第071回国会 交通安全対策特別委員会 第8号
昭和四十八年四月十八日(水曜日)
    午後一時三十三分開議
 出席委員
   委員長 久保 三郎君
   理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君
   理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君
   理事 野中 英二君 理事 井上  泉君
   理事 太田 一夫君 理事 紺野与次郎君
      片岡 清一君    佐藤 守良君
      斉藤滋与史君    野田  毅君
      板川 正吾君    野坂 浩賢君
      横路 孝弘君    平田 藤吉君
      沖本 泰幸君    松本 忠助君
 出席政府委員
        運輸省航空局長 内村 信行君
        運輸省航空局技
        術部長     金井  洋君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本航空株式
        会社社長)   朝田 静夫君
        参  考  人
        (全日本空輸株
        式会社社長)  若狭 得治君
        参  考  人
        (東亜国内航空
        株式会社社長) 下村 彌一君
        参  考  人
        (日本航空機操
        縦士協会専務理
        事)      園山 鋭一君
        参  考  人
        (日本民間航空
        労働組合連絡会
        幹事)     田村 啓介君
        参  考  人
        (全日本交通運
        輸労働組合協議
        会幹事)    若月 司郎君
        参  考  人
        (航空産業労働
        組合協議会副議
        長)      近藤茂一郎君
        参  考  人
        (東海大学教
        授)      井戸  剛君
    ―――――――――――――
四月十八日
 理事奧田敬和君同日理事辞任につき、その補欠
 として野中英二君が理事に当選した。
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 交通安全対策に関する件(航空交通の安全対策
 に関する問題)
     ――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
 理事辞任の件についておはかりいたします。
 理事奧田敬和君から理事を辞任したい旨の申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
 次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。それでは、理事に野中英二君を指名いたします。
     ――――◇―――――
○久保委員長 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 本日は、航空交通の安全対策に関する問題について、参考人として日本航空株式会社社長朝田静夫君、全日本空輸株式会社社長若狭得治君、東亜国内航空株式会社社長下村彌一君、日本航空機操縦士協会専務理事園山鋭一君、日本民間航空労働組合連絡会幹事田村啓介君、全日本交通運輸労働組合協議会幹事若月司郎君、航空産業労働組合協議会副議長近藤茂一郎君、東海大学教授井戸剛君に御出席をいただいております。
 各参考人には御多用のところ御出席いただき、厚く御礼を申し上げます。
 最近における航空輸送の需要は、わが国経済の成長と国民所得水準の向上を反映して、ここ数年来急激な膨張を遂げてきており、この傾向は今後とも続くものと見られます。このような航空需要の著しい増大は、航空交通のふくそう化を招くとともに、他方、航空技術の革新による機材の大型化及び高速化を促進しており、これに伴い、航空交通の安全確保が焦眉の重要課題となっております。
 各界におかれても各般の航空安全対策を講ぜられておりますが、そのようなやさき、昨年日航機による海外での事故が連続して発生するなど、あらためて航空交通の安全が交通輸送の基本であることが再認識され、また、抜本的な航空交通安全対策の実施について国民の要請も高まっております。
 本委員会といたしましても、航空交通の安全対策について調査を進めておりますが、本日は、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 御意見の開陳は、朝田静夫君、若狭得治君、下村彌一君、園山鋭一君、田村啓介君、若月司郎君、近藤茂一郎君、井戸剛君の順で、お一人約十分程度お願いいたします。
 それでは、朝田参考人から御意見を伺うことにいたします。朝田参考人。
○朝田参考人 日本航空の社長の朝田でございます。
 私どもは、日本航空といたしまして創業以来二十年余り、一貫いたしまして安全性の確保を経営の基本方針として掲げてまいりました。平素からこれをゆるがせにしたことはないと信じておりますが、御高承のとおり、昨年一連の重大事故を引き起こしまして、多数のとうとい人命を失うに至らしめました。遭難された方々及びその御遺族、御家族の方々に対しまして、まことに申しわけなく存じております。また同時に、社会各界にもたいへん御迷惑をおかけいたしまして、深くおわびを申し上げる次第でございます。
 顧みますと、わが国におきます航空需要は、ただいま委員長御発言のとおり、日本経済の高度成長に伴いまして顕著な増加を示しておりますが、弊社は、ナショナルキャリアとして、この間、使命を達成いたすべく国家的な要請あるいは国民の負託にこたえるべく、総力を結集して、運航の安全を基調として大型機の導入をはじめとする機材の充実、路線網の拡充等、基盤の強化につとめてまいりました。
 すなわち、全社的な安全意識の徹底、とりわけ直接安全に携わる航空機の運航、整備の各部門にわたりまして、訓練機材あるいは整備施設、設備等に新技術を積極的に導入いたしまして、その品質の向上をはかるかたわら、事業規模の拡大に十分対応できる社内体制の確保に万全を期してまいりました。
 しかしながら、前述の一連の航空事故を惹起いたしました事実を直視いたしますときに、私どもといたしましては、事業運営の全般にわたり謙虚に、率直にこれを見直す必要のあることを痛感いたしまして、深く反省をいたしておるものでございます。
 私どもといたしましては、昨年身にしみた深刻なこの事故の教訓を生かしまして、さらに徹底した安全の確保に全社をあげて邁進し、真に世界第一級の航空企業なるべく専念をする所存でございます。
 安全対策といたしましては、まず、ニューデリー事故が発生をいたしました直後、運航、整備、運送の現業三本部に対しまして、それぞれ業務の総点検、見直しと、これに基づく改善措置をはかるべく、運航安全強化対策、整備体制の見直し、運送業務の総点検を個々にそれぞれ行なわしめております。
 また、昨年の十月には、監査室をして乗員管理及び乗員訓練体制について特別監査を行なわしめております。
 さらに、十一月末のモスクワ事故後、安全対策をさらに強く全社的に推進するために、安全にかかわる事項は最大漏らさずこれを取り上げ、社会一般からも痛烈な御批判を賜わっておりますので、その経営と安全という総合的な観点から、私が現地のモスクワから帰国をいたしまして直ちに、十二月十二日に、総合安全推進本部を設置いたしました。これは拡大常務会の性格を持つものでございまして、小さい問題大きな問題を問わず、直ちにこれを取り上げて実施に移しております。
 十月には、これに先立ちまして、運輸省の立ち入り検査がありました。御指摘をこうむりました事項についても、その時点ですでに実施済みの対策を含めて、十二月十五日に御報告をしております。
 重ねて十二月には、モスクワ事故に至ります事故多発を理由といたしまして、運輸省の立ち入り検査がございました。私どもも、全社の体制をこの際もう一ぺんあらためて見直すということで、これに基づきますところの改善勧告に関しましては、すでに措置済みの対策を含みまして、総合安全推進本部で決定した諸対策のうち、御指摘にかかわる事項につき 二月二十八日、私は運輸大臣に対しまして「安全運航確保のための業務改善具体策」というものを御報告申し上げております。
 さらにその前に、一月二十九日付をもって、総合安全推進本部以前に検討をいたしました「航空安全対策について」というものも、同様、私どもから運輸大臣に御報告を申し上げておるわけでございます。
 以上が、今日まで、弊社の事故発生後、安全対策の改善、強化に取り組んでまいりました経緯の概要でございます。
 次いで、この安全対策の具体的内容でございますが、基本的には、弊社が全社一体となりまして、末端まで、従来に増して航空企業としての公共的、社会的責務を深く自覚し、安全の最優先を再認識することから始まるものと考えております。
 これは、乗務員と地上勤務員、一般社員と管理職員、あるいは労組員と経営者、そういった区別なく、ひとしく要請されておるものでございますので、これが向上、徹底のために、各種教育、日常指導あるいは労使協議等を通じまして、積極的にこういう手段を充実、活用していく所存でございます。
 具体的な諸対策といたしまして、本年一月二十九日及び先刻申し上げました二月二十八日の二度にわたり運輸大臣に対し御報告を申し上げました内容は、項目として約八十項目に及んでいるものでございます。準備に時間を要するものを除き、現在すでにすべて実施に移しておりますが、大きく分類いたしますというと、大体次のようなことになるのでございます。
 まず第一に、運航乗務員の人間性と人格形成教育を強化していくということ。第二番目には運航乗務員の技量、適性の向上。三番目には運航乗務員の管理体制の充実強化。四番目には運航乗務員並びに整備員についての質、量両面の向上。第五番目には航空機材の機能向上。最後に全社的管理体制並びに相互信頼の確保。こういったことの諸項目につき、それぞれ具体策を掲げております。
 さらにこれを具体的に申し上げますというと、運航乗務員の人間性、人格形成教育につきましては、社内の各種教育を通じまして、社会、公共的な責任意識を十分徹底させる。あるいは管理、監督層の日常の部下指導に際しましても、機会あるごとに責任意識を徹底せしめる。あるいはまた、信賞必罰は運航乗務員に限りませんが、これを徹底することによりまして責任意識の高揚をはかる。また同時に、社内外講師によりますところの教養講座等を通じまして、人間性の充実、人格形成の指導をいたしたい。こういうふうに考えております。
 運航乗務員の技量適正の向上につきましては、採用試験の強化、あるいは各種訓練審査段階におきましてエリミネーションの強化によるところの質の向上。セカンドオフィサーの路線訓練時間の延長。先任機長の出発前ブリーフィング立ち会い制度あるいは主席等によりますところの定期的スポットチェック制度等によりまして、日常運航上の教育指導体制を強化する。昇格移行の際の資格基準の見直しを行ない、選ばれた者のみが機長あるいは副操従士になるような体制に変更いたしたいということでございます。
 運航乗務員の管理体制の充実強化につきましては、まず第一に、運航乗員部の組織を改定いたしまして、路線別、機種別に乗員室長を配し、主席制度とともに管理指導の実効化をはかります。これはすでに二月十五日に実施いたしております。運航乗務員の管理の充実をはかるために、スタッフ機能としての組織を新設いたしております。また、査察乗員室といったような審査部門を、運航本部内ではございますけれども、独立させまして、査察記録の整備充実によって日常管理へのフィードバックをはかる。
 運航乗務員並びに整備員の量、質両面の向上につきましては、運航乗務員の路線、機種を固定し、その慣熟度を高める。運航乗務員に対しまして、緊急措置として特命審査を実施しまして、注意を要する者に対しては常に特別に指導をし、あるいは訓練を行なってまいります。整備員につきましては、先取り人員の確保、教育引き当て人員の充実等によりまして、量、質の向上をはかることにいたしております。
 航空機材の機能向上につきましては、電波高度計及び対地高度警報装置を全機に装備する。ただし、部品の関係で四十八年度一ぱいこれはかかる見込みでございます。あるいはまた、AIDSという運航状況を把握いたしまして整備作業の効率化に資する空地連携のコンピューターシステムの開発をはかる。
 全社管理体制並びに相互信頼の確保につきましては、日常の運航に携わる運航、整備、運送、三本部の横の連絡をはかりますために、三本部総括役員に、特にいまの事態におきまして副社長をこれに充てております。各本部間の人事交流の促進あるいは提案制度の活用、幹部と末端職員との接触を積極化する。運航乗務員の地上職との交流、あるいは整備員をコックピットに体験塔乗をさせまして、交差教育を行なう。あるいはセカンドオフィサーの整備教育等、社内工場の見学を通じまして、社内相互の理解を深めて信頼関係を確立していきたいということでございます。
 弊社といたしましては、以上申し上げました諸対策を推進いたしまして、運航の安全確保に万遺漏なきようつとめておりますが、同時に、事業計画の策定にあたりまして、これらの要素でありますところの人員計画、機材計画、整備計画、路線便数計画、乗員配置計画等の諸計画の間に、あるいはこれらの実施体制との間に斉合性を保持するということを十分配慮いたしまして、特に予備機については、各機種グループごとに従来よりさらに余裕のある配備をする等の措置を講じております。
 以上、私どもの安全確保対策につきましての大要を御説明申し上げたのでございます。
 さらに具体的な内容につきましては、個々の御質問に応じまして御説明申し上げたいと存じます。ありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 次に、若狭参考人。
○若狭参考人 ただいま御紹介いただきました全日空の若狭でございます。
 全日空は、現在国内における航空輸送の過半数を実施いたしております。一日の便数は四百数十便でございます。それはいずれも、日本のあらゆる辺地にも、離島にも参っております。しかも、非常に気象変化の激しい中で、また、航行安全施設の必ずしも十分整っておらないローカルの飛行場に参っておるわけでございます。そういう意味におきまして、会社全体といたしましては、全日空というものの航空輸送における社会的な責任を果たすということを経営の第一の目的として事業を遂行いたしておるわけでございます。
 安全の問題につきましては、先ほど日本航空の朝田さんからも御説明ございましたように、航空輸送の最も基本の問題でございます。委員長からもお話がございましたように、事業経営の根幹をなすものでございますので、これに対する努力は当然のことでございますけれども、そのような社会的な責任というような面からいたしましても、会社経営というものは、一つの特定の資本に従属するというような考え方で経営をやってはいけない。関係の当局におかれましても、航空企業の資本構成については、できるだけ一般国民の方々の協力を得て事業経営をするようにというような御指導も行なわれておったわけでございますが、私は、そういう考え方で全日空というものを経営してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 なおこの際、こういう機会でございますので、お願いしておきたいと思いますけれども、安全性の維持ということにつきましては、経営としては際限のない問題でございまして、これでいいということはないわけでございます。そういう点から申しましても、企業経営にはやはりゆとりを持たせていただきたい。
 最近、航空関係につきましては、航空機燃料税の徴収であるとか、あるいは航行援助施設の使用料であるとか、あるいは着陸料の増額であるとか、いろいろな負担が課せられておりまして、経営は決して楽ではないわけでございます。
 最近、今年に入りましてから、非常に旅客が増加してまいっておりまして、しかもなかなか座席が取れないということで、たいへん皆さま方に御迷惑をかけておりますけれども、これは、先ほどの朝田社長からのお話にもありました、また、私たちも現に実行して――あとでまた御説明いたしますけれども、機材を徹底的に削減いたしております。航空機を御利用いただく方々の増加ということをもちろんいろいろ考えてはおりますけれども、現在は安全性確保のためには、むしろ機材数を削減することのほうが先決問題であるという考え方から、徹底的にその機材数の増加というものを抑制いたしております。航空需要というものは、毎年伸びてまいりますし、それに応じて機材数というものは増加していかなければならないわけでございますけれども、いろいろな関係から、むしろこの際は、安全性の確保ということを大前提として機材数を制限するほうが現状にマッチしているということで、機材数の制限をいたしておりますので、そういう関係から旅客が非常にこんでおるというのが現状でございます。
 したがって、これによって航空事業は非常に高収益をあげているというような状態では決してないということも、同時に御理解いただきたい。したがいまして、今後航空運賃制度の改定等につきましては、格別の御理解をいただいておきたいということをこの際特に申し上げておきたいと思います。
 全日空におきましても、来年の四月から大型機の導入を国内線に行なう予定で、現在ロッキードの一〇一一という機材を六機導入するべく準備をいたしております。このために、全日空の現在の陣容に応じた事業計画をつくるという観点から、たとえば、具体的に申しますと、昭和四十五年度におきましては七十九機の飛行機を持っておりましたが、四十六年には八十二機、四十七年には七十七機、四十八年には七十六機というように、減少してきておるわけでございます。これは、たとえばフレンドシップという機材を退役させるというような問題もございましたけれども、根本的に、先ほど申しましたように、大型機の導入を目標として、その準備体制をつくるために、現在のたとえばボーイングの727なりあるいはYS11等の現有機材の増加というものを極力抑制するという考え方で、機材の増加を押えてきている結果でございます。そういうような考え方で、現在大型機の準備体制を進めておるわけでございます。
