第071回国会 本会議 第47号
昭和四十八年六月二十八日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四十三号
  昭和四十八年六月二十八日
   午後一時開議
 第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正
    する法律案(内閣提出)
 第二 工場立地の調査等に関する法律の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
 第三 公有水面埋立法の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を
  改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 工場立地の調査等に関する法律の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 公有水面埋立法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
   午後一時五分開議
○議長(前尾繁三郎君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
○議長(前尾繁三郎君) 議員請暇の件につきおはかりいたします。
 川俣健二郎君から、海外旅行のため、七月四日から十三日まで十日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(前尾繁三郎君) 日程第一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長三原朝雄君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔三原朝雄君登壇〕
○三原朝雄君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法案の要旨は、陸上自衛官千人、海上自衛官三千六十五人、航空自衛官二千九百十八人、統合幕僚会議の自衛官五人、合計六千九百八十八人を増員すること。
 陸上自衛隊の予備自衛官三千人、海上自衛隊の予備自衛官三百人、合計三千三百人を増員すること。
 自衛隊の医官不足を抜本的に解消するため、防衛庁本庁の付属機関として防衛医科大学校を設置すること。
 防衛庁本庁の付属機関として自衛隊離職者就職審査会を設け、離職した自衛隊員が営利企業の役員等へ就職しようとする場合の承認については、同審査会の議決に基づいて行なうこととすること。
 航空総隊の編成に、司令部及び航空隊その他の直轄部隊からなる航空混成団を加え、新たに司令部の所在地を那覇市とする南西航空混成団を設けること等であります。
 本法案は、三月二日本会議において趣旨説明が行なわれた後、同日本委員会に付託、四月二十六日政府より提案理由の説明を聴取し、六月八日より質疑に入り、六月十一日から三日間にわたり、本法案審査のため沖繩に委員を派遣し、実情調査を行ない、六月十四日その報告を聴取し、翌六月十五日、十九日、二十一日、二十二日と前後六日間にわたり慎重に審査を進めてまいったのであります。
 その間、国際情勢の分析と防衛力整備の必要性、わが国の防衛の対象と脅威の実態の認識、米国の極東戦略の変化と自衛隊との関係、米国の総合戦力構想とわが国の防衛分担との関係、自衛権行使の要件と態様、専守防衛力の限界、特に公海、公空上における行動上の限界、本法案成立前における沖繩への自衛隊配備と国会の文民統制との関係、南西航空混成団等の沖繩配備の必要性、自衛官の欠員と増員との関係、自衛官募集の現状とそのあり方、天皇と自衛隊との関係、自衛隊における隊員教育のあり方、防衛医科大学校設置の目的と必要性、沖繩をはじめとする在日米軍基地の役割りと縮小方針、沖繩返還に伴う対米請求権問題の早期解決等、わが国の防衛に関する各般の問題にわたって質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
 かくて、六月二十二日採決の結果、多数をもって本法案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、六月二十六日、本法案に関し発言があり、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の各党委員より賛否の意見表明が行なわれましたことを申し添えておきます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(前尾繁三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。木原実君。
  〔木原実君登壇〕
