第071回国会 内閣委員会 第43号
昭和四十八年七月十六日(月曜日)
   午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 三原 朝雄君
   理事 奥田 敬和君 理事 加藤 陽三君
   理事 笠岡  喬君 理事 中山 正暉君
   理事 藤尾 正行君 理事 木原  実君
   理事 中路 雅弘君
      伊能繁次郎君    竹中 修一君
      野田  毅君    旗野 進一君
      吉永 治市君    坂本 恭一君
      横路 孝弘君    和田 貞夫君
      鈴切 康雄君    受田 新吉君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 奥野 誠亮君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 田村 宣明君
        文部大臣官房審
        議官      奥田 真丈君
        文部省初等中等
        教育局長    岩間英太郎君
        文部省大学学術
        局長      木田  宏君
        文部省管理局長 安嶋  彌君
        日本ユネスコ国
        内委員会事務総
        長       西田亀久夫君
        文化庁長官   安達 健二君
 委員外の出席者
        内閣委員会調査
        室長      本田 敬信君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十六日
 辞任         補欠選任
  江藤 隆美君     野田  毅君
同日
 辞任         補欠選任
  野田  毅君     江藤 隆美君
    ―――――――――――――
七月十四日
 靖国神社の国家管理反対に関する請願(木下元
 二君紹介)(第八六〇七号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第八六〇八号)
 同(木下元二君紹介)(第八六二八号)
 同(横路孝弘君紹介)(第八六二九号)
 同(金丸徳重君紹介)(第八六七三号)
 同(木下元二君紹介)(第八六七四号)
 同(田中武夫君紹介)(第八六七五号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第八七〇四号)
 同(木下元二君紹介)(第八七〇五号)
 同外三件(八木昇君紹介)(第八七〇六号)
 同外三件(岩垂寿喜男君紹介)(第八七五二
 号)
 同(木下元二君紹介)(第八七五三号)
 同(兒玉末男君紹介)(第八七五四号)
 靖国神社法制定に関する請願外一件(安倍晋太
 郎君紹介)(第八六三〇号)
 同外五件(塩川正十郎君紹介)(第八六三一
 号)
 同外三件(松澤雄藏君紹介)(第八六三二号)
 同外七件(前田正男君紹介)(第八六三三号)
 同(渡部恒三君紹介)(第八六三四号)
 同(田中龍夫君紹介)(第八六七一号)
 同外二件(廣瀬正雄君紹介)(第八六七二号)
 連合国占領軍の行為による被害者等に対する給
 付金増額に関する請願(藤尾正行君紹介)(第
 八六七六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第一五号)
     ――――◇―――――
○三原委員長 これより会議を開きます。
 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。受田新吉君。
○受田委員 順序を変えていただいて質問をさしていただきます。
 私、文部大臣とは文教委員会でたびたびお目にかかれますので、これは内閣委員として重要なポイントだけにとどめて質問をさしていただきたいのですが、最近、私立大学の医系の大学にいろいろな事件が起こっている。しかし根源を確かめてみると、文部省の認可方針とか認可手続等かに何か欠陥がある。つまり文部行政の欠陥からここにこうした残念な収賄、汚職事件というものが発生する、こう私は思うのです。これは、決して私立大学側の責任のみを追及するのでなくして、文部省自身の責任もあると私は思う。大学設置審議会とか私立大学審議会、その委員の方々も、私、個人的にはずいぶんたくさん存じ上げております。そしてその方々個々には一生懸命に、大学の設置基準をどういうふうにするか、設置基準に適合しているかどうかを設置審議会のほうはやっておるし、それから特に経理面をチェックする点については、私大審議会で皆さんが苦労しておられます。私も傍聴に行ったことも何回かあるのです。そっと傍聴に行かしてもらいました。ところが結果は、引き続き福岡歯大のような事件が続出している。つまり文部省の従来の方針では、私立医系の大学は現実には設置が不可能であるという段階になっている。つまり寄付金その他を中心とした基金というものは、結局、五十億とか百億とかいう私財を投じた人がまれにおった場合に可能であって、その他の場合ではとうてい不可能であるという現状であると私は思うのです。御答弁を願いたいです。
○奥野国務大臣 私と受田さんと大体同じような認識に立っているんじゃないかなという感じを、お話を伺いながら受けたところでございます。医学、歯学の大学をつくるのには、ばく大な金を要するわけでございます。同時に文部省は、入学を条件とするような寄付金を徴収することまかりならぬ、こういうことを言うておりますので、その間に若干矛盾したところもあると考えるわけでございます。そういうこともございまして、ことしは国立三校、来年度以降では国立四校の医学部をつくりたい、あるいは医大をつくりたいというような考え方に踏み切らしていただいているところでございます。
○受田委員 福岡歯大の場合、私の友だちの九州歯大におった先生が福岡歯大へかわるという段階で、私は何回か手紙をもらっておる。その手紙を私は持っております。非常に苦悩しておる。そしてその先生は、昨年秋ついにこの世を去っていきました。野代平治という先生です。医学博士です。ついにこのことを悩み続けてこの世を去っていかれた。山口県大島郡東和町の出身です。つまり教授の争奪戦の犠牲にこの先生はなっております。それほど激しい。福岡歯大の設立には、その先生御自身が精神的に苦悩をされ、その苦悩をあらわした手紙も証拠物件として私は持っております。それほど設立にはいろいろな行きがかりがあったと私は判断します。そうして無理をして大学をつくって、しかも百八十人の定員へ二百七十一人もとっている。文部省はこのワク外の定員をどういうふうに判断をしておられるのか。昭和六十年に人口十万につき百五十人の医師の定員。歯科医師はまた別に基準があるのですけれども、その基準から見て、定数以外にはみ出たものは計算に入っているのかどうか、これも御答弁願いたいです。
○奥野国務大臣 文部省としては、教育の中身が充実して行なわれなければなりませんので、認可申請に際しましては、定員と設備、教官一体のものとして審査をして、認可しているわけでございます。しかし事実は、御指摘になりましたように、歯科関係の大学におきましては、定員を非常にオーバーして入学を許可している。私たちもそこに問題があることを認識して、これに対する是正策について、場合によって立法措置も必要ではないかというようなことも考えながら検討しているところでございます。
○受田委員 大学学術局長、あなたは先般の御答弁の中で、医師の養成目標を、いま指摘したような線でお示しになられた。その中に現実に、私立の医系の大学、医学部、歯学部の定員というものが、各私立大学とも文部省へ報告してある定数を、福岡を除いて他は守っておると思うか、守っていないと思うか。また、現実に何名採用しているかの実態を掌握しておられるかどうか、御答弁願いたいです。
○木田政府委員 医学、歯学の入学定員につきましては、新設になりましたものも、従来からございますものも、毎年、その入学定員については、指定統計その他の方法によりまして、確実なデータを把握をいたしてございます。一般的に申しますと、医学のほうは定員に対して多くても二割程度の増という形になってございます。ところが歯のほうは、たいへん残念でございますけれども、七割程度の増というのが既存の大学の一般的な傾向になっておる次第でございます。
 このことにつきましては、大学設置審議会の委員、あるいは大学の視学委員を別に設けておりますが、それらを毎年派遣をいたしまして、反省を求め注意を促しておる次第でございますが、今日の制度のもとにおきましては、反省を求め注意を促すということ以上に特段の措置がとれませんので、遺憾ながら毎年同じような警告を繰り返すということを続けてきておる次第でございます。
○受田委員 そういう行政指導はおかしいじゃないですか。ぴしっと定数を守って医師、歯科医師の養成をするというのが文部省の任務ではありませんか。七割程度増員を、定数以外の割り増しを大目に見ておる。それが遺憾ながらずっと繰り返されておるというような状態で、私立大学の監督権の行使ができておるかどうか。これは非常にずさんな行き方。しかもその定数以外の割り増しを計算に入れて寄付金を取って、その寄付金を前提にして大学の運営をはかっていく。そして初めは適当に寄付があったごとくして、それが最後には、入学者の父兄から寄付したものであとから追加支払いをしてごまかしてきておるという、ごまかしで大学はできておるというこのごまかしを、正義の味方であり、教育の中立を守りきれいな人間をつくる文部省が堂々と認めて今日に来られたということは、文教の府だけに私は残念だと思うのです。
