第068回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十七年四月五日(水曜日)
    午後一時二十四分開議
 出席委員
   委員長 渡部 一郎君
   理事 佐々木義武君 理事 前田 正男君
   理事 石川 次夫君 理事 近江巳記夫君
   理事 吉田 之久君
      大石 八治君    加藤 陽三君
     小宮山重四郎君    橋口  隆君
      福井  勇君    松永  光君
      井上 普方君    三木 喜夫君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       粟山 ひで君
        科学技術庁長官
        官房長     井上  保君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       山田太三郎君
        通商産業省重工
        業局電子機器電
        機課長     関山 吉彦君
        通商産業省化学
        工業局化学第二
        課長      小幡 八郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申し入れに関する件
 科学技術振興対策に関する件(原子力開発及び
 環境科学技術に関する問題等)
     ――――◇―――――
○渡部委員長 これより会議を開きます。
 まず、連合審査会開会申し入れの件についておはかりいたします。
 公害対策並びに環境保全特別委員会に対して、公害対策並びに環境保全に関する件、特にポリ塩化ビフェニール汚染問題について、連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○渡部委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 なお、連合審査会開会日時等につきましては、公害対策並びに環境保全特別委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。
     ――――◇―――――
○渡部委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
○近江委員 まず初めに、原子力問題についてお聞きしたいと思いますが、最近、原子力発電所が続々と建設中でございますし、また、政府のほうに提出中のものもかなりあると聞いておるわけでございます。そういうことで、今日、環境問題というものが大きくクローズアップされてまいりまして、特に、そういう安全性という問題、あるいはまた環境保全という点から非常に大きな問題になっておるわけでございます。
 そこで、初めにお聞きしておきたいのは、当然原子力発電所、その他将来、再処理工場等も完成するでありましょうし、周囲に対する放射線被曝の問題でございますが、一般人の場合、この放射線被曝量というものは、最近の協定等を見ておりましても、国の基準の五百ミリレム、これをさらに大幅に下回るような数値になっておるわけでございます。アメリカ等を見ましても、大体きめた数値の百分の一ということになっておるわけですが、この辺やはり諸外国の動向もそういうようになっておりますし、その国の基準の百分の一というのは、今後やはり一般人を放射線被曝ということから守るという点から、これは非常に大事な問題じゃないか、このように思うわけですが、これについて局長はどういう見解をお持ちでございますか。
○成田政府委員 原子力発電所から出ます放射能を極力少なくするという方針、これは世界的な方針でありまして、国際放射線防護委員会、世界の専門家が集まっておりますところのICRPの基準が、いま御指摘のように、一般大衆の場合は五百ミリレム・パー・イヤー、一年間で五百ミリレムが限度になっておりますが、これに対してアメリカの発電所の場合には百分の一、五ミリレム・パー・イヤーを一つの基準として打ち出しております。ただ、これはそれ以上出してはいかぬという規制的な基準でなくて、一応設計上の目安として五ミリレムというのがアメリカの原子力委員会から出されておりまして、実際はその四倍くらいまで上がりますと実際の規制がかかるという、そういう制度になっておると思います。日本におきましても、五百ミリレムが国際的基準であるからそれまではいいという考えでなくて、アズ・ロー・アズ・プラクティカブル、実現できる可能な限り少なくするという、そういう考え方が原子力の場合は国際的にとられておりますので、われわれも技術的にあるいは設備的にできる限り少なくするということで研究してまいっておるし、また、事業者にもそういう努力をさせておりまして、実際最近の許可しておりますところの発電所については大体五百ミリレムに当たるものが十ミリレム以下、ことに最近のは五ミリレム以下のものもとられておりまして、大体アメリカと同じ程度の努力を重ねておる。それで、今後さらに研究開発が進みますと、五ミリレム以下にもどんどんしていくように努力して研究開発を続けてまいりたいというふうに考えております。
○近江委員 先ほども申し上げましたが、米原子力委員会、AECは昨年の六月、軽水冷却型発電用原子炉の公衆向け放射線防護基準を百倍に強化しております。年間五ミリレム以下に押える指針を示し、新協定を守らない原子炉は、一定期間を置いたあと罰金の支払いまたは閉鎖措置を受けることもある、こういうきびしい姿勢を明らかにしておるわけです。これは結局一九七〇年の十二月、AECがきめた放射能の放出量と被曝の影響を実際上可能な限り低くする、こういう方針でやっておるわけであります。先ほど局長も、わが国のそうした被曝量については最近は大体五ミリレム程度であるということをおっしゃっていらっしゃるわけですが、やはりこういう何らかのきびしい姿勢というものは、方針ということだけではなくして、見解表明とかそういうことはやはり要るんじゃないかと思うのですけれども、その辺についてはどのようにお考えですか。
○成田政府委員 原子力委員会におきましても、先生御指摘のような趣旨で二月の末に、原子力委員会に環境安全専門部会をつくって、環境安全上のいろんな問題を総合的に検討する場をつくっております。その中においてもその問題を重要なテーマとして取り上げて、その結果によって原子力委員会としてもはっきりした方針を打ち出すことになると思いますが、いまそういう問題を専門部会において検討しておるところでございます。
○近江委員 原子力委員会がそういうように検討しておるということでありまして、まあ局長としてはこういういいことはどんどん見習えばいいわけでありますし、特にわが国のように国土の狭いところでこれだけの大量の発電所等もできるわけであります。そういう点でむしろアメリカ以上にきびしくしていく、こういう姿勢がやはり大事じゃないかと思うのです。そこに強い姿勢というものがないところに、これは何か科学技術庁は癒着しておるんと違うか、国民のそういう安全性よりも推進の立場に立つほうが強いんじゃないか、こういう懸念をやはり国民としては持つわけです。そういう点で、原子力委員会はそういうふうにやっておりますが、その一切を包括しておられる最高の局長とされては強い姿勢でいかれるべきじゃないか。あなた自身はどう思われますか。
○成田政府委員 私もこの問題については同感でありますが、ただアズ・ロー・アズ・プラクティカブル、実現できる限り少なくという原則でありまして、研究開発の結果いろいろレベルがだんだん低くなってまいるわけであります。それで、現時点においてどこまで下げられるかという実現性について、これはまあ炉の型あるいはいろんな条件等によっていろいろ検討しないといけませんので、その点については十分検討して、現時点において技術的に採用し得るものがあれば、あらゆるものを採用して極力下げるという方針は当然強く打ち出してまいりたいと思っております。
 それで、アメリカの場合は設計上の目安でございますが、われわれは電力会社が保安規程の認可――保安規程という政府の基準は五百ミリレム・パー・イヤーでありますが、保安規程によって具体的に境界線において何ミリレムかということが出てまいるわけでありまして、それをいまの技術的段階で可能な限り少なくするように指導していく。そしてそれが十となり五となりあるいはそれ以下になる場合が考えられますので、それは技術的な実現性について十分検討して、保安規程によって、そして保安規程はアメリカの基準よりもきつく――それは絶対の守るべき基準になりますので、その点は十分慎重に考えて、そういう方向で行政上やってまいりたいと考えております。
○近江委員 そこで、私は具体例でお聞きしていきたいと思うのですけれども、この四月一日、茨城県の東海村に建設中の使用済み核燃料再処理工場の建設に反対をしておる同県の漁業協同組合連合会からの異議申し立てを却下したと聞いておるわけですが、どういう経過を経てそうなったのか。これについて、ひとつ簡潔に要点をお聞きしたいと思うのです。
○成田政府委員 再処理工場を動力炉事業団が東海村で設置することにつきまして政府が規制法による許可を与えたのでありますが、これに対して茨城県の漁業協同組合連合会会長の小幡五郎さんの名前で、この行政処分が適当でないという異議の申し立てが一月の六日に長官あてになされたわけでございます。
 その内容は、再処理工場の設置が安全でないので漁民の操業にも非常に影響を来たすんじゃないか、あるいは水産資源、魚の資源の減少を来たすんじゃないか、あるいはこの地区から出る魚の価格の低落を来たすんじゃないか、そういうような理由でこの異議申し立てがなされたのであります。
 これに対しまして、科学技術庁としましても十分慎重に検討しまして、四月の一日付で本件異議申し立てはこれを棄却する。そしてその理由としましては、この再処理施設の安全につきましては、昭和四十四年の三月に再処理施設安全審査専門部会というのを原子力委員会に設けまして、昭和四十四年の十一月に原子力委員会から安全を十分確保されていると認める旨の答申を受けておるというのが一つでございます。
 それから、再処理施設から発生する液体状の放射性廃棄物のうちで高いレベルのものは施設内で安全に貯蔵するし、それから海域に放出されるものは蒸発処理とかあるいは化学処理をして、放射性物質を十分に除去してきわめて低レベルの形で出しておる。それから海洋放出については、三カ月で六十五キュリー以下、一日最大一キュリーに押えられておりまして、これは先ほど言いました国際放射線防護委員会、ICRPの公衆の構成員に対する線量限度の十分の一以下であって、これは安全上問題ありません。したがって、漁業者なり国民一般の放射線被曝からの安全は十分に確保されていると考えられます。それから放射能レベルが十分に低いものであること、それから排出しますと大量の海水によって希釈拡散されますので、この程度の低レベルの廃液が東海村周辺の水産生物資源に対して悪影響を来たす、それによって漁獲量が減少するとか魚価の低落を来たすということは考えられない。それから海域放出につきましても監視体制を十分とっておって、放射性物質の量とか濃度を十分監視するような義務づけをやっておりまして、政府としても定期的に立ち入り検査を十分やって、調査をやっておりますので、こういう基準が十分低い、しかもそれを十分守るように義務づけ、それを政府が十分に監視する体制をとっておる。そういう意味で異議申し立てのような理由は存しないという理由で棄却したのでございます。
○近江委員 たとえば海中へ放出をする、それが希釈されていく、だから心配がないということでありますが、この魚介類に対するそういう蓄積とか、あるいは海洋調査というものは本格的になさったのですか。やはりそういう心配もあるわけです。あるいはこのクリプトン八五の大気汚染、こういうことについても、この安全審査を完全にやったかどうかという問題なんです。この二点についてはどうですか。
○成田政府委員 魚の濃縮につきましては、これは世界的にいろいろ研究をやって、現在こういう点で那珂湊の臨海実験場でいろいろ研究をやっておりまして、いろいろなデータが出ておりますが、いま考えられる濃縮の、それが食物として人間が摂取して人体に対する影響というのを、十分そういう余裕を織り込んで厳重な条件で放出量を考えておりますので、その濃縮が相当予想以上に行なわれたとしてもなお十分であるという考え方のもとに許可をしておるのでございます。
 それからクリプトン八五というのが、これが原子力発電所では非常に少ないのでありますが、再処理の工程ではかなり大量に出ることは確かでございますが、クリプトン八五は不活性ガスであって、直接人体内に取り込まれることはないので、他の物質に比べて影響は非常に少ないというふうに考えられるのでございます。ただ、キュリー数はかなり高いものでありますが、主としてベータ放射能でありますので、人体への影響というのはきわめて少ない。ただ、これが日本の再処理工場、年間二百十トンくらいの試験的なプラントでありますので、問題は少ないと思いますが、ただ再処理工場が原子力発電の進展とともに各国とも大量に出てまいると、このクリプトン八五というのが世界的に相当多くなる。この問題が今度の原子力産業会議におけるフォーラムにおいても問題になっておりまして、これは今後三十年後の二〇〇〇年において原子力発電が世界的に四十三億キロワットになるとか、そういう非常にマクロ的な計算をやって、その場合のクリプトン八五の影響というのは相当いまから考えておかなければいけないという学者の意見が出ておりまして、これにつきましてはクリプトン八五をいかにして回収処理するかという研究が、日本も外国もいろいろ国際会議等においても検討しておりまして、たとえば液化して除去する技術とか、あるいは特殊な溶剤を用いまして吸着除去する技術とか、そういう技術のいま研究開発が進められておるところでございまして、これは各国とも、ヨーロッパにおきましてもアメリカにおきましても研究開発の段階であります。これの実現によってこの研究が進みますと、一方、原子力発電の非常に大きくなることによって再処理工場も国際的に多くなる、それには十分間に合って、こういう除去する技術開発が成功して十分間に合い、そして二〇〇〇年、それ以前においてクリプトン八五の世界的な問題がないように、これは国際的にも十分協力してやっていこうということになっております。
