第071回国会 交通安全対策特別委員会 第9号
昭和四十八年五月九日(水曜日)
    午後一時三十四分開議
 出席委員
   委員長 久保 三郎君
   理事 大竹 太郎君 理事 唐沢俊二郎君
   理事 左藤  恵君 理事 中村 弘海君
   理事 野中 英二君 理事 井上  泉君
   理事 太田 一夫君 理事 紺野与次郎君
      阿部 喜元君   小此木彦三郎君
      越智 通雄君    奧田 敬和君
      片岡 清一君    佐藤 守良君
      斉藤滋与史君    野田  毅君
      野坂 浩賢君    平田 藤吉君
      沖本 泰幸君    渡辺 武三君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      須藤 博忠君
        警察庁交通局長 片岡  誠君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        運輸政務次官  佐藤 文生君
        運輸省自動車局
        長       小林 正興君
 委員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    神戸 芳郎君
        大蔵省銀行局保
        険部長     安井  誠君
        文部省大学学術
        局学生課長   遠藤  丞君
        文部省体育局学
        校保健課長   波多江 明君
        厚生省社会局保
        護課長     中野 徹雄君
        郵政大臣官房資
        材部長     田所 文雄君
        建設省道路局企
        画課長     浅井新一郎君
    ―――――――――――――
五月一日
 貨物自動車の安全輸送確保に関する請願外二件
 (野坂浩賢君紹介)(第三五一一号)
 同外一件(野坂浩賢君紹介)(第三六九九号)
 同(岡田哲児君紹介)(第三七〇〇号)
 同(大柴滋夫君紹介)(第三七〇一号)
同月七日
 貨物自動車の安全輸送確保に関する請願外一件
 (岡田哲児君紹介)(第三七五五号)
 同外二件(野坂浩賢君紹介)(第三七五六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申し入れに関する件
 自動車事故対策センター法案(内閣提出第七〇
 号)
     ――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 内閣提出、国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案について、運輸委員会に連合審査会開会の申し入れをいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、連合審査会の開会の日時につきましては、委員長間において協議の上決定いたしますので御了承ください。
     ――――◇―――――
○久保委員長 内閣提出、自動車事故対策センター法案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 交通事故は、たいへんいい傾向で、この二、三年減少の傾向が出てまいりましたことはまことにけっこうなことでございます。御同慶にたえませんが、しかし、何といっても毎年やはり死傷者を合わせまして九十万人に近い数が依然として出ておるということは、福祉優先の軌道修正をいたしました今日の政治上の最も大きな問題の一つであるというふうに私は思うのであります。その意味において、これは何としても、この交通安全の対策は真剣に考えられなければならぬと存ずるのでありますが、その一つの対策としてここに自動車事故対策センターというものの法案がこのたび出されましたことは、まことに時宜に適した法案であると考えまして、深く敬意を表するものであります。しかしながら、この法案について、交通事故防止の一般的な立場から申しますと、若干の疑義を私は持つのでありまして、その点、政府各関係省庁の御所見、きょうは大臣がおいでにならぬようでありますから、それぞれの担当の局長、課長その他の御意見を承りたいと存ずる次第であります。
 私は、まず第一に申し上げたいことは、自動車運送事業の事業者の事業用の自動車の運行の安全を確保するためにいままで置かれておりました、運行管理者の育成、指導のために全国に九カ所にわたって自動車運行管理指導センターというものが置かれておったのでありますが、大体いままでこれがどういう仕事をしてきたか、そして今度この自動車事故対策センターができたときに、このいままであった運行管理指導センターとどういうふうに関係して運用していかれるつもりか、その点を承りたいのであります。
