第071回国会 地方行政委員会 第49号
昭和四十八年八月二十八日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 小山 省二君 理事 高鳥  修君
   理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君
  理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君
   理事 吉田 法晴君 理事 林  百郎君
      今井  勇君    片岡 清一君
      島田 安夫君    前田治一郎君
      保岡 興治君    佐藤 敬治君
      多田 光雄君    三谷 秀治君
      小川新一郎君    小濱 新次君
      折小野良一君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (国家公安委員
        会委員長)   江崎 真澄君
 出席政府委員
        警察庁長官   高橋 幹夫君
        警察庁警備局長 山本 鎮彦君
        公安調査庁長官 川井 英良君
 委員外の出席者
        法務省入国管理
        局次長     竹村 照雄君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 妹尾 正毅君
        通商産業省通商
        政策局経済協力
        部経済協力課長 勝谷  保君
        運輸省自動車局
        整備部管理課長 南  正彦君
        海上保安庁警備
        救難部長    船谷 近夫君
        地方行政委員会
        調査室長    日原 正雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月二十八日
 辞任         補欠選任
  折小野良一君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  塚本 三郎君     折小野良一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 警察に関する件(金大中事件)
     ――――◇―――――
○上村委員長 これより会議を開きます。
 警察に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小山省二君。
○小山(省)委員 先般、今回起こりました金大中事件に対する報告を受けたわけでありますが、本件のような性格の事犯につきましては、事前にいろいろな動きがあったり、あるいは情報のようなものが提供されるということが間々あるわけですが、今度の金大中事件について、そういう情報なり動向があったのかどうか、また、警察庁あるいは警視庁として、こういう要人の警戒というものについて、事前にどの程度行なっておったか、きわめて簡単でけっこうですが、お知らせを願いたい。
○高橋(幹)政府委員 今回の金大中氏に関する事件の問題につきましては、私ども警察庁あるいは警視庁におきましても、金大中氏についての政治的な立場であるとかあるいは政治的ないろいろな関係については、ある程度了解をしておったわけでございます。ただ、具体的な問題として、金大中氏についての、非常に危険であるというような状況の問題であるとか、金大中氏自身が非常に危険の問題があるというようなことについては、残念ながら、私どもは承知いたしておらなかったのであります。しかし、金大中氏については、一般的な問題として、また、同時に、警視庁の当局者としては、相当の関心を持っておったことはいま申し上げたとおりでございます。しかし、七月十日以降につきましては、その所在について明確に把握することができなかったということが非常に残念なことでございましたし、また、同時に、金大中氏から具体的な私のほうへの連絡というものがなかったということが非常に残念なことでございました。したがって、今回のいわゆる警護、警戒の問題につきましては、一般的には、私どもが直接、間接については関心を持っているわけでございますけれども、いま申し上げたような情報というものについて明確に把握をしなかったというようなことから関連をして、残念ながら、今回の事件が発生したわけでございます。したがって、警戒、警護の問題につきましては、結論的には十分でなかったという点についてはございますが、当時の状況から見て、その点については御了解を願いたい、こういうふうに思うわけでございます。また、今後の問題につきましては、警戒、警護の問題については、今回の事件等に関連をして、いろいろな角度からもう少し検討を要する、あるいは反省をしていくという問題については、いま申し上げたように、結果論から見て私どもはそういうふうに理解をしておりますので、今後とも努力をしてまいりたい、こういうふうに感じておる次第でございます。
○小山(省)委員 今回、金大中氏が、わずか五日間で、捜査当局をあざ笑うように韓国に拉致をされた。これは私どももたいへん遺憾に考えておるのですが、一般から見ると、初動捜査に手抜かりがあったんではないかというような声を耳にするわけでありますが、この点についても、今後十分留意をしていただきたいと思うのであります。
 いろいろお伺いしたいことがございますが、限られた時間でございますから、飛ばしまして、実は、社会党の亀田得治氏が大阪府警察本部長に提報したといわれる情報があるそうでありますが、その内容と捜査の状況はどうなっておるか、その点を伺いたい。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 九日の午後九時半ごろでございますが、亀田得治氏から大阪府警の片岡本部長に、出所は言えないけれどもという前提で、次のような提報があったのでございます。
 第一点は、金大中氏が荷物として取り扱われている、それから、荷物の送り出しの手続を相談している、パレットホテルまたはパレーホテルで相談中である、イマモトという社長がこれに関与している、ホテルにはナカタまたはナガタが相談相手となっている、身柄がホテルにあるかどうか不明である、こういう提報がございました。これで、大阪府警察本部では、パレットまたはパレーホテル、イマモト社長、これの抽出、ナカタまたはナガタ某の宿泊チェック、これを重点に、直ちに、同夜、制私服千百五十名の警察官を動員して、旅館、ホテル、二千二百五十九カ所の捜査をいたしたわけでございますが、提報の内容のような事実を見つけることはできませんでした。それから、十日の夜も千七百七カ所のチェックを行ないましたが、ついに発見に至りませんでした。
 まず、大阪府警は、近県の、隣接県の京都、兵庫、和歌山等にもそれぞれ同様の情報を提報いたしまして、旅館、ホテル、宿泊客等のチェックをいたしましたが、提報内容を裏づけるような事実を見つけることはできませんでした。さらに、十一日に、亀田さんからさらに片岡本部長に、電話で、情報提供者が、パレーまたはパレットホテルを自分で当たった結果、尼崎のパレスホテルではないかということで、ここに電話して、「ナカタさんはいますか」と聞いたところ、「社長は不在です」という返事がありました、こういう第二回目の提報がございました。そこで、直ちに兵庫県警察本部に連絡がございまして、兵庫県警は、尼崎市のパレスホテルについて、一昼夜の張り込みを実施いたしますとともに、翌十二日に、同ホテルに対して直接聞き込みをいたしましたところ、同ホテルには、社長を含めて従業員、宿泊客、いずれも、ナカタあるいはナガタと称する人物はおらないことがわかりました。その後、亀田さんがホテルに電話して、「ナカタさんいますか」と聞いたところ、従業員が「社長は不在です」と答えたので疑いが生じたわけでございますが、その答えた女子従業員は、自分ではわからないから社長に答えてもらわなければならないと思って「社長は不在です」という回答をしたということがわかりましたので、同ホテルとは関係ない、同ホテルの社長は大神ということがわかったわけでございます。さらに、十三日九時、朝、亀田さんから片岡本部長に、電話で、荷物にして出すためのLCの手配をしている中田は堺市大美野の近畿船用鉄協同組合の理事長である、また、今元は日本電波工業の社長である、こういう第三回目の提報がございました。したがって、大阪府警は、直ちにこの中田、今元さんに面接していろいろと話を伺いましたが、本件に関係ないということが判明したわけでございます。
 したがって、前後三回にわたって、亀田さんから、詳しいといいますか、いろいろな情報が提報されたわけでございますが、逐一徹底的に調査した結果、いまのような事実が判明いたしまして、直接本件に結びつくような事実は判明いたしておりません。
○小山(省)委員 亀田情報は大きな成果をあげることができなくてたいへん残念でありますが、今後も十分留意をしていただきたいと思うのであります。
 いろいろお聞きしたいわけですが、もう時間もありませんから、もう一つだけお尋ねをしておきたいと思いますが、警察庁と法務大臣の関係について私はお尋ねをしたいと思います。法務大臣は直接警察庁に指揮監督の権限はないと思いますが、警察庁と、法務大臣の指揮下にある検察庁とはいろいろ捜査上関係があると思うのですが、先般、法務大臣が委員会で答弁をされております中で、はっきりとCIAだと断言をしておる。ただしそれは「某国の」と言っておりますが、法務大臣があれだけ自信に満ちた答弁をするということになれば、従来捜査にあらわれた面から当然お答えがあるべきはずなわけであります。そうなると、法務大臣のもとに、CIAだという的確な捜査の結果が報告されておらない限り、法務大臣という立場においてあのような答弁をなさるはずがないというふうにわれわれは考えるのであります。したがって、直接警察庁のほうで法務大臣に報告しないとしても、あるいは指揮監督の立場にある――監督の立場にあるかどうか存じませんが、検察庁を通してそういう情報が入ったかどうか。この辺、警察庁と法務大臣との関連というものについて、この際ひとつお答えをいただきたいと思います。
○高橋(幹)政府委員 先般来の法務大臣の御答弁等を私も承っておるのでございますが、その前提として一応申し上げますが、法務省と警察庁との連絡というのは、率直に緊密な連絡を言っているものでございます。ただ、今回の問題につきましては、検察庁の問題よりはむしろ出入国管理の問題として、法務省の所管としてのお考え方と思います。したがって、今後の捜査の問題につきましては、検察庁と緊密な連絡をとりますけれども、いま申し上げたようなCIA等の問題につきましての問題は、むしろ出入国管理の問題だというふうに理解をいたしておるわけでございます。したがいまして、今回の問題につきまして、事件の問題に関連をして、出入国管理の問題として、いま申し上げたようなCIAがおったかどうかというようなことについては私も承知をいたしておりませんし、法務大臣として申し上げたのは、大臣の六感の感である、六感であるということを言っておられましたけれども、いま申し上げたように、私のほうは、出入国管理の問題あるいはその他の法務省所管の問題につきまして、CIAとの関係というものについては、いまのところ全然出ておるわけでございませんし、また、私どもも、今回の問題につきましては、捜査中の問題でございますので、いま申し上げたように、CIAであるとか、あるいはCIAではないとかということにつきましては明らかでないわけでございます。
 以上でございます。
○小山(省)委員 少し突っ込んだ御質問をしたいのですが、いま言ったとおり、たいへん限られた時間でございますから、少し前へ進ましてもらいたいと思うのですが、韓国の中央情報部の日本国内におけるところの実態というものがどういうものになっているか。また、きのうの東京都議会での警視庁関係者の答弁を聞きますと、こういう人たちと従来から何か接触を保っておる、友好関係の立場から、韓国中央情報部とは絶えず連絡を保っておるということのようでありますが、言うならば、日本の法務大臣あるいは通産大臣等も、今度の事件には明らかに情報部が関与しておるということを言明しているわけであります。そういう立場に置かれておる情報部と警察庁の間にどういう関連を持っておるか、国民は非常に関心を持っておると思うのです。したがって、その状態について、簡単でけっこうでございますが、一応お答えをいただきたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 東京における韓国情報部の実態というものは、われわれは、その内容について承知いたしておりません。そういうものがあるとは思いますが、実態を私どもは把握いたしておりません。
 それから、そういう韓国情報部と日本警察との関係はどうかというような御趣旨の御質問でございますが、特別な関係はございません。ただ、韓国の中央情報部の若干の者が日本に視察ということで参って、関係各官庁に表敬訪問ということであいさつに来ることがたまにはございます。そういうときには、われわれとしては、一応あいさつは受けるということで、そういう人たちと会ったことはございます。
 それから、韓国と日本はいま一衣帯水の関係にございまして、犯罪の関係、出入国の関係、あるいは麻薬その他の犯罪でいろいろとお互いに知っておかなければならない問題がございますので、警察としても、ときには韓国に視察団を出すことはございます。そういう場合に、国際礼譲上、向こうのそういう機関、治安当局等にあいさつに行く、表敬訪問する、ということはございます。そういう意味で、お互いに若干の表敬的な関係はあるということはございますけれども、仕事の上、あるいは具体的な問題について協力しているというようなことは絶対にございません。
○小山(省)委員 問題が問題でございますから、十分留意をいたしまして、国民から誤解を受けることのないようにお願いしたいと思います。
 先般、新聞の報道でございますが、韓国の金首相が、捜査の経過から考えて、今回の金大中氏の事件は彼の自作自演だと民社党の春日委員長に報告をされたということが報ぜられております。金氏が、どういう事情か存じませんが、韓国の国籍を離脱して、赤十字社の手によって、無国籍の立場に立って反政府活動を行なっておる、したがって、用事があってどうしても祖国に戻らなければならない場合にはあのような芝居は行なうだろうというようなことを言っておるのでございます。もちろん、真偽のほどはわれわれはわからないわけでありますが、CIAのしわざだと、最初からそういう既成観念にこだわって捜査をするということになりますと、これまたいろいろ問題が起こるだろうと私は思うのであります。たとえばけさの新聞ですが、在日韓国大使館の李一等書記官、この人は名ざしで本件に関係があるのではないかといろいろと言われておったのでありますが、事件には無関係だというようなことを言われておるわけでありますが、この捜査の過程にあたっていろいろそういう問題が出てくるだろうと思いますが、私は、白紙でこの事件の真相を見きわめるという、そういう基本的な態度でこの問題の捜査に当たってもらいたい。心からこれをお願いし、その問題について一言御答弁を願いたい。
○高橋(幹)政府委員 今回の問題については、先般来私から御報告申し上げたように、きわめて残念な事件であったというふうに思っているわけであります。その点につきましては、いろいろな問題点なり、あるいは情報なり、あるいはいまの捜査の状況なりから見て、基本的な考え方の方針は、あくまでもその真実に即して捜査をやるということが私どもの本来の基本でございます。したがいまして、予断であるとか、あるいは情報であるとか、情勢であるとかいうようなものについては十分な関心を持つことはもちろん必要でありますけれども、基本の問題につきましては、金大中氏の事件について、その全貌を明らかにしていく、なおかつ、それに関連をして、犯人あるいは犯行の問題につきまして、いま申し上げたように、証拠に即して、しかも真実に即して捜査の基本をやっていきたい、こういうふうに私は考えておる次第でございます。したがって、いろいろな問題につきましては、問題点等はございましたけれども、それらの問題に関連をして、情報部と癒着しているとか、あるいは自作自演であるというようなことの予断で捜査をやることは間違っておるというふうに私は思っております。したがいまして、私は、警視総監とともに今回の捜査の内容を明らかにして、その真実を明らかにすることによって警察の責任を果たしていきたい、こういうふうに感じておるわけであります。しかし、捜査の内容につきましては、いろいろの問題点があり、非常にむずかしい問題でありますけれども、私どもの全力を傾注いたしまして、いま申し上げたように真実を明らかにするということで、あらゆる捜査のやり方につきましては、全力的に傾倒をいたしまして、現在努力している次第でございます。
○小山(省)委員 まだいろいろお尋ねしたいような事項もございますが、持ち時間が来たようでございますから、また他日質問さしていただくことにして、これで質問を終わります。
○上村委員長 島田安夫君。
○島田(安)委員 関連いたしましてお尋ねしたいと思いますが、申し上げるまでもなく、今回の事件はきわめて不祥事であり、遺憾でございますが、しかし、事件発生後二十日間を経過しまして、日本の警察は、この間二十四日の報告にもありましたように、関係者の再来日を待たなければ徹底した捜査はできないということでありますけれども、いやしくも、東京のどまん中で白昼堂々と数名の者が関係して、しかも大阪付近で密出航した。どこで出たのか、あるいはどこの船舶を使用してそのような犯罪が行なわれたのか、韓国におきましても、上陸地点の捜査とか船舶の捜査ということが事件のかぎを握る焦点として、捜査が行なわれているようでありますけれども、警察の今日までの捜査の経過の中で、全然これは不明なのか、あるいは何らかの具体的な情報があるのか、まずこれをお聞かせいただきたい。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 捜査といたしましては、基本的には、被害者であります金大中さんの供述といいますか、この方の事実の陳述が捜査の一番のかぎになるということは一般的な常識だと思うわけでございますが、そういう意味で、ぜひ金大中さんに事情を聞きたい、そのために東京に来てもらいたいということを交渉いたしておるわけでございます。あわせて、梁一東さん、金敬仁さんもその現場に居合わせたわけでございますので、ぜひその方にも聞きたいということを初めから言っておるわけでございますが、それとは別に、基本的なじみちな当方の捜査といたしましては、遺留品がかなりございましたので、遺留品の捜査は現在でもやはり徹底してやっておるわけでございます。それから、遺留指紋等もかなり出ておりますので、そちらのほうの捜査も進めております。それから、遺留品の、たとえばリュックサックなどを買った店も付近にある、買った者もいるというような事実がわかってきておりますので、そういう目撃者を通じて、そういうものを買った者が犯人と結びつくかどうかという線の努力をいたしまして、これは、そういう犯人像というものの輪郭が逐次かなりわかってきておる段階にございますが、まだこれはいろいろと詰めるべき問題が残っておる状況でございます。