○木原実君 私は、日本社会党を代表して、防衛二法の改正案に反対の討論を行ないます。(拍手)
 この法案は、いま討論が始まり、間もなく採決が行なわれ、やがて参議院に送付されて、きびしい審議の対象にされようとしているのでありますけれども、法案の主要な中身は、すでに半年も早く沖繩のほうに飛んでおるのであります。沖繩県民の激しい反対をものともせず、陸海空四千八百名と申しますから、予定のほぼ九〇%にのぼる人員が現地に展開を終わっているのであります。まことにけしからぬ話であります。
 口を開けば、シビリアンコントロールの最高の場は国会であると申してまいりましたのは、政府自身であります。ところが、その国会の意思はいまだ決せず、法案の成否もさだかでないというのに、事態は一方的に進んでおります。どこにシビリアンコントロールがあるのか、どこに国会の意思、つまり国民の意思の尊重があるのか、まことに許しがたい独断専行の措置といわなければなりません。(拍手)
 さらに、もしこの法案が成立せず、間接的にせよ、国会の意思が自衛隊の沖繩派遣を否定したとしたら、自衛隊は沖繩から撤収するのかといえば、そうではない。法案がたとえ成立しなくとも、このままで断じてやりますと言う制服の幹部がおる。政府もまたそう言う。断じてなどということばは、こんなところに使うはずのことばじゃないのです。何とも危険な、それ自体が国会への、シビリアンコントロールへの挑戦だといわなければなりません。(拍手)
 自衛隊の沖繩派遣につきましては、さきの沖繩国会以来、激しい論議が本院においても行なわれてまいりました。しかるに、沖繩復帰後、いわゆる久保・カーチス協定、日米事務レベルの協定と称する取りきめをてことして、国会の意思にかかわりなく、自衛隊の派遣を計画し、実施に移してきたのであります。
 政府にも言い分があります。復帰によって、当然当方でやらなければならないものが出てきた。民生協力がそれだと言う。第一、沖繩を防衛上のあき家にしておくわけにはいかない。いままでの派遣は、防衛庁長官の権限でやれることをやったのだからわかってくれと、つい先日も総理は、自衛隊の最高責任者として、われわれに釈明をいたしました。しかし、幾ら総理がわかってくれと申しましても、これほどわからぬことはありません。
 第一に、一長官の権限で、五千名をこえる陸海空の大部隊を臨時に編成し、国会の賛否の論にはおかまいなく、現地県民の反対に抗してこれを動かすというのであれば、自衛隊はその気になれば何でもできるということになります。それが現行法に照らして違法でないからだというのであれば、その法の不備を正すことこそ先決だといわなければなりません。(拍手)
 第二に、自衛隊の沖繩配備の防衛政策上の根拠は、危険でかつあいまいであります。
 自衛隊は、一体沖繩の何を守ろうとするのか。民生協力だけだというなら、民間の救援隊を編成し、その施設をつくってやればよろしい。しかし、現地において見る限り、沖繩の自衛隊は、あの巨大な米軍基地のガードの役割りしか持っていないという印象がまことに強烈であります。(拍手)米軍から買い取った中古のナイキを後生大事に操作する自衛隊。復帰のとき、返還の目玉商品だとさえ言われながら、一年たっても一向に立ち去らない那覇空港のP3、そのそばで喜々として飛びかうわが自衛隊のF104 この航空自衛隊のF104の一機は、先般、こともあろうに、離島から那覇に向かう定期便の旅客機目がけてスクランブルをかけるという始末であります。日本の自衛隊機が巨大な米軍基地の鼻先で、同じ日本の旅客機目がけて警戒発進をする。まさに、沖繩における自衛隊の悲劇を象徴するようなできごとで、多少の事情を知る者にとりましては、ばかばかしくて涙がとまりません。
 ばからしいと言えば、最近の自衛隊、ミステリーめいた事故が多過ぎるのではないでしょうか。宇都宮の陸上航空隊では、ビールをひっかけた整備の隊員が、堂々と連絡機を引っぱり出して乗り逃げをする。あわてた長官が、全力をあげてさがし出せと厳命したというのに、この前代未聞の乗り逃げ機、水に消えたか、地にもぐったか、杳としてその消息さえもつかめないではありませんか。
 真夏のミステリーというには季節はまだ早い。笑いごとでは済まされない問題ではないでしょうか。
 一体、自衛隊の武器管理、隊員の掌握はどうなっているのか。考えようによってははだえにアワを生ずるような問題がひそんでいると思うのであります。しかも、事件後相当の日数がたって消息もつかめないというのでは、あの二百数十億円もかけて配備をしたバッジやレーダーは、一体どこを向いて回っているのかといわざるを得ません。
 自衛隊にとっていま必要なことは、人員の増強でも新しい装備の導入でもなく、その体質の改革であります。
