第071回国会 決算委員会 第28号
昭和四十八年十一月十三日(火曜日)
    午後二時五分開議
 出席委員
   委員長 宇都宮徳馬君
   理事 大石 武一君 理事 森下 元晴君
   理事 綿貫 民輔君 理事 久保田鶴松君
   理事 芳賀  貢君 理事 庄司 幸助君
      荒舩清十郎君    中村 弘海君
      吉永 治市君    小林  進君
      高田 富之君    原   茂君
      田代 文久君    坂井 弘一君
      塚本 三郎君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 大平 正芳君
        通商産業大臣  中曽根康弘君
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    鴻巣 健治君
        警察庁刑事局保
        安部長     綾田 文義君
        警察庁警備局長 山本 鎮彦君
        法務省矯正局長 長島  敦君
        法務省入国管理
        局次長     竹村 照雄君
        外務省アジア局
        長       高島 益郎君
        外務省経済協力
        局長      御巫 清尚君
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     清水  汪君
        大蔵省銀行局特
        別金融課長   山田 幹人君
        大蔵省国際金融
        局投資第三課長 松室武仁夫君
        通商産業省通商
        政策局経済協力
        部長      森山 信吾君
        運輸大臣官房観
        光部長     中村 大造君
        運輸省海運局次
        長       山上 孝史君
        会計検査院事務
        総局第一局長  高橋 保司君
        日本輸出入銀行
        総裁      澄田  智君
        参  考  人
        (海外技術協力
        事業団理事長) 田付 景一君
        参  考  人
        (海外経済協力
        基金理事)   廣瀬 駿二君
        参  考  人
        (海外経済協力
        基金業務第一部
        次長)     清水 則夫君
        決算委員会調査
        室長      東   哲君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月七日
 辞任         補欠選任
  池田 禎治君     塚本 三郎君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  稲葉 誠一君     小林  進君
同日
 辞任         補欠選任
  小林  進君     稲葉 誠一君
同日
 理事原茂君同日理事辞任につき、その補欠とし
 て芳賀貢君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算
 昭和四十六年度特別会計歳入歳出決算
 昭和四十六年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和四十六年度政府関係機関決算書
 昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和四十六年度国有財産無償貸付状況総計算書
 〔総理府所管(経済企画庁)、法務省所管、外
 務省所管、大蔵省所管、農林省所管、通商産業
 省所管〕
     ――――◇―――――
○宇都宮委員長 これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 理事原茂君から理事辞任の申し出がございます。これを許可するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宇都宮委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 これより理事の補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宇都宮委員長 御異議なしと認め、よって、委員長は、芳賀貢君を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
○宇都宮委員長 昭和四十六年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、総理府所管中経済企画庁、法務省所管、外務省所管、大蔵省所管、農林省所管及び通商産業省所管について審査を行ないます。
 この際、おはかりいたします。
 本件審査のため、本日、参考人として海外技術協力事業団から理事長田付景一君、海外経済協力基金から理事廣瀬駿二君、業務第一部次長清水則夫君の御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宇都宮委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
 なお、参考人からの意見の聴取は委員の質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。
    ―――――――――――――
○宇都宮委員長 質疑の申し出がございますので、順次これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 私は、去る十月九日の日に本委員会で、主として韓国に対する経済問題その他、金大中事件等に関連をいたしまして質問を申し上げました。ただ、その質問の中で、いろいろの資料の提出やまた政府側に早急に措置をしていただかなければならない問題等を含めて御質問をいたしたわけでございますので、本日は、この去る十月九日の私の質問の継続という形で御質問を申し上げたいと思いまするので、あらかじめ御理解をいただきたいと思います。
 まず、外務大臣にお伺いいたしますが、私は、金大中事件に対して問題は二つある、一つはやはり金大中氏の人権が侵されている、これが正しく復元をしたかどうかという問題でございまするし、いま一つは、日本の主権がむざんにも踏みにじられている、この問題が一体解決されたのかどうか、この二つであると思うのであります。私は、外務大臣の外遊中のこの十月九日、この二つの問題点について実は法務大臣に質問をいたしたのであります。本来外務大臣にお尋ねすべきでありましたけれども、外遊中でございましたので、法務大臣に御質問をいたしたのでございますが、ついに的確な、私が納得し得るような回答をいただくことができなかったのであります。きょうは、あらためてこの問題について外務大臣、法務大臣に御質問をいたしたいと思うのであります。
 政府は、この金大中事件に関しましては、終始一貫、外国の国家機関が犯人であれば主権侵害という重大な問題になるが、外国人の個人の犯行ということになれば、単に治安を乱されたということにしかならない、こういうふうな主張、態度を続けていられるようであります。
 そこで、韓国の国家機関が犯人であれ、外国人個人の犯行であれ、そのいかんを問わず、その犯人によって連行された金大中その人は、現在韓国の政府に身柄を拘禁されているではないか。現実には、その金大中さんの自由を束縛しているものは韓国の政府そのものではないか。その韓国政府が金大中さんを拘束していることによって、わが日本の捜査権の行使がもっぱら抑圧をされているとでもいいましょうか、じゃまをされているとでもいいましょうか、障害になっているのでございますから、そのわが日本の捜査権の妨害をしているものは、現実には韓国の政府ではないか。したがいまして、その日本の捜査権というものはわが日本の主権から基づいたブランチだ、主権に基づいて捜査権というものが発動しているんだから、そのわが日本の捜査権を現実に韓国政府が妨害をしている、じゃまをしている限りは、現実には、韓国政府が日本の主権をいま侵害をしているという結論にはならないか、なっているではないかということを、私は前から申し上げているわけでございますが、この質問に対して、ひとつ外務大臣からお答えを願いたいと思うのであります。
○大平国務大臣 政府は、金大中氏の拉致事件に関連いたしまして、御指摘のように本件がわが国の主権の侵害になるかならないかという判断につきましては、この事件に韓国の公権力が働いておるかどうかということが判断のものさしになるものと心得ておるという趣旨の答弁を終始申し上げてまいったわけでございまして、その基準から申しまして、この事件に韓国の公権力が働かなかったときめておるわけでもございませんし、また、働いたときめておるわけでもないのでありまして断定できないという立場でおるわけでございます何となれば、わがほうの捜査当局はそのきめ手になる証拠を持っていないわけでございますし、韓国政府は公権力が働いていないということを言明されておるわけでございます。こういう状況のもとで、この問題につきましては断定できないという立場でおるわけでございます。
 金大中氏の問題でございますが、本件が起こりまして以来、金大中氏の人権の問題が大きな問題として取り上げられてまいりました。そして、この事件の納得のいく解決をはかる場合に、仰せのように、この問題についての答えが出ないといけないという点につきましては、終始私どもの念頭を離れなかったわけでございます。最近になりまして韓国側におかれまして、金大中氏は、出国も含めまして、一市民としての自由は保障されるという言明がなされたわけでございますので、小林さんのお尋ねになる同氏の自由は、回復されたというように私どもは判断をいたしておるわけでございまして、こういう韓国政府の言明の趣旨に沿って今後どのようなことがなされるかということにつきましては、私ども注意深くウォッチしていきたいと考えております。
○小林(進)委員 どうも私はまだ、大臣の御答弁では納得できないのであります。
 端的にお聞きしますが、だれが一体金大中を拉致していったかというその原因の糾明を、私はあなたに聞いているのじゃない。いま金大中さんの身柄を拘束しているものはだれなんだ、私はそれを聞いているのであります。現在金大中さんの身柄を拘束しているものはだれなんだ、ひとつお答え願いたいと思います。
○大平国務大臣 私は、金大中氏が身柄を拘束されているというようには承知していないのでございまして、韓国政府が言明されておりますとおり自由が保障されておる状態にあるものと考えております。
○小林(進)委員 その問題はひとまずあと回しにしまして、それでは、韓国政府が金大中さんの身柄を一応自由にしたという声明を出しましたのが、十一月の一日でございますか、十月の三十一日でございますか。じゃあ三十一日までとしましょう。十月の三十一日までの間、金大中さんの身柄を拘束していたものはだれでありますか。
○大平国務大臣 本件の国際的な刑事事件の解決につきましては、国際的にはやはりよるべきものさしというものがあると判断いたします。その場合、私どもとしては、これこれの事柄が保障される場合におきましては、国際的刑事事件としての外交的な処理という問題につきましては一応国民の理解が得られることになるのではないかという腹づもりを持ちまして、対韓折衝を行なってまいったわけでございます。金大中氏が自由を保障されておるということをその時点で韓国が言明されたわけでございまして、それまでは拘束されておったということは韓国政府も言っていないわけでございまして、別件による逮捕はしないとか、いろいろなことは従来とも言われておったわけでございますけれども、そういう表現において私どもに通報がございましたわけで、その時点がいまあなたの言われる時点であったわけでございまして、それまではそうでなかったということではないと私は思うのでございます。
○小林(進)委員 すると、韓国政府の通報があります前、たとえば十月三十日に通報があったとすれば、通報がある前までは、韓国政府が金大中さんの身柄を拘束したんではないとおっしゃるわけですね。拘束していたわけではないとおっしゃるわけですね。あなたの答弁を聞いているとわからない。私はそのものずばりで言ってほしいんです。通報がある前までは、金大中さんは身柄を拘束されていたんだ。これは天下周知、世界じゅう、だれでもがみな知っているんだ。だれが一体拘束していたんだ、それをそのものずばりで言っていただけばよろしいんですよ。あまりぐたぐたおっしゃらないで、ぴたっと言っていただけばよろしい。
○大平国務大臣 私が承知しておりますのは、金大中氏も事件の被害者でございまして、韓国の捜査当局で金大中氏について捜査が行なわれておるということは承知しておりましたけれども、金大中氏の自由が拘束されてこういう状態にあるというようなことは承知していないのでございまして、あなたの言われる時点になりまして、金大中氏の自由が保障されておるんだという、そういう通報に接したということでございます。
○小林(進)委員 それでは、韓国政府の通報が来る前までは、あなたのお話によりますと、金大中さんは身柄は拘束されていたのではないとおっしゃるわけでございますね。いたのでないことを、自由であったのを、ただ自由だという通報があっただけの話であって、金大中さんはもともと韓国において、韓国政府によって身柄は拘束されていなかったのだ、こういうことでございますね。
○大平国務大臣 私が申し上げておるのは、韓国捜査当局によって捜査が行なわれていたであろうということと、それから、最近になりましてわがほうに対しまして、金大中氏の身柄はどうなるのだという質問に対しまして、金大中氏は出国も含めて自由が保障されておるという通報に接したという、二つのことを、私が承知しておる限り申し上げておるわけでございます。
○小林(進)委員 どうも水かけ論で終わりそうで、これでは論旨が前に進まないのでありますけれども、私は率直に言いますよ。国民の側からは、なぜ一体日本の政府は、韓国における金大中さんの身柄の引き渡しを強く要求できないのか、これがもう国民の第一の疑惑なんですよ。なぜできないんだ。
 いま一つは、韓国政府は、韓国政府の行為であろうと韓国の個人の行為であろうと、その原因のいかんを問わず、なぜ一体金大中さんの身柄を日本の政府に引き渡すことができないのか。韓国政府も政府だし、日本の政府も日本の政府だ。これが国民の一般の世論なんです。これをひとつ明確にしていただきたいです。
 なぜ一体、日本から不法に拉致していかれたその身柄を、日本の政府が二カ月も二カ月半も、その身柄を早く日本によこせという、引き渡しをなぜ強硬に言えないのだ。よその国はみんなやっておるじゃないか。アルゼンチンもやっておるじゃないか。フランスもやっておるじゃないか。西ドイツなんか、間髪も入れないでやっておるじゃないか。日本の政府はなぜこれが言えないのかということが一つ。これは明確に言ってもらわなければならない。
 いま一つは、いまも繰り返すように、またこれを受けて韓国政府が、不法に日本から拉致された身柄を押えておいて、のうのうとして日本にこれを引き渡さぬのは、実に日本政府に対する土足でけったというか、日本の政府の権威とか独立などというものをはなもひっかけないような思い上がった態度ではないか、これが国民の偽らざる心境なんですよ。それを明確にあなたに答えてもらいたいと言っておるのだ。
○大平国務大臣 この事件が発生いたしましてしばらくたって、被害者は韓国の法域の中におられることがわかったわけでございます。すなわち、日本の法域の中にはすでにいなかったわけでございます。したがって、この両国にまたがりました刑事事件の処理にあたりましては、どういたしましても韓国側の全幅の協力がなければ捜査は進まない、十分な成果はあがらないという性格のものであることは、小林さんもよく御承知のことと思うのでありまして、日本といたしましては、被害者を日本によこしていただきまして直接事情を聞きたいという要請はいたしておるわけでございますが、先方は、捜査いたしておりますので応じられないという返事でございました。この態度はいいか悪いかという御批判はあろうかと思いますけれども、韓国は独立国でございまして、私どもそれを強要する立場にはないわけでございます。両国にまたがった事件の性格上隔靴掻痒の感を免れないことは、御了承をいただきたいと思います。
○小林(進)委員 それが一番の中心なんでございまして、あなたは了承せよとおっしゃるけれども、国民の側は了承できないのであります。
 独立国家の間だから、これは韓国側の協力を得なければどうも身柄を受け取ることもできないとおっしゃったが、私は、韓国側の協力云々の問題じゃないと思う。事件の発生から見れば、国際信義の上からもあるいは独立国家間の友情、友誼の面からも、日本の政府は、堂々と韓国政府にその身柄のいわゆる返還を要求するき然たる態度をとり得る問題でもあるし、そしてまた韓国政府は、日本政府の強硬な申し入れに対して当然応ずべき性格のものだ。私は、協力以前の問題だと思っている。当然応ずべき問題だ。これが国民の良識でありまするし、いささかでも国際法等をかじった者ならば、また当然そこへ結論がいく問題だと私は思う。それを今日ここまで、き然として要求すべき独立国家の政府、外務大臣が、常に国民が納得するようなそういうき然たる態度を一つもとり得ない、これが国民の不満の一つです。
 同時に、あわせて言うけれども、そんな不当な形で日本から拉致せられたその金大中さんを、とかくの弁を弄して韓国が渡さないというところに私は、韓国政府の不当とも言い得る間違った行為があると思う。この点いかがですか、協力云々の問題じゃないと私は言っているのです。
○大平国務大臣 いま国際刑事事件というものはなかなか解決がむずかしいということについて御了解いただきたいと申し上げたのでございますがたとえば一九六五年に、いま小林さんが言われたように、フランスとモロッコの間にも同じような事件がありまして、モロッコの野党の指導者であるベン・バルカ氏がパリで誘拐された事件がございました。フランス政府は、モロッコによるフランスの主権の侵害であるということで強い主張をいたしたわけでございますが、ベン・バルカ氏は安全が保障されないばかりか、いまなお行くえ不明であるのでありまして、しかしながらフランスとモロッコの外交関係はその後正常化いたしておるのであります。これはたいへん歯切れの悪い処置でございますけれども、独立国の間では、そういうことが現実に起こっておるわけでございます。一九六〇年にアルゼンチンとイスラエルの間で起こりましたアイヒマン事件もそうでございまして、アイヒマンという人物は、アルゼンチンから拉致されてイスラエルに持っていかれたのでございますが、アルゼンチンが引き渡しを求めましてもイスラエルはこれを殺害してしまったのでございますが、本件につきましては、金大中氏は韓国において自由が保障されておるという状態においてあるわけでございまして、私はまず、この国際的な刑事事件の処理といたしましては、御不満でありましょうけれども、自由が保障された状態にあるということは一応理解していただき、評価していただきたいと考えております。
○小林(進)委員 これはあとでも申し上げましょうが、私は、金大中さんは自由が保障されているとは考えておりません。また外務大臣が、これはあらためて質問しますけれども、保障されているという証拠があるならば、ひとつ日本国民が、あるいは世界の人種がすべて納得するような証拠をここで見せていただきたい。私は、自由は保障されているとは思いません。
