第071回国会 法務委員会 第28号
昭和四十八年六月一日(金曜日)
    午前十時四十九分開議
 出席委員
   委員長 中垣 國男君
   理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君
   理事 谷川 和穗君 理事 福永 健司君
   理事 古屋  亨君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君
      井出一太郎君    植木庚子郎君
      住  栄作君    千葉 三郎君
      中村 弘海君    中山 利生君
      浜田 幸一君    早川  崇君
      松澤 雄藏君    三池  信君
      佐藤 観樹君    田中 武夫君
      沖本 泰幸君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 田中伊三次君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局経済部長三代川敏三郎君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 熊田淳一郎君
        法務大臣官房長 香川 保一君
        法務省民事局長 川島 一郎君
        中小企業庁次長 森口 八郎君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
 委員外の出席者
        法務省民事局参
        事官      田邊  明君
        大蔵省主税局総
        務課長     山内  宏君
        大蔵省証券局企
        業財務課長   白鳥 正人君
        労働省労政局労
        政課長     森山 真弓君
        法務委員会調査
        室長      松本 卓矣君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十一日
 辞任         補欠選任
  住  栄作君     篠田 弘作君
同日
 辞任         補欠選任
  篠田 弘作君     住  栄作君
六月一日
 辞任         補欠選任
  河本 敏夫君     中山 利生君
  水田三喜男君     浜田 幸一君
  保岡 興治君     中村 弘海君
  赤松  勇君     田中 武夫君
  楯 兼次郎君     佐藤 観樹君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 弘海君     保岡 興治君
  中山 利生君     河本 敏夫君
  浜田 幸一君     水田三喜男君
  佐藤 観樹君     楯 兼次郎君
  田中 武夫君     赤松  勇君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 商法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇
 二号)
 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する
 法律案(内閣提出第一〇三号)
 商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係
 法律の整理等に関する法律案(内閣提出第一〇
 四号)
     ――――◇―――――
○中垣委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、商法の一部を改正する法律案、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律案及び商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律案、以上三法律案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中武夫君。
○田中(武)委員 前回に引き続いて、商法の一部改正外二件について質問を続けます。
 前回、私は企業の社会的責任について、商法上この際考えなければならない点について若干の提案を含めて申し上げたわけなんですが、大臣も御承知のように、去る三月十六日、経済同友会が「社会と企業の相互信頼の確立を求めて」という題で提言をいたしております。また最近、経団連の総会で植村会長といいますか、企業の社会的責任の自覚についてという声明を出しております。
 このように、いまや企業の社会的責任についての自覚ないし反省が、現に財界なり企業の指導者の中に起こっておるわけなんです。このような状態の中で商法が企業の社会的責任について明確な規定を置かないということ自体はおかしいし、さらにこれから、あるいは現に企業の活動に対して現在の商法は間に合わない。こういうことに私思うのですが、その点については大臣いかがですか。
 法制審議会の商法部会に諮問しておりますというので、聞いてみましたら、何のことない、商法において検討すべき点は何かくらいの程度の、二行か三行のあれしかしておりませんね。具体的にこの点についてはどうなのかということについてはどうなのです。いかがです。
○田中(伊)国務大臣 商事行為を行なう、いわゆる一口に申します営利企業、そういう営利企業といえどもすべからく社会性を持つべきである、社会性を反省しない企業などというものは有害のものではないかという御意見は、私もそのとおり賛成でございます。問題は、その重要な事柄ではありますが、これを商法の規定の中に設けることが適当であるかどうか、この問題はなかなかむずかしい問題。およそ国家組織のもとにおける私企業というものは、いま先生仰せのごとくに、会社に限らずどのような企業もみな社会性を持ってもらわなければ困る。その企業に関する一切の規定の中にこれを設けていくということを徹底すること、一つの方法でございましょうが、今日のように国民の反省が進んでまいりました現状においては、あながち商法それ自体の中に明文をもってこれを設けなくとも、企業の社会性というものは自明の理としてこれを守ってくれる、こういう考え方に徹底をしていくことができるならば、必ずしも商法の規定の中にこれを置かねばならぬという筋のものでもないのではなかろうかというように考えるのでございますが、しかし、これは一がいに私の言うように、商法の規定の中には社会性に関する規定は要らぬのだということも言いにくい。これはひとつ検討事項として慎重に時間をかけて、一切の企業に社会性を持たすべきものだというこの観点に立ちまして、検討してみたいと考えます。
○田中(武)委員 商法自体が明治何年、その後大改正はあったとしても、かたかなの文語体ですし、大臣自体の答弁を聞いておっても、結局は市民法の範囲を出ない。しかし、もはや社会は市民法の社会じゃありませんよ。したがって、これからの法律、ことに基本的な法律等については、より市民法から社会法へと発展を考えなくてはならない。
 そこで、大臣も御承知と思いますが、三洋電機、松下電器などでは、総会に企業の果たした社会的貢献度を報告することをきめておる。商法にそういう規定がなくともこういうことですが、結局は経営者のモラルの問題である。
 しかしながら、あとで触れますけれども、最近の総会の状態がどうであったか、考えた場合に、やはり総会のあり方等々について、少なくとも総会においてはこれだけのことは報告せよ――なるほどあります。が、その中で、たとえばいま言いましたように、これはある程度規模以上の株式会社でもいいと思うのですが、社会的にその企業がどの程度の貢献をしたかということを株主総会で報告さすような規定は必要だと思うのですが、大臣どうですか。
○田中(伊)国務大臣 ごもっともな御意見と思います。企業の社会性というものを、企業家自身もそれから国民自身も、したがって株主も、これを徹底して考えるようになってくれます場合には、企業の社会性に力を入れない企業は繁栄しない、こういう結論に導かれるものと思います。そういうことでありますので、企業の社会性というものをめぐりまして、いずれも企業の経営者は社会性を強く強調し、世の中に奉仕をするんだという観念を徹底していくような方向に漸次これが進められていくことはまことに理想である、こう考えるわけであります。
○田中(武)委員 このことだけでも、議論を発展さすならば幾らでもあります。だが、この辺のところはひとつ田中大臣の反省というか検討ということで、次へ参りますけれども、前回私が質問してからいろいろな事情で委員会が開かれなかった。その間に、社会的に現在大きな問題を起こしておる幾つかの企業、たとえば公害のチッソ、あるいは買い占め投機その他で問題になった商社、中には刑事的責任を追及せられている企業、あるいはやみの交際費ないし賞与を渡して脱税問題でこれまた追及を受けている製鉄会社、一々名前をあげませんが、御承知のとおりです。
 それらの企業の総会のあり方がどうであったか。ここ二、三日の新聞記事で、そのような会社の総会の様相といいますか、状態を報じた新聞の切り抜きをちょっと目についただけ持ってまいりました。この見出しだけを二、三読み上げてみます。「総会屋を買い占め 商社株主総会 自作の異議ナシ劇」これは読売のきのうの記事です。やはりきのうの朝日には、「批判の中、四大商社も株主総会「責任を痛感」「了解」モノを言う総会屋対策」三菱商事では「持上げ発言」三井物産では「異例の45分」丸紅においては「拍手の連続」ということであります。まだまだたくさんあります。「夢物語 総会屋追放」投書欄にも「墓穴掘る経営姿勢 総会屋を締め出せ」というような投書もあります。たくさんあります。中には「密室の儀式 株主総会」ということで、連続もので書いておる新聞もあります。
 このような状態の中にあって、はたしていまあなたが考えておられるような企業のあり方が期待できるかどうか。しかも短距離競技ではありませんよ。うちの株主総会は何分で終わったといって、株主総会を時間を短く切り上げることに成功するほど、ということは、結局総会屋等に手を回して、総会屋は金をもらって議事進行と異議なしと言うだけです。そして早く、チッソのごときは七分だという。これで株主の意思を反映した総会だと言えますか。
 いま大企業と総会屋の癒着の問題がいろいろと問題になり、刑事事件になっておる。きょうは時間の関係等で警察を呼んでいないけれども、そういう問題に入っていっても、商法改正に関係はないとは言わせませんよ。これでも一時間二時間かせごうと思ったらかせげるのですから。かせげるということばは適当でないから、必要なんです、そういうことにしておきましょう。
 そういうことで一体現在の、いま提案しておられるような改正案、それよりかこういうことのほうが大事じゃないですか。どうなんです。少なくとも総会のあり方、総会にはこれこれのことは報告しなさい。またあとにも出してまいりますが、これくらいのことをきめて改正しなさいよ。そうでなくて、ちょっとこの二、三日の間の総会の新聞の記事でも、私がお目にかかったのを二、三切り抜いただけでこれだけあるのですよ。しかもそれは総会屋を使って少数株主の発言を封じ、異議なし、議事進行、そういうことで終わらすための茶番劇に終わった。そこに企業の社会的責任についての反省、ことに経営者のそういうことについてのモラルが、一片の自覚なり反省も出ていないじゃないですか。その点、いま言ったような、会社は営利を追求する器である、そういうことを言ってうそぶいておって、大もの大臣、商法改正を出しておりながらそれで済むと思いますか。どうなんです。
○川島政府委員 御指摘のように、株主総会の現状というのは非常に満足すべきものでないと言えると思います。正常な株主総会というものは、十分に会社の経営についてそこで審議を尽くして、その上で最終的な決定、判断をすべきものである。ところが、わずか五分、十分というような短い時間で総会を終了させてしまう。ことにそのやり方として総会屋を使うという現状はまことに嘆かわしいことでございまして、こういった現状に対する批判というものが起こってくるのは当然であろうと思います。
 最近警察あたりでもこういった状態の改善につきましてはいろいろ努力しておられるようでございますし、また企業におきましても、冒頭先生がお述べになりましたような、社会に対する責任を自覚していかなければならないという立場から努力はしているようでございますが、何と申しましても非常に長い間にわたる慣習がございまして、これを一挙に改善するということがなかなかできないというのが現状であろうかと思います。
 それにいたしましても、最近はジャーナリズムでもいろいろ取り上げておりますし、いろいろな問題が起こっておりますので、以前に比べますと幾らか期間も長くなり、多少社長が会社の立場を説明するといった場面もあったように見受けられるわけでございますが、もちろん現状まだまだ改善すべき点が非常に多いわけでございまして、こういった点は今後企業としても十分自覚して改善を進めていくということになろうと思います。
 商法の面から申しますと、いろいろ問題があるわけでございますけれども、この点は引き続き法制審議会等において検討することにいたしております。しかし根本は何といっても企業の態度、心がまえといったものにかかっていると思いますので、こういった点は最近の風潮等から考えまして逐次改善されていく、このように考えておる次第でございます。
○田中(武)委員 大臣、意見ないですか。
○田中(伊)国務大臣 先生仰せのように、企業の社会性をどうして実現するかという問題でございます。これを、私の所見を申し上げますと、何といっても私企業でございます。私企業の運営について社会性を持たすように反省をこれつとめる経営を行なわしめるということは、自主的にやらすということ以外にない。こういう考え方に立ちますと、自主的に企業の社会性を尊重するような企業、会社の運営というものを行なわしめるための一つの具体的方法としまして、監査制度の大改革、その内容は取締役会に出席をする権利を持たす、意見を述べさす、そして企業の社会性等にかんがみて当を得ないと考える行為につきましては差しとめを要求する。差しとめがかかれば裁判所に手続を踏んで仮処分の道も講ずるのだというような監査役の、一口に申しますと権限の思い切った強化、そういう権限の強化をなさしめまして、監査役に取締役会に出席させてこれらの努力をなさしめ、権限の行使をなさしめて、自主的に企業のあり方を社会性を持たした理想の姿に持ち込んでいく、金さえもうければ何やってもいいんだぞという考え方はいやしくも払拭せしめなければならぬ、こういうことで、このたびの改正案の重要な要点の一つでございますが、監査役の権限強化ということをうたい込んでおるわけでございます。お許しを得てこの改正が実現をいたしますならば、必ずやいま私の言っておりますことに効果のある運営ができるものだ、こういうふうに考えておるのであります。
 もっと進んだことを申しますと、みな出席して意見を述べるということだけでなしに、西ドイツに例がありますように、取締役自体の任免権を監査役に持たすんだというようなことも思い切ってやるということは、第二段に考えていくべきことではなかろうか。あまり急激にやってびっくりぎょうてんをしても企業はどうかと思うので、それも議題にのぼっておりましたが、私になりまして、それは省け、それはあまりに一挙に前進をし過ぎるではないかということで、そういう任免権という問題も幾らか意見があったのでありますけれども、このたびはこれを採用しなかった、こういう事情でございます。
 お願いをいたしております改正をひとつ御採用をいただきまして、これで世の中の利益に合うように会社の運営ができるように持っていく、そういう指導と努力をしていきたいと思います。
○田中(武)委員 監査制度の改正について強調しておられますが、それはおいおい各論のところで触れます。
 だがその前に、先ほども言ったように、まだ残念ながら大臣の頭は市民法の域から脱していない。しかし世の中はいまや市民法では律し切れない状態になっておる。商法がこれまたそういうことです。新しい特別法等々では、もう御承知のように、市民法から一歩、二歩、社会法というか、そういう方面へ発展しつつあるわけなんです。そのときに法務大臣が市民法のワクの中で、概念的な法律の頭では困る。同時に、法務省というところは、この前も申しましたが、いわゆる体制維持を一番に考えるところだから保守的であって当然だと思うのですが、あまりにも保守的である。
 少なくとも、少数なりといえども、株主はやはり会社の所有者の一人なんです。その株主が一言の発言もできないような、さっさと仕組まれた一つの茶番劇の中で終わる。チッソのごときは、あれだけの社会的問題を起こしたのがわずか七分です。
