第071回国会 予算委員会 第10号
昭和四十八年二月十日(土曜日)
    午前十時六分開議
 出席委員
   委員長 根本龍太郎君
   理事 足立 篤郎君 理事 小澤 太郎君
   理事 小沢 辰男君 理事 田澤 吉郎君
   理事 湊  徹郎君 理事 阪上安太郎君
   理事 辻原 弘市君 理事 谷口善太郎君
   理事 山田 太郎君
      赤澤 正道君    荒木萬壽夫君
      伊能繁次郎君    臼井 莊一君
      大野 市郎君    北澤 直吉君
      倉成  正君    黒金 泰美君
      小平 久雄君    正示啓次郎君
      瀬戸山三男君    田中 龍夫君
      塚原 俊郎君    灘尾 弘吉君
      野田 卯一君    野原 正勝君
      福田  一君    保利  茂君
      細田 吉藏君    前田 正男君
      松浦周太郎君    松野 頼三君
      森山 欽司君    安宅 常彦君
      阿部 昭吾君    大原  亨君
      北山 愛郎君    小林  進君
      田中 武夫君    中澤 茂一君
      楢崎弥之助君    細谷 治嘉君
      安井 吉典君    荒木  宏君
      寺前  巖君    東中 光雄君
      岡本 富夫君    安里積千代君
      小平  忠君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 三木 武夫君
        法 務 大 臣 田中伊三次君
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
        文 部 大 臣 奥野 誠亮君
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
        郵 政 大 臣 久野 忠治君
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        自 治 大 臣
        国家公安委員
        会委員長
        北海道開発庁
        長官      江崎 真澄君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長
        官)      二階堂 進君
        国 務 大 臣
        (総理府総務長
        官)
        (沖繩開発庁長
        官)      坪川 信三君
        国 務 大 臣
        (行政管理庁長
        官)      福田 赳夫君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 増原 恵吉君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      小坂善太郎君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 吉國 一郎君
        内閣法制局第一
        部長      角田礼次郎君
        経済企画庁国民
        生活局長    小島 英敏君
        経済企画庁総合
        計画局長    宮崎  仁君
        環境庁企画調整
        局長      船後 正道君
        大蔵省主計局長 相澤 英之君
        大蔵省理財局長 橋口  收君
        大蔵省国際金融
        局長      林  大造君
        厚生省公衆衛生
        局長      加倉井駿一君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省薬務局長 松下 廉蔵君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省児童家庭
        局長      穴山 徳夫君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        厚生省年金局長 横田 陽吉君
        農林大臣官房長 三善 信二君
        農林大臣官房予
        算課長     渡邉 文雄君
        農林省構造改善
        局長      小沼  勇君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
 委員外の出席者
        予算委員会調査
        室長      野路 武敏君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月十日
 辞任         補欠選任
  津金 佑近君     荒木  宏君
  中島 武敏君     東中 光雄君
  不破 哲三君     寺前  巖君
同日
 辞任         補欠選任
  荒木  宏君     津金 佑近君
  寺前  巖君     不破 哲三君
  東中 光雄君     中島 武敏君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計予算
 昭和四十八年度特別会計予算
 昭和四十八年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
○根本委員長 これより会議を開きます。
 昭和四十八年度一般会計予算、昭和四十八年度特別会計予算及び昭和四十八年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行ないます。寺前巖君。
○寺前委員 選挙されて新しい国会が開かれたわけですが、国会が、きれいな明るい国会として、国民は非常に大きな期待をしております。
 タクシー汚職とか共和製糖事件とか日通汚職など、これまでもいろいろ政界と財界との結びつきの問題が、社会ではもちろんのこと、国会の中でも問題になってきました。財界、独占資本と政界とのきたない結びつき、それが政治腐敗の直接の重要な根源をなしてきているということは、今日では天下周知の事実となっております。
 私どもの党は、以前から政治腐敗を根絶する道としては、自民党はもちろんのこと、各党が独占資本、財界、資本家団体との一切の財政的な結びつきを断ち切ることを主張してきました。また営利会社など、すべての団体の政治献金を禁止し、政治献金は年間四十万円を限度とする個人の寄付に限るところの、真の政治資金規制の確立も主張してきました。さらに私どもは、汚職、腐敗の根絶のためには、独占資本、財界による国の政治と財政のいわゆる私物化の問題にもメスを徹底的に入れるということを訴えてきました。私は、大企業と政治とのパイプになる政治献金、これをめぐって起こる黒い霧、この腐敗した政治を一掃するために、本日は大映、いわゆる映画会社です、大映の具体的事実を通じてこの問題に対する解明をしていきたい。まずもって私は総理にきょうは率直にお答えくださることを要望して、本論に入りたいと思います。
 総理も御存じのように、一昨年の暮れ五十六億円の負債を残して映画会社大映株式会社は破産をしました。残った総勘定元帳を見ると、倒産前五年余りに、永田社長ら会社役員は政治団体への献金を二億円も出しているということになっております。有価証券報告書総覧を見ると、この間の累積赤字は十三億六千八百万円ということになっていますから、実に赤字の一五%からが政治献金ということになります。この政治献金の事態というのは全く異常だと思います。
 もう一度言います。五年間に十三億六千八百万円という赤字が累積してくる。その間に使われた政治献金なるものが二億円からも出てくる。さらにいろいろ分類をしていくならば、この種の問題というのがもっともっとたくさんあるということが見られますが、こういう異常な政治献金という問題について、総理大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○田中内閣総理大臣 大映株式会社が倒産をした事実は承知しております。
 しかし、いま御指摘になられたような政治献金が行なわれたかどうかという事実に対しては、全く承知しておりませんので、私がいまこの問題について、当時の経営者がどのような観点で政治献金をなされたものか、またどのようなところに出ておるものかを承知しておらない現在、これに対して私見を申し述べる立場にはありません。
○寺前委員 十三億何千万円という累積赤字が出てくる。その中に二億円からの政治献金というのが、調査したところによると、自民党の各派の研究会という名前とかいろんな形で、総理、あなたが総裁をやっているところのそれらの団体に、大部分が出ているということがきわめて明らかになっております。