○近江委員 海中への放出につきましても、この申し立て書によりましても、再処理工場が完成しますと、一日最高一キュリーの放射能がこの沿岸の海域に排出される。そういうことで、その魚介類を食べていく、そういう国民の内部被曝、こういう依然とした危険性ということを指摘しておるわけです。その辺のことは、いま局長が答弁されましたけれども、そういう調査についてはまだ研究中である。そういう進行中のことであって、何ら確とした結論がない中でこういうことが進んでいっておる。非常にこの点は心配だと思うのです。このクリプトン八五についても、不活性であるからというようなこともおっしゃっておりますが、しかし、外国の学者等もそれは非常に危険であるということを言っているわけです。原子力産業会議の第五回年次大会で、西ドイツの原子力安全研究協会のシュバルツァーという人ですけれども、この人は、「クリプトン八五を逃がさず、安全に貯蔵する設計がされていない限り、再処理工場の商業プラントは認可すべきでない。」また「地元の住民への放射能影響を考えれば、原子力発電所のそばに再処理工場を建設すべきでない。」こういうように言っているわけですね。またIAEAのチェルニリン氏も、「再処理工場からの廃棄物の中では、クリプトン八五が急激にふえていくことが予測されている。IAEAとしては、これを含め放射性廃棄物の基準の作成と対策を考えたい。」このように述べておるわけです。このようにやはり禁止しているわけですよ。それをそう心配ないだろうというようなことで、そういう除去についてもいままだ研究開発中だ。これで工場はどんどん建設をやっているのですよ。こういうことをどのように受けとめておられるかということです。きょうは原子力委員もいまお着きになりました。山田さんでしたね。それから局長とお二人に、その辺の見解をもう一度聞きたいと思うのです。
○成田政府委員 再処理工場から出ますところのクリプトンにつきましては、これは量的な問題、それから何キュリーであるかわかりますので、これを高い九十メートルの煙突で放出して、そしてそれが最大に濃度が大きいと思われる地点に一年間人間が裸で立っておってそしてどのぐらいになるかという計算をやっておりまして、そういう非常に過酷な条件の計算においても、現在の許容基準より数十分の一という非常に少ないという計算をやっておりますので、この東海村の再処理工場の場合の例につきましては、そういう非常に過酷な条件で計算しても心配ないという考え方をとられております。
○山田説明員 近江先生の御指摘の問題は、現在の問題ではございませんで、紀元二〇〇〇年といったような時点を問題にいたしますと、長半減期のクリプトン八五は世界じゅうで非常にたくさん出てくる。したがって、それは将来においても何らかの対策をとらないと、だんだんに地球全体にこのクリプトン八五が、半減期が長いものですから滞留するわけでございまして、その際に〇・何レムといったような値になってくるということが問題になっておるわけでございます。同時にトリチウムも、若干違いますけれども、やはり同じように問題にされておりますが、それは大体紀元二〇〇〇年の時点というようなものに対して、原子力発電がいまの勢いで世界じゅうが伸びていくとどうなるか、こういう問題でございます。それに対しましては、当然何もしないでも、原子力発電所から放射性のものを出しませんでも、こういうクリプトンが再処理工場からどんどん出てくるだけで人間に対する許容量の何分の一というような大きさになるということは非常に問題であるということがいわれております。したがいまして、それに対してはこのクリプトン八五を野放しに出しておく、将来の非常に大規模な再処理工場において、しかも世界じゅうの再処理工場においてそういうことが行なわれますとたいへんである、こういう意見でございます。それは確かにそうだと思います。
  〔委員長退席、吉田(之)委員長代理着席〕
 それで、将来の大規模な再処理工場につきましては、もちろんいまの再処理工場のように毎日〇・七トン程度ではとうていやっていけませんので、そういうものに対してはぜひ、このクリプトン八五を外へ出る前に捕集する方法を考えなければならない。その方法は具体的にはすでに二、三考えられておりまして、これを工業化するということになるわけでございます。先ほどのシュバルツァーの意見も、彼らの国において将来できる再処理工場においてはそうしなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、近江先生の御指摘のとおり、クリプトン八五は非常に重要なものである、そういうことについての認識は全く同じでございますが、先ほど局長からお答えいたしましたように、現在のものにつきましては、非常に量が少ないものですから、原子力発電所に比べましては非常に大きいのですけれども、いま言った地球のバーゲンといったようなものに比べましては非常に低く、大体許容値の十数分の一というオーダーになっておりますので、それはやっていけると思いますが、それで日本の将来の原子力発電をやっていけるというわけではない、こういうふうに考えております。
○近江委員 非常に少ない数値だということをおっしゃっているわけですが、原子力委員会が昭和四十四年三月二十五日に出しているこの文書ですね。これは秘密文書でも何でもない、あなたのほうからもらったのだから。これにどう書いておるかといいますと、これを見ましても、ここの再処理工場から出るクリプトン八五――いま非常な過酷な条件でおっしゃったわけです。局長は数十分の一ということをおっしゃった。山田さんは十数分の一。ここにも一つ食い違いがある。最大濃度があらわれる地点は主排気筒から約二キロメートルの地点であり、その地点における被曝線量は、全身に対し年間三十二ミリレムとなっているわけです。そうすると、法令に定める周辺監視区域外における許容被曝線量年間五百ミリレムに比してこれは小さいということも言えるかもしれませんが、しかし、私はさきに局長に、そういう一般の被曝線量はどうなのか――アメリカでは百分の一にしておる。これは五ミリレムでしょう。現在原子力発電所も、いろいろ建設しているのは大体五ミリレムに押えておる。多いところでも十ミリレムだということをおっしゃっている。そういうことから考えますと、三十二ミリレムというのは大きい数値ですよ。それを小さいことだと思っているところに問題があるのです。局長は冒頭におっしゃったことと全然違うのです。この点についてはどう思いますか。三十二ミリレムですよ。アメリカは五ミリレムでだめだといっております。これはどうしますか。
○成田政府委員 数十分の一よりは十数分の一のほうが正しい値でございますが、ただ、アメリカにおきましても、五ミリレムというのは原子力発電所の排出基準でありまして、再処理につきましては、まだ技術的にそういう実現ができないということで、その適用がない状態になっております。ただ、さっき言いましたように、原子力一般につきましては、アズ・ロー・アズ・プラクティカブルの原則によって、再処理についても当然早晩どんどん下がった基準になると思いますが、日本も早急に研究開発をやって、アメリカと同じように再処理についても少なくする努力は早急に傾けていきたいと思っております。
○近江委員 また、この文章に出ておりますけれども、その一キロの範囲には、昭和四十四年の時点で八百人、二キロの地点で、同じく四十四年の時点で三千五百人、三キロメートルで五千百人、これは報告書の八ページに出ていますよ。その後やっぱり人口もふえているわけでしょう。そういうわずかな円周の中でも、それだけの人間がおるわけですよ。そういう年間三十二ミリレムを受けておって、いまのところはそこまでの規制がはっきりしておらないからこれでいくのだ、そういうずさんなことが科学の世界で許されていいかということですよ。これはこのままいくのですか。四十四年にあなた方はこれをやっているわけでしょう。それからもう数年たっているのですよ。状況も大きく変わってきている。そういうクリプトン八五の回収装置も、先ほどのお話では、いま技術開発をやっておる。完成してないじゃないですか。完成してもおらないのに、そのままこれをさせていいかということです。これは動燃等に対してどういう指導をしているのですか。
○成田政府委員 四十四年の答申で、それから数年たっておりますが、われわれは現在におきましても、非常に過酷な条件で仮定しても、三十二ミリレムというのは、外国の例から見ましても、いまのところは問題ないというふうに考えております。ただ、いろいろな技術開発をやっておりますので、これが実現した場合には、当然採用させて、そして極力少なくするという原則によって放出量を少なくする努力は、今後さらに続けていくべきだと思いますが、その後のまだ技術的に十分の達成に至っておらない現在においては、四十四の答申で、よろしいというふうに考えております。
○近江委員 それはちょっとおかしいのですよ。そういう技術もできてない間に、いまやれば、計算でいってもこれだけ出るわけでしょう。実際にやればもっと出るかもわからぬですよ。それをあえてさせていくということは、これは問題ですよ。ですから、そういう回収技術なり何なりがきちっとするまでは、稼働さすべきでないと私は思うのですよ。しかもそういうところに、いまその規制もはっきりしていない、全く野放しのような状態ですよ。これはちょっといまの答弁では納得できませんね。これはどうさすのですか。
○成田政府委員 先ほど言いましたように、非常に過酷な条件で三十二ミリレムで、実際は、それからいろいろな、貯蔵する場合も考えて、それ以下にする努力は相当やるようになっておりまして、そういう意味で、われわれはいまの技術的な段階においては、クリプトン八五を回収する技術も十分国際的に達成されておりませんので、世界各国ともこういう形でやっておりますので、いたしかたないと思いますが、ただ、なるだけそういう技術の開発を急ぐということが現在の一番の課題だと思います。そして、それができ上がったときにはそれを取り入れていくということ。それで、再処理の工場は四十九年中に稼働するという計画になっておりまして、これは原子力発電の進展、それに伴う燃料サイクルの必要性からすると、あの程度のテストプラント的な設備は非常に必要でありますので、これは建設をして、計画どおり完成していくべきだと考えております。
○石川委員 関連。実はこの再処理の問題は、私の住んでいるところのすぐ近所で今度建設をされる予定になっております。したがいまして、安全審査専門部会で許可になった時点からいろいろと検討しておりまして、いずれあらためてこのことについてまとめて質問したい、こう考えておったのですが、きょうはからずも近江委員のほうからその質問が出ましたものですから、簡単に一問だけ、また疑問の点だけを申し上げたいと思います。
 再処理それ自体は何としてもアメリカあるいはまたイギリスのほうに渡して、それで再処理をしてもらうというようなことではまことにもって国益に反するではないかという判断が一つございます。したがって、この再処理工場をつくるということは急がなければならぬであろうというのがわが党の決定であったわけであります。で、現地へ行きまして専門家にもいろいろな説明を受けました。何回も何回もろ過をする、いろいろな化学処理をするということで相当綿密な設計をされておることは、私自身よく承知はいたしております。しかし、そのあと出た問題として、不活性元素のクリプトンとトリチウムは一体どうなるのだという新たな問題が提起をされたわけであります。これは世界各国どこでも不活性でありますから、どうにも処置のしょうがないというようなことで野放し状態になっておるわけであります。一方、水質汚濁のほうの関係では、ウインズケールの関係と、今度東海につくられる再処理工場のものを比べてみますと、向こうでは三百キュリーから四百キュリーだというのに対して、日本では〇・七キュリーというふうに押えている。ウインズケールのスケールに直しましても五キュリーくらいになるだろう。これは計算値でありますから、実際問題としてどうなるかわかりません。しかし、私は、やはりその点では相当できる範囲の、アズ・ロー・アズ・プラクティカブルということでの配慮はしているという点は認めるにやぶさかではないのです。しかし、世界じゅうどこでも技術的に解決ができない問題であるということで、このトリチウムとクリプトンはこのままにしておいていいのかということになりますと、相当私は、国民の公害問題という観点から見て重大な問題になるのではないか。東海は御承知のようにあまり大きな原子炉その他の設備はございません。発電所にしても十六万五千キロワットですかということでありますから、全体を合わせても容量としてはたいしたことはないのでありますが、種類がきわめて多いわけですね。ですから、どこでどういう事故が起こるかわからぬというところに、かてて加えて再処理工場ということになれば、これは普通の原子炉よりもはるかに危険度が高いということは、これはだれしもが誌めるところだろうと思うのです。
 それで、まず、簡単に話を結論的に伺いますけれども、この東海の再処理工場の設置はいまのところ大体確定的なようなかっこうになっておりますが、少なくともこれを増設をするとかというようなことはあり得ないでしょうね。その点まず最初に聞いておきます。
○成田政府委員 再処理工場を東海につくることは、規制法による許可も出しておりまして、これは確定的なことで去年から建設に入って、そして計画どおりに完成されることを期待しておるわけでございます。それからいまの能力、年間二百十トン。これは二百十トンを考えておりまして、増設の計画はいまのところないのでございます。
