第071回国会 農林水産委員会 第47号
昭和四十八年七月十九日(木曜日)
    午前十時五分開議
 出席委員
   委員長 佐々木義武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君
   理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君
   理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君
   理事 美濃 政市君 理事 津川 武一君
      金子 岩三君    吉川 久衛君
      熊谷 義雄君    小山 長規君
      島田 安夫君    正示啓次郎君
      菅波  茂君    丹羽 兵助君
     三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君
      森下 元晴君    安田 貴六君
      井上  泉君    角屋堅次郎君
      島田 琢郎君    竹内  猛君
      野坂 浩賢君    馬場  昇君
      湯山  勇君    中川利三郎君
      瀬野栄次郎君    林  孝矩君
      稲富 稜人君    神田 大作君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局取引部長 熊田淳一郎君
        農林政務次官  中尾 栄一君
        農林大臣官房長 三善 信二君
        農林省農林経済
        局長      内村 良英君
        農林省農蚕園芸
        局長      伊藤 俊三君
       農林省畜産局長 大河原太一郎君
        農林省食品流通
        局長      池田 正範君
        食糧庁長官   中野 和仁君
 委員外の出席者
        外務省アメリカ
        局北米第二課長 宇川 秀幸君
        外務省経済協力
        局政策課長   石井  亨君
        参  考  人
        (全国農業協同
        組合中央会会
        長)      宮脇 朝男君
        参  考  人
        (全国農業会議
        所専務理事)  池田  斉君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
七月十八日
 スーパーマーケットにおける牛乳の廉売禁止等
 に関する請願(鯨岡兵輔君紹介)(第九四一七号)
 同(田中榮一君紹介)(第九七七〇号)
 総合森林政策確立に関する請願(安里積千代君
 紹介)(第九四一八号)
 造林政策確立に関する請願(林大幹君紹介)(第
 九四一九号)
 同外十七件(野原正勝君紹介)(第九四二〇号)
 同(高見三郎君紹介)(第九七六四号)
 同外十二件(正示啓次郎君紹介)(第九七六五号)
 同外五件(箕輪登君紹介)(第九七六六号)
 林業振興に関する決議の具体的実施に関する請
 願外一件(楯兼次郎君紹介)(第九四二一号)
 同(井上泉君紹介)(第九七三五号)
 同(勝間田清一君紹介)(第九七三六号)
 同(北山愛郎君紹介)(第九七三七号)
 同外一件(兒玉末男君紹介)(第九七三八号)
 同(佐々木更三君紹介)(第九七三九号)
 同(柴田健治君紹介)(第九七四〇号)
 同(下平正一君紹介)(第九七四一号)
 同(多賀谷真稔君紹介)(第九七四二号)
 同(竹村幸雄君紹介)(第九七四三号)
 同(楯兼次郎君紹介)(第九七四四号)
 同(高田富之君紹介)(第九七四五号)
 同(塚田庄平君紹介)(第九七四六号)
 同(土井たか子君紹介)(第九七四七号)
 同(中澤茂一君紹介)(第九七四八号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第九七四九号)
 同外十一件(芳賀貢君紹介)(第九七五〇号)
 同(平林剛君紹介)(第九七五一号)
 同(古川喜一君紹介)(第九七五二号)
 同(松浦利尚君紹介)(第九七五三号)
 同(美濃政市君紹介)(第九七五四号)
 同(八百板正君紹介)(第九七五五号)
 同(山田耻目君紹介)(第九七五六号)
 同(山田芳治君紹介)(第九七五七号)
 同(山崎始男君紹介)(第九七五八号)
 同(山本幸一君紹介)(第九七五九号)
 同(横山利秋君紹介)(第九七六〇号)
 同(吉田法晴君紹介)(第九七六一号)
 同外一件(米内山義一郎君紹介)(第九七六二号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第九七六三号)
 同(田邊誠君紹介)(第九九五四号)
 農政の基本確立に関する請願(下平正一君紹介)
 (第九四二二号)
 同(原茂君紹介)(第九四二三号)
 昭和四十八年産米価に関する請願(下平正一君
 紹介)(第九四二四号)
 同(鈴木善幸君紹介)(第九四二五号)
 同(原茂君紹介)(第九四二六号)
 災害に対する自作農維持資金の借入限度額引上
 げ等に関する請願(下平正一君紹介)(第九四二
 七号)
 同(原茂君紹介)(第九四二八号)
 土地改良事業の夏場施行に係る休耕奨励補助金
 の継続交付に関する請願(下平正一君紹介)(第
 九四二九号)
 同(原茂君紹介)(第九四三〇号)
 圃場整備事業の通年施行に伴う生産補償制度確
 立に関する請願(鈴木善幸君紹介)(第九四三一
 号)
 食糧の自給確保等に関する請願(小林政子君紹
 介)(第九四三二号)
 中小漁業信用保証制度改善に関する請願(鈴木
 善幸君紹介)(第九四三三号)
 休耕田の復元に関する請願(鈴木善幸君紹介)
 (第九四三四号)
 農業者労働災害補償法制定に関する請願(鈴木
 善幸君紹介)(第九四三五号)
 畜産政策の確立に関する請願(鈴木善幸君紹介)
 (第九四三六号)
 土地改良事業における市町村負担の制度化に関
 する請願(鈴木善幸君紹介)(第九四三七号)
 水産物の産地流通加工センター形成事業費の増
 額等に関する請願(鈴木善幸君紹介)(第九四三
 八号)
 昭和四十八年産米の政府買入価格引上げ等に関
 する請願(安倍晋太郎君紹介)(第九四七八号)
 同外九件(阿部未喜男君紹介)(第九四七九号)
 同(赤澤正道君紹介)(第九四八〇号)
 同外七件(井原岸高君紹介)(第九四八一号)
 同(稲村利幸君紹介)(第九四八二号)
 同外二十件(大竹太郎君紹介)(第九四八三号)
 同(大西正男君紹介)(第九四八四号)
 同外一件(大村襄治君紹介)(第九四八五号)
 同(岡田哲児君紹介)(第九四八六号)
 同外三件(小沢貞孝君紹介)(第九四八七号)
 同外三件(江藤隆美君紹介)(第九四八八号)
 同(上村千一郎君紹介)(第九四八九号)
 同(勝澤芳雄君紹介)(第九四九〇号)
 同外一件(亀山孝一君紹介)(第九四九一号)
 同(木下元二君紹介)(第九四九二号)
 同外十九件(木島喜兵衞君紹介)(第九四九三号)
 同(木部佳昭君紹介)(第九四九四号)
 同外十五件(久保三郎君紹介)(第九四九五号)
 同外三件(草野一郎平君紹介)(第九四九六号)
 同外二十七件(熊谷義雄君紹介)(第九四九七号)
 同外二十五件(小島徹三君紹介)(第九四九八号)
 同外十件(小林進君紹介)(第九四九九号)
 同外三十七件(佐々木義武君紹介)(第九五〇〇
 号)
 同外十四件(佐々木良作君紹介)(第九五〇一号)
 同外九十六件(笹山茂太郎君紹介)(第九五〇二
 号)
 同外四件(佐藤文生君紹介)(第九五〇三号)
 同外七件(塩谷一夫君紹介)(第九五〇四号)
 同外二件(柴田健治君紹介)(第九五〇五号)
 同外八件(高鳥修君紹介)(第九五〇六号)
 同(竹本孫一君紹介)(第九五〇七号)
 同外三十二件(谷垣專一君紹介)(第九五〇八号)
 同外十六件(玉置一徳君紹介)(第九五〇九号)
 同(徳安實藏君紹介)(第九五一〇号)
 同外七件(土井たか子君紹介)(第九五一一号)
 同外三十一件(中澤茂一君紹介)(第九五一二号)
 同(丹羽兵助君紹介)(第九五一三号)
 同外八件(西村英一君紹介)(第九五一四号)
 同(西村直己君紹介)(第九五一五号)
 同(野原正勝君紹介)(第九五一六号)
 同外八十三件(野呂恭一君紹介)(第九五一七号)
 同(羽田孜君紹介)(第九五一八号)
 同外八件(羽田野忠文君紹介)(第九五一九号)
 同外九件(葉梨信行君紹介)(第九五二〇号)
 同外六件(長谷川四郎君紹介)(第九五二一号)
 同外一件(橋本龍太郎君紹介)(第九五二二号)
 同外十四件(橋本登美三郎君紹介)(第九五二三
 号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第九五二四号)
 同(平田藤吉君紹介)(第九五二五号)
 同外十二件(福田赳夫君紹介)(第九五二六号)
 同外二件(藤田高敏君紹介)(第九五二七号)
 同外十二件(藤波孝生君紹介)(第九五二八号)
 同(古川喜一君紹介)(第九五二九号)
 同外二十七件(松澤雄藏君紹介)(第九五三〇号)
 同(三宅正一君紹介)(第九五三一号)
 同外九件(三ツ林弥太郎君紹介)(第九五三二号)
 同(武藤山治君紹介)(第九五三三号)
 同外六件(村山喜一君紹介)(第九五三四号)
 同外五件(村山富市君紹介)(第九五三五号)
 同(山口敏夫君紹介)(第九五三六号)
 同外一件(山崎始男君紹介)(第九五三七号)
 同外一件(山田太郎君紹介)(第九五三八号)
 同(湯山勇君紹介)(第九五三九号)
 同外三十一件(吉永治市君紹介)(第九五四〇号)
 同外二十件(米内山義一郎君紹介)(第九五四一
 号)
 同外二十六件(渡辺栄一君紹介)(第九五四二号)
 同外六件(足立篤郎君紹介)(第九七九八号)
 同外七件(阿部喜元君紹介)(第九七九九号)
 同(新井彬之君紹介)(第九八〇〇号)
 同外百七十九件(有田喜一君紹介)(第九八〇一
 号)
 同(諫山博君紹介)(第九八〇二号)
 同外二件(今井勇君紹介)(第九八〇三号)
 同(伊能繁次郎君紹介)(第九八〇四号)
 同外十三件(池田禎治君紹介)(第九八〇五号)
 同外十九件(稲富稜人君紹介)(第九八〇六号)
 同外十件(宇田國榮君紹介)(第九八〇七号)
 同(内田常雄君紹介)(第九八〇八号)
 同(臼井莊一君紹介)(第九八〇九号)
 同(浦井洋君紹介)(第九八一〇号)
 同外一件(江田三郎君紹介)(第九八一一号)
 同外十四件(岡本富夫君紹介)(箒九八一二号)
 同外五件(小沢貞孝君紹介)(第九八一三号)
 同外二件(大橋敏雄君紹介)(第九八一四号)
 同外五件(小渕恵三君紹介)(第九八一五号)
 同外十六件(越智伊平君紹介)(第九八一六号)
 同(海部俊樹君紹介)(第九八一七号)
 同外二件(春日一幸君紹介)(第九八一八号)
 同外六件(梶山静六君紹介)(第九八一九号)
 同外二十五件(唐沢俊二郎君紹介)(第九八二〇
 号)
 同外十六件(金子一平君紹介)(第九八二一号)
 同(金子岩三君紹介)(第九八二二号)
 同(仮谷忠男君紹介)(第九八二三号)
 同(鴨田宗一君紹介)(第九八二四号)
 同(河上民雄君紹介)(第九八二五号)
 同(川崎寛治君紹介)(第九八二六号)
 同(神田大作君紹介)(第九八二七号)
 同(木島喜兵衞君紹介)(第九八二八号)
 同(木下元二君紹介)(第九八二九号)
 同(木原実君紹介)(第九八三〇号)
 同外十五件(久保田円次君紹介)(第九八三一号)
 同外一件(倉成正君紹介)(第九八三二号)
 同(小島徹三君紹介)(第九八三三号)
 同外三件(小林正巳君紹介)(第九八三四号)
 同外五件(小山長規君紹介)(第九八三五号)
 同(河野洋平君紹介)(第九八三六号)
 同外二件(塩崎潤君紹介)(第九八三七号)
 同(下平正一君紹介)(第九八三八号)
 同(正示啓次郎君紹介)(第九八三九号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第九八四〇号)
 同(島田安夫君紹介)(第九八四一号)
 同(白浜仁吉君紹介)(第九八四二号)
 同外一件(染谷誠君紹介)(第九八四三号)
 同外十二件(關谷勝利君紹介)(第九八四四号)
 同外九件(園田直君紹介)(第九八四五号)
 同外二十四件(田澤吉郎君紹介)(第九八四六号)
 同(田代文久君紹介)(第九八四七号)
 同外十一件(田邊誠君紹介)(第九八四八号)
 同外八十一件(田村元君紹介)(第九八四九号)
 同(田村良平君紹介)(第九八五〇号)
 同外九件(多賀谷真稔君紹介)(第九八五一号)
 同外二十七件(竹内黎一君紹介)(第九八五二号)
 同外七件(竹内猛君紹介)(第九八五三号)
 同外十六件(竹中修一君紹介)(第九八五四号)
 同外二十三件(谷垣專一君紹介)(第九八五五号)
 同外四件(高見三郎君紹介)(第九八五六号)
 同外二十一件(玉置一徳君紹介)(第九八五七号)
 同(千葉三郎君紹介)(第九八五八号)
 同外七件(渡海元三郎君紹介)(第九八五九号)
 同外七件(床次徳二君紹介)(第九八六〇号)
 同外四件(中澤茂一君紹介)(第九八六一号)
 同(中村弘海君紹介)(第九八六二号)
 同外五件(楢崎弥之助君紹介)(第九八六三号)
 同(河本敏夫君紹介)(第九八六四号)
 同外三十五件(中村拓道君紹介)(第九八六五号)
 同(永山忠則君紹介)(第九八六六号)
 同外一件(西岡武夫君紹介)(第九八六七号)
 同(丹羽喬四郎君紹介)(第九八六八号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第九八六九号)
 同(羽田孜君紹介)(第九八七〇号)
 同外二十件(旗野進一君紹介)(第九八七一号)
 同(林大幹君紹介)(第九八七二号)
 同(浜田幸一君紹介)(第九八七三号)
 同(広沢直樹君紹介)(第九八七四号)
 同(平田藤吉君紹介)(第九八七五号)
 同(福田一君紹介)(第九八七六号)
 同(福永一臣君紹介)(第九八七七号)
 同外一件(藤本孝雄君紹介)(第九八七八号)
 同外十二件(細谷治嘉君紹介)(第九八七九号)
 同外二件(保利茂君紹介)(第九八八〇号)
 同(坊秀男君紹介)(第九八八一号)
 同外二十三件(堀昌雄君紹介)(第九八八二号)
 同外一件(原健三郎君紹介)(第九八八三号)
 同外三件(松永光君紹介)(第九八八四号)
 同外百六十八件(松本十郎君紹介)(第九八八五
 号)
 同(三浦久君紹介)(第九八八六号)
 同外六件(三ツ林弥太郎君紹介)(第九八八七号)
 同(水野清君紹介)(第九八八八号)
 同外一件(宮崎茂一君紹介)(第九八八九号)
 同外五件(毛利松平君紹介)(第九八九〇号)
 同(森美秀君紹介)(第九八九一号)
 同(森山欽司君紹介)(第九八九二号)
 同(八木昇君紹介)(第九八九三号)
 同外一件(山田芳治君紹介)(第九八九四号)
 同(山本幸雄君紹介)(第九八九五号)
 同(山原健二郎君紹介)(第九八九六号)
 同外七件(渡辺武三君紹介)(第九八九七号)
 同(吉田法晴君紹介)(第九八九八号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第九八九九号)
 同外八件(江崎真澄君紹介)(第九九〇〇号)
 同(高橋繁君紹介)(第九九〇一号)
 昭和四十八年産米の政府買入価格等に関する請
 願(松野頼三君紹介)(第九七六七号)
 昭和四十八年産米価等に関する請願(梶山静六
 君紹介)(第九七六八号)
 中国産食肉輸入禁止解除に関する請願(渡辺三
 郎君紹介)(第九七六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月十八日
 圃場整備事業の通年施行に伴う補償措置に関す
 る陳情書外二件(福島県伊達郡飯野町議会議長
 高橋勝吉外二名)(第六三〇号)
 昭和四十八年産米価格に関する陳情書外三十五
 件(取手市議会議長関根精市外二百三十五名)
 (第六三一号)
 岩内営林署の存続に関する陳情書(北海道岩内
 郡岩内町議会議長宮下佐一)(第六三二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林水産業の振興に関する件
     ――――◇―――――
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 本日は、まず本件について参考人から意見を聴取することといたします。
 本日御出席の参考人は、全国農業協同組合中央会会長宮脇朝男君、全国農業会議所専務理事池田斉君、以上二名の方でございます。
 両参考人に申し上げます。
 両参考人には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。
 当面の農政問題につきまして、両参考人のそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 なお、議事の都合上、まず御意見をお一人二十分程度で順次お述べいただき、その後委員からの質疑がありますので、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。
 御意見の開陳は、宮脇参考人、池田参考人の順序でお願いいたします。
 それでは宮脇参考人にお願いいたします。
○宮脇参考人 おはようございます。
 ちょうど私どもの米価要求の農協代表者集会等を昨日もやっておりまして、各党の代表の先生方にも御出席いただいた。そんなこんなで、これという資料も用意をしてまいっておりません。したがいまして、失礼ですが、思いつくままに申し上げたいと思っております。あしからず御了承いただきたいと思います。
 まず第一は、御承知のように、最近の農政の基本になっておりますものは、一つは自立経営農家の育成という方向がとられてまいりまして、赤城農林大臣当時に初めて農業団地構想というものが出されてまいっております。私どももいち早く営農団地構想なるものを出して今日に至っております。
 ただ、ここで私どもも何らかの新しい方向を出さなければならないと考え、政府当局にもそれを求めたいのは、日本の農用地五百七十万ヘクタール程度と記憶いたしておりますが、その中で五百万戸余りの農家が農業を経営しておる。平均の経営規模は一町一反そこそこであるということがいわれております。一町一反、平均いたしますと経営規模はその程度である。その中で、最近これまたいわれておりますのは、ほんとうに自立経営農家らしきものはほぼ四%台であって、他は兼業農家、一種、二種兼業はともあれ、兼業へ兼業へと進んでおる、これが現実の姿だと思うのです。そこで、自立経営専業農家らしきものはわずか四%台、これも先日、あとから意見を述べられます会議所の池田さんの資料をある会合で拝見いたしますと、農業の所得、収入百六十万円以上というあたりで線を引いておるようでありました。専業農家を育成するといっておりますが、現実には四%前後である。兼業農家対策に対して、私どもがいう規模の小さい農家に対する営農団地、農林省がいう農業団地、こういわれておりますが、われわれがやっている営農団地もどうやらまぼろしの営農団地なんていう批判を現実に受けております。
 それはどういうことかといいますと、結局、どれだけの規模の経営をやればほんとうに世間並みの暮らしができ得る所得が確保できるのか、めしが食えるのかというところに問題があるわけであります。もちろん労働の生産性を高める、コストをダウンさすための努力をするということも当然でございます。当然でございますが、何としても土地利用型の農業、耕種農業におきましては、相当な面積を必要といたします。また、畜産農業にいたしましても、えさの自給度を高めようとしますと、耕種農業以上に多くの農用地を必要といたします。ところが、最近の状況では、農地の値段は日本の特殊事情でございましょうが、国土が狭くて人口が多いという関係で、しかも産業活動が旺盛であるという関係をもちまして、都市の土地とさらにその周辺と、順次僻陬の地にまで地価の高騰が見られております。いろいろな意味で土地の買いあさりがなされてきておりますので、土地が高騰いたしております。そういうふうに土地が高騰いたしてまいりますと、収益還元方式で計算した場合におきましては、農用地としての価格の限界がある。幾ら高くてもいいというものじゃございません。したがって、経営規模拡大の道というのは農地自体の所有権の流動化ということが非常に困難になっている。また、耕作権、用益権の流動化もしかく簡単ではない、こういう状況でございます。そういう中で、日本の農業を基本的には自立経営農家育成の方向を重点にし、しかも農業団地、営農団地方式でもっていくという形だけでいいのかどうか。
 現実には大部分のところが兼業農家群によって日本の農業がささえられているということであります。それから兼業それ自体もだれも兼業を好んでのことではありません。暮らしを守るために、農産物価格があまりにも安いために、いや応なく兼業に行かざるを得ないということが現実でございます。
 最近におきまして、非常に妙な傾向があらわれております。それは農産物のコストを下げるために、労働の生産性を高めてコストを下げる、そのことによってストックの拡大をはかる。こういう農業だけを専業農家としてみた場合、経営規模が拡大されていけば機械化というものはそこに結びつくのでありますけれども、最近異常に農機具が売れております。その実態はといいますと、なるだけ早く農業を片づけて、それで兼業のほうへ早くいったほうが得策であるという考え方が一つであります。だから、経営規模から見ますると、そう大きい機械を買う必要はないその農家が大きい機械を買っている。その実態はというと、農作業を早く片づけて、兼業、農外所得のほうに時間をなるだけ多く投入したいということに相なります。こういう実態がございます。
 それから営農団地、農業団地の場合も、団地マスターといいますか世話役といいますか、こういう世話役、団地マスターとでもいうような中心になる諸君、そういう人が熱意もあり、技術もあり、経験もある人が中心になって団地化をしていくということなんですけれども、最近の一つの傾向は、特に北海道以外において言い得ると思うのでありますが、それは村に残って出かせぎにも行かないでおると、部落なり村の世話役仕事の、金をもらえぬ、ただ仕事が幾らでもかぶさってくる。お宮さんやら寺の世話から道直しから、あらゆるものがかぶさってくる。どうもこれではたまらぬということで、その人も出かせぎに出かけていくというふうなことが出てまいっておるのでございます。
 こういう意味で、本来、過大な投資をやりますと、それだけコストが上がるのですからやるべきじゃないのですけれども、経営規模の小さいわりには、農機具等の投資が旺盛になっている。これはむしろ兼業所得を確保するために、農業のほうを早まくりに片をつけたいというあらわれ、そのほうがそろばんがいいということでございます。こういう実態に照らしまして、もう一度ここで日本の農政の基本のところをどうするかということを考え直す必要があるのでないかということが第一点でございます。
 それから第二は、やはり機械化しやすい形でものを考えますから、化学肥料万能がますます進みます。機械整備がやりいい姿というものがますます進みます。したがって、土地に対する有機物の還元がだんだん少なくなりつつある、堆厩肥の補給が少なくなりつつある。まして最近は動植物並びに人間の排せつ物の屎尿を公害対象物とみなしておるものですから、農業では、これはあくまで輪廻循環の方則の中で有機物は土地に返す。それで土地がまず肥やされて農業というものは成り立つのだ。この輪廻循環のサイクルがおかしくなりつつある。それは何かといいますと、やっぱりそろばんづくで計算いたしますと、堆厩肥を入れる、草を取って入れるあるいはワラを堆肥にして田に入れるというふうなことをやっても、なかなかそろばんに合わない、労力ばかり食う。だから化学肥料でやればきわめて簡単である。こういうことが日本の農地自体が地力を低下せしめておるのであるまいかと思うのです。こういう点で、やはり一つは、そういう農業というのは本来輪廻循環の法則の中に動いていくのですから、また健全であるのですから、そのサイクルがとまらないような仕組みをどうしていくのかということも考えざるを得ぬでしょう。
 ともあれ、政府のところにおきましては、土地改良の十カ年計画等で画期的な施策を出されておりますけれども、現在の社会、経済情勢の変化のテンポというものは非常に早うございますから、その中へどうも追いついていけないというのが実態ではあるまいか。したがって、現状のまま進んでいきますと、私は、おそらくいまの農産物価格でいきますと、他に就業の機会があり、インフレ等で賃上げが強く要求され、何とかそれにこたえていくという形をとられていき、他面、農産物に対しましては、依然として抑圧された価格という形で、国際価格等を中心で考えるという従来の考え方、これでもっていく限りにおきましては、おそらくこれ以上に農民自体の農業生産意欲というものは減退するであろうということがいえると考えております。
 さて、限られた時間でございますので、次に移りますが、さしあたり日本の農地は七百万ヘクタール程度であり、しかも最近の全部の食料を自給するとすると、砂糖まで含めますと、えさの自給等も含めますと膨大な農地が必要であろうと思います。したがって、国内における生産に効率性のない、たとえば砂糖であるとか、あるいは濃厚飼料の全部をまかなうというふうなことはきわめて困難であろうと思います。
 それにいたしましても、現在の農用地をどう拡大していくかということはさらに考えないと、農用地が漸次宅地その他に壊廃されていくという状況でございます。これらにつきましては、里山を含めました、とりわけ国有林の可耕地たり得るところあるいは牧畜地たり得るところ、採草地たり得るところ、そういった国有林野は、所有権ではなくて、用益権を村なり町なり市町村農協なりに与えて、日本の農業生産が拡大していく方向で問題を考えられるべきではないかと思うのであります。
 さらに飼料の問題では、御承知のように、穀類を生産するのと同じカロリーを畜産物で得ようとすると、穀類に比べまして七倍以上の農地が必要であるといわれております。したがって、わが国は、とりわけ濃厚飼料におきましては、その大部分、ほとんど全部に近いものを国外に依存をしております。これも相手のほうが余ってこそ買い手市場になるのですけれども、最近の事情では――私は二月と六月にアメリカに行きまして、えさの問題、日本に入っておる農産物等につきまして農務省と話し合いをいたしましたけれども、かつてはぜひ買ってくれといっておりましたものも、国際的な需要が旺盛になりますと、やはり売り手市場でございまして、また価格はべらぼうにつり上げられてまいりますし、船賃もべらぼうに上がってまいります。そういう状況の中で日本の畜産を見ますと、日本の畜産は全くもって底が非常に弱い、根の入ってない形で浮き上がっており、一たび外国からのえさの供給に支障が生じますれば、日本の畜産は成り立たないというふうな状況でございます。おそらくいまの値上がりの状況の中で見ますると、価格の面で九月以降は一トン当たり一万円前後農家渡しの価格が引き上げられなければそろばんが合わないということに相なりましょう。したがって、畜産物価格が上がれば別といたしまして、それが上がらなければ、逆に農家は畜産経営ができなくなるという内容のものでございますので、これらについてどうするか、やはり問題点ではあるまいかと思っております。
 それから、国際化の中における自由化の問題でありますが、この点も、私は先般ワシントンの日米経済諮問委員会に牛場大使の御招待で行ったおりに、先日もいらしておったエバリーさんと話す機会があったのでありますが、その際に、彼らは非常に急いだ形で、とりわけオレンジジュースとフレッシュオレンジの自由化を迫る声があります。私はこれに対してこう言っております。ほとんどのものは自由化していっておる。とりわけかんきつについては、四つの内容だ。それはレモン、グレープフルーツ、オレンジジュース、フレッシュオレンジ。四つをもって百といたしますと、すでにレモンとグレープフルーツはオープンになっている。これだけでもあなたのほうは五十を取っておるではないか。しかもオレンジジュースとフレッシュオレンジもワクが相当広がっておりまして、百のうち五十を取って、あとの五十のところの二十五ぐらいすでにあなたのほうが取っておる、こういうことが言えると思う。わがほうではそれに対して、いままでの四つ五つの州じゃなくて、せめてもう少し広く他の各州にも日本の温州ミカンが入れられるように配慮してくれぬかと言ってきておるけれども、これは一州か二州ふえただけであって、さっぱり日本の言うことは聞いていただけぬ。アメリカの言うことが一方的に押しつけられるということであるから、この問題に対しては、これ以上押しつけられても、日本の農業を守る立場からいいますと、なかなか困難である。日本の農民の利益とアメリカの農民の利益と、両方の利益になることであれば、これは進みますけれども、アメリカの農民の利益になって日本の農民の不利益になるということでは、これはちょっとお聞きするわけにはいかぬ。そういう話し合いをしてまいったのでありまして、よほどの思い切ったてこ入れの政策が国内でなされれば別といたしまして、いまのような低農産物価格の中で、これ以上さらに自由化を進めていくということになりますと、日本の農業は壊滅せざるを得ぬだろう、こう考えるのであります。
 なお、麦の問題も、御承知のように、もはや残っておる麦作も、このままの状況でいくならば、あと三、五年を出ずして日本の農村からは麦は姿を消すであろう、こう思います。これも従来から絶えず国際価格ということが頭に置かれてまいっておりますし、パリティでもって価格が出されておりますが、パリティを下ってはならないということを、いままで私が米審に出てきた限りにおいては、どうも運用は、こえてはならないとお考えになっておるのじゃなかろうか。パリティの指数をこえてはいかぬという形で、その線以下にどう押え込んでいくかということで、今日安楽死といわれる大豆、なたねとともに、麦が完全に日本の農村から姿を消そうとしておる。これは一に経済合理主義の上に立った食糧の国際分業論の立場に立った政策の効果が、今日日本にかつてあった農産物がどんどんなくなっていって、何かアメリカで一つごとんといえば日本の国民生活が危険にさらされるというふうな結果を生んだ。そのもとは、省みますとやはり日本の政策にあったのじゃなかろうか、かように考えるのであります。
 ただ、しかし急にここで、じゃあ奨励金を出して何とか暫時やればいいじゃないかということになるかもしれませんが、それは相手のところも、年じゅう不作じゃございませんから、今度豊作でオーバープロダクションになったときに、安いものがどんどん入りますと、日本で多少相場を上げておっても、インポーターがどんどん安いものを入れてくるということになりますと、これはもうぺしゃんこになってしまいます。だから、それなりに食管の中に入れるか何かのささえの線をはっきりした上で進めないと、朝令暮改をまたやらなければならない。また苦い目に、痛い目にあうのは百姓であるということにもなりかねないと思うのであります。
 なお、米価の問題でありますが、米価の問題につきましては、すでに八月一日、二日米審を開催するという御案内を米審委員としてちょうだいをいたしております。私は政府に対して一番求めたいのは、私ども生産者の立場から出ております四人の米審委員が政府に文書で申し入れをしてございます。それはどういうことかといいますと、試算米価というものはことさら出す必要はないのじゃないですか。いままで試算米価というものをすなおに出されたことは、私ども四、五年の経験でございますけれども、ただの一回もないように思うのです。生産費及び所得補償方式で計算しましたといいながら、前年の生産費の上がり部分さえもがカバーされなかった。だから、生産費をすでに割った米価が出されておる。その理屈づけは逆算方式で、ことしの米価はこのくらい上げてやろうとか、ことしの米価は据え置きでいこうということが政治的にひそかに先にきめられて、そのためにはどういう方程式のものをつくればいいかという式の、逆算方式のものがどうも試算米価として出ておるのじゃないかというように私どもは考えております。だから、それが一たび出ますると、あとから、今度はいろいろの経過できまったときに、試算米価より上積みされたものは全部不当な政治加算である、こう新聞はいうわけです。私どもから言いますと、むしろ政治減算してあったものをより正しい線に近づけてくれた、こう考えておるのですけれども、一般の世論に対しては、政府が出した試算米価なるものがスタンダードであり、それが基準であって、あと少しでも積み重ねたものは全部不当に圧力団体がゆさぶり取ったものだ、こういうふうに言われておるので、はなはだ遺憾であると思う。私どもはすなおなもので出してもらわなければ困るということ。それから試算米価というものを是が非でも政府が出さなければならぬものかどうかということも非常に疑問に思っております。むしろそういう形じゃなしに、出すのであれば、どこから突かれてもすなおなものをお出しになるべきではあるまいかというふうに感じております。
 そして米価そのものにつきましては、私どもは御案内のような要求をいたしております。この要求につきましてのいろいろ御批判もあろうかと思いますけれども、私どもは一般の国民の間で理解していただくということが米価の算定の場合の方程式としても必要であろうと思います。私どもは学者じゃございませんから、ものごとをそう深く考えません。ただ単純に言いますと、昨日も申し上げたかと思うのでありますが、結局、一町百姓が八俵つくって八十俵だ、農薬代も肥料代も農機具代も差っ引かずに、現行米価九千円とした場合七十二万円だ。高校卒のお嬢さんの初給賃金が四万円をこえておる。臨給を含めると年間十八カ月分はもらう。そうなりますと、これが七十二万円だ。これには通勤費もついておる。これと比べて、高校卒のお嬢さんが通勤費をもらって通ってする一年の所得と、朝星夜星で、農機具代も農薬代も何も見ないで、そっくりそのまま政府に売って同じ額というのは、これはどちらが高いのであるか、どちらが安いのであるか。私は現在の労働賃金、初給賃金が正しいとするならば、いかにも米価は安いのではあるまいか。大工の賃金はかつては米四升とか五升とかいわれてきました。いまでは大工、左官の賃金は四千五百円、やがて五千円になろうという。これとの比較をしてみましても、どう勘定してみても、いまの米価がそう農民を抑圧した米価ではないとは言えないのではなかろうか、私はこう思うのであります。
 私はそういう意味で、米価が上がったら一般物価を押し上げるといいますけれども、一般物価の押し上げ要因とかというようなものは国際的インフレであり、あるいは毎月出されておる通貨の膨張率が前月対比で二〇%も多く出ておるというふうな実態、そういう他の要因、原因というものが大きいので、すべてそれを米が上がればみな上がるのだという式の論理で米価をお考えいただくと、これは困るのではなかろうか。
 また、一般の勤労者家庭における家計支出の中に占める米価のウエートというものも非常に軽いものでございます。もちろん国が食管の中においてしょっておるというものもこれあり、これを否定するものではございません。ございませんが、生産者米価の実態は安きに失してはおりましても、これは国際価格からいいましても、各国の生産規模その他から見ましても、私は日本の米価は不当に高いとは考えておらぬ、むしろ安いと思うのであります。ただ自由貿易原則、しかも比較優位の原則、その土台の上へ農業、農産物を乗っけて議論するというのは、これは他の工業生産品並みにお考えになるということについては一考を要するであろう。やはり食糧というものは、追い詰めますと銭で片のつかないものがある。あくまで追い詰めてぎりぎりのところにいきますと、銭か食糧かということになると、銭があっても食糧がないほうがつらいのですから、この点についてはいささか他の工業生産品とはその基本の考えをお変えいただいてしかるべきではあるまいか、こんなように考えておる次第でございます。
 時間を少し経過したようでございますが、以上でございます。
○佐々木委員長 次に、池田参考人にお願いいたします。
○池田参考人 農業会議所の池田でございます。
 ただいま全中の宮脇会長から問題の基礎になるような点は大体触れられましたし、またわれわれ農業団体は農政のいろいろ問題なり方向につきましては常時打ち合わせをしながらそれぞれ推進をいたしておる、こういうことで、あまりつけ加える問題はないわけですが、せっかくの機会でございますので、三、四点ひとつ申し上げまして、御参考に供したいというふうに考えるわけでございます。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
 先ほども触れられましたが、いまさら私がここで申し上げることもないわけですが、異常気象であるとか、いろんな理由はあるようでございますけれども、国際的な食糧の需給関係が急激に変わってきて、そういう意味で国内農業をもう一ぺん見直さなければならぬ、こういう、いうなれば、一つの反省が一応は国民合意の方向であるようであるが、しかし、これは必ずしも長期的に見るとそういうことをここで急に考え直す必要はないでないか、こういう意見もあるようでございます。
 私は、皆さん御案内のように、国際的に全体を見ますと、とにかくいわゆるこの農産物を輸出してそれでその国の国際収支なりそういう問題のささえをしておる、アメリカを中心としたそういう国々はもちろん幾つかございますけれども、世界全体から見ますと、やはりどこの国でもまず食糧だけは自国でできるだけ生産をして、足りないものはやむを得ずよそから買う、これが国際的な全体から見ましたならば原則であるというふうに統計を見ましても見るわけでございます。したがいまして、国際市場に出ておる農産物の貿易の量というものは、作目別に見た場合に、それは全体の生産量は、世界の地球の規模の人口を養うわけでございますから、非常に大量生産されておりますけれども、これが貿易の量にあがっているものは意外に少ない。その辺がやはり一つ見落とされた問題があって、今日がたがたと日本の国があわてふためいているという問題にもつながっているような感じがいたすわけでございます。
 言うまでもなく、米につきましてはわずか二、三%、いわゆる国際商品であるというえさや小麦につきましても十数%、まあ大豆についてもその程度である。一番量の大きいものは砂糖であり、これといえども三〇%である。こういうような状況の中で、一億の国民をどういうふうにしてその命をつなぐか。こういう農政の課題をそういう側面から考えた場合には、私どもは、これが単に短期の問題ではなくて、そういうことは常にあり得る、こういうような重大な反省に立って、この辺で農政をもう一回ひとつ基本的な姿勢から建て直してやり直してみる、そしてときどきに起こる問題にはそう心配をしないでやっていける、こういう問題を打ち立てる必要が今日非常に重要な時期になったのではないか、こういう感じをまず申し上げておきたいと思うわけでございます。
 そういう場合には、やはり農政の理念と申しますか、農政の哲学といいますか、その辺が次元を変えた形で確立をし、それが政府の政策の姿勢の中に正しく取り入れられ、これが国民合意の上で納得される、こういう筋道でまず農政を建て直してみるということが政府全体として、あるいはわれわれ農業団体も国会も産業界も含めてそういう問題を取り戻すことが基本ではないかというふうに考えるわけでございます。
 昨今、農業は緑の産業であるとか、あるいは環境を保全する役割りを持つとか、そういう問題が新しく付加されておりますけれども、これはあくまでも付加された要素であって、基本は一億の国民の食糧を安定的に供給する。これは基本は国内で供給する。どうしても足りないものは外国から買う。こういう原則が一つあって、それこそ農政のあくまでも基本でなければならないので、これが緑や環境のほうに追いやられていきますと、これはやや錯倒した考え方になると思いますので、その点は私どもは基本は、従来からいわれております食糧の安定的供給、ここに置いて、しかも一億の国民の命を国が責任を持って農業者の働きの中で農産物を提供してもらってやる、こういうような筋道ではないかと思うわけでございます。