 今日ほど企業のあり方について社会的問題が起きているときはありません。そのときにあたっての会社法の改正です。したがって、少なくとも私がいま、あるいはこのあとからも申し上げますようなことを同時に改正しなくては、いかにこの法律を無修正で、あるいは若干修正して通したといえども、もうすでに現在には合わない問題です。その点についてはどうですか。
 問題は、監査制度とこう言うが、監督役にどんな人がおるかということも問題です。私は、監査制度改正以前に、やはり執行機関たる取締役ないし取締役会の構成員に、より企業の社会性あるいは公共性等々について自覚させて、人を得なければならないと思うのです。あなたが、あるいは局長がおっしゃったようなことでだんだん改善せられつつあるというなら、大新聞がこれだけのスペースをとっての記事を書きませんよ。しかも、この一つは、「総会屋をかばう企業 一線捜査官も歯ぎしり」という見出しを出している。警察を呼んでないですが、そういう状態ですよ。一面において総会屋が問題になっておるが、一面においては企業自体が総会屋を利用しておる。そうして先ほども言ったように、早く総会が終わるように持っていった総務部長なりが腕ききだといったような現状なんですよ。
 そういうことを言うと、法制審議会の商法部会に総会のあり方その他についてどのような諮問をいつ行なったか、言うてくださいよ。やっていないでしょうが。もしやっておるのなら、いつどのような観点に立って、法制審議会商法部会に、総会のあり方等について、こういう点についてはどうかという諮問をせられたか言うてください。
○川島政府委員 商法部会に対する諮問はきわめて一般的なものでございまして、商法に改正を加える必要があるとすればその要項を示されたいというだけでございます。商法部会においては、現在特に必要だと認められる事項から優先的に問題を審議していくという方針をとっておるわけでございます。したがいまして、現在までのところは、監査制度の改正ということが中心に置かれておりましたので、総会についての問題というのは具体的な議論としてはまだ出てきておりません。それはしかし、監査制度、つまり監査の機構を改正するということになれば、執行機関も問題であろうし、また株主総会自身も問題がある。いずれこれは第二段の改正として取り組まなければならない問題である。こういうことは審議の過程でも十分意識され、またそのつもりで従来の審議がされてきたということでございます。
○田中(武)委員 大臣、具体的に入る前に一つ。商法のいかなる点を改正する必要があるかといったような抽象的、ばく然たる諮問をしておることは存じております。だが、この前の質問とこれからの質問をあわせて、私は具体的な提案をします。
 総会のあり方について、こういう点を総会に報告する必要がありやなしやといったような具体的な諮問をする用意があるかないか。それがないとするなら、私は質問をやめますよ。いかがです。
○田中(伊)国務大臣 田中さん、私はあなたのおっしゃることは非常によくわかる。よくわかるのだが、商法改正という大事業というものを手にとって実際具体的にやっていく立場からいいますと、何もかもそう一挙にやれないのです。一番大事なものは先生どういうものかというと、やはり監査制度です。政府の考える監査制度というものが一番基本的なものである。それから第二は、先ほど仰せになっております取締役会の制度、ここを中心として運営が行なわれております。そこへ監査役が今度加わるという筋になるわけでございますので、第二に改正を要する点は、取締役会、一口にいって会社の執行部、こういうものをめぐります改正を行なうことが第二。もう一つ大事な改正は、先ほどから論議をしていただいております株主総会の運営、こういうものについても大改正を加えなければならぬ。この三点がいずれも根本的大改正でございます。
 その根本的大改正のうちで最も基本的なものをまず先にやりまして、監査制度でありますが、この監査制度並びにこれをめぐります数個の項目について改正をお許しをいただいて、これを運営してやってみて、その上で今度は取締役会の改正を行ない、株式総会の運営を行なうように持っていきたい。何しろ会社制度というものがわが国では名前のついておりますだけでも百一万に及んでいる。その百一万の会社がとにかく生きて動いております。それにぴたり規則をぶつけていこうということでございますから、なかなかこれを急速、一挙に理想の考え方だけではやり切れぬ。まず監査制度のお許しをいただいて、その次には取締役会をやり、株式総会の制度を改めていく、こういうふうに考えておるので、この点をひとつ御理解をいただきたい。決して先生の仰せになることを否定してものを言うておるという考え方ではございません。
○田中(武)委員 監査制度を改めることによって大きな変化を期待するということのようですが、何のことはない、その本質は二十五年改正以前に戻るのでしょう。もちろんこまかい点は違うけれども。すなわち二十五年まで、戦時中は別としても、それじゃ株主のあり方が、あるいは総会のあり方が理想的なものであったかというのと同じことですよ。その監査制度が変わればということについては各論で触れます。今回の監査制度の改正のねらいがどこにあるのかという点まで掘り下げてまいります。
 そこで順次次に参りますけれども、会社の取締役会といいますか、これはいわば会社の内閣です。執行機関です。しかも今日、よくいわれておるように、サラリーマン重役が多いわけです。いわゆる従業員から重役になる、これは必要です、そうでなければ将来希望が持てませんから。しかし、ワンマンな独裁性の強い社長なり会長がでんとすわっておって、しかも、あとでも触れますけれども、現在の考え方からいくならば、監査役というのはいわゆる取締役より下な地位である。二流の人間を置く。そういうことで、幾ら変えても根本的な改革にはなりません。したがって、私がこの前にも提案したような事項を含め、やはり社会的にこれを監視する、こういう制度を持たない限り改革はできません。いわゆる支店長や工場長などで取締役がおります。これとてもうほとんどがいわゆるサラリーマン重役である。したがって、支店長や工場長といえども、自分の腕を発揮するということよりか、なるべくへまを出さないようにということで、保身ということを中心に考える。
 そこで一つの提案ですが、社外重役というのを考えたらどうですか。取締役会は、少なくとも三分の一なら三分の一は第三者、学識経験者等をもって構成せねばならぬというような、社外重役制度というものの検討についてはいかがですか。
○川島政府委員 昭和二十五年に商法を改正いたしまして、従来大陸法特にドイツ法に近い制度であったのが、アメリカの制度に近い形がとられたわけでございます。
 アメリカの制度におきましては、おっしゃいますような社外重役というものが盛んに利用されておりまして、わが国の商法の運営といたしましても、そういう社外重役というものを入れてくる運営がなされることが期待されたわけでございます。現在の商法でももちろんできるわけでありますが、しかし実際の運営としては、旧来からのいわゆるサラリーマン重役という形で運営されてきた。そこに一つの問題があることは事実でございます。
 そういった点につきましては、はたして法律をもってこれを強制しなければならないものかどうかという点になりますと、これは立法的にもいろいろな問題が出てまいります。また、現状を踏まえてこれからの企業のあるべき姿というものをはっきりと認識した上でありませんと、なかなかそこまでの改正ができないというような問題もございまして、今後の検討課題としては十分取り上げなければならないと思いますけれども、いままでもそういう議論は若干商法部会でいたしておった実情もございますけれども、しかし、これは先ほど来申し上げておりますように、監査制度に続く取締役あるいは株主総会、そういった機関との関係において是正していくべき問題であろうということで、今度の改正にはその点が触れていないということでございます。
 それから法制審議会の商法部会における審議についてでございますが、今回の改正が終わりました場合に、今後どういう点を改正していくかということは、そのつど商法部会において相談してきめておるわけでございます。先ほど来申しております取締役あるいは株主総会の改正が必要であるということは、委員長はじめ委員の胸に十分あることでございますけれども、さらに国会におけるいろいろな御意見というものは、私どもから商法部会に御報告いたしまして、今後の審議の問題をきめる場合に十分考慮していただきたい、このように考えております。
○田中(武)委員 もちろん禁止規定がないから入れようと思えば入れられる。そんなことは言わなくてもわかっている。しかし、はたしてそのような運営をしておる会社が幾らあるか。私は、サラリーマン重役悪いとは思わない。むしろけっこうなんです。しかし、そのサラリーマン重役がもっと遠慮なしに発言できるような株主総会ないし取締役会が構成できるように考える。それを法律によって舞台を設置してやる。これを言っておるのです。
 これでもいろいろありますが、次へ参ります。
 そのほかに若干の問題を提起すると、たとえば――もちろん例外があります。法律できめておるわけじゃない。一株五十円という額面高、これはだから株主も大株主になると天文学的保有ということになる。これはいい意味、悪い意味にも使われます。だからこれは一がいには論じられないけれども、この点についてはどういうように考えるのかということは検討の必要があると思うのです。たとえば千株券を持っていてこれを一株の券にかえてくれといえば千枚出さなければならない。現在印刷代だけでも三十何円かかるそうですね。だからといって私は一株株主を否定するものではない。住民運動としてこれがあるいは企業の社会的責任追及の場になることもけっこうだ。ところが、片方では総会屋を雇いあるいは暴力団を雇って締め出すという。しかもこの五十円の株式で、額面高で、将来絶対ないとはいえないと思うのですが、これはデノミでも実施した場合この株券額の五十円ということはどういうことになるかというようなことを考えると、監査制度あるいは粉飾決算についてこうこうこうという今回の改正、私は必ずしも全面的に否定はしておりません。だがしかし、それよりか急な問題があるじゃないか、こういうことを言っておるのです。しかも商法改正はいま審議に入ったばかりです。おそくはありません。そういうような問題を含めて再提案すべきではないか、これが私の考え方なんです。しかしそう言ったって、ここへ来てそれで引っ込めて、あなたのおっしゃるような点を含めた改正案に変えて再提案しますとは言わないだろうから、そんなことについて私は言いません。しかし、もしそういう点を考えなければこんなものをやったってだめなんだ。私は本来の法務委員じゃないからそこまでは言いませんが、その点が書いてなければ何ぼやってみたっていまの企業のあり方について改革にならない、出直せ、こう言ったらどうします。
○川島政府委員 御指摘のように商法、特に株式会社に関しましてはいろいろな問題がございます。ただいまおあげになりました一株の金額の問題、これは現在では五百円となっておりますが、なおそれ以前からの五十円の株式というものはあるわけでございます。これが現在の実情から見てはなはだしく妥当を欠くではないかと仰せられれば、まことにそのとおりだと思います。この点につきましても経済界から何とか考えてほしいという要望は出ておるわけでございます。したがって、商法部会においてもそういった問題について話し合いをしたことはございます。ただ、いろいろ技術的その他の問題がございまして、今回の改正にはそれが載っていないというととでございまして、そういった非常に考えなければならない問題がいろいろございますので、こういった点につきましても今後検討を続けていくということになろうと思います。
○田中(武)委員 次に定款の記載事項です。
 これについても現在でいいのかどうか。たいていこれこれの記載事項は、定款の最後にはその他業務を達成するための一切の行為とか、何とかかんとかということで何でも行なえる。だから大企業が材料から第一次、第二次、第三次までの製品に手を出す。したがって船舶からラーメンまでという企業もあります。それではたして企業のモラルとしていいのかどうか。ことに最初論議に出しました法人についてはいかなる説の上に立つか、ことに擬制説ならなおさらのこと、実在説をとってもそうです。何でもかんでもできるというものじゃありませんよ。だから定款に定めるところにおいての行為能力を持つわけなんです。だからその定款に必要記載事項をもう一ぺん検討し直す、そういう点についていかがなものか。
 それから中小企業庁見えておると思うのですが、これに関連してあとにも触れますけれども、そういうことでどんどんと中小企業の分野へ入り込んできておる。中小企業の事業分野確保の点からいって問題があると思うのです。これについて中小企業庁で何らか意見があれば伺いたい。これはあとで具体的な問題のところでもう一ぺん、いわゆる親企業と子企業というか子会社に対する監査制度の強化というかその点で触れますけれども、そういう中小企業との事業分野の関係でもいろいろと現在及び過去において問題を起こしておる定款の定め方、あるいは定款の記載事項等について再検討の必要があると思うのです。ことに一番最初私が議論いたしました法人はいかなる範囲において行為能力を持つのか、法令及び定款あるいは社団においては寄付行為その他において定められた範囲内に限られるものである。ことに擬制説ならなおさらのことです。定款のあり方というものを再検討する必要があると思う。しかも現在書いているように、その他一切の行為なんという書き方はだめですよ。だから大企業がラーメンこしらえたり、あるいは繊維が調子が悪いといえば繊維企業がボウリング場を経営したりやっておるのですね。それがはたしてノーマルな企業のあり方だと思いますか、いかがですか。
○川島政府委員 会社の目的につきましてはいろいろ問題があるわけでございます。仰せのとおり定款に記載事項になっておりますけれども、これがいかなる意味を持つものであるか、たとえば権利能力の範囲を示すものであるか、あるいは行為能力の範囲を示すものであるかといった点にまで及びまして、判例あるいは学説の上でいろいろな議論のある問題でございます。実際の例といたしましては、日本の会社の場合には比較的代表的なものをあげまして、あとその他事業目的遂行に必要な事業といったような形で書いておるのが普通かと思います。これに対しまして、たとえばアメリカあたりの会社の目的を見ますと、原稿用紙にいたしまして数十枚にわたるような多数の項目が列挙してございます。そのいずれがいいのかということになるとなかなか問題があろうと思います。一つには会社がどういう範囲の事業を行なうのかということを示すメルクマールであるという意味におきまして会社は厳格にこれを守らなければならないと思います。しかしながら会社と取引をする第三者の立場から申しますと、一々会社の定款を見、あるいは登記簿を見て取引をするわけではございませんので、目的外の行為をしたことが会社の権利能力の外であるということになりますと、第三者に迷惑がかかる、こういう点もございます。そういうことで、判例などは目的遂行に必要な限度では会社に行為能力がある、権利能力もあるというふうに認めておると思いますが、これは現実の取引を円滑に行わせるという趣旨からやむを得ない解釈であろうかと思うわけでございます。ただ、仰せのように、目的に全然掲げられていない、あるいは目的から演繹できないような事業を非常に大規模に行なう、それによって収益を上げるというような行為は非常に商法としても予想していないことでございますし、こういったものについては厳格な取り締まりが必要であろう、今回の改正におきましても、たとえば取締役が会社の目的に反するような行為をした場合には、差しとめ請求ができるといったような規定もあるわけでございますけれども、そういう意味で、会社としては目的の範囲を十分頭に入れて、そしてそれに忠実な行動をとらなければならないということになろうと思います。具体的に法律の上でそれをどういうふうに規制するかということになりますと、規制するのがいいのかどうかという問題を含めまして非常にむずかしいことになろうと思うわけでございまして、こういった問題につきましては、十分判例の動向を見、あるいは学者の意見も伺ってみた上でありませんと、はたして現在のままでいいのか、改正する必要があるのかという点については、私自信をもってお答えするわけにはまいらないのでございます。御指摘を受けましたので、十分研究さしていただきたい、このように考えております。
