第071回国会 外務委員会 第27号
昭和四十八年七月二日(月曜日)
    午前十一時十六分開議
 出席委員
   委員長 藤井 勝志君
   理事 西銘 順治君 理事 福永 一臣君
   理事 岡田 春夫君
      安倍晋太郎君   稻村左近四郎君
      大村 襄治君    小林 正巳君
      増岡 博之君    毛利 松平君
      山村新治郎君    石野 久男君
      柴田 睦夫君    渡部 一郎君
      永末 英一君    瀬長亀次郎君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        外務省条約局外
        務参事官    松永 信雄君
        外務省国際連合
        局長      影井 梅夫君
 委員外の出席者
        通商産業省公益
        事業局技術長  和田 文夫君
        外務委員会調査
        室長      亀倉 四郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月二日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     増岡 博之君
  加藤 紘一君     安倍晋太郎君
  木村 俊夫君     山村新治郎君
  竹内 黎一君    稻村左近四郎君
  深谷 隆司君     大村 襄治君
  山田 久就君     毛利 松平君
同日
 辞任         補欠選任
  安倍晋太郎君     加藤 紘一君
 稻村左近四郎君     竹内 黎一君
  大村 襄治君     深谷 隆司君
  増岡 博之君     石原慎太郎君
  毛利 松平君     山田 久就君
  山村新治郎君     木村 俊夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日
 本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を
 改正する議定書の締結について承認を求めるの
 件(条約第一二号)
     ――――◇―――――
○藤井委員長 これより会議を開きます。
 原子力の非軍事的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬長亀次郎君。
○瀬長委員 委員長、大臣は見えないのですか。――それではきょうは最初に核政策、エネルギー政策、特に政府の核政策の基本について質問したいと思います。
 大臣が来られてから本論に入ることにして、最初に日本とフランスの協力によるオーストラリアのウラニウム濃縮工場の設立計画があると聞いておりますが、あるかどうか、あるとすればどのように進めておるのか、この答弁をしてもらいたいと思います。
○成田政府委員 フランスは軍事利用との関連で濃縮ウランのガス拡散法の技術を持っておる国の一つでございます。それで、フランスが自分の持っておりますところのガス拡散法の技術によって、共同で将来平和利用のための濃縮工場をつくろうではないかという提案を世界各国に対してなしておるわけでございます。日本に対しましても、一昨年の夏ごろ非公式に、日本とフランスがフランスが持っておるところの技術を使って適当なサイトに、一九八〇年代の初めごろまでに共同の濃縮工場をつくろうではないかということがありまして、日本も濃縮ウランの供給の多元化をはかるということはエネルギー政策上望ましいことでありますので、これは決してコミットベースではございませんが、その可能性について技術的なあるいは経済的な問題を検討するためのスタディーグループを持ったわけでございます。これが昨年三月から始めまして、フランスと東京交代で六回ほど会合を持ちまして、第一段階の会合をことしの四月ごろ終わっております。これは技術的、経済的な非常に初歩的な研究にとどまっております。それで第二段階に入るかどうかという問題、これについてはいま日本側として原子力委員会を中心にいろいろ検討しておりまして、まだ入るかどうかという結論は出ておりませんで、いま検討中でございます。
 それからフランスは、日本のほかにヨーロッパ諸国とも共同の研究グループを持ち、またオーストラリア等とも仏豪の共同研究スタディーグループを持っておりますが、オーストラリアとの共同研究は、いろいろな政治的な情勢で第一段階で途中中止になっております。それからユーロデフというヨーロッパ諸国五カ国とのスタディーグループは、最近第二段階に入っておると聞いております。日本は第二段階に入るかどうか、いま検討中という状況でございます。
○瀬長委員 この設立計画は、今度のフランスの核実験をやるのだといったような問題と関連して、オーストラリアで相当反対運動が起こっておるといったことで、計画が実際進んでいないということを聞いておりますが、そういった関連がありますか。
○成田政府委員 私、先ほど言いましたように、フランスが、ヨーロッパ諸国のユーロデフ、それから日仏、それから仏豪、三つのスタディーグループをもって、豪州との関係が第一段階の途中で取りやめになったというのは、フランスのムルロア環礁における核実験の問題が豪州政府を非常に刺激しまして、豪州政府がそういう政治的な情勢でこのスタディーグループを取りやめたというふうに聞いております。
○瀬長委員 核政策の基本について大臣に質問したいと思いますが、中国は六月二十七日に大気圏における核実験をやったことを発表した。これに対して日本政府は抗議をやった。日本政府はこれまでアメリカの核実験について抗議したことはないと思いますが、そのとおりですか。
○大平国務大臣 わが国といたしましては、かねてから申し上げておりますとおり、いずれの国であろうと、いつ、どこで行なわれようと、あらゆる核実験に対して抗議をしてまいりましたし、今後も続けてまいるつもりです。
○瀬長委員 ところで、いわゆるビキニの問題で、これはだれでも知らないことないと思いますが、第五福竜丸が被災したビキニでのアメリカの水爆実験について、当時の岡崎外務大臣は、この実験が世界平和のために寄与するものと信ずるとか、米国の実験が悪いものとの印象を与えたり、実験を阻止するような態度はとりたくないということを外務大臣は言っておりますが、いまの政府もそういった基本態度をとっておるのですか。
○大平国務大臣 いま申し上げましたとおり、いずれの国による核実験であろうと、いつ、どこで行なわれる核実験であろうと、日本政府としては終始これに抗議を続けてまいるつもりでございます。
○瀬長委員 日本政府がアメリカ政府の核実験について抗議したということは、どういう核実験について、いつ、どのような抗議をしたのか、説明してもらいたい。
○大平国務大臣 いままで行なわれた核実験について、私が申し上げましたように抗議を続けておりますが、その事例につきまして、取り調べまして御報告します。
○瀬長委員 最近、アメリカは地下核実験を今月に入ってからもやっております。これについても抗議されましたか。
○影井政府委員 最近の事例といたしましては、アムチトカで大規模のアメリカによる地下核実験が行なわれたことがございますが、その際に、日本政府から厳重な抗議を行なっているというのがその一例でございます。
○瀬長委員 これはいつ、どのような抗議を行なったか、内容を知らしてください。
○影井政府委員 ただいま私手元に詳細な資料を持っておりませんので、調べましてさっそく御報告申し上げたいと考えます。
○瀬長委員 これは事務当局から説明してもらいますが、アメリカの核保有量ですね、たとえば広島あたりに落とされた核兵器、原子爆弾に換算して、一体何万発ぐらい持っておるのか、御存じですか。
○影井政府委員 事柄の性質上、はたしてどこまで正確な資料を私ども手元に持っておりますか、実はちょっと手元に資料がございませんので、恐縮でございますが、これも私どもわかる範囲内で調べまして、なるべく早く御報告申し上げたいと考えております。
○瀬長委員 これはイギリスの戦略研究所の推定ですが、アメリカの戦術兵器は別として、戦略核兵器だけで、広島型原爆の十三万六千五百発、メガトンに直して二千七百三十メガトン以上保有している。実際アメリカの原子力委員会その他の発表に基づいて推定されておるのはこういうふうになっております。
 私がこれを聞きますのは、それだけではなしに、国防長官はことしの年次報告で、そういったようなとほうもない核兵器を持っていながら、さらに十分な核戦力を持たなければならないという、核軍拡政策を一貫してアメリカはとり続けておる。これに対しまして、日本政府は基本的に、安保条約があるので、それに基づいてアメリカの核のかさをかぶって、日本の核政策を進めていくというふうなことを田中内閣は進めているようでありますが、そういう理解でいいのですか。アメリカの核のかさ、これを日本はちゃんと堅持して核政策を進めていくということだといわれておりますが、そのとおりですか。
○大平国務大臣 わが国といたしましては、核軍縮を核保有国側がまず実行に移っていただかなければならぬと存じまして、そのラインで軍縮委員会等で精力的に活動いたしておるわけでございまして、アメリカであれどこであれ、核保有国におかれて核兵器の縮減、さらにはその全廃という方向に進まれることを期待しながら、国際軍縮を進めてまいるべく努力をいたしておるわけでございます。
 第二の核のかさのもとという、これは一つの俗語であると私は理解いたしておるのでありまして、わが国とアメリカとの間には安全保障上の取りきめがあるわけでございまして、それは通常兵器であろうと核兵器であろうと、あらゆる攻撃に対しまして日本を防衛する責任をアメリカが持っておるという意味において核のかさというようなことがいわれておるのであろうと思います。わが国が日米安全保障条約を堅持してまいるということはかねがね言っておるわけでございまして、このことと、わが国が非核三原則を堅持してまいるということは何ら矛盾はないと私は思っております。
○瀬長委員 いま大臣の口から核兵器の全廃、こういった問題が出ておりますが、これと関連いたしまして、日本国民は広島、長崎、ビキニと、三回にわたって原水爆の被害を受けた世界で唯一の国民であります。したがって、こういう大量残虐殺戮兵器を日本からあるいは世界から一掃しなくちゃならないということは日本国民の切実な願いだと思うのです。だけではなくて、全世界の国民の世論となってほんとうに高まりつつあると思います。
 ところで、いまさっきも申し上げましたように、アメリカの核戦争準備あるいは核軍拡政策は引き続き行なわれて、核戦争の危険は依然として存在しております。広範な日本国民のこういった切実な要求にかかわらず、核兵器の開発競争は続けられている現状にあるわけなんです。この現状から見ましても、さらに日本国内において、沖繩であれば沖繩国会の議論の焦点は核部隊の問題であったわけですが、横須賀の原潜、空母「ミッドウエー」の母港基地化、これと結合して沖繩の駐留米軍、これは海兵隊、海兵師団あるいはその他の核部隊を中心にして、むしろ再編強化されているような現状にあるわけなんです。そこで広範な国民がこの核兵器を一掃しろ、すべて全面的になくせよ、こういったことが国民の願いであるという点については、大平外務大臣、どうお考えですか。
○大平国務大臣 その点につきましては、完全に瀬長委員と私の意見が一致するところでございます。
○瀬長委員 それでお聞きしたいのは、それを踏まえまして、たしか一九六七年の国連政治委員会で、アジア・アフリカ十カ国が提案した核兵器使用禁止条約の成立促進を要望する決議案、この決議案について、日本政府代表は核兵器禁止を切望する内外の世論を無視して、とうとうアメリカなどと一緒に棄権した。まだその姿勢は直りませんか。しかもこれは一九六七年の国連政治委員会で取り上げられて、アジア・アフリカの十カ国が提案したものなんです。核兵器使用禁止条約の成立促進を要望する決議案が出ている。この決議案について日本政府国連代表は棄権した。まだそういったような姿勢は変わりませんか。
○影井政府委員 私その一九六七年の国連総会におきます決議案の審議過程を正確に記憶しておりませんので、おそらくその決議案につきましてどこまで現実性があるかという観点について問題があったのではないかというふうに考えます。核兵器を地球上から絶滅するということ、これを人類の理想といたしまして、私どもも全く同感でございますけれども、ただ、そこへ持っていきますためにどのような経過、手続を経てきたかということにつきまして、時といたしまして非現実的な手順で提案されるということが、国連総会の場におきまして間々ございますので、その六七年のただいま御指摘の決議案の審議過程におきまして、あるいはそういう事情から棄権したということではないかというふうに考えております。
○瀬長委員 私が聞いておるのは、審議過程はどうであれ、この六七年の国連におけるいま申し上げた決議案について、アメリカと一緒に棄権しております。こういったような姿勢は、いま外務大臣も言われておりましたが、広範な日本国民の要望に逆行するわけなんです。核兵器の使用を禁止するという問題は、当面とりわけ重大な問題なんです。
 ではお聞きしますが、このような決議案が出た場合に、今度開かれる国連総会あたりに大平外務大臣は行かれると思うのだが、そういうことに棄権しないで賛成するか、むしろ原水爆の被爆を受けた唯一の国民であるだけに、日本政府が進んで核兵器の使用を禁止する協定を締結すべきではないかと思うのですが、ここらあたりはどうですか。
○影井政府委員 ただいま御指摘の問題につきまして、私どもただいま直面している問題が一つございます。それはジュネーブの軍縮委員会におきまして、この核兵器の少なくとも軍備拡張のペースをゆるめる、さらにそれから絶滅に持っていくということを究極の目標といたしまして、これをいかに実効的に実現するかという点について、現在ジュネーブの軍縮委員会におきまして問題として取り上げておるわけでございます。日本の立場といたしましては、究極の目標といたしましては、ただいま瀬長委員御指摘のとおりの目標を常に念頭に持っております。実際にこれを確保するために、たとえば具体的に日本としては、大気圏内における実験はもちろんのこと、地下核実験も廃止すべきである。ただ一気にそこに持っていくことはできない。したがって、ある程度規模以上の大実験についてこれをやめさせることはできないか、そのためには技術的政治的にいかなる方法があるかということ、この核実験の制限、廃止に持っていくためのほんとうに実効的な方法はいかなるものがあるかということを現在軍縮委員会において検討中でございます。国連総会の場におきましても、私ども同じことを目標として念頭に置いておるわけでございます。実際の問題点といたしまして、このような考え方をいかに実効的に、また実際問題として実現し得るか、その方法につきまして日本といたしましてはいろいろな提案を行ない、なるべく多数の国の賛同を得るというふうにつとめているわけでございます。
○瀬長委員 私が聞いておるのはそういったようなことではなくて、日本政府が自主的に――とりわけ原水爆の被害を受けておるのは日本国民なんです。だからこそ日本政府は他国に先んじて、原水爆の使用を禁止する、当面とりわけこの問題は重視されなければなりません。アメリカとソ連がどのような、たとえば核戦争防止協定などを結んでみたところで、その裏で地下核実験がどんどん行なわれ、とりわけアメリカは核の計画をもっともっと大きく広げていくという政策をとっておるだけに、核戦争の危険というものは、ベトナムにおけるあの侵略戦争の経験からもいえるように、非常に大きくなっておるわけなんです。したがって私の聞きたいのは、とりわけ日本政府が自主的に国連に核兵器の使用を禁止する協定を提起すべきだと私は思うのですが、これに対し大平外務大臣はどうお考えか。
○大平国務大臣 核兵器の縮減、さらには全廃というものを道標といたしまして、最も実効的な措置をその時点時点で考えてまいりたいと思います。
 いま御提起になりました問題につきまして、どのように措置してまいりますか、今後の国連審議等の状況を見ながら、日本政府としては正しい、しかも実効的な態度で終始いたしたいと思います。