 それから、車でございますが、拉致されたと見られる時間帯にさらに幅を持たせまして、その時間帯にホテルの車庫から出た車、これは三十台あるわけでありますが、これの捜査はずっと実施いたしておりますが、残念ながら、ホテルで記録している番号が下四けたしか記録しておりませんので、一台の車を調べるのに、場合によっては二百数十台の車を調べなければならない。こういう形で、この三十台のつぶしが、現在では、十六台までは全く関係がないということがわかっておりまして、まだあと十四台が、本件に関係があるかどうか不明で、捜査を続行いたしておるところでございます。
 それから、金大中さんの話で、船で出たというような自供がございますので、船の関係は、海上保安庁と連絡いたしまして、やはり八日、九日にかけて日本から韓国向け出帆した船三十五隻がございますので、これの捜査をやっておりますが、まだ、これというような事情が判明いたしておりません。
 そういう形で基本的な捜査を積み重ねて、何とか犯人像に到達したいと思っております。
 それからまた、金大中さんがホテルからエレベーターで連れ去られるときに、日本人の若い男女にエレベーターの中で会ったので、それに助けてくれということを言ったということでございますので、そういう目撃者の発見にもつとめておるわけでございますが、現在までにそういう人があらわれないというような関係もございまして、なかなか難渋しているわけでございます。御承知のとおり、ホテルでございますので、いろいろと出入りの人がその状況を見ている可能性もまだ残っておると思いますので、何とか目撃者を一人でも二人でも多く発見して、犯人像その他の参考のものをそれから得たいという努力を続けている状況でございます。
○島田(安)委員 時間がありませんので、飛び飛びに要点だけを質問いたしますけれども、そうしますと、二十日たったけれども、具体的には何も捜査が進渉しておらない。冒頭に申されましたように、あるいは報告書の中にもありますように、関係者の再来日を実現して、金大中氏から聞き取りをすることが事件の解明のポイントであるというようなお答えなんですが、では、お伺いしますけれども、はたしてそれが早急に可能と思っておられるのかどうか。私は、金氏の再来日というのは、たとえ実現したとしても、おそらく、事件の発生後三カ月も四カ月もたってからでないと不可能じゃないか、特に、現在の時点においては、再来日ということは、警察なりあるいは外務省を通じて韓国に幾ら申し入れしましても、現実に不可能だ、このように考えておるわけなんですが、そうしますと、捜査の焦点になる関係者の再来日も不可能、あるいは、いろいろ捜査はするけれども、出航した船舶も、どの辺で出たのか全くわからない、これでは、日本の警察の威信というものが内外に問われるこうした国際的な大事件を究明するにあたって、少し手ぬるいではないか、このように私は考えるわけなんです。
 私どもは新聞情報以外に警察の捜査の実態を知ることができませんが、新聞に流されている情報以外に何か具体的なものはありますかどうか、お聞かせいただきたい。
○高橋(幹)政府委員 先ほど山本警備局長から、現在の捜査の経過のポイントについて御報告申し上げましたが、私のほうも、いま申し上げたように、一つ一つの捜査の内容について畑中金次郎の問題であるとか、あるいは出国をした船の問題であるとか、あるいは自動車の問題であるとかというものを着実に詰めて、その証拠を明らかにして、捜査の全貌あるいはその一部を明らかにするほうにわれわれは努力をしておるわけでございます。しかし、その前提として、先ほど申し上げたように、被害者である御本人の金大中氏、また、当時あのホテルにおられた梁一東氏あるいは金敬仁氏のその関係というものにつきまして、さらに詰めていくことによって、いま、私のほうの捜査の内容を明らかにするということになるわけであります。
 そこで、私どもの捜査を詰めることによって、その一部あるいは全貌がわかりつつある場合においては、さらに金大中氏、あるいは梁一東氏、あるいは金敬仁氏に親しく聞くことがまず大前提であるというふうに思っております。したがって、いま申し上げたように、私ども警察の立場としましては、捜査の経過と関連をしながら、執拗に、何回でも、何回でも、金大中氏のほか二人の方々につきましての来日をぜひ要請いたしたいと思っているわけであります。
 しかし、その問題について、現在の時点から申し上げますとなかなかむずかしい問題がありますけれども、それはそれとして、次善の策といいますか、私どもは、やはり、捜査の内容によりまして、捜査官を派遣するということが一つの非常な必要性であるというふうに思っております。したがいまして、捜査員を派遣した場合において、金大中氏あるいは梁一東氏あるいは金敬仁氏からさらに詳しく知るということができる場合におきましては、捜査の進展上非常に有力なものであるというふうに考えております。したがいまして、いま申し上げたように、本来の、金大中氏以下二人の方につきましての来日は重ねて要請いたしますが、それと同時に、私のほうのいまの捜査の経過に関連をして明らかにしていきたい、こう思っております。
 したがいまして、現在の時点におきましては、確かに、捜査の経過というものについてむずかしさがありまして、時間的な問題もありますけれども、私どもは、初動捜査あるいはいま申し上げたような条件から考えると、ある程度の捜査の困難性と捜査の時間というものについては確かに私も承知いたしておりますけれども、いま申し上げたように、捜査の内容を明らかにして、さらに前進をさせていきたい。したがって、私どもが非常に手ぬるいことをやっているということにつきましては、確かに、新聞あるいはその他の外部的なものからごらんになるとそう思われるかもしれませんけれども、私ども、長官あるいは総監以下、第一線の警察官は真剣にこの問題については対処しておりますので、その点について御期待にこたえられるようにというふうに努力をしている次第でございます。
○島田(安)委員 いまの関係者の再来日の問題ですけれども、これは新聞記事によるものですから、どこまで正しいとは申し上げかねますけれども、外務省と若干意見が違う。外務省のほうでは、状況によっては、関係者の再来日は必ずしもこだわらないというようなことを示唆しておる。困っておるのは警察だというように新聞に出ておりますけれども、これについて、外務省はこのようなことを示唆されたことがあるのか、ないのか。いま一つは、警察のほうでは、韓国の捜査の情報等を期待して強く要請しておるということですけれども、正式にそういう捜査の情報等の連絡があったのかどうか。あるいは、今回の事件を通じて、二十日間、外務省は韓国とどのような交渉なりあるいは接触を持ったのか。簡単でけっこうですから、時間がありませんので、ほかに聞きたいことが山ほどありますから、的確にひとつ答弁を願いたい。
○妹尾説明員 外務省で韓国を担当しております妹尾でございます。お答えいたします。
 まず、金大中氏等の来日につきまして、外務省は必ずしもその必要がないと考えているのではないかという点につきましては、もちろん、金大中氏等が来日しなくても事件の真相が究明され得るということなら別でございますが、捜査当局のお話しではそれが必要であるということでございますし、私どももあくまでも金大中氏等の来日を求め続けるというのが現在の外務省の姿勢でございます。
 それから、第二点でございますが、韓国側に対してどのような申し入れを行なっているかという御質問、それから、韓国側の情報の提供状況はどうかという点でございますが、まず、事件発生の直後に在京大使を外務次官が呼びまして、韓国側で何か知っていることはないかということをまず最初に尋ねまして、翌日、そういうことはない、何も知らないという連絡がございました。その後、金大中氏がソウルで発見されて以来、韓国側でいろいろ調査を進めるようになりましたので、情報を逐一知らせてほしい、それから、金大中氏や梁一東氏に捜査に協力するためにぜひ来日してほしいということを繰り返し要請し続けております。
 この点につきまして、韓国側の情報提供状況でございますが、最初の一、二日若干説明がございましたが、その後あまり連絡を受けていないのは事実でございまして、新しい発展はないかと毎日催促しているということでございまして、最近若干連絡もございましたが、これは大体新聞で発表されていることの範囲を出ないわけでございまして、そういうこともございますので、昨日いろいろ取りまとめて後宮大使から――韓国におるわがほうの大使でございますが、後宮大使から金外務部長官に対して具体的な情報の提供を要請いたしまして、金長官は最善の努力を尽くしているということでございます。
○島田(安)委員 さいぜんからの答弁を聞いておりますと、金氏ほか関係者の再来日ということがどうしてもこの事件解明のポイントである、かぎであると、このような答弁を聞かされるわけですが、そうしますと、もしかりに今回の事件で――金氏が自宅で最初の記者会見をいたしましたときに、新聞に出ておったのですけれども、日本海の途中で追っぽり出されるかと思った、沈められるかと思ったというようなことが出ておったのですが、今度の事件で、たとえば金氏の生命が失われたということを想定しますと、いまの答弁を聞いておりますと、関係者が生きておるのだから、これに丁重に事件の聞き取りをしなければ解明ができない、捜査が進まないということだが、これではどうもおかしいではないか。では、死んでおったらどうするのですか。たいへんな不祥事があったけれども、韓国の野党の大物が一人事件によってなくなった、けれども、関係者である当人が死亡したために捜査はできません、こういうことなんですか、警察は。少し酷なようですけれども、捜査というのは、なるほど慎重も必要です。特に国際事犯、政治的な色彩の強い今回の事件ですから、周到な捜査も必要ですけれども、日本のどこの港で――大阪周辺ということは大体示唆されておるが、どこの国籍の船を使って出航したのか全然わかりません、金氏が再来日して、聞いてみたら、あるいはもうちょっとわかるかもしれませんというのでは、国の内外を問わず、一つの大きな政治問題、あるいは人道的な問題、あるいは法秩序の維持の問題等、こうしたいろいろな問題が提起されておる今日の段階において、どうも私は納得しかねる。全然手がかりはないのか、若干でもあるのか、一口でいいから、お聞かせ願いたい。
○山本(鎮)政府委員 繰り返して申し上げるようで恐縮ですが、別に、金大中さんが来なければ捜査は全く進まないという答弁をしているつもりはございません。やはり、被害者である金大中さんに来てもらっていろいろと事情を聞けば、内容が非常にはっきり、すみやかにわかるということを申し上げただけでございまして、さっき申し上げた基本的な捜査を積み重ねていくことによって犯人に到達するという確信をあわせ持って捜査を進めており、その中で着々と明るい曙光も見えてきておる面があるということは言って差しつかえない。捜査が全く進んでおらないという段階ではございません。
○島田(安)委員 時間がありませんので、最後に一言だけ聞きますが、今回の事件を通じて、真実の解明ということが、国際間の親善を高め、また、一方におきましては、日本の警察の威信を内外に示すという意味におきましても、また、再度こうした不祥事が起こることを防止するためにも、警察当局は、今回の事件の取り組み方について、総力を結集して、できるだけ早い機会に真相を明らかにしてほしいと私は思う。というのは、さいぜんもちょっと話がありましたけれども、御承知のように、政府自体も、法務大臣がよからぬことを国会答弁の中で発言したり、あるいはまた、長い過去の歴史の上に積み重ねた韓国との友好関係を、経済援助を打ち切るかもわからないというようなことを政府の高官が答弁の中で示唆したり、まことにけしからぬと思います。また、御承知のように、さいぜんも話がありましたけれども、韓国の在日大使館員、これは一等書記官のようでございますけれども、これの写真を国会審議の場で提示して、まるで犯人かのごとき印象を与える。調べてみると、これは全くの白であったが、しかも、新聞までが、神田の神保町にあるリュックサック等を売る店の店員に写真を提示したところ、二人連れの一人の男に全くよく似ているという証言すらあった。これ等も、ある意味において、私は行き過ぎだと思います。また、国会においても、ある党のごときは、国交断絶だと、このような、まことに重要な党の態度の表明等をされており、いろいろな問題を提起しておる。韓国というのは、長い過去の歴史の中で、日本の領土であり、日本の国土であった。事のいかんを問わず、事実の究明はきびしく追及しなければなりませんけれども、こうしたことによって、両国の親善友好がかりそめにも阻害されるようなことがあってはならないと思います。そうした意味において、これの解決をはかるのは、あげて警察による事実の究明だと考えておりますので、総力をあげてひとつ真実の追及をしてほしい。以上。
○高橋(幹)政府委員 ただいま、いろいろな点について御激励があったわけでありますが、いまの政治問題について、その原点であるところの捜査の問題を明らかにするということが、やはり、いまの一番の最大の問題だと思っております。いろいろな問題について御批判があることは私も承知しておりますが、いま山本君の言ったように、いまの捜査の内容については、独自の捜査として、その犯人もしくは犯行の全貌というものを明らかにしていきたいというふうに思っております。私は日本国の警察庁長官であり、日本の警察官としての責任を果たしていくということが、私の今回の捜査の問題を明らかにするということの基本点であるというふうに考えております。したがいまして、御激励のとおり、私は、御要望に沿うように全力を傾倒して、いまの問題点を明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。
○上村委員長 山本弥之助君。
○山本(弥)委員 今回の事件につきましては、長官の二十四日の報告には、日本の警察に対する挑戦であるというふうな表現を用いられておりますが、私どもは、そういうなまやさしいものではない、日韓両国の関係の親善友好の問題は当然であるにいたしましても、場合によっては、これは国家主権の侵害という疑いにまで発展する可能性を含んでおるというふうに考えられるわけでありまして、これは徹底的にその真相の究明に当たらなければならぬと思いますけれども、これにつきましての基本方針につきましては、時間の制約がございますので、江崎国家公安委員長がお見えになりましてから御質問いたしたいと思いますが、今回の事件は、相当大規模な、しかも、綿密に計画された犯行であるというふうに考えられるわけであります。
 八日に事件が発生以来、十三日、韓国において金大中氏が生存しておるということがわかったわけでありますけれども、したがって、韓国の協力が真相究明の上においてきわめて重要であることは、これはもう当然であります。
 そこで、きょうの新聞にも出ておりましたが、このことは直ちに、金大中氏ほか参考人といいますか、被害者をはじめとして、参考人の事情聴取その他犯人の検挙についての捜査状況は逐一わが国に通報するという話し合いが直ちに外務省を通じてできたということは、すでに他の委員会その他で明らかになっておるわけでありますが、現実にどの程度の通報がなされたかをまずお聞かせ願いたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 十六日であったと思いますけれども、韓国側から、これまでの調べについての連絡が一応入ってきております。その内容によりますと、金大中氏の逮捕監禁被疑事件捜査本部では、金大中、梁一東、金敬仁、この三人の供述が違っているということで、二人ずつ相対尋問をしているが、なかなか真相がわからない実情であるというのが第一点、それから、金大中さんのうちの付近の現場検証をしたけれども、その関係では、あまり具体的な進展がない、それから、海上ルートとして、日本の新聞では何か三つの線を想定しているが、夏の暴風シーズンだから、九州の南端を通過する海外コースは考えられないと思う、それから、金大中氏が五百トン以上の船であると推定した理由に、ローリングもなかったことをあげているが、九日、十日とも天気がよくて、しかも、瀬戸内海であるので、二、三百トンの船でもゆれることはない、ゆれないで航海できると思う、こういう連絡が十六日にございました。
 それから、続いて二十三日だと思いましたが、金大中さんの指紋と血液型、これの連絡がございました。これは直ちに捜査上の参考になりますので、それぞれ指紋の照合等は行なっております。
○山本(弥)委員 そういたしますと、新聞には、金大中氏の事情聴取につきましてのほとんど全文に近いものが各紙で報道されておるわけですが、正式には、金大中氏ほか二名の方の事情聴取の全文というものは報告になっていないのですか。
○山本(鎮)政府委員 向こうの政府からこちらに、供述の内容というものは送られてきておりません。
○山本(弥)委員 この警察庁長官の報告では、ホテル・グランドパレスにおいて拉致されたということについては、梁一東氏あるいは金敬仁氏からある程度までお聞きになっておるわけですね。それと、もう一つは、あとで何日かたってわかったようでありますが、二十二階のサービスステーションあたりの目撃者もあるということが新聞に報道されておる。それらを総合してこの警察庁長官の報告書が出ておるわけだと思うのでありますが、その点が第一点。
 それから、第二点は、その後の状況は金大中氏の供述によるというふうなことで概要を書かれておるわけでありますが、これは、正式の韓国の外務省からの通報に基づいての記述ではなくて、金大中氏が生存しておることが明らかになり、それから、深夜における新聞記者会見の模様が新聞に報道されていますが、それらを総合してお書きになっておるのかどうか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 そのとおりでございます。