○田中(武)委員 中小企業庁みえていますね。――先ほどもちょっと言いましたが、そういうことで、大企業はどんどん中小企業の分野を侵しておる。中小企業基本法の三条の「国の施策」の七、中小企業の事業活動の適正な確保といったような意味の号がありますね。そういう点から見て、大企業のそういう活動をどのようにあなた方は考えるか、同時に法務省、最初私が法人の不法行為能力、行為能力等々に触れて論議をいたしました。それは前にも言ったが、私の質問は一貫しておるのですよ。議事録をまとめたら一つの論文になるような質問をしておると思うのだ。間違っておったら間違っていると言ってください。したがってそのときの論議の上に立って答弁も考えてください。法令及び定款以外のことはやれないんだというのが行為能力ですよ。そうじゃないですか。そういうことに対して、あまりにも今日でたらめですよ。いかがですか。まず、中小企業庁、それから意見があれば法務省伺います。
○森口政府委員 御指摘のとおり、中小企業基本法の三条の七号で、中小企業者の事業活動の機会というようなことをうたっておりますし、基本法の第十九条にも同趣旨の中小企業者の「事業活動の機会の適正な確保」という規定がございます。ここにございます規定は、中小企業者以外の者の事業活動によって中小企業者の利益の不当な侵害を防ぐということが書いてあるわけでございます。私どもは基本法に書いてございますように、大企業と中小企業に現在でも純然たる格差がございます。基本的には中小企業について税制上、金融上の措置を講じまして、生産性格差を埋めるというような方策を実行すべきだと存じますが、他面、大企業者が資本の力によって中小企業について不当な侵害をするという点につきましては、非常に配慮をいたしておるつもりでございます。現在でも団体法に調整活動についての諸規程がございます。それから百貨店法等はやはりその一連の法令かと思います。ただいずれにいたしましても、中小企業庁としては、やはり大企業が中小企業者に対して不当な利益の侵害をいたさないように機会あるごとに各行政官庁にその指導を要請いたしていく所存でございます。
○田中(武)委員 法務省、いまの答弁なり私の質問に対して、何か意見がありましたら……。
○川島政府委員 目的の範囲内で行動しなければならないということは当然であろうと思います。問題はその目的の範囲をどのように考えるかということになってくるわけでありまして、たとえば電気製品の製造販売というふうに書いてあります場合に、事業を行なうために金を借りる必要もありましょう。あるいは事務所をつくるために土地建物を買うという場合もございましょう。そういうことはみな入ってくるわけでございます。しかしながら電気製品の製造販売としか書いてない会社が土地を買い占めて分譲を行なう、これは明らかに目的の範囲外の行為です。ですからそういうことが会社の定款違反の行為であるということは言えると思います。ただ問題はその場合の効力が、その会社から土地を買った者が売買が無効であるためにその土地を取得できないということになるのかどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、取引安全の立場からいろいろ学説が分かれておるわけでございまして、必ずしもその売買が無効だという考えが一般には行なわれていないというふうに考えております。
○田中(武)委員 あなたはこっちの面だけを言うておるわけなんだ。目的外の行為をやって、それが次にたとえば土地を売った、買うた人に不測の損害を与えるから云々、こういうことを言って、一方のことを言っていない。だからそんなのはもとへ戻させていいのですよ。それが違法行為であるということはあなたも認めておるのでしょう。ではどうするのか。いまやっているのはほとんど違法行為ですよ、法人の行為能力からいうならば。それが問題になっているのですよ。社会的問題になっているのですよ。だから取締役会のあり方あるいは総会のあり方等をもっと法律でぴしっとやるべきじゃないか、こう提案しておるわけです。さらに、外部から公正な人を入れたらどうか。私は現在もうそんな古い頭を持っている人はいないとは思うけれども、資本が経営を自由にする時代ではない。資本と経営は分離すべきであるといったような議論もある。またそうすべき時代に入ってきておる。もうとうから入ってきていますよ。その上に立って考え直す必要があるわけです。違法だと認めて、だが善意の第三者に対して不測の損害を与えるからということだけで説明がつくものではございません。そんなことは、どんどんそれでもうけた企業から賠償させればいいのです。要は、取締役ないし執行機関であるもののモラルの問題としてどうする、同時にそうせねばならないように法律が舞台をつくってやるということです。大臣、いかがですか。
○田中(伊)国務大臣 外部の役員も入れて、しっかり行き過ぎのないように目的内の仕事をさせる、これも一つの方法ですね。そういう方法を監査役の――田中さんいいですか、御言及になっているそういう御心配を、監査役の権限強化ということで――あなたは監査役のことはあとだとおっしゃるけれども、こっちはこれが大事だ。監査役の権限強化ということで適正な業務を行なわしめるようにやっていこうというのです。これは非常に大事なことなんですね。いま事務が答えましたように、法律上目的外のことをやったときにはその行為は無効だ、かりに買い受けは無効だ、売り渡し無効だというふうな処置になるなら、話は簡単なんです。そうじゃない。目的外の行為をやっても有効だということになることが通説でございます、この行為自体は。そうすると、先生おっしゃるように、やはり内面でセーブするように、目的外の行為に手をつけないように内面でこれを自主的にやらすということが非常に大事なことになるわけでございます。外部から重役を入れて、それにしっかりやらすということも一つの方法だが、内部の監査役の地位をぐっと引き上げて、そして権限を広げて、具体的な権限を持たして、取締役会に出席して、目的外の行為はおかしいじゃないか、それはやるべきでないという差しとめの要求ができるように持ち込んでいって、私企業の行為を自主的に規制をしてルールに乗せようということがこの監査役制度強化のねらいでございますから、ここを御理解いただいて、ひとつお許しをいただきたい。
○田中(武)委員 大臣は改正案を出しておる。だから、そこの点に重点を置いて御答弁になるのは、それはそうだろうと思うのです。
 それでは少しはしょりまして、監査役制度の改正について論議いたしましょう。これは先ほども言ったように、もちろん全部が全部でないけれども、その考え方の基礎というものは二十五年改正にさかのぼるということですよ。二十五年の改正で監査役の権限を縮小して、単なる会計監査にとどめた。そしてそれが現行法律です。それを今度鬼の首でもとるようなことを言いながら監査制度の改正を出してきた。そのように変えてこなくちゃならぬのは、それはいままでの答弁で明らかだとおっしゃるが、私はそう何回も何回も監査制度について変えるという意義と必要性について、もう一度はっきりとしておきたいと思うのです。二十五年改正にさかのぼる、戻るということ。これは、こまかい点については違うとしても、思想的にはそうなんです。そうでしょう。それでは、なぜそのときにはそうしたのか。それはあのときは私は大臣でありません、こう言うかもわからぬ。が、なぜしたのか、そしてなぜ今度は元へ戻さねばならないのか。その辺のところの必要性はどうなんですか。
○田中(伊)国務大臣 旧時代――さかのぼった話になりますが、業務監査もやっておりました制度をどうしてやめたのかというと、一口に申しますと、会社の取締役会の運営というものが、監査役が業務監査までやっておるということでは、どうも自由な行動というものが確保できにくい。そこで、会計監査だけにとどめまして、業務監査の権限というものは取りはずしてやってみたのですね。やってみないとわからぬのです、人間社会のやり方というものは。やってみるというと、業務監査を無視して、会計監査の帳じりだけ、金の数だけを合わしておるなんという、そんな監査は意味ない。特に外資が導入されてくる。わが国にとっても、特に大会社においては、外国の目で見て日本の企業は内容的にどうかということになってくる。業務監査が大事だ。業務監査をしっかりやる。業務監査といえば、材料の購入から製造工程からでき上がりましたものの販売のルートに至るまで、業務監査でございます。その業務監査をしっかりやって、そうして会社の経理というもの、会社の運営のあり方というものについて信頼を持たすようにする。それは取締役会独善ではできぬのだ、独立した権限を持った監査役のオーケーがなければできぬのだという、この慎重なかまえをとることが、外資の自由化されております現段階においては必要であろう。対外信用を確保する上からも、日本の大会社はそれでなければいけないという反省が、はずしてやってみて、起こってまいりましたので、もとへ戻そう――おかしいことないでしょう。そういう考え方になっておるのです。ですから、経験に照らしてもとへ戻すべきものだ、こういうことでございます。
○田中(武)委員 あなたはそうおっしゃるけれども、ずばり言うならば、この改正は大企業のための改正である。断言します。二十五年改正のときはなるほど戦後だ。そこで、国民経済の復興とかなんとかという適当な名目をつけて、大企業が利潤追求のやりやすいように改正したのですよ。これはアメリカの例にならったという点もあったと思うのです。ところが、今日においてはインフレの進行等々もあって、もう大企業が高度な蓄積を必要としないというか、いままでは、しやすいようにしてやったが、もう、少しチェックしてもいい時期だ、こういうことですよ。そこでもとへ戻そうということなんです。私はそう見ます。そうとしか思えないのです。大企業が利潤追求しやすいように監査制度を改正して、監査役の制度というか、権限を縮小して、自由にやらした。いまや高度成長の中において高度な蓄積をしてきた。それが思わぬ方向に社会的悪をもたらした。公害あるいは買い占め、投機。言うならばこの中において大企業はそれほど今度は高度な蓄積をしなくてもいいような状態になってきたから、そろそろともとへ戻そうじゃないか、そういうことだと私は思いますが、大臣、そうではないと言いますか。どうですか。
○田中(伊)国務大臣 そうではありません。それで、あなたはそうおっしゃるが、今度私のほうで提案をしております改正案というものは、そんなことじゃないでしょう。監査役の権限を強化して社会性に反するようなことをやらさぬのだという態度、これは大会社は困るでしょう。小会社をいうのじゃない。これは大会社だけです。業務監査というものは一億以上だけですからね。ことに、その上五億以上のものについては計算書類はかってにつくれない。公認会計士、これの監査を経なければならぬ。計算書類は印刷に付して株主総会前にこれを配付しなければならぬ。非常な制限でしょう。大会社の利益のために改正しておるなんということをおっしゃられると心外千万です。そんなことは逆なことで、大会社は弱っておるわけなんで、えらい改正をやるなということなんですよ。ですから、これは非常なお考え違いで、邪推じゃないかと私は思うのです、そういうことをおっしゃるなら。大会社をセーブする、大会社にセーブを加える、その活動を押えるこれは改正なんですよ、今度の改正は。それは決して、そんなふうなお考えをいただきましては真意と違うのです、これは。強力なる大会社の行動というものを押えていく。それはまあ、先生仰せのように、おかしいことが起こらぬものとは限らないわけです。監査役の選び方ですね、監査役というものにどういう人材を選ぶか、どういう会社に対してにらみのきく、どういう権限のある、どういう会社の事業に対して体験を持っておる大もの監査役を選ぶかという問題はあるが、理想の大もの監査役というものを選ぶことができた場合には――選ぶには力が要りましょうが、選ぶことができたときには会社は社会性を持っていくことができる、行き過ぎたことはできない、こういうことで取締役会の足らざるところ、そうして株主総会の足らざるところをこの根本的制度によって一応はある程度補える。この改正のお許しをいただけば、次に取締役会制度について検討を加え、株主総会制度について検討を加えていくという順序を踏みたい、こう言っておるのでありますから、これはどうぞ法務省の申し上げておりますことはありのままに御判断をいただいて御批判をいただきたいと思うのです。
○田中(武)委員 あなたはそうおっしゃるけれども、何なら論争やりましょう。
 私が言っている株主総会のあり方あるいは定款の記載事項、先ほど来申しましたそれを同時に出してきたら言いなさい。そうではなくて、これだけを強化してきたって、私らの結論が邪推だとは言わせません。片手落ちですよ。あなたがそれだけの大みえを切るなら、同時にそれが生かされるような株主総会が持てるような制度に改めなさい。あるいは取締役に人を得るような、外部取締役を入れるとかなんとかという、私が提案し続けてきたことを実行しなさい。そして、一緒に提案しなさい。そうしたら、あなたの大みえについてはある程度認めましょう。だが、一方これだけ出しまして大みえを切るなら片手落ちです。そんなことをおっしゃるなら、ほかの議員さん方はどうするかわかりませんが、私は返上しますよ、この改正は。いかがでしょう。一緒に出してきなさい。
○田中(伊)国務大臣 理論的にはね、田中さん、理論的には先生仰せのように一緒に出すということは筋になろうと思うのです。先ほどから何度も申し上げておりますように、何しろ企業というものは生きて事業をやっておる。動いておる。そのうちには若干休眠はあるけれども、大体は生きて動いておる。その生きて動いておるものにびっくりしてひっくり返るようなものを同時に何もかもぶつけて改正していくのは、企業の振興の上に大なる影響がある、こう考えますので、いま申しましたように、その三つの方向の重要事項のうちで、第一の監査役制度を中心として改正を先にやらしてください、そしてそれを実施した上で、様子を見て、次に、先生仰せのようなことは手をつけてやっていく、こういうことを申し上げておるのです。それを一ぺんにやらなかったら片手落ちじゃないかと言われると、それを実情に沿うようにということからいいますと、一ぺんに持っていくより、こういうふうに持っていくほうが筋はいいんじゃありませんか。いけませんか。
○田中(武)委員 それは順番が逆なんです。まず株主総会のあり方を改革していく、次に執行機関たる取締役会のあり方及びその構成を検討する、定款のあり方及びその必要記載事項について検討する、これのほうがより近代的というか、今日的な問題です。一ぺんに出してびっくりするということであるならば、ものごとの順序からいうならば、私はそのほうが先だ。あなたは監査制度とおっしゃるが、監査制度の改正もそれは一つのチェックになるでしょう。しかし、私があえて大企業のためだと言ったのは、三つ、四つの問題を提起した中であなたは一番最後のやつを前に持ってきた。これが大企業のためだと私は言っておるんです。ほんとうの企業のあり方等についてあるいは法人の能力等々を考えた場合には、順序はまず総会が民主的に持てるような舞台を法律で保証する。さらに執行機関たる取締役会のモラルが高まるような社会的責任についてもっと反省をするような、あるいは注意規定でもいいが、置くとか、この前の質問で申しましたけれども、そういうようなときには役員の改選までを第三者機関が行なうことができるようなそういうことのほうがより今日的問題である、こう言っておるんです。見解の相違といえばそれまでです。だから、よう聞いてくださいとおっしゃるが、よう聞いてくださいよ、あなた。私の言っている大企業のためだというのはそういうことなんです。いかがです。
○田中(伊)国務大臣 筋の立ったお話におことばを返すようでたいへん言いにくいんですが、しかし法案の提案者としては、やはりこう言いたいと思うことは、こっちの言い分は聞いてもらわなければならぬ。そういう意味において申し上げるというと、むずかしいことですけれども、監査役に人を得て、その監査役の権限を強化して、そうして取締役会に出て、いま言ったような差しとめ請求権まで持たすなりそういう権限を持たして取締役会の運営をいたしますということは、沈滞しておる取締役会、それから独善におちいらんとする取締役会の制度の欠陥を補うだけの効果があるということが一つですね。それからもう一つ、合理的な監査をいたしまして、業務監査までいたしまして、計算書類というものを印刷して公認会計士にかけまして、そうしてでき上がりましたものを、事後の承諾でなしに、事前にこれを配付して審議に供するなどということをいたしますことは、議論不足だといわれておる、いまも先生のおことばがありましたが、そういう議論不足になってくるような、強引に採決をしておるような株主総会のあり方というものに対しても、この欠点を是正する役割りをつとめるんじゃないか。こういう意味から、我田引水でなしに、私はこの三つの根本的改正をする必要のある方向のうちで、いまお願いをしております監査役制度という方向が三つの中の基本、根本になるものだ、こういうふうに私は思っておりますので、これを先にやらしてください。次に、先生の仰せになるようなことは頭に置いてしっかり検討をいたしますということを申し上げておるので、決してかってなことを言っておるわけじゃないんです。どうぞこの点をひとつ御理解をいただきましてやっていただきたい、こう考えます。