○瀬長委員 いま核兵器問題では、核兵器の実験、製造、貯蔵、使用、このものを全面的に禁止するということが、最も基本的な日本政府の核政策の中心でなければならぬと私考えるわけなんです。いままでの説明でも明らかになっておるように、核実験をどこかやると抗議する、抗議してそれで済ます、もうあとは知らぬということでは国民の切実な要望にこたえ得る道でもないし、さらに残虐な核兵器を世界から一掃するということもできない。したがって核兵器の実験をやったり、製造してこれを貯蔵する。さらにこれを使用する。そしてとりわけ日本をはじめ世界のアメリカとの軍事同盟を結んだ国々には戦術核兵器が、その他海には原子力潜水艦など、そういったような海洋の軍事的な利用に基づいて、全世界をアメリカのあの巨大な核戦力で脅迫しつつある。そういった中で一番大事なのは実験、製造、貯蔵、さらに使用、これを全面的に禁止するという基本態度がなければならないと思うのですが、大臣どういうふうにお考えですか。
○大平国務大臣 たびたびお答え申し上げておりますように、基本的な道標はあなたのおっしゃるとおりでございまして、わが国は核軍縮ばかりじゃなくて、核兵器の絶滅ということを道標にいたしまして、これまでも努力いたしてまいりましたけれども、今後も一そう精力的に努力してまいるつもりでございます。幸いにいたしまして、ノー・モア・ヒロシマと申しますか、その後核兵器の開発、保有ということは行なわれてきたわけでございますけれども、使用は一回も行なわれなかったということはわれわれをたいへん勇気づけることであると思うのでございます。この状況を踏まえて、さらに実験の問題、軍縮の問題等について実効的な措置を精力的に推し進めてまいることがわれわれの責任であろうと存じております。
○瀬長委員 核拡散防止条約の批准を近く政府は行なうということを聞いておりますが、そのとおりであるか、そうであればその内容はどうなっておるか。
○影井政府委員 核不拡散条約につきましては、御高承のとおりに、日本が三年前にこれに署名するに際しまして三つの重要な考慮というものを払って決定するということを申しております。第一点は核兵器国相互間におきますこの核軍縮の進展状況を見守る、第二点は非核兵器国に対しましてどのような安全保障の措置がとられるか、第三点といたしまして非核兵器国が平和利用面におきまして不利をこうむらないようにというこの三点の考慮を掲げたわけでございます。
 そこでわが国といたしましては、日本が核の平和利用面において他の先進国、特にユーラトム諸国が平和利用をいたします場合と比べまして、実質的に日本が不利な取り扱いを受けないようにということを具体的にただいま折衝中であるという状況でございます。言いかえますと、今年の四月五日に国際原子力機関それからユーラトム諸国との間におきまして、このユーラトム諸国の核の平和利用、これに関する保障措置の協定が成立いたしたわけでございます。日本といたしましても、わが国が将来この平和利用をするにあたりまして、その保障措置の適用にあたり、ユーラトム諸国が受けるべき保障措置と比べまして不利にならない保障措置の取りきめを結びたいということで、現在わが国は国際原子力機関との間にその問題につきまして具体的な交渉を行なっており、一番最近におきましては先月、六月の初めにわが方の代表団を国際原子力機関に派遣いたしまして、わが国のその立場、これを明確にいたし、今後の国際原子力機関との間の保障措置協定締結の段取りを一応済ませたというのが現段階でございます。
○瀬長委員 いまの問題は、これはいつごろ批准をする手はずになっておるか、具体的に説明してほしいと思います。
○影井政府委員 ただいま御説明申し上げましたわが国と国際原子力機関との間におきます保障措置協定の交渉、これがどのくらい時間がかかるか、私どもなるべく早くこれを進めたいと考えておりますけれども、現在の時点におきまして、これがいつごろでき上がるかということはまだ明確な時点というものを申し上げる段階に至っていないということでございます。なおこの核防条約そのものの批准にあたりましては、先ほど申し上げました原子力機関との間の保障措置協定の交渉のほかに、核兵器国自身の核軍縮の進展状況、それから非核兵器国に対する安全保障の措置というものもあわせて考慮しなければならないということであろうかと思います。
○瀬長委員 この問題が、私は原則的に核防条約には反対でありますが、いまの国際査察の問題についてユーラトムですか、この方式で八割は自主査察をする、二割は国際機関がやっていくということを原則に、いわゆる平等の原則ですか、これが認められるのであれば批准に踏み切るということですか。それともう一つ、これは大臣にお聞きしたいのですが、日本政府の一部に、核兵器の保有を留保することが外交上の切り札であると考えておるような向きがあるやに聞いております。いわゆる原子力の平和利用と関連する日本のこういった技術面、産業上における機密が外国に漏れるといったようなこととも関連し、核兵器を保有する、こういったのを留保する考え方、これが外交上切り札にもなるのだ、とりわけ現在中国、フランスは核防条約を認めていないということと関連して、そういうふうにいわれておるのですが、特に核兵器問題については、いま申し上げたような、核兵器を将来保有するという権利を留保しなくちゃいかぬといったような面について、大平外務大臣はどうお考えですか。
○大平国務大臣 前段のほうのNPTの批准問題につきましては、ただいま国際原子力機関との間で保障問題について予備交渉をやっておるわけでございまして、それがクリアーされるだけで十分かというと、先ほど影井国連局長からも申しましたように、第一、第二の問題の評価があるわけでございまして、ただいまはっきりと、いつごろ批准の運びになるであろうかというような見当をつける段階ではまだないのであります。
 それから第二の、核兵器の保有につきまして留保を持つことが外交上の切り札であるというような考え方が、政府の一部にそういう意見があるのかということでございますが、そういうことは全然ございません。
○瀬長委員 日本政府の核政策の基本といわれているのは非核三原則だというふうにこれまで説明してこられたと思うのです。すなわち、つくらない、持たない、持ち込まない。これがほんとの政策の基本であるとすれば、これを緊急に法律にしていくということが大事だと思いますが、そういう、非核三原則を立法化する意思はありませんか、これは当然のことながら、非核三原則が、日本は核兵器はつくらぬとか、持たぬとか、持ち込まないとかいったのが政策の基本であるとすれば、これを法制化するということでなければならぬと思いますが、大臣、そこら辺はどういうお考えをお持ちでございますか。
○大平国務大臣 非核三原則は政府の一貫した政策でございますし、また国会、各党におかれましても全然問題のない、反対の意見のないところでございまして、政府がこれを堅持してまいる上において何らかの政治的支障がないばかりか、技術的支障もないわけでございまして、いまの場合、これを法制化するというような必要を特に感じておりません。
○瀬長委員 実際上非核三原則は宣伝用であって、実態はない、むしろ虚像である。だから、これを法制化、立法化すると政府は非常に立場が困るということがあるわけなんでしょうな。というのは、たとえば横須賀におけるミッドウエーの空母、原潜、この問題にしても、この原子力潜水艦は沖繩のホワイトビーチとか、あるいは佐世保あたりには自由に入り込んでおる。攻撃型原潜は核兵器なんです。さらにミッドウエー空母の問題についてもこれは核兵器。これの母港化するということは、持ち込むと同じことであって、そういうことが、もし非核三原則を法制化されるのであれば、アメリカの核兵器である原潜は日本の基地に寄せつけてはいけないし、さらに原子力空母の問題にしても寄港などということは許してはいかぬ。ところがこれを許すという方針をとっている。こういった問題で、もし非核三原則が立法化されると、たちまち政府の非核三原則なるものの実態が国民に明らかになる、これをおそれておるのじゃないのですか。
○大平国務大臣 そういうことは心配してないのです。安保条約に基づきまして日米間に取りきめをやっておりまして、核兵器の持ち込みということはやらないということを誓い合っておるわけでございます。問題は、いつもあなたのお話を聞いておりますと、その約束をアメリカが守っていないのじゃないかという御指摘があるわけでございますが、私どもはさようなことはないと確信をいたしておるわけでございまして、政治的にも行政的にも何ら法制化をやらなければならぬというようなものではないと私は考えております。
○瀬長委員 持ち込まない、持たない、つくらない、この非核三原則は各政党みな意見が一致しているので、これについては政府もその方針だということを言われましたが、もしそうであれば、なおこれを法制化するというのは当然あたりまえのことだと思うのです。だが、いま申し上げましたように、アメリカが約束を守るとか守らぬとかということではなくて、攻撃用原子力潜水艦は核兵器なんです。それから原子力空母も核兵器なんです。これが堂々と日本の国土に基地を持ち、あるいはいつでも核兵器である原潜が出入り自由、これでは持ち込みを認めているということになりはしませんか。これはもう常識ですよ、大臣。これは現実なんだから否定できない。持ち込んでいる。持ち込んでいながら非核三原則とは一体何か、虚像です。ですから、法制化があえてできないという原因、理由はそこら辺にあるのじゃないかと指摘するのは、これは普通だと思うのですよ。これはどうなんですか。
○大平国務大臣 持ち込んでおるという前提に立っての立論であるようでございますが、そういう前提を私どもは考えていないわけでございます。法制化をしなければ云々という政治的、行政的な心要を感じていない。りっぱに非核三原則は守られるということでございまして、とりわけことさらに法律の形にしなければならぬというような必要を特に感じていないわけでございます。
○瀬長委員 私は、その非核三原則は宣伝用であって、実際は行なっていないということを指摘しているのです。だから法制化などということは政府の頭にない。繰り返して申し上げますように原潜、あれはだれが何と言おうと核兵器なんです。原子力空母も核兵器なんです。沖繩における海兵師団あるいは航空師団、これはもう戦術核兵器で武装しておるし、いつでも武装できる。それで侵攻作戦の先兵である。現実に安保条約に基づく地位協定によって日本の国土におるアメリカ駐留軍、これは陸海空ほとんど核兵器で武装しておる。この現実は持ち込まないといったものを含んでの非核三原則とは合致しないわけなんです。したがって、もし非核三原則を堅持するということであれば、こういった原潜は日本に寄せつけない。さらにミッドウエイ空母だけではなしに、最近また「アイゼンハワー号」とかいったような原子力空母が新しく就役するであろう、こういったものも日本にやってくるといったことまでうわさされておる。だから、持ち込まないとなれば、日本政府はこういったミッドウエーなどの原子力空母を横須賀に寄せつけぬ、母港化しない、あるいは原潜を自由に出入りさせないということが基本でなくちゃいけないわけなんです。それはどうなんですか、矛盾しませんか。
○大平国務大臣 そう問題を拡大されては非常に困るのでございまして、原潜というのは推進力として原子力を利用しているにすぎないわけでございまして、われわれが石炭をたいて電力をつくる発電を考え、あるいは濃縮ウランをたいて発電をいたしておりますことと変わりはないわけでございますが、原子力空母の寄港問題をめぐって十年ほど以前から国会で終始いろいろ議論されてきたわけでございます。あなたがまだ議席を持たれない前からずいぶん議論されてきたわけでございます。原子力を推進力とする原潜はそれ自体核兵器であるなどという議論はまずこの国会ではなかったわけでございます。私どもは従来国会の論議を通じましても明らかになっておりますように、ただいま政府がとっておる姿勢に間違いはないと考えております。
○瀬長委員 原潜が核兵器などという話は初めてだというのですが、攻撃型原潜は核兵器に間違いないのですよ。単にいわゆる原爆と、これを積んだミサイルだけが核兵器であるのか、いろいろ議論になるでしょうが、要するに核兵器で武装した原潜、その原潜を一体何のためにつくったのか、これ自身核兵器なんですよ。原子力空母も同じことです。こういったことを拡大してはいかぬというわけです。いやだんだん拡大されつつあるのです。いままで別にミッドウエー原子力空母を横須賀に寄港させることは方針としてなかったのにもかかわらず、もう寄港させておるということを言っておるのです。だんだん拡大しておる。それでアメリカの核のかさというのは普通そういうことをいっているわけです。このもとで、いわゆる非核三原則の矛盾というものがあらわれてくるものだから、法制化などということは政府の頭にはないし、法制化どころの騒ぎじゃない。これは国会の問題にもなりますが、非核三原則を決議して全世界に宣言するということとも関連するわけなんですが、政府がそういった立法化できないというのは私はそこにある、こう見ております。
 そこで最後に確かめたいのは、これは繰り返しになりますが、いまとりわけ大事なのが核兵器の使用を禁止する国際的な取りきめを今度の国連でぜひ日本政府が自主的に、アメリカと相談したりされることもなく、ほんとうに日本が主権国家であるのであれば、こういった広範な、国民が切実に求めている、核兵器の実験にしても、製造、貯蔵、使用、いわゆる全面禁止、これが現実にすぐできる段階じゃないということであっても、この使用を禁止する、当面とりわけこの問題について今度の国連総会にぜひこれを日本政府が提起してほしいと思いますが、大臣、どうお考えですか。
○大平国務大臣 あなたの御質疑にお答え申し上げておりますように、核兵器の軍縮さらにはその全廃という方向にわれわれといたしましては精力的に努力しなければならない、そのことはあなたと私と完全に一致するわけでございまして、そういう道標を掲げて具体的にいつ何をやるかという問題につきましては、今日の状況のもとにおいて実効のあがる措置を考えてまいりたいと私ども申し上げておるわけでございまして、せっかくの瀬長さんの御提言でございますが、御提言として私どもは承っておきますが、政府はそういう基本の方針にのっとりまして適時適切な、実効あがる措置を精力的に進めてまいらなければならぬと考えております。
○瀬長委員 核兵器の使用禁止協定について、日本政府が今度の国連に出すとなると、大平外務大臣、みんなから非常に拍手かっさいを受けると思うのです。私がそう申し上げるのは、これは日本国民の切実な願いだけではないわけなんです。盛り上がる国際世論、これが非常に要求して、高まっておるわけなんです。したがって、今度の場合、大平大臣国連総会に出席されると思うのですが、ぜひ、その使用を禁止する国際的な取りきめを原水爆の被害を直接受けた世界でもただ一つの国である国民の要望をになって日本政府が出すということは、アメリカ政府でも別に出すなとは言わぬと思うのですよ。あるいは言うかもしらぬが、しかし言ってみたところで、自主性を発揮してこの点をはっきり検討して、そしてただ提起を聞いておきますではなくて、その方向で努力されるというふうに理解してよろしいですか。
○大平国務大臣 いつも政府を御攻撃をちょうだいいたしておるわけですが、きょうは珍しく御鞭撻をちょうだいいたしておるわけでございまして、珍しいあなたの御鞭撻を込めての御提言として拝聴いたしておきます。
○瀬長委員 以上で終わります。
○藤井委員長 永末英一君。
○永末委員 原子力船むつの出力試験について、だいぶもたもたしておりましたが、現状はどうなっておりますか。
○成田政府委員 原子力船むつは青森県のむつ市の岸壁、母港において去年の八月に燃料装荷をしまして、予定では十一月ごろ臨界の予定でありましたが、母港岸壁で臨界あるいは出力上昇試験をやらぬようにという漁業組合の反対等がありまして、それで沖合い六キロぐらいのところ、これはむつ湾内でありますが、そこで臨界並びに二〇%の出力上昇試験をやるべく計画を立て、むつ湾の漁業組合といろいろ県知事等のあっせんによって折衝を重ねてまいりましたが、むつ湾は非常にホタテガイの養殖が最近盛んになっておりまして、そういう事情もあって漁業組合がむつ湾内では臨界並びに上昇試験をやらぬようにと、県のあっせんにもかかわらず非常に強い反対がありましたので、湾外で、日本海の相当離れた、二百キロ以上陸地から離れたところでやるべく動燃、原子力船事業団に鋭意検討さしておったわけでございます。これは県とも密接な連絡をとってそういう計画で参ったのでありますが、先週、六月二十七日の漁業組合、漁連等の会合、これは青森県の漁連だけではなくて秋田県の漁連、それから北海道の一部の漁業組合等も参加して、そこで事業団から、県も入りまして、日本海一帯における臨界並びに出力上昇試験の実施についてお願いしたのでありますが、そこでは非常に反対が強くて、日本海のそういうあたりはイカの漁獲の非常に多いところ、イカ漁船が非常に運航するところであるという理由で反対の意見が非常に強くなって、反対決議のようなかっこうになったわけでございます。それで、現在青森県知事等からも日本海以外のところでやることについて事業団として検討しないか、してくれという要請も受けておりまして、現在そういう点についての検討も行なっておる最中でございます。