 けれども、それはあと回しにしましても、いまあなたがフランスとモロッコの関係をお言いになったけれども、最近の例としては、いまも西独における韓国人留学生の大量蒸発事件の問題があるのでありますけれども、これはこの委員会でも論ぜられたが、西独政府は、韓国KCIAのしわざと断定できるような資料を十分に持っていなかった。私も調べましたけれども、日本の政府、日本の警察が持っているような、それほど完備した資料を持っていなかったにもかかわらず、韓国情報機関がとった行動は事前の連絡を欠いた許しがたい国際法侵犯行為である、こうきめつけて、きびしく韓国政府に迫った。その結果は、ついに一たん死刑の宣告をしたような学生を全部西独へ返した。しかし、これを返したことによって、一体韓国と西独の関係がその後まずくなったか。決してまずくなっていません。むしろ雨降って地固まる。国際関係はかくのごとく筋の通ったき然たる基盤の上に立てば、もっと両国の関係がうまくいくのだということが、西独のこのき然たる態度によって明らかになっている。あなたは自分の都合のいいように逆な例証ばかり持っておいでになりますけれども、私をして言わせれば、せめて西独政府の外務大臣のつめのあかでもひとつ飲んで、腹をきめてかかってもらいたいという感じがするのであります。いかがですか。西独のそのとった態度が、あなたのとってなす模範行為になりませんか。一言でいいです、言ってください。
○大平国務大臣 西独における韓国人留学生が連れ去られた事件についての言及がございまして、その点も私よく承知いたしております。韓国側は事件発生後間もなく、大使館員の関与を認めまして、西独の主権を侵害したということを韓国側がみずから認めたわけでございます。この点が今回の事件と違っております。
 また、今回の事件と違っておる点は、西独事件の場合、関係者が韓国で処分されたということはまだ聞いておりません。韓国へ連れ去られた韓国人留学生の大部分が裁判にかけられておるというような点も、今回の事件と相違いたしておると私は思うのでございます。
 主権侵害という場合は、究極におきまして、加害国がその事実を認めなければ成り立たないことでございます。西独事件の場合は、韓国がそれを認めてこの事件が解決いたしたわけでございますが、今回の事件につきましては、韓国はみずからの公権力は働いていないということを主張し続けておるわけでございまして、その点相違があることを御理解いただきたいと思います。
○小林(進)委員 私は、ちっとも相違しないと思っております。日本の政府と違うところは、日本の政府の実に弱腰の、ものも言えないようなへっぴり腰と、西独政府の、まだ確かなる証拠もないうちにき然たる態度をとって厳重なる申し入れをしたという、違いはたったそれだけです。韓国政府は最初から、いわゆる主権侵害を認めたわけではない。この西ドイツ政府のき然とした、何ものも焼き尽くすようなその勢いにだんだんと後退して、のまなければならなかったという違いがあるだけです。いま日本だってそのとおりでありましょう。またあとで言いましょうが、警察当局が一生懸命に、困難の中にも捜査を続けていってくれた、その努力があればこそ、初めは金東雲氏など全然関係がない、白だ白だと言った韓国政府が、いつの間にやら、やはり黒であるが、しかし政府は関係ない、金東雲氏の個人的な仕事であるというところまで後退してきた。この後退をどこからかちとったかといえば、われわれ国民の信頼したる警察当局が、この政府の弱腰の中にもき然たる態度を終始一貫して捜査をしてくれたからこそここまで問題が進展していったのであって、あなたは結論をもって経過にすりかえようとされるけれどもそれはあなたはひきょうなものの答弁のしかたでありまして、問題の違いはそこだけなんです。強い政府と弱い政府。
 そこで国民は、なぜ一体、西独や――あるいはアルゼンチン等も国連に提訴している。あのドイツのアイヒマンですか、大きくユダヤ人を虐殺したその人がアルゼンチンに亡命しているときに、これをイスラエルが捕えていったときに、アルゼンチン政府は強硬にイスラエルに申し込むと同時に、その最後の解決を国連にまで提訴している。そしてアルゼンチンの独立を守る、主権を守るためにこれに血みどろの戦いをしている。日本政府が、これほど明確なる事実に対してへっぴり腰でいなければならぬ理由はどこにあるのだ。国民はあらゆる手を模索しながら政府の弱腰を考えているわけだ。大平さんも、これは日韓経済閣僚会議に出ていられるのだが、そこら辺へ行って何かおみやげでももらってきたのじゃないか、あるいは何か弱腰に出なければならぬようなもやもやした不正事実や不明朗なことがその中に介在しているのではないか、こういうことを国民はみんな考えておりますよ。大平さんという人はもっとき然とした、将来総裁でもになう人なんだから少しはしゃんとしたところがあるかと思うけれども、やはりくさみのあるところは同じなんだなというふうにも国民は考えたりしております。
 いま一つは、これは外務官僚の答弁だというのでありますけれども、外務官僚らしい言い方でございますが、西独と日本は違う。なるほど西独の政府はき然としたが、あれは韓国と地理的にかけ離れている。たとえ国交断絶になったとしても、さしたる影響は西独と韓国の間にはない。それに引きかえわが国は、韓国とは地理的に隣接し、さらに経済的に結びつきも強い。おまけに過去の暗い日韓の歴史等を考えれば、西独のように単純な扱いはできない、こういうことを外務官僚が言っているというのだ。これがあなたの意見かどうかこの外務官僚と称する者のものの考え方に対するあなたの所見をひとつ聞かしてください。
○大平国務大臣 たびたび申し上げますように、二国間にまたがる国際的な事件でございますのでこういう事件を処理する場合の国際的なものさしというものがある。私ども、日韓関係が近くあるから甘くする、遠くあるから重くするというようなことはやりたくないわけでございまして、国際的なものさしに照らしまして、それより甘いような措置を講ずることは、日韓関係の公正を私は乱すものと思うのでございまして、今回私どもが考えた案は、国際的なこの種の案件を処理する場合の国際的なものさしに照らしまして決して恥ずかしくない解決案であるというところまで参りましたので、このような落着をつけたわけでございます。
○小林(進)委員 その前段の、あなたが、隣国だから、利害関係が錯綜しているからというようなことで二国間あるいは国際問題を処理したくないという、あくまでも筋を通してきちっとした解決をしたいというその理論構成は、私は全く賛成です。いみじくも、その外務官僚等のつまらない主張をあなたがここで否定されたことは、私はやはり日本国民として非常にうれしい。その点は非常にりっぱだと思うけれども、だからといって、いま筋の通った解決をしたなどというその話は、全く白を黒と言い含める牽強付会な話だ。いまあなたが解決しようとした、あるいは解決したと言っている問題は、ちっとも筋の通った解決ではありません。虚構の上に成り立ったごまかしの解決ですよ。それこそが日本の、これは永遠に禍根を残すたいへんな間違いです。
 私はここで、ちょっと時間を食いますけれどもひとつあなたに思い出してもらいたいのは、あの明治の中期における例の大津事件、津田三蔵ですか、ロシアの皇太子を傷つけた問題、あの裁判長は児島惟謙先生、いま法務省の前庭に胸像もありましょう。大国ロシアの皇太子を傷つけたのだから、そんな犯人は死刑にせよといったけれども、児島惟謙先生が、筋と国法だ、対国の大小あるいは親近の関係によって筋と法律を曲げるわけにはいかないと言って、そしてきちっと軽い刑罰を科してこの急難、国の独立を守った。それがその後一体ロシアと日本との関係がまずくなりましたか。むしろ、き然として筋を通したところに国家の独立を守ったし、両国の親善関係をより深めた。そしていまなお、児島惟謙裁判としてわれわれ子孫の胸の中に、青少年の胸の中にちゃんと生きているじゃありませんか。
 いまあなたがやっているこの韓国との主権侵害の問題を、こんなままの形で、これで問題が外交的に解決したなんというのは、後世にたいへんな禍根を残すことになりますよ。いいですか、あなた。韓国の大使館の一等書記官なり副領事がわが日本へ踏み込んできて日本の主権を土足にかけた、日本の捜査権を土足にかけてかってに拉致していったその問題を、あなたの言われるようにこれで済んだと言ったら、将来どうなるのですか。またよその国が来て、よその国の外交官や一等書記官や副領事が来て、自分たちの国に都合の悪い者をけったりなぐったり、拘束して持っていって、いや、あれは政府の関与したことではございません、大使館員ではございまするけれども、個人のやったことでございまするから主権の侵犯にはなりません、そういうことを何回でも繰り返される道を、いまあなたは開こうとしているじゃありませんか。あなたがいまこれで解決したと言うことは、外交官が個人だという形で何でも日本の国でできるということの道を開いたことになるのだ。あなた、そうでございましょう。それじゃ、もはやわが日本の主権なんというものは、やろうと思えば、これはいつでも侵害されるということの道を実は開いたことになるのですよ。そうじゃありませんか。あなたは、永遠に日本の傷になるたいへんな間違いをいまおかそうとしていることを私は言うのだ。わが日本の主権を、どの国も、どの国の外交官も、個人の行為でございまするから主権の侵犯ではございませんという言いわけで、日本の国内で何でもできるというその道を、あなたはいま開こうとしていることなのだ。その重大性をあなたはまだ気がつかないのですよ。気がついていたら、こんなことで問題が解決したなんという話は言われるわけがないじゃありませんか。
 そこで、また一つ質問いたしますよ。
 あなたは、二日の日でございますか金鍾泌さんが来られてから、こういうことを外務委員会で言っていられますな。金大中の出国が自由になった、金鍾泌氏が来て謝罪をした、だからここでもはや問題の終止符は打ってもよろしい、これを称して筋の通った終止符である、こういうふうに言われておりますが、その答弁、間違いございませんか。
○大平国務大臣 小林さんに誤解のないようにお願いしたいのは、この主権侵害かどうかということに決着をつけたわけでは私はないわけです。あなたにいま答弁したとおりでございまして、主権侵害かどうかはわからないという立場でいまおるということを申し上げておるわけでございましてわがほうにきめ手になる証拠がない、韓国はかたくなに否定されておるということをありのまま申し上げておるわけでございまして、したがって、政府はいま、主権侵害だと断定することもなければ、侵害でないと断定する立場にもないという、そういう立場でおるのだ。したがって、両政府は捜査を続けられるわけでございまして、今後新しい証拠が出てまいりまして、主権侵害の事実があらわになってまいりますならば、これは新しい問題として提起しなければならぬという立場を留保いたしておるわけでございまして、外交的落着というのは刑事事件の決着ではないわけでございまして、日韓の間の外交関係というものが、この事件がわだかまりを持ったままおるということが長期にわたって続くということは、好ましくない事態でございますので、国際的なものさしに照らしまして、韓国側がとられた措置は納得がいく程度にまで御理解を得たわけでございますので、外交的にはここで一応決着をつけろということをやったわけでございますので、その点を誤解のないようにひとつ御了解をいただきたいと思うのでございます。
 それから第二に、この間金国務総理がおいでになりまして、日本の政府と国民に対しまして、本件を通じてたいへん御迷惑をかけたということに対して深甚な遺憾の意を表明されたわけでございまして、その事実をそのまま国会で御報告をいたしたわけでございます。
○小林(進)委員 あなたはいかにも国際慣行、国際習慣、国際慣例、国際法に精通して、おまえたちしろうととは違うんだというようなことをおっしゃいますけれども、一体国際的慣行で、そういうことでうやむやにしてよろしいという国際慣行がどこにありますか。私が先ほどからアルゼンチンの問題や西独の問題をやっているのも、これは国際的な一つの前例なんです。この韓国とわが日本のわだかまりというものは、一体どこから出たのですか。金大中さんが不法にわが日本の権力下から拉致されたという問題、金大中さんの人権が不法に無視せられているという、この二つの問題から両国のわだかまりができ上がった。その二つの原因が、先ほどから言うように、一つも排除されていないじゃありませんか。どこに一体、金大中さんが自由になったという証拠がありますか。日本の主権が侵された事実、それが回復したという例証が、一体どこにあるのでありますか。あなたは先ほどから、金鍾泌さんが来られて遺憾の意を表されたと言うけれども、どんな遺憾の意を表されたのです。どんな内容を表されたのです。ただ、来られたということだけは新聞紙上に報道されたが、内容というものは一つも発表にならない。金大中さんが来て、総理大臣、外務大臣に会われたけれども、その内容は一体どういうことを言われたのか、一つも出ていないじゃありませんか。しかも金鍾泌さんの韓国国会におけるその答弁等を聞いておれば、まあわが国も遺憾の意を表したが、日本の政府も遺憾の意を表している、両方とも遺憾の意を表し合った、そういうふうな報告が韓国の国会の中に行なわれておりまするし、また、それに対して韓国議員の間にも、日本あたりまで出かけていく理由は一つもない、軽挙盲動するなというふうな非難があったりして、ちっとも内容は明らかになっていないのであります。あなた一人の思いよがりじゃないですか。政府ひとりの思いよがりじゃないですか。いま一回明確にしてください。金大中さんの出国が自由になった、身柄が自由になった、進退も発言もあるいは生命も、すべてが自由になっているという証拠をひとつ、どうぞお示しください。世界の人たちが納得する証拠をひとつ示してください。日本国民が十分納得する証拠を見せてください。
 いま一つ、金鍾泌さんがあなた方のところに来ておわびをされたというならば、そのおわびをせられたことばを文章にしてここに配付してください。一体どういうことばでおわびをされたのか、言ってください。あなたたち特権階級というか、一つまみの人たちだけが、承知をしました、国際ルールに従って筋を通しましたと言ったところで主権者たる国民が納得しないのだ。国民が、そうだ、もっともだと言うだけの証拠を見せてください、ここに。
○大平国務大臣 金大中氏の問題は、韓国政府が自由を保障するという言明をされておるわけでございまして、私どもはそれを信頼いたしております。
 それから第二の御質問の、金国務総理がおいでになられたときには大統領の親書を携行されてきておりまして、この親書の要点を申し上げますと、今般金大中氏事件が生じたことはたいへん不幸なことであり、この機会に閣下と日本国民に対し遺憾の意を表します。韓国政府は再びかかる事態が生じないよう最善の努力を払い、友好増進に寄与したいと思います。日韓関係にかんがみ、今回金国務総理を派遣いたしますが、これを機会に友好関係が一そう発展することを望みますと、こういう趣旨のものでございます。
○小林(進)委員 あなたはそれで、日本国民があげて憂いかつ憤り、かつ腹に据えかねている金大中さん拉致事件と日本の主権が侵害された問題がここでさばさばと解決したとお考えになっているのでございますか。
○大平国務大臣 この種の事件が起きて、そしてこれに政治的な処理をいたす場合におきまして、まず加害国から遺憾の意が表明されて、将来かかる事態が生じないという保障がなされていくことがまず国際的な慣例と承知いたしておるわけでございます。また、とりわけ今回の事件におきましては、金大中氏の人権問題というものが焦点の一つでございましたことは、われわれもよく承知いたしておるわけでございます。それに何らか回答が与えられなければならぬわけでございますが、政府みずからが先ほど申しましたような言明をいたしておるわけでございますので、そういう点から考えまして、外交的落着をつけるにつけましても、大かたの御理解は得られるのではないかと私どもは判断いたしたわけでございます。
○小林(進)委員 実に国民の気持ちというものを土足でけったよりもひどい、あなた方の問題の収拾のしかたであります。私は、その大統領の文書は、いまあなたが読み上げたのを聞いているけれども、そんなのはどこの国でも、いわゆるその国の首班と首班とがかわす外交的なまくらことばです、そんなものは。われわれが一番求めている金大中事件に対する真実をうがった文章は、一つもないじゃないですか。だれが連れていったでもなければ、金大中さんを日本のもとに、日本に身柄を返すもなければ、あるいはひとつ御自由に、日本の捜査に協力いたすもなければ、あるいは韓国の大使館がこの問題に関係したでもなければ関係しないでもない。外交的なまくらことばじゃないですか、あなた。それは女郎や芸者のまくらことばだ。手練手管より悪いじゃないか、そんなものは。そんなことばにあなたがまいったというならば、まるでそれはどこかの属国が、植民地が、宗主国の王さまか天皇の親書に感激して涙を流したと同じような卑屈な考え方です。独立国家の総理大臣や独立国家の外務大臣としての権威なんというものは一つもないじゃないですか。まるで外交的なまくらことばに感謝感激して、そして問題をありがたがっておさめているような形でありまして、そんなことはもはや理屈の余地がないです。卑屈そのものです。もっと極端なことばで言えば、国を売っても、国民の権威と民族の独立を売っても顧みないような、実にひきょうなやり方です。そんなことでこの民主国家、独立国家の日本の独立が侵されてたまりますか、あなた。いま少しあなた、斎戒沐浴して考えてくださいよ、あなたのその魂の底を。そんなことじゃいけません。まあひとつと言われまするけれども、国民は納得いたしません。また、野党全党も納得をいたしません。繰り返して言いまするけれども、あなたの所属する自民党の中でも、こういうあなたの解決に反対している人がたくさんいますよ。そんなにわれわれを甘く考えていただいては困ります。
 そこで、具体的に申し上げまするけれども、捜査権と外交権と政治は別だなどという詭弁を弄することはやめていただいて、具体的な問題として私は申し上げまするけれども、ほんとうに金大中さんの身柄が自由になったかどうかという証拠を、あなたはついにあげられない。身柄を保障するかと言うと、韓国の政府の言い分を信用するだけだとおっしゃる。そんなあいまいなことばで私どもはごまかされるわけにはいきません。いま少し、国民が納得するように、金大中さんの基本人権が自由になったという証拠をつかんでくださいよ。それをつかまない限りは、私どもは野党の各位にも御協力を願って、臨時国会になろうと通常国会になろうと、この問題の解決しない以上は政府にあくまでも肉薄いたしますよ。これは永遠に根を引く民族永遠の問題ですから、それはあなた方が考えているような簡単なわけに、了承するわけにいきません。これを明らかにしてください。
 第一番には、やはり謝罪には謝罪の内容というものがありましょう。何にも問題の中心に触れないような、それをもって誠意が通ったという考え方は、あなたはこれは国際慣行とおっしゃるかもしれません、われわれはそれを国際慣行と認めるわけにはいきません。そこでこの二つの問題が、やはり日本のいわゆる主権の侵害が必ず補われた金大中さんの身柄が自由になったということが国民が納得する形で明らかになるまで、いまあなたが行なわんとしている日韓経済閣僚会議は延期をしてもらわなければならないと思います。やめてもらわなければならぬと思います。二カ月かかろうと三カ月かかろうと半年かかろうと、一億一千万の国民が、これで日本の主権は守られた、これで金大中さんの自由は守られたという納得がつくまで、日韓閣僚会議はひとつ無期延期をしていただきたいと思いますが、この問題に対してお答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 本事件は事件として解決してまいらなければなりませんで、政府は従来から、この事件によって日韓関係の基本をくずすつもりはないということは、たびたび国会を通じて申し上げたとおりでございまして、日韓閣僚会議につきましても、無期延期をするということも申し上げたことはないわけでございまして、私どもといたしましては、年内にこれを開催するという方針をいまとりまして、せっかく準備をいたしておるところでございます。もとより、こういう雰囲気にありますことは私どもも十分承知いたしておるわけでございまして、せっかく開きます以上、十分客観的事態を踏まえて、国民の納得いくような態様において開いていかなければならないと考えております。
