第071回国会 予算委員会第二分科会 第2号
昭和四十八年三月三日(土曜日)
    午前十時二分開議
 出席分科員
   主査 黒金 泰美君
      荒木萬壽夫君    木野 晴夫君
      田中 龍夫君    田中 武夫君
      中澤 茂一君    芳賀  貢君
      安井 吉典君    紺野与次郎君
      三谷 秀治君    山原健二郎君
      塚本 三郎君
   兼務 阿部 昭吾君 兼務 大出  俊君
   兼務 佐野  進君 兼務 楢崎弥之助君
   兼務 福岡 義登君 兼務 山中 吾郎君
   兼務 新井 彬之君 兼務 岡本 富夫君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 愛知 揆一君
 出席政府委員
        警察庁刑事局長 関根 廣文君
        防衛庁装備局長 山口 衛一君
        防衛施設庁施設
        部長      平井 啓一君
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵大臣官房会
        計課長     早田  肇君
        大蔵省主計局次
        長       吉瀬 維哉君
        大蔵省主計局次
        長       長岡  實君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省理財局長 橋口  收君
        大蔵省理財局次
        長       後藤 達太君
        大蔵省理財局次
        長       小幡 琢也君
        大蔵省銀行局長 吉田太郎一君
        国税庁長官   近藤 道生君
        国税庁次長   江口 健司君
        文部大臣官房審
        議官      奥田 真丈君
        文部省体育局長 澁谷 敬三君
        農林省構造改善
        局長      小沼  勇君
        食糧庁長官   中野 和仁君
        林野庁長官   福田 省一君
 分科員外の出席者
        大蔵省銀行局保
        険部長     安井  誠君
        運輸省自動車局
        参事官     真島  健君
        運輸省航空局飛
        行場部長    隅  健三君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月三日
 辞任         補欠選任
  中澤 茂一君     芳賀  貢君
  山原健二郎君     土橋 一吉君
  安里積千代君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  芳賀  貢君     金子 みつ君
  土橋 一吉君     三谷 秀治君
  塚本 三郎君     和田 耕作君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 みつ君     中澤 茂一君
  三谷 秀治君     紺野与次郎君
  和田 耕作君     安里積千代君
同日
 辞任         補欠選任
  紺野与次郎君     山原健二郎君
同日
 第一分科員楢崎弥之助君、新井彬之君、第三分
 科員佐野進君、福岡義登君、第五分科員阿部昭
 吾君、大出俊君、山中吾郎君及び岡本富夫君が
 本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計予算中大蔵省所管
 昭和四十八年度特別会計予算中大蔵省所管
 昭和四十八年度政府関係機関予算中大蔵省所管
     ――――◇―――――
○黒金主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。
 まず、昭和四十八年度一般会計予算中大蔵省所管、昭和四十八年度特別会計予算中大蔵省所管、昭和四十八年度政府関係機関予算中大蔵省関係を議題として、説明を求めます。山本大蔵政務次官。
○山本(幸)政府委員 昭和四十八年度一般会計歳入予算並びに大蔵省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出予算について御説明いたします。
 まず、一般会計歳入予算額は、十四兆二千八百四十億七千三百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと二兆一千六百五十一億二千三百万円の増加となっております。
 以下、歳入予算額のうちおもな事項について、その概要を御説明いたします。
 第一に、租税及び印紙収入は十一兆七百八十六億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと一兆九千四百八十一億円の増加となっております。
 この予算額は、昭和四十八年度の政府経済見通し等を基礎として見積もった租税及び印紙収入見込み額十一兆四千百四十一億円から、今次の税制改正による減収額三千三百五十五億円を差し引いたものであります。
 第二に、専売納付金は三千四百二十八億三千八「百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと百八十四億五千三百万円の増加となっております。
 これは、アルコール専売事業特別会計納付金が六億五百万円減少いたしますが、日本専売公社納付金が百九十億五千八百万円増加することによるものであります。
 第三に、公債金は二兆三千四百億円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと三百億円の増加となっております。
 この公債金は、公共事業費、出資金及び貸付金の財源に充てるため発行する公債の収入を見込んだものであります。
 最後に、前年度剰余金受け入れにつきましては、昭和四十六年度の決算による同年度の新規剰余金二千百九十六億七千五百万円を計上いたした次第であります。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は一兆三千一七百五十五億九千七百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと四千八十九億二千二百万円の増加となっております。これは、国債費において二千四百八十一億五千五百万円、公務員宿舎施設費において二十六億一千四百万円、政府出資において百四十一億円、経済協力費において十二億三千三百万円、産業投資特別会計へ繰り入れにおいて六十一億円、特定国有財産整備費において三十四億六千百万円、予備費において千二百億円増加いたしましたが、他方、沖繩返還協定特別支出金において百三十八億六千万円減少いたしましたこと等によるものであります。
 以下、この歳出予算額のうちおもな事項についてその概要を御説明いたします。
 まず、国債費につきましては七千四十五億一千八百万円を計上いたしておりますが、この経費は、一般会計の負担に属する国債及び借入金の償還、国債及び借入金の利子等の支払い並びにこれらの事務の取り扱いに必要な経費の財源を国債整理基金特別会計へ繰り入れるためのものであります。
 公務員宿舎施設費につきましては百六十七億五千百万円を計上いたしておりますが、この経費は、国家公務員に貸与する宿舎の建設に必要なものであります。
 政府出資につきましては、中小企業信用保険公庫等三機関に対し、一般会計から出資するため必要な経費として七百十一億円を計上いたしておりますが、その内訳は、中小企業信用保険公庫百五十億円、海外経済協力基金五百六十億円、水資源開発公団一億円であります。
 産業投資特別会計へ繰り入れにつきましては七百五十八億円を計上いたしておりますが、この経費は、産業投資特別会計において行なう産業投資支出の財源の一部に充てるため、一般会計から同特別会計へ繰り入れるものであります。
 予備費につきましては、予見しがたい予算の不足に充てるため、二千三百億円を計上いたしております。
 次に、当省所管の特別会計といたしましては、造幣局特別会計をはじめ十の特別会計がありますが、そのうちおもな会計につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず、造幣局特別会計におきましては、歳入、歳出とも百三十六億一千二百万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、いずれも十九億七千百万円の増加となっております。これは補助貨幣等の製造数量の増加によるものであります。
 印刷局特別会計におきましては、歳入二百六十億五千四百万円、歳出二百三十八億七千八百万円、差し引き二十一億七千五百万円の歳入超過でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、歳入は二億四千万円、歳出は七億八千八百万円の増加となっております。これは主として、郵券類等一般製品の受注数量が増加したこと等によるものであります。
 以上、申し述べました各特別会計のほか、資金運用部、国債整理基金、貴金属、外国為替資金、産業投資、賠償等特殊債務処理、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計につきましては、お手元の予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入支出予算につきまして、簡単に御説明いたします。
 まず、日本専売公社におきましては、収入一兆九百九十一億五百万円、支出七千七百九十九億二千百万円、差し引き三千百九十一億八千三百万円の収入超過でありまして、専売納付金は三千四百十一億八千三百万円を見込んでおります。
 なお、日本専売公社の事業のうち、たばこ事業につきましては、昭和四十八年度の製造たばこ国内販売数量を、対前年度百七十九億本増の二千六百四十七億本と見込んでおります。
 次に、国民金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、北海道東北開発公庫、公営企業金融公庫、中小企業信用保険公庫、医療金融公庫、環境衛生金融公庫、沖繩振興開発金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行の各機関の収入支出予算につきましては、お手元の予算書等によりましてごらんいただきたいと存じます。
 これをもちまして、大蔵省関係の予算の概要について説明を終わります。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付しております印刷物を主査において会議録に掲載せられるよう御配慮願いたいと存じます。
○黒金主査 この際、おはかりいたします。
 大蔵省関係予算の詳細なる説明につきましては、お手元に配付されております印刷物を会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○黒金主査 御異議なしと認め、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
○黒金主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間は、これを厳守され、議事進行に御協力賜わりますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましては、答弁はできる限り簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中武夫君。
○田中(武)分科員 きょうはまず通貨の問題、通貨といっても貨幣の問題と、それから日銀のいろいろなことについて若干質問する予定であったのですが、どうもかつて予算委員会でドルとか金とかということを何回かやったせいか知りませんけれども、この前の二月七日の総括質問のときもそうだったし、またきょうもたまたまいわゆる国際通貨危機に直面したというか、そういうことで、この前も緊急質問的に行ないましたが、きょうもひとつそういう意味においてまず緊急質問的に現在の国際通貨危機の問題につきまして、若干の質問から入りたいと思います。
 そこで、ドルが一〇%切り下げられた、日本が変動為替相場をとった、それから二週間余りでまたまたこういった状態を迎えたわけなんです。そこで、ヨーロッパでは各国が市場を閉鎖した、それにならってというか、追随いたしまして東京市場もきのう、きょう、そしてきょうの新聞を見ると、ヨーロッパの状態といいますか、EC諸国の蔵相会議等が現地時間で六日ですか、行なわれるので、七日まで東京市場も閉鎖する、そういうようなニュースが出ておりますが、その辺の事情につきまして、まず愛知大臣からお考えを伺いたいと思います。
○愛知国務大臣 ただいまお話しのとおりでございまして、御案内のように、二月十四日から日本としては変動為替相場制に移行いたしておりまして、しばらくたちましたところがヨーロッパでまた今日のような不安定な状況が発生いたしたわけでございまして、日本としては為替管理も相当行き渡っておりますし、まずたいした心配はないとは思いますけれども、しかし、こういうような状況下においては、このまま為替市場を開いておきますと不測の事態も起こりかねないというような傾向も見られますので、昨日ときょうは閉鎖といいますか、インターバンクの取引を一時停止いたしたわけでございます。一時停止した原因がそういうところにございますから、ヨーロッパの状況が今後どういうふうに発展するか、その状況を見まして、なるべくすみやかに市場の機能を回復するようにいたしたい、こういうふうに考えております。
 それから、ヨーロッパのほうの状況がなかなかさだかにつかみかねるところもございますけれども、やはりヨーロッパ諸国の間にもいろいろむずかしい問題を持っているようでございますが、それにしても通貨不安を長引かせることはいずれの国としても適当なことではございませんから、早急に何らかの態度がきめられるのではなかろうかということを期待いたしておるのが今日の状況でございます。
○田中(武)分科員 大体前回と同じような御答弁なんですが、どうも同じようなことを何回も繰り返す、これではあまりに手がなさ過ぎるのではないか。去る二月七日に私がこの問題で緊急的に質問したときと同じような御答弁をいませられました。そしてアメリカがドルを一〇%切り下げた。そういたしますと、日本が保有しているところの外貨百八十億ドル、それ以上だったと思いますが、こちらは何も責任がない、アメリカのドル切り下げで十八億ドル以上の損失を受ける。これはいわば日本の国民が額に汗を流し、油まみれになって、そして輸出をした結果たまったというかためたドル、これが政府の無策といいますか、手をこまねいている間に、この前でも十八億ドルの損失を国民に与えたというべきだろうと思います。そこで、私はもっと根本的な問題に日本が乗り出さねばならないのではないか、そのように思うのです。
 その一つは、数次にわたって閣議決定等で円ドル対策をきめられましたが、それがどれだけ実行せられたのか、さらにドルが金との交換を停止している今日、この問題が解決せられない限りドル不安は続くと思うのです。アメリカの国際収支は依然として赤字であり、安定をしておりません。アメリカのドルがキーカレンシーとしての地位を保とうとするならば、当然アメリカ自体が責任を持って思い切った措置をとるべきであり、日本がそれを望むべきというか、要求すべきであると思います。たとえば金とドルの交換性の復活、アメリカの金の保有高をもっとふやすように、そういうことをいまこそ要求すべきではないか、そのようにも考えます。ほかにもいろいろ手がありますが、まずその辺のところはどうなんですか。ただヨーロッパの様子を見る、ヨーロッパで為替の共同変動制をとろうという動きがあるが、これもなかなか、イギリスはイギリスのポンドの関係があるとか、そういうそれぞれの国がそれぞれの立場を持っております。あなたはこの前もスミソニアン体制云々、こういうことを言われたが、私をもって言わしめるならば、すでにIMF体制、スミソニアン体制はくずれた、ドルと金との交換を停止したときにすでにくずれ去ったのである、アメリカがドルの地位を保とうとするならばそれくらいの決意を持て、このように強く日本は要求していいんではないか、その点いかがですか。
○愛知国務大臣 いまもお話しのように、日本がこういう状況下においてどうすることが一番よろしいかということが一つと、それから日本が国際通貨問題に対してどういうことを主張していったらいいか、国際的にどういう建設的な体制になればいいかということと、問題は相関連してはおりますが、二つの大きな問題であると思います。主として後者の御意見でございますが、それは私も全く同感でございまして、ドルが金との交換性をなくして、しかもこれが国際的な唯一のキーカレンシーである、そしてアメリカの経済政策というものが日本のみならず他国から見てもままならぬ状況下にある、こういう状況下においては、国際通過の安定に対して、ドルが金との交換性を回復し得るものであるやいなや。それができぬとすればそれにかわる体制はどうあるべきか。たとえばSDRを中心にしてやっていくか、あるいはそのほかに方法はあり得るか。こういう点については、日本としてはもちろんでありますけれども、十カ国蔵相会議、最近ではこれがC20といわれるように範囲が広まってまいりましたが、これの会議、あるいは代理会議、あるいは作業部会、一方においてはIMF系統の各種の相談の場、あるいは二国間の協議の場、こういう場を活用いたしまして、何とかして国際通貨の安定性を確保するために、共同して建設的な知恵を持ち寄っていこうではないかということについては、政府としても従来ともに努力はしてきたわけでございますが、あらためてこういうふうに再々世界的な不安定な状況が起こるようなことはまことに遺憾なことであって、世界全体のためにも、日本の立場からのみならず非常に大きな努力を傾注すべきであると考えておる次第でございます。
 それには、ヨーロッパはヨーロッパなりの悩みがあり努力もあるわけでありますが、そういうところをよく見定めながら協力を求め得べきところは求め、あるいは協力すべきところはいたしまして、国際的な安定通貨制度の確立という方向に向かって最大の努力を傾注すべきである、かように存じておる次第でございます。
○田中(武)分科員 金とドルの交換性の復活をやらなければドルの歯どめがないわけなんです。しかも、御承知のように金は、現在公定では一オンス四十二・二二ドルですか、ところがもうすでにヨーロッパでは一オンス九十ドル台にはね上がっておるわけです。いまおっしゃるように、国際的にみんなが協力をするということは必要でしょう。だが、アメリカ自体がどう責任をとるべきなのか。ドルのたれ流しということばが当てはまるように、アメリカ自体は、まあ努力はしておるのでしょうが、むしろ日本その他に、ことに日本に対しては輸入の制限を押しつけてくる等々、よそに向かってばかりものを言っておって、自分のところで一体何をやっておるのか。やっておるのでしょうが、われわれにはよくわからぬ。日本はいままでドルに協力してきたのです。したがって、この点は強く要求していいんじゃないか。
 それから、もう何年か前に予算委員会等で、その当時は愛知さんは外務大臣だったかとも患いますが、当時の大蔵大臣の福田さんなりあるいは水田さんを相手に何回かやりとりをやりました。もっと金保有を高めて、外貨準備に対して少なくとも三分の一の金を持つ、これは政府も認めたわけなんです。ところが現在、金保有はわずか八億ドル程度ですね。いまさらこれをもっと買えと言っても手おくれです。そうはいかないと思うのです。しかし各国間の金保有のアンバランス、たとえばフランスのごときは四十何%、いわゆる外貨のうち半分は金を持っておる。そういう状態をどのようにして解決していくのか、これも私は必要であろうと思うのです。
 さらにまた国内的には、日本の経済体制というものを思い切って変えていくべきである。たしか一橋の中山先生の学説であったと思いますが、間違っておるかもわかりませんけれども、経済とは進歩安定、進歩安定を繰り返すものであるということを言われておると思います。今日まで経済成長、経済成長といういわゆる進歩を続けてきた。いま、むしろ公害その他いろいろの問題を持っておる。したがって安定の時期である。国際競争力をダウンさせろとも言い切れませんが、そういう時期に入ってきておるのじゃないかというように思うわけなんです。
 したがって、国内においては日本経済の体質を変えていく。外に対しては、アメリカに強く金交換性及び金保有を高めるよう求める。また各国に対しては、いわゆる金保有のアンバランスを是正するように協力を求める。そのようなことが必要であろうと思うわけなんです。そういうような点についてはどのようにお考えになりますか、お伺いをいたします。
○愛知国務大臣 基本的な認識においては私も同感でございます。先ほど申しましたように、こういう状況でございますから、国内体制をますますもって一口に言えば内需優先と申しますか福祉国家の建設に、そして従来のような輸出、輸出というようなことに相当のかじとりの変更を要する、そういう方向にますます向かうべきである、こういうふうに考えます。
 それから国際的には、やはり何としても国際的な基準通貨制度と申しますか、国際的な通貨が安定できるように日本としての主張というものを貫いていく。各国の協力、特にアメリカ自身がうんと努力をしてもらわなければならぬわけで、この点も基本的な認識において私は全く同じ考え方でございます。
○田中(武)分科員 日本の生産体制というかあるいは経済構造というか、これを変えねばならない。これは、大蔵大臣だけのお考えではとうてい解決できないと思います。
 そこで主査にお願いするのですが、この点につきましては主査報告に入れていただいて、本委員会において全閣僚のおられるところで、私がやるかやらぬかは別といたしまして、いわゆる締めくくり質問といいますか、そういった総理以下全閣僚のおられるところで、この円対策というか円防衛に対する、経済体制を変えていくという問題について論議のできる機会を与えていただきたい。そのことをお願いしますが、いかがでしょう。
○黒金主査 承りました。よろしく善処いたします。
○田中(武)分科員 そこで、緊急的な質問でありますので、こればかりに時間をとっておるわけにいきませんので、主査にお願いをいたしました点は除きまして、もう一点だけお伺いをいたしておきますが、いわゆる外貨準備政策の転換とでもいいますか、これをひとつこの際考えるべき時期ではないか。たとえばドルだけではなくて、金といいたいのですが、金にはいろいろ制約もありしますのでいけないだろうが、金問題もあわせて外貨対策というか、いままで金をいったときには、金は子を産まないが、ドルは子を産むというようなことで、ドルだけで来た。それを、比較的安定しておるマルクとかあるいはスイスフラン等をドルにかわって外貨準備として持つような方向に変えていく必要があるのではないか。こういう点につきましてはいかがでございますか。
○愛知国務大臣 この問題は、国際通貨制度というものとの関連において十分検討しなければならない問題と考えます。いま金についてあるいは他の外貨について御言及になりましたが、たとえばSDRという問題も、これはもう数年来非常に検討された問題であり、そしてSDRについては、これも一言にしていえば魅力のある制度にしたいということは、政府としてもかねての主張でございますが、これには技術的な金利の問題その他もいろいろございますけれども、そういう点を建設的、積極的に考え、かつそれとの関連において、日本の外貨準備の好ましいあり方ということを関連させて考えていきたいと思っております。
 それからマルク、スイスフランの問題についても御提案ございましたけれども、現在までのところで申し上げますと、それらの国が好まない。それからまたこちらといたしましても、今日はアメリカのことでたいへん困っているわけでございますが、やはり一国それぞれの事情で、その通貨というものが価格の変動その他もございますから、今度のような経験からいたしましても、こちら側からその考え方を取り上げてしかるべきかどうか。国際的な基準として国際的な合意ができるようなものが日本としての準備の中に加うべきものである、やはりこういう発想のほうが適切ではなかろうかと思いますけれども、いろいろ御提案になっております点は、われわれとしても十分検討いたしてまいりたいと思います。
○田中(武)分科員 こればかりに時間を使いたくないのですが、SDRということを言われたので、もう一言申し上げますけれども、この問題もかつては予算委員会等で論議をいたしました。あのときに、宮澤さんだったですか、金にかわる英知の結果だというようなことを言われたと思いますが、ところが私に言わしめるならば、SDRも必ずしも成功ではない。先ほども言ったように、IMF体制、スミソニアン体制はすでに敗れたり、こういう観点に立っております。したがいまして、先ほどもお願いいたしましたが、これはもっと本格的な論議が必要かと思いますので、主査におきましてはよろしくお取り計らいを願います。
 何か御答弁ありましたら伺いまして、いまから用意してきました本論に入ります。いかがですか大臣、SDRはすでに敗れたり。
○愛知国務大臣 SDRすでに敗れたりというのも、少しいかがかと思いますが、せっかくいろいろ論議があるし、欠点もございます。これもしかし捨てずに、もし建設的にできるものならば一つの方法であるという角度から、私としては検討いたしたいと思っておりますが、そのほかの方法につきましても建設的な御意見でございますから、十分ひとつ謙虚に政府としても研究をさせていただきたい。またどうしてもこれはやらなければならぬことであるということは、先ほど来申しておりますように、田中さんと基本的な認識やあるいはお持ちになっている御心配は、私も御同様に持っておりますので、そういう立場からいかにせばよりよくなるか、しかもこれはできるだけすみやかにということで、誠意をもって当たってまいりたいと思います。
○田中(武)分科員 それでは本題に入りたいと思いますが、ただ少なくとも大臣、IMF体制といいますか機構は、これは大幅に改革せなければいけない、こんなことだけは指摘できると思います。それだけ申し上げて本題に入ります。
 二月二十一日の予算本委員会で、これはやはり通貨の問題で平林委員が質問したときに、総理に対して一円でいま何が買えるか、こういう質問をして総理は汗をかかれました。同じ質問を愛知さんにしますが、愛知さんいかがでしょう。
○愛知国務大臣 いやもうほとんど何も買えないと申し上げるのが、率直なところだと思います。
○田中(武)分科員 純金七百五十ミリグラムが買えますと答えたら非常識でしょうか。非常識だと思いますか、どうですか。大蔵省のエリート各局長、七百五十ミリグラムの純金が買えますと私は声を大にして答えてみたいと思うのですが、非常識かどうか教えてください。
○橋口(收)政府委員 田中先生のお尋ねの趣旨は、現行貨幣法の第二条に関連してのお尋ねであろうかと思いますが、貨幣法は明治三十年に制定されまして、その後改正がたびたびございますが、昭和八年の改正を最後としまして今日まで現存の法令として残っております。六法全書にも貨幣法という法律が記載されておりますし、貨幣法自体の存在の理由というものが完全に失われておりませんが、ただいま御指摘になりました第二条の七百五十ミリグラムをもって一円とするというのは、実質的に効力を失っております。
○田中(武)分科員 貨幣法は、二十八年の小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律、これによって一部改正というか、廃止になっております。その他は現在生きておるんですよ。しかし非常識なことを言わねばならないような法律を、なぜ今日まで生かしておくんです。ほかにもそういうものはあげたらたくさんあります、だからかまわないんだということは通りませんよ。どうですか大臣、これから将来それはデフレ政策でもとるとすればともかく、しかも金交換を停止している今日、円の単価として純金七百五十ミリグラムというような時期が、それはゼロを三つくらいとればともかく、あり得るかどうか。現在に合わないような法律をなぜ置いておくんです。改正しなさい、現在に合うように。いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 これはもういまさら申し上げるまでもございませんが、金本位制度当時に制定された貨幣法でありますから、管理通貨制度下の今日におきましては全く実際と遊離した法律になっております。ですから、改正をせぬのかとおっしゃられれば改正すべきものである、こうお答えをいたします。
 ただ、従来からの考え方は、臨時通貨法も出ておりますし、それから実際の経済生活に支障がないというような考え方でこの改正というものが行なわれなかったのであろうと私はいままでの状況を振り返って想像いたしておりますが、お考えはよくわかります。これは改正すべきものである、こういうふうに考えます。十分これも検討さしていただきたいと思います。
○田中(武)分科員 臨時通貨法というのはたしか昭和十三年ですか、そして最後の改正が三十二年ですね。そのつど改正しておるが、この臨時通貨法というのもこれは七条ぐらいしがなくて――そうでしょう、私持っているのですが、私六法全書破って持ってくる癖があるので持っておるのですが、だから貨幣法が基本法として置く必要があるとするならば、臨時措置法でもいい、現在に合うような通貨を規制する法律といいますかそういうものをぜひ出しなさいよ。必要があるということですがどうですか。もう今国会にでも出せませんか。なんならこちらのほうで出しましょうか。こんな役にも立たぬといえばおかしいですが、経済政策というか経済活動に支障がないと言うのですが、あとで触れますけれども、もう一度臨時通貨法を――貨幣法自体というなら臨時措置法でもよろしい、現在に合うような法律出しなさいよ。いかがです。
○愛知国務大臣 臨時通貨法は貨幣法が前提になっているというか行なわれておって、そして先ほど申しましたように貨幣法自体改正すべきものでございますから、貨幣法の改正ということを取り上げますときには当然臨時通貨法というものも改正すべきものである、私はこう考えます。同時に、いままでほったらかしになっていたというわけでもございますまいが、やはり貨幣法というものをとっくり改正を検討いたします場合には、ある程度の時間もちょうだいしたいと思いますが、ひとつ建設的な御意見は私どもとしては謙虚に伺いたいと思いますから、御意見のほどはいろいろと御教示をいただきたいと思います。
○田中(武)分科員 経済活動に支障がない、経済活動といえるかどうかわかりませんが、現在強制通用力を持つところの通貨、たとえば、使えば五円売れば千二百円、これは古い銅貨の五円ですね。これはまだいま出ているわけですね。最近では三十九年、十年もたたないのですが、発行の百円硬貨が六百円から九百円の値上がりをしておる。あるいは旧五百円札が千七百円ぐらいに上がっておる。これは旧五百円札の値上がりは、例の三億円の犯人が二千枚とった中に、三億円の中にそれが入っておるわけなんです。そういうこともあって値を呼んだのかどうか知りませんが、少なくともいま申されました小額通貨の整理及び支払金の云々という法律で円以下いわゆる五十銭とかなんとかというようなのは二十八年十二月三十一日でもって禁止されております。いわゆる現在禁止せられておる、通用力を持たないものが古銭としてマニアの間に高値を呼ぶということは、これは私はやむを得ないというか普通の状態ですが、強制通用力を持つ通貨が使えば五円売れば千二百円ですか、二百四十倍といったような状態は好ましいと思われますか、いかがですか。同時に通貨、たとえば硬貨ですね、これを鋳つぶしたりきずをつけたら、これは刑法じゃないが、単犯法ですが刑罰がありますね。こういう強制力を持つところの通貨が売買せられるということについて、法律的にはいまどうもできないとは思うのです。しかしそれが好ましいのか好ましくないのか。さらに堂々とそういうことが新聞広告やその他に出されるということ、これ自体は円の値打ちというかインフレのやはり一つの結果ともいうか、言いかえるならば通貨体制に対する一つの波紋を投げかける行為だと思うのです。そういうような点についてどう考えられますか。法律でもつくって禁止しようというところまでいっていいのかどうか別として、何らかの行政指導等ぐらいはできませんか。現在通用できないところの禁止せられたものが古銭としてマニアの間に売り買いせられることはいいとしても、強制通用力を持つのが、使えば何ぼ、売れば幾らといったような、それも二百四十倍もするような値打ちがつくということに、あなたはどう考えられますか。
○愛知国務大臣 これは法律的な問題とそれから事実上の問題と両面から見る必要があると思います。
 法律的にいえば、通貨は法律によって強制通用力が付与されておって、その額面価格でもって受け取られることが保証されているわけでございます。それで通貨の信用維持という観点からいえば十分である、法律的にはですね。こう考えてしかるべきものではないかと思いますが、同時にいまおあげになりましたような特殊な、非常に高い額で取引されるということは好ましいことでは決してないと思います。ですからあまり度はずれたようなことが今後とも横行するようであれば適当な措置も考えなければなるまいか、こんなふうに思いますが、これは通貨ですから特に感覚的にも問題であると思うのですけれども、いわば切手の古いのが非常に高価で取引をされている、マニアの特殊な収集癖などから見ますとこういうことも現に広く行なわれているわけでございますから、あまりまた神経質に規制することもどうであろうかというようなことも考えなければなるまいかと思っておりますが、いかがなものでございましょうか。確かに好ましいことではないと思います。
○田中(武)分科員 私は、まあ好ましくないというだけでなくて、・切手でも、古い切手ですね。私はあまり切手のことはよく知りませんが、まあ現在何銭とかいう切手は、実際的には使われませんね。そういうのがやはりマニアの間にブームを呼ぶ。ところが、これはやはりインフレの一つの結果だと思うのですが、換物思想の一つのあらわれではないかと思うのですけれども、ともかく株だとか土地だとかあるいはいろいろ商品等に投機をしている。それが一つの換物思想のあらわれではないかとも思うのですが、強制通用力を持つ通貨、ことにグレシャムの法則ではないが、悪貨は良貨を駆逐する、良質なものはだんだんと市場から消えていく、それがやがて高値を呼ぶ。そういうことによって通貨体制というもの、これはもちろんコインが多いのですが、通貨体制というものがくずれていくという結果になればたいへんだと思うのです。そういう観点から、切手とは違った観点で考えるべきである、このことを強く要求をしておきます。
 さらに、そのようなことが結局は日銀券といいますか、まあ一万円札に代表せられますが、これがますます値打ちがないように思われます。あとで、これから日銀の問題に入りたいと思うのですが、時間がだんだんなくなっておるので、ここでひとつこってりと貨幣法などでとも思っておったのですが、通貨の危機の問題で三十分使いましたので、あともう十五分ほどしかないようですから、この点だけをお伺いしておきます。
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、これはまあ切手の例はちょっと蛇足だったかもしれませんけれども、お話のように通貨である、強制力を持つ通貨であるという点が好ましくないと申し上げたゆえんでございます。ことに最後にお話しになりましたように、これが換物的な運動といいますか、そういうことにさらに拍車をかけるようなことになるとすれば、これはゆゆしき問題でございますから、それらの点についても十分ひとつ情勢を掌握しながら善処いたしたいと思います。
○田中(武)分科員 そこで、インフレの大きな原因は、一つはだぶついた通貨だと思うのです。通貨というか日銀券。そこで日本銀行法の三十条では、発行限度の決定ということ、そしてそれは大蔵大臣が閣議を経てきめる。きめられたものは第二項によってこれを公示する。
 そこで、調べてみましたら、現在、最近のものは、四十六年十一月二十七日、四十六年度とでもいいますか、これは四十六年の十一月二十七日に五兆七千億円、四十七年、昨年十二月十六日に六兆七千億円と、一年の間に一兆円限度を高めたわけですね。こういう限度の決定はどのような観点に立ってきめられますのか。これは結局は経済成長とにらみ合わせて考えていく。しかし現在ではこの日銀券だけでなくて、いわゆる手形等々を含めて信用膨大というか、これがインフレの大きな原因をなしておると私は思うのです。したがって、限度決定については慎重でなくてはならないのですが、もう時間の関係もありますので、だいぶん次に用意しておりますので、簡単でけっこうですが、限度決定はどういう観点に立っておきめになりますか、お伺いします。大臣が閣議にかけてきめるんだよ。三十条を見てごらん、日銀法の。
○吉田(太)政府委員 その前提となる事実をまず簡単に御説明させていただきたいと思います。
 もう先生先ほど御説明のように、これはまず基本的に申しますと、その改定をしようとするときに考えられる一年間の経済成長の率というものをまず前提といたします。
 それから日銀券というのは、すでに御承知のように月々にあるいは日々に発行高が増減いたしておりますので、それに対しまして、そういう平残に対しまして――年末年始は非常にふえますので、これは別といたしまして、大体平残に対し、月末あるいは月中というブレを勘案いたしまして、これをかけます。それをもって日本銀行券の発行残高といたしておるということでございます。ただこれは、御承知のように運用のいわば目安ということでございまして、法律的にも、この限度を越えた場合にはいろいろのまた規制があるということで、いわば経済政策の運営の目安というのがこの発行限度の規定かと思います。
○田中(武)分科員 そこで大臣の意見聞きたいのですが、時間の関係があるので次にいきますが、この限度外発行については三十一条及び三十一条ノ二でそれぞれ規定してある。そこで十五日以内ならば日銀が限度外に発行してもいい。これは私、まあ十五日というのはどういう観点できめられたのか知りませんが、これは日銀の内部操作によってどうにもなるんじゃないかという感じを持ちます。これがいまなければ資料として要求しますが、たとえば昨年一年間に、十五日以内、いわゆる発行税を納めない限度において限度外発行が幾らほど、何回にわたって行なわれたか、あるいはそういうことがなかったのか、そういう点についてはいかがですか。わかっていますか。
○吉田(太)政府委員 昨年一年間に十五日をこえないで発行した場合とこえて発行した場合がございますが、回数といたしまして、四十六年の場合には発行限度を越えた回数は十二回ございまして、日数にいたしまして、延べでございますが九十八日ございます。また、そのうち十五日をこえた回数は二回でございます。要するに十五日以内でピークが終わったというのが大部分でございます。これは四十六年でございます。
○田中(武)分科員 新聞の夕刊を見ると日銀帳じりというのが出ておりますから、それを見ればわかるじゃないか、こういうことにもなろうと思うのですが、その限度を越えない範囲において、十五日をこえない範囲において限度外発行ということにもうちょっと私、チェックの方法を考えるべきじゃないか、そういう点はいかかですか。
 時間の関係で――この辺で少しとっぷりと油をしぼってやろうと思うたんですが、もう時間がないのが残念です。あらためてまたのときに行ないますが、それから十五日を、すなわち十六日目以後は大蔵大臣の定める発行税を納めることになっていますね。これはいま年三分のようですが、これは税金ですか、税となっておるのですか。一言でよろしい。
○愛知国務大臣 限外発行税ということばがきめられております。
○田中(武)分科員 これは決算書を見ると、税金扱いだと思うのですが、そうすると、憲法八十四条の租税法定主義との関係はどのようにお考えになりますか。
○愛知国務大臣 法律によってきめられた税であって、そしてその税の率は大蔵大臣に委任するという根拠があれば、憲法上の要請は充足されているのではないかと私は思います。