 そういう観点から、私は米の問題を取り上げてまいりますと、米は何と申しましても日本農業の基幹であり、国民の主食の中核であり、これが生産調整という形で今日その生産の調整が行なわれておりますけれども、この点につきましてはやむを得なかった方向であるかと思いますけれども、幸か不幸か、来年からは休耕をやめる、こういう時期になっておるわけでございます。もちろん財政的な面から見ますと、あまりたくさん古々米がさらに加重するということは困る問題もわかりますけれども、私はいま前段に申し上げましたような観点から、ここで生産調整は根本的に再検討して、必要な米は余り目につくると申しますか、余裕を持った形でつくる、そういう一つの原則が――とんとんにつくるということは米に関する限りは非常に危険な政策の筋道ではないか。したがって、備蓄の問題等を含めながらある程度余裕を持った形でつくる。こういうことを一つのベースにして、それでも余るというものは転作を定着させていくというような方向で、来年度以降の生産調整の問題は根本的に再検討する時期が来ているのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 したがいまして、一たびすでに見捨てられておる麦でありますとか、大豆でありますとか、そういうような問題、これは今日国際的に非常にわが国に影響を大きく及ぼしている問題でございます。そういう問題も生産調整とのからみで一体どの程度ひとつつくってみようか。五十七年の生産目標はございますけれども、あれは単なる目標にいま堕して、むしろその実績がどんどん低下しておるというのが現状でございます。麦につきましても、大豆につきましても、特に麦につきましては、国内でめん類等につきましては国民が一番国産の小麦を好んでおる、こういう現実。八十万トン程度の小麦が要るようでございますけれども、すでにそういう品物は十六、七万トン程度に下がっておる。日本の国民がほんとうにうまいめん類を忘れかけておる。こういうような問題等も、この機会に米の生産調整、転作、そういうものと関連をして、五十七年の生産目標等につきましても十分再検討を加えて、しかもこれを全国一律にやるかどうか。この辺がこれからの農政の一つの重要な問題だと思います。価格政策で全部これをカバーすることはおそらく価格関係の原則から見てむずかしいと思います。
 そういたしますと、地域特産化と申しますか、地域分担ということが農林省でもいろいろ検討されておりますけれども、この辺をもう少し大胆に整理をしくそしてこういう地帯にはほかのところと違って、国が必要とするこれだけの小麦をつくってもらいたい、そのためには周辺でつくっている米に匹敵するようないろいろな政策を集中的にやる。こういうような問題が付加されて、そして特化されたような形の地域がそういう問題との一環で出てくる。北海道なんかにつきましてはそういう問題をいまこそ意識的に私は国の政策としてもやる時期に来ているのではないかという感じがいたすわけでございます。
 そういうような観点を含めまして、今回米価の問題が日程にのぼっておるわけでございますが、私は今日日本の農家が総体として先ほど宮脇会長が言われましたような状態に追い込まれております。このことは一面、もう農業はやる気を総体としては失いかかっておる。意欲をふるい起こしても、簡単なことでは起こらないというようなところまで実は耕種農業については少なくとも追い込まれておる。施設農業につきましてはそうでない面があり、非常に近代的な経営を雄々しくやっておる経営群をわれわれも承知いたしておりますけれども、事、耕種農業になりますと、大体生産意欲が限界まで衰えてきておる。これをいかにしてふるい起こしていくかということが農政の課題であり、また次元を変えて申しますと、政治の大きな問題ではないか。
 そういう視点から、先ほど来申し上げましたような段階におけるわが国の農政の建て直しをする場合に、ことしの米価は、単に従来の米価とは違って、新しい付加された意味をそこに大きく持っておるのではないかというふうに考えるわけでございます。かつてはいわゆる米価の水準は昭和四十二年ごろまでは、五人以上の製造規模の工業の賃金を幸いに上回る程度のことで米価がきめられておりました。その後据え置きの段階を経まして、これはどんどん割ってまいりまして、いま製造工業の賃金をはるかに下回るような形で事実上米価がきめられておる。今日製造工業に匹敵するような作目というものは、何か二十数品目の中ですでに四つの品目になっておる。この中からは米はもう消えておるわけでございます。そういう形で基幹になって、農民がとにかく稲作を軸として日本の農業は基本的に行なわれておる。この軸がそこまで落ち込んでおるという問題をどういう形でふるい起こして、この稲作をささえながら全体の農業をささえていくか、こういう問題の中でことしの米価問題が議論されなければならないというふうに考えるわけでございます。
 御案内のように、昭和四十二年から四十七年、この五年間にいわゆる賃金は七五%ほど上がっております。その間に米価は幾ら上がっているかと申しますと、八%程度しか上がっていない。いかにもこういう形では生産意欲というものをもうぎりぎりのところまで追い込んできておる。こういうような状況の中で、本年の米価が先ほど申し上げましたような国際的な長期的な展望、わが国がほんとうに米を中核として主要食糧をできるだけ国内で確保しないと、日本の国の存立のためにもはや重大な問題である、こういうようなこととの関連で米価問題はきめられなければならないと思うわけでございます。
 その次にちょっと申し上げておきたいことは、先ほど宮脇会長も触れられましたように、日本の農業をここまで追い込んでしまった。これは国際分業なり経済合理主義というような問題が、好むと好まざるとにかかわらず、経済の大きな流れの中で農政もそれを許容しなければならなかった。それをどうしてもコストを引き下げるという構造改善その他の政策でカバーをしようという努力をいたしましたけれども、一方のほうが非常に進んでくるという中で、どうしてもそのおくれを取り戻すことができないという環境の中で今日の農業の状態ができて、特に耕種農業が苦悶をしておる、こういう状態であると思います。このことは、基本的には、土地問題に集中して出てきておるというふうに私は理解をせざるを得ないわけでございます。その集中的な表現は、やはり農地価格の高騰でございます。農地価格はわれわれ農業会議所のほうで毎年調査をいたしておりますけれども、過去五年間におきまして、四十七年の数字しかございませんけれども、これを四十二年、五年前に比較いたしますと、四十二年が全体の平均で四十九万一千円でございます。これは反当たりでございます。それから四十七年百四十三万六千円、この五年間に地価が三倍上がっている。こういう中で一体耕種農業というものをどういうふうに確立するか、この辺が基本的な問題であり、これは単に農用地の問題だけでございません。わが国全体の地価対策をいかにして冷やしていくか、それがやはり農地の問題につながる。われわれの試算では、少なくとも昭和四十二、三年の五十万程度、この辺でなければ耕種農業は引き合わない、こういう計算が実はあるわけでございます。そういう根本問題は、これは農政の問題だけでは解決いたしません。少なくともやはり今日政府全体もあるいは国会全体として経済の基調を切りかえていく、いわゆるいままでのような輸出産業中心主義の高度経済成長というものの基調を変える。この基調をいかにして大胆に政策的に切りかえていくか、そういう姿の中で初めて地価問題というものが解決する曙光が出るわけでございまして、その点は単に農政の問題ではございませんけれども、農政がいま一番苦悶をしておる基本は、この地価問題が農業に集中的にしわ寄せされてきておる。これはもちろん住宅問題その他みんなあると思いますけれども、特に農業は土地を軸としてやる産業でございます。耕種農業が衰えるという問題をいかにして回復し、展開するかは、やはり私はこの地価問題の解決に触れざるを得ないので、これは単に農政だけの問題ではなく、国の経済政策全体の問題につながるかと思うわけでございます。
 もう一つそれと関連いたしまして、農業がここでやはり基本的には悠久にわが国で続かなければならぬし、わが国の一億の国民の食料をできるだけ担当していく、こういう産業でなければならないという前提に立ちますと、これを担当する人の問題、これがいままでとかく農政の課題としては軽視されたとは申しませんけれども、浮き彫りされてきておらないことを非常に遺憾に存ずるわけでございます。
 御案内のように、従来は伝統的に日本は四十万の人口というものが農村に常に新しく入り、それをめぐって千数百万の就業人口があったわけでございますが、今日新規学卒で農業に入ろうという者はだんだん減ってまいりまして、それがしかも急激に減ってまいって、四十七年では二万二千人、そのうち男子は一万六千人、しかもそれが全部定着するという保証はございません。農業高校ではいわゆる農業経営者を養成する学科の学生が三万数千名ございますけれども、このうち一応農業に就業するのは、何とこれが三分の一しかない。農業に就業することを目的でつくっておる、しかも国や県が金を出しておる学校へ集まってくる生徒の卒業生が、三割しか農業には就業しない。しかもその三割は定着するかどうかという保証がない。こういうような形で、一方におきましてはお年寄りが多い。完全に中が空洞化してきておる。これは二十年、三十年先を考えましたならば、もうこの人の面から日本の農業はなくなってくる。極端に申しますと、そういう問題が今日すでにぎりぎりの段階に出てきておるのではないか。そういう意味では将来の農業のビジョンをつくることが基本であり、その政策をつくることが基本でございますけれども、いま待ったなしの段階で、一つの問題は、この人の問題に対しまして、どういう政策をほんとうに金を使ってやるか、こういう問題がこの辺で大事ではないかというふうに私は考え、農業会議所も近くそういうような問題に対しましての政策の要望をいたしたいと思いますので、国会におきましてもよろしくお取り上げを願いたいと思うわけでございます。
 もう時間もございませんから簡単に申し上げますけれども、そういうような問題を総合しながら、私は農業基本法が誤っておったかどうかということは問題でございますけれども、農業基本法そのものが、われわれ農業団体の意識した農業基本法の方向を、国の施策がそういう方向をとらなかったという問題に今日農業基本法農政の破綻があるというふうに考えるわけでございまして、やはりわが国でたくましい農家群をできるだけ、しかも耕種農業の中でどうやってつくっていくか、こういう問題をもう一回その原点に戻って整理をし政策を組み立てるというような時期に来ておるような感じがするわけでございます。そういうことで国内農業の再建をこの際どういう形でやっていくかということが基本であります。
 しかし、先ほど宮脇会長も言われましたように、絶対量を国内で一〇〇%まかなうということにはなかなかまいらないこともわれわれは重々承知しておる。特にそういう問題を相当大きく依存をしなければならぬ今日、原料を含めますと、食糧の半分を外国から輸入しておるわけでございまして、これはやはりどうしても必要であるという前提に立たざるを得ない分野につきましては、一面いかにしてこの輸入の安定化をはかるかという問題だと思います。そういう意味からは、私はこれ以上の自由化は、先ほどの宮脇会長と同様に、ナンセンスである。しかし、私もアメリカに宮脇さんにお供して一緒に行ったわけでございますが、やはりアメリカといえども自国中心に最後はなります。日本が困っても、よく理解はできるけれども、だめなときはだめですよというのがアメリカの態度である。そうでありながら、一方におきまして余っておるオレンジ、ジュースにつきましてはあくまでも自由化を要求する。こういうわれわれから見ますと理解のできないことが、これはもう国際的な常識として考えていかないと、その辺は東洋的な感覚で日本人はとかくものごとに対処しがちでございますけれども、もっとドライに割り切るというのがやはり西欧の人の考え方のような感じがいたします。そういう意味では、やはり政府、国会を含めましてこの自由化の問題はき然としてひとつ今後対応していただきたいし、輸入の安定につきましてはやはり一国にたよるというような政策ではなくて、これを多元化するなり、あるいは一国を相手にいたしましても、若干経済的な問題では問題があると思いますけれども、中長期の契約を結ぶとか、あるいは開発輸入の問題を考えるとか、また、いま急にはできませんけれども、やはり少し長い目では、非常に物が買いやすい、そういう時期にこそ輸入農産物についてもある一定量の備蓄を考えるというような問題を含めまして、どんなことがあってもわが国の食糧問題あるいは国民の生活問題に影響がないというような万全の対策を、少なくとも経済大国といわれておるわが国の経済力から見ましたならばそれができないことはない。これがいわゆる経済合理主義、国際分業に徹しておる間はそういうことはとらないと思いますけれども、そこの反省さえあれば私はできるのではないかというふうに考えるわけでございます。
 最後に一言お願いを申し上げておきたいわけでございますが、これは先ほど緑の効用とか環境の保持とか、そういう農業の役割りがあるということが、新しい問題として今日出ておりますけれども、このことはいわゆる都市農業の問題との関連ではぜひひとつこの際取り上げてもらうべき性質の問題ではないか。いわゆる市街化区域の中で税金問題でだんだんとこれから農家が追い出されるというような政策が進んでおりますけれども、これはひとつ暫定措置であって、それをささえる一つの問題として――農民の立場に立ちますと、農業がそこで営めるというような生産緑地の制度化というものをぜひひとつやっていただく、これこそ都市計画の側から見ましても、緑やそういうものが、公園緑地等だけではなくて、いわゆる農業が、都会にふさわしい作目を選定して、そこである程度まとまりながら行なわれるというような中におきまして、いわゆるいままでの公害その他の都市問題がそういう形を含めてある程度解消されるし、また、農業の側から見ますと、都会の中の農業者が農業を継続できる。こういうような一石二鳥の形での問題解決ができるのではないか。
 市街化区域の中には、御承知のように、いま二十八万ヘクタールの農耕地がございます。建設省が幾ら計算をいたしましても、その半分以上は使えない、永久に十四万ヘクタールは残る、こういうことを建設省も言っております。そういう問題の中で、せっかくそれだけあるのでありますから、そこに都市の農業というものを確立する、それを新しく都市計画法の位置づけをして、生産緑地の制度を確立するという問題につきまして国会方面でもいろいろ御検討願っておるようでございますが、ぜひ次の通常国会までにはそういう成案を出して、いま税金で追い出されようとしている、それだけがいま先行している、そういう問題に対しまして、いわゆる都市の中で農業を営んで、将来もやりたいという者がほんとうに安心をして農業が続けられるということの御解決をぜひ願いたいということを最後に申し上げたいと思うわけでございます。
 以上で、時間も参りましたので、私の意見を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○山崎(平)委員長代理 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○山崎(平)委員長代理 引き続き質疑に入るのでありますが、宮脇参考人には、所用のため十一時五十分に退席いたしたいとの申し出がありますので、これを了承の上、質疑されるようお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田貴六君。
○安田委員 本日は、宮脇会長並びに池田専務さん、当面する米価問題そのほか農政上のたいへん重大な問題をかかえておるやさき、貴重な時間を割愛いただきまして、非常にうんちくのある意見の開陳を拝聴いたしまして、非常に感銘をいたしておるところであります。心から御開陳いただきましたことに対しましてお礼を申し上げ、若干の問題について御質問申し上げたいと存じます。
 なお、私は、きょうこの委員会において、後刻でございますけれども、おおむね会長並びに池田専務の御意見の趣旨に沿った観点に立って政府に質問をいたす予定をいたしておるわけであります。したがいまして、きょう開陳のあった諸問題については、この際質問をいたそうとは存じませんが、それに関連して一、二お伺いいたしたいと思います。
 時間が非常に短うございますので、私の質問も端的にいたしますから、御回答も端的に、要点をまとめて御説明をいただきたいと存じます。
 まず第一点お伺いをいたしたいのは、生産調整をしばらくやってまいりました。生産調整はいろいろな事情でやむを得ずやっておるのでありますが、私自体は生産調整を、本来の農政の面からいって、適切なものとは考えておりません。しかし、事実やってまいりました。したがって、これに対する功罪について、全中の会長さんとしてあるいはまた農業会議所の池田専務さんの立場で、それぞれどういう意見を持っておるか、これをひとつ端的にお知らせをいただきたい。
 時間がありませんから、一括御質問を申し上げますが、飼料問題、畜産振興上の重大問題である飼料問題については、お話がありましたように、九月末を切りますと、これはもう原料的にも全く枯渇をする、あるいは価格の面においても大幅の値上げは必至である。こういう情勢にあるわけですから、政府においてももちろん十分に検討を重ねておるところでありましょうが、農業団体として一体具体的にはどういうことを政府に求めようとするのか。これはこまかしいことは要りませんから、太い柱になる問題、これをひとつお聞かせをいただきたいと存じます。
 もう一つは、先ほど来池田専務さんのお話の中にもありましたように、まず食糧自給は国内生産をもって前提とすべきである、そしてやむを得ないものについてはこれは輸入に待たざるを得ない、こういう国内生産主義を前提とすべきであるというお話があった中で、やはり国民生活の上に安心を与えるためには、食糧の備蓄問題というのは真剣に考えなければならぬ、こういうお話がありました。この備蓄に対して、農業団体の代表である全中の会長さんとしてどういうような考えをお持ちになっておるか、こういう面についてもひとつお話を伺いたいと存じます。
 それから、時間がありませんが、もう一点だけ。先ほど宮脇会長のお話の中にありました土地問題、農用地の拡大は非常にむずかしい、いまの状態では自立農家の増加は困難である、むしろ減少の傾向にあるという指摘に対しましては、まさに同感であります。したがって、私たちはやはり国有林の活用という問題はどうしても考えざるを得ない。ところが、現在国有林活用法というのはありますけれども、私自身、残念ながら、その活用法は十分に生かされておるとは思っておらない。したがって、これに対する考え方は政府自身も大転換をはからなければならぬと思っておりますが、大体昨年の十月につくった政府側でいう十年間の長期見通し、これに基づく農用地の面積も、四十五年から見ますと、五十七年には五百八十四万五千ヘクタールというふうに、むしろ四十五年の時点における六百三万三千ヘクタールよりも減るということを予想したような土地計画になっておる。だから、こういう問題は大転換をはかって、農用地の拡大という問題に取り組まなければなりませんが、こういう面に対する農業団体としての端的な――林地の活用と農用地の活用というような問題の関連において、どういうところにそういうおくれ、現在のように農用地の拡大をはかれない要素を持っておるのか、林業政策と農業政策、こういう面において、あなた方から見て、この面に対する政府のやり方に対して具体的な批判があれば御批判をいただきたい。
 以上の問題に対し会長並びに専務さん、どちらからでもけっこうでありますから、時間がありませんからお答えいただきたいと思います。
○宮脇参考人 安田先生の御質問に私から端的に申し上げたいと思います。
 生産調整の問題につきましては、農家自身としましては、生産調整はあまりやりたくないということでまいったことは御承知のとおりであります。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
しかしながら、七百二十万トンという在庫は、食管の中におきましてもやはり米価決定の段階で非常に大きな圧迫になって、三年、四年据え置かれた。この点では、確かに生産調整をやることによって在庫がなくなって、荷もたれがなくなったから、少なくともいままでのように需給の関係、在庫の関係を理由にして米価を押えることはできなくなったろう、これは一つ言えます。
 それからもう一つ言えるのは、最近のような世界的な食糧不足で、アフリカでは一千万に近い人類が死のうとしておるという中で、せっかく持っておる農業生産力を無為に捨てて、しかも政策的につくらないでいっておるということは、人類の食糧不足というこの事実に対して、一国だけでもっておれのところのそろばん勘定でやむなく生産調整するのだといいましても、他国の人は――私は、ある国際会議で、日本の農業政策は人類の飢餓に対する背信の行為であるという意味のことを言われまして、一言の返事もできなかった。これは間違いございません。
 したがって、この点と関連がありますのは備蓄の問題でございますが、備蓄の問題は、粗飼料以外は人畜食糧一体でとらえるべきだ、私はこう考えておるのであります。だから、草という粗飼料はしかたがありません。しかしながら、あとの穀類というものは人間の食べるものといっておりますけれども、これは一体でとらえるというとらえ方でいくべきである。もちろん価格の問題はございます。ございますが、要は、日本で備蓄に一番困るのは何かといいますと、予算の問題と設備の問題だと思う。予算さえ出すつもりがあれば、いまの設備としまして不足しておるのは、サイロの能力でございます。サイロスペースを思い切り一カ月なり二カ月分をつくるという腹をきめればこれは可能である。
 アメリカ側も今度は逆に、いままで六千百万エーカー程度の休耕をやっておったものを、来年あたりは市場指向型の農政に転換していくので、CCC等の政府管理をやらない、それをやるとアメリカ農産物を下から足を引っぱる危険があるから、どんどんつくらして値よく売らすのだ、こういっております。したがって、アップダウンは非常に激しくなるだろう。だから、日本におきましてある程度の備蓄等の措置を講じぬと、これはもう絶えずそのあおりを食らうだろう。だから、安くなったときに――もちろん多元化して輸入しなければならぬことは間違いありません。多元化して輸入しなければなりませんが、安くなったときに何らかの保険的な金をみなで積んでおくとか、政府も考える、そして高くなった場合にそれを発動するとかということも一つの方法でしょう。そういう量と価格の両面をにらんで、備蓄体制と価格を確保しても、予算が伴わなければどうにもなりませんから、国にも思い切ってぶち込んでもらうということ、畜産物安定基金等に対して思い切ってこの際入れてもらう、同時に、やはり国際商品でございますから、波打ちぎわで何らかの形で目的税的な形で税金で取って積んでおくか、自主的に積み立てさすとか、何らかの形で安いときに積んで、高いときにそれをクッションにして、もう少し安くする措置を講じる、何かそういうことは考えればできそうな気がいたします。この点は生産調整の問題等との関連もございますので、米の場合も、もみ貯蔵をおやりになるという腹をおきめになれば、相当量の鮮度のいいものを貯蔵できる体制にございます。これはお考えいただいてしかるべきだと私は思っております。
 それから、えさの関係では、やはり当面の問題については、前段申し上げたような自給度を向上さすということについて力を入れなければならぬ。とりわけ麦類につきましては――私の県は香川県でございますが、二十三年からこちら私は県連会長をずっとやってまいっておりますけれども、最高売ったのは政府に対して百七十五万俵の大裸麦を売りました。そのときは農家の自家用を残しておいて。ことしはどうやら十五万俵売れません。それほどまでに低下しておる状況であります。だから、これは何らかの形で人畜食糧一体の角度でとらえて、めん類、あるいはその他の、小麦あわせて裸麦等も、やり方によってはもう少しらしい片のつけ方がある、私はかように考えておる次第でございます。
 それから、農用地の拡大は、いまのままでだんだん農用地がなくなっていって、他に転用されていって、それであとの補給がつかないと、これはまたずっと減る一方になります。これをもとへ返す道というものは、もはや埋め立て造成なんというようなことで農地をつくることはなかなかたいへんでございます。これは干拓でだいぶ大規模にやられておりますけれども、こういう干拓で国土を大きくしていくということが一つの方向でございましょうが、やはりもう一つは、国有林野の所有権をとると、売り払ってめちゃめちゃにされてしまうという危険がありますから、用益権、使用権、これをできれば――活用法が不活用になっておるというのは、高い地代をお取りになるからなんでございます。それでは牛を飼うても何を飼うても引き合わぬということでございますが、国も林野会計で相当赤字覚悟でおやりになっておるところですから、そこからは名目程度の使用料をお取りになるべきでありましょうけれども、てんで経営にならぬほどの高いものを取られてはどうにもならぬ。これは七百万ヘクタール以上といわれております中で、考え方とやり方によれば農用地の欠けていく部分を補給して余るだけの面積を持っておる。また農用可能の地があるであろう、ここからまず考えるべきであろう、かように考えます。もちろん適当なところにおきましては、漁業者との利害が衝突しない限り、干拓等によって国土面積を広げていくことも、何に使っても土地の問題としてやらなければならぬことではあるまいかと考えます。
 以上でございます。
○安田委員 時間がたいへんございませんし、宮脇会長の時間の都合もあるようですから、池田専務さんの御説明もお伺いいたしたいのでありますが、割愛させていただきまして、私の質問をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○佐々木委員長 柴田健治君。
○柴田(健)委員 お二方御苦労さんでございますが、宮脇会長は十一時五十分に出られるのですから、共産党、公明党、民社党まで一言ずつ質問させていただいて、あと池田さんには残っていただいてゆっくりやらしていただきたいと思います。
 宮脇会長に端的にお伺いしたいのですが、先ほどから十点にわたって意見開陳がございました。十分聞かしていただきましたが、その中で私たちが重大な関心を持っておる点は、まず今年の米価闘争というもの、は、一つの日本の農政の大転換期を迎えておる一つの戦いである、こういう判断をいたしておるのでありますが、会長としてはどういう見解を持っておられるかというのが第一点であります。
 第二点は、先ほど国有林のことが出ましたが、しかし、国有林の活用というよりか、農民みずから持っておる民有林のほうが開発可能地が多いわけです。この民有林の開発利用計画、それぞれの農業団体はどういう利用計画というか、そういう構想を持っておるのか、これが第二点であります。
 第三点は、農民のほうは、売るほうは安い、買うほうは高いという声と、一方では豊作貧乏、不作貧乏ということばが綿々と続いてきておる。農民は人さまに価格をきめてもらって安く買い取られる。買うほうは生産資材であろうと何であろうと高い。そこで問題は、流通機構だと思うのです。流通の問題については何ら触れておられない。流通機構改革についてどういう見解を持っておられるかということと、先ほど言われた試算米価は、どうも逆算でごまかしが多い。これを適正に直してもらいたい。いままでは正当にもらわなければならない金を政治加算ということで、どうも筋の通らないところのやり方だ。この政治加算方式を今年も皆さん方農業団体のほうは――そこにおいてわれわれは政治加算というつまみ金をもらって妥協するというところに農政の大転換ははかれない。そういう点は、農業団体の米価対策総本部長として宮脇さんは、きのうの大会でも重大な決意を言われたのですから、この政治加算方式については今年は断じて認めるわけにいくかいかないかという決意を聞かしていただきたい。
 以上であります。
○宮脇参考人 柴田先生のお尋ねでございますが、私はことしの米価の基本的な考え方は、ことし農家がほぼ納得のいく米価が出なければ、おそらく来年からは農家は米をだんだんつくらなくなるでしょう。まさに生産意欲は地を払う、私はこう見ております。したがって、その意味におきましても、ここで農民の心の荒れておるものをいやし得る米価たり得るかどうかということにおいて、非常に重要な年である、こう考えております。
 また、試算米価の問題でありますが、私は政府の試算米価というものが、米の不足の段階においてどう行なわれましたか、当時その任にありませんので十分なことを承知しておりません。しかし、私が昭和四十二年の全中会長就任から四十三年米審委員として今日まで、少なくともすなおな数字でなかったことだけは毎年言い得ると思う。それは別のことばを使いますと、すなおな数字じゃなかったということは言えます。それをすなおな数字にするために、いろいろと政治家の各位等でもっておやりいただいた、それを試算米価を基準にして上積みされたものが全部不当なるつまみ加算だというのが、御指摘のような一般の論評でございます。私は、少なくとも試算米価が正しく出されるということがなければ、依然として――やっぱり何でもかでも、より正しく生産費・所得補償方式にふさわしい価格を結果的に出してもらわなければいかぬわけですから、だから、筋としては、加算が何かつまみ銭だということに対しては、はなはだもって一般農民は歯切れの悪い思いをいたしますけれども、現実の問題としては、農家の望む米価にともあれ近づけてもらわなければならぬ、再生産可能な生産費・所得補償方式米価に近づけてもらわなければいかぬ、こういうことが御返事として申し上げ得ると思うのであります。
 それから、民有林の関係については、お説のとおりだと思います。私は列島改造論が出ました前後におきまして絶えず言ったのは、デベロッパーの買いあさり等に対して防衛の措置がないではないか。それは魚つき保安林、あるいは一般の集水保安林であるとかいう保安林に指定されている地域と国有林、公有林はそうじゃないにしましても、一般民有林はともあれデベロッパーの買いあさりの好個の対象になっている。だから、私は、これに対しては、環境保安林と名づけて、地域の生活環境を保持するために、環境保安林として知られたところを環境保安林制度でぶっかけてしまいなさい。それで、農用地等に使う場合においてのみ、目的がはっきりしておる場合に許可を与えるという形でおやりになるべきではありませんかということを絶えず言ってきたのでありますが、それがつまり今度の森林法の一部改正という形で出ておる、私はかような理解をいたしておるのでございます。党間のいろいろな事情は存じませんが、私の理解はそうでございます。それで、もちろんおっしゃるとおり、民有林、里山のほうが先行すべきである、こう考えておるのでございます。
 それから、流通改善の問題でありますが、御承知のように、シェーレがますます拡大しようという状況でございますので、流通改善を私どもが考えまして、あるいは集配センターその他のところへ相当思い切った金を投じつつあるのでございます。しかし、現在の流通構造というものはなかなか複雑でございまして、したがって、いろいろ市場におけるメカニズムといいますか、そういうものは急になかなか問題の解決に至りません。たとえば公営市場をぶっつぶすなんて言ったって、それは言うべくしてなかなかできません。だから、やはり別途のところへ新しい路線を引くしかないという形で集配センター等をつくっておるのであります。私どもが農産物の集配センターをつくりまして、これをなるたけ太く短い路線で消費者の手に渡そうといたしますと、今後中都市程度を含めて考えた場合、投資に対しまして、ここ十年間ぐらいの間に七十億円ぐらいの金利と償却、人件費に対しての犠牲を覚悟しなければならぬというものがございまして、これは全農でいろいろ検討させ、学者先生にもやってもらっておりますけれども、ちょっと七十億の犠牲を背負っていくというのには、他を圧迫いたしますので、これらについても何らかの行政的な政府の援助があれば何とかいけるかなというようなことも考えております。ともあれ、国際化されて、いろいろ自由化された品物が入りましても、いろいろな状況で、消費者のところで批判の声がございますように、農産物もまさにそのとおりでありまして、最終消費者の台所価格と生産者、出荷者の手取り価格との間にあまりにも大きい幅があり過ぎている。この辺が、流通の改善をやらなければならぬ根本であろう。それなりに努力をしておりますが、なかなか計算してみますと、膨大な犠牲を伴ってくるというあたりにいま思案をいたしておるという実態でございます。
 以上でございます。
○佐々木委員長 津川武一君。
○津川委員 宮脇会長、池田専務、きょうはほんとうに御苦労さまでございます。貴重な意見を伺わしていただきまして、お二人の意見の中にもありました、農地がつぶされておる、足りない、拡大していきたい、こういうことでございますが、ほんとうに私たちも、日本の農業を機械化するために、耕地を拡大、経営規模を拡大するとすれば農地が必要だと思っておるわけですが、そこで、私たちこのたび第二次土地改革の具体的構想というのを一カ月ほど前につくったわけです。この中のことを少し申し上げて御意見を伺わしていただきたいと思うのです。
 農用地の画期的拡大の見通しがある。全国の山林原野のうち、ただいま皆さんが話されたように、国有地約七百八十万ヘクタール、公有地二百八十万ヘクタール、会社保有地約百万ヘクタール、これは三井物産などが八千五百ヘクタール、それから王子製紙なんか数万ヘクタール、こういうふうに持っております。それから一般の山林所有者の中で百ヘクタール以上のものを持っているのが約八十万ヘクタール、これなどを合わせると約千二百万ヘクタール。この中から四百万ヘクタールを何らかの形で農用地として適用すれば、現在一・一ヘクタールの内地の平均耕作反別を一・五ヘクタールまで引き上げられる。北海道では五・七ヘクタールまで引き上げられる。私たち、土地の考え方を、だれが本来持つべきか。敗戦後の農地改革のときに国が買い上げて、値段には問題がありましたけれども、これを農民に売り渡した。同じような形で、このいまあげた土地を第二次土地改革として適当な値段で国で買い上げて、これを農民に解放する。そのことによって、一つの農地の拡大と地価の騰貴を押えることができる、このように考えているのです。これに対するお考え方をひとつ。
 しかし、この土地は平地より条件の悪いところなんです。これを開墾しようと思っても、なかなかそう簡単にペイすもものじゃないので、これは国政の、いまの際なので、思い切って国である程度まで耕作できる、採算できるまでやっぱり開拓してやったほうがいいんじゃないか、こういうふうな形で提案したわけであります。後刻会長さんにも専務さんにも届けますので、御検討いただきながら、ちょっと御所見をこの際承りたいと思います。
○宮脇参考人 津川先生の、いま第二次農地改革という共産党のお考えになっていらっしゃる案、私は当面まず第一に申し上げたいことは、いま土地問題が論じられておりますが、やはりこれは需給という問題が価格に見のがすことのできない大きな影響を与える。したがって、日本では可住地と可耕地、つまり住むに足る宅地、これから耕すに足る未墾地、こういうものをどう確保し、公平に分配していくかというところのほうが論理的には問題だと思うのです、解決の方向だと思うのです。したがって、日本の民族食糧をある程度の自給、可能な限り自給度を上げていくというためには、面積の拡大をはかるより道がございません。その意味で、私どもが七百万ヘクタール程度ある国有林野あるいは公有林野、その上さらにプラスになりますが、そういうものの中で農地たり得るものについては、これの用益権を解放してもらいたいという考え方とその点についてはまさに一致をいたしております。ただ、その方法論のところで、私有地あるいは法人有地等になりますと、非常に問題が価格その他の点において発生するであろうということが一つございます。
 それからもう一つの問題は、私はいずれの場合もお互いに考えておかなければならぬのは、それは国有であろうと公有であろうと民有であろうとにかかわらず、日本は御承知のように牛の背中のような狭い列島のまん中に山脈が走っておりますし、しかも雨の多いところでございますから、一つ手を間違えますと水害を呼び起こしてみたり、むしろプラスよりもマイナスも出かねない。この点は十分頭に入れて用地を選ばなければならぬ。その周辺地域の条件等考えながら、林野から牧野にしていくかどうか、採草地にしていくかどうか。一つの見習うべきは、スイスのアルペン農業というものの長所を、日本の林野を農用地化していく場合においては大いに参考にしなければならない。個人的にはそのような考え方でおります。
 以上でございます。
○津川委員 宮脇会長、先ほど国有林野のことに触れていただいて、今度は会社などの持っておる土地、公有地なども触れていただいたので、私も少しさっぱりしたのですが、そこで、借地にするか、やはり国で法律をつくって、いっそのこと農民の手に渡すかという点、第一次農地改革以降生産が非常にふえたこと、増産されたこと、生産性が高まったことを私たち覚えているわけです。ところで、国有林野活用法なんです。いまおっしゃられたとおり、高くてだれも使えない。これは高くて使えないのは、林野庁が持っておるから、そこで法的な規制を加えていくことによって使えるのじゃないか。私は国有林活用法が出たとき、ある別な意味から反対したのですが、いまになってみたら、だれも使う人がないのでびっくりしているわけなんです。この点、借用賃と、それから使わせるか使わせないかは皆さんも入った委員会をつくられてやらないと、これからの公有地もそうです、国有林もそうですが、ここらに対する具体的な悩みと御方針をあったら聞かせていただきたいと思うのです。
○宮脇参考人 問題点は、国有地の場合、私どもが個人じゃなくて団体、とりわけ農協とか農協の連合会とか市町村営というのは、国有林野のところで動いていらっしゃる方々がいらっしゃる、この人をのけておいて、土地だけ貸せといってみても、これはますます林野会計がお困りになり、その人も困るということになるのですから、その辺の問題は、団体のところで何でもかまわぬ、どんどん押し込まれるとたいへんなことになるのですけれども、そういう団体であれば、これはいい人で可能な限りのものであれば、話し合いがつくものじゃあるまいか。問題点は、いつの場合にも煮詰めていきますと、そういう問題が伴っていくことが一つではあるまいかと思うのです。他のところにおきましては、とりわけ困った問題としては、いまの活用法でお借りしたところで牛を飼っておるけれども、とてもじゃないが、ペイしないどころじゃない、大損が出ているということを三、四私のところへ言ってまいっております。何とかしてもらいたい、活用どころじゃなく、とんでもないことになったという恨みつらみの声がまいっておるということは事実でございます。
○津川委員 ありがとうございました。
○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 宮脇参考人、池田参考人にはたいへん貴重な御意見ありがとうございました。さっそくですが、宮脇参考人に若干お尋ねします。
 米価問題は、今後の農業の位置づけを決定づける従来にない重大な今回の米価決定とわれわれは考えておりますし、また会長もそのようにお考えだと思います。そこで、すなおに生産費・所得補償方式を出していただきたいということは、先ほど陳述されまして、逆算米価によって例年行なわれているということを指摘されましたが、われわれも同感です。