 幸いにして、俊敏の誉れ高い新長官がピンチヒッターとして登板をしたばかりでもございます。この際、自衛隊の根こそぎ、総ざらいの点検をして、思い切った体質改革の措置をとり、その実があがるのを待って、この法案の賛否の議決を行なっても、決して国民に迷惑をかけることはないと思うものでありますけれども、与党の皆さん、いかがなものでございましょうか。(拍手)
 およそ国の平和、安全、防衛などということは、ただ高価な武器をそろえ、そのための人をふやし、土地を与えるだけで何ごとかがなし得るというものではありません。内政、外交の絶えざる充実と国民の民主的団結こそ、平和と安全の基礎であります。
 ところが田中内閣、その最も重要な施策の面において、いたずらに破綻と混乱を繰り返しているではありませんか。絶望的な物価高、インフレーション、この島国でとれた魚も、水銀やPCBの吟味をしなければ食べられないところまできた公害のたれ流し、都会では、大の男がサラリーマンとして一生働いても、いまや小さなマイホームさえも持てない。多くの国民は、GNP世界第二位の国にあって、その政策を進める政府と与党の政治に、怒りと不信の声をみなぎらせているではありませんか。(拍手)
 医者が足りないのは自衛隊だけではありません。ところが、防衛医科大学校は、大金を投じて自衛隊だけの医師を養成しようという。
 それにしても、定員の三五%ほどしか医師が充足できない自衛隊の姿は、異常ではないでしょうか。その異常な姿を、自衛隊に対する国民の批判のあらわれであると受けとめて、みずからの姿を改めていくという発想が、防衛医大をつくることよりもはるかに大事なことではないでしょうか。(拍手)
 問題は、このようなことだけにとどまりません。
 田中総理は一カ月後にはアメリカに行き、ニクソン大統領と会談をされる。米国との防衛分担の問題が主たる問題になるだろうという観測もあります。
 ベトナム後の情勢に対処するアメリカ側の戦略は、総合戦力構想などというものが強調され、アジアにおいては、特にわが国の防衛力の強化に多くの期待と要求を持っておることを隠しておりません。
 わが自衛隊の歴史は、直線的な増強一途の歴史でありますけれども、それは国民世論にささえられて伸びてきた歴史ではありません。常にアメリカからの要求に促されて増強されてきた歴史であります。それは、しょせんアメリカの戦略に従属し、それを補完するための防衛力であって、日本の自衛隊はだれのための、何のための軍事力かと常に疑問を新たにせざるを得ないものがあります。(拍手)
 田中総理は、先日、「中国に存在する核は、日本にとって脅威ではない」と明言されました。私たちは、この総理の発言をきわめて重視いたしております。なぜなら、わが国の防衛政策が、日米安保のもと、中国の核を脅威と受けとめることを前提として展開されてきたことは、まぎれもない事実であります。おそらく総理は、日中の国交正常化という、総理にとっては唯一の外交的成果を踏まえて、これまでの前提を否定されたのでありましよう。
 それならば、四次防を含めて、わが国の防衛政策は、それなりの変化が求められなければなりません。このようにして、わが国の防衛政策は、内外ともに転機に立っているといわなければなりません。
 しかるに、この防衛二法案は、このような課題に沿うには、あまりにもみみっちい、継ぎはぎ政策であって、とうてい論ずるには足りません。
 私は、この際、本院が全会一致、すみやかにこの法案を否決して、一つには、現在の自衛隊に対する頂門の一針とし、一つには、軍事力の縮小に向けて、防衛政策の抜本的転換をはかる導火線とすることこそ、いま本院のなすべき最善の道であると確信するものであります。(拍手)
 どうぞ自由民主党の諸君を合めて、今後の防衛政策に対する転機を生み出すために反対されることを希望いたしまして、討論を終わります。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) 奥田敬和君。
  〔奥田敬和君登壇〕
○奥田敬和君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意見を表明いたしたいと思います。(拍手)
 最近の国際情勢を見るとき、かつて一九五〇年代に見られたようなきびしい東西の対立は、相互信頼の回復とともに、次第に緩和しきつつあり、特に近年に至って、その傾向は、一そう顕著なものとなってきております。
 最近の米ソ、米中の接近、日中国交の正常化、そしてつい先日行なわれた米ソ核戦争防止協定の調印などは、世界の情勢が、大勢としては、緊張緩和の方向に向かって、大きく動いていることを示しております。このような動きが、わが国にとっても、また世界平和にとっても、きわめて好ましいことであることは、言うをまたないところであります。
 しかしながら、民族の存立の基盤である国の安全ということを考える場合、こうした最近の動きは高く評価するものの、その背後にある幾つかの問題点を見のがすわけにはまいりません。
