第071回国会 運輸委員会 第33号
昭和四十八年七月十一日(水曜日)
    午前十時五十三分開議
 出席委員
   委員長 井原 岸高君
   理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君
   理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君
   理事 細田 吉藏君 理事 兒玉 末男君
   理事 斉藤 正男君 理事 梅田  勝君
      阿部 喜元君    唐沢俊二郎君
      國場 幸昌君    徳安 實藏君
      宮崎 茂一君    綿貫 民輔君
      井岡 大治君    太田 一夫君
      金瀬 俊雄君    久保 三郎君
      神門至馬夫君    紺野与次郎君
      三浦  久君    松本 忠助君
      河村  勝君
 出席政府委員
        運輸政務次官  佐藤 文生君
        運輸大臣官房審
        議官      原田昇左右君
        運輸省海運局長 佐原  亨君
        運輸省自動車局
        長       小林 正興君
        運輸省航空局次
        長       寺井 久美君
        海上保安庁長官 野村 一彦君
 委員外の出席者
        運輸省船舶局首
        席船舶検査官  内田  守君
        運輸省船員局労
        働基準課長   吉末 幹昌君
        労働省労働基準
        局監督課長   吉本  実君
        運輸委員会調査
        室長      鎌瀬 正己君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月六日
 辞任         補欠選任
  松本 忠助君     正木 良明君
同日
 辞任         補欠選任
  正木 良明君     松本 忠助君
    ―――――――――――――
七月九日
 国鉄運賃値上げ反対等に関する請願(梅田勝君
 紹介)(第八二四八号)
 同(紺野与次郎君紹介)(第八二四九号)
 同(小川新一郎君紹介)(第八三〇〇号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第八三〇一号)
 同(林百郎紹介)(第八三〇二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 陸運に関する件(タクシー事業に関する問題)
 航空に関する件(貨物空港に関する問題)
 海運及び海上保安に関する件(カーフェリーに
 関する問題)
     ――――◇―――――
○井原委員長 これより会議を開きます。
 陸運、海運、航空、日本国有鉄道の経営及び海上保安に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男。
○斉藤(正)委員 最初に私は航空行政について若干質問をいたし、後ほどタクシー問題を伺いたいと思います。
 先週末、ローカル紙を含めすべての中央紙に、国際貨物空港設置について運輸省の見解などが報道をされ、運輸省は昭和四十八年度予算の中に組み込まれている六百万円の調査費並びに経済企画庁が持っている調整調査費二千万円を使って、内陸空港ならばこのようなところ、海上空港ならばこのようなところということで、具体的に静岡県小笠山あるいは愛知県一色町あるいは新潟県何がしというような報道がされました。今後十年間の航空貨物の激増等々を考えて、一応五百万トンを予想したときに、貨客混載の今日の航空輸送といったようなものから、貨物専用空港といったようなものがどういう状態に置かれるのかというようなことも含めて実は書かれておりました。私どもといたしましては、実は地元の問題でもございまして、再三再四、小笠山はだめだということを地元議会も決議をし、当局に要請をしてきたやさき、全く晴天のへきれきのようにこの問題が発表され、当該市町村は日曜に全員協議会を招集してあらためて反対を決議するとか、あるいは間髪を入れず今週月曜日には大挙上京して要請行動をするとかというようなことがございました。全く寝耳に水で、迷惑千万であります。どういう経緯でああいう新聞発表になったのか、そしてまた六百万なり二千万の金を使って小笠山なり一色沖なりを調査するのかどうなのか。まず飛行場部長あるいは計画課長から詳細にして、簡単明瞭な御答弁をいただきたい。
○寺井政府委員 ただいま御質問の国際貨物専用空港に関します新聞記事につきましては、私もその詳細承知いたしておりませんけれども、そういう案があるという趣旨の記事があったかと思います。
 貨物空港につきましては、航空貨物の輸送が年年三〇%程度伸びておりますので、国際貨物につきましては今後の世界貿易の伸展に伴ってわが国の産業構造の変化あるいは貨物輸送システムの革新とともに飛躍的に増加することが考えられております。先生も御指摘のように、昭和六十年にはおそらく五百万トン程度の貨物量になると推定されておりまして、運輸政策審議会からも四十七年の二月に、早い時期に貨物空港に関する調査研究に着手すべきであるという答申を得ております。運輸省といたしましては、この答申の趣旨に沿いまして、貨物空港に関する検討に着手する必要があろうということで調査費を計上いたした次第でございます。
 四十八年度におきましては、貨物空港のあり方、あるいは周辺地域の計画との関連等、基本的な調査を実施したいというふうに考えております。先ほど御指摘の六百万円あるいは二千万円というようなこともあわせまして、一体こういう貨物専用空港というのはどういうあり方が最もよいのかという基本的な問題を調査したいということでございまして、先ほど御指摘のように具体的な個所につきまして現在検討しているというものではございません。これは将来の問題でございまして、まず貨物専用空港というものがいかなる姿が最も合理的であり効率的であるかということが検討されまして、その暁に具体的な場所の選定その他に入るという段階でございます。現在新聞紙上等にあらわれました場所が候補としてあがっているというような性質のものではございませんので、この点は御了承いただきたいと思います。
○斉藤(正)委員 しからば、新聞に具体的に静岡県小笠山付近あるいは愛知県一色町あるいは新潟県の何がしというように報道された以上、だれかがしゃべらなければこんなこと載るわけがない。だれがしゃべったのか私は別にしゃべった人を追及する気持ちはありません。こういう意図であるということでおしゃべりになったのが誤り伝えられたのか何かそれは知りませんよ。だからその責任を追及するわけではありませんけれども、少なくとも活字になって関係地域では大問題になっているということになりますれば、よかれあしかれ発言をした人があるはずだ、またその発言の意図があるはずだ、それはいかがですか。
○寺井政府委員 運輸省のサイドから具体的な場所を発言した事実はおそらくないと存じますが、先生のおあげになりました三カ所につきまして、かつて地元からこういうところが適地であるというような趣旨の陳情を受けた事実がございますので、そういう辺から具体的な地名が新聞紙上にあらわれたのではないかというふうに考えております。
○斉藤(正)委員 あまり歯にものを着せたようなことを言わないで、計画課長いらっしゃるのですかり――計画課長がおしゃべりになったのですよ。ですから、おしゃべりになったのは、現に地元民の前で計画課長が私がしゃべりましたと言っておるのだから。しかしその意図が新聞報道と違っているのですということを言ってくれればいいのです。そうではなくて、いや調査するとすれば小笠山をやります、地元が何と言ったってやりますよというのか、その辺に問題があるのだ。その辺、私も真相は知っておるのですよ。
○寺井政府委員 どうもただいまの私のお答え、少しことばが足りませんでまことに申しわけありませんが、こういう空港のあり方について場所等を一つサンプルといたしましてケーススタディーをする必要があろうかというような趣旨の発言をした事実はございます。
○斉藤(正)委員 そこで、今日どこでどういう空港をつくるにしても関係自治体の了承を得なければやりません。これは運輸省の一貫した考え方であります。当然なことであります。その場合地元自治体とは、まず都道府県がありますね、それから関係市町村があります。この両方を含めているのか、あるいは都道府県は承知をしたけれども関係市町村が反対だという場合はどうなのか、関係市町村は賛成したけれども都道府県が反対の場合はどうなのか。私は、関係自治体というのは都道府県と関係市町村だというように解釈いたしておりますけれども、この点は次官のほうがいいかと思いますけれども、どのように解釈したらよろしいか。やはり都道府県も賛成だ、関係市町村も賛成だというのが一番望ましいけれども、その一方が反対でもやりますというのか、完全に一致が望ましいというのか、その辺はひとつ次官からお答え願いたい。
○佐藤(文)政府委員 お答えします。
 運輸行政で関係自治体と御相談をしてすべていろいろなことをやらなくてはならぬことがほとんどでございます。そこでそういう場合に、まず具体的に申し上げますと、府県と十分な連絡をとってその了解事項のもとで府県のごあっせんによって関係市町村と接触していく、こういうことで府県のごあっせんによってやはり関係市町村がどの範囲のものにあるかという、いわゆるその府県の意思を尊重していく。それからそれがはっきりしてくると市町村に対して府県の仲介で了解を求めていくという、こういうことで完全一致でなければすべての運輸行政は遂行できません。そういう考え方を貫いていくという考え方でございます。
○斉藤(正)委員 そうすると、運輸省と地元折衝はまず県と行なう、県が了解を与える、その県は関係市町村と十分協議の上まとめていただく。運輸省としては、窓口は都道府県であって関係市町村ではない、運輸省はあくまでも関係都道府県との窓口を持つ、仲に入る都道府県が関係市町村との円満な解決をはかるよう努力を要請する、こういう考え方でよろしいか。
○佐藤(文)政府委員 大体先生の言われたことと同じ考え方でございます。
○斉藤(正)委員 そこで私は具体的に、地元でもございますので、念のために伺っておきますけれども、小笠山台地なるものは広大な面積が国有地であるというようなこと、あるいはテーブル状であって航空母艦的な体をなしておるというようなこと、あるいは気象、海象等空港に向いておるというようなこと、誘致する人もあるのですから、いろいろあると思います。決定的なことは二十五キロ西に航空自衛隊の浜松基地がある、約二十五キロ東に陸上自衛隊ですか、静浜基地がある。五十キロの間に、中間に空港をもしつくるとするならば三つの空港が生まれる。しかも国際線、国内線その他を含めて、民間航空路の主要な空路が上空を縦横に走っておるというようなことから考えて、非常にふくそうしているいわゆる空の銀座だといわれる一角だと思うのです。そういう意味で小笠山上空あるいはその付近一帯は民間航空路、これは国内、国際含め、それからさらに自衛隊の緊急発進、緊急避難等々を含めての空路がどうなっておるのか、運輸省としては御承知だと思うのです。おわかりなら御説明ください。
