第071回国会 大蔵委員会 第13号
昭和四十八年三月九日(金曜日)
    午前十時三十五分開議
 出席委員
   委員長 鴨田 宗一君
   理事 大村 襄治君 理事 木村武千代君
   理事 松本 十郎君 理事 村山 達雄君
   理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君
   理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君
      宇野 宗佑君    越智 通雄君
      金子 一平君    木野 晴夫君
      栗原 祐幸君    小泉純一郎君
      三枝 三郎君    塩谷 一夫君
      地崎宇三郎君    中川 一郎君
      野田  毅君    羽田野忠文君
      萩原 幸雄君    坊  秀男君
      村岡 兼造君    毛利 松平君
      山中 貞則君    佐藤 観樹君
      高沢 寅男君    塚田 庄平君
      平林  剛君    広瀬 秀吉君
      堀  昌雄君    村山 喜一君
      山田 耻目君    諫山  博君
      広沢 直樹君    松尾 信人君
      河村  勝君    竹本 孫一君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省主計局次
        長       長岡  實君
        大蔵省関税局長 大蔵 公雄君
        大蔵省理財局長 橋口  收君
        大蔵省理財局次
        長       後藤 達太君
        大蔵省証券局長 坂野 常和君
 委員外の出席者
        経済企画庁長官
        官房参事官   斎藤 誠三君
        大蔵省関税局企
        画課長     米山 武政君
        農林大臣官房審
        議官      有松  晃君
        通商産業省繊維
        雑貨局原料紡績
        課長      堺   司君
        参  考  人
        (東京証券取引
        所理事長)   森永貞一郎君
        参  考  人
        (日本証券業協
        会連合会会長) 瀬川美能留君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  増本 一彦君     津川 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  津川 武一君     増本 一彦君
同月九日
 辞任         補欠選任
  赤澤 正道君     塩谷 一夫君
  大西 正男君     羽田野忠文君
  松浦周太郎君     木野 晴夫君
  小林 政子君     諫山  博君
  広沢 直樹君     坂井 弘一君
  伏木 和雄君     松尾 信人君
  内海  清君     河村  勝君
同日
 辞任         補欠選任
  羽田野忠文君     大西 正男君
  諫山  博君     小林 政子君
  坂井 弘一君     広沢 直樹君
  松尾 信人君     伏木 和雄君
  河村  勝君     内海  清君
    ―――――――――――――
三月七日
 子供劇場の入場税免除に関する請願外一件(江
 田三郎君紹介)(第九二七号)
 同(石橋政嗣君紹介)(第九四一号)
 同外一件(江田三郎君紹介)(第九四二号)
 同外二件(江田三郎君紹介)(第九五一号)
 同(大野潔君紹介)(第九五二号)
 同外三件(江田三郎君紹介)(第九八六号)
 同外一件(江田三郎君紹介)(第一〇二三号)
 同外三件(江田三郎君紹介)(第一〇四八号)
 同外三件(江田三郎君紹介)(第一〇八七号)
 公共事業等の適期施行に関する請願(下平正一
 君紹介)(第一〇四七号)
 音楽、舞踊、演劇等の入場税撤廃に関する請願
 (山中吾郎君紹介)(第一〇四九号)
 勤労者に対する所得税等の課税最低限引上げに
 関する請願(保岡興治君紹介)(第一〇八五
 号)
 身体障害者に対する自動車重量税撤廃等に関す
 る請願(黒金泰美君紹介)(第一〇八六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出第三一号)
 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年
 金の積立金の長期運用に対する特別措置に関す
 る法律案(内閣提出第一号)
 証券取引に関する件(最近の株式市場の問題)
    ―――――――――――――
○鴨田委員長 これより会議を開きます。
 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。松尾信人君。
○松尾委員 ただいま提案されております定率法の一部改正の問題に関連して質疑をいたしたいと思います。
 ケネディラウンドによりまして世界的に関税率は大幅に引き下げられた。また今回は、わが国がリーダーシップをとりましてジャパンラウンドを提唱するわけでありますが、その機運は大いに熟しておりますね。アメリカのほうもこのような動きにはほとんど同調しておるのじゃないか、このように思われます。しかし、日米の関係でありますけれども、アメリカのほうがむしろ日本よりも非関税障壁等が高いのではないか、また、新通商法によりましては、保護主義的な傾向を相当彼らは考えておる、また、輸入制限措置も次々ととられようとしておりますけれども、こういう中で日本が大いにジャパンラウンドを提唱して、自主的に関税引き下げをはかっていく、自由貿易の旗がしらみたいにやっていくわけでありますけれども、この大きな世界の自由貿易を、このような一つの保護主義的な傾向があるとき、今度は日本が旗がしらでやっていくという、そこに役割りがあると思うのですね。日本の大きな役割り、そういうものを一言局長からお答え願いたい、こう思うわけであります。
○大蔵政府委員 ただいま御指摘がございましたように、世界の大きな方向として、特にわが国の立場からいたしますと、世界の自由貿易体制をさらに推し進める、それをわが国が態度として世界に対しまして示すために、今年度から始まりますところの新国際ラウンドに対しまして、わが国がいわゆるリーダーシップをとってその新国際ラウンドに臨むという姿勢で臨んでおるわけでございますが……(私語する者あり)
○鴨田委員長 私語はやめていただきます。御静粛に願います。
○大蔵政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、アメリカにおきましては確かに最近保護主義的な動きが国内において非常に強まっているということは否定できないかと思います。と申しますのは、この新玉祭ラウンドを、やはりアメリカも自由貿易体制の推進と世界の貿易の拡大ということを目ざしまして、アメリカの行政府は新しく大統領に、交渉に臨むために授権をしてもらうために、新通商拡大法案と申しますものを国会に提出すべく現在検討いたしておるわけでございますが、これをアメリカの国会を通すために、行政府といたしましてはただいまいろいろと苦労をしているようでございます。したがいまして、現実の問題といたしましては、新聞紙上に出ておりますほどアメリカが保護主義的な勢いが強まっているとは私どもも考えておりませんが、日米の貿易収支の面が現実に日本が非常に大幅な黒字である、こういう現象面は否定いたすわけにはまいりませんものですから、アメリカといたしましても、さらに日本に対しまして、アメリカからのものが日本に対して輸出できるような体制に協力してくれという話は、あらゆる機会にしばしば来ておるわけでございます。
 これに対しまして、御指摘のように、非関税障壁と申しますものの数は、日本もございますけれども、アメリカにも相当現実問題としてあるわけでございます。彼らと私ども話をいたしますときには、常にアメリカの持っている非関税障壁の撤廃等に関しまして日本の立場から要請をいたしておるわけでございますが、今度の新国際ラウンドにおきましても、関税の問題のみならず、非関税障壁の問題が非常に重要な課題になっておりますので、さらに世界的に関税障壁をお互いに撤廃をするという方向で世界の大勢が進みますように、私どもも強くこれを要請をし、日本側の体制をも整えるべくこれから考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 いまお答えがございましたけれども、日本とアメリカの平均関税率は現在どのようなことになっておるか。また、日米両国のお互いの非関税障壁の点でありますけれども、これはやはり日本は、アメリカにはこういうものがたくさんあるじゃないかというような訴えがあると思うのですね。アメリカのほうはまた日本に対しまして、このようにおまえのほうがいろいろやっているじゃないかというような訴えがあって、これは相互にあると思うのでありますけれども、この日米両国の平均関税率というものがいまどのようなものになっておるか、また非関税障壁についてお互いがいまどのようなやりとりをしておるか、こういう点はいかがでございましょう。
○大蔵政府委員 現在におきまする日米両国の関税負担率の国際比較でございますが、日本を除きます各国の関税負担率は国連の統計によるものでございます。現在アメリカの平均関税負担率と申しますのは、一九七〇年すなわち昭和四十五年におきまして六・四%になっております。それから同じ年度におきまする日本の関税負担率は六・九%ということになっておりますが、その後日本は御承知のように関税率そのものを徐々に引き下げてまいりましたものですから、昭和四十六年度にはこれが六・六%になっておりまするし、さらに、本年度御審議をお願いをいたしておりまする関税定率法の改正を前提といたしまして考えました場合に、昭和四十七年度の場合は結果的には約六%程度に日本の関税負担率はなるのではないかと私ども考えておるわけでございます。
 さらに、日本と米国との非関税障壁の問題でございますが、この非関税障壁に関しましては、各国ともこういうものが非関税障壁だということをお互いに相手国に通告をし合います数は、現在ガットに対しまして世界じゅうから約八百種類の非関税障壁があるということがいわれておりますが、日本が米国に非関税障壁であると申しておりますものは約二十項目でございます。それから米国が日本に対しまして非関税障壁であると申しておりますものは約十五項目ございまして、そのうち一番大きなものはやはり日本におきます残存輸入品目、三十三品目の残存輸入制限品目を米国といたしましては最大の日本の非関税障壁である、そのようなことを言っておるわけでございまして、お互いにガットに通報し合っておるわけでございますが、これらの問題すべてを含めまして、これから始まりますところの新国際ラウンドの場におきまして、できるだけともに関税障壁を除去し合おうじゃないかということで話し合いを進めているわけでございます。
○松尾委員 関税制度の問題に入ってまいりますけれども、現在の日本の関税制度の基本ですね、こういうものは、やはり加工貿易型でがっちり固まってきておったわけでございますが、これがいま国民福祉型にこれを変えていこう、このように関税制度の構成自体も構造自体も非常に変わってまいるわけでございますけれど、特に最近は国民福祉型ということに変えていかなくちゃいけない。これはあらゆる日本の政策がそのような方向に向いておるわけであります。
 それで、日本のタリフエスカレーションですね、このような加工貿易型の体制というものがなお残っておるわけでありますけれども、これを今後どのような構成といいましょうか、いまどのようにしてこれを国民福祉型に変えようとなさっておるのか、局長の考え方というものを一応聞いておきたい。
○大蔵政府委員 昨年の十二月の二十一日に関税率審議会から今後の長期的な関税体系のあり方というものに関します答申をいただきました。それによりますと、わが国が適正な国際分業体制を通ずる協調的な国際関係を確立するという反面、それとあわせまして国民福祉の向上等にも寄与するような関税体系に改めるべきであるという長期答申をいただいたわけでございますが、私どもも全く答申に盛られておりますとおりであろうと思います。
 その一環といたしまして、御承知のように、昨年の十一月の国会におきまして関税の一律二〇%引き下げ、特に製品関税に関しまして一律二〇%引き下げをやっていただいたわけでございまして、これはただいま御指摘のございましたように、加工貿易促進型の是正と申しますか、いわゆる生産製品に対します関税を引き下げまして、あわせて国民消費に役立たせるという観点から一律二十%の引き下げが行なわれたわけでございます。
 今日まで、率直に申しまして、関税と申しますと、国内の生産者、要するに国内産業を保護するという立場に重点が置かれてまいったわけでございますが、やはり生産者の立場と消費者の立場と両方から取捨選択する必要があろうかと思います。しかし、その重点が生産者に置かれておりましたことは否定できませんものですから、今後はいわゆる生産者保護が必要でなくなるというわけではございませんが、生産者保護という観点と消費者保護という観点の両方あわせまして、むしろその重点を徐々に消費者保護という立場からの関税というもののあり方に変えてまいりたいと思いまして、昨年の一律二〇%引き下げがまずその皮切りであったわけでございますが、昭和四十八年度以降におきましても徐々にその線に沿いまして考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 考えはわかったわけでありますけれども、日本の税率の構成ですね、これが原料品に対しては何%だ、半製品については幾らだ、製品については幾らだ、こう一つのタリフエスカレーションというものがはっきりとあるわけでありますが、そういう中で、いま国民福祉型というそういう方向へ今度は関税制度自体も構造改善するのだというお話でありましたけれども、では国民の生活必需物資、こういうものに対して、現在の関税というものをながめて、今後どのようにお考えになっておるか。軽減の方法ですね、こういうものをお示し願いたいと思います。
○大蔵政府委員 今回提案をいたしておりますところの法律案によりますと、その柱といたしまして、後進国に対しまするところの特恵関税制度の改正と申しまするものと、生活関連物資等の引き下げということを柱といたしておるわけでございます。私ども、それぞれの品目、この案を作成いたします際には、やはり国内産業の立場とそれから消費者の立場と両方の観点から関係各省とも相談をいたしまして、いわゆるその関税を国民生活の役に立つような方向で検討をいたすわけでございますが、具体的にいまの御指摘でございますが、具体的には、こういうものを幾らにいたしますという一つ一つの品目になりますと非常に長くなりますので、全体の方向といたしましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる生産者保護という立場からの観点よりは、むしろ消費者のためという観点からの方向に見方を変えて検討を今後も続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 その方向は大いに推進していくべきであろうと思います。
 次は、現在ぜいたく品というような見方でおるものについては相当関税が高い。一時は禁止的な関税もかけられておったわけでありますけれども、非常に国民の生活というものが内容も、豊かにはなりませんけれども、充実はしてきている。また、金の自由化等も行なわれまして、ある程度国民にもそういうものを、非常に高いというものを持たせようというような機運もあるわけでありますから、やはり一応ぜいたく品と見なされておりましても、国民生活にややゆとりの生じた今日、ある程度のものは見直してもいいんじゃないか。これはスプーン等の例があるわけでありますけれども、しんちゅう製は非常に安い、金製品だったら高いとか、こういうことを聞いております。むしろそういうものはある程度配慮をして、そして国民の生活の中にある程度のゆとりと豊さというものを持たせていけるような方向もお考えになっておるかどうか、こういうことであります。いかがですか。
○大蔵政府委員 先生御指摘のように、従来わが国の場合、非常に国自体が貧乏であったために、いわゆるぜいたくは敵だという観念が国民の間に強くございまして、奢侈的な品物に対しましては高い関税をかけるのは当然である、かような考え方が今日まであったことは否定できないと思います。したがいまして、奢侈的な品物に対しまする関税率が今日まで高かったわけでございますが、御指摘のように、国民生活の向上とともに、やはり今回の答申でも指摘をされておるわけでございますが、今日まで貴金属等を用いた物品で特に高い関税率が設定をされておるものがあったわけでございますが、こういったようなものも新しい観点から、やはり国内産業に支障を来たさない限りにおきましてだんだん下げていって、できるだけ安く国民の手に入る、こういう方向で奢侈税率に関しましても新しい観点から見直すべきであると答申でもうたわれておりますように、私どももその観点から今後検討をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。
○松尾委員 少し具体的に入っていくわけでありますけれども、日本の関税制度、関税率というようなものは、やはり過去の国内産業の保護とか加工貿易型というものが非常に強くありましたので、そういう傾向が残っておるという立場からお伺いするわけでありますけれども、これを一つの自給率と申しますか、日本で生産されるもの、そして日本の需要を全部満たしておいて海外への輸出余力があるとかというような観点から、一つの自給率というようなものも考えられるわけでありますけれども、そういう点の政府の究明、自給率というものを大まかにお握りなさっておるかどうかという点であります。
 それから、非常に自給率の高いもの、一三〇%以上ですね、日本の国内ですでに生産しておるものの三〇%は海外への輸出に向けられておるわけでありますけれども、そういうものに対しての関税率というものはどのようになっておるのか、わかっていらっしゃれば、自給率の大まかなところでけっこうでありますから、そういうものの日本の関税率というものがどのようになっておるかということを聞いておきたいのであります。
○大蔵政府委員 現行の自給率でございますが、私どもの調査によりますと、自給率の段階別の平均関税率を御説明いたしますと、自給率の段階でゼロから三〇%未満の商品に対しましては、これは単純現行実行税率でございますが、税率は三九・九%、自給率が三〇%から五〇%の業種は単純平均関税率が八・三%、七〇%から九〇%のものは一三・八%、それから九〇%から一〇〇%のものは一〇・六%、一〇〇%から一一〇%のものが一五・八%、自給率一三〇%以上のものが八・七%というふうになっておるわけでございます。現在の関税水準を自給率の各段階別で見ますると、必ずしも正確ではございませんが、一般的に申しまして、自給率が低い部門では関税率が低くなっておりますし、自給率が一〇〇%前後で内外産品が競合する部門では比較的関税率が高くなっております。さらに、自給率が非常に高い輸出産業等がそれに該当いたすわけでございますが、こういうものの関税率は、第二番目の自給率一〇〇%で内外産品の競合があるものよりは低くなっている、かようなことになっておるわけでございます。しかしながら、たとえば自給率一三〇%、輸出を中心といたしまして非常に高い、こういうようなものの産業の平均関税率は八・七%ということで比較的水準が高くなっているわけでございまして、もちろんこの自給率だけでその関税率を云々いたすわけにはまいらないかとも思いますけれども、こういうような産業固有の条件をやはり勘案いたしまして、国民競争力が強いもので関税率が十分に下がっていない、こういうようなものがあれば、私ども今後これを検討いたしまして、関税率をさらに低くするべく推し進めたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 いまの自給率の点、それからそれに対する関税率の問題は、今後大いに税率を見直していきたいというような御答弁でありますから、それはそのくらいにしておきまして、特恵関税についてお伺いしたいと思うのであります。
 日本がいま非常に大きな力をつけておる、こういう場合に、東南アジアに対する日本の配慮というものは非常に必要だろうと思うのであります。特に東南アジアと日本の貿易、この収支というものは非常に日本の出超でありまして、年間十億ドルとかそれ以上の日本の出超であります。他方経済協力で常に金は出しておりますけれども、経常収支の面においては、貿易のほうで日本が大きい出超を続けておる。これはずっとそのような傾向でありますが、どうかしてこれは是正しなくてはいけないと思うのであります。おまけに経済援助がいろいろ条件がきびしい、またひもつきであるということになりますと、東南アジア諸国の発展途上国ですね、こういうものと日本との関係はうまくいくはずはありません。
 そこで、特恵関税の問題になってくるわけでありますけれども、日本の開発途上国に対する立場、アジアのリーダーとしての日本、こういう立場からこれは大いに反省しなくちゃいけない、こう思うのでありますけれども、この基本的な方向は局長も私も一緒と思いますが、いかがでしょうか。これはもう方向だけでけっこうです。
○大蔵政府委員 御指摘のように、まさに長期答申にも示されておりますように、協調的な国際体制を確立する。特に後進国に対しまして、これだけ日本の経済的な力がついてまいりました現在におきまして、東南アジア諸国に対してできるだけのことをするという姿勢においては御指摘のとおりだと思います。
○松尾委員 それでは、いよいよこの特恵関税でありますけれども、今回の大蔵省の御提案の中でもいろいろ考えられておるシーリングわくの弾力的運用ですね、また二分の一の頭打ち条項の制限緩和ということをいま提案されておるわけでありますけれども、こういうことだけでは、私はこの東南アジアと日本というものとの関係を大きくぐっとよくしていくということには遠いんじゃないか、このような感じでありますけれども、せめて関税制度の中でこのような努力をされるということは非常に大切だろうと思うのであります。
 そこで聞くわけでありますけれども、日本の特恵関税制度が一昨年実施されてまいりましたけれども、このシーリングわくが非常に少ない。ですから、すぐ頭打ちをする、こういうことがあるわけです。極端なのは、年度が始まりまして一日、二日で頭打ちをする、こういうことがいわれております。どういうものにそういう頭打ちの状態があらわれたか、この点はいかがでしょう。
○大蔵政府委員 お答えをいたします。
 特恵関税が実施されました昭和四十六年度、すなわち四十六年の八月一日から昨年の三月三十一日まで、この間には特恵対象品目が二百十四あったわけでございます。このうち鉄鋼の棒であるとか乾電池、絶縁電線、フィラメント電球、こういったような品物四十二品目がシーリングのわくをこえまして、二百十四品目のうち四十二品目のものが特恵の適用が停止されたわけであります。四十七年度に入りまして、四十七年十二月末までに、特恵対象品目二百六品目のうち、やはり鉄鋼の棒であるとか、硫酸ニコチン等……(発言する者あり)
○鴨田委員長 静粛に願います。
○大蔵政府委員 六十一品目が特恵適用の停止があったわけでございます。
○松尾委員 何か局長の答弁がよく聞こえない場合があるのですが……。
 このわくというものの設定ですね。それが四十三年の輸入量というものを基準にいたされまして一応固定しておるわけでありますけれども、それを今回の御提案でわくをこえてもよろしいというようなかっこうになると思うのでありますけれども、これは国内産業に損害を及ぼさなかった。及ぼすおそれのあるものは、わくに来ますとそれだけ特恵関税の適用がなくなるわけですね。今度はわくをこえても特恵関税を適用しようというのは、それだけ日本の国内産業に与える損害がなかったのだという判定によるものと思うのでありますけれども、そういう立場からいたしますれば、このわくの設定という問題には、毎年――今回の提案で、わくを突破した場合に、国内産業に及ばす損害の有無というものが判定の基準になる。そうしますと、ことしからこれがわくを出ていくのがあるわけですね、もともとが四十三年の輸入量というようなものを算定の基準になされておる、これは私は是正していったほうがいいんじゃないかという考え方を持っているわけであります。なおそれで、今回の新しい制度で、わくをこえて、そしてそれは国内産業に悪い影響がなかったんだ、損害がなかった、そういう前提からしますれば、かりにことしの新しい制度を取り入れて実行された分のわくをこえたもの、国内産業に影響のなかったものというものは、新しいわくの設定として次のシーリングわくを定められるときには、一つの基準として、新しいそういうものをお考えになってもいいんじゃないか、こういう考えを持つわけでありますけれども、いかがでしょう。
○大蔵政府委員 御指摘のように、今日まで特恵わくの輸入わくの設定と申しますのは、関税の暫定措置法の八条の四によりまして四十三年度の後進特恵適用国からの輸入わくに加えまして、たとえば四十七年度であれば、前々年度、すなわち四十五年度の特恵適用国以外の先進国からの輸入量の一〇%を加えたものをわくとすることに法律でなっておるわけでございます。
 したがいまして、その四十三年度に基準を置くことは少し低過ぎるのではないかという御指摘かと思いますが、この点に関しましては、わが国と同じようにシーリングわくの運用をいたしておりますところの欧米諸国におきましても、その基準は、特恵適用の輸入わくをきめます際に一九六八年、すなわちわが国と同じ四十三年度を基準として設定しておりますし、御承知のように、何ぶんにもその特恵制度の始まりましたのは昭和四十六年の八月一日からで、まだ今日まで一年半しかたっておらないわけであります。
 したがいまして、今日の段階では、その四十三年度を基準とするということに再検討を加えるのはいささか日が浅過ぎるということは言えるかと思いますけれども、御指摘のように、今日この特恵の輸入わくをできるだけ拡大をする、実際国内産業に支障がない場合にはこれを拡大をして考えていくというために、今回の二分の一のわくの緩和であるとかあるいは弾力的な運用をお願いをいたしておるわけでございますが、この運用をまず第一歩といたしまして、その後国内産業に対して支障がない、わくをこえて輸入されましても国内の産業にとって支障がないということになりましたら、御指摘のように、そういった輸入わくを拡大するという方向でわくの設定を考えていくことは当然考えなくてはならないことと、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 これは両面の問題があるわけでありますけれども、頭打ちになる、それをある程度認めていこう、その限界というものは国内産業に対する損害の有無だとか影響の有無でございますけれども、中小企業というのは非常にまだまだ体質的にいって弱いものであります。ですから、いろいろ特恵関税に対しましても、中小企業を保護育成するという立場から別途の予算も組まれておるわけでありますけれども、ですから、今度はある程度わくをこしてもよろしいというそのときに一番お考えにならなくてはいけないのは、中小企業に対する配慮だと思うのであります。これはいろいろ他の省との関連物資が中心になっておりますから、そこの渡りをうまくつけまして、そしてこのようなわくの突破、そういうものについては中小企業に対してはひとつ十分に、そういう損害の発生の予防的措置と申しますか、これを十二分にお考えなさるべきであろうし、どのように配慮されておるか、こういうことを聞きたいのであります。
○大蔵政府委員 御指摘のように、せっかく輸入わくが、中小国内産業の保護という観点から、中小企業に影響を与えないように輸入わくの設定がなされておりますので、これを弾力化をいたしますについては、私どもやはり非常に注意深く国内の中小企業に支障を与えないように考えてまいる必要があると思います。
 さしあたりまして、私どもがどういう品目に対しまして弾力化を考えていきたいかと申しますと、特恵に関しましてはすでに大体過去二年間の実績があるわけでございまして、過去二年間にわたりまする輸入実績がシーリングわくに達しなかったような品目は、これはよろしいかと考えております。さらに、あるいは輸入実績はシーリングわくには達したけれども、いわゆる国内需要に占める割合と申しますか、輸入の割合が非常に小さいというようなものは、品目によりましては弾力的に考えましても国内産業に対してあまり大きな影響を与えないのではないか。こういうようないろいろなファクターがございますが、この点に関しましては、御指摘のように、関係省との間で十分に詰めまして、この運用をやらしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 十分その点は配慮をなすべきだ、このように思います。
