第071回国会 大蔵委員会 第4号
昭和四十八年二月十三日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長代理理事 大村 襄治君
   理事 木村武千代君 理事 松本 十郎君
   理事 村山 達雄君 理事 森  美秀君
   理事 阿部 助哉君 理事 村山 喜一君
   理事 荒木  宏君
      宇野 宗佑君    越智 通雄君
      金子 一平君    木野 晴夫君
      栗原 祐幸君    三枝 三郎君
      塩谷 一夫君    中川 一郎君
      野田  毅君    萩原 幸雄君
      坊  秀男君    村岡 兼造君
      毛利 松平君    山中 貞則君
      佐藤 観樹君    高沢 寅男君
      塚田 庄平君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    山田 耻目君
      小林 正子君    増本 一彦君
      広沢 直樹君    伏木 和雄君
      内海  清君    竹本 孫一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省証券局長 坂野 常和君
        大蔵省国際金融
        局長      林  大造君
 委員外の出席者
        法務大臣官房人
        事課長     藤島  昭君
        大蔵省証券局企
        業財務課長   白鳥 正人君
        国税庁長官官房
        人事課長    松本 健幹君
        国税庁直税部長 吉田冨士雄君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十日
 辞任         補欠選任
  荒木  宏君     津金 佑近君
同日
 辞任         補欠選任
  津金 佑近君     荒木  宏君
同月十二日
 辞任         補欠選任
  広沢 直樹君     矢野 絢也君
同日
 辞任         補欠選任
  矢野 絢也君     広沢 直樹君
同月十三日
 理事武藤山治君同日理事辞任につき、その補欠
 として村山喜一君が理事に当選した。
同日
 理事荒木宏君同月十日委員辞任につき、その補
 欠として荒木宏君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月九日
 公共事業予算の適期執行に関する陳情書外一件
 (北海道議会議長杉本栄一外八名)(第九号)
 国民金融公庫の融資増額に関する陳情書(久留
 米市議会議長吉山武)(第一〇号)
 昭和四十八年度税制改正に関する陳情書(京都
 市中京区烏丸通夷川上る京都商工会議所会頭森
 下弘)(第一一号)
 同外一件(東京都千代田区丸の内三の二の二東
 京商工会議所会頭永野重雄外一名)(第七〇
 号)
 公営競技に対する課税反対に関する陳情書外一
 件(全国競輪施行者協議会長埼玉県知事畑和外
 二名)(第一二号)
 税制改善に関する陳情書(枕崎市議会議長松尾
 繁)(第六九号)
 自動車重量税の増税反対に関する陳情書外一件
 (栃木県議会議長大野陽一郎外十名)(第七一
 号)
 自動車損害賠償責任保険料の据置き等に関する
 陳情書(栃木県議会議長大野陽一郎)(第七二
 号)
 付加価値税の新設反対に関する陳情書(加古川
 市議会議長本岡龍弌)(第七三号)
 昭和四十八年度産葉たばこ収納価格の引上げ等
 に関する陳情書(栃木県議会議長大野陽一郎)
 (第七四号)
 輸出税の創設反対に関する陳情書(前橋市大手
 町三の二の一〇群馬県商工会議所連合会長佐田
 一郎)(第七五号)
 同族会社留保金課税の撤廃に関する陳情書(前
 橋市大手町三の二の一〇群馬県商工会議所連合
 会長佐田一郎)(第七六号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 有価証券取引税法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第三号)
 相続税法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 二号)
 昭和四十七年度の米生産調整奨励補助金等につ
 いての所得税及び法人税の臨時特例に関する法
 律案起草の件
 金融及び外国為替に関する件
     ――――◇―――――
○大村委員長代理 これより会議を開きます。
 理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。
 まず、理事武藤山治君から理事を辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、ただいまの武藤君の辞任による補欠のほか、理事でありました荒木宏君が去る十日委員を辞任されましたので、現在理事が二名欠員になっております。この際、その補欠選任を行ないたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、村山喜一君及び荒木宏君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○大村委員長代理 昭和四十七年度の米生産調整奨励補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事会等で御協議願い、お手元に配付いたしましたような草案を得ました次第であります。
○大村委員長代理 まず、本起草案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 本起草案は、昭和四十七年度に政府から交付される米生産調整奨励補助金または米生産調整協力特別交付金について、税制上、次の軽減措置を講ずるものであります。
 すなわち、第一に、個人が交付を受ける同補助金または同交付金については、一時所得の収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用、休耕田の管理費等は、一時所得の必要経費とみなすこととし、第二に、農業生産法人については、圧縮記帳の特例を設け、当該法人が交付を受ける同補助金または同交付金については、交付を受けた後二年以内に事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合には、圧縮額を損金に算入することといたしました。
 なお、本特例措置による国税の減収は約五億円と見込まれます。
 以上が本草案の趣旨及び内容であります。
 この際、本案は、歳入の減少を伴うこととなりますので、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。山本大蔵政務次官。
○山本(幸)政府委員 ただいまの法律案に対する内閣の意見を申し上げます。
 この法律案については、米の生産調整対策の必要性に顧み、あえて反対しない。以上であります。
    ―――――――――――――
○大村委員長代理 おはかりいたします。
 この起草案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案として決定するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○大村委員長代理 金融及び外国為替に関する件について調査を進めます。
 この際、最近の国際通貨情勢について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。林国際金融局長。
○林(大)政府委員 最近の国際通貨情勢及びこれに関連いたしましてとられました措置について御説明申し上げます。
 去る二月十日の土曜日、政府はわが国の外国為替市場を閉鎖する措置をとりました。この措置は、二月十二日の月曜、次いで本日十三日火曜と延長されてきております。わが国の外国為替市場が過去に閉鎖されましたのは、一昨年の十二月二十日のスミソニアン合意直後と、昨年の六月二十四日から二十八日まで、ポンドフロートの際と二回あったわけでございますが、今回三回目の措置として市場閉鎖の措置がとられた次第でございます。
 以下、このような措置をとるに至りました背景を中心といたしまして、最近の国際通貨情勢について御説明申し上げたいと存じます。
 今回の措置の背景は、申すまでもなく、ヨーロッパにおける通貨不安でございますが、まず一月の二十二日、月曜日でございますが、政治不安を背景とする資本の海外投資を防止するために、イタリアが二重市場制を導入いたしました。二重市場制とは、御存じのとおり、為替取引を経常取引に基因するものと資本取引に基因するものとに二分いたしまして、前者、すなわち経常取引に基因するものにつきましては、政府または中央銀行の介入する公定市場において取引させる。後者、すなわち資本取引に基因するものにつきましては、このような介入が一切行なわれない。したがって需要と供給とによって相場が形成される自由市場において取引させる、そういう二重市場の仕組みになっているものでございます。イタリアがこのような制度を導入いたしますと、隣国のスイスに大量のドル売りが起こりました。そこで、一月二十三日火曜日、すなわち二重市場制がとられた日の翌日になるわけでございますが、スイスの通貨当局はドルの買いささえを事態が鎮静するまでの間ということで停止することといたしました。買いささえの停止ということは、この場合、すなわちスイスフランのフロートを意味するわけでございます。このような動きが、ヨーロッパ各国の為替市場に不安心理を醸成しつつありましたときに、一月二十四日、これは水曜日でございますが、一九七二年の米国の貿易収支が発表されました。これによりますと、七二年の米国の貿易収支は六十四億三千九百万ドルの大幅な赤字であったということが発表されたわけでございまして、これが非常に神経質になっております市場にさらに影響を与えまして、ドル安の傾向が進んでいたわけでございます。
 こうして約一週間たちまして二月を迎えたわけでございますが、二月に入りますと、ヨーロッパ各地、特に西ドイツでドル売りの投機が急激に激化してまいりました。西ドイツ政府はこのような事態に対処いたしまして、二月二日の深夜に為替管理を強化する措置を発表いたしました。週が明けまして二月六日の火曜日には、現行レートを断固維持する、ドルの買いささえを続行するという決意表明を行なった次第であります。しかし、それにもかかわらず、二月八日の木曜日と二月九日の金曜日には再び大量のドル売りに見舞われました。二月に入りましてドイツの中央銀行が買いささえたドルは、全体で約六十億ドル前後に達するというふうにいわれております。
 このような事態に対処して、善後策を協議するために、二月九日の金曜日の夜、ヨーロッパにおきましては土曜日は外国為替市場は開かれませんので、したがって金曜日が週末に当たるわけでございますが、その金曜日の取引が終わりましてから後の二月九日の夜に、西ドイツのシュミット大蔵大臣はパリへ飛びました。そしてイギリスのバーバー蔵相もパリへ飛びました。そしてフランスのジスカールデスタン蔵相と三者で対策を協議したわけでございます。そして、協議の内容は明らかにされておりませんが、ヨーロッパの市場において新しい措置がとられるべく各国の動きが始まったことが明らかになったわけでございます。
 このように事態がきわめて流動的になってまいりましたので、わが国の為替市場を開き続けました場合には無用の混乱が生ずるというおそれが生じてきたわけでございます。そこで、二月十日の土曜日の朝、先ほど冒頭に御説明いたしましたように、わが国は外国為替市場を閉鎖することにいたしたわけでございます。この閉鎖は、二月十二日の月曜日、それから本十三日の火曜日と延長されましたが、ロンドン、パリ、フランクフルトなどの欧州各地の外国為替市場も閉鎖されております。今後わが国の為替市場をいつ、どのような形で開くかということにつきましては、現在非常に流動的な状態でございますので、現在さだかにあらかじめ申し上げることはできないわけでございますが、いずれにしても内外の情勢もよく見きわめた上で決定することになると存じます。
 ヨーロッパにおける及びアメリカにおける国際金融情勢に関する情報は、従来から各国に出ております出先の機関あるいはその他の各種のルートを通じまして逐次収集につとめておりますが、さらにこのような事態の急変に対応いたしまして、細見大蔵省顧問をヨーロッパに派遣することになりました。細見顧問は日本時間で日曜日の夜出発いたしました。そしてヨーロッパに到着後、積極的に各方面と接触を開始いたしております。
 このような状態のもとでいつ日本の外国為替市場が開けるかということを申し上げるのはたいへんむずかしいのでございますけれども、しかし、外国為替市場が閉ざされておりますれば、取引に各種の混乱が生ずるということは私ども非常に痛感しておるわけでございまして、事情の許す限りできるだけ早い時期に再開できるようになることを期待し、そのように措置したいというふうに存じている次第であります。
 以上で御説明を終わります。
    ―――――――――――――
○大村委員長代理 質疑の通告がありますので、逐次これを許します。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 時間がありませんので、一点だけ聞いておきますけれども、日本の場合にはいろいろと円建てが少なくてドル建てが多いという関係もありますし、いつまでも閉鎖をしておくわけにはいかぬと思うのであります。これは非常に早い時期だと思うのですが、その時期はいつなのか、そして再開されれば、これは当然変動制をとらざるを得ないと思うのだけれども、変動制をとるかとらないのか、その辺をお伺いしたいのであります。
 ただ、私たちこのたびのこの閉鎖はたいへん手ぎわよくやったように思うけれども、この新聞に見るように、「珍しく自主的な断、と思わせた市場閉鎖も、隠密ボルカーの投繩が首に、だった。」というふうにいわれておりますし、私たちもそう見ざるを得ないわけであります。というのは、金曜日に十一時までこの委員会でいろいろな質問が国際通貨の問題でもあった。そのときのあなたの御答弁等から全くうらはらのことを数日後にはやってのける。国際通貨問題はうそをついてもいいというようなことをいうけれども、うそをつくのには――財界はちゃんと知っておるじゃないですか、それで準備をしておるじゃないですか。だまされるのはいつでも勤労大衆であり、中小企業だという点で、私は非常に不満を持つわけです。時間がありませんから、先ほどの、市場閉鎖をいつまでも続けるわけにいかぬだろう、それはいろいろな流動性はあるというけれども、これはそう長くもつわけはないという点で、いつごろのめどなのか、もう一つは、やる場合には変動制をとらざるを得ないと思うがどうかという点、二点だけをお伺いしたいと思います。
○林(大)政府委員 市場再開の時期と、市場再開の際にはフロートせざるを得ないのではないかという御質問でございますが、市場再開の時期につきましては、私どもできるだけ早くということを希望しているわけでございます。従来の例によりますと、ポンド・ショック、先ほど申し上げました六月二十四日から二十八日までのいわゆるポンド・ショックのときには、土曜日からしめまして水曜日までしめておりました。それから一昨年の八月十五日にニクソン大統領の声明が発表されまして世界通貨情勢が非常な混乱におちいりました際に、ヨーロッパ諸国は市場をしめたわけでございますが、このときには一週間しめられたわけでございます。このような経緯はございますけれども、私どもとしては、やはり市場がしめられておりますと、市場をしめておりますと申しましても、実際に私どもがしめるように命じておりますのは銀行間の取引だけでございますけれども、しかし、銀行間の取引がうまく行なわれないことになりますと、おのずと銀行とお客さんとの間の取引も行なわれないということになるわけでございまして、その結果、各種の取引に渋滞が見られる。で、一日も早くというふうに存じております。時差の関係がございまして、なかなか開く時期の決定はむずかしいわけでございますが、しかし、諸般の情勢の許す限りできるだけ早く開くという気持ちで毎日検討をいたしております。
 その開く時期にいかなる姿で開くかということでございまして、これはフロート以外にはないではないかという御質問でございますが、フロート以外にも、理論的にまず考えますと、いろいろな開き方がある。しかし、そのような情勢のもとでフロートの可能性も一つの可能性であるということでございます。現実にどのような姿になるかということは、そのときになりませんと、これは海外における反応のしかたを十分に踏まえまして日本としての対応策もとらなければいけない。為替は、先生御案内のとおり、日本の経済と外国の経済との接点に位するものでございまして、日本だけが何かをしようと思いましても思うようにはならない場合が間々あるわけでございます。その意味で、フロートの可能性が全くないというのも言い切れないと思いますけれども、しかし、いまこの際、開く場合にはフロートだということをお答え申し上げるわけにもいかないというふうに存ずる次第でございます。
○阿部(助)委員 もう終わりますけれども、一昨年の場合もたいへんな円投機が行なわれた。投機が行なわれたり、皆さん為替差損だ、為替益だということで、これはいつか機会を見てお尋ねしますけれども、いろいろな操作をしながら、もうけた企業は利益を隠してしまう、損したのは一ぺんにとにかくうまく表面でやりくりをするというようなことを行なった。為替管理は日本は厳重だというけれども、皆さんついこの前も銀行の立ち入り検査をしておる。これはから売りだと、こういうことで検査をされておる。時間がありませんから言いませんけれども、そういう点で、大手、特に為替業務をやる特権を与えられておる大銀行等がこういう機会にもうける、投機をやってもうけるなんというのは大きな間違いだと思うんでして、その辺をひとつ厳重にやっていただくのと、もう一つは、皆さんが、二年間は為替変動の効果があらわれないとこう言ってきたのは、おそらくスミソニアン体制は三年、四年続くだろうという想定のもとだと思う。その見通しのもとで二年たたなきゃ効果が出ないなんて言っておるけれども、一年二カ月ぐらいでもうこれを変更せざるを得ないという点では、皆さんのいままでの答弁はあまりにも事態を見失い過ぎておるんじゃないか。もう少しそういう点をすなおに――皆さん見ておられてうそをついておるのか、それとも見通しが誤っておるのか、どちらかに違いないのであります。そういう点で、もう少し国会で言えるものはすなおに言い、そしてここで検討して国民のために論議をする努力をしてもらいたい。そうでなければ私たちは皆さんの責任を追及せざるを得ない。田中総理が何ぼこの責任をとります――熱意の表明だなんという話では、政治はどこに責任があるのか、全く無責任政治だということになれば、政治が国民から離れていくのは当然なことなんでして、その辺ひとつ十分お考えをいただいてやっていただきたいと思います。
 以上で終わります。
○大村委員長代理 荒木宏君。
