第071回国会 内閣委員会 第37号
昭和四十八年七月四日(水曜日)
   午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 三原 朝雄君
   理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君
   理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君
   理事 藤尾 正行君 理事 木原  実君
   理事 中路 雅弘君
      赤城 宗徳君    伊能繁次郎君
      越智 伊平君    大石 千八君
      近藤 鉄雄君    竹中 修一君
      丹羽喬四郎君    旗野 進一君
      三塚  博君    吉永 治市君
      山崎 始男君    横路 孝弘君
      和田 貞夫君    木下 元二君
      津川 武一君    鈴切 康雄君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 田中伊三次君
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        総理府総務副長
        官      小宮山重四郎君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        法務省刑事局長 安原 美穂君
        法務省矯正局長 長島  敦君
        法務省人権擁護
        局長      萩原 直三君
        法務省入国管理
        局長      吉岡  章君
        厚生大臣官房長 曾根田郁夫君
        厚生省公衆衛生
        局長      加倉井駿一君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
 委員外の出席者
        警察庁交通局交
        通指導課長   加野久武男君
        行政管理庁行政
        管理局管理官  正田 泰央君
        法務大臣官房秘
        書課長     豊島英次郎君
        法務大臣官房人
        事課長     前田  宏君
        法務省民事局第
        一課長     廣木 重喜君
        法務省刑事局参
        事官      鈴木 義男君
        外務大臣官房人
        事課長     浅尾新一郎君
        水産庁研究開発
        部漁場保全課長 前田  優君
        運輸省自動車局
        整備部車両課長 飯塚 良政君
        運輸省航空局飛
        行場部長    隅  健三君
        日本電信電話公
        社総務理事   山本 正司君
        内閣委員会調査
        室長      本田 敬信君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二日
 辞任         補欠選任
  竹中 修一君     石原慎太郎君
  吉永 治市君     木村 俊夫君
同日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     竹中 修一君
  木村 俊夫君     吉永 治市君
同月四日
 辞任         補欠選任
  東中 光雄君     津川 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  津川 武一君     東中 光雄君
    ―――――――――――――
七月二日
 靖国神社の国家管理反対に関する請願(平田藤
 吉君紹介)(第七九二八号)
 同(中路雅弘君紹介)(第八〇二三号)
 同(岡田春夫君紹介)(第八〇七六号)
 同(田口一男君紹介)(第八〇七七号)
 同(谷口善太郎君紹介)(第八〇七八号)
 同(山本幸一君紹介)(第八〇七九号)
 両眼失明重度戦傷病者に対する恩給等改善に関
 する請願(山下徳夫君紹介)(第七九二九号)
 同(羽田野忠文君紹介)(第八〇二五号)
 自衛隊機の飛行中止等による市民生活の安全確
 保に関する請願(岡田春夫君紹介)(第七九三
 〇号)
 官公労働者のストライキ権回復に関する請願外
 一件(山田芳治君紹介)(第七九三一号)
 同(浦井洋君紹介)(第八〇七五号)
 東京都の軍事基地全面撤去に関する請願(中路
 雅弘君紹介)(第八〇二四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二四号)
 厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第九号)
     ――――◇―――――
○三原委員長 これより会議を開きます。
 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴切康雄君。
○鈴切委員 法務省設置法の一部を改正する法律案に関連をして、少しお聞きしておきたいと思うのです。
 新東京国際空港が成田にできるということで、国際線については成田に移行をするということが現在進んでいるわけでありますけれども、成田空港の開港見込みは大体いつごろになるのでしょうか。
○隅説明員 新東京国際空港、成田におきます飛行場の整備につきましては、場内のターミナル、滑走路、誘導路、給油施設その他一切を含みまして完成をいたしております。ただ問題は、千葉港頭から四十四キロにわたります空港までのパイプラインが、千葉市内においていろいろの事情がございまして、ただいま工事を中止をしておる個所がございます。このために、燃料輸送の問題で現在のところ開港の見込みが明確に立っておりません。このために、運輸省、公団といたしましては、暫定的な燃料輸送の方法を各方面と折衝中でございます。もうしばらくいたしまして開港の時期を確定いたしたいと考えております。
○鈴切委員 昭和四十六年の十一月十日に吉田入国管理局長が、おそらく昭和四十七年の五月中というふうな答弁をされましたし、あるいは昭和四十七年の六月というふうな答弁をされたわけでありますけれども、状態はたいへんにおくれてきているわけです。そういうことから考えますと、新東京国際空港の開港というものは、これは決してわが国だけの問題ではないわけでして、国際的にも、開港ということについてはっきりしためどをつかせるということは重要な問題ではないかというふうに思うのですけれども、いまお聞きをしましたところが、ターミナルビルとかいろいろの設備がもうすでに完成はされているとはいうものの、パイプラインの工事がなかなか話し合いがつかない、こういう内容でございますけれども、一応めどというものは、ただ単に今後検討して明らかにしたいと思いますというお話でありますけれども、もうすでにその段階になった以上は、少なくとも何月ごろに開港するかということが明らかにならないことには、これに対するいろいろな付随した行政というものもおくれをとってしまうようなかっこうになると思います。そういう点について、大体いつごろになるのですか。
○隅説明員 ただいま申しましたように、暫定燃料輸送の点をただいま詰めておりますけれども、これは、京葉地区、それから鹿島地区から、成田駅の近くにございます、公団が従来から使用しておりました資材取りおろし場がございますが、そこまで貨車輸送いたしまして、その場所から空港まで大体二・七キロの間を暫定パイプラインで結びまして燃料の供給をすることになっておりますが、大体この工事が、各方面の許可も全部いただきまして、いま着工するばかりになっております。この工事が着工いたしましてから完成をいたしますのが、大体八カ月ないし九カ月を要するということでございます。われわれといたしましては、この暫定燃料輸送、ことに成田市内における暫定パイプラインの着工を一日も早くいたしたいというふうに考えております。大体今月中には何とか着工にこぎつけたいというふうに考えております。
○鈴切委員 そうしますと、いまは七月でございますから、八カ月間かかるということになりますと、少なくとも明年の三月以降になるという見込みには間違いないわけですか。
○隅説明員 この開港時期につきましては、なおその他に滑走路の先端に反対派が建てております妨害鉄塔が二つございます。第一、第二の妨害鉄塔でございまして、一つは六十メートルに達する鉄塔がございまして、この鉄塔の除去も必要でございます。この辺につきましても、各方面と折衝をいたしまして、何とかこの鉄塔の除去についてもいろいろの方策を考えております。いまから計算をいたしますと、大体年度内を目途にはいたしますけれども、いろいろの事情がございますので、いまだにその日取りを確定することができないのはきわめて遺憾に存じておりますけれども、大体の状況はそのようでございます。
○鈴切委員 年度内に一応目安をつけたいというお考え方でありますけれども、実際に諸般の情勢というものは、いまお話を聞きますと、なかなか年度内にはむずかしい、そういうふうなことになるわけでありますけれども、これは私、少なくともかなり前にもう大体開港の予定というものを明らかにしていませんと、諸般の情勢というものにおくれてしまう、そういうことになりますし、また、新東京国際空港を使用するということについて、やはり各国との関連もあるわけですから、そういう点で、一日も早くこういうことを決定して、いつも運輸省が見通しを立てておるのが変更されるというようなことがないように、最終的な見通しというものを明らかにしていかなくちゃならない、私こういうふうに思うわけであります。
 年度内に一応そのめどをつけたいというお話でありますけれども、ちょっといまの状態では三月以降にずれ込むようなかっこうになるわけでありますけれども、それに伴って出入国管理事務所も当然移されるわけでありますが、供用開始になるについて法務省との関係がどのような関係になるのか、あるいは事前に法務省のほうにその開始について告示されるかどうかという問題は、どうなっていましょうか。
○隅説明員 この新東京国際空港の開港時期につきましては、事務的には関係閣僚会議幹事会あるいは関係の各省、CIQと申しますか、関税、入管、検疫を担当されております各省と事務的な打ち合わせをつい最近開く予定にいたしておりますけれども、この問題につきまして、開港の確定した日取りは関係閣僚協議会におきまして決定をいたしたいと考えてその準備を進めております。法務省の御当局に対しましては、つい最近におきまして、成田をめぐる諸問題につきましてお打ち合わせをさせていただきたい、このように考えております。
○鈴切委員 ターミナルビルその他収容施設の完成と、そして供用開始となってまいりますと、当然出入国管理事務所に勤務する職員の問題が起こってこようかと思いますけれども、移転に伴う職員の定数は、そのまま羽田空港から新東京国際空港のほうに移るというふうに考えていいでしょうか。
○吉岡政府委員 現在羽田入管の定員は二百十名ございますが、新東京国際空港に移ります際には、この定員をそのまま新空港のほうに移す予定にいたしております。
○鈴切委員 羽田空港の昨年一年間の発着機数は、運輸省のほうではどのように推計をされていましょうか。
○隅説明員 現在の東京国際空港、羽田におきます年間の離着陸回数は大体十七万四千回でございまして、大体週間平均にいたしますと、一日の発着回数が四百六十回、そのうち定期便が四百四十回ございます。定期便の中で国際線が百四十八回、国内線が二百九十二回というふうになっております。
○鈴切委員 現在十七万四千回というのは、もうすでにある程度の限度に来ているんじゃないかというふうに思いますけれども、羽田空港の発着機の処理能力というのは、大体どれくらいなのでしょうか。
○隅説明員 現在、羽田の能力は大体十七万四、五千回が限度でございまして、現在のところ管制上安全に処理ができる限界に達しております。ただいまのところは定期便の増便その他の抑制措置をとっております。大体現在のところが限度かと存じます。
○鈴切委員 そういうような現況から言いますと、新東京国際空港ができた場合に、国際線を成田のほうに移行するということになれば、当分の間混雑というものは解消されるわけでありますけれども、しかし、羽田のほうもしょせんは現在の需要に抗し切れないという状況下にあって、さらに需要が増大をするということも考えられますし、おそらくこのままでいけば、また羽田のほうも五十一、二年度にはもう処理できないのではないかというふうにいわれているわけでありますけれども、大体その見通しはどのようにお考えでありますか。
○隅説明員 国際線を全部成田に移しますと、ただいま申しましたように、大体一日百五十回くらいの国際線が成田へ移ることになります。その分につきましては、国内線の発着に充てられる余裕ができるかと思います。これも、ただいま申しましたように、大体十七万四、五千回をもって羽田の場合は限度になる。これが大体五十二、三年になりますと、東京から各ローカル空港直行便の要望が非常に強く出ております。それを収容いたしますと、大体五十二、三年にはまた十七万五千回の限度に達するのではないかと考えられます。
○鈴切委員 そうなりますと、五十二、三年ごろにまた再び十七万五千回のピークに達するというようなことになっておるわけですけれども、羽田空港の拡張計画というものがいま非常に問題に地元でもなってきているわけでありまして、地元の区議会から東京都のほうに、すでにその拡張計画の一部分の工事が着手されているのではないかというような内容の質問書等も都知事あてに出ているわけでありますけれども、十七万五千回のピークに達した場合に、国内線に対する羽田の新しい拡張計画はどのようになっておりますか。
○隅説明員 先生のおっしゃるように、羽田の拡張計画というものを事務当局で一時これを計画したことがございました。すなわち、現在一番長い滑走路をC滑走路と申しております。その沖合いにD滑走路を設けたらどうかという案を一時検討したことがございますが、東京都とのお話し合いで、この点は一切白紙に戻すということで、現在のところはその計画は進めておりません。
○鈴切委員 現在は、それでは新しい滑走路をつくるということについて、言うならば計画は白紙であるというふうに理解していいわけですね。
○隅説明員 この点につきまして、詳細なる案の作成をただいま中止をいたしておりますので、もし東京都の御了解が得られるならば、あるいは大田区、品川区の地元の御了解が得られるならば、このDランウエーと申しますか、D滑走路の計画をわれわれは進めたいところでございますけれども、いまそのお話がつきませんので、この計画を中断しているというところでございます。
○鈴切委員 そうしますと、品川、大田あるいは東京都が拡張計画については反対であるという意向を強力に示しているわけです。私は地元の代議士でありますから、それはよくわかっておりますが、地方自治体がそれに対して反対であるという意向であれば、これは運輸省のほうも、D滑走路の拡張計画はやりたいけれどもできないという状態なのか、それとも、もしも地方自治体が反対であればもうあきらめざるを得ないという状態であるのか、その点はどうなんでしょうか。
○隅説明員 この点につきましては、当然地先水面の埋め立てに関します地方公共団体の御了解がなければできない仕事でございますので、関西新空港におけると同じように、地元公共団体とのお話し合いで完全なる御了解がつくまでは、われわれとしてはこれを実行するつもりはございません。
○鈴切委員 まあ羽田のほうも、そういうことで五十二、三年ごろは一つはピークを迎えるというわけでありますけれども、新東京国際空港のほうに羽田のほうから国際線を移行する、そういうことになりますと、大体日に百五十回ぐらいが初めの出発点になると思います。新東京国際空港におけるところの発着機の処理能力というものはまだそれよりもあるわけでありますけれども、だんだんと需要が増大をしてくるということになれば、やはり羽田と同じような一つの状況が新東京国際空港にもあらわれると思いますけれども、どういうふうな見通しをお立てになっておりましょうか。
○隅説明員 ただいま新東京国際空港、成田におきましては、四千メートルの滑走路一本でございます。これについての処理能力は大体十七万回を予定をいたしております。なお、第二期工事計画といたしまして、横風用滑走路、それから二千五百メートルの第三の滑走路、この第二期工事の計画を持っておりますので、第一期工事の、現在A滑走路と申します四千メートルでの処理能力は相当高くございます。地元の対策を講じながら第二期工事計画を進めていく予定でございます。当面の間は四千メートルの滑走路一本で処理できるというように考えております。
○鈴切委員 四千メートル滑走路一本で大体十七万回の処理ができる、第二期工事を予定をされているというわけでありますが、第二期工事が完成をすると、大体処理能力はどれぐらいになりましょうか。
○隅説明員 横風用滑走路と第三の滑走路を全部フルに使いますと、大体二十六万回に達するのではないかというふうに考えております。
○鈴切委員 羽田のほうから国際線が移行される、そういうことで羽田の出入国管理事務所の定員についてはそっくり新国際空港のほうに移行されるわけでありますけれども、いま運輸省が明らかにした状態の中にあって、今後かなり需要が伸びていくわけでありますけれども、当面はそれで間に合うけれども、需要増大に伴って、当然増員というものも計画をされているかどうかということを、出入国のほうから……。
○吉岡政府委員 先ほど申し上げましたように、新東京国際空港ができます段階におきましては、羽田入管の職員をそのまま新空港のほうに移す考えでございますが、新空港におきます施設等は、また羽田と異なる点が多々ございますので、移しました段階で事務量を推定いたしまして、当然、その増減に応じまして適当な対策を講じたいと思いますが、まあ減るということはないと思いますから、おそらくふえることに対する対応策を考えたいと思っております。
○鈴切委員 出入国管理事務所の職員の受け入れ体制及び宿舎の確保、あるいは宿舎と事務所を結ぶ交通問題については、現在どのようになっておりましょうか。
○吉岡政府委員 二百十名の定員を移すわけでございますが、現在、宿舎の完成いたしておりますのは、成田ニュータウンに百五十七戸ございます。それから千葉県の習志野市に十戸ございまして、百六十七戸がございますが、来年三月までにさらに千葉市に五戸が完成される予定になっております。したがいまして百七十二戸でございますが、それと二百十名との差額の者は、成田新国際空港に対しまして、従来、自分の住んでいる家から通勤できるということでございますから、宿舎の手当てにつきましては、現在のところほぼ十分ではないかというふうに考えております。
 それから宿舎と空港を結びます交通機関に関しましては、現在のところバスその他を考えておりますが、現在のところ、まだもちろん空港が供用されておらない段階でございますから、十分のことはわかりませんが、京成電車及び空港公団等の提供するバス輸送によりまして、この輸送もほぼ満足に達成されるというふうにわれわれは考えております。
○鈴切委員 新谷運輸大臣が、成田空港の開港後も羽田に国際線を残すというような発言を六月十九日の閣議後にされたということなんですけれども、この真意はどういうことなんでしょうか。
○隅説明員 新東京国際空港に国際線を全部移転いたしまして、羽田空港を国内線に移すという方針は現在でも変えておりませんけれども、大臣が記者会見で申されたように伺っておりますのは、欧米諸国において大都市周辺に複数の国際空港があるではないか、それから都心と新空港間の輸送の問題、アクセスの問題についていろいろ問題があるのではないかということで、この併用ができるかどうかの可能性を検討を命じたということが事実でございまして、事務当局といたしましては、大臣から、万一羽田に国際線を残す場合にどのようなメリット、デメリットがあるか、問題点がどのようなものがあるか十分検討をしておくようにということを命ぜられたのは事実でございます。ただいまこの問題を検討いたしておりますけれども、この問題につきましては、CIQをはじめといたしまして、関係官庁ともいろいろの問題がございます。また航空会社の問題もございますし、この点につきましては慎重に検討を始めたというのが事実でございます。
○鈴切委員 要するに、新東京国際空港である成田のほうが完成をすれば、十分に一日百五十回の処理能力はあるわけでありますから、そういう点について何ら問題はないわけですね。ところが、羽田空港に国際線を残すということは、各国の都市において複数の国際線があるからといけただ単なる理由じゃなくして、新東京国際空港である成田がたいへんに建設がおくれているということにかんがみて、そういうような意図を明らかにされたのではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○隅説明員 この問題につきましては、確かに、部分開港であるとか、あるいは一部移転で次第にふやしていくというような考え方があったことは事実でございますけれども、これはわれわれといたしましては、いままでの方針といたしまして、詳細な検討を加えた結果、やはり国際線を短期間のうちに全部成田に移す、そして羽田は国内線専用の空港にするという一応の結論で各方面と折衝いたしております。この点を変更するということになりますと、非常にいろいろの問題が出てまいります。この点についてその可能性を一つ一つ慎重に検討をしておるということでございます。
○鈴切委員 それでは新谷運輸大臣が、先月の十九日に新聞に報道された、内容を一応検討してみたらどうかというふうな話があったことは事実ではあるけれども、実際には、成田国際空港のほうに一本にしぼるというふうな考え方をやはり持っておられるということは、従前どおりの方針に従ってやられるという考え方でしょうか。
○隅説明員 現在のところは、大臣も七月一日に成田の新東京国際空港の現場を御視察になりまして記者会見をされたところでも、現在においてはこの方針は変わっていない、ただ自分のところに検討した結果を出さして、自分が慎重に判断をしたいというふうに発言をされております。現在のところこの新空港に国際線を全部移転するという方針は変わっていないということを、大臣ははっきり記者会見の席で申されました。
○鈴切委員 大臣が言われるようなことですね、もしも羽田のほうに国際空港を一部残されるというようなことになりますと、当然、出入国管理事務所も全部向こうのほうに移してしまうということでは、これはちょっと問題が出てくるわけですけれども、一応いままでのいわゆる定員二百十名は向こうの成田空港のほうに移すという既定方針でおられるわけですけれども、そういう事態になった場合にはやはり考えられるということでしょうね。
○吉岡政府委員 先ほど来申し上げましたことは、新東京国際空港が国際線を全部引き受けるという前提に立っておりまして、二百十名はそっくり羽田から成田に移るということでございますが、もしかりに羽田に一部でも国際線が残るということになりますと、当然入管業務といたしまして羽田でやらなければならぬ仕事が生じるわけでございますから、これにつきましては、新たに成田に移るほうの要員をさいて羽田に持っていくか、あるいは東京入国管理事務所のほうから要員を派遣するかという問題は、まだわれわれといたしましても、問題がそれほど具体化しておりませんので、詰めた検討はいたしておりませんけれども、いずれにいたしましても、それに対する手当てはいたさねばならぬということでございますし、またいたす所存でございます。
○鈴切委員 飛行場部長さん、けっこうでございます。
 船舶のほうの問題について少しお聞きしたいのですけれども、このところ非常に船を利用して観光客あるいは外人の出入の往来が激しくなってきておるわけでありますけれども、そういうことから、港を持つ地方自治体においては、ぜひともサービス機関としての出入国管理事務所を設置してもらいたいという要望がかなり出ていると思うのですけれども、その点の状況はいかがでしょうか。
○吉岡政府委員 先生御指摘のとおりの状態でございまして、現在、日本の工業化が進むにつきまして、新たな出入国港ができまして、そこに外国の船舶が入ってくるという状況になりましたので、それに対して出入国手続をとるために、出入国管理事務所のそれぞれの出張所をそれらの出入国港に設けてもらいたいという要望が方々から出てまいっておる次第でございます。
○鈴切委員 たとえば出入国管理事務所の出張所がないようなところ、それでまた船がそういうことで往来をするという場合は、いわゆる管理事務所がないから当然常駐はできないわけであります。そういう点については、実際にはどういうふうな処理をされておりましょうか。
○吉岡政府委員 そういう出入国港につきましては、もよりの出張所または入国管理事務所から臨時に職員を派遣いたしまして、出入国の手続をとらしております。
○鈴切委員 管理事務所の出張所があればいつでもその処理ができるわけでありますけれども、実際に管理事務所の出張所がない場合、外国船が港に着く時間というものは必ずしも諸般の情勢によって一定でない場合もあり得るわけです。そうした場合に、港に着いた船が予定が変更されたということで、たいへんに外国人の方々等に迷惑をかけるという、そういう諸般の情勢が私は想像されるのじゃないかと思うのですけれども、その点の状況というのはどういうふうになっておりましょうか。
○吉岡政府委員 御提示のような事態につきましては、横浜、神戸、大阪等の主要な港につきましては、輸送のコンテナ化が進みまして、夜間に入港して、それで上陸したいというような要請が最近漸次ふえてまいっております。しかし、それ以外の地方都市の出入国港につきましては、それほど勤務時間以外の出入国の審査要請というものは出ておりませんので、現在私たちが対策を考えておりますのは、横浜とか神戸とか大阪といった、そういう大きな主要港について何らかの対策を考えざるを得ないのじゃないかというのでいま目下検討中でございます。
○鈴切委員 沖繩が本土に復帰をしたわけでありますけれども、沖繩の弁護士の資格等については、すでに何回か試験をやられてその資格を選考された。しかも合格者等もきまったわけでありますけれども、大体どういうふうな選考をされたか、あるいはまた試験を受けられた数はどれくらいあったか、合格をされた方はどれだけあったか、その点についてお伺いしましょう。
○前田説明員 いわゆる沖弁法によります試験と選考の実施状況でございますが、これは御案内のとおり、関係政令によりまして復帰までに二回行なわれるということに相なっておりまして、そのとおりに二回実施されたわけでございます。その結果といたしまして、これも御案内だと思いますが、沖繩の弁護士の資格を持っておられる方が何人かございますが、その中で一定の要件を満たす方につきましては選考でいわゆる本土の弁護士資格が与えられる。また、そういう一定の要件を満たさない方につきましては、前提として試験を行ないまして、その試験に合格された方がいま申しました選考の対象となるという仕組みになっておるわけでございますが、そのようなことで、試験も、また選考も、それぞれ先ほど申しましたように二回実施されまして、いま申しました試験のほうの合格者は合計三十九名でございます。最終的な選考の合格者は合計二百四十二名ということでございまして、この選考に合格いたしますと、これも御承知のとおり、特別措置法によりまして本土の法曹資格が与えられることになるわけでございます。したがいまして、その合格されました二百四十二人の方々は、それぞれの分野において本土の法曹資格を与えられて活躍されておる、こういう状況でございます。
○鈴切委員 沖繩の弁護士の従前の資格というものと、それから本土の司法試験とどのような違いがございましょうか。
○前田説明員 いろいろ詳細食い違う点はございますが、本土の司法資格は、御案内のとおり、司法試験法によりまして、司法試験に合格いたした者がさらに司法修習生というものをやりまして、それから資格が与えられるということでございますが、沖繩におきましては、復帰前はそういう司法試験法の対象になっていないと申しますか、司法試験によらないで沖繩におきましては弁護士の資格が与えられたということでございます。
○鈴切委員 沖繩の場合は司法試験を受けないで資格を与えられたわけですけれども、具体的にはどういうふうな内容になっておりましょうか。
○前田説明員 ちょっと手元に現在、復帰前におきます沖繩のいわゆる沖繩弁護士資格の要件を持ってまいりませんので恐縮でございますが、復帰前におきましては、その全般的な法制の問題でございますが、当時、米軍の施政権下にあったわけでございますので、その米軍のほうのいわゆる布告、あるいは民政府の布告というものによってきめられていたわけでございます。いろいろと変遷を経てございますが、復帰直前の状態は、いろいろございますけれども、たとえば本土の司法修習生の修習を経た者、これは当然になれるというほかに、たとえば沖繩におきます法律学校の卒業生、あるいは本土あるいは沖繩におきまして法律的な訓練を要する職務に少なくとも二年間ついておって、それだけの実務経験を有するというようなことによりまして、沖繩における弁護士の資格というものが与えられていたわけでございます。
○鈴切委員 その沖繩におけるところの弁護士の資格を今度は本土並みにされたわけでありますけれども、そのときやはり試験に落ちられた方がありますね。不合格であったという方々については、どういう救済措置がとられましょうか。
○前田説明員 先ほども申し上げましたように、試験、選考という制度をとりまして、それも二回にわたって受けられるということでございましたので、大半の方は合格されておるわけでございますが、ごく一部でございますが、不合格になった方もあるわけでございます。その方につきましては、いわゆる沖弁法、特別措置法の七条におきまして暫定措置が定められておりまして、その復帰の日の前日において沖繩の法令の規定による弁護士である者は、復帰の日から五年間沖繩においては弁護士としての活動ができるということに相なっております。
○鈴切委員 そうしますと、地域制限弁護士というような形をとられるわけでありましょうけれども、五年たった場合に結局資格を失ってしまうということになりますし、その場合には、また再び受けるという形になるのでしょうか。
○前田説明員 沖繩において弁護士の資格を持っておられた方の扱いにつきましてはいろいろと当時御議論があったところでございますが、御案内のような特別措置法によりまして、選考というようなことで本土の法曹資格と同様の資格を与えるというのが基本になったわけでございますが、そういうことで、いま申しました暫定措置も、いま御指摘のような形で当面の救済と申しますか、そういう経過措置が設けられたわけでございますので、これが終りしましたあとはやはり本土と全く同じ状態になるわけでございますから、法曹の分野で活動されますにつきましては、本土と同様な試験等を受けまして資格を得られるということが必要になるわけでございます。
○鈴切委員 改正点の第二点に関連してなんですが、刑務所とか少年院、あるいは少年鑑別所等が各地方自治体の中に現在あるわけでありますけれども、その当時は、非常に場所的にも過疎化のような状態の中にそういう場所が設けられておったという立地条件はあったかと思いますけれども、現在は都市の過密化という問題が非常に大きな問題になってきまして、地方自治体としても、町の中にそういうものがあるのは好ましくないということを明らかにしているところもたいへんあろうかと思いますけれども、その点、大体その状況はどういうふうなことになっておりましょうか。
○長島政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたような事情が各地にございまして、現在のところ、地方自治体から移転要請がございます町は、全部で三十カ町にのぼっております。この三十カ町のうちで現在移転計画中のものが十カ町ございまして、そこのうち六町につきましては現に移転工事中でございまして、残り四カ町は昭和四十八年度、本年度予算で改築と申しますか、移転にかかるわけでございます。以上のような状況になっております。
○鈴切委員 地方自治体で三十カ所の移転についての要請があるというわけでありますけれども、すでに移転計画は十カ所それに伴って具体化されてきている。そうしますとあと二十カ所ですけれども、地方自治体のほうからの移転要請とその場所を選定をするということ、これは非常に関連してむずかしい問題があろうかと思いますけれども、地方自治体が移転をしてもらいたいというときには、やはり地方自治が少なくとも代替地を提供をするというふうなのか、それとも国のほうで、国有地等があればそういうのも含めて考えるのかという問題なんですが、その点はどうなんでしょう。
○長島政府委員 普通の形は、地方自治体のほうで、開発のためにこういう施設がじゃまになっているということで、移転してほしいという申し出がございまして、その際は代替地を持って交渉においでになるというのが普通の形でございます。
○鈴切委員 たとえば国有地等で適当な場所があるという場合には、代替地についても国有地を一応代替地にしてもらいたいというような、こういう地方自治体の申し出というものはございませんか。
○長島政府委員 ただいままでのところ、さような申し出はございません。
○鈴切委員 大臣、そういう場合、いま現在非常に過密化した状態の中にあって、当然だれが見ても、そういうところにある場所が好ましくない、そういう諸般の情勢があった場合、国有地に移してもらいたいという地方自治体の考え方があった場合には、それはやはり検討されるに値する問題であるかどうかということについてどうでしょうか。
○田中(伊)国務大臣 大いに検討するに値するものと存じます。国有地、もう一つは地方自治体の有に属する公有地、そういうものは大いに検討をする余地があろうかと思います。ただ、条件がそれぞれむずかしいのでございまして、そういう条件に当てはまります限りは検討の要があると思います。