○永末委員 先行き全く五里霧中ですか。
○成田政府委員 先行き五里霧中という状況でございますが、ただ技術的には、日本海以外の地点でやり方によっては臨界並びに出力上昇試験をやれる場所があるんじゃないかというので、いま地点をいろいろさがさせておるところでございます。日本海と違いまして、太平洋等においてはそういう地点も相当広くさがせるのではないかというので、いま技術的な安全上の問題等を検討させておりますが、これも漁業との関係の摩擦のないような地点で、しかも技術的に安全な場所をさがすべく、目下鋭意事業団が中心になって関係方面とも折衝をして、いま探査中のところでございます。
○永末委員 沖合い二百キロといいますと公海ですね。その公海には主としてソ連の原子力潜水艦がうろうろしていることは天下周知の事実であります。太平洋のほうもアメリカの原子力潜水艦がうろうろしておるし、ソ連の原子力潜水艦もうろうろしておる。したがって、すでに完成された原子力核燃料のエンジンが作動しているわけだけれども、それで日本の漁業に非常に影響があったという報告がございましたか。
○成田政府委員 そういう報告はわれわれ聞いておらないのでありますが、ただ先月末の漁業組合のそういう総会等においては――船の事業団はある地点をかなりの範囲にわたって考えておったのでありますが、そこは、季節的な問題もあるのでしょうが、いまイカ漁の非常に行なわれるところであるという、これは漁業組合の連中のそういう意見で反対を受けたのでありまして、外国船による支障等の話は聞いておりませんが、そういう漁業組合の強い意思、意見が出されたわけでございます。
○永末委員 この出力上昇試験というものについて、それだけ問題があって、あなたのほうは、じゃあと言って、最初むつ湾内でやるやつを日本海はるか二百キロ沖合いを言うてみたり、今度は日本海がどうだという抗議を受けますと太平洋をさがしたりしているというのは、出力上昇試験に際しては放射能が海洋中に漏れる、こういう前提に立っているのですか。
○成田政府委員 原子力船の臨界並びに出力上昇試験あるいは一般航行の場合も、これは放射能が出ないという、これは昭和四十二年の安全審査会においても安全であるという専門家の答申を受けておりますので、出力上昇試験はもちろん、一般航行の場合も安全上問題ないということはわれわれは確信しております。
 ただ、漁業組合等の言い分は、その原子力船がそこで出力上昇試験をやることによって、漁船の仕事あるいは漁船の通航に非常に支障を来たすんじゃないかという言い方、それから、たとえ安全であるか安全でないかは別としても、原子力船がその海域におって、それでホタテガイ、あるいは日本海の場合はイカでありますが、そういうのは一般の消費者から、非常に心理的な影響を受けて値段がたたかれる。そういうような、反対意見にはいろいろありますが、放射能の水が、廃液が出るのであぶないという意見もあります。それから、出る出ないは別として、心理的に値段がたたかれるということ、それからホタテガイなりイカ漁の、漁船の操業、運航に支障を来たす、そういういろいろ三つくらいの反対意見がありますが、最初の安全性については、安全審査会も通っておりますので、われわれは心配ないということは確信して、またそういう面の説得は鋭意続けてまいったつもりであります。
○永末委員 昔、北朝鮮とアメリカで事件が起きましたときに、ベトナム海域へ出動すべき任務を帯びておりましたアメリカ第七艦隊の船が日本海へ入りまして、そしてそのとき、たしかエンタープライズも入ったと思うのですが、これについて倉石当時の農林大臣が不規則発言を院外でやりまして責任をとった事件がありました。
 そのときにも、エンタープライズは入ったけれども、エンタープライズが原子力エンジンを持っているからいかぬという議論はあまりなかったように思います。その当時のカニ漁労のための漁網を切るとか、漁船の通航がそれでごちゃごちゃになったということに対して、漁獲高の激減することに対しての発言であったと思います。エンタープライズが原子力エンジンを持っているからという理由で、その当時問題になりましたか。
○成田政府委員 私その当時の事情は詳しくないのでありますが、おそらくそのときは問題にならなかったんじゃないかというふうに考えます。
○永末委員 大平外務大臣、いまお聞き及びのとおりに、漁民のほうはいろいろ理由を言うておるわけですね。どうも聞いておると、すでに完成された原子力エンジンを持っておる船が、それを作動させて航行している場合、いまこれは、これからでございますが、要するに出力上昇試験をやろうという場合も同じだ、こういうことなんです。同じであるにかかわらず、原子力委員会、わがほうは、その事業団はうろうろしておるわけですね。
 しかし、いまだかつて日本政府は、わが近海で漁業ないしは漁場に影響を及ぼすと思われる公海を、ソ連、アメリカの原子力エンジンを積んだ船が走っておるということはございましても、第一、確認したかどうかわかりませんが、外務省としてはいまのような理由で抗議されたことございませんね。
○大平国務大臣 そういうことはございません。
○永末委員 科学技術庁長官、要するに日本政府は、よその国の原子力エンジンはいまのような――いまのところですよ、漁場のためには有害であるとは判定していないから――あるなら抗議しますよね、大平さん。ところがあなたのほうは、なるほどこれはわが国の漁民の問題で、真剣な問題ですよ、しかし、自分のつくっているエンジンに対してきわめて自信がなくて、うろうろしている。太平洋といったって回遊魚もありますし、漁場はいろいろあるわけです。それなら、カナダやあるいはソビエトの政府から困る、おれのほうの漁民がとるのに困るといわれたら、あなたどこで出力上昇試験をやるんですか。どういうかまえでこれを見ておられるか、あなたの考え方を聞きたい。
○前田国務大臣 原子力船につきまして臨界並びに出力上昇試験がもたもたして、一体何しておるんだという先生の御指摘、全くもうそのものずばりの御指摘でございます。
 実は原子力船「むつ」につきましては、先ほど政府委員からも御答弁いたしましたように、設計上の面におきましても、荒天の場合横ゆれ、縦ゆれ、振動に対して安全である、あるいは原子炉施設の安全で、衝突の場合も考えております。また、座礁した場合でも、それに対する構造の安全性も考えておる。また、沈没の場合の安全性も考えておる。原子炉事故の安全性というものも考えておる。廃棄物につきましても、固体、液体につきましては船内に保管して陸揚げする等、それから気体につきましてはフイルターによって濃度を下げて排気塔から出すというふうな、とにかく設計上、その他安全性という点につきましてはもう十分にわれわれは確保しておるつもりでございます。
 しかし、何ぶんやはり地元の理解と協力というものも得るのが必要であるというふうに考えまして、そうして地元の理解と協力を得るためにこれまでいろいろ努力をいたしまして、またその間、青森県知事等もお入りをいただきまして、非常に努力をしたわけでございますが、日本海でこの臨界、出力上昇試験をやるについても何か、先ほど政府委員が御答弁いたしましたような反対もありまして、別にわれわれは――もたもたしておるといえばもたもたしておるわけでございますけれども、安全性に自信を持っておるわけでございまして、ただ、でき得る限りその摩擦というものを少なくしてこれを実行したいという点で、ただいま種々検討中であるということをお答え申し上げたいと思うのでございます。
○永末委員 よその国はすべて、原子力船は少のうございますが、潜水艦に原子力エンジンをつけてやっていますね。のがれのがれてよその国の出力上昇試験をやっている海域まで行ってやらないとできませんよ、そうもたもたしておりますと。私はやはり本腰を入れて、もしそれが補償の問題であるなら補償にも応ずるし、それから、安全だということをほんとうに信じておられるなら、それをもっと説明すべきであって、むつ湾がいかなければ日本海、日本海がいかなければ太平洋と、太平洋がいかなければどこへ行くのですかね。もうちょっとやはり――国民の税金を使ってつくった船でしょう。それから、これからもいろいろ問題のあるところですけれども、その辺どういうめどですか。先ほど五里霧中というのは危険というのでございますけれども、五里霧中というのは危険ということでございまして、何に衝突するかわからぬのであって、どういうこれからのめどを立てておられるのですか。
○前田国務大臣 先ほど政府委員から五里霧中という答弁、私もじっと聞いておりまして非常に気に食わぬ答弁でありまして、私実はこの答弁を訂正したいというふうに考えております。五里霧中にはいたしません。必ず国民の期待にこたえて、何ぶんそれは反対もございますけれども、自信があって、安全性というものを確保し、皆さんに御迷惑をかけないという自信がある以上、本腰を入れてやる。どこでどういうふうにするということはここでお答えはいたしませんけれども、先生の御指摘にこたえまして、この臨界出力上昇試験の実施ということにつとめたいというふうに考えます。
○永末委員 長官の御意思はわかりましたが、私はその手順のことを申し上げているので、霧が一ぱい込めてきたときにどうやって船を動かしていくか、動かしようがあるわけだ。五里霧中には違いないわけだけれども、ただ目的地あたりに行きたいというだけのことであって、行く手段があるでしょう。その手段をやはりこの委員会を通じて国民に、特に青森県や隣接府県の漁民にもわかってもらうということが必要なんで、ともかく目的地へ行くのですということだけではわかりませんでしょうね。どういう手だてをお考えですか。
○前田国務大臣 目的だけ張り切ってもしようがないじゃないかという御指摘だと思いますが、そのとおりだと思います。この点につきましては地元の知事さんあたりに前から非常に御心配をいただき、たびたび私のほうにも御足労をいただきましてよく打ち合わせをしております。その関係上、やはり従来のいきさつ等もございまするので、その間よくアプローチをしておるという段階でございます。
○永末委員 できるだけ早い機会にどういう順序で何をするかということをやはり国民の前に明らかにしていただきたい。これはあなたの責任ですよ。
 さて、ここにも核燃料を使っているわけですがこの核燃料はどういう経路で入手したものですか
○成田政府委員 原子力船「むつ」の核燃料は、現行の日米協定の中に入っておりまして、この協定によってアメリカから入手したものでございます。
○永末委員 現行の協定というのは、付表では――問題点は総額と付表でございますが、「濃縮ウラン動力用原子炉計画」というのが、付表ですね、この中に入っておりませんね。どういう形になるのでしょう。
○成田政府委員 付表で、動力炉、発電炉につきましては三百二十八トンのウラン二三五、それからその他として七トンの研究炉用等の研究用のワクがありまして、この七トンの中に原子力船「むつ」の燃料その他原研等の研究炉の燃料が入っておりまして、七トンの中から確保しているわけでございます。
○永末委員 その他で七トンというのはどこに書いてあるのですか。
○成田政府委員 九条で三百三十五トンという表現になっておりまして、付表において動力炉用の燃料として三百二十八トン、三十二万八千キログラムとなっておりますので、その差額が七千キログラム。これが原子力船とか原研等の研究用の試験燃料でございます。
○永末委員 なるほど七トン弱は差額が出てまいりますけれども、その七トン弱の、使用している――「むつ」もございましょう、その他もございましょうが、それの資料を出していただけますか。「むつ」はどれだけ使っているのですか。
○成田政府委員 研究用七トンの内訳でございますが、原子力船が五百三十キログラムになっております。それからJPDR、これは原研の動力炉試験炉でありますが、これが九百六十七キログラム、それからETR、これは動力炉・核燃料開発事業団の新型転換炉の原型炉用の燃料でありますが、これが千二百四十二キログラムでございます。それからいろいろな原研等の試験用の研究炉があります。これが千五百五十九キログラム、その他試験研究用に二千四百八十五キログラム、合わせまして六千七百八十三キログラム、概略で約七トンと称しておるわけでございます。
○永末委員 この七トン弱のものについても国際査察が行なわれておりますか。
○成田政府委員 これはもちろん協定による核燃料の入手でありますので、IAEAの査察を受けております。
○永末委員 回数はどのくらいですか。
○成田政府委員 現在日本で査察を受ける施設が百五ほどあります。このうちで原子炉と称するのが二十八ありまして、研究炉というのがその二十八のうちで二十二であります。大体いま申し上げました七トンの対象は二十二の研究炉の中に入っておると思います。それで四十七年の回数は十二回ほど受けておりますが、このうち研究炉用が幾らというのはちょっといまはっきりしたデータがないのでありますが、原子力船「むつ」につきましては大体年間一回か二回程度の査察を受けることになっております。
○永末委員 その小さな燃料をやって研究しているのが、やはりわが国の平和的利用をやっていないかという疑いを差しはさむ余地のある炉なんですか。
○成田政府委員 発電炉等に比べますと、スケールも小さいのでありますが、研究炉でもプルトニウム関係等もありまして、一がいにスケールが小さいから全く平和利用――国際的にそういうこともないと思いますが、そういう意味で燃料関係は研究炉といえども査察の対象になっております。ただ、事の性格上、平和利用上あまり問題にならないものは、したがって回数も少なくなるという形に実際はなっております。
○永末委員 「むつ」も年に一、二回査察を受けるのだとおっしゃいましたが、いままで何回受けましたか。
○成田政府委員 正確にはちょっと調べないといけませんのですが、大体三回受けているのではないかというふうに考えております。
○永末委員 舶用エンジンに原子炉を使った場合きわめてコンパクトにしなければならないのですが、そしてそれはもう明らかにエンジン用のためのものでありますから事理明白なようにわれわれしろうとには思われるのですけれども、それをすら平和利用ではないのではないかという疑いのもとに査察を受けなければならぬ理由は何なんですか。なぜ受けるのですか。
○成田政府委員 現在、二国間協定による保証契約は、燃料が入った場合はその燃料の流れをトレースするという意味で、機械的には、回数は非常に少ないのでありますが、受けているわけです。それから使用済み燃料との関連等も若干ありますので、そういう面からも、回数は少ないのでありますが、国際査察を受けておる。しかし、事の性質上、査察は非常に簡単なものであると思います。
○永末委員 大平外務大臣、先ほど、軍艦、普通の船と違いまして戦闘用の船に核燃料を使うエンジンを積んだ場合、そのもの自体は兵器ではないという解釈だとおっしゃる。つまり、核兵器というのは、爆発物を扱うようなものが政府のいわゆる非核三原則に含まれる核兵器である。舶用エンジンが核燃料を使うものであっても、それがたまたま普通の船に載っておろうと、あるいは戦闘用の船に載っておろうと、そのことだけでその船が核兵器になったとは思わない、こういうお話でございましたが、それは相違ございませんね。
○大平国務大臣 そう考えております。
○永末委員 それでは、わが国の海上自衛隊の船が将来原子核燃料とするエンジンを積むということも理論的にはありますね。
○前田国務大臣 その問題につきましては、原子力が船舶の推進力として一般的に使用されるまでは、原子力は兵器には使わないという考え方でございます。
○永末委員 私はだから、将来というのと理論的というのと二つ申し上げたのであって、だから「むつ」が完成をして運航され、そして将来油の危機はどうなるかわかりませんが、原子力エンジンによる船の運航のほうが望ましいという形も出てきましょうし、海上自衛隊ではすでにもう涙滴型潜水艦をつくっておって、涙滴型潜水艦なんという船は水中速力を速めるための船体構造であって、水中速力というものを速めようとするならば、原子力エンジンを使わなければ意味がないことは天下周知の事実でございます。その意味合いでは、理論的に将来そういうこと、すなわち海上自衛隊の船、戦闘用の船に原子力エンジンを積むということはあり得ますね。
