第071回国会 外務委員会 第12号
昭和四十八年四月十三日(金曜日)
    午前十時九分開議
 出席委員
   委員長 藤井 勝志君
   理事 石井  一君 理事 鯨岡 兵輔君
   理事 西銘 順治君 理事 岡田 春夫君
   理事 金子 満広君
      加藤 紘一君    竹内 黎一君
      原 健三郎君    深谷 隆司君
      山田 久就君    石野 久男君
      河上 民雄君    小川新一郎君
      安里積千代君    永末 英一君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
 出席政府委員
        防衛施設庁総務
        部長      河路  康君
        外務省アジア局
        長       吉田 健三君
        外務省アメリカ
        局長      大河原良雄君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   田中 秀穂君
        外務省経済協力
        局長      御巫 清尚君
        外務省条約局長 高島 益郎君
        外務省条約局外
        務参事官    松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      影井 梅夫君
        運輸政務次官  佐藤 文生君
        運輸省航空局次
        長       寺井 久美君
 委員外の出席者
        防衛施設庁施設
        部連絡調整官  奈良 義説君
        法務省刑事局刑
        事課長     根岸 重治君
        大蔵省国際金融
        局投資第一課長 瀬川 治久君
        外務委員会調査
        室長      亀倉 四郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十三日
 辞任         補欠選任
  近江巳記夫君     小川新一郎君
  永末 英一君     安里積千代君
同日
 辞任         補欠選任
  小川新一郎君     近江巳記夫君
  安里積千代君     永末 英一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決
 議第二千八百四十七号(XX VI)によつて
 採択された国際連合憲章の改正の批准について
 承認を求めるの件(条約第一号)
 アフリカ開発基金を設立する協定の締結につい
 て承認を求めるの件(条約第二号)
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
○藤井委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十一年十二月二十日に国際連合総会決議第二千八百四十七号(XX VI)によって採択された国際連合憲章の改正の批准について承認を求めるの件、アフリカ開発基金を設立する協定の締結について承認を求めるの件、以上両件を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子満広君。
○金子(満)委員 国連問題に入る前に、一つの問題について緊急に質問をしたいと思います。
 御承知のように、沖繩で米軍戦車によって日本の婦人が引き殺された事件が昨日午後起こりました。沖繩本島の金武村のアメリカの海兵隊訓練場で起きた事件であります。日本の婦人は安富祖ウシさん、七十三歳、これが犠牲になられたわけでありますが、現在この事件でだれがひき殺したか、その犯人はもちろんわかっていません。遺体の状態や死因についても不明でありますが、こうした事件は施政権返還後もたびたび起こっています。この一年足らずの間に日本人が殺された事件が三件あります。こうした状態についてわれわれは深く憂慮するだけでなくて憤りを覚えるわけですが、この安富祖さんがひき殺されたところは事実上黙認の立ち入り地域になっており、きのう十二日、この日は住民の草刈りを認める立ち入り日になっておった、こういうことが明らかになっておるわけでありますが、この点についての状況をどのように把握されておられるか、質問したいと思います。
○大平国務大臣 沖繩におきまして不幸な事件が起きまして、一人の婦人が犠牲になりましたこと、まことに哀惜にたえません。現地米軍より入手いたしましたところによりますと、事件の発生は四月十二日十五時十分ごろでございます。状況はタンク歩兵訓練中の事故であるということでございます。その訓練には海兵隊二個中隊が参加していたということでございます。被害の場所は同演習場の内か外か再度確認中であるということでございます。被害者は日本婦人でございまして、被害後陸軍病院にヘリコプターで搬送されましたが、同病院到着時にはすでに死亡されていたという知らせを受けております。
○金子(満)委員 沖繩の日本の警察側からは何の情報もとっておりませんか。
○大平国務大臣 日本側から私のところへはまだ届いておりません。
○金子(満)委員 事件が起きてから数時間も経過しているわけでありますが、遺体の状態も死因もわからない。まして米兵のだれが殺したか、その氏名もわからない。これは非常に重大な問題だと思うのです。日本政府、外務省がアメリカ側からだけの情報で事を済ませている。このこともまた非常に重大な問題だと思うのです。こういう事件が初めてではなくてたびたび沖繩では起こっておる。しかもこの演習は連日のように続けられている。ベトナム協定以後も沖繩では海兵隊の演習が露骨にやられ、住民の批判、反対を受けている、このことも事実であります。こうした中で起きた事件について、日本政府の側が米軍に対して、こういう事件を引き起こしたのですから、まず引き起こしたアメリカに対して、事実をまず明らかにさせる、このことが欠くことのできない重大な問題だと思うのです。
 質問いたしますが、この安富祖さんがひき殺された地点は、事実上の黙認地である。当日は草刈りをしていいという定例の日にきまっておった。このことについて、大臣、あなたは御存じですか。
○大平国務大臣 仰せのように事態の真相を正確に究明しなければならぬわけでございまして、そのことに当面努力しなければなりませんで、外務省といたしましてそういう手配をいたしておるところでございます。やがて政府委員が来着することと思いますが、それまでにはもっと正確な情報が御報告できると思いますが、仰せのように問題の事件でございまして、真相を正確に究明するところからまず始めなければならぬと考えております。
○金子(満)委員 沖繩は施政権が返還されたわけでありますから、直ちに徹底的な究明が日本政府の側によって行なわれなければならない、そういう性質の問題だと思うのです。同時にもう一つお伺いいたしますが、これは演習中のことであるのかないのか。その点についてはどうですか。
○大平国務大臣 大事なことでございまして、間違いなく真相を究明しなければなりませんので、それを確認中でございますので、しばらく時間をかしてもらいたいと思います。
○金子(満)委員 演習中かどうかという問題についてはどうですか。
○大平国務大臣 それも含めましていま究明中でございます。
○金子(満)委員 演習中、訓練中ということになりますと、公務中の事件としてこれは地位協定によって日本側に捜査権、裁判権というものがどうなるか、これは非常に重大な問題であり、制限されていることはそのとおりだと思うのです。しかし、事は日本人がひき殺されている。これは日本の主権にもかかわる問題です。日本政府がこの点について捜査の点から裁判の点に至るまで徹底的に究明しなければならない。私はこれを要求するわけですが、その点について大臣の所見を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 政府としてぞんざいに処置できる問題でございませんので、前提といたしまして事態の真相を正確に掌握することがまず第一だと思うのでございまして、御指摘を待つまでもなく、私どもといたしましては適正な措置をとらなければいかぬわけでございますので、その準備をいたしておるところでございます。
○金子(満)委員 調査をすると言いますけれども、現実に日本の婦人がひき殺されたという事実は、もうこれは確認しなくともわかっているわけです。こういう事態の中で、真相を究明し、事態を正確につかむということはあたりまえのことでありますが、こうした中でこのような事件が再び起こらないためにどのようなことをするか。私は米軍に対して日本政府の側から抗議をする、謝罪を要求する、そして正当な補償を要求していく、これはあたりまえのことだと思うのです。同時に捜査から裁判についても、日本側の主張を日本側でできるようにわれわれは要求していかなければならぬと思うのです。もともとこういう事件が起こるのは、米軍基地が存在するからだ。当然のことであります。安保条約があるから、そういう結果、こういう事態を引き起こしているんだ、このように考えます。繰り返しになりますが、アメリカ側に対する抗議と謝罪、そうして正当な補償を要求する、この点について政府はどのように考えているかお伺いしたいと思います。
○大平国務大臣 まず事態の真相を究明いたしまして、それに基づきまして、当然なこととして、日本政府として適正な措置をとるつもりでございます。
○金子(満)委員 それでは、抗議、謝罪、そして補償要求、これをやることを要求して、私は時間がありませんから次に移らせていただきます。
 国連の問題です。先日、わが党の柴田委員が質問をいたしたわけでありますが、そこで残された問題、大臣に対する質問がありますので、私がそれを受け継いで行ないたいと思います。
 問題は、WHOの加盟の問題でありますが、朝鮮民主主義人民共和国が加盟の申請をしておる、これは先日の質問でも出したわけですが、その前に、東ドイツが一九六八年に同じWHOで加盟を申請をしておる。六八年の国連総会では、日本政府はこれに反対をした。一九七〇年の総会で同じくこの東ドイツの問題が審議されましたが、結論を出さないまま延期になって今日に至っているのであります。ですから、三年間この問題はいわば一つの継続審議、こういう形になっているわけですが、ここに今度朝鮮民主主義人民共和国の加盟申請の問題が出ているわけであります。先日の委員会で政府側の答弁は、これに対して日本政府の側は慎重にやりたい、こういうことに答弁をされているわけですが、大臣、この点について当然賛成すべきであると思いますが、どうですか。
○影井政府委員 北鮮がWHOに加盟を申請しているわけでございますが、これを、WHOの任務と申しますか、その面だけから見ますれば、国際的な保健問題等を扱っている機関でございますから、なるべく世界の多くの国が入りまして、このWHOの事業が全世界的に行なわれるのが望ましいということは言えるかと思います。しかしながら、問題は、この保健機関の問題のみにとどまりませんで、朝鮮半島のこの分裂国家の片方が国際機関の中に加盟国としての何らかの地位を占めるということは、国際政治上におきまして、北鮮にとりまして非常に有利と申しますか、優位な地位を占めることになる。これがそのままことしの秋の国連総会におきます朝鮮問題の審議にも非常に大きな影響を与えることになる。したがいまして、本件は、世界保健機関というこの保健機関内部の問題にとどまりませんで、国際政治上に非常に大きな影響を与えることになる。そういう観点からいたしまして、本件を慎重に検討したいというのが、前回お答え申し上げた趣旨でございます。
○金子(満)委員 五月七日に会議が開かれるわけですが、もう一カ月ないのは御承知のとおりです。慎重、慎重で慎重になり切ってしまって、いつも政府側の答弁は、慎重にとか、努力するとか、検討するとか、こういうことばで終わってしまうのですが、これは非常にまずいと思うのですね。三年先、五年先なら、まだ慎重ということばもあるいは妥当かもしれませんけれども、いずれにしても五月七日ですから、まだここで慎重で、日本政府、外務省の腹が固まっていないということは、私はこれは重大な問題だと思うのです。
 それで、ひとつお聞きしますが、東ドイツについてはどのような態度をおとりになるつもりですか。
○影井政府委員 東ドイツの場合につきましては、これは御承知のとおり、東西両独が完全な合意に達しておりますので、東ドイツにつきましては、私どもこれを支持して差しつかえなかろうというふうに考えております。
○金子(満)委員 同じ問題で、東と西のドイツの問題がある。そうして北と南の朝鮮の問題がある。西ドイツもすでにWHOには加盟しておる。南朝鮮、いわゆる韓国もこれに加盟しておる。いまの答弁をそのまま発展させますと、ドイツの場合には、西ドイツが合意を与えているからよろしいんだということになりますと、朝鮮の場合には、いわゆる韓国が認めなければ日本は韓国と一緒になって反対する、こういう立場になると思いますが、政府の態度はそういうことですか。
○影井政府委員 朝鮮半島の問題を考えますときに私ども根本的に重要であろうと考えておりますことは、朝鮮半島の平和な状態、さらにそれが緊張緩和の方向に進むということが基本的に大事なことであろうと考えております。その意味におきまして、東西両独の場合とそれから朝鮮半島の場合と場合が違うというふうに判断をしている次第でございます。