○小林(進)委員 これはたいへん重大な発言だと思いますが、そうすると、私が先ほどから言っております金大中さんもこのまま、主権の侵害もこのままで、年内にいわゆる日韓閣僚会議をお開きになるというのでございますね。いま一回教えてください。
○大平国務大臣 すでに申し上げておりますとおり、年内に開くべく準備をいたしております。
○小林(進)委員 年内のいつごろお開きになる予定でございますか、その期日をお聞かせ願いたい。
○大平国務大臣 まだ日をきめていないわけでございまして、準備の都合、先方との協議等を通じてきめたいと思っていますが、ただいまの時点ではまだきめておりません。
○小林(進)委員 私はいま初めて明確なあなたの答えを聞いたのですが、あなたのお答えに対してはもちろん私は納得できませんが、事態は政府が想像していられるよりもたいへんな問題になりますぞ。たいへんな問題になります。私はそれだけひとつ申し上げておきます。われわれ野党といたしましては、もちろん社会党といたしましては、こういう国の主権、独立に関するような、しかもこの問題は永遠に尾を引く問題でありますから、先ほどから繰り返しておるように――外交官の金東雲氏によって証明をせられておる。また捜査当局によって、副領事が現にその車を提供して、その車に乗っていったということも、もはや明確にされておる。他国の外交官が非公然とその国の中で国の主権と捜査権をじゅうりんするような行為をしていたことを、最初はそれは全然関係がないと言って、あとはそれは個人の関係で、政府の指示に基づくのではないというところまで追い込めてきた問題で、外交的国際関係はそれだけでもうおさまったのだから、ひとつ両国間の国際関係を平常に戻して会議を開くなどということになれば――先ほどから繰り返しておるように、この例は永久に残っていくのです。次から次へとこういうことをやられても、もはやこれが前例になって、しかもこれは日本だけではない、国際的な一つの理解、世界の独立国にみんなこういう悪い例証を残すという、これはたいへんな問題でございまするから、もしこういう野党や国民の意思を無視してまでも年内中に政府がいわゆる日韓閣僚会議をお開きになってということになるならば、われわれは、あなたの予想される以上に、それは事態がどこまでいくことをもおそれずしてやりますよ。絶対的な反対運動をやります。あなたはそれを覚悟でおやりになりますか。いま一回答えてください。
○大平国務大臣 何事をいたしますにも国民の理解と協力がなければならぬわけでございまして、政府といたしましては、極力国民の理解を得た上でやってまいりたいと考えます。
○小林(進)委員 このままの現状でもはや政治問題、外交問題はおさまったのだという見解にあなたが立っている以上は、国民は納得しようがないじゃありませんか。何で協力できますか。もとをただせば事態は一つも進展していないのでありまするから、私どもは断じて了承することも――国民もまた、それは腹をふくらして憤慨いたしますよ。そんなことは断じてだめです。もう時間がありませんから言いまするけれども、了承できませんよ。覚悟してくださいよ。それはどうかつじゃないのですから。そんなむちゃなことをやるならば、あなたに対して、政府に対して、民族の将来をかけて戦いを組むのですから、ひとつ十分腹をくくって考えておいてください。しかし、なおかつあなた方が日韓の閣僚会議を開くとおっしゃるその内容には――いま韓国は国会を開いております。その来年度の予算――韓国は暦年制度で、来年の一月、四十九年の一月から新予算を実施されるわけでありまするけれども、その中に、皆さん方と閣僚会議を開いて、そして日本の政府からちょうだいする、あるいは援助を受ける、その経済援助をちゃんと見込んで来年度の予算の中に組み込んで、そしていま国会の中で審議されているということでありますけれども、閣僚会議で日本が援助する金額が一体幾ら韓国の予算の中に組み入れられているのか、ちょっと外務大臣、お聞きしておきたいと思います、参考まででありますが。
○高島説明員 小林先生御指摘のとおり韓国の会計年度は暦年制でございますが、新年度予算案は、私たちの承知するところでは、十月二日に国会に提出されておりまして、十一月末までには議決されるというふうに伺っております。
 その内容といたしまして、ただいま小林先生は、来年度の韓国の予算案の中に日本からの援助が計上されているというお話でございますけれども、私ども承知しておるところによりますと、韓国の予算は一般会計と特別会計からなっておりまして、外国からの借款は特別会計に計上されるということになっております。しかし、この特別会計に計上される借款は、確定しているものについてのみ計上されるということになっておりまして、新年度予算案には日本からの新規借款見込み期待額、いわゆる期待額は計上されておりません。右借款が確定した段階であらためて補正予算に組まれるというように伺っております。
○小林(進)委員 外務大臣、あなた、たばこを吸っていらっしゃいますけれども、これはほんとうに重大問題ですから、考えてくださいよ。私はそのために児島惟謙の例まで言ったのですから……。民族の将来の問題ですよ。一体あなたは睾丸あるのかね。がんばってくださいよ。ほんとうに私は、だてや酔狂でこんなところで質問しているわけじゃないのですから。日本の主権が侵されているじゃないですか。こんなひどい目にあわされておって、なおかつしっぽを振っていかなければならない理由は一体どこにあるのですか。
 次に御質問いたしますけれども、あなた方が去年行った第六回の日韓閣僚会議できめてこられました今年度、四十八年度一億七千万ドルの援助の内容、これはまだ全部実行されていないはずであります。この日韓の金大中事件で少しわだかまって停止されたはずでありますけれども、その後一体これが動き出しているのかどうか。この内容について、いままで済んだ分、まだ残っている分、あるいは開始したなら開始した、ひとつこまかくお聞かせ願いたいと思います。
○御巫説明員 お答え申し上げます。
 先般もあるいはお答え申し上げたかもしれませんが、一億七千万ドルの約束のうちですでに実行済みのものは、通信設備改善というプロジェクトのために、ドルに直して二千万ドルの約束がございまして、円貨で六十四億円でございますけれども、これにつきましてのみ約束ができておりまして、それ以下の分につきまして、すなわちドル貨で一億五千万ドルにつきましては、まだ約束は全くできておりません。最近におきますこの事件の解決に基づきまして、韓国側と目下事務的な打ち合わせをやっておるという段階でございます。
○小林(進)委員 大体、まだそういう金大中さん事件を通じて問題が解決をしていないにもかかわらず、もうその打ち合わせをやっているというのはけしからぬよ。それ自身もけしからぬ。これまでも新聞紙上に伝えるところによれば、外務大臣が、もはや正常化したから、事務的段階において打ち合わせをやれなどというような指令を出されたということが書いてあったれども、こういうことも実に屈辱の外交じゃないですか、あなた。
 いま少し申し上げましょう。もう時間もないですから言いますけれども、その商品援助の五千万ドル、輸出産業育成援助二千万ドル、セマウル運動用援助八千万ドル、これだけの項目は示しているけれども、内容はどうなっているのかさっぱりわからない。国民もわからない。非常に疑惑を持っているがだれもわからぬから、いま交渉を続けているならば、その内容について書面をもってひとつ回答していただきたい。みんな国民の金でありまするから、決して秘密を保持する理由はない。いままで、韓国援助というと、何もかもみんな秘密にしている。これは全部、よろしゅうございますね。全部ひとつ内容を――何会社をして、だれをして何せしめるか、どこの会社から何を買って、どういうふうにして韓国のどこへ納めるのか、こまかくひとつ書面をもってお聞かせを願いたいと思います。経済協力局長、よろしゅうございますね。
○御巫説明員 当方としてお答えできる部分は書面をもって回答いたしたいと思います。
○小林(進)委員 お答えできるもできないもないです。国民の金を使っている。あなたの金じゃないのです。国民の前に明らかにするのはあたりまえであります。
 それから、私は通産大臣に三時までなんという約束をした覚えはないのでありますけれども、先ほどから盛んに、通産大臣は三時までの約束だから早く質問せい質問せいと言われているのでありますけれども、私は非常に迷惑しごくです。そんな約束をあなたとした覚えはありません。あなたはどういう経路でそういう約束をしたというのでございますか。
○中曽根国務大臣 出席の御要求がありまして、こちらのほうで、きょうは石油の問題でいろいろ会議やなんか予定をしておるので、出席はできかねると申し上げたら、一時間でいいから出ろ、そういう約束で、では一時間出ますというのでさっきからお待ちしているところであります。
○小林(進)委員 私は国民の代表で、ここで委員会を通じて国民の言わんとしていることを質問しているのだ。大臣は大臣の用事があるのだろうが、あるいはほかの大臣は宮中へ行って勲章をやらなくちゃならないから来れない、ある大臣は石油の関係で会議があるから来れない、ある大臣は何か西独の事務次官が来ているから来れないとおっしゃったから、それは大臣はそれぞれの見解だろうから、来れないなら来れないで、書面で回答してもらいたい。私は何もこんな質問なんか個人でやりたくないんだ、大きな声を出したり、いやな仕事を。けれども、私も、主権者である国民の代理でやっているんだから、国民と、国民のかわりに仕事をしているあなた方の関係だから、国民が納得するように文書で回答せいと言ったけれども、私はそれ以外に、三時に来いの四時に来いのということを納得した覚えはないのであります。来れないなら書面で回答してくれと言ったのであります。
 せっかく来たのでありますから、それではあなたの分を先にひとつやりますけれども、私は不実企業の問題について、いろいろ通産省から資料を要求いたしておりました。私はこの問題についてあなたに質問をしたかったのでありまするけれども、これを質問する前に、やはり国会議員としてひとつ、これは次元の低い問題でありますけれども、ちょっと聞いておきたいことがそこにある。それは湯島の秘苑という韓国料亭の問題なんです。妓生をはべらせている秘苑、銀座にもあり湯島にもあるが、これを一体通産大臣は御存じかどうか。
○中曽根国務大臣 ここでもそういうようなお話が前にありまして、私も聞いております。
○小林(進)委員 これはもう公開されたことでありますから、名前をあげても私は差しつかえないと思います。
 渡辺美智雄代議士がこういうことを言っている。「湯島の秘苑には金鍾泌首相が来られたとき御招待をした。日韓議員懇親会で返礼というわけで二十人ぐらい。ああ、みんな国会議員だ。宇野(宗佑)さんが幹事役だった。」そこで、幹事役といわれる宇野宗佑さんに今度は聞いてみると、「ことしに入ってから二回行っただけだ。」そこで、たとえば金首相を接待するときの費用などはどうまかなっているのかということを尋ねるというと、「山中貞則現防衛庁長官が払っている。」こういうふうに宇野さんが答えた。なおことばを続けて、「日韓議員懇親会が接待するんだが、そういってももっぱら懇親会の中でも中曽根派の連中がほとんどだし、山中さんは部隊長だから、めんどうを見るのは政界の通例だからね。いつも韓国の人が来たときに秘苑を使うのは、韓国料理で最高のところだということでもあるし、」云々と、こういうふうに語られている。
 そこで、山中さんが部隊長だからその秘苑の金は払うのだということになれば、さしあたりあなたは司令官ということになるわけだ。そこで、司令官であるというあなたが、こういうことの接待や費用をお持ちになっているのかどうか、あるいはそういう会合へおいでになっているのかどうか。これはやはり国会議員あるいは閣僚としての姿勢の問題として私は御回答を得ておきたいと思いまして、あえて質問したわけであります。
○中曽根国務大臣 費用も持っておりませんし、そういう会合に出たこともありません。
○小林(進)委員 そうすると、部隊長と司令官の関係はどういうふうになるのでございましょうか。
○中曽根国務大臣 国会議員は独立でありますから、みんな自分の信念、政策等に基づいて行動しておるのでありまして、友人としての関係はもちろんありますけれども、そういう、お金をどうするとか宴会に出るとか、そういう関係はございません。
○小林(進)委員 私も、まだこういうことでお尋ねしたいことはありますけれども、あまりいい事件ではございませんのでもうやめますけれども、あなたのそういう答弁がきれい過ぎていやなんですよ。あなたは中曽根派と称する派の親方であり、これは宇野さんが言っているように、その中曽根派の中の山中君はちゃんと部隊長だ。部隊長だから、中曽根派の大半の議員がいるときの会食費用は部隊長が払っているのだ、こういう正直な話をしているのだから、あなたはそれを受けて、いま少し、そうかと思うような俗っぽい回答をされたらいかがですか。いつでもどうもきれいさっぱりな、お釈迦さまとか天神さまみないなことばかりおっしゃるから、どうも話が行き違っていかぬのであります。私はもうやめますけれども、ひとつこういうことも――いまこの日韓会談というものを通じて、金大中事件を通じて、いわゆる観光旅行に名をかりたセックス交歓だとか、あるいは日韓の経済交流に名をかりて一部の特権階級や一部の政界や一部の財界だけが性不浄の金の取引をしているとかという、それはもう日本国民があげてこれに悲憤慷慨をし、韓国の国民や学生に象徴せられる人民が、あげて両方の政府や財界のあり方に悲憤慷慨しているさなかなんですから、ひとつこういうことも少し血の入った回答をしていただたいという気持ちで私は質問したわけなんです。まあわれわれの仲間もいるのだが、あまり好ましいことでないとか、そういうことは時世が時世ですからひとつ注意させますとかということならば、私もすなおに引き下がるのですけれども、あまりきれい過ぎていけませんよ、あなたのおっしゃることは。
 そこで、私はこの前の問題で資料を要求いたしました。その資料の要求の一つは、例の昭和四十四年五月の韓国における青瓦台不実企業整備班に基づく三十七不実企業の実態を報告していただきたいということをお願いしたのであります。あわせて、昭和四十六年七月、これも韓国政府の中に企業合理化委員会というものが設置せられて、その年の九月に銀行管理企業体の整理に着手した。ここでやはり不実企業というものの内容が発表をせられた。その資料もちょうだいをいたしたいということでお願いをいたしたのでありまするが、これに対して資料が出てまいりました。出てまいりましたけれども、これではさっぱりわからぬのであります。そこで、一体通産省は資料をお出しになって、持っているのだけれども、日本があるいは援助をし、あるいは信用を貸与したその事業の内容を国民に知らせることを拒否する意向でおられるのか、つとめて知ってもらおうという努力をされているのか、その基本的な姿勢について、まず私はお伺いしておきたいと思うのであります。
○中曽根国務大臣 できる限り国民の皆さまに内容を知らせるように心がけて資料は提出したいと思いますし、やっていると思います。
○小林(進)委員 それでは、この中で三菱商事の仁川製鉄所二十五億ウォン赤字、トーメンの韓国アルミ十五億ウォンの赤字、日商岩井の赤字が十億ウォンということが、韓国の政府の調査によって明らかになっておるのであります。どうして赤字になって、どうしてその企業の日本の貸し付けが回収になるのか、それを詳しく聞いておきたい。何もその報告がないのでありますけれども、どうして私の要求したその資料に対して御回答がないのでありますか。
○森山説明員 ただいま御指摘のございました企業のうち、仁川製鉄につきましてはわが国の企業とは全く関係のない企業でございますが、韓国アルミ等につきましては、トーメン等が機材を延べ払いで輸出したことはございますけれども、これはあくまでも向こうの企業に対しましていたしたわけでございまして、その企業が現地におきましてどういう実態になっておるかということは、たいへん把握しにくいということもございますので、完全な意味では把握いたしておりません。
○小林(進)委員 私はよく韓国問題で不実企業や倒産企業の話をいたしますと、これはどうも政府の統一した見解なのか、あるいは官僚の一流の、知らすべからず、見せるべからずという本能から来るのか知りませんけれども、日本の港から出て韓国へ行くまでの間は、私どもの守備範囲だからりっぱにやっております、しかし一たん韓国に上陸して、韓国の企業なり韓国の政府なりに移ったあとは、あるいは内政干渉になりますとか、他国の企業に不当干渉することになるから、私どもはそういうことは、調査することも監視することも見ることもできません、あとはどうなっているかわかりませんということを言っておるのでありますが、これは一体正しい考え方ですか。韓国へ行こうとブラジルへ行こうと、ミナスへ行こうとブラジリアへ行こうと、日本の国民の税金がその国に行ってそれが使われている限りは、とことんまで正しく、日本国民に損害や被害を及ぼさないように、できるだけその内容を調査し、それを把握しているのが、私は国の行政官としての正しい姿勢じゃないかと思うのでありますが、この点はいかがですか、外務大臣、あなたにひとつお聞きしておきたいと思う。
○大平国務大臣 信用は万事のもとだと思いまして、商売をされる方々が相手方との間に契約を結ばれまして、その契約が的確に履行されてまいることが信用の基本だと思うのであります。これは、国のうちであろうと外であろうと、守られなければならない鉄則だと思います。さらに国がそれに何らかの信用を与える、あるいは援助を与えるという立場にあった場合に、国としてその事業の運営につきまして関心を持ち、注視を怠らない状況になければならぬと思うのでありまして、それを怠るというようなことがございますならば、それは許されないことであると思うのであります。しかしながら、人間の計画でございますし、もくろみでございまして、それが必ずうまくいくという一〇〇%の保証は現実の世界にはなかなかないと思うのでありまして、中には志とたがいまして失敗する例もなきにしもあらずと思うのでありますが、そういう場合におきましても、その処理につきましてはちゃんとけじめをつけてやってまいることが、日本の信用の上にとりまして大事なことだと私は考えております。
○小林(進)委員 どうも時間がなくなりましたので、私の質問は三分の一もいかないのでありますけれども、残念でありますが……。
 ちょっと通産省に言っておきます。韓国肥料、これは輸出者三井物産、五千二百八十四万一千ドル。トーメンが韓国アルミに対して千三百四十八万七千ドル。三菱商事等が大韓造船に対して五百二十六万七千ドル。それから新進自動車工業に対して豊田通商が千六百十一万ドル。そのほか大林水産に対し三菱商事等が四百九十四万ドル。一体この金は輸銀から出ている金なのか、海外基金から出ているのかどうか。海外基金から出ていればその金は、これは何年のいわゆる延べ払いで、しかもこれに対する輸出者である三菱と三井、三菱商事等の関係業者が一体何を売り、何を相手会社から買っているのかという企業の内容を――私は内容を全部知っているが、詳しく言おうと思ってもきょうは時間がありませんから、これを全部書面にして提出していただくことを理事の皆さんにも、委員長にもお願いしておきたいと思います。この内容をひとつ……。