○寺井政府委員 私、具体的に現在の自衛隊の空港との関係につきましてつまびらかにいたしませんけれども、近くに飛行場がございますと、別々に空港の管制をやりますと非常に危険でございます。したがいまして、かりに、そこへ新しい空港をつくるというような事態に相なりますとすれば、この二つの空港の航空管制というものを一括してやらなければ、おそらく不可能であろうと思います。上空を通っております航空路の関係では高度差がございますので、これはあるいは処理できる可能性はあるかと存じますけれども、横に並んでおります空港の関係では非常にむずかしい問題があろうかと思います。
○斉藤(正)委員 御承知になっていても言わないので困るのですが、民間航空路についてはもちろん知悉をされておると思いますし、それから自衛隊の空域についてもあなたが知らなくて知っておる人ないですよ。われわれが知っておるのに知らないとは言わせない。ここで答弁していいかどうかということについて問題があるとすれば、それはわからぬでもないけれども、何も問題ないですよ、天下に公表されておる事実だから。そういう意味からも、私は、よけいな摩擦を地元に与えてほしくない、このように思うわけであります。そこで地元で過日のような行動も起こる。関係自治体が賛成しなければ知事が賛成するわけはないのでありますから、三段論法のようになりますけれども、関係自治体が圧倒的に反対の場合は調査どころの騒ぎではない、空港は実現いたしません、こういうことになると思うのですけれども、次官から確認の意味でお答えください。
○佐藤(文)政府委員 空港の設置の問題あるいはその他新幹線の建設の問題等、県それから関係市町村そういったような方々の同意が得られない場合には現実に建設ができないわけであります。したがって、どこが適地であるかどうかということも実は私はまだ次長が報告したとおりに聞いておりませんし、そうしてまた航空貨物については現在いろいろな意味において検討中でございまするので、どこが適地であるのかないのか、先ほど言われました、新聞に出ました三つが適地であるかないか知りませんが、名前が出ました地域についても具体的に私は聞いておりませんので、かりにいま先生が言われたような関係市町村が徹底的に反対をするということになれば、これはもうそこは建設できません。したがってもしも運輸省でどこかの場所が適地であるということが仮定的に考えられた場合においては、先ほど言いました都道府県、それから関係市町村の了解を求めて、その完全な一致のもとに建設が始まるように相談をしていく、こういうことになると思います。
○斉藤(正)委員 手続上そのとおりだと思いますけれども、やはり関連する業界あるいは国際的な視野等から、私も貸物空港等が必要であることは否定をいたしません。しかし、成田空港に見られるように、関係自治体等と十分な協議が成立しなくて作業を強行した場合の結果については、もうお互い身の毛のよだつような思いをいたしておるわけでございます。どうぞそういう点に留意をいただいて、いたずらに一課長さんの発言がたいへんな騒動を巻き起こすというようなことは、十分注意をしていただきたい。計画課長の発言が事志と違っておったこともその後わかりましたけれども、もし調査をするとすれば、お話のあった、しかじかかようなところもあります、しかもそれは内陸的にはこうだ、海洋的にはこうだというようなことで例になったというように解釈をし、地元自治体が強硬な反対決議をされている現状から、もう小笠山につきましてはあきらめていただきたいということを強く要望して、航空関係の質問は終わります。
 次に、バイヤー、タクシーについて、自動車局長を中心にお尋ねをいたしますが、四十六年八月、運政審がハイヤー、タクシーの問題について答申をいたしました。初めにまず聞きますけれども、運政審の事務局というものは、一体どこがやっているのか。運政審に独立した事務局があるのか、ないのか。それはいかがですか。
○小林(正)政府委員 運輸政策審議会の運営につきまして、事務的に取りまとめておりますのは、官房の政策部門でやっております。当然事柄の内容に従って、運輸省部内のことでございますので、たとえばハイヤー、タクシーの問題でございましたら、これに自動車局が協力する。こういうことで、官房と、それから事柄が自動車の問題であれば、自動車局が共同で事務の取りまとめをやっております。
○斉藤(正)委員 そうすると、総括は官房がやる。運政審が扱う個々の問題によって、航空ならば航空局が、そしてまたハイヤー、タクシーとか自動車ならば自動車局が、こういうことになってくるとするならば、この四十六年八月の運政審の答申も、ハイヤー、タクシー問題に関しては、自動車局が中心になって事務局的な役割りを果たした。そうすると、この答申の内容について委員各位から前向き、積極的な、よしあしは別として、発言があったことは事実だけれども、その根本になる政策は、自動車局が中心になってつくったものを、審議会の委員の面々が加筆訂正をしたというように解釈をすべきだと思うのだが、そう解釈してよろしいか。
○小林(正)政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、事務的な取りまとめ、資料の整備等でございまして、あるいは会議に運営についてのいろいろの手続を進めるということを事務局としていたしたわけでございまして、内容については、当局の提出いたしました資料について委員の先生方が十分議論を重ねた結果、答申がまとまったわけでございます。
○斉藤(正)委員 いわゆる運輸政策審議会でして、ハイヤー、タクシーの専門家ばかりが集まっているわけではない。いわゆる運輸行政の、あなたたちの言う権威がメンバーになって、集まっている会合で、自動車局は事務をお手伝いしただけ、資料を提出しただけ、こういうことでありますけれども、なるほど表向きはそうだと思う。しかし、ハイヤー、タクシー業界の現状を分析し、問題点を羅列し、今後のハイヤー、タクシー界というのは、運輸行政としてかくあるべきだという主張なり考え方が大きく反映されていることは、これは間違いないと思う。また、そのために必要な資料を出したと思うのです。この運政審の答申には多くの問題があって、今日業界を非常に混乱させておる。特に労使問題にこれが発展して、たいへんな混乱が起きているというように私は思うわけであります。それは運政審の答申全部が悪いというわけではありません。しかし、少なくもこの法人タクシーがリース制を採用するとか、ハンドル貸しを認めるとか、あるいは日雇い運転手を是認するとかいうような形で、たいへんな問題を起こし、これがひいては労働基準法等々との関連から、労務管理の面で違反が続出する素地を、この運政審答申が原因で起こしておるというようにも実は思わざるを得ないのです。
 具体的に聞きます。山口県に下関タクシー、防府タクシーという近鉄資本系列のタクシーがございます。本年三月からロックアウトが実施され、たいへんな紛争になっております。それから仙台に東映タクシーという会社がある、同じ宮域県の塩釜に合同タクシーという自動車会社がある。これも労働問題に発展をして、たいへんな事態になっている。それから京都に南タクシー、桂タクシーというのがあって、業界等ではMK方式といわれておりますけれども、従来のタクシー、ハイヤー経営とは違った形で実施をされておって、働いている労働者諸君に非常に動揺を与え、これが全国に波及をして、今度のハイヤー、タクシー経営というのはMK方式がいいというような印象を特に経営者に与えているというような事実を私は知っているわけでありますけれども、この山口県の下関タクシー、防府タクシー、宮城県の東映タクシー、合同タクシー、そうして京都の南タクシー、桂タクシーは、一体どういうことが原因で、あるいはロックアウトだとか、あるいは運転手が大半仕事にたえられなくて職場をかえるとかいうようなことになったのか、あるいは陸運事務所なり労働基準監督署が中へ入っても手がつかぬ、あきらめたというようなかっこうにまで紛糾してしまったのか。どうも自動車局は、いい点だけ経営者から聞いているけれども、悪い点はあまり聞いていない、こういう傾向が強いと思うのですけれども、自動車局がキャッチしている、いまあげた数社についてどうしてこうなったのか、御説明を願いたい。
○小林(正)政府委員 ただいま先生が具体的にお示しになった個々の企業におきます労使紛争が現在起こっているわけですが、これについて原因は、若干違った点があろうかと思います。私どもが、現地からの報告によって判断いたしますところでは、山口県の下関タクシーあるいは防府タクシーにおきます問題につきましては、賃金形態を中心といたしました労働条件を変更するというような問題が中心になりまして労使間に紛糾が主として起こっておる。ただ、当初の時点で時期的にあるいはそれが春闘の賃上げとからんでおったかどうか、これはまたいろいろあろうかと思いますが、中心的な争点はそういった労働条件を変更するというような問題かと思います。
 また仙台陸運局管内におきます二社のタクシーにつきましては、そういった労働協約といいますか、賃金形態といいますか、そういった問題でなくて、昨年の春闘に端を発して労使間の紛糾が起こったようでございます。
 そういったような点で個々の会社それぞれの事情によって問題が起こった原因はまちまちだと思いますし、なおこれらについて、具体的にはいまの五社でございますが、全体的に見ますと、その一つはMK方式と申しますか、そういった利益配分方式、賃金におきます一つの形態でございますが、こういった賃金支払い形態の採用をめぐって労使間に紛糾が起きているということ、それからもう一つは、そういった問題でなくて、仙台陸運局管内におきますような春闘における賃上げが原因で紛糾が起きているというような、大きく二つに分かれておるかと思います。
○斉藤(正)委員 労働条件なり賃金形態の変更によって起こった、おたくでは出先の陸運事務所なり陸運局なりがまとめたものを報告を受け、そのように認識をされていると思うのでありますけれども、陸運事務所とか陸運局とかの報告は当然なければならぬし、あってしかるべきだと思う。しかし、本省の自動車局が先ほど具体的にあげた数社について現地へおもむいて経営者なりあるいは労働者なりに直接会って意見を聞き、調査したことがございますか。
○小林(正)政府委員 タクシーの行政につきましては、先生も御承知のとおり、免許からその他日常の監督、監査あるいは指導というような全般的な権限がすべてそれぞれ所管の陸運局長に委任されて、現地で解決できるたてまえになっております。したがって直接私どもが出向いて陸運局と一緒に、あるいは陸運局を飛び越して具体的に個々の企業の経営者あるいは労働組合等関係者にぶつかることはございません。本省におきましては、主としてそういった問題について陸運局長かあの報告を前提といたしまして――業者側との接触は中央においてはまずございませんが、労働側におきましては、組織の中央団体と申しますか、中央の上部機関において私どもに問題が持ち込まれることが非常に多くあるわけでございます。したがって私どもが把握いたしておる実情は現地の陸運局長からと、あるいは中央におきまして労働組合の中央機関からいろんな情報が提供されるという現状でございます。