○田中(武)委員 語るに落ちるということばがあるが、提案者としては当然であります。それはそうだ。だから、あなた、提案者としてそれを強調せられることに対して私は文句を言いません。だからといって、野党のわれわれが提案者の言うことをそのまま、なるほどけっこうでございますと言う義務はありません。いいですか。少なくともいかなる時代においても株式会社の業務が適正に行なわれなくてはならないということは、これは大臣も否定しないと思うのです。もちろん時代的背景は違う。二十五年に改正しておいて、また戻す。これは時代的背景があるとしても、適正な株式会社の業務の運営という点においては変わりないことになる。そういう点をひとつ申し上げておきます。
 そこで本提案説明の中で、「株式会社の業務が適正に行われることを確保するために、監査役は、会計監査のほか、」云々、こういうふうにいわれておるわけなんですけれども、それでは現行法は業務が適正でないことを認められておるわけですね。それが一点。
 それから、この提案説明の中でいわれておる適正な業務とは、具体的にどのようなことを考えておられますか。
○田中(伊)国務大臣 この改正案をお許しいただけば、会社業務の運営はいままでよりはより適正になる、こういう趣旨の私の説明でございます。より適正になる。ではいままでは適正でないのかというと、より適正であるという点を基準にしていえば十分でない、こういうことでございますが……。
○田中(武)委員 では、適正とはどういうことをあなたは頭の中に置いておられるか。
○田中(伊)国務大臣 適正ということ、業務が適正に行なわれるということは、つまり取締役会の独善専行におちいる会社の運営でなくて、監査役の立場から、それも行き過ぎのない業務ということは、適正ということになりますね。そういう意味をまずうとうておるつもりでございます。
○田中(武)委員 内部監査機能を強化することが、執行機関たる取締役会ないしは取締役の独断専行をチェックする役目をするということは、私も否定はいたしません。しかし従来までの監査役のあり方といえば、もう一般常識的に取締役にはなれないような人、いわば二流の人をもって監査役にしておるし、会社においてもまあまあやめる前だからひとつ肩書きでもやるかというような人間を置いておるというのが普通であるということは御承知のとおりなんです。そういうことなら、いかに法律によって権限強化をしても私は何にもならぬと思います。
 そこでひとつこれも提案ですが、監査役にも外部から公正な人、何なら従業員を代表する者一人を入れるといったようなことを、ひとつ商法で考えたらどうですか。と同時に、またあまり監査役が権限を持ち過ぎると、これの乱用ということになり、企業内部の派閥とかあるいは混乱を起こす原因にもなると思うのです。そういう点をどのようにしていくかということについてはいろいろありますが、したがって私は監査役に公正妥当な人を入れるというような方向をとるべきではないか、少なくとも三分の一とかなんとか。それで一つの考え方としては、私は必ずしも労働組合の推薦するというような小さな意味ではなくても、少なくとも組合が推薦するような労働者の代表を一人くらい入れる道を考える、これはどうです、いかがですか。
○田中(伊)国務大臣 先生の仰せになるのは、私はたいへんごもっともだと思うのです。それで、それは監査役の中で適正な人があるならば、使用者、被用者いずれの経験を持っておる人もよいと思いますよ。よいと思いますが、一体私的な企業体である株式会社というものの監査役、その監査役をつくるということは、自主的にやらしたい。国会が法律を改正して表へ出せば、国会でおきめをいただいた法律に基づいて、これは大ものでなかったらつとまらぬということはばかでもわかりますね。これはよほど大ものだ、業務監査をするのだから、業務の監査にふさわしい人間でなければできぬということになりますから、これはよほどの大ものでなければならぬということはわかりますから。その資格要件までは商法できめかねる。行政指導の道は考えていいのですけれども、そこまではいかがなものであろうか。しかし先生仰せになるとおり、私は何人かの監査役を置きまして、そしてその中には労使いずれも将来は協調できるような立場の人材を持ってくるなどということは、たいへん気のきいた、群を抜いたいい考えだと思いますよ。けれどもそれを商法の中で資格要件を規定していくということは、私企業ですからどんなものであろうか、それを申し上げておる。その趣旨は賛成であります。
○田中(武)委員 やはりすれ違いがあるのですね。ということは、あなたは市民法的感覚に立っておる。私はそうじゃない。これは法務大臣と野党という上に立ってのあれかもわかりませんが、まあその程度にしておきましょう。私の言うことはわかるというのですからね。それを法にまで入れるかどうかということについて議論がある。市民法社会を頭に置きながら、ということは、十八世紀時代にできた商法というか法人の議論をそのまま持ってくる。個人的人格とかなんとかがまず先行した時代の市民法。ここで一言言わしてもらうなら、これは直接関係ないかもわからぬが、民法なんかでもこれはもう大改正せなければいかぬと思うのです。これはいわゆる持てる者が持たざる者からの攻撃を守るところのとりでに民法はなっておるのですよ。市民法的感覚と社会法的感覚。その証拠に所有権絶対主義は貫かれておる。そこにいろいろな面においてこれにも関係してくるわけです。権利の乱用の問題とかいろいろな問題が出てくるわけです。こういう問題についてあらためて行ないますが、民法とてそうです。商法もまたそうであろうと思います。持てる者が持たざる者からの攻撃に対する一つの防波堤の役目を法律が果たしておるという考え方は、十八世紀時代の市民法感覚である。それだけ申し上げておきます。
 内部監査の問題について、監査役が業務監査をする、取締役会も業務監査をやる、そうすると二重に行なうわけです。その場合、意見が違うたときにはいずれが優先するのか。しかもいままでのような観念で二流の人が監査役になるということであるなら、結論はもう明らかですね。その場合はどうするのですか、どのように理解すべきなんですか。
○田中(伊)国務大臣 それはそういうふうにはならぬで、それは監査役が監査する。監査役の監査することと同じことを取締役がやってもいいけれども、その取締役のやる立場は、会社の執行機関として業務を調査し、業務を見、業務を遂行しておるという立場で、それは内容的には一致することは多いですけれども、それはやはり一方は取締役の業務の執行、一方は、監査役の監査業務と、こういうことになるんじゃないでしょうか。
○田中(武)委員 取締役自体の職責からいうて、常に内部監査というか業務監査ということをチェックするのは、それは当然です。それに対して監査役がチェックをしている。意見が違った場合、これは法律のたてまえからいうならば、それは監査役の意見が優先するというんですが、人がいなければ何にも言わぬ。現在がそうなんです。そういう点についてどうなのかと、こう言うておるんです。
○川島政府委員 株式会社の業務執行につきましては、仰せのように取締役会も一種の監督権を持っております。この監督権というのは、業務全般に及びますし、また、必ずしも違法性だけに限局されないわけでありまして、業務の執行が妥当か妥当でないかといった点にも及ぶわけであります。これに対しまして監査役の監査というのは、法律で個々的に規定がございますけれども、原則として違法かどうかという点にしぼられるわけでございます。したがって、監査の範囲においてまず差があるわけでありまして、いかに有能な監査役といえども、妥当性の範囲までは自分の職責として入っていけない、こういう違いはあるわけでございます。
 それから、意見が違いました場合にどうなるかという点でございますが、会社の業務執行は取締役会できめるということになっておりますから、監査役が意見を述べましても、取締役がその意見を取り上げない。そして、取締役会で監査役と反する決定をするということは、もちろんあり得ることでございます。それは可能であります。しかしながら、あくまでも監査役が、それは不当であると言う場合には、違法行為の差しとめ請求権というものがございますから、これによって取締役の行為を差しとめる、こういう関係になっております。
○田中(武)委員 まあ次に行きましょう、十二時半過ぎくらいまでに終わってくれと理事の方から言ってきておりますから。しかし、私は終わりませんよ。ただ、次の質問者が来ておるので、適当なときにチェンジして私の質問はあとに残すだけです委員長、いいですね――改正法案の二百七十四条ノ三において、親会社の監査役が子会社に対し、その営業の報告を求め、あるいは場合によっては、会社の業務及び財産の状況を調査するといったような規定がありますね。いわゆる親企業の監査役が、子企業、子会社に対しての支配権というか監督権を持つ。一口に言えばそういうことになる。そのねらいはどこにあるか。これは親企業のためのものである。したがって、この改正は大企業のためのものであるということにもつながるわけです。そういうことをどう理解しておられますか。もう時間の関係等もあるから続けてやりますけれども、それは子会社側から見るならば、親会社からの不当の干渉となるでしょう。そういう点についてどのように考えておられるのかという点。
 それから、ついでですから、もう次々に参ります。先ほど中小企業庁にも伺いましたが、中小企業基本法では、その前文あるいは目的、第一条等で、中小企業の経営の安定、小規模企業従業者の生活水準の向上、中小企業の経済的社会的制約による不利益の是正等々がうたってある。そうして、先ほど触れましたが、第三条七号において、いわゆる国の施策として、中小企業の適正な事業活動の確保ということがうたってある。これらの関係を公企業から見た場合は、それはこれに逆行する。いま申しましたような中小企業基本法を中心とする一連の中小企業関係法で中小企業庁が中心となって進めてまいりました中小企業政策は、いわゆる中小企業の社会的地位の独立、近代化、高度化あるいは専門化、あるいは下請関係の、これも基本法にあります取引の適正化等々、うたってあります。この規定と、いままでの中小企業基本法を中心とし、関係法によって進めてきた中小企業政策とはまっ正面に衝突すると思うのですが、その点についてどのように理解をしておられるのか。また法務省及び中小企業庁は、こういう規定を商法に入れることについて中小企業庁に意見を求めたのか。求められたとするならば、そのときに中小企業庁ないし通産省はどう返事したのか、その辺のところがもしありましたならばお答えを願いたい。
○川島政府委員 まず子会社の調査権のことからお答え申し上げたいと思いますが……(田中(武)委員「法律に書いてあることは説明しなくてもぼくも知っておるのだから……。」と呼ぶ)これは、たとえば現在、大きな会社は建物を保有するために不動産部というようなものを持っておりましたけれども、それを分離いたしまして、子会社としてそれとの間の契約関係にしている、こういった例はいろいろあるわけでございます。そのほか取引の関係でもいろいろあるわけでございまして、子会社と親会社というものは非常に密接な一体的な関係を保っておるというのが実情であろうと思います。そこで、この子会社調査権というのは、親会社の業務を監査いたします場合に、そのある業務について、はたして子会社との関係で適正なものであるかどうかということを親会社の立場から見るわけでありまして、子会社が適正な行為をやっているかどうかということを調べるのではなくして、親会社が正しいことをやっているかどうかというのを調べるために、親会社だけでなく、子会社の業務についても調べたい、こういう場合に認められておるものでございまして、規定をお読みいただければ、その趣旨は十分に出ているというふうに思いますので、もしこれだけで御疑問がございますれば、さらにお尋ねをいただきたいと思います。
 それから中小企業との関係でございますが、これは中小企業庁のほうからお答えをいただけると思いますが、商法部会におきましては通産省のほうからも委員を出していただいておりまして、この商法改正案の作成にあたりましては御意見も伺っておるわけでございます。したがいまして、私ども法務省の立場といたしましては、御賛同をいただいているというふうに考えております。
○森口政府委員 おっしゃいますとおり、中小企業の自主独立、また中小企業者が自主独立でなければ経済の発展が期せられないというのが、私のほうの中小企業政策の基本であります。したがいまして、大企業が中小企業に不当な利益侵害をしないように、私のほうもかねがね監視しておるところでございますが、今回新しい商法の改正規定によって認められました監査役の子会社に対する調査権限、趣旨につきましては法務省御当局のほうから種々御説明があったところでございますが、私のほうといたしましても、法務省から御説明を伺いまして、むしろ大会社等が株式を半分以上持っておるというようなところの地位を不当に利用している、粉飾決算とか不当なことをむしろ子会社に強制する、それを監査役が監督をするという趣旨ならばむしろけっこうではないかというようなことで、私のほうとしてはこの規定について特段の異議はないわけでございます。ただ基本的に、先生先ほど累次おっしゃっておりますとおり、監査役に人を得るかどうかということが非常に大きな問題でございまして、考え方としては私のほうには何ら異存はないわけでございますが、監査役に人を得るかどうかという点については、やはりお説のとおり問題点は残っているのではないかというふうに感じるわけでございます。
○田中(武)委員 このことによって、より子会社が親会社に従属する、言いかえるならば、その独立性が薄れてきて系列強化ということになる、この点については質問を保留します。
 これは公取委員長に聞きますが、今日企業活動について国民の側からいろいろな批判が出ておる。その批判は大体二つある。一つは先ほど来私が申しました、企業の社会的責任についての面であります。もう一つは、大企業の、これは独禁法からいうならば合併とか云々ということになると思うのですが、いわゆる大企業がますます――いまのこの規定もそうですが、いわゆる独占化、寡占化を強める傾向にある。そうして管理価格形成の問題であります。またそのような大資本、大会社の地位を利用しての不公正な取引であります。ことに今度のこの改正によって、より一そうそれに拍車をかける、こういうことになる。そこで、独禁法からいうなら、それが合併なりカルテルであるならば、こうします、しかし、この改正で直ちに独禁法においてはというのがあなたの答えになろうと思うのです。しかし、少なくとも大企業がより市場支配を強化する、したがって寡占価格形成への道を開くということは否定できないと思います。したがって、独禁法の、まあ九条は別としても、十条以下において、いわゆる持ち株の制限あるいは報告を求める、あるいは役員の兼務等々について独禁法の十条あるいは十三条くらいまで、まあこれは金融機関についての特別の規定等もありますが、そういった報告義務だとかチェックの方法が講ぜられておる。
 そこで、公正取引委員長、私はあなたに聞くだけでこれだけ用意しておるのですが、約束の時間ですからあらためてまたやりますけれども、どうですか、この商法の改正で親会社の監査役が子会社を監査する、にらみをきかすということが市場支配をより有利にする、独禁政策の上からいえば望ましくない現象を起こすということになる。それはあなたの立場からいうなら具体的に事が起きた場合に云々ということになろうと思うのですが、広く独禁政策の面からどのようにお考えになりますか。
○高橋(俊)政府委員 大企業についてのいろいろな御心配、私も同感でございます。いろいろ寡占化等の傾向を通じて国民生活にもよくない影響を与える、それを規制することが私どもの使命でございます。