○金子(満)委員 なかなか重大なことをあなたは平気でおっしゃるけれども、アジアの平和の状態、朝鮮半島の平和の状態、緊張緩和の状態ということから考えてということになりますと、朝鮮民主主義人民共和国がWHOに加盟するということは平和を乱すことになるのか、緊張を強化することになるのか、そういうように類推せざるを得なくなるわけです。私の解釈でいえば当然、このWH〇は、国連に非加盟の国であっても、そしてまた加盟している国の非政府組織あるいは社会団体でも当然、そこに一定の席を持つということが国連憲章の立場であり、またWHOの立場であると思うのです。ですから、もうすぐそこに五月七日が来ているのにまだ慎重検討で、左を見たり右を見たりやっているんでは、これは日本政府の立場というのは全く優柔不断だ。事態は非常に明白なんです。私は単純明快な問題だと思うのです。なぜ東ドイツの加盟を支持させるんだったら、朝鮮民主主義人民共和国の加盟をも支持できないのか、それとも日本政府が朝鮮民主主義人民共和国を敵視していて、これが緊張強化の原因だとでも思っているのか、これは全く解釈に苦しむところでありますが、平和の維持、緊張緩和というところから慎重に検討しているということであれば、その平和とか緊張緩和について朝鮮民主主義人民共和国が不都合なのか不都合でないのか、この点をもう一度答えていただきたいと思うのです。
○影井政府委員 WHOの事業の観点から見ます限り、これはなるべく加盟国がふえたほうが望ましいということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、本件は、WHOの事業だけの範囲にとどまる問題ではございませんで、これがそのまま南北朝鮮間の政治問題にどういう影響を与えるかということに直接結びつく問題であるという意味におきまして、これをWHOだけから見れば確かに望ましいけれども、しかし、それが同時に大きな国際政治上の問題であるという観点からも考えなければならない。その意味で、慎重に考慮しなければならないということを申し上げておるわけでございます。
○金子(満)委員 南北朝鮮の関係の問題と言われますけれども、南北朝鮮の問題は朝鮮人民自身の力で、また自主的な立場で解決をすることであって、日本政府が朝鮮に北と南があるからそれがああだこうだと言うのは、干渉になると思うのです。自主的な立場で判断をすればいいのであって、しかも先般の委員会では、日韓条約は北には及んでいない、あの協定は朝鮮における唯一合法の政府は韓国であるという立場をとっておっても、これは北には触れていないし、北には影響ないのだということをあなた方は言い切っておられるわけですから、こうした中で、当然朝鮮民主主義人民共和国のWHOに対する加盟については積極的に支持する、このことを要求して、時間が参りましたから私の質問を終わりたいと思います。
○藤井委員長 石野久男君。
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、先ほど金子委員からも質問のありました沖繩において日本婦人がひき殺されたということについてですが、このひき殺された場所は、新聞によれば各社とも全部住民の立ち入り黙認地であるというふうにいわれておりますが、その点は間違いないのですか。
○大河原(良)政府委員 昨日沖繩で起きました事故の現場は国頭郡金武村字金武岬原というところでございまして、国道三百二十九号線から約二キロメートル離れた場所で、さくはありませんが、近くには、米国海兵隊演習施設、米軍用地に無断立ち入りを禁止する、違反者は日本国法律により処罰される旨を、和英両文で記載された看板が立てられております。しかし、県民がちょくちょく出入りしている場所である、こういうふうに報告を受けております。
○石野委員 ちょくちょく出入りしているということは、黙認されているということと見て間違いありませんね。
○大河原(良)政府委員 当日行なわれました演習につきましては、四月の八日から十四日まで演習をするという通告が米側から施設局を通じまして行なわれております。しかしながら、従来も演習中にもかかわらずちょくちょく出入りは行なわれているという実情だというふうに聞いておるわけでございます。
○石野委員 大臣、これは演習中でもちょくちょく出入りしているところですから、この問題の一番重要な点は、もうすでにひき殺されたという事実がはっきりわかっているわけでありますから、これに対してどういうふうに対処するのかということだと思うのです。
 そこでお聞きしますが、十五時十分にひき殺されておるのですが、ヘリコプターが向こうへ着いたのは何時ですか。
○大河原(良)政府委員 日本側の警察の調べによりますと、事故の発生した時刻は四月十二日午後三時十五分ごろということでございまして、この事故が起きましてこの御婦人は米軍のヘリコプターによりましてキャンプ桑江内の病院に運び込まれたわけでございますけれども、病院に四時半ごろ運び込まれて、その際に機内において死亡しておった、こういうことだそうでございます。
○石野委員 大臣、これは三時十分から十五分のころに事故が起きて、ヘリコプターが向こうに行くのに一時間ばかりかかっておるわけですよ。この間ほうりっぱなしにされておるわけです。ここで大事なことは、殺人が確かに行なわれている、ところが、そういうように非常にぞんざいな扱いをされ、そしてそのあとで、この処置のあり方について政府がまだ明確な態度をとっていないことだと思うのです。
 時間があまりありませんが、大臣にひとつ聞いておきたいと思うのです。この問題について、裁判権なりあるいは捜査権というものを日本側ははっきりと持つ覚悟でアメリカに対処するのかどうか、この点について大臣の考え方をしっかり聞いておきたい。
○大河原(良)政府委員 先ほどの御答弁で私四時半ごろと申し上げましたのは、失礼いたしました。午後三時半ごろ、金武湾ブルービーチからキャンプ桑江の陸軍病院に収容されたが死亡した、こういうことを警察のほうに憲兵隊から通知があったということでございますので、四時半というのを訂正させていただきたいと思います。
 それから、ただいま御質問のございました裁判権の問題につきましては、なお実情を調査中でございますので、明確なことにつきまして申し上げるのを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、演習中であったという点から見まして、地位協定に基づいて第一次裁判権は米側にあるものと考えられますけれども、引き続いて関係当局ともよく相談しまして、この点を確かめてみたいと考えております。
○石野委員 演習中でもちょくちょくそこに出入りしていることは黙認されているわけですよ。そういう黙認されている事実があるとすれば、これは捜査するにあたってもあるいは裁判についても、地位協定の問題との関連から見ても、やはりこの問題についての日本側の裁判権なり捜査権というものを主張すべきではないか。また、こういうふうに人を殺すということはもうしばしば起きていることだし、ここでは宮里副知事が基地撤去こそが急務だということまでも言われているわけですから、こういう問題に対して日本側の人命尊重という立場で主張するということは正しいことだと思うのです。あまり紋切り型の対処のしかたをするということは、政府のやり方としてはアメリカに対して遠慮をし過ぎておると私たちは思わざるを得ない。これは政治的な判断として大臣がそういう腹をきめてかからなければ、沖繩の県民がほとんど自分の生命についての保障が与えられないと同じになります。ひとつ大臣の所見をこの際聞いておきたい。
○大平国務大臣 先ほど金子さんの御質疑にもお答え申し上げましたとおり、まず正確に事態を掌握することが第一だと思います。それを踏まえた上で適正な措置をやらなければならぬわけでございまして、アメリカに遠慮するとかいうようなつもりは毛頭ないわけでございまして、政府としては、政府の責任上正しい措置を講じてまいるつもりでございます。
○石野委員 この点は、いずれにしても沖繩県民の生命、財産の問題について、基地がある限りはいつもこういう不安にさらされていなければならない。しかも沖繩は返還されているわけですよ。そういう事態を十分考えるならば、従前とも違うのだから、やはり政府はあくまでも、こういうようにちょくちょく出入りすることが黙認されておる地域で行なわれておる以上は、訓練中であるとしても人の生命に対する主張だけは明確にすべきだと思います。その点はひとつしっかりと対処してもらいたい。そのことを特に私は大臣にお願いしておきたい。いいですか、大臣。
○大平国務大臣 事態の掌握を急ぎまして政府として適正な処置をすみやかにとるようにいたします。
○石野委員 この際、ちょっと先ほどの朝鮮問題についてでございますが、国連局長はアジアの平和あるいはまた朝鮮におけるところの諸問題についての扱いとして、南と北との考え方はドイツにおける西と東とは違うんだという話をしておりましたが、私はこの際、大臣にお聞きしておきたいのですよ。朝鮮における南と北とはいま統一の方向で共同声明もお互いに話し合いをしてその方向を進めておるわけなんです。日本の政府が朝鮮問題についてとる態度として、これは統一の方向へ指向させるように積極的に協力していく、こういう態度をとられておるのかどうか。あくまでもやはり国連局長も言っているように、南と話し合いをした上でなければ北の問題についてあるいは統一の問題については話をしていかないんだというような立場なのかどうか。国連局長の先ほどの答弁を聞いておると、どうもやはり韓国との間の話が進まなければ北のほうへは話の持っていきようもないんだというようなかまえがあるようです。この点大臣は基本的に南北の統一の問題についてどういうふうに考えておられるか、ひとつこの際所見を聞いておきたい。
○大平国務大臣 お尋ねの件につきましては、本委員会におきましてもすでに何回も申し上げておるわけでございます。すなわち去年の一月四日に始まりました南北の対話、これは南北朝鮮の自主的な統一を目ざしたものである、しかもそれは平和的な統一を目ざしたものであるということが内外に鮮明にされておるわけでございまして、私どももその対話が持たれたことを歓迎いたしますとともに、それが実のある成果を生んでまいりますことを心から願っておるわけでございます。したがって、自主的な統一を目ざすものであり、平和的な統一を目ざすものであるという南北のお話し合いの軸になっておる考え方、そういうものを尊重いたしまして、日本といたしましてはそれを少なくともじゃましないようにしなければならない、できればその話し合いの進展にお役に立つことがあればこれをやるにやぶさかでない、あくまでもそういう気持ちでおりますことはたびたび本委員会におきましても申し述べておるところでございます。
○石野委員 だとすれば、先ほどの国連局長の答弁の趣旨とはだいぶ違うじゃないですか。国連局長はそういう考え方では北を見ていない、共和国のほうを見てないのと違いますか。
○大平国務大臣 影井局長が申されたこともそういうラインで考えておるわけでございまして、考え方に二つはないわけでございます。問題は、WHO参加の問題はWHOだけのメンバーが拡大するということだけではなくて、南北のそういう自主的、平和的な話し合いが行なわれておる段階において提起された問題であるという認識を踏まえておるわけでございまして、したがって日本のとります態度が南北の統一のお話し合いの中にどういう影響を持つであろうかという点を十分日本として自主的に考えていかなければいかぬ立場でありまして、慎重に考えておるのでございますというのはそういう趣旨でございます。
○石野委員 時間があまりありませんが、やはり国連局長のWHOの問題についての考え方、先ほどの答弁からしますと、大臣の考えておる趣旨とはだいぶ違うようです。むしろ南のほうの態度を、それとの相談がなければ北への話は持ち込めないというふうにしか聞き取れない答弁です。この考え方の食い違いはやはり外務省の中での今後の対処のしかたについて大きな問題を起こすだろうと私は思います。これは国連局長のほうで大臣の趣旨は十分くんで、少なくとも五月七日という差し迫った時間に置かれておるわけですから、これはやはり態度を明確にしてほしい、このことをひとつ局長から考え方を聞かしてもらいたい。
○大平国務大臣 外務省は私がおあずかりしておるわけでございまして、外務省の中に二つの考えがあるわけではございませんで、それは私を御信頼いただきたいと思います。
○石野委員 とにかく時間的にも差し迫っている問題だから、これは対処することを大臣のことばを信じてこれで一応私はおきます。
 大臣の時間が、途中で抜けるそうですから、きょうはアフリカ開発基金の問題で大臣の所信をちょっと聞いておきたいのですが、このアフリカ基金を設定するにあたって、日本がもしこのアフリカ基金に参加しなかった場合には、あるいは日本とカナダが参加しなかった場合には、この基金の協定が成立しなくなるような条件にありますが、その点について、何かアフリカ基金についてカナダと日本との間には特別な申し合わせがありますか。
○大平国務大臣 そういうことはございません。
○石野委員 第五十六条の「効力発生」というところを見ますと、ここでは「五千五百万計算単位以上となる八の署名国がその批准書、受諾書又は承認書を寄託した日に効力を生ずる。」ことになっている。五千五百万計算単位の国が八つだという限定からいきますと、どう計算してみてもカナダと日本が参加しなければこれは効力を発生しないんですね。だからそんな約束がなくてもとにかくこの二つのどちらかが入らなければこの協定は成立できませんが、そういう点はあらかじめわかっているわけでしょう。