 また、飛行時間につきましても、四十七年度では前年比九七%、四十八年度におきましても大体四十七年度と同じ程度の飛行時間ということを考えております。したがいまして、この背景に年率二〇%以上の旅客数の増加があるということを前提にお考えいただきますれば、こういう飛行時間の制限ということが非常に御迷惑をかけておるということを私たちは反省しなければならないと思いますけれども、やはり何よりも安全性の確保ということが大前提でございますので、いましばらくごしんぼういただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 また、いまほどフレンドシップの退役の問題を申し上げましたけれども、飛行機のライフサイクルというものは、理論上は、不良な部品を取りかえて必要な整備、点検をやってまいりますれば何年でも使用できるということが言われておりますけれども、長く使用いたしますと、故障も多くなりますし、部品等の入手もなかなかむずかしくなってくる等の問題がございますので、大体十年近くなりましたならば退役を前提として事業計画を立てていくべきだというふうに考えておる次第でございます。
 例をあげますと、バイカウント828型機というものは、今日でもなお定期航空に使っておる会社も世界的には多数ございますけれども、全日空におきましては、これを昭和三十六年七月から使いましたけれども、四十四年八月、ほぼ九年で全機をリタイアしたわけでございます。これは、三十九年五月から727−100というものを導入いたしましたたところ、設計の古さと申しますか、バイカウントのオートパイロットの故障が多いとか、製造会社の部品入手に問題があったり、また、なれた機体だからもっと使うべきであるというような意見もありましたけれども、思い切りよく退役させまして、その年の十月からさらに727――200の導入に踏み切った次第でございます。
 次に、この二年間、組織、機能の強化とか訓練施設の増強とか、いろいろやってまいりましたけれども、最近乗員の責任の自覚という問題の御指摘も大臣からいただいておりますので、これらにつきまして、当社のベテラン操縦士で安全運航実績でもたいへんすぐれている人々は、過去に整備や運航管理の経験のある人がたいへん多いということから考えまして、昨年十月から他職種コースと申しまして、乗員が基礎訓練に入る前に、あるいはカウンターで切符を売ったりあるいは整備の仕事をしたり、そういうような仕事をやらせることにいたしておるわけでございます。また、乗員のプロモーションと申しまして、小型機からだんだん大型機に移ってまいりますけれども、この選択の問題にいたしましても、たとえば具体的に申しますと、現在、ロッキードの大型機の訓練に入るわけでございますけれども、現在のYSなりあるいはボーイングの機材の運航の確保ということが会社としては最も大切な仕事であるという考え方から、この乗員の選択にいたしましても、現在のボーイングの乗員のうちの適正数を必ず指導者として定着させるという考え方で、このプロモーションをやっておるわけでございます。
 また、YS11につきましては、すでにボーイングの機長の資格を持っております者から、指導操縦士としてまたYSに戻してまいりまして、十数名をこの指導に当たらせるという努力をいたしておるわけでございます。
 あまり時間がございませんので、詳しいいろいろなことは申し上げられませんけれども、整備等につきましても、昭和四十五年八百五十名程度の、国家試験を通りまして資格を持っております整備士というものを補充しておりまして、現在はすでに千五百名の整備士を持っておりますが、先ほど申しましたように、昭和四十五年と本年の機材数というものは、幾らか減少しておるというのが現状でございまして、整備について、整備士の充実ということにあらゆる努力を傾けながら、現在事業を行なっておるということを御理解いただきたいと思います。
 安全性の向上ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、これで十分ということは決してないわけでございますけれども、これからも会社をあげて改善に努力してまいりたいと思いますので、先ほど申しましたいろいろな会社外の問題、たとえばローカル空港の保安の安全施設の充実の問題であるとか、あるいは航空企業に対する経営に対する御理解の問題であるとか、あるいは運賃制度の問題であるとか、そういう問題につきまして、先生方の一そうの御支援、御指導をお願いしたいと思います。
 簡単でございますが、私の御説明を終わる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 次に、下村参考人。
○下村参考人 東亜国内航空の社長、下村でございます。
 当社も、一昨年「ばんだい号」の事故を起こしまして、各方面の方々に非常な御迷惑、御心配をかけてまいりましたので、安全運航ということにつきましては身にしみて痛感いたしておるようなことでございます。
 定期航空運送事業の経営にあたっては、もう安全性が何よりも優先するということで、その体制を確立いたしまして、企業の存続に万全の努力をいたしております。
 なお、当社の路線の運営の現況でございますが、使用しております機材は、YS11が三十機、ボーイング727が四機でございます。このYSというのが近ごろは人件費、物件費の高騰によりましてなかなかもうからぬ機材になっておりますので、会社の経営につきましては非常に苦労をいたしております。
 なお路線は、北海道から鹿児島の各島に至りますまで、三十七都市を結んでおります。
 運航便数は、一日百九十六便。提供座席数は、YSが四百五十六万一千座席キロ、727は百十九万七千座席キロでございます。
 従業員は二千四百八十七名、そのうち運航部門が六百五十七名、乗員が四百五十六名でございます。ことに当社は、整備に非常に重点を置きまして、二千四百人の従業員の中で、整備部門が七百八十三名採用しております。
 なお、具体的な安全対策といたしましては、組織の改正によりまして、責任体制の明確化、活性化をはかっております。最近におきましては、安全推進室を新たに設けまして、安全監査の体制を確立いたしております。
 なお、運航、整備両部門の統括管理と安全対策を強力に推進するために、航務整備本部を新設いたしまして、本部長のスタッフ機能といたしまして航務整備管理室を新しく設けました。
 なお、企業体質を強化するために、従業員の質の向上をはかっており、会社の重点施策といたしましては、従業員の教育、訓練を取り上げ、実施しております。
 そのおもなるものを申し上げますと、管理職及び機長の集合研修を二月から三月にかけまして実施いたし、この研修は将来ともずっと続けていきたい。ことに、技術が優先しますけれども、どうしても航空事業は人間性の問題ということが非常に重要な課題になっておりますので、精神訓練を重点的にやっております。
 なお、乗員の訓練の充実強化をはかるために、仙台に訓練所を新しく設け、五月から双発のビーチクラフト三機をもって訓練を開始しております。
 整備訓練所の施設を拡充するとともに、教官を増員し、整備従事者の教育訓練機能の充実強化をはかっております。
 なお、運輸省の指定養成施設の認定を受けるべく準備中でございます。
 客室乗務員訓練所の施設を拡充するとともに、教官を増員し、スチュワーデスの質的向上をはかっております。
 次に、社内の安全監査制度を確立いたしまして、査察体制を強化いたしております。安全監査の計画実施部門を安全推進室として毎年実施する計画でございます。昨年は、随時監査を五月から八月にかけて行ない、また定時監査を十二月に実施いたしました。その結果に基づく改善措置は逐次実行に移されております。
 各部門の査察体制につきましては、査察操縦士による運航乗務員の査察、査察運航管理者による運航管理従事者の査察、査察客室乗務員による客室乗務員の査察を実施しております。
 整備部門につきましては、工場及び基地巡回検査を定期的に行なっております。
 また、行事といたしましては、十一月一カ月間安全サービス向上月間、十二月十日から一月十日に年末年始安全総点検を計画し、その中で、各部門の自主点検を実施するほか、役員による視察を実施いたしました。
 施設の拡充整備をはかっておりまして、昨年七月羽田整備地区に新設されました第二総合ビルに、整備の管理部門、装備工場並びに乗員、整備、客室乗務員の各訓練所を移しまして、分散しておりました施設を集約いたしました。
 また、大型ジェット機用格納庫を四十九年度着工を目標に建設計画中であります。
 その他事業所用施設につきましては、羽田地区再開発の進展に合わせて、関係各社と協調しつつ、施設の拡充を強力にはかっておるようなことでございます。
 規程類の周知と順守につきましては、強力な指導をいたしております。
 規程類を実情に応じた最新のものに維持するために、担当部門で絶えず検討することはもちろん、ふぐあい点、改善点を、提案制度によりまして広く従業員より意見を求め、担当部門で改廃を実施しているほか、規程類改善月間、これは毎年九月でございますが、九月と定め、一会社一斉に規程類の点検、改廃をいたしております。
 また、順守状況の調査につきましては、各部門の査察担当者が実施するほか、安全推進室が主管で、定時監査、随時監査において厳重に監査することにいたしております。
 当社は、合併会社でありますために、特に和を強調して指導しておりますほか、人事の交流にも意を用いておりまして、先ほど申しましたコミュニケーションをよくするために、各種会議、懇談会を定例化して、縦横の意思の疎通をはかるほか、日常業務の中でも上下の対話を密にして、相互信頼に結ばれた明るい職場をつくり上げるよう努力いたしております。
 最後に、労働組合との関係でありますが、当社には一般組合と乗員組合の二つがございます。いずれの組合とも相互信頼をモットーに、労使懇談会を通じて意見の交換、問題の処理にあたっております。
 特に当社は、全社をあげて安全対策を進めるべく、安全協議会を設けて、組合とも定例的に会合し、十分協議いたして万全の策を講じております。
 当社の現況と安全に対する具体策を申し上げましたが、なお当社は、「ばんだい号」の事故につきまして、謙虚にその事実を反省し、事故再発の絶無を期しまして、安全性の確立のために日夜努力をいたしております。
 また、安全の確立を期するためには経営基盤の強化が重要な要件であります。
 当社がその経営基盤の強化をはかるには、後発企業であるために、路線の面、施設の面、あらゆる面におきまして不利な条件にあります。
 これは先輩各会社並びに諸先生におかれましても、当社の現状を御明察いただきまして、何とぞ御指導、御鞭撻のほどを切にお願いいたしまして、私の御報告といたします。どうもありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 次に、園山参考人。
○園山参考人 私は、日本航空機操縦士協会の専務理事をいたしております園山鋭一でございます。
 私たちパイロットの共通にして最高の指標であります運航の安全ということにつきまして、私たちの願いを申し上げる機会を与えていただきまして、厚く御礼を申し上げます。
 私は、本日五つの問題につきましてお願いいたしたいと存じます。すなわち第一番に、航空関係の行政機構、特に事故調査についての事故調査機関設立について。第二番目に、空港特にローカル空港の航空保安施設について。第三番目に、航空路について。そして第四番目に、訓練飛行場について。最後に、産業航空用の空港の確保について。以上、五つについてお願いいたしたいと存じます。
 第一の行政機構についてでございますが、現在海上交通に関する行政機構は、海運、船舶、港湾船員の四局と海上保安庁、海難審判庁の二庁によって構成されていることを考えますと、海運関係の規模、その沿革もさることながら、近来飛躍的な発展を遂げ、今後さらに一そうの大きな伸展が予測されております航空についての行政機構を、現在の規模の航空局で、今後発生する多岐にわたる複雑な諸問題に十分に対処し、安全を確保し、航空界をリードしていくことができるかどうか、すこぶる疑問に存じております。運輸行政機構内の陸運、海運、航空、いずれも均衡のとれた機構にすべきではないかと存じております。
 特に本日は航空機事故の審判制度の確立についてお願いいたしたいと存じます。
 近年、航空機を中心とした航空輸送システムの技術的進歩は、きわめて著しいものがあり、かつ広範囲に及んでおります。航空機事故の解明にあたっては、海運等の輸送システムとは比較にならぬほどの、テンポの速い技術革新に即応した最新の技術的知識、及びその運用に関する豊富な経験が不可欠の要件でございます。
 それにもかかわらず、政府は事故発生のたびごとに臨時の調査委員会をもってこれに当たらせ、委員は片手間でこの重大なる仕事を引き受けるような体制をもって糊塗しておる現況であります。
 このような臨時的で、しかも利害関係人がときとして委員に選ばれるようでは、航空機事故の原因を合理的、科学的かつ公正に究明することはとうていなし得ないものでございます。
 日本は、世界有数の航空機保有国となりながら、したいと存じます。航空機事故審判制度については、たとえば米国のNTSB、ナショナル・トランスポーテーション・セーフティー・ボード制度等他の制度と比較いたしまして、格段の行政上の立ちおくれがあります。
 以上の観点から、現在あります海難審判よりもさらに進んだ独立した航空特有の審判機関のすみやかな設立が必要であります。この機関は、適切なる事故調査はもちろん、他国の関係機関との連携をも十分にとりながら、航空事故に関する情報を収集し、分析し、事故調査及びその審判に資するとともに、関係官庁及び会社に対して事故防止に関し勧告をも行ない得るものでなくてはならぬと信じます。
 第二に、空港の適確な整備でございますが、これは、日常運航に従事しておる私らにとりましては非常に重要なる問題でございます。
 航空機の離発着に際し、直接安全に影響を持っております滑走路面については、常に着陸時滑走路面に付着したタイヤのゴムのあとを除去して、雨が降ったときなどに、それが原因してブレーキの効果が減殺されて滑走路よりの逸脱の事故の原因となることのないように、清掃のための十分の予算を確保していただきたいと存じます。
 また、空港への進入に必要な航空保安施設の修理は、すみやかに行なわれまして、いやしくもその修理に数週間、数カ月を要することのないよう、適確なる維持管理がなされるようお願いいたしたいと存じます。
 特にローカル空港につきましては、その位置的にも、着陸進入が必ずしも容易な空港のみではございません。これら空港の計器飛行による進入及び出発方式をより容易にすることにより、さらに安全性を高めるために、過去二十年間も使われておりますNDB、ノン・ディレクショナル・ビーコンと申しておりますが、これは中波が利用されておりまして、悪天候のときに帯電のために飛行機側でこの電波を受信ができなくなるというようなことがしばしばございます。このNDBを、できるだけすみやかに、信頼性の高い、また使用上きわめて便利なVOR、DMEの設置を推進していただきたいと存じます。VORとはペリー・ハイ・フリークエンシー・オムニディレクショナル・レンジ、全指向性を持った短波によるきわめて信頼性の高いビーコンでございます。DMEは、これはディスタンス・メージャリング・エクイプメントと申しまして、その局と飛行機の間の距離が飛行機内の計器に表示されるというきわめて便利なものでございます。
 それから第三番目に、航空路上の航空保安施設でございますが、最近、当局の御努力によりまして、航空路上の航空援助施設の整備が進んではおりますが、いまだに変針地点及び位置通報の地点にNDBが使用されておりますので、これをすみやかにVOR、DMEにかえていただく、その計画をさらに推進していただきたいと存じます。
 また交通量の非常に多い主要幹線に関しましては、レーダーによるコントロールをさらに促進をしていただきたいと存じます。そうすることによって、航行の安全をさらに適確なものにしていただきたいと存じます。
 アメリカの領土は日本の二十六倍と聞いております。そこに網の目のように張りめぐらされております航空路はすべてVOR、DMEによって結ばれておりまして、そしてこの全航路がレーダーによってカバーされておる現況でございます。
 第四番目に、訓練飛行場の確保についてお願いがございますが、乗員の訓練というものは、安全運航というものの基盤をなしているものであると私は信じております。特に飛行訓練は、訓練課程の最終の画竜点睛ともいうべきものでございます。乗員養成のための基礎訓練、次は実用機でありますYS11、DC8、ボーイング27、37、47等の訓練が、円滑に国内でできないために、外国で大部分が現在行なわれております。ということは、私らパイロットにとりまして、まことに残念でございます。
 日本は世界有数の航空機保有国で、しかも国内での乗員の飛行訓練が円滑にできないというようなことは、おそらく日本だけではないでしょうか。訓練に適した飛行場は国内だけでも二十カ所近くございます。その中で、基礎訓練はもちろん、ターボプロップでもジェット機についてもできる飛行場がございません。
 私はこの機会に国会議員の諸先生方のお力で、日本の航空界の安全性の向上という国家的見地から、国の所有するこれらの飛行場を、時日と場所を限定して、訓練に使用できるよう特別のお力添えを切にお願い申し上げる次第でございます。
 最後に、産業航空用飛行場の確保についてのお願いでございます。
 東京、大阪の空港におきましては、報道関係以外の小型機は使用できません。大阪におきましては、近くの八尾空港が産業航空用の空港として使用されておりますが、東京におきましては、暫定的に調布の空港のみが使用を許可されており、いま産業航空の二十数社所属の約百二十機が、この狭い飛行場を基地として使用しております。しかしながら、使用できる期間があと一年足らずとなってまいりました。地域住民の人たちの意向も尊重しなければならないことはもちろんでございますが、産業航空もまた国にとっては必要な事業でございます。この調布飛行場の今後の継続使用をはかるなり、あるいは適当な代替地の選定に御尽力をいただくなりして、現在修理もできないで荒廃状態にある滑走路を使用している現況を改善していただきまして、安全な飛行作業ができますように、格別の御尽力をお願い申し上げる次第でございます。
 私たちパイロットは、今後事故の絶滅を期しまして、一そうの安全運航に精進いたすべく深く期するところがございます。何とぞ、国におかれましても、航空の安全のための施策を十分に実施され、推進していただきたくお願い申し上げまして私のお願いをこれで終わります(拍手)
○久保委員長 次に、田村啓介参考人。
○田村参考人 民間航空労働組合幹事の田村啓介でございます。
 航空機事故が起きますと、必ずといっていいほどとうとい人命と財産が失われます。そしてその中には、乗員の生命も含まれております。航空の安全の問題は、国民の生命と財産を守ることだけではなくて、乗員の命を守る問題でもあるわけです。また同時に、安全の問題については現場の乗員が一番実態を知っているのではないでしょうか。本日は、現場の声を中心に、主として日本航空の問題を中心に、諸先生方に現場の声を聞いていただきたいと思いまして、意見を開陳させていただきます。