 それから、生活関連物資に関連する問題でありますけれども、国民福祉という立場から、関税率審議会の答申にも、物価だとかまたは公害問題の解決を目ざして進むようにという指摘もあるわけであります。ですから、物価安定に寄与するという方向は今回も改正の中で引き続きとられておると思うのでありますけれども、これはまたあとで申し上げますけれども、いま非常に大きな問題となっておる、国民生活を脅かしております公害の問題でありますが、その防除に役に立つ物資は、過去にはある程度この関税率の軽減というものがなされておりますけれども、今回の改正の中に、公害防除、国民生活の安定、国民福祉の充実という観点からどのような配慮がなされたか、こういうことであります。いかがですか。
○大蔵政府委員 今回お願いをいたしておりますところの法案の中に、公害を防止するためにこの関税率を引き下げたいという、直接的な公害関連の項目は入っておらないわけでございますが、御承知のように、昨年の十一月に製品関税の一律二〇%引き下げをやっていただいたわけでございますが、やはりこれは全般的に製品関税の税率を低くいたしまして、外国から製品が入ってきやすくする、すなわち国内の経済構造を徐々に変革をさせて、国内におきまして公害が起こらないような方向で産業構造を変えていかなくてはならないという考え方が前提になっておるわけでございます。こういう意味から、急激に国内の経済構造を変革をさせるということはむずかしいかと思いますが、少なくとも関税面から徐々に、国内のそういった公害が起こらないような経済構造の変革に役立つような方向で今後とも検討をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 過去においては低硫黄原油に対する減税、それから粗留アルコールに対する減税、これは原料の糖みつ等で大きく公害を出しておりますので、中間製品のこのようなものには関税を思い切って下げていこう、こういう非常にいい方法であったと思います。今回、やはりいま非常にそのような公害の問題が叫ばれておりますし、また公害防除の施設に対しては非常に大きな資金も要りますし、地域社会からいつまでも公害がなくならない、それでいま局長がおっしゃったとおり、関税制度の面からも促進するという大きな審議会の答申もありますし、これはしっかり考えてもらいたいと思うのです。これを今後よくひとつ検討されまして、そしてうんとこの点を推進すべきであろうと私は思うのですが、お考えだけを聞いておいて、今後の施策にそれを反映していくかどうかということを確かめておきたいと思うのです。
○大蔵政府委員 御指摘のように、将来は、個別の産業につきまして公害防止上の配慮からするその関税の引き下げ等も積極的に検討をさしていただきたい、かように考えております。
○松尾委員 現在国内物価が非常に急騰いたしております。大豆だとか生糸、合板等がうんと上がりまして、そして価格を狂わせて、いよいよきょうからも連合審査がそういう問題からもなされるわけでありますけれども、そういうときには何としても、貿易面からいえば輸入を増加さしていくのが一つの大きな物価安定の方策だろうと思うのです。しかし、そういう中で関税政策として寄与できるものは一体どういうものがあるかと考えてみますれば、やはり国内物価が急騰いたしておる場合に、輸入物資につきましては関税の大幅な減税または一時的な免税措置というものをとるべきではなかろうか。そしてそういう面から、日本の過熱しておるこのいまの投機取引等による物価の急騰というものがありますが、その鎮静剤的な作用も関税制度の中であってもいいのじゃないか。大きく関税制度の方向を転換させる意味からして、そのような一つの物価安定関税と申しますか、そういうものの構想をおとりになる考えがあるのかどうか、この点を聞いておきたいと思います。
○大蔵政府委員 物価が急騰いたしました場合に、弾力的にその関税を引き下げる、こういう仕組みといたしましては、現在定率法の第十二条に、主要食糧すなわち米だとか麦だとか、こういったようなものの四品目と、豚肉と砂糖に限りまして、政令によって関税を引き下げることができる制度が設けられておるわけでございます。特に豚肉に関しましては、国内価格が最近非常に高騰をしておりますので、現在その政令を発動いたしまして、豚肉の価格の引き下げに役立っておるわけだと思いますが、御承知のように、その税率、租税法定主義との関連とかいろいろなむずかしい問題がございまして、こういう一時に物価が非常に急騰をいたしました場合に関税で作用するということを、全然これは役に立たないとは考えておりませんが、私どもとしましては、最近におきまするように、いろんな面におきましてある品目の物価が買い占めその他によりまして急騰をするような事態に備えまして、やはり何らかの非常に限定をされた形におきまして関税でこれに対処し得るような方法も、これは検討をいたす価値のある問題であろう、かように考えております。したがいまして、この点につきましては今後の検討課題として勉強さしていただきたい、かように考えておるわけでございます。
○松尾委員 そういうときには、時期的に政府の施策は非常におくれてまいりますね。土地の問題につきましても早くからいわれておりながら、上がるだけ上がってしまう。証券もそうでありまするし、いま商品取引所における取引も全部手がおくれておりまして、もう行くだけ行ったところで対策を立てよう、こういう傾向が非常に強いようであります。ですから、これは事前によく御検討なさいまして、そしてそういう国民生活の特に基本物資、そういうものに対しては基本的にお考えなさりまして、随時発動ができるような体制をひとつ勉強していただきたい。これは日本の現状から、関税制度の大きな一つの構造の変革、時代に即応する一つの方向であろうと思って、特に推進方を要望しておくものであります。
 それから、輸入物資の価格の追跡の問題でありますけれども、これは各省が一生懸命になってやっております。通産、農林、経済企画庁も一生懸命やっておるわけでありますけれども、円の切り上げ、為替差益、二〇%の一律関税引き下げ、それがどのように輸入物価にあらわれたか。また今回の円のフロートもありますけれども、これは現在のところ非常にむずかしいと思いますけれども、その輸入物資、それがいろいろな要素で当然国内価格というものが下がっていかなければ相ならぬ。他省のことはここで言ってもしょうがありませんけれども、大蔵省所管の物資について、円の切り上げとか二〇%の一律関税引き下げとか、そういうものがどのように物価安定というものをあらわしておるか、こういう点はいかがでございましょうか。
○大蔵政府委員 大蔵省所管物資と申しますと、酒、たばこであろうかと思います。それぞれの所管が国税庁あるいは専売公社、こういうことでございますので、そこからお答えをするのが適当かと思いますが、関税局で調査をいたしましたところの実態的な価格に関して申し上げますと、昭和四十七年度の関税体系によりましてウイスキーの関税率が一リットル五百五十円から四百九十円に下げられたわけでございまして、この結果、これはデパートで調べたものでございますが、輸入ウイスキーの国内小売り価格、たとえばジョニーウォーカーの黒は一本一万円から九千円に、ホワイトホースは四千八百円から四千六百円に値下げされておりますし、さらにその後ポンドのフロートが昨年の六月に行なわれまして、例の並行輸入の実施が十月から行なわれまして、その結果、昨年の秋ごろから小売り価格の低下が行なわれまして、先ほどのジョニーウォーカー黒が一本八千円に、ホワイトホースが三千九百円に値下げをされておるわけでございます。さらに、昨年の十一月の関税の一律二〇%の引き下げが実施されました結果、ウイスキーの関税率が一リットル四百九十円でございましたものが三百九十二円に引き下げられました結果、ジョニーウォーカーの黒が一本七千円に、ホワイトホースが三千五百円に値下げをされたわけでございます。
 たばこに関しましては、昨年の三月三日の物価対策閣僚協議会におきまする通貨調整に伴う物価対策の強化、こういうものが決定をされまして、これに従いまして昨年の五月から外国の製造たばこの小売り価格が平均五%程度引き下げられた、こういう現実があるわけでございます。
○松尾委員 大蔵物資についてはわりと答えが出ましたけれども、通産省物資等につきましてはこれがうまく出ませんで、いま一生懸命督励してやっているような状態でありますけれども、今後ともなおなお、五%とかのたばこ等の問題もいろいろまた研究すべき点があるのじゃないか、こう思います。また今度は、再切り上げ等に関連してまいりますし、大きな財源でありますし、これは国民の消費物資には間違いないわけでありますから、今後とも大きな研究課題であろうということを申し上げておきたいと思うのであります。
 緊急関税制度の問題でございますけれども、これもやはり関税率審議会というものが答申をしておりますね。弾力的にこれは運用していくべきである、このような答申でございます。このように関税が大幅に引き下げられる、今後ともに日本が主導権を持って関税引き下げを大きく国際舞台でやっていこうとしておる。もう輸入自由化というものも進展してまいりましょう。輸入非関税障壁もだんだんこれは低くなってまいりましょう。そういうことから見ますと、やはり万一の場合に備えまして歯どめというものが当然必要である。ですから、この緊急関税制度というものの弾力的な運用というものが答申されておると思うのであります。このような問題につきましてどのようにお考えであるかということをまず聞いておきたいのであります。
○大蔵政府委員 御指摘のように、輸入の自由化あるいは関税の引き下げ、世界の自由貿易体制を推進させるためにわが国の門戸が開放されるに伴いまして、逆に国内産業を保護するという必要が起こってくる事態も予想されるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、一方におきまして開放経済体制を推進いたしますとともに、逆に、いざという場合に、できるだけ機動的にすみやかに緊急関税というものが発動し得るような体制を整えることは、非常に重要なことであると考えております。
○松尾委員 必要であるということでありますけれども、現在の関税局、その中の一つの実現体制ですね、緊急関税を必要とする場合に、すぽっといけるかどうかという点はいかがですか。
○大蔵政府委員 昨年の九月に関税率審議会の中に特殊関税部会というものを設けていただきまして、特殊関税部会というものが緊急関税の発動の実質上の機関として機動的に発動し得るよう、現在急ぎ政令の準備その他をいたしておるところでございます。
○松尾委員 発動ができるというように政令改正等をしようとするならば、早目に整備されておく必要があると思います。
 最近、電算機関係でございますけれども、これは何か自由化されるような動きがある。まだわれわれ十分承知いたしません。これは商工委員会におきましてもいまからいろいろ議論の対象になるかと思いますけれども、先走った話でございますけれども、自由化された、そして今度はアメリカ等からこれがどんどん輸入急増するというようなことは、やはり業界が思っておるというよりも、通産行政上からはいろいろ緊急的な対策を考えるべきじゃなかろうかというようなことも思われるわけであります。具体的な問題に入りますので、あなたのほうではいまどうということはありませんでしょうけれども、結局、発動体制というものが、そういうものが自由化されると大きな問題でありますが、そういう問題についてやはり何らかそこに歯どめというものが要るんじゃないか。おたくのほうの発動体制がおくれていきますと、それだけ電算機業界に大きな影響を及ぼしますので、あわせていかがであろうかと心配するわけでありますが、どうでしょうか。
○大蔵政府委員 御指摘のように、一般的に自由化の推進体制に備えまして、緊急関税等の発動体制を至急整備する必要があると私どもも考えております。
○松尾委員 以上で私の質疑を終わるわけであります。
 何といたしましてもこの日本のいろいろの制度が、いま輸出中心から国民生活を優先していこう、物価の安定に役立てていこう、あらゆる政策がそのようなほうを向いておるわけであります。ですから、関税制度におきましても、そのような大きな基本的な命題に従っていろいろ御検討されて、苦心されていらっしゃるわけでありますけれども、本日ただいままでいろいろ私が質疑をいたしてまいりまして、今後大いに関税行政上取り入れていかなければいけない、またいろいろおやりにならなければいけないということがあるわけであります。そういうことを今後の関税制度上の一つの宿題とされまして、しっかりやっていってもらいたいと思うのでありますけれども、最後に局長のお考えを聞いて私の質問をやめたいと思います。
○大蔵政府委員 御指摘のように、関税関係に関しましてもいろいろなむずかしい問題がこれからあると思います。しかしながら、やはりこれからの日本の経済体制に即応いたしまして、私どもの今日までの関税のあり方の考え方を改めて、ここで再検討いたしまして、長期答申に盛られておりますような線に沿いまして今後努力をいたしたい、かように考えております。
  〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
○大村委員長代理 武藤山治君。
○武藤(山)委員 ピンチヒッターで突然質問をすることになりましたので、通告がたいへん不親切で、答弁側のほう、通産、農林、企画等の担当者はあるいはいないのではないかと思いますが、いないところは保留にして、たいへん気の毒だと思いますがひとつ質問を続けたいと思います。
 最初に、政務次官に、大所高所からながめた今日の経済動向と関税に関連のある問題点をお尋ねしてみたいと思います。
 提案理由の説明の中にも、今回の関税率の改正については三つの大きな柱、一つは、経済情勢の推移に対応して対外経済関係の調整をはかるのだ、これが第一にある。第二は、国民生活の安定に資する等の見地から、特に物価関係、生活関連物資を中心に考える改正、第三が、手続上の小さな問題でありますが、制度の整備、この三つが今回の改正の柱であり、ねらいであると述べられているわけでありますが、昭和四十六年八月のニクソン・ショック以来、日本政府は何とか円とドルとの関係を改善をしなければということで、第一次対策、第二次円対策、さらに昨年十月の最後の第三次円対策に及ぶ広範な――輸出超過の今日の日本の情勢というものを改善しなければ、アメリカをはじめ世界の先進国からの圧力がますます強くなる、これは日本の経済、財政運営についてたいへんな問題に発展をするだろうという予想で第一次、第二次、第三次の円対策が行なわれたわけでありますが、この三つの円対策の結果、どのような効果があらわれたと御認識でございますか。ひとつ政治家として、与党の副大臣として、どのような見解を持たれておるか、披瀝してください。
○山本(幸)政府委員 いまお話しの一昨年夏のドル防衛以来、わが国の対外経済政策がいろいろ進行をしてきたわけでありますが、特に円対策として政府は三回にわたりまして対策を打ち出して、それが実現、実施に向かって進んでまいったわけであります。
 その方向としましては、まあいろいろあるわけですけれども、まず第一は、輸入をなるべく拡大していくという方向、つまり世界経済はブロック経済ではなく、また保護貿易主義でもなく、やはり市場を拡大して自由貿易の方向という大筋に向かっていかなければならぬということは御理解いただけるかと思いますが、その方向に向かってわが国も進んでいく。で、輸入の拡大をやっていくという方向、これは輸入の自由化、いま三十二品目残っておりますけれども、できるだけ輸入の自由化をしていく、あるいは資本の自由化ということも考えていくということ、それからさらに関税をなるべく引き下げるということ、あるいは特恵関税という問題、これは先進国としての責任といたしましても、南北問題という非常に重要な問題に貢献する意味において特恵関税制度をひとつぜひ進めていかなければならないということ。ただし、これについては国内の中小企業に関連する物資が多うございますから、それらについてはひとつ十分配慮をしていかなければならない。あるいは非関税障壁の問題がいろいろございますが、これは輸入ワクの拡大など、いろいろの項目にわたる対策をやってきたわけでございます。
 また、今度は輸出につきましては、輸出の適正化といいますか、輸出が黒字基調国という強さを発揮しておりますので、それに対して適正な輸出をしていく、それにオーダリーなマーケッティングをやっていく。そういう方向で輸出を適正化していくという意味でいろいろな施策が行なわれました。従来は輸出振興についていろいろな施策が行なわれておりますけれども、それらについてもそれぞれ適切なる手を打っていく。あるいは貿管令の実施もいたしてまいっております。
 さらに、資本の自由化ということにつきましても、これも一〇〇%やろうという方向で今日進んできておるわけであります。
 また、日本の置かれておりまする立場からいいまして、世界経済の中でわが国の責任を果たす意味において、経済協力をさらに一段と拡充をしていかなければならないという意味におきまして、経済協力の強化をはかってまいる。
 さらに、先ほど来お話がありますように、今日の日本の国内の体制というものを、今後、いままでの体制から、福祉を充実して国民の福祉優先をしていく、そういう構造的な改革をひとつ大いにはからねばならぬ。そういう方向で今日まで進んできておるわけでございます。
 それらにつきましては、いろいろこれらの方面で効果があらわれておると存じます。できるだけそういう方向で政府は努力を重ねてまいったつもりであります。これらについてはなおまだやり足りない面も私は多分にあることは否定できないと思います。今後はいま申し上げたような方向でやっていかなければならぬもの、かように存じておるわけであります。
○武藤(山)委員 効果があらわれていると次官はおっしゃいますが、あまり効果があらわれていないから、アメリカからたいへんな不信を買って、アメリカ国内における次から次への立法の動きが強くなっている、こう見ざるを得ないのでありますが、何か具体的なそういう効果、こういう点とこういう点とこういう点がこんなぐあいに効果があがっておりますと、具体的に認識されている効果の中身というのはどんなことですか。
○山本(幸)政府委員 先ほど来申し上げたのは、一つの抽象的なことばだから それを数字的にあらわせというお話であるかもしれませんが、これらの効果を計量的に、数字的にあらわすことはなかなかむずかしい。しかし、私がいま申し上げた個々の点については、それぞれのいろいろな具体的な手を打ったわけであります。また、その効果については、やったからすぐに効果がほんの短い短時日の間にあらわれるというものでないものも中にはあるわけであります。逐次そういう浸透といいますか、そういうことがだんだんとあらわれてくるという段階にいままだあるように思うわけです。
○武藤(山)委員 そういう政治論争をやっていると、質問の中身がなかなか具体的なものに入れませんから、やめますが、次官、やはりこのドルと円の関係というのは、日本だけが幾らああせい、こうせいと手を打ってみても、なかなか――これはアメリカの経済の構造的な問題が根本的な問題である。もう一つは、日本としては、これからソ連から原油を輸入しよう、あるいは中国からも原油を買おう、やがては中国から鉄鉱石も買おう、石炭も買おうということに発展をしてくると思うのですね。
 そういう場合に、やはりアメリカは日本に売るものが何があるのかとこうなってくると、確かに人工衛星を打ち上げる先進的な精密科学技術、こういうものは世界に最たるものがあるか知りませんが、軍事生産を中心にしたアメリカ経済体質というものは、何といっても軍事工場製品というものが圧倒的な強みであって、平和産業物資においては日本や西ドイツにもうすでに追い越されてしまった。それが、軍事産業から平和産業に転換をして、西ドイツや日本と拮抗できる体制になるにはかなりの年数がかかる。そういうアメリカの経済構造そのものの問題を解決できないと、なかなか日本とアメリカの均衡貿易というものは、私は成立しないのではないか。
 したがって、そういう状態なら、いつも日本を裸にし、日本を犠牲にしてこのアンバランスを解消しようという、たいへん無理な、大国のエゴイズムが日本を押しまくる、こういう結果に私はなるのではないか。特に、これから原料をアメリカから買わずに、アジア諸国の、日本の近隣諸国から買おうということになると、ますますこの均衡を保つということは、アメリカと日本の貿易関係の帳じりが均衡になるということは一そうむずかしくなるのではないか、こう私は心配しておるのでありますが、次官の所見、いかがですか。
○山本(幸)政府委員 日米の経済関係は、たいへんにいま日本の出超になっておる、去年のアメリカの貿易赤字の三分の二は日本のせいだ、こういうことをいわれておるわけであります。私も、いまお話しのように、ドルと円との関係においては、ドルも大いに反省をしなければいかぬ。ドルが今日の世界経済のいろいろ、いわば混乱とも言っていいかと思いますが、それのほんとうに大きな責任を私はドルが持っておると思う。それらについては、わが国としても、アメリカ側に言うべきことは私は言わなければならぬ、こう思うわけであります。
 いまのお話は、日米の貿易構造の中身の問題であります。日本側から行っておるものの多くは、日本の工業生産品が多いわけでありますが、しかし、日本としましては、将来も東南アジアをはじめ、発展途上国の関係もこれあり、やはりいわれておりますように、知識集約型の産業というものにならざるを得ない、そういう方向に行かなければならぬ。一方においては、農業というものを、自給度を考えながら国内でできるだけ維持していくという方向に行かざるを得ないのではないかと思うわけであります。
 アメリ功の経済の姿も、おそらく今後ベトナム戦争が集結をいたしますれば、お話しのごとく、平和産業的に改変をせられてくるであろう、そうすれば、アメリカからなお今後、原料としてではなくて、製品として買うという品物もふえてくる可能性もあるのではないか、私はこう思うのでありまして、少なくもいまのような大きな日本の出超という姿には何がしかの違った形があらわれてくる可能性をはらむのではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。
○武藤(山)委員 政治論はこの辺でやめて、具体的に関税の収入ですが、四十六年度、七年度、八年度、この額をちょっと発表してください。
○大蔵政府委員 関税収入について申し上げます。
 四十六年度が、純収入が三千五百九億円でございます。それから石炭特会の関税収入が九百八十九億円で、合計いたしまして四千四百九十八億円が実績でございます。
 それから四十七年度が、当初予算の一般会計分が三千百四十六億円、石炭・石油特会が千二百五十九億円、合計四千四百五億円でございまして、実績見込みが、一般会計が三千五百四十六億円、石炭・石油特会が一千二百十九億円で、合計四千七百六十五億円でございます。
 四十八年度、今回お願いをいたしております分が、一般会計が四千二百八十億円、石炭・石油特会が一千三百四十四億円、合計をいたしまして五千六百二十四億円と相なっております。
○武藤(山)委員 そういたしますと、石炭特会を除いた、いわゆる重油関税を除いた推移を見ますと、関税はそう減っておりませんね。四十六年が三千五百九億円、四十七年が三千五百四十六億円、四十億円ばかりこれはふえておりますね。来年度が四千二百八十億、だいぶ関税がふえますね。これはもちろん輸入の量がふえるから量割り当ての税がそういう場合にはふえますが、この関税収入がふえる最大の根拠は何ですか。
○大蔵政府委員 やはり御指摘の輸入の拡大に伴います関税収入の増が一番大きな原因かと思います。
○武藤(山)委員 特にこの中身は、なかなかバラエティーに富んでおりますから、関税品目が多いですから、簡単に分析できないと思いますが、約一千億円関税収入がふえる。国民には、関税ががくっと安くなってかなり安い品物がどんどん買えるのではないかという期待があるわけであります。これだけの増収になるわけでありますが、生活関連物資なり国民の日常生活に必要な物資が、従来と比較して、昨年の十一月の関税率引き下げによって二〇%、それから今回の引き下げによる分を含めて、金額に表示するとどのくらいになりますか。今回は五十三億の減収見込みですが、この前の十一月の改正による減収はどのくらいあったわけですか。
○大蔵政府委員 昨年の二〇%減税による減収見込みは、一応約百億円、平年度ベースに直しますと約三百億円になります。
○武藤(山)委員 そこで、特に生活関連物資という形でがくっと下げるのだとおっしゃいますが、今回のこの改正の中身を見ても、ほんとうに国民大衆が大量に消費するものは何か含まれていないような感じがするのです。特に大きいなと思うのはコーヒー、紅茶、ココアの粉ですね、これもしかし、いったもの、それから紅茶は小売り容器に入ったものという限度がついているのですが、今回のこの措置によってコーヒー、紅茶、ココアの値段というものがどう違ってくるのか、そして量がこれによってかなりふえてきて需給関係が非常に緩和されるので、値ががくっと下がるという見込みがあるのか、この辺のおもな品目について状況をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  〔大村委員長代理退席、委員長着席〕
○大蔵政府委員 個々の品目は所管の省でないとちょっとはっきりわかりかねるかと思いますけれども、一般的に申しまして、今回の私どもの生活関連物資の関税の引き下げに伴います関税改正分に関しましては、私どもとしては約二十億円と見込んでおります。
 コーヒー、ココアのいまのお尋ねでございますが、これに関しましては、所管の省でございませんと、ちょっと私どものほうからお答え申し上げかねます。
○武藤(山)委員 農林省、どうですか。いまのコーヒー、紅茶、ココアなどの需給関係はどうなっていますか。そして卸価格というのはずっと同水準に推移していますか。最近の状況はいかがですか。
○有松説明員 資料を持ってきておりませんから……。
○武藤(山)委員 それでは、あとでわが党の委員の質問の際に答えられるように、資料を整備してきてもらって、最近の価格や、ここ二、三年の輸入価格がどうなっておって、卸売り価格はどうなっておる、小売り価格はどうなっておるか、これをひとつ資料にして提出願いたいと思います。よろしゅうございますか。
○有松説明員 はい。
○武藤(山)委員 せっかく関税を引き下げても、消費者にその恩恵がいかなければ、生活関連物資の関税率を下げて対策を立てておるのだと言っても、国民は非常に空疎なものに感じます。この間のジョニ黒やジョニ赤のようにストレートに影響を与えれば、なるほどようやったという感じですけれども、野放しで、五%程度下げても実際の効果はない。
 それから、関税局長、現行の三〇%というコーヒー、紅茶、ココアの税率を二五にしたというのはどうですか。これは一〇ぐらいにばんと下げれば、量がばんとふえるのかふえないのか。いずれにしても、税率をいじっても現物はそう入ってこないのだ、あるいは輸入業者がもうある程度、この程度しか売れないからといって、過剰輸入しない、したがって、常に消費者の間では品薄にしておくということになるのか。そこらの動向というのはどうなんでしょう。
○大蔵政府委員 御承知のように、先般、昨年の十一月に一律二〇%引き下げをやっていただいたわけでありまして、その際に農林物資が非常に多く例外品目になったわけでございます。しかしながら、農林物資の中でも例外といたしませんで、要するに二〇%の引き下げの際には例外となったけれども、その後品目別に検討をいたしました結果、農林物資の中にもやはり引き下げてしかるべしという判断がありましたものを今回捨い上げたのでございまして、その二〇%引き下げと一応歩調を合わせまして、三〇%であった農林物資のうちから引き下げられるものを二〇%をめどに引き下げをやろうという考え方のもとに今回三〇%を二五%に引き下げている、こういう経過でございます。
○武藤(山)委員 どうもわれわれ庶民から見ると、役所の仕事というものは時世にマッチしていない。いま総理大臣以下各大臣がきりきり舞いしているのは、物価を下げようということでしょう、あるいは安定的推移を非常にはかろうということでしょう。せめて上がらぬようにしよう、こういう政治情勢のもとで、前回二〇%十一月にやったときの右へならえで、そのわくからはみ出ないような配慮だということ以外に、現状というものをもっと踏まえて、こういう大衆が常に――いまは日本人でもコーヒーや紅茶なんというものは日常茶飯に飲んでいるわけですから、特に関心度の高いものは、十一月の例ということとは別な角度から、思い切ってこれを一〇%くらいにした場合に、日本の農産物にどういう被害が出るのか、そこらは何か特に障害になるものがおありなんですか、かりに一〇%くらいにばんと下げた場合に。