 そこで、私は念のために聞きたいのです。累積赤字というのは、有価証券のあの報告書総覧の中に、明確にどれだけの赤字ができてきているかというのが書いてある。私は調べて言っているのですよ。そして明確に、あなたが総裁をしておられる自民党の各会派、研究会という名前でいろいろ出ております。これらの団体にこれだけの金が流れ込んでいるということは、全体としていまから見たときに、異常な事態だというふうに見られないか。これはだれだって疑問に思う点ですから、あなたも、総理大臣は自民党の総裁ですから、大部分があなたが総裁をしているところに流れ込んでいるということになるならば、これは異常だ、これは政治献金について検討してみなければならぬという気持ちになられないのか、もう一度お伺いしたいと思います。
○田中内閣総理大臣 私は、いま突然そのようなことを指摘されたのでございまして、そのような事実が存在するかどうかも承知をしないのでございます。でございますから、私がいまその問題に対して、あなたの発言だけを前提にして私見を申し述べる立場にない。しいて申し上げれば、それは経営者がどのような状態において政治献金をなされたのかという問題で、その事実が解明されたときの、政治資金を提供した経営者そのものの問題でございまして、事実が確認をせられない現時点において、私見を申し述べる立場にないということでございます。
○寺前委員 これは破産をしているんだから、破産財団だから、ちゃんと明確に公的な立場の管財人が資産、帳簿、書類一切を管理しているのです。これはもう公的にそうなっておるんだから、そこにちゃんと明確にそういうものがあるんだ。その中から拾ったらそれだけ出てきたんだ。きわめて根拠を明確にして言っている。各派の名前もずっと全部あげいと言うのですか。私はそんなこと言わなくたっていいと思う。これだけの事実が出てきたら、反省する要があるというふうに見なければならぬのじゃないかと私は思うから、率直に意見を聞きたいというんだ。何だったらあなた、すぐ調べさしてごらんなさい。ちゃんと明確に公的な立場の管財人がこれらを握っているんだから。一五%からも出てくるということになったら、それは異常だ。それを異常と思わぬのかどうか。私は別にむずかしく言っているんじゃない。率直に聞きたい。率直に総理の感情を聞きたい。どういうふうに思われるのか、私はきわめて率直に聞きたいということを言っているんですよ。もう一度お伺いします。
○田中内閣総理大臣 あなたはお調べになられたからそのような事実を把握されたのであって、私はいまあなたの口から突然にそういう問題を明らかにせられたのでありまして、私はそういう事実の確認をしておりません。おりませんから、確認を待たないままに所見を申し述べる立場にないということを、これはもうあなたが私の立場であってもそうお答えになると思います。
 しいて、このような事実があったとしたならどうするか、こういうことになれば、これは経営者のモラルの問題でもあるし、経営者自体の経営態度というものの中に論じられなければならない問題だと思います。私はそういう意味で、破産、倒産というような状態が起こったあとから考えてみれば、そういうふうな政治献金が行なわれたということが事実であるならば、その経営者そのものは批判されたり責められたり、別な意味で評価をされるのは、これはもう当然のことだと思います。
○寺前委員 あなたは、経営者はこういう経営のやり方においてどうかと思うという面はおっしゃった。だから、逆に振り返ってみる話です、反省というのは。振り返ってみたときに、十三億何ぼの中で二億からも政治献金を、あなたが総裁をしておられる各派閥の関係ですね、研究会、そこの諸君たちがもらっておったということをずっと考えてみたら、これは少ない金じゃないですよ、二億からの金が出てくるんだから、これは反省する必要が、今度は受け取った側としてはないのか。私は率直に、今度は受け取った側からの問題をあなたに聞きたい。この点についてもう一度聞きます。
○田中内閣総理大臣 私は、その二億円なるものが拠出をせられたのかどうかという事実も確認をしておりませんから、いまにわかに私の答えを申し述べる立場にはありませんが、しかし、そういうような事実もしありとしても、これは要請をしたり、そういういろんな個々の問題があると思います。いままで長いおつき合いの中でどのような過程をずっとたどってきたのか、それから、大映から拠金を受けたという場合が、自動的に振り込まれるようになっておったのか、それはいろいろな問題が現実的には個々のケースとして違うわけであります。しかも、その究極的な問題としては、破産をするような現状にあったのか、倒産するような現状にあったのかという認識の問題もあります。そういう問題は、全部個々の問題を承知しない以上、なかなか申し上げられないことであります。
 ただ、大ざっぱにすなおに申し述べれば、破産を、また倒産をするような会社から受けなければよかったなという感じは、これは受けた人はみんな持っていると思います。それはすなおな感じだと思いますよ。しかし受けたときに、ずっと過去からの長いおつき合いで受けたということもあるし、これは会費をもらっておれば、会費は自動的に振り込むようにもなっておるし、そういう問題は、個々に調べないでなかなかにわかに、それを総体的に結果論から類推をしてこうでありますということは、私はやはり無理じゃないかと思うのです。これは皆さんでも、金額の多寡は知らず、いろんなところから受ける。それは善意な資金として受ける。その人が犯罪をしたという結果論から出て、ああ、犯罪人から受けなきゃよかったなという気持ちはだれでも持つと思うのです。ですから、そういう問題は個々の問題として承知しない限り、私があなたのことばにオウム返しにそうでございますということは述べられない。しかし結果的に見て、受けなきゃよかったなあという感じは持っておると思います。これはすなおな私の感じであります。
○寺前委員 倒産するような会社から受け取らなかったらよかったなあというふうにすなおに思うというお話でした。ところが、これは総理はよく御存じの会社だと私は思うのです。永田社長さん、そして映画界の中でも有名な位置にあった大映さんのことですから。
 ところで、この大映という会社が三十七、八年ごろから赤字の道に入ってきておったということはあなたも知っておられるはずだ。映画産業全体としてずっと斜陽化していく時期があります。これは三十七、八年ごろからずっと斜陽化しておる。私がさっき言ったところの二億円の政治献金、累積赤字になってきているという過程というのは、この斜陽化している映画産業界の話なんです。大映においては三十七、八年ごろから赤字に変わってきている段階です。映画全体において斜陽化し、大映が赤字の道に入ってきている。そういう過程の中におけるところの最近の五年間余りの話ですから、これはあなたがさきに言われたように、破産する過程にあったかどうかわからなかったのでということにはならない話だと私は思うのです。斜陽化し、赤字化してきている。そういう過程の中でこんなばく大な政治献金は、破産してしまってからは考えるけれども、破産前においてもこれは考えなければならない性格のものではなかったろうか。私は、率直にすなおに反省というのは深く入り込んで考えてみなければいかぬからあえて言うのです。どうです、総理。
○田中内閣総理大臣 私は、その二億余円が拠出されているという事実も承知しておらないのでございます。永田氏とは私も知らない仲じゃありませんが、なかなか元気のいい人でございまして、テレビが普及してきたから映画産業も受け身にはなってきたが、長い蓄積があるのだ、一つずつ土地を売ってもまだつぶれるようなものじゃないよ、「羅生門」や何かでもって世界的なグランプリをとったわれわれが、そう簡単にまいるものではないぞ、まだ鳴り響く永田ラッパ、やはりこういうことでございまして、私はそんなふうには理解してなかったのです。
○寺前委員 そうですか。そういう理解にはなかった。映画界全体が斜陽化しているのに、大映がそういう事態になかったとあなたは思っていた。私はこれはちょっとあとにその話は譲ります。譲るけれども、私はそれではあなたは済まないと思うのです。
 いま、私が説明した二億円余りの政治団体への献金を、今度はこの総勘定元帳を調べてみて、政治資金として自治省へ収支報告が出ているのが一体どれだけあるだろうか、調べてみました。総勘定元帳に、どういう団体に何ぼ寄付を大映が出したかということが全部書いてあります。その中と、一方自治省が官報で発表するところのあの届け出とずっと比較して調べてみた。そうしたら、何と出てくるのは、その大映の会社から政治献金として出してあるというふうになっているのにもかかわらず、出てくるのは一割前後しか名前が出てこない。あと九割ほどの問題が出てこないのです。これは一体どういうことなんでしょう。違法行為なんだろうか。何か問題があるのだろうか。政治献金というのは堂々と社会にわかるようにすべきものだと私は思うのだけれども、出てくるのは一部分しか出てこないというこの事実について、総理は一体どういうふうに思われますか。
○田中内閣総理大臣 その間の事情は承知しておりません。おりませんが、これは法律のたてまえで、年間会費とか月々の会費とかということは、これは支出が明らかになっており、それから受け入れ側の元帳にもちゃんと受け入れており、これが正規に払い出されておるということであれば、寄付金以外はこれが届け出を必要としないようになっております。だから、そういう問題で公表したら、公表の透明度をもっと高めなければならないというような世論が起こっていることは、これは事実でございますが、法律違反ということがあれば、これは違反として取り扱われるわけでありますが、私は、個々のケースそのものを知りませんし、どのように各政治資金規正団体から届けられておるのかも全然承知をしておりませんので、これは調べてみなければわからないということでございます。