○山本(弥)委員 本日の各新聞で報道されております五項目、あるいは、読売新聞には六項目と書かれておったようでありますが、当然、これは在韓日本大使館を通じての要求ですね。これは、韓国調査当局が捜査した内容をまとめて早急に提供してほしい、さきに訪韓した民社党の春日委員長に対して、韓国の金鍾泌首相が事件の中間発表をすると語ったと伝えられるが、その中間発表の見通しはどうか、それから、金大中氏等の三氏に対し、韓国側が事情聴取したときの供述内容を知らせてほしい、韓国に入港した船舶の調査結果はどうか、今後の韓国側の捜査見通しはどうか、こういうことのようですが、これらは事実でございますね。外務省の方にお伺いいたしたい。
○妹尾説明員 事実でございます。
○山本(弥)委員 私は、いまごろになってこういう五項目を要求するということは非常に時期を失しておるのではないかと思うのですが、このことは江崎委員長にお聞きしたいと思うのですが、いままで聞かれました各委員会におきましての答弁は、国の一貫した考え方、これがどうも矛盾しているようですね。法務委員会におきましては、KCIAが関係しているように思われるというような法務大臣の答弁があり、あるいは、外務省におきましては、いろいろ真相究明、真相究明と言っておるけれども、二十四、五日ごろの新聞報道によりますと、先ほど質問がありましたように、真相究明ということができれば、場合によっては、わざわざ金大中氏等の再来日といいますか、こういうことについてはこだわっていないというような新聞報道がなされているのですね。このことは、日本の警察が日本における証拠について全力を尽くすにいたしましても、政府の見解が一致して、あくまで真相を究明するということであるならば、今後の日韓両国の友好親善を確立する上からいきましても、金大中氏ほか二名の再来日を強く主張するという一貫した態度がどうしてもほしい。それが、どうも政府の方針が矛盾しているといいますか、一方では煮え切らない答弁をする。このことは、警察庁長官の立場におきましても、警察への挑戦と受け取っておるぐらいであるならば、そのことを究明することによって真相を究明するという基本方針を固めて、政府の意見を統一して、強く具体的な状況の通報を要求されたのでありますから、今後もこの線に従って強く押していく必要があるのじゃないか、かように私は考えますが、いかがでございますか。
○高橋(幹)政府委員 法務省あるいは外務省、あるいは警察庁、あるいは官房等につきまして、同じようになっていないというようなお話しでしたけれども、私の理解している限りにおきましては、今度の問題点について、犯罪捜査の責任のあるところの警察庁長官としましては、いままでのいろいろな問題につきましては、私どもの基本的な問題について関係省庁が協力をしているというふうに私は理解しておりますが、今日までの捜査の問題について、いまの、韓国側に対する私のほうの捜査の問題についての要請あるいは韓国側からの報告というものにつきましては、いままでも申し上げたとおり、必ずしも十分でないというふうに思っております。したがいまして、そのタイミング等をつかみながら、外務省と緊密なる連絡を持って、後宮大使を通して韓国側に要請をしよう。また、要請をしておるわけでございますので、いま申し上げたように、私のほうの警察としての立場というものについては、一貫した立場を持っておりますし、また、今後におきましても、御要望に応ずるように、その基本的なものにつきまして捜査を実現をしていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○山本(弥)委員 高橋長官のお考えは、これは報告にもございましたが、参考人としての再渡日につきましては、必ずしも不可能ではないという報告にもなっておるわけでありますし、国家公安委員長も同じ方針だと思いますが、警察権というものは、ある意味においては、国家主権の重要な要素をなしておるわけでありますから、真相を究明することが将来の対外関係を友好に導くという基本線に立って――政治的な配慮というものがいろいろいま国際的に行なわれようとしている印象を私は受けるわけでありますが、あくまでも真相を究明するために、金大中氏ほかの再来日を要請する、あるいは、場合によっては捜査官を派遣して調査をする、あるいは、資料も極力早急に提出するということにつきましては、強く、最後まで一貫してその線を貫いていくというふうに了承してよろしゅうございますか。
○高橋(幹)政府委員 私どもの捜査の基本といたしましては、先般来私から報告をいたしたとおり、警察の立場としては、その捜査を明らかにする、しかも、そういう問題について、犯人あるいは犯行の状況というものにつきましては、いま申し上げたように、一日も早く、すみやかにしていく、また、捜査について、その実現を期していきたい、こういうふうに思っている次第でございます。
○山本(弥)委員 再来日につきまして、極力警察の立場から主張していくということでよろしゅうございますね。
○高橋(幹)政府委員 そのとおりでございます。
○山本(弥)委員 今回の事件につきましては、私が申し上げましたように、非常に計画的であり、大規模であり、綿密に計画された。これにつきまして、警察といたしましては、真相究明の立場から――新聞報道等の状況、あるいはかってのドイツにおけるKCIAの関与した事件、それから、わが国における韓国人あるいは帰化した旧韓国人の蒸発事件等も、社会党で、外務委員会等におきまして指摘しておる事実があるわけであります。これらに関連いたしまして、金大中氏の韓国において置かれておる立場を考えると、過去一年の足取りを見ましても、すでに日本とアメリカに滞在をしておるわけです。その出入国関係の旅券等におきましても、特別な配慮を法務省ではしておるということも報道されておる。しかも、戒厳令下における金大中氏の立場ということも相当重視しなければならぬというふうに私は考えるわけでありますが、その前後のKCIAの動き等も、これは多少変化があるというふうな報道もなされておる。この間の、過去一年間の、金大中氏の置かれておる立場、日本における活動の状況、あるいはKCIAの動き等につきまして、この事件が起こる前に、警察としてはどういうふうな対処のしかたをしたか。山本警備局長は、KCIAとは、韓国に行ったときに儀礼的な表敬だけしかやっておらぬと言うわけでありますが、国内の駐日韓国大使館の中にも、日本から警察関係の書記官が行っておると同じように、KCIAに関係をしておる書記官なりあるいは公使が当然おられると私は思うのですが、それらとの情報の交換というのは警察としては全然なされていないのか、その辺のことをお伺いしたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 金大中さんについては、昨年日本に参って、それからアメリカに行き、また日本にことし参りまして、また三月ごろアメリカに行って、七月十日に日本に帰ってきたという、そういう過程の一連の動きというものはわれわれとしては承知いたしておりました。それから、いろいろな形で、たとえば、今回も、何か本をあらわすとか、講演会をするとか、そういうある種の政治的な活動をしておられるということも承知いたしております。われわれとしては、そういう韓国の野党の大ものが日本に来ているという形で承知はいたしておりましたが、ただ、金大中さんに危害を加えるとか、あるいは彼を連れ去ろうとか、そういうふうな具体的な情報は全然握っておりませんでした。それから、金大中さん並びにその秘書等からも、警察に保護を求めるとか、こういう情報があるから、非常に不安だから何とかしてくれないかとか、こういう情報の真偽を確かめたいとか、そういうふうな御連絡も全然ございませんでした。そういう諸般の情勢から判断して、われわれとしては、特に金大中さんについて、具体的な警戒措置をとる必要はないというふうに判断をしておったわけですが、いまの御質問は、どういう行動をしておったかということですが、その程度しか把握をしておらなかったわけでございます。
 それから、KCIAとおっしゃいましたが、そういうものの日本における活動状況あるいは情報交換というものをやっておったり、あるいは知っておるのかという御質問でございますが、だれがKCIAのメンバーであるか、どういう組織であるか、どういう態様で活動しているのかという、そういう実態については、残念ながら、われわれとしては、現在把握をしておらない状況でございます。
 また、具体的に情報交換をKCIAとやっているというようなことはございません。ただ、韓国大使館の者が来まして、たとえば韓国の総理大臣がやってくるというようなことで、そういう警護の必要とか、具体的な問題について、何か情報がありませんかというようなことで質問は受けることはございますが、その人がKCIAのメンバーであるかどうか、そういうことは全然承知いたしておらない状況でございます。
○山本(弥)委員 そういたしますと、韓国大使館の中に駐在をしておるKCIAに関係しておる方とは、どういうふうな情勢にあるか、あるいはどういうふうに動きが活発になっておるかということは、全然交換も連絡もない、そのほか、儀礼的なことをやっているので、警察としては把握をしていないということと、金大中氏については、韓国の野党の大ものであるというか、有力な野党の政治家であるという認識にとどまっておって、その身辺に、現実に日本の警察を無視するようなこういう事件が発生しても、それに対しましては、別に要請がないので、こういう事件が将来発生するということも何ら考えていなかった、予想もしていなかった、寝耳に水であるというふうにお考えになっておったわけですか。
○山本(鎮)政府委員 金大中さんがそういう野党の大ものであるということと、それから、韓国の現在の政権に対する反対的な主張を掲げておる方だということは承知いたしておりましたけれども、いま言ったような具体的な危険が金大中さんに及ぶというような情報は、われわれとしては全く承知いたしておりませんでした。
○山本(弥)委員 これは、外事警察を強化することが必要であるというようなことに関連してはいないわけですけれども、アメリカにおける韓国の情報部の動き、あるいは、それに対するアメリカ政府の考え方等は新聞にも報道されているわけですね。それから、金大中氏が著書の校正で日本に滞在しておった。あるいは、雑誌「世界」にいろいろな本人の考え方が出ておる。あるいは会合に出ておる。そういった動きは、いまの国際情勢の中では、警察としてはもう少し関心を持っておくべきではなかったかと私は思うのですが、そういう反省はないわけですか。
 それから、失踪されてからの初動捜査については、報告の中にも反省をしておられると思うのですが、手配をされたのがおそいわけでありますが、手配をしたときに、自動車は大体こういうものだとか、そういうことも手配ができなくて、いままであったことのない新しい事件だからわれわれも多少あわてたというふうな御報告のようですが、そうしますと、金大中氏の顔写真も、関係方面には送られていないわけなんですか。送られたわけですか。捜査の指針になり、あるいは検問の指針になるように、自動車は少し番号が多いけれども、これこれの番号の車で、こういう人が乗っておれば気をつけろというふうな手配も全然なされていないわけですか。どうでしょう。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 初動捜査のおくれの問題は、こまかく申し上げますといろいろございますけれども、関係者からの通知がおくれたということが第一でございますが、それによってわれわれとしてはしかるべき手を打って、直ちに警察官が現場に行っておるわけですが、向こうからの連絡が、梁一東さん、この方がいろいろな方面に御連絡をしておって、警察への連絡がおくれたということでございますが、したがって、五人の犯人が連れていったという、その犯人像について、身長が幾らとか、どういう顔の特徴だとか、そういうことは述べていただきました。ただ、いろいろなところに連絡をしながら述べるということで、かなり聴取に時間をとりました。
 それから、車のほうは全くわからないわけであります。現在においても、御承知のとおり、車のナンバーはわからない、車種もわからない、したがって、どの方面に行ったのかわからないというわけで、普通から言えば、緊急手配をする条件が、内容が非常に乏しかったといいますか、それにふさわしいだけの事情聴取ができなかった、本質的にそういううらみはございます。
 金大中さんの人相、特徴等はもちろんその手配書に入れてございますが、写真は、次の日に全国へ直ちに電送で送っておりますが、その際の、初動の緊急配備のときには、これは無線でやりますので、そういう表現で手配をいたしておって、写真では手配をいたしておりません。
○山本(弥)委員 普通の事件ならそれでいいと思うのですが、しかし、関心を多少お持ちなら――金大中氏の写真を翌日送られたときには、新聞の報道するいろいろな御本人の供述調書等によりますと、もうその日のうちに船に乗っているわけですね。そして、場合によっては、その日のうちに、真夜中かあるいは九日の午前中に海上に出ておるという状況なんですね。手配をされた、しかし、手配というものは、全部の効果はないわけですね。検問にひっかかって、十分わからなかったということでやり過ごしたとか、あるいは、突きとめる一歩手前だったが突きとめられなかったというような問題ではないのですね。これはちょっと御答弁しにくい点があろうかと思うのですけれども、特に、警察力を強化するということばかりではなく、警察の反省としては、そういった国際情勢下においてどういう事態が起こるかということは、警察としては、国際警察が問題になるときに、ドイツの例等も調査をしなかったわけではないと思うのですね。あるいは、金大中氏がどういう事態になるおそれがあるというようなことも、おそらくはんとうは考えておったと思うのですけれども、私は、その辺が少し手抜かりがあるような感じがしますね。
 それから、船の問題ですが、あるいは車の問題にいたしましても、時間がありませんので、また質問いたしますが、三十台の車を捜査するのにはちょっと時間がかかるわけですね。八日ですから、事件が発生しまして、いままで二十日かかっていますね。それから、船にいたしましても、調査しておる三十五隻というのは、定期的に往復しておる貨物船その他なんですかね。そのほかに、貨物船以外の政府の船というようなものについての入港、出港については、直ちにわかるはずだと思うのですが、そういうものは、前後に何らの通報もないわけですか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 車の捜査については、先ほどもちょっと触れましたけれども、ホテルのチェックが、結局下四ケタの数字しか書いておらない。上のほうの数字とか、練馬の55というのが書いてないわけでございます。したがって、31−14という車なので、その車一台を調べるのに、場合によっては二百数十台同じナンバーがあるわけです。これをつぶすということで、一台の車をなぜつぶせないかとおっしゃるわけでございますが、実際は、百台ないし二百台をつぶさなければ一台がつぶせない、こういう状況にあるということを御了解いただきたいのでございます。
 それから、船の問題ですが、これは、韓国へ向けて出帆いたしました貨物船も貨客船も全部含めてということでございます。ただ、韓国へ出ていってしまっておるものですから、帰ってきて、こちらとしてはそれにいろいろと当たらなければいかぬというふうに考えております。それから、政府関係の船も、もちろん、入ってくれば、それは、出入国の関係で把握できるというふうに考えております。
○山本(弥)委員 過去において、韓国の政府関係の船が入港されたという事例はあるわけですか。
○山本(鎮)政府委員 現在、私は承知いたしておりません。
○山本(弥)委員 承知していないというのは、調べたことはないが、ということですか。
○山本(鎮)政府委員 現在、私は、そういう調査をしたことはございませんし、そういうような報告を受けたこともございません。
○山本(弥)委員 そういたしますと、韓国の政府関係の船の入港というのは、日韓の国交回復以後全然入ってきておりませんか。
○山本(鎮)政府委員 それは警察として把握していないわけでございまして、海上保安あるいはその他の関係官庁では把握しているというふうに考えます。
○山本(弥)委員 やはり、そういうことも調査される必要があるのじゃないでしょうか。真相を究明するという場合には、私の考えでは、いまの戒厳令下にあれだけの――新聞記事ですけれども、あれだけの大きないわばモーターボートで、相当のタラップを登ったとか、あるいは焼玉エンジンでさらに上陸用に乗りかえたとか、相当の船じゃないかと思うのです。しかも、民間の船を利用したということになれば、関係者も相当多いわけですね。そういうところから、ある程度まで実情が捜査の結果わかってくるのじゃないかと思いますね。たまたまあなたのほうの疑問の船が何隻かあるということと、ソウル発の新聞の報道により、向こうの怪しげな船が数隻あるというようなことも一致しておるようでありますが、私は、その範囲をやはり少し広げてお考えにならぬと真相の究明にならぬのじゃないか、かように考えますがね。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 もちろん、この件については、たとえば八日、九日に出帆した船、その前後におった船、それは政府関係の船も含めて調査いたしておりますし、さらに徹底して調べていきたいというふうに考えております。
○山本(弥)委員 聞きたいことはたくさんあるのでありますが、きわめて不十分なのですが、大臣がお見えになりましたので、大臣の決意をお聞きしたいと思います。
 ただいま、警察庁長官より、この問題の真相を究明することが日本の警察にとって重要な問題であり、また、この事件の犯罪捜査の問題から言っても必要なことである、警察としては、国の、政府の方針として、被害者であり、また、重要な参考人である金大中氏、あるいは梁一東氏、金敬仁氏という人の再来日を願って事情聴取をするということがあくまで真相究明の重要なポイントである、また、捜査員を派遣して、向こうの捜査途中におきましても捜査をするということで、あくまで一貫してそれを貫いていく、そして、警察への挑戦に対しまして、真相を究明し、犯人の逮捕あるいは事件の送致というようなことに踏み切っていくのだという、そういうかたい決意の表明があったことはけっこうなことだと私は思うのです。