 まず第一に、国際情勢というものは、本来流動的であり、また、変化しやすいものであることは、過去の歴史がわれわれに教えてくれるところであります。
 大戦後の一例をあげるならば、かつて一九五九年、ソ連のフルシチョフ首相が米国を訪問し、キャンプ・デービッド精神がうたわれたとき、世界はあたかもその将来がバラ色に輝くがごとく論じられたものでありましたが、その翌年、米国の偵察機U2機がソ連領を飛ぶに至って、一瞬にしてその期待が雲散霧消してしまった事実を、私は忘れることができません。(拍手)
 要するに、国際情勢は緊張と緩和の繰り返しであり、最近の緊張緩和の傾向をもつで、直ちに世界の将来が平和の一途に向かうと推測することは、あまりにも即断にすぎるものといわざるを得ません。
 私は、国際社会というものは、本質的には法の秩序を欠く社会であるという認識を持っております。
 世界の国々は、口には恒久平和を唱えておりますが、一たん自国に関係する問題が生ずれば、あらゆる手段を尽くし、国益の追求に邁進しているのが、遺憾ながら国際社会におけるきびしい現実の姿であります。
 さらに、見のがしてならないことは、最近の政治的な緊張緩和は、それをもって直ちに軍事的な緊張緩和につながっていないという事実であります。
 世界のどの国を見ても、近年の国際情勢の推移を見て軍備を縮小したという例はなく、いずれの国も、既存の集団安全保障体制のワク組みを維持しつつ、その中で自国の軍事力整備、充実を怠ってはおりません。
 両ドイツを中心とする東西の交渉、ソ連が提唱する欧州安全保障協力会議の開催など、政治的には緊張緩和が大いに伝えられているヨーロッパにあっても、一方においては、ワルシャワ条約機構軍の戦車や、火砲が大幅に増強されているという事実は、このことを端的に物語っております。
 このような国際社会の実態を踏まえて見るとき、わが国が自国の安全を守るために、日米安保体制のワク組みの中で、平和憲法の認める最小限の自衛力を持つことは当然のことであります。(拍手)
 しかしながら、残念なことは、次期政権構想を夢みている一部政党に、最近に至ってもなお、非現実的な非武装中立論のあることであります。それが人類悲願の理想であるとはいえ、国際社会の現実を無視した、安易な幻想を国民に与え、わが国の安全保障に関する国民的コンセンサスを形づくる上で、大きな断層を生んでいることであります。
 政治は、現実を踏まえて行なわなければなりません。非武装中立は、学者の理論たり得ても、政治家のとるべき現実政策としては、とうてい受け入れがたいものであります。(拍手)
 現代の軍事力の意義は、戦争を遂行する力としての側面よりも、戦争を抑止する力としての側面に比重が移りつつあるといえましょう。
 わが国の防衛力は、戦後ゼロからスタートいたしましたが、その後、日米安保体制を基調としつつ、国力の許す範囲において漸進的に、戦争抑止力としての専守防衛の自衛力を整備してまいりました。そして、先般決定された四次防計画によって一応の形を見るに至りましたが、それを法的側面から達成しようとするのが、ただいま議題になっている、この法律案なのであります。
 本法律案は、自衛官、予備自衛官の増員と南西航空混成団、防衛医科大学校、自衛隊離職者就職審査会の新設をおもな内容といたしております。
 自衛官の増員のうち、その半数以上は、すでに昭和四十六年度以降三カ年にわたって取得した艦艇、航空機などを実際に運用するために必要な人員であります。残りの増員は沖繩防衛の任務を果たすための人員であり、また、南西航空混成団の設置は、本土を遠く離れた沖繩の地において、所在の防空部隊を有機的統一的に運用するために必要とされるものであります。
 沖繩が祖国に復帰した以上、わが国がみずからの手でその防衛の任に当たることは当然の責務であります。(拍手)
 自衛官の定数については、現在、昭和四十六年以来のこうした増員が認められないため、やむを得ず、法律上防衛庁長官に認められた権限に基づき、既存の部隊から人員をやりくりして配備につかせておりますが、その結果、本土における防空機能の一部停止、隊員の負担過重など、種々の弊害が生じてきており、一刻も早くかかる事態を解消し、正常に戻す必要があります。
 また、予備自衛官の増員は、従来から計画的に進めてきたところでありますが、量より質の少数精鋭を旨として整備してきたわが防衛力にとって、経験豊かな予備勢力の確保は、きわめて重要な施策であります。
 防衛医科大学校の設置は、慢性的な医官不足に悩み、しかも逐年低下の傾向にある自衛隊医官の充足を根本的に解決しようとするものであります。
 自衛隊部隊は、都市部から離れ、僻陬の地に所在するものが多く、教育訓練中の隊員の傷病事故に対する応急体制を整備しておく必要がありますし、また、医官の養成に長期間を要することなどを考慮するとき、その設置は急務を要する問題であります。