 そこで、ただ監査役の権限強化並びにそれが子会社に対するところまでの監査が行なわれるという点につきましてだけ申し上げますと、私は御心配とはちょっと違う。それはなぜかというと、子会社という制度を認めるかどうかということは別にございます。つまり、五〇%をこえる株式を保有する、こうなりますと、現在の株式会社の性格から申しますれば、過半数の株式を制している以上は、いわばその人事権でも何でも支配できるわけです。そういう点では五〇%に満たない会社の場合とは性格が違っておりますから、五〇%以上をこえる株式は認めないのだ、こういうふうになれば格別でございますが、いまはそうではございません。ただ、それが実際上は私どもの関連では、親事業者と下請事業者の関係になる場合がございますから、法律の面ではきびしく監査を続けております。いま子会社の経理まで、あるいは経理と申しますか、監査を行なうという意味は、先ほども中小企業庁のほうからも御説明あったようですが、これは明らかに、むしろ連結決算が要求されているような世の中ですが、親事業者が自分のところだけていさいをつくろうため、できれば子供であるほうの、自由自在になるほうにしわ寄せをする、そういうことによって、一つの擬装的な行為さえ行なわれ得るわけです。私はこういう例は現在あるだろうと思います。特に不況になったときにはよくそういうことが行なわれる。そういうことをなくする。ですから、自分自身の会社の中で監査役が取締役に対してよろしくない行為、違法な行為、たとえば粉飾決算は違法だと思いますが、そういうことをすることはいかぬということと同時に、それを子会社のほうにしわ寄せして逃げていること、これをも防止する、そういうふうに受け取っていただくならば、私としてはそう受け取りたいのですが、そう考えておりますので、これは決して悪い方向に解するのではなくて、監査役の使い方いかんによりますけれども、非常にいい方向にこれは働く性質のものであろうと思っておりますので、いろいろな諸悪の根源にはならない、むしろいい方向にいくのではないかと思います。
○田中(武)委員 実は公正取引関係というか、独禁法及びその補完法等についてもこれだけの用意をしておるわけです。下請代金支払遅延等防止法にまでさかのぼり、この規定に関連をして論議をしたいのです。しかし、もう交代の時間が来たので、これもあらためて行ないます。いいですね。これだけ残っています。
 そこで、外部監査というか、そのことについてまだ本格的な論議はきょうはいたしません。あとでいたします。ただ、せっかく労働省に来てもらっておるので、その点だけに触れます。
 今度の改正というよりか、今度は特例法、この第二条ですが、資本金五億円以上の会社の決算についてはいわゆる「会計監査人の監査を受けなければならない。」という規定がある。今度は四条ですが、四条ではそれは「公認会計士又は監査法人」でやる、こういうように規定してある。三条においてそれの選任の手続等も書いてある。これらについて詳細は後日に譲ります。
 そこで、ただ一言、労働省に尋ねたいことは、会計監査人に公認会計士を選んだ、そうすると、それに対する報酬を出す、たぶん報酬ということばを使うだろうと思います。ところが労基法の十一条では、「賃金とは、」ということで、その名目のいかんにかかわらず、労働の対価として支払われたものは賃金である、こういっているのです。賃金なのかどうなのか。第九条では、「この法律で労働者とは、職業の種類を問わず、」云々ということになって「賃金を支払われる者」となっています。同じような意味のことが労組法の三条でしたかにありますね。そういう関係について会社の使用者であるといえるのかいえないのか、その報酬は賃金であるのかないのか。基準法及び労組法の上に立ってひとつお答え願いたい。
 と同時に、その選任につきましても、労働組合法の五条七号ですか、それには、資格ある組合員の監査を受けなければならないということになっているわけですね。五条の七号にはそういった意味の規定がある。特に「組合員」となっているのですね。組合役員じゃないのです。したがって労働組合は大会で選んでおるわけなんです。ところが社会に及ぼす影響等々からいった場合に、それは会社のほうが、企業のほうが、特に五億円以上の大企業のほうが影響がより大きい。いろいろその監査役の意見を聞かなければいかぬとかあるいはそれを株主総会に報告しなければいかぬとか、何とかかんとかいう規定はあるが、要は選任権は取締役会にある。ところが地域住民、一般国民に与える影響は五億円以上の会社のほうがより重要だ。そう考えた場合に、労組法五条七号との関係において、一方においては大会で選ぶ、したがってこの場合も外部監査人は株主総会で選ぶというようにすべきではないか。それにはもちろん七分間で終わるような株主総会ではないということを私は前提にしておるわけです。そういうようなことについてひとつ労働省からの御意見、賃金なのかどうなのか、賃金であるとするならば、労働者である。そうならば、そういうのがはたして本来の公認会計士という上に立って任務ができるのかどうか等がある。それが雇用契約があるとかないとかいう問題、この場合はおそらく雇用契約じゃなくて委託契約とかなんとかになると思うのです。したがっていま申しました問題は、もう一度申しますが、労基法九条、十一条、労組法三条及び五条七号等々との関連においてお答え願いたい。それから選任のほうについては法務大臣いかがでしょう。
○渡邊(健)政府委員 まず、会計監査の受託をいたしました公認会計士なりが会社に使用される労働者であるか、その受ける報酬が賃金であるかどうかという点についてお答えを申し上げますと、先生がただいまおっしゃいましたように、基準法の十一条では、「賃金とは、名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う」ものである、そうなっております。九条では「労働者」というのは、この基準法の八条に掲げる「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」こうなっておるわけでございます。こういう点からいたしまして、「賃金」というのは使用、従属関係のもとにある労働者がその提供した労務の対価として払われるもの、こういうことになるわけでございます。
 問題の公認会計士の場合には、その業務が使用者の、ここで言いますと会社と使用、従属関係のもとにおいてなされる業務であるかどうかということになりますと、公認会計士は会計監査という業務を委託されました独立した立場でございますので、したがって指揮監督を受けてやるというたてまえのものではないと存じます。したがいまして、そこにおいて受ける報酬は、使用、従属関係のもとで提供した労務の対価というものではございませんので、基準法十一条にいう「賃金」とはいえないのではないか、かように考えるわけでございます。
 なお労組法関係につきましては、労政局から担当課長が参っておりますので、そちらから申し上げます。
○田中(武)委員 ちょっと訂正します。先ほどぼくが言うておったのは、選任の件については労組法五条二項七号ですから。
○森山説明員 労働組合の結成後の外部監査につきましては、先生がいまおっしゃいましたように労働組合法五条二項七号におきまして、「すべての財源及び使途」等に関する「会計報告は、組合員によつて委嘱された職業的に資格がある会計監査人による正確であることの証明書とともに、少くとも毎年一回組合員に公表」するということが規定されております。このような規定は、組合の財政が労働組合の存立の根本であるというところから、公正な運用を期するために設けられているわけでございます。会計監査人の資格というのは、労組法上必ずしも組合大会で決議をするということが必要と考えられておりませんで、いまの手続が組合員の総意を反映するものであればよいというふうに考えられております。実際上は、組合の規約の例を見ますと、会計監査人の委嘱は、組合大会において行なうものもございますが、そのほかに中央委員会等の機関において行なっているものも多くあるようでございまして、いろいろのやり方をとっているようでございます。
○田中(武)委員 法務大臣の答弁の前に。私の言っているのは、森山さん、五条二項七号の解釈の問題でなくて、むしろ労働組合の外部監査の問題についても、組合役員とか執行部とかでなくて、「組合員」と特にうたっておる。したがって大会ないしは中央委員会等々のいわば執行機関だけで決定していないことは事実です。ところが一方において、それぞれ手続はあるにしても、決定権が取締役、執行機関にあるということについてはいかがなものか、こういうことに重点があるわけなんです。大臣、どうでしょう。
○川島政府委員 今回の改正案における会計監査人は、特例法の第三条に選任方法が記載してございますが、この会計監査人を選任して監査を委嘱することは株式会社の業務執行の一種であるというふうに考えておりまして、その意味で「取締役会の決議をもつて選任する」、その公正を期するために、監査役の過半数の同意が必要であるし、事後的に株主総会に報告するということを要件とされている、こういうことでございます。
○田中(武)委員 実は理事から半ごろまでに交代してやってくれという要請があったわけです。私はここへ来るときに、何なら社会党質問を一人で引き受けてもいいよと言ったことがあるのですが、いまは理事さんの仰せには従いますから……。しかしまだ、いわゆる各論では内部監査の問題等でも相当議論をはずしました。外部監査の問題については、労働省来てもらっておる関係上その点だけを取り上げます。まだまだこれだけある。まだ第一の袋がこれだけ残っております、第二の袋がこれだけあります、ということを申し上げておいて、事後の質問は保留いたします。そして次の質問者にバトンを渡しますが、これで終わったのではない、これだけは確認します。いいですね。
  〔委員長退席、大竹委員長代理着席〕
○大竹委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 田中委員に引き続きまして商法改正について質問するわけでありますが、私も、今度のこの商法改正が粉飾決算をなくすという大きな目的のためにはたして適合しているかどうかという問題、これは企業会計原則の変更、継続性の変更あるいは負債性引当金を大幅に広げたということで、先ほど田中委員のほうからも今度の商法改正はまさに大企業優先の改正ではないかという質問に対しまして、法務大臣は、いや、そんなことはないと言われましたけれども、これから法的に、あるいはいろいろな事実をあげて私は質問したいと思うのでありますが、そういった問題あるいは監査役強化の問題あるいは会計監査人の独立性の問題。それから、今度は資本金を五億円、一億円という線引きをしたわけでありますけれども、これがはたして現状の経済に合っているかどうか。それから、現在会計人として公認会計士及び税理士、二つの制度があるわけでありますけれども、この二つの制度が今度の商法改正によって一体どういう影響をこうむるか、あるいは子会社の監査ができるということが、いわゆる子会社の法人格というものについてどういうことになるだろうかといったようなものを、およそ六点について質問したいわけでありますけれども、時間もかかりますので、私はまず、いわゆる今度の商法改正について税理士会及び公認会計士協会でさまざまな意見があるわけであります。これは、私の頭の中では、将来こういった問題はなくなると思うわけでありますけれども、双方とも発展をしていってもらわなければならない仕事だと私は考えておるわけであります。
 そこで、現行の法律体系の中でこの公認会計士が税務行政、税務代行をできることになっているわけでありますけれども、これが、特別利害関係といわれるものが一体どういうふうになっているか、これが今後の公認会計士協会、公認会計士行政というか、これの発展及び税務代行としての税理士の発展にどういうふうになるか、こういうことについてまず質問したいわけであります。
 そこで、初めにまずお伺いをしたいのは、まず大蔵省企業財務課からお伺いをしたいのでありますが、公認会計士というのはそもそもどういう立場になっているか、どういう立場というのは、企業の立場かあるいは国の立場か、この辺からまずお伺いをしたいと思います。
○白鳥説明員 公認会計士は、これは企業の立場ではございませんで、公正、中正なる立場から、企業の行なった経理が適正かどうかというものを判断するために、職業会計人として十分な能力、知識を持った者が選ばれるわけでございます。
○佐藤(観)委員 公認会計士の制度そのものは第三者監査でございますから、いま課長からお話がありましたように、中正にして、しかも社会的に、現状の場合には上場会社でありますから証取監査でありますが、ディスクロージャーしてもらわなければ困る。投資家にその企業の内容がはっきりわかるような監査をしてもらわなければ困るわけでありますね。そういった社会的責任を持った立場が私は公認会計士だと思うわけであります。
 それから税理士でありますけれども、これは大蔵省の主税局総務課が法的な問題については管轄をしておると思うのでありますが、現在税理士の立場というのは一体税務署の税務代行なのか、あるいは納税者の税務代行なのか、はたしてどっちの立場なのか、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○山内説明員 税理士法の第一条に規定しておりますとおり、中正な立場において納税義務を適正に実現するというのが税理士の職責ということに相なっております。
○佐藤(観)委員 私はいまの税理士法はきわめておかしいと思うのですね。中正な立場と言われますけれども、中身は納税者の納税の業務代行が私は現在の税理士のやっている内容だと思うのです。中正ということは、税務署の側でもない、納税者の側でもないということですね。
○山内説明員 御承知のとおり、税理士というのは一定の範囲におきます業務について法律でもって特に独占的な地位を与え、これに対応する公共的な責務を負わせているというものでございます。したがいまして、そういったいわば公的な立場に立つ税理士の地位というものは完全に納税者に密着をするという立場でないことは本来当然でございます。単純な私法上の委任をするないしは委任を受けてその人のかわりをするというふうなものとは、そういう意味では基本的に違うわけでございまして、そういう観点からは、先ほど申しました中正な立場という規定が置かれておるものであるというふうに思っておる次第であります。
○佐藤(観)委員 法的に社会的な立場がある、それは私は当然だと思うのです。社会的業務でありますから、社会的立場があるのは当然であると思う。ただ私がお伺いをしたいのは、税理士というものが納税者の立場に立って業務を行なうのか、税務署の業務代行をするのか。もちろん税法があることですから、税法にのっとって業務をやるのは当然のことであります。当然でありますけれども、そこにいろいろな法律上の解釈あるいは実際納税する際に分類においても解釈の相違があるわけですね。それをするときに、法律あるいはその下の政令、省令できめられている以外で税理士の判断が要求されるときには、私は税理士というのは納税者の立場に立って、つまり国に税金を納める税務代行をする、あるいは立場でいうならば弁護士的な業務をする、これが本来私は税理士の職務、仕事だと思うのですけれども、いかがでございますか。
○山内説明員 先ほど申しましたような法的な立場と申しますのは、税理士というものは完全にその委嘱者の立場と全く重複をした地位にあるのではないということを申し上げた次第でございます。御指摘のとおり、税法ないしは租税税務といいますものは、これはいずれも法律に基づいて客観的にないしは抽象的に定まっておるものでございますけれども、それを法律、政令その他の諸規則を適用して具体的にどういうふうになるかということを、客観的かつ正当に把握をするのは、場合によりましては、そういうことに習熟をしておらない一般の納税者について必ずしも常に確実にできるということではございませんので、そういった者にかわって税務会計専門家としての見識のある判断に基づいて適正な判別を加えていく、ないしは適正な所得額の判定を加えていくというのが本来の税理士の主たる職責であろうと考えている次第でありまして、そういう意味で納税者といいますか、委嘱者の立場と完全にダブるものでもありません。と同時に、役所の代行というものでないことももちろんでございます。
○佐藤(観)委員 いまの御答弁の最後の部分でありますが、役所の完全な代行ではないかもしれないけれども、若干なりともそういった税務署の職責というか、仕事というか、そういうものを若干なりとも代行するといった部分もあるということですか。
○山内説明員 税務職員の立場と申しますのも、申すまでもなく、税法その他に定められた規定に従って正当な所得を把握をするというところにあるわけでございますから、そういう意味で税務署の立場が右とか左とかに振れておるということはもともとないわけでございますが、そういう意味では、税理士もそのみずからの租税専門家としての立場、見識のある判断に基づいて行なえば、本来的にはそこはそう乖離をするものではないと考えますけれども、しかしながら、ものごとの非常に千差万別の社会事象に対して税法なり法律なり政令なりをいかように当てはめていくかという点につきましては、必ずしも百人が百人完全に同じであるというふうな場合であるとは限らないわけでございます。そういった場合に、税務署員は税務署員として、法の命ずるところに従って判断を加えますし、税理士は税理士として、みずからの本来持っております税務会計専門家としての見識、これに従って判断を加えるということでございます。
