第071回国会 社会労働委員会 第47号
昭和四十八年九月十八日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 田川 誠一君
   理事 塩谷 一夫君 理事 竹内 黎一君
   理事 橋本龍太郎君 理事 山下 徳夫君
   理事 川俣健二郎君 理事 八木 一男君
   理事 寺前  巖君
      粕谷  茂君    瓦   力君
      小林 正巳君    志賀  節君
      住  栄作君    田中  覚君
      高橋 千寿君    戸井田三郎君
      登坂重次郎君    中村 拓道君
      羽生田 進君    増岡 博之君
      金子 みつ君    田邊  誠君
      多賀谷真稔君    藤田 高敏君
      村山 富市君    石母田 達君
      田中美智子君    新井 彬之君
      大橋 敏雄君    坂口  力君
      小宮 武喜君    和田 耕作君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 奧野 誠亮君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
 出席政府委員
        総理府人事局長 皆川 迪夫君
        文部省初等中等
        教育局長    岩間英太郎君
        労働大臣官房長 北川 俊夫君
        労働省労政局長 道正 邦彦君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
        労働省職業安定
        局長      遠藤 政夫君
 委員外の出席者
        法務省人権擁護
        局調査課長   加藤 泰也君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十八日
 辞任         補欠選任
  枝村 要作君     藤田 高敏君
  坂口  力君     新井 彬之君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 高敏君     枝村 要作君
  新井 彬之君     坂口  力君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
○田川委員長 これより会議を開きます。
 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出があります。順次これを許します。田邊誠君。
○田邊委員 公制審は長年の懸案でありましたいわゆる労働基本権の問題に対する答申をいたしまして、今後の日本の公務員労働者あるいは公共企業体労働者の労働基本権の問題についての一つのステップが踏み出されたわけでありますが、これは、公制審の答申を求める際は担当大臣は総務長官でありましたけれども、今後労働基本権の問題を政府が取り扱うについて、一体どなたがこの責任者になってこの問題を取り扱うのか。せんだっての総評との会合の際は主として労働大臣が当たられたようでありまするけれども、公制審の答申を求める際は、総務長官の担当だということで主として当たられてきた。これは今後は一体どなたが窓口で、政府の意見を統一されて、これに対する施策に当たられるのか。労働大臣、あなた御存じであったならば、ひとつお知らせください。
○加藤国務大臣 公制審の問題は総務長官坪川君のほうが担当いたしております。今後どこを窓口にするかという問題はいろいろ論議されておりますが、まだ最終的なことは決定いたしておりませんけれども、どこかの話では労働大臣だということも話があったそうでありますが、労働大臣のほうは三公社五現業の関係でありますので、全般の公務員のスト権の問題その他いろいろな基本権の問題については、全体を掌握するところからいけば、まあ常識的に考えますと、やはり総務長官の坪川君のところでこれを担当するのが順当のこと――正式に今後、公制審の答申が出ましたあとのことについては、まだ最終的な公的な決定はいたしておりませんが、当然そうなるのではなかろうかという想像の域であります。
○田邊委員 それは早急にひとつ決定してもらいたいと思うのです。これはこれからわれわれが当然、いわゆる国政の場でもってきめてもらわなければならないことであるという、いわばこういう前提がついておるわけですから、したがって、われわれが国会でこれを論じ、あるいはまたいずれ法制化の道が出てまいるわけですが、この立法政策が問題であるという公制審の意向に従ってわれわれが論議する際の政府側の責任者が明確でなければ、これは論議の的がしぼれないわけです。そういった点で、これはこれからまた時間があれば質問いたすつもりでおるのですけれども、一体どなたに聞いたらいいかということがはっきりしなければ、これは困るわけです。あなたが責任を持ってお答えをいただけますか。
○加藤国務大臣 現在やはり坪川総務長官のほうで答弁するのが当然と思いますし、現在検討いたしておりますが、それまでは坪川総務長官が責任をもって答弁する、いまのところではそうなっております。
○田邊委員 この間は山下官房副長官と労働大臣が総評との協議の中では出ておるわけですね。ですから、この点はわれわれも混乱をしてはいけませんから、なるべく早い機会に明確にしてもらいたい。当面は、総務長官がその答申を求める際の責任者であったわけですから、総務長官が当たるであろう、こういうふうにわれわれは解釈しておっていいわけですか。
○加藤国務大臣 そのとおりであります。せんだっての総評との関係は、官房長官二階堂氏に面会を求めましたが、二階堂さんの都合が悪かったから山下さんがこれに当たり、私はオブザーバー的に出席した。これはそういうのもよく存じておりまして、そういうような方向で会談いたしましたが、大体総務長官が当たると思いますけれども、可及的になるべく早く正式な決定をいたしたいと思います。
○田邊委員 そういうことを一応確認をいたしておきまして、また今後の論議にわれわれ参画さしてもらいたいと思っております。
 そこで、いま公制審の担当大臣は総務長官であることが――この前の質問でもおわかりのとおり、われわれしばしば総務長官に対して労働基本権の問題については一体いかなる見解であるかということを問いただしてまいったのでありますが、たしかこれは八月三十一日でしたかの当委員会においても質問いたしたのですが、当時公制審がいよいよ答申を出す最終段階である。そしてこの労働基本権に対する政府の見解はどうか、基本的な考え方はどうかということを問い詰めたのでありますが、いずれにいたしましても公制審の答申が出ましてから政府はこれに対処いたしたい、したがって、これを尊重する立場をとっておる政府としては、諮問をしておる現段階において、これに対してとやかく言えないというように坪川さんは再三にわたって繰り返されたのであります。これは私は実は、担当大臣としてはいかがか、政府の基本的な態度があるべきだということを言っておったのでありますが、しかし、いずれにいたしましてもそういうことであった。労働大臣も同じような答弁をいたしておった。
 ところが八月三十日に、新聞等で拝見をいたしますと、いま私が申し上げたような形でもって、この公制審問題については担当大臣ですらもいわば慎重な態度をとり、さらに、九月三日の公制審答申を待つ段階の中でもってとやかくの発言はできないと言っておるさなかに、担当大臣でない奧野文部大臣が発言されたことを新聞等で私は拝見をして、実はあ然としたのであります。この文部大臣のことばの中にもあ然としたということばがありますけれども、私はそれ以上にあ然としたのであります。しかも、この中には重大なことばが幾つかしるされております。私は、社労委員会でありますから、まずいま私が申し上げたことに関連をいたしますならば、この公制審の答申が出される寸前において、政府はそれを尊重する立場からも、この公制審の答申に対していわば圧力のかかるような、あるいはまたそれに対して間違ったような見解を示すべきではないという総務長官の慎重な発言が繰り返されている中で、奧野文部大臣は、労働基本権の問題、スト権の問題に対して実は特別な発言をいたしておるのであります。文部大臣、あなたは御記憶でございましょう。どういう発言をあなたはされたのですか。
○奧野国務大臣 三十日の都道府県の教育委員長と教育長の協議会の席上でのことだと思います。私は、実定法上は公務員の争議権は禁止されているので、争議を行なうことは不適当だということを強調いたしまして、もう一つ将来の立法政策の問題があるわけでございますが、二十七日に公制審の公益側の素案なるものが発表されておって、新聞がそれを大きく伝えておったわけであります。その発表されているところによると、非現業の公務員にはスト権を与えないような方向になっているように私には受け取れる、こういう発言をいたしました。
○田邊委員 いわゆる公益側の素案が答申の中ではそのままそっくり採用されて、それで答申が出された、こういうようにあなたはお考えですか。
○奧野国務大臣 そのようには考えておりません。
○田邊委員 ですから重大なんですよ。しかも、あなたはそれだけ言っているのじゃないでしょう。近く結論が出される公制審においても教員などについては認めないようだと聞いているという発言をされておりますね。いまの前段のあなたの発言ですらも重大な問題だ。いわば政府は、公制審に対して圧力をかけてはならぬと盛んに実は言っておった。したがって、公益側の素案であれ、あるいは前田試案であれ、いずれにいたしましても、いわば流動的な情勢の中で、これが結論に対してどういうような引き金的な役割りを果たすかということについて、実は非常に注目されている段階である。しかも前段で言ったことばでおわかりのとおり、公制審の答申に対して慎重な配慮をしておる担当閣僚があるにもかかわらず、直接の担当者でないあなたがそれに対してとやかく言うことがどのくらいの影響を及ぼすか。しかも、公制審においてもおそらく教員に対してはスト権を認めないような方向が出るだろう、こういうことを一部の新聞が報道しておる。あるいはこの報道も正確かどうか私はわかりませんけれども、これは新聞に報道されている限りにおいては、国民はそういうふうに受け取っておる。あなたのことばの前段と後段がつながっておる限りにおいて、あなたが発言したことは重大な圧力を公制審にも与え、国民も政府の態度というものは一体どういうものであるか、いかなる答申が出ようと、公務員のストライキについては認めない、こういう発言であるというように受け取ったのは、これはいなめない事実でしょう。そうじゃありませんか。
○奧野国務大臣 私が、公制審の答申がこうなるだろうというような、予測的な発言をしたことは一切ございません。(田邊委員「どういう発言をしている」と呼ぶ)いまも申し上げたように、公益側の素案が発表されて、それを見ると、教員にスト権を与えるという方向ではないように私には受け取れる、こういう申したわけでございます。私は、ストライキの問題につきまして、実定法の解釈論と立法政策論といささか混同されているきらいがあるのじゃないだろうかということを常日ごろ憂慮しておる一人でございます。実定法は明らかにストを禁止している。立法政策論としてはいろいろな意見がごいます。やはり二つ振り分けてものを考えていかないと混乱が起こるのじゃないだろうか、こういう判断もございまして、当時ストライキがかなりエスカレートする方向にございますので、そういう意味合いで、私は、公制審の素案が発表されておる、ちょうどそのときでございましたので、立法政策論としてはこういうふうに素案の姿では受け取れるが、こう申し上げたわけでございます。それが公制審の答申なんだというような式の発言は当然慎んでおったはずでございます。
○田邊委員 あなたはそれを適切だと思いますか。私がさっき労働大臣に聞いたことを、あなたもお聞きになっておった。政府はこの公制審の問題に対していかなる慎重な態度をとっておったか、あなたも閣僚の一人として知っておったと思うのです。したがって、非常に微妙な、いわゆる公益側の一つの案が出され、あるいはまた前田試案が出され、それからいわば最終段階の答申が出される非常に微妙な段階であって、そういう中で、あなたは立法政策と二つに分けたようなことを言ってないでしょう。けれども、いずれにいたしましても、その段階であなたがその種の発言をしたことについては、あなたは適切であったと思いますか。
○奧野国務大臣 微妙な段階でございますので、それなりに私は注意した発言をしているつもりであります。
○田邊委員 どういうふうに注意しているのですか。担当の総務長官でも、公益側の素案なり前田試案なりについてもとやかく言ってない。政府がそれに対してとやかく言うことがどのくらい重大な影響を与えるかということを知っているからだ。労働大臣だって言ってない。あなただけなぜ言っているのですか。
○奧野国務大臣 私は新聞にこう報ぜられているということを言ったわけでございます。公益側の素案が新聞に報ぜられている、二十七日のことでございますから、私がお話ししたのは三十日のことでございますから、こういうふうに報ぜられている、こう申したわけでございます。
○田邊委員 だから、それが適切であったかどうかということなんです。あなたが適切であったということなら、それは総務長官呼んでくるから、並べて質問するから……。適切であったかどうか。そのときに、三十日に、いわゆる公制審の答申がまだ煮詰まってない段階で、非常に事態が動いている中で、政府の担当閣僚は一言半句もそれに対して言わない。言わないことが重要だと言っている。あなただけかってにしゃべっていることが適切なのか。そんな閣内不統一でいいのですか。適切であったのですか。三十日に、その事態でもって、たとえそれが公益側の素案であっても、あなたがそれがあたかも最終決定になるかのような予断を踏まえた発言をすることが適切であったというようにあなたは思っているのですか。
○奧野国務大臣 先ほども申し上げましたように、実定法の解釈と立法政策と混同して議論をしてはいけないというふうに考えているわけでございます。あくまでも実定法は禁止しているわけでございますから、禁止されていることを踏まえて公務員は行動してもらわなければならない。しかし立法政策としてはいろいろな意見がある。現に公務員制度審議会においても議論されているところだから、その振り分けを理解してもらうためにはやはり触れるべきだろう、こう判断したわけであります。触れるにいたしましても、新聞に報ぜられているところをそのとおり申し上げただけのことでございます。将来どう答申されると聞いているというような式の不謹慎な話は一切いたしておりません。
○田邊委員 適切であったかどうか。
○奧野国務大臣 私としてはそうあるべきだろう、こう考えているわけでございます。
○田邊委員 総務長官に私が三十一日にお伺いしたときは、公益側の素案なり、あるいはその後前田試案も出されましたけれども、その段階でこのことに対して政府は一切言及しない、何を聞いても、いまの重要な段階ではしゃべるべきでない、こう言っておるんだ。担当大臣が言っておる。労働大臣も言っておるのです。なぜ文部大臣がしゃべったことがあなたは適切だと思っているのですか。そんな、あなたのほうは、かってに文部大臣だけしゃべらしておいていいのですか。これはだめです。そんな答弁じゃだめですよ。
○奧野国務大臣 私が申し上げましたのは、田邊さんは、公制審がこういう答申をするはずだ、こう聞いている、こういうふうに私が言うたようにお話しになっておりますが、そういうことは一切言っておりません。公制審の公益側の素案が新聞をにぎわしていたときでございますので、そのことに客観的に触れたわけでございまして、客観的に触れることが実定法の解釈と立法政策論を振り分けて考えていかなければならない、こういうものの考え方に立ってのことであります、こう申し上げておるわけであります。
○田邊委員 だから、その時期においてそういう発言をすることはまことに適切であるとあなたは言っておるの。当然だと言っているの、そういう発言をするのは。国会の委員会においては、担当大臣はそれに対して一言もしゃべらない。あなただけかってにしゃべっているというのは、どういうわけだ。そんなことが許されるの。
○奧野国務大臣 公制審がこういう答申をするであろうとかいうような予測的な発言、これは私は慎むべきだ。私が言うのは、先ほど来、二つに分けて考えるべきだから、そういう意味ではそういうことに触れるのは妥当だ、こう考えておるわけでございます。私としてはやはり、立法政策論と実定法の解釈と別だという意味で触れることが適切だ、こう考えたわけでございます。
○田邊委員 それならひとつ総務長官を呼んで来ましょうよ。それじゃなぜ、あの時点で総務長官はこの問題に対して触れなかったのか。担当大臣は触れなくて、文部大臣が触れたことが妥当であるというような発言をしていることは、一体どういうわけだ。これはひとつ政府の責任において意見調整をしてもらわなければ、われわれとしては納得できない。国会の権威にかけても納得できない。かってに部外でもって、放言しておいて、それが妥当であるというような発言が認められるならば、国会は要りませんよ。あなたがいささかの反省もないということだったら、絶対われわれは認めないですよ。一体そんなばかげた話があるか。
 あなたはそのことばの中に、非常にいろいろ重大なことを言っていますね。文部行政をあずかる大臣としてはいわば考えられないような発言を次から次へとされておる。
 これはあなたはその後どういうふうに責任をとったのですか。先生が屎尿くみ取り人と同じとは思っていないという発言をされておりますね。あなたも、いわばこういう地方公務員の現業労働者の立場なり、それからその仕事の重要性なり、いまの労働強化の状態なり、これは知っていると思うのですよ。その人たちにあなたの発言が与えた影響について、あなたはどういうふうにお考えですか。
○奧野国務大臣 現業と非現業の区分につきまして、当時市町村に普遍的な職種ということで例示をしたわけでございまして、そのことが差別と受けとられる方がございました。たいへん恐縮なことをしたと申しわけない感じを持っておるわけでございまして、取り消し、おわびをしておるわけでございます。
○田邊委員 まことにけしからぬね。そういう印象を受けた人がと言うが、あなたはどういう印象を受けているの。あなたはそんなことは考えないの。そんな印象をだれが受けたかなんということを私は言っているのじゃない。奧野さん、あなたは一体これに対して、間違った発言をしたというふうに考えているの。あなた、責任を他に転嫁するようなことはやめてください。ますますあなたに対して私は腹の中から煮えくり返る怒りを感ずるね。あなたはそれに対して一体どう責任をとるのですか。あなた自身はそれに対して、差別的な発言である、こういうふうに考えないのですか。
○奧野国務大臣 最初に参議院の文教委員会で宮之原委員から質問を受けました。そして、あなたは差別的に言っているのでないことは自分もよくわかるけれども、それが非常に問題になっているというお話がございまして、御注意たいへんありがとうございました、そういう感じを与えてまことに申しわけないと思います、こう申し上げて、取り消し、おわびをさしていただいたわけでございます。
○田邊委員 だめだ。あなたが一体どう思っているかなんだ。宮之原君がどう思っているかじゃない。何を言っているんだ。(「けんかじゃないか」と呼び、その他発言する者あり)けんかしているというんなら、やめた。
○田川委員長 不規則発言はやめてください。
 どうぞ、田邊君。
    〔発言する者あり〕
○田邊委員 理事がそんなことを言っているんじゃ困る。君はぼくのその前の発言を聞いてないんだ。
    〔発言する者あり〕
○田川委員長 御静粛に願います。
○田邊委員 その前の発言があって、そういう印象を受けている人がいるから私は取り消したと言うから、そうじゃない、あなた自身は一体どう考えて取り消しているのだ、こう聞いているんだ。
○奧野国務大臣 現業、非現業の区分につきまして、当時の英文の官報がパブリック・エンタープライズということばを使っておりました。そのことを印象におきましてそういうことを申し上げたわけでございましたが、それが差別につながるというふうに受け取られるということを承知いたしまして、まことに申しわけないことだ、かように考えているわけでございます。自治労の諸君も見えまして、そういうお話がございました。私もほんとうに恐縮に感じているのだ、こう申しますと、それを文書に書いてくれないかということでございまして、それは書きますよと、書いてお渡ししたわけでございます。
○田邊委員 私たちは、いままで労働問題をずっと取り扱ってきた専門委員会ですから、これはいわばそういう立場で論じているわけですから、他の委員会でどう言ったとか、他の者に責められたからこうしたとか言うことはひとつやめてもらいたい。あなた自身の真意を聞きたいということを私は特に要望しておきます。きょうは時間がないので、あなたは時間が過ぎればいいと思っておるかもしれませんけれども、そんなことは許されませんよ。
 福岡でもって、教育公務員の人たちの春の争議行為に対して処分をした。これは一福岡だけではなくて、力を合わして法に触れる行動をした者に対しては処分をしてほしい、こういう発言をあなたはされておる。公制審は、これはILOのジェンクス提案や百三十三号報告を受けて――いわば一般の公務員の将来にわたる自身にまで関係するような、そういう処分の乱発は労使関係の正常なものを阻害するのだという提案と報告をしているわけであります。したがって、この段階において為政者たるものは処分の乱発等は当然避ける立場をとるべきだ、公制審もそれに続いたいわば答申をしている、こういうふうにわれわれは考えているわけですが、あなたはかえって処分を続々と行なうような、そういうことをそそのかすような発言をしている。このことに対してあなたはどうお考えですか。
○奧野国務大臣 私も、スト指令が行なわれストに参加する、参加した人を処分する、これは全く不毛の対立だという感じを持っておりまして、率直にそういうことも関係者に申しているわけでございます。しかし残念なことに、スト指令がますますエスカレートするという傾向にあるわけでございます。行政当局者といたしましては、実定法が破られる場合には、これを守るためにもやはり破った方について処分をしてください、こう言わざるを得ないということでございます。