○大蔵政府委員 私も一般的に申しまして全く先生の御指摘のとおりだと思います。しかしながら、やはりコーヒーなどの場合は特に日本のお茶の生産との関連かと思います。したがいまして、非常に思い切って下げました場合にどのくらいが出るか、私も個々の品目すべてに関して実は承知いたしておりませんので、農林省のほうに後ほど連絡をいたしますが、やはり関税と申しますものは、一気にあまり大きな幅をもって引き下げますと、国内の生産業者の立場から申しますと、非常に大きな被害の出る可能性のあるものが多いわけでございまして、やはり生産者の立場と消費者の立場、両方の立場からの考え方を調和させていかなければならないという点はあると思います。したがいまして、今後私どもといたしましては、消費者の立場という観点からする見方に重点を徐々に置きかえていきつつ、関税の引き下げに努力をしてまいりたい、かように考えております。
○武藤(山)委員 関税局長の姿勢としてはまことにけっこうで賛意を表しますが、農林省、どうでしょうか。コーヒー、紅茶、ココアは日本でとれないものなんだな。お茶とこれがそんなに競合するとはぼくは思わないのですよ。コーヒーを飲んだって、お茶を飲む者はやはりお茶を飲むし、その間にまたコーヒーを飲む、紅茶を飲んでもその間にお茶を飲むなんというのは大体やっておるので、そんなに日本のお茶にこの三品目が影響を与えるとは思わぬのですが、農林省はどういう見解ですか。
○有松説明員 確かに先生おっしゃいますように、日本のお茶への影響がないという説もございますけれども、農業団体側の主張としては、やはり影響があるという主張もございますので、その辺は漸進的に影響をなるべく少ない限度で進めてまいりたいというふうに思います。
○大蔵政府委員 ちょっと補足させていただきますと、コーヒー豆は関税はゼロになっているわけでございます。ここに申しますのは製品のコーヒーでございまして、国内のコーヒー製造業者との関係が非常に大きな問題であろうかと考えております。
○武藤(山)委員 いまの農林省のほうのお茶との競合問題は政務次官、これは自民党の体質の問題ですね。この間、越智君でしたか、都会の票がみな逃げちゃう、自民党の農村的体質を改善せよと若手がのろしを上げましたが、そういう問題もこれはかなり関連をしてきて、前総務長官などは、おれは農村だぞとあるいはしかられるかもしれません。
 いずれにしても、こういう問題を大蔵省は、この際、総理大臣や各物価担当大臣がきりきり舞いをしているときなんだから、そういうものにあまり引きずり回されないで、よし、ここのところを庶民に安く供給してやろう、喜んでもらおう、こういう姿勢で、いまの答弁のような、これから見直す場合には生活の末端の立場を考慮しながら関税もいじる、こういう姿勢で消費者に十分目を当てた立場を考える。あなたのいまの答弁は、そういう形にこれから姿勢を変えていきたいということだから、これ以上この問題は後質問いたしません。あなたが局長からやがて次官にいってしまって、とうとうだめだったということにならないうちに、在任中に手がけておいていただきたいということを期待いたしておきます。
 時間があと三十分しかありませんから、関税の問題ばかり、この表についてばかりやっているわけにいきませんので、次の問題に移ります。
 関税率はゼロかもしれませんが、目下綿糸、生糸、それから絹糸、これがたいへん値上がりをしてしまって、私の地元は織物産地の足利というところでありますが、機屋さんがこぼすこぼす、これでは糸を仕入れて織っても、売るころになってとても売れないだろう。たとえば六十番手の綿糸が去年十二月ころは一コリ十九万円くらいだった、のが、二月に入ったら二十九万、卸屋からの請求書の問い合わせの値段が二十九万円だった。これでは糸をつくってもとても売れない。したがって、注文をしてみたけれども引き取れないのだ。そういう姿が織り屋さんをたいへん困らしている。したがって、製造業者は、原糸の値上がりによってどうしていいかといま苦しんでいる。きょうの新聞によると、農林省あるいは通産省は取引を一応停止した、立ち会いをやめた、こういうことで指導が始まったようでありますが、まず最近の、特に商品問題で問題になっている大豆、羊毛、綿花、生糸、木材、これらの輸入の動向ですね。統計資料は大体四十四、五年しか出ていなくて、六年、七年が出ていませんので、現状に的確にマッチした論争がなかなかできませんが、最近の数字、大豆は農林省、輸入量はわかりますね。大豆の昭和四十四、五年はわかっておるのですが、六、七年これのアメリカからの輸入量あるいは輸入の単価、中国からの輸入量、単価、これをひとつ明らかにしてくれますか。
○有松説明員 大豆はいまわかりません。
○武藤(山)委員 あなたのほうでいまわかっているのは何ですか。
○有松説明員 生糸です。
○武藤(山)委員 それじゃ、とりあえず生糸だけ、輸入の量と単価、できれば主要な輸入先二つぐらいの国名を発表してください。
○有松説明員 生糸の問題でございますが、輸入量は最近この一、二年非常にふえておりますが、国内需要が四十五年、四十六年大体四十万俵、これは六十キログラム単位でございます。
 これに対して、四十七年は景気の回復もございまして、国内需要が急速に増加いたしまして五十万俵、こういうことになっております。
 これに対して輸入数量は、四十五年が約六万六千俵でございます。四十六年が九万八千俵、四十七年が十六万八千俵、こういうふうに増加しております。
 この輸入先でございますけれども、半分以上が中国、それから韓国が若干ございます。この二カ国で輸入のほとんどでございます。
 それから輸入の価格でございますが、中国からの輸入の生糸、これはCIFで、一月現在でキロ六千円でございますが、最近一月の途中で建て値を七千二百円に引き上げまして、二月にさらに九千六百円に建て値を引き上げております。しかし、まだ現実には入っておりません。現実に入っておる価格は、いままでのものは六千円ないし七千円でございます。それから韓国からの生糸につきましては、CIFで一月現在では大体七千六百円、こういう状況でございます。
○武藤(山)委員 そうすると、五十万俵の需要があるのに十六万八千俵しか輸入がないということですか。五十万俵の需要、これは間違いですか。
○有松説明員 五十万俵、これは国内需要でございまして、それに対しての国内生産が三十三万俵でございます。それに対する不足分十六万八千俵が輸入、こういうことでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、国内のはそう急速にふやせない。そうなった場合には、やはり輸入を二十万俵から二十五万俵くらいにもっとふやす手だてをしないことには、いまのような価格問題は、なかなか需給関係で落ちつきませんね。それを二十万俵から二十五万俵にふやすために、中国ではどのくらい輸出余力があるか、そういうような検討、交渉はどんな状況になっているのですか。
○有松説明員 中国の輸出余力でございますが、これは実は正確なデータはございません。関係しておる人たちの意見を総合いたしますと、十五万俵あるいは二十万俵、こういうようなことを言っておりますが、実は正確な統計はございません。しかし、これにつきましては、最近中国にわが国の大使館も設けられましたし、こういったルートを通じまして、輸入の促進についてはできるだけ努力はいたしております。
○武藤(山)委員 韓国ものがキロ七千六百円で、中国の二月の注文した価格は九千六百円。それとも九千六百円というのは、ただ建て値であって、契約の値段はやはり七千六百円、韓国同様ぐらいで買える見込みなんですか。
○有松説明員 中国が建て値を引き上げたと申しますのは、これから入ってくる契約につきましては九千六百円でなければ契約は結べない。これは国内の糸価も考えてのことではなかろうかと思いますが、国内の糸価がいま一万四千円程度になっておりますので、九千六百円でも国内の糸価よりまだ若干安い、こういうことでございます。
○武藤(山)委員 国内糸価というのは、中国の国内糸価ですか。
○有松説明員 いや、わが国のです。
○武藤(山)委員 そうすると、生糸の値段が大体一月の五〇%アップですね。一月の中国から輸入がキロ六千円でしょう。これから買うやつは九千六百円となると、一挙に五〇%の値上がりになるわけですね。それで、いま日本の卸値はこれに関連してどのくらい上がっておりますか。
○有松説明員 卸値を見る指標でございますが、取引所の値段で申し上げますが、取引所の値段では、大体市中の卸値段とそう大きな違いはございません。取引所の現物で申しますと、ことしの一月で九千円台。これは毎日変動しておりますが、九千円台の値段でございましたが、最近では一万四千円台、こういう状況でございます。
○武藤(山)委員 生糸はもうどうしても絶対量が足りぬというところに最大の原因があるわけですね。商社が買いだめをし、売り惜しみをしている証拠というもの、事実関係は役所としては全然握ってないわけですね。そういうことはない、どうしても輸入量が足りぬために単価が上がっておるんだ、農林省はこういう見方ですか。
○有松説明員 やはり先生おっしゃいますように、実需と申しますか、需要が最近非常に強調であるということが背景にございまして、その点で価格が上がっておる、これが一番有力な原因ではなかろうかと思います。先生がおっしゃいますような商社によります買い占め、売り惜しみとか、こういうことは、私どもがいままで二、三聞きました段階では、ほとんど行なわれてないというふうに聞いておりますけれども、なお、これにつきましては、私どもといたしましても調査をいたしたいというふうに考えております。
○武藤(山)委員 生糸の輸入商社で一番大きいのは、ランクで言うと、どことどことどこですか。
○有松説明員 いまここに商社別の数字は持っておりませんが、やはりわが国の商社の大商社といわれます商社もかなりの量を輸入しておると思います。
○武藤(山)委員 それもひとつあとで資料で――農林省管轄は生糸と綿糸もそうだね。
○有松説明員 綿糸は通産省でございます。
○武藤(山)委員 なかなかやっかいなんだね。羊毛は――これも通産省。大豆は農林省だね。
○有松説明員 大豆は農林省でございます。
○武藤(山)委員 いまの資料をあとでけっこうですから、輸入商社のランク別に、たとえば中国から生糸を最高に輸入している商社はどこ、あるいは輸入は一括だとすれば、それをどういうぐあいに商社別に配分しているか、大きい順に商社の名前をひとつ資料で出してもらいたい。できれば、取り扱った量も出してもらえるとありがたい。それはいかがですか。
○有松説明員 ただいまおっしゃいました資料でございますが、商社別の内訳が出ますかどうか、ちょっと検討させていただきたいと思います。できるだけ御要望に沿うようにしたいと思います。
○武藤(山)委員 それから次に、農林省では大豆ですが、大豆はアメリカからの輸入と中国の輸入が圧倒的に多いわけですが、資料では、四十四年の単価がトン当たりアメリカものが三万八千八百十一円、四十五年が四万百七十六円、中国ものはちょっと高いようですが、四十四年が四万四百五十三円、四十五年が四万四千六百四円。この価格の推移は四十六年、七年とどのように動いておりますか。
○有松説明員 大豆の輸入価格でございますが、これは大豆の収穫に見合う年度で十月から九月という期間でとってみますと、四十四年の十月から四十五年の九月までの平均のCIF価格がトン当たりで百ハドル、それから四十五年の十月から四十六年の九月までの平均CIF価格で百二十六ドル、それから四十六年十月から、ちょっとこれは最近の資料が手元にございませんが、四十七年の八月まで、これの平均が百三十八ドル、こういう状況であります。
○武藤(山)委員 これは中国ものもアメリカものも大体同水準と見てよろしゅうございますか。それはどちらの値段ですか。アメリカからのですか。
○有松説明員 いま手元に中国、アメリカの国別がちょっと見当たりませんが、これは平均の値段でございます。
○武藤(山)委員 輸入の量は手元でわかりますか。アメリカからどのくらい、中国からどのくらい年度別に輸入をしてきたか。量についてわからないですか。――そのくらいのことはちゃんと資料を持ってきて答えられなきゃ困るね。
○有松説明員 正確な数字で申し上げないといけませんので……。
 大豆の国別の輸入量でございますが、四十四年が二百五十九万一千トン、そのうちアメリカが二百二十一万四千トン、中国が三十七万七千トン、四十五年が全体で三百二十四万四千トン、そのうちアメリカが二百九十五万二千トン、中国が二十九万一千トン、四十六年は全体が三百二十一万二千トン、うちアメリカが二百九十二万七千トン、中国が二十八万三千トン、それから四十七年でございますが、四十七年は全体で三百三十九万六千トン、うち米国が三百十二万六千トン、中国が二十五万四千トン、こういう状況でございます。
○武藤(山)委員 そうしてみますと、輸入量の推移というものが漸増で、大体需要に見合っているのじゃなかろうかという印象ですけれども、実際は、いま大豆がばんと上がったのは、こういう状況で輸入をされているのが一挙に需要がふえた、何かふえる要因があったのですか。この前、大臣の答弁では、中国の船積みがおくれたためだ、こう答えておるのですが、中国からの輸入量というのは少ないですね。二十五万トン、二十八万トン、二十九万トンということで、全体に占めるウエートはアメリカが圧倒的に多いわけですね。したがって、アメリカの船積みがおくれたというならばかなりの影響があると思うのだけれども、ここらは実際はどうなんだろう。
 それじゃ、まず国内の総需要というのはいまどのくらいの量を必要とするのか。
○有松説明員 いま申し上げました輸入量に国内の生産を加えたものが大体国内の需要をまかなっておるようでございますが、国内は大体現在生産量が十二万トンほどございますけれども、そのうち農家の自給の分を除きましたいわゆる国内の流通に回っておりますのが五万トンでございます。したがいまして、これを加えました大体三百二、三十万トンが国内の需要でございます。ただいまのところ数量といたしましては、大体国内の需要は充足されてきておりますが、ただ、最近非常に急騰しておりますその背景は、国内と申しますよりも、これは国際商品でございまして、国際的な需給が非常に引き締まって値段が上がっておる。その一番大きな原因といたしましては、アメリカは最大の輸出国でございますが、アメリカにおきまして天候のためによる大豆の不作、あるいは作付制限もございますが、そういった生産国の事情、並びに需要側といたしましては、ソ連等の大量の買い付け、こういったような国際的な需給の不均衡ということが価格高騰の背景にございまして、そういった点から国内でも価格が影響して高騰をしておるというふうに見ております。
○武藤(山)委員 大体わかりましたが、しからば、大豆の現在の輸入価格がわかりますか。先ほど発表になったのは四十六年九月から四十七年八月までの百三十八ドル。ごく最近のアメリカからの輸入価格というのはどのくらいしておるのですか。
○有松説明員 恐縮でございますが、実は農林省の中で担当が私のほうでなく、食品流通局の担当でございますので、ちょっといま手元に最近の輸入価格の資料を持っておりません。
○武藤(山)委員 それがわからないと、いまの大豆の問題、とうふの問題、しょうゆ、みその値上がりの問題、その真の原因は何か、その真犯人の追及はできませんね。したがって、これはあとにしましょう。
 せっかくですから、通産省、お見えになっていらっしゃいますね。――農林省のほうはけっこうです。またあとで資料を持って担当を連れてきてもらったときに聞きましょう。それとも資料を私のところにあとで届けてくれれば一応調べておきます。
 通産省、羊毛ですね。いまサラリーマンまで、背広をいまのうちにつくっておかないと、六、七月ごろになると背広の値が上がる、同じ月賦ならいまのうちに背広をつくれというので、洋服屋がたいへん忙しいというので、友だちの洋服屋から電話がかかってきて、ほんとうに六、七月ごろになるとそんなに上がるのかという問い合わせなどもきておる。国民全体から見ると、いまの羊毛の値上がりというものが、衣服関係のあらゆる分野でたいへんな心配、不安を持たれているわけですね。羊毛の現在の輸入価格というのはどんなぐあいに推移しておりますか。私のほうは四十四年の企画庁の経済要覧に基づいて言っておるのですが、円に換算して、キロ当たりオーストラリアから輸入の羊毛が四十四年が四百五十四円、四十五年三百九十一円。アルゼンチンからの羊毛は、四十四年三百三十七円、四十五年三百十二円。その後の四十六年、四十七年、最近と、ちょっと発表してみてくれませんか。
○堺説明員 御質問のありました原毛価格につきましては、まず数量から申し上げますと、一昨年、七一年でございますけれども、輸入数量にして三億八百万キログラム程度輸入しております。七二年に至りまして、三億六千二百六十二万、非常に伸びております。金額にいたしますと、七一年が二億七千六百万ドル、七二年に至りまして四億六千四百九十万ドルとたいへんはね上がっております。これは単価がキログラム当たり従来ですと九十セント程度でございました。七一年九十セントでございましたけれども、七二年に至りまして一ドル二十八セントと約五割ぐらい値上がりしております。
 日本の原毛の輸入でございますけれども、これは八割程度が豪州から輸入いたしておりまして、あと残りは南ア連邦、ブラジル等ごくわずかでございまして、豪州の原毛の需給によりまして価格が左右される、こういうことでございます。
 実は豪州のほうは数年前までたいへん景気がよろしゅうございまして、羊約一億八千万頭ほどおりましたところ、世界的な不況、特に大口需要家である日本の不況が災いいたしまして、先方の牧羊業を大幅に縮小いたしまして、現在私どもの推測では一億三千万頭程度しか羊がいないということで、昨年の一月−六月に比べまして、ことしの一月−六月のオーストラリアにおける競売場――原毛を競売いたしますけれども、競売場に出る原毛の数量は約六割程度に減っておるという見通しです。したがいまして、今後とも需給はタイトであろうという予測はできるわけです。
○武藤(山)委員 そうすると、結局、量をふやそうとしても絶対的にふやせないというものなのか。それともアルゼンチンなり他の地域なりで羊毛というものを、たとえばモンゴルとの国交回復があるのだし、モンゴルとか何か別な面で羊毛というものを確保するという手だてというものは、通産省、やっているのですかね。
○堺説明員 わが国の羊毛業者が買います羊毛はメリノー種と申しまして、毛の長い豪州でしかできないものでございます。実は南ア連邦にはメリノー種が若干ございますけれども、その他の諸外国の羊は雑種と申しまして、どちらかといいますとツイードとかホームスパンのように毛の太いものが中心でございます。したがいまして、今後わが国の需要をメリノー種から雑種に向くように指導することが一つ。
 それからもう一点は、たとえばブラジルその他後進国でメリノー種を育成いたしまして、それを開発輸入するということも考えられないではないわけでございますけれども、気候によって同じメリノーの羊も毛の長さ、太さがすぐ変わってくるということで、これの相当長期間の技術的かつ気候的な問題を克服しなければならないという難点かございます。
 私どもといたしましては、化合繊の中でアクリルが毛糸に類似しておるものですから、アクリルと毛の混紡を推奨するように考えておりますが、長期的に見ますと、毛の国内における需要といいますのは、従来ほぼ横ばいでございまして、今後とも伸びる見込みはそれほどはございませんので、アクリルの混紡をふやすことによって対処してまいりたいというふうに考えております。
○武藤(山)委員 そうすると、四十六年は三億八百万キログラム、四十七年は三億六千二百六十万キログラム、四十八年はどのくらい輸入される予定ですか。
○堺説明員 四十八年度は、先ほど申しましたように、豪州市場における出荷が六割程度に減りましたものですから、四十七年度にすでに商社が四十八年度分の手当てを相当いたしておりまして、従来豪州市場におけるわが国の占拠率というのは大体四割でございましたけれども四十七年の後半に至りまして五割程度にふえております。したがって、買い付け量は四十八年度はふえる見込みはございませんけれども、需要に見合う総量はある程度確保してあるというふうに考えております。
○武藤(山)委員 そうすると、前年の三億六千万キロは確保できる、量としては四十七年とことしは同じくらい確保できると理解していいですか。
○堺説明員 七二年の三億六千万キログラムには七三年、本年分の先買いと申しますか、その分が含まれておりますので、七三年には若干減るという見通しでございます。
○武藤(山)委員 そうすると、オーストラリアがそういうことで羊の頭数が減ってしまって、ちょっくらちょいとは、生きものですから、きょうあすにふやすというわけにはいかぬ性質のものでありますから、当分この値段というものは、昨年と比較して輸入のほうは五割の値上げ、そうすれば問屋から織物屋に行って小売りに行くと、なるほどこの原糸を使って製品をつくると、ことしの秋ごろからはたいへん高い洋服を着ることになるという庶民の心配は当たっておりますな。通産省、どう考えますか。
○堺説明員 実は私、ここに新聞の切り抜きを持ってきておりまして、これは三月一日の繊研新聞という繊維の専門紙でございますが、それに出ておる記事でございます。見出しは「毛糸騰勢ストップか」ということで、その内容を申し上げますと、国内の毛糸消費量から見て、いま流通段階で将来先高を見越して、先買いといいますか在庫といいますか、それが相当かかえ過ぎじゃないかという反省が出ておる。あまり値が高くなると消費者は買わなくなるだろうということが一点。それから、これ以上毛糸の値が上がりますと、紡績の皆さんは、将来値が下がったときに非常に危険なものですから、あまり手当てをしなくなるというようなことがございまして、この辺で需要はふえないのじゃないか。そうすると、価格的には原毛のほうは若干高くなっておりますから、確かに小売り値段は一時的には上がることもあるかと思いますけれども、また市況産業でございますので、景気が悪くなるとすぐ下がることもございますし、私どもとしては先行き騰勢が続くというふうには考えておらないわけでございます。
○武藤(山)委員 騰勢は続かないけれども、輸入の価格が五〇%上がるということは、あなたの先ほどの説明でやや理解できるわけだ。そうすると、この輸入の価格も五〇%上がらぬ、三〇%くらいか、どの程度になりますか。
○堺説明員 流通過程を少し御説明いたしますと原毛の価格が製品にどのくらいはね返るかということがおわかりいただけるかと思いますけれども、実はせびろ一着がたとえば三万円といたしますと、その三万円の中で原糸の値段に占める割合は従来は五%ぐらいであったわけでございますけれども、六、七%でございます。したがって、千五百円から二千円の間でございますので、その値段が若干値上がりしましても、本来ですと、最終製品が何千円という値上がりになることはないと考えております。現にデパートあたりでは、せびろの値段をあまり上げますと需要が減るということから、問屋さんのほうに注文を出しまして、なるたけ値を下げろということで、値が上がらないように協力をしているというような状況でございます。
○武藤(山)委員 それじゃ、時間ですから最後に、四十六年、四十七年現在の卸値段の単価をちょっと発表してください。
○堺説明員 卸値と申しますのは、先ほど農林省のほうからもお答えがございましたように、取引がございまして、その相場値が一応反映されるというふうに考えておりますけれども、これは月別に持っておりますが、四十七年一月に毛糸は一キログラム当たり一千十二円しておりました。それが本年の一月に二千四百八十八円とたいへん高騰しております。立ち会い停止を本日からいたしましたけれども、八日の値段は三千九十九円ということで、この辺の値段につきましては、原毛価格が相当上がっている。原毛価格がオーストラリアの価格で大体四倍上がっておりますけれども、それを反映しておるわけでございますが、そのほかに仮需要、過当投機、過剰流動性を背景にしたそういう問題もあるかとも考えております。
○武藤(山)委員 去年の価格の倍ですね、倍以上、三倍だね。一年間で三倍、これであなた、せびろの中には原毛の占める比率が非常に少ないから、せびろ一着分の値上がりはわずかだというふうに盛んに説明しているけれども、商品価格の値段が、原糸が三倍に上がってしまうという事態では、かなり小売り商品にまで響くという感じですがね。そんな純毛品だなんというものは年間で最低二割くらい上がってしまうのではないか。どのくらいでとまると思っていますか。
○堺説明員 実際に商売をやっておられる方々の考え方もございますし、その辺はなかなか見通しがつけがたいと思いますけれども、先ほどちょっと御説明を落としたのでもう一度申し上げますと、オーストラリアのほうの値段が非常に上がっておりまして、四十七年一月に一キログラム当たり豪州セントで百五十一セントであったものが四十八年一月に四百二十四セント、最近では五百五セントになっております。したがいまして、現地で買う原毛のほうがたいへん値上がりしているということで、それ自体が非常に異常ではないか。当初御質問がありましたように、その輸入先を多角化するというようなことも今後考えられるし、それからアクリルとの混紡ということで対処してまいりたいというふうに考えておりますが、小売り値段も、先ほどもちょっとお話し申し上げましたように、急に高騰いたしますと消費者も買い控えをする。これは長続きするものではないわけですから、一年でも待っていただければ、また安い洋服が買えるということにもなりましょうし、その辺は私どもとして、なるだけここで買い急ぎをしていただかないように御協力いただけばと思っているわけでございます。
○武藤(山)委員 もう時間がありませんから…。
 繊維取引所三カ所を一時閉鎖をしましたね。一応どの水準までおりたらまた閉鎖解除するのですか。閉鎖はしっぱなしというわけにいかぬでしょう。通産省のいまの見通しは、どこまで落ちついたら一応閉鎖を解除しようという目鼻がついておるのか。
○堺説明員 取引所の担当は企業局でございまして、私、担当でないので、必ずしも明確なお答えができませんけれども、三千円を相当こえたところで立ち会い停止をしておりますから、三千円以下のレベルになればということだろうと思います。ただ、それは客観的に過熱状態がなくなるということが前提ではないかと思っております。
○武藤(山)委員 次官、いまの質疑応答を聞いていて感じますことは、これは、大豆にしても木材にしても羊毛にしても生糸にしても、一役所にまかしておいては解決のできない世界的な諸般の情勢がある。したがって、これはやはり国対国の大きなところからのパイプをつないで窓口を広げていかないことには、なかなか値段の安定というものはできない、こういう感じがする。いま予算委員会で国内の商品市況の問題いろいろ取り上げて議論をしておりますけれども、やはり次官会議あるいは大臣との話し合い、閣議の中で、いまの五品目くらいの問題、木材、大豆、生糸、綿花、羊毛、この輸入状況と今後の対策というものについて真剣に、ひとつあなたの提案で、政府部内でもっと大きな政治的な行動、発言に発展するように特に努力をしてもらいたいと私は思いますが、最後に政務次官の御所見を伺って、質問を終わりたいと思います。
○山本(幸)政府委員 お説のように、特に最近、国民生活関連物資、食糧、衣料といったような、どうしてもなくてはならないというものがたいへん値上がりする、しかもそれは国内的要因といわんよりは、むしろ世界経済の中でインフレ的な、あるいは世界的に物価が上がっていく、そういう要因が日本に押し寄せてきておる、そういうことがたいへんあるように思うわけであります。食糧の問題にいたしましても、ソ連の非常な飢謹あるいは世界的な異常天候というものから、いままでと非常に違った状況が出てきておる。そういう意味では、そういう世界の全体の情報をもっと収集して、的確な判断の上に立って、また国内の体制も十分考えながら対処していくものであろう、こう私は思うのであります。政府といたしましても、私が申し上げますまでもなく、そういう方向に向かっていま進んでおる、こう私も承知をいたしておるわけでございます。お説については私も全く同感であります。
○武藤(山)委員 政務次官の一そうの努力を期待して質問を終わります。
○鴨田委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、暫時、休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時四十六分開議
○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案を議題といたします。
 本案は去る六日質疑を終了いたしました。
 本案に対し、日本社会党及び公明党を代表して、広瀬秀吉君外三名より修正案が提出されております。
    ―――――――――――――
○鴨田委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 ただいま議題となりました資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の運用が、受動的な資金の確実かつ有利な運用という性格に加えて、財政的資金の配分といった性格を兼ね備えるに至ってきているという現状に着目して、これら資金及び積立金のうち期間五年以上にわたる長期の運用予定額について、国会の議決を経るものとする等の措置を講ずることとし、その法的措置として、今回この法律案を提出されました。