 そこで、今回の平均十キロ当たり二千百八十五円、これに対して米価対策本部長として全農家を代表し、いかなる対抗手段でこれに臨む決意で、またどういうふうに協議をされて今日おられるか。たとえば出荷延期、予約申し込みの拒否、こういったことについて公開の席で明らかにしていただきたい。
 第二点、食糧は銭で片づかないということを言われた。まさにそうであります。いよいよとなると銭よりも食糧ということになります。こういったことから、食糧の今後の自給については当然やらねばなりませんが、それらについて自給問題をあわせ、さらにアメリカに先般行かれた際に、会長が穀物銀行という構想を提案されてかなり反響を呼んだということで、テレビ等で私、見ましたが、そういうことについてお触れいただきたい。まずこの二点。
 もう一点、今回の米価問題等についていわゆるマスコミ等の問題、さっき若干意見を述べられまして、事実圧力団体によって米価がどうだこうだということを言われているけれども、実際はそうでないのだという意見の開陳がございましたが、全中として、米価本部長として、マスコミに対して米価はこうあるべきだということをもっとPRその他が必要であろうかと思うが、それに対してはどういうふうに考えておられるか。まさにPR不足である、かように思います。
 もう一点お伺いしておきますが、まぼろしの営農団地構想ということになっておるということで、慨嘆にたえない意見がございました。国は農業団地構想を打ち出しておりますが、今後この営農団地、国がいう農業団地構想、これについては国にどういうふうに望むか。こういったことを具体的に、時間の範囲内で、簡潔にお答えいただいて参考にさせていただきたい、かように思います。
○宮脇参考人 瀬野先生のいまの戦術の問題ですが、これはいろいろマスコミから報道されておるのですけれども、私どもはなるたけそういう方途を講じたくないというのが基本でございます。
 ただ、米価は、本来であれば、私どもの考え方、とりわけ私の考え方は、苗しろ前に米価はきめていただきたい。この米価でつくろうと思う者は、苗しろにもみをまいて田植えをしてもらう。それではどう考えてもやれない者は、他の作物をつくるなりという選択が与えられる余地を、できれば三月末ぐらいのところで米価はきめてもらうということが筋だと思うのです。そういう論理に立って考えておりますので、ことしの予約開始は七月十一日からと食糧庁はいたしました、米価は一日、二日が米審だ、それから総理がお帰りになって米価がきまるであろうというのがいまの見通しでございます。そうすると、米は幾らで買ってくれるのかわけのわからぬところへ、白紙委任でもってお好きなようにしてくださいという予約になるものでございますから、これは筋が通らぬ、できません、相場がきまってからにいたしますということで、予約の延期をいたしておるというのが実態でございます。
 ただ、超早場地帯というものがございまして、これは土佐の高知と徳島と宮崎と鹿児島と大分の一部、それから長崎、茨城、千葉でございます。ここはもう今月の二十日が来ますと、ぼつぼつと出だすのです。これはもう予約延期即出荷延期にならざるを得ぬのです。相場はきまっておりませんから、そこで、これらのものはわりあいに水分も多いというような関係もございますが、しかし、干天に慈雨で端境のところへさっと早場で出るものですから、待ってましたということで、相場が政府買い入れよりも相当高く売れておったというような実態なんです。申し込みしなかったら、政府に売らなかったら、もたもたしておると相場が下がる。その下がる部分等を含めて損失は仲間で見てやろうじゃないかというので、一俵十円、大体十億円の拠金をいたしまして、その県だけの農民の損にはしないということで私どもがやっておるというのが実態でございます。このことが政府食管をお持ちになっておるところに対してどれだけ打撃になるかならなぬかというようなことは別として、私どもとして筋としてそういうものじゃないか、相場もきまっておらぬのに申し込みせえと言ったって、とてもそれは筋の通らぬ話だから、行儀をきちんとして、何でもかまわぬやるというようなことはやめようじゃないかということでまいっております。
 私はむしろ、ほんとうであれば、明年あたりからは米価は三月ごろにきめてもらう。それでまた、新聞で聞くところによりますと、われわれの意図は別といたしまして、生産調整も続行されるというお考えでございますが、この成り行きはわかりませんけれども、私どもは納得のいかない米価が出れば生産を行なわない、納得のいく者だけがやるということたらざるを得ません。私どもはいまの米価の算定を要求しておるのは、バルク八〇でございますから、安いほうから八〇%、つまり八割までの米づくり農家が損せぬ米価というので、現在の一万三千百十円を要求しておるのであります。だから、それでもかまわぬ、つくれるという農家はそれはおつくりになったらいいじゃないか、そろばんの合わぬものはつくるわけにはいかぬという形で、ひとつ百姓の腹ぎめが早くできるように、できれば三月末までにやってもらいたい、こう思っておるのであります。
 ただ、ことし最近において非常に特徴的なのは、スト権が与えられていない国鉄労組さえもがあれだけのことをやって、それで賃上げしておるのだから、七月中どころでない、昭和四十七年産の米をいま政府米としてお預かりしておる米の出荷も拒否すべきである、こういう声が下から非常に強くございます。なぜだと言うて聞きますと、それはもう国鉄だってスト権がないのにストをどんどんやっておるじゃないか、それでもって自分たちの生活を守っておるのだから、百姓だけ守れぬという手はあるまいという意見が非常にございます。私どもはこれに対しまして、あくまでその意見として聞くと同時に、米穀対策中央本部の足立本部長にその措置について一任がされておるという実態でございます。これを申し添えます。
 それからもう一つの問題は、ライスバンク、穀物銀行の問題でありますが、このライスバンク構想というのは、私どものところでは、大体三億トン程度の米の生産、消費がなされておる中で一・五%程度の量が国際流通しておる。これが一たびこういう不作になりますと、タイもビルマも輸出禁止をやっておるという状況でございますので、やはり米もある程度できた段階で国際的にプールして持っておくことのほうが人類食糧、とりわけ米食民族の食糧確保の観点からいいではないか、だから、ぜひ国際協力の中で、米を作付制限をしたり生産調整するのではなくて、生産できればみんなが生産して、それでプールしておこうじゃないかというようなことが、相談になるのかならぬのかという問題で、これは私のほうから、日本から提案をいたしておるのでありますが、どうもまだそれが具体的な話までテーブルにのってまいっておりません。提案のしっぱなしという形に相なっております。
 それから、マスコミ対策は、もう私のほうも対策といっても、これは皆さんに深い御理解をいただくしか手はございませんので、まさに無冠の帝王でございますから、なかなかむずかしゅうございます。しかし、せいぜい御理解いただいて、消費者、国民の皆さんの同感を得るように進んでまいりたい、こう思っております。
 それから、まぼろしの営農団地ということばを使いましたが、これはどういうことかといいますと、前段私が最初に申し上げましたように、せっかく残っておる団地の中心になる人が、村のただ仕事をおっかぶせられて、ほかの者は月給もらったり日当を取ったりしてくるのに、おれだけただの仕事のお宮さんの世話だ、寺の世話だ、それ近所に病人ができた、死人ができたということで、先に立って飛び回らなければいかぬのだということで、おれも出ていくと、出られてしまうのです。これは困っているのです。そうすると、ちょうど大黒柱のない家みたいになってしまいまして、中心を失う。だから、私どもは何とか営農団地、農業団地ということばは違っても内容は一緒ですから、何らかの世話役等を、農協等で技術員を配置するなり何なりで、入れることも方法でしょうし、生産、販売一貫体制でどうするかといったような問題も考えていきますが、要は、外でもうける銭と農業に従事して得る賃金との幅にあまりにも差があり、農業に従事して労働賃金に換算した場合に、日当にならぬというところがまぼろし化するもとでございます。これは私どもも、ことしは第十三回農協大会がございますので、政府、農林省とも十分そのあたりの問題を打ち合せて、今度は取りこぼしのない、まぼろしにならない形に進めたい、かように考えております。
○佐々木委員長 神田大作君。
○神田委員 非常に時間がないようでありますから、簡単に御質問を申し上げます。
 米審の試算米価、いわゆる政府の諮問する米価というものに対して、非常に実情に合っておらない、われわれもそういうように考えております。それと農業団体の要求米価とが非常にかけ離れておる。これは毎年毎年だいぶかけ離れております。このような試算米価と農業団体の要求米価がこのようにかけ離れておる、そして毎年農民はもう農業に対しまして失望しておる、こういう問題は非常に重大だと思うのです。いわば米審というものが政府の米価決定の一つの隠れみのになって、そうして米審の答申を巧みに利用して、それに幾らかの加算をして農民を納得させようとする、私はこういう行き方に対して非常に疑問を持っておるわけですが、宮脇会長もそういう意味で言われたのだろうと思いますが、この問題について一体どこに――政府も生産費、所得補償方式でやる、こういっておりながら、どうしてそう違うのか、この点についてお尋ね申し上げます。
○宮脇参考人 いろいろあると思いますが、私はやはりこれは「年をへし糸の乱れの苦しさに衣のたては綻ろびにけり」で、時代がどんどん進んでいきますと、あの生産費・所得補償方式という中で、政府の試算米価ではもうあらゆる継ぎはぎをして無理して無理を重ねていく。私のほうがすなおにやっていきますと、米価は農家の労働賃金でございます。だから、賃金一つ、他産業のところからの見方一つにしましても、最初一寸違ったものが、すそではこう開くんですね。ましていわんや、据え置き米価を三、四年やられてきたというところに今日の差があるのではあるまいかと思います。
 したがって、米審につきましても、非常に社会からもその権威についての批判なしといたしません。また同時に、米審委員の中におきましても、非常に米審委員のやっていること、みずからやっていることに対する懐疑がございます。だから、極論すれば、もはや米審はなくてもいいじゃないかという議論もこれありでございます。したがって、この点は、私を含めまして、やはり委員の中に相当数私と同じ考え方を持っていらっしゃる方があるように私は見受けております。その存在価値についての懐疑、なぜかといいますと、もはや入らぬものを無理してはめ込んだり、ともかく生産費及び所得補償方式といっておきながら、その看板どおりの中身になかなかならないというところ、これはもろもろの理由があると思いますが、その辺に現在の米審についてどうもぴったりこない点があるかと思うのでございます。
 以上申し上げます。
○神田委員 いま一点だけひとつお尋ねします。
 これは後にまた徹底的な審議をする必要があろうと思うのですが、国会で審議しようとすると、これは米審できめるのだから国会でやらなくてもいいのじゃないか、こういう意見もあるようですが、私はこういうことで米審を重大な米価決定の基本にされてはたいへんなことだ、こう考えておるのです。
 それと同時に、先ほどもお答えがあったようですが、予約延期、出荷拒否ということに対して、会長さんは、これはなるべくしたくない――だれもこれはしたくないですよね。したくないが、現在のように、農業が追い詰められてきますと、農民はこれをやらざるを得ない。ことしは農民は真剣に考えて、いままでと違いますよ。われわれは一俵十円ずつ直接農家から運動資金をもらって、そうしてみんな信連のほうへ積んでおるのですから、これがもし要求するわれわれの米価が裏切られたということになると、これは宮脇会長の責任問題にもなって、われわれの責任問題にもなるわけですよ。これはそんななまやさしいことではない。これはもうじっくり腰を据えてひとつ農民の決意、また日本農業の危機というものに対して政府をよく納得させてもらわなくちゃ困ると思うのですが、そのことについての御決意をお尋ね申し上げます。
○宮脇参考人 誤解なきようにいただきたいと思うのだが、私どもは労働組合の諸君がストを目的でストをやっておる組合は一つもないだろうと思うのです。ストなくして要求が満たされればこれにこしたことはないということだと思うのです。私どもも私どもの要求しておるものに十分な理解が示された米価であることを願うのでありまして、最初からこれをもってストのためのスト、そういう形で出荷の延期とか拒否とかという形はやりたくない。しかし、論理としましては、米審の議も経ず、相場もきまっておらぬのに、予約しろ、米を出せというほうが無理じゃございませんか。だから、これは相場がきまるまでは何とも申せません。いまのところ出すわけにはいきません。予約もできません。では、相場がきまったらどうするのだというと、私どもが切なる要求として出しておるものを御理解いただいた米価になったかならぬかというところを思案して、そしてもう一ぺん協議をして態度をきめます、こういうことでございますので、決してスト的なことをやるためにいろいろ言っておるのでない。そういう意味で、相なるべくはそうしたことはやりたくないのが本心でございます。しかしながら、踏まれてもけられても黙っておるのかといったら、幾ら百姓も、やはり時によればなにというので、一番奮起する場合もありますよ、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
○佐々木委員長 宮脇参考人のお約束の時間が参りましたので、宮脇参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。
 宮脇参考人には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
 池田参考人に対する質疑を続けます。柴田健治君。
○柴田(健)委員 時間がございませんから、池田さんに簡単にお尋ねしたいと思います。
 池田さんはいま農業会議所の専務さんになられた。昭和四十三年、四年ころは農政部長として敏腕をふるわれたのですが、そのとき、私、池田さんといろいろお話をした機会があって、いま思い浮かべながら申し上げるのですが、先ほど池田専務が数点にわたっていろいろ御指摘、御意見を出されました。それらを聞きながら過去の池田さんの御意見を思い浮かべて、いろいろと私も何か割り切れないものを持っておるわけです。それは何かというと、農地法の一部改正なり農振法のあの法律をつくるときなり、またまた都市計画、そういう関連法案を、昭和四十三年、四年のあの国会のときに、池田さんがこの法律を早う通してくれ、通したらいまにもよくなるんだ、国有林の活用法案を早く通してくれ、通したらすぐよくなるのだ、こういう御意見を盛んに言われましたが、先ほど聞いてまいりますと、農業基本法まで触れられました。何としてもいまの政府・自民党の政治、経済政策というものは依然として高度の経済成長政策を取り続けておる。この政策が続く限り、農業という産業はもう追い詰められてくることは私は当然だと思う。その点は池田さんも言われました。この高度経済政策をとる限りにおいては、他産業との格差、均衡ある所得の是正というものはもう成り立たない、私はこういう判断をいたしておるのであります。農業団体がほんとうに農業を守るのなら、そういう点に何としても思い切った発想というものを農業団体みずからとるべきではなかろうか、こういう気がいたします。この点についての御見解をもう一回聞いておきたい。
 それから、農政の大転換といいながらも、現行制度、現行の農業関係法律がたくさんありますが、この法律を再検討しなければどうにもならぬのではなかろうか、こう思いますが、現在ある法律の抜本的な改正というか、そういうものに対してどういう考え方を持っておられるか、この点についてお尋ねをしておきたい。
 あわせて、今度は米価の問題と一方では農民年金制度、この農民年金制度に対して、このままでは私は農民がすっきりしない、こういう気がいたします。この点について米価問題とあわせて農民年金制度の改正をどうするかという考えがあるかないか、この点をお聞かせを願いたい。
 そしてまた、先ほど地力の低下だと宮脇さんも言われましたが、休耕地、生産調整をやめるべきだ、こういう御意見がございました。私たちも全くそのとおりだと思います。けれども、現在休耕地としてある三十万ヘクタールというものは完全に荒れておるのです。これらの復活、再利用という面について、それから一方では、いま地力が低下しておるものに有機質肥料をどうやっていくか、この点について国としてはどういう方法をやってもらいたいという何か具体的な考えがあれば聞かしていただきたい、こう思います。そういうことで何としても農民の生産意欲を減退さしたということは、今度の生産調整が私は大きな役割りをしていると思うのです。この生産調整で何が残ったか。それはたんぼを荒らした、土地を売買さした、そして農民の生産意欲を減退さした、この三つが副産物として出てきたのではなかろうか、こういう判断に立っておりますので、農民の生産意欲をふるい立たせるためにはどういう具体的な運動、政策を農業団体としてお考えになっておるか。
 以上の点をひとつお聞かせ願いたいと思う。
○池田参考人 柴田先生から広範な、むずかしい問題の御質問で、ちょっと戸惑っておるような状態ですが、農業基本法は、率直に申しまして、農業会議所系統は、基本法を推進した、言うなれば、帳本人みたいなものでございます。あの時代に農政がそのときどきの政府の交代等でぐらぐらするのは困る、農業の道筋をゆるぎない方向でひとつ農業の憲法的なものをつくるべきだ、こういうようなことであの法案の中身にもタッチいたした経過をいま思い起こすわけですが、その際私どもは、あの法律もずっと筋を立てて整理をいたしますと、やはり国民経済の中で農業は大事なのだ、その位置づけをしっかりして農政を展開する、しかしその農政の展開の中ではりっぱな農業を営む農家をできるだけつくっていくのだ、こういうような筋道であったわけですが、どうもあの基本法が宣言立法であるというようなことの関連もございまして、言うなれば、そのときどきの情勢で、基本法に即してはおりますけれども、そのつまみ食いがされて今日まで来て、大事な問題がはっきりした線で補完立法が行なわれてきておらぬ。実体法的なものをどういうふうに肉づけをしていくかというような問題が、実はその後の経過の中で抜けておるのではないか。一方において、経済の高度成長はその当時から予想されたわけですが、今日のような状態は、当時残念ながら私どもも高度成長が過去十数年これほどこういう形で進展をするというふうには理解しなかった。したがって、あそこで一番欠けておった問題は土地問題、特に地価の問題と思います。農業において地価がこれだけ上がってくる、その辺に基本法を構想した当時の一つの思惑のはずれが出てきておる。結局いま申し上げましたように、そういう観点から補完法を少しでも補強していこうということで、御承知のように、われわれも農地法の推進をし、農振法の推進をしあるいは国有林活用法案の推進もした、こういう経過でございます。
 しかし、そんな程度のことではどうにもならなくなった。こういう問題が単に国内だけの問題でなくて、国際的な環境下において今日出てきておるので、日本の農業をもう一ぺん見直す、そこでほんとうに国民的な合意でこれをもう一回原点に戻って仕切り直しを始める、こういう時期に来ておる。そうなりますと、いま先生おっしゃるように、やはり高度経済成長政策を改めるということがやはり国政の基本でなければならぬ。ここにほんとうに力を注いだ焦点が、いろいろな政治、環境あると思いますけれども、これは政府、与党、野党を問わず、全体としてそういう問題をやっていかないと、日本の国というものは一体どうなるのかという、農業だけじゃなくて、そういう問題がやはり今日出てきておるので、政策の基調、基本を大きく大施回をするという問題がどれだけの力を持って出てくるかということが、農業の、特に耕種農業を営んでいくための地価問題をある程度冷やしていって、そうして規模拡大をしても成り立つ農業ができるかどうか、こういうところにかかっておるので、そういう観点から、先生のおっしゃるように、あらゆる立法その他もここで全体として再検討する、こういう時期に来ておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 そういう意味で、なかなかわれわれも力がございませんが、今日非常に農地を守り、農業を守る、こういう視点から、いま系統といたしましては、全体として土地と農業を守る運動ということの展開を実はいたしておるわけでございます。その中には、基本は農業を守るのですが、とりあえず、ここまで蚕食され、さらにどこまでいくかという土地を、特に優良農地を確保する、こういう問題で農業委員会が農地法の番頭をやっておるというような問題等含めまして、いま全体の調査等をいたしまして、先ほど共産党の津川先生からお話がございましたが、われわれもやはり実は、四十万から五十万ヘクタールの土地が大企業その他に買い占められておる、こういう状態にいかにして歯どめをかけ、また、それが農地までひっくるんでおる場合には、その農地の復元をどうはかったらいいかというような問題で、今日の段階では調査あるいは啓家の段階でございますが、第一段階が大体終わりまして、四十六県のうち、四十二県ほどがこの推進対策本部を持ってやっております。
 第二段階としましては、われわれはそういう土地をもう一回農業の中へ戻してもらうということができれば一番いいわけでございますが、農家の中にはやはりどうしても売らなければならぬ、金は使ってしまったというような者もおるわけでございます。そういうような問題を具体的に解決するためには、金も要りますし、いろいろな問題でこれから非常にむずかしい段階に入るわけでございますが、そういう問題にひとつ具体的に取り組んでいって、中央で解決をしなければならぬ問題があれば、また国会等にもお願いをするというようなことを実は考えておるわけでございます。
 ただ、今日当面の法律の問題としては、御承知のように、仮登記という形でどんどん農家に手金を打ってしまう。こういうことで、農業委員会に土地の転用その他に対する申請がある前に仮登記で手金が打たれておる、したがって、農地法の関係で農地を転用でチェックをする問題と仮登記の問題を、これを立法的にどういうふうに斉合してその辺を整理するかというような問題は、当面の問題としてどうしても法律の上でも整理をし、解決をしてもらわなければならぬ問題ではないかというふうに考えておるわけでございます。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
 それから、米価と農民年金のお話がございましたが、米価の問題は、宮脇会長もいろいろ触れられましたように、これは今日段階におきましては、先生のおっしゃるとおりに、農民の士気がここまで後退をし、もういよいよ農業をやるような機運というものが全体として失いかかっておる、こういう問題は非常に重大な一つの段階に来ておるのではないか。それを回復するという形が、実は本年の米価の一つの起爆的な役割りを持つ。こういう観点から、ぜひ米価問題の納得のいく解決をはからないと、もう日本の農業というものは、将来の展望をことしの米価問題を起点として失うかどうかというそういう関頭にある、こういうことを実は申し上げたわけでございます。
 先ほど人の問題に関連いたしまして、農業者年金制度、これはすでに先生方の力ででき上がっておるわけでございますが、これも国年あるいは厚生年金の改正等がございまして、それとのからみにおきまして、農業者年金は当然改善をされなければならない。そういうことで、農林省におきましてもいま研究会が持たれ、私も委員の一人として参加をいたしておるわけでございますが、やはり老後の保障もございますし、それから農業に従事をする若者が、やはり農業者年金というものが一つあって、それが国民年金とかみ合って、両々相まってその将来の問題については安定的な形で農業にいそしめる。こういうような面からは、農業者年金の制度の改善問題は、さらにさらにこれから重要な問題を持つので、この際来年の通常国会には農業者年金制度のもっと竿頭一歩を進めた改善の立法をひとつ国会へ政府が出すように、先生方からもひとつ格段の御配慮をお願いいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、地力の保全問題、これは非常にいま大事な問題で、四十七年度の米作の中では、米の主産地で生産力が相当低下し、平年反収を下回っておる。こういう問題は、やはり有機物を土壌に還元をしない。たんぼのあとの稲わらは早く焼いて働きに行ったほうが得だというような問題が積み重なって、また農家の意欲の失いということと関連して出てきたと思うのでございますが、これにつきましては、一つは、そういう一定の地域で土地の地力を守るために、やはり政府がこういう問題に対してもある程度の助成の方向を具体的に考える。また一つは、分化いたしましたいわゆる畜産だけの農家がふん尿の処理に困っておる。これを一つの地域を作定しまして、そこへ運搬をして、耕種農業をやっているところへ戻すというような問題につきましては、すでにいろいろ具体的な提案をいたしまして、その予算要求等も政府にお願いをいたしておりますので、ひとつ具体的にそういう問題をまた先生方のほうにも御披露いたしますので、予算の御協力もお願いをいたしたいというふうに考えるわけでございます。
 大体以上でございます。
○柴田(健)委員 もう一点、池田専務にお尋ねしたいのですが、いま土地の乱売買、乱開発だ、こういうことで、全国農業会議所も都道府県の農業会議を通じ、市町村の農業委員会を通じていろいろ実態調査をやる、いまもうほとんど確認されておると思いますが、それはそれとして、とにかく完全に盗まれてしまって、盗まれたあと騒いだってしょうがないという気もいたしますが、打つべき手はこれからも打たなければならぬと思います。けれども、私は、レジャー産業をなぜみすみす手をこまねいて、商社なり不動産会社なり、そういう他産業、商業資本にみな握られてしまうというのはどういうことかという気がいたしました。この点について農業団体、特に市町村農業委員会は、土地の利用計画等は重大な責任を持っておる委員会だ。その委員会をあなたが統轄をしながら、土地を取られてしまってから騒ぐ。それよりか、なぜ、農業団体が中心になって地権者に呼びかけて、レジャー産業の何割ぐらいは農業団体がある程度持つべきではなかったか。商業資本にみな取られるというのはどうもおかしいという気がしますが、この点の見解を一言だけ聞かしていただきたい。
○池田参考人 私どもは、取られたもの、これは現実に面積がはっきりしておるわけですが、しかし、これはさらにこれからも進出してくる。これはお話しのように、そういう問題に今度は入らないように、農民の啓蒙も十分やって、むしろ農協等がその地域で必要なレジャー的な機能をやるとか、どうしても地域として必要なら、地域での開発は農業側がそれをやる、こういうような方向で農業との調整をはかりながらやるべきだ。
 取られてしまったものをただほうっておくか、これはやはりよくないので、その善後策をこれからその分についてはひとつやっていこう、両々相まってやるべきである、こういう考え方でおるわけでございます。
○山崎(平)委員長代理 次に、津川武一君。
○津川委員 池田専務にお尋ねいたしますが、その前に、私たちの第二次土地改革の構想を後刻お届けしますので、御検討をお願いしたいと思います。
 そこで、これも土地の問題にからむのですが、皆さんがおやりになっておる農地を守るという運動、私たちはいま現在農地としてあるものは、たとえ一アールでもつぶしたくない、それを守っていくことが第一の仕事。第二には、先ほど話したように、農地の拡大をはかる。こういう立場から言うならば、皆さんの農地を守る運動というのは非常に大事だと思うのでございます。そこで、これをおやりになる具体的な構想並びにこれをやる上において政府に何を要求しなければならないか、これをひとつ伺わしていただきたいと思います。
 これと関連して、先ほど申された都市農業のことでございます。私はこの間横浜の南農協、北農協の現地を見まして、その土地に樹木、緑がなくなっておったのに驚いたわけであります。今度の都会議員の選挙で北多摩に入ってみまして、ここでもまた緑がなくなっているのに驚いているわけです。北多摩郡でただ一つ残り、意を強くしたのは、そういう形で昔の武蔵野が切り払われたあとに栗などが植えられておって、先にこれが大きな緑を取り戻してくれるというので、少し希望を持たしている部面があるわけです。
 そこで、私たちは、緑の問題として考えないで、日本人の生活の基盤――このままでいくと生活かたいへんなことになってしまうので、農業以上の問題として生きる基盤、環境を守らなければならない、こんな考え方をしておるのでございます。こういう点で農業に課せられた任務たるやまことに大きいので、農業以上の問題となってきた。ここいらあたりの農業会議所の皆さんの御構想なんかありましたら、伺わしていただきたい。この二点でございます。
○池田参考人 まあ土地を守る運動、農業を守る運動という展開を今日しておるわけでございますが、外からの力もなかなか強くて、むずかしい問題に逢着しつつあるというのが率直に言って現状でございます。しかし、私どもは、現在五百七十万ヘクタールの中で何とかまとまった優良農地は、やはり将来農用に使う。そこで、蚕食されるものは、何とか個々の農業者も立ち上がって、それを仮登記その他で売ってしまうというような事実上の行為を阻止しなければならぬ。今日の農業は、先ほど申しましたように、地価が非常に値上がりしている、五年前の三倍になっている、あと五年すればまたいまの三倍になる、こういう期待を一方に置きながら農業を営んでおる。こういう状態を国全体として、これは農地だけじゃございませんが、地価対策をどうやってやるか、これが国に対する基本的な要求だと思っております。
 たとえば都市計画ができまして、いわゆる都市計画の市街化区域は、農業じゃなくて、農業以外の住宅その他をやる地域である、それ以外は農業地域である、こういうことになりましたけれども、いま民間デベロッパーその他は、市街化区域の土地が高いということで、調整区域その他に飛び込んでいってどんどん買い占めを始めておる。そういうことが農村の地価を上げ、農業がむずかしい段階に追い込まれている。こういう問題につきまして、いま幸か不幸か、金融引き締めである程度不動産業者が倒産をしつつあるということを聞いております。しかし、これはなかなか大手には及ばない。しかし、やがてそういうようなことも経済政策の引き締めと関連して出てくる。そういう場合に、政府がこれを救済するというようなことは、厳に戒めてもらわなければならぬ問題ではないかというような、いま当面している動きの中ではそんなことを感じております。
 したがって、いろいろな手を打って優良農地を守り、さらに農業を拡大するためには、先生もおっしゃるような、さらに国有林、民有林その他をひっくるめまして農用地の拡大という問題をやって、そしてわが国でも耕種農業が成り立つんだ、こういう問題をこれからやっていく、そういうためのいろいろな要求を政府にこれからどしどしやっていかなければならぬ、こういう問題意識を持っておるわけでございます。
 それから、都市計画は、御承知のように、いま先生のおっしゃるようなことが第一でございます。だからこそ、私どもは都市計画法のサイドから農業の問題を、都市計画法に生産緑地を位置づけをして、都市計画側から見ても都市の中に緑を保存する、生産を営みながら残していくということは必要ではないか、こういう形での問題意識でいま取り組んでおるわけでございます。そのことが生活に緑を与えるという問題につながり、農業のサイドからはそこで農業者が生産を営める、こういうような問題をぜひ解決を願いたいというふうに考えておるわけであります。
○津川委員 以上をもって私は質問を終わります。
○山崎(平)委員長代理 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 池田参考人に四点お伺いしたいと思います。
 自立経営農家がわずか四%ということで、現在日本農業のたいへんな問題でございますが、規模拡大をするについて、政府も規模拡大をすべく構想を打ち出しておるわけですけれども、実際に相続税、贈与税等の問題がいろいろあると思うのです。なかなか農地を手放さないという問題があると思います。こういった点について、まず会議所としてはどういうふうに考えておられるか、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
○池田参考人 お話しのように、自立経営がここまで減ってきて、これをさらに減らすということじゃなくて、逆にふやしていく、こういうようなことが農政の課題だと思います。そういう意味では、ここに税金の問題として、特に都会に近いところだけじゃなくて、いまや相続税、贈与税等の問題は非常に大きな問題になって、いわゆる生前一括の特例はございますけれども、それだけではなかなか解決できない。特に相続する場合には、土地を切り売りしないと税金が払えない、こういうような問題があるわけで、その点はさらにわれわれは税法上、この問題は民法とのいろいろな関係がございますけれども、農業の問題としては特殊な形として、さらに前向きの形で、現在の相続税の対応する農業側の問題は立法的にも解決してもらわなければならぬというふうに考えております。
○瀬野委員 次に後継者育成問題ですが、先ほど池田参考人の陳述で、新規学卒がだんだん減って、定着するかどうかも心配だ。四十七年が二万二千人、うち男子が一万六千人、したがって女子が六千人ということになりますが、定着の保証もない。農業者の中で空洞化が起きつつある。当然われわれもそういうふうに予想しております。人がだんだん農家からいなくなってくる、これはゆゆしき問題でございます。また、新規卒業者は三割しか後継者として従事しないということも問題でありますが、これについて、もうこれはおそらく数年を待たずして一万人を割るのではないか、こういうふうに私たちは指摘をしておるのですけれども、会議所は今後の見通しはどういうふうに思っていられるか。
 それと、先ほどの陳述の中で、人の問題の政策が大事であるということから、政策の要望を出す考えでいま検討している、その中身を若干お漏らしいただければ、簡潔にお聞きしたい。
○池田参考人 私、特にこの問題を強調して今後の御協力をお願いしたわけですが、もう待ったなしの一つの時期に来ておる。一つは、文部省教育が、農業高校いろいろございますが、その中でいわゆる農民になるということを主たる目的にしておる学科の卒業生が三万数千人おる。それが農業には三分の一しか向かない。これじゃ何のためにそういう教育を金を出して農業高校がやっておるか、どこに農業教育の問題が欠けておるのか、こういうようなこともありましょうし、もう一つは、やはり全体の農政のビジョンのつながりがあるわけで、その辺は文部省教育の改善問題につながると思います。その点につきましては、いまの農業高校でやっておるそういう学科の先生の問題とかあるいは内容の問題とか、いろいろございます。そういう点をひとつ解決をしてもらいたい。予算も大いにつけてもらわなければならぬ、こういう問題があります。
 いま一つは、それを受けて今度は農業側がこれをどういうふうに定着をさし、育てていくかという問題がございます。これは主として農林省の問題になるわけでございます。しかし、この問題も、まあそういうことを言うと悪いのですが、農政全体の中ではどうも物や金に関する政策が非常に大きな予算規模を持ちながら動いておるが、人に関するそういう問題は非常にささやかである、そういうことでいいのかどうか。企業におきましては、企業が卒業生を引き受けまして、そこで企業内教育をやる、こういうことで一人前に育てていきますけれども、農業の側では、これは農業界全体がその人間を受けとめてどうやっていくか、こういうことでなければならない。いわゆる企業内教育というものの肩がわりを国や地方公共団体がやっていくというのがたてまえだと思います。その辺のことを 十分そういう意欲のある農家の希望にこたえるような、あるいは激励するようないろいろな政策というものがあってしかるべきであって、そういう問題が、まあいろいろ取り上げておりますけれども、非常に薄いというところに、途中でいや気がさして、大体半分ぐらい定着しないでまたやめていく、こういう問題につながるので、その辺のことは、一方農業政策の伸展をはかると同時に、やはりそこに目を向けた政策というものが農政の一つの柱としてぼつぼつ起こってこないと、先生おっしゃるように、五年か六年かわかりませんが、二十年後には日本の農業を担当する人は一人もいなかった、こういうような事態になったら、これはたいへんなことだ。いまそういう問題をやらなければならぬ待ったなしの時期に来ておるのでないか、こういう感じでございます。昨年三万何千人かおったのが、すでに二万二千人、一年に一万人くらいずつ減っておりますから、もうなくなることは目睫の間に迫ってきておる。こういう状況は非常に大事な危機的な症状として私は見てとらなければいかぬのではないか、こういう感じを持っております。
○瀬野委員 それではあと二点簡単にお伺いしますが、生産調整の問題で、来年から休耕をやめて米は余裕を持った量をつくるべきである、とんとんにつくることは危険である、ある程度余裕を持てというような陳述がございました。それでは、生産調整をやめてどの程度つくればいいかというめどはどういうふうに考えておられるかということが一つ。
 もう一つは、有機質の還元がないために、いわゆる地力が減退する。これはたいへんな問題である。かりに十アールに一俵ずつ化学肥料のために地力が衰えて減収となった場合は、将来たいへんな問題になると思いますが、その点は会議所はどういうふうにお考えであるか、御参考にひとつお聞かせいただきたい。
 以上二点、お願いします。
○池田参考人 生産調整の問題で、どの程度米をゆとりがあるところまで持っていっていいか、これはなかなか議論があるところだと思います。ただ、政府におきまして公式の見解としては、ランニングストック、これは私どもの言う備蓄ではございませんが、一応百万トンベースか望ましい、こういうようなことに一応なっております。しかし、その中には若干の備蓄的な要素もあるのだ、しかしまあ一応筋道はランニングストック、したがって、いま五十万トンですか、それをことしの米で七十五万トンまでにし、来年は百万トンにする、こういう計画だと聞いております。
 私どもは、それはこの一億の国民の米の需要に対する政府が操作をする米のワクであって、それにプラスアルファ、これは国民全体が米だけは心配ない、こういう安心感をどこまで持つか、百万トン上積みでいいのか、その辺はいろいろ議論があるところだと思いますが、そういう点で、まあ二百万トンぐらいはという感じを私個人は持っておりますが、そういう問題をやる。
 まあ、いままでの生産調整で、七百万トン持っておって、先ほど功罪はどうかというお話かございましたが、私は、罪のほうは農民の士気を阻喪し、稲作に対する熱意を失った、こういう問題が一つあると思いますが、功のほうは、幸か不幸か、それこそ幸か不幸かですが、えさ問題が非常に価格の上昇の場合にこれがてこになったとか、あるいは東南アジアその他に日本の国がその余った米を出すことにおいて向こうが喜んだとか、こういう功のほうは逆にあったので、何も七百万トン米をためておけということは私は申しませんが、ランニングストックだけで、そこでとんとんでやっていくということは、米に関する限りは非常に危険で、まあどのくらいがいいかということははっきり言えませんけれども、百万トンか二百万トンというような問題を実は考えておるわけでございます。
