第071回国会 商工委員会 第20号
昭和四十八年四月二十四日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 浦野 幸男君
  理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君
   理事 田中 六助君 理事 羽田野忠文君
   理事 山田 久就君 理事 板川 正吾君
   理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君
      天野 公義君    稲村 利幸君
      小川 平二君    越智 伊平君
      木部 佳昭君    近藤 鉄雄君
      塩崎  潤君    島村 一郎君
      田中 榮一君    増岡 博之君
      松永  光君    岡田 哲児君
      加藤 清政君    上坂  昇君
      佐野  進君    竹村 幸雄君
      渡辺 三郎君    近江巳記夫君
      松尾 信人君    玉置 一徳君
      宮田 早苗君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        経済企画政務次
        官       橋口  隆君
        通商産業政務次
        官       塩川正十郎君
        通商産業省貿易
        振興局長    増田  実君
        通商産業省企業
        局長      山下 英明君
        通商産業省重工
        業局長     山形 栄治君
        中小企業庁長官 莊   清君
        中小企業庁次長 森口 八郎君
        中小企業庁計画
        部長      原山 義史君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      禿河 徹映君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   伊豫田敏雄君
        大蔵省銀行局特
        別金融課長   額田 毅也君
        大蔵省銀行局中
        小金融課長   貝塚敬次郎君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第八五号)
 国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に
 対する臨時措置に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第九七号)
 通商産業の基本施策に関する件
 経済総合計画に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
○近江委員 まず資本自由化の問題についてお伺いしたいと思います。
 資本自由化の作業が進んでおるようでございますが、これに対する通産省の基本的な考えをお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 貿易並びに資本の自由化につきましては、内閣といたしましては、これを前向きに、できるだけガットの精神に沿って進めていくという基本方針を持っております。今回、ガット総会も九月に東京で開かれますが、諸般の情勢を見て外資審議会に対して資本の自由化について諮問をしておりまして、二十六日ごろ答申が得られるやに聞き及んでおります。その答申を待ちまして、政府としては今次の自由化問題について処理をしていきたいと思います。
○近江委員 現在のわが国の自由化の状況はどうなっておるか、これについて説明をお伺いしたいと思います。
○山下(英)政府委員 一昨年の秋に四段階のスケジュールでやりました前回の自由化作業が一段落したわけでございますが、その結果、個別審査業種として七業種ございます。そのうち通産省関係は五つあります。次に、五〇%までは自由化だという業種が約七百ございます。そのうち通産省関係は五百五十ございます。この二種類はそれぞれ審査しておるわけでございますが、完全自由化、一〇〇%まで自由化した業種は全体で二百二十八、通産省関係は百五十一業種ございます。
○近江委員 最近のこういう報道を見ておりますと、現在数百業種もあるこういう例外業種を十数業種に減らすようでありますけれども、わが国の経済に対する影響という点を考えますと、非常に大きいものがあると思うのです。特に中小企業に大打撃を与えるのではないかと思うのですが、そういう点についてどのように把握され、どういう対策をとられていくのですか。
○中曽根国務大臣 例外業種としては、当省所管業種は、現在、個別審査業種となっている五業種を含めて十数業種程度考えておりますが、これらの例外業種のうち、相当数は二、三年以内に自由化の時期を明示することになると思います。
 また、既存企業への経営参加につきましては、外資によるいわゆる乗っ取り等について特に慎重に配慮する必要があると思います。
 今回の自由化後においても、中小企業等関連産業に大きな打撃を与える場合には、政府としてはケース・バイ・ケースに配慮して日本の中小企業を擁護していくということはもちろんであり、この点はOECD規約上も認められているところであります。
○近江委員 それで、個別の問題で電算機等が自由化するように報道されているわけですが、これについてどういう対策をとっておられるのですか。
○中曽根国務大臣 電算機につきましては、四十九年八月に五〇%までの自由化を行なうことがすでに決定されておりますが、今後の方針については、外資審議会において慎重に審議されてきて、あした答申が行なわれると思います。
 対策については、すでに四十七年度から電子計算機等開発促進費補助金制度を発足させておりますが、今回の外審の答申により自由化措置がきめられることになれば、現在の対策についても見直しを行ない、その拡充強化をはかってまいる所存でございます。
○近江委員 それで、小売り業につきましては非常に零細業者も多く、こうした巨大外資が進出してきますと非常に大きな問題になると思うのです。今回の自由化にあたりまして、大臣としてはどういうような考えで臨まれるわけですか。
○中曽根国務大臣 小売り業については、小売り商店数百四十万のうち、家族経営のものが百十万を占めて、きわめて零細性の強い業種である実情にかんがみまして、政府としては、その資本自由化は経済的にも社会的にも混乱が起こらぬよう、小売り業の近代化施策の進展に歩調を合わせて進める必要があると考えております。
○近江委員 答弁がちょっと抽象的に思うのですけれども、どうですか、もう少し具体的におっしゃっていただけますか。
○中曽根国務大臣 小売り業の自由化についても、ある程度前進する必要があると思います。そしてある程度の年次を区切って国際水準並みに日本も持っていくべきものであると考えます。ただ、いま申し上げましたように、小売り業の中には相当生計的意味の企業がございますから、そういう問題については大いに考えなければなりませんし、特に皮革のようなものについてはおそらくむずかしいと私らは考えます。そういうように、個別ごとに考えまして小売り業について自由化を行なうと同時に、また一面においては保護する、そういう両方の政策を推進していく必要があると思います。
○近江委員 最近のニクソンのエネルギー教書あるいはOPEC問題等、石油をめぐる情勢というのはきわめて流動的に思うわけですが、こういう中で、石油業の自由化につきましてどういう形で進めていかれるわけですか。
○中曽根国務大臣 石油は、国民生活及び国民経済に非常に重大な関係を持つエネルギーの基礎産業でございますが、この点については、経済面におけるセキュリティという面からも重大な関係がありますので、安定供給を確保する見地から慎重に配慮していく必要があると思います。
 最近の国際石油情勢の変化等にかんがみまして、従来から石油業法の改正のことが話題にのぼっており、通産省としても検討を加えておったところでございますが、総合エネルギー政策の観点から、新たな情勢変化を踏まえて石油業法の改正の必要を感じております。この石油業法の改正も含め自由化の問題についても前向きに前進していきたいと思っております。
○近江委員 ニクソンのエネルギー教書の内容につきまして、通産大臣はお読みになったと思いますが、所感をひとつお伺いしたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 ニクソンのエネルギー教書も拝読いたしましたが、一番感じましたことは、アメリカが石油エネルギーの確保について異常な関心を持ってきているということ、それから総合エネルギー自給ということを非常に考えてきて、石油にのみ偏在しないで、石炭とかあるいは天然ガスとか原子力とか、そういう多元的なエネルギーというものを非常に期待してきておるということ、特に石炭というような問題については、ある程度公害に関する部分をがまんしても石炭その他の国産エネルギーを使う方向を指示している、そういう点が顕著でございます。
○近江委員 エネルギー教書の基調を見てみますと、自国中心の傾向が非常に強いように思うのです。環境よりも経済優先であるとか、価格よりも数量重視、こういう国際的エネルギー利用の認識については非常に不十分じゃないか、このように思うわけですが、こうした点について、大臣としてどのように考えておられるか。またさらに、米国のこうしたエネルギー政策の方向にどのように対処なさっていこうとしておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 世界のエネルギー事情はいま変動期に入っておりまして、いろいろ複雑な条件が乱反射的に出てきている状態でございます。
 まず一番ポイントはOPECの攻勢と申しますか、そういう点で大きな変化が起こってまいりました。それで、いわゆるパーティシペーションという参加の問題がすでに進行しております。したがいまして、いままでいわゆる国際石油資本、メジャーといわれるグループが獲得しておる油が半分に減る、残りの半分をそのメジャーが買えばまた別でありますが、それらはその国の主権のもとに使用しあるいは処分されるということでございますから、日本やその他についてもそれらを直接購入するというチャンスが生まれてきて、これだけでも大きな石油戦線の変化が起こりつつあるわけでございます。
 それから、それらの産油国においても、ある国々においては、長期的にこの生産を持続するために生産制限という考え方も出てきております。そうなりますと、石油の供給量に影響が出てくるわけでございます。それから、世界の通貨調整に伴って切り下げが行なわれる場合には、その切り下げた分は当然上乗せして価格を上げる、それから、毎年毎年価格を定率的に上げていく、そういうことがすでに各種の協定によってきめられて、進行しております。
 そういうような情勢から見ますと、石油関係がかなり将来は窮屈になり、かつ値も高くなってくるという可能性が、現状においては十分ございます。そういう情勢も踏まえて、日本としては、無公害エネルギー源としての石油をできるだけ多角的に確保していく、国際関係のこういう転換期に応じて、日本も将来必要とする部面について周到な配慮をしていくということが非常に重要なわけであります。
 従来わが国のエネルギーは、石油についてはほとんど八〇%以上中東に依存しておりました。今後もそういう形勢が続きます。大体自主原油といわれるものはたしか四千万トン前後、三千何百万トンぐらいしかまだ手に入りません、日本が二億二、三千万トン必要としているときにおいて。そういう情勢から見まして、昭和六十年ごろには三〇%はいわゆる自主原油を確保しよう、そういう方向に向かって多角的にかつ国際協調のもとに石油燃料を獲得し、またガス燃料を獲得しようとしておる現状でございます。
 それと同時に、そういうエネルギー事情がタイトになってまいりますと、石炭や原子力あるいは水力やそのほかのエネルギー源というものがもう一回評価される時代が来るかもしれない。現にアメリカにおいては、すでにそういう評価が与えられつつあります。日本においても、そういう全般の動向を注目し、日本のエネルギー需給関係も洞察しながら総合的エネルギー政策をつくっていこう、そう考えまして、いま通産省でやらしておるところでございます。今回機構改革に伴いまして資源エネルギー庁を一元的につくりましたのもその一つでありますし、またエネルギー白書をつくって国民の皆さまに現状と将来の展望をお知らせしようとするのも、そういう努力の一つのあらわれであります。
○近江委員 今度大臣はOPEC諸国を訪問されることになっておるということを聞いておるわけですが、その目的なり日程ですね。また、この時期にOPEC諸国を訪問する以上、わが国としても、産油国との関係あるいは石油政策の今後等について確たるものを保持する必要があると思うのです。このOPEC諸国訪問に際して、わが国の基本的な態度としてはどういうものをもって臨まれるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 従来政府の政策を反省してみますと、日本の中近東政策というのはほとんどゼロにひとしかったのではないかと思います。太平洋やあるいはECとか、そういう政策にはかなり力が入っておりましたが、日本がエネルギーの大宗として仰いで世話になっておる中近東政策というものは、どういう理由でございましょうか、ともかくほとんどゼロに近いのではないかと反省しておるのであります。いまのような情勢で、国際情勢も変化し、日本のエネルギー需給ということが将来非常に重大な情勢になるというときに、中近東に対する日本の重点政策というものをここでもう一回考え直してみる必要がある、そう考えております。
 一昨年の万博にあたりましても、サウジアラビアからファイサル国王陛下、あるいはいまの首長国連邦になりましたアブダビからも皇太子が見えられる、あるいはクウェートからも外務大臣、経済大臣がしばしば見えられる、イランからも皇帝陛下がお見えになる、あるいは大臣がよくおいでになっておる。今回もエカフェの会議に経済大臣アンサリという人が見えられております。何回もそういう閣僚級がおいでになっておりますが、遺憾ながら日本はイランに三笠宮殿下がいらっしゃったくらいで、あとは国王陛下がおいでになったところにも日本の皇室が答礼にも行く機会がまだないわけです。
 そういう点から見まして、先方の国々には、日本に対するわだかまりが若干あるようです。これは非常に重要なことになるだろうと私は思っております。私は一介の大臣でございますけれども、しかしそういう日本としてのごぶさたをあいさつすべきである、向こうの大臣に対して当然そういう儀礼を持たなければならない。いろいろ国会の日程等も考えてみましたが、時間的にいまの機会をのがすと秋以降になります。それは非常に大事な機会を逃がす危険性もあるように思われます。そういう意味で、日本の真意をよく御説明申し上げ、また先方の日本に対するいろいろな考えや注文等もよく聞いて、虚心たんかいに日本の中近東外交というものを重点的に展開する、そういう勉強も兼ね、ごあいさつも兼ねて行ってこよう、これが私の真意でございます。
○近江委員 大臣の基本的なそういう考え方はわかったわけですが、そうしますと、今後の通産政策として具体的に何か持って行かれるわけですか。
○中曽根国務大臣 今回は友好親善とごあいさつでございますから、特に具体的な中身を持ってまいりません。
○近江委員 それからこの前、産業計画懇談会から提言があったわけですが、非常に各方面の注目を集めておるわけですが、大臣としてどういう感想を持たれておるか、これが一点です。
 それから、今後この提言の方向に沿って、通産政策におきましてどのようにそれを生かしていこうと考えておられるのか、基本的な方針をお伺いしたいと思うわけです。
○中曽根国務大臣 あの文書は私も拝読いたしましたが、方向としては、私は正しい方向であると思います。しかし、あれを各論として具体的に展開するにはいろいろな問題点がございまして、そう一朝一夕にいくわけにまいらぬ要素もございます。
 大ざっぱに申せば、一九六〇年代の重化学工業成長時代のあと始末をいまやらされているようなものでございますけれども、じゃ、この重化学工業が日本になくてよろしいかというと、そうじゃない。やはり知識集約産業といっても、その外貌はまだ露呈しているわけでもないわけです。コンピューターがどうだとか、飛行機がどうだとか、ファッション産業がどうだとか、情報産業がどうだとか、こう言われますけれども、その徴候らしいものが露頭が見えてきておるというわけであって、いわゆる知識集約産業の体系がどう出てくるかということはまだまだわからない状態であります。
 しかし、そういう時代が来るということはまず確実であると考えられますから、付加価値の多いそういう産業に日本を転換させて、資源多消費型から脱却していこう、それと同時に、公害問題も解決していこうという考えで、方向はすでにきまっていると思うのです。しかし、現実問題として知識集約産業というものがまだ日本で花を咲かせていない現状で、重化学工業というものを無視して一億の民族が食っていけるかというと、食っていけない状態です。やはり過渡期には過渡期の措置が必要でありまして、現在で言えば、重化学工業の上に一億の人間が食っていけるという要素も閑却できないことであり、また、知識集約産業自体も重化学工業の基礎の上に花が咲いてくる。その基礎なくして知識集約産業だけがこつ然としてあらわれるものではないと私は思います。それは高度の電算機による制御一つ見ても、歴然とそこに出てきているわけであります。そういうような情勢からいたしまして、この方向は正しいと思いますけれども、具体化するについては現実を踏まえて進めていく必要がある、そういうように感じます。
 もしこまかい具体的なお話を御希望なさるならば、専門に研究しております企業局長から御答弁申し上げます。
○近江委員 軽自動車等のネガティブリストの問題ですが、非常に種々の論議を巻き起こしておるものもあるわけですが、このリストについては、大臣としてはどのようにお考えでございますか。
○中曽根国務大臣 何のリストですか。
○近江委員 軽自動車のネガティブリストですね。いろいろ個々に問題があるわけですが、こういうような個々の問題についてどういうようにお考えですか。
○中曽根国務大臣 それは技術的な問題もございますから、局長から御答弁申し上げます。
○山下(英)政府委員 報告書にはネガティブリストとしまして、「構造改革が望まれる産業−その格付け別にみた改善内容」、こういう表がございますとともに、将来、御指摘のように発展しないでよろしい産業というもののリストがございます。私どもは、その個別業種のリストもしさいに検討しておりますけれども、先ほど大臣が申されました省エネルギー、省力化、公害防止、知識集約型産業の成長という基本方向においては、この提言に賛成し、これを考慮していくべきだと思いますが、個別リストにつきましては、さらに今後通産省としても検討をしていくべきである、必ずしもここの提言でいわれておるリストがそのまま将来の産業の姿とはなり得ないものもある、検討を要するものと心得ております。
○近江委員 この前、円切りのときに、鉄鋼については不況カルテルを認めたわけですが、それをさらに延長した、そういうことで非常に鉄鋼は利益をあげまして、その配当について苦労するほどの状況になってきておるわけですが、鉄鋼として結局三分増配をきめたということがいわれておるわけですが、こういう基幹産業である鉄鋼等についての長期のカルテルを通産省は認めてきた、こういうことは通産省としていまの時点でどのように受け取っておられるか、また、今後こういう基幹産業について大臣としてはどのように持っていけばいいとお考えなんですか。
○中曽根国務大臣 過去に設定いたしましたカルテルにつきましては、当時、やむを得ぬものであると考えます。これは公取とも相談いたしまして、公取の承認のもとに行なわれたものでありまして、需給ギャップが非常に大きいということそれから原価を割っているということ、それから操業度が一定以下であるということ、そういう不況要件に合致しておりましたためにカルテル設定を余儀なくされたものでございます。