○佐藤(観)委員 ですから私は、いまの税理士法の立場でいえば非常におかしなことになる。われわれはいまの税理士法の第一条ですかについては、たいへん疑問を持っているわけですね。それで、いま言ったように、税務署としては、こういった課税をする。ところが、それが必ずしも納税者にとって、しかも法解釈がいろいろある段階においては、必ずしも税務署の意見だけが正しいわけではないわけです。そこで、納税者の立場に立って、いやそうではない、これはこういう考え方もあるしあるいはこれはこういうふうに区分すべきではないか。千差万別あるいろいろな項目について、税務の詳しくない納税者にかわって税務の事務代行をしてくれるのが、私は税理士だと思うのです。そのために納税者は税理士に顧問料なりあるいはその代行の報酬というものを払うわけですね。ですから、私は、税理士の立場というのは、本来、納税者の立場に立った業務でなければいかぬ、こう思うわけであります。その意味では、現在の税理士法というのはきわめておかしいんですよね。私は、検事、裁判所、弁護士、これにたとえれば、税務署を検事というのは、これは若干問題があると思いますが、しかし税理士は私は弁護士の役目であり、そしてそれでも不服があるときは、国税不服審判所という裁判所があるわけでありまして、そういった意味で私は、公認会計士と税理士の立場というのは、公認会計士は、法律で定められた社会的責任、これはディスクロージャー、つまり大衆投資家を保護するための社会的に義務づけられた、法的に義務づけられたそういった先ほど言ったような中正な立場、社会的な任務が負わされておりますけれども、税理士の場合には、これは税法がよくわからない納税者にかわって税務署と折衝し、そして正しい申告が行なわれる、これが私は税理士の本来の仕事である。そこで、私たちは税理士法の改正を長いこと言っているわけでありますけれども、そう考えるべきだと思うのでありますけれども、いつまでたってもこれは平行線でありますが、再度この問題について御答弁願って、先に行きたいと思うのです。
○山内説明員 御説のとおり、税務代理を行なうという意味では、税理士が納税者あるいは委嘱者の税務代理をするという点は間違いないことでありますが、ただその場合に、税理士として判断すべき立場としては、これは完全に納税者の言いなり、委嘱者の言いなりということではなくて、税法に定められておる客観的な判断基準に基づいてみずからの識見のある判断を行なうという意味で、「中正」ということばが用いられているというふうに私は考えております。
○佐藤(観)委員 納税者の言いなりといっても、法を曲げたり政令を曲げたり省令を曲げたりするわけにはいかぬわけですね。もちろんその範囲内のことでありますけれども、しかし、それでもいろいろな判断のしかたがある。そのときに、どこの立場に立つかというのは、私は「中正」ではないと思うのですね、税理士というのは。その最後の段階になったら、やはりこれは納税者側の立場に立つ。なぜならば、納税者からそのための顧問料なり報酬なりというのをもらっているのであって、税務署が税理士にお金を出しているわけじゃないですから、その最終段階、もちろん法のたてまえのワクの中、法令、政令、省令、そのほか通達、それ以外でなおかつ判断に幅があるときに、私は最終的には税理士というのは納税者の立場に立つんであろう、こう思っているわけであります。これは税理士法の改正をしなければいけませんし、この論議ばかりやっていても尽きませんので、先に進みますけれども、私はそう考えているわけであります。したがって、公認会計士と税理士とが、同じ人が同じ業務を両方兼ねるのはこれはおかしいということで、以下いろいろのことについて質問をしたいわけであります。
 それで、話を簡単にするために、問題は、この特別利害関係の問題というのは、同じ公認会計士が、被監査会社と申しますか、監査されるほうの税務をどこまで代行できるか、同じ監査人がどこまでその監査をしている会社の税務を代行していいかどうか、この一点に問題をしぼっていいと思うのです。私もきのういろいろ調べてみましたら、この特別利害関係に関係する法案としては、商法と証取法と公認会計士法があるわけですね。それで、証取法には、その下に省令があって、財務諸表の監査証明に関する省令というのがあるわけですね。それから公認会計士法には、監査法人に関する省令というのがあるわけです。それからもうちょっとほんとうは政令がなければいかぬわけですね。この政令は、あとで伺いますが、どうなっているかわからないけれども、政令にゆだねる部分があるわけですね、こういう形になっていると思うのです。大きく言って三つの法案について、おのおの公認会計士が監査を行なってはいけない特別利害関係というのがある。つまり、公認会計士が監査をしていけない部分がありますね。それから公認会計士が税務を行なっていけない部分がある。それから今度もう一つ、監査法人が監査を行なってはいけない場合がありますね。それから監査法人自体としては税務代行を行ないませんから、監査法人の関与社員でない社員、関与社員でない公認会計士が税務を行なっていい場合がある。この四つに大別できると思うのですね。これを一つ一つやっていかなければならぬわけでありますが、まず商法であります。
 商法では、いま申しましたように、公認会計士が税務を行なっていけないということが書かれておりますか。商法というのは、今度の改正商法も含めて。
○川島政府委員 お尋ねに関係のあります点は、今回の特例法案の第四条であろうと思います。ここには「会計監査人は、公認会計士又は監査法人でなければならない。」という規定と、第二項にその会計監査人となる場合についての欠格事由が記載してございます。一、二、三とございますが、この中には、ただいま問題にしておられます税務関係の仕事との関係は特にあげられておりません。
○佐藤(観)委員 そうすると、確認をいたしますけれども、今度の改正商法の第四条には、公認会計士が税務業務を行なってはいけないという項目はないというふうに確認してよろしいですね。
○川島政府委員 そのとおりでございます。
 なお、つけ加えて申し上げますと、この第四条にあります欠格事由というのは、これに該当する者が会計監査人に選任されることはできないとなっておりますので、こういう者をかりに会計監査人に選任したとしても、会計監査人としての効力がない。したがって、こういう者が監査をしても会計監査人の監査をしたことにはならないということでございまして、公認会計士法その他にありますのとは多少趣旨が違う方向からの規定であろうと思います。
○佐藤(観)委員 私もそのとおりだと思うのです。直接公認会計士と税理士の税務に関係する利害関係をここであらわすべき法案ではないと思うのですね、第四条は。
 その次は、今度は証取法ですけれども、証取法は、具体的には百九十三条の二で大蔵省令に委任をされている省令で、特に私が問題にしている公認会計士が税務をやれるかどうかという問題は、財務諸表の監査証明に関する省令の第二条の五号だと思うのですね、これをちょっと説明してください。
○白鳥説明員 先生おっしゃるとおり、公認会計士の業務、特にその中で税務の関係につきまして規定してある項目が財務諸表の監査証明に関する省令の第二条第五号で、「公認会計士又はその配偶者が、」云々とございまして、「公認会計士の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている場合」こういう規定になっております。したがいまして、税務代行は公認会計士の業務以外の業務であるということで、この税理士業務によって継続的に報酬を受けている場合には、財務諸表にかかわる監査を行なうことはできない、こういうことになるわけでございます。
○佐藤(観)委員 非常に大事な問題で確認をしておきますと、「公認会計士の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている」ということは、税務代行をやっている場合も当然含まれるという解釈でよろしいですね。
○白鳥説明員 そのとおりでございます。
○佐藤(観)委員 その次に、あとでまた若干証取法とも関係をしてまいりますけれども、公認会計士法でありますが、これは第三十四条の十一だと思いますが、ここではどういうふうになっていますか。
○白鳥説明員 ちょっと番号をお間違えになっているのじゃないかと思いますが、公認会計士個人としての業務制限の規定は公認会計士法の二十四条でございます。
 それからあわせて申し上げますと、監査法人につきましてはいまおっしゃいました公認会計士法の三十四条の十一に業務制限の規定がございまして、それを受けまして監査法人に関する省令の第五条にさらに具体的な規定がございます。
○佐藤(観)委員 ちょっと私も先を急ぎましたけれども、公認会計士法の今度は二十四条の第一項の第二号が文章的には二つに分けられているわけですね。よくよく読んでみますと、どこが違うかというと、後段の部分、現在の法律には、「過去一年以内に著しい利害関係を有した会社」ということになっているわけでありますけれども、今度の改正の分には、その「過去一年以内」ということが消えてしまっている、こういうふうに解釈してよろしいですね。
○白鳥説明員 おっしゃるとおり、「過去一年以内」ということばが消えております。現在の公認会計士法におきましては、先ほど先生ちょっとおっしゃいましたように下に政令の規定がございません。公認会計士法施行令というのはございますけれども、その中に利害関係についての細目規定がございません。したがいまして、この二十四条の第一項の第二号ですべてをカバーできる包括的な規定になっておるわけでございます。したがいまして、過去一年以内にその会社の使用人であった場合あるいはその会社との間に著しい利害関係を有していた場合、その著しい利害関係ということで包括的に規定したままになっております。したがいまして、そこでは「過去一年以内」ということを明確に規定しているわけでございます。今回の改正公認会計士法では、この著しい利害関係につきまして細目を政令に委任する規定を置いてございます。その委任された政令の中で、項目によっては一年以内というような期間の定めをする、また項目によってはそういうものはなくて、現在だけを縛ればいいというような使い分けをする必要のある項目がいろいろあると思います。そういうわけで、上部規定である公認会計士法のほうには「過去一年以内」という規定を置きませんで、政令のほうでものによって一年以内というような縛りをかけたり、現状だけを縛るというように使い分ける、こういう予定になっております。
○佐藤(観)委員 その説明はわかったわけでありますが、まだこの公認会計士法の改正の政令というのはできていないわけですね。それと特別の利害関係というのは、いわゆる証取法にいうところの公認会計士が監査をしている会社については税務代行を行なってはならない、これは逆を言えば、税務代行を行なっている会社に対しては公認会計士が監査をしてはならないという項目は入るのですか、入らないのですか。
○白鳥説明員 現在の証取法及び公認会計士法との関連を申し上げますと、現在は証券取引法においては、先ほど先生からお話がございました財務諸表の監査証明に関する省令の第二条におきまして、「法第百九十三条の二第二項に規定する公認会計士の特別の利害関係とは、次の各号の一に該当する場合における関係をいう。」というふうに規定しておりますが、この証取法百九十三条の二の中にはこういうふうにいっております。財務諸表については、「その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。」として、その第二項に、特別の利害関係とは、「公認会計士法第二十四条若しくは第三十四条の十一第一項に規定する関係」、先ほど申し上げました公認会計士法の規定でございます。この規定にある関係及びそのほかのいろいろな関係で省令にゆだねた関係、こういう両方かぶるという形になっております。そこでいま申し上げました財務諸表の監査証明に関する省令の中で、公認会計士法でカバーされていない内容については、さらに上積みして規定しているという形になっているわけでございます。そこで改正法におきましては、この証取関係だけで規定をかぶせるということにはしないで、一般法である公認会計士法の下に政令をつくりまして、そこでこの証取法で、現在財務諸表の監査証明に関する省令で詳しく規定していると同じような利害関係を政令の中に盛り込む、こういう予定で現在作業を進めているのでございます。
○佐藤(観)委員 確認をしておきますが、証取法の百九十三条を補完するという意味でいわゆる財務諸表の監査証明に関する省令というのがある。そこで、全部で十あるわけでありますが、こういった方々は特別の利害関係があるから、公認会計士でも公認会計士の業務を行なってはならないわけですね。その中の第五号で、税務代行を行なっている者についてはだめだという項目になっているわけです。証取法でそういうふうになっていて、公認会計士法の今度の改正案の二十四条の政令というのもおそらく同じような内容が入るのだろうと思うのです。こういったことが私はよくわからないのでありますが、これはどちらが法律として優位に立つのですか、そこはどういう関係になるのですか。
○白鳥説明員 現在の縛り方は確かに公認会計士法と証取法と二重のワクがかけられておりまして、非常に統一性がないと申しますか、そういった面があるかと思います。しかしながら今回改正します場合には、この証取法だけのカバーでは十分ではない。特に商法監査が入ってまいりますので、そういうものについても同じような利害関係の規制をかぶせる必要があるのではなかろうか、そういうことでこの証取法という特定分野だけの法律の体係の中に置くのは適当ではないということで、一般法である公認会計士法、公認会計士全般についての規制をする法律の中の下部規定である政令に全部持っていこう、こういうことで今回改正案を考えているわけでございます。内容はいまおっしゃいましたように財務諸表の監査証明に関する省令と同じような内容のものであります。
○佐藤(観)委員 そうしますと、結局は証取法の省令の第二条、この項目がそのまま公証会計士法の政令になってはいかぬのですか。先ほどお話があったように過去一年以内であるという項目は、過去一年以内著しい利害関係があった者というのがすべての場合にかかるのか、二親等以上はどうなのか、以内はどうなのか。そういった過去一年以内云々ということは別にしても、内容的には財務諸表の監査証明に関する省令の一から十までの禁止項目以上に公認会計士法の改正では政令の中に含まれるのですか、内容的には。
○白鳥説明員 現在作業中でございまして、最終的には固まっているわけではございませんけれども、一応の考え方といたしまして、おっしゃるとおり現在の監査証明省令で規定している利害関係、これはそのまま公認会計士法の政令の中に打ち込む。ただ表現のしかたあるいは整理のしかた、そういう面で多少の手直しはございますけれども、実質的にはこの内容と同じようなものを盛り込む、こういう考え方で作業を進めております。
○佐藤(観)委員 そうすると確認をしておきますと、この公認会計士法の第二十四条の第二項においていわゆる証取法の省令にいうところの、それはあまり正確な言い方じゃないかもしれませんが、証取法の第百九十三条の二を受けているところの財務諸表の監査証明に関する省令、これの第二条第五号の内容、つまり私が先ほど確認をいたしましたように、公認会計士が税務行政をやっている会社に対しては公認会計士は公認会計士本来の仕事はできないという項目が入るということに確認をしてよろしいのですね。
○白鳥説明員 おっしゃるとおりでございます。
○佐藤(観)委員 その次に公認会計士法の三十四条の十一、つまり今度は監査法人の部分に移るわけでありますけれども、それの第二項の後段に監査法人の行なう第二条第一項の業務の公正を確保するため業務の制限をすることが必要かつ適当であるとして省令で定めるものというのは一体どういうものですか。
○白鳥説明員 現在の監査法人に関する業務制限の規定のしかたは現行法ではやはり同じような書き方をしてございますが、まあ多少表現の違いがございますけれども、業務の公正を確保するため必要と認めるもので大蔵省令で定めるものということでこの省令を、先ほど先生ちょっとお触れになりましたが、監査法人に関する省令、その省令の中で下部規定を置いておるわけでございます。しかし今度の改正におきましてはこれも個人の場合と同じような趣旨で、公認会計士法施行令の中に監査法人についての業務の制限の具体的な内容、これも現在の証取法の系列であります財務諸表の監査証明に関する省令で規定している監査法人の業務制限の内容と大体同様のものを盛り込むということで作業を進めているところでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、その省令は従来昭和四十一年八月十二日に出た大蔵省令、監査法人に関する省令第五条の一から三までありますが、いわゆる監査法人に関する省令ですね。「監査法人が業務を制限される利害関係」これがあるわけでありますが、この内容が――この内容だけじゃないでしょうが、政令としてそのまま一段省令から上がってくる政令、おそらく政令の場合には省令だけじゃないと思うのですが、上がってくるというふうに解釈してよろしいですか。
