額を徴収しておるのか、その実態についてお答えいただきたいと思います。
○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。農地を転用する場合に、農地法の規定による手続を励行させるために、かなりの県におきまして、県の行政指導により、転用の許可があった農地にその許可済みであることを表示する立て札を掲示させることとし、県の農業会議が立て札の交付を行なってきた事実はございます。このことに関しましては、四十六年七月及び十月に行政管理庁から農林省に対して通知がありまして、中・四国の一部の県、香川県、愛媛県等でございますが、この立て札の交付につき、原価に比べて著しく高額の代金を徴収しているものがある、それから県の転用許可にあたり、農業会議の作製する立て札の掲示を許可条件としているものがあることの通知を受けたわけでございます。
 そこで農林省といたしましては、四十六年の七月、通達をもって、立て札の掲示を農地転用の許可条件としている県にあっては、これを廃止するよう指導するとともに、全国農業会議所を通じ、立て札の代金を妥当な額に改めるよう、県農業会議を指導いたしました。
 これらの結果、四十六年十一月から今年の一月までの間に立て札の代金は一件三百円以下とするよう改善措置が講ぜられておりますから、立て札の掲示を農地転用の許可条件、またはこれとまぎらわしい取り扱いとすることも廃止されております。
○坂井委員 改善がなされた、三百円以下になったということであります。同時に、許可条件ということについてはこれを改めた、こういうような御答弁であたかと思います。
 そこで、こうした農地転用にあたりまして、いわゆる農業会議が発行しておりました農地転用許可証明なる立て札ないしは表札といいましょうか、そういうものを現場に掲示をするというようなやり方、同時に、この立て札を発行するにあたって、相当多額な代金を徴収しておった。一体この法的な根拠はどこにあったのでしょうか。あったのでしょうか、どうなんでしょうか。
○三善政府委員 農業会議が農地を転用しました際に、その転用が済んだということを表示しますその立て札を立てる、それは一つは、農業会議あるいは農業委員会の一つの事業内容としまして、農地法あるいは土地改良法の関係、それに関連しまして啓蒙普及という事業がございますし、さらにまた附帯的な事業も行なうことができるようになっております。これは農業委員会法の四十条でございますけれども。
 それから許可条件の問題でございますけれども、これは農地法の四条、五条におきまして、都道府県知事が許可をいたします際に、知事はその許可に条件を付することができるということで、この二つの関連から法律的には農業会議が、転用が済みましたところについてこの立て札を交付したということについての問題は別になかろうかと存じております。
○坂井委員 いまのお答えによりますと、法律的な根拠としては農業委員会等に関する法律第六条、それから四十条、五十九条、いわゆる業務規定でありますが、その中にはこのような許可にあたっての立て札、そして代金を徴収するというようなことはこの業務規定の中には根拠が見当りません。したがって、この措置は適正ではない、こういうやり方は適正ではない、このように理解して間違いございませんか。
○三善政府委員 農業委員会の法律の四十条の二項の二号をごらんになっていただきますと、ここに「農業及び農民に関する啓もう及び宣伝を行うこと。」、六号に「前各号の業務に附帯する業務」を行なうということが出でおります。この啓蒙と普及ということでございますけれども、御承知のように、農地法で、農地を転用する場合に都道府県知事の許可が要ります。ただ、一般的に私どもが事務を行なっております関係上、無断転用と申しますか不法転用と申しますか、そういう事例というのは毎年非常に多うございまして、そういう事例をなくするために、あるいは適正にこの農地の転用許可事務が行なわれるために、やはりこういう啓蒙宣伝ということも必要ではないかというふうに考えております。そういう意味でここの業務のところで読めるというふうな解釈をいたしておるわけでございます。
○坂井委員 たいへん微妙なお答えであるかのように思いますが、私にはいささか了解のしにくい点がございます。いま私申しましたことは、法的根拠ということでございますので、農業委員会等に関する法律第四十条の第二項を引かれました、「啓もう及び宣伝を行うこと。」とあると。これを受けまして第六号ですね。これはどうもこじつけじゃございませんか。いわゆる許可した、許可を受けて、そして同時にここが許可をされた場所であるという、許可証なる表札をここに掲示する、それに代金が伴う。その行為自体はここで言うところの四十条第二項の宣伝、啓蒙、これはいささか当たらないのではないかと思いますね。したがって私はこういうやり方は適正でないのではないかということをお尋ねしたのでありまして、いわゆる適正であるのかないのかという、この質問に対するいまの答弁を伺いますと、あたかも適正である、こういうような答弁のようなニュアンス、感じですね。私はむしろ適正ではないということを言いたい。したがって期待したことは、これは適正ではありません、実はこういう答弁を期待した。いかがでございますか。適正でしょうか、それとも適正ではないと、そう判断されるでしょうか。
○三善政府委員 その立て札につきまして非常に不当な代金を徴収した、それから許可条件にしたというようなことについては、私は適正とは思わないと考えております。ただ、立て札を農業会議が交付し、またリーズナブルと申しますか、ある程度の実費的な代金をいただくというようなことは、適正ということばが当てはまるかどうかわかりませんが、私それは法的には一応読めるという解釈で、そういうこともやはりこの農地転用の事業をスムーズにやっていくためにはある程度必要なことではなかろうか、こういうふうに考えております。
○坂井委員 いまお答えになりましたその趣旨というもの、そういう情勢の中でこのような手段方法によらなければならなかったとする一つの理由というものは私わからないでもありません。しかし、やはり法律的にこの根拠を求めて厳正でなければならない、これは行政の立場であろうかと思います。しかるところ、先ほど御答弁いただきましたように、行政監察局のほうは、二回にわたりまして、この問題の参考通知としまして、すでに農林省にあてて、こういう事例が見られるということでもって参考通知を出しております。受け取られておると思います。その中に明らかに、今回のこうした措置については適正とは認められない、こう断定しておるわけでありまして、したがってこの適正でない、いわゆる不適正であるという観点に立ちまして、そうして先ほどの御答弁のとおり、今日までやられてきたこの農業会議が許可条件として義務づけるというやり方、これを改める、同時に相当多額なものがある、これは額を適正にしなさい等々の通達がなされた。問題はこれでいいかどうかということでございまして、私はこの問題に対しては、いま農政局ないし農地局がとられた措置は決して満足なものではないという実は判断をいたしております。
 問題点はまさに二点あろうかと思いますが、そのまず第一点は、しからばいままでいわゆる不適正な形、適正でない形で徴収されてきたもの、それは一体どうするのだという問題、これが一つ残ろうかと思います。いま一つは、いわゆる許可条件としない、義務づけないのだから、任意にするのだからそれでよろしいではないか。同時に、常識上の高額な代金を徴収してきた、これを二百円、三百円というならば、実費程度のものに改めたのだから、それはそれでいいではないか。これがいいか悪いかという、こういう問題であろうかと思うのですけれども、まず一点、しからばいままでたとえば一万円取られた、今回の措置で三百円になった、九千七百円取られ過ぎた、これは一体どうなさいますか。
○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。確かに非常に高額な立て札の代金を取った県は過去においてあるわけでございます。ただ一方、農業会議というものは、国及び県の補助金、それから会員の拠出金、寄付金、雑収入ということで収入はまかなっているわけでございます。したがいまして、過去において取りましたものは、農業会議の雑収入に入っておりまして、それが一部はさらに下部機関である農業委員会に還付されている、それからさらに、その金は農業会議本来の活動に充当したということになっておりますので、取ったお金で会員の拠出金が多少軽減されているという面があったのではないかというふうに考えております。
○坂井委員 ちょっと御答弁が、私の質問にいささかはずれておるのではないかと思うのですけれども、申し上げましたことは、この許可にあたって、許可条件ではないものを義務づけて、法的な根拠はどこにもない。むしろ法的には、そのようなことを義務づけるということは、これはある意味では、この法律の解釈に照らしてもきわめて大きな疑義がある。取れないものを取ったということですね、義務づけて。高額な代金を徴収をした。その行為自体は不適正だ、適正ではなかった。それで改めた。改められて、今日三百円になった。いままで一万円払った人は九千七百円、不適正な、法的根拠は何もなしに、義務づけられて取られたのですよ。自由な意思でもって払ったのではないのです。何らの根拠なしに取られたのです。これをそのままほうっておいていいのかどうなのかということのお考えをお尋ねしたい、こういうわけであります。