○小林(正)政府委員 交通安全につきましては、それぞれ関係各省におきまして所管の事項について鋭意安全対策を推進してきておるわけでございますが、運輸省といたしましては、ただいまお尋ねのとおり、事業用自動車事業者に対しまして、安全対策の見地から運行管理体制というものを法令上明らかにしておるわけでございます。道路運送法におきまして、一定の規模以上の事業者には運行管理者というものを設けるという制度ができておるわけでございます。この運行管理者に対します指導というものを一般的にやっておるわけでございますが、その運行管理の一つの技術的な方法といたしまして、運転者の適性診断、また、これに基づく運転者に対する安全運転の指導というようなことに着目をいたしまして、昭和四十四年以来全国九カ所の陸運局所在地に、社団法人として民間の資金で運行管理指導センターというものができたわけでございます。社団法人でございますので、基本は、関係のバス業界あるいはハイタク業界、トラック業界というようなところからの会費収入でまかなっておるわけでございます。
 その事業といたしましては、まず一番大きなものといたしまして、運転者の適性診断を行なう。この適性診断を行ないます技術的方法として、いろいろな診断機器を設けるわけでございます。この機器の設置につきましては、従来、国あるいは船舶振興会等から若干の補助金を出しておりますが、いずれにいたしましても、そういった民間の自主的な発意に基づく運行管理指導センターというものに対して国も応援をしてきておるわけでございまして、今日までその成果が徐々にあがってきつつあるわけでございます。
 その内容を見てみますと、やはり何と申しましても東京でございます。この東京、四十四年以来今日までの間、数年間にわたって漸次、運行管理指導の基本になる適性診断というようなものの実績があがってまいりまして、今年度の実績では一年間で一万五千人の診断をやっております。この診断の結果に基づきまして、運行管理指導センターに一つのカウンセラーを置きまして、そして診断結果を管理者にまた本人に通知いたしまして、そうして安全運行の指導に当たっておる。その結果の追跡調査というようなことも最近やってみたわけでございますが、その結果、非常に事故が減ってきておるという詳細なデータもあるわけでございます。
 このようなことで、ぜひとも今後の運行管理指導、また、それのもとになる適性診断というようなものを、全国的にまた制度的にも広めまして、そして事故防止施策を強化していきたいというのが、今回このセンターにおいて積極的にやっていきたいという基本的な理由になるわけでございます。
 ただその際、事柄が何といたしましても検査をする、診断をするというようなことでございますので、事業的になかなかペイするというようなことではございません。東京の場合、非常に対象の運転者が多く、したがってある程度指導行政でかなりの実績をあげ得ることもできるわけでございますけれども、これを今後全国的に及ぼすというような場合には、やはり民間だけの力に期待しておってはせっかくのいいことも今後推進されない、こういうふうなことで、このセンターが従来社団法人でやっておりました事業、業務内容を吸収、引き継ぎまして、そして全国的にやっていきたい、こう思っておるわけでございます。
 非常に長々申し上げましたが、現在いわば試行的にやりました社団法人自動車運行管理指導センターの業務を、新しい自動車事故対策センターに実質的に吸収してやっていきたい、こういう関係で把握しているわけでございます。
○片岡委員 いままでの運営の状況はわかりましたが、これは何か事故を起こした者を強制的といいますか、自動的に検査をしておったのか、それとも営業会社が自分のところで、こうこうこういう運転手についてやってくれというようなことで、任意の申し出によって料金を取ってやっておられたんだろうと思いますが、その運営の実際はどうだったのか。今度新しく事故センターになると、それがさらにやや強制といいますか、指導力を強化してその検査をしようとするのか、その点をもう少しはっきりおっしゃっていただきたい。
○小林(正)政府委員 従来やっておりました適性診断というものは、一口に申しまして任意でございます。ただ、こういった適性診断を行なう目的からいたしまして、それぞれの事業者を指導いたしまして、やはり事故を起こしがちである運転者諸君に対してできるだけこういったものを受診するように指導はいたしてきたわけでございますが、いずれにいたしましても、運転者あるいは事業者側から任意に受診を申し出たものについて、御指摘のとおり手数料を、実費程度の手数料を徴収して診断を行なってきております。
○片岡委員 そうしますと、いままでの運営については、運輸省関係の陸運事務所が主として、その指導に当たっておったということですか。それとも、何か警察のほうの、たとえば事故を非常に多発する癖のある運転手というようなものと、何か連絡をとって、警察側との連絡によってやったという実績はないのですか。その点の関係はどうでございますか。
