第071回国会 商工委員会 第26号
昭和四十八年六月一日(金曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 浦野 幸男君
  理事 稻村左近四郎君 理事 羽田野忠文君
   理事 山田 久就君 理事 板川 正吾君
   理事 中村 重光君
      天野 公義君    稲村 利幸君
      内田 常雄君    越智 伊平君
      大久保武雄君    木部 佳昭君
      小山 省二君    笹山茂太郎君
      塩崎  潤君    島村 一郎君
      田中 榮一君    西村 直己君
      八田 貞義君    増岡 博之君
      松永  光君    岡田 哲児君
      加藤 清政君    加藤 清二君
      佐野  進君    竹村 幸雄君
      藤田 高敏君    渡辺 三郎君
      野間 友一君    近江巳記夫君
      松尾 信人君    玉置 一徳君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      小坂善太郎君
 出席政府委員
        経済企画政務次
        官       橋口  隆君
        経済企画庁総合
        計画局長    宮崎  仁君
        特許庁長官   三宅 幸夫君
 委員外の出席者
        経済企画庁長官
        官房参事官   喜多村治雄君
        参  考  人
        (資源調査会委
        員)      田畑新太郎君
        参  考  人
        (日本総合研究
        所所長)    野田 一夫君
        参  考  人
        (東京工業大学
        教授)     林 雄二郎君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 総合研究開発機構法案(内閣提出第五七号)
     ――――◇―――――
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、総合研究開発機構法案を議題といたします。
 この際、御報告申し上げます。
 本案について、去る五月九日の決議に基づき参考人の方々から意見を聴取することにいたしておりましたが、諸般の事情により、五月十五日、二十九日のいずれも実現を見るに至りませんでしたので、理事各位と協議の上、本日、その意見を聴取することにいたしましたので、さよう御了承願います。
 本日、参考人として御出席を願っておりますのは、資源調査会委員田畑新太郎君、日本総合研究所所長野田一夫君及び東京工業大学教授林雄二郎君、以上三名の方々であります。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
 本委員会におきましては、総合研究開発機構法案について審査を行なっておりますが、本日は、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じております。
 なお、議事の順序でございますが、初めに御意見をそれぞれ十五分程度に取りまとめてお述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 まず、田畑参考人にお願いいたします。
○田畑参考人 いま御指名がございましたので、参考人といたしまして総合研究開発機構につきましての私見を述べさせていただきたいと思います。
 日本では、政府のいろいろな機構なり大学なりそれから民間なりがそれぞれ世界にひいでたいろいろな活動をしておることはわれわれ承知しておるところでございますけれども、日本の一つの大きな問題として私が常に痛感しておりますのは、日本の終身雇用制度によるいろいろな問題の流れが硬直化していること、それから大学の教育制度も長い間の歴史で縦割り制度が固定化しておりまして、特に理工系の学科につきましては硬直化がいろいろな意味において最近の進歩となかなか融合し得ない問題が残っておるということであります。それから官庁も、あの長い歴史のもとに成り立った官庁制度、これも一つの日本の横のつながり、こういったものについてはある程度問題があるものと考えられます。
 そういうようなことで、最近世界でシンクタンクということが非常に大きな問題として取り上げられてまいったわけでありますが、それが日本においてどういうような意義を持つか、これは現在、この日本の社会の過去の発展から考えまして、深く考える必要があると思うわけでございます。ひるがえって、日本の経済なり、あらゆるものは、世界に冠たる発展を遂げておりまして、これは高く評価されております。それで、このシンクタンクというものが、日本において現在までそういうような社会的な過程を経てあまり実際的な活動を展開していなかったかどうかということにつきましては、私はほかの方々と少し違った意見を持っておるわけです。
 特に日本の官庁は、何といっても明治以来非常な人材をかかえておりまして、その方々が研究または開発されるいろいろな問題は、海外においては非常に大きなシンクタンクがようやくなし遂げるようなりっぱないろいろな資料、りっぱな構想、考えを打ち出しておると私はこれを非常に重視するものでございます。特に経済企画庁とか、科学技術庁とか、こういうような直接行政の責任をあまりとらないで、ほんとうのそういう資料の作成といったものを担当している官庁の活動は、ここにおいて非常に高く評価されていいのではないか。海外の産業がいろいろの政策を進めるにあたりまして、アメリカにおいても、欧州においても、それほど官庁がりっぱな資料を提供していない。しかるに、日本では、経済問題につきましても、いろいろな資源その他の問題につきましても、日本の官庁機構は非常にりっぱな資料を常に提供している。これが日本経済発展の大きなバックグラウンドになっていることは、外国人も非常に強く主張しておるところでございます。
 そんなことで、私は、本日、資源調査会の委員といたしまして、資源調査会がどのような活動を展開し、かつ、それを土台にしてこの総合研究開発機構がどういう役割りを果たすべきかということについて、少し考えを述べたいと思います。
 科学技術庁の資源調査会というのは、委員が二十名で構成されております。しかも、これには理工系の方も、医学専攻の方も、人文科学専門の方も集まっておられまして、毎月一回ずついろいろなレポートを検討して、意見交換をする。これは非常にブレーンストームを展開しております。したがって、われわれこれに加わるたびに、非常な刺激を受けまして、また発奮して、こういう問題もこれから取り上げなければいけない、あれも取り上げなければいけないと、次々と新しい課題がその場を通じまして頭の中に入ってまいります。
 そういうようなことで、現在資源調査会がやっておりますそのいろいろな仕事、調査、その内容は資源問題から水や土地の問題、それから災害問題、それから環境問題と、日本の現在非常に重要な問題にわたっておりますが、これはあくまでわれわれ二十名の委員がそういうブレーンストームを通じまして発想し、それに果敢に取り組んでいる、そういう形で進められておるわけでございまして、決して日本の現在必要とするあらゆる問題をここで処理するということにはなっておりません。確かに一つのりっぱな成果は生んでおりますが、それはわれわれの頭の中でひらめきが出たときに、そういった問題が進められるわけでございます。これと同様なことが、他の官庁の機構なり、審議会なりにおいても進められておると思いますが、ややもすれば、われわれはこういうようなりっぱな成果をわりあいに宝の持ちぐされにする傾向があるのではないかと思います。
 日本で、このような官庁においてまとめられましたいろいろな資料は、外国へ出しますとたいへん高く評価される内容でございますけれども、残念ながら、日本では十分に活用されることがきわめてまれでございます。そういう意味におきまして、この日本の官庁におけるいろいろのそういうような成果なり、また民間におけるいろいろなりっぱな資料なり、それぞれの大学におけるいろいろな資料なり、こういったものが常に流通し、そしてそれが一つの目的に向かって常に活用されるというような、一つの流通なり、それをさらに再確認をいたしまして組み合わせをいろいろやりますと、非常に価値の高いものがここに生まれてまいります。
 そういうようなことを具体的に進めていくことは、日本に現在最も必要な、要請される一つの問題ではないか。それで、そういうようなことが活発に展開されますと、日本における縦割り社会とか終身雇用制度による硬直化だとか、それから大学における縦割りで大学制度の欠陥なり、すべてのものが、こういうような頭脳の流通が行なわれますれば、解決していくのではないか、それが総合研究開発機構に課せられた一つの大きな課題であるように考えられます。
 現在、日本の当面するいろいろの問題は、こういうような理工系、それから人文科学すべてを総合いたしました問題に大きな問題が存在しておりますし、こういうような機構を通じまして、縦横十文字にあらゆる日本の頭脳が結集して問題に当たるということ自体が、そういう社会のいろいろの障害を乗り越えることにもなりますし、それから人材の養成ということにも大きなつながりを持つと思います。
 現在われわれは、その縦割りの教育制度のもとに育ってきておりますが、なかなか他の分野の方々と他の分野のいろいろな成果というものを一つの目的を持って討議し、それに頭を結集するという機会に恵まれておりません。しかし、こういうようなことで、広くいろいろな問題を取り上げ、そして他の領域の方々とともに問題に取り組んでいくという過程を通じまして、日本のわれわれの頭脳的な活動はさらに倍加してまいりますし、そしてその成果は、日本の当面するあらゆる問題につきまして大きな解答を与える根源になるのじゃないかと考えます。
 以上が、私の大体の私見でございます。あとの参考人の方からもたいへんりっぱな御意見があると思いますが、とりあえず私の私見をこれで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○浦野委員長 次に、野田参考人にお願いいたします。
○野田参考人 野田でございますが、参考人として私見をいささか述べさしていただきたいと思います。
 今日のわが国のように高度に発達した産業社会を構成しておる国では、言うまでもなく、行政も企業も日常の活動をやっていく上において日々解決を迫られる複雑な課題をかかえております。この課題を解決するためには、これも申すまでもなく、その課題の本質を究明したり、あるいはその課題を解決するための方法を検討したり、あるいは案出するための研究調査活動というものが必然的に重い比重を占めてまいります。当然個々の機関というものは、自分の組織の中に有能な調査研究スタッフというものを持っておりますから、多くのそういった調査研究に関しましては自分のところで処理をするということも可能でございましょうが、各国の動向を見ておりますと、かなりの部分というものを外部の専門家とか、あるいは研究者というものの協力を得て進めていくという傾向が進んでおります。わが国にも、言うまでもなく、大学とか、あるいは大学の付属研究所あるいは官庁とか、企業の付属研究所というものがございまして、そういう機能を果たしておることも申すまでもございません。一般に最近日本でシンクタンクというふうに呼ばれている研究機関も、そういった社会的な背景のもとに発達してまいりました。
 シンクタンクと一般に呼ばれている研究機関というものが既存の研究機関とどんな点において違っているかといった点は、もうすでに皆さま方委員の方はよく知っておられると思いますが、大きく分けますと三つくらいの特徴がございます。
 一つは、課題解決型の研究をするということでございます。たとえば、大学レベルでの研究は主として研究者の個人的関心というものに起源するような研究、たとえば真理の探求のために自分のペースで自分のやり方でやっていくという研究がございますが、シンクタンクが主として扱っております研究は、外部のそれぞれの機関が解決を迫られている課題の本質を究明したり、あるいはその方法というものを検討したり案出したりするという意味で課題解決型でございます。
 それから二番目に中立性というものがございます。これはもうもちろん研究というものは中立を迫られているものでございますが、たとえば、企業とかあるいは個々の行政機関には、それぞれの当面する政策とか、あるいは価値観というものがございますから、その付置研究所の場合には、必ずしもその中立性というものを研究の場においても貫くことがむずかしいという情勢が多く起こってまいります。そういう意味では、外部で独立している研究機関というものは、個々のクライアントの持っております政策とか、あるいは価値観というものに左右されないで、課題解決に関して十分な役割りを中立的に解決していくということは可能であると一般に考えられます。
 それから三番目は、一般に日本で学際性という新しいことばになっておりますが、たぶん英語のインターディシプリナリーということばの訳が学際、学問と学問のきわということばで呼ばれておりますけれども、この学際性という点でございまして、複雑な課題を解決するためにはいろいろな分野の専門家というものが横につながって協力して一定期間の間にそれを仕上げなければならないという点がございます。
 こういう三つの特性を持った研究所というものの活動が先進国においてはだんだん目立ってまいりました。わが国でも、ここ数年来その種の目的を持って設立されました研究機関が目立っております。利が所長をしております財団法人日本総合研究所もその一つでございます。そういった機関があるならば総合研究開発機構といったものはどういう関係に立つのか、私自身もたいへん興味を持ってその法案を読ましていただきまして、この法案が非常によくシンクタンクの実態というものを踏まえてつくられているというふうに感じました。
 まず、その種の機関というものは、たとえば自然科学系の多くの研究所のように膨大な研究施設とか設備を持つ必要がございませんで、主としてそこを構成する資産は人間でございますし、人間の頭でございますから、一般にシンクタンクということばは非常にうまくできているのかもしれません。シンクタンクというものは、規模の利益というものがあまり必要でもございませんし、また、規模の利益が実現するような研究機関ではございませんから、多くの場合には十名以内から数十名あればかなりの研究をしていくことができます。しかし、非常に問題なのは、非常な専門家というものをたくさんかかえている場合には、その専門家というものに常時、一年間研究意欲を燃え立たせるような研究課題がいつもその研究所にくるかどうかということが非常に問題になります。
 それからもう一つは、その種の研究機関が大きくなるに従いまして必然的にその管理業務というものが生まれてまいります。そうしますと、管理業務というものに災いされることによって、本来やるべき研究活動というものが阻害されるという面も起こってまいります。そういう意味では、研究所としては、規模の利益というものをさほど必要としませんし、また、規模が大きくなることによってむしろマイナス面が目立つという面があります。