○斉藤(正)委員 役所のシステムは私は知っておるのですよ。自動車局自体が直接現地へおもむいて経営者なり労働者の代表と会ったことがあるかと言ったら、長々と答弁があったわけですが、ないわけですね。そういうことをしないシステムになっているという御親切な答弁があったわけです。だから自動車局は現実には現地へ行って経営者なり労働者には会っていないということが明らかになった。
 そこで、若干くどくなりますけれども、たとえば京都のMK方式のうちの代表的なことを申し上げますと、まず標準営業収入というのがきめられるわけです。これが平均三十万、中には四十万以上あげている運転手があるわけです。これは一人一カ月ですよ。ところが京都の業界の平均というのは二十三万円前後なのです。七割も八割も上積みされているわけであります。それから必要経費を総運転者数で割って経費の個人分担額をきめ、原則として営業収入から経費を除いた利益を経営者側が一七%、労働者側が八三%の割合で分割をするということになっている。退職金、賞与、年功給などはないわけであります。運転者の賃金所得は、名目的に計上される賃金及び利益配分額とプラスをされて実収になるわけです。営業収入から経費を引いた残額を一〇〇%とし、その八三%を賃金所得の総原資とし、賃金、割り増し賃金、有給休暇及び利益配分はワク内操作される仕組みに組み込まれているわけなんです。損益分岐点収入以下の者を会社は扶養する義務はないという方針で、いずれも法律できめられた労働時間、走行キロをオーバーして標準営業収入以上の高収入をかせげる自信のある者のみを入社させている。これは入社させているというよりも、それでなければつとめられないような過酷なノルマが加えられているのです。その証拠として、当初百五十名の運転者中百三十名は脱落をしてよその会社へ行っちゃっているのです。百五十名おった運転手のうち百三十名がその会社につとめることが不可能だというような実態はただごとじゃない。よほど労働条件が過酷だ。こんな会社にいたならば殺されるというようなことで退社しているのであります。一車二人制、八時間昼夜二交代、二十六日稼働、休日は修理あるいは公出、したがってスペア運転手はいない。一日当たりの経費は二人で三十日分の一負担をする。賃金は固定給与月額四万一千六百円、本人の営業収入月額から経費を引いた残額の八三%を原資とし、賃金及び割り増しも引いたものが利益配分額だということで公式がきまっちゃっているのです。こういうことをやれば、やはり就業時間も、それから就業日数も走行キロも、何もかも無視してかせげるだけかせがなければ実収入がないことになる。また、法律も通達も指示も無視してやれば収益はどんどん上がっていくという形になっていることは事実なんですよ。
  〔委員長退席、細田委員長代理着席〕
ひどいところになると、タコメーターなどのかぎを渡しちゃっているのです。タコメーターのかぎというのは一体どこが保管すべきか、運転手が勤務のつど運行管理者からもらって出ていくなんということを許しているわけがないでしょう。あのタコメーターのかぎを運行管理者がスタートする時点で運転手に渡しているというような事実を御存知ですか。そうしてまた、このMK方式なるものが、労働基準法もあるいはまた自動車関係のすべての法律も違反をしてやっているというような事実を御存じですか。いかがです。
○小林(正)政府委員 タコメーターのような当然事業運営上車両に備えつけなければならぬものについて、これを適正に管理するということは事業者側の義務であることは当然であろうと思います。全国に約四万のタクシー事業者がございまして、そういう事業者についての一般的な監査指導ということについては定期的に極力やってはおりますけれども、何ぶんにも現実問題として網羅的にこれをやるということがむずかしいわけでございますので、ただいま御指摘のような労働条件が極端に劣悪だというような事業者につきましては、労働基準監督署の監査が全国的に春秋二回定期的にあるようでございまして、労働基準行政の観点からそれぞれ適切な処理がされているほか、私どものほうにその監査結果、極端な例については通報があるわけでございます。そういったことで、労働条件等につきましても労働基準局の専門的な監査の結果を承知いたしまして、それを材料として重点的に個々の事業者について特別に監査をいたす、こういうたてまえをとっております。
○斉藤(正)委員 小林さん、あなたはすぐ逃げる。運行管理者が運転手にタコメーターのかぎを渡していることを知っているかと私は聞いたのですよ。これはなぜ渡すのですか。タコメーターを自由に操作をさせるのですよ。これは走行キロをごまかすのですよ。やっていないというなら、私こういうところでやっているから調べてみろといいますよ、資料を持っているのだから。そんなことはあり得ないと思っているのでしょう。現実に幾らもやっているのですよ。それでもし違反があるとするならば、これは労働省のほうの所管であって報告は受けています、これもあなたの立場からいえば逃げ口上としてわかりますが、しかしタクシー行政を労働行政と運輸行政に分けて考えるところに問題があるんですよ。これは何といったって主管はあなたのところですよ。労働省は労働省的立場からやっているのであって、タクシーを走らしているのはあなたのところの仕事なのですよ。そういう無責任なことを言っちゃいかぬ。
 労働省からお出かけいただいていますのでちょっと聞きますが、あなたのところで、いま自動車局長からお話がありました年次報告を二回やっておられます。中小企業の中でハイヤー、タクシー業界に労働基準法違反が最も多いという意味の報告がなされております。先ほど私が自動車局長にいろいろ伺いましたけれども、労働省としては二・九通達をはじめ多くの通達を出されて指導をされております。しかしながら現実は、先ほど私が触れましたリース制あるいはハンドル貸しあるいは日雇い、あるいは第二種個人タクシー免許といったような業界のあり方から、ますます労基法違反が続出をする懸念があるわけであります。そこで労働省としては、二・九通達、労働基準法の精神なり運用等から考えて、なぜ中小企業のうちでもハイヤー、タクシー業界に違反が多いかという点については、摘発だけじゃなくて指導も十分されておるはずであります。今日段階におけるハイヤー、タクシーの労働条件について、この傾向はふえても減っていないと思うのですが、どのように把握されているか。たとえば、先ほど申し上げました京都のMK方式等は、労働基準法なりあるいは二・九通達に違反をするおそれが多分にあるというように私は思うのですけれども、労働省が見た見解あるいはこのようなことをやれば違反ですというようなこと、これは何もMKに限りません、全般的な問題でもけっこうでありますけれども、年次報告に特にハイヤー、タクシー業界にこの種の違反が多いということを指摘されている以上、その趨勢なり具体的な内容については知悉をされているはずであります。お答えください。
○吉本説明員 労働省といたしましては自動車運転者の労働条件の確保をはかるために、先生ただいま御指摘のような基準法の施行はもちろん、それを上回るいわゆる二・九通達によりまして監督実施をしているわけでございます。その体制としましては毎年安全週間、春秋二回ございますが、それを中心にいたしまして一斉監督を行ない、またそのほかの期間におきましても、重点と思われる事業所につきましては監督指導を行なっているわけでございます。
 しかしながら依然としまして違反率というものは非常に高うございまして、ハイヤー、タクシー関係の昨年の実績を見ますと、労働時間関係につきまして男子四七・八%という違反率でございます。これは全体の業種の平均が九・二%でございますから、いかに時間関係についての違反が多いかということが指摘されようと思います。また工業的業種の平均でございましても八・二%というようなことで、このハイヤー、タクシーの事業所につきます時間関係の違反が非常に多いというような形でございます。
 これにつきまして私どもは、ただいま申し上げましたような一般的な監督実施を行ないますと同時に、さらに運輸省のほうにもその違反の事実を通報制度という制度によりまして指摘し、運輸省のほうでそれについて車両の使用停止等のきつい処分を行なうというような形をとって、何とかハイヤー、タクシーの労働条件の向上につとめるようにいたしている次第でございます。特に最近におきまして、ただいま御指摘のような利益還元制度というような事柄が業界に行なわれてきております。これにつきましての私どもの態度としましては、いわゆる二・九通達等で指摘しております労働時間違反あるいは割り増し賃金の違反、またさらに保障給の確保ということがはかられなければ、二・九通達違背といったようなことで措置を行なうという形をとっておる次第でございます。
○斉藤(正)委員 いま課長から御答弁いただきましたように、この二・九通達に引き続いて四十二年三月七日、「「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」のうち「賃金形熊」に関し留意すべき事項について」」ということで、きつい指示を労働省はされていますね。基賃発第十二号、四十二年三月七日、労働基準局賃金部長、これによりますといろいろ書いてありますけれども、本件に関係しては、「本項は歩合給制度のうちで、極端に労働者を刺激する方式を廃し歩合給制度を改善してゆく趣旨であって、歩合給制度そのものを廃止する意図ではないこと。」ということで、歩合給を全面的に否定していないけれども、「極端に労働者を刺激する方式を廃し歩合給制度を改善」せよ、こういう意味のことをいわれている。さらに「本項は、歩合給歩率のきめ方形態について規制し改善しようとするものであって、歩率の水準について指導する趣旨ではないこと。」ということをあえて断わっておきながら、その3で「自動車運転手に対して現在適用されている歩合給は、参考資料のとおり、その歩率の決め方によって、一率歩合給制、積算歩合給制及び累進歩合給制の三種に類型化することができるが、このうち累進歩合給制及び積算歩合給制は1の趣旨から廃止することを意図するものであること。」はっきりしているのですよ。歩合給制はやってはいかぬとはいわぬ。しかし累進歩合給制及び積算歩合給制は廃止するものである、廃止をせよ。「なお、一律歩合給制は、廃止する意図はないものであること。」ということを全く親切丁寧に指示しているのですね。ここにもいわれているように、一律歩合給制はやむを得ない、いいけれども、積算歩合給制及び累進歩合給制はだめだ、やめろ、こういう趣旨ですね、間違いありませんか。
  〔細田委員長代理退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
○吉本説明員 ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
○斉藤(正)委員 そうすると、先ほどから私が具体的な例を申し上げましたMK方式を中心としたハンドル貸し、リースあるいは日雇いといったような、いま業界が率先して取り上げようとしている、また、運輸省もそれを奨励指導しようとしているような態度は、全く労働省の指導立証日と逆じゃないですか。走行距離をごまかし、就業時間を延長し、休日もとらず、みずからのからだを酷使して、人が寝ているときに飛び回る、人が起きないうちに起きている、人が休んでからも睡眠時間を短縮しても働く、そうすれば実入りが多い。そのこと自体がここでいう積算歩合給制とか累進歩合給制と全く一致しているんじゃないですか。小林さんどう考えます。
