第071回国会 農林水産委員会 第30号
昭和四十八年六月十二日(火曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 佐々木義武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君
   理事 山崎平八郎君 理事 柴田 健治君
   理事 美濃 政市君
      安倍晋太郎君    笠岡  喬君
      金子 岩三君    吉川 久衛君
      小山 長規君    佐々木秀世君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      菅波  茂君    丹羽 兵助君
      西銘 順治君   三ツ林弥太郎君
      湊  徹郎君    森下 元晴君
      安田 貴六君    井上  泉君
      角屋堅次郎君    島田 琢郎君
      竹内  猛君    野坂 浩賢君
      馬場  昇君    湯山  勇君
     米内山義一郎君    中川利三郎君
      瀬野栄次郎君    林  孝矩君
      稲富 稜人君    神田 大作君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        農林大臣官房長 三善 信二君
        水産庁長官   荒勝  巖君
 委員外の出席者
        科学技術庁計画
        局科学調査官  山中 光一君
        科学技術庁原子
        力局次長    倉本 昌昭君
        環境庁企画調整
        局公害保健課長 山本 宜正君
        環境庁水質保全
        局水質管理課長 山村 勝美君
        環境庁水質保全
        局水質規制課長 太田 耕二君
        外務省欧亜局外
        務参事官    武藤 利昭君
        厚生省環境衛生
        局食品衛生課長 三浦 大助君
        厚生省環境衛生
        局乳肉衛生課長 岡部 祥治君
        通商産業省公害
        保安局公害防止
        指導課長    松村 克之君
        通商産業省化学
        工業局化学第二
        課長      小幡 八郎君
        通商産業省公益
        事業局技術長  和田 文夫君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月八日
 辞任         補欠選任
  金子 岩三君     大石 千八君
 三ツ林弥太郎君     丹羽喬四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     金子 岩三君
  丹羽喬四郎君    三ツ林弥太郎君
    ―――――――――――――
六月八日
 オレンジ及び果汁の輸入自由化阻止に関する請
 願(足立篤郎君紹介)(第六四〇三号)
 同(床次徳二君紹介)(第六四〇四号)
 同外一件(足立篤郎君紹介)(第六五〇八号)
 造林政策確立に関する請願外八件(稲村利幸君
 紹介)(第六四〇五号)
 同外十五件(金子一平君紹介)(第六四〇六号)
 同外二件(菅波茂君紹介)(第六四〇七号)
 同(高鳥修君紹介)(第六四〇八号)
 同外一件(中馬辰猪君紹介)(第六四〇九号)
 同外三件(床次徳二君紹介)(第六四一〇号)
 同外二件(宮崎茂一君)(第六四一一号)
 同外四件(武藤嘉文君紹介)(第六四一二号)
 同外一件(粟山ひで君紹介)(第六四一三号)
 同外二件(渡部恒三君紹介)(第六四一四号)
 同外四件(伊東正義君紹介)(第六五〇九号)
 同(宇田國榮君紹介)(第六五一〇号)
 同外十件(小沢一郎君紹介)(第六五一一号)
 同外六件(片岡清一君紹介)(第六五一二号)
 同外二件(亀岡高夫君紹介)(第六五一三号)
 同外一件(木村俊夫君紹介)(第六五一四号)
 同(坂本三十次君紹介)(第六五一五号)
 同外八件(椎名悦三郎君紹介)(第六五一六号)
 同(西村直己君紹介)(第六五一七号)
 同外十三件(古屋亨君紹介)(第六五一八号)
 同外一件(森下元晴君紹介)(第六五一九号)
 同外二件(大久保武雄君外一名紹介)(第六六
 二九号)
 同外七件(大野明君紹介)(第六六三〇号)
 同(奧田敬和君紹介)(第六六三一号)
 同外二件(梶山静六君紹介)(第六六三二号)
 同外九件(近藤鉄雄君紹介)(第六六三三号)
 同(徳安實藏君紹介)(第六六三四号)
 同(楢橋渡君)(第六六三五号)
 同外五件(八田貞義君紹介)(第六六三六号)
 同外十七件(坊秀男君紹介)(第六六三七号)
 同外十件(松野幸泰君紹介)(第六六三八号)
 同外八件(森山欽司君紹介)(第六六三九号)
 林業振興に関する決議の具体的実施に関する請
 願(岡田哲児君紹介)(第六四一五号)
 同外一件(島田琢郎君紹介)(第六四一六号)
 同(松浦利尚君紹介)(第六四一七号)
 同(井上普方君紹介)(第六五二〇号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第六五二一号)
 同(村山喜一君紹介)(第六五二二号)
 同(米内山義一郎君紹介)(第六五二三号)
 同(渡辺惣蔵君紹介)(第六五二四号)
 同(井上泉君紹介)(第六六四〇号)
 同(小川省吾君紹介)(第六六四一号)
 同(田邊誠君紹介)(第六六四二号)
同月十一日
 オレンジ及び果汁の輸入自由化阻止に関する請
 願外一件(足立篤郎君紹介)(第六七三八号)
 同(中垣國男君紹介)(第六七三九号)
 同(藤波孝生君紹介)(第六八三三号)
 造林政策確立に関する請願(高鳥修君紹介)(第
 六七四〇号)
 同外十五件(山口敏夫君紹介)(第六八三四号)
 同(足立篤郎紹介)(第六九二九号)
 同外一件(越智伊平君紹介)(第六九三〇号)
 同外四件(金子一平君外二名紹介)(第六九三一
 号)
 同外七件(高鳥修君紹介)(第六九三二号)
 同(山崎平八郎君紹介)(第九三三号)
 同外二十二件(渡辺栄一君紹介)(第六九三四号)
 林業振興に関する決議の具体的実施に関する請
 願外一件(下平正一君紹介)(第六七四一号)
 同(美濃政市君紹介)(第六七四二号)
 同(嶋崎譲君紹介)(第六八三五号)
 同(福岡義登君紹介)(第六八三六号)
 同(石野久男君紹介)(第六九三五号)
 同(太田一夫君紹介)(第六九三六号)
 同(岡田春夫君紹介)(第六九三七号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第六九三八号)
 同(勝間田清一君紹介)(第六九三九号)
 同(佐々木更三君紹介)(第六九四〇号)
 同外二件(辻原弘市君紹介)(第六九四一号)
 同(原茂君紹介)(第六九四二号)
 同(藤田高敏君紹介)(第六九四三号)
 同(八木一男君紹介)(第六九四四号)
 同(山本弥之助君紹介)(第六九四五号)
 同外一件(渡辺三郎君紹介)(第六九四六号)
 同外二件(渡辺惣蔵君紹介)(第六九四七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五八号)
 漁船積荷保険臨時措置法案(内閣提出第五九号)
 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第七九号)
     ――――◇―――――
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田大作君。
○神田委員 私は漁業三法に関連いたしまして、現在非常に全国的な問題となっております第三水俣病発生によるところの漁業者、それに関連する関係者が、とった魚が売れない、売れないために生活ができない、非常な混乱をいたしておりますが、そのことは農林大臣も十分御承知だろうと思います。私は土曜、日曜、月曜にかけまして有明海沿岸、八代海沿岸等を調査いたしまして、調査団の一行の一員といたしまして調査に参りまして、その深刻な状況を見てまいりまして、これは重大なただごとでない問題である。第一水俣病が発生いたしましてからもう十数年たっておる今日において第二、第三、第四、第五と水俣病が続々発生するおそれのある現状に対しまして、大臣はどうお考えになるか、まずそれからお尋ね申し上げます。
○櫻内国務大臣 今回の熊本大学より第三水俣病の事実のある調査報告が出されまして、それに伴いまして非常に大きな影響ある問題が次々と起こっておる事態につきましては、まことに憂慮にたえないところでございます。
 水俣病発生に伴いまして、そのおそれのある工場などにつきましてもっと掘り下げた検討が必要ではなかったのか、この点につきましては、農林省の立場から見まして、汚染の実態が十分把握されておりまするならば、そのような行政が当然とり得たと思うのでございまするが、今回のような事態につきまして、まことに申しわけはないのでございまするが、第三あるいは今後の水俣病の発生のおそれがある、こういう前提をもっての農林省自体の汚染調査というものにつきましては欠くるところがあったことを遺憾に思っておるわけでございます。今回の事態にかんがみまして、現にPCBにつきましては、全般的な調査、続いて精密調査を行なったところでございまするが、水銀汚染につきましても、また、農林省の立場で、広く一般国民の不安感を除去する意味におきまして、汚濁調査について善処をしてまいりたいと思う次第でございます。
○神田委員 大臣が遺憾の意を表したというようなことで済まされない。漁業者の生活問題、それから地域住民の生命にかかわる重大な問題でありますので、これは単なる遺憾の意を表しただけでは済まされない。汚染された魚をとって、市場においては三分の一あるいはそれ以下に値下がりをしておる、あるいはまた廃棄しなければならぬというような現状に立ち至っておる全国の漁民に対しまして、一体これらの生活保障の問題についてどのように措置するつもりであるか、お尋ね申し上げます。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○櫻内国務大臣 まず大前提を申し上げておかなければならないと思うのであります。
 環境庁が発足いたし、公害問題について私どもは真剣に取り組んでおるわけでございますが、そのような公害問題を起こすとか汚染をするという事態をなくすためには、何としても原因者を明確にし、また原因者が重ねてそのようなことを起こさないように、そこで原因者負担の原則というものを打ち立てておるわけであります。そうでない、ただ対策だけを考えておりますならば、不心得な原因者がおって、たれ流ししても、その結果は国が見るのだ、県が見るのであると、かりそめにもそういうようなことがあってはならないのでございまして、したがって、その点から私どもはこの委員会を通じて繰り返し原因者負担の原則というものをはっきりしておるわけであります。しかし、複合汚染のためにいずれが原因者であるかということが判然としない場合、これはこれで対応することができると思うのであります。
 しかしながら、ある期間におきましてその原因者が明白でない、そしてその間に被害を受けた者が、どう措置したらいいかということで、非常な物心両面の打撃を受ける、これは現在の第三水俣病に伴う各種の問題の大きな根本問題だと思うのでございます。そういう場合にどうしていくのかということにつきましては、国といたしましてもろもろの現象に直接にきめこまかく対応するには、それだけの十分な機構、用意というものができかねる、そうなってまいりますと、県と国との密接な関係におきまして、県において具体的な各種の問題に対応していただきながら、それに対して国はまたその対策が十分行ない得られるように対応していくということが事の筋道であると思うのであります。
 しかしながら、それがかりにも国のほうのそういう姿勢だけでは、県・市町村における施策というものが十分できかねるような環境をつくっていくというようなことがありますならば、それは私どもの思わざるところでございまして、もしそういうことでありますならば、国としても積極的な姿勢をとり、対策をとる必要が当然起きてくると思いますが、現在までのところ、そのように対応してまいったのであります。
 今回、皆さんにも御調査を願い、また私どもは農林省の立場として、また関係各省はそれぞれの立場として、具体的な現地における諸事情というものが刻々と明白になってまいっておるのでございますので、本日、閣議におきまして、水銀等汚染についての対策推進会議を設け、明後日の八時までに具体的な施策が講ぜられるように関係各省庁において準備をする、こういうことにいたした次第でございまして、御了承をいただきたいと思います。
○神田委員 汚染魚はどうしてできたか、水銀汚染の汚染源はどこから出たのか、汚染を出した工場、企業に責任がある、この責任のある企業によって漁業者その他関係者の損害等を補償すべきであるというように大臣の答弁を聞きました。
 しからば、通産省にお尋ねしますが、世界の汚染の原点といわれる水俣病が発生しましてから十数年間、水銀によるところの汚染であるということが明確になってから、通産省は、水銀をたれ流しにしておる、あるいは水銀を使用しておるところのこれら企業に対していかなる監督といかなる指示とを与えたか、それらについてお尋ねを申し上げます。
○松村説明員 お答えします。
 水銀の使用工場といたしましては、大体大きく申しまして、アセトアルデヒドの工場、それから塩ビを製造しております工場、それから苛性ソーダを製造しております工場、これらが大きく申しまして化学工業として水銀を使用している工場でございます。アセトアルデヒド工場につきましては、水俣にございますチッソ水俣工場がその例でございますけれども、これらの工場については水銀法から石油化学法への転換を指導いたしまして、現在ではアセトアルデヒドの製造については水銀を使用するということはなくなっているわけであります。また、塩ビにつきましても同様に石油化学法への転換を進めておりまして、大多数の工場が石油化学法への転換を終わっているところでございます。
 また、苛性ソーダにつきましては、現在日本では大部分が水銀法によって苛性ソーダをつくっておりますが、通産省といたしましては、これらの工場についても水銀を使用しない隔膜法への転換ということを指導いたしておりまして、今後はそちらの方向に強力に指導をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○神田委員 水銀を使っておる工場を、今度は水銀を使わなくてほかのものでもって転換させたいといって、それで済まされるものか。一体いままで使った水銀がたれ流しになって、それが蓄積されて、それが今日の第三、第四の水俣病の原因になっておる。
 これらについて、各省庁と、特に農林省あるいは厚生省と連絡をとって、これらの除去、これらが魚藻貝類に及ぼす影響等について適切なる措置をとるのが、これが完ぺきを期する行政指導ではなかろうかと思う。転換させたからそれでよいというものではない。
 私は、日本合成化学に参りまして――いままで水銀を使っておって、流していたその水銀の水路をせきとめしたのは去年なんです。しかも、あの有明海に注ぐ河口には、たくさんの汚染したどろがうず高く積まれておる、そのまま放置されておる。雨が降れば、必ず流れ出して、有明海に注ぐに違いない。そういうことは当然常識的にわかることです。これは第三、第四、第五と水俣病がどんどんできる原因なんです。
 これらに対して、通産省は、いまは使ってないからいいのだ、これを転換させたからいいのだ、それで済まされるか。まあ君に聞いてもしようがないが、厚生大臣を呼んで聞くべきだが、そういう機会をぜひつくらなくちゃいかぬと思いますが、その点について、ただ転換だけで済まされるという平気な顔をされては、漁民は承知できない。その問題について、ひとつ御答弁願います。
○松村説明員 お答えいたします。
 水俣病の原因物質といたしまして、有機水銀説が出てきたということから、いま申し上げましたように、アセチレン法から石化法への転換を進めたわけでございます。それ以外のことを申し上げますと、昭和四十五年には、水銀を含有する排水の実態調査を実施いたしました。その結果は、当時公表いたしております。そこで、排水中の水銀濃度の高い工場については、その工場を直接指導し、あるいは県に対してそれらの資料を提供して、県からの指導をいたしたわけであります。
 また、御指摘のカーバイドかす、残滓の構内保有につきましては、たとえばチッソ水俣工場においてもカーバイドかすを工場所有の敷地に堆積しているわけでございますが、これについては、これは廃棄物でございますから、厚生省の所管でございますけれども、通産省といたしましても、県を東京に呼びまして、厚生省、環境庁とともにその対策を検討中でございます。またこれについては現地調査も環境庁と一緒にいたしたわけでございます。
 また、水銀問題につきましては、日本合成化学あるいは三井東圧あるいはその他苛性ソーダ工場、アセトアルデヒド工場、塩ビ工場について現在通産局におきまして立ち入り調査を実施いたしております。その結果をもとといたしまして、環境庁と一緒に総合的な調査ということに取りかかる予定でいるわけでございます。
○神田委員 私はいまの通産省の答弁を聞いて非常に憤慨せざるを得ない。十数年にわたってこの問題が重大な水俣病の原因である、魚も汚染されるということを十分承知の上で、いまごろ調査をするとか、これら水銀を含んだ、汚濁した堆積したどろをそのまま見過ごしてきておる。こういうことでもって、とにかく何十万というような漁民、それから続々と水俣病の疑似患者が出てきているのです。一体十数年間何をやっていたのか。このような事態に立ち至るということはしろうとでも想像がつくのです。いわんや専門家であるところの君たちが、この問題を放置しておけば、これは重大なことになるということは当然察知して、適切なる処置をすみやかにすべきであるにもかかわらず、今日まで放置しておったということは、汚染源である企業のみに責任を負わせるべきではない。先ほど農林大臣が、汚染源が明確でないから補償ができないと言ったけれども、これを指揮監督し、今日まで放置した政府の責任は、私は重大であると思う。そういう意味合いにおいて、私はこれら漁業補償、患者に対する責任というものを、政府がみずから負うべきである。企業はもちろんでありますけれども、政府も負うべきであると私は考えるのでありますが、これについて大臣はどう思います。
○櫻内国務大臣 これは先ほどはっきりお答え申し上げておるところであります。それは、かかる事態を再び繰り返さないということで、大前提は原因者負担という原則であるが、しかしながら、現にそういう重大な被害を受けている、影響を受けておるものがあって、その原因者が不明である。そういうような事態については、これは国としても考えるし、また、そういうような事態についていち早く把握のできる県、市町村が対応して、またその対応したものについて国がお世話をして、そして原因者はやはりあくまでも追及していく。しかし、国のほうの施策が十分でないということで、県、市町村がおろそかにするようなことがあってもこれはいけないことであるので、今回のこの事態にかんがみて、本日閣議で、水銀汚染等対策推進会議を設け、しかも明後日の八時からは具体的な対策がとれるように各省庁は準備をするということにした、こういうことをはっきり申し上げておる次第でございます。
○神田委員 それでは、農林省としては、これらの責任の一端をとって、漁業者に対する補償並びに水俣病患者に対する補償の責任をとるつもりであるかどうか、それをイエスかノーかはっきり言ってください。
○櫻内国務大臣 繰り返し申し上げておるのでございまするが、もう一度申し上げておかないと誤解を招きます。
 その大前提は、原因者をあくまでも追及し、そしてそれが責任を負うというたてまえというものがくずれたならば、国が見るからいいんだということになったならば、根本的な除去対策にならない。したがって、そのことはよく考えてもらいたい。
 もう一つは、国が直接と言っても、なかなか、各種の事態というものが展開しておるのでありまするから、県とか市町村に種々対策をしてもらう、そしてその対策について国はお世話をして万全を尽くす。しかし、その国のあり方が県、市町村にかりそめにもおろそかなことがあってはならない。ですから、今回の事態からかんがみて、国もまた具体的な施策を講ずべく明後日会議を催すようにしたのである、このことを言っておるのでありまして、私どもが責任を負うとかどうとかということでない。
 われわれは漁業者の立場、農林省の関係者の立場に立って、われわれがその関係者にかわってその対策を強く要請をしていく、そういう立場にまずあると思うのであります。また同時に、私が閣僚の一人として全般的な諸施策に対しての考慮を払うということも当然でございますが、そういうような秩序立ったところも十分御勘案をいただきまして、私どもとしてやらなければならないことについては万遺憾なきを期していきたい、こういう次第でございます。
○神田委員 大臣は県や市町村にまず責任を負わせるような口ぶり、市町村や県にこれだけの水銀汚染によるところの水俣病、こういう深刻なしかも学理的な問題を処理できると思っているか、これは日本の政府全体におけるところの知脳をしぼって対策を立てて、これを除去すべき問題であって、一市町村や一県でもってこれはなし得られるものではないのであります。そういう観点に立って、水俣病が発生したときに、これはたいへんである、全国にこれに類似する、これと同等の水銀汚染が行なわれておるということは想像がついたわけでありますから、そのとき直ちに国の総力を結集して国が対策を立て、今日のような事態にならないような総合対策を樹立する。それを実行すれば、このような事態にはならなかった。それをやらなかった責任を私は追及しておるのです。これは一有明海、一八代海ではありません。全国日本沿岸漁業地帯全体にわたってこの問題が起きてくると私は思う。こういうことを十数年間県や市町村にまかせきりで放任しておった、あるいは対策を立てても手ぬるい、これを根絶するまでの対策を立てなかったその責任は重大である。これらの責任に対して、政府はその責めを果たすべきであると私は考える。その点についてはっきりとお答えを願います。