 このこと自体は、財政投融資計画の国会議決問題に対する政府の従来の姿勢を大きく転換したものとして評価するにやぶさかではありません。
 しかしながら、この問題に関し、国会論議を通じて私どもが長年主張してまいりました見地からいたしますと、遺憾ながらなお不十分な点が見受けられるのであります。したがって、この際、財政民主主義の立場をさらに一歩進める意味で、本法律案に所要の修正を行なうことが適当であると考える次第であります。
 以下、この修正案のおもな内容を申し上げます。
 まず第一は、いわゆる弾力性付与についての規定を追加することであります。
 すなわち、これら資金及び積立金の弾力的運用についての政府の取り扱いは、特別会計予算の予算総則に弾力条項を設けて、すべてをこれに譲っているのでありますが、法律上の規定に基づかないかかる弾力条項は、その限界が無制限に拡大されるおそれがあり、また、五〇%という限度も、過去の実績に徴して過大に過ぎるものと考えられるのであります。したがいまして、資金及び積立金の長期運用予定額を増額する必要がある場合においては、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で増額することができる旨を法律に明定することとするとともに、その場合の上限は、運用対象区分ごとの長期運用予定額のそれぞれ三〇%相当額以内とし、また、その合算額は、長期運用予定額の一五%相当額以内とする規定を新たに設けることといたしたものであります。
 第二は、繰り越し規定に対する修正であります。
 政府原案では、長期運用予定額のうちに運用未済額があるときは、自動的にこれを翌年度に繰り越すことができることといたしておりますが、このような措置は事実上国会審議の空洞化を招く結果となりますので、歳出予算における繰越明許費と同様の考え方にのっとり、当該年度においてその運用を終わらない見込みのあるものについては、あらかじめ予算をもって国会の議決を経て、これを翌年度において運用することができるよう改めることといたしております。
 第三は、いわゆる公団、事業団等の予算制度のあり方についてであります。
 近年、これら資金または積立金の長期運用の対象機関に各種の公団、事業団等が多数含まれ、その活動分野も多方面にわたり、国民経済に与える影響も大きくなってきております。また、これらの法人の業務の運営が、政府関係機関と同様に、国の財政政策と密接な関連を有し、その事業規模等も、資金源等からいって国の予算と相関連して決定されることが適当であることも、言うまでもありません。
 このような観点から、附則に新たに一項を設け、「公団、事業団等が、運用をうけた資金又は積立金を適正かつ効果的に使用することを国民的立場から監視するため、これらの法人の予算制度又は会計制度について根本的な検討を加え、その結果に基づき、これらの法人の予算又は会計について、国会の議決若しくは承認の対象とすること又はその他の方法により国会の関与が行なわれるよう必要な措置が講ぜられるべきものとする」旨を規定し、これらの法人の予算制度または会計制度のあり方について、その適正化を期するための指針とすることといたした次第であります。
 以上が本修正案の概要であります。
 何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げて、提案の説明を終わります。(拍手)
○鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
○鴨田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
 討論の通告がありますので、順次これを許します。荒木宏君。
○荒木(宏)委員 原案並びに修正案につきまして、日本共産党・革新共同を代表して意見を申し上げます。
 今回の特別措置法案について、わが党として最も重視しているのは次の諸点でございます。
 一、財政投融資計画が原資、運用計画とも全体として一括して明示されること。
 二、その主要な原資が国民の拠出金であり、かつ日本経済の自主的、民主的発展とそのための資源の適正配分に果たす役割りの重要性にかんがみ、政府関係機関、公団、事業団等の毎会計年度の運用資金繰り越し残高についても、その運用先、運用金額等の運用実績が国会の審議を受け、国会決議によってその変更、組みかえがなされるように措置すること。
 三、厚生年金及び国民年金については、社会保障審議会の答申を尊重し、これを分離して運用し、拠出者の利益のために運用されるよう措置すること。
 四、弾力条項は原則として認めず、翌年度繰り越し並びに当該年度の運用額増額はいずれもあらかじめ国会の議決を経てなすこと。などの諸点であります。
 日本社会党並びに公明党提出にかかる修正案は、原案に対しまして部分的に改良の条項を付加していますが、前記の基本的観点から見れば、なお賛成しがたいのであります。
 また、政府原案並びに附帯決議案は、国会議決という形式を整えながら、本質的に見て、その実は大資本奉仕の財政投融資計画を維持しようとするものであり、反対でございます。
○鴨田委員長 次に、広沢直樹君。
○広沢委員 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となりました資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案に反対し、同法案に対する修正案に賛成の討論を行なうものであります。
 財政投融資計画の国会議決問題に関しましては、わが党は、財政民主主義の立場から一貫して主張してきたところであります。今般、政府が従来の姿勢を大きく転換した点は、一応評価するものでありますが、その法的内容において、わが党の主張するところから大きく後退していることを指摘せざるを得ません。
 まず、財政投融資の主要な原資である資金運用部資金及び簡保積立金の弾力的運用を特別会計の予算総則に規定された弾力条項にゆだねることは、その限界が無制限に拡大される危険があり、しかも五〇%という限度が、過去の実績から見ても大き過ぎることは論をまちません。したがって、修正案にいわれるように、資金及び積立金の長期運用予定額の増額については、予算で国会の議決を経た範囲内で増額すべきであり、また、その上限についても運用対象区分ごとの長期運用予定額のそれぞれ三〇%相当額以内として、合算額は、長期運用予定額の合算額の一五%相当額以内とする規定を新たに設けることに賛成であります。
 次に、繰り越し規定についてでありますが、政府原案のいうように、長期運用予定額のうちに運用未済額があるとき、自動的にこれを翌年度に繰り越せるようにすると、国会審議が事実上空洞化してしまうおそれがあります。したがって、当該年度においてその運用を終わらない見込みのあるものについては、あらかじめ予算をもって国会の議決を経てこれを翌年度に運用できるようにするという修正案のほうが、財政民主主義という観点からも妥当だと考えます。
 最後に、公団、事業団等の予算制度のあり方についてでありますが、各種公団、事業団等の多くは、資金及び積立金の長期運用の対象機関となっており、活動分野も広く、したがって、国民経済に大きな影響を及ぼすことも当然であります。その上これらの業務は、国の財政政策と密接な関連を持っておりますし、事業規模も、資金源等からいって、国の予算と相関連して決定されるべきであることは、先ほどの修正案の提案理由にあったとおりであります。
 したがって、公団、事業団等が運用を受けた資金または積立金が適切かつ有効に運用されるよう、国会の議決もしくは承認の対象とするなど、国会の関与が行なわれるよう、その旨を附則に新たに一項を設けることには私どもも賛成であります。
 以上の理由によりまして、わが党は、原案に反対し、修正案に賛成するものであります。(拍手)
○鴨田委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決に入ります。
 まず、本案に対する修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
○鴨田委員長 ただいま、議決いたしました本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して木村武千代君外三名より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。高沢寅男君。
○高沢委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して提案の趣旨を簡単に御説明いたします。
 案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。
 申し上げるまでもなく、わが国の経済運営につきましては、国民福祉の向上をはかることが、当面する重要な政策課題の一つとなっておりますが、この課題達成のために財政投融資が果たすべき役割りもますます大きなものとなってきているのであります。
 また、財政投融資の主要な原資である資金運用部資金及び簡保積立金が国民大衆の零細な資金の蓄積であることから、財政投融資計画に対する国民の関心も一段と高まっております。
 本附帯決議案は、このような認識のもとに、財政投融資計画の今後のあり方と、これら資金及び積立金の運用にあたって政府が特に留意すべき点を取りまとめたものであります。
 すなわち、財政投融資計画に対する総合的理解を一そう容易ならしめるよう努力すること、長期運用予定額にかかる資金及び積立金の繰り越しの実施及び弾力条項の適用については、実情に即した合理的な範囲内にとどめること、公団、事業団等については、その業務の運営に政府出資及び国民の蓄積資金である資金と積立金が投入されている現状にかんがみ、これらの法人の設立された趣旨、目的に照らし、適切な業務の執行が確保されるよう十分配意すること、財政投融資計画の策定にあたっては、今後さらに国民福祉の向上と国民生活の改善のための施策に対し重点的に資金を配分するよう特段の配慮を加えることの四点をその内容といたしておりますもので、政策転換を迫られている現在、これらは、いずれも、財政投融資計画が有効な政策手段として期待されておりますその機能と役割りを十分に発揮するための必要不可欠な条件であると考える次第であります。
 したがいまして、この際、これらの諸点について、政府に特段の考慮を払うよう強く要望しようとするものであります。
 以上が本附帯決議案の提案の趣旨であります。
 何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
  資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)
一、財政投融資の主要な原資である資金運用部資金及び簡保積立金が国民の蓄積資金であること及び財政投融資計画が国民経済の資源の適正配分に果たす役割の重要性にかんがみ、財政投融資計画に対する総合的理解を一層容易ならしめるよう努力すること。
二、長期運用予定額に係る資金運用部資金及び簡保積立金の繰越しの実施及び特別会計の予算総則に規定された弾力条項の適用については、実情に即した合理的な範囲内に止めること。
三、公団、事業団等は特別の国家的目的を与えられているものであり、かつ、その業務の運営に政府出資及び国民の蓄積資金である資金運用部資金と簡保積立金が投入されている現状にかんがみ、これらの法人の設立された趣旨・目的にてらし適切な業務の執行が確保されるよう十分配意すること。
四、財政投融資計画の策定にあたっては、今後さらに国民福祉の向上及び国民生活の改善のための施策に対し重点的に資金を配分するよう特段の配慮を加えること。
    ――――――――――――― 

○鴨田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議のごとく附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
○鴨田委員長 起立多数。よって、動議のごとく決しました。
 本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。愛知大蔵大臣。
○愛知国務大臣 政府といたしましては、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたす所存でございます。
    ―――――――――――――
○鴨田委員長 おはかりいたします。
 ただいま議決されました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔委員長退席、大村委員長代理着席〕
     ――――◇―――――
○大村委員長代理 次に、証券取引に関する件について調査を進めます。
 本日は、最近の株式市場について参考人から意見を聴取することといたしております。
 本日御出席いただきました参考人は、東京証券取引所理事長森永貞一郎君及び日本証券業協会連合会会長瀬川美能留君の各位であります。
 参考人各位には御多用のところ御出席いただき、まことにありがとうございます。最近の株式市場について、何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 なお、御意見は十分程度にお取りまとめいただき、そのあと委員からの質疑にお答え願うことといたしたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず最初に森永参考人よりお願い申し上げます。森永参考人。
○森永参考人 東京証券取引所の森永でございます。
 当委員会の皆さま方には、日ごろ証券市場の運営につきまして何かと御指導を賜わっておりまして、ありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 本日は、当委員会から、最近の株式市場について申し述べるようにとの御要請がございましたので、簡単に所見を申し上げたいと存じます。
 まず、最近の株式市況のあらましについて御説明申し上げます。
 御承知のように、昨年来、株式市場は活況を続けまして、株価は一貫して上昇を示し、売買高も大幅に増加してまいりましたが、本年一月末以降は、金融情勢の変化、国際通貨不安の再燃、円の変動相場制移行などの情勢の変化を背景に、株価は急騰落を繰り返し、売買高もにわかに激減するなど、株式市場は不安定な状態を示しておるのでございます。
 株価の動向を東証株価指数で見ますと、昨年一月四日の一九九・九三からほぼ一本調子の上昇を見せ、年末の四〇一・七〇まで、年間上昇率は一〇〇%をこえました。株価の上昇は本年に入りましても続き、一月二十四日には四二二・四八のピークに達しました。しかし、その後、二月三日には三七〇・二七まで急落し、一たん反騰後再び落勢に転ずるなど、一進一退を続けております。本日の前揚引けでは株価指数は三八〇・四一となっております。
 また、NSB二百二十五種平均、いわゆる旧ダウで申しますと、昨年初めに二千七百十二円三十一銭でしたのが、十二月二十二日には五千円の大台に乗せ、年末には五千二百七円九十四銭まで年間九二%の上昇となりました。本年に入りましてからのピークは、一月二十四日の五千三百五十九円七十四銭でございまして、ボトムは、二月三日の四千七百十六円六十六銭でございます。本日の前揚引けでは、四千九百八十五円八十八銭となっております。
 次に、売買高を一日平均で見ますと、昨年上半期には二億株台でございましたが、七月には三億株台、十月には四億株台と月を追って増大し、十一月には五億株台に乗せました。特に十一月十四日には十億六千六百五十二万株と、十億株の大台乗せを示現いたしました。本年も、一月には六億二千六百万株と増加しましたが、二月には、株式市場の不安定さを反映し、三億株台と減少しました。特に二月二十六日には一億株を下回り、その後、一億株台と、かなり減少をいたしておるのでございます。
 昨年来の売買の内容を見ますと、昨年前半は金融機関の買いが主でありましたが、後半には事業法人による株式投資が急増いたしております。全体の売買高の約七割を占める主要十一社の統計で見ますと、昨年一年間では、金融機関は約十億株の買い越し、事業法人は十二億株余の買い越しとなっております。これに対して個人が約二十億株の大幅な売り越しを記録いたしております。
 このように金融機関、事業法人の株式取得が増加した反面、個人は総じて売り越し、その結果、法人持ち株の増大、個人持ち株比率の低下という現象が進み、このことが株式需給を一段と逼迫させ、一貫した株価上昇傾向を招く要因となりました。
 法人による株式取得増大の基本的背景としましては、国際収支の黒字増大、金融の超緩慢による、いわゆる過剰流動性の問題があることは申し上げるまでもありません。株式取得の動機としましては、当初は、企業の安定株主工作、業務提携ないし系列化の強化があげられたのでありますが、それに加えて、余裕資金運用としての株式取得も増加いたしまして、そうした法人関係の大口売買が主力となって、株価水準を次第に押し上げてまいりましたことは否定できないと存じます。
 世上、株価の上昇がインフレマインドを刺激しているとの批判もございまして、私ども恐縮をいたしているところでございますが、基本的には、株高は過剰流動性の結果でありまして、因果関係はむしろ逆のようにも思われるのでございます。もちろん、この間におきまして、証券会社の末端におきましては、一部、営業姿勢に行き過ぎがあり、ややもすれば過度に市況を刺激した面もあったと思われるのでありまして、その点、証券業界といたしましても反省すべきであると存じております。
 このような株式市場の情勢に対処し、過当投機化を抑制し、証券会社の営業活動を健全にするために、大蔵省は再三省令改正等により売買規制を行ない、また、証券業協会におきましても、顧客の勧誘等に行き過ぎがないよう、自粛の要請が行なわれてまいりました。
 取引所といたしましても、株価の動向あるいは信用取引の利用状況などの実態を調査し、必要に応じ、適時信用取引の規制措置を実施してまいりました。今後も市況の推移に応じて適切な措置を講じていく所存でございます。
 さらに、投資家に対しても、より慎重な投資態度を堅持せられるように要望し、かつ、会員証券会社に対しては、顧客に対する適切な勧誘態度を保持するよう、強く要望しておる次第でございます。
 申し上げるまでもございませんが、証券市場は自由市場でございまして、需給投合の結果に基づき価格が形成されますので、取引所の立場としては、もちろん、株価そのものについては介入すべきではありませんが、価格形成の過程については不断の注意を払い、いやしくも不正、不当なことが行なわれないように、厳重な管理体制のもとに、市場における秩序を維持し、相場の過熱化を防止するため、適時適切な措置を講じ、公正な価格形成と円滑な流通をはかるために力を尽くしている次第でございます。
 公正な価格形成は、流通市場そのものとしましても基本的な使命でございますが、特に時価発行につきましては、流通市場における価格形成の公正さがその基本的な前提となるのでございます。その意味におきましても一そう価格形成の公正が要請されるのでございます。
 しかるに、今回、協同飼料の事件が起こりましたことは、まことに遺憾に存ずるところでございます。この事件の真相につきましては、検察庁における捜査結果に待たなければなりませんが、私どもとしましても重大な関心を持っておる次第でございます。これを機会に、当取引所としましては、売買管理を一そう適正、厳密化し、全証券業界と一体となって価格形成の公正確保に格段の努力をしていかなければならないと思います。
 時価発行は、株式市場のプライスメカニズムに基づき、増資の質的な選別と量的な調整を行ない、かつ、国民の貯蓄を効率的に企業の自己資本に結びつける資金調達の方法でありまして株式市場の本来の機能発揮の上でも、また国民経済的にも有用な制度でありますが、その運用につきましては慎重な配慮をしていかなければならないのであります。
 時価発行を行なう場合に、発行会社サイドでは、株価が高ければ高いほどよいというような考え方も間々見受けられるようでございますが、これは時価発行増資についての基本的認識を欠いた考え方であると考えます。
 時価発行増資におきまして株主から払い込みを受ける額面超過額は、株主としては金利のついた貴重な資金であるのでございまして、会社としてもこれを漫然と無コストの資金のように考えることは許されないのであります。時価発行を行なうにつきましては、将来の事業発展と収益力について確固たる見通しを持ち、増資後は、経営努力によって収益を増加し、株主に対し適正な配分を行ない、長期的には株主に十分に報いなければならない責任があるのでございます。したがいまして、株価が高いときに時価発行増資を行なうことは、それだけ経営者の責任が重くなるのであることをよく理解される必要があります。これを考えますと、発行会社におきましては、株価が高過ぎるようなときは、その責任が過重となるので、むしろ時価発行を見合わせるぐらいの良識を堅持される必要があると存ずるのでございます。
 証券会社におきましても、株価を高くして時価発行をしたいという経営者の考え方に安易に妥協をしたり協力したりすることがないように、的確厳正な選別を行ない、投資家の信頼にこたえ、証券市場の健全な発展に資することのできる正しい時価発行の定着に一段の配慮をすることが肝要であると存じます。
 近年、対外証券投資の自由化、円建て外債の発行、外国投信の国内販売など、証券市場の国際化の進展は著しいものがあります。さらに外国株式の上場につきましても準備を進めておる次第でございますが、こうして国際資本市場として規模を拡大していくと同時に、真に国際的な市場として恥ずかしくない市場づくりを私どもはしていかなければならないと存じます。
 国際的に見て、最近のわが国の株式市場は騰落が激し過ぎるという批判もございますが、これはわが国証券市場の層が構造的に薄いということに根本原因があると思います。そのためには、今後証券市場に一そうの厚みと広がりを加え、証券市場が広く一般投資家の市場として発展するよう、なお一そう努力してまいらなければならないと存じます。
 幸い、近年の株式市場の活況によりまして証券会社の財務内容が一段と改善充実されましたが、今後は証券界はその財政的な基礎の上に、投資家の信頼を得て、その国民経済的機能を十分発揮できますように、意識面の改革、質的な改善をさらに進めていく必要があると痛感をしている次第であります。今後、皆さまの一そうの御指導をお願い申し上げる次第でございます。
 以上をもちまして御説明を終わらせていただきます。
○大村委員長代理 ありがとうございました。
 次に、瀬川参考人にお願いいたします。
○瀬川参考人 日本証券業協会連合会の瀬川でございます。
 委員の皆さま方におかせられましては、平素は何かと証券市場に対しまして御配慮御指導を賜わりまして、厚く御礼申し上げます。
 本日は、証券市場の当面する諸問題につきまして意見を述べよとのことでございますので、いささか所見を述べまして、御参考に供したいと存ずる次第でございます。
 証券市場の状況につきましては、ただいま森永東証理事長から詳細な御説明がございましたので、私はあえて省略させていただきますが、本連合会におきましては、昨年来、株式市場が著しく活況を呈してまいりましたので、累次にわたり証券会社に対し、経営姿勢についての自粛を求めてきたところでございます。特に本年一月に入りまして、株価が急速に上昇し、ややもすれば過熱化の傾向が見えてまいりましたので、全国の証券会社に対しまして、積極的な営業活動を抑制し、市場の鎮静化をはかるよう協力方を要請したのでございますが、さらに二月二十一日には、株価が、わが国の当面する内外経済情勢から見て、不安定な様相を示していることから見まして、証券会社に対し、さらに一そうの自粛を要請するとともに、一般投資家をはじめ政府、産業界、金融界など関係各方面におかせられても、証券市場の現状について十分な御認識のもとに、慎重な配慮をいたされますよう、特にお願いをした次第でございます。
 申すまでもなく、証券市場は、金融市場の一環といたしまして、産業資金の調達のため重要な役割りを果たしておりますとともに、国民の健全な資産運用の場として、その責務はいよいよ重要性を加えておるのでございます。
 特にわが国経済が高い成長を遂げ、個人の金融資産が増大してまいりますと、その資産選好は、より有利な、より利回りの高いものへと重点が移ってまいるのでございます。これは、ストックの多い欧米先進国の例を見ましても明らかなことでございまして、今後国民の蓄積が増大するに従いまして、資産運用の対象としての証券はますますウエートを高めてまいるものと存ずるのでございます。また、これに相応しまして、証券の発行形態も多様化し、企業金融につきましても、証券市場を通ずる資金調達は一段と重要性を加えてくるものと存ずる次第でございます。今日の証券市場はその過渡期にあるものと存じます。証券市場が安定的な成長を遂げ、国民経済の発展に真に寄与していくためには、国民各層から信頼される健全な市場として、円滑にその機能を発揮していかなければならないと存ずるのでございます。
 近年、証券市場の規模は急速に拡大いたしましたが、これは証券市場がわが国経済の拡大に比して立ちおくれていたということを考慮いたしますと、当然の流れであると存ずるのでございますが、これが行き過ぎまして投機的な風潮が強くなることは、証券市場の健全な発展をそこなう結果となります。特に最近に至りまして、証券市場をめぐって不祥事が見られ、証券界に対する世間の批判が高まっておりますことは、まことに遺憾なことであり、証券業に携わる者の一員といたしまして深く反省している次第でございます。
 本連合会におきましては、証券取引に関する信義則を助長し、投資者の保護に資するため、公正慣習規則、統一慣習規則等諸規則を制定いたしまして、その励行をはかるとともに、証券従業員の資質向上のための教育訓練を実施し、また試験制度を設くるなど、諸般の施策を講じてまいったのでございます。
 私ども証券界といたしましては、最近の事例にかんがみまして、さらにえりを正して、かかる事態の生じないよう自粛自戒してまいりたいと存ずるのでございます。
 これに関連いたしまして、私どもの考えております方策の一端を申し述べさせていただきたいと存ずるのでございます。
 その第一は、時価発行に関する問題でございます。
 時価発行は昨年来著しい増加を見せまして、さらに時価転換社債の発行も加わり、これが企業の有力な資金調達の方途として注目を浴びるに至ったのでございます。時価発行の採用によりまして証券市場を通ずる資金調達は、長年にわたる額面発行による増資形態から脱却いたし、欧米諸国の企業と同じ立場に立った新しい資金調達の方策となっているのでございます。しかしながら、これが定着していくためには、漸進的に、しかも着実に行なわれるべきでございまして、その乱用は避けなければならないものと存じます。
 このような観点から、証券界といたしましては、昨年六月以来そのルールづくりについて検討を行なってまいりまして、十二月には新しいルールを設けて実施したのでございます。さらに本年の二月に至りましてその一部を改正いたしまして、現在実施に移しているところでございます。産業界におかれても、時価発行によって得たプレミアムは株主のものであるということを十分認識くだされ、その運用については慎重な配慮をお願いいたしたいのでございます。
 また、時価発行に関連いたしまして、株価形成に問題があるのではないかという御批判もございますが、証券業界といたしましては、取引所を中心といたしまして、より公正な株価が形成されますよう、絶えず努力を重ねているところでございます。
 なお、最近協同飼料の株価の形成につきまして問題が生じておりますが、この点につきましては、当局が具体的な内容を調査されておりますので、その結論をも参加して、さらに一そう公正な株価形成のための具体的諸施策を検討してまいりたいと存じておるのでございます。
 また、発行企業の内容に対するアンダーライターといたしましての審査機能は、公認会計士による監査と相まちまして重要な意義を持つものでございまして、鋭意その充実につとめているところでございます。
 なお、アンダーライター業務をブローカー・ディーラー業務と分離して、両者の情報交換を遮断すべきであるという御意見もございますが、この点につきましては、証券会社の業務運営の観点などから、なお十分に検討を進め、このような御指摘を受けることのないよう、適切な方策を講じてまいりたいと存じておる次第でございます。
 次に、公社債市場の整備に関する問題でございます。