○三善政府委員 許可の条件としたということ、義務づけて取ったということにつきまして、これも不適正というおことばをお使いになりましたけれども、私どもの解釈としては、それは決して妥当ではない、法的にそういうことをやること自体が間違っている、だから不可能なことだというふうには解釈できないのじゃないかというふうに考えておる。ただ、決してこれは正面切って妥当なものではないと言えないということははっきり申し上げたいと思います。そういう意味で、取っていかぬものを取ったということにはいささかならないのではなかろうかというふうに解釈しております。
○坂井委員 その辺の法的な解釈というものを、運用にあたって行政のほうではしっかり踏まえないと、今後において、やはりなお問題を残すのではないかということを私は危惧いたしますから、あえてこのことを念を押して聞いているわけであります。平たい世間の常識からしますと、どろぼう論議なんかやりますと、ずいぶんとんでもないことになるかもしれません。言うなれば、いままで、盗んだのはそのままでよろしい、これからは盗んだらいけません、どろぼうが盗んだものは悪い、おまえはどろぼうだ、返しなさい、これからはどろぼうはやめなさい、絶対してはいけませんよ。これは常識的な話ですけれども、きわめてこれは適正でない、いわゆる不適正な形で――妥当論とか、いま出ましたけれども、いずれにしても何ら法的根拠のないものが取られたわけですね。いままでは取られ損だ、こういうようなことにもなってしまうわけですね。このことをあえて論議しましても、水かけに終わってしまうような感じがいたしますから、話を進めますが、実はこれは非常に大事な問題になります。二つ目の問題にかかってきますけれども、たとえば金額の問題であります。確かに義務づけない、許可条件としたものを義務づけておったものを改めた、これはよくわかります。ところが、いままで一万円取ったものを三百円ぐらいならよろしい、金額が少なくなったらよろしい、これは一体どこに根拠があるのでしょうか。どういう理由に基づいて、三百円ぐらいならば妥当であるとされたのでしょうか。その辺をひとつお伺いしたい。
○三善政府委員 その義務づけないで、今後の方針に、先ほど農政局長のほうから申し上げましたけれども、義務づけて取るようなことはしない。しかし、この立て看板を転用が許可されたところにこれを証明するような意味でやることは、やはり先ほど来私申し上げておりますように、無断転用あるいは不法転用、そういうのを防ぐためにも役立つという都道府県の行政の一つの指導があれば、そういうものに基づいて立て看板を出すということは、私は一つの運用のやり方だろうと思います。その立て看板の原価と申しますか、それに近い程度の額は、これは常識的に見ても、当然認められてしかるべきことではなかろうか、そういうふうに考えております。
○坂井委員 ではお尋ねしますけれども、この立て看板の実費というのは、一体どれぐらいだと考えていらっしゃいますか。
○三善政府委員 立て看板につきましては、これは先生御承知と思いますけれども、県によっていろいろの大きさとか、つくり方とかありますので、一がいには申し上げにくいと思いますが、行官のほうで一応指摘を受けましたのは、原価は大体七十円から百円ぐらいの実費じゃなかろうかということで指摘を受けております。大体、小さいのはそのくらいの原価ではなかろうかというふうに思っております。
○坂井委員 申しますけれども、どうもおかしいのですね。これは農業会議が商売しておるようなものですね心看板商売を農林省は奨励しておるというような、そういう形のものが残るのではないかという心配を私はするわけですよ。
 いまこの看板代が大体七十円から百円、これは行管が大体そういうことを指摘したという。いまおっしゃったとおりだと思います。これには運賃も含む、事務費も含めて、こういうことですね。それで大体常識的な額だというのだから三百円ぐらい、こういうのもやはりもうけになりますね。いわゆる第四条、五条、そういう許可申請によって許可を受けた、それになぜ農業会議が介在をして、こういう看板を立てて、まあ言うならば、売って、受益者のほうからいえば、申請者のほうからいえば、これを買わされて立てなければならぬか。それを何か行政が指導しておる。商売をやりなさい。額が少ないからいいというのではないと思いますね。まず一つ。同時に、百五十円のところもあれば、三百円のところもある。前は一万円というところもあったのですね。いいですか、一件一万円、安いところで百五十円、そうしてそれをやっている県もあれば、やらぬ県もある。いま実際にこういう形でやっておるのは何県ございますか。
○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。昭和四十七年の三月現在で、実施していない県は二十四県でございます。それから四月から廃止すると言っておる県が六県ございます。あと十六県が四月以降もやるわけでございますが、三百円でやっておる県が八県、それから二百円以上三百円未満でやっておる県が三県、それから百円以上二百円未満でやっておる県が五県でございます。
○坂井委員 そうしますと、これは大体三十年ごろから始まっているのですね、実施県は。ところが、もともとやっていない県もありますね。そうしていま申しましたように、やっておる県では百五十円から一万円という、金額にはそういう非常に大きな差がある。それから、こういう問題はいけないんじゃないか、これは適正でないんではないかという行管の参考通知があった。これは大臣、お聞きください。その結果、農林省はこれを行政指導をした。各都道府県に通達を出した。改めなさい、義務づけることはいけないというわけです。ただし、これを見ますと、通達です。四十六年七月二十九日、「立札を掲示させることが農地転用の手続きの励行上望ましいと考えられる地域においては、行政指導により、農地転用の許可を受けた転用事業者が自主的に立札を掲示するよう指導することとし、農地転用の許可に関する指令書に立札の掲示を許可条件として記載しないこと。」――許可条件として記載しないこと、これはまことにこのとおりだと思うのですね。しかし、これよりもむしろここにかかっている比重は、適当な地域においては、農地転用の許可を受けた転用事業者が自主的に立て札を立てるように指導しなさい、こうなっているわけです。指導しなさい、自主的に立てなさいと。そうして、まずその値段というのが、常識的な値段で大体三百円、こういうことですね。
 元来、こういうことは法的な根拠がないし、このような形で代金を徴収するということは非常に問題がある。だから取れないとして取ってないです。それから、取った県が、先ほど申しましたように百五十円から一万円。で、この通達を受けた以後やめた県もあります。全面的に廃止した。ところが、まず三百円くらいならよかろうというわけで、いままで一万円も取っておったところがいきなり値段を落として三百円ということに改正した、こういうところもある。まあ、これが全国的に個々まちまちである。私は、行政というものはこういうアンバランスに対して一つの方向を与える、これが行政の責任じゃないかと思うのです。こういう形のままで置いておって、はたしていいかということですね。もっともらしい理由としておっしゃいますことは、いわゆるこの転用にあたって悪用しないためにというようなこと、それから、これは許可が要るんだからというわけで、明らかに農地転用、四条、五条の許可を受けましたということを証明する、そのためにも、受益者にとってはきわめてこれは一つの大きな利益があるというので、これを立てさせる。PRする意味もある、まあこういうことであろうかと思うのでありますけれども、これはまさに行政の便宜上の問題でありまして、受益者ないしは申請者にとってみれば、何ら益するところは私はないと思う。こういうものを義務づけられたのではたまったものではないと思うのです。また、行政指導の中で、極力自主的に立てるようにしなさいというようなことで指導すること自体に問題がある。自主的というならば事実上まかしたらどうでしょうか。むしろこういういままでのあり方が適正でなかったという判断に立たれるならば、義務づけたことは間違いである、したがって、廃止をしなさい、ただし、本人の自主的な意思によってやろうという分については、御自身がつくろうとそれは自由であります、こう通達すべきじゃございませんか。それが、何となくむしろやりなさい、額が少なければいいんですよ、許可条件にしなければ、義務づけなければやったっていいんですよ、どんどんやらせなさいというような形の通達になっているところに私はいささか問題があるんではないかということを指摘しているわけでございまして、いかがでございましょうか。はたから見ますと、ずいぶんおかしな話で、隣の県はやっている、うちはやってない、国民の側から見れば、こんな複雑な迷惑な話はないと私は思います、地主またそうした転用された土地を使おうというような人たちにとってみれば。国民の目から見て、きわめて納得しがたい。そういう点についてはどうお考えでしょうか。
○三善政府委員 この立て札の件につきましては、やっている県とやっていない県と、御指摘のようにございます。
 先ほどから私申し上げておりますように、やはりやっている県においてはそれだけの必要性があるという判断が一つあると思います。で、都道府県知事が農業会議を直接監督いたしておりますので、その都道府県知事の行政指導によってやらせるようにしておりますし、そういうやり方の中でも、いままでのような義務づけるとかあるいは強制するとか、そういうようなやり方はやめろ、それからもう一つ、そういう不当な高額な代金を徴収するようなことは、これはやめたらどうかということで、通達を出したわけでございます。