○御巫政府委員 御指摘のとおり第五十六条の規定はそうなっておりますが、そのために日本とカナダがそういうことでぜひとも成立させなければいけないというような話し合いをしておる事実はございません。
○石野委員 話し合いはしてないけれども、二つがもし何かの事情によって本年末までにこの協定に参加することができなければこの基金協定は成立しなくなるということは事実ですね。
○御巫政府委員 御指摘のとおりでございます。
○石野委員 大臣、こういうような事情のもとでこの協定が行なわれるわけですが、やはりそれは何か話し合いがなかったらかいもく協定自身がくずれてしまいますが、そういう点については何も話してないのですか。
○松永政府委員 ちょっと補足させていただきますが、カナダにつきましてはすでにこの受諾書を寄託する国内的な準備が完了しているというふうに私どもは承知いたしております。したがって、いつでも受諾書を寄託できるという状況にあるものと承知いたしております。
○石野委員 だとするならば、日本はこの協定に入らなくてもいいのですね。
○大平国務大臣 私ども酔狂で国会の御承認をお願いをしておるわけではないわけでございまして、そういう熱意をもちまして御審議を願っておりますので、御協力を願いたいと思います。
○石野委員 協力するしないは別として、協定上の問題からいえば日本はこれに入らなくてももう協定は成立するわけだから、急いで日本がそれにあれこれ協議を進めるという必要もないということにもなってきますが、そういうふうに考えていいのですか。
○大平国務大臣 一日も早く御承認をいただきたい一心でございます。
○石野委員 アフリカ銀行の構成国は何カ国からなっているのですか。
○御巫政府委員 構成国は三十六カ国でございます。
○石野委員 この三十六カ国の中には、今度参加国として入ります協約国は、これはみな全部入っているわけですか。
○御巫政府委員 アフリカ開発銀行というのがこの構成国を代表してこの基金のほうに入っておるという形になっております。
○石野委員 だから、アフリカ開発銀行は構成国を代表しているのだから、その他のベルギー、ブラジル、あとの十五カ国というのは全部これはその構成国の中に入っているのですかと聞いているのです。
○御巫政府委員 協定上、参加者というのと構成国というのが分けて書いてございますが、ベルギー以下は参加者と申しますか、参加国と申しますか、そういうことになっておるわけでございます。
○石野委員 そうするとアフリカ開発銀行は、これら参加国が全部銀行の構成国になっているとすれば、参加国は二重の形でこの基金に参加するということになるわけですね。
○御巫政府委員 アフリカ開発銀行にはアフリカの諸国が構成国となっておるわけでございまして、開発基金の参加国とアフリカ銀行の構成国とは区別されておるわけでございます。
○石野委員 このアフリカ開発基金として、第二章の目的を達成するために所要の資金というのは大体どのくらいを見込んでこの基金は設定されておるのですか。
○御巫政府委員 大体の所要額として考えられておりますのは、最初の三年間にかれこれ約一億ドル程度というふうに予想しておるわけでございます。
○石野委員 基金発足のために必要とされる五千五百万計算単位というのは、その所要の金との関係ではどの程度の重要性を持っておるのですか。
○御巫政府委員 その所要のお金のほぼ半分か、あるいは六割程度のものが集まればまず基金を発足させよう、そういう考え方に立っております。
○石野委員 第六条に出資のことが書かれておりますが、ここで「附属書Aにおいてそれぞれの国名に対応して掲げる額とし、計算単位で表示され、また、自由交換可能通貨で払い込まれる。」と、こうあります。この計算単位で表示されるということは、現実に出資の場合、第一条の規定にあります純金の相当額を払い込むこととは違うわけですか。
○御巫政府委員 表示されるだけでございまして、金を払い込むという趣旨ではございません。
○石野委員 そうすると、第一条の規定にこういう形が出ておりますけれども、出資としては自由交換通貨というもので払い込み、それが表示される、こういうふうに読み取っていいわけですね。
○御巫政府委員 御指摘のとおりでございます。
○石野委員 五十四条の最終決定は本年末までであって、その間署名については開放されている、それから批准書、受諾書、承認書ともにそういうふうになっておって、場合によっては六カ月間延期されるというんですが、とにかく本年末までには出資しなきゃいかぬ。その当初出資について「自由交換可能通貨で払い込まれる。」となっておりますが、第一条で、自由交換可能通貨ということは基金が認めたものであると、こういうように書かれておるわけです。今日のように非常に金に対する、各国の通貨が大激動しているときに、特にIMFがそれの本来の機能を喪失しているこういうときに、基金はどういうふうにしてこの自由交換通貨というものを認定するのかということが非常に問題になると思うのです。また自由交換通貨と計算単位との基本的な関係をどのように見ているか、これは非常に大事だと思いますが、この点についてひとつ説明してほしい。
○御巫政府委員 協定の十二条に「通貨の価値の決定」という章がございまして、「いずれかの通貨の価値を他の通貨又は計算単位で決定することがこの協定の下で必要とされる場合には、その価値の決定は、基金が」、このアフリカ開発基金が、「国際通貨基金と協議したうえで合理的に行なう。」という規定に基づいて決定されることになると存じます。
○石野委員 それはわかっているんです。だから、自由交換可能通貨と、計算単位と第一条で書かれております、この計算単位との基本的な関係というものをどういうふうなところに置くのかということを聞いているのです。
○瀬川説明員 ただいまの御質問でございますが、アフリカ開発基金の協定におきます計算単位と申しますのは、スミソニアン体制における米ドルの価値と同じでございます。すなわち金一オンス三十八ドルという米ドルの価値と同じになっております。三十八ドルの米ドルの価値と同じ価値の計算単位となっております。そこで、アフリカ開発銀行やアフリカ開発基金あるいは世銀、ADB、そういう場合におきましても、元来そういうふうな銀行の計算単位という名称は使っておりませんけれども、たとえば一オンス三十五ドルの金の価値を有する米ドルという形で、金の価値と結びついた形の単位をとっております。したがいまして、たとえば世銀やADBの場合には、かなり以前の協定になっておりますから、一オンス三十五ドルになっております。アフリカ基金の場合は、新しい協定でございますので、これは三十八ドルになっております。したがいまして、その計算単位から考えますと、たとえば現在の米ドルは一体幾らになるかといいますと、一オンス四十二ドルの金の価値になっておりますから、米ドルと金の価値は変わってきておりますから、よけい出さなければならぬことになっております。
 自由交換可能性の問題につきましても、それぞれ世銀においてもADBにおいても自由交換可能性という形でやっておりますし、それぞれIMFと協議して問題がありますときには判断するという形になっております。アフリカ開発基金の場合にも、実際われわれが協定を作成する段階におきまして、やはり円も自由交換可能通貨だというふうな考え方でまいっておりますし、これの相場をどういうふうにしますかということになりますと、旧スミソニアン・ドルに対する相場、そういう形でいかざるを得ないと思います。
 以上でございます。
○石野委員 十五条の七項で「基金は、開発のための健全な銀行経営の原則をその業務の指針とする。」とありますけれども、この意味はどういうことですか。
○御巫政府委員 「開発のための健全な銀行経営の原則」といいますのは、結局、基金は一つの金融の機関でございますから、通常の銀行を経営いたしますと同様に、融資の安全性、それから金融の効率性等のそういった原則を重視して基金としての信用を高いところに維持しておくということが必要でありますが、ただ、同時に、この基金は開発のための金融機関でございますので、単に利潤を追求していくというような精神でいくべきものではなくて、開発の目的の達成を使命として経営を行なっていく、こういうことをさして申したものと存じます。
○石野委員 そうすると、これは一面では普通金融機関としての基金の持っている意味を踏んまえながら、第二条規定のいわゆる目的達成のために、もうからない場合でもやる、こういうふうに理解していいわけですね。
○御巫政府委員 そのように理解しております。
○石野委員 計算単位として設定されたこの〇・八一八五一二六五グラムの算出は、いまお話があったように、三十八ドル単位で計算した金の純量でございますね。
○瀬川説明員 御説のとおりでございます。その金の価値を有するものを一計算単位と呼んでおります。
○石野委員 この際、計算単位というものをこの協定の中で持ち出してきたという意味はどういうことなんですか。
○瀬川説明員 これはADBとか世銀の場合はこういうことばを用いておりませんけれども、アフリカ開発銀行の場合には、銀行自体がやはり旧ドル――一番最初のドルでございますが、一オンス三十五ドルの時代にできているわけでございますが、やはり計算単位ということばを使いまして、米ドルということばは使っておりません。今回の基金の場合には、一オンス三十八ドルの米ドルと同じような金の価値を有するものという形の計算単位になっておりますが、それはアフリカ開発銀行が計算単位という呼称を使い、それにならったものだと考えております。ドルという名前を使わないで計算単位という呼び方を使っておりますけれども、これはわれわれは呼称の問題というふうに理解しております。
○石野委員 では、呼称の問題ということであれば、ドルという名前を使ったほうがよさそうだと思うのだけれども、なぜドルということばを使わないのですか。
○瀬川説明員 現在ドルは非常に相場が変わってきておりますが、アフリカ開発銀行自体がそういうふうな規定をつくったときに計算単位ということばをなぜ用いたかという事情はよくわかりませんけれども、われわれといたしましては、誤解の少ない計算単位ということばを用いまして、全体の計算の価値を明らかにしていくということについてはこれでけっこうであるというふうな考えを持っております。
○石野委員 いまドルの問題、そういう話ですが、附属書Aには「これらの国については、千五百万アメリカ合衆国ドル以上の出資を千九百七十三年十二月三十一日後に行なう場合においても、千九百七十四年十二月三十一日までにこの協定に署名しかつこれを批准するときは、原参加者とみなす。」こうあるのですよ。ここにはちゃんと米ドルが出ておるのですよ。そうすると、何でこんなところに米ドルを持ってきたのですか。
○松永政府委員 附属書Aの一項の第二段でございますが、この規定は実はアメリカのことを考えて入れた規定でございます。すなわち、アメリカにつきましては、これも前に御説明申し上げていると思いますけれども、アメリカの国内事情によって、この協定に署名するときに参加いたしておりません。しかし、アメリカとしてはこれに参加する用意を表明しております。アメリカが参加いたします場合に、アメリカとしてはこの当時におきましては千五百万ドル以上の出資を予定いたしておりましたので、その関係からこの条項が入った、こういうふうに了解しております。
○石野委員 先ほど、この基金を発足させるにあたって、五千五百万計算単位というのは、所要の半分ないしは六割程度のものが集まれば大体機能の達成はできる、こういうような話がありました。それで、ことさらにこの発足の前に、現在参加していないアメリカを入れるというようなことを附属書の中へこういうふうに書き、そしてまたそこに米ドルが出てきているのであれば、何もこういう第一条の「計算単位」を出さなくとも、むしろあとから参加するアメリカに対してこの「計算単位」を適用するようなたてまえでいくのが正しいんじゃないですか。どういうわけですか。
○瀬川説明員 実際にはお説のとおりだと思います。この数字がむしろ「計算単位」という形になっておりますれば、各国との関係という形が一番明らかになるわけでございます。
 ただ、実際問題といたしまして、この千五百万ドルという数字が入りました時代におきましては、米国も、一番多く出しておりますカナダと同じぐらいの金額を出したいというふうな意向も内々にございましたし、それを受けて千五百万ドルと――特にそれは「計算単位」ということを申しておりませんので、そういう形になっております。
○石野委員 協定の中に便宜主義が入っては困るんじゃないですかね、率直に言って。協定というのは、各国をお互いに規制する基本的な考え方をここで出しているのだと思うのです。
 しかも、アメリカは現在、原参加国にもなっていないわけですね。これは将来入るという希望があるという話ですが、むしろこれは米ドルということじゃなしに、「計算単位」で出すほうが正しいのではありませんか。
○瀬川説明員 実際にアメリカがこれに加盟いたしますときには、その出資の金額は「計算単位」になります。ただ、これにありますように、「千五百万アメリカ合衆国ドル以上の出資」という形の規定になっておりまして、ほかの参加者に当初出資の金額が定めてありますが、これは次の額を出資するという形で固定されております。したがいまして、米国が実際に参加いたしますときに、「千五百万アメリカ合衆国ドル以上の出資」ということでありますけれども、米国の出資額が実際にきまるときには、これは「計算単位」の金額になると考えております。