○荒木(宏)委員 政府の政治的な態度、処置については明日お伺いすることにいたしまして、いまの局長の説明の中で一、二事実関係を伺って確認しておきたいと思います。
 西独が二月になって六十億ドル買いささえたわけですが、二月になってからこの閉鎖まで、日本へ入ってきたドル、買いささえのこの金額とそれからそのドル債権の性質、どういうところから来ておるのかという点について、補足して御説明をいただきたい。
○林(大)政府委員 外国為替取引には、翌日物と当日物とございまして、通常の銀行のお客さまとの取引のうち、銀行の中で売りと買いとが見合いがつかない分が銀行間取引につけ出されてくるわけでございます。つけ出されてくる取引のうち、当日物の取引につきましては通常介入がなされません。介入がなされますのは翌日物の取引についてでございます。二月に入りましてから、二月の一日から市場閉鎖が行なわれました十日の前日、すなわち九日までの間に、翌日物の直物取引の出来高は全部で十一億七千三百万ドルでございます。
 ただ、この十一億七千三百万ドルの全部を当局が買いささえたかと申しますと、それはそうではないわけでございまして、と申しますのは、銀行間取引のうち、その一部は銀行間で処理されてしまう。銀行間で処理され切れなかった分だけが当局が買いささえをするということになるわけでございます。この銀行間で消化されてしまう部分はそのときどきによって違うわけでございますが、このようにドル売りが大量に発生します場合には、銀行間で消化される部分の割合はかなり小さいというふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
 このように十一億七千三百万ドルもの取引が行なわれた、すなわちそれだけのドル売りが行なわれたものの実質は何かということでございますけれども、通常市場でドルが売られますときには、海外の非居住者が日本にドルを持ち込みましてそのドルが売られます場合と、それから国内の居住者が海外からドルを回収いたしまして、あるいは海外からドル債権を取得いたしましてそれを処分する場合と、二つの場合があるわけでございます。
 日本の為替管理は、非居住者が投機的に日本にドルその他の外貨を持ち込むことにつきましては非常に厳重な規制をいたしております。もとより当局の規制といえども完全とは言い切れないわけでございまして、若干の漏れがあるのは、まことに申しわけありませんが、認めざるを得ないわけでございますけれども、非居住者の分はかなり有効にせきとめられている。しかし、居住者の分につきましては、いわゆるリーズ・アンド・ラグズ、輸出の積み急ぎないしは債権の回収の急ぎあるいは輸入代金の支払いの引き延ばしといったようなことから、ドル売りが非常にふえてくるのはまことにやむを得ない次第でございます。今回の十一億七千三百万ドルの大部分はそのような輸出の代金回収の急ぎということであったわけでございます。
 御案内のとおり、昭和四十八年度の輸出は三百三十三億ドルというふうに予定されているわけでございますが、非常に大ざっぱに申しまして、一日一億ドルでございます。それで一日分だけ繰り上げられれば一億ドルの売りが発生するという、単純計算でございますが、その種のものが多かったというふうに御理解をしていただきたいと存じます。
○大村委員長代理 広沢直樹君。
○広沢委員 けさのニュースによりますと、これは大蔵省の幹部会で決定という見出しで出ているのですが、けさの八時に緊急幹部会を開いて、細見顧問の報告に基づいて円問題の取り扱いを協議した結果、東京外為市場十四日再開、同時に変動相場制に移行させることにきめたという報道が出ているのですが、その後愛知さんは記者会見においても、外為市場の再開は今晩ないしあすに決断したいと語った。あなたもその一人であろうと思いますが、その事情をちょっと説明していただきたいと思います。
○林(大)政府委員 最初の御説明で申し上げましたとおり、私どもは一日も早く外国為替市場を再開したいと存じております。再開の決定は、それほど前広でなくても、なるべくなら前広に周知させたいわけでございますが、緊急の場合に措置される場合もございますので、したがって、それほど、たとえばあす開くのにただいま現在決定している必要は必ずしもないわけでございます。その意味におきまして、私どもはまだ外国為替市場再開を決定いたしておりません。おりませんが、再開したいという気持ちは常に前日に持ち続けている、毎日毎日延ばしているわけでございます。毎日毎日、翌日に開くチャンスをうかがっているというのが実情でございます。
     ――――◇―――――
○大村委員長代理 次に、有価証券取引税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案につきましては、すでに提案理由の説明を聴取いたしております。
 これより質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 いまお話がありましたように、あすにも変動相場制に移行するのではないか、こういった日本経済の中で、たびたび国会の中でも株価の異常高値については警告を発し、また大蔵省も再三にわたって、前代未聞の、四大証券の社長を呼んで警告を発するということまでやってきたわけでありますけれども、現在の証券界、いろいろな問題があるように思うわけです。
 私はまず一点、三共製薬の逆粉飾決算の問題について、大蔵省の見解をお伺いをしたいと思うのです。
 確認をするために、まず、大蔵省はいつ、どのような形でこの三共製薬のいわゆる逆粉飾といわれるものを知ったのか、その辺からまずお話をお伺いしたいと思います。
○坂野政府委員 三共製薬が昨年の末に増資を決意いたしまして、十二月十九日に大蔵省に有価証券届出書を提出しました。その段階において、逆粉飾があることを発見した次第です。
○佐藤(観)委員 これはあとの質問にも関連をしてくるので、もう一度確認をしておきたいのですけれども、その際に逆粉飾を発見した動機というか、逆粉飾がわかった主たる原因というのはどこにあったのですか。
○坂野政府委員 届出書提出時においては、税務の申告、法人税の申告書、それから、税務で更正を受けた場合はそういう経過というようなものを調査いたすことになっております。その税務申告との食い違いから逆粉飾ありと発見した次第です。
○佐藤(観)委員 もちろんそこに出された、増資の許可を求めるために出された有価証券届出書というのは、公認会計士の名前が連署されているものですね。
○坂野政府委員 公認会計士の監査証明がついております。
○佐藤(観)委員 当然なことですけれども、それは公認会計士がその監査報告について適正であるという内容であることは間違いはもちろんありませんね。
○坂野政府委員 その段階においては適正意見がついておりました。
○佐藤(観)委員 今度のこの三共製薬の逆粉飾はかなり長いことかかって行なわれている。これはいつごろから逆粉飾が行なわれていますか。
○坂野政府委員 昭和二十七年の九月決算から四十二年の九月決算に至るまでの間いわゆる逆粉飾、利益の積み増しが行なわれておりました。
○佐藤(観)委員 昭和二十七年というのですから、かなり昔なわけでありますけれども、その間発見されなかった。これは毎年有価証券届出書というのは公示され、また正本はたしか大蔵省のほうに出されるはずでありますけれども、昭和二十七年から粉飾決算が行なわれていながら今日までわからなかった原因というのは、一体どこにあるのですか。
○坂野政府委員 公認会計士がそれを発見しました時期は四十一年というふうになっております。
○佐藤(観)委員 それは大蔵省から厳正にするようにという通告書が出されたのが四十一年ですね。ですから、その前に有価証券届出書というのは、正本はおたくのほうに行くんじゃないですか。
○坂野政府委員 届出書は増資等のあります際だけでありまして、平素においては毎決算期有価証券報告書というのが提出されます。いずれも監査証明がついておりますけれども、ただいま申し上げましたのは、公認会計士は四十一年の時期において逆粉飾のあることを発見しておるということを申し上げたわけでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、その二十七年から逆粉飾が行なわれていながら四十一年まで、大蔵省としては四十七年ですね、四十七年十二月十九日まで見つからなかったということは、あくまで三月期に出される、各毎決算期ごとに出される有価証券の報告書だから出なかった。今度の場合には税務申告との食い違いがあったからわかった、こういうふうに理解してよろしいですか。
○坂野政府委員 報告書につきましても、循環的に調査いたしまして、その内容の適正化をはかるために審査をいたしておるわけでございますけれども、非常に件数が多いためになかなか手が届かなかったというのが実情でございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、二十七年から四十七年の十二月十九日までわからなかったということになると、報告書を出させる必要というのはどういうところに出てくるのですか。
○坂野政府委員 報告書の内容が正しい姿を示すために公認会計士制度並びに監査制度というものがございまして、一義的にはもうそれで制度としては成り立っておるわけでございます。本来大蔵省がその内容についてさらに審査をしなければならないということは、会社決算のモラルの問題、公認会計士の審査能力の問題等にまだ不十分な点があると言わざるを得ないわけでありますけれども、現状は大蔵省においても審査をしていかなければならないという非常に残念な点がございます。しかし、そもそも大蔵省の審査があって初めて内容が正しいものになるという制度ではございません。
○佐藤(観)委員 少し話を前に進めますけれども、そうしますと、二十七年から逆粉飾が行なわれたということになりますと、この間の配当ですね、これは逆粉飾の内容を見てみますと、いわゆる粉飾決算ではなくて、ないものをあるように見せかけたのではなくして、あるものを四十一年から分割して計上していたという形になっているわけでありますけれども、そうしますと、この間の配当というのは若干少なくなってきていると思うのですが、そうういふうに理解してよろしゅうございますか。
○坂野政府委員 配当、賞与等に関しましては本来の利益で十分まかなっている状態になっておりまして、もしその特別の積み上げ分がなければ配当ができなかったあるいは賞与が払えなかったという事実はございません。
○佐藤(観)委員 いや、ぼくの言うのは、逆に株主にもっと、つまり四十年以前の利益が四十一年以降にきているわけですから、その意味では四十年以前というのは、それは額がどのくらいになるかわかりませんよ、株主数がたいへん多いですから、額はどのくらいになるかわかりませんけれども、原則的にはさらに株主に対して配当をふやすことができたはずですわね。
○坂野政府委員 配当政策は会社の経営政策でございますので、どの程度がいいかというようなことは第三者からは言えないわけでございますが、可能利益があったということは事実でございます。
○佐藤(観)委員 その問題と、もう一つは税金の問題があると思うのですね。これはあくまで粉飾は粉飾でありますから、監査報告書自体が違っていたわけですよ、現実に四十年以前というのは。そうなると、そこにあがってきた利益というのは若干低くなっているわけですね。それに伴うところの税金というのも当然少なくなっているわけです。これは今後税金の問題について、脱税問題については大蔵省としては――これは証券局ではなく、国税庁のほうになるのですが、国税庁のほう、この税金の問題については、三年さかのぼるか五年さかのぼるかになるわけでありますけれども、この三共製薬の場合については、どういうふうになりますか。
○松本説明員 国税庁人事課長の松本でございます。
 税金のほうは当然適正に執行していると思いますが、私、人事課長でございますので、ちょっとここでお答えするだけの資料を持っておりません。
○坂野政府委員 税金の問題、私ども御答弁する立場でありませんけれども、私どもの調査を通じて点検いたしましたところ、すべて適正な申告納税が行なわれております。したがいまして、その間有価証券報告書で報告されました決算数字と税務申告とはずっと食い違っておる、税務におきましては全部正しい利益を出して正しい納税をしておるということであります。
○佐藤(観)委員 そんなばかな話ってあるんですかね。いいですか。つまり二十七年から、たとえば売り掛け金を過大にしたり、あるいは製品を過大に見積もったり、あるいは預かり金を少なくする、あるいは製品開発の引き当て金、これについては商法上、商法の二百八十二条ですか、この解釈の問題があります。ありますが、そういった操作によって、いわゆる逆粉飾、利益がないように見せかけておいて社内留保をしていたわけですね。ですから、本来、ほんとうの今日やるべき会計監査によれば、当然これは包括利益というものはさらにあがっているはずですね。あがっているということは、それに対する法人税その他の税金というのは当然若干ふえてくるはずですね。それがどうして適正に行なわれているのですか、四十年以前は。――四十年以前ではないですね、今日、四十七年以前ですね。
○坂野政府委員 税務の申告におきましては、いま言われましたとおり、その利益を全部計上いたしまして、したがいまして、経理の操作を全部自己否認と申しますか、自分で正しまして、そうして法人税額においてはふえるという結果になっておるわけです。したがいまして、税務の執行上は全部正しい税金が納税されている、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 そうしますと、大蔵省のほうは、監査報告書、先ほど言われました毎期ごとに出る監査報告書、それともう一つ別の報告書があって、坂野さんの見た別の報告書は全部正確に出ている。それで国民なり大蔵省に出した、開示した、ディスクロージャーした監査報告書というのは、いま申しましたように、売り掛け金を過大にしたりあるいは預かり金を過小にしたり、あるいはかなり多分な部分を製品開発の引き当て金にしたり、そういう操作がされているものを表に出していた、こういうことになるわけですか。
○坂野政府委員 そのとおりであります。
○佐藤(観)委員 これでだいぶ問題がはっきりしたのですけれども、こうなってきますと、いろいろな問題が起こってくるわけですね。
 まず、お伺いをいたしますけれども、これは証券局とばかりいえませんけれども、では、いま三共製薬について、大蔵省としてはどういう措置をなさっていますか、一切の面において。たとえば証券局ならば、これは東京証券取引所がやることになるから、一応東京証券取引所としては上場廃止をしていないわけでありますけれども――まずそれから聞きましょうか。東証が上場廃止をしなかった、これについて大蔵省の証券局としてはどういう見解をお持ちですか。
○坂野政府委員 粉飾決算の結果、上場廃止をするかどうかは、その虚偽決算の程度が非常に重大な影響を与えたかどうかという判断になっております。これが東京証券取引所の上場廃止基準という中にうたわれておるわけであります。重大な影響というのにつきましては、やはり投資家に著しく損害を与えた、迷惑を与えたというような判断でございます。
 東京証券取引所としましては、今回の件につきまして、重大な影響を与えたというふうに判断いたしませんで、上場廃止の措置をとらないという決定をいたしたわけでありますが、私どもとしましても、その措置は適当であったというふうに判断しております。
○佐藤(観)委員 昭和四十五年の二月に、東京証券取引所は上場廃止基準に、いま局長が言われたように、虚偽記載を行なってその影響が重大であると認めた場合には、という項目が入れられているわけですね。これはきわめておそきに失したような感があるわけでありますけれども、確かに、この上場廃止基準ができてから上場を取り下げられた安藤鐵工所、船橋食品、これに比べれば、内容は、たとえば総資本に対する比率にしましても、自己資本に対する比率にしましても、確かに全然いいわけですよ。確かにそうかもしれませんけれども、二日間で株価が急に百円下がった、この問題が報じられたときに百円下がった。私は、これは投資家に対してきわめて重大な意味を持っていることだと思うんです。確かに証券局としては、東証の出してきた案についてそれなりに検討されたと思うんですけれども、それでは、ほんとうに一般投資家にとって、二日間に百円も株価が暴落したというのは、これは重大な影響じゃないですか。
○坂野政府委員 株価の騰落につきましては、多分に心理的な要因もございますし、そのときどきの外部の情勢その他非常にございまして、その株価が大きく騰落したゆえをもって、投資家に著しく損害を与えたというふうに判断するわけにもいかないかと存じます。
○佐藤(観)委員 それじゃもう少し話を前に進めますと、いま明らかになったように、二十七年から明らかに国民の前に開示すべき有価証券報告書と、それから会社用の、あるいはそれは税務署用と言ったほうがいいかもしれませんけれども、税金が適正に出されたということになると、明らかに二重の帳簿があったわけです。それによっていまの三共製薬が一体どういう法律的制裁を受けるかというと、どういうことがありますか。いま言われたように、上場の廃止にはならない。公認会計士は、これからさらに問題にしますが、三共製薬として、社会的な制裁があります。株価が下がった、あるいはそのほか経営上に与えるいろいろな影響があります。あるけれども、法律的に、これだけのことを、昭和二十七年から明らかに――開示制度は、国民の前に明らかに、私のところはこういう経理内容の会社ですということを示すためにディスクロージャーの制度というのはあるわけですね。それと全然別個に、昭和二十七年からそういう二つの帳簿があって、それが大蔵省の、昨年の十二月十九日、増資をするときに初めてわかった。これだけの長きにわたって行なわれたこの二重帳簿というものについて、三共製薬は、それでは現在の法律体系の中で一体どういう法律的な制裁というのを受けられる可能性があるのか、それをお伺いしたい。
○坂野政府委員 証券取引法のたてまえは、真実の決算内容を投資家に開示するというところにあるわけでありまして、もしその開示が間違っておる、あるいは故意に虚偽であったというような場合は、法律は刑罰をもって制裁するたてまえになっております。その刑罰は検察当局において行なわれるのがたてまえでございます。したがいまして、この会社がそういった刑罰を受けるか受けないかというのは、そういう法律のたてまえから判断されるべき問題かと思います。
○佐藤(観)委員 そうしますと、つまり検察庁か何かが動かなければ私のほうの責任ではない、証券局の責任ではありません、こういうことになるわけですね。