 それから有機質の問題は、先生御指摘のように、特に米の中心地帯でそういう現象が起こってきているというところに非常に問題がある。こういう地帯はやはり永久に米の生産力を維持し、守っていかなければならぬ。こういう中心地帯に稲わらを焼いてしまうとかいろいろな問題等が起こって、また家畜のふん尿等もほとんど還元をするような場がないとか、こういう問題をやっていかないと、かりにそういう地帯で一割減産をするというようなことになりますとこれは非常に危険なことで、何か政府は、私もこの前ほかの席で申し上げたのですが、まあいろいろな現象があっても日本の米の生産力は五%のフレが限度である、それ以上落ちる心配はない、そういう問題との関連では、地力の低下の問題をどういうふうに踏んでおったかというような質問をしたことがございますが、やはりそういう問題は五%のフレを上回る一つの要素として今後出てくる可能性も非常に強い。したがって、そういう問題について、国がやはり農家を助長して地力の保持にどういう新しい政策なり具体的な施策を出して予算化するかという問題は、当面した緊急の問題ではないかというふうに考えております。
○瀬野委員 終わります。
○山崎(平)委員長代理 次に、神田大作君。
○神田委員 時間の関係がありますので、二点だけ質問申し上げます。
 まず第一に、食管堅持の問題でございますが、米が余ったというので自主流通米というようなことをやっておりまして、このために食管がなしくずしになるような動きが出てきて、モチ米等は買い占めをされる、また警察庁に告発されるような、そういう問題か出てきている。私は日本の食糧を増産していく上に非常に重大な問題であると思うのであります。
 それで、私は、この自主流通米に対する会議所の池田専務の考え方、それと同時に、全量買い入れを行なって備蓄制度を確立すべきであると考えますが、これらの問題についての御意見をお伺いしたいと思います。
○池田参考人 自主流通米の問題につきましては、これは食管のワクの中の一つの具体的な操作という形で発足をしており、当時やはり米の味のいいものをどうつくっていくか、これは需要の側にもそういう要望が強い、したがって、いわゆる政府が直接全部管理をしていくもののほかに、そういうものを食管のワクの中で一つレールをつくる、こういうことでスタートをしてきたので、当時、うまい米つくり運動、それから消費者に対する対応というようなことで、私は自主流通米につきましては、これが食管法のなしくずしのきっかけであるという議論もございますが、そういう考え方は今日もとっておらないわけでございます。
 ただ、問題は、それらをひっくるめまして、さらに余り米の問題が常にあるわけでございます。これは、やはりこの辺に一つのやみなりあるいは投機のきっかけをつくり、政府米までをひっくるめてそういう問題が水ぶくれしてくる。したがって、農業団体といたしましては、この余り米についてはやはり政府は完全に買わなければならぬというような形に置きますと、事実上、食管の全体の体系は守られるわけでございまして、この余り米問題等は、今後、生産調整のやり方は変わってくると思いますけれども、これはひとつ厳粛に政府が買い上げをはっきりする、こういう形での問題でなければならないのではないか。そういう意味で、先生のおっしゃるように、全量買い上げというような問題は、事実上の政府のコントロールの姿の中におきましてはこれは確保されるわけで、そういう意味では食管の基本は守られる、そういう筋の中で、政府の一つの基本的な今後の食糧安定供給という大きな責任の中で、備蓄問題を考えていく、こういう筋道で私なりに考えておるわけでございます。
○神田委員 私もこの食管制度を守る上には、全量買い入れ、もし余った場合には、世界的な食糧危機の段階において、備蓄制度を確立する、こういう態度で臨んでいくべきではなかろうか、こういうように考えております。
 次に、私は、麦作、飼料作物がいまの価格ではとうてい増産が見込めない、むしろ私は麦作、飼料作物はこのままでは壊滅になっていくのじゃないか、こういうように憂えるのです。今日、世界の食糧事情が変わりまして、アメリカ等におきましても、ソ連や中共との契約をして、日本等には契約をしたものも破棄するというような状態のもとにおいて、いまのような価格で、麦作、飼料作物、大豆等の増産対策を考えないと、これはたいへんなことになると思いますが、これらについて、農業会議所の池田専務としてはどのような態度で今後臨んでいくつもりであるか、お伺いをしたいと思います。
○池田参考人 麦作、大豆の問題は、問題意識としては、いま先生のおっしゃる形で、何とか国内で、特に特殊な嗜好を持ったそういうものを国内でできるだけ確保する、これはいまの価格水準ではもはや安楽死寸前であり、もういよいよ壊滅をする、そのとおりだと思います。
 ただ、私は、この価格政策でささえる分野、これはもちろんいまよりよろしくなければならないわけですが、それだけでは、やはり国際的な一つの圧力もありますから、むしろ実質的には、農家の手取りを、米に準ずるような形でのものを、どういう形で別途の奨励金なりいろいろな施策で積み重ねていくか、しかもそれは全国一律ではなくて、私の考え方では、もうその地域がだんだん見当がついてきておりますから、できるだけそういう麦作を振興する地域というものを指定する、と言うとちょっと問題があるかもしれませんが、おのずからきまってくると思いますので、そういうところに特化をして、そういうところには価格政策以上の問題を、しかもそれは米に匹敵する、準ずるぐらいのところまでいろいろな手当てをしていく、こういう形で日本の国内におきましてもやはりこれはやっていくべき問題である、こういう政策の転換をはかるべきではないかというふうに考えております。
○神田委員 ありがとうございました。
○山崎(平)委員長代理 池田参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。
 池田参考人には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
○山崎(平)委員長代理 政府当局に対し質疑を続行いたします。安田貴六君。
○安田委員 非常に時間が短い関係で、予定したものの質問のできないことを残念に思いますが、時間の許される範囲内において、大臣はじめ農林当局の皆さま方に御質問を申し上げたいと存じます。
 最近におけるわが国の食糧需給状態、こういうものについてはもうこの委員会で非常に議論をし続けられておるところでありまして、私、重ねて多くを申し上げようとは存じませんけれども、しかし、世界的な農畜産物の需給状況の逼迫あるいは国内における農畜産物の生産の停滞というより、むしろ減少、こういう傾向の中にあって、先ほど来お話のありますように、農民の皆さん方は、これからの日本の内政面における農政の地位あるいは農民の地位あるいは農村の社会的な地位、こういう面から非常な私は自民党政府に対する期待を大きくお持ちになっておる。そしていま、さらに当面する米価問題がもう目前に迫っております。あるいはまた、輸入はどんどんと伸びておることは御承知のとおりでありまして、最近の新聞等を見ましても、世界の農産物の貿易面におけるわが国の輸入量というのは、四十五年で、大豆においては世界の輸入量の二七・二%、トウモロコシにおいても二一・二%、バナナ一九・二%、世界第一級の農産物の輸入国になっておる、こういうようなことはすでに御承知のとおりであります。
 しかも、こういう事情に加えまして、四十九年度の予算編成という問題が、もう内面的にはおそらく農林省当局においては内々作業が始められておるわけでございます。秋口になってまいりますと、大豆でありますとかでん粉であるとか、その他の農産物価格の決定が矢つぎばやに迫られておるというような事態でございまして、こういうときにおける農林省当局のこれからの農政に対する姿勢というものは、従来の姿勢は姿勢として、新しい観点に立った軌道修正というものが、食糧事情の現況に照らしまして、どうしてもこれは必要な課題である、こういうふうに考えておるわけであります。
 そういう観点に立ちまして、私はまず農林大臣にお伺いいたしたいのは、この主要農産物に対する自給率を、すでに昨年の十月に策定せられました需給と生産の見通しという試案、この試案にかかわらず大幅に引き上げるというような問題、あるいはしばしば議論をされておりますし、また農林大臣からもおことばの中には出ておりますが、いわゆる農畜産物の備蓄体制をどうするのかというような問題、あるいは価格政策に対する従来とっておった政府の政策が、先ほど申し上げましたような現在の農民の政治に対する、極端に表現すれば、不信感が私は非常に強いと思うのでありますが、そういう不信感といまのような食糧事情の上に立って価格政策が一体現状でいいのかどうか。あるいはまた農業金融というものが、本年度におきましてはある程度の是正はされましたけれども、これらに対する要請はきわめて強いものがあるわけでありまして、こういう改善策をどうするのかというようなことを初めとする抜本的な農業振興策、この実施、もちろんこの前提としては、先ほどから議論になっておりまする土地の問題、地価の問題、その他各般の問題が横たわっておることは承知いたしておりますが、私はまず、直接的な農政の責任者としての大臣のこういうような問題に対応する従来の農政に対する反省があれば、反省の上に立って従来に対する基本的な考え方、私の期待するのは軌道修正ということがどうしても必要だ、そういう観点に立った御見解をまずお伺いをいたしておきたいと思うのであります。どうぞ大臣。
○櫻内国務大臣 ただいまお述べになられましたように、農村あるいは農家にとって内外の諸情勢はきわめてきびしいものがあると思います。私どもは高度経済成長に対して批判も受け、また反省も持ち、いろいろと考えてまいっておるのでありますが、現実に農業と他産業との生産性の格差の拡大や兼業化の進展、あるいは自立経営農家のシェアの減少というような事実からいたしまして、一体これからの農政をどうするかということについて非常に悲観すべき状況のようでございまするが、私としてはこの辺を最低と見て、ここからはね返していくのだ。これからは国際的な食糧の需給の逼迫、あるいは現に国民の中にある食糧に対しての何とない不安感、こういう際でありますから、国民の目は農政のほうに向けられつつある。だから、この機会に私どもが積極性を持った前向きの姿勢をとるなら、これに対しての支持が与えられるものではないかというふうに、気持ちの上では持っておるわけでございます。今後の基盤整備の上に、構造改善政策の上に、あるいはお示しの価格政策の上に私どもが努力をすることによりまして、昨年の十月に発表した試案の自給率を十年後に七五%見当ということで臨んではおりまするが、これも新しい情勢のもとに農政審議会のほうで見直してもらおう、こういうことでもございまするので、自給率についてふやせるものはできるだけふやすという考え方に立ちまして、ちょうどよい転機にある、これからの農政について、われわれのやりようによって前途は明るいのである、こういう認識の上に努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
○安田委員 ただいまの大臣の御見解は、私もまさにそのとおりだと思うのでありますが、ただ、問題は、日本の国内における農産物の生産、あるいは農民経済、農村社会の実相というものは、他の産業との比較、あるいは他の農民以外の国民の社会生活の実相、実態、そういうものと比較すると、私はこれ以上下げてはならぬ段階まできておるのではないかという認識を持たざるを得ないのです。日本の国民全体の生活はもちろん、わが国の経済成長によって年々いろいろな問題を残しながら、ひずみ現象の解決のためにいま努力を払っておる過程でありますから、そういう問題は残っておりますけれども、私は非常に生活も向上してきておる、そういうことははっきりしておると思うのでありますが、その中における農民の問題あるいは農村の問題というのは、これ以上下げてはならぬ段階まできておるのではないか、こういうふうな認識を私は強く持っておるわけであります。したがって、そういう観点に立っていまお伺いいたしたわけでありますが、大臣の御見解をお伺いいたしまして、私はさらにもう一歩進んでお伺いいたしたいのであります。
 去る十二日だったと思うのでありますが、櫻内農林大臣が日本記者クラブにおいて講演をなさっておるようであります。もちろん私はこれは新聞を通して拝見をいたしておるわけでございまして、新聞に報道された範囲しか申し上げるわけにはまいりませんけれども、この中で――大臣は大臣としておいでになったのか、一政治家としておいでになったのか、その点私はわかりませんけれども、いずれにしてもわれわれ国民は大臣の見解であるというふうに受け取るのは常識であります。そういう立場からお伺いをするのでありますけれども、一つには一国内自給率の向上の重要性を強調されておる。第二番目には、大豆自給率の八〇%引き上げという問題。この八〇%は、私はおそらく国民の食用向けの大豆という意味ではないかと考えておるのでありますが、とにかく自給率を八〇%に引き上げたいというような問題を強調された。三番目には、それから大豆の支持価格等の大幅引き上げ等についてもお触れになっておるようでありまするし、昨年の秋につくった農産物の需給見通しの全面的な改定という問題にも触れておられる。それにはいまも私の質問に対する答弁の中でお触れになっておるわけでありますから、こういうきわめて大事な問題を全部記者クラブの講演会では前向きの姿勢でお話しになったように新聞では報道されておる。
 したがって、私は櫻内農林大臣のこの姿勢には全面的に敬意を表するわけでありますけれども、こういうような講演会におけるその気魄なり積極的な御姿勢というものがいわゆる今後の農政の上に私は大きく期待できる、こういうふうに考えておるのでありますが、そのためには、何といっても、冒頭に申し上げましたように、昨年十月につくったことになっておるいわゆる長期見通しの試案であります。これは私は急速に改定してもらって、櫻内農政なるものを国民の前に、このような積極姿勢でこれからの農政を展開するのだということをまず明白に示すのは、どうしても私は需給見通しの計画だと思うのです。米の生産、土地なんかについても、先ほども宮脇会長にも私は質問の中で触れましたけれども、農用地というのは四十五年度の農用地面積よりも五十七年度の農用地面積のほうが計画上減っておる。これは、こういう姿でもってこれからの経営拡大を指向しようとする、あるいは自立農家を指向しようとする農政上の姿勢とは、私は相矛盾した感じしか国民は受けないことになるのではないか、そういう感を深くするものでありまして、したがって、そういう観点からいいましてもあるいはいまの需給逼迫の現況からいいましても、この長期見通しなるものを早急に改定することが、大臣の講演会における見解の発表のとおり、緊要な問題である。そうしてもっと国内自給主義を貫くような生産計画というものを立てることがどうしても必要ではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。
 それと同時に、この問題はしばしばこの委員会においても取り上げられた問題でありますが、私は農業基本法の第八条からいっても政府は国民に公表する義務を持っておるのでありますから、単に農林省の計画であるというような立場をとらずにして、やはり閣議において明確にこれを決定いたしまして、そうして政府の農業政策の基本方針である、需給計画である、あるいは生産計画であるという観点に立った発表、公表のしかたが必要ではないか。そうして国民の合意を得ながら、これを予算面においても反映させていく。そして農業政策の上にそれの実現をはかる。
 そういう姿勢がなければ、大臣が幾ら日本記者クラブにおいてお話になっても、現実的な問題の進歩がなければ、やはり信頼感が生まれてこないのでありますから、そういう意味におきまして、いつ一体農産物需給の展望と生産目標の試案なるものを改定されようとしておるのか。その時期とそれから内閣における閣議決定という問題をどのように考えておられるか。私の希望するように、閣議決定によって、基本法に明示するいわゆる政府の見解として公表する考えがあるかないか、この二点についてまずお伺いいたしたいと思うのであります。
○櫻内国務大臣 私の日本記者クラブにおける演説は、非常にいい機会でありまするので、農政問題に対する世論喚起というような心づもりでいたしたのでございます。その中における需給見通しの問題は、これは農政審議会に対して、農産物需給の展望と生産目標の試案をもとにして長期需給見通しを立ててもらいたいということをお願いしております。そこでそのことに触れておるわけでございまするし、また大豆の問題については、おっしゃったように、食品用については八〇%にできるだけ早くもってきたい、こういうことを申し上げたのであります。
 農政審議会に対して、そういうお願いをいたしておりまするので、この審議会のほうから農産物の長期需給の見通しか出てまいりますれば、これはそのときの状況によりまして、閣議へあげていいものではないか、こういうふうに思います。また、私としても生産目標の試案というのがもともと生産者団体の方々や学識経験豊かな方によって作成されておるものである。ただ、最近の国際的な需給事情の変化などが当時には反映しておらないのではないか、そういうこともぜひ反映させてしっかりしたものにしたいということを言っておるのでございまして、お話しのような、場合によりましては、しっかりしたものが出てくれば閣議決定をいたしてもいいものではないかと私は見ておるのでございます。
 いずれにいたしましても、内外の情勢、昨年の上期を考えますならば、大豆でも麦でもみな過剰であった。それが下期から現在は一転して非常な逼迫である、こういう情勢の変化でございます。また、国際情勢が反映して、国民もひとしくこれからの食糧がどうなるかという、いろいろな懸念を持っておられるこの際でございまするので、こういうような情勢あるいは国民の皆さんのお気持ちを体して、私どもか安心のできるようなしっかりした計画のもとにこれからの農政を進めることは言うまでもないことだとこう思いまして、ただいまの御意見は、私としては尊重してまいりたいと思います。
○安田委員 大臣からのご見解を承りましたが、ぜひともひとつ、でき得る限り主要農産物――国内でとれる農産物で主要でないものは私はあまりないと思いますが、農産物、畜産物については国内自給を原則とする、どうしてもそれに間に合わぬものはやむを得ないから外国から買うのだ、そういう基本姿勢を明確にした生産計画をひとつ立てていただいて、それを長期計画の中で具体的に実現する、そういうような内容がくみ取れるりっぱな生産計画、需給の見通しと生産の計画、これをひとつ御作成をいただきたいということを強く御期待を申し上げたいと存ずる次第であります。
 そうして、時間があればもっと突っ込んだ質問をいたしますが、時間がありませんから、質問はいたしませんが、大臣のいまの御答弁に信頼を寄せてこれ以上聞きませんが、ぜひともすみやかにその成案を得られるように、このことを御期待を申し上げておきたいと存ずるのであります。
 それから次に、米の問題について一、二お伺いいたしたいと存じます。米の問題は、他の委員からもおそらくたくさん質疑が出てくると思いまするから、私はあまり幅広く質問を展開しようとは存じませんが、きわめて重大な米価問題がいま前面に横たわっておるのでありまして、自民党としても政府としても、これは農民の大きな期待に対してこたえなければならぬというそのどたんばにいまおるわけでありますから、私は一言、この問題にも触れておきたいと思うのであります。
 それで、まず四十八年度の生産調整計画をながめてみますと、生産量が千三百八十万トン、需要量が千百五十万トン、それから余剰数量が二百三十万トンで、そのうち在庫調整量二十五万トン見まして、生産調整は二百五方トンになっておる。こういう姿でありますが、これも今日までの経過からいうとやむを得ないものがあったと思うのでありますが、ここまでまいりますと、総理大臣も、これからは休耕政策はとらぬと言っている。また農林大臣もそれに相応するような御発言があったと思うのでありますが、そういう中で食糧の備蓄問題が世論のきわめて大きな問題となって提起されておることは御承知のとおり。したがって、この場合、私は米についてもこういう食糧の備蓄政策を、四十九年以降に対してはやはり現実政策の面でこれを具体化することが緊要であると思っておるのでありまして、そういう点からいうと、この在庫調整量の二十五万トンというのはまことに僅少な数量にすぎぬ。したがって、こういう面については新しい政策要素を加味して、そしてこの数量をもっと拡大したものによって来年以降の米の生産調整と申しましょうか、あるいは生産計画と申しましょうか、これをひとつ打ち立てることが必要ではないかということが、私の見解であります。したがって、そういう面に対する配慮を、農林大臣あるいは関係局長、食糧庁長官がどのようにお考えになっておるのか、あるいは現在検討中なのか。そういう面を一点。
 それから、これに関連しまして一転作主義をとろうとすれば、先ほど来お話かありましたけれども、大豆であるとか麦であるとか、あるいは飼料作物であるとか野菜であるとかいうような、当面する国内農畜産物のうちで最も重要視されなければならない作目に対するいまのような価格政策では、これはとうてい転作の成果はあからぬ、私はこう思っておるのであります。一例をあげれば、大豆等についてはいま五千八百円程度の支持価格制度しかない。これでは、かりに三俵とったとしても知れたものであります。
 私の見解を述べると時間がかかりますから、なるべく簡潔に申し上げますが、そういう実相は、もう農林当局は十分に御承知でありますから、この際、大豆、麦等については、いまとられておる支持価格制度とは別に、関連はありますが、別に一般会計においてあるいは大豆については基準価格以外の、補給金法以外の生産奨励対策として、五ヵ年ぐらいの緊急増産奨励金制度を新設して、そしてこれらのものの増産を農民に呼びかけ、理解を求め、農業団体の協力を得て、そして国内の自給率の向上のために思い切った政策を断行するというようなことがどうしても必要ではないかと思うのでありますが、そういう点に対する大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 それから、時間が非常に区切られましたので、あわせて質問すると同時に、大臣の御回答もごく簡潔にお願いいたしたいと思うのでありますが、私はもう一つ米の問題に関連をいたしまして御質問を申し上げておきます。
 そのことは、農業団体の要求はもう大臣御承知のとおり、宮脇会長ともお会いになっておるでありましょうし、それから現下における農村、農民の実情についても御承知のとおりであろうと思いますから、これはちょうちょう申し上げません。私は、ここ三年間等にわたる米価の実態から見ますると、農民の方々が非常にきびしい姿勢をもって政府に対して買い上げ価格の引き上げを要求しておるその気持ちというものは、十分に理解ができるのであります。したがって、責任政党である自民党の政府である以上は、これらの農民の期待にこたえてやらねばならぬ。これが昭和四十八年における米価決定の基本的な姿勢でなければならぬと私は考えておるのでありますが、そういう点については大臣においてもおそらくいろいろと御苦心をめぐらしておると思いまするので、その点に対する御見解もあわせてお伺いをいたしておきたいと思うのであります。
 それから、ついでにもう一点申し上げておきたいと思います。
 現在の農産物の価格の支持制度というものは幾つかございます。これは政府が直接買い上げるものもあるし、基準価格を設定して交付金を交付するのもあるし、不足払い制度というようなものもありますが、こういうものに対してはこの委員会のあるたびにこれはきわめて多くの議論が続出しておることは、大臣も農林当局の各局長さん方も御承知のとおり。日本の現在の国内農産物の生産状況から見て、このような価格問題の支持価格制度の仕組みというものがいまのような状態ではたしていいのかどうか。これからの前向きな農政の転換、修正をはかろうとする、もし櫻内農政がそうであるとするならば、いまのような仕組みで一体いいのか。私は考えるのに、農民の労働貸金だけが他産業の労働賃金と格差のある低い金額によって農産物の価格というものが計算されなければならない、そういうようなことは社会正義的に見ても私は大きな矛盾だと思うのであります。こういう面はこれは是正しなければならぬし、農林統計の基本に、根本的に触れなければならぬ問題が出てまいりますが、いまの農林統計がそういう前提を基本にした調査方法になっておるのではないかということを私は指摘いたしておきたいのでありまして、これは今後における農政の根本的な問題に触れることでありますけれども、こういう問題には農林当局はやはり十分に、実態に合わないと思うものあるいは是正をすべきと思うものは、これは勇気をもって改正してもらう、修正をしてもらわなければいけない、改善をしてもらわなければならぬと考えるのであります。
 米に関連して以上四点ほどについてお伺いをいたしたのでありますが、このことに対して御見解をお伺いいたしたい。また、大臣の御答弁で少しこまいと思うようなことがあれば、関係局長なり長官からお伺いいたしたいと思います。
○櫻内国務大臣 最初に、米の備蓄と申しましょうか、年度末どの程度保有していくか、この問題は、ことしは五十万トンの予定でございますが、政府管理米の売りさばきの状況からいたしますと、六十万トンくらいになります。そうして明年二十五万トン計画どおりに上積みするということになると、明年の十月末では八十五万トンくらいになりますが、安田委員の御指摘のごとく、この八十五万がさらに百万トン以上に持っていくと、それで十分かどうかということにつきましては、多少余裕を持つのがいいのではないかというようなふうに考えておりまして、いずれこの程度は持つようにしようということをはっきりいたしたいと思っておりますが、従来の百万トンというのにつきましては多少考えていきたい、こう思っております。
 それから、大豆の問題につきましては、いずれこの秋には不足払いをどの程度するか、基準価格をきめなければなりませんので、その際には最近の情勢というものを反映するようにつとめたいと思いまするし、また、稲作から大豆への転作推進のためには土地条件の整備、省力機械施設の導入、種子対策等いろいろと諸施策を講じて、大豆の少なくとも食品用の自給率につきましては、これを先ほども申し上げた八〇%程度にはすみやかに引き上げてまいるようにつとめたいと思うのでございます。
 それから、米価の問題についてのお尋ねでございました。これは食管法に基づきまして、米価審議会の議を経て決定するということは言うまでもございませんが、生産費・所得補償方式では物価、賃金の動向が適正に反映されることとなりますが、物価、賃金の動向のほかに、経済事情を参酌しということが示されておるのでございまして、現在、米の生産調整を進めておるという事情あるいは国民の需要に応じた全体としての農業生産のあり方などを勘案しながら、適正な決定をいたしたい。こういうふうに考えておる次第でございます。
 価格政策については主要農産物の七割からのものにいろいろな形で適用をいたしておるのでございます。御意見のように、一つ一つの作目についてそれぞれ違った事情のもとに発足を見ておりまするが、私としても価格政策についてもっと考慮をしてみたい、こういう見地には立っておりますが、なお詳しいことは担当者からお答えさせます。
○安田委員 時間の切迫の関係もありますし、具体的内容についてはまた別の機会にお伺いいたしたいと思いますが、価格政策については、これは私は要請だけしておきますが、やはり労働賃金の適正化、それから生産費調査の適正化、それからパリティ主義というものを貫くのなら、パリティ主義の徹底化、これを大いに取り入れて、そのあとに――いまの需給事情であるとか経済事情であるとかいうことは、いまの農業政策から見ると、私はそう重要な価値を持っておるとは考えておらない。とにかく農業関係の価格というのは一番安いことははっきりしておるのですから、それにもし入れるとすれば、逆にパリティ計算されたものにプラスするための経済事情なり需給事情を考えるならばわかるけれども、引き下げる要素に使うような経済事情や需給事情というものは、私は現時点においては農業政策をむしろマイナス化させる要因以外の何ものでもない、こういうような見解を持っておるのでありまして、そういう点をひとつ御留意いただきたいという点と、もう一つは、米価に対しては、先ほども申し上げましたように、思い切った引き上げというものを心から要請をいたしたい。
 それから、時間が迫っておりますが、ひとつこれは北海道としてどうしても聞いておかなければならない問題なのですが、農村の負債整理の問題について一言だけ簡潔にお伺いいたしておきたいと思います。
 これは大臣でなく関係局長にお伺いいたしますが、私がお聞きしたいことをまず冒頭に申し上げますから、それに対してお答えいただければけっこうであります。
 一つは、本年度から行なうところの北海道の酪農家あるいは畑作、水田その他の農業経営者に対する負債整理は三百五十七億という数字、酪農家百五十億その他二百七億、こういう数字になっておるのでありますけれども、これに対して農林当局としてはどのような理解を持っておるか。そうしてそのうち百億については系統資金によるところの道の責任あるいは団体、市町村の責任によって行なうところの負債整理であり、二百五十七億については自作農資金によって行なわんとしておる計画でありますけれども、この点に対する認識はどうなっておるか。
 それからもう一つは、自作農資金の限度額を四百万円に引き上げたということは私も承知をいたしておりますが、この引き上げの対象になるいわゆる自作農資金というものの総ワクというのは一体幾らに押えられておるのか。この三点をひとつお伺いいたしたいと思います。
○内村(良)政府委員 お答え申し上げます。
 先般北海道が行ないました農家負債調査の結果について、道当局は道議会において合計三百五十七億円の固定化負債があると発表したと聞いております。また道が百億円の固定化負債を整理するために、系統資金を原資として利子補給措置を講じようとしていることも、その詳細な内容は別として、私どもは承知しております。
 一方、国におきましては、先生御案内のように、北海道の酪農は資本装備を最も多く必要とする作目である上に、近年急速な規模拡大が進みつつある過程で、数次にわたる冷害に見舞われ、固定化負債が累積するなど酪農の経営環境が悪化しつつある状況のほか、北海道酪農のわが国酪農に占める地位、過去の北海道における負債整理その他冷害に対する措置状況等を考慮の上、自作農維持資金による借りかえ措置を講ずることとしたものでございます。この酪農に対する自作農資金による借りかえ措置は、北海道が実施した悉皆調査結果の集計結果から、総額百五十億円としたものでございまして、個々の農家への貸し付け限度額は特例的に百五十万円とし、特に必要と認められるものに対しては四百万円と大幅に引き上げているところでございます。
 この措置によってどれくらいのワクが必要になるかということにつきましては、現在まだ検討中でございます。
○安田委員 一言だけ最後に申し上げておきますが、いまの局長の御説明ではちょっとふに落ちないのでありますけれども、限度額四百万円に引き上げられた負債整理の対象は、自創資金中心の資金であることは当然であります。したがって、いま御説明の中にあった北海道で行なうところの百億円の系統資金による負債整理以外の二百五十七億については、四百万円という自創資金の限度額の引き上げは全部適用していただかなければ、いわゆる三百五十七億円の負債整理は実現できないという結果になるわけでありまして、この点をひとつお含みの上、今後における負債整理に対して適切な指導と、それからあたたかい御配慮とを北海道関係者に対してお示しをいただくように心から要請しておきたいと思います。
 そのほか備蓄問題その他二、三の問題の質問を予定いたしておりましたが、時間の関係もございまして、他の委員の方々に御迷惑をかけますから、私の質問は以上をもって終わりたいと思います。
○山崎(平)委員長代理 次に、野坂浩賢君。
○野坂委員 農林大臣にまずお尋ねをいたします。
 午前中に宮脇中央会長その他農業会議所の専務理事等もおいでになりました。あなたのおことばをかりますと、食糧需給をめぐる情勢は非常にきびしいものがある、こういう表現であります。特にいまの米価をめぐって、生産者はもちろん消費者も含めて、この米価決定には異常な関心と注目をしております。その米価の決定が、八月の一日から三日間米価審議会が開かれようとしておりますが、特に米価審議会について宮脇会長は、この審議会は世論を聞くと非常に非難されておる、あってなきがごとき状態である、こういうお話がございました。農林大臣はこの米価審議会についてどのように評価されておるのかということが一点。
 昭和二十四年に米審が発足をいたしましてから四十二年まで国会議員がこれに参加をしておりました。四十三年からこれが除外をされておりますが、いま米審の権威を保つためにも、さらに補強するためにも国会議員を米審の中に入れられたらどうなのか、その点についてのお考え方をまず初めに承りたいと思います。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
○櫻内国務大臣 米価審議会がいろいろ批判を受けておる、評価が下がっておる、どういうふうに宮脇会長が御発言をされたかは別といたしまして、これだけ米価審議会について国会でも取り上げられ、また新聞でも米のシーズン来たる、そしてそのハイライトは米価審議会であるということで、国民注視の中にあるのでございまするから、どうも私はそのように感じません。したがって、私としては、米価審議会を通じてことしはもう腹蔵なく十分論議をしてもらいたい。すなわち生産者の代表、消費者の代表、学識経験者のお集まりになるこの審議会で、農政の中心である米もとよりでございますが、その他のことについても論議をしていただいて、私ども大いに参考にいたしたい、このように思っておるような次第でございます。
 そういう場でございますから、いま野坂委員の言われるように、国会議員が出席して過去のような論議をされたらばというのも一つの御意見ではあると思うのでありますが、これは言うまでもないことでございまするが、昭和三十九年の九月、臨時行政調査会の答申を受けまして、昭和四十二年十月、国会議員は原則として審議会の構成員にしないという決定に基づくものでございます。国会議員の方が除かれておるとは申すものの、こうやって国会の最高の権威ある場において十分御論議をちょうだいしておるということでございまするので、私としてはそういう経緯からやむを得ないもの、このように存じておるわけでございます。
○野坂委員 私は、法的に財政法三条に基づいてあなたの見解をさらに追及して問題点を掘り出したい、こういうふうに思っておりました。除外をされております郵便料金なりあるいは特例法で定めてありますそういうもろもろの問題に米価というものが書いてない、そういう意味の考え方に立っておられると思いますが、しかし、いまそれを掘り下げてまいりますと時間がございません。したがって、あなたにお伺いしたいのは、米価の決定の時期と国会審議との関係、国会議員が国会で審議をするからその意見を参考にするということでありますが、米価を決定するにあたって、この委員会で十分議論をして、それを参考にし、新しい年度における米価決定の重要な要素にされると確認してよろしいか。
○櫻内国務大臣 現在開かれておるこの特別国会を顧みまして、本会議におきましてもまた委員会におきましても、そのつど米価につきましては、農政上の重要な課題としていろいろな角度から取り上げてまいったことは事実でございまして、またそういうことがわれわれが農政の中の大事な米であるということで、これからの施策を考えていく上に常に参考にしておるということ、これも申し上げて決して過言ではないのであります。そういうことで、現実にそのように国会の場というものは活用されておる、かように見ておりますので、野坂委員のいまおっしゃっておることは、米審があればその機会にもう少し論議をするのがいいのじゃないか、こういうことであれば、それは好ましいことでございまして、きょうもそういうことでこの委員会が催されておるのだ、かように見ておるわけでございます。
○野坂委員 それでは、米価の決定の時期についてですけれども、午前中の宮脇会長の御発言は、米価の決定の時期というのは、その値段によってつくりたいかつくりたくないか、こういうことの農民の取捨選択をさせていくという意味で、三月末にきめてもらいたい、これが農民の声だ、こういうお話がありました。田中総理も今月の十一日においでになって、できるだけ早くきめたい、こういうお話でありました。農林大臣としては、米価決定の時期については当局も農民もそれぞれそのような考え方でありますから、今後は米価の決定はそのような時期に行なわれるというふうに作業をお進めになる考え方はないかどうか。
○櫻内国務大臣 この米価の決定時期は、過去を振り返ってみますると、ある程度まちまちな点がございます。私としても、きょう宮脇会長が作付前に決定すべきだという御意見を出されておったとすれば、それは一つの見識だと思いまするし、また、そのようにできれば非常にけっこうでございまするから、よく考えてみたいと思います。
 ただ、おそらく従来の感じからいたしまして、そのころの国会の情勢、ちょうど予算の審議のまつ最中であるというようなこと、それからまた、そういう情勢のもとで農民のほうにおいて、作付前だからひとつ米価をきめるのにいいんだというような盛り上がりがあるのかどうかというようなことも少し考えさせられる点がございまするけれども、早めるということについて別に特に私としては異論はございません。
○野坂委員 それでは私たちの意見を十分にそんたくをして今度の米価について最終決定をしたいということでありますからお尋ねをいたしますが、米価の決定は、いままでの情勢と今回の情勢は、農林大臣の御発言にもありますように、変わっておる。一つは在庫が少ない。一つは世界の食糧事情の急迫、特にアフリカにおける餓死者、こういうような状況を踏まえて米価の決定というものは異常な事態を迎えておる。しかも農民の皆さんの態度もいままでとは違ったきびしい態度であるということは先刻御存じのとおりであります。したがって、昭和三十五年からとってこられました生産費・所得補償方式、このものをそのつど変えるのではなしに、基本的に昭和三十五年当時を回顧して、素朴に生産費・所得補償方式、こういうものの式を立てて答えを出す、こういう算出の基礎、積算の根拠、こういうものは一貫をしておるかどうか。また経済変動等によって大きく変わるのか、農林大臣の見解を聞いておきたい。
○櫻内国務大臣 生産費・所得補償方式をとってまいっておることは、これはそのとおりでございます。ところが、先ほどもお答えを申し上げましたように、経済事情などを考える場合に、ときには、はっきり申し上げて計算上有利になるような行き方、あるいはときには、過剰ぎみであるというようなことで、計算上マイナス的な要因になるというようなことは、過去を検討してみますと、そういうようになっておると思います。いま野坂委員は一貫した方針をということを御主張になるために御発言をされたものと思うのでございますが、食管法の規定に基づいて諸事情を勘案してきめておる、こういうことで、そのことによっていろいろでこぼこが出ておるということは現実にいなめない事態であった、こう思うのであります。
○野坂委員 あなたは農林大臣です。農民の立場に立って農政を進展をさせ発展をさせる、こう言って、常に私たちにその態度、姿勢をお示しになりました。今度の米価についても、農政の最高責任者として農林大臣は、農民のための米価、そして消費者も安心をして――消費者米価はきまっておるわけですから、農民のための農政を進める、そういう意味で農民のための米価をきめる、こういうお考えでございますか。