 そういう背景を御理解いただきますために一言述べさしていただくわけですが、昨年の秋田大会でことしの春闘における半日ストが決定されておりまして、四月二十七日の半日ストには約二十五万人の教育公務員が参加しております。七月十九日またスト指令されまして、約二十三万人の教育公務員が参加しております。そういうことを頭に置いてあの発言につながっているわけでございますが、さらに八月の二十四日、二十五日に、長野県で都道府県の委員長、書記長の会合が持たれまして、九月二十日ごろストをやるのだ、十一月にストをやるのだ、また来年の春闘に第一波のストは二時間のスト、第二波のストは一日のストときめられております。たいへん心配をしておるわけでございますが、何とかしてこの方向転換をしていただけないものだろうか、こう念願をしておりますし、またそういうことを日教組の委員長等にもざっくばらんに言っておるわけでございます。われわれは処分は一切やめる、あなたたちはスト指令は一切しない、こういうことについてもざっくばらんに言っておるわけであります。私は行政上の責任者でございますので、やはり秩序が破られる場合には処分をしてもらいまして、それによって秩序を守るという方向をとらざるを得ない。それをしませんと、むしろ怠慢だということになるのじゃないかと私は思っておるわけでございます。しかし、このことが国民にとりまして不毛の対立だということになるのじゃないかと理解しておるわけでございます。何か打開の策を求めていきたい、そう考えておりますし、また関係者にはこのことはお話ししておるわけでございます。
○田邊委員 いまあなたが理路整然として言われたことは、あなたの発言を見るというと全く逆の方向にいっているというようにわれわれは受け取るのですね。ストライキはやるという決定をされた。そのこと自体に対する批判はありましょう。一体その真意をあなたはどうして聞かれないのですか。そしてやはりそのストライキなりいろいろな行動に出られる、それに対してあなた方のほうでそれを抑制し、その処分に対する抑制措置をとることが将来のストライキを避ける最大の効果があるということをあなたはお考えでないのですか。私どもはそういった立場で、こういったいわばいま言われたことが文部大臣の真意だとすれば、それなりに私はこれは理解します。しかしその真意が正確に伝わるような、そういう手だてをあなたはとってない。こういった教育委員長・教育長会議でもって、公制審の問題に触れられ、そしてそのあとにおける発言を通じて見ても、日教組という団体は政治が好きである、そういった者は教員をやめて政治屋になればいい、こういうような発言につながる。その中の一こまとしてこの処分問題も出ておる。公務員のストライキの禁止に対するあなたの強い姿勢も出ておる。そこに問題があるのですよ。さっき、けんか腰だというふうに他の委員から言われました。私は平生この委員会においてそんなに大きな声を出しておるつもりはない。しかしあなたのとった行為というものが、いまあなたの言ったこととは全く逆の状態を出しておる。このことの与える影響というものに対して私はあまりにも憂慮するから、文部大臣に対してきつく実は反省を求め、そしてあなたの誤りをただし、あなたの持っておる、ほんとうに組合と話をし、ほんとうに事態の解決をしたいというそういう熱意というものがその方向にいかない、このことを私は心配して発言しておるのです。ことばは強いかもしれませんけれども、私の真意はそこにあるわけです。いまあなたの言ったようなことがこの三十日の発言の中ににじみ出てない、そうでしょう。政治が好きなら政治屋になれということがそのあとにつながり、公制審の公益側の試案が出たところでもって、これは当然非現業職員であるところの教育公務員についてはストライキは禁止すべきである、こういうあなたの持論を繰り返された。したがって将来へ向けて前向きの立場に立ったあなたの発言とはどうしても受け取られないところに、私はあなたに対して、何としてもこの面に対しては改めてもらわなければならぬ、ここに私の質問があるのですよ。どうでしょう、あなたにはそういったことが率直に受け取られるような発言をしておりますか。あなたの真意がほんとうに伝わるような発言を、この場において、この時点においてしていますか。そうでないでしょう。公制審も微妙な段階、しかもいま言ったような全部の発言を通じて、あなたはまさに、処分をどんどんやりなさい、ストライキをやるならどんどん処分をやるぞ、こういう強圧的な発言をしておる、こういうように私は受け取っておるのですよ。私の受け取り方は間違いですか。
○奧野国務大臣 私の話に対するいろいろの御批判、これは謙虚に受けとめていきたい、かように思います。私が日教組の諸君と会いますときにもこういうことを言い続けてきておるわけでございまして、私は将来も日教組の批判はしますよ、しかし日教組のすべてが悪いとは言いませんよ、考えませんよ、あなたたちも文部省の批判はどんどんおやりなさい、しかし文部省の政策が全部悪いのだあるいは中教審の答申が全部悪いのだということ、こういうことは言いなさんなよということも言っております。それは同感だ、こういう話になっておるわけでございます。いろいろ議論をしても、立場が違う、考え方が違う、なかなかかみ合わない。かみ合わないけれども、違いは違いとして明確にしながら今後なおどんどん会って話をしていこうじゃないか、そのうちにお互いよい道が見出せるかもしれない、こういうことを言っておるところでございまして、またそう考えておるのでございますので、私はいまの姿が国民にとってしあわせな姿だとは少しも思っておりません。しかし私としてはこれ以外道はないのだ、いい考えがあればどんどんまた御忠告もしてください、教えてください、こうも思っておりますし、またそういうお願いもして言っておるところでございます。
○田邊委員 ちょっと、他の委員からの質問がありますから私はまた保留しておきますけれども……。
 あなた、ゴーイング・マイ・ウエイみたいなことを言いますけれども、それでは相手の話を聞いたことにならぬです。私は、少なくともあなたの発言を通じて、いわば日教組を敵視し、そうしてストライキは永久に認めない――公制審の答申とも違いますけれども、そうして処分はどんどん行なう、こういういわば強硬路線を突っ走っておる。どういう批判をされても、おれはおれの道を行くのだという感じがしてならない。いまもあなたは、おれは自分の道を行くということを言っておりますけれども、それではならぬですよ。あなたのきょうの答弁を聞いても、私は、ほんとうの意味において謙虚に自分の発言に対して反省をしておるというふうに見受けられない。非常に遺憾であります。
 私はぜひ現在の事態というものをあなたが十分認識をされて、この発言に対してどういう責任のとり方をするのか、そしてまた今後に対してどういう方針で臨むか、処分についてはどういう慎重な態度をとるのかということに対して、強く警告すると同時に、あなたの考え方を改めてもらいたいということを要望しておきます。
○田川委員長 多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 奧野文部大臣は、政治が好きなら教員をやめろ、こういう発言をされております。戦後の日本のいわば大教育方針の転換に際して、文部省が教員組合の役割りについて新教育指針の中で方針を出しておる。その方針には一体どういうことが書いてあるか御存じですか。
○奧野国務大臣 正確には覚えておりませんけれども、戦前の超国家主義的な教育のあり方に対しまして、教職員の自主的な精神の発揚を求めた点に重点が置かれておったのではないか、こう思っておるところでございます。
○多賀谷委員 文部大臣たるものが――戦後の大きな教育方針の転換に際して教員組合はかくあるべきだ、教育労働者集団はこうなければならぬということを明確に書いてあるんですね、それをよく覚えてないというのはどういうわけですか。あなたは日教組に対していろいろ批判をされておりますが、一体教育集団というものはどういう役目があるのか、このことを新教育指針の精神にのっとって十分わきまえておられないで、どうして文部大臣がつとまりますか。
○奧野国務大臣 新しい教育方針は、教育基本法という形において国会で制定していただいておりますので、それにのっとって教育の政策を進めていくべきだ、かように考えているわけでございますし、また組合の問題になりますと、地方公務員法を通じまして、教職員の団結権を認めておるわけでございます。また団結の目的を明示しているわけでございますので、そういうことを中心にして考えていくべきだろう、こう存じておる次第でございます。
○多賀谷委員 時間もありませんから、私が紹介しておきますが、教員組合というのは、自己の生活の向上だけでなくて、要するに、教育について責任を持たなければならぬ。「すなはち、もし政党から不当のあつぱくがあつて、教育の方向がゆがめられたり、教師の身分が不安定になつたりするおそれがあつたときには、教員組合はその団結の力をもつて、教育の正しいありかたと、教師の身分の安定とを保障しなければならない。」、こう書いておる。さらに、「事に応じ、機に臨んでよいことはよいとし、わるいことはわるいとする有力な意見を述べ政治を正しい方向に指導しなければならない。教員組合がかうした意味で勢力を増してゆくことが健全な発達であって、それはただ教育者だけの幸福ではなく、国家のために大きな奉仕をすることになるのである。」要するに、政党からの不当な圧迫を排除して、正しい政治のあり方、これは教育集団の当然の任務だと書いておる。昭和二十一年の五月に出た教育指針ですよ。そういうようになっておるのですよ。それを、政治が好きなら教員をやめろとかなんとか、大体、新教育法の精神にのっとらぬじゃないですか、この考え方は。文部大臣、どう思いますか。
○奧野国務大臣 敗戦後、占領軍の関係ということもあったわけでございまして、当時いろいろな通達が出てまいっておるわけでございますけれども、その後順次整備されまして、いろいろな法律になってきているわけでございます。教育公務員のあり方としては、地方公務員法なり、あるいは教育公務員特例法なり、そういう唯一の立法機関であります国会において制定されたもの、これを基礎にして考えていくべきじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。占領直後は労働運動助長に重点が置かれてまいったのでございますけれども、教育基本法におきまして、学校は政治的に中立でなければならないというようなところなどを明確にされ、また教育公務員のあり方につきましても、政治活動を制限するというような方式がとられ、かたがた公務員の身分を安定させるという努力が払われてきている、こう存じているわけでございます。
○多賀谷委員 これは一体変わったのですか。その教育指針というのは変わっていないでしょう。これは戦後の教育を貫く基本的な大方針でしょう。これに基づいて教育基本法がつくられたのでしょう。これは一ぺんだに変更がないですよ。新憲法の出る前ですね、これは。方針の転換は全然ないのですよ。そういうことじゃだめですよ。ちゃんと教育労働者集団の任務が書いてある、はっきり。それは、ただ生活の安定だけに小さく運動を展開してはならぬ、こういうことが書いてあるのですよ。この変更は、教育基本法を改正しない以上はあり得ない。
 私は、時間がありませんから、具体的な質問を少してみたいと思うのです。あなたは、「福岡県だけを独りぼっちにすることなく、福岡と力を合わせて法に違反して行動した者を処分してほしい」と、福岡県をえらくほめているわけですが、福岡県の教育の実態、その弾圧というものはたいへんなものですよ、率直に言いますと。鞍手商業高校の問題は御存じでしょう。これは警察権力まで使って弾圧した。すなわち三月の十二日に、職員会議でまだ議論にも議題にもならない校務文書について、一方的に校長が用意しておったその紙を張った、それを話がついていないからというのでちぎった、そうしたら、三カ月たって、学校に対して警察が強制捜査をした。しかし、校長はあらかじめ何枚も用意しているのですよ、リコピーで。ですから、はがれたらまた張る、こう言っておった、そして現実に張った。それが何の事件になりますか。しかし警察は、これは関係者から話があったから、こう言っておる。福岡県の村上次長は、校長からそういう報告があったときに、警察がいろいろ捜査をするときには協力せよと言っておる。これは明らかに、こういうささいな問題を事件にでっち上げた。これは非常に不当だと思うのです。あるいはまた、現実に福岡だけが法にいう処分になっておるのか。現にどこの県も同じ闘争をして処分になっていないのに、なぜ福岡だけが出たか。そうしてそれをめぐって、市町村の教育長は辞表を出しておる。ものすごい圧力をかけているのですよ。内申を出さなければ、申告をしなければ学校の施設の補助金をやらぬ、こう言っているでしょう。そうして教育長の自宅に県の教育委員から毎日のように電話をかけておる、そうして自宅に訪問をしておる、そうして全く教育長は困って、辞表を出しておるというような問題が矢つぎばやに起こっておる。単に教育予算だけじゃないのですよ。一般行政についても圧力を加えておる。そういうもとから出た申告なんですよ。それに基づいて行なわれたストライキの処分ですよ。これで、長い目で見て、一体教育ができるかどうかです。これについてどう考えておるか。大臣の答弁を求めたい。
○奧野国務大臣 全国的にも教育環境についてかなり多くの問題をかかえておるわけでございますけれども、とりわけ福岡県におきましては、きびしい対立が続いているわけでございまして、まことに不幸なことだ、かように考えているわけでございます。
 また処分につきましても、好んで処分をしておる者はだれもいないと思います、一人もいないと思います。しかし処分をする以外に教育秩序を立て直し得ないという判断がありますために、あえて処分に踏み切っておる、これが実情だと思います。先ほど田邊さんに申し上げましたように、私たちは、ほんとうに不毛の対立である、こう考えているわけでございますが、この場で切りかえていかなければならない。ストの指令もなくなり、処分もなくなる、どういう時点で、どういう展開によってそれが可能になってくるのか、こう考えているわけでございます。多賀谷委員よく御存じの、学校によりましては、校長さんと教頭さんとが組合員と背を向け合っておるというところもずいぶん多いわけでございまして、潤いのある人間をつくっていくためには、まことに残念な環境のところも多いわけでございますが、皆さんからいろいろお教えをいただきながら、早くこの問題の打開をはかる道を見出していただきたい、これはほんとうに衷心から考えておるところでございます。
○多賀谷委員 福岡県は不幸な事態になっておる、こう言われますけれども、文部省がされておるでしょう。ストライキを処分せよ、文部省が指導しておるでしょう、県の教育委員会に。参議院の文教委員会で岩間局長が言っておるでしょう。私自身はタッチしませんけれども、課長がしたと思います、課長クラスでやったと思います。現実に文部省が県の教育委員会を指導しておって、そうして処分を出せ、処分を出せ、そうして処分を出さしておって、福岡県に続けとは何事ですか。その波紋はたいへんなものですよ。そうして公民館の建設を、内申書を出さなければ建ててやらぬとか、大体そういう権限がありますか。全く別個の問題です。別個の問題だけれども圧力を加えておる。しかも福岡県福岡県と言うけれども、それは文部省が指導しておるでしょう、処分を出せと。福岡県以外にこの七・一九の処分をした県がありますか。法律に基づくいわゆる懲戒処分をしたところがありますか。ないでしょう。文部省がそういうことをやらして、そうして福岡県に続けとはどういうわけですか。
○奧野国務大臣 私は行政の責任者でございますので、実定法、これが守られるように努力していかなければならない、そういう役割をになわされておるわけでございます。法律ではストを禁止しておるのにかかわらずストに参加する、子供さんが授業を受けられない、これはやはりやめてもらわなければならない。そうしますと、やはり法に触れた場合には、法に触れた方を処分する、そういうことでないとまた法が守られない、イタチごっこみたいなことになっておるわけでございます。やはり全国的に協力して秩序を守る努力をすることが必要だ、そういうたてまえに立って申し上げておるわけでございます。
○多賀谷委員 実定法実定法と言うけれども、教育法は下克上の法律ですよ、あなた。基本法に違反したことを省令でどんどん変えておるでしょう。全く教育の立法ほど下克上の法律はない。国会へ教科書法案を出す、流れる。そうしたら行政措置でできるのだ。清瀬文部大臣は言った。教科書法を出して、そうして大問題になって流れた。流れたけれども、あれは行政措置でやれるのだ。こんなんなら国会に出さないほうがいいのですよ。そういうものの考え方です。法律が流れたら行政措置でやる。教頭さんがどうしても学校教育法の中に入らない。入らないならひとつ規則を変えて、そうして教頭を入れろ、手当をつけろ、こういうような行政をしているのですよ、あなたのほうの行政は、実定法実定法と言うけれども。文部省ほど教育関係法の乱れたところはないですよ。見てごらんなさい。基本法から法律が違反して、法律をさらに逸脱したことを全部指導要領とか省令とか規則でやっておる。いまから私一つ一つやってもいいのですけれども……。全くでたらめですよ。全くなしくずしにやっておるのですよ、文部省は。国会へ出して法律が通らない、これらは行政措置でできる、これは言語道断です。
 私は保留して別の機会にやりたいと思うのです。時間がありませんので、一応終わらしていただきます。
○田川委員長 石母田達君。
○石母田委員 私は奧野文部大臣に去る八月三十日、全国都道府県教育委員長並びに教育長協議会の合同総会での発言について質問したいと思います。
 私は直接聞いておりませんので、新聞報道によってその事実を知ったわけでありますけれども、初めにその事実についてお聞きしたいと思います。
 八月三十一日の各紙の報道によりますと、大臣はまず、「公務員のスト権は禁止すべきであり、違法スト参加者には、さきに春闘処分を発表した福岡県教委に見習ってほしい」、こういうのをさらに詳しく、教育秩序を破った者はそれなりの処分を受けなければならない、秩序は全体の協力なしでは守られないので、処分に踏み切った福岡県をひとりぼっちにせず、力を合わせて、法に触れる行動をとった者の処分を進めてもらいたい、こういうような発言をしたというふうに報道されておりますけれども、大体このような発言を行なったのかどうかお聞きしたい。
○奧野国務大臣 大体そういう式の発言をいたしておりますが、一番最初にお話しになったところは、公務員のスト権についていろいろな意見がある、実定法の解釈をめぐって争いがある、こういうことで四月二十五日の最高裁の判例が出ていることを指摘いたしました。
○石母田委員 もう一つ、政治が好きなら先生をやめて政治屋になれ、こういう発言もされたということですが、ほんとうでしょうか。
○奧野国務大臣 前段をちょっと理解をしていただきたいのですが、ストライキの指令が次々にエスカレートをしていく、そうなってくると、法の禁止するところを組合がやるのだから、組合の性格がどういうものか疑問に思うということでいま申し上げたような発言につながったということを御理解いただきたいと思うのです。
○石母田委員 そうしますと、先ほどの答弁の中で、あなたは素案に対する自分の受け取り方は述べたけれども、公制審の結論について予告めいたことは一切しなかった、こういう発言をなされましたけれども、八月三十一日の朝日新聞の報道によりますと、この発言の中で、つまり大臣の発言の中で、「公務員制度審議会の結論も、非現業にはスト権を認めない方向と受け取っている、」というのは事実と違う、こういうことになりますね。
○奧野国務大臣 報道を、教育公務員についてはスト権を与えるような方向になっていないというふうに私なりに受け取っている、こう申し上げたわけであります。
○石母田委員 先ほどの話では、二十七日の公益側の素案についての受け取り方を述べた、この報道は、いま言ったように公制審の結論、つまり最終の結論も非現業にスト権を認めない方向と受け取っている、これは事実と違うとすれば、これについてあなたはこれを見たはずだと思いますし、これについて抗議をなさるのか、取り消しを要求するのか、どういう処置をとったのか。
○奧野国務大臣 私は公益側の素案、こう申しているわけでございまして、公務員制度審議会全体の意見がそうなっているというようなことは一切言うておりません。
 いろいろな新聞記事があるようでございますけれども、私、率直に申し上げまして、あまりよくは目を通してはおりません。また一つ一つに対してとやかく言うてはきておりませんし、また、若干違った報道のところで問題になったところが、その関係の記者がたいへん恐縮な感じを私にあらわしておられるところもございます。しかし、それに対しまして別段取り消しというわけじゃないが、適当なときには間違いのないように考えておいてください、こういうようにお願いをしておるわけでございます。
○石母田委員 いま言われたように、率直にその事実を認めたようでございますけれども、私はそのことを前提にしまして、先ほど多賀谷議員のほうからも質問されましたように、これはまた田邊議員からも出されましたように、非常に重大な問題だというふうに考えるわけであります。この問題については九月十日の毎日新聞にもこういうふうに書いてあります。「文相の発言内容は、一国の文教政策の最高責任者の言としては、あまりにも異常なものだった。」私はこれは異常というよりも、この社会労働委員会で終始この公制審の結論が出るまで続けられた論議の上で何が言われてきたか、それは政府側としては公制審の結論が出るまではこの問題については一切予断めいたことを発言しない、総務長官などは明鏡止水の立場だ、こういうことばまで使って、この国会の審議のわれわれの質問に対していかなる見解をも表明しようとしなかったわけであります。ところが、あなたはこの発言の中で素案に対するあなたの受け取り方というものを発表しておられます。このこと自体が新聞でもどういっているか。「政府側としては初めて素案の受け取り方について言及している。」、こういうふうにいっておりますけれども、あなたは政府を代表してあるいは政府のだれかと相談して発言なさったのか、それともあなた個人の発言なのか、それを聞きたいと思います。
○奧野国務大臣 私個人の発言でございます。
○石母田委員 あなた個人が発言したといっても、あなたは大臣です。閣僚です。この新聞で「政府側としては初めて素案の受け取り方について言及」したということは、大臣の中ではだれもそんなことを言った人がいないという中であなたが言ったとすれば、こういうふうに受け取ることは非常に非常識だと思いますか。そういうふうに受け取られる危険性がある、可能性があるというふうに考えていますか。