○寺前委員 いま総理も個々の具体的事実は別として、批判も出ているということで、いわゆる透明度の問題について言われたのだと私は思います。明らかに批判は出ています。ことしの一月十二日に自治省は、四十七年上半期の政治資金収支報告を官報で発表しています。それであなたが総裁をやっている自民党の場合、これを見てみると十八億九千八百二十三万二千円の収入ということになっているけれども、出所が明らかなのは、国民協会十億四千万円と書かれているのが出所がきわめて明確なものである。ところが、国民協会というのは寄付は一体どうなっているかと見ると、これはゼロになっている。会費ということになっている。そうすると、もともとだれがあなたの党に、あるいはどの団体があなたの党に入れたか全くわからないという、こういう結果になってあの収支報告は出てきています。少なくとも四十六年とか四十五年とか前にさかのぼって調べてみたら、たとえば四十六年度の上半期の事態を見たら、電気事業連合会、東京銀行協会、日本鉄鋼連盟などからは各三億円というふうに出所がもう少し明確になっている。ところが、四十七年度になってきたら、全くどこの会社、どこの団体からこういうのが出てきたかわからない。こういうような政治資金の収支の報告のしかたにいま結果としてなってきているということはきわめて不明朗ではないか。
 いま言った大映の場合一つとってみても、二億円からのうちで収支報告が明確になって出ているのは一割しかない。何とこういうところに入れておったのかというのは、出した側の勘定元帳を見て初めてわかってくる。私はここに不明朗の一つがあると思うのですが、総理はこのような透明度の問題において、一割しか透明が出てこないという結果になってきているといういまのやり方についてどういうふうに思われるのか、御意見を聞きたいと思います。
○田中内閣総理大臣 これは透明であることが望ましいし、透明であることによって国民自体が最終的に判断をする、主権者の判断の利便の用に供するようにありたいという気持ちはわかります。わかりますが、それは違法ではなく、現行法がそういうことを許容しておるということだと思います。
○寺前委員 ありたいという気持ちがわかるというんだったら、そのことをつくり上げるためにどうしたらいいんですか。国民がそういうふうにあってほしいと思うことはわかると言われるのだ。わかる以上は、あなたとしては違法ではないという話の問題とは別でしょう。そうありたいというんだったら、それじゃそのようにするためにはどうするんだ、その点を明らかにしてもらいたい。
○田中内閣総理大臣 私は、ありたいという基本的な考え方を述べたのですが、私の言うとおりにはみんななりません。あなた方も御反対になりますし……(寺前委員「何で反対するかいな、明らかにせい言うている」と呼ぶ)いや、われわれがもっとやりたいものもたくさんあるのです。そういう法律を出しても、自民党は多数でも、なかなかこれがすべて成立をする状況にない。この政治資金規正法においても、過去に何回か提案をしたのですが、しかし、それは成立を見ないで今日に至っておるという事実があるじゃありませんか。ですから、そういう問題はやはり与野党が、国民の理解を得られるような状態で結論を出すように、いまよりもよくなるように努力をしていくということであって、これを私が言ったからすぐそれが実現するものであるというふうに理解をすることは、これは少し性急じゃないですか。
○寺前委員 あなたはありたいと、自民党はありたいと思うと。そうすると、ほかの党がそうありたくないと、こう言うのですか。私は、透明度は明らかにしなさいと、あなたのほうはありたいと、それじゃ、この点では明朗にしようということは一致するんじゃないか。
 私は、もう少しこれは話を発展させて、具体的に大映の問題をめぐって、たとえばここにおられるところの閣僚の皆さんの中の関係する団体の例をとって、具体的にもう少し詰めていきたいと思うのです。
 たとえば、ここの勘定にいろんな人の名前が出てきますよ。全部をやっておったら切りがないから、たとえば新政治調査会というのがあります。これは皆さん方の中の会だと思うのですが、私は調べてみたら、事務員さんが、私のほうの中曽根さんが会長でございますという話を聞かしてくれたので、新政治調査会というのは中曽根さんが会長をしておられるところの組織だと思うのですが、これは間違いですか。ちょっと念のためにお聞きしたいのです。
○中曽根国務大臣 私が責任者にはなっていないと思います。
○寺前委員 新聞を見ても中曽根派という名前を使われている会だし、直接この事務所に聞いても中曽根さんの、そうでございますという、そういう御返事をいただいておりますので、これは法的な諸関係の問題は別としても、あなたがこの会のいわゆる派閥の大将というふうに一般的にいわれる、そういう派であることには間違いない会なんでしょうね、これは。事務所の人もそうおっしゃっているのだから。
○中曽根国務大臣 そういわれているようであります。
○寺前委員 私は、それでは新政治調査会、この勘定元帳をずっと調べていると出てくるのでちょっと聞いてみたいと思うのですが、昭和四十一年の五月三十一日、その元帳を見ると、会費名目で二千万円のお金が入ってます。さらに六月の三十日、八百万円の新政治調査会への納入が記載をされています。これで五月と六月、同じ年ですから二千八百万円、これは会費と書いてある。この年の前後一年間を調べても出てこないのだ、こういう会費というものは。そうして七月の十二日のところを見ると三百万円、十二月の二十五日に百六十万円、これは明確に寄付と書いてあります。寄付の項でちゃんと整理もされています。
 ところで、私はここで考えられる問題として、五月、六月に二千八百万円にわたるところのお金がぽんと会費名目の金で納まっているということは、常識的に見て、これが会費といえるんだろうか。普通常識からいうたら、会費というのは定期的に納めていくというのが会費じゃないだろうか。これがなぜ会費ということになるんだろうか。だれだって不明朗な話だなあと思うのは当然ではないか。総理のおことばを使わしていただくならば、先ほどのお話では、そういうようにありたいと国民は思うと言う。そのとおり不明朗な話だ、私はそういうふうに思うのですが、中曽根さん、あなたはどう思われるか、お聞きをしたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 当時の内容をよく調査してみないとわかりません。いまそのときの情勢がどういう情勢でそういうことになっているのか、私、責任者でありませんからよく知っておりませんのです。
○寺前委員 責任者でないとか、あるいは当時の事情を調べてみなければとおっしゃるんだったら、二千万円、八百万円、これらの会費名目で出されているということは特殊な例だとあなたは思われますか。特殊な例だと思いますか。帳簿を見たって前後に出てこない。会費はこれだけ、そんな会費というのがあるんだろうか。国民は、さきの田中さんのことばをかりるならば、ありたい。ところが、現に出てきている姿というのは会費名目で、会費というのは、われわれの常識からいうならば、定期的に納めるべきものだというふうに思うのに、これがそういうふうな形で会費ということでぽつんとほうり込んであるだけで、会費という性格としていうことができるんでしょうか。私はこれも率直に聞きたいんです。明朗にするために言うんです。こういうものを会費扱いという形で取り扱っておっていいんだろうか。私は閣僚席におられる人だからあえて聞きたいんです。もう一度中曽根さんの御返事をいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 よく調査してみないと、確実な答弁はできません。
○寺前委員 この件に関して、さきに私は言いましたが、寄付名目で三百万円と百六十万円のお金が大映から出ております。ところが官報を見たら、その中の百六十万円のほうだけはちゃんと届け出が出ております。三百万円のほうは、これは何ぼさがしても出てきません。これは一体どういうことなんでしょう。これはちゃんと領収書もあっての話なんです。台帳を見たらちゃんと寄付のところに明確に書いてある。官報で収支報告を見たら、その三百万円は出てこない。私は明朗にありたいから具体的な事実を通じて、これはほっておいたら私はたいへんなことだと思うからここで言うんです。中曽根派といわれる具体的な例で言っているんです。あなたのところのその会、そこに、一つはこのような会費扱いというのがあるのだろうか、一つはこのように会社では寄付金として出しているのに、それがちゃんと政治資金のあの規正によるところのこういう届け出が出ていない。全く不明朗な話だと私は思うんです。中曽根さんどう思います。こんな政治資金のあり方、私は重大な問題だと思うんです。もう一度聞きたいと思います。
○中曽根国務大臣 当時の情勢をよく責任者にただしてみないとわかりません。