○櫻内国務大臣 いまのその点については、私は最初の一問で現在の事態についてきわめて遺憾の意を表しておるのでございまして、また何か、私のお答えが、ただ単にかかる事態に対して県や市町村の責任にまかしておる、そういうことではないのであります。それは国にしても県にしても市町村にしても、行政の衝に当たっておるのでございまして、国がいかに熱意を持っておりましても、なかなか各種各様のこの事態というものを十分把握しかねるのでありまするから、したがって、県や市町村においてその点について十分なことはやってもらいたい。しこうしてそれについて国は何もしないのではない。国は見るのだ。見るのだけれども、さらにそういうことだけでもしおろそかになってはいけないから、今回国のほうとしても積極的にこういうふうにやるよ、こう言って、県や市町村が現に一生懸命やっていただいておるが、さらに十分やっていただこう、こういうことを申し上げておるのであります。
 それから、全般的な問題についてのお尋ねでございました。私は、水銀による汚染が水俣病の原因である、そうであるとすれば、従来そういう問題になる水銀を使用しておった工場を十分探求いたしまして、そしてたれ流しの事実はないか、また今後処理が不十分であるために何か問題が起こるおそれはないか、そういう点を関係省において十分追及をしていく。それから、私どもの農林省のほうからいえば、周囲の海域について多少でも疑いがあるとするならば、その汚濁の実態というものを把握して、そのほうの面からまた追及をしていく。そうして対策に万全を尽くすという行き方をしていくべきだと思うのでございます。
 そこで、先ほどのPCB汚染についてはこういう方法を講じてまいったということを申し上げたのでありますが、今回の水銀につきましては、これはまことに申しわけなかったと遺憾の意を先ほども表しておる次第でございまするが、まず最も汚染のおそれのある、現にまたそういう現象の起こりつつある有明海一体の精密調査をやり、そして日本全国におきましても、そのおそれ、疑いのあるところは逐次精密調査を遂げて対策を講じてまいりたい。
 実際はこのような事態というものを十分予測をしておらなかったために、現在の農林省における調査の機構というものが、これは正直に申し上げますが、全国を対象にしてほんとうに安心のできるまでやり得るかどうかということにつきましては、遺憾ながらそれまでの準備はできておらないのであります。したがって、農林省の立場からする調査としては、有明海一帯を中心に早急にいたしたいと思うのであります。そして、これらの問題について、これが人の生命にかかわる、またそれぞれの生業にかかわる重大なことであるという認識があるために、環境庁が発足をいたし、公害関係諸法規を皆さま方の御協力のもとにつくっていただいておるのでございまして、私どもは、誠意をもってやってまいってはおるけれども、しかし、かかる事態を招いたということはまことに申しわけなく思っておる次第でございます。
○神田委員 まことに申しわけないでは済まされないのでありまして、現在、あすの生活に困っておる漁業者、それに関連する小売り業者、鮮魚問屋、あるいは旅館業者、これらに対する、特に直接その漁獲に当たっておる漁業者に対する暫定的な対策、暫定的な生活保障の問題について、これをもうあすからでもやらなければ、あすから食っていけない、とった魚が売れないんだから、買わないんだから。この問題について大臣は緊急対策をする考えがあるかどうか、お尋ねします。
○櫻内国務大臣 現に差し迫っておられる、特にいま御指摘の漁業者の方に対する対策につきましては、先ほど申し上げました推進会議におきましてすみやかに結論を出し、非常な不安感におちいっておる皆さま方に何とかおこたえをいたしたいと思っておる次第でございます。
 現在でも、国、県との間で十分連絡の上、つなぎの融資の問題であるとか、従来の債務の償還の緩和であるとか、あるいは県自体における預託金に伴う低利の融資であるとか、こういうような各種の施策は一応いたしました。しかし、現状からいたしまして、これで十分でない、決して不安感を取り除くような、そういう情勢になっておらない。このことは私どもも十分認識しておるところでございまして、そこで、ただいまの御指摘のように、すみやかに具体的な対策を講ずるべく、明後日、推進会議を開くことにいたしておるのでございます。
  〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
○神田委員 これは私がたびたび申し上げておるとおり、政府全体の責任として、これらの被害者に対する補償なり、あるいは暫定措置なりを行なって、非常に混乱しておる漁業者の不安を一掃しなければならぬと同時に、魚介類は一体どれだけ汚染されておるのか、また、全部の魚が食べられないわけではないのでありますからして、これらに対する安全基準というものをやはりすみやかに出して、この程度ならばこれは食べても差しつかえないというような安全基準を政府の責任において発表して、消費者にも漁業者にもこの混乱した状態を脱出させるための対策をとらなければならぬと思いますが、これに対しまして、どういうふうに考えておられますか、水産庁長官。
○荒勝政府委員 従来の魚介類に対する水銀の汚染につきましては、昭和四十三年に厚生省を中心にしておつくりになりました水銀による環境汚染暫定対策要領というものによりまして――一応私たちは指導基準と言っておりますけれども、厚生省では、国内の沿岸漁業につきましては一PPMという指導基準を定めておられまして、それが汚染の判断の基準ということでやってきたわけでございますが、今回の第三水俣病の結果の発表ということで、その基準が非常にショックといいますか、基準について再検討せざるを得ないんではなかろうか。また実際問題といたしまして、私たちが環境庁を中心にいろいろと調べておりました従来からの水俣周辺の魚介類の汚染状況等からいたしますと、その一PPMという基準よりも相当下回った数字が最近は出てきておったわけでございますが、その数字は非常に問題が残っておるということで、厚生省のほうで新しく基準を緊急に立てられたい、こういう考え方でございますので、われわれといたしましてはその線に従って行政指導をしてまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
○神田委員 これは一PPMというような基準では不安である。しからば、消費者が安心して魚介類を食べられるような新しい権威ある基準をすみやかに発表すべきである。この権威ある基準は一体いつごろ発表できるのか、お尋ねします。
○岡部説明員 食品中に含まれております水銀の許容基準につきましては、先生御指摘のとおり、微量の長期のものにつきましては慢性毒性の十分な実験が必要でございまして、現在実施中でございますけれども、こういうような事態にかんがみまして、内外の知見等を加えまして、暫定的でございましても権威あるものということで、現在専門の先生方を集めまして鋭意検討中でございまして、早急に結論を出したいということでございます。
○神田委員 すみやかにということでありますが、これはもう一日もゆるがせにできない問題であります。これは現地に行ってみますとはっきりわかる。きょうあすの問題というようなことで、現地の漁業者はいら立っておる。暴動寸前と私は言わざるを得ない。これらを放置しておきました厚生省の監督、それからまた堆積しておる汚泥を処理もしないでそのままにしておった環境庁の責任、これらについて私は、一言環境庁から、環境庁というものができて以来もう数年たっておるにもかかわらず、なぜ汚染源であるところの堆積汚泥をあのまま放置しておるのか、この問題について環境庁、あるいは厚生省に関係があるかと思いますが、厚生省、その立場において御説明願います。
○山村説明員 お答えいたします。
 御指摘の有害金属を含みますヘドロの除去につきましては、当然環境から除去すべきであるというたてまえから、四十五年の十二月でございましたか、公害国会において水質汚濁防止法ができた際に、その底質についても考えるべきであるということが明らかにされまして、それを受けまして四十七年の当初、約一年前から底質の基準をつくるべくいろいろな調査研究をやってまいりまして、ようやく水銀について少しめどがついたという段階でございまして、今月中くらいには公表できる段階に至っております。
 なお、この基準に従いましてこの底質が除去されることになります。一言で言いますと、暫定的でございますが、除去基準をつくるということでございます。その除去基準、何PPM以上含むヘドロについてはこれを除去する、そういう種類の基準でございます。
○神田委員 大体いまごろになってそういうことを言っておることが、もうこれはナンセンスと言わざるを得ない。これだけの問題をいまごろになって調査研究をして、これから取り除くという、そういうなまぬるいことをやっておる。環境庁なり厚生省なり、この問題を非常に軽視しておる。何かに気がねをしておるんではないか、大企業に気がねをしておるんではないか。私は、ここでもってこの汚染源であるところの大企業の責任を追及する前に、それを指導監督するところの政府の責任体制というものが、大企業に気がねをしながらこの仕事をやっておるから、今日このような事態になったと思う。私は、きょうは局長もいないようだし、これは予算委員会なりあるいは総合的な合同審査なり、通産大臣、厚生大臣、環境庁長官、農林大臣等、総理大臣もそろえてこの問題を追及しなければ、これは何ともおさまらない。こんな行政が日本で続くならば、これは国民が一日も安心して生活することはできない。
 時間がありませんから、私はこれ以上この場においては追及するいとまがありませんけれども、しかし、そういう一つの機会をぜひ、これは委員長にもお願いしてつくっていただいて、そして徹底的な究明をしなければならぬ、こう考えます。
 これら全般的な政府の責任に対しまして、最後に農林大臣からの答弁を求めまして、私の質問を終わります。
○櫻内国務大臣 環境庁が発足以来の経緯を考えまして、現にこのような事態が展開をしておるということからいたしますと、お答えをするすべがないのでございますが、しかし、政府といたしまして、公害対策について及ばずながらも努力をしながら、そして、広範囲にわたることでございまするので、ある面におきましては次第に効果をあげつつあるということは御了承をいただけると思うのであります。今回のような第三水俣病の事実が明らかになってまいりますと、その面について振り返ってみて、及ばざるところ多々あり、御批判を受ける事実があるということはまことに恐縮に存じておる次第でございますが、私どもとしては、この苦い、申しわけない経験を前提にいたしまして、今後の施策に遺漏のないよう、誠意をもってつとめてまいりたいと思います。
○佐々木委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 ただいま神田委員から質問いたしましたそれに関連いたしまして、私、若干質問をいたしたいと思います。
 わが国の漁業問題が、食料政策としても非常に重大な役割りを示すものであるし、そういう点からも、漁業の振興対策をやらなければいけない、その振興対策をやるためのいろいろな弊害もある、こういうような観点から、私は大臣並びに関係の方々にいささかお尋ねしたいと思うのでございます。
 これはすでに農林省の発表でもありますように、昭和四十五年における動物性たん白質の摂取量というものが、一日一人当たり三十二グラムでございまして、この中における水産物というものは五三%を占めておるといわれております。
 そこで、将来の見通しでありますが、政府はどの程度の動物性たん白質の摂取量が必要であるというように想定されておるのか、この点をまず承りたいと思うのでございます。
○櫻内国務大臣 動物性たん白質食料の摂取量につきましては、四十六年度の実績におきましては、水産物が五二・四、畜産物が四七・六となっておりますが、五十七年度の見通しといたしましては、中間値をとって申し上げますと、水産物においては五〇・六、畜産物については四九・四、こういう割合を想定しておるわけで、簡単に申し上げますならば、十年後動物性たん白質食料は、水産物、畜産物それぞれ半々見当と、こういうふうに御認識をちょうだいしていいのではないか、かように存じます。
○稲富委員 ただいま大臣から御答弁がありましたように、動物性たん白質の資源の摂取においても、大体畜産よりも水産に対する期待のほうが多い。ところが、御承知のとおり、わが国の畜産業の現状というものは、最近これは非常に伸展はいたしておりますけれども、飼料の八〇%は海外に依存しておるというような状態であるのでありまして、その点から、わが国の畜産業というものは海外飼料の加工業とさえもいわれておる状態であります。しかるに、昨年度において、国際的な穀物の不況等から飼料の値上がり等を来たした。こういうように、国際的な穀物生産に畜産物というものは非常に左右されるという不安定な状態に置かれておるのでございまして、そういう意味からいきましても、水産業に対する期待というものは大きいわけでございます。
 ところが、最近における漁業をめぐる諸情勢というものは、これまた非常にきびしいものがあります。内では、先刻からも論議されましたような公害による海洋汚染というものがあります。また外にありましては、諸外国の漁獲規制の強化、こういうものがあるわけでございます。そういう点からいいましても、水産業の将来というものは決して楽観すべき状態ではありません。
 そこで、政府においては、かような水産業の現状をどのように理解して、これをどのように打開して、そして水産漁獲量を増大をしよう、こういうような考え方をなさっておるのか、この点をひとつ具体的に承りたいと思うのであります。
○櫻内国務大臣 ただいまの御質問では、畜産関係がはたして思うようにいけるのかどうか、飼料の現状からしてもむずかしいのではないか、そういうことから、特に水産物による動物性たん白質の食料の確保ということに重点を置いての御質問でございまして、私はその点については全く同感でございます。
 そこで、一つには、国際的にはどうか。これは、領海三海里、十二海里、二百海里というようなことで、各国それぞれの立場において各種の主張をしておることは御承知のとおりでございまして、海洋法の準備会を見ましても、日本として許容し得る十二海里というようなことについてもなかなか至難な点がある。しかし、われわれとしては、この水産物資源というものが国民生活にとって欠くべからざるものでございますので、各国に対して十分な理解を得るように、あるいは国際的に日本が漁業のでき得るような、そういう環境をつくる必要があるということで、新たなる特殊法人による事業団を発足せしめ、相手国に対しての経済協力をしながらも、何とか必要な水産物の確保につとめたいと考えておる次第でございまするし、また、国内における漁獲物の量を十分にする上におきましては、現在、栽培漁業の方法をとろうとか、あるいは漁業の生産基盤に重大な関連のある全国の漁港の整備につとめるとか、いろいろと当面の施策につきましては配慮をいたしておるところでございまするが、現在公害関係の、本日先ほど来お取り上げになったような問題について、これは水産物の確保の上におきましては非常に大きな影響のあることでございまするから、この面からの対策も十分加えながら、先ほどの御質問にお答えを申し上げた、一応所要の水産物関係の動物性たん白質の確保には鋭意つとめてまいりたいと思う次第でございます。
○稲富委員 そこで、水産業の振興に対する方法としましては、いま大臣も触れられたのでありますが、やはり沿岸漁業、沖合い漁業、遠洋漁業、さらに養殖漁業、こういうようなことに分類されまして、その漁獲量というものをいかにふやしていくかということが大きな問題であると思うのであります。
 これを分けて、かような立場からまず私たちは、そういう意味から申し上げましても、わが国の漁業振興の中においても沿岸漁業の占める役割りというものは非常に大きいものであるということを想定するわけでございますが、先刻からここで議論がありましたように、最近における瀬戸内海の公害の問題あるいは有明海における公害問題、こういうようないろいろな被害状態というものが次々にあらわれます。すなわち、具体的に申し上げますと、赤潮の発生問題であるとか、あるいは水銀の結果による第一、第二、第三の水俣病とか、あるいは全国的に被害が生じておるといわれておりますPCBの汚染、こういうものが次々に生じておるのであります。本日の新聞紙上によりましても、東京湾における多摩川の下流におきますPCBの汚染関係、こういう問題が次々に生じておりまして、この重大な役割りを果たさなければいけない、わが国の沿岸漁業を行なわなくちゃいけないこの近海というものは、ほんとうに死の海である、こう言っても言い過ぎではないというような現状であるのであります。
 それで、ここで私は特に政府に希望を申し上げ、お尋ねしたいと思いますことは、政府は、ただいま申されましたような立場から、沿岸漁業の重大性というものは非常に主張されております。それでこの間、農林大臣の所信表明の演説の中にも、「水産物に対する需要が引き続き増大している一方、わが国水産業をめぐる情勢は、国際規制の強化、開発途七国を中心とする領海または漁業水域拡大の動き、沿岸漁業における工業化、都市化に伴う公害の増加等著しくきびしいものとなっております。」ということを、これははっきり認められております。ところが、こういうきびしくなりました公害に対してどうするかという問題は、一つも具体的にうたってないということ、あるいはまた、農林白書におきます「昭和四十八年度において沿岸漁業等について講じようとする施策」、これにおきましても、漁業の振興対策はいろいろ詳しく述べられております。ところが、いかに漁業の振興対策をやりましても、これが汚染されて、先刻申しましたような公害によって人間のからだに害を与えるような漁獲というものがありますならば、どんなにこの漁業の振興をはかりましても、これは結果においてはかえって害をなすということになってくるわけなんです。
 それで、私たちは、漁業振興をはかろうとするならば、この公害対策をどうするかということを考えなければいけないと私は思う。ところが、この重大な問題を今日まで長い間、公害問題があるいは魚に及ぼす影響が大きいんだ、ひいてはこれが人類に及ぼす影響は大きいんだと言いながらも、今日まで、口にはされ新聞には書かれますけれども、政府として、ことにこれが農林省で、水産業に及ぼす影響等は一つも触れられていないのは何のためであるか。
 御承知のとおり、今日、沿岸漁業等振興法というものがあります。沿岸漁業等振興法を見ましても、沿岸漁業の振興に対してはうたってあるけれども、この重大なる公害、これに対してどうするかという問題はうたってない。これは漁業外であると、かように解釈していらっしゃるのであるか。あるいは、先刻から聞いておりますと、どうもこういうような被害の重大な問題は、あるいは県、市町村にまずまかせるんだというような、そうして政府は受けて立つんだという、私はいやみを言うわけではありませんけれども、いかにもその責任を転嫁されるような考えでおられるのではないか。また、こういう問題をどうしてこういうふうにやっておるのかと言うと、これは環境庁でやるのだとか、あるいはこの原因は通産省にあるのであるとか、いかにも役所がお互いに責任のなすり合いをする、こういうようなことで、この適切な措置が今日まで等閑に付されているんではないか。先刻申しましたように、農林大臣は明らかに所信表明の中においても、こういう事態が起こっているんだということを表明されながらも、これに対してどう取り組んでいくかということは表明されていない。漁業白書において、本年こういうものに対して講じようとするという漁業振興対策は非常に詳細に説明されておるけれども、肝心なこの公害に対して、漁業に及ぼす最も大きな影響、これに対しては一つも触れてない。漁業振興法をつくっても、漁業振興法においてはこれに対する対策はうたわれない。なぜこれがうたわれないのか、うたわれない理由があるのであるか、この点をまずつまびらかに私は承りたいと思うのでございます。
○櫻内国務大臣 この問題は、ただいま御質問の中に触れられておる幾つかの点が私は問題点だと思うのであります。先ほど来の御質問にもしばしばお答え申し上げたように、私どもの立場からいたしました場合は、被害を受けておる漁業者についてどう対応してもらうかという、その点から第一に発言をしておるわけでございます。漁業の振興という面からいたしますれば、これはただいま御質問の中にありましたように、われわれとしては、漁場の改良とか、造成とか、栽培漁業の積極的な展開とかそういう面、すなわち、ことばが十分ではございませんが、積極性を持った前向きの方途で考えておる。被害を受けておることについては、これは原因者の責任を追及していく、原因者の負担による補償をまず第一としてそれを要求していく、こういうことでございます。
 ところで、この公害によって漁業に甚大な影響を与えておる、これを農林省側はただながめておるのか。これはそうではないのであります。われわれの立場からして環境庁あるいは通産省、それぞれの担当との間で緊密な連絡をとって対策を講じていくことは当然のことでございまして、たとえば昨年の赤潮対策のような場合につきまして、この被害を受けた漁業者の立場に立って対策を講じますとともに、現に水産庁の予算の中で、今後の赤潮の問題についてはこれを除去する技術の開発であるとか、この原因を究明するところの調査であるとか、また情報の交換であるとか、当面でき得る諸施策については、予算の上でお願いをしておるわけであります。
 この水銀汚染の問題につきましては、これは先ほどから遺憾の意を表して申し上げておりますように、今回のような事態を、遺憾ながら、このように深刻な問題として展開をするということを私どもは予想しておらなかったのでありまするから、したがって、水銀対策はどうだ、こう問われますならば、現にその実態の調査をしよう、PCBと同様なそういう調査の段階でありますために、御批判をちょうだいするのだと思うのであります。