○奧野国務大臣 先ほど田邊さんにお答えをしましたように、相手は教育委員長、教育長でございます。同時にまた実定法の解釈と立法政策論というものとが混同になっているきらいもございます。そういうことを踏まえまして、先ほど来申し上げているような発言をいたしているわけでございます。
○石母田委員 質問に的確に答えていただきたいと思います。あなたは政府の閣僚としての立場を忘れて、ほんとうの意味での奧野個人で発言されたのか、奧野文部大臣という個人で発言されたのか、もう一度聞きたいと思います。
○奧野国務大臣 個人でもあり、文部大臣でもあるかもしれません。政府招集の正式の会合ではございませんで、皆さんたちから、協議会にぜひ時間を差し繰って来てあいさつをしろ、たいへん熱心なお招きがございまして、昼休みを利用して伺ったわけでございます。したがいまして、一般に公式な発言をするという性格のものでもないかもしれませんけれども、文部大臣でございますだけに、やはり文部大臣としての発言にもつながっていくということは認めざるを得ないと思います。
○石母田委員 そうすると、奧野文部大臣として発言されたとすれば、どういう場であれ、こうしたことが発言され、報道されているということは、これは常識としては政府の閣僚の一員としての発言だ、こういうのは当然のことだと私は思います。そうしますと、公制審の問題について総務長官並びに政府側がとってきた態度とあなたがとられた態度とは非常に離反すると思うけれども、そういうことについて、あなたはいまのところ、先ほどから述べているように、適切だ、何ら反省すべき点もない、こういうふうにお考えですか。
○奧野国務大臣 二十七日に発表されまして、新聞に大きく報道されておるわけでございますので、みんながそのことはよく知っていることでございます。先ほど来たびたび申し上げるのですけれども、その知っていることを、実定法の解釈論と立法政策論と振り分けて考えていかないと混乱が起こる、そういう意味で客観的な事実に私は着目したわけでございますので、それが不謹慎な発言であるというふうには理解をしていないわけでございます。
○石母田委員 あなたはすりかえをやっているのですね。あなたが公益側の素案の発表をそこでやった、そういうことなら、何もすでに発表されている事実についてあなたが言っても、だれから報道されようと同じことですよ。そうじゃない。問題にしているのは、あなたがそれを受け取ってどう解釈したか、どう受け取ったか、このことを奧野文部大臣が政府の閣僚の一員として発表されているわけです。そうでしょう。それをいま第一のところで、あなたそのとおり言っておりますと確認したでしょう。だから素案に対する考え方、受け取り方を発表した政府の閣僚の第一だ、こうとるのはあたりまえなんです。その受け取り方はいろいろあるわけですね。あるいはまだ政府のほうが発表していないから、政府と違う場合もあるでしょう。個人ですから政府と相談もされてないというが、そういう受け取り方を発表するということ自体が、いままで政府がとってきたこと、あるいはこの社会労働委員会で総務長官が答えていたことと違いやしませんか、こういうことを言っているのですけれども、どうでしょうか。
○奧野国務大臣 公益側の素案、発表されたものはたいへん客観的で明確な表現であった。別にそれについていろいろな受け取り方があるという性格のものではないように私は理解をいたしているわけでございます。
○石母田委員 もう一度。「公益側代表委員の素案では、非現業職員にはスト権を認めるべきでないと受け取っている」、こういう報道について、あなたがこのような発言をしたというふうに私は理解して、それを前提にして質問しているのですけれども、どうでしょうか。
○奧野国務大臣 おおむねそういうことでよろしいと思うのであります。当時の公益側の素案は二つの意見を書いておったと思います。公制審の答申では三つの意見になっておるわけでありますけれども、二つの意見になっておる。それを読みます限りにおいては比較的客観的、明確な表現ではなかったか、こう思っておるわけでございます。
○石母田委員 それでは加藤労働大臣にお伺いしましょう。
 いま新聞で、奧野大臣の発言について「政府側としては初めて素案の受け取り方について言及している。」こういう受け取り方は、もう奧野文部大臣は自分の受け取り方が一番明確で、常識的で一点の非もはさむところがない、こういう考え方でいるから、あたりまえのことをあたりまえに言ったと言っております。しかしここで論議されている内容を知っている加藤労働大臣、いまのような発言、どう思いますか。素案の受け取り方について私たちが総務長官あるいはあなたたち、あるいは関係者に質問しても、あなたたち何と答えました。そのことについては一切答えられません、答えるべきではないと思っているのだ、こうあなた自身も言ったでしょう。そういうことと違うでしょう。そんなことあたりまえのことを言ったのじゃないか、言って何が悪いのだ、こう言っているけれども、同じ閣僚として、政府側としてどうですか。
○加藤国務大臣 所管の大臣の総務長官なり私は、先般の委員会でも、公制審の答申に対しては、素案であろうが何であろうが、答申が出るまではこれに対して意見を言わない、言えない、慎重な態度で答申の結果を待っておる、こう申し上げたので、いまの文部大臣のことばと少し違いますが、これは文部大臣は文部大臣として文部行政について自分の意見をその場所で発言したと思いまして、これに対して文部大臣の意見を私からとやかく論評するのは、その当時も申し上げたように避けたい、こう申し上げたとおりであります。
○石母田委員 そういう態度をとっていたことは私たちもよく知っています。そういう立場からいうと少し――私は大きく違うように思いますけれども、少し違うということはあなた認められておると思いますが、一般論として、奧野文部大臣に限らず、あなた以外の大臣がどんどんこういうことを発言されることは非常に好ましいことだというふうに考えますか。いま一人だからあれですけれども、それは各大臣、個人の言うことであって、私は関せずえん、ただ黙っています、所管大臣として、関係大臣としてそう思いますか、どうですか。奧野文部大臣のように、それぞれの場で、素案はこうだああだということをどんどん発言する。ところがあなたたちは慎重にして発言しない。そういうことからいうと、違うようなことがどんどん閣僚に起こってもかまわぬ。どうでしょうか。それは好ましいことですか、加藤労働大臣。
○加藤国務大臣 その点についてはなかなかデリケートな問題でありますが、文部行政として、文部大臣として発言したことであろうと思います。各大臣がどうだこうだという仮定の問題については、今回のこの場で私から答弁する必要はないと思います。文部大臣として、文部大臣の見解として発言したことであると思いますが、そのことがいいか悪いかということについては私はその当時も論評を避けたのでありまして、文部大臣の見解に対して本日も私がどうだこうだということは、どうもいささか言いかねる点がありますので、御了察願いたいと思います。
○石母田委員 いつものあなたに似合わないで声が低くて、幾らにこにこしたって私は笑う気はないのですよ。はっきり言いなさい。まずいんだ、好ましいことじゃないのですよ。そういうことをやはりあなたは言わない。文部大臣は文部大臣だからそれを何とか傷つけまいとする。いまの日韓関係みたいなことを言っていますが、全く言いにくいことですよ。こういうことで一斉にこうした抗議がなされていることに対して、奧野文部大臣は何らの反省も行なわれていない。あたりまえじゃないか、あたりまえの事実を伝えて何が悪いんだ、こういう態度なんですね。文部大臣、いま加藤労働大臣をこういう窮地に追い詰めているのは、私から言うとあなたなんですよ。あなたの発言のおかげで追い詰められている。あなた、何とも責任感じませんか。労働大臣は一生懸命あなたをかばっているのですよ。どうですか。
○奧野国務大臣 それぞれの責任の分野が違うものでございますから、労働大臣なりあるいは総理府総務長官としては公制審の行動に影響を与える、そういうふうな発言は慎まなければならない、こういう気持ちに立っておられるのだろうと思います。私は私なりに教育公務員の秩序を確立していかなければならない、こういう立場でものを言っておりますので、立場が違いますから、当然労働大臣としては慎まなければならない発言が、文部大臣はそれに触れることが不適当だということにならない場合もあります。これが私は今度の例じゃないだろうか、こう考えているものでございます。
○石母田委員 認識が大きく違うのですよ。あなたたちは公制審のことについてよく知らないのです。労働大臣は政府側として触れるべきじゃない、こう言っているのですよ。労働大臣、どうですか、加藤個人ですか、労働大臣ですか。あなたはこの間、政府側としてそれは言うべきじゃないと言われた。文部大臣は、労働大臣は所管のことだから言いにくいことは言わないけれども、私は文部大臣だから違うのだとあなたは言っているのだ。公制審というのはそういうものじゃないでしょう。大量処分、ストライキ、こういうものを根本的に解決するために政府が八年前に諮問したものですから、何も加藤労働大臣とか時の何々大臣が諮問したのじゃないのですよ。これは総理大臣の名前で政府が諮問しているのです。だから政府側としてこれについては見解を述べないというのは、それはそれなりの一つの理屈があるのです、いいか悪いかは別として。それをやってきた政府として、それは労働大臣の所管だから文部大臣はそれに拘束されることなくしゃべったっていいじゃないか、そういう公制審に対するきわめて幼稚な認識なんだ。初歩からあなたは知らない。じゃ、労働大臣にもう一回聞きましょう。政府側として触れないということについて、いままで慎重を期していたということについてはどうですか、加藤労働大臣個人ですか。
○加藤国務大臣 労働大臣としてです。
○石母田委員 それはごまかしな発言である。私はいつでもここで、公制審の代表は政府側の代表かというとそうじゃないんだ。これは使用者の代表であり、公共企業体の代表である、設置法の十四条かにせよ。だから政府としてはそれは特例なんだ。別の見解なんだ。だから中立的な立場で言っているのは個人で言っているのじゃない。政府で言っているのだ。あなた、政府側のいうのをくつがえすわけですか。
○加藤国務大臣 労働大臣として御答弁し、また国務大臣として、また政府側として御答弁したわけであります。
○石母田委員 文部大臣、聞きましたか。政府としてこういうものに触れないというのがいままでのしきたりであり、一つの原則になっているのです。そういう中であなたが政府側の一員として、文部大臣ですからだれでもそう見るわけです、それがそういう発言をして、ほかの大臣はだれも何も言わないでしょう。言わないということはそういうことを知っているからです。それをあなたがそういう発言をされたからこういう問題になっています。こういうことについてあなたはさっきのとおり、やはりこれは正しいことをやったんだ、そう思いますか。
○奧野国務大臣 私は文部行政の秩序を守っていく責任を負っているわけでございます。その関係から、ストライキの問題がエスカレートしてきている、そうしますとこれに触れて発言する。その場合に、たまたま立法政策論としては公益側の素案が出されているもんですから、それに触れた。そのことが不適切だというふうには私は理解しない、こう申し上げているわけであります。
○石母田委員 これは社会党の議員の方も保留されていましたから、あとで皆さんと一緒に徹底的にやらなければならない問題です。自分の所管の問題にぶつかれば立法政策の問題でもどんどん発言するのだ、干渉するのだ、そんなことをあなたが国会で発言されたということになれば。私はあなたの責任問題を含めて徹底的に追及します。しかし時間がありませんからこの問題については保留しておきたい。ただ重大な発言ですよ。わかりますか。自分の所管のところで労使問題がどんどんエスカレートするからそれについて触れて、はみ出して立法政策に触れてもこれはいいじゃないか、こういう居直り強盗的な発言をするというならとんでもない。国会を侮辱するものだ。立法というものはこの国会が最高の決議機関なんです。これが憲法なんですよ。その問題について一行政官であるあなたが、自分たちの労使問題、自分の所管のところに目をくれて、そこから出てきた立法の問題、政策の問題にどんどん発言するのはあたりまえじゃないか――この公制審の問題は、諮問してその諮問の結果が出るまでは発言をしない、見解を述べないというのがいままでの政府のとってきた態度なんです。それに対してあなたは公然とこれを踏みにじって破った。だからそのことが大きな問題となって、国会の審議の中で一定の時間をとっている。これは立法の問題、いろいろな問題を中断してあなたの発言を追及するために一定の時間をとらなければならぬ。こういう事態を引き起こしておきながら、一切責任を感じない。それどころか、あたりまえのことだという、こういう居直り大臣がいるということはたいへんなことですよ。この問題については徹底的に追及したいと思います。
 第一、あなたはそういう自分の所管以外の越権行為が非常に多過ぎる。今度の発言にしたって、地方公共団体が任命権者ですよ。福岡県に続けなんということをあなたが指令する必要がない。第一、あなたは、四月二十六日から二十七日にかけて春闘共闘委と政府側との交渉が行なわれましたが、ここに加藤労働大臣も出席されましたけれども、この中で七項目の合意事項があったということは御承知ですか。
○奧野国務大臣 承知しております。
○石母田委員 承知しているのですけれども、あなたはそれを尊重する、あるいは文部省はこれには関係ない、拘束されない、どちらか答えてください。
○奧野国務大臣 ものによっては文部省に関係するものもございますし、ものによっては文部省に関係のないものもございます。
○石母田委員 関係したものについてはそれを尊重する、政府側と代表できめた合意事項について尊重するという態度をとっていますか。
○奧野国務大臣 文部省に関係しますことについては、当然尊重すべきです。
○石母田委員 そうしますと、合意事項の「処分については公正、慎重に行なう。」「過去の処分に伴う昇給延伸の回復の問題については引続き協議する。」「労働、厚生、総務等関係大臣との間の協議の結果は、当然尊重する。」こういうような項目があるわけですけれども、これらの問題については、あなたは文部省に関係する部分については尊重しておりますか。
○奧野国務大臣 四については当然のことだと思います。処分については公正、慎重に行なうべきだと思います。過去の処分に伴う昇給延伸の回復の問題につきましては、その当時協議の行なわれておったものを引き続き協議するのだということでございまして、文部省の関係についてはそれが行なわれておりませんので、その部分については文部省として拘束されないということであります。
○石母田委員 そうすると、あなたが八月三十日に発言された福岡県教育委員会が行なった大量の処分、しかも行政処分については、これは一生つきまとう非常に過酷なものなんですね。そういう問題を孤立させないであとに続けというようなことを言うことは、処分を公正、慎重に行なうということ矛盾するように思うけれども、それは公正、慎重に行なうためにそういう発言をなさったわけですか。
○奧野国務大臣 何かいま特別な表現をされましたが、そういう式の荒っぽい表現はしておらないと思うのでございます。表現は別にいたしまして、公正、慎重に行なうことと処分を引き続いて行なっていくということは矛盾はしないと思っております。
○石母田委員 それじゃ、「過去の処分に伴う昇給延伸の回復の問題については引続き協議する。」過去ですよ。そういうことを尊重する意思はありますか。
○奧野国務大臣 先ほど申し上げましたように、この分は文部省には関係のないことでございます。
○石母田委員 それじゃ、あなたのとった発言が、私が別な発言をしたと言いますけれども、つまり私が読んだのは、「教育秩序を破った者はそれなりの処分を受けなければならない。秩序は全体の協力なしでは守れないので、処分に踏み切った福岡県を一人ぼっちにせず、力を合わせて法に触れる行動をとった者の処分を進めてもらいたい」。これが合意事項でいう処分については公正、慎重に行なうということと矛盾しないで、そのための発言だったと、こういうふうに言い張るつもりなのかどうか。もう一回、時間がないから、イエスかノーか。
○奧野国務大臣 処分をしてもらわなければならない。同時に公正、慎重も期してもらわなければならないということでございます。そのことは、ただ時期をもっと先にしなければ公正、慎重にならないとは、私は考えていないということでございます。
○石母田委員 あなたは、いまの公務員法の問題、あるいは公労法、地公法を含めまして、公務員や現業労働者、官公労働者のスト権の問題について、国際的な状況とかあるいは日本の中でなぜそのことについて諮問をしなければならなかったかという状況についてやはり十分知っていないと思うのです。ですからこの問題については、あとでまたいずれかの機会に十分、私は、労働大臣のほうからも、総務長官のほうからも教育を受けたほうがいいのじゃないかと思います。
 最後に、九月十日の社説にも書いてあるのですけれども、「文部省には中央教育審議会をはじめ各種の審議会、調査会などがある。ところがわが国の教師の過半数を組織する日教組の関係者は、これらからすべて除外されている。教師の給与のあり方を抜本的に再検討するため、昨年夏に設けられた「教員等待遇改善研究調査会」にも日教組からは一人も加わっていない。」こういうふうに社説に書いてありますけれども、事実はこのとおりですか。
○奧野国務大臣 そのとおりでございます、待遇改善の委員会については日教組の代表に来てもらいまして、意見は徴しているようでございます。
○石母田委員 非常に驚くべき事態である。「わが国の他の省庁でも、このようなかたくなな組合排除が常態となっているのはまれなケースであろう。」というふうに毎日新聞の社説が述べざるを得なかった事態が、いまあなたと組合との関係に出てきている。しかもその根本がどこにあるか。私は、原因はあなたにあると思う。あなたのような、あのような考え方とやり方で進めるならば、とてもいまのような教員組合との正常な関係、さらには日本の教育を、私たちも含めて大きな犠牲をこうむってかちとったこの民生的な教育を続けていく、それをゆだねるにはあまりにも危険な文部大臣であるということを痛切にきょうは感じました。そういう点でこの問題についてあくまでも徹底的に責任追反することを表明いたしまして、私の質問を終わります。
○田川委員長 大橋敏雄君。
○大橋(敏)委員 私も関連をして質問させていただきます。先般公制審の答申が出たわけでございますが、その答申が強調している筋というものは、いわゆる労使関係、労使の相互関係の不信感を取り除いて労使関係の正常化をはかって、節度ある労使慣行を確立することである。いろいろ受け取り方はありますけれども、強調している点はみんな同じように受け取られると思うのですね。ところが八月三十日ですか、奧野大臣が発言されたことがいろいろ問題になっていることは、重視されておりました公制審の答申が出される寸前であったわけですね。いまの答申が強調しているような労使相互間の不信感を取り除いて、正常な関係を確立していくという方向から見ると、きわめて逆行することばになるわけですね。大臣は先ほど、自分はわが国の文部行政の最高責任者である、いわゆる重大な位置にあることをお述べになっておりましたけれども、私はそれを否定するわけじゃございませんが、その立場にいらっしゃるあなたが、どうしてあのような発言をなさったんだろうか、いまだに理解に苦しむのであります。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
 有名な哲学者の教えの中に、ことばというものは心の思いを声に響かしてあらわすものなりとあります。つまりことばというものは気持ちをそのまま表現しているのだということなんですね。そうしてみると、文部行政を担当なさる最高責任者であるあなたのあの発言は、ただ済みませんでは済まない内容ではなかろうか、私はこう思うのであります。
 先ほど同僚議員からすでにきびしい追及があっておりますけれども、蒸し返すようではございますが、あなたが発言なさった、いわゆる日教組はまことに政治好きだ、それほど政治が好きなら政治屋になれ。あるいは学校の先生は屎尿くみ取り人と同じではないと思う、このような発言ですね。参議院等ですでに陳謝なさっているようではございますけれども、ここであらためてあなたのほんとうの気持ちを訴えてもらいたい、表明してもらいたい。同時に、これに対する文部大臣としての責任はどう果たされるのか、真剣な思いで私は聞いております。
○奧野国務大臣 現業公務員と非現業公務員との違いにつきまして例示をあげましたことが、たいへん不愉快な感じを持たせる向きがございまして、ほんとうに申しわけがなかった、こう考えておるわけでございまして、その点につきましては取り消しをし、おわびをさせていただいておるわけでございます。
 それからもう一つ、政治屋という表現がございました。これは侮べつ的な意味も含んでいるじゃないかという式の御指摘がございました。私の言いたいことは、そういう方々は政治の社会で活動してもらいたい、こういうのが正確な表現でございまして、用語が適切を欠きましたとおわびをさせていただいておるわけでございます。
○大橋(敏)委員 私は、おわびなさったことは一応新聞等で見て知っているのですよ。先ほどから言っておりますように、文部行政の最高責任者であるあなたのあの発言です。ただ済みません等では済まないだろうと言っているわけですよ。もっときびしい見方をしているのが、国民の大半でございます。先ほどからも何べんも言われておりますけれども、あなたにほんとうに反省の色があるのか、このようなことも出ておりましたけれども、いまのようなことでは、私も同じような気持ちで一ぱいです。もう一回気持ちをあらわしてください。
○奧野国務大臣 現業の例示の問題は、二十一年当時の地方行政をなまじっか若干知っておったばかりに、かえって私は用語がたいへん不適切で不愉快な気持ちを生じさせて、ほんとうに恐縮に感じておるわけでございます。今後もこれらの問題につきましては十分に留意して対処していきたい、かように考えております。
○大橋(敏)委員 本来ならば腹を切っておわびするほどの重大な発言だと私は思うのです。これはここで幾ら論じてみても、私一人であなたをどうのこうのとする権利もなければ、力もないと思う。しかし、今後のあなたの発言は重大な関心を呼んでいることを記憶しておっていただきたい。