 しかし、他方考えてみますと、多くの研究課題の中には、一般にナショナルプロジェクトと呼ばれているように非常に大きな仕事がございますと、遺憾ながら十名以内とか、あるいは数十名という人員を擁する研究所ではきわめて大き過ぎる課題になることもございます。そうしますと、個々の研究機関というものが横につながって大きな仕事と取り組むという場合には、どうしてもそれを調整するような機能が必要になってまいりますが、おそらく総合研究開発機構がねらっている目的の一つは、既存の研究機関というものを、たとえば委託研究の形ないし助成という形で育成し、また発展さしていくという目的のほかに、非常に大きな課題の場合には、それを横に連ねる調整者的役割りも果たすというねらいを持っておられます。
 それから、シンクタンクと呼ばれているような研究所にとって非常に必要なものは、高度の各分野の専門家であるよりは、個々の専門家というものを横につなぐ一般にプロジェクトマネージャーといわれているような人々の養成が必要でございますが、個々の機関は自分の課題をかかえておりますから、実はそういったプロジェクトマネージャーを組織的に養成していくということが非常にむずかしくなります。また、個々の機関は個々の機関の課題をかかえて活動をしておりますので、個々の機関の中にいる研究者同士が外部の同種機関の研究者との間に交流をすることも非常にむずかしくなります。こういったかなりこまかい点に至るまでこの法案は配慮をめぐらしてありまして、そういう意味で、私自身は、この種の総合研究開発機構というものができることによって既存のシンクタンクとの関係に非常にいい補完的な役割りを果たされるというふうな感じを持っております。
 また、私自身が感じますのは、この種の機関というものができるということは、たとえば相当額の予算を持つわけでございますから、予算を持つということは一つの力でございます。そうしますと、当然その総合研究開発機構の活動にあやかれる機関とあやかれない機関とが生まれてくると思います。あやかれない機関のうちのかなりの部分は、あやかれる資格要件がないという意味では、おそらくその機関のクレームというものは取り上げる必要がないかもしれませんが、場合によっては、あやかれる資格要件があっても何らかの理由であやかれないというようなことが起こってくるかもしれません。そういう意味では、少なくとも官民共同してでき上がります非常に大きな総合研究開発機構というものが所期の目的をきわめて効果的に達成するよう関係者が非常になめらかな運営をしてくださることを私としては念願いたします。
 以上、参考人としての意見を述べましたが、後ほど足らない点は質問によってお答えさせていただきたいと思います。
○浦野委員長 次に、林参考人にお願いいたします。
○林参考人 林でございます。
 いきなり私個人のことを申し上げてちょっと恐縮なんですけれども、私はことし五十七歳になります。この五十七歳になるまでいろいろな経験をしてまいりましたけれども、私の前半生は、行政官としてかなりの年月にわたりまして行政的な仕事をやってまいりました。それから引き続きまして今度は東京工業大学という大学で、大学人として現在数年をすでにけみしたわけであります。そうして今日、かたわら財団法人の未来工学研究所という一つのシンクタンクの所長も兼ねてやっておるわけであります。そういうようなことで、私個人の経験に照らし合わせましてもいろいろなことを感ずるわけでありますが、さらにその間、期間はそう長くはございませんでしたけれども、アメリカのある大学で客員教授としてしばらく滞在いたしまして、アメリカの教育並びに研究ということの実態を身近にはだで感ずることもございました。
 そうした私の体験をベースにいたしましていろいろ感ずることがあるわけでありますが、ただいままで田畑さん、野田さんが言われましたように、現在これは日本だけではありませんで、世界じゅう、特に工業国であればよけいそうでありますけれども、いろいろなやっかいな問題が次々に起こっております。
 いまよく工業化社会から情報化社会に入りつつあるんだということをいわれますけれども、確かに、世界的な第二の産業革命といいますか、非常な社会変革の過程にあることは事実であろうと思います。日本はその中で、最もその渦の最先端に立っているということも、これまた事実であろうと思います。つまり新しい変化が次々と起こってまいります。そしてその新しい変化というのは、いずれもいままでの経験ではなかなか律しきれないといいますか、見当のつかないようなことも含んでおりまして、しかも、その変化の規模というのがきわめて局部的なものばかりではありませんで、非常に大きな、場合によりましては世界的な規模、全地球的な規模で影響を与えるような非常に大きな変化がいろいろ起こっております。たとえて申しますと、公害の問題等がそれでございますが、そのほかにも、数えあげていけば私たちの周囲にいろいろなことが起こっておるわけです。
 そういうようないろいろな問題が起こってまいります場合に、評論家の人たちはそれをいかにも人ごとのようにいろいろ言うわけでありますが、しかし、それをただ評論しているだけでは何にもならないのでありまして、問題が起こりますと、その問題をとにかく解決していかなければならないわけです。その問題によってとにかく非常に苦しむ人が出てきたり、あるいはもっと端的に申しますと、いろいろな意味での犠牲者が出てくる。それをそのまま済ましておくわけにはいかないわけでありまして、いま野田さんが言われましたように、問題解決型ということばがございましたけれども、とにかくいろいろな問題が起こってまいりますと、その問題を具体的に解決していかなければならない。しかも、その解決は、いわゆる対症療法的といいますか、応急処置でいろいろな処置をするということも場合によっては必要でありますけれども、それだけではやはり足りませんで、問題の根源にまで立ち入りまして、どうしてそういう変化が起こってくるのか、その因果関係を的確に見きわめまして、そしてその原因に対して適切な処置をするというようなことがどうしても必要になってまいります。
 確かに、先ほど田畑さんもおっしゃいましたように、日本の行政機関というのは、そういう点では世界的にも非常にすぐれたブレーンを持っておりますし、そういう調査研究能力という点でも私はたいへんすぐれた能力を持っていると思うのですけれども、しかし何と申しましても、行政機関はやはり日々の行政というものと取り組まなければならない、それは当然のことであります。そういたしますと、どうしても問題が大きければ大きいほどその根源に立ち返って、この因果関係を冷静に分析いたしまして、そして病理学的な処置をするというところまでは、幾らそういう意欲がありましても、なかなか現実問題として手が及ばないということがあるのは当然であります。
 そこで一方、今度は研究の場といたしましては大学がたくさんございます。これも先ほど来お二人の参考人の方が言われましたように、日本には、個々の専門領域では優に世界的な水準の頭脳と腕の持ち主といいますか、そういうすぐれた研究者、学者がたくさんおられます。そういう方が、いままでは、多くは大学、それから既存の研究所等におられたわけです。ところが、そういう既存の研究の場では、インターディシプリナリーということばがこのシンクタンクでよく出てまいりますが、野田さんはそれを学際ということばで表現されました。いろいろな専門分野を越えて一つの共同の場をつくる、そういうことになりますと、いろいろな点でどうも不都合なことがいろいろ出てまいります。
 たとえて申しますと、大学における講座制、これは古い伝統を持っておりまして、いわゆる縦割りというものができておるのですが、そこでそういう講座制のワクを越えまして、一つのインターディシプリナリーなチームをつくろうということになりますと、いろいろ制度的にもむずかしいことがありますが、長年そういう講座制の中でずっとやってまいりました研究者には、研究者自身のマインドといたしまして、なかなか自分の土俵の外に出たがらないというような習性もございます。
 ここで、ことばの意味をくどくど申し上げるまでもないのですが、インターディシプリナリー、ディシプリンというのはいろいろな専門領域ということですが、そこにインターということばがついております。そのインターというのは、そこにいろいろな異なった専門領域があるということを前提にしておるわけでありまして、したがって、いろいろ異なった専門領域の人が異なった専門、つまりいろいろな異なった土俵があるわけですが、その異なった土俵から出て、そして新しい土俵をつくろうというわけなんです。ところが、その場合に、どうも従来のそういう縦割りの社会でありますと、それぞれの土俵の中から犬の遠ぼえみたいにいろいろなことを言う、あるいは茶飲み話的なことですと、専門領域を越えていろいろ意見を交換することがありますけれども、さてその専門領域をそれぞれ出て、そして新しい土俵をつくって、その土俵の中で新しくいろいろな問題を解決していこう、つまりそのために実際の研究をそこでチームを組んでやっていこうということになりますと、どうもそのもとの土俵が気になるといいますか、そういう傾向が強くなりまして、足のつま先ぐらいはちょっと土俵を出ますけれども、本格的に上表をおりて新しい土俵をつくるということになりますとなかなか憶病になってしまう、こういう傾向があるわけであります。
 一方、大学だけではありませんで、既存の研究所もたくさんございます。それから最近は、そういうシンクタンクといわれるような、最初から総合的なインターディシプリナリーな研究をやることを目標にいたしまして問題解決のための方策を見出そう、そういうことをやっている研究所もだんだん出てきております。そういうところでいろいろ問題解決のための研究をやっていますと、私自身も若干そういう経験があるわけですが、非常に痛感いたしますことは、最近非常な勢いで技術革新が進んで、この技術革新の結果いろいろな新しい物質が出る、いろいろな新しい機械が発明される、いろいろな新しいシステムが設計される、そういうことが次々と起こってくるわけですが、そういう新しいもの――ものというと少しおかしいのですが、いろいろなそういう物質であるとか、機械であるとか、システムであるとか、そういうものを含めましてそうい新いもの、それをひっくるめましてハードウエアということばを使いますと、そういういろいろな新しいハードウエアがつくられる。新しいものがつくられるのですが、その新しいものが結局は社会の中で使われるわけであります。
 ところが一方、社会の中にはいろいろな価値観を持った人間がおります。そこで、これは価値の多元化ということがしきりにいわれますが、とにかくいろいろな価値観を持った人間がおるわけであります。したがって、人間の欲求なりニーズなりもそれだけ非常に多様化しておるわけです。もともとそういう人間の欲求やニーズに基づいて技術革新がいろいろ新しいものをつくり出すわけなんですけれども、しかし、そのつくり出された機械にしろ装置にしろ、そういうようなものを、たくさんの価値観を持った人が一ぱい集まって共同生活をしておる社会の中で実際に使っていこうということになりますと、結果的には、ある人にとってはたいへんありがたいことだけれども、ある人にとってはそうでもない、また、ある人にとっては逆にとんでもないものが出てきたといってそれを敵視するというような、そういう非常にごちゃごちゃしたことが起こってくるわけであります。
 そこで、そういう場合に、非常に多様化した価値観によく対応して、そしてそれぞれの人にうまくマッチするような、そういう使われ方、そういういうようなことはないものだろうかということを考えてみますと、それはないことはないと思うのですけれども、そのためには結局多元化した価値観の実態というものはどういうものであるのか、それと、われわれがつくり出してきたいろいろな、ハードウエアと私さっき申しましたけれども、それとの結びつきをどういうふうにやっていくのか、これはよほど立ち入った研究、勉強をいたしませんと、なかなかおいそれと答えが出てまいりません。私は、そういうような新しい研究領域を社会的なソフトウエアというふうに言っておるのですが、コンピューターの場合に、コンピューターの機械の実体は、機械でありますからハードウエアですね。ところが、それを使いこなす利用技術、それをソフトウエアと言っております。つまり、ソフトウエアが非常にうまく開発されませんと、せっかく大きなコンピューターを買ったはいいけれども、宝の持ちぐされになる、これは御承知のとおりであります。同じように、次々と新しい機械を私たちがつくり出す、たとえば新しいジェット機を開発する、そのジェット機を開発しても、それをうまく運転する、その運転の方法をうまく会得いたしませんと何にもならない。これは要するにソフトウエアであります。
 ところが、それだけではならないのでありまして、それを今度社会の場でうまく使いこなすためにはいろいろなことが要ります。まず第一に、どういうふうなダイヤの編成で、どういうネットワークで運転させたらいいのか、あるいは飛行場をつくるときにその住民のニーズとどういうふうに組み合わせていったら一番いいのか、あるいは飛行機の性能として、いい性能はむろん言うまでもないのですが、同時に起こってくるやっかいな、たとえば非常な騒音であるとか排気ガスの問題とか、いろんなそういうようなことをどういうふうに解決していったらいいのか、そういうようなことがいろいろあるわけです。そういうようなことをひっくるめまして社会の場の中でそれを最も理想的な形でうまく使いこなす、そういうことのための新しい学問、研究というものが必要になってまいります。そういうようなことを私は社会的なソフトウエアをつくるんだというふうに言っておるわけですが、そのためには、さらに基本的な学問というものが非常に必要になってまいります。それを一口でソフトサイエンスということばで表現しておりますが、そういうことになってまいりますと、このソフトサイエンス自体、非常にすぐれて、いろいろな研究分野を離れて新しい土俵というものの中での研究ということになるわけです。そうなりますと、どうも既存の研究所ではいろいろとうまくないことが起こってきます。
 さて、そこでシンクタンクというものがそういう輿望にこたえていまいろいろできつつあるわけでありますが、この場合に二つの方策があると私は思います。たまたまこの総合研究開発機構の法案ではどういうことをやるのかということを読んでみますと、そこにいみじくもうまく表現してございますが、たとえばこれが総合研究開発機構であったといたします。そうすると、これは、上、下という表現をするのはほんとうは穏当でないのですけれども、便宜的にそういう表現をお許しいただきたいと思うのですが、この上に――この上というのはあまりこだわらないでいただきたいと思うのですが、この上に、各行政官庁あるいは会社でもよろしゅうございます。行政でもよろしいし、企業の活動でもよろしいのですが、実際にいろいろな事業を日々やっている、そういう機関といいますか、組織体があります。それはそれぞれ研究所を持っておりますし、それぞれそこにブレーンを持っているかもしれないのですが、とにかくそういうのがある。一方今度はこの下に、それぞれの研究所であるとか、あるいはシンクタンクがたくさんあります。そういう関係を考えてみました場合に、いままでは、たとえば企業がその研究所に研究を委託する、あるいは行政機関が直接いろいろなシンクタンクに研究を委託する、こういうことをやっておるわけです。むろんそれも一つの方法として、これから先も大いに必要であろうと私は思います。