○櫻内国務大臣 歴代農林大臣、常にその心がけでやっておると思うのであります。ただ、過去のことを申し上げて恐縮でございますが、非常な過剰のために、倉庫ももう一ぱいでどうにもならないというときには、その事情というものはやはり反映して米価がきめられた、こう思います。今回のように、またきびしい国際情勢あるいは国内情勢、そういうことはおのずから勘案しながら考えなければならないことでございますが、その度合いは別といたしまして、農民のことを念頭に置いて考えるというのが基本的に農政の責任者としての立場だと認識しております。
○野坂委員 農林大臣も見ておられると思いますが、世界の情勢の主要農産物の国際市況というのが出ております。米につきまして、タイに、精米トン当たりうるちまる米で、たとえば去年の一月は八十九・五ドル、こういうことになっておりますし、六月は九十五・九、ことしの三月は百八十五・八、こういうふうな数字が示されております。国際市況というのは倍額になっておりますね。しかもタイは輸出を規制するというような状況であります。それらの国際状況を受けて、また在庫、たくさん余っておる場合と余っていない場合は違う。今日は、いまあなたがお話しになりましたように、在庫不足を告げようとしておる。そういう意味では私たちと見解は一致します。
 そこで、お尋ねをしなければなりませんが、農民のための農政、農民のための米価をきめるということでありますが、昨日も農協中央会の主催によりまして約一万五千ないし二万名の皆さんが集会になられました。全員一致で十キロ当たり二千百八十五円、六十キロ当たり一万三千百十円、こういうふうな米価が決定をされております。あなたはこの米価についてよく詳細に御調査になっておると思いますが、農民のための農政、農協の一丸となった要求についてどのようにお考えになっておりますか。
○櫻内国務大臣 米の国際市況が高騰しておることも承知しております。また過剰米は大体計画によって消化しておるということも事実でございますが、しかし、また一面、現に二百五万トンの生産調整を行なっておるということも考えていかなければならないと思うのであります。いまこの全国農協代表者大会の要求米価、六十キロ当たり一万三千百十円についてのお尋ねでございましたが、私はこの段階におきまして、米価審議会に諮問をする責任者といたしましては、この価格について内容に立ち至っていろいろ言うことはいかがかと思うのであります。まだ諮問の案もつくっておらないという状況であり、また食管法によりまして、米価審議会の議を経てきめるその責任者といたしまして、私としてはこの農協代表者の方々の要求がどのようなものであるという実態はよく認識しながら、なおこれから諮問の衝に当たるのでございまするので、いまのお尋ねについてはひとつお答えを保留させていただきたいと思います。
○野坂委員 これから諮問案をつくるということでありますが、いつおつくりになりますか。
○櫻内国務大臣 まだ生産費調査の発表が行なわれておりません。これは御承知だと思うのでございます。今週中に発表されるわけでございますが、それが出ました後に、そうして八月一日からの審議会でございまするので、なるべく早く農林省内における作業は進めたい、こう思っております。
○野坂委員 食糧庁長官でも農林大臣でもけっこうでありますが、過般の本委員会で私は食糧庁長官に次のようなことを尋ねました。いままで米価の決定にあたって農民の皆さんがたくさん上京なさっていらっしゃる、したがって、いつもすれ違い、いつも対立、こういうことではなしに、事前に問題点を提起し合って一種の意思疎通を行なって、その同一見解のもとに諮問をされたほうがきわめてスムーズにいくではないかという質問に対して、食糧庁長官は話し合う用意がある、こういうお話がございました。したがって、意思疎通をする上で過去何回程度お会いになって、どのような意思疎通をされたのか、そうして農協が今日このような要求米価をする、全日農の皆さんが今日よりも、四十七年度米価に対して約八〇%の要求米価というものを策定されておる。私はそういう意思の疎通をはかられて一つの成案ができた、こういう認識をしております。したがって、どのように作業を進められ、どのような話し合いでどのような詰めが行なわれてきたか、この席上でお話をいただきたいと思います。
○中野政府委員 先般のこの委員会で確かにそういうお尋ねがございまして、私、当時申し上げましたのは、過去にそういうことで事前に事務的に農業団体側の意見とこちらの意見とを申し述べて、いろいろ話し合いをしたことがあるということを申し上げたわけでございます。そこで、意思疎通をはかって一つの案にするということまでは私、申し上げなかったはずでございます。
 それで、ことしどうかというお尋ねでございますが、事務的には向こうの資料の説明等を受けております。それからまた、今度はそういう要請も非常に強いものですから、二十五日に農協の団体の代表者と農林大臣、私たちも事前にいろいろお話し合いをするという機会を持つということのお約束をしておるわけでございます。
○野坂委員 だいぶ詰めができておるわけですか。
○中野政府委員 残念ながら、農協の方式とわれわれ考えております生産費・所得補償方式がいろいろやり方が違いますので、両方をどうやって詰めるというところまでいっておりません。
○野坂委員 それでは、農林大臣にお尋ねをしますが、農林大臣は農民のための農政をやるということでありますが、まずたとえば反収の問題が一つありましょう。いままでは反収の中で四十三年にはあなた方はシグマを〇・五にせよ、こういう諮問をされた。審議会はそれはいかぬということで一にした。言うなれば一シグマは六五%なり七〇%程度の農家の皆さんを助けるわけでありますから、あなた方のそれをやめるというのは、五〇%にする、半分は切り捨てるという結果に数字的にはなろうと思いますが、そういう作業を二年間やられて結局なくされた。こういう点の矛盾もあります。あるいは借り入れ金についても矛盾があります。こういう一つ一つの、労働賃金にしても、先ほど安田議員が指摘をされたように、算定が安い、こういうお話しがあって、国会での意見というのはわれわれもそういうことは安い、自民党の代表も、安くて農民の期待にこたえなければならぬ、こう言っておる。おそらくこれから発言される皆さんも満場一致安いということを指摘されるわけであります。そうすると、最高議決機関である国会で論議をする意見はいまや明々白々であります。そういう点についてはどのように考え、具体的に従来の方式に返すのか、こういうことをお聞きしたい。
○中野政府委員 御指摘のように、四十四年産まではシグマを入れておりました。特に四十四年は半分のシグマにしたわけでございます。そのときの経過から申し上げますと、シグマをつけましたのは、生産増強といいましょうか、生産刺激といいますか、そういうことをやるために、ある程度の適正な限界的な生産費をとろうということでありましたけれども、先ほどから農林大臣もお答えになっておりますように、四十四年から米が過剰ぎみということになってまいりました。特に四十五年からは七百万トンという過剰の米をかかえたということでございますので、その事情を反映させるためには、非常に高くなりますようなところまでの生産費をカバーさせるということはいかがかということで、平均生産費ということにしたわけでございます。ただ、その場合も、労賃につきましては、これは均衡労賃の評価がえということをやっておることは御承知のとおりでございます。
○野坂委員 大臣から経済の変動に応じてそれぞれきめるというようなお話がありましたが、いまの食糧庁長官の一点だけをお述べになった。そういうことを含めて四十二年、四十四年、四十五年と農民のための農政ではなしに、米価を押える、そういう算出の根拠、逆算的な方式を採用されたというふうに確認をしていいのか、農林大臣に伺いたい。
○櫻内国務大臣 お示しの四十四年、四十五年、四十六年当時の生産費及び所得補償方式の運用上の主要な点、修正点を見ますると、これはやはり当時の米過剰の状況というものを勘案しながら適正な修正をいたしたものと思うのであります。しかし、それをおっしゃるような、価格抑制のために特にとった措置だ、こう御批判でありますならば、端的にいえば、やはり過剰ぎみであるので、そこで食管法に基づく経済事情その他の勘案というものが、現実にはどういうふうにあらわれてきたかというのが、そういう価格抑制という形で出てきた、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
○野坂委員 農林大臣は従来から正直だということがモットーでありますから、そのとおりだと思います。その証拠には、四十三年、四十四年、四十五年、政治加算とか暫定加算とか、そういうつかみの金がたくさんあります。そういうことは本来間違いだと思います。
 そこで、櫻内農林大臣にお伺いをしたいのは、そういう過去あったのは、食糧需給という立場はありましょうが、農林大臣が常に姿勢を正していらっしゃる農民のための米価ではなかった、こういうふうに考えるわけでありますが、そのとおりですか。
○櫻内国務大臣 私は、これはなかなかお答えしにくいところがあると思うのです。農民のためというのが、いわゆる積極的な前向きの上での農民のためという場合がございますが、非常に消極的な面でもまたそういうことばが使い得る要素はあると思うのです。それは、先ほども申し上げたように、過剰米がこれ以上になって、そしてそのために入れる倉庫もない、そしてまた古々米はすでに腐敗もするというような場合に、これを農政の上において生産についての多少の勘案をするということは、必ずしも農民のふためにやるということではないと思うのでありまして、たいへんお答えしにくい点だ、こう思います。
○野坂委員 しかし、お答えしにくい点であっても、正直に答えてもらわなければ作業は進まないわけですから、私はそう思っております。だから、あなたも政府の当事者として、農民のための農政でなかったと言えば、前倉石農林大臣以降の大臣に対してきびしい批判をしなければならぬということになりますから、まあその辺でいいでしょう。
 そこで、いまもお話があったのですが、米の生産に対する労働賃金が安い。これも抑制をするための方式として、その点は五人以上の従業員をかかえておるそういう企業の賃金をとっておるというのは同じことでありますが、変わっておるのは、いままでやったのは、確か四十三年からだと思いますが、いわゆる北海道なり東北、新潟、こういう北陸、東北、北海道というような賃金を、米を全部集めて、その地域賃金というようなものに移行してきた。従来は全国の五人以上のものについて賃金を出してきた、こういう違いに変えてきた。これも抑制政策の一つなんです。こういう点についてはやはり農民の生活を上げる。労働者の賃金は上がっておるわけでありますから、労働者の賃金と米価は基本賃金として同じような性格を持っておる。そういう意味で、押えるところには理屈をつけて押えるということはやめて、従来に返すということが私は正しい、また農民に愛情ある米価、農政であろう、こういうふうに思います。この点は自民党が指摘をされておったわけです。だから、それは野党である私たちもきびしく批判をしておるわけでありますから、それについては今度の参考にしていただくというふうに理解をしていいか、農林大臣、どうです。
○中野政府委員 御指摘のように、四十六年から都市均衡労賃をはじきます場合のやり方といたしまして、従来はいわば各県の従業者のウエートでやっておりましたものを、米のウエートに変えたわけでございます。これは米の生産という立場からものを考えてみました場合には、全国の平均の都市均衡労賃を出すのには、やはり米のウエートでやるのが合理的であろうということで変えたわけでございまして、今度の政府が試算をいたします場合にどうするかということは、これから検討をしたいと考えております。
○野坂委員 それまでは私がいま言っておったようにやったわけですし、いまも農林大臣がお話しになったように、世界の食糧事情の状況が変わってきた、国内の状況も変わってきた、こういうことなんですから、せめてあなた方がお話しになったときにその程度は詰めがあってもいいじゃないか、私はそう思うのですよ。それから、たとえば労働者の、いわゆる米つくりにおいて生産性を上げてきた、そしてそのメリットについては時間に還元をしてきてやった、こういう事情がありますね。あるいは付帯的な労働時間というものもあった。それも切った。そういう要素を、農民が生産性を上げれば生産性を上げた分のメリット、とり分というのはやはり還元をするというのが愛情ある農政じゃないですか。それを切ってしまう。上がったんだから、それだけもうけになるのだからいいじゃないかというようなそういうことは、私は櫻内農林大臣は正直なるがゆえにやらない、こう思いますね。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
あるいは付帯労働時間なり間接労働時間あるいは直接労働時間というものは、政府はその時間についてはどのように考えて、その三つともお考えになっているかどうか、伺いたい。
○中野政府委員 御指摘のように、生産性向上のメリットを四十二年から四十四年まで算入をいたしておりますけれども、これはいわば増産効果をねらうということでやってきたわけでございます。先ほどからも申し上げておりますように、需給事情が非常に緩和をしまして供給過剰という段階では、そこまで算入をして米価を引き上げるというのは無理ではないかということではずしたわけでございます。
 それから二番目の労働時間の問題は、これは直接労働、間接労働ともに都市均衡労賃での評価をいたしておるわけでございます。それはずっと続けておるわけでございます。
 付帯労働につきましては、これはたびたび過去に議論があったわけでございますが、農家が共同作業の打ち合わせをしたりあるいは簿記、記帳をやるなり、その他の時間を入れろという議論が、米価をどちらかといいますと、刺激的な米価にする段階では、それを入れろという御議論が非常にあったわけでございますが、御指摘がありましたように、現在ではそういうことは見ないということにいたしておるわけでございます。
○野坂委員 なぜ見ないのですか。たとえば間接労働で農薬をとりに行ったり肥料をとりに行ったりするときは見るのに、生産打ち合わせのためにあるいは生産調整の問題等でお話をするときに、そういう会合は労賃としてなぜ見ないのです。
○中野政府委員 政策的にいろいろ米価の一つの引き上げの要素としてそういうことを考えるということは私もあり得るかと思いますけれども、もともとこれはなかなか調べにくいという問題もありましょうし、米の生産という意味での原価性ということからしますと、かなり問題があるということでございます。
○野坂委員 それでは、そういう会議をやっておるということは認めておるわけですね。
○中野政府委員 共同作業その他の打ち合わせ、そういうことはもちろん実態としてはあろうかと思います。それを米価の中に入れてコストと見るかどうかということについては、いろいろ論議のあるところだと思います。
○野坂委員 それでは、かってにやっておるんだから、お茶飲み話か将棋をしておるのだから、そういうふうな認識ですか。本気で農民の皆さんはそういう会合をしている。いろいろな農薬の分け方とか肥料の分け方とか、そういうふうな点についてはなぜ見てやらないのです。見るべきじゃないですか。
○中野政府委員 そういう御議論もあろうかと思うということは、私、先ほど申し上げたわけでございまして、過去にそういう議論もいろいろあったわけでございますが、現在の米価の算定ということを全体として考えました際に、そこまで見なくてもよかろうということでございます。
○野坂委員 本会議の予鈴が鳴りましたので、私の質問はこれ以上続行することはできません。
 農林大臣に要求をしておきます。いま議論をいたしましたように、もっと詰めができません、たくさんの問題がございまして、いわゆる政府は、いままでとってきた昭和四十三年以降の米価については逆算方式、言うなれば答えを出しておいて、米価をきめておいて、そしてへ理屈をつける、こういうことであったということは、あなたが答弁ができなかった、そういう答弁ができないというのは、そういうことがあるからだと私は確信しています。したがって、今日の食糧需給の窮迫、農民の実態、こういう実態と――予約をしないというのは、満足すべき米価が決定されない限り出荷は延期するというのが大会決定です。それは農民の期待にこたえていく以外に農民の出荷要請をすることはできないのです。いままでのように、きめさえすれば何とかなるということではなしに、真に農民の血と汗、農民の心を十分体していただいて、農民の声を直接米価に反映をされるように、農林大臣に特に強く要求をしておきます。
 農林大臣の見解があれば承って、私の質問を終わりたい、こう思います。
○櫻内国務大臣 八月一日、二日の米価審議会を前にしておりまして、皆さん方から十分御論議、御意見をちょうだいして、適正な諮問をいたしたいと考えております。
○山崎(平)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後五時開議
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。島田琢郎君。
○島田(琢)委員 大臣は出席されないわけですか。――それでは長官にまずお尋ねいたします。
 長官、米は余っているのですか。
○中野政府委員 非常に端的なお尋ねでございますが、食糧庁といたしまして申し上げますと、現在、この十月末の端境期には、生産調整下にありますが、計画上は大体五十万トンの古米持ち越しという計画を立てたわけでございます。その後の状況を見ますと、若干売れ行きが落ちたりというようなこともございまして、この十月末には大体六十万トンの持ち越しができるということになっております。ただ、そのころには新米の買い入れが二百五十万トン程度ございますので、大体端境期には新古米合わせまして三百万トン持っておるということでございます。これは余っているかと言われますと、余っておるというふうには見えませんけれども、足りないということは決してございません。
○島田(琢)委員 私は、米が余っているのかという質問をしましたのは、非常に政府部内でもいろいろな意見があるようであります。いわゆる米は依然として過剰基調である。これはこれからの米価決定にあたって非常に重要なウエートを持つから、私は、その政府部内における統一見解として、代表して長官から、米は依然過剰の気味にあるのかどうかということを明らかにしてから議論をしたい、こう思ってお尋ねしたわけであります。いまお答えになったのは、ややニュアンスとしては、まだ米が余っているほどではないが、若干従来とは様子を異にしているというふうに受け取ってよろしいのか。
○中野政府委員 生産調整に入りましてからは、適正な在庫を持ち越すということで、単年度需給均衡をはかるということでございまして、この点につきましてはここ数年大体同様でございます。違っておると申せば、過去にありました過剰米は本年度の終わりで大体処理がつくということが違うということでございまして、主食としての需給は十分余裕を持っておるということでございます。
○島田(琢)委員 そこで大臣にお尋ねをいたしますが、先般総理大臣がお見えになりましたときに、それぞれ質問に答えて、今後の正常ないわゆる米の需給のあり方、そういう中で、特に百万トン程度をランニングストックあるいは在庫として正常ベース考えていきたい、こういう答弁がなされたわけでありますが、これは政府の統一見解ですか。
○櫻内国務大臣 そのとおりでございます。私も総理の答弁をあのときに聞いておりましたが、どなたかへのお答えには、なお若干の余裕を持つのがいいようなお口ぶりをされた答弁もあったように思います。それで、そのこともまた政府としては同じ見解でございます。百万トン、これは消費者のことを考えてみると、あまり古米を長く供給するわけにいきませんから、大体百万トン、しかし、いろいろな事情から見て、もう少し余裕を持ってもいいのじゃないか、そういう心づもりは総理も私も同じように持っております。
○島田(琢)委員 長官、いま、大体四十八米穀年度における持ち越しは、新穀は別として、古米の在庫量六十万トン、これは、総理あるいは農林大臣がお考えになっている百万トンベースからいうと、私は非常に心配があると思うのです。この状態では、百万トンを一つのベースにしてランニングストックその他の在庫量として早急にいま考えているような線に乗っけていくのには、この量は少な過ぎると思うのです。そういう点考えますと、私は、確かに、単年度の需給量だけを考えれば、いま米は余っているかという端的な質問に対しては、先ほどお答えになったとおりであると思うのですが、本米やはり米は大事な国民の主食だから、一年ぎりぎりであっては困るというのが国民の多くの皆さん方の御意見でもあります。したがって、百万トンという、あるいはまた百万トンよりも少し多目に考えたいという答弁をいま大臣はなさっているわけでありますが、こういうベースを早急に実現していくためには、総体でいえば、私は過剰傾向ではなくて、不足だという事態に入ったと見ているのですが、どうですか。
○中野政府委員 ただいまのお話でございますが、ことしは六十万トンでいくと申し上げました。それでは来年の端境期は、すでにことしの米を植えているわけでございますから、これがどういうふうにとれるかという問題でございます。もう一つは、生産調整がことしどこまでいくかという問題とのかね合いでございますが、計画上は来年は七十五万トンにしたいということでございます。そこで、来年の春植えます米につきましては、そのときの生産調整のやり方等これから検討が進められるわけでございます。われわれとしましては、その際に在庫調整をいたしまして、少なくとも百万トン、先ほど大臣の御答弁からいたしますれば、もうちょっと余裕を持たせるかということを考えた上で来年の対策を考えるということでございまして、御指摘のように六十万トンあるいは五十万トンをそのままにして送っていこうというつもりではないわけでございます。
○島田(琢)委員 そこで、数字的なことでありますから、長官に主としてお尋ねをしますが、必要によっては、穀類を総括しております食糧庁とともに努力をしている農蚕園芸局長にもひとつお答えをいただくかもしれませんが、いま非常に話題になりますのは、国際的に非常に食糧事情が悪化しているということをいいます。そして特に穀類について赤信号であるという意見が、これは日本の国内ばかりでない、世界各国でこういう問題がいま非常に大きくクローズアップされている。御承知のとおりであります。ところが、農林省内部は、どうも私の感触としては、そういう深刻さで受け取っていないという感じがするのであります。これは私が事大主義なのか、農林省内部がいわゆる情勢の分析が甘いのか、これはどっちかだと思うのでありますけれども、私は少なくとも今日事態を見ますときに、食糧の事情は決して甘い見方は許されない情勢の中にあると見ております。そこで、国際的な穀物の生産事情とその消費いわゆる需給の関係というものをおつかみになっているかどうか、おわかりならお示しを願いたいと思う。穀物関係だけでけっこうであります。
○三善政府委員 昨年からの異常気象に基づきまして、御象知のように、今年度、最近のアメリカの大豆についての輸出規制とか、そういう事情がありました。一般的に、単年度を見まして、どうも昨年からことしにかけて、また来年度にかけて、国際的に穀物の需給が相当逼迫しているのじゃないかということがいわれております。私どもはいろいろの情報を分析し、また農林省からも数回アメリカ等に派遣をいたしまして、アメリカの来年度の穀物の生産の状況等をよく調べたわけでございますが、現在まで入手しております情報によりますと、これは御承知のように、アメリカが七月十日発表した来年度の新穀の予想でございます。たとえて申しますと、小麦の場合生産量にして一三・二%の増、それから……
○島田(琢)委員 答弁の途中で悪いのですが、こまかいことでなくて、全体の穀物のいわゆる需給の関係だけで総体でけっこうでございます。
○三善政府委員 したがいまして、いま申し上げておりますように、来年度の新穀につきましては、小麦、大豆、それから飼料穀物、特に飼料穀物についてはトウモロコシ、コウリャン、それからカナダにおきましても同様に、小麦、大豆、飼料穀物、トウモロコシ等、いずれも生産が相等増加されるような見通しが立っております。で、短期的に見ました場合に、私ども、そういう穀物というのは気象条体にも左右されますので、そう一がいには言えませんけれども、昨年からことしにかけ、来年にかけ、特にことしの端境期等を控えて、これは十分動向を見守っていかなければいけないと思っておりますが、長期的観点からいたしますと、これも御承知のように、FAOで一九八〇年の見通し、また、それを受けましてアメリカの農務省等でも詳しい見通しを発表しておりますが、それによりましても、穀類については、多少長期的に見て、そう心配要らない、過剰ぎみである、ただ、肉類とか畜産物とか、そういうのは少し不足ぎみだというような一つの指標が出ております。長期的な見方と、それから短期的な見方と、この両方からやはり考えていく必要があろうかと思っております。
○島田(琢)委員 私の質問したことにお答えいただいてないわけですけれども、私は、世界で穀物がどれだけ生産されていて、いまの三十七億の人口に対するこの消費はどういう状況になっているかをつかまえておりますかと、こう質問したのであります。
 きわめて抽象的にお答えになっているわけでありますが、私どもはこういう数字のつかまえ方をしているのであります。いま大体世界の穀物生産量というのは十二億トン。大臣、どうぞひとつよく覚えておいてください、これは大事なことですから。これは水分を含んでおる。ですから、乾物でいいますと十一億トンといわれております。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
御承知のように、いま三十七億人がこの地球上に住んでいるわけでありますが、一人当たりの消費をする量はどれぐらいかというと、大きいところでは、一年に一人当たり九百キロ、日本は三百二、三十キロ、後進国に至っては二百キロ以下というところもあるが、平均すると大体一年に一人二百キロの穀物消費をしている。これはFAOで発表しているのですよ。こういう数字を御承知かと聞いたのであります。わからないようだから私のほうから教えてあげるわけでありますが、なぜ私はこういう質問をするかというと、確かに、いま二百キロでかけますと、十一億トンは、おっしゃるように穀物に関しては多少余裕があるということは言えると思うのです。ところが、後進国はいま人口が異常な伸び方でいっておりますが、この二百キロ以下の穀物摂取量が、やがて二百キロでおさまらなくなって、かりに日本並みに近づいてきたとしたら、いまの穀物はたちどころに消費、生産のアンバランスが起こることははっきりしているわけであります。
 こういう事情の中にいまあるということをまず踏まえて私は次に質問をするわけでありますけれども、日本のいまの自給率という問題があります。この自給率もいろいろまちまちいわれておりますが、農林省、いわゆる政府の統一見解としてはっきりこの席でお示しをいただきたいのは、いわゆるこの名目自給率は一体何%になっているのですか。同時に、オリジナルカロリーといわれる自給率は幾らになっているのですか。これもいろいろあちこちの演説会やいろいろなお話などを聞きますと、数字的にまちまちで、政府側の明快な数字というものはいまだ示されたことがないように思います。したがって、この機会に、穀物のこういう事情を背景にしております段階では日本の食糧事情はどうなっているかを、端的にこの数字を皆さんに示すという責任が私は政府当局にあると思うのです。ひとつお示しをいただきたいと思います。
○三善政府委員 その前にちょっと、先ほどのFAOの数字を先生申されましたけれども、私が申し上げました八〇年の見通しの生産と需要と輸出可能量、それから過不足というのは、数字を手持ちいたしておりますけれども、その数字の計算基礎を先ほど先生申されたと思っております。
 それから、いま御質問の食用農産物の自給率でございますが、端的に申し上げまして、食用農産物の総合自給率は四十六年度七四%でございます。それから、オリジナルカロリーによって計算いたしました総合自給率は、四十六年度五五%でございます。
○島田(琢)委員 三善官房長に、念を押すようで悪いのですけれども、ただいま発表された数字は、これは公表の数字ですね。そう理解していいですね。今後変わるようなことはありませんね。
○三善政府委員 この総合自給率の四十六年度七四%というのは、公表いたしております。農業白書等でもこれを用いております。ただ、オリジナルカロリーの総合自給率は、これは試算でございまして、公表はいたしておりません。もともと公表すべきオリジナルカロリーの自給率ということは考えておりません。
○島田(琢)委員 七四%は、これは確かに白書にある。しかし、今日この議論をしていたのでは重大な誤りをおかすという意見が強くあります。やはり大事なこのいわゆるオリジナルカロリー幾らというものがこれから議論されなければならないということを、非常に強く、識者も含めて皆さんが言っているわけであります。これは何となれば、人が食べるものばかりではありません。家畜が食べる、ときによってはネコも犬も食べるわけであります。全部日本の国内における消費者であります。こういう点を考えますと、大事な議論は、表向き七四%のこの自給率でなくて、実際にオリジナルカロリーといわれる五五%が、重要なこれからの判断の基礎になるというふうにわれわれは考える。ですから、このオリジナルカロリーの意義なるものをここでやり合っているひまはありませんので、これは私は後に譲りますけれども、五五%というものは、今後公式に公表されていく場合に間違いのない数字ですかということをお尋ねしたわけであります。しかし、これは何かいま聞くところによると、試算である、公表すべき性質のものでない、こういうことをおっしゃっているようでありますから、そうであれば、そういう受けとめ方で現段階は私は話を進めていきます。
 そこで、私は前に戻って長官に今度はお尋ねをいたしますが、さっき私は、米のバランスある自給というのは、先ほど大臣もお話されたように、消費プラス百万トン、あるいはそれより若干上目の数量をもって日本の正常な主食のいわゆる需給ベースと考える、こういうふうに受け取っているわけでありますが、これは間違いありませんね。
 そこで、そう考えてまいりますときに、実は昨年七月二十七日に、時の農林大臣足立さんとわが党の芳賀委員がこの席でいろいろと議論をされました。そのときにいわゆる問題の焦点になりましたのは、米価の試算にあたっての留意すべき事項であります。これは御承知のように食管法三条の二項で明確に「再生産ヲ確保スル」こういうふうに書かれております。ところが、その中における「経済事情ヲ参酌」云々という事項をめぐっていろいろな議論があったのであります。そして時の大臣足立さんはこう答えている。依然米は過剰ぎみである、そういう基調の上に立って今回の米審に対する諮問をしました、こういう説明をされているわけであります。議事録に明らかになっているわけであります。そうすると、ことしは、これはあまりまだ長官ははっきりおっしゃっておりませんけれども、これは米が余るという考え方と、若干これは考えなければならない時期に来たときとの価格の決定にあたって、この経済事情参酌の項というものは、右に行くのか左に行くのかが非常に大きな問題になる点であります。
 そこで、昨年、足立大臣が答えている、経済事情参酌という問題の中で、いろいろと芳賀委員の質問に対して、最終的にはその計算による、四十二年をベースにした計算の方式でいくなら、一万三千円の米価には、四十七年、ことしでもそういう計算になるというふうに答えております。
 先ほど、午前中にも、野坂委員から、この米価算定にあたって米審の問題についても触れておりましたし、また、参考人として陳述をされました宮脇会長からも米審のあり方について触れていたわけでありますけれども、ことしの米審に諮問するにあたって、これから作業をされるということでありますが、この経済事情と米の需給バランスとの問題がどのように持ち込まれていくのかは、非常に生産者にとっては関心の深い点であります。もうかなり時期が進んできたのでありますから、この辺の政府部内における議論は終わっていると判断しておりますが、これはどういうふうにされようとお考えになっていますか。
○中野政府委員 結論的に申し上げますと、まだ政府部内の議論が終わってないわけでございます。したがいまして、食糧庁としての見解になるわけでございますが、米は過剰基調ではないかという去年の話、それは二百万トン余の生産調整をやっておるということでございまして、この生産調整をもしやらなかったとすれば、これは二百万トン分米がつくられるとすれば、相当な過剰なわけでございます。そこで、生産調整をやっておりますので、米の現実の需給としましては、適正な在庫を持ちながら単年度需給均衡をはかるということでございまして、現物の米はちょうど適正なふうになっております。
 生産調整をやめますれば依然として過剰基調にあるということで、農林省といたしましては、たびたびこれは国会でも論議になっておりますが、休耕奨励金を打ち切りましても、転作に重点を置いて、米は適正な在庫として余裕を持ちながら生産を続けて、一方、足らないものに転作をやっていく、こういう基調ではないかというふうに判断をしております。
○島田(琢)委員 そうすると、昨年と状況はほとんど変わってない、こういうふうな考えに立って諮問案を作成するお考えだと受け取ってよろしいですか。
○中野政府委員 いま需給の問題で申し上げたわけでございます。そのほかに、これは生産費は御承知のように三年間平均してやるわけでございますが、その生産費はどういうふうに反映してくるか、特に賃金や物価等も上がっておりますので、そういうものも別途また反映してくるということでございまして、需給だけで判断をして今度の諮問を考えるということではないわけでございます。
○島田(琢)委員 しかし、長官、昨年も、芳賀委員が質問している中で、過去三年間に物価は四〇%上がっていますということを言っているのですね。そういう点では昨年も当然一万三千数百円という算定の根拠はあるというふうに考えられたのだが、それを押えられた。それは、いま言ったように、二百万トンの生産調整をやっている段階でもある、あるいはまた物価に及ぼす影響等も考慮をした、これはいろいろ理屈があって、その結果九千円足らずの価格に落ちつけた、こういうことなんですね。そうしますと、去年とことしと事情は一つも違っていない。いまおっしゃるのは、昨年からことしにかけて特別な物価の値上がりがあったから、その分だけを考えるという意味ですか。
○中野政府委員 四十二年の算定方式のことのお話がしばしば出るわけでございますが、三十五年以来この算定方式をとりましてから、特に三十年代の後半−四十年代の初めにかけまして非常に需給が不足をいたしまして、外国から百万トンも入れたというような状況でございます。その際に、やはり国内で自給をするためにはもっと生産刺激的な米価にしなければいかぬということで、算定方式を、米価を高くするようにずっと算定要素を変えてきた、それの最大になりましたのは四十二年でございます。ちょうど四十二年を過ぎましてから過剰の状態に入ってきたということで、算定方式を改めてきているような経過でございます。
 それで、昨年とことしと全然状況が同じで判断するかというようなお話になりますと、先ほども若干御答弁申し上げましたように、また世界的な食糧事情のお話等もございました。そういうことも頭の中には当然入れておかなければいかぬと思うのです。そこで、そういうことを入れながら、ことしの算定方式をどの程度にすれば――生産調整下にある、片一方、物価、賃金は上がる、それから他作物への転作をなお進めなければいかぬ、こういうことを総合判断して、いかなる算定方式をとるべきかということを最終的に判断をして御諮問申し上げたいということでございます。
○島田(琢)委員 米価の決定ばかりではありませんが、乳価の決定あるいはビートの問題、麦の価格決定の問題という段階においても、それぞれある法律の趣旨が、いわゆる政府部内においてそのときどきの解釈によって非常に右に行ったり左に行ったりする。それには不足ぎみのときは高くする、あるいは余っているときには押える、こういう操作は、米に限っていえば、食管法の三条二項の違反でないかという疑いでいままでもずいぶん議論がされてきたのであります。ことしは世界的な穀物事情の背景もあり、かたがた異常な物価の値上がりもあるので、それらを今後の検討課題として見ていきたい、そのことについて私はとやかく言うのではありません。しかし、午前中も、米価の決定は真摯な態度で、米審に諮問するにしても、すなおにひとつ出してほしいという農業者側の意見があります。これは私ども全くそのとおりだと思うのです。米価ばかりではありません。ですから、この機会に、法律の精神を旨として、それを正しく価格に反映していくというふうな、いわゆるルールだけはもとに戻してもらいたいというのが私どもの考えなんです。ですから、その結果はじき出された価格が、われわれの期待するよりも低かったとしても、それは私どもは理解しなければならぬと思うのです。ところが、中間においていろいろの理屈をつけて操作をされてしまうところに、今日の農畜産物の価格決定への不信感が根強くあるわけであります。ですから、そういうふうな点では、これは議論はかみ合わないでしょうが、私は、ぜひこういう国会の農林水産委員会の議論の中では何とかかみ合わしたい、こういうふうに思って、真剣に実は私どもの考えを訴えているわけでありますけれども、しかし、依然、いまのやりとりを通しても、私自身はそうした私どもの願いというものが生かされるような雰囲気にないような不安を一面持たざるを得ないのであります。
 そこで、先ほど私は、世界的な穀物の事情ということをなぜお話ししたかというと、どうしてもここで一つだけ議論しておかなければならないのは、来年以降の三十万ヘクタールの使い方であります。これが先ほど言った米のいわゆる需給バランスというものをどこに求めるかということの関連の中から、政策的に非常に重要な意味を持っていくわけでありますから、この三十万ヘクタールの取り扱いというものも一面では非常に関心を持っておかなければならない点であります。しかし、ここでその三十万ヘクタールの使い方を長々と議論するということは許されませんが、一言でいえば、総理大臣も農林大臣も言っていますが、来年度以降は当然いままでの約束どおり休耕奨励金ははずす、しかし、世界の状態から見ても、宮脇会長もそのことに触れていましたけれども、今日こういう穀物あるいは食糧の事情下にあって、水田に草ぼうぼう、あるいは柳をはやしておくような日本の農業政策というものは、世界の各国からも指弾の的になりかねない、こういうことがありましたが、したがって、私は六十万トンあるいは来年度に予定される七十五万トンという備蓄が私にとって正常なものかどうかということの議論は別にして、そういうものを踏まえたいわゆる四十八年度の米価決定というものは、非常に今後の米政策のあり方にも大きな影響を持つと思うので、ごく簡単でけっこうでありますが、大臣からこの三十万ヘクタールをどういうふうにしようとお考えかをお尋ねをしておきたいと思います。
○櫻内国務大臣 本年度で休耕奨励金を打ち切ることは、しばしば申し上げているわけでございます。そこで、明年度以降におきましては転作奨励のみでございますから、休耕地も転作を奨励する上に大いに活用いたしたい、こういうふうに考える次第でございます。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
○島田(琢)委員 三十万ヘクタールは水田に戻す考えは全くない、こうお考えですね。
○櫻内国務大臣 明年度以降の生産調整を幾らにするかということの問題は、今後の問題でございます。ことしのような二百五万トンでいくのかどうするのかということについては、これからのいろいろな事情を勘案しなければなりませんから、だから、一がいに、それは水田に戻してはならないとか、戻せとかということは、いま申し上げるのにいかがかと思いますけれども、明年度以降は休耕奨励はしない、したがって転作奨励のほうを中心に考えるんだ、それとまた通年施行をどれくらいやるかというようなこともございまするから、一体どの程度の生産調整になるかということは、これからの問題であるというふうに御了承いただきたいと思います。