 一昨日、十六日の朝刊によると、日航機がニューデリーで空港を誤認したのではないか、こういう報道がされております。日本航空乗員組合は、昨年七月三日、南回りヨーロッパ線において、空港周辺で位置不明になるケースがニューデリー及びテヘランにおいてあったと報告をされておるが同路線の航法援助施設を再点検し、不良のものがあれば公表することと会社に要求しました。しかし、現在に至るも会社はこれを無視しております。
 組合のアンケートによると、七五%の乗員が、現場の乗員の声が無視されていると言っていますが、会社が現場の乗員の声を無視しているために日本航空の乗員は、この春闘で初めて安全向上の要求にスト権を立てております。しかし会社は、団体交渉にも応じておりません。
 このように空の安全の問題が労使間の紛争の種になる、これはなぜでしょうか。それは、国民に対し、空の安全を保障し、必要な基準を定め、企業に対し、指導、監督を行なう責任のある運輸省が、その責任を果たしでいないからです。
 たとえば航空法第百四条及び施行規則二百十六条により、具体的な安全上の基準になるはずの運航規程、整備規程は、事実上基準になっておりません。具体的な基準は、これら規程の付属書として企業にまかされているのが現状です。
 航空安全推進連絡会議が、今年三月日本の各社乗員から集約したアンケートによると、会社の訓練体制は低下しているとしたものが四七%、訓練時間が少なく実機訓練が不足であるとしたものが六七%にのぼっております。また昨年九月には、日本航空の乗員の八五%が、全般に教育訓練時間が少な過ぎると訴えております。
 組合の調査によると、日本航空における機長昇格の際の教育訓練は、昭和四十二年十月には、地上教育九十六時間、シュミレーター訓練二十時間、実機訓練十八時間であったものが、昭和四十六年十月には、地上教育二十六時間、シュミレーター訓練十六時間、実機訓練十時間と短縮されております。この結果、・短縮された訓練を何とか自分のものにするために、日本航空の乗員は、ある人は訓練所のそばの旅館に泊まり込んで自習をしております。
 そして、このような訓練の短縮の方針は、昭和四十三年四月、会社方針が述べられている「運航の課題」と称するパンフレットの中で明らかにされております。会社はこの中で「国際競争に勝つ為には徹底したコスト・ダウンを押し進めなくてはならない。その対象は整備と訓練であり、整備に於いてはオーバーホール、改修等の機材の無駄をはぶき、稼動率を上げる。訓練については、高価な実機訓練はそのコストだけでなく、機材の稼動率を低下させるので減少させてゆく」と言っております。そして小田切元運航担当重役は、「将来は実機訓練をゼロにすべきだ」とまで言い切っております。このような訓練の短縮は、企業がきめて運輸省航空局に届け出をすればよいことになっております。モスクワ事故のあとでは、届け出から承認に変わっておりますが、実態は変わっていないというのが実情でございます。
 また日本航空においては、日本航空だけにあるセカンドオフィサー制度を導入することを、先ほど申し上げましたパンフレットの中で述べております。そしてそのパンフレットによりますと、「もし航空局により認可されれば、新しいシステムエンジニアの教育が約六カ月で行なわれるようになる。従来のフライトエンジニアの教育は約二年から二年半を要した」と言っております。ここにも運輸省が企業の要請に応じて基準を変えている、そういう姿が具体的に示されているのではないでしょうか。
 このセカンドオフィサー制度については、日本航空の乗員の九一・三%が、現在の教育では不十分である、八七・五%が、セカンドオフィサー制度は日本航空の安全向上に役立っていないと答えております。また会社も、この問題については、セカンドオフィサーの技量は落ちているが、安全の最低線は確保している、このように答えております。
 そして、一連の事故のあとでも、会社は、訓練簡略、セカンドオフィサー制度など、こういう昭和四十三年の四月に会社が発表しました方針についての組合の質問に対し、「どの点が弊害となり事故につながったかはっきりわからないので、コストダウンなどその「運航の課題」に掲げてある方針は悪くないと思う」と答えております。
 整備規程についても同様な状態があるため、日本の乗員は、運航許容基準、エンジン点検間隔の延長、飛行前後の点検の簡略化に不安を持ち、日本航空の乗員も、七二%が運航許容基準が多過ぎるなど整備が不十分なことがあると言っております。
 しかも、先ほど申し上げましたような、このようなゆるやかな規程さえ守られていないことがあります。ボンベイ事故では、副操縦士も処分されましたが、この副操縦士は、運航規程〇四−〇四−〇二に定められた慣熟訓練、つまりルートの状態になれるために、実際に勤務につく前に、一回あるいは二回その路線になれるために乗務をしなければならないわけですが、その慣熟訓練を行なわないままに乗務しております。
 このように、運輸省が監督責任についてどのように考えているのか、一体基準はどうなっているのか、こういった問題に対して私どもは疑問を持たざるを得ません。
 そして、先ほど申し上げましたように、乗員の生命が直接国民の生命、財産に関係を持ち、また同時に、乗員の生命にも関係を時つ以上、どうしても安全の問題については現場の乗員が組合を通じて問題を提起していかざるを得ないような状態になっています。
 しかし、日本航空では、ものの言えない暗い職場と言われるほど労使関係が悪く、アンケートにも、九五%の乗員が、安全の基礎になる労使関係が非常に気になっている、あるいはあまりよくないと答えております。
 その大きな原因は、日本航空には数多くの不当労働行為事件があるからです。昭和四十年に、日本航空乗員組合役員四名が解雇されましたが、この問題については、会社は、裁判所あるいは労働委員会ですでに二十一回も解雇無効という判決あるいは命令を受けているにもかかわらず、ただ単に裁判を取り下げただけで、解雇事件の全面的な解決を行なっておりません。また、この二十一回の命令の中には、三回、六百万円の過料支払いさえ命ぜられております。
 同時に、最近の例では、ボンベイ事故の際に、組合が安全の問題についてアンケートを集めました。しかし、このアンケートを集めると、いろいろ現場の乗員の声が反映される、こういうことをおそれたのであろうと思われますが、会社の重役が、「アンケートをとるなどは乗員の敵である」あるいは機長に対しては、会社の文書によって、「アンケートに答えるな」こういうことを言っております。このように、現場の乗員が安全の問題について自由にものが言えない状況があるのが実情でございます。
 また、安全の問題については、機長がたいへん大きな責任を持っております。しかし、日本航空においては、昭和四十四年九月以降、機長は全員管理職になっております。同時に、会社は、組合員になることを認めておりません。このときに組合が行なったアンケートによりますと、八八%の機長が「機長を管理職にするのは組合対策だ」こう答えております。
 先日も、東京発香港便のジャンボ機の出発が遅延したわけですけれども、機長以外の乗員は交代しました。しかし、機長は交代せずに出発したという事実がございます。これはなぜかといいますと、機長は組合員じゃございませんから、機長の勤務条件等については、組合と会社との間の協定が適用されておりません。その結果、運航規程の制限が適用されておるわけです。この運航規程の内容は、組合と会社の協定よりも内容が悪くなっております。
 しかし、このような乗員の勤務あるいは休養に関する現在のようなきめ方は、昭和三十五年にジュネーブで開催され、日本国政府代表、企業代表及び労働者代表が賛成したILO民間航空特別会議の決議、すなわち、乗員の勤務と休養は安全に密接な関係がある、だから国のレベルで労使双方の合意をもって決定し、それを国全体に及ぼすことが望ましい、こういう決議に反するものです。
 また、パーサー、スチュワーデス等の客室乗務員も、事故のあとの組合のアンケートに対し、九八%が「安全について不安がある」八三%が「連続事故のあとも会社の安全対策には改善が見られない」と答えております。そうして四一・九%が「会社をやめたい」こう言っております。
 空の安全を向上させるためには、実際に現場で仕事をして安全の問題について最もよく知っている現場の乗員の声を尊重し、そして、現場の乗員が自由に発言できる明るい職場がどうしても必要なんではないでしょうか。そうして、そういう現場の声を運輸省、企業が誠実に実行しようとする、そういう態度が必要なんではないでしょうか。
 残念ながら、現在会社が行なっております安全対策については、現場の乗員は多くの批判を持っております。
 たとえば特命審査等の基準は明らかになっておりません。ですから、会社のチェッカーと申します技量を審査する人が、おまえはもう一人で飛んでもよい、こういうことを言って乗務さした人が一週間後に落ちております。
 こういう状態であるために、今回の会社の方針について、現場の乗員は、安全対策という形では残念ながら受け取っていないのが実情でございます。
 以上です。(拍手)
○久保委員長 次に、若月司郎君。
○若月参考人 御紹介にあずかりました、全交運幹事の若月でございます。
 私は、同時に日本航空空労働組合の委員長もやっておりますので、民間航空の整備の現場の労働者がどういう要求を持っているのか、その辺を中心に意見を述べたいと思います。
 私たちが整備の問題を考える際には、乗客の安全と私たちの労働やあるいは職場環境が密接かつ不可分な関係にある、こういう考えに立っているわけです。そういう意味で、航空機整備の現状と経営者の安全の姿勢について意見を述べてみたいと思います。
 まず第一点に、整備の現場の労働者がどういうふうな点に不安を持っているか、こういう問題でございます。
 私たちは、昨年の連続事故以降、整備現場から不安全要素を一掃するため、ことしの二月から三月初旬にかけまして、国内運航三社を中心に、千三百六十六名の整備士から安全アンケートを回収いたしました。その結果を要約し、特徴点をあげてみますと、三つあります。
 一つは、整備時間が時間がなくキャリーオーバーしている、こう答えている者が六八%もいます。すなわち故障を持ったまま空を飛んでいる、こういうことだろうと思います。八六%の人が、空港における整備時間、ステイタイムというふうに申しておりますが、これの延長を要求しています。さらに整備員の絶対的不足を訴えている反面、定時制の確保が要求されるために、約二〇%にわたる人が作業の一部を省略している、そういうふうな答えをあげています。
 第二番目に、教育の問題についても不満や要求が強く、三〇%ないし四〇%の人が、教育施設の不備あるいは訓練時間が少ない、会社に教育をやる気がないのではないか、こういうふうな指摘をしています。そして六五%の人が、人員不足で教育に出られなくて、この結果、自分の家庭で勉強したり、あるいはそれができない人は、そのまま技術スキルと申しますか、そういうものが低下している、こういうことを言っています。
 第三番目には、最近の整備方式について不安を持っている人が四〇%もあり、これが安全性の阻害になっているんだ、ぜひこの点を改善してもらいたい、こういうふうに言っています。
 それでは、これら整備員が指摘する問題がほんとうなのだろうかどうか、この辺について最近新聞紙上等をにぎわしている幾つかの事故の例を考えながら御指摘したいと思います。ほぼこの三つの要素は、直接的な原因になっているかあるいはその原因の要因になっているか、こういうふうなところがうかがわれます。
 まず教育不足や訓練制度の改悪から来る典型的な例として、日本時間のことしの一月二日、日航のジャンボが、たぶんサンフランシスコだと思いますが、ランディング・ギア、足の故障を起こしました。この直接の原因は部品を間違って取りつけた、こういうふうなものです。よく調べてみますと、日本航空の会社が認めていることなんですが、なぜ取りつけを間違えたのか、この問題は教育、訓練が不足していたということと、それから二重で確認すべき検査行為をしなかった、その点を反省として打ち出しています。
 それから、人員不足による事故ですね。この問題もやはり一月一日羽田発のパンアメリカンのジャンボジェット機なんですが、ドアロックを十分に締めなかった、あるいは半ドアのまま空港を出発しました。途中でそれがわかって羽田へ引き返してきたわけですが、その際、私ども組合で作業員がどれくらいいたのかということを調査したわけですが、わずか二名でした。二名の作業員でやっていたわけです。この状態は、私どもの調査でも、現状でも変わっていないというふうに現場の労働者は訴えています。私たちの人員不足が乗客の安全を脅かす端的な例ですが、この実態は多少の違いはあっても各社とも似たりよったり、こういうふうに整備現場の人は言っております。
 先生方のほうに参考資料をお配りしているわけです。私ども日本航空の整備員がどれくらいふえているのか、あるいはその整備員の作業状況がどうなっているのかということを示した表がお手元に行っていると思います。その表6を見ていただきますと、日本航空の航空機保有機数は昭和四十年度二十九機だったのが四十六年度は六十八機になっています。ジャンボ等を考えると非常に大きい飛行機も入っているわけですから、単純な数字の比較はできないと思います。
 整備人員はどれくらい伸びているかと申しますと、二千六百二十七人から昭和四十六年では三千七百八十九人、約一・四倍しか伸びていないわけです。
 それからラ整工場、日常の整備作業を点検している工場でございますけれども、最近非常に事故がふえているということが職場の問題になっています。表7で見ていただけると明らかだと思いますけれども、昭和四十三年の人身事故、物件事故あるいは航空機の損傷を含めますと四十八件あります。これが昭和四十六年では七十七件になっています。労働者が負傷のために休んだ休業日数、これが四十三年百四日に対して七千七百四十六日こういうきわめて脅威的な数字を示しているわけです。いわばこの職場環境は私たちの健康をむしばむ、こういう問題だけではなくて、安全の低下につながっているというふうに私どもは考えているわけです。
 それから、整備方式の変更についての安全性の低下、これを指摘したいと思います。これも日本航空のDC8型機、これについて例をとって申し上げたいと思います。
 昨年からことしにかけて、飛行中にエンジンのカバー、カウリングを落とした、こういう事件が新聞でも二回ほど報道されたと思います。さらにエンジンの排気部分のケースにクラックが生じているということが最近多くなっております。私たちが指摘するまでもなく、この原因は、TBO、オーバーホールの期間が長くなった、あるいは定時点検の期間が長くなった、こういうことや、それから、これまでオーバーホールをやっていたものを、故障が出てきたら直すとかあるいは重点部分だけを整備するとか、会社のほうは信頼性管理というふうに言っているわけですけれども、こういう作業実態に変更した、あるいうこういう作業実態に変更し、簡略した結果だ、こういうふうに現場の労働者も言っています。同時にこの辺は、最近問題になり、会社も認めています。DC8型機にこういう信頼性管理による整備方式を採用したことば時期が早かったのではないか、こういうことを言っています。私たちは安全の立場から、こういうふうな整備方式を直ちに中止して、以前行なっていたようなオーバーホールに戻し、安全性の阻害要因を一掃すべきであるというふうに考えております。
 それから、いま具体的には、整備員の不安の問題と事故例を紹介しながら私どもめ分析を申し上げたわけですけれども、航空産業の働く者が、あるいは航空産業にかかわる経営者を含めて、安全確立をする上で基本的な態度とはどういうふうにあるべきか、この問題について意見を述べたいと思います。
 まず、私どもは、これまでの利益第一主義の経営体質、これを改め、安全第一の政策に変更する、これがきわめて重要な時期に来ておるのではないか、かように考えています。
 これも日本航空の例で申し上げますと、表3を見ていただければ明らかだと思いますが、アメリカの会社、イギリスの会社あるいはドイツの会社、こういうところを見ましても、減価償却の期間が日本航空は一番短くとっています。西欧あるいはアメリカの会社は、約倍以上になっているわけです。それから、日本航空のこういう減価償却率を見ますと、表5を見ていただくと明らかだと思いますが、IATA上位六社の中で、日本航空が、整備比率、整備費にかけるお金の比率が一番低い。これは会社の統計資料に出ているわけです。こういう問題もございます。
 こういうふうな、従来とってきた営利第一主義といいますか、もうけ第一主義といいますか、こういう問題を、減価償却費を延ばすなり、あるいは、あるいは広告宣伝、こういう費用に使う金があるなら整備費に回すとか、そういう方向で、少なくともこの比率をパンアメリカン並みなりあるいはBOAC並みなり、この辺まで引き上げていく、こういうことが重要なのではないかと思います。
 もう一つは、先ほど朝田社長の御発言の中で、組合と話をしている、今後やっていきたい、こういうことを言っています。私どもは、昭和四十六年以来、会社に再三にわたって安全問題の要求を提出してきましたが、いまだかつて一度も団体交渉をやったことがございません。残念ながら、私も労働組合の委員長をやっているわけですけれど朝田社長のお顔を直接的に拝見したのはきょうこういう席上で初めて、いわばこういうふうな関係にあるわけです。私は、この問題は、過去にさかのぼりますと非常に根深い会社の分裂攻撃やあるいは日航労組に対する差別攻撃、あるいは会社の気に入らない人は外地まで飛ばす。元日航労組委員長は、九年間、カラチやカイロや、それから現在ナイロビまで飛ばされ、まだ戻されていません。こういうふうな労働組合政策を直ちに改め、謙虚な気持で安全の問題を労働組合と率直に話し合うべきだ、かように考えているわけです。
 もう一つ最後に申し上げますが、会社は安全性の問題について、自社整備体制を確立すべきだ、こういうふうに考えています。昨年の事故以降、残念ながら、整備部門が下請に出されたりあるいはこれまで戦闘機等を整備していた他社の整備員がいま日本航空の職場に入ってきて整備をやっています。これは人員不足を補うための暫定的な措置だ、こう申しておるわけですが、私たちは、それに対してもやはり自社整備を確立し、人員が不足していたらちゃんと補う、こういう方向で解決していただきたい、こういうふうに思っているわけです。
 以上をもちまして私の意見を終わります。(拍手)
○久保委員長 次に、近藤茂一郎君。