○石川委員 計画はないということで、それはそれとして了承いたします。現在の設備ですね。これはいろいろな学者の意見があって必ずしも定説になっているかどうかわかりませんけれども、サンゴバンと契約をして、今度はその設計を取り入れるということになっておりまして、いろいろな意見はございます。いろいろな意見はございますけれども、もうサンゴバンの設計は古いではないかという意見が出ております。したがって、特にこのトリチウム、クリプトン――トリチウムの関係は特に遺伝に大きな影響があるだろう、こういうのが大体の学者の定説になっております。遺伝的な問題として相当大きくクローズアップされてきている問題であります。クリプトンは一日八千キュリーであります。八千キュリーでしかも空気よりも重いわけであります。最悪の状態になりますと、ある一定の場所にたまってしまうということになって、とんだ公害を起こさないという保証はどこにもないわけです。これをこのままどうにもしかたがないのだということで一体野放しにしていいんだろうか。アメリカでは今度はゼロシリーズということでもって、もう全然そういうものを出さない計画をしようということで必死になって取り組んでいる。だから、国際的な関連でもこの対策を考えなければならぬと思うのでありますけれども、いまのままの設計でもやむを得ないという形でやってしまうということに対しては、公害という観点から見れば私は非常に大きな疑義があると思わざるを得ないのです。八千キュリーというのは大きいですよ。それからトリチウムにしても四百キュリーくらいが予定されておるようであります。これまたばかにできない数字です。これは発電所だってそんなにまとめて出るところはどこにもございません。
 そういうことで、不活性でやむを得ない、いまの技術ではどうにもならないのだということで既定方針どおりやってしまうのだということだけでは、なかなか住民の納得を得ることはむずかしいのではないか。この問題、声を大にして言ったら、たちまち反対運動が瞭原の火のごとく広がるとぼくは思うのです。そういうふうなことがあるので、この不活性の問題について、これはもうしかたがないのだ、いまの技術ではしかたがないのだということでやめてしまうという態度ではなくて、何としてもこの対策は考える。考えた上でなければ建設はしない、こういうことでないと、私はもう再処理の建設という問題に対してはどう考えてもそのまますなおに納得することはできないと思う。これはエネルギーの問題でございますから、このほかに、そのうち原子力と火力の問題と両方いろいろな問題が出てまいりまして、いずれこの委員会では排煙脱硫の問題――きのう私、商工委員会で重大問題だ、どうしても排煙脱硫は技術的に完成させなければ、アメリカではともかく、ヨーロッパではともかく、日本ではもう火力発電はできませんよ。何とか解決しましょう。と同時に、この原子力の問題も、この不活性元素の問題は何としても解決をはかる、こういう体制を相当思い切った政府側の決意でつくっていかなければならぬ重大な問題ではないか。エネルギーが枯渇をすればほとんどもう日本の産業というものはストップすることは目に見えているので、火力の場合に例をとりますと、各地区でもって何年先には〇・何PPMにするとかいうふうな基準を立てておりますが、これでいったらもうほとんどどこの発電所もストップせざるを得ないのじゃないか。したがって、排煙脱硫はマンハッタン計画的な計画でもってやれ、同時に、原子力の場合も私たちが何回も申し入れをしておりますように、相当まとまった国全体の総合的な対策をつくってくれということを強く要求しておるわけですね。この不活性元素の問題はその中核に出てくる問題ではなかろうかと思うのです。
 それで、これは原子力局長あるいは山田原子力委員にお願いをしたいのですが、やむを得ない、このままやっちゃうのだということだけではわれわれ納得できない。何としてもこの対策を考える。そのためにはどういうふうな組織をつくってこの善後措置を講ずるか。アメリカでさえ相当問題になっているので、アメリカの八倍の密度でもってこれからエネルギーが日本では現在するんだ。これから十倍、十五倍になろうとしているというとき、アメリカでさえ問題にしているものが日本でそれ以上の決意をもって臨まなかったら将来のエネルギーは一体どうするのだ、こういうことを私は非常に懸念をしているわけです。これはいまのところクリプトンあるいはトリチウム、この不活性元素に対する対策というものをほんとうに腹をきめてやるというふうな体制はできておりますか。
○山田説明員 石川先生からいろいろ御意見を拝聴いたしました。われわれもそのようにもちろん考えております。それで、クリプトンはもう御承知のとおり不活性のものでございますから、簡単な化学的な方法では取れません。したがいまして、冷凍――零下百数十度に下げまして取り出すという以外には方法はございませんですが、それは原理的にはもうわかっておりますから、それを何とか実用的なものに仕上げなければならない。そうしなければ、再処理の問題はこれから日本では非常に問題になるであろうという認識は持っております。しかしながら、先ほどの三十二ミリレムがすぐにあぶないか、そういうことになりますと、そういうことは決してないというふうに私は考えております。
 しかし、そういうふうに申し上げるのは少し潜越かもしれませんが、そのためにはわれわれはICRPの考え方で、何ミリレムでもそれに相応した危険性があるという観点にもちろん立たなければいけませんが、その問題をこれからもう少し詳しく調べていきたい。すなわち、低放射線レベルにおける人体安全の問題につきましても、放医研等の力を動員いたしまして調べてまいりますと同時に、ただいま御指摘のクリプトンあるいはトリチウムといったようなものも、これは捕捉して外へ出さないようにするという考え方にしなければならない、その技術開発をぜひ進めなければならないという決心でございます。しかし、いまのすぐの第一工場にそれが適用されなければ使えないかという話になりますと、その点につきましてはどうもまだはっきりとした答えは出しておりません。たとえば今度の再処理工場をつくります際に、われわれは放射線審議会の意見をもらっておるわけでありますが、それは議題の出し方が悪かったのかもしれませんけれども、海洋へ流す放射線レベル、液体廃棄物による問題ということで御検討願いまして、その際には、ICRPの基準の十分の一以下にとどまるならばよろしいであろうというような答えをいただいておったわけでございます。これもやはり気体に適用いたしますと十分の一、五〇ミリレムということになるのであろうと思うのですが、その後例のアメリカの一挙に百分の一に減らす問題が出てまいりまして、それをどうやって百分の一の問題を日本の規制体系の中に入れるかということをいま検討しておるわけでございます。
 アメリカでも非常に問題になっております点は、この五ミリレムという数字を与えておりますけれども、しかし、それが一〇ミリレム、二〇ミリレムになったとき、あるいは二〇ミリレムから四〇ミリレムになったときに対しての方法というものが同時に書かれております。したがいまして、それは必ずしも五ミリレム自身が頂上値ではないという考え方を持っておるのだろうと思うのでございますが、そういう点を、ただいまは軽水炉の発電所でございますが、それについても、われわれはもう少しはっきりした規制の方法を考えていきたい。さらにこの軽水炉発電所にそういう五ミリレムを取り入れました理由は、できるからであるということでございまして、アメリカ自身も非常に自己矛盾を感じておると思うのでございます。それでは高温ガスがまはどうだ、あるいは高速炉がどうだという問題にすぐ逢着するわけでございますけれども、いまのところは軽水炉については経験があるからやるという考え方のようでございます。いわんや再処理工場については、そういった五ミリレムという基準はもちろん持ってございません。しかし、日本としては全体としてどうするかということもあわせて、現在やっております環境安全専門部会等の審議を通じまして、方針をかっちりと固めていきたい、こういうふうに考えております。
○石川委員 関連ですから私はこれで質問をやめますけれども、いずれあらためて質問し直さなければならぬ、こう考えております。トリチウム、クリプトンの問題、これはたとえば核燃料の核をどうするかという問題のときには、官界、財界一体になって非常に膨大な組織ができてこの対策を立てた。これは非常にけっこうなことで、私もこれの火つけ役の一人として推進役を買って出た一人でございますけれども、しかし、それと見合って安全対策は行なわれておるかというと、きわめてさびしい限りだと思うのです。動燃は動燃、原研は原研、放医研は放医研、水産庁は水産庁、気象庁は気象庁というばらばらな形になっておる。これも総合的に一元化して、そして基準委員会というものをつくって、どういう基準でなければならぬかという基準をつくるための前提として安全対策を考える。それから原子力委員会の委員の中に、環境工学の関係者が一人もいないということも非常に大きな手落ちで、最近の意見としては、原子力委員会は推進役じゃなくて安全のほうだけ考えればいいじゃないかという意見も出ているわけですね。それくらい重要な問題だと思うのですね。ところが、それに対しては、それに対応するだけの体制ができておらない。さっきからわれわれが何回も言っておるように、まず体制をつくりなさいということを言っておるのですが、いまの答弁だと、放医研と相談をしてという程度のことになっておるわけです。
  〔吉田(之)委員長代理退席、委員長着席〕
これは全体が総合的にこれに対応するという施策を十分に考えるということで、まずこの組織をつくってもらって、それから今度の再処理問題についても、最初のものはしかたがないのだというふうな考え方ではなくて、どうしてもこれは何らかの形でもって再処理で押えていくのだという気魄でやってもらわないと、とてもじゃないがこれに火をつけたら一ぺんに反対運動が燃え上がりますよ。そういうことで、ぜひこれは善処してもらわなければならぬ重大問題だと思うのです。しかたがないのだということでは済まされないし、これはアメリカではゼロシリーズということで出発しておりますが、ドイツでも、この間原産会議の大会での発表では、原子力発電所の隣には再処理工場を置かないというようなことを言っておりますね。これは再処理工場というのは非常に危険だというふうなことで、これはこれとして十分な安全対策を考えるという配慮がそこに働いているのではなかろうかというような気がするわけです。これは私が推測したのにすぎないのかもしれませんけれども、とにかく再処理問題の公害の対策は、いまのままの形でやむを得ないのだということではなくて、安全審査部会でもって許可されたからいいのだ、日本の権威がきめたからいいじゃないかということではなかなか納得できないという日本の特殊事情もございます。そういう点で十分な配慮をきょうはお願いするだけにとどめます。あとでまたあらためて質問いたします。
○近江委員 それで、不活性だからということでありましたけれども、この場合はPCBと同じように、吸い込んでもいままでは影響は少ないであろうということにされていたわけです。しかし、量がふえてきますと、非常に大量の放射線を受けることになってくる。影響としては白血病その他のガンの発病率、奇形児の発生率を高めることになるであろう、これは学者も警告しておるわけです。不活性であるので、一たん空気中に放出すると回収する手だてがないわけです。この東海村の再処理工場から出るクリプトン八五の量は一日八千キュリー、これはガンの治療などに使われる照射装置四、五台分の線源に当たるわけです。昨年の九月、千葉県で紛失して大騒ぎになったイリジウム一九二、これは六キュリーですね。こういう点から見ますと、非常に大きな数値であるということになるわけです。結局この対策として、いまそういう基準もいいかげんだ、でたらめであるということです。したがって、この基準の作成と、今後の対策、そういうことはほんとうに真剣に考えないと、それまでは稼働してはならぬ、私らはそれだけのことは言いたいわけです。それを安易に考えておるようなことであれば、これは許せませんよ。局長、原子力委員、真剣に今後やりますか。
○成田政府委員 クリプトン、トリチウムの対策の研究については、先ほどから言いましたように、原子力委員会環境安全専門部会等においても最も重要な問題として真剣に取り組んでいこうということになっております。ただ、これが確立されないと設備建設はすべきでないという点につきましては、先ほど言いましたような事情で、われわれはいまの段階ではそれはできないと思いますが、真剣に取り組んで、なるたけ早い機会にこれを取り入れていく、そういう態度で臨みたいと思います。
○近江委員 きょうは大臣が参議院のほうに出ておられますので、政務次官がお見えになっていらっしゃるわけですが、いままでずっとお聞きになっておられて、今後科学技術庁としても真剣に取り組んで、基準の問題なり対策も強化しなければならぬと思うのです。それについて政務次官としての御決意をひとつお伺いしたいと思うのです。
○粟山政府委員 御不安はまことにもっともだと思います。したがいまして、当庁といたしましては、この対策検討、これはできるだけ早くに出すように検討しなければならない、そう思っております。
○近江委員 その点は特に強く要望しておきます。これはこれだけで終わるのではなく、これからもまた当委員会においてもやっていきたいと思います。
 それから次に、今度連合審査をするということでPCBの問題をやるわけでございますが、きょうは私は全般的な問題について若干お聞きしておきたいと思うわけです。