○田中(武)分科員 なるほど、いま憲法を持っておりませんが、たしかあれは条件ということばがあったと思うのです。したがってその条件等は日銀法によって大蔵大臣に、こういうことですが、その論法でいくならば、ほかの租税だって大蔵大臣の条件によって全部そうなっちまうのですよ。少なくとも私は、憲法八十四条というのは、税については税率等を法律できめるべきであるという趣旨だと思うのですよ。憲法八十四条との関係において、この発行税年三分、それを日割り計算、それが大蔵大臣の思いのままにきめられるという点については疑義があるのです。時間の関係もありますので憲法論争はやめますが、またの機会にやりたいと思いますが、主査どうですか、これもあとへ積み残したいと思うのですが、この辺で少し憲法論議をやるか。
○愛知国務大臣 これは論議をやることにつきましては、別に異存はございませんが、限外発行税というものは、日本銀行券の発行の限度以上、十五日をこえた場合ということであり、これはまあ私の、法律専門家ではない、あるいはしろうと論議とお聞きになるかもしれませんが、国民のほんとうのといいますか、税とは性格がやや異なっている。したがって日本銀行法におきましても、「主務大臣ノ定ムル割合ヲ以テ発行税ヲ納ムベシ」という規定がそういう点からきているのではないだろうか、私はこう考えます。
○田中(武)分科員 憲法八十四条との関係においての論争は保留いたします。あなたの論法でいくならば、法律で一条だけですよ。何々税についてはこれこれの条件のもとに大蔵大臣これを定めるとあれば、所得税で控除幾らなんていったって、それはやらなくていい。それはあなた一般の国民に関係ないというのですが、日本銀行は国民の銀行ですよ。そうでしょう。
 そこで、時間の関係もありますので、まとめてあとはお伺いいたします。
 予算書には出てこないのですね。決算書で出てきておる。たとえば四十六年度では一億九千八百六十一万七千円ですか、四十七年度、これは合わせて二十七億二千百五十万五千二百円ですかというのが出てきておりますが、これは財政法三十三条で、いわゆる決算書に税収入として入っておるけれども、予算書にはない。財政法三十三条では、項目の変更は云々というようなことが書いてありますね。そういう点からいって、一方には全然款項目もないのに決算書に入ってくる。こういうやり方はどうなんです。いいのですか。それが一点。
 それから、いままだ一NG、進行中だからわからぬが、一昨年のときには、いわゆる日銀のドル買いささえの差益金、これは四十億ドルあった。そこで日銀の積み立て金でこれを処理したようですが、今回幾らになるかわからないが、どのようにするのか。
 それから日銀法三十九条各項に、一項、二項等等いろいろな積み立て金があるが、これがもう一つよくはっきりしない。そういう点。
 それから最後に、もうあと五分だそうですから……。これは古いことですが、三十八年の八月二十三日のことです。それをさかのぼること二週間前のことです。これはもう刑事訴訟法上時効が成立しておるので、この問題自体を私云々するのじゃありませんが、日銀において百万円不足というか盗難事件がありました。それを二週間も日銀は警察へ通告というか、しなかった。そして警察が、警視庁が発表して初めて、その当時の新聞のコピーを私持っておりますが、公表せられた。だがそれが一体どうなったのか、それ以後のことについては一向に知らないわけなんです。時間の関係もありますので、これでおきますけれども、その問題について一体どのようなことになったのか。犯人がわからずじまいに終わったということだろうが、せっかく来ていただいておるので、警察庁の刑事局長さんにもお伺いしておきます。
 それから、このようなこれはわずかというかもしれぬが、百万円ですが、これはその後何らの発表はなかったのですが、このような事故の処理は損失として日銀で処理せられたのか。結局私がいまこういうのを持ち出したのは、日銀の秘密主義、現在変動為替制をとっておるが、まだやはり日銀が介入しておるのかおらないのか。おるとするならば差益金がもっと出るんじゃないか等々の問題を含めて、ひとつ時間の関係で一括してお伺いして終わります。
○愛知国務大臣 まず第一は、日本銀行の保有しておった外貨の差益、差損の処理は日銀の一般的な、何と申したらいいのですか……(田中(武)分科員「積み立て金で処理しているか」と呼ぶ)いや、積み立て金はもちろんですが、そこにいく前に、一般的の企業の経理基準と同様な方式によって処理をいたしておりますが、そのこまかい点につきましては事務当局から御説明いたします。
 それから、その後、最近におきまして、ことに二月十四日以降のいわゆる変動相場制に移行いたしましてからあとは、原則的にいわゆるクリーンフロートでやるというのがわれわれの方針でございます。しかしながら乱高下を是正するということはやはりどうしても必要でございますから、その意味において若干の介入ということはあり得ると思いますが、それらで差損を生じました場合は、やはり従来と同じような方式で処理をすることを考えております。
 それから、三十八年のいわゆる百万円事件、この件については警察当局からも御説明があると思いますが、結局その処理は、経理上は雑損として処理をいたしたようでございます。
○関根政府委員 お尋ねの三十八年の日銀の発券局の第一金庫の中でなくなりました百万円束の盗難にかかった事件につきましては、警視庁といたしましては十二日間経過した同年八月十四日に届け出を受けまして、重要事件であるということで、本庁の捜査三課員七名、所轄署員を含めて十三名、比較的重要視して特別専従班をつくりまして、十二月十日まで百十八日間の捜査をいたしました。
 もう少し説明をさせていただきたいのですが、六月二十七日に、この現金は、日本勧業銀行から受領いたしました一億五千万円の箱に入りました金の中に入っておりました。これを係官が立ち会いの上点検、検封紙というもので封緘いたしましてイ号金庫に収容、それから口号金庫に移管、さらにはル号金庫において監査ということで、何回かの、係官がそれぞれの受け持ちに基づきまして監査をしたわけなんですが、どの金庫におきましてもかぎが厳重にしてあります。一般人の立ち入りということは全くできないということでございますので、日本銀行の内部犯行の容疑濃厚ということで捜査をいたしたわけであります。申し上げましたように、百十八日間いろいろの角度から係員につきまして、あるいは何人かをしぼりましていろいろな捜査をいたしましたが、結局犯人と断定できるきめ手がないということで捜査は終了いたしました。そういう状況でございますので、捜査の過程を詳細には申し上げられませんが、百十八日間の捜査の後に専従員は解散、その後所轄中央警察署におきましても継続捜査ということに一応いたしておりますが、そういう事件でございますので、そのまま時日は経過して、四十五年に公訴時効を完成しておる、こういう状況でございます。
○田中(武)分科員 ただお願いしておきたいのは、ここへ日銀総裁も来てもらいたかったのですが、分科会では前例がないということなので、一ぺん日銀総裁を呼んでやる場を主査のほうで考えていただきたい、これだけをお願いしておきます。黒金主査 承りました。
 次に、阿部昭吾君。
○阿部(昭)分科員 大蔵大臣、御案内のようにいま季節出かせぎ者というものが非常に多い。この率節出かせぎの労働力というものがいまの日本社会においてどういう役割りを果たしておるのであろうかと考えてみますると、大都会、都市社会にはホワイトカラーが非常に多い。しかし地下鉄の工事にしても下水道工事にしても、都市の改造の事業にいたしましても、そういうどろんこになって働くという労働力は都市社会に非常に少ないのであって、この部面はほとんど農村の季節労働者によって担当しておる。もしいま農村の季節出かせぎ者というこの労働力がなかりせば、もう日本の建設工事、都市改造、こういった事業全般に大きな問題が起こってくる、こういう状況にあるのじゃないか。この農村の季節出かせぎ者というものに対して今日政府が対応される対応のしかたは、ことばをかえますればやっかい者扱い、こういう状況の扱いをしておるといって決して過言でないと思うのであります。特にその中で出かせぎ者の所得は一体税の問題でどういう扱いをしておるのであるかということを調査をいたしてみますると、普通の一般給与所得と同じ扱いをして課税をしておるのであります。これはしかし妥当だろうかというふうに考えてみますると、私どもは、妥当ではないと思わざるを得ないのであります。いまいろいろな租税特別措置などがありまする中で、出かせぎ者の働き出した所得は全部一般の給与所得と同じ、こういう考え方というのはちょっと合理的でないんじゃないかという気がするのであります。大臣も、私や、いま委員長席にいらっしゃる黒金先生とは隣の県でありますから、東北、あの方面の農村社会の現状についてはいろいろ御認識が多いと思うのであります。そういう意味で、出かせぎ者も給与所得、これを一般勤労者の給与所得と同じように考えるという考え方は、私は、どうも合理的じゃないと思うのでありますが、大臣はどのように思っていらっしゃるか。
○愛知国務大臣 阿部さんの御指摘のように、私も、自分の環境からして、出かせぎの方々の状況はよく承知しておる一員でございます。基本的に申し上げますと、こうした状況を基本的に解決するために総合的な対策がいろいろと行なわれつつあって、たとえば宮城県のごときは、最近は県外への出かせぎは減少の傾向になりまして、やはり地元における就業の場が開かれてまいりますとよほど緩和してくると思っております。しかし、とにかくそんなことを言っていても、現実に多くの方々が東京で働いておられる。これの所得について、一般の給与所得として扱うと何かこれは不合理ではないか、たとえば所得控除であるとか分離課税であるとか、こういうことをしてあげたいなというこの気持ちは心情的に私も持っておるのでございますけれども、ひとつ徴税当局のほうからの意見などもお聞きとりいただきたいと思いますけれども、これは率直に申しまして非常にむずかしいわけでございまして、現状におきましては現在のやり方を急速に変更するということは至難であるというのが現在の当局としての考え方でございます。
○阿部(昭)分科員 税をどう取るかということじゃなくて、どう取っておるかということを聞きたいので、これは国税庁長官にちょっとお伺いしたいのでありますが、いま全国の、年間に半年程度あるいはそれ以上世帯を分離さして、そして出かせぎという状況の中で働いて生み出した所得は一体どの程度の金額に達しておるのか、その課税のしかたはどのようにやられておるのかということを簡潔にひとつお伺いしたい。
○近藤(道)政府委員 その所得だけを抜き出しての調査を、実は人手の関係もございましてやっておりません。それから課税のしかたにつきましては、合算の方法について先ほど来先生からもお話がございまして、また大臣からお答えございましたように非常に技術的にむずかしい点がございますが、極力出かせぎ地における給与所得、おもに給与所得でございますが、それと住所地における所得、この合算についての公平を期して課税をしておるということでございます。
○阿部(昭)分科員 それは非常に抽象的な、そういう抽象的なところで、きわめて概念的にとらえていらっしゃると思うのです。実態はそんな単純なものじゃない。それならば、出かせぎ者の所得というのは、普通の月給取りの勤労者所得とはちょっと違っておるのです。雨が降れば働けない。いろいろな状況があるわけです。契約しております賃金は一日当たり三千五百円である。ところがみんなやはり多くの賃金を得なければならぬのでありますから、そこで残業、徹夜をやるといったような状態で、場合によると、やはり一日五千円、六千円といったような賃金も働き出すのであります。そのかわりそういうきびしい労働に従事をいたしまするから労働災害なども頻発をいたしまするし、それから働いておる方自体の健康などもたいへんにそこなわれるという状況なんです。そこで、この季節出かせぎ者の給与所得の形態は非常に一定されておらぬ面があるのでありますが、源泉課税の対象にしておるのはどの限度で源泉課税の対象にしておるのですか。
○吉田(太)政府委員 技術的な問題でございますから、私から説明いたします。
 おっしゃいますように、出かせぎの場合は、通常建設労務者のようなかっこうで雇われておりますが、これは通常の場合日雇いあるいはそうでなくてもわれわれとしましては、普通のサラリーマンとは違うという考え方で、源泉徴収票では御案内の丙欄においてとっております。普通のサラリーマンは甲または乙欄でございまして、丙欄の場合には一日三千八百円以下は一応税金は源泉徴収いたしておりません。三千八百円から九百円の場合は、一日六円の税金でございます。それからいまおっしゃいました五千円程度になりますと、一日約百円、百一円でございます。そういうぐあいに毎日毎日三千八百円以下は取らないということでございます。
○阿部(昭)分科員 大臣、いまのとおりなんです。つまり三千八百円以上日額の賃金を得ます場合は、源泉課税の申告をしなければならないということになる。源泉課税の申告をいたしますると、その源泉課税で徴収をいたしました徴収票が、それがそのままその労働者の住民権を持っております税務署に、出かせぎに来ております先の税務署からそのまま回っていくのですね。回っていきますと、その税務署からその出かせぎ労働者の住民権を持っております市町村の税務当局にそれが回っていく。そういたしますると、源泉課税を行なわれておるような場合は、一シーズンかりに四十万円の出かせぎ所得を持っておるということになりますと、この四十万円に、農業その他を若干持っておりますから、その所得を合算して、今度の三月十五日以前に申告をしなければならぬ、こうなるわけです。これはどうにもならないきわめて明快なやり方ですね。ところが三千八百円に満たざる者がうんといるのです。これは源泉徴収にならぬのですよ。そうすると、市町村当局は、税務署を通じてずっとその出かせぎ先の税務署から源泉徴収のそれが回ってきたものは、もうきわめて明快に文句なしにびたっといくのですが、回ってこないのがあるでしょう、そうすると、その出かせぎ所得の把握は非常に困難なんです。しかし、市町村当局の役場から見ると、あの人は出かせぎに行っておるじゃないか、行っておるはずだなんということで、いろんな調査をやるのですが、どのくらいの所得があるかという把握はなかなかしかく簡単にはいかない、こういうことがある。そこで、末端の市町村当局は、その場合の源泉徴収票の回ってきておらない、限界のちょっと下あたりの課税はどうやるかということになりますと、ある意味でいうと申告に従ってということになるのですが、申告どおりでもいけませんから、まあこのくらいは働いているだろう、いやそうじゃないだろうと盛んにやりながら、結局きめていく、こういうやり方をやる。したがって、出かせぎをする際に、市町村当局に届け出をしていきなさいということを役場でどんなに口やかましく言っても、役場に届けるとあとで課税をやられる場合に問題が起こるというので、皆役場に届け出をしない。職安を通じて就職するようにしなさいと言っても、労働省の調査では、全出かせぎ労働者の三〇%が職安経過で、あとは全部そうじゃない、求人側と直接の就職、こういう状況になっております、こういう答えが出てくるのはいまの問題があるからです。そこで私は、この出かせぎ所得とは一体何かというので、この何年間か――私どもの地域は全農家総出かせぎです。もっときびしい言い方をすれば、これも政府の責任だといわなければならぬのですよ。自民党農政の失敗がこれをもたらしたと、私どもは実は選挙で大いに訴えて支持を得ておるわけなのです、実際は。そうなりますと、この出かせぎ者の所得というのは何かということになると、実は一年の間に約六カ月間というものが世帯を二分するのです。そうして郷里で家族が病気になったといえば呼ばれて帰っていく、あるいは親戚に何か不幸があったといえば帰っていく、子供が何かあったといえばまたやはり帰っていかなければならぬ、何回も行ったり来たりやらざるを得ない。やはり東京と郷里の間を行ったり来たりいたしますると、一カ月間十万円の給与所得があったといたしましても、四万、五万というのはすぐ少なくなるというのが、この出かせぎ給与所得というものの状況なのです。家族と暮らしをともにしておりますれば必要でないいろいろな経費もかかるんですね。これを、制度的に全くむずかしいんですという言い方で片づけてよろしいのかどうか。だって、ほかには租税特別措置といういろいろなことをずいぶんやっておるじゃありませんか。私どもも、家族が別れ別れで生活をせんければならぬなんというのは、これは人間疎外ですから、そういう状況はないようにせんければいかぬと思う。いかぬがなかなかそう簡単に一気にはいかぬでしょう。しかもこれが一気になくなったら、おそらくいまの都市圏における建設事業なり、都市改造の事業なんというのは全部これはストップを食ってしまうと思う。そういう状況から見ますると、当面私はこの出かせぎという現象は続くと思うのです。続かなければまたいまの現状では都会のほうもお困りになるんですよ。
 そういう面から見ますると、いまの出かせぎ者の給与に対する課税という問題は技術的にむずかしいというのはどこがむずかしいのですか。ほかにたくさんの租税特別措置や何かあるじゃありませんか。せめて分離課税ぐらいはすぐできて一向さしつかえないのじゃありませんか。とにかく一番弱っておるのは市町村の、自治体の税務当局なのです。だんだんみんな頭がようなってまいりましてね、三千八百円をこえないようにするんですよ。ほかのものはいろいろな名目でやって、三千八百円をこえないようにするんです。そうするとますます市町村当局は、税務署からずっと源泉徴収のあれが回ってきて的確な把握ができません。これはやはり私はここでみんなが公平に生きるように、そのためには一定の控除あるいは分離課税、こういう方法はやはりこの際、技術的にむずかしいなんということはぼくはないと思うのです。いかがでしょう。
○高木(文)政府委員 この出かせぎ所得の課税につきまして、制度上何かいい解決方法はないかということについては、かねがね各方面から御指摘なり御意見なりが寄せられておりまして、私ども毎年の税制政正の機会に何か具体的に案にすることができないかということは毎年研究いたしております。しかしながら今日まで、いま一言で申しますと、技術的困難ということばをお使いいただきましたが、まさにそういうことで今日までじんぜん日を送っておるわけでございますが、その事情は一つにはやはり、出かせぎというものの所得の形態が非常に多種多様であるということがございます。ただいま御指摘のように、非常に典型的な場合は、農村地帯から都市に出ておる、大部分が季節労務者的なものであって、出かせぎ所得と他の所得とが併有しておるという形のものがきわめて典型的でございますが、中には季節労務者でございましても、日々トラック等である場所に集合して、そうして工場に通うという形をとっているものもございます。また、そこまでいかなくても、かなりの距離の通勤をしておるというようなものもございます。また、山林労務者のように毎年毎年同じ労務場にかなり長年月にわたって行っている場合もありますし、それから毎年毎年つとめ先が違う場合もありますし、いろいろな形態になっておりますので、どのような形態のものについて、どのような点に着目して分離課税なり、あるいは場合によると所得控除制度、一部の特別所得控除制度を設けるべきかというようなことを論議いたします際に、非常に恐縮でありますが私ども不勉強かもわかりませんが、あまりにも出かせぎの形態というものが多種多岐にわたっておりますので、その辺に、どの部分に着目し、どこまでを限界としてそういう制度を設けるべきかということになりますとむずかしいわけでございます。確かに、おっしゃいますように、実はかなり不公平になっておる点もあると思いますし、それから市町村の中では逆に、ただいま出かせぎの立場に立って御質問がございましたけれども、出かせぎがある人とない人と比べますと、ある人のほうがやはりどうしても所得が多いということから、反対側の立場から、出かせぎ所得については現状以上に把握すべきだという論議から、市町村その他にもお願いをして骨を折っていただいているわけでありまして、その辺につきましてそっちのサイドからいきますと、特別な所得控除をするなり分離課税なりをすることによって税の軽減をはかるべしという意見に反対の意見も出てくるわけでございまして、率直に申しまして私どもも、しばしばそのお話は伺いながら、まだ、どう処理すべきか、まず第一に特例を設けるべきか設けざるべきか、設けるとすればどのような形態によるべきか、またそれはどの程度であるべきか、なかなか標準的な意見を見出し得ない、こういうことであるわけであります。
○阿部(昭)分科員 結局、主税局長、やはり大蔵省が熱意がないことだと思うんです。非常にいやな言い方をいたしますると、出かせぎ常習地帯、青森、秋田、山形、岩手あるいは新潟、それから会津地方、ずっとございますね。この地帯の中における出かせぎという問題の占めておる社会的なウエートは非常に大きくなってきておるのであります。黒金先生なども私どもも同じですが、選挙のときにとにかく人がおらぬのです。たいへんな苦労をしておる。この中で、大蔵省がいまのように熱心にならない態度でずっと遷延しておりますと、これはやはりある意味では政治不信、特に与党自民党に対する非常な批判のほこ先がいっておることも事実なんです。私はこの際もっと、技術的に方法はあると思うんです。どういう方法があるかとなればぼくらもいろいろな提案をしたいのですが、いままでは、とにかく大蔵省――私はこの問題を去年も取り上げました。ときどき直税部長の周辺などにも出かけてまいりまして私の提案なども言っておるのですが、技術的に困難です、多岐多様にわたっておるものでありますから……。多岐多様にわたっておるのは何も出かせぎだけじゃなくて、あらゆるものがいま多様化社会なんですね。ここに一定の基準で一定の解決策を出すことはそんなにむずかしい問題じゃないと思う。たとえば出かせぎ所得、一つには分離課税というのはそんなにむずかしい問題じゃないと思うのです。いま一つは、出かせぎ所得の一定のパーセントは非課税にするというような方法だって、そんなにむずかしい問題じゃないと思うのです。とにかくいま、私どものほうの地域でこうずうっと見ておりますと、職安の窓口を通らない。大体職安の窓口を通るのは、あんまりいい職場が来ないのです。おれのほうは絶対そういう方々に来てもらうだけの自信のある待遇ができるというところは、職安などを通して長い手数をかけるよりも、やはりちゃんと求人側が端的に乗り込んできて、私のほうはかようかような条件です、いかがでしょうかなんていうことでどんどん来て、どんどん募集をしていくというやり方をとっていますね。こういう状況の中で、いま主税局長も、いみじくも不勉強かもしれませんがと言いましたけれども、不勉強だと私は思うのです。これの解明をしっかりとやらないと、まだここ五年、十年間はそう簡単に農村の季節出かせぎ労働というものはなくはならない。一気になくなったのでは、これはさっきも申し上げましたようにたいへんな状況が起こるのです。それは農村の側だけじゃなくて、受け入れ側のほうに大きな恐慌状態が起こるのですよ。
 これは余談ですけれども、大蔵省の所管じゃありませんが、たとえばいま土建の現場などを見ますと、元請がおって、これは大体大手。それから下請がおって、孫請がおって、ひこ請なんていうのがいるのです。大体、季節出かせぎで来てまいりました皆さんは、三段階目の孫請かひこ請あたりに労働契約を結ぶ、こういう状況がある。元請は何をやっておるかというと、下請さんのピンはねをやっているだけです。二番目の請負は、三番目の請負をまた何%かはねてそのまま渡している。そこで実際その仕事をやっておる三段階目ぐらいの、重層請負の下のほうになりますと、たいへんなんですよ。そこでしょうがないから、賃金不払いといったような事件が頻発をしておって、労働省の労働基準局が四苦八苦しておるという状況が起こっておる。そうして、その労働力が確保されなければ、どんなに仕事を受注いたしましてもそれを消化していくことができないという、そういう関係になっておるのです。
 そういう面から見ますと、これはいま不勉強なと主税局長さんおっしゃるように、快刀乱麻を断つように、よしそれじゃ、こうこう、こうしようという答弁はちょっとここでむずかしいようでありますけれども、これはどうでしょうか。来年の、少なくとも四十八年分所得の申告の時期までに、これに一定の方向を出すということはいかがでしょうか。方法については私どもも多くの提案をあらためてまたいたしたいと思うのです。その点はいかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 まず、何か対策をとるということについてでございますけれども、何としても、同じことを繰り返しますが、どのような形態に分かれておるか、それがどの程度のところのどういう部分に着目して特別措置的な扱いがなされるべきかという点をきめていただくことが問題だと思っております。
○阿部(昭)分科員 そこで大臣、私基本的に、出かせぎ所得というものを一般労働者の給与所得と同じように扱うということは、いま申し上げましたようなことだけじゃなしに、まだまだたくさんの事例を私はあげられるのでありますが、不合理だと思います。不合理であるという意味では、大臣いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 私も、一番最初にお答えいたしましたように、個々の事例も若干知っておるのであります。それで、先ほどお話が出ましたように、三千八百円というようなところに一つのあれを置いたことなども、やはり一種の特別措置ともいえるかもしれません。何かひとつ、私も考えさせていただきたいと思います。確かに、阿部さんのおっしゃるような実情、そしてこれはまだ遺憾ながらと申しましょうか、数年あるいは十年くらい続くことであろうと思います。
 それから一つは、不公正ということもあるし、阿部さんの御主張、私は非常に理解できるのは、税を取るなということじゃなくて、適正なものは取ってしかるべきであるが、もう少し地元のほうとの総合的な立場を考えろ、それから市町村の立場も考えてやらなければならない、そして不公正が起こってはいけない。非常に事理を分けた話だと思いますから、事務的にはなかなか、技術的に要するに個々の状況を完全に掌握してやっていくということになりますと、率直に言って、会社の場合などと違って非常に件数としては多くなるし、場合によっては家庭の事情などの中にまで突っ込んでまいりませんと実情がよく掌握できない、そういうところに税務行政上の難点があったように私は思いますが、せっかくの御熱心な御意見でもございますし、私もひとつとくと考えさしていただきたいと思います。期限を区切っていつまでにどうということまではいまとっさにお約束できませんけれども、ひとつ前向きに検討させていただきたいと思います。
○阿部(昭)分科員 そこで、時間が経過いたしましたから一言だけ。二、三日前も賃金不払い事件があって、ずいぶんたくさんの皆さんが私のところに相談に来られました。来ましたのを見ると、山形県、宮城県それから岩手県、この三県の皆さんが同じ土建現場で、同じ飯場で働いておる。その中でいろいろな議論が起こるのですけれども、ぜひひとつ、期限を区切ってではと言うのですが、いずれにせよこの一年間の間に一つのめどを出すような努力、これはしてもらわなければいかぬと思うのです。そうでないと、一番弱るのは市町村当局ですよ。三千八百円以上のものは法律的には有無を言わさずにいける。それ以下のものはなかなか市町村当局といえども一々出かせぎ現場まで全部係員を派遣して、どういう所得の状況になっておるか調査するということは不可能だ。そうするとたいへんなんです。したがって、みんなが正直に生きるようにしなければいけない。そのためにはやはり分離課税なり一定の控除なりという、技術的には若干の繁雑な点もあるでしょうが、ここに一定のメスを入れてすかっとやらないと、そうかといって徴税事務にものすごい手数をかけて、経費がかかるようなこと、これでもいかぬわけだし、その辺もやはり解明して、そう時間を区切っては困ると言われてもあれなんですが、まず一年の間があるというくらいの間に、やはり不勉強かもしれませんがなどと言わぬでもいいような、かようかようなことでこういたします、こういうことになりますというようなことくらいは、次の機会に出せるようにひとつ御配慮いただきたいと思いますが、これはいかがでしょう。
○愛知国務大臣 いま申しましたように、前向きに誠意をもって勉強させていただきたいと思います。同時に建設的な御意見をいろいろとまた御教示にあずかりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部(昭)分科員 わかりました。以上で終わります。
○黒金主査 次に、三谷秀治君。
○三谷分科員 大阪の千里丘陵の万博のあと地の管理の問題についてお尋ねしたいと思います。
 この万博のあと地は一体として保有して、緑に包まれた文化公園として整備して、万博の成功を記念することになっております。このあと地は、大阪府民はもとより国民のいこいの場所として管理されなければなりませんが、そのために万博の余剰金百九十五億円、この運用益十一億円と、膨大な施設が万博協会に委託されております。この万博の用地買収に大阪府が出しました金は二百二十五億円でありますし、国も二百五十四億円を出しております。また昨年度の予算では、設備整備費を大阪府が五億三千万円、国が五億円支出をしております。本年度は万博記念整備費として六億円が計上されております。
 ところが、この万博あと地の一部にエキスポランドという遊戯場がある。この遊戯場の運営につきましていろいろな問題が出ております。この監督権限は大蔵省にあるわけでありまして、大阪府もこの事態にたいへん頭を痛めて腐心をしております。
 そこで、この万博のあと地のエキスポランドの運営についてお尋ねしたいと思いますが、これはいまどのようになっておりますか、簡単に御説明をいただきたいと思います。
○小幡政府委員 万国博覧会のあと地の問題でございますが、現在日本万国博覧会記念協会が一体として管理運営するということになっているわけでございます。このうちの御指摘のエキスポランド地区でございますが、これが二十一ヘクタールございます。これにつきましては、実は万国博覧会の終了後に学識経験者の方の御意見を徴しまして、暫定的に万国博覧会当時の遊園地を継続する、そういうことで、去る四十七年の三月十五日にこのエキスポランドを再開したわけでございますが、再開にあたりまして、何と申しましても遊園地の経営と申しますのは豊富な経験と技術を必要とするものでございまして、協会がその職員をもって直接に運営することは非常に困難である。現に会期中におきましても、京阪神急行電鉄株式会社に全面的に業務を委託して運営さした経緯もございますし、やはり遊園地経営の経験豊富な管理組織を必要とする、こういうことで、再開にあたりましていろいろと協会のほうで関係者と協議いたしまして、一たんはたとえば京阪神急行電鉄に対しましてこれを引き受けてくれぬかということを言ったわけでございますが、京阪神急行電鉄のほうは宝塚ファミリーランドと競合するという問題もありますし、遊園地経営といいますのは、電鉄収入等がなければなかなか単独では採算が困難である、こういう理由をもちましてその運営を引き受けることを断わった、こういういきさつがございます。したがいまして、協会としまして、この京阪神急行電鉄をその一員に加えるとともに、技術的指導、経営ということに対しましてやはり協力体制がほしいということで、会期中に設置しました遊戯機器の所有者等を傘下に入れまして、新しく株式会社エキスポランドというものを設立いたしまして、これに一括しまして経営を委託する、管理運営を委託する、こういうことにしたわけでございます。
○三谷分科員 この管理委託を受けました株式会社エキスポランドというのは、この遊園地の遊戯場の管理を目的にしてできたわけでありますが、この山田三郎という社長はどういう経験者なんですか。遊戯場の経験者なんですか、あるいは食堂や売店の経験者なんですか。それともう一つは、この契約内容は妥当なものですか。土地を提供し、機材を提供する、そして売り上げ金の九五%はすべてその会社に交付をする、そういう内容になっておりますけれども、そういう不当な契約内容について妥当だとお考えですか。
○小幡政府委員 株式会社エキスポランドの社長の山田三郎という方は、泉陽興業という株式会社の社長でありまして、同時に全日本遊園地施設組合理事長ということになっております。
 それからもう一つは、エキスポランドの管理運営の業務委託でございますが、去る四十七年の四月一日に万国博覧会記念協会と株式会社エキスポランドとの間に「エキスポランド管理運営業務委託契約書」というのが取りかわされておりますが、これにつきましては、もちろん大蔵省といたしましても業界を指導いたしまして、この内容について遺憾なきを期したわけでございます。
 御指摘の委託業務の問題でございますが、これはこの契約書の第六条に、甲、すなわち協会は、乙、株式会社エキスポランドに対しまして「委託業務の実施に関する委託料を支払うこととし、その額、支払い時期および方法等については、別に定めるものとする。」となっておりまして、これを受けまして覚書がかわされております。協会が株式会社エキスポランドに支払う「委託料は、エキスポランドの管理運営のために必要とする経費とし、その額は、収入金等に対する九五%をもって算定するものとする。」となっているわけでございますが、この九五%につきましては、何ぶん最初の経験でございますので、類似の遊園地の業務実績等を見まして、収入に対しまする必要経費というものをかりに算定いたしまして、九五%と一応したわけでございますが、私どもは、この九五%につきましていろいろ問題がございますので、ただし書きをつけてもらいまして「ただし、必要が生じたときは、甲乙協議のうえ修正するものとする。」というものを、この覚書に入れております。
 この結果どうなったかといいますと、九五%を算定いたしましたときは、一応入園人員を年間百四十万人と推定いたしまして、それに基づいて定めたわけでございますが、その後実績は大幅にふえまして、この四十八年一月末で二百十万人をこえる、こういうような情勢になっております。したがいまして、二月は休園でございますけれども、あと三月、一カ月ございますので、おそらく年間予定百四十万に対しまして二百三十万人はこえるんではないか、こういうことになると思われるわけでございまして、こうなりますと、九五%をこのままにするということはやはりおかしいのではないか。それで、ただし書きを適用いたしまして、適正な率に直すように至急検討したい、こういうふうに考えておりますので、この覚書及びその元になります契約書においても規制ができるのではないか、こういうふうに考えております。
○三谷分科員 「必要が生じたときは、甲乙協議のうえ修正する」ということになっておりますけれども、その「必要」とは何かということなんですね。これは双方がそれを認めなくてはならぬわけですけれども、一方におきましては別の規定もあるわけです。「剰余金が生じた場合には、甲の承認を受けて適正配当率の範囲内で配当金を株主に配当し、その余りは、施設充実積立金として社内留保し、」と、こういう規定があるわけです。ですから、これはいまおっしゃいました説明も一つの根拠になりますけれども、同時に、いまのような規定もあるわけなのです。そうしますと、一体実際においてはどうされるのか、お尋ねしたいと思う。
 それから、山田三郎という人がいまおっしゃいました遊戯機器業界における組織の代表者になっておられるということは確かにそのとおりでありますけれども、この人の本来の仕事というのは遊戯機器の生産なんでしょう、生産者なんでしょう。たまたま万博の遊戯場に自家生産の遊戯機器を出して、そしてそこを阪急に委託経営をさしたというだけのことなんです。この山田さんという人は本来は自民党の代議士の秘書をしておった人なんです。その人の政治的な後継者と見られておる人なんです。あなたがおっしゃいますようないわゆる熟達をした経験者という性質のものではありませんし、元来こういうものを随意契約できめること自体に問題があるわけなのです。当然これはそういう資格のありそうな人を選別して入札すべき性質のものなんです。それを随意で契約しているという点はどこにあるのか、これをお尋ねしたいと思う。
 それから、いまおっしゃいますように入園者数を非常に過小に、百四十万人と見積もっておったのですね。百四十万人で契約をしましたけれども、百四十万で見ますと荒収入が九億三千八百万円ぐらいになるわけだ。ところが、このエキスポランドは従業員百七十五人であって、一人出たりの人件費を年百万円と計算をしましても、二億円あればやっていける会社なんです。それに九億以上の荒収入を見込む、百四十万の入場者の算定をして、それを基礎にされてきたのはどういう根拠によるものか、これをお尋ねしたいと思う。
 それから、いま言われたように入場者が非常にふえております。もうすでに十二月末で二百万人をこしましたから、おそらく最初の見積もりからしますと倍に近い、半年分の入場者が最初の一年間の入場者推定にひとしいわけでありますから、これはなお多分に入場者は増加をするということでありますけれども、これをそのまま会社の利益にしますならば、さらに五、六億増収になってくるわけでありますが、ここの問題というのは、非常に大阪でも問題になっておりますのは、やり方が非常に政治的なといいますか、損をする心配がないのです。土地は提供をするのでしょう、機材も提供をするのでしょう、そうして入場料金のうち九五%はその会社に支給するというのです。五%だけ万博協会に入ってくる。そのうち四・五%が機材の償却費だというのです。だから万博協会に入ってくるのは〇・五%にすぎないわけなのです。そういうばかげた契約をどうしてお結びになったのか、これをお尋ねしたいと思う。
○小幡政府委員 第一点の委託料が九五%と一応なっているが、必要が生じたときは修正すると、その内容の御質問でございますけれども、これにつきましては、現在協会におきましてこのエキスポランド関係の収入と支出をすべて洗っておりまして、巌正な査定をいたしまして、このエキスポランドの管理運営に真に必要となる経費は幾らかということをきめまして、それによりまして率を改定するということで、相手方の株式会社エキスポランドも了解しているようなわけでございまして、何べん初年度でございますので、九五%という数字は、これは協会のほうも株式会社エキスポランドのほうもこだわっているわけではございません。必要が生じますれば、それは修正するということでございます。
○三谷分科員 あなたの説明と大阪府の説明は違っているのです。大阪府のほうでは大阪府の意見、初めから九五%の委託料は会社の利潤が大き過ぎるという意見を出して、この委託に対しては大阪府は反対しているわけなんです。それを大蔵省などがおきめになったわけですけれども、初めからそういう見積もりは立っているわけなんです。そうしてこの九五%の委託料というものを幾らにするかという問題につきましては、これは当然契約上の問題としては会社との間にいろいろな問題が起きてくるという性質のものです。ですからあなたがおっしゃいますように、簡単にそれがそのようにいくかどうか、ここに一つ問題があります。
 それからもう一つは、この委託料が不当であるだけでなしに、たとえば食堂や売店、これも委託しているわけなんです。この食堂、売店というのは、万博の敷地内における一般の売店、食堂についてはすべて入札競売をやっている。それによりますと、坪当たり五百五十万から百八十万円くらいで落札しているわけです。ところがここのエキスポランド内の食堂、売店はすべて無償で経営を委託した、こうなっているわけなんですね。ところがその委託されました売店、食堂というのは下請さしてはならない、再委託しますと利権が生じてきますので、それはしてはならないという契約になっている。ところが実際にはこれは再委託をやっている。これについてはどのようにお考えでしょうか。
○小幡政府委員 御指摘のエキスポランド内にあります食堂、売店の経営の問題でありますが、現在食堂が五店、売店が八店ございますが、すべて直営で行なっております。ただ御指摘のように、そのうちの食堂の二店、それから売店の六店につきましては、直営でございますけれども、こういう遊園地の慣習と申しますか、業界ではそれを遊園地直営方式と称しているそうでございますけれども、仕入れ業者から応援店員の派遣を求めて運営している。なぜこういうことをやるかと私どもも追及したわけでございますが、これにつきましては、まあこれは業界の慣習として、こういう遊園地におきましては非常に季節の繁閑がある、人の入るときもあれば全然入らぬときもある、そういうことでございまして、あくまでも直営でありますけれども、販売商品の仕入れ業者からの応援店員を派遣してやる。そのかわり直営ということで、売り上げの管理といいますものは全部直営であります。株式会社エキスポランドが管理しまして、伝票その他全部チェックしております。したがって、店員の応援ということでございまして、決してこれは第三者に委託しているというものではございません。