○白鳥説明員 これにつきましても実は先ほど御批判もございましたけれども、監査法人に関する省令と並行して財務諸表の監査証明に関する省令がございまして、これが第二条の二項にやはり一から十まで各号の制限の規定がございます。この規定と多少ダブっております。特にこの監査法人に関する省令の中で触れておりませんことで重要なことは、たとえば監査法人の構成員である社員が業務の制限に触れるようなものをやっている場合には、その社員は直接その対象である法人の監査に関与することはできない、こういう項目が別に入っております。これが一つ監査法人の省令上よりも別に加わっていると申しますか、こういう関係になっております。したがいまして今後直す場合には、そういうものも含めて財務諸表の監査証明に関する省令で規定している一号から十号までの細目、大体これを見込んだような内容の政令という予定で作業をいたしております。
○佐藤(観)委員 それでいま問題になる部分については、内容的には監査法人に関する省令というのは生きてくるわけでありますね。それで特に問題になっているのがこれの第五条の二、「監査法人が、会社その他の者から無償若しくは通常の取引価格より低い対価で事務所又は資金の提供を受けている等経済上の特別の利益の供与を受けている場合」というのがあるわけでありますが、これは監査をする公認会計士が被監査会社の税務を行なっている場合には、通常の取引価格より低い対価で資金の提供を受けている等の経済上の特別の利益供与を受けているということに入るのか入らないのか、これをどういうふうに解釈されていますか。
○白鳥説明員 この監査法人の省令の五条の二号は、監査法人が法人として受けている利益ということでございますので、監査法人が法人として税理士業務をするということは公認会計士法で禁じられております。監査法人は監査業務しかできませんので、その関係は第五条の二号からは読めないわけであります。むしろ個人の監査法人の個々の構成員である社員が税理士業務を行なっている場合の規制の関係としましては、監査法人省令でいえば第三号、「社員の半数以上の者が、」云々、こういう規定がございます。これのほうで読むということになるかと存じます。
○佐藤(観)委員 それからきわめてややこしいのですが、そうしますと、被監査会社について監査証明の業務に関与しているいわゆる関与社員ですね、関与している公認会計士、これももちろん税務行政はできませんね。それはいいですね。――それじゃ監査法人がたとえば二十人いるとして、十人がAならA社に監査証明のために行く。残り十人いるわけですね。その残り十人の人のうちのだれかがA社の税務業務をやる。これは禁止している条項はないですね。確認してください。これは大事なことなんですよ。
○白鳥説明員 監査法人のうちの一人、それが直接監査に携わらないという場合には、その一人が税務業務に携わっている、つまり、著しい継続的な報酬を受けているということで業務制限規定にひっかかる場合でありましても、それだけでは監査法人の業務制限の事由にはなりません。ただ、そのほかに、ほかの社員が、関与会社の社員であるとかあるいは債権債務を持っているとか、いろいろ業務制限条項がございますが、そういう条項にひっかかっている場合に、それを全部ひっくるめて、ただいまの設例で申しますと、十人以上になるということになりますと、そこで、監査法人自体としてこの会社の業務ができないということになってくるわけでございます。
○佐藤(観)委員 もちろん欠格条項がある部分についてはだめですが、そういう条項が全然ない監査法人が、ある人は監査をする、その残りの人はその会社の税務業務をやる、これは法的には何ら現在規制はされていないということですね。
○白鳥説明員 おっしゃるとおりでございます。
○佐藤(観)委員 そこで、いわゆる公認会計士協会と税理士会がこのあたりで接触するという問題が起こるわけですね。現在の場合には、おそらく五億以上あるいは上場会社の税務を税理士の方がやっていらっしゃるというのはきわめて少ないとは思うのでありますが、社会的要求に沿って、五億が一億になるということになってくると、これは大蔵委員会でもよくいっているように、大蔵省としても、公認会計士一人よりも監査法人をというのが方針でありましょうから、諸外国の例を見てもそのとおりでありますし、公認会計士はおそらくだんだん監査法人ということになると思うのですね。そうすると、アメリカのように何百人とかかえるということになると、監査法人の中のある者は監査をやり、別のある者は税務業務をやるということで、どんどんどんどん税務業務が監査法人に取られていってしまうんではないかという問題が起こってくる可能性があるわけですね。この点について、いかがお考えですか。
○白鳥説明員 現在の税理士が、商法改正によって公認会計士の監査の対象がふえることによって、職場を奪われるのではないか、こういったような御心配があるということは私どももかねがね伺っております。ただ、ただいま先生のおっしゃいましたように、五億以上の会社ということで、数も非常に限られております。将来の話ということでございますけれども、かりに監査法人が、今度の商法の改正によって、五億以上の従来監査を受けていなかった会社の監査を新たに始めることになるといたしましても、その監査法人が、いままでその会社で税務業務をやっていた税理士を、自分の監査法人の傘下の、直接監査に関与しないほかの社員に税理士業務をやらせるというような形で追い出すというようなことは万々あるまい、こういうふうに考えております。こういう監査法人の場合には、いま言ったような御疑念がおありかと思いますが、個人が五億以上の会社を監査するということになりますと、たまたま公認会計士の資格もあり、税理士の資格もある会計士がその会社ですでに税理士業務をやっていた、それが今度新たに監査業務をやらなければならなくなったという場合には税理士業務を手放さなければならなくなるわけでございますから、そういう意味ではかえって税理士の職域が広がるという面もあるのではないか、こういうふうに考えます。
○佐藤(観)委員 これは大臣にお伺いをしておきたいわけでありますが、きわめて大きな問題なわけであります。というのは、税理士は、日本の税務行政の大きな柱の一本である自主申告制度、これについて戦後今日まで一貫して尽くしてきたわけであります。その意味で私は、税理士会としても今後なお一そう発展をしていってもらわなければならぬと思うのですね。それと同時に、先ほど田中委員からたびたびお話がありましたように、定款を逸脱するような行為が行なわれている、こういったようなことを考えて、社会的責任の大きな会社に対して公認会計士が社会的責任をもってぴちっと監視をする、これは非常に大事なことだと思うのです。これは私見でありますけれども、公認会計士というのは協会としてもっともっと発展をしなければいかぬ。そのためには、弁護士の司法修習所のようなものを大蔵省につくって、それだけ質を高め、量も多くして、企業の社会的責任を監視してもらわなければいかぬ。ただ、監視の中身はこれから申し上げますけれども、いろいろ問題があるのです。中身が全くルーズな方向に行きますと――これはこれから企業会計原則の変更の問題でお伺いをし、田中法相が、いや今度のは大企業優先じゃないと言うけれども、実態的にそうなってしまうということを証明申し上げますが、とにかく私は、そういった意味では税理士も公認会計士もおのおのの分野で発展をしてもらうことを望んでいるわけです。
 その際に問題になっておるのは、私が先ほどこまかく御質問申し上げましたように、これからだんだん公認会計士というのは、公認会計士個人というよりも監査法人という形で複数になっていく傾向にあるわけです。これはわれわれも認めるし、またそうすべきであろう。公認会計士のいろいろな社会的地位、法的地位という問題がありますけれども、監査法人という形でいくべきであろう。これはわかるわけであります。ところが、いま問題になっておるように、同じ監査法人の中に属している人で、Aは監査をやる、Bはその会社の税務業務が法的にできる、これでは税理士の方々の職域が侵される危険性があるのではないだろうか。しかも今度は、いろいろな経緯がありまして一応五億で切りました。五億で切りましたけれども、社会的要求ということになれば、一億でもあるいは三億でも、やれ倒産だという場合には非常に大きな影響力があるわけですね。そういった意味では、今後の動きによってはこの五億を三億なり一億に下げろということはあり得ることだと思うのです。その辺からいいますと、いま税務業務もできることになっておりますから、税理士の本来の仕事である税理士業務というものが侵される危険性があるのではないか。戦後営々として続いてきた自主申告制度という税務行政の大きな柱、これも大きな危機に瀕するだろうし、その辺のところを十分考える必要があるんじゃないかと思うわけであります。きわめて次元の高い大きな問題だと私は思うのでありますが、商法改正を出された法務大臣としては、この問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか、その点をお伺いしたいと思います。
○田中(伊)国務大臣 現在わが国の公認会計士の諸君は、先生御存じのとおりに、四千七百前後おいでになります。それから税理士のほうは二万五千前後、潜在資格を持っている人を入れますともっと多くなりましょうが、表面に出ておる人は大体二万四、五千、大ざっぱに申しましてそういう情勢でございます。これは今度の商法改正をめぐりまして申し上げますと、御承知のとおりに五億以上の計算書類について監査をいたします場合だけ公認会計士に限る、こういうこととなっております。それ以外の業務について、税理士がこれに関与をせられるということは従来とは少しも変わりはないわけです。五億以上の会社と申しますと、大体わが国に百一万内外の株式会社がございますが、百一万内外で大体五億以上と申しますと、二千七百社ぐらいなものでございます。これだけのものについて会社の取締役会でつくりまして、会社の監査役の過半数の同意を受けて、そうしてその上でその計算書類を公認会計士に監査をしてもらうということになるのですが、その業務だけでございます。それ以外の業務については何ら今日までと変わるところがないということでございますので、私の観測では、今度の商法改正をめぐりましては、税理士の諸君に業務を縮小せしめるという意味で不利益を与えるようなことはないということを確信をしておるのでございます。
 それから、先生仰せのごとくに両方とも大事な仕事をしていただくので、社会性と申しますか中立性と申しますか、これは先生おっしゃるとおりに公認会計士も報酬は企業から受ける、税理士も報酬は個人から受けるのでございます。受けるのでございますが、その仕事をやる態度といいますか職務執行の態度というものにつきましては、中正な態度でやってもらわなければいけないということは弁護士の場合と同様でございます。そういうことでございますので、報酬は依頼者から受けるのでありますけれども、しかしながら、これは中正な立場であくまでも仕事をしていただくことが、政府のためにも社会のためにもいいことになりますので、そういう意味から申しますと、一定の講習制度というか修習制度というものを設けて、そして一応この制度を通して見識のある公認会計士並びに税理士をつくっていくという構想、お考えになっております構想はまことに反対のできない、理屈のあるものであろうと思いますが、何ぶん私は法務省の立場におりまして、これはいずれも両制度ともに大蔵省の所管としておやりになることで、あんまり容喙したような形で、所見は進んで積極的に申し上げかねるのでございます。先生のお説を承っておくことはたいへん賛成である、こういう気持ちで承っておるのでございます。
○横山委員 関連して。
 大臣、一番最後のところがやはり気になったんだけれども、佐藤君がずっと積み上げていった問題の焦点を意識せずに、一般論で答えているのは意外だったんです。佐藤代議士は、要するに個人の公認会計士は税務と監査とが両立しない、これが法のたてまえである。そこを確認をして、今度監査法人に移って、監査法人は監査をする。しかしながら監査法人の中のA公認会計士は監査し、B公認会計士は税務をやってもいいという説明に対して、それで政治論になって、それではいかぬじゃないか、ここのところが商法の一つのポイントなんだ、どうだ大臣、どう考えるかというところへ結びつけていったのですよ。だから私どもよく積み上げて議論を展開していって、そこが私ども野党がこの商法に関する問題のポイントの幾つかある一つですよと、その一つであることを大臣は十分意識して答弁してくださいよと、こう言っているのです。それに対してきわめて一般論で、しかも意外なことに、まあこれは大蔵省の問題で、わしのほうはそう、まあなんということは、主管大臣としてたいへん無責任なことなんです。私は、きょうあなたが本件について大蔵省の意見を聞かなければ答弁できないという意味が心理にあるならばいいですよ、きょうの答弁がそういう答弁でもよろしい。だけれども、商法審査の中で、幾つかのポイントの中のこれが一つであるということだけはよく頭の中に入れていただいて、そして大蔵大臣と御相談なさるならなさるようにしておいていただきたい、こういうわけです。
○田中(伊)国務大臣 ごもっともです。これは大事な点であると思いますので、ちょっと私のほうの民事局長から一応その点についてこまかい答弁をさせまして、私の意見を申し上げます。
○横山委員 答弁はいいですよ。法律の解釈はわかったというのです、提案されている内容はわかったというのです。けれども、こちら側から、これが商法審査の一つのポイントですよと言っているのですから、民事局長がいま答弁するなんて何もなりはせぬ。政治的な判断をひとり求める、これが商法通過のための、通過というか法案審査のポイントの一つである。――通過というのは早過ぎたな。(笑声)わかったね。
○田中(伊)国務大臣 ごもっともですが、非常にこれは大事なことのように思うので、ちょっと一口だけ。一口だけ。
○川島政府委員 まあ論点は横山先生がただいま仰せいただいたような点であろうと思います。監査法人が監査業務を行なう同じ法人に対して、その監査法人に属する公認会計士が税務を行なうというのはどうかという問題でございますが、法律的にきわめて形式的なお答えをいたしますと、これは立場が違うわけでございます。監査法人と個々の公認会計士とは別ものでございます。したがって、その関係をどういうふうに見るかということが一つあるわけでございまして、個人の場合監査業務と税理業務と両立しないというのは、必ずしも同じ論法では議論できない問題であろうと思います。ただ先ほど来いろいろございますように公認会計士にいたしましてもまた税理士にいたしましても、これは非常に公共性の強い職業でございまして、そのために特別法も設けられておりますし、また大蔵省の指導も受けるという運営がなされておるわけでございますので、実際問題として御指摘になりますような心配の点が現実に起こってくるかということになりますと、これは大蔵省が言っておられますようにそこまで心配する必要はないんではないか、こういうふうに私どもとしては考えております。
○佐藤(観)委員 最後に、最後にというのは総務課長も急いでいるようですから主税局にお伺いしますけれども、まあ田中法務大臣に御質問したことと同じことになるわけでありますが、確かに現在の時点で、五億以上の被監査会社ですね、いわゆる証取監査、商法監査、両方受ける会社で税理士が入っているところは何社あるかということになると、たしか私どもの数字がどこかにあったんだが、ちょっと書類が多いので見当たりませんが、現状では正直言ってそんなに多くないのです。しかし今後考えていただかなければならないのは、これは法務大臣にも聞いておいていただかなければいけないのは、これから監査の対象になる会社ですね。これはだんだん公認会計士というものが監査法人になっていくと、Aという監査法人に頼めば監査もそこでやってもらう。そして税務業務も、まあ、あなたのところの監査法人、どなたか監査証明をしてない人にやってくださいよということになるのか、これはやはり通例として考えられることだと思うのですね。しかも、もう一つ今度は、昔はこれは一億円以上にしようじゃないかという話だったわけですね。ところが今度は、いろいろなことがあって五億ということにした。これは私は社会的責任ということからいえば、私の考えからいえば、監査というのはもっと強めなければいけないと思っております。だから、先ほど私見を申し上げたわけですけれども、そういった面からいくと、今後五億が十億、十五億になっていくというよりも、私はむしろ会社の行なう社会的責任の大きさということを考えていけば、むしろこの五億は下がる方向にあるのではないか、そういう二点の方向から考えて、税理士というものがやはり公認会計士に職域を荒らされることになるのではないだろうかということを心配しているわけであります。