 一つお尋ねいたしますが、たとえば精神的欠陥のある人に刃物を持たせれば、これは確かにおそろしいことであろうと思います。しかしまともな者に刃物を持たせれば、これは正確な利用をして生活をエンジョイしていくと私は思うのであります。公務員に対するスト権の問題でございますけれども、終戦後のあの混乱期、動乱期ならば確かにあなたが心配なさるようなこともあったでしょう。しかし、今日労働運動は大成長しているところであります。それこそ、自由を与えないほうがかえっておかしな姿でございます。あなた自身が、組合のいうスト権奪還のことばは不自然だ、終戦後に現業公務員とあわせ教員に一時的にスト権が与えられたが、これは間違った措置であり、例外的なものにすぎないと考える、このような発言をなさっているわけですね。先ほど私が申し上げました質問の内容といまのあなたの発言の内容と照らし合わせて、もう一回見解を述べていただきたいと思います。
○奧野国務大臣 私は、公務員にスト権が与えられたのは二十一年の十月から施行されました労働関係調整法だ、こう理解をしておるものでございます。その際に、明確に現業の公務員にスト権が与えられたわけでございます。そのときに英文官報にはパブリック・エンタープライズということばを使っているわけでございます。公企業ということばを使っているわけでございます。公企業の公務員にスト権を与えた、こう理解するわけでございます。その際に、教員についてもスト権が与えられたとする通達が出されておるわけでございます。そういう経緯について若干疑問を持ちますのと、それも、二十三年の七月でございましたか、マッカーサー総司令官の指令が出まして公務員のスト権が禁止されたわけでございます。したがいまして、二年足らずの期間でございますので、そういう点につきましても奪還ということは不自然じゃないかという気持ちを持ちまして述べているわけでございます。人によってはいろいろな考え方がありましょうけれども、私は不自然であると思います、こう述べたわけでございます。
○大橋(敏)委員 時代は変わったのです。今度の答申を見ても明らかなように、争議権の問題を可及的すみやかに解決するため、立法上、行政上の根本的検討を加える、つまりスト権を与えることを示唆しております。もちろんこれは現業職員のスト権の問題でありますが、非現業スト権についても三論併記ですよ。現状のとおり禁止する、一部を除き認める、すべてに認める。このように答申そのものが、公務員に対するスト権はいずれは認めるべきであるということを示唆しているわけです。時代は大きく変わっているのです。欧米諸国ではもうすでにスト権を与えている事実がたくさんあるわけです。そういう時代背景を踏まえない発言というものはほんとうにものすごい悪影響を及ぼす。私は、あなたの発言は労働者に対する挑戦である、このような感じもしたのであります。慎んでもらいたいと思います。いずれにいたしましても、このように三公社五現業のスト権について、可及的すみやかに問題を解決するために立法上、行政上の抜本的検討を加えるのだ、このように答申で述べておりますが、こういう関係とあなたのいままでの思いとのギャップ、これに対する考えはどうですか。
○奧野国務大臣 公制審の答申の受け取り方につきましても、大橋さんと私との間に大きな開きがあるわけでございます。同時にまた、政権担当者がどう変わっていこうと、あるべき公務員制度は維持していかなければならない、そういう公務員制度を踏まえて公務員のスト権をどう処理していくかということは非常に重要な問題だと私は考えているわけでございまして、また欧米先進国の中にも、公務員にスト権を与えているところもあれば、与えていないところもございます。日本の将来を考えながら、日本における生きた公務員制度、そしてまたそれについての労働基本権をどう考えていくかということは重要な問題でございますので、みんなでほんとうに知恵をしぼっていかなければならないことだ、かように考えております。
○大橋(敏)委員 労働大臣、いまちょっと重大な発言がありましたので、労働基本権の問題ですから、大臣の見解も聞いておきたいと思うのですけれども、今回の答申の受け取り方はさまざまだ、これはそのとおりだと思います。一面では、スト権の奪還への足がかりを得た、こう見る向きもあり、またもう一面では、認めるという明確なことば、言質はないということでこれは適当な答申である、このようなさまざまな見方がされていることは事実でありますが、労働者の立場から見れば、先ほど言いましたようにこれは絶対スト権奪還への足がかりである、こう見ているわけです。したがいまして、政府の今後の取り組み方次第では、この答申が死んでしまうか生かされるか、きわめて重大な問題なんです。われ一われ労働者を守る立場から見た場合、今度の答申は絶対的に生かさなければならない、生かさるべきである、こう思うのでありますが、いまの文部大臣の発言は気にかかりますし、労働大臣としての、労働者を守る立場の行政の最高責任者としての御見解を聞かせていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 先ほどの石母田委員からの御質問のように、公制審の答申の問題は、政府を代表するのは、非現業、現業もありますので、坪川君のところで政府を代表して答弁いたしますが、私の関係は、三公社五現業の現業の問題について私の見解を申しますと、今回の答申は御承知のようにすべてにスト権を認むべきでないとする意見と、国民生活の影響の少ない部分については認めるとする意見と、一定の条件、歯どめをつけて認めたものと、この三つの意見を併記しておりまして、このような意見が一致しない理由を述べた上で、政府としては可及的すみやかに争議権の問題を解決するため、三公社五現業のあるべき性格について抜本的検討を加える、こうなっておりますので、したがって政府としては、争議権をこの際認むべきだという意見と、いなという意見について方向が判然と明示されておらないというように労働大臣としてはとっておりますので、いまこの点について示唆したとか、そういうことは、私といたしましても三公社五現業の問題についても今後抜本的に検討をすべきだ、こういう見解であります。
○大橋(敏)委員 私は、今回の答申の内容から見て当然第四次公制審のようなものが早急につくられるであろう、そしてこの問題が真剣に、また早い機会に実現するような方向で検討されるであろう、このように考えているわけでございますが、そういうことも考えられないですか。
○加藤国務大臣 その点については、関係省庁と今後第四次の公制審とか、また別な機関を設けるとかいう点については検討いたしておりますので、いま私からどうするということを申し上げる現状ではありませんが、十分抜本的に検討することも、公制審の答申を尊重することもやぶさかでありません。しかしいろいろな問題は、関係省庁も多いことでありますので、これからよく協議いたしまして今後の方針を検討いたす所存であります。
○大橋(敏)委員 時間が来たようですけれども、労働者を守っていく立場にある労働大臣がそんな消極的な気持ちだからこそ、奧野大臣のようなああいう発言が出てくるのですよ。もっといわゆる労働行政の最高責任者であるその自覚と責任のもとに、いまの時代の流れに応じたスト権の問題についても真剣に取り組んでいただきたい、これを強く要望しておきます。
 それから奧野大臣にいたしましても、今後のあなたの発言は、先ほど言いましたように、きわめて深い関心をもってながめていきますので、二度とこのような発言をなさらないように、強く注意を申し上げておきます。
○竹内(黎)委員長代理 藤田高敏君。
○藤田委員 私は、最近労使間に起こっております労組法第七条違反の問題、基準法違反に関連する問題について質問いたしたいと思います。なかんずく、そのことに関連をして住友重機械工業株式会社に関連するさまざまな労働関係法令違反の問題について、監督行政の行政のあり方、またそれぞれの違反についての対応のしかた、処理のしかた等について質問をしたいと思います。
 具体的な問題に入る前にまずお尋ねをしたいのですが、最近における全国的な労組法、特に七条違反の関係、基準法違反の状態はどういう状態になっておるか、その件数なりあるいはここ三、四年来の経過と、あわせて特に昨年からことしに入っての特徴点と目されるようなものについてまず説明をしてもらいたい。
○道正政府委員 不当労働行為として問題になっているケースは、最近あちこちにかなりの件数で起きております。全体として最近の数字を申し上げますならば、四十六年に新規の申し立てのあった件数は四百九十五件……
○藤田委員 それはどちらですか。
○道正政府委員 不当労働行為でございます。それから四十七年は六百五十件になっております。
○藤田委員 私も久しぶりに社労に来たので、ちょっと社労委のこういう質疑応答の状態がわかりませんが、いま私が質問したことについて三分の一ぐらいしか答えてないですね。いわゆる労組法七条違反の問題なり基準法違反の問題、その特徴点と目される問題、そういうものについてひとつ説明してもらいたい。
○渡邊(健)政府委員 基準法違反の監督状況を申し上げますと、昨年昭和四十七年度におきましては、全事業場の一〇%弱に当たります約二十五万事業場につきまして監督を実施いたしております。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
 そのうち定期監督と申告監督がございますが、定期監督について申し上げますと、そのうち約二十一万事業場でございまして、これにつきましては監督の結果、違反事業場の比率は六六・八%と相なっております。
 違反事項として多いのは安全衛生関係の危害防止基準違反、労働時間関係、健康診断等につきましての違反が多いわけでございます。これらの違反につきましては、発見のつど、すみやかに是正するよう勧告いたしておりまして、そのうち悪質な違反、繰り返し違反等につきましては送検等の司法処分あるいは使用停止処分等々の措置をとりまして、労働者の保護に遺憾なきをはかっておるところでございます。
○藤田委員 道正局長、七条違反の関係の特徴はどうですか。
○道正政府委員 御指摘のように、七条には各一号から四号まで種類があるわけでございますが、民間産業について申し上げますならば、一号関係が四百二十四件、先ほどの六百五十件の中で六五%でございます。これは四十六年の三百五十四件、七二%に比しますと、件数ではふえておりますが、率としては減っております。それから二号関係が二百十八件、三四%になっております。これは四十六年には百十五件、三一%でございます。三号関係は四百四十二件、六八%でございまして、四十六年は二百二十六件、四六%になっております。三号関係が著しくふえてきて、一号関係を上回ったということが特徴かと思います。
 それから業種別に見ますならば、製造業が二百八十一件で、四十六年の二百二件に比してふえております。次いでサービス業、運輸通信業の順になっております。
 それから規模別に申し上げますならば、千人以上の規模が三百二十九件、百人から四百九十九人が二百六十一件、四十九人以下が百六十九件、五十人から九十九人が八十五件、五百人から九百九十九人が八十四件となっております。一応特徴的なことを申し上げますればそういうことでございます。
○藤田委員 一般的な傾向ないしは特徴についてはその程度で私やめますが、いまの報告なり説明を聞きましても、最近不当労働行為の問題もその質がだいぶ変わってきていると思いますし、いまの局長の答弁の中にはございませんでしたが、職種別に見ると、金属産業関係の不当労働行為ないしは基準法違反の問題がたいへんふえているという傾向が、労働省提出による資料によっても明らかなところであります。
 そこで、いまの傾向に関連をして、住友重機械工業株式会社にかかわる七条違反の問題なり基準法違反の問題については、すでに当委員会においても問題になってきたところであります。最近労使関係においては、組織問題も関連をして、大会社として常識的には判断ができないような悪質というか不当な違反問題が続出をしておる。その問題に対して、労働組合は、当然のことですけれども、それぞれの所管基準局に対し、あるいは地労委、裁判所に対して救済の手続をとっておるわけでありますが、以下申し上げることについて、これはもう当局としてもお調べになっておると思いますが、住友重機械工業は愛媛県の新居浜市に新居浜製造所を持ち、そして昭和四十四年に浦賀、玉島の造船関係と合併をして以来、玉島、浦賀あるいは系列関係として日特金、富田機械、佐野安造船、こういったような大きな事業所を持っておるところでありますが、こういう住友重機械関係にかかわる不当労働行為の申し立て事件、いわゆる七条違反の問題並びに基準法違反の問題が、代表的なものだけでけっこうですから、申告をされ、あるいは申し立てをしておる案件、そうしてその案件の処理状況がどうなっておるかということを説明を願いたい。質問の時間を合理的にする立場からお尋ねをしておきますが、特に新居浜製造所に関係する問題で松木一雄に関する不当配転の問題、これは昭和四十七年十一月十三日に申告をしておる。藤井正剛に対する差別問題、これも同じく四十七年十一月十三日に申告、それぞれ基準法百四条二項違反として問題を提起しています。伊藤邦俊に対する集団暴行事件、これはことしの六月の十三日に申告、これは基準法三条関係。福本頼幸に対する差別と不利益扱い、これはことしの七月十九日に申告し、その内容は百四条二項違反。もちろんこれだけに限定する内容ではなくて、付随する問題というか、基準法以前の人権問題にかかわる事柄あるいは刑法に抵触する問題等も内容的に含んでおると私は思うわけでありますが、これらについてはいま申し上げたようにすでに申告済みの問題でありますし、それ以外の問題については基準監督署として一定の行政措置をとったものもありますが、それら一連の問題について説明をしてもらいたい。
○道正政府委員 地労委関係あるいは労組法関係について申し上げます。
 御承知のように、非常に多数の案件が出ております。現在地労委あるいは地裁へ申し立てている件数は、地労委へ申し立てられているものが九件、地裁へ申し立てているものが十三件でございます。それからただいま具体的にお話のございました松木さんの配転問題についての申し立ては四十八年の二月十九日に愛媛の地労委に申し立てられております。現在審理中でございます。
○渡邊(健)政府委員 基準法違反関係の申告について申し上げますと、昨年中にもいろいろな申告がございまして、それらについては御申告のつど監督を実施いたしまして、必要な是正措置をとっておるのでございますが、本年に入って申し上げますと、四月、六月、七月と新居浜関係においては労働者側から基準法違反の申告がございました。そのうち組合費のチェックオフ、これを間違えてやった、これはある労働者の方が一方の組合から他方の組合へ移籍されたことを会社が知らずに天引きをしたというようなことが監督の結果判明いたしましたので、それにつきましてはすみやかに是正をさせております。
 そのほか三条の差別待遇であるとかあるいは申告に基づく百四条等々の事案につきましては、申告がございましたつど監督を実施いたして、事務局のほうで調査をいたしておりますけれども、それらについては基準法違反の事実を確認するに至りませんで、会社側に対して不必要なトラブルやあるいは誤解を生ずることがないよう十分注意するように指導をいたしておるところでございます。
○藤田委員 まず基準法違反のほうから指摘をいたしますと、先ほど基準局長は全国で二十五万ほどの件数があって、そのうち二十何万件云々ということで、できるだけすみやかに実態調査をして、そして繰り返して違反事実のあるようなものについては送検措置をとるなりあるいは準司法的な措置を講ずるなりして労働者の権利擁護をやっておる、こういうことでありましたし、私がいま指摘した特に四件の問題についても調べたけれども、基準法違反の実態がなかった、こう言っておりますが、そのことに間違いありませんか。これは重大な発言ですから……。
○渡邊(健)政府委員 現地の監督署におきまして、申告に基づきましてそれぞれ直ちに監督を実施いたしておりますが、現在までのところ基準法違反という事実を確認をいたしておらないのでございまして、先ほど申し上げましたように、不必要な誤解を生じたりあるいはトラブルを生じないよう適切な措置をするように行政指導をいたしておるところでございます。
○藤田委員 たとえば松木一雄の不当配置転換の問題について私がいま指摘しましたように、四十七年十一月の十三日に百四条二項違反、すなわち労働基準監督署に基準法違反として申告をしたという理由のもとに不利益な取り扱いをすることに対する案件として申告をしておるわけでありますが、これは監督署自身はことしの一月の十八日、新居浜監督署長が松木一雄の不当な配署転換に対して原職復帰を勧告しておりますね。勧告をするということは基準法違反の事実があったから勧告しておるのではないですか。どうですか。
○渡邊(健)政府委員 私どもが報告を受けております限りでは、これは基準法違反であったということで是正勧告をしたというのではなしに、先ほど申しましたような指導といたしまして、混乱や誤解を招くことのないように原職復帰をさせたらどうかという指導をいたしまして、それで復帰をさせ、ことしの二月でございますか、完結になったというように聞いておるわけでございます。
○藤田委員 それでは少し事務的処理の性格についてお尋ねしますが、労働基準法、たとえば百四条一項違反なりあるいは二項違反によって処理する順序として――順序というか内容としては、口頭指導あるいは指導票による指導あるいは勧告、命令、告発、これは書類送検という形になると思います。こういう監督署自身として、基準局として行政上対処すべき処理順序としてはそういうものがあると思うのですが、基準法違反として認定できる措置はそれではどこからですか。たとえば勧告というのは基準法違反として認めることができない範囲に入るのか、基準法違反としての事実があったから勧告をするのか、そういうことについて説明してもらいたい。
○渡邊(健)政府委員 基準法違反であるということを明確に認めましたときには、是正勧告というものを出します。あるいはそれよりもきつい場合には使用停止処分であるとか、あるいは送検というような形をとるわけであります。普通は是正勧告という措置をまず第一にとるわけであります。
○藤田委員 それでは、松木の場合、この不当な配置転換をやっておるということで、原職に復帰を勧告したということは是正勧告の中に入るのか。これは明らかに基準法違反として認定できる事件ではないか。
○渡邊(健)政府委員 渡しましたのが来ておりませんので明確にはわかりませんが、私どもが聞いておる限りでは、これは指導であったというふうに聞いておるわけであります。
○藤田委員 それでは私、問題の本質を明らかにするために――この委員会でこういった、ある意味においてはこまかいことを取り上げるつもりはなかったのですけれども、労働者の権利を擁護する監督署自身のあり方が、ある意味ではきわめて怠慢であるし、いまの答弁を聞いても、指導行政の範囲を出ない、いわゆる勧告という意味のものでなかったということですが、それでは一いま少し早く資料を渡したらよかったかと思いますが、その内容は、私のほうからもけさ、松木の件につきましてほか三人の資料を渡しましたが、去年の九月二十五日、この松木が組織問題に関連をして、全国金属労働組合の組合員であるという立場から、いわば正当な組合活動をやったということが明らかになってから今日まで、約十回の配置転換が行なわれておる。去年の九月二十五日からことしの七月の九日まで約十回、一番長いのが五カ月、一番短いのが三日目にAからBという職場に配置がえされる、あるいは七日、八日、十日、二週間、二十日間といったような刻み、いわば玉つき的な配置転換が行なわれておる。しかも基準監督署自身がいま言った勧告の措置をとったのが――日時的にいえば、昨年の九月二十五日その一番最初の配置転換をやって、そうしてこれは不当な配置転換だということで監督署に申告をして、それからたしか翌年一月十八日に勧告をやっておるわけですね。勧告をやっておるけれども、勧告をやってから今日まで約九回の配置転換が行なわれておるわけなんです。これだけ基準監督署自身が勧告をやって、それはあなたのほうの一方的解釈で私は了解できないけれども、そういう行政措置をやるというのであれば、私は労働大臣にも――そういうあり方自身を改正しなければならぬと思うのですけれども、少なくとも役人らしい、勧告の中身を指導とそれから基準法違反という認定の上に立ってやる勧告とに分けるということは、私はきわめてずるいやり方だと思うのですが、そのことは一応論外としましょう。論外とするけれども、基準監督署が勧告をやって、それ以降、一番最近では今月の九月十四日にまたこの配置転換、これは現図という職場から製かんという職場に配置転換をしておるわけで、これは根本的な職種の転換でして、その労働者にとっては将来に向けてのたいへん希望を失うような配置転換であります。そういうようなことがずっとなされてきておることに対して当該労働組合及びその労働者が申告をしておることに対して、その後基準監督署はどういう措置をとったか。先ほどの冒頭の説明でいえば、すみやかに対処し、しかも、こういういわば玉つき的な配転ともいうべき不当な配置転換をやっておるようなことに対しては、先ほどの局長のことばをかりていえば、繰り返してやるようなものに対しては送検措置をとってでも適切な対策を講じておるというけれども、何もやっていないじゃないか、これはどういうことなんだ。
○渡邊(健)政府委員 配転が妥当な処置であるかどうかということの問題のほかに、基準法違反と申しますと、それがたとえば百四条にいうところの、申告をしたことを理由としての不利益な処分であるかどうか、その理由がそういうところにあるものかどうか、あるいは三条なども申告の理由にあげられておる面もありますけれども、三条にいうところの「国籍、信条又は社会的身分」を理由とした差別であるかどうかといった原因との関係になるわけでございまして、もし基準法のそれら百四条あるいは三条といったようなものに該当するという認定ができますれば、もちろん基準法違反として是正勧告なり、あるいはそれが守られない場合にはさらに強い処置なりをとるわけでありますが、基準法のそれらの条項によるものであるという認定が法的に確認できません場合には、これは直ちに基準法違反ということにならないのでございまして、指導といたしまして、妥当と思われない措置があればそういうことをやらないように行政指導をする、こういうことになるわけでございます。