○近藤参考人 ただいま御紹介いただきました航空労協、これはエアラインとそれからメーカーの組合を主体といたしまして三万六千ほどで構成しておりますが、それの副議長、それから出身母体といたしましては、日本航空の中の地上職九千名を網羅いたします全日航労組から出ているということでございます。
 私たち航空労協の空の安全に対します基本的な考え方といたしましては、安全の問題というのは、あらゆる意味において大前提の条件であるという観点に立ってすべてのことを処しておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。
 それで、この安全問題に関しましては、われわれは官、民それから労、これが一体となってやるべきでありまして、その過程においては大いなる忌憚のない意見の交換あるいは議論は十分に尽くしていくべきである、こういうふうな考え方で現在やっております。
 それで、まずその三者において安全問題に関しては、ありとあらゆる力、金というものを惜しむべきではないというふうに考えておりますが、まず、官に対して、われわれのほうから見まして要望といいますか、私たちやっております航空産業というものは、これは公共機関でありまして、もちろんそこには需要、お客さまの需要に対応してやっていかなければならぬ、こういう前提条件がありまして、私たちはそれに対し増便なり席数をふやすなりという努力をしてきております。また、定時制の確保ということもまた公共機関としての使命であろうということで、われわれはみんな一体となって安全性を確保するという努力を積み重ねているわけですが、しかしながら現実は、空の混雑あるいは空港の狭溢化等により、われわれの努力がどちらかというと減殺されるということが現実の問題として出ておりまして、こういった需要の伸びに対応し、それからこの過密を解消していくためには、何といいましても、いま申し上げたような点では、空港の新設、拡張それから航行援助、施設の充実をはかるといったような問題はぜひやっていただかなければならないという点があろうかと思います。文明を逆戻りさせてもよいという国民のコンセンサスがない限り、やはり需要に応じた伸びというものは必要ではないか。また、それに伴って空港が必要であるということは言えるのではないかと思いまして、そういったことに関しましては、先ほども申しましたように、十分なお金をかけて、もしそこに空港周辺の方々に与える不利益というものがあるならば、それはやはり補償をいたすべきである。じゃその金はどうするのかということになりましたら、私たちといたしましては、それは一部は国でめんどうを見ていただくということもございましょうが、大部分はこれを利用者負担でやっていってよろしいというふうに考えております。とにもかくにも国の腰を据えた安全対策というものをやはり私たちは望みたいというふうに思っております。
 中でも成田空港の開設がおくれているというようなことは、先ほどもちょっとお話が出ておりました羽田の再開発等々を含め、さらにまた、私たちの仲間もすでに多数成田方面に早々と家を買って越しておる。現在その通勤のために二時間半とかあるいはそれ以上かけて通っているというのが実情でありまして、何といたしましても、この成田空港は、いろいろめんどうな問題はあっても早期開設、これに国が全力をあげてやっていっていただかなければならぬというふうに私たちは考えております。
 それから、企業に対しまして私たちの立場から申し上げておきたいことは、個々の企業内で安全に対して十分な努力を払うということは、これはもちろんでありますけれども、業界の協力関係あるいは秩序を保つということがやはりこれは私は安全への大道であるというふうに考えております。現在いわゆる航空三社の状態を見てみますと、私は乱世の観があるといっても差しつかえないのではないか。政府から出される考え、示達等についても、二転三転させられているというのが私は現実の姿ではないか、あえて言うならば、過当競争があるというふうに申し上げてよろしいのではないかと思います。この三社がもしいまのような状態ではなく、これが力を一つに合わせてやっていくということができるならば、私は、安全の問題に関しましても、外に対してより強力な発言の場をつくっていくことができるであろうし、また、いままでしばしば言われているような営利優先というような考え方も、私はおのずと解消できるんではないかというように考えておりますので、何はともあれ技術面の協力等々、まだまだやることは幾らでもあるわけですから、そういう面からまず手をつけて、私は、こちらにも三社の社長さんいらっしゃるわけでありますから、そういうことからひとつ協調体制、秩序の確立というものをお願いしておきたい、このように思います。
 それから、私たち労働者の立場からでございますが、私たちにとりましては、現場において、自分の働く場所において自分の職責を果たすということが、これが安全への道であるというふうに認識しております。同時に、会社に対しましても、この安全の問題というのは、その責任の一半はわれわれにあるという考え方でもって、私たちも安全に関します提言をいままで行なってまいりましたし、それに対して会社からも回答が出る、さらにわれわれはそれをこれから反論するというような、労使協議制度というものを通じて現在やっておるわけでありまして、まあその中には、運輸省の日航に対する勧告にもありましたが、社内の上下左右の意思の疎通というようなことは、前々から私たちが日本航空の中には意思の疎通というものが欠けているということを指摘しておったこととまさに一致するものでありまして、今後ともこういうような態度でもって私たちは安全の問題に対して取り組んでいくということを申し上げておきたいと思います。
 ところで、次に私は、経営の主体性というものに関して、若干私たちの意見を申し上げておきたいと思います。
 私たち航空労協の仲間に日本航空機製造という会社がございまして、先日来YS11の企業の縮小、あるいは新しいYXの、法人ですが民間輸送機開発協会の設立等にからみまして、若干の人員削減というような事態が起こってまいりました。私たちも非常に心配しまして、航空労協役員でもって日航製のトップと会談するというようなことをやってまいりました。その際私が感じましたことは、全く経営側に主体性がないということでございます。経営側のおっしゃることは、新法人がどうなるかあるいは国の予算がどうなるかわからぬ、だからいま答えができない。あるいはまた、来年以降の見通しについても、それは国の予算のつき次第です、あるいは新法人の発展のしかたいかんです、こういうような返事しかしていただけなかったわけでありまして、そういうところで働いている者にとりましては、自分のいわゆる職場が失われるかどうかというような問題に関してまで、経営のトップがこういうような状態であるということは、不安、疑心暗鬼あるいは労使間の信頼感を欠如するというようなことがあるわけであります。
 これと同じようなことが私は日航の場合にもいえるんではないか。日航の場合には、日航法というものによって、これはことばがあるいは過ぎるかと思いますが、縛られているといってよろしいんではないかと思います。この日航法におきましては、制定当時の大臣の提案趣旨説明あるいは附帯決議等に見られますように、当時二十億の資本金が、すでに四百七十億というような、二十数倍にもなっている。あるいは当時言われました、国際線にあとから参入していくというための意義というようなものは、すでに私は失われてしまっているんではないかというように考えております。安全面の監督というのは、これは航空法によって経理面からもあるいは技術面からも十分チェックし得るところでありますから、特に十二条の二の監督条項等につきましては、これを廃止し、それで大胆、自由濶達な経営が行なえるように私はすべきである。そういうことによって社員の士気というものが向上する。社員の士気の向上ということは、私は安全面に関してきわめてデリケートな、しかし大きなファクターを占めているものであるといって差しつかえないんではないかというふうに感じておるわけであります。
 それからまた、安全運航に携わる人間の問題等等でありますが、運航、整備に関しましては、これは十分な人員の配置をしなければならぬというごとは当然でありますが、それと同時に、こういった職種につきましては、きょう入って明日から全力を出せるという職場ではありませんで、やはりそこには教育訓練を経て経験を積まないと一人前にならないということでございますから、長期的予測のもとに先取りというものをやっていかなければならない。
 また、運航乗員に関しましては、私はその人たちが十分自信が持てるまでの訓練というものはやるべきであるというふうに考えておりますが、それと同時に、やはり途中の段階におけるチェックといったようなものも厳格にすべきだと思いますし、訓練の一環としては、全人格的な教育といったものも私は必要であるというふうに考えております。と申しますのは、安全の問題というのは、ある瞬間において、ある場面において、ある個人の良識とそれから判断力に負うところがまことに大きなものがある。これは何も運航乗員だけに限らず、それは整備の人間についてもいえるということでありますから、私はそういった全人格的な教育というものが、そういった判断力あるいは良識というものを、常識というものを養うのに非常に有益である、かように信じておりますので、どうかそういった面についても十分な配慮をすべきである、かように私たちとしては考えておる次第でございます。
 以上で終わります。(拍手)
○久保委員長 次に、井戸参考人。
○井戸参考人 ただいま御紹介にあずかりました井戸でございます。きょう御出席の参考人の中で航空事業に直接関係しておりませんのは私一人でございまして、ほんとうは私のほうから質問を参考人のほうにしたいところでございますが、とりあえず私の意見を述べさせていただきまして、御批判を仰ぎたい、こう思っております。
 御承知のように、先ほど委員長からお話もございましたように、現代の航空というのは、昔と違いまして、飛行機とパイロットがあれば飛ぶというものではございません。したがいまして、航空の安全ということを考えますと、これはもういろいろな機能、これがすべて計画どおり動いてくれないと成り立たないものでございます。また、そういったことを踏まえませんと、ある事故が起こったといって、直ちにその事故の核心を突くという、原因をつかむわけにはいかない、こう思うわけでございます。
 ひとつ日本の航空というのは一体安全なのかどうかということを、世界の状態と比べてちょっと申し上げてみたいと思います。
 飛行機も非常に発達した科学技術にささえられまして、いろいろな安全性を講じて設計されており、またこれを働かせる場合も、十分な使用上の注意あるいは考慮が払われて運航されているわけでございますが、やはり人間がつくった機械を人間が扱うという限りでは、ある程度事故が起こるのはこれはもうやむを得ないというのがこれまでの世界の航空の現状でございます。
 では、一体どのくらいで事故が起こるか。専門用語でトータルロスという、飛行機がめちゃくちゃにこわれて使えなくなる、つまり全損事故が発生するのは、ジェット機でいままでどのくらいあったかということを調べてまいりました。そうしますと、昭和三十四年から昨年の末までで、世界の定期航空のジェット機で百七十三件全損事故が起こっております。そのうち七〇%は死亡者を伴う事故になっております。
 その十四年間でどのくらいジェット機が飛んだかと申しますと、約七千三百万時間飛んでおります。そうしますと、ほぼ四十二万時間飛行ごとに一件全損事故が起こる。また、六十万時間ごとに死亡者を伴う事故が一件起こっている。これは、現在の科学技術では予測できないいろいろなファクターがございまして、これのために、あるいはほかの要因と重なって、これだけ起こることは、これはもうやむを得ないというところになっております。
 わが国の定期航空のジェット機というのはどのぐらい飛んでいるかと申しますと、最近一年間でほぼ四十五万時間でございますから、したがってわが国では一年に一回全損事故が起これば世界の平均値であるというふうに考えなければならないかと思います。それに対して、日本のこれまでの実績はどうかといいますと、この十四年ほどの間に日本の民間航空ジェット機の全損事故は十件ございます。これを時間に直しますと十四万六千三百万時間に一件。それから、死亡者を伴うものでは、訓練中のものを含めまして六件ございます。これで事故率をはじき出しますと、二十五万時間弱につき一件。これは世界の平均値に比べまして、事故率が非常に高い。まことに恥ずかしい現状でございます。訓練中のものを除きましても、つまり乗客もなくなられるという事故はほぼ三十六万時間に一件起こっております。したがって、これまた世界の平均値に比べまして著しく高い事故率を示しているわけでございます。
 航空事故が発生するたびに、その原因につきまして、パイロットミスとか、あるいは機体の欠陥ということがすぐ取りざたされるわけでございますが、そういったごく局部的な欠陥あるいは問題というものが、一体日本における航空事故の高い発生率を物語るものであるかどうかということは、よく考えてみなければいけないわけでございます。なぜわが国の民間航空の事故発生率が高いかという点こそ、この事故原因探求の核心であるというふうにいわなければいけないわけで、その因果関係も含めて解明する必要があるかと思うわけでございます。それなくして、この事故率の低減、世界の水準に近づけるということは不可能ではないか、こう考えているわけでございます。
 それで、特に指摘したい点は、過去十数年にわたりまして、わが国の民間航空では非常に多数の外国人が飛行実務に携わっておりますが、ジェット機事故に直接関係があるというのは一件もないということは、われわれ謙虚に反省しなければならないのではないか。それから、外国人の勤務状態にわれわれは学ぶところが多いんではないかということも指摘したいと思います。
 次に、航空機以外の関連についてながめてみますと、空港内外の諸機能、航空管制あるいは支援組織の内容、その質、そういったものもすべてこの事故の発生率の高さに関係があると私は考えております。したがって、われわれは、やはり航空安全を確保するためには、ごく局部的な点検あるいはその調査ということでなく、もっと多角的な、現代の大システムにマッチした調査あるいは研究というものが行なわれなければならない、こう考えているわけでございます。
 たとえば航空管制にいたしましても、航空管制官は、空港の混雑さにまぎれて、非常に冷静で沈着な操作をやらなければならない着陸の進入の際に、ヒステリックにどなっていないか。それがためにパイロットは冷静さを忘れ、あせりあるいは忘却というようなことにつながるわけでございます。
 またわが国の空港の建物を見ますと、これまたまことに雑然としている。特に羽田の出発ロビーの混雑さは世界でもまれに見るものがございます。このために旅客の乗りおくれがある。このために出発便がおくれて、パイロットは心理的な圧力を受ける、あるいは目的地の空港で、その時間おくれがまた次の別のトラブルを起こす。実際にそういったことで事故が発生した例を私は知っております。しかるに、羽田の空港その他の空港ビルのどまん中で航空と無縁の商業活動が公然と行なわれている。これのため、乗客の通行あるいは航空会社の職員の通行が妨げられている。われわれは、航空安全の確保というものはそういう足元から見直していかなければならない。われわれの周辺には、利用者もあるいは事業経営者も含めて、みんなが指摘し合って直していくべきところが非常に多い。ほんとうに混乱のきわみであります。したがって、できるところから早急にやっていく。
 先ほど来労組の方々からお話がございましたが実は、最近出ました新聞の、ある航空会社のベースアップの内容を見まして、私はがく然としたわけであります。まさに私の大学の助手の基本給の二倍に近いベースアップが行なわれておる。にもかかわらず、航空の安全の確保に本気になっているんだろうかということで、私は憤りをもってながめているわけでございます。したがいまして、諸先生におかれましては、この航空安全の確保はわれわれの足元からやっていかなければならないということをぜひ御認識いただきまして、ごく局部的なパイロットミスあるいは整備ミスを責めずに、総合的な見地から御判断いただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○久保委員長 どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
○久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野中英二君。
○野中委員 本日は、参考人の皆さん方には、貴重な意見を賜わりまして、まことにありがとうございました。
 御承知のとおり、特定会社にとどまらず、航空安全というマクロ的な立場においてお聞きいたしたかったわけでございますけれども、人によっては、民間航空労働組合連絡会の立場での意見ではなく、特定会社の意見にとどまってしまったことははなはだ遺憾でありました。
 私は、自由民主党を代表して、参考人の皆さん方に二、三御質問を申し上げたいと思います。
 まず最初に、井戸参考人に承りたいと思います。
 たいへん先生の御意見は示唆に富んだ、私どもがほんとうに足元から見直さなければならぬということを再認識いたしたわけでございますが、企業というものは人であるということを考えましたときに、航空安全という立場において占めておりますところの人の役割り、しかも今日の科学の粋を集めました航空機、これが御存じのとおりシステム的に動いていく、こういうことを考えますと単に人と機材というように二つに分けることははなはだ大胆であろうと思うのでございますけれども、あえて人と機材、こういうふうに区分いたしましたときに、先生はどちらを従とされるのか、まず最初に承りたいと思うのです。
○井戸参考人 お答え申し上げます。
 ただいま先生の御指摘になりました人間と機械という重大性の問題でございますが、私、常々マン・マシン・システムと申しまして、人間と機械とがこん然一体になってある機能を果たす。つまり非常に多数の人命、財産を安全に目的地に運ぶという機能を果たすためには、これは分離すべきものではない。やはり人間と機械が一体になって、与えられた使命を達成するというところに邁進していくということがまず大切かと思います。初期の飛行機はそれに欠けておりましたために、人間と機械の間にそごがございまして、そしてむしろ事故率が高かった。最近の飛行機になりますと、人間工学的にもインテグレーションと申しますか融合と申しますか、そういった点が非常に注意深く設計の上で配慮されておりまして、かりに人間が間違った操作をしても事前にチェックしてくれるという機能を持った飛行機もあらわれております。このためにある機種では、二百万時間をこしてようやく、ようやくと申しますとちょっと語弊がございますが、死亡事故が一件出たというすばらしい飛行機も出現しています。したがいまして人間と機械は特に航空の場合は切り離して考えるべきではないというのが私の意見でございます。