○寺前委員 こんなもの私はすぐできる話だと思うんだ。あなたすぐ手配さしたらいいんですよ。すぐ近所でしょう、こんなもの。電話一本でも済む話だ。疑惑を持たれるような話だったら、私はやっぱりはっきりしなければいかぬと思う。疑惑が起こったときに、直ちにそんなもの処理しましょう、どうだったかと、私はそのぐらいのことを中曽根さんやってもらいたい。田中さんさっきから何度も言われた、国民は明朗でありたいと思うのは当然だ。そうでしょう。すぐ調べてくれますか。すぐ調べて、ここでもう一度明らかにしようじゃありませんか。
 同時に私は、そういう会費のあり方、後段の話は、届け出がないということは、これだったらそもそもこれは違法行為に入る分野の話ですから、犯罪の分野の話ですから、これは具体的な事実に基づかないと、私の会はそんなことやった覚えはありませんということになるかもしれない。だけれども、前後にそのような会費の納めのない、こういうばく大なお金を会費にしているという扱い方があるとするならば、私は、これは重大なあり方だと思うのか思わないのか、そのぐらいなことは、即座にここで答えられてしかるべしではないでしょうか。私は、疑いが出た話だから、これは電話一本ですぐに手配をして、三十分もあれば解決する話だ。すぐに一方では手配をして、ここでもう一度明らかにする。やってもらいたい。そうして同時に、こういう会費のあり方についてあなたはどう思うかということについて、もう一度私は聞きたいと思うのです、中曽根さん。
○中曽根国務大臣 ともかく当時の事情を調査してみないとわかりませんので、調査がわかりましたらお答えいたします。
○寺前委員 私は、要求したいと思います。質問は、この話はここでちょっと留保しておいて、すぐに調べさしてください。事実を調べなかったらわからぬ。事実というのは、台帳を見たらすぐわかる話です。台帳を見てくるぐらいはすぐできると思うのです。事実がわからないから答えられないといま大臣は言う。これは事実がわかったら答えるというのだから、すぐ事実を調べてきてくれ。委員長、要求します。――大臣が、事実がわからないから答弁できないとこうおっしゃる。それじゃこの問題については、私は具体的にやっているのだから、ちゃんとそれを調べて、調べたあとでこれをもう一度審議をする。私は一時これを留保したいと思います。だから委員長のほうから、すぐ調べて、そうして答弁をして、この問題について明らかにするように御処置を願いたいと私は思います。
○根本委員長 寺前君に申し上げます。
 本件は、予算審議そのものに直接関係のないことと思います。ただ、これは政治資金の問題についてのことでございまするので、あるいはそうしたところの問題は、そういう選挙制度その他の委員会等もございまするので、そちらでやってはいかがでございますか。総括質問のこの際において取り扱うには、どうも委員長としては、直ちに通産大臣に指示をして資料を提供することを要求することは必ずしも適当じゃない、こう思います。
○寺前委員 これはやはり大事な問題ですよ。政治をやるところで疑いが起こる問題が出てきておるということになったら、それは予算委員会で問題になったのだから、予算委員会で、当然に必要な書類を持ってきて、そこで明らかにするということを私はしてもらわなければならないと思う。しかも本人は、いま調べてみなければわからぬと言うのだから、すぐに調べて、そしてここへその態度を報告しなさい。その報告を聞いた上で、私はこの問題について再度質問をやっていきましょう。だから、この問題についてはいま留保しますから、すぐに調べさしてください。これは私の委員会に対する要求です。理事会できめてほしいと思う。これは理事会ですぐはかってください。もう一度私、言いますけれども、本人は調べないことには答えられない、こう言っておるのです。よろしい、だから調べてきなさい、調べた上でこの問題についてはもう一度やりましょう、それだけです、私は。だから理事会で、いつまでに調べるかきめてください。かまいません。私は次にいきますから……。
○中曽根国務大臣 私は責任者じゃありませんので、それは責任者が答うべきものであると私は思うのです。だから、私とその責任者の間において、責任者に聞いてみなければ私自体も答えることはできませんし、第一、私がそういうことを答える立場にあるかどうか、それはむしろ責任者が答える問題であって、私とは関係ないことであると思います。
○寺前委員 いま中曽根さんは、責任者でないから、だから責任者からも聞いてみなければならぬとおっしゃっている。そうでしょう。聞かれたらいいと思います、私は。いずれにしたって、中曽根派といわれるところの会の問題、そこで、このような会費の扱いとこのような寄付金の扱いが出てきた。これは調べてみなければできないとおっしゃるんだから、私は留保しましょう。調べてみないことには話ができない、答弁できないとおっしゃるんだったら私は待ちましょう。その時間を与えて、委員長としては、この問題について、それじゃいつまでに調べてきなさいということを御指示願いたい。
○根本委員長 寺前君に申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、これは中曽根通産大臣が調べてみて、その結果、その責任者から報告させるというような意味の発言がございました。しかも、このことはいま予算審議に直接関係する資料ではございませんので、他の機会において、あるいは通産大臣から報告あることと思われます。したがいまして、ここでこの問題を委員長において取り計らうことは必ずしも適当とは思えません。そういう意味のことを申し上げておる次第です。――寺前君に申し上げます。ただいま私が申したとおりでございまするが、このために審議が停滞することは好ましくございません。したがいまして、この問題についてどう取り扱うかについて、理事会において御相談の上、善処することにいたします。
○寺前委員 それでけっこうです。私はこの質問については、本人が調べてみないと答弁できないとおっしゃるんだから、引き続いて聞きたいことがあるので、これは留保をしておきます。
 それで次に移りたいと思いますが、私が先ほどから言っている問題は、何としても政治と財界との結びつきというのが、ここにいろいろな問題が起こるから、どうしたってそこは明瞭にしなければいかぬ。だから政治資金も、国民の目から見ても明らかにするようにしておかなければだめだ、こういう問題として、具体的な事実で話をしないことにはこれは明確にならないから、何度もこのことをやかましく言っているわけであります。
 そこで、大体三十七、八年ごろからずっと映画産業全体の斜陽化の中で、この大映という映画会社がずっと累積赤字を年々つくっていく、こういう過程にあるこの会社が、これだけのいわゆる政治献金をするというのは、それなりの私はねらいがあるだろうと思うのです。ねらいなしにこういうべらぼうなお金は出さないだろう。これは一般の人が当然考えるところの常識だと思うのです。見返りがあることを期待をする、これは私は常識だと思うのです。そこで、黒い霧という問題がいつでも問題になります。
 私はここで話をちょっと発展させます。話を変えますけれども、昭和四十年の九月二十二日に、大映の社長でありました永田雅一さんというんですか、永田雅一さんが、邦画関係の五社長とともに、昭和四十年九月二十二日というその当時は、田中総理は自民党の幹事長でした。自民党の幹事長であったあなたが――時事通信社が出している「映画年鑑」という本を調べてみたら、一九六七年版にこういうことが書いてある。ちょっとそこの項を読んでみましょう。「映画輸出伸長のための政府による金融措置は、多年にわたる業界の要望事項であったが、六五年」四十年のことですね。「下期になって、永田映連会長以下邦画各社長と自民党首脳部との間で急速に話が進み、六六会計年度から実現の運びとなった。」四十一会計年度から実現の運びとなった。「すなわち六五年」四十年のことです。「九月二十二日邦画五社長は自民党三役(前尾総務会長、田中幹事長、赤城政調会長)を招き、年間三十億円の融資方について要望した。これは永田映連会長が自民党筋に従来から働きかけておいたのが奏功して、党側から映画界に意向を打診してきたのがきっかけとなったものである。」あなたたちのほうから映画界に意向を打診してきた。「五社長の要望は、映連会長名でまとめられた陳情書に輸出映画製作についての融資方お願いの件に尽くされている。」ということで、輸出映画製作についての融資方のお願いの内容がそこに書かれております。「以上の要望を受けた自民党側は、十月五日、有志によって、映画産業振興に関する懇談会を開催、同席上に邦画五社長が出席して促進方を要請した結果、自民党政調会商工部会内に映画産業振興小委員会を設置することを決定した。同委員会は十月十四日、二十九日と会合を重ね、十一月二十九日の第三回会合で、金融措置に関する次の四案を作成した。」ずっと四案が出ております。そして「自民党政調会は右の方針のもとに六六年度」昭和四十一年ですね。「政府予算への折衝を行なったが、政府は六六年度予算編成にあたっては、新たな項、公団、特殊法人などの設立は認めないとの基本方針を貫いたため、特殊法人設立案は結局断念せざるを得ず、折衝過程において、第二案がかわって採用されることになった。」そしてその第二案の概要というのは、「資金運用部は輸出用映画の製作資金として、六六年度に総額二十ないし三十億円の興長銀債を引き受ける。各映画会社は協力して社団法人日本映画輸出振興協会を設立する。