○木田政府委員 御指摘とお怒りは、まことにもっともかと思うのでございますが、今日、私立学校に対します文部省の監督関係は、学校教育法と私立学校法によって規定されておるわけでございますが、学校教育法第十四条におきまして、一般的に国、公、私立の学校を通じて、「学校が、設備、授業その他の事項について、法令の規定又は監督庁の定める規程に違反したときは、監督庁は、その変更を命ずることができる」というのが、一般的な、学校に対する監督庁の、法令違反あるいは監督庁の命令違反に対する変更規定なのでございます。ところが、いろいろの経緯があったわけでございますけれども、私立学校法ができました際に、私立学校法五条によりまして、「学校教育法第十四条は、私立学校に適用しない」という明文の規定がございまして、私立学校に対しましては、こうした監督上の立場をとり得ないというのが、現在の法律によって示されております私どもの立場でございます。
 したがいまして、毎年毎年できております学校に対して、その認可の条件に違うところは一々反省を求めるということを指導、助言として繰り返しておりますけれども。それ以上の措置に出ないということはまことに遺憾に思っておりまして、大臣もたびたび国会で答弁しておられますように、こうした問題が重なるといたしますならば、これらのところについて何らかの検討を加えなければならないのではなかろうかという気持ちでおる次第でございます。
○受田委員 文部大臣、この私立大学も、一生懸命に何とかして私学の振興をはかり、また医師養成もしたいという熱情を持っている点においては、人後に落ちないものがあると思うのです。ただ、現実に基本的な財産というものがないものからスタートをする場合に、将来入学する者を予定していろいろな事件が起こってきているのは、浪速医科大学の問題なども同様なんでございますけれども、これは文部省が十分実態を把握すれば、犯罪を犯すことは想定できる。現実にそういう無理をしなければ私立大学はできないじゃないですか。これだけの膨大な経費、一人一千万とか二千万とかの養成費を必要とする医系の大学は、将来入学する者を対象としてそうした非常な無理をして小細工しなければ、実際にできそうにないとお考えになりませんか。あなたも身をもって体験されたと思うのですが。それなら医系の大学は私立は一切やめて国立だけにすると、割り切ってもらっても困るわけなんです。それは国、公、私立、それぞれ繁栄をはかっていくのが筋で、そのためには、私学の医系の大学が新しくスタートする場合には、少なくとも五十億なり六十億なり、理科系の教育振興には助成もしているわけですから、当然国立がやる筋を私学にも御苦労願うのだからということで、国家が基本的な財政援助をするということで私学の医系の大学を一応認めるというやり方にすればいいじゃないですか。
○奥野国務大臣 お話、よくわかるわけでございます。またばく大な金を要することでございますので、はたしてそれだけの金を用意して認可申請に踏み切っているのかどうかということで、文部省事務当局はずいぶんしさいな調査をしているようでございます。その調査に関します限りは、それはそのとおり間違いないということになっておるわけでございますけれども、松本のように、あとから検察庁が調べてみると、やはり架空の寄付であったというようなことでございます。事務当局の調査の限界を越えたようなぐあいに内容がつくられでいるというようなことがあったわけでございます。そういうこともございまして、私は、私立の医科・歯科大学の認可は今後は慎重を期したい、半面国公立を増設していきたい。公立の場合には、いま御指摘になりましたけれども、いままでは経常費助成をしていなかったのを、ことしから経常費助成に踏み切らしていただきました。同時に、創設につきましても助成措置を四十九年度以降とらしていただきたい、そういう希望を持っておるわけでございまして、いずれ予算措置のときに解決する問題でございます。
 私学の問題につきましては、融資の問題、経常費助成の問題、両方あるわけでございます。しかし経常費助成の問題につきましても、卒業生を出してみなければ助成に値する学校であるかどうかわからないというようなことで、新興の大学には助成が行なわれていないわけでございますけれども、私は、医学、歯学に関しましては、やはり認可したときから経常費助成の道も講ずべきじゃないかというような希望を持っておるわけでございまして、これも予算と一緒に解決しなければならぬわけでございますけれども、お話しになりましたような方向へ解決の道を求めていきたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
○受田委員 既設の私立医系の大学、単科大学と総合大学の医学部を問わず、国、公、私立のバランスがとれるように、国立の大学については思い切り予算が配分されておるのですから、その国寺のやる役割りを一部負担するという意味で、医事の大学には既設の大学にも十分の助成をして、新しく入学する父兄に負担をかけないような手だてをさせる。新設の場合だって、私立の医系の大学は新設を今後しない方針などときめる、そのことがおかしいのであって、しかし、十分の条件を考えながら、国家がある程度相当大幅の助成をしながら私立の医系の大学も設置するということで、財政上の措置さえできればできるのですから、私立の医系のものは一切もう許さない方針であるなどということへ割り切らないで、大学は、国立だろうと私立だろうと、自由に設立できるような道を開いておかぬと、今後私立の医系の大学はやめるようにしますという、そんな断定的な指導方針、文部省はたいへん誤っておるのです。(「そうだ、その通りだ」と呼ぶ者あり)そうだな。ほんとうにそのとおり。もっと大所高所から、文教行政というのはそういうところへ目を向けなければいかぬのです。惜しみなく予算を振り込んで、困っている医系の私立大学には何らかの関係で思い切った助成を出してやろうという配慮をする努力を文部大臣がしないでおいて、ややこしゅうなるから、さわらぬ神にはたたりなしというような気持ちで安易に日本の教育行政を考えられるということは、これは許されません。私の質問に対しての明確な答弁をお願いしておきたい。
○奥野国務大臣 医科・歯科大学につきましても、国立、公立、私立、それぞれ学風、特色を打ち出しながら努力を続けていただく体制、これは非常に大切なことだと考えております。私が私学について言いましたのは、認可について慎重を期したい、こう申し上げたわけでございます。認可について慎重を期したいと申し上げました背景は、これだけの財源を用意したのですという、その用意された財源がそのとおりであるかどうかということについて、事務当局はずいぶん慎重な調査をしたにもかかわらず裏切られたような結果が出てきておる。これが一つございます。
 もう一つは、認可にあたりましては、設備についてさほど大きなものは考えていない、そうであるならば、それなりに一応用意された財源で完成させることができる。ところが、認可を受けたとたんに二倍内外の規模に変えちまうわけでございます。そうすると、その金をどう用意するのか、用意する道が認可申請にあたっては示されていないわけでございます。そうしますと、結局また入学時の寄付金等に求めるということになり、学生の純真な気持ちを阻害していくということにもなるわけでございますので、こういう点も突っ込んで調査をしていきたい。突っ込んで調査をしていきますと、実際問題として、いままでのようにたくさんな私立大学を認可することは不可能である、こう私は考えておるわけでございまして、こういう意味合いにおいて慎重を期していきたい、こう申し上げておるわけでございます。
○受田委員 私、横路さんの前をちょっとだけというお約束ですから……。
 医系の大学、特に私立大学の医系の大学では、いろいろと父兄に負担をかけておるんです、現実に。ばく大な負担をかけておる。こういうことで教育という問題が正常化することはあり得ぬのです。これを是正するのは文部省の責任なんです。文部行政の手抜かり、もう一つ突っ込んでいえば、予算獲得の腕前の拙劣さが今日こういう結論を生んでおる。医師養成については、りっぱな名医をつくるために、国家は私立にもりっぱな財政措置をして、父兄が負担に応ずることなくして、堂々と私学で成果があげられるようにする努力を文部省はせにゃいかぬ。それの根本的な問題があるんですよ。これ、おわかりでしょうね。わかりましたと、ちょっと一口……。
○奥野国務大臣 私は、私学の果たしている社会的な役割り、それが国立、公立と同じであるならば、やはり税金の金も、それに準じて私学に対して向けられるべきであるという考え方を持っているものでございますので、基本的には同じだと思います。
○受田委員 もう一つ、これでおしまいにしますが、実はこの問から当委員会でいろいろとハプニングが起こっておる。私、靖国神社法案をめぐって、いろいろと若い皆さんの気持ちはよくわかる。要望も出ておるのですが、しかし、それが非常に熱烈なあまり、力があり余るようなかっこうにもなっておるということもあるのでございますが、私は自民党が出されている靖国神社法案というものの審査以前の問題が一つあると思うんです。あなたは宗教法人を担当している文部大臣ですね。つまり、宗教法人靖国神社をあなたは所管されている国務大臣と見るが、そのとおりですね。