○小林(正)政府委員 事業者についての安全運転の指導行政の一環としてやっておるわけでございまして、法的に、警察庁において、事故を起こした者についてこちらにそういった者の情報が提供され、それに基づいて指導するというようなことは従来いたしておりません。あくまで、新しく考えられておるこの適性診断というものをできるだけ普及しようというような点から、事業者に運輸省側として指導してきておるわけでございます。
○片岡委員 今度の新しい対策センターにおいては、いままでも局長の見方ではたいへん成果をあげてきたというふうに見ておるんだろうと思いますが、これはやはり何か、事故を非常に多発する者については一定の性向、一つの傾向があるのでありまして、非常にあわて者であるとか、非常に自己本位の運転をするとか、非常に激しやすい性質であるとかというふうなことが、事故を起こしやすい性質に共通しておる問題だと思うのですが、そういう点から、もう少し科学的に理論づけのある検査をやられたほうがいいと思いますが、そういう点について、それから、いままでその検査をやってこられた人は、どういう人を使って検査をしてこられたのか、それからまた、施設等はどういうふうにしておられたのか、ちょっとお願いしたい。
○小林(正)政府委員 従来の適性診断の業務の中身でございますが、その方法といたしまして、いろいろな測定機械、運転手の性格あるいは身体機能等を詳細に診断する機械、測定器があるわけでございます。たとえば速度見越反応測定器、重複作業反応測定器、処置判断測定器というような、そのほかたくさんいろいろございますが、そういった測定器を使用いたしますことが一つと、それから脳波計というものもさらにございます。こういった点から、心理学の観点あるいは生理学といいますか、そういった観点からいろいろな診断をやっておるわけでございまして、そういった人たちにつきましては、従来、大学の心理学方面の専門家の方を顧問あるいは嘱託というような形で委嘱をいたしまして、そのもとに若干助手というような関係で職員を数人置きまして、この診断をやってきておるわけでございます。
 冒頭にお尋ねのとおり、こういった診断方法等について、あるいは機器等についても、あるいは日進月歩ではないかと思うわけでございますが、そういった点については、少なくとも現在得られる第一流のその道の方に委嘱をしてやってきておるわけでございますが、これが今後さらにこういった認可法人でやるということになりますれば、その測定機器についてもそうでございますし、あるいは診断方法についてもなお一そう充実する必要があることは言うまでもないと思うわけでございまして、そういった点についても強化してまいりたいと思っております。
○片岡委員 場所はどんなところ……。
○小林(正)政府委員 場所につきましては、先ほど申し上げましたが、全国九カ所と申しますのは、陸運局所在地にございます。
○片岡委員 いえ、実際にそれを検査される場所のことです。
○小林(正)政府委員 東京におきましての、そういった検査機器を置いて適性診断をする施設は、ビルの一階を借りましてやっております。
○片岡委員 それではその問題は、またあとに関連したことがございますので、あとからまたいろいろお伺いしたいと思います。
 今度は、いままで自賠責保険というものが非常に年々赤字調であったことはわれわれ常識的に聞いておったのでありますが、最近それが黒字調に変わった、こういうことであります。これは、四十四年の十月に保険審議会の答申が出ておりますが、その当時においては、四十三年までは、この自賠責保険の累積赤字が一千七百億円をこえておる、四十四年度においては、単年度で千三百億ぐらいの赤字になることが予想せられるということが前提になって、いろいろその事態に対処するための対策を審議せられたようでありますが、これがおそらく、この答申によって保険料率が倍ないし二・五倍に上げられたということのようでありますが、そのものすごい赤字調が急に黒字調に変わったということに、何か大きな一つの転換する原因があったと思いますが、単に料率を上げただけという見方をしておるのですか。何かほかに原因があったか。それらの原因についてひとつお伺いしたいと思います。
○小林(正)政府委員 ただいま御指摘のとおり、昭和四十四年までは、自賠責の収支は非常に大幅な赤字であったわけでございます。それで、四十四年の十一月に、保険料の約二倍という大幅なアップをいたしたわけであります。