○三谷分科員 それは初めからそういう見解ですか。
○小幡政府委員 これは私ども業界といろいろ話しまして、大蔵省も実はこういった点につきましてはしろうとでございますので、いろいろ意見をかわした結果、遊園地というものはどこでもこういうことをやっておりますものですから、規制を厳正にするかわりに、まあこういうことはやむを得ないのではないかという結論に達したわけでございます。
○三谷分科員 いまのあなたのお答えの中には間違いがあります。会社はそう言っているわけです。エキスポランドはそう言っている。しかし実際は、この売店、食堂からは一二%の歩合を取っているわけです。いまなおそうやっているわけだ。そしておたくのほうからされました照会、近畿財務局長岩瀬義郎君から近財秘七十九号をもって照会されました文書には会社はそう答えている。実態はそうじゃない。実態は一二%の売り上げ歩合を取っているわけだ。そのために中の商品はたいへん高い。ミカンの五個入りが、列車で買ったら百円だけれども、ここでは百五十円している。コカコーラが五十円なのに六十円もしている。なぜそんなに高いかといったら、歩合を払っておりますからやむを得ません、こう言っている。
 もう一つは、この再委託している業者から権利金を取っているでしょう。宣伝タイアップ費といっているけれども、一千四百万円の権利金を取っている。しかもその権利金はこの委託契約の中の収入に入っていないわけです。ですから、昨年十二月までにエキスポランドから万博協会に払い込みました払い込み金額の中にもこれは入っていない。この点についてはどうお考えなんですか。
○小幡政府委員 宣伝タイアップといたしましてそういった料金を取っているということは、調査しました結果出てまいりました。これにつきましては財務局からも、これは協会の収入に入れ、委託料は委託料として払うようにという指導をいたしまして、協会のほうも相手方に話しまして、現在業務仕様書を訂正いたしまして、そういった宣伝タイアップ収入をすべて一たん協会のほうに入れるようにということでこれは解決しております。
○三谷分科員 それはいっそのような決定になったのですか。それからこの宣伝タイアップの契約というのは三年、五年の契約になっているわけです。協会とエキスポランドの契約というのは一年契約になっている。だから権利のない時期においてまで契約を結んでいる。宣伝タイアップ費と称する権利金を取っているわけなんですけれども、これは一体どうなんですか。
○小幡政府委員 この業務仕様書の変更でございますが、四十七年の十月二十日に変更いたしまして、従来協会に入る収入の対象としまして「宣伝タイアップ収入を除くすべての収入」とありましたのを「その他エキスポランド管理運営業務に関して生ずるすべての収入」といたしましたので、宣伝タイアップ収入も全部協会に入る収入になったわけでございます。
 それからもう一つ御指摘の期間でございますが、これはいろいろございますが、いま調査してみましたら、三年というものもございます。私どもとしましては、こういう長期間のやつは好ましくないということで、一今後厳正に指導したいと思っておりますけれども、これはすでに一部そういうことをしておりますので、いまの段階ではいかんともしがたい。これはこの次には厳正に指導したいと思います。
○三谷分科員 いかんともしがたいじゃ済まぬじゃないですか。万博協会とかエキスポランドの契約は一年契約になっている。三月十五日で契約が切れるはずです。ところがこのエキスポランドは、雪印乳業だとか森永乳業などと三年契約を結んでいる。麒麟麦酒などは五年契約を結んでおるではないですか。そうしますと、権限のない時期における契約まで結んでしまっている。結んだものだから、しかたがないから、エキスポランドに今後さらに五年間にわたりまして自動的に契約の延長をする、そういうことなんですか。
 それから、エキスポランドが万博協会に納めました納付金は十二月三十一日現在で十三億になっておりますけれども、いまの宣伝タイアップの費用はどこに入っているわけですか。その他の収入というのは三千万円にすぎないわけです。
○小幡政府委員 第一のタイアップの期間の問題でございますが、これはいわゆる権利金ではございません。協会と会社との間では委託契約を一年ごとに更新するということになっておりますので、協会との関係はそういうことでやるわけでございます。ただ、この三年というようなものにつきましては、私どもとしましてはできるだけ指導によりまして何とか解決したいと考えております。これは、会社とそういうタイアップの相手方の会社との関係で、これも実態を見まして、世間の批判を受けないように、直すものなら直す必要があるのじゃないかと考えておりますので、その辺は、私どものほうに指導をおまかせ願いたいと思います。
○三谷分科員 直すことができれば直すというのはどういう意味なんですか。無権の契約を結んでいる、それをどうするかという問題なんです。
 それで、権利金じゃないとおっしゃっておりますけれども、これは実質上の権利金なんです。大阪府もそういう見解をとっているのです。宣伝タイアップといっておりますけれども、何を宣伝しているのですか。この写真が全部ありますけれども、どこにどういう宣伝をやっているわけですか。一つだけ出ているだけなんですよ。
○小幡政府委員 これにつきましては、株式会社エキスポランドとそういうタイアップの相手方の会社との間に念書がございます。こういったものは「商品等の売上、仕入取引の権利金又は保証金でなく、完全なる宣伝費として甲」−甲というのは株式会社エキスポランドでございますが、「甲から乙に返還を要しないものであることを、甲乙双方確認するものとする。」こういう念書が入ってございます。
○三谷分科員 いま念書とか何とかおっしゃっておりますけれども、一千万円、二千万円の金を出すのに、いまおっしゃいますように、どうでも解釈ができる、どうでもなるというようなばかげた金の出し方をする者がどこにおりますか。それはごまかしにすぎません。明らかに契約は、麒麟麦酒が五年であとは全部三年になっておる。三年間ここの売店を使うということになっておるわけです。つまり再委託しているわけです。それであなたは、さっき、再委託ではない、百貨店と同じように派遣店員が来てやっているんだとおっしゃっておりますけれども、実際調べてみますと、一二%の歩合金を取っている。そこら辺の報告だけ聞いておらずに、少し行って調べてみなさい。そういう状態になっておるわけです。
 もともとここの管理については公共性が抜けてしまっているのです。たとえば、入園料二百円取るでしょう。入園料なんか何で取るのですか。土地はただではないですか。何のメリットもありやしない。そこに入って遊戯機器を使ったときに初めて料金を払う、それでいいわけなんです。ところが実際は、ここに入るのに入園料二百円取って、そして機器を使えば、全部乗っかれば千五百円から要るわけです。どこに公益性がありますか。これだったらファミリーランドと一緒ではないですか。国や府が土地を提供している限りは、その土地に入るぐらいのことは無償でいいわけです。ところが二百円取るというんです。それじゃ一般の会社と少しも違わないじゃないですか。ここらは一体どこで公益性が生かされていますか。宝塚のファミリーランドも二百円だ。あやめ池というのが奈良にあるけれども百円だ。東京の豊島園は二百五十円なんです。どこに公益性が生かされているのですか。
○小幡政府委員 入園料につきましては、これはこの公園の整備といいますか、やはりこれから緑に包まれた文化的公園といったようなものの維持管理、これを推進していかなければいかぬということで、やはりある程度の入園料は徴収していいのではないか。しかしその料金につきましては、近隣の遊園地よりも高くならないよういろいろ調査しまして、つとめて低額に押えるようにしたつもりでございます。
○三谷分科員 時間が来たそうですから、一つ一つ具体の質問ができませんけれども「これは入園料などは無料にすべきだ。そして遊戯機器を使った場合に、これは償却費が要りますから幾らか料金を取るという制度にして、国や府が金を出してつくったものであるというたてまえを生かすことが必要じゃないですか。それからもう一つは、株式会社にこれを委託するということ自体がおかしいわけなんです。利潤を追求する会社にこれを委託して公益性を保障しようとしても、これはむずかしいわけだ。そこに一つ問題がある。そうしていまおっしゃいました、そもそも委託契約を受けた人は、国会議員の秘書をしていた人なんです。政治的な背景がここにははっきりあるわけだ。ですから、地元の新聞を見ると相澤局長の名前が出ておるし、私が聞いたのでも、山田という人と相澤という人が同伴で飲んでおったという話を聞いております。だから、大阪府がどんなにやかましく言っても、国のほうが一向にけつを上げないという。そして不当な状態がずっと続いてきておる。
 あなたの答えを聞いておりますと、エキスポランドが出した答弁書をそのまま読んでおるわけだ。去年の六月に答えてきた答弁書、それを繰り返し読んでいる。実際はそうなっていないと言っているのだ。中では品物が高い。しかもそれは歩合制に原因がある。膨大な権利金をとっている。千二百万円で契約しておるけれども、入ったのが千四百万円だ。しかもそれは、あなたの説明では十月の二十日に改定したと言っているけれども、十二月末で万博協会に入ってきたエキスポランドからの納入金の中には、そんなものは入っていない。それはどこに入ったのです。
○小幡政府委員 いまの納入金の話につきましては、調査しましたら、十二月までには入っておりませんが、聞いてみますといま入れるように手続しているそうでございますので、もう少しお待ちいただきたいと思います。
○三谷分科員 それはどろなわ式ですよ。これが問題になるというふうなことになってくると、うろたえてそういうびほう策を講ずるわけだ。問題にならなければそのまま済ましてしまう、そういう態度が一貫しております。
 そこで、もう時間ですから繰り返して言いませんけれども、これは全面的に検討してもらう必要がある。おまけに権利のない契約などを結ぶような業者に委託することは好ましくない。これから検討する必要があると思う。
 もう一つは、公共性をどこで生かすかという問題だ。特に入園料などは無料にしてもらいたい。それくらいのことはしてもいいでしょう。遊戯機器を使えば、それはそのつど代金を払っていくわけだ。償却の要らない入園料ぐらいは無償にすること、これはどうです、大臣。
○愛知国務大臣 三谷さんからいろいろ具体的な御質疑を私も伺っておりまして、私としてはこういう対処をいたしたいと思います。
 まず、実態をひとつ責任をもって明らかにするように、調査を早急にいたしたいと思います。そしてこの地区は、政府のそもそもの態度としては、長期的には青少年や児童のための公共的なレクリエーションセンターとして漸次つくり上げていきたいということがそもそもの趣旨であったように私も承知いたしておりますから、そういう線を踏まえながら、ただいま具体的にいろいろこまかく御指摘のありました点は、政府としても実態を調査して、そういう基本線に沿うように対処策を早急に検討いたしたいと思います。
○三谷分科員 終わります。
○黒金主査 次は、岡本富夫君。
○岡本分科員 私はおとといの予算委員会に引き続きまして、若干詰めておきたいと思いますが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害防止法の中に移転補償という項目があります。御承知のように、昭和四十二年、三年ごろは、大阪国際空港が二百五十機ぐらい。それでも非常にやかましかった。それがB滑走路ができましてからどんどんふえてきまして、現在では四百六十機毎日飛んでおります。ひどいときには一分三十五秒に一機、それもジェット機が半分以上です。そういうような状態で、この周辺の十一市の住民の皆さんはこの飛行機の騒音に耐えかねるというわけで、私も公害の委員会でたびたび発言をいたしまして、少なくとも離陸直下あるいは騒音の非常に激しいところに対しては移転を行なう、何といってもこういった内陸空港でありますから、これはおとといも話をしましたように、小山前環境庁長官あるいはまた佐々木前運輸大臣も、こういう内陸にあるところの空港はもう欠陥空港だというようなことを、現地に視察に来てつぶさに被害を見て言ったわけでありますけれども、しかしいますぐ廃止するわけにはいかないと思います。そこで、新しい空港をつくるにいたしましても、この大阪国際空港の姿を見れば、だれでもみんなそんなひどいのはうちのほうはいやだといって、どこにもつくれなくなると思うのですね。したがって、やはりまずここの対策がなければならない。また同時に、これから新しくつくるといたしましても、十年あるいは十五年とかかるわけでありますから、まずその対策について、この間大蔵大臣からは非常に前向きに取り組んでいこうという姿勢の答弁があって、私も了としました。また住民の皆さんも非常に喜んでおります。
 そこできょうは、まず一番問題になっておりますのは、離着陸直下の一番激しいところ、移転したい、もう子供はノイローゼになるし、病人は押し入れの中に入って寝るというようなことで、何とかしなければならぬと思います。
 そこで移転補償という制度がありますが、おとといも私数字を申し上げたわけでありますけれども、四十五年に二億八千七百万、四十六年には七億三千万、四十七年には二十三億七千万、こういうような予算がつけられましたけれども、結局そのうちで執行されたのは十億三千万、したがって二十三億で、三分の一しか消化されてないという原因がこの移転補償制度にあるわけであります。たとえば四十七年の十月に、移転をどうしようもなくなってしまったこの井上さんという方の移転補償を見ますと、これは土地面積が二十九・三坪、その坪単価が十一万五千円、この住宅の坪数が二二・〇六坪、この住宅の坪当たり単価が十三万三千円、そういたしまして総計が査定が五百七十八万九千三百八十円、これに対して市も入って盛んに交渉いたしましてやっと六百三十一万一千三百八十円になったわけでありますが、この土地の坪単価十一万五千円、こういうように坪単価が安いのは航空騒音のために安くなっておるわけでありまして、大体五〇%低いわけです。したがって、そこをのいてどこかに行って、そこの土地を買ってそして移転しようとすると、とてもこれでは行けない、ですからしんぼうしておる、だから移転補償の予算をつけていただいてもどうしようもない、こういうようになっておりますので、この点についてひとつ英断をもって実態に即した――市民大会がたびたびございまして、航空局の方あるいはまた市長さんや私ども引っぱり出されて、日曜日にやるわけですが、大体十一時、十二時ごろまでほんとうにお気の毒だ。しかし航空局のほうで補償しようとしても、大蔵省のこの基準があるものですからどうしようもない、こういうわけでほんとうにこれはお気の毒なんです。同時にまた住民の皆さんは、もうしんぼうできないというわけで、このままいきますとたいへんなことになるんじゃないか、私はいつもそう思うわけです。これに対するところの検討を前向きにひとつ、実態に即した移転補償ができるように大蔵省のほうから答弁をいただきたい。
○長岡政府委員 移転補償に伴います土地の買収価格の問題につきまして、岡本委員は大蔵省がなかなか言うことを聞かぬというふうな御意見でございましたけれども、先生御承知のように昭和三十七年の閣議決定によります公共用地の取得に伴う損失補償基準というのがございまして、公共事業関係を実施しております各省がすべて補償の適正化、公平化を期するという観点から、この基準によって補償価格をきめておるわけでございます。それによりますと、土地の買収価格につきましては土地の正常な取引価格を基準といたしまして、その価格を形成する上で影響がありと思われるいろいろの要素を加味しまして総合的に算定をするという仕組みになっております。
 それで航空騒音のために正常な取引価格がそこに生まれてないんだ、非常に低い価格になっているんだというお説でございます。ただそれは算定する場合に一体どの程度影響があるものなのか、またどの程度低くなっているという判定をすべきなのか、実際問題といたしまして、土地の価格という具体的な金額に反映させるためには把握がきわめて困難でございます。また一方、空港周辺であればすべて土地の価格が下がるというばかりでもございませんで、御承知のように空港の周辺にはアクセス道路その他交通施設が相当整備されますので、そういうような意味で空港の存在が周辺の地価の形成に不利な影響を与えるとばかりも言い切れない面があるわけでございます。以上のような点を総合して考えますと、移転補償に伴います土地の買収価格のきめ方といたしましては、従来どおり正常な取引価格を基準に決定するという方式しかないのではないか、かように考えております。
○岡本分科員 あなたそれでは不認識です。私は現地に住んでおりますから。しかも西ドイツの空港周辺の航空騒音防止法によっても、やはりそういった騒音によって価格が低下したのは補償するというような例が出ているわけですよ。いま航空局のほうで、補償課のほうでやっておりますのは、評価鑑定ですか、そこの土地の評価を鑑定してもらうわけですね、あっちこっちの不動産会社、いろいろなところから。それをもとにしている。ということは、そこは飛行機の騒音のために安いのです。騒音のないところにいけばもう大体五〇%アップです。ちょっといいところだともう大体二十万円しますからね。道路ができてあるいはよくなったから――とてもそうじゃないのです。あなたがいまおっしゃったのは、それは一般論をおっしゃった。私は毎日毎日ここにおりますからここを移りたいのだけれども、こう言っても高くて借金でどうにもならない。ですからこの点を、これは航空局の補償課の方だったら一番よく知っている。向こうに補償課長さん一人おりまして、それはどうにもならないというのです。だから一般論から一つ越えなければいかぬと私は思うのです。都市計画とかそういういろいろなことを市でやるときには、ちゃんと移る先を用意するとか換地を用意するとかして丁寧にやっていますね。だから非常にスムーズにいきますけれども、これは決して移りたくない、先祖伝来からいますから。航空機の騒音のためにこうなっているわけです。私はPPPの原則、要するに加害者負担の原則からいえば、航空会社から取っていいのです。国鉄なんかは駅を国鉄でつくっているわけです。航空会社だけは空港を国につくってもらっているわけでしょう。ですから、ここのところは実際の現地に合った算定方法を航空局のほうから――航空局のほうもそんなむちゃくちゃはしません。市もかんでおりますから。ですからこれはいまの局長さんの一片の、要するに一般の考え方ではならないと私は思うのですが、大臣の政治的な配慮をいただきたい。
○愛知国務大臣 運輸省、具体的には航空局でございますけれども、十分相談をいたしましてやってまいりたいと思います。要するにいま説明がありましたのは、事務的に申しますと騒音なかりせばどれくらいの価格であったはずだというそこの差を判定することがなかなか困難であるということを申し上げたわけでありますが、実情になるべく沿うように航空局とも十分相談をいたしたいと思います。
○岡本分科員 航空局の飛行場部長さん来ておりますね。あなたも補償課のほうから、現地から相当その声があってやかましく言われていると思うのです。私は公害・環境保全特別委員会で実はこの問題を取り上げて検討してもらいたいということを航空局それから大蔵省にも要望したことがありますが、あなたに実情をわかっているだけ……。これ相談してそうしてあとできめますなんて言われたら、いつまでたっても進まないですよ。もう現地の人は待っているわけですから、市も中に入って困っているわけですよ。
○隅説明員 確かに先生のお説のとおりで、移転補償がなかなか進まないのはいろいろな理由があると存じますけれども、やはり一番の問題は代替地が非常に高くて買えないというところにあるように考えられます。このために四十八年度の予算におきまして、ただいま御審議をいただいておりますが、航空機騒音の場合に、できるだけ安く代替地をつくってそこにお移りいただけるというような施策を考えております。これは大阪空港周辺整備機構でお願いをするわけでございますけれども、上地自体の価格というのはいろいろむずかしい問題がございまして、現地の大阪航空局の補償課長もそれを毎日のように住民の方とは交渉いたしておるという事実は十分承知をいたしております。こういう点でいろいろの総合的な施策を用いまして、できるだけスムーズにこの移転をできるようにお願いしたいというふうに考えております。
○岡本分科員 あなたのおっしゃっているのは今度の法改正の上での話でありましょうが、実はこの移転先のあっせん、こういうものも市がやはり空港対策室というのをつくりまして、そして現実に住民の皆さんと話し合って、とんでもないことをやっていないのです。ですから十一万五千ですか、これを五十万のところに移さす。そんなことは市が中に入っておりますから、もう五〇%アップあれば市としてもあっせんして皆さんの苦しみを抜くことができるのだというのが偽わらざる皆さん方の私に対する要望なんです。現実に私も会ってそういう訴えを聞きまして、私は現実を調べた上でいま要求しておるわけでありますから、この点はひとつ大蔵省のいろいろな問題があろうと思いますが、ぜひ善処していただきたい。これはよろしく要望しますが、もう一ぺん……。
○愛知国務大臣 できるだけ御要望に沿うように努力をいたします。
○岡本分科員 次は、これもおとといの委員会でちょっと話をしましたが、このときの大蔵大臣の答弁がどうも私が要求したのと違った。それは移転しましたときに居住用財産の課税でありますが、この譲渡所得の課税の繰り延べの特例ですか、これは大蔵大臣あのときに、租税特別措置法の三十三条を適用されたと思うのです。いまは六百万だが今度は一千万になるのだというお話であったと思うのですが、この中には、移転したいという方の中には農家の方もいらっしゃるし、とても一千万までだけではどうも移れない。もう先祖伝来おりますからね。そこで私は、少なくとも居住用財産については、租税特別措置法の三十四条、買いかえ資産を全部認めるということにしなければ、航空機の騒音のために追い出されて、そして税金で取られてしまって借金ができるというのじゃ、これはもう話にならないと私は思うのですね。ですからこの三十四条の適用をしてあげなければならないと私は思うのですが、この点についていかがですか。
○高木(文)政府委員 いろいろな形で財産を売らざるを得ないということになりました場合の税の制度としては、御指摘のように特別控除のほかに買いかえ制度というものが一部あるわけでございます。買いかえ制度と特別控除とをどのように組み合わせるかということについては、従来から税の制度の上におきましていろいろ変わってまいりました。現在御指摘のように買いかえ制度は、お尋ねのような場合には適用にならないことになっております。
 それにはいろいろ事情があって、制度が変わってきたわけでございますが、現在では居住用の資産を売って別のところへ移るという場合には一千万円の特別控除の制度、今度お願いしております租税特別措置法の改正では、これが千七百万円になることになっておりますが、千七百万円の特別控除と、それから別途、農地等生産手段の売却を余儀なくされた場合には、従来の制度でありますと六百万円、いまお願いしております改正案では一千万円までの控除が認められることになっております。
 それで特別控除ではうまくいかない、事業用の買いかえという概念で買いかえの場合に、つまり一種の圧縮記帳ということを考えたらどうだという御指摘だと思いますが、その点については収用制度その他につきまして、従来から買いかえで処理をすべきか、特別控除で処理をすべきかということは、いろいろ議論があるところでございます。確かに買いかえ制度でないとうまくいかないという場合もあり得るとは思いますが、今回の改正の段階におきましても、その点も含めて検討をいたしたわけでございますけれども、まあいろいろな事態に対して、どの程度の特別措置をつくるべきかというときに、特別控除制度のほうは一種の定額控除でございますので、比較的バランスがとれた措置がとれるわけでございますが、買いかえ制度になりますと、買いかえ資産の大きさに応じて、非常にこの特別恩典の幅が変わってまいりますということもありまして、まあ検討の結果では、ただいま御指摘のような問題はありますけれども、なおそれを承知の上で特別控除のほうを拡大するということで、買いかえ制度については改めないということで、現在御審議をお願いしているということになっているわけでございます。
 それで、一つ一つの個別の案件ごとにむしろ、買いかえ制度でないとうまく動かないという場合もあり得るとは思いますが、私どもそういう事案に、しばしば具体案についてぶつかりまして、これはなかなか特別控除制度だけではうまくいかないなということを感じる場合もございますけれども、しかし買いかえ制度の場合には、その資産の大きさによりまして、あまりにも個別に差が大きく出過ぎるというような事情があるものでございますから、現在のところは、残念ながら買いかえ制度をとるということはいかがかということで特別控除の拡充、特に居住用資産とたなおろし資産との重複特別控除制度ということを考えまして、それによって処理をしてはいかがかというふうに考えておるわけでございます。
○岡本分科員 大臣、いまのようなただ事務的な、まあ局長さんも答えたように、確かにそうしなければならぬのもある、しかし現在のところはと、これでは結局飛行機の騒音によって、これもある程度公共性があるというわけで出ていくわけでしょう。ですから、今度移ったときに、自分で買いかえをして、市のあっせんなんかでしてもらって移って、税金で召し上げてしまうのだったら移れないですよ。ですからいま私、おそらく、今度の改正案で騒音コンターというのをつくって、そしてその中の整備機構、第三セクターですか、これでやろうとしていますけれども、こういうような手厚いほんとうの実態に即した税制でなければ、結局ほうり出されて借金ができちゃう、こういうことでまた大騒動になると思うのです。国のいろいろな仕組みを調べますと、必ずどこかでひっかかって動かなくなっているんですね。ですから、この点もひとつ大蔵大臣、いかがですか。局長さんの言うようなそんな答弁じゃ話にならない。
○愛知国務大臣 この件については政府の中でも、政治的な立場も含めてずいぶん検討いたしまして、遺憾ながら、先般もお答えいたしましたように、また、いま主税局長から御説明いたしましたような結論を政府としてはとっているわけでございまして、まげて御理解をいただきたいところでございます。
○岡本分科員 それでは大臣、いま政府が考えておる公共用飛行場の法改正によってこれをやろうとしても、できませんよ。同時にまた、現在の移転補償、せっかく予算をつけてもらっておりますけれども、これもできませんよ。確かに大臣、自分の身になってみてください。好んで行くんじゃないのです。近所の人から何からばらばらになってしまう場合もあるし、あるいはまた、どこかに土地を市があっせんして行く場合もあるでしょう。しかしそこで買いかえした分が税金に取られてしまうということになったら、これはほんとうに過酷じゃないでしょうかね。ですからこれはもう一ぺん再検討を、これは決して、各個人個人のことでありますけれども、必ず市役所の皆さんが入っておりまして、そしてあっせんしたりしておりますから、そんなべらぼうなことにならないと私は思うのです。ですから買いかえ資産に対してはこれは特別に考慮してあげる必要があろう。そうでなければならないはずです。私はそう思うのです。大臣、再検討を。残念ながらなんて言わぬで。
○愛知国務大臣 この前も申し上げましたように、他の同種のと言うとまた御意見がいろいろあるかと思いますけれども、たとえば古都保存法の場合などとも比較してみまして、そちらのほうとの関係などからも、今度控除限度を引き上げて千万円ということにするわけでございますが、なかなかこれ以上、収用権で強制的にやるという場合とも多少違います関係もございますので、税制の上としては、まことにこれは御意見もわからぬではないのでありますけれども、曲げにくいところがあることをひとつ御理解いただきたいと思うのであります。
○高木(文)政府委員 ちょっと補足して説明さしていただきます。
 従来は旧法によりまして、居住資産についての千万円控除の制度、たなおろし資産についての六百万円の控除の制度が重複適用にはなっていなかったわけでございます。確かに航空機騒音の問題は非常に大きな社会的問題でございますし、夜も寝られないというようなことがあるわけでございますので、何とかしなければならぬということで、この点についてはかなり重点を置いて検討をいたしたつもりでございます。
 その場合に、いろいろの方がありまして、そこに住んでおられて、なおかつ仕事をしていらっしゃる方、そこにただ住んでいる、居宅を持っている方、それからもう一つは、そこに住んではいないが、そこで仕事をしている方、こう三種類に分かれるわけですが、航空機騒音の最大の問題は、やはりそこに居宅を持つと、年寄りの方あるいは幼少の人によくないということがありますので、居宅の移転ということにどうしても最大の重点があるであろう、そういう意味で、この二つの特別控除の重複適用ということをまず取り上げたわけでございます。
 買いかえ制度につきましては現在でも確かにあるわけでございますけれども、これはどうしてもたなおろし資産なりその他、資産が大きい場合ほどメリットが大きくなる、こういう関係にありまして、その地域に大、中、小の工場がいろいろあるとしますと、圧縮記帳の規定では、大きいほうの資産、企業ほどメリットが大きくなる、こういう関係にあります。そういう関係上、この際としては特別控除の拡大のほうがより適切であろうという判断がされたわけであります。
○岡本分科員 時間がないのですが、あなた、工場とか企業とかそんなことを言っていますけれども、私の言っているのは、要するに住居ですよ。藤本登さんというのが、やっぱりもう住めないというので、四十七年の五月に移転したわけですが、この方など、坪単価が十二万八千九百円です。これが大かた二十万近いところに移っているわけです。しかも建物も十三万三千円の坪単価しか見ていない。十三万三千円で住居が建ちますか。これは移転補償の問題でありますが、この方の総計が二千六百五十万四千七百十円。この二千六百万円で移転補償をしようとしましても、これに税金がかけられたのでは、買うときにはどうしても自分の持ち金を出さなければならぬ、それでさらに税金を払わなければならぬ、こういうことであります。局長さんは企業だとか工場だとか言っているけれども、企業や工場であればしんぼうしておりますよ。私は、住宅で毎日毎日しんぼうできないということを言っているのです。
 それから先払いですね。これは閣議了解でありますが、先にお金を出してあげないと、土地を買えないから移れないのですね。
 もう一点、これはアパートなんで借家権を持っておるのですね。家主さんがこれを移転補償の対象にしようとすると、中におる借家人さんに一軒も残らず出てもらわないと、移転補償の対象にならないのですよ。三十軒も四十軒もあって、一軒も残らずというわけにいかないですね。行く先もやはり調べなければならぬ。家主さんが、一つ一つみな出して、そこを全部きれいにしなければお金が入ってこない。だから出せない。このように移転についてはいろいろ隘路があるわけです。ですから、私、もう一ぺん大臣から、もう少し政治的な――官僚がつくったそんなのばかりでは話にならないと思うのですよ。ケース・バイ・ケースで取り組む、こういうようにあなたから答弁をいただきたいのですが、いかがですか。
○愛知国務大臣 先ほどもちょっと申しましたように、これが法律上の収用ということになると、よほど扱いが楽になるわけなんです。ところが、この航空機騒音の場合は収用ではないというのが法律論でございますので、そのワクの中で考えてぎりぎりのところがいまのような考え方になる。そして、いま、たとえば二千六百五十万円という具体的なお話がございましたが、これは、今回の場合は千七百万円の控除になるわけでございます。ですから、従来から見ますとよほどの負担の軽減ではあります。千七百万円引いて、それに税率がかかるわけです。一五%の税率ですから、税額としても、二百四十万であるべかりしところが百五十万円程度になる、こういうかっこうになりますので、具体的な例で申しますれば、住宅の場合、かなりな税負担の軽減になると考えております。
○岡本分科員 大臣、本人は出たくないのですよ。
○愛知国務大臣 それはよくわかります。
○岡本分科員 ちょうど収用と同じなんですよ。そうして、今度移るところに金を出さなければ、移転補償費だけの金額では居住ができないのです。その上に税金をかけるとはもってのほかではありませんか。それじゃ飛行場周辺におる人たちは浮かばれませんよ。だから、法律的にいろいろなことがあると思いますけれども、あなたも一ぺん現場を調査して、そして確実に、皆さん方はどこがお困りか、どうしたら皆さん方はここからのがれることができるのか、飛行機の離着陸のうるさいところは、もうどうにもならないのですよ。強制収用よりまだ悪いですよ。強制収用だったら、まだがばっと取れますよ。ですから私は言っておるわけです。あなた、一ぺん調査においでください、案内しますから。そして検討していただきたい。いかがですか。
○愛知国務大臣 できるだけそういうふうにいたしたいと思います。
○黒金主査 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
    午後零時五十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十三分開議
○黒金主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。塚本三郎君。
○塚本分科員 大蔵大臣にお尋ねいたします。私は主として税の方面からお聞きしてみたいと思います。夫の所得に対する妻の財産上の法的権利についてただしてみたいと思います。
 夫婦の場合、主人が働いていただいてきたその月給あるいはまた給与というものに対して、妻はおそらく共同で働いたという意味で半分だけはその財産上に権利が認められてしかるべきだと思います。これはもう戦後男女同権といわれて久しい今日、社会的にはほとんどそのようなことが社会常識としてうたわれております。しかしながら、その夫のかせいできたお金を妻が使うこと、それは日常生活で使うことは別に異論をはさむ余地がありませんけれども、しかしそれが妻の財産として持ったときに実は問題が起こってきておる。このことはきわめて不合理なように感じますが、大臣、いかがでしょうか。
○愛知国務大臣 ごもっともなお話でございますが、そこで税のほうの問題としてもいろいろ問題になるわけでございますけれども、いつもわれわれが考えますのは御承知のように民法上の問題です。わが国の民法としては、婚姻中に自分の名で得た財産はそれぞれの者の特有財産とするということで、夫婦別産制といわれているようでございますけれども、夫婦別産制をとっておりますので、夫の収入に基づく財産はすべて夫の特有財産ということで、これを妻の名義にすると贈与になるという法制というかたてまえをとっておりますので、これとあまりかけ離れたような税制をつくるということは民法のたてまえに対していかがであろうかというようなことで、御案内のように現在妻の優遇ということから、夫婦間の贈与については居住用の財産の場合には四百万円まで非課税にする。それから夫からの相続については三千万円までは非課税とするということをいっているにとどまっているわけでございますが、今度四百万円の居住用財産の非課税限度が、いま御審議を願っております改正案では六百万円に引き上げるということで、最近の、昨年でございますか相続税の三千万円と今度の居住用財産の贈与についての六百万円引き上げ、こういう点で一歩ずつ妻の優遇ということに近づけておるようなわけで、これ以上はなかなかこう、民法のたてまえからいって税法だけが進んでいいかどうかというところ
 に、率直に申しましてためらいを感じているような状況でございます。
○塚本分科員 特に給与所得者の場合には妻には一銭の所得にもならない、だからこそ税法上では扶養家族として減税の対象になっておる。明らかにそういう形が明確にとられておる。だから妻は所得なし。しかし夫が働く場合にはそのうちの五〇%、五〇%は行かなくても、現実に三〇%ないし四〇%、その職業によって違いますけれども、何がしかの妻の努力によって夫の所得がささえられておると社会常識では考えております。そのときに受け取った名義人以外には妻には所得がないんだという、民法上からきておるこの法律が現状にそぐわないものだというふうにはお思いになりませんか。
○愛知国務大臣 その点は、ただいま申しましたように何とか税法上でもくふうをしたい、こういう考え方は持っておりますが、先ほど率直に申しましたように、ためらいを感じている、これが私どもの現在の気持ちでございます。
○塚本分科員 私がお聞きしておるのは、夫ひとり占めの所得というふうに規定づけられておるその民法の考え方が現状にそぐわないとはお思いになりませんか、そのことをお聞きしておるのです。
○愛知国務大臣 民法上の問題になりますと私見になりますのでなんでございますが、これも実は憲法二十四条でございますか、これとの関係などからいうと少し平仄が合わないなという感じはいたします。
○塚本分科員 したがって、民法における改正はそちらのほうへおまかせし、税法上なりとも現実に日々このことで財産が動いております、ですからその時点その時点に合うように加味せられることが大切だと思いますが、いかがでしょう。
○高木(文)政府委員 夫の取得するところの所得に関連して、妻の貢献といいますか、寄与度をどう見るかという問題が前提となっての議論でございますが、現在その点については、法務省にありますところの法制審議会、そこで、身分法小委員会というのができておりまして、夫婦のそういう財産についてどのように考えるべきか、先ほど大臣がちょっと触れました夫婦の特有財産制をどう考えるべきかということについて、各界の方が集まられてかなり慎重に御議論いただいておるところでございます。法制審議会というところは、どの分野におきましても非常に慎重審議されますので、いつこれが結論になるかということについて、私どもも早く結論を出していただきたい気持ちは持っておりますが、とにかくいまそこでこういう審議が進んでおります。まさにその問題とうらはらの税制の問題でございますので、私どもとしては慎重にその点の御審議を見守っているというのが現状でございます。私どももいまのままではぐあいが悪い点がいろいろあるということは承知をいたしております。
○塚本分科員 先ほど大臣から、居住用の財産が四百万円である、それが六百万円までは贈与とはみなさないというふうに改正案が出されておりますが、その居住用の財産というものを厳密に、それは現に居住の用に供しておるとか、建物が建ってきちっと住まっておるとか、その辺のところはもう少し詳しく御説明いただけませんか。
○高木(文)政府委員 現に住んでいなければならないというほど厳格には考えませんで、居住用財産であって贈与後住むというものも含むという程度の範囲でいま考えております。
○塚本分科員 その場合は夫婦が一緒に住まなければならないものですか。妻が個人で、やがて一人になったときのために住む土地として確保するということにはなりませんか。
○高木(文)政府委員 夫婦で一緒に住まなければならぬというわけではありませんが、贈与税でございますので、贈与を受けた人がそこに住むということが前提になります。
○塚本分科員 妻の所有でなければそんなものは何にもならないと思うのですよ。夫婦が一緒に住むのだったら、現にわれわれが住むのだったら何も妻の名義にしておかなくてもよろしい。それだけが贈与の例外として認められるということは、妻の名義にして持っておればよろしい、妻が居住の用に供する財産として所有しておれば差しつかえないというところまですかりといかなければ、妻に対して贈与からこれだけは考慮したとは言えないのではないでしょうか、どうでしょう。