○奥野国務大臣 宗教法人の関係は文部省の所管になっております。
○受田委員 そこで、法案審査の前の問題が一つあるんです。何となれば、あなたが御所管されている宗教法人靖国神社を国家護持にしたいと、自民党は法案をいま用意されておる。まだここで趣旨説明してない。赤紙で第一線に出た、そして祖国のために殉じたという方々は、国家の命令で出ておる。そして天皇のためにという意味で出られた。自民党の赤紙で行ったんじゃないんです。したがって、こうした問題に政府が真剣に取っ組んで、あなたが御所管されている宗教法人靖国神社を国家、国民の崇敬を受ける形に切りかえたいという御熱情をあなた自身が持たれるならば、政府提案としてなぜこれをお出しにならないのか。審査以前の問題として私は疑義があるんです。この問題は、私は委員長にもその点は申し入れして、政府自身として、あなたがいまは担当の国務大臣だから、閣議で自民党案を政府案に切りかえるくらいの配慮が要る。特にこうした信仰の問題などというものは、一党一派の問題でなくして、国民全体の問題という意味からならば、できるだけ多数の人が協力できるような関係にこれを育てていくという責任は政府にある。自民党政府としてこれをどうして取っ組まなかったのか、担当国務大臣として御答弁を願いたい。
○奥野国務大臣 私は、不幸なことだと思うんですけれども、国の防衛の問題などにつきましても、大きく国論が割れているわけでございます。たいへん不幸なことだと思います。同時にまた、この靖国神社を国家の手で守るという問題につきましても、従来からかなり大きく国民の考え方は割れているというのがいまの姿でございます。やはりこういう問題につきましては、なるだけ早い機会に国民合意の道を見出していくということが、政治の大きな私は課題だと考えるわけでございます。そうしますと、政党間でいろいろな話し合いをする、また政党が問題を提示していろいろな話し合いの場をつくっていくということも、私は非常に大切なことじゃないだろうか、かように考えているわけでございます。
○受田委員 あなたは担当国務大臣です。現在の宗教法人靖国神社、その国務大臣でございますから、私はいま法律案の審査の以前の前提の問題として、いま現に自民党からこれが出されようとしているというようなところに党利党略的な色彩がある、これはむしろ政府として提出されるべきだ、そういう感じを私は持っているわけなんです。そういう意味で、なぜこれを政府提案にできないのか。たとえば憲法問題とかその他で、法制局の内部等で異論があるというようなので政府提案にできないのか。私は、あなたが担当国務大臣であるだけに、この問題は閣議で急いで政府提案に切りかえるということを提案して、あなた方は自民党政府でありますから、そうして日本国の政府が提案するということにいまからでも切りかえができるのかできないのか。こういうことは閣議で主張しても、いまからまだ余裕があるのです。もう自民党だって、いまこれを今国会で通すという意思がないこともはっきりわかっておる。したがって、そうなれば、自民党のために考えるんでなくして、政府提案ですなおに国家、国民のためにこの問題を考えてあげるというのを、いまからでも主管大臣として閣議で決定されることができるかどうか、不可能か、これをひとつ。まだあした閣議がある。それから金曜日に閣議がある。来週の火曜日にも閣議がある。しかし来週は間に合わぬです。あすか金曜日かにやれるかどうか。私は、この問題をあえて法案審査の前の問題として、一応おただしを申し上げておきます。
○奥野国務大臣 これは考え方の違いかもしれませんけれども、いまも申し上げましたように、防衛の問題一つにつきましても大きく考え方が割れているわけでございます。そういう際に、またこの靖国神社の問題につきましても、政府側から提案をしていくということですんなり話し合いが進行するような姿であるなら、非常に望ましいと思うのでございますけれども、なかなかいまの姿のままでは容易ではございません。そうしますと、いまおっしゃいましたように、国民の問の合意、国民の問で話し合いの機運をつくる、そうなりますと、政府から持ち出すよりも政党から持ち出されるほうが、いまの場合としてはそういう道をつくりやすいんじゃないだろうかな、こう私は考えておるわけでございまして、考え方の違いかもしれません。また、おっしゃっているような方向も一つかもしれませんけれども、逆に私は、そのことは対決を深めるんじゃないだろうかという心配もしておるわけでございます。
○受田委員 私、きのう靖国神社へ、夜、宿舎へ帰るときお参りしておったら、こういうことを放送しておる、靖国神社は。この靖国神社法案は野党があげて反対をしている、自民党は一生懸命にやろうとしている、皆さん自民党の提案に御賛成ください、野党はこぞって反対でありますと、神社の前でそんな放送が行なわれておる。こういうように、神社そのものが挑戦的にどんどんやっているというようなところを見ると、私はさびしい感じがしますね。お国のためになくなられたみたまたちのお祭りの晩に、政党問の対立を浮き彫りするような放送が参拝者の全員に放送されておるのです。これはお国のためになくなられたみたまに対してほんとうに申しわけないことだと私は思うのです。
 そういうところで、自民党案というこの議員提案というものを引っ込められて政府案にすべきだ。あなたは文部大臣として逃げておる。むしろ自民党案にしたほうがいいと、担当の国務大臣として、宗教法人靖国神社を扱っておられる大臣として、あなたは責任のがれをされておる。法律案の提案者を見るとあなたのお名前がない。国務大臣であるからない。三原委員長の名前もない。全部私は読んでみたところが、なるほどないんだな、これが。つまり責任をのがれておる。日本国の名で赤紙をもらい、日本国の名で、日本国民で勲章をいただいておられるのです。自民党の勲章をもらっておりませんよ、みたまたちは。そういう意味で私は、日本国政府として当然あなた方がこれをお出しになる性質だ。逃げておられるということは非常に不愉快です。
 私がいま申し上げたことでもう一度閣議に提案して、担当国務大臣として政府提案に切りかえられないか、御努力される御意思ありやなしやを伺って質問を終わります。
○奥野国務大臣 受田さんの気持ち、私よくわかる気がいたします。よくわかる気がいたしますけれども、いま文部省法案幾つか提出させていただいております。私はどうしてこの法案に反対なのか理解に苦しむのですけれども、やはり政府が提出しておるためにむしろ強い反対を受けておるのじゃないかなという気持ちさえ、ときには起こるのです。そういう際に、またこの靖国神社の法案を政府が提出するよう努力をします場合に、一体どういうことになるんだろうかということについてたいへん疑問を感ぜざるを得ない。したがいまして、私は、今日の時代におきましては、ぜひ政党問で話し合いを続けていただくという姿が一番適切ではなかろうか、こういう考え方に立っておるのでございます。
○受田委員 いや、私は政府提案を希望するわけです。
 それからちょっと、あなたは、これがもし政府案になったら、文部省の所管になるとお考えなんですか。従来、法案がごたごたしておるから、政府案にすると文部省案の何かと一緒に流れると思われるのですか。文部省の提案になりますか、政府案とすれば。
○奥野国務大臣 これはその際によく相談をし合ってきめることだろうと思います。いまどこの所管の法案になるというようなことについては考えてはおりません。
○受田委員 終わります。
○三原委員長 横路孝弘君。
○横路委員 時間が非常に限られておりますので、問題を二つだけにしぼって、福岡歯科大学の問題と、それともう一つ札幌に札幌香蘭女子短大というのがあったのですが、これは学校ができて五年であっという間に廃校になってしまったのですが、その認可と廃校の経過を見てみますと、今度の一連の歯科大学の問題として提起をされておるところと非常に共通した問題がたくさんあるというように私は思いますので、この二点にしぼってお尋ねをしたいと思います。
 最初に、ちょっと時間の都合がありますので、札幌の香蘭女子短大についてお尋ねをしたいのですが、これは開校五年でことしの三月二十八日に廃校とされてしまったわけですけれども、社会的に重大な使命を持っているこういう高等教育機関というのが、経営状態が悪化したからといって、簡単に企業のようにやめられていいかどうかということになると、非常に大きな疑問があるわけです。しかもこの経過を見ると、私大審の審議そのほかを含めて、非常にずさんな審議を行なって大学を認め、そしてなおかつ、ろくに審議もしないで大学を廃校にしてしまう。卒業生を含めて非常に迷惑をしておるわけであります。
 そこで初めに、まず設立の経過と、それから廃校について一体どういう審議を行なったのか、この二点について明確に御答弁をいただきたいと思います。
○木田政府委員 札幌香蘭女子短期大学は、昭和四十三年度に入学定員百人の英文科を設けて開学したものでございます。しかしながら、開学以来入学者が定員の半分にも満たない、特に昭和四十六年度の入学者に至っては二十九人という状況でございました。このため同短期大学の維持、経営が困難になりまして、昭和四十七年以降の学生募集を停止し、在学生の卒業を待って昭和四十八年三月末に廃校の運びになったものでございます。