○鈴切委員 三十カ所要請があるわけでありますけれども、三十カ所の要請について一々検討されていると思いますけれども、実際にすでに決定したのは十カ所である、あと二十カ所は要請は出されているけれども現在きまっていないというわけですが、法務省の検討によりますと、大体あと二十カ所についてはどういうふうな予定になりましょうか。
○長島政府委員 残りました二十カ所のうち十二カ所につきましては、地元の地方公共団体から代替地の提示がございまして、ただいまそれらの土地につきまして、それはいろいろな条件がございますが、そういう条件に合うかどうかということで検討をしておるわけでございます。
○鈴切委員 わかりました。いずれにしても法務省設置法の一部を改正する法律案についてはたいした問題点もないように思いますし、少しそれに関連するいろいろの問題をお聞きしたにとどめておきたい、こう思います。
 以上をもって質問を終わります。
○三原委員長 横路孝弘君。
○横路委員 前回に引き続いて若干登記協会の問題を初めにお尋ねをしたいと思うのです。
 この前、質問の直前に、この財団法人登記協会と東京法務局との間の契約書を見せていただきましたので、十分検討する時間がなかったのですが、これは、あのあと、こちらのほうで十分検討してみたら、大臣、やはりこれは職業安定法に完全に違反していますね。大体契約書自身がこれはもう職安法違反の契約書なんです。普通は請負契約書というのは、職業安定法の例の四十四条を抜けるためにうまいぐあいにできているわけですけれども、これはもうその辺皆さん方専門で、どのようにお考えになったのかわかりませんが、契約書自身が非常に問題があるということで、再度二、三点について詰めていってみたいと思うのです。
 労働省のはうのこの職安法の四十四条に関する公権解釈といいますか、行政指導の解釈規定というのがあるわけでありますが、それによりながら少し皆さんと議論をしてみたいと思うのです。
 一つは、この契約書の第二条の「作業方法」のところですね。つまり「労働者供給事業の禁止」ということで、この労働者供給事業というのは、「他人の求めに応じて自分の支配下にある労働者を供給してその用に供させる」ということで、従来やはり脱法行為がずいぶんあるわけです。そこで職安法の規則の中でこれは四つ要件をきめておって、その要件のうちの第二号のほうですが、「作業に従事する労働者を、指揮監督するものであること」ということがやはり一つ問題になるわけであります。
 この前、皆さんのほうでいろいろなことをおっしゃっておりましたけれども、ともかくこの契約書の第二条では、その指揮監督権がそもそも登記協会のほうじゃなくて法務局のほうにあるのだということが明示されているわけです。で、この第二条の一項がそうですし、さらにここの中では作業員の交代の場合の申し出の規定等もあって、完全に法務局の指示のもとに人間が使われている。作業自身も、これは区分して、そこだけ請負ですよといって仕事を渡すことのできるような性質じゃなくて、この謄本をとる作業というのは、申請行為から手渡すまでの作業としては、一貫した一つの流れの作業の中でコピーをとるという一部分だけをこの登記協会の職員にやらせているわけでありますから、大体この二条の「職員の指示にしたがい作業を行なう」ということ自身が、職安法の要件で言うと完全に違法行為に該当するというふうに解釈しなきゃならぬと思うのですけれども、あれから御調査いただいたと思いますけれども、いかがでございますか。
○廣木説明員 ただいま御指摘の契約書の第二条の一項に「甲の指定する職員の指示にしたがい作業を行なうものとする」。それから第六項に、「乙は、作業員を交替させるときは、あらかじめその旨を甲に届け出なければならない」。このように、契約書の条項を見ると、法務局側で協会の職員を指揮監督しているのではないかという御指摘でございますが、私どものほうとしましては、協会自身がその職員を雇い、その協会のほうからこちらに派遣されて作業に臨んでおる、そしてその業務についての指揮監督はすべて協会が主としてやっておるのだというふうに理解しておるわけでございます。
 ただ、御指摘のように、作業について法務局側の指示に従うべきであるとか、あるいは作業員の交替の際にはあらかじめ届け出なければならないというふうにうたっておりますのは、御存じのように、この取り扱う簿冊は国民の権利義務に関係のある非常に重要な簿冊でございますので、そういう簿冊については十分な取り扱い上の注意ということ。それからいろいろの間違いが起こってはいけませんので、そういう契約の履行のための、履行確保と申しますか、そういう意味で指示もいたしますし、また作業員の交替ということになりますと、協会の職員だと称して、それ以外の者が来ないとも限りませんので、交替を要するようなときには、あらかじめ協会の職員のだれそれが来るのであるということを告げてもらって、その人の確認が得られて間違いのない仕事が行なわれるようにしたい、こういう意味で、私どものほうでは非常に神経質に過ぎるほど考えまして、こういう条項を盛り込んだわけでございます。
○横路委員 この登記謄本というのは権利義務に関連する仕事ですわね。それを一般の民間人にやらせること自体が大体間違っているわけですよ。この労働省の解釈によると、指揮監督というのは何か。仕事の割りつけ、技術指導それから出勤状況についての点検、出来高査定など、「直接作業の遂行に関連した指揮監督をいう」、そして「注文主の指示が実質的に労働者の作業を指揮監督する程度に強くなると請負業者が労働者を指揮監督しているとはいえないことになる」。従来こういう形で行政指導を労働省のほうではやってきているわけであります。
 そこで、一つ具体的にお伺いをしたいと思いますが、法務局の本局にいま三名ここの登記協会の職員が行っておりますけれども、この出勤、退勤簿はだれが管理していますか。
○廣木説明員 ただいまの出勤の点は、その派遣されてきておる三名の者の責任者が、その出てきておる人たちの出退ということを管理しておるわけでございます。ただ、契約の履行確保あるいは手数料の支払いという点がございますので、そういう面では、法務局側のほうでもその出退の状況は確認しております。
○横路委員 東京の法務局ですね、ここに三名おるわけですよ。これは出勤簿がどこにあるかといったら、認証係長のつくえの上にあって、朝行くと認証係長が見ておるわけです。実態はそうなんですよ。そしてたとえば欠席が出ますね。電話でもっていきなり欠席ということもときどきはある。そうすると、そこに欠と記入するのはだれが記入するかといったら、認証係長がやっているわけですよ。だから、契約書ももちろんこれは法律違反ですし、そういう実態そのものもまさにこの契約書にのっとって行なわれているわけです。この前皆さん方は、そういうことでお調べになるということで、われわれのほうも調べてみたら、少なくともこの本局の場合、認証係長がそういう作業をしている。その辺のところを皆さん方はどのようにこの実態をつかまえておるわけですか。
○廣木説明員 ただいまも申し上げましたように、認証係長のほうで、出てこなかった場合に欠席としてしるしますのは、契約の履行が適切に行なわれておるかどうかということの確認の一つの手段としてやっておるわけでございまして、来ておる数名の者には、どの出張所においても責任者がございまして、その責任者が、来ている人の掌握、あるいは交替を要する場合というようなことは協会の本部のほうと連絡をとってやっておる、そういうふうに聞いております。
○横路委員 それは聞いておるだけで、それは違うのですよ。認証係長が出勤簿、退勤簿をつけて、これを総括係長に回して、総括係長から登記協会に行くようになっているのですよ。だからその来る職員の管理を登記協会がやっているのじゃないですよ。皆さん方、ほんとうは認証係長は、こんな仕事は公務の範囲外でしょう。その仕事をやらせて、認証係長がそれを全部掌握して総括係長に回して、総括係長から登記協会にこれをやっているわけですよ。完全に指揮監督を自分の手のうちに置いて行なっているわけですよ。これは仕事の割りつけだってやらせているでしょう、実際に。それから、たとえば「出来高査定等直接作業の遂行」もある。
 だから、皆さん方はそういう報告を受けているとおっしゃられるけれども、この前質問したのがいつでしたか、四、五日ぐらい前だったと思いますけれども、この本局をちょっと当たって、三人の人たちがどうなっていて、どういうぐあいに朝出かけていって、だれの指図を受けて仕事をして、欠席のときはどういう扱いをしているかということを、もうちょっとちゃんとまじめに調べてもらわぬと、これは大臣、職業安定法の四十四条違反というのは、罰則があるのですよ。懲役一年以下または一万円以下の罰金。これは告発すれば刑事局のほうで民事局を調べなければならぬことになるのですよ。職業安定法違反なんですから。中野も同じですよ。各地大体同じようなケースです。この間から五日ぐらいたって、いろいろお調べをいただいたと思っておったのですけれども、皆さん方のほうは、そういう報告をするほうも、これは間違っているわけですから、もうちょっとちゃんとお調べいただきたい。私たちもその現場でちゃんと調べたわけですから、本局の場合だけは絶対に間違いないですよ。
○廣木説明員 私のほうで東京法務局に尋ねまして受けた報告は、先ほど申しましたとおりでございまして、御指摘の認証係長あるいは総務係長から協会のほうへ申し入れておるという点は、結局それぞれの所管と申しますか、認証係長としては、窓口で契約の履行上の問題としてそういうチェックをし、それを総務係長に報告をしまして、総務係長としては、必要があれば協会のほうへ、そういうことのないように今後注意してもらうように、そういう申し入れをしておるというふうに理解しておるわけでございます。ただ、その実態が職業安定法違反のような実態があるのかどうかという御指摘でございますので、その点については十分に再点検したいと思っております。
○横路委員 大体、職業安定法の四十四条と、それに基づいてきまっている要件があるでしょう。この四号の一つ一つに当てはめていっても、皆さんのほうで、権利義務に関する重要な仕事だから作業については指示しなければならぬと言うけれども、大体その指示すること自体がここの要件に該当して、いわゆる労働力の提供事業になって、それはだめなんだ。
    〔委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席〕
それは禁止されていることなんですよ。だから、実態そのもの、あるいは実態に移らなくても、契約書そのものからいったって、きょう実は労働省を呼ぼうと思ったけれども、労働省のほうも、法務省がやっていることを違法行為だとまさか国会で答弁するわけにもいかぬからかんべんしてくれというので、実は遠慮したのですよ。ともかくこの第二条を見れば、これは常識的法律解釈をすれば、完全に職安法四十四条の違法行為ですね。皆さん方のほうで違法行為だと認めるのは、それはなかなか認めづらいと思うのですけれども、ともかくあとでこれから議論しても、まだまだほかに問題のところもあるのですね。
 そういう実態ですから、私たちのほうで要求したいのは、こんな形でよそに人を求めることをやめなさい。しかも国がみずからつくった法律に反してこれだけ――法務省というのはそういう立場でしょう。だから、どうしても皆さん方そうやってがんばるなら、私のほうでそれは告発したっていいわけですよ、職業安定法違反だから捜査しろよと。刑事局来ているでしょう。調べられますか、皆さん方で。刑事局おられますか。
 労働者供給事業というのは、大体前近代的なやり方なんですよ、一番。だから、この労働者供給事業の禁止なんというのは、実は、近代的な労使関係が成立すると同時にもうなくなった、いわゆる前近代的、封建的、いわばその時代のなごりとして職業安定法の中で規定されているので、実際に行なわれているのは、いまですと、鉄鋼とか造船とか、とりわけ造船あたりのところに多いのでありまして、役所の中で堂々とこんなものがまかり通っていたんじゃやはり非常にまずいと思うのです。これは大臣どうですか。そうがんばらないで、率直に認められたらいいんじゃないかと思うのですが……。
○田中(伊)国務大臣 無理にがんばろうという考えはないのですが、いやしくも法務省が法規違反の疑いがあるなどという質問をされるようでは、これは困るのですね。そこで、すみやかにどういう実態であるのかということを調査をさせます。
 大体の答えは、これは契約である。しかし、契約内容を遺憾なく実施してもらうためにはいろいろ注文もせねばならぬ、確認もしておかなければならぬ、こういう立場が法務省の立場でございますが、その確認のやり方等をめぐって、どうかなと思うようなことがあるとするならば反省を要する。またそれは今後は訂正を要する。誠心誠意、虚心たんかいに調査をいたします。
○横路委員 大臣もまだちょっとおわかりになっていないようですね。労働者供給事業というのは、いわゆる労働力の提供ですね。労働者の提供。いわば人夫請負ですよ。この登記協会がやっているのはいわば、ことばはちょっと古いことばですが、いわば人夫請負みたいなものなんですね。コピーする人間を出してやるというわけでしょう。そして実際は公務員がやらなければならぬ仕事をさせて、一枚コピーしたら幾らといってその手数料を払ってやるわけですよ。だから、これはいわゆる仕事を請け負うということと違うのですね。問題は、国の仕事で大事な仕事だから確認しなければならぬとか、何とかかんとか言うけれども、実は、これはケースとしてあるのです、この脱法行為は。だから労働省のほうでもいろんな行政指導をやっておられるのです。よくある、ピンはねをやってやる。山谷あたりでやるようなやつは、よくこれは刑事事件にまでなる、職業安定法違反というのは。けっこう多いですよ、この職安法違反事件というのは。刑事局わかりますか。職安法の違反事件というのは、いまこの四十四条の違反事件に関連して、年間どのくらいあるか。
○鈴木説明員 実は、私ども別の問題で本日出てまいりまして、この問題についてはまだ初耳でございますので、少し調査の上、お答えさせていただきたいと思います。
○横路委員 これはまだあるのです。日本のいまの、近代化されたといってもまだまだそういう点で古いものが残っている中で、ピンはね、特に警察がやるのはピンはねの関係で捜査をして事件になるわけでありますけれども、そういう意味で、非常に要件というのはきびしくきまっていて、しかも、大体もう従来の二十数年間の積み重ねがありますから、もう明確になっているのですよ。だから、たとえば作業の指揮監督という問題も、いまいろいろと法務省のほうで、いや確認が必要だからとか何だからとかおっしゃるけれども、その辺のところも、ちゃんと解釈としては、指揮監督権というのは、請け負った会社のほうじゃなくて、注文主のほうにある、注文主が仕事の割りつけをするようでは、これはもうだめですよ。それは脱法行為になりますよ。あるいは技術的な指導をすることも、これはだめですよ。それから、一生懸命働いているか、なまけておるかというよう点検ですね。出勤、退勤、欠勤、こういうことをやるのもこれはだめですよ。それはちゃんと請け負った会社がやりなさい。それから出来高、これはコピー一枚やったら幾らということになって、一枚やると九円二十銭ですか、そういうものの査定もやるのはこれはだめですよ、こういうことになっているわけです。だからその辺あいまいだから、前にこれは会計検査院で指摘されたことがあるでしょう。どっか千葉のほうで、これができた直後くらいに。つまりそういう実態がそうなんですよ。もう完全に指揮監督権というのは法務局のほうで持ってやっている。しかも欠勤すると、かわりにだれか。たとえばこれ、中野にあったケースなんですけれども、職員が休むでしょう。そうすると、自分のかわりにだれかさがしてくるわけですよ。そうすると、人頼むの、なかなか見つからないと、自分の親や兄弟なんかを頼んで――だれでもできるんですからね、コピーは。大臣だって、いますぐやろうと思えばできるし、これはわれわれだってできるわけですよ、コピーの仕事は。つまり、だれでもできる仕事なんです。だからそういう意味では契約書自身が違法です。だからといって、契約書だけ直しちゃって終わりということにはならない。
 つまり、そういう労働力を提供するということを目的として、こういうような協会をつくったり会社をつくったりすることは、これはだめですよというのが職業安定法の趣旨なわけですから、どうもその辺のところ、大臣のほう、まだ十分職業安定法の法の趣旨というものを御理解ないようでありますから、ちょこちょこどこをいじくる、あそこをいじくるということで直る問題じゃない。この前も御答弁いただいた。要するに、人手が足りないからやむを得ずとっているんですという御答弁がありました。そのことは、私たちもよくわかりますし、きょうは行管の方もお見えになっておりますからお伺いしていきたいと思うのでありますけれども、しかし、違法行為をやってまで人集めをやる、しかもそのために国のお金も出しているわけでしょう。違法行為をやって、そのために国が金も出すということになれば、そのお金を出すこと自体だって、これまた問題になるわけですよ。ですから、私が要求をしたいのは、この登記協会からこういう形でもって人集めをすることをやめさせて、登記協会本来のこの設立の目的に合う仕事をあちらにはさせるというように、ひとつ皆さんのほうで考えていただきたい、そのことを含めて検討していただきたいと思います。
○廣木説明員 ただいまお話しの、登記協会が労働力供給事業をやっているのではないか、それを法務省が受けておるのではないかという御指摘でございますけれども、私どものほうは、協会とこという契約を結びまして、そういう一部請負、委託をやっておる、また実態もそのようなものであると理解をしておるわけでございますが、契約書あるいはその実態の点に関して、御指摘のような法違反の行為があるのではないかという点でございますので、その点は十分に、大臣の御答弁にもございましたように、再点検をしてそういうことのないように是正したいと思っております。
○横路委員 そういうことのないようにと言ったって、これは是正のしようがないんですよ。なぜならば、いままで議論したのは二号のほうの作業管理の問題でしょう。それじゃ今度は、もう一つのほうの四号のほうの要件ですね。これはこの間私のほうが勉強不十分で大臣にちょっと逃げられてしまいましたけれども、よく調べてみたら、これには二つの要素があるわけです、この第一項の四号には。そうしてその二つのうちの一つは、たとえばここの第二条の二号のほうで「作業に必要な複写機等の器具、物品は甲が提供するもの」、つまり法務局が「提供するものとする」ということで、コピーの用紙から、用液から、機械から全部これは法務省が提供する。何をしようとするかといったら、行ってともかくコピーとるだけでしょう、仕事は。そうですね。そうすると、二つの要件のうちの一つのまずいわば具体的な要件としての物理的要件というのは、まず契約書そのものからいってはずれてしまう。そうすると、もう一つのほうは何かというと技術的な要件ですね。「企画若しくは専門的な技術もしくは専門的な経験を必要とする」。そして大臣、この間、コピーとるのも専門的な技術だ、こう御答弁されましたけれども、ここで専門的な技術というのは何かというと、「通常学問的な科学知識を有する技術者によって行なわれる技術監督、検査等をいう」、こういうことになっているわけです。じゃ専門的な経験というのは何かというと、やはりこれも「作業遂行の実際面において発揮する工法上の監督者的技能、経験をいう。たとえば作業の実地指導、仕事の順序、割り振り、危害予防等についての指揮監督能力がこれであり、単なる労働者の統率あるいは経験を意味するものではなく、また個々の労働者の有する技能、経験をもって足りるような作業は「専門的な経験」を必要とする作業とはいえないものである」というのが労働省の解釈になっています。そうすると、やはりこれはどう考えてみたって、このコピーとるのは、さっきの二号の議論を別にしても、この四号のところでまずもうだめになるということですね。これは労働省の解釈からいえばこうなるでしょう、この要件。
○廣木説明員 ただいまの規則四条四号の関係でありますが、私どものほうにございます能率機器というのはいろいろの種類がございまして、しかもいろいろの機械の組み合わせになっております。また謄抄本の交付申請というのは、非常に大量に一時に参ってくるだけではございませんで、それを申請しておられる方々が窓口に待っていらっしゃるというようなことで、スピードあるいは大量に間違いのないものをつくっていくということでありますので、まあそれなりに熟練と経験というものが要るというふうに考えております。
 また、先ほども申し上げましたように、重要な登記簿冊というものはバインダーシステムになっておりますので、その中から一枚一枚の必要なコピーを要するものを間違いなく抜き出しまして、そしてまた、それを間違いなく簿冊に済んだあととじ込むという作業でございます。しかも登記簿はただ一つしかございませんで、副本というものがありませんので、もし間違えて入れられたり、あるいは紛失したりいたしますと、国民の権利義務に重大な関係のあるものであるということから、そういう熟練の点と、そういう重要簿冊を取り扱うについての心がまえとか人柄とか資質とか、そういうようないろんな点で協会に責任をもって、協会の責任の持てる職員を出してきていただいておるわけでございます。
 したがって、なるほどそういう一般的な概念としましては、専門的な技術、経験ということについては御指摘のようなところであろうかと思いますけれども、そういう私どものほうの仕事の特殊性と申しますか、そういう点から申しまして、この四号の点には触れない実態であろうかと考えております。
○横路委員 そうやってがんばるから、これは議論を続けなければならないので、それはそうじゃない。個々の労働者の持っている技能や経験をもって足りるような作業というのは、ここでいう専門的な技術とか経験に当たらない、こういう解釈になっているわけですよ。だって皆さん方、新聞で一般募集やっているわけですよ。前は新聞で一般募集ではなくて、その辺の奥さん方をかり集めて、コピーとる仕事だといってこれをやらせていたわけでしょう。それはまずいということで指摘されて、じゃ新聞で公募だということで、登記協会がこれは公募をして集める。足りなくなったら、そうやって集めてやっているわけでしょう。だから、休むときに自分が行かなかったら、自分の親やきょうだいをかわりに出して仕事をやっているところもあるわけですよ。だから、そういう詭弁をおっしゃってはだめなんで、もしそうやってがんばるなら、これは少し関係の役所いろいろ呼んで聞いて議論しなければならぬということになるわけですよ。コピーとる、こんな仕事をともかく外部発注させてやる。これは行管のほうの合理化で、民間委託なんということで、何でもかんでも民間委託やらせればいいというような形でもって、実は皆さん方のほうでちょっとその辺の配慮が足りなかったのではないかというように思うのですよ。だから私は、皆さんのほうがこういうことをやらざるを得なかったその背景はよく承知をしておるのですからね。だから、ともかくそこでそんな詭弁を弄して、専門的な技術や経験の仕事なんだ、こう言ってがんばられないで、ともかくこれは大臣が、いま行ったってすぐできる仕事なんですから、つまり単純な肉体的労働力の提供の業務だというようにひとつ認めたらどうですか。
○廣木説明員 単純労働力の提供ではないかという点で、新聞で一般公募していて、それを差し向けておるというお話でございますけれども、私どもが、協会、それから東京法務局から聞いておるところでは、そういういろいろの方法で公募はしておりますけれども、もちろんその方々を面接テストをやって、その上で協会として十分に責任の持てる、それだけの能力と資質のある人を採用し、そういう人にいろいろの注意あるいは訓練を施してわれわれのところに差し向けておるというふうに理解しておりますので、単純な労働力の提供だとは考えておりません。
○横路委員 じゃ少し詰めて議論しますよ。それではコピーするという仕事は専門的な技術に当たるのですか。専門的な経験に当たるのですか。
○廣木説明員 だれでもできることではないかということでございますけれども、私も実際に教わってやってみたのですけれども、それになれて、しかも間違いのないものを出してくるには相当な経験が要るように感じました。もちろんその前に相当専門技術的な習得というようなことを十分やらなければできないものだとは思いませんけれども、機械の種類、あるいは機械と機械の組み合わせ、それからそれを非常に能率的に扱うということになりますと、やはり相当な修練も必要だと思います。
 それから、先ほどの繰り込しで恐縮でございますけれども、一番私どものほうで重要なことだと考えておりますのは、これまでも登記簿のファイル化されております簿冊の一部が紛失したというような事例がございまして、それも謄抄本の作成の過程で起こった事例があるわけでございます。したがって、そういうことの間違いの起こらないように、また不正の入り込む余地のないように配慮していきたい、そういう意味では責任を持った処理体制ということがぜひ必要であろうと考えております。したがって、日々これ雇用する賃金職員という形でなく、そういうきまった協会等に責任をもって人選をし、そういう修練をしてもらって、間違いのない、しかもスピーディーに謄抄本の作成ができるようにしていきたいと考えておりますので、単純な労働力だけの提供というふうには考えておりません。
○横路委員 あなたがかってに考えるのはかってなんですけれども、ともかくいまの御答弁は、専門的技術には当たらぬということですね。つまり「学問的な科学知識を有する技術者によって行なわれる技術監督、検査等」が専門的な技術だ、それには当はらないというわけでしょう。そうすると、問題はその専門的な経験というわけですね。その専門的経験というのは、「専門の技能を有するいわゆる職人的技能者が作業遂行の実際面において発揮する工法上の監督者的技能、経験をいう」。つまり「工法上の監督者的技能、経験をいう」のだ、こういうわけですよ。コピーとるということはそういうことになりますか。
○廣木説明員 コピーをとるというその一点にしぼりますと、御指摘の、それは単純な労働行為ではないかというお話かとも思いますけれども、これは、継続的に長期にわたってそういう作業、間違いのない作業をやっていくという点であります。したがって、採用面接の際にももちろん、過去の経験とか、あるいは履歴とか、それから人柄、そういう人間関係、いろいろの点を検討して、そういう重要な簿冊を、しかもスピーディーに出すに足り得る資質能力を持ち得ているかどうか、あるいはそれに対して修練、なれる能力を持っているかどうかということは、協会のほうで十分に検討されておるように聞いております。したがって、御指摘のような非常に高度な専門的なというようなことは、もちろんこの業務自身から要るわけではございませんけれども、いま申しましたようなわれわれの謄抄本の性格、それから作業の実態に照らしますと、ここに、四号にいうような「専門的な経験を必要とする作業」であるというふうに理解しております。
○横路委員 最後の一言だけちょっと違いますが、あなたが前におっしゃったことは、四号に該当するということですよ。継続的にやっておるかどうかというようなことは関係ないんで、労働そのもの、そしてそれがどういう形で提供されているのかということが実は問題なわけであります。したがって、まあ皆さんのほうも、とりわけ法務省ですから、法務省のほうで、これは刑事罰も懲役一年以下でありますから、契約を結んだ東京法務局長がその懲役一年以下の刑事事件なんということになっても、これはたいへんですから、あえて職安法違反ということで告発はいたしませんけれども、大臣、これは懲役一年以下の罰則規定がある。その法律違反なわけですよ。しかもこれは、堂々と契約内容そのものが職業安定法四十四条に違反している。
 もう一つ、登記協会じゃなくて、仙台に有限会社仙台コピーサービスというのがあるんですね。これはまだ私のほうで商業登記簿謄本や契約書を手に入れておりませんから何とも言えませんが、ここの会社はなおひどいんで、四、五人おって、完全にこの法務局のコピーの仕事だけをそこの職員がやっておる。だから、ここの経営者は何かといったらこれは完全にピンはねです。三、四人ですか、四、五人ですかというように聞いております。だから、この有限会社仙台コピーサービスなんていうのは、登記協会はこれでも財団法人ですから、ほかに何か仕事をやろうということをお考えのようでありますが、こちらのほうは、完全にこれは労働力提供で、働いている人たちからピンはねをしている会社ですね。だから、そちらのほうも……(田中(伊)国務大臣「コピー何というんですか。」と呼ぶ)有限会社仙台コピーサービスです。これは仙台のほうで仕事をやっている。
 それから登記協会だって、この間お尋ねしたように天下りですね。民事局のお仕事をなされた方が事務局長でありまして、たぶん、登記所に行管がきびしくて人をつけてくれない、登記謄本の仕事はたまってしまって間違いばかりどんどんふえるということで、自分の仕事を通して、これは商売になると考えられたのか、あるいは少し国の仕事を助けてやろうと考えてやったことかわかりませんが、ともかく法務省のかなりの幹部の人たちが、この財団法人登記協会をつくってそこでやっているわけですが、ここの費用なんかもほとんどこのコピーをやった上がりですね。四十七年度で七千万円ですか。この間、職員に払った給与は幾らなのか、これをちょっとお調べいただくようにお願いした。上がりが幾らで職員に幾らやっているか。つまり差額はピンはねということになるわけでして、七千万だという御報告はいただいたのですが、職員の給与についてはまだ御報告いだだいておりませんが、それはおわかりになりませんか。
○廣木説明員 そのいわゆるピンはねをやっているということは聞いておりませんが、幾ら職員に支払っているか、そのこまかい数字はいま記憶ございません。
 それから、有限会社仙台コピーサービスという有限会社の件につきましては、きょうただいま御指摘がございましたように、われわれのほうも登記協会の問題として準備しておりましたので、今後十分に調査したいと考えております。
○横路委員 この登記協会のほうも、だから実際の運営費は皆さん方、国が払った。つまりコピー代一枚九円二十銭、これが積もり積もって七千万円でありますから、職員に払った給与の残りでもってこれは運営しているわけですよ。運営費というのは全部そこからの上がりですね。これだって、大きな意味でいえば、そういう意味でピンはねをして、そこで事務局長や理事の方々が給与をもらって生活しておるということになるので、まあ、あちらから突いてもこちらから突いても、ともかくこれは非常にまずいことなんで、私はこの契約書を改めるとかなんとかいうことじゃなくて、仕事の実態そのものはコピーをとるという単純労働で、その人を確保するために登記協会をつくったり、有限会社をつくったりして、労働力の提供をしかも国が受けている。公務員が本来やるべき仕事をこういうところにやらせているということですから、契約書の中身そのものを検討されるばかりではなくて、職安法違反。しかもなおかつ私たちの要求は、これはやめさせてもらいたい。本来やはり定員のワクとして拡大をして公務員にさせるべき仕事だ。こういう形でもって労働者供給事業をやらせて、これは行なうことも、それからそれを使うこともいけないわけでありますから、登記協会のほうもだめだし、有限会社のほうもだめだし、それを使っている国のほうもこれはだめだということに、職業安定法の法律の趣旨はなっているわけでありますから、ひとつこれをやめさせるということを含めて検討をぜひやっていただきたいというふうに思います。大臣からひとつ。
○田中(伊)国務大臣 先ほど申し上げましたように、法規違反の疑いがある、こういうことであれば、これは重大問題であります。疑いがあるのかないのか。協会との間の契約関係で仕事が行なおれておる、その契約が誠実に履行されるためにる程度のチェックが要る、こういうことであるということが事務当局の主張でございます。しかしながら、それはよく調査をしてみて、改めなければならぬところは改める、こういう考え方で調査検討をしてみたいと思います。
○横路委員 そこで、行政管理庁、来ていますね。先週もちょっと議論したのですが、聞いてみると、とりわけ最近の列島改造論以来、登記業務というものがすさまじい勢いでどんどん伸びているわけです。そんな意味では、従来の過疎の地域、この辺のところで仕事ががあんとふえている。それから東京近郊のいわば住宅地として伸びてきているところ、この辺も登記業務というものがすさまじい勢いでどんどん伸びていっているわけです。法務省のほうに聞きますと、定員の要求をかなり大幅に出しながら、純増はもうほんのちょっぴりわずかですね。したがって、そこから、いまちょっと議論を聞いておっていただいたと思いますが、職業安定法に違反をして、労働力提供の財団法人をつくって、あるいは労働力を提供してもらう会社をつくって、そこから人を回してもらって仕事をしなければならないという実態があるわけですよ。ともかく国が法律違反を、こともあろうに法務省が行なって人集めをしなければならぬという、そういう実態を行管としてはどのようにお考えになっているのか。とりわけこの登記所における人員ですね。二千人程度の要求をしながら純増はわずか百名程度と、毎年何かそのようですね。これは法務省のほうの、皆さん方に対する説明もきっと十分じゃないからこんな結果なんだろうと思うのですが、ひとつその辺のところ、こんな違法行為までやって人集めをやっている実態というものを皆さん方のほうでどうお考えになっておるのか、行管の立場からひとつ御答弁いただきたい。
○正田説明員 いま先生のお話の件承っておりまして、御質問にお答え申し上げたいと思いますが、私ども行管といたしましては、定員につきましては、政府の基本的な方針で、国民の要請にこたえて業務の能率的な運営ということで、まあ一面抑制という方針に従っているわけでございます。ただ、御指摘にございましたような最近の諸情勢に基づきまして、行政需要の増加、あるいは諸種の変更とか、そういったような事態がございますので、そういうところにつきましては、重点的に査定をいたして増員をはかってきているわけでございます。
 先ほどの委託あるいは請負というお話でございますが、行管といたしましては、そういった増員の方針と並行いたしまして、各省に事務の合理化と申しますか、あるいは機械化、そういったようないろいろな手当てがございますが、そういったことによっていろいろな能率化をはかっていただくということも端的に期待を申し上げているわけであります。