 最近、各地でPCB汚染の拡大実態が明らかにされつつあるわけです。そういうことで、国民の不安というものは、汚染の拡大と同時に広がる一方であります。そういう不安をわかりながら、政府としてはどういう対策、万全のことをやってくれておるか。そういう点はいろいろと各省で努力されていらっしゃるようではありますけれども、われわれとしては正直に申し上げて非常に手ぬるいと思います。そういうことで、今後さらに強力にやってもらわなきゃいけないと思うのです。この点に関して、まず中心におられる科学技術庁の千葉局長はどういうように最近の拡大汚染に対して考えていらっしゃるか、その所感をひとつお伺いしたいと思うのです。
○千葉政府委員 PCBの問題につきましては、いま先生御指摘のとおり、きわめて重大な問題でございます。私ども科学技術庁の関係の者は、これにつきましてはやはり先生と同じようにきわめて重大であるという認識を持っております。
 そういった認識のもとに、もうすでに御案内のとおり、科学技術庁といたしましては、昨年の六月からこれの根本的な調査研究をしようということで、それでまず第一にPCBがたいへんだ、たいへんだといいましてもこの分析方法が確立しておらなかった。非常にむずかしい。つまり、PCBとそのほかの有機塩素剤、こういったものとのより分け、これがきわめてむずかしい。そういった点がまず第一で、これを早く分析の技術を確立して、それで全国的にこういったものを調査していきたい、こういったような点がまず第一点。第二点が、これはどういった経路で汚染されてきて人体まで汚染されるか、こういったような経路の点。それから第三が、これの慢性毒性の問題でございます。これの実態の研究をしようという、きわめて重要な三つの研究を鋭意いま推進いたしておるわけでございます。
 そういった研究がいま進んでおりまして、分析につきましては一応の分析のやり方が確立されまして、それで一月に公表いたしたわけでございます。こういったような分析方法で、いま盛んに各方面で調査されまして、そういったものがいろいろと報道機関のほうに流れておるといったような実態でございまして、われわれが予測しましたように、やはり非常に重要な人体への汚染の状況がいろいろ報道されております。
 そういったような認識でございまして、私どもは関係各省と基本的な実態の把握と、それからそれに対するいろいろな対策でございますが、こういったものについていろいろ検討をしております。
 それで対策につきましては、御案内のとおりPCB自体の生産の問題については通産省、それからこれの人体に対するいろいろな影響につきましては厚生省あたりが中心となっていま対策をやっております。通産省、それから厚生省、その他関係官庁ともきわめて重視しておりまして、いろいろ対策が講ぜられつつあるわけでございます。
○近江委員 分析方法一つにしても、一応はできたとおっしゃっておりますけれども、結局環境庁さんなんかに聞きますと、分析方法もできたというけれども、それは全般的な分析方法じゃない。だから、いまだに排出基準もむずかしいとか言っているわけです。そういうまだほんとうに門口に立ったような状態だと私は思うのです。基本的なことがまだそういう状態ではたしていいかということです。
 それから、きょうは各省も来られておりますからお聞きしますが、通産省はこの九月一日からPCBの生産、使用を原則として中止の通達を業者にも出されておるわけですが、しかし、いままで日本じゅうの総生産量を見ますと、五万八千三百三十トン、輸入量が五百九十トン、このうち三万トンが回収されないままこの日本列島の土壌に、河川に、海に、あるいは食物連鎖でわれわれの体内に入り込み続けておるわけです。こういう点で、それは九月に原則として大体中止になるかもしれませんですよ。だけれども、まだストックもあるでしょう。現に使用しておるのですよ。しかもそのように回収不能に近いような状態で三万トンがばらまかれておる。これに対してはどうするのですか。いま大体どの程度回収できるのですか。この回収の見込みについてひとつお聞きしたいと思うのです。
○小幡説明員 ただいま先生御指摘のとおり、昭和二十九年から生産を始めまして、四十六年までに生産量及びごく一部の輸入量を含めまして五万八千トンの供給があったわけでございます。そのうち五千トン輸出しておりますので、国内に向けまして五万三千トンが出荷されておるわけでございます。
 それで、それらは電気機器用あるいは熱媒体用、感圧紙用その他の開放系というところに出荷されたわけでございますけれども、これらの用途のうちからはたして環境に何トンのPCBが出ているかということは、これは数字的に把握することは非常に困難なわけでございますけれども、今回通産省がとりました一連の行政指導によりまして、この五万三千トンのうち約三万六千トンは回収することが可能であろう、こういう推定を立てております。したがいまして、現在までに出荷したもののうちの七割は最終ユーザーそれから機器メーカー及びPCBメーカーのルートによりまして回収することができるというように考えております。
○近江委員 そうするとあと一千七千トン、三割はどうしようもない、こういうことですね。それであとこの九月から原則として生産、使用を中止とおっしゃっているわけですが、いままだストックがだいぶあるわけでしょう。どのぐらいあって、それは使わすのですか。
○小幡説明員 現在メーカーにございます在庫は約五百トンでございます。メーカーは、一社はことしの四月末、一社は六月末で生産を停止するわけでございますけれども、これらの在庫品は九月一日以降の原則禁止までの経過期間中、必要なものもございましょうし、また九月一日以降であっても完全に回収ができるというところには出荷するということになっておりますので、これらの用途に向けて出荷されるということになると思います。また、開放系の使用者につきましては、これは昨年十二月一ぱいで使用を停止させたわけでございますが、これらの開放系のユーザーにございました在庫、これはごく少量でございますが、これはPCBのメーカーに返却するように指示をいたしました。
○近江委員 そうすると、この三万六千トンを回収できるとおっしゃっているのですが、どうやってやるのですか。
○小幡説明員 先般出しました通達によりまして、現在電気機器用あるいは熱媒体として使っておりますところは、それらのPCBの使用を確認いたしまして管理台帳を整備する。そういたしまして、それらの機器が廃棄される場合、当然PCBも不要になるわけでございますので、その段階で機器のメーカーと共同して回収いたしまして、回収されたものは機器メーカーを通じてPCBメーカーに返却し、そこで焼却処理する、こういうシステムを考えております。
○近江委員 そうすると回収不能である三割の一万七千トンについてはどうするのですか。環境庁さんも来られているでしょう。どうやるのですか。
○岡安政府委員 私どもといたしましては、なるべく手を尽くしまして回収するようなシステムを考えるということをまず考えたいと思っておりますが、それでもすべてのPCBを回収することは不可能だと思います。そこで私どもといたしましては、やはり今後環境がどのように汚染されていくか、現状の調査とあわせまして、今後の汚染状況等につきまして、慎重なといいますか綿密な監視をいたすということ、それによりまして、いろいろ人体その他に影響があるという場合にはそれぞれの措置をとるということ以外には、現在ちょっと考えられないと思う次第でございます。
○近江委員 いま環境庁の局長さんは、ほぼお手あげであるという趣旨の発言がありまして、ほんとうにこれはもうたいへんな問題であると私は思うのです。この問題についてはまたあとでまとめて聞きます。
 それから、いままで大量のPCBが使われてきまして、昨年末、私は本委員会で琵琶湖のPCB汚染、赤潮問題等をお聞きしたとき、その原因はどこだ、結局琶琵湖湖畔でそのようにコンデンサーの製造工場とかいろいろあって、そこで大量に使っておった。それから流れ出しておった。ところがこの調査の結果、そのコンデンサー工場のため池には何万PPMというPCBがあるわけです。それがずっと小川を伝わって琵琶湖に流れておる。こういういままで使ってきた工場が、もうPCBを使用しない、いまさら処理施設をつくっても、これは使われないのだ、九月から製造もできないのだ、使われない、そんなところに金は入れられない、だれしもそういうような考え方になるのではないかと私は思うのです。そういう点で、いままで使ってきたところがため池とかそういうところに沈でんしておる、そういったところは流出したら一本どうなるかということなんです。そういうようにいままで使っておった工場がものすごく問題になってくる。そこで心配のあるそういう工場数というのは一体どのくらいあるか、また、そういう工場についてこのまま野放しにほっておいていいかということです。何らかの厳重な処置をしなければならぬわけですよ。これに対して通産省はどういう手を打っておりますか。
○関山説明員 現在PCBを使いまして商品をつくっておりますのは、いわゆる閉鎖系と称せられております電気関係のトランスとコンデンサーでございます。この両者につきまして企業の数を申し上げますと、両方合計いたしまして三十七社ということでございます。ただ事業所がいろいろございますので、事業所の数といたしましては四十九事業所ということになっております。そこで当省といたしましては、三月の二十一日付で、PCB使用機器につきまして、今後は回収に万全を期し得ないもの以外は生産を中止するというような行政指導による措置をとったわけでございますが、なお回収に万全を期し得るものというのは今後の生産もあるわけでございます。それから現在までまた生産ということが行なわれてあったわけでございますから、こういうPCBを使用しておりますメーカーにつきましての生産設備とか排水処理状況等につきまして、現在報告書の提出を求めております。PCB排水問題については万全の行政指導をやっているところでございますが、さらに使用工場に対しましては現地の点検等を実施してまいりたいと存じております。
○近江委員 報告書の提出を求めておるということが初めにあって、これから全国を点検する、それが二番目になっておるわけです。二番というニュアンスはやはり弱いわけです。大体どこが使っておるかということはわかっているわけでしょう。通産局が乗り込んで総点検をやって、そしてそこであぶないと思うところは全部びしびし指導してやらしていく、言うことを聞かないところは工場閉鎖をさせていく、そのくらいの強い姿勢があってあたりまえと違いますか。これだけ国民を不安におとしいれておる。それに対してびしびしできないというのは、あなた方はやはりおかしいのじゃないかと言われたってしかたがないでしょう。その辺の姿勢を再度の質問でなんですけれども、その点もう一ぺんお聞きします。どう思っているのですか。
○関山説明員 申し上げましたように、現在使用工場というもの、どのくらいの量使用しておるかというようなことを調査しておりますので、そういう多消費工場につきましては、なるべく早い時期に現地の点検などを実施してまいりたいと存じております。
○近江委員 どのくらいのものを使っておるか、そんなことは地方の通産局もあるのですから、要はやる気があるかないかの問題ですよ。これだけ汚染が拡大されておるわけです。そういうことはもうすでに大体のことは掌握しているはずなんです。要するにあなた方が立ち入り検査をして強力にやらすかどうかという問題なんでしょう。これは総点検をやってきちっと強力にやりますか。それを聞いているのですよ。
○関山説明員 御趣旨を十分体しまして、点検につきまして検討してまいりたいと思います。
○近江委員 まだ納得できませんよ。言われたからやる、そういうことじゃないということを私は言っているのです。自発的に通産省が全国のそういう心配な工場の総点検をやって、そして強力な対策をとらすかと言っているわけですよ。そのことをもっと明確に言ってください、そういう抽象的なことを言わないで。
○小幡説明員 通産省といたしましては、PCBの大量消費工場につきまして、早急に実地点検を行なうように準備を進めてまいります。
○近江委員 点検をして強力な対策をとりますか。どういう対策をとりますか。
○小幡説明員 点検をした結果を見ませんと、いまからこういう対策をとるということは具体的には申し上げかねますけれども、点検結果を見まして、それに即した適切な処置をとりたいと考えております。
○近江委員 ひとつそういう強力な体制をとってもらいたいと思うのです。これは非常に野放しになっております。
 それから、水中あるいは植物等にいろいろな経路を伝わって含有してきておるわけですが、こういう問題について環境庁は全国的な調査あるいは検査体制の確立というようなことについてやっておられるということもお聞きしておりますけれども、そういうゆっくりしたことじゃあかんと思うのです。早くこの環境基準なり排出基準を定めるとか、そういうことを早急にやるべきですよ。また、食品の安全基準等についても、アメリカ等では、たとえば牛乳等についても〇・二PPM以上はもう全部廃棄処分にさす、そのくらい強力に措置もし、そういう基準を設けておるわけです。そういう点について厚生省は一体どう考えておるか。また、今後のそういうチェックについて、また対策についていかなることを考えておられるか、これを環境庁と厚生省にひとつお聞きしたいと思うのです。
○岡安政府委員 環境庁といたしましては、まず、ことしの一月の末でございますか、PCBを取り扱っております工場につきまして、その工場のPCBの使用の状況、それからPCBをどういうぐあいに除去をしているかという対策の状況等につきまして、全国的に都道府県知事を通じまして調査を実施いたしたわけでございまして、近くその結果がまとまるというふうに考えております。それに関連いたしまして、水質、土壌それから水の底質等に対します検査でございますが、先ほど科学技術庁のほうからお答えいたしましたとおり、現在まで上水道用水とか食料品等に対しますPCBの検出方法は一応確立を見たわけでございますけれども、工場排水なり一般公共用水域の汚水からPCBだけを取り出す技術というものが必ずしも確立しておらないのでございますけれども、現在までにわかっております方法によりまして、とりあえず主要な汚染水域、底質、土壌等につきましては、早急に全国的な点検をいたしたいというふうに考えております。また、それらとあわせまして、厚生省のほうにおきまして現在食料品その他に関しますPCBの限度といいますか、基準というのを御検討中というふうに伺っておりますので、それらを考え合わせまして、私どももできるだけ早い機会に環境基準なり排水基準というものにつきまして設定をしたいというふうに考えております。