 ただ、この公害によっていろいろ影響を受けておるその根源が汚染ヘドロである、そういうヘドロについての除去であるとか、海底の耕うんをするとかいうようなことについては、これらのことについての本年度予算を計上しておるのでございまするから、水銀ということだけでいろいろとお尋ねがありますとお答えがしにくいのでございますが、海面のヘドロによる汚染にはどう対応していくのかということにつきましては、ただいま申し上げるような、場所によっては措置を講ずるようにいたしておるわけであります。
 なお、当面問題になりますのはPCB汚染でございまするが、これはその実態を把握していきたい、こういうことで一般的調査、そして精密調査が終わった段階でございまして、これらにつきましては、これからおそまきながらも早急に各地の対策を考えたい。
 それこれのことを、政府としては明後日の水銀汚染等対策推進会議、これは単に水銀に限らず、その他の問題についても必要があれば取り上げていこうという姿勢を示しておるわけであります。実はPCB対策についてはすでに一応の会議を持っておるわけでございますが、今回の水銀による汚染とともに、現に漁業者がPCB汚染による大きな影響を受けておる事実が同時にまのあたりに展開しておる、こういうことでありますので、農林省といたしましては、水銀に加えて、同じ当面の問題でありまするから、PCBについても積極的な発言をいたしたい。こういうことで、水銀汚染等対策推進会議ということで明後日協議をし、また環境庁長官としても、今回の場合は、明後日の会議には具体的な施策を明白にしたいので、そのような考えで準備を進めるようにという閣議の発言もございまして、私もまた閣議終了後には省内の各庁局に対してその指示を与えたというようなわけでございまして、全然公害関係については配慮をしておらないと、非常にきびしい御批判でございましたが、ただいま申し上げる点で一応の御了承をいただきたいと思います。
○稲富委員 私はあえて農林省をあるいは農林大臣を責めるのではございません。われわれの役目というものは消費者が安心して食べられるような魚を提供する、海産物を提供する、魚介類を提供するということが農林省の大きな役目だと思うのです。ところが、提供する魚介類というものが人間のからだに害を与えるということになりますと、農林省としての十分な役目も果たせないことになるので、この点に懸念があった場合には、農林省はいさぎよくその関係官庁に対して、安心できる魚介類を消費者に提供する、こういう姿勢において強くこれを要望しなければならない。これがすなわちほんとうの漁業の振興対策でもあると私は思う。せっかく魚がたくさんとれても、人間のからだに害を与えるような魚介類であるならば、これは消費者に提供するわけにいかないんだから、真の振興対策にはならないわけなんです。その点から、私は決して農林大臣を責めているのじゃございませんけれども、そういうことを意識しながら今日まで、事ここに来るまで農林省が手を打てなかったというこの理由がどこにあるのか。各官庁があまりに分かれておって、やはり役所のセクトというものがあって、他の役所にそういうことを強く要望することができないがためになおざりにされたのじゃないか、こういうような懸念があるから、私はその点をお尋ねしておるわけなんです。もっと農林省は、先刻申し上げましたように、消費者が安心して食膳に据えられるような魚介類を提供するんだという、この義務を強く感ずるならば、もっと強くその点を各省に要望すべきじゃないか。今日までこういうようなことがあるんだということを意識しながらやれないということは、どこに原因があるかということを私は闘いでいる。もしも原因があるとするならば、この原因を除去するような方策を政府としては立てなくちゃいけないんじゃないか。あるいは各省にまたがらないような、そういう問題に対処する一つの機関というものをつくらなければいけないとか、こういう問題が起こってくるだろうと思いますので、そういう点から私はお尋ねしているのであって、それをやれないような事情がどこにあるかというようなことを私は聞いているのです。決して責めているわけじゃないのです。この点を率直に承りたいというのが私の本意でございます。
○櫻内国務大臣 まことに恐縮する御質問をちょうだいしたわけでございます。農林省が本来国民に食料を確保し、安定した供給をしていく、これは農林省としての一番の任務であると認識をしております。そして近来のこの情勢からいたしまするならば、ただ安定した食料の確保というんでない、お話しのとおりに、国民が安心して食用に供せる食料の供給でなければならないということは当然のことでございますが、この点については、私は国の行政機構もよくできておると思うのですね。なぜかと申しまするならば、私どもが野菜をつくり、あるいは漁獲物をとり、それを提供するという立場のほうにございまするが、これについて、国民に対して安全であるか、安心して食用に供せるかということを農林省自体がやっておったのでは、国民が納得でき得ないと考える。そういうことで、食品安全の関係は厚生省のほうからチェックを受ける。だから、この点は厚生省、農林省に分かれておってもこういう仕組みがけっこうである。そのことによって国民のほうも、自分で自分のいい悪いを言うんじゃないのですから、なるほどと了解を得られるではないか。最近のような水銀あるいはPCB汚染が非常に問題になっておるときでございますので、先ほど厚生省のほうからお答えをしておるように、この基準というものをもう一つしっかりしたものにしようということで、こういう面から農林省としても喜んでこのチェックを受けながら、安心できる食品の提供につとめるべきだ、このように思います。
○稲富委員 それじゃ、厚生省にお尋ねしたいと思いますが、大体PCB、水銀、こういうような人間のからだに最も危険を生ずる含有物というものは、どのくらい含有量があって人体にどういう影響を来たすのであるかということが一つ。
 さらに、これが一たび人のからだに入ったならば、いつまでもそれは残るものであるかということ。
 さらに、そういうものによって汚染をされた水域というものはどのくらい残存するのであるか、これを除去する方法はないのであるか、これに対する科学的な除去方法はないか。
 こういう点を厚生省でお調べになっておるならば、この機会に承りたいと思うのであります。
○三浦説明員 ただいまの御質問は、どのくらいでからだに影響があるかということでございますが、PCBのほうは、カネミの油症事件というものがございまして、かなり研究が進んでまいりました。これにつきましては、カネミの患者さんの一つの事例から申し上げますと、大体一日に一キログラム当たり七十マイクログラムのPCBを百二十日間とって最少の発症夜があった、こういうことでございます。これをわかりやすく直しますと、たとえば体重五十キロの人に直しますと、三〇PPMくらいの魚を毎日百三十グラム食べまして百二十日くらいたつと、これが影響が出てくるという計算になろうかと思います。
 ただ、PCBの場合にも、カネクロールの三〇〇とか四〇〇、それから五〇〇、六〇〇といろいろな種類がございます。塩素の量の多いものほど体内の蓄積が強いわけでございます。一般環境汚染によりますと、魚が持っておりますこういうPCBというものは、現在のところ、カネクロールの三〇〇が多いといわれております。ただ、カネミの患者さんの場合は四〇〇、五〇〇、六〇〇、非常に排せつされにくいカネクロールであった。魚の場合はカネクロールの三〇〇が多いということになりますと、非常に排せつも早いことになります。現在までのカネクロールの三〇〇、四〇〇というのはわりあい排せつが早い。いままではPCBを体内に摂取しますとなかなか排せつされないという説でございましたけれども、その後研究が進みまして、三〇〇、四〇〇は非常に排せつも早い。ただ、五〇〇とか六〇〇とか塩素の量の多いものになりますと、これはなかなか排せつされない、いろいろな害が出てくるということが知られておるわけでございます。
 水銀の場合には、ただいま国立衛生試験所のほうで検討中でございまして、たとえばいまサルを使って実験を急いておるわけでございますが、〇・一ミリグラムで百六十日で発病しておる。あるいは〇・三ミリグラムで五十日で発病しておる、こういうデータがあるわけでございます。これにつきましては、先ほど乳肉衛生課長から御答弁ありましたように、これらの実験とあわせ安全率を見て、今月中をめどに基準をきめてまいりたい。こういうことでいま水銀につきましては鋭意検討中であるわけでございます。
 いつまで体内に残るのかということでございますが、水銀につきましては、いままで半減期が七十日というのが定説でございました。それが今度の熊本大学の武内教授の説によりますと、二百三十日というかなり長い間残るのじゃないか、こういう説もまた新しく出てきたわけでございますが、この点につきましても、いま基準の設定をあわせて現在検討中であるわけでございます。
 それから、PCBがいつまで体内に残るかということにつきましては、先ほど御説明申し上げましたように、塩素の量の少ないものはわりあい排せつも早い、塩素の量の多いものは排せつがおそい、こういうことはわかっておるわけでございます。なお、こまかいデータにつきましては、またそろえて先生のほうに御提出いたしたいと思います。
○稲富委員 これは先刻神田君からも希望を申し上げておったのでありますが、こういう問題につきまして早く釈明をしていただきませんと、最近国民感情というものはこういう公害に対して非常に神経過敏になっております。そういうPCBを含有したものがあったということになると、その地域の漁業全体が、もう魚は売れないという問題になってくるので、これがために漁民は非常に生活に困るという問題もあるわけです。もちろん、人体に悪い影響を及ぼすこういうものに対しては、十分なる取り締まり、規制はしてもらわなければいけないけれども、一日も早くこの基準というものを出して、消費者もあるいは漁民も安心し得るような、こういう体制でやってやることが私は必要であると思いますので、この点は、いいかげんなものじゃいけませんから、正確なものを早く示していただきたい、こういうことをこの機会に特に私は要望しておきたいと思うのでございます。
 さらに、通産省がお見えになっていると思うのでございますが、――見えてない――通産省が見えてないなら、こういうことをひとつ議事録にとっておいて、通産省にあとで話しておいてもらいたいと思いますが、最近いろいろな水銀その他のものが工場から無責任な放出をされている。これがいつでも問題になる。問題になってから、あそこの工場はああいうものを流したんだ、実は水銀をどれだけ流したんだという問題が出てくる。私はこういうことではいけないと思う。そういう点、通産省も工場の実態はわかっておるわけなんです。どういう工場は水銀を使用しているんだ、こういう問題はちゃんと各リストをつくっておいて、そういうような工場に対しては常にこれを取り締まるとか、あるいは抜き打ち立ち入り検査をやるとか、こういうような方法をやるべきだと私は思うのだが、こういうことをやる法的な措置も私は通産省として必要じゃないかと思うのですが、これに対して通産省から、来てないとするならば、そういう点を強く私はこの際要望したいと思いますので、厚生省からでもこの点はひとつ通産省に強く要望していただきたい、かように考えるわけでございます。
 さらに、時間がありませんので、先を急ぐわけでございますが、私は、元来、これは一般の国民教育の上からも非常に考えなければいけないということは、大体国民の中には、川とか海とかというものは、物の捨てどころだと考える観念が非常に強い。ごみでも何でも川に捨てればいいんだ、海に捨てればいいんだ、これが従来ややもしますと日本国民感情にあると私は思う。この点から私はやはり教育をする必要があると思う。小学校の子供の教育から、川とか海とかいうものは品物を捨てるところじゃないんだ、こういうような徹底した教育というものが私は必要だと思うのでございますが、こういうことに対して、厚生省は見えておりますので、厚生省としてのこういうことに対する考え方をひとつ承って、こういうことにも努力してもらいたいと思うのでございますが、いかがでございますか。――それでは、時間がないから、そういうことを私はこの際強く要望いたしますので、そういう方面に対しても、あるいは厚生省からそういうことを文部省に対しても強く要望してもらいたい、かように考えます。
 それで話は農林省に返るのでございますが、農林省としてやるべき問題は、ただいま申しましたような漁業被害に対する補償の問題であると思うのでございます。これに対して、直ちに漁民に対する補償対策を講ずるという立法措置をやる必要がある、かように考えます。
 特に私はこの際申し上げたいことは、先刻もいろいろ話があっておりますように、ややもしますと、こういう補償というものは、そういう原因をなしたいわゆる原因者といいますか、そういう者に負担をさせるというようなことも考えておられたようで、これが非常に延び延びになる。ところが、先刻からも話がありましたように、この原因が各方面にわたっておるというような場合に、どれがその原因者であるかという、こういうような断定に非常に困るという問題があって、補償の問題もおくれるという点もあると思いますが、こういう場合に対しては、政府みずからが積極的に取り組んで、そして一時補償対策をやる、こういうようなことも考えなくちゃいけないし、こういう立法措置が必要じゃないかと思いますので、これをひとつ農林省のほうから承りたい。
○荒勝政府委員 今回の水俣問題あるいはPCB問題で、結果的に漁業者の方々にたいへんに迷惑といいますか、最後のしわが行ったということにつきましては、水産庁としては非常にこれについて憂慮している次第でございます。
 私たちといたしまして、いろいろと今後検討すべき問題は非常に多くありまして、逐次この問題は片づけていかなければならないということで対策をいま検討中でございますが、当面の緊急を要する問題といたしまして、この熊本県を中心といたします水俣から発生する漁民対策といいますか、漁業者の生業対策ということが非常に問題になっておりますので、これにつきましては、ただいまの制度の中でまだ一度も実行しておりませんが、今回初めてでございますが、漁業者の経営安定資金という農林漁業金融公庫の制度がことしから初めてできましたので、それを活用いたしまして、これを一人当たり、漁業者の希望にも応じますが、限度額としましては五十万円というものを年五分ということで、これを農業におきます自作農経営維持資金と同じような性格のものでございますが、この融資につきまして、これは県と直ちに協議を行ないまして融資できる道を開きたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、私たちの考え方といたしまして、この問題だけではあるいは片づかないんじゃなかろうか、こういうふうに理解しておりまして、この問題についての漁業者に対する資金対策といたしましては、別途、今後具体的に詰めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 なお、これにつきまして、熊本県におきましても、この問題を非常に心配されまして、つなぎ資金として多額の資金を用意されておられまして、これについては、私どものほうといたしましては十分に応援させていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○稲富委員 こういう漁業者が非常に困ったような場合に低利資金を融通するんだ、これは元来、農民とか漁民とかは、金を借りることはたとえ利が安くても好まないんですよ、返さなければいけないのですから。しかも、現在の経済事情では返す自信がないということになってきます。これはやはり早く救済のための補償をしてやるということが必要だと思うのでございます。ややもしますと、こういう事態になってくると、政府としては、金利の安いものを融資するんだ、何かこれによって満足するように思われるかもしれぬけれども、やはりこういう被害に対しては補償してやるということが必要なんです。融資じゃだめなんですよ。それで、補償する、そういう措置を何とか考える必要はないか、こういうことを私は申し上げているのでございますから、この点に対して十分取り組んでもらいたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
○荒勝政府委員 ただいま答弁申し上げましたように、政府部内におきましては、これはやはり原因者負担の原則という強い一つの話がございまして、この問題につきましては、一応最終的には原因者が支払うべきものだ、しかし、その問題の生活資金に非常に困るということでございますので、その間のつなぎ資金として何らかの形で低利の融資を検討したらどうかという方向で、ただいまも検討させていただいておりまして、直ちに生業についての補助金を出すという問題については、実際問題として、この内部でも検討しておりますが、非常にむずかしいのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○稲富委員 これはひとつ補償問題に対しても立法措置を再検討してもらいたい。この点をこの際ひとつ要望したいと思います。
 それと、もう時間がありませんのではしょっていきますが、先刻大臣も言っておられましたように、やはり今後の漁業振興の一つの対策として行なわれるのは、養殖漁業でございます。この養殖漁業に対しましても、最近やはり原因不明の病気等が起こりまして、非常に魚が死ぬという問題があります。こういう問題に対しましては、飼料の問題その他にも影響があると思いますから、一方には養殖漁業を推進すると同時に、これが飼料の品質の低下しないような、あるいは、このえさの中に非常に魚を強くするために抗生物質等も使いますが、こういうものがやはり魚の含有の問題に影響するのではないかという心配もあります。こういう点に対する検討もあわせてしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○荒勝政府委員 この最近の栽培漁業とかあるいは養殖漁業は、非常にこういう中高級魚を中心といたしましてふえてきていることは事実でございます。これに伴いまして、当然に飼料の問題が非常に問題になっております。私たちといたしまして、PCB問題あるいは水銀問題というふうに非常に汚染の問題が出てきておりますので、最近におきましては、瀬戸内海方面の養殖漁業につきましては、主として瀬戸内でとれる魚をえさにすることを差し控えまして、汚染のほとんどない北海道あるいは北関東以北の地域におきますイワシとかあるいはその他の魚類を飼料として利用するように指導している次第でございます。
 しかし、遠距離にありまして、遠く西のほうまで運ぶには、またいろいろとコストが高くなりますので、これらにつきましては人工飼料を使っていくということにつきましても、さらに研究を深めておりまして、ただいまフィッシュミール等を中心といたします人工飼料の利用が逐次進んでおる次第でございます。
 また、魚の衛生問題また病気という問題につきましては、学問的にもまだ未分化というか、発展が非常におくれておる問題でございまして、これらにつきましては水産庁の研究部門をあげまして、魚の衛生あるいは病気ということについて今後積極的に研究するようにただいま指導している次第でございます。
○稲富委員 じゃ、最後に結論に入ります。
 次にお尋ねしたいと思いますことは、二国間漁業問題についてお尋ねいたします。
 御承知のとおり、日ソ間における漁業交渉というものは、北方安全操業の問題等でかつては拿捕事件等があって、たくさんの日本人が抑留をされたという問題があります。いまではそういう問題も解決していることは非常に喜ばしいことであります。しかしながら、これはわが国の漁業の上においてはやはり大きな問題であります。それで今日、日ソ漁業交渉の経緯並びに今後の見通しにつきまして、この際、外務省も来ていると思いますが、ひとつ外務省にその見通し等をお尋ねしたいと思います。
○武藤説明員 日ソ漁業交渉は、日ソ間におきましてたいへん重要な外国交渉の一つでございまして、この交渉におきまして日本側が一貫してとっております態度は、漁業資源の最大の持続的生産性の維持ということでございます。日本側といたしましては、このような立場を堅持しながら今後とも日ソ間の漁業交渉に臨む所存でございますが、外務省といたしましても、外交的見地から、北洋漁業の長期的かつ安定的な発展のために最大限の努力を惜しまない所存でございます。
 北洋漁業はわが国にとってきわめて重要でございますので、毎年の日ソ漁業交渉の結果はわが国の対ソ関係全般に影響を及ぼしております。外務省といたしましては、このようなことも考慮に入れながら、日ソ漁業交渉の満足のいく妥結のために、ソ連側と粘り強く折衝をいたしたいということを基本的な態度としている次第でございます。
○稲富委員 いま一つ。カニ、ニシン、サケ・マスです。こういう問題に対する具体的な将来の見通しですね、これはいまのところ、どうでございますか、従来の関係よりも。
○武藤説明員 ただいまの御指摘のカニ等につきましても、毎年毎年の交渉の経過を振り返りますと、ソ連側の態度というのはたいへんきびしくなっておりまして、今後ともますます交渉はむずかしくなるのではないかというように考えられますが、先ほども申し上げましたとおり、外務省といたしましては、今後ともこのような客観情勢が困難になってくるということも覚悟をしながら、さらに粘り強く交渉したいと考えておる次第でございます。
○稲富委員 これもいろいろと聞きたいのですけれども、時間がありませんので、またの機会にすることにいたします。
 次に、日中間の漁業問題についてお尋ねしたいと思います。