 ただ、伺っておりますと職安法違反という問題があるようでございますが、行管では、当然、職安法あるいは各実体法、そういったものにつきましての適法な契約等、あるいはそれに基づきますところの適正な運営といったことを前提といたしまして、もちろん精査していただいているわけでございまして、いまの御指摘の点は法務省でもいろいろ御検討されると思います。
 本件に関します増員の問題でございますが、私どもは、法務省のほうの毎年度の御説明、あるいは私どものほうの諸情勢の認識から見まして、登記につきましては、率直に申し上げまして最重点の査定方針を持っております。したがいまして各年次とも、登記につきましては、いま先生御指摘のような、全体としましては少ないじゃないかという御批判があろうかと思いますが、最も増加の数の高い数字を示していると思うのでございます。とりわけ四十八年度におきましては、私ども登記に最重点を置きまして、従来より以上に増員をはかっておるわけでございまして、今後とも、事態の推移を見まして、法務省ともいろいろ御相談した上で増員について検討してまいりたい、そういうふうに存じております。
○横路委員 この前もちょっとここで指摘をしたのですが、職権の更正登記ですね。これは四十七年度で全体で一万二千件あるわけです。つまり忙しくて職員の人たちが間違ってしまって登記をする。間違って登記をするから職権で更正登記をしなければならぬ。これにまた十日とか二十日とか日にちがかかるというんで、これは国民に対してサービスをするという面からいうと、人が足りないためにやはり大きな迷惑をかけているわけであります。しかも、更正登記をするというのは表に出てくるものでありまして、ちょっと間違えたから、じゃ自分のところでやっちまおう。職権の更正登記は局長の決済が必要ですが、そうじゃなくて、受付にいる人たちのところでもって、ちょこちょこ直してしまうのが実は相当な数このバックにあるわけですよ。そんな意味で、最重点だとこうおっしゃいますが、要求から見ると、ほかの官庁、いろいろ議論してみて、要求と実際ついた人員とがこんなに違う官庁というのはちょっと珍しいんですよ、大臣。これは、皆さんのほうに力がないのか、あるいは行管のほうがきびしいのか、どちらなのかよくわかりませんけれども、大臣どうですか。ともかく人手が足りないということは大臣もよく御存じだろうと思うのです。ひとつ皆さんのほうも、もうちょっと真剣に増員の要求をきちんと行管のほうにやっていただきたいと思います。その辺のところはいかがですか。
○田中(伊)国務大臣 最善を尽くしたいと思います。
○横路委員 それは国の方針もあってなんでしょうけれども、減らすのは予定どおり減らしても、ふやすほうをひとつ大幅にふやしてもらう。ともかく職権の更正登記の件数がずっとふえてきているわけですね。これは業務量が伸びるに従って更正しなければならぬものもふえてきているというのを見ておっても、完全に人手が足りない。先ほどお話ししたように、ともかく仕事を委託というけれども、実際はコピーするだけの単純労働でありますから、その提供をやってまで人集めをしなければならないという実態になっているわけですから、ひとつ行管のほうとしても、その辺の実態を十分考えて来年度はやっていただきたいというように思いますが、最後にちょっとその辺の行管の基本的な姿勢だけをお聞かせください。
○正田説明員 法務省からの要求のいろいろの御説明を伺いましても、職権更正による登記、それから事務のおくれ、そういったところに特に人手不足の重点的な御説明がございましたし、また登記に従事しておられる方々からの直接の御説明を私ども伺いました機会にも、そういうふうな点を重点的に伺ってきたわけでございますし、査定にあたりましても、十分その面を念頭に置きましてやったつもりでございますが、御趣旨よくわかりましたので、今後ともいろいろその点御検討さしていただきたいと思っております。
○横路委員 行管のほうはっこうでございます。
 もう一つ、ちょっとこの間の議論の続きをしたいのですが、皆さん方のほうで四十八年度の登記所の統廃合、この計画だけはもうできているんでしょう。
○廣木説明員 せんだっても民事局長がお答えいたしましたように、登記所の整理統合は、昭和四十五年十二月の閣議了承に始まりまして、四十六年から五カ年でやっていくということになっておるわけでございます。そこで、民事行政審議会というのが法務大臣の諮問機関として設けられまして、一年近くの御審議の結果、昨年九月に御答申がございまして、それによって、統廃合の一応の基準、事件数と受け入れ庁からの一般交通によるところの時間という一つのメルクマールを基準にしてきめたわけでございます。しかしながら、実際の現地の実情というのは、事件の量だけでございませんで、質も考えなくちゃならぬ。一般の方々からの申請事件なのか、そういう嘱託事件、あるいは土地改良、国土調査、さまざまな事件があるわけでございます。また交通利便の九十分、六十分という基準も、現地の道路状況、あるいはその便数とかその他もろもろの条件がございまして、その点を十分に検討しなければいけない面がありますし、とりわけ地元の市町村の方々の実情というものを無視して、われわれのほうで一方的にきめてこれを押しつけるということは、もちろん避くべきことでございますので、そういう意味で、四十六年、四十七年あるいは本年の四十八年度につきまして、大体条件の整ったところから順次進めてまいろうということで来ておるわけでございます。
 したがいまして、そういう点では、現地が責任をもって一応の候補庁と申しますか、腹案的なものはそれぞれの局にあるわけでございますけれども、それについては、地元の市町村長、あるいは地元の関係者の方々といろいろと接触をしながら進めるということでございますので、お話のような、全体計画とか、あるいは五カ年計画というようなものが、すでにできておるというふうにはまいらぬわけでございます。したがいまして、四十八年度につきましてもそのような状況で進めておるわけでございますので、本年度の計画というのはあるのかということになりますと、そういう実情にあるとお答えする以外にはないと思います。
○横路委員 この前大体議論しましたから、質問にだけお答えいただければけっこうですが、四十八年度は何カ所目標にしていますか、皆さんは。
○廣木説明員 個々の折衝の経緯につきましては、そのつどつど報告が上がってくるわけでございます。したがって、私、記憶しておりませんが、そういう意味で、全国五十余りの、沖繩は除きますけれども、折衝に入っておるところ、それから今後折衝に入るであろうところと、いろいろ段階がございますので、現在折衝に入っておるところはどこであり、どれくらいかということは調べればわかりますけれども、いまここには手持ちございません。
○横路委員 そうしたらそれは資料でけっこうですから、いま折衝に入っているところと、それから今年度中に入る予定のところ、それを資料としてあとで提出をしていただきたい。よろしいですね。
○廣木説明員 現在折衝に入っておるところはわかります。
○横路委員 では、時間も過ぎましたので、一、二点お尋ねしたいと思います。
 矯正施設、刑務所とか少年院ですね。最近だんだん新しいのができて、今度月形に少年院ができるという本法案の中身ですが、施設ができても、その中身の運用は、それに伴ったような形でいまの少年院において子供に対して取り扱いをしているかどうか、刑務所の中でそういう取り扱いをしているかどうかということになりますと、ずいぶんいろいろな問題があるわけです。
 法務大臣が前に法務大臣であったときに、少年法と監獄法のいろいろな問題の提起をなさいました。少年法は、大臣がおられたときは非行少年の数がどんどんふえていきましたが、ちょうど大臣がおられたころがピークで、あとずっと変わってしまったわけですね。したがってある意味では、あの当時皆さん方が考えておられた少年法改正の必要性というものは全くなくなってしまったわけです。ところが一方、監獄法のほうは、依然として明治時代の遺物が現代を支配しているということで、たしか昭和四十二年、きょう議事録を持ってきませんでしたけれども、さっそくおやりになりたいというようなことで、監獄法の改正の問題が、田中法務大臣御答弁されまして、一時作業が進んだわけであります。
 ところが、作業が矯正局あたりで進むと、これは刑事局のほうでストップをかけるんでしょうか、いつも作業がしぼんでしまってさっぱり。大臣がこの前のときですから、もう五年か六年たっておられるでしょう。この監獄法の改正作業というのは、私もこの委員会で四、五回取り上げて実は議論しているのですが、さっぱり。毎国会大臣は、やります、作業を進めています。小林法務大臣は、ことし中にやりますなんて答弁したのが昭和四十五年でありますから、現在まで至っているわけです。その作業がどうなっているのか、そしてなかなかまとまらぬのは一体どこに原因があるのか、ひとつその辺、大臣に御答弁いただきたい。
○田中(伊)国務大臣 まとまらぬので延びておるという事情ではないのでございます。大方針は打ち出して、改正の方向というものはわかっておるのでありますけれども、刑法全面改正の手順がなかなか速度がおそくて、時間がかかっている。これも大問題ですから、内容的に見ますと時間がかかってあたりまえで、急げない筋のものではございませんが、この刑法改正の大方針がきまりますと、たとえば刑の種類が変わってくる、変わってきた刑の種類をそのまま受けて刑務所で施設をつくらなければならぬ、こういうことになりますので、刑法の全面改正の方針が本ぎまりになりませんと、監獄法の改正は本ぎまりにならぬ、こういう事情で今日延びておるのでございます。
 省内の手順を申しますと、私が前回法務省に在職しております当時、四十二年でございますが、たしかこの部屋であったと存じますが、社会党から、何をしておるか、いま時分に監獄とは何だというお説がございまして、よくわかりましたというので帰りまして、その御質問のあったその日の日付をもって調査会を設けまして、そして矯正局内の調査会で一次案、二次案、三次案までできておる。四次案を近くつくるところでございます。それをつくりますについては、やはり何といっても、刑法改正の方向がどういう方向におさまるかということがわかりませんと、これがきめかねる、こういう事情でひっかかっておるのでありまして、何かやろうとすると、どこかが押えて因縁をつけてやれなくなるんだというようなことは、これは全くないのです。そういうことでございますから、刑法改正の方向がどのようにおさまるかを見きわめて、そしてそれができ次第、直ちにこちらの態度をきめまして、まず法務省案をきめて、法制審議会に時間のかからぬようにかけまして、それをおろしてまいりましたもので国会に提出する準備をしたい、こう考えておるのでありまして、進んではおるのです。結論がおくれておる、それは刑法改正、その方向を待っておる、こういう事情でございます。
○横路委員 しかし監獄法自身、今度は矯正刑事施設法ですか、名前を変えられるようでありますけれども、刑法の保安処分を含めて、若干の影響が出てくる部分はもちろんあると思います。あると思うけれども、いまの監獄法に規定されて、問題点として指摘されている点は、特に向こうの影響を受けなくたって直さなければならぬところ、ずいぶんあるでしょう。たとえば作業なら作業の賞与の問題をとってみても、保安の問題をとってみても、いろいろと一時帰住とか通勤とか問題がありますね。この辺のところは、基本的なものの考え方において、刑法改正の方向で若干影響を受ける点があるけれども、ともかくこれはこれとして、作業そのものは法制審議会のほうに諮問をするにしたって、何も案をつくってやらなくたって、必要があるのかないのか、どういう形であるのかという形の諮問のしかたを刑法と同じようにやったっていいわけでしょう。
 だから、どうもその辺、私ふしぎに思っているのは、大臣おっしゃるけれども、戦後何回かずっと監獄法の改正の作業というのは進められてきているわけですよ。法務省のほうでつくった案だってずいぶんたくさんあるわけです。矯正局でつくった案だってずいぶんたくさんあるわけですよ。その経過を見ると、大体、刑の執行とか刑についての基本的な考え方の対立というのはどうも矯正局と刑事局で、いつも出てきていつもつぶれてきているというのがいままでの現実ですよ。現実はそういうことになっているわけです。だから、皆さん方のほうで、いまちょっと御答弁を聞くと、案をつくって法制審議会に諮問をするというやり方のようですけれどもそうじゃなくて、必要あるのかどうなのか含めて諮問をするやり方だってあるわけでしょう。
 そのほうがむしろ正しいやり方で、どうも法務省は、ものの考え方を聞いてみると、きょうは詰めて議論しませんけれども、外部通勤制とか、一時家に帰る帰住制とか、それからたとえば作業についても、賃金というようなものの考え方を取り入れるとか、それから前近代的な処罰ですね、暗室の中に重閉禁とかなんとかいって閉じ込めたり、手足に全部皮手錠をはめちゃって、皮手錠をはめたまま食事させたりなんかしているような規定、どうも刑事局のほうの、そういうものを残していこうという、目には目を、歯には歯をという刑についての考え方というのが法務省のほうで残っていて、その辺がどうも矯正局がいつも押し切られてつぶされてしまっているように、私どもいろいろな経過を調べてみてですが、これで五年議論しているわけですから、結論はどうもそういうことになるわけです。何も待たなくたっていいじゃないですか。ちゃんと諮問すれば、必要あるかないかという形で。
○田中(伊)国務大臣 諮問をするには、大体の案をつくって諮問をするということになりますね。案をつくるには、一方の刑法改正の大方針がきまらないと大事な点について案ができない。その大事な点を除いておいて諮問をするということも実際はできぬのです。どうしても刑法改正の方針、結果を見て案をつくるということにならなければならぬ、出しようがないと、こういうことなんです。何かいいかげんにやっておるということじゃないのですよ。一刻も早く監獄法の改正をやりたいということには燃えておるのですが、そういう刑法改正の段階を待っておるというのが実情なんです。それは御理解をいただきたいと思います。
○横路委員 いま矯正局のほうに案をお持ちになっているということでしたね。それは矯正局が責任をもってやっているわけですか。法務省のほうで何か監獄法の改正のための一つの委員会みたいなものをつくっておやりになっているのですか。
○田中(伊)国務大臣 御理解をいただくためにちょっと御説明をいたしますと、まず第一段階は矯正局の案を確定したい、矯正局はこう思っているんだと。それが第一次、第二次、第三次までできておる。もう第四次をやれば最終的なものになるわけであります。それができ上がりますと、今度は法務省の省議を開いて、これはあまり時間はかかりませんが、省議を持って法務省案をきめる。法務省案がきまりましたら、これを法制審議会にかけて、法制審議会で結論を出していただいて、その結論に従って国会提出の準備をするという順序になるわけであります。いろいろできておると仰せになるが、そのいろいろというのは、一次案、二次案、三次案というような、少し内容は変わっておりますが、案はできておる。これを世間さんに発表して聞いていただく段階にはきておりませんが、内部の関係では三次案までできておる、こういうことであります。
○横路委員 私がなぜそういう質問をするかというと、少年法の改正について、裁判所と皆さん方、法務省というのは全くコンタクトなく、皆さん方のほうであの要綱をつくって、一週間ぐらいあとにばっと諮問しちゃったわけでしょう。これはもう裁判所が非常に強い不満を持っているわけですよ。そして皆さん方のほうでは、失地回復、ともかく奪われたやつを権利回復だということでもって少年法の改正。まあいまの法制審議会の少年法の部会でやっていますが、そういう前歴、前科があるわけです、あの少年法の改正の諮問のやり方というのは。実際に非行少年を扱ってきている家庭裁判所なりの意向というのは、全然コンタクトなしにいきなりばっとやったわけですよ。しかも諮問のやり方も、その少年法の場合も、必要あるかないかということを含めての諮問じゃなくて、皆さん方のほうで要綱をきめられて、これについて賛成なのか反対なのかというような諮問のしかたでしょう。いまのお話を聞いていると、どうも今度も、案をつくっちゃって、それについていいか悪いか答えよ、こういうようですね。どうもその辺のところが、われわれ不信感を持たざるを得ないようないままでの取り扱い、やり方なわけですよ。したがって私が要求したのは、その法務省のほうでつくられた案というのを、それは草案ということでけっこうだから、世の中に公表して大いにやはり議論をしてもらう、議論をするということにぜひ御協力をお願いしたいと思うのですね。それは一つ一つ詰めて議論すれば、大体のお考えは明らかにしていただけると思いますけれども、きょうはその時間もありませんから……。
 そういう少年法についての前歴があるわけでありまして、私のほうはそれを心配しているわけです。いきなりばっとつくっていまの近代的な矯正のあり方についての――これは世界のほうがよっぽど先に進んでいます。日本は非常におくれてもたもたしているわけですよ。京都で国際会議をやったときだって、皆さん方そのときには、矯正局案の非常に近代的な案を何かみんなに少しちらちらちらつかせたようでありますけれども、実際やっている方向というのは、どうもそうじゃないようなんですね。ぜひそれを明らかにしてもらいたいことと、案をつくってまとめてから諮問するという諮問のやり方を、そうじゃなくて、必要性あるかないかということまで含めた形で諮問するやり方だってあるじゃないか、そうすると作業は早くなりますよ、こういう二点なんですけれども。
○田中(伊)国務大臣 それはあなた熱心におっしゃっていただくので、御意見を聞いて感謝をしておるのですが、たとえて言いますと、刑法改正が時間がかかっておる、十年かかっておる。それは案はないのです。刑法はどう改正すべきか、必要があるかどうか、必要あるとするならばいかなる方法で解決をすべきか、案なしで諮問をして時間がかかっておる。これは十年やっておる。間もなくできそうでありますけれども、意外に時間がかかるものですね。それですからもう一つの方法は、案を概略つくって、こういう方向で改正をしたいと思うがいかがですかと、これはわりあいに時間短く答申を得られる道なんです。少年法の場合は案をつくっておるのです。十八歳と十九歳を青年層とする、おとなと子供のまん中の処遇をするんだということで案をつくって、これでいかがですかということを言っておるわけです。二つのいき方がある。いずれがいいかという問題でございますが、案なしで、ただ必要ありやいなや、改正の必要あるとするならばいかに改正すべきかなどということより案をつくったほうが手っとり早い、そういうことでございますから、それは誤解のないようにしていただきたい。
 それから案ができたら見せいということ。こうしましょう。一刻も早く確信を持った案ができましたら、でき次第ひとつ草案をどこより先に国会に見てもらう、一般世間さまにも見てもらう、そして大いに世論の光線を当てて意見をうんと承って、これで方針をきめていくようにしていきたい。法制審議会も独善的にやるということではございませんから、大いに意見を聞いてもらうということは非常にいいことでございますから、なるべく早く結論を得次第公表しまして御意見を承ることにしたい、そういう方針をとりたいと存じます。
○横路委員 大臣、刑法の改正とか刑事訴訟法とか少年法とかいうのは、これは国民の権利義務に関する非常に大事なことです。民法にしてもそうです。早くやれるからというような安易な考え方で、だから法務省の案をつくって諮問するのがいいんだという考え方は、どうも私、それは大臣のおことばですけれども、納得できぬのですね。刑法の改正の作業だって、これはずうっと長い歴史があるわけでしょう。そんな簡単にぽんぽん刑法が変わったら、これはたいへんなことなわけですよ。民法だって同じですよ。こういう国の基本的な法律だから、私は刑法の改正は時間をかけてやっているのはいいと思うんですよ。中身はずいぶん問題がありますから、これはまた法制審議会の結論が出たって、それからあとまだわれわれも十分議論しなければならぬと思いますけれども。だから大臣、非常に早くスムーズにいくから案をつくってやるんだという考え方だけは、これは基本的なものの考え方ですから、それはやっぱりちょっと御訂正を願わなければならぬのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○田中(伊)国務大臣 ことばのしりをとらえて仰せになるとそういうふうになるかもしれませんが、そんなことは言ってないのです。諮問のやり方に二つある。たとえば、刑法のごとく案なしで諮問をする場合あり、案を得て諮問をする場合があるのだ、こういう事例を私は言うておるのです。案なしでやることがいいと言っておるのじゃないのです。それはきわめて簡単なことをいえば、案なしでやるほうが簡単明瞭で法務省は手数がかからぬが、手数がかかるとかかからぬとか、早いとかおそいとかいうことでものをきめるのじゃない。事柄の性質上、その重要性にかんがみて、これは案をつくって諮問をするほうがよかろう、これは案なしで諮問をするほうがよかろうということを判断をしていくということでございますので、それはどうぞ御理解をいただきまして、いずれにしてもあなたの仰せになること私は賛成だ、一刻も早く見ていただいて、公表をいたしまして、そして世論を承ることにしたい、こういう努力をいたします。
○横路委員 監獄法のほうは、ではそういうことで、また機会を見ていろいろ議論をしていきたいと思うのです。
 あとで、具体的な事例で少しお尋ねしますけれども、その前にちょっと少年法の問題ですが、これは私、見ておって、ともかく裁判所、大反対をしているでしょう、法務省のほうの諮問二十七号といわれる先ほど大臣のお答えのあった中身ですね。いまの少年法の改正は法制審議会の少年法部会ではどんな状況になっていますか。
○田中(伊)国務大臣 たしか四十五年の六月であったかと記憶をいたしますが諮問をいたしました。むろん私の時代ではないわけであります。そこで、直ちに翌月の七月から審議を始めまして、今日までに三十一回審議が進んでおります。目下、慎重審議を進めておる段階でございます。
○横路委員 その諮問の形式についてちょっとお尋ねしたいのですが、これは必要があるということを前提にして諮問をしていますね。そうすると、これに対していろいろな意見があるでしょう。いろいろな意見があって、たとえば十八、十九というような青年層を設けることについては、反対も実務家の間で非常に強いわけです。実務家というのは、実際に非行少年を扱ってきた裁判所の中で、この反対が非常に強いわけですね。そうすると、そういう反対の部分を除いて、適正手続そのほかの面でみんなが一致しているところもあります。弁護士会も一致している。裁判所も法務省も一致している部分もある。そういう点だけについては、これは必要があるというような答申を出すということも、これは全体について必要があるかないかというような諮問の形式ですけれども、それはどうなんでしょうか。かまわないんでしょう。それとも、十八歳、十九歳のところはだめ、あと手続をきちんと保障しようという点についてはよろしいというような、そういう答申が出た場合、皆さん方のほうはそれをどのように解釈されるわけですか。どのように取り扱いなさるわけですか。
○田中(伊)国務大臣 答申を得べく三十何回かの審議をして、目下慎重に、非常に忙しい人々が多いのですけれども、その委員諸君に非常に熱心にやっておっていただくのでありまして、これの答申の出る前に、こういう答申が出たらこうでああでということが、少しかた苦しいのでありますけれども、私の口から言いにくい。まず公正な答申をしていただいて、それをどう扱うかということを世論に聞いてみたい、こういう考えを持っておるのでありまして、こういう答申が出たらこういうふうにということも少し言いにくい事情でございます。
 それから、これはまあ一人一人お考えがあって、たいへんおもしろくてよいところでございますが、あなたは青年層というものに対してあまり御替成でないようでございますけれども、昨今の情勢は、先生よく御存じのとおりに、少年犯全体としては幾らか減少する傾向で、たいへん喜ぶべき現象でございます。
 ところが困った現象は、内容がよくないのです。おもしろからざる凶悪なる犯罪を犯す少年には、十八歳、十九歳がぐんぐん多くなってきておる。十八歳、十九歳というものはもうおとなにしてしまえという世論は世界的世論です。だから日本だけですわ、そう言われるのは、無理だと。どこが無理なのかというのは、実態に即して言うとちょっと議論ができにくいように私たち思うのですけれども、どうも十八歳、十九歳というものに対してこれを少年扱いにせよという意見が立っておるのですね。
 そこで、そういうことでございますので、昨今の少年犯罪の動向から見ても、十八歳、十九歳というものをおとな扱いにすることはかわいそうだと思うので、おとなと子供の中間の扱いをしたい、それを青年層というふうに名づけて取り扱いたいということの信念が変わらぬのです、実態に即してみると。そういうことでございますから、これは審議会で審議をしていただいて結論をいただいてからのことでございますけれども、この考え方は推し進めて、そうして御理解をいただくところまで誠意を尽くしてひとつお考えをいただくように、苦心と努力を払ってみたい。それが国家のためになるのだ、それが世の中の利益になるのだ、また少年犯罪の実態に沿うようになるのだというふうに、私はいまも考えておるわけでございます。
○横路委員 ちょっと確認しておきますと、そうすると、少年犯罪というのは減って少年非行も減っているけれども、十八歳、十九歳の凶悪犯というのは減ってない、したがってそこにこういう新しい制度を設ける必要があるのだといういまの大臣の御答弁、それは間違いございませんね。
○田中(伊)国務大臣 そういうことも、青年層をどこまでも、反対が多いのに維持していこうという心がけを持つに至る動機の一つになっておる、こういうふうにお聞き取りを願います。
○横路委員 ちょっと先に議論がいってしまったのですが、いまの諮問の中身ですね。これは改正の必要があるということを前提にした諮問になっていますね。少年法を改正する必要があるので要綱について意見を賜わりたいという形になっていますね。これは少年法部会の中でも、これは実は大臣、議論がたぶんあったところでして、どうもそれがはっきりしないものですから、私ここで法務省の考え方を聞いているわけなんですが、一部分よろしいという答申というのは、この諮問のやり方からいうと、どういうことになるのですか。大臣でなくてもけっこうです。
○安原政府委員 諮問のやり方は、いま御指摘のように、少年法を改正する必要があると思われるので、別紙要綱について意見を承りたいということでございまして、要綱についての意見を承るわけでありますから、部分的にここがいい、あそこが悪いということも、部会としての、あるいは審議会の答申としては、理論的にはあり得るわけだと思いますけれども、すでに横路先生御案内のとおり、この要綱につきましては、中心はやはり、大臣が先ほどから申し上げておりますように、十八歳、十九歳という年長少年を青年として扱う。そして普通の刑事訴訟手続で家裁で処理するというところに重点があるわけでございますから、かりにその点についてだめだというような部会の意向であるとすれば、そこであらためて総会にその取り扱いを尋ねるというか、総会でその点について今後どうするかを決定しなければいけないという意味におきまして、理論的には部分的にいい悪いはありましても、かりに青年層について問題があるということであれば、これはやはりその関係において、総会から部会におろされた審議をもう一度総会に上げて、こういう状況であるということで総会で取り扱いを考えてもらうということに実際にはなろうかと思いますが、事務当局といたしましては、先ほど大臣が申し上げましたように、その点について何とか苦心と努力を重ねて御理解を得て、そして要綱の性格が法務省の案のとおりになることを期待しておる次第でございます。
○横路委員 大臣、法律の一つの制度というものができて、そう簡単にこれはいじくるべきではない。これはあらゆる制度について言えるわけです。とりわけ少年法というのは、旧少年法はございましたけれども、新しい制度で非常にみんなが苦労してやってきて、最近は非行少年が減って、少年犯罪が減って、家庭裁判所あたりでも、あるいは皆さん方のほうの少年院のほうでも、ようやくきちんとした形で、カウンセラーそのほか、その子供の更正というか、立ち直ることにみんなが力を注いでやれるような状況に、ある意味では施設の面でも余裕が出てきて、やれるような体制にいまだんだんなりつつある。ちょうどそのさなかなわけであります。
 そこで、この少年法の改正について、大臣御承知のように、非常に大きな反対がある。だから少年法部会なんかも、部会長をきめるのに投票できめるなんということは、私はあまり聞いたことかないので、たぶんこの少年法部会ぐらいなものじゃないでしょうか。法務省と裁判所とで、ともかく投票をして法務省のほうの勝ち。皆さん方が選んだメンバーで構成されているわけですから、これは勝つのはあたりまえで、そんなことで、初めから非常に大きな対立があるわけです。まだできて間がなくて、これからみんなが、おとながいろいろと考えてやらなければならぬときに、あまり急いで、しかも対立のある問題を強行してしまうというようなことは、やはりこれは将来に禍根を残すことになるのじゃないかと思いますので、ぜひその辺のところは皆さん方のほうでも、いままでは十分慎重に検討されてきたようでありますが、ひとつこれからも慎重に検討をお願いしたい。
 というのは、この間ちょっとある新聞に、少しゆっくり過ぎるので法務省のほうで根回しを始めて、何かだいぶ急いで年内にというような記事か出たので、私、実はここでそういう問題を議論するのでせっかく月形少年院、北海道の千歳あたりの少年院だってひどい施設でありまして、ようやくその施設の面でもよくなるというときに、問題はこれからだというときに、根っこのほうを変えてしまって、法務省の失地回復というような次元でもって問題を取り扱ってもらっては困るので、その辺のところは十分慎重にやっていただきたいということを、ひとつこれは大臣にお願いをしたい。
○田中(伊)国務大臣 まず、重要法案について意見が対立して分かれておるという問題でございますが、これは刑法改正においても、少年法の改正においても、重要な法案について、まっこうから意見が分かれて花の咲くような議論が展開されるということは、私は非常によいことだという考えを持っておるのですね。そんなこと言うと法務省がきげんが悪いかもしれぬけれども、しかしながら、これはしっかり対立した意見が展開されていって一向差しつかえないと私は思う。そうして信ずるところをあくまでも堅持して、意見を戦わしてみて、まとまるところでまとめていくということが民主主義の理想である、こう考えておるわけです。
 それから、先生仰せのような、いまの後段の御意見はたいへんよくわかりました。その方針で、押し切るなどというけしからぬことは考えていきません。局長も申しましたように、誠心誠意、理を尽くして、材料を示して、道理を説いて御協力を願うような時間をかけた努力をしてみたい。無理は決していたしません。
○横路委員 そのことは、何かだいぶきびしい激しい部会長の選挙だったようなので、法務省のほうでだいぶあちこち根回しされたようだという、そうなこともちょっと聞いておるんで、非常に新聞記事と相まって心配をしておったものですから、重要な問題なので、ひとつぜひお考えをいただきたいと思います。
 ここで、もう時間がなくなりましたので……。
 先ほど大臣、十八歳、十九歳の青年層の非行、特に凶悪犯罪は減っていないというけれども、これは、大臣のほうにお話をしている事務当局のほうの数字がきっと間違っているんで、警察のほうの調査によりますとそうじゃないですから、これはまたあらためて大臣のほうから話を聞いておってください。十八歳、十九歳の凶悪犯といわれるもの、司法統計年報によってもどんどん減ってきて、とりわけ凶悪犯のほうが減っているのですね。四十一年度の半分くらいになっています。したがって、その辺のところもひとつ十分お考えになっていただきたいというように思います。
 それで最後に一つだけ。これは皆さんのほうにお話ししてありますので……。
 岡山刑務所で収容者のぜんそくの患者がなくなって、どうもその取り扱いが十分じゃないというので、岡山弁護士会の人権擁護委員会のほうで調べているケースがあるのです。それを私の知り合いの弁護士を通して、ちょっとこういう問題ひどいじゃないかというので話がありましたので、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。簡単にやりますので、ひとつ簡潔に御答弁いただきたいのです。
 吉沢さんというぜんそくでなくなった人、この人のその日の様子でけっこうでございますから、どういう経過でどういうぐあいになって、皆さん方のほうはどういう治療をして、そうしてなくなったのかということをちょっと明らかにしていただきたいと思います。
○長島政府委員 ただいまの仰せの吉沢さんは、三歳のころから小児ぜんそくにかかっておりまして、昨年の四月二十七日にこの岡山の刑務所へ入所したわけでありますけれども、その当日もぜんそくの症状がございましたので、すぐ病舎に入れまして、それ以後ずっと続けて治療を施してまいりました。その間、一時ややよくなりましたので、発作がたびたび起こる可能性もございます関係から、病舎からは出しましたけれども、雑居房に入れました。同房者が数名いたようでございますが、発作等起こった場合に備えまして雑居房に入れたわけでございます。その後数回発作を起こしておりますが、そのつど医療措置によりましてなおってきております。