 興長銀は各映画会社の連帯保証のもとに日本映画輸出振興協会に対し前記金額を融資し、同協会は映画製作会社に対し適正な方法による審査を経た輸出用映画の製作資金を融資する」というもの、こういうふうにして日本映画輸出振興協会というのをつくっていくことになりました。五社全部の同意で連帯保証のもとにこれがやられるということにはならなかったけれども、借り受けた会社の有限責任ということで解決して、昭和四十一年の三月二十八日、自民党政調会承認の輸出映画振興金融措置要綱にまとめられた四項目の線に沿って細目を決定していくことになった。そうして四十一年の四月十五日に日本映画輸出振興協会の創立総会を開き、理事長、設立代表者の選任などをやって、十六日、東京通産局あて社団法人認可の申請書を提出した。そうしてこの輸出振興会社というのができている。こういう経過が「映画年鑑」の中に示されております。
 当時の幹事長であった田中さんが九月二十二日に、三役の皆さんとそろってお会いになってこの話の相談をして、輸出振興協会へのこのずっと過程についてはよく御存じのはずです、ここに書かれておるんだから。よく御存じだと思いますので、私は次に、この問題をめぐっての話に変わりたいと思うのですが、総理、この経過についてよく御存じですね。
○田中内閣総理大臣 自民党の幹事長は一日何十組と人に会っておるのでございますから、さだかには私は覚えておりません。おりませんが、そのような記録があれば、そういう事実はあったと思います。
 当時、政府及び自民党が輸出映画に対してそのような措置をとったことはあります。これは当時はまだ輸出振興ということに対して各般の施策を行なっておったわけでありますし、日本の優秀な映画がグランプリ賞をもらうというような状態にもございましたし、日本を紹介しなければならないという一つのこともあったし、文化は先進国からだけ入れるものではなく、世界の文化のためにも日本の文化を紹介することは意義あることである。しかも映画会社が、テレビの普及が急速に行なわれたために海外に市場を求めるというような事態も理解できたので、このような措置がとられたものと判断をしております。
○寺前委員 いま言ったような経過を経て、昭和四十一年度からずっと四十六年度にかけて、この映画輸出振興協会が融資を財投のワクから一役を買っていく、通産大臣推薦のもとにこの融資方を世話していくという活動が始まっておったわけであります。
 ところが、この四十六年度までの融資をした経過を見ると、この昭和四十一年の四月から五月にかけて、これが設立をされて、そして最初に融資の願いが出てきたのが大映です。そして、この年に融資をしたのは全部で九本あります。十二億二千五百八十万円。ところが、そのうちの四本までが大映、六億六千九百万円、こういうことになっておる。大映、松竹、日活に限って、三社だけが借りている。これはずっと後まで、途中で石原プロというのが入ってきますが、全体を通じて七十三億三千四百万円、六十一本の映画がつくられておりますが、そのうち約半分近い三十四億五千八百万円というのが大映に対するところの融資ワクになっている。この日本輸出映画会社というのがこのときにできてきているのですね。映画産業の斜陽化、大映が累積赤字をしてくる、こういう中でこの協会ができて、そうしてここで融資の仕事を始める。通産大臣の推薦のもとに映画の製作に入っていく。その半分近くは大映に使われていくわけです。
 ここでつくられたところの映画というのがどういうものかというと、「大巨獣ガッパ」「大魔神逆襲」ですか、「ガメラ対ギャオス」「宇宙大怪獣」これはいわゆる怪獣ものというのが、初年度の場合でも九本のうち四本までがそういう怪獣もの。「わが闘争」「濡れた二人」「愛と鮮血の記録」これはきわどい、いわゆるセックスものというのでしょう。こういうものをつくって輸出をしていって、そして日本の映画が、これで日本の国情を外国によく知ってもらおうという役割りをした、通産大臣の御推薦だというのですから、これは通産大臣、ほんとうに御推薦になったのかどうか。私はきわものだと思うのですが、中にはいいのもあります。しかし、こういうものをよくも平気で推薦をしておったものだ。
 ところが、これでまた外貨をかせぐのだとこう言っていましたが、たとえば「宇宙大怪獣」を見たら、一億二千万円お金をかけてつくった外貨の収入は六万四千六百二十ドルというのですから、二千三百四万円。ちっとももうかっていない。「わが闘争」というヤックスものといわれる映画、九千七百六十万円をかけたけれども、入ってきたのは六千九百五十ドルというのですから、二百五十万円。ちっとも外貨にはならないし、日本映画の名誉においても、輸出してどこにこれが値打ちがあったんだろうか。そうすると結局どういうことになるのだろう。映画そのものの話ではなくして、国民が汗水たらして貯金をしているところのお金とか年金のお金、その財投のお金、こういうお金は、斜陽化していく産業、会社のために、融資のために、その手当てをしてやったということにしか考えられない。
 あなたも、たくさんの人に会うからよくは覚えていないとおっしゃるけれども、あなたも先ほど言った永田ラッパといわれるような人、この人と、三役の皆さんのほうからわざわざお会いになったと書かれている。ずいぶん御心配になったのだろうと思う。御心配になったこの映画のあり方がこれでは、あなた、情けないというふうに思いませんか。総理の見解を聞きたいと思います。
○田中内閣総理大臣 映画輸出振興のためにつくられたものであるということは、先ほど申し述べたとおりでございます。結果的に見て、それがあまり成功しなかったなということはあるかもしれません。私は、いまのあなたの発言で、そのような状態が起こっておるということをやっとわかったわけで、あなた自身も、いいのもある、しかしいいのは言わないんだ、悪いことだけ言うんだ、こういうような趣旨の御発言でございますから、いいのもあったんだと思いますよ。悪いのばかり、いまあなたが御指摘されたようなものばかり、幾らなんでもやってないと思うのです。これは、われわれ大臣のところまで上がってくる問題じゃありませんから、どういうような状態で一つずつ認証されたのか、貸し出しが行なわれたのかわかりませんが、しかし、映画というものが日本の状態を紹介したり、グランプリをとったりという歴史的な事実があったことは、これは事実でございます。そうしてこれからもなお、外国に対する日本の紹介が足らない、PRが不足だからもっとやらなければならぬというのは、いまでもあるのです。そうでしょう。ですからそういう意味で、これからだって映画会社でも使わなければならないとか、テレビ会社を使うとかいうととは、これは日本としてなさなければならないことであって、ただ過去において失敗をしたから、すべてがいかぬのだということはないと思うのです。
 それで、永田氏との関連だけをウエートを置いてつかれますが、他の五社もあったのでしょう。他の五社から政治献金などはないと思いますよ。そういう問題もやはり十分考えていただきたい。それは必ずしも全部が全部成功したとも考えておりません。
 ただ、テレビの急速な普及、このテレビの認可というのは、これは郵政大臣がやるものでありますから、政府の権限でやっておるわけです。だからそういう意味で、あの当時は補償問題もあったのですが、しかし、そういう問題を一々全部、橋がかかるからはしけに、いわゆる連絡船、船業務をやっている人にすべて補償するというわけにいかないんだというような歴史的な事情がずっとあって、そしてやはり輸出が必要であったし、日本紹介ということでやったのであって、非常に善意にいずるものであった。ただ、結果的に見て、そんなのを輸出しておったということを聞いて、いま、やはり新しい制度をつくったら、その運用の状態を政府もチェックしなければいかぬなという感じはすなおにしていますがね。そういう意味で、ひとつ理解をしてほしいと思うのです。
○寺前委員 通産大臣が御推薦になる映画なんですから、一本一本についても大事にしてもらわなければいかぬと思いますが、問題はここからなんです。
 四十年の九月二十二日に、あなたが幹事長で、赤城さんを含めてお会いになって、あくる年の四月十五日に創立総会をやって、五月には認可がおりて、六月二十四日には大映のこの映画がまず融資を受けて始まる。ところがこの夏に、その八月三十一日付でもって大映の台帳を見たら、あなたの名前が出てくる。あなたのほか二人の人に百三十万円のお中元が交際費の中に出てくる、四十一年の八月三十一日付で。これはあなた、えらい肝いりをしてきているずっと経過の中で、お世話になりましたというお中元なんでしょうな。そしてこの年の暮れの衆議院選挙、あくる年の初めになりますか、暮れの四十一年の十二月三十日には、三役の一人であって、お会いになった赤城さんに三百万円の陣中見舞いというのが出ている。これはちゃんと領収書があるのですよ、御丁寧にこの陣中見舞いに。まあけっこうなことだと思います。
 さて、一方で、明らかにこれを借りた映画会社というのは三社なんだ。一番多いのは大映なんだ。こういう歴史的な事態の中で、お中元が三人に百三十万円出ているのですが、あるいはその年の暮れに三百万円からの陣中見舞いがその三役の方に出ているのですが、赤城さんに。私は、大体こういうような相談に乗っている人がそういうものをもらうということについて、どういうふうに考えておられるのか。ここにも一つ疑惑があるので、国民は明朗な政治を望んでいるだけに、この点についてあなたの釈明をいただきたいと思います。