○坂野政府委員 開示制度は正しい姿になるように私どもできるだけの努力はいたしております。また、そういった不適正なものの発見が非常におくれておるというふうなことにつきまして公認会計士の監督不行き届きという点につきましては、私どもたいへん責任を感じております。しかしながら、この報告書あるいは届出書というものは許可制度ではございません。これは全部届け出が行なわれればそれで法律行為は終わりになるわけであります。したがいまして、届出書の場合、一定日数が経過すれば自然に効力が発生するというたてまえになっております。したがいまして、証券取引法で、たとえば証券会社の場合には、証券局と証券会社の間に特別の監督規定もございますし、検査権もございます。そういうようなことで行政上いろいろな措置ができるわけでありますけれども、発行会社に対しましては、そういういわゆるディスクロージャーシステムというたてまえがそういうたてまえになっておりますので、特別の監督関係はございません。したがいまして、間接的に、公認会計士の監査を十分に行なわしめるように公認会計士の資質を高めるとともに、その監査の徹底を期するという点が行政の範囲でやれることでありまして、そういう面において責任は感じておりますが、発行会社に対する強制というようなことになりますと、法律的には刑罰規定しかない、こういうたてまえでございます。
○佐藤(観)委員 大蔵省が、現在では許可ではありませんから、一々全部出た監査報告書をしさいに、東証に上場されているものを見るわけにいかない、これはある程度、事実上わからぬわけではないわけです。それは尽きるところ、一昨年法律を改正したように、証取法で公認会計士の責任をそういった面で強くしたわけですね。そこには、公認会計士の責任でやらなければいけないわけでありますけれども、しかし、まだまだ証券局としてのいろいろな意味の責任は残っているのじゃないか。たとえば、さっきもちょっと触れましたように、昭和二十七年からそのような虚偽記載が行なわれていて、ということは二十七年以来四十年までは実はもっともうかっていたのに、それを内部局に操作をして、業務の実態はそれほどでもないのだというように低く見せていた。逆に四十一年からは、これはあまりもうかってはいないのだけれども――もちろん利益は出ていますよ、出ているんだけれども、それを過去の利益を繰り入れて、四十一年からはディスクロージャー、国民の前には、投資家の前には見せてきたわけですね。こういった意味で、しかも二十七年からというたいへん長い期間にわたって、投資家から見れば、過去は業態が低く見られ、四十一年以降は逆に高く見られる、こういった責任というのは、やはり証券局にも一端の責任はあるのじゃないか。これはどういうふうにお考えになりますか。
○坂野政府委員 私どもも、公認会計士のレベルをもっと高めて完全な監査ができるように、それからこういった増資の際には、引き受け証券会社、いわゆるアンダーライターというものも責任を感ずるように、これも一昨年の法律改正でそういう新しい責任を取り入れたわけであります。引き受け証券会社も、増資の際に発行会社の内容について十分な審査を行なって、この増資を行なって投資家に迷惑をかけることがないかどうかということを点検しなければならない責任があるわけであります。こういう点について、ともに私どもの監督体制がなお相当努力を要するというふうに感じております。
○佐藤(観)委員 さらに問題として残るのは、これによって少なくとも四十一年から過去の利益を分割して計上することによって株価操作をしていたのじゃないか。特にことしの三月でしたか、増資をする予定になっていたということを考え合わせますと、それまでに合わせて大体過去の利益は吐き出しておるようでありますので、株価操作が行なわれたのではないか。当然、先ほどの話の延長になりますけれども、利益があがっていない部分について、過去の利益を繰り下げて分割しているわけでありますから、そういった面では将来性について若干あぶないところがあっても、過去の利益でカバーをしている、そういうことになりますと、いまほとんど額面発行でありますから、その意味では株価操作をしていたきらいがあるのではないか、こう思うのですが、この点について証券局の見解はいかがですか。
○坂野政府委員 その点につきまして、発行会社並びに関係証券会社あるいは証券取引所のほうで突っ込んだ調査をいたしましたけれども、そういった事実は認められませんでした。
○佐藤(観)委員 それはどういうことですか。そういった事実は認められないというのは、株主総会で増資をきめた時期がこれよりもずっとあとである、最近であるということですか。どういった事実ですか。
○坂野政府委員 株価操作を行なったかどうかということは、証券取引法百二十五条に違反するかどうかということでございます。百二十五条と申しますのは、実際の株価よりもそれを高くするような目的があってそういう故意の操作をしてはいけないという規定でございます。したがいまして、私ども調査いたしました結果、会社にそういう意図、故意というものはない、それから関係証券会社にもそういった故意に株価を操作したという事実は認められなかった、こういうことでございます。
○佐藤(観)委員 私もいろいろ調べてみますと、現在の法律体系で、東京証券取引所も、監査報告が出たものを全部調べるわけにいきません、事実上。いまの制度の中ではですよ。あるいは証券局にしても、全部一々調べるわけにはいかない。そこで公認会計士という機関が代理に、国民のかわりになって責任を持って調べることになるわけですね。この公認会計士の問題についてはあとからお伺いをしたいのですけれども、私は、どうしても納得できないというのは、この問題を突き詰めてみますと、この程度の逆粉飾ならば、まあ上場も廃止にならないし、あるいは大蔵省からも、もちろん社長が呼ばれて注意を受けたと思いますけれども、実際には会社は社会的制裁以外、法律的に何の制裁もない。粉飾決算だとたいへんなことになるのだけれども、ある利益をないように見せたのだから、逆粉飾ならいいじゃないかという、簡単にいえば、こういった次元でいま国民の間というか、投資家の間というか、そこで論じられる。その辺のことだけが、逆粉飾ならいいのだという気分的なものだけが最後に残ってくるような気がするわけです。これはきわめて遺憾なことだと思うわけです。いまの法律体系の中で、尽きるところは公認会計士を信用しろということになるわけでありますけれども、こういった逆粉飾ならば、現実に社会的制裁以外は三共製薬は何も受けていない、これからも受けそうもない。これはきわめて私は遺憾だと思うのですが、この点について大蔵省の見解はいかがですか。
○坂野政府委員 今後とも何らかの制裁を受けるか受けないかは、検察当局がすでに問題を取り上げておられますので、私どもが判断いたすわけにはいかないと思います。
 それから、逆粉飾ならばということは、実はこの逆粉飾も非常に悪い行為であること、御説のとおりであります。ただ、古い時代においては、日本の産業界にはこうした案件がかなりたくさんあったのは事実でございます。また、現に私どもの調査の結果、そういうものを発見しまして、是正してもらった例がたくさんございます。しかし、現在においてはそういうことはもう許されない。
 それはいつからかと申し上げますと、一昨年証券取引法が改正されまして、新しい責務、それは発行会社、公認会計士、引き受け証券会社、いずれも民事、刑事の責任が加重されたわけであります。その段階からあとでそういう行為が行なわれますれば、これは普通の粉飾であろうと逆粉飾であろうと、同じように取り扱われるべき問題かと思います。
 本件は、非常に古い時期のものであったということ、そしてその法律改正前の問題であったということで、若干言われましたようなそういった感触になったかと思います。私どもは、逆粉飾だからそれはかまわないんだというような、安易な気持ちではおりません。
○佐藤(観)委員 それからもう一つは、公認会計士の問題でございますけれども、私の調べたところでは、住田さんは三共製薬の公認会計士を昭和二十六年からやっておるということになりますと、先ほどたびたび局長からお話があったように、気がついたのが四十一年であった。いわゆる大蔵省の虚偽記載の厳正通達が出てからだというような見解ではなくて、二十六年から三共製薬の公認会計士になって、二十七年から逆粉飾が始まっているということになりますと、かなり公認会計士の責任というのは――私は、最近になってやっとわかったということではないと思うのです。そういった意味で、公認会計士の責任については、いまどこまで責任を持ってやっているのですか。
○坂野政府委員 公認会計士は、四十一年にそれに気がつきまして、その後会社に対して再三訂正するように申し入れをしております。また、若干の部分については限定づき意見を付したものもあります。しかしながら、言われますように、公認会計士の非常に大きな責務が長い間不十分であったということから、公認会計士審査会において、当該会計士を懲戒処分といたすことに決定いたしました。一カ月の営業停止を命ずるということが近く通知される予定になっております。
○佐藤(観)委員 これだけ現在大衆投資家というものがふえてきている中で、一昨年証取法の改正で論議しましたように、開示制度というのが、ディスクロージャーというのがほんとうに企業の実態を投資家に見せるただ一つのもの、監査報告書というものがただ一つのものであるわけです。それがいま明らかになったように、二十七年から二つの帳簿があって、投資家の側に出されたものでは虚偽記載が堂々と通っているということでは、いわゆる大衆投資家保護という証取法の大きな柱がくずれていってしまう。ここで問題になってくるのは、公認会計士がその社会的責任、法律的責任において、会社の実態を大衆投資家の前に明らかにする、これがきわめて重大だということがあらためてわかったわけであります。局長からいまお話がありましたように、今後とも公認会計士の資質を向上する、これは非常に大事なことであると思うのです。その面で次の問題に移りたいわけであります。
 今度は、公認会計士の現行の試験の問題であります。これは局長でなくて、企業財務課長さんでもどなたでもけっこうですが、公認会計士の試験の制度について簡単にちょっと説明してください。
○坂野政府委員 試験制度は、公認会計士法で定められております。一次試験、二次試験、三次試験の三段階からなっております。一次試験は、初歩的な基礎試験、国語、数学、論文という三科目につきましての基礎問題、二次試験は、一次試験を受かった人並びに大学、高等専門学校卒業者は免除されるという、そういう受験資格、三次試験につきましては、一次試験、二次試験を通ってきた人ということになるわけですが、科目別に一定の資格を持っている人について免除の規定があります。
 この試験のやり方でありまするが、公認会計士審査会において試験委員を任命しまして、その試験委員が試験を行なうということになっております。試験委員の人数は十五名以内ということになっております。
○佐藤(観)委員 公認会計士の試験の中で第二次試験というのは、剣が峰と申しますか、一番大事と申しますか、一番むずかしいわけであります。ちょっと、昨年の試験は七月のいつでしたか、五、六、七かな。それから試験委員ですね、試験委員はたしか官報に記載をしますね、それはいつですか。
○白鳥説明員 昨年の二次試験は七月の七、八、九の三日間であります。それから、その試験委員の発令は四月の十日に発令されておりまして、十一日の日に官報に公告しております。
○佐藤(観)委員 この試験委員を発表する、官報に載せる、その精神は一体どういうことですか。
○坂野政府委員 国家試験でありますので、官報をもってその試験委員を発表いたしまして、受験者にそういったことを周知させるということが適当である、こういうたてまえであります。
○佐藤(観)委員 その弊害について、私はこれからいろいろとお伺いをしたいのでありますけれども、その前に、この試験委員の資格と申しますか、これは国家試験の仕事をするわけでありますから、国家公務員にはなりませんけれども、準国家公務員的なもの、つまり試験委員になった場合には、たとえば自分の教えている学校以外の経理学校で教えてはいけないとか、原稿を執筆することを自粛するとか、そういった行動に対する何らかの国からの制限と申しますか、そういうものはありますか。
○坂野政府委員 法的な制度はございませんけれども、当然、公の仕事に携わるわけでありますので、公私混淆等のないようにということは毎回審査会で指導をしておられるわけであります。
○佐藤(観)委員 そうしますと、その辺は全く出題者、つまり試験委員の個人的、道徳的観念でしかないということですね。
○坂野政府委員 法制的な制度は何もございません。
○佐藤(観)委員 そうしますと、試験委員の人がその試験の出題内容について、きわめてそれに近いことを試験の前に行なう、こういったことをやっても、現行では何ら制裁、つまり法律的規制は受けないわけですね。
○坂野政府委員 制度的な制裁はありません。
○佐藤(観)委員 そこで、いろいろと問題が起こってきているわけでありますけれども、その前に一度、法務省にお伺いしたいのでありますけれども、司法試験ですね、司法試験委員は何かそういった内規なりで、試験委員になったら自分のつとめている大学以外に授業をしてはいけないとか、あるいは原稿を書くことを差し控えるとか、そういった内規というものはありますか。
○藤島説明員 司法試験法及び司法試験管理委員会規則の上ではそのような内規はございません。ただ、私どもが考査委員と呼んでおります考査委員の任命にあたりましては、まず近親者に受験者がある者はみずから辞退してもらいたいということを出しまして、そうして任命した暁には、私どもで書面を各委員に出しまして、その中に委員長名で、ちょっと読んでみますと、「なお、改めて申し上げるまでもないこととは存じますが、この試験の公正を確保するため雑誌への寄稿、答案練習の指導、座談会へのご出席等による試験科目についての受験指導は、これをお差し控えくださいますよう特に御配慮を賜わりたく、はなはだぶしつけながらお願いいたします。」こういう書面を出しまして、さらに、最初の考査委員会の会議がございますが、その席で委員長がごあいさつを申し上げます。その席でも重ねてそのことを申しております。
○佐藤(観)委員 いま司法試験については法務省のほうからこういうようなお話があったのでありますけれども、いま言ったような雑誌への寄稿あるいは答案の指導あるいは座談会への出席を慎んでもらいたい、こういったようなことは、公認会計士の試験の場合には、試験委員に対しまして何らかそういった指導なり何なりをやりますか。
○坂野政府委員 試験の前に試験委員を集めて、審査会委員と試験委員とが試験の打ち合わせをいたします。その際に、審査会の試験の主任委員から試験に関する諸注意を申し上げておりますが、その中で、当然毎回そういうことについて御注意ありたいという御発言があります。
○佐藤(観)委員 それはいつごろやるのですか。もちろん官報に記載された、昨年でいえば、四月十一日以降になるわけですが、いつごろやるのですか。
○白鳥説明員 昨年の場合ですと、十一日に官報公告がございまして、そのその週十四日に打ち合わせ会を行なっております。
○佐藤(観)委員 法務省にもう一度お伺いしますけれども、これはあくまで考査委員の人々の良識にまかせる。近親者に受験者がある場合には辞退してもらいたいとか、あるいはこれはきわめてきついというか、きわめてきびしく配慮されたものだと思うのですけれども、雑誌への寄稿を慎んでもらいたい、あるいは答案の指導をやめてもらいたい、あるいは座談会への出席をなるべく慎んでもらいたい、こういったものは、試験をする立場でありますから、試験の問題が漏洩する可能性があるので、ある意味では当然だと思いますけれども、これが万が一それに類似したことが行なわれた場合に、何らかの考査委員というのは法律的な制裁というのはありますか。
○藤島説明員 いままで司法試験につきまして、そのようなうわさがあったことは過去にございまして、いろいろ調査をしてみたわけですが、そういう確証を得たものは一つもなかったわけでございます。したがって、私のほうもそこを突っ込んで検討はいたしておりませんが、ただ、私どもの考査委員というのは、やはり非常勤の国家公務員ではないだろうかというふうにちょっと私、考えるわけです。正確でないかもしれません。そうすると、その非常勤の国家公務員が何か自分の秘密を漏らしたというような場合には、何らかの法的な制裁ということもあり得るのではなかろうかというようなことを、いまちょっと急でございますので正確じゃないかもしれませんが、そんなような感じがいたすわけでございます。
○佐藤(観)委員 証券局長、その非常勤の国家公務員――これは法制局でも呼んで少し詰めてみなければいかぬことかもしれませんけれども、いやしくも国家試験の試験委員、試験を出すほうあるいは答案の採点をするほうでありますから、国の国家試験というのは試験の中でも最高のそれだけの権限を持っているわけでありますから、そのくらいの考え方、配慮、認識があってもいいんじゃないかと私は思うわけですね。その点で、これからお伺いする公認会計士の場合には、どうもその辺の認識というのはあまりないのじゃないか、どうも配慮が欠けているのじゃないかと思うのですけれども、その辺は局長、いかがですか。
○坂野政府委員 私どもはもちろんのこと、審査会のメンバーの方々としましても、委嘱しました試験委員、その試験委員は形式的には大蔵大臣からの任命になるわけですが、その人格、識見については全幅の信頼を置いておりまして、そういう点については私どもは十分な御信頼を申し上げるという現状でございます。
○佐藤(観)委員 まあいいです、いまにわかりますわ、私が何を聞こうとしているか。ちゃんと事実があるんだから……。
 今度は、国税庁にお伺いしたいのですが、国税庁では税理士の試験をやるわけでありますけれども、先ほどと同じように、国税庁の場合にはやはり試験委員があるわけでありますけれども、その人たちに対してどういう規制と申しますか、おそらく法律的には何もないと思うのですが、試験委員になってからの行動に対するどういった指導と申しますか、ありますか。
○松本説明員 国税庁では、税理士試験を行なうにつきまして十五名の試験委員を任命しております。そこで、この試験ができるだけ公正厳正に行なわれますように、税理士試験の委員の委員長から委員に対しまして要請というような形で、四つの事項につきましてお願いをしております。その四つの事項とも、できるだけ外部から誤解を受けないように行動を慎んでもらいたいというような趣旨の事項であります。
○佐藤(観)委員 そうしますと、それはあくまでお願いということで、法律的には、たとえば内規とか、そういったものはないのですね。
○松本説明員 内規といったものでございませんので、実質的には試験委員会の中の委員相互間の申し合わせといったらよろしいかと思いますけれども……。
○佐藤(観)委員 それは文書になっておりますか。
○松本説明員 文書でございます。
○佐藤(観)委員 もう一点だけ法務省にお伺いして、法務省けっこうなんですけれども、先ほどお話しされたことは、これはやはり申し合わせですか、内規ですか。何らか文書でそういうことになっておるものですか。
○藤島説明員 特に文書はございませんが、先ほど読ませていただきました委員長からのあれは、文書で出ております。
○佐藤(観)委員 法務省と国税庁、けっこうでございます。