 事件の当日は、午前中でございますか、本人が体操をやっておりまして、普通に参加して普通であった。夕方ごろ、六時半から七時半ごろの間ということでありますけれども、看守に向かって、きょう何となく発作が起こりそうな気分がするというので、本人がふだんから医者から渡されて使っておりましたメジヘラー・イソをほしいということを看守に申し出ました。看守が見ますと、少しまだそのビンの中に残っておったようでございますが、これで足らないのかということを言いますと、本人は、どうもこれじゃ足らぬと思う、ぜひ新しいのをほしいという申し立てがありました。看守から看護士に対してその旨を連絡いたしまして、看護士が医者のほうに連絡いたしましたところ、それは渡してくれというので、実は調べたのでありますけれども、あいにく用度課から注文中で、その現物がなかったようでございます。そこで、看護士から医者のほうにその事実を連絡いたしまして、医者の指示によって、これにかわる薬として、塩酸エフェドリンとベナ末というんですか、それを調合して、二服、担当看守に渡しております。担当看守に対しては、もし本人が発作症状を起こしそうな状況になればこれを飲ましてくれということで看護士から渡しております。
 その後、九時過ぎだと思われますが、発作症状が少し出てまいりまして、看守さんが、そのいま預かっておりました薬を、房に参りまして本人に渡して、本人は水でそれを飲んでおります。それで症状が少しおさまっていたわけでございますが、その後になりまして、午後十時三十分ごろでございますか、症状がまた少し悪くなってまいりました。それで担当看守のほうから医者のほうに連絡をとっております。で、十一時過ぎでございますか、注射を一つ打っております。十一時二十分ごろにメチルエフェドリンという注射を打っております。
 その後やや平静になっておったわけでございますが、十二時ちょっと過ぎごろになりまして、その房に表示盤というのがございますが、表示器が出ておるのを看守が発見しまして、急いで房に参りましたところが、本人の様子を見ておりました同房者が、どうも容体が非常に悪いということを申しましたので、直ちにこの看護士のほうに連絡して、看護士から医者に連絡をいたしまして、医者が零時二十分ごろに登庁しております。
 そのときはまだ脈摶もありまして、血圧の反応もございましたので、強心剤を注射する、人工呼吸を施す等の措置をとったわけでございますけれども、残念ながら零時三十分ごろにこの方はなくなられたというのが大まかな経過でございます。
○横路委員 こまかく議論していくと、その事実経過の中でも、岡山弁護士会のほうの人権擁護委員会のほうで調べている中身と若干違う点がございます。それは、看守に対する申し出を、雑居房ですから同房者が申し出た経過の、そのなくなる直前の状況、その日の状況が少し違うようでありますが、問題なのは、ただその薬が切れてなくなっているとか、お医者さんというのも――当直医がいるわけじゃないんでしょう。ここは医者はどういうことになっていますか、この岡山刑務所は。
○長島政府委員 ここは医者の官舎が刑務所にすぐ接続して二軒ございまして、医務課長ともう一人の医者が泊っております。刑務所自体には、看護士の資格を持った、先ほど申しました看護士が当直で泊っております。
○横路委員 つまり、お医者さんが当直しているわけじゃなくて、刑務所の外におられるわけですね。
○長島政府委員 はい、そうでございます。
○横路委員 その事実の経過の中で、私たちのほうで聞いている話では、ずいぶん申し出を何回もしたけれども、看守が取り次いでくれない。ぜんそくというのは、私も友人でぜんそくでなくなったのが一人おるのですけれども、ほんとうに苦しい表情で、そばにおったら、ほんとうにすぐ飛んでいって助けてやりたいという気持ちに、これはだれでもなるのが普通なんですけれども、どうもこの岡山刑務所の看守の人たちは、この人が何回も発作を起こしたせいもあるでしょう、まだだいじょうぶだ、まだだいじょうぶだと言っているうちに、薬の手配をしたときには薬がない。このぜんそくの場合は、とりわけこの薬というのは特効薬で、これを飲むと落ちつくというような状況のようですね、私も医学的な専門的なことはわかりませんけれども。一般の場合と違ってぜんそくの場合はほんとうに薬が必要なようであります。そんな意味でその体制が十分じゃない。それから医者のほうの措置も、医者の話を聞いてみると、なかなかどうも十分に措置をしたみたいじゃなくて問題があるようであります。
 きょうほんとうは時間があれば、ほかの刑務所の医療の問題についても、私のところに、二、三やはり医療体制の問題で、私どもの札幌と、東京のケースと宮城県のほうのケースと、やはり病気になった人についての医療の体制が非常に不十分だというのがあるので、ひとつ皆さん方のほうも、法律をいじくるばかりじゃなくて、大臣、ひとつ、この医療の体制のほうも、いま国民全体が医療というのは不十分な体制ですから、特にそれ以上に十分にせいということはなかなかむずかしいと思うのですけれども、一般並みにはせめてこれを扱う体制をつくってもらいたい。この場合だって、薬があればこれは助かったケースですから、薬がなくて、懲役二年で入って、刑務所の体制が不備なために死んでしまうというのはどうも……。しかもこの人なんか、年老いた七十幾つのおかあさんが一人おられるだけで、この人に対しても夜中に電報だけ打って、遺体の引き取りに来いというので渡してしまってそれっきりということのようなので、そんなことで憤りも覚えているようでありますから、ひとつその辺のところも含めて、医療の体制についても十分な体制をとるように考えていただきたい。
○田中(伊)国務大臣 万全を期して十分注意をさすように処置をいたします。
○横路委員 もう時間が少しオーバーしてしまいましたので、私のほうはこれで終わりにいたします。
○三原委員長 中路雅弘君。
○中路委員 きょうは時間が限られていますから、主として司法行政、検察行政の運営の問題で具体例をあげて御質問したいと思っておりますが、その前にひとつ最初に法務大臣にお聞きしておきたいのですが、今月の二日の日に公安調査庁の全国の局長会議が行なわれましたね、二日間。新聞の報道で読む限りですけれども、この席上で法務大臣の訓示や公安調査庁長官の訓示があったわけですが、新聞の報道で、部分的な報道ですが、それで見ますと、法務大臣の訓示の中で、最近共産党が進出してきている、共産党は党勢拡大と民主連合政府の早期樹立を目ざしているといういろいろお話もあって、共産党の路線、政策、方針、こういったのが国民の中で支持を広げているということを特別取り上げられているわけですけれども、共産党が支持をふやしているということがこの公安調査庁の全国局長会議で述べられているという中で、私は、新聞の断片的な、一般新聞ですから、そのお話の全体を伺っていないわけですけれども、あたかもそれが不穏な事態であるかのような印象を与える訓示になっているわけですが、この点、法務大臣のほうの真意を最初にお聞きしておきたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 似たような話ですが、違うのです。それはいま差し上げましたその原稿、法務大臣の訓示というのは、いつでも好きなようにはやらさぬのです。これ読めというて、私は原稿を読んで演説しないのですけれども、訓示だけ法務省の言うとおりに、部下の書きました原稿を目を通しまして、承知したということになると、それをそのとおり読むようになっています。一字も違わずそのまま読んだのです、当時も。
 それで、もうそれをお読みをいただきましたら、おしかりを受けることはないのでございますが、一言だけ御説明を申し上げますと、対外の関係と対内の関係を分けて説明をしております。対外関係では中ソの両国の間柄の複雑なからみ合いというものがある。国内の関係においての情勢は最近どんな変化があるかというと、共産党が伸びてきた。伸びてきたのはけしからぬという意味じゃないのです。伸びてきた。伸びてきたことが客観的事実である、こういうことです。そしてそういう伸びてきたことだけならば、それはたいへんけっこうなことなんでありますけれども、第一問題がありますのは、共産党が伸びてきたことに危機感を覚えて――私が覚えたんじゃないのです、右翼が覚えている。右翼が危機感を感じて、いろいろな動きをとるような気配なしとしない。これは今度の日教組の大会でもたいへんにこの傾向を私は案じております。そういう傾向がある。その傾向に対しては慎重な態度、公正な態度でこれを見守り、やっていけよ、しっかりしろよということを言っておるのです。ちょっと似ておるけれども違うでしょう。そういうことでございます。それは差し上げておきます。
○中路委員 私も京都で二十歳まではずっと京都の第一中学校、京都大学ですから、田中さんの演説は学生時代からよく聞いているのですけれども、真意を確かめておかないと……。
 もう一つお尋ねしますけれども、その際に、いまおっしゃったあとのほうですね。いま読ましていただいたのですけれども、公安調査庁の使命の問題について触れられているわけですけれども、この公安調査庁の活動の問題については、法務委員会で私たちの同僚議員、特に正森議員が何べん連続していろいろ具体的な事例でお尋ねしているわけですけれども、その際に法務大臣や川井長官は、不法なことはやらないということは繰り返し御答弁でもおっしゃっているわけですね。これを読みますと、「公安調査庁の使命は」ということから述べて、「使命感に徹し、」「実効性のある調査活動を適切かつ慎重に推進し」云々という文句があるわけですけれども、私たちは、公安調査庁そのものが憲法違反の存在だし、あらゆる法律を無視して行なっている非常に不当なものだと思いますけれども、ここで使命感に徹して実効性のある調査活動の推進を法務大臣は呼びかけられているわけですが、公安調査庁のこの活動の強化という問題は、私たちが法務委員会で取り上げています幾つかの事例、非常に不当な調査のやり方、こういった問題と関連して考えますと、この訓示は抽象的な文句ですけれども、やはりここで公安調査庁の活動を強化されるということを訓示でやられているのが、そのような非常に不当な違法な活動をさらに強化を呼びかけられるということになると、これはまたたいへんなことになるので、この点ももう一言はっきりお聞きしておきたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 たいへんに申し上げにくいことですけれども、私は思っておるとおりにものを言うという癖のある男で、遠慮がないのでございます。
 そういうところからちょっと申し上げますと、どうも公安調査庁を皆さんお憎みになる。けしからぬ、違法ではないか、不法ではないかというおことばが出てくる。はなはだしきは、スパイじゃないか。スパイに似たような行為をしておるかもしれぬけれども、どこに根拠をもってやっておるのかというと、これは私一流のものの言い方なのですけれども、破壊活動防止法に基礎を持ってやっているのだということです。法律に基礎を持って国家機関がやっておるのだぞ、何が一体スパイだ、そういうことばがあるのかというふうに、私は口では言わぬけれども、胸の中でぐっと来ておるわけです。
 そこで私が言うのは、そういう破防法という法律に御反対であったにしても、法律が成立をしたら、成立をした法律に対してえりを正す、この考え方が民主主義、議会主義というものを守る上から大事なことなのです。それを守ってもらいたいということになると、私に一つの言い分がある。スパイ活動じゃないか、おまえ違法、不法なことをやっておるじゃないかと仰せになる前に、破防法を廃止しなさい、破防法を生きて有効に残しておいて何を言っておるのだ、その破防法に基づく権限によって調査活動をしておる、どこが悪いか、こういうことを私は言いたい。そこで、そういう意味から私がこの間訓辞をいたしました上で、それを、書いたものを読みながら、意識的に私は言ったのでありますけれども、使命感に徹しなさい、だれがどんな罵倒をしても、どんなに攻撃を受けてもびくびくするな、おれは国会がおきめになった国家の法律に基づいて調査をしておるのだというこの大切な使命感を徹底せい、大臣がついているという意味を言っておるわけなのです。
 そういう趣旨でございます。決して、いま先生が、ちょっとあちらこちらをつなぎ合わせて、おかしいじゃないかと仰せになるのですが、そんなことを私は言ったわけじゃないのです。それはどうぞひとつ御理解をいただきたいと思うのです。
○中路委員 この場所で公安調査庁の問題をきょうは論議するつもりではありませんのであれですけれども、やはり憲法で、思想、信仰、言論、結社、この問題の自由ははっきりと保障されていますし、これを侵害するということについては憲法の問題ですから、破防法に基づくといまおっしゃいましたけれども、その事前調査ということで、文字どおりスパイや謀略にひとしいような調査がもしやられているとすれば、これは非常に不当なことでありますから、この点については具体的ないろいろの事例で法務委員会でやっていますから、きょうはこの訓辞についての大臣の真意だけを一応お尋ねしておきたいと思ったので、とどめます。
 きょうお尋ねしたいのは、幾つかの検察行政の事例がありますけれども、時間の関係で一つだけ取り上げてお尋ねしていきたいと思うのです。それは、いまの司法行政や検察行政が正しく運営されていないのではないかという点でお伺いしたいのですが、きょう取り上げたいのは、かつて、たしか四十五年の秋の第六十三国会でも林百郎議員が取り上げまして、また参議院で小笠原貞子議員が、あるいは他の党の議員も取り上げまして、当時大きな社会問題になりました欠陥車をめぐる問題についてお尋ねしていきたいのですが、当時、林議員がホンダN三六〇の持っておる操縦性、安定性の欠如による悲惨な事故が多発しているということを取り上げました。蛇行や横ゆれですね、こういうことから事故が相次いで、当時でも死者四十名、重軽傷者百十四名。わかっているだけでですね。その事例も指摘しました。九十一件の事故例をあげて、いろいろ論議をしたわけです。そして、欠陥の疑いが非常に濃いから、この車の高速運転の停止や、あるいは型式指定の取り消し、欠陥車の回収を運輸省に要求しました。
 また、このN三六〇の欠陥問題については、当時、事故の被害者から本田技研の社長本田宗一郎氏を相手取って、未必の故意の殺人ということで刑事訴訟も起こされたわけです。これもよく御存じだと思いますが、この刑事訴訟については不起訴処分になっていますが、いずれにしてもこのN三六〇の問題というのは、その後も大きな問題になり、またその後日本ユーザーユニオン事件という形まで発展をしていま係争中になっています。
 私は、係争中の問題ですから、このユーザーユニオン事件の係争中の問題については、きょうここでお尋ねするということは控えたいと思うのですが、この問題と関連して、司法行政あるいは検察行政という問題にしぼって二、三お尋ねしていきたいと思います。
 この四十五年に、先ほどお話ししました本田宗一郎氏が、未必の故意の殺人で告訴されてから、このN三六〇の欠陥性の問題をめぐって、地検が東大の生産技術研究所の亘理教授に依頼して鑑定を行なったわけです。当時、このきっかけになったのは、京都市の国道一号で起きた本田技研工業のN三六〇の衝突事故を捜査している東京地検の捜査部が、事故が同車の構造的欠陥によるものかどうかの鑑定を亘理教授に依頼したわけですけれども、この鑑定書については私たちもこの国会の初めに資料要求をしていました。しかし、これは提出できないということで、私たちもまだこの鑑定書については見ていないわけです。鑑定書の内容がこういう内容だということは、大要については朝日新聞等にも相当詳しく出ていますけれども、鑑定書そのものは私たち見ていない。その点で私は最初に、ここであらためてこの亘理教授の鑑定書を提出していただきたいと思うのですが、この点は提出していただけますかどうか、最初にお尋ねしたい。
○安原政府委員 中路先生御指摘のとおり、ホンダN三六〇についての告訴事件に関連いたしまして、東京地検がいま御指摘の亘理教授に、欠陥車の問題につきまして鑑定を依頼したことは事実であり、鑑定の回答があったことも事実でございますが、ただいま御指摘のとおり、ユーザーユニオンに関します安倍弁護士外一名の恐喝事件が係属中で、東京地裁におきまして二十九回の公判を重ねておるわけでありますが、この公判における恐喝事件の犯罪の犯意の立証とか、あるいは犯罪の情状、犯罪の成立ということにこの鑑定書の内容が関係を持つものでございますので、ただいま公判係属中でございますゆえに、公判審理の運営を阻害しないという意味において提出を御勘弁願いたいということで、先日来お断わりをしている次第でございます。
○中路委員 この鑑定書については、この欠陥車に関連して民事訴訟を起こしている人たちの間からも、鑑定書の公表について要求が幾つか出ているということを聞いていますけれども、この鑑定書の提出あるいは開示を求めているのは、全国で、民事訴訟とも関連してほかにどのくらい出ているのか、もしおわかりになりましたらそれもお尋ねしたいと思います。
○安原政府委員 刑事局長という職分から、申しわけございませんが、民事訴訟の件数については存じません。
○中路委員 昭和四十六年の五月二十日に第百四十三司法協議会二十日付の議事要録を読みます。
 「交通事故事件等の不起訴記録閲覧に関する件」という事案に対する東京地検の高瀬次席検事の回答が出ていますが、これによりますと、一部読みますと、「刑事訴訟法第四十七条で原則として非公開でありますが、現在民事事件に関しては裁判所からのとりよせの嘱託があったときは、不起訴記録によらなければ立証困難で、しかも公益上の必要があると認められる場合にのみ、応じております。またこれにともない不起訴記録とりよせを申請する場合はとりよせの書類を特定した上、当該事件について立証困難な理由と同時に公益上の必要性をより具体的に摘示していただきたいと存じます」となっていますけれども、この亘理鑑定というのは、当然ここでいわれているものの対象になる鑑定書だと思うのですが、最初お話ししたように、京都の事故、ホンダN三六〇の刑事問題になって、それは不起訴になりましたけれども、それに関連して鑑定を依頼されて出された鑑定書です。他の民事訴訟の人たちから、私の聞いているところでは、幾つかこの鑑定書の公表を求められているという問題ですから、この亘理鑑定については当然提出していただきたい、公表していただきたいと思うのです。もう一度お尋ねしますけれども、いまユーザーの事件の関連でお話がありましたけれども、この鑑定書そのものがユーザーの問題というのじゃなくて、いまお話ししました四十五年の京都の衝突事故、これに関連して東京地検が亘理教授に依頼された問題ですから……。
○安原政府委員 中路先生御指摘のとおり、当時の東京地検次席検事がお答えしたとおりでございまして、民事裁判という公益上の要請に沿うためにできる限り協力をすべきであるということは、検察庁といえども当然のことでありますので、先ほど申し上げましたように、本来は非公開のものを、それがなければ立証が困難であるというような場合には、特定をして提出をする、協力をするということにしておるわけでありますが、なおその点につきまして、本件も、御指摘のとおり、ホンダN三六〇号、昭和四十五年八月ごろの告訴に関連してできた鑑定書でございまするから、当然にその当該事件の不起訴記録の一部をなすものであることも御指摘のとおりでございます。しかしながら、先ほども申しましたように、別件のユーザーユニオンの恐喝事件という刑事事件も、やはりホンダN三六〇号の欠陥性を契機として恐喝事件が起こったということでございまして、当該事件に関連してつくった鑑定書ではございませんけれども、やはり刑事裁判の運営上、今度の恐喝に関する犯罪の整理に重要な関係を持つ鑑定書でもございますので、刑事裁判の運営の関係からいって、現段階においては提出をごかんべん願いたい、こう申し上げておるわけでございまして、あくまでも鑑定は刑事事件のためにつくられたものでございますので、いまの民事裁判の公益上の要請と刑事裁判の要請との比較考量の上におきまして、現在においては、刑事裁判のためにつくられた鑑定書を刑事裁判のためにまず利用する、あるいは運営するということにプライオリティーを置いていただきたいという観点から、現段階においては提出が困難でございますと申し上げておる次第でございます。
○中路委員 この亘理鑑定というのは国費を使って行なっておるわけですね。先ほど読みました地検の次席検事の、いま読み上げたような回答もあるわけですし、ここでいわれているのは、一つは公益性という点、これを非常に強調しているわけです。そういうまさに公益性という点でいえば、皆さんもご存じのように、このN三六〇による事故というのは、被害者は、私たちの調べたところでわかっているだけでも三百六十二名、死亡が五十六名、重傷百六名、軽傷百三十七名、あるいは物損十四件というふうに非常に多い。これは四十三年から四十五年の三年間のことですが、また、ユーザーユニオンに集められている四十六年九月ごろまでの事件でも、何百件とあるわけですね。しかも大体使用しているだろうと思われるものでも、八十万人に近いといわれる人たちがドライバーとしてこれを使用している。公益性という点では最も重要なあれを持っているわけですから、いま、刑事事件の問題で鑑定を依頼したのだから、使用するのだからということだけで、これだけ重要な大きな社会問題になっている、しかも公益性からいえば大きい問題ですが、それについての、車の欠陥性、構造の欠陥についての鑑定、それも国費を使って教授に依頼したわけですから、これを提出できない、公表できないというのは非常に私は納得できないわけですね。もう一度この点は、これだけの大きな事故が相次いでいるわけですから、しかもその車を使用している人たちが何十万といるという問題ですから、この亘理教授の鑑定の公表ということは、当然公益性という点からいってもやられるべきではないか。この裁判があとどれくらい続くか、一年続くか二年続くかとなれば、その間にこのホンダN三六〇というのはあと二年ぐらいで寿命が変わっていくのではないか。その間押えておくということになれば、明らかに企業をそういう点で擁護していくという以外にないわけですね。一般の新聞でも、この鑑定の内容についてはほぼ紹介されています。あとで読んでもいいですが、この鑑定が紹介されれば、これが大衆向きにどれだけ大きな欠陥を持っているかということは明らかなんです。そういう点では、押えている、隠しているということを言われてもしようがないのではないかと私は思うのですけれども、この点について、大臣、いまお聞きになっていて、これを私たちに提出していただくという問題についてはどうですか。
○安原政府委員 まず私から重ね重ねでございますが、決して押えているということでなく、現段階においては訴訟進行中であるので、しばらくはお待ち願いたいということでございますとともに、おことばを返すようでございますが、ホンダN三六〇号は、亘理鑑定でなくては欠陥の立証ができないものかどうか、これが最後の立証手段であるかという点についても私ども不案内でございますので、現段階においては出せないということを重ねてお答え申し上げたいと思います。
○中路委員 たしか裁判所のほうから提出を求められているわけですね。要求があるにかかわらず提出されていない。その理由はどういうことですか。
○安原政府委員 提出命令というのは、現に係属中の刑事裁判所からの提出命令ということであれば、そういう事実はないと承知しておりますが……。
○中路委員 朝日新聞によりますと、この亘理教授の鑑定の要点が出ていますけれども、特にこのN三六〇の特性として、走行中にハンドルを切ると非常にロール角も傾く。角度でいいますと普通の車と比べものにならない。それから普通の車は、ハンドルを切る角度を一定にして高速で円周走行すると大回りになるわけですけれども、これは内側への回り込みが非常に大きいということで、衝突などを避けようとしてハンドルを切ってブレーキをかけると、予想以上に内側に急カーブするという性向や、あるいは普通の車は、走行中に車のハンドルを軽く回して手を放すと、左右の蛇行が自然におさまり、直進する設計になっているけれども、N三六〇の場合はこのふらつきがおさまらない。それがまた極端に弱くて、八十キロ以上のスピードが出ているときはもとに戻らないというようなことも、この亘理鑑定の中で述べられていて、この車の運動特性をのみ込んでいないと、N三六〇を運転する場合に非常に安定性に問題があって、大衆車として不向きであるということをこの鑑定は述べておるということを、この朝日新聞は報道しているわけですね。
 それからもう一つお尋ねしますけれども、同じこの亘理教授に鑑定を依頼したのと合わせて、東京地検が同じくこの問題で鑑定を、自動車の研究所ですね、運輸省の交通安全公害研究所に依頼されて、谷田部でやはりテストをやられておりますけれども、これの結果はどういうように扱われているのですか。
○安原政府委員 同じくホンダN三六〇につきまして、御指摘のように、運輸省交通安全部の自動車安全研究室長石川健三郎氏にも東京地検が鑑定を嘱託して、その回答を得ておりますが、これにつきましても、先ほどの亘理教授の鑑定と同じように扱われるものと考えております。
○中路委員 いまお話ししましたように、いままで蛇行して衝突、転覆というのは、私も最近調べてみますと、このホンダN三六〇の事故がほとんどなんですね。しかも、いままでこれだけの事故があったというだけではなくて、ごく最近の新聞で少し調べてみましたけれども、昨日資料要求をしましてきょう出ていますが、最近では、たとえば四十八年の四月三日に、午前二時ですが、東京の足立区千住大橋で起きたやはりこのホンダの例がありますが、これは二人即死、一人が三カ月、一人が一カ月の重傷ということになっております。これはちょうど衝突するときに警視庁のパトカーがうしろを走っておったものですから、パトカー自身が蛇行したのを見ておるというような事件です。トラックをよけようとしてハンドルを右に切ってまた対向車とぶつかるというような事故ですけれども、この事故だけではなくて、きょう資料をいただきましたそのあと、五件についての、最近のホンダN三六〇あるいはその改良の車の事故について資料要求をしまして、非常に簡単な資料しか出ておりませんが、原因というところを見ますと、たとえばこれは静岡県の県道で起きた事故ですね。これも皆さんの書かれた簡単なものでも、原因に「約六十キロで運転中、左に寄り過ぎ、右ハンドルを切ったところ、安定を失い、右側路外一・五メートルに転落」ということですね。原因が書かれております。原因が書いてないのもありますけれども、原因の書いてあるのは、ほとんどこういう共通の問題が原因になっているわけですけれども、私は、いままでこれだけの問題があったというだけではなくて、現在もこのホンダN三六〇に関する自動車事故というのは、ほとんど横ゆれとか蛇行とか、とまらないとか、こういう問題が起きている。
 私はこれは非常に関心の大きい問題ですね。これについての、しかも国が鑑定を依頼したその鑑定書をあくまで公表しない。しかも鑑定の内容は、一部の新聞でも、いまお話ししたように出ていますように、これは非常に大衆車として欠陥があるという鑑定の内容だということも、すでに新聞に出ているわけです。
 私たちはこの問題を論議する場合に、この鑑定書を提出してもらわないと、この問題が十分論議ができないんじゃないかと思うのですが、一刑事事件の途中だ、係争中だ、これに関連するということで、あくまでこれを出されないというのは、私は、社会正義の立場から見ても非常に不当じゃないか。手続のことを、こまかいことを私は言っているわけじゃなくて、これだけ社会的にこの問題が大きい問題になり、これが車の構造的な欠陥じゃないかということが多くいわれている中の問題ですから、やはりこれは公表さるべきではないか。少なくともこの国会の審議の中では提出をしていただきたいというふうに重ねて思うのですが、大臣のお考えはどうですか。
○田中(伊)国務大臣 御説明を承りまして、私、先生のお説のとおり、何とかこれは提出ができぬものかという感じを持つわけでございます。非常に重要なことをおっしゃっておる。ところが、これの提出は、行政府が国会に提出したということになるんですね。そこで、裁判進行中のじゃまになる。なるかならぬかわからぬが、なるおそれのある重要な鑑定書を行政府が国会に提出をした、まあこういうことになるわけで、ここがひっかかるのですね。裁判の公正を害しないようにやるということで、二つの要件がある。それは一般の言論機関、一般の学者がお出しになることは一向差しつかえないのでありますけれども、内閣総理大臣以下の行政府、議長以下の両院の議員、この立法府と行政府の両面のものは、係属中の司法の独立というものに協力しなければならぬ、これが、大げさなことばを使いますと、憲法の三権分立という上の原則でございます。この原則はどこまでも守らなければならぬ。どんな事情があっても守らなければならぬということが行政府のたてまえである、こう考えます。この点は、お説を承りますと、いま社会正義というおことばがありましたが、まことにこれは社会正義のために提出したいものである。しかしながら、残念ながら憲法の司法独立の大原則の精神に照らせば、これは公判中のものは遠慮をしなければならぬ、こういうことでいま刑事局長が答弁をしておるわけですが、私がいけないぞということを言っておるわけでございます。どうぞその点に御理解をいただきたいと思います。
○中路委員 この問題については、たとえばこのN三六〇の発売直後に、一つの例でありますけれども、「モーターファン」という雑誌で、いまお話ししました亘理教授や、あるいは東大の平尾教授、東京工業大学の名誉教授をしておられる、日本自動車研究所長だと思いますが、近藤政市教授ですね、こういう人たちが座談会をやっています。六七年の六月号ですけれども。この座談会の中でも、すでに、このN三六〇というのがカーブでのロール率が非常に大き過ぎるという。横ゆれですね。そういうことや、あるいはふらつきの問題あるいはよろめきがもとに戻らないという非常に不安定な問題ですね。そういう問題についてはこの座談会でも指摘をされている。亘理鑑定の内容についてもすでにこの時期から指摘をされている。そしてこのときも出ていますけれども、たとえば蛇行するとガソリンのキャップが飛んじゃうそうですね。よく飛ぶ。だからこのN三六〇の事故で焼死事件というのが多いんですね。これはキャップが飛んでガソリンを浴びるということがある。あらゆる点で非常に手が抜かれているということが、こういうところでもわかるわけですし、先ほど大臣からそういう答弁がありますけれども、いままでの事情、これだけN三六〇で事故が多発をし、また現在も起きているという中で、これが車の構造的な欠陥にあるんじゃないか、そういう点で多くの指摘もある。それを、国が費用をかけて依頼した鑑定を、裁判の関係があるからということで出されないということは、どうしても納得できないのですね。社会的に見て、これは八十万近く使っているわけですから、そのドライバーにとっても非常に大きな関心事であるわけです。私は、いまいろいろお話しになりましたけれども、何らかの方法でこれを提出あるいは公表することが必要なんじゃないかということを繰り返し要請したいわけですけれども、しかも裁判が区切りがついてからということになれば、いまお話ししたように、裁判はいつごろになるかわかりませんけれども、見ると、いま問題になっているホンダN三六〇の車がちょうどなくなる時期なんですね。それから公表されても、それは終わりですから、客観的に見れば、企業を擁護している、これを公表しないということだけで企業をずっと擁護されていっているという結果にならざるを得ない。その点では警察と非常に一体になっているんじゃないかというような疑いさえ、世間では、いまのお話とすれば疑問を持つのは当然のことですね。大臣がいかに三権分立のお話をされても、そういうことじゃ納得できないと思いますね、こういう事態は。
 そういう点で私は、もう一度この公表については強く要求したいと思うのですが、じゃ、もう少しこれに関する問題でお尋ねしでいきたいのですが、警察庁にお聞きしたいのですが、私たちが新聞で調べた最近の六件のホンダN三六〇に関する死亡事故、衝突事故について資料要求しましたが、皆さんが出された資料を見ても、先ほどお話ししたように、指摘されているこの車の構造的な欠陥ですね、これに非常に関連があるんじゃないかと、原因のところを見ますと思われる点が多いのですが、私たちが資料要求した以外に、N三六〇に関連した事故を起こした例というのは、その他に警察がつかんでおられますかどうか、この点もお聞きしておきたいと思うのです。私たちは一般の新聞の中で最近の事例で見たのですが、それ以外にもあるのかどうか、ちょっとお聞きしておきたいと思うのですが、おわかりになりますか。
○加野説明員 先生から御要求のあった六件について資料を差し上げたわけでございまして、あとホンダN三六〇がどれほど事故に関与しておるかという数字は把握いたしておりません。
○中路委員 その原因についてもぜひ一度調べてみていただきたい。原因を見ますと大体共通した問題が起きているわけですから。
 運輸省おいでになっておりますか。お聞きしたいのですが、いまお話ししましたように、このN三六〇に関して、欠陥に基づく事故じゃないかという疑いを持つ例が多発しているわけですが、運輸省の皆さんは、この亘理鑑定というのは御存じですか、内容について。
○飯塚説明員 私どものほうは、この内容については存じておりません。
○中路委員 それはしかしおかしいんじゃないですか。それは、いまお話ししました自動車ですね、運輸省の交通安全公害研究所がテストを谷田部でやりましたね。この結果については御存じですか。
○飯塚説明員 この交通安全公害研究所に対する鑑定方につきましても、これは東京地方検察庁が独自に、訴訟を係属中におきまして鑑定を依頼されたものということでございまして、行政部門の私どものほうは、新聞等ではその記事を存じておりますが、正式には存じておりません。