 鉄鋼は一九六〇年代、特にその後半期におきましては、各業者が将来の発展を見越してシェアの競争をかなりやりました。そのために過剰設備がうわさされ、云々され、そのために価格も低迷したということもございます。そこで、そのころ鉄鋼業法という法律をつくって、これを国が介入しつつ調整することをやったらどうだ、ちょうど石油業法があるようなことを考えたときもありますけれども、しかし、そういうふうな官的統制が入ると、どうしても持ち合いになって生産性が上がらなくなったり、あるいは企業の創意が失われてきたり、停滞するという危険性があり、管理価格的な性格がかなり強くその場合出てきてしまいます。
 そういう意味で、そういう業法をつくらずにやはり自由を生かした制度を持続した結果、かなり施設は伸びまして、それが今日の日本の経済的スケールに合う段階にもなってきておるわけであります。一億一千万トン程度のものは消化され、しかも、外国からの発注はいまかなりあって断わっているという状態でもあり、国内でも鉄鋼の値を上げないためにわれわれがフル生産をやってもらっているという状態でもあります。でありますから、長い目で見ますと、いろいろ摩擦はあるけれども、日本民族のバイタリティー等にもより、また勤勉な労働者諸君の協力にもよって、日本の鉄鋼生産というものは、世界にもかなり大きな地位を占めるに至ったわけであり、事業法というような思想は必ずしも当たらないということは、今日いまの状態では証明されているような気がいたすのであります。
 しかし、長期的に見ますと、鉄鋼価格というものは暴騰暴落の系統に入るということは非常に慎むべきことで、鉄鋼は、いわば電気料金などと同じように、産業の米みたいな要素もあります。だから、できるだけ長期的に安定した値段で一定の利潤のもとに並行的に推移するということは国の経済安定のために好ましいところであります。
 そういう面からいたしまして、自由を生かし、生産性の向上が自由に行なわれるようなタイプのもとにどうしてそれを実現していくかということが課題であります。それをどういうふうにするか、しかも鉄鋼のメーカーだけではだめなのであって、むしろ問屋とか商社とかという末端の方面にある程度力が入ってこないと、価格の暴騰暴落を防ぎ得ない、そういう面もあるわけです。そうすると、かなり複雑なむずかしい問題にもなってきますので、この点については、民社党の和田議員からも検討せよという御質問がございまして、いまや検討に値するということをお答えいたしましたけれども、これは課題として受け取ったという意味で、具体的に業法をつくるという考えがいまあるわけではございません。しかし、長期的に需給を安定し、末端価格に至るまでその安定した値段で日本の産業界が鉄鋼の供給を受けられるようにするということば大事な政策でありますから、今後も検討を続けていきたいと思っております。
○近江委員 商社の投機の実情調査につきまして、公取委員長は独禁法四十条により調査を行なっておる旨、この間も発言されたわけですが、その進捗状況を簡潔に御報告いただきたいと思うのです。
○吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。
 独禁法四十条に基づきまして、羊毛、大豆、木材、生糸等、数品目につきまして調査を行なっているわけでございます。
 調査の内容としては、買い付け量、購入価格、販売量、在庫、それから販売価格等につきまして、商社及びユーザー等につきまして調査を現在行なっております。現在一応の調査は完了しておりますが、なお、追加資料の提出等を求めているものもございます。
 調査の目的としましては、共同行為等の独禁法違反があるかないかということでございまして、現在までのところ、まだ独禁法違反として問題にするようなケースはございませんけれども、引き続き監視調査をやっているところでございます。
○近江委員 この商品投機問題と関連して、六大商社がこの関連会社の株式の取得を行なって系列支配というものを強めておるわけですが、これは独禁法上どのように評価されるのか。また、この問題を今回の商社の調査の対象に加えておられるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
○吉田(文)政府委員 六大商社のいわゆる株式所有等によります系列支配の状況につきましては、独禁法十条二項の報告書によって調査をいたしております。
 これが直接今回の買い占め、売り惜しみに関係があるかどうかという点は、まだはっきりいたしませんけれども、私どもとしましては、こういう調査を通じまして、六大商社の株式所有による系列支配の調査を通じまして、巨大企業のいわゆる不当な流通行為支配、独禁法に違反するような、たとえば株式を持つことによって一定の取引分野の競争を実質的に制限するようなことがあれば、これは独禁法違反になりますし、あるいはまた、不公正な取引方法を用いてそういうことをやれば、これも独禁法違反になるわけでございます。あるいはまた、その総合的な巨大な力、不当な地位の乱用、つまり優越した地位を乱用しているかどうかという点についてもあわせて現在検討をいたしております。
○近江委員 私のもらったこの六大商社の株式所得状況、これを見ましても非常にふえてきているわけですね。たとえば三菱商事にしましても、日本ハムについては五百九十五万八千株、日本農産工業については九百七十万株、川岸工業については二百三万九千株、三菱セメント石綿工業については三百五十三万六千株、六甲バターについては百六十二万一千株、中外炉工業については三百八万八千株、河越商事については二百七十三万株、三菱化工機については二百五十三万株、ずっとこのデータを見ておりますと、こういう形でやはりもう非常に系列化して、これはどうにでも私は操作できると思うのですよ。今回あなた方が調査なさった、この投機の対象になったといわれております羊毛、木材、米、綿糸、大豆、セメントあるいは生糸等、こういうものにつきまして、この六社で株式取得が五〇%以上をこえるものは品目ごとで何社くらいあるのですか。これは大きい問題ですよ。
○吉田(文)政府委員 こまかい食料品の内訳等のことはちょっとわかりませんが、たとえば食料品について申しますと、これは具体的に名前を申し上げることは控えさしていただきたいと思いますが、いわゆる六商社で、食料品関係で五〇%超が、A商社は一社、B商社は五社、それからC商社は二社、それからD商社は五社、E商社は二社ということになっております。
 それから繊維関係で申し上げますと、五〇%超が、A商社が四社、B商社が三社、C商社が三社、D商社が三社、E商社が三社、それからF商社が三社であります。
 それから木材関係で申し上げますと、五〇%超が、A商社ゼロ、B商社が二、それからC商社が五、D商社が二、E商社が二、F商社が二となっております。
 それからなお不動産関係で申しますと、五〇%超が、A商社ゼロ、B商社三、C商社一、D商社ゼロ、E商社ゼロ、F商社一というふうなことになっております。
○近江委員 これは独禁法を見てまいりますと、持ち株会社の禁止等につきましても第九条で明確に出ております。独禁法の目的自体からいたしましても、こういうような系列支配というものについては、これはもう非常に大きな問題があると私は思うのです。
 それで、今後問題解決をするということをおっしゃっているわけですが、この独禁政策あるいは競争政策上、今後このような状態をどのようにしていくのですか。
○吉田(文)政府委員 これはあながち商社だけに限った問題ではございません。ほかにもあるわけでございますが、そういう大企業が株式を所有したり、役員を兼任したりして、それを自己の系列下に置き流通支配を強めていくということは、非常に独禁政策上も大きな重要な問題であると思います。これはなかなか急には全貌をつかむというわけにはいきませんので、かなり時間はかかると思いますが、徹底的にこの点を独禁法上問題があるかどうか、ありとすればこれは法に従って処置をするというふうな態度で急いでやりたいというふうに考えております。
○近江委員 今回の商品投機等を見ておりますと、非常に公取のアクションというのは弱いのじゃないか、これは一致した見方なのですよ。そして、聞いてみますと、独禁法が弱いとか――弱ければ改正すればいいのだけれども、なかなかそういうこともやらない。いろいろなことを考えてみますと、機構上にも私は問題があるのじゃないかと思うのです。それで調査にも非常に時間がかかっておりますし、こういう点、公取の機構上について、今後はさらに強化する必要があるのじゃないか、これについてはどう思われるか。また、本来のこういう業務の一環として、先ほど申し上げたこうした点につきましても監視する必要、また対処する必要が私はあると思うのです。そのためには、そういうシステムにしなければならぬ、このように思うわけですが、こういう点についてはどう思われますか。
○吉田(文)政府委員 確かにおっしゃるとおりでございまして、現在の機構等は非常にこういう流動的な緊急を要する時勢に対処するには弱い点もございます。毎年予算要求におきましても、その点をお願いしているわけでございますけれども、今後のいわゆる新しい体制をどういうふうな体制をとって、能率的に、効果的に独禁法を運用していくかという点につきましては現在検討中でございまして、来年度の予算において、ぜひ私どもまだ結論は出ておりませんけれども、そういう現在の情勢に対応できるような機構等に持っていきたいというふうに考えております。
○近江委員 この四十五条におきましては、一般消費者等からの調査請求等があった場合は調査しなければならぬとなっておるのですが、今回のこの商品投機等の問題につきまして、消費者からどのくらいの件数があったのですか。
○吉田(文)政府委員 いわゆる一般の申告、法律違反の疑いでの申告でございますが、この今回の買い占めあるいは売り惜しみに直接関係があるかどうか、これははっきりいたしませんけれども、現在まで申告のありましたのは、木材につきまして、昨年の十二月に木材の買手協同組合から申告がございました。これはある県でございます。それで申告の内容は、木材の市売問屋協会というものが木材の市場における販売価格を決定している疑いがあるのじゃないか。これは現在調査中でございます。
 それから合板、ベニヤにつきまして、ことしの
 一月に全国家具工業組合連合会から申告がございまして、資料の提出があったのは三月の九日でございまして、現在これも調査中でございます。それだけでございます。
○近江委員 いずれにしても、こういう対処につきましても、法律にも明示しておるわけですから、国民のこれだけの要求があったときには、すみやかにやはり調査をして結果を出してもらうようにひとつ協議をしていただきたいと思うのです。
 それから大臣にお伺いしたいと思いますが、日航製の問題でございますけれども、これは法律を審議した際の大臣答弁にも反しておるし、商工委員会の決議にも反しておるということでありまして、わが党の坂井議員が予算委員会で取り上げたわけですが、大臣答弁あるいは附帯決議の趣旨に反するものであることを認めたわけです。同時に、政府において善処すると発言されたのですが、その後いかなる処置をとられておるのですか。
○中曽根国務大臣 当時、当時の責任者を調べましたところ、すでに役所を去っておりまして、事務的な責任者はおりませんでした。そこで、現役の事務次官、局長等に対して、このような附帯決議に背馳するようなことは今後絶対にやってはならぬ、厳に下僚に対しても戒めるように、そういうふうに示達をいたしました。
 それから日航製の仕事につきましては、アフターサービスの仕事がまだ残っておりますけれども、この仕事が終わったらこれを解散させる、そういう方針をきめた次第でございます。
 いずれにせよ、国会の決議に背馳したことを行なったことは深く反省いたしまして、今後ああいうようなことを繰り返さないように戒めていく考え方であります。
○近江委員 この問題は、国会で取り上げられる前に、もうすでにYS11の製造は終了しておるし、あるいは設計、試作の技術者はほとんどおらず、新しく航空機を開発する能力をもう持っておらないわけです。ですから、この問題があろうとなかろうと、要するに受注できない状態にあったことは明らかなんです。だから受注できるはずがない。そういう会社に対して発注しないということが、これは善処になるかということなんですね。あなたの答弁というのは、非常にごまかしのように思うのです。さらに、この会社を解散させるという措置も、この前からきまっておったわけです。これはもうXC−1問題の反省とは、私は関係がないと思うのです。この次期民間輸送機のYXの開発は純民間にやらせる方針というものは、昨年からきまっているわけですね。四十八年度予算でも明瞭にされているわけです。だから、この日航製はもう仕事がなくなって、遠からず解散するのは当然であるわけです。このように、以前からの既定方針を新たに善処と言うのは、非常なすりかえだと私は思うのですね。こういう点について、大臣はどう思われますか。
○中曽根国務大臣 解散を決定しておったわけではございません。また、考えようによっては、日航製を活用していろいろな仕事をやらせるということも必ずしも不可能ではない状態でございます。しかし、ああいうような事件を起こしましたから、この際もうそういう機能は凍結させて、あとは清算的な仕事にのみ終始させる、そういう方針を決定したのでありまして、私の決定が初めてそういう会社を解散させるという方向をきめたのでございます。
○浦野委員長 近江君にちょっと申し上げますが、申し合わせの時間がもうすでに経過いたしておりますので、この一問で結論にしていただきたいと思います。
○近江委員 いま大臣おっしゃったわけですが、しかし、これはもう既定方針として通産省でもきまっておった。実際、実態から見たってそういうことであって、あなたのおっしゃったのはあくまでこじつけだと私は思うのですね。だから、この善処ということにつきまして、何ら政府は反省しておらない。こういうことであっては、ほんとうにその場だけ言いのがれればいいという姿だと私は思うのです。この善処ということについて、そういうことであっては私はもう納得できませんね。それは大臣として、局長なり次官なりに、今後国会決議を守ることでやるとか、そういうことについてのきびしい話はなさっておると思いますけれども、しかしそれは善処といっても、そんなことは要するに初歩の初歩の問題なんですね。ですから、やはり政治的にもっと、善処という形については、納得できるものをお出しになるのが当然じゃないかと思うのです。大臣としては、いま御答弁になったそれでいいと思っていらっしゃるのですか。
○中曽根国務大臣 役所の仕事としてものが進行していくものでございますから、やはりあの当時決定した事務次官とか局長とかそういう人たちが、当面の第一の責任者であったと思うのです。そういう人を調べましたらすでにやめておるという状態であり、また、その後継者である局長とかあるいは課長というものはあるわけでございますけれども、それらの者が将来そういう過失を再び繰り返さないように深く戒めて、通産省全体として、この事件を契機に国会の決議を尊重してそれを服膺するという精神をしっかり確立するということが非常に大事であると思いまして、その点を強く戒めたところでございます。
 なお、日航製につきましても、日航製を解散するということはだれもまだきめていた状態ではないのでありまして、あれをまたほかに転用し得ればし得るという状態でもありました。しかし、それはいけないから、私がそういう考えを固めまして決定した、そういうわけでございます。
○浦野委員長 結論にしてください。
○近江委員 もう時間がないから一応はやめますが、この問題は、いま大臣の答弁をいただきましたが、これについては納得できません。そういうことで、またの機会であとの問題を続けたいと思います。
 以上で終わります。
○浦野委員長 板川正吾君。
○板川委員 連休中に大臣がOPECの諸国を訪問される、こういうことでありますから、この際、エネルギー政策について、大臣の見解を承っておきたいと思います。
 まず、訪問される諸国の訪問先、それから目的、もう一つは同行者、だれがついていかれるのか、こういう点を伺ってみたいと思います。
○中曽根国務大臣 二十八日に出発をいたしまして、イラン、クウェート、サウジアラビア、首長国連邦、その四カ国を訪問し、六日、日曜日に帰ってくる予定でございます。
 同行者は、通産省の貿易振興局長、鉱山石炭局長、それを主にいたしまして、秘書官そのほか若干ございます。それから通産省の新聞記者団からぜひ行きたいという希望がございまして、たしか八名か九名各社から申し出があります。これは現地のホテルの収容力とか飛行機の見当とか、そういうことでまだきまってはおりませんが、そういう各社の要望にできるだけ沿うように、外務省を通じて頼んでおります。
○板川委員 十日間で四カ国、なかなか強行日程のようでありますが、御無事を祈ります。
 それから同行者が、今回は財界の人がないようですから、これまた私ども歓迎をいたします。
 外国では、特にアメリカは、エネルギー問題を非常に重視するためか、コナリー長官やフルブライト上院外交委員長やロジャーズ国務長官、こういう人たちがしばしば昨年からことしにかけてサウジアラビアあるいはそうしたOPEC諸国を訪問されておる。日本は、サウド国王やイラン、クウェートその他の首脳が訪日されておるにかかわらず、これに対して答礼をしていない。先ほど大臣のお話がありましたように、外交的にはまことに失礼な話でありますし、同時にこれは、エネルギー問題を従来軽視しておった態度の一つのあらわれだと思います。おそまきながら、こうして大臣が今回表敬訪問といいますか、答礼のために出発することになったことは、われわれも歓迎する次第であります。
 そこで、最近御承知のように、アメリカでニクソン大統領のエネルギー教書が発表されました。これに対して大臣の所見を承りたいと思いますが、このニクソン・エネルギー教書の内容を見てまいりますと、意外と落ちついた冷静な態度で将来のエネルギー問題について一つの指針を発表しておるわけであります。たとえば、短期的には、石油輸入を促進する以外にない、そして省エネルギー政策をとろう、石油の節約をはかっていこう、外交的には国際協調を推進していこう、こういうような短期的な行動の指針がうたわれておりますし、中期的には、国内の資源の開発、利用、石炭のガス化、オイルシェール、タールサンドの開発、大陸だなの開発、こういうように国内的資源開発をして石油不足に備えよう、長期的には、原子力や太陽熱やあるいは高速増殖炉あるいは核融合、こういったエネルギーにたよろうとする、いわば非常に長期的展望も持っておる。
 こういうエネルギー教書の内容であろうと思いますが、大臣のこれに対する見解を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほど御答弁申し上げました中に、私が四カ国を訪問することに関連いたしまして表敬及び親善友好を深めると申し上げまして、答礼という意味では必ずしもないわけでございます。これは国王がおいでになった場合には国王が行かれるのが答礼であり、総理がおいでになったときは総理が行かれるのが答礼で、私は一介の閣僚でありますから、友好親善を深めるということで御理解を願いたいと思います。
 それから、アメリカのエネルギー白書を見ますと、あれは国防省とか国務省とかあるいは商務省とか関係各省で調整をして、かなり研さんをして出てきたものではないか、初めはもっと早く発表されるであろうという予定で、しかもかなりエネルギー危機を訴えたもののようだといわれておりましたが、それがかなりモディストな内容になってきたというのは、あまりそういう表現をとると内外に対する影響が非常に大きいので、関係各省の中からそういうチェックが出てきて、わりあいに質実な内容で発表されたのではないかと想像されます。しかし、反面アメリカ国民に向かって節約運動を訴えているところを見ると、アメリカがエネルギー問題について将来相当な決心をしておるということは想像されると思います。
 それから、アメリカの石油が輸入に転ずるということが大きなファクターになってくるようでございまして、私らが聞いている方向にアメリカもやはり動いているんだな、それが相当数の輸入量に転ずる可能性があるようである。私のところへ来た専門家のアメリカの某高官が言ったことでは、一九八〇年ごろになるとアメリカの世界に対する石油代の支払いが二百億ドルから二百五十億ドルくらいになるかもしれぬ、そのころECが二百億ドルくらいになり、日本が百五十億ドルから二百億ドルくらいになるかもしれぬ、そういうことも言っておりました。