○島田(琢)委員 大臣のおっしゃっているのは確かにそのとおりです。私、そのことをお尋ねしたのではなかったわけですが、私の言い方も悪かったかもしれません。私は、来年から休耕奨励金がなくなるということになれば、黙っておいたならば、たとえば来年生産調整をもっとゆるめるにしても、いまのままでは水田に戻らない。それはもういままでにも議論がありました。すでにかなり荒廃している水田をもとに戻すというのにはそれなりに金もかかる。しかし、それに対しても考えようと大臣はおっしゃっているようでありますから、そのことは別にして、ことしの米価決定は、生産刺激、生産振興にはつながらないのですね。もうすでにつくられているものに対して出される米価でありますから。ところが、きょうの御意見にありましたけれども、いま当分は、おそらく私どもが言ったって三月中に米価が決定されるようなことにはならぬだろうということを一つ踏まえて考えますときに、ことしの米価は来年度の米づくりに非常に大きな影響力を持つのです。一月中に、ことしは米をつくるかつくるまいかを、農家は経営計画を立てながら検討するわけであります。それだけに、ことしの米価ではあるけれども、来年度以降におけるいわゆる水田が戻るか戻らないかにもかなり大きな影響を持つというふうに私は判断している。生産調整の問題がありましたけれども、私はその議論を始めますと、さっき長官がおっしゃった七十五万トンという来年度のベースがいいか悪いかという問題に触れなければならないわけですが、私は少しのろ過ぎると思うのです。当然、来年は休耕田の相当をもとに戻していかなければならない考え方を打ち出さざるを得ないだろうと、いま私は判断をしているのです。
 その一つは、これから九月ごろ起こってくる飼料の問題があります。手持ち飼料がいまないという状態であります。あるいは米だけ、いよいよせっぱ詰まってくればまた五、六十万トンの米をそちらに振り向けなければ、牛や豚や鶏が死んでしまうという事態になったときに、人間の口も大事だが、家畜もどうするという問題と両方迫まられたときに、最小限度ぎりぎりの米ぐらいは出さなければならないんではないかという情勢も私なりに一つの分析をしているものですから、そうすると、長官がおっしゃったように七十五万トンのベースでいけるかどうかは私は非常に問題があるように思うからなんです。そこで、ぜひそういうものを踏まえた米価の決定ということが大事だということを申し上げて次に移るのです。
 田中総理は、食管制度を堅持する、そう理解してもらってけっこうだ、こういうふうにおっしゃったのですけれども、今回は、生産者米価は考えるが、消費者米価は据え置く、これもはっきりしている。ところが、国民の大多数の人たちは、いま消費者米価を据え置くといわれても、はだにぴんと感じないと言っているのであります。なぜでしょうか。それは自主流通米、さらにはまた銘柄米と称して、いわゆるアウトサイダーにある米が、物統令がはずされたのを契機にして、物価の先走りをするほど上がっているからなんであります。この事実を長官はどうお考えですか。
○中野政府委員 御指摘のように、いわゆる消費者米価の据え置きということは、正確に申し上げますと、政府の売り渡し価格は据え置くということでございます。したがって、運用といたしましては、現在政府が指導価格で標準価格米をつくっております。これは据え置くことになると思います。ただ、御指摘のように、自主流通米あるいは政府の売ります銘柄米という問題が出てまいります。自主流通米につきましては、御承知のように、生産者米価がきまりますれば、それがコスト価格になりまして、それに若干のメリットを得た上で自主流通に回す。ただし、自主流通につきましては、あまり高くなり過ぎてはいかぬということで、過去にも相当の助成をしております。金利、倉敷の助成、それから逆ざやを少し埋めるための一俵二百五十円の助成ということをやっております。
    〔委員長退席、仮谷委員長代理着席〕
したがいまして、今回の生産者米価のきまります水準いかんによりましては、われわれとしましては自主流通米の助成を相当大幅に考えなければいかぬと思っております。それをやりますと、いまの水準とそれほど違いはなくなるということも言えるわけでございまして、そういう点は今後検討しなければならぬと思っております。
 それから銘柄米につきましては、政府の売りますものにつきましては売り渡し価格を据え置くわけでございます。水準としては上がらないわけでございます。あとは流通経費が若干上がる分が響くということはあるかもしれませんが、その辺は適正な指導をして、できるだけ引き上げにならないようにいたしたいと思っております。
○島田(琢)委員 引き上げにならないように措置したいということを私は信じたいのでありますけれども、しかし、いま都内で売られている銘柄米といわれるササニシキ、コシヒカリ、十キロ当たり幾らしているかおわかりですか。
○中野政府委員 ササニシキが幾らというのは、ちょっといま数字を持ち合わせておりませんが、平均的に申し上げますと、東京の場合、上米が十キロが二千三百十六円、大体ササニシキ、コシヒカリ等は上米でございますから、平均的には二千三百十六円。ただ、三越やその他では、たしか二千六百円ということで売っているようでございます。(「二千七百円だ」と呼ぶ者あり)
○島田(琢)委員 二千六百六十円、私はそれを食べたのです。二千六百六十円。二千七百円という声もありますけれども、そのように二千三百十六円にあとの分は一体何が認められて二千六百六十円なり二千七百円で売られているのか、その分は何なのですか。
○中野政府委員 コシヒカリ、それからササニシキの場合によって若干違いがあるようでございますが、われわれ承知しておるところによりますと、コシヒカリの、農家といいますか、卸売り業者が手に入れる価格は大体九千九百五十円ということになるわけでございます。それに東京へ運びます運賃その他がありまして、おそらく一万四、五百円ということで小売り屋の手に入ると思います。それを搗精をいたしますと、大体九割になりますから、それを〇・九で割りまして、あとは小売り屋のマージンということになるわけでございます。このマージンはコシヒカリの場合はかなり高いようでございまして、東京の場合には二割ぐらいになっておるようなふうに見受けております。そうしますと大体いま申し上げました二千三百円あるいは二千四百円程度の米になるということでございます。
○島田(琢)委員 時間がなくなってしまいましたから、たいへん残念なんでありますが、私は、いかに消費者米価は据え置く、そう言っても、それは標準米、政府の管理している米については上がらないということは、それは事実でしょうけれども、しかし、いま言ったような米、銘柄米だ、いわゆる上米だ、私もそれはたった一回しか食べてないのですけれども、買ってびっくりしているわけなんですが、二千六百円、二千七百円の価格を来年まで上げないで措置できるかというと、私はできないのじゃないかと思うのです。直接米屋さんに意見を聞きました。いやそれはとっても、この物価の値上がり、人件費も上がっている……。そういう言い方は、この部分について幾らしたって、さっきの米価算定にあたってお互いの言い分と理解のしかたが違うと同じように、これは物統令をはずされたことによる一つの抜け穴ですね。指導はできる、行政指導はあっても、それをきびしくいわゆる統制をすることはもちろんできないというこの状態の中では、こうした米がどんどん上がっていくというふうにやはり私は見ておかなければならぬと思うのです。その対策は万全を期する、こうおっしゃっていますが、だいじょうぶですか。あと質問の時間がありませんから、しませんが、非常に米屋さんの話などもたくさん聞いてきたので、私は心配だから、最後にこのことを念を押しておきたい。
○中野政府委員 自主流通米につきましては、先ほど申し上げましたように、ことしの生産者米価のきまりました米価水準というのが基準になるものですから、これは絶対に上がらないということはなかなか私も言いかねると思います。できるだけそれが上がらないように、先ほど申し上げましたように、自主流通米についてのいろいろ助成を考えるということで、できるだけその水準を上がらないようにいたしたいということでございます。
○島田(琢)委員 終わります。
○仮谷委員長代理 井上泉君。
○井上(泉)委員 田中内閣の人気が物価の値上がりに反比例して、どんどん下がる、下がるその根源というものは、やはりこの間の農林水産委員会における田中総理の答弁の内容を聞いておって、まるで政談演説会か街頭演説会でやるような内容で、国会の委員会の権威にかけても、ああいうふうな態度で答弁をしておっては、これは人気が下がるのはあたりまえだと思います。
    〔仮谷委員長代理退席、委員長着席〕
その田中内閣の中にあって、わが委員会の農林大臣は比較的人気のいいほうで、そこでまじめに農政に取り組んでおる。ミカンから始まって、肥料、飼料、たいへん苦労なさっておるわけですが、この米価の問題を農民の期待する方向で解決をされたら、田中内閣の人気も何%か上がると思います。そういう意味における役割りは、私は重大だと思うわけであります。
 そこで、時間がないので端的にお尋ねしますが、二千百八十五円ということしの要求米価は、いろいろ金のことを考えずに、予算がどうのこうの考えずに、二千百八十五円というこの要求米価は高いと思うか、安いと思うか、適正であるのか、このことだけ大臣と食糧庁長官にそれぞれ御答弁を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 高い安いをどこの標準で言うかというとむずかしいのですね。また、私がいまこういう立場にあって、いまおっしゃるように、御質問にすぐ、やあ、もうこれはけっこうですと言えば、それは相当な影響があります。そういうことも考えて、私としてはやはりここでの言動を慎重にいたしませんと、あとのいろいろな行政面に支障があるということで、まことに申しわけございませんが、簡単に一言ということではお許しをいただきたいと思います。
○中野政府委員 大臣が申されましたとおりでございまして、まして私が、高い、安いということは申し上げかねるわけでございます。
○井上(泉)委員 農林大臣も、その行政をするのに、やはりこれは農民の立場に立って考えたら、感じとしては、ああこれは適当な価格だな、これは安いな、高いな、こういう感じを持って、その感じが実現するかしないかは、それはそのときのいろいろな条件にもよろうかと私は思うわけでありますが、かりにあなたが政調会長であったならば、きのうもはち巻きして、そうして農民の要求米価は、これは非常に適当な要求だと思う、だから、これが実現のためには私はからだを張って自民党内をまとめてやりますと、こういう勇ましい発言を、きのうの倉石さんに負けないだけの発言をしておったと私は思うわけです。ところが、農林大臣であるがために、そういう、いわば遠慮したというか、はっきりしたことを言えないということは、これはやはり私は政治家としての自分の誇りを傷つけることではないかと思うのです。なるかならぬかは別としても、二千百八十五円というこの米価というものは、これはもう決して高いものではない、むしろ安いものである。安いものであるという考え方が浮かばれないということは、これは非常に残念に思うわけでありますので、再度お尋ねするわけですが、この二千百八十五円という農協が出してきておる要求米価というものの算定の基礎というもの、これはもうお読みになったと思うわけですが、これは実務的に食糧庁長官のほうでこれを検討した場合に、これに無理があるのかどうか、そのことだけお願いします。
○中野政府委員 従来、農協のほうの算定方式は、いわゆる生産費・所得補償方式という点につきましては政府側と同様でございますが、その算定のしかたが八〇%バルクライン方式というのをとっております。
○井上(泉)委員 無理があるかないかということだけでいいです。
○中野政府委員 政府といたしましては、この方式については三十五年以来無理がある、われわれのほうの算定方式でここ十数年計算をしてきておる、こういうことでございます。
○井上(泉)委員 それでは、どういう点が無理があるのですか。
○中野政府委員 ただいま申し上げました、いろいろな点はあるかと思いますけれども、八〇%バルクライン方式というのが非常に高く出過ぎるといいましょうか、このバルクライン方式そのものが八〇%のところの生産費のかかる農家をとっておるものですから、それについて、かつ都市労賃で評価がえをするということになりますと、相当限界的な農家までの都市労賃評価ということまでやるわけでございますから、政府側のものと比べましてかなり高くなるということでございます。
○井上(泉)委員 それがなぜ無理なんでしょうね。それがなぜ無理でしょうね。いまその二千百八十五円という米価の生産費というものを算出するのにそれがなぜ無理であるのか。農林省が考えておることでやると、それなら幾らになりますか、ことしの米価は。
○中野政府委員 農林省の計算は、数日中に生産費が出まして、それが出たあと、物価修正、都市均衡労賃の評価がえ等をやりまして計算をするわけでございます。まだ本年度の分は出ておりません。
○井上(泉)委員 それは本年度は出てはないということは、ただ単に、もう米価審議会が近いからまだ発表してないというだけのことであって、もうこれから三、四日の間にそれが算出できるものでないでしょうか。だから、農協の米価の算定価格でやれば二千百八十五円というもの、これが最低で出ておる。それで、これが非常に無理だ、その無理だということなら、農林省がやっておることが合理的だ、これが合理的だと、こうなる。合理的だと考えるならば、ここに金額が幾らぐらいは出るだろうというだけのものは、これは出てくるのがあたりまえじゃないですか、これは子供でなければ。
○中野政府委員 おことばでございますけれども、先ほども申し上げましたように、ただいま生産費調査か出ましたあと、急いで検討――検討といいますか、作業をいたしまして、米審に間に合わせるようなことで出したいというふうに考えております。
○井上(泉)委員 ことしは昨年よりは米審の日が確かにおくれておると、こういうふうに私は思うわけですけれども、そのことがはっきりしないということは、まことに怠慢といわざるを得ないわけです。
 そこで、もうすでに超早場米なんかは、たとえば私の郷里の高知県なんかでは稲刈りが始まるわけです。ところが、今年の米価がきまらない、そうして今年の米価についての金額が示されてないということになれば、これは予約もしない、それからまた、ことしの農協は予約もしない、売り渡しもしない、希望の米価ができなかったら、予約もしなければ売り渡しもしない、こういうように言っておるのでありますが、これに対して、農林大臣、どうお考えになるでしょうか。
○櫻内国務大臣 本来でありますならば、予約のお願いができるのでありますが、お話しのような米価の見通しがないのでやめておる、これは私どもとしてはまことに遺憾に思っておるのであります。しかし、いずれにしても、もうここ十日ほどの間には見通しがつくものと思いまするので、その後に予約をぜひしていただきたいと考えております。
○井上(泉)委員 しかし、けさの農協の宮脇会長の御意見でも、二千百八十五円という線が期待される方向に出なかった場合には、予約も出荷もしない、こういうように言っておるわけでありまするが、そういう事態に立ち至るということも、今年の米価闘争では、きのうの雰囲気から考えて、当然予想されると思うわけですが、そういう事態に立ち至った場合には、農林大臣としてはどう対処されるのか、決意のほどを承りたい。
○櫻内国務大臣 ことしの米価は単なる米価ではない、この農政の中で最も大事な米価の決定に際して、十分生産者にも消費者にも学識経験者にも意見を吐露していただいて、それを農政面にも反映したいというようなことで、時間をかけてじっくり論議をしていただくわけでございますが、私としてそういう最悪の事態というものをいま一つも予想をいたしておりません。これは誠心誠意話し合うことによって必ずそういう事態は避けられる、このように確信を持っております。
○井上(泉)委員 その確信どおりになればけっこうでありますが、その確信どおりになるということは、農民の要求する要求米価というものがかなえられた時点、あるいはそれが金額そのものでかなえられなくとも、それに取ってかわるものがこれからの農政の中で示されてこそ農民は納得する面が出てこようかと思うわけです。
 そこで、これは私たびたび申し上げますが、農業というものは大切な食糧をつくる仕事である。それで、今年の米価大会でも、これをひとつ国の基幹産業として取り上げよ、大体基幹産業として農業を取り上げないということ自体がおかしい、これは資本主義の社会であろうが封建主義の社会であろうが、国民の食糧というものは国の政治の絶対的な中心課題におかなければいかぬと私は思う。ましてや、社会主義の社会でも、また共産主義の社会でも、国民の食糧というものはこれを企業的に見てはならないということ、農業を企業的に見てきたことが今日の農業の荒廃をもたらしておる。だから、この際、いわゆる農業危機突破国民食糧の安定確保に関する決議にいたしましても、食糧管理制度堅持に関するきのうの決議にいたしましても、こういうようにいままで企業的に農業を見てきたところの政府、この場合ことばをかえて言えば政府・自民党のとってきたことが今日の食糧危機をもたらし、農業の荒廃をもたらし、農地の破壊をもたらしておるのであるから、だから社会体制がどう、政治体制がどう変わろうとも、やはり食糧というものは国の存立の基本にかかわる問題だ、そういう位置づけの中に農林大臣は取り組まなくてはならないと私は思うわけですが、その点についての農林大臣の所見を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 先日私はこの食糧の問題で安全保障にかかわると言って、新聞等で、農林大臣があそこまで言うのかといわれたようなことがございましたが、ただいまの御所見につきましては、私は一つも異論はございません。食糧というものが国家、国民にとってきわめて重要なものであって、これを単に企業的な扱いをするというような考えはございません。現に米は国家貿易品目として、そして国際競争の上から見て相当な採算になっておりましてもこれはつくらなければならない、こういうことで終始一貫としておるので、御了承いただきたいと思います。
○井上(泉)委員 農林大臣もそういう考え方で、私は、それはあなたの言われるとおり国の安全保障で、何ぼ原子爆弾をつくっても、潜水艦をつくっても、大砲をつくっても、これで腹は張らぬのですからね。やはり腹を張らすということが国の政治のかなめでなければいかぬわけで、このことは国の安全保障に関する問題である、こういうことを政治家として考えられるということは、これはもう当然のことであるし、そういう考え方がないために日本の農業が破壊をされてしまっておるのですから、その日本の農業をいまここで立て直すということから考えましたならば、この二千百八十五円の要求米価を受け入れて、いわば消費者米価を据え置いておるわけですが、これを受け入れて一体どれくらいの金額の国庫負担になるのか、この点、食糧庁長官から承りたいと思います。
○中野政府委員 正確な計算ではございませんが、約六千億円になろうかと思います。
○井上(泉)委員 六千億という金額は、そうたいした金額じゃないでしょう、約二十兆円に近い国の予算のいろいろな面から考えて。六千億の負担をすることによって、国民に対しては安定した食糧の確保ができて、供給ができる。いわゆる消費者を安心さす。生産者は生産者で、これによって要求というものが実現をして、ほんとうにこれから日本政府のこれはもう農政を重点に置いてきたその姿勢のあらわれだと評価をして喜んで生産に励む、そして休耕田は転作をさし、大豆だとか小麦だとか飼料だとか、そういうものをつくるような状態になるわけなので、この六千億の財政支出というものはそうたいした金額じゃないと私は思うのですが、農林大臣、どうですか、これはもう国の安全保障のために六千億の出費はこの際ひとつ奮発したらどうですか。
○櫻内国務大臣 私、別に大蔵大臣のつもりで言うわけではございませんが、現に五千四、五百億円の食管の赤字があると思うのであります。そこへ団体側の要望を入れて六千億円を上積みするのでありまするから、やはり相当な支出ではないか、このように感ずるのでございまするが、先ほどから申し上げておるように、いま団体の要求についてとやかく言ってこれからの米価審議会の審議に支障があるというようなことがあってはいけないのでありまして、いまお尋ねでありますから一応申し上げたということで御了承いただきたいと思います。
○井上(泉)委員 食糧庁の長官は、六千億という財政負担、超過負担がかかる、そうすると大蔵省からいろいろ文句を言われる、こういうことで気がねをしておるんじゃないかと思うのですが、この六千億というものによって、いままで痛めつけられた日本の農民がほんとうに農民として国民の大切な食糧をつくる、つまり、国の基本としての食糧確保にいそしむことのできるような条件というものをつくり出すところの精神的なものを金銭で評価をいたしましたならば、これは六千億も一兆円にもまさるものと思うわけですが、そういう点から考えまして、この二千百八十五円という要求米価というものを是が非でも実現をするように私は要求をしたいと思う。それと同時に、農林大臣もみずから認めておるように、食糧の確保は国の安全保障だ、そのおことばどおりのことが具体的に米審の中で表現されて実現をするような、そういう真摯な取り組みをお願いしたいと私は思うわけでありますが、このことについて食糧庁長官の御意見と農林大臣の御所見とを承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
○櫻内国務大臣 御意見をちょうだいしてたいへん恐縮に思うのでありますが、この御意見もまた念頭に置きまして、今回の米価決定にあたりましては誠心誠意努力をいたす考えでございます。
○中野政府委員 大臣のお気持ちを体しまして対処をいたしたいと思っております。
○佐々木委員長 竹内猛君。
○竹内(猛)委員 時間がないから、三点はっきりしたかった点について質問しますが、第一は、ことしの飼料のこれからの問題、第二点は、販売米の表示に関する問題、第三点は、えさ及びその他に関する問題でありますが、海外開発輸入ということに対しての見通しの問題。
 そこで、最初にお伺いしますけれども、前回私はえさの問題について畜産局を中心としていろいろと質問をしてまいりました。そしてことし下半期においてはえさの値が上がるかどうか、上げないようにということで、私と島田委員とかなり追及をしたわけでありますが、その答弁は必ずしも明確でありません。
 ところで、たまたま日米経済合同会議が終わって、そうして大豆の輸入規制の問題、あるいはその他の問題がかなり明らかになったように思うわけです。したがって、この会議の前の状況と日米経済合同委員会が終わったあとでの状況とに変化があるかどうか、その点についてまず、これは農林大臣からお伺いします。もし補足をするということがあれば、外務省及び経済局のほうから。
○櫻内国務大臣 今回の合同委員会を通じまして、大豆の輸入につき追加を強力に要請しておるところでございまするが、相手側から確たるお答えを得られなかったのは残念でございまするけれども、日本の大豆についての非常な大きな関心がどの辺にあるか、これは食品用あるいは飼料の関係、これらについては十分な認識を得たと思うのであります。そこで、私の期待しておるのは、アメリカ側の代表が本国へ帰った後にどういう行動をとってくれるのか、われわれの要望がほんとうに伝わっておるのかどうか、いまそれを心待ちにする立場にあるわけでございまして、特別に目に見えて変わったかどうかというと、まだそれはあらわれておらない、こういうことでございます。
○竹内(猛)委員 そうすると、前回の段階と変化がない、こういうふうに理解をしてよろしいですね、いまのところ。
○櫻内国務大臣 前回は、はっきり申し上げて九月末、二十一万程度の持ち越しである、十月末には一万トンマイナスになる、こういうことで非常に憂慮しておることを申し上げたのでありまするが、今回の日米会議を通じて、新穀が予想よりも早く手に入るのではないか、また追加要望に対してどうこたえるのか、いろいろなことでこの需給の逼迫というものがある程度は緩和できるのではないか。と申しますのは、日本独自のブラジル方面からの輸入というものも見通しがつきました。それから国内における需給の関係につきまして、大豆需給協議会でいろいろ論議をいたしまして、具体的に少し計画を直したりしております。そういうことで十月についての最悪の事態は避けられるという見通しを私としては持っておるわけであります。
○竹内(猛)委員 そこで、前回も問題になったわけでありますけれども、アメリカが日本と契約をして一方的に契約を変更する、そして規制をする。その結果は、日本の農畜産物を取り扱う業者はもちろんのこと、畜産農民に――これから米の問題が解決をしたあとは必ず畜産の大会がまた開かれる、すでに今月の三十日には大集会が持たれる。こういう形になって、再びこの春と同じような――集会か持たれるだけでなくて、このまま行きますと、ほとんど畜産をやれるかやれないかという状態、あるいはまた今度はものを上げれば――ものはあるけれども、上がったとするならば、今度は物価を値上げしなければならないという状態になってくることは明確なんです。このように、日本の業者、並びに畜産農家に対して物質的、精神的負担をかけているのに、何で一体日本の政府はアメリカに対して契約不履行の損害賠償くらい請求しないか。それくらいのことを請求したっていいじゃないか。これはどうですか。損害賠償を請求する意思はないか。
○池田政府委員 アメリカ政府のこの問題に対する解釈は、個別の契約自体の中に政府自体が介入することを避けまして、国内でシッパーと売り渡し業者との間で契約が成立いたしておりますもののうちで、七−九月に積み出し契約ができ上がっておりますものの半分の輸出ライセンスを出さないという公的な行為でこれを規制しておるわけでございます。したがいまして、個々の契約同士の間の積み出しがその期間不可能になりました分の扱いにつきましては、それぞれのシッパーとそれから売り渡し側との間の話し合いによってきめられていくということになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、いま御指摘ございましたように、この間のものがキャンセルになるということになりますと、その分を将来買います場合に時価で高く買わなければならないという不利をこうむることにもなりますので、したがって、主としてこの不利をこうむりますのは、商社から契約を取りつけております国内の製油メーカーその他の実需者でございますので、したがって、商社を通じまして、これらの契約がキャンセルに持ち込まれることのないように 個別の契約を通ずると同時に、団体全体の姿勢としても現在シッパーサイドに対して強力に働きかけをいたしておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 それはいずれの方式をとるにしても、ともかく日本の畜産農家というものは、この春にそれぞれの価格がきまっていて、そのときに需給の中で、えさの価格というのは大体これくらいだからこういうふうに牛乳はきめるあるいは豚の肉はこうなる、こういうふうにきめてあるわけでしょう。そういうものが、ともかく日本の業者とアメリカとの関係のどういう取りきめがあるにしても、その間の影響によって負担をこうむることは間違いがない。一体その負担はだれが負うのですか。日本の政府がそれを負いますかあるいは日本の業者に負わせますか。そうだとすれば、日本のどういう業者が、アメリカのそういう業者との間で、農民ですか、との間でどのような契約をしたか、どういう取りきめをしたか、その点は明らかでないですか。
○池田政府委員 これは一部は畜産局長からお答え申し上げることが適当かと思いますが、先生も御承知のように、現在の日本の大豆の輸入というのは、主として搾油用大豆につきましては、国内の大豆かすの需要というものをほぼベースに合わせまして、それによってしぼっております。したがって、むしろ逆に油は常に過剰ぎみという形で、国際水準からいたしますと、かなり低い水準で現在まで推移してきたのが実情でございます。したがって、最近やや引き上げまして、伝えられるところによりますと、製油業者の団体とそれからえさの団体との間の取りきめが現在進められつつあるやに聞きますけれども、それらのベースにいたしましても、これは必ずしも国際的な価格水準と直結してきめられない、つまり油の値段とかすの値段との競合を考えながら、バランスを考えながらきめていくというふうなことだけでなくて、国内のえさ側の事情というものをよく聞きながらきめるという伝統的な立場に立っております。したがって、間接的には、むろん国際価格が上がれば上がるのでありますけれども、現在、先ほど申し上げましたように、私ども指導いたしております団体側の意向といたしましては、キャンセルをいたしましてその新しい、いまの高い水準の豆を買うという形ではなくて、あくまでも輸出ライセンスの得られなかった分の契約については有効である、したがって、その時期において買った値段、この値段であくまでも、時期のズレはあっても、輸入をしていくのだという立場でアメリカ政府に当たっておりますし、私どももそのような立場に立ってアメリカ側に当たっておりますので、したがって、若干のずれはございましてもそれが価格の上に極端に影響してくるということは、全力をあげて食いとめたいというのがただいまの態度でございます。
○竹内(猛)委員 量のほうはどうですか、契約の状態はわからぬですか。
○池田政府委員 これはアメリカとの間の主として大豆の契約状況は、到着ベースで申し上げますと、十月末で、先ほど大臣から申し上げましたように、約一万トンの不足というような形が需給推算上出てまいりますので、したがって、現在時期別には到着ベースで、八月ベースでのアメリカの到着契約量は約十六万トン、それから九月到着量が大体十八万トン、十月で八万トン、それから十一月から十二月末にかけまして約六十七万トン程度の到着ベースでの契約量を考えておるわけでございます。これらはいずれもその中に約六、七万トンの中国豆の到着を予定いたしておりますので、アメリカ豆はいま申し上げた数字よりは若干減るわけでございますが、なおこのほかに、ブラジル等の第三国の契約状況を現在早急につかみつつございます。これらが新しく若干加わってまいりますと、国産の出回り量も御承知のようにこの秋にかけまして五万トン程度出てまいります。そこいらを含めましてそして全体としての供給量を確保したいというふうに考えておる次第でございます。
○竹内(猛)委員 かなり希望的な願望も含まれているようだから、これはそのまま私は楽観をするわけにはいかないと思う。きょうも実は本会議で中小企業白書の討論の中で大商社の問題が出てまいりました。これは木材のときにもその話が出たのですが、国内において絶対量が足りない。そしてそれを主としてアメリカなりカナダなりという特定の国から輸入をしている場合に、そこに大商社がある。そしてしかもその契約は自由である。そして契約の実態はつかめない。農林省といえども、通産省といえども、つかめないという。そこで今度は買い占めをし大もうけをする。それでまた土地まで買っていくという実態が現実にある。これをどのように安定的に、しかも確実にものを供給していくか、輸入していくかということは、輸入公社なりあるいはそういうものを設けなければならぬという提案をしております。中曽根通産大臣もそれは一つの有益な方向だということを前にも言われたし、きょうもそういう答弁があった。大豆であるとかえさであるとかいうものは、まさにそれの対象になるものだと思う。農林省は、一番大事な畜産農家をかかえて、価格のほうだけはいろいろの法律のもとにきめるけれども、それを供給するえさのほうの不安定性というものに対して、一つも業者を押えることはできない、つかむことはできない、こういう実態であっては私はやはり問題だと思うのだ。きょうここですぐ結論を出そうとは言わないけれども、将来どうしてもこれは考えなければならない問題だから、これは委員長にぜひお願いしたいのだが、農林水産委員会の理事懇談会みたいな与野党を通ずる懇談会などを開いて、このえさの問題については早急に対策を立てなければ、将来はたいへんなことになるだろうという心配を私はする。これについて別な機会にぜひはかっていただきたいし、国会もあまり日にちがないですから、このことについてはぜひ取り計らいをしていただくように、いまの私の希望と、それからもう役所のほうでわからないということだから、わからなければ審議のしようがないのですから、それより方法がないと思うのですが、いま言ったことについて答えができるならば、ひとつ畜産局長なり流通局のほうからでもお答えを願いたいけれども、どうですか、これはわかりますか、なかなかわからないでしょう。
○櫻内国務大臣 大事なことで御参考に供しておくことがございます。今回のロジャース長官の発言の中で、アメリカ側が大豆の日本に対する輸出量、日本の輸入量、これを昨年の三百二十万トン近くの量と比べて三百六十万トンを輸出することになる見込みであるということを長官がステートメントで言われております。それからさらに、九月に取り入れが始まる新しい収穫にはこの規制は適用されないので、規制は短期間に終わるものと期待しておる、あるいは収穫予想の二四%増のことも明言をされておるわけでございまして、これらのことから考えまして、竹内委員から今後の飼料について非常に御心配をちょうだいしておりますが、アメリカからの大豆の問題につきましては、楽観をしておるわけではございませんが、一応最悪の状態は切り抜けられるのではないかと、先ほど私から申し上げたそのことの裏づけとしてお聞き取りを願いたいと思います。
○竹内(猛)委員 そういうような明るい見通しがかりにあるとすれば、それは一つの見通しとしていいけれども、私は常に暗いほうに――いままでのことがそういうようになっていないだけに、前半とった処置が後半の問題の処理に必ずしもその期間にできていないということがあるだけにこれは心配です。でありますから、それならば現在まての赤字――もうすでに赤字が出ておりますけれども、それのトン当たり千九百円なり、あるいは安定基金に二千五百円出してあったものがもうそれも赤字になってしまっておる。こういうことを考えると、どうしても四千四百円ぐらいの赤字が出るわけですね。これを畜産物に還元をしていくというと、豚肉であれば三十五円、牛肉は四十円、生乳二円五十銭、卵が三十円、ブロイラーで二十五円というように値上がりをしなければ農家はやっていけないという計算も出ております。したがって、そういう四千四百円の赤字というものを財政的に処理をしていくのか、それともその部分を畜産農家にかぶせて、それを消費者の物価の値上げにしていくのか、どの道をとるかということについて、これは農林大臣たまたまいらっしゃるから、農林大臣、どの道をおとりになりますか。
○櫻内国務大臣 御承知のように、配合飼料価格の一応基準になります全農の価格は、八月一ぱいは値上げを行なわないということでまいっております。その後についてはどうなるのかということに相なるわけでございますが飼料原料の海外市況が相当高値に推移しておることは十分御承知であろうと思いまするし、それから輸出規制の推移というものをもう少し見ないと不安定感があるわけでございます。それで、いろいろな予測しがたい問題がございまするので、一体九月以降の飼料価格をどうするかということについては、ここで明確にお答えをしにくい点がございます。しかし、私としては、先ほど来のお話のごとくに、飼料価格の値上がりというものが直ちに畜産物に影響していくことは当然のことでございまするから、その影響をできるだけ少なくするように諸施策をしなければならない。上半期にとりました緊急対策もございまするが、それらの緊急対策を再度やるかやらぬかということについてはなかなかむずかしい点がございまするが、いまこの段階ではもう少し事態をよく見きわめて対処をいたしたい、このようにお答え申し上げたいと思います。
○竹内(猛)委員 時間がありませんから、これ以上この問題に触れていくことはできませんが、いずれにしても、ここに自民党の理事の方もいらっしゃるし、それから委員長を通じてぜひ農林水産委員会の中に党派を越えた懇談会のようなものができて、その中でえさの問題を話し合うようなことで、これは早急に手を打たないとたいへんなことになるように私は心配をするものですから、特にこれを提案しながら、次の問題に移ります。
 そこで、よく、国内の自給飼料のことについては、いろいろ前にも議論しましたけれども、海外開発輸入ということに対して一るの期待をかける向きがあります。先日もある新聞にちょっとしたことが出ていましたが、一体、海外開発輸入というものは、現に商社なり全農などの一部ではやっているようですけれども、どの程度の期待ができるのか。どの地方にだれがどれぐらいの金で、そしてどれぐらいの量のものを、いつごろこの日本の飼料の自給の中に計算をすることができるのか。この見通しと問題点について、ひとつ外務省、農林省、両方から見解を聞きたいと思います。
○石井説明員 開発輸入によりまして、どの程度の農産品の資源確保ができるかどうか、こういう問題につきましては、私のほうは、援助を中心として見てまいっておりますものですが、援助と資源確保という面は、従来必ずしも一体となって考えてきておらないわけでございまして、援助は後進国の要請に応じてやるというのがまず第一のたてまえでございますから、資源確保の観点からどういうものがあるかという深い研究をしたことはございません。
 その理由の一つとしましては、七一年まではこういう天候異変の結果の非常な食糧危機というような事態は起きなかったわけでございますから、後進国に対する援助をてことして、資源確保をするという観点から、そういう需給関係、どういう地域でどういうものが開発輸入によって得られるかというようなことは、われわれのところでは検討しておりません。
○大河原(太)政府委員 飼料についての開発輸入についてお答え申し上げます。
 御案内のとおり、飼料の開発輸入につきましては、昭和四十三年ごろから民間企業と現地の合弁とか、あるいは現地の共同組織というようなことで開発輸入の企てが試みられ始めたわけでございますが、特にインドネシア、ランポン州におきましては、日本の民間企業と現地の生産者団体との合弁企業が行なわれまして、道路の整備その他の間接的な投資と並びまして、農場及び周辺の現地住民の主要作物の耕作規模の拡大というようなことが行なわれまして、相当の成果をあげ始めておるというのが実情でございます。そのほか、われわれが承知しております限りでは、カンボジアでの熱帯作物栽培公社というような合弁の事業等、日本の援助に基づきます事業等も始まっておったわけでございますが、これは残念ながら内戦その他の関係で現在とんざしておりますが、今後この点についても、正常な状態に戻りますると、その期待の可能性があるというようなことでございます。