○高木(文)政府委員 この制度は、夫婦間でどちらかに不幸があったときにあとで相続が起こりますが、相続のときに、普通の場合ですとそういう問題はないのでございますけれども、家庭の中に若干紛争があって、必ずしも相続開始後妻の地位が安定しないという場合があるので、生きている間、つまり死亡前に妻にある程度の財産を贈与したいということであれば、それは認めてもいいのではないかというところからスタートをいたしまして、その場合にいかなる財産についてもそれを認めるということについてはいろいろ問題がございますというところから、とりあえず、夫がなくなったあとで妻が住む家もどうも相続できない、他のほうに行ってしまう危険があるというような場合に、夫がぜひ妻に、妻の住む程度のものだけは妻の手に確実に入るようにしておきたいということでどうだろうかということで居住用ということに限定したわけでございます。これをさらに拡大して、居住用に限らず、すべての財産にまで及ぼしてはどうかという御議論もいろいろあるわけでございますが、贈与税というのは本来相続税の補完税でございますので、これを広く拡大いたしますと、いわば相続税の一種の回避が起こるというところから、第一段階として居住用財産に限定をして、かつ金額を限定してこういう制度を設けたという趣旨でございます。
○塚本分科員 私の質問をよく聞いておってちょうだい。何もすべての財産と言っておるわけではない。居住の用に供するためには土地か建物ですね。だから、土地なり建物は、それが将来妻に与えられるべきものだとするならば、夫婦が一緒に住まっておらなくたって、妻の名義の家、妻の名義の土地については居住の用に供するという意味において四百万円、将来六百万円までいわゆる贈与税の対象とみなさないというふうにしなければ、いまの、居住用の問題だけは一歩前進さしたのですという大臣の答弁にはならぬと思うのです。二人が住まうのだったら何も妻の名義にしておかなくてもいい。いまあなたのおっしゃったように、将来紛争が起こることも予想されるので、妻に対して名義をきちっと与えておくという意味において居住用ということになれば、土地あるいは建物ということさえ限定すれば、そのほかのことは、いつ建てようといつどうしようとそれは差しつかえないということで、脱法にもなりませんし、無制限な拡大にもなりません。もちろん妻がほかにあちらにもこちらにも土地を持っておれば別ですけれども、たった一つの名義ならそれでいいのではありませんか。
○高木(文)政府委員 そこは制度の組み方の問題でございますが、もともと妻が住むに家なしということでは困るということから居住用ということが出てきたわけでございます。したがって、居住用としてそれが使われるというのが何らかの形で担保されるということに限界を引いたわけであります。そこで、土地であってもいいわけでありますが、それは妻名義の土地であれば何でもいいということになりますと、そこに妻が住むかどうかは全くわからぬ。妻名義の土地であれば、その土地の所在地なり形状なりそういうものはどういうものでもいいというわけにもいかない。そういうところから、現に住んでおるかあるいは贈与を受けた後住むかどっちかというあたりに線を引いたわけでございまして、その線をはずして、土地であれば、あるいは建物であれば、それで妻名義であれば一つだけはよろしいということになりますと、今度は妻名義であればほかの財産でもいいのではないかというところとまた線が引きにくくなるというようなところで、その線の引き方は非常に議論があったわけでありますが、いまのところはそこに居住用という事実に結びつけるということで制限をしているわけでございます。
○塚本分科員 それではもう少し詰めてみましょう。その住むのは、名義にしてから何年後までの間ということは、おおよそ見当をつけて、そのように線を引いておるわけですか。
○高木(文)政府委員 相続税法の二十一条の五で、贈与によって当該取得したその日の属する年の翌年三月十五日、これは確定申告という日を頭に置いておりますが、「翌年三月十五日までに当該居住用不動産をその者の居住の用に供し、かつ、その後引き続き居住の用に供する見込みである場合」というふうにいっておりますのは、私が申しました趣旨で、居住がそういう形で担保されておる場合というふうに現行制度ではいたしておるわけでございます。
○塚本分科員 それでは何にもならぬ。離婚か相続以外には何の役にも立たないということじゃありませんか。一年以内に住まなければならないということは、結局のところ離婚か相続でなければ――夫婦であれば何も妻の名前にする必要もないし、そんなことは必要がないということになって、これは何も男女同権のいわゆる御意思に基づいての法的処置ではないと思いますが、大臣、いかがでしょう。
○高木(文)政府委員 ちょっと技術的に申します。
 それは、現実に居住の用に属するものについてだけこの贈与税の特例を設けるということのよしあしは別といたしまして、ただいま、何にもならぬのじゃないかとおっしゃいましたけれども、現実にはやはりこの規定を適用しておられる方がおられます。それはどういう事情によるものかわかりませんが、主として妻に安心をしてもらうという趣旨であろうかと思われます。必ずしも、おっしゃるように何にもならないということにはなっていないと存じております。
○愛知国務大臣 そこが私、率直に、先ほども申しましたようにもっとクリアカットにきちっとしたいところもございますけれども、ためらいを感じている。そこで何の足しにもならぬじゃないかという御意見も出てくると私は思うのですが、まあこれでも、妻に対する安心を持たせるということにおいては、私は一歩前進しているんじゃないか。現にこの規定は、いまも答弁がございましたように、ある程度利用されている。したがって、そういう現状からいって、四百万円を六百万円にこの際引き上げたほうがよろしいということにも決心したようなわけでございますから、ある程度の意味は認めていただいていいんじゃないかと私は思います。
    〔黒金主査退席、木野主査代理着席〕
○塚本分科員 この法律を脱税的な行為に使おうとすれば、それは確かに、妻の名義にしておいてうちを建てて、そして夫婦がそこに住まって、そうしてあとから、それは別の行動をとるということをやれば別ですけれども、正常の夫婦関係においてわざわざ妻の名前にするなんということの効果は見出せないのではないか。私が申し上げたかったのは、給与などは、明確にその所得が明らかになっております。しかも、それが妻の協力によって得られておる所得であるということでしたならば、妻に対してそれだけの財産をいわゆる持たせるということが、男女同権、平等からいって当然ではないか。それがなければ、かけ声だけで、日本の国は政治的にいっていまだ後進国として扱われておるというふうにいわれてもしかたがないと思うのです。
 これは私が今度経験をいたしましたから、そのことを痛切に感じて申し上げたわけです。これは全く私の今度の経験でございますけれども、昨年私は――いまアパート住まいで、二DKに住まっております。五人家族が住まっております。将来を考えております。で、近くに土地がありました。六百万円ほどで土地を買ったんです。まずは私の家内の名義にしてあげようということで、家内の名義にしたわけでございます。これは私曲身の気持ちからいたしまして、家内が結婚するときに当時約二百万円の株券を、嫁入りしてあとから親からもらってきました。そのときに税金を払っておったかどうかは私は聞いておりません。十五年昔のことでございます。しかし私は、次の選挙で落選をしてしまいました。生活に窮してその株券を売却をして、私の夫婦の生活に充てて今日になりました。幸い最近三回連続当選しておりまして、生活にも事欠かなくなりました。そこで、妻からもらったその二百万円のお返しの意味でこの際、十五年昔の二百万円といえばもう六百万円ぐらいで、ちょうどいいぐらいの金だと私は判断をしまして、六百五十万円ほどの土地を買って、妻の名義として、これで返してやったからなと、私は妻にそのことを念を押しておきました。そうしたら、実は申告の調査の書類が参りまして、一体――私の妻です――その金はどこにあったかと、こういうことになったわけでございます。そうすると私は、国会議員の歳費として、大臣御承知のとおり年間六、七百万円の歳費をいただいております。この数年間の歳費だけでも三、四千万円になろうかと思っております。したがって、この所得の中で、妻の働いた努力というものも、返したということは別にして、これは妻の名義としてやっておかしくないのじゃないか。妻のたんす預金だとかいってみたって、どこにその金がありましたということから、税務署はこまかく申告をするということになっております。はたと困ってしまいまして、実は国税庁の課長にいろいろと聞いてみましたら、先生、それはだめですよ、どうしてもだめです、とこういう回答をいただいたわけです。だから私は全くこれは困ってしまって、そんなばかなことがあるであろうか。これはおそらく私だけじゃないと思うのです。だから少なくとも、返した返さぬという問題は別にいたしましても、妻の立場からするならば、その夫の所得に対して二〇%や三〇%ぐらいの所得が妻に認められてしかるべきではないか、こう考えるならば、ある程度このことを妻の所有分としていくことが贈与になるというふうには、私は考えることが間違いじゃないかというふうに思ったので、この点をただしてみたかったわけであります。これは大臣、いかがでしょうか。
○高木(文)政府委員 ちょっと、大臣のお答えの前に申し上げておきたいことがございますが、ただいまのは、まさに世の中の各方面においてある現象でございまして、私どももそれとの関連で、現在の贈与税をどう考えるべきかということで、しばしばいろいろ御意見を寄せられておるわけでございます。
 いまサラリーマンのことを例に出されましたが、農業のような場合で、つまり年寄りの方がおられて、その方の名前で農地が現在あって、そしてその方の名前で経営がされた形式で所得税等が毎年納められておるけれども、そのむすこさんが実は主体となって働いており、そのむすこさんのお嫁さんがまたいるというような場合に、だんだん苦労されて農地を買い増ししたというような場合に、現実にはしかし、しばしばお年寄りのその経営者の名前で土地を買われているというのが実態でございまして、そういうものについてまで、あとで相続税、贈与税などを取るのはおかしいではないか。父と子と妻との財産所得なり財産形式においての寄与度に応じて相続税、贈与税を処理すべきではないかというような御意見が寄せられましたり、中小企業その他についても、財産形成の寄与度というものを何らかの形で贈与税、相続税の中に織り込まねばまずいという御意見は、各方面からいろいろの形態の場合について寄せられております。それを、大臣が当初述べましたように身分法との関係を全く切り離して税だけでどこまで処理し得るかという点がむずかしいわけでございます。
  一つの考え方としては、身分法とは全く関係なく、何らかの方法で、一種の何らかの証明が成り立てば、税のほうだけ別にやってはどうかという御意見もないわけではないのでありますが、身分法を離れて税だけで処理をいたすということになりますと、世の中の経済取引等、たとえば負債があった場合にどうするかというような問題等、どうも考えてみますといろいろ問題がありまして、現在のところは、私どもは、身分法のほうがどういうふうに進歩、発展していくか、それを心待ちにと申しますか、待っておるという状況でございます。
 確かに、おっしゃるような問題はいろいろな場合に起こってきておるのでございますが、それを税法だけで乗り越えにくいというふうに考えております。
○愛知国務大臣 塚本さんのお話、この問題を御提起になりましたことが、なるほどよくわかりました、そういう気持ちでございます。その御経験からいって、なるほど、私も伺っておって、ああ、そういうことだなと、これは全くいまの税法ではどうにもならないかもしれません。いま主税局長が申しましたが、私もほんとうに身分法との関係さえ何とか説明がつけば、税法上くふうがあると思います。特にいまのような切実なというか、御経験を通してのごもっともなお話を伺うと、なるほどそうだなという感じがしみじみといたしたわけでございます。私の気持ちをすなおに申し上げて、これはひとつ大いに勉強しなければなるまい、こういう感じがいたしましたことを申し述べておきます。
○塚本分科員 大臣も代議士をしておいでになりまするので、ぴんとこられると思いますが、私は選挙区では新幹線代議士とあだ名をせられておるぐらい、名古屋と東京とをひんぱんに通勤をいたしております。それでなければ選挙区民の政治に対する希望、あるいはまた不満等も消化するわけにまいりません。そして、名古屋へ帰りますと、私は国会対策の副委員長でございますから、国会対策の司会をする責任者でございます。九時十分に国会対策委員会が始まります。そういたしますと、名古屋を一番の六時二十分の新幹線こだまで乗ってこなければ、九時には東京駅に着きません。したがって、六時二十分の新幹線に乗るためには、わが家を五時半か五時四十分に出なければなりません。一切の交通機関はありません。したがって、私は家内と一緒に起きて、そうして私が運転をして名古屋駅まで行きます。私がおりて家内がその車を運転してわが家に帰っていきます。毎日これをしているわけではございませんけれども、しかし、夜、選挙区において会合やあるいはまたいろいろな用件がありまして帰りますと、あくる日はこのようなことをいたしております。まさに朝四時半か五時に起きて、私を送り出してくれるこの妻の立場というものが、私の所得に対してはたいへんな貢献をしておると見なければなりません。きょうは土曜日でございますけれども、普通ならばもはや中部地方から大阪近辺までの東海道ベルト地帯に住む代議士さんは土曜日には大部分帰って、選挙区に対していろいろと、あえて選挙活動とは言いませんけれども、住民と行政とをつなぐいわゆる政治家としての最も大切な仕事に飛び回っております。私がこうして議会で発言をしておりまするとき、私の留守を預かっておるのは妻でございます。こうなると全く代議士の立場からいいますると、私がいただく歳費の半分は妻の所得と見るべきではないか。しかし、これはひとり国会議員だけではないと思っております。にもかかわらず、所得のときにはこれは扶養家族として所得ゼロで、扶養家族の控除の対象にさせられておりまするから、いかなる理由をつけても所得とはみなされません。これは何としてでも妻の立場というものを税法上から見て不合理だといわなければなりません。したがって、おそらくこういう立場におる人、会社でも少し中堅クラスになりますると、たとえば大臣の管轄下におられるところの人たちでも、名古屋のいわゆる管轄における局長さんたちでも、あるいは各省における局長さんたち、私が東海あるいは中部、名古屋等の各省庁の局長さんたちに当たってみると、ほとんど妻は東京に置いておるということで、そして向こうで一人暮らしでございます。だから、その留守を預かって、そして行き来をしておりまするとき、まさにその現地におもむくときの妻の支度の努力はたいへんだと思っております。こう考えてくると、やはりサラリーマンといわず役員といわず、所得に対する、いわゆる財産に対する妻の持ち分というものは、私は五分五分とは言わないけれども、少なくとも三〇%くらいの財産の所有を認め、所得の持ち分として認めることを、税法上ですなおにおとりになって処置をなさることが大切だと思いますが、いかがでしょう。
○愛知国務大臣 まことにもっともだと思います。そして一番いいのは、民法上もそうだと思いますけれども、夫婦の財産、まあ夫の財産と言ってもよろしゅうございますが、これは夫婦の共有ということにすれば、一番割り切った考え方にいけるのではないかと思います。そうすれば税法上の取り扱いももう抜本的に夫婦同等ということに相なろうと思います。ですからできればそういう方向に身分法全体も考えが進むように、またその間においても税法上でさらに一段とくふうができますかどうか、これはひとつ大いにお互いに考えていきたいと思います。
○塚本分科員 共有という形でもけっこうですが、その場合たとえば土地登記の場合共有ということになりますと、持ち分をどれだけと、それを書かなければいわゆる半分、半分とみなして、半分に対する課税の対象にいまはさせられております。だから大臣おっしゃったように民法上は共有という形をきちっとうたうことによって、税法上はその半分については妻のいわゆる所得とみなして、その点はいわゆる贈与の対象にならないとかいうふうなことを具体的に考えていただけばありがたいと思います。この点はおそらく私だけではなくして、多くの先輩がこういうことを各歴代の大臣にお訴えになったことがしばしばあったのではないかと思います。したがって私がこのことを痛感した以上、庶民はもっともっと痛切にこのことを感じておりまするので、これからのそういうことに対する処置について大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
○愛知国務大臣 決意といたしましてそういう方向に前進するようにいたしたいと思います。
○塚本分科員 ぜひ御期待をいたしでおきます。
 次に私は、これは通告のときに申し上げておかなかったのですが、本会議でしばしば論ぜられておりました付加価値税についてお尋ねをしてみたいと思っております。かつて私は昨年の予算委員会の締めくくりの質問のときに水田大蔵大臣にお聞きをしたことがございます。そのとき水田大蔵大臣は、直税と間接税との税のバランスをとりたいと思います、したがってそのバランスをとることのために実はヨーロッパ諸国等を勉強しております、しかしこれは相当困難な問題が伴っておりまするから、各党が一致した合意と協力がなければ実施することはむずかしいと思っております、このように御答弁をいただいておりまするが、いまの大臣の見解はいかがでしょうか。
○愛知国務大臣 付加価値税については大体水田さんと同じような考え方を持っております。さらにつけ加えて申し上げますと、四十八年度の税制改正についてはいろいろ考えて、四十八年度の税制改正としてはいま御審議いただいておりますものが最も適当である、私はこう考えて御提案いたしておるわけでありますが、将来の問題としては直接税、間接税のあり方、具体的にいえばその比率ですね。それから一方においては簡単にいえば法人税と所得税のあり方、私は将来の方向としては法人税に重課して、特に勤労所得税の軽減ということをできるだけやりたい、こう考えておるわけでございます。一方だんだん財政需要も多くなってまいりますし、社会も多様化しておりますから、税源の観点などから考えるとやはり付加価値税というものも検討の対象になり得る問題であると私は思いますけれども、これはなかなかむずかしい問題でございますから、国会内はもちろんでございますけれども、多くの方々の理解と納得がないものを官僚的に提案すべきものではない、そういう意味で水田さんと同じような考え方を持っております。
○塚本分科員 これは業界にとってはきわめて重要な問題と見られております。特に付加価値税の対象となりますのは大企業ではなくして、いわゆる末端消費者に渡る直前の最終メーカーがその工場から出すときにかけられるというふうなことが日本のいまの税では行なわれております。そうなると、ほとんどこれがいわゆる中小企業者、雰細企業者が大部分でございます。そうでなくても、いまきわめて単純な所得税についてさえも実は相当の混乱が起こっておる。それを税務当局が苦労しつつそれを捕捉しておるというような、こういうふうないまだ税に対する認識と処置さえもこの零細企業の諸君は非常にふなれであります。そのときに付加価値税をさらに加えられたならば、実はこの税の捕捉はきわめて大きな混乱を予測しなければなりません。したがって、あらゆる業者の大会に各党の代表が出まするとき必ず、大臣の所属しておいでになる自民党の代表の方を含めて各党の代表がこの付加価値税に対しては反対であるという意思表示をなさっておいでになる。それほどまでにいわゆるこの中小企業者あるいは零細業者の立場から見ると実は迷惑な処置なんだというふうに見ておりまするので、そのことを十分腹に置いてこれに対する検討をしていただくことが大切だと思いますが、いかがでしょう。
○愛知国務大臣 私も一人の代議士としてしばしばそういう機会に遭遇いたしておりまして、特に中小零細の業界の方々が付加価値税というものに対して非常な特殊の感情を持っておられる、このことは私はよく承知いたしております。
○高木(文)政府委員 一書だけ、御理解いただきたいのですが、日本の場合にはかつて取引高税というものがありまして、これがたいへんこまかい企業にまで及びました関係で、付加価値税と取引高税が似たような税ではないかということで中小企業者に御心配をかけているわけですが、ヨーロッパ等の実情を調べてみますと、付加価値税の問題はやはりヨーロッパ等においても中小企業についてどう扱うべきかということを十分に検討の上行なわれているわけでありまして、ヨーロッパ等の例を見ましても中小企業については過重、税の意味だけでなしに手間その他の過重にならないようにかなり各国の制度とも考慮されております。私ども事務的にいま検討中でございますが、その際の検討の焦点としても、そのような点は最も重要なこととしていま考えて研究をいたしておるところでございます。
○塚本分科員 お役人さんのところにはあまり直接に業者の声が行きにくいのは日本の国民の姿でございます。したがいまして、われわれ政治を直接担当する代議士にはなまの声が聞こえてきておりまするので、その点お役人さんの感触は現実の業者の声はやわらげられて当たっておるというふうにひとつお考えいただきまして、慎重に取り扱っていただきたい。
 実は、これはもう言い古されておりますように所得税、法人税は累進になっておりまするから、これはきわめて平等という意味からいって、各国ともいわゆる配分的平等がなされておりますが、付加価値税になりますとどうしても悪平等になっていく危険性があります。いや生活に必要なものはかけないよとおっしゃっても、やはりそういうわけにはまいらなくなってくる。他との比較においてという形になってまいりますから悪平等になってまいります。そしてかけられると、どうしてもそれは今度は消費者のもとにかからなければ、業界自身がそれを背負っていかなければならぬ形になっております。現に物品税のごときは、いわゆる業界がそれをかぶらされるというような形にもうつまるところなってしまっておる。だからどうしても物品税の対象にならないほうにほとんどいわゆる逃げていかざるを得ないという傾向にあること、これも御承知だと思っております。それが消費者にかかってくれば、残念ながら日本の流通の構造からして物価高を招くというふうな形にまた直撃的にそれが行ってしまいます。したがってこの付加価値税というものは、これは中小企業者、零細企業者にとっては、もういまの業界の税に対する認識と取り組み方の過程においてはきわめて迷惑な税金だということをあらためて申し上げておきます。
 そこで、私は今度の改正の中で、家具の問題だけをお聞きしたいと思います。たしか免税点四万円が今度の改正案で六万円ということになっておったと思いますが、間違いございませんか。
○高木(文)政府委員 そのとおりでございます。
○塚本分科員 これは六万円ということに値段をきめた根拠はどんなところでしょう。
○高木(文)政府委員 免税点については、先般全般的な手直しをいたしたわけでございますが、物品税の課税対象を品目別に見ますと、その引き上げ割合は変わっております。大体平均して二割五分から三割ぐらいの引き上げ率になっておりますが、家具の場合には、前回免税点が定められました四十一年のときと比べましてたいへん材料の値上がり率が高いということを織り込みまして、その意味でほかのものよりは高い引き上げ率ということで五割ということから、四万円から六万円ということにいたしたわけでございます。
○塚本分科員 主税局長、この家具というものに物品税をかけなければならなかったそもそもの根本的な考え方というのは、いかなるところにあるのでしょうか。
○高木(文)政府委員 いまの六万円という免税点でありますと、大体小売り価格にして十万円ぐらいのものになるわけでございます。物品税は何らかの意味においてその物品を購入される方に対して担税力があるのではないかということを推定する思想から出ておるわけでございます。家具にもいろいろなものがございますが、まあ十万円ということであれば、それを購入し得る方の担税能力ということからいいまして、これは他の物品との関係においても課税対象としても差しつかえないのではないかという考え方でございます。
○塚本分科員 そうすると、別に特別に意味なくして、いわゆる担税能力があるからかけたということですか。
○高木(文)政府委員 これはよく御存じのとおり、物品税は戦前から、戦費調達の一部ということでスタートしました。ある時期には非常に大きな範囲の、広い範囲に課税されておりました。そ後昭和二十四、五年から最近まで約二十年間、課税範囲を縮小する方向で来たわけでございます。その間におきまして、本来担税力ということだけいいますれば、なお物品税の負担を求めてもよろしい品物もあるわけでございますが、現実には繊維その他をはじめといたしまして、課税技術上捕捉困難ということで課税対象としていないものもございます。その意味におきまして、現在物品税は必ずしもその課税対象物品間の公平という意味において十全のものとは言いにくい。その点が現在の個別消費税である物品税の難点でございます。そういう難点を持ちながら、そして過去の歴史を追いながら現在の状態になっているわけでありまして、それぞれの物品については担税力を推定し得ると思いますが、物品税のかかっていない品物の中にもそういうものがあるけれども、技術的に不可能ということで課税対象としないものがかなりあるということでございます。
○塚本分科員 私がお聞きしたがったのは、こういうことなんです。物品税の中の家具につきまして、いま局長が申されたように、担税能力があるから、そしてほんとうは繊維にもかけたいんだけれども捕捉が不可能だから、不公平ではあるけれども現状はこうだ、このことは理解いたしましょう。ただ、この家具というのを、私はすべて物品税の対象からはずせとは言いませんけれども、若い諸君が結婚をするとき必ずその道具として手に入れる。これはもう最低一組、一そろいは入るわけなんです。着物、糸、繊維の部類は、まあたくさんたんすの中に入れる、あるいはからの人もあるでしょうが、これは捕捉困難ですけれども、同じ家具でも、若い諸君がとにかく生涯のためにということで、最近、生涯それがたえられるようなものを持ちたいということになりますると、六万円というような限界では、これは普通の場合の家具と違って、お嫁入りのときの家具ということになると、男の方も女の方も、生涯使い得るという形になりますると、こんな若い諸君が結婚を目ざして用意をするそのものにまで二割という物品税をかけるということはあまりにもかわいそうではないかという感じがいたしますので、家具にかけることはいいけれども、いわゆる結婚のときの婚礼一そろいに対しては税の対象にしないというふうなことは考えられませんか。
○高木(文)政府委員 物品税の免税点をきめます場合に、各方面の御意見を伺いますときに、ただいま御指摘のような観点が一つの目安になる場合も間々あるわけでございます。それで現在、家具は、大体課税対象になりますのは、たんすあるいはベッド等を含めまして、あるいはいすとかテーブルとかいうものを含めまして、大体総生産高に対して五%以内ぐらいのものになっております。まあ十万円のたんすという場合にどの程度のものと考えるか。それから結婚用のたんすについて、結婚用たんすにも非常に高いものから安いものまでございますが、そのうちのどの程度までにとどめればいまの御趣旨に合うかどうかということが一つ問題でございますが、一般的に品物でございますから、結婚用に多く買うからというだけの理由で、金額に関係なく免税点を置くというわけにはなかなかいかないのではないか。気持ちとしては、不十分かもしれませんが、最小限のものは、結婚のときに買われるもの、たんすは十万円にしておけばまずまずだいじょうぶという気持ちでございましたわけでございます。
○塚本分科員 局長、私は家具屋なんです。だから自分で家具を扱っておって痛切に感ずるから、このことを申し上げるのです。というのは、一生に一度、しかも若い諸君が、特にお嬢さんが働いて、もう最近働くのは何かといったら、お婿さんさがしとお嫁入りのときの道具を買うために働くんだ。どんないいところのお嬢さんでもみんな働いている。そして結婚までためた金で買うのですよ。そのときにとにかく物品税までその婚礼の道具に対してかけられておるというやり方はかわいそうではないか。おっしゃるとおり、それは全部にかかるわけではありません。しかし必ずかかっておるのが衣装だんすなんです。これはもう中が一番りっぱにできておるし、仕組みがきちっとなっておるから、これだけ二〇%、一番高いやつにだけ二〇%税金をかけられておるのです。私もときたまひまを見ては現場にかけつけるのでございますけれども、いまもデパートでやっておりますけれども、どんなものでも衣装だんすというのは小売り価格十万円以下というのはほとんどないのです。だからほとんどこれはもう税の対象としてかけられておるのです。だから、結婚のときの一そろいだけは、いわゆる結婚の証明なり婚姻届けがあったら、それだけは一組は除外するというような思いやりというものは考えられませんか。
○高木(文)政府委員 物品税の中でそういう趣旨に近いものとして用途免税という制度がございます。それで、ピアノ等につきましても音楽関係の学校に行っている学生さんが自分の勉強のためにピアノを買うというものについて、その学生さん一人について一台だけということで用途免税という制度がございます。したがって、いまのような御提案は制度的に全く考える余地がないかと、不可能かといわれれば、たとえばいまの用途免税の手法を使うとかいうようなこともあり得るわけでございますけれども、さてたとえば、結婚のときの品物としてどこからどこまでの品物についてそうするかというようなことになりますと、なかなか証明というのもうまくいかないのではないかと思われます。そこでいまの御指摘の点は、たとえば腕時計等につきましても、高等学校くらいの学生が入学したときにつける程度のものは免税点を置いたらどうかということで、今回も腕時計の免税点はかなり大幅に上げておりますが、今回の十万円というきめ方が問題があるということでありますれば、確かにそれは研究を要すると思いますけれども、やはり物品税の品物、品物にかかっているという関係から申しますと、免税点引き上げの運用によって処置する以外にはどうもうまくいかないのではないだろうか。学校から証明書をもらってくる程度のものであればいけないわけはないのでございますが、結婚というようなことになり、毎年非常に多数のあれでございますので、それを証明書制度で運用するということはちょっとむずかしいのではないかというように考えます。
○塚本分科員 時間が参りましたから、私、もうこれでやめたいと思いますが、局長、私がこういうことを言いますのは、あなたのほうがこれを悪用するんですよ。ということは、どういうことかといいますると、たとえば今度六万円になるといたしますね。そうすると、六万円の手前でその価格はやめておくわけです。そのかわり、こちらのどんがらの洋服だんす、こんなのは中はからですから、これは三万円でいいやつを四万円にしておくわけです。そして大体セットで買っていきますから、三万円でいいのを四万円、これを六万円以上になると物品税がかかるから、実際にこれは六万円にとどめておくという形に業者はやるのです。それで差しつかえないのですけれども、国税庁が調べに行きますと、いや、これは実際にはかかっておったはずだ。さて、われわれがデパートで定価をつけるときに、たとえば五万九千円、これ一本だけ出た。ああ損したな。実際それはかかっているけれども、安くするんだから、これだけ買われれば損したなということでしまいなんですよ、単品で現に出ているのですから。にもかかわらず、これに対して、これはいまの小売り価格と違ってきますけれども、向こうから入ってくるときにそういう計算で一品、一品をわれわれが仕入れてきて、こういうふうな形でほかにかけていくわけなんです。そうすると、税務当局が入ってきて、これは定価がついていても認めない、こうやって、そして一セット幾らだから、これが六割、これが三割、これが二割と、こういうふうにあなたのほうで案分比例の指導をして、そしてとにかくあなたのところの税の範囲内で出しておるのにかかわらず、これは脱税しておるといって、あとからごっそりと税金をかけてくる。何もいろいろ損をしてみたって売るのはかってじゃありませんかと言ってみたって、こちらが高くしているから実際これは脱税のためにやっておるんだと。ところが売り場に行けば、ちゃんとその範囲内で仕入れてその範囲内で値段をつけておったら、役人がそんなことを商人にくちばしをいれる必要ないということで、私は私の目をつけたのは改めさしたことがありまするけれども、現にいまなお国税庁の通達として、そういうやり方でまさに一切の定価のきめ方まで役人がきめてしまうという形になっていくわけです。だから私は、そういうことから付加価値税という税はきわめて問題の大きい、いわゆる税制だから、じょうずにやっていただかないと戦時中の統制経済のような形になってしまう。わずかの悪いやつのために善良な商人が荒されてしまうということがあるとともに、もう一つ私はそういう売り場に立っておって親御さん方がみんな来て、そして一本のたんすをきめるのにも、生涯をきめる結婚のためにというときに、その一つに対して物品税まで取り立てるというやり方はやはり気の毒じゃないか。もうここまで日本の経済が伸びて、税に対する対象がずいぶんとふえてきておるときに、物品税という戦争中の税でもってここまで押えなくてもいいではないか。したがって、暫定的な措置として、たとえば結婚証明があればその一品についてはいわゆる免除をするとかいう形が考えられないものかということで申し上げたわけです。意味はおわかりだと思いまするので、決意だけ承って私の質問を終わります。大臣いかがでしょう。
○愛知国務大臣 いろいろ具体的な御意見を承りましてたいへん参考になりました。決意といたしましてそういう点も十分今後の考えの対象にいたしたいと思います。
○高木(文)政府委員 いまの、結婚のときに特別に免税制度をもうけたらどうかという御意見は、私どもときどき各方面から伺っております。ただ、そのときにお話が出ますのは、入学のときそれから就職のとき、結婚のとき、なくなったときと、そういうようなときに特別に免除したらどうかというようなことがいろいろ出てまいります。そこで、その中でも結婚のときということは非常に問題になっていることはわかりますけれども、同時にまたいまのような御提案の方もございますので、大臣のおことばでございますから研究はいたしますけれども、かなりこれはむずかしいものだというように感じます。
○木野主査代理 次に、芳賀貢君。
○芳賀分科員 大蔵大臣にお尋ねしますが、まず第一点は、食糧管理特別会計の問題であります。
 大蔵大臣の予算説明によると、四十八年度の米の予約限度数量が事前割当で八戸十五万トン、そのうち買い入れ数量が五百八十万トン、残余の二百三十五万トンが自主流通米の見込み数量ということになっておるわけでありますが、特に本年度の生産者米価について、政府としてどういう方針であるか、明らかにしてもらいたい。
○愛知国務大臣 四十八年度の予算編成につきましては、四十八年産の生産者米価あるいは消費者米価については前年どおり一応いたしておりまして、具体的にいかにきめるかということは、これから御案内の米価審議会等の議を経て状況によって決定をするというふうにいたしておるわけでございまして、いま具体的にどうという案はまだ持っておりません。
○芳賀分科員 従来食管会計の編成にあたって買い入れ米価あるいは売り渡し米価については、従来一貫して前年度主義を採用しておるわけです。そのたてまえはそのとおりですが、毎年五月には米価審議会に諮問をして生産者米価を決定するわけですが、この今年の食管予算の説明を見ると、四十八年産の生産者米価については前年度の生産者価格の水準を維持するということが明らかに示されておるわけです。編成上の都合で前年度主義をとるということは前例があるが、本年の場合には特に生産者米価については前年の生産者米価水準をもってきめるということがわざわざ強調されておるわけですから、従来とは食管の予算編成方針がこの点で変わっておるわけです。あくまでも前年度水準でやるということであれば、当然食管法に照らしてその根拠というものがなければならぬわけですからして、この点をそういうおざなりの答弁でなくて、具体的根拠を、前年度水準にしなければならぬ、する根拠というものを明らかにしていただきたい。
○愛知国務大臣 四十八年度予算編成については、食管会計あるいは米の価格については四十七年度の編成のときと同じ態度をとっておるわけでございます。
○吉瀬政府委員 いま大臣から御答弁申し上げましたとおり、四十八年度の予算上の生産者米価につきましては、四十七年度予算編成のときと同じように前年度米価の水準、これを予算上の単価としておるわけでございます。
○芳賀分科員 それでは、決定にあたっては当然食管法第三条第二項の規定によって法が示したところの生産費所得補償方式できめる、こういうことですか。
○愛知国務大臣 これは先ほど申しましたように、まだ農林省当局からも協議がございませんし、いずれ農林省からも御相談があると思いますけれども、それから米価審議会の議を経て最終的な決定をしたい、そうして食管法に基づいてきめるわけでございますが、必ずしも生産費所得補償方式ということだけではございませんで、需給関係その他をよく検討して、まず農林省当局が考え方を固めながら相談があるものと心得ておるわけでございます。
○芳賀分科員 それでは食糧庁長官から方針を述べてもらいたい。
○中野政府委員 ただいま大蔵大臣からもお話がございましたが、農林省といたしましても四十八年度生産者米価をどうするか、いま部内で検討をこれから始めるところでございます。まだ具体的な方針を決定するに至っておりません。
○芳賀分科員 大臣、いいですか。この予算編成上前年度主義を採用しておるというのであれば、話はわかるのですよ。しかし四十八年産米の決定方針として前年度の水準を維持するということになれば、今年度もこ三二年間据え置き、据え置きでやってきておるわけですからして、ことしは四年連続でまた実質的な据え置きをやるというふうにしか理解できないわけなんです。だから、この点を明らかにして、予算上は前年同様の単価になっておるが、本年度の生産者米価については当然食管法三条二項の規定に基づいて適正な価格を政府の行政責任で決定するということであれば、わかるわけですが、その点があいまいじゃないですか。食糧庁長官は特にあいまいきわまることを言っておる。
○愛知国務大臣 いま申し上げましたとおり、かりに例をとれば、四十七年度の予算編成のときと同じ態度をとっているわけでございます。ということは、今後順を追うて、食管法第三条第二項でございますか、「政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費及物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ」云々と書いてございますが、この規定によって米価審議会等を経て決定をする、こういう姿勢でおるわけでございます。
○芳賀分科員 それでは、食糧庁長官もそれに変わりないですか。
○中野政府委員 そのとおりでございます。
○芳賀分科員 参考までに、これは田中内閣になってから、昨年の七月二十七日に衆議院農林水産委員会において四十七年産の米価問題の審議を行なったのです。その際、私が時の足立農林大臣並びに亀長食糧庁長官に対して、昭和四十三年までの米価算定方式は食管法の精神に基づいて算定したと認めることができるわけです。そこで、四十七年産米の決定にあたって、昭和四十二年の算定方式を採用した場合には、百五十キロ並びに六十キロ当たりの米価がいかようになるかということをただしたわけでありますが、これに対する農林大臣並びに食糧庁長官の委員会における答弁は、百五十キロ当たりにすれば三万二千七百五十一円になります、六十キロ、一俵当たりにすれば一万三千円になりますということを明確に答えておるわけです。ところが、政府の決定された六十キロ当たりの基準米価なるものは一俵八千九百円ほどになっておるわけでありますから、同じ食管法第三条第二項の規定に基づいて決定したと言っても、六十キロ当たりにして実に四千円をこえる計算上の差異が生ずるわけでありまして、ここに毎年、毎年大きな論争点というか、問題がかもされておるわけです。
 ですから、今年産米の決定にあたっては、いま国をあげて騒然と政府を指摘しておる物価の問題、特に食糧の需給の逼迫あるいは価格の暴騰、食管法で政府が統制管理しておる米でさえも投機の対象になるというような現状を踏まえた場合、当然政府としては食糧管理法という法律の規定に基づいて、現行の法律を忠実に全面実施するという姿勢以外にこの難局を切り抜ける道はないと思うのですよ。そういう基本に立って、また毎年のように政治的にまず据え置きの答えを出して、それに合致するごまかしの算定方式を生み出すというような形では、絶対に国会としても容認することができないということになるわけですから、この点を財政担当の大蔵大臣として明快にしてもらいたい。