 日中間の漁業問題は御承知のとおり、民間漁業協定の有効期間が本年の六月二十二日、もう旬日後で切れると思うのでございます。そこで、これに対しては、従来は民間の漁業協定がございますので、すでに国交も正常化した今日は、日中漁業協定の締結を急がなくちゃならない時期が来ておると思うのでございますが、これらに対する政府の態度、見通し、考え方、こういうことに対して承りたいと思うのでございます。
○櫻内国務大臣 二十二日に期限切れとなります日中間の民間漁業協定につきましては、現在の諸情勢を勘案いたしまして、日本側としても一年延長やむを得ないものである、こういう姿勢をとっておるのでございまして、中国側においてもそのような見地にあるようでございまするので、二十二日以降におきましては、民間協定が一年延長となる見通しであるということを申し上げておきたいと思います。
 なお、この際、一言御報告を申し上げますが、それはかねて来、日中漁業専門家会議を両国政府においてやろうという話が進んでおりまして、それが今回決定を見ました。
 六月十八日または十九日以降二週間程度、場所は北京におきまして、専門家会議を行ないたいと思います。そして日本側では安福水産庁次長外七、八名程度を派遣することを本日きめました。
 会議につきましては、東海、黄海における漁業資源についての情報と意見交換をいたすということでございまして、別に日中の漁業交渉あるいは漁業条約の前提というよりも、ただいま申し上げましたような漁業資源についての専門家間での情報と意見の交換、こういう趣旨でございます。
○稲富委員 この日中間の関係は、そうすると、参加する範囲はどの程度ですか。大臣、日中の折衝はどういう範囲の中において折衝されるのですか。政府と相手方と民間業者というものも入るのでございますか。その点はどうなりますか。
○荒勝政府委員 ただいま日中間で行なわれておりますのは、民間の漁業協定でございまして、これは日本側では純然たる民間の漁業関係者の代表者が向こうへ行かれまして、中国側は政府というか民間というか、この辺は多少むずかしいのでございますが、正式の行政機関の責任者が交渉の相手ではなくて、日中の親善関係の事業に従事されている方が向こうの代表者ということで民間協定が成立しております。
 これにつきまして、さらに政府間協定はどうかということになりますと、これは当然に日本側は全員が政府機関の関係者が行きまして、またいずれは調印のときには相当な責任のある方が行かれまして、中国側もいわゆる漁業を担当する行政府がこの問題の責任者となって交渉いたしておりまして、妥結の時点におきましては、相当な責任者同士の調印という形になるのではなかろうか。純然たる政府間協定については、当然にその交渉の過程におきましては民間の方にもおいで願いまして、技術的な、あるいは漁業の実態についていろいろ御意見をわれわれが参考にさしていただくということはあると思いますけれども、交渉といたしましては政府同士の交渉、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○稲富委員 大臣も行かれるようでございますが、最後にひとつお尋ねしたいことがあります。これは局長でも長官でもけっこうでございます。実は沖繩の漁業に対してお聞きしたいと思うのでございます。
 今回、御承知のとおり、政府といたしまして沖繩で海洋博覧会が行なわれるのでございますが、その海洋博覧会が行なわれます会場が沖繩の追い込み漁業の場所でございまして、これが漁業に及ぼす影響が非常に大きいじゃないかということで、漁民の方々が非常に憂慮しております。これに対してその補償の問題あるいは今後の漁場の問題等がきまっていないそうでございますが、こういう問題に対しては、やはり沖繩県ばかりにまかせないで、またその地方だけにまかせないで、政府がやる海洋博覧会の問題でございますので、積極的な指導を国がやる必要があると思うのでございますが、いかがでございますか。
○荒勝政府委員 御指摘のように、沖繩におきまして、海洋博の開催に伴いまして、海面といいますか、漁業地域におきましても、工事あるいはその他の事業が進みます過程で、相当漁業問題が散発しております。これにつきまして、私たちのほうにおきまして、この追い込み漁業につきまして漁業権の喪失ということ等もあるようでございますので、これにつきまして、地元の本部漁協内部におきまして、漁業権に対する対処方針をどうするかということで内々相談されているようでありますが、この点につきましては県とも協議いたしまして、私たちとしましては、県の方針を、十分にりっぱなものができますように、積極的に指導、調整してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○稲富委員 元来沖繩の漁協というものは非常に組織が小さいように思うのですね。こういう漁協の統合というようなことに対しての指導という問題についてはどうお考えになっておるか。漁協の組織が非常に小さいことが、漁場の問題その他でいろいろ問題があるのではなかろうかと思われるので、これに対する考え方を承りたいと思います。
○荒勝政府委員 沖繩の復帰が非常におくれました関係もありまして、沖繩の漁業の振興も、また、基盤整備である漁港の整備等も非常におくれておりまして、これは急速に水産庁といたしましては本土並みになるように指導してまいりたいと思います。その結果を反映いたしまして、当然に零細漁民を前提にして、漁協も非常に小さくて、内地の平均値よりも、規模としましても約三分の一程度の規模しかないような預金残高とか、あるいは事業量等から判断いたしましても非常に零細でございますので、これを強くしないと漁民も今後発展し得ないということもありますので、極力、合併促進を前提といたしまして、強力な漁協になるように合併を指導してまいりますとともに、また、内地にはただいまはもういたしておりませんが、合併促進に伴うしかるべき助成も出すことによって、その促進の一助にいたしたいと考えている次第でございます。
○稲富委員 いろいろお尋ねしたいことがありますが、時間が迫りましたので、私の質問は本日は
 これをもって打ち切ります。
○佐々木委員長 この際、本会議散会後再開する
 こととし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時三十八分開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井上泉君。
○井上(泉)委員 農林省の分館ができたときに農林大臣のあいさつを聞いておりますというと、非常にいいことを言った。というのは、前に並んでおるごちそうを見て、いつもどの会へ行ってもすべて農林省の所管に関するものばかりだ、こういうあいさつをされた。なかなかやはり農林大臣うまいことを言うな、こういうふうに私、感じておったわけです。私どもの毎日食べるもの全部が農林省、住んでおる家も農林省、着ておるものも農林省、こう言っていいほど、すべて農林省の関係というものは大切なものであります。その農林省の中でいま一番取り組まねばならない問題は、汚染された海の問題、これによって生活しておる漁民の問題、これによって生活をする国民の問題、これらの問題について農林省がかなり馬力をかけなければいかぬと思うのですが、農林大臣、この問題が起こってから、有明湾とか岩国とかその他のところを調査に行かれたことがありますか。
○櫻内国務大臣 ただいま御指摘の場所には遺憾ながら行く機会を得ておりませんが、やはりPCB汚染で問題になっておりますところの兵庫県一帯につきましては、この日曜日に淡路島へ国営パイロット事業の視察に参り、その往復の途上、船中におきまして、代表者の方々から、現在兵庫県の漁民が当面しておるところの各種の問題につきまして詳細に承りました。また、兵庫県庁のほうからも副知事がお出かけで、往復の途上、懇談の機会を得た次第でございます。
○井上(泉)委員 水産庁長官は有明湾の実態を調査に行かれたのか。さらにはまた、これは有明湾だけではなくて、PCBに汚染をされた関係漁民の数、これらは全体でどのくらいあるのか、そのことを説明願いたいと思います。
○荒勝政府委員 私といたしましてまだ有明湾には出張いたしておりません。
 今回汚染された水域の漁民の数につきましては、ただいま調べましてすぐ御報告申し上げます。
○井上(泉)委員 これだけ漁民が、いまや暴動寸前といわれるような、有明湾に第三水俣病が発生をして、そして漁民たちが――漁民だけではなくて、魚行商人も市民もみんなが騒然たる状態の中にあるのに、何で行く機会がないのですか。今日までなぜ一回も行かないのですか。
○荒勝政府委員 ただいままで、二度にわたりまして、環境庁を中心といたしまして各省の調査団が行っておりますが、担当官は出しておりますが、私も近日中に参りたい、このように考えております。
○井上(泉)委員 大臣は行かれる予定はないですか。
○櫻内国務大臣 先般来水産庁長官と打ち合わせておりまして、私が行くか長官が行くかにしよう、こう言っておる矢先に、部分的な実情調査ではございましたが、兵庫県の同じような問題に私は調査ができましたので、できれば水産庁長官に行ってもらいたい。また、私が東京におりますからといって、決して現地の模様を等閑視しておるわけではないのでございまして、逐一御要請も受けておりますし、また調査の報告も微細にわたって承っておるような次第でございます。
○井上(泉)委員 東京におろうが、どこにおろうが、あなたは農林大臣ですから、現地の事情、そういう報告を受けるのは当然のことだと思います。私はそのことを問うておるのじゃないのです。あなたは行かれる意思があるのかどうか、現地に調査に行かれる意思があるのかどうか。いまは飛行機で行けば一日で調査ができるわけですが、調査に行かれる意思があるのかどうか、こういうことをお尋ねしておるわけでありますが、その点についてはまたあとで質問することにしておきたいと思います。
 そこで、水産庁長官、私が、関係の漁民等が大体どのくらいおるのか、こういうことをお尋ねすると、それはあとで調査をして、こういうように言われておるわけですけれども、水産庁の調査した区域だけでも八水域で禁漁指導をしておる。つまり、もう漁業をしてはならない、こういう指導をしておられるが、その水域の漁民が一体どのくらいあるかということくらい、これは水産庁の長官として常識じゃないですか。そんなことは常識的な問題だと思うのです。
○荒勝政府委員 その数字、いま直ちに持っておりませんので、まことに申しわけございませんが、御了承願いたいと思います。
 私といたしまして、当然にその辺の事情は十分にいろいろと検討させていただいたつもりでございますが、今回、漁民には結果的には非常に御迷惑をかけたということにつきましては、この席をかりて深くおわび申し上げたいと思っております。
○井上(泉)委員 私どもは、水産庁が調査をしたと、いろいろな新聞を見て知る以外に、まだ水産庁から正式な報告も受けてないわけですが、これは私、同僚議員に、自分は不勉強だから、水産庁のこのPCB汚染の進んだ状態を調査したものをもらったか、資料をもらったか、こう言って聞くと、だれももらったと言わないわけです。一体、水産庁、そういうふうな禁漁指導する、あるいはその水域、そういうものについての調査されたものを当委員会委員に配付するという御意思はないですか。
○荒勝政府委員 御要望がいまありましたので、いつでも配付させていただきたいと思っております。
○井上(泉)委員 大体、要望しなくとも、ともに国政を論じ、ともに日本の水産行政を進めていくという立場に立つ考え方にあるなら、これは私は資料は当然言われる先にも出してこられるのが、ほんとうにやる筋だと思います。
 それで、私はきょうは水産庁の担当の方にもう話をしたわけですが、いまこの法律がかかっておる。法律がかかっておれば、この法律の漁船の損害補償保険の取り扱いをしておる中央会の、たとえば通常総会の会議録、そういうものも参考資料として一緒に出すのがあたりまえであって、これを私どもが要求しなければ出さないというような、そういう姿勢というものは、一体どういう心境なのか私は合点がいかないのですが、どうでしょう。
○荒勝政府委員 一応、法律案提出に際しまして、まあ従来委員会側と農林省との間で大体慣行的になっておりました資料等は提出させていただいております。あと、御関心のある向きにつきまして御要望がありますれば、私のほうとしてはすべて資料は提出させていただいておりますので、十分に御要求願いたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
○井上(泉)委員 まあそれはそういうふうな慣行、慣例で資料をかげんをしておる、こういうことならば、これからどんどん資料の要求もいたすわけですけれども、しかし、やはり資料要求というような、これは保険の関係の審議をすれば、その保険を扱っておる団体がどういうふうな状態でやっておるくらいのことは、当然私は調査すべきだと思います。これはもうちょっと真剣に水産行政というものを考えてもらいたいと思うわけですが、これはどうもすみませんでは私は納得いきかねるわけです。
 しかし、ほんとうに漁師が――いまや漁師だけではない、国民全体が、この汚染された水域から出てくる魚で、先がわからぬでしょう。かりに、漁師でも背に腹はかえられぬのですから、有明湾でとれた貝を、これは土佐湾でとれた貝だと言ってこっちへ送ってくればわからぬようなもので、ほんとうに国民の食生活を預かる農林省として、農林大臣が宴会のたびにこの食べる料理を見て、これは農林省のものだ、こう思って誇らしげに感じるその心境が、自信をもって国民に安心のできる食料を提供するという、そういう姿勢というものを貫いてもらいたい、こういうことを切に考えるわけですが、この点について水産庁の長官のなお一そうの見解を承っておきたいと思います。
○荒勝政府委員 水産庁の長官といたしまして、やはり海は非常にきれいにしておきたい、それとともに、魚のほうもおいしい魚がとれますようにということを私自身非常にこいねがっておるわけでございますが、力足らずしていろいろと漁民の皆さん方あるいは委員会でこういう御指摘を受けることにつきましては、今後とも姿勢を正しまして全力でこの問題に立ち向かってまいりたい、こういうように思っております。
○井上(泉)委員 農林大臣にお尋ねするわけですけれども、日本はこれだけ海に恵まれ、川に恵まれておるのに、ほんとうに大量の水産物が輸入をされておるわけですが、これに対してあなたは政治的に矛盾を感じないですか。
○櫻内国務大臣 いまちょっと御質問で私、疑問が起きて長官に尋ねておったところでありまするが、海外から相当量水産物が入っておるか、こういうと、それほどのことではないと思うのです。大体いま五%見当、こういうことでございまして、あげて日本の周辺あるいは遠洋漁業、日本の手によっての漁獲物によっておる、こう思います。私としては、国民の主要なる動物性たん白資源でありまするし、これからの見通しとしても五〇%は水産物に負うところのものでございまするので、今後もこの漁獲につきましてはその目的が果たせるようにあらゆる対策を講じてまいりたいと思います。
○井上(泉)委員 五%程度のものじゃないと思うのですが、水産庁長官、そうですか。農林大臣の言われるのは間違いないですか。農林統計、水産統計を見ても、金額はそんな数字じゃなかったはずです。五%程度じゃないです。店頭を見たら冷凍の輸入ばかりなんだ。
○荒勝政府委員 ただいま、金上額でございますが、水産物の輸入額の数字でございますが、わが国の総輸入額が四十六年で六兆九千百億円の輸入に対しまして、水産物の輸入総額が大体千五百三十三億円くらいでございまして、水産物の輸入が輸入総額の約二%くらいになっている、こういうことでございます。
○井上(泉)委員 それは私ちょうど手元に資料を持っておりませんので、あなたの数字が正しかったらそれでけっこうですけれども、とてもそんな数字じゃないと思います。いまカナダとか、あるいは東南アジアとか、あるいは中国だとかいうところから輸入しておる量というものは、そんなものじゃないはずですよ。あなたはそれを自信をもってお答えになったから、私はそれを中心にして調査をしたいと思います。
 ところで、損害保険ですけれども、これに三十五億という金が出されたわけですが、三十五億が漁船再保険特別会計に積み立てられた積み立て金から漁船保険振興事業交付金として出されたわけです。漁船再保険特別会計はいまどのくらい積み立てられておるのか、そしてこの金はどういう金であるのか、そのことの説明を願いたいと思います。
○荒勝政府委員 四十七年度末で約六十八億円が漁船保険特別会計に積み立てられておるわけでございます。その積み立てられました経緯につきましては、実質的に政府の再保険料の支払い分が積み立て金よりも多少少なかったというようなことで、私たちの計算では多少余裕があった、こういう見方でございますが、
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
四十七年の実績ではほとんど収支が均衡しておる、こういうように御理解願いたいと思います。
○井上(泉)委員 その収支が均衡しておる中で、今度三十五億円というものを漁船保険振興事業交付金として支出するにあたっては、これは政府、国会、関連水産団体並びに漁業保険会社が一致して運動したたまものである、こういうことになっておるわけですが、これは三十五億という金をこういうふうな形で漁船保険振興事業交付金として回せ、こういう運動を農林大臣を先頭にしてやられたのですか。
○荒勝政府委員 この漁船保険特別会計が始まりましてから、昭和三十四年ごろでしたか、一回、約十二億円ほどやはり積み立て金が過剰になりまして、十二億円を国から交付金として返したいきさつがございます。したがいまして、今回の四十八年度予算を要求いたします過程におきまして、六十七億円ほど積み立てられている余裕金が特別会計にたまってまいりましたので、そのうち当然交付金として支出してもいい金額をいろいろと水産庁としてはじきまして、三十五億円から六億円前後の金額という判断をいたしまして、三十五億円を今回予算で支出をお願いいたした、こういうかっこうになっておる次第でございまして、これは水産庁が事務的に要求した予算でございます。
○井上(泉)委員 これは事務的に要求した予算だということでありますけれども、中央会の報告書によれば、そうではなしに、政府、国会、水産団体一致して運動した運動のたまものである、こういうことになっておるわけですが、六十五億のうちまだあと三十億残っておるわけですが、これはかりに三十五億出すのと、五十億出すのと、二十億出すのと、この積み立て金を支出することについては別に支障はないですか。
○荒勝政府委員 三十五億円の分につきましては、これは漁船保険の民間の方々が政府の特別会計に保険金をかけておったのでありますけれども、実際の事故がないので政府から支払いがなかったということで、いわゆる積み立てられた保険金額に見合う部分の余裕金が三十五億円でございまして、そのほかの分につきましては、政府自身の毎年負担しております再保険特別会計に対する政府の国庫補助金あるいは今後の必要な運転資金というふうな形であとの分は特別会計に残しておきたいということで、三十五億円は、今回、民間側といいますか、中央会に対して還元するということで交付金として出した次第でございます。
○井上(泉)委員 この金を中央会へ出す、中央会へ出すことのよしあしは別といたしまして、これは保険料が高いということの漁民側の心理的な感じというものは非常に強いのですが、むしろ政府は、積み立て金がこんなにたまって中央会に出すよりは、保険料を引き下げる方向に考えられるのが漁民のための対策で、中央会という一つの機構に対する援助措置を講ずることは漁民側に間接的になるわけですが、直接的に漁民の保険料を値下げするようなお考えはないのですか。
○荒勝政府委員 この漁船の保険料につきましては、政府といたしましては、妥当な金額ということで適正な金額がはじける段階といいますか、十分証明できる段階におきましては、むしろ金額的には、過去から現在に至ります間、数次にわたりまして引き下げをはかってきておりまして、その引き下げに際しましては、大体過去十年間のデータというものを基礎にいたしまして、保険料と損害との関係を見合いながら引き下げてきている次第でございます。
 その原因といたしましては、保険料率をきめましても、年々漁船が、新鋭の漁船といいますか、高性能な漁船ができまして、その損害の発生量が非常に少なくなってきているということと、それから加入隻数が非常にふえてきているということ、その関係で危険分散が行なわれているということと、さらに第三点といたしましては、漁民に対する教育といいますか、知識水準が向上しまして、操業中の安全が少しずつ高まってきたというようなこと等の理由で、年々というか、再三にわたりまして下げてきております政府の認定よりも実際のほうがさらに損害の発生率が少ないということが原因ではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
○井上(泉)委員 それで、損害の発生率が少ないし、船もふえた、こういうことになれば、逆に保険料引き下げに政府のほうとしては働きかけるのが、これが私は漁民に対する政策の筋じゃないかと思うのですけれども、それを、中央会という一つの圧力団体というか、それに三十五億出すことによって糊塗するということは、これはあまりにも漁民と離れた行政のやり方じゃないかと思うのですが、それはどうですか。
○荒勝政府委員 今後適正な漁船の保険料率の算定にあたりましては、私が先ほど申し上げましたようないろいろな事故率等を十分に勘案の上、過去十年のデータを基礎にしながら行なっていくという従来の方法論もそんたくしながら、料率は極力引き下げていくよう努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
○井上(泉)委員 私、中央会の内容についてはまだいろいろと質問をいたしたいと思いますけれども、これについてはまた次の機会にこれを明らかにしていきたいと思います。