 通達の中身としましていわんとするところは、これはやはりその申請者の方が自主的にそういう立て看板と申しますか、それを転用のあったところについて立てることが、非常に申請者のためにもなる場合も相当多い。といいますのは、具体的の事例で申し上げますと、転用された一つの農地なら農地、そこに、その農地を無断でほかの人がブローカー的な立場で、またそれをほかに転売するというようなこともなきにしもあらずでございますし、また、その転用された農地というのは一つは条件がついておりまして、その転用の目的に従ってそれは使用するということがこれの目的でございます。それを、転用された目的以外にかってに使うとか、そういうこともできないようにするために、やはり申請者にとってもある程度有利な面もございますし、あるいは、行政上の一つのそういう農地の転用の規制という面についても有効な点もございますので、そういう意味で、その判断は都道府県知事にまかせまして、都道府県知事の行政指導によって、そして自主的に、リーズナブルなやり方でやるようにという意味でこの通達を出したわけでございます。その点ひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
○坂井委員 ずいぶん融通のきいた、お役所にしてはまことに近来まれに見る解釈、法の運用であろうと私は思うのですね。こういう形が私は悪いとは申しませんよ。申しませんけれども、この問題については、これはいささかやはりあとあとに問題が残るのじゃないかということを実は私は心配するのです。
 これは大臣お聞きください。四十三年にいわゆる都市計画、市街化区域においては許可は要らないですね、四条、五条で。届け出になりましたね。知事に届け出て転用ができる。ところが、届け出した分についても届け出済み証という看板が出ている。御存じですか。御存じでしょう。御存じだろうと思います。一体何の必要があるんでしょうか。法律的な根拠はどこにもない。許可を与えるのは知事であり、二ヘクタール以上は大臣です。それが、農業会議が定めたと称するこのような立て看板を売っている。それは大臣、先刻申しましたように、かつては百五十円から一万円、しかもこれを許可条件に義務づける。条件の一つとして、看板を立てることを義務づけた。こういうやり方は法的な根拠はどこにもないんだからいけないということで、行管の指摘を受けて改めさした。しかしいまは三百円くらいだ、だからいいんではないか、しかも、この看板を立てることによって、まあ悪い転用がなくなるであろうとか、あるいは、受益者にとっても幾らか利便があるんではないかとか、まあいろんなことを言われる。それはなぜかといいますと、いわゆる許可なんだから、無断でやられたら困るんだから、これ、さももっともらしく聞こえます。しかし、市街化区域は届け出でいま転用できるのです、だれ人も。それにまた御丁寧に届け出済み証なる看板を売りつける。そうなってまいりますと、しかも、やっている県もあればやらぬ県もある。これはずいぶんおかしな話だと思うのですね。だから、こういうことは行政の上で一本線を引いて、指導の中でできる話ではないか心しかるに、この通達を見ますと、自由になさいよ、自主的なんだといいながらも、立てるように指導しなさい、必要のあるところには立てるように指導しなさい、こういっているものですから、いままで取り過ぎたところはこれからはそんな額は取れないけれども、三百円くらいならいいんだ、だからやはり売りましょう売りましょうというわけで、申請者に対して売りつける。だから苦情がひんぴんとして最近も絶え間ないじゃございませんか。地主、申請者、受益者が行管に対して、農林省に対して、まだこんなものを取られる、これは何の意味があるのでしょうか、届け出すればもういいと聞いたんですけれども、こんな看板を買わされた。それが隣の県へ聞いてみると、いやそんなことはとんでもない、うちはやっておりませんよ、おたくの県はおかしいんじゃありませんかと言われる。私は、こういうのはささいなことかもわかりません、しかし行政の中ではきわめて大事な問題ではないか、こう実は思うのです。大臣、いかがでしょうか。実はそういう事例があるのです。もし大臣のお答えの前に、私が申しましたことに対して何か農林省のほうでお考えがあれば伺ってもけっこうでございますし、あるいは間違っておるところがあれば御指摘いただいてけっこうでございます。
○三善政府委員 市街化区域内の農地につきましては、転用の場合、届け出制に切りかわっております。これについては取らないように私どもも指導しておりますし、その点は今後届け出の面について取るというようなことは一切ございません。そういうふうに指導いたしております。
 それから、その他の面では、やはり先ほど申し上げておりましたように、都道府県の一つの行政指導、県の行政指導というものを尊重いたしまして、県で必要がないということであれば、それは県の判断にまかして指導したほうが、実態に即したこの運営がやれるのではなかろうかというふうに事務的には考えております。
○赤城国務大臣 転用許可といっても、あるいはまだ市街地へ取り入れられてあるのでも、立て札ですか、立て札などを買わせたり売ったりするということはあまり好ましくないと思います。そういうことをすると、何か許可するのに手数料を取ったような形にとられる向きもありますから。ですから自主的に、転用許可になったということを立てるならかまいません、許可を受けた人が。しかし、これは県のいろいろな事情もありましょうから、その事情に即したようにやらせるように指導しますけれども、私は、あまりこういう立て札などを売ったり買わしたりすることは、何か許可の条件じゃなくても、許可している手数料を取っているような形の誤解を受ける向きがあると思います。県の自主性にまかせることにしますけれども、私はいま申し上げたような考えでおります。
○坂井委員 きわめて率直な大臣の御答弁、私はそのとおりであろうと思うのですね。手数料といって、確かに大臣、念のために申し上げますけれども、農業会議がこういう代金、看板代を徴収した。そうしますと経理上は手数料として計上しているところがあるんですね、はっきりとおめず憶せず。これはずっと続いておるわけですね。そうしてある県のごときは、五百万から六百万くらいの年収です。そうしますと、一農業会議というのは大体千万から二千万くらいでしょうか年間会計は。占める比率というのはきわめて大きいと思いますね。しかも国の補助というのが五百万、六百万いっているわけですね。そういう中で、だからこれは商売じゃないか、こうなるわけでありまして、しかも法的な根拠はない。決してだれが見ても好ましい状態とは言えない。各府県も、やっているところもあればやらないところもある。これじゃ困るのだということを申し上げたわけでありまして、その中でなおかつ農政、農地局のほうでは、何とかこういう各府県の実情もあろうことなんだから、府県の実情に応じて自主的な判断をと、こうおっしゃっているわけですけれども、ここら辺のあいまいさが私は将来においてまたあやまちを起こすおそれがあるということを実は指摘しているわけでありまして、自主的といいますけれども、ほんとうに自主的というならば、これはいけないんです、取るべきものじゃないんです。しかし申請者において看板を立てたいというならば御自由になさい、これは自主的だと思いますね。しかるに、いまの自主的というのは何かといいますと、農業会議というものはたくさん看板をつくって持ってあるわけです。いままで続いてきたのだから、今度は自主的になったんだ、あらかじめ用意しておいて、自主的だ。しかも通達を見ますと、立てるように指導しなさいというのだから、それきたとばかりにやはり売るわけですよ。三百円ぐらいで売ったって勘定に合わぬじゃないでしょうかね。それでもやはりいままでずっと続いてきた手前もあるし、いまさらこれをやめるということになると、ではいままでやったのは金を返せなんて言われると、これはたいへんだというような面もあるのでしょう。そこまで意地きたなく触れたくはございませんけれども、ただやはり心配なことは、そういうわけで、くどいように申しましたけれども、今後において行政が、やはり行政のサイドとしては明確な、各府県の平等、公平な立場でこういうアンバランスをなくして、一本明確な線を引いた通達をして、そうしてあやまちのないようにしていかなければならぬ。そういう意味で申し上げたのでありまして、いま大臣のお答えがございましたので、あえてそれ以上のことは私はお尋ねする意はございませんが、ただ一言最後に、会計検査院お見えでしょうか。――いかがでしょうか、いままで申しました範囲の中で、こうしたあり方に対して、会計検査院としてはどういう方向が望ましいとお考えになるでしょうか、これを一点伺って終わりたいと思います。
○田中会計検査院説明員 お答えいたします。会計検査院は、会計経理の面を検査しておりますので、ただいま先生が問題になさいましたような問題は、どちらかといいますと農林省サイドにおける行政プロパーに近い問題じゃないかというふうに感ずるわけでございまして、会計検査院といたしまして意見を申し述べる立場にないわけでございますが、しいて私見を申し上げますと、先ほど来農林省当局からの答弁もありましたとおり、行政といたしましては今後検討していただく点もあるやに思いますので、その点の善処方を希望するということでございます。
○坂井委員 終わります。
○福田委員長 次に、吉田賢一君より発言を求められております。これを許します。吉田賢一君。
○吉田(賢)委員 大臣のお時間のこともありまするので、劈頭にお尋ねいたします。基本線を伺うつもりでありまするから、そのつもりで、要点をひとつお聞かせいただきたいのでございます。