○石野委員 いまの説明によると、この「千五百万アメリカ合衆国ドル以上の出資」ということは、何かアメリカの出資のことをいっているようですけれども、しかしこの附属書1の文面からいきますと、「これらの国については、」とこう書いて、前段を受けているわけですよ。「これらの国については、」「行なう場合においても、」とこうあるわけです。その中にはアメリカは入っていないのでしょう。これはどういうことなんですか。
○松永政府委員 入っております。
○石野委員 わかりました。
 そうすると、その他のアメリカ合衆国以外の国について、しかもこれはほとんど原参加国がここに並べられてあるわけですよね。それはどういう意味なんですか。
○瀬川説明員 これは、原参加者となる国がこの協定に署名しかつこれを批准するというときに原参加者とするという規定は、原参加者の規定が本文自体にあるわけです。ただ、若干の国がおくれるということになりました場合に、その国がおくれても少ない金額で入ってもらったら困る、やはりおくれる以上は大きな金額を出してほしいというふうな考え方が背景にあって、各国がこういうように主張したものだと思います。
○石野委員 そうするとおくれた場合は、たとえばスイスとかスウェーデンというのは、みな千五百万アメリカ合衆国ドル以上を出さないと入れないことになりますね。
○瀬川説明員 お説のとおり、そういう国はそれ以上出さなければ原参加国としての資格は失うことになります。
○石野委員 きょう現在におけるところの金の相場は幾らしておるのですか。
○瀬川説明員 現在ここに資料を持ち合わせておりませんので、あらためて調べまして御報告申し上げます。
○石野委員 およそ幾らぐらいになっておるかね。
○瀬川説明員 その点の担当でございませんので詳しくは存じませんが、九十ドル見当かと存じております。
○石野委員 九十ドルということになりますと、一オンス三十八ドルから見ればこれはものすごい値下がりですね。その値下がりをした米ドルがここで附属書の一つの条件になってきている。片方、「計算単位」は三十八ドルを基準にしたものになっている。ところが先般は、ドルはもう四十二ドルの計算になっているわけですね。四十二ドルが九十ドルになってきますと、半値以下になってしまってきている。こういう関係のもとで、この米ドルというものを少なくとも協定の中へ入れ込むこと自体問題があるのじゃないかというふうに私は思うのだが、政府はどういうふうに考えますか。
○御巫政府委員 最近の国際通貨情勢の結果、御指摘のような事態が生じているかとも存じますが、この協定を実際に討議しております時点では、アメリカは、もし参加する場合にはカナダと同様最高の分担をして入りたいというような意向も示しておったのでございまして、結果的には、その後の情勢の変化で、ここに「ドル」という字が入ってくると非常にぐあいが悪いような感じを与えていることは、確かに御指摘のとおりだと思います。
○石野委員 「計算単位」が純金〇・八一八五グラム、三十八ドルで計算されておりますね。そうすると、現在金の相場は三分の一ですよ。そうすると、この千五百万米ドルというのは三分の一の値打ちしかないわけですね。こういう不安定なものを協定の中に入れておくこと自体問題があります。これはあとでもう一ぺんまた詰めなくちゃいけないと思うし、政府も考えなくちゃいけないのではないか。私は、このままこういう米ドルを協定条文の中に入れておくことで協定の意味がなくなるのじゃないかということを指摘したいのです。これは大臣にもお聞きしますが、協定をつくるのにこんな不安定要素を協定文の中に書いておいていいものなんだろうかどうなんだろうか、これはひとつ大臣の所見も聞いておきたい。
○大平国務大臣 的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、現在、世界におきまして基軸通貨で価値の安定を誇っておりましたドルが衰退いたしまして、御指摘のような状況にありますことは御案内のとおりでございます。しかし、それならそれにかわる基軸通貨がオールタナティブとしてあるかというと、ないわけでございます。したがって、世界の通貨政策におきましてこのドルの信認をどう回復していくかということで、アメリカはじめ各国が苦心をいたしておる状況でございます。世の中不完全なものばかりが集まってやっておる世界でございますので、石野さんのおっしゃるようにちゃんとした変わらない価値基準というものが通用しておればけっこうなんですけれども、そうでない現実を踏まえて、しかも仕事はしなければならぬ、開発は進めなければならぬ、そして国際的なアフリカの開発ということにアメリカをはじめ各国の協力も求めなければならぬという現実の必要が生んだ妥協であると思うのでございます。御指摘の点重々わかりますけれども、そういった点についての御理解もいただきまして御協力を願いたいと思います。
○石野委員 大臣はこの協定文を読んでないのと違うのですか。大臣がいまおっしゃるようなそういう状況に適応するようにちゃんと計算単位をきめているのですよ。これは不安定じゃないです。ちゃんと固定した金のグラムを出しておるわけです。そんな不安定な米ドルなんというものを協定の中に書くことがおかしいじゃないかと言っておるのです。こんなものははずしたらいいじゃないですか。その点大臣にお聞きします。米ドルなんて不安定だ。だけども第一条の規定ではちゃんと純金の量目まで出ておるのですから、これは出すのが一番はっきりしておるのですよ。
○大平国務大臣 だから先ほど、そういう不安定な通貨情勢の中でアフリカの開発は進めなければならぬ、アメリカをはじめ多くの国の参加を求めなければならないという現実の必要が生んだ妥協だということを私は申し上げたつもりでございます。
○石野委員 妥協であっても妥協はまた別のところで妥協をしてくれたらいいんだ。協定文の中で妥協する必要はないということなんです。これは計算単位であらわしたらいいんだということを言っておるのですよ。そうじゃないですか。
○松永政府委員 ただいま御指摘がございましたように、この協定上は出資額は計算単位で表示されるということになっております。附属書Aの第一項に出てまいります千五百万アメリカ合衆国ドル、これがすなわち計算単位で、そのときの相場によって算出されてまいりますところの出資の額が合衆国ドルに直して千五百万ドル以上の場合は、これこれの要件を満たせば原参加国になるというだけの規定だと思っております。
○石野委員 米ドルはどんどん動いているのですよ。いいほうへ動いているのじゃなくて悪いほうへ動いている。悪いほうへ動いているものを何でここへ書かなければならぬのか、それを聞いているのです。時間がなくなるから、その問題はもう一ぺんよく検討してあとで答弁してもらいたいと思う。このままじゃちょっと承諾できない。
 そこで、本年度予算の中にアフリカ開発基金への参加に伴う措置としてどのくらいの予算を組んでいるのですか。
○瀬川説明員 協定によりまして、現金ではなくて国債による出資が認められております。したがいまして、四十八年度の予算には現金予算としてはアフリカ開発基金というような事項を起こしておりませんが、別途特別措置法をつくりまして、その特別措置法によりまして千五百万計算単位に相当する金額の範囲内で本邦通貨により出資することができるということとともに、これを国債で出資することができるという規定を設けまして、交付国債で相手に渡すという形になっております。
○石野委員 アフリカ開発基金への参加に伴う措置に関する法律案でそのことを一応出されておりますね。アフリカ基金の協定の中では、いわゆる交換可能通貨でできることになっているわけなのですが、なぜこの措置に関する法律案では、「本邦通貨により出資することができる。」というようにして、「基金に出資する本邦通貨に代えて、その全部又は一部を国債で出資することができる。」ということにしたのか。こういうようにしたことの何かメリットがあるのですか。どういう意味でこういうようにしたのですか。そこのところを説明してください。
○瀬川説明員 まず第一に本邦通貨という形で限定いたしておりますのは、日本が八条国に加盟いたしましたあと、アジア開銀にも加盟いたしたわけでございますが、その際にも自国通貨で出すという形を明確にいたしまして、日本の通貨も自由交換可能性通貨でございますから、この自由交換可能通貨で出資するというときに、日本の通貨で払い込みをするという形になっておるわけでございます。
 実際のメリットから申しますと、こういう基金へ出資いたします場合には、譲渡禁止で無利子の国債で支払うのでございますが、実際の業務が進展するに応じましてその通貨を必要とする場合に、向こうが要求してきましてそれをこちらが買い取って支払ってやるという形になります。したがいまして、現金を出す場合には、われわれは実際の業務の発展の経過に応じて本邦通貨によって支払うことができるという形のメリットがある。先ほど申しましたわが国の通貨が自由交換可能性通貨であるという趣旨に基づきましてこういう形になっております。
○石野委員 問題があるのですが、もう時間がありませんので、私はあとでもう一度質問させていただきます。
 ぜひ政府から資料を出してもらいたいと思うのですが、今度このアフリカ開発基金については、国債で出すので予算には組んでないというのですけれども、ここで出てくる問題は、一オンス三十八ドルの計算のものが現在四十二ドルになっている。ところが米ドルは実際には九十ドルまで落ちている。こういう実情からしますと、予算設定の上での円換算においては差額がたくさん出てきていると思うのです。そこで私は、米ドルで払う約束になっている、ここにいろいろな予算上の問題があると思います。たとえばこの国際整理基金特別会計に一般会計から入れておる七千四十五億、外為会計に特別会計で出ておる千八百二十一億、あるいは産業投資特別会計で出ております二百九十七億とか、あるいは経済協力費としての百二十八億、特殊対外債務処理の二百六億、アジア開発銀行に対する二十六億、あるいは沖繩協定に基づく支払い分としての百六十九億、それから国連の分担金だ、やれガリオア、エロアだとか、あるいはそれの一括支払いとか、各種対外支払いのロイアルティーの問題、こういうふうにやはりドル換算で予算の中に組み込まれておるものはたくさんあると思います。また政府がドルで与えておるところの借款の問題、こういうものがたくさんあると思うのです。そういう問題について予算で設定されておるものと、それから今日の米ドルの値打ちで計算されたものとの差額がどういうふうになっているか、それを資料でひとつ出してもらいたいと思います。時間がだいぶ食い込んでしまいましたからこれでおきますが、この資料は出していただけますか。
○瀬川説明員 実際に計算が可能かどうか、持ち帰ってみまして、よく相談した上で御報告したいと思います。
○石野委員 これは計算できるかどうかじゃなくて、おそらく予算の中には対外支払いをドルで支払うものについてのやはり計算の単位があると思うのですよ。やはりそれを四十二ドルで計算しておるのか、何ドルで計算しているのかわかりませんがね。大体スミソニアン体制のそのなにで計算しているのだろうと思います。そうだとしますと、現状やはり米ドルが非常に値打ちが下がっているという形になれば、実質支払うときは違ってくるはずですね。だから予算上の差額がたくさん出てくるはずですよ。そういうものは計算できるはずですから、これは計算出してほしいのです。だからそれはぜひひとつ資料として私はお願いしたい。
 委員長、それは政府に対して出させてもらえますか。政府にひとつ約束だけしておいてもらいたい、ほうりっぱなしにされちゃうと困るから。
○瀬川説明員 非常に広範なあれを示されておりますので、私自身それについて十分な内容を存じませんので、ここでそれが出せるかどうか、ちょっとお約束できませんです、申しわけありませんですが。
○石野委員 大臣、ちょっとこの点は――いま大蔵関係と外務関係とは違うかもしれませんが、条約に関連してこういう問題が出てきているわけでありますから、しかも、対外支払いというとほとんど外務省が関係すると思うのです。やはりこれは必要だと思いますので、この計算はひとつ試算出してほしいと思うのです。この資料を大臣、責任を持ってひとつ出してくれるように言ってほしい。どうですか。
○大平国務大臣 この予算は三百八円基準でできた予算でございます。ところがその後円がフロートいたしまして、現実の対外支払いはいまのフロートの相場でやりまして、その差額は国庫に回収する仕組みになっておるわけでございます。
 あなたの御要求の資料は、そういう対外支払いのあらゆる項目を全部出せ、そして現実に対外支払いとの差額がどれだけ出るかということでございますね。――これは出ないはずがないと思いますから、大蔵省のほうへ私のほうからもお話しいたします。
○松永政府委員 先ほどのお尋ねの件についてお答えいたします。
 米ドルの件でございますが、この規定が入りましたときの経緯及び協定の関係、条項との関係につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。
 ここで米ドルという表示が出てきたのは不都合ではないかという御指摘がございましたけれども、これは協定実施上は、先ほど申しましたように、出資額というものは全部計算単位で出てくるわけでございます。