 近年、金融の緩和基調を背景といたしまして公社債の流通利回りが低下し、発行利回りとの乖離が解消して、公社債市場は正常化の方向に向かい、また、国債を中心とする公社債の発行量の増大などによりまして、資本市場に占める公社債市場のウエートは今後いよいよ高まってくるものと存ずるのでございます。このような動向に即応いたしまして、証券取引審議会におきましては、一昨年来公社債市場のあり方について検討を進められ、先般答申が行なわれたのでございます。私ども証券界といたしましては、この答申の趣旨に沿い、流通市場の整備、引き受け機能の充実など具体策について現在積極的に検討を進めているところでございます。
 第三に、証券市場の国際化の問題でございます。
 わが国の国際的地位の向上に伴いまして、近年証券市場の国際化は急速に進展いたしております。一昨年、個人によりますところの外国株式及び公社債の取得が自由化されました。また昨年末には、外国投資信託証券の取得が自由化されました。さらに取引所におきましては現在外国証券の上場について検討が行なわれております。また、円建ての債券の発行も活発に行なわれております。今後わが国が、資本輸出国といたしまして国際経済社会に占める地位が向上するに伴い、外国証券投資は大きく拡大し、国際的資本交流の場として、証券市場の役割りはいよいよ高まってまいるものと存ずるのでございます。
 証券界といたしましては、これまで投資者保護の観点から外国証券投資に関するルールづくりを行ない、その円滑化をはかってまいったのでございますが、今後とも、情勢の変化に応じ適切な方策を講じるよう努力を重ねていく所存でございます。
 また、資本の国際交流を一そう促進していくためには、有価証券に関する法制、慣習等が諸外国のそれと調和のとれたものとなる必要がございます。皆さま方の十分な御理解、御協力をお願いいたす次第でございます。
 以上、当面の諸問題につきまして、若干所見を述べさせていただいたのでございますが、私ども証券業に携わるものといたしましては、この際、姿勢を正して証券界に課せられた使命の遂行に邁進していく所存でございます。
 本連合会といたしましては、自主規制機能を一そう強化するため、本年七月を目途といたしまして全国の証券会社を直接会員とする単一の証券業協会の設立を実現すべく、鋭意準備を進めているところでございます。これを契機といたしまして、証券会社に対する法令順守の徹底、証券従業員の資質の向上、証券会社に対する監査体制の充実をはかるなど、証券業協会としての機能の発揮につとめてまいる所存でございます。
 証券会社は、おかげをもちまして、近年その経営基盤が著しく強化されておりますが、さらにその一そうの充実をはかるとともに、経営の合理化に努力を重ね、一般投資者への適切な情報提供など、投資家に対するサービスの向上につとめているところでございます。
 諸先生方におかせられましては、証券業界の現状を深く認識くだされ、今後とも、証券市場の安定的な成長発展のため格段の御配慮を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。
 以上、簡単でございますが、私の陳述を終わらせていただきたいと存じます。ありがとうございました。
○大村委員長代理 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
○大村委員長代理 これより参考人に対する質疑に入ります。村岡兼造君。
○村岡委員 ただいま森永理事長、また瀬川会長さんから説明を聞きました。目下新聞あるいは週刊誌で非常に株式市場の問題について取りざたをされております。きょうはいやなお尋ねをすると思いますけれども、株式安定のためにひとつお考え、また、いままでの経緯、今後の対応策というものをお知らせ願いたい、こう思っております。
 第一番目でございますが、世間では、いま物価の値上がりその他につきまして、商社、銀行、証券、これは社会の三悪だ、こういうようなこともいわれております。もうプレミアムをかせぐため高株価政策、これをとっておる。また証券の大手四社の独占が影響して高株価になっておる。ただいまの説明では、過剰流動性があるために相当株が上がっておるのだ、しかし、一方では営業行為の行き過ぎもあった、こういう反省もされております。しかし私は、過剰流動性の問題もあったけれども、しかしこればかりではない、最近の高株価の原因は何か、これに対しいかなる措置を講じているか、またこの株価の高いのが十分妥当と判断するかどうか、これをひとつ協会長並びに取引所の理事長からお答えいただきたいと思います。
○森永参考人 いまの株価が高過ぎるのか、安過ぎるのか――安過ぎるということはないかもしれませんが、その点については、なかなかむずかしい問題だと存じます。取引所の立場といたしましては、先ほども申し上げましたように、市場を開設し、管理をいたしておるわけでございますが、その市場は、自由なる需給投合の結果価格が形成されるという市場でございまして、その結果でき上がりました価格について、市場開設者である取引所が、高過ぎるとか安過ぎるとかいうような批判は、これはいわば強弱に味方するというような関係もございまして、軽々な批判は差し控えるべきかと存じます。
 ただ、この株価が形成される雰囲気については、昨年来たいへん私ども憂慮してまいった次第でございます。と申しますのは、株価の上昇があまりにも急ピッチに過ぎるとか、あるいは回転率が一〇〇%をこえるとか、あるいは株価収益率で世界で一番高いような株価収益率を現出するとか、あるいは利回りで世界で一番低いような利回りを現出するとか、そういったような雰囲気は決して正常ではないわけでございまして、ほっておくとやはり過熱におちいる。過熱におちいりました結果また将来大きな反動も起こってくるというようなことがございまして、国民経済に無用の混乱を巻き起こす心配があるわけでございます。
 そういう意味で、取引の秩序を正常に保つためのいろいろな規制等につきましてふだんから苦心をいたしておる次第でございまして、そのつど、個別的に、あるいは全般的に証拠金を上げたり、あるいはまた、その証拠金のうちの現金徴収部分を増加したり、あるいはまた、その現金徴収部分の一部を、過剰流動性ブロックの意味もございまして、取引所に無利子で預かったりする、いろいろな措置を講じてまいりました。そのほかにも、そのつど投資家並びに証券会社に対しまして、慎重に、冷静に対処せられるよう注意をしてまいりましたことは、先ほども申し上げましたとおりでございます。
 しかし、それにもかかわらず今日のような状態を現出しておるその基本的な背景は、私が先ほども申し上げましたように、何といってもやはり過剰流動性と申しますか、金融機関や企業にお金があり余っておって、しかも当時の情勢では設備投資の需要も少なく、投資物件としてほかに向かうところがないというので、株式に向かってきた、これが何といっても基本であると思いますが、ただ、その間証券会社の末端における営業姿勢が積極的に過ぎまして、若干でも株高をあおるようなことがなかったとは言えないわけでございまして、その点は大いに反省しなければならないと先ほども申し上げた次第でございます。そういう点にも着目せられまして、日本証券業協会連合会におかれましては、一月の半ばに、先ほど瀬川さんも申されましたが、積極的な営業活動を抑制するといったような非常に強い自粛の通達まで出されたような次第でございまして、その辺のところには、証券会社側にも今後は行き過ぎがございませんように、大いに自粛改善をはかっておるというのが現状でございます。
○瀬川参考人 証券業者としての立場から申し上げますと、先ほども理事長のお話にございましたように、今度の株高は、主として金融法人、事業法人が動いたという点でございます。そうして個人といたしましても、いわゆる一般の投資家はむしろ売りに出た、そうして個人として動いたのは、個人としてはかなり大口の証券投資になれた、ある意味の投機的な仕手が入ってきたということでございまして、私どもといたしましても、株価が幾らだ、どうだというふうなことは、神さまでないとなかなか判定ができませんが、ただ株価形成のプロセス、つまり、私どもの立場から申し上げますと、投資勧誘態度の行き過ぎという点について非常に注意をしてまいったのでございます。もともと金融法人、事業法人というのは、主として皆さんの意思によって売り買いされる権威のある投資家でありますから、われわれといたしましては、われわれのところの若いセールスマンが大銀行、大会社のえらいところへ行ってそしてすすめたから、お買いになったという、そういう簡単なものじゃない。それぞれ金融機関にいたしましても事業法人にいたしましても、大切な株主の金あるいは預金者の金を運用する機関でございますから、非常に自主的に慎重に動かれたわけでありまして、私どもの投資の勧誘態度が非常に熱心であったからどうだということは、あるかもしれませんし、ないかもしれません。あるとすれば、これはまことに申しわけないことだと思っておるのでございます。しかし、今日のこの証券市場、そういう投資界全体からいたしまして、機関投資家も大きく育っていく途上でございますし、また証券市場も一つの過渡期の中にあるわけでございますから、われわれの態度というものをよほど慎重にやらなくちゃならないということで、社内でいろいろ服務規程を設けましたり、またチェックしてまいったのであります。
 ただ、幾らか救いの私の気持ちは、先ほど理事長もおっしゃったように、末端でそういうことがないとは、これは申し上げられない。おそらくあったに違いないと思うのでございますけれども、主として今度の株式市場で活躍したのは、法人、半クロウトである。そうして大衆の投資家は、むしろ堅実な投資信託とか、そういう方向に投資が向いていっておる。むしろ個人投資家は売って、それが法人に集中されたような経路をとったわけでございまして、証券会社が大きく相場をあおったとか、あるいはわれわれの自己売買にいたしましても、非常に証券局、大蔵省から厳重な規制を受けておりますし、自己売買の率もわずかなものになっておりまして、それは当然正常な取引を補完する意味での自己売買が行なわれたわけでございますから、いろいろな意味において、末端において行き過ぎがあったということは、あったかもしれませんし、なかったかもしれませんが、そう大きな相場のファクターになったのではないということを私は申し上げたいと思います。
○村岡委員 お答えいただきましたが、その過剰流動性が高株価の原因だ、こういわれておりますが、そうしますと、いま現在預金準備率の引き上げその他によって、事業法人が活躍してこの株価が上がってきたが、過剰流動性というものの資金が吸い上げられますと、理事長並びに協会長は、この株価というものは急速に下がるとお考えでございますか。この点いかがでございますか。
○森永参考人 株価の先行きにつきまして予言的なことを言うのは私の立場ではございませんが、過剰流動性が今度は逆に、過小流動性と申しますか、金詰まりがひどくなって、事業会社が自分のところの営業を続けていくために、投資いたしました株式を売る、売らなくちゃならぬというようなことがもし起こるといたしますれば、これは需給関係上、下がってくるという筋道になると思っております。しかし、これは現実の株価の将来を予測して申し上げるのではございませんことを繰り返し申し上げます。
○瀬川参考人 株価がどういうことで動くかということはなかなかむずかしい問題でございまして、過小流動性になったからといって株価がそのまま下がるということは言えないと私は思うのであります、いろいろな材料が入りますから。私もよくわかりませんが、一つの下がる要因になるかもしれませんが、今日の株式市場の需給の不均衡ということは、根本的にやはり証券市場の発展がおくれて株価の供給が少ない、過小資本であるということと、それが金融法人や事業法人に集中されていったということは、単に値上がりとかあるいは利回りとかいう投資だけの動機ではない。新しく大きく変わる時代に、取引先の確保とか、あるいはそのほか取引上いろいろな動機から株式を買っておられるわけでございまして、かりにこの間まで買われた法人の株が今日の状態において売られるということは、それは下げの要因になるかもしらぬと思うのでありますけれども、すべての人が同じ考えで動くわけじゃありませんし、いろいろの動機で株式投資をいたしておりますから、大きく需給関係がくずれるかどうかということはちょっと予測できないと思うのでございます。
○村岡委員 いまの御説明で、過剰流動性というのと株式の過小、こういうようなのも原因があると言われたので、それで先ほどから聞いておるわけでございまして、先ほどは過剰流動性が大体原因だ、そういうことで聞いたわけでございます。そして東証では昨年一年間に売買取引に関して五十七件の警告を行なったと聞いておりますけれども、その内容は、時間もありませんので簡単に明確にお答え願いたい。
 同時に、東証においては、私、名前はよくわかりませんが、証券検査官というのは何をする役目で、何人ぐらいおって、そしてこの検査官の数でいろいろな今後の健全な株式市場の発展のためには間に合うのかどうか、こういうことをひとつ理事長にお伺いします。
○森永参考人 私どもの機構の一つに売買審査室というところがございまして、その審査室で毎日行なわれます取引につきましてチェックをいたしております。たくさんチェックしておるわけですが、だんだんに調査が進みました最後の段階で、証券会社に注意をいたしましてやめさせましたのが五十七件あるわけでございまして、この五十七件の類型別を申し上げますと、一番多いのが、通常の売買高に比較して大量のさし値注文あるいは特定会員の短時間の買い上がり等、そういったようなことが見受けられて、それが株価形成に影響を与えたもの、これは三十三件でございます。次は、クロス取引というのがあるわけです。もしお尋ねがございますれば、さらに内容を説明申し上げますが、そのクロス取引の前後に、そのクロス取引をいたしました会員の売りまたは買いが見受けられるもの、これが十六件でございます。それから会社の役員、主要株主の自社株の売買で六カ月以内に差益を得たもの、その差益金は会社に返還させましたものが五件、それから売り買い両面の注文の売買形態をとっておるわけでございまして、同一人の売り買いというようなことになるわけですが、その銘柄の売買高に比べれば繁盛に行なわれておるという誤解を与える程度には至らなかったもので、しかしやはり売り買い両面の注文であるという意味で注意いたしましたものが三件、以上五十七件でございます。
○村岡委員 証券検査官とかなんとか……。
○森永参考人 売買の管理に当たっておりますのが、まず第一次的には市場部でございます。市場部には現在二百十二人の職員がおりまして、これは各ポストに分かれて、現場で取引の状況を監視しておる。そのほかに売買審査室があるわけでございまして、これは主として事後のチェックになるわけでございますが、売買審査室の要員は二十一人でございます。この間、私、予算委員会で十人と申し上げましたのは、その二十一人のうち主として審査事務に当たっておるものの数を申し上げたわけですが、補助員を合わせますと二十一人でございます。そのほかに、これは証券会社の、売買取引だけじゃなくて、財務内容その他日常の営業全般にわたって考査をいたしておるのでございますが、その考査の要員が二十人くらいでございます。
 いまお尋ねの点は、おそらく売買審査室の二十一人のことだと存じますが、最近の事態にかんがみまして、これをもう少し増強しなければならぬのじゃないか、それからまた、市場部との間の連携をもっと密にするとか、あるいはいま申し上げました考査関係の職員を、定例検査だけじゃなくて、随時売買取引の管理関係の考査にも投入するように機動的に活用するといったようなことをいま考えておるところでございますが、現状の人員は以上のとおりでございます。
○村岡委員 昨年五十七件の警告をやった、これは、警告をしてもし従わない場合は――従わなかったとかなんかということはありますか。従わなかった場合、そのままでございますか。どのようなものでございますか。
○森永参考人 注意、警告を与えました結果、あらゆるすべての案件におきまして、その行為は即座に中止されております。その意味におきまして、その案件につきましての効果はもちろんでございますが、その後においても類似の案件の発生の予防に役立っておると考えております。
○村岡委員 いま二十一人というようなお話でございましたが、足りないような気がする、こういう話で、足りないとすればどのくらいか。
 それから、大蔵省の証券局に聞きますが、大蔵省のほうの検査官というのは何人くらいおって、十分かどうかへこれもひとつお尋ねをしたいと思います。
○森永参考人 まだ具体的に何人くらいという見当はつけておりませんが、先ほど申し上げましたように、市場部との連携を密にするとか、あるいは考査関係の職員を機動的に動員するとかいうようなこともあわせ考えまして、結局のところどのくらいふやせるか、これは全体の人繰りの関係もございますので、その上で結論を出したいと思っております。
○坂野政府委員 大蔵省の監理関係でありますが、本省は、株価監視班二名、証券検査官三十八名、計四十名であります。財務局は、取引所監理官十一名、証券検査官百八十名、計百九十一名、それらの総合計は二百十八名となっております。
○村岡委員 それで、いまので現在十分にこの監督その他できるということでございますか、それをひとつ。
○坂野政府委員 事案の内容いかんによってはかなり長時日かかるような検査もふえてまいりましたので、全体といたしましてもう少し増強したいと思っておりますが、御承知のとおり、役所の定員は非常にきびしい制限を受けておりますので、そのやりくりをどうするかというようなことを検討いたしたいと思っております。
○瀬川参考人 いまお話になりました取引所、大蔵省の監査に加えまして、全国証券業協会といたしましては、専門並びに兼任を加えまして約三十名の監査員がおりまして、先ほど申し上げました、今回の一本化を機会に充実をしたいと考えております。
 それから、証券業者といたしまして一言つけ加えたいと思いますが、私どもは、たくさん検査員を置かしていただくようなことがあることはまことにふがいないことで、われわれ自身がチェック機関を持たなければいけないわけでありまして、証券引き受け会社といたしましては、株式部の総務課の中に売買チェックの係を置きまして、そして自分の会社で行なわれた売買を一々チェックしておる。ことに増資とかあるいは発行とかいう相談がありましたときには、その前の三カ月ないし半年の売買状況がどうであるかということをチェックして――何ぶん一日に平均いたしまして東証だけで六万口ぐらいの取引があるわけでございまして、私どものところでは忙しいときにはチェックは大体十日間ぐらいかかっておりまして、十日後にはおそらくおかしいと思う売買は気がつくというふうなことになりまして、幾らか私らのほうでチェックしたものもあるわけでございます。ちょっとその点申し添えます。
○村岡委員 いまの証券検査官の話はわかりましたが、東証では今後の売買取引監視体制をどのように強化していく方針か。また、これは証取法を見ますと、理事が理事長を互選ということになっておりますけれども、先ほどのお話では、証券業界と取引所の一体化、こういうようなお話がございました。私どもはわからないけれども、これはどうも何か一体化して株価が上がっているような気持ちになってきておるわけでございます。連日出ておりますが、黒い株価の操作、協同飼料あるいは証券会社の大手の日興、大和、この支店長クラスの方々が東京地検に逮捕されておる、こういう問題、これは先ほどもおっしゃったように、東京地検の最終的な結果を見なければわからないにしても、いずれにしても、一般投資家あるいは国民の目から見れば、非常に疑惑が持たれておることは事実でございます。したがいまして、この東証並びに証券業界では、昨年からも大蔵省では相当注意あるいは警告をしておるようでございますが、結果的にはこのような状況になっておる。新聞にもいろいろ証券業界あるいは理事長さんの談話が出ておりますけれども、今後の体制についてどういう取り組み方をするか、これをお知らせ願いたいと思います。
○森永参考人 先ほども申し上げましたように、東証といたしましては、今後一そう売買管理を適正、厳密化をはかっていかなければならないと存じます。その具体的な方法といたしましては、売買審査室の陣容を強化するということ、並びに市場部におけるチェック機能あるいは考査員の機動的な動員と相まちまして、売買審査機能を強化することを考えておるわけでございます。しかし、これは取引所がいかに審査機能を強化いたしましても、会員のほうの協力がなければ、これはあとから追っかけるだけということになるわけでございまして、その意味で証券業界一体となって公正化をはかっていかなければならぬということを申し上げたわけでございます。聞くところによりますと、証券業界におきましても、自社内にそれぞれ監視機構を設けられるというような動きもあるようでございます。そのようなこともたいへんけっこうなことと思いますが、それ以上に、やはり気持ちの持ち方と申しますか、その上で価格の形成の公正を絶対守り抜くのだという気持ちを会員各社にも持っていただきたい。そういう意味で証券業界一体となってと申し上げたつもりでございますので、御了承をいただきたいと存じます。
 それからもう一つ、これは発行会社側にも、ややもすれば、株価というものは人為的にいじれるのじゃないかというような感じをお持ちになっておられる方が多いのでございます。戦前は、増資のときに、額面を割っておると増資ができないというので、株価操作が行なわれたということがざらにあったようでございますが、そういう惰性が全然なくなっていない向きもあるようでございますので、株価というものはそういうものじゃないのですよ、人為的にいじれるものじゃないのですよということの認識、自覚を経営者のほうにも徹底していただかなければならぬと思っておるわけでございまして、近来、機会あるごとにそういう趣旨の御注意を上場会社の首脳部には申し上げておりますが、今後とも一そうそういう面の努力をいたさなければならぬと考えております。
○瀬川参考人 ただいま理事長からお話しございましたように、幾ら取引所で監査をやっても、肝心の売買を実際にやる証券業者の備えがなくちゃならない、ごもっともでございまして、私といたしましては、昭和四十三年に協会長に就任いたしまして以来、ずっと社員のモラルの向上、質の向上につきまして非常に注意を払ってきたのでございます。昭和四十三年に証券業協会の中に研修委員会という常設委員会を設けまして、そして従来外務員の研修機関だけでございました研修機関を、セールスマン、それから管理職あるいは社長というものに研修を繰り返してまいったわけでございますが、ことに東京地区、大阪地区に分けまして全国的に専門の研修センターをつくりまして、証券従業員並びに役職員の研修を実施いたしておる最中でございます。おかげさまでだいぶんみかわすようになってまいったと思うのでございますが、私どもは長期的にやはりりっぱなものをつくり上げなくちゃいかぬという感覚でやっておりましたところが、突然足元から鳥が飛び立ったようなことで非常にあわてておるのでございます。しかし、この問題一つは、質的に考えますと非常に重大な問題でございます。しかし、これを量的に拡大してそうして証券市場を御批判になるような傾向がないことはございません。これは少し証券市場に酷じゃないかと思うのでございます。今日上場会社が全部で千三百ぐらいございまして、そうしてりっぱな会社がりっぱな態度で証券市場にほとんど多くが臨んでおるのでございまして、われわれはその間何の心配もなしに、何のトラブルもなしに増資なりあるいは社債の発行なりが円滑に実行されておるのが今日の証券市場でございます。この問題一つは、私は質的には非常に重大だと痛感いたしておりますけれども、これを量的に拡大してそうしていかにもそれが証券市場の姿であるかのような感じがよく出るのでございますが、この点については非常に遺憾なことであると存じ上げておるのでございます。
○村岡委員 この協同飼料一つだけであって、拡大して考えるのは早計に過ぎるのではないか、こういうような御意見もございました。しかし、証券会社自体が従来一年ぐらいでもうかった利益を半年ぐらいでもうけておるというようなこともいわれております。同時に、時価発行というものが出てまいりまして、非常にこの制度が発展をいたしました。ある面においてはたいへんよかったわけでございますが、こういう協同飼料の問題が一つ出てきた。プレミアムのみを追求し、会社にとっては非常に安い利息で資金を集められる。大手の銀行さんから借りれば年五、六分、これが時価発行では二分か三分、こういうもので集められる。どんどん時価発行というものをやる。その結果、容疑では、六億円ぐらいの操作である。しかし世上、私はわかりませんが、これは協同飼料は氷山の一角だ、やろうと思えばできるというような話さえ、証券界の内部でも、私は話を聞いております。この点は立証できるわけじゃございませんけれども、そういううわさが、世間一般、あるいは証券会社につとめておる人の内部の話でも出ておるわけでございます。これは研修あるいは自粛あるいは諸規則というものをやられましても、結果がそういうふうになっては困るわけでございます。一番困るのは大衆投資家である、こういう点も十分にお考えを願いたい。
 同時に、時間もなくなりましたけれども、時価発行が現在の株高に便乗して安易に行なわれていると思うけれども、どうか。同時に、時価発行の場合の内部基準はどうであるか。証券界においては何か発行基準の強化の申し合わせをしておるようでございますが、この点についてお知らせを願いたい。同時に、日本はこの時価発行の場合でも額面配当しかやってないけれども、何か聞くところによりますと、欧米は無額面配当、投資家のあれも十分に考えている、この点はどう思うか。これもお答えを願いたい、こう思います。
○瀬川参考人 先ほど冒頭陳述で申し上げましたように、時価発行は昨年の六月から、これは非常に盛んになっていく傾向があるからして、私どもルールを確立しなくちゃいかぬということで寄り寄り協議を重ねてまいったのでございます。ただ、長年、五十年、六十年額面発行をやってまいりました日本の証券市場といたしましては、時価発行という新しい制度に飛び込むまでには、いろいろのプロセスを経ておるわけでございます。そして、これは単に証券界だけの意思ではできる問題じゃありませんので、主として産業界、金融界あるいは政府当局、それぞれ意思の統一を見なければならないわけでございまして、証券業界といたしましては、時価発行につきましては、特別委員会をつくりまして、一年ぐらいたちましてその原案ができ上がり、それを経済団体連合会の資本委員会で討議して、いよいよ時価発行というものをやっていこうという決心をするまでにやはり三年ないし四年ぐらいの時日を経過して進めてまいったのでございます。それが三年ぐらい前から一年に五件とか六件とか徐々に試験的に行なわれてきたわけでございますが、決してあやふやなルールでなく、われわれは非常に慎重にやったのでございますが、現実の問題となってまいりますと、やはりいろいろの問題が生じてくることは事実でございます。
 われわれは盛んになる前にもっと早くルールをつくるべきであったかもしれませんが、実はどうも証券業界は、時代を先取りする仕事をやっておりますものの、日本人の通例といたしまして、壁に頭をぶつけて鼻血を出してこぶをつくらなければ転換しないという、農耕民族としての風習がございます。われわれも早くやったつもりではあったのですけれども、振り返ってみると、もう少し早くから実践的なルールをつくっておいたほうがよかったのじゃないかと反省しておるわけでございます。
 昨年十二月に実施しました時価発行増資のルールの内容でございますが、「時価発行増資の引受けにあたっては、当該会社の事業、業績、財務内容、収益の見通し等について十分配慮する。(とくに直前事業年度の配当金が年一株当り五円(額面に対し年一〇%)以上であることおよび直前事業年度の税引純利益が一株当り年十円程度以上であることを確認する。)」というのが第一項になっております。それから第二項は「当該会社の増資資金の使途を確認し、増資の緊急性、重要性を勘案して発行を調整する」。それから増資資金の使途、増資の緊急性及び重要性の確認の方法でございますが、有価証券届出書の記載内容を検討する。それから、発行会社に対してまして増資に関する質問書を発しまして、発行会社からこれに対する回答を求めましてその内容を検討する。それから第三に、当該会社が連続して時価発行を行なう場合は、前回の発行時から一年以上経過することを確認する。それから、各発行会社の増資が同じ時期に過度に集中しないように適当に調整していく。それから、発行会社の希望による公募株の優先募入、つまり親引けというものでございますが、公募株の優先募入につきましては公募株数の四〇%以下にとどめるように配慮する。なお、この四〇%の割合につきましては、今後だんだんとさらに縮小していくということをお互いに努力する。それから、発行価額の算定にあたりましては、旧株の市場価格を基準といたしまして、その市場価格から一定率を割り引いて算定していくが、この割引率につきましては今後できるだけ縮小して一〇%程度に持っていきたい。
 こういう申し合わせをいたしたのでございますが、さらにことしの二月にこれを一、二改正をいたしました。それは、第一は、発行会社の増資資金の使途を確認いたしまして、増資の緊急性、重要性を勘案して発行を調整するという方針を、新たにこれは二月から加えたのでございます。それから、発行会社の希望による公募株の優先募入のパーセンテージ、これも去年の案は五〇%でございましたのを、四〇%以下というところに訂正した、こういう経路をとっておるのでございます。