 いまの公認会計士の試験の制度、これはきわめていろいろな問題があるわけなんですが、私がお伺いをしたいのは、試験委員十四人が四月の初めに発表になるわけでありますけれども、そうしますと、この人が出す問題というのは大体どういうふうな傾向にあるか、あるいはこの先生方はどういうところが得意であるか、あるいはどういう持論をお持ちであるか、その辺のところがわかるわけですね。それに従って受験生がそこに集まる。あるいは経理学校なんかの人々がそういう十四人の試験委員の先生を呼んでいろいろと指導をする。それによって問題が漏れてしまう。こういう漏洩が起こらない、また現実に起こってないと判断されていますか。
○坂野政府委員 そういう漏洩は起こっていないというふうに判断しております。
○佐藤(観)委員 いまささやかれていることは、試験委員がだいぶ既得権化してきたんじゃないか。試験委員になりますと、大体その先生の本が売れる、あるいはその先生方があちこちで生徒さんたちを集めて講演会と申しますか、ことしの予想問題をやる、あるいは原稿料が高くなる、こういったようなことがいわれているわけでありますけれども、いまこの試験委員を公表することの弊害というのを、証券局のほうでは考えられていませんか、その実態から見て考えられておりませんか。
○坂野政府委員 現在のところ、公表する制度になっておりまして、この制度が間違っておるというふうには考えておりません。
○佐藤(観)委員 たとえば試験委員を見てみますと、第二次の試験委員でありますけれども、何年も何年もやっている方がありますですね。長い方になりますと、これはおそらく七年やっていらっしゃる方もいらっしゃる。そうしますと、大体その人の本を勉強しておけば、その問題については大体当たる。やはりそういった試験委員を長くやっていただくと、どうしてもそういった弊害というのが私はあらわれてくる可能性というのは十分あると思うのですが、その辺の弊害はあらわれていないというふうに御判断なさっておりますか。
○坂野政府委員 同じ試験委員が長くやることの弊害がないというふうには判断しておりません。ただ、その弊害と申しますのは、そのことによって問題が漏洩するというような意味での弊害はないというふうに申し上げておるわけであります。
○佐藤(観)委員 それでは、昨年の七月の七、八、九に行なわれた公認会計士の第二次試験、この内容と、それからいろいろな経理学校、商科学院がありますが、そこで予想問題を検討する会を各種やっておりますが、それを調べてみますと、これはほとんど当たっているのですね。私は公認会計士でありませんからしろうとでありますけれども、私も少なくも大学で経済学をやったので突き合わせてみました、あるいはいろいろな専門の方から聞いてみた。まあ去年十四問のうち十三問は当たっていると言っていいと思うのです。たとえば例をあげましょう。まず商法の問題――もっと一番わかりやすいのにしようか、これはTAC、すなわち東京アカウンティングセンターのCPA受験指導部というところが六月にやった「予想問題を検討する」の場合、「出題されると予想されるもの」二重マル、「予想がはずれた場合に備えて整理しておくべきもの」一重マル、「出題されないと予想されるもの」バツ。
 たとえば「監査論」、これは江村教授が試験委員なんでありますけれども、問題がありますから見てください。第十三問、この問題を読んでみましょうか。当初だけ読めば問題が五つあって、「答案用紙の所定欄を用い、正しい文章には〇印を、また、誤っている文章、もしくは、不適当な文章には×印を記入せよ。ただし、×印は三つに限るものとし、それ以外の数の×印を記入してはならない。」いろいろの受験生に聞いてみますと、「監査論」でマル・バツ式を出したのはこれが初めてだそうです。先ほど申しましたTACの「予想問題を検討する」これによりますと、江村教授のこういう刷りものがあるのです。刷りものには「採点を簡単にするため〇×式の問題を出す。」とちゃんと書いてあるわけですよ。江村先生という人は、これからも数々申し上げますけれども、いままで各地でやっている商科学院あるいは経理研究所、こういったところの出題問題の予想分析の説明会といったものには直接出てないのです。出てない人が、このTACの「予想問題を検討する」には「監査論」で初めてマル・バツ式が出る、「採点を簡単にするため〇×式の問題を出す。」はっきりこう書いているわけですね。この江村教授というのは、試験の前には、たとえば東京商科学院主催の出題特別講義とか、あるいは明治大学経理研究所の講義とか、あるいはこれから一つ一つ申し上げますけれども、このTACの受験生を励ます会、こういった予想問題の会には出てない人なんです。出てない人が、これはTACのCPA受験指導部に送ったのでしょう、マル・バツ式の問題を出すとちゃんと出ているのですよ。第十三問はマル・バツ式。これは「監査論」で初めてマル・バツ式になっているわけです。もう全部あげていったら切りがない。
 そのほか「商法」の第一問、これはおそらくそちらに試験問題があるでしょうけれども、この問題というのは、各種会社の問題ですね。「甲合資会社は無限責任社員A・B・Cと有限責任社員D・Eの五人の社員からなる会社であり、会社の定款にはこの会社の有限責任社員は業務執行の権利義務がある旨の規定がある。ところでD・Eは他の社員の承諾のないまま、甲会社と競業関係にある乙株式会社の取締役を兼ねている。そこでA・B・Cが集って相談したが、A・BはD・Eの除名を主張し、Cはこれに反対であった。さて、このような事情の下でD・Eの除名の宣告を裁判所に請求することができるか。」これが商法の第一問であります。そうしますと、これは七月の試験の直前に行なわれたものですが、TACの受験指導部がつくった「予想問題一覧表」、これによりますと、「商法」で出るものは商号、それから取締役の自己取引、各種会社の基本的構成相違、こういうふうに出ているわけですね。絶対出ないというようなところにあるのが、株券あるいは新株、社債、株主総会決議取り消し、こういったものは絶対に出ません、バツしるしになっているわけです。このときには最高裁とか時事問題からいっても当然取り上げられてもいいような問題だけれども、絶対出ない、バツのほうにこういったものが出ている。いまも読み上げました第一問の各種会社の問題でありますけれども、最後に私が申し上げました各種会社の基本的構成相違、ここを勉強していくとこの問題はできちゃうのですよ。ちゃんとそういうふうに予想が出ているわけなんです。こういうことは御存じなかったのですか。
○坂野政府委員 そういった受験に関する特殊講習会、あるいは予備校のようなものがあるということは聞いております。また、そこでいろいろ問題予想等があるということも聞いておりますけれども、そこはそれぞれの立場から問題予想をしているものであって、その予想がたまたま的中したかどうかという事実はまだ知っておりません。
○佐藤(観)委員 だめだめ、それを言ったって局長だめですよ。その受験指導に試験委員の先生が出ていないならまだそれは理屈が通ると思うのです。でも試験委員の先生方がちゃんとやっているのですよ。たとえば昨年の六月十八日、東京商科学院の主催で戸田生先、これは試験委員ですね。いま神戸大学の学長ですね。あるいは山城先生、これは一橋大学の先生。溝口先生、大石先生、これはみんな試験委員です。この方々が水道橋にある労音会館で東京商科学院主催による出題を予想する特別講義を行なっているのです。そういった例を、いま私がTACの例を引き出して問題にしているわけです。全然こういう試験委員の先生が出ていないで、こういう問題が出るのじゃないか、ああいう問題が出るのじゃないかというんだったら、いまの局長の話でまだわかるのです。
 では、さらに申し上げましょう。大道の安売りではないけれども、全部言わぬことにはどうも御理解いただけないようだから。ここにはテープもあるけれども、たとえば第五問、「経営学」の予想から申し上げましょう。時間的に、予想から申し上げます。「経営学」の予想は、試験直前に行なわれたTAC、東京アカウンティングセンターのさっき言った受験指導部制作の「公認会計士第二次試験予想問題一覧表」というものによりますと、「経営学」で出るものはリーダーシップ、専門化の原理、モチベーション、ライン・スタッフ・サービス、こういうものが出るぞといっているわけです。いまモチベーションというのを読み上げました。そうしましたら、「経営学」の第五問はこういう問題です。「経営管理における動機づけについて」――動機づけというのはモチベーションです。「動機づけについて、(1)管理職能としての動機づけの必要性 (2)動機づけの職能の内容 (3)効果的な動機づけの諸方法を説明しなさい。」会計士、税理士仲間では動機づけ、モチベーションをちゃんと勉強しておけばこれが全部書けるようになっているわけです。それがちゃんと試験直前に行なわれました。何も東京商科学院だけではありませんけれども、手元にきているのはここに数々ありますけれども、先ほど読み上げましたように、モチベーションというものが出ますよというふうに問題にちゃんと入っているのですよ。こういうところにみんな各試験委員の人々が行っているわけですね。ですから、みな当たってしまう。あたりまえですよ。試験委員の人がこういう問題が出ますよと言えば、これは出るのがあたりまえでしょう。どうですか。
○坂野政府委員 詳細につきまして、私どもも一ぺん詳しく調査いたしまして、弊害があれば是正する措置をとりたいと思います。
○佐藤(観)委員 たとえば「経済学」にしても、予想問題は費用曲線、それから経済成長、国内均衡、国際均衡、これが予想問題になっているわけです。絶対出ないといわれているものが、いまむしろわれわれの側で問題になっているインフレ、国際経済、公共料金、公害、産業連関、こういった全く必要な問題が絶対出ないバツじるしのほうに書かれているわけです。まあこれはやはり試験委員の方に良心があったのかどうかわかりませんけれども、この絶対出ないのうちのインフレだけは出ています。「経済学」の問題1「次の用語を、現在のわが国のインフレ問題と関連させながら、簡単に説明しなさい。(1)生産性上昇率格差インフレ (2)輸入インフレ (3)所得政策」、これだけが出ています。ただし、これの第四問の問題1というのはこうです。「次のおのおのの対の均等は、経済理論において何を意味するか。ごく簡単に説明を与えよ。(1)限界収入と限界費用 (2)平均収入と平均費用 (3)貯蓄と投資 (4)限界費用と価格 (5)平均費用と価格 (6)利子率と資本の限界効率」、これは費用曲線の問題ですね。これは私も大学時代に若干触れたことがあるわけですけれども、先ほど言った、費用曲線の問題が出ますよということでちゃんと出ているわけですよ。まだこれはあげれば、きわめて説明がしにくい問題があって、たとえば簿記論なんかにしても、これは戸田先生の出題でありますけれども、「原理的に統一するよう」というのは、これは戸田先生の持論なんだそうでありますけれども、それもちゃんと予想の中に入っているわけですね。しかも、こういったフォームについても全部予想問題の中にこれは入っている。この線の形が全部これと類似したものは、このほんとうの問題の中に出ているわけなんですよ。こういうことになりますと、全く国家試験といいながら、これはきわめてお粗末と申しますか、全部一度、何ならあとでお見せしますけれども、十四問のうち十三問は、その予想問題をやっておれば全部できちゃうんですよね。きわめてこれは試験について不公平があると思うんです。
 さらに私は、問題にしなければいけないと思うのは、きわめて重大なことでありますけれども、こういったことに関して、おたくの一人が関連をしている可能性がきわめて強いのです。これは受験生仲間あるいはこういった公認会計士の試験に関する受験を扱っている方々、これは皆さん方もお名前を御存じかと思いますけれども、公認会計士という肩書きで――もちろん大蔵省の役人という肩書きではありませんけれども、公認会計士の肩書きということで予想問題を説明する会に出ているわけですね。大体、この試験問題を出すほうの仲間でも、あるいはこういった雑誌社仲間でも、大蔵省のS氏というと、これはもう非常に有名なんだそうです。これは前に企業財務課にいらした方です。ですから、この試験をむしろ厳正な立場で取り締まらなければいけない立場にある大蔵省の企業財務課の一人が予想問題を発表する、経理学校で講演をしているわけです。ほとんどこれが当たるわけです。
 これは、試験問題というのはいつできるんですか。どこで印刷しますか。
○白鳥説明員 昨年の二次試験の例で申しますと、四月に委員を発令しましてから、一カ月後の五月の初めに問題を試験委員から受け取りまして、印刷に回しまして、六月の終わりに印刷の校正が終わる、そういうような段取りになっております。この印刷の段階では、厳にその印刷が漏洩しないように万全の注意を払っております。
○佐藤(観)委員 五月の初めから試験問題をもらって、六月の初めに試験問題の印刷を完了するということでありますけれども、この当時、証券局の企業財務課の人は、六月の中旬、十一日か十八日の日曜日に横浜の経理学校で「監査論」と称しまして、予想問題を講演をしておるわけです。これはもちろん横浜の経理学校のほうもきわめて慎重に取り扱って、この件は確認をしておりませんけれども、おそらく源泉徴収もしていない形で、この人の名前を出さないような形で講演をしておるのではないか。そこまでそういった学校の仲間ではいわれているわけです。これはまだ、私もこの横浜の経理学校を監査する権限はありませんから、いたしておりませんけれども、この人を呼ぶのにそこまで慎重にしておる。それはそうですよ。五月の初めに試験問題をつくった。おたくの課でどういう形であれするのか知りませんけれども、五月の初めに試験問題を全部もらって、六月の中旬に横浜の経理学校で話をすれば、全部試験問題がわかるわけなんです。あるいは大阪の北浜会館で七月の二日、日曜日にやはり講演をしておるわけです。あるいは東京にある税経学院、ここでは何回も話をしている。もうとにかく通称S氏といえば、この公認会計士の試験の仲間では有名なんだそうであります。私は、実際に受けておるわけではありませんけれども、とにかく肩書きは、この人も公認会計士だそうでありますから、公認会計士という立場から経理学校で講演をしておるらしいのでありますけれども、証券局企業財務課の課員がこういった経理学校で講演をする。たとえ肩書きが公認会計士であれ、講演をする。しかも試験は七月の七、八、九、これを六月の中旬、七月の二日に行なっているということ、これはきわめて重大なことだと思うのですが、大蔵省の役人がこういうところへ出てもいいのですか。
○坂野政府委員 その試験に関係する者が、そういう時期にそういう場所へ出ていくということは、内容いかんにかかわらず遠慮すべきだと思います。
○佐藤(観)委員 これはきわめて個人の名誉に関することでありますから、おたくのほうで大体もう聞けばわかっておるはずだと思うのです。わからなければ、私は個別にお教えしますから、ひとつ調べにおいてもらいたいと思います。
 まだまだ例をあげれば枚挙にいとまがないのであります。昨年の試験でももっともっと的中率がよくて、しかも御丁寧なことに、先ほど再々読み上げている「予想問題を検討する」の一番最後のところに、注として「本年度の情報は例年に比して不正確です。これから試験迄の約三週間の情報の収集及び最後の追込みに全力を尽して下さい。」こう最後に書いてある。つまり四十六年の試験はもっと当たったということですね。少し私のほうの資料をお見せしますから、事実を調べていただきたいと思うのです。
 それで、私はこの制度ではいやしくも国家試験に値しないと思うのですね。私は、具体的に改革案を持っております。こうしたほうがいいのじゃないか。これは法律改正も必要かと思います。各試験委員を公にすることがはたしていいか悪いか。あるいは出題者が、きわめて個性の強い問題で、その人の授業に出ないとできないような問題、受けた人だけが百点、受けないと零点しかとれない、こういった問題。数々の改革案は持っておりますけれども、まず皆さん方のほうでこういった事実について調べていただいて、それからこの論議を進めたいと思います。
 ちょうど時間も十二時半になりますので、お昼の時間でありますから、私の質問はこれだけにして、後ほどまた証券局のほうで、いま私が指摘をしました問題について調べてから、また今後どういうふうにこれに対処していくべきかについて論議をしたいと思います。
○大村委員長代理 午後一時三十分より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十四分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、金融に関する件について、明十四日、日本銀行総裁佐々木直君に参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大村委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
○大村委員長代理 有価証券取引税法の一部を改正する法律案、相続税法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。阿部助哉君。
○阿部(助)委員 今国会の本会議において田中総理は、法人税の累進税制については、不可能な理由として法人擬制説の立場をとられた、そういう答弁をしておるわけでありますが、これは何か私には非常に御都合主義、へ理屈であると思うのでありますが、その典型的な例が有価証券に関する課税の問題であります。
 そこで、私、きょうは、株の取引の非常な増加、株価の暴騰によって個人で投機に参加をし、相当利益をあげている人が多いと思うのでありますが、その実態を政府は把握しておられるのかどうか、それをまずお伺いしたいと思うのであります。
○高木(文)政府委員 有価証券取引税ができましたのは昭和二十八年でございまして、それから今日まで約二十年の間にたいへんに事情が変わりまして、売買高は約二十九倍、それから時価総額で五十五倍というふうに非常に変わっておりますのですが、総体として証券取引の売買あるいは時価総額、その他全体の姿がどういうふうに拡大してきたかということは、証券関係の諸指標を通じてつかむことができるわけでございますけれども、そのうち個人の株の売買、それから法人の株の売買に分けて、どっちがどういうふうに変化してきたかということについては税務統計上は出てきておりません。法人につきましては、株式の譲渡益は課税になっております。したがって、法人が売買をした場合には所得になるわけでございますが、税務統計上法人の株の売買によるところの所得ないし利益、そういうものがどのくらい出ておるかということをその株の部分だけに着目して集計したものを持っておりませんし、個人のほうは、原則非課税になっております関係で統計上譲渡所得というものは把握できないという状態でございます。
○阿部(助)委員 大体において皆さんのほうでは不労所得であるとか大資産家の税金についてはたいへん甘くてさっぱり調査がない、中小零細企業のほうはぎっちり締め上げていくという不満を私は持っておるのでありますけれども、こういう問題もう少しお調べになったらいかがです。
 じゃもう一つお伺いしますけれども、税法では、取引五十回、そうして二十万株以下の場合には課税しないということになっておる。それ以上は課税をするわけですね。一体これでどれくらい税金をお取りになったのかをお伺いしたいのであります。