○小林(正)政府委員 利益配分方式のような賃金形態、これが二・九通達に適合しているかどうかというような専門的な問題ございますが、私どもも当然労働省の二・九通達の線で、先ほど来申し上げているとおり、指導をいたしておるわけでございまして、何か、刺激的な給与制度に移行すべきであるとか、そういった指導をいたしておるような御質疑でございましたが、そういったことは毛頭ございません。適正な法律あるいは指導通達で許される範囲内の業務運営をやるべきことは当然でございまして、そういった点から監督もし、指導もいたすわけでございまして、ただ問題は、どういった賃金形態が企業にふさわしいかどうかというようなことについては、私どもとしても積極的に一つの例をあげて指導するというようなことはいたしてないわけでございまして、これはやはり通達、法規等の範囲内で、労使間できめるべき問題でございます。ただ、現実の姿が、先生御指摘のように非常にこういった問題をめぐって労使間の紛糾が絶えない、あるいはその結果、事業が適切に運営されていない。ここに至りますと、私どもといたしましても当然運輸行政の立場からも、こういった問題については積極的に対処しなければならぬということでございまして、やはり運輸行政は当然利用者の利便あるいは安全というような観点からそういった個々の企業が適切に運営されないことについて監督もし、指導もいたすわけでございます。
○斉藤(正)委員 自動車局の答弁としては、そういう答弁にならざるを得ないと思うのですね。二・九通達あるいは労働基準法等々を無視して、とにかく労働者もよし、経営者もよしというような指導をするわけはない、またしたらたいへんだ。ところが結果的には運政審の答申を受け、いま自動車局がハイヤー、タクシーの業界のあり方、経営のあり方、労働のあり方について指向している方向というのは、やはり賃金形態についても労働省の労働基準監督局がこういう形を改めなさい、やめなさい、もしやるとすればこれですよ、懇切丁寧に、しかも労基法の立場から指導している方向とは逆の方向へ行っている。そんな指導はしていないといったって、現実に先ほど私がくどくもからくも言ったような形の乗務をしなければ実入りが少ないというシステムが採用されようとしているのじゃないですか。現に採用されて、労使の紛争が起き――紛争どころの騒ぎじゃない。ロックアウトやあるいは閉鎖、こういうところまで進んでいるわけですよ。私は、労働省の立場としては、当然憲法なり労基法の精神に基づいた指導を、現実を踏まえてやられているということで、不十分であっても正しい方向をたどっていると思う。ところが運輸行政としての自動車局の指導は、運政審の答申に名をかりて、やっぱり違った方向をたどっているとしか思えないのです。しかしどういう方式をとろうと、労基法は守りなさいよと指導しているから、私のほうの責任ではないというのですから、その辺局長は――参議院であなたいろいろ答弁されているのを私議事録を読んだ。しかし現実は何といったって個々の運転手が実入りを多くするためには、あえてやらざるを得ないシステムにワクがはめられているということは間違いない。そういう認識に立ちませんか、いかがですか。
○小林(正)政府委員 先ほど来一般論でお答え申し上げておりましたが、現実の姿がどうなって、どう適切に運営されているかという点については、私も先生と全く同じように見ておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、全国約四万のタクシー事業者というものがあるわけでございますが、そういった中で労働基準法あるいは通達というような線からいかがかと思われるような業務運営の方式をとるというような事業者がある、あるいはその結果、そういった業界において適切なサービスが行なわれないというようなことは、運政審の答申がある以前からこういった問題については業界の何と申しますか、病根と申しますか欠陥の部分だったと思います。したがって、そういった点から、すでに法人タクシーというもの、そのものに対して、世間は非常に痛烈な批判をしてきたわけでございまして、そこで運輸省といたしましては、当然個人タクシーの増強という政策を展開してまいりまして、今日ほぼこれも定着をしてきておるという実情でございます。
 また運政審の答申が目ざしておるのは、そういった労働条件云々の問題じゃございませんで、いわゆるタクシー企業のあり方といたしましては、営業形態といたしまして、大都市における流しタクシーというようなものについては、これは法人タクシーの免許制と同じような制度をとっておくことがいいのかどうかというような点についての一つの答申で、示唆ございまして、そういった点について、私どもも先生おっしゃるとおり現実の姿が、そういった法人企業というものの運営が適切に行なわれにくいという実情が労使双方にいろいろ問題があるというような点から、このタクシー企業というものが世間からもいろいろな批判を受けやすいというようなことで、むしろ将来のあり方としてはいわゆる自由化と申しますか、そういった方向を運政審が示唆しておるのだと思うわけでございます。もちろん、現在そういった運政審の答申に沿って、今後どういった新しい制度を考え出すかということは、全く将来の問題でございまして、当然現行法の中ではいまの法人企業というものを、先生おっしゃるとおり、そういった問題がないように適正な方向に是正していくと申しますか、あるいは一部どうしても聞かないものについては厳正な態度で排除していく、そういった企業、そういった労働組合を排除していく、私どもはそういうような厳正な態度で個々の企業に対処していく。これは他の企業と違いまして、くどくなりますが、バス等と違いまして、今日におきましては相当たくさんの企業が同じ地域で競争してやっておるわけでございます。したがって、おっしゃるとおりの非常に不心得な事業者もあるというようなことについて、一般論でございますが、各陸運局が指導して、そういった事業者についてはこれを排除していく。もちろんそれまでの段階で是正していくことがいいことは当然でございますけれども、私はそういったものに対して積極的に是正し、あるいはどうしても是正できないものについては、こういった企業については排除するという方向で、基本的にはそういった態度で取り組んでいっておるわけでございます。決して利益配分方式とかあるいはいろいろな給与制度上の問題について、運輸省が法人タクシーをくずしていくというような方向でやっておるわけではございません。
○斉藤(正)委員 最終的に法人タクシーをくずすような気持ちはないと言ったけれども、前半は個個の法人に対して一つの対策として個タク制度というようなものが生まれ、これが目的を果たしつつあるということをおっしゃって、あなたは最後に、これはまたちょっと法人にぐあいが悪いかなと思って、別に法人をどうこうするわけじゃないと言い直したけれども、やはり答弁を聞いていると脈絡が一貫してないのですよ。正直言ってあなたも法人タクシーをもてあましているんじゃないですか。私もそう思うのです。しかし最高責任官庁としてもてあましてお手あげだと言うわけにはいかぬですよ。
 あなたは、参議院の伊部委員の質問に答えて、公労使でこれの対策の協議会めいたものを設けて、具体的な対策を検討したいというような意味のことを、労使だけではだめなんだから第三者も入れてというようなことを御答弁なさっているのですけれども、私はこれは画期的な仕事としていま取り組まなければ悔いを千載に残す。法人というのは経営者も労働者も国民の批判の目にますますさらされるというときが来たと思うのですよ。これはぜひひとつ実現をしていただきたいと思う。
 それに対する見解は後ほど伺いますが、吉本さん、二・九通達は画期的な通達だったわけです。不十分ながらこれが労働条件の改善に役立つ一つの型をタクシー経営労使に与えたことも事実だ。しかし今日自動車局が不適当な指導をしているために労働省の仕事がふえていると思うのです。いま二・九通達に匹摘するような通達を考えるべきだ。一片の通達で改善されると私も思いませんけれども、こういう問題に関し、一考していただきたいというように思うのですが、局長並びに課長から考え方を聞きたい。
○吉本説明員 私どもとしましては、ただいま御指摘のように、二・九通達の線で全体の監督を実施しているわけでございまして、この監督の結果ですらなかなか違反、違背が是正されておらないというような現状の中で、ただいま申し上げたような事例がいろいろ出てきておるという中でございますので、特にこの問題につきまして、私どもとしましてもそれの指導体制というものを考えるべく現在準備はしております。
 ただ、先ほど御指摘のような二・九通達に匹摘するというほどのものになるかどうか、検討の結果でございますけれども、何らかの措置はとりたいというふうに思います。
○斉藤(正)委員 局長、答弁いただく前に、先ほど吉本課長から答弁された中に、中小企業の中の労働違反事案が平均こうだけれどもタクシー業界はこうだという屈辱的な現実の発表があったでしょう。あれをお聞きになってどういう感想を持たれたかということを含めて、先ほど私が言った当面この対策のために早急に公労使三者からなる協議会、対策委員会、あるいは名前はどうでもけっこうですけれども、機関を持つべきだと私も思うのです。感想を含めてお答えください。
○小林(正)政府委員 最初に、タクシー企業に非常に基準法あるいは指導通達に抵触する事例が多いというようなことについて、まことに私も遺憾だと思います。また、先ほど来先生おっしゃっているような、事業の正常な運営と申しますか、そういったようなものが阻害されている例が全国各地に起きておるというようなことについて、これまた非常に遺憾なことでございます。
 ただ、そういった点につきましては、これはどうすれば是正できるかという点につきましては、私はやはり労使双方、関係の方々がそういった問題を正しく認識して是正のための努力をするということがなければ、事柄は法律的にあるいは行政処分で解決するわけではない。先ほど来、自由化等の問題、個タクの問題で若干意見が、何といいますか論理が一貫してないという御指摘でございますけれども、今日までも関係者がある程度の努力はしてきた、またわれわれもそういう点について労使双方にできるだけ積極的に呼びかけて、これが是正のための措置をする、あるいは行政のサイドの伝家の宝刀といたしまして、そういった極端な企業については排除していくという基本的姿勢で行政指導、監督をいたしておるわけでございますが、こういった関係者間の努力が最終的に結ばれない場合は、私は、世間、第三者、先生方が申されているとおり、今日までの個人タクシーの方向、運政審が示唆しているタクシー自由化の方向に、タクシー企業というものは残念ながら行ってしまうのじゃないかというような懸念があるものでございますので、こういった面について最後の努力をしたいというような積極的な気持ちでございます。
 そこで、労使間の問題について運輸行政がどこまで介入できるかという点については、これは行政上非常にむずかしい問題もあると思いますが、実は政務次官の指示によりましてタクシー企業というものを改善していこうというようなことについて一つとった方策といたしまして、たとえば、東京におきます近代化センターで街頭指導等をやっておりますが、その結果というものについて、ベスト、ワーストいずれにつきましてもこれを新聞に公表いたしまして、今後関係者間の是正についての努力を促すというような措置も講じたわけでございます。