○野中委員 いま御意見を承りまして、人と機材は切り離すべきでない、こういうことでございましたが、これを私のほうは一括して質問してまいりますと時間がかかりますので、分離してまず御質問したいと思います。
 先生が中央公論にこういう副題で出されております。「粗悪な種子はいくら良い土壌を用意しても駄目なことはもはや証明されつくしているのだ」と主張されておりますが、この観点から、現在の日本人航空乗員について御意見を賜わりたい、こう思うのです。
○井戸参考人 お答え申し上げます。
 その副題は、実は私がつけたのではなくて、編集者のほうがつけましたが、私も教育の場に立っておりまして、常々その点を痛感しているのでございますが、この世の中は非常に複雑でございまして、実は大学教育を受けるべきでない学生も多数大学に入学しているというのが実情でございまして、特に教育の立場からすれば、なるべく広い向学の士に高い教育を授けるということは非常にいいことでございますが、航空の場合は、先ほども申し上げましたように、多数の人命、財産を預かる、その輸送に当たるという点から申しまして、やはり高度にセレクトされた人間が当たるべきであろう、こう考えるわけでございます。特にわが国では、まだ欧米に比べまして航空便数もそれほど多くない、それから飛行している航空機もまだ欧米で現在実用にされているよりは比較的小さなものが多数飛んでいるということから考えまして、非常に高度なシステム的な観察能力あるいは理解能力を持った人間は、もううんと極力セレクトして、そしてその任に当たらせるということがまず大切かと思うわけでございます。したがいまして、この能力に欠けた人間に幾ら訓練を施しても、これはだめなんじゃないか。つまり訓練の延長というものは、ちょうど学校でいいます試験を何回もやり直してやる、しかも同じ問題をそのつど出してやれば最後にはできるわけでございまして、これは航空の場合はおかしいのではないか。できる者は早くできるはずだというのが私の考え方でございます。したがいまして、航空人に与えられた社会的な責務ということを考えますと、それくらいきびしい選定が行なわれてしかるべきではないのかというのが私の意見であります。
○野中委員 先ほど井戸参考人は、外人操縦士のときにはジェット機の事故は一件もなかった、こういうことを言われておるわけでございます。また先生の論文を見ますと、まことにこれがぴったりきているわけです。したがって、このためにはどうしても人間の、乗務員の素質あるいは再審査こういうものが必要なんじゃないかという気がしているわけでございますが、井戸参考人の意見をもう一度確認をしておきたい、こう思うのでございます。
○井戸参考人 いま御指摘の点でございますが、あるいは非常に誤解を招いている向きもあるかと思いますので、この際明確にしておきたいと思います。
 必ずしも外国人だから絶対事故をやらないということではございませんし、また実際に、昨年末マイアミで墜落いたしましたエアバス機、あの操縦していたキャプテンは実に二万九千時間の飛行経歴を持っている。また数年前羽田空港に着陸の際墜落いたしましたカナダ太平洋航空のキャプテンも、これも二万七千時間の経歴を持っている。それぞれりっぱな経歴を持った外国人でさえもやはり事故を起こすことはあり得る。これは、その人間の責任だけに責めらるべきではないというのは、先ほど私が申し上げたとおり、もっと多角的に扱っていかなければならない問題ではないか。ただ、日本におきますいろいろな諸慣習、これから考えますと、やはりわれわれはまだ欧米の人間に見習うべき点が非常に多いのではないか。特に航空機のような非常に高度に発達した大型なシステムというものの彼らの取り組み方、どうも日本人はやることは非常に器用でございますが、大きな器用に欠けているのではないか。一例を申しますと、現代のジェット機というのは、単に操縦桿を常に握りしめて、そして飛行しているというものではなくて、いろいろなシステムをモニターしながら飛行しているわけでございますから、その注意配分のしかた、そういったものにやはり日本人は学ぶべき点が非常に多いんではないか、こういう観点から申し上げているわけでございます。
○野中委員 この論文を見ますと、実は日航が赤字経営のために、合理化をするためには外人パイロットを追放しなければならぬ、こういうことで松尾社長がやったんだというような意味のことが書いてあるわけです。それはそれとして、私はほんとうにこの日本人が素質がないのか、ないならば、その上に立ってこれは検討していかなければならぬ、人命尊重のためにはやむを得ないことだ、こういうふうに考えておったわけでございますが、いまお聞きしますと、たいへんこの論文とニュアンスが変わってこられております。結局、日本人の中にも素質ある乗員であるならば、これを訓練助長することによって交通安全は期し得られる、しかも、このシステムの中でどう動くべきかというような機敏な先天的な能力というようなものもございますでしょうけれども、そういうものを見出し得て、その天性というものを伸ばし得るならば可能である、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
 それでは次に、先ほど園山、若月参考人あるいはまた近藤さんから御意見を賜わったのでございます。それは特に、設備の不備であるとか、あるいは訓練時間の不足であるとか、人員の不足であるとか、幾つかこうお述べになられましたけれども、大体集約いたしますと、設備の不備とか訓練時間の不足とか人員の不足とかということになるのですが、そこでまた恐縮ですが、井戸参考人にお尋ねするのです。
 日本航空運航乗員組合と日本航空乗員組合が昨年十月五日に「日航乗員の現状と問題点」という問題提起を行なっているのでありますが、その中で「会社は急激な成長をしていながら、経費節減の上から養成に時間のかかる乗員や整備士に対する教育、訓練は年々簡略化され、養成が追いつかず著しい労働強化が行なわれている」と言っているのです。これを参考人に、諸外国の航空事業と比較して、この組合の主張は正しいかどうかお聞かせ願いたい、こう思うのです。
○井戸参考人 私、その組合の文書を見ておりませんので、はっきりあれしておりませんが、単純な比較になるかと思いますが、日本航空で行なわれております訓練計画といいますか、訓練のやり方というものは、これは世界の水準に比べて遜色ない。私は、先々月も欧米を回りまして、航空関係者にチェックしておるところを確認いたしました。ただ問題は、日本人の持っている特有な性質というものに合わせた訓練のしかたというものがやはりあるのではないかという指摘を受けたわけでございます。したがいまして、そういった点がどのくらい現在の訓練基準というものに盛り込まれておるか、私はまだ時間がなくて検討しておりませんが、一応そういうことでございます。
○野中委員 井戸参考人のこの中央公論における論文を見ますと、日航は訓練費を年間約九十億、全日空で約四十億、乗務訓練費は全営業費用の五%から六%を占めている、欧米の標準である約一・五%をはるかに上回ると書いてあります。きょうは遠慮されておるのですか。もう一度確認をしておきたい。
○井戸参考人 念のためにその点補足させていただきますが、特にアメリカの航空会社、たとえばパンアメリカン航空などでは、たとえばキャプテンの飛行経歴を調べてみますと、ほぼ九〇%ちょっとオーバーするくらいが、実はアメリカ空軍あるいはアメリカ海軍というところで相当な飛行経歴を持っておるわけでございます。日本の場合は、そういった基礎づくりといいますか、あるいはさらにジェット機で訓練された者が民間航空に移っていく率が非常に低い点がその費用との比較になったのではないか、こういうふうに考えております。したがいまして、日本の航空会社が訓練のために費やしている金額というものはかなりの額ではございますが、そういうハンディキャップがあるという点をぜひ御理解いただきたいと思います。
○野中委員 井戸さん、ありがとうございました。
 時間の関係で飛びますが、まず日本航空の朝田参考人にお聞きいたします。
 「民間航空三首脳に聞く」こういうことが中央公論に出ているのでありますが、おたくはこういうことを言っているのですね、「経営と安全の調和を求める努力をしたい。」ということが書いてある。「経営と安全の調和」ということを言っているのですね。安全第一とおたくの会社は社是できまっているんだ。それを「経営と安全の調和」を期していきたいと書いてある。若狭社長のほうは、これはまことに私にはぴんとくるのですが、「公益性に伴う社会責任遂行で、安全は経営基調以前の当然の前提」である、こういうことを言っておりますし、きょうもまたそれと同じようなことを若狭さんはおっしゃっておられた。けれどもおたくは、これを「調和」ということになれば、七、三にいくのか、経営が七か、安全が三なのか、それとも安全が九なのか、経営が一なのか、安全第一をモットーとされる社長が、こういう座談会で言っていらっしゃるということはどちらに重点があるのか、確かめておきたい、こう思うのです。
○朝田参考人 私は、きょう冒頭にお話を申し上げましたように、私どもの航空運送事業の絶対的な命題は、安全性の確保であるということを申し上げました。創業以来、これにファーストプライオリティーを置いて事業計画その他すべてそういういう観点から作成、樹立をして実行をいたしております。私はその座談会の表現が正確ではないということを申し上げておきたいのでありますが、私が就任をいたしましたのはつい二年足らず前でございますが、私は安全性については何ものにも妥協しない。かたくななと言われても、私はこれを第一義にものを考えて、絶対命題としてこれを遂行していくのだ。こういうことは全社員に就任の際にも申し述べております。そういうことで御了承をいただきたいと思います。
○野中委員 時間がありませんので、もう一点だけにしぼります。
 昭和四十八年の二月一日に、運輸大臣から日本航空社長あてに、「安全通行確保のための業務改善について」という文書が出されております。御存じだと思います。これを組合の方はどういうふうに受けとめられておるのか。特に「運航部門のみならず、全社的に上下、左右各分野の意思疎通が相互の信頼関係のもとに円滑に行なわれるための有効な措置を講ずること」という点について、日航には五つの組合があるというふうに聞いておりますが、その相互関係はどういうふうになっておるのでしょうか。
○田村参考人 ただいまの御質問の趣旨が、私、あまりよくわからないのでございますが、組合が五つあるのはどういうようにできてきたのかという、こういう御質問でございますか。それとも上下、左右の……。
○野中委員 その関係がどういうふうになっているか。
○田村参考人 組合が五つあるということと意思疎通がどういう関係になっているだろうかということでございますか。――私、先ほどの陳述で申し上げたわけですけれども、意思疎通と申しましても、それはほんとうに現場で意思疎通が行なわれているかどうか、こういうことで私申し上げたわけです。ですから、確かに改善命令、私もお読みしたわけですが、上下左右の意思疎通が重要である、こういうことは会社はおっしゃっているわけですけれども、実態上の問題を申し上げると、たとえばいやなことばですけれども、先ほどの解雇等の問題とのかかわり合いで、一ころ乗員の間では「匍匐前進」、こういうことばがあったのでございます。どういうことかと申し上げますと、乗員が日本航空の会社に出てまいった場合に、乗員が一人一人メールボックス、つまり会社のいろいろな文書が配布されるわけですけれども、そういう箱がずっと置いてあるわけです。そして乗務のたびにそこに出頭するわけでございますが、そのちょうど向こう側に会社の部長以下の管理職の方がたくさんおられるので、どうしてもそういうえらい方とは目を合わせたり何かしたくない。だから、ことばは悪いけれども、箱の前では匍匐前進するのだ、こういったようなことを言うような乗員がいたということで、事実で申し上げたわけでございますが、残念ながら会社のほうは上下左右の意思疎通が重要であると言い、私もそのように思います。しかし、実際に現場ではどうなのかという問題になりますと、やはりそれは会社のほうがおっしゃっているだけであって、実際に現場では、先ほど申し上げました、自由な、特に安全の問題について乗員が自由に発言できる、こういう雰囲気がない、こういうことをやはり申し上げざるを得ないのは残念であると思います。
○野中委員 これで私の質問は終わりますが、先ほど近藤参考人のほうから、労使間の意思疎通をはかっていきたい、こういうことを強調されておりましたが、ぜひ交通安全のためにも、労使の信頼性の上に立って、お互いに意思疎通をはかって、交通安全を期していっていただきたいということを心から念願いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○久保委員長 井上君。
○井上(泉)委員 各たくさんの方からいろいろと貴重な御意見をいただいたわけでありますが、そのすべては安全第一ということを否定をした御意見はだれ一人としてなかったわけで、安全を中心にしていろいろな欠点、欠陥あるいはまたなすべきこと、そういう点を指摘をされて、私ども非常に参考になるわけでありますけれども、しかしながら、これを参考人に一々十分にお伺いすることは時間的に許されませんが、まず第一に日航の社長さんに伺います。
 私は、社長が全体的の統括の責任者であるからといって、何も社長が万能でなくてはならないというわけではないと思います。会社という一つの体制の中で、それぞれの者が責任分野を分担をし合って、そしてそれを社長が統括していく中に社長としての価値があろうと思います。そういう点からも、どうも日航の中には、社内体制というものの統括ということについて欠けておるものがありはしないか。たとえば、いま最後に、野中先生の質問の中にも、一つの会社の中に組合が五つもあるなんという、そんな会社の状態、これは全くお話にならぬと思います。そういう点について、社長はどうお考えになっておるのか承りたい。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 航空会社の従業員の職種が多岐にわたっておることは御承知のとおりでございますから、乗務員にいたしましてもコックピットクルー、操縦運行乗員、客室乗員、スチュワード、スチュワーデスという接客業務を扱っておる者もございますし、地上におきまして一般の管理事務、あるいはまた整備部門におきまするところの地上職員、こういうことで、やはり機能別に労働組合というものが発生をして成長をしていくということはやむを得ないところだと私は思います。ただそれでは三つあればいいじゃないかということになりますが、ここで二つよけいにあるじゃないか。その点につきましては、八年、九年前のいわゆる乗員の解雇問題から端を発しまして、私はほんとに好ましくない事態だと思っておりますけれども、そういう悲しむべき事態が続いたことは御指摘のとおりでございまして、私は、こういう事態の改善に、いま安全を前にしてあらゆるしこりがあればそれを取り除いていく。私は、前の組合だからどうのこうの、こういうようなことを申し上げるつもりもありませんし、そういう考えも持っておりません。そういう証拠に、長年の係争事件でありました最高裁にかかっておりました組合関係の訴訟も、私自身の判断でこれを取り下げた。そしてまた、その他の行政処分に対する訴訟も取り下げた。こういうことでございますので、安全の前にはしこりとなるものは一切取り除いていく、こういう考えでおります。
○井上(泉)委員 まことにお話はけっこうでありますが、そのお話を実際具体的な行動にあらわしていただきたいと思います。
 そこで、たとえば、全日空も一諸でありますが、日本航空が業務改善の具体策、こういうものを、五つの組合なら五つの組合のそれぞれの社員との間によく話をされたものかどうか。時間がないのでひとつ簡単にあるかないかということだけ。
○朝田参考人 お答えをいたします。組合からも安全に関する要求、提言というものが出ております。私どもも、そういうことを十分に配慮をいたしまして安全対策を確立したわけでございますが、その後に至りましても、これの実施について、先ほど話が出ましたように、労使協議制を通じてこれの徹底をはかっていきたい、なおこれで不十分であるならば、組合の御意見も十分取り入れて、それに対して補完をしていきたい、こういうふうに考えております。
○井上(泉)委員 そういう組合との対話というものを、各参考人の御意見聞いても、非常に怠っておると思うわけです。
  〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
 私、たまたま日航の飛行機に乗って、週間誌を見ると、週刊誌のとびらの広告に「一日の仕事にかかる前のひととき、同僚たちと一諸に熱いお茶をすするときの明るく暖かい気持ち、それはほんとに幸福感といってよかった」こういうチャップリンの自伝があったわけです。それで、これは飛行機に乗っておったのですから、航空機に乗る前の乗員が一堂に集まって、何か英語で書いてあったので私は意味がわからなかったのですけれども話し合いをするようなことが載っておったのですけれども、こういうゆとりのあるような雰囲気、飛行機に乗る者がゆとりのあるような雰囲気というものを会社はつくっておるかどうか、その点を全日空、各関係社の社長に、つくっておるかどうか、説明は要りませんから、順次お願いしたいと思います。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 私どものほうでは、乗務の前に、国際線でございますと一時間半前に出頭をする、国内線は一時間前と、そういうことで、そのたまり場なり休憩をとる場所というのはオペレーションセンターの中で約二十坪ばかり、そこにソファー等を置いて確保いたしております。
○井上(泉)委員 引き続いて全日空、東亜国内航空……。
○若狭参考人 日本航空等と同様でございますけれども、なお乗員その他とのコミュニケーションという点について、もっともっと会社側としても考えるべき点があるだろうというふうに考えておりますし、また、そういう問題について、常に私たちも、あるいは組合関係でもいろいろ議論が行なわれていると思いますので、この上とも努力してまいりたいと思います。
○下村参考人 当社におきましても、乗員のコミニュケーションということについては十分注意して、なるべくそういう場をたくさんつくるようにいたしております。
○井上(泉)委員 そこで一時間なり一時間半前にと言いますけれども、パイロットは飛行機の点検をしたりいろいろする時間があって、ほんとうに全員が集まってさあこれから飛行機に乗りますよというときの時間といえば十分か十五分しかないこういう状態であるということを私はもっと考えていただきたいと思います。