○愛知国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、米の需給関係、経済情勢、その他もろもろの要素を勘考して、まず農林当局において十分検討されると考えております。そして、その協議がいずれございましょうから、私どもも十分その協議に参加をして適切と思うような答案を用意したい、こう考えております。
○芳賀分科員 次に、消費者米価の問題ですが、昨年四月から消費者米価については物統令適用除外ということになったわけです。昨年も私は当委員会において、当時の水田大蔵大臣に対して、物統令の適用除外を政府が国民の反対を押し切って強行した場合、どういうような結果と消費者米価に対する影響が生ずるかということをただしたわけでありますが、その際政府は非常に安易な態度で、物統令をはずしても変わりはない、むしろ良質米に対する消費者の自主選択の幅を約束することになるというような、そういう根拠のない利点だけをあげて、物統令をはずしても消費者、国民に対しては米価の負担が過重にならぬということを強弁したわけです。ところが事態はそれと全く異なった方向に、自主流通米の消費者価格を中心にしてどんどん急騰を続けておるわけです。そういう点については、大蔵省としても農林省としても、物統令の適用除外後の消費者米価というものが物統令適用時代に比べてどういうような価格上の変化が生じたかということは、詳細に調査の結果をまとめておると思うわけですが、その結果について正確な報告をしてもらいたい。
○愛知国務大臣 ちょうど一年前の昨年の分科会で御指摘のような御論議があったことは、私も承知いたしております。そして、そのときの政府側の見解は、統制令をはずすことによって必ずしも安い米ということになるかどうかはわからないけれども、特に米価が上がるということは考えませんという答弁をいたしておるわけでございます。それからその後、いまお尋ねがございましたが、食糧庁で全国的な店頭価格の調査を行なったわけでありますが、その結果は、政府の売り渡し価格改定前の昨年九月の第一週の精米十キログラム当たりの小売り価格は、物統令をはずした昨年四月第一週の価格に比して上米は〇・六%アップ、中米は〇・一%ダウン、並み米も〇・一%ダウンとなっておって、当時の答弁のとおりに物統令をはずすことによる値上がりというものはほとんどなかったということが、その調査によって示されておると承知いたしております。その後若干の上昇が見られたのは、昨年秋の政府売り渡し価格の引き上げに伴うものが主因でありますけれども、最近は安定的に推移している、こういうふうに存じております。
○芳賀分科員 それは全くでたらめな説明なんですよ。これは、あとでまた食糧庁長官から詳細な説明資料を提出してもらいたいと思いますが、去年物統令をはずした直後の消費者米価の状態は、たとえば政府の小売り価格の最高販売価格が当時十キロ千五百二十円です。これが北海道の最大の米産地の中心にある旭川市において、もちろんこれは自主流通米という名前で販売されたわけですが、一躍十キロ二千五百円、これは旭川市が全国一、一ぺんに高騰したということが当時の新聞で批判されたという事実があるわけです。それで食糧庁がろうばいして、物統令撤廃後の影響というものがまことに予測しないようなことになりましたので、そういう点については全国の米販売業者等に対して、相当強い指導的な勧告をしたことはわれわれ記憶しておるわけです。われわれの調査によると、少なくとも物統令を撤廃したことによって十キロ当たり五百円程度の異常な値上がりがなされたというふうに判断しておるわけですが、これは食糧庁長官どうですか。
○中野政府委員 ただいま大蔵大臣からも食糧庁の調査のお話がございましたが、いま芳賀先生のお話の五百円と申しますのは、私のいま承った範囲では、当時、去年の三月の終わりまで統制額というのがありまして、これは全国的に千五百十円でございました。それに比べれば、かなり高くなっておるものがあるわけでございます。しかしすでに四十四年から自主流通米が出回ったその分が高かったわけであります。物統令をはずします直前の三月十四日に全国調査を食糧庁でやっておりますが、これによりますと、全国的平均では、いわゆる自主流通米が中心になっております上米は千九百五十五円、中米が千七百八十三円というようなことになっておりまして、あるいはいま御指摘の旭川等に一部そういうものがあったかと思いますけれども、全国的にはそういうことになっておるわけであります。
○芳賀分科員 結局は物統令の適用除外に合わせて、毎年毎年自主流通米の取り扱い数量を予約限度数量の中でふやしておるわけですね。自主流通米はもとより食管会計が全然負担をしなくてもいいわけですからして、負担をのがれるために直接買い入れ数量は五百八十万トンで毎年据え置きをする、予約限度数量のふえた分は毎年自主流通米の取り扱い数量でふやす、そういうやり方をしておるわけですから、結局物統令の適用除外というものが、自主流通米の市場占有率が高まるに従って米価というものを異常につり上げておるのですよ。だから、物統令の適用除外、自主流通米制度によって、たとえば十キロ五百円消費者米価が不当に値上がりをしておるということになれば、二百万トンということになれば一千億円、政府は負担しないけれども、直接消費者である国民がこの制度の改悪、運用の不手ぎわによって生活上の負担をしいられておる、こういう結果が生じておるわけなんです。
 こういう点はやはり十分反省して、あやまちを改めるというような正しい行政姿勢をこの際とらないと、日本の食糧問題全体が狂ってしまう。田中内閣そのものが生まれたとたんに、これは短命内閣ということをいわれておるのも、そこにゆえんがあると思うわけです。ですから、食管制度を中心とした食糧管理政策の全体――あるいは世界的に食糧が不足状態になっておるわけでして、ことしだけが異常状態で、来年以降挽回するという見通しはなかなかっかないわけです。それに対応するためには、やはり国内における農業政策というものを積極的に進めて、あとう限り食糧の自給率を高める努力というものは、たとえ政府の財政負担がふえても、あえてこれに取り組まなければならぬというふうに考えますが、大蔵大臣はどう考えていますか。
○愛知国務大臣 やはり米の需給状態ということの見込みとそれに対する政府の買い入れ数量、あるいはまた他の方面からいえば生産調整の数量とか、いろいろの点を考えていかなければならないし、それは四十八年度予算編成のときにも、御承知のように政府の買い入れ予約限度は八百十五万トン、前年度に比べて二十万トンの増となっておりますし、それから政府の買い入れ数量は五百八十万トン、自主流通米は二十万トンふやしておるわけでございます。そして今後における生産者価格等についても、先ほど申しましたように、今後の状況に対処いたしまして適正なものを算定をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 いまの物統令廃止後における数字の突き合わせなどに若干御意見の違うところがあるかと思いますけれども、従来の実績に考え、また反省すべきことがあれば反省しながら、これからの政策に誤りなきを期していきたい、基本的にはこう考えております。
○芳賀分科員 次に、国有林野事業特別会計に関係して質問いたします。
 この点については、昨年も当委員会において水田大蔵大臣と議論した点ですが、当時政府はことしの予算編成にあたって、農林省のほうから大蔵省に対して要求されていた、すなわち国有林特別会計の勘定の中に新たに公益勘定を設定すべきであるということについては、十分御承知のはずであります。今後国有林事業あるいは日本の森林政策全体に対する国民の大きな要求というものは、たとえば公害の絶滅、国民の保健休養、あるいはまた森林が果たす国土保全や資源的な立場からの資源の供給等、ますます要請が拡大しておるわけでありまして、特にその中で公益的な機能というものを十分に国有林事業というものが発揮しなければならぬわけでありますが、これを行なうためには、従来の国有林野事業の収益だけに依存していたのでは公益的な機能発揮は絶対に行なうことができないわけであります。たださえも、国有林事業の収支がむしろ赤字基調の方向に向いておるときですからして、この際公益的な機能を発揮する事業の積極的な実施にあたっては、それに必要な財源を一般会計から林野特別会計に繰り入れする必要がある。それを受け入れるための公益勘定というものを新設すべきであるということで、農林省としては大蔵省に早くから要求をしておったわけですし、われわれもそのことはもう数年前から主張してきたところでありますが、予算決定の結果を見ると、大事な公益勘定というものがついに見送りになっておるわけです。一面、従来になく特別会計に対する借り入れ金あるいは一般会計からの繰り入れが当初予算にあらわれておりますけれども、どうして大事な公益勘定の新設を大蔵当局として見送ったのか、その理由を明らかにしてもらいたいと思います。
 もう一点は、これは国有林事業を積極的に適正に推進するための一番大事な国有林事業の基幹労働力、定員外に置かれておる常用作業員、定期作業員が合わせて三万七千名現場で働いておるわけです。内訳は定期作業員が一万七千人、毎年毎年季節的に反復して雇用されておる常用作業員が二万人ということになっておるわけですが、これらの現場の作業員諸君がほんとうは大事な国有林事業の基幹労働力として日給制の悪条件の中で働いておるわけです。この点については、一昨年の三月二十五日の衆議院農林水産委員会における、林業振興に関する特別決議あるいはまたそれを受けた四月十三日の政府統一見解というものが明らかにされておるわけですが、この抜本的な処遇改善というものが、予算上の制約等もあって、なかなか進んでおらないわけです。当然大蔵当局においても、これらの統一見解というものを基礎にして、四十八年度の国有林特別会計の中においてもこれらの問題が有効に処置できるような財政措置というものは講ずべきであるにもかかわらず、その点が見受けられないわけです。第二点としてこの問題を今後どう善処するかということについても、大蔵大臣から明確にしてもらいたい。
○愛知国務大臣 まず第一の公益勘定の問題でございますが、お話のように、国有林については公益的な機能が非常に大きい。これを発揮するためには、公益勘定を設けて、分離して、一般会計から負担すべきである、こういう考え方もありましたわけですけれども、国有林野の果たすべき公益的な機能というのは、適切な森林施策を通じて経営的な機能が一体的に発揮されるということが非常に望ましいことでありますし、公益的な施策と経営的な施策とを明確に区分するということは非常に困難ではないだろうかと考えたわけでございます。
 それから、主として公益的な性格を持つと考えられる事業につきましても、国有林野事業の将来のあり方とか、事業の効果等についてまず十分な分析が必要であって、率直にいえば、安易に一般会計の負担を拡大するといたしますと、国有林野事業経営の改善合理化が不徹底なものになるおそれがある、こういうような考え方から、もう少し十分研究してからということに持ち越したわけでございます。
 今後におきましては、こういったような諸点を考慮に入れまして、なお十分に検討を続ける必要があろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 作業員の問題につきましては、政府委員から御説明いたします。
○吉瀬政府委員 芳賀委員御指摘のとおり、先般の政府統「見解に基づきまして、常勤作業員の処遇につきましては、関係各省で目下鋭意検討中でございます。私ども、人事局とか、林野庁とか、関係の各省の検討の進展をまちまして、十分相談してまいりたい、こう思っております。
○芳賀分科員 さらにもう「点お尋ねしますが、外材の輸入の問題です。
 木材についても、現在わが国の木材の需給状態は年間約一億立方メートルの消費をしておるわけですが、そのうちの約五五%の五千五百万立米が外材に依存しておるわけです。これを先般農林大臣が発表いたしました林業基本法第十条「項の規定に基づく森林資源の長期計画、重要林産物の長期需給見通し、いずれもこれは五十年の長期計画になっておるわけですが、この長期計画からいうと、十年後の五十六年には約八千五百万立米、六三%の外材を輸入しなければならぬ。二十年後の六十六年においても、約九千万立米の全体のこれは六〇%に当たる外材を輸入しなければ、需給の均衡がとれないというような悲しむべき長期計画というものを公表してあるわけですね。ところが世界的に、アメリカにしてもカナダにしても将来、ソ連もそうであると思いますが、なかなか木材資源というものを無制限にわが国に供給するというような事態にはならぬと思うのですよ。すでにアメリカにおいては、木材の輸出の規制法案等が提案されておるということを伝えられておるわけですから、こういう状態を踏まえた場合においても、食糧と同じように、国内における森林資源の急速な増強政策というものを講ずる必要があると思うわけです。それにはやはり国有林事業というものが中核となって民有林全体に対しても近代化を進めるというような方途というものが必要でありますから、その中でいまのような外材輸入方針は全く一部の独占的な商社に実権を握られたような形の自由貿易では、完全な運営ができないと思うのです。たとえば社会主義の国においては、食糧といわず木材といわず、当然国家貿易あるいは管理貿易を進めておるわけですから、わが国においても、木材にしてもあるいは重要な食糧にしても、無制限に自由化を進めるということでなくて、むしろ国民生活に最も関係のある重要な食糧、木材等については、むしろ国家が直接貿易を管理するあるいは業務としてこれを行なうということに政策を転換しなければいけないと思うのです。食管特別会計の場合には米や麦類等の重要食糧は国家貿易でやっておるわけです。一方国有林特別会計というものは現存しておるわけですから、これを十分に機能的に拡大して、こういう枯渇する木材資源の輸入等については管理貿易の道を開く必要があると思うわけです。これも一昨年の国会の林業振興に関する特別決議の中に明確に打ち出してあるわけです。こういう点も十分国会の意思を踏まえて、大蔵当局においても、根本的な政策の転換を進める必要があると思いますが、この点はいかがですか。
○愛知国務大臣 いまの御質疑の問題は私からお答えすることはあるいは適当でないかと思います。現に御指摘の大豆、飼料、それから木材、これらについての緊急輸入とか国内資源の放出とかそれから関係商社の立ち入り検査であるとか、こういったような点については物資官庁で総合的な総力をあげて対策を講じておるわけでございます。必ずしも財政当局からだけの意見を申し上げるのはいかがかと思いますけれども、管理貿易、国家貿易という点に一言申しますならば、現に日本は米をはじめ十品目についてはいわば管理貿易をやっているわけでございますけれども、現在の国際的な通商問題の一環として考えてみますと、必ずしもこれ以上国家貿易の品目をふやすとか特別会計を新たにつくるとかいうことは、こうした体制の中で適当であろうかどうであろうか、私どもとしてはこの点については消極的な考え方を持っておりますことを率直に申し上げたいと思いますが、しかしながら目的とされておる御意見については私も同感でございまして、それ以外の総合的な対策によりまして、大切な木材資源の確保ということについてはあらゆる努力を傾注する、これに対して必要ならば財政当局もできるだけの御協力をする、こういうことでやってまいりたいと思っております。
○木野主査代理 佐野進君。
○佐野(進)分科員 私は、通貨惨禍における中小企業金融対策を中心にして若干の質問をいたします。
 大臣にお伺いしますが、いわゆる円の変動相場制移行によって、若干安定したかに見えておりました通貨問題も、ヨーロッパにおける市場閉鎖、引き続いてわが国がそれにならう、こういう形の中でいままた先行きにたいへん大きな不安が重なって発生してきたように見えます。一般的にいわれているところ、また中小企業関係者の中では、この円の変動相場制が固定相場制に返る際は、いわゆる二二%、二五二円四十六銭ないしその下限二・五%の幅を見るならば二百五十七円三十九銭程度になるのではないかということがもうすでに十日ほど前から一般的にいわれておったわけでありますが、当時政府は、二百六十円以上二百六十五円程度の変動相場の中でてこ入れを行ない、これをささえてきておるような形が見られておるわけでございますが、このような情勢下において中小企業が対処していくならば、当初予測されておった二〇%の整理統合はやむを得ないであろうということが、さらに飛躍的に増大していくのではないかという不安が一般的になっておるわけであります。いわゆる固定相場制への早期の移行ないし変動相場制におけるところの一定の見通し、こういうものをはっきり確立しない限り、安定した中小企業対策というものは望み得ないのではないだろうか、こういうぐあいに考えられるわけでありますが、大蔵大臣は固定相場制の実施はいつごろと予測するのか、さらに、いわれておるところの二百五十円台、しかも二百五十円下限の状態の中において固定するといわれておるような状況に対して、どのように判断しておられるか、この際御質問しておきたいと思います。
○愛知国務大臣 まず第一に申し上げたいと思いますのは、昨日ときょうと為替市場の銀行間取引を一時停止いたしましたのは、ヨーロッパ情勢がああいうふうに激変いたしておりますので、この際不測の影響をこうむることがないように万全の措置と思いまして、一時停止をいたしたのでございまして、なるべくすみやかに変動相場制による市場の再開をいたしたい、こう考えております。
 それならいつまで変動相場制度を続けるかということでございますけれども、やはり国際的にこういうふうな不安状態が断続的に引き続き起こっておるような状況でございますから、わが国としては、適当な期間変動相場制を継続することが、こういう状況下においては適切な措置ではなかろうか、かように考えておりますので、いま固定相場制度にいつ返るかという時期を明確にすることは、現在まだ考えておりません。
 それからその次の御指摘でございますが、政府としてはそういう態度でございますから、いつ固定相場制度に返るか、あるいはそういう際にはどういうレートが適当であるかということにつきましては、いまのところ、まず変動相場制度ができるだけ正常な状態で続く、まあ相場が乱高下いたしますような場合は別といたしまして、円の実勢というものを相場の取引の中において見出していくということがいまの日本の立場としては適切である、かように考えておるわけでございまして、レートの点についていま申し上げる時期ではない、かような考え方でございます。
 そして、この適当な期間変動相場制を続けております間にも一番大切であると思いますのは輸出関連の中小企業でございますから、この点につきましては万全の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
○佐野(進)分科員 そこで、私の質問に対しては明確なお答えがなかったわけでありますが、それはやむを得ないとして、いわゆるヨーロッパにおける通貨不安が、市場閉鎖再開後、当然わが国に影響が波及してくるであろうということは、前回の例を見ても明らかなところであります。したがって、もし日銀をして買いささえせしむるというようなことになったならば、一体どこの点までで行なうのか、買いささえに入るのかということは、中小企業、特に輸出関連中小企業にとってはほんとうに緊急な心配ごとであります。したがって、この点に対する明快な御答弁をひとつお願いしたいと思うのでございます。
 私の質問は、そこにきょうは主眼があるわけではございませんので、その点の御答弁をいただきながら、次の質問をしてみたいと思います。
 まず第一に、大臣もいまお話がございましたが、中小企業に最も大きな影響が来る。これはもう抽象的な表現でなくして、具体的な表現で各方面に影響があらわれてきておるわけであります。いわゆる変動相場制が長引けば長引くほど成約がおくれる、あるいは先行きの不安を見越してきわめて低い価格で成約が行なわれる、こういうようなことになるわけでありますから、当面見送らざるを得ない。そうすれば、まだ悪い影響がそれほどあらわれていないという各方面の認識でございますけれども、結果的に仕事がとまる、従業員を遊ばせる、賃金を払わなければならない、最悪の事態はもう目に浮かぶような状況でございます。
 そこで、これらに対する緊急対策ということは、もう政府は、すぐやります、やりますと、総理以下言っておるのでありますが、見るべきものがないわけであります。私は、変動相場制への移行に伴う当面の緊急中小企業対策として出されておる中で、金融の円滑化のためということと事業転換の円滑化のためという二つの大蔵省関係に関係する部面について質問をいたしたいと思うのであります。
 前回の緊急措置におきましては、いわゆるドル・ショック後において一千億円の緊急融資を行なっておるわけであります。それが今回は一千五百億あるいはもっと出さなければならないと、抽象的な表現では行なわれておるわけでございますけれども、具体的にどれだけの金額を、どのような機関を通じて融資対策を行なうのか。そのほかたくさんございますけれども、緊急融資についてのお考えをお伺いしたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 中小企業対策につきましては、通産省はもとよりでございますけれども、大蔵省におきましても全国の財務局その他を動員いたしまして実態の把握につとめ、そして関係の業界等の要望にこたえてあらゆる措置を講じたいと考えておりますし、現実に、たとえば四十八年度中におきましても使用見込み残の、一般会計におきましても、予備費は百数十億ございますから、これは全部この中小企業対策に投入することにいたしまして、通産省との間の協議がもう間もなく始まると思いますが、通産省のほうとしては各界の要望を取りまとめ、あるいは積極的な対策をその中に組み入れて、そして予備費の財政支出としてすべきものについては、その範囲で年度内におきましてもいつでも手配できるよような用意を整えております。
 それから、いまお話しの千億等の問題については、これは主としていわゆる政府関係三金融機関を中心にする緊急融資の問題であると思いますけれども、これらにつきましても必要な財投からの措置等もあわせまして、これは額としては、まあ常識的に申しますれば必要な額は出すということで、現在まだその総額が幾らになるかということを的確に数字で申し上げるようなことはできませんけれども、必要なものは出すというかまえでおりますから相当な額になろうかと考えております。
 そのほか、金融上とりました措置等については、二月の十四日に変動相場制に入りました即日以来全国の金融機関に対して通達をしておるし、その他につきましては銀行局長等から詳しく御説明させていただきたいと思います。
○佐野(進)分科員 時間がありませんから、その点は、内容については私はよろしいのですが、ただ、いま大臣の答弁で、先ほど私が聞いた、円のいわゆる市場再開後における買いささえの金額は一体どの程度になるのかということは、将来への予測として中小企業関係者は非常に注目をして見ておるわけです。したがって、その点についてもう一回答弁をいただくことと、それから緊急融資について、前回は一千億相当の金を出しますといっても、相当の金というのは、現在景気が上向いているとか、あるいは案外被害が少ないとか、こういうような表現をするならば、前回に対する要求額より下回るのではないかという予測もあるわけです。しかし実際上は千五百億程度以上出さなければだめだという考え方もありますし、さらにそれらの出された金が、本来使われるべき中小企業関係者のほうへ行かないで、むだというか、不必要の方面に流入する可能性等もあるわけでありますから、それらの点については前回の参考の上に、もういまごろはこれだけの金は用意してあります、出しますということでなければ真の緊急対策用にはならないのではないか、こう思いますので、その点、簡単でけっこうでございますからお答え願いたい。
○愛知国務大臣 失礼いたしました。肝心の御質問にお答えすることを落としましたが、変動相場制でどのくらいのところを目安にするかというお尋ねは、これはなかなか微妙なところでございまして、私から何百円ということを申し上げることは現状においてはできませんが、しかし、関係の業界の方々の非常に大切な関心の的でございますから、そういう点を十分腹に入れまして、そして諸般の対策を心がけてまいりたいと思います。
 それから、先ほどもちょっと申しましたが、変動為替相場運営についての基本的考え方は、いわゆるクリーンフロートということが原則でなければならない。しかし乱高下するようなことは阻止いたしたい、こういう基本的な態度でやってまいるつもりでございますし、御案内のように去る二月十四日以来いわゆる介入というものはほとんどしておりませんということは申し上げておきたいと思います。
 それから額の問題でございますが、私の感覚はもちろん前回を上回る、したがって、いま千五百億円という話がございましたが、当然そのくらいのことは予想はしております。ただ、いまもお話がございましたように、これは相当、相当といいますか、具体的なものでございますから、片っ端から取り上げてまいりまして、その集計がどのくらいになるかということにつきましては予算と違いますから、あらかじめ千五百億とか二千億とかいうワクをつくってやるべきではなくて、目的的にあらゆることをやって、そして乱に流れないようにしたい、こういう気持ちでございますから、常識的に申せば前回以上、前回を相当越すであろう。しいて言えと言われるなら前回の千億ということをかりに基準にすれば千五百億というようなところが一つの目安であろう、こういうふうに考えております。
○佐野(進)分科員 それでは次に二つ目の問題について御質問いたします。
 結果的に緊急対策要綱でも示されておりますとおり、中小企業が置かれている現況は、このままの情勢ではなかなか立ち行かない企業が相当数出てくるであろう。したがって立ち行かない企業に対する対策は当面する対策の中で最も重要な一つの柱であるといわれておるわけであります。これに対してわれわれが心配することは、緊急対策の中でいっている事業転換の円滑化をはかるという形の中で、弱小企業切り捨てという形に政策が重視されてくる。いわゆる弱小企業とは、日本の経済構造の中における小規模零細企業が非常に大きな数を占めておるわけですから、その中で中小企業対策が重要な対策として出てくる場合、構造転換をする、事業転換をする必要のためには弱小企業切り捨てもやむを得ないではないか、いわゆる安易なる救済資金的な形の中における対策はこの際とるべきでない、こういうような意見が大蔵省関係にはあるやに聞いておるわけでございますが、この点については、そのような画一的な判断に基づいて対策を立てるべきではないと私は考えるわけでございます。もちろん安易なる救済対策がすべて万能だとは言いませんが、それぞれ財政、金融の面につきまして十分なる配慮のもとに中小企業対策を立てていくということでなければならぬと思うのでありますが、原則的な点だけでけっこうですから、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○愛知国務大臣 弱小のものは切り捨てていくというようなことは全然考えておりません。同時に、こういう国際情勢であり、それから日本としてのこれからの行き方を考えますと、たとえば対米輸出に専念していた業種などにつきまして、たとえば内需に転換するとかあるいは米国以外のところに仕向け先を転換するとかあるいは他業に転換するとかいうような点についても「この際積極的な経営指導等も通産省を通してひとつ対策を講じてもらいたい。実は一昨年の例に徴しますと、そういった面の資金的な用意もいたしておりましたが、使われた実績というものはほとんどないと申してもよろしいわけでございますが、今回の場合はそういう点に政府側も、また関係の業種、業界と申しますか、そういうところももう少し切りかえて、積極的な再建策を考えるような方向で所要の金融なりあるいは財政措置が活用されるようにしていただくことが一つ望ましいことではないか、こういうことを考えております。
○佐野(進)分科員 それでは銀行局長にお尋ねいたしますが、いま大臣が言われたように、中小企業対策については非常に前向きな形で取り組みをする、こういうことになっておるわけです。その具体的な金融面になりますると、なかなかその成果が末端にまで及ばない・そういう例がたくさんあるわけであります。そこで今回は無担保無保証百万円の貸し付けを行なうというような積極的な対策を打ち出されておるわけでございますが、これらの面の考え方に基づく措置は、商工会議所あるいは商工会等の審査を経て貸し出しを行なうということでございます。結局この考え方は、一般金融機関、中小企業団体あるいは中小企業に関係する人たち、そういうものを除外した形において百万円の貸し付けを行なうということのようですが、むしろ税理士であるとか中小企業診断員であるとか、あるいは業界における一定の資格を持つ者であるとか、中小企業の健全なる発展に対応することのできる人たちをその審査の対象の範囲の中に加えることによって、広範な人たちが容易にこれらの制度を活用することができると思うわけでございます。制度はつくったけれどもなかなか実の入った措置ができ得ない、こういうような点については、われわれは若干疑問を持たざるを得ないのですが、この点についてお伺いをしたいと思います。
 さらに、関連いたしまして、中小企業の金融対策については、いわゆる財投、あるいは相互銀行、信用金庫、信用組合、こういうような金融機関を通じての活用等があるわけでございますけれども、政府のいわゆる中小企業金融に対する中心的な対策は、その対象をどこに置いておるのか。いずれにせよ、政府の対策としては、財投資金の活用ということがあるわけでありますが、これにつきましては、現在資金運用審議会等において一定の方向が示されておるわけです。ところがこの中にも中小企業関係代表者が入っていないわけであります。結局、政府の、あるいは政府によって任命された委員の一方的な判断に基づいてその財投の活用がはかられているというわけでございますが、これらにつきましても、中小企業関係団体等の中からそういう実情をよく把握しておる人が入ることが適切な措置ではないかと思うのであります。
 これらについての見解をお伺いしたいと思います。
○吉田(太)政府委員 まず、中小企業経営改善資金、いま先生のおっしゃいました無担保無保証の制度につきましては、いま通産省、中小企業庁と具体的なやり方を検討いたしております。これはもう先刻御承知だと思いますが、従来政策金融というものになかなか乗りがたかった零細な方々に対して、適切な事業計画を持っていただく、そしてその経営指導等体質改善をしよう、こういう趣旨でございます。したがって、事業計画の適切性、あるいは経営指導というような事柄から、どうしても国が責任を持って指導するということが大切だろうと思います。そういうことからいたしますと、中小企業のそういう指導ということにつきましては、現在法律をもって指導に当たっておる機関が適当であろうか、かように考えます。そういう意味からいたしますと、商工会議所あるいは商工会というのが、制度的にも裏打ちされておるというところから、これを適当と考えておる次第でございます。
 なお、次の、中小企業金融についての非常に御熱心な、示唆のある御質問でございます。私どもももとより同じような気持ちで取り組んでいくべきことだろうと思います。すでに佐野先生よく御存じだろうとは思いますが、現在の中小企業金融の実態を見ますと、全体のうちの九割までが民間金融機関の貸し出し、残りの一割が政府系金融機関、かようになっております。その九割の民間金融機関のうちで、いわゆる全国銀行が四二、三%、残りが中小金融機関ということになっております。そういう意味からいたしますと、何と申しましても、民間金融機関を主体としてきわめて弾力的な貸し出しができるようにという指導をすることがまず大事だと思います。
 ただ、先ほどから御指摘の財政投融資の資金というのも、こういう民間の金融機関のいわば呼び水として、これを補完するものとして、非常に重要な意味を持っておるわけでございます。そういう意味からいたしますと、こういう財投資金というのは、現在三機関それぞれが七、八百の代理店を持って金を貸しておるわけでございます。現在の基本的なやり方としては、この財投の呼び水的なやり方と民間の金融機関に対する指導を通じて中小企業金融を徹底していきたい、かように考えております。
 なお、資金運用審議会の構成につきましては、所管の理財局のほうからお答えさせていただきたいと思います。
○後藤政府委員 資金運用審議会のことにつきましてお尋ねがございましたので、私からお答え申し上げます。
 現在、資金運用審議会の委員は七人の先生にお願いしてございますが、資金運用審議会で御議論いただきます範囲が、中小企業金融問題もたいへん重要なことでございますが、その他たいへん広範にわたりますので、各委員の先生方は、何の業界代表ということではなくて、広く学識経験のある方にお願いいたしております。なお、その中小金融の関係につきましては、現在お願いしております委員の中で、工藤先生あるいは北野先生というような、現実に中小企業金融に御関係の方がいらっしゃいますので、いろいろ御意見をちょうだいしておる次第でございます。
○佐野(進)分科員 時間がなくなったので、問題点を幾つか簡単に申し上げますから、一括して御答弁を願いたいと思います。
 まず第一に、金融の問題については、きょうも預金準備率の引き上げ等の措置が日銀によって行なわれる等、一そう現下の情勢に照らした措置が講ぜられつつあるわけでありますが、結果的にこの措置が中小企業金融機関にしわ寄せされ、零細規模企業に対する貸し出しが抑制されるという形になる可能性があるわけです。大企業ないし大金融機関は、このような措置がとられたとしても痛痒を感ぜず、いわゆる企業の過剰流動性に基づいて特別の利益を追求することができるわけであります。結果的にそれらの措置をどうやって効果あらしめ、中小企業金融機関ないし中小企業者にしわ寄せさせないようにするかということが政府の大きな課題となってくるのじゃないかと思うのです。
 そこで、私は御質問申し上げたいと思うのですが、これらの措置によって、中小企業金融機関に対して、一つの例を申し上げますと、一般貸し出しに対して特定のワクをはめた指導をしております。たとえば不動産の購入については、何信用金庫はこれだけの金額しか使ってはいけないという具体的な指示が行なわれています。健全なる事業を行なおうとしても、不動産を購入することがそのことによってできない企業が発生しておるわけです。そして大企業は、過剰流動性によってだぶつく資金を潤沢に持って、預金準備率の引き上げ等が行なわれても、平気で買い占めを行なっておるわけであります。このようなことがあってはならないと思いますので、これについては適切な措置をとっていただきたいと思うのですが、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思うのです。
 それから、これはもっと時間をかけて御質問したいと思いましたけれども、時間がなくてできませんでしたが、通告しておりますので、簡単に御質問いたします。
 税理士法の改正についてどのように考えておられるか。さらにまた、「税務調査の法律的知識」という小パンフレットを国税庁は発行いたしておりますが、これがもたらす影響が各方面にいろいろな波紋を引き起こしております。これによって一般中小企業者ないし税務署の対象になる人たちが非常に困惑をする部面等もあらわれる可能性、可能性でなくて現にあらわれておりますが、これらについてどのような措置をとっておられるか。これも簡単でけっこうですから御答弁をお願いしたいと思います。
○愛知国務大臣 準備率の引き上げが中小金融に迷惑をかけることがないように、この上とも配慮してまいりたいと思っております。
 それから、準備率の再度にわたる引き上げによりまして、大企業のいわゆる過剰流動資金、これは手元資金と申してもよろしいと思いますが、これが締め込まれまして、そして特に大型商社別に厳重な規制を展開いたしておりますから、従来たとえば手元資金の上にさらに貸し出しがあったものが、貸し出しが徹底的に抑制されますから、自己資金がありましても、これが本来の業務のほうにしか使えないようになる。こういうところに効果を発揮して、今後土地、株あるいはその他の大豆、米というようなところに走っていくことはまずまずなくなってくる、こう考えておるわけでございまして、準備率の引き上げそのものと、これを背景にする商社別あるいは目的別のきびしいきめのこまかい窓口指導というものが、いま本格的に効果を発生しつつある。同様に、反面におきまして中小企業については、いま御指摘がございましたようなことがこれ以上起こらないように、これはきめこまかく逆に積極的に指導をいたすことにいたしておる次第でございます。
 それから税理士法の問題では、特にどういう点を御指摘かちょっと捕捉できませんでしたから、もう一度御質問があれば……。
 それから税務調査のよりどころとなるような資料というようなものは、国税庁内で執務の参考としてやっておりますが、国民に御迷惑をかけるようなことをそれで強調しているようなことはないと思いますけれども寸なお国税庁側からも御説明申し上げたいと思います。
○高木(文)政府委員 税理士法の改正につきましては、いろいろ検討すべき問題があると思っております。しかし、きわめて複雑多岐でございますので、いますぐ着手するというには、やや機が熟していないのではないかというのが私どもの現在の考え方でございます。
○江口政府委員 「税務調査の法律的知識」というものは、部内の職員の研修用に一応つくったものでございますが、別に秘でも何でもございませんので、御要望の向きにはお配りしてございます。事のいきさつは、ある方面で、現在までにわれわれが執行の立場で解釈しておりました質問検査権の条項につきまして、いろいろの意見が出てまいります。それから若干の地裁の段階でございますが、われわれの見解と違うような第一段階の考え方が示されたというような例が二、三ございまして、第一線の職員が執行するにあたりまして、法律解釈上混乱が生じてもいけない、それから関係団体ないしは納税者のほうからもいろいろと問い合わせがあるというような事情がございましたので、それを受けまして、われわれが現在考えております現行法の解釈並びにその他の判例等を例にとりまして、現在われわれはこういう立場で必要な場合には質問検査権の行使をさせていただいておりますということもあわせて編集したものが、研修資料としてできておるわけでございます。
○佐野(進)分科員 質問を終わります。
○木野主査代理 楢崎弥之助君。
○楢崎分科員 大蔵省の予算査定の方針にかかわる問題についてお伺いをしたいわけであります。
 大蔵省が予算を査定なさる場合に、政府関係の調達物品の値上がり率はどのくらい見込んで査定をされておりますか。
○長岡政府委員 全体として一律の値上がり率で査定はいたしておりません。各部門別に各省からの要求がございまして、その要求には要求単価の基礎の説明がついてございます。これを私どもが査定をいたしまして、その査定の段階で、共通に使えるもの、たとえば建築費の指数その他は、各主計官単位でばらばらにならないように統一をいたしておりますけれども、全体として値上がり率幾らという一律のきめ方で査定はいたしておりません。
○楢崎分科員 防衛庁の調達装備品の場合は、どういう値上がり率を見込んでおられますか。
○長岡政府委員 防衛庁の調達品につきましても、値上がり率はその品目によりまして非常に相違がございます。単価が非常に低いものがあれば、ものによりましては相当大きな値上がりを認めておるものもございます。
○楢崎分科員 失礼ですが、三十分しか時間がないのですから、そんなあたりまえのことをなぜおっしゃるのですか。
 それじゃ、三次防はもう実績が出ておるはずですが、当初の二兆三千四百億、これを基礎にして考えれば、どのくらいの値上がり率になりましたか。
○愛知国務大臣 私の答弁では御満足いかないかもしれませんが、四十八年度の予算の編成にあたりましては、四十七年度の購入単価を基礎にして編成をいたしました。ですから、値上がりは見ておりません、原則的に。
○楢崎分科員 さっきの三次防の点は、実績をひとつ、あとでけっこうですから……。