 それでは、運輸大臣が来られているそうでありますから、運輸大臣にもひとつ申し上げますが、これはこの前もここで申し上げたのです。いわゆる関釜フェリーはどういう構造になっているのかと言ったら、日本政府側のほうだけのお話があって、これは会長が松村、社長が入谷豊州、副社長が入谷拓次郎云々という話があったのでありますけれども、それでは、日本の下関から日本のフェリー会社の船が韓国へ行くと、そこには韓国のフェリー会社がありますな。そこで今度は日本から行ったお客様あるいは荷物を運んだりやる一切の仕事は、同じく関釜フェリーですけれども、法人格の違った別のフェリー会社がこれを扱っていられるはずでございますが、相手のフェリー会社は何というのでございますか、それをお尋ねをしたいと思います。
○新谷国務大臣 この問題については先般も政府委員からお答えをしたとおりでございますが、お尋ねは、韓国側においてどういう会社が代理店をやっておるかということだと思います。
 これはどこの国でもそうでございますが、各地に日本法人が支店を出しておるとか自分の社員を置いているというところはむしろ少のうございまして、現地との間に商社間で契約をいたしまして、代理店業務をやっておるのが海運業の常でございます。
 関釜フェリーにつきましては、お話のように関釜フェリーというのは日本法人でございまして、海上運送法によりまして、これは下関−釜山の間を運航しておるわけでありますが、釜山側では、両方の企業の間で契約をいたしまして、代理店業務をやってもらっておるようでございます。この会社の名前は逆でございます。釜関フェリーという会社にそういう代理店業務を行なってもらっておるということが届けられておるのでございます。
 この釜関フェリーというものは韓国法人でございまして、私どものほうでは直接にこの会社の内容についての調査権限はございません。したがって詳細は明らかではございませんけれども、この会社は釜山に本店を持っておりまして、昭和四十四年に設立された会社だそうでございまして、資本金が六十万ドルということがわかっております。
 この会社との間に先ほど申し上げました代理店契約をいたしておりまして、いまこの会社はまだ船を持っておりません。全然船を持っておりません。将来船を持つであろうということを予想いたしまして、関釜フェリーとの間には共同運航協定、これはプール協定といっておりますが、そういう協定を締結しておるのでございますが、相手の会社がまだ船を持っておりませんので、そういうプール協定が現実には実行されてないということでございます。
○小林(進)委員 釜関フェリーの社長ですか会長は、町井さんではございませんか。町井さんがおやりになっているのじゃないかと思いますが、ひとつわかったらお知らせ願いたい。
 時間がありませんからいま一つ運輸大臣に申し上げますが、この前あなたがおいでにならないとき、例の済州島の観光開発の問題について質問いたしました。運輸省とそれから海外技術協力事業団と外務省、三者構成で行って何を調査してきたかと言ったら、ナイトライフと言っていたが、いわゆる妓生パーティーを持て、ばくち場を持て、ナイトライフを充実させる、そして税金をかけないで、世界各国から遊興人を集めろというような、そういうふうなふまじめな観光開発の中間報告書をお出しになった。そういうふまじめなものは日韓両国人民に対するたいへんな侮辱だから、それをやめろと言ったら、やめるわけにいきません、もはや日本政府と韓国政府の両方にこの中間報告を出しているのだから、やめるわけにはいかない、しかし最終的な報告書をつくるときには十分ひとつ修正、考慮をいたしたいと思いますという答弁があった。
 この国会の中で、いわゆるそういう妓生パーティーを持ってくるとかというふまじめなことはやめなさいということが、非常に国民の世論にアピールしているのでありますけれども、こういう国会にそういうことが論ぜられたということを、一体あなた方は両国政府に通達をして何らかの処置を求める、修正をするような行動をとられたかどうか、それが一つ。あるいは、最終的の報告書をつくると言われたのでありますから、その最終報告の作成がいまどんなぐあいに進んでいるのかどうか、この点について質問いたしたいと思います。
○新谷国務大臣 初めにお尋ねの釜関フェリーの代表者でございますが、これは報告によりますと鄭建永という方でございます。
 それから、ただいまお話しの済州島の観光開発のことでございますが、先般もお答えしたようでございますから詳細は省略いたしますが、この問題については、海外技術協力事業団のほうが依頼を受けまして調査団を派遣した。私もちょっとその調査団の報告は見ました。その中に一部分、非常に不適当な字句があるように考えます。この点については、ただいまその報告書を訂正をするように手配をしておられるようでございまして、この点はあとで外務省のほうからお答えになると思います。
 ただ、私たち観光行政をあずかっておる者としましては、こういったことにつきましては、旅行業者の問題ではございますけれども、厳重にふだんから注意をいたしておりまして、いま日本の観光客が非常に海外に行く人が多いわけでございますが、中には好ましくないというような批判もはね返ってきておることはよく存じております。これについては、基本的には旅行業者の旅行の企画というものもやはり問題になるかと思いますが、私どものほうは旅行業者に対しましては絶えず行政指導を強化いたしておるのでございまして、ただいまも国際旅行業協会を通じまして、全般的にそういった不適当な企画をしないようにということを強く指導をいたしております。そういう状態でございます。
 調査報告書に関しましては、経済協力局のほうからお答えをすると思います。
○小林(進)委員 残念ながら時間が来たのでございますから、私は用意した質問は全部できないので、ちょっと一問で終わりますから……。
 まず外務大臣、九月十九日の本委員会において外務大臣は、外換銀行不正融資の問題についてこういうことを答えておられる。「本件と政界との関係を政府の手でただせということでございますか。――承りまして、検討してみたいと思います。」これはあなたの答弁です。どういうふうな検討をされたのか。私ども、外換銀行の問題についてはその後検討してみました。相当の資料がありまするから、ひとつ御答弁をいただきたい。
 それから法務省、入管に申し上げます。
 これは妓生の入国の問題でございますが、ここで資料をちょうだいをいたしております。現在六十六名。昭和四十八年の一月一日から今日まで六十六名の韓国芸能人、妓生を入れている、こういう話がございましたが、この中で芸歴が一年から三年未満十三名、三年から五年未満が三十六名、五年以上十年未満が十一名、十年以上が六名、計六十六名。学歴は、舞踊学校卒三十一名、音楽学校系卒二十五名、その他十名、計六十六名。年齢は、十九歳から二十五歳未満三十二名、二十五歳以上三十歳未満二十四名、三十歳以上十名、計六十六名という、こういう報告をいただきました。
 この前のこの委員会の報告では、現在七十名おるとおっしゃいました。ここでは六十六名です。四名違います。しかし、この六十六名は、報告にもありますとおり東亜相互企業、秘苑観光招聘韓国芸能人でありますから、秘苑なんです。さっきあなたは鄭建永とおっしゃいましたが、鄭建永さんというのは日本名町井さんなんです。私の質問と同じですから、答えればいいのです。いいですか運輸大臣、町井さんというのが鄭建永さんなんです。同じなんです。その町井さんのこの企業だけで六十六名というのでございまして、あるいは日本全国にはこれ以外に、いわゆる秘苑、町井さん以外に妓生を招聘するパーティーが、まだそのほかにあるのかどうか。それを含めて七十になるのかどうか、その点お聞かせ願いたい。
 それから、学歴の中に舞踊学校とか音楽系学校卒となっているけれども、これも私は、在日韓国人に全部聞いて歩きました。舞踊学校卒なんて麗々しくいっておりますけれども、これは日本における芸者学校ですよ。日本だって、日本の芸者さんはみんなおさらいおさらいといって、三味線習ったり踊り習ったりしていますが、それでございまして、これはやはり芸者学校、妓生学校卒業なんでございまして、学歴というようなものではございません、こういう報告を受けておりますけれども、これは麗々しく音楽学校卒などといって学歴をお見せになりましたけれども、妓生であることには間違いございません。これを芸能人というならば、日本の芸者も芸能人であるはずであります。日本の芸者も芸能人といっていいかどうか、これもあわせてひとつ御答弁をいただきますると同時に、私は時間がないから言うのでありまするけれども、私は法務省に言いますけれども、こういうふまじめな、妓生の入国などということはやめてもらいたいと思う。私はほのかに聞くと、いわゆる官僚陣営においては非常に苦々しく考えていらっしゃるそうでありまするけれども、何か上のほうから、政界、財界の圧力でやむを得ずこれを入れざるを得なかった。いままで十七回これを繰り返したそうですが、一体延べ何千人になるのか。しかも帰られるときに、大体一人平均二百万円ばかり金をお持ちになって帰るそうでありますそれを計算すると延べ何億になるのか。その資料とあわせて、提出ですよ、提出を願うと同時に、これは私は、日本と韓国とのまじめな、永遠の国交の回復のために、こんなふまじめなことはやるべきではないと思う。これこそ両国民族に対する重大な侮辱であります。一部の特権階級だけをおもしろい目にあわせるだけであって、両国の民族にとっては恥ずかしい存在でありまするから、これは取り消すべきだ。私はその点をひとつ承っておきたい。
 いま一つ私は法務省に申し上げますが、この秘苑が銀座と湯島にあることだけは申し上げましたが、その湯島の秘苑のこの前の社長がわれわれの友人であった元代議士の平井義一君であるということを、私はこの前の質問で申し上げましたが、いま平井君がこれをやめて、現在湯島の秘苑の社長は高木民司という方がおやりになっているというから、これが一体間違いはあるか、間違いがないか。
 あわせて、その高木民司さんというのは横浜の入管の元所長だ。入国管理局ですか、入管の所長であった人で、昭和四十三年三月にこの横浜の入管の所長をおやめになって、そして四十五年の六月からこの秘苑の経営陣に加わって社長をおやりになっているということでございますが、これが一体間違いがないかどうか。ならば、秘苑の妓生などのいわゆる入国を直接預かっているその入管の所長さんが、こういう妓生をはべらしている秘苑の社長におなりになるような経緯が一体どうして生まれたのか、その内容、おい立ちについて私はひとつお尋ねをしておきたい。
 次には、これは警察庁と厚生省に私はお尋ねいたします。
 これもこの前の質問の続きでありますけれども、覚せい剤であります。たいへん覚せい剤がある。この覚せい剤は、警察庁からいただいた資料にもはっきりしていますように、ほとんど韓国であります。韓国から入ってまいりまして、ことしだけでも、密輸入で押えられたその覚せい剤だけでももはや三十一キロであります。これは〇・一グラム二千円ですから、三十一キロというのは約六億から七億。これまた、少しまぜものを入れて、歯みがき粉なんかを入れれば、これが約十億か十五億に化けるような膨大なものが、警察当局があげただけでも入ってきた。そのほとんどが韓国でございますけれども、私どもの調査によると、この覚せい剤の原料はほとんど日本から行っています。これはお医者さんもいられるからよくわかっていると思いますけれども、メチルエフェドリンとかいうむずかしい名前の覚せい剤がほとんど日本から行っている。この日本から一年間で約七千キロという膨大な――一グラム二万円もするものをつくる原料が七千キロも日本から韓国へ行っているが、韓国という国は、これはほんの、かぜ薬か何かにちょっと入れる原料なんでありますけれども、これをほとんど使わない。しかも覚せい剤にも使わない。一体、韓国でこれが何に化けているのかという問題が一つであります。
 しかも、この覚せい剤の製造は、そう片手間に簡単にできるものじゃない。相当大がかりの規模、工場がなければできないというのでございまするから、この警察庁があげただけでも三十一キロなどという膨大な覚せい剤をつくっているのでありますから、相当規模の膨大な工場があって、そして製造せられて、もっぱら日本へ日本へと草木もなびく勢いでこれが密輸入せられて、日本人の青壮年――みんな、覚せい剤を飲んでいるのは二十代から三十代で、日本人のうちの九割も占めているのであります。青壮年の魂を腐らしているのであります。その工場を押えることができないのか。それこそ日韓の会談で、お互いの警察の交流か何かで、そういう製造元を何とか押えて、この日本人の魂を腐らすようなそれを撲滅することができないのかどうか。
 私は、これは結論だけでありますけれども、以上、各省に御質問を申し上げまして、お答えをいただきたいと思います。
○大平国務大臣 先ほどの韓国の銀行の東京支店の問題につきましての調査は、大蔵省のほうで実施いたしましたので、大蔵省のほうから御報告申し上げます。
○山本(幸)説明員 十月九日の御質問は、五十億の不良貸し付けをしたのではないか、これはだれに貸してどう投資されたか、こういうこと。特に町井久之氏なる者に貸したのではないか、こういうお尋ねのように伺いましたが、韓国外換銀行の東京支店は、町井久之氏個人ではもちろんなく、東亜相互企業なる会社、これは社長は町井氏のようでありますが、これに、貸し付けではなく支払い保証を約六十億、そういう信用供与を与えたということがございます。この六十億の支払い保証に基づいて、日本不動産銀行が五十四億の融資をいたしております。その内容は那須、白河高原の総合開発事業というものに三十三億、それからTSK・CCCターミナルビルの建設に関するもの二十一億、合計五十四億となっております。これにつきましては、韓国大韓銀行は東亜相互企業の土地建物に対して抵当権を設定をしておりまして、債権確保の上でも手は打たれておるということでございます。
 こういう貸し付けにつきましては、もちろん法的には問題は一応ない、こういうことになっておりますが、この融資の内容について、できるだけ将来についてはさらに慎重にやるように指導をしてまいりたい、こう考えております。
○竹村説明員 法務省の入国管理局の次長としてお答えいたします。
 この前先生から御質問がありましたときに、日本に在留しておる妓生の人数が七十名と申し上げました。これは常時受け入れておる人数が七十名でございます。したがって、現在の時点でおる人数が七十名でございます。先生の御要請によりましてお答えいたしました資料は、これは本年一月一日から現在まで入国を許可された東亜相互企業及び城園観光への招請の、この二つの社の分だけでございます。それが繰り返しておりますから、延べにしますと六十六名になる。したがってこのほかにも各社おるということでございます。
 それから、妓生は日本の芸者ではないか。これが要するに芸能家であるならば、日本の芸者も芸能家ではないかというきつい御質問でございますが、私どもの理解しているところでは、韓国の古典舞踊、民族舞踊を行なうことを目的とした芸能人ということで受け入れております。いろいろ議論がございまして、日本の芸者といわれる人の中にも、芸をきわめ、その道にひいでた方もいらっしゃいますので、また日本には朝鮮半島の出身の方々がたくさんいらっしゃいますので、あるいは日本人が享受しておるそういう日本的な舞踊と同じものを、それぞれの国の人が故国の舞踊を鑑賞するということもまた許されるという議論があるかとも思います。ただ、先生御指摘のようにいろいろ問題もございますし、正直申しまして、上の人から圧力を受けるようなことはございませんけれども、私どもは、それぞれの入国管理のあり方というものにつきましてはいろいろ検討しておるときでございます。こういった問題につきましても、御指摘の点を踏まえまして十分に検討したいと思います。
 なお、高木民司氏の件でございます。これは御指摘のとおり湯島の秘苑のほうの代表取締役をしておりまして、横浜入国管理事務所の元所長でありました。この所長は退職後この会社に入り、当初はこういう重役ではございませんでしたけれども、現在は代表取締役の地位についております。
 それからもう一つ、ちょっと離れますけれども、妓生の一人当たりの手当は月三百ドルの範囲内というふうに聞いております。
 以上でございます。
○綾田説明員 覚せい剤のつくるもとは韓国だから、その密造場所を徹底的に壊滅できないかという御質問だったと思うのでございますが、警察庁といたしましては国際刑事警察機構、ICPOといっておりますが、これを通じて韓国警察と密接に連絡をとって捜査をしておるところでございます。たとえて申しますと、ことしの三月に韓国在住の覚せい剤の容疑者三十八名ばかりを韓国へ通報いたしまして、そうしてその中で七名検挙され、関係者が二十名ばかり検挙されております。その中には密造場所を検挙したというのも二件ございます。
 そういうことでございまして、最近の状況を見ますと、この六月以降に韓国のルートが、全然検挙がありません。香港ルートとか台湾ルートが検挙されておりますが、これは私どもの推察といたしましては、韓国も、先般の玉本事件がありまして、韓国の覚せい剤取り締まりの根拠法で、法律の中で死刑を最高刑にしたということで、犯人が非常に自粛しているのじゃないかということと、もう一つは、やはり犯罪がますます巧妙化、潜在化しているのじゃないかというふうに考えておりますけれども、私どものそういう捜査によって逐次効果をあげているというふうに考えております。今後もなお一そうこの根絶を期して努力したいと思います。
○小林(進)委員 どうも委員長、時間が超過いたしましてたいへん失礼いたしました。たいへんありがとうございました。
○宇都宮委員長 庄司幸助君。
○庄司委員 外務大臣にお伺いしたいのでありますが、先ほど来の議論を聞いておりまして、やはり前の委員も言ったとおり、今度の金大中事件の落着の問題は、実際納得できないことばかり多いのですね。これは国民も同じ気持ちを抱いている。私は議論は繰り返しませんが、こういうふうに政治的なあいまいな解決を急いだという背景に何があったのか。どういう思量からこういう、国民からいえばあいまいなといわれる解決を急いだのか。この点はぜひ私は国会で明らかにしていただきたい。その解決を急いだ背景、それからどういう配慮からか、この点外務大臣から、くどいようでありますが、一言伺っておきたいと思います。
  〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
○大平国務大臣 本件は、解決を特におくらすとか、特に急ぐということをいたしたつもりはないのでありまして、ものごとを解決する場合に、その解決が国民の、内外の大方の御納得がいくものであるかどうか、そういう解決になるかどうかということが問題の焦点でございまして、最近に至りまして、私どもが期待する方向に韓国側の誠意が認められてまいりましたので、ここまで参りますと、本件について外交的な決着をつけましてもよろしいのではないかという判断を下したわけでございます。
○庄司委員 これは十一月五日の有力な新聞の論調でありますが、こういうことを言われているのです。今度の収拾は、米国のアジア政策をお釈迦さまの手のひらにたとえると、その手のひらから飛び出せなかった孫悟空のようなものではなかったか。大平外務大臣、孫悟空にされてしまっているのですね。これは朴政権も同じように孫悟空、あるいは猪八戒か沙悟浄かわかりませんけれども、そういう範疇に入れられている。これは国民もまたひとしく感じている点であると思うのです。たとえば、八月末にポパーという、アメリカの外務省か国務省の人が、韓国へ急遽飛んでいる。それからアメリカのCIAが、やはり非常にあわただしい動きを見せている。こういった、日本の外務当局が知らないでいる分野で、相当アメリカ当局の動きが激しい。そういう点で、日米安保条約あるいはその他でアメリカとの関係が非常に緊密になっている日本が、アメリカのこういった裏の工作の中で動かされた、こういう疑惑が相当あるわけです。