 この黒字になってきた原因として何が一番大きいかという御指摘かと思いますが、当然収支の問題でございますので、収入面から申し上げますと、ただいま申し上げましたように、保険料の大幅アップ、また当然自動車契約車両というようなものはふえてきておるわけでございまして、そういった車両数の増大というようなことで保険料収入が非常にふえてきておるということが収入面から言えるかと思います。それから支出面、保険金として支出されるわけでございますが、支出面におきましては、やはり事故防止対策と申しますか、安全対策というようなものについて関係各省の施策というようなものが漸次浸透してまいりまして、この安全対策の推進の結果、事故率といいますか、こういったものも若干減ってきておるというようなこと、これが保険の支出面に非常に好影響を与えておる。その両方が相まって、結果として黒字になってきておる、こういうふうに見ております。
○片岡委員 ひとつ最近の、四十四年あたりの自賠法の料率改定前、改定後から、どういうふうに赤字調から黒字調に変わったか、その点を何か統計的にお願いしたいのです。
○小林(正)政府委員 自賠責保険の年度別の収支状況でございますが、契約年度のベースで申し上げますと、四十四年度におきましては、収入保険料が千八百四十九億円に対しまして、支払い保険金が二千七百十一億円、当年度の収支残といたしましては八百六十一億円の赤字でございます。その前の年までの累計の赤字がございますので、その結果、四十四年度におきましては総計二千三百三十二億円の累計赤字になっております。翌四十五年度におきましては、保険料の大幅改定、車両の増加ということが相まちまして、収入は三千二百三十八億円、支払い保険金は二千八百八十五億円ということで、単年度といたしましては三百五十三億円の黒字になったわけでございます。先ほどの累計の赤字が若干減りまして、千九百七十九億円ということでございます。四十六年度におきましては、三千六百三十四億円の収入に対しまして、支払い保険金が三千八十九億円、単年度の収支残は五百四十四億円の黒字でございまして、その結果、赤字の累計残は千四百三十四億円に減ったわけでございます。四十七年度につきましては、収入が四千二十四億円、支払い保険金が三千三百三百三十二億円、六百九十二億円の単年度収支残でございまして、その結果七百四十二億円の赤字が残っておる。こういった状況で推移いたしますと、おそらく四十八年度、今年度の終わるころには、赤字はほぼ消えるのではないか、こういうように見通しております。
○片岡委員 ただいま数字を伺いますと、支払いのほうは、やはり年々幾らかずつふえておるようであります。収入のほうは、料率改定で、一挙に倍にはなりませんが、収入がかなり、倍近くふえておるということでございます。今後もだんだん収入がふえていきましょうが、支払いもやはり、自動車の数が多くなり、交通安全の施設あるいは教育がだんだん徹底するというようなことで、次第に一般的な方向としては減るとは思いますが、しかし絶対数においては、支払いのほうがやはりふえていくと思います。
 こういう見通しで将来いきますと、また赤字がふえるということが将来考えられるか、どういうふうに観測しておられますか、その点を……。まあ現在の料率でずっといけば、一応、毎年累積の黒字が出て、累積赤字も消えて健全な運営ができるというふうに考えておられますか、その点ちょっとお伺いしたい。
○小林(正)政府委員 見通しでございまして、非常にむずかしい問題かと思いますが、大ざっぱに申し上げまして、先ほど申し上げたような情勢でほぼ推移するのではないか、つまり単年度でとってみますと、現在の保険料収入で支払い保険金を払ってなおかつ黒字が単年度では出る、その結果累積赤字も消えるような段階になるのではないかということで、収支の見通しといたしましては、流動的ではございますけれども、必ずしも断言はできませんが、収支状況は非常に好転しつつあるということを言えると思います。
○片岡委員 そこで私は、こういうふうに好調に黒字調に変わってきて、この自賠責保険全体としての運営がかなり調子よくなりつつあるということを、まことによいことだと思いますし、非常にけっこうなことだと思いますが、そこで私は、今後この黒字調がだんだん続いていくということが一応言えるということでございますから、そういう段階においてどういうふうにこの対応策をとっていくかということが今後の問題であろうかと存じます。