 そこで、四次防四兆八千億、これは人件費の値上がり分を入れれば五兆二千億といわれております。この四兆八千億の場合の調達装備品関係は、平均してどのくらいの値上がり率が見込まれておるのですか。
○長岡政府委員 四兆六千三百億が四次防の総額でございますが、これにつきましては、現在のところ、先ほど大胆が申し上げましたように、四十七年度、ちょうど四次防策定当時の単価で積算をいたしまして、人件費も、それから装備品等の単価の値上がりも見込んでおりません。
○楢崎分科員 防衛庁の装備局長は、やっぱりこの四兆六千三百億――さっきのは訂正しておきます。四兆六千三百億は値上がり分が全然含まれていない、それでよろしゅうございますか。
○山口(衛)政府委員 全般の点につきましては、それぞれ個々の単価によりまして比率等の問題もあろうかと思われますが、原則といたしましては、私どもは四十七年度の価格ベースというのを基準にはじかれております。ただ、個々の品目の単価の査定につきまして、つまり四十六年度あるいは四十五年度、こういうような時期から継続しまして契約が行なわれ、生産があるものがございます。そういう場合に、その四十七年度以前というような実績のあるものにつきましては、私どもは、たとえば新しいものを四十八年度から買い入れる、そういう場合には類似の品目、あるいは同じものをまた四十八年度に新規に調達する場合、そのような場合には、たとえば実績のあります四十六年度の契約、実績をベースにいたしまして、その後の賃金あるいは物価等の上昇、あるいは先生御承知のように工数逓減の問題、慣熟度というようなものが当然中に加わりまして、適正な単価がはじかれるというように査定されていると考えております。
○楢崎分科員 そうすると、答弁が違うじゃないですか。四十七年度を基礎にはしておるが、その値上がり分も見込んでというお話でございましたが……。
○愛知国務大臣 四十七年度の価格をめどにして編成しているということであります。ですから、原則的に四十七年度を原則にしておりますが、こまかく申しますと、いま装備局長から申し上げたとおり、そうほうが正確でございます。
○楢崎分科員 そうすると、値上がり率は含まれておるのですね。四十七年度の価格を基礎にして、それに値上がり分も含めて四十八年度の予算要求となっている。それでいいのですか。そしてまた、そういうことで査定が行なわれている。
○長岡政府委員 私が四十七年度単価と申し上げたのは、御説明が十分でなかったかも存じませんけれども、四十七年度に発注する場合の発注時の単価で、四次防期間中に四十八年度、九年度、五十年度にも発注するものがございますけれども、その時点での単価の値上がりは見込んでございません。四十七年度発注時の単価で積算をしたものが四次防の経費の総額になっております。
○楢崎分科員 そこで、分科会になって「昭和四十八年度予算要求の大要」防衛庁関係、いただいたのですが、これで私ちょっと計算してみたのです。私、ちょっと急に計算しましたから合っているかどうかわかりませんが、ちょっとこれ見ておってください。これで、この「予算要求の大要」の中、四十八年度の防衛庁関係の主要な航空機の調達価格の点だけあげてみますと、バートル輸送ヘリの場合は、これは一機の単価です。四十七年度が五億一千九百万、四十八年度が五億二千七百万、値上がり率は一%。同じくバートルの掃海ヘリのほうは、四十七年度七億二千四百万が四十八年度は八億二千七百万になっている。これは一四%の値上がりである。バートルの救難ヘリの場合は、四十七年度が五億七千四百万、四十八年度は六億六千七百万、値上がり率は一五%。
 次に、P2J対潜哨戒機の場合は、四十六年度の場合には十五億六千三百万、それが四十七年度に十六億八千四百万、これは七%の値上がりである。そしてさらに四十八年度は十八億八千三百万、これは四十七年度に対しては一一%の値上がり率でありますけれども、四十六年度に比べれば二一%の値上がり率になっている。
 次に、PS1対潜飛行艇、四十六年度の場合は二十七億八千三百万、これが四十七年度は三十億九千八百万、一二%の値上がり。これがさらに四十八年度は何と三十五億三千六百万になっておりますね。これは四十七年度に対しては一四%の値上がりでありますけれども、四十六年度に比べると二七%の値上がりになっておる。
 HSS2対潜ヘリ、これは四十六年度は六億四千二百万、四十七年度は七億九千九百万、二四%の値上がり。四十八年度はさらにこれが九億一千九百万。四十七年度に比べると一五%の値上がりでありますけれども、四十六年度に比べると何と二年間で四三%の値上がりである。
 F4Eファントム、これは四十六年度は二十億二千五百万。このときずいぶん私どもは予算委員会でこの価格について議論をいたしました。これが四十八年度では三億ふえて二十三億九百万になっている。一四%の値上がり率である。大体こういう数字に間違いありませんか。
○山口(衛)政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生からこの資料を配付されまして、いま御説明を一生懸命聞いておりまして、ちょっと数字を当たっておりませんが、たとえばこの中でPS1の例の対潜飛行艇でございますが、この数字は、私うろ覚えでございますが、たしかそのとおりでございます。
 それからほかの点につきまして、たとえばDASHでございますが、DASHの場合は先生御承知のとおりいま二種類ございまして、いわゆる陸上から出るものと、たとえばDDHに搭載いたします艦載機用があります。私いまちょっと気がつきませんが、先生の御資料の、HSS2四十八年度九億一千九百万でございますが、これはたしか部品を込めての艦載機用のあれではなかったかと思います。
 それからその前の同じDASH、四十六年度はたしかこれは艦載機というよりは、艦載機も陸上用も一緒になった平均単価のように考えております。
 ほかの点につきましては、いまさっそく当たってみますが、私は大体先生の御資料に数字的に間違いはないと思います。
○楢崎分科員 この資料から私も急遽計算してみたのですが、間違いはないと思います。
 そこで、昨年も予算委員会で実はT2の当初の見積もりがだんだんふえてきて、最後は十四億でございますか、予算審議がストップしてまで理事会でこの詰めをやったわけです。これで見ますとすごい値上がりですね。大蔵省、これを査定なさるときどういう詰めをやられておるのですか。こんな値上がりについて妥当だとして否定されたのでしょうが、どうなんでしょうか。
○長岡政府委員 たいへんお答えがむずかしゅうございますけれども、主計官のところでは防衛庁の説明を十分に聞きまして、納得のいかない点については資料を求めて調査をいたしますけれども、結論から申しますと、いまのような予算を組んだわけでございますから、大蔵省が認めたという結果になるわけでございます。
○楢崎分科員 大臣御承知のとおり、本年度の物価の値上がり率は五・五%ですか、そういうふうに押えるとおっしゃっているのですが、政府みずからが調達される分はこんなふうに野放しなんですね。これは一〇%以上のものをちょっと航空機に関してあげてみたのですが、たいへんな値上がり率ですね。われわれがこういう数字だけこう見てみて、これをさあ審議しろと言われてみたって審議しようがないわけです。どうしてこんなに値上がりしたのか。したがって、私はこういう重要な問題ですから――一機について一年間で五億も上がるなんということはちょっと常識では考えられない。上がっていないものもあるのですよ。たとえばバートルの輸送ヘリなんかは一%しか上がっていない。それからC1も一%です、四十七年度から四十八年度にかけて。だから、人件費が上がったからなんということは言わせませんよ、そういうお答えを用意されておるかもしれないが。だから、これは内容の値上がりだと思うのですね。明確な、われわが審議するに足る、なぜこんなに値上がりしているのか、審議するに足るプライスリストといいますか、コストテーブルというか、それを出していただきたいと思います。いまあげました機種について、全部出してみてください、これは一〇%以上値上がりをしておるのだから。それからさらに、為替変動に関して、ライセンス生産をだいぶしておりますから、ロイアルティーも含めて、これはいわゆるプラスの方向になるのではないか。値下がりの方向に作用するモメントですから、それがどのくらい含まれておるか、これも一緒に私は資料としてひとつ提出をしていただきたいと思います。そうしないと、これだけは何とも審議のしようがないわけでありますから、時間残しておきますから、あさってもあると思いますので、あさってひとつ出していただきたいと思います。
 それじゃ、保留しておきます。
○木野主査代理 紺野与次郎君。
○紺野分科員 国有財滝の払い下げの問題について質問いたします。
 東京の港区にある恩賜財団の済生会病院、これに対して国有地の払い下げが昭和四十年十一月三十日に行なわれておりますが、これが四十六年四月三十日には三菱地所の手に六千坪渡っております。一体この済生会病院に対して国有地を払い下げるときの条件、どういう条件で払い下げたのか、最初にお聞きしたいと思います。大蔵大臣または国有財産の責任者から……。
○愛知国務大臣 それでは、いま至急政府委員を呼んでおりますから、私の承知しておるところをお答えいたします。
 済生会に対しましては、明治四十五年以来貸し付けてきました港区三田一丁目所在の国有地九千百十二坪を、相手方の申請に応じて昭和四十年十一月三十日、同会本部及び病院敷地に供する旨の用途指定を付して売り払いました。この用途指定は、他の契約と同じく五年間とし、昭和四十五年十一月二十九日まで有効でありましたが、済生会はこの用途指定期間が経過した後の昭和四十六年四月三十日に、払い下げの土地の一部五千九百七十四坪を、病院施設の集約、整備のための財源に充てるため、三菱地所株式会社に売却したものであります。
○紺野分科員 わずか五年間の用途指定ということでこれが大手の企業である三菱地所の手にいとも簡単に渡ってしまう、六千坪にわたってこういうものが渡されていくということをはっきりと予見できたのではないかということ、そういうことを承知の上でこのようなことをやったのではないかという疑惑は住民の中でも非常に濃厚であります。その点、どうですか。
○愛知国務大臣 その当時の事情は私はつまびらかでございませんが、先ほど申しましたように、用途指定の期間が経過した後に病院施設を集約、整備する必要があるというので、財源に充てるため三菱地所に売却したものである、このような報告を私が受けておるわけでございます。
○紺野分科員 昭和三十九年十一月一日に正則学院、同じく港区です。そこでは同じように八百七十坪の国有地が払い下げられておりますけれども、そのときの用途指定は七年間ということになっているのですね。それで、これは当局の考えを、これは去年の国会、四月十四日の参議院において塚田大願君がこの点について聞いたときに、政府委員の小幡琢也氏ですか、この方は、この件について、原則として七年というふうに用途指定はなっている、七年という期間も、実はこういう土地が不足し、いろいろ土地の値上がりがしているような状況のもとにおいては再検討を必要とするように思っている、目下こういう関係について事務処理法規の検討をしているところであるというふうなことも言っているとおり、昭和三十九年に七年の用途指定ということが原則として行なわれておった。しかもそれは、それ自体でも短過ぎるということが問題になっているようなものを、そういう情勢のもとにおいて、わずか五年間で用途指定をきめて、そうしてこれが結局三菱の手に渡るであろうということをちゃんと予測できる状態においてこのような短い期間でやったというのは、政府が大企業に土地を渡すことを何とも思っていないという態度ではないかということです。
○愛知国務大臣 そういう御批判もあり得ると思いますが、当時といたしましては、私のその後聞いたところでは、国有財産地方」審議会等で十分審議を経て決定をしたようでございますから、あらかじめそういうことを予断しながら済生会に用途指定をしたとは思いませんですが、ちょうど小幡次長が参りましたから、さらにお聞き取りをいただきたいと思います。
○紺野分科員 去年の五月十日大蔵省の蔵理第二〇二一号「国有地の有効利用について」という通達が出ておりますけれども、ここでははっきりと、払い下げにあたっては、国有地を「一層公用、公共用の用途に優先的に充てることとし、」こういうことをまっ先にいっておりまして、やはり第一番に、公共用あるいは公用に優先的に払い下げるべきである。第二点としては、都市再開発というものに寄与するようにする場合も、都市再開発の場合にも、公園、緑地などのオープンスペースを確保することに大いに努力しなければいけないということを第二でもいっております。その注でもそういうふうにいって地方自治体にもそういうように努力するようにといっているんですね。でありますから、この三菱の件については非常に遺憾である。今日の時点から見て、土地がますます公共用、公用に優先的に与えられ、また過密地帯の再開発についてはオープンスペースを確保するように努力すべきであるというこの通達の観点から見て、この三菱地所にわずか五年間でつん抜けていってしまった、そういうことを行政上でも予見できるのに、そういうことをしなかったというふうなことは、やはり反省をしなければならない点ではないかと思いますが、どうですか。
○愛知国務大臣 先ほどから申しておりますように、当時の事情は私もつまびらかでございませんけれども、いまから見れば必ずしも適当ではなかったかと反省をしなければならないことかと考えます。
○紺野分科員 そういう立場に立ちまして現状について申し上げたいと思います。
 現状において、実は私、住民のほうからいろいろおかしい、調べてほしいということを言われまして、いま政府に質問したいのは、この同じ六千坪と隣接している、あるいはこの中に入っている三田警察署のあと地百二十坪、東京法務局芝出張所の二百二坪ですね、この二つのあと地があるのですけれども、住民はこの三田警察署のあと地などに対して、児童遊園をつくりたいから払い下げてくれということを言ったのに対して、当時の警視庁は、移ってもそのあとに白バイの根拠地をつくるんだ、だから払い下げることはできないという口実で拒絶して、それで今日に至ってはどうかというと、何らそれはつくられていない。住民は高い金をもってその付近に形ばかりの小さな児童遊園をつくった。ところが、今日ではこの二つの百二十坪及び二百二坪が三菱の六千坪のこの土地にほとんど入っております。それをそのままいただこう。そして大蔵省のほうでもあげましょうというふうに話が進行しているといわれておりますけれども、真相はどうですか。
○小幡政府委員 三菱地所が済生会から購入いたしました土地に介在いたしまして、二カ所の国有地があることは事実でございます。一カ所は三田警察署あと地でございまして、約百二十坪でございます。それからもう一カ所は法務局の芝出張所のあと地でございまして、約二百三坪でございます。
 ただ、三田警察署につきましては、これは大正五年以来国が東京都に対しまして、三田警察署の敷地として無償貸し付けしてきたわけでございますけれども、これが四十五年六月三十日に別の場所に移転いたしまして、そのあとは警視庁の三田分室の敷地として引き続いて無償貸し付けしてきたわけでございますけれども、本年の一月十六日に用途廃止いたしまして、大蔵省に引き継がれてきております。したがいまして現在は普通財産になっております。それで、上にありました建物はすでに解体撤去されているわけでございます。
 それからもう一カ所の法務局の芝出張所のあと地でございますが、これも実は大正九年以来法務省が所管する財産として使用されてきたわけでございますが、何ぶん庁舎が老朽しておりますし、狭隘でございますので、昨年の十月三十日にほかの場所に新築して移転しましたために、この土地はことしの二月十二日付で大蔵省のほうに引き継ぎ通知が来ております。それから地上の建物につきましては、すでに法務省の手で解体撤去処分を終わっておりますので、現在は建物は存在していない、こういう状況になっております。
○紺野分科員 この二つの土地を三菱にやるような話し合いはしていませんか。
○小幡政府委員 この敷地につきましては、実は昨年の二月二十一日開催の東京都市計画中央審議会の議を経まして、東京都の告示が出ております。四十七年の三月四日の告示でございますが、特定街区という都市計画決定を見ておりまして、その事業を、この地区の大部分の土地を所有しております三菱地所が行なうということにきまっているわけでございます。
 そこで、ここに介在しております二カ所の国有地をどうするかという問題でございますが、これにつきましては実は昨年来いろいろ検討しているわけでございますけれども、このような特定街区の都市計画事業、この内容を現在検討しておりますが、かなりの公共的なオープンスペースを確保する。そうしてたまたまこの二カ所は場所が放射二十一号線に面しておりまして、この部分は大部分空地に振りかえられるというような計画でもありますし、規模も比較的小規模で、単独利用も困難でありますので、なお検討をいたしたいと思いますけれども、都市計画事業に協力する意味合いからいいまして、有効な空地の確保に寄与する市街地の整備改善をはかるという意味から、結局大部分の土地を所有しております三菱地所に処分するということも差しつかえないのではないかというようなことで検討しておりますが、その場合あくまでも国といたしましてはこの土地のかわりに交換によりまして有効な国有地を確保したい、こういうふうに考えておるわけであります。
○紺野分科員 あくまでもやはり三菱に出すという考えで頭が一ぱいになっているのだと思うのです。先ほどの大蔵大臣の話にも、この六千坪を大企業の手に渡す、そのことが反省に値する問題であると言われた。誤謬の上に誤謬を重ねるという論理を捨てて、やはり最初のスタートが間違っていたとすれば、この三百坪の土地についても公共優先、そして地元の自治体、こういうところと相談して、そしてとにかくそこに優先的に渡すというふうにするのは当然だと思うのです。これは二〇二一号の通達に照らしてもそうです。少なくとも都市計画がどうだこうだということをもって、誤りの上に誤りを、たんこぶの上にたんこぶを重ねるというやり方をやめてもらいたい。
○小幡政府委員 実は特定街区という指定でございますが、これは都市計画法によりまして、良好な環境と健全な形態を有する建築物を建設しまして、あわせて有効な空地を確保する、そして都市機能に適応した適正な街区を形成するということで、これは実は東京都のほう、それから地元のほうもこういうことで了承しているわけでございます。
 その内容でございますけれども、高層ビルが建つわけでございますが、非常に公共的な空地が確保できる。街路のほうも現在二十二メートルでございますけれども、それに隣接しました二十メートルは街路部分として提供する、そういう内容と聞いておりまして、これはやはり計画の内容によりましてある程度妥当なものは、国はこの一部でありますけれども、こういった事業に寄与するということも差しつかえない場合もあるのではないかと考えております。
 それからもちろん公用、公共用優先で考えることは当然でございますが、この易くはこの部分がオープンスペース――ここがちょうどかど地でございますが、全部空地に振りかえられる。だれでも一般大衆が利用し狩るようなところに振りかえられる場所でございます。こういった場合においては国があくまでもこれを反対するというのはどうか、特に地方公共団体のほうでこういうことで了承している、こういう経緯もございます。
○紺野分科員 だから問題はそういう土地について、さらに東京都及び区側とも住民とも相談して、これだけの権利はやはり国として公共優先で渡す。その善処のしかたについては、空地に全く取られるというような場合にはそれに対応するような、あなたも代替いたすというようなこともありましたけれども、いずれにせよそれだけの権利を公共に優先的に渡す。それがいろいろ代替その他に変わるにしても、その権利はやはり住民や公共に優先的に渡すということを基本にしてやっていただきたいということです。
○小幡政府委員 大体先生おっしゃいますような方向でやっておりますし、現にこういう計画につきましては、現地の住民のほうから、こういう特定街区の都市計画決定をいたします前にいろいろ相談を受けて了承をしている、こういうふうに聞いております。
○紺野分科員 それから、それはあくまでも三菱に渡すのですか。
○小幡政府委員 この辺は、実は特定街区の事業の施行主体といいますものが、この計画決定では三菱地所ということになっておりまして、これを三菱地所に渡さぬで、こういう特定街区の計画に寄与し得る方法があるかどうかということになりますと、これは建設省の専門的な分野でございますのでちょっとわかりかねますが、一般には、こういう場合には事業の施行主体が取得をいたしまして、こういう特定街区を形成いたします。ただ、その場合にも所有権は三菱地所にありましても、一般大衆の利用し得る空地、これはあける。要するに、特に囲いをするということではございませんで、街路をくっつけて、そういったオープンスペースが展開するわけでございますので、そういうわけで地元もこの計画を了承しているようなわけでございます。
○紺野分科員 それから、その次は新宿の東五軒町三十番地の一です。ここは江戸川小学校の校区に当たるところで、そこに約二百二十坪の空地が、さら地があります。元肥料公団があったところでありまして、その隣に約三百坪ほどの新潮社の倉庫があるわけなんです。約三百坪ほどであります。この二百二十坪と三百坪の土地が互いに隣合っているわけですけれども、地元のPTAそれから町会等は、これについて、この校区に一つも児童の遊び場がない、過密になっている、それでどうしてもこの国有地を払い下げてほしいと言っているのです。ところが、どうもいろいろの事情によりますと、新潮社にこれを渡すという話が進行しているんじゃないかということが言われているわけです。ですから、これをぜひ住民に、公共優先に払い下げてほしい、これが一点。
 それから、千代田区の気象庁あと地です。千六百坪ほどありますけれども、これは地元のほうでは、官庁あるいは都庁その他の密集した役所のあるところでありますから、そこの労働者たちの勤福会館、これの建設地としてどうしてもほしいということが起きております。ですから、ぜひ国有地をそういう公共的な用途のために払い下げをしてもらいたい、すべきではないかということです。
 それから、同じく千代田区に関東公安調査局あと地が五千二百十坪ありますね。これも地元のほうでは緑地をつくってくれ、あるいはその他の公共用のいろいろな施設をつくってほしいという要望があるわけですけれども、こういう点は優先的にぜひ国有地を有効に払い下げてほしい。
 それからもう一点。これは小さな、しかしささやかではあるけれどもたいへん大切な、六本木四丁目にありますところの工芸学会というところに貸してある国有地であります。これは二百坪ばかりの土地ですが、老人たちがあそこを老人会館か何かにぜひしてほしいというふうに希望しております。ところが、これもまた何か名古屋鉄道の社長が理事長となって、その学会の名目だけの管理者になっている。どうやらそっちのほうに持っていかれるのじゃないかという不安がささやかれております。
 こういう点、つまり地元のほうの住民の方々及び区等で熱望しているこれらの国有地を、住民に払い下げるようにしてはどうかということでありますけれども、見解を聞かしてください。
○小幡政府委員 ただいま御指摘の都心部の国有地の件でございますけれども、それぞれ環境、立地条件、規模が異なっておりますし、また中には入居者がいるもの、あるいは訴訟中で訴訟が解決しない段階においては何とも処理いたしかねる、こういった問題などいろいろございますが、私どもの方針といたしましては、このような都心部におきます国有地の有効利用という観点からしまして、できるだけ公共用優先の方向でその活用をはかる、こういった方針で臨みたいと考えております。
○紺野分科員 私がいま言いましたようなことは、できるだけ公共優先ということで努力をするというふうに受け取っていいのですね。
○小幡政府委員 できるだけそのように努力をしたいと考えております。
○紺野分科員 最後に、土地問題が非常に大きな社会問題になっておって、国有地が一そうその動向を注目されているわけです。いま大蔵大臣も言ったように、みごとに三菱の手に六千坪入った。済生会という恩賜財団の、だいぶ歴史的に古い病院だと思いますけれども、そういうところがわずか五年間の、普通の用途指定よりもはるかに短い期間によって、するりと最大の土地所有業者の手に渡るというようなことは、もう絶対にまかり通ってはならないところにきているのではないか。むしろ三菱のそういう地所は収用せよ、むしろそういう大きい土地会社の土地は都民のために、住民のために優先的に収用する必要もあるというふうに、世論もそういう方向をとっておりますし、私どももそう考えております。
 そういうことでありますから、これからのいろいろな国有地については、そういう点を十分踏まえて、土地業者のしり押しをするようなことがあるのじゃないかと思われるようなことを極力避けまして、住民優先の土地の払い下げというふうにしていただきたいと思います。その点について、最後に大蔵大臣の御答弁をお願いします。
○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、その数年前の経緯については私もつまびらかでございませんで、おそらく済生会病院の再建というようなことがそこにからみまして、その財源措置というようなことで、いろいろ関係者の間で協議があって、その結果現在のような決着になっているのだろうと私は想像いたしますが、その間において、いまから考えればいろいろと反省すべきこともあったのではないだろうか。率直に私、意見を申し上げたわけでございます。
 今後の処置につきましては、先ほどもお触れになりましたように、国有財産の処理については一つの原則も持っているわけでございますから、いまお話しになりましたような、公共的な立場に立って、国有財産の処理として妥当であるというように理解がいただけるような十分の配慮で措置いたしたい、こう考えております。
○紺野分科員 質問を終わります。
○木野主査代理 新井彬之君。
○新井分科員 私は、自動車損害賠償責任保険について、若干の質問をいたしたいと思います。
 御承知のとおり、交通事故における死傷者は年年上昇を続け、昭和四十六年度においては若干減少ぎみとはいうものの、依然として死者は約二万六千人、対前年度比九七%、負傷者は約九十五万人、対前年度比九七%となっておりまして、加害者、被害者とも補償問題ではたいへん苦しんでいる方がおられるわけでございます。
 この交通事故の損害補償については、諸外国の例を見ましても、制度的にはそれぞれまちまちでありますけれども、西欧諸国では最高限度額が、フランスが三千万円、西ドイツ五千万円、イギリスでは限度額なし、無制限ということになっております。ところが、GNP世界第二位を誇るわが国におきましては、最高限度額が、死亡五百万円、傷害五十万円。傷害といっても、一生不具者になってしまわれる方もおられるわけでございまして、人間一個の生命というのは地球よりも重いということばがございますけれども、この点大蔵大臣は、生命尊厳の立場から、現時点において、いままでの裁判の判決等の例もございますけれども、まあ命に値段はつけられませんけれども、どの程度のものが妥当であるとお考えになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
○愛知国務大臣 これは非常に微妙なお尋ねでございまして、人命が事故にあった場合にどのくらいの保険金といいますか、あるいは慰謝料といいますか、いろいろの種類があると思いますけれども、一がいにどのくらいが適当であるということを、そう軽率に申し上げるべき額ではないと思いまして、非常に事務的になりますけれども、それぞれの保険制度とか、あるいは交通機関のいろいろの国際的な基準であるとか、参考にすべきものを参考にして、それぞれ可能な限りにおいて引き上げるということにする以外に方法はないのではなかろうか。人命を幾らに勘定するか、いろいろの学説や方式もあるようでございますけれども、軽々に申し上げるべき数字ではないと思います。
○新井分科員 確かに、いま御答弁ございましたが、これは非常にいろいろな算定方法あるいはまた国によって違いますので、一がいには申し上げられませんけれども、とにかく日本の場合は、現在賠償責任保険という制度が五百万円ということで限度額になっているわけです。したがいまして、それしかもらえないんだということが現実に出ておるわけでございまして、それでいいのか悪いのかということが私の言いたいところでございまして、その件については、もう少しあとで申したいと思います。
 総理府では、昭和四十六年一月一日から四十六年の十二月三十一日までの死亡事故者一万六千人に対する追跡調査の結果をいままとめておるということを聞いておりますけれども、それによりますと、損害賠償状況は、まる一年以上を経過した現在でも、金額が確定しているものが五四%、確定していないものが三三%、相手がわからない、自損ですね、ひき逃げ等も含まれますけれども、それが一三%ということで、実に四六%が金額の確定すらしていないということが出ておるようでございます。しかも最近では、交通事故の裁判で賠償額をもらえないケースがたくさん出ているということは、いわゆるから判決になっているということは、大臣も御承知のとおりでございます。裁判では死者に一千万、一千五百万という賠償額が裁定されているにもかかわらず、加害者で払わない者が四割近くにも及んでいる状況であります。加害者のほうでも、その事故を苦にして自殺者が出たりしておることも御承知のとおりでございます。
 これらの問題の背景には、自賠責の限度額があまりにも現状に合わない低水準に置かれている問題があるわけでございまして、この際、限度額を死亡は一千五百万円、傷害を三百万円に思い切って、被害者救済の見地からも引き上げるべきであると私は考えておるわけでございますけれども、大臣の御所見を承りたいと思います。
○愛知国務大臣 自賠責の限度額の引き上げについて、五百万円というのは昭和四十四年だったかにきまったあれで、それ以後数年を経過しておりますし、各方面からこれの引き上げが非常に要望されております。私どもも、この問題についてはできるだけ前向きに検討いたしたい、こう考えております。
 御案内のように、この自賠責保険というのは強制保険でございますし、そしてこの引き上げによりましてまた保険契約者の保険料の負担が増大するおそれがあるというような観点もありますし、また、これは賠償保険による最低保障の性格を持つものだからというような消極論もございますし、いろいろの意見がございますが、何とかひとつ限度を引き上げるように積極的に考えてあげたいものである、こういう気持ちを私としては持っておる次第でございます。
○新井分科員 先日、二月二十四日の予算委員会でも、これはわが党の石田議員が質問いたしましたことに対しまして、運輸大臣が趣旨に沿うようにしたい、こういうぐあいに答弁をされており、限度額の引き上げを示唆されておられますけれども、現在運輸省としてはこの限度額の引き上げについて、きょうは自動車局長来られておると思いますが、検討されておると思いますけれども、どのようになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○真島説明員 私どもも、自賠責保険の限度額につきまして、先日の予算委員会で運輸大臣からお答え申したとおりの意向をもって現在検討を続けておるわけでございます。
 何と申しましても、自賠責保険は、先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたような強制保険という性格、これがある程度、この限度額引き上げをあまり急激に上げるべきでないというような一つの議論にもなっておりますけれども、死亡あるいは後遺症障害等に対する限度額の五百万という数字が、現在でも妥当であるかどうか、この辺も、私ども裁判の判決例であるとか、あるいは和解、調停等でいろいろきまっております金額であるとか、そういうようなことをもちろん考慮しながら、できるだけ前向きに対処いたしたいと思っておりますが、自賠責保険の収支のほうを考えますると、数年前までの大幅な累積赤字ということがあったわけでございまして、このような状況が、事故率がこの二、三年多少落ちついてきたというようなこともございまして、若干好転はしてまいりましたものの、これの事故率の推移というものをもう少し見定める必要があるんじゃないかというような意見も、自賠責の審議会では相当強く出されておりまして、これらいろいろのことを勘案しつつ、当然大蔵当局とも御相談を申し上げながら、この限度額については検討をしてまいりたい、このように思います。
○新井分科員 いま自賠責保険の赤字という問題がございましたが、確かにそういうことがございましたけれども、昭和四十六年度におきましては三百二十七億九千万円、それから四十七年八月現在までの予想としては五百十一億五千百八十七万円、それから四十八年度見込みでは七百二億九千六百万円、こういうことで黒字がだんだんと増加をいたしまして、四十八年度ではいままでの累積赤字が帳消しになるということを聞いておるわけでございます。まあ私は、何もそれが黒字だからやりなさい、あるいは赤字だからやりなさいと言うわけじゃございませんけれども、そういうような一つのデータが出ておりますけれども、これは事実ですね。
○真島説明員 ただいまの数字は、私どもの再保険関係の数字でございます。申し上げますと……。
○新井分科員 いや、合っていればよろしいんですよ。
 それから、この自賠責の最高限度額ですね。これは今後上げられるにいたしましても、現在物価が非常に上がるといわれておりますけれども、やはり毎年毎年上げていくということもできないと思います。そういう意味では、やはり物価の上昇とともにスライド制にすること、こういう考え方でないと、二年、三年たったときには現実には追っつかない、こういうことになると思いますけれども、そういうものも併用していただきたい、このように思いますけれども、御所見を承っておきたいと思います。
○安井説明員 ただいま新井先生御指摘のように、自賠責収支の傾向が黒字の方向に向かっていることは事実でございます。しかし、まだ私どもの手元では、四十六年度末の推計でも千四百億ばかり赤字になっているわけでございます。四十七年度、四十八年度となりますと、これは相当推計要素を入れませんと金額が出てまいりませんので、問題があろうかと思うわけでございます。
 御指摘のようなスライド制を入れていくかどうかということにつきましても、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、事人命に関することでもございますし、また強制保険という性質でもございますので、慎重に考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○新井分科員 慎重に考えることはけっこうでございますけれども、とにかく先ほども申し上げましたように、一万六千人に及ぶ死者がいるということです。公害問題もございますけれども、なくなっている方がそんなにたくさんいるんだ。あるいはまたけがをされている方は九十五万人もいる。まあ、その方々の多少にかかわらず、限度額が少ないために今後の生活の問題についてものすごく影響を及ぼしている現状です。これが毎年毎年続くわけでございまして、これを解決しなければ、幾ら福祉事業で片手間みたいなことをいろいろやってみても、ほんとうに基本的に救えるわけはないわけでございます。まあ交通遺児の方々の問題がございますけれども、現在日本で十万人。その十万人の方々にいろいろとあたたかい手を差し伸べる、そういうぐあいに言って一生懸命やってみても、毎日また三十人ずつ交通遺児の方がふえていく。それに対して、やはり基本的にこういう保険制度の拡充をはかって現代に合わすということは、当然やらなければいけないことだと思うわけですね。
 それで、任意保険に入っている方というのはわりかたお金のある方でございまして、裁判をやってもすぐ二千万とか三千万という額は払える方です。そういう払えない方のほうが、大体四五%になるようでございますけれども、そういう方々のほうが入っていないわけです。したがって、そういう問題において裁判をやってもから判決になってしまう。そして現実にはそういう気の毒な方がたくさんいらっしゃる。そういうことで、やはりそういう実態というものをもっともっと認識していただきたいと思うのですね。まあ大臣もそういうことについてはよく陳情等も受けられると思いますけれども、一体そういう方々について、ほんとうにどのように対処してその方々を救っていくのか、自分の御感想といいますか、その点は大蔵大臣としてどのようにお考えになっていますか。
○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、できるだけ積極的な姿勢で対処したい、これは私の偽らざる気持ちでございます。
 同時に、これはもう保険金額を上げるというだけのことではなくて、交通安全対策というようなことを総合的に、人命尊重ということを目的にした総合対策が大いに必要であると思います。それから、技術的にはやはり多少は保険料の問題とか累積赤字というようなことも、これまた考慮の中に入れてまいりませんと、強制保険制度というものが将来とも長きにわたってうまく育っていかないわけでありますから、いろいろ総合的に考えて、しかもこの自賠責保険というものが建設的に、長きにわたって充実し改善されるように、その面で、われわれの立場からいえば努力を新たにしてまいりたい。これは先般運輸大臣も申しておりましたように、政府として相協力して前向きにやってまいりたいと思います。
○新井分科員 そういう方から来た手紙とか、そういうものもほんとうにここで読ませていただいて、認識を改めていただきたいと思うのですけれども、時間がありませんので次へ進みます。
 交通安全対策にしても、いまでもやっていますかと言えば、大臣は、本年も一生懸命やっていますと言うはずです。今度来年になって、交通事故は減りましたかと言うと、別段減っておりません。また同じことの繰り返しなんですね。やはり現実に困っていらっしゃる方、そういう方々の現実に合わすということ、これがなければ、幾ら制度だけあったってしようがないです。そういう例がもう幾らでもあるんじゃないですか。
 私がさっき一言申しましたのは、そんならそういう交通遺児の方に対して本年幾ら予算が出たか。そういう予算だって微々たるものじゃありませんか。何にもあとは与えていないじゃないか。医療保障の問題にしたっていろいろありますけれども、そういうものを何か一本そういう方に対してやるには、やはりここで一つの基準といいますか、そういうものを考えなければならぬ。諸外国でもやはりそういうことを考えてきちんとやっていると思います。
 もう一つの問題は、先ほども総理府の調査で、一年かかって追跡調査をした結果を私は申しましたけれども、実際には事故発生からそのお金を受け取るまで八カ月も、一年以上もかかる場合がその結果から出ているわけでございます。その間国のほうとしても一時金を、これもごくわずかでございますけれども、出されているようでございますが、その間加害者にしても被害者にしてもいろいろな面で非常に苦しい思いをされている。交通事故というのは善意と善意で起こっている場合も多々あるわけでございます。決して酔っぱらい運転ばかり、スピード違反ばかりでなくて、ほんとうにまじめな方がまじめに働いておられて事故を起こした、そういうような場合も多々あるわけでございますから、そういうことから考えても、そんなに長く延ばすということは、これは非常に問題でございます。
 そこで、そういう金額というものを当然もっと早く支払うべきだ。これは一般の国民の方が聞かれれば、少なくとも事故があった、書類を出した、そうすれば二、三カ月の間にこういうような緊急のお金というものは手元に入るのが当然だと考えるわけでございますけれども、そういうことについてどのようにお考えになっておりますか。