 そういう点から見ると、アメリカがかなり輸入に出てくる、国内の資源はある程度国防上の必要から保存しておきまして、そして外から買い付ける、そういう方向に出てくる可能性があるように思います。現にアメリカではメジャー系でないガソリンスタンドは相当ガソリンが配給困難になって休止しているのがあるようです。私の友人もこの間行って帰ってきた話によりますと、自動車を持っていっても満タンにしてくれない、五割とか六割でかんべんしろ、そういう情勢でもあるよしであります。これは最近の特異な現象であるかもしれませんが、アメリカの将来全般を考えてみると何ものかを暗示しているような気がいたします。
 そういうような事態にかんがみて、ニクソン大統領は、石油のみにたよらないでほかのエネルギー資源を非常に強調してきておる。石炭とかあるいはガスとか、いままではアメリカのエネルギーの大部分はガスに依存しておったようでありますけれども、石炭、原子力についても強く言及しておりますし、そういうエネルギー不足から見たら、公害問題についてもしばらくはがまんしてもらっても、石炭とかそのほかのエネルギーを使うべきであるというようなトーンの表現が出てきております。
  〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕
マスキー法を一年間延期したという話でございますけれども、同じ発想で公害問題に対する認識が日本よりはまだ軽い、そういう気がいたします。
 わが国のエネルギー政策といたしましては、国際協調でやるということと、それからできるだけ世界の各方面から多元的に供給源を確保するということと、それから石油、石炭、原子力、水力、火力、そういう総合的なエネルギーの調整を考える、二次製品、三次製品についての将来のバランスもやはり考えていかなければならぬ、そういう考えを持っております。
 われわれの大きな目標としては、安定供給の確保と環境保全対策と二つあると思いますが、安定供給の確保につきましては、まず第一に、石油、天然ガス海外自主開発という問題がございます。これは六十年度の目標として三〇%を確保しよう、そのためには民間の資源の獲得及び供給体制の強化という問題があります。それから石油開発公団の強化という問題がございます。
 それから第二に、わが国周辺大陸だなの開発という問題がございます。
 第三番目が石油流通体制の整備という問題がございます。これは国内における石油パイプラインとかCTSの問題が出てまいります。
 第四番目が石油の備蓄という問題がございます。現在は四十五日分ございますが、四十九年度の目標として六十日分にふやそうとしておるところであります。
 第五番目が供給源の分散でございまして、中近東、南方、ソ連、中国あるいはメジャー、OPECとの直接取引、そういうあらゆる面について手を打っていく必要があります。
 それから六番目に、電源立地の促進の問題がございます。今回、地帯整備法を提出いたしました。
 その次に第七番目に、ガス事業の促進の問題があります。これは高圧、高カロリー化、LNGの使用等でございます。
 第八番目に、石炭、第五次石炭政策で五十年度に二千万トンを下らない水準を確保する、こういう問題がございます。
 第九番目がエネルギー源の多様化といたしまして、原子力開発とか、地熱発電、太陽エネルギー、燃料電池であるとか、いま御指摘になりましたオイルシェール、タールサンドの開発、こういう科学技術上の開発を促進するという重点がございます。これが安定供給の確保の部分であります。
 それから環境保全対策としては、低硫黄化対策がございます。これは脱硫の促進、重油脱硫、排煙脱硫、特にガス化脱硫の問題がございます。それから低硫黄原重油の輸入促進、それから液化天然ガス輸入、使用の促進、それから石油精製パターンの軽質化、原油なまだきの問題がこれに関係してまいります。それから地域冷暖房の促進、これは熱供給事業に関係してまいります。それからしばらくの間ナフサなまだき等も調整政策として活用する、それから技術開発、これは重質油分解、ガス化脱硫等の問題でございます。
 第二番目が原子力環境安全対策でございます。これは地域整備及び温排水対策等がございます。
 なお、省エネルギー対策として、エネルギーの効率的使用、これは節約技術の開発とか、システム開発の問題がございます。
 第二番目が省エネルギー型産業構造への転換、これは産業構造の知識集約化とかエネルギー多消費型産業の海外立地とか、そういう問題が出てくると思います。
○板川委員 ニクソンのエネルギー教書について、実はその見解を伺ったのですが、日本のエネルギー政策までいまとうとうと述べられました。
 ちょっと話を戻しますが、アメリカでは安全保障というたてまえから、エネルギー政策、特に石油政策を非常に重要視しております。たとえば輸入の三〇%以上、しかも中東あるいは中東周辺から一〇%以上輸入がふえるということは、アメリカの安全保障上非常に重要だということで、輸入の増大することを非常に国防上の考え方から重視しておる。しかし、いまやそうした危機ラインをすでに突破されつつあるという実態のようであります。
 それはそれとして、ニクソン教書をこう読んでみますと、幾つか使わなかったことば――大臣も言われたように、非常に心を使って、あるいは各方面の意見を聞いて苦心をしてでき上がったという感じがします。たとえば、エネルギー危機ということばをほとんど使っていない。それから国際収支問題にも触れてない。それからアラブ諸国との外交問題、これにも触れてない。もう一つは、消費国同盟の提唱、これはアメリカがしばしば言っておるのですが、こうした考え方も打ち出していない。これはイスラエル問題とか、OPEC諸国の反感、反対等を考えてとか、あるいはいろいろな外交上あるいは内政上、価格の取引上考慮してこういうことばを使わなかった感じがいたします。
 いま大臣は、教書の中で、エネルギー優先政策をとるために環境保護政策というものをゆるめた、たとえば、環境保護基準を三年間延長する、あるいはマスキー法を一年間延長するといった傾向がここにも出ている、こう言われております。ニクソン教書は、アメリカのように資源が十分である国ですら、エネルギー、特に石油問題を重視しておるのに、日本はまる裸でありまして、日本がエネルギー政策に大きな関心を持たなかったということに対しては、私は頂門の一針的な、アメリカですら非常にこう重視しておるのに、日本はそれをいままであまり考えなかった、こういうところに問題があったかと思いますが、ニクソンの、エネルギー確保を優先するために環境保護政策を、基準の適用を三カ年も延長するということに対して、財界人が非常に高くこれを評価しておるという説が報道されております。名前は伏せておいてくれといって言ったそうでありますし、あるいは名前が出ておる人も、この点はニクソンの英断であるとか、エネルギー教書の中でこの点はりっぱだとかほめております。しかし私は、日本にはこの考え方、思想を適用してはならないのではないだろうかと思います。
 ある資料によって、これは四十七年度の環境白書によって計算したのでありますが、人の住む平地面積当たりエネルギー消費量というのを出してみました。指数を出して、日本を一〇〇として他の国を比較いたしてみましたならば、日本が一〇〇、アメリカが一四、イギリスが五八、フランスが一七、西独が六七、こういう指数、これは私が計算したのですから、白書にありませんが、そういう比率を占めております。ですから、平地面積当たり、アメリカは日本の一〇〇に対して一四。アメリカはエネルギーを世界一使っておるにかかわらず、面積が広いために平地面積、人間が住む地域当たりでは、エネルギー消費量というのはずっと低い。ところが日本は、アメリカの七倍も高い状況ですから、私は、ニクソン白書によって財界人が歓迎しておるような、環境保護基準というものを何かゆるめるような思想、考え方は持ってはならないと思いますが、これに対して大臣の見解はいかがですか。
○中曽根国務大臣 同感でございます。アメリカはアメリカ、日本は日本の国内条件というものがございまして、これだけ一億の民族が、ごしごしはだを触れ合って住んでいる地域でございますから、環境の保全については、アメリカ以上によく注意しなければならぬ要素が日本にはあると思います。
○板川委員 ぜひそのことを念頭に置いていただきたいと思います。
 それから教書では、OPEC諸国との関係上あえてエネルギー危機というのを強調しなかった。これは実はある意味では意外だと私も思います。このエネルギー危機を強調しますと、石油輸入に対してOPECの側から一つの上手をとられるという感じがしたんでしょう。しかし、この内容を見ますと、やはり石油の確保に対して危機を感じていることは事実だ、こう思います。全米石油審議会の資料によりますと、先ほど大臣もちょっと触れられましたが、一九八五年、昭和六十年ですが、アメリカの石油の消費量がいまのままでいくと十六億キロリットル、そしてそのうちの五一%、八億二千万キロリットルは輸入しなくてはならない、こういうふうに予想いたしております。日本は、田中総理の日本列島改造論によりますと、昭和六十年、一九八五年には七億五千万キロリットルを輸入しなければならぬ。七億五千万から七億八千万ぐらいでしょう。アメリカでも八億二千万キロリットル、日本は七億八千万キロリットル、日本とアメリカを合わせまして十六億キロリットルになります。一九七〇年の世界の原油の輸出能力は十億キロリットルでありまして、一九八五年にそれを日米だけでも十六億キロリットル、これはヨーロッパ諸国には出ないという勘定になりますが、こういうような計算をしますと、石油の需給関係が非常に逼迫することは明らかではないだろうか、こう思います。こういう状況を見ますと、日本の今後のエネルギー需給に対する、特に石油の需要供給に対する日本の政策というのが重要になるだろう、こう思います。
 先ほど大臣は、総合エネルギー政策についてるる述べられましたから、私はあえてそのことは省いて次に移りますが、石油政策で一体何が一番日本として重要かというと、安定供給の確保、これが私は最大のポイントだと思うのです。石油業法では、この供給の安定と低廉化という二つの目的を持っておりますが、私は、もともと石油業法自体の審議の時代から、低廉というのは希望的な条件である、日本の場合には安定供給というのが絶対条件である、こういう主張をしてまいったのであります。
 大臣はよく海軍で軍隊用語を使って得意でありますが、たとえば四次防を策定して年間一兆円もの国防費を使う。一体どこを仮装敵国としているかは私は問いませんけれども、幾ら四次防、五次防をして軍備を増強しても、エネルギー問題から日本は戦争することはできない、私はこう思います。日本を負かすのは別に核兵器を必要といたしません。それは、総消費エネルギーの中の七〇%を石油が占めておりますし、その石油の九九・七%は輸入ですし、その石油の九〇%を中東から、九五%をOPEC諸国から輸入しておる。その中東から日本までは一万二千キロ、そしていまの三億キロリットルの消費というならば、毎日十万トンタンカーが八隻ぐらいの割合で日本に到着をしなければ三億キロリットルの輸送ができない。一万二千キロの航路、そして一日十万トンタンカー八隻、こういうじゅずつなぎに行なわれている地域に相手方が潜水艦を備えつけてやったら、これは回避することができない。といって何百隻というタンカーに駆逐艦をつけて潜水艦を排除するということもできないでしょう。そして貯蔵オイルわずか四十五日、これは幾ら貯蔵しても同じでありますけれども、とにかく二カ月を待たずに日本産業は壊滅的な打撃を受ける。エネルギーの七〇%を石油に仰いでいるわけですからね。したがって、日本は四次防を策定したりあるいは五次防をさらに増強するというようなことをやったところで、いわばそれは国防的、安全保障的にいっても必要のないところに力を入れている感じである。といって石油輸送の安全を確保するのは不可能ということを考えますと、私は、根本は日本は平和憲法を守って平和外交で石油の安定供給を確保し、そして日本の繁栄をはかる、こういうことでなければいけない、こう思いますが、大臣は元軍人でもありますし、戦略、戦術は得意のようですから、私のこの見解について所見を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 全く同感であります。最近のアメリカの外交関係及びホワイトハウス関係の情報を聞いてみますと、燃料白書の提出以来アメリカも海上護衛ということに非常に熱心になってきたようであります。これは中東からはるばるアメリカにタンカーで輸送しなければならぬということが現実に出てきつつあるものですから、そういうアイデアが出てきたのだろうと思います。アメリカは、そういう意味では水陸連絡設備が非常に弱い。十万トンタンカーを寄せつけられる港がないというようなことで港の問題をいま騒ぎ出している。必然的に海上護衛という問題が出てきて、海上護衛の問題がかなりアメリカの国会及びホワイトハウス周辺でもこの一月以来出てきております。これはアメリカはアメリカの考えで固有の防衛政策を持ってやっているのでしょうけれども、日本は日本独自の考え方に立って平和外交及び平和政策によって日本の真意を世界に理解してもらう、それが最も賢明な策である、そういう点では板川先生の考えと全く同感でございます。
○板川委員 元戦略家の大臣がそういう新たな世界情勢の動きによって、平和的思想を持っておるということを認識しておきましょう。
 安定供給の確保についていろいろ考え方がありますが、日本の石油の安定供給上どうも中東に片寄り過ぎている。これは中東が世界最大の油田を持ち、産油量を持っているということにもよりますが、しかし九〇%を中東に依存しておるというのは、どうも片寄り過ぎている感じがいたします。石油業法ができた当時は八〇%くらいでありまして、なるべくこれを多元的な供給源といいますか、方々から買ったほうがいい、だから、中東依存度というのをなるべく下げていったほうがいいという意味のことを私も主張しておったのでありますが、しかし依然として中東への依存度というのは高まって、低くならない。これは安定供給についてという絶対的な条件からいうと好ましい傾向ではない、こう思います。したがって将来、先ほど大臣も戦争というのをもう考えないという平和主義に徹するならば、ソ連や中国、インドネシア、カナダ、特にソ連のチュメニ油田あるいは中国の東北部に大きな埋蔵量があるといわれておるので、こういう国々とお互いに提携をして、そして供給源の多元化といいますか、お互いに各地から石油の供給を受ける、同時に日本もこれに経済的な協力をしながら、相互に共存共栄をはかる、これまた大臣の非常に好きなことばですが、共存共栄をはかるという方針が必要じゃないかと思いますが、ソ連のチュメニ油田の開発、その後の状況について、あるいは中国から、きのう廖承志さんのお話によりますと、日本にもできるだけ、石油が逼迫しておるようだから輸出を促進ししてもいい、こういう好意的な発言もあったようでありますが、こういう国々との石油の取引関係といいますか、開発関係といいますか、それは現在どの程度進捗しておるのでしょうか。
 それから、海外油田開発が、実は方々に民間が手を差し伸べております。着手をしておりますが、海外油田開発に対して大きな期待が将来かけ得られるのかどうか、ひとつ所見を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、国際協調と、それから多元的に補給源を確保する、そういう二つの原則及び将来かなり膨大な量のエネルギーが要るということから考えまして、洋の東西南北を問わず、合理的な油の確保につとめるということを申し上げましたが、ソ連、中国が入ることはもちろんでございます。
 それで、中国につきましては大慶油田、勝利油田等を中心にかなりの余力が出てきたようでございまして、しかも非常に良質の低硫黄のもののようでございます。したがって、日本に安定供給を多量にやっていただければわれわれは非常に多とするものでございます。中国でも、そういう点については配慮してくだすっておるようでございまして、その点は感謝にたえないところでございます。
 ソ連につきましては、前から実業家グループとソ連当局と話を進めておりまして、チュメニ油田については、先般来実務者が先方に参りまして、いろいろ予備折衝をやったようでございます。近く今里氏等を中心とする交渉団が参りまして、金利の問題とかあるいは供給保障とか、そういう具体的な詰めの問題が残っておりますが、ともかく基本契約をことしの上半期につくるべく努力をしてやっておる模様でございます。
 いずれにせよ、そういった努力が実を結んで合理的な契約ができることをわれわれは期待しておりまして、それができるならば政府も乗り出して前向きに対処したい、こう考えておるわけでございます。
 チュメニの計画は具体的にまだ必ずしもはっきりいたしませんが、二千五、六百万トンから四千万トシくらい年間供給が可能のようでございまして、計画どおり達成されればかなりの補給がシベリアを通じてできるものと考えます。
○板川委員 ぜひひとつそうした海外経済協力によって石油輸入源の多角化というものについて前向きな取り組みをすべきであろう、こう思います。
 このOPEC関係で考えますと、テヘラン、リヤド協定によって産油国の力が非常に強大になって、将来産油国が自分で処分し得る石油というものが相当の量に達すし、一九八二年には五一%といわれておりますが、そうした産油国との直接取引の油というのも、これまた日本の供給源確保に対しては非常に重要な役割りを持っておると思います。
 この産油国との直取引をする場合に、ただ単に石油を売ってくれと言うばかりじゃおさまらないと思いまして、これは産油国がお互いに共存共栄で、日本は石油を売ってもらうが、同時に日本の経済協力を期待する、こういう形になるだろうと思います。この石油の代金を実は私も計算してみたのでありますが、アメリカの全米石油審議会でも一九八〇年にはバーレル当たり五ドルくらいになるであろう、八五年には六ドル近くになるであろうという予想をしております。これはもちろん競合燃料、タールサンドあるいは石油ガス化あるいは原子力開発とも関連いたしますが、ここ当分いずれにしましても石油の代金が上がることは間違いない。現在バーレル当たり二ドル五十セント、これを一九八〇年五ドル近くで計算してみますと、七億八千万キロリットルということになりますと、日本は二百三十億ドル払わなくちゃならないという計算になります。バーレル当たり五ドルで二百三十億ドル。アメリカが八億二千万キロリットル輸入するとなるとこれまたこれが二百四十億ドルですか、いずれにしても膨大な金額になり、これがオイルダラーとして世界の金融市場にどういう役割りを果たすだろうか――一説によりますと、産油国は、そんな金を幾らもらったって、価値が下がるようなドルや何か外貨をもらってもしかたがないから、これをあまり増産をせずにしまい込んでおって細く長く売り込んだほうがいい、こういう考え方を持つところもあるようであります。また、そうでなくて、サウジアラビアのように、ある程度増産要請に応じよう、そのかわりその外貨を有効に回転させよう、こういうふうな考え方もあり、私は、結局は産油国も後者のほうをとるだろうと思います。やはりしまっておいて少しずつ売ってというのは、何といってもいまの世界の経済体制からいって、そうはやれない。それよりも、ドルをもらったらそのドルを投資して、そして将来有効的に回転して利潤を得る。そして、そういう意味では石油産油国と消費国との間の経済協力、提携、こういうものが大きな役割りを持つのだろうというふうに思います。まあ今回の訪問についても、ぜひそういう点について意見を交換することは有意義であろう、こう思います。
 時間がございませんから、私の質問することを二、三申し上げて、一括して御回答を願いたいと思います。
 どこの国でもエネルギー政策というものの重要性にかんがみて国家が相当な介入をしておりますね。日本みたいに民間に全部まかせておるという国はないんです。そういう点では、日本はあまりにも自由放任にし過ぎてきておる、こういう感じがいたします。それで、たとえば、私は、この際、石油公団を強化して、資金的にも人的にも、あるいは石油関税等を大きく回すように国家管理をもっと、これはこの石油公団を強化すべきじゃないだろうか……