 その点で私は思い出すのは日米共同声明、これは六九年とことしの七三年の分とありますが、六九年の声明では、韓国の安全は日本の安全にとって緊要である。生命路線ですね、これを打ち出しておられるわけです。今度の田中・ニクソン共同声明によりますと、朝鮮半島における新たな展開を歓迎するとか、あるいは平和と安定を促進するための貢献、こういうふうに表現されておりますが、こういう背景があって、アメリカが何らかのさしがねか、あるいは手のひらの上で工作がやられたんじゃないか、こういう疑いを強くしているわけですが、外務大臣、この点、おそらく大臣は、そういうことはございませんとお答えになるかもしれませんが、しかし、疑いは晴れませんから、念のため……。何かアメリカと日本の外務当局の間、そういう間でこの金大中事件について話し合いがなされたのではないか、こう思うのですが、どういう話し合いがなされたか、これをひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○大平国務大臣 この事件は日韓の間に起こりました不幸な事件でございまして、日韓の間で解決しなければならぬ問題と思っております。日韓以外で解決できる問題ではございませんで、当初から申し上げましたように、アメリカとかかわりのない問題でございまして、アメリカとこの問題について相談いたしたことはございません。
○庄司委員 この間、大臣、国連総会へ行かれましたね。あのとき、韓国の金さんかだれかとお会いになっている。そのとき、アメリカの当局者どなたかとこの問題でお話し合いになっているか、あるいは立ち会われたという事実はありませんか。
○大平国務大臣 一切そういうことはございません。
○庄司委員 実はこれは、アメリカが今度の収拾を急ぐ理由があると私は思うのです。というのはアメリカは執拗に日本に対して、対韓援助の肩がわりを要求しております。これはあなたも覚えがあるだろうと思いますが、肩がわりの中で特に私重要だと思うのは、いわゆる軍事的な援助の肩がわり、これが何か話があったんだろうと私は思うのです、おそらくあなたは否定されるだろうと思いますが。
 そこで私、一つ申し上げておきたいのは、第八回の日米安保事務レベル協議が、五月二十九日と三十日に持たれていますね。この際、防衛庁が提出した説明資料があると思うのです。これはどこかの委員会に出されたと思うのですが、その中でこういうふうに表現されておるので、この点を伺いたいと思うのです。「韓国を始め幾つかのアジア諸国はセキュリティの問題を抱えており、米国としては日本が相応の援助をすることを期待されるかも知れない。しかしながら日本としては、国内事情からして事実上兵器としての援助は困難であり、軍用のトラック、通信器材、哨戒艇、ヘリコプター等ですら同様であろう。従ってもし考えられるとすれば、」――ここから大事だと思うのですが、「軍以外の政府機関又は民需用のトラック、通信器材等を援助し、当該国が、それによって得る財政的余裕を必要とする分野に回すことを考えるよりほかないのではあるまいか。」これは防衛庁の説明資料です。この点私は、やはり田中・ニクソン会談のいろいろ事務レベルでの会談もあったと思うのですが、防衛庁が、アメリカがいわゆる対韓軍事援助を要請することもあり得るだろう、その場合はこうするしかないだろう、こういうふうに一定の見解を述べているのですね。これは国会の委員会に提出された正式の資料であります。文脈から言えば、対韓軍事援助をやるとすればこういう援助をやれる、こういうことを述べているわけです。ですから、こういうアメリカの対韓軍事援助あるいは経済援助の肩がわりが相当執拗に日本に対して要請されていると考えているわけですが、そういう点を考えますと、私はやはりアメリカの、お釈迦さまの手のひらの上という点が理解できるような気もするわけですよ。
 その点で一つ伺っておきますが、アメリカの当局から軍事援助の肩がわりを要請されたことはございませんか。
○大平国務大臣 要請されたことはありません。
○庄司委員 そう言うだろうとは思っておりましたが、しかし、客観的にはこういった防衛庁の資料もある。
 それからもう一つは、これは韓国年鑑に載った、日本の商品援助などについてこういう点が述べられている。つまり、商品援助をやればそれを売った金が韓国政府の財政に入る、この財政的な余裕で韓国の国防予算が組まれるのだ、こういうふうに述べられております。そうすると、日本は単なる経済援助である、商品援助である、こういうふうに思っておりましても、実際韓国のいわゆる財政操作によって、結局は軍事費、防衛費の膨大な分野の肩がわりを日本が客観的にはやっているということになりはしないかと思うのですが、その辺はどのようにお考えですか。
○御巫説明員 韓国に対します商品援助と申しますものは、一昨年の暮れぐらいから韓国の対外収支が悪化いたしまして、昨年のお正月に丁一権元国務総理が日本に見えまして、こういう韓国の対外収支の悪化したのをそのまま放置するわけにいかないので何とか日本の援助がほしいということで、援助の要請がございまして、緊急に借款を与えるというお約束になりまして、昨年の七月一日に交換公文ができ上がりまして、まず五千万ドルの商品援助が与えられたわけでございます。そういう経緯からいたしまして、先般もたしか本院の別の委員会かと思いますがお答え申し上げましたけれども、それが果たされる目的はもっぱら韓国の国際収支の改善のために使われるということでございまして、軍事費に転化されるようなことはないと信じております。
○庄司委員 それでは次に伺いますが、第七回の日韓定期閣僚会議が、日限はまだ切られていないが、いずれ近いうち開かれるという先ほどの答弁でありますが、これで一体何が討議されるのか、事務レベルでどの程度詰まってきているのか、その辺ひとつ聞かせてもらいたいと思います。
○御巫説明員 御承知のように、日韓間の閣僚会議の問題はさまざまございまして、いろいろな問題が討議されるわけでございますが、その中でも、従来のここ二、三年の経過から申しますと、経済協力問題がかなり大きな分野を占めておるということは事実でございます。その経済協力の分野は、諸種の場合におきましてかなり前に事務的に詰めておかなければならない。その他の分野についてはそれほどでもないかとも存じますが、経済協力の分野についてはそういう意味から、従来とも閣僚会議の予定された日よりも一カ月か二カ月先から事務的な準備を始めるというしきたりになっておりました。したがいまして、例の事件の起こりました前後、大体事務的な準備を始めようという予定にしておりましたところへああいう事件が起こりましたので、その後事務的な準備は全然行なわれておりませんでおりましたところが、今回事件もこういう状態になりましたので、大臣の先ほどの御答弁にもございましたように、閣僚会議が年内に開催されるということであれば、そろそろ準備を始めなければいけないというふうに考えて目下その準備を始める段取りについて韓国側と事務的な打ち合わせを行なわせておる、そういう状態でございます。
○庄司委員 そうすると、これはおそらく、やられるにしても、早くても今月末あるいは来月中にはどうしてもやるということですから、事務的なレベルですね、いまからそろそろ始めるというのでは、一体日本側の準備ができますか。その点ひとつ……。
○御巫説明員 庄司先生の御理解のある御発言は感謝するところでございますが、私どもといたしましては、日にちも迫っておりますし、閣僚会議が実際に開かれます間には、大臣の御指示もございまして、ぜひ事務的に準備をまとめてしまいたいというふうに考えております。
○庄司委員 この間からの決算委員会で、対韓経済協力の問題では種々問題点が投げかけられているわけでしょう。不実企業の問題もあれば韓国の財政の事情もあれば、いろいろ問題があります。そういうことを検討もしないで、またぞろ韓国ベースで、それでおねだりだ、よくこう言われているわけですから、そういう調子でずるずると対韓経済協力をやっていけば、また同じようなあやまちを繰り返す、こういうことをわれわれ心配しているわけですよ。特にこれは国民の貴重な血税から成り立っているのが大部分ですからね。それをいまごろの時点で、もうそろそろ始まろうとしておるのに対していまから準備をする、検討する、これじゃまた同じようなあやまちを繰り返すことになりませんか。私は何もあなたに対して御理解を与えているわけじゃないですよ。感謝してもらう必要もないんです。いまから突っ込む問題ですから、早とちりはしないでもらいたいと思うのです。
○御巫説明員 従来、当委員会その他両院の各委員会で御指摘になりましたような各種の問題点を十分に踏まえました上で、また国民の血税を使っての経済協力であるという点の認識は十分持ちながら事務的な準備を進めたいというふうに決意いたしております。
○庄司委員 それじゃまた韓国側からのおねだり会議になるという予想がされるわけですよ。その根拠を私、ひとつ申し上げてみます。
 先ほども小林委員から指摘がありました、韓国の会計年度が暦年制だと。もう今月中には予算は議了しなくちゃならない。それで予算案が出ています。この予算案を見ると、さっきの御答弁だと、何か日本からの援助については補正予算で組むんだ、こういう話でありますけれども、しかし韓国の新聞の報道は、ほとんど軌を一にして、重化学工業の膨張だと見出しをつけております。あるいは重化学・セマウル、こういうものを重点にする。そうしてその中身も発表されているわけです。
 この内容を少し申し上げてみたいと思うのですが、四十七年度の予算案の特別会計、これは財政借款が千五十六億ウォン余であります。それから一般会計で七百六十七億ウォン、合計で千八百二十三億ウォンですね。これは一ドル四百ウォンと一応仮定して換算すると四億五千五百万ドル、これだけが財政借款の歳入として計上されている。
 一方、アメリカの七四年度対韓援助は幾らか。これは東亜日報の報ずるところによると一億八千二百万ドルだ。そうすると差し引き二億七千三百万ドルですね、これはアメリカ以外のよその国に求めざるを得ない、こういうかっこうになるのですよ、論理的には。そうすると、現在世界各国の財政借款あるいは援助、こういうものの大宗をなしているのは日本でありますから、当然この二億七千三百万ドルのほとんど大部分が日本に要請されるような数字じゃないか、こう思うのです。その中にあるいは昨年約束してまだ決済ついてない分、これも入るかもしれませんが、この二億七千三百万ドルのうち一体日本がどれぐらいコミットしているんだか、これをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。
○御巫説明員 庄司先生御指摘の資料を手元に持ち合わせておりませんので、いまの御指摘の数字については何とも申し上げかねますが、韓国の予算のつくり方については先ほどアジア局長から御答弁申し上げましたとおりでございまして、韓国側がおそらく今度の閣僚会議に持ち出してくるであろうと私どもが予想しております項目の内容につきましては、先般も別の機会に申し上げましたと思いますが、第一番目には、昨年の閣僚会議におきまして韓国側が一億三千五百万ドルの浦項の第二期拡張工事に対する長期低利の協力を求めたのに対して、日本側が調査をした上で協力の内容をきめようという約束をしておりますし、この点についてすでに調査団も出ておることでありますので、何らかの形で協力の要請があるということ。それからセマウル事業は、一九七二年から朴大統領のお声がかりで始められた事業で、四年計画でございますので、ことしは第二年度に当たっております。したがいまして、昨年の八千万ドルの要請に続きましてさらに何らかの要請があるであろう。それから、先般この事件の起こります前に、韓国の要人がたびたび日本を訪問しております。その際に、セメントの積み出し港について日本側の協力を要請したいというお申し出がすでに出ておりますので、これがやはり閣僚会議のときの経済協力をきめる項目の中の一つに入ってくるかもしれない、そういうような点の予測はすでについておりますが、御指摘のような大きな数字になろうとはとても思えないと考えております。
○庄司委員 だから、その点でわれわれ非常に不安を感ずるんですね。いつでも、閣僚会議というと韓国からいろいろ要請があって、個々のこまかい問題まで要請されて、そのつど、よしきたと、引き受けるようなかっこうになるわけでしょう。結局韓国に振り回されている、こういうかっこうになるんですよ。向こうはちゃんと予算まできちっと組んで、それで重化学重点だ、こうやっているわけでしょう。この辺にまた、金大中事件のああいううやむやな解決を急ぐ一つの要因があると私は思うのですよ。そういう点、私は非常に不安を感ぜざるを得ないのです。
 それからもう一つ、韓国財政の中身を見ますと、いわゆる元利償還金が年々歳々ふえる一方なんですよ。これも発表になっています。いままではふえてきた。しかし来年からはだんだん減っていくんだなんというような、ちょうど都合のいい――これは先のこと何もわかりませんよ。それを、こういうふうに減るんだなんて都合のいい計画だけ並べ立ててある。しかも、私が前にも指摘したとおり、韓国の財政というのは自転車操業だ。こういうところへとにかく二億ドルとか、あるいは伝えられるところによると四億ドルの要請もあるだろうといわれているわけですよ。その辺、私は非常に不安を感ずる。
 それからもう一つ私が申し上げたいのは、日本の独占大企業の意欲はなみなみならないものがあるんですね。ここに機械工業等韓国産業長期開発計画調査団、これはことしの六月、日本の財界のお歴々が、いわゆる韓国朴大統領のあの重化学工業計画、これに基づいて、この間指摘した例の昌原であるとか麗水、光陽、馬山あるいは浦項、こういうところを調査した報告書があります。向こうの重化学計画を非常にいいものだと財界が認めているわけですね。その中身は、感想として、土地の代金がきわめて安い。四月一日韓国政府が凍結をやった、だから山林原野は一坪三円から四円で買える。住宅地の高いところでもせいぜい二万円ぐらいで買える。買うならいまのうちだといわんばかりの感想が、これに麗々しく述べられているのです。しかも日本の大企業からいえば、現在石油化学工場の相次ぐ爆発事故が起こっている、それから公害問題で騒がれている、石油化学企業の立地は国内では非常に困難になってきている。鉄鋼も同じです。
 こういった日本の財界の圧力、それから韓国のこういう朴政権の圧力、あるいはアメリカの手のひら、こういった三つの関係で、私は今度の政治的なあいまいな決着が急がれた、こう断ぜざるを得ないような気がするのです。これは客観的にこういう事実があるわけですから、大平外務大臣、こういう財界のいろいろな動き、あるいは韓国側の動き、アメリカの動き、総合的に勘案してどういうふうに御判断になっているのか、私はこの辺をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
○大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたとおり、本件は本件として、特におくらして解決せなければならぬとも、特に急いで解決をせなければいかぬとも考えたわけではないということでございます。何らかの外圧がありまして、それに外務省が動かされてこういうことにいたしたということではないのでございます。
 それから、日本の財界におきまして韓国に企業立地を求める動きが見られることは事実だと私思うのでございます。こういう問題について政府がどのように考えたらいいかでございますが、われわれは対外投資活動というものは一応自由化いたしておるわけでございまして、政府が指図をするわけにはまいらぬわけでございます。ただ、政府の信用を供与するというような関係において政府が調節ができる面もあるわけでございます。したがって、日本の力をはかりながら、それからプロジェクトのフィージビリティーをよく考えながら、事の緩急軽重等は十分検討の上、ケース・バイ・ケースで慎重に処理していかなければならぬと思います。
○庄司委員 いまフィージビリティーの話が出ましたが、これはこの間も出た話です。それじゃ大臣、いま韓国で真剣に考えている例の八一年までの重化学工業計画、このフィージビリティーについてあなたはどのように御判断なすっているのか。可能性があると思っているのか、あるいはないと思っているのか。
 それからもう一つ、政府の指図で対外進出はチェックできないけれども資金面では調整できる、こうおっしゃっていますね。これは具体的にどのように資金的に、輸銀や経済協力基金や、そういう問題をチェックするのか。特に私は、大平外務大臣が私に対して、韓国はどうも重化学工業化を急ぎ過ぎる、もう少し後進国の場合は農業問題を基礎に考えていく必要があるんじゃないか、こういう御見解をお漏らしになりましたが、その関連からいっても、この韓国の重化学工業計画は当然もう事務段階で検討されてしかるべきだと思うのです。ところが、いまからそろそろ始めるんだと局長は言っておられます。これじゃ話にならないのですね。その辺どうなのか、ひとつ大臣から答えてもらいます。
○大平国務大臣 韓国の八一年までの計画というのは、私、政府ベースで聞いたことがございませんで、それについて感想を述べることはできませんことをお許しいただきたいと思います。
 ただ、いま庄司さん御指摘のように、韓国ばかりでございませんで、後進開発国おしなべてそういう傾向がなしとしないのでございますけれども、農業もやらなければならぬが、インフラストラクチュアの開発もやらなければならぬ、工業化も急がなければならぬ、自国の経済の自立を急ぐためにいろんな事業に非常に熱心であるというか、非常にどん欲であるというか、そういう傾向は、確かに一般的傾向として見えると思うのです。私は、それはあまり健全ではないと思うのでありまして、経済に飛躍はないわけでございまして、やはり経済のバランスをとりながら、着実にやっていくことが望ましいと私は考えております。したがって、われわれが経済協力をやる場合におきましても、そういう点を頭に置きまして、日本としてできることは、こういう性質のプロジェクトにつきましてはこの程度まではできる、そういうことをわれわれが考える場合には、その国の経済の自立が着実に進むように事をお助けするという意味でやっていかなければいかぬと思っておるわけでございます。
 それから民間の進出でございますが、経済協力基金なんかの問題になりますと、これは政府の問題になるわけでございます。輸銀の延べ払い信用になりますと、これは貿易の問題でございますが、いずれにしても、そういう関係で政府がかかわり合いを持つ部面におきましては、政府として十分吟味してやらなければなりませんけれども、本来、民間が自己の責任におきまして十分フィージビリティースタディーをやりましてやってまいること、そして自分の力でおやりになることについて政府が差しとめるというような立場にないということだけを申し上げたわけでございます。
○庄司委員 時間もありませんから、私はこの問題これで打ち切りますが、これはぜひ聞いておいていただきたいのは、さっきあげた私の三つの点ですね。アメリカの手のひらの問題、それから韓国の無謀な計画がありますから、その問題、それと日本の大企業のなみなみならない韓国に対する進出の意欲ですね、こういった点が、実は南朝鮮の民族からいえば非常に反感を受けている、これは明確なんです。最近のあの死を決して戦っている学生運動、これは日本の学生運動と違いますけれども、あれだけのほうはいとした動きが起きてきて、まさに李承晩政権が倒れる前夜を思わせるような状況にいまあるわけでしょう。その中で叫ばれていることばがいわゆる経済の対日隷属絶対反対だ。非常に反感が強いのです。これは当委員会でも再々指摘された問題なんです。これを今度の第七回日韓定期閣僚会議で再びあのような愚をやる、同じような方向をもっと進めるというようなことになったら、これはたいへんな問題になるのです。日朝両国人民の永遠の友好の問題からいったら、これは日本の外交史上やはり重大な問題になる。その点を深く思量されて慎重に対処していただきたい。第七回定期閣僚会議はそういった事情も踏まえ、また、政治的解決があのようなあいまいな解決でありますから、これはやめられるよう、私はひとつ強く要望しておきます。