 第一点は、日本の酪農経営の成立の条件なのですが、酪農経営は、これはしろうと観察でございまするけれども、奥深く掘り下げてまいりますると、非常に重大な一つの産業でもあり、農業でもあり、また国策につながると思うのです。と申しまするのは、たとえば福祉国家と申しましても、国民の健康管理、公衆衛生、いかにして体質のりっぱな豊かな国民をつくるかということが福祉国家の一つの柱になると思うんですね。私はしろうとですけれども、牛乳の持っておりまするたん白は、量はわりに少ないけれども、しかしカルシウムあるいはビタミンB2とかB1とか、その他穀物の食糧の補給のために考えましても非常に均整のとれた食糧であるともっぱらいわれておりますね。そういう点から考えまして、いつぞやも畜産局長にも伺ったのでありますけれども、国民に純良な新鮮な牛乳を数倍飲ますということは、これが福祉国家の一つのねらいになっていいのではないか。やはり大手を振って農林行政の一つの柱を立てて全国民に訴える、協力を求める、あらゆる角度から行政を一本化してこれを推進する、こういうふうに進めるべきだと思うのです。さりながら現状におきましては、酪農が企業として成立するのは容易でないというふうに伺います。いろいろな意味で停とんの形と伺います。それならば、根本的にひとつ大臣の発想で大きな柱をここに立てるということを打ち出したらどうか。ぐっと大きな柱ということになると何になるのだろうか、この点をひとつ明快にお示しを願いたいと思うのです。
○赤城国務大臣 御説のとおり思っております。実は日本は御承知のように大陸国家でなかったものですから、畜産とか酪農が非常におくれておったのでございます。しかし食生活からいいましても、あるいは日本の農業の形からいいましても、いま畜産、果樹等に穀類の農業を転換していかなければならぬ、こういうふうに考えて、ここ数年来大いに力を入れておるわけでございます。そういうことから言いましても、いまお話しのように畜産、そのうちでも肉と牛乳等の二つがありますけれども、酪農につきましては大いに国の農業の方針として力を入れていこう、食生活の面から言いましてもそういうふうに考えて、これに力を入れておるような次第でございます。
○吉田(賢)委員 現在の農林行政、国策の実情は、いま大臣が力説されたように必ずしも国民は酪農に力を入れておるというふうに理解はいたしておりませんです。たとえば、生産面におきましても、四十六年全国平均六・六頭、二十八万戸と零細規模であります。えさにおきましても、依然として輸入えさにたよっております。生産の伸びにいたしましても、四十四年度一〇%、それがその後五%に減っております、伸び率が。労働不足、収益減、酪農家に嫁に行くな、そんなことさえいわれるのが現在の実情ではないでしょうか。これが生産面でありまするので、こういうような酪農につきまして、生産面につきまして具体的に何をどうしよるかということは国民はよく理解しておらぬと思うのですね。なるほど北海道で黒田さんが言っておるように、北海道のような日本の牧場、これは日本にはざらにはございませんですわ。近畿、都市郊外の酪農について見ましても、中部におきましてもこれは同様でございますが、狭い土地でございます。しかし日照もあるし、雨量も多いし、湿度も高いこの日本におきまして、また別な角度でもって具体性を持った酪農ができるのではないかというようなこともいわれるのでありますが、それならば、生産面におきましても相当新機軸を出すような農林省として発想がなければなるまい。至るところに研究所もあるのですから、その辺のことを思いまして、私は、いまいろんな実例に基づきましてお尋ねする時間もありませんから申しませんけれども、生産面だけとって考えましても、決して政府は胸を張って推進する体制にはなっておりませんよ、大臣。これは率直にお認めいただきまして、真に酪農の重要性をお認めになるならば、生産面をどうすべきか、どこに問題があってどうしたらよいのか、故障はどこかということを、専門家だけで理解するのではなしに、国民に知らしてもらいたいのですよ。そうしてもっとよい牛乳を飲まそうじゃありませんか。もっとよい牛乳を飲まして、よい体質をつくろうじゃありませんか。これが望ましいのです。そういう点で大臣、ひとつ積極的な姿勢で取り組むようなことはできませんでしょうかな。
○赤城国務大臣 いろいろな状況につきましては畜産局長からもお話し申し上げますが、とにかく経営の面などから思いますと、何としても多頭化でないと経営がうまくいきませんということ、それから飼料の問題もあります。そういう問題があるものですから、草地造成というようなところに相当力を入れて、多頭化酪農ができるような方向へ進めておるわけであります。それからまたスイスにおける山岳酪農というような問題も研究さして、山地等におきまして酪農などがやれるような方向、そういういろいろな方面から、経営の面でも生産の面でもやっていけるような体制を整えて、そうしてこれを進めていくということにはいろいろくふうをしておる次第でございます。
 なお、状況等につきまして申し上げることがありますならば、畜産局長からも申し上げておきたいと思います。
○福田委員長 この際、ちょっと吉田君お待ちください。いまあなたの御質問に対する大臣の補充答弁として、増田畜産局長の所見を述べらせます。増田畜産局長。
○増田(久)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、農政の戦略部門として酪農を大きく取り上げていくという姿勢は従来から持っておったわけでございまして、現在畜産局の予算の六割は実は酪農に振り向けられているという実態でございます。しかしそれが現状にぴったりマッチしたものであるのかどうか、それだけ十分の効果をあげているものであるのかどうか、それについてはいろいろ問題の点、批判の点があろうと思っております。そういう点で、現在酪農問題研究会というものを設け、学識経験者の御参集を得まして、いま根本的に検討いたしておりまして、今月中に酪農の現状と問題点を徹底的に分析いたしまして、国民の前に酪農の姿と今後のあるべき姿を訴えよう、かように考えている次第でございます。
○吉田(賢)委員 すでに古くしてなお新しい問題でありまするので、論ずるところはかなり尽くされておるのではないか、こう思うのであります。先進国も西欧にはございまするし、あるいはまたその他にも豪州、ニュージーランド等もあるわけでありまするから、いろいろな問題が尽くされておると思うのでありますが、小さい国でありますけれども、この国なりの生産性はどうしたらいいのだろうか。生産性という問題について考えてみましても、一体どの辺をねらっていくのであろうか。学者にしろ実際家にしろ、ずいぶん議論をしているのを見るわけでありますが、幾ら議論しておりましても、そうこれならという案があるのでしょうか。今月中に云々とおっしゃいますけれども、一例をちょっと申しましたら、それならば酪農の規模を拡大するというが、ほんとうに拡大するというようなことを考えておるのかどうか。あるいはまた、資本装備の問題にしましても、低収益率の酪農などに膨大な資金を投入するような財源は一体どこにあるのかということを考えるのです。いま申しましたように、労働力を一体どうするのか、流通機構をどうするのか。草地栽培と申しましても、草地草地というけれども、何をどこでどうつくろうとするのか。輸入をぶち切るというのか、えさはどうか。これは、天才が発明して特許庁のパテントをとる問題と違いますからね。積み上げてまいりましたその結論、至るところで、世界の先進国などで豊富な経験がされておりますが、流動しております世界の経済の変動の中における酪農の位置づけ――人間の労働力なくしてはどうにもなりません。デンマークあたりにおきましても、酪農労働者は、都市工業のほうがよほど収入がいいというので漸減しております。酪農の先進国にしてしかり、一体どうなるんであろうか。ニュージーランドのまねをするのか。そのまねをするような広漠たる土地は日本にはございません。その辺につきましても、専門家の研究は研究としまして、局長、何か方向だけでも、国会で大臣を補佐して出しなさいよ。
○増田(久)政府委員 酪農の発展のために、何か特効的な施策があるか、こういうお話をされますが、そういうものがあればとっくにやっていて、効果も出ているわけでございまして、そういうものがないところに、われわれとして苦慮いたしておるわけでございます。
 ただ、先生、率直に申し上げたいと思っておりますけれども、現在、日本の酪農経営の物的生産性というものは、大体年率八%で上がっております。これは、おそらく日本の中小企業よりもはるかに生産性の向上が高いということは、私、胸を張って言えることだと思っております。特にどの部門で生産性が上がってきているかというと、管理労力の部面におきまして、労働時間が急速に減ってきているという実態がございます。御存じのとおり、生産費のうちの五五%はえさ代、それから二三、四%は管理労働費、それから八%台から九%が大体乳牛の償却費、この三つで八八ないし九〇%の生産費を占めてしまうわけでございますから、生産性を上げるためには、管理労働を下げるか、えさ代を節約するか、そこのところの生産性を高めるか、このどちらかをやらなければならないわけでございます。
 いま日本の酪農のたどっている点は、先ほど申し上げたとおり、管理労働面の向上、これは多頭化という形と機械化という方向で進んでいるのだろうと思います。それからもう一つ、えさのほうにつきましては、残念ながら、特に土地の制約というものがあります関係上、生産性は必ずしも高いものではございませんけれども、日本的特色といたしまして、草地の生産性は、アメリカやヨーロッパに比べて、はるかに高い水準にあるわけでございます。たとえばアメリカでは、大体一ヘクタールに一頭という規模で考えられていると思いますけれども、日本の内地では〇・二ヘクタールに一頭くらいの割合で飼い得るだけの草の生産量はあがっているということがいわれているわけでございます。