○高木(文)政府委員 現在、御指摘のように、株式を大量に売買をするものについては課税されるという制度がございますが、これは昭和二十八年に株式の譲渡所得が非課税になりました際にも、株を絶えず年に何回も、またかなりの量売買をするということは、むしろキャピタルゲインの課税の問題としてではなしに、一種の事業所得であろう、あるいは雑所得という程度のものかもしれないが、商売として株を売ったり買ったりするということになるのであるから、株の譲渡所得の非課税の問題とは別に、課税をするということが行なわれておりまして、そしてそれが昭和三十六年に政令上明らかになったわけでございます。しかしその場合にも、実は事業所得ないし雑所得の課税でございますので、事業所得、雑所得に関するもろもろの統計はございますが、その事業所得、雑所得のうちで特に株の売買にかかる部分だけの統計というものは、現在持ち合わしていないわけでございますので、阿部委員御指摘の点については、的確な数量的な御返事ができないという状況でございます。
○阿部(助)委員 五十回という回数を切っておりますけれども、たとえばこれは何回になるのです。私がA株五万株、B株五万株、C株五万株、これを買ってくれ、こう注文した。これは株が違ったら三回になるのですか、一回になるのですか。
○吉田説明員 五十回という回数の判定の問題でございますが、ただいま先生のおっしゃいましたようなケースの場合には、一ぺんにA、B、Cを御注文されて、十五万株になりますか、その場合には一回という計算をいたすようにしております。つまり委託契約一回ということにいたしております。
○阿部(助)委員 これは一回ですね。
 それから、証券会社が注文を受けたその日に二万五千株ずつ買ったが買い切れなかったために、次の日かその次の日に回ったとしても、これもまた一回のうちですね。
○吉田説明員 さようでございまして、おっしゃいますように、そのたびそのたびに二万五千株ずつ売買報告書が出てまいりますから、取引の形態としては委託一回と計算しております。
○阿部(助)委員 あの条文からは私はそう読み取れないけれども、皆さんの法律解釈は、五十回かつ二十万株で両方の条件を満たしたときに初めてこれは課税をする、こういうことになっておりますね。
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
○阿部(助)委員 そうすると、実際問題として、これに課税をされておるということはまずないんじゃないですか。たまたまあるとすれば、皆さんがほかの脱税や何かの容疑で調べたところ、こうやっておったということがたまに出てくるかもわからぬけれども、実際見て五十回かつ二十万株という二つの条件を満たして税金の申告をしておる人があったら、私はその数を教えてもらいたい。
○吉田説明員 おっしゃいますように、五十回、二十万株という押え方をやっておるので、いろいろ第一線では苦労をいたしております。また総合的な統計はとっておりませんが、われわれいろいろの会議の席上でかなりその点の問題点で相談を受けることがございまして、一番むずかしいのはやはり五十回という認定の問題でございます。
 それにつきましては、おっしゃいますように、かなりのケースは、大きな脱漏所得がありまして、それを追っていきましたならば株の売買にぶつかって、そして判定するというケースがございますが、また別途探聞その他におきまして株の売買が大量に行なわれているというときには、それだけを目当てとしてやっておるケースも第一線のほうではございます。
○阿部(助)委員 何か話がちょっとおかしいのですが、第一線の人たちが苦労しておるなんというけれども、皆さん苦労するような体制を何にもとってないじゃないですか。大体こんなものを取るつもりはない。ほんとうの空文でしょう。初めからこんなものを取るつもりじゃなしにやっておるのであって、ほんとうにこれに課税をしようとするならば、こんなしり抜けになるような規定は廃止をなすったらいかがなんです。第一線が苦労しておるというのはどんな苦労しているのです。大体最初からこれはさわれないようにできているじゃないですか。
○高木(文)政府委員 現在、御指摘の年五十回かつ二十万株以上売買された場合には課税をいたしますという制度は、昭和二十八年に現行の株式の譲渡所得を、先生よく御存じのようないろいろな事情で、それまで課税になっておりましたものを非課税にいたしましたときに、その趣旨としては、いわゆる株式のキャピタルゲインの課税が執行上うまくいかないということであったわけでございますが、五十回、二十万株というような多量のものであれば、いわゆる偶発的なものでない。むしろ営利を目的として継続的に商売をしているということではないのか。それは株の売買といっても、普通のたとえば魚屋さんが魚を売るとか、八百屋さんが野菜を売るのと同じような意味において、株の売買をしているのと同じことではないのかという趣旨から、株の譲渡所得の非課税の問題とは別の問題として、そういうふうにひんぱんに行なっておるということは、それ自体が事業ではないのかということで、税法上は必ずしも明らかでございませんでしたけれども、国税庁長官の通達等で明らかにして、事業所得として扱ってきた。その後この株数の基準等を若干変更いたしましたが、昭和三十六年に政令で明確にしたという経緯でございます。したがって、多量にひんぱんに株の売買があれば、本来ならばそういうものについて事業所得として申告があるべきものでございますが、ただいま直税部長がちょっと触れましたように、なかなかこの申告は行なわれていないのが実情であろうかと思います。そのこと自体は、もう一つは、五十回ということの基準の立て方にも問題があろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、現在の私どもの考え方、税法上の考え方は、いわばしろうと筋が株の売買をするものについて課税をするということは考えておるわけではなくて、いわばくろうとに近い、もしくはくろうと筋自体が営業としてそれをやるという場合には課税すべきものであるというたてまえであるわけであります。しかし、その執行の面において非常に難渋をしておることは御指摘のとおりでございます。
○阿部(助)委員 局長のお話、私さっぱりのみ込めないのです。くろうとが業としてやっておるのには課税をする、こう言うけれども、実際この規定のこんな一回がいかようにもとれるようなもので、課税ができると思っておられるのでずか。ほんとうに課税するつもりでおられるのですか。いいかげんなお話ではなしに、税の公平という点から見て、ほんとうにこれに課税をしようというのかどうか。一であろうと十であろうと、株の注文としてはこれが一回でございますというような回数のきめ方は、こんなものは大体取る気がない、まあ規定しなければいかぬから、税が不公平過ぎるからきめただけであって、初めから取る気がないんじゃないですか。その辺どうなんですか。第一線が苦労しておるというけれども、第一線なんてこんなもの何もさわってないじゃないですか。ほんとうにやる気なら、やり方があると思うのです。これは私はあいまい過ぎると思う。局長は第一線が苦労しておるとか、皆さん苦心しておるみたいなことを言うけれども、全然ぶん投げておるというのがほんとうの姿ではないのですか。
○高木(文)政府委員 問題は二つございまして、もともと株式の譲渡所得、つまりキャピタルゲインに課税を行なうべきかどうかという問題があるわけでございます。このことについては、しばしば申し上げておりますように、主として過去の経験におきましては執行上の難点から、いまのところ譲渡所得は非課税にしておるわけでございます。
 しかしながら、その五十回、二十万株というのはそうではなくて、本来事業としてやっておられるという場合には、株の譲渡所得非課税問題とは別の問題としてやはり課税がなければおかしい、株式であれば業としてやっておっても非課税というのはいかにもおかしい。それではどこから業と見るべきかということになるわけでありまして、そこで五十回がいいのか、三十回がいいのか、十回がいいのかというのはまことにむずかしい問題でございますが、現在のところは長年にわたって五十回というところで仕切っておるわけでありまして、五十回以上であればまあ事業ということに判定する。その判定のしかたそのものに御指摘のように問題があろうかと思いますが、さりとてそれではその回数をもう少し少ない回数から事業と見ればうまくいくかどうかということになりますと、五十回という回数に問題があるのではなくて、回数で切っておるところに相当問題がございますところから、この五十回、二十万株という制度を若干の手直しをした程度ではなかなかうまくいかないということで、実は先般来御指摘もありますし、われわれ自身も非常に悩んでおりますので、本年の税制改正にあたりましては、何かいい方法がないかということはいろいろ検討をいたしました。また現場の状態等からいっていい知恵がないかということも考えてみましたが、これを非常にこまかく追及するようになりますと、一方においてまたかなり取引がもぐるというようなこともございまして、やる以上は何か場当たりの案でない案を考えなければいけませんので、いろいろ考えてみましたけれども、残念ながら今国会にこの部分を直すということについての御提案をするに至らなかったということでございます。
○阿部(助)委員 あなたのあげ足をとるわけじゃありませんけれども、これを取るには非常な難点がある、こうおっしゃるのでありますが、キャピタルゲインに課税しておる国は幾つかあると思うのですが、どことどこがやっておりますか。
○高木(文)政府委員 いますぐに調べますが、典型的なのはアメリカの場合でございます。イギリスにおいても最近一部いたしておるようでございます。なぜアメリカではできるか、それからヨーロッパ大陸ではできないかということにつきましては、私ども理解しますところでは、一般的な納税思想といいますか、そういう問題でございまして、アメリカは御存じのように非常に申告水準の高い国であります。非常に水準の高い国の場合にはかなり申告に期待してよろしいかと思いますが、大陸系では全くこれは不可能だというものの見方をしておるわけでございます。わが国の場合、かなり申告水準は高くはなってきておりますが、現在の段階で株式の譲渡所得について自主的な申告を期待するということは、まだ現実的でないのではないかと私どもは判断をいたしております。
○阿部(助)委員 まあ納税思想の問題もありましょうけれども、大体皆さん税務署の人たち、一つは徴税コストの問題を云々されるわけでありますけれども、どうも零細なところにばかり力が入り過ぎて、大きなこういう不労所得、こういう問題のところはみんなほおかぶりをして通っておるというのが実情なんじゃないですか。零細企業なんて、重箱のすみをほじくるような税金の取り方をせぬでいいから、こういう大きな金を持っておるものにもう少し皆さん優秀な官吏を向けたらどうなんです。納税思想の問題、これもありましょうけれども、私は決してそれだけではないと思うのでして、皆さんの力点の置き方が違っておるのじゃないかという感じがするのですが、どうなんです。やるとなればやれるじゃないですか。
○高木(文)政府委員 おことばではございますが、現在の税制は全般として申告納税制度を基本にしておるわけでありまして、それはただ制度上あるいはたてまえ上申告納税制度だということではなくて、現在の国税収入の非常に大きな部分が申告納税によって動いておるわけでございます。税務署の調査等によって、あるいは納税相談等によって申告をしていただいておる、いわゆる申告慫慂をしてそれに応じていただいておる部分もなくはございませんし、また税務署の調査権に基づく調査によって納めていただいておるところの税もありますけれども、これは五%前後のものでございまして、ほとんど大部分は申告自体によっておるわけでございます。
 したがって、私どもが税制を考えます場合には、もう九〇%以上の申告納税を期待できるような制度にしなければならないと思うわけでありますが、現在の株の取引に関与しておられます方の生活実感からいきまして、現在のところそういう高い申告を株式譲渡にかかわっておられる方から期待することは無理ではないかということから考えますと、やはりごく特殊な場合だけに限定して課税することにし、それらの点については税務署が相当強力にやるということでなければうまくいかないのではないかと思いますが、そのどの辺に線を引き、そしてどのような技術をもって漏れなく調べるかということになると、まだ確たる、技術的にも自信のある道が見つからないということであります。
○阿部(助)委員 これは日本の税制の中における一つの大きな恥部だと私は思うのです。そういう点で、所得税法の第九条の一項十一号、これはむしろ廃止して課税をするという方向で少なくとも検討すべきだと私は思うのですが、局長のお考えはどうです。
○高木(文)政府委員 非常に基本的な考え方、あるいは長期的な考え方といたしましては、私どももただいま先生が御指摘のような角度でものを考えるべきものであるというふうに思っております。ただ、二十八年にこの制度が廃止になりましたときのバックグラウンドにおきましても明らかなとおり、申告納税制度にしまして株式の譲渡に課税することにいたしましてもなかなか申告に期待できない、かえって譲渡損の主張が強く行なわれるというようなことがありました。当時と今日とでは、だいぶん世の中も落ちついておりますし納税の状態も変わってきております。また株の取引の状態も変わってきておりますから、当時だめであったからいまもだめだということではないわけでありまして、これは御指摘のように、今後とも何とかくふうをしてみたいと思っております。さてそれでは、いつまでにどういう検討をなし得るかということになりますと、実は私自身いまのところ申し上げられる程度のものは持たないわけでありまして、実はこの四十八年の改正の際にも何かできないかということを考えたのですが、どうもまだ名案に至らなかったというところで事情をおくみ取りいただきたいと思います。
○阿部(助)委員 そうゆっくりされないで、それはすぐ今国会、来年の国会ということを私は言うわけじゃないが、非常に長期的に考えるのではなしに、これは真剣に皆さんがお考えをいただきたいと思うのです。そうのんびりされるのじゃなしに、ひとつ本腰を入れて検討するのかどうか、もう一ぺん御答弁願いたいと思います。
○高木(文)政府委員 私どもとしては、所得税の中でこの制度が、株の譲渡が非課税であるということは、所得の累進による再分配という機能からいっても、決して望ましくないと思いますし、それから資産所得と勤労者所得の課税の公平論からいってもおもしろくないと思いますし、大部分は現行所得税法上、たてまえからいって非常に問題の多い点だと思っております。したがって、私ども自身、所得税法のあり方との関連で、何とかしなければならぬ分野であるというふうには考えております。ただ、現実に株の取引は必ずしもAかBらに売った、あるいは市場を通じてそれを売ったり相対で売ったりいろいろございますが、そのこと自体がいわば登記、登録のような形になっていないわけでありまして、非常に大量に毎日動いているということがあるわけでございますので、土地の売買とか、そういうふうに名義その他によって漏れをおおうというようなことができない。漏れがないようにするというようなことができない体制にありますので、そうなりますと、本来の法のたてまえに従って申告をされた方と、いやなかなか見つからないからということで申告なさらない方との課税の公平論が起こってまいりますので、その課税の公平を期し得るやいなや、株を売った方同士相互間の公平を期し得るやいなやということについて、技術的にもう少し検討いたしませんと、そこに踏み切れないというふうに考えておるわけでございます。
○阿部(助)委員 小さな意味で株を売った人同士の公平、不公平の問題もありますけれども、いま局長がおっしゃったように、再配分の機能からいっても、また不労所得、勤労者の重税という観点から見ても、これは非常に困った問題だ、こうおっしゃっているのだから、その点を踏まえて、私はもっと真剣にこの問題を検討をしていただきたいと思うのであります。それを希望申し上げて次に移ります。
 次に、法人税においてキャピタルゲインの問題は、これまた私はたいへん重要な問題であると思うのであります。これについては法人税、租税特別措置の質問のときにまたあらためてお伺いしますが、きょうは時価発行の問題に限ってお伺いをしたいのであります。
 この約一年間、厳密にいえば一昨年の十一月ぐらいから大体上がってきたと思うのですが、この一年間の時価発行の件数及び金額、プレミアムを明らかにしていただきたいのであります。
○坂野政府委員 四十七年度時価発行を行なった会社並びにこの三月まで行なおうとしている会社数は百二十二社であります。なお、第三者割り当て等もありますので、公募を行なう会社は三百二十二社の予定になっております。その公募金額は八千七百三十七億円、このプレミアム分が七千三百九十三億円、完全時価発行分は五千三百三十億円の予定になっております。
○阿部(助)委員 合計すると幾らですか。
○坂野政府委員 有償増資払い込み額総額は一兆三千二十六億円になっております。
○阿部(助)委員 これはいまの法人税の関係では非課税となっておるわけですね。
○高木(文)政府委員 課税関係は起こらないと思います。
○阿部(助)委員 四十年、四十一年あの不況の時代から、大体大蔵省はこういう時価発行といいますか、こういう形のものをむしろ進めてきたんじゃないか、そういう傾向にあったんじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
○坂野政府委員 証券市場の機能をほんとうの意味で発揮いたしますためには、やはり発行市場が育たなければならないことは申し上げるまでもないわけであります。わが国の株式に関する発行市場は、額面株主割り当て制度を長年とってまいりましたために、そういう意味で若干発達がおくれておったということもございまして、時価発行による発行市場が育てば機能が非常に発揮されるのではないかという論議は早くから行なわれておりましたし、また証券局としてもそういう気持ちを持っておったことは事実であります。しかしながら、これはやはり受け入れる体制、市場並びに投資者の体制が必要でございまして、従来の有償額面増資株主割り当てというような制度のもとにおいては、なかなか時価発行による公募というようなものを受け入れにくい情勢にあったわけであります。そういう時代に行なわれました論議といたしましては、時価発行を無理に強行いたしますと株価が下がってしまうのではないか、非常に拒否反応が出まして、株価が下がって株式市場が混乱するのではないかという論議が行なわれておったわけであります。しかし、その後株式流通市場が非常に活発になってまいりまして、また昨今においてはわが国の投資層というものも非常にふえてまいりまして、特に法人投資というようなものも非常に盛んになってまいりました。そういうような基盤を踏まえて、時価発行が次第に盛んに行なわれているというような情勢になってまいったわけです。