 漁船の損害補償法、つまり漁船の損害補償に対する保険ですけれども、これは大きな船の場合には、漁民がもし遭難をして死亡した場合にも、それ相当の補償なり保険なり、そういうようなものもあるわけですが、今度三十五億も金を出して中央会に損害補償法の事業をやらすということなら、むしろこういう金の中で、零細な漁民の就労時における、企業でいえば業務上における死亡事故とかあるいは障害事故、そういうふうなものに対する補償制度というものをつくるのが、これからのいわゆる漁師としての後継者もいない、漁師としては非常に行く先まっ暗いような状態の中で、やはり希望を与えることになりはせぬかと思うのですけれども、その点についてはどうですか。
○荒勝政府委員 漁船の操業中に死亡いたしました漁船員の場合の救済措置といたしましては、現在船員法の適用をされる二十トン以上の漁船につきましては漁船保険法が適用されて、死亡事故の場合にそれぞれ補償金が支払われているわけでありまして、さらに、二十トン以上の船では大き過ぎるということで、ただいま十トン以上にまでそれをダウンというか、十トン以上に適用という形でただいま私たちは厚生省に対して検討方をお願いしているわけでございます。さらにまた、小さな船についてどうするかということにつきましては、今回、法律ではございませんが、政府で今度の予算の中で、漁船の船主責任保険についての検討ということで調査研究を進めるということになっておりますが、その予算のほうで、漁船の船主責任保険というものの中で、こういう小型の乗り組み員の救済措置を今後考えていこうということで検討している次第でございます。
○井上(泉)委員 その船員保険法関係の適用といっても、これは非常に金額が少ないでしょう。それから、十トン以上ということに下げる、こう言いましても、零細漁民というのは大体五トンから十トンまでのものが多いわけだし、そして家族的に二人、三人が乗ってやっておる。そういうふうな漁船員の範囲というものを、いま十トン以上に適用しよう、こういうふうに検討中と言われたのですけれども、それを十トン以上とかという線を引かずに、つまり、これを生業としておる漁業協同組合の組合員についてのそういう業務、漁業上における死傷事故に対する補償制度というものをせっかくやるなら、十トンとかいうことに限定を置かずにやられてはどうですか。
○荒勝政府委員 私たちといたしましても、今後こういった船員の事故の保険の支払いにつきましては、今後とも厚生省に対して強く働きかけまして、逐次漁民の方が安心できるような方向で解決していきたいと思っておりますが、さしあたりの問題としまして、二十トンから十トンにおろすことが目標でございまして、その後の十トン以下の分につきましては、いろいろな形で今後実現について努力いたしたい、こういうふうに考えておって、先ほど御説明したとおりでございます。
○井上(泉)委員 それから積荷保険の場合でも、遠隔地から漁獲物を積んできて、それに対する被害が出た場合の保険制度というふうなことになっているわけですが、たとえば、いまのように有明海とかあるいは岩国とかいうようなところでとってきた魚が市場において廃棄される場合の補償というものは、現在そういう水銀を流した側の、いわゆる公害を発生させたものに補償を要求するというところまで追っておっても、時間的になかなか手間取ると思うわけですが、さしあたって、ああいうふうな自分がせっかくとってきたものを廃棄せねばいかぬというものに対して、これにどういう補償の措置を当面の措置としてとられるか、その点を承りたいと思います。
○荒勝政府委員 そういった場合につきましての考え方は、現在の時点ではまだ持ち合わしていないのでございまして、公害問題全般にわたる問題として今後さらに検討すべきことかとも思いますが、現在はそういった形にはなっていないというふうに御理解願いたいと思います。
○井上(泉)委員 現在ではそういうことになっていないのです。それは私も承知しておる。なっていないから漁民が非常に不安を感ずるのだけれども、それらもこの際緊急に――そういうような場合については、いわゆる公害の発生源の徳山曹達会社に、これを買えといって漁民が持っていく。それに対して、それを会社が買い取る場合もあるかもしれぬし、あるいはそれをそのまま放置する場合もあるかもしれぬ。しかし、それで売れない魚をとってきたものの代償に対しては、これは緊急に手配をせねばいかぬ問題だから、いまはないけれども、それに対する行政的な手だてというものは私はなすべきでないかと思うわけですが、それを打ち出すのにそれほど手間が要るものかどうか、水産庁の長官ではなしに、農林大臣の御意見を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 これはやはり私が答えるよりも、もう少し専門的にお答えをするほうがいいように私は感じております。というのは、そういう保険のような扱いをするということになりますと、一体そのような事態がどの程度予想されるのかというようなことがまず問題になります。と申し上げまするのは、非常にそういう場合が多いということなれば、保険料率が上がってもくるのでありますから、したがって、保険から考えるということについては、相当なデータがそろっておらないと、踏み切ってやるわけにはいかないと思うのであります。ですから、何かこれに見合うような制度、こういうことになりますれば、漁業損害救済基金とでも申すようなものを別途に、いまのような事態にこたえる何か方法を考えるのが適当ではないか、このように思うのでありまするが、ただ、午前以来申し上げておりまするのは、あくまでも原因者の負担という大原則に立って、その間のつなぎのやり方ということになりますと、おのずからまたその方法も変わってまいりまするので、せっからいろいろな角度から検討いたして、しかも環境庁長官よりは、明後日の朝の会議にできれば具体策が出るようにということでもございまするので、いま一生懸命検討しておるという実情でございます。
○井上(泉)委員 この漁船損害補償法というのは、第一条の目的としては、「不慮の事故による損害の復旧及び適期における、更新を容易にし、もって漁業経営の安定に資することを目的とする。」ということで、漁船には限定しておるけれども、漁船というのは魚をとるものだから、とってきた魚がこれだけ被害を受けて、そして市場にも売れない、そしてこれを捨てるにも捨てる場所がない、そういう状態で放置されることに対して、非常に私は、何というか、機敏さというものが欠けているのではないか。これだけの問題で漁民が不安感におちいっているのに、これに対して行政が、おまえたちがとってきた魚は捨てよ、この海ではとってはならぬぞ、しかし、おまえたちの生活については、十分生活の立っていくようなことは各省庁と検討して安心を与えるからというような、愛情のある行政の姿勢、あるいは農林省としての姿勢というものを示してやるということが大切ではないか。それを言うと何かあとにひっかかるからたいへんだ、こういうふうにしり込みをする姿勢というものが、よけいに漁民に対して不安感を与え、だから暴動寸前という状態にあると思うわけですが、私はこれを早く処置しないとゆゆしい結果が生ずるという心配をするのでありますから、もっと機敏さをもって対応してもらいたい、こういうことを強く要求をいたしておくわけです。水産庁長官としての見解をいま一度承りたいと思います。
○荒勝政府委員 漁民の方々が今回の公害問題、特に水銀あるいはPCBの問題で、非常にショックといいますか、たいへんな不安感で、かつまた生活上も、今後の動向について的確な政府側からの姿勢がないということで不平になっておられることにつきましては、非常に私たちとしては遺憾に存じておる次第でございます。これにつきましては、先ほど来大臣がおっしゃっておられますように、早急に何らかの形で漁民の方々の生活の一端にも資するように努力してまいりたい、このように考えております。
○井上(泉)委員 まだ現地へ行く機会もない、農林大臣も淡路まで行ったついでに見た、こういうふうな程度のことで、農林省としての取り組みが非常に緩慢だ、こういうことを私は感ずるわけでありますから、少なくとももっと漁民の不安、国民の不安にこたえるようなそういう姿勢で取り組んでもらいたい。これ以上そのことを幾ら言っても始まらぬわけでありまするから、取り組んでもらいたいということと、その結果がどう出てくるのか、この二、三日の推移を見守っていきたいと思うわけです。
 いま保険についてもいろいろ質問をしたわけですけれども、私は、こういう場合の措置というものも、いわゆる漁業災害補償法という兄弟法もあるし、そういうふうなものを拡大するか、あるいはそれを補強というか、そういうことによってもこうした漁民に対する措置というものはとられると思うのです。それをとろうとしないから、手間どっておるにすぎないじゃないか、こういうふうに思うわけです。
 そこで、そういう問題もさておきまして、そういう問題と別に水産庁長官にひとつお尋ねしたいわけですが、いま漁業関係が私は二%とかなんとかいう輸入量じゃないと思うわけですけれども、いま水産庁長官がそういうことを言われたのですからそれをそのまま信ずるといたしましても、しかし、現実に働いておる漁民というものは非常に老齢化してきておるわけです。その老齢化しておる漁民は、これはもう将来の漁業の衰退につながるわけですから、若い漁民を育てていくというためには、漁業に対しての魅力あるものを政治が示してやらなければならぬと思うわけですが、その点について水産庁としてはどういうふうな対策を考えておられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
○荒勝政府委員 先ほど、輸入量が五%前後というふうに非常に概括的なことを申し上げましたのですが、一応資料がございますので、その数字を申し上げたいと思います。
 四十六年は輸入量が三十九万八千トンでございまして、国内の総生産量が九百九十一万トンということで、約四%の輸入量に該当いたしております。それから四十七年の分でございますが、国内の総生産量が一千七万トンという数字に対しまして輸入量が四十八万一千トンで、これも四%と五%の間ぐらいというふうになっておりますことをまず御報告申し上げます。
 今後水産業の振興のために、やはり遠洋漁業で一定の漁獲量は確保しなければならないのでありますが、特に沿岸でとれます日本国民の消費の嗜好に合致した中高級魚についての需要が非常に強い、しかも今後さらにわれわれといたしましては沿岸漁業の振興をはかり栽培漁業を進めるということで、沿岸漁業の振興を大いに進めて漁民の方々の御要望にこたえてまいりたい、こういうふうに思っております。しかし、そのためにはやはり海をきれいにしなければならないということで、この公害対策と沿岸漁業対策というものは表裏一体の関係として私たちはとらえまして、今後日本の漁業の振興に大いに努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○井上(泉)委員 いわゆる海は漁民のものであり、国民のものである、別に企業のものでなないわけだから、その企業によって海がよごされておることに対して、今日まで水産庁はあまりにも放任をしておった。そういうことで、数年前から瀬戸内海のあの川之江付近あたりでは、もう貝はくさくて食えない状態になったわけですが、そういうことについても、水産庁のほうからも別段これを問題にして、企業があそこの製紙工場から廃液をたれ流しておることに対しても何にも言えないでそのまま逃げておる。それで、この間も私、愛媛に行ったところが、愛媛では、漁師がいけすをつくるのに――いけすといえば、舟の中に穴をあけて、魚に新鮮な海水を入れるようになっておるけれども、愛媛の場合では、瀬戸内海の場合ではそうではないそうですが、沖合いで別にいけすをつくって、それで、おかへ近寄るに従っておかのほうの海水が入らないように、そういうふうな状態にしてある。それに対して県も何ぼかの補助金を出しておる。こういうふうなことをやっておるということを聞いて、ほんとうにこれは漁師というものはかわいそうなものだ、政治というものがこんなにまで漁師を追いやるのか、企業を大切にして漁師をこんなに追いやるものか、こういうことを瀬戸内海の漁民の話を聞いて痛切に感じたわけですが、そういうことについてもあとまた湯山先生から十分質疑がかわされると思います。
 そこで、漁業全体のことでありますが、この法律とは直接関係がないけれども、たとえば、前にはサバをソ連船が来て一網打尽にとっておるというようなことがいわれたわけですが、最近ずいぶん私ども高知県の漁民なんかが伊豆沖とかあるいは静岡の沖合い、至るところカツオ漁船が出ておるわけです。そこで大目流し網の漁船が進出をして、これによって一本釣りのカツオ船、カツオ漁師というものが非常に被害を受けておる、こういうことをよく聞くわけですが、これに対する安全確保の対策というものがなされておるのかどうか。そして大目流し網でやっておる漁業、そして一本釣りのカツオ漁業との関係はどういうふうに水産庁としては考えておられるのか、この機会に承っておきたいと思います。
○荒勝政府委員 ただいまその大目流し漁業の規制問題につきましては、昨年来非常に各方面からいろいろと陳情なり御批判等がございまして、われわれといたしましてはこれにつきまして慎重に検討中でございまして、いずれ近いうちにこれに対する水産庁側の立場というものは明確にいたしたい、こういうふうに考えております。いまのまま放置いたしておりますと、やはり大目漁業はあらゆるところに発展していって、従来から伝統的にありました漁法を侵食するといいますか、自由漁業の名においてすべて均衡を破るような形になってまいりますので、われわれといたしましては何らかの形で規制したいという方向でこれについて対処してまいりたい。
 さらに、その大目流し網が漁船のスクリューに巻きついてほかの漁船が非常に危険であるということもわれわれも十分認識しておりまして、そういう観点からもこの問題は規制してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○井上(泉)委員 いろいろ法案そのものについての資料等についても、きょうちょうだいをした資料の関係もあるし、十分調査ができておりませんので、法案に対する質疑は、そういう調査研究が終わった段階においてもう一団させていただきたいと思います。
 それと同時に、前段申し上げましたような、現在水産庁が汚染海域として指定をしたところの水域における漁民の数あるいはそれに関連をする住民の数、そういうふうなものの資料が配付された暁においてもう一回この質問をすることにいたしまして、私の質問はこれで終わっておきたいと思います。
○山崎(平)委員長代理 次に、湯山勇君。
○湯山委員 他の省の方がまだお見えになっていないところもあるようでございますけれども、時間の関係もありますので、私は最初に、いまの第三水俣病の問題、PCBの問題、そういうのもありますけれども、地域的に瀬戸内海の汚染という問題についてしばらくお尋ねをいたしまして、そのあと、法案である漁船損害補償法、これについてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず瀬戸内海の汚染でございますけれども、瀬戸内海がもうこれ以上汚染を許さないという非常に重大な段階に来てしる。ある人は、瀬戸内海は死の海になるのじゃないかというようなことを言っておる人もあるくらいでございます。そこで、瀬戸内海の汚染源といいますか、瀬戸内海は一体どういうふうに汚染されているかという項目について御調査になったことがございますか。
○荒勝政府委員 いま的確に数字は持ち合わせておりませんが、私たちの見ておりますところ、瀬戸内海の汚染の状況は、昨年も発生いたしましたように、赤潮の被害というものが非常にユニークな形で特徴的に出ておりまして、瀬戸内以外の海も相当汚染されている地区もございますが、赤潮というような形で被害が出ておる例はきわめて少ないのではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それから第二点といたしまして、瀬戸内では海流の出入りが非常に少ないというようなこともございまして、これは私たちの監視体制もはなはだ弱いのでございますが、いわゆる重油といいますか、石油系統の汚染による原因というものが非常に多発しておる。
  〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
 これはもう原因者がはっきりしている場合もありますが、また原因者がわからないまま、たれ流しといいますか、夜陰にまぎれて相当放棄されておりまして、油汚染ということがやはり瀬戸内の一つの大きな原因になっております。
 さらに、御存じのように、瀬戸内海のああいう全沿岸区域にほとんどと言っていいほど重工業といいますかのベルト地帯ができておりまして、そういう産業から投棄されます産業廃棄物のたれ流しといったようなものが逐次累積しまして、今回のPCB汚染というふうな形で瀬戸内海にも相当大量に汚染源が発見されたような結果になっております。
 さらに、あの地域におきましては住民が非常に多いということで、都市下水の瀬戸内海への投入、汚水の投入ということが非常に多くありまして、これが窒素あるいは燐酸の過剰をもたらしまして、こういったものが総合的に汚染がお互いに添加いたし合いまして、結果的にはあるいは赤潮というようなかっこうになっているかもわかりませんが、そういった汚染で瀬戸内海では公害が進んでおるというふうに理解している次第でございます。
○湯山委員 いま水産庁長官が御説明になった以外にありましたら、環境庁のほうから……。
○太田説明員 概括的なことはただいま水産庁長官のほうからのお話のとおりでございますが、実は環境庁といたしましては、昭和四十七年度瀬戸内海の一斉点検調査をやりまして、これは四回にわたってやったわけでございます。四十八年度にさらに一回の補足調査ということで、現在合計五回の一斉点検を実施いたしました。これは瀬戸内海を六キロメッシュに割りまして、各地点の水質と、それからプランクトン、それからごく一部の底質の問題、それと、それに流入いたします排水口、それから河川の一番下流での流入汚濁負荷量、そういったものを総合的に実施したわけでございます。そこで実施した時期は、まず春、夏、秋、冬の四回にわたって実施いたしました。四十七年度が四回で、四十八年度一回、合計五回でございまして、その結果を現在取りまとめ中でございますが、最初の春と夏、昨年の春と夏実施いたしました調査結果によりますと、いわゆるCODの値で申しますと、外洋と同じ水質のいわゆるCODの値、これは大体一PPMといわれておりますが、その一PPMの値が約四割以下に減っております。おそらく戦前ですと大体瀬戸内海の水質も外洋と同じであったと推定されますから、昭和三十年以前でございますが、そういったふうに推定されますから、それと比べて非常によごれているということでございます。いずれにいたしましても、透明度等も非常に下がっておりますし、赤潮の発生件数等でも、ただいまの水産庁長官のほうからのお話のようにだいぶ出ております。私どもはその五回の調査結果を現在取りまとめた上、それを発表すると同時に、対策等もあわせて考えたい、かように考えておる次第でございます。
○湯山委員 いろいろ御指摘がございましたが、項目だけあげてみましても、例の田子ノ浦に匹敵するあるいはそれ以上といわれておるヘドロの問題、それからPCBの問題、これも数日前のテレビで、尾道ですかでとったハゼの半分はガン症状のような病気にかかっているというようなああいう問題、それから昨年多量の魚介が数十億の被害があった、工場廃液といわれておりますが、そういう問題、それから、さっき長官がおっしゃった油汚染の問題、それから、埋め立てが非常に進んでおりまして、これは通産省お見えになっていますけれども、香川から愛媛にかけての新産都市、それから岡山のそういう関係での埋め立てによる被害、これも透明度がうんと影響しておりまして、これは静岡でも実験しておりますけれども、海藻類の同化作用に非常に大きな影響があります。そういう透明度の、海がよごれてきておる問題。それから赤潮、これも長期化してまいっておりますし、もうすでに一月から赤潮が出てきているという状態。これはおとといですか飛行機で通ってみますと、確かに見えます。飛行機の上からでも赤潮が見えるという状態。それから長官がおっしゃった採尿投棄、つまり下水の問題。さらに考えなければならないのは、航行船舶が非常に多いということ、船の過密状態、これもやはり一種の公害だと思います。そこへ持っていって、忠海の沖ですか、毎ガスを捨てたのがまだ処理されていないというようなのがありますし、さらに水銀、これはソーダ工場もありますし、それから農薬水銀による汚染、これなども相当出てくると思います。
 こう数えてまいりますと、ほとんどの公害というものが瀬戸内海には集中している。さっき稲富委員から御指摘がございましたが、昔は海に捨てたもの、あるいは川に捨てたもの、それぞれに自然に浄化する、回復する機能がありました。しかし、いまはそういう更生の能力、環境の許容量というものはもう飽和状態、これ以上汚染をさせてはならないというところまできておると思いますが、この環境の許容量というようなもの、そういう環境容量というのですか、どういう言い方をするのか、とにかく自然に回復する機能、そういうものがまだ残っていると御判断になりますか、もうないというように御判断になりますか。これは環境庁なり水産庁長官なり、ひとつお答えいただきたいと思います。
○太田説明員 ただいまの環境浄化能力がまだ残っておるかどうかという御質問でございますが、これは非常にむずかしいわけでございまして、ちょっとここでは一がいにどっちともきめかねると思います。しかし、私どもは、先ほど申し上げました一斉点検調査で、瀬戸内海の流域の工場、並びに採尿処理場、家庭下水、これらの発生負荷量、すなわち汚濁物の発生する量でございますが、その量と、それから直接瀬戸内海に注ぎ込まれまする流入負荷量と申しますか、流れ込みまするその汚濁の量と、それと関連水域の水質でございますが、実はその関係を調べているわけでございます。それを調べることによりまして初めて環境容量というものが計算できるわけでございまして、現在その過程にあるわけでございまして、ですから、その許容量を設定いたしましたあと、昭和三十年代、それ以降のいわゆる水質並びに汚濁負荷量がどれくらいであったか、非常に乏しい資料の中からそれらを見比べまして、戦前の水質に戻すために具体的にどれだけのいわゆる排水規制の強化をやったらよろしいか、下水道の整備をやったらよろしいか、その辺のマスタープランを現在作成するための作業中でございます。その上で具体的な案を私どもは考えたい、かように考えておる次第でございます。