 そういう点で、今後、日本の、特に内地の酪農を考える場合には、他作物との複合経営をどうするかという問題が一つ。それから、そういう土地生産性の高さというものをどううまく組み合わせていくのか、そういった点を考えた酪農のあり方を今後真剣に追求してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○吉田(賢)委員 一般の各種の農業におきましても、また酪農も、いまお述べになりましたように、自然の条件もしくは労働の条件――自然的には土地の生産性が高い。湿度も高いし、日照もアメリカやデンマークやスイスと比べてずっと多いのでありますから、土地の生産性が高いというのは当然であります。労働の生産性にいたしましても、朝から夜まで働くという日本人のこの勤勉性というものは、八時間労働というような制約を持っておらぬという特色もありますので、労働の生産性自体が高いということも考えられます。しかし、工業と比較いたしまして、たとえば今度の全国の開発計画について見ましても、八五年の所得は半分じゃありませんか。現在にいたしましても、工業所得と比較いたしまするとあまりにも低所得で、ほんとうに何というていたらくかと思われるくらいでございますが、たとえて申しますると、六五年の国内における工業就労者一人当たりを一〇〇とするならば、一般の農業は六五になっておりまするし、あるいはまた、国際比較について見ましても、日本は三四、インドは四二、デンマークは七七、ニュージーランドは八八、これはある著書でありますけれども、こういう年報も出ておるようでございます。
 それならば、それで経営が経済性をもって成り立っていけるのかどうかというと、またこれは別になります。価格の問題もあります。それから労働時間の関係もあります。交通もあります。あるいはまた、投下資本の財源の問題もありますし、そういう収益全体の問題もございますが、これはまたちょっと別個になります。きょうはその辺のことをこまごまと申し上げる時間もございませんけれども、経営を成り立たしめる条件という点から考えまして、高い生産性、高い収益率、そして今後続々と若年労働が投下されていく可能性が生ずる、言うなら魅力ある酪農が建設されていく、こういうようなイメージがどうしても必要でございますので、分析して数字を並べるというのは、その生産性だけではとてもとても及びがつきませんわ。何年待っておりましても、これは絵にかいたもちになってしまいはせぬかと思いますので、その辺ちょっと結論的に言うておいてください。
○増田(久)政府委員 いまの酪農の経営の実態をながめてまいりますと、確かに一、二頭層、三、四頭層というものは非常に生産性の低い、したがって所得も低い段階であることはもう御指摘のとおりでございます。その平均の五、六頭層もまた同じであります。しかし、現実に酪農は、北海道におきましてもあるいは内地におきましても、十五頭層あるいは二十頭層というものを見てまいりますと、その所得はもう決して他産業には負けない所得水準をあげているということでございます。われわれ、昨年度、酪農近代化計画というものをつくりましたけれども、将来、所得水準を二百万に置くというようなことを考えますと、内地の複合経営では十頭、それから北海道では四十頭くらい、これくらいの規模の階層になれば、他産業に十分匹敵し得るものができるのではないかということをわれわれとしては期待をいたしているわけでございます。ただし、先生はいま労働の問題で申されましたけれども、酪農が一番苦しいところは、毎日、時間に拘束されるという問題でございまして、アメリカでもヨーロッパでも、所得の問題は別にいたしまして、特に若い層から酪農がきらわれていくという実態のあることはいなめない事実かと思っております。
○吉田(賢)委員 大臣、酪農振興につきまして、これは閣僚の一人といたしまして、長期低利の金を投下するということについて、相当国は財政力を豊富に用意するというかまえが一面ないといくまいじゃないだろうか。ですから、技術の近代化にいたしましても、施設にいたしましても、酪農の重要性を全体といたしまして理解しますると、私はその点がほんとうに大事じゃないかと思うのであります。
 もう一点は、やはり牛乳の飲用量にしましても、国際比較を見ますと、一人当たりの消費量はイギリスの七分の一になっております。あまりにも少ないじゃないか。だから、少なくとも二倍三倍にする。この原因は、一体何であろう、何ゆえにこれはふえぬのであろう。いま消費が停滞しておりますね。どうしてふえぬのだろうということを思いますので、この二点につきましては、前者は酪農計画の将来の発展のためには必須の裏づけとなり基盤となるべきものであります。後者は全国民が待望するところであります。全国の消費者あるいはまた福祉をこいねがう母、子供、すべてが健康体をつくるために、これは驍望しておる点であります。でありますので、このくふういかん。イギリス並みの、いまの七倍にしろというわけではありませんけれども、こんなに少ないのではいくまいじゃないか。この点について一体どうしたらいいんだろう。PR時代でもありまするので、ここはひとつうんと国民に宣伝をするということもしていかなければいかぬじゃないか。それならば、安く純良なものを豊富に供給し得る用意があるのか。これはもちろんそれが条件になりますけれども、もっと飲ますには一体どうしたらいいだろう、この点ですね。これだけ飲んだらこれだけ健康体ができるという、こういう冷静な、冷たい絵をかくという意味ではないのでございます。真剣に取り組んでいって国民の健康体質をつくり出す、人間性の半面はここにあり、こういうふうにするにはどういう手があるだろうか、この点なんですね。これは政治的感覚がぜひ必要でありますので、前者、後者につきまして、ひとつ大臣御所見を述べておいてください。
○赤城国務大臣 第一の資本装備でありますが、資金の面におきましては、いろいろな資金を財政面から出す方向へずいぶん進めてまいっておりますが、なお一そうその方向をやらぬと、なかなか酪農、畜産などをやっていけないような状態でございますから、御指摘のようになお強く進めていきたいと存じます。
 第二番目の消費の点でございますが、学校給食などでやっております。それから一般にも牛乳の消費運動などやっておりますけれども、どっちかといえば、御承知のようにいまは消費が停滞しておるというような状況で、私どもも心配しておるのでございます。この面は何としても、いまお話しのように、安い、いい牛乳等を出すということも根本問題でございますが、やはり一つのPRといいますか、前もやっておりましたが、消費運動もなおさらに進めていかなくちゃならぬ、こう思うのでございます。
○吉田(賢)委員 これはしろうとですから、ひとつお笑いにならぬようにしておいてもらいたいと思うのですが、考えてみると、私のうちも毎朝こんなびんに三本ずつ入れてもらっております。土曜は日曜分と合わせまして六本、おまけ一本が入っておりますが、それを毎朝取りにいって、そうしてわかしてあたためて飲む、こういうふうにやっております。
 前から言っているところなのですが、これは何かうまいくふうはないのか。たとえば諸外国におきまして、一体あれは二百ccでしたか、あれを一本ずつ毎朝大の男が、六尺の男が配達しているというようなそんな例はざらにあるのだろうか。いかにも流通の生産性が低い、人間を無視した、労働を無視したところの方法じゃないか。あれは紙じゃなしに、容器は何でしたかね、あれでこの水さし一ぱい分でもひとつとってさておいて、冷蔵庫へ入れておくとか何かいたしまして、少なくとも一週間分は持っておるというふうにいたしましたら、もっと豊富な供給ができるのじゃないだろうか。この点、酪農の先輩の吉田何とか君が国会におりました時分にも、私、心安くしておりましたが、あの人なんかもそんなことをしきりに言うておりましたけれども、どうも実態はやはり出てこない。駅頭に売っているやつはガラスびんが並べてあるというようなかっこうで、いかにも日本人の労力をむだにしていることを思うのですが、何かこの辺はこの段階でひとつ切りかえてしまってもいいのじゃないだろうか。そうして労働力をもっと有効有益な生産性の高いものに使っていくというふうにすべきじゃないかと思うのです。これは事務の段階かもわかりませんが、ひとつ畜産局長、がんばって何かこの辺で切り直してしまったらどうかと思うのですがね。
○増田(久)政府委員 ガラスびんを紙容器またはプラスチック容器に切りかえていくということは、特に流通段階の合理化のためには絶対必要な条件であろうかと思っておりますし、ここ数年間その普及に非常に力を入れてきたつもりでございます。現実は、現在はそういう容器は全体の十数%を占めてくるような状態になりまして、特に昨年度からその普及が目ざましく伸びてきておりますし、特にスーパー等におけるそういうものの売り上げは急速に伸びている事実がございます。しかしながら、まだ全体として一割程度。それからもう一つ問題は、ごみ公害の問題がそこに出てまいりまして、そこのところにやや停滞せざるを得ないような実態もあることは事実でございます。
○吉田(賢)委員 答弁はなくても、委員長、何か資料を出しておいてもらったらよろしいです。