 それで、全日空の安全対策の面あるいは社長さんのお話の中にも、非常に修身用語が多いわけですが、各社長さんとも、これは修身ではいかぬわけですから、やはり具体的にものを与えなければならぬ。
 井戸参考人さん、給与が非常にいい、大学の教授よりはと、こういうお話も、御意見、御不満も出されたわけですけれども、まあ日本の大学の先生の給料の安いことは、これは世界に例がないと言われておるわけですけれども、しかしそれは、やっぱり大学の先生が戦わぬからそういうところにあるわけでありまして、ひとつ大学の先生も大いに奮闘してもらいたい。
 そこで、全日空の社長さんの説明は、非常に社長さんは企業経営というか、安全が第一だ、安全第一にするためにはこういうふうに企業性を、利潤を、いわゆる経費というものをいろいろいただきたいというようなことを言われておったわけですが、安全性という面から、ジェットで飛ばすのが、いわゆる狭い日本をどうしてそんなに急ぐというのと同じように、たとえば高知から大阪まで全日空でのいわゆるYS11で来るのと、ジェットで来るのとどれだけの時間差があるのか。安全性から考えても、私は、むしろ地方航空は、ジェットで急がしくかけずり回るようなやり方をしないほうがいいと思うわけですが、その点について全日空の社長の御意見を聞きたい。
○若狭参考人 端的に、たとえば高知−大阪間の問題について御説明を申し上げますと……
○井上(泉)委員 どっちが、ジェットが安全性があるのか、安全性のことだけ。
○若狭参考人 安全性という面につきましては、新しく導入されるものほど安全であるということは一応言えるかと思いますけれども、現在の航空需要の増加というものを消化いたしますためには、小さい飛行機ではなかなか消化ができない。具体的に申しますと、現在大阪−高知間では、全日空は、YS11でございますけれども、十一便の運航を行なっております。ほかに東亜国内航空が二便の運航を行なっておいでになります。しかし、そのお客さまの乗っておいでになる率というのは大体九〇%近い状態でございまして、なかなか切符が買えないというのが現状ではないかと思いますしかし、一面、その便数を増加いたしますことはたとえば大阪空港等につきましては、騒音問題で便数制限というものがございまして、現在以上に便数を増加することはとうていできないわけでございます。したがいまして、旅行需要の増加というものに対応いたしていくためには、どうしても大型化せざるを得ないというのが現状でございます。
○井上(泉)委員 それは安全性とは別に、お客さんをよけい運ぶためにということで、これはたいして問題でないと思います、安全性が第一でありますので。
 そこで私は、園山参考人さんの御意見、非常に適切な御意見で、むしろ社長、全日空の社長にしても、日本航空の社長にしても、あるいは東亜国内航空の社長にしても、自分のところの会社ではこういうことをやる、こういうことをやる、そして社員には、あとはこうやると、こう言うけれども、やはり国の施策、国のやり方に対してもっと積極的な御意見があってしかるべきだと思うわけですが、
  〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
そういう点はたいへん遠慮なさっておられるようですが、これはこの園山参考人の意見はもっともと思うか思わないのか、これは三人の方の各社長に順次御答弁を願いたいと思います。
○朝田参考人 お答えを申し上げます。
 園山参考人の御指摘になりました第一点は……
○井上(泉)委員 それは全部、賛成のが一か二か三か四か五か……。
○朝田参考人 私は全面的に賛成でございます。
○井上(泉)委員 けっこうです。その次。
○若狭参考人 日本航空と同様でございます。
○下村参考人 日本航空、全日空と同様でございます。
○井上(泉)委員 それでは、その園山参考人の陳述された五つの条項、これを実行するように、これは会社もあげて協力をしてやろうではありませんか、われわれもこれはいいと思うわけですから。
 そこで、整備の問題ですが、全日空の場合は、整備は、飛行機の便は減ったけれども、逆に整備士はふえておる。ところが、日本航空は、飛行機はふえたけれども、整備は減っておる。これは一体どういうことですか。そこで、こういう整備というものの軽視を日本航空はしておるのではないか。これはあまりにも日本航空が、企業の利益性というようなことを考えるがためにこの整備というものをなにしてないのかどうか、これは一体どういうわけですか。
○朝田参考人 お答えをいたしますが、先ほどの数字で、飛行機はふえておるが、整備員の数が比例的にそう多くなっていないと言われますが、四十年と四十七年を比べてみますと、整備員の数は
 一・七倍になっております、時点のとり方にもよりましょうが。そこで、営利第一主義で整備は金をかけないのじゃないか、こういうところに、信頼性整備方式に対する私は少し誤解があるのではないかということを申し上げたいと思うのでございまして、オン・コン整備あるいは信頼性工学に基づいて新しい整備方式をとった。これは、悪くならなければ整備しない、利益追及のための安全を犠牲にする整備方式だということをよく言われるのでございますけれども、そういう信頼性管理の整備方式というものは、日航だけのものではございませんで、一口に言いますと、故障のデータを従来以上に生かして再発を防止する、こういうことで、いま世界的な工学上の追及の結果得られたものでございます。故障の徴候を早く察知して処置をとることが柱になっておりますので、そういう点は、改修に重点を置いて積極的な実施につとめておりますので、この点が少し誤解があるのではないかと私は考えております。
○井上(泉)委員 これは、整備の関係につきましては、日航の場合には下請に出しておるのが非常に多いということに承知をしておりますので、その点について質疑をかわしておりますとずいぶん時間をとりますので省略をするわけですが、下請に出しておる日本飛行機株式会社との間において、たとえば昭和四十六年、四十七年にはどれだけの整備を委託したのか。もともとこの会社は米軍あるいは自衛隊の軍用機のオーバーホールをするために設けた会社だということを承知をしておるわけですが、この会社に下請を非常に多く出しておる、こういうことでありますので、その点について後日資料として出していただきたいと思います
 それから近藤参考人が過当競争ということを言われたわけですけれども、全日空の社長の言われるところによっても、お客さんがたくさん出ている、日航でもそのとおりだと思いますが、そういうお客さんの奪い合いの中での過当競争というものは、二、三年前あるいは四、五年前と比較して今日依然としてあるのかないのか、これを各社長に一人一人御見解を承りたいと思います。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 国内線につきましては、私どもは幹線だけしか運航いたしておりませんが、その競争相手というのは全日空さんでございますけれども、これは従来から十分協議をいたしまして、ダイヤ等の編成についてもお打ち合わせをいたしておりますし、席数なり輸送力全体の問題についてもお打ち合わせの上、航空局の承認を得て実行しておるものでございますから、私は、過当競争はない、こういうふうに考えております。
○若狭参考人 いま朝田社長から御説明がございましたように、両社間では首脳部の定期的な協議もいろいろなルートで毎月行なっております。したがいまして、過当競争というべきものはございません。ただ、成長していく過程でございますので、外見的な現象ではあるいは宣伝をし合うとかいうようなこともあろうかと思いますけれども、それは決して事態の本体ではございませんので本質的なものは、両社間の首脳部によって十分な協調を保ってやっておるというのが現状でございます。
○下村参考人 ただいま国内の路線は、大体各社単独に飛んでおりますので……。
○井上(泉)委員 それはわかっておりますから、過当競争があるかないかということです。
○下村参考人 過当競争ということはただいまのところはございません。
○井上(泉)委員 過当競争がないということで、非常にけっこうなことであるわけですが、そこで、日本航空は、日本航空株式会社法の定めるところによってということで、日本政府が、いわば四割の国営になっておるわけですが、航空機というような重要な産業はむしろ国営にしてしかるべきだと思うわけですが、こういう点について、直接担当しておる日航の社長さんは、将来国営にいくのがいいのか、悪いのか、その点ひとつ……。
○朝田参考人 お答えを申し上げます。
 将来国営にいくのがいいかどうかという点につきましては、この会社が、日本航空株式会社法ができますときの国会の審議の立法精神からいきますと、国際的に機動的な活動をする必要がある、あるいは国際競争に伍していかなければならない、そういった国際競争に耐え得る商業的活動も機動性を帯びなければいけない、公社公団のような形ではいけないということで、国会の審議の上でこの法律が出ておりますので、半官半民とよく言われますが、私は、そういう公共的性格、ナショナルキャリアとしての性格と同時に、また、いま申し上げますような、国際競争での商業活動を機動的に活発にしていくということの両者のメリットを合わせたいまの形が一番いいのじゃないか、こういうふうに考えております。
○井上(泉)委員 航空会社というようなものは、そう簡単にできるものではないので、これは三社しかないわけで、三社の中で一番政府が介入するのは日本航空であるわけですが、その日航の社長がどうのこうの、あるいは社長の責任とかいうことを言われるわけですけれども、社長の責任を問うときには、運輸大臣の責任もあわせて問われるときであって、運輸大臣に詰め腹を切らされるというようなことはないとは思いますけれども、日本航空という会社がもっといわゆるモデル的な安全運航の体制をとってもらいたいと思うのです。というのは、いろいろ調べてみましても、五つも組合があるということ、それは組合はそれぞれのよって来たる経緯もあろうと思いますし、それぞれの組合の言い分もあろうと思うわけですけれども、しかし、どんな法律をつくっても、どんな規定をつくっても、これを動かすのは人である、その人と人との関係がよくなければ、これは問題にならないわけです。その点、日航の社長さんは、いままで組合の団体交渉にも、団体交渉ということばがかりになくても、直接乗務員の方といろいろ話し合うというようなことがないというようなことは、これはほんとうに社長としてその点はうんと反省しなければいかぬ問題じゃないかと思うのですが、どうですか。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 私は、確かにいま先生の御指摘の点が最も大事な点だと思っておりまして、私が、ニューデリーの事故後、だれにでも話をしたい、ひざを突き合わせてほんとうに話をしたい、そしてまた、全社員に速達でもって私の意のあるところを、書簡を送りました。その後、私は一人一人の乗員、キャプテンあるいはコーパイロットと話し合いをいたしております。夜でなければ時間があきませんので、十一時、十二時まで私はその方々とともに安全対策についても話し合いをし、職場の空気についても十分と私は承りました。労使協議制を通じて、あるいは中央経営協議会を通じて、十分話し合いをいたしております。
 先ほどの二百七十名の日航労組と八名の運航乗員組合の方々とは、そういう分け隔てをしておるものでもございません。全部わが社の社員でございますので、そういう団体交渉というのは、勤労担当の役員もおりますし、その機会があれば、私はみずから進んででもお会いをいたしたい、こういうことを常に申し上げておるわけでございますから、そういうことで御了承いただきたいと思います。
○井上(泉)委員 それは、日航とか全日空とか東亜国内航空では、それぞれ労務担当の重役というものは置いてあると思うわけですけれども、どうも労務担当の重役が社長との間にかきをつくっておるのかどうかわかりませんけれども、社員との結びつきということを大切にした運営ということが何よりも安全であり、前段のチャップリンのことばではないけれども、みんなが同僚同士、働く者同士、遠いアメリカへ行くあるいはパリへ行く、そういうときには一堂に集まって、さあこれから一時間半くらいの間で機体の点検を機長はしなければいかぬ、あるいは操縦士や整備士はあれも見なければいかぬ、ほんとうにみんなが一緒に集まってやるのは、機械的に飛行機に乗って、救命器具をつけることを私どもに講釈をしてくれるのと同じような形で、形式的に終わっておる、そういうようなところにもつと時間的な余裕を持った運営のやり方を各社ともやるべきである。そんなことが、落ちついた気持ちで航空機に乗るということが、いわゆる航空機を飛ばすということが、何はともあれ一番安全につながる道ではないか、こういうように思うわけなんで、この点は、各社長は私のこの意見に賛成か反対か、ひとつ御答弁願って、私の質問を終わりたいと思います。
○朝田参考人 まことにごもっともな御意見でございまして、私は全面的に賛成をさせていただきたいと思います。
○若狭参考人 御指摘のとおりでございますので、したがって、今後あらゆる努力をしてまいりたいと思います。
○下村参考人 まことにごもっともな、適切な御意見で、われわれもそれを励行したいと思っております。
○井上(泉)委員 後日、そういう事態で行なわれておるか、確認をします。
 以上で終わります。
○久保委員長 平田藤吉君。
○平田委員 ボンベイでの事故やモスクワでの事故など、最近、乗客と乗員が死亡するというような悲惨な事故が相次いでおります。さらに非常に危険な事態も繰り返し起こっているし、発見されております。航空機の安全問題は何にも増して重要であり、最近の事態は憂慮にたえないわけであります。
 そこで、幾つかの点を質問したいと思いますが、時間も二十分と限られておりますから、ひとつ簡潔に御協力をお願いしたいと思うのです。
 まず最初に、日本航空の社長さんにお伺いしたいのですけれども、機長を管理職にしておられるそうですけれども、ほんとうですか。
○朝田参考人 機長は管理職にいたしております。
○平田委員 全日空では、機長は管理職にしておられますか。
○若狭参考人 管理職の機長もございますし、一般組合員の機長も多数おります。
○平田委員 日本航空では機長を管理職にし、また、機長が組合に所属することを禁止しているというふうに聞いておりますが、ほんとうかどうか。それから、なぜ管理職にし、組合に加わることを禁止しているかについて、社長さんからお願いします。
○朝田参考人 機長は、管理職でありますと、私どものほうでもほかの職場でもそうでございましょうが、積極的に管理職は組合員になってはいけないというようなことは言っておりませんけれども、管理職は通常の慣例として組合員にはならない、こういうことが労使の間の認識だ、こういうふうに考えております。
○平田委員 いま朝田社長は、労使の間の認識だというふうに言われましたけれども、田村参考人はどうお考えですか。
○田村参考人 先ほどの陳述で申し上げたとおり、昭和四十四年の九月に日本航空株式会社が機長を管理職に発令した際、当時、日本航空運航乗員組合は、管理職になっても組合員として残るべきだ、こういう意見を持ち、同時に多くの機長もそういう意見を持っていたわけです。しかし会社はこれに対して、管理職は機長になってはいかぬ、こういうことを当時の労務担当重役以下言いまして、組合費のチェックオフをかってに打ち切る、こういうような対処をしてきたわけです。
 それで、先ほど申し上げましたとおり、当時のこの問題についての組合のアンケートによると、機長が管理職になるということは、これは一つ名誉な点もある、しかし組合にとどまっても当然じゃないか、こういう意味合いをもちまして、八八%の機長が、これは組合対策だ。乗員は機長と副操従士それから航空機関士、この三人で編成されているわけですけれども、機長が非組合員になるというのは、組合の組織上にとっていうならば、三分の一の組合員があしたから突然非組合員になるわけですから、いろいろ組合の運営上問題が出てくるわけです。ですから、こういうことを加味しまして、多くの機長も、これは組合対策だ、こういうように考えていたわけです。また、その後一貫して、機長は組合員になってもいいんだ、こういうふうにいま朝田社長は言われたわけですけれども、そういうふうなことは私いままで聞いたことはございません。すべての機長が管理職になる、つまり機長に発令されますと組合を脱退しなければいけないんだ、こういうことで、残念ながら組合を抜けていく、こういう状態が引き続いているわけです。
○平田委員 そうしますと、さっき朝田社長もおっしゃいましたように、機長が組合員であることは差しつかえはないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○朝田参考人 お答えいたします。
 この問題は、先生の御質問は非常にむずかしいと私は思います。かつて船長は海員組合の組合員たり得るかどうかということで非常に大きな問題がありました。管理職でありますと同時に、人の命を預かる一機のコマンダーでございますから、その中のいわゆる職務の指揮、機内の秩序を統理する、こういう点からいいまして管理職にいたしたわけでございます。労使の関係においても、そういうことが非常に大きな要素になるというふうに私は申し上げたいのでございまして、積極的に禁止するのだというようなことを言ったことはないという意味に御了解を願いたいと思うのでございます。
○平田委員 では、日航の社長さんはあまり好ましいものだとは考えていないというふうに理解してよろしゅうございますね。
 もう一つあわせてお伺いしますけれども、先ほどの田村さんですか、どなたかのお話の中で、組合の委員長をやっておられた方が九年間も外国に飛ばされている、本人の意思でもなさそうだということなんですけれども、これは一体、組合の委員長であるがゆえに外国に飛ばすなんということはちょっと考えられないのだけれども、日本で国内勤務にする意思がありますか。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 これは人事の問題でございますので、ここでお答えをすることが適当かどうか、私少し疑問を持つのでございますが、そういう分け隔てをして、差別待遇をして、長い間そういうようなところに置いておくということが、いまの時点ではそういうところからきたのではない。あるいは労使の紛争の当時におきましてはそういうような事情が、率直に言って私も、まだ八、九年ほど前でございますから、詳しいそのときの事情はわかりませんが、そういうことがもしありとするならば、私が先ほど申し上げましたように、事態の改善をはかりたい、こういうお答えで御了承願いたいと思うのでございます。