○湯山委員 環境庁長官が、ことしの二月に瀬戸内海沿岸の知事会議、それから市長会議で、もうこれ以上瀬戸内海をよごしてはならないということから、約十項目にわたる要請をしております。それは、新規の埋め立てはしない、進行中のものも再検討する、それから工場の新設は厳重な規制をする、工場排出は総量規制にする、大型のオイルタンカーの航行を規制する、土砂の採取を規制する、沿岸都市計画は洗い直す、特にいまおっしゃった下水の問題、これは整備する、漁業を保存するために漁業振興をはかっていく、それから汚染監視体制を確立する、漁民の救済をはかる、赤潮対策を確立する、こういうことについて要請をされました。これはいまの調査と相まって適切な要請であったと思うのですが、しかし、この国会に、環境庁からそういうことをすでに二月に言っておられながら、一向瀬戸内海環境保全の法律が出ていない。これは一体どういうわけなんですか。
○太田説明員 ただいま申し上げましたとおり、現在瀬戸内海の一斉調査の取りまとめ中でございまして、その上で具体的に排出規制、排水規制の強化の度合い、下水道整備の普及の度合い、廃油処理場の増設並びにその有効利用化の問題、そういったものの具体策をきめるマスタープランの作成の作業をやっておるわけでございまして、そのあとに法律問題が出てくるべきではなかろうかというふうに環境庁が判断したわけでございます。そういったことで現在まだ提案については具体的に考えておらない次第でございます。
○湯山委員 これは大胆、国務大臣としてお聞き願いたいと思うのです。いま水産庁長官、環境庁からの御答弁にございましたように、瀬戸内海の汚染というものはもうあらゆる汚染源を持っておって、これ以上の汚染は許さないじゃなくて、汚染をこれでとめるというのじゃなくて、むしろもとの瀬戸内海に返すために力一ぱいやらなければならないという段階に来ておる。そこで三木長官もいまのような指示を知事なり市長なりになさって協力を求められた。にもかかわらず、法律はまだ用意ができないから出さない。しかし、国会へはわれわれ社会党も出しましたし、それから公明党さんも参議院のほうへお出しになっております。お互いにスタッフを持っていない政党が、苦労してあれだけ大きい法律と取り組んで国会に出しておる。そういうときに、環境庁もあれば、科学技術庁もあるし、水産庁もある、そういうスタッフを持っている政府が今日なおこの問題について法律が出せないということは、私は政府の怠慢だと思います。将来の問題も含めてですが、早急に瀬戸内海の環境保全の法律を政府みずから出す必要があると思いますが、これは農林大臣として、また同時に国務大臣としてひとつお考えを承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 瀬戸内海の環境保全法の必要性は農林省の立場からしても必要であると考えております。そこで、ただいま湯山委員より、社会党あるいは公明党はすでに衆参のいずれかに提案をしておるというお話でございました。私ども政党内閣でございまして、自由民主党のほうにおきましては四月中に一応の素案ができておることを聞いておるのでございまして、ただ国会の情勢が今日のごとき延長国会に入っておる段階でございまして、政府与党としての責任の立場から、各種の諸情勢を勘案しておるものと思います。今後におきまして早い機会に案がまとまり、できれば与野党通じてりっぱな案ができることは、私として好ましいことでもあるし、また期待をしておるところでございます。
○湯山委員 このことについては、環境庁は早急にひとつ作業を進めて長官において出すということの言明ができますか。
○太田説明員 私といたしましては、法律提案をするかどうか、ちょっとお答えできませんけれども、先ほど来申し上げておりますとおり、いろいろな調査をやりましていろいろなデータを整えております。それによりまして具体的な浄化対策、すなわち、浄化対策を立てるということは立法の精神にも合致するわけでございまして、ねらいは同じだろうと考えております。したがいまして、具体的に立法につきましてのお答えはできませんけれども、同じような趣旨で現在作業を進めておるということでひとつ御了解いただきたいと思います。
○湯山委員 いまの御答弁はそれで了解いたしますが、お願いしたいのは、いまの点について長官の意見を、文書でもよろしゅうございますし、口頭でもけっこうですが、ひとつお示しを願いたいと思います。きょうでなくてけっこうですから……。
 農林大臣はああいうお考えでございますから、ぜひひとついまのようなお考えで農林大臣もその推進に大いに御努力を願いたいと思います。
 さて、瀬戸内海をこれ以上よごしてはいけない、汚染源をつくってはいけない、むしろいまからヘドロなりあるいは赤潮退治とか、そういうことをやらなければならない。ほうっておきますと、瀬戸内海まではまだ入っておりませんけれども、瀬戸内海の近いところまでオニヒトデも来ております。これは、長官、御存じですか。――
 そういうようなことですから、たいへんな問題なので、そこへ持ってきて、また汚染源になる原子力発電所を瀬戸内海へつくるという計画が進められております。その調査というものは、基盤がしっかりしておるかどうかとか潮流はどうかとか、いろいろな汚染の調査はあったようですし、あるいはこれの認可というものも出ております。しかし、いろいろ聞いてみますと、通産省は通産省の立場からワク内でそれを見ておってそれで判断しておる。科学技術庁は科学技術庁という範囲内で判断しておる。もっと日本列島全体を見て、一体日本列島のこれだけ汚染している瀬戸内海で原子力発電所をつくるかどうかという大局的な判断は、いまだかつて私は承っておりません。そういう判断をなさったのかどうか、通産省、科学技術庁から承りたいと思います。
○和田説明員 原子力発電所の開発計画につきましては、企画庁に電源開発調整審議会というのがございまして、ここで電源開発基本計画を審議する際に、環境問題等も含めまして、国土の総合的な開発あるいは利用保全、それから電力の将来の需給等を考慮しまして、さらに地元の意向を踏まえました関係都道府県知事の意見も尊重して慎重に審議しておりますので、政府としては大局的にそういう原子ご発電所をつくるときの意思決定はいろいろな面から検討して行なっていろわけでございます。
○湯山委員 お尋ねしたのは、瀬戸内海沿岸でつくる、そのことについて論議をなさったかどうか。
○和田説明員 いま申し上げたような基本的な方針に基づいてやっておりますので、先生御指摘の伊方発電所につきましても、そういう瀬戸内海のあの地点につくるということで、各方面からの慎重な審議をした上決定いたした次第でございます。
○倉本説明員 原子力委員会といたしましては、電調審の報告が出まして、それに基づきまして原子炉設置に関する安全審査の申請が出てまいりました段階で、それについての安全性を審査いたしておるわけでございます。
○湯山委員 いまのように審議会でやったとか検討したとかいう御答弁では、大局から見て瀬戸内海につくることの可否というようなことについての検討は十分なされていないと思います。しかし、原子力発電所ができたら、いまあんなによごれておる瀬戸内海が一そうよごれてくるということは当然考えられることだと思いますけれども、委員会が農林水産委員会ですから、水産の立場から見てどうお考えになりますか。これはすでに東海区ですか、何か調査したもの、研究したものがあると思います。
○荒勝政府委員 一般的に原子力発電所が建設されて稼働いたしますと、温排水によって排水口周辺地域やあるいはその関係の生物圏が局地的に変化するということは十分に考えられまして、特にノリは温度の高い場合には影響を受けやすいという意見が出ておりまして、冬の時期に漁場の水温が摂氏十度以上になると特に病害が発生しやすいというふうに一般的にいわれておるわけでございます。
 四国の今回の原子力発電所につきましては、発電所側で十分な一応の補償がされまして地元の漁民との間には一応契約が締約されて着工した次第でございますが、今後この原子力発電所の規模が増大するに従いまして、先ほど申し上げましたように、温排水の影響がさらに拡大する可能性もありますので、今後この漁業の生産力の立場からなお一そう、水産庁といたしましては検討いたしたいということとともに、水質汚濁防止法なり所要の規制について関係方面と協議してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。特に水産庁といたしまして、こういった原子力発電所の環境への悪影響を今後防止するといいますか、一そう安全にするために、監視体制といいますか、監督を十分に実行していきたいというふうに考えておる次第でございます。
○湯山委員 この原子力発電所の瀬戸内海岸への設置によって瀬戸内海がより一そう汚染されるということを、科学技術庁、通産省、環境庁――科学技術庁は別にしましょう。通産省、環境庁はお考えになっていますか、お考えになっていませんか。
○和田説明員 原子力発電所ができますと、確かに温排水が出ます。温排水の影響をできるだけ軽減するために、先生御指摘のような伊方の場合におきましては、百メートル沖、深さ十五メートルぐらいのところからいわゆる深層取水をいたしまして、できるだけ冷たい水を取りまして、温度上昇後も比較的温度変化が少ない方法をとっておりますので、われわれの試算によりますと、水温に対して摂氏二度上昇する範囲が、面積にいたしまして約〇・二平方キロ、そういう小範囲で済む計算になっておりまして、さっき水産庁からお答えいただきましたように、地元の漁業組合等とも円満に補償の話し合いが済んでいるわけでございます。全然影響ないとは申せませんが、そんなに大きな影響はない、こういうふうに考えております。
○太田説明員 原子力発電から出ます温排水につきましては、工場並びに家庭下水から出ますいわゆる汚濁物質とは性質が違ってまいりまして、温度の問題になるわけでございます。温度の問題、確かに水産物に影響はございますが、環境庁といたしましては、温排水の基準をつくるべく現在いろいろな調査検討を進めておる段階でございます。それができました暁はそれを守っていただく、そういったことをやることによって、汚染の範囲と申しますか、影響範囲を少なくするということになる予定でございます。
○湯山委員 環境庁ではいま研究中、それから通産省は、だいじょうぶだ、これははなはだ不統一なんです。温排水がいまおっしゃったように狭い範囲でその程度でいくという保証はありませんし、量も相当多いです。しかも二度上がれば、瀬戸内海で一番こわいのは赤潮です。赤潮は一月からでも発生しておるという状態ですが、それについてはあなた方ほとんど研究していない。そんなに簡単じゃありません。
 それから、地元漁協とも円満に話し合いがついているということですが、これを決定する漁協大会がどんなにむずかしかったか御存じないのですか。それからまた、お隣の漁協では、これに反対した者は組合員を除名するというような事件が起こったこと、これも御存じないのでしょう。円満に話し合いがついたということですが、どうですか、知っていますか。
○和田説明員 先生のおっしゃいますような漁業組合員の間のトラブル等については、詳細は存じておりません。
○湯山委員 そこで、私がもう一つお聞きしたいのは、放射能は全然無視していいですか。
○倉本説明員 原子力委員会におきましては、この温排水を含めまして放射能の一般住民に対する影響、生物に与える影響等につきましては、十分その安全性について検討をいたしておるわけでございまして、この温排水の中には、いわゆる冷却水というものが出ますが、発電所の中におきます若干放射性物質が入った排水というものを十分処理をいたしました後に、温排水というもので許容濃度以下に十分薄めてこれを排出いたしておるわけでございます。それの一般の魚介類、それから人間に対しての影響というのはほとんどないというぐあいに判断いたしております。
○湯山委員 薄めたら影響ないというのですけれども、そう簡単にできますかね。
 私は、今度、農林省にお尋ねします。これは水産庁長官の担当じゃないかもしれませんけれども、農林省自体放射能を使っていろいろ品種改良をやっております。御存じですか。
○荒勝政府委員 内局におりましたときに、農政局長をしておりました時分に、そういったことの研究テーマがあるということを存じております。
○湯山委員 いろいろ使いまして、稲では新品種も四つばかり出ておりますし、そのほか、わせ、短稈、こういった新しいものを出しています。それ以外に、やはり放射能を使ってたばこの改良をしています。それから、ヒマワリ、菊カーネーション、これらの花の色、花の形、そういうものを人為的な突然変異を起こさせて改良しています。さらに、桑、チューリップ、そういうものもやっています。しかし、日本のは戦後やったので非常に不十分である。特にスウェーデンとかアメリカ、そういうところではずいぶん進んでいます。結局これは、そんなにきついものじゃなくても、時間をかけるとか、あるいはそのやり方によって明らかに染色体に影響を及ぼすということは明らかです。いま簡単に、薄めるからだいじょうぶだとかいうようなことで済まされる問題かどうか、これは別な意味で非常に重要な問題だと思いますので、そういう点も指摘しておきたいと思います。
 そこで、なお私は、ついでですから、もう少し認識していただきたいのは、科学技術庁長官がお見えいただくと非常にいいのですけれども、実は原子力基本法、あれは議員立法です。中曽根さんが長官でないときにあの基本法を提案されて説明に来られて、私もその審議に加わりました。そのときに問題になりましたことは、燃料は公社で扱う、それから使用済みのものも公社で扱う、ただその中間を営利企業である会社にやらすということになれば、その規制ができないじゃないかということをずいぶん申しました。ところが、そのときの御答弁は、それははっきりと平和利用に限ることと、あと、民主、自主、公開の三原則をしっかり守っていく、守らせる、このことによってそのような問題は、前とうしろを規制して、中をそうやっても心配のないようにやっていくのだという答弁がありました。さらにそのときに、それはウラニウムだけでは当然限度がくる、そこでこれは融合反応のエネルギーを使うというところに進まなければほんとうのエネルギー対策にはならない、原子力発電にはならない、直ちにその研究に着手すべきだというようなことも指摘いたしました。
 しかし、この進め方というものは、そのよごれている瀬戸内海を、いまの潮流のこととか、いろいろおっしゃいますけれども、あの伊方の瀬戸内海側のすぐそばは、三机湾というのがありまして、これはハワイの真珠湾攻撃をした特攻隊を訓練した深い入り江です。真珠湾によく似ているといわれている。だから、流れというものは、まっすぐ流れるのではなくて、入り江に入れば逆流しますから、当然滞留することはもう御承知のとおりです。温排水がそこへ行く、放射能を持ったものもそこへ行くということになれば、これは一そうあぶないことになります。
 それだけじゃなくて、やり方です。
 実は先般地元の代表者たちが、これについて許可がおりたことに対して、行政不服審査法に基づく異議の申し立てをしておりました。この異議の申し立ては去る五月の三十一日に却下されましたが、この聞き取りの場合に、科学技術庁では、通産省ですでに工事の認可をしておったことを知らないで、そしていろいろ話があった。それだけじゃなくて、当事者の四国電力は、すでに工事の認可が四月の十六日に出ておったのに、五月の十八日になお、そんな認可は出ていないということを発表して、ついに新聞記者諸君が腹を立てて抗議を申し込んで、四国電力はこれに陳謝をしたということが報ぜられておりますし、それは事実です。一体民主、自主、公開の原則に立つ、こういうことをいまのようなやり方でやっていいのかどうか。これは科学技術庁と通産省に関係があると思いますので、そのやり方についてどうお考えになるか、これは中曽根さんが、民主、自主、公開の三原則を守っていくのだからだいじょうぶですと言った、そのことと合っておるかどうか、これについて科学技術庁、通産省、御両者から答弁をいただきたいと思います。
○倉本説明員 原子力発電所の設置許可にあたりましては、内閣総理大臣にあてて設置者から安全審査の設置許可に関する申請が出てまいりまして、本件につきましては、設置許可の申請が出てまいりました段階で、これを総理大臣から原子力委員会にその安全性について審査をするようにという諮問が出されるわけでございますが、これと並行いたしまして通産大臣のほうに、こういう設置許可の申請が出たということを連絡をいたしております。それから、この安全審査が終わりました段階におきまして、この設置許可をすることに関連いたしまして、これは通産大臣の同意を得た上でこれを許可するということに相なっておりますので、原子力委員会のほうの安全に関する答申が出ました段階で、通産大臣のほうにこれを協議をいたしております。それに基づきまして、通産省のほうから同意が得られた段階で設置の許可をいたしておるわけでございます。通産省のほうは、内閣総理大臣の設置許可が出ました段階で、あとは電気事業法による認可手続が進められておるわけでございます。
 なお、先ほど伊方の件につきましてその工事認可の問題についてお話がございましたが、本件につきましては、その異議申し立てが出まして、この異議に関する冒頭陳述を私どものほうでしました時期にその旨の質問が出まして、これについては、その時点で、通産省のほうから、この工事認可については検討を進めておるけれども、近く認可することになるであろうという旨の連絡を受けております。
○湯山委員 では、いまのので言えば、科学技術庁が確かめた場合には通産省は間違ったことを言ったわけですね。もう四月の十六日は認可は出ておったのですね。にもかかわらず、いま、そのうちに出るだろうということであったということであれば、事実とは違いますよね。
○倉本説明員 四月の二十二日にその口頭陳述がございまして、その時点で、その異議申し立ての方々から、この工事認可はどうなっておるんだという質問がございまして、その時点で通産省のほうに確かめたわけでございます。
○湯山委員 では違っているんですね。
 では、通産省願います。何日に出したか。
○和田説明員 いま科学技術庁から御説明がありましたように、原子炉規制法並びに電気事業法両法に基づきまして許可の申請が出てまいりまして、それを許可したのが昨年の十一月の二十九日でございます。その後引き続きまして、電気事業法の四十一条に基づきまして、いわゆるあの工事計画の認可申請が出ております。
 この工事計画の内容と申しますのは……(湯山委員「内容はいいです」と呼ぶ)はい。
 この認可要件といたしましては、許可を受けているものに従っていること、それから技術基準に適合しないものでないこと、ざっくばらんに言って、技術基準に合っていること、大体そういうことでございます。それから電気の円滑な供給を確保するのに技術上適切なものであること、この三要件を満たしていれば認可をしなければいけない、こういう法律の明文がございまして、われわれのほうといたしましては、一月の八日にその申請を受けまして、鋭意審査をいたしまして、それで、先生がおっしゃいますように四月の十六日に第一回の工事計画の認可をおろしました。
○湯山委員 ですから、科学技術庁のほうで、倉本さんですね、あなた、いま、二十二日ですかに聞いたら、まだ出してないということであったというのだから、これは通産省は間違ったということでしょう。十六日に出ておるのですから。
○倉本説明員 ただいま私が申し上げました、若干その時間のあれは私の勘違いがあったと思いますが、四月の二日に口頭陳述が第一回がありました。その時点においては、通産省のほうに確かめましたところ、通産省のほうからは近く認可になるであろうという旨の連絡がございまして、その後私どものほうでは、その工事認可になったという旨の連絡は聞いておりませんで、五月の二十二日の陳述の際にそういう話がございまして、そこで通産のほうへ確かめましたところ、十六日に認可になっておったということが判明したわけでございます。
○湯山委員 間違っていたんでしょう、いまのは。
○倉本説明員 先ほどの私のは間違っておりました。
○湯山委員 これだけ大事なことを担当してやっておる通産省と科学技術庁でああいう状態です。これは農林大臣、すみませんけれども、この人たちに言ってもなかなかむずかしいので、お聞きになっておって、おっしゃってくださいませんか。とにかく認可の問題がああいう状態で連絡がとれていないというようなこと。それから、いまの四国電力会社が、出てないと言って、ついにおわびをしたというこの会社の指導、これはどういうふうにしていますか。それでいいんですか。
○和田説明員 四国電力で五月の十八日に、記者の方から聞かれて、あたかも工事計画の認可がおりていないというような表現をしたそうでございますが、この点を調べましたら、まあ電力のほうとしては、工事計画の認可がおりて、御承知のようにそれの写しをつけまして県のほうに建築確認の申請をいたす、その建築確認の申請がおりないと実際上の工事ができない、そういう意味で、何か現場で誤解してそういうことを申した、そういうことがわかりまして、先生おっしゃるように、新聞記者の方々に対しても陳謝したそうでございますし、われわれのほうとしても、そういう行き違いのないように厳重に四国電力の責任者に注意をしたところでございます。
○湯山委員 それから同じく安全性の問題です。この安全性の審査の内容その他完全に公開されておりますか。
○倉本説明員 安全審査の問題につきましての公開に関する御質問でございますが、この問題につきましては、昨年来いろいろ学界のほうでも御審議ございまして、私どものほうとしては、去る五月の一日に資料公開室というものを原子力局の中につくりまして、安全審査関係の申請書並びに添付書類等を一般に公開をしております。また、その安全審査の結果の報告書等につきましては、これは従来とも委員会月報等において一般に広く公開をしておったところでございます。