○稻村(左)委員長代理 板川君に申し上げますが、申し合わせの時間が経過いたしておりますので、結論をお急ぎください。
○板川委員 わかっています。
 それから石油業法ですね。これは先ほども触れましたが、石油業法は設備の許可制、これは民族資本を擁護しようという考え方で設備の許可制をとりました。それから、今後五カ年間の需給計画を発表せよ。標準価格で価格の安定をはかろう。いずれにしても、この石油業法をつくった時代は消費国の買い手市場だった。いまや全くOPECとメジャーとの関係が逆転したように売り手市場になっておる。売り手市場になった今日では、この石油業法というのは十分ではないと思います。この点でひとつ検討を要請しておきます。
 それから、今回、通産省の外郭にエネルギー庁を設けるという設置法の改正を提案しておりますが、このエネルギー庁はいままでよりは一つの前進かもしれませんが、本来ならエネルギー省をもうつくるべきではないだろうか。この石油の安定供給がはかれないでおれば、田中総理の列島改造論で一万キロの高速道路をつくっても、昭和六十年にはその高速道路を走る自動車のガソリンがないということになるじゃないですか。まあ、それはそれとして、もうエネルギー庁でなくて省にすべきではないか。いずれにいたしましても、エネルギー問題をこの機会にひとつ政府も重視して、この強化のために適切な対策を立ててほしい、こういうことを要望いたします。大臣の御見解を承りたいと思います。
○中曽根国務大臣 確かに御指摘のように石油政策、特に海外政策というものが民間まかせでありまして、政府がうしろに引っ込み過ぎておった感がいたします。御指摘のように、日本政府がもっと前面へ出まして、石油公団を強化して、石油公団自体が情勢によってはコンセッションも獲得できる、そういうところまで石油公団を強化いたしまして、これをてこにしつつ日本の石油政策を一歩進めると同時に、一面においては、これからはいろいろな各民間団体、民間の動きを調整する必要ももっと強く出てまいります。めちゃくちゃに値を上げてもいけませんし、味方同士の同士討ちみたいなことを方々へ行ってやることも防がなければなりません。そういう面の交通整理を通産省並びに石油公団を中心にしてやらせる、それから情報を的確に、そういう各関係方面に適正にこれを知らしてやるということ、こういうことも非常に重要であるだろうと思います。
 御指摘の点は、まさに同感に思いますので、そういう線に沿って強化していきたいと思います。
○板川委員 終わります。
     ――――◇―――――
○稻村(左)委員長代理 内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中榮一君。
○田中(榮)委員 私は、中小企業信用保険法の一部改正並びに国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の一部改正の両案につきまして、通産大臣並びに関係当局の方々に若干質問さしていただきたいと存じます。
 非常に長ったらしい名前でありますから、前回の法律を出されたときに、政府の提案理由の中に、ドル・ショックによってこうむった不安、動揺を除去するためにというような文字が書いてありましたし、やはりドル・ショックに対する対策でありますので、これを簡略にドル対策法というふうに一応呼ばしていただきたいと存じます。
 前の国際ドル対策法は昭和四十六年の十二月十六日に実施されまして、そしてその結果、通産省の報告によりますと、施行後、一万三千四百人の中小企業者を認定し、また、担保の補完のため、中小企業信用保険法の特例としまして六百七十億、設備近代化資金の支払い猶予七百七十件、四億、高度化資金支払い猶予六百六十件、五十七億、その他、事業転換に対する税制上の措置、法人税等については欠損金繰り戻し制度による還付の特例、あるいはまた転廃業の世話といったような、相当効果的な援助対策を実施いたしたのでございます。
 今回のドル対策法は、この法律の一部を改正するわけでありまするが、アメリカがドルの一〇%切り下げを発表いたしましたのが二月十二日、それから政府が変動相場制に移行を発表しましたのが十四日でございます。したがって、今日まで大体二カ月と十日ぐらいを経過しておるわけであります。
 この間に、輸出関連の中小企業、特に軽工業関係者は一体どういうような状況におるか、はたして生活がスムーズにいっておるのかどうかということについて、まだ詳細な調べはないのでありますが、この「中小企業金融公庫月報」の三月号にこういうことが載っています。たとえばクリスマス電球につきましては、全然転嫁ができぬそうです。要するに契約をする際に、このドル・ショックによるところの価格の引き上げということが全然できない。一部においては、やむを得ず製品の転換をしようか、こういうことも考えておる。それから、現在の輸出成約状況は全くゼロである。中断しておる。そのほか、スカーフ等につきましても全然転嫁ができないで、成約は中断されておる。一部事業の転換をしようかと考えておる。そのほか、スキー用具につきましては、大体五〇%の転嫁をしているが、これも成約は中断されて、内需向けに振り向けようとしておる。
 こういうような状況で、中小企業の関係者としまして、ただいま提案されておりますこの二法案の一日も早く成立することを全国の輸出業者、ことに小さい輸出業者は、ほんとうに待ち望んでおるような状況であります。私ども商工委員会におきましても、幸い本日この審議に入ったのでありまするから、できるだけ早くこの法案を成立させることが現在の中小企業者のためになると私は考えておりまするが、その点につきまして通産大臣、あなたはいかにお考えでございましょうか。
○中曽根国務大臣 御指摘のように、円の変動相場制移行前後から中小企業関係の輸出成約が非常にはかばかしくいかない状態はまことに残念でございます。今回ドル対法をお出しいたしまして、信用補完とか返済猶予とか、そのほか諸般の措置をお願いしておりますが、できるだけ早期にこれを成立さしていただきまして、信用補完その他の政策を強力に推進してまいりたいと思います。
 具体的な業界の状況等につきましては、担当者から御説明申し上げます。
○田中(榮)委員 ただいま通産大臣から、成立したならば迅速果敢に事務の処理をしようという力強い御答弁をいただきまして、全国の小さい輸出業者は、ただいまの御答弁に対して非常に期待をかけておるものと考えております。
 そこで、これもまた同様な問題でございまするが、ただいま通産省におきまして基本法の改正について同じく提案をされておるのであります。
 この基本法の改正は、最近の経済環境に適応した中小企業というものをつくる、たとえば資本金五千万円のものを一億に増額する、あるいは問屋では一千万円の資本金を三千万円まで中小企業とみなすというような中小企業の定義の拡大でございますが、現在輸出業に直接間接に関連しておるこうした新しい中小企業というものが相当あるわけであります。昨年のいわゆるドル対策法によりまして一万三千四百名の者が救済されたのでありまするが、こうした基本法の定義を改正することによって今次は相当な救済ができるんじゃないか、私はかように考えておるわけでございます。
 特にこうした新しく中小企業になる人々は、その定義をまず受けて中小企業としての資格を獲得する。その次にいわゆるドル対策法によるところの認定を受ける。二度の関門を通るわけでございまするが、そうしたことを考えますると、これがために相当な期間を要することによりまして融資を受けるチャンスもだいぶおくれてくる。こういうようなことになりますので、どうかひとつ地方庁に十分連絡をとっていただいて、こうした資格が新たに発生した者に対する事務上の処理、それから、認定は知事がやるのでありまするが、この認定につきましても早急に事務を処理していただくように、通産大臣から地方庁並びに通産局、そういう方面に強く御示達を願いたいと思うのでございますが、大臣いかがでございましょうか。
○中曽根国務大臣 承知いたしました。さっそく強くお願いをいたします。
○田中(榮)委員 次に、信用補完措置でございまするが、肝心の特例措置が昭和四十七年の十二月十五日で期限切れとなったのであります。ちょっといま冷たくなっちゃった。だから、これを復活するということが先決問題だ。したがって、このドル対策法と同時に信用補完のための中小企業信用保険法の特例措置も法律として生かしていかねばならぬと存じまするが、どうか本法の改正も最重要な問題でありまするので、十分ひとつ御留意を願いたいと思います。
 次に、無担保保険の特例、これは別ワク三百万円でありまするが、昨年度におきましてはこれは非常に活用、利用されまして、零細なる中小企業としては非常にこれを歓迎いたしたのであります。ところが、三百万円を百五十万円増額していただいた政府の気持ちについては私は非常に感謝しておるのでありまするが、せっかく四百五十万円までやったならば、わずか五十万円のことだからせめて五百万円ぐらいまでにひとつ増額をしていただいたらどうかと思うのでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
○莊政府委員 お答えいたします。
 無担保保険が前回のドル・ショック融資で利用されましたことは御指摘のとおりでございます。平均で一件当たり約二百万円ぐらいの実績に相なっております。中小企業庁といたしましては、しばしば指摘されておりますように、ドル・ショック融資を受けるのはいいが、零細企業では担保力が非常に不足しておるということを解決するために、この無担保保険については、ドル・ショック融資については実績も大体二百万円ぐらい一件当たりございますので、そのあたりも十分勘案いたしまして、基本ワク三百万円の五割増しという線で実は考えたわけでございます。この程度ございますれば、零細関係の方が金融を受けられる際に、直接担保がなくてもこの保険を利用していただいて円滑な融資ができるもの、かように考えております。
○田中(榮)委員 よく了解いたしました。
 次に、本法にはいわゆる転換措置、事業の転換の場合における措置についても規定されておるようでありまするが、昨年度の実績によりますと、中高年齢者の就職のための円滑ないわゆる就職のあっせん等にも非常に努力をしていただいたと思うのでありまするが、今回のドル・ショックにつきましては、私は転廃業というものは比較的少ないんではないかと考えております。ただし、若干は発生すると思うのですが、その際に、事業転換の中で設備及び機械類の買い上げ措置まで考えていただけるのであるかどうか。その辺、ひとつ中小企業庁長官でもどなたでもお答え願いたいと思います。
○莊政府委員 事業転換は、中小企業業界でもドル・ショックに限らず進めておりまするが、御指摘のように、今回ドル・ショックを受けました産地の中では、今後これが急がれる産地があると存じます。いま県を通じまして緊急診断をいたしておるところでございます。
 転換のための助成措置でございまするけれども、これは国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫からの特別の融資制度もございまするが、私ども一番重点を置いておりますのは中小企業振興事業団からの特別の融資でございまして、これによりまして産地でやはり一つの方針をきめまして、業界が一本にまとまって転換をしていただくということが事実上一番成果があがるわけでありますし、やりやすいので、これを助成するために事業団の融資というものが現在ございます。
  〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕
たとえば、設備を廃棄するときには八割無利子で産地の組合に融資をいたしますというふうな制度もございまするし、前向きに事業の内容を変えていくために新しい資金が要るという、いわゆる転換資金についても、事業団からのいわゆる二分七厘の融資というものが現在用意されております。
 現在、申し上げましたように、各県を通じまして約四十の問題産地について一斉に診断を行ない、業界に対して今後進むべき道と転換についての一つの案というものを提示いたしまして、それに基づいて業界みずからまた十分考えていただく、それで意見がまとまったら助成をするというわけでございますが、そういう県の診断の進みぐあい、その中でどういう要望が出てくるか、どこまで転換をしなければならないかというふうなことをよく事実に即しまして十分に検討いたしまして、事業団の融資一つにいたしましても、私といたしましては、今後その資金量はもとより融資条件等につきましても前向きに役に立つように検討を加えたい、その上で、財政当局の了解がもちろん必要でございますが、中小企業庁としては十分努力をいたしたい、こういう考えでございます。
○田中(榮)委員 次に、私は為替差損に対する政府の態度について少しお伺いしてみたいと思うのですが、この中小企業の輸出関連事業と申しますのは非常にこまかいものをやっておりまして、一がいにこれをいわゆる軽工業と称しております。あるいはかばんであるとかクリスマス電球であるとか、あるいはまた陶磁器であるとか、いろいろな繊維製品の製造であるとかケミカルシューズであるとか、種々雑多でございます。現在こうした小さな輸出関連事業者は為替差損によって非常に損失をこうむって困っておるわけなんですが、先般も私のところへ全国の五十七の団体から陳情をしてきておるのでございまするが、この全国の五十七の団体の気持ちとしては、アメリカが一〇%のドルの切り下げをいたした、そして政府としては二月の十四日に変動相場制に移行したので、実質的にはやはり前回と同じように一六・二三から一六・五ぐらいまでの円の切り上げをしたような結果になる、そこでアメリカの一〇%のドル切り下げによって二十七円二十銭といたしまして、そして現在の為替レートが約二百六十円といたしますと、その差損を実質的に何らかの形で政府において負担をしてもらえないかというけれども、私のほうとしてはたいへんむずかしい問題で、政府が直ちにそういうことをやるということはできない――場合によっては関係業者のほうでは現金でなくてよろしいから、国債でもどうだろうかというような声もあるのでありまするが、われわれとしましては非常にむずかしいであろうということは答えておるのでありますが、政府としては、こういう点についてどういうお考えを持っておるのでしょうか、通産大臣からぜひお答え願いたいと思います。
○中曽根国務大臣 御苦衷はよくわかりますが、公債その他でこれを補償するということ、あるいは救済するということは非常にむずかしいと思います。そのために税金の関係とかあるいは返還猶予とか、そういう措置を実は講じておるのでございまして、そういう制度をぜひ活用願いたいと思う次第でございます。
○田中(榮)委員 私も大体政府の考え方と同じようで、非常にこれは困難であると考えておりまするが、業界全体としてそういう空気があるということだけを一応お伝え申し上げておきたいと存じます。大蔵大臣にもお答え願いたいと思うのですが、きょうは大蔵大臣がいらっしゃいませんから、通産大臣にお答え願った次第でございます。
 それから、現実に為替予約制度というものが現在できておりまして、これが成約のために非常に利益になっておるのですが、二月の二十六日にこの為替の予約制度が実施されまして大体二月ぐらいになると思うのですが、これまでに一体為替予約によるところのそういうものがどの程度利用されておるか。金額にして、件数にしてどの程度利用されておるか。同時に、輸出為替手形の割引でありまするが、それがどの程度に割り引きせられ、どの程度の件数があったか、もしおわかりでありましたならば、大蔵省の関係官からお知らせ願いたいと思います。
○莊政府委員 為替予約のための外貨預託の実績を申し上げますと、十一億三千万ドルに達しております。件数につきましてはちょっと手元に資料がございませんのであとで御報告申し上げますが、前回のドル・ショックの際の実績と比べますると、前回は八億ドルを若干こえた程度でございます。八億一千万ドルとか二千万ドル程度でございまするので、二カ月でございますが、実質は二カ月より半月減っておりますが、その間の予約としてはすでに三億ドル上回っておる、それだけの実績があるということでございます。
○田中(榮)委員 ただいまの計数を初めて知ったのでありまするが、この計数から申しますと、中断はされておりましてもぼつぼつ非常にわずかではありまするけれども成約が成り立っておるのではないかと思うのですが、私はこの輸出為替のいわゆる為替予約につきましては大体いい結果を見ているのじゃないかとも考えているわけでございます。
 そこで、私はこの中小企業の輸出というものにつきまして、アメリカとかヨーロッパというような先進国に出す輸出につきましては問題ないと思うのですが、ただそうでないいわゆる後進国に出す輸出につきまして相当あぶないといいますか、為替の信頼性というものがなくて、それによって不測の損害をこうむるという場合があるのでありまするが、聞くところによりますと、先年大企業の為替リスクに対しまして保険をつけたらどうか、保険を付するような制度をつくったらどうか、もちろん大企業でありますから、これは三年とか五年とか相当長期の延べ払い制度になっておりますから、ある程度為替のリスクというものは当然あるわけであります。中小企業の輸出関係につきましても、最近においてはもう六カ月が普通でございます。特にある後進国等につきましては、輸出した品物が現実に先方に着荷する、その上で為替を振り出されるというような関係で為替のリスクが相当あるわけでありますが、そういうものに対して何か為替リスクに対する保険を付するというような新しい制度は検討できぬものであるかどうか。フランス、ドイツにおきましては、すでにこうしたものが現実に採用されておるということも私は聞いておるのでございますが、この点についてはいかがなものでしょうか。大蔵省の御関係の方から御回答いただけるでしょうか。
○増田(実)政府委員 ただいまの田中先生の御質問に対してお答え申し上げます。
 まず輸出保険制度でございますが、御指摘がありましたように、去年からフランスあるいはドイツその他のヨーロッパ諸国で為替変動保険というものが新しい制度として発足いたしたわけでございますが、御指摘になりましたように、大体二年をこえます延べ払い、現実にはプラント類につきまして為替変動についての危険を保険する、こういう制度になっております。ただいま御指摘になりました中小企業者で決済が半年以上にわたるケース、これは中南米その他に対して輸出するものにつきまして例がございますので、これらにつきましても輸出保険制度という、いわゆる為替変動保険というものが適用になるかどうかということにつきましては、これは諸外国の例を調べましたがございませんが、日本で行なう場合にはそれを対象にするかどうか、技術的にどういう問題があるか、現在いろいろ検討中でございます。
○田中(榮)委員 次に、私は最近輸入されている品物の物価が逆に上がっておるという事実につきましてちょっと御質問したいと思うのですが、輸入価格が逆に上がってくるいわゆる反騰傾向が最近ありまして、三月には平均ならして一・三%、これは日銀が四月二十日に発表したものを土台にして申し上げるのでありますが、その報告によりますと、三月の総平均指数は、四十年度を一〇〇としますと、輸出物価においては九九・九、これは〇・五上がっておる。輸入物価につきましては一〇六・五%で、これが一・三%上がっておるということでございます。これは昭和四十六年十二月のスミソニアン調整の際の円切り上げ後七カ月間に続いて下落しておったのであります。今回のこのドル・ショックによって、先ほど私が申し上げましたとおり、実質的にはアメリカのドルの切り下げ並びに日本の変動相場制に移行したというようなことから、実質的には一六・何がしかの円の切り上げをしたと同じような結果になっておるのでありまするが、わずか二カ月間のうちに、昨年は七カ月間の間に下がり続けておったのが、今度は二カ月もたたぬうちに急に上がり出したということにつきましては、これは日銀の話によると、海外の市場が非常に強いのだとか、あるいはまた円がフロートしているからというようなことを言っておりまするが、この輸入物価が上がるということは、輸入の品物を原材料としております輸出に直ちにこれがはね返ってくるわけでございます。したがって、原材料ともなる輸入物資についての値上がりというものは相当注目せねばならぬと思うのですが、今後の日本の輸出生産のために、輸入価格の反騰は、われわれとしてはほんとうに警戒せねばならぬと思うのでありますが、この輸入物価の抑制ということはたいへんむずかしいと思うのです。国際価格による輸入がはたしてできるかどうか、こういう点でありますが、政府としては、この輸入価格の抑制について、何らかいままで措置を講ぜられたことがあるのかどうか、その点について通産大臣からひとつお答え願いたいと思います。