 それで、ここに出てきます国がこういう条件で批准するという状況になりましたときに、その国がいかなる額の出資額、すなわち計算単位による出資を行なうかということが、その時点において実はきまるわけでございます。したがいまして、ここで米ドルと出てきますのは、あるいはほかの通貨が出てきてもよろしいわけでございまして、ここで計算単位というのが出てきても差しつかえはないわけでございますけれども、ドルというものが出てきたがために協定実施上支障が出てくるというものではないと存じます。
○石野委員 それは政府側の答弁が、あなた方の身がってな答弁で、客観的にいえば米ドルはきわめて不安定なんですよ。日々動いているわけでしょう。いいほうへ動いているならいいけれども、悪いほうへ動いているのですよ。悪いほうへ動いているという現実があるのに、この案をつくったときはともかくも、現状はこういう、われわれがいまこれを承認したりあるいは批准しなくちゃならぬ段階で、非常に不安定なものを何でこんなところに置かなければならぬかということですよ。はずすべきですよ。だからそういう点、ぼくは時間が、あとの質問者の時間に食い込んでおるので、おろおろしておるわけですからね。
○御巫政府委員 石野先生御指摘の点はよく了解できるところでございますが、この協定自身を討議しております時点におきましては、そういった不安が必ずしも明白ではなかった。それから、その時点におきましては、ここに計算単位で明示しております参加者以外の国も、つまりアメリカも最高の額を拠出する用意があるということを申しておりました次第でございますし、この拠出その他の今後の実行上の問題につきまして、御指摘のような趣旨に沿うようにひとつ厳重に私どもも努力を続けてまいる所存でございまして、ここにこの規定が入りましたことはあるいは現時点で必ずしも適当でないのかもしれませんが、その当時はこれでみな信用しておるし、その後にカナダその他もこの規定を含んだこれを承諾しておるという事態もございますので、日本が一国でこれをいまさら直すということも困難かと存じますので、御了承いただきたいと思います。
○石野委員 これはもう時間がないからあれだけれども、そういう答弁をするようになるとこれはまた聞かなければならぬのだよ。ここへ出ておる千五百万米ドルというやつは、その当時でいえばスミソニアン体制のなにで、一オンス三十八ドル、その計算なんです。ところがいまでいきますと、計算単位、ここでは全部そのオンス三十八ドルで計算しておるけれども、現状でいけばオンス九十二ドルですよ。そうすると、最高の額をきめた千五百万計算単位というものは、この計算単位でいけば五百万計算単位になるのですよ。全然意味が違ってくるのですよ。全然違っちゃうのです。だからこれはやはり考え直さなければ、この米ドル表示というものは考え直さないと、本来の協定の趣旨は達成されないですよ。先ほど追加参加国といいますか、原参加国になるのには最高額ということであらかじめ予定されておる。三百万計算単位のものを千五百万計算単位まで入れなければスイスは加入させませんよというのがこの附属書なんですよ。ところが、それは現状でいけば五百万でいいのでしょう。意味が違ってくるのですよ。ですから、このままちょっと通せないと思う。情勢が違う。たとえばこれが成立する段階で、米ドルが元の三十八ドルにまで価値の上昇があるという見通しがあるなら別ですよ。いま見通しどころか、ますます悪くなっていくのですよ。そういうものを国が条約を締結するにあたって認められますか。
○瀬川説明員 現在、金の市場価値は一トロイオンスが十二日に九十一ドルあるいは九十ドル九十セントですか、そういう形になっていると聞いておりますが、この協定におきます一計算単位は、その金の価値を有するということは、この市場の相場が採用できるということではございません。やはりIMFに協議しまして、その通貨の金の価値を決定するということでございまして、先ほども申しましたとおり、現在ですと、米ドルはむしろ一オンス四十二ドルの価値という形になるものと考えております。日本の円もやはり市場価値という形ではなくて、IMFとの協議に基づきましてこの基金が決定する価値で換算相場を決定するという形になると思います。
 以上申し上げておきます。
○石野委員 そういうことを言い出すと、IMF計算でいま三十八ドルあるいは四十二ドルだ。一オンス四十二ドルの計算で物が買えるのですか。オンス九十一ドル何ぼというような相場になってしまっているのですよ。物の売買はやはりその相場で売買されるわけじゃないのですか。開発するときにはそういうもので物を買わなければ買えないのと違うのですか。そんな器用なまねができるのか。値打ちの下がったドルでたくさんのものを買えますか。
○瀬川説明員 現在の問題は、出資の金額を計算単位できめるということだと承知いたしておりますが、その計算単位といいますのは、先ほど申しましたように、IMFとの協議に基づいてどういう形にするというふうに理解しております。
○石野委員 計算単位のほうはわかっているのだ。米ドルが問題だと言うのだ、米ドルが出ているから。計算単位は純金でちゃんと計算しているのだから、これはそれが基準になっているのだから、わかっているのだけれども、米ドルがこの協定の中に入ってきているから私が問題にしているのだから、そこをはっきり解明しなければいけないのじゃないかということを言っているのです。これはいいです。あとでもう一ぺん質問させていただきます。
    ―――――――――――――
○藤井委員長 条約の審査はこの程度にとどめ、次に、国際情勢に関する件につき調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
○河上委員 私に与えられました時間も少なくなっておりますので、時間を守る意味で、ほんの一つ、二つお尋ねをしたいと思います。
 まず、先ほど来石野委員あるいは金子委員からも御質問がございました沖繩における非常に不幸な事件でございますけれども、これにつきましては、すでに両委員から詳しく御質問がありましたので、私は一言だけ大臣に要望をしておきたいと思うのでございます。
 あの事件の場所、また状況から、基地協定との関係があり、事情を十分に調べて的確に把握してから行動したいということでございますけれども、しかし、いま沖繩のわれわれの同胞が、特に一人の年とった御婦人が、その生命を失っているわけでございますので、もう何も言えなくなった一人の御老人にかわって、無告の民にかわって、政府はアメリカに対し、また沖繩在留の米軍に対して、抗議の意味をもって、断固たる交渉をやっていただきたい。私はこのことを一言だけ強くお願いをしたいのでございます。大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 仰せのように、一人のとうとい生命がそこなわれたことは、厳然たる事実でございます。したがいまして、この問題の処理は、正確に事態を把握して、それを踏まえた上で、政府としては正当な措置を講じなければならぬわけでございます。まず事態を完全に把握しなければならぬと申し上げておりますのは、生命が大事でございますから、また、対米折衝にあたりましても遺漏のないようにいたさなければならない趣旨で、申し上げております。
 御趣旨はよく体して処置するつもりです。
○河上委員 全国民がいま大平外務大臣の行動を注目していると思いますので、そのことを踏まえて行動されることを強く希望いたしたいと思います。
 時間が非常に限られておりますので、あと一つだけ御質問いたしまして、残りのことはまた後の機会に質問の時間を与えられたいと思いますが、いまエカフェ総会が行なわれておりまして、大臣も非常に御苦労なさっておりますが、その席上、北ベトナムを迎え入れるべきだと提案をされたのでありますけれども、当然、アジアにおける分裂国家として朝鮮民主主義人民共和国の問題があるわけでございます。WHOの問題が先ほど来問題になっておりますが、エカフェにつきましても、朝鮮民主主義人民共和国を迎え入れるべきだという問題につきまして、大臣はどうお考えになるか。また、これはまだはっきりとした確認をいたしておりませんけれども、朝鮮の共和国のほうから、エカフェに対してもWHOと同時に加盟の申請がなされたという情報も、未確認ではございますけれども、私どもは手にしておるわけでございますが、そうした問題がこの総会でどこかの国から提案せられるというような事態が起きました場合には、日本政府としてはどうされますか。そのことをひとつ承りたい。
○大平国務大臣 エカフェは、アジア全域に及ぶ地域協力機構といたしまして、世界最大のものでございます。したがって、広くアジアの国々がこれに参加することは、本来望ましいことでございます。したがって、それ自体といたしまして、WHOの場合において申し上げたように、われわれはWHOを考え、エカフェの機能を考えてまいりました場合に、より多くの国が参加することは望ましいことであると考えております。ただ、そのことがほかの問題にどういう影響を及ぼすものかということを十分踏まえておくことも同時にまた大切なことと思っておるわけでございまして、したがってそういう事態は、加盟申請がなされたかどうか私はまだ存じておりませんけれども、そういう事態になりました場合におきましても、WHOにおいて申し上げましたとおり、私どもといたしましては諸般のそういった事情を十分勘案して慎重に対処しなければならぬと思っております。
○河上委員 私は、WHOの場合も日本はどういうふうな態度をとられるか先ほど来あまりはっきりいたさないのでありますけれども、日本政府の態度いかんにかかわらず、朝鮮民主主義人民共和国の加盟が認められる可能性があると思います。そういう事態が起きた場合に、いまのところまだ態度は未決定ということでございますが、WHOの場合もう五月の七日でございますが、そこでもし加盟の申請が認められた場合、その後朝鮮民主主義人民共和国に対して国連尊重主義の日本政府としてはどういうふうにされるおつもりか、そのことだけ承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大平国務大臣 これは重ねて恐縮でございますけれども、そのこと自体の問題とそのことの波及する問題とをあわせて考えながら対処してまいらなければならぬわけでございまして、日本といたしまして日本の立場において自主的に判断し、決意しなければならぬ問題だと思っております。
○河上委員 時間が参りましたので、まだなお追及したい点もございますけれども、次回に回らせていただきます。
○藤井委員長 山田久就君。
○山田(久)委員 本日は、昨今、航空路の発達に伴って社会的にも異常な関心を高めておりまする航空機事故補償、この問題について少し政府の見解をただしておきたい、こう存ずる次第でございます。
 日本の場合におきましても、インドあるいはモスクワというような非常に大きな事故を起こしておる。したがって、犠牲者の家族等はむろんのこと、社会的にもこの問題については非常に大きな関心を持っております。ところが、その航空事故に伴う人命補償というような点になってまいりますると、日本が現在加盟しているヘーグ議定書などの関係からいいまして、その責任限度額というものがどうもほかの事例なんかとも比べて実情に合わないのじゃないか、こういうふうにいわれていることは御承知のとおりであります。つまりヘーグ議定書によりますると、六百万円ということがその限度額になっておる。この額というものは、これは人命尊重という昨今の傾向、また航空会社により強い責任を要求する体制が必要じゃないかというような点からいってもいろいろ問題があると思われるわけでございまして、現にアメリカあたりでは、この額で航空会社の免責額とするということは低過ぎるということで政府間協定には加入しないで、別に航空会社の民間取りきめであるところのモントリオール協定を持っておって、この協定によりますると免責額が二千三百万円となっておることは御承知のとおりでございまするが、この適用によって処理している、こういうことでございます。したがって日航の場合にも、この協定による場合とその他の場合というようなことでは、現に差が生じているということも御承知のとおりでございます。
 このような情勢を反映して、ヘーグ議定書というものを改定すべきである、こういうことで一九七一年にグァテマラ議定書ができておるわけでございまするが、このグァテマラ議定書では免責額を十万ドルにしておる。この議定書にはこれまですでにアメリカ、イギリス、カナダなど二十九カ国が調印しているわけですけれども、これまでのところわが国としてはまだ調印問題というものも出てないというような、そういう現状でございます。最初に申し上げましたように、この点については犠牲者の間にもいろいろ問題をかもしていますし、犠牲者のみならず、ますます社会的な関心が高まっているというような事情からいたしまして、次の点について外務大臣並びに運輸省当局の方針、意向を承知したいと思うのです。
 まずその第一の点は、現在のヘーグ議定書による免責額、これは先ほど申し上げましたように、人命尊重といういろいろな趣旨からも、また航空会社に強い責任を要求するという点から考えてみても、また現在のその他の事例と比較してみましても、どうも妥当なものとは考えられない、こう思うが一体政府のこの点についての見解はどうであるか、これが第一の点でございます。