 ただいまの先生御指摘の松木さんの件につきまして、昨年からことしの一月にかけてのことは先ほど申しましたが、その後もそういうような配転が行なわれておるというようなことで、六月十三日に再度申告をされております。そこで、六月の二十二、二十五、二十六、二十七、二十八日の五日間にわたりまして、そのほかの申告事案とあわせまして現地を監督いたしておるわけでございまして、その結果に基づきまして七月二十六日には製造所長に対して、今後同様の問題を発生させることがないように十分適当な管理を行なうように指導をいたしておるわけでございます。
○藤田委員 具体的に基準法違反であるかどうかという内容認定ができなければならぬというわけですけれども、先ほどの局長の答弁の一月十八日の勧告というのは、少なくともそういう基準法違反の容疑濃厚なりということで勧告したのではないのですか。そのことは、その段階ではまだ配置転換は一回しかなされていない。一回しかなされていないけれども、その内容自体がきわめて基準法違反の疑い濃厚なりということでやったはずです。その後やっておる九回の配置転換というものは全く、その労働者が全国金属労働組合の組合員であるということが土台になっておることは明白なんです。
 これはあなたのお手元にも出しておるが、去年の十月三十一日、松木が当該職場の課長とやりとりをした論議の中で――これは全部テープにとっておるわけです。それをここへきょう持ってきてもよかったのだけれども、ここにみな記録したものを持っているから……。
 これによれば、たとえばAという課長がいる。その言をかりて言えば、一番端的なところは、松木に対して、一般の「人と変った事をしてね、いちいち基準局へ言うて行かれて一緒に仕事やか出来るか。時間より前に来て掃除したらいかん。そんな事言われて現場で生活できるか。」「そういう考える人とは一緒にでけん。」いわば基準局へ言うていったり申告をしたりする者とは同じ職場ではやれないのだ、こういうことを言っておる、また、それに続いて、基準局へ言っていく連中とは一緒に仕事をやることはいやじゃ、「そういう事を言うていくような連中とはつき合えん。」こういう形の具体的な発言がなされておるわけなんですね。常にやりとりの中で――時間の関係がありますからこれだけにしぼることはできませんが、基準局へ申告をしたり行っていたということが、そもそも配置転換の中心になっている。これは非常に明らかなんです。これだけ記録もとっておりますが、何だったら後日そのテープも持ってきたいと思うのです。このことは当該基準局、監督署に対して労働者が直接行って、あるいは所属しておる組合の組合長なり組合の代表が行って、具体的に説明しておるのですね。そこまで明らかな事実があるにもかかわらず、なぜ基準監督署は、いま局長が言ったように百四条違反の問題として適切に――勧告の中には二通り三通りあるんだというずるい考え方ではなしに、命令の措置をとるべきものはとる、告発すべきものは告発する、こういう折り目のついた行政をなぜやれないのか。そういうことをやらなければ労働者の権益というものは守れないじゃないか。これは局長の答弁にあわせて労働大臣の見解を聞きたい。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申し上げましたように、最近では、六月の申告のあとに五日間にわたりまして申告監督を実施いたしまして、詳細に関係者から事情を聴取いたしておるのでありますけれども、監督官がそういう申告監督を実施いたしましたところによりますと、申告したことを理由とする不利益取り扱いであるという確証を得るに至っておらないわけでございます。したがいまして、違反に対する是正勧告ということではなしに、指導といたしまして、同様の問題を発生させないように十分適当な管理を行なうように指導をいたしておるわけでございます。
○藤田委員 ちょっと大臣の答弁の前に。
 私がいま生きた事実を、証拠を持ってきて問題を提起しても、これは基準法違反にならないと言うのですか。いまあなたたちがやっておる口頭の行政指導的な勧告のワク以上に入れないと言うのですか。もしそれであれば、それなりに私どもはとるべき対策なり措置を考えなければいけません。これだけの具体的事実があるのです。それでもなおかつ本省の基準局自身は、これは百四条違反と認めることはできない、こう判断するわけですか。
○渡邊(健)政府委員 そのやりとりもいろいろなことがそのほかにも言われておりますし、やはり基準法違反であるかどうかを認定いたしますためには、会社側あるいは組合側、その他現場におきますいろいろな事情、配転の経緯等、十分事情を調べて総合的に判断する必要があると思うわけでございまして、その総合的な判断の内容は全部本省には出てきておりませんが、現地におきましては、それらの監督のもとに調べました結果に基づきまして、百四条違反というところまでの認定をしておらないわけでございます。
○藤田委員 大臣、どうですか。
○加藤国務大臣 いま基準局長から御答弁申し上げたとおり、当然、基準法百四条の違反の場合には峻厳なる態度で措置いたします。いまのやりとりを聞いておりますと、どうもその点がまだ判然としないような感じでありますが、なお一そう、基準法違反に該当するかしないか、本省のほうからよく末端等に連絡をとりまして、その違反であるかないかの認定を急ぎ、そして百四条違反の場合には当然措置することにはやぶさかでございません。
○藤田委員 大臣の答弁では、百四条違反ということになれば命令、告発、いわゆる書類送検の措置もとる、こういうことですね。どうですか。
○加藤国務大臣 そのとおりでございます。
○藤田委員 そのとおりですね。私は、少なくともいま言ったように、十月三十一日の当該課長と松木とのやりとりの談話の中から紹介すれば、これはもうはっきり基準法違反ということが断定できると思うのですよ。そういう事実が本省の局の段階に報告として来ていない、わからなかったということであれば、私は別だと思う。こういう事実が明らかになれば、これはもちろん解釈として、基準法違反として取り扱うべき事件といわば認定できるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申し上げましたように、現地におきましては、申告がございまして、五日間にわたっていろいろな事情も調べまして、その結果、百四条に該当するという認定までには至らなかったと言っておるわけでございまして、私ども、現地で調べました全部について本省へ来るわけではございませんが、一応個々の事案につきましてはそういう現地の監督官の公正な判断を信頼をいたしておるわけでございます。
○藤田委員 私は、ほかの問題もありますから、これは一応この程度でなにしますが、ここでひとつ確認しておきたいのですけれども、労働者が不当労働行為を受けた場合あるいは基準法違反を受けた場合に、申し立てなり申告をやるということは、憲法なり労働関係法のたてまえからいっても、労働者の当然の基本的な権利だと思うわけですが、そういうふうに確認してよろしいかどうか。
○道正政府委員 不当労働行為であるというふうに判断をされた労働組合あるいは当該個人が申し立てをする、これを制度として受け入れる仕組みもできているわけでございますので、卓立した労働者の権利というふうに申して間違いないと思います。
○渡邊(健)政府委員 基準法を受けた労働者につきましても、基準法の百四条で申告する権利が明記されておるところでございまして、これは労働者の卓立した権利であると言えると思います。
○藤田委員 私はあと四件ほど問題がありますから、その問題にも触れ、これら一連の問題に関する総括的な質問もいたしますので、先に入りますが、この問題に関連をして、特に当局に要請をしたいわけです。この問題だけではありません。というのは、先ほど道正局長からでしたか答弁がありましたように、この会社はいま不当労働行為事件として地労委に九件、地裁に対しては十三件というふうに多くの問題がかかっておるわけです。これは後ほども申し上げたいと思いますし、すでにこの委員会でも一度問題になったというふうに聞いておるわけなんですけれども、労働省におって、しかも中央労働委員会にも長年おりましたし、国際的にもILOですかどこかの関係でジュネーブにも駐在した北村という人が、いまこの会社の労務重役といいますか労務重役をやっておる。こういう会社でこれほど大きく事件が次々起こって、後ほど申し上げたいと思いますけれども、冒頭申し上げたように住友重機械工業玉島、浦賀、新居浜、日特金、佐野安造船といったような系列の組合では、不当労働行為事件として問題を提起した直後に、それぞれの事業所で組合が分裂騒ぎを起こしておるわけであります。こういうふうに常識的にはとうてい理解できないようなことが起こっておるわけでありますが、私は、こういうような労働省の高級官僚ともいうべき者がこの種の会社に行って、本来なれば、その会社に不当労働行為的なものや悪質な労働基準法違反的なもの、悪質でなくとも基準法違反的なものがあるとすれば、むしろ労働省出身の人というのは、正常な労使関係を確立するために、あるいは労働関係法令違反の事実がないように、労政担当の重役としてあるいは役員としてそれぞれの会社で努力するのが常識ではないかと思っているのです。ところが、こういった常識はずれのことが行なわれておる。そうして、なるほど厳密な意味では、そのこと自身で私は詰める時間がありませんけれども、一年の間に十回もこういう形で配置転換が繰り返されておる。これは異常です。こういう事態が起こっておる。そして、具体的な現地のことはあまり言いたくありませんが、現地の監督署とこの会社との癒着関係というものは一度地方の新聞にも、全国版にも載ったかに私記憶しておるわけでありますが、そういう特殊な事情があるわけですね。
 そうして、一方では、私は少なくともこれは明らかに労働基準法違反だと思うわけですが、こういう会社に対して労働者が以下、伊藤の問題、藤井、福本の問題について質問をしますけれども、こういう会社に対して本省の人間自身が、出先からの報告との間には――出先の報告だけによりますと適切な判断ができがたい面があると私は思うので、これはひとつぜひ本省から直接現地調査に入る、こういう手だてをしてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 なおよく事情を調べまして、地方からも報告を取りまして、必要と思う場合には本省から人を派遣してでも調査をさせるようにいたしたいと思います。
○藤田委員 大臣、やりますか。
○加藤国務大臣 いまこちらから言ったように、事例によってはそういうことも従来からあり得ることでありまして、地方へまかしておるものでありますから、そう一々の案件について、事件について、事案について本省からすぐに派遣ということはできませんから、ケース・バイ・ケースでそういうこともあろうと思います。
○藤田委員 大臣、これは一般的なことで答弁されたのでは困るのです。具体的なことをたくさんこれはなにしておるのですからね。大臣のお耳に入ってないかもわからないけれども、これは異常な状態が起こっておるのですからね。そのことを前提にしてひとつ答弁してくださいよ。またあとからたくさん出るのだから。
○加藤国務大臣 まあこの事案はいろいろな問題も含んでおりますと思いますので、現地のいろいろな報告を取りまして、そして派遣するかしないかきめたいと思います。いま局長から答弁があったように、ことによっては派遣するということに対して、大臣としてもそのとおりの意見であります。
○藤田委員 わかりました。一応いまの答弁では、現地の事情をさらに聴取して、本省から直接調査に入る、こういうことでありますから、その手だてをぜひやってもらいたい。そしてその結果はひとつ私にも報告をしてもらいたい、こう思います。
 そこで、私、少しくほかの問題についても触れておきますが、いまのは主として松木の件でありますけれども、藤井正剛という、これはきわめてわかりやすく言いますと、一つの事業所におりまして、その工場の事業所から外へ出て工場周辺の町工場、下請工場にいろいろな検査、製品の指導検査に行く仕事に携わっています。新居浜に工場があるわけですけれども、これは大臣もお隣の県ですからよく知っておられると思いますが、新居浜市及びその周辺の郡部にそういう仕事で行く地域をA地区といっております。大阪とかあるいは中国方面に出るのをB地区に出る、こうなっておる。ところが、彼が全国金属の組合員として正当な組合活動をやっておる、そのことを理由にかれこれこの一年間、最初のうちは全然工場の中から外へは出さなかった。最近はA地区、新居浜市及びその周辺には出張を命じておりますけれども、その出張も時間外労働に当たるようなことは一切やらさない。いわば残業手当がつくような、あるいは出張手当がつくような、そういうことは一切やらないというような措置をとっておるわけであります。これも明らかに藤井が全国金属の組合員であるというためにそういう不利益な取り扱いがなされておるわけでありますが、これについて、これまた基準局としては現地の事情を聞いておると思いますが、この問題に対する認識なり見解はどうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 藤井さんにつきましても、七月の二十三日に御指摘のような申告がございまして、これは基準法三条の違反であるという申告が出されておるわけでございます。しかし、これにつきましても、八月の十日、十七日、二十二日、二十七日、二十八日、二十九日、九月十日と七日にわたりまして申告監督を実施し、関係者から事情を聴取いたしておるのでありますが、その調査によりましては、残業が特に少ないといえない、あるいはこれらの人が組合業務で離席することが多いので残業させられないからというような理由、または二、三日の出張であっても行かせられるかどうか確信が持てないというようなことであったというふうな調査結果になっておるのでありまして、それらの事実からは三条でいうところのいわゆる国籍、信条あるいは社会的身分、そういうものを理由とする差別であるという確証を得るまでに至っておらないわけでございます。そこで九月十三日、藤井さんの件につきましても指導をいたしまして、今後そういうトラブルや誤解を招くような処置をしないように、適当な管理をするようにという指導をいたしておるところでございます。
○藤田委員 この藤井君の場合は三条の問題もありますけれども、百四条の二項で申告していますね。そのほうはどうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 私どもがいま持っております資料では三条関係のことが書いてありますだけで、百四条につきましてはちょっと手元の資料にございませんので、これは後刻至急調査してみます。
○藤田委員 一応他の問題も全部簡単に出したほうが、内容をここで指摘したほうが大臣やそれぞれ局長にも、この事業所にかかわる基準法違反の全貌がよく理解されると私は思いますので、以下福本に対する問題、伊藤に対する問題についてその内容を指摘したいと思います。
 前後しますが、福本頼幸に対する仕事差別の問題ですね。これまた百四条の二項違反として申告をしておりますが、申告後、福本に対しては一切残業をやらさないのですね、やらしておりません。いいですか。そこへちょっと何でしたらメモしてください。
 それから二つ目は、福本というのは、ボーリングといって大型の工作機械に従事しておるのです。このボーリング作業というのは、大きな品物になると数トンの製品を削っておるわけですけれども、小さくとも数百キロあるような大ものの工作機械に従事しておるわけです。ですから、これだけ大きな仕事をするためにはどうしても、俗称先手といって、いわば作業の補助者が必要なんですね。ところが基準法違反で申告してからというものは、これも昨年の八月以降ですが、この作業の補助者というものを福本に対してだけは提供していないのですね。いいですか。これが二つ目の具体的な事由。
 そして、これはごく最近に起こったところですけれども、今月の、九月の四日、五日に会社の機械設備に、これは福本が持っておる機械設備に水をかけたり、あるいはハンドルに油を塗ったり、そうして大きな機械ですから締めつけのボルトがかれこれ、予備ボルトが百本くらいあります。その百本くらいあるボルトを、こちらの切りくずのあるところへ、夜帰るときにちゃんと工具箱へ置いておるのが、あくる朝来てみると切りくずの中に捨てられておる。それから大きな機械ですから定盤といって台の上で仕事をするのですが、その上に油を塗っておる、こういうようなことが行なわれてたり、あるいは電源も夜の間にはずすというようなことで、きわめてこれは心理的な問題も含めて重要な問題が起こっておるわけであります。こういう、全国金属の組合員だということで残業もさせない、作業の補助者もつけない、それから、これはあとで申し上げますが、職場の組合員数十名によってつるし上げを受けるとか、そしていま言ったようにそれぞれの機械設備に油や水を塗られたりするというような事態が起こっておるわけですね。これは私、静かに考えてみるのですけれども、単なる基準法違反だけの問題じゃない。これは客観的に考えると、刑法に触れる、殺人未遂、傷害罪を構成するような内容を持っておることが行なわれておるわけであります。こういうものに対して基準監督署は、このこと自身はもうたしか現地で、現場に入って実情を見ておるわけですから、一応の実態は知っておると思うのですけれども、こういう実態が先ほどから言っておるような問題に関連して続出をしておるということになれば、この会社全体が行なっておる基準法違反の問題なり労働組合法違反の問題については、私は非常に深刻な受けとめ方をして調査をし、そうしてそれに対応すべき具体的な監督上の対策というものを講じるべきじゃないか、こう思思うわけでありますが、それに対しての見解なり今日段階における措置について答弁願いたい。
○渡邊(健)政府委員 ただいまお話しの福本さん等につきましても、申告がありましたことは私どもも報告を受けております。いまお話しのような細部の点につきましては、私ども、報告はそこまでこまかくは聞いておりませんけれども、申告がありました事案につきましては、福本さん等につきましても数日にわたりまして詳細な申告監督を実施しておるわけでございますが、監督署におきましては、基準法の条項に違反するという確認はいたしておらないわけでございます。いろいろの行為、それが社会的に見ても非常に適当を欠く行為でございましても、基準法に当たるかどうかということによって基準法に基づく監督官の権限を行使するかどうかということになるわけでございまして、それ以外の問題でございます場合には、基準監督官としては権限上の制約があるわけでございます。ただ、いろいろ現場に起こっております事態については、適当と思われない事態もあるようでございまして、それらにつきましては、福本さんの件につきましても、会社側に対しまして、そういう職場の労務管理上の問題を生じさせないように適切な処置をとられるよう製造所長あてに指導をいたしておるところであります。
○藤田委員 基準法違反であるかどうかについての認定ができなければと、こう言うんだけれども、それでは去年の八月以降、基準法違反の申告をしてから福本に一切残業をさせてないということは、これはどういうことですか。残業させないということは、これは機械加工の精密度あるいは安全対策、作業能率の観点、いろいろな面から見て、この本人の技術能力にも関係をしてまいりますが、残業をしないというようなことが結果的には、春闘時における昇給のときの考課査定あるいは一時金のときの考課査定に現実に、間接的にその理由になって、一般の者より条件の悪い差別待遇が行なわれておるのですよ。そうして彼がこの基準法違反だという申告をするまでには、ずいぶん大型作業場として残業さしておった。それが一年間も残業が全然ないというのは、これは差別じゃないですか。あなたはすぐ、その基準法違反の事実はないと言うが、そうしたら、何年かかったら具体的な基準法違反ということの認証ができるんだ、一年もかかってできないというのは。
○渡邊(健)政府委員 基準法違反でございますためには、三条による国籍、信条、社会的身分による差別とか、あるいは申告をしたことを理由とする不利益取り扱いとかいう、やはりそういう関係が明確にならなければならないわけでございまして、もし差別がかりにあったといたしましても、それが組合所属等による差別である場合には、これは基準法上の問題じゃなく、他の問題になるわけでございます。基準法のいろいろ権限を行使しますためには、基準法のそれぞれの条項に違反するかどうかという点だけが問題でございまして、それ以外の問題になりますと、またそれぞれの所掌によりましてそれぞれの処置がとられる、こういうことに相なるのでございます。
○藤田委員 局長の言うことは、ぼくはどうしても理解できない。それは先ほどから言っておる基準法違反の申告をやる者には残業を――一つの例ですよ、残業を月に十五時間なり二十時間なりやらしていた。それが前後二回の申告をやってからというものは、残業というものはもう全然やらさないのだよ、この一カ年間。これは経済的な職場の関係、福本自身がいままで受けてきた待遇ですね、過去受けてきた労働条件、そういう慣行、そういうものから見て、明らかにこれは具体的に差別しておるじゃないですか。これは、百四条の二項によって申告したことが契機に一切残業をやらせないという事態が起こっているのだから、そのこと自身にこれが原因しておるかどうかというのを調査しなければ、これはどうにもならないじゃないですか。客観的に見てあなた自身はそう思いませんか。いままで、少なくとも申告するまでは残業をやらしていた、ところがその申告後一切やらせないというのはどういうことなんだ。このことが一つ。そしてそのことが理由になって、賃上げのときの昇給や一時金の考課査定に影響する。これは明らかに差別じゃないですか。そして基準法百四条二項によって申告したということが直接の原因になって、そういういやがらせを含めた差別待遇がとられておるのじゃないのか、これは当然そう考えられるじゃないですか。
○渡邊(健)政府委員 百四条の場合でございますと、これは「申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。」となっているわけでございます。ですから問題は二つになるわけでございまして、一つは不利益な取り扱いになるかどうかという認定の問題と、それからもう一つは、それが申告をしたということに基づくものであるかどうか、その二点が問題であるわけでございまして、たとえもし不利益な取り扱いがあったといたしましても、それが他の理由に基づくものである場合には、これは百四条にはならない。これはまた別な面の問題になるわけでございます。それらについてはわれわれには詳細なことは来ておりませんで、結果だけ地方から報告を受けておりますけれども、それについては基準法違反の事実を確認するまでに至っておらない。そこで九月十三日、製造所長あてに、そういう問題を起こさないよう適切な管理をするようにという指導票を交付したという報告を受けておるわけであります。