 ところが、実際に問題を解決するためにいろんな研究をやっていくということになりますと、つまりそういう注文主に応じて研究をやっていきますと、問題を解決する過程で、注文主とは関係のない、つまりお隣の、直接それを注文しなかった組織体なんですが、そこの仕事に非常にかかわり合いのあるような、そういうようなことも言わなければならぬということもいろいろ出てくるわけです。つまり、それほど問題が非常に複雑にからみ合っておりまして、問題が根が深いわけですね。
 そこで、そういうような非常に広い問題になってまいりますので、ここに総合研究開発機構のような、何かそういうボディができるといたしますと、そこに全部問題をほうり込みまして、そこで今度は総合研究開発機構でいろいろ問題ごとにオリエンテーションをしまして、そうしてそれぞれの問題ごとに非常に平仄の合った一つの課題としてそれを整理し直す、そうしてその課題として整理し直したものを、それぞれの研究所あるいはそれぞれのシンクタンクはそれぞれのえてを持っておりまして、それぞれにその得意な分野を持っていなければなりませんから、その最も得意とするシンクタンクなり研究所にそのある課題を委託するというような形にいたしますと、その委託を受けた研究所なりシンクタンクなりは、直接それがどこの組織体から来ているのかということはよくわからない。そうすると、最初から迎合するようなことを考えたりというようなことなしに、きわめて厳正中立的な立場で問題解決の答えを出すことができます。そうしてそれをこの機構にほうり込む、それを今度はまたその機構でそれぞれの親元に編成し直して答えるというような形にいたしますと、問題解決の処方といたしましても非常に中立的でしかも正しい答えができるのではないか、場合によっては、それが親元の委託主に返ったときには、委託主にとってははなはだ耳の痛い答えになってくるかもしれません。それが最初から直接でありますと、やはり人情で、あまり耳の痛いことは言いたくないというようなことになって、結局正しくない答えになるということもありますけれども、そういうフィルターが途中にありますと、たいへん正しい答えが出て、しかも研究が非常にしやすくなるのではないか。一方それは、ものによりまして、いままでと同じようにそれぞれの委託主が直接委託をする、そのほうがいいものもむろんありますから、すべてそれに一元化する必要は毛頭ないと思います。しかし、少なくともそういう二つの道というのが日本にとって非常に必要ではないかということを私は自分の体験を通じて非常に感ずるものでございます。
 いまのところは、そういういま申し上げました、途中でいろいろな注文を受けてそれをオリエンテーションしてそれぞれのシンクタンクに再委託する、そういうような機構がございませんので、どうもその間いろいろな点で答えが中途はんぱになってみたり、あるいは途中で妙な遠慮をしてしまったり、そういうようなことがあるおそれがあるわけであります。したがいまして、そういう二本立てでやっていけるというようなことになりますと、私は、問題解決のために、従来のような単なる対症療法的な解決の答えだけではなくて、かなり問題の根源にさかのぼる抜本的な答えというものを期待することができるのではないだろうか、そういうふうに考えるわけであります。
 以上、いままで私の個人的な体験を通じまして感じましたことを申し上げまして、あと何か御質問がおありになると思いますので、その御質問に応じてまたお答えをさしていただきたいと存じます。どうも失礼いたしました。
○浦野委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○浦野委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
○板川委員 参考人の林先生と野田さんに伺いたいのですが、この機関の中立性あるいは自主性ということを非常に強調されておりました。この法案の第一条の目的の中にも「自主的な立場」ということをうたっておりますし、また、二十五条の中でも「国は、機構の事業に関しその自主性を尊重」せよ、こういうことで法律的にも機関の自主性というものを強調しておると思います。
 実はわれわれがこの機構で不安に思うのは、一応法律の中にこういった自主性というものをうたわれていながら、はたして政府がこれを守り得るかどうか、こういう点に一まつの不安を持っておるのであります。この点に対してひとつ御意見を伺いたいと思います。
 それから第二点は、本機構の出資のあり方であります。自主性、中立性と関連いたしておりますが、半官半民という機構、これは政府が半額出し、政府以外のものから半額を出す。それは、半額は主として民間企業あるいは地方自治体もあるだろう、こういわれておるのでありますが、この半官半民的な出資のあり方が最善だろうかどうか。これもやってみなければわからぬという気持ちもあるわけですが、この半官半民で、たとえば将来この機構が大きくなった場合に、運用上いろいろ問題も出てくるのじゃないだろうか。研究者、職員の待遇、そういったものから問題も出てくるのじゃないだろうか。あるいは将来はいっそのこと公立でやったほうが、国立の機関としてやったほうがいいんじゃないだろうか、あるいは逆に民営でやったほうがいいんじゃないだろうか、こういうふうな意見も出てくるのじゃないだろうかと考えておりますが、この出資のあり方について御意見を承りたいと思います。
 それから三点目は、これは参考人のどなたでもけっこうですが、どなたにも御意見を承りたいと思うのです。
 この発起人の選び方です。実は発起人がこの機構の骨組みをきめるんだろうと思うのです。この発起人の選び方いかんによっては、いわば鬼っ子にもなりますし、あるいはこの機構が目的とする方向に正しく育つ可能性もあるわけでありまして、発起人の選び方というのが実は重要だろう。といって、これは政府が任命する、選ぶ、あるいは推薦するということではございませんが、実質的に発起人にはたして中立性、自主性を持った人を選び出せるかどうか。この発起人会が定款をきめまして、定款によってこの機構の運営というものがほとんど規制をされるわけでありますから、この発起人の選び方というのが、実はこの機構の将来にとって非常に重要であろうと思います。この点に対して御意見を承っておきたいと思います。
 それから第四点は、第三条ですが、機構は、一を限るというふうになっております。一つを限ってこの機構はつくられる。これはまあ全国的な頭脳を集約するということでありますから一つを限るのでありましょうが、これは東京に置くだろうと思います。しかし、やはり全国の学者あるいは研究者、こういう人の頭脳の協力を得るためには、たとえば関西地方に支所的なものを、あるいは関西ばかりでなくて、中部にも九州にも北海道にもということになろうかと思いますが、研究者が集まって研究しやすい体制をとるためには、東京に一つを限るということは不便じゃないだろうかという感じがいたします。この点に対して御意見を承りたいと思います。
 それからもう一つは、実はこの機構の中に研究員というのがないのです。二十二条で職員ということになっておりまして、職員はどのくらいいるのかといったら、五年後に二十人か二十二、三人だ、こう言われておるのです。野田参考人の御意見でも、シンクタンクというのはあまりでかいのじゃないほうがいいんだというのですが、総合的なシンクタンクとして五年後に二十二、三人程度の職員で、研究員も含まれるそうでありますが、こういう程度の規模で、はたしてこの機構の役割りが果たせるだろうかどうか。規模の利益はないとおっしゃられますが、民間のシンクタンクでも、林さんのところや野田さんのところでは比較的人数が少なくて、少数精鋭主義のようですが、わりあいに多いところもありますし、外国の例を見ますと非常に多い人数をかかえておりますが、この五年後に二十二、三人という程度で、はたして機能を果たし得るだろうかどうか。
 こういう六点ばかりについて、ひとつ皆さんから御意見を順次伺ってみたいと思います。
○野田参考人 私が御指名を受けました第一、第二の点、第六の点だけについてお答えさしていただきます。
 この種の機関の自主性というものを何らかの形で曲げようとする政府が生まれてくるとは自分は考えませんが、仮定の話として、そういうものが生まれてきた場合に、一番大事なことは、すでにでき上がった研究機関が十分に自主的な力を持つことだと思うわけです。それは財務的にもまた社会的評価の点でも、しっかりした自主的な力を持っているということは、政府であろうと他の権力であろうと、そういうものに対してみずからの理念を貫く最上の道だと思うわけです。
 そこで、第六の点と関連がございますが、では大きいものは非常に自主的で力を持つかというと、必ずしもそうではございません。大きいものは大きいものを運営するためにそれなりの苦労というものがございますから、大きいものだからといって、自主的であり、また自主的な理念を貫けるとは思いません。私として考えますことは、この種の機構というものは、他の種類の機関とは非常に違った組織の運営が必要だろうということです。
 私は、その五年後二十名の職員ということを全然伺っておりませんが、たいへん感銘を受けました。持っております予算からしますとあまりにも少ない職員だと思いますが、たぶん器は大きくして人を少なくしようという非常に新しい運営の方法であると思います。たとえば、製造業で、ある会社を興そうとする場合に、製造業が相当な設備を持っている場合には、器を大きくして人を少なくするということが理想であってもそれは不可能だと思いますが、この種の機関でございますと、その目的の中に、たとえば施設の提供というものがございますから、他人に提供できるような施設を持っているというのは相当な器だろう。したがって、大きな器を持っていながら少数の人間でその運営をしていく。非常に多くの予算を持ちながら、多くの人間がその予算を日常の費用として使わないで、他の研究機関を助成したり、また委託その他の形で実施していくことに使っていく。それが成果があがるにつれて、その機関は、たとえ保有する人間の数は少なくとも十二分の社会的評価、つまり多くの社会の人々によって支持された機関になっていくでしょう。その場合には、かりに強力な権力というものがその研究所の理念を曲げるような圧力をかけても、その機関というものはみずからの理念を多くの人々のささえによって貫くことができるというふうに信じております。
 それから最後に第二番目の点でございますが、私はやはり半官半民が一番いいと考えます。全部官でおやりになる場合には、おそらく民間の研究機関との関係がいまこの法案でうたっているような趣旨のものとはならないと思いますし、それから全部民間でやる場合には同じように、おそらく民間のそれぞれの機関と、非常に強大な予算を持つ民間出資のシンクタンクとの間の関係は五分と五分のものにはならないだろう。そういう意味では、この機関というものは、さっき林先生がたいへん慎重な言い方で上下関係にこだわるなとおっしゃいましたが、もしも総合研究開発機構と外部のシンクタンク並びに民間研究機関の関係が上下関係になれば、もうこの機関の趣旨は徹底できない。一番重要なことは、古いことばを使いますと、天はみずから助くる者を助くでございまして、この総合開発機構の予算に依存しなければ維持、発展できないような機関は絶対に助けないことです。それが私は鉄則だと思います。この機関の自主性というものは、大きな器に少数の人間がほんとうにその機構の目的、理念というものを実現するために努力する、そしてほんとうにその理念に沿って助くべきものに関しては非常に積極的にそれを助け、助けがいのないものは断然それを切っていくという運営の実現がもし可能ならば、この種の機関はわが国にとって非常に重要な役割りを果たすであろうと信じます。
○林参考人 ただいまの御質問にお答えいたしたいと思います。
 まず最初の自主性、中立性の問題ですが、野田さんが言われましたことで私が同感しておりますことはもうここで繰り返しません。これはたいへん重要なことでございまして、その点は私、個人的にも非常に関心のあるところなのですが、その自主性、中立性というものを名実ともに守るための一つの方策といたしましては、研究の成果を公開するということを原則としてうたったらどうかと思います。そういたしますと、まあそういうことは予想したくありませんけれども、かりに何か非常におかしいというようなことになった場合でも、公開ということであれば当然社会的な審判を受けますし、また、それによって研究者は非常に社会参加意識というものをわき立たせられるでございましょうから、おのずから研究者自身も、一部の利益をということではない気持ちになってくると思いますね。
 それともう一つは、これはやり方が非常にむずかしいのですけれども、まあこれもことばとしてあまりよくないのですけれども、日本語で監査といいましょうか、そういうようなことを行なう必要があるかもしれないと思います。ただ、この監査というので注意しなければなりませんのは、これは英語ではリサーチマネージメントあるいはリサーチ・オン・リサーチとかいうようなことがございまして、要するに、研究監査ということがアメリカのシンクタンクなんかではよく行なわれておるのです。ところが、日本で監査といいますと、どうも金を何かむだ使いしてやしないかとか、そういう業務的な監査はこれはもうどこでもやるのですけれども、ただ研究監査ということになりますと、どうもそれが十分行なわれていない。それは無理もないのでありまして、そのほんとうのリサーチマネージメントをやろうということになりますと、その監査をする人自身がかなり高度の知識を持ち、研究そのものに対して理解力を持っておりませんといけないわけであります。ところが、そういうような人は、監査するよりも自分が研究したいという人が出てくるものですからなかなか人材を得られないということなんですが、これからはやはりそういうような人も養成いたしまして、ほんとうの正しい意味での研究監査というものをやっていけば、いまの自主性、中立性ということは結果としては保てるのではないかと思うわけであります。
 それから二番目の、この出資のあり方でございますが、これは私は、やはり半官半民でもいいのではなくて、半官半民のほうがいいと思うのです。と申しますのは、今日純粋の企業体でも、公害の問題等に関連いたしまして企業の社会的責任とかいうことがいろいろいわれておるわけですが、企業自体としてそういうようなことをほんとうはやりたいのだけれどももうそこまで手が回らないということで、やりたくてやれないというようなことが私はたくさんあると思うのです。そういうようなことから、そういう純粋の企業体が民間のシンクタンクにいろいろな事業を委託するというようなケースもぼつぼつ出てきておりますけれども、御自分のところに研究所がありましても、それではなくて、ほかのシンクタンクに委託というケースがぼつぼつ出てきております。これからますます企業から発生している問題だけれども、しかし企業だけではなかなかやる余裕がないというような問題が広がっていくと思います。そういうことのためには、私はむしろ企業体の経営者の方なんかでも、こういうのができた場合には非常に歓迎されるのではないだろうかという気がいたします。これは私がそんなことを言うのは少し僭越かもしれませんが、私はそういう感じがいたします。