 非常に簡単でございますが、以上の経緯でございます。
○横路委員 廃校については、いつ申請がなされて、それがいつ審議が行なわれて、いつ認められたのですか。
○木田政府委員 廃校につきましては、四十八年の三月一日に学校の廃止認可申請書が提出されまして受理をいたしました。そして三月の十六日、私大審議会におきます答申を得て、三月二十八日に廃止の認可をいたした次第でございます。
○横路委員 非常にスピーディなんですね。しかも三月十六日の私学審議会のときは、まだ生徒が中におって、卒業式が三月十八日に行なわれるということで、卒業できるかどうかもわからない状況でもって、三月十六日に私大審議会を開いてきめてしまっておるわけですよ。
 その経過の中で、私、非常に疑問に思っておるのは、実は大臣、ここのあと地が初めは北星学園という、これは学校でございますけれども、ここに四億五百万で売るという話があった。それから山善という会社が五億七千万。この山善という会社が、この廃校の申請の出たときには売買の買い手としてあったわけです。これがその直後、男山という、これは酒造会社ですが、七億二千万で買って、いまは住友不動産。最後にとうとうやはり大手が出てきたわけです、八億四千四百万ということで。文教地区なんですね、ここにちょうど建てられている学校というのは。酪農学園大学とか北海道の百年の塔があったり、いろいろそういう地域に建てられて、非常に場所がいいものですから、土地がどんどん上がってしまったわけです。
 私が非常に疑問に思っているのは、山善との契約書に合わせて私大審議会が認可をしたのではないかという疑いが非常に強いわけです。というのは、それについての契約書についてちょっと明らかにしていただきたいのですけれども、この山善との契約は私大審の廃校の申請のときに当然添付書類として出ているはずでございますけれども、概略どんな契約内容になっているのか、とりわけ明け渡しの期限がいつになっているのか、それを明確にしてもらいたいと思います。
○安嶋政府委員 実はただいま手元に持ち合わせておりませんので、必要でございますれば、調べて御報告を申し上げたいと思います。
○横路委員 だって、香蘭女子短大の問題と福岡歯大の問題を質問するからということで、書類を用意してくれということをお願いをしてあったはずです。
 実は契約書の中身によると、四十八年三月三十一日が山善に対する明け渡し期限になっている。そして契約を結んだのは四十七年度ですよ。四十七年度に香蘭女子短大と山善とが契約書を結んで、土地についての売買契約を先ほど言ったように五億七千万で結ぶ。明け渡し期限三月三十一日ということで皆さん方のほうは審議を急いで、どういう理由でもってこれがだめになるのかという審議もろくにしないままに、それに合わせて、十八日の卒業式の前に、子供たちがどうなるかまだわからぬ状況でもって、十六日に私大審を開いて廃校を認めているわけですよ。こんな、ろくに審議もしないで、不動産会社の都合に合わせて審議会を開いて認可するなんていうのは、もってのほかだと思う。大臣どうですか。
○奥野国務大臣 この大学は設立当初から、入学者が募集定員を非常に大きく割るということのようでございました。私の承知しておりますのは、そういうこともございまして、四十七年度には入学の募集停止をいたしたようでございます。そうしますと四十八年の三月には学生はいなくなるということでございます。設立されて以来満足な運営が行なわれていないわけでございますので、条件が整っておりますと、そういういまお話しになりましたようなこと、おそらく事務当局としては知らないだろうと思うのでございますけれども、廃止の認可申請に対しまして認可を与えるというのは本来の筋道ではなかろうかな、こんな感じを私としては持たざるを得ないような感じがいたします。
○横路委員 三月十六日の段階では、まだ卒業できるかどうかわからない学生もおったわけですよ。そういう状態で認可をしてしまうということですね。
 しかも、このときの審議の内容についてちょっとお尋ねしたいのですけれども、六億五千九百万の赤字があったということですね。この赤字の内容についてつかんでおられますか。大臣、廃校にするときには、皆さん方が審議会で認めたわけだから、認めたのがなぜだめになったのかということを徹底的に審議をしなければ、そのあとの審議に対して役立たないわけでしょう。だめになったから、はいよろしいということは、卒業生だってまだ若い二十代の女性がおって、自分の卒業した学校がなくなったというので、たいへん大きな問題になっているわけです。この六億五千九百万の赤字の中身はどういうことになっておりますか。
○安嶋政府委員 先ほど山善との契約についてのお話がございましたけれども、私立大学審議会におきましては、ただいま御指摘の山善との契約の履行時期云々ということは全く論議の対象になっておりません。審議の対象となりましたのは、ただいま大学局長から申し上げましたような、学生募集がすでに停止されておって、そして残っておる学生も年度内に卒業することが確実である、こういうような説明がございまして、私立大学審議会といたしましてはこれを認めたということでございます。
 それからなお、その当時の六億五千万の負債の内容でございますが、四十七年の四月一日現在の負債の残高といたしましては、一々申し上げますと、北海道信用金庫が約六千百万円、北洋相互銀行が約五千五百万円、共同信用金庫が約一千万円、それから北海道の私学振興基金協会が約二千六百万円、北海道拓銀が約六千五百万円、私学振興財団が一億一千六百万円北海道銀行が約千五百万円、熊谷組が約二億五千万円、札幌市が約二百万円、その他約五千六百万円ということでございます。
 御承知のとおり、この学校法人は高等学校をも経営しておるわけでございまして、ただいま大学局長から申し上げましたように、学生の応募がほとんどない、短期大学を引き続き経営していくということは、この法人の経営状態を非常に悪化させ、将来これを正常な経営状態に戻す見込みがない。そういう状況でございましたので、この際、そうした赤字の原因にもなり、あるいは将来回復の見込みのない短期大学を廃止をいたしまして、そしてその校舎等を処分いたしましてただいま申し上げましたような負債の返済に充て、学校の経営の再建をはかりたいということが同時にこの学校の廃校の理由になっておるというふうに理解をいたしております。
○横路委員 その六億五千九百万というのは、負債状況、債権者がだれかということじゃなくて、どういう事情で生じた赤字であるのかということなんです。皆さん方のほうは、当初の資金計画についてこれを認めたわけでしょう。これでよろしいということで大学の認可をしたわけでしょう。ところが五年たって六億五千九百万の赤字が出た。そうすると皆さん方は、それを廃校にするときには、当然、当初の計画について審査の状況に何か問題があったのかどうか、それをやはりきちんと審査をして結論を出して、責任を明らかにして、そうして廃校を認めるなら認めるということにしないと、いつもあなたは、私大の理事者が悪いのだということで問題をすりかえてはだめですよ。だから私はそういう意味で聞いておるわけです。これは実は福岡歯科大学問題とからんでくるんですよ。六億五千九百万というのはどういう中身で生じた赤字なんですか。債権者じゃなくて。
○安嶋政府委員 この学校が申請をされましたときの短大関係の資金計画でございますが、所要財源が約二億ということでございました。申請によりますと調達済みの自己資金が約一億七千九百万ということでございます。したがいまして、設置費はまず充足しておったというふうに当時判断をいたしたようでございます。
 ただいま申し上げましたのは短大の設置にかかる部分だけでございますが、法人全体といたしましては、これは四十二年の八月三十一日現在でございますが、資産が全体で約七億七百万あったということでございます。同時に負債が約二億二千五百万あったということでございます。負債の率は三一・八%ということでございます。約三割の負債が設立当時からあったわけでございますが、この比率自体は、他の学校法人に比べて特に高いというふうには当時考えなかったわけでございます。四十二年の八月当時の負債が約二億二千万であったわけでございますが、それが、四十七年の四月一日現在におきましては、約六億五千九百万円に増加をしておるということでございます。
 これはどういう理由かということでございますが、その間、ただいま大学局長から申し上げましたように、入学を予定をしておった学生がきわめてわずかしか入学しなかった、そうしたことによりまして年々経常費の赤字がかさんでこうした事態になったものと、私どもは理解をいたしております。したがいまして、この学校法人の経営全体を再建し、あるいは正常化するためには、こうした学生がほとんど応募しないような短大をこの際廃校にし、法人全体の経営を立て直していくということは、これは私どもといたしましても、やむを得ない策であろうというふうに理解をいたしておる次第でございます。
○横路委員 百名全部定員が入ったらやれるような状況だったのですか。計算したことがありますか。さっきお話があったように、七割から八割、定員外の人間を入れればやれたかもしれませんけれども、百名の定員でやれるような当初からの計算になっていないですよ、これは。