 御案内のとおり、開発輸入につきましては、相当長期を要し、計画的な推進が必要でございます。最近におきます飼料の国際的な需給関係なり国内の確保という問題から、この輸入ソースの多元化という一環で、われわれといたしましても、現に具体的な検討を始めておるわけでございまして、たとえば先生、御案内と思いますが、全農等の農業者団体は、現在アメリカはもちろんでございますが、オーストラリア、アルゼンチン、タイ等の生産者団体とある程度の長期供給契約を結んでおります。これらについての国の助成等は、必要があればこれを行ない、その現地の各種の貯蔵施設とか、その他の送り出しの施設とかあるいは乾燥施設とかというようなものを助成することによって、そういう生産者サイドの長期的なルートを確立していくとか、あるいはたとえばブラジルにおきましては、膨大な輸出回廊計画がございますが、それらの一環として、飼料について特に具体的な計画とプロジェクトなりあるいは自主設計等を早急に立てることの検討とか、あるいはタイにおきましては、御案内のとおり、従来の道路網の整備とトウモロコシの面的な拡大というようなものが並行して進められておりましたが、さらにタイ等は、技術水準その他から、最もわが国へのメーズ、トウモロコシの供給の可能性もございますので、メーズ道路等のタイ国の計画に対して、日本側の協力によって、日本への供給力を確保するとかという、二、三の事例を申し上げましたが、これらの具体的な問題を早急に進めるということによって、開発輸入について実質的な内容の成果をあげるようにつとめていきたいというふうにして、現在検討中でございます。
○竹内(猛)委員 時間がありませんので、これ以上この問題も詰めるわけにいきませんから、いずれ外務省また農林省と個別に、委員会の場でないところで言及したいと思いますので、これで終わります。
 そこで、今度は食糧庁に。先ほどもちょっと言いましたように、ここに四十六ぐらいの米の袋があります。これは上越米、それから特上米、いろいろあるけれども、こういう上越米というような銘柄があるのですか、特上米というような銘柄がありますか。この表示は一体適当かどうか。食糧庁がこの中から適当だ、合格だというものを選んでもらいたいと思います。どれが合格か不合格かということをまず食糧庁の専門家にひとつ……。
 それで、四十七年に物統令が廃止をされて、そしていい米を安く、うまい米を安くということで、実は自主流通米というか、その米の販売が始まったわけですね。それでマーケット、デパート、その他いろいろなところでこれが売られております。それを売るようになったと思うのです。ところが、実際売っている姿を見すと、そのように、まさにこれは農林省が指導している規格をはるかに乗り越えた、わけのわからないものになってしまっている。それについてある価格は、さっきも説明した価格とはまるっきり違うのですよ。そういう形で、全くこれはもう混乱に混乱をきわめているというような実態でしょう。これは東京都内のものですけれどもね。それはひとつ取り締まってもらわなければならない、食糧庁としてそういうことを。その中になお、米を売るのに景品を与えて、二点か三点、四点、五点集まれば、バケツをくれるとか、米を売るのに、物をくれなければ米が売れないという、そんな米の売り方というのは、おそらく農林省も指導はしてないと思うけれども、それも行き過ぎな形であるし、そういうようなことについて、これは農林省として予期したことではないと思うけれども、そういうことが現実に存在しているんですから、これは厳重に整理をしてほしいし、それから公正取引委員会が見えておると思いますけれども、これは明らかに、公正取引委員会で調査をしてもらわなければならないような、要するに、不当表示のそれに関係をすると思います。思いますので、これもまた、同時に調査をしてもらって――これは不当てあると思う。明らかに不当ですね。全く表示がでたらめなんだから、三点セットが三点セットになっておらない。ほとんどこの袋は落第です。だから、それについて両方からお答えをいただいて、今後そのようなものに対して厳重に適正な形でいくように指導をしてほしいということを、ここで要望したいと思うのです。なおまた、それが一定の時期に改まらなければ、もう一度その問題は持ち上げてこなければならないから、いまのところはその程度になると思いますけれども、とりあえずそこで適当なのは一体どれですか。
○中野政府委員 非常に大量にいただきましたので、いますぐ適当かどうかなかなかわかりませんので、後ほど判定いたしまして、先生のところに御返事に参ります。
 そこで、いまお話のありました表示の問題でございますが、確かに御指摘のように、食糧庁の指導がなかなか徹底していない面があるかと思います。そこで、われわれといたしましては、やはり消費者の信頼を得ることが必要であるものですから、配給米の表示実施要綱というのをつくりまして、具体的に自主流通米あるいは指定銘柄米なり、全量がそういう原料であるという受け払い台帳をつくらせまして、そういうものについてだけそれは認める、それ以外はそういう表示はさせない。それから特にいろいろな絵がかいてあったり、先ほど特上米はどうかという話もありましたけれども、そういうような消費者に誤認をされるようなことはないようにという指導を具体的にやっております。毎月、県それから食糧事務所が末端で巡回指導をして、そういう不当表示等があるものについては引き続き、若干あるようでございまして、これについては勧告をし、注意を促しておるわけでございます。まだやはりそういうことがあるかと思います。
 そこで、食糧庁といたしましても、各県に米穀流通適正化協議会、これは消費者団体から、県によりまして構成はいろいろ違っておりますけれども、販売業者からその他学識経験者入りまして、そういう協議会をつくっております。そこでいろいろ御論議を願っておることもやっております。といいますのは、食糧庁が全国津々浦々の米屋の表示の指導は全部行きかねるという問題もございます。具体的にどういうふうにしてもらうかというのを、知事がそこへおはかりして、適正化協議会できめる。具体的に例をあげますと、東京都ではすでに、いま御指摘のありました特上米というのは使用を中止する旨、指導するもののランクに入れておりまして、そういうことも具体的におやりいただいておるわけでございまして、今後とも十分表示の適正化ははかっていきたいと思っております。
 それから、景品つき販売でございます。これはどの程度――タオル一本差し上げるというような場合、あるいは米屋さんがお得意さんになじみになるということで、そういうことは差しつかえないという、差しつかえないといいましょうか、常識的な判断が要るかと思いますが、それがあまりに大きなものになりますと、これは得意の奪い合いということになりまして、あるいは公正取引委員会のほうからの御注意があることかとも思いますけれども、一般的に申しまして、米の配給につきまして、そんな大きな景品をつけてまでお得意を奪い合うというのは好ましくないと思っております。
○竹内(猛)委員 公正取引委員会のほうで見えていますから、その中で三点セットという、食糧庁が指導した三点セットというものがほとんど適正に行なわれていなくて、非常にまぎらわしい、たとえばすし米であるとか、これはおいしいとか、これはうまいとか、まるきり銘柄とも何ともつかないようなものがそこに出ている。これは公正取引委員会はそれを調査して、適当かどうかという判断をしてもらわなければいけない。
○熊田政府委員 ただいまの米の表示の問題でございますが、一応食糧庁のほうで米の表示について指導要領をつくられまして、それによって行政指導をしておられます。そこで、私ども公正取引委員会としての意見はおりに触れて申し上げておりますが、原則として食糧庁の御指導におまかせする、こういう態度でいままでやってきたわけでございます。しかしながら、どうしても不公正な表示がなくならないということでありますれば、私どもといたしましても別途調べてみなければいけない。また場合によりましては、業界に公正競争規約というようなものの設定を指導していかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。
 それから景品つきの問題でございますが、これは景品表示法によりますと、懸賞つき景品の提供の場合には、原則として一つの景品の最高額が一万円あるいは取引額の二十倍のいずれか低いほう、こういうような基準を設けられております。先生が御指摘になりました、あの点数制の景品、これはどの程度のものであるか、さらに調べてみないとわからないわけでございますが、もしもそういう基準に抵触をしてくるということでありますと、これは景品表示法違反として私どもも規制をしてまいらなければならないと考えております。
○竹内(猛)委員 時間が経過したので、これで終わりますけれども、きょうは、たいへん問題になっているえさの問題について――どうしてもまだ政府のほうは楽観的な方向に問題が向いているように思う。われわれは必ずしもこの問題について楽観を許さないと思いますので、ぜひこの委員会として、与野党を通ずる懇談会でも持って、何とかこのえさの問題について、米の終わったあとで大問題が起こらないように手当てをしてほしいということを要望しながら、同時に、いまの米の表示の問題につきましても、当初約束をしたことと違った形のものが現実にそのように行なわれているのですから、食糧庁の指導を十分にしてもらうということ。それから、明らかにこの表示の様式は不当であることは間違いない、三点セットというものはそういうふうになっていないのですから。だから、それについては、公正取引委員会のほうでは現物をよく見て、点検をして、間違いのないように指導してほしいということを要求して、私の質問を終わります。
○佐々木委員長 中川利三郎君。
○中川(利)委員 わが党はきのう十八日に「食管制度の厳正実施により、生産者米価を適正に引上げ、消費者米価をいっそう安く安定させ、主要食糧の自給をめざす幅広い運動の発展を」という政策を発表いたしました。この中で政府・自民党に対する要求として、第一番には、食管法を厳正に実施し、生産者米価を適正に引き上げること、第二番目には、消費者米価を据え置くとともに、米を物価統制令の適用品目に復活させ、配給制度を改善すること、三番目には、米価審議会を民主化すること、四番目には、中小米作農民も生産性を高め、安い米が供給できるよう援助すること、五番目には、米作からの自主的な転換が安心してできるよう国の援助を強めること、六番目には、対米従属、大企業奉仕の食糧政策を根本的に転換させ、日本農業の自主的、民主的な発展のため積極的な政策をとること、などであります。
 私はこれらの課題の方向に沿うて農業政策を発展させる、このことが抜本的に農民の要求にかなう道であると考えるのでありますが、この点についての農林大臣の御所見を承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 いろいろ御意見を申し上げたいところもございますが、またこの政策の中にはわれわれとそう考えの相違のないところもございます。概括的にお答え申し上げまするならば、私どもはこういう各方面の御意見を参考にいたしながら、また政府・自民党としての考えもやはりございまして、米を中心とする食糧政策を遂行してまいりたいと思います。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○中川(利)委員 いま私が五つの課題をあげたのでありますが、このこと以外に、むしろ自民党がわが党はじめ各方面の意見を参考にしながらいままで政策を進めてきたと言いますが、こういう民主的な抜本的な政策とさか立ちした別の方向を追求してきたから、今日のような農業破壊の現状を導いたのじゃないか、こう思いますが、いま私のほうで柱だけをあげたわけでありまして、内容的にはともかくとして、この柱について農林大臣は、なるほどそのとおりだ、こういうふうに思うのか、それとも何かほかの御意見があるのか、もう一回ひとつお答えいただきたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 私がいま各項目ごとにいろいろ申し上げるのはいかがかと思うのであります。と申しますのは、中川委員も、これをお取り上げになっていま御質問する上には、相当御勉強もちょうだいしておることと思うのであります。私どもも各方面の御意見を徴して勉強はいたしておりまするが、いまこの各項目について一つ一つ申し上げるだけの十分な勉強をいたしておりませんから、あまり軽率になってもいかがかと思うので、各項目別のお答えは保留をさせていただきます。
○中川(利)委員 それでは、せっかくやろうと思いましたが、それを省略して米価そのものに移らしてもらいます。
 先ほど井上委員から、今回の米価要求十キロ当たり二千百八十五円、昨年比四八・八%、これをずばり聞いて、これが高いのか安いのかという質問があった。その際、農林大臣は、大臣であるがゆえに国民に与える影響があるから、それはひとつお答えをかんべんしてほしい、こういうことでありましたが、そういう聞き方ではなくて、このような農協や農民の要求に対して、これを至当と思うのかそれとも不当な要求だと思うのか、これならばお答えできるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○櫻内国務大臣 食糧庁長官のほうから、団体側の計算の基礎になっておる考え方について政府側の考え方との相違を申し上げておるところでございます。私は米価審議会に諮問をして適正な米価をきめる責任の立場にあるのでございまするから、いまここでこの要求米価のことについて、それがいいとか悪いとかということについては、この際申し上げるのは適当でないとお答えを申し上げたようなわけであります。
○中川(利)委員 いま農民の血の出るような叫び、要求米価を叫んでいるわけですね。この中で、大臣であるがゆえにこれに対する見解を発表することは差し控えたい、こういうことでありますが、食糧庁長官ならばいかがですか。あなたならば御見解を述べることができるでしょう。それだけの影響はないですから。
○中野政府委員 先ほどもお尋ねがございまして、私からもお答え申し上げましたように、また大臣がただいま申し上げましたように、これからいろいろ作業をいたしまして、米価審議会にはかる事務当局としての準備をいたすわけでございまして、いま高いとか安いとかどうとかというのは申し上げないほうがよろしいかと思います。
○中川(利)委員 だれも政府の米価を聞いているのじゃないのですよ。農民がいま現実に叫んでいる米価に対して、これが妥当なものと思うのかそれとも不当なものと思うのか、どっちなんだということを聞いているわけですから、この点について、あなたならばそう影響もないでしょうし、農林大臣はいろいろな影響があるから答えられないと言うから、あなたはどう思いますかということを聞いているのです。
○中野政府委員 要求額自体は、いま申し上げましたように、批判をすべきじゃないと思っておりますが、農家が引き上げてほしいという気持ちのあらわれであるということはわかるわけでございます。
○中川(利)委員 農家の気持ちはわかる、つまり心情的には理解できる、こういう意味だと思うのですね。確認していいですね。
○中野政府委員 先ほど申し上げましたように、額そのものについてはここで高いとか安いということは申し上げませんが、引き上げてほしいという気持ちはわかるということを申し上げたわけでございます。
○中川(利)委員 そういう抽象的なことで、気持ちはわかるけれども額そのものについては言われないというのは、結局言われないということだな。
 そこで、農林省はこういう国民的な農民の要求に対して、大臣以下すべて貝になった。私は貝になりたいということがありますけれども、こういう状況の中でいま問題がいろいろ発生しているわけでありますが、いまお答えがありましたように、作業中だ。そうすると、いまの作業中の中に農民のこういう要求がどのように組み込まれるのか。作業というやつは、私が思えば、血も涙もない機械的なそろばん事業だと思うのですね。そういう要求自体はどう組み込まれるのか、そのメカニズムというか、その仕組みをひとつ教えていただきたいと思うのです。
○中野政府委員 生産費・所得補償方式によりまして、先ほどもお答え申し上げましたけれども、去年からの物価、賃金の状況、それから生産調整を実施しているような状況、他作物との関係その他のいろいろな事情を判断をしまして、適正な算定のしかたというものを詰めたいと思っております。
○中川(利)委員 あなたは生産費・所得補償方式について云々とか言っていますが、私の聞いているのは、農民のこの血の出るような叫び、もう国会を取り巻いて、自民党の議員さんから先頭になって、たすきをかけて一緒にやって歩いているのですね。こういう状況を単なる生産費・所得補償方式でこうだと、いわゆる事務として取り扱うけれども、こういう声を、叫びを組み入れられるメカニズムは一体何だということをまず聞いているわけですね。どういうかっこうでそれを組み入れていくのか。だから、逆に聞くならば、あなたは生産費・所得補償方式だと言いながら、これまで三年間も据え置いてきたというような辺は矛盾しませんか。あの場合は一体どうして据え置きになったのですか。
○中野政府委員 昭和四十四、五年から非常に米の供給が過剰になってまいりまして、このまま放置しますと一年分以上の在庫になってしまう。食管制度そのものも一体これをどうしたらいいかというところまで来たわけでございます。やはりそういう状況の中で生産調整をやるということでございましたから、これ以上米価によりまして生産を刺激することは好ましくないということで、三年間の水準の据え置きということをやったわけでございます。
○中川(利)委員 生産費・所得補償方式でやってなぜ米価が据え置きになるのかということを聞いているのです。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
その間、物価が上がったでしょう、いろいろな資材が上がったでしょう。それであなた方の計算によれば三年も据え置きだということ。生産費・所得補償方式ですから、そういうことはあり得ない勘定ですね。これはどうしてそうなったのですか。
○中野政府委員 生産費・所得補償方式、こういうふうに言うわけでございますが、その算定のしかたにつきましては、昭和三十五年以来十数年経過しておりまして、年ごとにといいますとあるいは言い過ぎかもわかりませんが、やはりそのときどきの米の置かれた状況を頭に置きましてその算定要素のとり方が変わってきております。そういうことでございますので、米が非常に過剰のときは、生産刺激的な米価はやはりこれは無理であるということから、算定要素のとり方を変えておるわけでございますが、基本的に生産費を補償すると同時に労賃の評価がえはやるということの基本的な生産費・所得補償方式まで曲げたということではないわけでございます。
○中川(利)委員 何か、あなた方は米が過剰だ云々と言うけれども、食管法のたてまえからいっても、米が過剰だ、そのときは米価を据え置くということは書いてないのですよ。生産費・所得補償方式なんだから、つまり生産者の再生産を確保することをむねとするわけですからだから、そういう点から見ても、三年も据え置かれるというけれども、その三年間に物価、経済事情もどんどん変わって、いろいろな物財費がむしろ上がっていったわけでしょう。そうすると、あなたのいまの答弁の中では、全くそういう論拠というものがないということにならないですかな。
○中野政府委員 食管法は、私が申し上げるまでもなく、生産費、物価その他の経済事情を参酌するということになっています。米の需給事情というのはやはり重要な経済事情であるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 米の需給事情も重要な経済事情だけれども、農民の生産費と所得を補償するわけですから、しかもほかの一番大事な経済事情ということは、農民の生産費、所得を補償するためには、どれだけ物価が上がったか、どれだけ物財費が上がったか、どれだけ労働賃金が上がったか、このことが主にならなければいけない。この経済事情は全く見ないで、そっちのほうの経済事情だけ見るということであれば、つまりあなた方は、予算を先に出して、予算に組み合わせて毎年同じようなしかけになるような数字の組み合わせをやる、これがいままでのやり方じゃないですか。
○中野政府委員 三年間結果として――結果としてというとあるいはおかしいかもわかりませんが、据え置きの間におきましても、物価の値上がり方あるいは賃金の動向というのは、その当時の算定方式におきましても反映させるようにやっておるわけでございます。
○中川(利)委員 それはひとつあとでもう少し詰めましょう。
 米審に諮問するわけですが、これはいつやるのですか。国会の会期中にやるのですか、やらないのですか。
○中野政府委員 八月一日に米価審議会を開きまして、二日の予定でございますが、あるいは延びるかもわかりません。一応そういうことまで頭に入れて、三日間ぐらいかかるのではないかというふうに考えております。
○中川(利)委員 そうすると、米というのは、これは国民全体にかかわる大きい問題なわけですね。政治問題であり、社会問題であり、経済問題であるわけですが、これについて国権の最高機関である国会の外側で諮問案が出される。したがって、諮問案が出された段階で国会議員として論議する場がないわけですね。こういうあり方でこれはいいのですか、どうですかな。そういうことになりますと、最高機関としてのわれわれの果たすべき役割りの外側にそういうものを置くということはいかがなものか、この辺の見解をお伺いします。
○櫻内国務大臣 米の問題は農政の中でもきわめて重要なことは言うまでもございません。したがって、現在の特別国会におきましても、一月以来本日に至るまで、しばしば皆さま方の御質問もちょうだいし、御意見も承っておる実情にあるわけでございます。また本日も、米価審議会が近いというので、特に皆さま方が参考人の意見も徴し、また私どもに御質疑をちょうだいしておるわけでございますので、若干の米価審議会との時間のズレがあるとは申しながらも、国会は国会としての十分な機能を果たしておられるではないか、このように私どもは見ておりまするし、また皆さんの御意見を尊重して行動してまいる考えでございます。
○中川(利)委員 国会で何回も質問した。しかし、質問するたびに、いま作業中だ、いま検討中だ。そうして諮問案そのものの内容も何も知らしてくれない。だから、米価がどうなるかということはこれからの課題であり、皆さんの諮問案ができてからの課題だと思うのですね。一番大事な段階に国会議員がこれに対して何ら容喙できない。そういうあり方については、これは不当じゃないかと思うのですね。したがって、国会中に諮問を出す、その間にわれわれはいまの諮問案について、われわれの立場から十分これがいいのかどうか、こういうことをやるようでなければ、国権の最高機関として国会をあずかっておると思われない。こういうことについてどう思うかということを聞いておるのです。
○櫻内国務大臣 近く四十七年の生産費の算定が明白になります。そして米価審議会への諮問を最終的にきめたい。
 国会のことにつきましては、いま私がここで申し上げることは当を得ないのでありますけれども、自由民主党側においては、新聞等を拝見いたしますれば、相当長期の会期の延長もお願いしたい、こういうことでもございますので、私としては皆さま方に対する責任は十分果たしてまいる考えでおります。
○中川(利)委員 会期の延長云々なんということを言っていますけれども、そういうものはまだ予測できない問題であって、当然二十四日にきめられた当初の会期の中に諮問案を出すということでなければ、私は国会の審議権に対する重大な干渉じゃないか、こういうふうに言っても言い過ぎではないと思うわけであります。
 そこで、そういう状況がないとするならば、国民的な課題であるこの米の価格をどうするかということが、政府・自民党によってきめられてしまう。こういうことになると、逆にいえば、自民党の党利党略で米価が決定されることにもなるだろうと思うのですね。それについて私、申し上げたいのは、たとえばあなた方の党利党略、というと言い過ぎかもわかりませんけれども、昭和四十五年度の減反が始まったときから、米の生産調整補助金をはじめとして、あれこれの奨励金、つまりつかみ金ですね、この五年間で十四種類ばかりありますけれども、その総額として支出されたものは約八千億円ですが、これは皆さん方はほとんど予備費あるいは予算の流用、こういうかっこうで支出しておりますね。つまり国会にかけないんだ。そして予備費と予算流用でこれをやっているのですね。こういうことは全く党利党略というか自民党のおかげでつかみ金が入ったとか奨励金がどうだとかいうような、こういうかっこうで米価を操作している。いまの米価問題についても同じことが言えるだろうと思うのですよ。だから、このこと自体国会軽視でないか。堂々と予算を出して通らせたらどうです。なぜ、こういうこそくな手段をするのですか。
○櫻内国務大臣 今度の米価の諮問にあたりましては、これを私から言うと言い過ぎになりますが、しかし、お答えしなければどうもものごとが解明されませんから、あえて申させていただきますなら、おそらく国会は国会として、あの諮問案が出ればその諮問案について説明を求められる、こういう段階は私としては予想をいたしておるようなわけで、過去におきましてはそのようなことであった、こう思います。
 それから予算の面につきましては、予備費の使用につきましては適正に処理されておると思います。
○中川(利)委員 そういう予算面でも、適正処理ということは事後承諾で処理したということであって、事実上予算の流用をやっているし、その予備費を使っている。そういうやり方については厳重に改めていただきたいと思うのです。堂々とやってください、堂々と。
 そこで、このようないまの政府のあり方の中で農業所得を見ますと、昭和四十年――四十二年当時、一年間の平均でそのころは一八・三%の伸びを示していたわけでありますが、昭和四十五年度になりますと逆にマイナス四%です。四十六年にはマイナス七・七%農業所得が、率でいいますとどんどん減っていっているのですね。したがって、皆さん方の農業政策の、特に米の政策の最終結論がこういうかっこうで農民の暮らしと経済を破壊しているというところにつながっていませんか、この数字は。どうですか。
○中野政府委員 四十五年から生産調整を実施いたしましたし、特に四十六年は最近におきましては非常な不作でございましたので、稲作の所得というのは減っておるということは言えるかと思います。ただ、農家全体の農家所得としては、その間も兼業収入が伸びておる、こういうことかと思います。
○中川(利)委員 農業所得というのは、稲作ばかりが農業所得じゃないのですよ、ほかのものもいろいろあるわけですね。それが全体として減っているということですから、農業外がどれだけあったところで、皆さんの農政自体の中に、大きい欠陥の結果として、こういう事態が生まれたんじゃないかということを聞いているのです。
○中野政府委員 私、いま詳しい資料を持っておりませんけれども、もちろん米だけの減収であったかどうか、あるいはその他のものの減収によるものか、あるいは価格の低いものも若干あったかと思いますけれども、結果としまして、農家経済調査では四十五年、六年は減っておりますが、つけ加えますが、四十七年になりますと、農業所得自身もかなりふえております。
○中川(利)委員 食管法の第三条二項のあれでいけば、先ほども言いましたように、米穀の再生産を補償することを旨として云々ということをきめているわけですね。それで、あなた先ほど、過剰ならばそれも大きい経済事情だから云々というお話がありましたけれども、まずあの食管法の書き方を見ましても、生産費や物価でしょう、その他経済事情ですから、一番最初に生産費を見なければいけない、その次には物価を見なければならない、その次に一般的な経済事情、こういうことになるだろうと思うのですね。ところが、皆さん方はその他の経済事情を生産費や物価より優位に考えまして、そして三年も米価を据え置いた、こういうようなことはどうも、法律の条文の解釈からいたしましても、私は正しくない、このように思うわけであります。これについてどう思いますか。
○中野政府委員 米の値段をきめるわけでございますから、当然生産費をまっ先に考えなければいかぬということはそのとおりだと思います。物価の動きというものも考えなければなりません。その二つをあわせまして、生産費方式で、過去三年の生産費においてそれを物価で修正をしてやっておるわけでございます。それと同時に、やはり米の値段を考える場には、米をめぐります需給事情はもちろんのこと、日本の農業の中での米のあり方というものも頭に入れて考えなければいかぬというので、当然その次にありますその他の経済事情があるわけでございます。順序がそうだから、あとだけを考えてほかを考えてないということではなくて、やはり生産費、物価その他ということで全部総合判断して考えておるわけでございます。
○中川(利)委員 あなた方の総合判断によりますと、米が過剰な場合は三年間も米価を据え置かれた。そうすると、米が非常に不足になった場合は米価が非常に高くなる、そういう論理が成り立つことになるわけですね。そうしますと、肝心の食管法の生産費及び所得をどう補償するかという点においては、全く意味がなくなるわけですね。あなた方、そういう論法が成り立つということはおかしいと思わないですか。
○中野政府委員 現に昭和三十年代の終わりから四十年代にかけまして、百万トン近くも外米を入れておった時分は、もう少し国内で増産をして自給に持っていこうということで、かなり刺激的な米価を算定したことがあるわけでございまして、その場合には生産費・所得補償方式の中でも、算定要素の取り方を、米の値段が高くなるような算定方式をやっております。と同時に、逆に余りました際には、これ以上米が余っては農業政策全体が破綻をするわけでありますから、やはり適正なところで米の生産をとめて、他作物で足らぬものがあるわけでございますから、そちらに転換をしていくということは、私、当然のことだと思うわけでございまして、そういうことをるる考えてみますと、その中でもやはり頭の中には当然農家のそのときどきの生産費ということはあった上で、そういう需給事情を反映させてものを考えるということでありまして、全然無視してやっておるということではないわけでございます。
○中川(利)委員 たとえばいま農協や農業団体が米価要求をしていますね。それもそれなりに正しい科学的な根拠があるわけだ。あなたはあなたでそれはあまり高過ぎる、いろいろなものの材料の取り方が、おれのほうが正しいんだということを先ほどおっしゃっているわけですが、おたくの正しいやつは必ず農協よりは下回っているわけですね。しかもその中で三年も据え置くという事態まで生まれているのですね。それはどう考えても国民を納得させる正しさではないと思うんですね。
 そこで、一番大事なことは、一つはこういうことだと思うのですが、政府に米を売り渡す米作農民のうち、一ヘクタール以下の農家は売り渡し農家総数の七八・八%を占めている、売し渡し総量全体の四二・五%を供給しておる、こういう実態があるわけですね。したがって、このような零細な米作農民に正当な米価を補償するということですね。このことが農民が米作に励めるようになることであって、米の需給を安定させる不可決の要素である、こういうように私たちは考えるわけですね。いまのあなた方の考え方でいけば、この人方がどう再生産を償っていくかということは全く考慮になっていないわけですから、そういう点はどうなんでしょうか。
○中野政府委員 四十七年の生産費がまだ出ておりませんので、四十六年のを分析した結果で申し上げますと、いまおっしゃいました一ヘクタール以下の農家で見ますと、一ヘクタール以下の農家の生産費は、百五十キロ当たりでございますが、一万九千二百七十九円でございます。四十六年産米価は二万一千三百五円ということで、生産費をまかなっておるということは言えるかと思います。
○中川(利)委員 まあ、ああ言えばこう言うということで、私、時間が来ましたからこれでやめますけれども、あとでゆっくりやりますが、私のほうの政党のきのう発表した政策の中で特徴的なのは、「財界四団体、大企業にたいする要求」というものを今度農業政策の中に新たにつけ加えたのです。これは画期的なことだと思うのです。なぜかというと、「米作農民に生産費をつぐなう米価を保障しながら、他方では、これが消費者の台所にできるだけひびかないようにするためには、独占物価の引き下げ、買い占め、投機の禁止などを要求して、大企業とたたかう必要がある。」こういうことをいっているわけですね。農業の問題でも、われわれの米の問題でもこのことは指摘できるわけでありますが、この中の一つに、「農薬、農機具、肥料、石油、鉄材など農用資材の原価を公表させ、不当な利潤を制限する。」こういうことも入っているわけですね。こういういまの農業をいろいろなかっこうで高い米にならざるを得ないような状況をつくり出したり、あるいは土地基盤をいろいろ買い占めしたり、食料品を買い占めしたり、こういう財界に対してあらためて農林大臣としては日本農業を守る立場からひとつ決意するところがなければならない。この点でわが党の政策が出たと思うわけですが、あなたもこういう考え方に対してはどう思いますか。
○櫻内国務大臣 農業をやる上に必要な生産資材が適正に供給されることは必要でございまして、中川委員からは何か不当なものが提供されているように御発言でございまするが、今回の、いろいろ価格面を調べてみましても、農機具等の値上がりというものはそう大きくないように私は見受けておるわけでございますが、そのことは別といたしまして、必要な資材類は適正に提供をされるということは、これは農業経営の上に欠くべからざることであると思っております。
○中川(利)委員 これで終わります。
○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
○瀬野委員 米価問題について農林大臣並びに食糧庁長官に質問いたします。
 昨十八日、全国農協中央会主催による農業危機突破・要求米価実現全国農協代表者大会が一万一千名を結集して日本武道館で行なわれたのであります。まさに熱気あふれるかつてない悲壮な大会でございました。口々に力で対決だと、農業者の皆さん方の怒りを爆発寸前までに感じとったのでございます。さらに猛暑の中をついて国会請願デモ行進が行なわれました。言うまでもなく、米は日本の基幹作物であり、国民の基本食糧であります。本年産米の米価決定こそは、私は農業が日本の基幹産業として明確に位置づけられるかどうかという重大な政治問題となっていることを指摘せざるを得ません。ぎりぎりのところへ来ている、かように思います。
 そこで、主管大臣である農林大臣は、今年度米価決定にあたってこの点どう受けとめておられるか、まず冒頭お伺いしたいのであります。
○櫻内国務大臣 お話しのとおり、農政の中におきましても最も大事な問題に直面をしておるのでございまして、私としてはこういう機会に十分論議をしていただきたい、時間的余裕もとってやりたい、こういうことで臨んでおるわけでございまして、昨日大会が開かれた模様も十分承知いたしておりまするし、また米価審議会を通じまして生産者代表、消費者代表、学識経験者の方々によって腹蔵のない御意見をちょうだいし、よき答申をいただきたいと、ひたすら願っておるような次第でございます。
○瀬野委員 全国の米作農民の切実な要求を結集して、今回米価大会におきまして、強力な予約出荷延期の手段を行使し、組織の総力をあげて邁進するという力強い大会宣言がなされました。これはかつてない重大なことでございます。すでに七県における早場米に対しては、全国六百万農家が十円カンパをいたして、すでに十億円の基金をつくっていろいろと対処されておるのでございます。米価決定においては、農業団体要求の十キロ平均二千百八十五円の決定がないときには実力行使もあり得ると、午前中の宮脇参考人は言っております。またその決意で臨む、何もストを起こすのが目的でないけれども、結果によっては実力行使をせざるを得ない、スト権のない国鉄さえもスト権を行使して二〇%の賃金アップをかちとったではないか、こういって陳述されました。これまたがってないことであり、この点を農林大臣はどう受けとめておられるか。この米価大会の大会宣言こそは重大な問題であるし、今回の米価決定にあたっては農林大臣としてもいまだかつてない決意で臨まねばならぬと私は思うのですが、この点も全国六百万農家の前にひとつ決意を述べていただきたい、かように思います。
○櫻内国務大臣 昨日の大会でただいまお話しのような非常に重大な決議をされておることをよく承知しております。また本日午前中の参考人の陳述に際しましても、そのような趣旨を参考人から申されておるということは私としてもよく念頭に置かなければならないと思います。しかしながら、あらゆる努力をいたしまして、そのような事態がほんとうに実現するようなことに相なってはならないのでございまして、各方面の意見を聴取いたしまして、誠意をもって事に当たって、かような不幸な事態というものが起こらざるように適正な結論を得たい、このように考えておるような次第でございます。
○瀬野委員 生産者米価の算定方式は昭和三十五年以来生産費・所得補償方式がとられてきたことは御承知のとおりでございます。政府は四十三年産米米価以後は三年間実質的に生産者米価を据え置くため、米価算定方式を次々と変更し、いまや全く生産費・所得補償方式は従来のそれから見ますと形骸化されております。
 そこで、農林大臣にお伺いするわけでありますが、四十二年当時の限界生産農家の生産費・所得補償方式から四十三年の諮問米価の考え方となりまして、四十四年の決定米価の段階を経て、四十五年には平均生産農家の生産費・所得補償方式へと切りかえられてきたのでありまして、さらに四十六年には家族労賃の評価も都市近郊労賃から地方労賃とし、その間生産性向上メリットの還元をなくするなど、米価を据え置くため算定方式、算定要領などに手を加えて、全くの逆算米価を行なってきた。このことについて宮脇参考人も生産費・所得補償方式はすなおにひとつ出していただきたい、米審はあってなきがごとしで解散してもいいのだ、こういうような陳述がございましたが、こういった経緯に対して農林大臣はこの事実、この結果を率直にお認めになるか、お答えをいただきたい。
○櫻内国務大臣 私はいまお示しのようなことにつきましては、そのときそのときの経済情勢というものが反映されていろいろな措置が講ぜられたものと思うのであります。先ほど来食糧庁長官がお答えを申し上げておりますように、稲作の過剰な状況のときには過剰のように、また稲作を奨励しなければならないときは奨励をするような措置、そのときそのときのやむを得ざる事態としていろいろの方法がとられた、このように受けとめておるような次第でございます。
○瀬野委員 そこで、米価決定にあたって重要な算定要素となるのに、御承知のごとく家族労賃の評価がございますが、郡市労賃を勘案するようになっておるにもかかわらず、これも地方労賃へとだんだんなしくずし的になってきておるということが問題であります。そこで、労賃はどれくらい上昇したか、当局からひとつお答えをいただきたい。
○中野政府委員 賃金指数は四十五年を一〇〇にいたしまして四十六年一一三・九、四十七年一三一・七というふうに上昇をしております。
○瀬野委員 いずれ米価諮問をされるわけですが、こういったことが一番問題であり、農家は火の出るような叫びでいま連日国会へ陳情に来ております。これはもう与野党関係なく、部屋には入り切らぬように毎日来られます。おとといも熊本県からも要請集会で二百五十名の方がおいでだし、福岡県からもまた二百名余りおいでだ。きょうも三重県から要請に見えられまして、私もいろいろ応待してまいりましたが、ひとつ政府はそういうことを大事にきちっと握っておいてもらわないとこれが大きな一つのシェアを占めるわけです。
 大臣にひとつお伺いしたいのですが、四十七年の賃金上昇率は全産業平均でどのくらいになっておるか、四十八年の春闘の民間はどのくらい値上がりになっておるか、三公社五現業はどのくらいになっておるか、平均すると幾らか。また消費者物価の四十七年度が前年度対比どのくらい上昇しておるか。ことしに入って物価は、一月、二月、三月まではわかっておりますが、どのくらいの値上げになっておるか、こういったことについてひとつ要点だけでもどのくらい掌握しておられるか、お答えいただきたい。
○中野政府委員 消費者物価指数は四十五年を一〇〇にいたしまして四十七年は一一一・〇でございます。
 賃金指数は、先ほど申し上げましたようなことでございます。
 ことしになってからの値上がりは、いまちょっとここに資料を持っておりませんので、あとで申し上げたいと思いますが、消費者物価はかなりの上昇をしておりますし、春闘におきましても、具体的な数字はちょっと記憶しておりませんが、相当なベースアップがあったというふうに記憶しております。