 酪農問題で一つの問題点は、公害問題だと思うのですね。やはり公害につきまして、ふん尿処理の問題でたれ流しというようなことをなからしめるように、そして事前にもっと科学性を持った方法で処理するように、個人個人、企業企業にまかすのじゃなしに、それこそ国の力を入れまして、国自身、国政を通じまして新しい方法を開発いたしまして、普及するように、これは急速にやらねばなるまいじゃないか。公害が起こってから公害問題がやかましくなる、これは日本です。世界で先進国では日本だけかもわかりません。言わなんだらしないというのは、とんでもないことでありますから、酪農につきましては特にこの点につきまして、都市近郊におきましても、大阪あたりの大きな規模の豚舎を持っているところ、あの付近には住宅ができないのです、これは御承知と思いますけれども。大阪で問題になりましたそんな実例もあるのでありますから、この辺は何かこの際、方法がありましたらひとつ示してもらいたい、こう思うのです。これは時間の関係もあるので、ひとつ都合で何か資料でも出してください。
 それから大臣、農政の根本問題でございます。これは私しろうとですから、農政問題であまり無知な、いいかげんな問答をするのもいやなんですけれども、やはり私は一面におきまして過疎地帯過疎地帯というていることが、何か知らぬけれども胸を打つような感じがするのですね。御承知と思いますけれども、無医村が全国に約三千あります。そして都会はどうかといったら、東京は医師過剰の状態であります。そんな大都会における生活状態はどうかといったら、それほど過疎地帯を出てしまって、どんどんと若い者その他が来ますけれども、これは公害だとか、犯罪の巣の中に人間が住んでおるようなもので、まさにこの世の暗黒です。これが日本の現状なんですね。これを思いますと、やはりもう一ぺん農政の根本について、私は過疎地帯を賛美する意味じゃありませんけれども、もっと日本の農村というものを考え直してみる必要があるんじゃないだろうか。米をつくるだけの役所だという考え方ではなしに、自然をほんとうに見て、静かな地域で、もし交通が、医療が、あるいは教育が、その他の社会施設が充実しておりましたならば、農村地帯というものはもうほんとうに天国、楽土のような感じさえいたします。そんなことを思いますので、ここは何とかうまく割り切って農村を栄えさす手はないであろうか。これと農政の根本とはちょっと違いますけれども、食糧供給が農政といわれますが、しかし地域としての農村地帯をもっと守る手はないだろうか。農政というもののずばりそれではないけれども、大臣、この点に留意する必要はないだろうか、過疎地帯だから過疎地帯だからと言うんではなしに。私の友人が先般、大阪で死んだんです。何で死んだのかと聞きますと、奥さんのいわく、うちの主人のような達者な人が空気の悪い公害の土地に住んでおりましたので死んだと思っておりますと、ちょっと述懐したことを覚えております。そんなことを思いますので、農政の一つの重要な点といたしまして、農村地帯をもっと明るくする何か方法はないだろうか。社会的に、経済的にあるいはまた文化的に、あるいは教育の面ないしは精神的な面、どこから見ましても、あそこは宝庫のような感じさえするのですが、そんなことは農政とは全然違うのでしょうかな。それは文部省で聞けということになり、厚生省で聞きなさいということになるのでしょうか。農林省はやはりそこまで考えておるんだ、だからりっぱな道もつくろう、あるいは学校も建てよう、労働力も収入も、いろんな面において人間生活のほんとうのよい場にするということが、一つの大きな意味の農政になるのじゃないだろうか、こんなことを考えるのですが、大臣、ここはどうでしょうな。
○赤城国務大臣 吉田さんの言うとおりに私も考えます。農業ばかりではなく、私は日本の国土というものを考えますときに、都市は自然都市といいますか、自然を組み入れた都市を開発しなければならないし、農村は自然農村といいますか、農村の自然のよさというものをますます生かしていって、そしてそこで生活する人がよい生活ができるように持っていく、これは農業の一番の根本だと思います。それで、いろいろの施設もそういうことを根本に置いて、自然農村の建設、まあ自然都市というか、そういうものに持っていかなければならぬじゃないか。でありますから、農業政策も、営利的といいますか、そういうことばかりじゃなくて、その根本にさかのぼって、それを生かしていくようにあらゆる農業政策を集中していく、こういうことが根本的には大事なことだというふうに私は考えております。
○吉田(賢)委員 いま物価問題がずいぶんやかましくなってまいりました。公共料金主導型といわれる特殊な形態をたどっております。そこで、物価問題等を考えますときに、ずいぶん大臣も力を入れておいでになりますが、自由化との関係はどうしても見のがすわけにまいりません。農産物の輸入、食糧の輸入等の自由化等をめぐりまして、今後この辺は国内の生産性の低いあるいは競争力の弱い日本農業のことを思いましたら、そう簡単に割り切って結論は出しにくいと思いますけれども、これはかなり大幅に、大胆に自由化していく面が拡大していくのでしょうか。まだ例の輸入制限品目がかなりあるらしいのでありまするが、この辺はどうなるのでしょうか。円も切り上げになったし、自由化の要請も強くせられておるし、そういう際だし、ドル・ショック以来、日本のたとえば七二年度の経済の見通しも暗いです。というようなことを思いますと、あれこれとよい条件、悪い条件、輸入物の価格が低落するだろう、押しつけられたら日本は困るだろう、百姓は困るとか、この悪条件、熾烈な条件下における輸入自由化の問題ですね、これは結論的にどの線までどう行くのですか。大臣は何べんもアメリカに行かれて、あっちの空気もみな御了解になっておるわけでありますが、対アメリカだけのみならず、各地の関係におきましてどういうふうに処理し、どの線でいけばいいのだろうか、ここら大体最終的なものをおきめになっているのかどうか、ちょっとお聞かせ願っておきたいと思うのです。
○赤城国務大臣 私は、いまいろいろな話もありましたが、農業政策の根本としていま考えていることは、やはり世界的に貿易が盛んになっている、自由化するというような傾向でございます。そういう関係で日本農業をどうするかということでございますが、お話しのように、日本の農産物のコストは世界的に言えば高いわけでございます。でございまするから、ほんとうに世界の中で自由競争ができるような農業ではございません。日本農業は、どっちかと言えば自給自足的な農業として進んできておる。アメリカのような国の農業は輸出産業にまで進んでおります。しかしアメリカばかりでなく、世界的に農産物も交流するといいますか、そういう傾向でありますので、自由化という根本的な考え方には私は頭から反対するわけではございませんが、日本の農業を考えますときに、日本の農業が国際競争力を保てるようにすることは、先ほど酪農のことなんかでもお話がありましたが、なかなかむずかしいのでございます。しかし目標は、一つは国際競争力に対抗できるような方向へ日本農業を持っていくということ、それから国内的に言いますならば食糧の問題がございます。食糧の需給のバランスがとれるようにやっていくという二つの方向を持っていかなければならないと思います。
 そこで、その自由化の問題でございますが、国際競争力をつけるといっても、日本の国土の関係上、あるいは日本の農業のいままでの関係からいって、国際競争力に耐え得るようなことに持っていくのはなかなか容易でないと思います。しかし、いまのような状況で、消費者のためだ、あるいは世界的な傾向だからといって、農産物に対してまる裸で自由化をしていこうというようなことをしますと、日本農業はもたなくなって、つぶれてくると思います。でございますので、できるだけ国際競争力を培養する方向へ力をいたすとともに、自由化はある程度見送っていく。あるいは自由化的なことにしましても、国内にいろいろな制度がございます。たとえば生糸でもそうでございますし、あるいは畜産物なども、国内の畜産事業団、こういうもので一手に輸入するとか、あるいはまた小麦とかいうものは国の統制のもとで買い入れるというような制度もございます。その他いろいろな国内の制度もございまするから、それと調整をとりながらやっていくということが必要でございまして、まる裸の自由化というものは、しばらくは日本としてはなかなか困難な面が多いと思います。ことしも四品目ばかり自由化するので、いま残存品目として二十四品目残っておりますが、これはどれをとっても自由化するということは、日本の農業にとってはなかなか困難でございます。そういう事情をよく諸外国にも徹底させると同時に、また関税なんかの問題で日本の農業がつぶれないような方向に、国内のいろいろな制度もございますから、これを十分活用しながら国際社会でやっていく、こういう考えを持っておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 大臣、若い人が都会や他産業へ流れていくのをどうして防ぐか。一つの問題は、前からいわれていることでありますが、農村への一つの工業の取り入れの問題ですね。これも簡単にいきませんけれども、しかしどっちにしましても、福祉国家もある程度の経済の安定成長なくしては不可能でありますから、したがいまして、農村の労働力をその地域におきまして活用すること、そしてまた潜在しておるものを一そう用いていくこと、あるいはまた若い人が農村にあって工業にもつくことができるようなことというような、所得を兼ねまして、その辺は相当具体的なものを、これは通産省その他民間企業とも提携しながらやらなければいけませんけれども、過疎化を防ぐという意味にも通じますし、また農業の将来性にも通ずるのでありますから、できるだけその辺は工業化の見本を至るところにつくっていく。工業団地があちこちにできております。しかし、工業団地ということだけではちょっと向きません。それほど団地にあらずとも、やはり地域地域によりまして、小さくてもよろしいから収益性の高い、公害のないような、そういう工業を取り入れていく。そして交通さえ便利にしておきましたならば、決してそれは生産の成り立たぬものじゃございませんので、その辺について特段と努力する必要があるのじゃない、だろうか。