 そこで、四十四年に出されました自動車損害賠償責任保険審議会の答申によりましても、この滞留資金の運用益がだんだんふえた場合にどうすべきか。「責任保険においても滞留資金の運用益等を活用して、専門医育成の援助、救急病院の設置、救急医療施設に対する助成等により積極的に救急医療体制の整備に寄与すべきである。なお、この種措置は、責任保険制度の限界を越えるものではなく、長期的にはその運営と支払の合理化につながるものであることに留意すべきである。」こういうことがいわれておりまして、これは救急医療の問題に相当力を入れてほしい、こういうことであります。そしてまた同時に、これは交通安全のいろいろな施策にも、相当程度これを強力に運営をして、その成果を期待していくことが大事であると存ずるのでありますが、これらの方策について、この答申の趣旨にのっとっていま運輸省がとっておられる方策、どういうものを考えておられるか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○小林(正)政府委員 ただいま御指摘の昭和四十四年の自賠責審議会の答申のうち、滞留資金の利子を活用して事故防止対策等に積極的に対処すべきだという点に関しましてお答えいたしますと、従来から自賠責の特別会計の利息収入のうちの一部を使いまして救急医療施設の整備事業に対して補助金を出しております。また、交通事故防止事業というようなことといたしましては、昭和四十五年から、全日本交通安全協会をはじめといたしまして、自家用自動車協会等、安全事故防止対策を推進する民間の団体に対しまして補助金を出してきておるわけでございます。そのほか被害者対策といたしましては、交通事故相談事業あるいは法律扶助事業というような関係の事業に対しまして、これまた公益法人に対しましてあるいは都道府県等に対しましても滞留資金の利息から補助金を出してきておるわけです。ちなみに、漸次強化されまして、四十七年度におきましては四億二千八百五十万円でありましたのが、この四十八年度の成立いたしました政府予算におきましては四億八千百万円というところまで強化をしてきておるわけでございまして、今回さらに、民間の事業でなくて新しい認可法人として今回の法律をつくりまして、そこの事業に滞留資金の利息を活用しよう、こういうことでございまして、四十四年の答申以来漸次そういった方向で施策を講じてきておるという現状になっております。
○片岡委員 私の手元にいただいておりますこの滞留資金の活用の一環としての補助金の統計を見ましても、いまお話しのように、四十七、四十八年度と各方面の団体あるいは事業に補助をしておられることはまことにけっこうなことだと思います。特に救急医療整備事業等にかなり多くの重点的な施策を講ぜられておりますことは、私はたいへんけっこうなことと存じます。
 そこで私は、ちょっとお伺いしたいのですが、この黒字調がだんだん続いていくということになりましたときに、今後さらにどういうことが考えられなければならぬかということであります。一番先に考えられることは、これはいわゆる保険金の限度額をもう少し上げる必要があるのじゃないかということ、あるいはまた保険料の引き下げというようなことも考えられなければならぬと思うのでありますが、これらの点について、たとえば保険限度額等は四十四年度で改定せられて、先ほどお話のありましたときに、この審議会の答申によっていままでの死亡並びに後遺障害の最高額というものが三百万円であったのが五百万円に引き上げられた、こういうことでございますが、最近の物価高さらに貨幣価値の非常な下落等を考えましたときに、はたして五百万円でいいのかどうかということが非常に問題だと思います。最近の公害の裁判における補償料なんかを考えましたときには、人命というものをかなり大きくアップされております。ことに諸外国の例を見ますと、これは別に自賠責任保険だけで保障すべきものではなしに、そのほかにやはり一般保険の、任意保険の立場からも相当大きく保障されなければならぬことは、これはいうまでもありません。したがって、自賠法だけを上げるということではないとは存じますが、しかし、やはり最近のそういう人命尊重の立場から考えましても、あるいはまたその他の他のいろいろの補償の実態からいいましても、この五百万円はやはりまだいかにも少ないというふうに思われるのでありまして、これらの点においてさらにある程度の大幅の引き上げを考えられなければならぬのではないかと思いますし、さらにまた、保険料率の合理化ということについても、これは相当考えられなければならぬのではないかと思います。これは赤字である場合にはそのことは問題になりませんが、だんだん黒字が重なってくるということになれば、当然ユーザーの立場からもそういう希望が、要望が出てくることと、こういうふうに思うのであります。
 そこで審議会の答申にも、料率の合理化ということについてはいろいろのことが提案せられております。いろいろありますが、その中に、たとえばいままでは自動車についておった保険を今度は運転手という人間につける。そういうことによってそのメリット・デメリットの制度を十分活用すべきではないかと、こういうことが提案せられておるのであります。
 私も外国に行っていろいろ調べてみたことがございますが、事故防止の立場からも保険料率というものを合理化する、そして事故を起こす度数によってその保険料が変わるということによって運転者に注意を喚起し、そして交通事故を減らすという面に非常に大きな影響なり成果がある、かように思っておるのでありますが、それらの点について運輸省として局長はどういうふうに考えておられますか。あるいはまた、これは大きな問題でございますので、政務次官のほうでは料率の問題あるいは保険料の限度額を引き上げるという問題についてどういうふうにお考えになっておるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