○前田国務大臣 釈迦に説法で、先生のほうがよく知っていらっしゃいますが、原子力基本法の第二条には、原子力の研究、開発及び利用は平和目的に限ると規定されておりまして、わが国の原子力の利用が平和目的に限られておりますることは明らかでございます。したがいまして、自衛隊が殺傷力ないし破壊力として原子力を用いる、いわゆる核兵器を保有することは同法が認めないし、また船舶の推進力として原子力が一般的に、もうほんとうに原子力が一般的に使われるということはまだまだ当分の間ございませんし、私は原子力をそういう潜水艦の推進力として使うというこは考えておりません。
○永末委員 石油危機はあと二十年ぐらいするときわめて明確にあらわれるという説がございました。この新しい協定で、これは三十五年やろうというわけですから、そうしますと、原子力というものがエネルギー源として用いられる重要性というものは、この協定の後半期にはきわめて明確になってまいる。
 さて、いま科学技術庁長官は、まあ海上自衛隊とは言われなかったが、潜水艦には原子力エンジンは積まないなんと言われたが、仮定の問題には答えられないと言われないで、もし海上自衛隊の船に、潜水艦であろうと浮いている船であろうと、原子力エンジンを積んだ場合――もっとも海上自衛隊の船といいましても、その船が敵を破壊する武器を積んでいない船もたくさんあるのですからね。あるいはぐるぐる回らなくちゃならぬというので、いろいろな運貨船みたいなものに原子力エンジン、核エンジンを積むかもしれません。そういう場合にやはり国際査察を受けますね。それをちょっと聞きたいのです。
○前田国務大臣 先ほどもお答えいたしておりまするように、われわれは核エンジンというものを海上自衛隊に使うことは考えておりませんから、そういうことはちょっとお答えはできないのであります。
○永末委員 大平大臣は考えておいてくださいね、いまのお話は。まあ科学技術庁長官がそう言われましたことは記録に残りますので、それはそれとして、あなたの言われた発言が残るということだけは記憶いたしておきます。
 さて、その次に、先日この協定による保障制度と、それから核防条約にもしわれわれが批准し、これに加入していった場合の保障制度との比較というものの資料をいただきました。さて、先ほどもちょっと問題になったのでございますけれども、ユーラトムが国際原子力機関と協定を結びまして、そうしていわゆる共同査察制度、その共同査察制度の内容は、自己査察の部分が非常に多くなっている、ある人は八割はそうなるんだということでございますが、もしわれわれがそのユーラトムが国際原子力機関と結んだ協定と同じものを結び得るということになりました場合には、この前いただきました表は変わるのですか、変わらぬのですか。
○成田政府委員 NPT関係のこの表に関しては変わらないと思います。
○永末委員 そうしますと、この表は、この前は、先ほど国連局長が説明しましたように、まだまだこれからやることであって、われわれが一体ユーラトム並みの方式で批准の段階までこぎつけ得るかどうかが未来の問題でしょう。あなた、この前書いてきたのはどっちなんですか。そっちでいこうというのか、そうじゃない、ユーラトム並みでなくてもいける場合の批准を予定しての比較なのか、どっちなんですか。
○成田政府委員 NPTに入った仮定に立ってのNPT保障措置制度というこの協定、これはモデル協定、一昨年の五、六月ころですか、理事会で承認されましたモデル協定案を内容としてつくっておりますので、これはユーラトムはもちろん、NPTへ入る核保有国は全部このモデル協定を基準としてつくられますので、この表は変わらないということになります。
○永末委員 それじゃ一つ伺いますが、四月に取り結ばれましたユーラトムとそれから国際原子力機関との間のもので、この査察の面に関しては、一昨年のこのモデル協定とは一致しておりますか、全然違いますか。
○成田政府委員 われわれはこのモデル協定のワク内でユーラトムとIAEAとの保障措置協定ができたと考えております。ただ、このNPT下における保障措置制度は、その締約国の核物資管理制度の有効性、エフェクティブネスとか、そういう有効性が十分であるかどうか、それによって、モデル協定できめておりますところの最大査察業務量が、相手方の自主管理制度が非常に信用できるものであれば、IAEAの査察業務量を減らしていく、そういう考え方をとっておりますので、ユーラトムの保障措置が信用され、それによってIAEAの直接の保障措置が減るということが考えられるわけでありまして、そういう意味では、その当該締約国の国内管理体制がどれだけ有効であるかという信頼度の問題にかかわる点だと思います。したがって、日本もユーラトムと同じような実効性のある管理制度をとるならば同じような結果になるものだというふうに、また、そういうふうに国内管理制度の整備もつとめたいというふうに考えております。
○永末委員 あなたはユーラトムと国際原子力機関との協定と一昨年のモデル協定案というようなものと一緒だと思うとおっしゃったが、きっちり一緒ですか。一緒と思うなら、二つ突き合わして見せてください。
○成田政府委員 われわれは、ことし、四月五日にIAEAとユーラトムとの間で調印された保障措置協定は、このモデル協定のワク内でこれを基本的に受け入れ、そうして当該締約国の自主管理制度の有効性に関連して具体的な内容がきめられているというふうに解釈しております。
○永末委員 問題はいろいろあるのですけれども私は内容を知らぬから伺っているので、この件に関しては、つまりモデル協定のワク内でユーラトムとIAEAがやったのだ、こうおっしゃった。ワク内なら、要するにモデル協定のほうがその国にとって、つまり査察を受ける側にとって、有利、不利ということばは悪いですけれども、有利だ、こう思うならば、わが国が満度として要求すべきものはモデル協定だ、こうなるし、しかしモデル協定といいましても、自己査察の部分は確かにその国の査察に関するいろいろな制度が必要でしょう、信頼性の問題だから。ユーラトムの場合は、一国じゃなくて多数国家だから、いうならばその意味で国際査察の国際という要件を満たしておるわけです。わが国の場合はアジアには似たような国がございませんから、一国でやらざるを得ない。したがって、その場合には国際的要件はストレートにIAEAになってしまうわけだ。したがって、われわれが、これからいま交渉中でございましょうが、われわれの自主査察の部分というものはきわめてユーラトムの場合よりむずかしいと見るのが普通の常識だと思う。ところが、いまあなたが言われたように、大体同じだと言われると、どこが一体努力目標なのか、どこを一体ユーラトムがかちとり、われわれがそんなに努力しなくてもかちとれるものかというところに私は問題点があると思うので、大体同じだろうという答弁じゃ満足できませんね。どうですか。
○成田政府委員 ユーラトム七カ国、これは保障措置制度は一地域としてIAEAが考えているわけでございます。したがって、ある意味では七国の間の核物質の移転は国際的な移転の手続をとらないという有利な面もあるのでありますが、そういう意味ではわれわれは、向こうが国際間の保障査察制度があるから、日本は一国だから非常に不利になるのじゃないかという考え方はとらないのでありまして、やはりその締約国の自主的な管理体制が有効であるかどうか、確かにユーラトムは査察員も相当たくさん持って、非常に強化された形で圏内の保障措置をやっていますが、日本もやはりそれに匹敵するような国内の自主管理体制を強化整備していくということが先決であり、またモデル協定案の趣旨からも、そういうことが日本としてできるならばユーラトムと同じような自主的な査察実効性が認められて、これと平等な扱いをするように、極力今後の交渉によって確保すべき問題だと考えております。
○永末委員 それでは、この前いただきました資料の中で、核防条約による保障措置の制度というような項目でまとめられているものは、ユートラム並みということをわがほうがこれから折衝して最終的に達する結論が書いてある、こういうことですか。
○成田政府委員 この御提出しました表の「NPT保障措置制度」という中には、これはモデル協定によってやっておりますので、共通の問題を書いております。ただ「V」の「通常査察」の欄にありますように、一番最後から三行目「施設の種類ごとに査察回数の上限が定められさらに実際の査察回数は、国の核物質管理制度の有効性等の基準により低く定められる。」この解釈運用の点で、実際上はユーラトムと同じ実効性が認められるかどうかによって、また同じようなものにして、ユーラトムと平等の低く定められるという点、平等にしたい、そういう意味で今後の問題にかかっているわけでございます。
○永末委員 そのモデル協定案なるものと、それとユーラトムとIAEAが協定したものと、文書をひとつ提出してください、委員長、要求しておきます。
○影井政府委員 ただいまの文書、英文のものを入手しておりますので、なるべく早くお届けしたいと考えます。
○永末委員 核防条約の批准が問題になっておるようでありますが、その場合に、少なくともユーラトム加盟諸国の中に西ドイツという国がございますが、これが原子力に関してつくっているユーラトムとIAEAとの間の協定が結ばれるまでの間はこの核防条約に対する加入を拒んでまいりました。したがってわが国もまた、このユーラトムがIAEAと結んだ協定と同様な協定と申しますか、その妥結ができるということが核防条約を批准する要件である、このように解釈してよろしいか。
○大平国務大臣 一つの要件と考えております。
○永末委員 それではその次の問題に移りまして、アメリカとの間に濃縮ウランをもらうという協定でございますが、この協定がございましても、ソ連との間に濃縮ウランの供給をわがほうが求めることはできますか。
○影井政府委員 理論的な問題といたしまして可能でございます。
○永末委員 ソ連のほうは濃縮ウランもまた供給するようなことをいっておるわけでございます。理論的な問題とおっしゃったのは、現実にまだ生起もしていない問題ですが、しかしそのことがこの協定の破棄にはつながらない、こういう意味でしょうね。
○影井政府委員 お説のとおりでございます。
○永末委員 そこで大平大臣、私はこの前総理大臣が本委員会に来られたときに、ニクソン・ブレジネフの間における核兵器不使用、核戦争をやめるという協定とか、それから共同宣言のことを伺いました。時間が短くて意は尽くしておりませんが、この点についてぜひ大平大臣の見解を伺いたい。
 つまり、ブレジネフ書記長のほうもニクソン大統領のほうも、外交の進め方はワンセットでやっていると思うのです。主軸安全保障、しかし、それに対していろいろな経済のことをからみ合わせつつ外交を進めていると思います。わがほうの場合は、経済のほうはきわめて表面に出ますが、安全保障のほうはなかなかもってワンセットとして進められているように十分の御説明を伺っていないのは残念でございます。しかしそれはそれといたしまして、これから、いまのような原子力の問題についてはアメリカとソ連とああいう形でものを進めていることが前提にあって、いよいよこの核防条約というものが目の前に追ってくるわけでございますが、核防条約については、アメリカもソ連も、全世界に対して共同の責任を安全保障の点については負っておるのだということをいままで声明してまいりました。
 さて問題は、その中で濃縮ウランを入手をし、それによっていろいろなその国におけるエネルギー源の開発をやり得る国、われわれのような国――やり得ない国は別ですが、それにはそれなりの別の問題があるわけですね。だからこそ、われわれにいたしましても欧州諸国にいたしましても、批准をしぶってきた理由があったと思う。
 そこで一つの問題は、安全保障が外交の軸だと私は思いますけれども、それにかかわる経済上の問題でも、濃縮ウランというのは、アメリカ側の供給するもののブロックとソ連側の供給するもものブロックとが完全に分かれておるならば、私の見解でございますが、核戦争防止協定なるものは実際はあまり意味がないと思うのです。あくまでアメリカとソ連に最終的に決をとられている形である。したがってもしそういう立場でない国、たとえばわが国ごときものが、アメリカの濃縮ウランをいままで入手してきましたが、同時にソ連の濃縮ウランもまた入手をするということは、いままでの二ブロックに分かれておる国際的な仕分けをはずしていく、そのことは端的に平和に役立つと私は思います、ブロック化を薄めるという意味で。その意味合いで、なるほどチュメニの油田の問題も経済の問題でございますが、特にこの濃縮ウランの問題について、ソ連側にわがほうに提供しようという意思があるならば、わが国としては積極的にこれを求めていく姿勢をとるべきだと私は思います。大平外務大臣の所見を伺いたい。
○大平国務大臣 安全保障の問題は、外交にとりましてその基底に認識として踏まえてかからなければならぬとのお説は、私も全く同感でございます。
 ただ、わが国の場合は、世界において非常にユニークな体制をとっておりますので、わが国の憲法上の性格というものを踏まえた上でかからなければならぬわけでございますので、わが国の外交がたいへんむずかしいわけでございますけれどもむずかしいだけにまたユニークなものであると思うのでございまして、この立場を踏まえた上で対処していきたいと思っております。基底の認識はお説のとおりと存じております。
 それから安全保障と経済交流、資源の確保という問題も決して別なものではないと思うわけでございます。できるだけそういう相互の依存関係が分厚になってまいることは、究極において平和に寄与すると私は思います。それを通じまして人の交流、技術の交流、物資の交流が行なわれ、そしてそれは同時に理解と信頼がつちかわれることになるわけでございまして、このことは安全保障上の見地から申しましても望ましい方向であると考えております。とりわけわが国のように資源がない国でございますので、できるだけ広く供給源を分散いたしてまいることもまたこれは当然のことでございまして、それは体制とか信条にかかわりなく、経済的なフイージビリティが保証される限りにおきましては、体制のかき根というようなものにとらわれる必要は私はないと考えておるわけでございます。したがって、問題の濃縮ウランにつきましても、アメリカ以外にそういう安定供給の保証が確実に読み取ることができるものでございますれば、検討いたすことは当然のことだと思っております。
○永末委員 せっかく御精進を願います。
 終わります。
○藤井委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後一時四分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十五分開議
○藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡部一郎君。
○渡部(一)委員 第九条の問題に関連し、本委員会の質疑の継続の途中から交換公文の件が問題になっておりますので、その問題について、最初に多少の見解を申し上げたいと存じます。
 日本国憲法七十三条には、内閣の職務として、「内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。」として、その第二号に「外交關係を處理すること。」三号として「條約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、國會の承認を經ることを必要とする。」と述べられております。日本国憲法のこのような規定は明らかに、今日私たちが当面している本委員会における質疑の途上において明らかにされたように、交換公文あるいは外交的な諸取りきめの問題が内閣の職務の中できわめて大きな部分を占めることを示しているものであります。その中において、一九五〇年安保締結の当時、行政協定に関してはこれを国会の審議に付することなく採決をされたいきさつがございますが、その後、国際法学会等においてはこの扱いをめぐって数々の論議がかわされ、その結果として六〇年の九月に行なわれた旧安保の締結の際には、国会審議の場に行政協定その他が持ち込まれて審議に付せられたことは御承知のとおりであります。