○藤田委員 行政指導のあり方として、口頭指導なり指導票による指導のワクを出ない。勧告をやっても、これは基準法違反の事実があったと認定をしないという範囲内における勧告だ、こういう一定の線を引いた範囲の行政のあり方というものでは、今日これだけ全国的にたくさん労組法違反の問題なり基準法違反の問題が起こっておる――会社経営の立場からいけば、不当労働行為の問題等については、地労委やあるいはその他で一定の命令措置がとられても、会社目的を達成するためには、その労働組合が組織問題を起こしてがたがたするなり、あるいは会社の思う方向の組織に移行することができればそれでいいんだというようなことでやっておる会社も、私はたくさんあると思うのです。そういう状態の中で、ほんとうに労働者の権益を守るという労組法なり基準法の精神からいけば、労働行政のあり方としてやはり一歩突っ込んでこの命令措置をとる性格のものでないかどうか、あるいは、場合によれば告発をやってでも労働者の権益擁護をやらなければいけない問題ではないのか、そういう基本的な姿勢でこの行政をやる必要があると思うのですよ。その姿勢がなければ、それはもう私は、口先で指導票を出して、こうしてほしい、こうすることが望ましいというようなことだけでは、いま私が指摘しておるような入り組んだ基準法違反の問題が起こっておる資本家なり経営者の考え方を変えることはできないと思うのですね。そういう点では私もっと積極的に、行政の姿勢として命令措置をとるなり告発の措置をとるような姿勢で、当面この問題に対処してもらいたいと思うのです。そのためには、現地の監督署は監督署として限られた人数でそれぞれ努力をしておると思いますが、いま申し上げておるように、きわめて複雑な要素もたくさん入っておりますから、これはぜひ先ほど言っております問題に関連をして、直接中央の本省から調査員を出してこの実態を調べてもらいたい。そうしないと、単なる一片の報告書や何かではここの実態というものは、私はどうもいまの局長の答弁を聞いても、ほんとうにその実態を把握できてないような気がするんですね。そういう立場からいって、いま指導行政のあり方としては積極的な姿勢でこの問題に取り組むということ、それといま一つは、先ほども言いましたけれども、これら福本、松木、藤井――この伊藤の問題についてはちょっと時間がありませんのであまり突っ込んで指摘することはできませんが、重ねて、現地調査をやることについて、やる用意があるかどうか。
○渡邊(健)政府委員 先生おっしゃるまでもなく、私どもも、住友重工の問題につきましても、これまで出ました申告の中で、明らかに基準法に違反している、あるいは労働安全衛生法に違反しているというものにつきましては是正勧告を出したこともございますし、あるいはことしに入りましてもチェックオフを、二十四条の所定の条件なしに組合費を天引きしたといったようなものに対して是正をさせたこともあるわけでございまして、明らかに基準法違反であるものにつきましては厳正に処置をし、是正をさせておるところでございます。先ほど申しましたのは、詳細な監督をいたしましても基準法違反であるという確証を得ないものについてはそれらの措置をとることができないが、指導によって適切な労務管理がされるように指導しているということを申し上げたわけでございまして、決して姿勢が基準法に基づく厳正な処置をとることを避けておるというようなことではないわけでございます。なお、先ほど御指摘のいろいろな問題につきましては、私どもに詳細な報告が来てない点もございますので、さっそくに現地から詳細な報告をとりまして、それを検討しました上、必要といたします場合には、先ほど申し上げましたように本省から人を派遣してよく調べるというようなこともいたしたいと考えます。
○藤田委員 現地調査は、誠意をもってそういう現地調査を行なうということにしてもらいたい。
 なるほどチェックオフの問題あたりについて基準法違反ということでやっておるというけれども、この種の問題は局長、あなたに言うこと自体、これは釈迦に説法だけれども、機械的にやむを得ないことなんですよね。そのチェックオフの問題に関連して、引いてはならぬ組合費を引いておる、それに対して是正勧告をやるのはあたりまえなんです。これはきわめて事務的に出てくることなんです。この種のことは、明らかになって是正勧告をやらぬなんていったら、基準局なんか要らぬですよ。それよりもむしろ、こういうふうに基準法違反の申告をやったらその直後に残業をやらさない、そして職場の組合員を集めてつるし上げを行なう、あるいはそれが人事考課の結果としてあらわれてくる、そういう質的な面について基準監督署というものが立ち入って調査をして、労働者の権利擁詳に当たるというのが基準法の精神じゃないですか。その基準法の精神を忠実に受けて監督行政をやり、あるいは命令、告発をやってでも労働者の権益を擁護する、そういうことでなかったら、監督署に、基準局の連中に何で準司法的な権能まで与えるんですか、法律は。あなたの言っていることは、きわめて機械的な、上すべりなことについては、やっております。もっと問題の本質は深刻ですよ。そういう中の質的な面についての調査なり実態把握をして労働者の権益を守るということが労働省、基準局の、私は当然の任務じゃないか、こう思うのです。どうです大臣、居眠りなんかしないで、私の言っていることに答弁してみなさい。あなた、何です、ふまじめな。この一年間残業も全然もらえないというので、これは労働者の基本的な権利というものが――憲法を侵害するし、たいへんな問題ですよ。居眠りして聞きよるとは何事だ。けしからぬ。
○渡邊(健)政府委員 もちろん現地の基準監督署監督官といたしましては、中立公正な立場で監督に当たっておるわけでございまして、先ほども申し上げましたように、先生御指摘のいろいろな事案につきましては、申告が出されますと直ちに五日とか七日とか、連日にわたって詳細な監督を実際に実施いたしまして、事態の真相を究明すべく現地の監督官は努力をいたしておるわけでございます。それらについて、決してあいまいなままに放置するというような姿勢で臨んでおるわけではないのでございますが、その結果、先ほど申し上げましたようなことであるというふうに私どもは了解をいたしておるわけでございます。
○藤田委員 時間もあと十分少々でありますから、これらの問題については、本省として実態把握に薄い面もあるでしょうし、そうして、現地のそれぞれの監督能力の問題もあろうかと思うから、これはさらにひとつ大急ぎで調査すべきものは調査する、そして現地にまで入って実態調査をして、適切な措置を講ずるものは講ずる、こういうことをぜひやってもらいたい。これはひとつ大臣、強く要請しておきます。
 そこで、この伊藤に対する村八分ですね。これも組合員になったという直後に、その伊藤という労働者に、職場から出ていけとか、大ぜい寄ってたかってつるし上げを行なって、全国金属、全金というのはばい菌だとか、全国金属に入っておる者は出ていけとか、きわめて常識では考えられないですね。全国金属というものは、それは資本家なり、あるいは政府とは言わぬけれども、そういう立場から見て、いいとか悪いとかという批判もあるかもわからないけれども、全国で二十三万からの労働者を組織するりっぱな単一の労働組合です。そういう労働組合の名誉を棄損するようなことを職場の中で平気で言う、そして大ぜい寄ってたかって特定な組合員をつるし上げるというようなことになると、これは私は、もちろんそのこと自体が基準法の三条違反の問題、あるいは人権問題にもなると思うのですね。人権擁護局から来ておりますか――これはあとで聞きたいと思うのですが、人権擁護委員会に申し立てをしておりますので、この種の問題に対する人権擁護委員会の考え方と、当面とっておる措置について、あとで聞かしてもらいたい。
 そこで時間の関係もあるので、特に、大臣も目をさましたようでありますから、ひとつ大臣にお尋ねをします。
 この住友重機械にまつわるさまざまな問題がありますが、大臣、ここで、すでに労働委員会なり裁判所なり基準監督署あたりから、仮処分あるいは地位保全の仮処分あるいは不当労働行為に対する命令等々がたくさん出ておるわけです。時間がないので、私、項目だけ申し上げますが、横浜、地方裁判所の第二民事部の仮処分の決定として、浦賀分会のビラまきに対する会社の妨害についての仮処分が決定しておるのです。これが一つ。
 二つ目は、会社の基準法違反の事実についての、先ほどから言っております新居浜労働基準監督署の勧告と処理の結果について、これはいわば勧告が出ておる。これは基準法違反の問題だ。
 三つ目は、全造船浦賀分会への会社の不当労働行為について、東京都の都労委が命令を出しております。これは確定です。ですから、これはいま中労委とかなんとか、そういうところで審査をしていない命令。結論が出ておる。
 四つ目が、日特金属支部の石井喜久枝、関口智恵子両名の不当解雇について、東京地裁八王子支部での地位保全の仮処分が決定しています。
 五つ目の問題は、同じく全金日特金属支部の不当労働行為申し立てについての東京都労委の命令が出ています。これはちょっと私も確実でないのですが、中労委でいま再審査をやっておるのじゃないかと思いますが、いずれにしても都労委の命令が出ておるのです。
 六つ目が、同じく全造船玉島分会の溝口という委員長の復職拒否についての岡山地裁の仮処分決定が出ておる。
 こういう形で、あと二、三ありますけれども、そういうふうにたくさん、住友重機械に関する問題は、不当労働行為、あるいは地裁の判決等々で、命令が出たり、判決が確定しておるのですね。
 ここで私は、きわめて真剣な意味においてお尋ねをしたいわけでありますが、私、ちょっと調べてみますと、昭和四十年の十二月に、当時の労働省の村上基準局長が、総評側の蛯谷常任幹事、全国金属の平沢栄一という当時の業対部長をやっていた方との会見の場において――当時、賃金や退職金の未払いが非常に多かったのです。そうしてその当時の全国金属の分だけでも約十億円にのぼる不払い賃金がありました。そうして四十年九月だけで未払いの違反件数が三万件、そうして十億円以上あった当時に、村上基準局長といろいろ相談をした結果、賃金の未払い等によって基準法違反の事業主に対しては、政府機関の仕事を発注しないということを確約なさっておるのですね。私は、決して、俗な言い方をすれば会社をいじめるとかなんとかという、そういうさもしい気持ちで言うわけではありませんが、労働者の権益を、憲法で保障されたいわゆる市民法を社会立法によっていわば拘束するというか、規制をしてでも労働者の基本権である労働権なりあるいはそういった雇用権なり、この基本的な人権を守るという、そういう立場から考えるならば、労働者の権益を侵害しておるものは何もいとわない、金を持っていますから何年間裁判をやられようとどうしようとびくともしない。しかし労働者のほうは、残業もやらしてくれない、残業をやらなければ生活にもこたえてくる。そうしてそれが賃上げや賞与の人事考課にも影響して、人が一万円上がるところは七千円しか上がらない、こういうことで権益が侵害されておる。不利益な取り扱いをされておる。そういう不利益なり法律違反をやっておる会社に対して、私は、労働者の権益を守るということは、資本の利潤を追求するよりも、今日の福祉国家、福祉優先の立場ではありませんが、労働者の権利を守るということはやはり国の責任でなければいかぬと思うのですね。そういう点からいって、ぜひ大臣にこの見解をただしたいし、そういうことをやってでも労働者の権益を守ってもらいたいと思うことは、いま言ったほど、こんなにたくさんの事犯が起こっておる会社に対しては――これはこの会社だけではありません。こういう労働関係法令に違反するような会社に対しては、大臣、どうでしょうかね、たとえば金融上の措置として、日本開発銀行を通じて大会社はいろいろな金を借りておる。あるいは税法上については、時間がありませんから申し上げませんが、いろいろな租税特別措置が講じられておる。あるいは貿易上の便宜が与えられておる。あるいは国が契約の当事者になる公共事業を中心とした官公庁の発注の問題ですね、指名業者に入れたりする問題がある、こういうことを考えていきますと、さっきの村上基準局長の、昭和四十年当時の答弁ではありませんけれども、こういう労働関係法令に違反するような会社に対しては、私がいま言ったような、国は金融、税制上あるいは貿易上、公共事業に対する指名入札、そういうものについての措置を一時停止をしたらどうか。最近、大阪の府知事が細川鉄工という労働組合、これは大臣もたいへん御努力をいただきました仙台本山の問題とよく似たところですが、ここは御承知のとおり、円満解決しました。細川鉄工がガードマンを入れてがちゃがちゃやっておったでしょう。しかしそのときに、ああいう労働法令違反をやる会社に対しては、大阪府は指名入札のワクに入れない、競争入札のワクに入れない。大阪府として、その会社が工場を拡張したりする土地を提供することもやらない。表彰なんかする場合もそれは除外するという形で、一定の期間入札をストップさしたり、あるいはいま言ったような会社に対する便益を講じないという措置をして、正しい労働法令の精神を守るように、会社に対しても政治的な措置を講じたわけであります。これはぜひ閣議において協議してでもやってもらいたいと私は思うわけですが、いま私が指摘をしたようなことを、特に労働省としては労働者の権益を守る立場から、労働法令違反の会社に対しては、こういう政治的措置を講じてでも、労働者の権利を守るための政治的努力をすべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 なかなかごもっともな御意見で、労働省といたしましては労働者の福祉なり利益擁護のために善処いたすことは当然であります。いま後段の、そういうような無理をしたいろいろな基準法違反だとか、厳然とはっきりした不当労働行為をした、裁判なり、中労委からのいろいろな命令が出たものに対して、公共事業の発注を禁止するとか、指名入札を取りやめるとかいうような案件につきましては、建設省とは従来から御趣旨のような点で相互通報いたしております。運輸省もいたしております。その他の省もそれに準ずべきが当然でありますので、十分各省と連絡いたしまして、その趣旨に沿うように善処いたしますが、ほかのほうとはまだ具体的にかっちりときめておりませんので、御趣旨を尊重して、慎重にすみやかに対処するようにいたします。
○藤田委員 時間がきましたから終わります。終わりますが、大臣からいま主として公共事業関係、建設省、運輸省とか二、三の省を引き合いに出されましたが、私が指摘をしておるのは、金融の面あるいは税法上の優遇措置、これはもうたいへん失礼な言い方ですけれども、大臣も直接いま事業に携わっていないにしても、大臣自身も大会社の社長として御経験を持たれておる方ですから、その点は十分わかると思います。私はその会社をいじめるとかその会社をなにするということではなくて、労働者の権益を守るためには、法益均衡の立場じゃないけれども、憲法や労働関係法令で労働者の権益が保障されておる、そのことが侵害をされたりしたものに対しては、国として法律を尊重するというたてまえから、当然そういうことをやってでも――失礼だけれども、たとえば労働大臣の関係されておる会社であっても、私は国としてそういう措置を講じてでも労働者の権益を守ることが、労働省なり労働大臣の直接の任務でなければいかぬと思う。そういう点で、公共事業だけでなくて、やはり金融、税制上の問題についても、政府としてぜひこの趣旨を生かす方向で労働者の権益を守ってもらいたい、これを強く要請します。最後に大臣の決意と見解を聞かしてもらって、私の質問を終わりたい。
○加藤国務大臣 なかなかお説は傾聴に値するところがありまして、先ほど言ったように、われわれその趣旨で現在も各省と連絡をしておりますが、税制の問題だけは、税金がくるやつをどうせえとかこうせえとか、重くせえとか、なかなかむずかしい関係がございます。金融の関係は、これは政府間でいろいろ措置ができますので、これに対しまして対処いたします。
 私の事柄について御質問がありましたが、私は現在会社には関係ありませんので、御答弁することは差し控えたいと思います。
○藤田委員 大臣のそういうことでけっこうですが、私、時間がありましたら、この問題、さらにやりたい材料もあるのです。それで、いま言ったことは善処される、そういう方向で政府としても努力する、こういうことのようでございますので、ぜひそうしてもらいたい。ただ、税法上の問題も私はできると思うのですよ。しかしこれは時間がないですから、大臣のいま言ったようなことで努力してもらいたいと思います。
 最後に、私きょう指摘できなかった点その他につきましては、国会法第七十四条によって国会議員として質問書を提出して、正常な労使関係、そして労働者の権益が正当に保障されるような条件づくりのために政府に対して私は適切な措置をとりたいと思いますので、その点はまた適切な回答をいただきますことをここに要求して、質問を終わりたいと思います。
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十一分開議
○竹内(黎)委員長代理 会議を再開いたします。
 休憩前の質疑を続けます。石母田達君。
○石母田委員 きょう私は主として、この間この社会労働委員会でも論議されました金沢の金産自動車工業の中で起きた不当労働行為問題について質問したいと思います。
 この問題が非常に重要であるということはこの間の論議にもありまして、また私どものほうの共産党・革新共同議員団の一員であります諫山議員が現地視察を行ないまして、その結果の報告を見ましても、法をまっこうからじゅうりんした不当労働行為が公然と行なわれておるということであります。
 その幾つかの実例については、先日の多賀谷議員の質問にもありましたように、分裂組合をつくるのに数十台の車を会社が動員して、重役、部長を中心とし、次長、課長、係長、組長が夜中の二時、三時に至るまで各職員を回って、そうして新しい組合をつくった。このことに対しては基準監督署のほうから厳重な注意がいっておるわけであります。そしてその新しくできた組合がいま地労委で組合に値するものであるかどうかということを審査中であることも報告されたとおりであります。またその前に、十二月の六日の年末一時金の闘争のときには、門前にバス二台と部課長らの職制を十数名配置して、門を締めて、そうして上部団体である全金の代表たちが入門するのを実力で阻止する、臨時大会の出席をも拒否する、こういう事件を起こして、これまた地方労働委員会に対して提訴されているわけであります。
 そういう問題だけではなく、いろいろの組合の資料を見ましても、病気療養中の人に対して配置転換を命令する。病気中だからといって診断書をつけているにかかわらず、これを断わったということでまた出勤停止一週間の処分に処するとか、労働組合法や労働基準法をまっこうからじゅうりんするようなことを平然と行なっている。しかも私が重要と思いますのは、中小企業の中でこうした法に対する無理解というところから問題が起きることもしばしばあるわけです。しかし、これは決して一地方の一中小企業という問題じゃないのです。金産自動車工業自体が一定のかなりの規模であると同時に、日野自動車工業のこの企業に対する支配が非常に大きくなっている、そういう段階でのこの問題だということであります。それを証明するものとして、日野自動車との関係について、調査によれば昭和四十六年の一月に、日野自動車工業労働組合の役員三名が来て、いろいろ懇談を行なったそうですけれども、その後六月三十日の夏季一時金の団体交渉の席上、会社から日野自動車から数億円の借り入れ金があることが発表されて、今後日野自動車工業の援助と指導を求めることになった。したがってまた、日野自動車工業へも応援作業員が行くようになる。さらに七月二十九日の金産自動車工業株式会社の臨時株主総会において新たに会長ポストが設けられまして、日野自動車の専務取締役の家本潔という人が就任した。増員された取締役には専務を複数制として、新たに日野自動車工業品質管理部長の藤本という人が専務取締役になって、いわゆる代表権を持つ専務取締役になっております。さらに日野自動車社長松方正信、販売社長の二名が取締役に就任しておる。このように、役員人事での日野自動車工業の進出がはかられたばかりでなく、経理部長、製造部長、管理部長はいずれも日野自動車工業からの出向社員によって占められているという状況になっているわけであります。
 このように、金産自動車工業株式会社といいましても、その実体は大企業、大資本である日野自動車による企業支配と管理体制がこのように確立されておるというところから、これと軌を一にしてこのような不当労働行為が続発をしておるということが私は非常に重視しなければならない問題だと思っております。
 しかもこの間の論議の中で、金産自動車工業に対する不当労働行為の問題についての労働省の見解、特に基準局長の答弁の中には、明らかにこの無法者というか横暴なじゅうりんを行なっている資本家を激励するような見解が発表されておる。これが個別的な問題に対する解釈だけではなくて、今後このような反動的な見解が労働省の方針だとするならば、労働基準法を守る上において重要な問題を起こすという意味で、私は以下幾つかの点について政府、労働省の基準局の回答を要請したいと思うのであります。
 私は大きな点で三つの点を質問いたしますが、その第一の点は、新しくできたいわゆる分裂組合との間に三六協定、労働基準法でいう第三十六条の協定が結ばれたと称して、会社側は残業その他を強制して実施しておるわけです。この三六協定がはたして有効なものであるかどうかという問題が一つ出てくるわけです。なぜならば、協定を結んだ新しい組合が、いま地方労働委員会ではたしてそういう組合という名に値するものかどうか審理中であるという問題であります。そのような組合と協定を結んだものは当然受理できないということで、一時その地方の監督署からも返されたわけですが、再び疎明書に添えて、組合としての認可を求める、あるいはそれを証明するような書類をつけてきたというわけですけれども、その問題はいま申しましたように地労委で審理中の問題でありますから、まだ組合が正式のものと認められていない、違法性の疑いが濃いという段階で、三六協定について私のこの間聞いた範囲内では、渡邊基準局長は、組合の認否いかんにかかわらず三六協定は有効なものであると判断している、こういうふうに答えられたと思うのですけれども、その点についてどういう見解を持っておられるか、お伺いしたいと思います。