 国家公安委員長は国務大臣でもあられるわけですが、各委員会のいろいろな審議を通じまして、政府の方針に、はっきりそういった問題についての中心がどうもないものですから、向こうの大使館から、国会審議が云々とか、あるいは新聞の報道に行き過ぎがあるというふうな抗議めいた申し出があるわけですね。先日の新聞を見ますと、たまたま、読売新聞の支局の閉鎖問題について、前田公使から抗議を申し込んでおるという記事が出ましたが、これは、政府としての態度がだんだん固まってきたような印象を受ける。また、官房長官の談話も、韓国の抗議をはね返すような意味にもとれる中途はんぱな談話が二十五日の新聞記者会見の間に出ていますけれども、そうじゃなくて、この問題は高度の政治性があるわけですけれども、警察として、あるいは日本政府としては、重要な国家主権の侵害にもかかわるような可能性があるとか、疑いがあるとかいうような事件でありますと、友好親善は友好親善として、そういう問題ははっきりして、政府が一貫した態度で真相究明に全力を尽くすのだという姿勢がやはり必要であり、そのことが、大きな意味の、将来長きにわたる友好親善にも役立つのだ、中途はんぱに過ごしてはならないんだという感じを私は持っておるわけですが、最後に委員長の所見を承りたいと思います。
○江崎国務大臣 今回の事件は、きわめて重大な事件であると認識いたしております。しかも、将来の日韓親善の永続のためにも、この問題が明らかにされることが断じて望ましいと考えますが、何せ、本人の身柄がありません。こういう事犯というものは、金大中氏を中心に、関係者三氏を十分調査するところから問題が究明せらるべきものであります。だから、警察当局がとっておりますところの、身柄をもらいたい、これを外交ルートを通じてねばり強く要請していくという態度は当然なことであるというふうに私は考えております。
 いま、何か、政府が一貫した方針がないようなお口ぶりでございましたが、そういうことはございません。もともと、これが主権の侵害であるのか――あるいは、韓国人がどうも介在しておるということは、金鍾泌総理の手紙にもありますように、先方でも認めておられるようですし、また、事実、あの事犯の経過をたどりますときに、これは当然浮かんでくるわけでありまするが、これは個人的な犯罪であるのか、国家機関が関与しておるのか、これも御指摘のように、真相究明をすることによって明らかになる。したがって、何が何でもこの真相を明らかにしなければならない。そのことが主権の侵害であるか侵害でないのかというような根本にも触れてまいるわけでありまして、警察としては、慎重、綿密、しかも厳重にこれを捜査していくという態度でおりまして、これは、日韓友好関係の将来のためにも、すみやかに問題を解決していきたいという強い決意で臨んでおる次第でございます。
○山本(弥)委員 このことは、韓国の大使館その他出先機関は関係していないという言明がなされておるわけですけれども、これだけの大がかりな綿密な計画が、韓国人の民間団体、あるいは十ぱ一からげに申し上げれば、右翼だとか暴力団の計画的犯罪だといたしますると、国内の世論、国民の考えとしては、これだけの大がかりな、船を利用し、自動車を利用し、相当な人員が動員されたと思われるような綿密な計画が、民間人の計画として行なわれたとするならば、これは日本の警察はめくらだということなんですね。いまの日本の優秀な警察をもってすれば、こういった計画的な犯罪が行なわれるということは、私はちょっと想像がつかぬのですけれども、それだけに国民の疑惑は深い。このことは、徹底的に捜査をして、真相究明に全力を警察があげるということでなければ、日本の警察というものは、これからの国際的ないろいろな警察が当面するであろうところの紛争の解決には非常に支障を来たし、こういう事件があとを断たないような事態に追い込まれる心配もあるというふうに懸念をいたしますので、どうか、政府の方針を統一いたしまして、友好親善は友好親善、真相究明は真相究明として、強い態度で進むという一貫的な気持ちを持って、公安委員長なり警察庁長官が中心となって、国の方針として進んでいただくことを私は強く要請をいたしまして、質問を終わります。
○上村委員長 吉田法晴君。
○吉田委員 時間がございませんから、一点だけ伺いたいと思います。
 今度の問題を通じて、新聞の論調を承りますと、警察の権威が問われていると私は思います。このいう記事がございます。これは八月二十四日の朝日の「天声人語」ですが、「「日韓の警察は身内同士」という意識が、警察では強いそうだ。」「そうした体質が、意識的にか無意識的にか、第一線の捜査にまで及んでいるのだろう。この腐敗菌は、かなり奥深いところに巣くっている。」云々と書いてございます。それから、八月十九日の、これは東京タイムズだと思いますが、その「東タイ日記」の中に、「諜報機関とおぼしきA国人と大使館員が東京で情報交換するといった事例を日本の外事警察はかなり掌握しているといわれる。」と書いてあり、そのほかに、外事警察が二百人もおるということを書いております。そして、事件が起こって十五日間かかって初めて車の手配がされたというのは、能率を誇る警視庁として、これは一体どうしてだろうということが言われている。
 この問題を本会議で取り上げて質問することについてちゅうちょをせられたり、あるいは、総理が、「韓国のことばかり書かないで、もっと内政問題を取り上げたらどうか」と言ったというようなところに、本心があらわれているのではないかと私は思ったりするのです。個人的に、江崎氏が、金大中氏の再来訪を求めたり、あるいはこういうやり方についての要望をせられておる言動を拝見をいたしますと、個人としては見解をちゃんとお持ちだと思うのですけれども、日本の方針、あるいは、特に、日本の政府も、それから警察も問われているのだと思いますが、きょう、韓国からの通報、あるいは金大中氏の発言に関連をして、車のこと、あるいは船のこと、あるいは畑中氏のこと、その他を尋ねても、一向はっきりいたしません。今日に至るまで、能率的な警察が、あるいは二百人以上を持つ外事警察の陣容を誇っておられる警察が、何ら見るべきものはございません。時間があったら楢崎発言に関連をする写真の問題等についても、調べて回答するということでしたから、回答願いたいと思いましたが、さっき局長から多少話がございましたが、十分なことはございませんでした。
 そこで、ひとつ、事例をあげて申し上げますが、社会党が調査をいたしましたところによると、ことしの三月、東京の中野区に住んでおられた沢本三次さんが、韓国中央情報部と見られる男に連れ去られて、金浦空港で逮捕されて、反共法、国家保安法によって無期懲役を受けた。これは日本の国籍を持っておられるし、帰化されたことは明らかであります。あるいは、六月には、北大理学部の助手をしていた金風Cという人だと思いますが、地質調査中に韓国陸軍保安司全部に逮捕された。これは兄弟とも逮捕をされております。日本の国家公務員が韓国政府に逮捕されて、そして処罰がされ、あるいは極刑に処せられる心配があるのに、日本政府としては何にもなさらない、あるいは日本の警察も何にもなさらないという点は、たいへん私どもをして疑わしめます。そのほかに、七月には、神戸市の葺合区の夏谷さんがスパイ容疑でソウルで逮捕された。あるいは、東京教育大出身のソウル大学院生でありますところの、日本名福田何がし兄弟が無期懲役に処せられた。
 こういうことで、日本における韓国人の、あるいは朝鮮の諸君の安全も保障されていない。あるいは、日本の主権を侵して拉致された金大中氏についても、何らこれに対する捜査も進まなければ、取り返すこともできない。西独のような、経済援助を打ち切っても取り返すという態度もございませんだけに、取り返しができないという事態に対して、警察の権威が問われておる事態について、どう考えられますか、事例は少のうございますけれども、簡単に答弁を願いたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 沢本三次さんの件でございますが、これは三月六日に、韓国に本人が渡航したときに、韓国で逮捕されたということでございまして、韓国の刑事訴訟法によりまして、逮捕者の家族者に沢本さんが逮捕された旨の通知が外務省を通じてあったということで私どもは承知いたしておるだけでございます。
 それから、本年七月の、帰化されました夏谷進さんの事件でございますが、これは、本年の七月七日に韓国で検挙されたという発表がございました。これは詳細は不明でございますが、七月七日に、韓国に渡航した際に検挙されたということでございまして、出生地は平安北道でございますが、その後養子縁組みで日本の戸籍に入って、現在の住所が神戸市の葺合区でございます。検挙されるまでの経緯は、貿易商としてインドネシアで木材の買い付け等をしていた。その後シンガポール駐在の北鮮の工作員と関係があったというようなことで、その後平壌に行っておるというような情報があるようでございます。
 結局、これも、日本で逮捕されて連れていかれたとか、日本から連れていかれたというのではなくて、たまたま向こうにいるときに検挙されている。その後そういう事実が発表されたというだけで、国内で事件が起きたならば、これは、われわれとしては、警察に対する非常な――先ほどお話しがあったように、警察が問われるということになるわけでございますが、いまあげた二つの事件は、それぞれ韓国において、韓国から日本に帰化した人、日本国籍になった人が逮捕されたということで、事件の内容その他はわれわれは詳しいことは存じておらないわけでございますが、最初お話しになりました……(吉田委員「小さい問題はいいです。基本問題について公安委員長にお尋ねしている」と呼ぶ)そういうことで、いまの金大中氏の件は、確かに、日本の警察に対しての挑戦といいますか、日本警察の真価を問うという内容であるということは、私ども十分承知いたしておるところでございます。
○上村委員長 林百郎君。
○林(百)委員 私は、きょうのこの委員会の警察の当局の答弁を聞いていまして、ことばでは、警察庁長官が、この事件は日本の国の自由に対する挑戦であり、警察に対する挑戦であるとして深刻に受けとめておるということばを使っておりますが、事実其捜査の点において非常になまぬるいし、また、積極性を欠いた捜査の態度だと言わざるを得ないと思うのですよ。それは何から来ているか。私は、基本的には、有力な反証がない限り、これは韓国のKCIAが行なったという嫌疑のもとでこの捜査を進めていくということが、日本の警察官のとるべき最も重要な態度だと思うのですよ。それを、民間の一犯罪グループがやったかもしれないというような、さっきの国家公安委員長の言うような態度でいったら、この問題の真相はもう迷宮入りになると私は思うのです。
 たとえば、KCIAが行なったと疑われる、また、そう断定してもよろしいとまで私が言い得る根拠を申しますと、一つは、日本からの出国が、民間人では、このような状態でできるはずはないということ。さらに、戒厳令下の韓国への入国が簡単に行なわれて、そして、金大中さんのうちまで届けられるというようなことが、軍事政権の朴政権のもとで、しかも、戒厳令が行なわれているところで、海浜に対する警戒が軍事的に行なわれているところで自由になされるということは、これは、韓国の国家機関が一枚かんでいなければできないことじゃないでしょうか。これは常識じゃないでしょうか。しかも、そういうことを報道するたびに韓国政府は妨害をしてくる。たとえば、読売新聞の例が幾度か出ますけれども、「情報部機関員が関係」とか、「韓国政府筋が認める」という記事が出ただけで、読売新聞のソウルからの退去を命じている。しかし読売新聞は、ちゃんと根拠があるんだということで、しっかり抵抗しているじゃありませんか。
 それから、さらに、もう少し内容を申しますと、フランスのル・モンド紙なんかも、有能だと言われている日本の警察が今度のような無能ぶりを示すのは、全く消極的な態度から出ているんだと言っているが、その消極的な態度は何かというと、これは、KCIAがやったという重大な原則的な立場を踏みはずして、まだ中立的な立場におりますというような態度をとっておるからだというように思われるわけですね。それから、国会の報告も、韓国政府側がやったというような報告は全然させない。日本の新聞の販売、あるいは「世界」という雑誌の販売も韓国では停止している。はなはだしきは、アメリカのVOAの放送も金大中ということになれば切っている。こういうようなことの中で、だれが考えても、これはKCIAがかんでいると疑うほうが当然じゃないでしょうか。これについて、国家公安委員長はどう考えますか。また、警察庁長官はどう考えますか。
 しかも、この事件の直前の八月四日に、韓国のCIAの第七局長をやっていた金在権在日公使と梁一東氏が面会している。梁氏は、奇怪にも、金大中氏に一人で来るようにということを言ったということが報道されております。また、KCIAの駐米韓国大使館の朴正一二等書記官が、金大中氏のあとを追うようにアメリカから来て、事件後間もなくソウルに出発しておる。こういう諸般の事情、それから、KCIA関係の関係者がこの事件の前後に激しく日本へ往来しておるということ、こういう状況があるからこそ、田中法務大臣も、犯人は某国の機関だ、あえて某国と言うが、と言っている。少なくとも治安の任に任ずる法務大臣がこういうことを言うということは、根拠なくして言っているはずはないと思うのですよ。それなのに、同じ治安の任に任ずる警察が、まだどうかわかりませんというような態度である。基本的な態度としては、有力な反証がない限り、これはKCIAが一番あやしいのだという立場から追及をしていかなかったら、この真相というものは究明できないのじゃないですか。これはどう思いますか。
○江崎国務大臣 日韓の友好関係は友好関係、事件の重大さ、また、日本の警察に対するないがしろな行為は、これはこれ、私どもは、先ほど山本委員にもお答えしたように、厳然と、さい然と分けてこのことを考えております。ただ、いまは捜査をしておる最中でありまして、真相を究明すること、これが警察当局としては何よりの先決じゃないでしょうか。あなたの立場で、KCIAがかんでおるということを断定されることは、これは御自由かもしれませんが、真相究明に責任をもって当たっておる警察当局が軽々にそのことを言うわけにはまいりません。やはり、私どもは、確信をもって真相はこうであるということの御報告のできることを期待して、鋭意捜査に努力しておるというのが現状でございます。
○林(百)委員 そうすれば、同じ国務大臣としてのあなたにお尋ねしますが、田中法務大臣は、「私の第六感としては「この国の秘密警察がやったに違いない」ということが胸の内にある。」とまで言っておりますよ。同じ閣僚の中で、ちゃんと、ある国の秘密警察がやったということを、しかも国会で答弁しておるのですよ。同じ閣僚で見解が違うということはどういうことなんですか。しかも、同じ治安の任に任じている大臣同士ですよ。あなたは六感がないのですか。
○江崎国務大臣 これは、私は、見解が違うとか、合っておるという問題ではないと思うのです。われわれ警察当局としては、長官以下が、真相究明のために、鋭意、厳重に捜査をいたしております。また、身柄はまだ渡ってまいりませんが、金大中氏をはじめ、あわせて三者の身柄をもらいたいという要求を粘り強くやっております。こういう事件は、やはり本人に即して調べることが重要でありますから、この身柄も要求しておる。厳重にやっております。外交ルートを通じて、という段階でありますから、いま捜査当局を指揮する立場にある国家公安委員長が軽々に六感を働かせる場面ではあるまいと思います。
○林(百)委員 軽々に六感を働かせることはできないと言いますけれども、こんな事件に六感が働かないような国家公安委員長は無能というものですよ。それじゃ、これがKCIAでないという有力な反証がありますか。反証があったら言ってくださいよ。KCIAがやったということは間違いないということが、韓国側からの情報からももう出ている、日本の閣僚からも言っている。各新聞社はそういうことを報道している。それで、しかも、客観的な事実としては、KCIAが出てきて、この前後に日本の国へ出入りしている。こういう事実の中で、これは、韓国のKCIAがやったということは私の六感としても感じますと言うことのほうがすなおじゃないですか。そうでないというなら、そうでないという反証を私に聞かしてくださいよ。これこれ、これこれ、こういう点があるから、KCIAですとは言えませんと言ったらいいでしょう。あなたは、たとえば原状回復の問題を要求していますね、金大中さんを呼ぶとかなんとか。それじゃ、向こうが承知しなかったらどうするんですか。いま主権が侵されている。これは韓国の国家的な機関が一枚かんでいるんだという立場に立つからこそ、強く金大中氏の再来日を要求できる。そういうことまで強く外務省は要求でき得る立場に立ち得るんじゃないですか。そうでなかったら、警察庁長官の言うように、お願いしておる、しかし返答はいただけません、そんな態度がありますか。それが、しかも、警察に対する挑戦だ、自由に対する挑戦だ、警察は深刻に受けとめます、しかし、原状回復の点については、外務省を通じてお願いをしています、しかし、返事はまだいただけません、そんなことで、どうしてこの事件の真相が究明できますか。では、もしKCIAでないと言うなら、私はまだそこまで判断がいかないという根拠があったら、その根拠を知らせてください。
○江崎国務大臣 私は、KCIAの行為であるともないとも申し上げておりません。そのために真相を究明しておるわけです。主権が侵害されておるかどうか、これは、真相が究明されれば、即座に相手に向かって何でも言えることです。それだけに、こういう問題というものは、慎重でなければならぬと私は思います。私個人が鈍感であるとおっしゃるならば、それは甘んじて受けます。やはり、国の責任ある立場の者としては慎重であるべきだ、しかし、厳重に責任を持って捜査を続けるべきだ、というふうに考えます。
○林(百)委員 それでは、厳重に責任を持っていま捜査していると言うなら、どういう態度でどういう捜査をしているんですか。そんな抽象的なことばで、厳重に、真剣にと言ったって、そんなことは通りませんよ。具体的にこうしている、林さんの言うようなKCIAがかんでいるかもしれないという疑点もあるから、こういうこともやっています、こういうことをそれなら言ってくださいよ。そうでなければ、納得できないじゃないですか。
○江崎国務大臣 これはもうすでに何べんも答弁があったかと思いますが、国内の捜査では、金氏を運んだ自動車、船舶の捜査、畑中金次郎の割り出しをやっており、それから、目撃者がだんだん出てまいっておりますので、これらの捜査もやっている。また、遺留品がありますし、遺留品の捜査、いろいろな情報の裏づけもやっている。あなたも、いろいろな情報に基づいてこういう御質問をなさるわけですが、あなたのいまおっしゃるようなことも含めていろいろな捜査をしておるというのが現状であります。