○村岡委員 もう時間になりましたので、いろいろ森永理事長並びに瀬川会長さんから聞きましたけれども、今後また株価のこういうような事件並びにいろいろ一般大衆投資家あるいは国民から不健全な株式市場の批判を受けないようにひとつ強く要望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
○大村委員長代理 堀昌雄君。
○堀委員 きょうは時間が十分ございませんから、基本的な問題についてだけ二、三お伺いをいたしておきたいと思います。
 今回の事件は、私どもそういうことが起こるのではないかという不安を持っておりました中で起きた事件でありますので、全く遺憾なことだと思っております。そこで私は、昭和三十八年の四月の八日であったと思いますけれども、それまで証券会社が登録制でございましたものを免許制に切りかえるべきであるという問題を当委員会で取り上げ、当時の田中大蔵大臣が私の意見に賛成をされて、今日の証券法の改正が行なわれる契機となったのでありますが、そのときに私が出しておりました考えの中で、今日実は実行されていないものが二つあるわけであります。一つは、流通市場における公正な株価形成を行なうためには、証券取引所を公益法人の証券取引所にすべきではないかというのが一点でございました。もう一点は、その当時問題になりましたのは、証券会社におけるディーラーとブローカーがどうもインサイダーの取引が行なわれているような感じがいたしましたので、これは特に投資信託に関連して行なわれたというふうに私も考えておりました。そのことは将来的にはまたアンダーライターとブローカーの間においても起こり得ることだと当時考えましたから、そこでこれらの三つの業務、アンダーライターの業務と、ディーラーの業務と、ブローカーの業務をひとつ分離をするのが、正しい証券会社の将来の金融機関としての社会的な立場を確保する意味からも必要ではないか。この二点が実は実現をされていないで今日に至っておるわけであります。
 そこで、まず第一点でございますけれども、やはり流通市場における公正な株価がつくられるということが、私は証券問題の一番基本だと考えておりますので、その点では、取引所のあり方がより公共的であり、社会的責任を国民に対して果たすためには、もちろん法律を改正して公益法人にすることが最も望ましいのでありますけれども、その前段階として、取引所の公共性を高めるということについて理事長のお考えを承りたいと思います。
○森永参考人 取引所の組織がいかにあるべきかという問題でございますが、戦前は御承知のように、株式会社制度でありました。この場合には、取引所そのものが自分のところの取引の繁盛を願うあまりに、ややもすれば過当投機におちいりがちであるということでございました。そこで、戦時中には日本全国の取引所を統合いたしまして特殊法人の半官半民の取引所ができましたわけでございますが、当時は戦時中統制経済のもとでございましたので、十分にその機能を発揮するいとまもなく敗戦となり、閉鎖機関になったという沿革がございます。
 戦後は、アメリカの制度にならいまして会員制度がとられたわけでございますが、会員制度は、ある程度会員の意識が向上された段階においては非常に理想的な組織であるというふうに考えるわけでございますが、三十四年に会員制度がとられたときの業態がどうであったか、これは私に関係がございませんので批判も差し控えますが、しかし、その後の運用の実績にかんがみますと、会員制度のもとにありながら取引の公共的性格は十分に守られてきたというふうに私は考えます。なかんずく、ただいまの堀先生の御意見も影響したかと存じますが、四十三年の機構改革で取引所の公共的性格を一そう強化するための機構改革が行なわれまして、公益理事を増員し、また理事長の権限を最大限に拡大いたしまして理事会付議事項を限定し、さらにはまた、委員会を理事会の諮問機関から理事長の諮問機関に移す等の機構改革がございまして、それによりまして、いま取引所の公共的性格を維持するためには制度上は何らブレーキがかかっていない状態であると私は考えます。むしろ、この取引所会員が相集まってつくっている取引所の公共的性格を会員各自に理解をしてもらうことによりまして、会員の事業運営にも公共的使命感が流れるというような関係も期待できるわけでございまして、今後の運営といたしましても、会員制度の上において一そう公共的運営に徹していくということが、進むべき道であると存じます。
 ただ、私どもがいまやっておりますことだけで足りるのかどうかと申しますと、なお今後とも一そう努力しなければならぬ余地がたくさん残されておるわけでございまして、それらの点につきましては、会員の協力を得て一そう公共性を発揮していくように努力をしていかなければならぬ、さように考えております。
○堀委員 いまちょっと公益理事の問題が出ましたけれども、現在の取引所は、理事長を除いて理事が何名で、そして公益理事と会員理事とはどういうふうになっておりましょうか。
○森永参考人 会員理事が十二人でございまして、公益理事が四人、それから常任理事というのがございまして私を含めまして六人、したがいまして、理事会の構成は、会員理事が十二名、会員外の理事が十名ということになっております。
○堀委員 これは私の提案でありますけれども、これは協会長の御意見も承りたいのでありますが、私は確かにいまの仕組みでは会員理事が当然あってしかるべきだと考えております。そこでひとつ私の提案は、取引所の理事がいまそういうお話でまいりますと二十二名でございますね、これをひとつ奇数にして、これは偶数でございますから、理事長だけはひとつワクの外に取り除きまして、会員理事とその他の理事は同数である、要するに最終的には理事長が――それは会員から理事長になられるのもあろうかと思いますが、私は今後はやはり取引所の理事長は、公益を代表する者が理事長であることが望ましいと考えておるわけであります。要するに、最終的な判断は、一般的なことはいいのでありますけれども、理事長が、可否同数の場合には、ちょうどこの委員会もそうなっておりますけれども、同数の場合には委員長の判断をとる。ひとつそういう仕組みに取引所の理事の構成を変えていただきますと、これは非常にその点での公共性に一歩近づくのではないか、これは私の私見でございます。
 もちろん、そうなったからといって、率直に申して、大蔵省の人が大いにたくさん天下りをしてそのポストを埋めたらいい、こういうことではございませんから、念のためにこの点ははっきり申し上げておきますが、公正な立場に立つ公益の理事を増員するか、何らかの方法によって、ひとつそういうことによって、外部的に見ても取引所の公共性というものがより一歩前進した形になるということは、いろいろな問題を通じてこの証券業という問題についての公正な処置の一つではないか、私はこう考えますが、これは私の私見でございますけれども、理事長と協会長の御意見をちょっと承っておきたいと思います。
○森永参考人 ニューヨークの取引所が、ただいまおっしゃいましたのと同じような機構改革を実は昨年実行いたしまして、会員理事十名、会員外理事十名、その二十人が理事長を選ぶ、その理事長が議長の役目を果たすというような機構改革をいたしたのでございますが、私どもは実はその話を聞きましたときに、東証のほうが、圧倒的多数ではございませんけれども、公益理事をふやして理事会の構成を会員外の理事に重きを少し置いたという点で私どものほうが実は先行したと思っておったぐらいでございます。なお、その際私が議長を兼ねておったのでございますが、その議長はいま会員理事の方にお願いしてございますが、これは私はむしろそのほうがいいかとも思いましたのは、会員理事の方に、取引所の公共的な使命を自分たちの責任の問題として、自分たちのこととして考えていただくには、むしろそのほうがいいんじゃないかという率直な感じから、会員理事の方に議長になっていただいたわけでございまして、私の取引所運営におけるこの六年間の経験から考えますと、数の問題ではなくて、むしろ会員理事の皆さんが公共的な使命感に徹していただくというそのことが必要であり、またそのことで十分じゃないかというふうな感じがいたす次第でございまして、将来また理事の増員の問題が全然起こらないとは存じませんが、現状では、いま申し上げましたようなことで運営をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○瀬川参考人 私も、理事の一人といたしまして理事長からしょっちゅう御相談を受けておりますので意見は一緒でございますが、ただ、ニューヨークの取引所の前の理事長のハークが、先ほど理事長のおっしゃった公益理事をふやしまして、あとやめましたときに日本へ参りまして、どうも公益理事をたくさんふやしたのはいいが、非常に有力過ぎる産業会社の理事なんかが入ってきて、そのために逆に取引所がゆがめられて困ったこともある、やはりおまえのほうがいいんじゃないかということを率直に言われました。問題は人の選び方でございますけれども、いまの取引所は四名の公益理事で非常にうまく運営されておるような感じをもって私は見ております。
○堀委員 まあこれはうまく運営されればいいことでありますから、何も私も形式にこだわるわけじゃありませんが、国民一般から見ますと、会員というものはやはり証券会社ですから、証券会社というものは本来自己の利益を高めることを目的としておるわけでありまして、そういう全体の公正な処理ということについては、私どもやはりそういう公益といいますか、もう公益理事に産業界の代表を入たれのでは何にもなりませんので、これはできるだけ学識経験者といいますか、要するに第三者的立場で、公正な立場で、ある意味では国民を代表してこれに関与できる者が必要だという考えでございますので、私の意見としてひとつお聞きをいただいておけばいいと思います。
 もう一つ理事長にお伺いをしたいのは、上場基準と廃止基準の問題でございます。いまこれを拝見しますと、上場基準と廃止基準とかなり差があるわけでございます。上場しておるものに権威を持たせるためには、そこに入ってくるときにはある一つの制限をするというのは当然でございますね。それならば、その中に入ってくるものに対する制限と同じ制限で当然中に入っているものを外へ出すということになって、初めて私は上場基準、廃止基準というものの論理性が一貫されるのだと思っております。たとえばディスクロージャーについての虚偽の記載、こういう問題については、上場基準のほうは「最近五年間に終了した事業年度に虚偽記載のないこと」と、たいへんきびしくなっているわけですね。入ってしまえば今度はどうなっているかというと、「虚偽記載を行ない、かつ、その影響が重大であると取引所が認めた場合」これは私たいへん片手落ちなルールではないかと思うのですね。
 ですから、この点は取引所としては――私どもにはディスクロージャーということが株価の公正な判断をするための材料でありますから、投資家からするならば、いま株式の問題について一番重要なのは、ディスクロージャーが正確であるということではないかと私は思うのであります。論理的にも、上場基準で制限をしておるならば、中に入っておるものの権威を守るためには、廃止基準も上場基準と同じことで排除する。ほかの項目の中には、いろいろ配当とかその他のものがあります。これらは私はまあ一つの基準としてはやむを得ないものがあると思いますけれども、特にこのディスクロージャーに関する部分は、上場基準と廃止基準が同じでないと――五年という制限を設けた以上、かなり長期にわたってそういうことをしない、まじめな会社であることが必要だ。ですから、このワクの中に入っておる上場会社はすべてがそういう虚偽の記載をしないものだということにならない限り、私は非常に片手落ちな論理になっていないかと思います。これが第一点です。
 それから第二点は、要するに、今度の問題のように自己の会社の利益をあげるためにいろいろな操作が行なわれるようなものについては、実は規定がございません。あるのか、よくわかりません。私が読んだ限りでは、ございませんが、そういう要するにモラルに反したことをやった事業会社は上場廃止にするということが明確になっておりますならば、事業会社も、上場が廃止されることはきわめて重大なことでありますから、私はこのようなことが二度と起こらないようになるのではないか、こう考えますので、ディスクロージャーの虚偽事項の記載とあわせて、このような、言うなれば、これは法令に違反して――たしかどこかにありましたね、要するに法令に違反してそういう行為を行なったものはこれはもう厳格に上場を廃止するという点をはっきりさせることが、今後の問題として非常に重要な問題だと思いますので、この点は大蔵省も、私どもの申しておることは論理的に間違いがない、こう考えておりますので、ひとつそのような観点に立ち、取引所あるいは協会もひとつその線に沿って、上場会社の権威を守るためにこの点についてははっきりした態度をおきめをいただきたい、こう考えますが、いかがでございましょうか。
○森永参考人 お説のように、この上場証券の管理がこれまた取引所の非常に大きな役割りでございまして、売買の管理と同時に上場物件の管理に特に力を注いでおるわけでございます。そういう観点から、実は昨年上場審査基準並びに上場廃止基準を従来よりも思い切って強化したわけでございますが、お説のように審査基準と廃止基準との間では若干の差がございます。たとえば浮動株式数とか、そういったような面でも、たとえば廃止の場合には何分の一にするといったような手かげんをいたしておることは、御指摘のとおりでございます。これは初め上場いたしますときには、まあ新顔でございますので特に資格をやかましくいわなければならぬわけでございますが、上場後においてもその資格をやかましくしなくちゃならぬことは同様でございますけれども、しかし、上場によりまして何十万、何百万の株主がすでにできてしまっておるということを考えますと、それらの株主あるいは株式に対しまして流通市場における換金の可能性を失わせることは、これは実は死刑の宣告にもひとしいような感じの措置でございますので、やはりそこには既存株主の保護という観点もあわせて考えなければならない。そういう意味で、審査基準と廃止基準との間には若干の差を設けるのはやむを得ないのではないか。欧米諸国の例を見まして、やはり廃止基準のほうがやや緩になっておるというのが実情のようでございます。
 虚偽記載の問題につきまして特に御指摘がございましたが、虚偽記載があって、しかも重大なる影響云々という認定の余地を残しましたのも、すでに上場によって何十万、何百万の株主あるいは株式が存在しておる、それに一挙に死刑宣告にひとしい上場廃止の措置を講ずることはよほど慎重に考えなければならぬという、その点の配慮にいずるものでございまして、さりながら、この虚偽記載がたいへん困ったことであることはもうお説のとおりでございますので、虚偽記載の事実が判明いたしますればすぐにそれをディスクローズし、そういう事実に基づいて株価形成が行なわれるようにという措置を講じておる次第でございます。なお、上場会社に対しましては、そのつど、機会があるごとに、ディスクロージャーの虚偽記載がいかに困ったことであるかという点の認識を強めるようにお願いをいたしておる次第でございます。なお、協同飼料の問題についてどうなるかということでございますが、これは詳細は捜査の結果に待たなければならないと存じますが、私どもが持っております上場廃止基準の末項に、投資者の利益を著しく害するようなことがありました場合には上場廃止もできるという規定がございまして、その規定を適用するかどうかという問題が起こってくるわけだと存じますが、具体的な運用につきましては、ただいま申し上げましたようなやはりたくさんの既存株主がおるわけでございますので、その人たちの立場も考えた上で慎重に処理しなければならぬというふうに考えております。
○堀委員 いまその会社の株主があるから保護しなければいかぬとおっしゃいますが、その株主がだまされているんじゃないのですか。虚偽の要するにディスクロージャーをやって、だまされて株主になっておる、あるいは、その会社はそんな悪いことをする会社でないと思ったからその株主になっているわけですから、そういう悪い会社だということがわかるならば、それはやはり株主の利益を守るためにも、そういうことが事前にあれば、今後起きないのだろうと思うのです。いま過去にあることにずっとこだわっていくならば、いまの問題は私は解決しないと思うのです。いつまでたっても、ともかく、不正なディスクロージャーをやっても、重大でなければいいのだということでは、私は、事業会社側の態度は変わりませんし、今度の問題についても、要するに大きな株主、たくさん持っておれば少々何をやってもいいのだなんということでは、問題は解決しないと思うのです。私は、現在の情勢ではこの二つの点――あとのこまかいことについては申しませんけれども、さっき瀬川協会長がおっしゃったように、質的な問題をきちんとしない限り、これは量的なものに発展するわけですね。だから私は、この質的なものがこういう条件になったときに、質的にここで遮断をすることが、今後にそういうことが起きないということの保証になるわけであります。いま証券会社のほうは、大蔵省が指導したりいろいろされて、今日、残念な問題は起きておるにしても、大勢としては、免許会社でございますから、場合によっては免許の取り消しもあり得るわけでございますから、私は姿勢はたいへん改善をされて今日に至っておると思いますが、事業会社の側がこういう形になっておる限り、やはり証券会社は、場合によってはやや受身になって、こうやってくれませんか、それは困ります、それじゃよそに行きますと、こうやって、結局、事業会社に振り回されて証券会社が非常にまずいことをやるというおそれがあるわけでありますから、そういう経過を考えるならば、私はこの点についてはちょっと譲るわけにいきません。少なくとも廃止基準については、虚偽事項の問題と、それからこういう法令に違反し、少なくともこういう問題について問題を起こしたものについては上場を廃止するということが明確になって、初めて取引所が事業会社に対してもはっきりした態度で処置ができる、こうなるわけでありますので、この二点については、本日お答えをいただく必要はありません、私はまた大蔵省に対してもこの点はひとつきびしく要求をいたしまして、そういう形の実現をはかりたい、こう考えておりますので、ここまでにいたしておきます。
 最後に、協会長にお伺いしたいのは、さっき話がございましたブローカーとアンダーライターの分離の問題について、私も直ちにこれを分離することが不可能なことは十分承知をいたしております。ただしかし、いまのような形で――確かに今度はいろいろ皆さんも業務上お考えをいただいておるようでありますが、そういう業務上のお考えをいただいていてなお今後にインサイダーの問題が起きたときには、私は、この間の証取審でも問題になっておりますアンダーライターに対するニューエントリーの問題、あわせて六十五条に関係する問題に発展するおそれがある、こう考えておるわけであります。私たちは、証券会社がアンダーライターをやっておられることはちっともかまわないし、それでいいのでありますが、そのアンダーライター業務とアローカー業務との関連においてこういう問題が起きたことは、これはさっき協会長がおっしゃったように、質的にきわめて重大な問題だと認識をいたしておるわけであります。
 そこでまず私お伺いをしたいのは、方向としては分離をするということが前提になっている。しかし、その過渡的経過としては何年かかると思いますから、その過渡的経過として何年かかかる間は、いま皆さんのお考えになっておるような業務の改善によって処理をしていただきながら、やがてそれをできれば分離ができる方向に発展をさしていただくことが、私は、アンダーライター業務を長く証券会社におまかせをしていけることではないのか、そこが明確にならないと、私たちはやはり投資家の立場を考えますと、それはニューエントリーで考える以外にないのではないかということになり、それはあわせて六十五条の問題に大きな影響を与える関係が出てくると思いますので、私はそういう意味で、証券業協会が現状を維持していただくためには、どこかで分離に踏み切るというまず終点を明らかにしていただいて――私は委員会での質問はいつもそうなんですが、三年先になるか、五年先になるか、八年先になるか、それはかまいません。しかし、少なくとも将来的に、どこかの時点では分離をいたします、それについて業務改善その他で努力をし、その経過の中では、ここで分離をするという形でこの問題を処理していただくことが、私は、六十五条の問題を含め、いまのニューエントリーの問題を含めて、証券界としてもそのほうがプラスではないのか、こういう判断をするわけでありますが、協会長のお答えをいただきたいと思います。
○瀬川参考人 先ほど投資信託の分離について堀委員からお話がございましたが、投資信託を分離いたしましたのは――実は投資信託を開始いたしましたのは昭和二十六年でございます。そのときには、分離した形では投資信託業というものが現状において日本に生まれない、しかし、われわれは理念的に分離すべきものだという感覚ははっきり持っているから、われわれが分離してやれる時期が来ましたならば必ず分離をいたしますということを、はっきりあのときには申し上げたわけであります。司令部と大蔵省の御了解を得まして、兼業として発展したわけであります。その間いろいろ本委員会でも御質問いただきまして、おかげさまで昭和三十四年に私どもは分離をいたしました。むしろ自発的に分離をいたしました。そうして今日十年ばかりたちまして、今日の状態はまことに分離の効果があがったということをはっきり世間さまも認識していただけましょうし、私どももそう考えておりまして、投資信託が新しく発展についていることをごらんくだすってもこれはおわかりになると思うのでございます。
 ただ、いまのアンダーライターとブローカー業務との分離につきましては、私は結論として、これをいま論議すべき時期ではないし、また、何年先に分離するかということは言い切れない、すべて非常に未熟である、議論するのにもまだ熟してないということが言えるのではないかと思うのであります。
 アメリカの証券市場が、最近、分離しない逆の方向をとっておりますことは御承知のとおりでございますが、私は、この兼業の――アンダーライターというものはどういう点が一番大事か、どういう点にアンダーライターの職能があるかと申しますと、発行者と投資家の中間に立って非常にフェアな条件をきめること、つまり、ほんとうの行司役になることが第一、それから第二には、発行されたものが広く機関投資家はじめ国民大衆に行き渡って、そうして投資家の層がふえて、したがって価格のリハビリティーがもう一つ高まるというところに問題があろうかと思うのであります。
 最近、アメリカで兼業をいたしております世界で一番大きな販売網を持っておりますメリル・リンチという会社、これは昨年からアメリカの証券界の引き受けのナンバーワンにのし上がって確固たる地位を占めつつあります。この会社は、御承知のように、一九二九年の恐慌後にできた新しい会社であります。そしてそのときのメリルという人がウイ・ウイズ・ピープル、われわれは大衆とともに行くのだということをモットーとして経営してきた会社でございまして、したがって、アメリカでも類例のない、広い個人の販売網を持っている会社であります。この会社がなぜ伸びてきたかと申しますと、私は、やはりそこにアンダーライターの生命である販売力を持っている、そうしてその投資家と発行会社との中間に立って非常にフェアな条件が提示できるということと、広く株式を国民大衆にディストリビュートしますからして、したがって企業の、ことに大衆商品を売っている会社、企業のイメージが広く行き渡っていくというメリットもあるのではないかと思っております。分離しておりましたたとえばモルガンとか、ファースト・ボストンとか、あるいはジロン・リードとかいうふうな会社は、最近逆に成績が落ちてまいりましたために、販売網を拡大していこうという逆の方向にいっております。そして既存の証券会社の中でも、ブローカーとアンダーライターの合併が行なわれているというのが現状のようでございます。
 そこで、メリル・リンチがなぜ伸びたかということを先ほど申し上げたのでございますが、もう一つ、私はやはり今回の事件と照応いたしまして深く自分に参考になりましたことは、この世界一の、一番信用ある証券会社が、一九六八年にダグラス・エアクラフト事件ということで、これはSECの審問を受けまして、ひっかかったわけでございます。これはエアクラフトの会社の幹事会社として売り出したところが、業績が非常に悪くなったという情報をキャッチしてきた会社の高級社員が、機関投資家だけに情報を提供してそうして売却をさした、そうして株が下がった、そうして一般の大衆は損害をこうむったということで、会社は行政処分を受け、損害賠償をしたわけでございます。このときからメリル・リンチ社がが然いろいろ中の組織を改めまして、コンプライアンスデパートメント、法律順守部という部をつくりまして、そうして毎年正月には幹部社員並びに従業員、ことに法人従業員に対しては、こういうことをわれわれは順守するのだという誓いをやらせて、そしてぐんぐんと仕事をしていったということであります。そのときにメリル・リンチ社は、SECから、グレーターディスクロージャー、ディスクロージャーを広めていくということが一番大事なことだと言われまして、そしてアンダーライターとブローカーの部屋を内部的に変えたりいろいろいたしまして、そして今日においては、いま申し上げたような、昨年からそういう成績――を六八年以降でございます、信用を回復して、りっぱなアンダーライターとしての業績をあげているというのが現状でございまして、要するに、SECへ参りましたところが、SECは、コンフリクト・オブ・インタレスト、つまり利害の相反性というものは、これは証券市場の宿命だ、しかし、われわれのメリル・リンチに要求しておるところはグレーダーディスクロージャー、ディスクロージャーをりっぱにやれということを要求しておるのであって、その部屋を変えろとかなんとかいうようなことを言っておるのじゃないのだ。けれども、メリル・リンチ社はそこまで徹底して欠点を除去しようと努力しておるわけでございます。
 そこで、ブローカーとアンダーライターとが、コンフリクト・オブ・インタレストで、利害が相反するかという問題、つまり、ディスクロージャーを使ってブローカーに応用するとかなんとかいろいろいわれるわけでございますが、そういう点につきまして私が申し上げたいことは、法人営業、ことにアンダーライターの生命は、これはやはり一般的なディスクロージャーをするまではこれは絶対に秘密を厳守する、そういうものを流して自分のブローカー業務に使わないということであります。かりにブローカー業務に使いましても、ブローカー業務によって得る利益よりも、アンダーライター業務のインサイダーを使うことによって信用を失う、そうしてアンダーライター業務を失うということのほうがずっと大きい損失でございまして、われわれ決してアンダーライター業務とブローカー業務とをどうしようこうしようとかいうふうなことは考えておりませんし、またそんなへたなことは考えておりません。本質的にこれは利益は相反しない性格のものである。今日SECの見解は、むしろディスクロージャーをさらに徹底さしていくというところに問題があるのでありまして、決してアンダーライタービジネスとブローカービジネスの混清というふうなところはむしろ問題になっていない。それより、ブローカーとインベストメントアドバイザーの関係をどうしていくかというようなところに展開していく。あちらのSEC役人の申しますのには、とにかくアメリカも実はまだこの問題は結論の出ない途中であるのだけれども、しかし、現実の方向は兼営の方向にどんどんいっているということは事実でございまして、日本ではまだこれを論じるのには少し早いじゃないか、ツーマッチ・プリマチュアーズではないかということを言っておりまして、私はこの問題は慎重に検討していかなければならないと思いますが、ここで分けるとも分けぬとも、何年先とも申し上げられないと思うのでございます。
 そこで、今度の事件を契機にいたしまして、引き受け会社といたしましては、実は寄り寄りいろいろとどうしてやっていくかということを検討しておりますが、まずいままでやっておりましたことは先ほど申し上げましたように、売買のチェックということをわれわれもやっておったということ、あるいは目論見書その他につきまして厳重な調査もやっておったのでございますが、とりあえずまずやろうと思いますことは、引き受け会社の社会的責任にかんがみまして、われわれは法人営業部の社員の服務規程というものを特別にひとつつくろうじゃないかということを検討いたしております。つまり、社内的にも対外的にも、証券取引法、証券業協会、証券取引所の諸規則、これの順守徹底を期していこうじゃないか。まず法人の営業社員というものは、外部に対しては、発行会社の役職員に対しまして、証券取引法とかあるいは関係法の順守につき、あるいは説明について、助言を行なうことをひとつこれからどんどん積極的にやっていこう、そして自分の業務に関しましては、内部情報を取得した場合に、これを自己のブローカー業務に絶対に利用しない、そして直ちにこれを上司に報告して、絶対にブローカー業務に使わない、そして情報管理の徹底をはかっていこう、そして株式の公正な価格形成を志向していこうということですね。さらに、この審査機能並びに審査権限の充実強化ということをはかっていきますために、先ほど申し上げた順法部というものをやはり証券会社、証券引き受け会社につくっていこうじゃないかということをお互いに寄り寄り相談をいたしております。