 その結果といたしまして、行政協定を国会審議に付することを決意した政府の行動は、明らかに十年前の旧安保締結当時の態度から見ますと、一段も二段も前進したものと高く評価されたわけであります。明らかに交換公文は、行政上スピードを要する締結あるいは細目にわたる協定にして条約その他の締結とその意味を異にするものでありますけれども、近年に至り交換公文の内容、質量ともにますます条約に準ずるような大型のものになりつつあることは事実であります。したがって、この文換公文の取り扱いは、単に条約という名称が付せられていないからというので、この扱いを一般外交案件処理と同等にすることが不当なことは、この五〇年、六〇年の安保条約における審議の過程を通しても明らかなところであります。したがって、わが国において六〇年安保において示された前進的姿勢を慣行化しあるいは法制化するなどの処置をとり、当委員会に、あるいは国会に対して、これら外交的重要諸案件に関しては国会あるいは外務委員会への報告を求めることは、この歴史的な流れからいっても、議会民主主義を守る方向からいってもごく穏当なことであると考えられるわけであります。一九三〇年代のニューデイール政策以来アメリカにおいてはこの外交案外の処理に関して、比較的条約等によらず、あるいは協定、あるいは交換公文、あるいは共同声明、あるいは共同発表というような形で、立法府の審議を経ずして重要外交案件を処理する方向というものが刻一刻多くなりつつあるわけであります。これは明らかに行政府の立法府に対するその件の侵犯を意味するものであり、このような形が今後ともに増大するのであるならば、国会審議あるいは立法府の独立というせっかくの議会制民主主義の基本というものは破壊されるということは言うまでもないわけであります。このようなアメリカ政府の傾向もまた当国政府と同じような危機をはらむものであり、アメリカと最も緊密な関係のあるわが国として、これらの傾向に流されることなく、日本外交のあるべき姿、国政審議のあり方というものが確立されていかなければならない、かように考えておる次第でございます。したがいまして、いま私は原理的なことを述べているわけでございますが、これらの問題に対して政府はどう考えておられるか、まずは外務省の関係局の御意見を御参考にお伺いいたし、外務大臣の御意見を次に伺い、そして基本的な原理の問題についてどうお考えであるかをまず示していただきたい、こう思うわけであります。
○松永政府委員 ただいま御指摘がございました憲法の関係条項の規定、これは私どもけんけん服膺して誠実に履行してまいらなければならないと考えております。一九五〇年のいわゆる旧安保条約に基づく行政協定、これが行政取りきめといたしまして政府限りの取りきめとして締結されましたことは、それに対しましていろんな批判が行なわれましたこと、さらに一九六〇年の新しい、現在の日米安保条約が締結されましたときに、それに伴います地位協定が別個の条約案件として国会にその締結について承認を求めるために提出され御審議を仰ぎましたこと、これはすべて御指摘のとおりでございます。
 そこで、交換公文であるから行政府限りで行政取りきめとして締結し得るというふうには私どもは考えておりません。それはあくまでもその内容いかんということによる。私ども条約締結の作業をいたします際に、先ほどの憲法第七十三条の規定あるいは内閣法、外務省設置法等によります行政府の所掌事務というものから考えまして、きわめて厳密にそのつど非常に慎重に検討いたしまして、行政府の権限に属するいわば先ほど御指摘がございました外交案件として処理し得るものであるかどうかということにつきましては、私どもとしましてきわめて慎重にそのつどこれを検討いたしております。その結果、交換公文の内容がたとえば国内において立法事項に属するようなものというような場合は、その締結について国会に承認をいただくために提出するという手続をとってきておりますし、今後も当然その手続は踏まれるべきだと考えております。
 またこの日米原子力協定第九条に関連しまして出てまいりました問題につきましては、行なわれました交換公文が国会に報告されていなかったという事実については私ども反省しておる次第でございまして今後はかかることが起こらないように必ず国会の審議に資するために報告いたしたい、こう考えておりまして、この点は外務大臣から先日の委員会の席上においても言明された次第でございます。
○大平国務大臣 立法府の行政府との間のけじめを明確にしてまいりますことは議会制民主主義の基本にかかわる問題でございまして、ゆめゆめおろそかにしてはならない問題と私も考えております。したがいまして、事立法事項にかかる問題で、行政府がみずからの判断で措置するというようなことがあっては当然ならないわけでございまして、政府はその点について十分今日まで気をつけてまいったつもりでございますけれども、今後なお案件の吟味にあたりまして十分戒めて、かかる間違いのないようにしなければならぬと考えております。
 しかしながら、立法府から行政府にゆだねられた問題であるからといって、行政府のほうだけが措置していいと単純にわれわれは考えておりませんで、立法府といたしまして問題の御審議にあたりまして、必要にして十分な資料を踏まえた上で御審議をいただかなければならぬわけでございますので、行政府として御審議をお願いする以上、立法府に対しましてそういった十分の資料を御提供できない、しないというようなことがありますといけないと思うのでございまして、その点は十分配慮してまいるつもりでございます。
 本件につきまして、そういった点に遺憾の点がございましたことは先般の私の釈明において明らかにしておいたところでございますけれども、今後一そう戒めてかかりたいと考えております。
○渡部(一)委員 このたびの件につきまして、後ほど委員長が政府あるいは与党と御相談の上、一つの確定した意見の確立が行なわれることを私は期待しておるわけでありますが、議会制民主主義を守っていく上において、非常にじみな問題でありますけれども、ここ三十年来にわたり日本国会が当面してきた問題をいま片づけていくチャンスであると私たちは考えているわけであります。その意味で、この問題についてはよき慣行ができ上がることを期待したいと私たちは考えております。特に政府がこの問題を矮小化することなく、一日米原子力協定の審議という問題に限ることなく、今後においては当外務委員会及び外務委員長の権威を高からしめるため、国民生活、特に国民の権利、義務に重大な影響を与えると思考される交換公文あるいは国際的取りきめ等については、これを当委員会あるいは当委員長あるいは国会に提出の上審議を仰ぎ、そしてある場合には承認を受ける等の措置が必要であろうと考えるわけであります。この点についていかがでありますか。
○松永政府委員 ただいま御指摘がございました点につきましては、ひとつ十分に検討させていただきたいと存じております。
○渡部(一)委員 そしてこの問題について、ただいまの検討のおことばが具体化され、後ほど詰められることを期待しております。
 次に、前回私が質問をし、御回答を得なかった幾つかの問題点について、原子力局長にお伺いしたいと思います。
 一つは融通の原則であります。融通の原則は、アメリカ政府の承認のもとに日米両契約者が自己の契約内容を他に譲ることができるかどうかという問題でございましたが、たび重なる御説明にもかかわらず、日米両国政府にしかるべき原則らしいお話し合いや書面の交換等がないやに聞いておるわけであります。そして、アメリカ側の原子力委員会委員長の大統領に対する報告の中にはその文面があるとのお答えでございましたけれども、日米両国間においての成規のそうした取りきめがないことはきわめて遺憾である旨、私は意思表示をいたしました。今後日米両国でしかるべき代表がこの問題についてしかるべき意見の交換あるいは書簡の交換等行なうべきである旨、私が意見を述べましたところ、それに対して十分検討する旨お返事があったわけであります。検討ではこれまたわからぬのでありまして、当委員会において本協定の審議が終了した後になるかもしれないと私は思いますけれども、これについてどうするか、明確に御報告をしていただきたいと存じますが、お約束ができるでしょうか。
○成田政府委員 融通の原則につきましては、アメリカ側は数量、濃縮度等に大幅な変更がなければ契約を自動的に延長することができる、また日本の入手した濃縮ウランは自由に譲渡することができる、こういうことはアメリカ側が日本側に対して明らかに言っておるのであります。日本に対する文書によって明らかにされていないという御指摘がありましたので、外務省ともよく相談しまして、アメリカの原子力委員会の代表の方からの書簡を早急に取りつけたい、そして来ました上は、すみやかに委員会に御報告をしたいと考えております。
○渡部(一)委員 それでは、同様のことでございますが、先着順の原則について、これまた検討する旨御発言がございました。この先着順の原則についても、同じように両国政府を代表するしかるべき方が両国政府を代表してしかるべき協定あるいは文書等の交換を行なうべき旨私は要求をいたしましたが、これまた検討するのみの御返事でございました。これに対して明確な御返事が当委員会に対していただけるかどうかについても御返事をいただきたいと存じます。
○成田政府委員 先着順の原則につきましては、アメリカ側は、申し込み順ではなくて、契約の交渉がまとまった順に契約に応じるという説明、これはAECの事務局の人の発言でありましたが、そういうこともアメリカ側は明らかにしておりますが、正式な原子力委員会の見解という形もありませんので、これにつきましても、外務省と相談をしまして、相談した結果、早急にアメリカ原子力委員会の代表の人の書簡を取りつける、取りつけた上はすみやかに提出したいと思っております。
○渡部(一)委員 それは外務省としてそういうようにおやりになりますか。
○影井政府委員 ただいま原子力局長からお答えいたしました趣旨の書簡、これをアメリカ側から取りつけるための交渉を開始しております。先方といたしましては、これは交渉の過程におきまして言明した事実でございますので、書簡を出す意思はある。ただ、具体的に書簡を書くにあたりましては、誤解のないようにまた明確にしなければならないという点がありますので、ここ一両日というわけにはいかないと思いますけれども、この書簡の取りつけは可能であるというふうに考えております。
○渡部(一)委員 私は、この先着者順の原則も融通の原則もともに非常にいいかげんなものであることは御指摘したとおりであります。私がただいまそういう書簡を取りつけるように要求いたしましたのは、私はこの内容に依然として反対であり、かつ不十分なものであるという立場から申し上げたことであります。そして今後は、こういう交渉の際将来に禍根を残さぬような協定をなさるよう希望したいと存じます。
 次に私が申し上げたいことは、九条のA項において六万メガワット、六千万キロに当たるばく大な発電能力を昭和六十年度において原研が予定しているということの背景があるわけであります。一体こういうような電力需給を要求され、かつ予想され得るものであるかどうか、そういう基本問題がまだ議論されていないように思います。日本にとってそれほどの電力量が必要であるのかどうか、また、そういう一方的な電力量の伸びというものはどういう計算から生じてきたものであるか、またそういう電力量の伸びに一方的に応ずることが、電力供給を義務づけられている電力関係諸会社に対する政府の行政指導の基本的なやり方であったのか、もっと率直に言うならば、日本列島改造論に象徴されるような日本国政府の産業拡大型、もっと象徴的に言うならば、GNP第一主義型の日本工業の前進というものに対して、政府はそれを甘んじて電力をふやすという形でのみ受けることが妥当であるかどうか、こういう問題が当然なければならぬと思っておるわけであります。一方的に拡大する人間の欲望に対抗できるほどの科学文明は私はないと存じます。また、一方的に拡大する工業の需給にただ応ずるだけの政治というものもあり得なかろうと思うわけであります。したがって、そういう面からの検討が行なわれないで、もし電力諸会社の要求をそのまままるのみにして受け取るのであるならば、これは非常に問題が残るのではなかろうか。むしろこれは電力需給の単純な見通しというよりも、要するに政治的諸態度の問題にもなりかねない、こう私は思っておるわけであります。したがって、外務を担当される外務大臣とか、科学技術を担当される科学技術庁長官に伺うのも、これはちょっと筋が違うかもしれないと私は思いますが、政府運行の責任者というお立場から、こういう問題をどう考えられているものか、私は、それを両大臣にお伺いをしたい、こう思っておるわけであります。私の心配は、六千五百万キロワット、それはそれでいいかもしれない、しかし、その次に来るものが、人類がいたずらに資源を食いつぶすことによって滅亡を予測されるようなラットレースを繰り返すという形であるならば、これは将来の人類的な立場から見るならば、いかにも幼稚な国政に対する態度ではなかったのかと思われるわけであり、またアメリカ等においては、いますでに石油の使用制限であるとか、電力の使用制限であるとか、果てはクーラーの温度をあまり下げないようにしろとか、そういう面に至るまで大統領が述べている事実を考えますとき、私は、日本においてよりシビアな資源環境にあることを考えますと、より早き決断とつつましやかな生活態度というものが当然要るのではないか、そう思っているのであります。そういう面からこの六千数百万キロワットを予想される電力需要を考えますと、こんなにも要らなかったのではないかと思われるわけであります。また、もう一ぺんに言ってしまいますが、原子力発電所は、外務大臣は御存じでございましょうが、つくってから約三十年ないし四十年の間に崩落いたしまして、使えなくなるわけであります。立ち入ることもできないコンクリートのかたまりが、日本の風光明媚なる原子力発電所のいまある環境のところに残っていくわけであります。処理することも不可能であります。この大きなコンクリートのかたまりが一つずつでき上がっていく。掘り出すわけにもいかぬ、かついでいくわけにもいかない、こういう問題に対して、もう少し私たちは将来性のある立場から考え直してもいいんじゃないかと思っているわけであります。そうすると、もう一回もとの質問に戻りまして、私の質問はかなり理念的な話の多い質問になりましたけれども、これをどうもっていかれるか、将来のために御所見を伺っておきたいと存じます。
○前田国務大臣 資源問題等の観点から、また原子力発電の昭和六十年における六千万キロワットの見通しは一体どういう根拠に基づいているのかという問題、その他いろいろの御指摘がございましたが、とにかく資源問題というのはいま世界の大問題だという先生の御指摘のとおりでございます。ほんとうに現在の経済の成長率をもってすれば、あと二十年程度で石油資源が枯渇するのではないか、あるいは地球の北極であるとか南極であるとか、極地の石油あるいは深海の石油を開発しても、あと五十年くらいじゃないかというようなことを、ローマクラブの提言にたしか書いてあったと思うのでございまして、エネルギー資源としての石油資源の命数といいますか、非常に限られているというような状態でございます。また、それに対しまして、エネルギーの需要量でございますが、私ちょっと正確に手元にございませんけれども、たしか電力の需要量は大体毎年九%前後の需要量の伸びがあるように思うのでございます。そういうふうにエネルギーの需要量というものがどんどんふえていっております。その計算でまいりますと、昭和六十年には二億四千万キロワットの発電量が要るという計算になっておりまして、それの四分の一程度、六千万キロワットというものを原子力に依存しなければいけない、石油の入手につきましても、OPECの結成であるとか、いろいろな新しい事態が生じまして、必ずしも円滑に石油の輸入ということもできない、そういう点からいたしまして、原子力に対する期待というものは非常に大きいわけでございます。ただ、石油にいたしましても原子力にいたしましても、いずれの資源も限度はあるわけでございますから、確かに先生御指摘のとおりに、省エネルギーと申しましょうか、あるいはエネルギーの節約と申しましょうか、並びに新しいエネルギー源の開発であるとか、そういう面にどうしても科学技術というものは進んでいかなければいけない。ニクソン大統領のエネルギー教書にもそういう趣旨が書いてございますけれども、われわれといたしましても、科学技術の振興というものをそういう方向にもっていきたいということで、いま鋭意勉強しておる最中でございます。