○中路委員 新聞に相当大きく報道されておるわけですね、いまの谷田部のテストについても。これも一部読みますと、このテストで、「テスト中のN360が蛇行のすえコースをそれてヤブの中に飛込んだのをはじめ、不安定さが目立ち、関係者の話を総合すると設計に欠陥があったのではないかとみられる“クロ”の容疑がかなり濃くなった」というのが見出しで、そのテストの内容についていろいろ詳しく触れています。このやぶの中に突っ込んだというのは、石川さんという研究所の自動車安全研究室長が自分で運転をして、蛇行がひどくなってやぶの中に突っ込んでおるという事実も新聞報道であるわけですが、運輸省の皆さんは亘理鑑定も見ていない。内容も知っていない。また、運輸省の交通安全公害研究所でやった谷田部のテストについても、一般の新聞でも全部これだけ大きく報道されています。私が持ってきておる。しかもその中でも、これが車の構造的な欠陥があるのじゃないかという疑いが濃いということも報道されておるわけですね。亘理鑑定についても、大衆車として不向きだということも書いておるんだということも新聞に報道されておる。そうだとすれば、運輸省としても当然この本田技研に対して、少なくともこういう問題が出ておるわけですから、行政指導として何らかの指導も必要になってくると思うのです。もちろん、地検の直接の依頼による鑑定にしろ、これだけ社会にも報道されておるわけですね。それについて、運輸省として本田技研に対して何らかの行政指導もされていないとすれば、やはりそれは非常に大きな怠慢じゃないかと私は思うのですけれども、運輸省として、本田技研に対してこの問題についてどのような指導が行なわれてきたのですか。
○飯塚説明員 ホンダのN三六〇の車につきましては、構造変更等の手続はその後何回かなされておりますけれども、行政指導とか、そういうことについては特にはしておりません。それで、この問題につきましては、高速時における操縦性、安定性と申しますのは、高速走行時でございまして、この評価方法というのは非常にむずかしい問題でございます。この点につきましては、昨年の九月に今後の自動車の安全基準の長期規制計画というふうなものを運輸技術審議会の答申で私どものほうで作成しておりますけれども、その内容の中には、一般の車につきましては、旋回性能とか、あるいはスラロームとか、そういうようなものにつきましては、昭和四十八年、昭和四十九年には何とかその評価方法を確立して審査方法にアプライしたい、そしてそれ以上の操縦性、安定性の諸項目につきましては、その後に、昭和四十九年から昭和五十一年ぐらいまでの間に車種別に評価方法を確立して審査方法の中に入れたいというふうに思っておりまして、諸外国の規定もこれは調査いたしましたけれども、この辺のところは、運転者の技量、車の整備状況、あるいは道路の状況とか、そういうふうなことがからみましてこの評価というふうなものが非常にむずかしくて、現在、世界各国どこも、そういうものの評価方法というふうなものは規制してはいないという状況でございまして、現在のところではそのような状況でございます。
○中路委員 私は、ほんとうに人命を尊重していくという行政の立場から見れば、運輸省の皆さん方も、これだけこの問題についていろいろ報道もされているわけですから、自分たちのほうが依頼した鑑定でないということにしても、当然本田技研に対するいろいろの行政的な指導があってしかるべきじゃないかというふうに思いますけれども、法務省の大臣も、亘理鑑定をいま公表できないのだというお話です。これは、先ほど読みました地検の次席検事の回答から見ても、こういう司法、検察行政でよいのかという感じをいま深くするわけですけれども、事故が非常に多い、しかも現在もなお事故が起きているという状態の中で、このような事故を防止し人命を守るという立場に立つ司法行政、検察行政をほんとうにやっていくということになれば、当然いま多発している事故の解明の重大なかぎをこの鑑定書が握っているわけですから、N三六〇の亘理教授の鑑定を提出をして公表をして、これについての行政的な指導というものの強化をやはりすべきじゃないかというふうに思いますし、その点では、いまの司法行政のこういう問題の扱い方。先ほど言いましたように、社会正義という立場から見ての問題についてやはり大きな問題があるんじゃないかと思います。きょうすぐ御返事はいただけないかもしれませんけれども、私は大臣にお願いしたいのですけれども、鑑定を依頼したのが二つとも、いま言いましたように、一般の新聞でもすでにその一部は報道されている。大きな関心が持たれている問題ですから、この点については明確にすべきではないかというふうに思うのです。
 もう一つ続いてお聞きしますけれども、いまお話ししました谷田部のテストの問題ですが、四十五年に地検の本田宗一郎氏に対する告訴が、先ほど言いましたように不起訴になりましたけれども、あった際に、茨城県の谷田部でやはり同じようにN三六〇のテストを行なうということになった際に、このテストの車を、この新聞の報道でも出ておりますが、和歌山県の国道で蛇行の末たんぼに突っ込んで四人重軽傷の事故を起こした和歌山県のすし屋経営の中野信行さんの車の提供を受けて、これをテスト車としてやられたわけですが、この谷田部のテスト場へ車を運ぶ際に、中野さんの車をとりにいくのが、本田技研の子会社である、陸送をやっているホンダエキスプレスという会社がとりにいっています。そしてこの陸送車に検察事務官で内藤という人が同乗しているということを聞いていますが、これはおわかりになっていますか。事実ですか。
○安原政府委員 不敏にして存じません。
○中路委員 もう一つお尋ねしますが、検察庁がこの中野氏にテスト車として車を提供してもらうという際に、当然ですがテスト中代車を提供したわけです。この代車が本田技研の社長の本田宗一郎氏の名義の代車を地検が提供している。そして本田氏と中野氏の間に代車の貸借に関する契約が結ばれたということも聞いているわけですが、これについてもお聞きですか。あるいは事実ですか。
○安原政府委員 申しわけございませんが、同様に存じません。
○中路委員 その際、本田氏はこの代車を無料で出したということもいわれているわけですが、いま二、三お聞きしたことについて御存じないようですけれども、私は事実を至急調べていただきたい。非常におかしな話だと思うんですね。本田のN三六〇の車に構造的な欠陥があるんじゃないか、このテストを地検がやるのに、和歌山の中野さんから車の提供を受けたその代車を本田技研の社長――本田技研の社長といえば告訴されている当人ですね。その当人の名義、いわば容疑者である本田さんの子会社の陸送車を使って、地検の事務官まで同乗して持ってくる。しかもこの代車を検察庁は本田さんから提供を受けて中野氏に渡しているという。私たちは、そういうことで事実だということで聞いているわけですが、これが事実だということになれば、告訴された人間から無料で代車の提供を受ける、こういうことは私はあり得ないと思うのです。こういう点があるから、地検は全くメーカーとべったりなんだということ判いわれるわけですし、こういうことで正しい司法行政や検察行政ができるはずがないと思うのです。
 いま事実はよく知ってないとおっしゃいましたけれども、私がいま話したのは事実です。代車をとりにいったのも調べましたけれども、その提供された車をとりにいく場合に本田技研の陸送の車でとりにいく、検察事務官がそれに乗っていく、しかも代車は本田氏の、社長の名義の車をもらって中野氏に渡す。これでは、先ほど言いましたように、もう検察のほうは企業と一体なんだということをいわれても、この事実だけでも弁解しようがないと思うんですね。
 事実をこれから調べてからというお話ですけれども、こういう問題について、司法行政、検察行政をほんとうに国民の疑惑を取り除いてやっていくという立場から見て、いま一、二の例をあげましたけれども、こういうことはやはり絶対にやってはならないことだと思うのですが、大臣はどういうお考えですか。
○田中(伊)国務大臣 あり得べからざることだと信じますが、事実の有無を調査します。
○中路委員 いま大臣もあるべからざることだというお話なんで、全くふざけた話で、当然のことだと思いますけれども、しかしこれが事実だとすれば、やはりこういう行政をやっている責任は私は大きいと思いますから、これは調べていただいて、もし事実だとすればやはり責任を明らかにしていただきたい。このことを念を押したいと思いますが、いいですか大臣。
○田中(伊)国務大臣 承知しました。
○中路委員 時間が限られていますからあれですが、この問題に関連した日本自動車ユーザーユニオン事件については係争中の問題ですから、私もこれについていろいろ疑惑の点を持っていますけれども、きょうお尋ねしませんが、ただこの事件で、いまのホンダN三六〇の欠陥をめぐる問題が大きな社会問題になって広がっていた時期、そういう時期に、このホンダN三六〇の欠陥車問題を一貫して追及してきた日本自動車ユーザーユニオンの専務理事の松田氏とその弁護士である安倍氏を逮捕するということが起きたわけです。当時の新聞を調べてみますと、みな当時はこの事件についてたいへんな新聞報道ですね。読売新聞は「“仮面の旗手”次々と新事実 五十億円ふっかけ 委任状なし示談迫る」。朝日新聞は「松田・安倍に新たな容疑 ユーザーユニオン恐かつ事件 奈良県下の事故に介入 ホンダから八千万円四割を二人で分ける」。あるいは東京新聞ですと、「“欠陥車”で本田技研おどす 賠償金十六億円払え」云々。当時こうたくさん記事が出ています。
 私もいろいろ調べてみました。起訴状も読ましていただきました。一つ一つの問題については、係争中の問題ですから触れませんけれども、起訴状を見ましても、結局最後は、欠陥車であるかどうか、それを欠陥車だとして宣伝したという問題が残るのですね。それ以外、民事訴訟を起こすとか、国会で取り上げるとか、おどしたというのがありますけれども、民事訴訟はもう一斉に準備していたのですから、民事訴訟をやるぞというのがおどかし、恐喝だということで逮捕されるか、こういうことは不当なことです。八千万円のうち四割を横領したというのも、これも調べましたけれども、本人二人は全然着服も横領もしていない。遺族の方の申し出で、ユーザーユニオンの活動費とか、弁護料に一割充てるとか、そういうことになっています。問題は、この車を欠陥車として、事故がこの欠陥に基づくものとの確証は何も存在しないのに、これをやったということが大きな理由になっている。
 そうだとすると、この亘理鑑定というのが大きなかぎを握っているわけですね。亘理鑑定を出されないということは、結果としては押えている。これが出てくれば、皆さんの起訴の理由というものがくずれてしまう。これを読んでみますとそういうことですね。欠陥の確証がないのに欠陥車だといって宣伝しているということが、ずっと調べてみますと、起訴の一番大きな理由になっている。内容から見て、亘理鑑定が出れば、逮捕し起訴をしたということがくずれちゃうのですね。しかも、いま世間でどういうことがやられているかというと、先ほど言いましたように、このホンダN三六
○の事故がずっと相次いでいる。そうしますと、本田技研の連中が出ていって、被害者同盟というのが全国にできているが、こういうところに入っても、その親方連中はいまこういうことで起訴されているということで、つながりを持たないようにしているという例があちこちであります。
 こういうことになれば、亘理鑑定を出さないということは、事実上、ホンダN三六〇をめぐる構造的な欠陥についていろいろ疑惑があるが、この追及を押えるという役割りしか果たさない。裁判でどういう結果になるにしても、さっき言ったように、裁判が一年、二年、続いているその間押えていれば、裁判が終わってこの追及は済むという役割りしか果たさなくなるんじゃないか。うがって言えば、謀略のような気もするわけです。
 だから、この問題は、これだけ社会問題になっているわけですから、最初に言いましたように、社会正義の立場からいっても、この鑑定については明らかに公表していただきたい。私は、係争中の問題について口をはさむつもりはありません。しかし、いまもこれだけ事故が続いて、大きな社会問題になっている問題について、やはり人命を守る、あるいは司法、検察の行政を正すという意味からも明確にしてほしい。
 先ほどから時間が来ているということなので、これでこの問題は終わります。先ほどお話がありましたから、大臣の答弁は要りませんけれども、もう一度亘理鑑定の公表について検討していただくことをお願いしておきたいと思います。
 それから、最後に一点だけ。法務省設置法の質疑ですからね、一つぐらい聞いておかないと……。
 この設置法の改正法案については、検討してみましたけれども、入国管理事務所出張所の九カ所の新設についても、やはり臨海工業地帯をはじめとした港の入港船舶が非常に増加しているということと関連して、正規の上陸者あるいは特別上陸者が非常にふえている、この行政需要にこたえるという面から、私たちも当然のことだと思いますし、これはぜひ新設しなければいけないと思います。そこで一つだけお聞きしておきたいのですが、この九カ所の新設、それから二カ所の廃止、それについて一応の基準があるのかどうか。それから、この九カ所以外に、これから予想される事態も考えて、非常に需要があるというようなところで、どこか地元から要請があるという個所があるのかどうか、そういった点、一言でいいのですけれども、簡単にお聞きしておきたい。
○豊島説明員 入国管理事務所出張所の設置基準についてのお尋ねのようでございますので、その点についてお答えいたします。
 入管事務所の出張所につきましては、おもに海港、空港の所在地に設置するわけでございますけれども、おおむね次の四点を総合的に勘案いたしまして設置することにいたしております。
 第一は、年間の出入国審査事務の対象になりますところの入港船舶あるいは入港航空機、これが百隻あるいは百機をこえ、または近い将来に百隻あるいは百機をこえると見込まれるということであります。第二は、年間の特例上陸者が千人をこえるということ、それが要件であります。第三は、既存の地方入国管理官署から距離的に遠い、遠隔地であるということであります。第四は、空港または海港の整備状況あるいは後背地の発展状況、そういうものから、将来、出入国審査事務の対象となりますところの入港船舶、入港航空機、あるいは出入国者の増加が見込まれるということであります。この四つの基準で判定をいたしております。
 将来ともやはりこういう基準にはまってまいります海港、空港が当然予想されるわけでありまして、今後も増設をお願いすることがあるというふうに考えております。
○中路委員 これで終わりますが、もう一つ、これはお答え願わなくてもいいのですが、ちょっと要望で述べておきたいのです。
 設置法の一部改正の一つに松山刑務所の問題がありますね。これは市街化に伴って、松山市に隣接する重信町の自動車教習所のあと地に移転をする。これについて私たち反対するわけではありませんし、移転について一時地元の反対の運動もありましたけれども、ほぼ話し合いがついて解決しているという話も聞いています。しかし、要望しておきたいのは、いまこの一部改正を審議しているわけですね。それ以前に、去年の十一月からもう新しい刑務所へ収容を始めておられるわけです。だから、その面では現在の松山刑務所のあと地で庶務的な業務だけいま行なわれているわけですが、重信町の建設と松山市のあと地の等価交換ということについて松山市から強い要請があったということも聞いております。こういう事情もあったと思いますけれども、国会審議との関連で見た場合に、法が成立してない、審議にも入ってない去年の十一月からすでに収容業務をやられるということは、厳密な意味でいって、法的な根拠というものから見て先取り行政のような形になるわけですから、こういった点は国会の審議を踏まえて、私たちも賛成なわけですけれども、反対するわけじゃありませんけれども、行政について国会の審議を尊重し、国会審議を踏まえてやはり事を進めていくという態度をしっかり堅持していただきたいということを最後に要望しておきたいのです。
○三原委員長 午後二時十分より委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後一時四十分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十三分開議
○三原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。和田貞夫君。
○和田(貞)委員 法務省設置法の一部改正案の審議にあたりまして、あとを絶たない差別事件が継続しておるわけでございますので、何といいましても憲法の大きな柱の一つである人権問題にかかる問題でございますので、この際、差別事件のいろいろな面について、大臣並びに法務省の見解をただしてみたいと思うわけでございます。
 御案内のとおり、昭和四十年の八月にいわゆる同対審答申が内閣に出されまして、それを受けまして昭和四十四年の七月に同和対策事業特別措置法という法律が制定、公布されたのでございますが、先ほど申し上げましたように、毎日のように差別事件が続出しておる。憲法の柱である基本的人権、これを守る立場にある法務省といたしまして、このように毎日のように起こっておる差別事件、差別事案について、どのように対処し、あるいはどのように責任を感じておられるかということについて、この機会に法務大臣の御見解をお聞きしたいと思うのであります。
○田中(伊)国務大臣 人権問題に関しまして、その基本となる憲法の人間はすべて平等であるという人権の規定、これがこの同和問題に関しましても順拠すべき最高、最大の規定であると存じます。ただいま先生お話しになりました特別措置法、こういう規定の精神にのっとりまして、いやしくも人権の侵犯があったと考えられる場合は、親告の有無にかかわらず、被害届けの有無にもかかわらず、そう考えられます場合には人権擁護局が発動をいたしまして、民間において御苦心をいただいております人権擁護委員の諸君の御活動をお願いをいたしまして、人権の侵犯を防止したり、またすでに侵犯があったと考えられるものにつきましては、これを適切に処置するという方向に向かって活動をしておる、これが法務省人権擁護局の立場でございます。
 ただ、先生御承知のとおりに、人権擁護局の仕事が間々世間から誤解を招いておりますのは、何もやっておらんじゃないか、何をしているんだというおことばが所々に聞かれる、これはごもっともでございます。しかし、法務省人権擁護制度というもののたてまえが、強制力を用いて、聞かざればこうしてみせる、よって人権擁護局の言うことを聞きなさいという態度は許されていない。それは人権擁護の理想を達成するゆえんではない。強制力は特たない。強制力は特たないで、これは人権の侵犯になりますよ、本来の人権のあるべき姿はこうですよということで、人権の高揚ということばを使っておるのでありますが、基本的人権の高揚ということに力を入れて、強制力なしで人権の侵犯を防止し、すでに人権を犯されておるような事態が起こった場合にはこれに適当なる措置を講ずるように努力をする。非常にむずかしい行き方でございますが、強制力のない行政上の指導ということ。したがって、行政上の決定措置というものがあるのかとこういわれると、行政上の決定というものはやらない、効果のあることをやらない。これに従わなければ罪にするという強制力もない。行政指導ということばがはまると存じますが、これに重点を置きまして、人権がいかにあるべきかということを決定して人権を高揚するという、その困難な仕事にわずかな人員で従事しておるわけでございますが、最近はだんだんこれが徹底してまいりまして、人権侵犯を訴える人の数もふえてまいりました。したがって、非常によい傾向であると思うのでございますが、これに精進をしておるような次第でございます。
○和田(貞)委員 ここに二つの青年の遺書があるわけなんです。念のために読んでみますと、一つは浅野佳代さんの遺書です。
 貴方に私は今まで嘘をついて来ました。実は私は部落の人間です。私はかくしとおせるならば、死ぬまでかくしたい、だから徳島へ一緒に帰るのがいやで、貴方と一緒に帰りませんでした。
 でもやっぱり私の嘘は通りませんでした。十日前から私は二人の間はもうだめだと思いあきらめていました。この十日間私は私の最後の人生だと思って楽しんだつもりです。貴方も家に帰らずに、私の所へ帰って来てくれる。私は毎日、今日は帰って来るか、もしかしたら家から電話が有り、家に帰ったのとちがうか、そればかりが、貴方が「ただいま」と帰って来るまで心配でなりませんでした。
 でも貴方は、この十日間ちゃんと私の所へ帰って来てくれました。
 私は何もいらない、ただ貴方が、私のそばにいるだけで幸福でした。
 十七の時に知りあって二十の時まで三年間、本当にやさしい恋人だったと思います。でもこれ以上私がいるといつまで立っても貴方は幸福になれません。どうかこの次女性を愛する時は健康で家柄の良いお母さんに気に入ってもらえる人をお嫁さんにして下さい。お幸福に。
 これが一人の遺書であります。
 これは浅野佳代さんという徳島県の部落の出身の女性が、十七のときに大阪へ出向いてまいりまして、そしてこの遺書のあて名の一青年と恋愛におちいって、三年間同棲をしておった。そして浅野佳代さんが部落の出身の女性であるということ。相手方のおかあさん、兄さん――兄さんは実はこの浅野佳代さんの出身地の市役所におもむきまして、市役所で部落の出身であるということを確認してきておる。そして母親が厳重に結婚に反対して、ついに死に追いやった一例であります。
 もう一つある。これも大阪で起きた事件の一つでありますが、中村義弘君という、実は大阪市の水道局に勤務しておった職員の遺書です。
 皆さん、許して下さい。
 僕は弥重を本心から愛しています。
 弥重のいない人生等、とうてい僕には考えられません。何日でも、何処でも僕の側には彼女が居り、彼女の側には僕が居りました。
 だが、こうなった今、二人が結ばれる事は不可能になってしまいました。
 僕自身、いたらぬ事も随分と有りました。しかし、一人の女性を最後迄愛し通した僕の心に嘘、偽わりは有りません。
 たった一人僕がこの世で愛した女性をどうか責めないでやって下さい。彼女とて随分悩み、苦しんでいるのです。彼女の胸の内もどうか判ってやって下さい。
 弘美や久佐代の結婚の時には何かしてやらねば、と思い、また、順次の車にも力になってやりたかった。しかし、ついに何も出来ずじまいになってしまった。本当に申し訳なく思う。
 今も目をとじると弥重の顔が浮んでくる。僕の心の中には、何日だって弥重がいるのです。
 君は特に身体が弱いんだから充分気を附けて!
 これは、いま申し上げましたように、大阪市の水道局の職員であった中村義弘君が、相手の弥重さんという女性、これは専売公社に勤務しておったのですが、六年間の交際の中で、これも一たん中村義弘君が部落の出身であるということから、弥重さんの兄さんが強力に反対した。弥重さんの兄さんというのは電電公社の職員なんです。その弥重さんの兄さんが、やはり自分の妹が部落の青年と一緒になったときに、職場で自分の出世が妨げられることになりはしないか、こういうような頭の働きもこれあり、妹を中村君と結婚させることを極力拒んだ。弥重さんも長い間のつき合いでありましたから、一たんそういうことでございましたが、家を飛び出しても中村君と一緒になるということで、また同棲が続いた。そして二回ないし三回妊娠をいたしまして、子供をおろしておる。そういうような深い仲であった。しかし、ついにこれも一緒になることができず、この遺書のような結果になったわけであります。しかしながら、なくなったこの中村君の気持ち、相手を恨まないで、死んでもなお、遺書にしたためられておるように、このような美しい気持ちの青年なんです。
 この二つの遺書を聞いていただくと、いかにこの差別というものが、一歩誤れば人間の生命を奪ってしまう、差別ということは、差別という行動、いろいろな差別発言がついに人間の命を奪ってしまう、こういうことになりかねないか。便い方によっては凶器にもひとしい結果になるわけなんです。
 こういう点を厳粛に見つめていただきまして、申し上げましたように、差別行為や差別発言というものは一種の凶器になる場合があるんだという認識の上に立っておられるかどうかということを、もう一度重ねて大臣の御見解をひとつお聞きしたいと思うのです。
○田中(伊)国務大臣 浅野佳代さんや中村義弘君の遺書をお読みいただいて、これを拝聴いたしまして思うのでありますが、なるほど差別観念というものは扱いようによっては人の命さえとるんだという深刻なことを感ずるのであります。
 この二つの遺書を拝承いたしまして思うことは、何としても人権高揚の思想。人権高揚とは、中身はすべて国民は平等である、差別、区別のないものだ、こういう人権観念というものが一般の人々に徹底していくことがいかに必要かということが、この二つの遺書でわかるのであります。人権擁護局をかかえております私の任務がますます重大であるということをひしひしと思うのでございます。
○和田(貞)委員 ひとついま大臣言われたような気持ちに、大臣だけじゃなく、法務省の全職員がなるように、徹底方をお願いしたいと思います。
 そこで、最近のマスコミや雑誌、書籍にかなりの差別事象とうかがわれるような記事なり報道がたびたびされておるというわけです。
 長くなりますので、あまり具体例をあげるわけにはまいらないわけでありますが、若干あげてみますと、たとえば大阪に大阪スポーツ新聞というのがございます。この大阪スポーツ新聞では、昭和四十五年十月二十日号、昭和四十六年一月九日号と、二回にわたりまして、新聞記事の中に、悪の代名詞に特殊部落ということばが掲載されるというようなことが起こっておる。あるいは朝日新聞の東海版、昭和四十五年十一月十六日付でありますが、立原正秋という作家が載せました「お風呂でチビチビ」と題する記事の中に、「銀座という特殊な部落にはお酒を楽しむというふん囲気はまるでなく」というような、これまた特殊部落ということばが出てくる。同じく日刊スポーツという新聞がありますが、この日刊スポーツという新聞にも、昭和四十六年の三月十六日付、昭和四十六年の八月二十七日付、そういう中に特殊部落ということばがそれぞれ出ております。
 さらに新聞だけじゃなくて週刊誌、たとえば去年の八月二十八日号の週刊誌「微笑」の中でこういうことばが出ております。「芸能界は性に関して、特殊部落であるといえる。三角関係や、四角関係のゴタゴタは、それこそ日常茶飯事。毛利郁子の事件もそうした特殊部落ゆえのスキャンダルの一つなのだろうか」。こういうふうに、悪の代名詞に特殊部落ということばを使って平然としておる。あるいは雑誌「暮しの装飾」というのがありますが、壁を装う壁装業界を部落業界と呼び、部落を悪の代名詞として使用しているのです。
 そういうような雑誌とか新聞だけじゃございません。たとえば吉川弘文館の児玉幸多編の標準日本史辞典という豆辞典です。この中に「穢多は令制の賤民に由来すると考えられるが、血縁的関係は不明」というようなことばがある。あるいは東京堂が出版いたしました桑田忠親さん著の「茶道の歴史」という本の中に、「そのようなかれが、穢多などであるわけがない……かれの五体には、武士の血が流れていたのである」、こういう差別言辞が発見できます。あるいはそれだけでなくて、テレビの放映の中でもたとえば去年のTBSテレビ「結婚の扉」、その中に興信所の問題が出ている。あとでまた興信所の問題については触れたいと思いますが、興信所が差別を起こしているのですね。こういう問題が放映されている。やはり四十七年のNETテレビ「特別機動捜査隊」のドラマの中で、「靴屋はくつや」、こういうことばが出てきます。ABCテレビでも、四十六年の六月に「宝塚は特殊部落みたい」、こういうようなことばが出てきて問題になったところであります。
 さて、ことしになってから、日本テレビ四月一日の午後十一時四十五分に放映された日本テレビ社制作のドキュメント73「この若き官僚達」、この中で実は大蔵省の大臣官房秘書課の渡辺博史君、大蔵省の資本市場課の塚田弘志君、警察庁の刑事局捜査一課の篠原弘志君、外務省のアメリカ局の北米二課の谷内正太郎君、この四人が出まして、司会者は映画監督の岡本愛彦さんの司会で始まっておるわけなんですが、いろいろと先ほど申し上げました出席した四人の若手官僚が現在の官僚機構に対してそれぞれの立場から意見を論じ合っておる。その中で外務省アメリカ局の先ほど申し上げました谷内正太郎君が、自分たちの生活が庶民と全く変わらないということを主張するために、特殊部落的に見てほしくないと差別発言をしておるのです。
 加えて申し上げますが、先ほど申し上げましたいろいろの雑誌や書籍、新聞、その中で特殊部落ということばが出ておるのです。この特殊部落ということばはそれぞれの立場で使いこなしておるのですが一もともとこの特殊部落という差別用語というものは明治四十年に政府がつくった差別用語です。これが将来問題になっておる。そうして特殊部落ということばが差別用語であると…うことで使わないようになっておるのは御案内のとおりです。そういうことばがこの中に出てきておる。そうして四月十九日の日にはそのような放映されたわけでありますから、全国の国民が見ておるわけであります。そうしてこれはたいへんなことやということで、四月の十九日の日に日本テレビの責任者を含めて、この晩、放映の中で出演しました司会者の岡本さん、あるいは、出席いたしました、先ほど申し上げた四名の若手の官僚を交えてそのことがあったかどうかということを確認したところであります。そこで、そういうことがあったということを全員が一致して確認をしておる。
 そこで問題になるのはこの発言をした谷内君でありますが、谷内君は、先ほど申し上げましたように、国家公務員を特殊部落的に見てほしくない、こういうように発言をした。発言をすればその司会者の岡本さんが――岡本さんというのはかなり進歩的な考え方を持った人であります。あとで悪かったということで自己批判書が出ておるわけなんですが、けれどもその場では、にやっと笑ってうなずいた。この場面に出ているわけですね。そのことも岡本先生自身が肯定されておる。他の公務員四人の者は、これはあとで聞きますとそういうことをあまり深く関心を持たないで聞き流しておる。そんなことを言うたのか言わなかったのか、ああそうだった、言うておったなという程度で聞き流しておる。ここらが私は問題である。もちろん、そういうような内容を、どうせなま放送でないわけでありますから、日本テレビ自身も十分吟味をして放映しなくてはならないわけですが、そのまま吟味をしないで放映したという。これは日本テレビの責任もあろうかと思いますが、この場に臨みました公務員も公務員である。このようなことで事済まされないわけです。私は個人を追及するというような考え方は全然ない。そのような差別発言をする公務員が出た外務省全体の問題として、外務省は、このような部落問題につきまして、一体どういうように職員に徹底して啓蒙活動をしているのかということがわからない、研修活動しているかということもわからない。あるいは聞き流したという大蔵省もしかりでありますし、警察庁自体もしかりであります。この際、警察庁あるいは大蔵省あるいは外務省、人事担当の者が来るように言うておいたわけでありますが、この事実というものを認められるかどうか。認められた上に立って、いままで、そのようなことが起こらないように、なぜ研修その他を通じて努力をしなかったか、それをひとつそれぞれの各省の人事担当者からお答え願いたい。
○浅尾説明員 お答えいたします。
 ただいま先生の御指摘の件につきましては、四月の民間の討論会で外務省の職員が質問に答えまして、官僚というものは外から非常に特権官僚に見られているということを説明するために、いま先生の御指摘のようなことばを使ったのは事実でございます。それで、その件が起きました直後、代表の方々との懇談がございまして、その際に本人が、まことに申しわけないということを申し上げました。
 それから外務省といたしましては、その直後の課長会議においてこの事件を取り上げまして、部落問題について今後誤解のないようにということを課長会議で申し合わせまして、各課員に周知徹底させるようにという措置をとりまして、同時にまたその他の会議の席上でも同じような措置をとっております。
○和田(貞)委員 大蔵省、警察庁来ていないのですが、これはくどく言いませんけれども、大蔵省のほうも、先ほどありました、秘書課長も来れないんだ。何を質問するかということを事前に通告しておるのですが。部落問題だということで具体例をあげて言うておるわけです。私は、内容がわからなかったらしようがないけれども、これはくどくは言いませんが、この問題について、自分のところの省の中から一人出した、二人出した、これは国民の皆さんにまことに申しわけない。もともと同和事業というのは、先ほども申し上げましたように、同対審答申ではっきりうたわれておる。国民的な課題である、国が最も責任を持たなくちゃならない、こういうことになっておる。その国が責任を持たなくてはならない行政を担当するところの公務員の中から、こういう差別発言をするような者が出てきたりするならば、これは大臣自身がもっとえりを正して、申しわけないという気持ちにならなければいかぬと思う。そうすれば、何を差しおいても、外務大臣なり、あるいは警察庁の長官なり、あるいは大蔵大臣なりがここへ来るべきです。そのことができない、そのことがやれない、ここらあたりから、何ぼでもこのような第二の公務員の差別発言というものが出てくるということは疑う余地もない。上に立つ者がそういうような姿勢のない限り、いかに形式的に、ことばだけで、一生懸命にやっています、徹底しています、研修もやっておりますと何ぼ言うたところで、これは姿勢の問題です。その点はひとつ、警察庁長官なり、あるいは大蔵大臣なり外務大臣なり、その姿勢の点について、この機会をおかりいたしまして私は厳重に抗議をしておきたいと思う。
 さて、総理府のほう、副長官お見えになっておりますが、こういうような公務員や各省で出てきておる。まだ表に立っているからなんだけれども、表に出ておらないのが、数えればまだまだあるのです。地方にまで行けば何ぼでもあるのですからね。総理府長官が、これはどうしてもやらなければいかぬ、一生懸命やってるんやということをいつも言うておられますが、やっておってもこの程度なんですから。この機会に総理府としても、同和事業の窓口でありますから、各省の大臣を通じまして全公務員に、このようなあやまちを二度と起こさない、絶対に起こさない、こういうような立場に立ってこれからどういうように対処していくか、決意のほどをひとつお聞かせ願いたい。
○小宮山政府委員 先生の御質問よくわかります。ただ私などは関東、東京育ちでございます。社会党の八木一男先生なども東京で育っておられて、いろいろ同和問題でお話をいたしておりますけれども、同和問題というのは、私も同じでしたけれども、八木先生も衆議院議員になって初めてわかった。特に関東以北になりますとそういう事情がございます。しかし、国家公務員が同和問題について無関心であってはいけない、そういうことで終始徹底を今後とも誠意、努力をもってやっていきたいと考えております。