 さらに、先ほど申し上げましたグァテマラ議定書、一体このグァテマラ議定書に、昨今の情勢に即応してわが国の政府として調印する用意があるのかどうか、この点についての政府の態度、方針を承知したい、これが第二の点。
 第三に、一体グァテマラ議定書の発効の見通しというようなものについてどのような見通し歩持っておられるか。
 この三つの点について、まず外務大臣並びに運輸省当局のお考えをお尋ねいたしたいと思う次第であります。
○佐藤(文)政府委員 運輸大臣がちょうど衆議院の運輸委員会のほうに出席いたしておりますので、政務次官の私がかわりまして御返答したいと思います。
 ただいま先生から航空事故の賠償問題についての国際間のいろいろな協定あるいは議定書問題についての御質問がありました。この機会に、運輸省といたしましてはこの外務委員会で、昨年連続して起こりました航空事故についてたいへん御心配をかけましたことを、冒頭に責任省といたしまして心からおわびを申し上げたい、こう思っております。
 その後日本航空に対しまして積極的な安全運航に対する強力なる行政指導をいたしまして、現在遺族の方々に対しまして交渉を続行中でございます。先生が御指摘になりました第一点であるヘーグ議定書によるところの限度額六百万円というのは、現在の社会的な通念からいって低過ぎるではないか、こういう御意向でございます。これは日本の国内情勢にとってもあるいは国際的にとりましても、特に欧米の先進国にとっても、この限度額というものは妥当でない、非常に低過ぎるのではないか、こういう先生と同じような御意見が出されまして、私どももこの問題については、現在の情勢から考えて適当でない、こういうことを考えております。そしてむしろ積極的にヘーグ議定書を改正し、そしてそれを基本としたところの一九七一年に作成しましたグァテマラ議定書に向かって前向きで検討すべきではないか、こういう考え方でおります。ただ、昨年起こりました日本航空の賠償金額につきましては、ヘーグ議定書並びにモントリオール協定、この二つを中心に考えまして、それにいろいろな上積みをしてそして賠償額をきめまして現在折衝中でございます。こういう考え方でおります。
 それからグァテマラ議定書に対して批准の時期はいつごろであるかという御質問でございます。これにつきましてはその内容を先生も御承知と思いますけれども、ヘーグ議定書の第二十五条は重大な過失あるいは故意の場合においてはその限度額は大体きめられておるが、青天井になるわけでございますね。そういうような内容でございます。そこで、グァテマラ議定書の二十二条を中心にして内容を分析してみますというと、この二十五条の内容が削除されておるわけでございます、グァテマラ議定書は。したがって、いかなる場合でもこの百五十万金フラン、先生が言われましたヘーグ議定書の六百万円の約六倍に当たる限度額を大体きめておりますけれども、いかなる場合においてもその限度額以上はしてはならない、これでいきますよという内容になっているわけでございます。しかし、政府がそれをほかにそれ以外に出す場合においてはやってもいいのですよというような内容にグァテマラ議定書はなっているわけでございます。そこで、そういう問題点についてまだ相当検討する余地がございますので、そういう点を現在詰めて前向きでグァテマラ議定書に向かって検討を進めておるというのが現段階でございますので、批准の時期その他については、現在そういうことについて検討しておるということで御返答したい、こう思っておる次第でございます。
○高島政府委員 山田先生の最後の御質問のグァテマラ議定書はいつごろ発効する見通しかという御質問でございますが、このグァテマラ議定書に対しまして現在まで署名した国のうち批准いたしましたのが昨年末現在におきましてはコスタリカ一国だけでございまして、このグァテマラ議定書によりますと二つの条件がございまして、発効の条件としまして、三十の国が批准しなければならない、それからもう一つは、その三十のうちの五カ国の国際航空運送における運送量が全世界の運送量の四〇%に達しなければならないという非常に厳重な条件がございまして、そうしますと、実際上アメリカが入らなければどうしても発効しない条約の仕組みになっております。このことは、アメリカが国際航空運送における非常に重要な地位を占めているという観点と、それからなるべく多くの国がこのグァテマラ議定書に入って一つの私法を国際的に統一するという二つのねらいがございます。そういう観点からいたしますと、私ども現在のこのような条約の規定からいたしまして、発効の見通しについては非常にはっきりした見通しをつけ得ないというのが現状でございます。しかし、私ども先ほど運輸省のほうから御答弁ございましたとおり、前向きにこの議定書に批准できるように各種の条項について現在検討しておるというのが現状でございます。
○山田(久)委員 この条約問題、いろいろ各国の国内事情があって問題の点だと思いますけれども、この条約自体、わが国の人間尊重という基本方針にも反することでございまするので、ひとつ外務大臣としてもこの点を推進することについて一段と御尽力を得たいと思いますが、ひとつ一言お答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 仰せの趣旨に沿いまして最善の努力をいたします。
○山田(久)委員 次に、いま申し上げましたようにグァテマラ議定書についてはなかなかむずかしい条件がかぶっておるということになるというと、実際問題として相当時間がかかる。しかしながら一方においてはますます航空機が発達し、また事故というものも予想されるという段階になってまいりますというと、やはりわが国の基本方針からいうと、ここで何か中間的というか、実際の実情に沿うような方法を考えるべきじゃないかという意見、これは私もっともなことだと思うのですが、その意味においてアメリカがやっているようなモントリオール民間協定というものの日本版のようなものを考えるというのも一案じゃないかという説がある。これにもいろいろ犠牲者の立場その他等から考えてみてもっともな点も、一考を要する点があると思うのですが、この点についての政府のお考えはどうであるか、ひとつお尋ねしたいと思うのであります。
○佐藤(文)政府委員 先生の御質問の趣旨は、モントリオール協定と同じような日本独自の考え方のものをひとつ考えたらどうかということでございます。御説明をする必要はないと思いますけれども、ヘーグ議定書の前にワルソー条約がございまして、それを中心にして賠償金額がその当時三百万円だったと思います。それからヘーグ議定書に改正をされ、そして賠償金額の限度額が日本円にいたしまして大体六百万円、そうしてそれをさらに改正して先ほど先生が言われましたグァテマラ議定書の方向に持っていこう、その限度額が約三千六百万円、こういうような方向に行っておるわけです。ところが御承知のとおり国際的に強い発言力を持ち、シェアを持っておるアメリカ国内において、いままでヘーグ議定書でやっておったものを一応一方的に廃棄を通告しまして、そしてモントリオール協定を民間で結んでいこう。こういうことで、アメリカを中心に非常に賠償金額の限度額が少ないというので、ひとつ上げようじゃないか、こういうことで、これは民間の協定をやろうということでモントリオール協定をつくりまして、日本航空もそれに民間企業として参加しておる、こういうわけでございます。
 そこで、こういったような背景のあるアメリカならばできるのでございますけれども、何せ国際的に占める日本航空の地位というか、あるいは国際路線における力というものが現在の状況でございますので、日本独自のこういったものをつくるということについてはなかなか国際的には非常にむずかしい問題であります。したがってモントリオール協定に参加をして、そしてこの協定の中に示されておるアメリカを離発着し、アメリカを通過したという方に対しての事故が起こった場合はモントリオール協定を当てはめていくということで、ヘーグ協定とモントリオール協定におけるアンバランスが出てきておるというのが現状でございます。したがって方向としては、国際的に統一されたグァテマラの議定書の方向に一日も早くいくということがいいのではなかろうか、こういうぐあいに考えておりまして、日本独自のそういったものをつくるということはなかなかむずかしい現況にあるということをいわざるを得ない、こう思っておる次第であります。
○山田(久)委員 これは確かにむずかしい問題だと思います。いま条約に加盟しておりながらということになると、なおさらいろんな法理上の制約もあろうかと思いますけれども、御承知のように、毎度たいへんな、日航も自分の責任だけいっても、なかなかむずかしい。現に被害者の立場も十分に考えてやらなければならぬというような状況のもとにおいて、何か救済措置がないものか。この上とも、いろいろぜひお考えいただきたいということをこの機会に要望しておきたいと思います。
 次に、多少技術的なあれになりますけれども、ワルソー条約の二十五条の一項では、「運送人は損害が運送人の故意により生じたとき、又は訴が係属する裁判所の属する国の法律によれば故意に相当すると認められる過失により生じたときは、運送人の責任を排除し、又は制限するこの条約の規定を援用する権利を有しない」とあったのが、現在のワルソー条約改正のヘーグ議定書では、そこが二十五条によって「第二十二条に定める責任の限度は、損害が、損害を生じさせる意図をもって又は無謀にかつ損害の生ずるおそれがあることを認識して行った運送人又はその使用人の作為又は不作為から生じたことが証明されたときは、適用されない。もっとも使用人の作為又は不作為の場合は、更にその者が自己の職務を遂行中であったことが証明されなければならない」というふうに改正されているわけですけれども、この両者の内容は一様のものと考えていいという説もあるのでございますけれども、この点について、条約局長の御意見をひとつ聞いておきたいと思います。
○高島政府委員 ただいま山田先生の御質問の点は、運送人の有限責任を定めておるワルソー条約の中で、そういう有限責任が適用にならない、つまり無限責任になる場合の法律的な規定でございます。ワルソー条約におきましては、ただいま先生御指摘のとおり、故意の場合または故意に相当すると裁判所が認めた過失、この両方の場合には、運送人の責任が無限になるという規定でございます。
 これに対しまして、ただいま先生御指摘のとおり、ヘーグの議定書におきましては、その故意あるいは故意に相当する過失という表現を改めまして、「損害を生じさせる意図をもって又は無謀にかつ損害の生ずるおそれがあることを認識して行った運送人」の作為または不作為、こういうふうになりまして、何か非常に違ったような印象を受けますが、これはヘーグ議定書作成当時の審議過程からいたしまして、もともとワルソー条約の規定によりますと、大陸法系の国及び英米法系の国、それぞれ法系が違うことによりまして、訴えが提起された国の裁判所の判決の結果が異なってくるという非常に不都合な事態が生じましたので、故意あるいは過失というようなことばを使わないで、それと同じような実体を明確に法律的に表現するという努力をいたしました結果、ヘーグ議定書におきましては、ただいま申しましたとおり、別なことばで、「損害を生じさせる意図をもって」というのは、これはまさに従前の「故意により生じたとき、」というのと同じことでございますし、また「無謀にかつ損害の生ずるおそれがあることを認識して行った運送人」の作為または不作為というのは、まさに故意に相当すると認められるような重大な過失というように解釈いたしております。これは当時のヘーグ議定書作成の過程における各国の審議の経緯から、明らかにそういうふうに解釈されます。したがいまして、ワルソー条約の従前の第二十五条一項の規定とヘーグ議定書による第二十五条の規定は、実質的に内容は同じものであるというふうに考えております。
○山田(久)委員 もう時間がございませんので、簡単にお答え願いたいと思うのですけれども、乗務員の無意識にやったミスなら、どんな大きなミスでも有限責任で済ませるということになっては、社会通念の上からいっても非常に問題があるし、事故のほとんどすべてが死亡に通ずるということから見ても、国民感情の上からもこれは許しがたいということになるのではないかと思います。法的にも、故意または重大なる過失の場合にまで約款で有限責任を援用するというふうにすることは無効だという通説的判例もあると聞き及んでいるので、この点はそういう社会通念に合致するような方向で対処すべきだ、こう思うので、念のためにこの点について政府の見解をさらにちょっと伺って、私の質問を終わることにいたしたいと思います。
○寺井政府委員 ただいまの先生のおっしゃいましたこと、まことにごもっともでございまして、そういう方向でわれわれは努力をしたいというふうに考えております。
○藤井委員長 小川新一郎君。
○小川(新)委員 私は、沖繩の事件その他の問題について二、三点お尋ねいたしますが、あまり時間がありませんので、簡単明瞭に要点を御答弁いただきたいと思います。
 今回、アメリカの戦車によってひかれました沖繩のお年寄りの事件でございますけれども、「演習場の立入に関する事項」というものがございますので、「演習場への立入、責任並びに警戒予告」という点でお尋ねいたします。
 昭和二十七年十二月の日米合同委員会においては、次のように合意されております。一つ、「訓練に支障のない限り生計目的のための立入を許可する。」とありまして、この「演習場の立入に関する事項」では、事前一週間前に通告をせねばならぬことになっておりますが、今回の事件においてはどうでございますか。