○佐藤(文)政府委員 自賠関係が四十八年度で大体収支のバランスがとれてくる、こういうことになりまして、先生の御指摘のありました、将来の運用益の使途、こういうものについてどう考えるか、こういうことでございます。
 従来、運用益は累積赤字の補てんにずっと使ってきておりましたが、今後、収支の推移を勘案しまして、センターに対する助成のほか、次の措置を財源として検討していきたい。これは先生も御指摘されましたとおりに、保険金の限度額の引き上げとかあるいは保険の給付内容の改善とかあるいは保険料率の合理化あるいはまた救急医療体制の整備等、交通事故対策に使っていこう、大きく分けてこの四点にしぼられる、こう考えます。
 その中で、特に先生の御指摘のございました限度額の引き上げと、その時期とかあるいはその額、こういう問題についてどう考えるか、これは非常に政策的な問題になりますので私お答えいたしますけれども、御承知のとおりに、四十七年の九月に自賠責審議会の意見が出まして、保険収支の推移を見て、制度上の諸問題を含めしかるべき時期に審議会で検討したい、こういう審議会の結論が出ております。そういうことで、この引き上げの問題につきましては、被害者保護の見地に立って、今後保険収支が著しく変化しないよう配慮して、前向きに検討すべきである、こういうぐあいに考えております。それから時期、金額等につきましては、損害賠償の判決額とかあるいは他の社会保障制度との均衡、その他各方面に与える影響等十分に考慮して、審議会においてこれを決定していただくということで、私どもとしては前向きにこれを考えていきたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
○片岡委員 いまの政務次官のお答えはきわめて抽象的で、料率の合理化、給付内容の増額というような問題についてもう少しひとつ前向きの姿勢で御検討いただきたい。ことに、事故を起こした者も事故を起こさない者も同じ保険金を納めるんだということではこれはいかにも不平が出てまいります。ことにだんだん滞留資金が大きく黒字になった状態においては、やはりそういう点が相当考慮に入れられなければ、私は、自動車の所有者、運転者の保険を納める側からいうと非常に問題がある、割り切れぬ感情を持つ、こういうふうに思われるのでありまして、私はこういう問題について、ことにメリットシステムといいますかこういうものの採用については、ひとつ真剣に考えていただきたいと思います。これはやや政策的な問題とあわせて実行上の技術的な問題もあると思います。自動車にくっついておったのを今度運転者に切りかえる、あるいはまたその方法をどうするかというようなことは、かなり技術的な問題がありますので、それを自動車局長はどういうふうにお考えになっておられるかちょっとお願いいたします。
○小林(正)政府委員 黒字の基調になってきているもとにおきまして、先ほど政務次官から答弁がありましたように、いま一番の問題は、限度額をどのぐらい引き上げたらいいか、また引き上げる際に、保険料というようなもののシステムを答申に基づいて制度を改善したらどうかという大きな問題があることは御指摘のとおりでございます。保険料の制度の問題で御指摘のメリットあるいはデメリット制度というようなことにつきましては、当然事故車と事故を起こさない車との間の保険料負担の公平の問題あるいは今後の事故防止の意欲を持たせるというような点からも非常に有効な制度かと思うわけでございます。したがいまして、これにつきましては、ドライバーに対する保険というような方法もございますし、またいまのように、車についての保険というようなもとにおいて、車ごとの事故歴というようなものをそのままの形でも何とかメリット・デメリット制ができないかというようなこと、あるいは事務的にと申しますか、技術的にどういうふうに車ごとに把握することが確実にまた簡単にできるかというようなことを含めまして、現在関係方面とも話し合いをしまして、関係者で検討を始めておる段階であります。したがいまして、来たるべき保険金の限度額の問題のときまでには、並行してこの問題についても検討を進めていきたいと言っておるわけでございます。
○片岡委員 同じ問題について、大蔵省から安井保険部長もお見えになっておるようですが、保険の専門的な立場からどういうふうにお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○安井説明員 ただいま自動車局長がお答えになりましたように、私ども、自動車損害賠償責任保険審議会は運輸省と御一緒に運営いたしておりますので、自動車局長のお答えいただいたのと大蔵省は全く同意見でございます。