○阿部(助)委員 私は、最近の時価発行を見ておりますと、特別時価発行して資金を集めて、その資金で設備投資をするとかなんとかというよりも、株が上がってきた、時価発行をやって、さらに金を集めてそれでまた株を買う。次の会社はまた株が上がるからまた自分も時価発行する。お互いたらい回しをしながら株を上げ、そうして土地だ株だということになっておる。いま時価発行してみても、それは大体法人のところにいって、それほど一般投資家がこれを買うということではないんじゃないか。それで株価はぐんぐん上がっておるというのが現実ではないだろうかということを考えると、時価発行を少しもう規制せざるを得ないのではないかという感じがするのですが、いかがですか。
○坂野政府委員 時価発行自体の効用につきましては、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、お説のように、この時価発行がかりに不要不急の会社の資金集めというようなことになるとか、あるいはいわれますように新しく発行される株式の消化が片寄った形になる。最近では親引けと申しまして、発行元から直ちに法人にはまってしまう分量がかなり多いわけであります。そういうようなことでありますと、やはり市場機能を阻害いたします。そういろ見地から、やはり時価発行を野放図に伸ばしていくということには問題があるということで、従来から引き受け証券会社が時価発行の選別基準というものをつくっておりましたが、最近四十七年度の下期に至りまして時価発行の総量がかなりふえてまいりましたことと、株式市場が急騰いたしまして、かなり高水準な市況が続いております。また最近の広い意味の金融市場におきまして、やはり過剰流動性を少し締めていくというような大きな意味の政策もございます。そういった見地から、四十八年度の時価発行につきましては、さらにその基準を強化いたしまして、いままでよりも時価発行で発行できる会社並びにその額が制限されるような仕組みにする、そういう申し合わせをアンダーライター、証券四社の間で近々行ないまして、四月以降の会社からの申し込みを選別していくというようなことを現在やっております。
 その内容は、こまかく分かれておりますが、やはり会社の資金需要、資金繰り、それからその緊急度、それから会社の信頼度、業績、そういうようなものを勘案いたしまして、時価発行の優先度あるいはその必要額というようなものを検討していくというようなルールであります。
○阿部(助)委員 私は、いまのようなことを繰り返しておると、これは法人税の論議のときにお伺いをいたしますけれども、いまのように日本の法人税は安い、しかも特別措置でさらにそれを引き下げておる、大企業のほうは資金がだぶついておる、こういうような事態が来る。そこへ社会保障は貧弱だ、労働賃金は安いとなれば、何べん円を切り上げてみたって、また円の切り上げを迫られるのはあたりまえなんでして、かりに今回また円の再切り上げをやってみたからといって、また同じことを繰り返すのはあたりまえです。そういう点で局長、どうです。法人税の引き上げ、特別措置の全面的な再検討、廃止の方向での再検討というものをおやりにならない限り、税は不公平であるし、ますます同じような切り上げというような状態に追い込まれると思うのだけれども、この法人税の引き上げ、特別措置の抜本的な再検討というものをおやりになるお考えはないのですか。
○高木(文)政府委員 現行税制体系の中で、法人税のあり方とといますか、占める地位をどのように考えるべきかということはたいへんむずかしい問題でございますが、ここ数年来、税制調査会等におきまして専門家の間で議論していただきましたところでは、ただいま先生御指摘になりますように、法人について現在以上に負担を求めるという方向で進めるべきではないかという考え方、あるいは法人になお負担を求めることが負担能力等からいってもよいのではないかという考え方は税制調査会の大体の考え方でございます。
 その場合に、具体的にどういう方法でと申しますのは、一つは税率の引き上げという方法で負担を求めるべきか、あるいは課税標準を充実するという方法で負担を求めるべきか、それからまた法人に負担を求める場合に、順序が逆になりましたが、法人税で負担を求めるべきか、その他の税で負担を求めるべきかというような議論がいろいろあろうかと思います。それらの点につきましては、必ずしもまだ十分尽き詰めた議論はいたしておりません。
 それで、四十八年度の税制改正の問題といたしましては、本会議その他で大蔵大臣からも御答弁申し上げたことと思いますが、四十八年度の問題としては、主として法人税の問題は課税標準の問題、特に租税特別措置をやめていくということによって、課税標準をだんだん充実していくということに重点を置く、税率は本年度は触れないでいくということで考えておるわけでございまして、大きな流れとしては阿部委員御指摘のとおりに動いているつもりでございますが、一方において、現実にどの程度の変化を求めるべきかという点において、私どもといいますか、政府の考え方と先生のお考え方とでは若干の食い違いがあるということではないかと思っております。
○阿部(助)委員 キャピタルゲインの問題、検討をされるということでありますから、私はそれは本腰を入れた検討をしていただきたいということと、ほんとうならば、ことしは好況でありますから、当然法人税の手直しがあるだろうと思って私は期待をしておった。それを見送ったという点でたいへん不満でありまして、しかしこれはまた法人税のときにお伺いをすることにして、きょうはこれで終わりますけれども、私は、もう少し本腰を入れておやりにならないと、円切り上げをやった、皆さん二年たたぬと効果はあらわれないなんという先に、もうこういう問題がやってくる。ところが、いままた調整してみても同じことがまたやってくるわけでありますから、この辺で本腰を入れた検討をしていただく。それで、検討されるという御答弁でありますから、私、これで終わりますけれども、ただその検討のしかたが少し手ぬる過ぎるという御指摘を申し上げて、質問を終わります。
○大村委員長代理 増本一彦君。
○増本委員 共産党・革新共同の増本です。
 私たちは、特に最近の株式市場、証券市場の過熱化の状況を見ますと、どうしても証券市場の民主化を徹底しなければならないというように考えるわけでありますが、この証券市場の民主化をほんとうに徹底してやっていくためには、証券、特に株式の投機を禁止するとともに、大企業や大資産家からはやはり正当に税金を取る、そして小口の大衆投資家の保護を徹底する。との立場に立つことが非常に重要だというように思います。有価証券取引税法を審議する場合でも、やはりこの立場を明確にして取り組むべきだというように思うわけですが、そういう立場に立って幾つかの点についてお尋ねしたいというように思います。
 今度の法改正の理由を見ますと、近年における証券市場の著しい拡大の状況に顧みて税率の引き上げをはかるのだという趣旨のことが述べられているわけでありますけれども、それは証券市場の株式などの有価証券の流通量が非常にふえて担税力が強まった、こういう意味なのか、あるいはさらにもっと、特に株式保有に占める金融機関や法人の比率が高まってきたことから、そういうところまで着目しているのか、あるいはほかにまだ別の理由があるのか、その点を先に明確にしていただきたいというように思います。
○高木(文)政府委員 有価証券取引税の税率を引き上げてもいいのではないかという考え方を持っておりますのは、有価証券取引税というものが、有価証券の取引の背後にあるいわば担税力に着目した流通税であるということとの当然の結果といたしまして、ただいま増本委員から御指摘ありましたように、提案理由に掲げましたような最近における株式の状況からいたしますと、明らかにその背後にある担税力が強まっておるということは言えると思うわけでありまして、その点に着目したものでございます。それは、現行税率は昭和二十八年にこの制度ができましたときから変わっていないわけでございますが、その後株の売買高につきましても、時価総額についてみましても、また株価指数等から見ましても、当時とは全くさま変わりになっておりますので、それからいたしまして、現在の株の売買に関与しておられる方々について当時に比べて明らかに担税力をより持つものとして推定できるというふろに考えたわけでございます。その場合に、その有価証券取引税はその取引に当たる方が個人であろうと法人であろうと一律にかかってくるわけでございます。その株式取引における個人のポジションあるいは法人のポジションのその二十年間におきます変化ということについては、私どもは今度の税率改正にはあまり重きを置いて考えていないということでございます。
○増本委員 所有株式数とその構成比を統計年報などで見ますと、昭和四十六年で金融機関と内国法人で八百二億七千万株、全体の五九%以上を占めていまして、年々それは非常に大きくなってきているというように思うわけですが、四十七年の資料は出ていませんので、もしお手元にあるかあるいは整理されておりましたら、この法案の審議をしている間に出してもらいたいと思いますけれども、歴年の傾向を見ますと、やはりその比率と数はさらにふえてきているというように思うわけですが、特に四十七年の株式市場の過熱の最大の原因が一体どこにあったのか。私どもの見るところだと、やはり金融緩和による株式投資関連融資が非常に大きく伸びて、そして金融機関や大企業が株に資金を振り向けた、こういう結果であるというように思うわけですが、その点、証券局長はどういうようにお考えになっているか、見解をまず伺いたいと思います。
○坂野政府委員 お説のとおりでありまして、四十七年の株式の取引の主要従事者の資料でその状況を調べますと、四十七年の一−六月においては、個人の売り越しが七億九千七百万株であります。外人投資家の売り越しは一億六千二百万株であります。これを買ったものはだれかということでありますが、そのおもなるものは生損保、金融機関、事業法人であります。すなわち、生損保が四億九百万株、金融機関が四億七千七百万株、事業法人が四億六千二百万株の買い越しであります。なお投資信託が若干売り越しがございます。ところが、昨年の七−十二月を見ますと、個人の売り越しは十一億六千万株にふえております。海外投資家の売りはほとんどなくなり、生損保、金融機関もたいしたことがなくて、事業法人の買い越しが八億一千九百万株、投資信託の買い越しが二億二千六百万株、こういう形になってきております。この状況を見ますと、やはり昨年の上期においては金融機関並びに事業法人が買い越し、下期においては事業法人、若干の投資信託というものが買い越し、こういう形になっております。したがいまして、個人の持ち株はそれだけ法人に移っていったということは事実であります。なお、四十七年あるいは四十七年分の個人シェアについての資料はまだできておりません。
○増本委員 そこで、昨年の上半期の決算を見ましても、たとえば三光汽船とか伊藤忠商事とかいうような大手の大企業が株の売買益を経常利益に相当額入れているという事実もあるわけですね。このような金融機関、法人の手による株の譲渡価額総額、これは今度の法案の課税標準の一つにも関連すると思うのですが、これが四十六年、四十七年で大体どのくらいになっているのか、資料がありましたら数字を出していただきたい。
○高木(文)政府委員 ただいま御質問がありました株式の譲渡価額総額そのものの数字は、持っておりません。
 有価証券取引税の税収は、四十五年、四十六年、四十七年と非常に顕著にふえてきております。このふえ方は、実は有価証券取引税そのものが税率が二段階になっております関係で、この伸びがそのまま譲渡額、株の売価、それの上昇をそのまま示しているものではないわけでございます。ただ、一応の傾向としてはある程度わかるわけでございます。年度でございますが、四十四年が株式関係で二百三十億でありましたものが、四十五年は百三十七億に、これは不況のときでございまして一度減っております。四十六年にはそれが二百四十九億にふえております。四十七年は、これはまだ年度途中でございますのであれでございますが、明らかに四十六年よりは相当ふえてきつつある状況でございます。
○増本委員 最近の株式市場の状況をいままでのお答えをも兼ねて考えてみますと、やはり過剰流動資金を使って、そして株式の暴騰をはかってきた、その一番中心になっているのが金融機関や事業法人、これが大量に株式を運転、流動させてきているというように考えるのですが、それはそのとおりの認識でいいですか。
○坂野政府委員 株式市況が、昨年の正月以来非常に出来高もふえますし、また価格も上昇したわけでありますが、その一番の根底にはやはりわが国の経済が先行き非常に明るい、企業の業績がよくなるというような判断が投資家にあったというふうに考えられます。と同時に、いまお説のように、その資金は金融機関あるいは事業法人にかなりの余資があって、それが株式市場に向いてきたというふうに判断されます。なお、同時に自由化等が進みまして、いわゆる株主安定工作というようなことが進みまして、株の持ち合いあるいは系列化というようなことで、必ずしも収益目的でない株集めもかなり行なわれたのではないかというふうに推察されます。
○増本委員 そうしますと、やはりその中心に金融機関とか大きな事業法人があって、これが株の市場の大量な流通を促進してきた。そこにやはり流通税としての有価証券取引税を考える場合に、そこのところの担税力というのが最も強力であるというように判断できると思うのであります。そうすると、やはり政府としては、その中でも有価証券市場の中で強力にその転々流通を促進してきた金融機関や大企業、法人の担税力に着目をして、こういう法人の株式とか有価証券の譲渡については、特に流通税としてもむしろ一般より高い税率をかけるのが至当であるというように思うのですが、その点について主税局長はいかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 流通税の場合に、その背後にある担税力を予測をして、それで流通税という制度があるわけではございますが、その具体的な納税者といいますか担税者といいますか、その個別の担税力を強いか弱いかを測定をして、そしてそれによって税率差を設けるということは、現実問題としてはなかなか技術的にもむずかしいのではないかと思います。現在のところ、私の承知しております限りでは、流通税は法人であるとか個人であるとかあるいはその金額の大きさとかいうことに関係なく、大体比例税率の形をとっておるのはそういうことによるものではないかと思っております。
 現在、御指摘の点の法人に担税力があるのではないかという点につきましては、現行制度の上においては、先ほど阿部委員御指摘のように、非常に問題があることではございますが、個人のほうは株の譲渡については非課税になっておる、法人のほうは株の譲渡といえども、これは当然簿価と売価との間が法人税の課税標準にあがってくるということで、株のキャピタルゲインは法人については課税になっておりますから、そういう意味からいいますと、譲渡所得のほうでほぼその目的は達しているのではないか。有価証券取引税は今回倍に上げるということをお願いをいたしましても、まだ千分の三というような低い率でございますので、その有価証券取引税によって法人に特に負担を求めるというふうに至るにはなかなかならない。そこらを考えますと、有価証券取引税の税率を変えて個人、法人間に差をつける、そしてそこに負担を求めるというのは、技術的な面もあり、実質的にいまいったような譲渡について片一方は課税、片一方は非課税という実情から見ましても、必ずしもそういう技術を用いることだけが道ではないのではないかというように考えられます。
○増本委員 いまのお答えでいきますと、法人の場合にはその譲渡益が法人税の課税標準にあがるけれども個人の場合にはあがらないので、担税力全体としては法人税で取られるから、だから流通税では考慮をしない、こういうことがこの流通税の場合にはたてまえになっていると、こういう御趣旨のようにとれますが、そういうことですか。
○高木(文)政府委員 ちょっと説明が不十分でございましたが、私ども承知している限りでは、流通税は個人、法人を問わず、大体一様の比例税率になっているのが通常のように思います。そういう意味で、本来個人、法人について流通税で税率差を設けること自体に一つの問題があろうと思います。
 それから、それとは全く別に、いま増本委員からは、法人のほうの担税力が予測されるから法人のほうの流通税を多くしたらどうかという御質問でございましたので、それについては譲渡、キャピタルゲインの課税について、個人のほうは非課税になっており法人のほうは課税になっておりますので、すでに実体負担としては差がついておるというふうに解していいのではないかということを申し上げただけで、そのことがあるから流通税は負担差を設けるとか設けないということを申し上げているわけではなくして、流通税は流通税として、その問題としても私は税率差を設けることは、現実的になかなかそういう手法を流通税に取り込むことはむずかしいのではないかなと、いまちょっとそういうふうに考えております。
○増本委員 法人の場合は、譲渡益があるときにはそれは課税標準になるけれども、しかしこれはキャピタルゲインだけでなくてキャピタルロスも損失、損金として算入できることになるわけですね。だから、そのことだけとらえて流通税とのかかわり合いを問題にするというのは、流通税本来の趣旨からいっても全く次元の違った問題だというように思うのですよ。流通税そのものとしては、やはりその有価証券の流通譲渡をしているその当事者の担税力そのものに着眼をする、そういうところから出てきている制度だというように考えるのですが、そうすればやはりいま有価証券市場の中で、たとえば株式構成費で占めている割合からいっても、これは特に個人の場合には三〇%ちょっとぐらい、金融機関、事業法人合わせると約六〇%、こういう状態から見ても、それから最近の株式の取り扱い量の中での法人の占める割合、先ほどのお話でも買い越しが非常に多くなっている、こういう事態を見れば、やはり金融機関、法人の譲渡そのものに着目して、この担税力に着目をして一般よりも高い税率をかけるというのは、流通税の制度そのものから見ても決して矛盾するものではないし、逆にそれが流通税の制度本来の趣旨にもかなっていくものだというように私は思うのですが、そういうことを踏まえてのもう一度御見解を伺いたいというように思います。
○高木(文)政府委員 流通税自体の問題として、ただいまの一つの御示唆についてお答えをいたしたいと思いますが、私が考えますところでは、やはり流通税というのは、非常に簡素な手続で、しかし低い税率で済む、非常に簡素な手続で済んでいるというものが多いわけでございます。そこで、もし流通税にいろいろなものについての税率差を設けるということになってまいりますと、たとえばいまのように個人と法人とで税率差を設けるということになってまいりますと、この有価証券取引税のように、たとえば株を売った場合に売ったほうのサイドに負担をかけるということになりますと、その売った人が個人であるか法人であるかということを流通の過程において一々念査をしていかなければならぬというようなことになっていきます。それは流通税が税率としてはそう大きなものではないが、しかし簡素で、まあ大量の取引にも適し得るという本来の流通税の利便さという点からいきますと、そこに差等を設けるというのはある種の煩雑さをそこに持ち込むということになりますので、流通税自体の徴税技術といいますか、そういうものとの関連上、なかなかそこへ税率差を設けるということはむずかしいのではないか。むずかしいという意味は、流通税の簡素さというものと矛盾してくるのではないかという気持ちがいたします。そういう意味で私は、現在の段階で流通税にいろいろな意味で差等を設けるということには、にわかに賛成をいたしかねるという気持ちでございます。