○大河原(良)政府委員 今回の演習は四月八日から始まったものでございますけれども、その一週間前に現地施設局のほうに米側から通報がございました。
○小川(新)委員 二番目に「訓練期間中、一週一回、春秋少くとも一週づつの立入を特別考慮する。」、今回の事件はこれに当てはまっていますか。
○大河原(良)政府委員 八日から十四日の演習期間中、四月の十二日については採草のための立ち入りを許すということがあったというふうに聞いたのでございますが、念のためにこの点をいま確認中でございます。
○小川(新)委員 第三番目に「米側に故意重過失なき限り、立入の結果射撃演習その他による傷害損傷に対しては、米側は行政協定十八条3項関係の責任を負わない。」、この見解はどうですか。
○大河原(良)政府委員 御指摘のとおり、昭和二十七年の日米合同委員会におきまして「米側に故意重過失なき限り、」云々ということが取りきめられているわけでございます。今回の演習中に事故がありまして、沖繩の御婦人がなくなられた。この問題に関して米側に故意あるいは重過失がなかったのかあったのか。そこらの点につきましては、これは調査の結果を待つ必要があろうかと思っております。
○小川(新)委員 故意重過失がない場合には十八条三項関係の責任を負わないことになっておりすすが、沖繩復帰後、この種の事件としてはこれが初めてのことでございます。
 大臣、私ども日本人として、内地の者にはわからない沖繩の方々の御苦労というものがございすすが、どうしてこういうところに立ち入りしなければならないかという問題は、もっと大きな政治的配慮があり、また沖繩の地理的条件、いろんな問題がからんでこういうかわいそうな事件が起きたと思うのでございますが、私どもは、いま一週間前に通告があったということだけでアメリカの故意、重過失という問題が消失されるということがあってはならないと思いますが、大臣の御見解を承りたいと
○大平国務大臣 とうとい生命を失ったという厳粛な事実がございますし、御指摘のように協定その他の問題のほかに政治的な状況をよく踏まえて処理しなければならないのでございますが、第一の任務は事態を正確に把握することだと思うのでございまして、その上に立ちましてあらゆる角度からこの処置について遺漏のないようにひとつ早急に考えてみたいと思っております。
○小川(新)委員 私はこの問題に対しては沖繩の方々の立場に立って大臣が善処をなされることを期待いたしております。
 次の問題に移ります。
 日米安保協議委員会、日米合同委員会、日米事務レベル安保協議会、日米安保運用協議会、この四種類の日米関係の折衝をする協議会と決議機関がございますけれども、私はこの問題について、時間がございませんので特に日米事務レベル安保協議会についてお尋ねいたします。現在までにこの委員会は何回ぐらい開催されましたか。
○大河原(良)政府委員 昭和四十二年以来現在までに七回開催されております。
○小川(新)委員 昭和四十二年五月二十五日から二十六日、四十二年八月二十二日から二十三日、四十三年一月二十二日から二十三日、四十三年六月六日から七日、四十三年九月十一日から十二日、四十四年十月十五日一日だけ、最後の七回目が四十五年七月十七日から二十八日となっておりますが、この七回の内容の明細を知らしていただけますか。
○大河原(良)政府委員 日米間の了解によりまして内容の詳細について公表を差し控えさしていただきますが、第一回につきましては安全保障上の諸問題、これが討議の内容でございます。第二回は沖繩を含む極東及び西太平洋の安全保障問題、第三回は極東情勢一般、第四回は安全保障上の諸問題、第五回はアジアにおける安全保障の長期的な見通しとこれに関連する諸問題及び在日米軍基地についての一般的討議、第六回につきましては相互に関心のある安全保障上の諸問題、第七回は相互に関心のある安全保障上の諸問題及び極東における最近の軍事情勢、在日米軍施設、区域に関連する諸問題、これが話し合われた内容でございます。
○小川(新)委員 この協議会は安保条約第四条にいうところの随時協議としての役割りがあるのですか。メンバーはどんなメンバーですか。
○大河原(良)政府委員 日米安保条約に関連いたしましていろいろな協議の場が持たれておりますが、日米安保事務レベルの協議もその一つの場でございます。安保条約第四条の随時協議の一つの場と、こういうふうに観念していただいてけっこうでございます。
 また出席のメンバーは、日本側は外務次官もしくは外務審議官及び防衛次官並びに統幕の議長その他、米側はそのときどきによって必ずしも一定いたしておりませんけれども、国務省、国防省の次官ないし次官補クラス、在京米大使、在日米軍司令官、こういう顔ぶれでございます。
○小川(新)委員 今回第八回目が二年十カ月ぶりに開催されるということを私ちょっと新聞で見たのでございますけれども、どうしていままで二年十カ月も開催されなかったかという理由が一つ。
 その次には、第八回目の会談はいつ開催されるのか、その日程を教えていただきたいことが第二番目。
 三番目は、今回のメンバーや議題についてはもうきまったかどうかということ。
 四番目の質問の内容は、スナイダー国務次官補代理は参加するか、これが第四点です。
○大河原(良)政府委員 昭和四十五年以来今日まで開かれておりませんのは、沖繩返還交渉のために日米双方の当事者が時間の都合を見出すことができなかったということが主でございまして、昨年沖繩返還協定が成立しました以後、日米それぞれ若干の人事の異動等もありまして今日まで都合がつかなかったものをなるべく早い時期に開催いたしたいということで日程の調整を急いでいる状況でございまして、いまのところ五月の末もしくは六月の初めごろということで米側との調整を進めている段階でございます。
 また、これに参加いたします顔ぶれにつきましては、右のような次第で確定はいたしておりませんけれども、日本側といたしましては米側の参加者の顔ぶれに合わしたかっこうでわがほうの出席者をきめたいと考えております。
 また議題につきましては、まだ確定するに至っておりませんけれども、一般的に申し上げますと、ベトナム和平成立後の極東情勢を踏まえて安全保障問題について意見の交換を行ないたい、こういうふうに考えております。
 なお、スナイダー国務次官補代理が参加するかという問題につきましてもはっきりしたことはまだ固まっておりません。
○小川(新)委員 大臣、この問題、五月の末か六月の初めということでございますが、ベトナム戦終了以後の極東の情勢の中で沖繩基地という大事な問題が出てまいります。今回のような事件も起きております。この問題については今回のこの会談にはのせる御用意はございませんか。
○大平国務大臣 当然ベトナム和平成立後の極東情勢というのは話し合うことになるだろうと思います。同時にあわせて日米間で合意を見てこれからやろうといたしております沖繩を含めての基地の整理縮小問題、そういう問題につきましても私どもといたしましては隔意のない意見の交換が行なわれることを期待いたしております。
○小川(新)委員 ただいま大臣から重大な御答弁をいただいたのでございますが、ベトナム戦終了後の新しい極東をめぐる情勢の中で沖繩の基地の整理ということがいま出ているのでございます。これは積極的におやりになっていただかなければならぬと思うのでございますが、もう一ぺん重ねてお尋ねしたいのでございますが、どのような御意向と熱意をもって取り組まれることを指示なされるのか。五月の末でございますので、議題等の中にどういうふうに御判断いただけるか、ちょっともう一ぺんお願いしたいのでございますが。
○大平国務大臣 沖繩の全面積の一二%が基地であるということでございまして、しかも全体の沖繩にある在日米軍基地は本土にある基地よりやや大きいということでございますので、何としても沖繩の将来を考えていく場合にこの基地問題を離れて議論はできないわけでございまして、沖繩の振興開発計画を練り出し実行に移すにいたしましても、その作案、その実行にあたりまして基地問題というものは前面に立ちはだかってくる問題であると思っておるわけでございます。沖繩県民の期待に合わせて、全国民の期待もやはりそこにあると思うわけでございます。しかしながら、沖繩のベースは米軍にとっても非常に大事なベースであると認識されておるに違いないと思うのでございまして、この折衝は決して容易なものではないと私は思っております。けれども、日米間においてすでに、沖繩も含めて全体としての在日米軍基地の整理縮小という問題につきまして、協議しようという合意はできておるわけでございまして、その第一次の仕事といたしまして、関東平野計画と那覇空港に手を染めつつあるわけでございまして、私どもは第二次、第三次というようなものを構想していきたいと思っておりますけれども、第二次をどこからどのように手をつけてまいるかという具体的な個所並びに具体的な計画につきましては、いままだ私消化いたしておりませんので、日米間のこれからの協議を通じて漸次固めていかなければならぬと考えておるわけでございまして、その具体的な構想を申し上げるまでにはまだ至っていないわけでございます。
○小川(新)委員 私が先ほど申しました四つの中で、最後の四番目に申し上げました日米安保運用協議会、これは今月の十七日に開催されるということを聞いておりますけれども、間違いございませんか。そしてまた間違いがないならば、この運用協議会と事務レベルの安保協議会とはどのような相違があるのか。これは私よくわからないのでございますが。そしてこの安保条約運用協議会が四月の十七日にというともうすぐでございますが、このほうに、沖繩問題とかいま言った問題、大臣が申されました在日米軍の基地整理や関東平野計画、那覇空港の問題等という問題が爼上にのぼる、こういうふうに私理解しておったのでございますが、その点いかがでございますか。
○大平国務大臣 安保運用協議会のほうは十七日を予定しておったのでございますけれども、承りますと当日は外務委員会が開かれるということでございまして、こちらから申し出まして、期日を変えていただこうということになっておりまして、その前後、国会等の都合を見ながらきめていきたいと思っております。
 それから安保運用協議会と事務レベルの違いでございますが、事務レベルの打ち合わせというのは、太平洋をまたいでアメリカからも人が来て東京でやってみたり、ワシントンでやってみたり、年に一回できるかできないかという会議でございますけれども、安保運用協議会はそういうことではなくて、東京で簡便に招集ができるチームでございますので、いま仰せの基地整理問題などというものは、仕上げは合同委員会でやると思いますけれども、ここで地ならしをしていただかなければならぬ仕事だと考えております。
○小川(新)委員 時間がありませんから、最後にお尋ねするのですが、安保運用協議会と事務レベル協議会ではどっちがレベルが高いのかという点が一つ。それから日米安保協議委員会の内容につきましては外務省の情報文化局で発表しておりますが、いま私が申し上げました決議機関を除いたこれらの協議会の内容というものは先ほどからお尋ねしてもちょっと概略のほんとうの柱だけしか国会で発表していただけませんけれども、これらの委員会も国会に内容を発表することが必要ではないかと思うのですが、秘密にしておることが妥当であるのかないのか、また秘密にしなければならないのかどうか、この点をお尋ねいたしまして私の質問を終わらせていただきます。
○大平国務大臣 事務レベルの会合と運用協議会とどちらがレベルが高いか低いか、そういう問題ではなくて、先ほど申しましたように、構成が違うわけでございまして、高い人もあり、低い人もおるわけでございますが、上下の差はございません。しかしいずれも決議機関ではないのでございまして、意見の交換の場であるにすぎないということであります。
 それから第二点の討議の内容の話でございますが、これは外国との話し合いの場合に両方で発表ぶりについて協議をいたしておるわけでありまして、どのようにするかということを日本だけで一存にきめかねることでございます。従来は原則として発表しないという合意になっておるのです。ただし、要旨につきましては必要に応じて申し上げようということで、そういう慣行で今日までやってまいったわけでございまして、今後もそういったやり方で私は支障がないものと考えております。
○小川(新)委員 これで終わりますが、大臣、先ほどの安保条約運用協議会が国会の関係で延びたということでございますけれども、いま日にちはおわかりになっておりますか。
○大平国務大臣 二十三日を予定しておるそうです。
○藤井委員長 安里積千代君。
○安里委員 一昨日沖繩の金武村で起こりましたアメリカ軍の戦車によります老婦の轢殺事件につきましては、単なる痛ましいという域を越えまして重大なる問題であり、これまで各委員ともこの問題を取り上げたのでありますが、それだけに政府といたしましても無関心ではおれない非常な重要な問題であると考えております。抜本的には沖繩の基地を安保条約並びに地位協定によって提供をし、そこでアメリカの軍隊がわがもの顔に演習をしておる、こういうところから生まれてきておるわけでございますが、その問題につきましては、大臣にあとでお聞きするといたしまして、重複しないように若干の質問をいたしたいと思っております。