○安嶋政府委員 四十二年の申請当時の書類を見てみますと、短大関係の経常収支におきましては、四十三年度収入見込みといたしましては一億二千五百万、支出見込みといたしましても、多少の端数の違いはございますが、一億二千五百万ということでございます。四十四年度以降は若干の黒が出るというような計画でございまして、私どもはそうした収支の見込みを前提として認可をしたということでございます。
○横路委員 だからその辺のところをちゃんと数字に当たって調べてみてください。たとえば「大学等設備のための施設費設備費の財源調書」というのを、皆さん申請のとき添付されていますね。そのうち自己資金が幾ら、寄付金が幾らとあるでしょう。ところが、その自己資金だって、たとえば流動負債との関係で言うと、現実に大学の理事のほうで認めているわけですけども、流動負債をかかえてみると純然たる自己資金というのは全くない。それは資産はあったでしょう。不動産や何かを含めて財産はあったでしょう。あったけれども、そういう意味でもって、設備のために使うお金とか、経常経費をいろいろ出すための資金というのは、現実の問題としては負債の関係があって全然だめだったと、こう言っているわけですよ、理事者のほうが。これは皆さん方のほうにも、教授会が白書という形でまとめて提出をしていますから、その中に十分これは指摘をされていることなんで御承知だろうと思いますけれども、私がお伺いしたのは、そういう点を廃校のときにきちんと審査をして、どこに問題があったのかという点の検討をしたのか、しなかったのかということ。どこに問題があったのか、いや経営が成り立ちません、もうだめだからやめるのです、それでいいですか。
○安嶋政府委員 先ほど申し上げましたような設立当時の資金の計画でございますが、ただいまからこれを振り返ってみますと、当時、調達済みであったという約一億七千九百万の自己資金、これが先ほど申し上げましたような負債の二億二千五百万とどういう関係にあったかというようなことがあらためて問題になろうかと思います。短大の設立、つまり法人全体といたしましては、もちろん負債は資産総額の約三割ということでございましたが、設置費自体は形式的には充足されておりましても、その実質がかなり借り入れに依存しておったというような見方があるいはできるかと思います。そうした点につきましては、私ども今後十分留意してまいらなければならない点であろうと思います。
 廃止の審査をいたしますときは、審議会の議論自体はそこまでは立ち入らないわけでございます。現に学生がいない、あるいはほとんどいないという状況で、将来もこれを回復する見込みがないということでございますから、法人全体の財政の再建をはかるためにはやむを得ないという観点から資産的な面の審査は行なわれたわけでございます。
○横路委員 皆さんのほうで認めてから、これはアフターケアは行なったのですか。
○安嶋政府委員 このアフターケアは、大学局あるいは大学局の大学設置審議会、それから管理局並びに管理局がお世話をいたしておりまする私立大学審議会で行なうわけでございます。年々三十校程度の学校につきまして、アフターケアという形で実地調査を行なっておるわけでございますが、何ぶんにも数が多いものでございますから、すべての大学について実地にこれを調査するということは事実上できないわけでございます。最近は、先般来問題になっておりまするような医科歯科系大学につきまして、いろいろ問題が多いものでございますから、これを中心にいわゆるアフターケアを行なっておるということでございまして、ただいま御指摘の札幌香蘭につきましては、アフターケアという形で実地調査をいたしたことはございません。
○横路委員 これはいろいろ資料を見てみると、ちょっとふに落ちない点もあるんですね。たとえば負債総額六億五千九百四十万ということで、債権者別にいくと元金が五億九千百万になっているわけですね。ところが、その六億五千九百万の中身について、廃止の理由ということで皆さんのほうにも申請されていると思うのでありますけれども、そういう書類を見ると、たとえば大学設置のいろいろな設備のための費用が当初の予定を大体八千万ちょっと上回ったとか、寄付金の三千万が全然入ってこなかったとか、それから自己資金が一応表では二億二千三百万あったけれども、負債があったためにそちらのほうに回ってしまって、現実的には二千万程度の自己資金しかなかった。それから経常経費の不足分が一億一千万ちょっと支出になっている。こういう累計が幾らになるかというと四億七千六百五十万なんですね。それに対する利息として一億八千二百四十八万というものを計上しているわけです。つまり、そっちから追っていくと、どうしてもその差というのは一億八千万何がしが利息払いになるわけですよ。ところが、債権者別のやつを調べてみると、利息というのは六千七百八十七万ということで、大体一億一千万ぐらいそこに差が出てくるわけです。どうやって赤字が出たのかという中身を調べていったその額と、それから元金と利息別にその六億五千九百万の負債の中身を分析していくのとでは、差が一億一千万ぐらいそこに生ずるわけですよ。これはちょっと私たちのほうではわかりませんので、ここではやはり経理がずさんだというようなこともありまして、事務局長がたとえば途中でやめて、まあ逃げたのか何か、行くえ不明になってしまったり、いろいろなことがあったわけですね。で、一億一千万が経理上ともかくわからないわけですよ。
 今度の福岡歯科大学の問題とあわせて考えてみて、やはり非常に大きな疑義がこの短大の廃止そのものの中にあるわけですね。山善から男山、それから住友不動産というこの土地が、ともかく倍以上の値段でどんどん上がっていって、その山善の三月三十一日の明け渡し期限をめぐって私大審の審議を相当急いだという話も私のほうで聞いておるわけですよ。したがって、皆さんのほうではいろいろ調べて認められたんでしょうけれども、あとはもう知らぬよというんで、学生もいないんだから廃校になってもよろしいということで、その間、皆さん方の最初の審議にどこに間違いがあったのか。やはり決定的な原因は何かといったら、純然とこの短大のために使える自己資金がなかったということなわけですよ、この香蘭女子短大の場合は。したがって、皆さん方のほうでは、高等学校も経営している、大学全部経理を一緒にしてしまって、そして負債のほうは負債のほうで何か償還計画みたいなものを立てさして出さしているわけでしょう、申請書のときに。だから、その負債があることを十分承知で皆さん方は認められたわけですよ。だから当然その自己資金と負債を差し引いてみれば、具体的に使える自己資金は幾らかということだってその審議のときにわかったはずなんですね。それをあえて皆さん方のほうは認めて、負債のほうについては、償還計画を出させることでもって目をつぶってしまった。
 こういうぐあいに問題があるわけですから、本来ならば、あとどうなっているかぐらいは、監督じゃなくてけっこうですから、助言ぐらいあって当然しかるべきだが、それも全然やらないで、そして不動産会社の都合に合わせて廃校をぱっと認めてしまうなんというのは、経過からいってどうも私どものほうでは納得できないので、これからの審議会のあり方を議論していく上にも、大臣、ちょっとその辺の経過をもう一度皆さん方のお立場でお調べになって、審議会の審議のあり方というような面で、どこがまずかったのか、どこでこういうことになったのか。つまり、最初の認可のときに、何を皆さん方のほうでちゃんと見るべきものを見なかったのか、そこを押える意味から、五年くらいで廃校になるケースというのはちょっとないですから、私はそういう意味で、後々のために一つのケースとして、私大審の審議のあり方を皆さん方がこれから考え直す一つの資料に私はこれは十分なり得るんじゃないかというように考えますので、その辺のところをぜひひとつ御検討いただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
○奥野国務大臣 御承知だと思いますけれども、これまで私立大学の認可につきましては、大学の設置基準に合致して設立されるという場合には認めなければならないという法的な解釈で運営されていったようでございます。したがいまして、また廃止の場合につきましても、先ほど来申し上げておりますように、大学生がいなくなっている、設置当初から入学定員に対しまして入学者は半分を割っている。百人に対しまして、四十六年度に至っては二十九人になったというようなことがありますので、これはすなおな気持ちで廃止の認可をしているというふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。負債の問題は、これは学校法人の問題でございますから、学校法人は存続をしてまいるわけでございます。まだ高等学校等経営しているわけでございますので、やはり別の問題じゃないだろうかという気がしてならないわけでございます。いずれにいたしましても、福岡歯科大学、御指摘になりましたとおりでございますし、また別の問題も起こっておりますし、大学の設置認可全体に関連します問題としましては、今後さらに十分検討を進めていく考えでおるわけでございます。