 それから発起人の選び方、これも先ほどのリサーチマネージメントと同じように、結局は人の問題でありますから、そういう人がいなければ話にならないのでありますが、確かにおっしゃるとおり、これはたいへんむずかしいと思います。特にこの場合に私は非常に注意しなければならないのは、従来の役所がうしろだてになってつくりましたいろいろな機関というのは、とかく天下りということがよく問題になりますけれども、そういうようなことで本来研究というような点からはどうもあまり適当ではないというような方が、そのかわりなわ張り意識だけはたいへん強烈で、そういう方が集まってきて自分の植民地をここでつくるのだという意識だけでやられたら、これはたまったものではないのでありますから、それはそういうことがないように、最初から、もう発起人の段階から私はその点が非常に重要な点だと思っております。
 このことは、あとの職員のこととも関連するのでありますが、私、先ほど非常に舌足らずな御説明をいたしましたけれども、この総合研究開発機構というものがあって、そこにいろいろな委託がほうり込まれて、そこでオリエンテーションをしていろいろな課題ごとに再委託をするというようなケースを一つの例として申し上げましたが、その場合に、この機構自体のオリエンテーションをするときの、何と言いましょうか、実力と言いましょうか、これがやはり非常に問題になるのでありまして、そのために私はただ単にトンネルで右から左に、どこそこからこういうのが来たからあなたのところどうですか、これならだれでもできるわけです。そうではなくて、それをほんとうに各省の問題を全部同じ器の中に入れて、これを全部ごちゃごちゃにして問題を編成し直しまして、そうして一つの脈絡一貫した課題にずっと整理し直して、研究しやすいような形にして再委託をするということのためには、この機構そのものがかなりそういう高度の知識と能力を持った文字どおりその機構自体がシンクタンクになっていないと私はできないと思いますね。そのために人数が百人も二百人もある必要はないと思うので、この点、五年後二十人というのは、私もきょう初めて伺ったのですけれども、たいへんけっこうだと思うのです。そのかわりに、それは非常に一人一人がそういう知識と能力を十分わきまえた方で、そして最初の御質問のように、自主性、中立性を侵さずにしかもそのオリエンテーションがきちんとできるということであるためには、むしろそれぐらいの人のほうがいいのではないか、そのかわり一人一人が非常に精鋭であることを要求されると思います。
 それから、この東京に一つでいいかどうかという点は、これは私自身もまだはっきり何とも申し上げられません。あるいは幾つかの支部を持ったほうがいいかもしれないと思いますし、この点は、私自身まだちょっとはっきり考えがまとまりませんが、しかし、少なくともこういうことだけは言えると思うのです。これが非常にへんぴな片いなかにいくということは避けるべきではないかと思います。というのは、やはり情報化社会におきましては、情報の集中、それから情報の管理といいますか、それの一番の中心はやはり東京でございますし、したがいまして、これはあとうべくんば東京のまん中に置かるべきではないかというのが私の感想でございます。
○田畑参考人 いまの御質問の中に、職員をどういうぐあいにすべきかという点がございましたが、私は、こういう総合的な一つの仕事を取りまとめていくところの職員は、できるだけ半官半民ということでもって、官も民も協力するということが一つの土台になっておりますが、そういうようなところから選ばれた若い人が出向する制度、これは日本では終身雇用制度という形でもって非常にみんな安定しまして、他の領域になかなか出ていかない。そのために、せっかくの素質がありながら、そういう新しい分野に頭を費やすことがないのが一つの日本のしきたりでございますが、こういうような非常に総合的な新しい分野へ取り組む一つの場に、方々の社会でもって育ってきた、また、そういうバックグラウンドのある方々の中から選ばれた人が入っていく、そうすれば、その職場そのものが非常な活気のある体制になりますし、また、林さんからも話がありましたが、アセスメントとか、そういった問題も非常にむずかしいのですが、やはりそこには、職員の中にそういうようなアセスメント全体もある程度考え得る実力を持たなければいけません。そういうようなことからいいまして、出向の体制というものが好ましいのではないかと痛感いたします。実は私のいまやっております仕事は日本鉄鋼協会というもので、それを運営しておりますが、各社から五名若い人が二年間ずつ出向して、そしていろいろな各種の委員会運営をその若い人たちが責任をもって進めております。こういう人たちは、自分たちの会社、職場でもって全然経験しなかった分野に突然舞い込んで、たいへんえらい方々と毎日接触することになるわけですが、決して見劣りのするような仕事をいたしませんし、そういう人たちによって非常にいろいろな委員会の活動が新しい分野へとどんどん拡大していくことが確認されております。かつ、そういうような人が再び会社に帰りまして非常に有能な活動をするなり、それからまた、世界的な大きなつながりのある仕事などと勇気をもって取り組み得るという好ましい現象が生まれております。こういうような新しい制度が生まれることによりまして、その制度そのものが非常に活発に動くこと、それにはやはり人材をいかにしてそこに結集するか、その方法がまず第一でございますが、各方面からそういうような出向とか、短期間でもいいからどんどん人が流通していくという考え方を取り入れられると非常にいいのではないかと考えます。
○板川委員 実はこの法案の審議をしておりまして、私どもどうもこういう点は苦手なものですからよくわからないで困っておるのです。多少理解も参考人と違うんですね。たとえばいまの職員の問題でも、研究員と、よそから出向してきている人は一応職員の中に入る、こういう考え方をこの法案の中で立案者は考えておるのです。ですから、そうしますと、よそから他の民間会社なりあるいは国の機関なりの研究者が入ってくると職員になります。それで、そういう者を含めて二十人か二十二、三人だというんですね。だから、少数精鋭主義もいいのだけれども、はたしてそういうようなことでこの機能が果たせるのだろうか、これは神さまに近いような万能の人でも集まってきて、どういう仕事でも右から左にオリエンテーションをして、これはどこそこの研究所へ委託しろ、こういうふうなことがその程度の人数でできるのだろうかという気持ちがあるのです。実はわからないのです。そうして職員であれば、これは公務員としての一つの義務を負いますし、あるいは公務員としての罰則を受ける、こういう形になっておりますから、そういう点で、参考人の皆さんがどういう説明を受けたかは別として、どうも経済企画庁、立案者のほうではそういう趣旨のことを言っておるのですが、それでも、その点について問題はないだろう、こういうふうにお考えなんでしょうか。どなたでもけっこうです。
○野田参考人 私がさっき二十人ということを考えました頭の中では、出向所員はその中に入らないというふうに考えておりました。
 それから、目的の中に施設の提供というのは、ある大きなプロジェクトがあった場合に、いろいろな研究所から人を間引いてきて、一定期間内そこで一定の研究に従事させる。その場合は、スペースは提供するけれども、人はその出向所員でほとんどまかなわれる。ただ、たとえば事務局的な機能とか、あるいは願わしいのは、その二十人の中には非常に卓越したプロジェクトマネージャーが何人かいるということだと思うのです。この非常に卓越したプロジェクトマネージャーというのは、どこの国でも非常に少ないわけです。研究者はかなり資源として豊富でございますけれども、プロジェクトマネージャーというのはなかなかその資源として希少的である。研究者自身を組織的に訓練し育成していくことはかなり可能ですが、プロジェクトマネージャーというものは、おそらく資質の点もありましょうし、経験もありましょうから、なかなか育てていくことができないわけです。そういう意味では、職員二十人の中にかりに五名なら五名非常に卓越したプロジェクトマネージャーがいれば、その研究所は、非常に少ない人間で非常に大きな仕事をやっていくことができるというふうに考えるわけです。
 それから施設というものは、大きくなればなるほど運営、管理のための人間というものが必要になってまいりますし、予算もふえればふえるほど経理その他の処理に相当な人間というものを必要としますから、私が考えます二十人というのは、いわゆる専任の職員、研究員を含む職員でございまして、出向所員というものは含まないというふうにまず理解しております。
 それから、その膨大な予算というものを持った、また、膨大な施設を持った研究所というものを二十人余りの人間で運営できるかという御質問に関しましては、私の経験ではできると思います。ただ、それは普通の人間ではだめなんです。やはりおそらくそれを立案し運営なさることは、それなりの腹づもりをお持ちになってそうおっしゃったのだろうと思います。私は可能だと思います。
○林参考人 私もちょっと関連してお答えさせていただきたいのですが、これも私の経験から申し上げるのでありますけれども、そういう職員の構成といたしまして、いわゆる専任の職員とそれから出向の職員とがほぼ半々で構成されるというのが私は一番理想的なような気がいたします。先ほど田畑さんがおっしゃいましたように、確かに出向で来られる方というのは、それなりに非常にフレッシュな、つまりよそから風が吹き込むわけですから、マンネリズムにならなくて、そういう点では非常にいい刺激になるのですけれども、同時に今度は、出向の方は、いろいろなことをずっと続いてやるということはどうもできない。人がかわりますからね。そこで、どうもその点がちょっと難点があるわけです。したがいまして、これは相互に刺激し合うという意味で、専任の職員も、しょっちゅう外からの風に当たっておりますと一生懸命勉強する、ついあぐらをかいているひまがなくなるという点で、私は大体半々がいいと思います。そして野田さんがいま言われましたように、実は私が二十人と伺いましたときに直観的に私の頭の中に浮かびましたのは、この二十人の中には出向がいないで、いわゆる専任の職員が二十人、ですから、いま半々ということを申しますと、それと同じくらいの出向の人ということになるわけですから、私の頭の中ではそんなような感想を持ったのです。
 ただ、では二十人でもできるかできないかということでございますが、これはまさに人を得ればできると思うのですけれども、これはちょっと逆説的になりますが、逆に人数というものを先にきめてしまって、これは四十人でなければいかぬ、五十人でなければいかぬというふうにいたしますと、これはかえってぐあいが悪いのではないか。と申しますのは、これも私の経験から申し上げるのですが、日本では、それぞれの分野の専門家といたしまして、それは世界に冠たる専門家がたくさんおられますし、それから、いろいろなプロジェクトチームをつくりますときに、どんな分野の専門家でもそうそうたる専門家を連れてくることが日本では可能です。そういう点では、たいへん日本の知識水準は高いということをつくづく感じます。ところがさて、そういういろいろなそうそうたる専門家が十人とか二十人とか集まってプロジェクトチームをつくりましたときに、そのプロジェクトチームをほんとうにうまくプロジェクトマネージしていく人はとたんに少なくなる。ほんとうにこうして指折り数えても数えられるくらいの人数しかいま日本にはいないのではないかとさえ私は思います。そう思いますと、これから先、総合研究開発機構がそういう人を養成していくことを大きな業務として考えておられるようですから、やがてそういう人たちがだんだん育っていくでしょうけれども、いますぐにそういう人たちがはたして何人いるかということになりますと、必ずしも楽観を許しません。そこで、人数のワクだけを広げてしまいますと、今度は、先ほどもちょっと申しましたけれども、そういうプロジェクトマネージという点では非常にどうも適当ではない、そういうような方々で一応いすを占められてしまう、こういうことになりますと、これはかえって非常にぐあいが悪いので、そういう意味からも、私はあまり多い人数を考えないほうがむしろいいのではないかという感じを持ったわけでございます。これは非常に実感的なことを申し上げてお答えにかえさせていただきます。
○板川委員 この二十三条の業務を見ますと、この機構としては「総合的な研究開発の実施」とありますが、実施という面でいろいろ考え方もあるはずなんですが、実施というからには、みずから研究開発を実施する面もあるだろうし、それから委託されたものをさらに他の機関に委託をする、こういうものもあるだろうと思うのです。実はこの職員の範囲について当局の見解もどうもあやふやなものですから、文書をとってみたら、実はこういう文書がきておるのです。職員の範囲として、この法案二十一条及び二十二条でいう職員は、事務職員及び研究員である。この研究員は、研究企画調整者、機構がみずから行なう総合的な研究開発の実施及び受託業務に必要な研究員である、こうまず範囲を規定しております。そして国、地方公共団体、民間会社等から出向して前項の職員となる者は、当然に機構の職員であるということになります。業務の委託先の職員及び研究員は含まれない。それはそうです。頼んだ先のことですから含まれないといわれておりまして、常勤の職員というものは二十名ないし二十三名程度にとどめたい、常勤、非常勤を問わず、研究員はいずれも職員である、こんなことを考えておるのですが、私どももアメリカの例などを見ますと、あまりにも人数が向こうは多過ぎて、林さんが言われたように、大体専属の研究員は、全体の中で四割から五割ぐらいですね。そういう点はわかるのですが、何か総合シンクタンクとしてはどうも人数の点であまりにも少ないのじゃないかという感じがするものですから、一体これはどうやってこの機構を運営するのだろうかというわからない点が実はあるわけで、その点を実際シンクタンクを運営されておる林さんなり、あるいは野田さんなりからもう一ぺんひとつ伺ってみたいと思ったわけなんです。御意見があれば承ります。
○野田参考人 いま担当官庁からおとりになりました文書の内容をお伺いしたのですけれども、その場合には出向所員、つまりクライアントのほうから出向しておる者全部を常勤の職員と考えるかどうかについては、その文書はかなり幅のある言い方をしているのじゃないかと思うのです。ということは、一番理想的なことは、自主性が保てるためにはまず基本的に財務が自主的に運営されなければならない。そうしますと、かりに三十億というものでスタートした場合には、そこから生まれてまいります、たとえば利子とか配当収入、かりにこれを七分なら七分に回したとしますと二億、これは三十億だとした場合です。おそらく五年たった場合に三百億でございますから、当初から財務は非常に安定していなければ自主性が保たれませんから、大体二億くらいのお金の中で職員の人件費並びにさまざまな物件費がカバーできなければいけません。そうしますと、だんだんと予算、基金がふえていっても、ともかく人間がふえないということは、研究調査活動に対して実施並びに助成というものがたくさんできるようになります。できるようになればなるほど、その機関は社会的権威というものを増していくと思うわけです。私が考えますのに、二十人というものはどのくらいの規模になったときかよくわかりませんが、五年後三百億になったという前提でかりに三十億という一種の不労所得が生まれてくる状態で、ほんとうに二十人の人間の人件費だけをカバーすれば、あとは施設をカバーするためのスペースコストとか物件費、その他のものはすべて研究の実施並びに助成に対して使えるとしますと、これはもうたいへんな理想が実現されると私は思います。私は、自分自身の経験からいたしますと、その程度の規模、たとえば三百億という基金の研究所がはたして二十人の人間で運営できるかどうかについてはできると思いますけれども、かりにそれが四十名であったところで、五十名であったところで、それはその研究活動のやり方によって違ってきますが、一番大事なことは、ともかく固定的な費用が非常に多くなったために、本来なすべき研究の実施並びに助成ができなくなるということが一番危険でございまして、そうなったときに、その機関は、どこか自分たちの財務的な安定を保証してくれるような機関に必ずこびへつらうようになるでしょう。その機構がこびへつらった場合に、その機構との関係者、つまりクライアントがその機構と対等の関係に立つことは考えられませんから、おそらく日本のシンクタンク全体が、言うならば、もたれ合いの関係になるでございましょう。私は、その機構はどんなに大きな予算を持っていても、どんな小さな研究機関との関係もいつも対等であるという理念が、実はシンクタンクの理想を生かす一番大きな道だ、そのためには人間を、少なくともぜい肉を最小限にしておくことが財務の安定のみならず、その理念を実現するために非常に大事だ、その担当官庁から文書を提出された方自身は、数をたまたま何人くらいというふうに問われて、たぶん二十数名だとお答えになったんでしょうが、それが別に五十名であってもかまわないと思うわけです。私は、初めから器は大きく人間は少なくという理想は非常に卓越した理想だと考えております。