 その順法部の内容でございますが、従来のディスクロージャーの審査のほかに、公正なる株価形成に対する審査をやる。現在もやっております。現在も、会社から発行の依頼を受けますと、その前の株価形成というものを慎重に調査をしておるということでございます。さらに、法人営業の社員諸規則が厳重に順守されるかどうかということもチェックしていく。それからさらには、各部門間の社員服務規程をあらためてつくり直そう。法人営業だけではございません、各部門のをやっていこう、そうして法人営業の運用に対する協力を求めていこう、つまり、全社員を対象とした服務規程の改正をはかっていこう、こういうことを考えておるわけでございまして、それが徹底いしたしますなれば、私は、まず本質的に非常に問題の起こりやすい仕事と体質を持った証券界ではございますが、そういうことが避け得られるのではないかと考えておるのでございます。
 たいへん長々と申し上げましたが、まだ論議する段階ではない。日本のいま引き受け業務、それからアンダーライターとブローカーとの混淆による世間の御批判というものは、これは本質的に排除できるものであって、決して相反しない性格のものでありまして、問題は、法人営業社員の管理徹底をいたしましたなれば、それは十分に避け得られる問題でありまして、アメリカでもそういうことはもはや問題になってない。一九六八年に大きな問題を起こしましたですが、その起こしましたことを機会にいたしまして、そういうことにはなってならないということをひとつ御参考に申し上げておきます。
○堀委員 お話はわかりますけれども、私はそれで今後そういう事故が起きなければいいと思うのです。起きたときには私はたいへんなことになると思いますね。起きたときには、アンダーライターを証券会社だけにまかしておくべきでないということに必ずなると私は思います。私たちもそういうことを要求しなければならぬようになると思うのです。ですから、いま、何年先とかいうことはけっこうでございますが、まず第一に大事なのは、そういうインサイダーを使わないということですね。承知しておる範囲では、同一の法人係がアンダーライター業務をやりブローカーもやっておるなどということでは、同一の人間でありますから問題は起こるわけですから、そんなことは当然改められるべきことだと思いますけれども、少なくともそういう制度の上からもそういうことが求められておるという認識の上に立ってこの問題についてはひとつ善処をしていただいて、今後も研究を進めていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○大村委員長代理 佐藤観樹君。
○佐藤(観)委員 時間の関係で話が少し前後してしまうわけでありますけれども、いま堀委員から御質問があった点につきましては、むしろ今後の問題でありますけれども、今後の問題に入ります前に、私は、今度の協同飼料の問題が一体どこから起こってきたのか、その点について専門家である皆さん方からお伺いをしたいと思うのであります。
 まず、原因でありますけれども、今度の場合には引き受け競争というか、幹事会社の争い、これは先ほど堀委員が指摘された部分もあるわけでありますけれども、発行会社のほうに振り回される、特に大手四大証券が六割から六割五分を占めるという現在の東証の商い高の中で、非常に寡占状態になっている上に、幹事会社というものが発行会社にきわめて下の立場と申しますか、幹事争いが非常にきびしいものがあった、この辺がそもそも今度の問題の大きな原因の一つになっているのじゃないかという気がするわけでありますけれども、その辺は、御両人の方々、認識はいかがでございましょうか。
○瀬川参考人 先ほども御説明申し上げましたように、アンダーライターの信用といいますか、機能というものは、非常に重大なものでございます。そしてこの資金調達の方法がいろいろ多様化してまいりますと、アンダーライターの責任というものは一そう重大になってまいります。私どもは、単に発行会社の幹事競争をするということ、数を取るとかいうことよりも、やはり質的に十分検討して、そしてアンダーライターとしてのやり得るものをやはり考えていくわけで、何もかもやみくもに競争するというわけではございません。いま先ほどおっしゃいましたシェアの問題にいたしましても、過渡的な問題として――これはいま過渡的にやはりシェアというものがそれぞれの力と信用に応じて変わっていくという傾向にある。そういう傾向にあるときに、その面だけをながめておりますと、いかにも非常に過当競争が行なわれるとごらんになるかもしれませんが、やみくもの過当競争は行なわれておりませんからして、今度の場合に、過当競争から起こった――あるいはそういう面があったかもしれません、内容が私にはまだよくわかりませんから、はっきりしたお答えはできませんけれども、そういうこともあったかもしれませんが、しかし、そのほかにいろいろのやはり事情があったのじゃないか。しかし、この問題自体につきましては、いまお答えする段階ではございません。
  〔大村委員長代理退席、木村(武千代)委員
    長代理着席〕
○森永参考人 私どもの立場を申し上げますと、協同飼料につきまして、同社の株主総会の決議が七月にございまして、その後の状況をずっとフォローしていったわけですが、十月ごろまでは特別に不自然な価格形成も見受けられませんでしたのが、公募価格を決定する一週間を含んだ期間において不自然な動きが表面に出てまいりました。そこで、幹事会社に対しましてそれを注意し、やめさせたということでございまして、その後引き続き委託者等の裏面の調査を続けておりましたわけでございますが、たまたま大蔵省で幹事会社を検査されるというようなこともございまして、そちらのほうの調査にお譲りしたほうがいいということで、私どもの調査はその段階で打ち切っておるということでございまして、ただいまお話がございましたような、なぜ本件が起こったかというような事情は、まだ究明いたしておりません。今日といたしましては、検察当局の捜査がすでに開始されたことでもございますので、その方面の捜査の結果にまつしかないわけでございます。いまの段階でかれこれ推測して申し上げるべきでないと存じますので、御了承いただきたいと存じます。
○佐藤(観)委員 それと今度の事件で一つ目を引くのは、協同飼料が横浜に本店を持っているという関係もあるわけでありますけれども、本店と支店との関係ですね、支店がやったことだ、あるいは、支店がやっていたものだからわからなかったということが、担当の会社の社長なり副社長から出てくるわけでありますけれども、その言を聞いておりますと、あたかも支店というと何か別会社のような感じさえ受けるようなことばに聞こえるわけであります。これは瀬川会長からぜひお伺いをしておきたいのでありますけれども、これもひとつ何らかの形で、協会としても、本店と支店の関係というものを少し改善をする必要があるのではないかということを強く感ずるわけでありますけれども、この点について御意見はいかがでございましょうか。
○瀬川参考人 支店の管理の問題でございますが、今日、支店の管理につきましては、各証券会社の規模等に応じましてその管理の適正化をはかっておるのでございますが、今後の内部体制を効果あらしめるためには、証券会社は自主監査をいたしておりますが、やはり自主監査を強化する措置を講じたいと思いますし、証券業協会といたしましては、七月からいよいよ全国一本化した証券業協会ができ上がりますので、そこで検査員をふやしましたりなんかいたしまして、一そうこういうことのないようにやっていきたい、そう考えております。
○佐藤(観)委員 それから、この事件が起こるまでに、公正な価格形成を行なわせる非常に重要な任務を持っている証券取引所あるいはその理事長が、どのような手を打ってきたか、若干いままでの論議の中でお話をお聞きしたわけでありますけれども、どうもその辺のところがはたして効果があったのだろうかということがたいへん疑問に思うわけですね。特に、先ほど五十七件にわたる警告、これについてお伺いをしたわけでありますけれども、はたしてこの警告というものが効果があったか。まあ先ほどのお話では、この件については即座に売買を中止した、したがって類似の案件を起こさないために役立っているということでございましたけれども、たとえば大量の指し値形成をした、あるいは特定会員の短時間の売買をした、それは五十七件のうち三十三件を占めているということになりますと、三十三件といいますと、この件だけでもほぼ一カ月に二回から三回起きているということですね。ということになりますと、はたして警告というものが効果があったことなんだろうかということが疑問にならざるを得ないわけであります。この点について理事長としていかがお考えか、その辺をお伺いしたいと思います。
○森永参考人 売買審査室というのは、いやしくも形態の上で何かおかしいようなことがあれば、それを全部実はチェックをするわけでございます。チェックした案件が初め千五百件くらいございまして、そのうち、これはおかしくないのだというようなことでだんだんしぼってまいりまして、その間には証券会社から資料をとったり、おかしいじゃないかといってしかったりというようなことで、最後に残りましたのが五十七件で、その五十七件も明らかに法令違反あるいは定款違反、業務規程違反等の事実がございますれば、これは定款に基づいて、過怠金とか、あるいは営業停止その他の措置を講ずるわけですが、そこまでに至らない案件で注意、警告にとどめたということでございます。五十七件そのものにつきましては十分警告の効果があがっておると思いますし、そこに至る千五百件からもの案件を抽出して、いやしくも形の上でおかしいことがあればそのつど注意しておるという、その辺の売買審査室の活動全部をひっくるめますと、会員証券会社にとっては実はたいへんうるさい存在といわれておるくらいに煙たがられておるのが事実でございまして、売買審査室といたしましては十分成果をおさめておると私は考えております。なおしかし、今度のような事件が起こりましたことでもございますし、先ほど申し上げましたように、今後は一そう売買管理を厳重化してまいりたい、さように考えておるわけでございます。
○広瀬(秀)委員 関連してちょっとお聞きをしておきたいのですが、先ほど瀬川会長から、今度の協同飼料問題では幹事会社間の過当競争ということが原因とは思われないという御発言があったのですが、われわれしろうとの見るところで、やはり昔から証券会社間で、特に大手の中で、幹事引き受け競争というものはこれはもう常識的なことになっているということで、激しい競争が行なわれている。今度の協同飼料の問題でも、大手の四社のうち三社が少なくとも協同飼料の株価操作という問題に対して手をかしているというようなことも、やはり事業会社から、発行会社から頼まれる、そうすれば幹事会社になりたいという気持ちが、本社は本社なりにこれは見識を持っておるかもしらぬけれども、出先のところではかなりその辺のところがぼけてきて、やはり幹事会社となりたいというような誘惑にもかられながら、幹事会社になれば、とにかく手数料も入る、情報も入手しやすい、あとまた株式売買の点でもメリットがあるというような、二重三重の利益もころがり込むというようなことですから、そういうことになるだろうと思うのですね。したがって、そういうことで、大手業者間、証券業者間におけるアンダーライターの引き受け業務の競争、幹事競争というものは非常に激しいだろうということは、容易にわれわれとしては常識的にも想像がつくわけなのです。やはりそういうことが一つの原因になっているだろうというように私どもは見ざるを得ないわけなのです。その辺のところは、ほんとうに過当競争ということがなかったのかどうかということについてもう一ぺんお伺いしたいことと。
 それから、これはたいへん私もしろうとなんだけれども、今度は東証の理事長としての森永さんに聞くのだけれども、取引所の機能として幹事会社間のいろいろな行き過ぎや何かについて五十七件も警告を発しているというようなことで、それはそれなりに言うことを聞いてもらって、取りやめにしてもらっているというような例を申されたわけですが、こういう幹事競争というようなものの過当競争を避けるために、取引所が、少なくとも証券会社等に大体アンダーライターの競争があるような場合には、調整の機能をそういうところかやれないのかというようなこと、そして、うまくアレンジしながら、不必要な過当競争、そして今度のような事件に発展するようなことに結びつかないような、そういう機能というものを森永さんのところでやれないのだろうかというような感じを抱くのですが、これは、証券業界というものに対して私ども深く知らないものですから、非常にしろうと的な発想かもしれないけれども、そういう機能というものが有効に働いたら、少なくともそういう病根というものはなくなるのではないか、黒い株式市場とか株価形成というようなことが、やはりそういう面だけでもなくなっていく原因になるんじゃないか、こういう気がするわけなんですが、その辺のところをお二人からお伺いをしたいと思います。
○瀬川参考人 お答えいたします。
 証券業にかかわらず、仕事は非常に競争の激しいものであります。ただ、適正な競争はあくまでもしていくべきものでありますが、この事件に過当競争が大きな要因をなしておったかどうかということは、私は非常に疑問を持ちます。と申しますことは、支店でかりに引き受け競争をいたしましても、やはりその最終的なジャッジメントというものは本部の引受部で決定するものでありますから、はなはだ失礼な言い分かもしれませんが、協同飼料という会社が、それぞれの証券会社が三つどもえ四つどもえになって引き受け競争をする会社かどうかという判断は、各自の証券会社にあるだろうと思います。
 それから、いまの証券会社の引き受け機能というものは、ここ数年来非常に進歩いたしております。そうして審査も非常に進歩いたしております。ですから、お互いにお互いの判断として、引き受け競争参加に値するものは参加するし、参加しない場合もある。引き受け競争をやることは何も悪いことはない、ただ、引き受け競争の結果こういう問題が起こったということは、非常に遺憾なことでありまして、方法において悪かったということで、もし新聞の伝えるとおりであれば、そういうことでございます。いまの引き受けというものは、一面非常に競争しているようにごらんになるかもしれません。競争に値するものの引き受け競争は大いにやりますが、しかし、堂々とローヤルウェーを踏んで競争するので、決して覇道的な行き方をするものではない。大多数の会社はそうであります。ですから、この件について、特に熾烈な引き受け競争の結果ああいう事件が起こったというふうに私は判断ができないのであります。
○森永参考人 引き受けという問題は、これは発行市場の問題でございまして、取引所がお預かりしているのは流通市場ということで、私どもが発行市場の問題に具体的にかれこれ口を入れるべき筋のものではないのでございますが、ただ、時価発行が発行市場でラッシュいたしまして、その影響が流通市場にあらわれるということになりますと、関心もあるわけでございまして、私どもといたしましては、あまりにもある時期にラッシュしては困るというような感じで、この問題を注意深く見守っている、この問題と申しますのは、時価発行を注意深く見守っておるというのが現状でございます。したがいまして、取引所が機能的にあるいは職権的に引き受け会社の競争に口を出すというようなことはこれは避けるべきでございますが、お互いに日本の証券市場を預かっておるものの立場として、まあラッシュして困る、行き過ぎのようなことがあるときには話し合うといったような程度のことで終始してきておる、さように御承知いただきたいと思います。
○広瀬(秀)委員 発行市場と取引市場、もちろん流通市場は違うわけでありますが、たとえば取引市場というものについて、東証なり何なりがそういう機能を直接的には発揮できないという点はあっても、やはり何らかコントロールする、過当競争というものは、いま瀬川会長は、ないとおっしゃったけれども、私どもどうもふに落ちないところが残るし、フェアな競争というのはいまの自由主義経済の中で当然肯定さるべきことであるけれども、それが過当であり、あるいは不当であり、犯罪にまで結びつくようなことまで現に起きているということになれば、何らかの機関がそういうものをロントロールする、フェアな競争の中で、コントロール機能を持つところがあって、取引所が、これは流通市場のことであって、発行市場のことにまでなかなか介入できないということだったら、その部分を何らかの形で補完をするというか、そういうような新しい機能を取引所の関係にさらに役割りを大きくする、そして法律改正が必要ならば法律改正もしてそういう機能を与えるというようなこともあっていいのではないか、私はこういう考えを実は持つわけなんです。特に、時価発行というのが発行市場においても定着をしたというようなことがいわれるに至って、そしてそのことがようやく証券市場が資本の調達市場として確固たる地位を日本でも占めた、いわゆる間接金融から直接金融という形の証券市場の地位というのが、時価発行を通じて定着をしつつあるのだということになると、これからは非常に時価発行時価発行ということが――まだまだインフレが続きそうな気配というものは濃厚なんでありますから、そういう中では、時価発行ということはこれは非常に大きくなるだろう。そういうものが今度のような事件にも結びつくということになれば、私のところは流通市場のことでありますからということではもう済まない。だとするならば、取引所の法律も改正をして、そういうような何らかのコントロールが時価発行の問題について――問題がいま起きているのは、時価発行をめぐっての問題ですから、時価発行をやるためには価格操作というものがやられやすい誘惑というものは常につきまとっているわけですから、しかもそういうものが資本調達の常態化している、これは特別なことじゃなしに、そういうものが主流をなしてくるというような条件というものが醸成をされておる段階においては、やはりいままでの概念だけにとらわれないそういうものが必要ではないか。これは取引所、森永さんのところだけにそのことを期待するわけではないけれども、何らかのそういう制度というものを考えられないだろうかということなんですが、もう一度ひとつ森永さんと、それから証券局長に伺っておきたい。
○森永参考人 取引所といたしましては、先ほど冒頭にも申し上げましたように、時価発行に関連して特に取引所における価格の形成の公正化が望まれるわけでございまして、その意味での今後の売買管理を一そう厳重にしていくつもりでございますが、同時に、これまた先ほど申し上げましたように、発行会社におかれても、株価についての考え方を正しいものにお改めいただくことが必要であり、また証券会社におきましても、発行会社の株価が高ければ高いほどいいというような考え方に安易に妥協されないで、時価発行についての質的選別を一そう厳格にしていただきたいということを希望することにおきましては、決して人後に落ちるものではございませんが、その具体的な実行手段ということになりますと、やはり先ほど瀬川会長が言われましたように、引き受け会社の自主的な調整機能にまつべきである。その意味で、昨年来自主規制の強化が行なわれましたことをたいへん喜んでおる次第でございまして、しばらくその規制の実行状況を取引所としても見守ってまいりたい、さように考えております。
○坂野政府委員 証券市場、御承知のとおり自由な価格形成、自由な取引を前提とする市場であることは申し上げるまでもありませんが、そこで行なわれる競争は、言わずともがな、すべてルールを守ってやってもらわなければいけないわけであります。これは証券会社に限らず、投資家、発行会社みなそうであります。今回の事件が、事はともあれ、ルール違反であるという点は非常に重大であります。やはりルールをどうやって守っていくか、これはごく初歩の話でありますが、まずその一番基本に返って考えなければならない、そういう時点に現在は立ち至っていると思います。
 発行会社に対しましては、公認会計士制度、引き受け会社の制度あるいは取引所の上場廃止という制度、そういうことでいままで証券取引法のたてまえができておったわけでありますが、今回の事件にもかんがみ、これからはやはり開示制度をさらに検討していきたい。開示制度、すなわちディ
 スクロージャーの制度、これをさらに検討することによりまして、発行会社に対してもより法令を順守するようなそういう形というものを検討してみたいというふうに考えています。
  〔木村(武千代)委員長代理退席、大村委員長
    代理着席〕
○佐藤(観)委員 その次に、これはお答えが得られないかもしれませんけれども、東証が警告を発した五十七件のうちで、一体、時価発行をしようとしていたもの、警告後にしたもの、そういうところがどこがあるのか、あるいは幹事証券は一体どこだったのか、これは現在捜査の手が入っている段階でありますから、なかなか回答が得られないかもしれませんけれども、非常に事態は、支店長が三人、協同飼料の副社長がつかまっているというたいへん大きな事件であります。国民は、たいへん疑惑と申しますか、不安を持って見ているわけでありますので、この五十七件の警告のうちに、時価発行をしている会社がどこだったのか、あるいはその幹事証券はどこだったのか、もし差しさわりがなければ、ぜひとも国民の前に明らかにしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○森永参考人 いま手元にその資料を持ち合わせておりませんが、五十七件につきましては、取引所の注意、警告等によりまして、不公正な事態が解消されたことでもございますし、もし定款違反、業務規程違反等のことがございますれば、これは処置をいたしまして発表をいたすわけでございますが、事態の収束がついたものでございます。取引所の売審の主たる任務は、罰することが目的ではございませんで、不都合な事態が起こらないように防止するというのが目的なわけでございますので、すでにもう決着がついておさまっておる案件でもございますので、当該会社あるいは会員の信用の問題にも関連いたしますので、お答えは差し控えさしていただきたいと存じます。
○佐藤(観)委員 なぜ私があえてそういうことをお伺いをしたかと申しますと、株の安定化工作、これがきわめて現実の――東京証券取引所の中ではおそらく個々のケースとしては、五十七件の一応ここに四つに分類をされたケースとして事実上あらわれてくるのではないか。はたして株の安定工作というのは東証としてどういうように見ているのか。たとえば今度の協同飼料の事件なんかでも、副社長が言っているように、昨年五月ごろ変に株価が高くなり、乗っ取り防止のため、銀行、商社などに頼み、株の安定化工作を行なったと言っているわけでありますけれども、昨年の五月の段階では、安定化工作を必要としないくらい、自分のところの持ち株は七二・三%というたいへん高い水準にあったわけですね。
 ところが、この五月中の協同飼料の株価は、百十円台で小動きでしたけれども、その後従業員名義などで六月から九月までにおよそ二百五十万株の自社株の買い集めをやって銀行に持ち込んだ。これは副社長自身が言っていることであります。それから以後、六月から株価は急騰していって、百三十円から百五十円へこうやって東京地検がから売りを問題にしている七月後半から九月にかけて、わずか一カ月半ぐらいで二百四十円台まではね上がっているわけですね。その後時価発行の増資が行なわれた十一月にかけて株価はぴたりとまって二百二十円から二百三十円、こういうことになりますと、協同飼料及び関係をした日興、大和、野村、この三社によって、全く一般投資家というのも、この株価はちょうど手の中に玉をころがすように株価の値段というものは入ったんじゃないか。一体東証として株の安定化工作というのは具体的にどういうふうに見ているんだろうか。これはおそらくこういう形で全部ぽこっと出るのではなく、具体的にはおそらく五十七件の警告のような個々のケースとして現実にはあらわれてくると私は思うのです。そういう意味で、はたして株の安定化工作というのはどのくらいまで認められるのか。何かこれは法的な根拠があるものなんだろうか。その辺のところはいまどういうことになっているのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○森永参考人 協同飼料の場合には、私どもが調べた段階で問題にしましたのは、株価のくぎづけないしはつり上げみたいなことが意識的に計画的に行なわれておるというようなあとが見受けられましたので、注意してやめさせた。その場合の委託者等にも直接の会社関係者等が介入しておるやにも見受けられましたので、調査をずっといたしておったということでございます。が、安定株主工作が直ちに株価操縦ということにはならないと思います。株価操縦というからには、たとえば取引が繁盛であるかのように見せかける、あるいは株価の変動をもたらすような、そういう目的的な操作をやったということなんでございまして、会社の経営者が株主の安定をはかるために、いろいろな方に頼んで株を持っていただく、それによって需要が起こりますから、需要供給の原則で株価は上がるかもしれませんけれども、それだけの事実をもって不公正な取引というふうには即断しかねるわけでございまして、あくまでもその形態ないしはその裏に含まれておる意図みたいなものが問題になるわけでございます。
 なお、この安定株主工作がどの程度許されるものかという点でございますが、これは法律的には規定はございません。ただ、私どもの立場から申しますと、取引所に上場されるということは、売買がやはり相当繁盛である、需給が相当出ておりまして、それによって公正な価格が決定される、いわゆる浮動株式あるいは浮動株主について一定の要件を満たすことが必要なわけでございまして、その要件を満たさないような場合には、これは上場廃止ということになるわけでございます。その意味で、安定工作があまりにも度を越しまして浮動株数が激減してまいりますと、そういったような問題にも及んでくる。したがって私どもは、安定株主工作をほどほどにしていただきたいというような感じを持っております。
○佐藤(観)委員 非常にむずかしい問題でありますけれども、その場合、これは会社の内容によって違うと思うのでありますけれども、ほどほどというのは、一体何らか数字的なそういう一応の目安があるものなんだろうか、どうなんだろうか。そういうようなところは、少なくとも頭の中に一応このくらいの目安のことならというものが何かあるのでしょうか。
○森永参考人 取引所できめております浮動株式数は八十万株ですね。その八十万株の浮動株式がもうなくなるような安定株主工作をされたら、これは上場廃止ということでございますが、なかなかそういう極端な例もそんなにはございません。やはりそれ以外に、安定株主工作は一体どの程度が適正かということになりますと、これはちょっときまったものさしはないと思います。
 ただ一つだけ、これは私見でございますが、申し上げますと、金融機関とか事業法人に持ってもらえば、これは安定株主だということで非常に御安心になっているようですけれども、ほんとうの安定株主というのは、各個人の株主あるいは機関投資家でもいいですが、この会社は絶対経営がだいじょうぶだということで長く持ってくれる、そういう株主こそほんとうは安定株主だと思うわけでございまして、事業法人が持っているからといって、一たび金詰まりになりますと、ごそっと売られることもあるわけでございます。ほんとうの安定株主はむしろ個人の、その会社を信頼してくれる長期健全投資家であるというふうに私は考えます。
○佐藤(観)委員 たいへん残念だけれども、時間がだいぶ迫ってきてしまったものですから、もう一、二点だけお伺いしたいのでありますけれども、先ほどから論議がありましたように、いかにも時価発行額が多過ぎるのではないか。一昨年ですが、四十六年のプレミアムだけで九百三十五億だといわれているわけでありますけれども、昨年のプレミアムの合計が六千七百三十一億円といわれているわけですね。これはもうすごい倍率になって、あまりにもこの時価発行自体が多過ぎるのではないか。これは先ほど瀬川会長のほうからお話がありました。私もこれはもう少しお伺いをしたいのでありますが、時間がありませんので、この点だけ一つ申し上げて、その次に今度の件で、これは司直の手で落着はしてないわけでありますけれども、東証として何らかの処分をする考えがあるのかどうか。それから森永理事長自身のいろいろな意味での責任は、いま理事長の心の中では、これは決着がつかないとなかなかむずかしい問題でありますけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。これは制度の問題もあり、また法律の問題もあり、これはお互いに国会で論議をしていかなければいけないことだと思いますが、どういうふうに感じていられるかをお伺いしたいと思います。