○渡邊(健)政府委員 先生御承知のように、労働基準法では、「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、」時間外労働ができる、かように相なっておるわけでございます。金産自動車におきまして、会社と新労との間に締結されて届け出られましたこの三十六条協定につきましては、これを私どもが受理いたしましたことが、基準法三十六条にいうところの過半数の労働組合との間における協定だということで受理したわけではないのでございまして、その点につきましては、先生も御指摘のように、労働組合かどうかという点についてはただいま地労委で審査が行なわれておるわけでございます。したがいまして、私どもこれを労働組合であると断定をいたしましてこれを受理したわけではないのでございます。三十六条におきましては、先ほど言いましたように、労働組合がない場合におきましても、過半数の労働者を代表する者との間の書面協定があれば、三十六条協定としてはこれは適法な協定になるわけでございます。したがいまして、私どもは届け出られましたものが三十六条の前段あるいは後段のいずれに該当するかは別といたしましても、そのいずれかの要件を充足するものとして三十六条の要件を具備する協定であるというふうに考えまして――これは届け出でございますから、要件を具備しておれば届け出を受理せざるを得ないわけでございまして、そういう意味において受理をいたしたわけでございます。
 なお、一度届け出られたものを途中で返したではないかという御指摘でございますが、事実、そういう経過があるのでございますが、最初届け出られたときにおきまして、それが三十六条の要件を確実に具備しておるかどうか疑点がございましたので、それについての疎明を求めて返したのでございまして、後ほどこれを疎明する材料をつけて届け出がございましたのでそれを受理いたしたわけでございます。
 なお、形式的にはそういうように三十六条の要件に該当しておりますので、届け出を受理いたしましたが、この届け出られました三十六条協定につきまして、新労が過半数の労働者を代表するものかどうかという点について、もし、あとからでも、その新労に対する労働者の加入届け等々が威迫に基づくものである、あるいは錯誤に基づくものであるといったことが明らかになりますれば、これは、新労は過半数の労働者を代表しているということになりませんので、それにつきましては、そういう場合には、この協定はもちろん適法でない、かようになるわけでございます。
○石母田委員 そうしますと、いま受理しているということは有効であるという見解、つまり、受理したということはもう三六協定に基づいて残業やその他をやってもいい、実施してもいい、こういうことになるのですか。
○渡邊(健)政府委員 一応三十六条の要件に該当する協定である、かように考えておりますので、あとから、先ほど申しましたようなことで、これが適法なものでないということが明確にならない限りは、三十六条のその協定に従って残業がされれば、三十六条の規定に従った時間外労働だというふうに考えるわけでございます。
○石母田委員 そうするとおたくのほうの管轄の基準監督署が、このようなものを届け出たといったからといって有効になるとは限らないから、念のためにそれを申し添えておくという内容の書類が出たことを知っているかどうか。知っているとすれば、あなたのいまの見解は、これは単に届け出だけでなくて、受理して有効だというふうに認めたからそうなるのだというふうになるわけですか。
○渡邊(健)政府委員 そういうものを添えて受理をしたことは承知いたしております。それは先ほど申しましたように、一応形式的に三十六条の規定に該当するものということで受理しておるけれども、先ほど申しましたように、それが過半数の労働者を代表しているということについて、加入届け等が威迫に基づくものであるとか、あるいは錯誤に基づくものであるということが後ほど明確になって、それが自由意思に基づくものでなかったということになれば、これはその協定が適法なものでなくなるわけですから、そういう場合には適法な三十六条の協定ではない。したがってそれに基づく時間外労働が適法な時間外労働でないことがあり得るということが――念のためにということがついておると思いますけれども、念のために、そういうことで注意をして受け取っておるというわけでございます。
○石母田委員 そうすると、いま実施していますね、現実に残業その他について三十六条協定というのは。しかしその協定自身については、受理はしたけれども、有効であるという断定はしていないのだ。その有効性、無効性は、将来たとえば組合が否定された場合には無効である、そういう不安定なものなんだということですか。
○渡邊(健)政府委員 一応三十六条協定の受理は、形式的に三十六条の要件を具備しているかどうかということで受理せざるを得ないわけでございます。そういう意味で受理はいたしておるわけで、一応現在は三十六条に該当する協定であるという推定をいたしておるわけでございます。ただ先ほど申しましたように、後に裁判所その他等々におきまして、その加入届け等が自由意思に基づくものでなかった、したがってそれは過半数の労働者を代表しているものでなかったということになり、また前段の労働組合にも該当しないということになれば、これは三十六条の適法な協定でなくなる、こういうことでございます。なお、労働組合でなくなれば当然無効になるのかという点は、それは必然的には必ずしも関連があるわけではございませんので、労働組合でないということになれば、三十六条前段に該当する協定ではないということが明確になりますが、三十六条後段の協定として適法かどうかということは、また別個の観点からさらに判断されることになるわけでございまして、それらを両方総合いたしまして、三十六条の適法な協定でないということが後ほど明らかになれば、それはさかのぼって適法な協定でなかった、こういうことになるというふうに考えております。
○石母田委員 聞いておってわからないでしょう。私もわからない。あなたに聞いたときには、労働組合がある場合には労働組合との協定でしょう。ところがその労働組合自体が、いま言ったように会社の介入によってつくられた疑いが非常に濃いのでいま審理中なんです。ですからこれは組合の協定としての有効、無効という問題は、いままだたな上げの問題なんですね。そうしますと、必然的に後段の労働組合のない場合においての問題のこれの三十六条に該当するものであるかどうかということですね。これがあなたが言うように、私に答えたのですね。労働組合がない場合で、過半数を代表する者との書面による協定というのは、いま出されている組合と会社の名前でつくられた協定以外に、書面による協定、過半数を代表する者というのは、一体どういう形で出ているのですか。
○渡邊(健)政府委員 前段につきましては現在争われておるわけでございまして、したがってこれがあとから労働組合だということになれば、前段の協定に該当するわけでございます。前段の労働組合に該当しないということになれば、後段に該当するかどうか、こういう問題になるわけでございます。後段につきましては、これは過半数を代表する者との書面による協定であればいいので、それは必ずしも労働組合であることは要しないわけでございます。現に、労働組合がない場合には親睦会との協定で三六協定といたしておる例もあるわけでございます。したがいまして、そうう場合には、それが過半数の労働者を代表しておれば、それは労働組合でなくても三十六条後段の協定になるわけでございます。この新労の場合には、一応労働関係のいろいろな問題を取り扱う団体であるということは、それが労働組合であるかどうかは別として、規約等で明らかになる、それに過半数の労働者から加入届けが出されておるということでございますと、これはそういう問題について過半数の労働者を代表しておるという疎明になる、かように考えて、前段か後段のいずれかには該当する、こういうふうに申し上げたわけでございます。
○石母田委員 質問に的確に答えてください。私の質問は、そういうものが、過半数を代表する、親睦会でも何でもいいけれども、あるいは書面による協定、三六協定、それが新しく出ているのですか、さっき言った組合の名前でやった協定以外に出ているのですかということです。
○渡邊(健)政府委員 それは、別のものは出ておりません。
○石母田委員 ここに重大な問題があるのですよ。そうでしょう。普通常識で、たとえばきょう竹内委員長が社労議員団という名前であなたと何か約束したとしますよ、そのあとで、変な話だけれども、代表していないのだということになって、社労議員団という名前を使うかどうかということが問題になっているときに、別に持ってきて、過半数か何かでやって、そしてそれは有効かどうかということで争うといったって、片方はそういう組合なら組合、社労議員団なら議員団代表の名前で結んだ協定を代用する、かわりに使うなどということはできないのです。そうでしょう。だって、会社側と協定を結んで、組合で会社のほうや――あるいは新しい自分たちの組合がほんとうの組合なんだと主張しているわけだから。われわれはそれを否定しているわけでしょう。それは違法の組合だ、そういう団体の性格が疑われて、いま認否が争われて、しかもその団体の名前で結んだ協定を、それがだめだったら、今度は組合がない場合にして、そしてそれでまた該当すればいいじゃないか、そんなばかな話はないと思うのです。もしあなたが言うように、この過半数の組合で、労働組合がない場合においてはということは、そういう違法の疑いのものを二段がまえにして、こっちがだめだったらこっちにして、何とか合法的なふりをしようということは、結果としてだれが喜ぶか、だれが得するかを見ればすぐわかるのです。そういう見解のために、下の基準監督署の人たちが非常に混乱しておるのですよ。そんな非常識な見解をもってこの法的な見解を――労働組合が否定されたら、今度は労働組合のない場合に自動的にこうやって、その協定をもって、使って、これの合法性を説こうなんて、そんなことは、あなたたちが行政指導で十分に、そんな法をくぐるようなことをしてはいかぬのだというふうに指導するのが労働省じゃないですか。私は、日野自動車が介入しているから、これが中小企業ならびしびしやるかもしれませんけれども、大資本が介入しているためにあなたたちはそういう態度をとっているのじゃないかということを疑わざるを得ないくらい。会社はあなたたち基準監督署によって六月に告訴されている。労働基準法三十二条、六十一条違反の容疑で、会社に対し手入れをして、証拠書類を押収し、さらにこれについて書類送検を行なっている。それだけじゃなくて、さっきも言ったように何回も勧告し、注意をしているということです。そういう会社に対して特別な法解釈によってそういうことをやっているといったら、これは非常に大きな問題だ。それが労働省の基本姿勢なのかどうか、そういうものがほんとうに労働大臣を含めた国のこの三十六条の協定の解釈なのか。そんなことをやったら、いまからこういう不幸にも分裂している組合のところは、みんなあなたたちの解釈で、こっちがだめだったらこっち、みんな三六協定の、いわゆる労働基準法、労働組合法でやった労働者の権利、労働組合の権利を擁護するという根本精神の逆の立場から拡大解釈がどんどん行なわれていくというふうになりやしないかと思うのですが、どうでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 六月十一日に金産自動車を地検に送検していることは事実でございまして、それは三月以前の段階におきます基準法三十二条、六十一条違反の事実を確認いたしましたので送検をいたしたわけでございまして、金産自動車に対しても、われわれ、法違反についてきびしく対処すべきところはきびしく対処いたしておるわけでございます。
 ただ問題の三六協定については、ともかく新労という団体がございまして、それに過半数の労働者が加入しているという事実がございます。それとの間に三六協定が結ばれたわけでございます。ただそれが労働組合かどうかということについて争われておるわけでございまして、労働組合であるということになれば、これはまさに三十六条前段に該当する協定になるわけでございますが、もし労働組合でないということになりましても、そういう過半数の労働者を代表する団体であって、それとの間に三六協定が結ばれておるということになりますれば後段には該当する。いずれかに該当することは疎明資料によって推定がされましたので、三十六条の要件を具備する協定として受理をいたしましたわけで、特段のことをしたというふうに考えておらないのであります。
○石母田委員 結果としては特段のことをしているのです。その点を認識がちょっと甘いのじゃないかな。なぜそういうふうに推定までして法の拡大解釈をしながら、その会社側の出した三六協定の有効性というものを認めなければならぬのか。普通そういう疑いがあるということについて――だって、基準監督署のほうから見れば、疑いがあって、それを返して、そうして疎明してこいといったら、疎明がまたいまの組合の認否にかかわる問題ですから、そういう問題では、あの基準監督署の内容から見ると、依然としてこの三六協定の有効性についてはきわめて疑いの濃いものなんですね。そういう段階で、なぜ本省のほうがそれに対していまのような見解をとって、三六協定の有効性というのか、受理して、三六協定に基づく残業や労働時間の問題をやらなければならないのか、そこのところがよくわからない。どう見たって拡大解釈でしょう。
○渡邊(健)政府委員 あとから疎明を補完して出してまいりましたものにつきましては、過半数の労働者が加入しておるという加入書等もつけてまいっておりまして、それらの疎明資料から見て、三十六条の前段もしくは後段、いずれかの要件は具備するものと認定する資料を添えて出しておりますので、それに従って認定をしただけでございます。
○石母田委員 そうするとますます重大になってくる。地労委なんて要らないな。あなたのいまの、疎明書を見ると過半数が出て組合が構成されているということになれば、組合は合法的だということになるでしょう。そういうことになるじゃないですか。だって、組合がはたして資格を持っているかどうかの一つの大きな条件は、その組合が自主的な意思を代表しているかどうかということが一つの必須事項でしょう。それが会社が介入している、部課長が介入しているということによって組合の違法性が出てきているわけでしょう。そういうことであなたの言うような、そういう組合員の過半数が、その組合を代表しているのだ、その代表している組合の名前で書いた協定が有効だということになれば、当然これは組合の認定と同じじゃないですか。さっきから言うように、あなたが組合がない場合について労働者の過半数を代表する者との書面による協定というのはないのだ。いわゆる組合の名前で代用するのだ。そうして会社とか組合が疎明しているのは合法的なんだ、ちゃんと自主的な意思に基づいてやられたものだということを疎明する何かを持ってきたというのでしょう。ところが、それが出されたあとでも、基準監督署の場合は、それだけではだめですよ、そう言って答えていることについては、あなたは知っているのでしょうか。
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、三六協定の当事者になるものは労働組合だけではないわけでございます。労働組合でない親睦団体等も、過半数の労働者を代表して三六協定を結ぶことができるわけでございますから、それを受理したことが決して労働組合であるということを公認したということにはならないと私ども考えるのでありまして、先ほどから申し上げているのはそのことを申し上げておるわけでございます。
 なお、これを出したからといって、それがほんとうに労働者の自由意思でないということがあとから明確になれば、これは三十六条の協定ではないことになるわけでございまして、監督署があとから念のために申しましたのも、そういう場合のことを注意して、念のためこのことを付言したわけでございます。
○石母田委員 そうすると、会社側がこのあと盛んに、労働組合が認められたのと同じなんだというふうに宣伝しておるわけですけれども、これはあなたの見解からいって間違いで、そんなことについてまで認否を与えたものじゃない、これはいいですね。
○渡邊(健)政府委員 そのことはおっしゃるとおりでございまして、私どもも現地におきましては、これは労働組合であるということを認めたということではないということを明らかにするように指示をしております。
○石母田委員 それから、この三六協定については、さっきからあなたはことばを慎重に使って、有効だとも言っていない。つまり、ただ三十六条の届け出の要件に合っていると推定されるので受理しただけだ、そういう意味で受理したんだといって、まだ本省としては有効であるか無効であるかというのは、いま言った組合の認否の問題が将来にあるので、そのことを含めての問題であるから、いまのところ言っていない、こういうふうに理解していいのですか。
○渡邊(健)政府委員 最終的に有効であるというふうに断定はいたしておりません。
○石母田委員 最終的には言っていないけれども――何かわからぬ、むずかしいことを……。これはこういうことですね。つまり、もしこれが無効だ――無効というとおかしいけれども、ここに自由な意思を表明していない、代表に値しないというふうに認定があった場合、そういう場合には、いま実施されているこの労働時間、残業の問題などについては、三六協定によって実施されている問題については遡及しない、こういうことですね。つまり、遡及しないというのは、いまやっている、これも無効だからということにはならない、それは有効なんだということなんですか。たとえば組合が、これは組合じゃないんだ、それからその過半数の疎明を持ってきたのも、これも意思を代表していかなかったということになって、その根拠がくずれた場合、いまやっている労働時間、この三六協定に基づく時間というのは、これはもうさかのぼって無効だ、そういうことになるのですか。
○渡邊(健)政府委員 もし協定が、先ほど申しましたようなことで適法なものでなかったということになりますれば、それに基づいてなされた時間外労働も適法でなかったということになるわけでございます。
○石母田委員 わかりました。これは非常にあれですね、非常にというのは、この前お話ししたときには、私そこまでは聞いていなかったから……。そういうことになるのですね。私しかし、いま同意を与えたのは、いまあなたの見解に同意を与えたものじゃなく、この問題についてはあくまでも争いたいと思います。
 それからもう一つ、こういう見解が金産自動車のそういう特殊な状況で出た回答なのか、それともそういう考え方が三六協定の今後の全体の考え方の基本なのか、この点ちょっと聞きたいのだけれども……。
○渡邊(健)政府委員 もちろん適法な労働組合であるということが明確な団体と三六協定を締結して、会社側からそれが届け出をされれば、これはもう三十六条前段であるということは明確でありますが、労働組合というのは自由設立主義でありまして、設立したあともなお資格認定を必ずとるとは限らないわけでございます。その間等は、基準局あるいは監督署でこれは適法だとか適法でないとかいう判断をする権限はないわけでございますから、やはりそれが基準局に届け出られた場合には、実態によって三十六条の前段あるいは後段に当たるかどうかということで処理せざるを得ない、かように考えております。
○石母田委員 時間がありませんから先に進みます。
 第二番目の問題は、ベースアップ、賃金問題あるいは一時金も含めてですけれども、新しくできた組合と既存の組合との間が差別をするのに利用されているということについて質問したいと思うのです。
 これは御承知かもしれませんけれども、いま新しくできた組合との間がベースアップは四月から実施されているそうです。ところが、いままでの組合との間では賃金問題が妥結していない。それも全面的に妥結していないんじゃなくて、ある部分については同意が与えられているのですけれども、配分問題のところで争っているわけですね。その支給がいまだになされていない。それから一時金についても同様だというようなことが報告されておるのですけれども、こうした問題について、この賃金を、妥結日ということをてこにして、新しい組合にいるとそうなる、第二、分裂した組合に移った場合にはこういう有利な点があるということを盛んにいま会社側は宣伝して、そういう労働者の団結権に対して侵害を加えておる、こういうことが報告されておるわけなんですけれども、この点についての事実とその点に対する見解について、これは道正労政局長ですね。
○道正政府委員 企業に二つ組合がある場合の賃上げの実施時期につきましては、二つの組合の要求内容の相違であるとか、あるいは交渉の経過の相違によりまして実施時期が異なるということもあり得るわけでございます。しかしながら、合理的な理由がないのに両組合の間で差別的な取り扱いをするという場合には、不当労働行為が成立すると考えられます。本件につきましては、御指摘のような労使間の紛争があるわけでございまして、これにつきましては八月一日に全金の金産自工支部から石川県の地労委にあっせんの申請があったのでありますけれども、その後本件については労使が自主的に解決をしたいからということで取り下げられ、現在労使で交渉をやっているというふうに承知いたしております。われわれといたしましては、本件につきましては労使が自主的に円満に話し合いをつけられることを心から期待し、重大な関心を持って事態の推移を見守っておるというのが現状でございます。
○石母田委員 この間そういう話を聞いたんですが、これは会社側のほうから、地労委のあっせんといいますか、そういうものを辞退する、こういうことが出されたということであって、これに対して組合は同意をしていない。したがって自主的に両方が下げて、この問題は労使間でやりたいというふうにはなっていない、この私の手元にある資料によるとそうなっておるのですが、どうでしょうか。
○道正政府委員 事実関係を訂正させていただきます。労使双方から自主交渉で解決したいという申し出があって、現在交渉が続けられておりますけれども、あっせんの申請自体は取り下げていないと思いますので、この点ちょっと訂正させていただきます。
○石母田委員 私のところに来た組合幹部の話では、そういう事実はない、自主的な交渉にゆだねてほしいということはないと言っているのですけれども、あなたはそれはどこからの情報なんですか。私は労働組合の幹部から直接聞いておるのですけれどもね。
○道正政府委員 私どもは全部県を通じて情報を収集しておりまして、いま申し上げましたことは県を通じての情報であります。