○林参考人 法案にございます研究開発の実施に対する御質問がございましたけれども、それに対しまして、私のこれまた実感を申し上げます。
 担当官庁のほうはどういうふうに考えられておるか私は存じませんけれども、私の実感を率直に申し上げますと、この研究開発の実施ということの意味は、先ほど私が例をあげて申し上げましたオリエンテーション、それを私は実施の内容だと考えておりますので、実際に何かのテーマを自分みずから手を下して研究をするということは、私はやるべきではないと思っております。これは有名なピーター・ドラッカーの本の中に出てくることばですけれども、そのドラッカーさんのことばによりますと、行政機関、つまり政府の行政機関ですら、実際のいろいろな事業をやってはいかぬと書いてあるのです。なぜいかぬか。その理由は、いろいろな事業をやりますと、公正な判断をする判断力がなくなってしまう、つまり身びいきがいろいろできてしまいますから、したがって、政府というものは、いろいろな事業をしてはいけないんだ、事業をやる必要が起こったときは、全部政府以外のボディにやらせるべきであるということか書いてあります。これは少し極端な表現といたしましても、そういう研究開発のような場合には、総合研究開発機構もみずから研究をしということになりますと、これはほんとうに先ほどの自主性、中立性ということで目が曇ってしまうということもありますので、あくまで自分はやらないで、絶えず客観的に判断をする、その判断力を養成することが第一義であり、それはやはり一つのりっぱな研究開発だと私は思いますから、私の解釈はそういう解釈でございます。
 そういうふうに考えますと、その人数のことはいま野田さんが言われたと同じようなことになるのでありまして、先ほど来御質問の中でアメリカのシンクタンクの人数がいろいろ出ました。私自身も、何回も向こうのシンクタンクの実情を実際見に行って知っております。ただ、これも私の実感でございますが、バッテルとかSRIだとかランドだとか、有名なシンクタンクがございますが、その中には、彼ら自身が少し大きくなり過ぎて、野田さん的表現で言いますとぜい肉がつき過ぎてしまって、それをいまどんどん切り捨てている段階ですね。それから実際行ってみましても、そういうほんとうのシンクタンクからちょっと逸脱しまして、商品の検査みたいな、そんなことまでやっているところもございますし、そういうようなことは私は全く邪道だと思いますので、アメリカのそういう例が決して適正な例だとは思っておりません。
○板川委員 まだありますが、時間のようですから、終わります。
○浦野委員長 松尾信人君。
○松尾委員 最初に田畑参考人にお尋ねしたいと思いますが、この自主性、中立性というのはもう当然なんでございまして、それにまた公開の原則、もっぱら平和的にこれを利用していくのだという、そういういろいろの原則は当然確立されていかなくちゃ相ならぬと思うのであります。
 それでまず、これは参考のために聞くわけでありますけれども、資源調査会における、いろいろの運営の実態といいますか現状、たとえばテーマはどういうふうにしてきめていくのか、その成果が利用されるというか、実施される方向はどういうふうになっておるのか。こういうことを最初にお聞きしたい。
○田畑参考人 いまの公開の原則、これはほかの参考人からも言われていることで、こういうシンクタンクの活動の質をよくしていく意味において非常に効果があると考えております。そういう意味では、日本の官庁におけるいろいろの研究組織、また官庁から金が出ましたいろいろな民間における研究成果、こういったものは原則として公開を前提として進められております。これはアメリカあたりでは、公開をむしろ非常な特例として考える、ほとんど全部非公開という原則で、政府が金を出し、方々でいろいろ研究を進めていく。これは日本とアメリカと非常な対照的な進め方だと思いますけれども、日本の過去において進めてきたその公開の原則に基づくそういう研究の進め方、これはきわめて公正だし、それから進歩的であると私は考えております。それから二番目の御質問の資源の問題についてちょっと私理解ができなかったのでございますけれども、こういう資源調査会の活動からいろいろ進めてまいりました日本の資源問題、世界の資源問題、こういったものにつきましては、現在のところ、日本の資源調査会でまとめておるものは、数多くの分野において世界でも類例のない、非常に膨大な、またアップ・ツー・デートのものがまとまっております。これは政府なり一つの総合的な機関がものをまとめるときに、いろいろな分野からの専門家が集まってまいりますけれども、やはり一つの大ぜいの、また総合的な別の機関で仕事をすることに活用されるときには、ワクを離れて、人間が公正な、非常にピュアーな考え方のもとにいろいろ進めてまいりまして、結果として非常にりっぱなものがまとまってくるようでございます。
 資源問題につきまして資源調査会かまとめておりますいろいろな成果については、現在のところ、そういう意味で世界の高い水準のものが生まれているということだけちょっとお答えしたいと思います。
○松尾委員 先ほど林参考人の非常に示唆的な御発言があったわけでありますが、それは研究監査の問題であります。これは私は非常に大事だろう、こう思うのでありますけれども、この研究のテーマのきめ方ですね。まずテーマというものはだれがきめたらいいのかということであります。国民がいま非常に必要とするテーマはいろいろあると思うのですね。公害の問題、それから社会福祉の問題、その中には老人の問題とか土地も住宅もありましょう。いろいろそういうものをひっくるめまして、非常にいま国民福祉への転換ということで、そういうところに合わせていく。そのテーマを取り上げる。ですから、研究監査ということはあとの監査じゃなくて、まずそういうところからがっちりこの総合研究開発機構はよかったというものをつくり上げていかなくてはいかぬだろうと思う。
 そういうところでこの法案の中を見ますと、研究評議会というのがあるのです。そこにはいろいろ学者、専門家が参りまして論議するわけでありますけれども、そこでは決定権がないわけです。いろいろ評議はしますけれども、意見は述べますけれども、それで終わりであります。これは諮問機関でありますからそういうことです。
 それから、そのような各方面の頭脳的な人の力の結集、そういうものの実現、それが阻害されるのじゃないか。テーマ自体もそこできめる自主的なものがない。それから役員会、理事会等で決定されたそういうものによっていろいろ研究評議会でやりますけれども、その結果は、意見が出ても参考にされるにすぎないということは、このスタッフの意欲をそぐのじゃないか。むしろ研究監査ということから考えますと、最初からそういうものをがっちりとしておいて、そしてこの機構の運営ということをやっていくものと、それから基本的にこういうシンクタンク本来の仕事というものは明らかに分離いたしましてやっていくのが研究監査の主眼でなかろうか、このように思うのですけれども、ひとつ参考人の御意見を聞きたいと思うのです。
○林参考人 御指名がございましたのでお答えいたします。
 これも私の実感を申し上げますが、先ほど研究監査のことを私ちょっと申しました。研究監査ということは、どうもことばがよくないのでありますけれども、この際私は、研究評議会ですか、あれの一つの機能といたしましてリサーチアセスメントということをやってみたらどうだろうというふうに考えております。リサーチアセスメントというのはどういうことかといいますと、アセスメントというのは要するに事前の評価といいますか、つまりテクノロジーアセスメントといいますと、技術開発をする前に、その技術開発をした結果どんないい影響、悪い影響があるかということを調べて、悪い影響があるということがはっきりわかったらそれに対する対策も考える、こういうことでございます。リサーチアセスメントというのは同じことでございまして、ある研究開発をしよう、その場合にその研究開発をすることによってどういう効果が考えられるかということを厳正中立に、あらかじめあとう限り事前に考えてみる。それで、これはおそらくテクノロジーアセスメントの場合もそうですけれども、どういう手法で、どういうやり方でそれをやるのか、そういうことがまだ現在開発されておりませんから、おそらくそのこと自体をどこかのシンクタンクにひとつ委託してリサーチアセスメントの手法を開発してもらおう、そういうようなことに具体的にはなるかもしれません。しかし、とにかくそういうようなことをやって、そしてその研究評議会でリサーチアセスメントをやるのだという機能を一つつくりますと、それによっておのずから、つまり研究監査のやり方というものがだんだん明らかになってまいりますし、いわゆるただ何ということなしにだべるだけで終わるというようなことがない、一つの方向づけというものが出てくるのではないだろうか。その場合に、当然自主性、中立性との関連が十分議論されることでございます。これは一つの考え方でございますが、そういうことをこの研究評議会に性格づけてみたらどんなものだろうかという気がいたします。
○松尾委員 評議会のほうへひとつそのような提案をしてみたい、そう思うのでありますけれども、これはやはり先ほどもちょっと質疑が出ましたけれども、この発起人それから役員、こういうものにつながっているわけです。金集めがじょうずな人が非常に望ましい、こういうことも長官も答えておりまするし、何やかやこうなってまいりますと、結局発起人のほうでうんとかせぐわけです。そうして機構ができます。できる前には定款もきまりまするし、役員もきまるわけです。そうして役員のほうでいろいろ基本的な問題を全部取りそろえまして評議会にかける、こういうあり方はやはり反省すべきじゃなかろうか。財界主導型とか、または政府の主導型というふうになっていってはいけない。これを私は非常に憂えるといいますか、心配するわけです。いつの間にやら、いまお互い論議しておる、正しい方向に向かってこれが進もうとしておりますけれども、長い間にそういうものが入ってきまして曲がっていくおそれがある。ですから、自主性とか中立性とか公開性とか平和的な利用だとかという五項目ぐらいのかっちりしたものをつくっておかなくちゃ相ならぬ。これは当然のことでありますけれども、わが公明党といたしましても、このような基本法というものを制定していきたい、そうしてあらゆるものに、シンクタンクのすべてにこのような条件でなくちゃいけないぞというものをはっきりさせていかなくちゃいけないと思うのです。ですから、くどいようでありますけれども、そういうことをしっかりしていくのが、また、本日参考人の方々がせっかくお見えになっていろいろ意見を述べられておる、それがりっぱな結果をあらわすという方向に向かわないと無意味でもあろう、こう思うわけであります。そういうことにつきまして、研究テーマのあり方、それからそのきめ方、そういうものの自主性、中立性、外圧じゃなくて内圧的なものがあってこわされていくことも、これは十分に警戒をしていかなくちゃ相ならぬと私は思うのです。くどいようでありますけれども、もう一回林参考人の御意見を聞きたい、こう思います。
○林参考人 先ほどの私のお答えでちょっとことばが足りなかったかと思うのですが、御質問で研究のニーズがどこから起こるかという御質問がありました。いまそれを重ねて御質問になったのだと私は理解いたしますけれども、おそらくこの研究のニーズ、根源的に言いますと、これは国民大衆だろうと思うのです。要するに、国民大衆が日常の生活を通じまして今日いろいろな問題をかかえておりまして、日本は民主国家でございますから、いろいろなことがもうしょっちゅう持ち上げられてまいります。そして当面持ち上げられてまいりますほこ先は、これは地方公共団体であり、あるいは政府自体であるということで、いずれにしても、そういう行政機関がそういうことにしょっちゅうさらされておるわけですね。したがいまして、おそらく各行政機関ではそういう問題の所在だけは十分にわかっているけれども、どうしていいかわからないということが一ぱいあると思います。したがいまして、政府がいろいろな研究開発のテーマをこの機構に持ち込むということは十分考えられますが、国民が何もニーズとして声をあげていないのに、政府自体がかってにそういうものを持ち込むといいますと、これはおっしゃるように何か政府主導型みたいになりますけれども、おそらくそういうことではなくて、国民がわあわあ問題を持ちかけて、それで、それに対してこたえようと思ってもこたえる能力がない、そういうようなもてあましている問題が一ぱいあって、それを持ち込むというケースになるだろうと思います。ですから、そういう場合には、形式的には、政府が持ち込んできて国民が直接持ち込んできたんじゃないように見えますけれども、結果的にはやはり国民が持ち込んだということになるんだろうと思います。むろん将来国民が直接持ち込むという場合もあるかもしれませんか、私は、一応具体的なケースとしては、そういうケースが一番多いのではないだろうか、そしてそのことは少しもおかしくないんじゃないだろうかと思っております。
○松尾委員 これは野田参考人にお尋ねするわけでありますけれども、要するに各ブレーンですね。そういう頭脳的な活動、そこに自主性、中立性とか、そういうものがやはりまずはっきりしておらなくてはいけない、こう思うわけです。ですから、この機構の中におきましてそのような頭脳的な活動というものが自主性を持ち、中立性を維持し、そして自分の主観というものを貫いていけるような体制というものがどのようにあったらばうまくいけるかということにつきまして、ひとつ御意見を聞きたいと思います。
○野田参考人 おそらく総合研究開発機構というものが行なう研究調査の実施というものは、自主的に自分の予算内で行なうものもございましょうし、それからその予算内で外部に委託するものもございましょう。それから外部から委託されるものもあるんではないか。この際、いままでのお話からしますと、第三のものが当面は非常に少ないように思うわけです。