○安井説明員 ただいま先生御指摘のように、事故が起こりましたときに、少なくとも自賠責保険に関しましては、早急にその保険金を支払うということが非常に大事なことだと思います。現在、自賠責保険は自動車保険料率算定会という特殊団体のほうでやっておるわけでございます。全国に千六百人ばかりの人を置きまして査定その他を進めているわけでございますが、その自動車保険料率算定会でやっておりますのを私どもが見ておりますと、これは四十六年度の数字で恐縮でありますけれども、七十七万五千件のうち、算定会に資料が回りましてから一カ月以内に処理したのが五十三万八千件あるようでございます。大体六九%ぐらいです。三カ月以内に支払いまでいたしましたものを含めますと八九%、約九割近くになっているようでございます。実は残りの三カ月をこえるものがどういうものかということで調べてみたのでありますが、御承知のように、被害者が治療を継続しておりますときには内払いになりまして、なおられるまで支払いが続くわけでございますから、それが比較的多いようでございます。そのほか、提出書類が不備であったとか、あるいは賠償責任の有無について疑義があったとか、そんなケースがわずかでございまして、大半は、自賠責の保険に関する限り、算定会で受け付けてからは支払われておるというふうに私ども受け取っておるわけでございます。
○新井分科員 この追跡調査の結果、ほんとうに総理府のほうもびっくりしておるようてございますけれども、私ども聞いておりましても、やはり非常におそいといういろいろの方の現実の問題があるわけです。そういうわけで、そういう件についても早く支払うということで、もう一度よく目を通して現実を確かめていただきたいと思います。
 それからもう一つは、自動車損害賠償責任保険料の所得控除の問題についてでございますけれども、この件は、交通安全対策特別委員会に対しまして、大蔵省から三点にわたって回答が参っております。この回答について、私も非常にわからないところがありますのでお伺いしておきたいと思いますけれども、一つは、「もっぱら家事のために使用される自動車の一種の維持費とも考えられる保険料を、所得控除の対象とすることは、他の家事上の経費の取扱いとの均衡上適当でない。さらに、自賠責が強制保険であるから、これを税制上考慮すべしというのであれば、自賠責は強制加入であっても自動車の購入は任意であって、このような自動車の所有に伴う支出増も当然考慮のうえで購入されてしかるべきものである。強制という点からすれば、自動車税等の負担も控除せよということになってしまう。」というような答弁でございます。
 この第一点の問題ですけれども、保険料をかけるということですが、これは自家用車だからとかあるいはまた事業用だからとか、それはかける目的とは全然関係がないわけでございます。保険をかけるというのには社会的な目的があるわけでございますから、社会的な目的に事業用も自家用も違いがない。社会性の強いものだから強制にしたのであって、自家用のためだからではなくて、どうしても強制にしなくてはならない強い公共性を持っているから強制にしたのである、このように考えるわけであります。また、自動車の購入は任意である、こういうようなことをいっておりますけれども、それなら家屋の保険にしても、家屋の購入も任意です。そういうわけで大蔵省のこの論法でいくならば、これは任意だから認めるわけにはいかないことになるというのですけれども、任意だからそれを認めないということについては非常に無理があるんじゃないか、このように思いますけれども、御見解を伺いたいと思います。
○高木(文)政府委員 自動車のもろもろの経費が、ある場合には所得税の計算上必要経費になる、ある場合はならないということになっておりますのは、所得税の仕組みの上におきまして、その自動車が事業上の収入を得るために必要のある場合には経費になりますし、そうでなくて家事とかレジャーとかで、要するに所得の処分のほうに自動車を使われる場合には必要がないという一般的な考え方を回答の形式で申し上げたものでございます。
 いまの任意、強制の問題というのはちょっとまた別の問題でございまして、関係の方々からいえば、強制保険であるからどこかから引いてはどうかという御意見がしばしば出るわけでございますが、税のほうの理屈になりまして恐縮でございますが、税のほうでは、強制であるから、任意であるからということと実は直接関係がないのではないか。強制だから、どういう性質の自動車の使用のしかたであっても所得から引いたらどうかという御意見は、ちょっと賛成いたしかねます。現に、自動車をお持ちになれば、ガソリンも要るわけでございますし、もろもろの負担がかかるわけでございますが、そのもろもろの負担を、家事とかレジャーとかの場合に引くということは、その総体がある所得の処分だから引きようがないというのが私どもの考え方でございます。任意、強制の関係の御説明のしかたが、回答の上において混乱をいたしたかもしれませんが、私どもは、そこは任意と強制とは関係がないということを申し上げているつもりでございます。
○新井分科員 いまの答弁も非常に納得ができないのでございますが、時間がありませんのであれですけれども、とにかく自動車を任意で買う、そして買った場合においては、それにかかるこういう強制の保険についても控除がされないということでございますけれども、住宅の場合でも目玉商品みたいにして、住宅を買った場合においては控除してあげようというような制度もできているときでございまして、いまの保険制度そのものの重要性、これは強制になっているということから考えても、あるいはまたこの保険制度がなければ車なんか乗れないわけであります。事故があった場合には、ほんとうに一家の破滅につながる。これは事故を起こしたほうも起こされたほうもたいへんなことになる。そういうようなことで、こういう保険制度については、もっと前向きな考え方に今後は立たなければならないのではないか、こういうぐあいに思うわけでございまして、時間がありませんから御意見だけ申し上げておきます。
 それから第二の点につきましても、自賠責は強制加入だからその目的を全うしているといっているけれども、これはあくまでも国の一方的な都合で強制にしておるわけであって、任意であるから国で奨励の必要があったが、強制にしたからその必要がなくなったのであって、これはあくまでも国のほうの都合にすぎないということです。したがって、第二番目の回答も私は的を射ているものとは思いません。
 第三番目につきましても、税の不公平といいますか、そういうものについてもまだまだ直さなければいけないものがたくさんありますけれども、そういうものをひっくるめまして、とにかくそういう社会保障に少しでも前進するというような問題については、今後ともそういうことをよく検討していただいてやっていただきたい、このように思うわけでございます。
 これだけ答弁いただいて質問を終わります。
○愛知国務大臣 いろいろ御熱心な御意見を伺いまして、まことに感謝申し上げますが、税の問題としては、率直に言ってなかなかむずかしい点がございますのと、それからいまの御意見で、本来なら社会保険的に、あるいは社会保険として扱うようなお考えということになりますと、これは性格が違うのではないかと思いますけれども、それらの御意見につきましては、先ほどの保険の問題もあわせまして、いろいろと検討させていただきたいと思います。
○新井分科員 では終わります。
○木野主査代理 大出俊君。
○大出分科員 時間がありませんから簡単に承りまして、大蔵大臣の御意見を承っておきたいのであります。
 問題の焦点は、米軍に提供している施設の中に、農林省の開拓財産という形の耕地がある。永小作権に類する小作権をすでに持っている七十万坪くらいの広いところであります。所有者、つまり関係者はたくさんおりますが、そういう農地の払い下げを早急にやってもらいたい、こういう農民諸君の要求がございまして、神奈川県自体もその方向で何としても進めたい、こういう県議会のやりとりの答弁が出ております。したがって、これは非常に気の毒なケースでございますから、この際解決をはかるべく努力をしなければならない筋合いだと思いますので、県とこの地方から出ている県議会議員の間のやりとりの中で、ネックはどこなんだ、問題の焦点はどこなんだということに対して、大蔵省なんだ、大蔵省当局の考え方なんだというのが一つのポイントになっておりますから、そういう意味で御意見をいただきたいのであります。
 簡単に御説明をいたしますと、昭和十六年に横須賀海軍第二補給廠の瀬谷倉庫用地というのがございまして、場所は横浜市瀬谷区上瀬谷というところでありますが、いま米軍の通信基地になっているわけであります。上瀬谷の通信基地、たいへん広大な地域であります。
 ところで、この倉庫用地ということで強制買収を当時日本軍がいたしました。それが約七十万坪ございます。これはその以前に、例の自作農創設臨時措置法が制定をされまして、この関連で、開墾をして畑にする者には助成費を出す、こういう国の方針で三十万円の交付を受けております。したがって、地元農家の方々はこれに従って開墾をした。ところが、いま申し上げましたように、旧日本軍に倉庫用地ということで強制買収をされた。これは戦時中でございますから、いやおうもないわけでございます。
 そこで、神奈川県当局は昭和二十三年九月、関係農家全員について、この入植した人、それから開墾をして反数その他ふやしている人を適格審査を行ないまして、昭和二十四年の三月を目途に売り渡しをすることになった。つまり、戦後になりましたのでこういうことになって、これは発表されました。強制買収をしたといういきさつがありますから、その恩典に立って、自作農創設臨時措置法のときに三十万の助成金の交付もしているんだ、売り渡すところまでいった、こういうようなことなどから関連をいたしまして、戦後売り渡そう、ここまでいった。
 ところが、まことに不幸なことでございますけれども、米軍が提供してもらいたいということがここで出てまいりまして、米海軍通信隊の施設用地、こういうことで、売り渡しが発表されたあとでそれを中断をして、今度は米軍が接収をした、こういうかっこうになってしまったわけであります。ただその場合に、一時使用という形の提供のしかたをいたしておりますから、その意味では農林省の開拓財産の形になっておりまして、以来耕作が続いている、こういうことであります。そこで、県当局と県議会における議員のやりとりの中では、永小作権に類する権利が農民の側にある、そういうことであるから、したがって、できるだけすみやかにこれは農民に返したい、こういうことなんであります。
 そこで、国会におきましては、四十一年の二月十六日に参議院の決算委員会で質問が出まして、ここで農林省のほうは大和田農地局長が答弁をしておりますが、農地局長の答弁は、国有になっている農地を耕作者に売り渡すようにしたいということで防衛施設庁と打ち合わせをしている、こういう答弁が出ているわけであります。この席には小幡防衛施設庁長官が当時在席をしておりました。以来今日に至っている。
 そこで、つい先般、神奈川県議会の質疑がございまして、この中でいろいろな経緯があって、たいへんお気の毒である、これは農地法施行規則の四十六条、用途転換、用途外貸し付けであるとか、それから配分計画などをやって売り渡すとか、いろいろ条文関係がございますが省略をいたします。したがって、私はここで、もちろん時間がありませんからですが、様子いかんでは再質問をいたしたいと思っておりますけれども、この種のものはここまでまいりますと、言うならば戦後処理に類するものも含んでおりますから、処理をしたほうがいい、そうでないといろいろな問題が尾を引いてまずいことになる、こういうふうに思いますから、そういう意味で、まず、お聞き及びになっておられれば、あらかじめ申し上げておきましたが、それなりの答弁をいただきたいのと、あわせて、ひとつ旧来の経緯の上に立って、農林省の関係の方々、防衛庁の関係の方々にお答えいただきたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 あらかじめ御質問の要旨をいただいておりましたので、私も事情を聞いてみまして、これはまことにお気の毒な事情であるということがよくわかりました。
 大出さんよく御承知のとおり、いままで政府側が、特に大蔵省というわけでもないと思うのですけれども、もたもたいたしましたのは、国が提供する義務がございますものですから、政府としてあらゆる権限を留保しておかないといかぬ、そこがためらいのもとであったと思います。ですから、払い下げ後、提供している目的が十分保証されるというようなところが確保されますならば、私は前向きに処理をしたい。まだ十分関係省あるいはうちの事務当局とも相談をしてございませんけれども、やはりこういう特殊の場合には、原則の例外になりますけれども、いま申しましたような点を、ひとつ地元の方として御協力いただきながら、なるべく早く処理をしたほうが、私はいろいろの点からいっていいのではないか、こう思いますので、事務当局並びに関係省庁と御相談をいたしまして、払い下げができるように私どもとしてできるだけの努力をいたしたいと思います。
○大出分科員 長い懸案でございますから、地元の方々に聞いてみましても、まあ自分の土地でございましたから、やれうれしやと思ったら、とたんに旧軍に押えられた、憲兵を使いまして。憲兵に、いままでお上のお慈悲で君たちに提供をしたんだぞ、耕作さしてあげたんだぞ、だからお上が使うからというのでいきなり追い立てを食っちゃったというのですね、年寄りの話を聞きますと。戦後、戦争が終わって、自作農創設臨時措置法もできて、やれうれしやというので、今度は三十万円という、当時大金でございますから、これで一生この地で耕作ができると思ってたいへん喜んだ。ところが、とたんにまた米軍に押えられた。泣くに泣けぬという、こぼし話を聞きました。関係の長老がまだ生きておられるわけだから、その方がおいでになるうちに何とか片をつけてあげたいものだという気がいたしましてね。
    〔木野主査代理退席、主査着席〕
 いま初めて前向きの御答弁をいただいたわけでありますが、実はこの地域選出の中尾県議会議員と県当局とのやりとりの一番最後に、これは議事録でございますが、一つ、これは地上権あるいは賃借権と申しますか、そういう相互の合意に基づく民法上の契約でこれを借り上げて政府に提供するという、そういう債務を大蔵省ないし防衛施設庁が負う、その辺のところがなかなかふん切りがつかない、実は農林省サイドの強い要請にもかかわらず、事態が進展をしないというネックなんだというのですね。そういう説明を県当局がしているのです。
 そこで、この時点で何とか大蔵省サイドに事あるごとに神奈川県当局としては折衝して払い下げを早めたい、こうも答えているわけでございまして、これは念のために、平井さんがお見えになっておられるようでございますから、防衛施設庁の側で、中身を詳しく申し上げておいたつもりでございますけれども、御答弁いただきたいと思います。
○平井(啓)政府委員 この問題につきましての防衛施設庁の立場は、ただいま大蔵大臣から御答弁がありましたような趣旨で、全く同様の立場をとっております。
 ただ、多年の問題でありながら今日まで解決できていないというのははなはだ残念なんでございますが、御承知のように、問題の土地、問題の地域が、上瀬谷通信施設として安保条約上必要な施設、区域として提供しております。したがって、本件の事情にかんがみまして、これが払い下げを受けられた場合、その後も、今日の事情からすれば、引き続きその土地を、今度は個人の所有のお立場で提供いただくことにならざるを得ないというわけでございます。そこで、払い下げを受けられた後、この安保条約に基づく提供目的に支障がないような形で御協力いただけるかどうかがポイントだったわけでございまして、これらの点、従来から関係者の方といろいろお話し合いをさしていただいていたわけでございまして、ここ二年ほどちょっとこの話し合いにやや空白と申しますか、テンポがおくれていたきらいがありましたが、昨年の十二月、ちょうど例の補償問題関係小委員会がございましたときに、関係者の方からもそういう御要望が強く出ましたので、さっそく防衛施設庁の横浜局がこの問題に現在取り組んでおりまして、大蔵省のほうとも、農林省のほうとも、寄り寄り協議しながら、また米軍ともよく話しながら、関係者の方と、払い下げを受けられた後のそういった点についての問題を至急詰めたいということで、今月中にもお話し合いを始めたい、そういうふうに考えております。
○大出分科員 関係者の方々は、払い下げを受けた後引き続き提供するという点については何と言っておりますか、皆さんのところに入っている話は。
○平井(啓)政府委員 現在までのところでは、十分協力いたします、異存はありません、ということでございます。
○大出分科員 これは、個々の旧地主さんが全部が全部一人の人じゃないのですから、いろいろお考えがありますので、私はここで一方づいてこうだと、こう申し上げることは差し控えたいと思いますが、あわせて農林省の関係の方からお答えをいただきたい。
○小沼政府委員 先ほど大蔵大臣からお話がございましたようなことでございまして、私どもも積極的にこの問題の解決に当たりたい、かように考えておる次第でございます。
 しかし、農家に土地の所有権が移っても、市として提供しておりますので、その使用目的と合致する形で持っていく必要があるので、その点のくふうは要るだろうというふうに考えている次第でございます。
○大出分科員 これは上瀬谷の通信基地は、Aゾーンから始まりまして、電波障害の制限地域でございましたが、長いいろいろな経緯がありまして、中曽根さんが防衛庁長官の時代に、あそこから地下通信機材を運び出している形跡が目に見えましたので、私、質問をいたしまして、結果的に、中曽根さんいろいろおっしゃっておりましたが、私の指摘いたしましたように、沖繩の本部半島の八重岳に地下の通信機材をほとんど運んでしまった。八重岳の基地も、その後沖繩タイムスが懸命にさがして見つけまして、その事実が明らかになった。そこで受信基地だけになってしまったいきさつがありまして、非常に基地の様相が変わっております。そこで第七艦隊の七十二機動部隊の那覇におりました情報通信関係の司令部が、五十一名でございますか、入るという現象が一つ出てきましたが、それにしても大きく変わっておりますから、そこらもあわせお考えをいただきまして、早急な解決をいただきたい、こう思っております。
 二番目の問題でございますが、実は愛知さんが外務大臣をおやりになっていた時代のことで関連して承っておきたいのであります。
 英国においでになった四十四年の四、五月ごろでございましょうか、このときに動物愛護法等の問題とからみまして、日本はどうも犬をたいへんに虐待する国だというので、「ピープル」などという市販の刊行物の中にいろいろ問題を取り上げられていた時代でありました。帰ってこられて、参議院では加藤シヅエさんが質問をされまして、その議事録をここに私、持っておりますが、それに愛知さんがお答えになっておられるわけです。いまお立場をかえて大蔵大臣でございますが、知っておられる大臣でございますから、よけいなことを言いませんが、私は実は三年ばかり前に、長い経過の上に立って、何としても動物保護及び管理法というようなものをつくるべきであろうということで問題提起がございまして、そのときに、法案として不備な点も多々これあり、私のところでひとつ案をつくり直すというようなことになって、理事会の御了承を得て、内閣委員会の関係の方々が努力をしてまいりました。案をつくって、昨年これは参議院の法制局の御協力によってできたものでありますが、各党にお渡しをし、かつ砂田総理府副長官にお手数をわずらわして各省の意見を、これはきわめて気楽に出していただこうということでいただいておりますから、公式云云ということを申しませんが、いただいたわけであります。
 ところがこの中に、大蔵省のお答えがあまり三くだり半的でございまして、いささかどうも私自身としては納得しかねる。大蔵省が法案について、内容全般についていえば、法律事項にするまでもない事項が相当あるという、言うならば法律にしなくてもいいじゃないかという。ここにもう差し上げてございますから詳しく申しませんが、第七条第六項の補助金の規定について、補助金の整理合理化を進めている現在、新たに補助金の規定を設けることには反対だ。さらに予算補助ということにした場合であっても、零細補助金で額が少なくなるから意味がないじゃないか、趣旨に反するじゃないか。法案の中身に動物保護審議会というものをつくるという構想があるのでありますが、審議会の設置も、行政事務の整理合理化の趣旨に反する、こういうことで反対だ。愛知さんもずいぶんたくさん大臣をおやりになっておられますが、私もずいぶん、いつの間にか十年ばかり内閣委員会にごやっかいになっておりますから、たくさんの法案について反対もし、賛成もしてまいりましたが、こういう簡単なことで補助金なり審議会なりというものを片づける性格のものじゃない。ふやすべきものはふやすべきだし、減らすべきものは減らす、是々非々ということにならなければならぬわけでございまして、そういうわけで、これは予算を伴うという点でそういう背景も一つ出てきておりますから、多少の予算を伴ってもこの際つくる必要があるときに来ている、こう私は思います。そういう意味で、この席上で大臣の御見解をいただきたいのです。
 時間がありませんからもう一点つけ加えますが、いま飼い犬条例あるいは狂犬病予防法など、この中に、「犬の引取」がございますが、ここらの問題を中心にして、全国で一年間に捕獲をして収容している犬の数が七十万頭をこえているわけですよ。先ほども厚生大臣齋藤さんに確かめましたが、七十万頭をはるかにこえてしまっている。それも、非常に足りない人数でやっていてそれだけ捕獲をしているわけです。そうすると、その何倍そこに犬がうろうろしているか実はわからぬわけであります。
 そこで、いわゆる犬の害、かみ殺されたりあるいはかまれて大けがをしたという方々の数字、それから結果的にその方々が法的にどういうことになっているか、つまり損害賠償その他を含めまして調べてみまして、いま警察庁が中心になって個々のかまれて死んだケースについてのここ数年の追跡調査を全国的にやっていただいております。やがて手に入ります。ここで簡単に申し上げておきますと、つまりかんだ犬の数、かまれた人の数というものを幾つか申し上げますが、四十三年がここにありますが、四十三年、人間をかんだ犬の数が一万五千八百三十一あります。今度かまれた人たちが一万六千二百六十六、これだけある。それから迷惑だというので苦情が公の機関に参りましたもの、それが泣き声で警察その他に苦情が参りましたものが三千六百六十六件、放し飼いというかっこうで放置されている犬、これについての苦情が二万五千六百七十四件、それから脱ぷんその他で非常に困るということで苦情が出ておりますのが二千百九十一件、田畑を荒らして困るというのが九千九百五十一件、その他が六千六百七十一件、いろんな苦情であります。合計四十三年一年間で五万一千三百四十五件の苦情が出ているのですね。これは都道府県別に全部明らかにされております。これは四十四年、四十五年、四十六年とございますが、減っていない。全部申し上げる時間がありませんからあれでございますが、そういう実は状態でございます。
 そしてつい最近の例をちょっと申し上げておきますが、本年の一月の二十五日に東京都調布市の市立第二小学校の校庭で、休憩中の児童十五人が近所の飼い犬に飛び込まれて手足をかまれて、十五人が病院に収容された。これは全部負傷です。ところが昨年の十一月、福島県で五歳の男の子さんがかまれて死にました。昨年の十月、兵庫県で七歳の女の子さんが死にました。昨年の六月、石川県で一歳十カ月の男の子さんがかまれて死にました。同じ一月に静岡県で一歳の女の子さんがかまれて死んでおります。こういう状態ですね。そこへ持ってまいりまして、先般私のところに、千葉県の石川照夫さんという方が御夫妻で参りまして、御長男武雄さんという十歳になっておられる方が、千葉県夷隅郡岬町和泉二五二六番地いうところですが、これが例の「三時のあなた」に出る山口淑子さんとフジテレビのディレクターの方々とでお見えになりまして、実はこの方をお呼びして、犬の害について番組で取り上げたらたいへん反響が強い。たび重ねて動物愛護協会その他を含めまして国会にいろいろな働きかけをしたのだけれども、さっぱりこの法案もつくってくれないし取り上げてもくれない。狂犬病予防法があったりあるいは飼い犬条例があるからいいではないか、鳥獣保護法あるいは狩猟に関する法律上の分野もあるじゃないか、軽犯罪法で罰則があるじゃないかということを言う。
 ところが、各省所管まちまちで一体どうするかという何ら筋がない。つまりそういうことで放置されている。だからどうしても国会で取り上げてくれないならば、世の中は犬の被害を受けて、これは日常茶飯事で生活の周辺にあるのだから、一大キャンペーンを張りたいのだという。なぜ一体政府はやらぬのか。ずいぶん無責任じゃないか。国際的に見ても、台湾の蒋介石の政府だってりっぱな法律をつくっておられる。ほとんど先進国といわれるところでないところはない。日本の場合には、四十七都道府県の中にまだ飼い犬条例さえできていない県もある。こういうふざけたことでいいのかという実はこわ談判がありまして、私もこのまま進まなければ、やはりそういう世論の力を借りなければならぬという気もするわけであります。
 だから、この点は外務大臣のときに御経験もありまして、いろいろな思惑があった背景も全く私も知らぬわけではありませんが、ここまでくれば、予算的な措置が必要であってもやはりきちっとしたものをつくるべきである。一つは、各国の法律を読んでみますと、飼い主の管理責任というものの体系、もう一つは、動物実験その他を含めましての虐待防止法という法律体系、もう一つは、自然保護という体系、三つございます。その中で、日本の今日の国情に合わせてどういうふうにしていくかということを考えて、たたき台をつくって各省に差し上げてある、こういうことであります。その一番根っこである予算的なものが多少かかったにしても、東京都に行って聞いてみますと、犬の引き取り、ネコの引き取りというふうな問題で外国からもたたかれている。犬舎がひどいとか食いものをやらないとかいうことが、やはり国がしてくれないから、ここから先に進みかねるという意見でございます。
 したがって、先ほどのようなお答えでなしに、ここまで来たのですから、もう少し前向きにお考えを願えないのかというのが趣旨でございます。
○愛知国務大臣 これは大出さんよく御承知で、また御記憶いただいてたいへんありがたいのでありますが、私もまことに情けない経験をいたしましたし、それからもう今日となっては動物虐待防止ということだけではなくて、もっと広い範囲で、ことに子供さんたちの被害その他、いまも数字をあげてのお話でまことにごもっともなことでございます。実は私も一人の議員として、加藤さんその他が御中心になられて議員立法を御計画になったときも、私もいろいろ御相談にあずかったりしたわけでありますので、いま言及されましたようにあの当時の法律案については、当時の大蔵省としては補助金の問題とあるいは審議会の問題、それからもう一つは、これは各省を通じてのことですが、所管省がどこであろうかというようなことで、そういうふうにかつぎ込んだというような経緯がございましたが、一つは、きょうあらためて御提示いただきました。これは積極的に私も責任をもってぜひ推進いたしたいと思います。これはぜひ私自身がやらなければならないと考えていることでございます。
○大出分科員 これは私は、途中でおやりになる方がないもんですから、私も忙しい男ですけれども、やむを得ず法案までこしらえる努力をしまして、足りないものを全部資料を集めましてやっているわけでありまして、これはぜひ御協力いただきたいのでありますが、いずれにせよ、御自分ではなくても身近に犬にかまれた方もあろうし、経験もありましょう。子供さんだってそういうことでございますから、そういうふうにして考えていただきたいのでありますが、いまいみじくもお話がありましたように所管の省がはっきりしない。さっき厚生省のところで、環境庁それから総理府に来ていただきまして、政務次官にお見えいただきまして、どこが所管をしていただけるのか、回答はいただいているのだが、いまお話がございましたように、安井謙さんの総務長官のときに、かつて総理府となっておったけれども、ところがこの回答の中では、総理府所管としてはなじまないものであるというふうに書いてあって、総理府も逃げておられるのですね。そこらは、なじまぬじゃ困るのじゃないか。厚生省としても、狂犬病予防法というものはあるにしても所管としてはなじまないのだ、こう言う。そうすると自治省としても、自治体相手にややこしくなるものだからなじまぬものだ。片っ端からなじまないわけですよ、これが。もうちょっとこれはなじんでいただきたいのですよ。
 結局私は、環境庁も、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律があるのですから、いまのところ片っ端なじまぬと官庁で言われては困るので、多少おなじみになってもらわないと困る。先ほど総務長官という立場で、代理として小官山政務次官に、齋藤さんのおいでになるところで、そこらが中心になって厚生省として協力する、一生懸命やってみる。だからそこらが中心になって、まず所管の省をきめてもらう。窓口を明らかにしてもらいたい。そしてその上でひとつこの折衝に入って、幸い私の委員会、内閣委員会の理事会では先般、ひとつ超党派でやろうということで話はまとまっておりますので、多少の予算的な措置がございましても、こういうことでありますので、ぜひひとつ御尽力を願いたいと思います。
 御答弁いまいただきましたから、それ以上申し上げませんが、二、三分はみ出していいということがありましたので、もう一つ聞かしていただきたいのでございますが、三千万人のサラリーマン減税、大幅なという新聞記事がございまして、総理の御発想のように感じましたが、また、大蔵大臣は昨日の分科会等におきまして、物価が目標以上に上がった場合には減税をしたい、こういうお考えが出ております。
 そこで、時間がありませんから私のほうから申し上げてしまいますが、所得税法の改正で、私、ここに計算しておりますのからまいりますと、年間総収入が百五十万の方の四十八年度減税分の計算をいたしますと九千百三十二円、〇・〇六%の減税です、パーセンテージではじきますと。以下二百万円で一万三千十八円、〇・〇六五。三百万円で二万四千八百円、〇・〇八〇。五百万円で四万八千三百三円、〇・〇九六というような数字になる。
 そこで、この百五十万円というところをとってみて、実は私も給与を長年やっている関係でぴんとくるのですが、家計費は、この百五十万円の総収入の方は一体幾らだ。いずれも標準世帯、夫婦子供二人ですが、その家計費は大体八割と見て、百五十万の総収入の方は百二十万です。そうすると、四十八年度の経済見通し並びにその運営についてを一月二十六日に閣議決定なさっております。五・五%の消費者物価上昇を見込んでおられるのですね。そこで五・五%、政府のおっしゃるように上昇がやむを得ぬとした場合、それじゃ家計費百二十万は幾らふえるかというと六万六千円ふえますから、再二十六万六千円になりますね。そうしますと、九千百三十二円という年間減税額というものは、これは課税最低限をこれこれこうしたなんというようなことを予算委員会の総括質問のときに愛知さんはお答えになっておられますけれども、それにしてもずいぶんこれは酷ではないかということになる。
 したがって、私はほんとうなのかと。そのサラリーマン減税を大幅にだとか、五・五%の消費者物価の目標をこえれば減税をとおっしゃっておるけれども、ほんとうなのか、これは。現実にいま私が申し上げたような数字になっている。どうもまともに受け取れぬ節がある。そこをどうお考えなのかという点が一つ。昨今の、昨年対比の消費者物価の東京都における上昇率七・二%くらいありますから、とてもじゃないがこれは五・五におさまりそうもない、こう思います。そこらのところのもう一つ突っ込んだ真意をお伺いしたい。
 あわせて、第六次公定歩合引き下げのときに預金金利を引き下げられましたけれども、ただいま一年ものの定期でいえば五分七厘五毛を五分二厘五毛に引き下げられた。ところが、閣議で五・五%の消費者物価上昇はやむを得ぬということをおきめになるという神経が、私から言わせれば不可解だ。一年ものの定期の預金金利の引き下げ、特に郵便局におけるものなんかについて、あれだけいろいろあった。ところが、それはそういう見通しになるにしても、閣議が、一年ものの定期の金利以上の物価上昇というものをあっさりおきめになるというおかしなことになる。だからここまでくると、公定歩合の引き下げという――引き上げという問題もあります。当然、単なるこの預金準備率の引き上げのみならず。しかし、やはりその預金金利を上げる気にならぬと、さっきもある部屋へ行って私、国会職員の方と話しておったら、商社がこれこれ買い占める、大企業がこうだ、いまの世の中ぐらいビッグビジネスに対する反感の強くなったことはない、二・二六事件の前夜みたいだ、一九二九−三〇年のアメリカのモルガン財閥事件が出てくるときみたいですよ、だから、まるっきり給料をもらってもばかばかしくて働けやしないと言うのです。ギャンブル経済だというだけのみならず。そうすると、祝日と祭月とかち合ったら振りかえますどころじゃなくて、やはりここの辺に焦点を合わせて思い切ってものをお考えいただかぬと、国民的に、サラリーマン全体としてまことに働く気力を失うことになる。そういう世相にしてはいかぬと私は思うので、そういう意味で預金金利の引き上げなどということは、早急にこれは考えてしかるべきものと思いますが、いかがでございますか。その二点だけ答えてください。
○愛知国務大臣 物価と減税の関係は、この間の委員会でも論議が出たことは御指摘のとおりであります。ただ私どもの考え方としては、やはり課税最低限を引き上げるということが一番メリットのあることであると思いましたので、標準家計でいえば、たとえば八%以上の引き上げになっておりますから、これが五ないし六%の間でかなりのマージンになるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、五・五%については何とかしてこの限界内に押えたい、私は押えられると思っておりますが、そこで、まあ仮定の上に立った議論はともかくとして、しかし、私の持論としては、四十八年度は、予算編成財源の関係その他からいってまず所得税はこの辺でと思って税制改正案を御審議願っているわけですが、その後の段階においては、特に勤労者の所得税の軽減、それから法人課税の重課という方向に向いて、今後の税制のあり方については積極的に建設的に考えていきたいというふうにいま考えているわけでございまして、そういうときにまたいろいろの御意見を取り入れてまいりたい、私の真意はこういうわけでございます。
 それから、第二の金利の問題でございますが、これももうごもっともなことで痛み入るわけでございますが、この公定歩合に手をつけるのにはちょっといまの状況はいかがかと思っておりますから、いま公定歩合の引き上げということは、いつやるかということはまだ申し上げる段階にないと思います。しかし金利体系というものの中で、預金の金利というものは、金利体系をいじるようなときには当然考えの中に入れていかなければいけない。金利の体系ということから考えてもこれは当然のことではないか、こういうふうに考えております。
○大出分科員 これでおしまいにします。もう言いませんが、とにかくおかしな話というよりは、ばかげているのですね。閣議で五…五%の消費者物価の上昇はやむを得ぬというふうにおきめになっていて、一年ものの標準定期の金利が五分二厘五毛なんて、五分七厘五毛だったのですから。五七五を五二五に引き下げたのですから。それはもう皆さん方だって一年定期やればそうなんだから。これは念のためにつけ加えて、これでやめますけれども、どう考えてもこれはつじつまが合わないですね。
 これは一般的な話をしますが、四十七年三月末、個人の貯蓄総額は五十八兆五千億円です。これは大蔵省の資料です。その内訳は、銀行は二十九兆四千億円、郵便局が九兆五千億円、生命保険が六兆二千億円、農協が十三兆四千億円、合計、端数を整理しますと、約五十八兆五千億です。これは四十七年の三月ですから、四十六年度ですから、六・一%の物価上昇を考えると、おおむね三兆五千六百八十億円ばかり減価ですね。そうすると、この五十八兆の中からいわば大企業へ貸し出されている金というのが三十兆ぐらいなのですすね。こっちのほうは逆に借金が軽くなるという勘定になって、そこまで預金金利を下げてしなければならぬかということになる。だから、そういうばかなことをあまり言えば、だれが考えたってこんなふざけたことはということになるわけです。だから、せめてそのくらいの手直しができないはずはなかろうと私は思うのですよ。何かその先のほうのことをおっしゃるんで、やはりそういう意欲を、働く気持ちを失ってしまうようなことに、いまの世の中の大多数の方々をしてしまってもらっては困る。そういう意味で、そのくらいのことは大蔵当局が考えるべきではないか。その引き上げはどういう影響を持つかということを、ここで論ずるひまはありませんけれども、そういう趣旨ですから、これはぜひひとつそういう前向きで御検討願いたいのですが、いかがですか、もう一ぺん。これでおしまいにします。
○愛知国務大臣 いろいろ御指摘のありました御意見について、たいへん勉強の資料になりますので、ありがたく感謝申し上げます。
○黒金主査 次に、山中吾郎君。
○山中(吾)分科員 私は、大蔵行政と文教行政の接点になる家計支出の教育費の課税問題と、僻地学校給食の補助金の二点にしぼってお聞きしたいのですが、どうも家計支出の教育費の免税問題は、文教政策としてはずいぶん古い時代から主張しておるんですが、大蔵省の思想からいうと、なかなかそれに対する批判があるとみえてまだ未解決のままになっている。私自身の思想からいうと、当然に非課税にすべきではないかと考えているものですから、特にきょうお聞きいたしたいと思うのです。
 それで、まず文部省から、家計支出の教育費、最近の統計があると思いますから、ひとつ発表していただきたいと思います。
○奥田政府委員 文部省が調査いたしました資料に基づきまして申し上げたいと思いますが、小学校、中学校、高等学校につきましては、家計支出した学校教育費の調査をいたしております。四十五年度の調査結果が出ておりますが、小学校では一人当たり公立二万六千六百五十円でございます。中学校も同じく公立で三万五千三百七十円、高等学校は六万六千九百十円でございます。大学と短期大学につきましては、学生生活調査というものがございまして、これはいわゆる授業料とか就学費、通学費等の学費の支出でございますが、国立大学の場合には平均いたしまして六万五千八百円、短期大学の場合には国立で五万七千八百円、こういうふうになっております。
○山中(吾)分科員 いま発表されたのは、大学については授業料だけですか。学生の生活費その他入っていないのですか。
○奥田政府委員 授業料、就学費、通学費等、いわゆる学費といわれているものでございます。生活費につきましては、別に生活調査の中で別途出ております。
○山中(吾)分科員 大学は現実の問題としては、月四万円くらいは東京に在学しておる学生に対しては父兄が送っておるので、いまのは授業料その他の学生の学校に対する納付金を中心にしたものだと思うのです。小、中については、これは義務教育費ですから、額は二万、三万にしても、憲法上の要請からいえば、全部公費で出すべきものであるが、それが出せないので家計が負担して支出しておる。これはそのもの自身が非常に不合理な支出である。また高等学校についても、これは準義務化しまして、九〇%以上の国民の子弟が通学しておる。この支出についても、準義務教育として考えてしかるべきではないか。そういうことを考えてみたときに、他の非課税と比較すると非常に不合理だ。どう考えても私は不合理だと思う。
 第一に、たとえば企業の交際費にしても、これは利潤から支出する企業の支出でありますけれども、これと、次代の子供の養成、これは国民形成ですから、親からしたならば自分の子供であっても、国民形成という立場からいったら、次代を背負って立つ子弟の人間形成費である。これに課税をして一方は免税をする。また、最近核家族で、親が年をとって子供に世話になるというふうな時代はもう過ぎて、子供を教育するということが愛情に基づくという一点だけで、全体は次の社会に対する、また効果は社会に帰するのであって、ほとんど親に帰するわけじゃないのです。教育投資という思想というものが一方にありますけれども、これは昔のように、世話になる子供というイメージがなくなった点においては昔とは違う。あるいは企業に不景気準備金とかなんとかいって、その利潤の中から、個人からいえば所得に相当するものから、一定の目的に積み立てた場合には免税にする。しかし、国民形成のために家計から支出している経費に、完全に所得税を課税するということはどうしても不合理だ。私は、大蔵省が常にこれは非課税対象としては不適当であるという伝統的な思想の上に立って阻止されているようでありますけれども、どうしても納得しない。元文部大臣も経験をされた愛知大蔵大臣でありますが、その点の考え方についてひとつお聞きしておきたいと思うのです。