○大平国務大臣 渡部委員が指摘された問題は、いわば現在われわれ人類が直面している最大の問題の一つであると思います。今日まで必要な資源が商業的手段でともかく間に合ってきた、その上に高度の産業構造が打ち立てられて、今日までの成長を見てきたわけでございますけれども、御指摘のように、そしていま科学技術庁長官が仰せられましたとおり、資源の制約という問題が決定的な壁になってまいったわけでございまして、いままでのような経済運営のやり方あるいは経済構造のあり方ではたしていいのかどうかという、根本の問題が問われておると思うのであります。したがって、資源を大事にしなければならぬ、われわれの生活全体も考え直さねばならぬ、そういう時期になっておりますことは、資源の制約の上から申しましても、公害防止の上から申しましても、たいへん切実な課題になっていることは、あなたの御指摘のとおりだと考えております。ただ、いまここに問題になっておる一九八五年の所要電力の見積もりの中で、四分の一を濃縮ウランに期待しようということは、かりに仰せになったような状況から、石油、石炭その他の制約が現実化してまいりました場合は、現状のままの電力の需要を充足する上から申しましても、相当原子力に比重がかかってくるであろうということが一つ想定されますし、公害の見地から申しましても、比較的公害の少ない原子力発電というものは、われわれは評価していかなければいかぬ課題であると思うのでありまして、所要電力を全部濃縮ウランに依存するというようなことになりますと、事柄は重大でございますが、四分の一程度を濃縮ウランに依存するということ自体は、今後の資源経済がどのような推移をたどっていくにいたしましても、多くなればなる場合はなおさらのこと、かりに予想より少ない場合におきましても、この程度の濃縮ウランへの依存ということは、私は動かない程度ではないかというような感じを、一政治家として、一閣員として私は感ずるわけでございまして、決して過大なものではないと思います。ただ、仰せのような資源節約時代が来た、公害を何としても打ちどめにしなければならぬ時代でもありますし、私どもの経済の運営のしかた、生活のあり方、大きく言えば文明のあり方、そのことについて深い反省と対応策を十分心得ておかなければならぬというあなたの示唆に対しましては、私全く同感に存じます。
○渡部(一)委員 人類の欲望に対抗できる行政も科学技術もないという点は、今後とも大きな原則になり得るだろうと私は思います。その意味で、いままでのアメリカの原子力発電のやり方が、アメリカ原子力委員会、AECが、原子力法のみで原子力発電所をどんどんつくっていった時代がありましたが、いまアメリカでもNEPA、環境保護法の成立によって、環境保護という面からそれに網をかぶせる時代になりました。そうしてそれに、今度の資源教書において、もう少し資源を大事にしなければいかぬという面から網をかぶせる、三段目になっているわけです。日本のほうはどうかというと、その一段目の段階から、いま環境に対して大事にしようというところにかかっている。ある面ではかかった、ところが、三段目の配慮の、資源を大事にする、そしてある意味では電力を節約していくのだ、貴重な人生はもう少しつつましく生きるのだという基本的な考え方がなければならぬと思うのです。それがもし出てくるなら、私は遺憾ながらその配慮が欠けていたためだろうと思うのですけれども、六千万キロワットは、大臣の御所見とは少し私は違うのでありますが、多過ぎたというのを実感として持っているわけです。
 そこで、私はただいまそれ以上その問題を発展させる資料も持ち合わせませんので、その問題はやめたいと思いますけれども、今後はそういう意味で、本協定の審議の後におかれましても、一体ほんとうにそれだけ電力が要るのかという観点から計画を考え直す。一方的、恣意的な産業発展というものをかばうだけの行政であってはならぬと私は考えるわけであります。これには御答弁を要しませんので、十分御検討を仰ぎたい、こう思っているわけであります。
 次に、私がもう一つ基本的な立場で御指摘をしたいことは、ウランの供給に限らぬのでありますが、日本がある資源、ある物質を一方向の国家と供給契約を結んでいくということは、外交上のフリーハンドに対してきわめてマイナスが大きいと思うのであります。アメリカからウランを三十五年間輸入し続け、他から買わないともししたとするならば、これは日米安保以上の問題に私はなろうかと思います。そしてその影響性もきわめて大きなものであることは御承知のとおりであります。
 政府におかれても、日ソ原子力協定あるいは日仏豪の共同計画あるいは日米間の共同事業という形で御説明がされているものを、少しずつ推進をされてきたそうでございますけれども、日ソ原子力協定については首相訪ソの際の重要な課題となるでありましょうが、前途が多難であることはこれはまた予想にかたくないところであります。また日仏豪の共同計画については、フランス核実験の影響により、オーストラリアが建設費に関し故障を申し入れ、御破算になりかかっているとの報道がございます。また日米共同事業については、その技術の秘密な部分についてアメリカ側が日本側に教えない大きなネックがあり、これまたスムーズな運行を予想されないわけであります。
 こういう問題についてこれから幾つかの問題点で日本外交にくびきをつけられていくだろうと思います。石油もしかり、食糧もしかりであります。なるべく外交的なフリーハンドを残しつつ、わが国の平和的な存立をはかりつつ、世界の平和を維持する方向にわが国外交を向けていくためには、このウランの問題に見られるように、日米間の協定を推進するかたわら、他の国との協定というものが十分考えられる必要があるのじゃないか、より深く考える必要があるのじゃないか。またその努力が必要なのじゃないかと私は考えるのであります。原理的には御賛成いただけると思うのです。ただ私が心配しているのは、その原理的な御賛成のほかに、現実的には非常に立ちおくれたものになっているのではないかという憂慮を抱いているわけであります。現実のこういう計画に対しての御意見、ある程度の見通しとそしてそれに対する御決意を承りたい、こう思っておるわけであります。
○大平国務大臣 わが国が資源に乏しい、それから食糧にいたしましても重要な資源にいたしましても、海外から仰がなければならぬという立場におることは御指摘のとおりであります。そしてその場合、できるだけわが国がフリーハンドを持てるような状態にしておかなければならない、特定の国に片寄ることのないよう、できるだけ供給源を分散する姿が望ましい、これもまた御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、いま渡部さんも言われた、原理的には政府も賛成であろうとおっしゃいますが、そのとおりでございまして、そういうことが望ましいと考えておるわけでございます。そしてそういう方向に外交的努力を官民とも精力的にやっていかなければならぬと考えております。
 ただ、やってまいりまするにつきましては、供給の安定確保ということが大事でございまして、雲をつかむような話で空転することがあってはたいへんいけないわけでございますので、できるだけ確実なデータを十分吟味いたしまして、しかも供給量、供給価格、供給期間、そういうことにつきまして十分の自信をもって確保できるような措置を講じてまいらなければならぬと考えております。それは特定国だけに限ってやるようなことではなくて、できるだけ広くやってまいりたいと思っております。
 ウランにつきましても、天然ウランはもとよりでございまするし、またその加工につきましてもソ連やフランスから話があるわけでございます。そういう話も十分先方の御意向を具体的によく聴取いたしまして、十分の判断を加えて、外交ルートに乗せるものは乗せてまいることにやぶさかではないわけでございます。いまそういう前段階、データを収集するという段階にあるわけでございます。
○渡部(一)委員 私の大体予想したとおりのお答えであったわけでありますが、その外交的努力については十分に今後よほどの努力をお願いいたすことにいたしたいと存じます。
 それでは私の質問は、問題になっているあの部分を残しては、これにて終結させていただきます。
○藤井委員長 石野久男君。
○石野委員 先日来この協定案の審議にあたって問題になりました第九条の問題については、先ほど渡部委員からも話がありましたように、いろいろと政府の解釈のしかたと本委員との間に食い違いがあったのですから、その処理については一応委員長のもとでまた処理してもらうことになりますので、その点については後刻また質疑をさせていただきたいと思います。
 その他の件について質問をいたしますが、その前に、先般の委員会で外務大臣に一応お預けのしてあります土光訪ソ原子力調査団の件についてですが、どういうようなことでしたのでしょうか。また政府はそれについてどういうような考え方を持っておられるか、まずそれからお聞きしたいと思います。
○大平国務大臣 日本原子力産業会議の訪ソ原子力視察団、これは土光東芝会長が団長でございますが、御要請によりましてこの視察団から事情を聴取いたしました。その結果は次のとおりでございます。
 本視察団は日ソ両国の原子力界の相互理解を深める目的で六月四日から十四日までソ連の原子力関係施設を視察し、あわせて両国の原子力開発状況並びに将来の協力の可能性について意見の交換を行なった模様であります。
 ソ連側は視察団に対し、まず第一に、IAEAによる保障措置を条件として濃縮ウランのスポット購入あるいは濃縮役務の長期契約に応じる用意があること。第二に、何らかの形での政府間協定を締結し、高速増殖炉等に関する技術協力の促進をはかりたいことなどを示唆されたそうでございます。
 この視察団の御報告を踏まえまして、今後政府としてはソ連との間に原子力協定を締結すべきかどうか決定するにあたってさらに次の諸点を明らかにする必要があると考えております。
 すなわち、今次視察団が訪ソした結果種々の情報を得られ、ソ連の事情もある程度判明いたしました次第でございますが、協定締結の方針を固めるにはまだ不明の点がございます。
 その第一は、まず濃縮ウランの供給についてはソ連の供給能力が目下のところ不明でございます。すなわちウラン濃縮工場の所在、その濃縮能力、ソ連の需給事情、外国への輸出可能量等については今次視察団に対してもまだ明らかにされていないようでございます。また、ソ連が日本に濃縮ウランを供給する能力があるといたしまして、価格その他供給条件がどのようなものとなるかについてもソ連の場合過去の実績がほとんどございませんため、十分の調査を行なう必要があると考えております。
 さらに、訪ソ視察団によれば、保障措置はIAEAのものでよいと述べた由でございますが、IAEAの保障措置と申しましても、二国間の協定に基づく従来の保障措置でよいのか、それともNPTを批准してNPT保障措置に適用されるのでなければならないものか、そういう点も現時点ではなお不明確でございます。
 研究、協力の面につきましても、研究員の交換条件や交換の対象となる情報の種類等につきましてソ連側の態度はまだ必ずしも明らかになっておりません。したがって、政府としてはソ連が他国と締結しておりまする原子力協定の内容なども十分参考にしつつ、いま申し上げましたような種々の問題点を在外公館等を通じて今後十分調査を行ないました上で、協定締結をするかどうか、そういう点を検討してみたいと考えております。
○石野委員 財界の調査団が訪ソしていまのような事情が明確になってまいりました。政府としてはもっと情報を確かにした上で政府間協定に入るかどうかはこれからの検討課題である、こういうことでございますが、この際科学技術庁長官にひとつお聞きしたいのですが、もしソ連との協定を結ぶといたしました場合に、いま本委員会にかかっております日米原子力協定の内容になっておる炉、この炉とはそれは無関係であろうと思いますが、無関係なのですかどうなんですか。
○成田政府委員 現在の原子力協定案によりますと六千万キロワットの発電規模ということになっておりまして、具体的な炉は今後については特定されていないわけでございます。したがいまして、原子力委員会の長期計画によりますと、昭和六十年度までに稼働するものが六千万といっておりますので、もしも日ソ原子力協定ができて、ソ連から濃縮ウランを買うことになりますと、この六千万キロワットのワクの中の炉に使うことも可能でございます。その際はアメリカから買う六千万のワクが時期的にずれるということでありまして、そういう意味では今後の炉が特定しておりませんので、六千万の中に充当することも可能だし、六千万以降の炉に充当することも可能でございまして、非常に弾力的な運用になると思います。
○石野委員 そうしますと、もし日ソ間の間で原子力協定が、先ほど外務大臣からお述べになられたような条件のもとで検討の結果協定が結ばれるという場合は、いまわれわれが検討しておる二十七の炉にも利用できるが、同時にまたアメリカから受け入れることの約束になるその量にプラス何トンという、こういう形になってまいる、そういうことでございますか。
○成田政府委員 現在の二十七基というのは、現行協定によって付表によってアメリカから供給保証を受け得る炉でございます。そして今度の六千万の協定になりますと、さらに四千万キロワットの新しい発電規模が増加になるわけでありまして、したがって、その中ではアメリカと長期の契約をすると、これはアメリカから買うことになりますが、昭和六十年までに考えている二千万プラス四千万、六千万というものにもアメリカ以外の濃縮ウランを充当しようと思えば充当できるということでございます。その場合にはアメリカから期待する六千万のワクの使い方が時期的に先にずれるという意味でございます。
○石野委員 この改正されようとする協定では発電量は、総設備容量六万メガワット電気出力ですね。その分をここできめるわけですね。そうして、これに見合うような双方での合意に達する作業をするわけですから、ここで出てきます六千万キロワットにするのにあと四千万キロワットの炉が必要だ、その炉については、もしソ連との話し合いで濃縮ウランが得られる場合にはそれに引き当てる、そういう考え方で現在おるというわけですね。
○成田政府委員 これは具体的に当事者の契約の問題でございますが、今後つくられる四千万の規模のものについて、電力会社が米国以外からの濃縮ウランを充当しようと思えばそれは可能であります。あるいは昭和六十年度の六千万以降のものについてソ連とかフランスとか、アメリカ以外の濃縮ウランを充当しようということもまた可能でありまして、それは今後具体的な購入契約の問題になるであろうということでございます。
○石野委員 これは外務大臣にお尋ねしますが、やはり調査団の報告の内容をここでまた報告していただきましたが、今度総理が訪ソされる場合にはこういう問題については詰めていくような段取りをしていかれるのですか。それとも総理は今度行く場合にはこれの詰めということはあまり考えてないのか、その点政府の所信を聞かしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 総理の訪ソの具体的日程はまだきまっていないわけでございまして、近くきめなければならぬと思っておりますが、その場合、議題をどのようにしてまいるかについてはまだお話し合いをいたしていない段階でございますので、いまの段階で具体的にお答えできないことをたいへん遺憾に思います。ただ、外交をあずかっておる立場からいたしまして、今度の訪ソは両国首脳の理解と信頼を深めてもらいたいという点に第一の主眼がございます。第二は、いま両国の間に問題になっておる問題につきまして、忌憚のない意見を交換してもらうことでございまして、具体的な成果をあらかじめ期待しておるわけのものではございません。理解と信頼が深まってまいりますならば、そういった問題を解きほぐす基盤が熟してまいることを期待いたしておるわけでございます。したがって、その中には資源政策の上から申しまして木材、石油その他の問題がありまするので、そこで意見の一致が見られ、具体的に話がまとまったものはそれは当然そこで取りきめをいたしたいと考えておりまするが、本件につきましてその段階で具体的な姿において何かの取りきめに至るというところまでまだ私どもは考えていないわけでございまして、先ほど御答弁申し上げましたように、この御報告を受けて問題点がいま申し上げたような問題点もございますので、大使館その他を通じまして十分そういった点を明らかにまずするということでございまして、その中でもし首脳会談にのぼせていいようなことがございますれば、それは当然これはのぼせるにやぶさかでございませんけれども、いま当面前提になる問題点を究明することに全力をあげてみたいと考えております。