○田中内閣総理大臣 そういう事実があったかどうか全くわかりません。それはあなた、前の日にでも、そういうことを聞くから調べておけということにでもなればわかるのですが、いま突然言われて、もう五年も前の話でございますし、これはわかりません。(「もらいものが多いからな」と呼ぶ者あり)そういう不規則発言にあったような皮肉な立場で御発言になっているのでしょうが、私は、そういうお中元というのがあったのかないのか、それはほんとうに――しかし私は公人でございますから、どんな場合でも、お祝いをもらうというような場合でも、できるだけそれは税法上の適用を受けるように、間違いが起こらないようにということで、年度申告をするときでも、百万円とか二百万円とか、落ちがあると困りますので、受け入れ先不明のままでもって雑収入を立ててやっておるのです。そういう意味で非常に配慮をしておるつもりでございます。しかし、事務所も多いことでありますし、ですから、だれか受け取ったということがあるかもしれません。私はそれはないとも言えません。言えませんが、三人で百三十何万円という、何万円というのは何かある……(寺前委員「百三十万円です」と呼ぶ)そうですか。百三十万円というのを、三人にしても、九十万円なら三十万円ずっということになるのですが、百三十万円は三でも割れないということで、どういうふうになっておるのか、私もよくわかりません。わかりませんが、私はそういうものを受け取らないように非常に配慮しておるはずなんです。はずなんですが、向こうの帳簿に出ておるということになれば、それは調べてもわからぬことかもしれませんが、私はそういう理解は全くないし、そしてそういう問題は、先ほどもあなたが述べたように、党は党の手続でもって専門家がずっと部会をつくり、小委員会をつくりやっておるわけでありまして、三役がこれをきめるというような状態で、その反対給付として三人で百三十万円というようなことは全くないということだけは、ひとつ理解してください。
○寺前委員 それは会社の帳簿上の話ですから、三人の人に持っていったという話を私は言っているのじゃないのです。別々に持っていくのですから、それは三人でお分けくださいという形で持っていったということにはならぬでしょう。だけれども、問題は、こういうふうに一方でこのようないろいろなあっせんがなされているという事態の中で、あっせんをした人たちにお中元がこれだけ、普通の千円や二千円という話じゃないのですが、こういう金がいっている。あるいは陣中見舞いでこれだけの金がいっている。こうなると、これは明らかに意図があって、政治的な結びつきというものがどういうものを考えているかということが非常に明瞭になる。だから私は、政治家として、こういう問題については明朗にするためにも、受け取るべきではないというふうにはっきり思うのです。私は、この問題についてはそこまでにしておきますけれども、時間もあれですから。
 ところが、問題はそれだけじゃないのです。お中元だけじゃないのです。お中元前に実はそれ以上の問題が出てきたのです。五月中ごろです。大蔵省に対してヤマト・コーポレーションという、これはアメリカのロサンゼルスのプラザホテル内にすき焼きレストランをやっております。このヤマト・コーポレーションの新株を取得をしたいという申請が大蔵省に出たのです。あなたは四十年の六月ごろまで大蔵大臣をやっておられたわけですが、そのあくる年です。そしてそのヤマト・コーポレーションの新株を取得したいというので、代表者は永田雅一で、あなたを一枚加えて八人の人たちが新株取得のメンバーとして、ここで出資認可が外為法の三十五条によって五月二十七日に大蔵省からなされているのです。総理はこれ御存じですか。
○田中内閣総理大臣 けさ私はこれをもらったわけです。これには全く関知しておりません。全く関知しておりません。これは、これだけの明言をするのでございますから……(「責任問題を起こすぞ」と呼ぶ者あり)関知しておれば責任をとります。関知をしておりません。
○寺前委員 全然知りませんか。ヤマト・コーポレーションの件というのについては全然聞いたことも何にもないですか。
○田中内閣総理大臣 ヤマト・コーポレーションの株の取得などということに対しては、一切耳にしておりません。話もありません。名前を貸してくれと言われたこともありません。これは断じてないということは明確にしておきます。
 ただ、ヤマトすき焼き屋というのはありまして、そこですき焼きを食ったという事実はあります。(笑声)
○寺前委員 これは外為法の三十五条に基づく手続を昭和四十一年の五月の中旬にやって、十日ほどの間に認可が出ていますが、この会社は、総出資金二十五万ドル、日本側出資は八万九千ドルで出発しようとしたところの会社です。認可したときのその申請書、田中総理は一万ドル投資したことになっているのですがね。全然知らないということを田中総理は言われるのですけれども、これはもう外国のレストラン設立の株を取得するというので、またいまもお話にあったように、すき焼きレストランのことですから、これは特殊な姿ですから、いろいろある話とは違うと思うのですが、ほんとうに総理、これは全然知りませんか。
○田中内閣総理大臣 あなたもまあ、小なりといえども一国の総理大臣が公の席上で述べておるのです。これは信用してください。そんなことはありません。
○寺前委員 それじゃ、この件に関して大蔵省に質問したいと思いますので、関連して荒木委員から質問してもらいたいと思います。
○根本委員長 荒木宏君から関連質疑の申し出があります。寺前君の持ち時間の範囲内でこれを許します。荒木宏君。
○荒木(宏)委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、大蔵大臣、田中総理は知らぬとおっしゃる。われわれの調査によれば、大蔵省の記録にはっきり出ている。昭和四十一年の五月、先ほどから問題になっている永田雅一氏を申請代理人とするヤマト・コーポレーションの新株投資許可申請を受理したかどうか、これをまず伺いたい。
○愛知国務大臣 当時は私は大蔵大臣でございませんから、調べてみないと、どういうことになっているかわかりません。
○荒木(宏)委員 調べてみないとわからぬという話。この委員会の始まる前に、関連質問するから、この記録をここへ持ってくるようにということは、もうすでに通告をして一時間以上になっていますよ。
 大蔵大臣、これは外為法三十五条による許可手続だから、大蔵省には現にその記録があって、きのうもおとといも、そのことはもうはっきりしている。もう一度聞きます。四十一年の五月に、この田中総理の名義でのヤマト・コーポの許可申請が受理されたかどうか、このことをはっきりしていただきたい。
○愛知国務大臣 それでは政府委員から御説明いたします。
○林(大)政府委員 外国為替管理法の運用は、国際金融局の所管でございますから、私からお答え申し上げます。
 海外投資案件は、大蔵大臣の許可を要することになっておりまして、今日、全面的に自由化されている場合におきましても、やはり手続上、その投資案件の真実性を証明する意味で私どもの許可にかかっております。ただ、大口のものは私どものところへ来ておりますけれども、小口のものは全部日本銀行限りの処理になっているものもございます。
 それで、本件につきましては、御指摘の案件は非常に古いケースでございまして、こまかい案件でございますから、調べてみませんとはっきり申し上げることはできません。
○荒木(宏)委員 私は、この件で関連質問するから用意をしておきなさいと言ってあるのですよ。現にわれわれの調査によれば、昭和四十一年の五月二十七日付で、永田雅一氏を申請代理人としてヤマト・コーポレーションの新株投資、田中角榮氏が一万ドル、当時の大蔵大臣福田哲夫氏の名義で認可をしておる、許可をしておる。委任状がついているのですよ、大蔵省にある書類の中に。そのことを大蔵大臣、確認しますか。
○愛知国務大臣 私は、実は本日の予算委員会に参りますまでその話を聞きませんでしたものですから、私はこれから調べてみます。
○荒木(宏)委員 委任状にはちゃんと判も押してあるという。人数は永田雅一氏を含めて八人。総額八万九千ドル。私がきのうもおとといもその前の日も、大蔵省の国際金融局の投資第三課でちゃんと確認してある。しかもこれは、その当時に係官がヒヤリングをして事情聴取をして、調査結果も明らかになっている。そうしてこの外貨証券が取得された後は報告書が大蔵省に出ることになっている。しかも、昭和四十六年の一月の八日付で、今度はその半分を処分するということで、これまた大蔵大臣の所管の日本銀行がそれを許可している。この書類もはっきり大蔵省にありますと、こう言っている。大蔵大臣、どうですか。始まる前にちゃんと言ってあるのですよ。
○愛知国務大臣 私は、始まる前まで承知しておりませんでしたから、さっそく調べてみます。
○荒木(宏)委員 政府委員の担当者もおるのですから、ちゃんとそのことを調べて、いますぐ返事をしてください。
○林(大)政府委員 私も担当の者から直接話を聞いておりませんので、詳細を調べまして、先生のおっしゃることがほんとうであるかどうかさっそく調べてみますが、委員会の席上でただいますぐに間に合いますかどうか、若干心もとないものでございますから、それだけ申し上げます。
○荒木(宏)委員 それじゃ、われわれの調査結果を、ひとつはっきり申し上げておきます。