 第二番目に私伺いたいのは済州島の観光問題で、これは運輸大臣からはお答えがありましたが、私はこれは外務大臣から聞きたいのです。ああいう人さまの国に対して、妓生ハウスを、こっちの裏側にはあるが表側にはないから表のほうにもつくりなさいとか、あるいは近隣諸国との比較において、まさに植民地的な国だけが飲む、打つ、買うの三拍子そろっているこの観光資源を持っている、こういう評価ですね。外務当局の外郭団体である海外技術協力事業団ですか、これがおくめんもなくああいう調査報告書を出している。これは日本外交のまさに植民地主義的な進出のしかた、これを疑われてもやむを得ない問題であろうと思うのですよ。この問題ですね。
 この間、例のストライキをやったソウル大学の工学部の集会の闘争宣言で、こう言ってますよ。この闘争宣言では、朴政権の対日経済隷属を糾弾する、これが一つ。それからもう一つ、こう言ってます。五十五億ドルの天文学的対外負債のために外貨を獲得するために、観光という美名のもとでわが姉妹のからだが売られている、こう言っているのです。こういうことを外務省も関係しているこの事業団がおくめんもなく言っている。この点について私は、前の委員会で局長からの答弁をもらいました。しかし、これは日本外交の基本的な姿勢を問われる問題なんです。そういう点で大平外務大臣からひとつ所信を述べてもらいたい、こう思います。
○大平国務大臣 日本のほうでかってにこの調査団を出したわけでないのでありまして、先方の要請でミッションを派遣いたしたわけでございまして、その答申を判断して主体的にこれを実行するかしないかは韓国政府の問題だと私は承知いたします。ただ、その内容についてはいろいろな批判があろうかと思うのでありまするし、特にその表現につきましてもいかがかと思うことがございますので、私どもとしては、とりあえずその表現の不当と思われる部分を修正いたしまして、その手続をいまとっておるわけでございまして、修正の上、印刷が完了いたしましたら、韓国のほうにも配るようにいたしたいと思っております。
 外交姿勢との関連においてのお尋ねでございまして、仰せのように、わが国といたしましては、友好関係を持っておる国に対してどういうサービスをするか、どういうサービスをしてはならないかということにつきましては慎重に、先方の主体性も考えなければなりませんし、また当方のマナーも十分心得てやらなければならぬものと思います。
○庄司委員 どうも大臣の答弁を聞いていると、何か人ごとみたいな感じがするんですね。外務省の外局だか何だか知りませんけれども、外務省が関係している事業団がああいうことをぬけぬけと書いて発表しているという問題なんですね。だから、あとから大臣お答えになった問題は、観光客のマナーの問題といえばそういうふうなすりかえになるわけですから、問題は、外務省がああいう文書を黙って見過ごして発表さしたという問題についてどういう責任を感じているのか、私はこれを伺いたかったのですよ。これはもう一ぺん答えてもらいたいと思います。
 次に私が伺いたいのは、日本の大企業の韓国進出がいわゆる隷属化だ、こういわれているわけですが、さっき、これを政府は指図はできません、こうお答えになりました。それで海外経済協力基金、これはタッチして干渉できる、しかし輸銀はどうも干渉できないというようなお話なんですが、(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)これは全くおかしいと思うのです。輸銀だって、運用部資金の金を使ってやっている銀行でしょう。大蔵省の監督権があるわけですよ。これは大蔵省の問題になると思うのですが、これは政府に干渉の権利がないわけじゃないのです。ところが輸銀の実態を見ますと、これは当委員会に出された資料ですが、輸銀に対して一体運用部資金、これは六・七五%の金利で出されていると私は聞いているのです。その点、大蔵省どうですか。
○山田説明員 お答えいたします。
 輸出入銀行に対する資金運用部の貸し出し金利は、十一月から〇・二五%上がりまして六・七五%ということに相なっております。
○庄司委員 そうすると、この資料を見てあとから調べたわけですが、六・五%で貸されているのがだいぶありますね。たとえば四十五年五月十九日のA(電機)、これは二億五千六百万円、六・五%。それから四十五年六月十六日のC(電機)四億三千百万円、六・五%。その他東レらしいのですが、繊維関係は三億三千四百万円、六・五%。アルプス電気らしいのですが、五千八百万円、六・五%。日本板硝子三億六千八百万円、六・五%。それから東急ホテルは七%、ちょっとだけ。あとひどいのになると、去年に入ってからの分、M(金属)三千三百万円、五・五%。N(電機)一億二千九百万円。五・五%。O(電機)三億一千五百万円、五・五%。元を切って貸しているのはどういうわけです。輸銀、どうです。
○澄田説明員 お答えを申し上げます。
 ただいまお述べになりました金利でございますが、輸銀は業務方法書におきましては四・五%から七・五%までの金利を適用するということで、内容はケース・バイ・ケースによって輸銀のほうでこれを決定をいたして、そういう金利で貸し出しをいたすわけでございます。
 先ほど例としておあげになりましたものは、これは海外投資の資金の金融でございまして、海外投資につきましては従来から、過去におきましては六・五%が基準の金利で、われわれはそういうふうな金利を原則として適用をしてまいりました。昨年の十月以降、海外投資を促進するということで金利体系を是正をいたしまして、海外投資につきましては一%程度金利を引き下げるという措置をとっておるわけでございます。
 お尋ねの、資金運用部から輸出入銀行が借り入れをいたしております借り入れ金利との関係でございますが、資金運用部はその六・五%、最近においては六・七五%、十一月以降は六・七五%でわれわれは資金運用部から借り入れをいたしておるわけでございますが、そのほかに輸出入銀行は政府からの出資を、毎年予算に定めるところに従って受けておるわけでございます。政府の出資と合わせまして輸銀の資金の金利、いわゆる資金コストがきまって、その資金コストによりましてわれわれは、われわれの融資の目的、その内容等によりまして貸し出しの金利をきめる、かような次第になっております。
○庄司委員 だから言うのですよ。政府の出資金があるから、いわゆる金利は元を切っても貸してもいいんだなんて考えがあるのですね。これは政府の出資だって、みんな国民の血税でしょう。こういう国民の血税を、大企業にだけはこうやって安い金利でまけて資してやって、それで韓国にどんどん進出をして――世界で一番ですよ。そして韓国の心ある国民の方々からは、韓国経済の対日隷属化だ、こう言われているわけでしょう。何で、こういう金のあり余っている大企業に不当に安い利息で金を貸すなんてばかな話ありますか、これ。ですから外務大臣、これはやはり、こういう大企業の支配の形態があるということですよ。そしてこの大企業が、こういう国のいろいろな援助、手厚い援助を得ながら韓国に進出をどんどんやっている。一方、韓国の心ある人からは、ほんとうに対日経済の隷属化だ、こう言われているわけでしょう。あなたは、政府の指図はできないのだ、こう言いましたけれども、こういう資金面でいま輸銀がやっているようなやり方、私は政府関係のあれ、できると思いますから、これは改めることはできると思うのです。その辺、どう考えます。
○大平国務大臣 私は庄司さんに、輸銀について干渉ができないなんと言った覚えはないのでございまして、輸銀とか協力基金とかいうような形においてタッチすることはあっても、民間が自分の金を投資するというような場合について指図する力が政府にないということを申し上げたわけでございます。
 仰せのように輸出入銀行は政府機関でございまして、予決算は政府が見ておりますし、資金のやりくりも政府がめんどうを見ているわけでございまして、政府が出資することによってその資金を薄めて、金利につきましても弾力的措置を政府が講ずることができるようにいたしておるわけでございまして、そういう仕組みの中で、総裁以下を信頼いたしまして、ケース・バイ・ケース慎重に吟味をいたしまして処理してまいっておるわけでございます。したがって、対韓援助につきましても、そういう仕組みの中で、私どもといたしましては慎重にケース・バイ・ケース吟味いたしまして処理してまいるつもりでございます。
○綿貫委員長代理 時間が来ておりますから……。
○庄司委員 もう一問……。
 最後にお伺いしたいのは、研修生の問題ですね。これは通産が受け入れたり、外務省も関係あるだろうと思いますが、ちょうだいした概要を見ますと、企業別研修生受け入れ人数、ずっと見てみますと、四十六年度が千三名、四十七年度が千六十名、それで政府が出しておる補助金は、四十七年度が八億三千二百万、それから四十八年度が九億八千三百万。この実態を見ますと大体海外に進出した企業、ここにいろいろ書いてあります。味の素であるとか石川島播磨、いすゞ、石井、久保田鉄工、鹿島建設、ずっとあります。こういう企業の外地で採用した人の研修――これは研修をやって悪いとは言いませんよ。悪いと言わないけれども、企業が自分でもうけるために人を養成するわけですから、当然企業が自分の負担でやるべきだと私は思うのですよ。ところが、こういう人材養成まで政府の予算におんぶして、ことしは、四十八年度は九億八千万、約十億円です。こういうところまで何でもかんでも国民の税金におんぶしようとする企業のやり方、これは私は、やはり決算上の問題として重要な問題だと思うのです。税金はやはり国民に公平に使わなくちゃならない。何で企業に人材養成のために十億円も使うのだ。町場の小さな商店が、おれは番頭を養成するから補助金出してくれと言ったって、あなたたち、はなもひっかけないでしょう。こういう大企業は全くいいものですよ、そういう点では。こういう研修生の補助金、これはやめてしかるべきだと私は思うのですよ。その辺どうお考えになります、大臣。それが一つ。
 それから最後に、資料をいろいろお出しになっておられます、これは決算委員会に正式に出された資料。請求権無償供与の実施状況。この単価も出してくれ、それからメーカーの名前も出してくれと言ったにもかかわらず、ブルドーザー百台だ、値段は何ぼですか、これは単価六百十七万ですか。何型が何ぼだなんというのはさっぱりわからないのです。ポンプにしてもしかり、モーターにしてもしかり、エンジン部品もそうだ、何も書いてありません。こんな資料をもらったって、対韓援助の問題点は一つも明らかにならないのですよ。だから、こういう不親切な資料では、国会の目をごまかすためにしか出していないのだということになりますよ。そういう点、この資料を、まあいまから出せというのもなんですが、一件一件もし聞いたら、親切に会社名から一つ一つの単価、型式、これを出してもらえますか。この点だけひとつ伺っておきます。
 以上、二点。
○森山説明員 お尋ねの第一の点について私からお答え申し上げます。
 ただいま庄司先生から御指摘のございました研修生の問題は、海外技術者研修協会によりまして研修をやっている例をお引きになったのではないか、こういうふうに思っております。
 御承知のとおり海外から研修生を受け入れておりますシステムといたしましては、OTCAによります政府ベースの場合と、それからただいま御指摘の民間ベースの場合と二通りあるわけでございまして、前者のOTCAベースのものは、御承知のとおり相手国の政府関係者を日本に呼びまして研修をさせるという仕組みでございまして、現地側の民間人が日本に来て研修するという機会はほとんどないわけでございます。これをカバーする意味におきまして、相手国の民間の技術者を養成するという観点から、昭和三十四年に海外技術者研修協会を設立いたしまして、これに対する補助を続けてまいったということでございます。
 それから御指摘の、日本の進出企業ばかりこういう研修の恩典を受けているのではないかという点でございますけれども、現在千名程度受け入れをいたしておりますが、日本の資本の提携先といたしますれば大体三〇%くらいはそのとおりでございますけれども、そのほかは費用に関係なく入ってきている例も多々ございますし、また来年度予算等におきまして、一般的に現地側の要請ベースに基づきまして研修の希望がある者について研修をするという仕組みも考えておりますので、そういう方向で今後進んでいきたい、かように存じております。
  〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
○御巫説明員 御質問の第二点の無償関係の品目明細の点でございますが、あまりにも詳細にわたっていろんな種類のいろんな単価のものが含まれておりますので詳細を省略いたしましたのと、また、実はかかる明細につきまして出しますことは、結局この契約が韓国側と日本の業者との間のプライベートな契約であるということから、その内容のあまりに詳細を書きますことが適当かどうか疑わしいという点から、明細に立ち入りますためにはまず契約の一方当事者である韓国側とも話をつけなければいけないというような問題も生じまして、したがいまして、御指摘のようなはなはだ不十分な資料になったわけでございますが、その辺何とか御理解をいただければありがたいと存じております。
○庄司委員 私が申し上げたのは、だから、これは資料で出したから、これはこれでしかたがないが、あとで個別に教えてくれと言った場合詳細にわたって教えてくれますか。それが一つ。
 それから、さっきの研修生の問題ですね。おたくからちょうだいした表を見ますと、ちゃんと企業名が出ています。その関係の方を呼んだのだということになるわけですよ。だから、何でこういう大企業は、たとえ協会をつくったろうと何しようと――協会に入っているのは、リストを見ますと大企業が大部分ですよ。中には中小企業もあります。しかし、このほかに、自分で研修させたいと思って自費でやっているところもあるはずですよ。ミネチュア・ベアリングなんかそうですよ。自費でやっているところもある。政府の補助つきでやっているところもある。これは不公平ですよ。だから私は、自費でやっているところにその補助をやれという意味じゃなくて、いっそこんな企業の人材養成のための予算はもうやめてしまえ、企業が研修協会で御自分でおやりになるなら、めいめいの会社で金出しておやりになったらどうだと言うのです。その辺ちょっとお答え願いたいと思うのですよ。
○御巫説明員 ただいまの御質問の第一点につきましては、個別的な御質問であり、かつまた、先ほど申し上げましたように韓国側にも若干了承を求める時間の余裕をいただければ、お答えできるかと思います。
○森山説明員 御指摘の第二の点についてお答え申し上げます。
 庄司先生おっしゃいました、この先般お出しいたしました資料に基づきまして、現在海外技術者研修協会を通して補助をいたしております対象企業が大企業だけではないかという御指摘でございましたが、数字で申し上げますと、四十六年が、総計が一千三人の研修生を受け入れまして、そのうちいわゆる中小企業の分としまして四百四十八名を受け入れております。それから四十七年度におきましては、千六十名総計で受け入れましたうち中小企業の分が六百三名ということでございまして、決して大企業だけに集中して実施しておるというわけではないわけでございます。
 それから、こういう民間ベースの研修に対して補助を一切やめたらどうだ、こういう御指摘でございましたけれども、先ほど申し上げましたようにOTCAベースで、相手国の政府関係者の研修は国の補助をいたしまして研修をする、民間についてはすべてやらないということもどうかと思われますし、現在私どもがやっておりますこの研修制度は一般の幹部を養成するということでやっておりますので、特にOTCAとの関係で民間と政府ペースを区別するということもなかなかたいへんだろうと思いますので、今後とも続けさせていただきたい、かように存じております。
 なお御指摘の、一般の会社が、御指摘のございましたミネチュア・ベアリングでございますけれども、ああいう例はたくさんございます。この点は一般の労働技能者を養成するということでございまして、繰り返しになりますが、現在私どもが受け入れております海外技術者研修協会による研修は幹部を養成する、こういう仕組みでやっておりますので、御了承いただきたいと存じます。
○庄司委員 終わります。
○宇都宮委員長 坂井弘一君。
○坂井委員 対韓政策におきましてその実質的な大きな柱と申しますと、言うまでもなく日韓の経済協力関係のいかんということであると思います。そこで、今回のこの事件の教訓を踏まえまして、過去における実績をつぶさにその中で、これに対する十分な検討を加えなければならない。と同時にまた、これが韓国に及ぼしたところの政治的、社会的な影響の適否ということを十分配慮する中で新しい日韓の経済協力関係はいかにあるべきかということを、今回新たな出発点に立って検討をし直さなければならない、そういう重大なときであろうかと私は思います。そうしたときに、先ほどから繰り返し外務大臣が、日韓定期閣僚会議の開催を年内にやるということの意思を述べられておるわけでありますけれども、私は、いまのような反省を踏まえないで定期閣僚会議イコール経済援助を行なうことははなはだ禁物であるということを、冒頭に申し上げたいわけであります。
 そこで、具体的に大臣にお尋ねいたしますが、去る八日の外務委員会におきまして大平外務大臣は、今回の事件を踏まえて対韓政策を改善していく、そうした契機といたしたい、こういう旨の答弁をされておるわけでございますが、一体何を反省して、何をどう具体的に改善していこうと心づもりされていらっしゃるのか、まず大臣の所見を承って質問を進めていきたいと思います。
○大平国務大臣 日韓関係というものは、国と国との関係、対等平等な国際関係でございます。したがいまして、本件の処理というものも、そういう点を踏まえて公正なものでなければならぬと思います。先ほどもお答え申し上げましたように、日韓関係、日韓両国が近いからとか、過去にいろいろないきさつがあったからとかということではなくて、あくまでも両国の間に対等平等の公正な関係を樹立していくということを組み立てる苦い試練であったと思うのでございまして、今後日韓関係の改善につきましては、そういう点を踏まえて根本的に当たってまいらなければならぬと考えます。
○坂井委員 私は、具体的な大臣の答弁を期待するわけでありますので、そうした方向で質問をしてまいりたいと思います。
 昨年のわが国の贈与借款など政府開発援助、これが六億一千百十万ドル、そのうちの約二三%が韓国にさかれておる。そこでこの政府開発援助を政府はGNPの〇・七%まで引き上げる、対外的に約束をいたしております。ところが、昨年のこの比率を見てみますと〇・二一%である。したがって、これからやはり開発途上国に対する開発援助そのものは、政府ベースにおいて非常に大きな伸びを示していくであろう、あるいはまたこれは世界的ないわゆる先進工業国としての日本の当然要請される一つの義務でもあろうということを、私は理解するにはやぶさかではありません。しかし、このような形の中で、一方、民間ベースの援助、これを見てみますと海外投資が二十三億三千八百万ドル、これは前年度に比較いたしまして約二・七倍、これはたいへんな伸びであります。したがって、わが国が本格的な海外投資国へ歩み出したということは、これは世界のいずれもの国が認めるところであります。