○増本委員 徴税技術上の問題ということをおっしゃいましたけれども、だけれども、いわばこれは納税義務者が法人であるか個人であるかということによって分けることでして、そのこと自身で徴税技術に煩瑣をもたらすという性質の問題ではないというように考えるわけであります。
 その点でもう一点、それと関連してお伺いしたいのですが、やはり大量に有価証券が流通されれば、その背後により多くの担税力を見出すというのは、これも理の当然だというように思うわけです。ですから、もう一つは、個人、法人を含めて譲渡価格の金額に一定の線を引いて、それ以上多額に譲渡するような場合には累進税率を創設するとかいうような方法も考えられるというように思うわけですけれども、先ほどの納税義務者別に税率の違いを設ける、あるいはその譲渡価格のいかんに応じて累進税率を採用する、そういう点でこれも十分考え得ることであると思うし、むしろ担税力そのものから見れば、そこのところを強化するというのが事の必然ではないか、またそこに合理的な根拠もあるというように考えるのですが、その点については政府はどのように考えますか。
○高木(文)政府委員 担税力に応じて税をよけい負担を求めるということは、税の場合には非常に必要なことでございます。必要なことではございますが、その技術として最も端的には、所得税において現在累進税率がとられておることはよく御承知のとおりでございます。ところが、現在の所得税におきましても、制度上、執行上、所得税が累進税率構造になっておりますがゆえにもたらすところのもろもろの複雑さというものがまた一つの障害になっておるわけでございます。おっしゃるように、株の取引を通じて担税力を想定してそれから税を求めるということであれば、そこに譲渡価格の大きさであるとか、あるいは譲渡者がどういう人であるとかということによって、何らかの差等を設けたらどうかというお気持ちはよくわかるわけでございますが、現在でも累進税率によるいろんなむずかしさということがあるということを考えますと、やはりそういう意味で問題の解決をお求めになるという趣旨からすれば、先ほど阿部委員が御質問になりましたように、株の譲渡についての所得税の非課税問題というところに本来問題があるのではないかということはいえますけれども、有価証券取引税自体の問題といたしましては、つまり流通税である有価証券取引税自体の問題といたしましては、そこに背後にある担税力の差等というものに着目をして税に差を設けるということは非常にむずかしい、また具体的にどうやってその一人一人の持っている担税力を推定するか、譲渡価格にかけるといいましても、もともと取得のときの原価は幾らだというような問題が起こってまいります。今日有価証券取引税は、きわめて単純に譲渡価格に一定の率がかかっておるわけでございますけれども、担税力というようなことをそこへ入れてこようとしますと、売った価格と買った価格の差額についてどうするかというような問題が起こってまいるわけでありまして、それはとても大量の株取引には向かないのではないか。まさに私どもが改正の御提案を申し上げておりますことばの中に、担税力を推定してということばがございますので、増本委員御指摘のように、何か有価証券取引税についても担税力に応じた制度にしたらどうかという御提案がありますのはまことにごもっともだとは思いますが、これが流通税であるという性格からむずかしいと言っておりますのはそういう意味でございまして、きわめて単純に売った価格に一定率ということをいっておりますから、大量処分にも対応していけるわけでございまして、そこにいろいろな要素を入れてまいります場合には、なかなかこれは流通税としては成立しにくいというふうに考えるわけでございます。
 よって、担税力に着目してという意味は、それによって担税力に応じた課税をして、課税の公平をはかろうというところまでは、実は言っているわけではないわけでありまして、昭和二十八年この制度ができましたころに比べますれば、株の取引をやっておられる方の担税力が一般的には上がっているからというふうに、きわめていわば単純といいますか、概括的にこれを言っておるわけでございます。
○増本委員 今日の有価証券市場のような、過熱にわたるようなこういう状況で、しかもこれは大蔵省の証券局、証券取引所の株式分布状況調査等を見ても、法人あるいは金融機関の株の保有比率が非常に高まってきている。その一方で個人についても、大量に株を保有しているという人たちもふえてきているというような状況が、統計上も十分推認できるわけです。だから、そういう状況でやはり担税力を問題にするならば、これは全体の、特に証券市場を利用してそこでいわば不労所得にも当たるようなそういうばく大な利潤を、なるかならないかは別にして、追求する場を与えるわけで、だからこそそこに流通税としての担税力も特に着目をして、そしてこういう税制度がしかれるということになるわけですから、一つは、しかも徴税の執行上からいっても、一方では法人か個人かで納税義務者を選別する、これはきわめて単純なことですし、それから課税標準としての譲渡価格の大きさに応じてその税率に違いを設けて、累進税率を採用するということであれば、それは決して事務的にも煩瑣になることではなくて、これは法制上そういう形式をとれば必然的にそういうぐあいに技術的にもいくんだというように私は思うのです。だから、そういう制度をひとつ研究し、それを採用するために努力をしていただきたいということを強く希望して、次の質問に移りたいと思うのです。
 最近の証券業界の状況を見ましても、証券会社が非常に寡占化が進んできて、四大証券会社の市場に占める割合が非常に高まってきているということははっきりと指摘できるというように思うのです。その上、その扱い量も非常に膨大になっている。証券取引法の精神からいきますと、こういう証券会社というのは、証券取引のやはり円滑適正な仲介をするということに主要な営業の目的があるというように思います。ところが、この証券局の株式分布状況あるいは国税庁の税務統計年報などを見ますと、年々証券会社の自己売買が非常にふえてきている。四十六年を例にとりましても、この有価証券取引税法の上で言ういわゆる第一種に該当する場合が全譲渡価格の三分の一以上を占めるような状況になってきているというように思うのです。そうすれば、この証券会社の担税力に着目をして、これを第一種と第二種に区別をして証券会社の売買については一般の税率よりも半分にしておくという必要性は私は全くないというように思うのです。この点で証券会社の税率を引き上げるべきであるというように思うのですが、その点についてはいかがお考えなのか、局長の見解を伺いたいというように思います。
○高木(文)政府委員 現在有価証券取引税は、御指摘のように第一種と第二種と分かれておりまして、証券会社が譲渡する場合は第一種で税率が低いということになっておるのはなぜかということであろうかと思います。それは証券会社が持っております有価証券というのは、これはその株の将来における値上がりであるとかあるいは配当を受けることによる利益であるとかいうことに着目をして証券会社が持っておるわけではなくて、商品として株券を持っておるわけでございます。そういう商品としての株券を証券会社が流通の過程の一つの段階において持っておって、そしてしかるべき時期に市場において適当な出会いがあった場合にそれを売っていくという場合に、いわば一種の臨時的にそれを持っている場合の担税力と、それから一般の法人もしくは個人が財産あるいは投資という目的で持っておるところの株を譲渡する場合とでは、それはやはりいわば同じ株券ではございますけれども、その持つ意味が違うのではないかというふうに考えて、それを前提に現在の有価証券取引税法では税率を変えておるわけでございます。いまおっしゃいますように、たまたま現在たいへん証券業界は活況でございますし、証券業界に担税力がないとは申せないわけでございますが、一般的に申しますと、証券会社が持っております株は資産として持っておるわけではなくて商品として持っておるわけでございますから、どのような景況のときにおきましても証券業者に担税力があるということはなかなかいえない。さりとて全然有価証券取引税なしというのもおかしかろうということから、非常に大ざっぱではございますが、創設当時から税率を半分にしておるわけでございまして、今回もそれを引き継ぐという形になっておるということでございます。その辺は二つの議論があり得るわけで、ただいま御指摘のように、非常に簡素にして一本にしたらどうかという議論もございますし、一方からいいますれば、一種の商品として持っておる事態においてはしいて課税をしないでもいいのではないかという議論もありましょうし、現行制度のように半分というところで妥協しておる制度もあるわけでございまして、そこはいろいろ各方面の御意見があるところでございます。今回の改正におきましてもその点も検討いたしたわけでございますが、現在の有価証券取引税の体系を変えるということになりますと、なかなかいろいろむずかしい議論が出てまいりますので、一応一律に二倍にするという御提案をしたということでございます。
○増本委員 近時証券会社が非常に寡占化してきて、そして市場でのいろいろな役割り、機能も非常に大きなものになってきている。それだけに商品としての株券の保有高も非常に高まってきている。だからこそ、一般の株式保有者が譲渡をして利得を得ようという場合も、ある意味では一種の商品ですよ。だからそれを、その持っている人間の業種に応じて、つまり証券会社であるかどうかということに応じて、そこで区別を二、三にするということは、あまりにも証券会社の――証券取引法の精神からいっても、むしろその保有を少なくして、円滑な取引をやることに、そういう交通整理的な役割りを果たすことに主要な重点が置かれているときに、逆にそれに反するような、現行の制度のままこれを存続するというようなことは非常に不当な優遇であるというように思いますけれども、その点はどうですか。
○高木(文)政府委員 いささか繰り返しになりますけれども、御指摘のように、証券会社が仕事をいたします場合に、証券会社の仕事としては、本来、お客さんの委託を受けて、そしてお客さんにかわって市場に株を出す、そしてそこで公正なる価額が立ち、円滑に売買が行なわれるということが本来の業務であろうと思います。そういう意味におきまして、自己売買方式によるものと委託を受けて取り扱うものとどっちが本来的業務であろうかという点からいいますれば、増本委員御指摘のように、自己売買をするということが本来の業務ではないと思います。しかし、私は実は詳しい事情は存じませんけれども、それでは一挙に自己売買をやめることができるかといいますと、やはりある程度証券会社自体がプールの役目をする、買いの要求があった場合にそれに応じられるようにプールの役目をするということは必要なことであろうかと思います。もし御指摘のように、この制度が本来証券会社のあるべき姿、つまり本来漸次委託売買のほうがふやされるべきであり自己売買が減らされるべきであるという長期的な展望と
 の関係において、有価証券取引税法が二段階になっておることが、御指摘のように非常にマイナスに働くのであるということであれば問題であると思いますけれども、私どもはその点につきましては、担当の証券局ともよく相談をいたしましたが、現在の段階においてこの有価証券取引税の税率差がそのように働いておるというほどの負担でもなかろうということで、それとこれとは別の問題として、将来証券業者のあるべき姿への指導ということは証券局のほうでしかるべく行なわれるという前提のもとに、私どもはいままでの体系はそのままということにしたわけでございますが、もしそれが障害要因になるということであれば、御指摘のように、再考慮をする問題だと思います。
○坂野政府委員 いまの点について補足の御説明をいたしますと、市況の非常に活発なときに証券会社がたくさんの商品を持ち、あるいは自己売買を大いに活発にするということは、証券行政上非常にまずいことであります。したがいまして、商品の保有限度は通達で縛ってございますが、これは四十六年の九月決算の数字で据え置きにいたしております。これは純財産額の四割ということになっておりますが、昨年の九月決算は一昨年に比しましてやや倍近い収益があがっております。したがって、純財産も非常に大きくふくれ上がっておりますが、それを基準といたしませんで、一昨年の九月決算を基準としたまま据え置いております。また自己売買の分量につきましては極力これを圧縮することを指導いたしております。御指摘のように、四十六年においては三五%程度自己売買が主要会社についてあったわけでございますが、これがだんだんに減ってまいりました。最近では、一月は一一・九%というところまで落ちております。そういうことで、ブローカー業務に必要な範囲内、取引の円滑化のための自己売買でございますので、そういう市況になればなるほど自己売買を圧縮し、保有有価証券を圧縮するという線で進んでおります。また、四社寡占につきましても、最近非常に審議会等でも御指摘がありまして、極力その数量を下げるように、そして中小証券のシェアを増していくということでやっておりまして、若干ながらその傾向が進んでおります。
○増本委員 これに関連する質問はこれで終わりますけれども、ただ、四十七年中の、第一種の株式等の譲渡価格が現在おわかりでしたら、ちょっとその点だけ明らかにしてください。
○高木(文)政府委員 四十七年度はまだ終わっておりませんし、四十七年、暦年の数字もやっとつい最近十二月がわかったかわからないかということでございますので、わかり次第数字を提出させていただきたいと思います。
○増本委員 これは本法案の審議中にひとつ明らかにしていただくことにして、これをさらに深める質問は一応留保したいと思います。
 この法案の全内容を見ましても、また提案理由からいきましても、今日の株式市場の異常な投機を、税率を二倍に引き上げるということだけでこれをチェックしたりコントロールするという性質のものではないというように考えるわけですけれども、そこで政府は、今日までの異常だというようにいわれた、阿部委員からも質問がありましたけれども、この株式投機の控制、禁止に対して、これまでどのような対策をとってきたか、ひとつ証券局長の答弁を得たいと思います。
○坂野政府委員 昨年の正月以来の株式市況の活況が、先刻申し上げましたように、主として法人活動にあったわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、主として大証券の法人営業活動に行き過ぎがないよう、数十回注意を重ねております。
 それから一方、信用取引の規制につきましては、従来からあまり信用取引のウエートが高くありませんでしたので、さほど力を入れておりませんでしたが、昨年の十二月初め以来、信用取引が分量的にもかなり増してまいりましたし、また限界部分としての働きもかなり強まってまいりましたので、信用取引の規制を取引所で行ない、さらにそれを受けまして大蔵省令で規制をはかり、一方、これにつきまして手元現金を一部、取引所に無利息で預託させるというような新しい制度もつくっております。
 また、先ほど申し上げましたように、主として大きな証券会社の手持ち有価証券の保有限度を締めておりまして、これをあまりふくらませないように、また自己売買の比率を極力下げて株式市場に積極的な活動を行なわないようにというような諸措置をいたしておりますが、私どもとしましては、ただいままでのところ、行政上とり得る措置は全部とってきたと申し上げても過言でないと思います。
○増本委員 しかし、たとえば三光汽船とか伊藤忠商事というようなところでも、経常利益に堂々と売買益を計上しているわけですね。そうすると、やはり、手を打ってきたといいながら、実質的にはそうした効果があらわれていない。それからまた、この一月の末になって株価の暴落があったけれども、それまでの間、少なくとも一貫して株式市場が過熱し、急上昇を続けてきたということだと、これらのとったといわれる手だて自身が実質的には効果を発揮していなかったというようにいえると思うのですが、その点どうですか。
○坂野政府委員 私どもの担当しております行政は、株式市場のルールづくり、株式市場のそういったルール不十分なところ並びに証券会社の営業活動についての規制を行なっておるわけでありまして、御承知のとおり株価はいろいろな需給要因でできております。それが高くなったり安くなったり、それは経済全般の諸要因を反映して需給が行なわれるわけであります。この株価自体に政府の行政が介入するというようなことがあれば、これはまたたいへん大問題であって、そういうことは避けなければならないと思っておりますが、そういう意味におきまして、やっている措置が直ちに株価にどういうふうに響くかということにつきましては、これはやや別の問題であるというふうに考えております。
○増本委員 その点については、また別途関係当局に出席いただいて追及したいと思います。
 この法律、つまりこの取引税法が昭和二十八年に制定されるに際して、それまであった株式、有価証券の譲渡所得に対する課税が大体時期を同じくして廃止されて、現行では、先ほどもお話のあった所得税法九条十一号のような非課税措置がとられるようになった。この立法経過から見ると、理由はいろいろあるにしても、有価証券の資本利得に対する課税をやめることにかえて、この有価証券取引税を置きかえたというようにいわざるを得ないわけですけれども、それはそのように認識し、理解していいのですか、当局の見解を伺いたい。
○高木(文)政府委員 有価証券取引税法は、昭和二十八年の税制改正の際に、有価証券譲渡所得税を非課税とすることとうらはらになってスタートしたという事実がございます。そういう事実から申しますと、両者に何らかの関係があるのではないか、有価証券取引税は、株の譲渡所得のキャピタルゲイン課税の代替課税であるのではないかというふうに見られるわけでございますけれども、私どもは決してそうではなかろう。と申しますのは、たとえば有価証券取引税があれば今度は譲渡所得のほうの課税は非課税のままでいいのだということではなかろうというふうに考えております。今回有価証券取引税につきまして、先ほど来問題になっておりますが、二十八年当時とは担税力が一般的に違うからという理由で税率を倍にしておりますけれども、そのことは決して、それだから所得税のほうの非課税制度をいまのままでいいのだということではないというふうに理解をしておるわけであります。一応そういう意味で、御指摘のように、歴史的にはたまたまうらはらになっておりますけれども、さはさりながら、現在の段階でそれがキャピタルゲイン課税の見返りの制度であるというふうに理解をいたしますと、いま言ったような問題も起こるわけでありまして、私どもは、両者は直接理論的には関係なし、過去の歴史においては関係あったかもしれませんが、制度的、理論的には両者関係なしというふうに理解をいたしております。