○森永参考人 捜査の結果を待たなければ何とも申し上げられませんが、こういう事件が起こったことについては、はなはだ遺憾に思っておるということは、冒頭にも申し上げたとおりでございます。
 それについての私の責任は、今後一そう売買管理を厳密、適正化しこのような事件が起こらないように努力するということが私の責任だと思っております。
 なお、関係会社等についての処置をどうするかという問題がございますが、これにつきましては、捜査の完了を待ちまして、その結果によって判断をいたしたいと存じます。この席で軽々に申し上げるべきでないと存じます。
○佐藤(観)委員 それから、先ほど堀委員との間に論議をされたことでありますけれども、私はどうも納得がいかないのは、アンダーライター、つまり引き受け業務と、いわゆる一般投資家が委託をするブローカー業務、これは時価発行なんかをする場合に、きわめて利害が反するものではないか。つまり、アンダーライターとしては、その発行する会社に、なるべく高く資本を譲らなければいけない仕事があると思います。また会社としても、なるべく高く売ったほうがもうけが多くなるわけでありますから、その意味では、アンダーライターの業務としての証券会社は、なるべく時価発行を高くしたい。さりとて一方、一般投資家の目から見れば、なるべくこれは安いほうにしてもらいたい。ブローカーの側からいけば、なるべくこれは安いほうにしてもらいたい。そこに一般投資家と証券会社との利害の相反することがこの証取法の中に私は入っておると思うのです。これは先ほど堀委員から御指摘のありました、三十八年に証取法を改正したときに――本来は四つの業務でありますけれども、これは話を簡単にするために二つにいたしますけれども、相反する二重人格の仕事が入っておるのじゃないか。まあ先ほど瀬川会長は、利害の相反性だということをつかれて、決してこれは相反するものでないというふうに言われたわけでありますけれども、どうもここが、時価発行の価格をきめるときには、証券会社の利益と一般投資家の利益というものが相反するところにある。これがうまいところに落ちつけばいいですけれども、こんな問題が起こらないと思うのでありますが、現実に起きた中で、どうも基本的にはここに大きな問題があるのじゃないかという気がするわけでありますけれども、この点、瀬川会長から御意見を承りたい。
○瀬川参考人 その点は、先ほど実はるる御説明申し上げたつもりでおりますが、簡単に繰り返しますと、アンダーライターの一番大きな機能は、投資家にも片寄らず、発行会社にも片寄らず、中間的な、最も公正な価格をきめるというところにあるということであります。それからアンダーライターの大きな機能というものは、やはりブローカー業務の大きな配給力を基礎にいたしまして、機関投資家は申すに及ばず、国民大衆に広く株式を分布して、そこでこの株主の層を厚くする、そうして価格の形成を厚くする、権威ある価格の形成に資するというところに、私は兼営論を申し上げたわけであります。単独の会社の場合には、これは日本にありませんが、かりにありとすれば、アメリカの場合でありますが、その場合には、えてしてこの発行会社に片寄り過ぎるということと、それから株式が機関投資家に入って、一般的にディストリビュートされない、こういう大きな問題がありまして、われわれは、一般投資家と発行会社の中間に立って最もフェアな発行価格を裁定するというところにあるわけであります。
○佐藤(観)委員 いまお話のあったように、アンダーライター業務が、投資家にも片寄らず、発行会社にも片寄らずということでやってもらえば――片寄らずというのは、非常にむずかしいことだと思いますけれども、やってもらえば、私は実はこういう事件も起こらなかったのじゃないかということを非常に感じるわけであります。
 たいへん残念でありますが、時間が来てしまったのでやめますけれども、ただ私は、この事件をずっと調べていって、これは議員の方々あるいは大蔵省の方々も含めて聞いていただきたいことでありますけれども、ここに森永理事長がいらして非常に言いにくいことでありますけれども、どうも証券界をずっと調べてみますと、大蔵省のOBの方々がたいへん多いわけでありますね。これは人事院に一切関係がない民間の会社でありますから、別にどうこうということもないわけでありますが、やはりよくいわれる癒着の問題なんかいわれますと、たとえば取引所の問題、証券業協会の問題ですね、証券業協会の役員の方々、あるいは投資信託協会、日証金、日本資本市場振興財団あるいは証券経済研究所、こういったところのおもだったところに大蔵省のOBの方々が非常に多い。その意味では、坂野局長としても、たいへん法的な問題もありますけれども、なかなか監督がやりにくいところがあるのではないかということをつくづく感ずるわけであります。これはあくまでも民間の会社でありますから、法的にどうのこうのということは言えることではありませんけれども、つくづく感じたという感想をちょっと申し述べまして、私の質問を終わりたいと思います。
○大村委員長代理 諫山博君。
○諫山委員 共産党・革新共同は、このたびの協同飼料にからむ不正事件をきわめて重大だと考えております。これは大企業の意識的な価格操作によって大衆投資家が被害を受けた事件だからであります。そして私たちは、偶然に起こったのではなくて、起こるべくして起こった事件ではないか、また、一般にいわれているように氷山の一角、同じような事件はたくさんあるが、たまたまこれが表面化した事件だというふうに理解せざるを得ないと思っています。
 そこで、協同飼料の事件の内容でありますが、私たちは検察庁の捜査結果を新聞で知る以外に、いまのところ、知る手がかりはありません。しかし、証券取引所などでは、当然独自の調査をしているはずだと思います。なぜなら、これを捜査当局にまかしてしまうというのであれば、起訴されて判決が出るまでに数年もかかるというのが常識でありますから、それを待って対策を立てたのでは対策になりません。
 そこで、森永さんにお伺いしたいのですが、証券取引所としてはどういう調査をされ、どういう事実を認識されているのかお聞きしたいと思います。
○森永参考人 協同飼料株式会社におきましては、七月でございましたか、増資についての取締役会の決議がございまして、私ども売審では、そういう増資の決議であるとか、あるいは公開の問題であるとか、いろいろな情報が入ってまいりますたびに、その銘柄についての調査をいたしておるわけでございますが、協同飼料につきましても、七月ごろから状態を調べておったのでございます。しかるところ、八、九月ころまでの状態では、特別にある会員が大きく関与しておるとか、あるいはその値動きがほかの株価の動向に比べておかしいとか、そういうことは見受けられなかったのでございます。しかるところ、この協同飼料の場合の公募価格の算定期間が十月の十一日から始まったのでございますが、その後の動きを見ておりますと、特定の会員の売買によって価格が一定値段に維持せられておる疑いが見受けられましたので、十月の二十七日に、売買の顕著でございました両幹事会社に対し、株価形成面について売買審査室長から注意をいたしたわけでございます、
 注意の内容は、価格の維持的な傾向が見受けられること、それから委託者と思われる向きが横浜地区に偏在しておるやに見受けられること、さらにもう一つは、公募価格算定期間中であること、その三点をあげまして、こういうことは困るというので両社の責任者に注意をいたしたわけでございます。
 その後さらに委託者等の背景を調査をいたすべきところでございましたが、たまたま大蔵省において証券会社の検査を実行せられる、当然いまの問題もその中に含まれるということでございましたので、私ども独自の調査はその辺で打ち切りまして、事態の推移を待っておったというのが実情でございます。
○諫山委員 検察庁の捜査結果として新聞が報道しているところでは、この事件は協同飼料側の働きかけによって起こったということになっております。また、きのうの毎日新聞などでは、この一連の事件によって協同飼料は六億二千五百万円利益を得ている、三大証券会社が三千万円利益を得ている、そして損をしたのは一般投資家だというふうにいわれておりますが、あなたたちの調査結果も同様でしょうか。
○森永参考人 先ほど私どもの調査の経緯を申し上げたのでございますが、私どもは直接発行会社に対して調査する権限もございませんし、また証券会社に対する検査の権限もございませんので、先ほど申し上げましたような段階で調査を打ち切っております。その後の会社の側の意向がどうであったとか、三大証券がどうであったかとかいうようなことは、私どもの調査の範囲外でございますので、お答えすることができませんことを御了承いただきたいと存じます。
 ただ、六億何がしの問題でございますが、これは、いわば時価発行によって会社に入った金額そのままが引用されておるのだろうと思いますが、これは会社の公金になっておるわけでございまして、会社がそれをどう使うかという問題だと存じますので、その点だけ、気がつきましたので申し上げておきたいと思います。
○諫山委員 この問題は、日本証券業協会の瀬川参考人もいまの程度しか認識していないのでしょうか。
○瀬川参考人 いまの理事長のお話の中で、また御質問の中で、会社が六億何千万の利益を得たという感覚で新聞記事が取り扱われておるようでありますが、これは会社の利益ではございません。会社の資本準備金に入る資本でありまして、将来株主に還元すべき性格を持ったもので、これは利益勘定に入るわけではございません。
 また、けさの新聞に、東京瓦斯の増資で、非常に成績のいい上に、時価発行で何十億かの利益がさらにふえるというような書き方をしておりましたが、これは全く会計学を知らぬ記者が書いたのだろうと思います。これは会社の利益準備金、資本勘定として入って、将来株主に還元すべき、株主からの預かり金ということでありまして、会社の利益ではございません。
○諫山委員 この協同飼料事件で何名くらいの人が被害を受け、その被害金額はどのくらいかということはおわかりでしょうか。
○瀬川参考人 実は詳しくそういうことは調べておりませんが、ただ九〇%が親引けで、会社関係がそれぞれ金融機関とか事業会社にお分けになって、一〇%が公募された。その公募がどういうところへ入って、どういう段階で売られたか、あるいはいまだ持たれているか、そういうことは私どものところでわかるはずがございませんので、ばくとして、御損をかけた個人の株主もあるだろうということはわかりますが、せめて九割が会社関係者に親引けされたということは、幾らかなぐさめ得るのです。これが全額市場に公募されて、市場を通じて売られておりましたなれば、われわれは非常にがく然とするわけでありますが、不幸中の幸いといいますか、九割は会社関係に親引けされておられるわけであります。
○諫山委員 この問題は検察庁の捜査を待って対策を立てるとか、裁判所の判決を見て対策を立てるというのではおそ過ぎると思います、結論が出るまでに数年かかるわけですから。ですから、独自に調査してすみやかな対策を立てることが必要だと思いますが、さっきから、五十七件について調査したという話が出ておりますが、この中には協同飼料の問題は含まれてないと聞いていますが、そうでしょうか。
○森永参考人 五十七件は、法令違反、定款違反、業務規程違反等の事実がないとして、証券会社に対する警告、注意にとどめて、かつ事態をそれによって解消した件数が五十七件でございまして、協同飼料の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、調査の途中で大蔵省の検査もあることでございますし、私どものほうとしては独自の調査を打ち切り、検査の結果等の判明を待っておったということでございます。したがいまして、五十七件の中には入っておりませんです。
○諫山委員 この問題を一番最初に発見したのは森永さんのほうでしょうか、それとも大蔵省のほうですか。
○森永参考人 先ほど申し上げましたように、この公募価格算定期間中の株価をフォローしておりました間に、ちょっとおかしなところがある、株価維持的な操作が入っているのじゃないかということで、売買審査室が初めに発見したというのが経過でございます。
○諫山委員 さっきも、五十七件について適切な対策がとられなかったのじゃないかということが指摘されたわけですが、五十七件もの不公正な取引が発見されるというのは、昨年だけの特別な現象ですか。その前の年も、あるいはその前の年も、同じような数が出ておりますか。
○森永参考人 一昨年あるいは一昨々年にどのくらい注意をした件数がございましたか、いま的確にはここで覚えておりませんが、おそらくはそんなに変わりのない数字であったのではないかと思います。
○諫山委員 そういう数字が例年発見できているとすれば、もっと適切な指導、適切な対策がとられたはずだと思います。ただきょうの二人の参考人の話を聞いておりますと、結局業界の自覚にまつほかはないということが繰り返されているように思います。だとすれば、この種の問題の対策は、文部省とか宗教家なんかにお願いして、政治家は関与する必要はないわけです。われわれが考えなければならないのは、この種の問題には利害がからんでおりますから、とかく不正が起こりがちだ、そういう前提で、そういう不正が起こらないような機構をつくっていくということが大切だと思います。業者の自覚にまつ以外にないというのでは、対策は立てないのと同じだと思います。
 そこで、協同飼料の事件をめぐって、どの点を反省し、どの点を改めようとしておられるのか。自覚論は別にして、機構とか具体的な処理について御説明願いたいと思います。
○森永参考人 私は、決して証券会社あるいは会員の自覚にまつほかはないと申し上げているのではございませんで、取引所としても今後一そう売買管理を適正、厳密化していくということを申し上げて、それについては証券会社においても御協力をいただきたい、一体となってこういう事件が起こらぬように御協力をいただきたいと申し上げておるわけでございまして、その辺、もし誤解しておられるとすれば、誤解を正しておきたいと存じます。
 それではどういうことをするかということですが、先ほども申し上げましたように、現在、売買審査室は、女子を含めて二十一人でございますが、その中で十何人かの者が実際の調査に当たっておるわけでございますが、まず第一にその方面の陣容を強化する必要があろうかと思っております。さらにはまた、市場部でもこの取引の現場でのチェックをいたしておりますが、そちらとの関係、十分連絡をとって密にやっておるつもりでございますけれども、もっとその面を緊密に連携せしめることを考えなければならぬのではないか。さらにはまた、取引所が擁しております考査関係の職員二十数人ございますが、それらの者はいま定期的な考査事務に従事しておりますが、今後は機動的に売買管理のほうにこれを使っていくようなことも考えなければならぬのじゃないか。いろんなことをやりまして売買管理を一そう適正、厳密に実行をしてまいりたい。これは取引所みずからがやらなければならぬことでございます。
○諫山委員 アンターライターとブローカーの醜い癒着というのがずいぶんこの席でも問題になりました。そして新聞でも非常に取り上げられております。新聞の報道を見ますと、「大蔵省が適正化第一弾」「引受け業務、近く分離」というような報道もしておるようですが、大蔵省としてはこの問題をどう考えておられるのか、御説明願いたいと思うのでございます。
○坂野政府委員 免許制施行当時からの問題点の一つでありまして、当時証券界の体質も非常に弱かったために、本格的にこういった問題に取り組む時期ではなかったと思います。昨年の証取審議会におきまして初めて公式の席で真剣な議論が行なわれました。一つの問題として取り上げられたわけであります。ただいまのところは、先ほど連合会会長のお話にもありましたけれども、これを兼務していることの弊害を各社において除去する、そういう努力をしてみたいというような御要望がありますので、ひとまず大蔵省はその成果を見守りたい。それが成果があがらないようであるならば、第二、第三の方法を考えていくというような態度で臨みたいというふうに考えております。
○諫山委員 アンダーライターとブローカーを分離すべきだという主張がいろいろされたのですが、その点は大蔵省は賛成でしょうか。それとも意味がないと思われますか。
○坂野政府委員 問題は、兼務していることによる弊害があるかないかという問題であります。弊害があるならば、それを除去しなけれ、ばいけない。いま弊害ありというようなことが一部いわれております。こういう点について、大蔵省も、その弊害ありとするならば、それをどうやって除去するかというところが問題であります。したがって、本来分離すべきものであるというふうには、ただいまのところ考えておりません。ただ、弊害は除去しなければいけない、そうして分離しなければ弊害が除去できないということであるならば、そういうことも考えなければならない時期がくるかと思います。
○諫山委員 弊害があるなら除去しなければならないというのは当然のことです。大蔵省としては、すでに弊害ありとして分離する方向を進めているのではないのですか、新聞ではそう報道されておるようですが。
○坂野政府委員 これは極端な話でありますが、分離しただけで弊害が全部なくなるというわけでもないわけであります。問題は、やはり弊害をなくするということが先決である。分離というのはその一つの方法である。したがって、頭からまず分離すべきだということをきめてかかっているわけではありません。あくまでも弊害を除去する、除去するためにはどうしたらよいかという考え方をいたしております。
○諫山委員 私も、新聞で報道されている程度の分離のしかたではなかなか弊害は除去されないだろうと思います。もっと抜本的な対策を講じなければならないと思うのですが、しかし、いまの大蔵省の説明を聞きますと、そういう不十分な対策さえまだ具体的に講じようとしてないように思われるのですが、そう聞いていいですか。
○坂野政府委員 弊害を除去する方策につきましては、本協同飼料の事件が生じます前から実は作業にかかっておりまして、もうおそらくは一カ月くらいの間にすべてそういった対策ができ上がるというふうに考えております。したがいまして、これはもう現に進めておる作業の問題でありまして、成果がどの程度あがるかということも十分監視してまいりたい。そうして第一の方法で成果があがらない、あるいはなお問題を生ずるおそれがあるというようなことでありますれば、さらに第二、第三の弊害除去の方法を考えていかなければならないというふうに考えております。
○諫山委員 自由な取引とか自由な市場というようなことばが使われておりますが、そういうことばを一つの口実にして、当然なすべき指導が放棄されているのじゃないかという感じがします。大蔵省としては第二、第三の弊害を除去するための措置というようなことも言われておりますが、具体的にどうしようとしておられるのでしょうか。弊害を除去しようと思っておりますというのでは、説明にならないと思いますから……。
○坂野政府委員 弊害がどういう形であらわれてくるかということによって対策も立てるわけでありますから、いまから第二、第三の方策についてこういう方法、こういう方法ということを具体的に申し上げるという段階ではないと思いますけれども、私どもの行政をいたします一番の立場としては、やはり法律によって行政をいたしておるわけでありますから、証券取引法の基本についてさらに検討していく必要がある、そういうふうに考えております。
○諫山委員 どういう弊害が出るかを見てと言われておりますが、証券取引所のほうの説明では、昨年だけでも五十七件注意した、一昨年も一昨々年も大体同じような件数だ、しかもそれは不公正な取引、定款に違反するような取引ということを認めておられます。そしていま世間がこれだけ騒いでいる協同飼料の事件まで起こっているわけです。それでもなおかつ、どういう弊害が出てくるかを見て対策を講ずるというようななまぬるい措置しか考えていないのでしょうか。これでは指導の放棄といわざるを得ないと思います。
○森永参考人 私の答弁を引用されておりますので、申し上げたいのでございますが、五十七件につきましては、法令違反、定款違反、業務規程違反等の事例とは断じ得なかった、したがって注意、警告等によって事態の終息をはかったということでございます。法令違反、定款違反、業務規程違反等が明らかになった事案につきましては、別に営業停止あるいは過怠金等の措置を講じておりますことを御了解いただきたいと存じます。
○坂野政府委員 弊害の様子を見てというのは、第二、第三の段階の話でありまして、ただいまのところやっております作業といたしましては、すでに去年以来問題にされておりますところの、アンダーライターとして得た情報を一般にはディスクローズしないでブローカー業務に用いているのではないかという問題でありますので、アンダーライターとして知り得た情報をそういったインサイダーの取引に使うという弊害を除去する方法は、すでにいま検討中でありまして、近くそれの実施はいたします。それでもなおかつ弊害が生じました場合には、どういう弊害が生ずるか見た上で第二、第三の方法を考えたい、こう申し上げておるわけであります。目下のところどんな弊害があるかを見てという意味ではございません。
○諫山委員 大蔵省としては、いままで業界に自粛を要請するというようなことは何回かされているようです。要するに、もっとまじめにやりなさい、まじめに注意しなさい、自覚をしなさいというようなことではないかと思います。これでは、私が初めに言いましたように、政治家としての解決にはならないと思うのです。やはりこれだけの問題が起こり、これだけの騒ぎになっているわけですから、制度上どうするのか、どこを改めればこういう不正が予防できるのかというようなことをもっと積極的に指導する必要があるのではないかと思うわけです。
 さらに、この問題をめぐって、証券業界の政治献金というのが衆議院の予算委員会でも取り上げられたようです。そしてそれについて森永参考人は、それは自分の関知しない団体のことだからということで説明を避けておられます。瀬川参考人のほうはその団体と関係があられるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○瀬川参考人 ただいまの御質問にお答えする前に、このアンダーライターとブローカーと、いろいろと今度の問題を契機にしてどういうことをやっておるか。何もやってないじゃないかという……
○諫山委員 その問題はけっこうです。
○瀬川参考人 証券業界の姿勢は、先ほど十分お聞きいただいただろうと思います。
 いまの御質問の問題でありますが、たまたまこの前の予算委員会で出ました質問に対しての繰り返しと申しますか、クリアな点を御要求になっているのかと思うのでありますが、本来この正会員協会と申しますのは、私も三年ほど会長をやりましたのでおおむね存じておりますが、八十三社の取引員がお互いに共同で――ちょっと定款を読み上げますと、「本協会は、協会員相互の親睦をはかり、併せてその業務の発展と信用の向上に資することを目的とする。」「前項の目的を達成するために次に掲げる事業を行なう。協会員相互の親睦をはかり、その事業上の連絡提携を密にするため適当な施設の提供を行なうこと。協会員の信用の維持向上をはかるため協会員に対する融資または担保の提供を行なうこと。」それからいろいろございますが、その中に政治献金に関係する項目は「関連機関への出資または融資、ならびに寄金を行なうこと。」そういうことでございまして、この「関連団体への出資または融資、」と、ここで切れまして、「ならびに寄金を行なう」、その寄付の範囲というものは、私どもは、単に政治資金のみならず、広く社会事業、公共事業あるいは慈善事業、教育事業、そういう面に寄付を行なっておるのでありまして、たとえば学校の建設とか、あるいは社会事業とか、あるいは国際交流資金とか、多面にわたって、実は証券界八十三社がお互いに資金を集めまして、そこで一本で証券業界としてやっているという団体でございまして、したがって、政治資金というものはほんのスライトなパーセンテージにすぎないのでありまして、一般に出ているわけであります。その中でも、相互扶助の基金と申しますか、これは昭和四十年に証券界が御承知のような恐慌状態におちいりましたときに、私どもは非常な国家の援助によって立ち直ったわけでございます。しかし、そういう際におきましても、新しい免許制が施行されるのと関連いたしまして相当証券業界の転廃業があったわけでございます。そのときに、東京、大阪、名古屋と、各地で全国の証券業者に対してこの正会員協会から見舞い金を差し上げておる。つまり、自分らの責任と自分らの力において企業整備をやったという業界でございまして、昭和二十四年当時千幾つありました証券……
○諫山委員 そういう詳しい説明は私必要としません。
○瀬川参考人 そういうことでございまして、われわれは政治の安定を願い、社会の安定を願うためにやっておる協会でございます。
○諫山委員 私が聞きたいのは、昭和四十六年度に政党あるいは政治団体にどのくらい協会として政治献金をしたのか、金額を知りたいのです。
○瀬川参考人 私、現在会長をやっておりませんので、数字をちょっと持っておりません。
○諫山委員 概略でけっこうです。およそどのくらいということで……。調査している間に質問を続けます。
 どういう政党に、あるいはどういう政党に所属する派閥に政治献金をしておりますか。
○瀬川参考人 われわれは、単に一政党に限らず、われわれと方針なり世界観なり、われわれの自由主義に御賛成になるところには広く拠金をしておるつもりでございます。
○諫山委員 具体的な名称であげていただきたいと思います。
○瀬川参考人 具体的な名称はいま私の頭にございませんが、これは届け出で判明することでございますから、そのほうをお調べ願いたいと思います。全部届け出をいたしております。
○諫山委員 政党の名前は言えませんか。
○瀬川参考人 一々記憶をいたしておりませんが、私どもは特にどの政党どの政党と限らずやっておりますからして、申し上げられませんが、それも届け出を全部済ましておるものでございますから、届け出でひとつ御検討願いたいと思います。
○諫山委員 私は大蔵省の指導監督がきわめて不十分で手ぬるいということを質問して、その関連で政治献金のことを聞いているのですが、何のために政治献金するのですか。
○瀬川参考人 われわれは何のために政治献金をするかと申しますと、政治資金規正法に基づいて、社会的慣行に基づきまして、政治的安定を願うことはわれわれ国民の一人として非常に切なるものがあります、そういう立場から献金をいたしております。
 それから、ちょっと数字が一つわかりましたから御参考までに申し上げておきますと、昭和四十六年十月から四十七年九月、収入二十一億円のうち千三百万、〇・五九%という数字が出ております。
○諫山委員 千三百万円がいわゆる政治献金の額ですか。
○瀬川参考人 そうでございます。
○諫山委員 そうしたら、政治献金をした相手方をついでに読み上げてください。
○瀬川参考人 いま手元にその内容はございませんが、自治省に届け出をいたしておりますから、ごらんいただきたいと思います。
○諫山委員 志を同じくする人たちに政治献金をするのだと言われましたが、それはどういう人たち、あるいはどういう政党の人たちですか。
○瀬川参考人 たいへんむずかしい問題で、私の貧弱な頭ではお答えできぬかもしれませんが、私どもは資本主義の存続を前提として存立する仕事でございます。そういう意味で、私たちは同じ資本主義の傘下に立つ政党ということでございます。(「自由主義を守ろう」と呼ぶ者あり)
○諫山委員 いま、自由主義を守ろうという声がうしろのほうで聞こえましたが、私は、こういう状態が続いておる限り、証券界の問題というものはなくならないと思います。いろいろ説明もされましたし、大蔵省からの話もありました。しかし、そこでいわれていることは、要するに、だれそれの自覚にまつとか、あるいは努力を期待するとか、そういう精神主義的なことであって、機構的にこういう問題が起こらないためにどうするのか、どうしたのかという説明はほとんどなかったようです。
 そういう意味では、この問題をもっと深刻に考えていただいて、やはりこういう問題が絶対に起こらないというような組織的な政治的な手を打つ、そのためには、政治献金というようなことはきわめて不明朗ですから、この種の問題ももっと深刻に考えて、対策を講じていただくということを希望して、私の質問を終わります。
○大村委員長代理 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 森永参考人及び瀬川参考人には、御多用のところ御出席の上、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、来たる十三日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時七分散会