○林(百)委員 だから、KCIAが一枚かんでいるという観点での捜査はどうしているか。その前後にKCIAがどういうように出入りしたか。それから、私がいま具体的にあなたに提示したように、事件の直前の八月四日に、韓国のCIAの第七局長であった金在権在日公使が梁一東氏と面会しており、梁氏は、ふしぎにも、金大中氏に一人で来るようにというようなことを言っているという。これらのことを調べていますが、また、この事件の前後に、KCIAの駐米韓国大使館の朴正一二等書記官が出入りしているということを調べているんですか。この事実について、それじゃ答弁してください。
 それから、もう一つ言いますが、そういう態度ですから、首脳部のほうは気がついているかどうか知りませんが、一線の捜査に当たっている警察官は、これは政治的な問題だ、上のほうで政治的にどういう態度をとるかできまるのであって、自動車を追いかけた――自動車を追いかけたといったって、これは何ですか。ナンバー五八−七八という自動車を追いかけたというが、これはあとになって、間違っていますということになっているんです。これで、大事なときに一時間半も使っているじゃないですか。それで、まだ全然自動車が具体的につかまれていないじゃないですか。それから、初動が、事件が起きてから一時間半もたってからだ。かりにあなたの言うように、あるいは通報がおくれたからだといっても、通報があってからだって三十分じゃないですか。かつて、荒木元国家公安委員長は、警察へ通報すれば二分で出動すると言った。これは左翼の学生を弾圧するには、ね。左翼のほうにはそんなに敏感なあなた方が、この事件じゃ、何ですか、三十分もたって、やっと現場へ行っているじゃありませんか。だから、一線の警察官は熱意を失っているというのですよ。
 だから、KCIAの問題で、国家公安委員長、答弁してください。どういう出入りがあったんですか。
○江崎国務大臣 それは、関係者から答弁させます。
○林(百)委員 山本警備局長の答弁は、大体わかっているんですよ。だから、警察庁長官、ちょっと言ってください。もう、この人は、だいぶKCIAと近いようなことばかり言っているから……(発言する者あり)近いような答弁を、いろいろな報道で……。だから、警察庁長官、答弁してください。
○高橋(幹)政府委員 捜査の問題については、そういう予測的なことで言われては、たいへん私は心外と思います。
 私どもとしましては、いまのKCIAの問題について、今回の事件についても、個々一つ一つの問題について、きょうの国会において報告したとおりの問題についても言っております。それから、いままでの、金在権氏の問題についても一応聞いていることもございますので、一つ一つのKCIAの問題について言われているものについて、私どもは一つ一つ詰めていく、こういうことでございまして、いま私の申し上げたように、予測的なものについて私どもが調査をやるということについては誤りがあるというふうに思っておるわけであります。
 いまの具体的な問題については、山本君が予想していると言われますけれども、やはり、事実という問題については、正確に山本君から報告をしたほうがいいと思いますので、山本君に答弁をさせます。
○林(百)委員 じゃ、そういう前提のもとに聞きましょう。どうぞ、警備局長。
○山本(鎮)政府委員 先ほどお話しがあったように、アメリカから来た朴書記官とかなんとかお話しがございましたが、これについては、入管のほうで調査して、アメリカから韓国に行く往復に、日本にトランジットで滞在したという事実は、入管の記録から出ているというふうに聞いております。
 それから、李公使云々というのは、これは、入管の記録では出てきていないというふうに私どもは聞いております。
 いま長官のお話しがあったように、われわれは、KCIAであるとかないとかいうことじゃなくて、どこまでも真実を追求する。したがって、もしそれがKCIAの関係であるというような情報があれば、それを、こんなものは関係ないというようなことで捨てるということは絶対なく、どこまでもその真相を追求するために仕事をしておるわけでございます。したがって、捜査の過程でKCIAの関係を捜査しているという問題もたくさんあるということは事実でございますが、それがこの事件に関係しているというようなことを現在把握しているというようなことはございません。
○林(百)委員 それならば、事件の直前の八月四日に、韓国の元CIAの第七局長であった金在権在日公使と梁一東氏とが面会しておるという事実を確かめてみましたか。どういう話をし合ったか……。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 この件については、当日、金在権公使が、梁一東さんの電話で、金大中さんがどこかへ連れ去られたという報告を受けまして、その日に現場へ行っておられるわけでございます。それで、その後、その間の事情について、捜査当局に金在権さんは事情を説明しておられますけれども、その、八月四日云々ということは、金公使のお話しの内容からは、われわれは承知いたしておりません。
○林(百)委員 こういうことはちゃんと報道に出ておる事実なんで、この報道に出ておる事実を、金公使にあなたのほうは尋ねていないんですか。それは、それぞれの日本の情報機関が――情報機関というか、情報を集めるそれぞれの新聞なりあるいはそのほかが、この問題について真剣に取っ組んで、問題は出てくるわけでしょう。そういうのを当たってみたのですか。そういう一つのテストケースとしてこのことを聞いているわけです。これは重大な問題なんですからね。あなたのほうは、このことを聞いていないのですか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 当日、金在権さんが現場に行かれたということについて事情を聴取したわけでございます。事情聴取というか、本人から申し出があって、その間の経緯を承知いたしておりますが、その八月四日ということは、私、全然聞いておりませんので、この点はまたよく調査をいたしておきます。
○林(百)委員 いまの、その一線の警察官との関係で国家公安委員長にお尋ねしますが、さっき、警察庁長官が、儀礼的にはKCIAと日本の警察との間に接触――接触ということですか、儀礼的な相互の……(江崎国務大臣「表敬ですね」と呼ぶ)表敬の行為はしておるというのですけれども、これはどういう関係なんですか。国家公安委員長、知りませんか。知らなかったら、警察庁長官に聞きます。
○江崎国務大臣 これは、私も報告を受けておりますが、韓国では、中央情報部という治安に任ずる正規の機関がある。そういう形で日本に訪問をされた場合、相手が儀礼的に外交儀礼の線に従って表敬訪問をする。これを受けるということは、相手国の正式機関である以上、警察当局に来られればこれを受ける、これは当然であるというふうに聞いております。
○林(百)委員 そういうことは、どのような頻度で行なわれているのですか。そういうことがあるということを長官が答弁されましたね。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 年に一度かそこらでございます。
○林(百)委員 年に一度かそこらの表敬的な交流ということだけなんですか。
 それでは、お尋ねしますが、法務省の管轄にある公安調査庁がありますね、公安調査庁と、これは田中法務大臣が参議院ではっきり答弁しておりますが、捜査の関係で必要な情報の交換はしていると言っておりますが、公安調査庁が警察に捜査の協力を求めるということはありますか。公安調査庁のほうから警察のほうへ、こういう案件について捜査に協力をしてもらいたいということはありますか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 捜査について協力を求められるということはございません。
○林(百)委員 じゃ、どういうことがあるのですか、その接触については。
○山本(鎮)政府委員 破壊活動防止法等の関連の問題について、調査について協力を求められることはございます。
○林(百)委員 そうすれば、公安調査庁が、在日朝鮮人の朝鮮総連をその調査の対象としている、ここでこれに対する捜査をすれば、それが韓国のKCIAと情報を交換し合う場合がある、それについて、また、警察が、直接間接公安調査庁との情報の交換をし合うということになれば、単なる表敬的な関係だけでないということになると思いますがね。それはそれで、もし、あなたのほうが、そういうことについて、それは間接だとおっしゃるならおっしゃるで、それでけっこうです。
 そこで、次に進めたいのですけれども、本件について真相を究明するということを先ほどから国家公安委員長は言っているわけなんですけれども、真相を究明するということで一番重要なことは、原状に回復するということですね。原状に回復するということは、これは捜査の原点に帰ることなんですね。そのことのためには、先ほどから国家公安委員長も言っているように、この三人の関係者に再来日を求めるということが捜査の決定的な重要さになってくるわけなんですね。ことに、いま、主権が侵されているというような重大な疑点に立っている、あるいは、国会の審議にまで韓国側が口を入れてきているような状態のもとに、この本件のかぎを解くために、その主権の侵害あるいは国会の審議に対する重大な内政干渉という問題を解きほぐすために、三人の再来日ということは、これは何としても求めなければならないことなんですが、これに対して、警察側は、長官の説明によると、外務省を通じてお願いをしておるということですね。それは、いつどういうお願いをして、外務省からどういう答弁が来ているのですか。
○高橋(幹)政府委員 警察庁から外務省にお願いをしているということでもありませんし、また、私のほうも韓国にお願いをしているという、そういう表現の問題というのは、非常に誤解を生ずると思います。私のほうは、警察庁として、いままで申し上げたとおり、金大中、梁一東、金敬仁三氏に来日をしていただいて、そして、その内容についての事情聴取をしたい、こういうことを言っているわけでありまして、この点については、警察庁長官として、法眼外務次官にいままで申し上げたようなことで要請をしております。それに基づいて、外務省も、全く同意見であるということで、いままで、後宮大使を通して、いま申し上げたようなことを、回数については私もちょっと承知しておりませんけれども、執拗に私のほうから申し上げていることでございまして、私のほうがお願いをしているということではなく、警察庁の立場として必要であるというふうに申し上げまして、外務省を通して要請をしているということが現状でございます。
○林(百)委員 あなたの説明によりますと、当庁ではつとに外務省を通じ韓国当局に対し、これら三人の方、とりわけ、金大中氏の再来日を実現して調査に協力を願えるよう要請しているところであるが、これまでのところ明確な回答を韓国当局からいただいていないというという表現だが、再来日に協力を願えるように要請しているけれども韓国当局から明確な回答をいただいていないといったって、いま、日本の国の主権が侵されているかどうかという重大な事案、しかも、国会の審議にまで内政干渉をされているという事案、こういうことに対して韓国側からの回答をいただき待ちという態度で警察の任務が果たされるのですか。あなたが強く要求しているというのはどういう要求なんでしょう。
 それでは、外務省にお聞きしますが、外務省の妹尾さんですか、一体、警察庁からどういうお願いがあって、この三人の来日についてどういう交渉をし、それで、韓国からどういう回答が来ているのですか。
○妹尾説明員 お答えいたします。
 金大中氏がソウルで発見されました翌日から、私の記憶では、合計三回でございますが、警察庁と協議の結果、事件の真相を究明するため、金大中氏らの訪日をぜひ要請したい、韓国政府の協力を依頼したいということで、東京とソウルの双方において要請を行なっております。これにつきましては、十七日のソウルでの後宮大使に対する弄外務部次官の回答で、現在調査中なので訪日できないという回答を受けているというのが実情でございます。
○林(百)委員 長官にお尋ねしますが、いま、金大中氏は、反共法、国家保安法の被疑者として取り調べを受けているわけでしょう。そうすると、そういう者を日本の警察へ普通の状態で引き渡すと考えられますか。やはり、日本の国の主権が侵されているかどうかという重大な観点に立っているのだ、それから、国会では、内政の干渉だという重大な観点に立っているのだ、何としても、この人を、捜査の原点に戻すために再来日を求めなければならないという、そういう態度に出なかったら、これは再来日を実現する可能性というのはないんじゃないですか。
 それから、外務省にお尋ねしますが、いまのそういう状態のもとで、この三人が来日する可能性というものは考えられるのですか。
○高橋(幹)政府委員 現在の状況では、金大中氏が被疑者であるというふうには私は思っておりませんし、向こうからのそういう報告もございません。したがいまして、私のほうは、いままで申し上げたとおり、金大中氏並びに梁一東氏、金敬仁の三氏に来日をしてもらうということを執拗に申し上げているのでございまして、その可能性があるかどうかということについては、私は、可能性があるというふうに思っておりますが、いますぐにその結論が得られるかどうかということについては、私どもは、残念ながらまだ聞いておらない、こういうことでございますが、おそらく、韓国の当局者として、当然、良識的に、また、当然の考え方であればそういうことについて行なうであろうというふうに私は考えておる次第でございます。
○林(百)委員 それは、どこまでもあなたの期待でしょう。それから、金大中氏がいま軟禁状態にある、それから、外部からの接触を断たれている、そういう中で、反共法、国家保安法の被疑者として取り調べを受けているということは、韓国側の情報からずっと入ってきているところじゃないですか。それを否定する根拠はあるのですか。
 それから、江崎さん、この捜査の決定的なかぎである三人の再来日が、もし韓国側の拒否によって実現されないという事態が来たときには、あなたはどういう態度をとり、どういう責任をおとりになるのですか。これが決定的な本件の解明のかぎでしょう。しかし、いま、外務省側の答弁から言えば、来日をさせることはできないという答弁が来ているわけでしょう。どうするのですか。あなたは、口だけでは、本件について真剣に捜査をしているとか、あるいは何をしているとか言っておりますけれども、そういう最も重要な捜査のかぎを全くあいまいにして、そして、警察の最高責任者である国家公安委員長としての積極的な態度が見れない。法務大臣ですら、とにかく、自分の良心に従ってあれだけのことを言っているわけなんです。ところが、あなたのほうときた日には、まるでその片りんも見せないような態度で、もしこの三人の来日が不可能だという結果が確定した場合には、あなたはどういう責任をとられるのですか。
○江崎国務大臣 まだ、来日は不可能であるという回答には接しておりません。したがいまして、粘り強く、これから何べんも、外交ルートを通じて要求をしていくわけであります。相手がこれに応じなかったらどうするか。それは、やはり、そのときに決意することです。いまは、粘り強く、来てくれということを言っておる最中に、来なかったらああしますなんということをここで言うのは、ちょっとまだ早いんじゃないでしょうか。
○林(百)委員 だって、日韓閣僚会議も延期しています。経済援助も考慮するという段階でしょう。治安の任に任ずる国家公安委員長としては、もしそういうこちら側の要求に応じなければ、これは、KCIAか、あるいは韓国側の国家機関がこれに関与していると、日本の警察当局としては断ぜざるを得ない。したがって、そういう場合には、主権が侵害されているのだから、これは日本の捜査当局としての主権に基づく要求だという態度がとれないのですか。決意をするというのは、何を決意するのですか。
○江崎国務大臣 共産党の幹部として、あなたがいま言われるようなことをおっしゃるのは簡単ですが、やはり、捜査当局としては、真相究明に鋭意努力をしておる。先方も、中間報告もいたしましょう、捜査には協力しますということを言っているわけですから、やはり、今後の出方を十分見守りながら、日本は日本で独自の捜査を続けていく、そして、身柄をどうしても渡さないときには、その時点で決意をするということであって、身柄を渡さぬのに、こうしましょう、ああしましょうというようなことをいまから言い過ぎることは、逆に、身柄をもらわなくてもいいような日本の態度を表明することになりまするから、いまここでそういうことに触れないことのほうが妥当だと私は思うのです。それは、巷間、こちらから捜査員を派遣するとかいろいろなことが言われておりますが、私どもとしては、身柄を渡せないという段階で、そこで十分決意を明らかにする、こういう態度で臨んでまいりたいと思います。
○林(百)委員 あなたの答弁は、この事件が、基本的に日本の国の主権が犯されている、有力な反証がない限り、そういう事態だ、日本の国会の審議にまで口を差しはさまれているのだという、こういう感じが全然ない答弁ですよ。何か、民間人の右翼の誘拐グループがやったんだろうというような考えですよ。このような重大な侮辱を受けている。これは侮辱ですよ。警察庁長官だって、自由に対する挑戦、日本の警察に対する挑戦だと言っているのですよ。その挑戦を受けながら、いま、あなたは、共産党だからそういうことが言えるでしょうが、私は言えませんなんて言うが、一国の国務大臣たるものが、そんなばかなことを言えるのですか。もう少しこの問題について真剣に考えてもらいたい。いま、日本の国がどういう位置に置かれているのか、日本の主権がどういう危殆に瀕しているのか、日本の最高機関である国会の審議にまで他国が口をはさむということはどういうことなのか、日本の報道機関の支局が追放されるということはどういうことなのかということを、あなたはもっと真剣に考えなければ、あなたに治安をまかせることはできないじゃないですか。だから、あなたは鈍感だと言うのですよ。田中法務大臣のほうがわれわれの考えていることに近いことを言ったからと何も私は言っているわけじゃないですけれども、しかし、それは常識の線じゃないですか。軍事的な戒厳令下にある韓国へ、こんなことをして、どんどこどんどこ入っていって、そして、金大中さんのうちまで届けるなんということが、国家権力が一枚かまないで、できますか。しかも、金大中さんという人は、朴政権に反対の立場にあった人でしょう。そして、朴政権というのは軍事的な政権であり、朴という人は、情報的な、いわゆる昔の日本の憲兵的な政治をしている人である。そして、金大中さんは、KCIAというようなものは解体すべきであるということを主張した人でしょう。そういう人がいまこういう目にあっているのですから、あなたはもう少し真剣に考えてもらいたいと思うが、どうですか。