 自衛隊離職者就職審査会は、離職した隊員の再就職について、天下りの弊を排し、より公正を期するため、第三者機関による審査を経ることとするものであって、これはかねてよりの国会における批判にもこたえるものであります。
 以上、本法案は、現在の国際情勢下において、わが国の防衛力整備の上から見てまことに必要なものであり、国民大多数がこれを支持するものであると深く確信するものであります。(拍手)
 最後に、政府に要望したい点を申し上げます。
 第一に、今日の世界において、平和憲法を守り、非核三原則を堅持し、いたずらに軍備の拡大を求めないという現在のわが国の防衛体制は、まさに世界に誇るべきものであります。(拍手)今後ともこの体制を堅持していくことを、私は強く要望するものであります。
 第二に、一国の安全は、もとより単に防衛力の整備のみによって保持されるものでないことは申すまでもありません。諸外国との協調を基本とする外交政策の推進と、経済、福祉など各般にわたる内政施策の充実があって、初めて国の安全保障が全うされるものであることを銘記すべきであります。この面での政府の一そうの御努力を要望いたします。
 第三に、一国の防衛は、国民の支持と理解があってこそ成り立つものであり、そのためには、何よりも自衛隊自身が国民から信頼されるに値するものでなくてはなりません。いやしくも先般の航空機乗り逃げ事件のような、国民信頼を裏切る不祥事が二度と起こらないように厳戒すべきであります。
 自衛隊員各人が祖国防衛の誇りと情熱を堅持しているものとかたく信じて疑いませんが、政府は、さらに自衛隊に対する国民理解を深めるための施策、自衛隊員の処遇を改善するための施策など、物心両面にわたる施策を一そう推進されんことを要望いたします。
 終わりに、沖繩への自衛隊配備について、一言触れたいと思います。
 沖繩県民が、過ぐる大戦において筆舌に尽くしがたい惨禍をこうむり、さらに、戦後四半世紀の長きにわたって米国の占領下にあったという特殊事情のため、本土復帰に伴って配備された自衛隊をすなおには受け入れがたいという感情があることは、十分理解できるものがあります。
 したがって、自衛隊が沖繩県民のすべてから、同じ同胞として、沖繩県民として理解をもって受け入れられるためには、県民要望にこたえ、民生の安定、福祉の向上等諸施策の推進、さらに米軍基地の整理縮小など、各般にわたる施策を政府においてより積極的に推進されるよう強く要望いたしまして、本法律案に対する私の賛成討論といたします。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) 中路雅弘君。
  〔中路雅弘君登壇〕
○中路雅弘君 私は、日本共産党・革新共同を代表し、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行ないます。(拍手)
 今回の防衛二法の改正は、大量の自衛隊員の増員と自衛隊の沖繩配備の強行、防衛医科大学校の設置など、日本とアジアの平和と安全を願う日本国民にとって、とうてい許すことのできない危険な内容を持つものであります。(拍手)
 なぜならば、防衛二法改正は、ベトナム協定以後も、アジアにおける力の政策を推進するため、日本を米軍の前進展開の拠点として固めると同時に、ニクソン・ドクトリンの総合戦力構想に基づいて、日本に軍事的責任分担の増大を押しつけるという、アメリカの対日政策に一そうかたく結びつけられるからであります。
 あらためて指摘するまでもなく、日米沖繩協定の発効及び日米安保条約の円滑かつ効果的実施を取りきめた昨年八月のハワイにおける田中・ニクソン会談以後、日米安保条約すなわち日米軍事同盟の侵略的変貌は、著しいものとなっています。
 現に、横須賀を米第七艦隊空母ミッドウエーの母港にする計画、関東地方の米空軍基地を横田基地へ集中し、横田基地をアメリカ戦略輸送空軍の一大拠点にして、アジア全域に対するアメリカの軍事介入態勢を強化しようとする関東計画の実施、さらには、岩国、三沢、嘉手納など一連の在日米軍基地の機能の再編強化などが一斉に進められています。
 この場合、国民がさらに憤激せざるを得ないのは、これらの在日米軍基地の再編、機能強化が、地位協定の制約すら無視して、数百億円の巨額の国民の血税をアメリカ帝国主義のために注ぎ込もうとしていることであります。
 今回の防衛二法改正の真のねらいは、こうしたアメリカ帝国主義の極東戦略の再編に全面的に追随しつつ、対米従属と憲法違反、国民弾圧の自衛隊を増強し、侵略的な日米軍事同盟と日米共同作戦体制を飛躍的に強化することを目ざしていることにあります。
 以上の立場に立って、今回の防衛二法改正について具体的に指摘しなければならない第一の問題点は、大量の自衛隊員の増員と自衛隊の沖繩配備の強行であります。
 自衛隊員の大量増員は、四十六年度、四十七年度と二回にわたって、国民と国会の承認を得ることができず廃案となった自衛官増員計画に、新たに二千八十人の増員を上のせし、総計七千人を増員するというもので、断じて許すことのできないものであります。