 政府といたしましても、同和問題の理解を深めるためにいろいろなことをやってまいりますけれども、特に一般国民に対しては、同和問題講演会の委託費とか、あるいは行政関係では各省の職員に対する研修、あるいは都道府県職員に対する研修等も、予算を計上いたしまして逐次やってまいりましたので、今後ともその方向で、かかる事態がなくなるように全力をあげて努力いたしたい所存でございます。
○和田(貞)委員 そのような形式的なことじゃなくて、たとえば先ほどあげました谷内君も部落のことはよく知っているのですよ。聞きましたらよく知っている。そして聞き流した他の三人の公務員もよく知っている。特殊部落ということばも差別用語であるということをよく知っておる。けれども、先ほどちょっと御報告があったように、谷内君が、自分ら官僚というものはそういう特別な立場ではないんだということを強調したいあまりに、不用意な発言だったがついうっかり口に出てしまいました、こういうように本人が言うておるわけなんです。使ってはいけない差別用語であるということをわかりながらつい口からうっかり出てしまいました。私は差別はやりませんということをよく皆さんは言われるわけなんですが、これは何といいましても、やはり社会意識としての部落観念というものが潜在しておる、だからこそ出てくるわけなんです。そのようなことがあるのですから、ただ一生懸命やりますというのじゃなくて、もっと具体的に、全公務員が徹底してこの部落問題について研修ができるように措置を講じてもらわないといかぬ。ただ幹部だけが集まって研修するとか、あるいは部下には課長を通じて言い伝えるとかいうんじゃなくて、機会をとらまえて全公務員がこの問題について研修する。研修についても、講師の選定を誤らないように、たとえば部落解放同盟という組織があるわけなんですから、そういう組織とも相談をしながら講師を常に選定していくというような配慮もしながら、ひとつ総理府に音頭をとってもらって、全職員に徹底してもらうようにお願いしたいのです。その点、総理府どうですか。
○小宮山政府委員 行政官庁については、各省職員に対しては総理府が人事課長会議を持っておりますので、これを通して趣旨徹底するようにいたします。都道府県職員に対しては、自治省を通して趣旨徹底するように今後とも努力いたします。
○和田(貞)委員 法務大臣どうですか。先ほど申し上げましたように、マスコミの雑誌、あるいはいろいろな書籍、それからテレビ放送、いろいろと具体的にあげましたように、こういうマスコミが不用意にテレビに乗せる、新聞に載せる、雑誌に載ったというようなことがあったら、これは公務員という限られた範疇でもなかなか研修、徹底もしにくいわけなんですから、これはそういうようなことをほっておけば、一億国民の中に差別をまき散らしているわけです。そうして雑誌、書籍の中で差別意識をよけいにかり立てて、社会に差別をよけいに多く持ち込むという結果になるわけなんですからね。こういう点について、やはり法務大臣としての立場で、これは言論の自由や、出版の自由や、表現の自由やということはさておいて、事、差別問題であり人権問題である以上は、これらについて何らかの手を打ってもらわなければいかぬと私は思うのです。ひとつ大臣の御見解をお聞きしたい。
○田中(伊)国務大臣 いま総理府の副長官から御発言がありましたように、総理府を中心として全政府の職員に差別的観念の払拭できるように、いやしくもそういうことばはタブーだということが念頭にちゃんとおさまるように、これは差別観念というものがだんだん徹底してこないとそうはならぬわけですね。これは先生のお説のようです。それをぜひやっていただくということが一つ。
 それからもう一つは、政府職員に徹底するということも当然でありますけれども、もっと大事なことは、全国民にこの差別観念がなくなるようにしていかなければならぬ。それには法務省の責任が重大でございます。ちょうどだだいまも、社会を明るくする運動を今月一日から今月一ぱいやっております。人権思想というものを高揚していくようなことも、社会を明るくする運動のうちの一環でございます。そういうことでございますので、あらゆる機会をとらえまして一人権思想の高揚ということに、法務省人権擁護局を中心といたしまして展開をしていきたい、こう考えるのであります。
○和田(貞)委員 これはあわせて、マスコミだとか出版会社、そういうところにも言論の自由を保障しなければいかぬからとか、表現の自由を保障しなければいかぬからということで事を済ませられる問題と違いますよ。これはやはり何らかの手を打ってもらって、そういうことについてはないようにということはしてもらわぬと困ると私は思うのですが、これはどうですか。
○田中(伊)国務大臣 人権高揚の見地に立ちまして、全国民にそれが徹底するように、なかんずく先生お話しのマスコミ関係のものにこれが徹底していきますように努力してまいりたいと思います。
○和田(貞)委員 申し上げましたように、少なくとも同和事業を進める最大の責任をになう国の機関、そこで働く公務員から一切こういうことが出ぬように。出るということは、先ほども申しましたように、大臣を先頭として各省の全体に部落問題についての不認識さがこのような事件を発生する原因をつくっておるんだということをもう一度かみしめていただきまして、法務省、総理府、各省、ひとつこういうことのないように徹底化をお願いしたい、こう思います。
 さらに電電公社に来てもらっておるわけなんですが、この公社の職員の中にもこういう問題が出てきた。電電公社の高円寺電話局長は、全国で女性の電話局長さんが一人だけだというように聞いておるのですが、それだけエリートの女性の方、影山裕子さんという方ですが、この方の著書の「女性の能力開発」という本があるわけです。その本の中に、先ほどと同じように、悪の代名詞として特殊部落という差別用語を実に十四回使っておる。こういう問題が出ているわけです。これも、彼女のこの発想というのは、女性というのはお茶くみに使われたり一人前の仕事を職場の中でなかなかさせてもらえないという中で、女性をやはり男性と同じように責任をもって仕事をやろう思ったらしていけるのだということを誇張するあまりに、あちらこちらにこの特殊部落というこの表現が使われておるわけなんです。このことにつきましては、これは近畿の通信局のほうも、この点については十分悪かった、何とかせなければいかぬという、こういうことになっておるわけなんですが、これは近畿の通信局の管内だけの問題じゃなくて、やはり全体の問題でありますので、きょうは電電公社の本社のほうから代表者に来ていただいておるわけです。
 近畿の管内でこういう問題が起こったわけなんですが、電電公社としてこの点について、近畿の問題だということだけじゃなく、電電公社全体の問題としてどういうように対処をされていったか、経過をお聞きしたいと思います。
○山本説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の公社職員であります影山裕子氏の「女性の能力開発」という著作は個人的な著作ではございますけれども、その中に問題となる用語が使われておりましたことは事実でございまして、公社としてはまことに遺憾だというふうに存じておりまして、本人に対しましても厳重に注意をいたしますとともに、公社全体といたしまして、同和問題についての正しい理解と認識をさらに一そう職員全体に徹底させるような措置を早急にとりつつあるところでございます。
○和田(貞)委員 これは電電公社の中に影山さんの発行したこの本がかなりまき散らされておると思いますけれども、その点はもう回収されましたか。
○山本説明員 この著書は、題名の示すごとく女性の能力開発ということで、一種の経営管理的な著書でもございますので、ある程度職場等にも配付をいたしておりますが、こういった問題もございましたので、早急に回収をいたしております。
○和田(貞)委員 公社のほうも、先ほど公務員にも同じことを言うているわけなんですが、電電公社というのは、先ほど申し上げましたように、中村君の事件も近畿で起こったのですし、今度はこれも起こっているわけですし、それからもう一つ、次に言う問題もあるわけですから、少なくとも職員に対しましては、こういうことが出ないようにかなりの徹底した研修をやってほしい。かなりの研修をやってほしい。それにはあなたのほうには労働組合があるわけですから、労働組合ともよく相談をして適切な措置を講ずるとか、あるいは部落解放同盟の諸君と相談して適当な講師を選定していただいて、これもまた公務員と同じように、公社職員が徹底して部落問題に取り組む、こういう姿勢を示してもらうために、ひとつかなりの力を入れた研修会を繰り返すということをやってほしいと思うのですが、その点はどうでしょう。
○山本説明員 御指摘のように、この問題について労働組合とも十分話をいたしました。組合のルートを通じまして、あるいは公社側のルートを通じて十分趣旨の徹底をはかりますために、担当者を指定いたしまして事務連絡の協議会みたいなものをつくるとか、あるいは研修会みたいなものを開催するとか、いろいろなくふうをいたしまして、職員全体にその趣旨が徹底するように努力をしてまいりたいと思います。
○和田(貞)委員 先ほど申しましたように、彼女自身一人をけしからぬというてみても始まらぬわけですね。彼女自身も、けしかることはないわけで、けしからぬですね。彼女自身がこの特殊部落ということばをどういうように理解しているかということです。人間並みの取り扱いを受けていない特殊な住人だと、そんなような認識しか持っておらないのでしょう、彼女は。そういう認識しか持っておらない彼女が、特殊部落ということばを使って本を出して、それをかなり回収されたらしいですが、ばらまかれて、それを読んだ人がだれ
 一人となく、これはおかしい、これはふしぎや、これはけしからぬというた者がこの公社の職員の中にだれ一人として出てこなかった。そこらがやはり問題なんです。こういうことで、いま言われましたように、かなりの力を入れてこれはやってもらわないと、かなりおくれていると思うのです。いま言われましたように徹底した研修を繰り返していくようにひとつお願いしたいと思うのです。強く要求しておきたいと思います。
 せっかく電電公社の方が見えておられますので、東京の版も同じことですが、各局で電話帳を発行しているわけですね。アイウエオ順で出したやっと職業別で出したのを発行してますね。職業別で発行した電話帳は、電電公社は広告を取っておるんですね。そしてこの広告というものはたいへんなものです。東京で発行した電話帳を見ていただいてもけっこうですし、これはどこの局でも同じことですが、必ず職業別の電話帳の中に興信所という商売がある。結婚相談所もそうであるし、探偵社ということばを使っておるところもありますけれども、この興信所という商売の広告がかなり多いわけです。おそらくその広告の中で一番多いといっても言い過ぎじゃないくらいに多いです。
 しかもそれが、これは大阪の局のものを集めてきただけでもこれだけある。東京の場合だったらもっとありました。これがことごとくこういうように興信所の看板。結婚、身元あるいは、はなはだしきになってきたら、人間を犬、ネコと同じように血統という。血統あるのですか、ここにいるみんな。身上、特殊調査というのはどういうことですか。家柄。ほとんどの興信所の看板には結婚ということばがありますけれども、血統ということは、特殊ということば、家柄ということば、身元ということば、これはかなり多いですよ。しかもその中でも、たとえばここに載っている関西ピオ探偵社というこの広告の中には、もっと細部にわたって、遺伝、血統、原籍、本籍の土地柄を徹底して調べます。それから出身、職業、血統、これを祖父母、曾祖父母、高祖父母まで調べます。あるいは五代以前の先祖から血統と職業を調べますと御丁寧に書いてある。これは明らかに差別ですよ。先ほども申し上げましたところの中村君の事件、あるいはその他の事件、死に追いやった事件、これがみんな興信所が中に入っておる。興信所が中に入って、部落の出身青年であった、部落の出身の女性であった、こういうことを興信所が明らかにして青年や婦人を死に追いやっておるのです。この興信所という職業は、官庁の許認可事業じゃございません。許認可事業じゃございませんが、いま申し上げましたように、この差別事件には必ず興信所がかかわり合っておる。
 そこで、血統とか、結婚だとか、特殊だとか、そういうようなことをわざわざ書いた広告を、まず電電公社のほうにお尋ねしたいのですが、こう
 いう広告が出てくれば、原稿そのまま、吟味しないで、何でもかんでも、何が書いてあっても載せる、そういうやり方をしておるのですか、どうですか。
○山本説明員 電話番号帳の広告は、ただいま職業別の電話番号帳に広告を集めまして、これに掲載をいたしておるわけであります。
 なぜ広告をとるかと申しますと、番号簿を発行いたしますのに、相当多額の経費を必要といたしますので、公社といたしましては、できるだけそういった面での合理化をはかりたいということで、広告収入でもって電話番号簿の作成をまかないたいということでやっておるわけでございます。これは諸外国においても同様でございます。
 そこで、ただいま御指摘の広告の内容でございますが、これは広告を掲載希望をする企業等のつくりました広告案文というものをもとにいたしまして、片一方、公社で一定の広告基準というものをつくっておりまして、その基準に合致しておるかどうかを審査をいたして広告掲載をいたしてきたわけでございます。ところが、先ほど御指摘のような問題もございまして、興信所の広告内容というものが同和対策審議会の答申等の精神に沿わない、相反するものもある、こういうふうに考えまして、ただいま御説明申し上げました広告基準の細目の中に、答申の精神に沿わないものは広告をしない、こういうように基準の改正を早急に取り運びたいということでただいま準備をいたしているところでございます。
○和田(貞)委員 いま言われましたので、それでけっこうですが、ひとつ次の発行する電話帳からやはり中身は吟味してくださいよ。あなたのほうも収入をあげなければいかぬのだから、載せてあげないというわけにいかぬから、やはり載せなければいかぬけれども、先ほど指摘したように、だれが見ても差別をまき散らす、そういうような表現が載っておるような広告は吟味して、これはやはりひとつ遠慮してください、これはこういうような表現に変えてくださいというぐらいの親切をもって中身を吟味して、ひとついま言われたように処理をしていただきたい。
 それから差別の……(発言する者あり)あなた何を言っているの。差別事件を言っているのだ。何を言っているのだ。これでいいというのか、それなら。(「見解が違うのよ」と呼ぶ者あり)何が見解が違うのか。どこが違うか、言うてみい、それなら。(「ちょっとくらい書かなければ広告にならぬじゃないかという話を……」と呼ぶ者あり)
○三原委員長 不規則発言をやめてください。
○和田(貞)委員 内容を言うておるのだ。内容に差別があるから言うておるのじゃないか。差別しろというのか。(「質問せい」と呼ぶ者あり)おまえ、横にいて、だまっておれ。内容が違うんじゃ。
○三原委員長 不規則発言をやめてください。
○和田(貞)委員 こういうのがおるから困るんだ。こういうのがおるから……。
 法務大臣、電電公社はそういうように取り扱ってもらうといういまあれがありましたけれども、先ほどの書籍会社、出版会社にもやはり指導してもらうことをお願いしたわけなんですが、この興信所にも、職業の自由ですから、私はそう立ち入ってもらいたくないと思いますけれども、やはり興信所が、申し上げておりますように、差別事件を起こす一つの大きな要因になっておるということから、許認可事業じゃございませんけれども、人権擁護を担当する法務局として、かなり何らかの行政指導をこれはお願いしたいと思うのですが、これはどうですか。
○田中(伊)国務大臣 人権擁護行政のたてまえ上たいへん重要なことと存じまして、昭和四十五年以降順次行政指導的な努力をしております。事務当局からちょっと御説明をさせます。
○萩原政府委員 ただいま大臣が御答弁なすった趣旨のとおり、去る昭和四十五年四月に全国の各法務局、地方法務局ごとに、法務省人権擁護局及び全国人権擁護委員連合会、この両者の名義をもちまして、各法務局、地方法務局管内ごとの各業者、興信所に対しまして、「特定の者が同和地区出身者であることを知らせる行為は、差別事象の発生を助長するおそれがあることにかんがみ、同和関係者についての調査報告は行なわないよう格段の配慮を願いたい」という趣旨の要望を行なっております。その後も必要に応じましてこの要望を繰り返しております。私ども人権擁護局といたしましては、今後ともこの種の啓発活動について積極的に取り組んでまいりたい、このように存じております。
○和田(貞)委員 ひとついま言われましたようによろしくお願いしたいと思います。
 もう一つ、三年来法務省のほうにお願いしていることで解決できていない問題として、いわゆる壬申戸籍の管理保存のための保管倉庫、これをやはり何とかしてもらわないと、使っておらないとはいうものの、不用意に何者かが閲覧するということもやはり回避できない。これは三年来のお願いです。まだできていない。ことしの予算もなかった。これはいつになったら解決できますか。これはもうあなたのほうで何とかしてもらわないと、やってもらうところはない。来年何とか大上段に振りかざして予算措置を法務大臣どうですか。できますか。
○田中(伊)国務大臣 壬申戸籍の保存のやり方でございますが、一切、こんりんざい閲覧を許しておりません。厳格にこれを保管しておる。しかし先生仰せのように、理想を言いますれば、これを保管せにゃならぬものかどうかということに幾らか問題ございますけれども、保存をする以上は、特別の設備を建設しまして、その中にこれを納めておくということであると、まあたいへん安心は安心ですね。現在でも、いかなる事情があっても外には出さぬ、これはもう断じて閲覧を許さぬという、事情のいかんにかかわらず徹底してございますから、実際は心配はございません。しかし、先生仰せのように、ひとつ特別の倉庫をつくって保存をしようということも重要な意味があると思いますので、これはひとつ検討いたします。
○和田(貞)委員 これも、使わないのだから、要らないのだから焼いてしまえというようなことでは、これは民族の歴史ということになるわけですからね。だから、使う使わぬということと、保存するということと、これは別ですから、これはひとつ、いま言われるように検討してもらって、できるならば、ぜひとも来年の予算編成の中でがんばってもらって、ひとつ四年目に保管倉庫ができるように何とか努力してほしい。
 あわせて現戸籍の書きかえ、これもたいへんな市町村は経費がかかるわけですが、これらに対してもやはりかなり予算を確保してもらって、市町村に予算を流してもらうというようなこともひとつあわせてがんばってくれますか。
○田中(伊)国務大臣 いままでもだいぶいろいろ検討をしてきておる事柄なんですね。一定の文言の上に紙を張ってリコピーにかけると、紙を張っておることはわかるわけです。そこでこういう問題も全国的に書きかえる。これはなかなか先生、容易なことではこの書きかえができない。これはえらいことです。そういうことでございますので、一部書きかえなどということでは意味をなさぬ。全面的な新しい戸籍の書きかえということを、機械ではいけない。機械ではみなものが残ります。隠したら隠したところが残っておるということ。ですから全面的に肉筆をもって書きかえる、あるいはタイプをもって書きかえるということ以外にございませんので、容易ならざる事業でございます。それから、ちょっとびっくりしてひっくり返るぐらい予算もかかる。簡単にはいきません。ということでございますので、これも政府に財政のゆとりがだんだんできてくるに伴いまして、これはひとつものにしたい。お考えのとおりにこちらも考えておるわけでございます。引き続きこれも含めて積極的に検討してみたいと思います。
○和田(貞)委員 その点もひとつよろしくお願いしたいと思います。
 この間たしか民社党の受田委員が質問の中で触れられておったのですが、人権擁護委員の手当の問題。人権を尊重せなければいかぬのに、人権を全然無視した手当しか人権擁護委員に出しておらぬとこの間指摘しておられましたが、私もひとつ費用弁償もこれは気ばってもらいたいと思いますけれども、私は費用弁償もさることながら、人権擁護委員の選出のしかたですね。これは部落問題オンリーじゃありませんけれども、人権問題には部落問題が数多いわけでありますから、委員の選出については、部落問題に理解をしてもらえる人、そういう人たちが人権擁護委員に選出されるような、選出についての御配慮をひとつお願いしたいと思うのですが、この点はどうですか。
○田中(伊)国務大臣 おことばのとおりひとつ苦心をしてみたいと存じます。人権擁護委員は、委員の性質上、幾らか若い人を希望するということがございます。けれども、あらゆる人生の経験を積んだ人でないと、強制力を持たない、人権高揚を目的にする人権擁護委員の仕事というものはなかなかつとまらぬということから、幾らか年輩の諸君がこれにおつきになっておるということもございます。
 しかし先生仰せの角度は、いま私の言うておる角度とはまた別の角度でありまして、同和問題に心から同情と理解を持っておる人物、そういう人物をぜひ選ぼうというお考えはよくわかりますので、この点は努力をいたします。
○和田(貞)委員 それもひとつお願いしておきたいと思います。
 それから、これは大臣御案内のとおり、私たちはあえて狭山差別裁判ということばを使っているわけなんですが、九年間も無実の罪を受け受刑者となっている石川一夫君は無罪であることを確信していますが、これは最終的には最高裁で明らかになることでありますが、ややもいたしますと、部落の青年であるから、部落の出身であるがためにこういうことをしたのではないか、ああいうことをしでかしたのではないか、こういうことが警察にも検事にも判事にもないとはいえない。一般公務員に対するところの研修を、先ほど総理府や各省のほうで、あるいは法務大臣のほうで強い決意を述べていただいたわけでありますけれども、この際判事、検事に対しても、何らかの措置を講じてもらう必要があるのじゃないか。ややもいたしますと、判事も検事も、事、部落問題につきましては、かかわるとうるさい、素通りしておこう、そして法のもとには平等なんだ――たとえば、いま神戸で係争中の差別発言に原因をした傷害事件かあるのですよ。差別発言があったのでかっとしてこの傷害事件になった。あほうと言われたからなぐり返したという性格のものとは違うのです。先になぐられたからなぐり返した、だから法のもとに平等だ、どっちも悪いのだ、こういうことと違う。差別発言があったのが原因で傷害事件になった。そうすると、差別発言があった、部落問題については素通りしておこう、そっとしておこう、横に置いておこう、そして法のもとに平等だ、これではあまりにも部落問題についての認識が欠けておると思う。ややもいたしますとこういうようなことがありがちでありますから、検事にも判事にも、司法権が分立しておるわけでありますからどうこう言えないわけでありますけれども、ひとつ機会がありましたら、法務大臣のほうから最高裁長官のほうに、何とかこの点、国会でも問題が出たのだということで、最高裁長官のほうから全国の裁判所のほうに、強力な通達、指示をしてもらって指導してもらう、あるいは機会をとらまえて研修してもらうというようなことをできたらお願いをしてほしいと思うのです。その点どうですか。
○田中(伊)国務大臣 私の所管である全国の検事に対しましては、長官会同その他を通じまして御説の趣旨を徹底したい、これはあたりまえのことであります。それから、裁判所はうかうか私からはさわれませんが、裁判所とはたいへん仲よしでよく連絡がございますので、私から長官、事務総長にこのことを申達いたしまして、裁判官に一々訓辞めいたことを言うわけにもまいりますまいが、裁判官の教養の一つとして、差別観念というものはこう取り扱うべきものだということは大いに言うてもらってよいことであると存じますので、私が連絡をいたします。
○和田(貞)委員 時間がありませんのでもう終わりたいと思いますけれども、最後に私は二つほど意見を言うておきたいと思うのですが、ぜひともひとつ検討してもらいたいと思います。
 一つは、やはり国民の窓口として、法務省に同和対策室という、同和問題について持ち込まれる窓口をつくってもらう。それからまた、予算の折衝の窓口、あるいは先ほど申し上げましたような全公務員の研修の窓口として総理府に同和対策室。この同和対策室という機構を法務省と総理府のほうでつくってもらうことを、これはいま御答弁は要りませんけれども、ひとつ早急に検討してほしいと私は思うのです。その点ひとつ強く要望しておきたい。
 それからもう一つの要望は、論外でありますからここでは言いませんが、実は自由民主党の機関紙自由新報四月十日号、これは読んでいただいたらわかりますけれども、「柳沢騒動」という連載小説がある。その連載小説の中の端々に、「半島系の帰化人よりも、更に低くみられていた日本原住民の末裔ゆえ」ということばが出ている。あるいは「原住民系の者らの転宗政策をとった。が、千余年の長い血の流れがそうさせるのか失敗におわり、やむなく勢力を削ぐために彼らの利益をあげて居る製革業を弾圧せんと、憐れみの令を出した」ということがあったり、何々「とは安心したもののやはり気になるのは日本原住系の者どもの事である。これは昭和になっても尾を引き、(民族融和事業会)といったものが、内務省時代には警保局にあったごとく、今でも為政者にとっては厄介なものである。だから元禄時代の柳沢弥太郎が」云々と、こういうことばがあるのですよ。私はここでこれは差別言辞だということは断言いたしませんけれども、こういうようにややこしいことばがある小説が自民党の機関紙の四月十日号に載っておりますので、もしも読んでおられないのであれば、これを一回読んでいただいて、私たちのほうもこの問題はもう少し深く検討して、ひとつ場を改めましてまた論議をする機会があろうと思いますので、その点、要望しておきたいと思います。
 以上をもって、私の質問を終わります。
     ――――◇―――――
○三原委員長 次に、厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川武一君。
○津川委員 結核予防審議会を廃止することについて、少し尋ねてみたいと思います。
 大臣、結核検診が必ずしもよく行なわれていない。学童の検診はよくいくけれども、主婦の方、中小企業の労働者の人たち、自由業の人たちの結核検診があまりいっていないようですが、この原因はどこにあり、どうなさるつもりか、まずここから答えていただきます。
○加倉井政府委員 御指摘のように、大きな企業体あるいは学校等の検診につきましては、かなり検診成績があがっておりますが、一般住民あるいは中小企業の従業員の方々の検診につきましては、期待するほどの成績があがっておりません。これは御指摘のとおりでございます。
 なぜ検診を受けないかということにつきましては、いろいろ原因が考えられますけれども、やはり一カ所で集中的に集団検診の形をとるということが一つの大きな原因ではないかと思いますが、単に結核のみの検診ということにつきまして、やはり最近の結核医療の事情からいたしまして、それほど、一般の国民の方が、結核の重要性と申しますか、結核問題につきまして関心を払わなくなったという傾向にあるということが指摘されると思います。そういう点を私ども少しでもカバーいたすために、本年度から成人病検診の二、三の項目を従来の結核検診に付加いたしまして、成人病検診の一環といたしまして、この検診あるいは受診の成績をあげるような施策をとってまいるつもりでございます。
 それから、従来、学童等の検診におきましては、検診を実施いたしましても実際に発見される患者等は非常に少なくなったわけでございまして、ここいらに重点を置いておきました検診体制を、むしろ、中小企業、零細企業の従業員の方々、あるいは一般住民の主婦の方々にきめこまかく振り向けるというようなことも一つの方法ではないかということで私どもは都道府県を指導してまいりたい、かように考えております。
○津川委員 大臣、いま局長の話を聞いたのですが、伝染病の予防接種をやっても、昼間中やると農村では接種率がうんと落ちる、夜やるとうんと上がる。これは局長が言うように、結核検診だけでなく成人病のものもやると言ってもそうはいかない。中小企業の場合、生活が忙しい、検診しているひまがない、そういうことなんです。あなたたちは、それを、一般検診と成人病検診としてやると言っている。その成人病検診だってそうだ。何ぼ老人であってもそれぞれ仕事を持っている。こういう点で、きめこまかくやると言うが、思い切って、保健所の機能もたいへんだろうけれども、中小企業の皆さんと農村の主婦に夜おやりになってみてごらんなさい。非常によく検診されます。これは厚生大臣、いかがです、考えてみませんか。
○加倉井政府委員 御指摘のように、夜間の検診等におきまして検診を実施いたしますと成績のあがることも、私ども重々知っております。ただ、保健所等の勤務体制の問題もございまして、なかなか私どもの指導によりましてそこまで強力にできなかった点もあろうかと思いますが、御意見の点も十分わきまえまして、今後そういう対象に検診を実施いたします場合には、できるだけ各都道府県におきましても夜間の検診を実施するような指導をいたしたい、かように考えております。
○津川委員 局長は保健所の夜間の検診体制がないからというが、それなら民間の開業医に委託検診してごらんなさい。民間にもやらしているでしょう。やっているでしょう。喜んでやりますよ。だが民間の人はあれだけの資金じゃやれない。きめこまかくやるというけれども、私とあなたとどっちがきめこまかいでしょう。さあ、この点いかがです。
○加倉井政府委員 先生は第一線におきまして実際の診療活動に従事されておりますので、こまかいそういう事情等にも十分御精通のことと思います。私どもといたしましては、全国的に個々の地域を指導するという立場にもございませんので、こまかい点はわかりませんけれども、私どもといたしましては、やはり医療機関を検診に協力させるという意味におきまして、委託検診という制度も採用いたしております。しかしながら、やはり医療機関の利用圏と申しますか、診療圏と申しますのはおのずから限度がございますので、その点は、たとえば移動の可能な自動車をもって検診をするというような体制もとっておるわけでございまして、この自動車を夜間動かすにはいろいろまた先ほど申し上げましたような困難もございまして、できるだけその困難を打破するように今後は指導をいたしてまいりたいと思っております。
○津川委員 少しじれったいですね。そこで、いまここであなたを問い詰めてもしようがないから、思い切って夜間に、そして開業医の先生方に協力していただいて、能力のある開業医がたくさんあるから、こいつを一度検討してみて返事をいただきたい。
 そこで、なぜこうなるかというと、ここに一つの問題があるわけです。結核予防審議会を廃止するというけれども、こういう一線にいる人たち、保健婦さんたちを結核予防審議委員に入れると体制が変わりますよ。この点は考えてみませんか。
○加倉井政府委員 結核予防審議会を廃止するのではございませんで、公衆衛生審議会という大きな包括的な審議会の中で、従来の審議会は部会としてやはりいろいろの問題を御審議いただくという体制になっておるわけでございまして、その審議会のメンバーに保健婦等を加えたらというような御意見もございます。しかしながら、従来の審議会といたしましては、やはり学識経験者、あるいは学者の方、あるいは行政官等をその委員といたしまして、そういう御指摘のようなこともわきまえながら対策等の審議に従事していただいたというふうに私どもは理解いたしております。
○津川委員 廃止しないというけれども、ここにはちゃんと廃止すると書いてある。統合するなんと言っておるけれども。事態にちゃんと答えること。そこで、統合されたとき、あとで砂原委員と秋元委員に参考人として来ていただいて、もう少し後日のとき詰めますけれども、問題はそういうことではなくして、この人たちの意見は、非常に熱心な、たとえば青森県だとあなたたちよく覚えておる鳴海病院、ああいう人たちが審議委員になってくるとこういう具体的な施策が出てくるわけ。この点、統合される、今度は部会になるというが、部会でもいいが、ぼくら部会はいけないといっておるんだが、そこまでは言わないけれども、こういう人たちを何らかの形で政策決定、遂行の上に引き上げるという気持ちはありませんか。
○加倉井政府委員 従来の審議会の委員の方々にも、いま御指摘がございました砂原国立療養所東京病院の所長、その他結核予防会、あるいは労働界の委員の方々も入っておりまして、その先生方は長年結核の問題に携わっておられまして、十分理解をされておるというふうに私どもは考えておりますので、その審議会の今後の委員の構成というようなことにつきまして、また新たな見地に立って検討する場合もあろうかと思いますけれども、現在の段階におきましては、やはり私どもといたしましては、従来の委員の方々の構成で十分ではないかというふうに考えております。
○津川委員 あなたも医師の免許証をお持ち。私もね。そこで、医療行為はどこから発生するか、予防行為はどこから発生するか、医学者、医学と、お医者さん、看護婦さん、保健婦さん、ケースワーカー、こういう人たちは自分たちが学んで修めた学問、そこから出てくるやむにやまれない人道主義、ヒューマニズム、病気の人があれば黙って見ておれないで治療する、これが一つの根源、これはあなたも異論がないと思います。もう一つの医療行為の根源は、おなかの痛い人がおなかの痛みから解放されたい、熱がある人は熱が下がりたい、長生きしたい。もっと端的に言うと、美しくなりたいというのまであるでしょう。こういう人たちが、自分たちで黙っておれないで、その要求を満たすために医者を求める、医学を求める、これが医療行為のもう一つの根源だと思うのですが、この二つのことについて、厚生大臣はこう考えておるかどうか。ひとつ大臣いかがです。