○横路委員 特に問題なのは、ここでは寄付金というものが当初予定されていて、これが全然入って来なかったというわけですね、この香蘭の場合。それからさらに自己資金が三分の二以上。今度四分の三ときびしくされたけれども、なかなか私大審の審議の中ではわからないのかもしれませんけれども、しかし少なくとも香蘭の場合は、申請書を見る限りにおいて、負債がどのくらいあるのか、それから資産の中味だってどうなのかというのは、全部皆さん方承知されて、なおかつこれを認めたわけですよ。その結果ともかくつぶれてしまったわけですね。ですから、私大審のこれから審議もいろいろあるでしょうから、その進めていく場合にどこに問題があるのかといえば、やはりがっちりとしたそこのところが問題なわけですよ。自己資金がどれだけあるかないかということです。
  「委員長退席、加藤(陽)委員長代理着席」これが福岡歯大の場合だって問題になっているでしょう。それから、特に医科・歯科大の場合、学生から法外な寄付金を集めるというのも、結局は問題は自己資金のところですよ。そこのところはがっちりと押えるという意味で、私学審議会のほうにもひとつこの経過についてお伝えをいただいて、十分これからの審議のあり方を検討する上でお考えをいただきたいというように思うのです。
○奥野国務大臣 審議会の場合には、横路さんのいまのような御発言があったことは伝えるようにいたしたいと思います。
○横路委員 それからもう一つ、ここは卒業生がおるんですが、卒業成績証明書そのほかの管理の体制もいま全然ないんですね。ともかく教授会等との話し合いもまだついていないようですし、廃校になってしまって、あと、ともかく卒業生は若い女性で、これから結婚を控えたり、いまの仕事をかわるときに学校の卒業成績証明書なんか必要なわけですね。ところがその管理体制というのは全然ないわけです。これは学校の理事会の内部に若干最近内紛みたいなものがあるようなんですけれども、しかし、ともかく卒業生に対するアフターサービスだけはやはりきちんとしてもらわぬと、人数はわずかですけれども卒業生があるわけですから、卒業成績証明書くらい出せる体制ぐらいせめてきちんととっていただきたいというように思います。
○奥野国務大臣 私立大学の問題につきましては、私立大学の自主的な運営にぜひまかさせていただきたい。先輩の問題についていろいろあるお気持ちは私はよくわかるのですけれども、そこまで立ち入って文部省が話に入っていくことはいかがなものであろうかなという気がいたしますので、ぜひ御一考をお願いしたいと思います。この問題は他の大学に対する文部省の姿勢にも関連をしていきますので、私はできるなら避けておいたほうがいいんじゃないだろうかという気持ちを持っておりますので、御理解いただきたいと思います。
○横路委員 何も文部省の監督権を発動せよなんということを言っているわけじゃないのですよ。私大審の廃学のときの条件があるでしょう。その条件はどうなっていますか。卒業生に対するきちんとした措置というのは廃校のときの条件でしょう。その条件が守られていないんだから、卒業成績証明書も出すような状況がなくて、廃校のときの条件が完備していないわけですから、その辺のところを私は言っているわけですよ。
○木田政府委員 学校が廃止になりましても、この香蘭の場合のように、学校法人としての存続がございます場合には、その学校法人におきまして、学籍簿の管理その他のことは引き続き行なわれてまいります。したがいまして、卒業の資格証明その他は、その学校法人において処理をすることになっております。また、これは他の一般の場合でございますが、他の学校に吸収されたというような場合に、その大学が卒業簿の学生の処置をしていることも当然のことでございます。万一かりにどこにも世話するところがなくなったという場合におきましては、所轄庁であります文部省において在学中の学籍簿の管理その他は行なっていくことになっておる次第でございます。
○横路委員 やはり問題は、これはもちろん私大の理事者のほうにも問題があるでしょうけれども、やはりこの審議が非常に安易に行なわれている。とりわけこの廃校の経過については、先ほど言った不動産をめぐるいろいろな問題があるようでありますので、その点はこれから御注意をいただきたいというように思うわけです。
 そこで福岡歯科大学の点についてお尋ねしていきたいと思います。
 警察にお尋ねしますが、皆さん方がいま調査されている使途不明金というのは合計幾らですか。
○田村政府委員 いまのところ使途不明金の総額というようなとらえ方の捜査はいたしておりませんで、現在のところ捜査の重点は、先般逮捕をいたしました被疑者の被疑事実の裏づけということに捜査の重点を向けておりますので、総額が幾らというような点は、いまのところはっきりいたしておりません。
○横路委員 しかし捜査の端緒は使途不明金から始まっているわけでしょう。国税庁のほうでは、いろいろと使途不明金ということで、これは税法上の問題として処理はしていますね。その辺がだって捜査の端緒でしょう。したがって、いままで理事の事で何人か逮捕されておりますけれども、あがってきた数字は概略どのくらいですか。概略でけっこうです。
○田村政府委員 捜査の端緒は、使途不明金があるというところが捜査の端緒というわけではないようでございます。贈賄に使われました約八十数万円と横領の金額として約三百万円というのが、現在のところはっきり把握をしておる金額でございます。
○横路委員 はっきりしているものじゃなくて、使途不明金ですよ。この不明金は幾らなんですか。つまり帳簿で合わない、いろいろな設立準備費用であるとか、あるいはことしの春入ってきた収入があるでしょう。この収入だって、寄付金について一応文部省のほうに届けている数字と、それからそれを上回るといわれている裏の帳簿があるわけですね。したがって、犯罪を構成する金額が幾らかと聞いているのではなくて、一応捜査の対象になっている大体の使途不明金、わからない点はどのくらいなんですか、こういう質問なんです。
○田村政府委員 先ほど来申し上げております上うに、使途不明金の総額というものがどれだけあるかというようなとらえ方といいますか、捜査の対象をそういうところに現在向けておりませんので、これから捜査の進展に従ってそういうものの解明をしていくという段階でございまして、総額幾らというとらえ方をするには、現在はちょっと無理な段階ではないかと思います。
○横路委員 では、いま現在だれがその被疑者になっていて、どういう容疑なのか、それをちょっと明確にしていただけますか。
○田村政府委員 現在のところでは事件は二つございまして、一つは贈収賄の容疑でございます。収賄被疑者は、当時の大学設置審議会の委員で東京医科歯科大学の歯学部の教授であった桐野忠大、それから贈賄側の被疑者は、当時福岡歯科大学設立準備委員会の委員長でありました穂坂恒夫外三名、合計四名でございますが、この五名が贈収賄の被疑者でございまして、その贈収賄事件の現在の被疑事実の内容は、この歯科大学の設置に関しまして、穂坂恒夫外三名は共謀をいたしまして、この審議会の委員でありました桐野に対して、昭和四十六年十二月ごろに四十数万円の日本刀一振りと現金数十万円を贈ったというのが贈収賄事件の容疑でございます。
 それから業務上横領の事件でございますが、これは当時やはり準備委員会の委員をいたしておりました大城三春という人が、業務上保管をしておりました資金の中から三百万円ほどを横領をした、こういう容疑でございます。
○横路委員 これは警察のほうで捜査がいっているかどうかなんですが、設立準備段階で大体どのくらいの金を集めたのですか。たとえば、全国からいろいろ父兄に対して募集をして、一人三百万くらい金を集めたという事実もあるようでありますけれども、そこまで調査は進んでおりますか。
○田村政府委員 現在私どもは、被疑事実の解明のために必要なものについては、当然調べていかなければならないと思いますけれども、とにかくこの種事件は、被疑事実そのものを固めていくということにつきましても、なかなかそう簡単にいくものでございませんので、まず現在はとにかく、この逮捕の被疑事実を裏づけをして固めていくというところに力を入れておりますので、先ほど申し上げましたように、それに関連をしていろいろ必要な資金の動きというようなものの解明というのは、現在の段階ではまだつまびらかになっていないというのが実情でございます。
○横路委員 いろいろ調べてみると、問題はやはり二つに分けられるので、初めは福岡歯科大学と西日本医科大学という二つの申請が出されて、これが一本化されていく過程における問題が一つですね。それから一本化されて文部省に申請が出される段階の問題というように、警察の段階から言うと問題は二つに分けられるんじゃないかというように私は思うわけなんですが、どうもいまのお話を聞いていると、その後段のほう、警察がいま捜査をしているのは、一本にまとまってからあとのあたりだと思うのですね。違いますか。
○田村政府委員 一本にまとまっていく過程というものに犯罪と関係するものがあるかどうかということでございますが、その点については、警察といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、まだ捜査の対象としてこれを解明するという段階ではございません。
○横路委員 国税庁のほうで、四十七年の九月に申告しないで受け取っているということで税法上の措置がとられましたけれども、このお金については、皆さん方捜査の対象にしていないのですか。
○田村政府委員 現在のところ、そういうものを捜査の対象としてやっておるということは、私どもは承知しておりません。