 第一に自主的に行なう、第二はおそらく外部に委託して行なう。第二に行なう場合に、さっきのどこにそれを頼むかということが非常に問題になります。これはいま林参考人がおっしゃった点で尽きると思います。
 第一の点でございますけれども、一番大事なことはやはり外部のしかるべき専門家、その課題の検討とか究明、あるいは解決をしていくために最も適当な外部の専門家とか学者あるいは実務家の協力体制がいつも得られるような機構の性格を持っていなければならぬと思うわけです。そうしますと、かりに機構というものが、ある何らかの色彩というものにもし動かされれば、おそらく外部におります専門家とかあるいは学者とかいうような人々は、特にみずからの価値観というものの中立性に非常に強い信念を持っておりますから、必然的にその種の機関には協力しないという体制が出てくるのじゃないか。私は、それがこれから総合研究開発機構というものが自主的に仕事をやっていく場合の一番大きな問題点だと思っております。そういう意味では、自主性というものは何よりもその課題を解決するに最も適格な人々がいつでも時間さえあれば喜んで協力してくれるような、そういう性格の機関であるということを運営の信条とすべきだというふうに考えております。
○松尾委員 内外にわたってのお話であります。それで、外部の関係はいまのお話でよくわかりますけれども、そのようにして一応職員、研究員、評議員というもので機構が動いていくわけであります。問題は、機構の運営だと思うのです。その運営の中に頭脳的な活動というものが伸び伸びと自主的に中立性を保ちながらいけるというそこを内部的に考えた場合に、その頭脳的な活動というもの、そこにおけるいろいろなテーマのきめ方とかなんとか、内部的にどのような仕組みといいますか、そこに発言権をうんと持たせる、そこに決定権をある程度与えるというような行き方が考えられるのじゃないかと思うのです。くどいようでありますけれども、その点についてちょっと意見をお聞きしたいと思います。これは野田参考人ですね。
○野田参考人 いまの御質問の意味を私自身十分了解しておるかどうか知りませんが、独立した機構である以上は、外部の人々にそういうような何を決定するかということに対する決定権を事実上ゆだねるということ自身は、機構の自主性をそれ自身失なうことになるのじゃないか。そういう場合に、外部の非常に広い層に諮問をするという仕組みは当然残されておると思いますけれども、最終的な意思決定というものは内部でしていく、この点は異論はないわけでございます。そうしますと、やはり私が申しますのは、研究評議会の機能とかそういうものは、なるほど最終意思決定機関ではなくても、事実上研究その他の課題の選定その他に関しては実質上の意思決定ができるような仕組みになっていくのじゃないか。たとえば、大学における教授会というものは、大学の中の規則ではそれほど大きな決定権を持っていなくても、事実上各学部の教授会は相当大きな実質上の権限を持っているという例に即して御了解願えればいいと思うわけです、もしその権限が侵されるような場合には、その大学から非常にいい教授、つまり研究者というものが去っていくということによって、結果的にはその大学の評価が下がるというふうになってまいりますので、この種の研究機関というものはそれほどこまかい法律上の措置を講じなくても、事実上そういった形におさまっていくと信じます。
○浦野委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
○浦野委員長 引き続き政府に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 本法案の質疑が同僚諸君から展開されてまいりましたが、私が感じることは、研究開発の課題であるとか、あるいは機構の財政規模、業務運営の方法、人的構成、こうした点に政府は必ずしも明確な答弁をしておられないですね。政府自体が自信がないような法律というものはそう拙速主義でやるべきではないのであって、むしろもっと慎重に検討して、政府に確信がついた段階で提案されるということがいいのではないかと私は思うのですが、その点大臣は、この総合研究開発機構について今後どのような確信を持って進めていこうとお考えにたっていらっしゃるのか、伺ってみたいと思います。
○小坂国務大臣 本法案の審議にあたりまして非常に御熱心にこの法案の内容を御質疑いただきまして、われわれも、この質疑の過程を通して非常に御啓示をいただいたことを感謝いたしておるのでございますが、ただいまおことばにありましたような非常にずさんな答弁というのは、実は私どもの立場からいたしますとさようには思っておらないのでございまして、この法律を通していただくことによりまして日本に新しい未来指向型の総合的な研究開発機構ができるということにひとつぜひ大きな意義をお認め願いたいと考えておる次第でございます。われわれといたしましては、この組織の問題等もできるだけ簡素に、しかも国家的な権威によって裏づけられ、しかも民間の活発な創意くふうというものを生かせるような非常に新しい機構をつくろうということで意欲に燃えておるわけでございます。しかしながら、その審議の過程を通していただきました種々の御質問を通しての御意見、これについては大いに傾聴すべきものありと考えて、さらにこの法律によって日本の研究機構が充実発展いたしますようにつとめる考えでございます。
○中村(重)委員 資金を一つとりましても、五カ年計画でもって三百億構想、そして半分の百五十億は民間の出資を期待している、もちろんこれは地方自治体も入るのでしょうが、それがはたして可能かどうかということですね。これは民間、地方自治体の出資が政府計画のとおり集まらなかった場合、これをどう措置しようとお考えになっていらっしゃるのか、それらの点はいかがでしょうか。
○小坂国務大臣 初年度三十億、三十億と、目標に向かって百五十億政府が出資し、民間がまた百五十億出資するという計画を持っておるわけでございますが、百五十億というのはなかなか大金であることは間違いございません。そこで、その資金収集につきましてもいろいろな苦労があることと存じます。しかし、一方民間の側においてもうすでに三年くらい前に千億財団という構想もできておるわけでございますし、今日中央、地方を通じましてのいろいろな審議会等がございましたり、また調査委託をしておる、この調査委託費に支払います金額もなかなか膨大なものがございますので、そういうことを一々しなくても、ここへ頼めばということになりますと、資金の収集も非常に軌道に乗るかと考えておる次第でございます。
 いまの御設問は、資金が民間から集まらなかった場合にどうするか、こういう点にも触れていらっしゃったのでございますが、その点にお答えいたしますと、御承知のように、本院を通過して成立させていただきました国際交流基金というのがございます。あれも民間からの募金を当てにしておるわけでございますが、これはなかなか集まっていないというのが現実でございます。しかし、あの基金は基金で動いておりまして、なかなか活動をいたしておるわけでございますので、私ども政府のほうは、私どもの責任において予算づけをしてまいる考えでございますが、民間のほうが不足した場合には、これはある程度その資金が足りないままにやっていくということにならざるを得ないかと思いますし、場合によっては、集まらなかった時点がかりにあったといたしますと、その時点においてさらにどうするかを検討していくということにならざるを得ないと思っておる次第でございます。
○中村(重)委員 初年度の三十億の見通しは立っているのですか。
○小坂国務大臣 これは大体さようなことは可能であるという見通しを持っておるような次第でございます。
○中村(重)委員 民間はどういったところから、また地方自治体はどの地方自治体からその出資が予想されているのですか。
○宮崎(仁)政府委員 この四十八年度三十億につきましては、すでにこの法案の成立といいますか、立案過程を通じまして、たとえば財界関係の団体であるとかあるいは関係各省、地方公共団体関係並びに自治省というようなところと御相談をして、そういう過程を通じて三十億という数字を最終的にきめたわけでございます。これは、このたてまえからいきまして、発起人会ができて、そうしてそこで初年度の出資がまず民間側で行なわれて設立認可がくるというたてまえでございますので、いまどこからどのぐらいというところまでの具体的な構想は固めておりませんけれども、ただいま申し上げましたような関係の各方面とお打ち合わせをいたしました結果、まあ初年度三十億に見合う程度のものはまずだいじょうぶであろう、こう私どもは考えておる次第でございます。
○中村(重)委員 はっきりした見通しが立っていない。
 そこで、このシンクタンク、この機構を利用していこうと考えておられる特定の企業、特に軍需産業等のこれに対する期待は、私は相当あるのじゃないかというように思うのです。政府の意図いかんにかかわらず、確かにそういった企業はこれを利用していこうとする意欲がないとは言えない、私はこう思うのですが、そうした特定の企業からこれを集める、いわゆる金を出してくれるところから集めてやろうというような態度をおとりになるのじゃありませんか。
○小坂国務大臣 この基金の収集の方法でございますが、特定のものに限らずできるだけ広く集めてまいりたい、こう思っておる次第でございまして、いわゆるギブ・アンド・テイクというような考え方は持っておらないわけでございます。
○中村(重)委員 いままで政府がこうした新しいアイデアと申しますか構想を持って法律案でも提案しようというときは、前に十分関係者との折衝等が行なわれて、相当確信を持った上で提案をしてこられたわけですね。このシンクタンクにつきましても相当関心を持っておられる。自民党の中でも特別委員会等を持って業界等との接触をしてこられたと私は思うのですが、それらのこと等から考えてみると、もういまの段階では、広く金を集めていこうとするんだったら、それについては、単にできるだけ広く集めようと思います、特定の企業から集めようとは考えておりませんと言われるんだったら、私はもう少し明確な方針というものが出されなければいけないと思うのですよ。あまりにも不明確じゃないか。ばく然とした形でこうした法律案を提案して、議決を求めていこうとする考え方は適当じゃないと思いますが、いかがですか。
○小坂国務大臣 御意見でございますけれども、われわれ二年にわたりまして、一年間に一億五千万円ずつ予算的な支出をいたしまして、いろいろと検討してきたあげくがこの法案になりましたわけでございまして、その間においては、いろいろな資金等の考え方についても検討をしているわけでございますけれども、何せこの法律ができましてからの問題でございますので、私の方針といたしまして、国会で御審議をいただいておる最中に、それから先の法案ができたあとのことを外部といろいろ話をすることは厳に慎むべきことである、かように申しておりますので、これができたらどうなるという話は具体的には何もいたしておりません。しかし集まるであろうという見当はつけておるつもりでございます。
○中村(重)委員 この財政の問題についても、それから業務の運営についてもきわめてばく然としている。にもかかわらず、機構をつくろうとする積極的な政府の意欲というようなものはどこから生まれてきたのですか。
○小坂国務大臣 先ほども申し上げたように、千億財団の構想なんというようなものもすでに相当前から、両三年も前からあるわけでございますし、そういう時代の要求を背景として、政府と民間の共同出資によるところの開発機構を考えてきたわけでございまして、何も下地のないところに天下り的にこういう構想が出てきたわけではございませんから、幸いにいたしましてこれを法律として可決していただきました暁には、その先の問題はおのずから開けていく、かように思っておる次第でございます。
○中村(重)委員 おぜん立てを完全に仕上げてしまって、これを審議する議会の側からどういうことを言っても方針どおりやるという態度は、私はよろしくないと思いますね。しかし、あまりにもばく然とし過ぎているような感じがいたします。こうした新しい構想、しかも、諸外国でシンクタンクというものが相当利用されてきているという事実はあります。しかし、諸外国でこのシンクタンクを利用しておるのは、主として軍事目的なんですね。日本の場合は、軍事目的なんというものは毛頭考えていない、これは利用させないのだ、その点について、すでに発足当時から変わってきているんですね。そこに何かもう少し確信というものをお持ちにならぬと、私どもも、これを審議するにあたってきわめて不安定な感じがいたします。もう少し財政規模とか、業務の運営とか、人的構成の問題であるとか、はっきりした方針というものが出されなければいけないのじゃありませんか。そうお考えになりませんか。
○小坂国務大臣 その問題については、実は政府出資ということがアメリカ等の研究開発機構との相違点だと思うのでございまして、アメリカ等の、たとえばランド・コーポレーションというような場合には、これははっきりと空軍からの委託が前提になってできているものでございますが、われわれのほうは非常に民主的に、しかも平和目的に限ってやっていこう、しかもその成果については、これを一般に利用していただくような形にしよう、こういう考え方で、民生の安定、向上、発展に寄する、こういう目的を持っておりまするので、そこで政府出資というものも強くうたい上げておるわけでありまして、その点でも非常に明らかだと思うのであります。
 私も幾つか、たとえば移住事業団であるとか、いろいろな新しい機構の提案をさしていただきまして可決していただいた経験がございますけれども、それの審議の過程で、その法律ができたあとの人的構成であるとか、あるいは予算、資金のやりくりの見通しであるとかいうものをあまり提案いたしますことは、国会に対して失礼に当たることである、むしろ国会の御意図を受けて法律をつくり、その法律に基づいてその後の運営なり骨格なりをはっきりときめる、こういう方針でおるものでございますから、ただいまの御指摘の御意向もわからぬわけではございませんけれども、そういうたてまえでやっておる次第であることを申し上げておきたいと思います。
○中村(重)委員 立法府とはかかわり合いがなくして行政当局だけが完全におぜん立てをしてしまって、この法律案が成立さえするならばおぜん立てどおりやるんだということは適当ではない、これは私が先ほど申し上げたとおりです。それにしてもあまりにもばく然としておったのでは、われわれは、さて法律案を通したがどういう運営をするのだろうか、財政的な問題にいたしましても、特定のものではなくて、できるだけ広い範囲からと言われたのだけれども、金を出す者がいなければどうにもならぬのだから、民間とか地方自治体のほうから金が集まらなければ、五カ年計画の三百億なら三百億というのは政府が全部でも出すんだというような、何かはっきりした方針がなければいけない。あるいは、それだけ集まらなければこの機構を縮小して、五カ年計画百五十億なら百五十億でもやるんだ、あくまでもフィフティ・フィフティでやるんだ、この方針は変わらないんだとか、何か方針だけは提案者である政府がお持ちにならなければ、われわれは審議をする場合に目標というものがないじゃありませんか。完全におぜん立てをするということと、きちっとしたその目標を持つということとは、私は別だと思うのです。考え方そのものがあまりにもばく然とし過ぎておるということですよ。いまのあなたの答弁を伺っていてもそういう感じがいたしますね。