○湯山委員 いまおっしゃったのはそちらから出す分だけで、内容の知りたいこと、その問題がどういうふうにどうなったというこまかい細部に至るまで、つまり、あなた方が発表になられた以外のことでも公開されますか。
○倉本説明員 この安全審査関係の問題につきましては、その申請書の関係、またその審査の過程等におきまして、現在、いまわが国において建設されております発電炉は、米国の会社との技術援助契約に基づいて建設を行なっておるわけでございますが、この技術援助契約の関係で、先方のメーカーとの間でいわゆる企業機密と申しますか、その関係のものが多分にいま含まれておりますので、その関係のものについては、そのこまかい内容についてこれを公開するということについては難点があろうかと思いますけれども、その他の点につきましては、必要に応じその資料については御説明申し上げているような形でやっております。
○湯山委員 御答弁よくわかりました。そのとおりだと思います。実は私はこの問題で、国会図書館の立法調査局ですか、あそこへ、少し安全審査の資料をとってもらえぬかといって頼んだところが、もらえない、だから私から直接言ってくれぬかというようなことでした。だから、おっしゃったように、これは公表されないものがあるということはよくわかりましたし、いまの御答弁で、アメリカの会社との関係で公開できない部分もある、それはそうだと思います。ただ、そうなると、問題は非常に重要な問題があるのであって、公開の原則はいまのような点で制限を受けている。それから三原則の中の自主の原則、これも自主じゃなくて、アメリカから、会社からそれを輸入してくる提携の関係で、そういうふうに公開の原則が制限されるということになれば、完全に自主じゃありません。民主、自主、公開の三原則の中で二つの原則は制限を受けている。民主の原則に至っても、いまのようになかなかほんとうのことを言わないし、公聴会をやってくれと、ここはずいぶん要求がありましたけれども、それもやってもらえない。こうなってくると、私自身は当時そういう説明を了解しまして、あの基本法には賛成したのです。けれども、いまそういうトラブルが起こっている、問題が起こっていることの実態を見ますと、これはやはり正しく三原則が守られていないということになるので、このことについては、いまのような点を含めて、私は科学技術庁長官並びに当時の約束した通産大臣にぜひこのことをただしたいと思います。そのことをひとつぜひお伝えを願いたい。このことは保留したいと思いますから、委員長、ひとつ御了解を願いたいと思います。
 そこで、農林大臣に、この問題については一応最後になりますけれども、いまのような状況にある瀬戸内海に、しかも赤潮の発生の心配のある温度の上昇、温排水の排出、それから放射能の排出、そういうことを見てまいりますと、たとえそのことが小さくても、あるいは工事によっての海水のよごれもあると思います。これもまた同じように海藻類の同化作用を妨げます。いろいろ考えてみると、細い半島の裏側と表側なので、また外側なら別な考え方ができると思いますけれども、とにかく瀬戸内海のこの狭い内側へこれをつくるということは、決して適切ではないというように思います。大臣は日本海のほうをよく御存じですが、ああいうところじゃなくて、瀬戸内海のこの狭い、これだけ汚染しておるところへなおそれをつくるということには、まだまだ多大の疑義がある。やり方にも、民主、自主、公開の三原則に照らして問題があるということですから、ひとつ大臣もお含みの上で、これらについて御善処をお願いいたしたいと思います。
 ただ魚類の資源だけからいいましても、いま香川県境あたりのイワシは、これはカタクチですけれども、ハマチのえさにならないのです。栄養過剰になって、脂肪分が多くて、ハマチに食べさすと、肝臓障害になりますから、えさにも使えない。それから瀬戸内海は、できたのは新しいのですけれども、それでもあの長い間には瀬戸内海独自の海藻類の特産のものもできておりました。これらもおそらく死滅するでしょうし、何千万年も生き続けてきた岡山それから燧灘にいたカブトガニ、これももうほとんど絶滅に瀕しています。そういう状態ですから、ほんとうに瀬戸内海をもとに返すという観点に立てば――これはエネルギーの観点からはつくってはいけないというのじゃありません、そのつくることは私はいまどうこう申しませんけれども、とにかくあそこへ、瀬戸内海の側へつくるということについては再検討の必要があると思います。これらについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
○櫻内国務大臣 湯山委員の詳細な御調査に立っての御所見はよく承りました。ただ、私は、たいへん専門的な範囲に入っての御質問であり、また答弁もされておるのでございまして、ただいま承っておる範囲でにわかに結論的なことを申すのはかえって失礼かと思います。ただ、湯山委員の言われました問題点については、私もよくわかったような気がするのであります。そういう問題がある、こういうことについて、その問題の内容については、なお私として判断の十分な能力を持っておりませんけれども、御指摘の問題点があるということについては理解をしたものでございます。したがいまして、少なくとも国会の委員会を通じてそういうような御指摘でございまするから、すみやかにその御疑問点あるいは問題点は解明される必要があるのではないかと、このように承っておった次第でございます。
○湯山委員 それじゃ、他の省の皆さん、御苦労さまでございました。
 では、引き続いて漁船損害補償法の一部を改正する法律案、これを中心にお尋ねいたしたいと思います。
 この保険で、私は幾つか、方々聞いて回ったんですが、これは直接船を持っておる人に聞きました。一番なまのほうから申しますと、高知県で聞いたのは、保険契約の金額の二割を増したものへ保険料率をかけて保険料を納めておるから、なかなか高くて困るということを言っておりましたが、そういう操作が実際にあるんですか。
○荒勝政府委員 いわゆる保険料率で一応納めてもらうことになっておりますけれども、金融機関あたりが、保険料に見合って、さらに多少上積みしているというふうに聞いている次第でございます。
○湯山委員 保険会社、つまり民間の損保じゃなくて、この制度の保険、この法律による保険ですね、それでそんな操作をやっておる例はありませんか。これは、私も詳しいことを聞けなかったのですけれども、とにかく六トンの機械船です。幾つも並んでいました。そこで、どうですか、だいぶん安くなったでしょうということを言ったら、いや、いや、安くなったんじゃない、二割ふやしたものでかけてくるから高くて困るんですよということを言っておったので、その人に聞いたがよくわからないんです。そこで、ついおとといのことですから、それで、さっそくこれをお聞きしてみようと思いまして質問しておるわけです。
○荒勝政府委員 御存じのように、この漁船保険が強制加入ではございませんで、一応任意加入ということでこの漁船保険特別会計並びにこの法の施行を行なっておりますが、他方民間の保険会社もいわゆる事業としてやはり保険業務を実行されておりまして、多少競合いたしております。その競合の過程で、あるいは民間のほうでそういうことがあるかもわかりませんし、また場合によっては、およそないと思いますけれども、私のほうの指揮下にある、法律の指導下にある単位組合で、民間の慣行をそのままかりに何らかの形で留保しているというようなことがありますれば、私のほうといたしましても厳重に注意をいたしたいと思っております。
○湯山委員 当然そうしていただきたいと思います。
 そこで、いま民間の保険会社のことが出ましたが、百トンから千トンまでの船、これはいろいろなようです。いまおっしゃったように、民間に入っているのもあれば、民間と制度保険と両方に入っているのもある、制度保険に入っているのもある。聞いてみますと、こう言うのです。民間のほうがサービスがいいと言うんですが、どっちが得なんですか、長官、お考えになって。
○荒勝政府委員 百トン未満のことにつきましては、御指摘のように、国庫負担金がついておりますので当然いいんでございますが、百トン以上になりますと、民間の方は民間の方なりに、いろいろ政府制度にはない特色もありまして、多少勧誘はよくされるようでございますが、どちらが一がいにいいかということになりますと、私のほうといたしましては、多少自画自賛といいますか、料率としては私のほうが民間よりもいい。ただ、料率以外の、あるいは民間のほうには別の、あるいは小回りのきくサービスがあるんではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
○湯山委員 長官、実はこういうことらしいのですよ。この制度の保険料率に大体民間が合わしている。制度保険に右へならえしている。だから、そう違わないのです。ただ、何か危険率がどうとかということを言っていましたが、よくわかりません。大体掛け金でならっていっておるから、そう損得ないわけです、百トンから千トンまでは。それでいまのようにサービスが民間のほうがいいというようなことを言うんだろうと思いますが、もしそうだとすれば、私はせっかくの制度でやっておる保険が高過ぎるんじゃないか、営利でやっておる民間がそれに右へならえでやっていけるというのは。それは保険理論、保険設計からいけば、どちらも同じだと言えば言えないこともないけれども、いろんな国の支出もあるしすることを考えますと、民間よりも百トンから千トンまでの間においても幾らか安くてもいいのじゃないかという気がしますが、とにかく民間がならってもやっていけるようなことでは、これは少し高いのじゃないかというように思いますが、いかがですか。
○荒勝政府委員 百トン以上のものにつきましては、この漁船保険関係者といたしましては、あくまで今後合理化と努力を続けて民間側に決して負けることのないように、漁民に対して十分にサービスをするよう努力いたしたいと思いますが、ただいまの御指摘のような点につきましては、私といたしましても今後十分留意して、さらに漁民に対して努力するようにいたしたいと思いますが、この私たちのデータでは、やはり漁船の数もふえておりますけれども、民間と競合しながらも多少保険の加入隻数というものがふえてきておりますので、そんなに民間に対しまして悪いとは思いませんけれども、なお努力しなければならぬ面はあると思います。
○湯山委員 悪いとは決して申しておるんじゃないのですよ。しかし、とにかく民間の営利会社と同じというのじゃ制度が泣くんじゃないか、百トンから千トンまでにしましても。ということで、それが何とかならないかということです。
 そこで、いろいろなことが出てきたのですが、この組合員の掛け金には本来の掛け金と、それから付加保険料と二通りある。つまり保険理論から、これだけの保険金を出すためにはこれだけの掛け金が必要だという純保険料と、それから付加保険料というのがありまして、これは組合員はごっちゃにして一緒に総保険料という形で納めておりますから、その付加保険料が幾らで純保険料が幾らというのはわかっていないようです。
 問題は、先ほど井上委員にもお答えになっておりましたが、純保険料のほうは、これはだんだん事故率も少なくなって引き下げになっている。どんどん引き下げになって、それは私はさっき長官が御答弁になったとおりだということは率直に了解できまして、非常にいいことだと思うのです。ところが、問題は、付加保険料です。付加保険料というのは何に使われているかというと、事務費です。平たく言えば事務費。その事務費をやはり組合員から徴収している。しかもその付加保険料というのは正規の、正規のという言い方はどうなんですか、純保険料にある一定の割合をかけたものが付加保険料になるということになっています。そこで純保険料が下がれば、――いま長官おっしゃったように、保険財政が健全になってくるに従って純保険料は下がってきました。そうすると、それにつれて付加保険料も下がるわけです。これは率でリンクしていますね。そこで、それじゃ事務がやっていけないというので、純保険料が下がったのに対応するために、今度、付加保険料のほうは定款できめられるものですから、このほうが上がっていっておるのです。ひどいのは純保険料の五〇%を付加保険料で取って、それで事務費にしているというような例がある。これはたいへんなことです。これがこんなに上がっていったのでは、せっかく純保険料を下げても一向役に立たないし、先ほど長官が、こうやって下げるように努力しておると井上委員におっしゃったけれども、もう一方で定款でどんどん付加保険料を上げていっておるのですから、結局は組合員にとってみれば、区別がつかない総保険料で取られる、その上いまのように二割もかぶせられたら下がりっこないわけです。そこで高いな高いなと言うのは無理ないと思うのです。この付加保険料というのはどうしてこんなに取らぬといかぬのでしょうか。
○荒勝政府委員 やはり組合の経営を健全にしていかなければならないということも、私たちも漁船の所有者といいますか、漁業者の方に対してはサービスを大いにしなければなりませんが、その反面、また組合自身の経営の健全化も必要でございまして、このためには極力漁船の保険の加入者の促進を大いに進める、あるいは事務の合理化等のみではまた限界もございますので、小さなものにつきましては、従来からさらに漁船保険組合事務費の格差是正という形で交付金を出しまして、組合内部におきます内部間の均衡あるようにこういった交付金を支出してきております。なお根本的には、今後合併を可能な限り促進して、こういった経営が組合によって格差が出るようなことのないように指導してまいりたい、こういうように考えております。
○湯山委員 ちょっと私が質問したことと御答弁とが食い違っておるのです。事務費というのは――いいですか、ちょっとむずかしいことを聞きますから。事務費というのは、法律によれば、一般会計から補助するというたてまえになっています。法律は「できる」となっていますけれども、事務費は予算の範囲内で国が補助することができるという表現は、通常、保険の場合は、するということと同じで、そういう条文によって他の保険の事務費はほとんどみな一般会計から出ている。この保険だって、聞いてみますと、初めは一般会計から事務費の補助は出ておりました。それを本来法律にあるたてまえをかってにやめて――何かまだもう少し申さなければならないことがあるようですけれども、今度はその肩がわりを付加保険料という形で組合員から取っている。それで、経営がよくなって純保険料が下がってくる、下がったんじゃ組合運営ができないというので、その事務費を付加保険料で取って、その付加保険料が純保険料の半分をこえているというところが二つくらいあるんじゃないですか。その他でも少なくとも三〇%以上。こんな保険設計というのは私は聞いたことがない。この保険はずいぶん健全にいっているんだなと思ったのですけれども、これはおかしいという感じを持っております。こんな付加保険料なんてやめて、一般会計から事務費を補助して、もとのとおり、発足当時の法律の解釈どおり正しい運営をなぜやらないのですか。
○荒勝政府委員 従来一般会計から漁船保険組合の事務費の補助金を支出しておりましたが、最近は特別会計から支出をするように切りかえたわけでございます。昭和四十年にこういった補助金等の整理統合が行なわれましたので、その際、特別会計の普通保険勘定に従来から計上されていました検診技術員設置費補助金及び事故防止奨励金との統合が行なわれ、漁船保険振興事業費補助金として従来と同様の規模で同勘定に計上することとなり、現在いわゆる特別会計から支出するというかっこうになってきておりまして、一般会計から支出するのと同様な形で実質的には特別会計が負担しておりますけれども、組合には事務費の補助金を出しておる次第でございます。
○湯山委員 それは違うのです。法律がかわったんじゃないんでしょう。法律がかわってないのにかってに操作を変えたというだけでしょう。しかも特別会計はそういう性質のものではないはずです。
○荒勝政府委員 検診技術員設置費補助金、これは昭和三十五年度から計上しておりますし、また事故防止奨励金は昭和三十七年度から計上しておりますが、従来から漁船再保険及び漁業共済保険特別会計法第三条に規定する「其ノ他ノ諸費」に該当するものとしてこの特別会計の歳出に計上されているものでございます。これは補助金等の整理ということで昭和四十年と思いますが、零細補助金の整理統合の際特別会計のほうに切りかえたときに、この特別会計法の第三条に規定するところによりということで、こういう根拠で支出する、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○湯山委員 法律がかわったんなら、それは私も疑問は持ちません。が、法律はそのまま生きておるんです。国は「予算の範囲内において」、こうちゃんと法律にあるわけですから。それをかってに変えたということなんで、それもいまの付加保険料なんか取ってなければ、私、言いません。しかし、申し上げたように、たとえば広島なんか五三%です。それから京都でも五一%という資料があります。そうすると、本体の純保険料の半分も事務費を持つという状態にして、それを組合が負担している。これは間違いだ。それなら特別会計でお持ちになるものをもっと完全に持って――こんなに五〇%も四〇%も持ちようがない、事務費も若干は持ってもらわなきゃならぬというので、一〇%とか一五%というならそれはわかります。けれども、とにかく自分たちの事務をやっていくために、これじゃかなわぬからというので――調べてみますと、あるところでは五〇%、四〇%、三〇%とまちまちです。これは定款できめられるからそうなっておるので、だから、法律はかわっていないのに、いまのような補助金等の整理でかってに変えた。そのことがこういう弊害を生んで、それが非常に大きな負担になっておるということですから、これは当然もとの姿に返して、一般会計から補助を出すか、ちゃんと法律に書いてあるしするんですから、一般会計から事務費を補助するか、特別会計から出すんなら、こんなでたらめにならないように、一定の限度以下、たとえば二〇%以下というようなことにしないと、この保険は根本から設計をし直さないと妙なことになる。
 というのは、またあとでも言いますけれども、今度の三十五億の交付金、これもおかしいのですよ。交付した中からまた今度事務費を出すんでしょう、これによりますと。それがわからない。これはやっぱりきれいに法律どおりにするか整理をしなかったら、黒字がたくさん出てまことによさそうに見えるけれども、この中身というのは、私、大混乱しているように思います。だから、この法律は簡単に通してもいいと思っていたんですけれども、これは容易じゃないぞという感じがいましています。どうなさいますか、これ。
○荒勝政府委員 一般会計から事務費補助金を出しておったのでございますが、先ほど申し上げましたように、特別会計法第三条を適用いたしまして、特別会計から交付するということに切りかえまして、私たちといたしましては不当な措置ではなかったというふうに思っております。
 ただ、そこで問題は、一般会計から特別会計に切りかえて支出行為を起こしているわけでございますが、そういう支出の事務費の補助金としての補助額は、一般会計時代に比べまして下回っているということはございませんで、ほぼ同額のものを支出してきておりまして、これによって著しく組合の経営に不当な影響を及ぼしたとは実は思っていないのでございます。
 しかし、ただいま御指摘のように、事務費の問題で組合が非常に困難な段階にあるということについては、私どもといたしましても調査いたしまして、そういう段階がわかりますれば、今後そういう特別会計からの補助金の支出については、組合の経営が健全になるようにさらに努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
 なお、三十五億円といいますか中央会からの…
○湯山委員 その問題はまたあとで聞きます。特別会計になっても一般会計と変わらない額を出しておるということでした。しかし、このインフレで人件費がこれだけ上がっていっておるというときに、同額でやっていけと言ったってやっていけないことは、だれが考えてもわかります。それを埋めていかなければならぬから、いまの付加保険料がどんどんふえていく。だから、長官、同額じゃだめなんです。それと、いまのように組合によって付加保険料率というものがまちまち、五〇%なんというのは非常識だというのはすぐおわかりでしょう。四〇%でも多いでしょう。純保険料の掛け金の四〇%も事務費で出す、これも多いでしょう。私は三〇%でも多いと思います。だから、大体そろうようにしないと、それはたいへんです。そこからこの保険はくずれると思います。
 そこで、もうあんまりこれは反対したくもないところもあるんですから、一般会計でやるならやる、特別会計でするならするで、大体そろえる。いまのように、五〇、四〇、三〇なんていうものはなくする。少なくとも純保険料の半額以下というところへそろえるというお約束ができたら、私はこの質問は終わりたいと思います。
○荒勝政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、十分に調査いたしまして、来年の予算でその不均衡是正に努力いたしたいと思っております。
○湯山委員 じゃ、ただいまの御答弁を信用して、いまの問題は終わります。それから今度は三十五億です。この三十五億という金は一体どこから出たのですか。
○荒勝政府委員 御答弁申し上げます。
 この圏の再保険の特別会計に剰余金が今川相当な金額が出ましたので、今川三十五億円を支出することになったのであります。御存じのように、国の再保険料というものは、最近におきます過去十年間の危険率に基づきまして設定いたしておりますが、この過去十年間の危険率というものが、結果的に見て、設定後の実際危険率よりもよかったといいますか、この船の損害があまりなかったために、実際問題としまして、剰余金が約七十億円近く計上された。いま水産庁で検討いたしまして、このうち断然に漁業者に還元すべきものというふうに計算されたものが三十五億円、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○湯山委員 七十億といえば、およそ一カ年間の保険の支払い額に当たりますね。これはちょっとそこのところだけもう一ぺん。