 それから第二点といたしまして、ただいま御指摘の労使の関係者にも、運輸行政ができる範囲で積極的に出て、そうして十分懇談の機会を持って積極的な行政を進めていくということについて御指示があったわけでございます。そこで現在考えておりますのは、当然運輸行政の限界としては、これは第一義的には利用者の利便と安全の観点からの行政でございまして、労使間の問題について直接触れるということの権限はございません。ございませんが、労使紛争が原因であってもタクシー事業の正常な運営が行なわれないためにその地域の利用者の利益、安全に重大な影響があるというような場合が随時あるわけでございまして、こういった点につきましては必要に応じて随時労使関係者の代表とも十分懇談をする機会を持って、これはケース・バイ・ケースに、たとえば陸運局長がやるという場合が多いと思いますけれども、それぞれ各地において積機的な指導をやっていくべきものと考えておるわけでございます。もちろん、全般的な問題につきましては、中央においても同じような考え方で対処してまいりたい。
 それから運政審の答申が現実の問題と関連して出ておりますが、この点につきましては若干業界あるいは関係方面に誤解があるようでございまして、運政審の答申におきましては、将来の大都市におきますタクシーのあり方について自由化の方向が打ち出されていることは事実でございますが、この制度のあり方、内容につきまして、どういったものが今後策定されるかということにつきましては、運政審は方向を示唆したにすぎないわけでございまして、当然、これが具体化については、事柄は法律事項でございます。私どもといたしましては、業界、労働組合の意見というものを十分考慮して新しい制度というものを検討していきたいと思っているわけでございます。こういった現実の問題あるいは将来の方向という問題につきましても、いずれの面につきましても労使、関係者の意見というものを十分聞いて対処してまいりたい、こう思っております。
○斉藤(正)委員 次官、私とのやり取りを長い時間、聞いていただきましたけれども、勇断を持って、いま局長が申されましたような指示をされたということは、あなたこそ行動の人であり、実行の人だと私は思っている。ぜひ百尺竿頭一歩を進めて業界進展のためにも、また公共輸送機関の一端を分担するハイヤー、タクシーの現状を十分認識されているあなたでございますから、精力的に取り組んでいただきたい、かように思うわけでございます。貴重な指示をされて実行に移っていることは多といたします。しかし、なお多くの問題をかかえていて、法人の現状並びに将来といったようなものに懸念すべきものが私は国民的な立場に立ってもあると思うわけであります。それは単なる一経営者や一労働者の問題ではない。国民大衆に与える影響といったようなものも考えなければならぬと思うわけであります。ひとつ確固たる措置をお願いをいたしたいと思うのですが、見解の御表明をいただきたい。
○佐藤(文)政府委員 衆参の運輸委員会で連続してタクシー問題について適切なる御指示をいただきまして、ほんとうに敬意を払いたいと思います。
 いま先生がずっと質問され、また参議院でタクシー問題について質疑応答がなされましたが、大体質問の要旨がタクシー業界に寄せられたいろいろな問題点を集約されておると思います。そこで、そういった問題点を解決するためにどうしたらいいかということで、自動車局を中心に、タクシー問題についての、次の時代の新しいタクシー行政についての検討を始めているわけです。ところが、問題点が非常に複雑でございまして、一つ一つ解決するためにはやはり時間が相当かかります。そこで、ただいま質疑のありましたいろいろな問題について、一つ一つ計画を立てて是正の方向に向かっているのですが、要するに、ある日偶然運転手さんとお客さんが同じ車に乗って、十分ないし二十分間乗りものに乗るというのは、これはタクシーの特性であります。その利用者が一番楽しい乗りものであったというタクシーにすることがねらいでありまして、その十分ないし二十分間、一番楽しい乗りものに乗ったという、お客さんはそれが一番うれしいと思うのです。そういう一番楽しい乗りものにするためにどうしたらいいかということはただいまの問題点に集約されますが、私は第一点に、法人と個人の問題がいまどのようなチェック・アンド・バランスの時代に入ってきているかということを考える必要がある。たとえば、東京では二万両という法人のタクシーに対して一万五千両という個人のタクシーになってきておる。もうそろそろ何か限界が来たような気がいたします。それから、神奈川県では、個人タクシーに免許を与えましたら、翌日返上に来た、もう営業ができないのですというぐあいに、需要と供給のアンバランスが見られてきたというようなケースも起こりまして、そういう問題のチェックをどうするかということが一つ。それから、したがって大都市において市民の足というのはタクシーである、バスである、地下鉄であるといっているが、はたして同列でいいのかどうか。イギリスのように、三百メートルごとにバスの停留所があって、完全に東京とか大阪とか、いうところの市民の足にバスがなり得たならば、タクシーはいまよりか少し高いクラスに持っていくことも必要じゃなかろうか、それは適正な認可と適正な料金、そういうところから考えていかなければならぬ、こういうような第二点の問題が都市交通の問題で出てまいりました。
 そこで、先般参議院の運輸委員会でタクシー協会の代表と全自交の代表の参考人の方々の意見をずっと聞いておりました。協会の代表、業者の代表の方々の意見を聞いていると、一生懸命働くのだ、働くから全部歩合制にしてくれという運転手さんがおるそうです。ところがそれをやれば二・九通達の理想と全然反することである。したがってやはり一定の時間働いて、そして安心して固定給がもらえて、それが生活の基盤になって、努力すれば歩合給が支給される、こういう理想の形態にやはり持っていくべきであるということを私は感じましたけれども、現実には全部歩合制にしてくれ、一生懸命働く、こういったような、京都南タクシーみたいなことが現実にある、こういう問題についても今後どうするかということを、これは私、業界の代表と組合の代表と話し合った上で、その方向を、やはり今日的な問題で現実的に片づける必要があるということで、これは三者の話し合いをしようじゃないかということをお約束いたしました。
 それから経営者と労働者の関係ですが、ワーストテンを、念のために、いままでは近代化センターからいろいろなデータが出てきましたが、外には発表しなかったのです。そこで、思い切ってワーストテンをやってみたらどうかということで、いままで二回やってみましたら、ある経営者から連絡がございまして、二回ワーストに入った。自分の娘が婚約の最中だった。ところがうちの会社とおとうちゃんの名前がけさの新聞に出た、これでは行かれぬというので、この次は絶対ならないように努力するために、きょう久しぶりに労働組合の代表と会って、おれだけではできぬのだ、一緒にひとつ何とかこの次はやらぬと、監査が入って免許の取り消しがあるかもしれぬというので、組合の代表からも連絡があって、初めて労使の話し合いをしたということも出てまいりました。したがって、そういうことをやっていいかどうかということについては、ずいぶん、よい点も悪い点もあるわけですから警戒したのですけれども、連続してやる方針であります。したがって、そういう前向きの姿勢が業界に出てまいりましたので、労使間における賃金形態の問題も、労働省の二・九通達の方向にいくような指導ということは厳然としてしていこう、こういうことであります。そういうことでいろいろなタクシー業界の問題については参議院の運輸委員会でお約束しました。労使双方、近日中にいろいろな準備をいたしまして、そして自動車局を中心に具体的な問題を、大体五年計画を立てまして、そして都市交通の中におけるタクシーの位置、それから労使間の賃金形態、それから適正な免許と適正な運賃というものがいまのようなていでいいのか。私は世界各国の他の都市に比べてタクシー運賃は安いと思います。日本は一番安いんじゃないでしょうか。したがって、そういう適正な料金というものをどう位置づけするかということの問題についても焦点を合わして研究していきたい、こう考えておる次第でございます。
○斉藤(正)委員 大体総論的な立場からお尋ねをした範囲におきましては、当局の考え方はわかりました。後日また同僚なり私なり、もう少し各論的なお尋ねをする時間をちょうだいすることにいたしまして、本日はこれで終わります。
 ありがとうございました。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
○佐藤(守)委員長代理 河村勝君。(「議事進行が優先だ」と呼ぶ者あり)
○河村委員 きょうは、最近頻発をしておりますカーフェリーの事故、それに関連をして、一体、カーフェリーの免許あるいは監査、それからさらに具体的な災害の起こった場合の救難体制、そういう問題について若干質問をいたします。
 このカーフェリーの事故というのは、四十二年度からカーフェリーが急増するのに伴って……(「議事進行が先じゃないか」「不規則発言だ」と呼び、その他の発言する者多し)委員長、質問中は静かにさしてください。
○佐藤(守)委員長代理 静粛にお願いします。
  〔「議事進行と言っているじゃないか。こんなばかな運営がありますか。国会法や衆議院規則をどう思っているんだ。これが自民党の運営ですか」「不規則発言を許すな」と呼び、その他発言する者多し〕
○佐藤(守)委員長代理 河村君、質問を続けてください。
  〔「こんなばかな運営がありますか。議事進行がすべてに優先されるんじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり〕
○佐藤(守)委員長代理 梅田君、理事と相談してください。――質問は続行してください、河村勝君。
  〔梅田委員「議事進行がすべてに優先するのは、認められているんだよ」と呼び、その他発言する者多し〕
○佐藤(守)委員長代理 静粛にお願いします。梅田君、理事と相談してください。
  〔梅田委員「暫時休憩して、理事会をやれ。私の発言は議事進行だよ」と呼ぶ〕
○佐藤(守)委員長代理 河村勝君、質問を続けてください。
  〔発言する者多し〕
○河村委員 委員長、静粛にさしてください。
○佐藤(守)委員長代理 河村勝君の質問中です。静粛にお願いします。
  〔梅田委員「「委員から発言の順序について、異議の申立があるときは、委員長は、これを委員会に諮らなければならない。」と書いてあるじゃないですか。理事と相談して、すぐに理事会をやれ」と呼ぶ〕
○佐藤(守)委員長代理 梅田君、理事と御相談願います。
  〔梅田委員「こんなばかなことがあるか」と呼び、その他発言する者多し〕
○佐藤(守)委員長代理 静粛に。梅田君、理事と相談してください。――河村勝君、どうぞ……。
○河村委員 特に、六月、七月の事故の発生率というのは異常でありまして、その中には、幸い人命に損傷はないけれども、これは性質からいうと、悪質な事故が非常に多いですね。これは可能性としては、例の紫雲丸事故ぐらいのことが起きても、ちっともふしぎでない状態が続いているわけです。一体、ことしに入ってからの事故の件数というのは、どのくらいあって、原因別に分けるとどういうことになるのですか。