 また、アメリカの例を私も引きましたが、あなたもお引きになって、政府出資がないんだ、したがって軍事利用だ、日本の場合は民生安定、平和目的に限るんだ、したがって政府出資をするんだとおっしゃったのだけれども、民間委託という場合に、はたして民間が軍事目的に利用するような研究開発をしないかどうかという保証だってないのでしょう。それと、半分の資金の調達にいたしましても、私が申し上げたとおり、広い範囲で集まらなければ限られた特定の企業等から集めるという形になりかねないでしょう。そうした私どもの疑問というものは、いまのお答えを聞いておりましても解明され得ないわけです。いかがですか。
○小坂国務大臣 繰り返すようになりますけれども、政府出資はもうはっきりいたしておるわけでございますね。民間のお金も集まるであろうということを申し上げておるのですが、集まらないかもしれぬ、それはそういうこともあり得るかもしれません。しかし、まあ私は非常に確率は少ないと思っております。そういう場合もそれは考えられないことはございませんけれども、かりにそうなった場合はどうかというと、やはり集まった範囲でやっていくということよりしようがないかと思います。これはもう水かけ論のようなものでございまして、われわれは集まると申し上げ、中村委員は集まらぬ場合はどうするとおっしゃるので、御質問にお答えするという立場に立つと、集まると申し上げておるわけですけれども、集まらぬ場合とおっしゃれば、これは全く仮定のことになりますが、その仮定に立てば、集まらぬ場合にはその範囲内でやっていく、こう申し上げるよりほかないと思います。
 そこで、それではどうしてもいかぬということになれば、今度はまた政府出資をふやすという場合にも、そのときの政治情勢で、ならぬこともないのではないか、かように考えます。
○中村(重)委員 私どもが非常に懸念いたしますのは、あなたがお答えのように広い範囲から金が集まらないで、特定の企業、特に軍事目的に利用するような企業から資金を調達をするという形になってはいけないということです。ですから、集まらない場合は政府が半分の出資をもっとふやすのだとか、あるいはフィフテイー・フィフティーでいく場合は集まった範囲でやるのだとか、そういう方針だけははっきりお答えになれば、ああこういう方針だなということがわかるのですよ。集まりますよとだけ言われても、集まることは集まったけれども、中身はあなたがお答えになったような中身ではなかった、したがって、この機構の運営が私どもが一番懸念した、ゆがめられた方向に運営されていくのだというようなことではいけないということなんです。ですから、あなたは水かけ論というか、集まると思うけれども、これはまだ仮定であるから、そうあなたが言われるならば、その集まった範囲でやりますということを言わなければなりません。私がそう言ったからそういうことばが返るのではなくて、この場合どうするのだ、この場合はまたこうしていくのだという方針だけは明確にお答えにならなければいけないということなんです。これは重要な問題ですからね。
○宮崎(仁)政府委員 いま長官からお答えをいたしましたが、ただいまの御質問の点で、私どもの案をつくってまいります過程で関係者でいろいろ御相談をした結果は、三百億構想ということは申し上げております。これは政府が百五十億、民間百五十億という構想でございますが、大体そういったでき上がりの構想を最初の発起人会の段階から想定をいたしまして、そしていろいろの関係方面での出資等を考えていただく、こういう形が望ましいのではないかと思っておる次第でございます。
 ただ、いまお話がございましたように、民間の出資がなかなかそれまでに至らないという見通しに立った場合にどうなるか、こういうことでございますが、これは政府のほうも三十億というのはまあ予算にきまっておるわけでございますが、百五十億と申しますのは、言ってみれば、政府のいわば部内における一つの構想でございます。したがいまして、万一民間のほうの資金の集まりぐあいという問題がそこまでいかないということになった場合には全体の規模を縮小していくか、あるいは政府側のほうの割合をふやしていくかという問題になりますが、現段階では一応一対一の原則というものは守っていったほうがいいのではないか、こういうことで関係者の間では一応打ち合わせをいたしておるわけでございます。何と言いましても、民間主導型といいますか、発起人も民間でございますし、いわゆる認可法人の形でございますので、政府があまり大きなウエートを占めることはどうであろうか、こういうことで、いままでの折衝と申しますか話し合いの過程では、大体政府半分、民間半分という原則でやっていきたい、こう思っておる次第でございます。
 いま大臣からもお話がございましたように、私どもこの二年間の勉強の過程で関係方面といろいろ打ち合わせをいたしておりますが、この三百億構想というのは相当これはだいじょうぶである、こういう考え方でこの全体の構想を固めたわけでございますが、もしかりにということを申し上げれば、そういったことでございます。
○中村(重)委員 はっきりしたようではっきりしないような、何回聞いても、言っている私のほうがはっきりしないのか、お答えになっているほうがはっきりしないのか、どうもわからなくなってくる。まあいずれにいたしましても、方針だけは、大臣お答えになりましたようにいろいろな場合がありましょうから、原則はあくまで一対一でいくというのであればそれはその方針でいく、そして広い範囲から金を集めて、特定の企業というものに依存をしないのだということであるならば、したがって今度は政府出資が少なくなってくる、それで三百億構想というものがくずれてくる、こういうことになりましょう。ですから、好ましくない方向にこの機構が運営されないようにやってもらいたい。そのことを私は強く政府に御注意を申し上げておきたいと思う。
 それから運営の問題も、この研究開発についてどのような運営をするのかということについても、どうもあまり自信がなさそうですね。人の問題にしても、優秀な人材をはたして集め得るのかどうかという点、それからこの機構というようなものが運営の面で明確でなければ、単に民間に委託をするトンネル機関という形になってしまうのではないかという懸念等々いろいろありますが、そこらあたりはいかがでございますか。
○宮崎(仁)政府委員 この点は、法案の内容として書いてある問題からも御推察をいただけると思いますけれども、機構の考え方が大体基金構想でございますから、したがいまして、きょう午前中参考人の方々の御意見もございましたように、機構の人員その他の点は最小限にして、そして活動はなるべく大きく、こういう考え方で全体の構想を考えておる次第でございます。
 業務の運営につきましては、この基金では自分で実施もするし、民間に対する委託もできるし、助成もできる、こうなっておりますけれども、自分が直接この研究者をかかえ、そして研究をやっていくというものは比較的例外になると思います。大体のものは、民間の研究機関に対する助成、あるいはそういった民間の機関を動員し、あるいは政府機関も一部入るかもしれませんが、動員して一つのプロジェクトチームのようなものをつくる、これは機構の仕事としてやるわけでございますが、そういった臨時のチームによりましてこの仕事をやっていく、こういう形、それから民間に対する委託、大体そういうものが中心になると思います。将来この機構において養成した人員等がだんだん育ってきてさらに飛躍するということができるようになりましたならば、この業務の第五号等に書いてございますように、この機構にみずからの研究機関をつくっていくということもまた考えていきたい、しかし、これは将来の問題になる、こういうように大体考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 大臣にお答えいただきたいのですが、この機構の調査研究というのは、政策研究や政策立案をすることはないかどうかという点です。
○小坂国務大臣 やはり新しい問題として非常に複合的な社会情勢でございますから、たとえば環境の問題について、石油消費と人間環境とか、そういうものをどういうふうに考えたらいいか、どういうふうに将来この消費と環境の関係を持っていったらいいかということになりますと、これは政策であるというふうにも言えるわけでございますが、そういう研究成果を出すということはございますわけで、これを政策問題かといえば、これは政策だと申し上げるわけですが、狭義の政策でございますね、たとえば、物価問題をこうしたらいいとか、あるいは外交関係についてこういうことが望ましいとか、そういうのではない、その意味の政策ならば、そういう政策はこのシンクタンクが答案を出す考えはない、こう申し上げたらいいのじゃないかと思います。
○中村(重)委員 研究開発ということと、私が申し上げた政策の研究ということ、あるいは立案ということとは違うと思うのですね。それは広義の意味、狭義の意味というふうな形になってくると、どこまでが政策か、どこまでが研究開発かということになって、はっきりしない面もありましょうが、基本というものははっきりしておかなければならない。政策の研究開発とか、立案をやるということになってまいりますと、行政府とか立法府との関係というものも出てくるわけであります。
 さらにまた、私どもがもう一つ懸念をいたしておりますのは、この機関というものが田中総理の提唱する日本列島改造論、その一部を取り入れたところの経済社会基本計画、この関連というものが出てくることはないか。この機構において、相当調査研究をやったんだというようなことで、日本列島改造論、それから経済社会基本計画を推進をしていくための道具立て的な役割りをこの機構に持たせるようなことはないのかどうかという点等が出てくるわけですから、そこらあたりを大臣からはっきりしておいていただきませんと困るわけです。
○小坂国務大臣 先ほど申し上げましたように、このシンクタンクの具体的なテーマとして考えられますものは、たとえば石油と文明、石油消費と環境あるいは価値観の変化とその対応あるいは余暇と教育、そういうふうなことについてのテーマが考えられますけれども、ただいまお話しのように、国土総合開発、これについての計画立案、そういうことは考えないわけでございます。
 それで、国土総合開発庁発足後に、国土総合開発研究所というのが設立されるように聞いておりますけれども、ただいま中村委員の御指摘のような点では、こういう研究所がやればよろしいのでございますが、われわれのここで御審議をいただいておる総合開発研究機構のテーマには、国土総合開発というものはならないとはっきり申し上げておきたいと思います。
○中村(重)委員 大臣がその点を明確にお答えになったわけでありますから、かりそめにも田中さんの日本列島改造論にその道具立て的なことの役割りを果たさせないように、その点だけは十分いまの答弁のとおりに、あくまでこのシンクタンクというものの役割りは調査であり、研究であるということ、国土総合開発との関連は全くないんだということを今後の運営の中で生かしてもらいたい、こう思うのです。
 それから、私どもは、この法律案の審議の段階で、この第一条の目的の中に平和、民主、公開の原則が貫かれていない、当然これは修正をしなければならないという意向を固めましたが、政府といたしましても賛成の意向のようでございます。そこで、今度は具体的に平和、民主、公開の原則を具現していく上についての具体的な構想と申しますか、その点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
○宮崎(仁)政府委員 いままでの御質問にもお答えをいたしましたとおり、第一条における目的の点におきまして、いわゆる現代の経済社会の諸問題の解明あるいは国民生活に関する問題の解明、そして福祉の増進に資するということから見まして、当然平和目的に限られるということを申し上げておるわけでございますが、さらにこれを明確にするということになりますれば、当然そういったことがこの定款あるいは業務方法書等の書き方に反映してくると思います。
 それから運営につきましても、研究評議会等の機構を通じまして民主的にやっていくということを申し上げておる次第でございますけれども、さらに法案の上でそういった点が明確に書かれるということになりますれば、それに応じたようなことをやはり業務方法書その他で考えていきたい、こう思う次第でございます。
 それから資料の公開については、もう毎度申し上げておるとおりでございまして、この点についてはいろいろの公表の手段も考えますし、また、そのようなことについて法文上明確になってくるということになれば、これまた業務方法書、定款その他にそういった点を明らかにしていくということになろうかと思います。
○中村(重)委員 この機構が研究を民間に委託する場合あるいは民間から委託を受ける場合、いろいろあるであろうと思います。その点について先ほど私は触れましたが、民間委託にあたって軍事目的にこれが利用されておるというような事実はどうしてこれを明らかにすることができるのか。そのような事実が明らかになった場合は、どのような措置をおとりになるのかという点です。
○宮崎(仁)政府委員 この機構の実施いたします民間に対する委託その他、要するに業務でございますが、これは業務方法書に基づいて毎年度の事業計画できめられるわけでございます。そしてその事業計画は研究評議会においてこれを御審議を受けるわけでございますが、さらに内閣総理大臣の認可にもかかっておるということでございまして、この事業計画、まあ予算も同時になされますが、この内容において十分にそういった委託の内容等はチェックができる、こう思っておる次第でございます。かりに万一それがその目的外にといいますか、当初考えた以外の方向で使われてしまったというようなことになりました場合には、これは委託契約等の内容になりますけれども、目的外の場合にはそれを破棄して基金の返還を求めるとか、そういったような問題になってくるのではないかと思います。
○中村(重)委員 その成果についてはすべて公開をいたしますね。
○宮崎(仁)政府委員 民間からこの委託を受けました場合に、ノーハウ等で特別の事例があるいはあるかもしれませんけれども、原則は全部これを公表し公開していくということで運営してまいりたいということは毎度申し上げているとおりでございます。
○中村(重)委員 企業の機密を含む調査研究を手がけるのかどうかという点です。それもこの公開の原則に基づいて公表、公開をするのですか。
○宮崎(仁)政府委員 この第一条の目的からいきまして、経済社会の諸問題の解明とか、国民生活に関する問題でございますから、かりに委託を受けるにいたしましても、こういう目的に反するものは受けないわけでございます。したがって、企業の機密というような問題が出てくることはまずあり得ないと私ども考えておるわけでございます。しかし、委託を受けて実施いたします場合に、いわゆるソフトと申しますか、そういった面についての一つの手法が新しいものができたというようなことになった場合に、これを委託者に一応結果として報告をしていくという義務はあるのだろうと思います。その結果、これが一つのノーハウみたいなものとして公開をしないということが例外的にはあり得るかもしれない、こういうことを申し上げているわけでございますが、第一条の目的からいきましてそういったことになることはまず考えられない、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 成果の一部に企業の機密に関することがないとは言えないと私は思うのです。それで、運営の面においてノーハウに関する問題、企業の機密に関することは例外としてあるのだということで、その例外がずっと多くなったのでは話になりません。機密事項ばかりやることになっていく。そして好ましくないような研究という形になってくる。この種のものはその危険が一番あるわけです。それだけに私どもは、この審議にあたってはきわめて慎重な態度をとっている。また、十分質疑を展開いたしておるのはそのためであります。ですから、あなたの言うその例外が中心になって、公表、公開することが例外みたいになりかねない。そういう可能性はないと言い切ることができますか。また、言い切ってもらわなければ困るわけですね。しかし、ことばだけではなくて、具体的にそのことを明らかにしてもらわなければならないわけです。