○加倉井政府委員 御指摘のように、医の根源はやはり医師と患者の人間関係にあろうかと思います。したがって、いまお話がございましたように、実際の治療あるいは診断という立場におきましていろいろ問題の処遇をすることもあろうかと思います。また、私どものように、公衆衛生の立場におりまして疾病を予防するという立場もあろうかと思います。しかしながらやはりあくまで医の行為というのは医師と患者の人間関係によって成立するものでございまして、いかにうまくその行為が遂行されるかということを手助けするのが私ども行政官の仕事ではないかと思っております。したがって、医師、それを取り巻くパラメディカルの方々の行為がやはり円滑に遂行されるよう、制度その他の問題の解決に当たるのが私どもの仕事であろうというふうに考えております。
○津川委員 どうも国会の質疑というのは無味乾燥でね。私が端的に聞いているのは、医学の持っておるヒューマニズムと、病気で苦痛に悩む患者の要求が医学の一つの根源じゃないか、これを聞いている。あなたは人間関係だという。答えをすりかえたけれども、それはいいです、あなたも言ったから、医師と患者との関係と。とすれば、患者の側から医療行政に発言を持ったり参加したり、厚生省が医療行政をやるというときに患者の意向を聞くべきじゃないか。結核の場合は日本患者同盟、精神病の場合は自分たちが表現できないから患者の家族の会、この人たちを二つの精神と結核の委員会に参加させるべきではないか、これが一つ。
 それから厚生大臣、こういう人たちの意見を聞いて、厚生行政、予防、治療行政をやるべきじゃないか、この二つ答えていただきます。
○加倉井政府委員 審議会の場合で御審議いただきますのは、私どもといたしましては、主として医療あるいは医術に関する体制、あるいは制度の問題についていろいろ御審議をいただくということになろうかと思います。
 それから、御指摘の日本患者同盟、あるいは精神病者の家族の方々の会の御意見、これはもう機会あるごとに私どもはいろいろ御意見を伺う機会もあるわけでございまして、そういうものは当然、私どもといたしましては、別な形で伺ったほうがいいんではないかというふうに考えております。審議会というような公式の場で伺うよりも、むしろ日常の業務の間にお聞きするほうが、私どもといたしましては、より具体的な施策が生まれるのじゃないかというふうに考えております。
○津川委員 だからあなたの答弁がおかしいところが出てくる。医療行為を起こすのは、学問や医学の持っておるヒューマニズム、それを国家行政として実現するのはあなたたちの仕事。もう一つの根源は患者だとぼくは言っているでしょう。あなたもそれは認めているわけだな。こちらのヒューマニズムは、医学や科学がどんなにやっても患者の見落としがある、かゆいところがある、ここに手が届かない、これをその患者の運命をきめる審議会に入れないでおいてどうして問題が完全になるか、こういう立場なんです。この専門的なことはあなたから聞く。それから、患者の側の意見をどのようにして行政に参加させるつもりであるのか、これは厚生大臣から聞きます。
○齋藤国務大臣 結核の審議会の審議委員の中に患者さん方の代表を入れたらどうか、こういったふうなお尋ねのようでございますが、局長が答えておりますように、この審議会というのは、結核についての医学、医療、さらにまた、結核のそういう対策についての専門の方々の御意見を承る会でございまして、私も、結核の患者の方々の御意見を聞くということについては、やぶさかでありません。
 私も実は、昨年十二月大臣に就任いたしまして以来、結核の日患同盟といいましたかな、二度ほど代表の方にお目にかかりました。それで、言わんとすることも、私も十分承っております。しかし、この前お目にかかったときには、そのうしろには最後に、健保改悪反対、こう書いてあるんですね。健保改悪反対、こういうことは、結核の審議会の委員としてそこまで聞く必要があるのかな、だから、おまえさん、こういうことはいい、食費をどうしてくれとかいろんな話はよしわかる、けれどもこの一項だけは気に食わぬよ、というようなことを私は言うてやったことがございます。私はっきり申します。だからよけいな――よけいなというんじゃないんでしょう、その人の立場においての個人的言論の自由でしょうから。けれども、そういうことにばかりもし力が入ってくる意見ならば、これはまた別な立場において聞くべき審議会があるわけです。社会保険審議会といったふうなものがあるわけでございます。そういうわけで、結核の対策あるいは結核の治療、医療、あるいは日常の食事、こういうことについて聞いていることについては私は十分意見を聞いております。
 実はこの前も日患同盟の方に言いました、私も昔、結核をやったことがあるんだよと。結核の治療において栄養の大事なことは非常に私も理解している。どんどん聞いているのです。聞いておるが、そのことが審議会に入れなければならないという理屈にはならぬのではないか、こうも考えておるわけでございます。しかし私は、態勢としては、その結核の患者の方々の日常の生活、あるいは病院、診療所等に入って生活している上においてのいろいろな悩み、これは聞いてあげる必要があると思います。聞いてあげることは当然である、私はさように考えております。しかし、そのことがすぐ結核に関する審議会の委員にしなければならないと、そこまではちょっと結びつかないんじゃないかな、こういうふうに私は率直にいうて考えております。
○津川委員 齋藤厚生大臣、いまの発言だいじょうぶですか。というのは、あなたたちはあなたたちの言うことを聞く人だけを委員会の委員にする、こういう立場にとってよろしいんですか。皆さんが現在持っておる精神衛生の委員の中に、結核予防の委員の中に、健保改正反対の人はありますよ。この点は、あとで参考人として呼んだ人の意見を聞いてから、もう一回いまの大臣の発言は問題にしてみます。
 そこで大臣、そういうことからどんな結果が出ているか。いま結核患者が治療されているかということ。保健所へちゃんと活動性の患者として登録されている人が、十数万人治療を受けていませんよ。広範な空洞がありながら自宅療法にとどまっている人たちが一万をこしています。こういう形で、現実に空洞を持って治療しなければならぬ人、しかも皆さんの委員会がはっきり意見具申しているでしょう。一応化学療法でなおせる人、外科療法でなおせる人、こういう人たちが九〇%もこす、化学療法でも手術でもなおすことのできない重症患者は一〇%以下だ、なおせば九〇%はなおせるということはこの審議会の委員会があなたたちに上申したでしょう。だが現実になおしているかということ、治療しているかということです。これはどこに原因があるか。これは患者の意見が入ってないからです。こういう人たちがなおってない、治療してないというのは、どうしてここに原因があると考えておりますか。
○加倉井政府委員 個々の患者のいわゆる処遇につきましては、これはやはりその患者さんの置かれたいろいろの立場がございます。したがって、私どものほうの原則といたしましては、医者が患者を治療するという基本的な原則、その原則を実現するには、やはり患者さんにつきまして、一人一人非常にケースが違ってまいると思います。そのケースをいかに治療に結びつけるかということの実現に努力するのが、私ども、保健婦あるいはケースワーカーの仕事であろうかと思いまして、そういういろいろの個人におきます治療を受けない原因の除去ということにつきましては、これは審議会の事項ではなく、むしろ個々のケースをいかにうまく治療に結びつけるかということの仕事の問題であろうかというふうに私どもは理解いたしております。
○津川委員 ここで学問的論争をするつもりはちっともありませんけれども、結核の治療学というのは、薬のことも、手術のことも、いろいろ体温をはかったりすることもありますが、その人のいま生きておる生活環境と関連していく学問、社会医学的な学問、これは委員会の中でも二つ意見を持っておるでしょう。厚生省は、医学的、薬学的、手術学的、こういうものだけで結核が片づく、こう考えておるわけですか。
○加倉井政府委員 決してそういうふうに考えておるわけではございませんで、ただいま申し上げましたように、その患者が治療をしない原因の除去、いかにうまく治療に導くかということが、先生のおっしゃるあるいは社会医学かとも存じます。しかし、やはりこの問題は、一人一人の患者の置かれましたいろいろの境遇その他社会的な処遇と申しますか、社会的な環境に原因するところがあろうかと思います。それは一律的な施策ということではなくて、個人個人の問題の解決ということに私どもはやはり努力をしなければならない、かように考えております。
○津川委員 個人、個人という、まあそのとおりのこともあるかもわからぬ。この個人、個人の事情を、だれが見つけて医療に結びつけるか。いまの医者の不足、結核専門医がむしろ減少しつつあるかもわからぬ。この情勢においてはさか立ちしてもできない。これをやるのが保健婦。保健所の保健婦が足りなくてどうにもならない。それであなたは個々の問題を解決するという。保健婦をいまの三倍ぐらいふやしてみませんか。お医者さんと患者さんとぴったり結びつきますよ。この点はいかがです。
○加倉井政府委員 私どもといたしましては、保健所の保健婦はもちろんそういう問題に従事しなければならないというふうにも考えておりますし、また、そのほかに国保の保健婦という制度もございます。したがって、国保の保健婦と保健所の保健婦がうまく連携をとれるような体制をつくるということも、これは私どもの仕事ではないかというふうに考えておりますし、やはりそのほかにいかに医師と保健婦との間の連携をうまくつけてやるかということも、これも非常に必要なことであろうというふうに考えております。
○津川委員 お互いに、いいとか悪いとか抜きにして、質問にそっくり答えましょう。私は保健婦さんを三倍ぐらいにふやしたらどうかと言っている。あなたは保健所の保健婦と国保の保健婦と結びつければいい、こういう考え方なんだ。もう一回答えてください。
○加倉井政府委員 保健所の保健婦をいま三倍にするということ、これは保健婦の養成の数から申しまして、やはり一挙に実現することはできないと思います。したがって、当面といたしましては、いま申し上げましたような国保の保健婦というものも市町村に在留いたしておりますので、したがって、そういうものも活用してというお話でございましたので、補足させていただきました。
○津川委員 あなたの答えから、ふやすということばが出てこない。三倍は無理だ、だからせめて〇・五倍でもふやすというなら、これは話がわかるけれども、国保の保健婦と直結をさせるだけなんです。もう少しふやすために努力してみませんか。
○加倉井政府委員 いわゆる保健婦養成所の数をふやして保健婦の数をさらに全国的に増加させることは、これは非常に必要なことだろうと思います。これはまた医務局の所管でもございますので、医務局のほうにも十分私どもの意のあるところを伝えて、保健婦の養成に努力してもらいたいというふうに考えております。
○津川委員 保健所はあなたの管轄でしょう。だから、保健所の保健婦をふやすために医務局とも相談して計画を立てて、私たちのところへ、後日でもいいから提示していただきたいと思うのです。そうしないとなかなか詰まらない。
 そこでもう一つの問題は、結核予防法の三十五条の強制収容である。これで、いろいろなめんどうなことはあるけれども、結局一つの重要な仕事は、収入がある人は、知事の命令によって自分の私権が拘束されて、入院加療させられて病院に縛りつけられるが、その費用の全的負担を国でやらないんです。命令を出して知事がやらない。そして政府のほうでは、ワクをこれだけときめておいて、そのワクの中で毎年そういう命令入所の患者をきめる。患者は、さっき話したようにたくさんある。命令入所の患者は毎年減っているでしょう、千人とか二千人。このワクを取っ払わなきゃいかぬ。こういう必要な患者があるならば、そいつにいつでも予算が組めるような形にしなければならぬ。
 もう一つ、こういう患者さんたちが入院できないでいる状態なんです。この点をいかに解決して患者を医療という行為に向かわせるか、この点、答えていただきます。
○加倉井政府委員 命令入所患者につきましては私どもは入所の勧奨は十分いたしておるつもりでございます。しかしながら、やはり家庭の事情その他の条件等がなかなか入院に結びつかないという患者が依然として残っていることは事実でございます。したがって、御指摘のように、私どもといたしまして、毎年若干ずつ命令入所患者数が減少してまいっております。これは経済的な事由というよりも、むしろ私どものほうといたしましては、結核患者そのものが減少しているためにその該当が少なくなってくるというふうに考えております。
○津川委員 だいじょうぶですか。治療する患者さんが治療しないでいるということをあなたたちは認めているんだよ。しかも患者が減っているとあなたは言う。そうじゃないんです。絶対数の患者は減っているかもわからぬ。治療しなければならぬ患者はうんさかわんさか。そしてあなたたちはこのワクを締めている。これが現実です。これは私よりもあなたたちがよく覚えている。こういう状態なんです。厚生大臣、命令入所の患者さんというのは、一定の基準を備えると、検診して、知事の命令を受けて、自分の仕事をやめて結核の病院に入っていかなければならぬ。家族とも別れなければならぬ。その人たちである種の収入があれば一部負担をしなければならない。この負担金が、今度患者が入院すると収入があがらなくなる。それで入れない。そこで大臣としては、こういう人たちを入れるために予算をもっとふやさなければならぬと思うのですが、いままでの論議を聞いて、いかがでございます。
○齋藤国務大臣 こういう開放性の患者で療養所に入らなければならない方々について、数について制限を加えるということは、私は必ずしも好ましいことだとは思っておりません。しかし、最近における結核患者の状況から見まして、必ずしも全部入所をさせなければならないのかどうか、その辺の判断はあるんでしょうね。私はやっぱり、開放性のそういう患者をできるだけ収容する、これは当然だと思うのです。望ましいことだと思います。しかし、そういう患者の数がそんなにふえているかどうか、私も専門的な知識は持ちませんが、問題はそこだと思うのです。ふえているならば、その予算のワクを広げなくちゃならぬでしょうし、開放性のそういう患者はだんだん減少しているというならば、予算的には減らす、これは私は当然だと思うのですが、その辺、現実に検診に当たっておられる方々の御意見なり事情というものを、やはりもう少し正確に把握して判断すべきことではないだろうか、こういうふうに思います。
○津川委員 大臣、この次のときに参考人を二人呼んで、その人たちに意見を聞いてから、大臣にもう少しこの点で質問しますが、患者というものは減っている。だが、三十五条の強制命令で治療しなければならぬそういう患者さんがごろごろしている。そのごろごろしているという資料を私たち上げますから、局長ともよく相談して、あらためて返事していただきます。それは絶対数は減っていますよ。だが、三十五条で治療しなければならぬ患者がだんだん沈でんしてふえているのですよ。こういう事実を、私は資料を差し上げますから、これは局長と検討していただいて、これはあなたたちの結核審議会さえこういう意見を出している。
 これで、きょうは私の質問は終わります。
○三原委員長 奥田敬和君。
○奥田委員 今度の法案改正は、主として環境衛生局に水道環境部、まあこれが非常に要点になっておりますけれども、水道の広域化あるいは水の確保、あるいは産業廃棄物の計画的処理、こういったことでたいへん重要課題をかかえておる環境衛生局として、私は賛成でありますけれども、これと並んで、最近の食品衛生、こう言えばもう大臣のほうで御推察がきくと思いますが、こういった食品衛生面に対して厚生省の食品衛生課、食品化学課等とあるわけでございますが、私は、先般、あの二十四日の新聞で見たように、私も非常にショックを受けた一人でありますけれども、何か最近のマスコミの公害問題の取り上げ方のあり方にも問題点があるかと思いますが、ああいう形でマグロのさしみが四十七きれとか、アジが何か十二匹食ったらどうだとかという形、そして二日もたたないうちに、今度はそれを四十何匹に訂正しておる。いたずらに不安をあおったということだけで、一般の消費者にとっては、何ら結論的にはたいした汚染の心配は要らないのだ、アジを一週間に四十六匹も食っていいということになれば、もう食いほうだい、安全なんだということなんだから、一体、くどくは言いませんけれども、こういった波及効果を、ほんとうに慎重に考えた上でやはり発表していただきたいと思うわけです。
 特にこれは、おそらくお答え願えると思いますけれども、理論値としては、おそらく最大に汚染されておる場合、アジは十二匹だろう。しかし、一般の平均値からいったら、もうとても問題じゃないんだということを、むしろ具体的に知らそうとした意図があったのかもしれませんけれども、非常に大きな社会不安をあおりました。
 そのことで具体的に例をあげますと、私たちの選挙区である石川県なんかにおいて、たいへん大きな実は問題が発生しております。これは私、石川県だけじゃないと思います。魚の産地はほとんどまともにこういうあおりを食ったのじゃないかということは、つまりこの汚染発表のあおりで、もう県庁に大挙して漁民が押しかける。そうして結局出漁できなくなる。
 はっきり一例をあげますと、いま私たちの石川県のほうでは、タチウオという魚がいわば盛漁期に入っておるわけです。これは六月から八月にかけてとれるわけなんですけれども、そういう盛漁期に入っておるやさきにぽかんとこれでやられた。そうすると、キロ大体四百五十円くらいいままでしていた相場のものが百円以下に落ち込んでしまう。これで、具体的に言うとせりが立たなくなる、そういった形で、なわ代にもならない、運び代にもならない、船の油代にもならないということで、漁民としてはもう魚をとってもどうにもならぬということで、まあそのことが逆に休業補償なり価格保障なりという形のことの動きにあらわれてきておるわけでありますけれども、私は今後こういった発表に関してほんとうに慎重な配慮を促したいわけなんです。
 そういうわけで、私はいま水道環境部の設置もさることながら、今後の健康、こういった問題点を踏まえて考えるときに、食品行政のほんとうに効率的な一元的な運用ということになると、ばらばらにやっているんじゃなくて、こういった形で、食品部あたりをそうした将来設置法改正に持っていく御意思が大臣のほうにおありになるのかどうか、まずその点をお伺いします。
○齋藤国務大臣 今回の水銀の暫定基準設定につきまして非常に御心配をおかけいたしましたことは、まことに私も申しわけないと考えておる次第でございます。お尋ねがございましたから、その点について申し上げさせていただきたいのですが、御承知のように、第三水俣病といったふうなことが指摘され、魚に対する不安が非常に広がってまいりましたので、先般来、環境庁を中心としてこれが対策を講じよう、厚生省では水銀についての魚の安全基準をつくってもらえぬか、こういうことになりまして、そこで専門の学者のお集まりをいただいてつくったわけでございます。その発表にあたりまして、魚類の濃度の〇・三PPMというものを基準にきめたんですが、確かにそのときの説明のしかたに私は多少不十分な点があったのじゃないかと思うのです。
 いまお述べになりましたように、〇・三PPMという安全基準はどういうことを意味するかというと、〇・三PPM以上に濁った魚は市場には出さないようにしましよう、汚染魚判定の基準にし、同時に、安心して食べられる魚の安全度を示すという二面の意味を持つわけでございます。そこで、〇・三PPMということはどういうことかというと、すなわち、幾ら汚染されておっても、〇・三PPMまで汚染されておっても、これだけの魚は食べられますという、一言でいえばそういう意味なんです。すなわち前提条件があるんですね。そこで、その前提条件を新聞紙上にはっきり書いてくれた新聞もあり、あまり書かれてない新聞も一部ありました。そんなようなことで、見出しだけが大きく出てしまいまして、その前提条件、すなわち、〇・三PPMまで汚染されておってもこれだけの魚は安全でございますといった、その科学的な学問的なことばが、前提条件が吹っ飛んで、見出しだけ――見出しだけじゃございませんが、文章もそういう説明もあるんですが、見出しだけが大きく出ちゃったものですから、アジは十二匹以上食っちゃならぬといったふうなごとく国民に非常に不安を与えた。これは私も、ほんとうに説明が十分でなかったということを、先般の本会議の席上においても申し上げた次第でございます。
 ところが実際は、それじゃどの程度になっているのか。これは科学的な話なんですね、安全率ですから。ところが実際はどのくらいかというと、四十五年から四十七年にかけて環境庁と厚生省が調べました汚染度の平均率というものを見ますと、〇・〇八なんですね。〇・〇八という、二、三年前に調べました一応の資料があるわけです。その資料に基づくと、結局〇・三と〇・〇八の比率ですから、四倍の魚が安全になるというわけでございましょう。すなわち三十何匹とか四十何匹とかになるわけであります。そのことを魚屋さんの会合の際に環境衛生局長からちらっとその話も出たわけなんです。しかし、これは御承知のように、科学的なPPMという考え方からいえば、二転三転しているわけでも何でもない。前提条件がみな違うんですね。同じ前提条件に基づいて安全率は〇・三PPM、これは動かしておるわけではありません。それを実績ならばこうなりますということを言うたんですが、なかなかこちらのほうのPRがへたであったということを率直に私は認めます。これはほんとうに申しわけないと思うのです。
 そこで、そういうふうないきさつで、今日相当御迷惑をおかけしたということは、私らもほんとうに申しわけないと思っておりますが、しかし魚に何PPMなんという色がついているわけでもございません。行政の施策としては、この基準に基づいてどういうふうな魚の行政をやっていくかということになれば、すなわち汚染された魚は市場に出さない、こういう行政の施策を講ずることが基本であるわけでございます。そこで先般来、すでに御承知のように、環境庁が中心になっていろいろ御相談をいたした結果、汚染しているかどうか別として、汚染のおそれがあるといわれておる九水域について、すなわち監視体制を厳重にし抜き取り検査をいたしまして、そして〇・三PPM以上の汚染されておる魚があるならば、それを流通の過程に乗せない、こういうことにすれば国民が安心して魚を食べていただける、こういうことになるわけでございます。すなわち何PPMといったって色がついているわけでもありませんから、これはもうほんとうに消費者の方にも、どなたにもわかりません。ですからこれは科学的な議論としてそういうことでございますが、国の行政としては、いま申し上げましたように、魚のとれる産地市場において監視体制を厳重にし、これを監視し、そして汚染のおそれのある魚は市場に出さないという措置が厳重に行なわれる限り国民には心配ない、こういうことになりますものですから、先週、実は関係府県の課長会議を招集いたしまして、監視体制をしくにはどうすればいいか。監視をする、その検査をするためには相当の機械が要ります。相当の機械も、国で予算を予備金支出をいたしまして、めんどう見てあげます。それから、その地元、地元には専門の方々もおりませんから、専門の方を応援にその九水域に差し上げることにいたしましょうと、いま盛んに折衝いたしておりまして、大体十日から十五日の間に全国一斉に九水域について監視が厳重に行なわれる、こういうところまでなったわけでございます。
 そこで、確かにもう奥田先生御叱正のとおり、最初の発表のときはどうもまずかったではないか。もうおしかりのとおりです。私自身も、あの新聞を見てぎょっとした一人でございまして、この点は確かに厚生省のPRが不行届きであったということは考えておりますが、真意はそういう点にあったことを御理解いただきたいと思います。
 まあ、こんなようなことで、魚に対する水銀の問題、それからPCBの問題、あるいは添加物の問題、いろいろございます。先般は御承知の油の問題等もございました。そういうふうなことで、この食品行政というものを拡充し、しっかりした基盤の上に立って食品行政を進めていかなければならない、こういうことついては私も同感でございます。
 そこで実は、この水道環境部を設置する際にも、食品部をつくったらどうかという意見も実はあったわけでございます。アメリカなどにはそういう専門の部局もあると承っておりますので、私のほうも何とかせねばならぬだろう。しかし、一度に二つの部をつくるというのもたいへんだろうというので、今回は水道環境部だけにとどめたわけでございますが、将来の問題としては、食品行政の重要性からかんがみまして、国民に安心して食物を食べていただけるようなかちっとした部局を整備していく、この必要性は十分痛感をいたしておりまして、今後前向きに努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○奥田委員 いま大臣から、調査発表に慎重さを欠いたという、確かにそういったミスをはっきりお認めになったわけですが、ただこのことと食品行政の重要であるということは、私らもあらためて認識しておるわけです。こういう災いといいますか、こういうミス、むしろあまり功をあせり過ぎたような発表のしかたというものが、どれだけ大きなあれを与えたかということについては、相当な総反省をなさっておられるようでありますから、これ以上言いません。
 先ほどタチウオを例に言いましたけれども、念のために言いますと、イカなんかは二十キロ一箱千円くらいのものが一ぺんで百五十円に下がったわけです。千円が百五十円に下がってしまって、もうほとんどが県外移出なんです。七〇%くらいを県外に送るのですが、これは県外に送ったってせりが立たない。大臣、これは聞いてくださいよ。地元のことばかりになって恐縮ですけれども、富山、福井は確かにそういった数値が一部出たようであります。ところが石川県の場合は、たとえばアジを例にとっても、厚生省の基準が〇・三PPMだったら、石川県の調査では〇・〇一PPMというような形で、全くゼロに近い。はっきり言うと汚染魚がない。あらゆる形の例でメチル水銀もPCBもほとんど数字が出てないくらいにきれいな魚であったわけです。ところが、こういう結果の中で、むしろ今度は県なりに対して、PRもやれと、いまいろいろな形でテレビ、新聞、こういったものを通じてたいへんな宣伝をやって、ラベルまでつくりましてね。そしてそういった自分たちの責任でもない形の中でたいへんな被害を受けたわけでありますけれども、やっておる。
 それで、ひとつ大臣にこれは要望しておきますけれども、厚生省として、大臣を先頭にして、心配ないのだ、特にいい産地のお魚については全く心配のないという形をできるだけ積極的に国民にPRして、予算もうんとかけてやってあげるようにしていただきたいと思うのです。
 水産庁、入っているようですね。水産庁にお願いすると同時に要望したいわけですけれども、こういった価格保障。あるいはこのためにたいへんな休業になっておるわけです。先ほども申しましたように、再盛期にほとんど生活費というものはこれ一本にかけておるといったような連中が、この二、三カ月の間だけでもう一年のかせぎが吹っ飛んでしまったという形、これらに対して、各県市当局からもいろんな御要望があると思いますが、あなたのほうで、そういった面の、農産物の最低価格保障に準じて、こういう、二度三度あっては困ることですから、今度の場合に特別に何か最低価格保障の措置を講じてあげるとか、あるいは休業ですね。この前は汚染地域に対しては臨時な特別融資の道も開かれたようですけれども、きれいな魚のとれる漁場が、逆にあおりで今度は全く生活が成り立たなくなってきた場合に対しての何らかの措置を考えておられますか。
○前田説明員 お答えいたします。
 いま先生御指摘のように、石川県にはほとんど汚染工場らしい工場もございません。同じような問題が高知とか三重とかでも起きているわけでございます。どっちかと申しますと全国的なパニック状態というものが生じまして、先般、政府のほうで発表いたしましたいわゆるつなぎ資金につきましては、汚染海域を持っている県またはその周辺水域というような形で手当てをしたわけでございます。
 御指摘のように、全国的な魚価の値下がりによりますところの問題につきましては、やはり何らかの手を打たなければならないのではないかというようなこと等もございます。緊急つなぎ融資を出しました場合には、いわゆる原因者がはっきりいたしまして、その場合に、融資をいたしましたその金額が漁業者の負担にならないというような意味でのつなぎ資金的な性格もあったわけでございます。今回の全般的な値下がりによります場合につきましては、補償ということが非常にむずかしいという問題等もございまして、やはり経営安定的な資金にならざるを得ないのではなかろうか、そのように考えまして、現在も私どものほうで、その面を含めまして大蔵当局ともいろいろ相談を申し上げているという段階でございまして、また、どこまでの範囲ということがまだ明確になったわけではございません。できるだけの検討をさせていただきたいと思います。
○奥田委員 いま言われたように、経営安定的な資金であってもいいと思うのです。その形の名は別にして、そういう実態を踏まえて、できるだけ緊急に措置を講じてほしいということを強く要望いたしておきます。
 ただ大臣、この際、食品化学行政ということになるのでしょうか、そういうことばが適切かどうかわかりませんけれども、消費者運動も盛んですけれども、ほんとうの実態をしっかり的確に把握して起こす運動じゃなくて、ぶわっと何か感じで動かしたような運動の中で、厚生当局も正しい見解発表なんかを、少しあおられてできないような面もたくさんあるのじゃないかと思うのです。私自身そういうぐあいに外部から見ておると感じるという点。
 たとえば、これは私の常識が間違っていたらあれですけれども、石油たん白なんかの問題でも、あれはパラフィンをえさにするといったらおかしいですけれども、それでイースト菌がふえて、そういった石油たん白が今後の食糧問題として大きくクローズアップされることは間違いないと思うのですが、こういった形で各国の研究というものは相当進んだ段階にいっているんじゃありませんか。この間、日本のほうはこれを企業としてやることをみんな中止したようでありますけれども、この石油たん白問題で先進諸国がどのくらいやっているか、またどういうぐあいに利用しておるのか、研究はどの程度いっておるのかということを、簡単にちょっと教えていただきたいと思います。
○浦田政府委員 いま手元に資料を持ち合わせておりませんので、記憶によって御説明申し上げます。
 石油たん白の世界的な研究あるいは企業化の現状でございますが、これは御案内のように、イギリスでブリティッテユ・ペトロリアム社が、年産数千トンの規模で企業化いたしておるところでございます。それから、それと同じような考え方で、フランスで、これも数千トンという規模だと思いますが、現に企業化されておるわけでございます。それからソビエトで、これは万というオーダーだったと思いますが、同じく工業化されておるという段階のように承知いたしております。あとイタリアあるいはルーマニア等で、これは研究の段階であるというふうに考えております。それから、イギリス、フランスあるいはソビエトとも、さらにこの規模を大きくしたいという計画を持っているように承知いたしております。
○奥田委員 やはりこれは将来の食糧問題を考えていくたいへん大切な問題でございましょうし、私も、イギリスやフランス、ソ連、イタリア等々で相当進んだ技術開発が行なわれておる、しかも、そういった面については、食品上いろいろな面の被害といいますか、そういったものももうほとんど研究し尽くされておるようでございますが、あまり事なかれ主義のような姿勢ではなくて、やはり厚生当局はこういった問題点について、将来にわたっていろいろな意味でしっかりした、無知な消費者に新しい知識、理解を求めていくというような立場であっていただきたいと思います。
 この間あれだけマスコミで騒がれたチクロでも、日本では非常にこれが害があるとかいっていながら、もうそんな形の害というものはほとんど世界の学界でもないように私たちは聞いておるのです。そのことが事実かどうかは専門の皆さんの分野におまかせしますけれども、何かこう、ちょっと動きがあるとぱっとそれに飛びつく、それでそのあおりを食っておたおたになってしまうといったようなかっこうが見えて残念でならないのですが、そういった今後の食品行政に関して一そうの研究と申しますか、そういった面にやっていただきたいと思います。
 そういった意味でも、私は先ほど言ったような食品部なりあるいは――いま食品衛生に関してはどういう国立の研究機関をお持ちですか。
○浦田政府委員 主として食品添加物の慢性毒性等の研究機関として、国立衛生試験所が中心になってやっております。それから生物学的な問題、たとえば細菌から生ずる毒素等の問題に関しまして、これは国立予防衛生研究所がやっております。あと一部、公衆衛生院等が医科学的な問題について研究しておるというようなことで、大体おもだったところはそうでございますが、その他厚生省は数研究所を持っておりまして、お互いに関連した分野において食品衛生の問題についても研究をお願いしておる現状でございますむ
○奥田委員 国立衛生研究所、これもうんと充実をしていただきたいわけですけれども、食品面よりもむしろ薬品の面に相当な機能とあれがとられておるように聞いておるのです。そのことは、今後こういう食品衛生というものがわれわれのたいへん重要なテーマになってきておるわけですし、私たちも化学のほうになると非常に弱い面もあるわけですけれども、そういった食品衛生を中心にした研究機関といったものも、いまの時代要請にこたえて国民不安を除去する上からいいましても、さらに一そう充実に努力していただきたい、こういった点を大臣に特に要望しておきます。
 それと、魚市場等はもうほとんど都道府県の管理体制の中にあるというように私たちは理解しておりますけれども、特に一千万以上の人口をかかえておるこの東京、一つの国のような大きな機能を持っておるわけですけれども、この東京の市場くらいに、たとえばこの間、厚生省の指導に基づいてやったんだと思いますけれども、魚市場での魚の分析データがつい最近新聞に発表されておりましたが、監視体制と申しますか、食品衛生課はこういう法に照らした監視体制なんかを担当しておる課と聞いておりますけれども、東京都なんかとは厚生省はあまりうまくいっていないということを聞くんだが、こういう公式の席でそういうことをすぐ言われるわけじゃないでしょうけれども、うまくやっているのですか。うまく密接に連絡をとって、国のそういう指導のもとに東京都のほうも応分に全面協力をなさっておられるわけですか。