 そこで、担当である主税局としては、このことについてどういうふうにお考えになっているかお伺いをしたいわけであります。――主税局急ぐのでしょう。
○山内説明員 もともと税理士業務と公認会計士との調整と申しますか、接点というところは、税理士法の中でもいわゆる通知公認会計士制度という形で調整がはかられておるのでございます。いま御指摘のような問題につきましては、これは将来の問題と存じますが、その観点から、どのような事情の変化が今後あるかということは必ずしもいまの段階で十分言うことは困難でございますけれども、私どもといたしましては、いま申し上げましたような通知公認会計士の制度そのものが、税理士制度全般の中における地位として今後どういうふうな形で推し進めてまいるのがよろしいか、その点につきましては長期的な課題として検討をしてまいるということでございます。
○佐藤(観)委員 わかったようなわからぬようなことを言うけれども、まあ大蔵省の担当の主税局総務課としては影響ないだろうという判断だというふうに伺ってよろしいですか。
○山内説明員 こういうことを申し上げてお答えになるかどうかよくわからぬのでございますけれども、税理士法の立場から申しますと、いまおっしゃったような、具体的な事実上の二つの職域の間の利害の調整というところまでは及びがたいというふうに考えておる次第でございます。
○佐藤(観)委員 それはそうですよ。法律上はそれはそうだけれども、少なくもあなたのところは税理士業務というものを正しい方向に発展させる、あるいは、たとえば悪いものだったら行政措置をするという責任があるわけだ。それで私は、税務業務というものは、税理士会が将来一手に引き受ける制度でなければいけないし、公認会計士は、私は報酬の取り方にしても、これは私見ですよ、私見ですが、公認会計士協会として被監査会社からもらい、そして職域は監査だけに限るべきだ。そのかわり、当然これは今後銀行も入ってくるし、保険会社も入ってくるし、いろいろこれから、年度が違いますけれども、入ってくるわけですから、広がるわけですね。さらに、いま五億でいいといっているけれども、これが三億にならなければいかぬかもしれない。そういった意味で、監査専門家が公認会計士になってもらいたい。それだけ社会的な権威というか地位というか、法的に与えるべきだろう。また、司法修習所に見合うようなものを、何か国として公認会計士の育成のために質を向上させるために必要であろう、こう思うわけですよ。そういった意味で、私が先ほど特別利害関係を質問したのは、何も税理士会の立場だけに立って話をしているわけじゃないのです。
 そこで、現状、この法律ができた場合に、先ほど私がお伺いしたように、監査法人がだんだんふえていく中で、同じ公認会計士は、監査している法人はできないけれども、監査法人の中の別の人が監査証明と他の人は税務をやるということがふえてきやせぬか。あるいは五億がこれからさらに上がっていくというより、むしろ社会的責任ということがいわれれば三億なり一億に下がっていくだろう。現にたしか二年前ですか、私が議員になってからでありますから、二年前に商法を改正するときに一億以上という話があったわけです。あれからどんどんインフレになっておりますから五億と言われるかもしれないけれども、そうなっているわけだ。そういう面で、私はきわめて日本の税務行政の中で大きな柱である自主申告というものをささえてきた税理士というものがさらに発展するようにしなければいかぬ。その場合に、今度の法律はいかがなるものだろうか。職域を圧迫することになるのではないだろうか。だんだん公認会計士が監査法人となり、税務行政もやっていってしまうんじゃないだろうかということを心配しているわけです。それについて法務大臣の御意見はもう一度お伺いしますけれども、お急ぎのようなので、税理士を直接指導、監督する立場にある主税局総務課としては、今度の商法改正というのは、私のいま前段に御質問したような問題についてどういう見解を持っていらっしゃるかということをお伺いしているわけです。ですから、いや、影響ないだろうというお答えもあるでしょう。いや、これは税理士会にとってますます税理士の職域を圧迫することになるのではないかということもあるだろうし、いや逆に、先ほど白鳥課長からお話があったように、逆に公認会計士が税務から手が離れるのでますます税理士会は発展をするという見解もあるでしょう。ですから、直接担当の主税局総務課としてはどういう見解を持っているかということをお伺いをしているわけです。だから、三つのうちの一つです、考え方、見方は。
○山内説明員 追い詰められますと心ならずもきついことを申し上げるようなことになって申しわけないのでございますが、監査法人と公認会計士とは別ものであることは申し上げるまでもないわけでございまして、税理士といたしましては監査法人については何ら相手にいたしておりません。したがいまして、個人であるところの公認会計士がどんなところに所属をしておるかということは一応いまのところは問わないで、すべて公認会計士の制度というものを設けて、それによって本来の税理士との調整を行なっているという形でございます。
 今後どういうふうになると見込んでいるかということでございますが、実はいま御指摘の問題については、われわれのほうでは直接いままであまり深くタッチをいたしておりませんので、十分な事情はよくわかりませんが、従来から証券局から承っておるところによりますと、先ほど白鳥課長が申し上げたように、さしあたってはそれほど心配をする必要はないという情勢であります。今後非常に大きな情勢の変化がございましたら、またあらためて主管の証券局と相談をいたしつつ善処をいたしてまいりたいと考える次第でございます。
○佐藤(観)委員 どうも結論的にはあまり影響がないのではないかというようなニュアンスにとれる御意見だと思うのです。これ以上総務課長さんには詰めていても、どうもこれ以上のことは出ないようでありますのでやめますが、白鳥課長にお伺いしますが、これは私も大蔵委員会でよく証券局と話をするわけでありますが、いまの公認会計士が、失礼ですが、何を言われているかというと、財界の人に言わせると、あれは判こ代だと言われている、公認会計士が監査をするのは、証取監査ですら。こんなことでは私はいかぬと思うのです。しかも私も大蔵委員会で三共の問題をやった。そうしたら、三共は三カ月ですか、権利停止を食いましたね。ところが、逆のことを言えば、財界側に言わせれば、むしろそういった処分を食った公認会計士のほうが、つまり逆を言えば会社の言うなりになるのだ、したがっていいんだという声も聞かれるわけです。私はこんなことじゃいかぬと思うのです。それで私たちは、大蔵省の方針もそうだと思いますが、これからはだんだん一人の公認会計士というよりも監査法人というグループにして、なるべく個人と会社という密着度を少なくして、監査法人ということにしていこうという方向に行政指導としてもあるいは考え方としてもあると思うのですが、その点はよろしゅうございますか。
○白鳥説明員 おっしゃるとおり、私ども監査法人の制度を設立しまして以来、組織的監査の推進ということで、監査法人の設立あるいはその充実というものについて指導してまいっております。特に企業の規模が大きくなり、経理の状態が複雑になってまいりますと、やはり組織的な監査でございませんと充実した監査ができない、おっしゃるような独立性の問題ももちろんございますけれども、監査の内容におきましても、非常に複雑化し、高度化してくるという現状に対処いたしまして、法人化、組織化ということを進めていこうということを考えておるということは、先生の御指摘のとおりでございます。
○佐藤(観)委員 行きつ戻りつしていてもあれでございますけれども、そこで、いま言われたように、これからは公認会計士一人というよりも、監査法人という形にだんだんなっていくだろう、特にアメリカとかの情勢を見てみますと、公認会計士を何百人とかかえる監査法人ができてくるわけです。それは、方向としては、監査を強めるという意味では、形式的には私は正しいと思うのです。形式的にというのは、大臣、これからが大切なのですが、内容は、いわゆる企業会計原則の変更、これが実質的に粉飾決算を公認しているような形になると私は思うのです。これが大事でありますが、形としてはだんだん監査法人が強まってくる、監査法人という形にだんだんなってくると思うのです。
 そこで問題になってくるのは、現在三つばかりあると私は思うのです、税理士会との関係において。一つは、こう監査法人がふえてくると、いま論及しましたように、監査法人のAという人は監査をやる、同じ監査法人のBという人は税務をやる、これは何ら法的には妨げられるものではない、したがって、これはできるということ。それから、五億が社会的責任ということでだんだん――三億の資本金でもかなり社会的責任、たとえば倒産ということになれば、下請業者はいろいろな影響があるから、だんだんこれは必要になってくるだろうということも考えられるわけであります。こういった面からいって、しかも内部的には、同じある監査法人に監査を頼んだならば、まあ普通人間関係からいって、わざわざ従来からある税理士をやめにしてということは、これはいろいろわかりませんけれども、ある監査法人に頼めば、大体税務のほうも、いずれはやはり同じ監査法人の中の公認会計士がやることになるではないか、こういったことで、私は、税理士というものの職域がだんだん公認会計士に奪われていくことになりはしないだろうかという心配をしているわけです。それについて再度大臣の御答弁をいただきたいわけであります。
○田中(伊)国務大臣 ただいまのお話しに対する答えでございますが、端的に申しまして五億以上と限っておるわけでございます。五億以上に限っておるというところから、影響もいま言ったように一定の限度を出ないのではないか、こういうふうに一応考えております。
○佐藤(観)委員 五億に限ってあるので、ある程度数が限られているので、それは平気だろうということですが、その点はいいとしても、たとえば、ある会社が、いままでは税理士さんに頼んでいたけれども、今度は証取監査ということになれば、新たに公認会計士なり監査法人というものを入れなければならないわけですね。そうなってくると、新たに入れるところが、どうせやってもらうなら監査もその監査法人にやってもらう、じゃ税も公認会計士さんにやってもらってくださいよということで、税理士が追われる立場になりはしないか、なるだろうということなのです。それについてはいかがですか。
○川島政府委員 いろいろ御心配の点、問題が全くないとはいえないと思います。そういった点につきましては大蔵当局からもさらに実情を詳しく承りまして、考えてみたいと思いますが、現在この法案を提出するに至りました段階におきましては、いろいろそういう問題がありましたので、一億を五億に上げるというような配慮もいたしたわけでございまして、さらにこれ以上考えてみろということであれば、研究はさせていただきたいと思います。
○横山委員 関連して……。
 大臣、いま佐藤君が提起している問題は第二のポイントなんですよ。これは、一億だ三億だ五億だと、バナナのたたき売りみたいですが、それにはそれなりの政治的配慮があったと思うのです。一体五億円というのは、何が五億にきめた判断かというと、これはおそらく政治的判断というふうに、私も知っているのです。けれども、きめるときに政治的判断であっても、ここではそうはなかなかまいらぬのです。論理の上からは四億九千九百九十九万円の資本金だったら問題はないのか、そうすると五億円を突破するかしないかが、これから企業の相当大きな判断の材料になりますね。そんなことはおかしいと思うのですよ。四億円の会社と六億円の会社とどのくらいの違いがあるかというと、そんなにありはしませんよ。ですから、私は、政治論は抜きにして、もう少し筋の通ったことでなくてはいかぬのではないかということを提起をしたいのです。だから、私どもとしては、いま佐藤君が言うように、五億ときめるということは、従来の政治的考慮からいうと、まあ抵抗があるから五億にきめたのだから、この次には三億にする、この次には一億にするという可能性を、一つの危険を持っておるというのが問題提起なんですけれども、同時にそれは五億円という根拠というのは何もありはせぬのですから、私どもはむしろこれは上場と非上場に分けたほうがいい、こういう判断を実は持っておるわけです。われわれが監査を強化しなければならぬという根本論理というのは、大衆株主の利益を守るということです。非上場会社は大衆株主はありません、上場してないのですから。なぜわれわれがこういう監査をやらなければならぬかという発想の原点に立てば、五億がいいか十億がいいかの問題ではなくて、上場がいいか非上場がいいか、こういう発想からの原点へ戻らなければならぬ、これが第二の私どもの提起しているポイントですから、どうぞそのように一ぺんお考えを願っておきたい。
○川島政府委員 いま上場がよいか非上場がよいかというようなことがございましたが、そういう問題についてわれわれも検討したことがございますので、一言御参考に申し上げておきたいと思います。
 御承知のように、上場会社の大部分は五億以上というような形になっておりますけれども、一億以下で上場という会社もございますし、五億以下もさがせば幾らもありますが、大部分が五億以上でございます。商法の立場といたしますと、資本金ではっきり区別するということが法律関係を明確にするということで好ましいわけでございます。上場されるかどうかということは、個々の会社と証券取引所との間の関係でございまして、任意に上場をやめるとか上場するとかいうことが起こり得るわけでございますので、そういうことによって会社の組織法が変わってくるということは、非常に不安定な法律関係を生ずるということになります。
 それからもう一つ、資本金五億といいますとかなりの大会社でございまして、たとえ非上場でありましても、その会社の業務の執行というものが社会に及ぼす影響というものは非常に大きいわけでございます。そういう会社を非上場なるがゆえに会計監査人の監査を行なわないということは適当ではなかろう、こういうようなことで、この案のような方針を立てたわけでございます。
○佐藤(観)委員 いつまでたっても見解は違うようでありますが、私の頭の中では、私見になりますけれども、公認会計士協会、公認会計士の発展というものはそれなりにある。それは私は当然監査専門業としてなるべきである。税理士は当然税務代行業務である。ですから私の頭の中では、税理士会と公認会計士協会とは別に頭の中で混乱していないので、私は将来を描いているわけです。修習所もつくったらどうだというような話も課長ともしているわけでございます、そう簡単ではないでしょうけれども。そういうわけで、頭の中では整理され、見通しがあるわけでありますが、現実には公認会計士協会と税理士会がきわめていま言ったような問題で見解の相違があるわけですね。いつまで言っても同じことの堂々めぐりになりますのでこれを今後も、私の議論が間違っているとは思っていないわけでありますが、いつまでたっても同じことを言っていてもしようがありませんので、時間がむだでありますから、先ほど民事局長からお話がありましたように、今後の税理士会税理士業務の拡大の問題あるいは公認会計士の今後のあり方の問題、こういったものも法務省としては実際にはこれは商法に関係してくることでありますから、今後も研究をしてもらう。私自身も今後も監視をしていきたい、こういうことで、特別利害関係の問題についてはとりあえずここまでにしたいと思うのです。
 あと、いわゆる企業会計原則の変更がからんでくるわけでありますが、これが継続性の原則が変わってくる、あるいは負債性引当金がきわめて大幅に認められるということで、今日まで粉飾決算だといわれているものが、これをなされますと、ほとんどとにかく粉飾ではなくなっちゃうわけなんですね。これを具体的例をあげ、しかもいろいろおかしいではないかということで論及をしてみたいと思うので、まだまだかなり時間がかかるものですから、法務委員会の慣例である午前中で終わるというのを、あまり大蔵委員会が出しゃばってきて変えることも何かと思いますので、きょうはこれまでにしたいと思うのであります。また火曜日お願いをいたします。
○大竹委員長代理 次回は、来たる五日午前十時理事会、午前十時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会