○江崎国務大臣 これは、林さんに何べんもお答えしておるように、事件は重大であるし、私も真剣に考えております。そんなことは当然です。ただ、真相究明をしておる最中に、それは主権侵害であるということを、何もいま言わなくてもいい。それは、やはり、真相究明が先決です。勇ましいことを、うわさや何かでいろいろ自由に発言する人も、自由な国家ですから、日本の国内にはあまたおりましょう。しかし、捜査当局としては、真相究明が先決ですということを申し上げ、警察の職務を厳粛にわきまえ、私は、それに関連する責任者として、当然、責任をもってこの指揮に当たっておるつもりであります。何も、勇ましいことをいまここで言う必要はないというふうに考えます。
○林(百)委員 別に、勇ましいことを言えと言うんじゃないのですが、日本の国の治安の最高責任者であるあなたの良心に問うてみて、本件が、単なる民間的な右翼の一グループでできるような事案であるかどうか。法務大臣も言っておるような、あるいは日本の各言論界が言っているような、こういうことが事の真相ではなかろうか。そういう観点に立って、いま、日本の警察も鋭意真相を究明しているということでなければ、あなたの治安の責任者としての良心をわれわれは疑わざるを得ないのです。
 それでもう一つ。あと二問で終わります。
 それじゃ、外務省にお聞きしますが、きょう、これこれの情報を知らしてくれと言ってやっておるわけなんですけれども、一体、それに対して韓国側の回答は――きょう、聞いてみれば、これは捜査が長引く、だから、回答を直ちにするわけにいかないというようなことが新聞に報道されていますが、これについては、どういう回答が来ているのですか。
○妹尾説明員 お答えいたします。
 具体的に幾つかの項目を取りまとめて申し入れましたのは昨日でございまして、けさ、現在、まだ回答は来ておりません。その中には、現在における捜査状況をまとめたものとか、いろいろ具体的に韓国側に対して情報提供を要求しておりますので、若干の時間がかかるということは当然あり得ることと思います。ただ、いつ来るか、そういう点から見て、常識的にかかる程度の時間か、あるいはもっとかかるか、そういうことはわかりませんが、これを後宮大使から要請されました外務部長官は、最善を尽くすということを言っておりますので、できるだけ早く回答が来ることを私どもとしては期待しております。
○林(百)委員 それじゃ、これで最後にしますが、できるだけ早く来ることを期待するという程度で終わっているわけなんですね。国家公安委員長も、そういう状態にあるということですね。もう、八月八日に事件が起きているわけなんですから、それで、事件のかぎを最も握っている三人の捜査に対する韓国側の情報というものがまだその程度のものなんですから、それをあなたが鋭意やっていると言っても、これは、もう、日本の警察の常識から言って、考えられないことですよ。
 そこで、私は、最後に、国務大臣としての江崎さんにお尋ねしますが、韓国のCIAというような暴力機関要員が、少なくとも五百名以上常時日本国内で活動しておると伝えられておるわけですね。おもな役割りは、在日朝鮮人に対する動向の警備、情報の収集にあるとされているわけです。そして、日本の国内での言動を理由に、韓国に召喚され、連行され、逮捕された事件が続出しているわけですね。これはもう社会党の吉田さんからも例が示されましたが、私のほうでもこれをあげてみますと、一九六七年の六月の、元在日韓国居留民団本部の団長の金載革氏の反共法、国家保安法の裁判をはじめとして、数多くの弾圧がKCIAによって行なわれておるわけです、本年になってからも、日本に帰化した実業家の沢本三次氏が連行された事件がある。また、先ほどの吉田さんの話にもありましたように、わが国の公務員である、北大理学部の助手である金風C氏の逮捕などが惹起されておるわけですね。この人々は、死刑を含む重罪をもって絶えず脅迫されておるわけですね。これらの情報謀略部員の中には、駐日大使館員として外交特権を利用して、その指揮に当たっている者も含まれている。これは公然の秘密になっているわけですね。また、一般の民間人としての入国査証により、その在留資格を逸脱して活動している者もあるわけですね。このような暴力活動は、日本の国においてはとうてい許すべきものではないと思うのです。
 私は、このような不法な活動をやめさせるために、韓国政府に対して、KCIAのわが国における組織並びに活動の全内容を報告するように要求して、そして、その全員に対して、日本の国にはそのような情報活動は許されるわけにはいかないということを韓国側に通告すべきである、さらには、事態が進展した状態のもとでは、退去も要求すべきである、こういうように考えますが、これについて、国務大臣としての江崎さんはどうお考えになりますか。
○江崎国務大臣 KCIAの活動がどういうふうであるのか、これは、警察自身もこまかく一々チェックしておるわけではない。中央情報部という形で表敬があれば、その表敬を受ける。さっき御指摘のような事件については、全部承知をしておるように報告を私どもは受けております。したがって、いま御指摘になるような、うわさだけで直ちにこれを外交ルートに乗せて、退去してもらうとか、これこれがKCIA活動でけしからぬとか、そういうふうに言うかどうか、これは、やはり、関係者とも十分協議をしなければならぬと思います。
○林(百)委員 それでは、これで終わりますが、表敬というような態度で臨むべき組織ではないように私たちは考えます。だから、江崎国家公安委員長としても、十分実情を調べて、そして、事態によっては、あるいは、その組織の内容によっては、私があなたにいま要求したようなことも考慮されるというようなことで、関係者に十分相談をし、このKCIAの本体というものはどういうものかということをあらためて洗い直すように要求しておきます。これについて答弁を求めて、私の質問を終わります。
○江崎国務大臣 これは、今回の問題とも、特にKCIAの問題というのはいろいろ関連するでありましょうから、われわれとしては、今回の問題について十分真相究明をして、しかる後、いま御提示のような問題についても十分検討を加えてまいりたい。
○上村委員長 小川新一郎君。
○小川(新)委員 公安委員長と警察庁長官にお尋ねいたしたいのですが、日本の国は民主主義の国であり、言論は自由でございますので、本件に関しては、いろいろな見解、いろいろな考え方が出てまいり、また、そういう問題についてはいろいろな問題が出ております。
 そこで、まず江崎国家公安委員長にお尋ねいたしますが、最近の週刊誌をお読みになっておると思いますが、まず、金大中氏事件における週刊誌の報道についての御感想を承りたい。
○江崎国務大臣 私も、新聞はもとよりよく読んでおりますが、週刊誌全部に目を通すいとまもありませんが、概略見ておるわけです。日本というのは自由な国ですから、いろいろ想像をたくましくしながら、また、ずいぶんいろいろな情報をもたらされるものだと、興味深く拝見しております。
○高橋(幹)政府委員 先般来、金大中事件についての金大中氏については、私どもも、その政治的立場であるとか、あるいは本を書いているとか、そういうようなことについては承知いたしております。したがって、金大中氏の政治的な立場、あるいはいまの情勢の問題について、そういう結果になるというふうには私ども思っておりませんでした。
○小川(新)委員 九月六日の「週刊現代」にはこういうふうに出ております。「金大中事件独走レポート第二弾! 新聞・テレビを抜く―― 大森実の直撃シリーズ第一部ドキュメント、東京に上陸して金大中を拉致したKCIA三〇人の驚くべき犯行をついに解明」これは、一週刊誌として、私たちが興味深く読む範囲を越えております。しかも、特に、「KCIA三〇人の驚くべき犯行をついに解明」ということを大森実さんが言い、この中でこういうことを言っているのです。「私のすべての資料」ということの中で、最後にちょっと気にかかるところがあるのです。それは、「ここで、わたしの捜査取材の全てを公開するわけにはゆかないが、先週に引き続き、取材オリジナルの一つを「直撃」として、ハイライトだけ紹介したい。」と言っている。この中のことをすべて私が一々言うわけにいきませんが、大臣がお読みになったとするならは――特に、この大森実さんの「直撃シリーズ」は、私も拝読いたしましたが、非常に事実に近いように思われるのです。また、私は警察官ではありませんから、この文を読んでどうのこうのと推測する、銭形平次のような考え方を持っているわけじゃないですが、特に、こういった重要な問題をいろいろと提起している大森実さんの資料というものは、相当あるとここには書いてある。これに対して、警察当局は、大森実さんから、何らか事情を聴取したり、参考資料としていろいろなものを提供してもらうようなお考えがあるのかないのか。
○高橋(幹)政府委員 大森実氏は、私も前々からよく知っております。今度の事件につきまして、私のところに電話がありまして、例の問題について私に会いたいということでありました。しかし、私は、いまの時局において、そういうような問題については会うことはできない、また、そういうことについて私どもが会う意思もないということで、大森氏とは全然会っておりませんし、したがって、大森氏がいろいろなことについて言われていることについては、私は詳細に承知いたしておりません。したがいまして、そういうものが週刊誌に載っていることとして私どもは認識している次第でございます。
○小川(新)委員 しかし、公安委員長、「KCIA三〇人の驚くべき犯行をついに解明」というのは、これは非常に大きな問題ですね。私は、大森さんの責任を追及しているわけでも何でもないが、われわれ一般日本国民がこれを読んだときに受ける影響、これは非常に大きな問題がある。また、読売新聞も非常に大きな記事を載せております。そういう問題を警察当局としては参考にしない。まして、大森さんがいろいろ御苦労なさって集めてきた資料について、事件解明のかぎがあるとするならば、少なくとも、警察当局独自の手法で、何も大森さんの力をかりなくてもおれはやるのだということであるならば――警察当局のメンツとして、これは当然でありますが、もしもメンツの問題を言うならば、韓国政府に警察は挑戦状まで突きつけられたような感覚の中でいろいろ言われているのでありますから、一日も早く解明をするのであるならば、ここまで週刊誌に責任を持って書いた以上は、相当なものがあると私たちは思考しているわけですが、これに対してどうお考えになっているかをお聞きしたい。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 それは、私はまだ見ておりませんけれども、十分内容を検討いたしまして、参考とすべき問題があれば、しかるべき措置をとってみたいというふうに考えております。
○小川(新)委員 参考になる事項はたくさんありますが、その一つの例を読みます。「中央情報部の作戦スタッフの二人組みが、リュックサックを東京神田神保町のサカイヤで買い求めた事実は、新聞報道の通りである。身長百六十五センチくらい、四十五歳から五十歳くらいの、肥り気味、色が黒くて金ブチ眼鏡をかけた男と、やはり四十歳から五十歳の白髪のヤセ型男だが、サカイヤ次男の酒井秀典君と、アルバイトの青山学院大生、森下良樹君は、ある筋から、李泰薫」――これは一等書記官で、この間社会党の楢崎弥之助代議士が提示した写真の男でありますが、それが九月六日号の「週刊現代」に載っているわけです。しかも、警察当局では、これに対していろいろとお調べになったようでございますが、一例をあげると、私は驚いたのですが、九月六日号の「週刊現代」になぜ韓国の一等書記官の名前まであげて、このようなことがすっぱ抜かれているか。これだけ見ても、相当重要な参考になり得るニュースを大森さんがつかんでいると思考されてもあたりまえだと思うので、その意味から言って、私は、いま一例をあげて御指示したわけですが、いかがです。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 一般的に言って、われわれとしては、捜査上参考になる資料があれば、すべてこれを検討して白黒をつけていきたい、こういう判断であります。
 いまの李泰薫書記官のお話しでございますが、これは楢崎議員からの御質問がありまして、新聞にも出ておったので、すぐに、御本人から、その写真は自分の写真だということで申し出がございまして、警視庁のほうで事情を聴取いたしておりますが、その中では、その当日、自分はちゃんと事務所で働いておって、神田のほうになど行ったことはないし、神田の地理は全然知らないというようなことでずっとアリバイを申し立てて、これは個人的に言っておられるわけです。
 それから、いまお話しになったリュックサック屋の店員にも写真を見せましたところ、買いに来た人は全然そういう人とは似ていないという証言をわれわれのほうは得ておりますので、その大森さんの記事については、十分参考にはいたしますが、直ちにそれが真実であるというふうにはちょっと認められない事情がございます。
○小川(新)委員 先ほど、警察庁長官は、大森さんがお会いしたいと言ってきたと言っておるが、こういういろいろな捜査の発展的の中で、こういうようにきめつけられた記事がいろいろ出てくるということは、非常なる確信を持って言われていると思うので、いまそちらからお話しがあったように、お会いになって捜査の御協力を得るということについてのお考えは、いまでも変わらないんですか。
○高橋(幹)政府委員 ただいまの私の言い方がちょっと足りなかったわけですが、もともと、そういう問題については、警視庁なりあるいはそれぞれの警察庁の担当者が、ああいう週刊誌等については十分読んでおります。したがいまして、その週刊誌に載っているようなものについて、それが信憑性があるかどうか、あるいは捜査に関係があるかどうかということは、当然、捜査官としてはやるべきことでもあるし、やっているわけであります。しかし、捜査の内容がどうこうというようなことについて、私は、少なくとも――その、私の立場でございますが、私が大森氏と会うということについては、これはやはりやらないのが当然でございますが、下のほうの担当者といたしましては、いまのような問題については、警視庁も、あるいは警察庁も、十分分析をしておるわけでございますので、その点について、少しことばが足りなかった、こういうふうに存じております。
○小川(新)委員 それでは、四点についてお尋ねいたします。
 事件は、金大中氏の背後にあったかもしれぬ政治プロットを壊滅するための、政治的高次元の大陰謀であったのかどうか、これに日本の資本や右翼、左翼、暴力団が参加していたのかどうか、それとも、韓国政府内のトップバランスのいずれかに功を献じようとした中級政府機関、またはあるグループの暴走であったのかどうか、あるいは、反朴側、要するに反朴政権側の陰謀なのかどうか、この四点についてお尋ねいたします。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 私どもは、捜査について、いま慎重に事実の解明につとめている段階でございまして、いまお話しのありましたような政治的な陰謀、あるいは暴力団、あるいは中級の政府機関員、あるいは反朴のいろいろな団体、そういう話なり予想はいろいろと巷間で聞いておりますが、われわれとしては、そういうものがあるかどうかということ、あるいは、そういう背景で行なわれたかどうかということ、これもいま捜査中でありまして、そういうものがあるという予断に立って捜査をしているわけではございませんので、いま御質問のありましたような事実については、いまのところでは解明できていない、承知していない、こういうふうにお答えせざるを得ない段階でございます。
○小川(新)委員 では、私がいま言った四点以外では、何の原因だと警察当局はつかんでいるんですか。ただ単なる刑事犯として、金大中氏が拉致された、少なくとも公安当局が介入する段階ではないのだと、刑事犯として見ていいんですか。
○山本(鎮)政府委員 いや、大ざっぱに言って、一般的に言って、これは背景に政治的な複雑な問題がからんでおるというふうには判断はいたしておりますが、それを、具体的に、いま言ったような形ではまだ把握しておらないということでございます。
○小川(新)委員 少なくとも、もう二十日間ぐらいたっておりますね。そういたしますと、その完全な捜査をするためには、金大中氏及び重要参考人を呼ばなければ、いま私が言った四点の解明にはならないのか。それとも、韓国側の調査報告だけで解明できるのかどうか。また、韓国側の調査にしても、誘拐された現場を見ていないし、その周囲の人たちのことばも聞いていない。そうすると、韓国側の調査も不完全であるし、わがほうの調査も不完全である。不完全と不完全の調査の中で調査の一致点というものを見出すわけにいかないと思うのですが、そうなってまいりますと、二つ考えられる。一つは、わが国から調査員を派遣する。また、韓国側から調査員が派遣されてくる。こういう国際問題について、警察当局としては、この二点について、どう考え、また、両国の捜査の一致点をどこに見出すのか、お伺いします。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 これについては、お話しのとおり、一番の被害者である金大中さんと、その現場を見ておった梁一東さんと金敬仁さんの事情聴取をすることによって、いま言った背景等は、最も鮮明に簡単にわかるというふうにわれわれ考えておるわけでございまして、そういうことで外務省にいろいろと要請をしておるという事情はおわかりのところと思いますけれども、いまは、まあ、そういうことで、外務省としても、絶対断わられているんじゃないのだ、いまちょっと待ってくれという韓国政府の話であるので、いましばらくこの要求を続けていくということであります。それがどうしてもだめだという段階においては、先ほど公安委員長がおっしゃったとおり、その段階でもう一度諸般の情勢を検討して、そこでまた新しい決意をしていきたい、こういうことでございます。
○小川(新)委員 これはちょっと高度な問題なんですが、外務省にお尋ねいたします。