○平田委員 次に、モスクワ事故に関連して、ボイスレコーダーがあるそうだけれども、社長はこれを聞かれたかどうか。報道では、乗員がたるんでいたのではないかということまでが言われたわけですね。それだけに、私は、社長が聞かれてどう判断されたかお伺いしたいと思います。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 私は、ボイスレコーダーを直接聞いてはおりません。それはなぜかと申しますと、ボイスレコーダーをわれわれのような老人が聞きますとあぶないのです。といいますことは、非常に鋭敏な聴覚を持った若いコーパイロットなりセカンドオフィサーなりに、先入主を与えないで聞いてもらったほうが真実をつかめる。私のように先入主が入っておりますと、聞かないほうがいいと私は判断したので聞かなかったのでございます。それも密室におって、先入主を与えられないで繰り返し繰り返し、コックピットの中の雑音がございますから、現に「スポイラー」と言った、いやあれは「はいよ」と言った、「はいよ」は「ハンドレッド」と聞える、「タイム」と聞える。そういう若い鋭敏な聴覚を持った操縦士が聞きましても、いろいろな聞き方がございます。したがって私は、そういう意味において聞かないほうがいいと判断をいたしまして聞いておりません。
○平田委員 それでは、会社側でその話を聞いて、つまり、乗員がたるんでいたんだという見解に対して、そうだと言えるのか、そうじゃなかったと言えるのかについてお答え願います。
○朝田参考人 私は、数回遺族会と補償の問題で、おととい、さきおとといですか、お話を申し上げております。その以前にもお話を申し上げておりますが、たるんでいたのではないか、あれはボイスレコーダーの新聞報道によってそういうふうに判断もされます。自分の最もかけがえのない夫が父が、ああいうたるんだことで命を失ったのだろうか、こういう質問を受けるのでございます。そのときに私は申し上げておるのでございますが、決して乗員というものはたるんでおったと私は思いたくもないし、たるんではおりません、こういうお答えをいたしております。なぜならば、乗員も死ぬのですから、命をかけてああいうクリチカルな段階においてたるんでおるようなことはあり得ないと私は信じておるから、そういうお答えをいたしております。そういう意味でこの答えにかえさせていただきたい、こう思うわけでございます。
○平田委員 同じ質問を田村参考人にひとつ答えてもらいたい。
○田村参考人 私は、まず会社の職業といいますか、それを先に申し上げておいたほうがよいと思うのですが、約四千時間ほどの飛行経験を持っております。DC8型機の航空機関士として約八百時間程度の経験を持っております。そして、モスクワのボイスレコーダーの問題につきましては、日本航空乗員組合と日本航空運航乗員組合の両執行委員が中心になって聞かしていただいたわけであります。前後三回ほど聞いて、率直に言って、多少技術的な問題もからまるかもしれませんが、そういうことをお話しして私の印象をお話ししたいと思うのですが、私は、結論的に申し上げるならば、たいへんまじめな態度で飛行機の操縦操作をしていた、こう感じているわけです。
 二、三の具体的な例を申し上げると、飛行機が上昇する前に、機長の村川さんが、当時副操縦士席にすわっておられた大獄さんに対して、たいへん丁寧に、親切に、モスクワ空港の状態について説明をしているところがはっきり入っております。また同時に、その中で、飛行機が飛び上がる前に、アンチスキッドと申すわけですが、飛行機のブレーキ装置なわけですが、離陸前にこれをオン、つまり操作可能な状態にするわけですけれども、このスイッチをオンにする時期についても、村川機長がはっきりと、きょうは少しランウエー、滑走路がぬれているから、飛行機がまっすぐに滑走路に向いたときにこれはオンにしましょう、こういうことも言っておるわけです。そして、私も新聞報道等で聞いたわけですけれども、新聞報道等によると「はいよ」というようなことを言っているということですが、私は「高いよ」というふうに聞いております。何が高いかということについては推測になるので、推測があるわけですが、申し上げませんが、私はそういうふうに聞いたわけです。それから「あっ、先ほどは失礼」こういう内容で報道されておる問題については、これは「ア・ハンドレッド、失礼」ではないかというふうに、当時私と一緒に聞いた乗員もそういうふうに聞いております。これは若干御説明しておかなければならないと思うのは、ハンドレッドというのは飛行機の速度のことを言っておるわけです。つまり百ノット、時速に直しますと約百八十八キロぐらいのところです。そしてこの時点で航空機がいままさに飛び立つ、その状態になるわけです。ですから、副操縦士はこのスピードに達したことを言うわけです。ですから私が聞いた感じは「ア・ハンドレッド」と言って、「失礼」というのはちょっと、まさにほんのちょっとタイミングがおくれた、そういう意味で言ったのではないか、私はそう聞いているわけです。それからそのあと「やっこらさ」と言ったということなんですが、これについても、言うならば、日常生活上いすにすわるときにちょっとふざけたような調子で言っているようなことばでなくて、息を詰めたような感じで、まさにいま飛行機を引っぱり上げる、こういう感じで、そのタイミングを推しはかっていて、それで「やっこらさ」、こういう感じで引っぱり上げた、私はそういうふうに聞いたわけです。ですから私は、乗員はたいへんまじめな態度で航空機を操作していた、こう感じております。
○平田委員 同じことですが、運輸省がたるんでいる趣旨に受け取られるような発表をしておるわけですが、現在でも変わりないかどうか。
○内村(信)政府委員 新聞では巷間いろいろ伝えられるところがあると思いますが、私どもといたしましても、決してたるんでいるという趣旨のことを申したことはないと思います。と申しますのは^ただ、モスクワ事故の事故調査につきましては、これはソ連政府が責任者でございますけれども、私どものほうの専門家も参って一緒に調査をしております。その結果といたしまして、本事故の原因については、離陸安全速度に到達する……(平田委員「それはいい」と呼ぶ)そういうふうな結論が出たわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど朝田社長からもあるいはまたそちらさんからもお申し出がありましたように、私どもの国の乗員が決してふまじめだとは思わない。思わないけれども、現実にこういう事故が出ておるということは率直に受けとめる。そして今後の事故をなくすためには虚心たんかいにどうしたらいいかということを考えるべきだということを考えております。
○平田委員 先ほどのお話でありましたけれども、田村さんのお話だったか、どなたでしたか、日航で、昨年一月一日から七月三十一日までの間に検査した航空機のうち、ダグラスDC8の61型、これが十八機のうち十四機のエンジンにひびが入っていることが発見された。そして問題になっておるわけですけれども、これは事実ですか、朝田社長さんにお伺いします。
○朝田参考人 お答えいたします。
 ただいまの先生の御質問はディフューザーケースの件数だと思いますので、それは事実でございます、それだけの件数は。いまそれに対して改修を行なっております。
○平田委員 なぜそうなるのか、なぜそうなると考えるかについて簡潔に若月参考人から御意見を、お伺いしたい。
○若月参考人 DC8のエンジンは、当初はオーバーホールをやる、こういう観点からつくられた構造上そうなっておるわけです。EHMとかそういうふうな方法になっていない、こういうようなところから出てきておるのではないかというふうに思います。
○平田委員 同じことについて朝田社長さんに……。
○朝田参考人 お答えいたします。
 EHMでそうなっておるとは私どもは考えておりませんで、DC8−61型のエンジンの設計上からきておる問題だ、私はそう聞いております。
○平田委員 いずれにしましても、一つの問題は、さっきから問題になっている整備方式の違いが、やはり問題を、発見をおくらせるといいますか、重大な事態を引き起こしてくるわけですけれども、この整備方式については運輸省は認めた。つまり前はオーバーホール方式だったわけですけれども、いまでは重点整備方式に変えられている。このことについて運輸省は認めているのかどうか、いまでもそれでいいと思っておるのかどうか、お答え願います。
○金井政府委員 お答えします。
 御指摘の整備方式は、運輸省は認めております。それから、今後とも現在のEHMだとか、そういう整備方式で安全であるというふうに確信しております。
○平田委員 この問題は、時間もありませんから、またあらためて当委員会で論議できる機会を得たいと思っております。
 次に、航空機の安全は常に労働者の労働条件と不可分の関係にあると考えるわけです。組合の皆さんのきょうのお話を聞いて、また、起こっている危険な事態はそのことを示しているというように考えるわけです。安全の立場から当然会社と組合とが団体交渉の場で論じてきているもかと思うけれども、どうもさっき組合の話を聞いてみますと、そなっていないようです。この点について朝田社長さんの御返事をお願いしたい。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 私は、冒頭に述べさせていただきましたように、安全の問題は労働組合、会社の経営者を問わず、いかなる異った分野におる者を問わず全社をあげてこれを追求していかなければならぬ問題だということでございますが、もちろん労働条件と安全性の確保というのとは重大な関連はございます。しかし、安全対策そのものをどういうふうにきぬていくかということは会社の責任において決定すべき問題でございまして、十分話し合いをし、そして労働組合からの御意見も十分吸収してそれを取り入れていくという姿勢を私はとっておりますが、団体交渉でなければそういう話し合いはしないというのも、少し私は考え方を改めていただきたいというふうに考えております。
○平田委員 若月参考人にお伺いするのですが、いま社長はああいうふうに言っているんだけれども、話し合いはできているんですか。つまりふだんに話し合えばいいんだということなんで、あなた方は団体交渉でやろう、こう言っている。ふだんに話し合えばよさそうだといえば一般にそう聞こえるわけだが、その点どうなっているかについて……。
○若月参考人 お答えいたします。
 安全問題については、私ども昭和四十六年の十一月五日付、それから四十七年の三月十五日付、四十七年十二月一日付、これまで三回にわたってそれぞれ要求を出してきたわけですけれども、これまで一度も団体交渉も、あるいは話し合いすら行なわれておりません。したがって、私どもは団体交渉ということが一番いい方法だと思いますけれども、社長がおっしゃるように話い合いすらできないというところを非常に残念に思っております。
○平田委員 まあ朝田社長の言い分といまの若月参考人と言い分との間にはたいへん行って来るほどの違いがあるようですけれども、やはり労働条件の問題と安全の問題とは切り離せない以上、安全を守るためには、これは労働者の数をこうふやすべきだ、などの要求はやっぱり聞き、そして論議していくというのが安全を守る道で大事なんだというように私は考えます。
 次に、セカンドオフィサー制度というのがあるようですけれども、全日空さん、東亜航空さん、それぞれそういう制度を設けておられるかどうか、簡単にお願いいたします。
○若月参考人 わが社も検討はいたしておりますが、いまだ実施いたしておりません。
○下村参考人 まだ設けておりません。
○平田委員 このセカンドオフィサー制度というのは何か新しい資格を与える性質のものであるかどうか、運輸省のほうからお答え願います。
○金井政府委員 国家試験の資格としては、航空機関士という資格をとればセカンドオフィサーとして乗務できます。それから同時に、もちろん航空機関士としても乗務できるわけであります。
○平田委員 日本航空の運行部発行の「運行の課題」の中で「コストの焦点」というようにいいまして、こういうふうにいっておるわけです。「膨大な価格の機材、施設及びそのオペレーション・コストを見れば明らかな如く、世界のエア・ラインは、その焦点をメインテナンスと訓練に絞って、その効率化に最大の努力を傾注している。すなわち、メインテナンスに於ては、ラインはもとよりオーバーホール、改修等に資材の無駄を極度に省き、施設の積極的活用、有効的作業工程等により地上滞留時間を可能な限り少なくして、航空機の稼働を向上させる。」そしてさらに「また、高価なフライト・トレーニングは、そのオペレーション・コストのみならず、ラインの機材、乗員の稼働の見地かうも、可能な限り短時間に止めなければならない。」そしてさらに「今後、実機の飛行訓練時間の大幅な短縮を可能にするであろう。」というふうに閉じているわけです、この点では。ですから、徹底した合理化というふうに受け取ることができるわけですけれども、この姿勢が日航の今日のように相次ぐ事故を起こした重要な要因の一つだというふうに考えられるわけです。この点、会社はどう考えられるか。また、運輸省は、これを容認してきているわけだけれども、どう考えるかという点について最後にお答え願いたいと思います。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 それはたしか、四十三年ごろ運航本部内の研究課題として配付したものだと承知いたしておりますが、その中でいっておることは、そういうことをわれわれは将来とも考えていかなければならない。会社のそのときの事業計画の基本方針を見ますと、安全性確保を第一義としというのは、これはもういつの年度の事業計画にもうたっておるわけです。私がたびたび申し上げましたように、経営政策の最大の重点をそこに置いておることは、創業以来のわれわれの方針でございます。
 そこで、そういったことのコストダウンをはかっていく、あるいは実機訓練を減らしてシミュレーターに置きかえていく、こういうことをいっておりますが、私どもはその教育内容いかんだと思っておりまして、まあ行き過ぎもいきませんが、そのときのいわゆる、アメリカのワシントン州のモーゼスレークに訓練センターを持っておりますそういうものの展開とか、あるいはDC9を導入いたしまして訓練をやっておりますとか、あるいはシミュレーターはもちろん活用いたしておりますけれども、そういう訓練方式によるところのやはり合理化といいますか、経費節減の意味の合理化でなくて効率化、教育内容、でき上ったものの効率というものを期待していく。したがって、チェックにおきましては、それによって基準を変えておるというようなことは絶対にございません。
 そういう意味で「運航の課題」というものを私どもは受け取っておるようなわけでございます。
○金井政府委員 日本航空の訓練方式それから訓練科目、内容、時間、こういうものはいままで運輸省は認めてきております。ただ、一連の事故後、いままで認めてきた方式がはたしてよかったかどうかということを反省いたしまして、訓練時間とか内容を若干変更し、詰めをまだ続けております。
 ただ、将来にわたってシミュレーターと実機を併用して行なうという訓練はやはり妥当であると思っております。といいますのは、発動機をとめて訓練するんだとかいうときには、実機よりもシミュレーターでやる。ただし、シミュレーターでできないものは実機でカバーする。お互いに両方使って初めて完全な訓練ができる。ただし、そのシミュレーターにかけるいままでの時間の割合がはたしてそれでよかったかということについては、これからも検討したいというふうに思っております。
○平田委員 短い時間でいろいろ貴重な御意見を聞かしていただきました。しかしどう見ても、何と言われても、超高度成長を遂げてきた日航の事態というのは、やはり私たちは注目に値するものだ。しかも、そこにおける労働組合がずたずたにされている。団交の場合も安全問題を持ち出してはならぬがごとき発言を聞いていますと、今後再びあの重大な事態が起こりかねないというふうに心配するわけです。どうかひとつ会社側でも、労働者の意見を十分にくみ入れて、そして明るい職場がつくれるように労働者とも団交を積極的にやり、乗客の安全並びに乗務員の安全のために全力をあげて努力されんことを期待し、要望し、私の質問を終わりたいと思います。
○久保委員長 沖本泰幸君。
○沖本委員 長時間にわたりましてたいへんお疲れとは思いますけれども、私が最後でございますから、真剣にお答えいただきたいと思います。
 まず運輸省のほうにお願いしたいわけでございますが、きょうのようなこういう大ぜいの参考人の方に、航空安全に対する真剣な御意見を伺ったわけですが、この中に述べられておる問題は、非常に重要な問題がたくさん述べられておると思います。その点に関しまして、あとで記録をお取りになって、その中に述べられておる貴重な内容については、さらにその面を分析されて、それぞれ要求されている、あるいは述べられている事態について検討を加えていただいて、どういう対策をするか、あるいはどういう内容に対してどういういう結果を持ってくるものであるか。そういう内容について後に当委員会に対して御報告願いたい。これは委員長と両方にお願いしたいと思います。お取り上げいただきたいと思います。
 それからまた委員長に、こういうものを持っていただいて非常によかったと思うのですが、きょうで言い尽くされておるということは言えないわけです。ですから、今後とも、一つ事故が起きるとたいへんな問題になってくる、こういうためにこういうものを持たれたわけですから、そういう観点に立って今後もさらにこういうものを持っていただきたい。
 また、各社の社長さんにお願いしたいこと、あるいは関係者の方にお願いしたいことは、このような広い場所でお互いに意見を交換して、いわゆるお互いの利害を離れて、航空の安全あるいは乗客の安全をどうはかっていくかということについての意見交換というものを十分行なっていただきたい。そして事故のないように御検討していただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 時間が限られておりますので、あっちこっち飛びますけれども御質問したいと思いますが、まずこの前の委員会でも運輸省にちょっと言ったのですが、私が以前に運輸委員をやっておりますときに、日航にドップラーを入れたわけですけれども、非常にいいものだということで、実際に私たち乗せていただいて見せていただいたわけです。その以前の方式だと非常に誤差が起きてくる。こういうことで、これでは天体観測も要らないのだというような御説明があって、私たちそのままうのみにして帰ったわけです。非常にいいものが入ったのだというふうに考えて帰ったのですが、あとで伺ってみると、行ったのはちょうど硫黄島の方向に向かって飛んだわけで、聞いてみると、そこは一番ドップラーが入りやすいコースだ、ほんとうは非常に誤差があって、一番確かなのは天体であり、あとは目である、こういうふうな御意見も伺ったわけですが、その点についてどれが正しいのか、田村さんに一ぺん御意見を伺いたいと思います。