 ただ、現在まで私どもの調査の進みぐあいから考えますと、汚水の中から純粋にPCBだけを取り出す技術というものは、早急にはなかなか開発できないのではあるまいかというふうに考えておりますので、現在までにわかっておりますような検査方法によります、暫定的な行政指導の指針というような形でもって、環境基準なり排水基準を設定をするということが取り急ぎ可能ではなかろうかというふうに考えます。そういうような方向で現在検討いたしておるというのが実情でございます。
○浦田政府委員 食品のPCBによる汚染の問題につきましては厚生省といたしましては一昨年来各県の衛生研究所あるいは愛媛大学等を中心といたしまする、その数字、実態についてのデータを極力集めますとともに、先ほど科学技術庁のほうから御答弁がございましたように、特別の研究費を四十六年六月に移しかえを受けまして、約二百の種別の食物についてのPCB汚染状況の実態の調査を進めている段階でございます。しかしながら、予想外にPCBの汚染が深刻な問題でございますので、これらの結果をまって科学的な根拠に立脚いたしました安全基準を設定するといったような余裕というものがあるいはないかもしれない。できるだけ手近なところからでも、指導基準と申しますか、暫定基準と申しますか、そのようなことでも設けていって、一つの行政の推進の柱といたしたいと考えまして、現在集まっておりますいろいろなデータあるいは文献、諸外国の例等に基づいて、このようないわゆるガイドラインと申しますか、暫定基準ができないということにつきまして、近く食品衛生調査会のほうに正式に御意見を求めたい。そしてできるだけ早い機会にそのような基準を設けて、一つの行政の柱といたしたいというふうに考えております。
○近江委員 それで、厚生省さんもそういうように取り組んでおられるということについては、これはもうおそきに失したことであるとは思いますけれども、一応はその努力は認めるわけですが、これはいつごろ出すのですか。
○浦田政府委員 私ども事務当局の希望といたしましては、できるだけ早く、この二、三カ月の間にでも出していただきたいというふうに、調査会のほうに強く要望するつもりでおります。
○近江委員 そういう基本的なことが一番大事でありますし、これにはやはり総理がいつもおっしゃるように勇断といいますか、それが一番大事なんです。佐藤総理はあまり実行されませんけれども、皆さん方は勇断をもって国民の立場に立ってやっていただきたい。この二、三カ月、大体おそ過ぎますよ。ですから、できるだけ短縮をして早くやっていただきたい、これを強く要望しておきます。
 それから、PCBがあぶないということで代替品が出ておるようでございますが、この安全性については一部でやはり疑いがあるのじゃないかというような声もちらちら聞いておるわけです。この点について、この代替品としてはKMCとかSASとかいろいろあるようでございますが、この点については政府としてはどういう見解を持っておられるか、これをお聞きしたいと思うのです。
○小幡説明員 最近開発されました感圧紙用の代替品として、いま御指摘のありましたような製品が出ておるわけでございますが、これらの製品の構造を見ますと、一つはアルキルナフタリンであり、一つはアルキルジフェニールという、いずれも炭化水素でございまして、塩素を含まない製品でございます。この製品につきましては、メーカーが大学におきまして毒性の試験をやってもらって、PCBに比べて毒性は少ないということが確認されております。それからPCBより毒性が少ないと申しましても、PCB自体も特に毒物劇物取締法の対象になるほどの毒性を持っておるわけではございません。毒性は少ないけれども分解しにくいという点が非常に大きな問題になっておるわけでございますので、新しい製品につきましてもその点についてどうかという問題がございます。しかしながら、これは塩素を含まない炭化水素油で、いわば一般の石油類に似た分解性を示すものであろう、こういうふうに考えておりますけれども、これらの新製品につきましては、念のため当省付属の研究所におきまして分解性の試験を行なわせるべく、いま準備を進めておる次第でございます。
○近江委員 心配ないだろうという、まとめて言えばそういうような要旨であると思いますが、こういう点については厳重にひとつまたチェックをしてもらわなければ、また第二のPCB公害が起こるのではないか、私はその点を心配しておるわけです。それで、このPCBは言うに及ばずBHCあるいはDDT等、特に有機塩素糸をはじめとして、あるいはベンジジン等化学物質全般についてやはり心配があるわけです。今後のそういう心配される物質についての汚染対策として、現にあるもの、あるいは新製品についてチェックの必要性があるのではないか、このように思うわけです。この点について、厚生省さん、それから通産省さん、環境庁さん、それから科学技術庁、各省ひとつお答え願いたいと思うのです。
○岡安政府委員 現在いろいろたくさんの化学剤が使用されておるわけでございます。農薬、医薬品、食品添加物等につきましてはそれぞれ関係の法令がございまして、それによりまして事前等のチェックが厳重に行なわれておるわけでございまして、今後ともそのようなチェックは厳重に行なうという方針でございますので、これらについては私どもといたしましては、ひとまず政府としては整備をされておるというふうに考えております。また、非常にたくさんございます家庭用品等につきましては、使用方法等につきまして、それを誤りなく使用されれば特に問題になるものはないというふうに考えております。しかしながら、先般のジュリアナ号事件のときに問題になりましたように、油の処理剤その他の化学剤等につきましては、今後やはりどういうものが出てくるか、また現在あるものにつきましても、はたしてそれで環境汚染のおそれがないのかという点につきまして、さらに私どもも慎重に検討しなければならないというふうに考えておりまして、この点につきましては昨年の十二月の二十四日に閣議でこのことが討議されまして、官房長官名をもちまして関係各省でそれぞれ分担をきめまして、今後それらの対策につきまして研究をするということになっております。現在、油の処理剤、PCB、加鉛ガソリン、家庭用品というような分野をきめまして、それぞれ関係の各省が寄り集まりましてその対策を検討している段階でございまして、その過程におきましておっしゃるように現在出回っております製品のチェック、さらには新しく出回るであろう製品のチェック等につきまして、そのことの必要性並びに可能性等につきまして早急に結論を出すということを現在討議を進めておる段階でございます。
○浦田政府委員 厚生省が直接所管しております食品、これは食品添加物が主体でございますが、これらにつきましては、すでに現在、原則禁止という手当てをいたしておりまして、一応問題はなかろうかと思いますが、いま国会に提出して審議をお願いいたしております食品衛生法の一部改正法案の中におきましては、さらにその考えを徹底させるというふうに条文の改正を行なっておりますので、将来は私どもはこれによりましてさらに徹底を期していきたいと考えております。
 それから薬の関係でございますが、これもいま厳重な審査制、登録制がとられておりまして、ことに慢性毒性あるいは催奇形性についてのチェックはこの二、三年来非常に厳重になってきておりまして、これもほぼ問題はなかろうかと考えております。
 間接的な問題といたしまして、食品にかかります環境汚染を通じての、たとえば残留農薬による汚染の問題でございますが、これにつきましては先ほど環境庁の岡安局長のほうからも御説明がございましたように、すでにこれは厳重な登録制をとっておりまして、問題はかなり、あるいは大部分解決したものと考えております。また、それ以外に一般的に新しく化学合成品が工業化されて市販されてくる、それらが環境を通じて食物に汚染を来たして問題が起こるといったようなことにつきましては、私どもは関係の省庁とその辺について十分に事前に御連絡を受けるようにお願いいたしまして、その未然の段階において食品、人体の健康への影響を防ぐように十分慎重に見きわめをつけた上で製品化されるように特に強く要望しておきたいと思います。
○小幡説明員 通産省といたしましては、毒物劇物取締法等の法規制を受けていない、たとえば現在問題になっておりますPCBのようなもの、こういうようなものが問題を起こすというところが問題でございますので、そういう法規制を受けていない物質がなぜ問題であるかという点に着眼いたしますと、非常に分解しにくくて蓄積性が高いために人体に高度に濃縮されて問題が生ずる、こういうわけでございますので、こういった性質を有します化学品にいままで問題になったDDTとかBHCとかPCPとかPCBとかいうもの以外にどんなものが現在あるのかということをチェックする必要があると思います。したがいまして、これらの点につきましては、広く関係者の意見を聞きまして十分にチェックして、管理体制について万全を期したいというように考えております。
 それから、今後開発されてくる新しい製品でございますが、これらの新製品につきましても、実用化の前に安全性についてのチェックをすることが必要であると考えております。しかし、このためにはやはり適切なチェックの体制なりチェックの基準というようなものが必要になってくると思いますので、この点についても広く関係者の意見を聞いて早急に検討を行ないまして必要な措置を講じてまいりたいと考えておるわけでございます。
○近江委員 四省にお聞きしておりまして、やっぱりえこひいきなく通産省もだいぶ理解してきているように私ちょっと感じたわけです。その点、厚生省さんあるいは環境庁さん、まだちょっと手ぬるいように思うわけですね。こういう点、たとえばアメリカで規制をかけておりながらまだわが国で使っておる、こういうものはどういうものがあるのですか。これについてひとつ厚生省さん、環境庁さんにお聞きしたい。
○浦田政府委員 食品に関します限りでは、食品添加物の関係でございますが、そのようなアメリカで禁止しておってこちら側で認めておるというものはないように承知しております。ただし、現在問題になっておりますPCBのいわゆる安全基準と申しますかその考え方につきましては、先生御案内のようにすでにアメリカでは四十年来安全基準、それはやはり一つの試みといったような表現でございますけれども、その安全基準を設けましてすでに規制をやっておるということについては承知しておりますが、日本ではこれで早急にいまから着手するといったようなことでおくれているわけでございます。
○岡安政府委員 環境庁が直接所管しておりますものとしましては農薬でございますけれども、農薬につきましてもアメリカで使用が禁止されておりまして日本で使用が許されるというものはほとんどないというふうに私記憶いたしております。
○近江委員 通産省はそのようなところは把握してないのですか。アメリカで規制しておって、通産省の関係で日本でまだ使っておるものですね。
○小幡説明員 私個人といたしましては、寡聞にしてそれについての知識は現在ございません。
○近江委員 それで通産省さんは体制なり基準をきちっとやるということをおっしゃったわけですが、これはいつごろやるのですか。
○小幡説明員 これは早急にいまからでも手をつけてまいりたいと考えますけれども、こういうことをいたしますのにはやはり適切な組織といいますか検討の場を設けなければならないと思います。現在私どもで考えておりますのは、通産省の付属の機関で軽工業生産技術審議会というのがございますので、そこにこれらの問題を検討する部会を設けて、そこに広く学識経験者等もお集まり願いまして、そこで検討をしていただきたいというように考えております。
○近江委員 いずれにしても、これは国全体としてそういうチェックの体制をやはり確立する必要があると思うのです。この点やはり中心になるのは科学技術庁ですよ。こういう点については局長はどう考えていますか。
○千葉政府委員 先生いろいろ御指摘の点でございますが、関係各省は全力投球でチェックする、そういうふうにおっしゃっておるのでございますけれども、実際これを取り締まるような分野以外、実は私どものところから見ますと、どちらかといいますといろいろまだ問題があるかと思います。たとえばこういったような有害微量物質、そう呼ばしていただきますが、こういったようなものが相互に二つなり三つなり入っている。そういったものは一体どういうふうに作用するのだとか、そういったような点は今後非常に問題だと思うのです。たとえばDDT、BHCそれプラスのPCBがこうきたというようなときには一体どうなるかとか、そのほかいろいろございますので、したがいまして、私のほうもこういったような有害な微量物質につきましてもっともっと研究調査する点がございます。そういった点を私のほうも早急に詰めまして、それで各省がおやりになるような環境の基準ですとか、人の健康に及ぼすような安全の基準とか、そういったようなもののもとになるようなところをなるべく明確にさせまして、それで、もちろん先生のおっしゃるような緊急的な対策が一つございます。ですけれども、それと同時に、私どもは特別研究促進調整費というようなものもございますので、こういった点でいま申し上げましたような有害微量物質について今後のそういったような基準にお役に立つような点を早急に詰めまして、それで、この基本対策を立てるのに資するような点に努力をしていきたい、かように考えております。