 大蔵省に申請書が三通出て、その申請には永田雅一氏が名義人になっている。そこに別紙がついている。別紙に合わせて七人の人の委任状が七枚ついている。ヤマト・コーポレーションの事業概況書がついている。そして昭和四十六年に日銀当局が処分を許可したというそのコピーが大蔵省へ送られてきている。そのことは、はっきり確認してあるから、いますぐ調べて、そして返事をすることとともに、そのことをここではっきりと、大蔵省の公式記録にある、こういうことを申し上げておく。そしてそのことについてさらに寺前委員のほうから、その金の出どころについて――その支払い方法も申請書の欄にちゃんと書いてある。その金の出どころについてさらに質問が続行されますから、委員長、さように御承知願いたい。
○寺前委員 大蔵大臣、荒木委員がこれは数日にわたって直接あなたの所管する課へ行って、具体的に提起しているんですよ。そうして朝ほど、それは委員部からぱっと通告いっているんだよ。局長、こっちを見ておれよ。それをですね、調べてみなければわかりませんなんて、それは何たることだ。しかもその内容は、そこに田中さんの名前も出てくる。これ重大な名前ですよ、総理大臣だから。田中さんの名前も出てくるような話を、あなたのところの所管担当者のところへ行って話をしているのだから、あなたはそのことを知らぬ、調べてみなければわからぬということで、この場を済ますことができると思っているのですか。そんなばかな話ないでしょうが。一国の総理大臣の名前が出てくる話じゃないですか。だから、そこに出ているのは何かということをすぐ持ってきて言いなさいよ。
○愛知国務大臣 これはすぐ調べまして、正規のものであればその要旨を御説明いたします。
○寺前委員 局長、すぐに答弁できないのか。
○林(大)政府委員 お答えいたします。
 ただいま私が手元に持っておりますのは、海外直接投資関係の許可関係の書類でございますが、ただいま担当の者に聞きましたところでは、けさその資料の御要求があって、まだお渡ししてないけれども、大体概要はお話し申し上げた。で、ただいま御指摘のあったことが大体正確であるということでございます。
○寺前委員 大臣、私、確認しますよ。申請人は永田雅一さん、そこには株を取得する人の名前、あなたの名前が出てくる。田中さんの名前が出てくる。大体そのとおりだといま答えた。そこで、それに基づいて大蔵省は承認をした、こういう話として理解をしてよろしいのですな、大蔵大臣。
○愛知国務大臣 さっきから何べんも申しますように、私は、実はそのことは、ただいま予算委員会に参りますまで知りませんでしたから、その点は御了承いただきたいと思います。ただいま政府委員から御説明したとおりであると思います。いま私もここで確かめましたから。
○寺前委員 そこで、これは大蔵省のほうは承認を与えた話として出てきたのだ。私は今度は逆に、会社の側にある資料から、この問題について田中総理に聞きたいと思う。
 「ヤマト・コーポレーションの件」という書類が会社の中にある。その部分を披露したいと思います。「マヤト・コーポレーションは払い込み資本USドル二十五万にて設立された会社で、うち日本側投資額はUSドル八万九千であります。日本側投資額については以下のとおりの内訳で、政府より認可されております。政府認可は以下のとおり」ということで、永田雅一さん、田中角榮さん、ずっと名前が出てきます。田中角榮さんのところには、「USドル一万、一千株、株式数。単価USドル十」と書いてありますね。ずっと名前が出て計八名、USドル八万九千、八千九百株、そしてそのあとに備考が書いてあって、すなわち「日本側投資額は貸し付け金なしの全額株式取得として以上のごとき内訳で認可されております。しかしながらその後実際には日本側投資額であるUSドル八万九千は、以上のごとき内訳では出資されず、全額大映株式会社より出資されたのであります。さらにまた大映株式会社より送金されたUSドル八万九千は全額投資には回されず(税金その他の事情で)USドル四万四千五百を投資に、残りUSドル四万四千五百を貸し付け金とされ、以下のごとき内訳となったのであります。」ということで投資の実態が明らかにされております。その投資の実態のところを見ると、田中角榮さんはUSドル五千五百六十、五百五十六株、これが投資額。貸し付け額、これがUSドル五千五百六十、A、Bの合計としてUSドル一万一千百二十、こういうような書類が出ております。「以上のとおり現在の実態は政府の認可とはかなり異なったものとなっております。このため貸し付け金となっているUSドル四万四千五百を投資に回し認可どおりとするか、または実態どおりに認可の変更申請をするかが、今後の問題として残っているわけであります。」ということで、そのあとは元本返済額、利子がどうだというような、こういうことが出てくるのです。
 さて、私はもう一度もとに戻ります。大蔵大臣をおやめになったあとで幹事長におなりになって、そして四十年に、先ほど言ったようなああいう、あなたを含める三役の皆さんが映画会社の諸君たちと会う。あくる年、日本何とか映画輸出振興協会ができる。そして五月にその認可がおりる。それと同時に、この時期にこの申請書が出る。五月の二十七日ですか、その認可が出てくる。その認可にはちゃんとあなたの名前が連なっている。外為法によるところの問題だということで、認可は、大蔵省はちゃんとヒヤリングをやって確認をしなければならぬということになった。前の大蔵大臣のことですから、大蔵省としてはこれはやはりヒヤリングをやる過程でも確認をしなければできぬことだと私は思うのですけれども、こういう活動を片一方でやって認可が出ている。ちゃんとあなたが出てくるというのだ。一方、会社の側からはちゃんとそれに基づくところの資料がある。そしてそれが今度はあなたにはお金を出してもらわなくてもいいようになっておりますと書かれておる。全部会社が払い込んだのです。払い込んだけれども、そのあり方は、これはちょっと認可を受けたやり方とは違うやり方をやっていますという、そういう内容まで出てくる。これは私は一連のこういう――一方では財界が期待しているところの映画振興策が起こっている。その事実が生まれてきている。そして一方では、こういう田中さん自身の名前が出てくるところの、しかもそれは新株を取得したとしてちゃんと明確になってきている。大蔵省は承認をする。こんな不明朗な話はないのじゃないでしょうか。あなたは先ほど私は知らぬとおっしゃったけれども、大蔵省自身は確認をしてきている。こういうことになったら、あなた、これはどうするのですか。
○田中内閣総理大臣 私は、本件に関しては全く承知いたしておりません。これは明確にしておきます。出資をしたこともありません。名前を貸したこともない。協議を受けたこともない。大蔵省から確認を受けたこともありません。
○寺前委員 では、あなたは知らない、大蔵省は認可している、これはどういうことになるのですか。会社のほうは払い込んでいる。一体これはどういうことになるのです。
○田中内閣総理大臣 あなた方がそういうような事情がもし解明されると思ったら、告訴したらどうですか。私に対しての質問に対しては、私は関知しておらないということを述べておるじゃありませんか。
○寺前委員 関知していないでは済まぬじゃないでしょうか。大蔵省は認可をしたというのだ。大蔵省は認可したのだ。ヒヤリングをやって調査をしているんでしょう。あなたの名前が出てくるのは調査をしないというのですか。そうしたら、その大蔵省の活動自身が問題になるでしょう。片一方会社のほうは、あなたが取得者になるところの株を、払い込みは私のほうでやったという証拠が出てくる。さあ、これはあなたこのままでは、私は関知しない、問題であるのだったらあなた告訴したらどうだ、それでは総理大臣つとまらぬでしょう。あなた自身の名誉のためにも明らかにしなければならぬ。知らぬでは済まされぬ。あなたが所管をするところの、あなたが総理大臣であるその政府機関が承認をしているという事実が生まれているんだ。承認をしたんだよ。大蔵省自身の問題があるんでしょう。片一方は大映の会社の問題の中からこれが出てきている。これは解明をしなければならない重大な問題じゃないですか。これはあなた告訴しなさいで済むことですか。はっきりしなければいかぬ問題ですよ。これははっきりしないと、総理大臣の政治姿勢としては重大な問題だ。私は何度も言いますよ。
○林(大)政府委員 外国証券の取得の許可をいたします場合には、その関連の取得者が多数にわたる場合がございます。その場合には、その代表者から事情を聴取いたしまして、多数のその他の証券取得者から一々全部ヒヤリングをすることはいたさないのが通常の取り扱い手続でございます。
○寺前委員 何のことだ、そんなもの。何の話だ、あなた。ちゃんと取得者の名前もついている。これはあなた、ドルのあれですからね、そこらの日本の国内のやつと違うでしょう。そんないいかげんなことで、あなた通用しますかいな。調べてこいと言ったら、事実この間からずっと調査に入っているのに、その答弁もできぬ者が何を言っているんだ。前の大蔵大臣をやった人が、そのときに新株の取得者として名前が出てきている。それが承認を十日ほどの間にしてしまう。承認をしたという事実は明らかだ。その後あなたのほうからは……。