 外務大臣は、「韓国に引き渡しの義務がなく、わが国も権利として主張しえない。政治的にわが国への協力を韓国側に求めている」と答えたというのですが、これは国際法上認められた自国民不引き渡しの原則に基づく答弁であったと思いますけれども、事件がわが国で起こったことを考えれば、わが国の刑法では、確かに第一義的な捜査権はわが国にある。しかし、韓国刑法では、韓国人の国内外での犯行は第一義的に韓国に捜査権があることを規定しているということになりますと、金大中氏及びその参考人は、容疑者、被疑者としてわが国に引き渡さないのかどうか。どういう見解をとっておるのですか。これは外務省にちょっとお聞きしたい。
○妹尾説明員 お答えいたします。
 いま御説明がございましたところは、国際法の問題の解釈としましては、私どももそのとおりであるというふうに考えております。
 それで、現在、韓国側が金大中氏等の来日を断わっている理由としましては、被疑者として取り調べをしているからということは言っておりません。実は、先ほど審議の途中で、反共法とか国家保安法違反の疑いで取り調べを受けておるというお話しがございましたが、報道では、そのような報道もあるいはあったかと思いますが、私どもが確認したところでは、そのようなことはございません。
 それで、私どものところに、十七日、弄外務次官から後宮大使に対して現在渡せないと言ったときには、現在調査を進めているので日本に行くことはできない、そういう回答でございまして、これは、金大中事件そのものについての韓国側の調査ということで、私どもは、その時点で受け取っております。
○小川(新)委員 警察当局もそのように理解しているのですか。
○山本(鎮)政府委員 さようでございます。
○小川(新)委員 国家公安委員長にお尋ねいたしますが、警察庁長官からこの事件の報告を受けたのは、東京でお受けになったんですか。それとも、どこか他府県で報告を受けたのか。また、どれくらいの時間で国家公安委員長の耳にこの重要な事件の報告があったんでございますか。
 それをお尋ねする理由は、国家公安委員長の立場として、当然慎重な態度をおとりになることは私もよく理解いたしております。しかし、法務大臣とか外務大臣のコメントは最初のほうにございましたが、国家公安委員長としてのコメントが非常におそいように私は感じておりますので、国家公安委員長の耳に一番先に入らねばならないこの重大な事件の報告が、何日の何時何分、どこでお受けになったかをお尋ねしたいと思います。
○江崎国務大臣 当日、八月八日でございますね。私は、警視庁の第一機動隊――これは武道館の横にございますが、その機動隊を視察中でありました。たまたま隊長室で事務説明などを受けておりまして、十五時ごろ、ちょうど十五時と私は記憶しておりますが、警備部長から、実はこういう容易ならぬ事件が起こったんだという報告があり、これはすぐ手配したか、いま厳重に手配をやっております、こういうことで、私、即刻警察庁に取って返した。あとは長官、警備局長等々から情勢報告を聞いたというのがありのままの実情でございます。
○小川(新)委員 この間の報告の中には国家公安委員長に対する報告がございませんのでお尋ねしたのでございますが、事件が起きてから、大体三時間か四時間ですか。
○高橋(幹)政府委員 いまの事件につきましては、私のところに警備局長から即刻報告がありまして、いままでの初動捜査あるいはその後の緊急配備等については、先ほど来山本君からお話し申し上げたとおりの内容について私どもは承知をしておる次第でございます。
○江崎国務大臣 ちょっと念のために申し上げておきますが、私は、三時にそのことを機動隊で聞いたわけですね。それから自治省、厳密に言いますと自治大臣室へ直ちに戻ったわけです。その時点で、宇都宮代議士からも、私に、実はこういうことになったんだ、たいへんだということで電話がございました。それから、警察庁長官は長官室から私の自治大臣室へ参りまして、それまでの警察のとった手だて等について警備局長とともに報告をした、こういうわけです。
○小川(新)委員 警察庁長官の御報告の中で、午後二時五十五分に手配を完了している、手配が完了してから国家公安委員長に御報告をなさっているということは、私は、国家公安委員長に対する報告がおそいんじゃないかという懸念が一つある。
 その次、二点目は、午後三時四十分、全国警察に対し、各空港、各港及びそれに通ずる主要道路につき検問、警戒を実施することを指示した。そうすると、海上保安庁に連絡をなさったのは何時ですか。この二点について伺いたい。
○高橋(幹)政府委員 ただいま御指摘にありましたところの、私どもの初動捜査の報告、それから緊急配備、いろいろな手配につきましては、先ほど来の時間のとおりでございます。
 海上保安庁につきましては、いままで、自動的に、私のほうから、全国的な空港あるいは港湾のほうに連絡をした場合においては、それに応じて、それぞれ、海上保安庁の現場の保安本部あるいは各官署というものがやるわけでございます。したがいまして、私のほうから、私自身が、海上保安庁の長官に対してかくかくということを申し上げたことはございませんが、警備局長以下の当然のやり方として御連絡をしているわけでございます。
○小川(新)委員 当然な連絡方法でございますというんでございますが、海上保安庁が出動し、警戒体制に入ったという報告は、警察庁長官の御報告にはないんですが、特に、海上から連れ出された。この問題について、法務大臣は、わが国は四面海に囲まれた国である、一・五メートルおきに警察官を配置しなければ完全なる密出入国を防ぐわけにいかないと、こういうとぼけたことを言っておりますけれども、少なくとも、私は、海上保安庁に指示をし、海上保安庁が、それに対し、航行のいろいろな船の検問等に携わったという御報告がないのでちょっとお伺いしているわけですが、そういたしますと、だれにどうやって、どういうふうに動いたかという正式な報告は、当日長官の耳には達していないわけですか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 密出国の関係の船の捜査については、われわれといたしましては、全国の港百十九カ所について、関係機関と連携して検問をするようにと、こういう指示を府県警察本部にいたしております。その指示に基づいて、当然、現地の海上保安本部と密接な関係をして、日ごろからそのような共同体制というものはすでにでき上がっておるものですから、直ちに所要の措置をとって警戒に入ったというようになっております。したがいまして、ただいま御質問になりました海上保安庁本庁への連絡は実はいたさないで、現場のほうの連絡ですべて手配を完了した、こういう措置にいたしておるわけでございます。
○小川(新)委員 国家公安委員長、これは大事なことだと思うのですね。百十九カ所の港の現場にだけまかしておかずに、海上保安庁がどういう動きをしたのか、船が何ばい出ていったのか、怪しい船があったのかないのか、その結果について、中央の統率最高司全部といいますか、統率部で何らかキャッチしなければならない。それをただ想像で、ふだんやっているから初動捜査でそういうことをやったのであろう、現場の警察からそういうふうに指示がいったんだろうというようなことでは、これは困るのであって、こういうような、国家公安委員長の耳に入るような重要な問題については、警察庁長官がみずから、海上保安庁の最高指導者に、直接、重要な意味を込めた指示をしなければ、初動捜査のミスが大きく言われると私は思うのです。
 そこで、この「週刊現代」には、大森さんは、海上保安庁及び自衛隊の出動が知らせられていなかったということを書いているが、こういうことは明らかに警察に対する名誉の棄損になりますよ。そういうふうにきめつけられている。書いてある。だから、私はあえて聞いている。それはうそであればいいですが、出ておりますね。よくごらんになってください。その辺のところが、今回の初動捜査のミスとして指摘されてもいたしかたないんじゃないか。これはどうなんですか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 中央段階で直ちに向こうに依頼すべきであったというお話し、確かに、われわれとしては、反省点として十分考えております。その当日は、非常に早く現場へ配置しなければいかぬ、手配しなければいかぬということで、現場本位でやったわけでございまして、海上保安庁のほうも、聞くところによりますと、五時ごろには全部下から上がってきたものですから、それによって全国に手配はしてあるというお話は聞いております。
 それから、出航船舶等については、その後十分捜査上参考になるというような資料というものは、海上保安庁のほうから連絡を受けて、それに基づいて捜査をしている段階でございます。
○小川(新)委員 公安委員長、これは通産大臣のことばなんですが、今回の事件が、真相が解明されて、特に、韓国CIA及び韓国政府機関筋の介入があったということがもし解明されたときには、経済援助の打ち切りも含めて検討するという重大な発言を中曽根通産相が委員会で行なったということを私はちょっと聞いたのでございます。これは重大な問題なんでございますが、公安委員長としては、真相が解明された時点においてのとる処置というのはお考えになっておられますか。特に、中曽根さんのこの発言は、日韓の経済援助と、お互いの国益のメリット、デメリットにつながる重大な問題でございますので、特に、最初に、通産省、来ていらっしゃれば、その事実についてお尋ねしておきたい。
○勝谷説明員 お答えいたします。
 先週の商工委員会で大臣が申し述べましたとおりのことを読み上げますと、「しかし問題は、これによって国家主権が侵害された事実ありやなしやということであります。国家主権が外国の官憲によって侵害されるというようなことがあるとするならば、これはわが国の独立体制の面から見ましても重大な事件でございまして、それに対してはそれ相応の対応を考えなければならぬと思っております。」と答えまして、さらに質問が続きましたのに対しましては、「この事件がそういうような不幸な事件でないように私たちは念願をしております。しかし、もし万一そういうような性格のものであるとしますれば、それに対応する措置につきましては、外交当局とも相談をしてやはり閣議レベルでいろいろ対策を講ずべきであると思いますが、対韓援助云々という問題につきましてはよく検討してみる必要もあると思います。」ということで、非常に中立的な答え方をしておると思います。幾つかの前提を置いて、あるとするならば、閣議で相談をして、外務省とも相談をしてしかるべき措置をということで、援助打ち切りということは申しておりません。
○小川(新)委員 そういたしますと、田中内閣の閣僚の一人として、国務大臣といたしましてという、そういう前提に立った私の質問でございますが、中曽根さんのお考えに対して大臣はどのようなお考えを持っていますか。
○江崎国務大臣 先ほど来他の方からも御質問がありますように、本件は、その大森さんの記事一つを見ましても、いろいろな憶測がなされておるわけです。さっき警備局長が言いましたように、新聞の報道、週刊誌の報道、あらゆるものをひっくるめて、捜査官は厳重に捜査をしておるわけであります。国会におけるやりとりは、もとより、もっと重要なウエートでこれが参考にされることは事実であります。ところが、先ほど申し上げましたように、たまたま楢崎君が提示されました写真等におきましても、先方の協力を得て警察が厳正に捜査したところ、これが間違いであった。これはゆうべ発表しておるわけでありまするが、そういうこともあるわけです。ただ、問題は、いずれにしましても複雑な政治的な背景があるということは、これはどうも認めざるを得ぬだろうと思います。これは、金鍾泌首相の田中首相などへの手紙を見ましても、そういうことが推測されるわけであります。ですから、いろいろな情報、いろいろな憶測がなされておりまするだけに、これはこうであるというふうに予断しないで、日本の警察当局が全責任を持って慎重に厳正に捜査を進めて真相を明らかにする、これがやはり第一義だと私は思います。それを待っていろいろ対処すべきでありまして、いまから私がどうするこうするということを申し上げることは差し控えたいと思っております。
○小川(新)委員 まあ、立場上非常に苦しいと思います。私もそういう大臣のことばを確信しておりますけれども、事態は非常に切迫しているということだけは、もう、だれが見てもわかる。そこで、言論の自由、取材の自由、報道の自由、また議会制民主主義、こういう立場に立った日本の国と韓国の国情の相違というものは明確になってまいりましたが、韓国内における外国人記者の報道活動というものは、現在時点では自由に行なわれているのかどうか。これが一点。それから、読売新聞のソウルの支局が閉鎖された理由は何なのか。また、読売新聞の記者が韓国官憲に取り調べを受けた事実があるのかないのか。また、読売新聞の販売、配布その他の不法行為が韓国で行われているのか、行なわれていないのか。この四点をお伺いいたします。
○妹尾説明員 お答えいたします。
 読売新聞記者の国外退去、御質問では支局の閉鎖ということだったと記憶いたしますが、その根拠は何かという点につきましては、韓国の出入国管理法第十二条第三項の、「大韓民国の国是に違背、もしくは経済秩序を撹乱する行為をするおそれがあると認るに相当な理由がある者」と、同じ十二条の第七項の、「その他前各号に準ずる者で、法務部長官が特にその入国が不適当であると認められる者」に該当するとして強制退去処分がとられた。それから、支局の閉鎖については、新聞・通信等の登録に関する法律第十三条の支社設置許可取り消し条項としての、「外国定期刊行物が国憲を紊乱させ、もしくは国家威信を損傷する記事を掲載した場合」に該当するということで支店の閉鎖措置がとられたと了解しております。
○小川(新)委員 公安委員長、いま、それぞれの韓国の法律を引いて外務省から説明があったのですけれども、これは、公安委員長としてはどういうお考えを持っておりますか。これに対して、日本政府は何にもしないのですか。いかがですか。
○江崎国務大臣 これは、警察当局、直接の担当者としての範囲外だと思いますが、外交ルートを通じて、読売新聞等の問題についても、大使館筋が先方に対して話し合いをしておるということは情報として聞いております。
○妹尾説明員 補足説明させていただきます。
 これは、読売新聞の閉鎖が確定いたしまして、三人の現地に駐在していた記者が日本に帰ってくるということがわかりました段階で、さっそく、東京及びソウルの双方におきまして、このような事情は遺憾であるということを韓国側に申し入れをいたしております。
○小川(新)委員 申し入れがあったことに対して、韓国側はどんなことを言っているんですか。
○妹尾説明員 積極的な回答は得ておりませんが、ただ、ソウルでありました申し入れにつきましては、これは、わがほうの前田駐韓国大使館公使から外務部のアジア局長に対して申し入れをしたわけでございますけれども、そのときに、先方は、報道の自由ということでの日本側の立場もわかるけれども、韓国側の立場、国益ということも考えてほしかったという言い方をしているとの報告を受け取っております。
○小川(新)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、最後に、一点だけ、楢崎弥之助代議士の件についてお尋ねします。
 李一等書記官は、この問題について、何らかのコメントをしておりますね。こういう問題について、まことに遺憾である、この出した代議士に対しては、それ相応の責任をとってもらうというようなことを言ったと報道されておりますが、もし事実であれば、こういう問題に対して、国会議員が何らかの責任をとり、相手国から何らかの処罰を受けるような問題にまで発展すべき筋なんですか。韓国の李さんはそう言っているんです。楢崎さんに対して責任をとってもらうと。新聞では楢崎さんも反論しておりますが、これは非常なる国際問題になっていっちゃうんですね。どうなんですか。この問題だけ聞いて終わります。
○妹尾説明員 この問題につきまして、私ども、いまお話しのございましたような点は新聞で読んで承知しておりますが、直接外務省に対して、韓国大使館あるいは御本人から、この問題について何らの申し入れや連絡に接しておりませんので、具体的にどういうつもりで先方がおられるかということも承知いたしておりませんので、ちょっとお答えいたしかねる状況でございます。
○江崎国務大臣 この問題は、たまたま楢崎議員が写真を提示された。それが有力紙にそれぞれ写真とともに報道された。で、本人の協力を得て警察側が調べたところが、事実ではなかった。その後本人が個人的な感想を漏らされたのか、国対国ということでものを言われるのか、やはり、その時点に立って判断すべきことだ。これは、いま外務省の課長が申し上げたとおりだと思います。日本も、報道の自由があったり、いろいろこういうことで問題もあろうかと思いますが、どういうふうに展開しますかは、すべて今後の問題だというふうに考えます。
○小川(新)委員 もし、正式な外交ルートを通してそういう問題になったときには、われわれ国会議員の身分として、国会における発言の自由は尊重されなければならぬという立場に立って、われわれもこれは気をつけなければなりませんので、それでお尋ねしているわけなんですが、議会経歴の豊富な大臣が、もしも同じような立場に立たされたときにはどういうように御判断くださるかということをちょっと最後にお答えいただいて終わらせていただきます。
○江崎国務大臣 私どもの発言は、国会内に関する限り、国内的にはその発言は保障されるわけですが、対外的にさてこれをどう扱うかという問題については、私も、いまここでにわかに答弁いたしかねますが、やはり、今度のこういう重要な問題をめぐって、いろいろな揣摩憶測がなされておるわけですね。日本の国会では、従来、非常に言論が自由でありますることから、アメリカ等に向かっても、相当な揣摩憶測の線から、相手側にあまり愉快でないような発言なども、事例としてあったと私は思います。それが一々外交上の問題ということにはならなかったという経緯から見て、韓国側としても、友好関係にあるんですから、どういう態度に出られますか、これは、向こうの判断に属することでありまするが、まあ、この場面の真相を究明しようという熱意に沿っての国会におけるいろいろな発言ということで、穏やかに済むことが望ましいと思いまするが、そうかといって、国会においても、あまり責任のない形で、外国人まで巻き込んで議論せられるということは、やはり、将来に向かっては十分注意しなければならぬことであるというふうに私は考えます。
○小川(新)委員 終わります。
○上村委員長 折小野良一君。
○折小野委員 金大中氏事件は、現在、問題はまだ過程にあります。しかも、外国関係等、いろいろな微妙な問題がからんでおりまして、今後の予断を許さない。そういうような段階にございますので、そういう面も考慮しながら、時間的な制約もございますので、二、三の御質問を申し上げたいと思います。