○山下(英)政府委員 ドルがフロートになりましてから、特に消費財の輸入品につきましてはその引き上げ分を消費者に還元するよう、昭和四十六年の際も私どもは十二品目を選んでやりましたですが、今回もさらに八品目を追加いたしまして、追跡調査をいたし、輸入代理店等を通じ、また関係業界に値下げするように勧奨をいたしております。ただ、そのほかに、農産物も含めまして鉱工業原料等も同じように本来為替の差分だけは引き下がってしかるべき状態にございます。しかしながら、去年の秋からことしにかけまして、世界的に穀物その他鉱物資源が海外で価格が上がりぎみでございます。その理由は品目ごとに多々ございますが、全般的に上がりぎみでございまして、そのためにせっかくの日本のフロートによる対ドル引き上げ分の効果が減殺されている事情もございます。私どもとしましては、原料が国内に入って加工製造されて、その最終消費の段階まで価格の引き下げ効果が及ぶようには勧奨いたしておりますが、いま申し上げました事情で、必ずしも十分でございません。
○田中(榮)委員 時間が参りましたからこれで質問を終わりたいと思いますが、最後に一言だけ質問したいと思うのです。
 実は、市場開拓準備金制度というのが、租税特別措置法によっていま中小企業はわずかな恩典に浴しておるのでありますが、これが来年の三月三十一日で期限切れでなくなってしまうのですが、せめてかぼそい輸出関係中小企業に対しましては、この程度の租税の恩典は授けて差しつかえないのじゃないかと思うのですが、この点につきまして大蔵省からひとつ御答弁を願います。
○伊豫田説明員 お答え申し上げます。
 輸出振興税制につきましては、御承知のとおり昭和四十四年度ごろより次第に廃止の方向で、縮小、廃止を続けてまいりました。昨年の暮れに、なお期限を存しながら、資本金十億円以上の法人につきまして、海外市場開拓準備金の制度を廃止したわけでございます。その際、なお期限が残っておるということで、中小企業ないしは中堅企業、資本金十億円以下の企業につきまして制度の存続をはかっております。これもただいまのところ、われわれといたしましては、期限の到来とともに廃止してしかるべきものと考えておりますが、なお、来年度税制改正の一環として検討させていただきたいと考えております。
○浦野委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
   午後零時四十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時十二分開議
○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び国際経済上の調整措置の実施に伴う中小企業に対する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を続行いたします。中村重光君。
○中村(重)委員 さきに通産省並びに中小企業庁が全国の主要輸出産地九十八についての影響の調査結果を発表したわけですが、その後さらに影響の度合いが深まるのではないかという見通し等も立てておったようでございますから、その後の影響がどのように出ているのか、具体的にひとつお聞かせをいただきたいと思います。
○莊政府委員 ドル・ショック直後調査いたしましたところ、九十八産地で輸出が二〇%以上減るであろうという調査結果を得たわけでございます。特に労働集約度の高い雑貨等の産地におきまして相当な影響が予想されるという業界の判断がございました。それで三月末日に至りまして、ドル・ショック後、輸出成約の状況がどうなっておるかという点に重点を置いて調査をいたしました。産地によりましては、組合員等から詳細に事情を調べるというのが手間どりまして、まだ報告全部がそろっておりませんが、九十八産地のうちで報告が届いていないものがまだ三十七組合、これはいずれ報告が参ると思います。報告の来てないものが三十七ございますが、残りのうち五十七組合では成約がなされております。
 二月はほとんどなかったのでございますが、三月に入って漸次海外との商談が進みまして、新規の契約がなされておる。それから三月中に残念ながら商談がなかったということを報告してまいった産地が六つほどございます。こういう状況でございます。
 なお、その輸出成約のあったという五十七の産地でございまするが、実は五十七の中のかなりの数の産地でございますが、ドル価格のある程度の改定と申しますか、引き上げを実現した、これは三月の段階でございますからまだ途中かと思いますが、ある程度実現したということを報告しておる組合もございまするが、全体として見ますると、円ベースでは、輸出では円の手取りというものはやはり減少を避けられない、こういう状況でございます。
 幸いに内需の関係におきましては、現在のところ、金融引き締めその他の影響もまだ目立って出るには至っておりませんので、内需に依存する度合いの高い産地におきましては比較的安定しておる、こういう状況でございます。
○中村(重)委員 中小企業庁のほうで影響の度合いについて資料を出されているわけですが、それによると、「前回のショック前の水準と横ばいないし低下している産地が六割を占め、今後も四割の産地は一そうの低下」をすると予想される。「休廃業、倒産もすでに延べ六十一産地九百六十一企業で発生、今後も当面六十九産地で約九百企業の発生が見込まれている。」「今回のショック直前の経営状況は、前回のショック前と比較して雑貨を中心に六割の産地で悪化している。」輸出額は、「一ドル二百六十五円程度を想定した場合には、実勢に対し二七%の減少と見込まれる。」一ドル二百五十五円以下の場合は四一・五%の減少の見込みとあります。
 ただいま私が読み上げました影響の度合いということにつきましては、中小企業庁からの資料だけではなくて、通産大臣が本会議あるいは委員会等においても明らかにしてきたところでございますが、そうした影響の度合いというのは、変動相場制がさらに続いているという現段階の中におきまして、政府が見通しとして二百六十五円の場合は二七%であるとか、二百五十五円以下の場合は四一・五%というような輸出の減少が見込まれるということでございますから、大体そこらあたりをずっと、通貨は二百六十五円あるいは二百六十円程度というようなことで動いておるようでございますから、相当な影響が出ることは間違いはないと思うのでありますが、これに対しましては、さきに緊急措置というものを閣議決定をされまして、いま私どもが審議をいたしておりますこの法律案の中におきましても、閣議決定以外の問題に対しまして政府の方針が明らかにされておるわけでありますが、政府及び業界の対応策というものは、まだ政府が明らかにされたこと以外に、また緊急対策あるいは法律案の中で明らかにされたこと以外に、私はいろいろあるのじゃないかと思われます。したがいまして、それらの対応策について、この際、大臣からお考え方を明らかにしていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 法律的なやり方や行政的なやり方は大体緊急措置の中に盛り込まれておると思いますが、現実の行政執行の面におきましていろいろわれわれが考えなければならぬ問題が多々あると思います。
 第一は、この現実の把握の問題でございまして、やはりどの程度の成約がどの程度の金額で行なわれており、それがここ二カ月、三カ月、六カ月あるいは一年ぐらいにどういうふうに推移するであろうかということを的確につかむ必要がございます。これはわが国の側からつかむ必要もあるし、アメリカそのほかの大きな輸出国の逆の面からもつかんでいく必要がありまして、その見通しを業界に与えることが非常に大事な仕事であるだろうと思います。
 それから第二に、情報が不徹底のためにいろいろ措置があることを知らない方々も中小企業、特に零細企業の中にはまだあると思います。先般、上野でグローブをやっていらっしゃる方がそういうことのうまくいかなかったために非常に気の毒な事故を起こしましたけれども、ああいうことが再び起こらないように、ともかく困ったらかけつけてください、そういう趣旨のことを徹底して政府として万全の周到な措置を講ずるという点においてまだ必ずしも行き足りないのではないか、そういう点で各通産局及び県の商工部とも連絡をし合いまして緊密にやっていきたいと思うわけでございます。
 第三点は、今回やりましたいろいろな措置の中で、今回特有の事情にかんがみまして、業界や業者の方々からいろいろ特別な御注文やら御要望があるかもしれぬと思うのです。前と同じことが繰り返されるということだけではなく、新しいファクターが入っております。そういう点は役所では把握しきれないものでございますので、そういう点につきまして克明に要望なり陳情をくみ取りまして、それを新しく政策として打ち立てていく、そういうことがまた非常に大事ではないかと思います。そういう行政執行の面におきまして私たちは大いに今後も努力してまいりたいと思います。
○中村(重)委員 緊急対策ということになってまいりますと、ショック療法というようにも私は言えようかと思うわけでございます。まあショック療法はショック療法として、これは当然やらなければなりません。だがしかし、資本の自由化というものが政府の方針として、いま次から次に自由化方針についても明らかにされてまいっております。低開発国の追い上げというものはさらに激しくなってくるであろうということも予想されてまいります。
  〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
それならば緊急対策ということだけではなくて、恒久的な対策というものが当然確立をされ、実施に移されていかなければならないと思います。したがいまして、恒久対策としていま政府がお考えになっていらっしゃることはどういうことなのかという点を一応伺ってみたいと思います。
○中曽根国務大臣 これは何といっても高級品に転換していくとか、あるいは省力化に進んでいくとか、いわゆる知識集約型の方向に各業界内部において、また業界ごとにそういう方向に転換の必要があるものは転換していくということが長期的に見た大事な対策であるだろうと思います。そういう近代化、合理化、高級化ということにつきましては、各支分部局等を通じて積極的に今回も勧誘もし、相談もし、協力していく、そういうことでやっていきたいと思います。
○中村(重)委員 まあ一応の考え方というものはわかるのでありますけれども、私はいま少し具体的な恒久対策というものがなければいけないと思う。知識集約型と申しましても、題目はよろしいのですけれども、じゃ具体的にどうなのかということになってまいりますと、これはなかなかむずかしい問題であろう。また、政府が知識集約型というような形において題目を掲げて、そしてその裏づけとなる予算ということはどうかということになってまいりますと、きわめて貧弱な予算しか計上していないということになってまいりますと、考え方はわかるとしながらも、さてその実行面においていかがであろうかということになってまいりますと、あまり大きな期待は持てないというように私は考えざるを得ないと思っております。しかし、それらの問題は、これから基本法の法案の審議もあるわけでございますから、あるいはまた、中小小売商業振興法案の審議もまだあるわけでございますから、それらの中でさらに幅広くひとつ考え方をただしてまいりたい、こういうように思います。
 そこで、このドル・ショックの問題と関連をいたしまして緊急あるいは恒久的なもの、これは当然この法律案の中で政府が明らかに示していただかなければならない問題といたしまして、大臣がいまお触れになりましたが、企業転換対策をどうするのかという問題でございます。また、企業転換対策ということを進めていくについては、前回の一昨年のドル・ショックの中で企業転換というものが相当行なわれたでありましょうから、その実績はどうなのか、今後の見通しはどうか、また、政府はこれに対して企業転換をどういう具体的な施策をもって進めていこうとするのか、それらの点に対する考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
○莊政府委員 前回の第一次ショック後、いわゆるドル対策法に基づきまして、転換事業計画の認定という手続を経まして転換を行ないつつあるという企業は、現在のところ二十を若干上回っておるという程度でございます。これはすでに各県知事の認定を受けた実績でございます。これ以外に特に認定ということはございませんが、繊維の産地等におきましては、製品の高級化、内需への転換というふうなことが相当幅広く行なわれてまいっておるということは先生御案内のとおりでございます。
 また、たとえば秋田のクリスマス電球業界というふうなものは、現物出資の形で設備を韓国へ出しまして、現地で生産をしてアメリカに輸出をする。残った従業員は、その相当部分が、たとえば卓上電子計算機の表示盤というふうな電子部品、その他の弱電部品の加工業のほうにいわゆる転換をいたしまして、従業員の相当部分をそれに当てつつあるというふうな形で行なわれております。
 それから、燕の洋食器等におきましても、プレスの設備技術あるいは研磨の設備技術というふうなものが相当ございますので、いわゆる成長分野に属します機械等の部品の生産あるいは加工というふうなところに現在産地全体として非常に熱心に取り組んで、次第に成績をあげつつある、相当幅広い転換の動きが出てきておることは事実でございます。
 これと同時に、ある産地におきましては、現実の問題として、この第二次ショックに直面いたしますまで、いま例にあげました産地ほどには転換というものがいわゆる軌道に乗ってないと申しますか、これから本式に転換に取り組まなければならないという困難な問題をかかえておるという産地もあることもまた事実でございます。
 私どもは、主としてそういう立ちおくれたと申しますか、これから困難な問題に立ち向かうべきそういう一部の産地というものを十分念頭に置きましてこれから指導もし、助成もして、それがレールに乗るように努力をいたさなければならない、かように考えております。
○中村(重)委員 広い意味の企業転換ともいえましょうし、企業転換ということよりも、政府の施策としてこれから推進をしていかれるのではないかというようにも思うのでありますが、国内で立ち行かなくなった企業が海外進出という方向は当然出てくるわけであります。これに対しましては国際分業との関係等も出てまいりましょうし、大臣の方針として企業の海外進出、国際分業化の方向をこれからどう進めていこうとお考えになっておられるのかという点と、それから事務的な関係につきましては長官から、この海外進出の状況はどうかという具体的な詳細なデータを明らかにしていただきたい。方針と、それから具体的なデータ、その二つをお願いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 中小企業の海外進出はまだそれほど多くはございませんが、しかし非常に有望な分野であろうと思っております。
 私の知っておるものでも、群馬県あたりの中小企業でも東南アジア、特に韓国あるいは台湾等に出ておるものもすでにございます。やはり東南アジア等におきましては、アメリカのようなああいう大型の、またアメリカ的なシステムによるものが必ずしも合わないので、むしろああいう農業国から工業国に発展しようとする段階におきましては、日本のような家内工業から発展していったような中小企業のほうが合理的に定着しやすい要素もございますし、また、地元の人々を雇用に使うという機会もかなりあるわけでございます。
 そういう要素から、日本の中小企業をそういう東南アジア方面に海外進出させるということは非常に適当なことであると思いまして、通産省としては積極的にこの政策を進める考えを持っております。今回、予算におきましてもそういう協会をつくりまして、中小企業関係が海外へ進出していくためのあっせん、誘導あるいは資金の供与等についてもいろいろめんどうを見させていただくという措置をやっておる次第でございます。
 具体的には長官から御説明させます。
○莊政府委員 大臣の御答弁の補足をさせていただきます。
 進出の状況でございますが、全国の中小企業製造業だけで七十数万あるということを基礎に考えますると、現在進出しておりますのが約四百程度でございますから、ごくごく一部が進出しておるということかと存じます。大企業も含めました全体の企業進出が約千二百件強でございますから、三分の一以下であるということでございまして、中小企業の比率というのが九九%ございますけれども、海外進出におきましては全体の三分の一というふうなことで、大臣が申し上げましたとおり中小企業としてはあまりないということが言えようかと思います。
 それと、今後の政策を考えます場合に念頭に置くべき一つのことは、この進出の状況を見ますと、台湾、韓国というふうな近隣諸国に非常に片寄って集中しておる。これは地理的な関係、その他日本との結びつきの深さ、あるいは民度の高さ、経済力等からいいまして当然かと存じますが、四百件の中で二百十件程度の過半数がこの両国に集中しておる。東南アジアと申しましてもほかに国は多いわけでございますが、これというのはほとんど台湾、韓国であるということが今後の中小企業の進出を考えます場合にも考えるべき一つの点かと存じます。
 なお、最近は、LDC諸国におきましては、それぞれの経済の発展の度合いに応じまして、進出してくることを歓迎する業種と、そうでない業種を仕分けをするとかいう傾向がかなり出てまいっております。また、従業員もある程度自分の国のものを使うことを義務づけるとか、あるいは部品の調達についても同様、そういうガイドラインをしく、あるいは自国からの輸出について要望するというふうな意味で、外資導入について全部許可制をとっておりますが、いろいろチェックがなされるということが起こっております。台湾、韓国はもちろんでございますが、それ以外の国におきましても、そういう外資たる日本の資本の受け入れについて非常に関心を持ってきておりますので、中小企業といえどもそれに適合して好まれる外資として出ていく、向こうの経済政策にも全般的に協調するという形が必要かと存じます。
 なお、もう一点しいてつけ加えさせていただきますと、四百ほど出ております日本の企業のいわゆる事業としての活動の態様でございますけれども、日本にどっと逆輸出をしてくるというふうな不安がかつては非常にあったわけでございますが、私どもが調べました最近の結果では一割を切っております。七、八%日本に輸出もしておるけれども、主としてその進出国の内需を満たしておる。つまり輸入防遏に役立っておる。あるいはアメリカ、ヨーロッパに輸出をしておる。これは日本の目から見たら第三国輸出でございますが、その国にとっては貴重な外貨の獲得として貢献を始めておるということでございまして、こういう方向での発展ということはぜひ今後とも維持するということが望ましいのではないかと考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 輸出保険というのから投資保険ということに変わったというようなことを考えましても、政府が海外投資に相当力こぶを入れていこうという意欲的なものが出ているわけであります。また、発展途上国におきましても、国際収支の関係からむしろ借款よりも投資を期待するというような傾向も実はなきにしもあらず。ところが、海外に企業が進出をしてまいりますと、多国籍企業というものは多国籍企業としてのまたいろいろな役割りはありましょうが、弊害というものもかもし出されてきているというような点もありますし、日本の企業の海外進出というものはエコノミックアニマルといわれるようにあまり評判がよくないということになってまいりますから、そのことに対する政府の指導方針というものも明らかにされなければならないわけであります。