○近江委員 関係各省それぞれやっておられるわけですが、いまの縦割り行政では非常に矛盾が最近出てきているわけです、行政の中においてですね。そういう点で総合的にやはり充実したそういう機関なり体制をとる必要があるのじゃないか、このように思うわけです。この点政務次官としては、今後の問題としてどのようにお考えか、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。
○粟山政府委員 科学技術庁といたしましても、いままでも関係の各機関と協力することによって調査研究をいたしてまいりましたが、生活の安全を確保するという重要な問題につきましては、今後も関係各省と一緒になって研究対策を講じるというような処置をとりながら、その開発を促進していきたい、そのように考えております。
○近江委員 もうすぐ終わりますが、もう一度、先ほど一点だけ問題を残しておりました。それは一万七千トン、三割が回収できない。これを放置しておいていいかどうかということなんです。これについて各省から、それぞれどのように思っていらっしゃるか、これをお聞きして、最後に、政務次官の決意をお聞きしてそれで終わりたいと思います。各省から順番に。
○千葉政府委員 実はその点につきましては、要するに放出されたPCBの処理でございますけれども、これはまことにむずかしいので、これはほんとうに先生のおっしゃるとおりPCB自身が煮ても焼いてもどうしようもないというような安定している状態でございますので、これはやはり私のほうも今年度から何とかこれの処理のやり方を早急に開発したいといういま気持ちでおりますので、これを今年度からもうすぐにひとつ取りかかっていきたいというように考えております。
○岡安政府委員 先ほど申し上げましたとおり、私どもとしまして考えておりますのは、やはり汚染源であるそういう廃棄物をできるだけこれは環境汚染がないような形で始末できるように努力をするということが一つでございます。これはでき得る限度はあろうと思いますけれども努力をする。
 それから、汚染をしている状態を早急に把握をするということで、汚染が出た場合にやはり警報といいますか、警報が出せるような体制、いわば常時監視といいますか、そういうような監視体制を整備するということ。
 それから、さらには汚染をしたものが川の底その他に蓄積をすることが考えられますので、蓄積をしたヘドロその他の処理、それを処理することによって環境の汚染がなくなればという前提がございますけれども、そういう場合にはやはりヘドロ等の処理をするというようなこと、やはり調査をいたしましてその実情に応じた対策をそれぞれ具体的にとるということ以外にはなかろうということで、現在調査を至急いたしたいというふうに実は考えております。
○浦田政府委員 厚生省といたしましては、すでにとられました対策も含めまして、まずやはり大もとの製造並びに使用の禁止規制をするということは、これは絶対欠くべからざるものだと思っております。
 それから、すでに流通過程あるいは家庭にもう入ってしまったPCBを使用している機器その他につきましては、これはやはり落ち穂拾いと申しますか、できるだけこれはウエートの高いものから何としても回収の手だてはやはり検討していく必要があると思います。
 さらに、廃棄物として出回ってまいりましたものにつきましては、たとえば大都会におきましては下水道の終末処理場の汚泥の問題がございます。それらにつきましては、やはりその処理を十分に考えていかなければならないのではないかと思います。
 それから、現在焼却炉である程度のPCBが処分されていると思います。これらについては、実態を究明するとともに、場合によりましては特別の焼却炉、これは通産省さんのほうでも各企業でもって必要があれば別特焼却炉も設置されることを勧奨するように聞いておりますけれども、都市清掃事業といたしましてもこのような手だてを考えて、十分に安全に処理できるような技術を開発しなければならないと思います。
 それから、埋め立て処分その他につきましては、現行の廃棄物処理法の中で何とかその規制を受けられるように検討する必要もあるのではなかろうかということも考えております。
 また、最終的な担保になりますけれども、すでに食物が汚染され、人体への摂取が避けられないという状態につきましては、先ほども申しましたように、できるだけ早く安全基準というものを設定いたしまして国民の不安を除くようにつとめたい。さらに慢性毒性その他につきましては、その実態を究明いたしまして、適切な処置を講じられるように早く医学的な解明をはかりたい、これらにつきましては関係の省庁、ことに科学技術庁の御指導あるいは御援助を期待しながら、厚生省独自の立場からもできるだけの努力を傾けていきたいと考えております。
○小幡説明員 先ほど五万三千トンのうち三万六千トンが回収できるというように申し上げましたが、これはいろいろ今回の措置によりましてユーザー、機器メーカー、PCBメーカーのルートで回収が可能なものがこれだけであるという見込みですと、こういうお答えを申し上げたわけでございまして、その他残った一万七千トンの中でも何らかの方法によって回収ができるというものがあれば、それはそのように努力すべきであるというように考えております。
 しかしながら、やはりそれには限度があると思いますので、一般にと申しますか環境に流出してしまったPCBをどう処置するかという点につきましては、これはやはり技術の問題ではなかろうかと思います。最近、微生物によりましてPCBを分解するということが発見されたというような報道もございますので、そういった技術とかあるいは焼却の技術をさらに完成いたしまして、これらの流出してしまったPCBをできるだけ処分する、こういうことに努力したいと考えております。
○近江委員 最後に政務次官の御決意を聞かしていただいて終わります。
○粟山政府委員 国民生活に密接に関連している科学技術等の推進ということで、特別研究促進調整費、それの活用をはかることにいたしておりますが、ライフサイエンスそれから都市科学、国土保全あるいは産業保安技術及び基礎電子技術などの総合研究を実施することとともに、不測の事態に対処する、あるいは緊急に行なうべき研究の円滑な実施をはかるための必要な経費として九億五千万円を計上いたしております。これを活用いたしましてその研究をいたし、生活の安全をはかるということのためにもその安全対策の万全を期したい、そういう考えでございます。
○近江委員 これで終わりますが、関係各省連携等もありまして、このPCB問題について特別プロジェクトチームといいますか、そういうものもやはりつくって、そうして総合対策をとっていく必要があると思うのですが、どなたか代表者、これについてそれだけお聞きして終わりたいと思います。
○岡安政府委員 実は、おくればせながらというふうに言われるかもしれませんけれども、PCB対策につきましては、私ども関係省庁寄りまして、すでにいろいろ相談をいたしておりますが、さらに強力に相談をするということで、すでに編成等も終わっております。それらの会合を通じまして、早急にできることから対策を講ずるということで、私どもは努力をいたしておる最中でございます。
○近江委員 それじゃ終わります。
○渡部委員長 次に、三木喜夫君。
○三木(喜)委員 重要な問題をいま近江君のほうから提起されましたので、関連質問ということでは内容が多いですからちょっと失礼だと思うのですけれども、関連さしていただいて質問したいと思うのです。
 それで、いまPCBの問題が出ておるのですが、厚生省にお聞きしたいのですが、結局われわれ非常に不安に思っておることは、PCBの害毒がどんなものか、からだに入ってどうなるのかということです。近江さんはこれは大阪の人ですが、大阪のおかあさんのおっぱいの中にPCBが入ったというので、たいへん新聞は不安をあらわして記事を書いておる。どうなんですか、厚生省の方、その認識がはっきりしておらなかったら、いやどこのなわ張りだ、いや検討しますとか、よく連絡とってという、そういう返事しかないのですか、それから聞かしてください。
○浦田政府委員 PCBの毒性に関しましては、全般的にまだわかってない面もかなりございます。普通われわれがある物質の毒性を問題にします場合には、大量を短い時間に摂取して起こる急性の毒性の問題と、それから、わずかではございますけれども毎日少しずつ長い期間、たとえば十年、二十年、場合によりましては世代を変えて孫子の代までというふうに長くとった場合に起こる毒性の問題と、二つに分けて考える必要があるわけでございます。
 お尋ねのPCBにつきましては、急性毒性についてはある程度わかっております。それから、普通私ども学問的に毒性をいいます場合に、LD50という数字を用いております。ラットなりあるいはマウス、そういった動物実験におきまして特定の毒になるものあるいは特定の物質を与えまして、それが半分、たとえば十匹おりましたら五匹が死んでしまう、そのぎりぎりの量でございます。五〇%死に至る量ということであります。これで申しますと、DDTなどに比べますとPCBははるかに毒性は弱うございます。けた違いに弱い。しかしながら、では急性毒性というものが全然ないのかと申しますと、そうじゃございませんで、不幸な例でございますけれども、カネミの米油、これにPCBが事故によってまじりまして、そして有名なカネミ油症事件というものが起こった例からもおわかりのように、大量――この場合には約二〇〇〇から三〇〇〇PPMという高濃度のPCBが含まれておった米油でございますが、これを大体二、三カ月あるいは半年くらいの間に、人によっては毎日摂取したというようなことでございます。その結果起こった健康上の障害は、たとえば肝臓がやられる、それから皮膚にいろいろの座瘡と申しますかにきびのようなもの、皮膚病を起こす、皮膚の沈着を起こす、それから目に影響を及ぼすといったようなことが知られております。したがいまして、PCBが全然毒性がないということは、これは絶対に申せませんで、やはり毒であるということはいえるわけでございますが、現在私どもが憂慮しておりますのは、これらが環境を通じて食物に入り、あるいは人間のからだの中に摂取された場合、つまり慢性毒性、これはそのような経路で人体内に摂取される量は非常に微々たるものでございますけれども、これがほうっておきますと環境の汚染が進み、あるいは環境の汚染がいつまでも改善されずに毎日毎日人間のからだに摂取されるということによって、いわゆる慢性の毒性を発揮するかどうかという点が問題になっておるわけでございます。
 これらにつきましては、実は正確にデータがございません。おそらく何らかの障害はあるであろう。しかし、世上いままでのほかの化学物質からいわれているような、そのような猛烈な毒性ではなかろうというおおよその察しはついております。しかし、何と申しますか、疑わしきは罰すると申しますか、その疑わしきという段階は、少なくとも急性毒性についてはもうすでに過ぎておるわけでございますので、私どもは、やはりPCBをいまの段階でもって、いわば慢性毒性が発揮されない、それが未発に終わる以前の段階において環境から追放したいということでもって、現在各省庁一体となりまして対策を考えておる、こういう性格のものでございます。
○三木(喜)委員 私の申し上げたいことは、カネミ油の害毒、いわゆる急性に大量にとるやつ、これはもう新聞に出ましたからいいのですが、結局あなたが後段でおっしゃいました、継続的にしかも慢性的に常時PCBの中にからだがつかっておるときにはどうなるか、少量でもずっと続けて入ったときにはどうなるかということが一番問題だと思うのです。その中で、いまおっしゃいましたのは、まだどういう害毒があるかわからないけれども疑わしきは罰するというそういう態度で未然にこれを摘発していきたい、そういう態度だということですが、たいへんその点はけっこうなんです。賛成なんですが、これはガンとかあるいは骨に影響するとか、こういう恒久的にやった場合、常時入った場合そういう心配はないのですか。私はそういうことをたいへんにいま心配するわけです。これはただPCBだけじゃありませんよ。きのうまでは有機水銀が問題になり、そうして続いてカドミウムが問題になっておる。連続的に重要な問題として出てくるのですが、いまPCBになったのですけれども、この三つともわれわれは非常に心配するのは、非常に最近ガンがふえたでしょう。そういうこととの関連がないかということを非常に疑い心配しておるのですが、そういうことはないのですか。
○浦田政府委員 発ガン性については現在まで報告がございません。また性格から考えまして、かりにあるにしても非常に疑いが薄い、ほとんど御心配にならなくてもいいのじゃなかろうかという性格のものだと思います。
○三木(喜)委員 そこで、そうしたらいま近江君の質問の中で食物連鎖で人体に入ってきたときはどんな心配を持っておられるのですか。その心配というものを、ある程度向こうを見定めた上での対策じゃなかったら、疑わしきは罰するということだけでは科学的な考え方でないので、厚生省に聞きたいと思います。
○浦田政府委員 短期間に大量摂取した場合のことは、先生御案内のように、先ほど申しましたようにカネミ油症事件ということで明らかになってきているわけでございますが、毎日ごく微量を摂取した場合にどういう影響があるかということについては、現在国立衛生試験所その他を中心にして鋭意その慢性毒性の検査を進めているところでございまして、いまだどのような影響があるか――あるいは影響がないかもしれない、影響があるか、どの量をこえればどうといったようになるかということについては、残念ながら詳細は承知しておりません。
○三木(喜)委員 通産省にお伺いしますが、これは通産関係の仕事だと思うのですが、やはりトランス製造工場においてこれを使用しないようにした場合、その工場の受ける損害、強力に行政指導はするもののそれに対する措置をどうするのですか。あるいは既製製造物を廃棄しなければならぬでしょうし、新聞等によりますと、厳重にこれを使用して、つくったものはしかたがない、使用してそしてPCBを外へ排出しないような管理をやらすようなことを言っておられるのですけれども、しかし、その製造するところの設備がいろいろいままで行なわれておるわけです。今度その内容を変えるとまた設備を更新しなければならぬという、そういうことで損害を受けないのでしょうか。あるいはまた、そういう損害を受けた場合はどうするか、これは対策を立てておられるのですか。