 私は、もう一件の文書を読みましょう。また別の資料が出てくる、会社から。「ヤマト・コーポレーションの件標記の件に関し、大蔵省より下記に掲げる事由により、投資の実態を認可どおりに戻してほしく、ついては投資者の代表幹事である永田社長の御意向を伺ってほしいとの要請に接しました。」知らぬのじゃないのですよ、その後の経過がずうっとあるんだから。「事由 一、外貨証券取得と外貨債券取得の認可にあたっては、政府としては全く異なった法令と認可基準を設けている。二、大蔵省としては、USドル八万九千は株券取得として認可したものであって、貸付金としては認めてないこと。三、貸付金ということであれば、あらためて貸付条件等を検討の上、認可手続をやり直さなければならぬこと。四、日本側から常勤役員が出ていない場合、その経営に直接タッチできないことから、貸付金が真の日本側の利益を守って運用されるかいなか問題なので、大蔵省としてはこの種の場合、貸付金は認めない方針をとっていること。五、外国人との共同出資で会社を設立する場合、日本側の出資率が当該する会社資本金の五〇%以上もしくはそれに近い比率を占めていることが望ましく、このことが認可するかいなかの大きな基準となっていること。日本側の指導権並びに発言権を高める意味で」ちゃんとその後も指導をやっているんですよ、あんた。知らないでは通用せぬ。いいかげんなもんじゃないんですよ。大蔵省が認可し、その後この株の処分問題もあるんですよ。ずうっと続いている。この問題については当然のごとくやられるんだよ。
 ところが、その間に新株の取得者として田中角榮さんの名前が出ている。それを認可してきている。そうなると利子もちゃんとついてくる話でしょう。あんた、ちゃんとそういう問題が出てきているんだから、大蔵省ですよ、政府が認可してきている事実があるとするならば、さて皆さん、これは私はただでは済まぬと思いますよ。大蔵省、会社の資料の中からも出てくる。これは告訴ではだめですよ。あなた自身が、大蔵省に対する責任問題も明らかにしてもらわなきゃいかぬ。大蔵省が認可しているんだから、あなたうそだと言うんだったら、大蔵省自身明らかにしなければいかぬのだ。あなたのあとの大蔵大臣の段階でこれが行なわれているんでしょう。あなたのあとだよ。はっきりしなければいかぬじゃないですか。
○愛知国務大臣 私は、先ほど来率直に申しておりますように、本件については、過去のことであり、また当委員会に資料提出の要求がありましたことも知らなかったわけでございますが、いまの寺前さんのお話を伺っておって、私としてはこういうことであると思います。
 当時の、四十一年でございますか、このときの審査並びに認可を与えましたことは、代表人あるいはそれにかわる人の事情を十分調査して、そして外為法による正規の認可を与えたものである、私はこう思います。しかしその後、認可どおり動いていないように見受けられるので、大蔵省としてはとるべき措置をとりつつある、こういうのが真相であろうと思いますが、本件につきましては、なおその代表人を呼びまして十分実情を調査いたしたいと思います。
 なお、その間におきまして、総理は自分は何も関知しておられないということも、私は全く事実そのとおりだと思いますけれども、本件の本筋とはこれはかかわりのないことであると思います。あるいは虚偽の申請があったかもしれません。そういうような点につきましても、とっくり調べてみたいと思います。
○寺前委員 これは調べてみなければ話にならぬという要素が出てきました。田中さんは私は全然知らぬと言うんだから、全然関知しないと言うんだから。大蔵省の中からは、委任状がついたところの書類で――委任状もついておるんだよ。それでちゃんと出てくるんだ。新株取得という問題が出てくる。会社のほう自体からいうと、会社のほうは全額私のほうで払い込みましたという資料が出てくる。そうすると、田中さんは全然関知しないのに行なわれているということになったら、こんな不明朗な話はないでしょう。
 委員長、私はこれは、会社がそういうところにお金を出したということで書いておる資料も片っ方にあるんだから、ちゃんと管財人が書類を全部握っているんだから、だから管財人にも出てもらう。それから会社がかってにやったというんであったら、永田さんにも来てもらう。それから大蔵省もちゃんとつき合わす。そしてこの不明朗な関係――どこが不明朗かといったら、私はもう一度言いますよ。一連の映画産業の斜陽化の中で、大映が非常に困難になっている中で、そしてそこで映画輸出振興協会というのをつくって、その融資の世話をするという形態が生まれてきている。そういう直後の段階において、これが全額大映のお金によってやられたというところに不明朗さがあるんだから、だからその不明朗さを明らかにするために、当委員会がこれらの関係者を呼んで、そうして明らかにしてもらう、私はそのことを委員長に要求します。そうでなかったら、事総理大臣が、また大蔵省がツーツーでもってこれが処理されていっているという問題になってくると、これは私は日本の政府機関のあり方の問題としても重要な要素を持っているから、私ははっきりしてもらう必要があると思う。さっきも私は中曽根さんの問題において留保して、この問題については御返事をいただいて審議をしようということになった。だから、この問題についても時間を残しておかなきゃならない。いまの田中総理の問題についても、私はこのままで、はいよろしいと言うわけにはいかぬでしょう。一国の総理大臣の話だから、私はこの際はっきりしていただきたい。
 委員長、そのために私は、どう取り計らうか理事会でおきめいただきたいと思うのです。このままでは話は進められません。
○田中内閣総理大臣 これは非常に私にとっては重要な問題でございます。私が公の立場にあるということでございますから、これはその当時どのような状態で認可されたか、それからどこまで調査をしたのか、また、私外七名の人たちの名前が入っております。そういう人たちの名前を借りたのか、無断で借用したのか、本人の了承を得てやったのか、そういう問題は、少なくとも国会で問題になっておるのでありますから、この事実は究明さるべきであります。私もそう思っております。私もこんなことでしょっちゅうやられちゃたまったものじゃありませんし、それだけでなく、公の職務を行なうに対して支障があります。公の責任を果たすために支障がある。そういう意味で、これは日銀及び大蔵省当局が申請人を招致して、事情を明らかにすべきだと思います。私は、その間において、私の名前による委任状もついておるというのでありますから、印鑑も押してあるというのでありますから、そういうものは全部調べれば判明することであります。
 私は、最後に申し上げておきますが、いずれにしても話を受けたこともない、出資をしたこともない、それからこのような話を聞いたことが全く初めてであった、ほんとうに初めてである、こういうことだけは公の席上で明らかにしておきます。
○寺前委員 さっきも要求したとおり、中曽根さんの問題も留保しております。この問題についても明らかにしないことには、私は、一国の総理大臣をめぐっての日本の政治の基本問題にかかわる問題ですから。総理大臣も明らかにしたいとおっしゃっている。だから、この問題についても、これ以上審議できませんので、留保したいと思います。取り扱いについては理事会でお願いします。
○根本委員長 寺前君に申し上げます。
 先ほどの中曽根通産大臣に対する問題とは違います。通産大臣は調べてみなければわからないと言っております。総理大臣は、全然自分は関知せず、明確にこれは否認しております。しかもまた、この問題は現在の議題になっておる予算と直接関係はございません。したがいまして、この問題を理事会にかけてやるということは必ずしも適当とは思いません。
○寺前委員 総理大臣とこれは違う、中曽根問題についてはやるというんだから、これは留保した。時間をとってもらいたい。それから田中総理の問題は、一国の総理大臣の政治姿勢の問題だから、ここで明らかにしたい。そのために、証人として管財人を呼ぶこと、大映の永田社長を呼ぶこと、そうして田中総理自身もこの大蔵省の問題について解明してくる、これについて委員会として取り扱うように、理事会として取り扱いについて御検討いただきたいということを、私は何度も言っている。
○愛知国務大臣 これは、そもそもが大蔵省が認可をしたということから出ている問題でございますから、第一義的に大蔵省が認可に当たりましたときの状況、これをとくと再調査をいたしまして、御報告を申し上げます。それによって解明することと信じます。
○根本委員長 寺前君に申し上げます。あなたの持ち時間は終了いたしております。
 ただいま当問題について、総理大臣は自分の所信を明確にしておりますが、この問題の扱いについて、寺前委員から、理事会でこの取り扱いについての申し出があります。この取り扱いについては、理事会で御協議の上、善処することにいたします。(「時間は終了してないよ」と呼ぶ者あり)
○寺前委員 終了していないものをかってに終了という法はない。取り消してもらいたい。
○根本委員長 二分残っているそうでございます。二分時間がありますから、どうぞお進めください。
○寺前委員 私はさっきから何度も言っている。調査をした上で報告をすると言っているんだから、それに対して討論をする、だから留保をすると言っている。だから時間をとってもらいたい。これだけだ。
○根本委員長 寺前君の持ち時間二分を残しまして、午後一時再開することにして、暫時休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