○原田政府委員 御指摘のとおり、最近カーフェリー事故が相次いで起こっておりますことは、まことに遺憾でございます。
 まず五月十九日に「せとうち」が沈没したということがありまして、それから六月二十日から七月四日まで相次いで六隻のフェリーが衝突を起こしております。
○河村委員 この原因というのは、いろいろあると思いますが、カーフェリーがふえてきて、事故もまたふえてきたというのは、これはごく最近の話ではありませんね。もうすでにその傾向というのは、ずっと続いてきておるわけです。そこで昭和四十六年の十月に、運輸省では、少なくともそうした状態を認めて、そして安全対策についての通達をおろしていますね。その内容は、少なくとも形式的には、防火体制それから運航体制、両面にわたって、相当詳細にわたって体制の整備をやるようなことになっておりますね。これだけはほんとうにやられておるならば、こうした事故は起こらないで済んだはずだという印象を受けるぐらい作文としてはりっぱなものであります。一体こういう通達を出されたあと、現実に今日まで――これから先じゃありませんよ。事故が起こってから先の話は別として、ごく最近のこういう多発した事故の前に、それまでに一体どういう通達を現実にやってきたのかどうか。その点を伺いたい。
○原田政府委員 私から一括して申し上げますと、御指摘の四十六年以降、各種の規程を主眼としたカーフェリー安全対策を策定いたしまして、これに従いまして、安全対策を実施してまいったわけでございます。
 第一には、運航管理権につきまして、海上運送法により運航管理規程の作成を義務づけまして、その励行をはかっております。それから運航管理者をそれぞれ事業者に選任させまして、通常状態における運航基準や荒天時の運航中止基準の励行をさせております。
 第二に、船員の関係につきましては、操練の励行、勤務体制の適正化などを行なうことによりまして、乗務体制の改善をはかっております。また船員の教育の面では、レーダー等の使用について、学校で取り上げるのみならず、船員再教育機関でございます海技大学校等におきましても、シミュレーターによる教育を正科として行なっておるほか、学生以外の船員につきましては、年四回にわたる実習訓練に重点を置いた教育をことしの七月から実施することにいたしております。
  〔佐藤(守)委員長代理退席、加藤(六)委員長代理着席〕
 第三に、船舶そのものにつきましては、防火構造の改善、消防設備、救命設備、航海機器等の改善を行ないまして、安全性の向上をはかっておるわけでございます。
 また船舶交通のふくそういたします海域につきましては、昨年制定を見ました海上交通安全法によりまして、特別に定められた航法を守ることが、一定の航路において義務づけられておりまして、これらの規定が本年七月一日から実施されることになっております。
 さらに港湾施設の面におきましても、その整備基準を定め、より安全に操船、着岸できるようフェリー用の専用のバースの建設を進めておるわけでございます。
○河村委員 まあだいぶ並べましたが、その中で運航ダイヤの再検討をやるのだ。それについては関係地方部局並びに関係者による委員会をつくって、そこでもって現在ある事業者のダイヤも含めて再編成をやるんだというふうに言っていますね。それは一体具体的にどういうふうにやりましたか。
○佐原政府委員 ダイヤの再検討につきましては、四十五年に通達を出しまして、一応オールオーバーに海上保安部と十分協議をした上でダイヤの検討をさせました。ごく最近になりまして、四十八年七月から海上交通安全法が施行されます。そうしますと、特定水域における航海の規制とかいった要素がさらに加わってまいります。そういった前提をさらに配慮いたしまして、再度ダイヤの検討をするようにことしの五月に通達を出しております。ダイヤの問題につきましては、地方海運局長の認可事項でございますので、地方の海運局でもって海上交通安全法の施行前に関係者が集まって再検討が行なわれた、このように考えておる次第でございます。
○河村委員 最近の事故の中で、衝突あるいは接触事故について、海運局として、運輸省として五つの会社に対して営業停止等の処分をされたということでありますが、一体これが全部であるのか、どういう基準でこの五社を選んで、そうしてどういう内容の営業停止をされたのか、それを聞かせてもらいたい。
○佐原政府委員 先ほど官房審議官から御披露がございました。ごく最近の霧中における接触事故を起こした会社に対してとりあえず通達を出しました。それで、その中身は先生御存じかと思いますけれども、営業停止というよりは海上運送法第十九条によります安全確保命令、今度の事件をいろいろ反省いたしまして、その原因等を調べますと、まだ調査中の段階ではございますけれども、霧中航法が必ずしも適切ではなかった。特にスピードがあまり落とされておらなかったところに非常に共通性があるように思います。これらのことは海上衝突予防法、あるいは先生が申されました運航管理規程等も十分意を尽くして注意指導をしておるわけでございますけれども、まことに残念ながら法規どおり守られなかったというのが非常に遺憾な点でございます。
 今回の通達の中身は、事故を起こした会社に一応安全確保命令ということで操縦のベテランコンサルタント、具体的に申しますと、海難防止協会の職員を使いまして、実地に乗船をしていろいろな航法の訓練、実地乗船訓練と称しておりますが、そういった航海をさせる。
 特に、霧中航法について一応の想定をいたしまして、船長その他の乗り組み員に一応の動作をさせる、こういったことを内容としたものでございます。ただ問題は、この五社だけに限らず、ほかのフェリー会社の全般についても同じようなことがあろうかと思いますので、その辺のところは同じ要領で各地方海運局において十分指導するように別途海運局長に通達を出しております。
 とりあえず、そういったところで一時的にやりまして、なおそれでも順守しないようなところには、その後事業停止、その他さらに峻厳な処分で臨むように、その通達の最後で触れておるような次第でございます。
○河村委員 海上運送法十九条の輸送の安全の確保に関する命令、これでいくわけですね。そうすると、ぼくは新聞等で見ているだけなんでありますけれども、少なくとも訓練航海の実施が終わるまでは、事故が発生した航路については運航停止をしているように新聞では報道されているけれども、実際はそういうことはまだやっていないわけですか。
○佐原政府委員 通達を出しましてから今日までまだ詳細な報告を得ておりませんので、ここで私からやっているとかいないとかはっきりお答えはできませんけれども、その点もし御必要ならばさっそく地方海運局に照会を出しましてやらせたいと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたコンサルタント、海難防止協会の受け入れ体制がまだできておらないのではなかろうかと思います。その意味ではこれから始まるのではなかろうかと私ども考えております。
○河村委員 しかし、これだけの悪質な事故が続いて、幸いに人命に影響を及ぼしていないようだけれども、これは紙一重です。中身の詳細なことはわれわれもちろん知らないけれども、海上衝突予防法の霧中航行の原則中の原則、基本原則を無視したものとしか考えられない。もしそうでなかったらそうでないと言ってください。そういうもので改善命令を出すということをきめておきながら、地方の海運局に聞いてみなければどうやったかわからぬというようなやり方で一体いいと思っておるのですか。少なくとも航路の停止をして、すぐに訓練航海なり何なりやらせるというくらいの具体的な指示はしてないのですか。ただしかるべくやれというようなことをやっただけなんですか。
○佐原政府委員 私ちょっといまことばが不十分で誤解をお与えしたかと思いますが、地方海運局まかせにしておるのじゃございませんで、まず五社につきまして特別監査をやります。そうしてほかにもいろいろな注意すべき事項があると思います。まずそれを洗ってみなさいということで、現在その段階であろうかと思います。そのあとでいろいろ注意すべき事項を含めまして、逐次訓練航海を始める、こういう段階になっておりますので、地方まかせにして本省は何も知らぬ、こういう態度では決してございませんので、誤解を与えたことは申しわけなく思います。
○河村委員 そうすると、現在の段階では監査をやったその上でということであって、まだその結果の判定が出ないからこうした処分はやってない、こういうことなんですか。
○佐原政府委員 さようでございます。
○河村委員 しかし、これはほとんど完全な海上衝突予防法の無視であることはわかっているのでしょう。こういう危険な態度にあるのなら、とりあえずまず運航停止をしておいて、それからこまかいことはやるというくらいなことはやらないと、本来のほんとうの一罰百戒というか、そういう体制づくりはできないと思うが、それくらいのことをお考えになったらいかがですか、政務事官。
○佐藤(文)政府委員 この一カ月間で起こった事故は去年一年間に匹敵する事故数といっていいくらいに連続して起こりましたので、おとといの十時にその関係の社長全部集めて私の部屋に来ていただきまして、そうしてその原因、それから会社としてどこにそういう原因があるのか約二時間いろいろお話しをいたしました。そうしてただいま海運局長が言ったような措置をするということにいたしまして、いろいろお話しした中で、私もしろうとでございます。したがって、霧中航行について、あなた方は一体どういう指導をされているのですか、いろいろこういう素朴な質問をいたしました結果、ある会社の社長は、船長の選任を誤ったとはっきり言いました。それは五十年間無事故でやってきた。しかし、霧中航行の場合はストップあるいは減速と申しますか、ほとんどとまる状態にまですべきであったところを十ノット以上で走っているわけです。一番早いのは百メートルから二百メートルのところを十四・七ノットで走っておるわけです。それからほかの船は十ノットくらいで走っておる。一社だけが二ノットに減速しておる。その二ノットでも接触しておる。しかし、こういう霧中航行の完全ストップも非常にむずかしいそうであります。かえってストップしてあぶない場合もある。ですから、減速ということが常識であるということを私は受けとめたわけですが、そういったいろいろな原因がシンボライズされましたので、今後の安全対策について、海運局長の方針に基づいて、経験者というかたんのう者を船長の横に乗せまして、安全航行への再指導をするというやり方をするということで別れたわけであります。ただ一つ、その間で私が初めて知った意外なことは、視界が二百メートルのときには出港させないという会社もあるし、それから三百メートルの視界のときには出港させないという、ばらばらであるということが、私はしろうとですけれども知りました。はたしてそれがいいのかどうか、これは再検討を要する問題ですけれども、出港を停止するのに各会社によって視界の長短があるという面も、私初めて知りましたので、こういう面についても海運局に、はたしてそれが適正であるかどうかということについても、再検討をしようじゃないかという話をしておるわけなんです。
○河村委員 それはいきなりとめるというのはあぶないにきまっておる。船は流れますからね。微速がたてまえでしょうけれども、それに近づいて相手の霧中信号を聞いたといわれる。だけれども、十ノット以上で走っておるというのはほんとうに異常なんですね、視界が二百メートル以内なのに。ですから、こういうのはほんとうに一罰百戒で、もっと厳重にやらなければならないのです。