○愛知国務大臣 教育費控除の問題は、もうかねがね山中委員の御持論であって、私も日ごろ敬意を表しているわけでございます。
 ところで、私もあらためてこの問題についてどういうふうに考えるべきか、今年度の税制改正のときにも私なりに考えてみたのでございますが、一面におきまして、これは従来からも申し上げているところかと思いますけれども、所得税のかからない方々、あるいは勤労学生と申しましょうか、そういう立場を考えますと、かえってこれは不公平になるわけですね。そういう点もあわせて考えなければならない。
 そこで、やはり税制としては扶養控除というようなことをできるだけ幅を広くしていくことがいいんじゃないだろうかという考え方で、今回の税制改正では基礎控除、配偶者控除は各一万円引き上げる、それから扶養控除は二万円引き上げる、そうしてこういう鷹で総合的に負担軽減をはかっていくことが、税制としてはやはり一番妥当な姿じゃないだろうか、こういう結論を出したわけでございます。そういったような点につきまして、私は、直接に教育費控除ということには入らなかったが、しかし子供の多い方、あるいは子供の扶養をしなければならない立場にある親御さんや家庭の方々には、こういう面で負担の軽減をはかった、こういうふうに考えておるわけでございます。
 なお、先ほど来申し上げておりますように、将来においても税制改正については常に前向きに考えていかなければならない。所得税につきましては、法人税との比較から見ても将来においてはこの比率をもっと低めていく、そのときに、いろいろこうしたような基礎控除とか、配偶者控除の面は広げていきたいものである、こんなふうに考えておる次第でございます。
○山中(吾)分科員 いまの大臣の答弁が、伝統的ないままでの大蔵省の答弁なんです。私は、教育費控除というように明確に出すべきだというのが思想なんで、精神衛生上からいっても、国民形成の一部をになって、そして苦しい中で教育に寄与するという親に対して、特別にまた敬意を表する、奨励するという国の政策がないと、集団の発展というものはないと思うのですよ。何か理屈がどこかに間違いがあるんじゃないか。憲法との関係からいいましても、二十五条の生存権という立場で、家計費中の医療費というものは、これは免税になっております。二十六条の教育権、これは生存権の文化側面と解釈するのが学者の通説なんですが、次代を背負う子供の教育に支出する教育費、それから病気をなおす医療費、これだけは憲法の最大の人権、生存権の二面である。それについて、自分の所得から支出するのに対して課税する、そのことが、どうも憲法ができたあと考え直すべき一つの要因があるんじゃないか。憲法以前からの税行政の一般の思想だけで答弁されておると私は思うのです。それはいかがでしょう。
○愛知国務大臣 お考え、私わからぬのではないのですけれども、同時に財政面から申しますと、これも十分行き渡っておりませんだけになかなか御理解いただけないわけですけれども、歳出の面で、ほんとうに義務教育というものの父兄の負担とか超過負担というものはないようにしていくということが、やはりもっと拡充されなければならない。それから学校に行く、ことに大学、高校というようなところが中心でございましょうが、育英制度というものがもっともっと国家的に拡充されていくというようなところが、憲法の要請しているところに合致するんじゃないだろうか。それから、教育控除ということに税制の面でいきますと、どうしてもその人、その人の事情によってアンバランスが起こってくる。それよりは一般的に、何人も教育に対し、特に義務教育については負担がない、あるいは積極的にさらに進学する場合においては国家的な恩典を与えていくということが、さらに積極的な教育の尊重ということではないだろうか。こういう面と、それから税制の上におきましては、先ほど申しましたようなことで、形の上では間接になりますけれども、同時に実質的に父兄の負担を軽くするようにやっていく。両々相まっていくところに成果があがるのではないだろうか、こんなふうに考えるわけでございます。
○山中(吾)分科員 それは、ずっと私も知っておるのですよ。かたくなな大蔵省の思想でして、企業の交際費を必要悪として減税をしておって、教育のために家計が支出するものに課税をするという政策を、国民の受け取るほうからいえば一体どう考えますか。それから、義務教育の無償の原則に立っておるが、経済的にまだ父兄の負担にかかっておるならば、無償になるまでは時限法でもって、大体特別措置法はみんな時限法でしょうが、それまでは免税にするというのが税行政の一般論ではないのですか。教育に限ってだけ伝統的に大蔵省は非常にかたくなで、憲法の理念に立っても考えない。そうしてもっと積極的な政策と言いますけれども、教育を尊重するという思想と憲法で教育権という思想が確立したあとにおいて、他の企業の収益に対する非課税と比較して教育費、最も奨励すべきであり、そして苦労して親が晩酌一ぱいするのをかわりに子供の教育に出している、そういうものに完全に課税をするということをしておいて、他にいろいろの政策を推進するとしても、国民に教育を尊重するという思想の普及にもならないし、それに、非課税にすることがどうして税行政に支障があるのですか。どうしてもわからない。勤労青年に対する関係からいうとどうも不合理である。それもわからない。どういうことを述べられたか私はわからない。私も税行政のあり方ということについてもいろいろ考えてみましたけれども、家計支出の救育費というものだけが、免税にすれば税行政にどこか乱れるところがあるのですか。どうしてもわからない。
○愛知国務大臣 しかし、それならば税がかからない家庭においても、これはある程度の負担がされていることは事実です。その面は救済されないわけでございますね。それから、教育費控除というもののやり方いかんによりましょうけれども、教育費の一定額が課税の対象にならないとか控除されるとかいうことになると、今度は担税能力のある課税の対象になる家計の間にも、どうも不均衡が起こるような気が私はするわけであります。むしろこれは学校の制度あるいはその学校に通っているということの事実において、皆さんが一律に費用がかからないようにするというほうが、もっと直接的ではないだろうか。
 そしてこれは、いま不十分とは申しましたけれども、その不十分さというのは結局程度問題といいますか、もはやその方向にはかなり義務教育はいっておるわけですしいたしますから、時限立法とかなんとかいうことではなくて、そのほうはもうあと一歩、二歩と前進すれば、その面から教育費の負担というものが解消される日は近いように私は思いますから、そういう点から考えて、一方はどうしても不均衡が起こってくる、それから一方のほうは充実してくる、両面からまいります。それから同時に各種のというか、扶養控除というものをだんだん広げていくということで、そのものずばりではなくて、税の対象になる家計の負担も子供の分がそれだけ減ってくるということをやることが何でいかぬのだろうか。結局、目的は同じ方向に向かっているのではないだろうか、私はこう思います。
○山中(吾)分科員 子供を学校に出していない家庭との不均衡、これは昔から大蔵省はずっと言い続けておることなんです。それならば特定の企業の収益について免税、その企業をやっていないものとの不均衡はどうするのですか。農業関係の特別の減税、それならば農業をやっていないものとの関係はどうなるのか。同じことですよ。その論理は、義務教育のことについては、またこれは大臣の理論は合わない。とにかく憲法上において最低の人権を行使するために、家計の収入から支出するについては、少なくとも税で取り上げるというふうなことを考えることが、すでに憲法感覚からずれておるのではないか。したがって、医療費と教育費は、これは家計が支出した場合には減税を考えるべきだ。医療費についても、それならば、あの医療費を減税にしておったならば、病気にかからぬ家庭に対して課税しておるから、医療費については、不注意で家族が病気になったこともあるだろうから、不均衡だから減税すべきでないという論理をあなた言わなければならぬじゃないですか。どうもその辺がいままで、ずっと少しも変わっていないのですが、どこか間違いがあるのじゃないか。これはぜひひとつ検討してもらいたい。一度白紙に戻して検討すべきじゃないか。あるいは税源が学資は不確実であるから取りにくいといったら、授業料その他は確実にとらえられるわけですから、いま大臣がいろいろ言われた答弁は、主税局長のほうからも何回も聞いておるのですが、お話はどこか偏見があるのだ、出発点に偏見があるのじゃないかと思うので、ぜひ再検討される必要があるのじゃないか。税行政の技術上問題があるというなら何かわかるのですが、家計の教育費というものに減税することは、税行政からいって不適当だということが私はわからないのです。
 ことに大学関係になりますと、たとえば二十五歳で結婚をして、二年後の二十七歳で第一子を産み、二年後の二十九歳で第二子を産む。二十年たつと、大体四十六、七歳になりますと、第一子が十九歳になって大学の一年になる。四十八、九歳になると第二子が今度は大学生になる。二人くらいが大学に入る。家計費の四〇%は子供の学資に支出しておる。これは親からいえば、あらゆるものを切り詰めて子供の教育のために支出をしておる。額に汗をして、また食料まで切り詰めながら苦心惨たんをして、国民形成のために支出をしておる。それに対して全部課税することが当然だ、あたりまえだという考えが先にあって減税はしない。課税はするがほかのほうで、育英制度か何かの政策で考えるのだと、できもしないことを言っておりますけれども、国民にほんとうにいい方向に家計の支出を出さすのです。マージャンとかゴルフとかいうような支出ではないのですから、そして未来に対する国民形成に、むしろ自分の私的生活を完全に犠牲にして努力をしている親と、努力をしない者とのバランスを考えて課税するとか、そんな理屈はどこから出るのですか。私は、もう少し偏見を持たないで、教育費非課税の問題は御検討願うべきものであると思うのです。どこか偏見があるように思う。私は、てまえみそで自分の論理を構成しようとは少しも思っていないのです。どこか日本の税思想の中に検討すべきものがあるのじゃないかと思うので申し上げている。もう一度お聞きします。
○愛知国務大臣 私は、先ほど申しましたように、今年度の税制改正の場合にも、山中先生以外にもこの理論はかなり強く支持される理論でございますから、これもどういうふうに扱ったらいいだろうかということをそれこそ白紙で検討して、やはりこれはなかなか取り上げにくいという結論になった。たとえば、今度は年に百十三万円の標準家庭までは所得税はかからないことになりましたが、かりに百万なり百五万なりの家計しかできない、所得税はかからない家庭にも子供さんはおられるわけです。そして義務教育の場合で、先ほど御説明がありましたが、三万円なり四万円なりの負担をされるわけですね。そうすると、税のかからない方は直接それは負担になりますね。救済の方法はございませんですが、百十三万円以上の人は教育費にかかった三万円だけが、今度はまた課税所得の中から控除されるということになるのは不公平感はないでしょうか。ことばは悪いけれども、貧乏の人のほうが負担が多くなって、そして税を納めるほうの人の負担が相対的に軽くなる、こういう結果になることは好ましいことではない。しかも、教育費の控除だということになると、これが非常に明確にあらわれて不公平な結果になる。
 私はやはり義務教育は無償でなければならないということは、むしろそのほうに着目して、これはまあ歳出の面になりますけれども、そちらで解決すべき問題じゃないだろうか、こういうふうに思うのですが、これも間違いでございましょうか。どうでございましょうか。
○山中(吾)分科員 私からいうと間違いに見えるのです。課税最低限というのは、憲法の二十五条の最低の生活費に税は食い込まない、最低の生活費を保障するという憲法があるから、したがって最低の生活に食い込んではならぬという思想が憲法感覚から出て、たとえばアンケートをとっても、一人当たりの最低の生活費は農村に行きますと三万、東京では四万と出ていますね。したがって算術計算をすれば、四人家族でかりに一人四万ならば百六十万、三方ならば百二十万までは最低の生活費で、これまで課税するということは、新しい憲法において行なう税行政の対象にすべきでないという思想、そう考えて私は最低課税を考えておるわけです。それは比較の問題でなくて課税をしないのだ、それでいいじゃないですか。そしてまた、さらに憲法の生存権の文化面として、日本の民族の将来の発展の基礎になるという意味も含んで教育権というものが設定をされ、それに基づいて支出するものまでも課税をするというのは、憲法感覚からいっておかしいじゃないかということを考えるものですから、大蔵大臣のそれ以下のものとの関係という論理は、あの税行政と憲法ができたときの憲法との間の論理を、少しも大蔵省では検討されていないと私は思うのですね。一体、教育費に課税すること自体がおかしいんだ、他の比較をいう前に、そういう論理があるということを私は考えるものです。大蔵大臣といま論議をしてもだいぶ距離があるようですから、一応白紙で検討してみてください。私の論理は間違いないと思っているのですよ。ここでこの教育費を非課税にする、そんな重大な答弁はできるはずないのですが、問題の考え方を、やはり一度白紙でお互いに考える課題ではないかと思うので、御要望しておきます。
 あと五分ほどしかないものですから、ひとつ予定した質問をしたいのです。
 いなかに行きますと、愛知大臣も宮城県で僻地が多いからわかると思いますが、僻地校が五級から一級の区別があります。それで、バスが一つつくと四級が三級になり、三級が正級になったりするのです。現在、そういう級別に基づいて文化環境が不利なものですから、先生がなかなかそこに赴任するのをいやがるし、あるいは生活条件が過酷であるから、僻地手当が級別によって分けられておるわけです。数年前に、佐藤総理大臣が在職中に岩手に来て、あの僻地を見て、非常に質しい家庭であるから子供の栄養状況その他もあり、学校給食については、僻村の貧乏村においては全額国庫負担にするという発言をしたことがきっかけで、具体的には三級以上の学校に対して四分の三ですか、学校給食の補助の制度ができたわけです。ところがその後、バスがちょっとできますと、僻地基準に基づいて三級が二級にされておる。ところが、一方の貧乏な村というふうなことを前提として考えられた給食の特別補助が、教員の僻地手当基準による三級から二級への変動によって打ち切られることになってしまっておるわけですね。村では少しも貧乏さというものは変わっていないのです。急に学校給食費の補助が削られてしまうために、村が非常に苦労しておる。これは大蔵省の査定思想の問題になると思うので、大蔵大臣に特にその是正方を要望いたしたいと思ってお伺いするのですが、文部省のほうで、その辺の実態をどういうふうにつかんでおられるか、まず質問します。
○澁谷政府委員 僻地の学校給食の問題で、いま先生が御質問になっていらっしゃいますのは、高度僻地学校のパン、ミルクの給食、いわゆるすずらん給食とか俗称されたことかと思いますが、僻地に限らず、要保護、準要保護家庭の児童生徒に給食費を援助いたしております。僻地の場合ば、財政力指数によってそれをさらにかさ上げをいたしております。それから、新しく給食を始める場合の施設設備費につきましても、僻地の場合は財政力指数でかさ上げをいたしております。そして、僻地の要保護、準要保護家庭の児童生徒の給食費の援助、給食の施設設備費の援助につきましては、いわゆる三級以上ということでなく、一級、二級、三級、四級、すべてを対象といたしまして、その市町村の財政力指数によってかさ上げをいたしております。
 それで、いま御質問のものは、市町村の財政問題といいますよりは、こういう非常に高度の僻地の学校の児童生徒に、せめてパンとミルクくらいは、これは全額国庫負担でございますが、全額国庫負担でパンとミルクくらいの給食はいたしたい、こういう制度でございます。そして、すべての僻地校でなく、高度僻地校にいたしたい。その場合に、いま御指摘のございました教員の僻地手当の場合の級別が、何が高度僻地かという一番客観的なものさしとしてふさわしいと思ったわけでございます。あれは、へき地教育振興法によりまして、県の条例でいろいろな角度から級別をいたしておるわけでございますが、その三級以上を高度僻地といたしまして、パンとミルクについては全額国で補助いたし、それから市町村財政問題に関しましては、そういう級別によりませんで、市町村の財政力によりまして要保護、準要保護あるいは施設設備費のかさ上げをいたしております。
○山中(吾)分科員 三級以上の高度僻地が、バスが一つついたからといって二級になった。そのとたんにパン、ミルクの全額補助が打ち切られた。学校の先生としては変わっても子供は変わらないのですからね。バス一つできても、家庭の貧困は変わらない。バスはできても、村は逆に過疎地帯になって非常に困っているという実態で、これは非常に不合理だ。ぼくは現実に学校訪問をして痛切にそれを感じた。こういう不合理なことが行なわれておるのではと思って、非常にびっくりしたわけなんです。僻地校の三級が二級になったからといって、子供の家庭が急に豊かになるなんということとは無関係で、逆に村は貧困になっているというのが現実じゃないか。子供に対する栄養ですから、それをどうして二級になっても同じく適用するということにならないのか。大蔵省との予算折衝の中で、文部省が要求しなかったのか、大蔵省が査定したのか、どっちなんですか。
○澁谷政府委員 その高度僻地のパン、ミルク国庫全額負担によります給食は、やはり当初、非常に高度の僻地の子供たちに国の負担でやろうという考えでございまして、その場合に、高度というのは、一応へき地教育振興法に基づくところの三級以上ということであったわけでございます。その後、文化事情、交通事情その他いろいろ変わりまして、文部省令の僻地指定基準をそのままほうっておきますと、だいぶ僻地でなくなる学校が出てまいります。そこで、初中局のほうであらゆる角度からいろいろ検討いたしまして、僻地基準を直したわけでございますが、現実に、今度、全体的にはむしろ三級以上の学校がふえておるわけでございます。そもそも、これを全部の僻地に国が全額負担で出したらどうかという考えもあり得るかと思いますが、私どもとしては、これは高度僻地にそういう考えで出すということでございます。
 しかし、その僻地というものがまた、交通事情その他でいろいろ変わってきます。それを時代の進展に照らして、何が僻地かということで、さらに基準を変えたわけでございまして、現実に三級以上の学校はむしろ全体的には少しふえておるということでございますから、これはやはりどこかで線を引かざるを得ない性質のものと思います。ただ、そういうことで落ちた学校を省令施行の日から直ちに落としてしまうのはどうかということで、大蔵省と話し合いまして、経過的に一学期分は見ることにいたした、そういう経過がございます。
○山中(吾)分科員 ずいぶん形式的に僻地基準について言われるものですね。三級がふえたといったところで、三級が二級になったところがあって、現実に見ますと、たとえば岩手の僻地に行きますと、そこが二級になったといったところで、そこの村は少しも豊かになっていないんだ。子供自身の状況からいえば何にも変わりない。その辺の近くにバスが通ったら迷惑千万だと思うのです。それでミルク、パンの補助が打ち切られる。結局その村も打ち切ってしまうと思うのですよ、金がないから。そういうふうなことで、ぼく自身は大蔵省のほうで査定したと思ったんだが、どうも文部省のほうがあまり実態をつかんでいないようです。
 一言元文部大臣、現在大蔵大臣の感覚で聞いておきますが、給食をやっておりまして、何かちょっと郵便局ができたことか何かによって僻地の基準が変わり、三級が二級になったりするわけですが、それで子供に対する給食費をそこで全額補助したものを今度は打ち切るという不合理は、これは実態からいったら非常に子供にとって不幸千万なことなんで、その点は別途の問題として、僻地の場合はもう一級でも都市と違いまして、学校給食すると数年で、その栄養状態から体力の改善というのは目に見えて統計に出てくる。都市には廃止をしても僻地にはむしろ給食関係の行政はもっと手厚くすべきだ。そういう一方の形式的な条件によって、級別の変更に基づいて学校給食の補助その他を影響させないように御検討願いたいと思うのです。お答え願って終わります。
○愛知国務大臣 いまも文部省のほうからお答えがありましたように、実は一、二級から三ないし五級地へ格上げになりましたのが三百四十一校あるのです。ですから、これは給食の対象になるところがそれだけふえたわけでございます。それから三ないし五級から一、二級へ、いわば格下げになりましたものが三百十六校なんです。ですから、総体とすればふえておるのです。まあこれは級地改正のやり方といいますか、僻地の基準が改正になりましたことからきたのですけれども、大蔵省としても決してぶった切り専門ではございませんで、むしろ完全給食が学校の枚数からいえば二十五校全国的に見ればふえたわけでございまして、こういう点も御理解いただきたいと思います。
○山中(吾)分科員 それはわかるのですが、子供の立場からいうと、級に変動があっても家庭の事情、栄養状況が変わらないのですから、変動で有利になったものは大いにいいし、不利になった場合にはすぐ打ち切りということにしないようにぜひ御配慮を願いたい。子供からいえば何にも変わりないのです。そういうことなんです。それについてお答え願って終わります。
○愛知国務大臣 それは子供は変わりありませんよ、とおっしゃるそのお気持ちはよくわかりますし、したがって移り変わりのときにも、若干過渡的な措置をとっておりますことは、いま文部省から御説明のあったとおりであります。
○山中(吾)分科員 さっき一学期と言ったが、せめて一年とか。一学期というのはどこからきたかわからないが、もう少し配慮を願っておかないと。まあ来年の問題ですけれども、もう一度お答えください。
○愛知国務大臣 それじゃちょっと補足して……。
○辻政府委員 先ほど文部省のほうからも御説明申し上げましたように、いわゆる要保護、準要保護児童、学校給食費の支払いが困難な児童につきましては、別途の制度で措置をしておるわけでございます。その場合に児童の数は、普通の場所より僻地のほうはずっと割合が高く見ております。そういう子供の数が多いという計算をいたしておりますし、それから、これも先ほど文部省から申し上げましたように、財政力指数に応じては補助率もかさ上げをいたしております。最高八割まで見るように予算的に措置もとっておりますので、かりにただいま申し上げました高度僻地のパン、ミルク給食のほうで落ちましても、そちらのほうの制度の運用でカバーができるのではないか、かように考えておるわけでございます。
○黒金主査 では次は、福岡義登君。
○福岡分科員 私は、登録免許税法の特例について要請をしたいのですが、御承知のように、新築住宅の所有権の保存登記と建て売り住宅の所有権の移転登記の税率の特例がありまして、本来ならば千分の五十、それが千分の一に軽減されておる。その期限が昭和四十四年から昭和四十八年の三月三十一日まで、この三月で満了となるわけです。しかし、これをさらに延長するために、この国会に租税特別措置法の一部改正を提案されていることは大いに歓迎したいと思うのであります。
 しかし、その中身なんですが、これはあと政令で取り扱ってもらうことになると思うのですが、この特別措置は新築後一年以内を原則としておるわけです。やむを得ない事情がある場合は一定期間をさらに延長する。そのやむを得ない事情の中に厚生年金の還元融資、つまり年金福祉事業団が融資をして、それで住宅生活協同組合を通じて新築しまして、そして各人に分譲するのでありますが、その年金福祉事業団の厚生年金還元融資で住宅生活協同組合が建てたものも含めていただきたい。一年以内ならば問題ないのですが、事情があって一年以内に移転登記ができなかった、そういうものをぜひ含めていただきたい。
 若干事情を説明しますと、これは業務方法書か何かで年金福祉事業団が融資の条件にしておるようでありますが、一定の金融が返済されるまでは所有権の保存登記は住宅生活協同組合にしなさい、一定の融資の金が返済された時点で所有権の移転登記を各人にしなさい、こういう融資条件といいますか、そういうことをしておったために一年以内に保存登記ができなかったわけです。ところが、四十六年の六月に宅建業法が改正されまして、一部の金でも払っておれば所有権の移転登記をしなければならぬということになったために、その後所有権の移転登記をするようになったわけであります。とろが、一年を経過しておるものですから、千分の一の減免措置が受けられなかった。そこで、広島県の尾道に三美園団地というのがある。片っ方のほうには住宅金融公庫の資金で建てた分譲住宅がある。これは千分の一で所有権の保存登記をやっております。ところが、今度住宅生活協同組合がやった分の、申し上げました年金福祉事業団の資金でやったものは千分の五十を払わなければいけない。そうすると、二百万円の家だとかりに仮定しますと、片っ方は登記料が二千円でいいわけですね。片っ方は十万円出さなければいけない。おい、同じ公的資金でやったのにどうしたことかというところから問題が発覚をしたのであります。事務当局、建設省並びに大蔵省関係へも今日まで何回か要請してきたのだが、ぜひこの問題は減免措置の特例が適用されるように善処していただきたいと思います。
○高木(文)政府委員 ただいまお話しの新築住宅についての租税特別措置法による軽減規定の問題につきましては、まことに恐縮でございますが、私どもも若干勉強不十分の点がありまして、御指摘があってただいま研究をいたしております。幸い、四十八年三月三十一日までで適用期限が切れますことになっておりましたのを、今回延長する機会でもございます関係上、政令についても手直しの機会があるというふうに考えております。
 ただ問題は、ただいま御指摘がありました宅地建物取引業法の改正に伴いまして、消費者保護の見地から改正されました部分、ただいま四十六年十二月から施行になりました部分、この部分につきまして、実はどういう程度にこの制度の運用について担保されるかどうかというあたりにつきまして、なお建設省と話し合いをいたしておるところでございます。宅建業法の改正は、三割の代金を払ったというのであれば、消費者保護の見地から、登記を促進することにしようという趣旨でありますが、反面、それを担保するやり方としては一種の罰則規定がありますけれども、それ以外にはいまのところどういうふうに具体的にそれを担保する行政指導なり監督なりができるのかというあたりについて、なお若干の疑義がございますし、どのようにしてこの宅建業法の改正部分による三割支払いについての所有権移転の制度を現実的なものとして行なわれることになるのか、そのあたりちょっとまだ私ども勉強不十分でございますが、こういう制度は、片方で宅建業法で改正があり、三割払うのであれば登記も変えるべし、こうなっているのですから、私どものほうの租税特別措置法に、もともとこの千分の一の軽減があります理由は、登記があった後、一年以内に所有権移転の事実があれば、その事実をすみやかに登記の上で明らかにすべきであるということから、それを奨励する趣旨でこうなっておりますので、その趣旨に合うものであれば、今後なるべく早く議論を詰めまして、宅建業法のこの改正の趣旨と、租税特別措置法の法律の趣旨とが合致いたしますように配慮をいたしたいというふうに、いま至急検討を始めたところでございます。
○福岡分科員 さらに検討していただくことはけっこうだと思うのですが、どうもいまの説明で歯切れが悪いのですが、確かに宅建業法では三割の頭金といいますか、ということになっているのですが、住宅金融公庫と同じ取り扱いをしてくれればいい、まとめて言えば。住宅金融公庫の場合は、三割の頭金が入ってなくても、一割でもそれはいいわけなんです。ただ、足りない場合に、労働金庫が貸しておるとか、あるいは親戚から借りておるとか、いろいろなやり方がありましょうが、住宅金融公庫と同じような取り扱いを当初からしてくれておれば、所有権の保存登記で済んだわけで、所有権の移転登記はしなくてもいいわけですからね。同じ公的資金なんですよ。年金福祉事業団あるいは住宅金融公庫は窓口が違うが、資金の性格も違いますが、公的資金であることは間違いないわけですね。ですから、年金福祉事業団のほうが少しきびしい融資条件をつけて担保の関係を考えたのでしょうが、しかし、住宅金融公庫もこの所有権の登記は各人にさしても、別の担保は設定しているのですから、抵当権の設定でやっているのですから、それはできないことはないと思うのです。
○高木(文)政府委員 ただいま御指摘の点がまさにまた別の角度の問題の一つでございます。おっしゃるとおり現行法では、地方公共団体、住宅金融公庫、日本住宅公団、地方住宅供給公社、それから日本勤労者住宅協会については特例が認められておる。何でこれだけのものが特に特例を認められておるかという点、そして御指摘の消費生活協同組合の場合には適用がないかというあたりに一つ問題がございます。問題がございますが、現行法のたてまえでは、福岡委員が御指摘になりましたような、資金がどこから出ているかということによらないで、もっぱらこの団体がどういう性格の団体であるか、つまり特別法人であるならばというような、要するに団体それ自体の性格で区分けをしているわけでありまして、資金の性格で区分けをしていないたてまえをとっております。
 そういう点からいいますと、消費生活協同組合は、おっしゃいますように、ただいまの事例でありますと資金的には公的資金を使って建てられたというわけでありますから、なぜ公的資金を使って建てたのに区分するのだという問題が出てまいります。しかし、現行法のたてまえは、資金の流れによって区分をしない、性格によって区分するのではなしに、その施行者自体の、法人の性格によって区分をしてきておるわけでございます。そこで、いまの御指摘の点については、一つの出口、解決の方法は、宅建業法の改正に関連いたしまして考えてみる必要があるのではないかということが一点と、もう一点は、宅建業法の改正とは関係なく、いまの先生の御指摘のように、資金の流れのほうから見て、公的資金を使っている以上は相当程度の管理、監督が主務官庁において行なわれているはずであるから、そこへ着目する考え方と二つあり得るわけでありますが、その場合、公的資金を使っていろいろやっておられる団体が現在ほかにもあるのかどうか、その辺の勉強もまだ不十分でございますし、そうして最近はいろいろな団体が住宅の仕事をやっておられますから、そういうものについてのいわゆる主務官庁の管理、監督が十分に行き履いているかどうか、そこらもあわせて研究してみたいと思います。
 ただ、従来の登録税法で特別措置をいろいろ認められております非常に大きな事例では、資金の性格によって区分をするということはあるかもしれませんが、あっても非常にレアケースであって、どっちかというと団体の性格によって区分しているということになっておりますので、恐縮でございますが、何ぶん最近私も承知をいたしましたので、目下そこらを含めて検討をさしております。
○福岡分科員 私も資金の性格で、公的資金だから当然だという、そういう意味のことを言ったわけじゃないのです。住宅金融公庫も公的資金、年金福祉事業団も公的資金じゃないかということを説明に一つ使っただけで、いわゆる住宅対策という角度から考えてみれば、地方公共団体がやろうが、あるいは住宅供給公社がやりましょうが、あるいは勤住協がやろうが、どこがやったって登録税は少し減免してもいいじゃないか、住宅対策という角度からいけば。ほんとうに建築をしてそれができ上がって所有権の保存なり移転をするということですからね。住宅対策という角度からこの特別措置は設けられたと思うのですよ。ですから、労働者住宅生活協同組合、労働者であるかどうかは別として、生活協同組合ができておる。その団体も、おっしゃるように施行者の区分によってこうやったのだと言うが、それから生活協同組合以外にまああるかもしれませんが、ここでは最小限住宅生活協同組合を施行者として、ここに当然入れてくれたらいいじゃないかということなんですね。しかも、この住宅生協というのは公的資金でやっておるものでもあるしという私の説明なんですよ。ですから、これはぜひ入れていただきたい。
 それから、一年以内に登記ができなかったその理由は、さっきも言いますように、同じ公的資金でありながら、住宅公庫のほうが比較的ゆるやかな条件で、年金福祉事業団のほうがきびしい条件で、その条件の差があったために一年以内に保存登記ができなかった、あるいは所有権の移転登記ができなかったわけですから、いわゆるその買った人間の責任ではない。融資条件にその理由があるようだから、しかもそれが宅建業法が改正されて、本来保護する立場で改正されたんだからいいことなんですよ。いいことなんですが、そういう条件もあるし、当然その中に生活協同組合を入れてもらいたい。大きいのですよ、二千円と十万円ですから。そこのところは、こまかい事務的な問題はいろいろあるでしょうから検討していただくことにしても、方針としては入れるということを、大蔵大臣、ひとつ考えていただきたいものですがね。
○愛知国務大臣 要するに福岡さんのおっしゃることは、一つは宅地建物取引業法の適用を受けて、たとえば住宅生活協同組合が建てたような場合も、登録税についての特別措置法の施行令が適用になるようにやってくれ、こうおっしゃっておるわけですね。これはお話を伺っているとごもっとものように思いますから、ひとつ何とか検討いたします。
 それからもう一つは、新築後一年以内に登記を受けるものについて、やはり宅地建物取引業法の規定を参考にして、住宅の割賦分譲等の場合には、新築後一年をこえても、分譲代金の三割をこえる支払いを受けるまでに登記するのであれば特例を適用してくれ、こういうお話でございますね。そういう考え方もあり得ると思いますから、これもひとつ御趣旨に沿うように前向きに検討さしていただきます。
○福岡分科員 ちょっと私の説明がまずかったのかもしれませんが、一年以内に保存登記をする場合は、これは問題ないのです。現行法でたしか減免の措置が適用されておると思うのです。いま私が問題提起しているのは、一年をこえて所有権の移転登記をした場合、その特例が施行令の四十二条の第二項できめられておるわけです。その中に地方公共剛体、住宅公団あるいは住宅供給公社、勤住協、こういうものが施行した住宅ならば、原則は一年以内だけれども、一年をこえておっても、こういう場合には減免措置の適用をいたします、こういうようになっておるわけです。
 そこで、いま私が出しておるのは、たとえば一年をこえても生活協同組合がやった場合は、この条項に政令改正の中で入れてもらえぬだろうか。一年以内のものはこの適用を受けておると思うのですね。
○愛知国務大臣 わかりました。おっしゃることは理解できました。いずれにいたしましても、前向きに御趣旨に沿うように何とか検討いたしましょう。
○福岡分科員 ありがとうございます。
 そこでもう一つ、知らないですでにやってしまった人がおるわけです。それはさっき言いました四十六年の六月に宅建業法が改正されまして、消費者保護という立場から、一定の金を納めておれば所有権移転登記をしなければならぬという宅建業法改正があった。それで本来ならば、その宅建業法の改正がなければまだしばらく所有権の移転登記ができなかったのが、できるようになったのです。それはいいことだということで所有権の移転登記をやったわけです。それは、たとえば呉市の焼山団地に建った家とか、あるいは尾道でも年金福祉事業団の新築家屋が五十戸建っておるのですね。そのうちで二人は、どういう必要があったのかとにかく十万円前後の金を払ってやったわけです。そしてあとで気がついて、そういうことがあったのかということで、返してもらうわけにもいかぬし困っておるわけです。だから、せめて四十六年宅建業法が改正された以降に所有権の移転登記をして千分の五十を払った者も、今度の政令改正の中で遡及救済をすることを考えてもらえないだろうか。
○高木(文)政府委員 たいへん恐縮でございますが、実は税法でいろいろ改正になりました場合には、その規定を遡及する場合と遡及しない場合とがございます。国会の御審議の都合等があって予定した期日にまで法律が通らないということがありました場合に、あとで国会で施行期日について修正をされまして、いろいろそこのところの調整をしていただくのが、うまく予定した期限に通りません場合の措置として従来もやられておるところでございますが、登録税というものにつきましては、これは登録税の性格上、日々取引をなさる方が登記所に見えていろいろ書類を出されたりします場合にかかる税であります関係もありまして、非常に従来から厳格な扱いになっておりまして、また登記所等にすでに大部分の場合は印紙税を納められるということになっております関係もありまして、登録税について実は過去におきまして一切救済措置がない。経過規定ができましたり、しばしば措置法の延長のときに穴があきましたり、いろいろやっかいなことが起こるのでございますが、その場合にも一切例外規定か置かれない。ですから、ある意味で非常に不合理な場合があると思うのでございますけれども、三月三十一日に旧法が切れまして、そして十日なら十日において新法が通過したという間のその幾日間は、どうしても高いほうの本法税率でいかざるを得ないというようなことがございまして、これまでも実は多少ごたごたしたことがございます。ございますが、登録税という税の性格上、一度納めていただいたものをお返しするとかなんとかいうことになりますと、いまの御指摘の案件は、数も少ないし、非常に明確であるようでありますけれども、准録税全体といたしましては、いろいろ日々納めていただいております関係もありまして、従来からそういうことはやっておりませんわけでございます。
 先般来その種の話も承っておりますが、私も最近承りましたが、ひとつ従来からの登録税の扱いに従ってみまして、遡及ということをごかんべん願いたいというのが私どもの感じでございます。
○福岡分科員 話はよく私もわかるのです。わかるんですが、これは私は大蔵省の責任じゃないと思うのです。厚生省かもしくは建設省が当然、こういう条件の融資をする場合には、一年以内に所有権の保存登記も移転登記もできないことは明瞭なんですから、大蔵省に申し出て、こういう特例措置もあるのだから、こういう事情の場合どうするかということをあらためて相談なさるべきだったと思うんですよ。言うならば、消費者の立場からいえば、法の不備による不利益だと思うのですね。それはおっしゃる登録税の性格、これは私も反論しません。反論しませんが、しかし反面、現実論で考えてみれば非常に不合理がある。その不合理もこの法の不備である。しかも一般資金なら別ですが、ことさら公的資金なんですからね。だから、そういう条件融資をする場合には、担当省が、厚生省なり建設省が、こういう措置が適用を受けられなくなるので、あらかじめ大蔵省と協議をした結果措置をすべきだったと私は思うのですよ。消費者の立場からいえば当然のことだと私は思うのです。そこで、いま御説明になったように説明されたのではこれは身もふたもない。だから、実情は大臣もわかってもらえると思うのです。ですから、どういう救済措置があるのか、きょうここでだめだと、言い切らないで、この問題は検討させてくれというくらいにしておいてもらわぬと、ただだめだでは身もふたもないと思うのです。どうですか。
○愛知国務大臣 いま主税局長から申しましたとおり、どうもこれは遺憾ながら効力をさかのぼって適用するということは、性質上むずかしいと思います。しかし、身もふたもないというお話でございますから、もう一応検討いたしましょう。ただ、あまり御期待を持っていただくと困ります。
○福岡分科員 あとのことは余分ですが、実態は認めてもらいたい。法の不備だ。建設省なり厚生省がもう少し配慮すべき事項だったことは間違いない。これは認めてもらいたいですね。その上に立って考えてもらいたい。望みがないと言われたのでは、それも身もふたもないので。
○愛知国務大臣 よくその間の事情を調べてみます。あるいは法の不備というか、官庁同士の連絡が悪かったか、その辺も調べます。
○高木(文)政府委員 まことに官庁内の事務連絡不十分という色彩が非常に強いわけでございまして、先般来福岡委員から御指摘を受けて私も勉強して、なるほどということでございますので、その辺も含めまして関係官庁間で至急相談いたしたいと思います。
○福岡分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
○黒金主査 次回は、来たる五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時五十二分散会