○荒勝政府委員 大ざっぱに申し上げまして、大体その程度になると思います。
○湯山委員 それから、それの運用益、これはどれぐらい見込んでおられますか。
○荒勝政府委員 運用利率といたしましては、六分五厘前後で、運用利益としては大体五、六億円前後が最近の数字になっておるわけでございます。
○湯山委員 それの使い道はどういうことですか。
○荒勝政府委員 その運用利益のうちから、先ほど申し上げましたように、一部を事務費の補てんとして特別会計支出として支出しているわけでございます。
○湯山委員 私もまた農林年金のこともお尋ねしなければなりませんし、いろいろこういう保険関係を見るのですけれども、およそ運用益というものは、保険の計画の中に入れて計算して、余ったから要らぬ金だということにはならないで、これは当然組合に還えされるというのが通常です。だから、それを見越して掛け金率をきめるというのが通常の場合です。ですから、当然この運用益を見越して、それが七十億もたまるという状態ですから、それを掛け金の引き下げに向けるというのが常識ではないですか。
○荒勝政府委員 料率というものは、法律といたしまして、過去十年間の実績を見て料率をきめるということに法律根拠がなっておりますので、そういう運用利益自身をもちまして料率を下げるというわけには、私たちとしては立場上できないというふうに御理解願いたいと思います。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○湯山委員 できないじゃなくて、その積み立て金の運用益がこれだけあるというのは、それだけあるんだから、保険会計は収支これだけになって、こうだ、もう当然なんです。厚生年金をごらんになってもそうだし、農林年金をごらんになってもそうですし、みなそうなっています。だから、これだけは余ったからというので中央会へ渡して、これはもし保険が困ったときに返してもらえるのですか。
○荒勝政府委員 ただいまの特別会計といたしまして、最近、経済情勢の反映等で比較的健全に運用されてきておりますので、いまの段階において非常に困るというようなこともございませんでしたし、また今後も困るような事態にならないようになると思いますので、私たちとしましては、今回三十五億円の支出に踏み切った、こういうふうに御理解願いたいと思います。
○湯山委員 前には十二億ですか、これは運用益じゃありませんね。今度は運用益からやる。中央会というのはそんなに金がほしいのですか。
○荒勝政府委員 今回三十五億も累積したそういう運用益の結果でございますが、今回の支出のしかたと前の十二億円の算出のしかたといいますか、支出のための算出した方法とは、同じ方法をとっておりまして、われわれといたしましては、同一の取り扱いというふうに理解している次第でございます。
○湯山委員 前のは運用益ではないでしょう。
○荒勝政府委員 過去の資料に基づきますと、やはり同じような運用利益の結果、十二億円が算出されたというふうに記録されております。
○湯山委員 そうおっしゃればそうですけれども、前のは当然剰余金として積み立てるべきものの中からというわけで、そのワク内といえば同じことだと思います。ただ、三十五億といえば半年分ですね、さっき七十億というのが一年分ということですから。それだけのものを中央会に交付する、これが適当かどうかというのは、私はそういうことが必要ならば、毎年、いまの積み立て状況からいえば、五億円程度の運用益は出てくるのですから、一々こういうふうに今度三十五億出すのも法律でいく、この前のときも法律、つまり、平常の場合ないものをそのつど法律改正してまで違った金額を出すというようなことが適当かどうか、私は適当でないと思うのです。それだけ継続して恒常的に入ってくるものであれば、それはもうこんなに何年かためて中央会へ交付する、そのつどまた法律を改正する。そんなようなことじゃなくて、もっと保険全体の構造といいますか、設計というものを、それを配慮してつくっていくというのが正しいあり方だと思いますが、どうですか。
○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりましたとおりでありまして、私たちのほうといたしましても、不当に累積した黒字が発生したり、あるいはまた不当に不健全な経営にならないように、特別会計としましては収支均衡のとれたような形に持っていくのが本来のわれわれの姿でございます。
 ただ、実際問題といたしまして、過去十年間の平均の掛け金率というような形で計算したりいたしますと、先ほど申し上げましたように、実際の運営の結果特別会計に黒字が出てしまったという形でございまして、また出てしまった黒字を、いつまでも国自身である特別会計が取り過ぎた結果黒字になったような形で置いておくのもいかがかということで、これはやはり何らかの形で漁船保険の関係者に還元するということを政府としては行なうべきであるというふうに私は考えておる次第でございまして、ただし、その場合におきましても、一方的な都合で単に還元するのではなくて、やはり国会の御審議の場を経まして、法律で、還元いたします金額等については御検討をお願いいたしたい、こういうふうに考えております。こういうことは今後とも不当に黒字が出ないように努力いたしますが、また万が一出た場合には、やはり法律でお願いすることになるのではなかろうか、このように考えおります。
○湯山委員 積み立て金は何ぼ以上積み立ててはいかぬという規定はないはずです。それから六十五億になろうが七十億になろうが、それはかまわないのですから、そうすると、いまのようなことで余りが出てきたということであれば、それは十年たたなければ変えられないんじゃなくて、過去十年の計算をしていって、いまあれは三年ごとにやっているんじゃないですか、だから、三年たってやるときに、多少赤字になるように設計してもいいんじゃないですか。料率を置いておいて、そして赤字になるような設計をして、それで埋めていくということになれば、一番正しいと思います、純粋な理論からいえば。そういう方法もとれるんですから、それを習慣にして今度は十二億、今度は三十五億、その次にまた七十億とか、そういうことは私はしないほうがいいと思う。
 そしてしかも、その交付した中から中央会が、今度いまの付加保険料で取っておったそれの補助をするんでしょう、事務費を。これがおかしいのです。おかしいとお思いになりませんか。一般会計でやっておったものを特別会計に移して、そうしてしかもベースアップなんか無視して同額にしておるものだから、足りないで付加保険料を取って納めている。納めてやったから経営が黒字になって、余った金を預けて金利が出てきた、それを中央会へやるから、おまえのところから事務費を補助してやれ、こんなおかしいことは、これは通らぬと思うのです。おかしいとお思いにならぬでしょうか。特にいまの事務費の問題についていえば。
○荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、多少付加保険料の問題等にからみまして、いびつといいますか、全体の事務指導の流れが不均衡になって、その結果またいびつな奨励金の支出というふうなことになっていることにつきましては、私といたしましても十分に反省いたしたい、こういうように思います。したがいまして、明年度以降の予算編成に際しまして十分にそのいびつを是正するということで予算を組ましていただきたいと思っております。
○湯山委員 長官のそういう御答弁をこれも信頼します。ぜひそうしてもらいたいと思うのです。そうしてとにかく漁民の負担というものを下げてあげないと、これは六トンの機械船をたくさんつないでやっておる、保険料がどれでどれかわからない人が、とにかく高い、うちで四万か五万かこれで出すのですよと言うのですよ。その海はどういう海かといったら、さっきから申し上げたように魚がだんだんとれなくなって、そうしてお話にあったように、生かしていこうと思えば海水が中へ流れ込まないようにせんをして酸素を入れておるのです。そうしないと死ぬるからというので、そういう苦労をしておる者がそうやって高い保険料をかける。当然一般会計から埋めてもらえるはずの事務費までかけておる。そうやってかけた保険がよくなって、余った金を預けた金利というのはそっちに回して、そこからどれだけかつかんで、また今度は事務費へどれだけかもらうなんということは、これはきついことばで言えば、言語道断だと思います。ひとつぜひこれの是正方をお願いいたしたいと思います。
 それから、私が特にこれで気がつきました点はそういう点でしたが、今度その再保険の割合ですか、九〇というあれをかってに変えるようになりましたね。これはどういうわけですか。
○荒勝政府委員 その組合の中に最近におきまして非常に成績が伸びました組合とあまり伸びなかった組合があるわけでございます。伸びたほうのグループの組合からいたしますと、再保険料率をむしろ低目にしたほうが今後さらにその当該組合の健全な運営に持っていけるというふうな希望が非常に強く出てきたわけでございます。したがいまして、従来は一律九割ということの再保険で来ておりましたが、今回七割に下げまして、しかし、それによって多少あまり経営のよくない組合まで七割の適用ではまた組合自身の経営の健全な運営に支障を来たしますので、その辺の選択を、適切な表現がございませんが、いい組合のほうは七割の希望に政府といたしましては応ずることとし、またあまり成績の芳しくないほうは従来どおり九割の保険料率のほうを選択する余地を残しまして、いずれか選択に応じて政府はこれに対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○湯山委員 それでは、この選択の幅というのは七割か九割か、その二つで、その中間あるいはこれをはみ出すというケースはないのですね。
○荒勝政府委員 ただいまこの法律を御審議願います過程で私たちのほうで調べました段階におきましては、大体いまのところ七割線と九割線でございまして、それ以外のことを希望している組合はないというふうに判断している次第でございます。
○湯山委員 条件が変われば、場合によったら九五もできたり七五もできたりという余地を残しておるのですか。それはありませんか。
○荒勝政府委員 一つの理屈でございますが、場合によりましては、条件いかんによっては七割と九割の範囲内でまあ変動といいますか、多少動きがあるというふうに御理解願いたいと思います。
○湯山委員 そう言われると、ちょっとわからないのです。結局、一番低いのが幾らで、最高幾らということを考えておられるか。さっきのように七割、九割ならよくわかりまして、そうですがと言えるのですけれども、今度もう一つ聞くと、いまのようなお話で、それじゃ一体どうなのかということがわからないのです。
○荒勝政府委員 政令で規定するという段階におきましては、私たちといたしましては、七割以上、九割以内という形できめようかというふうに考えておる次第でございます。
○湯山委員 まあ、そういうふうにおきめになるなら異議はございません。やはり政令できちっとそれはおきめになりますね。もう一度念のために。
○荒勝政府委員 この法律が成立いたしました暁には、そういうふうに七割と九割の範囲内というふうにきめたいと思っております。
○湯山委員 また最初に戻って恐縮ですけれども、百トンから千トンまでのものについては、民間に入っておるよりはいいということを実際に示す何か具体的の措置はお考えになっておられますか、あるいは検討されますか。その辺いかがですか。
○荒勝政府委員 この漁船保険法の本来国の仕事でございますので、百トン以上のものにつきまして特別の恩典を付与するというわけには、いまのところ考えていない次第でございます。
○湯山委員 だんだん遠洋へ出ていくということになっていきまして、漁港法の場合もそういうことを配慮して漁港の指定ということがなされたし、計画も従来にない大きい計画が出たわけです。そうすれば、百トン以下でなければならぬというような、一体そういう考えでいいのかどうか。この辺どうでしょうか。私は、そんなに遠慮しないで、やはりもっと制度保険が適用できるようにすることがあっていいのじゃないかと思うのですが、どうですか、長官。
○荒勝政府委員 この法案審議の過程におきまして、私たちとしましては、従来どおり百トンの線で今後の運営に当たっていきたい、こういうように思っておりますが、ただいまの御指摘のように、逐次漁船も大型化してきておりますので、いずれまた近いうちにそういった問題について何らかの形で検討せざるを得ないというふうにも考えておりますけれども、現在の時点では、まだそこまで検討の余地が至っていないということについて御了承願いたいと思います。
○湯山委員 長官はとにかく非常に手がたく言っておられるのですが、大臣、これはもっと、これだけ四面海を持っておって、大事な漁業ですから、ひとつそういう方向で検討するということ、いかがですか。
○櫻内国務大臣 これはただいま長官からも申し上げましたように、現実に使用の船のトン数も大きくなっていくというような、そういう情勢の変化というものが当然考えられるのでありまするから、今後におきましては御意見を尊重して考えていくべきではないかと思います。
○湯山委員 では、まだこまかいところがありますけれども、大筋は長官の御答弁と大臣の御答弁で了解することにいたしまして、最後に、私は水産業全般についてひとつぜひ申し上げたいことがあります。
  〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
 瀬戸内海汚染の問題はいまいろいろ申し上げました。しかし、関連してさっきも御指摘がありましたが、今度のPCB汚染の発表、これは私は評価する面もありますけれども、やはり農林省といいますか、水産庁の発表としてはいただけない点もあるというのは、どこがどう汚染しているということの発表であるし、それについて厚生省は妊産婦とかあるいはそれをたくさん食べる人は食べないほうがいいというようなことで、調査されたことはいいことですけれども、ただあれだけの発表では、国民の魚を食べることに対する不安を増大するということでとまっていると思います。もしほんとうに発表されるのであれば、そのときには、これこれはこういう措置をした、ちょうどビキニの放射能マグロのときは市場でガイガー計数器を当てて全部のけたから、それから出てきているものはだいたいじょうぶですという指示があって、安心して食べたものです。今度はそれがないものですからみんな心配して、きのうですか、松山で食べたのに、この魚、瀬戸内海のじゃないだろうな、こういう調子です。発表があるときには、水産庁は、政府は、学者じゃないのですから、それについてはこういう対策をしたから、出ておる魚は食べていいという点までやらないと、いまのような下安を増すばかりで、そうなってくると、それは漁業者もその影響を受けます。食べるほうもそうなんです。
 しゃくにさわるということばがありますが、しゃくというのは胃けいれんのことで、何だか不愉快になると胃けいれんを起こすというのが、しゃくにさわるということばだそうです。パブロフの条件反射で見ましても、犬の胃液を出しておるのが、前へネコを連れていくと胃液がぱっととまります。
 とにかく、せっかく魚を食べるときに、心配しながらびくびくして食べたのではちっとも栄養にならない。それが人間の精神と生理との結びつきで、だから、安心して食べるように対策を立てて発表するというのが政治のあり方だと思います。ただ残念ながら、いまそうなっていないということは遺憾ですけれども、これについてはすみやかに、これは食べてもいいのだ、とにかく店に出ている魚は、安心して食べられるということだけはまずやることが必要だと思います。それをやっていただきたい。
 それから同時に、いまの漁業者に対する補償というものをしっかりしていただく。これはひとつお願いしたい。
 それから第二点目は、赤潮の問題やそのほかを通じてですが、私は、日本の漁業に対する研究が、率直に言わせていただけば、まだまだ足りないと思います。それはどういう点かといいますと、赤潮なんか、徳川時代から、もっと前からあったものです。にもかかわらず、今日なおその赤潮対策というものが情報交換程度にとどまるというようなことは、これはいかにも情けない。およそその発生原因、種類、そういうふうなものは、簡単にもう調べがついて、発生すればこうすればいいとかいうことが、特に日本の場合はできていなければならないのが、それがまだできていないということもはなはだ残念だと思います。
 それだけじゃなくて、イワシなんかも、これだけ長い間日本人の大事な食料になっていながらそうなんです。十四、五年ごとに周期があってやってくる。そのイワシのそういうことが十分把握されていないから明治三十三年から大正三年までがとれなくて、大正四年から昭和九年までがとれて、昭和十年から二十三年までがとれなくて、二十四年から三十四年までとれて、三十五年から四十七年、昨年までとれなくて、ことしからまたとれそうだ。これだけ周期があれば、これはどういうことだという研究は当然できておってしかるべきであるにもかかわらず、それができていない。
 まだ言いたいことはたくさんありまして、日ソ交渉でももっとしっかりした資源に対する研究が日本でできておれば、あんなに農林大臣は御苦労なさらぬのじゃないかと思います。押され押されて、結局妙な妥協しかできないというのもはなはだ残念で、何か資源の調査については押されているような感じがします。これはもっとしっかりした研究が要ると思います。
 聞くところによると、ウナギがどこで卵を産むかというのはまだわからないのでしょう、日本のウナギは。ヨーロッパのはわかっています。アメリカのもわかっています。ウナギをこんなに食べる日本のウナギがどこで卵を産むかわからないなんというのはウナギ国日本の恥で、フランスから輸入してくるというようなときに、日本のウナギはどこで卵を産むか、そんなことわかりません、これも情けないです。
 それからまだ言いたいことがあるのです。ノリをあれだけ食べる日本。アマノリです。アマノリの優生世代、貝の中でやる時代がございますね。胞子をつくって貝から抜け出す。あれは一体だれが見つけたかといったら、イギリスの女の人でしょう。それができたためにあの網でやるのができて、そしてうんとノリの養殖というのは改善されて、生産も多くなりました。あれだけ長い間食べて、世界でノリを食べるのは日本人だけというようなその日本でその研究もできていない。ただとにかくとればいい、とればいいというので、そっちはうんといきました。そのために、エコノミックアニマルということばは商社の進出にもいわれておりますから、いまはそうでないかもしれませんが、数年前の日本漁業にはそういう批判もありました。
 だから、こういう研究をもっともっとやっておれば、今日の赤潮の問題そのほかいろいろな汚染の問題、それらはもっと解決のしかたもあった、対策もあった、日本人全体を魚を食べる不安におとしいれずに済んだというふうに思います。
 そこで最後ですけれども、非常に迂遠なようですけれども、今日あるいはこれからあと、国際的な領海の問題その他を含めて、日本の漁業の前途は決して明るいものばかりじゃない、むしろきびしいものがあると思います。そういうときですから、私は、もっともっと研究に力を入れて、さっきの三十五億ぐらいあれば、これは研究費に回して、そういう基礎的なしっかりした研究をもっとやらないといかぬということをいま痛感しておりますので、ぜひひとつそういう点で行政も力を入れてやっていただきたいということを最後に御要望申し上げたいと思いますが、それにつきまして長官なり大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○櫻内国務大臣 いろいろ御高見、まことにありがとうございました。
 最初に、今回のPCB汚染の発表のしかたについて十分な対応策なく発表が行なわれ、そのためにいろいろと御迷惑をかけ、いろいろと問題を起こしたということにつきましては、今後かかることのないように十分に注意をしてまいりたいと思います。
 ただ、私どもは、この調査の結果はかれこれ一カ月前にも出ておりまして、そこでこの調査については都道府県の協力を得てやっておりまするので、その精密調査の結果が出た以降に今回のような問題に対処する具体的な打ち合わせもできておるというふうな判断をした、そういう点がたいへん問題であったと思うのであります。ただ、その中には、御承知のように、原因者がはっきりしておるものにつきましては、発表後におきましても具体的な措置がとられております。しかし、原因者不明のものははずして発表をするというようなこともできず、そういう点で問題があった点を遺憾に思っておるような次第でございます。
 それからあと、赤潮やあるいはウナギの問題、ノリの問題、いろいろお取り上げをいただきました。私は湯山委員の言われておるとおりに、今後の大事な農業の上にまた漁業の上に、さらには、きょうは御提言がございませんでしたが、林業の上に――種々批判を受けた高度成長の重化学工業の実態、ここまで来るには日本人の英知というものがそこには非常に働いておると思うのであります。しかし、それは世界各国の資源を買いあさって、加工貿易をやってどんどんとドルかせぎをする、批判の対象になる。しかし、農業、林業、漁業の関係につきましては、いままでその面に与えられておった英知を向けていただく努力をしていくならば、これはどこからも批判を受けない、ほんとうに太陽と空気と土地と水を相手に無限の資源を生み得る有効な自然条件が働いていく、こういうことでありまするので、きょうの御指摘も念頭に置きまして、農業や漁業の面における技術開発というものにもつと力を入れていきたいと思います。
○湯山委員 終わります。
○佐々木委員長 次回は明十三日、水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会