○石野委員 そうしますと、調査団が持ち込んできましたこういう諸条件の調査という問題については、調査団だけでなくて、政府みずからもやはり総理の訪ソするまでの間に可能な限りのやはり調査を進める、こういうふうに受けとめていいわけですね。
○大平国務大臣 さようでございます。
○石野委員 先ほど渡部委員の質問の際に、外務大臣は実はやはりエネルギー確保、特に公害問題を通じて非常に公害の少ない原子炉というお話がございました。これはなかなかそのままちょっといただけない。これがあるからこそ問題が、実は非常にわれわれとしては重要視しなければならない、こういうように、実はそういう観点からいろいろ問題を提起しているわけなんで、私はやはり外務大臣がエネルギー確保のために真剣に取り組むその気持ちはよくわかりますけれども、やはり昭和六十年代において二億四千万キロワットの四分の一、約六千万キロワットというものを原子力の発電炉で確保する、資源が非常に不足しているときですからそういうことは期待したいことなんですけれども、実はやはり原子力についてそれまでの段階にわれわれがほんとうに公害問題は安心してそういうようなことを原子力発電炉に期待できるかどうかという、この問題がいま一番重要なんだと実は思うのです。
 実は先般来われわれがやはりこのことについて何べんも科学技術庁のほうに提起している問題があります。それは、たとえば先般敦賀の美浜の原子炉においていわゆる蒸気発生器での故障があって、そしてそのいわゆる蒸気発生器における発生部門における細管の故障という問題が、現に三十四万キロワットの発電能力をもはやフルに発電のできないような状態に追い込まれてきている。通産省にその点について、参議院のほうでも答弁があったようですが、その後どういうふうになっておりますか、ひとつ御説明を願いたい。
○和田説明員 美浜の事故につきましては、いろいろ御論議いただいておりますが、まだ最終的にいろいろな精密検査をしませんと、何万キロの運転ができるかどうかはっきりいたしませんので、ここで確たるお答えはできないと思いますが、おそらく三十四万キロを下回るような電力になろうかと思います。
○石野委員 精密な検査が行なわれないということであっても、とにかく八千八百本の蒸気発生器部門における約二千本の細管を閉じ込めるのですから、これはもう能力の落ちることは間違いない。もし遊びが三割あるからといって、いや遊びなく運転すればよいのだというものではなかろう。だから結局どんな場合でも、設計上予定された遊びというものは常に守っていくことが安全確保の上で大切だと思います。だから炉が最初に三割のもし遊びを持っておったとするならば、やはり同じようにこれはそれだけの遊びを今度は八千八百本から二千本引いた六千八百本の中で遊びは三割とらなければいかぬわけですから、これは明らかに発電量は少なくなるのですね。そうでしょう。
○和田説明員 従来と同じだけの余裕をとって運転しなければいかぬか、その辺もまた精密の検討が済んでおりませんので、もう少しその後の状況等を調べまして、うちのほうで置いてあります原子力発電技術顧問会等の先生方の御意見も伺い、あるいはウエスチングハウス等の意見も聞いて最終的にはわれわれのほうで決定したいと思っております。
○石野委員 これはなるべく逃げようとするような発言はやめたほうがいいと思うのですよ。コールダーホール型の炉が十六万五千キロワットで恒常的に何キロ平均発電していましたか。これはひとつこの際はっきりしておいてください。これは当初十六万五千キロワットは中曽根長官の段階のときもフル回転はできるということを何べんもここで断言したのですよ。しかし過去十何年間で平均どれぐらいの出力になっておりましたか、明確にこの際説明していただきたい。
○和田説明員 過去数年間の正確な平均はちょっとあれではございますが、約十四万キロ程度だと考えております。
○石野委員 私の調べでは十四万キロは出ていないと思うのですよ。大体十二万五千から十三万のところだというふうに見ております。それはあなたの答弁はここで一応難なく行こうとしているのだが、そういうことはやめたほうがいい。いずれにしましても、敦賀の発電炉を一つ見てもこういう事故が起きておる。しかも敦賀発電炉で起きている事故は、外国でも同じような型の事故が起きた。率直に言ってこれからも起きる可能性を持っているわけです。にもかかわらず、同じ炉型のものが三十四万キロが七十万キロになり百十万キロになっていくという、非常に安易な取り扱いが行なわれているところに一つの問題があります。また、先般は東京電力の福島でのやはり廃液漏れの問題があって、これは炉自体というよりも、また炉心の問題とはちょっと違いますけれども、やはり同じ事故が起きております。
 それから原発の東海二号炉の問題では、これはいままだ建設に入るか入らないかという過程ですが、この安全性の問題について、やはり住民にこのことに対する非常に大きな心配がある。この二号炉の問題については、すでに海洋汚染の問題等が非常に心配になるので、この件について漁民の諸君がいろいろな心配をしておることに対して、原発のほうではこれに対して三億五千万の、補償金だか何だか知らぬけれども、そういうようなものを渡したやに聞き及んでおりますが、それは事実はどういうふうになっておるのですか。
○成田政府委員 日本原子力発電株式会社が東海二号炉の建設のために漁業補償といいますか、漁業権との調整のために現在まで幾らの金額を支出しているか、あるいはどういう話し合いになっているか、われわれ具体的には聞いていないところでございます。
○石野委員 現実には、おそらくきょうあたり茨城の県会で問題になっているだろうと思いますが、三億五千万の補償金を原発が漁連に出しておる。その配分問題からやはりもめごとが起きていま大さわぎになっているわけですよ。私はやはり温排水の問題が漁業権にどういうふうに影響してくるか、ただそれだけのことじゃないと思うのですよ。先般来厚生省がいわゆる水産たん白質をどういうふうにして確保するかということで、やはりいろいろ規制の措置をなさいました。この規制措置をしているということとかね合いで、原子力問題をわれわれは非常に重要視するわけですよ。温排水の問題については、発電炉から出るのは火力だって原子力だって同じことになると思いますが、ただ、われわれはやはり原子力発電所から出てくる問題で、単に温排水だけでとどまるかどうなのか、事実問題としてこういう問題を非常に心配するわけですよ。そういうこともございますので、実はこの温排水によるところの海域汚染のような問題、それは単に温度差だけではない、やはり放射能問題も出てくる、放射能の問題については、やはり東海の第二号炉だけでなく、東海でいえば再処理工場の問題もすぐ出てまいりますから、それらの問題を含めて、海洋汚染、海域汚染というものを防ごうという努力をするのではなくて、業者の側からすれば常に金で処分してしまおうという形が非常に露骨にあらわれるわけなんですね。こういうような、状態について、三億五千万の問題は科学技術庁の原子力局のほうへは全然あがってきていないのですか。
○成田政府委員 原電からは漁業補償をすべく、いま漁業組合と交渉しておるという話は聞いておりますが、具体的な金額等の最近の情報は聞いておらないのであります。
 それから、事業者が全部金で解決するというお話もありましたが、温排水の問題等についても、いま環境庁、水産庁等を中心として拡散の影響の問題とかあるいは水産物に対する影響、いろいろな調査をやってすみやかに排出基準をつくるべく、いま政府をあげて全力を尽くしているところであります。
 それから再処理の問題についても、いろいろな海域の放射能を極力少なくするため、これは政府機関でありますので国家予算も充当していろいろな努力をやっておるところでありまして、解決したものもあれば、緊急対策を進めていて、まだ未解決の問題もあるところであります。
○石野委員 原子力の持っているエネルギー補強についての力量というものは非常に大きいものですから、われわれはそのことについてそれを排除することは全然考えていない。けれども、原子力が持っておる放射能汚染というものが一たび出れば、これはおそらく現在問題になっているPCBや何かの比ではないだろうと私は思うのです。しかもこれは、現状では空中にも出るしあるいは地中にもあるいは海水、河川にも、いずれにもどこにでもみな入っていく性格を持っておるのですね。ですから、現在公害問題で問題になっている重金属物質のようなものと性格が全然違ってきます。先般来保障措置の問題でいろいろ質問なんかがありまして、そういう中で特になぜ保障措置が必要なのかといえば、やはり核の持っている戦争への問題もあるけれども、日本の場合は特に原爆を受けたという事実の中から、やはり原子力についての安全性の問題、そういう観点での問題提起がされているわけですから、私は、原子力協定をするにあたって、こういうような問題が全然無視された形で、業者がやはり炉を開発するのだというその炉の開発ということだけを前提にして、また政府もエネルギーを確保するのだということだけでもう無差別に炉の設置ということに入っていくことについては、やはり疑問を持っておるのです。私はむしろこの際、政府、特に科学技術庁としては、美浜の問題とかあるいは東海だとか福島とか、いまはまだ大事故になっていないけれども、現実にわれわれの危惧されるべき予見がたくさん内包されているこういう炉については、やはりもう少し検討を加えていくべきではないだろうか、こういう考え方を私は持っておるのですが、当局はどういうふうな考えでしょうか。
○成田政府委員 エネルギーの需給面から考えるなら、昭和六十年度六千万キロワット、これはエネルギーの需給からきた一つの必要量というので掲げておりますが、ただエネルギー需給のために原子力発電を一方的に進めていくという考え方を原子力委員会としてはもちろんとっておらないのでありまして、安全性の確保、地元との調整、地元民の理解と協力を得て初めて円滑にこれが進められるという考え方に立ちまして、いろいろな対策を考えておるところであります。
 安全性なり環境問題、これは温排水の基準もまだできておらないのでございますが、この点も最近いろいろ検討しておりますが、そういう面では、個々の申請が出た場合には、原子力委員会としましては非常に慎重に、安全審査会等にもはかって、その炉がどういう、大型化の場合あるいは特に新しい大型化の場合は慎重に、あるいは従来あるところにまた新たにできて集中化になる場合等も慎重に、専門家による安全審査を半年ないし一年にわたって慎重に検討しておるわけでございます。したがって、安全性の問題は、その炉の設置の申請が出た場合に具体的に審査していく。そして計画としてはマクロ的に昭和六十年度六千万キロというものを掲げておりますが、原子力委員会の考え方としては、その申請が出たつど具体的な形で安全性の確保、環境との調整等、慎重に取り扱うという立場でやっておりまして、最近は非常に申請――これは地元の反対等も非常に強く出て申請がなかなか出ないという面もありますが、相当最近の許可ケースは少ないような状態になっておりまして、委員会としては決して原子力発電の推進一本やりじゃなくて、安全性あるいは地元との調整というのを非常に重点を置いて慎重に扱っておるところでございます。
○石野委員 私は、ウラン燃料を確保するためにわれわれの努力が、やはり二国間協定とか何かで、資源も足りないことですから、その確保に努力するということを多といたしますけれども、同時にまた、ウラン物質を確保するということとまた濃縮ウランを確保することとちょっと違いますから、したがってやはり濃縮ウランの問題については自主性を、もっともっと自主開発の問題を推進しなければいけないということを前々から主張しているわけです。この協定はいつの場合でもその自主性を阻害するというふうにわれわれは見ておる。そういうものであってはいけないというふうに考えておりますが、また同時にこういうような形で原子力の炉を設置していくにあたっては安全性の問題を他面では真剣に考えねばならぬ。いま局長が言われたように、ずいぶん慎重に考えているとは言うけれども、実は過去十数年来にわたっての日本の原子力の行政の中では、それは他国に比して決してそんなに慎重であるとは実をいいますと言えないですよ。私はやはり原子炉の安全性の問題については、最近では安全性の問題は炉自身の問題もありますけれども、それ以上にやはり炉とその周辺地におけるところの人口との距離の問題にかかってきておる。だから距離が、実際に住民のたくさんおる地域と炉との間の距離が遠ければそれは案外安全性の確保率というのは多いのですが、しかしそれがもし非常に接近している場合になると安全性というものは非常に危険な方向に向いていくわけですね。
 十分な調査ではありませんけれども、私自身そういう意味での調査を私は私なりに調査しておりますが、これはあとで見てもらってもいいんだけれども、実際一キロ以内に住民がゼロだというのは日本の場合でいきますと、五つの場所しかないのですね。十一あるうちで五つしかありません。六つがみんな一キロ以内にたくさんの人が住んでいるのです。アメリカの場合でいきますと、私の調べたのは全部よう調べておりませんが、大体大きいもので二十一のうちの三分の一、まあ三分の二がそういうところでない。それからその他のところで比較しましても、二十三のうち十六までは一キロ以内はゼロだ、こういう形になるのです。とにかく五キロ以内のところで一万人、こういうような一万人の人口がどれだけおるだろうか、こういうふうに見てまいりますと、スウェーデンでは一つ、西独で二つありますが、イギリスで一つ、アメリカでは一カ所しかない。インディアンポイント一カ所しかない。日本でいきますと、東海、島根だとか浜岡なんというようなところはぴったりはまってしまうのですね。今度十キロ以内で一万人というようなところを見てまいりますと、十一カ所のうち十一カ所全部日本の場合はそれにはまってしまいます。よそのところではそうじゃないのですよ。ですから私は、安全性の問題については努力をしていると言うけれども、日本の場合は決してそんなに誇るべき安全確保の体制をとっているとは思えない。
 そこでもう一つ、今度は地域別に炉の設置状態を見てまいりますと、もう総花的にあいているところはどこへも炉をつくるという情勢になっている。だからもしこれがいま金属公害で問題になっているような事態が原子炉で出てきたとしたら、日本海のぐるりはほとんど原子力公害を受けるようになってしまうだろうというそういう心配さえも実はしているわけですよ。それからのことの裏づけになるものが、この濃縮ウラン炉を買い入れるためにアメリカと結んできたいままでの日米原子力協定であったといえるのですね。それで今度は幾らかゆるやかになるとしましても、現在協定というのは結局ウラン燃料を入れようとすれば炉を買わなければならぬということになっていたわけなんですね、炉とくっついておったわけですから。こういうような原子力行政というものをやっていくことについて私は原子力の安全性の問題からいって非常に大きな疑義を持つわけなんで、局長の答弁に対しては私はやはりなかなか賛成できにくい。賛成できないというだけでなくて、現実にいま、たとえば美浜の炉のごときはもう明らかに所定の発電能力も持ち得ないというような事情にあるのに、なぜ炉ばかりふやしていくんだ。これは原子力行政上再考を要する問題じゃなかろうか。これは原子力局と通産省とにひとつ意見を聞きたいのですが。
○成田政府委員 美浜一号炉の蒸気発生事故、これは非常に遺憾でございまして、ちょうど安全審査が昭和四十一年ごろの審査で、しかもこれはCE方式といって、いまから見ますと外国でもかなり問題を起こしているようなメーカーの炉、機械装置であった。その後第二号機以降はウエスチング方式という新しい、これは同種の事故は起こしておらないということで、安全審査等においても非常に慎重にやっております。これは当初のPWRの日本の最初の炉であったという事情もあったと思いますが、非常に慎重に最近の新しい技術、進んだ技術を取り入れて、今後さらに安全を期していきたいというふうに考えております。