 それからいま私が運航関係のことについて言いましたが、これはもう一つ基本的な原因がありはしないか。それは、普通の船なら、貨物船ならこんなことはしませんね。やはり仕事に追われているわけですね。何とかして早く着かなければならぬというほうに、営業政策に片寄り過ぎている、こういう経営上の問題があるのですね。
 それともう一つは、バースが過密ではないか。聞くところによると、神戸や高松のフェリーのバースというのは十五分回転ぐらいになっておるというふうに聞いておりますが、これは私は真否は知りません、正確に確認したものではありませんからね。そうなれば、どうしても、ちょっとおくれて着くと、ほかの船に先にバースを取られてしまうというようなことで、霧中であっても無理をする可能性が出てくる。だから、こういう航路を免許する運輸省の側に、バースの回転からいっての過密がありはしないか。そういう点について一体運航管理体制以外の面での体制についてどうお考えになっていますか。
○佐原政府委員 先生御存じのように、旅客、航路、特にフェリーを含めましてやります場合は、海上運送法第四条に「免許の基準」がございます。六項目ございますが、そのうちの半分は安全問題というところでチェックすることになっております。ダイヤ、バースを含めまして、現地の海運局のみならず各港湾管理者あるいは海上保安部署各関係者集まりまして協議をした結果、よろしいということで免許をいたしております。ですから、その意味では、安全上十分配慮をした上で免許を行なっておると私は考えております。ただ、霧の中でダイヤを守るために無理をして走るということは、これは決して好ましいことではありません。非常に問題があると思います。多少でも経営本位主義というような点がございましたならば、それはゆゆしき問題でございますから、今回の通達にもあくまでも安全第一主義に徹してやれということを十分会社のほうにも伝えてございますので、今後そのような点は十分注意をいたしましてさらに一そう指導を続けてまいりたい。このように考えております。
○河村委員 政務次官、こまかい理屈は別にして、これからもカーフェリーの需要はふえますよね。それで安全を守っておるというけれども、現状だってかなり競争も激しいし、ダイヤだって過密に近いと私は思う。だから、どうしても営業政策的に追われていく、これはある程度避けられない傾向でしょう。だから、どうしても他社に負けて損だというようなことにかられないように――今度のような霧中を十ノット以上で走ったということだけは少なくとも確認できているわけでしょう。ですから、今度の場合はいきなりおまえのところは営業取り消しだとか、停止だとかいうのは、あるいは抜き打ちにやるのは無理かもしれない。だけれども、これから先そういったことをやったらとにかく全部営業を停止するというくらいのはっきりした態度を示さないと、私はフェリー事故はなくならないと思うのですね。それはどうやったってゼロにすることはできないかもしれないけれども、しかし、とにかくこれをほんとうに減らすためにはそれくらいやらなければいかぬと思うのですね。どうですか政務次官、それくらいの思い切った態度を業界に示すということが私は大事じゃないかと思うのですがいかがですか。
○佐藤(文)政府委員 全日海の組合長さんも、つい先般この連続事故の直後に参りまして、私、組合長さんはじめ十数名の方とお会いしましていろいろ話した中に、いま先生が言われたような営業成績をあげるために、それに追われて、スピード制限をしないというようなことがあるんじゃないかということも話題の中心になりました。それからバースの問題も中心になりました。が、しかし、一応そういったような点について経営者にじかに話をしましたら、絶対にそういうことはいたしません。要するに、霧中航行の場合においては、減速安全航行ということを徹底することが指導方針であって、営業に追いまくられてやるというようなことはありませんというのですが、さらに私は、心理的にはあるのではないかというところまで実は突っ込んで話をしましたが、そういうような問題点についても、労使双方に私よく話しまして、安全第一の運航をやるように一応指導はいたしました。
 それから昨日、海上保安庁長官に来ていただきまして、海上交通、安全法が実施されてからもう十数日になるわけです。そこで東京湾だけがいま無線によってあるいはレーダーによって、ちょうど飛行機と同じように、どの船がどの辺に来ている、こうするということをやっているのですけれども、これは瀬戸内海と伊勢湾とか、こういったような三海地域に十一の今度新しい航路を設けて、そこで一方交通の指導をしたり、いろいろ細部にわたって指導しているのだけれども、霧中における他船の動向、この船は何ノット以上でいま減速して走っているのだ、そういう三つの地域で電波放送でわかるようなシステムというものを早急につくるべきじゃないか。それによって霧中航行の場合に、他船がいまどの地域をどのくらいのスピードで減速して走っているのだということがわかるような、少なくとも三地域については積極的な計画をつくるべきであるということで指導いたしました。こういうようなことで一応早急に体制をつくらなければ、今後大事故が起こらないという保証はないという不安を私は持っているのです。したがって経営者、労働組合それぞれに注意を喚起するとともに、行政の姿勢としてもそういったような制度の完備への前向きな体制をとるべきである、こう考えております。しかしこういう事故が起こったから一挙に、あなたのところの免許を取り上げますよとか、あるいは運航を停止しますということは、やはりケース・バイ・ケースで考えていきたい、こう考えております。
○河村委員 それはケース・バイ・ケースはあたりまえですけれども、私が言っているのは、今度の場合のように、濃霧の中を十ノット以上で走るというのは、これはめちゃくちゃですよ。だから、これは普通の状態じゃありませんね。よっぽど追われ追われた心理でなければ、これは貨物船なら絶対ありませんからね。フェリーで競争が激しい、スピードを大事にするというような営業政策に追われて、それでやっていることだけはいなめない事実ですよ。ですから、少なくともその辺からそのワクをはずしてやるというか、そういう心理的な負担をなくしてやるためにも、こういうのは思い切ったことをやることがかえって親切であると私はそう思うのです。
 そこで、これだけ続いておるのですから、思い切ってやることを期待をいたしますが、それでもやはり私は絶対に今後ともないとはいえない。だから救難体制についてはいままで以上にもっとしっかりやっておくべきだと思うのです。瀬戸内の場合なんかは、幸いにしてうまくいきましたけれども、どうもあとの避難訓練の記録をテレビで見ましたけれども、ずいぶんたよりないような状態のように思いましたよ。
 そこで、まず救命艇に対する人員の配置、これを伺いたいのですが、この点についてはもうすでに救命艇手規則の一部改正、これをやったのですか、これからやるのですか、どうなんですか。いままで沿海区域を航行する船には救命艇手は乗っけなくてもいいことになっておりましたね。そうするとカーフェリーなんか全然救命ボートに対する人員配置はなくて済むということになっていたわけですね。これは一体どういうふうになっていますか。
○吉末説明員 お話しのように、沿海区域も救命艇には救命艇手をつけることになっておりますが、いわゆる膨張式救命いかだには現在つけられなくてもよいというような定めになっております。この点につきましてやはり、どんどん最近のように膨張式救命いかだによる救命ということになってまいりますと、それに対する対応策というのも必要だと思いまして、現在そのような方向で省令改正の作業を進めている段階でございます。
○河村委員 そうすると、膨張式の救命いかだはあっても、それに対する人員配置はまだできていないわけですね。
○吉末説明員 救命艇手を張りつけるというのは、きちっと資格を持っている人を張りつけなさい、こういうのが規制でございまして、実際には膨張式救命いかだを使っております場合にはしかるべき人をつけまして、実際の避難訓練をやるわけでございます。そこで、従来ともそういう救命といいますか、退船の訓練、操練を実施をするということでやっておるわけでございますが、なかなか救命いかだを使っての操練というのは、実は救命いかだを一ぺん使いますと、あとの格納は専門家でないとできないというふうな事情もございますので、実際に膨張式救命いかだを使っての操練というのが従来なかなか行なわれていなかったわけでございますが、せんだっての事故にかんがみまして、特別操練というふうなことで、各地一斉にそういう実施にわたっての訓練をやるというふうなことで、実際に膨張式救命いかだを持っているのに使う技術がまずかったというふうなことがないような措置を現在とっております。
 それと先ほどお話にございました救命艇手を張りつけるというのは、規則上こういう資格を持った者を張りつけろというそこのところの、省令でございますけれども、そういう制度上の手当てのほうを現在作業を進めておる、こういうことでございます。
○河村委員 救命艇手を張りつける省令については、私の知るところによれば、中労委に諮問があって、船員中労委から運輸省に対する答申というのは昨年の二月にもうすでに出ておるわけですね。それから約一年半たっている。それでまだ省令の改正が行なわれていないのですか。
○吉末説明員 先生おっしゃいましたように、昨年の初めに答申いただきまして現在つくられていないというのは事実でございます。これにつきましては、設備の関連なんかも含めましていろいろな検討を行なっていったものですから、若干時間が立ち過ぎているという感じでございますけれども、現在鋭意準備中でございますので、さようなことで御了承いただきたいと思います。
○河村委員 設備の関係とは何ですか。人間を訓練をして配置をするということ以外にないはずですね。
○吉末説明員 失礼いたしました。膨張式救命いかだだけでございますと、実際に乗りましたあと操船するのは、要するに手でこぐだけであるというふうな話にもなりますので、いやしくも、膨張式でないほうの救命艇でございますが、救命艇そのものをどういうふうにからませて使うかとか、あるいはその脱出装置なんかも誘導その他に関連がございますので、そういう方面とのかね合いで、どの程度の救命艇手の資格、あるいは張りつけの人数というふうな問題、いろいろからんでまいりますので、そういう点の関係方面との詰めを行なっている、こういうふうな事情でございます。設備が、単純に切り離した設備だけという意味ではございませんで、設備との関連においていろいろ検討に手間どったというのが実情でございます。
○河村委員 幸いそういう事態に至らなかったからよろしいけれども、これはたいへんなことですよ。具体的に聞きますが、五月の十九日に火災を起こした「せとうち」、あれは旅客定員が四百二十二名。本格的な救命艇はどうせ一ぱいか二はい分くらいしかないんでしょう。それで膨張式救命いかだが一体幾つあって、それに対する救命艇手の配置、訓練された人間の配置というのは一体幾らあったのですか。「せとうち」の事件はちょうど事故がおきて監査されたから当然御存じのはずじゃないですか。