 それからまた老齢化の問題にしましても、婦人化の問題にしましても、この間、七反ばかりつくっている農家を私ちょっと訪問してみたときに、ちょうど刈り入れのときでございましたが、七十のばあさんが稲束かついでよたよたと歩いている姿を見まして、私ほろっとしました。幾らほど収益があるかというと、自家用米を除いて手取り二十万円と言っておりました。七十のばあさんに稲束をかつがせねばならぬようなあわれな姿、これでは残酷です。農業でもなし、実に農地、農業が人間を縛りつけているような感じがいたしました。こういうものはやはり早く解かなければいかぬだろうと思うのです。だから老齢化、婦人化の問題にしましても、兼業、二種兼業が進む問題にしましても、積極的にそういう方面に力を入れるという指導、同時に収益が相伴うというようなこと、明るさができるというようなこと、もっときめこまかくこれはやらなければいけませんね。大臣の御性格によく合うようでありますから、きめのこまかい農業を新しくひとつ開発したらどうか、私そんなにまで思うのであります。
 それから、最近いわれるシステム農業というのですか、農業のシステム化ですか、これはPPBSの理論も取り入れてあるとかいわれておりますが、これも理屈倒れにならぬようにしてほしいと思うのでありますけれども、こういう科学性を持ちました経営のあり方というものが最近考えられつつあるのでありますが、ずばりとその辺を相当積極的に進めるというような見通しもあるのでしょうか。これはどこが御答弁になっていいのかわかりませんけれども、大臣、あしたへの展望、農業のあしたへのあるべき姿につきまして、きめのこまかい、一面科学性を持った、そして収益率の比較的高い、他産業にあまり負けないようなものを建設するという本来の命題にこたえていくというそれですな。この辺が一つの大事なところじゃないだろうかと思うのですがね。へたしますと、近郊農業は、地価が上がってくるし、東京あたりも十年十倍といわれております。一坪が十五、六万円から二十万円。この間も行って話を聞きましたが、こんなぐあいでありますので、脱農業的な方向に進んでいく危険がある。それならばこれはどうしたらいいだろう。いまの農地問題も大事ですけれども、これはなかなかきめ手がなさそうですが、これは別にいたしまして、いまのような点、大臣、どうでしょうね。これは大臣を補完して、どなたからでもひとつ御答弁願えましたら……。
○赤城国務大臣 先ほど申し上げましたような、日本の農業のもっていき方を具体的にどういうふうにしたらいいかということでございますが、それにつきましては、いまの工業の問題でございます。いま、御承知のように、専業農家といいますか、農外収入を得ないでやっている農家は、農家のうちで一五%そこそこです。八〇%以上は農外収入に依存しておる兼業農家でございます。これが出かせぎが多い。こういうことでございますので、やはり工業を分散するというか、農村へ導入して、公害のないような、また食料関係のような工業、そういうものを導入して、出かせぎが、何も中央、都会ばかりでなく、地方でも収入を得られるようなことにしていきたい。
 同時に、工業団地や住宅団地というものがあるにかかわらず、農業は団地的でありますが、農業団地というものはありません。ですから、兼業農家も含めた団地的な農業経営、生産から流通から加工から、いまの工業なんかもそういうところに入れて、そして兼業農家や老人などもその力に応じてやっていけるというような団地経営という中に組み入れてやっていくようにしたらいいだろうということで、団地構想というものでことしの予算なども相当とっております。そういう方向へもっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 大臣、また別の機会にいろいろ教えていただくことにしまして、きょうは他用もあるようでありますから、しかるべくどうぞ。
 畜産局長にお伺いいたしますが、あなたは、去年でしたか、残留農薬が牛乳に入っておるというような問題が起こりましたときに、かなり全国的に行政指導その他通達等をお出しになりまして、たとえばBHC農薬なんかについて規制されたはずでありますが、これはもうすっかりあとを断っちゃったのですか。
○増田(久)政府委員 御承知のとおり、BHC及びDDTの使用は全面的に禁止されたわけでございます。その結果といたしまして、これは私のほうじゃなしに厚生省が直接の担当でございますけれども、厚生省がまたBHCの残留基準というものを〇・二PPMという基準をつくったわけでございますが、最近の統計を見てまいりますと、いかなる県におきましても全部この基準以下でございまして、牛乳は急速にきれいになっているという実態であります。
○吉田(賢)委員 去年、鶏卵なんか価格がずいぶんと低落いたしましたが、ああいうときの状況を見ていますと、資本投下されているばかりに、かなり大商社の下請加工業みたいな観を呈している。どうもそういう感じがいたしまして、労働の対価などもマイナスのような感じさえ、ちょっと横目に見えたのでありますが、この辺につきまして、やはり酪農につきましても、えさ関係は遅々としてくるのかと思いますけれども、何かそういうことのないような、下請加工業的な酪農でないようなふうに維持、確保、推進、自営していくような体制を用意しておらなければいくまいじゃないか。相当需要は盛んになってまいりまして、そういう資本がどんどんと支配していくのじゃないだろうかということを心配いたしますが、そういう心配は無用なものでございましょうか。
○増田(久)政府委員 先生御存じのとおり、酪農につきましては、昔は乳業メーカーの小作だといわれたものでございます。ところが、最近、不足払いの実施とともに、指定生産者団体というものをつくって、一元集荷多元販売方式というものを始めたわけでございますが、それが法の実施後五年たちましてようやく定着をしてまいりまして、いまでは酪農家が必ずしも乳業メーカーに従属しているということは言えない。むしろ平等の地位を着々として確保しつつあるということが言えるのではないかと思っております。それと同時に、新しい資本が生産分野に入ってくるという動きは、卵とか豚のような場合と違いまして、これにはちょっと一般資本が入ってくるということはなかなかないのではないか、かように考えております。
○吉田(賢)委員 では、別の角度からやりますが、社団法人の牛乳輸送施設リース協会の問題であります。これは検査院に指摘されまして世上に問題が広がったのでございますが、非常に大事な問題に取り組みながら、何かこう妙なしりっぽが出たような感じさえいたしますが、この問題につきまして、一体どういうような点が問題であったのか、その後の運営のあり方はどうなのであろうか、こういう点につきまして指摘されました検査院が見えておりますから、ひとつ御説明を願いたいのであります。
○田中会計検査院説明員 お答えいたします。私どもが四十四年度の会計検査におきまして、このリース協会の業務が必ずしも計画どおりにいっていないということを見出しまして、当局に注意を促したわけでございます。四十四年度末で見ますと、当初の事業計画が二億二千万でございますが、その二億二千万に対しまして三三%に当たる七千二百万の事業しか、創立後四年たっておるにもかかわらずされていなかったという事態があったわけでございます。これに対しまして、関係当局に注意方を喚起いたしましたところ、関係当局の御努力によりまして、一年後の四十五年末におきましては、三三%であったものが五八・六%と約六〇%近くまで成績が上昇したわけでございまして、私どもといたしましては、その後の推移は順調にいっているのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 これは、畜産局長から御説明をいただきましょうか。このリース協会の目的といたしました事業は、酪農振興のために、ことに長距離を輸送するというようなことは、これは個人やら小さな会社ではできませんし、また大事な仕事だと思うのですが、どうしてこう大きな食い違いができたのであろうか。ことに、これは伝うるところによりますと、元食糧庁長官も理事長として行っておられたようでありますから、そういうようなときに計画に食い違い、そごを来たすというのは一体どういうわけなんだろうか、こういうふうに思うのであります。四十一年の計画といたしましては、資金の面におきましては九・五%しか進捗せず、四十二年度においては一〇・九%、ようやく四十五年度において五八・八%、こういうふうな進捗を見ておりますが、これはたいしたものじゃないといえばそうかもしれませんけれども、しかし、二億数千万円のこういう投資もございますし、また国家資金の投資もあるわけでありますから、そういう点から見まして、どうしてこう食い違いが生ずるに至ったのだろう、計画にそごがあったのか、調査が不十分であったのか、何か不十分な前提に立った計画になっておったのか。その辺の原因なりよって来たるところを御説明願って、改善されたら改善はどういうふうにして進めたかということをひとつ御説明願いたいと思うのです。
○増田(久)政府委員 先ほど会計検査院のほうから申し上げましたとおり、計画よりはるかに下回ったというのは事実でございます。この原因をいま振り返って考えてみますと、大きく分けまして二つあるというふうに考えられます。