 それから距離の問題につきましても、これは日本の安全立地指針等によって人の住めない地域あるいは人が極力住んでは望ましくない地域等も発電所の構内に押えるような方法をとって日本ではやっておりますが、人口稠密であるという特殊性もあって何キロ以内無人というようなことは、非常に国土の広い外国とは違った情勢にあることは非常に望ましくないともいえるのでありますが、それはそれなりに日本の立地に合ったような安全審査の方式をとって、絶対に周辺の住民には平常時はもちろん、事故時においても極力被害、悪影響のないような配慮を原子力委員会としてはしてやっておる方針でありますが、さらに安全性の研究、発電所から出る低レベルの人体の影響等いろいろな新しい分野の研究開発も委員会として取り上げて、そして原子力はほかのいろいろな公害物質と違って昔から非常に安全というのは考えておりますが、いろいろな研究開発の進展に伴ってさらに極力安全を期するという、非常にその点の安全第一の研究開発というのがかなり徹底した形でいま進められているというふうに考えます。
○石野委員 安全第一でものごとを考えていくのはいいんですけれども、そのために、やはり実際には安全ではないのだ、と断言はできるかどうかわかりませんが、われわれが安全でないと考えているようなことを安全だと言い切って、そして何もわからない人たち、わからない人たちといってはいけませんが、十分に理解をしてない者をまるめ込んでしまうというやり方が、従来、非常に多く行なわれてきた。ことに今度の東海二号炉のごときについて、三億五千万の金を出すことによって漁業権を放棄させるというようなことが行なわれているように実は聞き及んでいるんですよ。もし、そういうようなことをされるとするならば、これは少し筋道が違ってくるのじゃないだろうかというふうに私は思いますが、原子力局としてはそういうふうなことを黙認しておられるんですか。
○成田政府委員 環境問題、特に温排水の漁業その他に対する影響については、申請が出た場合の審査の場合も、いま、御承知のように温排水の排出基準というものはないのでありますが、しかし極力、地元と問題を起さぬようにということで、ことに地方公共団体、知事なり市町村等、地元の意向も聞いて、ましてこれは政府の法律的な基準がありませんので、当事者の問題として円満に解決されるということを期待して、安全性については十分に原子力委員会の責任でとっておりますが、環境については地方公共団体等の意見も聞き、当事者間で円滑に話が進むということを考えて処理しているわけでございます。
○石野委員 伝えられるところによりますと、東海二号炉についての漁業補償というもの、これが三億五千万の金をもうすでに手渡している、こう言うんですよ。そして、その港を使用するいわゆる迷惑料としての協力金六千八百万円を久慈港に支払うことまでまとまっておる、こういうこともいわれておるのですが、こういう事実はあまりまだわかってないんですか。
○成田政府委員 三億五千万のトータルの話も、また久慈港に対する港の使用料、迷惑料ですか、そういう金額等もわれわれは全然聞いておらないのであります。
○石野委員 このような補償によって漁業権の一部変更というふうなことをもしするとするならば、これはやはり立法的な立場からいっても、いろいろ問題が出てくるだろうと思うのですよ。特に、これが、県の漁政課の話だと、漁業権の一部の変更または消滅については、関係漁協組の総会決議が必要だ、こういうふうに言っているわけですよ。われわれもそう思うのですよ。それで、そういうようなことが行なわれないままに、もし、この漁業権の一部変更などというものが行なわれるようなことを政府なりあるいは原子力局が指導するというようなことがあれば、これは非常に大きな間違いを起こすだろうと思うのです。そういうようなことをしないでしょうね。
○成田政府委員 中央官庁でそういう行政指導をしているということは毛頭ありませんし、また、今後もすべきじゃないと思います。これは県なり漁業組合等、当事者の問題として円滑に処理され、解決されることを期待しております。
○石野委員 漁連と各漁協組との間の連絡が十分にないままにこういうことが行なわれるとすると、漁民の側からはやはりたいへんな問題が起きてくると思うのです。そして、そういうことまでして工事の進捗方をされるということを原発なら原発がやるとすれば、これは私は問題があると思うのですよ。こういうことをさせるべきじゃないと思いますが、どうですか。
○成田政府委員 それは先ほども言いましたように、地元、県あるいは漁業組合、当事者の間の問題であって、われわれとしてはその地元で円満に解決されることを期待しているだけでありまして、決してそれをこっちから指導するとか、こちらから押えるということは考えておらないのであります。
○石野委員 詳細のことがまだわかってないようだから、これは早急に調べて一ぺん報告してもらいたいと思うのです。
 それで問題は、やはり地方で混乱が起きないようにしてもらいたい。これは強く要請しておきたいと思います。
 それから同時に、新聞報道によりますと、原発は一日も早くあの付近に港湾建設に着手したいというような意向があるのだということも聞いておりますが、あそこへやはり港をつくるのですか。
○成田政府委員 会社のほうはいろいろ建設の機械とか建設用具等の積みおろしのために、そういう港といいますか、積みおろし場をつくりたいという意向を持っておることは聞いておりますが、具体的な計画としてはまだ聞いておらないのであります。
○石野委員 この補償の問題が終わったとしても一日も早くその港湾建設に着手したいという、原燃側にとってもこういうごたごたが起きてきたのではたいへんな迷惑だというようなことが新聞に報道されておるわけです。私はやはりこういうような問題がもしあるのならば、率直に地元に訴えるとか、やはり明確にして、こそこそやらないようにしてほしいのだ。
 この前の委員会のときに、知事から科学技術庁長官に対しての要請の出ていることを私はただしました。同時にまた、日立港を使ってもらっては困るということを日立市ではきめているということがもう当局のほうへ通じているかどうかということをお聞きしたのですが、あの件についてはどういうふうな事情になっておりますか。
○成田政府委員 たしか茨城の知事から科学技術庁長官あて、六月六日付で使用済み燃料の問題、これは横浜市で問題が起きまして、横浜市長からも六月十四日付かで科学技術庁長官に文書が出ております。これは横浜の場合でありますが、使用済み燃料が、いろいろ港湾が錯綜するとか道路の混乱とか、あるいは安全性の問題、横浜では一応安全性の問題はそれほど取り上げておらないのでありますが、そういう事情から、茨城の知事からも、日立港だけでなくて、将来使用済み燃料の積みおろしのための専用港を考えてくれという要望が出ております。それから横浜市長からも、横浜市の埠頭を今後は使わないでもらいたいという要望も出ておりまして、われわれは安全性については、いろいろなキャスクの国際的な基準を使ったりあるいは輸送に対しても道路運送法の規定等によって確保されておると思いますが、いろいろ地元の人の不安ということも考えなければいけませんし、また道路、港湾の錯綜ということとの調整も考えなければいけませんので、さしあたりはそういう錯綜等にあまり迷惑をかけないというような場合に限って、そういう形で出してもらう。将来はやはり相当使用済み燃料の国内間の輸送あるいは外国へ対する輸送ということも、量的にも大きくなってまいりますので、そういう問題も早急に検討していきたい。これはまだ具体的な計画等はないのでありますが、将来の問題として検討していきたい。しかしさしあたりは、しばらく安全性なり港湾、道路の錯綜との調整を十分考えるやり方でやりますので、当分使わしてもらいたいという考えで、いまいろいろな関係の公共団体の長にも当たりたいと考えております。
○石野委員 私は、いまこういうことをくどく聞くのは、これらの問題は科学技術委員会でいろいろ論議すればいいので、こういう外務のこの協定の中では必ずしもそんなに詰めなくてもいい問題の内容だろうと思います。ところが実際にはやはりそのことが十分でないと、この協定は審議することができないわけですよ。この協定案文は、先ほどからも言われておるように、炉とは密接な関係があるわけです。ただ燃料を買い取るというだけじゃないわけです。これはみな炉がついておるわけですから、しかもその炉の安全性というものが地域住民においてはたいへんな問題になっておって、この原子炉を設置する地域の問題点はみんなそこから来ている。そういう観点で、実はこの安全性の問題については、やはりウラン燃料を買い取るあるいは濃縮ウランを買い取るについても安全性との相関関係で処理されるべきものだ、こういうように私は考えておる。またそういうふうに検討されなければならない、こう思うわけですよ。そういう観点は政府としてもやはり貫かれないと、原子力産業行政というものは成果をあげることはできないだろうと思うのです。特に私はこの点では通産省にやはりはっきりした所信を聞いておきたいのです。通産省はとにかくつくれつくれでけつをひっぱたいておるようにしか見えないのだな、実をいうと。それでは少し困ってしまうのです。特に美浜のような問題とかその他の地域で起きている問題とか、特に福島の今度の廃液漏れの問題なんかは、これは炉自体じゃないですよ、建屋の問題にひっかかってくるわけですよ。建屋の問題でああいうふうな事故が出てまいりますと、一生懸命に炉の問題それ自体の問題をやっておってもだめになってしまう。そういうことから見て、やはり通産省がもっと安全性の問題について重要視する、あるいは厳格でなければならぬ、こういうふうに私は考えるのですが、和田さん、そういう点で美浜の問題なんかもう少し率直なところ話はできませんか。
○和田説明員 通産省といたしましては、従来から電気事業法による許可とかあるいは工事計画の認可をしておりまして、工事計画の細部にわたっての安全性をチェックしておりまして、われわれのほうはつくれつくれとしりをひっぱたいているとおっしゃいましたが、そういうつもりでやっておるわけでは毛頭ございません。安全性については十分注意の上でやっておるつもりでございます。と申しますのは、原子力については安全性を確保することに十分意を用いているからでございます。また先生がおっしゃいました美浜の問題でありますが、これはおっしゃるように当初の千五、六百本盲栓する予定を大幅にふやしまして二千本程度にしましたので、計算上もおそらく定格出力を出すことはちょっと無理かと思いますが、この点につきましてはさっき先生がおっしゃったような、十分余裕をとった運転条件で今後検討して運転条件をきめていきたいと思います。
 それから福島のことにつきましても、ちょうどあの事故が起こりました数日後、たまたま従来から計画しておりました原子力安全連絡会議というものでございますが、これはわれわれのほうと科学技術庁が共同で各原子力施設者との安全のための連絡会議で、月に一回開催しておるものでありますが、もう二年くらいになります。そういう会議がございますので、その席上でも非常に注意を喚起いたしまして、一般の事業者に対してもそういうことがないように注意を喚起して、次回においてその報告を求める、こういうことにしております。
○石野委員 これは和田さんに聞きますけれども、福島の廃液漏れの問題を見る場合、原子力に関係する建物の点ですね。これは建築基準法で一応建築確認をするのですけれども、これは普通一般の建築確認の形でいいのかどうか。これはやはり特殊の建築物としての処置をしなければならないのではなかろうか。そういう観点で私は見るのですがね。これは通産省の範囲なのかあるいは建設省の問題になるか知りませんが、少なくとも指導の任に当たっておられる通産省としては、福島のようなああいう廃液漏れの事故なんかは建築上の問題になるわけですから、これは一般建築物としての確認事項でいいのでしょうか。
○和田説明員 建屋自身につきましては、ああいう場合の建築物は一般の建築物と同じでいいと思いますが、ただ先生おっしゃいますように、放射能を帯びたものが管理区域外に漏れる、こういうことは絶対避けるべき事項でございますので、そういう点、たとえばバルブが少しゆるんでいたものがあらかじめ検知できるような装置でございますとか、あるいはもし万が一そういうことをして漏れた場合に――十センチの高さのせきがあったようでございます。そのせきの高さが十分であったかどうか、そういう点は再検討すべき事項だろうと思います。その点につきましてはうちの工事計画の認可、検査で見ていきたい、こういうふうに考えております。
○石野委員 私は建築基準法の問題については詳しくはないのですけれども、しかし建築確認をするにあたってこの確認の責任は県知事が持っておるわけですよ。県知事がそれをやるのですが、それについては建築主事がほとんどやられるわけです。建築主事は建築基準法の規定に基づいて処理をされておるようですが、しかし建築基準法第一条の理解のしかたというのは非常に重要になってくると思うのです。原子力基本法が片一方にあって建築基準法が別にある場合、一条の読み方というのは、やはり炉をかかえ込んでおる建築物、原子力に関連する建築物というものは、一般の建築物と同じような取り扱いをするということに問題がある、私はこういうふうに思っておるのです。はたせるかな、それはバルブであろうと何であろうと、やはり屋外に放射能を帯びたものが出てくるというようなことが建築物そのものから出てくるとすれば、これはもう一般の建築基準法の扱いであってはよくないのではないかというふうに思いますが、どうですか。
○和田説明員 こういう原子炉本体の建築ではなしに、この場合は付属的な建物の中に入っておるわけでございますが、私も建築基準法のほうをよく知りませんが、おそらく建築基準法は建物の強度設計を見ておるのではないかと思います。われわれのほうといたしましては、うちの電気事業法の技術基準に放射性廃棄物の漏洩しがたい構造であること、こういうことが明記されておりまして、こういう事故が起こったのをきっかけにいたしまして、今後再びこういうものを繰り返さないというために、こういうものも的確な対策を立て、あるいは場合によっては漏洩しがたい構造であるということについて具体的な技術基準を設けていきたい、こういうふうにわれわれのほうとしては考えております。
○石野委員 これは建設省関係の問題になってくると思いますから、いずれ政府のほうとしても、特に科学技術庁長官に私はお願いしておきたいのですが、いわゆる放射性物質が漏洩しないという建築物ということになりますと、煙突そのものが問題になってくるのです。煙突から放射能が出ていくのですから、これは一般の基準法で設計基準はこういうふうになっておったからそれでやるのだということで認可したら、放射能は幾ら出たってかまわないことになってしまう。だから、こういうような問題は、一般建築基準法の処理の内容としてはよくないというふうに考えます。
 これはあとでまた建設省とも相談をして、われわれとしてもこの法律のあり方については検討を加えるべきものだと思っておりますし、科学技術庁としては、特に原子力についてはその点を再検討してもらいたいと思います。
 私はきょう渡部さんに出された「日米原子力協力協定の附表の改訂一覧表」というのをもらったんですね。九条問題はあとにしますけれども、ここでは改訂が四十七年二月、四十七年八月、四十八年二月二十六日の三回行なわれておりますが、四十七年二月二十四日の分については、交換公文が出たのですね。あとのものは交換公文は出ているのですか、出ていないのですか。
○松永政府委員 あとの分につきましては、交換公文という形式をとっておりません。
 付表の修正というのは、第七条に、両政府の合意により随時修正するとございますので、表そのものを確認して修正しております。
○石野委員 交換公文のことはまたあとでお尋ねするわけですから、きょうはいたしません。
 それでは、一項目だけ聞いておきたいのですが、保障措置の問題について特にIAEAの問題が出てきておりますが、この概要と、それの機能、理事国、あるいはまたそれに日本人の職員はどのような形で入っておられるか、その点だけをひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
○影井政府委員 原子力機関の事務局に入っております日本人職員でございますが、現在私どもでわかっておりますのは、七名の日本人職員が事務局に入っております。
 一名は法律部長、それから保健・安全・廃棄物処理部次長が一名、研究・アイソトープ局生命科学課に一名、原子力局モナコ海洋研究所に一名、保障措置査察局開発部に一名、同じ局の運営部に二名ということになっております。
○石野委員 あとの質問はこの次に保留いたしまして、これで終わります。
○藤井委員長 次回は、来たる四日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時八分散会