○関山説明員 トランス等につきまして、現在ございます代替品といたしまして、鉱物油その他昔から使われておったものでございますが、そういうものに切りかえをいま急がしております。その関係で多少工場の製造設備等につきましてのいわば段取りがえとでも申しますかこういうような費用も発生することにはなりますけれども、この点につきましては各企業の努力で吸収するというような態度で業界も進んでいるというふうに伺っております。
○三木(喜)委員 繊維問題のときに、損害を受けたときにはやはりこれに対して損害を補てんしたのですね。これはたまたま人体に害毒を及ぼすところのPCBを使用しておったから損害を受けたらおまえたちの損害でよかろう、やはり世論のきつい反撃を受けておるのだからということで、それは企業だけの責任に放置をしておくというのはどうかと思うのですけれども、まあそういう方針ですね。
○関山説明員 御指摘の繊維の場合と多少事情が異なりまして、繊維の場合はその製造設備を現在企業が持っているわけでございますが、それを廃棄しなきゃならぬというようないろいろな事態になるわけでございますが、このトランス、コンデンサーにつきましてはPCBを注入しないような形で代替品ということに移行するわけでございますので、設備が全部廃却されるということではございません。先ほど御説明いたしましたように、多少の段取りがえということは必要になってまいるわけでございますので、その点は企業努力によって吸収できるものと考えております。
○三木(喜)委員 商工委員会で心配するようなことをこの委員会で申し上げて失礼でしたけれども、それでは最後になりますが、科学技術庁にお伺いしたいのです。
 科学技術庁の存在意義は、やはり総合的に調整するということが一つ大きな問題としてあります。それから科学技術庁の設置の趣旨目的に書いてあるように、やはり新しい科学技術を開発するというそういう使命もあります。それからきょうるるお話しになった国民の安全それから平和、こういう問題に私は使命があると思います。たとえば原子力基本法のごときはやはり安全、平和、こういうことが非常に強調されておるわけであります。したがって、その第一に申し上げました総合調整ということを、先がたは近江委員のほうからは、プロジェクトチームをつくってやったらどうだ、こういう話がありましたけれども、常時科学技術庁の特色を生かして各省庁からこの問題に対する関係者に寄っていただいてそして研究調整対策を立てる、こういうことをやられましたかあるいはやろうと思っておられるか、まあ省庁の特質からいうてそうあってほしいと私は思いますのでお伺いしておきたいのです。
○千葉政府委員 いまの御指摘の点でございますが、確かに調整が私のほうの第一の役割りでございますし、第二が新しいいろいろな研究を推進し総合的な研究を推進するというようなことが第二の私のほうの役割りでございます。
 本件のようなものにつきましては、先生御指摘のようないわゆるプロジェクトチームをつくって推進するというような点につきましては、私のほうは特別研究促進調整費を使いましてこういったようなものの総合研究を推進しております。その際にプロジェクトチームをつくっております。
 それで、先ほどから私御説明申し上げましたような三つの点の研究ですね、分析のやり方とか、それから慢性毒性の問題とか、それからどういった経路で人体へ入ってくるかというような研究につきましては、関係各省とか大学の先生に寄っていただきまして、グループをつくって推進しております。ですから近江先生御指摘のようなことは現実にはやっております。それから今後の問題につきましても、そういうプロジェクトチームをつくってやりますが、実はもう少し強力なものをひとつ考えようかということで私のところにいま懇談会をつくりまして、こういった点も含めましてもっと大きな、いわゆる公害問題とかさらに健康の問題とかという点をいま取り上げようということで、すでにそういった懇談会も発足いたしまして、少し大きく取り上げて強力に推進していくという体制づくりをいまやっておる最中でございます。
○三木(喜)委員 それでけっこうなんですよ。科学技術庁のほうでやっておられることはそれでいいのですけれども、それではこの問題のとらえ方や発展のしかたが不備だと思うのですね。先がた近江さんが言われたのは、縦割り行政はいかぬじゃないか、こういう大きな問題が起こってきたときには各省庁から連絡、調整というようなことで寄っていただいて、そしてプロジェクトチームをつくったらどうかということが一つ提起されましたね。それで私そういうことをお聞きしたのです。
 もう一つは、高度経済成長政策のもたらしたものはやっぱり公害だったでしょう。公害はもう一つや二つではない。枚挙にいとまがないですね。調整局でこれ全部追い回っておってプロジェクトチームをつくっておったら、それはやっていけないだろうと私は思うのです。水銀もあればあるいはカドミウムもあるし、それは各省庁でかってにやったらいいというものの、もうこれはどこかで一貫してやっていく、そういうシステムに入らにゃいかぬときが来たと思うのですね。そのときにおたくだけに御迷惑をかけておいたのではいかないので、おたくだけでもしやられるということになれば、内閣全体の問題としてもう少し人員をふやしていかなければならないでしょうね。何にもないときのシステムですから、これだけ公害が多くなったときには気の毒です、科学技術庁だけでは。これは終始一貫して、科学技術庁の仕事は木でいえば若芽である、若い枝である。これに対して、省庁一割予算を削減せいとか、一省一局削減やとかいうようなこういう行政管理をやっておってはいかぬじゃないかということをずっと言ってきたのです。もっともっとふえて大きくなっていいのですよね。だから、いまの御答弁の中からはそういう希望なり意見というものは感じ取れなかったのですけれども、私は、建設的にせっかく御研究になっておるのですから、そういうふうにしてもらいたい。そのことが発展性のある――人員をとったり予算をよけい取れということを慫慂しておるわけじゃないのですよ。そういう観点に立ってもらったらいいのじゃないか、こういうように申し上げます。政務次官、お出になっておりますから、大臣のかわりですから御答弁いただいていいと思うのです。
○粟山政府委員 たいへん御理解ある御意見をおっしゃっていただいて、当庁といたしましてはたいへんありがたいと思います。御趣旨はほんとうにそのとおりだと存じますので、長官にも申しまして、当庁の姿勢として御趣旨のような大きな広い意味での研究がほんとうにでき、対策を立てられるようなそういう意味でのプロジェクトチームをつくるようなことで話し合いを、現にあるそういう会合の中においてでもそういう問題を取り上げて実現できるようにしたいと思います。そう私は考えております。
○三木(喜)委員 それはあなた方がいつまでも政権持っておられるか持っておられないかは別にいたしまして、とにかくこれは科学技術庁だけで広げようとしてもだめですから、時の総理にそういう話をし、あるいは全体の閣僚としてもこれに対して理解を示さなかったら、あれは科学技術庁の問題だというように一ところへ狭めてしまってもいかぬですし、厚生省あるいは環境庁、その中の一部局の問題だというように歪曲化しては困りますから、全体として大きく取り組んでもらわなかったら困るのです。いま政務次官は、当庁の問題で前向きに言うていただいてありがたい、こういうお話でしたけれども、そうありがたがっているだけではいかぬと思うのです。これを広げてもらわなかったらいけないと思いますし、なかなかむずかしい問題だと思います。
 それから、きょうもし大臣がおられたらずばり聞こうと思っておったのですけれども、しかし、政務次官も長官の所信表明に関係なしとしません。大いに七割も八割も関係あるかもしれませんから、政務次官にお伺いしたいと思うのですが、きょうの問題は国民の生活の安全、命と健康に関することが主眼だったと思います。そうして政務次官の御答弁もほかの省庁からおいでいただいておる方の御答弁もあげて、健康を守らなければならないので重大に考えております、こういうお話がありましたけれども、この所信表明では一番にそれに触れておられません。しまいのほうにいま政務次官が言われましたようなことがちょっと書いてあります。ライフサイエンスだとかソフトサイエンスだとかいうことを言っておられるが、先がた私が申し上げましたようなずばりそのことに関連した対策、こういうことにはちょっと縁遠い感じがする。いわゆる高度経済成長政策をもう一ぺんささえるのだぞ、そのための科学技術の推進だぞ、こういう所信表明がなされておりますけれども、私はそれではいかぬと思うのです。いま言われましたことは、ちょっとこの中には希薄に感じたので質問しておきたいし、この答弁を受けてあと私の提案を一つしたいと思っておることがあるのです。これは政務次官に御答弁いただきたいと思います。
○粟山政府委員 長官の所信表明の中で、すでにお読みいただいておると思いますけれども、このライフサイエンスということについて環境、都市、防災等、そういう考え方を申し上げておりますので、いわゆる人間の命を守る、生活の安全を守る、そういう意味での気持ちを込めて所信の表明の中に述べてあると思います。「ライフサイエンスおよびソフトサイエンスの振興に力を注いでまいりたいと考えております。」という意味は、そういうふうに生活環境を守る、健康の安全を守る、生活の安全を守る、そういうことの意味を含めております。医療の充実などもうたってございますし、公害防止、都市開発等、そういうふうな現代社会の非常に複雑な生活環境の中での政策というものを鮮明に解明してまいりたい、そういう趣旨で、先生がおっしゃいましたようなそういう意味を込めて所信の表明をしてあるものと私は受け取っております。
○三木(喜)委員 政務次官も、そのことが非常に必要になってきたし、また必要だ、この中にも述べてあると言われた。なるほど述べておられるのですけれども、それが第五、第六にあがっておるわけです。高度経済成長、それから科学技術の振興ということがばんと先に打ち出されてしまって、今度の政治課題である、特に佐藤内閣の――第何次佐藤内閣ですか、いまの佐藤内閣の打ち出しておる人間尊重というそういう姿が、各省庁のあるいは各大臣、長官の所信表明の第一面にばんと出なければならないときが来ておると私は思うのです。そのときにあたってこの所信表明では多少おくれておると思う。これは大臣来られましたら私十分御意見申し上げようと思います。
 そこで、そういうように時代が変わり、そうして政治目標が大きく人間尊重に変わってきておる中で、高度経済成長政策をうたうだけではいけない、こういうように私は思いますので、政務次官どうですか、科学技術庁設置法というものはあれでよろしいか、いまのお考えからして。私は当然そこにいかなければならぬと思うのです。人間の科学でなかったらいかぬと思うのです。この設置法では、あなたが先がた重要だとおっしゃったことがちょっとつかまえられないのです。科学の研究という中ではありますけれども。そういう大政策目標としての科学技術庁のあり方としては、この趣旨、目的は設置法ではぐあいが悪いと思うのです。そうするとこれを変えなければいかぬということになってくる。ちょっと読んでみましょうか。「任務」として、「科学技術庁は、科学技術の振興を図り、国民経済の発展に寄与するため、科学技術(人文科学のみに係るもの及び大学における研究に係るものを除く。)に関する行政を総合的に推進することをその主たる任務とする。」「科学技術の振興を図り、」と中にはありますけれども、そのあとで「国民経済の発展に寄与するため、」科学技術の研究をやる、こう書いてある。だから長官の所信表明の一段目のことがこれには強調されておって、そしていま一番重大な後段に書いてあるような問題が、この趣旨、目的、任務からはやはり読み取りにくいようになってきたと思うのです。いままではそれでよかったかもしれぬと思うのですが、私はそういう科学技術庁だったらもうこのごろ要らぬと思うのです。端的に言うと、そういう科学技術の振興をやっていてだれが利用しておるのだということです。大会社が利用しておるのだと思うのです。そんな例をずっとこれから申し上げますから、この次大臣がおいでになったら宇宙開発でひとつ申し上げますから、この次にはよくお聞きをいただきたいと思うのですが、そういう技術を国費で開発しておいて利用しよるのはだれだということなんです。そういうことを考えると、−利用したことによって国民は利益を受けておる、そこから収入があがって利益を得ているというように、こう考えていけばそれはそうかもしれませんけれども、やはり科学技術庁は技術の振興とともに人間尊重の立場に立った科学技術庁であってもらいたいと、私は念願を込めてそう思いますから、この任務の問題やら長官の所信表明まで引っぱり出してきていま申し上げた。どうお考えになりますか、政務次官のお考えをお伺いしたい。
○粟山政府委員 当庁に限らずあらゆる役所の仕事というものは、人間が豊かに安心して健康で生活していける、生きていける、そういうことを目標にやられるはずのものだと思っております。したがって、いま当庁に関することにつきましては、その意図は十分に委員がおっしゃるような意図のもとに設置されてあるはずでございますけれども、表現が、おっしゃられることから考えますと、少し舌足らずであるように思われます。これはどういうふうに受け取るか、どういうふうに表現するかということなどは今後当庁としても考えさしていただきたい、そう思います。