○吉末説明員 膨張式救命いかだはたしか二十個積んでいたんだと思います。そこで乗り組み員が二十三名だったと思いますが、そのうち、資格は現在強制されておらないわけでございますので、特に資格云々ということは出てまいらないわけでございますが、膨張式救命いかだに現在資格のある人をつけろという形になっておりませんから、したがって必ずいたということではございません。
○河村委員 実際に訓練を受けていたのかどうか。
○吉末説明員 いろいろ操練はやってきたわけでございますが、膨張式救命いかだの扱い方についての訓練は実際やっていなかったというのが実情でございます。
○河村委員 政務次官、お聞きのように、ただ規則ができていないだけではないんだな。さっきの説明では規則をつくるだけがおくれているんで、実際はやっているような話だったけれども、それもやっていない・一体一年半かかってこの程度のことができないというのはおかしいと思いませんか。政務次官、いかがですか。
○佐藤(文)政府委員 「せとうち」事件のときに、私はもう現地に行きまして、遭難をした三十五名の方々に一々会って聞いたんですが、実際は膨張式救命いかだを三ばいおろして、そしてみごとにエアが入って完全に浮かんだわけです。ですから、私は訓練をしておった、こう思うのです。ところが、さあ離船しようと思ったところが、本船と救命いかだを結んでおるロープを切るナイフがない。本船は沈み始めて、あわてて、ナイフがないのでそのままもう突入するんじゃないかということで、平均二十五名乗っておったのですが、そのままおったというので、ナイフがないからどうしたんだということで、大あわてにあわてたら、お客さんがくだものナイフを持っておったというので、やっとそれで切って離船した。それで関西汽船で救われる直前に、おしりの下にナイフとオールがセットされておった、こういうのですから、実際はそういう非常措置における訓練が不完全であったということを私は確認せざるを得ません。したがって示達だけではなくて、実際経営者がその訓練をやっていたかどうかということになると、形式的にはやったんでしょうけれども、ほんとうに遭難した場合に対応できるだけの能力を持つほどの訓練は不十分であるということが確認されましたので、その後各カーフェリーのこういったような貨客を運送する全部の船舶経営者に対して、海上の安全性に対してその訓練の徹底を示達したわけでございます。
○河村委員 それでもまだ義務づける省令はできてないんですね。こんなものはすぐやるべきですよ。
○吉末説明員 ただいま政務次官からお話がございましたように、操練、訓練をするというのは規則化されておりまして、それでもって訓練をやっておるわけでございます。訓練の中身といたしましては、防火の訓練であるとか、船からの脱出の訓練というふうなものがあるわけでございます。脱出の訓練の中で実際にボートをおろすというのはいろいろやるわけでございますが、膨張式救命いかだについては従来やっていなかった。そこでただいま政務次官からお話がございましたように、特別操練でもって全部実際に膨張式救命いかだを使って操練をするのだというふうなことを示達しまして、それは各地で先月実際にそういう訓練を行なったところでございます。
○河村委員 何だかちっともわからないのだけれども、どうもいまの運輸省のやり方を見ていますと――業界にとっては、安全に関する投資というのは、やっかいでもあるし、直接商売にはプラスになりませんから、いやがるものです。
  〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕
特に営業と必ずしも両立しない場合もありますね。だから、元来そういうところは強引にやらなければできるものじゃないですね。ですから、この救命艇手の問題でも非常にそういう点があるのじゃないかと私は疑いを持っているのですけれども、特に脱出装置の改善についてその経過を私の聞くところによると、業界に対する遠慮というものが非常に強くて、そのために改善がおくれているという点があるのではないかということを私は非常に懸念をしております。
 それで、脱出装置の改善について、これもやはり救命艇手の場合と同じように省令の案をこしらえて、それを船員中労委に諮問をして、その答申があったのはたしかおととしくらいにあったのじゃないかと思うが、それはいつですか。膨張式のシューター、それからその他。
○内田説明員 いま先生お話しの脱出設備につきましては、船中労のほうの審議を、私、船舶局でございますので、ちょっと存じておりませんけれども、もともとこのカーフェリーのいろんな構造、施設につきましては、カーフェリーの特殊基準というのは船舶安全法に基づく通達としてございまして、これについては、いまお話がございましたように、脱出設備等も規制の対象になっているわけでございます。いまお話のございましたシューターでございますけれども、これは最近、一、二年前から開発されてまいりまして、私どもその信頼性とかそういうようなことでいろいろテストをしていったわけでございますけれども、特に最近非常に信頼性の高い、そういう脱出のシューターというのが非常に有効であると信頼性が確認されましたので、今度の事故にかんかみまして、新造船、それから在来船を問わずシューターを適当な十分な数、各船に備えさせるような通達に、通達を改善したわけでございます。
○河村委員 そのように改正されたのですか。
○内田説明員 改正いたしました。
○河村委員 時間もありませんから、こっちから先に私の知っているところで申しますけれども、この答申の内容、あるいは省令の内容といってもよろしいですけれども、二つあって、一つは脱出甲板というか乗艇甲板ですね、甲板の乗り込み装置の下方には、内ぶたの舷窓以外は開口部をつくくってはいかぬというものと、それと五メートル以上ある――カーフェリーですから、普通脱出甲板から水面まで五メートル以上あるでしょう。五メートル以上ある場合には膨張式のシューターを備えなければならない、そういうものが案であったというふうに聞いておるのだけれども、そういう内容でもってでき上がっているのですか。
○内田説明員 御指摘のとおりでございます。
○河村委員 間違いありませんね。それはいつから実施されますか。
○内田説明員 基準そのものは改正いたしましたけれども、これ以外に、たとえば機関室の火災探知装置であるとか、在来船に対しましては相当な改造部分を伴いますので、新造船につきましては当然新造期から適用いたしますけれども、在来船につきましては一つは工事の都合、ドックの都合、もう一つはシューターの生産量と申しますか、そういう面からドックに入った機会にそのような強化工事をやらせるということでございまして、見通しといたしましては来年一ぱい中に在来船がそのような措置が全部とられるということになろうかと思います。
○河村委員 それがほんとうにそのとおりやられるならけっこうであります。私の聞くところでは旅客船業界から強力なる反対があって、シューターのほうは、時期の問題は別でありますけれども、乗艇甲板から乗り込み装置の下方に開口部をつくってはいけないというのは旅客船業界の強力なる陳情だか反対によって、それはだいぶ事実上なきにひとしいようなものに相なったというふうに聞いておりますが、さようなことはありませんね。
○内田説明員 基準の説明にあたりましては、それぞれの立場でそれぞれの御意見がございましたけれども、事は安全問題でございますので、業界の方の御理解を得たわけでございます。
○河村委員 開口してはいかぬというような問題これは船の構造上に関するもの、これは確かに手間はかかりますから、多少おくれることもあり得ると思う。だけれども、この間もテレビで見ておって、なわばしごでおりているやつを見たけれども、模擬船、ではない、何というか、訓練としてやってもはなはだしくあぶなっかしいものであって、とうていあれがほんとうに実用に供されるとは思わない。五メートル以上の甲板からなわばしごでおりていって膨張式のいかだに乗るなんというのは、これは軽わざ師に近い者でなければ短い時間でばたばたとおりるということは不可能ですね。こんなものはもっと早くつけるのが当然じゃないですか。何かドックに入るときというと、何日以内にとにかくドックに入ってつけろとか、そういうことは全然示達をしてないわけですか。
○内田説明員 御承知のようにカーフェリーのこういう強化というのは、当然われわれのほうの船舶安全法に基づく検査の対象になるわけであります。御承知のようにこういうカーフェリーというのは一年に一回ドックをいたしまして検査をするわけでございます。それで一つ一つ取り上げますと、ドックに入らなくてできるものももちろん小さいものはございますけれども、たとえばいま御指摘がございましたシューターにつきましては、やはりドックに入れた状態でやったほうが工事がやりやすいということと、それからもう一つは、今度在来船も含めましてそういうようなものを船用として取りつけさせるわけでございまして、生産量と申しますか、メーカーの生産体制の面から一挙に数百個のものを生産するということは不可能でございまして、そういう意味におきましてドックの時期にそういう取りつけ工事を行なう。しかし最後をきめる必要がございますので、おそくとも来年の十二月三十一日までに全工事を完了するというふうに通達したわけでございます。
○河村委員 政務次官、いまこまかいことまで少しお聞きをしましたけれども、カーフェリーというのは本質的な脆弱性を持っていますから、とにかく燃えるものはたくさん積んで、しかも性格上普通のに比べれば隔壁はうんと少ない。だからどうしても沈みやすい。いざ逃げるとなれば、小さな二、三千トンの船でも、高さからいうと五メートル以上になってしまう。非常に高いところからおりなければならぬ。あらゆる意味で非常な危険性を伴うものですね、ですから、いままで私がお聞きしたこともどうも事務的に扱われ過ぎて、この問題、一ぺん悪いほうにころびますと、それはほんとうにたいへんなことなんですよ。私もかつて紫雲丸事件そのものに関係したこともありますけれども、それはもうたいへんなことです。ですからひとつこの問題は事務当局にまかせないで、もう少し政治的にというか、大局的に取り上げて一つの体制をつくり上げる、ぜひやってほしいと思います。最後に政務次官にそれに対するお考えをお聞きして質問を終わります。
○佐藤(文)政府委員 カーフェリーが火災が起こっても一瞬にして火災を消しとめる能力、絶対沈没をしないというそのジンクスというか、いわれておったことがみごとに破られて瀬戸内でもって短時間で沈没した、こういう現実であります。したがって最近起こった連続的な接触事故、私はそれが次の大きな事故にまた展開していくおそれを先生と同様に抱いておりますので、一片の通達でなくして、その通達に基づいてそれが完全に実行できる体制を早急にとるべく努力を続けていきたい、こう考えております。
○河村委員 終わります。
○井原委員長 午後二時から再開することとし、この際暫次休憩いたします。
   午後一時二分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時四分開議
○井原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、次回は来たる十三日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後三時五分散会