 しかも、その増強七千人のうち、二分の一が沖繩配備のための増員によって占められています。
 南西航空混成団の設置をはじめ、沖繩に配備される陸海空の部隊は、決して沖繩を守るためのものでも、また本土を守るためのものでもありません。まさにそれは米軍と米軍基地を守るガードマンの役割りを果たすものであり、さらにまた、危険な日米共同作戦体制の飛躍的強化を目ざすもの以外の何ものでもないことは明白であります。(拍手)
 自衛隊の沖繩配備は、昭和四十八年七月一日をもって沖繩への自衛隊配備を行ない、米軍の極東戦略の一部を肩がわりすることを取りきめた久保・カーチス取り決めに基づくものであり、アメリカからの強い要請にこたえたものであります。久保・カーチス取り決めは、日米二国間の事実上の条約的取りきめであり、当然国会の審議と承認を必要とするものでありながら、国会審議も承認も行なわれていない違法なものであります。にもかかわらず、政府・自民党は、この久保・カーチス取りきめをたてに、防衛二法改正案が国会で審議される前に、また、国会の審議の帰結いかんにかかわらず、強力な自衛隊の沖繩配備をあくまで強行しようとしているのであります。
 これは、二重、三重の国会無視の行為であり、このようなやみ部隊を断じて認めることはできません。直ちに撤退させるべきであります。
 第二の重要な問題点は、防衛医科大学校の設置であります。
 政府は、防衛医科大学校の設置は自衛隊における医官不足を補うための医官の養成だと説明していますが、その真のねらいは、中曽根元防衛庁長官の訪米報告で明らかなように、アメリカの近代軍事医学、軍医技術を吸収し、米軍援助のもとに、自衛隊による軍事医学研究者の養成及び軍事医学研究を進める体制をつくり上げることにあることは明らかであります。
 アメリカの近代軍事医学とは、あのベトナム、インドシナ地域において、ボール爆弾や各種の毒ガス、枯れ葉作戦などに代表されるような、残虐な殺傷に使用されたものであることは否定することのできない事実であります。防衛医科大学校の設置がアメリカ近代軍事医学、軍医技術を吸収することを目的としていることは、自衛隊が人民を殺傷するための生物化学兵器の大規模な開発と研究に踏み出すためではないかという重大な疑惑を持たざるを得ないのであります。
 わが党は、この点を質疑の中で指摘しましたが、政府、防衛庁は、将来どんな研究が行なわれるか、具体的な問題についての答弁をことさら避け、国民の疑惑が根拠のないものでないことを浮き立たせたのであります。
 また、防衛医科大学校設置が、あの戦前の軍国主義時代にさえなかった自前の医官養成、軍事医学研究体制をつくるという点でも、さらにまた、教育基本法並びに学校教育法に基づく学問・研究の自由を奪った違法なものである点でも、黙視できない重大な問題であります。
 日本共産党・革新共同は、以上指摘したような点からも、今回の防衛二法改正を断じて許すことはできません。(拍手)
 しかも、この際つけ加えておきたいのは、政府・自民党が、増原前防衛庁長官を通して、天皇の発言を利用し、防衛二法改正を有利に運ぼうとしたことであります。わが党は、天皇が国政に介入した問題を含めて、天皇発言を利用しようとしたことを、あらためてここにきびしく糾弾するものであります。(拍手)
 日本共産党・革新共同は、今回の防衛二法改正に全面的に強く反対するとともに、対米従属と憲法違反、国民弾圧の自衛隊を解体し、隊員の平和産業への転職を国家が保障すべきであることを主張します。同時に、自由民主党の日米軍事同盟堅持、対米従属的な軍国主義復活強化に反対し、安保条約を廃棄し、国の真の独立と主権を回復し、平和、中立の日本を目ざして引き続き奮闘することを表明し、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第二 工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(前尾繁三郎君) 日程第二、工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。商工委員長浦野幸男君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔浦野幸男君登壇〕
○浦野幸男君 ただいま議題となりました工場立地の調査等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本案は、工場立地の段階から、企業みずから周辺の生活環境との調和を保ち得る基盤を整備することによりまして、工場立地の適正化を推進するため提案されたものであります。
 本法案の要旨は、
 第一に、法律の題名を「工場立地法」に改めること。