○片岡委員 私は、ただいまの問題、特にメリットシステムについて、これはひとつ真剣に御研究をいただいて、ぜひ何らかの形においてそういう形がとられることが非常に望ましいと思います。各国でもそのことによってかなり交通安全、交通事故防止対策上有益な結果を得ておるというふうに私らには考えられますので、これはひとつ真剣に考えていただいて、できるだけこれを何らかの形において合理的に、日本的な方法において実現できるようにお考えをいただきたいことを私は特に強く要望をいたしておきたい次第であります。
 私は、この自賠責任保険の黒字基調が続いてだんだん好転をしてきたという機会に、今後最も有効にこの益金が使われるべきである、こういうふうに思うのであります。私は、そういう意味からまず滞留資金の益を、いま申し上げたように、保険料率の問題あるいは保険料限度額の引き上げといったようなものをまず考え、その他いろいろ交通安全対策を広く考えた上でこのセンターの問題を考える。これはもちろんどちらが先、どちらがあとということは言えぬかもしれませんが、何か一方的に、片っ方はなおざりにされて片っ方だけがセンターをつくってこれを運営していくということに重きが置かれ過ぎている、その他の面が何となく軽視されておるというふうに私には思われるのでございます。
 そこで、このセンターをつくられることに対するいろいろ予算的な措置、資金の運用等を見ましても、相当膨大なものがこれに使われることになります。ことにセンター操業の施設費に充当するために四十九年度において二億五千四百万、五十年度において二億五千万、それから事業費に充当するために昭和四十八年度に一億一千万、昭和四十九年度に五億四千六百万、それから五十年度で六億五千九百万と、だんだん大きくなる。五十一年度においては七億四千六百万、五十二年度になると七億五千七百万というようなたいへん大きな数字がここに出ております。こういうことに使う。そのほかにまた事業収入として四十八年度に四千万、四十九年度に三億四百万、五十年度で四億九千七百万、五十一年度で五億二千万、五十二年度では六億といったような事業収入をもこの事業費に充てていこうということでございます。事業はいろいろ広範囲にわたるので、使い方によっては非常に有用に使われるとは思いますが、この膨大な政府資金あるいは出資金がどういうふうに使われるかということについて非常にしっかりしたものがなければ、やはり保険を納める側にとっても納得のいかない面があると思うのでございます。さような点から先ほど申しましたユーザーに対する還元ということを運輸省としても考えておるというようなことが、私がいただいたこの資料には載っておるのでありますが、何かそういう面があと回しになって、とりあえず施設をつくる、そしてこの施設を充実してこれを動かすことに人が要るので、その人を整備していく、こういうことに重きを置かれ過ぎて、そうして打つ手が何か逆になっておるような気がいたすのでありますが、これらの点について、いま大臣がお見えになりましたが、基本的な問題として、大きな黒字益金の使い方についての用途が何か逆に出ておる。もっと先に考えなければならぬ点があるにかかわらず、とりあえずセンターをつくる、設備をつくる、そういう機関をつくるということに重きが置かれ過ぎておるように思われますが、そういう点について大臣のお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
○小林(正)政府委員 先ほど来の御説明で若干舌足らずであったかと思いますが、全般的に自賠責が黒字基調になってきているという問題に対して、私どもは第一次的にこういったセンターというようなもので対応しようということではございませんで、この問題に対しては、先ほど来の御質問にありましたとおり、当然、限度額の引き上げの問題あるいは保険料率の改定の問題、こういったような問題で対応すべきものでございます。こういった根本問題と並びまして、滞留資金の運用益、利息といったようなものを一部活用して自賠責保険の制度と並んで事故防止あるいは被害者救済の補完的な業務を強化していこうということでございます。
 したがいまして、従来から自賠責本体の問題というようなものにつきましては、これはこれとしてと申しますか、これがやはり第一義的に重大な問題でございまして、先ほど来申し上げましたように、今後前向きに検討していくということでございます。
 滞留資金の部分についても四十四、五年ごろから民間団体に対する補助の強化というようなこと、あるいは今回認可法人をつくりまして具体的な業務を利子の一部を活用してやっていくというような、二つの柱といいますか面があるわけでございまして、どちらに重点を置いているということではございませんので、その点はぜひ御了解を願いたいと思います。