○三木(喜)委員 当庁だけに責任を持たしてものを言うておるわけではありませんけれどもね。私は科学技術庁に対するそういう念願を持っておりますから、したがって、この「任務」のところが舌足らずだといういまお話がありましたけれども、変えたらいいのか悪いのかと私は言っている。変えなければいかぬというのを私は言うのです。それは責任のあるあなたの立場で変えますというようなことを言うと大きな問題ですから、ちょっと言いにくいだろうと思いますから、まあこのくらいにしておきたいと思います。そしていよいよきょう聞きたい一番本質に入りたいと思うのです。そこで各省庁の方けっこうです。科学技術庁だけでけっこうです。
 そこで、政務次官、たいへん科学技術庁の本質に触れる問題を一つ私先がた申し上げましたが、もう一つの本質に触れる問題を申し上げたいと思うのです。
 佐藤総理が、平和に徹する、こういうことをよく言われます。きて科学技術庁の機能の中で平和に徹しなかったらいけないという点はどういうところでしょうか。政務次官としてお考えを聞かせてもらいたいと思います。
○粟山政府委員 当庁の研究の中にはいろいろその研究開発の上であぶない、その使用によりましては危険と感じられるものもあるわけでございますから、そういうものについては平和的な利用、そういうものにのみとどめる、そういうことで研究開発をやっていかなくてはならない、こう考えております。
○三木(喜)委員 まことに御明快な御答弁をいただきまして、私の考えておるのと同じ御答弁をいただいたわけであります。
 そこで、次に話を進めたいのですが、よく企業の秘密ということがありますね。今度の情報の秘密だとか条約の秘密じゃなしに、企業の中に機密というものがある。この機密に対して科学技術庁ではどう考えておられるか、これをお伺いしておきたいと思います。
○井上政府委員 企業機密の問題につきましては一現在非常にいろいろ論点がございまして、裁判所等でもいろいろな判決等が出ておりまして、現在その成り行きを注目しておる段階でございます。
○三木(喜)委員 ちょっと大きい声で言ってくれなければわからぬ。
○井上政府委員 企業秘密の問題につきましては、非常に実体上あるいは法律上あるいはプライベート契約の問題等におきましていろいろ論点がございまして、裁判問題になったようなこともございまして、現在その成り行きを注目している段階でございます。
○三木(喜)委員 その御答弁は私、満足しません。宇宙開発ということをやっていく、そして人工衛星を上げたい、高速増殖炉を開発したい、あるいは濃縮ウランをやりたい、こうなってきますと、当然日本は好むと好まざるとにかかわらず外国から技術を導入しなければいかぬでしょう。そのときにどうするのですか。機密保持というようなことを科学技術庁ではお立てになるか、その城に立てこもるか、立てこもらないかということを聞いておる、どっちにされるのですか。
○井上政府委員 企業機密の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、たとえば導入段階における実体的な導入可能性の問題であるとか、あるいは当該技術の危険性の問題であるとか、いろいろな問題がございまして今後具体的にどういう取り扱いになるかという問題につきましては、現在裁判所に一応提起されている問題がございまして、その一審の判決が出ておりますけれども、現在まだ係争中というような問題もございますので、いまここで直ちにどういう方向であるということはちょっと申し上げかねるという段階であると思います。
○三木(喜)委員 通産省的な答弁ではいけませんよ。科学技術庁というのは、要するに先がたから言っておったように、国民の生活、命というものを守り切らなければいかぬところと私思うのです。また、そうあってもらわなければいかぬということをさき方から言っておりますね。ところが、これは間違いだといわれるなら間違いにしていただいたらいいのですけれども、前に水銀汚染の問題のときには、農林省と通産省、これらがプロジェクトチームをつくりまして、疫学班だとか臨床班だとかいう班を三つつくって各省庁から出ていって、その総まとめを科学技術庁がやった。そのやったときに、私たちはいまから思ったら、そのまとめ方がぼかされたと思うのですね。それは人間尊重の立場に立っていない、科学という純粋性に立っていない、やはり政治的な勢力の上に左右されたやり方だったといまも不満に思っておるのです。だから、そんなことであったら、真理を追求するという科学の立場に立つ科学技術庁としては人間冒涜もはなはだしい、こういうぐあいに思うから、いままでも非常に不満に思っておったわけです。したがって、だんだん追い詰められていけば、技術の進歩に追いつかなければならぬ、日本の技術だけではできない、したがって技術を導入する、導入したときに当然起こってくる問題は機密だ、機密を保持して科学技術が伸長する、そうして生産が上がる、そういうことだけ追っておっていいのだろうか。多少おくれるとしても技術の公開、そういう機密はいただかない、いただいてもそれは公表できる、こういう約束を堅持するかしないかということが機密に対する科学技術庁の態度だと私は思うのです。
 これは、きょうは前段の質問をしていますから、本問題は次にやりますからいま大体それだけ聞いておきますが、長官おられませんし、政務次官ではもの足らぬというんじゃないですけれども、あまりそんな中身まで入るとぐあい悪いですから基本線だけ――基本線は政務次官のほうがよく堅持されておると思いますから、それでお伺いしておるのです。
○井上政府委員 科学技術の公開の問題は非常に大きな問題でございまして、しかも影響するところが非常にいろいろございます。たとえばさっきもちょっと申し上げましたように、導入の可能性であるとか技術に対して必然的に伴う非公開性と申しますか秘密性、そういうものもございますし、これを今後の方針といたしまして、根本的なものの考え方といたしましてどういう方向に持っていくかということにつきましては、非常に大きな問題だと思いまして、いま直ちにここで方向として全般的に公開の方向でいくんだということを申し上げるのは非常に困難ではないか、こういうふうに思います。
○三木(喜)委員 次に進めます。
 これも相談にあずかっておられるだろうし、どういう趣旨、目的で出られてどういうことを言うかということも、科学技術庁では態度を相談なさっておるだろうと思いますけれども、国防会議に科学技術庁長官が出られるのはどういうわけですか。
○井上政府委員 国防会議におきましては、広範にいろいろな国の状況から判断いたしまして国防会議の計画をいろいろとつくられていると思います。したがいまして、主要閣僚は、特に関係がないと思われる方以外は大体出ておられる、こういうふうに了解いたしております。
○三木(喜)委員 最近に出られるようになったのですか、ずっと以前から出ておられるのですか、その辺をひとつ……。
○井上政府委員 現在出ておられますのは一応オブザーバーといたしまして、当初から出席されております。
○三木(喜)委員 オブザーバーの目的は何ですか。
○井上政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、非常に関係のない閣僚は出ておられませんけれども、特に関係がある閣僚、それからわりあい出られておればいろいろと意見も言えるし、あるいはいろいろなことを知ってこちら側にも参考にもなるというような感じでオブザーバーとして出ておられるわけでございまして、実際の問題といたしましては、特に大きな席を占められておるという感じではございません。オブザーバーとして出ておられるという程度でございます。
○三木(喜)委員 官房長、なかなかつらいですけどね、その答えは。答えになっていないような気もするのですが、しかし、お立場からいえばそのくらいのことしか言えないと思います。
 そこで、政務次官はまあ大臣のかわりですからお答えできるだろうと思いますが、いまあなたは、科学技術庁の平和に徹する観点はどこかというと、国民生活やそういうものに危険なものを使っちゃいかぬ、そういう立場からチェックするのが科学技術庁の立場だ、こうおっしゃっておられました、平和という立場からいえばですね。国防会議も平和のためかもしれません。しかしながら、特に科学技術庁が出ていかなければならぬというのは、今回の場合にいいますならT2とかC1とかいうような高速ジェット練習機を採用するか採用しないか、こういう問題が国防会議の議題だったのですが、そのときに、科学技術庁の立場からこの兵器に対してこれは危険だとか危険じゃないとかいう御意見を述べられるのですか、それは大いに買ったらよろしいよろしいというて賛成されるのですか、どういうことなんですか。私、科学技術庁から出ていかれる立場はさっぱりわからぬ。関係のないところはみなのいておるという話ですけれども、どこに大きい関係があるのですか、それを聞かしてください。
○井上政府委員 いろいろな生産段階におきまして、国産可能であるかとかあるいは輸入したほうがいいかとか、国内ではどういう技術があるかとか、そういうようなことが問題になります場合には、やはり長官といたしまして内閣のテクノロジカル・アドバイザーだという立場もございますので、その点につきまして意見を必要があれば言われるということでございまして、特に兵器の問題についてどうこうというようなことではないと思います。具体的な技術につきまして、この程度の技術は国産が可能であるかとかいうような非常に技術的な意味でのテクノロジカルなアドバイスをされるというような立場であると思います。
○三木(喜)委員 これはずっと進めていくと議論が平行線になるかもしれません。しかし、ここに技術の問題を吟味するという意味合いにおいて科学技術庁が立たれるといういまお話なんですが、技術とかあるいは相談を受けるとかいうときには、そのことを実行する場合に相談を受けるのです。たとえば不動産の鑑定士、これは不動産を買う、そして家を建てる、こういうことが前提なんです。そうすると、かりにAという会社があります。このAという会社が戦闘機――戦闘機ですよ、戦闘機をつくろうと思うには、技術的にここがちょっと未熟だという建言をなさることは、これは私は科学技術庁の守備範囲から離れているんじゃないかと思うんです。戦闘機をつくるところのサゼスチョンをしていいのかどうか、ああこれはかまわぬ、戦闘機も国の平和だから、こういう観点に立たれるのか。もうこれになってくると、科学技術の平和利用という意味合いからいうて科学技術庁はノーコメントという立場をとられるのか、いやそれでも兵器生産をやるのも科学技術だからわれわれはあえていく、こうおっしゃるのか、いやそれは避けるんだとおっしゃるのか、その辺だけ聞かしてください。きょうは政務次官で直接責任の大臣じゃありませんから、そこだけ聞きたいと思うのです。内助の功を発揮された次官としては、その辺については、いいですよ、悪いですよという御意見を言われておるだろうと思います。これはやはり国策の上で論議になるところだと私思うのです、科学技術庁のあり方として。それだけ聞かしておいていただいて、私の質問を終わります。
○井上政府委員 必要な国防計画につきましては、これは計画ができまして、その中で――これは私の感じでございましてあるいは正確でないかもしれぬと思いますが、そのあとで必要なものを国産するとか輸入するとかいう話が出るんじゃないかと思います。その場合に、製造の場合にはこれは通産大臣なり何なりいろいろ、たとえば航空機の所管官庁は通産省でございますので、航空機の技術につきましてはいろいろと所管のほうから話があると思います。ただ科学技術庁といたしましては、その際に部分的に何か特に見解を聞かれるようなことがあれば、これは技術問題に限りまして、技術という観点からだけ意見を言うというようなことがあるのではないか、こういうふうに考えております。
○三木(喜)委員 納得しませんね。それの技術の研究所は、航空技術をやるところの通産省の仕事をやっておるところがあるのですね。それからまた防衛庁にもあるのです。ことさらに何で科学技術庁が出ていくのです。それなら防衛庁のロケットの製作にも参加しなさい、そういう理屈が出てくるでしょう。技術のところで下が伝通管のように通じておる、平和目的も戦争目的も通じておるというのなら、防衛庁のロケット上げてもいいわけになる、それをつくってもいいわけになる。それでは平和という、こういう目的の限界線を逸脱してしまうという心配があるのですね。
○井上政府委員 科学技術庁の立場と申しますか、それは二つございまして、一つは技術関係の総合調整でございます。いま一つは具体的に、たとえば原子力であるとか宇宙であるとかいうふうに、自分で所管している技術につきましての開発をやっております。したがいまして、総合調整ということをやっておりまして、その中には防衛技研は入っておりません。したがいまして、それを除きましたところの総合調整ということをやっておりまして、そういう立場でいろいろ知識を持っておりますので、そういう立場から必要なアドバイスをしておるということだと思います。
○三木(喜)委員 もう一ぺんこれはやりますからね。あなた方も態度をもう少しはっきりしてやっていってください。あなた方の考えを延ばしておると、防衛庁のロケットをつくってもいいということにもなるし、ある会社の、こっち側は防衛庁のロケットをつくる、こちらは東大のロケットをつくるというような、こんなことが起こってくるわけなんです。そうしてその技術の開発は両方とも国費でやっておる。そうしたら、こちらの会社の土持ちをしておることになりますしね。土持ちをしてもいいですよ。いいですけれども、けじめをはっきりしてくれなんだら、下は一緒だというようなことでは困りますからね。私たちは、科学技術庁にだけはそういう戦争目的だとかそういうことの手助けをする省庁であってもらいたくないと思いますから、こういうことを言っておるのです。もう一ぺん、大臣がおいでになったらそのときに私も本式に取り組みますから、あなた方もその論拠をはっきりして、ちょっとあいまいなことのないようにひとつお願いしておきたいと思います。
 終わります。
○渡部委員長 次回は、明六日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時五分散会