○横路委員 理事のうち、いままで、被疑者として、あるいは参考人として取り調べを受けた者はどうですか。差しさわりがなかったら名前を公表していただきたいと思います。
○田村政府委員 被疑者として現在逮捕しております者は、先ほど申し上げました、東京医科歯科大学の歯学部の教授であって、当時大学設置審議会の委員でありました桐野忠大、これは収賄でございます。それから贈賄側は、当時福岡歯科大学設立準備委員会の委員長でありまして、現在福岡歯科大学の理事長である穂坂恒夫。それから同じく当時副委員長で、現在福岡歯科大学の評議員である笠原稔彦。それから当時準備委員会の実行委員でありまして、現在福岡歯科大学の専務理事である七熊治夫。それから当時準備委員会の実行委員でありまして、現在福岡歯科大学の評議員である力武清士でございます。それから業務上横領事件につきましては、当時福岡歯科大学設立準備委員会の実行委員でありまして、現在福岡歯科大学の常務理事であります大城三春。この六名が被疑者でございます。また、被疑者として現在までに警察が取り調べをしたのは、この六名以外にはございません。
○横路委員 被疑者の中で参考人として取り調べをしたのはどうですか。
○田村政府委員 参考人として取り調べた被疑者については、ちょっと私、いまのところ承知をいたしておりません。
○横路委員 皆さん方のほうでは、非常に事件をしぼって捜査をされているように聞こえるわけでありますけれも、いま集中的にやっているのは、この二つの事件を、これは逮捕しているわけですから、警察のほうでは自分の手持ちの時間の中で処理をしなければならないのでしょうから、それに全力を集中するのはわかるとして、文部省のほうに出されたいろいろな申請や何かの書類そのほかについては、押収そのほかの処置はとられたのですか、私学審議会の……。
○田村政府委員 これは関係個所は十数カ所捜索をいたしまして、相当多数の書類等を押収いたしております。文部省と申しますか、審議会の関係で、文部省の中に事務の文書がありますところにつきましては、必要なものについては押収をいたしております。
○横路委員 その必要なものというのは、たとえば、申請の書類から、審議会の議事録から、専門委員の名簿から、全部ですか。
○田村政府委員 ちょっとその押収目録その他手元にございませんのであれでございますが、必要なものについては押収いたしております。
○横路委員 文部省のほうにお尋ねしますが、文部省のほうで警察のほうに押収されたものあるいは任意的に提出をしたもの、それはどんな書類がございますか。
○木田政府委員 大学設置審議会の審査の手順、それから当福岡歯科大学の設置認可申請書、並びに当時の審査に当りました関係者の名簿等でございます。
○横路委員 この問題は、一本化の過程を含めて、政界に対する波及ということもいろいろいわれているわけです。理事の中にも政治家が二人ほど入っておりますね。剱木さんという、元文部大臣をやった方とか、田中六助さんという、これもここの地元の方でしょうが、お二人とも理事におなりになっているわけですが、捜査のいまの状況の中で、そういう方向に捜査が進展をしていくというような――いまはどういう段階にございますか。
○田村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在のところは逮捕被疑者の被疑事実の立証ということに力を注いで捜査をやっておりまして、それ以外のことにつきましては、現在まだ捜査はほとんど進んでいないという状況でございますので、ただいま御質問の件につきましても、今後どういうふうな方向に行くのかというようなこと等につきましては、現在の逮捕被疑者を中心にした捜査に向けまして犯罪の疑いがある者が出てまいれば、それについては厳正な捜査をしていく、こういうことになると思います。
○横路委員 たとえば金の授受があったからといって、必ずしもすぐ犯罪になるということにはならないわけですけれども、福岡県警の捜査によると、政治家に金が渡っているのは間違いがないようですね。
○田村政府委員 その点は確認をいたしておりますが、福岡県警としては、そういうふうな金額が渡ったというような事実につきましてはまだ把握をしていない、こういうことでございます。
○横路委員 その把握をしていないというのは、たとえば贈ったというほうが言っただけでは、これは贈ったということには法律的にはならないわけですから。受け取ったほうが受け取ったということにならなければならないわけでしょう。そういう意味でしょう。受け取ったほうが受け取ったということは、まだ捜査の段階では言っていないけれども、いろいろな取り調べの過程の中では、贈ったことは贈ったと称する話が出ているのは、これは間違いないわけですね。
○田村政府委員 いろいろ新聞等にも報道されておりまして、その報道されておることにつきましては、情報としていろいろなことがございまして、それは福岡県警としても承知をいたしておりますけれども、金がどこへどれだけ動いたというようなことについては、まだ警察として事実を把握しておるという段階ではございません。
○横路委員 これは日時とか場所とか、とりわけそういう点が非常に大事な問題でありますから、皆さん方が慎重を期するのもよくわかるわけでありますけれども、ただ、いまの捜査を非常に何かしぼっておやりになっておるという点については若干の疑義を感ずるわけでありまして、とりわけそういう中で出てきておられる方が元文部大臣ということでもありますので、皆さん方慎重にされておるのでしょうけれども、ひとつその辺は捜査の中で、途中で手をゆるめないように徹底的にやっていっていただきたいというふうに思いますが、その辺のところはどうですか。何かもうすでにこの事件についての指揮というのは法務大臣のほうから来ておりますか。
○田村政府委員 これは先生もう十分専門家でいらっしゃるから御承知のところでありますが、私どもとしては、逮捕被疑者のあります事件の被疑事実の裏づけというものをまずしっかりやるということが第一でございますし、これも御承知のように、贈収賄事件の立証というのはなかなかもつてそう簡単にまいるものではございませんので、まずいまの段階では、これの立証に全力をあげておるというのが実情でございます。
 それから、事件をしぼっておるではないかと言われますが、そういうふうな観点でまず事件に取り組んでおる。それから私どもとしては、そういうふうな捜査の進展に連れまして、そこで犯罪の疑いのある者が出てまいりますならば、これについては厳正な捜査をしてまいるというのが基本的な方針でございます。また、そういうことに関しまして、警察は全く主体的にみずからの判断において捜査を進めておるわけでございまして、特にこれが警察以外の立場からのいろいろな問題というようなことは、私どもとしては、捜査を進めていく上で別に制肘されるというようなものではございません。
○横路委員 警察における捜査によると、この当初の二十七億の資金計画について、一応形の上では自己資金としてあったけれども、現実には見せ金が非常に多かったということも捜査の中で出てきているようですけれども、その詳細についてはいかがでございますか。
○田村政府委員 その点は一部の新聞に報道されたようでございますが、警察としては、そういうような点については全然まだ承知をいたしておりません。
○横路委員 ちょっと、大臣が日教組とお会いになるということですから、いままで念願のことでもありますから、この辺で釈放したいと思います。
 ただ一つお尋ねしたいのは、四十五年度以降、二十一校設立認可した医科・歯科大学について、文部省のほうで追跡調査を行なっている。とりわけその中で問題になるのは、やはり寄付金だろうと思うのですけれども、この追跡調査の結果、寄付金についてはどういう現状だったのか、これはもう掌握されておりますか。
○安嶋政府委員 四十八年度の状況につきましてはただいま調査中でございまして、しかしまだ報告があった学校はわずかでございます。四十六年につきましては、全体的に一応把握いたしておりまして、内容は資料として先般差し上げたとおりでございます。
○横路委員 四十八年の現在の何校ですか。わずかのところではどういうことになっていますか。やはり寄付金というのは、四十六年に比べても相当高額になってきているのでしょう。
○安嶋政府委員 中間的な状況につきましては、まだ私、報告を受けておりません。
○横路委員 大臣、これは、松本歯科、例の浪速、福岡、それから春蘭もそうなんですけれども、結局、設立が非常に無理して行なわれる。それは審査のあり方あたりにも、これは変えられたようでありますけれども、従来問題があったようでありますけれども、自己資金はどれだけの準備があってできるのか、そこに無理があるから、一応借り入れ金を装って自己資金という形にしておいて、あとは寄付金で入学のときに多額のお金を取って、それに補てんをするというようなことがどうも行なわれて、その中から、そういう無理を行なうから、横領事件が発生してきたり、あるいは今回のような不祥事になったり、あるいはその寄付金がうまくいかないと経営がまずくなって倒れてしまったり、やはりその辺のところに問題があると思いますね。