○増本委員 私があれしたのは、二十八年にこの法律ができたときの経過が、経過自体としてはやはりそういう内容を持っていた。もちろん、理論上は、流通税と譲渡益課税と、これはむしろ両立させなくちゃいかぬと私は思うのです。ところが、ずっとこの譲渡益に対する非課税についての措置はそのまま二十年近く存続をしてきた。これを見れば、やはり実質的には片や譲渡益課税については政府は今日までやる気がなかった、そして今回もこの法律を、取引税についてだけ税率を二倍に引き上げるだけで、依然として譲渡益課税について何らの対策すらも、またその方向すらも明らかにできないで、それはそのまま放置することによって、株などの譲渡益によってばく大な利益をあげている大企業法人や大資産家を依然としてそういう税制面で優遇をしている、こういうようにいわざるを得ないと思うのです。理論的にはそうだけれども、この法律制定の経過と、それから今日までの政府のキャピタルゲインに対する課税の問題での対処のしかたを見れば、このことは一目瞭然だというように思うのですが、その点はいかがですか。
○高木(文)政府委員 おっしゃるように、当時どういう事情であったかは、私よく承知をいたしておりませんけれども、片方において有価証券取引税という制度が設けられ、片方において個人の株式の譲渡についてのキャピタルゲイン課税が廃止をされたという事実があるわけでございますから、その事実から、両者が何らかの関係があるというのではないかという考え方は十分成り立つと思うのでございます。しかし、私どもは、それではこれが代替課税であるから株式の譲渡所得のほうが非課税になっているんだということは、全く考えておりません。というのは、現に株の譲渡のキャピタルゲインにつきましては、法人のほうは完全に課税になっておるわけでございますから、法人のほうは完全に課税になっており、個人は完全に非課税、こういうかっこうになっておるわけでございますから、したがいまして、こういう有価証券取引税とキャピタルゲイン課税とは別個のものだと考えます。
 そこで、個人の、いわば大口資産家のキャピタルゲイン課税をどうすべきかということは、先ほど阿部委員の御質問があり、それにもお答えいたしましたとおり、非常に問題でございまして、私ども税制当局者の立場では、特に所得税のあり方との関連において、これはこのままではどうにもならぬということを考えておることは、先ほどお答え申したとおりでございます。
○増本委員 最近、証券業界での、巷間取りざたされている話によると、たとえば大手の証券会社が大手の企業に対して別の大手の法人の株を千数百万株買わせて、値の上がったところで売らせて、そして証券会社は手数料をもうけて、株を売った会社は譲渡益でばく大なもうけをする、こういうようなことがやられているというようなこともいわれているわけです。この具体的な例についてはまた別に国政調査の案件で証券局など当局の見解も聞きたいと思うのですが、こういうようなことになると、株などの譲渡益に対しては、流通税とは別にやはり特別に課税をする必要があるというように思うわけです。この株の投機を禁止するというたてまえからいっても、こういうキャピタルゲインに対して特別に課税をして、それの投機を禁遇するということがいまやはり焦眉の問題になっているというようにいわざるを得ないと思うのです。
 主税局長は、先ほど、このキャピタルゲイン課税の問題で、税の執行上に難点があるとか、あるいは申告でプラスの申告だけでなくてロスのほうの申告も出されて、結局は実効があがらないというような問題も起き得るというようなことまで含めてお話しになったけれども、これを、たとえばこの取引があって譲渡益が発生したその時点で、その分だけ分離課税で高率の課税をするというようなことをやれば、これは十分に捕捉し得ることであるし、課税の実効もあがるし、むしろこういう不労所得に対して非課税のままにしておくということ自身の不正や不公平も除かれるというように思うのですが、その点についてはどういう方向で検討されているか。
○高木(文)政府委員 その御質問に直接お答えいたします前にひとつお断わりしておきたいのは、先ほど株式の譲渡所得の非課税は、現在の申告の状況からいいますと、なかなか技術的に把握が困難であり、かえってキャピタルロスの比が多くなって、非常にむずかしいということを申しましたが、これはあくまで個人の問題でございます。法人についてはいろいろ――そもそも一〇〇%申告が完全に行なわれているというわけではないかもしれませんが、わが国の現在の法人税の申告水準はかなり高くなっていると思います。株の譲渡についても、ほとんど完全に申告され捕捉されているというふうに考えております。
 そこで第二の問題として、御質問は、法人について他の所得と区分をして何か重課をすることを考えてはどうかという御質問でございます。私ども実は、法人税につきましても――所得税につきましてもでございますが、特に法人税につきましては、法人が本来営利を目的とした主体であるという観点からいたしますと、法人税につきまして、その所得の内容に応じましていろいろと違う税率を課するということについては、基本的には賛成いたしかねるのでございます。ただ、先般来いろいろ御議論があり、今回間もなく御提案申し上げて御審議願う土地税制につきましては、それをあえて踏み切りまして、土地の譲渡所得に関する限り、他の所得とは区分をして、そして違う税率で課税をするということにしてはどうかということで御提案申し上げるわけでございますけれども、しかし、これは私どもといたしましてはあくまで例外中の例外というふうに考えておるわけでございまして、本来、法人のもろもろの形式によりますところの所得につきましては、その所得の源泉が売買であるからとか、あるいは売買の中のこういう種類の売買であるから、この部分については税率を異にするということについては、非常に私どもは消極的であるわけでございます。
 本来、税制につきましては、もろもろの政策目的にいわば税制が協力するということが必要であるわけでございますから、絶対的にできないかどうかというようなものではございません。ございませんけれども、法人税におきましては、そこが本来営利を目的とした存在であるということが前提になって、その場合にはどのような営利についても一律に扱うということになっておるわけであります。ただいま御指摘の株の譲渡による利益は、いわばあまり感心したものでないから高い税率で取ったらどうかという御指摘でございますけれども、そのような問題は他にもいろいろあろうかと思いますけれども、一般的に所得税全体がたいへん複雑なものになってまいるということもありまして、そういう考え方には現段階では賛成をいたしかねるということでございます。
○増本委員 要するに、法人の場合でも、事業年度を通じて全体として何回有価証券の売り買いをやっても、そこでその総額としてゲインとロスが出て、その差し引き勘定が計上されるだけですね。だけど、このキャピタルゲインは株の場合でも――特に株の場合などは、ひとつそれを売って、その利得したゲインがさらに次のキャピタルゲインを生み出していくという、そういう性格を持っているわけですね。だから、こういうものこそ、合算所得としてあるいは合算してその利益に課税をするというのではなくて、それこそ、それを全体から分離して特別の課税をするということが、現在の証券市場の状況だけではなくて、株などの有価証券の投機を禁遏し、取引そのものを健全化させていくという上からいっても非常に重要な問題だというふうに思うのですが、その点についていかがですか。
○高木(文)政府委員 株の譲渡によっていろいろ利益があるということは好ましくないことだという御主張はわかります。それゆえに、それについては何らかの方法を税制のほうでも考えなければならぬのではないかということも一応わかります。しかし、しばしば御議論がありますのは、たとえば為替の売買によっていろいろ利益があった場合に、それについては特別の税を課したらどうであるか。たとえば、最近ある種の農産物が非常に値上がりをしておる、木材であるとか大豆であるとかいうものが値上がりをしておる、それで庶民が非常に困っておる、したがって、それでもうけるのはけしからぬ、そういうものについては特別の税率を課したらどうかというような、いろいろな意味で、何か特別な取引については特別な税率をもって臨んではどうかという御主張があるわけでございますが、これは実は私どもから考えますと、際限なく広がっていく可能性のある問題でありまして、いろいろな取引の中身に応じて、それを税のほうでこれとこれとこれだけはこういうふうな特別な税率でというふうな仕組みにいたしますことにつきましては、これは税として非常に複雑なものになることもあり、また、税だけでその価値評価をするということについては非常に問題があろうかと思います。
 土地等の問題に関しましては、今回全般的に、土地税制だけでなくて、土地制度全体についてたいへん一般的な規制が行なわれますこととの関係で、税のほうも同様に、いわばこれと足並みをそろえて特別のこととすることに踏み切ったわけでございますけれども、他のいろいろな取引につきまして、これはけしからぬからこれは高い税の制度を導入せよということについては、容易に踏み切りがたいというふうに考えております。
○増本委員 私が株や有価証券について高率の分離課税を法人、個人の別なくやれと言っておるのは、これが文字どおりキャピタルゲインの典型だからなんです。いま一部の大手の商社などでやられている大豆とか木材を投機の材料に使うということとは本質的に別の問題だと思うのです。だからこそ土地も投機の材料になって社会問題になっているけれども、こういう問題については、やはり現実の問題としてこれは考えていくべきではないか。そうでないと、大企業や大資産家の利益優先の税制であるし、そういう性格を依然として続けていくというように論難されてもしかたのないことであるというように私はいわざるを得ないと思います。
 次の質問に移りたいと思いますが、本年の一月下旬に入って株が暴落して、これまでの過熱についていった大衆の小口の投資家などもやはり大きな損害が出ているというようにいわれているし、また昨年の六月に農協などの金融機関や都道府県の共済連も株の保有が認められるようになって、やはり今日の相場に手を出して失敗するというような結果も出ているというようにいわれているわけです。政府として、この株式市場の拡大による担税力にだけ目を奪われて、こうした大衆投資家やあるいは農協とか共済連などの損失に目をつむるようでは、証券市場の健全な育成というのは当然はかれないというようにも考えられるわけですが、今日のこうした問題の実態の調査はどうなっているのか、そしてまた、それに対する対策はどのようにとられているか、その点について証券局長なり関係当局の見解を伺いたい。
○坂野政府委員 先ほど申し上げましたように、個人は昨年大体売り越しの傾向にあったわけでありますが、本年に入りまして、正月以来若干買い越しになっております。これが一月の下旬になりまして多く売り越しになっておる。統計上はそういう数字が出ております。したがいまして、この売り越しの場合かなり損したかどうか、これはどういう取得価額でその株を持ったかによるわけでありますので、いまの段階において全体としてこの個人売りが損になっているのか得になっているのか、私どもの手元の資料では判定いたしかねますけれども、世間一般の風評といたしましては、若干損した個人がおるのではないかというようなことがいわれております。ただ、三十五、六年のとき、それからその後に続きます四十年不況のときのように、個人と申しましても、その投資単位がかなり上がっておりまして、やはり自己責任の原則に基づくそういった投資が主体になっておるだけに、その点は数年前の状況とはかなり違うのじゃないかというふうに考えられます。こうした事態にならないように、証券会社に対しましても昨年再三注意をしてまいりましたし、また取引所あるいは証券業協会といたしましても、一般投資家に対して不測の損害をこうむらせることのないように、証券会社の営業活動についてその自重を求めると同時に、個人投資家に対しましても、市況がかなり高い水準にあるおりから、投資については十分慎重な判断をというようなことを何回か呼びかけてまいっております。今後もこうしたことについて不測の損害がないように、証券会社の指導等を中心になお十分な施策を進めてまいりたいと思います。しかし、何と申しましても大切なことは、やはり証券投資、特に株式の投資は御自分の責任において行なわれるものであるということは、さらに私どもとしても証券界を通じてPRをしていきたいというふうに考えております。
○増本委員 小口の投資家とか、あるいは他人のお金を預かっている農協とか県の共済連、こういうところが株に手を出して損害を受ける。これは全然責任のない預金者やその他にたいへんな迷惑を与える、その機関そのものの健全さをもそこなう、こういう結果になるわけであります。この点については、やはり政府としても十分な手だてをとるべきであるというように思います。
 ちょっとキャピタルゲインの捕捉の関係で証券局長に伺いたいのですが、いま証券会社では、一部上場会社、こういうところの株については、法人が株を取得するというような場合には、特別のセクション、法人事業部というようなものをつくって、特別の仕切りや伝票で運営をしているというように聞いているのですが、大体そういうようなぐあいになっているわけですか。
○坂野政府委員 証券会社の営業組織の中に法人部というものがありまして、法人からの株の売買の発注は主としてそこを通ずるという組織になっているのが通常であります。
○増本委員 そうすると、大蔵省の証券局で証券会社に対する検査をする、このときには、この法人事業部なり法人部の伝票全般にわたっての検査までおやりになるわけですか。
○坂野政府委員 伝票全部についての検査は行なっておりません。証券検査は、証券会社の営業が健全に行なわれているかどうか、それから証券会社の証券市場に対する影響力、それが、たとえば先ほどお話しの自己売買とかあるいは手持ちの有価証券とか、いろいろなことが影響いたします。そういうことがどの程度になっているか、また、外部からの特別の投機資金が市場を非常に荒らした、そういう結果になったかどうかというような、そういう諸点について検査をいたしております。したがいまして、法人の売買について全部資料を――資料と申しますか、伝票を洗って、どういう売買があったかというようなことを把握いたしてはおりません。特殊の問題あるいは疑いがあります場合には、そういうこともやる場合がございます。
○増本委員 その伝票を調査すれば、売買価格、売り渡し価格もそれから取得価格も明確にわかるわけですね。いかがですか。
○坂野政府委員 証券取引法に基づく検査は、証券市場がより円滑な機能発揮ができるように、そして証取法第一条の証券取引法の目的たる投資者の保護行政ができるようにということが、検査の眼目と申しますか、基本の考え方でございます。また法律上もそういう制度になっております。したがいまして、税務と申しますか、税法が適確に施行されているかどうか、あるいはその税務行政上の問題があるかないかというようなことで検査をいたすということは、検査の目的違反である、私どもはそういうふうに考えております。
○増本委員 それじゃ、国税庁の直税部長に伺いますけれども、所得税法、法人税法の質問検査権との関係では、当然、いま話のあった証券会社が持っている証券取引の伝票等にわたる調査というのは、これはできますね。
○吉田説明員 御承知のとおりに、質問検査権では、その場合が納税者自身であるとかあるいは反面調査によるとか、そういうケースに該当した場合にはできます。
○増本委員 できますね。
 では最後に、この有価証券取引税の納付方法として、今度の改正では、コンピューターによるオンラインの普及に対応してその本店で納付すればいい、そういうことも改正案の中に取り入れられたわけですね。こうしたコンピューター等オンラインの普及に対応して証券会社でも非常に経営の合理化が進められてきていると思うのですが、こういう合理化を政府としては奨励し促進してきたのかどうか、この点まず伺いたいと思います。
○坂野政府委員 特に奨励し促進した事実はありませんけれども、取引量が次第にふえてまいりますし、また、非常に込み入った取引もふえておりますので、証券界としては早くからこういった機械化に着目しておりまして、また、現実には大手証券会社にあってはほとんど体制ができ上がっているというような現状であります。
○増本委員 しかし、この電算機を採用した体制によって実は事業所を縮小したりあるいは一部閉鎖するというようなことから、そこで働く労働者には首切りや、また、業務が非常に単純でしかもその量が多くなるということから、労働強化などが非常に生まれてきているという事実は、政府当局もよく御承知だと思うのですね。こういうことが一面では決して好ましいことでないことはもう当然だと思います。政府当局として、こういう労働者の権利を守る立場に立ってどういう対策や指導をとっているのか、その点について最後に質問したい。
○坂野政府委員 証券会社の健全経営の一環として労働問題も大事であることは、申し上げるまでもないことであります。しかしながら、免許制度のもとに証券会社はもちろんあるわけでありますけれども、これはあくまでも一つの私企業であります。したがいまして、その経営全体の持っていき方、やり方等につきましては、これは各証券会社の経営陣にまかせておりまして、私どもがそういった労働問題にまで介入するということは一切ないわけであります。
○増本委員 では、この問題につきましてはあとそれを詳しくやりますと法案の審議との関連の問題もありますので、質問はこれで終わりますけれども、以上見てきたように、やはりこの取引税法は、一方ではばく大なキャピタルゲインをあげている事実が政府当局の答弁の端々にもうかがわれるにもかかわらず、それに対する税制を別にしこうとしないで、それを隠蔽し、それに代がえするような、そういうやり方や内容になっている疑いがある。この点についての改善、特にキャピタルゲイン課税に対してはやはり徹底的に早期にそれを実現させていくという方向が何よりも望ましいというふうに思うわけです。そのことを強く要求しまして、質問を終わりたいと思います。
○大村委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
   午後三時四十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時五十八分開議
○大村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、政府より発言を求められておりますので、これを許します。山本大蔵政務次官。
○山本(幸)政府委員 政府は、明十四日から外国為替市場を再開いたしますとともに、当分の間、外国為替の売買相場についての変動幅の制限を停止することといたしました。
 今回のこの措置は、最近の国際通貨危機に対処するためにとられたものであります。
 政府といたしましては、今後の国際通貨情勢の推移を慎重に見守りながら、できるだけ早い機会に固定相場に復帰をしたいと考えております。
 なお、政府といたしましては、経済の安定的成長を今後とも引き続き確保するために万全を期する所存であります。
 以上、御報告申し上げます。
○大村委員長代理 次回は、明十四日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五十九分散会