○田村参考人 最も正しい航空機の位置を求める方法、こういうことであるならば、これはやはり天体を観測して位置を求めるのが最も正確な位置が求められる、こういうことは言えると思います。
○沖本委員 朝田社長は、ずいぶん日航さんは御宣伝になったわけです、私たち委員に。そうしますと、いまの御意見とだいぶ違うわけですけれども、その点についていかがですか。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 私も先生に随行いたしまして、その当時硫黄島に参ったものの一人でございますが、ドップラーレーダーというものは、シップの位置、そうして距離その他をはかって、ちょうど硫黄島に参ったときはぴっしゃり距離計がゼロになったものをごらんいただいたと思います。私は、これは誤差があると思います。仰せのとおりあると思いますが、それをロランで計算し直す、そういう、ロランをもってドップラーレーダーの修正をいたしておる、こういうことでそれを補っておるわけでございます。私これの専門家じゃございませんけれども、天体でやっておりますと、最近のように飛行機のるビードが非常に速いものですから、そういう点ではイナーシア・ナビゲーション・システムというものが一番いいものだというふうに私は解釈いたしております。
○沖本委員 田村さん、いまの御意見について御意見ありますか。
○田村参考人 その問題につきましては、ドップラーレーダーよりはいま言われたイナーシア、INS航法ですが、のほうが正確であるということは事実であろうかと思います。そして組合は、DC8型機にはこのINS航法がついていない、こういうことでDC8型機にINS装備をつけるように、こういう要求を提出しております。
○沖本委員 先ほど平田先生から、DC8のエンジンにひびが入っていたという問題について御指摘があったのですが、同じ内容について、これは井戸先生の、いただいた「中央公論」の中にも、まあ以前の松尾社長がDC8を強硬にお入れになったという点、古い機材を入れて――もっと新しいものを用いるべきだ、こういうふうな御意見があったと思うのですが、その辺と、いま指摘されたそのひびが入っていたというような点等に関連性があるような気がするわけです。そういう点、先生の御意見はいかがでございますか。
○井戸参考人 お答えいたします。
 ジェットエンジンの部分にひびが入るということは、これはどの飛行機でもあると思います。したがって、たまたまDC8に集中して起こったということかと思いますが、実は先ほど来話題になっております整備とは関係ないと私は考えております。DC8にたまたま起こったことで、これはほかの機種にもあり得ることだ、こういうふうに思っております。
○沖本委員 そこで、先ほど朝田社長は、整備に関しましてオン・コン方式のほうがいい、こういうふうにおっしゃって、今後もそれを変える考えはない、こういうことなんですけれども、整備に従事していらっしゃる方々は、それに反対だという御意見なんです。それで、具体的に言いますと、実際に飛行機の発着時間が短くて点検する間がないということから事故につながってくる、使い過ぎだ、激しい、こういう点は整備の方からの指摘があるわけです。ですから、もっと使う点について、整備については、時間的な余裕がなければそういうことはできない、こういう御意見があるわけですし、それから、オン・コン方式は世界ですべて使用されているというけれども、アメリカのような充実した点検の壁が一ぱいある中でやれば、そういう方向もいけるのだけれども、間のものを省略してしまって、いきなりそういうものに持っていけば、むしろかえって事故につながるのだ、こういう御意見を伺っているわけですけれども、この点については、先ほどこれは若月さんが同じような御意見をお述べになっていらっしゃったと思うのですが、まず若月さんの御意見を伺いたいと思います。
○若月参考人 お答えいたします。
 私が先ほど、従来のオーバーホール方式に変えたほうがいいんではないか、こういうのが私どもの要求だと申し上げたのですが、これは私どもだけではなくて、実際、ライン整備工場等で行なわれているいろいろな研究会が、日本航空の中で、会社の中であるわけです。その辺の現在の整備に対する分析といいますか、あるいはどうしたほうがいいのかということについては、私どもはこういうふうに発表されているというふうに受け取っています。DC8型の整備作業にこれらの方式を採用したことは、これらというのはオン・コンとEHM方式という意味ですが、いささか早過ぎたのではないかと考えられる。DC8六〇シリーズのエンジンディフューザーケースは、使用時間やサイクルが一部すでにクラックの発生すると推定される領域に入っている。このためには使用限界を設定する必要があるというふうに会社側自身も反省されているわけですね。これは会社が言っていることですから、この点では私どもと現場の作業者は一致しているというふうに考えておるわけです。持に、ただ時間を元のまま延ばせばいいということじゃなくて、ジェット機の場合は、スピード化されて、一定時間の中でたとえば何回もランディングする回数があるわけですから、時間とともにランディングの回数なんかをかみ合わせた整備方式といいますか、そういう問題を加味して改善していけばいいではないかというのが私どもの要求の内容になっています。
○沖本委員 同じ内容につきまして朝田社長の御意見を……。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 会社も認め、整備の現場のものも認めておるというお話でございましたが、私が承知いたしております限りにおきましては、全労の近藤委員長、きょう参考人で出ておられますが、その全労の整備関係の人々は、安全の提言の中で、このエンジン重整備方式並びに信頼性の整備方式というのは最善であるというふうに言っておられるのでございます。私どももそういう点においては見解の食い違いはないということでございます。
○沖本委員 いまの点に関しまして井戸先生はどういう御意見でございますか。
○井戸参考人 先ほど来エンジンの整備方式についていろいろお話がございましたが、現在の信頼性工学の上から考えまして、先ほど指摘のあった傷の早期発見ということは、やはり長い時間置いてやるより、なるべく小きざみにやった方がいい。そしてたまたま小きざみにやったがために早期に欠陥の発見が可能になる。そういう意味で、昔と違いましてやはり整備方式というものも機体の新型化と並行しまして非常に進んでおります。したがいまして、先ほど御質問のあったエンジンに大量の傷が発見されたという点も、そういう早期発見技術というものが確立されだからこそ発見できたわけで、むしろけっこうなことではないか、こういうふうに考えております。
○沖本委員 では、あとはいろいろ検討していただいて、より安全な方法を講じていただく。こういう点については、意見の食い違いというものは、お互いにお話し合いをしていただいて、自分の意見を主張するということでなくて、やっぱり国民の安全をはかっていく観点から、お互いに話し合いをして、よりよい方法を講じていただきたいと思います。
 それから、これは園山さんなり田村さんなりにお伺いしたいのですが、現在のようなイヤホーンを使っていたらみんな難聴になってしまうという乗員の安全要求が出ているわけですけれども、そういう点と、それからもう一つは、モスクワの航空事故につきまして、機長が副操縦士にハンドルを渡してやるという点については、副操縦士にハンドルを渡さないと訓練が十分にできない、むしろ機長が横で指示をしながらやっていくような方式をとった方がいいという御意見も聞いたわけなんです。それから、田村さんのお話で、先ほど、ボンベイの事故では副操縦士も処分された、副操縦士は、運航規定の定められた路線の訓練をする飛行に携わっていなかった、十分の力を得るだけの資格をとらずに乗らされていたというような内容をお話しになったと思うのですが、その間の事情について、この三つの点をお答えいただきたいと思います。
○田村参考人 お答えいたします。御指摘のとおり、現用のイヤホーンはあまりよくない。そして具体的にも、身体検査等で三千サイクル付近の聴力が下がると言われておりますし私も、何人かの乗員が聴力が落ちたということで乗務が一時中断されたり何かしたことがあるということを聞いております。それから、特に現在のイヤホーンに形が変わっておるわけですが、そのあとでそういう傾向がふえている、こういうことを乗員は感じております。
 それから、モスクワ事故については、先生御指摘のように副操縦士が持っているというふうにボイスレコーダーの範囲では、私は聞いておりません。機長が操縦かんを持っていたというふうに聞いております。
 それから、ボンベイ事故の問題については、運航規程をちょっと読み上げますと、「副操縦士の最低資格に関する規定中南回りヨーロッパ線については、カラチ−カイロ間は二往復、ただし八百時間以上の飛行時間を有する者は少なくとも一往復の飛行経験を有すること、それ以外の路線においては少なくとも一往復の飛行経験を有すること」が最低資格として定められていたわけですけれども、この処分をされました副操縦士は、そういう路線慣熟を行なわなかったということでございます。それでは、なぜこういう慣熟をしなかったのかというと、ほかのところで、類似路線方式という方式がございまして、その路線でなくても、似たようなところであれば飛ばなくてもよいだろう、こういう形で、飛ばせていなかったということでございます。ですから、実態としては、この副操縦士は乗客を乗せて初めて飛んだ、こういう状況にあるわけであります。
○沖本委員 これは園村さん、田村さん、どちらでもいいのですけれども、この間NHKで日航のパイロットの方々のお話をテレビにドキュメンタリーで入れていましたけれども、あそこの中で、非常に答えにくいような態度をアナウンサーの質問に対しておとりになっていたのじゃないかというふうに私は感じたのですけれども、その辺に、管理職であるからというたてまえから、ずばずばといろいろな意見を述べられないという点が加味されておったのではないか、こういうふうに私は感じたわけですけれども、あの点について、お二方はどういうふうにお感じになっていますか。
○田村参考人 ただいま先生御指摘のとおり、やはりずばずばとものが言いにくい、こういうことであったのではないかというふうに感じております。
○沖本委員 いろいろお伺いしたのですが、朝田社長ばかりお責めしているようなことで非常に恐縮には思っておりますけれども、やはり四六%が政府出資、国民が関連している航空運航の事業である、こういうふうに私は理解して御質問しておるわけでございます。
 いま幾つかの御質問をしたわけですけれども、やはりある程度これは国民の耳にも入るような、開けたところの、改善されたものがあっていいんじゃないか、私はそういうふうに感じるわけでございますが、いま一連の御質問を通しまして社長はどういうふうなお考えでいらっしゃいますか。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 ただいま御指摘のとおり、私どもは、半数近い株式を政府が保有をしておられるその意味を、ナショナルキャリアとしての社会的使命を十分自覚いたしまして、事故後、私は、内外の御批判、御意見というものをまっこうから謙虚に受けとめていく、そうして、もし積年の弊がここにあらわれておるとするならば、これはもう切って捨てる、これを転機にして改革をしていきたいということを言っておりますので、率直に皆さんの御意見、社内外を問わず承りまして、全力をあげて御期待に沿いたい、こういうふうに考えております。
○沖本委員 先ほどの朝田社長のお答えですと、国内の路線に関しての、主要幹線だけ持っていらっしゃるというところで、その点については、三社がいろいろトップ会談をやって話し合いしているから問題ないんだ、こういうようなお答えがあったわけですけれども、いろいろ伺ってみると、私は大阪に住んでいますけれども、夜の一番おそい便になるとDC8にがさっとお客がみんな集まってしまうというような点、それから沖繩に、ジャンボにお客さんどんどん乗って行っている、そういう点は、日航のほうが大型機をたくさんお持ちですから大型機をお使いになるということなんですけれども、これは一つの意見として、飛行機の機材というものは、その性能の一番発揮される方向に向かって使うべきである、分類するべきである、こういうふうな意見もいろいろ聞いておるわけです。そうすると、沖繩が短い、遠いということは、これはまたいろいろ議論があると思いますけれども、そういうところ、あるいは同じ国の中でお互いが力を合わせて日本の航空事業をより安全に、より発展的に将来に向かって持っていくということになりますと、やはりお互いが占める分野というものを、トップに立つ日航ですから、その辺はやはりいろいろ検討された内容で、いろいろとローカル空港に至るまで配分された、安全の高まる方法で運航をしていただきたいと私たちは考えるわけです。
 よく聞きますと、日本の空は日航だ、こういうふうな御意見も伺います。また、海外へ行きましていろいろ聞きますと、たとえばロンドンからアメリカに向かって飛ぶ日航の持っている回数というものは、ほかのヨーロッパの国々から見ると非常にわずかであって、お客も少ない。あるいはまた、これはおたくの社の方にいろいろ聞いたわけですけれども、フランスではフランス語をお使いになる社員が全然いらっしゃらない、そのためにエールフランスにほとんどお客をとられているとか、こういう面で、国際線をお持ちだという点について、まだまだいろいろ検討していただかなければならない問題があると思うのです。これはきょうの問題とはだいぶかけ離れますけれども、やはり全体的な面から考えて、事故が起きたから国際線を削ったというような方針をお打ち出しになる点もあるわけですから、そういう点いろいろお考えになって、もっと内容を充実していただいてお互いに話し合っていただきたい。こういう点に対するお考えと、それから、東亜国内航空の下村社長さんに。社長さんの会社は、二六%が東急がお持ちなんですね。そうすると、運輸省からもらった内容を見ますと、そういうふうな特定の会社自体の大きな株主が――いま商社がじゃんじゃん国民の目に触れて、非常な反感を買っているときに来ているわけです、横暴さというものが。ですから、たとえば東急あたりが、東亜国内航空の経営内容にまでいろんな意見を、力によってお述べになるようなことになりますと、結局、その安全第一よりも、営利第一の方向に走らざるを得ないような方向になっていく、こういうふうに考えますけれども、この二点について、お二方の社長さんからお伺いしたいと思います。
○朝田参考人 お答えをいたします。
 最初のまず第一点の、国内幹線の運営につきましては、先ほども申し上げましたが、全日空さんと協調体制をとって今後もまいるつもりでございます。
 沖繩のジャンボの問題を御指摘になりましたが、企業間のバランスということを考えること、もちろん御指摘のとおり必要でございますけれども、公衆の利便という点から、需給の関係でわれわれがそれにこたえなければならないという点もございます。片や、それにこたえるのに非常に大きな支障がある。東京、大阪のごときは、御承知のように発着規制というものがございますし、騒音の問題、環境問題というものは非常に深刻になってまいっておりますので、同じ機種で何回も便数を多くしてそういう需要に応ずるというよりも、発着回数を一便でも減らして、そしてキャパシティーの大きい機材を投入することが、いわゆる空港混雑の対策であるというふうに私は考えております。この点につきましては、もちろん、若狭社長とも話し合いをいたしまして、完全な了解のもとに沖繩線のジャンボを使用さしていただいておるわけでございますし、こういう傾向に即応して、四十九年からロッキード一〇一一というのをお入れになる、私どものほうはボーイングのSRを入れるというようなことで、お互いに話し合いをして今後もまいりたいと思っております。
 第二点につきましては、国際線の運営におきまして御指摘がございました。私どもは、十分その点も留意をいたしまして、足らざるところは十分、これからもその万全の対策で努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○下村参考人 当社は御指摘のとおり東急が二六%株を持っております。私はいわば、大株主の使用人でありますので、株のことまではなかなか言えませんが、これはやはり運輸省からも勧告がございますし、適当な機会に分散をはかるべきだと私は個人として考えております。というのは、やはり上場でもしました場合に、一般大衆に自然に流れていくのじゃないか。それから運営については、もう絶対に東急からかれこれ指図は受けておりません。全部現業重役にまかせております。安全運航につきましては、むしろわれわれは大株主から大いにハッパをかけられて、大いに安全運航をやるようにという強い――経営は全部まかせきりでありまして、大株主のそういう指図は受けておりません。
○沖本委員 もう時間を経過いたしましたので、これで終わりたいと思いますが、各委員とも意を尽くしたところではございませんし、私がお尋ねしたことも、いろいろ根のあるところもありますし、言い足らないところ、まだまだお聞きしたいところが一ぱいあるわけなんですが、時間の都合でとどめさしていただきます。
 きょう、中心として、労使ともども、いわゆる預かるのは国民の命ということになるわけですから、その点に立って、もっと問題点の少ないところにまで持ち寄っていただくような話し合いを十分続けていただいて、安全をはかっていただきたいと思いますし、また、それぞれの立場から私たち委員に対してそれぞれの御意見なり、御参考になる資料をどんどんちょうだいして、今後も私たちも努力していきたいと思います。
 運輸省のほうには、先ほどお願いしました点、十分尽くしていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手)
○久保委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 各参考人には御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまの貴重な御意見は、本委員会の調査に資するところがきわめて多かったことを委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時十分散会