○浦田政府委員 食品衛生行政の一つの重要な柱はもちろん監視ということでございます。食品衛生行政は、御案内のように、都道府県知事に対する機関委任事務として行なわれておるわけでございまして、厚生省の職員が直接に現場に出て検査しておるのは輸入食品に関してのみでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、全国的な問題についてのいろいろな基準、もととなる考え方、それらを法律を通じ、あるいは通牒を通じて各都道府県知事に通知し指導しておるところでございます。
 御指摘の東京都との間でございますが、今回の水銀の検査につきましても、もちろん、私どものほうから要請いたしまして、全国的に一番影響の多い東京の中央御売り市場における魚介類の抜き取り検査を即刻実施をお願いしたわけでございます。その限りにおきましては、東京都は直ちにその体制をとりまして、そしてその検査も、結果は、途中段階でございますけれども、いち早く発表いたしまして、消費者の皆さん方の不安の解消に役立ったということでございまして、私どもは、少なくとも国民の健康を守る、食品の安全を守るという立場から、都道府県の間に反対の考え方があるわけでもございませんので、東京都との間におきましても、そのような問題は少なくとも私どもとしてはないと考えております。
 ただ東京都は、これは各道府県についても同じでございますけれども、それぞれ自治体としての独自の立場もあるということもございますので、逆に私どものほうから、こちらの指示どおりにすべてが動く、あるいは東京都のいろいろな行政の末端の動きまで私どもが一々それを報告させて、そして承知をしておるといったようなことではございません。しかしながら、その大筋においては、国、都道府県のそれぞれの立場において、有機的な連絡を保ちながら食品衛生行政全体の動きがなされておるというふうに私は考えております。
○奥田委員 しかし、ずいぶん歯切れ悪いと思うのですよ、あなたも答えておられながら。それでは、産地別データとかそういう問題でも、一応の基準要綱は示すけれども、実際には監視、監督、指導という形はやっておられないと一緒ですね。
○浦田政府委員 原則的に食品衛生行政の運営ということについて御説明申し上げましたので、今回の魚介類の水銀の検査に関しましては、特に非常に重要な問題でございますので、厚生省は、先ほど大臣のほうからも御説明がございましたように、急遽関係の県にお集まりいただきまして、こちらの意向を強く伝えまして、全国調整のとれました検査体制をしくようにいたしたわけでございます。これは事の重要性によって、場合によってはいつでも厚生省が積極的にリードしていくという姿勢をとるということでございまして、日ごろの食品衛生行政とは違った強い立場でもってわれわれとしては臨んでおるわけでございます。
○奥田委員 事が国民の健康に関する大事な問題ですから、自治体の意向をいたずらに尊重するということは、それは大事ですけれども、この問題に関する限りは国は監督、監視の機能というものをもううんと強くしていく。しかも、ばらばらの検査をやる形じゃなくて、やはり全国的に一定のきちっとした規格、基準でやってもらわないと、これは安心しておれない。ちょっと出入りするのに、あそこは少し協力的じゃないからという形で遠慮して、指導のもとにどうにかやっていただいておりますなんというような弱い腰では、ほんとうにうまいというか、行政効果があがらないような気がするわけです。しかし、こういう面についても、ひとつ今後新しい検討課題として私はやっていただきたいと思います。その点を大臣にも要望しておきます。
 同僚の旗野議員から汚染公害に関しての関連質問がございますので……。
○旗野委員 いまも公害汚染の問題でいろいろと御質疑があったわけでありますが、おそらく十年前には、今日のこの公害の状態というものを予測しておった人たちがどれくらいおったであろうか、昭和三十八年当時を考えた場合に。識者や専門家の方々は、そういう点について十分にお考えであったかもしれませんけれども、われわれ一般の庶民としましては、こういう公害汚染が全国的に広まった現況は、私は十年前にはおそらく想像はしておらなかった者が多かったと思うのです。私はその一人なんでいささかあれでありますけれども。
 そこで、きょうの新聞等を拝見いたしますと、公害対策会議が今度第五次規制を行なった。厚生大臣も公害対策会議の一員でいらっしゃるかどうか私は存じませんけれども、少なくともそうした地域が拡大をされてきておる。苫小牧、あるいはまた千葉の臨海工業港、あるいは仙台湾と非常に大きく拡大され、しかもまた有明湾、徳山湾、また魚の集散地であります富山湾というようなところまで全部そうした規制を行なわなければならない、公害の海だというようなことをいわれている。しかもまた、厚生省でいろいろと魚介類に対する規制等も発表されたことによって、大きなショックをみな受けておる。特に富山県のごときは、もう小売り業者はほとんど休業の状態だということを伺っております。真偽のほどは私はわかりませんけれども、そういう状況にある。
 また、この機会にお伺いをいたしておきたいことは、そうした公害によって、第一水俣病あるいは第三水俣病というようなことで次々と患者が出ておる。私のところも阿賀野川の沿岸でございますので、一昨日三十名ほど上京いたしまして、親しく現況を聞いたわけであります。
 そこで、現在公害に関連した患者一疑似患者というのはおおむねどれくらいおりますか。つかんでおられなければあとでもよろしゅうございますけれども、しかし、少なくとも厚生省ですから、患者の概数ぐらいは、これは承知しておらなければならない問題だと私は思います。そういう点について、まだ公害というものに対する御認識が足らないとは私は思いませんけれども、こうした厚生行政については非常に意欲的でいらっしゃる厚生大臣でおられますので、ひとつこの際、この公害が十年後に一体どうなるであろうか。日本の四つの島が周辺ことごとく汚染されてしまうというような結果に相なった場合、公害患者に対する処置の問題、企業責任というものについて強く打ち出し、また企業側がこれに対して負うべき責任は当然であります。当然でありますからして、どうも水俣病患者の諸君に接しておりますと、何か企業側からの補償をもらったことによってこと足れりとしているような感じがないでもない。まことに私はそういう点について、政府はおそらくそういうお考えはないだろうと思いますけれども、いわゆる過失責任というのはやはり政府側もお考えにならなければならない問題ではないかと思うのです。
 そういう観点からいたします場合、この際、厚生大臣在任中に公害病院というようなものをつくられて、そうして統合されたところの医療大系というものをおやりになるお考えがあるかどうか。たとえば阿賀野川であれば新潟大学、あるいはまた水俣湾であれば熊本大学というように。しかもまた、個々の患者の話を聞きますと、開業医等によって治療あるいは診断を受けているというような現況が見受けられる。国民の保健という立場から考えた場合に、私はこの際、公害病院というような統一された、積極的な、意欲的なものを前向きに厚生省はお考えになる必要があろうかと思う。この際、こういう問題は党でいろいろ問題を提起すべきものでありましょうけれども、この機会でありますので、公害病院の設立というような方向に前向きにお考えになっておられるかどうか、これを大臣にひとつお答え願いたいと思う。
○齋藤国務大臣 実は今回の水銀の問題などを考えてみましても、厚生省は、御承知のように、国民の健康を守るということで安全率というものをきめるのがうちの仕事でございますし、ざらにまた、それに基づいて監視体制を厳重にして、汚染のおそれのある魚は入れない、こういったようなことをやるわけでございますが、それだけで問題は解決しない。これは環境庁を中心としてできております連絡会議においてもはっきり方針をきめておるわけでございますが、水銀に関しましても、水銀関係の工場において、水銀等が海域に流れないようにクローズドシステム化を急いでやっていきましよう、こういうようなのが一番の根本だと思うのです。そうしない限り、何かしら汚染のおそれのある魚が出ることは確なかんですから、やはり水銀関係のそういう汚染源を断つということ。さらにまた、今日の問題になっておりますヘドロなどを除去する、こういうふうな抜本対策を講じなければならない、こういうことで、環境庁を中心として、政府をあげて、これは通産省なり農林省なり運輸省なり、みんな関係のあることでございますが、この際、抜本対策を実施していこうという方針をきめたわけでございます。こういうふうな抜本対策をやらない限り、私のほうで何ぼ監視体制をしいたってどうも十分でない、これは私はそのとおりだと思います。そこで、政府をあげてこの際全国的な環境調査を行ない、同時にこういう汚染源を断ち切る、こういうことが最大の問題でございますから、その汚染源を断ち切ることに全力を注ごう、こういう体制で、今日政府も、これは党のほうとも十分打ち合わせながら進めておるところでございます。
 そこで、問題の公害病ということでございますが、公害病認定患者というのは、御承知のように、熊本、新潟、こういうふうな水俣病というものもございますし、それから川崎、四日市のような大気汚染による公害の問題もあるわけでございます。こういうのをあげて環境庁がやるわけでございますが、私どもも国民医療の観点から十分な関心を持っておかなければならぬことは当然のことでございまして、実は先般来、こうした公害に関する、大気汚染によるものと水俣病とは多少種類が違うわけでございますが、水俣病などについては専門の病院をつくることができないだろうかというふうな意見も出ておるわけでございまして、目下環境庁と厚生省で話を詰める相談をしておる、こういう段階でございます。私どもも、やはり専門的なそういう治療機関というものの必要性を十分痛感いたしておりますから、今後そういう問題について環境庁と相談いたしまして善処いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○旗野委員 担当の課長さんいらっしゃいますか。医務課長さん、おられましたら、公害病に対する統一されたそういうプランというようなものはお持ちでないのですか。最初、厚生大臣から答弁をいただいて恐縮でしたけれども、担当の課長のほうから、この現況並びに将来に対する見通しといいますか、そういうことについてもお聞かせいただきたいと思うのです。
○滝沢政府委員 確かに、公害を帯びた疾患というものは今後増大していくことは避けなければなりませんけれども、しかし全体としては、やはりそのような対応策も考えなければなりません。したがって、大臣からお答えいたしましたように、熊本における水俣病に対しては国立の水俣病センターの設置についてただいま環境庁を中心に検討いたしておりますが、先生御指摘のよけに、阿賀野川にもあるわけであります。それから富山のイタイイタイ病等の関係もございます。一般的に公害の病気は、その地域だけの研究でこと足りるものではございませんで、公害全般というか、広い意味の公害がわれわれ日本人の健康をどういうふうに阻害するかという基本的な研究体制も必要でございまして、そういう意味で、国立では、牛込の若松町にございます前の国立第一病院を医療センターといたしまして、そこに研究施設と病院とをあわせて持つようにただいま計画いたしております。そこを中毒あるいは公害、難病等のセンターとして整備いたしてまいりたいと思っておりますし、それから今後、地域的に特に問題の多いところには、公害病院専門ということはなかなか――医療機関というものは総合的に専門医をかかえる必要がございますので、公害病専門の病院という先生の御発想にすぐお答えするものは、いま熊本の水俣病センター程度であろうと思いますけれども、一般的に公的病院等で、公害病のための研究、あるいは病棟の整備をさらに積極的に進める必要があるという場合、われわれとしては、国としてその助成策を実施していくということで、医療審議会のいわゆる公的病院の病床規制からは、公害病のための施設についてはこれを規制からはずすということで、積極的にその必要に対応できるように準備いたしたわけでございます。まだいまのところ、先生の御期待のように、全国的なプランというようなところまで至っておりませんけれども、そのようなものを踏まえた基礎的な準備は進めておるつもりでございます。
○旗野委員 世界にも類例のない面期的な経済成長を遂げた国であるだけに、そのひずみも大きいわけですね。したがって世界的視野に立って、この際こういう公害に関する、砒素の中毒の問題であるとか、イタイイタイ病の問題とか、あるいはまた水俣病の問題、またその他いろいろ別な問題が起きてくる場合もあり得ると思う。したがって、この担当をなされておる厚生省としては、そういう点について視野を高度な立場から持っていただいて、国民に納得し安心をさせられるような対策を私は考究されてしかるべきじゃないかと思いますので、あえてこの点について申し上げたわけでありますから、よろしく私どもの気持ちにおこたえをいただきたいと思います。
 いま一つ、ついででございますので、たいへん恐縮でございますけれども、加工乳の問題について、これも保健衛生の立場から、農林省やその他とは関連がない純然たる加工乳という立場に立って、保健衛生の担当の課長でけっこうでありますから、お聞かせをいただきたいと思うわけです。
 ちょっと私、先ほど調べてみましたところが、東京都でいま皆さんがお飲みになっている牛乳が、一カ月の平均消費量が三万五千六百トン。これを紙のパックあるいはびんに入れますと大体一億八千万本ですね、本数にいたしますと。そういたしますと、一日の消費量はどうかといいますと大体一千百万本。ちょうど六月現在の東京都の人口が一千百万ちょっとこしておるそうであります。一人平均一本ずつ飲んでおるというような状況にあるわけです。
 そこで、この加工乳というものは、レッテルを見ますと加工乳と書いてある。そして脂肪が大体三%以上あればこれを加工乳と認めるというような規定になっておるように私は聞いておる。あとは、その他いろいろビタミンCであるとか、あるいはいろいろのものを含有しまして、そして一つの牛乳を加工乳にするわけです。世界各国いずれの国を見ましても、加工乳というのは全然ない。これは皆さん外遊されてよくおわかりだと思うのですが、イギリスのごときは加工乳というものに対しては厳禁をしております。しかるに日本はどうかといいますと、全乳を農家から買い上げて、そうしていわゆる三%の脂肪があればこれを加工乳として認める。いわゆる牛乳というのですか、その他、レモン牛乳であるとか、コーヒー牛乳であるとか、いろいろございますけれども、私ども、農村地帯から帰ってきまして、東京の牛乳を飲むと、粉っぽくて飲めない、水っぽくて飲めない。自分の郷里へ帰って飲みますと、やはり含有量は三%以上ではあるけれども、ちょっと東京やあるいは都市で飲む牛乳とは違っておる。皆さん毎日お飲みになっているところの牛乳が、もちろんこれは清涼飲料の対象ではないだろうと思うのですが、牛乳として取り扱っておられるところの皆さんが、三%の脂肪を含有して、他のいわゆる含有物を混合したものを牛乳としてみなすという考え方についての基本的な考え方を、私はこの際お聞きしておきたいと思う。
○浦田政府委員 加工乳の問題は、先生の御意見もございますように、やはり非常に重要な食品でございますし、きちんとした規格を設けるべきである、現在の規格を洗い直す必要があるということは、実は昨年来食品衛生法の一部改正法案を御審議願っておる段階におきましても、委員会でもってそのような御意見、御質問が寄せられたわけでございます。私どもは、加工乳の規格、それから表示、そのような問題につきまして、すでに先生の御意見等もこの中に十分取り込んで、新しい規格ということでもって実施できるように準備いたしております。すでにこの四月に新しい考えに基づく通知を全国に出しまして、この秋以降それが一斉に行なわれるという段階でございます。
 すなわち、いままで加工乳の中に含まれておりましたいろいろなビタミンとかあるいは微量重金属、いわゆるミネラルでございますが、そういったようなものはこの際もう認めない、そしてできるだけ純正な牛乳、なま乳でございますが、それに近づけるように努力するというたてまえで規格を整理いたしております。
 なおまた、表示につきましても、従来、加工乳という字がどちらかといえば、あまり大きな字で盛られてなくて、一般なま乳から精製しております市乳とまぎらわしい状態でございましたのを、はっきりと大きく加工乳という字を表示させるようにもいたしまして、いま実際に出回っておりますものが秋以降そのような形で切りかわるというふうにいたしたわけでございます。
 なお、つけ加えて申しますが、従来加工乳というものは、生乳をもとといたします市乳のいわば補助的なものとして、需給の端境期などに代替品といったような形でもって市場に出回っていたわけでございますけれども、これは今後一切なま乳を主体として、あと、たとえば粉乳あるいはバター、あるいはクリームといった、そもそも本来牛乳の主成分であるものを成分として、それ以外のものは加えさせない。もちろん水が少し入るわけでございますが、加えさせないといったようなことで、できるだけ天然の牛乳に近づけるということで、さらに将来努力するという方向をはっきりといたしております。
 それから諸外国の例をお引きになったわけでございますが、実は外国ではこれは還元乳という形でもって行なわれているわけでございまして、おそらく今度の新しい規格によりますと、還元乳と申し上げたほうが、あるいはもっとそれよりもなまの牛乳に近い形でもってつくられることになりますので、還元乳よりさらにもっといい、中身としてはもっと天然の牛乳に近いものになるというふうに御理解願いたいと思います。
○旗野委員 関連質問でありますから、いずれまた機会を見ましてこの問題についてお聞かせをいただきたいと思いますけれども、暑さに向かうこれからでありますから、加工乳そのもののものよりも、また取り扱いやそういう問題でいろいろの中毒や何か起こす場合もあるのでしょうけれども、私は基本的に、厚生省は三%のいわゆる脂肪があれば牛乳とみなす、加工乳として取り扱うという考え方がどこから出てきておるのかわからない。おそらく皆さん方各国を回られて、私、先ほど申したとおり、加工乳なんか飯ませておるところはないですよ。日本だけです。牛乳が足りないのかといえば、決して足りないわけではない。そういうことを申し上げて初めてお気づきの方もあるいはあるかもしれませんけれども、牛乳でないものを飲ませておる、このような指導監督はあくまでもやはり厚生省でなければならぬと思うのですね、保健衛生の立場から。そういう意味からするならば、やはりいろいろの問題点もありましょうけれども、あくまでも国民保健の立場で、衛生というような面から、あるいはまた健康を守るという意味からも、この際全乳に切りかえられるお考えを持っておられるかどうか。この点についてはっきりした態度をひとつお示しいただければ幸いだと思うのですが、いかがでしょうか。
○浦田政府委員 現在、加工乳と申しておりますのは、その原料はことごとく牛乳の成分に由来するものでございます。(「牛乳じゃないじゃないか」と呼ぶ者あり)私どもは、牛乳のみでもって全部の需要におこたえするということが本来であろうと思います。しかし、これは農林省のほうにもお聞き願いたいと思いますが、実際の需給状況から見ますと、牛乳、いわゆる生乳のみでもって全部の需要におこたえするわけにはなかなかまいらないという一面の事情もございます。したがいまして、問題は、だんだんにこの加工乳は削減するという方向に全体としては向かわなくてはいけないと思いますが、とりあえずは今年の改正でもって、そもそも原料としては天然の牛乳に含まれておる成分以外のものは認めない、ミネラルもビタミンもこれは認めないという方向で、逐次天然の牛乳一本に切りかえていくように、その第一歩を踏み出したわけでございます。したがいまして、これは農林省のほうとも十分に御相談申し上げなくてはいけませんけれども、できるだけ近い将来にそのような方向で全部が行なわれるように……(「いつからやるのだ。」と呼ぶ者あり)いや、必ずしもこれは私どもだけの力で実現できる問題ではございませんが、私どものほうといたしましては、やはりできるだけ天然の牛乳ですべての飲料牛乳がまかなえるように望むところでございますので、なお農林省とも十分に相談いたしまして……(「いつ相談して、いつやるのだ」「厚生省がしっかりやらなければだめだ」と呼ぶ者あり)いま相談中でございます。すでにその計画は立てておりまして、その第一歩としてこの秋から踏み出すということでございますので、しばらくの時間をかしていただきたいと思います。
○旗野委員 重ねておことばを返すようで失礼でございますけれども、ことごとく前向きの姿勢でお考えをいただけるのはけっこうでありますけれども、実践をしていただく、実行をしていただくということについて、いろいろな隘路はございましょうけれども、ぜひともそういう点について御留意をいただくということを特にまた厚生大臣に御要望を申し上げて、私の関連質問を終わります。
○奥田委員 時間の関係もありますから、比較的答弁は要を得た形でやっていただきたい。
 医務局長、あなたはなかなか大胆な発想をすぐ述べていただくので、看護婦問題に入る前に一つだけ。最近の交通事故ですね。非常に複雑で、単に整形外科だけではなかなか手に負えない。やはり一般外科ではなくて、脳外科――私、医者の友だちがおるものですから聞いてみますと、外科の分野といってもたいへん複雑になっておるようでございます。そこで整形外科医、一般外科医、あるいは脳外科医、あるいは麻酔医師、そういう形の人がやはりそろっていないと、応急とはいいながら万全の救急措置ができない、こういう悩みがあるようであります。どうなんですか。国公立の救急病院、こういった形をたとえば一県一院かあるいは人口百万当たりに一つとかいうような方向で検討されていますか。またされる意思がありますか。
○滝沢政府委員 先生がおっしゃいますように、確かに軽症な急病患者からきわめて重症なものまで非常に千差万別でございまして、一番の問題は救命、命を救うということがきわめて重要な問題でございまして、このために私たちは百万人に一カ所ということで、従来救急センターというものを国公立を中心に、民間も含めまして百五十三カ所ただいま用意をいたしておりまして、本年度中に百七十カ所ぐらいふえますけれども、先生のおっしゃる意味は、脳神経外科が強くても場合によっては整形が弱いとかいうような総合性にまだ欠ける面があるのじゃないかという御指摘であれば、これは今後充実する必要がございますので、その点については、救急医療問題はきわめて重要でございますから、百万、一カ所以上に、大体広域市町村圏ごとにそのような機能を充実するということで、ただいま五カ年計画で検討いたしております。問題は中身の問題でございますので、医師の研修会等を含めまして計画いたしたい、こういうふうに思っております。
○奥田委員 計画を検討していま実施段階に入っているわけですか。
○滝沢政府委員 いままでお答えした百五十三ないし百七十カ所というのは第一次的な計画でございまして、後段にお答えした広域市町村圏にさらに広げる問題が今後の五カ年計画の内容です。
○奥田委員 この間からのこの委員会の質疑を通じまして、お医者さんが昭和六十年で大体人口十万当たりに百五十人、これは今後の一県一つの医科大学という形の充足を待って十分達成できるというお話でございました。確かにこれはどんどん進めていってほしいわけです。ということは、私の住んでおる金沢なんかは、全国的にもおそらく一、二番くらいに、人口とお医者さんの割合では恵まれているほうですけれども、あなたのほうからいただいた統計を見ますと、ほんとうに医科大学のないところはお医者の数がやはり少ないですね。これは非常に恐縮ですけれども、栃木県とか富山、山形、まあこれは医科大学があっても、現在まだ卒業生が出ておらぬとかいろいろな関係で、確かにそういった意味では、やはりお医者さんの定着性というものは、そこに大学があるかないかによってずいぶん違ってまいると思います。そういった意味では、この面での医師不足の充足、これが地域的に偏在しないようにしていくためには、やはり現在の一県一医大という当面の目標というものは達成されるように努力していただきたい。
 それと、厚生省で計画なさっておると思いますけれども、医療の内容がこれからいろいろ多様化して、公害あるいは交通事故一つとっても、いま言った総合性において非常に研究が必要になってきますね、職員面も含めて。そうした場合に、おそらくそういった医科大学という形式ばかりでなくて、そうした研修のメディカルセンターといったようなものを各地方ブロックごとに何か計画されるという意思があるかどうか、それも検討中かどうか、お伺いいたします。
○滝沢政府委員 この問題は、御指摘のように、各県に医科大学の設置ができましても、偏在という問題は、たとえば石川県の例では金沢市内と能登半島とではたいへんな違いがあるわけでございまして、医師の確保と偏在性を是正するという意味で、先生もいま御指摘になりましたように、ただ大学中心主義のいままでの医学の教育のほかに、卒後としての研修病院というものを厚生省所管でただいま全国に約百三十カ所程度ですが、これを二百カ所ぐらいに増大していくことがどうしても――将来各県に医大を設置しますと、定員で約八千人の医師が毎年卒業する。国家試験の合格の問題は別にございますけれども、医師になってまいりますと、大学中心主義ではどうしてもよき医師をつくるには困難でございますので、たとえば石川県の例では、国立の金沢病院あるいは県立の病院等と、従来の金沢の医科大学というものを教育病院として結びつけて強化していくということによって、場合によっては石川県内の地域的に考えた教育病院というものを、二百カ所となりますと、平均的にも一県約四、五カ所程度になりますから、従来の公的病院のおもなものはどうしてももっと積極的に育成して教育病院にしていく必要があるということを、五カ年計画、さらには教育の問題は非常にむずかしいので、五カ年のさらに延長した十カ年の計画の中でこの問題は具体的に検討するということにいたしております。
○奥田委員 局長の意見は選挙区向けにもたいへんいい答弁をもらえるわけですけれども、ひとつ計画検討じゃなくて、計画実施の方向で努力してほしいと思います。
 看護婦の問題です。現在、看護婦の総員は大体どれくらいになっておるのですか、現在資格を持たれた方は。そして現在、資格は持っていても、結婚とか家庭の育児、いろいろな問題で、もうすでに現実にはしていない、そういう形の人数はわかりますか。
○滝沢政府委員 ただいま看護婦としての就業者は保健婦等も入れますと三十六万、直接診療に関係のある助産婦、看護婦で三十五万でございます。そのうち助産婦を除きますと三十二万ということでございます。それから在宅で資格のある方、これが登録した数は、全体としてまだ十分整理できてないのですが、四十五年に統計調査部を通じまして調査いたしたものから推計いたしますと、一応五十五万という数は推計では持っております。しかし、この中からすでに他の職業に就業等を除きますと、約半分でございまして、そのうちさらに就業可能な人、年齢層、そういうようなものをしぼっていきますと、まあ、われわれがいわゆる潜在看護婦として具体的に何とかしたなら仕事におつきいただけないかと予測するものが七、八万という程度でございまして、これが現状、非常に大ざっぱでございますけれども、つかんでおる数字でございます。
○奥田委員 大体いま現実にやっておられる人が三十二万人という概数のお答えでございましたけれども、在宅、資格を持っておられる方で休んでおられる方はずいぶん多いようですね、いまのお話を聞くと。どうなんですか、こういうものに対しての歯どめといいますか、退職じゃないのですけれども、そういう資格を持ちながら在宅でおられる方の、たとえば育児の面で夜間の保育所施設あたりを病院に併設されれば自分はつとめてもいいという方がずいぶんおられるのじゃないかと思いますけれども、そういった面についての何か対策を具体的に、簡単でいいですから答えてください。
○滝沢政府委員 先生のおっしゃる離職防止というのは、三十代、四十代の方でなくて、いまの現役の三十二万をむしろ離職させないようにすることが、これまた一つたいへん大事な問題でございます。そういう意味で、もちろん給与の改善等もございますので、人事院に本年度の勧告については看護婦に特に御配慮をいただくように大臣からもお願いしてございますが、先生の御指摘のような保育所の問題、あるいは夜間勤務の回数の問題、あるいは夜間勤務後自宅に帰れる者に対する特別の手当なり配慮をするというようなことを総合的に講じまして、看護婦の離職防止。先生御指摘の潜在、在宅を掘り起こすことも大事でございますけれども、現在の方を離職しないように防ぐことが当面非常に重要な課題であるというふうに認識いたしまして、予算要求その他でこれを具体化したいと考えております。
○奥田委員 看護婦が不足しているからいまこういった問題点の質問に入っているわけですけれども、大体医者の十万人当たり百五十人体制、これが充足された段階を目ざして看護婦対策も並行して進められておると思うのです。これは車の両輪と一緒ですからね。一体看護婦が一番理想的な数で配置されるのは、人口当たりか、あるいは医師一人に対してどうかという形で統計が出ると思うのですが、どんな数字が一番理想的なんですか。
○滝沢政府委員 これはたいへんむずかしい、人口の面からつかむというより、私たちは従来、わが国の患者数の増加あるいは病床の増加等の推計をいたしまして、これに対して看護婦が、ただいま一つの病棟に二人で八日夜勤以内におさめるとなりますと、一つの病棟に十六人、看護婦を張りつけなければなりません。そういう計算をし、わが国の病院のほとんどが、八割程度は二人夜勤の八日で済むようにし、あとの二割の病棟は、まあ軽い患者等の場合には一人夜勤でもやむを得ないというふうにして、いわゆる完全な二八体制ではございませんけれども、そういう面を踏まえながら試算してまいりますと、ただいまよりも養成施設をさらに増強いたしまして、ただいまの一学年定員、いわゆる養成所に入る定員が五万人のベースでございますが、これを五カ年間に七万人台のベースに乗せる計画を立てております。それを実現いたしまして、三年の養成ということを基本に考えますと、わが国の患者の増加その他を見込んでも、あるいは労働条件の改善等いま申し上げたことを見込んでも、ほぼわれわれが考えておる、充足とまでいきますかどうか、いわゆるどうやら医療機関としての、あるいは看護婦の処遇の上からも、どうやら体制が整うというのは五十三年までかかるというのが現状の見込みでございます。
○奥田委員 結びの話に入りますけれども、看護制度は、一本化する方向でやっておられると思いますけれども、ぜひ一本化する必要があると思うのです。たとえば、いま中卒で二カ年で准看になる、そういう形で、あるいは甲看資格をとるにはいろいろなコースもありますけれども、高卒でこれは三年だったですかね。それで、いまどきもう高校進学率が九〇%近い数字になって、全部が高校出の人たちですね。ですから、高校生にはもちろん甲看のコースはきめられておるわけですが、私は、准看、甲看の制度体系というものはそろそろ検討する時期に来ておる。看護制度はやっぱり一本化していく必要があろう。その際に、いま甲看が非常に不足しているのです。特に民間開業医においては甲看が定着しない。そういうことで、医療法等の取りきめもあるでしょうけれども、甲看は非常に貴重な形になって、非常に困っておられるというのが実情なんです。ですから私は、高卒で四年間、定時制に準じた何か方法があるのじゃなかろうか。隔日で見習いと通学をさせるとか、あるいは午前、午後に分けての一般定時制のような形での技能修得で、最初の二カ年間は全寮制で養成して、あとの二カ年間はいわば働きながら学んで資格をとらすとか、こういった意味で何とか甲看と乙看という形の制度の一元化をはかっていく方向で、とりあえず高卒の定時制に準ずるような形で、ひとつあなたの独特なアイデアでこの面の開拓といいますか、新しい制度をやっていただきたい。特に大臣もこういった面のいわば権威でもあられますから、その二人のコンビで、できるだけこういった形を早く時代要請にこたえ、一般開業医の要請にもこたえ、また看護技術の向上等々を含めて、検討していただきたいと思います。
 特に、甲看の養成所ということになると、二十名のところから、定数五十名養成しておるところから八十名養成しておるところと、非常にばらつきが多いですね。ですから、これはやっぱりある程度の定数をちゃんとよくすれば――はっきり言うと養成所の大型化というか、養成機関の統合等々をやられることによって、いい先生も来るし、施設とかそういったものも充実したものになるのじゃないかということで、ぜひ高卒、そして四年制あたりの新しい定時制、働きながらも資格取得ができる、そういった面を考えていただきたい。定時制というとすぐ夜間とかいうことを考えるが、夜間でなくて午前勤務、午後通学、こういった形のパターンも考えられるわけですから、そういった意味で、医務局長、簡単に最後に、前向きな形でやる、一応モデルケースで来年からでもやろうという形の御答弁がいただければ一番いいのですけれども、それをもって、まだあとの質問事項がありましたけれども、時間の関係できょうはこれでやめますけれども、前向きな答弁をお願いします。
○齋藤国務大臣 私からお答え申し上げますが、看護婦養成の非常に緊急な事態でもございますので、いまお述べになりましたような制度を新たに考えてみょうじゃないかということで実は考えておるわけでございます。四年制の看護婦養成制度、これをひとつできるならば来年度あたりからでも発足させるように、いま準備をさせておる段階でございます。
○奥田委員 大臣の意欲ある御答弁をいただいてたいへんありがたいと思います。ぜひそれを来年度実施するように、ひとつモデルケースであえて私の選挙区につくれとは言いませんけれども、そういう形を前向きにやっていただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○三原委員長 次回は、明五日木曜日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時三十分散会