 また、いま大臣から、企業の海外進出ということについて好ましいことであるというお答えがあったわけでありますが、大臣がいまお答えになった企業の海外進出ということは、その企業が海外に進出するということ自体を中心にお考えになっていらっしゃるのか、それだけではなくて、やはり海外経済協力という意味の国際分業的なことをお考えになっておられるのかという点であります。その基本的な考え方によって、私は政府が具体的にこれから進めてくる施策も変わっていくのではないかというように思います。したがいまして、大臣がいまウエートを置いていこうとしているのは海外経済協力という観点の上に立った国際分業的な方向でこれから進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、それよりもまず日本の企業の海外進出の推進をやるというようなことにウエートを置いていこうとしておられるのか、その点に対するお考え方はいかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 政府としては、企業の海外経済協力という観点からこれを特に推進していきたいと思います。企業の側からすると、いろいろ労働力やそのほかの関係からして海外へ出ていきたいという主観的な欲望もあるかもしれませんが、政府側の態度としては、海外経済協力という観点からそれを適当に調整をしあるいは指導していきたい、そのように考えます。農業国家が多いわけでございますから、一挙に工業国家になるにしても、経営能力とかあるいはトレーニング、研修を要する点がかなりございます。そういう面からいたしましても、日本の中小企業が出ていって、現地の人の間に定着して、そうしていろいろ企業の運営の方針、方向あるいはマーケットリサーチの方向とか、そういうようなことを現地の人に自然に習得してもらうということは、見えない教育的効果もございますし、現地にそういう経営者思想をつくる一つのモメントにもなるだろうと思います。そういう意味において、私は中小企業の海外進出を経済協力の意味において特に推進してまいりたいと思うわけでございます。
○中村(重)委員 まだこうした基本的な問題についていろいろ政府の考え方を明らかにしていただきたいとも思っておりますが、時間の関係もあることでありますし、できますだけこの法律案の審議を消化してまいりたい、このように考えますので、具体的なドル対策の問題にしぼってお尋ねをしてまいりたいと思いますが、企業の転換をいたします場合、やはり手かせ足かせになってまいりますのは、従来持っている設備が一番問題になるわけであります。この設備をどうするのかということですね。具体的に言えば、設備の買い上げということが政府施策の中の相当なウエートを占めていかなければいけないのだというように私は思うのでありますけれども、その点に対する考え方はいかがでしょうか。
○莊政府委員 設備の買い上げの問題でございますけれども、このドル対策法に対する裏づけの助成措置といたしまして、中小企業振興事業団から、いわゆる共同設備廃棄の場合におきまして、それに対して無利子の金融をつける、所要資金の八〇%の金融をつけるという制度を発足させておるわけでございます。この制度は、設備共同廃棄まで踏み切るに至った産地が、第一次ショックのもとであまりございませんでしたために、現在まで実際に行なわれたのは一件というふうな状態でございまして、さらにもう一件が目下計画中というふうな段階でございます。
 私どもといたしましては、設備を共同で廃棄する場合に、御指摘のように、やはりその設備によって生産をし売り上げをして人間をかかえておったというふうな状態が、一部廃棄することによって生産もなくなるわけでございまして、金繰りの面でも非常に苦しくなってくるということでございますから、この廃棄のための助成措置というものは今後さらに検討いたしまして、できるだけ充実強化をはかりたい、かように考えております。
○中村(重)委員 大臣、いまお聞きのとおりでございますが、この高度化資金でいまやっております共同廃棄ということは、私はドル対策という形と全く結びつかないとは申しません。しかし、必ずしも緊急対策あるいは恒久対策として企業転換を進めていくためにというような、そのものずばりでこのことが考えられたものでもないのではないかというように思うわけです。全くそうではないとは言いません。やはり共同廃棄の問題というようなものも、これはショックのごとくその他いろいろあるわけですからね。しかし、この緊急ドル対策として、その対策の対象となっておりますものが業種指定であり、あるいは産地指定であり、大臣認定であり、三つなっている。したがって、協同組合等で共同で廃棄するということだけではなくて、やはり個々の企業が企業転換をいたしますために設備を廃棄するということが当然起こってまいります。したがいまして、この設備の買い上げというような問題は、当然緊急あるいは恒久対策として相当重視していかなければならないのだと私は思うのであります。大臣は、その点に対してはどのようにお考えになりますか。
○中曽根国務大臣 目下のところは共同廃棄という共同性を要件にあげておるわけでございますけれども、確かに、御指摘のように、そういう共同でまとまってやるということはかなり困難な事情が出てくるだろうと思います。したがって、個別的に自分のほうは転換したいというようなものもあると思いますから、実情によりまして、そういう面について将来改革を加えることを検討していきたいと思います。
○中村(重)委員 大蔵省からも御出席でございましょうから、担当の主計官、大蔵省の考え方はいかがですか、この設備の買い上げについては。
○禿河説明員 私ども、事業転換あるいは設備の近代化あるいは先生御指摘の共同廃棄とかそういう問題につきまして、通産省ともかねがねいろいろ連絡協議いたしておりますが、この点につきましては、今回のドル・ショック対策におきましても、閣議決定におきまして事業転換を今後さらに進めていくということで、もし必要がある場合には必要な出資を中小企業振興事業団に行なうというところまで考え方を進めておるわけでございます。共同廃棄等の問題につきましては、確かに私どもいままでの実績等を考えてみまして、非常に実績があがっていないということから、それの要件の緩和とかいうふうな点につきましては、今後また中小企業庁と十分相談をして、実態に合うような、そういう方向に今後研究を進めてまいりたい、かように考えております。
○中村(重)委員 買い上げについては、これは予算が必要であることは言うまでもございません。これは融資ではなくて買い上げでございますからね。買い上げの対象というものをどういうものにするかということ、買い上げの主体はだれかということ、それから現行の立法その他制度の中でこれが可能かどうかといったような点についてはいかがですか。
○中曽根国務大臣 現行の法制の中ではかなりむずかしいと思うのです。しかし繊維について、これは日米繊維協定という事態に対していろいろ緊急措置を講じました。繊維と、今度のドル・ショックとはケースは違いますけれども、しかし事業がドル・ショック等のためにやれなくなったということで転換しなければならぬという点においては変わりはないのでありまして、事態を考えて当事者の気持ちになってみれば、むしろ国として手を差し伸べるべきケースであるだろうと私は思います。ですから、いまの法制の体系ではむずかしいでしょうけれども、今度のドル・ショックの実態をよく見きわめまして、そういうことに手を差し伸べる方向に事態を改革するように私は検討して持っていきたいという気持ちを持っております。
  〔田中(六)委員長代理退席、稻村(佐)委員長
  代理着席〕
○中村(重)委員 大臣が前向きでお答えになったわけでありますから、重ねて私は申し上げることをきょうは避けますが、実はきょう私が初めてこの問題を取り上げたのではないわけであります。一昨年のドル・ショックの際も、設備の買い上げの問題は当然やらなければいけないということを強く主張してまいりました。おそらくこれは私どもだけではなくて、与党の中にもそういった考え方の者もいるのではないかというように思われるわけであります。大臣がいまお答えになりましたような方向で、この設備買い上げの問題は、必要な立法措置も行なうあるいは予算的な措置も行なう、そういう方向で進めていただきたいということを強く要請をし、また大臣のお答えに期待をいたしたい、こう思います。
 次に、緊急措置として決定をされました二千二百億の問題について私は触れてみたいのでありますが、フロートが長期化してまいりました。また金融引き締めが現に行なわれてまいりました。フロートが長期化する、金融引き締めが行なわれるということになってまいりましても、蓄積が非常に大きくなってまいりました大企業にはさしたる影響というものはないのではないか。むしろもろにそれを受けますものは、蓄積力のない、弱い中小企業者である、私はそのように考えるわけでございます。
 そのことを考えてまいりますと、はたして二千二百億の緊急措置で足りるのかどうかという点であります。前回は一千八百億、しかし繊維協定に基づきますところの助成措置で一千二百億でございましたから、合わせますと三千億でございます。今回は度合いがさらに深刻になっておるのにもかかわらず、二千二百億というものは、私は不足をするように感じられるわけであります。したがいまして、前回の千八百億は全部使い切ったのか。伝えられるところによりますと、十七億程度残っておるというようにも言われておるのでありますが、それらの具体的な点についてお答えをいただきたいことと、二千二百億ではたして足りるのかどうか、その点に対しましても考え方をお示しいただきたいと思います。
○莊政府委員 前回のドル・ショックの融資実績でございますが、最初千五百億のワクを閣議できめまして、年度末に至りまして資金需要がさらに強いということで三百億の追加がなされまして、合計千八百億でございます。それで千八百億に対しましては、これはぴたりではございませんで、若干余裕を見てその三百億という追加をしておるということもございまして、十数億円だけはワクが余って一応融資が終了したということになっております。
 今回は当初分と申しますか、最初から二千二百億として、当然千八百億以上の額でございますし、その上に、これは相当業界のほうから要望が強うございました点でございますが、返済猶予というものを行なうことにいたしたわけでございまして、経営安定のために当面緊急に必要とする資金繰り、これに対する手当てといたしましては、新規に貸し出す金融ももちろん必要でございますけれども、現在借りておって、当然返す前提で資金繰りを考えておったものが、そこの肩がすく。もうこの点は保証人なり担保なり全部ケリがついておりまして、延びればそれだけ手元が楽になるという効果が発生するわけでございまして、この返済猶予というものは、当然企業としては、第一次的にその資金繰りのワクを充当、消化します場合には、これだけ要るんならここだけは繰り延べによる肩すかしによってまずあけたい、足りぬからこれだけまた新規に借りたい、まあこういうことでございまして、これが数百億円はあると思いますので、二千二百億円にそれを足したレベル、これを最初から決定しておる、かように御了承願いたいわけでございます。
 繊維の問題もございますけれども、不幸にして前回はああいう繊維だけねらい打ちの措置というものがございましたので、これはこれとして別途緊急融資が行なわれたわけでございまして、一般的ないわゆるドルの価格の価値の変動に伴います、つまりドル・ショックによる経営不安、それに対する融資というものを私どもは今回二千二百億プラス返済猶予の数百億ということで設定しておるわけでございまして、これと対比していただきます際には、ぜひその当初千五百億、追加して千八百億でありました前回のその融資ワクというものと比べていただきたい、事務当局としてはかように思っているわけでございます。
○中村(重)委員 予算に計上いたしておりますから、禿河主計官にお尋ねいたしますが、前回の信用保険の引き受けワクはいくらだったのですか。
○莊政府委員 御質問の趣旨を取り違えておりましたら訂正させていただきますが、前回の第一次ドル・ショックの際のいわゆる別ワクの輸出関連保険として幾ら予定しておったかというお尋ねかと存じますので、お答えいたしますと、前回はたしか二千億というものを一応予定しておったというふうに承知いたしております。
○中村(重)委員 当初五千億であったわけですね。当初五千億であったのを二千億に減らしたのではありませんか。どうですか。
○原山政府委員 前回のドル・ショックの保険ワクは、いろいろ想定いたしまして当初から二千億円程度のワクがあれば十分ではないか、こういうふうに判断いたしたわけでございます。
○中村(重)委員 最終的には二千億になった。これは当初は五千億ぐらい必要であろうという考え方であなたのほうは保険公庫との間にセットしておる。しかし、それだけのワクは必要ではないというので二千億に減らしたというのが実情ではないか。しかしいずれにいたしましても、最終的に二千億になっておりますから、いまのお答えでよろしゅうございますが、その実際に使ったのは幾らですか。
○莊政府委員 前回の実績は六百六十四億四千七百万円でございます。
○中村(重)委員 私の調べたのを申し上げたように、五千億であった。しかしそれが二千億に減らした。その二千億であったにもかかわらず、実際に使ったのは六百六十七億でありますか、約六百七十億弱。どうしてそんなに大きく見通しが狂ったんですか。
○原山政府委員 実際にはいろいろ企業金融が緩和いたしまして、内需が非常に旺盛だったこと、企業の手元流動性が非常に豊富になったこと等等、それと政府関係機関の金融で、大体この程度でおさまったのではないかというふうに思うわけでございます。
 それから、先ほどの私の答弁、ちょっと訂正さしていただきますと、予算総則のワクは五千億でございますが、引き受けの額としては二千億、こういうふうに相なっております。
○中村(重)委員 どうもあなたが、金融緩和になって、まあそれだけ必要なかったのだ――それにいたしましても、あなたのほうでは、今回も前回も各通産局を通じて調査をしたんですね。産地の状況はどうなのか、業種はどうなのか。また大臣が指定をしなければ――大臣認定というのも実は出ているわけでありますから、いろいろ調査をしてそういう決定をされた。そうしてまた、保険ワクというものもおきめになった。ぎりぎり二千億程度は必要であろうということで決定をされたのに、六百七十億弱しかこれを使わなかった。私はこれは非常に不見識だと思う。こういうことだから、大蔵省に対してあなたのほうで予算要求をしても、大蔵省は、中小企業庁の要求というものはどうも当てにならぬ、こういう形で大蔵省攻勢が生まれてくるのは私は当然だと思う。
 それじゃお尋ねをいたしますが、ドル対策に関連をして保証しなかった分はございませんか。
○原山政府委員 先生の御質問の趣旨は、保証を申し込んで、まあいろいろの観点から実際には保証してもらいたいというものに対して、保証協会あるいは保険との関連で断わったものがあるかどうか、こういう御質問かと存じますが、実際には私ども、弾力的にできるだけ運用するようにというふうな指示をしておりますので、そういう例はきわめてまれだろうというふうに思っております。
○中村(重)委員 きわめてまれであろうでは困るんだ。前回に続いて今回、わずか一年有半にして再度のショックが生まれてきているんだから、前回は具体的にどうだったのか、今回はどうすればよろしいのかということを、具体的な実績の上に立ってあなたのほうは今回の引き受けワクというものもおきめにならなければいけない、そう思う。それならば、できるだけこれを運用するように、全部を保険の対象にするようにということで指導してきたんだから、そんなことはまれだろうというような答弁では、若干不見識ではありませんか。
 それじゃ私が申し上げますよ。いまあなたがおあげになりましたようなことも入っておるのでありますけれども、別に百三十億というのが保険の対象以外に使われておるということであります。融資がされておるということであります。百三十億という、これは合わせて八百億近くになるのでありますが、なぜにこうした額が必要になったのか、どこに問題があるのか、それをきわめなければ今回の対策は出てこないのですよ。前回の実績の上に立って具体的な対策を講じられるということが当然じゃありませんか。
○莊政府委員 一般的には担当部長からお答え申し上げましたように、第一次ドル・ショックは、幸いにと私は思っておりますが、当然予想されたほど深刻な決定的な打撃を幸いに免れることができました。これは内需の非常な伸びとかあるいは思わざるアメリカの物価騰貴なども幸いいたしまして、輸出のひどい落ち込みがある程度救われたというふうな思わざる条件変化で、金融もゆるみ、中小企業も当然予想された被害の一部でとどまったということでございまして、私は幸いだったと正直に思いますが、その時点では二千億ぐらい用意したわけでございます。今回も、いま先生からおしかりを受けたのでございますが、大蔵省との間でも前回のワクと実績との関係でというふうな問題になりましたが、財政当局も、今回の第二次のショックでは第一次のように神風が吹くという保証は何もないということで、たいへん憂慮してくださいまして、今回も保険準備金の大幅な出資というようなことで予算措置も行なわれたわけでございますが、やはり見込みと実績とが食い違ったということは自慢にはなりませんが、その逆にはならなかったという意味では何とかお許しを願いたい、実はかように思っておるわけでございます。
 それで、八百億と六百数十億との差でございますけれども、これは先生御案内のとおり、県の段階では保証協会が一応受けておる。ところが、国の保険に持ってくるときには限度の関係もあって一部はずれるものがある。県単独で保証協会が保証をやっていっておるワクというものがございます。いわゆる限度超でございますが、限度超の保証というものがございます。こういうものが主たる原因であろう、かように考えております。
○中村(重)委員 私の質問に対してまともな答弁になっていないのですよ。二千億という引き受けワクをとったわけですね。そして現実には六百六十七億であったというわけです。六百七十億弱なんです。ところが、別に別ワクとして百三十億という金が保証協会の保証の中で融資されておるということです。二千億というワクがあるのに、なぜにわずかに六百六十七億をこの緊急融資の保険の引き受け対象にしているのか。これは条件が違うんだから。利率にしても何にしても条件が違うんだ。何も好き好んでこの緊急特例措置の外で保証協会の保証を受けようなんという者はおりませんよ。にもかかわらず、百三十億という別ワクで融資を受けなければならなかったのは何かということをきわめる必要があると私は言うのです。なぜにこういうことになったのか。ところが、長官のお答えから言えば、あなたも知っておるとおりだ。保証協会というものはその県々でやっているんであって、必ずしも国の方針どおりにならないような点もある、そういう簡単なことで片づけてよろしいですか。やはり前回の実績の上に立って今回は幾らにするかということをまず考えなければなりません。今回も二千億ということをやっておられる。保険ワクの引き受けは二千億なんです。そして緊急融資は前回は千八百億、今回は二千二百億、これはたいして変わらない。政府の特別措置というようなものも含めますと今回はずっと少なくなってまいります。ところが、保険の関係になってくると、前回も二千億だったから今回も二千億だ、実績は六百六十七億だった。こんなちぐはぐな緊急措置なんということがあってもよろしいのですか。百三十億というが別ワクとして保証されておるならば、その原因をまずきわめて、どんな問題があったのか、今回はこれをどう直せばよろしいかという、そうした具体的な施策を講じていくことこそ生きた行政のあり方ではありませんか。それに対して私の質問にお答えもできないといったようなことでは、ほんとうに私はドル・ショックによって大きな影響を受けておる中小企業者は泣くにも泣けないというように思います。そうお感じになりませんか。
○莊政府委員 保険の引き受け実績と保証との差が百億ちょっとあるという点は、先ほど申し上げましたとおり、いわゆる限度超の問題でございます。国では、たとえば普通保険についてここまでというふうにきめてありますが、県によりましてはそれを上回る限度額をつくりまして、信用保証協会で保証をつけておるということがございましたので、そこでその差額が累積して百億ちょっとのものになる限度超の問題でございますが、これは実績を見ますと、主としていわゆる普通保険の関係でございます。したがいまして、今回は普通保険の引き受け限度額というものも改正することにして御提案申し上げておるという点が一つございます。