○瀬野委員 資料がないといったってこのくらいのことはわかっていなければ、米価でいま火がつくようになっているときに、資料を取り寄せればわかるでしょうが。質問したときに取り寄せてもらいたい。実際にかなり値上がりがある。そんなことでは、農民はおこって暴動が起きますよ。困るですね、ほんとうに。
 これは、あとで正確な資料を出していただきたいと思うが、四十七年の賃金上昇率は、全産業平均で一九%、製造業平均で一九・七%に達しております。四十八年の春闘相場も民間が二〇・一%、三公社五現業が一七・四九%、平均二〇%のベアとなっておる、こういうふうに報じられております。物価についても、消費者物価は、四十七年度が対前年五・二%の上昇、これはもうすでにおわかりのとおりです。四十八年に入ってから、一月が消費者物価は六・二%、二月が六・七%、三月が八・四%と急上昇しております。卸売り物価についてはさらに上昇しておることは御承知のとおりです。
 そこで、お尋ねしたいのでありますが、四十七年産米の米価については、物価、労賃の著しい上昇の中で五・〇六%の引き上げが行なわれたのであります。農林省の生産費調査によると、生産費のアップ率一一・五%の二分の一もカバーされない決定となっておるのは御承知のとおりでございます。そこで、四十八年産米価をめぐる特徴は、最近の物価や賃金の大幅な高騰により、ただいまいろいろ申し上げた大幅な引き上げ、値上げによりまして、今回の米価は、農業団体要求の十キロ平均二千百八十五円の米価は最低でぎりぎりである、こういって農家は血の叫びをしております。当然米価値上げは大幅にすべきであるということは、もうわかり切ったことであります。そういった情勢下において、生産者も、今回の米価をいつにない期待をかけて見ているのでございます。そこで、十分こういったことを検討し諮問案を作成すべきである。ただいまのように、こういった重要な米価問題を論議するときに、算定方式の一番基礎となるそういった労賃、物価の値上がりといった指数が手持ちにないというようなことでは、農民はもうほんとうに声も出ないと思います。どうかそういう意味で、十分な検討の上の諮問をしていただきたいと思うのですが、大臣、ひとつその点反省を込めてさらにお考えをお聞きしたい。
○櫻内国務大臣 ここ数日の間には四十七年の生産費もはっきり出ますので、四十五、六、七、三カ年間の生産費が把握できます。それを基礎にいたしまして、それから生産費・所得補償方式にのっとりまして適正な諮問案をつくる考えでおります。ただいまいろいろなデータをお示しでございますが、それらのデータもすべて参考にいたして諮問案をきめる考えでございます。
○瀬野委員 十分参考にして諮問案をつくっていただくようにお願いします。もう当然のことでございます。
 そこで、昨日は私、森林法の審議で三時間余にわたって質問を展開し、四時半から霞が関ビルのそばの日通会館で、要求米価実現全国農協青年婦人統一要請集会がございました。各党代表が参りまして、討論会を三時間余にわたってやってまいりました。与党からも自民党の坂村農林水産部会長が出席されて、たいへんな激励とまた討論が行なわれましたが、その節、坂村農林水産部会長が言われたことをあらためてここで申し上げて、そして参考にもしていただきたいと思う。要点は、各代表からの要請に対して、今回の米価はよかったという米価を必ずきめる、安心しておまかせください、言った以上は実現しなければならぬ、米価については自民党の責任において行なう、二千百八十五円の米価についてはま正面から受けて検討したい、あのときあの席で言ったが、坂村はやったなと言われるようにしたい、こう言って万雷の拍手を浴びておる中に、青年の代表が、だますな、うそつくな、こう絶叫しているのもございました。全国の農協青年、婦人はほとんどが自民党支持である。こうも叫ばれました。自民党に期待し、自民党を応援しているわれわれを裏切ったら、われわれはどうするのだという声もございました。そして選挙のときは自民党を応援しているのに、どうして米価のときは先生はこういった低米価をきめるのだということで、けんけんごうごうたるやじの中で大会を終えたわけでございますが、私は党派を超越して、この全国の血の叫び、ほんとうに出かせぎで、家庭を守って困っている婦人また青年の若いあと取り、後継者、そして日本の世を背負って立つ若い青年の集会で坂村先生がこういうふうに申された。どれだけ喜び、元気を出したかは、私もはかり知れぬのを見てまいりました。裏切ってはならぬと思う。私は党派を超越して今度の米価はこたえねばならぬと思う。公開の席で堂々と――これは私が確認したことたけ申し上げますが、それに対して農林大臣、あなたも主管大臣として、全国の農民を一手に背負っている責任者です。ひとつこの大会の農協青年、農協婦人の声に対して、率直な決意を堂々と全国に叫んでもらいたい。
○櫻内国務大臣 昨日の青年大会の模様を詳細にお話しで、たいへん感動いたしました。特に自由民主党から坂村農林部会長が出席してのお話も御披露をちょうだいしたわけでありますが、私が言うまでもなく、自由民主党はこの米価の決定に非常に大きな責任を持っておるのでございまして、その責任者の一人である坂村君が、当然のことながらそういう御発言をされておるということは、必ず農林省の米価審議会に対する諮問あるいは答申、そして最終的な決定に至る間に、誠意ある御協力をちょうだいできるものと考える次第でございまして、私としてもあらゆる努力をいたし、適正な米価決定に最善の努力をいたす考えでございます。
○瀬野委員 ぜひひとつ最善の努力をしていただきたいと思う。
 それで、あと余す時間の範囲で若干お尋ねしておきますが、現在の米価は、物価指数、農業パリティ、生産費等、これらの上昇率から見て、先ほどからも答弁がありましたように、現在東京で、上米で二千三百十六円、ササニシキとかコシヒカリで二千六百六十円しております。こういったことに比較いたしましたときに、現在の米価は、ことしの米価決定にあたってはなはだ低いじゃないか、これから見ますと、二千百八十五円はまだ低いということになる、こういうふうに思うのです。現在の米価については、大臣はこういったことも十分おわかりだと思うけれども、こういったことを踏まえてどういうように思っておられですか。十分物価指数、農業パリティ、生産費に見合う米価だと思っておられますか、率直にお答えいただきたい。
○櫻内国務大臣 たいへん恐縮ですが、いま消費者米価のほうもお触れになっておって、消費者米価についてのお尋ねであったのか、それとも両方を言われておるのか、ちょっと私に把握しかねたのでございまするが、昨年の米価の決定に際しまして、その当時の状況を十分反映をさせての決定であった、このように存じておるのでございまして、いま現在の価格はどうか、こう言われれば、その当時の情勢のもとにおきましてやむを得ざるものであった、このように思います。
○瀬野委員 大臣は結論としてはそういうお答えであろうと思いますけれども、実際にはそういったように、ササニシキ、コシヒカリ、こういった米が二千五百円も六百円もしているという現状でございますから、それから見ると、生産者の米価というのはまだまだずいぶん低い、こういうことです。そういったことを認識していただくために、一つの例をとって申し上げたわけです。
 そこで、米価は従来物価値上げの元凶だということがよくいわれてきたけれども、農林大臣はこれまたどういうように認識しておられるか知りませんが、過去三年の米価据え置きにあたりまして、五・〇六%値上げしたことは先ほど申したとおりです。実際にこういったことから見ましたときに、米価を上げれば物価が上がるというようなことかいわれておりましたけれども、米価は据え置きであるのに物価は上がってきた。これは率直にどういうように認識しておられるか、これまたひとつ簡潔にお答えいただきたい。
○櫻内国務大臣 これはそういうふうに据え置いたけれども、物価指数が上がったという事実でありますから、これはこれなりに認めていく以外にないと思います。
○瀬野委員 宮脇参考人からけさほどいろいろ発言がありましたが、米審が今回は八月に行なわれる。実際は農家の生産意欲を増すために、これは田植え前にきまっているのが当然です。そうすると、米価の決定によって、農家は意欲を燃やしてまた生産にいそしむわけです。またいろいろ営農方針がきまるわけです。そこで、ぜひ三月に米審を開くべきである。大臣は予算の委員会があるとか、いろいろおっしゃっているようですけれども、準備をしておけばちゃんとできることだと私は思うのです。そういったことで、当然の意見だと思う。価格もきまっていないから、いわゆる生産意欲というものがなかなか出ないわけです。そういったことを踏まえて、午前中も参考人からいろいろ御意見がございましたが、私もこのことは重大なことである。こういった意味から、どうお考えであるか、ぜひこういったことは改めてもらいたいと思いますが、御見解をあらためてお聞きしたい。
○櫻内国務大臣 本日参考人から米価決定時期についての御意見があったことは承りました。また従来も、いつが適当かということについてはしばしば論議があったところでございまして、簡単に率直に申し上げまするならば、米価の時期を早目に繰り上げてやるということにつきましては好もしいことでございまするので、とくと検討をさしていただきたいと思います。
○瀬野委員 そこで、私は、この米価審議会にぜひ国会議員を参加させてもらいたいということで、さらにひとつ大臣の見解を聞くわけですが、米価決定については、昭和二十四年米価審議会の発足以来昭和四十二年まで、国会議員はそれぞれ国会承認を受けて米審に参加をしてきたことは御承知のとおりでございます。四十三年産米価の決定の際の米審から国会議員が米審に参加しなくなった。いわゆる除外されてきておるのも事実でありますが、私は当然これは参加すべきである、米価は国会で決定すべきである、こういうように思うのです。この点について大臣はどういうように思われるか。これはもう当然のことだと思うけれども、大臣のお考えをあらためてお聞きしておきたい。
○櫻内国務大臣 これは先ほどもお答え申し上げましたように、御承知のような経緯があるわけでございます。行政調査会の答申があり、これに応じて閣議の決定をいたし、その結果米価審議会から国会議員の方々がおのきになるということでございまするが、私としては、国会におきましては、この特別国会を通じましても、農政上の最大の重要な問題でありまするから、米価問題あるいは米に関する各種の質疑応答が行なわれ、また御意見もしばしば述べられておるところでございます。また過去の例を見まするに、米価審議会の諮問に際しましては、国会の委員会も開催されておるということでありまするので、ただいまの瀬野委員のお気持ちなり御趣旨は十分反映をしてまいったもの、このように受けとめるわけでございます。
○瀬野委員 米審はこれは国会開会中にやるべきだったのを、どうして閉会後にやったのですか。
○櫻内国務大臣 今回の場合は、私として最後の決断をいたしましたのは、米価審議会で十分御論議をいただきたい、時間も十分とりたい。それから過去の事例を見ましても、国会終了後に開かれておる回数も相当に多いのでございまして、なおまた団体側の御意向なども徴しながら、最終的に今回の八月一日、二日の審議日をきめた次第でございまして、御了承いただきたいと思います。
○瀬野委員 これはもう当然国会開会中にやるべきことを、国会が終わってから、これではほんとうに問題だと思うのです。十分ひとつ米価は三月ごろから行なうように、早くやるべく検討してもらいたい。重ねてお願いしておきます。
 時間があと三、四分しかございませんので、大臣に率直に聞きますが、最近全国的に農家に農機具がどんどん売れているのですが、どういう現象でしょうか、これは。大臣はどういうように受けとめておられますか。
○櫻内国務大臣 私自身がそういう事態を把握しておるわけではございませんが、瀬野委員の御質問で感じましたことは、これは生産意欲が少しでも回復してきておるのではないか。あるいは農機具に対する需要がある期間減退をしておれば、損耗もいたしまするでございましょう。そういうようなことで需要が起きてくる。あるいはその農家の能率を上昇させる上に、労働力不足を補う上に、そういう需要が起きたというように、いろいろ考えさせられる点がございますが、いまメモを拝見すると、田植え機、収穫機、そういうものが非常に売れておるということでありまするから、労働力不足をカバーする意味合いではないかと思います。
○瀬野委員 なぜこういったことを聞くかというと、もう悲壮な農家の要求に対して皆さん方にも認識してもらいたいし、公開の席でこうして申し上げないと、なかなか皆さんも検討されないと思うので申し上げたのだが、農林省の食糧庁長官や農政当局も大臣にそういうことをよく教えておかなければいけないですね。答弁のときにメモをやるようなことではいけない。
 なぜ農機具が売れるかというと、いわゆるいま出かせぎ三日で米一俵といいまして、もう専業農家は四%、出かせぎにどんどん流れていくのです。それで農機具を買ってやらなくてもいいような農家でさえも農機具を買って、早く仕事を片づけて出かせぎに行こうとするから、むだな農機具がどんどん売られていく、こういう状況になっているのですよ。ほんとうにこれは農村の重大な危機、たいへんなときになっていることを認識してもらいたい。そして生産を上げるためとかなんとか省力化というようなことを大臣はいまおっしゃるけれども、それももちろんあろうけれども、実際は、出かせぎに行くための、早く仕事を片づけて出たいために、農機具は売れているのです。こんなことでどうしましょうか。
 それじゃ、もう一点聞きますが、現在、後継者は全国で大体どのくらいの数があと取りができていましょうか、簡単に言ってください。時間がないから、急いで、大臣。
○櫻内国務大臣 ただいま事務当局から資料に基づいてお答えをさせます。
○瀬野委員 時間がないから申し上げますけれども、けさも池田参考人にも質問したのですが、現在、もうすでに四十七年は二万二千人しかおりません。もう中学卒、高校卒の生徒でもすでに三割を割っている。しかもこれがどれだけ定着するか、二分の一定着するかわからぬ。後継者はおそらく四、五年もせぬうちに一万人を割る。国の基幹産業であるこの重大な農業が、ほんとうにあと取りが一万人を割ろうとする状態で、実際にこれはどうでしょうか、たいへんなことです。それはなぜかというと、いま言ったように、専業農家は四%、どんどん出かせぎに行く、農機具は売れる、そしてあと取りがもう希望をなくする。こういった意味から、今度の米価は、ほんとうに重大決定をしないと、日本農業は壊滅的打撃を受ける。おそらく櫻内農林大臣は、自分の大臣就任中はあまり事件を起こさないように、ほんとうに慎重にやっていられることもよくわかるけれども、もっと思い切ったことをしていかなければ、あなたの政治生命として一生のうちで、国会における農林大臣として生涯に汚点を残すという重大なときにきていることを知っていただきたい。そういった意味で、最後に決意を聞いて、私は質問を終わりたいと思います。
○櫻内国務大臣 たいへん貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。私も、米価決定の重大な段階を迎えておる際でございまして、瀬野委員の御所見は、私としては非常な激励を受けた感を深くする次第でございまして、誠心誠意、適正な米価を決定いたしたいと思います。
○瀬野委員 重大な決意をもって米審に諮問されることを期待して、いま与党の皆さん方からもたいへんな激励を受けましたが、どうかひとつよろしく今回は農家の期待にこたえてやっていただきたい。このことを最後に申し上げて、質問を終わります。
○佐々木委員長 稲富稜人君。
○稲富委員 実はもう政府に、生産者米価の決定時期であるし、数日後に米審が開催されることも承っておりますので、時間もずいぶんおそくなっておりますから、特に四十八年度の米価の問題について二、三お尋ねをいたしたい、かように考えております。
 それで、米価の問題だけに限りますので、あるいは前に委員の方々から御質問のありました点と重複する点があるかもわからぬと思いますけれども、その点はひとつ御了承願いたいと思うのでございます。
 冒頭、ひとつ農林大臣にお尋ねいたしたいと思いますことは、四十八年度の米価決定にあたりましては、食糧管理法の精神というものを十分重視しながら、その線に沿って決定されるものである、またさるべきものである、かように私は考えておりますが、これに対してどういう観点を持っていらっしゃるか、承りたい。
○櫻内国務大臣 食管法にきめられておる条項により、また、食管法に流れておる精神に基づいて米価の決定に当たることは言うまでもないと思います。
○稲富委員 ここで特に申し上げたいことは、米価は政府が決定するんであって、農林省設置法によります米価審議会の設置がありますが、これはどこまでも諮問機関なんです。ところが、ややもしますと、この諮問機関というものを、これは悪口を言うわけではございませんが、政府が一つの隠れみのにして、その答申のいいときにはそれを採用するが、政府の考えと都合が悪いときにはこれを採用しないというような、いかにも政府がこれを隠れみのにするようなことがたまにはあるわけなんで、そういうようなことは大いに米価決定には慎まなくちゃいけないことであって、どこまでも米審は諮問機関であって、決定は政府がやるんだ、こういう心がまえで処してもらうことが当然であると思うのでございますが、これに対する心がまえもひとつ承りたいと思います。
○櫻内国務大臣 御発言のとおりであると思います。特に米価審議会は、隠れみののようなことではなく、国民の最大の関心を寄せられておる中に、また、特に関係の深い生産者団体代表の監視の中に行なわれる非常に有効な審議会である、このように感じておるわけでございまして、私はその答申を尊重しながら、最終的な政府の価格決定を行ないたいと思います。
○稲富委員 先般、四十八年度の売り渡し価格、いわゆる消費者価格ですね、この売し渡し価格は据え置くということを決定されたということが報道されておりますが、これは間違いございませんか。
○櫻内国務大臣 明年三月末日に至る間、政府売し渡し価格は据え置きにするという総理の要請がございまして、その方針の上に今後の米価決定に臨むということは間違いはございません。
○稲富委員 そうしますると、この消費者価格ですね、いわゆる売し渡し価格というものは、総理がそういう表明をされたんで、米審に諮問される場合に、据え置きにするという、こういうたてまえをとって諮問をする、こういう意味でございますか。
○櫻内国務大臣 米価審議会の諮問案の中にそういうことを入れるか入れないかということになりますると、これは慣例上入れません。しかし、おのずから当然、米価審議委員の中からこれらの諸点についての御質問、御意見があると察せられますので、その際には、ただいま御答弁申し上げたような御趣旨をはりきり申し上げるつもりでございます。
    〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
○稲富委員 ここでお尋ねしたいと思いますことは、いわゆる消費者米価ですね、この売り渡し価格というものは、生産者価格がきまってから消費者価格というものは従来きめられておった、かように私は記憶をいたしております。ところが、本年度は、生産者米価がきまる前にすでに消費者価格は据え置きにするんだということを総理みずからが態度を決定して表明された。私は、こういうことを勘ぐりたくないけれども、巷間伝えられておるところによりますと、東京都会議員の選挙があって、東京都民が米の消費者だから、その消費者の票を取るために、政治的な意味で消費者米価は据え置きにするんだということを政府はいち早く声明したんだ、こういうことを言う人もあります。私はおそらくそういうことに利用されたのじゃないだろうかと思いますが、それで、私、ここでお尋ねいたしたいと思いますことは、これを据え置きにされるということになったということは、食管法の第四条によってこの据え置きにする、こういうことをおきめになったものであると、かように考えるわけでございますが、いかがでございますか。
○櫻内国務大臣 ただいまの前段のほうでございますが、物価問題の経済閣僚協議会がございまして、物価問題についての全般的な論議がございました後に、この消費者米価の据え置き方針という御意見が総理から出されたものでございまするので、この点は御了承いただきたいと思います。
 また、法律上の関係につきましては、いまお示しの条章によることでございます。
○稲富委員 それで、私、へ理屈を言うわけじゃございませんが、食糧管理法施行令の第二条一に「食糧管理法第三条第二項の買入の価格及び同法第四条第二項の売渡の価格は、毎年これを定める。」二に、「前項の規定に定める買入又は売渡の価格は、経済事情の変動が著しい場合においては、これを改定することができる。」改定されないということは、経済事情の変動というものはない、こういうような解釈であるのであるか。こういうことなんです。それともまた、食管法の第四条に、「政府ハ其ノ買入レタル米穀ヲ」と、その次の「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ売渡ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ家計費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ消費者ノ家計ヲ安定セシムルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、いわゆる消費者の家計を安定せしめるということが消費者の米価を決定する基本的な考え方であらなくてはいけない、かように私たち思うのです。諸物価が非常に高くなっている。家計費も苦しくなっている。それがために消費者の家計を安定せしめる意味で今年度は据え置きにしようと、こういうようなことになされたものであると思いますが、いかがでございますか。
○中野政府委員 後段のほうの食管法との関係でのお尋ねは、まさに稲富先生言われるとおりでございまして、その点を勘案しまして、政府の方針として本年度は売り渡し価格を上げないということにしたわけでございます。
 それから施行令のほうでの関係でございますが、この規定は、一度ある年に消費者米価をきめまして、その後非常に物価の変動等があった場合に改定ができるということでございます。今回の場合はすでに据え置きということをきめておりますので、本年度中は改定しないということでございます。
○稲富委員 実はただいまの消費者価格の問題は、第四条を適用して、諸物価が高くなっている経済事情を参酌して、家計を安定せしめる旨でこれを決定されたということは、これは非常に妥当なことであるし、本来から申し上げますならば、諸物価が高くなっているということは、それ以上に今度は消費者の家計は苦しくなっているのですから、これは下げてもいいわけだけれども、据え置きにするというのはそういう意味だと思って、私は政府のとられた処置というものは非常に妥当な処理であると思うのであります。
 そこで私、申し上げたいと思いますことは、今度は生産者の価格でございます。政府が買い上げなくちゃいけない生産者の価格は、食管法の第三条によりまして、「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」、すなわち消費者米価というものは、物価も非常に高くなっているし、消費者の家計も苦しくなっているんだから据え置きにしたとおっしゃるのだから、それは第三条の生産者の価格を決定する場合においては、やはり物価が高くなっている、生産費も高くなっているんだから、こういうことから米穀の次期生産を確保するという、これが大きな主体であって、この目的のためにはやはり生産費を補償し得るような、こういうような価格で私は決定しなければいけない。しかも物価が非常に上がっている。こういう点も十分考えて本年度の米価を決定すべきものである、かように考えますが、これに対してはいかなる考え方をしていらっしゃるか、承りたい。
○櫻内国務大臣 第三条の規定によりまして、米価審議会の議を経て決定することは言うまでもございません。
    〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
そこで、生産費・所得補償方式では、物価、賃金の動向は適正に反映されることとなると思います。しかし、物価、賃金の動向のほかに、米の生産調整をやっておるこの事実、あるいは国民の需要に応じた全体としての農業生産のあり方、いろいろとここに書かれておる「其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」ということがまた諮問の上には反映をしてまいる。諮問案をきめる上におきましては、そういうようなことを勘案するということも言うまでもないことだと思うのであります。
○稲富委員 これは第三条の生産者米価を決定するのと第四条の消費者価格を決定することは、消費者価格のほうは「家計費及物価其ノ他ノ経済事情」、第三条のほうは「生産費及物価其ノ他ノ経済事情」、そして消費者のほうは家計を安定せしめ、生産者のほうは米穀の再生産を確保するという、ここなんです。それだから、消費者価格を決定する場合でも、生産者価格を決定する場合でも、「其ノ他ノ経済事情」は一つも変わらぬわけですから、私は消費者米価をそういう意味で据え置きにされたということは非常にけっこうであるが、やはり生産者価格というものを一そういう経済事情を参酌して、物価が高くなっているのだから、この物価を十分償い得るような、補償し得るような価格を決定することが米穀の再生産を確保することになると思う。だから、この問題に対しては――もちろん適正な価格とおっしゃる。適正な価格とはいろいろあります。この点をどう見るかということが適正なんですから、同じ適正だといいましても、甲という人のいう適正と乙という人の言う適正というものは違うかもわかりません。ただ問題は、変わってできないのは生産費であり、物価が上がっている。あるいは経済事情というのは、だれが見ても同じ、違わないのだから、本年度の生産者米価を決定するにあたっては、そういう意味から、相当に計算の割り出しをしなければいけないのじゃないか。そういうことをもって農林大臣はまず米価審議会に諮問をすべきじゃないか、こういうことを私は申し上げているわけでございます。
 なぜ、こういうことを申し上げるかといいますと、御承知のとおり、ちょうど四十三年でございましたか、生産者米価を上げればすべての物価が上がるんだということになりまして、四十三年から三年間は据え置きになりました。これは先刻もお話がありましたように、生産者米価は据え置きになりましたけれども、その間にどんどん物価は上がってしまいました。そしていまではその当時からいろんな問題、賃金等も今日までなりますと、もう私の計算では七八%くらい上がっているというこういう状態なんです。きょうの午前中の参考人から聞きましても、米の生産基盤である土地というものが三倍から四倍にその当時よりか上がっている。生産基盤というものの価格が上がっているのですから、当然生産されたものも上げなくちゃいけないことになってくる。生産基盤の土地価格というものは三倍から四倍上がっているというならば、本来からいうならば、米は三倍も四倍も上げてもいいじゃないかということになりますけれども、これは経済事情を参酌してということになるかもわかりませんが、そういう点から見ても相当な価格の値上げが当然である、私はかように考えます。しかも三カ年間は据え置きされ、しかもその後はこの経済事情を参酌されてあまり上がっていない。ところが、社会的な食糧危機とかこういう点から見ますと、経済事情というものもその当時から非常に悪化しておるといわなくちゃいけない。こういう点から考えて、ここで私は実は、本年度は米価審議会に諮問される価格はどのくらいに諮問なさいますかということを聞こうと思ったところが、先刻からの答弁を聞いておりますと、どうもいまのところそれは言われないということでありますから、それは私は聞きません。しかしながら、ともかくも農林大臣が米審に諮問されるその生産者価格というものは、いまの物価事情あるいは生産基盤の事情、そういう一切を含めて相当高率なる米価というものが諮問されることが当然である、こう私は考えておりますが、これに対する大臣のお考えを承りたいと思うのでございます。
○櫻内国務大臣 先ほども申し上げましたように、生産費・所得補償方式をとる、そしてその場合に物価、賃金の動向が適正に反映されるということは当然考えられるところだと思うのであります。そこで、問題は「其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」というところが問題になると思うのでございまするが、私といたしましては、現在まだ四十七年の生産費も明白になっておらない。これが明白になると四十五、四十六、四十七年の三カ年の生産費がはっきりなります。計算の一応の基礎になるデータがそろうわけでございまするが、したがって、諮問案も現実に作業に入っていかなければならない。こういう間におきましてきょういろいろ御論議をちょうだいしておりまするが、それらも念頭に置きまして、まず適正な諮問案をつくりたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。
○稲富委員 大臣はまだ諮問案はできておらぬとおっしゃるが、私は農林省の事務的な関係というのはそんなにのろまじゃないと思うのですよ。もう米価期間が来ているし、米審も開かれる今日、農林省が各般の経済事情を調査せぬで、いまからまたそういう事情を勉強して、いまからきめるんだというのは、ここで発表したくないからそうおっしゃるのだと思うのでございます。それは追及いたしません。しかしながら、農林省には米価審議会に諮問するところの米価というのは大体できておる。できておらなければいけないと私は思うのです。まだできておらぬなんて、そういう怠慢であってはいけないと思う。発表できないとおっしゃるなら、それは別ですよ。ともかくも米審を開こうとするんだから。
 ところが、元来これは米審に発表するときに国会に発表されてもいいわけなんです。それはなぜかというと、先刻も話があっておりましたですが、前は米価審議会に国会議員が入っておった。これを入れないようになったのは、国会議員は米審に入らないでも、別な機会に、国会の協議を経て、十分審議をし論議することができるからということで、のいたんですから、それならば、同時に論議しても差しつかえないと思うから、やはり米審と同じように発表されても私はいいと思いますけれども、しかし、農林大臣がためらっていらっしゃるから、私はあえて農林大臣のおっしゃることをこれ以上――それほど農林省のお方々は怠慢ではないと思っておりますけれども、一応それはそれといたしまして、もうできておると思います。
 ただ、できておるできておらぬは別といたしまして、答申されるものは――ただいま申しましたように、本年度は相当上がっているんだ。それで先刻からも話があっております今度の要求米価は従来の四八・八%上がっているんだ、これは非常に上がり過ぎるじゃないかという人もあります。しかしながら、過去において据え置きになった、その期間に物価は上がっている。そういう点からいえば、これは何も不当な要求ではない、私はこう考えております。それに対して大臣はどう思うかということは無理だと思います。それは言いませんが、それは決して不当な要求の価格ではない。経済事情あるいは物価の上昇、賃金上昇、こういう点から考えて私はそう思うわけなんです。それだから、この問題は十分頭に入れておいて諮問もしてもらうし、そうして最後は政府が決定するんだから、今年度の米価決定にあたりましては、農民が次期生産を確保し得るような、農業に対して意欲を持てるような、こういう米価決定をすることが私は最も必要である、こう思います。これに対する結論だけを、大臣の気持ちを承りたいと思うのでございます。
○櫻内国務大臣 ただいまの御発言の御趣旨につきましては、私としても十分考慮の余地のある、また参考になる御意見である、このように思います。
 何ぶんにもこれから諮問案を最終的に決定をするのでございまして、皆さんの御意見は念頭に置きまして案を適正にきめたい、このように思います。
○稲富委員 次に、米価の問題じゃなくて、買い上げの問題でありますが、いままで政府はよく生産者からの買い上げ制限をやられた。私はこれは全量買い上ぐべきだ、かように考えます。なぜならば、食管法の第三条には、御承知のとおり「米穀ノ生産者ハ命令ノ定ムル所ニ依リ其ノ生産シタル米穀ニシテ命令ヲ以テ定ムルモノヲ政府ニ売渡スベシ」ということになっておる。生産したものは政府に売り渡さなくちゃいけない義務があるわけなんですよ。生産者は政府に売り渡さなくちゃいけない義務があるならば、政府はこれを買うべき当然の義務がなくちゃいけないと私は思う。
 そういう点から申し上げましても、私は、これらに対しては全量政府はまず買い上げるということが当然食管法の命ずるところによって決定されておる、かように思います。何かすると命令の定めるところとか、あるいは政令とかおっしゃるけれども、しかしながら、法律の基本を離れての政令とか施行令なんかないはずだ。これは私は全量政府が買い上げることが当然である、こう考えますが、これはいかがでございますか。
○中野政府委員 法律解釈論を申し上げて恐縮でございますが、いま先生もお読みになりましたように、「命令ノ定ムル所ニ依リ」「命令ヲ以テ定ムルモノヲ」ということになっておりまして、この条文からは全部買うということにはなってないわけでございます。政府は従来からの解釈といたしまして、国民の食糧を確保するという範囲で必要なものを買うというふうになっておりまして、そのために農家に売り渡しの義務をかけておるというふうに解釈しておるわけでございます。
○稲富委員 しかし、昔、食管法ができた時分に政府に売り渡さなかった者は罰せられたんですよ。その時分はなぜ売らないかといって罰金だ。その時分は、米か必要な場合は農民は当然――この法律は変わっておりませんよ。全量政府に売らなければいけないぞ、売らない者は罰するんだといってその時分は取り締まっておいて、今度米が余ってきたからといって買う必要はない、この法律では全部買わないでいいんだ。法律の解釈というものは、そういうことによって変更されてくるものじゃないのですよ。自分の都合のいいように、政府が都合のいいようにこれを解釈するということは、これは法の精神を離れるものなんだ。この点はあなた方十分注意していかなくちゃいけない。自分の都合のいいような解釈をする、けしからぬ話なんですよ。そんなら、法律なんかつくる必要ないじゃないですか。これによって取り締まった事実があるんだから、政府に売らなかったといって。それだから、やはり職権も発動しておるじゃないですか。それだから、買うべき義務がある。それでもやはりこの法律違反じゃないとおっしゃるんですか。――大臣から聞きましょう。
○中野政府委員 解釈問題ですから、ちょっと先に申し上げたいと思いますが、ただいま先生のお話、確かにこの法律ができました昭和十七年、このころは戦時中でございまして、食糧の非常に不足しておる時代でございます。それに対しまして、国民に公平に配給するという面から、農家の持っているものは保有米を除いて全量供出というのは、実態としてそうなっておったわけでございます。終戦後もしばらくそれが続きました。そういう時代には確かに不供出のものについてあるいは罰則がかかったこともあるかと思いますが、昭和三十年代に入りまして、米の生産が非常に生産性が上がってまいりまして、量がふえてまいりますと、逆にむしろ売り渡し義務が、実質的には全部政府で買えという農家の権利のような考え方になってまいって、それとの関連もありましたでしょうけれども、昭和三十一年でしたか、予約制を導入しまして、農家の予約したものを売り渡し義務ということにして今日まできておりまして、やはりその背後には米の過不足ということがあるというふうに私は考えております。
○稲富委員 それは、そういう事情が変わったからというなら、法律を変えなくちゃいかないですよ。法律は変わっておりませんよ。法律は変わってないものを、そのときどきの事情によって政府がかってに解釈を変えるということはできるんですか。これは重大な問題ですよ。自分の都合のいいように法律の解釈をしていいかどうか、この点を、責任のある問題でございますから、ひとつ大臣から承ります。
○櫻内国務大臣 これはただいま食糧庁長官が解釈を申し上げたところで尽きておると思うのであります。しかも私の記憶では、この点の議論はしばしばございまして、現在こういう扱いで御了承を得ておる、こういうことで、私はほんとうの法理論というものは正直にいって十分わかりませんけれども、責任者である食糧庁長官より御説明を申し上げておるのでございまして、またそういう解釈が定着をしておるという、そういう事実からいたしまして、私としてはこの解釈でやむを得ないものと思います。
○稲富委員 この問題はどうも私、法の解釈の問題はまだ納得いきません。しかし、これで議論しておりますと、もう時間がありませんから、これはまたの機会にひとつ譲って、この問題は法制局の意見も聞いて十分この問題をひとつ検討しなければいけないと思います。
 最後にいま一点だけお尋ねいたします。
 今度の米価に関係しての問題でありますが、政府がかますの買い上げをやっておられます。かますの買い上げが非常に安いのです。大体かますの生産費というものは一体政府は幾らぐらいと思っていらっしゃるか。たしか政府が買い上げているかますというのは、一枚が百十五円かと思うのでございます。ところが、いまかます一枚つくりますと、材料費だけで九十五円かかるんです。手間賃をやっておりますと九十三円かかります。どうしても生産費が百八十八円はかかるんですよ。これを農協は百円で買い上げる。これを農協から政府に百十五円で売っておると思う。生産者はかますをつくって、そしてただでおさめておる。労賃はただなんですよ。こういう問題はやはり生産費を補償する意味において、当然私は生産費によっては、また利潤のあれに応じてこれを買い上げることが妥当である。わざわざこういうことまで安く買って、今日わらのない中に苦労しながらつくっている農民をいじめぬでもいいじゃないですか。十分な値段でこういう努力に対して買い上げてもいいじゃないですか。この点、どうなんです。
○中野政府委員 かますの生産原価、先生いま数字のお話ございましたけれども、実際生産原価幾らというのはなかなかむずかしいわけでございまして、食糧庁は従来から直接調査をいたしまして、農家の購入価格を調べまして、それを基準にして買い入れ価格を決定しております。ことしの予算の段階ではいまおっしゃいました百十五円を三円上げまして、百十八円にするということにいたしておりまして、ただ、これからがあれでございますが、その後やはり原料のわらの値上がり等いま御指摘のようなことがございます。そこで、前向きに今度の米価を決定する際にかますの値段は改定をするということで検討いたしたいと思っております。
○稲富委員 この問題につきましては、私、生産費を調査しておりますので、資料も差し上げてございますから、十分検討していただいて、こういう問題はやはり十分農民が勤労の意欲の持てるような、報酬のあるような、こういう価格でひとつ決定して買い上げてもらう、こういうことでやっていただきたいということを、特にこの機会に強く要望いたしておきます。
 いろいろ聞きたいことがありますけれども、もう時間がありませんので、私の質問はこれで終わります。
 どうかひとつ、今度の米審に対しまして諮問される場合に際しては、いまの農村の事情、こういうところも十分ひとつ参酌して農林大臣としての御努力をくれぐれもお願いをいたしまして、私の質問を終わることにいたします。
○佐々木委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後八時十三分散会