 いままでの報道によりまして私どもが見た限りにおきまして、初動捜査に手抜かりがあったんじゃないかということが指摘をされておりますし、また、ある報道によりますと、国家公安委員長も、そういう面があったということをお認めになっておられるようでございます。この警察庁長官の御報告によってみますと、事件が警察庁に認知されまして、そして、いろいろな初動の措置をとられたわけでございますが、その間に相当の時間は経過いたしております。しかし、ここには、三時十五分には全国の警察に対しましてもいろいろと手配をされておるというふうにあるわけでございます。この時間を考えてみますと、これも予測なんでありますが、おそらく、車でどこかの港に走っておる、その過程においてすでに初動捜査は始まっておるというふうに考えていいんじゃないかと思うのです。といたしますと、結局、警察の検問警戒の網を抜けた、あるいは検問警戒が不十分であった、こういうことにならざるを得ないんだと思うのでございますが、そういう点については、警察当局としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
○山本(鎮)政府委員 本件を純粋に技術的に見ますと、われわれが認知した時間が十四時十四分。これは、宇都宮代議士からの御連絡でございます。それから、十四時四十一分に一一〇番の連絡がございました。
 そういうことで、本来、この事件の起きた時点が、金大中さんのソウルにおける発言によりますと、一時ごろだとおっしゃっておるわけなんですね。それから、梁一東さんや金敬仁さんは一時半ごろだとおっしゃっているので、そうすると、事件が起きてからすぐに警察に連絡したわけじゃなくて、いろいろな方面に連絡をとって、そのあとで警察に連絡をした、こういうことで初動がおくれたというのは非常に残念なことであったということでございますが、それからは、逐一、われわれの日ごろの訓練なり経験に基づいた手配を着々と打ったわけでございますが、結果として、その網をくぐられてしまったということは、これはまことに残念であると言わざるを得ないわけでございます。
 ただいま御質問のありました道路における検問でございますが、これは東名高速道路では、神奈川県から、こまかくなりますが、十五時四十五分から十八時半までやって、東京料金所でやっております。それから、名神高速では、滋賀県の栗東インター、彦根インターで十九時からやっております。京都府では、京都南インターでやっております。大阪府では、茨木インターでやっております。岐阜県でも、関ケ原インターでやっております。それから、もちろん、東名で行ったということは事情聴取でわからなかったものでございますので、その他、群馬県とか、三重県、岐阜県、福井、富山、石川等でも一応検問をやったわけでございますが、捜査上非常に残念なのは、最初行って、梁一東さんなり金敬仁さんから伺っても、車のナンバーとか、車の車種とか特徴、これがとれないわけでございますね。何とかとらなければ緊急配備の実効があがらないというので、非常に努力したわけですが、結局、車の車種とかがいまだにわからないということで、捜査上、受けた警察官もその点がわからなかったということは、検問の効果をあげる上において非常なマイナスになったというふうに考えて、非常に残念だと思っておるわけでございます。
○折小野委員 そこで、それに関連をしてでございますが、これは単なる推測でございますが、その検問を抜けた、網をくぐった、あるいは突破したということは、そのとき、現実に、いわゆる外交特権を利用してそれを突破したというような事実はなかったのでございますか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 そういう外交官の車で突破されたんじゃないかという御質問でありますが、そういう事実は、いまのところ把握しておりません。
○折小野委員 車でございますが、最近、いわゆる車社会ということが言われております。いろいろな犯罪に車がつきまとっておるわけでございますが、そういう面からいたしますと、車に対する対策ということは、犯罪捜査上もいろいろな面から検討されなければならないと思っております。今回のこの事件につきまして、おそらく車でホテルを出たであろうということが予想をされて、その車を割り出そうということがいろいろやられておるように聞いておるわけでございますが、今日まで、その車について、十分な捜査ができておるのか、できていないのか。相当な時間がたち、もうすでに二十日間を経過いたしておるわけでございますが、その二十日間、車の割り出しに一生懸命にやっておる、しかも、まだその車の割り出しができない、こういう面につきましては、どういうところに問題があるというふうに警察のほうとしてはお考えになっておられますか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 大体、金大中さんが連れ去られたと思われる時間帯にホテルの車庫から出庫しました車は三十台ということでございます。これについては、ホテルの車庫の係が車の番号のメモをとっておるわけでございますが、そのメモが、残念ながら、下四けたしかないわけでございます。上の、練馬の55というようなのはとってないわけでございます。したがって、一台の車を捜査するために、極端な場合では、二百数十台そういうナンバーが全国的にあるということでございます。それを全部つぶさなければいかぬということで、現在、三十台のうち十六台は完全につぶした。あと十四台残って、そのために、捜査員は非常な努力と時間をかけて徹底的に捜査をしておる段階でございますが、単に一台ということではなくて、そういう経緯で、一つつぶすのにも非常な苦労が要るということを御賢察いただきたいと思います。
○折小野委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、いわゆる車社会と言われるような事態になっております。車を特定するということは、いろいろな面から大切なことだというふうに考えます。運輸省もおいでいただいておると思いますが、運輸省の立場で、車のナンバーをどうするか。これは、運輸行政の面から当然必要なことでございます。あるいは、税務行政の面からも関係のあることでございます。そして、また、警察の捜査の面から、この車のナンバーというものは、非常に大きな一つの手がかりになる。こういうような問題なんでございます。しかし、ただいま御答弁にもありましたように、今回の問題でも、今日まで二十日経過して、なおその割り出しがなかなかできないというような状況にあるわけでございますし、その経過を報道いたしましたいろいろな報道の記事等から見ますと、一つの番号について非常にたくさんのものを探していかなければならない、こういうことがあるように聞いております。
 ところで、現在の車のナンバーに対しまして、運輸省としてはどういうような制度になっておるのか、そして、また、いまのこの制度がいいのかどうか、将来に対してどうしなければならないというふうにお考えになっておるのか、そういう点についての運輸省としてのお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○南説明員 運輸省の自動車局の管理課長の南でございます。お答えいたします。
 車の登録番号標の仕組みでございますけれども、車の番号標と申しますのは、その自動車には一つしかないことは御承知のとおりでございます。そして、その番号標の構成は、おもな番号が四けたでございます。そのほかに、管轄の陸運事務所を表示いたします漢字と、車の種別による分類番号、さらに、「あ、い、う、え、お、か、き、く、け、こ」といいます「い、ろ、は」の字、ひらがな文字の一字だけで構成されているわけでございます。したがって、最初に申し上げましたおもな数字四けたというものは各陸運事務所ごとに出てまいりますし、それから、車の種別、貨物自動車あるいは乗用自動車、特殊自動車といいますようにそれぞれに番号が付してございますが、その番号の中でやはり四けたの数字が出てまいるわけでございます。したがって、先ほどのお話しのように、四けたのおもな番号だけでございますと、全国にかなりたくさんの数字が出ております。番号標は、お話しのように、見やすく、しかも記憶しやすい数字であるのが一番よろしいわけでございます。おもな数字四けたの数字も、昔は五けたの数字であったものを、四けたが覚えやすいということで、縮めて、それを大きく表示するように改めたわけでございます。したがって、いまの様式は、世界各国の例から見ましても、かなり視認性もいいし、覚えやすいものと言われておりますが、残念ながら、陸運事務所の漢字あるいは「あ、い、う、え、お」というものの一文字がわかりかねますと、その車そのものが拾いにくいという仕組みになっております。それで、私どもも、行政上の取り締まりその他から、なおわかりやすく簡単な構成のものにしたいといま検討中でございます。何と申しましても、わが国の車は現在二千四百万台でございますので、その数字で単にあらわすということはなかなかむずかしいところに問題がございます。
○折小野委員 いろいろむずかしい問題はあろうと思いますが、いずれにせよ、これは、わかりやすいということと、そして、その番号によって、できるだけ早く特定した車が突きとめられるということが一番大切なことでございますので、その点は、運輸省の立場で今後とも御検討を願いたいと思います。
 それから、次には、この事件に関連をして、警察当局といたしましてもそのお話しを聞きたいというふうに考えておられる梁一東氏、この方が帰られる際に、再来日の約束を一応されたというふうに新聞は報じておるわけでございます。しかし、そのときに約束をされた再来日の日はもう来たわけなんですが、それにつきましては、向こうのほうから、こういう理由で行かれないんだとか、あるいは、いまいろいろな事情で行かれないが、いついつごろ行けるとか、そういうような返事は来ておりますか。あるいは、その返事を催促するといいますか、問い合わせるというようなことはこちらからなされておりますか。いかがでございますか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 梁一東さんは十日まで捜査に協力していただいて、十一日に帰られて、そのとき、十六日に戻ってくるということで一応お帰りになったわけですが、実は、その後さっぱり来られる徴候がないというので、先ほどお話ししましたように、外務省からは、金大中さん、梁一東さん、それからさらに金敬仁さん、この三人の来日をお願いしているという形になっておりまして、なぜ来られなかったかという理由は、ちょっと私承知いたしておりません。
○折小野委員 きょうの新聞によりますと、新たに五項目の質問を韓国の当局のほうに出されたということなんでございますが、金大中さんはじめ関係の方々の再来日をお願いするということ、あるいは、必要によっては捜査官を派遣すること等、いろいろな方法もございますでしょうが、そういう面とあわせて、一つ一ついろいろな問題を積極的に問い合わせていくということは非常に大切なことじゃなかろうかというふうに私は考えるわけで、それに対しての向こうの反応という面から、またいろいろと判断もできようかと思うのでございます。したがって、ただいま申し上げた梁一東さんにつきましても、公に約束をして帰られたということははっきりいたしておるわけでございますから、その約束はどうなったんだろうかというようなこと等、いろいろな具体的な問題の問い合わせを積極的にやるということで向こうの反応を見るということもできたんじゃなかろうか。けさの新聞によりますと、初めて五項目の質問を出されたということなんでございますが、そういう点につきましては、警察としては、どういうふうにお考えになっておりますでしょうか。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 個々の問題について、こういう問題はどうかという煮詰めた形で問い合わせるということも、ある段階においては必要になってくるというふうに判断いたしておりますが、いまのところは、まだその段階に至らないという判断でわれわれは通しておるところでございます。
○折小野委員 こまかい点については、どういうことになっているかということは、捜査上のいろいろな問題もございましょうから、公表されなくてもけっこうなことだと思いますのですが、しかし、今回の問題が特に関心を持たれておりますのは、やはり、国際間の問題だということでございます。最近は、ハイジャックの問題とか、その他、国際間の犯罪というものがいろいろな形で多くなってまいっております。こういうような情勢から考えましても、犯罪捜査というような面におきましても、より一そう国際的な協力関係を高めていくということは非常に大切なことじゃなかろうかというふうに考えるわけでございますが、国際的な協力関係等につきまして、警察としてはどういうようなお考えを持っておいでになりますか。
○高橋(幹)政府委員 先般来、ハイジャックの問題と金大中問題について御報告を申し上げましたが、いずれの問題についても、非常に国際的な複雑な問題でございまして、そこで、先般来、私どもは、特殊国際事件というものについてどう対処するかということで、長官から指示をいたしまして、次長に命じて、特殊国際事件の対策委員会ということで、いま申し上げたような行政の問題であるとか、あるいは警護、警戒の問題であるとか、あるいは初動捜査の問題であるとか、あるいは関係省庁との連絡の問題であるとか、各種の問題について、長期的にも、あるいは短期的にも対策を講じて、再発防止をはかりたい、こういうふうに思っておるわけであります。
 しかし、いま、現時点におきまして、金大中事件につきましては、即刻、捜査の内容を明らかにし、また、捜査についてのいろいろな反省点について、具体的な問題を配慮しながら、いままで申し上げたように、将来の問題として、私どもの国の安全というもの、国の独立というものについて確保していくという意味において、いま申し上げたような特殊国際事件というものに具体的な対策を講じていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○折小野委員 今度の事件で、私どもが特に関心を持ち、また、注目をいたしましたのは、外国の情報機関と見られるようなものの活動がわが国の中において行なわれておったということなんでございますが、こういう面につきまして、これは今回の問題だけではございませんが、外国の情報活動、あるいはひいて謀略活動というようなものがわが国におきまして行なわれておるのか、行なわれておるとすれば、どういうような形で行なわれておるのか、その現況ですね。こういう面について、政府機関としてはどういうところで把握しておいでになりますか。そして、その現況はどういうような状況でございますか。その点をお尋ねしたいと思います。
○山本(鎮)政府委員 お答えいたします。
 各国、それぞれの大使館には、あるいは領事館には、そういうふうな情報を収集するという職員がおるとは思いますけれども、それが具体的にだれであるかということはなかなかわからない問題でございますが、一般的に言いますと、警察としてわかるのは、犯罪として、はっきりと、たとえば国の秘密をとってこいというような形で国家公務員に頼めば、それは、国家公務員法違反の教唆であるとか、そういうような犯罪の形で出てきて、われわれの捜査線上にあがったものは検挙する場合もございますし、あるいは、外務省を通じて向こうに注意を喚起するというようなこともあるわけでございまして、東京の中でも、日本の中でも、そういう形で警察の目に触れた、あるいは犯罪捜査という過程で捜査の対象となった、そういう情報の活動というものも確かにございます。そうでないと、一般論として、ただばく然と、どこの大使館ではどういうような情報関係活動をしておるかということはなかなかつかめないというのが実態でございます。
○折小野委員 こういうような不幸な事件が起こりますことは、私どもは望まないわけでございまして、そういうような事件が起こらないようにするためには、いろいろな情報というものをあらかじめ承知しておかなければならない、そして、それに対する対応策というものを考えておかなければならないということが一応言われると思いますが、公安調査庁からおいでいただいておると思いますが、公安調査庁等におきましては、そういうような情報収集あるいは対応策という面についての仕事はしておいでにならないのですか。
○川井政府委員 外国の情報機関の組織とか、あるいはその活動というような事項は、私どもの調査事項にはなっておりません。したがいまして、調査をしておりませんので、いまここで御説明申し上げるような材料を持ち合わせておらないわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
○折小野委員 どなたにお尋ねしていいかわかりませんが、そういうものは政府としては全然ノータッチなんでしょうか。あるいは、どこかほかのところでそういう面の仕事をしておられるところがあるのでしょうか。
○山本(鎮)政府委員 結局、そういう情報部員が、合法的といいますか、わが国の法令に違反しない限り、わが国の情報を集めていくということはチェックできないという現実があります。したがって、さっき申し上げましたような国家公務員法違反、あるいは機密保護法違反、あるいは電波法違反というような形での法律違反という態様、そういう疑いがあるということになって捜査するということになると、やはり警察だと思います。したがって、そういう形で、これまで、外国の情報機関員の検挙をしたり、あるいはこれを解明するというような事実がわれわれとしてはあるわけでございますので、しいてそういうものの対策と言えば、やはり、警察がこれに対処しなければならない、このように考えております。
○折小野委員 時間参りましたので、これでやめますが、いずれにいたしましても、問題はまだ解明をされていないということでございます。しかも、事は、政治問題等にも波及するのじゃなかろうかという懸念が持たれておる、きわめて微妙な問題でございます。しかしながら、これはやはり一つの犯罪が現実に起こったわけでございますから、その犯罪そのものを解明するというのがまずなされなければならない、しかも、それは客観的になされなければならないというふうに私どもは考えます。そういう意味におきまして、警察の今後の一そうの御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
○上村委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時五十一分散会