 それには、先ほども議論があったようですけれども、私学に対する助成の問題もあるでしょうし、それから国公立をどんどんふやしていくということも、これは厚生省の計画に沿った形で行なっていかなければなりませんから、そういう点もあると思うのですけれども、私たちは皆さん方に、さっきから聞いておると、どうも開き直って、監督権がないから、監督権がないから、こう言っておる。しかしそこは、何も監督権があるとかないとかいう問題じゃなくて、皆さん方の助言という立場だって、アフターケアとしてやれる範囲というのはあるだろうと思いますし、とりわけ認可あるいは廃校の段階では、まさに審議会の審議を通して皆さん方のものの考え方というものは明らかにすることができるわけでありますから、われわれが言っておるのは、何も十分常日ごろ目を光らしてあれしなさいということじゃなくて、そういういままである手続の中でも、皆さん方やはりやるべきことをやっていない。あるいは、いろいろな審議の方法に問題があったからこういう事件が相次いで発生しているんだろうと思うのです。今回の事件も、聞いてみると、皆さん方にあまり関係のないような顔をしておられるけれども、これはやはり文部省行政のあり方として反省すべきじゃないか。とりわけ香蘭なんかの場合はその感を非常に強くするわけなんです。その辺のところをひとつお答えをいただいて、文部大臣はけっこうでございます。
○奥野国務大臣 松本歯科大学の問題が発生いたしましたときに、今後文部省はこういう態度で臨んでいきますということをきめまして、また皆さん方にもたびたび申し上げてまいってきておるわけでございます。
 先ほど来、横路さんがおっしゃっていますような疑惑、私もやはり抱いている一人でございます。そういうことから、一つには、私立の医科大学、歯科大学の認可については慎重を期する、ということは、将来ほんとうに心配のないような運営が行なわれるということについての保証、入念に調査をして、ほんとうに心配がないという確信が得られない限りは認可するわけにいかないだろうという意味の慎重を期したい。反面、国公立の医科大学、歯科大学を積極的に増設していきたいということでございます。第二点は、いま御指摘になりました、四十五年度以降認可した学校についてのあと追い調査を続けていきたいということでございます。第三点は、入学時における寄付金問題これの合理化をはかっていきたいということでございます。
 同時に、そういうことをしようといたしますと、医科大学、歯科大学の今後のあり方につきまして、積極的にお世話をやかなければいけないんじゃないだろうか。これは個別に相談をしていきたい。そういう意味におきましては、卒業生を出さない間は経常費助成もしないわけでございますけれども、医科大学、歯科大学についてはやはり経常費助成に踏み切るべきじゃないか、こういう考え方を私としては抱いてておるわけでございます。同時に、多額の負債をかかえておられるという問題につきましても、長期で返済できるような道を個別に相談できないものだろうかな、こんなことも考えておるわけでございます。
 そういうことを通じまして是正をはかっていきたいわけでございますが、いまのように、認可をいたしましたときには定員が百名であったが、実際入学を許可したときにはその二倍内外も許可しておったというようなことなどの、全く認可申請が無視されたような運営が行なわれている点がございますので、こういう問題につきましては、やはり立法措置などもあわせて検討していかなければならないんじゃないだろうか、こういうことも考えておるわけでございます。私学の自主性は十分尊重しながら、しかも世間からいろいろ批判されている点につきましては、改善をはかっていくような道をぜひくふうしていきたい、こう考えておるところでございます。
○横路委員 私学の自主性を尊重するというのが、やはり非常に大きな柱ですから。日教組との話し合いのようですから、話し合いを十分して、しっかりやってください。けっこうです。
 そこで、本委員会は、大臣がいなないと審議をしないことになっているので、私もその慣行を守っていきたいというように思いますので、ちょっと一言だけ聞いて終わりにしたいと思います。
 こういう事態になると、もう文部省としては調べるすべはないのでしょう。たとえば、認可のときの自己資金がどうだったとかこうだったとか、それが正しいものだったのかどうなのか、これはもう文部省としては全くわからないということになりますか。
○安嶋政府委員 私立の医科・歯科大学の設立につきましては、多額の経費を必要とするわけでございます。これが通常、大部分寄付金にまつという状況でございまして、申請書に、だれから幾ら寄付があったということが出てくるわけでございますが、その内容が真に寄付されたものであるかどうかを確認いたしますために、法人の場合でございますと、取締役会等の正規の議決があったかどうか、あるいは経理上正規の手続が踏まれることになっておるかどうかといったような点について、書類の提出を求め、あるいは私立大学審議会に責任者に御出席をいただきまして証言をいただくというような方法をとっておりますし、個人でございますと、その方の過去における所得税の納税の証明書、あるいは所得があまり大きな額でない場合でございますと、たとえば資産なり株式なりを売却してその資金を得たというような御説明があるわけでございますが、そうした場合には、その売買の契約書、あるいはその代金の授受を証明するような書類の提出をいただく。さらに多額の寄付をなさった個人につきましては、御本人またはしかるべき代理の方に私立大学審議会の審査会に御出席をいただきまして、寄付の動機、趣旨、それから寄付をしたことに間違いがないというようなことその他につきまして証言をいただき、あるいは関係の委員から詳細な質問をする、そしてそれが確実であることを確かめるというような方法をとっておるわけでございます。
 しかし、松本歯科大学の例に見られましたように、関係の書類が十分整っておりましても、そして私どもは、これを信頼するに足るというふうに判断をいたしましても、捜査当局のように強制的に事務所等に立ち入って各種の検査をするというようなことも認められていないわけでございますので、そうした方法によってそれをさらに確認するという方法が文部省には与えられていないわけでございます。関係の書類が正規に整備され、あるいは関係の方から誠意を持った御説明があります場合には、これを真実として審査を進める、こういう方法をとっておるわけでございます。
○横路委員 その申請に、あるいはいろいろな証明の書類に虚偽があった場合、これはどういうことになりますか。
○安嶋政府委員 現行の法制におきましては、文部省に対しまする申請書あるいは添付書類に虚偽がございましても、これを直ちに処罰するといった規定はないようでございます。ただ、浪速医科大学の設立の場合に見られましたように、提出せられた書類が登記簿謄本等のいわゆる公正証書でございます場合は、御承知のとおりそのこと自体が刑法に触れるという問題になるわけでございますが、そうした刑法に触れるような事件でない限りにおきましては、私どもに提出されました各種の書類等に虚偽がございましても、現状で遺憾ながら関係者を処罰するというような方法は残されていないわけでございます。
○横路委員 もちろんそれは刑法犯に触れれば別ですけれども、そうでない限りそうなんですね、いまの現実というのは。その辺のところはどうなんですか。しかも子供を預かるということになりますから、一般の企業とか法人とかいうようなものとはかなり性質が違ってくるわけですね。したがって、こういう学校法人等の設立について、非常に重要なところにおいて偽りがある場合に、全然正確であるということの担保がないというのは、どういうことで抜けたんでしょうか。その辺のところをお考えになったらどうですか。
○安嶋政府委員 文部省は、従来、申請者の申請内容に信頼をするということで行政を進めておるわけでございます。いやしくも、学校を設置しよう、あるいはそのために寄付をしようという方の申請に虚偽があるはずがないというのが、私どもの従来の考え方でございます。そういう前提に立って、学校教育法あるいは私立学校法等には、そうした不正に対応する手段が欠けておるわけでございますが、しかし、大臣が先ほども申し上げましたように、今後の課題といたしましては、ただいま御指摘のような点につきましては、場合によれば立法上の措置も必要ではないかというふうに考えまして、現在検討中でございます。
○横路委員 そういうりっぱな教育者が学校経営をやるならいいのすが、最近は、不動産業者とか大手商社とか、それからこの福岡歯大のように、元文部大臣やら何やら政治家が二人も理事におったり、やはりそんな意味では、皆さん方が御期待になったような人たちが学校を経営して教育に専念をするというような状況には、どうもいまの世の中なかなかなっておらないようです。その辺のところもひとつお考えをいただきたいと思います。
 時間が過ぎて、大臣がいないときにやらないという慣行がありますので、それを守るためにやめたいと思いますが、ほんとうはまだお聞きしたいことがたくさんあるのです。警察のほうですね。先ほど言いました、いろいろな一本化する過程、あるいはその後の過程の中で、私たちとしても、これはまだ警察も捜査している段階でございますから、あまり断定的にものを言うのを差し控えるということで、きょうはちょっと遠慮した発言をしたわけですれども、ひとつあまり圧力に負けないでちゃんと捜査をしてくださいね。それだけ刑事局長にお願いをして、私の質問を終わります。
○三原委員長 次回は、明十七日火曜日、午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後零時十二分散会