 それからもう一つの理由として、今回は前回の実績の三倍くらいのワクを申請しておるというお話でございますが、第一次ショックのときの考え方としては、政府系の三機関からの融資というのが千八百億行なわれたわけでございますが、政府が自分で自分に保険をつけるというふうなことは原則としてあるべきではない、それはそのとおりだと思いますが、ドル・ショック融資の場合にもその原則というものが非常に堅持されたということで、政府系三機関の場合には、保険というものをあまり使わない形での融資というものが継続して行なわれた。今回は、担保力の点も非常に産業界でも心配いたしております。そこで、保険制度の改正とあわせまして、その運用面でいまお話のございました三機関を通ずる緊急融資についても、担保力の不十分なときには政府が自分で自分に保険をつけるというふうなこともございましょうけれども、ひとつ融資を円滑にするという意味で、政府機関というのはまた融資についての厳正な責任ある融資も別途要求されておるわけでございますから、結局両面にらみまして、三機関の融資についても今度は必要なときには保険を使ってやるべきであるというふうなことで、実績六百数十億に対しまして、今回は、当然これは二千億近いものが要るだろう、足りなければまたそこはそこで前向きに考えなければいけませんが、三倍ということでございますからいけるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 いまのあなたの答弁は、これは保険の運営をしていること全体に重大な影響を及ぼすのですよ。ドル・ショックに対する緊急措置だけの問題じゃない。政府の金に政府が保証するのがいいかどうかという問題はそう簡単に片づけてはならない問題なんです。私は基本的には適当ではないと思っているのです。政府の金に政府が保証する、国民金融公庫の融資に対して、あるいは環衛金融公庫等々の融資に対して保証協会が保証をするということは、これは基本的には問題だろう。だがしかし、現実には政府関係金融機関も独立採算制をとっておるということです。こげつきではやはり世帯が苦しくなるということです。そのために信用力のないものに対しては融資をいたしません、そこで保証をつけていらっしゃいということになるのです。民間金融機関とそこらは少しも変わらない。これを政府の金に対して政府が政府の金で保証するということはおかしいということになってまいりますと、それらの点の解決をどうするかという問題になってまいりますから、そういうことは軽々にこの問題に対して白黒をつけるべきではないということです。また、私が取り上げましたワクの余ったということには、そういう答えは出てきません。そういうことであって、ワクが余ったのではないわけなんです。やはり保険の限度額が低い。あるいは手続が非常に複雑であるとか、いろいろあります。私は時間の関係がございますから省略いたしますが、これだけの数字をあげているくらいでございますから、どういうことで保険の対象になったのか、別ワクになったのかということも調べております。しかし、そのことについては、またあらためて指摘をいたしたいと思いますが、そういう、いまお答えになりましたような不見識なことで、先ほどの田中委員の質問に対する大臣の答弁のような、ああいう答弁をさせるようなことを事務当局はやってはならぬと私は思う。たとえば、田中委員は無担保保険の問題について触れたのでありますが、無担保保険は今回の保険法の改正の中におきましても、前回四十六年に続いて今回も改正をいたしておりません。いないから、今度は一・五ということで四百五十万円を別にあなた方お考えになったのです。これで足りるのか足りぬのかという質問に対して、十分いけるという大臣の答弁が返ってきたのです。ああいう答弁になったのです。これはそんな簡単なものじゃないのです。私は大臣がああいう答弁をされたということは、あなた方が大臣に対して、そういう誤った認識を持たせているから、大臣のああいう答弁になってきたと思うのです。やはり申し上げたように、保険の別ワクが、この緊急的な取り扱い以外のワクが、少なくとも六百六十七億の外に百三十億あるわけでありますから、相当なウエートを占めているのです。やはりその根源をきわめていくということでなければなりません。したがって、二千億というようなワクを大蔵省との間の折衝によって認められたのであるならば、中小企業に対してきめこまかい施策を講じていく。ドル・ショックに対するところの影響、この対症療法は十分行なわれるというような施策を講じていくことこそ、当然のあなた方の責任じゃありませんか。少なくともいまのようなお答えではそういうことになる。その点はきわめて貧弱と申しましょうか、私は中小企業者は失望するというように思います。私どもも東京、長崎あるいは一昨日はまた東京というようなことで、いろいろと関係の業者の方々と接触をしてまいりました。深刻な影響の度合いも、十分把握をいたしておるつもりであります。その上に立って、実は申し上げているわけであります。この問題はまたあらためてお尋ねすることにいたしまして、質問を進めてまいります。
 次に、貿易の依存度に対する条件がきびし過ぎるのじゃないかというように私は思うのですが、この点をもう少し緩和する必要があるのではないでしょうか。前回の実績等から考えてみていかがでございますか。
○莊政府委員 緊急融資で前回は輸出比率三〇%ということで融資対象企業の線を引いたわけでございますが、今回は二〇%で一〇%落とした線で考えております。これは御指摘のように、三〇%というのでは相当高い面もございますし、輸出比率の高かったものがショックで下がってくる、下がりながら打撃を非常にこうむっておるということがございますので、この三〇%というのは引き下げをしたわけでございます。
○中村(重)委員 それからこの既往の緊急融資に対する返済猶予ですね。これが緊急分に対しましては一年、それから高度化資金と近代化資金というものは二年ということになっていますね。実はこれから支払いを始めようかというのも今回のショックを受けたわけであります。ですと、一年の猶予ということでは無理があるのではないか。緊急融資の場合、もう少し猶予期間を延ばす必要があるのではないかと思いますが、実績等から考えてみて、この点、いかがでございますか。
○莊政府委員 近代化資金、高度化資金につきましては、ドル対法によりまして前回から二年ということでございまして、今回もまたそれを踏襲しているわけでございますが、法律に基づかない、閣議決定によって行なわれておる緊急融資のほうは、前回の閣議決定が据え置き期間一年でございました。それで時期がきましたが、それをさらに一年延ばして合計二年ということにいたしております。今回の閣議決定におきましては、今後行なう二千二百億の新規融資につきましては最初から二年ということにして、平仄をそろえておるわけでございます。
 これは今後の、いわゆるドル・ショックに対する中小企業対策に対する基本的な姿勢の問題でございますが、先ほど大臣がはっきり御指摘になりましたように、やはり事態は非常に流動的でございますし、中小企業に対しての影響というものは通産省としても非常に注視し、万全の対策をとるべきだという基本姿勢に立っております。やはり今後の内外の経済情勢は非常に流動的だと思いますので、そのもとで実際に関連企業がどうなっていくかという実情をよく見まして、すべてのドル対策というものは十分であるかどうか、私ども中小企業庁としては常に考えていくべきだと存じます。
 資金繰り全体の問題がそのときにどうしても中心になりますので、その一環として、前回に限らず、今回の融資の問題についても、量の問題も、われわれとしてはいつも考えておらなければならないと思うのでございます。その返済条件についてもまた同様でございます。今後総合的に対策が十分でありますように、十分実情を見まして常時検討を進めていくというふうに考えております。
○中村(重)委員 先ほど私が申し上げました業種指定の問題あるいは産地指定、それから大臣認定ですね、これもパーセンテージを上げるということは、それはそれなりに緩和したということにもなるのです。しかし、その範囲をもっと拡大をしていくという必要もあるわけです。ですから、そういう面でこの率を上げるということだけではなくて、その範囲をもう少し広げていくというようなことについても、いわゆる大臣の認定があるわけですから、大臣の認定はもう少し弾力的にこれを扱っていくことを十分配慮される必要があるということを申し上げておきたいと思います。非常にきびし過ぎる、こう言っております。なまの声を聞いてみますと、あなた方がお考えになっているほど甘くありません。非常に深刻なんです。ですから、そういった点は十分配慮されたいということを申し上げておきます。
 税制措置であるとかいろいろな措置を講じていらっしゃるのでありますけれども、この税制措置として今後二年間、欠損金の繰り戻し制度による還付要求を三年にさかのぼって行なうということもあるのでありますけれども、これもお考えにならなければいけない。これはいいことなんです。いいことなんだけれども、利益をあげ得る企業はけっこうなことだというのですよ。利益があがっておらなければ、この還付金も何もないのです。利益をあげ切らないでどうにもならないでおる企業が非常に多いということをお考えにならなければなりません。金融において、さあ保険だ、さあ税制だ、いろいろなことをずっとお並べにはなるのだけれども、なるほど看板は整ったのだけれども、中身は、大きな痛手を受けているところの中小企業者を真に救うことにならないという結果になることも十分お考えにならなければいけないということを申し上げておきます。
 なお、貸し付け期間の問題にいたしましても、四年間を原則として、必要により五年間ということであります。これも私は少なくともこの原則を五年間ぐらいにする、そして融資の期間を延ばしていく、こういうことにしなければいけないのだ。これは四年を原則、こういうことになってまいりますと、三年をこえますと今度は利率が六・二%から上がってまいりますから、これらの点もただ年限だけの問題ではなくて、できるだけ低い金利でもって、短期間に二重の大きなパンチを受けた深刻な中小企業者の皆さん方を救済していくというようなことでなければ、真の対症療法にならないということを私は重ねて申し上げておきたいと思います。
 まだいろいろありますけれども、まだ同僚諸君の質問もあるわけでございますので、次に付保限度に移ってまいりたいと思いますが、いま私がいろいろ指摘をいたしましたことに対しまして、ひとつ大臣の決意のほどを伺ってみたい。また、いろいろ具体的な点についてのお答えがいただければなおけっこうだと思います。
○中曽根国務大臣 いろいろ実情につきまして貴重な御示唆をいただきまして感謝をいたします。われわれまだ思いの至らぬところも多々あると思いますが、御指摘いただいた点については十分考慮して検討してまいりたいと思います。
○莊政府委員 認定企業の認定のしかたの問題で御指摘がございましたので、私から補足をさせていただきます。
 前回は、指定業種と指定産地で合わせまして百八十でございましたが、今回は、全国の指定業種で新規に五業種を追加いたしております。それから指定産地では十一、合計十六を追加いたしまして、百八十から百九十六にふやしてございます。
 なお、現在県のほうから各県の特殊事情等も考えまして、産地なり業種の指定の問題について意見があればひとつ出してもらいたいということで、県のほうから意見を取りまとめつつある段階でございますので、それを見まして、また必要があれば、私どもとしては前向きに、指定すべきものがあれば追加をしていきたい、かように考えておるわけであります。
 それから、前回の認定企業でございますが、合計で一万三千四百ばかり認定になったわけでございますが、いま先生おっしゃいました弾力条項と申しますか、通産大臣が個別に事情を見て認定することができるという弾力条項に基づいて認定をされたものが、一万三千四百のうち、千二百ばかりございます。ですから一割弱でございますが、この弾力条項によって一割弱のものが現に救われておるということも事実ございますが、輸出関連企業の状況というのは業種、業態、地域によりまして、比較的軽いところもあれば非常に重いところもあるというふうなことで、前回のときよりも相当複雑な様相になってきておりますので、認定の問題につきまして、弾力規定につきまして、私どもは十分御指摘の点を体しまして適正な運営、必要なものはこれで拾っていくということをやる所存でございます。
○中村(重)委員 それからこの点はぜひお答えをいただいておかなければなりませんが、この六・二%の金利の対象となるものが一千万円まで、ところが国金は五百万円、こういうことになっておりますが、これが原則なのかどうかということと、五百万円をこえるときは、こえる額の二分の一の合計だということになっているのでございますが、どうもこれはわかりにくい。私が頭が悪いからわからないのかもしれませんが、原則を一千万円という形にしているのだったら、この五百万円をこえるものを、こえた額の二分の一が六・二%の特利の対象だというのは若干わかりにくいのでございますが、ここをもう少しわかりやすく、こうしなければならなかったことについて、これは大蔵省からお答えをいただけますか。いかがですか。
○額田説明員 お答えいたします。
 前回の緊急融資におきまして、この特利の原理というものを設けております。御承知のように、この緊急融資は、輸出関連中小企業であって、通貨の変動によりまして輸出がたとえば停滞した、こういう場合に滞貨、減産等の融資を行なうわけでございますが、きわめて厳密に輸出がこれだけあるからこれだけの金額ということでその部分だけを計算して融資するわけではございません。輸出というものに基因いたしまして滞貨、減産あるいは経営の安定のために必要な資金というものが出た場合に、対象業種について融資いたすわけでございます。したがいまして、かりに一千万円融資をいたしました場合に、きわめて厳密に輸出そのものの滞貨というふうなことになれば、それは六百万であるかもしれない。しかし、それにショックを受けていろいろな意味の運転資金が要るということで一千万の融資が行なわれる、こういうことになるわけでございます。いわゆるこれはそういう意味の資金使途は比較的ゆるい融資でございます。そういうことから融資条件のうちに特利とそうでないものということで、特利の限度が一千万円となっておるわけでございます。
 前回の融資におきましては、融資金額が三百万円以下の場合は全額特利、三百万円をこえるものはその二分の一が特利。かりに一千万円の融資を受けたといたしますと、三百万円は全額特利、それから三百万円をこえる七百万円についてはその二分の一、すなわち三百五十万円が特利、計六百五十万円が特利、こういうふうな形になったわけでございます。そのようにいたしますと、どうしてもドルのショックによりまして影響を受けるのは大企業よりも中小企業、中小企業の中でも特に小企業ということでございますので、今回は国民金融公庫の融資の限度でございます五百万円以下については全額特利、それ以上のものはその二分の一、たとえばかりに千五百万円の融資を受けたといたしますと、五百万円は特利、それから千五百万円と五百万円の差額、すなわち一千万円の二分の一の五百万円、合わせて一千万円が特利部分である、こういう計算をいたしておるわけでございます。
○中村(重)委員 わかったようでもあるのだけれども、一千万円が原則なんだから、千五百万円の申し出があったときは一千万円までは特利である、こういうことになるわけです。だったら、五百万円をオーバしても、そのオーバーした分は二分の一が特利だということじゃなくて、それも一千万円までは特利でいいじゃないか、そういう扱いが当然されるべきだと思うのだけれども、一千万円を原則にしながら、五百万円というのをもう一本線を引いておいて、そうして五百万円をこえる分の二分の一が特利の対象だというのが私はわかりにくいというのです。一千万円を原則にしたら、一千万円まではよろしいですよ、特利で扱いますよ、こうわかりやすく扱うことが当然ではないのかという感じがいたします。いまあなたのお答えが十分ぼくは耳に入らないでわかりにくかったのかもしれませんけれども、これはひとつ十分配慮してもらいたいということを申し上げておきます。
 それから大臣、先ほど私が申し上げました百三十億別にある、別ワクで使っておるということですね。これは申し上げたように、貸し付けがいわゆる付保限度をオーバーしておる。これが相当部分あります。それから大臣認定、業種指定、地域指定、それ以外に融資をしております。したがって、申し上げたようにあとで保険の問題で触れてまいりますが、この保険の付保限度額はもっと引き上げていく必要がある。これは普通保険と特別小口保険は引き上げることに実はなっております。その中でいろいろ私も触れてまいりたいと思いますが、言うことが具体的にあらわれてきた。それからいわゆる三つの指定と大臣認定、これもきびし過ぎて、したがって、それ以外のものは対象にならない。しかし、現実には影響を受けておる人がある。それにも融資をしなければならない、保証もしなければならない、こういうことで二千億というワクはあったのだけれども、わずかに六百六十七億しか使えないので、どうしても保証協会も目をつむるわけにいかないというので、特利以外の方法でもって保証をしたというのが百三十億あるということが実態だということを具体的な事実として大臣に重ねて御理解をいただいておきたいと思います。
 次に、信用保険法改正案の問題についてお尋ねをいたしますが、四十五年度から四十七年度上期までの保険種別構成比はどうなっているかということです。
○莊政府委員 四十五年度を申し上げます。これは金額でございますが、普通保険が構成比で五八%、無担保保険が四一%、特別小口保険が〇・六%、それから近代化保険が〇、四%でございます。
 四十六年度は、普通保険が前年度の五八%から六三・七%に大幅に上昇いたしております。無担保保険は三五・一%、以下は非常に小口でございますので省略いたします。
 四十七年度上期でございますが、普通保険は前年度の六三・七から六一%に若干下がっております。
 この三年間を通じまして、普通保険は、全体の保険の中で金額として四十五年度五八、四十六年度六三・七、四十七年度上期六一ということでございまして、大体六〇%強の構成比であるというふうに御了承いただいてけっこうだと思います。無担保保険は、四十七年度は三七・七でございます。四十五年度が四一で、四十六年度は三五と落ちましたが、また四十七年度上期は三七・七というふうに上がっておりますので、これは三五ないし四〇というふうな水準でございまして、いずれにしても、普通保険と無担保保険とが、保険の金額の上ではほとんど全部を占めておる、かように御了承いただきたいと存じます。
○中村(重)委員 同年度間の保険の事故率はどうなっていますか。
○原山政府委員 事故率はいろいろな計算方法がございますが、四十一年からの累積の事故率で見てみますと、普通保険が三・〇三、無担保保険が二・七〇、特別小口が四・二三というふうに相なっております。
○中村(重)委員 ついでに伺っておきますが、回収率はどうなっておるか。
○原山政府委員 回収率につきまして、これも累積でお答えいたしたいと思いますが、四十一年からの累積で見ますと、普通保険が六二%の回収率、無担保保険が四五・八、特別小口が二四・七、こういうふうに相なっております。
○中村(重)委員 そうしてみますと、この実績に基づいて今回の改正という形になってきているわけでございますが、無担保無保証、特別小口保険、それから普通保険、これは昭和四十六年にも改正をいたしました。普通保険が御承知のとおり一千五百万から二千五百万に引き上げられました。特別小口保険は五十万を八十万に引き上げた。今回は特別小口保険を八十万から百万に引き上げ、普通保険を二千五百万から三千五百万に引き上げるということになっている。ところが、なぜに無担保保険は四十六年にも改正しないで、今回もまたこれを見送ったのかということであります。近代化保険はわかります。近代化保険はほとんどこれを利用する人はおりません。だがしかし、その他の保険はただいまあなたが読み上げられましたように、無担保保険も、構成比につきましても相当高い比率を占めているわけであります。ならば、前回の四十六年も、今回も、続いてこれだけ見送ったということが何としても私は納得がいきません。したがいまして、この無担保保険を今回も前回も続いて二回とも改正を見送った理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