○宮崎(仁)政府委員 きょう午前中参考人の御意見でもございましたが、そういった点がまさにわが国のいわゆる総合開発機構、新しいシンクタンクをつくる特色になるわけでございまして、アメリカの場合なんかはもともと軍事研究等が中心になってつくられたというような経緯もありますから、おっしゃるように、大体委託を受けたものは企業機密としてその委託者に渡していくというようなことになっておるようでございますけれども、この機構については、第一条の目的からいきましても、当然これはそういった広く一般に利用できるような項目に大体なるわけでございまして、したがいまして、御心配のようなことにはならない、こう私どもは考えておる次第でございます。
○中村(重)委員 この研究開発を進める過程で特許権の関係が出てくるのではないかと私は思います。いわゆるそうした発明がなされる可能性というものがある。その特許権との関係はどう取り扱っていこうとお考えになっているのか。これは特許庁長官もお見えでございますし、経企庁と特許庁からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
○三宅政府委員 お答え申し上げます。
 もしこの機構の研究過程において特許あるいは実用新案の権利の設定になじむ案件が本機構から提出、出願されました場合には、特許法一般の原則に従いまして、一年半たてば全部その請求内容を早期公開する、こういうことになるわけでございます。
○喜多村説明員 研究開発の成果として特許にかかわりますものにつきましては、内部規程でもってこれからきめるわけでございますけれども、一般の例といたしましてはそれは個人に属せしめないで、一般的には機構に属せしめるというのが通例でございます。そういうことでございます。
○中村(重)委員 この特許の対象とならないソフトウエアの場合は、どういう取り扱いをなさるわけですか。
○宮崎(仁)政府委員 いわゆるソフトウエアについては、特に第一条の目的からいきまして広く一般の公共的な目的に利用され得るような、そういう問題が大部分と思いますので、これは公開をしていくというつもりでございます。
○中村(重)委員 長官は、いまの経企庁の考え方等についてはいかがですか。
○三宅政府委員 特許、実用新案の権利の設定に関する以外の問題、いまお話がございましたソフトウエアの問題は、特許行政からややはずれた問題でございますので、企画庁の御答弁どおりだと存じます。
○中村(重)委員 各省庁にはそれぞれの政策課題があるわけですね。また、セクショナリズムもある。そうなってくると、各省庁に所属するところの研究機関の研究成果というものをこの機構で一元的に扱うことが可能かどうか、それについての考え方はいかがですか。
○宮崎(仁)政府委員 各省それぞれにあります研究機関というのは非常に膨大でございますし、また、たくさんの仕事をやっておられますので、この成果を全部この研究機構でもって統轄して何か調整するというようなことは考えておりません。これはあくまでこの目的に即しまして、そういった研究機関等から御協力をいただく、これは人を出向していただいたり、あるいは場合によっては業務の委託を受けていただくということになろうかと思いますけれども、そういう形でやっていきたい。民間のシンクタンクが現在二十ほどございますが、こういったものについての連絡、調整というような問題は、この機構でひとつ考えていってはどうだろうか、こういうふうに考えております。
○中村(重)委員 この機関の研究開発には当然テーマの選定というものがなされなければならないと思うのですが、そのテーマの選定にあたっての重点目標というものをお立てになりますか。
○宮崎(仁)政府委員 やはり機構の大きさにも限りがあるわけでございますから、当然総花的にいろいろ手がけるということではなくて、重点的にやっていくべきものを幾つか選ぶことになるのではないかと思っております。先ほど長官からちょっと申し上げましたようなものも一つの候補としていま考えておる、こういうことでございます。
○中村(重)委員 この問題は非常に重要な問題でございますから、大臣から方針を明確にしておいていただきたいと思うのです。この機構の研究開発には当然テーマの選定をしなければなりません。その場合に、いま局長のお答えでは、幾つかの目標を設定したいということを言っております。
 そこで、一番解決を急がれるものは何かということになってまいりますと、この政策課題としては、自然環境の保全であるとか、公害の防止であるとか、そうしたことをこのテーマの重点目標としてお立てになって、設定をされて、これを推進をしていくというような考え方をお持ちかどうか。この際、その点を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○小坂国務大臣 確かに公害の問題、資源の問題、環境保全の問題は非常に重要な問題でございまするから、当然そういうものは中心になると思いまするが、さらに、価値観の変化ということが非常に大きな最近の課題であると存じますので、その変化と対応策、あるいは余暇をこれからわれわれできるだけ持つようにしなければならぬと思いまするが、これを善用しなければならぬ。文明と余暇と教育の問題、そういうふうなものも課題になるかと考えております。
○中村(重)委員 私どもは、この法律案の審議にあたって、きょうの私への御答弁に対しても同様な感じを受けるわけでありますが、たいへんばく然としているところがある。それは冒頭私の質問の中で申し上げたとおりでございますが、さらにまた、私どもが一番懸念をいたします軍事目的に間接的に利用されるという点等々から考えてみまして、本機構の運営について五年程度でもってひとつ見直す必要があるという考え方からそうした修正作業というものに取り組んでみたわけでありますが、政府は、これに対してたいへん抵抗しておられる。見直しをするということはけっこうである、それについては異論はないが、五年という年限を限ることは適当ではない、石油業法等の例をもってこの五年間というところの見直しについての年限を明らかにすることについて反対をしておられるわけでありますが、なぜに五年間という年限を一つの目標として見直しをするということに抵抗されるのか、その真意のほどが明らかでありません。申し上げましたように、こういう新しい機構というものは計画も五年計画でお立てになっていらっしゃるわけでありますから、その段階で出直す、成果について評価もし、反省する点も多々あるであろうというように私どもは考えるわけでありますが、その点に対してのこの五年に抵抗しておられる真意を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
○宮崎(仁)政府委員 抵抗と申し上げますとなんでございますが、決してそういう意味ではございません。私どもこういった新しい機構をつくるわけでございまして、御指摘のように、これからやってまいる過程でいろいろとこれは試行錯誤的に動いてくるということもあろうと思いますので、これをその途中の段階で再検討していくということは当然必要なことである、こう思っておるわけでございますが、何ぶんにも機構設置法でございますので、それを何年たったら検討するということを書くというようなことはいかがなものであろうか。それはそういう御趣旨を十分体しまして、政府としては毎年もちろん検討していくわけでございますから、そういった審議の過程における御趣旨がありますれば、当然それに即してこれを考えていく。この法案においてそういう規定を書き込むことは、機構の設置法という形からいきましていかがなものであろうかということで、年限ということを書くことは非常に異例に属しますので、そういったことはやらないで、そうして実際問題としてやらせていただいてはどうだろうか、こういうことをお願い申し上げておるような次第でございまして、御理解を願いたいと思います。
○中村(重)委員 大臣にお答えをいただきたいのですが、私どもも形式的な点から五年間といったようなことを言っているのではないわけであります。これは政府の計画が五年計画である。それに一つの構想を持っていらっしゃる。新しい総合研究開発機構の構想であるし、諸外国と異なっている点もある。はたしてその運営が、本委員会において私どもの質疑に政府がお答えになったとおりの運営がなされているのかどうかという点は絶えず見直してみなければなりませんが、一つの区切りといたしましては、私は、その計画年次の五年程度が適当な区切りではなかろうかということから五年ということを主張したわけでありますけれども、そのとおり実行されるならば、必ずしもそれにこだわるというわけではないのであります。私どもが五年ということを限る限らないにかかわらず、政府は、この研究開発機構の重要性にかんがみて、当然何と申しますか、おざなりにならないように、政府の明らかにされた目標の方向に進んでこれが運営されるように当然見直しをしていく必要があるというように私どもは考えるわけでありますが、その点に対して大臣から明確にしておいていただきたいと思うのであります。
○小坂国務大臣 この法律をつくるにつきまして、これは新しい法律でございまして、しかも組織法でございますから、自民党の方々ともよく御連絡いたしましてここに御提案申し上げておるわけでございますが、その審議の過程でいろいろな御議論は承っておるわけでございます。
 そこで、先ほど石油業法の話が出ておりますが、これは石油の事業法でございますので、本組織法とは若干違うわけでございます。法律につきましてわれわれの考えを申し上げますと、われわれは、もう法律になったから悪法でも法であるというような考え方は毛頭持たぬのでございまして、これは常にその事態に即してこれが適法であるかどうかということはよくレビューし、思い直し、見直しているつもりでございまして、これは基本方針でございます。
 そこで、この法律につきましても、いま中村委員から御指摘があり、また私どもが答えているようなそういう目的に沿って運営されているかどうかということは、これは毎年毎年考えていくべきものと考えておるのでございまして、そういう趣旨から申しますと、局長が申し上げたように、組織法の中に五年を限ってこれを見直してしまうのだということになりますと、いろいろな疑義もそこから出てくるわけでございまして、こいねがわくは、そういうふうなことはわれわれとしてはお考え直しを願いたい。これが院の大勢であるということならば、政府は本院のお考えに従わなければなりませんが、先ほど抵抗という話がありましたが、抵抗ではなくて、われわれは、組織法を提案しておる趣旨からいたしましてさような考え方に立っておるということを申し上げている次第でございます。何も五年に限って見直すわけではなくて、毎年毎年見直して、しかも、この新しい機構が時代の進運に沿って平和的に民主的に運営され、しかも一般の役に立つようになっておるかどうかということは常に見直してまいる考えでございます。
○中村(重)委員 いまのお答えは、当然絶えず成果を評価し、あるいは運営についての反省というものがなされなければならぬ、そしてこの機構というものが有効に働いていかなければならぬ、これは当然なんです。それは見直して初めてそうなるわけであります。くどいようでありますけれども、私どもが五年というのを言いましたのは、政府の五カ年計画というものが一つあるわけだから、それを区切りとして見直してみたらどうかということを言っているわけであります。大臣から、ただいま提案の過程で自民党と話をしておられるというお答えがございました。自民党と話をしておるから私どもがいま主張しているところの五年というものを受け入れる必要はないのだという考え方の上に立って自民党ということをおっしゃったわけですか。
 それと疑義があるとおっしゃいましたが、疑義というものはどういう点にあるのか。疑義があるようなことを私どもは無理押しをしようとは考えません。したがって、聞きたいところはそこらあたりであります。私どもの主張していることが設置法としての性格からいかがなものであろうか、実質的には指摘をされるように絶えず見直しをしていきますが、一つの五年計画でありますから、その段階では特にこれを見直して、よりよいものにしていくようにしたいというような――見直すということは必ずしもこの法律を出し直すという意味ではありませんから、根本的にひとつ再検討を加えていく、そうして新たな体制の中で進んでいくといったような点も必要になってまいりましょう。ともかく見直すという意味はいろいろあろうと思う。ですから、実質的に私どもが言っておるようなことが生かされるならば、その五年という数字を入れることにこだわるものではないということを私は先ほど申し上げたわけであります。それをあなたがわざわざ提案にあたって自民党と話し合いをしてこうしてやったのだからということを言われると、それは多数党としてやったのだから何も応ずる必要はないのだというあなたのお考えの上にお立ちになるのですか。もちろんこの修正にあたりましても、自民党と一緒になってきめなければこの修正というものはできるものではないわけであります。しかし、これに対して難色を示しておるのは、私は自民党よりも経済企画庁である、提案者であるというように見ているわけでありますから抵抗ということばを使いました。いま私のお尋ねに対してひとつ明確にしておいてい
 ただきたい。
○小坂国務大臣 こういう審議でございますから明確に御質問いただき、また、お答えするほうがいいと私も考えておりまして申しておるわけでございまして、自民党とというのは、何も多数でゴリ押しするとか、そういう意味で申しておるのではなくて、私どもの考えに賛成をしていただいて、そこでこの法案になって御提出を申し上げておるという経過を申し上げた次第でございまして、しかも、ただいまの御発言の中にあるように、絶えずよくこの法律が有効に機能しておるかどうかということを調べていくというつもりであるならば、また、そのことがこの中に書いておるような平和目的に沿い、民主的に運営され、しかも民生の安定に寄与しておるという方向で確かであるならば、自分のほうもあえて五年にこだわらないとおっしゃっていただきますれば、こいねがわくは、これは組織法でございますので、私は実は法律ははなはだ弱いのでございますけれども、専門家に聞きますると、組織法の中にそういうことを書くことはないのだ、こういう先例はないということまで言われるものでございますから、どうぞ先例を重要視させていただくことをお願いしたい、こういう気持ちでおる次第でございます。
○浦野委員長 次回は、来たる五日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時四十一分散会