 第二は、予想されるコンビナート地域について、公害防止のための調査を実施するとともに、この地域に設置される工場に対し、公害防止のための措置の届け出を義務づけること。
 第三は、工場の生産施設及び緑地等が敷地面積に占める割合とこれらの配置等に関する準則を公表するとともに、工場に対し、これらの事項の事前届け出の義務を課すること。
 第四は、工場立地が準則に適合しないために周辺の生活環境の保持に支障を及ぼすおそれがある場合またはコンビナート地域において重合汚染を生ずるおそれがある場合は、必要な勧告、命令を行なうこと。等であります。
 本案は、去る四月五日当委員会に付託され、翌六日提案理由の説明を聴取いたしました後、慎重な審査を重ね、昨六月二十七日に至り質疑を終了し、続いて、自由民主党及び民社党共同提案により、本法が環境の保全を特に重視することを目的の規定に明記すること等を内容とする修正案が提出され、日本社会党、日本共産党・革新共同及び公明党の委員から、それぞれ反対討論があり、採決の結果、多数をもって修正案のとおり修正すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、公害防止、環境保全の施策を一そう推進すべきこと等に関する附帯決議が付されましたことを申し添え、報告申し上げます。(拍手)
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 公有水面埋立法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(前尾繁三郎君) 日程第三、公有水面埋立法の一部を改正する法律案を議題といたします。
○議長(前尾繁三郎君) 委員長の報告を求めます。建設委員長服部安司君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔服部安司君登壇〕
○服部安司君 ただいま議題となりました公有水面埋立法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における社会経済情勢の変化に対処し、公有水面の適正かつ合理的な利用に資することを目的とするもので、そのおもな内容は、次のとおりであります。
 第一に、都道府県知事は、埋立免許の出願事項を公衆の縦覧に供し、かつ、地元市町村長の意見を徴する等、埋立てに利害関係を有する者の意見を反映させる措置を拡充することとしております。
 第二に、埋立ての免許の基準を法定し、国土利用上適正かつ合理的であること、環境の保全または災害の防止に十分配慮されたものであること等の要件に適合しないときは、免許をなし得ないこととしております。
 第三に、竣功認可の告示後十年間は、埋立人等が埋立地について所有権の移転等をなし、または、用途変更をしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、その許可の基準を法定することとしております。
 第四に、主務大臣は、大規模な埋立て等について、認可をしようとするときは、環境庁長官の意見を求めなければならないこととしております。
 第五に、埋立ての追認制度を廃止することとしております。
 本案は、去る四月十一日本委員会に付託され、同月十七日建設大臣より提案理由の説明を聴取し、自来、関係委員会と連合審査を行ない、また、公聴会を開会する等、慎重に審議いたしてまいりましたが、その詳細につきましては会議録に譲ることといたします。
 かくて、昨二十七日質疑を終了し、次いで、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党より、公有水面の埋立てを原則として禁止する方針のもとに、二年以内に関係法律の改正または廃止することを内容とする修正案が提出され、討論、採決の結果、同修正案は少数をもって否決され、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、六項目にわたる附帯決議が付せられました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(前尾繁三郎君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○議長(前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(前尾繁三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後一時五十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        建 設 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 山中 貞則君