○莊政府委員 無担保保険の付保の実態でございますが、昭和四十六年度の実績をもとにして申しも上げてみたいと思います。
 金額的には、保険の延べの引き受け金額というのは先ほど申し上げましたとおり非常にウエートが高うございまして三十数%を占めておるわけでございますが、無担保保険だけにつきまして一件当たりどの程度の平均になっておるかということを、私ども、事務的には当然検討いたすわけでございます。そういたしますと、三百万円の限度額に対しまして大体百二十万円程度、ワクに対しましては四割程度――平均でございますから上も下も当然あるわけでございますが、四割程度のところが平均水準ということになっているわけでございまして、三百万円というのは現にワクとしてそう窮屈ではないのじゃないかという判断が一つございます。
 それと今度は件数でございますが、金額別の件数を検討いたしてみますると、二百万円から三百万円の比較的限度に近いところの金額の保険というものが件数的にどれぐらい使われておるかと申しますと、四十六年度、無担保保険が五十五万件ほど付保されておりますのに対して五万六千件ということで一割ちょっとでございまして、それ以外のもの、つまり二百万円以下の金額が付保されておるというのが九〇%ぐらいあるというふうなことで、全体として現時点においてはまだ三百万円は相対的にゆとりがあるのではないか、こういう判断でございまして、無担保保険をゆえなく据え置いておるということではもちろんございません。
○中村(重)委員 いまあなたの答弁を聞いて、これでは十分な理解を与えることにならないんですよ。率をおっしゃるならば、普通保険は本年は三百四十八万円です。二千五百万円に対して三百四十八万円、三百万円に対して、あなたのお答えのとおりであるならば百二十数万円、これのほうがよほど平均率は高いじゃありませんか。平均率のはるかに低い普通保険の付保限度を今回一千万円上げておいて、より率の高い無担保保険を見送ったというのは答弁にならないじゃありませんか。
 大体考え方が違うんですよ。無担保保険は、特別小口保険と並んで零細企業対策なんです。ところが、今回普通保険を引き上げたのは、基本法の改正をしようと考えているからです。中小企業の対象者がふえてくる、したがって、この普通保険を引き上げておかなければならぬという考え方があなた方の考えの中に潜在的にあるからでしょう。率でもってお答えになるなら、いま申し上げたように、答弁にならない。それでは筋が通らないのです。前回も今回も無担保保険を見送っておいて、そうしてなぜ無担保保険だけを見送ったのかと言えば、これはまだ余裕があるからだ、低いからだと言われる。それならば普通保険も見送るべきであった。より余裕があるんだから、より率は低いんだから。そういうことでは、私どもに納得を与える答弁にはならないのです。だからして、無担保保険をそのままにしたから、先ほど私は触れましたが、今回のドル対法の中においてこれだけを特別に抜き出して、一・五にして四百五十万円をここで措置しなければならなかったということです。無担保保険を今回四百万円にかりに引き上げておくならば、これは別ワクとしてもドル対の場合には八百万円になるのです。筋の通らないことをするから、こういう無理をしなければならぬということになってきているじゃありませんか。これだけ申し上げればおわかりでしょう。
 それから、各種保険の料率を引き下げているわけですが、公害保険の料率は三番目になっている。これは私は納得いきません。これは全体といたしましても八・七%、これをなぜに一〇%程度にできなかったのか。この点は大蔵省からお答えをいただきます。
○原山政府委員 保険料率につきましては、各種別に、普通保険につきましては八・七%、無担保保険につきましては八・七%、特別小口につきましては四・一%、公害防止九・一%、近代化一一・一%、平均八・四一%の引き下げをはかったわけでございます。
 このうち、公害防止についての引き下げの率が低いではないかというふうな御質問の趣旨かと存じますが、これにつきましては旧料率〇・六六を〇・六に下げているわけでございまして、引き下げの額からしますと、それから現在の低料率という面から見ますと、やはり格段の優遇を見ておるということだと了承いたしております。
○中村(重)委員 そういうことだからあなた方のやり方はおざなりだというんですよ。いままでこれだから、今回はこの率に合わせてこれを上げていったと言う。いいですか。高い順からいえば普通保険が〇・七六六五%、これは手形割引の場合は違いますね。これを〇・七%に持っていく。それから二番目は近代化保険です。〇・七三%から〇・六五%に持っていった。それから公害防止保険は三番目になって〇・六六%を〇・六%にした。
  〔稻村(左)委員長代理退席、委員長着席〕
普通保険や近代化保険、それから公害保険という形にこういう順番を直すのではなくて――そのあとの四番が無担保保険でしょう。五番が特別小口保険です。公害保険は、どの保険よりもこれを引き下げていくことが当然じゃありませんか。こういうことをするから公害対策というものが重荷になってくるのです。もっと公害対策について、資金力の弱い中小企業者が十分公害防止ができるような措置をしていくということが当然なんです。公害防止の重要性ということを考えるならば、ここらあたりからいままでやっている実績を反省をして、これを改めていくという態度をおとりになるべきではなかったのですか。にもかかわらず、それをやらないで、いままでの率がこうだったから、〇・六六だったからこれを〇・六に持ってきたのだ、そんなことではだれも納得しませんよ。大臣、お聞きになってどうお考えになりますか。その他の保険の料率よりも公害保険が高いということは筋が通らない。やはり公害防止保険というのは、私は料率はもっと低くすべきであった、こう思いますが、大臣はそのとおりお考えにならないでしょうか。
○中曽根国務大臣 どういう理由でそういう利率になっているか、私はいきさつはよく存じませんが、中小企業における公害防除の重要性ということを考えてみても、お説はごもっとものように思いますので、よく調査してみます。
○中村(重)委員 大臣からよく調査をしてみよう、こういうことなんだけれども、私は一方的に押しつけようとは思っておりません。私の考え方が誤っているのかどうか。それじゃ政府委員から、公害保険というものが無担保保険等々よりもむしろ高い率であるということの妥当性をお聞かせいただきましょうか。
○莊政府委員 私もこまかい数字のことは末までわかりませんで、おしかりを受けるかと思いますが、中小企業におきます公害防止のための融資というものは、御指摘のように、たいへん重要な政策問題であると考えております。そこで、民間の金融機関から金融を受けることがなかなかむずかしい種類の金融でございまして、やはり政府としても公害防止事業団など、〇・五%を下回るような金融も零細企業については実現してまいっております。また、中小企業振興事業団でも、共同公害防止施設には八〇%無利子で融資をするというふうなことで、政府が前面に出て公害防止の指導もすれば、金融についてもまた特段のめんどうを見るということで非常に尽力しておる。そちらのほうの融資実績も中小企業の場合相当あがってきておるということは御了承いただける点かと存じます。
 民間から借りるという場合には借りにくいということを申し上げまして、料率が現在〇・六六、今度でも九・一%下げまして〇・六であるというふうな保険料でございますが、公害防止保険の付保の実績も、残念ながらあがっておらないわけでございます。保険料が高いとか保証料も若干高いというふうなことも、民間の金融機関から公害防止施設のための金融を受けにくい一つの障害になっておるかもしれませんけれども、それ以前に金融機関からはなかなか借りにくい。むしろ政府がもっと直接の融資を当分の間強化するということが非常に大切かと存じますが、この保険の問題も同時に重要であることは御指摘のとおりでございまして、確かに間違いのない点でございます。今回は全体の保険の引き下げは行ないましたけれども、その中で個々に見てまいりますと、残念ながらまだ公害防止について一息も二息も足りないという御指摘も私あろうかと思います。御意見よく伺いましたので、私どももよくこの点は検討させていただきます。
○中村(重)委員 あなたがお答えになったようなことなんだから、なおさらせめても公害防止保険の保険料率は低くしなさい、こういうのですよ。無担保保険等よりも保険料率が高いということは筋が通りません。だから、従来こうなんだからとおざなりに持ってきているから、あなた方が進める行政が死んでしまうのです。生きた行政をやらなければなりません。公害防止の重要性ということを認識していかなければなりません。こまかい配慮が必要なんであります。そういうこまかい配慮をやらないから、こうした具体的な数字という形であらわれておるということを申し上げておくわけです。
 次に、大臣、インドネシアとか韓国、タイというのも保証制度を実施する。そこでインドネシアなんかでは保険公社をつくった。このインドネシアから保険公庫の再保険を日本に求めてきている。これは公式にきているのかどうかわかりませんが、事故率が非常に高いんですね。これは無理もないと思う。日本の信用保険公庫が再保険をするということになってくるとたいへんむずかしい点があるだろう。しかし、火災にいたしましても、海上、生命、損害保険は、国際再保険契約というのが御承知のとおりあるわけなんです。してみると、やはりアジアにおける友好あるいは経済協力といったような点等からも、これらの問題は十分検討する必要があるのではないか。いま直ちに大臣から再保険をやろうということを即答いただけようとも考えておりませんし、私もまだこのことについてこうすべきであるという確信をもってお尋ねしているのではありません。こういったことも伝えられておりますので、どうあるべきかということについてあなたの感触でもお聞かせをいただければ幸いだと思います。
○中曽根国務大臣 保険、特に損害保険等については、日本の保険会社も、イギリスのロイドとかいろいろな保険機構に入っておるケースも多々あります。ですから、民間の保険会社に再保険するということはまず考えられます。これはコマーシャルベースになります。これは経済協力その他の関係からそういう方向になることは歴史の流れではないかと思います。しかし、政府関係機関にそういうことをやるということになると、一種の経済協力の変形みたいな形になりますが、はたしてそういうことをいまわれわれがやるべきかどうか、これは慎重に考える段階ではないかと思います。しかし、将来やらないということを断定するのも早い、こういう時期ではないかと思います。
○中村(重)委員 妥当な答弁をいただいたと思うのです。これはお互いに研究課題として考えていかなければならない問題であろうというようにも思います。大臣、お引き取りになってけっこうです。
 最後になりますが、信用保証協会の問題についてお尋ねをいたします。
 今度は料率等の引き下げをやったのだから、保証協会の保証料も下がります、安く保証してもらうことができますとあなたのほうの資料は言い切っておりますが、保証協会の保証料はどの程度引き下げさせる御方針ですか。
○莊政府委員 五種類の保険総合で申し上げますと、現在保証協会の保証料率というのが総合で一・三三%に相なっておりますが、これを一・二六%まで下げるという考え方でございます。引き下げ率は五・二六%でございます。
○中村(重)委員 それは引き下げ率はこうであるというのですが、いまあなたがおっしゃるようにぴしっと――全国で五十二ですか保証協会がございますが、いまあなた言い切りましたが、これを全部、全国の保証協会の保証料を引き下げますか。
○莊政府委員 私は全国の保証協会を通じまして、かつ五種類の保険全体を通じまして総合という一本の大胆な数字で実は申し上げたわけでございます。その点は御指摘のとおりでございます。各県によりまして信用保証協会の事業規模も大小さまざまでございますし、また、資産の状況等も残念ながらまだ優劣の差が相当ございますので、上下にそれぞれの種類ごとにばらつきがあるということは事実でございますが、全国的にこれを下げてもらうということは間違いございません。
○中村(重)委員 あなたのほうから出ているパンフレットの「変動相場制移行に伴う当面の緊急中小企業対策について」「四十八年三月十五日」、これの中に、保証料を下げるのですと書いてあるのです。あなた方はもっと安くこれから保証してもらうことができるのです、こう言い切っておられるのだから、パンフレットでこれをお示しになった以上は、当然これを下げさせなければいけないと思うのですよ。だから、私はばらばらであるということにも実は抵抗を感じておるのです。しかし、一挙に同率の保証料にするということは無理があるでしょう。そこまでは言いませんが、少なくともそれを下げる方向で進めなければなりません。これを書いておるのを間違いであるとかけしからぬというのでは決してありません。これは当然下げさせるのがあたりまえであります。ましてやこういうパンフレットをお出しになったのだから当然下げさせなければいけませんよ、こういうことを申し上げたのですから、そういう指導をしていただきたいということであります。
 それから、最近保証協会のあり方というものをめぐって議論もあるわけでございますが、保証協会はどうあるべきかということに対しまして、中小企業庁と大蔵省からお聞かせをいただきたい。銀行に隷属するような保証協会であってはならないのではないか。さらにまた、かといって保証協会が第三銀行的な役割りを果たすというのが適当なのかどうか。この保証協会のあり方というものは私はたいへん重要な問題点もあろう、こう思いますので、それぞれ両省からの考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○莊政府委員 要点をかいつまんで申し上げさせていただきますと、基本的に、信用保証協会制度といいますものは、法律ができます前から自然発生的に各県が各県の中小企業対策としておつくりになった歴史が示しておりますとおり、政策的な配慮というものが当然一番基本にある制度でございます。もちろん、県の金、政府の金、それぞれ県民なり国民からお預かりしておる金が大量につぎ込まれるわけでございますから、その運営というものは適正でなければならないことは申すまでもないわけでございますが、やはり営利を目的とする存在では本来ございませんので、政策的に重要な、たとえばドル対策というふうな場合には、思い切って料率も下げるし、担保条件についても弾力的に配慮して政策融資を円滑にいくようにするという公の使命を当然帯びておるというわけでございます。
 よく担保の問題あるいは事故発生の場合の回収の問題で、苛斂誅求じゃないかというふうなこともいわれておりますけれども、これは年々私は改善されておると思います。いわゆる裸にむくとかいうような意味での苛斂誅求は避けまして、返せなくなった場合でも、保証協会は事業を育てながら順次返済してもらう、可能な限度まではしてもらう。これは企業としても当然の道義的責任もございますから、返せるものは返す。ただ一気かせいではなくて、企業を育てることが眼目である、それに伴って返済もしてもらう、こういう方針で指導しております。実際の運営も、まさにそういう御非難を受けたような事実もあろうかと存じますが、相当改善されつつある、今後も努力をいたしたいと思っております。
○貝塚説明員 お答え申し上げます。
 保証協会がどうあるべきかという点で、この商工委員会でも保証料を全国一律にしろということがあり、先ほど先生から触れられましたような点は、保証料を全国一律かどうかという点でずいぶん部内でわれわれ検討いたしました。保証協会の人ともいろいろ話をいたしましたが、いろいろ聞いてみますと、先ほど中小企業庁長官から話がありましたように発生の歴史が違います。それから、公共団体の援助のしかたも違います。五十二の協会はほんとうにばらばらでございます。
 そこで、私たち一番注意しなければいかぬのは、そういう地元との密着といいますか、地元の中小企業のためだ、そういうあり方をよくよく考えなければいかぬのが第一点だろうと思います。したがって、あまり中央で一律なものを出すよりは、地元の味を生かした、ほんとうの地元の中小企業のためだという、そういう保証協会であるべきだと思います。それが第一点であります。
 それから第二点は、金融機関との区別でございますが、私は中小金融課長でございますからいろいろな金融機関を監督しておりますが、やはり金融ベースということをよく申します。保証協会もある程度保証ベースというものがございますが、あまり保証ベースということに走らないで、いま長官からお話がありましたように、保証している中小企業の身になって、ほんとうにいろいろ相談してやるという点が必要だろうと思います。そういう意味で、地元の中小企業、地元の公共団体とほんとうに一体となった機関としてあるべきだ、私はこう思っております。
○中村(重)委員 申し上げたように、保証料というものが一律であることは好ましいというように思うのですが、あなたがいまお答えになったように、それぞれの発生の時期であるとか、あるいは動機であるとか、また強弱いろいろ違います。したがって、これは一律であるということには無理があるということは私もわかります。しかし、やはりそういう方向で指導していく必要があるということでございます。同時に、私は、これが単に銀行の従属機関であってはならない、単に銀行の危険負担を防止するための機関に堕してはならないということであります。保証協会は保証協会としても、もちろんみずからのあり方はどうあるべきかという考え方に立って運営をしていく必要があるということ、また、金融のあっせん、あるいは中小企業のコンサルタント的なこともやはり保証協会はやるぐらいのかまえがなければいけないのだというように思うわけであります。
 同時に、私は、大蔵省に対しましては、いつも融資基金にいたしましても準備基金にいたしましてもあるいは料率の問題等に対しましても、相当きびしくいままで言ってまいりましたが、また、その保証協会は保証協会として、みずから金融機関等に対してもあるいは都道府県に対しても、関係市町村からやはり出捐金というものを十分出さしていくという、そういう独自の努力というようなものも必要である。単におんぶされていくという形であってはならない。ですけれども、大蔵省もあまりきびしく保証協会の保証を規制するというようなことがあってはいけない。やはりここは十分保証協会の信用補完の精神――これが発足をいたしましたときは赤字覚悟であった。社会政策的な面が多分に先行して、この信用補完制度というものが生まれたという歴史の原点に返って、この信用補完の問題には取り組んでいただきたいということを強く要請をいたしておきたいと思います。
 それから最後に、荘長官に申し上げますが、無担保保険の問題に対しまして指摘したとおりであります。少なくともあなたの答弁は私どもを納得させる答弁にはなりませんでした。非常に率が低いのだということは、普通保険のほうがもっと率としては低いじゃないか、にもかかわらず、これだけを上げて、無担保保険を積み残したということは筋が通らない。無担保保険は少なくとも零細企業対策なんだから、零細企業対策を放置したというそしりを免れない。次の機会には必ずこの無担保保険というようなものを引き上げていくということでなければならない。それを引き上げておきますと、今回のドル対法で、これだけを特別抜いて一・五というような形に、早くいえば無理をする必要はなかったのだ、無理というか、変則的なことをやらなくてもよかったのだということを指摘をしておきたいと思います。
 私どもは、残念ながらこの提案されております法律案に無条件に賛成するわけにはまいりません。当然これに対しましては修正その他の方針を持って臨みたいという考え方であることを申し上げまして、私のきょうの質問を終わります。
○浦野委員長 次回は、明二十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会