 こういう中で、政府は〇・二一を〇・七まで引き上げる。一方、民間においては昨年に比べて二・七倍という異常な伸びを示す。さらに民間企業がどんどん韓国に進出をする。そういう背景の中で、ある大手商社のソウル支店長が、私たちは韓国の重化学工業計画と日本列島改造論を一体と考えている、おくめんもなくこう言っておる。韓国におきましては金首相が国会におきまして、経済援助云々という表現は不快である、われわれは日本の労働市場として安い韓国の労働力を日本に提供しているではないか、かつまた公害産業の前進基地として韓国を提供しておる、日本に寄与しておるんだ、これが国会における答弁であります。こうした一連の、いわゆる今日までの対韓経済協力なるもののこのような姿勢――韓国国会において金首相がそのように言っておる。わが国ではどうかというと、韓国の民生安定に寄与するんだ、福祉の向上に寄与するんだ、こう言っておる。たいへんな食い違いであります。したがって、そういう点に対する率直なる大臣の所見と、同時に昨年の日韓会談におきまして第三次経済開発五カ年計画、この終了時においては民間ベースの協力が主体になる、こう韓国側は述べた、それに対して日本側は関心を寄せた、こういうわけであります。つまり第三次経済開発五カ年計画が韓国において終了した時点においては、政府ベースの援助はやめて民間ベースに切りかえる、こういうことでありますけれども、一体このことは具体的に確かに交換公文に言われるようなこうした基本的な方向で臨むのであるかどうか、端的にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
○大平国務大臣 政府開発援助をGNPの〇・七%まで持っていくということは、先般のUNCTADの会議におきましてわが国がコミットしたことでございます。しかし、いつまでにそれを実行するという約束はしていないわけでございまして、そういうことを道標といたしまして鋭意努力するということでございます。これは、坂井さんもおっしゃるように容易ならぬ大事業でございまして、御指摘のように、去年はこの割合がむしろ後退した記録さえ経験しておるほどでございまして、たいへんむずかしいことでございますけれども、われわれは、一たん国際的に約束したことでございますので、この道標に向かいまして今後鋭意努力してまいらなければならぬと考えております。
 それから第二の、対韓援助でございますが、これは共同声明にうたわれておるとおり、七六年には第三次五カ年計画が完成する、その終了時までには政府援助がなくて経済の自立を達成したいということは、確かに韓国の首脳が先般の閣僚会議・の機会に言明されたことでございまして、私どもそれをたいへん歓迎いたしております。すなわち、いつまでもだらだら政府援助を続けるということは、日本の国民としても理解に苦しむところでございましょうし、韓国の国民も望むところではないと思うのでありまして、どこかにやはり目安がなければならぬ。それはやはりみずからの経済が自立を達成するということであろうと思うのでありまして、私ども以上にみずからの経済の自立を希求されておるのが韓国の方々であろうと思うのであります。そういうラインに沿って韓国みずからが経済の自立を達成していただくことを隣邦といたしまして期待いたしたいと考えておる次第でございます。
 そういう一方の〇・七%というのは、グローバルなわが国の政府援助の一つの道標であるということでございまして、多くの国が後進国であり後発発展途上国にあるというような状況でございますので、韓国以外に多くの国が後発国として呻吟をいたしておるわけでございますので、私ども、できるだけそういうところにあたたかい支援の手を伸べてまいる必要はあろうかと思いますけれども、対韓援助につきましては、一応そういう目安を持って韓国経済が自立の方向に参りますことを心から期待をいたしておる次第でございます。
○坂井委員 意見がございますけれども、限られた時間でございます。後ほど総括的に述べたいと思いますが、具体的な問題といたしましてお尋ねをいたします。
 昨年のやはり日韓会議におきまして合意いたしました、いわゆるセマウル事業二百四十六億円の円借款が供与される。先ほども、やがて開かれるであろう日韓会談において提示をされる、要請されるというようなことでありますが、つまりこの二百四十六億、八千万ドルですね、これに対しては修正を加えられますか、どうですか。これは先般、当委員会におきまして私が質問をいたしました。その際、海外協力事業団の調査報告に基づきまして――この調査報告の中には、工事費等においてかなりな修正がございます。これは尊重する。櫻内農林大臣も、これは尊重いたします、ただし、この額等については私はいじる権限はございません、おそらく何らかの形の修正は当然日韓会議において行なわれるでありましょうという趣旨の答弁をされております。したがって、外務大臣にお尋ねするわけでございますが、修正をされますか。いかがでございますか。
○御巫説明員 日韓双方の閣僚がお集まりになっておきめ願った二百四十六億円ですか、米貨で八千万ドルと評価されておりますこの金額が変更されるということを事業団の方が申し上げたのではなくて、調査団の報告は、この挿橋川、界火島の事業費がまだ若干の修正の余地があるということを申されたので、したがいまして、あるいはすでにお気づきかと思いますが、その他に適格な事業もあれば、この総額を動かさずに挿橋川、界火島の事業費の修正はでき得るかと存じ上げます。
○坂井委員 韓国には事業計画がちゃんとあるのです。それに基づいて日本側が調査団を派遣したのです。韓国の財務計画もあるのです。それが適格であるかどうかということを調査した、かなりな部分は減額修正しなければならぬ、こうあるわけなんです。修正部分を尊重いたしますのは、当然そうでしょう。あなたがいまおっしゃるような八千万ドルというのは、日韓閣僚会議において合意したのだ。言うなれば、それはまさに根拠のない合意じゃありませんか。私をして言わしむれば、そういうような経済援助の取りきめ方というものは、まさにつかみ金的なやり方ではないかということを指摘したいわけです。
 その他適当なプロジェクト、こうありますね。その他適当なプロジェクトというのは一体何ですか、具体的に。
○御巫説明員 御承知のようにセマウル運動と申しますのは、昨年の前半期におきまして韓国の大統領が提唱して始められた運動でございまして、まだ当時は第三次五カ年計画にも組み入れを終わっておらなかった時点でございまして、その後韓国側が世界銀行等と相談しまして第三次五カ年計画にも組み入れるという形をとっておるわけでございます。そういう意味におきまして、私どもが調査しました限りにおいて適格であると認められた挿橋川、界火島については名前を具体的にあげて協力を約束する、しかしその他にも適当なプロジェクトがあるであろうから、そういうものが出てきた場合にはそういうものにも協力をするというような意味で、その他「適格なプロジェクト」という字を中に書き込んだ次第でございます。したがいまして、そのとき具体的なプロジェクトがあがっておったわけではございません。
○坂井委員 間もなく第七回日韓会議を開こうと、これは大平外務大臣がそうおっしゃっておる。この爼上にのぼってくるであろうということをさっきもおっしゃっておる。いいですか。中身がわからないのですよ。その他適格なプロジェクトがあるであろう、事務的な手続はいま進めておるんだ。間に合うかといったら、間に合わすように努力いたします、先ほど局長はそうお答えになっておる。中身がきまらないで、何を事務的な折衝をいま続けておるのですか。少なくとも挿橋川それから界火島、この両地区については調査団が二回にわたって派遣されて、その内容について修正されておる。これはわかります。これはそのままに尊重しなければいかぬでしょう。したがって、この分については減額すべきでしょう。それ以外に適格なプロジェクトというものを含めて八千万ドル、こういうふうにして日韓で合意したんだけれども、その他適当なプロジェクトというものは何にもないじゃないですか。
○御巫説明員 挿橋川、界火島以外に適格のプロジェクトがないと申し上げておるわけじゃございませんで、幾つかのプロジェクトはございますが、これらにつきましては、これからの事務的な打ち合わせの段階におきまして韓国側と相談して、こういうプロジェクトにこういうふうにするということをきめなければいけない問題で、現在申し上げる段階には至っておりません。
○坂井委員 こういうことで時間をとりたくありませんけれども、昨年の日韓会議で八千万ドル、こうなったのです。そのときには挿橋川、界火島、この両地区はあったのです。この両地区に対しては二回も派遣して調査したのです。その他適格なプロジェクトはないことはないんだ。韓国はあると言っているのでしょう。調査もしてないじゃないですか。それを年内に合意したい、日韓閣僚会議を開いて、そこできめたいんだと。きまるわけはないじゃないですか、こう言っているわけなんです。意味はわかっていただけると思いますが。
○御巫説明員 先生すでに御承知かと思いますが、挿橋川、界火島につきまして二回調査団を出しました。そのあともう一回調査団を出しております。その調査団はもっと広い分野からものをながめておりまして、その調査団の報告も私どもは入手しておりますので、そういったものに基づいてこれから日本側の考え方を韓国側に伝え、韓国側の考え方も伺って協議を尽くしたい、こういう意味でございます。
○坂井委員 問題はたくさんあります。具体的に詰めたいと思いますけれども、時間がありませんたいへん残念であります。
 問題点をなお申します。二国間の有償資金協力、つまり直接借款でありますが、この実施状況を見ますと、本年の七月末現在で、交換公文による約束額の累計が七千六百二十九億、そのうち貸し付け契約締結額が五千三百二十五億、貸し付け実行額が二千六百三億、こうなっております。したがいまして、約束額に対する貸し付け契約の累計率、これが七一%であります。貸し付け契約締結額に対する貸し付け実行率を見ますと四九%、非常に低いわけであります。実行がおくれておるということであります。
 具体的に二、三申しますが、一つは昭和四十六年二月十八日の交換公文に基づく農水産業近代化計画、この中に農水産業用機材の購入十八億円、これがあります。これは先般委員会で指摘をいたしました二年の使用期限、これは一銭も使われない。大臣、いいですか、一銭も使わないで、さらに一年延長しているのです。交換公文によって一年延長した。その事由は何かというと、水野外務政務次官答えていわく、それは韓国側の手続においておくれたのだ、つまり、この種の借款というのは初めてであったのか、向こうは戸惑いがあったらしい、こういうようなこと。それで昨年の夏までかかったのだ、こう言っている。ずいぶん韓国側にも失礼な話だと思いますが、それだけの理由ではなさそうですよ。よくお調べなさい。ただ、私はきょう申し上げたいことは、そのようにしてこれが延長されたということ、これはなぜ使われなかったか。農業用機械機材です。
 二つか三つ、まず申し上げましょう。
 その次に、昭和四十六年六月二十九日、この交換公文に基づく輸出産業育成・中小企業振興計画百八億のうち、中小企業銀行借入分の中小企業振興のための機械及び設備の購入五十四億、これが、四十七年以降に使用することが当初から予定されておった。つまり貸し付け契約を結んでおきながら、貸し出しを一年おくらしている。これはわがほうの都合でしょう。
 さらに三つ目、四十七年七月一日の交換公文に基づきます商品援助百五十四億円のうち、海外経済協力基金分の機械及び設備の購入七十七億円、これは本年六月三十日に一年延長しております。いずれも機械、機材、設備、そういうものであります。私は、これはおよそ意味がわかるのです、なぜおくれたか。原材料はおくれてないのです。これはあなたのほうでいただいた資料であります。原材料の借款についてはきちっと大体消化しておる。機械とか機材、設備、これは消化できない。
 具体的にお聞きしますけれども、一番最初にあげました農水産業機材の購入十八億円、これの貸し付けの韓国側の条件、韓国側はどういう機材の購入をしておるか、及びいま言いました貸し付けの条件、これをおっしゃってください。
○御巫説明員 問題を三つおあげいただきましたが、それぞれいろいろな理由がまざっておるということをまず申し上げておきます。
 いまの農水産業近代化借款の機材購入がおくれました理由は、前に水野政務次官から御答弁申し上げましたように、この借款がこういった種類の借款で初めて韓国に提供されたものでございましたために、韓国側で不幸にして国内手続の何か誤解があったようで、国会のローンアグリーメント、貸し付け契約の承認が要るということを見忘れておりまして、日本側で手続を非常に急いだにかかわらずまずおくれたという事実があったことは間違いございません。
 ただ、中身の問題につきましては、ただいま、どういう機材ということについて的確な資料を持ち合わせませんが、後に調べてまた御報告さしていただきたいと思いますが、この機材類の、何といいますか、輸入の需要が比較的減ってきてパイプラインに残ってしまった、思わしくない状況が生じてしまったというので、極力こういう事態が起こらないように努力を続けていきたいというふうに考えております。
 第二番目の分は、わがほうの資金繰りの都合から、その当時韓国側とお話し合いをする間において一年間余裕をとったというのが実態のようでございます。
 第三番目の問題につきましては、これは韓国側の機械の輸入につきましての、わがほうの、この借款で与えました機械に対します優遇とか、そういう問題についての手続上の問題から、これを利用して輸入するものに人気があまり上がらなかったというような事態があったようでございまして、片一方、御指摘のように、原材料のほうを主といたしました部分につきましてはどんどん進んでいったという事実も確かでございます。そこでいたしかたなく一年間の延長を行なったわけでございますが、延長後の実態を見ておりますと非常に消化率がよくなっておりまして、おそらく今年中には消化し切れるのではないかというふうに予測されております。
○坂井委員 大臣、非常に安易なんです。閣僚会議の中で、日韓双方で援助額が合意する。あと交換公文になる。最初に頭かち額をきめちゃうんですよ。中身は詰めないんです。しかも、朴大統領がかっこよくしたいんで、国内向けのPRなんじゃありませんか。使いもしないような金を合意する。日本側だって、いま出せないものを、翌年からしか出せないものを、もうことしの日韓会議でこれを合意しておこう、そういう結果じゃありませんか、この結論は。最初にあげた十八億だってそうですよ。えらい都合のいい、かってなことをおっしゃっているようだけれども、韓国においてはいささか事情は違うようですよ。詳しくは申しません、時間がございません。二番目の五十四億だってそうじゃありませんか。三番目にあげました七十七億、いずれもこれは機械、設備です。向こうの借り手は、輸入業者といいますか、韓国の需要者は借れないんですよ。なぜか。即金ですよ、これは。たとえば七十七億というのは、わがほうは七年の据え置きの後十三年、都合二十年間、利息が三・五%。韓国側の貸し付け条件をおっしゃってください。七十七億、これだけについてでけっこうです。
○御巫説明員 最後の七十七億と先生おっしゃいました部分につきましてお答え申しますが、これは、韓国側の業者が日本から機械を買いまして、その買ったということを韓国側の銀行に届けますと、そうすると韓国側の銀行が支払いをするのかどうかわかりませんが、日本側がそれをいわゆるレインバースということをやるという方式でございますから、その間に金利の利ざやとかそういうものは何もないということでございます。
○坂井委員 だから聞いているんですよ。向こうは産業銀行へ一たんウォン貨で見返りのウォン貨を納めるんでしょう。即金で納めるんじゃないですか。その場合の利率、それを聞いているんです。
○御巫説明員 先ほど申し上げましたとおり、日本側に対してはそうでございますが、韓国側の業者がそれだけのお金を集めるために要する金利は、私どもとしては推定するよりほかございませんが、おそらく韓国の国内金利によるものと存じます。
○坂井委員 もう少しお調べになったらいかがですか、大臣、そういう点も含めて。つまり、韓国の国内事情というものはよくわかりますよ。同時に、わが国はそういうことについて一方的に介在すべきものではないでしょう。その辺もそれはよくわかります。しかし、わが国の利子が三・五%、三年据え置きの十七年、二十年間、韓国において、機械、設備をわが国からのそういう物品の借款提供によって、韓国側の中小企業なりそういうものを育成しましょう、趣旨はこうだ。ある意味ではけっこうでしょう。ところが、それを使う韓国の業者なり輸入者なりは、見返りウォンを即金で払わなければならぬ。その場合の利息は、おそらく韓国の利息に大体右へならえしているのでしょうということでありますから、およそ想像がつくと思うのです。わが国の融資条件と、向こうはたいへん違うわけです。使えない。原材料の場合ならば右、左、金になります。売れます。だから、かなり消化率がよろしい。機械、設備の場合はそういうわけにいかない。実態的にこれは明らかじゃありませんか。しかも、この種の韓国の産業銀行等にプールされる見返りウォンは、これは経済の安定と成長に関する緊急命令と称しまして、大統領緊急命令第十五号、四十七年八月三日施行でありますが、産業合理化審議会の意見を聞いて産業合理化のために使用する、こうなっています。どういう形で使用されているか、あなた方、つかんでいないでしょう。
○御巫説明員 いま御指摘のように、韓国がそういうふうにして集めましたウォン貨につきましては、従前から御指摘のような方法でもってやっておりますが、産業合理化審議会というものがございまして、経済企画院長官が議長となりまして、委員にはそれぞれ閣僚その他が入っておりますが、それで各種の問題を審議いたしまして、そこに集まった基金を使うという制度をつくっておる、そういうような点はいろいろ調べてございます。ただ、そのときにどういうような金利をどうとかいうような詳しいことについては手元の資料はいっておりませんが、貸し出しの対象につきましては生活必需品の分野、それから基幹産業の分野、それから輸出育成の分野、農業の分野、中小企業の分野、その他というふうになっておるわけでございます。
○坂井委員 少し相手側のその実態というものをよく研究調査されたほうがよろしいと思います。それはそれだけにとどめておきます。
 次に、浦項製鉄所の建設問題であります。
 第二期計画、これに対しまして非常に大きな問題は、この第二期計画の財務計画が日本側に示された。調査団が参りまして調査をいたしました。つまり韓国側の財務計画そのものは、これは変動相場制に移行する以前のものであります。本年二月に変動相場制に移行になった。調査団が一番懸念している点は、「第二期計画の財務見通しは変動相場制移行以前のものであり、通貨変動が第二期計画による増設のための借款元本および利子額の増加をもたらすのみならず、第一期の借款元本および利子額の相当部分が円建てであるため、浦項製鉄の実質的負担は増加をまぬがれない。このため、通貨変動は本プロジェクトの財務計画に対する著しい圧迫要因となるのは明らかであるので、通貨変動の動向を見守りつつ、第二期財務計画の見直しを行なう必要がある。」――いかに見直されましたか。
○御巫説明員 御指摘の韓国の浦項の総合製鉄所第二期拡張計画は、昨年の閣僚会議におきまして、韓国側の希望によりまして、日本に期待する金額は一億三千五百万ドルの長期低利の借款ということを韓国側が述べた、それに対しまして日本側から、計画の内容等を調査した上で協力の内容をきめようという返事をしたというふうに、昨年の共同コミュニケはうたっております。その後、御指摘のとおり通貨問題がいろいろとございまして、米ドルの問題とか円貨の変動制移行とかいろいろございました。したがいまして、この第二期計画が価格の面においていろいろ変動を受けてあるであろうということは想像にかたくないところでございますが、それにつきましての具体的な説明はまだ聴取する段階に至っておりませんで、先ほど申し上げましたように、閣僚会議が開かれる前の事務的打ち合わせをこれから始めるという段階でございますので、その段階において韓国側が具体的にどういうふうに提案してくるか、その提案を聞いてから検討しなければいけないというふうに存じております。