○石母田委員 その事実関係をちゃんときちんとさせたいと思っておりますけれども、あなたのほうはあなたのほうでそういう根拠があるわけですから……。しかし私ども直接聞いたのでは、そうではないということなんですが、とにかく組合はこういう差別について反対しているわけですが、これについて最近、賃上げに関する第一、第二組合に対する支給日の違いは差別による不当労働行為を構成するということで、福岡地労委の命令書が出されているのです。これは民放労連のRKB毎日労働組合とその会社側に対しての問題なんです。これは内容を見ますと――この内容は知っていますか。
○道正政府委員 事件の概要は承知いたしておりますけれども、命令文の本文はまだ入手いたしておりません。
○石母田委員 じゃこれはあとであなたたちも取り寄せてみていただいたらいいと思うのですが、四月一日実施を相手の組合に対してやって、片っ方の組合には一カ月引き下げて五月一日から支給したということに対する申し立てに対して、「この差別は従来の労使関係に鑑み申立人組合を嫌忌し、その組合員を放送労組の組合員よりも不利益に取扱ったものと認めねばならないので、労働組合法第七条第一号の不当労働行為を構成するものと認める。よって、四月一日に遡って実施する場合との差額の支給を命じ、陳謝文についてはむしろ主文のような陳謝文の交付を適当と認め、労働組合法第二十七条および労働委員会規則第四十三条の規定に基づき主文のとおり命令する。」ということで、陳謝文の内容が、こういう差別をしたことは遺憾でありますという陳謝文を出すことになっているんですよ。
 こういう地労委の考え方から見ましても、あなたの言うように、労働組合が二つあってそれぞれの妥結日がそれぞれにきめられるということはまああり得ることだ。しかしそのことをもって、組合員にどの組合に入ったからということによる差別にこれを使うということは明らかに不当労働行為、つまり憲法でいう団結権に対する侵害になると私は思いますね。だからそういう点で、先ほどから何べんも言いますように、ここの会社が幾つかの労働基準法、労働組合法の違反の疑いがあることをどんどんやって現実に注意を受けた、勧告を受けた、送検されているという中でこの問題が起きている。こういう事態の中で、労働基準法の二十四条の賃金の支払いの点からいっても、とにかく通貨でもって一カ月に一回以上は払わなければならぬということが書いてあるわけだし、定期昇給のことも労働協約中にあるわけだから、そういう中で賃金の一部について、妥結してないからといって引き延ばしていく、こういうやり方は人権の問題からいっても、労働組合の労政上の問題からいっても問題じゃないか。こういう問題について、いま事実の認識の相違はありますけれども、自主的な交渉ということはありますけれども、やはり私は適切な指導をしていただきたい、こういうふうに思いますけれども、どうでしょう。
○道正政府委員 福岡の命令をおあげになりましたが、後刻私どもも具体的に詳細検討したいと思います。
 しかしながら、一般的にこの種の事件についての命令はいろいろございまして、全部が不当労働行為であるという命令を出しておるわけじゃございません。結局、最初に申し上げましたように、合理的な理由があるかないかということであろうと思います。不当労働行為であるというふうな命令が出たとすれば、それは当該労働委員会が合理的な理由がないという判断をした上でそういう命令を出したのだろうと思います。繰り返しになりますけれども、要するに合理的な理由があるかないかということで判断をすべきものであろうと思います。
 ただ、本件につきましては、先ほど申し上げましたように、私どものほうが承知しておる情報によれば、労使が自主的に交渉で解決したいというふうに言っている由でありますので、期待を持っておるわけでございます。
○石母田委員 それじゃこの問題については、いま言ったように重大な問題が含まれていますから、ことに労働者にとっては切実な問題ですよ、一時金もらってない、賃金もらってないということは。これはよく調べまして、あなたのほうでもそういう指導できる範囲があればぜひ指導していって善処していただきたい、こういうふうに思います。よろしいですか。
○道正政府委員 先生の情報と私どもの承知しているところとやや食い違っておるようでございますから、その辺も含めまして県にさっそく問い合わせをいたします。
○石母田委員 それから三つ目の問題は、これは全金との、先ほど幹部の入門阻止をめぐる問題で係争されていますけれども、これはその後全金の支部に加入しているということを会社側が認めることによって上部団体との団体交渉権を認めるような状況になってきたわけですが、現実にはまだそれが実施もされてないし、認めるというところまでいってないように聞いているのですけれども、その後事態が変わったのか、あるいはまた認めてないとすれば、これは都労委のほうから要望が出ておりますので、ぜひあなたのほうからも口添えをしてもらいたい、こういうふうに思います。
○道正政府委員 金産自動車工業の労使紛争につきまして、全国金属が七月二十五日に会社に対しまして団交の申し入れをいたしました。ところが会社はこれを拒否して、その結果八月十一日に東京都労委に対して不当労働行為の救済申し立てを行なっておるわけでございます。会社側の言い分といたしましては、団交の申し入れを受けた当時におきましては上部団体であるということを知らなかった、あるいはいままで上部組合と交渉したことがないというような理由によりまして拒否したわけでございますが、都労委では九月六日に労使双方からの事情聴取が行なわれまして、席上、審査委員長から口頭で労使双方に対しまして、全国金属の支部が会社に存在することを現在認めているのだから、本件については労使が前向きに話し合ったらどうかということを要望されたというふうに聞いております。ただ、その結果会社側は慎重に検討するという回答をした由でありますが、次回が十月二十二日だそうでございます。話し合いがつけばよろしいわけでありますけれども、都労委の場で決着がつくとすれば十月二十二日以降になるのじゃないかと思います。
○石母田委員 もう時間がありませんので、これらの問題は打ち切りたいと思うのですが、大臣に最後に要望しておきたいし、また質問しておきたいと思うのですけれども、こういう問題は、私は先ほど申しましたように、もうだれが見ても労働基準法や労働組合法に対する乱暴なじゅうりんだ、これが行なわれて、監督署の人たちもいろいろ苦労しておるわけなんです。こういう問題について、出たときには私はもっと慎重に対処してもらいたい。結果として、監督署がやったことがむしろもっと悪い方向に、つまり資本家のそういうものを激励するような方向で本省の見解が出されておる。結果としてそうなっているのです。資本家は、さっきの三六協定の見解でも、これは組合を認めたことなんだ、確かにそこまでいってないんだと言っているけれども、もう上のほうが味方してくれたのだというような気持ちでいるわけですよね。実際そういう感じを与えがちな解釈だと私は思います。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
それからいまの賃金の問題にしても、そういう重要な問題について、結局ここに書いてありますように、会社としては、本件に関してはあくまでも自主解決いたしたいと存じまして、貴委員会、つまり、地労委のせっかくのあっせんではありますが、御辞退申し上げますといって、自分たちに不利なことを地労委でやられてはたまらぬということで辞退している。組合はこれに反対している、私の情報では。そういうときに、自主解決ということだから私たちは何もしません、こういうような解釈があって、とにかく一つ一つにそうした乱暴なじゅうりん、あるいはそういう疑いのある札つきのこういう資本家のやり方を、結果として激励するような見解が労働省から出てくる、政府から出てくるとなれば、これは重大な問題だ、しかも、それが日野自動車のようないわゆる大資本、大企業で、もう裏も表も十分やり尽くしたこういう連中がやっているとすればなおさらのこと、私は政府のそういう政治姿勢とも関係して、十分この点を追及したいというふうに思いますが、そういう誤解のないように労働大臣としてとういうものについて公正に、いわゆる労働組合法や労働基準法が立法された根本精神に従って解決するようにぜひお願いしたい、このことについて御答弁願いたいと思います。
○加藤国務大臣 石母田委員と両局長の話をいろいろ横で聞いておりまして、労働省としてこの問題に対しましては、最近特にやかましくなりましたので、十分県の労働主管部長とも連絡をとっておりますが、県のほうでも九月十二日使用者側を、十四日に労組側を招致して事情を聞いた、こうなっておるのだというのは先ほど局長から話したとおりでありますので、これは当然労働省は労使の話し合いは大いに歓迎いたしますが、労働省が資本家に聞くとか、また片一方のことだけをやるとかいうようなことは考えておりません。そういう意味で、今後なお十分私もその実態をもう少し――報告その他で把握しにくい現状でありますので、なお県なりまた出先の機関も通しまして十分事情を聴取いたしまして、適宜な措置を講じ得るように十分検討いたしたいと思います。
○石母田委員 あわせて、私のところに、不当労働行為ですか、こういう問題でいろいろな問題が持ち込まれているわけなのですよ。私どももこれはまたすぐここへ出すというのではなくて、いろいろ調査もし、独自のきちんとした立場から追及したいと思いますけれども、一応こういう名前をずっとあげさしてもらいますから、今後、こうした問題について関心を持って調査していただきたい。
 一つは、極東運輸有限会社、全部係争中のものでありますが、会社の信用をそこなうようなことをしたといって一名解雇されております。それから須藤開発工業株式会社、これは争議行為を行なうため職場を離れたことについて、業務命令違反として解雇。それから、ハナシンという株式会社ですが、組合結成及び配転拒否、九名解雇、これはいま地裁にかかっております。新東洋ガラス、これはやはり分裂攻撃、組合活動に対する支配、介入という問題です。これは地労委の問題でやっています。日本硝子株式会社、これまた分裂、組合に対する差別の問題。それから住友重機工業株式会社で、全造船のこれは浦賀分会ですか、これも有名なところで、やはり差別です、先ほど申し上げました賃金差別も含めまして。これは都労委でやっています。それから住友重機工業株式会社、これは欠勤を名目にして一名解雇いたしました。それから、内外通商というところでは、原水禁の署名をやったということで、会社の信用を傷つけたという理由で解雇しています。それからトキワ車輌株式会社、サンエー工業株式会社というところでは、組合の結成に関して干渉、そして第二組合をでっち上げているという問題です。それから昭和電線工業株式会社、個人加盟労組に加入したということで配転命令が出て拒否して解雇。それから東京衡機株式会社、これはやはり配転拒否で解雇。それから気工社、これも配転拒否で解雇。東京電力株式会社では、交通事故を起こして出勤停止、配転でこれを拒否して解雇。日本食塩製造株式会社、組合活動を理由に解雇。古河鉱業株式会社、会社の機密事項を漏らしたという理由で解雇。内外液輸株式会社、これは見習い期間中なのに組合活動をやったということで解雇。それから安田物産株式会社、本人の思想、経歴をきらって。理由は労働基準監督署からの書面を持ち出したということで解雇。石川島播磨重工では、民主的な組合を破壊するための攻撃、切りくずし、書記長以下三名が解雇されております。三菱電機株式会社鎌倉製作所、配転を拒否したので解雇。それから日本航空ホテル株式会社、組合結成の動きがあったというので解雇。川崎化成では、これまた労組幹部に対する解雇。
 こうしたことで、いろいろこのほかにも話を聞いておるわけです。ですからそういう意味でぜひこの、係争中の問題その他もありますからいろいろ対処のしかたがあると思いますけれども、こういう問題が出てきているということについて、特にこうした問題については、先ほどから再三繰り返しておる立法の精神に基づいてぜひ善処していただきたいというふうに要望したいと思います。
 あと四、五分しかありませんので、私、全労働省労働組合から要望されているのですが、「労働基準監督署、公共職業安定所の廃止反対に関する要請書」というのが出ております。この中で特に今年度分、四十八年度分の三カ所の廃止に関する問題について、四月九日、加藤労働大臣から組合に対して、昭和四十八年度分の三カ所を含む統廃合計画については再検討するということを答えているのだけれども、その後労働省当局は、そのようなことはないのだと言って、三カ所を廃止することになっているのかどうか知りませんけれども、その点についてどなたかから御見解を聞きたいと思います。
○北川(俊)政府委員 小規模の官署の統廃合につきましては、閣議決定によりまして四十五年の十
 一月に決定をいたしております。具体的に労働省の場合にそれをどう運用するかにつきましては、同じく閣議で報告をされまして、整理の方針が出ておるわけでございます。そういう方針決定に基づきまして、本年度は監督署、安定所、それぞれ二署、一所、合わせて三カ所の廃止を決定をいたしております。いま先生御指摘のように大臣が労働組合とお会いになっておりますけれども、労働大臣はその際に、一応閣議決定の方針であるのでそれに従わざるを得ない、ただ労働行政というのは非常に行政需要がふえておるし、民間の要望も強いので、そのとおり、閣議決定のまま一般と一律に押しつけられることにはたいへん不満である、だからことし決定になった分はともかくとして、明年度以降の実施にあたっては十分その点を主張したい、こういうことをおっしゃった、こう考えております。なお、三カ所につきましても、地元の了解を十分得るように、われわれいろいろ御納得をいただくような活動をいたしまして、地元の御納得を得ましてその廃止についてはスムーズに行ないたい、こう考えております。
○石母田委員 それはスムーズに廃止する方向ではなくて、逆に復活する方向にスムーズにやってもらいたいと思うのです。これはあなたがいま言われたように、兵庫県では県議会で満場一致でこの廃止反対の決議が出ているそうじゃないですか。それから福島県の喜多方でもそういう自治体などで反対している、あるいは労組、民主団体、商工団体が反対している。長野県の篠ノ井では県、商工団体や労組などが反対している、こういうふうに地元が反対しているわけですから、特にいま言われたような問題で、大臣が何べんもここで言われておるように、必要なものについてはやはりどんどん拡充もしていかなければならぬ。特に厚生省の医務局関係なんか実際定員削減計画なんか事実上ほごにしてというか、無視して増員さえ行なっているのですよ。こういうことで、上できまったからすぐやるというのではなくて、実情を調べて、必要なものはきちんとやるということで、三カ所については復活する方向で再検討する。そしてもちろん今後のことについては、いま言われたように再検討していくというふうにしてもらいたいと思うのだけれども、大臣の答弁をお願いします。
○北川(俊)政府委員 いま先生の御趣旨私も十分理解できるわけでございますが、ただ、いまの監督署、安定所の配置の状況というのが、大体戦後間もなくきめられたとおりでございまして、その後産業の状態あるいは地域の経済というものがたいへん変わっております。先生御指摘のように、全般的に見ますと労働者数がふえ、あるいは工場がふえという状況でございますけれども、かつては交通機関がはなはだ不便で、どうしてもそこにもう一つ監督署がほしいというような状況もございましたけれども、最近の交通事情から見れば、たいへん近接地に監督署、安定所が並行しておるというようなこと、あるいは最近監督署、安定所ともに機動力を持っておりまして、それを活用することがむしろ効率化に役立つのではないか。それから御承知のように安定所、監督署の中にはたとえば十人以下の七人、八人というようなたいへん小さな監督署、安定所がございますけれども、こういうところでは大きな安定所、監督署と同じように業務もございますし、あるいは調査もございます。そういうところは適正規模に持っていくことによって真の行政の効率化というものがはかれると思っております。ただ先生御指摘のように、やはり地元の住民あるいは地域の経済界、そういうものの声を十分聞きながら、この計画については対処をいたしてまいりたいと思います。
○石母田委員 これについて、大臣のそういう住民の声に沿うような方向での検討をもう一回確認しておきます。
○加藤国務大臣 そのとおりでありまして、この問題は私も実は弱っておるのでありますが、閣議で決定したからやらなくちゃならぬ、人が持ってくるとどうもぐあいが悪い、こういうので先ほどもお話しの全労働と会ったときにもはっきりもうやらぬとは言っていないのでありまして、そのときのメモをしてありますが、速記しておりますが、閣議の決定、それに従わざるを得ないが、行政需要に応じて考うべきであって、特に近年行政需要の増大しておる労働省としては他省庁と同じように取り扱われることには不満がある。したがってすでに決定されていることについて実施せざるを得ないが、今後については行政需要に応じて取り扱いを考うべきであるということを強く主張し、労働省の事情を十分説明していきたいと考える。こういう意味で、やはり地方のいろいろな事情を聞いて、万やむを得ぬところはあるかもしれませんが、十分聞いて慎重に、いまの他省との関係もありますので、閣議決定はもうやめたというわけにも大臣としてはいかないと思います。統廃合する場合には十分地方の方々の意見を聞いて対処いたしたいと思います。
○石母田委員 質問を終わります。
○田川委員長 新井彬之君。
○新井委員 委員の皆さんと委員長の御好意によりまして質問さしていただくことを感謝申し上げます。
 ただいまも職業安定所の統廃合の問題が出ておりましたが、私は、この問題は昭和四十八年三月二日の予算委員会の分科会におきまして、全体的にはわからないわけでございますけれども、飾磨の職業安定所の統廃合の問題について、現実の地元の問題を体して御質問申し上げたわけでございます。そのときにいろいろ答弁をいただいておりますが、もう一度検討するということで私は了解をいたしておるわけでございまして、白紙に戻しまして、地域の住民の方々の御意見を聞く、あるいはまた知事の御意見を聞く――大臣からも明確な答弁をいただいておるわけでございます。その後四月九日には、全労働省労働組合の執行部の方と大臣がいろいろと話し合いをされたときに、昭和四十八年度の三カ所を含む統廃合計画には納得できないし再検討する、こういうぐあいに答弁をしておるように聞いております。その後八月十五日にまた、官房長と全労働省労働組合の執行委員の方々とのお話し合いの中で、そういう話はなかったのだということでそれを撤回するというようなことを聞いておるわけでございますけれども、その辺のいきさつについてお伺いしておきたいと思います。
○北川(俊)政府委員 四月九日の大臣と全労働との会見の経緯につきましては、先ほど石母田先生に大臣がお答えになったとおりでございまして、当時の議事録にもあることでございますけれども、閣議決定ですから、その方針に従わざるを得ない、したがってすでに決定をした本年度分についてはやらざるを得ないと思うけれども、今後については労働行政の今後の需要あるいは一般民間の要望等も踏まえて、一律に他省庁と同じような取り扱いを受けることについては強い主張をしたい、こういうことでございます。そこのところにつきましては、私は大臣の御発言の趣旨がこういうことでございますということを全労働に申し上げただけでございまして、別に大臣の御発言がどうこう違うようになりまして、われわれと違うというようなことは組合には申しておりません。
○新井委員 そうしますと、飾磨のことしか私はわかりませんので、その件についてのみでございますけれども、閣議決定そのものが、これは国民の意思と反しておるわけですから非常に問題があると思います。とにかくこういう特に国民にサービスをするということについては、やはり主権在民の立場からみんなの意見を聞いてやるというのが当然でございますけれども、この問題については、いまのところはちょうど私が質問した当時と全く変わらないのだということで了解してよろしいですか。
○遠藤(政)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、公共職業安定所は住民に対するサービス行政を担当しております機関でございます。したがいまして、安定所の設置ないしは所管その他につきまして職業安定法の施行規則に定められておりまして、地元の関係者の意見を聞いて、これを定めることになっております。したがいまして、この問題につきましてもサービス行政機関であるという本旨を十分わきまえまして、この問題の解決にあたりましては地元の関係者、住民あるいは事業場、安定所を利用する方々のサービスにこと欠くことのないような措置を講じてまいりたい、そういうことによって解決策を考えていきたい、かように考えております。
○加藤国務大臣 予算委員会の、白紙に戻すという御質問がありましたが、私は白紙に戻すとは言わなかったのですけれども、いま遠藤局長からお話があったように、知事なりまた地元の御意見をいろいろ聞いて、サービスに支障がないように善処したい、こういうような答弁を申し上げて、これはいまも変わっておりません。いまここではっきりと、もうやめた、こう言ってもらいたいと思いますが、そこまではいけないけれども、いまの局長の答弁のように、サービスに支障がない範囲でひとつ大臣は考えておる。これは予算委員会といまも変わりませんし、十分地元の利用者の御意見なり、当然知事なり、同じ役所でありますから出先の安定所の意見も尊重いたしまして、慎重というとちょっとおかしいけれども、慎重に善処というくらいのところで御返事……。
○新井委員 ただいまのことばを了解いたします。この件についてはこういうパンフレットで見せていただいたわけでございますが、またこれを強行するというようなことの心配がありましたために、これはやはり委員会で大臣があれだけの答弁をされた上で、住民の方々あるいは知事、そういう方々の御意見をほんとうに聞かれて、納得する段階においてやっていただく、こういうぐあいに了解いたしておりますので、それさえ了解していただけましたら、私の質問は終わります。
○加藤国務大臣 もうそのとおりで、了承をしたと申し上げてもいいような感じがします。
○新井委員 じゃ、どうもありがとうございました。
○田川委員長 次回は、明後二十日木曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後三時五十一分散会