 これまでの経過につきましても御報告がありましたからこれは省略いたしたいと思いますが、いまの御答弁の中から一週間前に演習があるということを通告を受けたということでございます。この通告は現地の施設庁に来たものだ、こう思うのでございますが、その通告後の処置というものはどういうふうになされておるか、お聞きしたいと思います。
○奈良説明員 御説明いたします。
 使用条件によりまして、この演習通報は地元に七日前になされるようになっております。本件につきましては海兵隊の司令官から那覇の私どもの防衛施設局に三月三十日付で文書による通知がなされております。通知内容は、四月八日の二時から四月十四日の二十四時までということでございまして、那覇局では二日の日に金武村に電話連絡いたしますとともに、七日付の文書で御連絡をいたしております。
 以上でございます。
○安里委員 その演習をやるにあたりまして、通告をする、あるいはまた関係市町村に知らせる、これだけで施設庁としてはもう事は終わりでございますか。その演習に対するところの安全を確保するための処置というものはどこに責任がございますか。
○奈良説明員 演習のしかたにつきましては、日米合同委員会のレベルで使用条件というようなものが大体きめられておりまして、米側は最大限の安全確保をして演習をするということになっております。したがいまして、実は演習のたびに施設局が現場に一々立ち会いまして、演習の実施を監視するというようなことは事実いたしておらないわけでございます。
○安里委員 私は基本的にお伺いいたしたいのは、施設庁としても、ただアメリカ軍からそういう演習をやるからということの通知がある、施設庁としては当該市町村に通知をする、これだけのことなんです。そうしますと、たとえ地位協定によって、アメリカの軍用地として演習地として提供され、平時は出入りもできるというようなところでいよいよ具体的に演習が行なわれるという場合におきまして、当然アメリカは自分たちが日本政府から提供を受けたところの土地であるがゆえに演習は自由である、それによってどういうような危険、危険防止ということに対して演習するそのアメリカ軍に一つの責任があるんだ、こういうふうに思いますが、違いますでしょうか。これは外務当局にお願いしたいと思う。土地を提供したがゆえに演習することは自由なんだ、自由であるけれども、演習する以上はアメリカは当然安全確保に関するところの万般の処置をとるべきだ、こういう責任があると思うのですが、いかがですか。
○大河原(良)政府委員 提供いたしました施設、区域内において、米側は管理権を行使し、具体的には演習地の場合には演習を行なっておるわけでございまするけれども、米側といたしまして、施設、区域内におきまして公共の安全に妥当な考慮を払うことは当然義務づけられておるわけでございまするから、演習にあたりましても、当然安全については十分な配慮をしておるものと、こういうふうに考えるわけであります。
○安里委員 現実に戦車の演習をするような場所に、たとえば射撃訓練をするような場合におきましては、その区域に赤旗を立てる、区域を明らかにするというような処置もとられます。今回の戦車演習に対しましては、その地域の確定並びにその危険防止に対するところの万全の策をアメリカ当局が、軍当局がとったというような事実があるかどうか、その点調査をされておりましょうか。
○奈良説明員 現在那覇の局で調査をしておりますけれども、まだちょっとつかんでおりません。
○安里委員 おそらくアメリカといたしましては、演習をするということを施設庁に通知をした、そしてこれは地位協定にいう自分たちが提供を受けた土地である、使わないときに出入りを許しておるのは好意的なものだ、だからして通知をしたがゆえにその演習期間内において、そこにおいて起こった事故に対してはアメリカは責任はないのだと、こういうふうに逃げる可能性があると私は考えます。
 日本政府がアメリカに基地を提供しておろうと、大事な国民の生命をそこなってもかまわない、どんなことをしてもいいというところの趣旨において、基地は提供しておるはずはないはずであります。したがってその中におきまして国民がそこで、しかも演習の中において生命を失った、こういうことに対しましてはアメリカは決して責任がないんだ、自分たちには過失はなかったんだというような言いがかりは許されない問題だ、私はそのように思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○大河原(良)政府委員 先ほど来外務大臣が御答弁申し上げておりますように、まず事故の状況を正確に把握するということが第一でございますので、その面での調査を急ぎたいというふうに考えておるわけであります。
○安里委員 私はいま起こった問題に対しましていろいろな経過のこともお聞きしたかったのでありまするが、おそらく、これまでの経過から察しまするならば、アメリカとしては施設庁に一週間前に通知をした、それでもってもう安全に対する措置というものは、施設庁なりあるいは沖繩側あるいはその市町村の当局が注意すべきであって、やったにかかわらずその基地内に入ってきて事故を起こした、これは入った者が悪いのだ、こういうふうな無責任な行動に出そうな気持ちがしてしようがないのであります。そういうことに対しまして日本政府は、アメリカに土地を提供したのは、決して国内において彼らの自由かってに土地を使ってもよろしいというところの趣旨じゃないんだ、あくまでもそこの地域の住民の生命あるいは財産に対するところの完全な保護と危険のないようにする責任というものは当然アメリカにあると思う。それを怠ったということでありまするならば、私はこの責任は免れぬものだと思います。ただ施設庁としても政府としてもなれてしまって、アメリカから通告があったからそれを通知した、したからあとは知らないというようなあり方が今日まで慣行的に行なわれておったのじゃないかとも思うのです。
 私はその点から、政府とされましては、これはアメリカの単なる軍人が不法行為をしたのとはわけが違うのであります。基本的にはあなた方が安保条約を認め、地位協定によってあそこの土地を提供したという、このことから起こっておる問題でございまするので、政府といたしましては、当然この問題に対しては責任を持たなければなりません。とともに、その前にアメリカに対してこういう事故を起こしたことに対しまする強い責任を追及するというところの政治的な腹と姿勢がなければならないと思うのです。それを単に、演習地域内においてやったことだ、重大なる過失も故意もなかったんだというふうにはねられてしまって、そうでありますかと引き下がってしまったのでは、私はこの問題はたいへんなあとに大きな問題を残すものだと思っております。
 大臣としてこれに対しまするところのお考えをお聞きしておきたいと思う。
○大平国務大臣 非常に重大な問題でございまするので、アメリカ側と折衝するにいたしましても正確に事態を把握せねばならぬと考えておるわけでございます。事実を踏まえた上に立ちましてわれわれは正当に処理しなければならぬ責任を持っておると思うわけでございまして、アメリカに御遠慮いたしたり、事実を曲げたりするようなことは慎まなければいかぬと思っております。
○安里委員 問題は、地位協定によって残念ながら第一次の裁判権がアメリカにある基地内において行なわれたということでございます。しかし従来のアメリカのやり方から見まするならば、これは復帰前の問題でもありまするけれども、基地外において行なわれたところのいろいろな問題でございましても、明らかな交通事故に対しましても、アメリカ側に責任はなかったんだと、軍事裁判においても実に露骨にアメリカ側の利益、アメリカの立場を擁護した立場において裁判をなされたということをわれわれは沖繩においてたくさん見ております。したがって、この問題もアメリカに第一次裁判権があるということでアメリカにまかせますと、過失はなかった、重過失はなかったんだというふうに始末されるところの可能性があると思います。そこで、この問題は必ずしもアメリカが事実を調査しなければならぬということではないと思いますので、この裁判権を日本に移せというところの要求を、これは可能なことだと思うのでありますが、これは協定の中においても可能な道があると思いますが、その点いかがでしょうか。法務当局にそれに対する見解をお伺いしたいと思います。
○根岸説明員 お尋ねの点は、裁判権の放棄の要請をするかどうかという点のお尋ねかというふうに了解いたしますが、裁判権の放棄を要請いたします場合は、その第一次裁判権の権利の放棄を特に重要であると認めた場合になされることになっておりますので、本件がその具体的要件にはまるかどうか、もう少し具体的事案が明らかになりました段階で検討すべき問題かというふうに考えております。
○安里委員 それは、法の解釈からそのとおりだと思いますけれども、私は、問題は決して軽い問題ではない、こう考えておりますので、裁判権の放棄を要求し得るところの状態もあり得ることを考えて対処願いたいと思っております。
 最後に、時間がございませんから、この場合に当然人命をそこなった者に対しまする補償問題が起きてくると思っております。基地内におきまするこういう事件に対します補償関係はどうなっておりますか。
○河路政府委員 基地内におきましても、基地外におきましても、米軍の公務上に基づきます事故に関しましては、米軍の責任が明らかになれば、当然地位協定の十八条五項及び民事特別法に基づきまして賠償の措置を講ずるということになっております。
○安里委員 アメリカに責任がある場合の被害額について、アメリカ側との間にあるいはまた日本政府として額の点について何か決定をしたことがございますか。――私から申し上げましょう。一九六四年六月二十三日の閣議決定で、そのような被害を受けた場合の賠償金、見舞い金は一人三十万円から百万円というふうに閣議できめたというふうに新聞にちょっとあることがございますが、そういう事実ございますか。
○河路政府委員 いま御指摘の件につきましては、従前の規定でございまして、現在はその額について制限はございません。いま金額が先生の御指摘では五十万から百万ですか、そういう限度があるという閣議了解があるということでございますけれども、現在はそういう限度はございません。
○安里委員 私が言っておりますのは一九六四年の六月の二十三日に閣議決定をしたということがあるのですから、大臣そういうこと御存じですか。この閣議決定という事実があったんですか。こういう補償についてこの範囲内において補償するのだというふうに日本政府自体が閣議決定したことがあるのですか。新聞記事の間違いであるかどうかわかりませんけれども、はっきり新聞に書いてあります。
 もう本会議の時間がありますので、時間がございませんので私申し上げておきます。もしこういうことが基地内におきまする、しかもアメリカに過失がある場合にという前提のもとに、しかも一九六四年米軍から死亡者に対する賠償金額は一人三十万から百万円にすぎないのだというふうに閣議決定されたことがあるとしますれば、これは非常にばからしいこと、ばからしいことというかたいへんな誤りをおかしているものだと考えております。日本政府がそのような閣議決定をするということ自体がおかしいと思います。
 さらにこれはアメリカに重大なる過失があったということが認められぬ限り、アメリカは拒否するというような見通しもあるいは出てきます。しかし、そういう場合でも、この問題の基本は日本政府自身が安保条約、地位協定によって土地を提供した。そして通告があった。通告後のいろいろな措置、これも決して十分ではなかった。究極するところは、私はこの生命を失った裏には、政府の責任ということが、少なくとも政治上のあるいはまた現地において万全の対策をとらなかったところの過失の責任が私はあろうと思っております。ですから、いまの閣議決定があったかどうかという問題とあわせまして、かりにアメリカがそのような補償の義務はないと逃げても、日本の政府としては当然責任があるのだ。政治的にも、この基地の提供の実態から、いきさつから、責任があると私はこう思うのであります。ですから、アメリカの責任有無の前に、日本政府自体も当然責任を、こういう場合に負うべきである、こういうふうに思いまするけれどもいかがでしょう。大臣あるいは関係当局の責任あるお答えを願って、私の質問を終わっておきたいと思います。
○河路政府委員 「合衆国軍隊等により損害を受けた者に対する賠償資金及び見舞金の支給について」ということで、昭和三十九年の六月二十三日に閣議決定がございます。この閣議決定を見ますと、「賠償金の支給基準は、防衛庁が行なう自衛隊に係る損害賠償について防衛庁長官が定めるものによるものとする。」と書いてございまして、金額に限度はきめてございません。
○安里委員 これまでのやり方も、補償のやり方も、金額も非常に少ないし、またほんとうに責任を――これはアメリカ自身の責任において払う、アメリカ自身の責任において防衛庁が払うというような筋だと思いまするけれども、この問題は単にアメリカの責任じゃなくて、基本的には日本政府自体の基地を提供し、基地をあのようにアメリカに自由に、ベトナム戦争も終わったのに戦車の訓練をしておるというような、こういうようなむちゃなところから起こらしておる。この根本的な原因について責任を政府が考えて処置してもらいたいことを要求いたしまして、終わります。
○藤井委員長 次回は、来たる十八日水曜日午後一時三十分理事会、午後二時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十九分散会