○坂井委員 問題が山積しております。
 なお、この間、二日に、この事件収拾のために両国首脳会談が行なわれた。その際に田中総理が、沖繩の海洋博覧会の労務者不足問題に及んで、金首相に対して労務者の提供を要請した。あの場合、あの場所において、そのような不見識なことをなぜ言ったのか。やはり心ある国民は、総理のそうした姿勢に対して非常に不可解な、理解できがたい、そういう感じを抱いております。一方、沖繩においては当然反発をした。加藤労働大臣は、雇用いたしませんと言明した。総理はあの席上、要請しておる。労働大臣は、雇用はいたしません――先ほど私が言いました、韓国を日本の産業のための安い労働市場だという見方をしておる。本質はそういうところにあるのじゃないですか。そういう総理と労働大臣の食い違い、それに対して外務大臣はどうお考えになりますか。
○大平国務大臣 両総理の話が終わりまして立ち上がろうとする前に、二、三の雑談がかわされたわけでございまして、そのときに、沖繩のほうの労務の需給が困っておるようだが、あなたのほうの都合を――ひとり言のように、あなたのほうの労務の需給状況はどうですかというような話をされたわけです。もしそういうことを日本のほうで御要請になれば、韓国のほうでは御提供する用意がありますという話がかわされたわけでございまして、こちらが要請したわけでもなければ、もしそういう話が具体的に日本政府の方針としてきまって、そして要請があればそれは十分考えます、ということと御了承をいただきたいと思います。日本政府がきまってそういうことを要請したわけではないのでございます。
○坂井委員 外務大臣、ずいぶん苦しい答弁なんです。無理からぬと思いますがね。しかし、私はその姿勢の問題を言っているわけですね。少なくとも不謹慎なことじゃありませんか。いずれにもしろ、総理がそういう席上でそのような発言をすること自体が――新聞には報道されております。まさにいま大臣が苦しい、まことにこう遠回しな言い方をされていらっしゃいましたけれども、それはおっしゃったのでしょう。だから加藤労働大臣は、これをいきなり否定せざるを得ない。こういう韓国に対する政治姿勢、考え方、ここに私は一番大きな問題があるというその一つとして指摘をしているわけです。こういう姿勢を改めない限り、今回のこの金大中事件そのものの反省、教訓というものは生かされていかないということを言いたいわけです。外務大臣は日韓両国の政府、この友好のために、まあある意味では十分ではないけれども、不本意だけれども、いままでのようなこういう状態をいつまでも続けることはよろしくないので、この辺で、日韓の正常化のために、両国のために外交的決着をつけたんだ、こうおっしゃっておる。日韓両国、国と国とは、政権同士の握手によって成り立つものではありません。厚く広い国民的な基盤にささえられて、そこでやはり真の友好、善隣友好というものが成り立つ、私はこう理解しております。少なくとも今回の事件を反省するならば、広い、開かれた、そういう国民的な視野に立った両国の友好関係というものでなければならぬ、それが真の善隣友好だと思うのです。
 いま幾つか私は問題点を指摘する中で、具体的にその中身について十分触れることができない。時間がありませんので非常に残念でありますが、安易な日韓閣僚会議の中における対韓援助の、まさにそのつかみ金的な取りきめ方。使われない。十八億だってそうですよ。韓国がそういう手続上の失敗があったのだって、一年半余りも何で韓国国会がほっときますか。そういうことだけを理由にあげられるのは、これはちょっと当たらぬと思いますよ。理由はもっとあるでしょう。先ほどからも言いますように、わがほうが貸した融資条件というものとおよそほど遠い高い金利、即金、それが韓国の産業銀行に、しかも見返りウォン貨としてプールされる、それを使うのは大統領命令である、そういう形の中で重工業がどんどんと進められていく。一方、韓国の中小企業者の機械設備のためにといって送った金が、韓国の中小企業者がこれを使うことができない。そういう状態で残されたままだ。したがって、交換公文をまた書きかえる。こんな愚にもつかないような日韓経済協力関係というのは――そんなばかなことはないでしょう。そんなばかなことをおやりになっているこの姿勢を改めなさい。少なくとも韓国側に対してわがほうも姿勢を改めるとともに、韓国側のそうしたようなあり方に対しても改善を加えるべき――外務大臣が、改善していきたい、していかなければならぬ、こうおっしゃっているのですから、そういう点も中身を十分検討なさって改善されることを私は望みたいわけです。大臣の所信として、一言でけっこうです、示してしただきたい。
○大平国務大臣 坂井さんにも御了解いただきたいのでございますが、対韓経済援助ばかりでなく、政府援助のやり方といたしまして、まずコミットメントをいたしまして、その次の段階で交換公文をかわして、その次の段階で輸銀や基金等からのディスバースメントが行なわれるという三段階になっておるわけでございまして、先ほどあなたが御指摘になったように、コミットメントベースで幾ら、交換公文ベースで幾ら、実行ベースで幾らというように非常に落差がございまして、これは総理からもやかましく指摘されておるところでございますが、経済協力行政の全体としての欠陥として、いま政府部内でその原因をいろいろ究明いたしておるところでございます。これは対韓経済援助ばかりでなく、全体の経済協力政策の実行につきまして十分私どもがメスを入れて、的確な仕事を迅速にやってまいらなければならぬわけでございます。
 対韓政策におきまして、閣僚ベースでやることはコミットメントをやっておるわけでございまして、それがきまると、そのあと交換公文ベースで、両政府の間でこまかいいろいろな突き合わせをやっておるわけでございますが、それにあたりましては、いま御指摘になりましたように、日本の側にいろいろな不備な面もあろうかと思いますし、向こうの事情に通じない面もいろいろあろうと思いますので、そういった点は十分精査いたしまして誤りのないようにいたしたいと考えております。しかし、それよりも何よりも、この対韓援助の問題につきまして国会をはじめ国民からいろいろ論議を呼んでおりますること、私どもとして深く心にとどめまして、この問題の処理にあたりまして十分戒めてかからなければならぬと存じております。
○坂井委員 この機会でありますので、一言だけ最後に聞いておきたいと思いますことは、つまり今度の金大中事件そのものでありますが、国際法学者の間では、外交官の行為というものは常にやはり職務行為であって、私的行為というものはあり得ないのだ、したがって外交官の行為に対しては、本国政府から具体的な指示あるなしにかかわらずそれは職務行為であって、本国政府に責任が生ずるというのが、多数の国際法学者の意見であります。たとえ、よしもしこれが私的行為であるとしても、その場合においても、国際法学者の間では、その立証の責任というものはこの場合金東雲元一等書記官ないしは韓国政府にある、挙証責任は韓国側にある、こういうことであります。これは国際法学上の通例であります。今回の事件の解決は、先ほどからも大臣はいろいろお述べになっていらっしゃったが、公権力の介在であるかあるいは私的権力であるか、このいずれもたな上げにした形で外交決着をつけた、こう理解してよろしゅうございますか。
○大平国務大臣 いずれとも判断できないという立場でございます。
○坂井委員 外務省筋では、はね上がり分子の犯行である、こう言っておるようでありますけれども、お認めになりますか。
○大平国務大臣 私が申し上げますとおり、どちらとも断定できないというのが政府の立場でございます。
○坂井委員 では、お尋ねいたします。たとえ私的行為であろうとも、道義的責任以上に、私は政治的責任は当然生ずると思う。この政治的責任ということに対する明確な、具体的なものは、考えの中にお持ちですか。
○大平国務大臣 金東雲という方があの当時韓国大使館に属する外交官であったことは問違いない事実でございまして、したがって、かりに私的行為であったとしても、それに対する監督上の責任については相応の措置がとられるということは韓国側が言っておられるばかりでなく、韓国の国務総理が訪日をいたしまして深甚な遺憾の意を表したということは、私はそれなりに評価すべきことと考えております。
○坂井委員 時間がございませんので、最後に一言だけ付言しておきますが、韓国の学生たちが韓国経済の対日隷属化の危機を訴えて、そして民族自立経済体制の確立を叫んでおります。こうした両国間のズレそのものを是正しない。それでかりに従来どおりの援助を続ける、基本的には対韓姿勢は変わらない。基本方針は変えないのだ、再三大臣はそうおっしゃっていらっしゃる。総理もそう言っている。私は、この大きな柱の中の、冒頭言いましたように経済援助そのもの、これを変えないのだ、どうもこういう姿勢に立っているように思えてならない。改善しない、是正しない、言いなりになる、こういう形のものが、次の開こうとされる日韓会談において、従来と同じような踏襲を、延長線上に乗せて対韓経済協力をいたしましょう、こういうことになる心配とをするわけであります。したがって、そのような姿勢をとる限り、私はやはり第二、第三の金大中事件はまた引き起こされる危険性を持っているということをいわざるを得ないわけであります。今日までこの決算委員会において、政府間の援助の内容あるいは民間ベースの援助の実態、それらが審議されてきたわけでありますけれども、なかなかその内容については明らかにしない。企業進出にいたしましても、企業の秘密、これをたてにとりまして公表しない。つまり、そういう中で権力者同士の密着というものが今日の日韓関係をむしばんできた、そういう背景の中で金大中事件が起こった、こういわざるを得ないわけであります。日韓両国民の納得のいく解決、真の友好への道にあやまちなきことを、心から私は要請したいわけであります。
 憲法前文で、「全世界の國民が、ひとしく恐怖と缺乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」、わが国の憲法はこれを高らかに宣言しております。その日本にとって金大中事件とは一体どういう何であったのかという、本源的な問いかけをした事件であったと私は思う。しかるに、それに対して、金大中氏の生命を脅かし、日韓両国民の友好と平和そのもの自体も脅かし、今日なお金大中氏自体が完全な自由の回復ができない。自由への挑戦じゃありませんか。それに日本政府は目をそむけておる。国家主権、普遍的な人権、基本的な人権、当然守らなければならぬもの、それすらもわが国は守り得なかった。私は、非常に悔い多い事件だったと思います。金大中氏が、あるいは、来日の要請にこたえて、日本へ行く機会があるならば真相を語りたい、こう言ったというようなことが新聞には伝えられておりますけれども、「主は言えず、また言わず」、おそらくその真相については、金大中氏は語ることが不可能であろうと思います。この事件の陰で、それほど大きな政治的な日韓関係のゆがんだそういう形で解決をしようという、それが外交決着だ、それが政治結論だという、そういう日韓両国政府の態度に対して、私ははなはだ遺憾であるという意を表明いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○宇都宮委員長 塚本三郎君。
○塚本委員 法務省にお尋ねいたします。
 先般の報道によりますと、名古屋の高等裁判所、地方裁判所が名城西公園に移転して、そのあと地利用については市民のための公園として開放されるという報道がなされておりますが、その中身について御説明をいただきたいと思います。
○長島説明員 実は名古屋の拘置所の問題につきましては、前から裁判所等とお打ち合わせが進んでいたわけでございまして、最初は東公園でございますか、そちらのほうへ裁判所が移るということで、その裁判所のあと地のほうへ拘置所が移って、拘置所の場所を公園として渡すということで進んできておったようでございます。その後これが進んで、途中で話が中断しておりまして、私どものほうはどういう事情であるのか全然知らなかったわけでございますけれども、新聞記事が出まして初めて実は私どものほうで、では裁判所が西公園のほうへ移るというようなお考えになってきたということを承知したわけでございます。そういう事情でございますので、つい最近に私どものほうも承知したわけでございまして、その後の詳しい事情は承知いたしておりません。
○塚本委員 そういたしますと、裁判所の移転のときには拘置所とは何ら関係なく行なわれて、そのことに対する、拘置所をどうするかということ等は別個の問題というふうにおっしゃるわけですか。
○長島説明員 ただいままでのところそういうふうに話は進んだようでございますが、今後の問題といたしましては、やはり無関係の問題ではございませんので、裁判所と協議をしながら考えてまいりたいと思います。
○塚本委員 御承知のように、裁判所が移転をして、あとを市民のいこいの場所として公園にするというふうな方針のようでございます。これはきわめてけっこうなことだと市民は歓迎いたします。しかし、にもかかわらず、別個に動いてきたから法務省はそれを知らなかったということでは、市民は非常に困る。市民としては、裁判所が動けば、隣に並んでおります拘置所も一体のものとして移転してくれるものと期待しておりましたが、どうやらそうでないというような状態でございます。その市民の御努力に法務省はどうこたえなさるか、明確にお答えいただきたいと思います。
  〔委員長退席、久保田(鶴)委員長代理着席〕
○長島説明員 市民の御要望ももっともでございます。ただ、拘置所といたしましては、御承知のような機能を持っておりますので、なるべく裁判所に近い場所でございまして、裁判所への出廷の便宜とかあるいは弁護士さんの拘置を受けている者に対する面会の便宜とか、いろいろなことがございます。したがいまして、今度移ります裁判所の近くに適地がございますれば、いまの場所に固執するわけではございません。
○塚本委員 そういたしますと、適地はどちらがさがせとおっしゃるわけですか。
○長島説明員 私どものほうといたしましても、現地の拘置所、管区等でできるだけの情報は集めるつもりでおりますけれども、こういう移転の場合に、どういたしましてもまた移転先の地域住民の利害関係もございまして、私どものほうだけではこれはできないことでございまして、地元の公共団体と申しますかそういった方の十分な御協力が必要だというふうに考えておるわけでございます。
○塚本委員 さらにお尋ねいたしますが、法務省・拘置所当局自身だけではその目的は果たしにくいから、地元及びその他の公共団体の協力がいただきたい、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○長島説明員 さようでございます。
○塚本委員 そういたしますと、いずれにしても主体的に法務省が自分のほうで拘置所を移転させる努力はする、だから協力してくれ、こういうふうで、いわゆる中心的には法務省が御努力をいただくということだけは、はっきりとおっしゃっていただいてけっこうですね。
○長島説明員 法務省だけがと言われると困るわけでございますが、法務省のほうも努力いたしますが、事柄の性質上地域のほうの御協力も十分にいただかないと、従来の例から申しまして成功しないわけでございます。
○塚本委員 公園の本来の任務は、申し上げるまでもなく周辺の市民の人たちの対話の場所になっておりますし、あるいはまた広く市民相互の交流の場所にもなっております。ましてや、日ごろの仕事の疲れ等解放するためのいこいの場所になっておる。さらにまた子供さんたちの遊戯の場所になっておる。こういうようなところに、情操教育等にふさわしくない、いこいとは反対に緊張を高めるような人たちの出入り、子供たちが公園で遊んでおるときに手錠につながれた人の出入りを見せつけられることは、全くふさわしくないと思っております。そういう意味からも――いままでのように裁判所と拘置所とが一画にでんとすわっておれば、もうこれは一体だからしかたがないというあきらめの気持ちもあります。出ていってくれと言ってみたところがなかなか受け入れていただくことはできない、こういう気持ちもあるのです。そのときに、裁判所だけを移転なさる、そしてそのあとを市民のいこいに提供していただくということはけっこうなことですけれども、その場所にはあまりにもふさわしくない施設が残るということですから、その地元周辺の住民の怒りと驚きはたいへんなものだというふうに私たちは感じておりますが、その点に対する受け取り方はどうでしょうか。
○長島説明員 何と申しますか、いこいの場所のそばに拘置所がありまして、裁判所へ出廷するような姿をいろいろ見かけるというようなことは、確かにおっしゃるように、いこいの場としてはふさわしくないという点があると思います。たいへん私ども苦しい立場にございまして、一方では、拘置所はなるべく裁判所に近いほうがあらゆる点で便利でございますし、そうあるべきだと思うのでございますけれども、裁判所が町中にございますものですから、新しく拘置所を持っていく場所につきまして、また今後いろいろむずかしい問題が起こるんじゃないかというふうに危惧しておりますので、しばしば繰り返すことでございますけれども、地元の御協力をいただきまして円満に解決ができるように私は希望しております。
○塚本委員 私たちの町では、お祭りがありますと、しばらくの間、子供たちがお祭りごっこをするわけです。みこしをかつぐ。一カ月ぐらいの間子供が、お祭りが済んでもみこしをかつぐ遊戯をするわけでございます。そうするとこれからは、もしいまのままでいきますると公園の半分、一角に拘置所がありますると、犯罪ごっこなんというようなことが子供の中で流行するやもしれないというようなばかなことさえも憂慮されるわけでございます。したがって、この問題は、御意思がおありであり、御努力もしていただけるということですから、私はたいへん前向きにお答えいただいたと受け取ります。しかし、これは法務当局だけではなく、裁判所と一緒に引っ越すという形をもう一度御検討なさるという意味で最高裁とも御相談なさり、そうしてまた名古屋の市当局とも、この三者でもう一度、どうすべきかということについて御協議をしていただくことがしかるべき処置ではないかというふうに提言申し上げますが、いかがでしょう。
○長島説明員 まことにそのとおりだと存じますので、現地にも申しまして、十分現地でまた協議するようにいたします。
○塚本委員 時間もおそうございますから、お気持ちは十分わかりました。そうしてまた、周辺市民のその気持ちは十分御理解いただいておると私は聞き取って帰ります。したがいまして、ぜひひとつ法務省が中心になっていただいて、そうして最高裁や名古屋市当局に向かって呼びかけて、そうして住民の協力の得られるような形でこの問題を円満に、地元の要望に沿うように一緒に移転をしていただくということに御努力がいただきたい、かように思いまするので、最後にその所信を伺って、私の質問を終わります。
○長島説明員 仰せのように、できるだけ現地とも連絡をとりながら努力をいたしたいと思います。重ねてのお願いでございますが、現地の皆さま方の御協力をぜひお願いをしたいというふうに思います。
○塚本委員 あくまでも法務省が、いわゆる土地を提供したから移ってやるということでなくして、あなたのほうから、移転したいと思うから協力をしてほしいということで主体的に動いていただきたい。もちろんそのことは、強制的に土地を買収するわけにいかないと思いまするから、地元の協力は不可欠だと思いますが、主体的に法務省が、こういう意思だからと、できるなら、最高裁もこういうふうな意思ですと、こういう形で努力をしていただきたい。このことだけ御要望申し上げておきます。
 ありがとうございました。
○久保田(鶴)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時五分散会