 一つは、その当時は市乳化促進ということで、遠隔地のものを三分の一に濃縮いたしまして、それをタンクローリーで持ってくるという技術的な観点を考えておったわけでございます。そういう事業計画になっておったわけでございますが、実際の問題といたしまして、そういう三分の一濃縮施設をつくってまでやると当時の乳価では採算に合わないという問題、そういう点で率直に申し上げまして計画自体に若干の無理があったという点が一つあげられると思います。
 それから第二に、この事業の仕組みといたしまして、リース協会が二分の一、指定団体が四分の一、県が四分の一というものをそれぞれ出し合って、指定団体を通じて牛乳を輸送するという仕組みになっておるわけでございますが、そういうことをいたしますためには、指定団体が自由にできる牛乳というものが相当量確保されないとなかなか実施できないという問題がございます。ところが、四十一年から四十二年、三年、四年ごろにかけましては、率直に申し上げまして指定団体というものがそれほど強力なものではなかった、したがって、自由にし得る牛乳の量というものがそう多くない。それに加えて、そのころまでは牛乳の生産が消費地においてもまだわりかた順調に伸びておった、こういう実態があったと思います。それが四十五年に入りますと、御存じのとおり牛乳の停滞が始まり、特に都市近郊地帯における生産が停滞的になってきた。それに並行して指定生産者団体の力というものが伸びていった。こういうことが相まちまして、タンクローリーなりクーラーステーションの要望というものが強まりまして、四十五年で六割、四十六年では全額出てしまって、さらに本年度新しく予算に追加せざるを得ないような状態に立ち至った、こういうことでございます。
○吉田(賢)委員 畜産振興事業団の出資関係はどうなっておるのでしょうか。
 それから、大蔵省主計官見えておりますね。これは予算要求の際に十分に御説明もあり、また大蔵省も過去の予算等についてもいろいろと検討されておることと思いますが、この辺はどういうふうになって四十七年度予算は決定を見たものであろうか、そこらをひとつ説明してもらいたいのであります。
○山口説明員 予算編成に際しましては、大蔵省が一方的にこれを査定するというわけではございませんで、内閣が予算をつくるわけでございますから、農林省と十分協議いたしまして予算をつくったわけでございます。要求はたしか四億八千万程度であったかと思いますが、それを三億ということに、ただいま提案しております政府案ではなっております。それは要求の段階におきましては、関東、近畿、東海、北九州という四つの地区につきまして事業を拡大したいということでございましたが、いろいろ協議いたしました結果、関東と近畿につきましてやってみようじゃないかということで、三億ということになった次第でございます。
○吉田(賢)委員 この種の事業は、たとえばタンクに貯蔵する問題にいたしましても、輸送する問題にいたしましても、配給の問題にいたしましても、できるだけ有効に、かつ活発に運営されていくということをこまかく全国的にやるということができましたら、非常に大きな成果があがってくると思うのであります。同時にまた、この辺が停滞いたしましたら、これはもう実にじゃまになって困るだろう、こう思うのでありますが、そういう面につきまして、私らも、ことに市乳の供給地域におきまして、いたずらに遠隔の地域に生乳を持っていって、そこで加工するようなかっこうがどうも目についてちらちらしておりましたが、ここらにつきましても、この事業が改善されていくようなことでしたら非常にいいことでありますが、さらに四十五年度実成五八%なにがしというものが九〇%、一〇〇%というふうに計画が進められるということになるのでしょうか。四十六年度はすぐ終わるのでありますが、その辺はどうなんです。それならば四十七年度三億円の予算査定、大蔵省がやっておりますることも妥当性が客観性をもつ、こういうふうにも思うのですが、その点どうですか。
○増田(久)政府委員 四十六年度で満額出てしまったわけでございまして、それは全部の要望にこたえられないという状態であったわけでございます。そういう実態を踏まえまして、今度予算を要求いたした、こういうわけでございます。
○吉田(賢)委員 これは、せっかくこの事業はひとつ盛大にせられんことを御希望申し上げておきます。
 それから食管会計のことをちょっと聞きたいのであります。それと関連いたしまして物統令の関係もあるのです。大臣が帰ってしまわれたのでありますが、食糧庁長官おられるのですか。――四月に物統令が廃止になりますね。この廃止になりますに伴いまして、ことしはまた何かと諸物価値上がりムード、この中で米はまた問題になっている。消費者のお米の価格というのはまた問題になっておるのですが、これは事実上、配給と消費者価格等につきましてどういう影響を与えていくのであろうか、こういう点についてはっきりとひとつ御説明願いたい、こう思うのであります。
○亀長政府委員 四月一日から物統令を撤廃するという方針で進んでおりますが、私どもとしては、物統令を撤廃しても米価水準に特段の変化が起きないようにということでいろいろな手を打っております。
 一例を申し上げますと、たとえば新規参入業者を入れる、小売り店をふやす、スーパーとか生協等でも資格のあるものは売らせるというような形で、競争と申しますか、そういうことによって不当な値上がりを押えていく、さらに標準価格米というのを設けまして、これは従来の政府の配給米と変わらない値段で、消費者が希望すれば必ず差し上げるということで店頭に置かせる措置を講ずる、そのほか、大型精米所で能率的な精米を行なったものを袋詰めにして売るとか、いろいろな施策を講じております。またさらに、お米屋さんのマージンということにつきましても、いろいろ人件費等の値上がりもあろうかと思いまして、そういうものも、四月から安く売るというようなことも考えておるわけでございます。
 私ども、現在のいろいろな米の需給事情から見ましても、また最近におけるメーカーの動き等から見ましても、特段に四月一日から値上がりがあるというような実態ではなかろうと考えております。もちろん私どもとしても、制度的にもまた需給操作の面でもできるだけの手を打って、消費者に不安の起きないようにいたしたいと考えております。
○吉田(賢)委員 食管会計の問題でございますが、これは外米の関係もあり、内地米買い入れの関係等もあり、等々ありますので、政策面からくる赤字は当然見込まれていくものと思いますが、四十六年会計の度終わりにおきまして、大体一カ年の赤字会計は合わせますとどういうふうになっておるのでしょうか。この点につきましてひとつ御説明を願っておきたいと思います。
○亀長政府委員 食管の四十六年度の予算では、通常の主食用の売買というもので二千六百五十六億の赤字、別途四十六年度から御承知のように特別会計法改正をいたしまして、過剰米につきましては、その赤字を一年度でなくて数年度にわたっててん補をするということにいたしておりますが、四十六年度における赤字は、過剰分だけで千八百七億でございます。したがいまして四十六年度では、二千六百五十六億に千八百七億を加えたものが食管の赤字ということになるわけでございます。四十七年度では、その通常の赤字あるいは過剰分の赤字もほとんど変化をいたしておりませんので、通常分では二千七百七十億、過剰分で千九百六億という予算を現在提出をいたしておる次第でございます。
 もちろん通常分の赤字につきましては、食管会計における調整資金の残高等とにらみ合わせまして、これは原則的にその年々に補てんを一般会計からいたしておりますし、過剰米につきましては、特別会計法の改正規定によりまして、それぞれ年賦償還の分を毎年計上いたしておりまして、四十六年度におきましては三百二十二億、四十七年度におきましては六百十何億でございましたか、約六百億の過剰米処理の一般会計からの補てんを計上いたしておる次第でございます。
○吉田(賢)委員 前からもこれはちょっと問題になっておりましたのですけれども、食管会計につきまして金利のかからない金を使う、余剰金ですか、これは積極的に取り組んでいく体制になっているのだろうか、あるいは食糧証券などによりまして金利のつくような金をお使いになっていかなければならぬような実情が何かあるのだろうか、その辺はどういうことなんですか。
○亀長政府委員 申すまでもなく、食糧証券であれば金利がつく、国庫余裕金を活用すればこれが金利がつかないということで、食管会計の負担軽減という見地から、私どもも国庫余裕金をできるだけ利用するというような基本的姿勢には変わりはございません。ただ年によりまして、国庫余裕金の利用の可能性というものは、全体の予算と申しますか、全体の財政の中での国庫収入のあり方というようなものと非常に関連をいたしまして、そのあり方によりまして金額的にどれだけ利用するかということが毎年変わってきておるわけでございます。新年度の予算では、御承知のように国債を発行するような事情でございますので、国庫余裕金の利用につきましては私たちは非常に困難が伴うというふうに考えております。ただ、今後とも御指摘のように、国庫余裕金をできるだけ財政の許す限り利用させていただくという私どもの基本的姿勢には変わりないわけでございますが、幸いにいたしまして食糧証券の金利も低下いたしておりますので、全体の金利負担は昨年よりは相当大幅に低下をいたしておるという状況でございますので、四十七年度予算につきましては国庫余裕金の利用は困難でございましたが、金利負担という点では非常に軽減をされておる、かように考えております。
○吉田(賢)委員 残余の質問は別の機会にいたしまして、少し時間が超過し過ぎましたので、きょうはこの程度にさせていただきます。ありがとうございました。
○福田委員長 次回は公報をもってお知らせいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時一分散会