○片岡委員 その点はある程度了解できますが、将来の問題として、やはり両々相まって進んでいただくということを、私はさっきのメリットシステムの採用その他の点とあわせて重ねて強く要望をしておきたいと存じます。
 そこでちょっとお伺いいたしたいのですが、この法の四条に政府以外の出資者というものが書かれておりますが、これはどういうものを予定しておられますか、お伺いしたいと思います。
○小林(正)政府委員 今回設立いたしますセンターにつきましては、政府出資の財源といたしましては、自賠責特別会計から出資するわけでございます。自賠責特別会計は、御承知かと思いますが、各保険会社が元請をしたうち再保険として国に保険料収入が入る、そこから再保険金として支出されるという会計をやっておるわけでありまして、現在六割の再保険をやっておる。こういったことと呼応いたしまして、保険会社あるいはそれの団体というような民間団体からの出資も国の自賠責特会と並びまして協力をいただいたほうが一番合理的ではないかということで、現在考えておるわけであります。
 さらに自賠責保険につきましては、全国共済農業協同組合というものもこの保険をやっておりますので、損害保険の関係業界それから農業協同組合、こういった方面を政府以外の出資者として現在考えておるわけであります。
○片岡委員 時間があまりないようでございますので先を急ぐことにいたします。
 そこで、ここ二、三年の交通事故被害者の数がかなり減っておるのでございます。これはすでに統計を見ますと、昭和四十七年度の交通事故発生件数が前年に比べて六・二%減っておる。死亡者数は二・七%の減、それから負傷者数が六・七%減、合わせまして九・四%減ということで、これはたいへんよい傾向でございまして、まことにけっこうなことでございますが、減ってきた原因は一体どこにあるかということをどういうふうに見ておられるか、その理由を私はそれぞれの関係のお役所の方からお聞きしたいのでありますが、総理府の方から、この被害者の数が減ってきた原因はどこにあるとお考えになりますか、それをひとつお伺いしたいのです。
○神戸(芳)説明員 お答えいたします。
 昭和四十六年に交通安全基本計画が中央交通安全対策会議で決定されまして、それに従って政府は施策をやってまいった次第でございます。その中身としましては、交通安全施設の整備、交通安全思想の普及、安全運転の確保、車両の安全性の確保、道路交通秩序の維持というようなことでございまして、そういうものを総合的に実施しました結果、その効果があらわれてきた、こういうふうに考えております。
○片岡委員 同じ見解をお伺いしたいのですが、運輸省はどういうふうにお考えですか。
○小林(正)政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、関係各省でこの交通安全につきましてはそれぞれの所管事項についての施策があるわけでございまして、ただいま総理府から答弁がありましたとおりでございますが、運輸省といたしましては、具体的に申し上げますと、車両検査あるいは点検整備の強化、それから運行管理体制の強化、運輸省としてのいろいろな安全対策があるわけでございますが、こういったものについて今日まで総理府を中心に私どもとしては所管の業務について鋭意施策を推進してきておるわけでございます。
○片岡委員 同じ見解をひとつ警察庁。
○片岡政府委員 一般的にはいままでのお話のとおりだと思います。全般的に全国的には減っておりますけれども、しさいに検討いたしますと、地域別の格差がございます。主として大府県、大都市では減少傾向が著しゅうございますけれども、たとえば東北であるとか南九州あるいは四国の南のほう、あるいは山陰、北陸といった、いわば過疎地帯といわれている地域では逆にふえている傾向にございます。
 そういうことを考えますと、もう少し具体的に分析いたしますと、大体四つくらい理由があるんじゃないか。
 一つは、先ほど総理府のほうから話がありましたように、道路管理者と公安委員会が一緒にやっております道路交通環境の整備、安全施設の面、これの整備がやはり大府県では相当蓄積がございます。ところが地方ではまだ足りません。そういうのが一つの大きな原因だと思います。
 それからもう一つは、何と申しましても公道で白バイあるいはパトロールカーがパトロールをしておるという頻度からいきましても、大府県は手厚うございますが、地方のほうはまだまだ少のうございます。これが一つの原因ではなかろうか。
 それからもう一つ、一番基本にございますのは、やはり大府県、大都市は道路交通の歴史が長うございます。したがって、ドライバーも歩行者も車社会に適応している適応度が違うのではなかろうか、そういうことも考えております。
 最後に、どうもてまえみそになって恐縮なんでございますけれども、免許制度で運転者の管理センターをつくりまして、御承知のように点数制度を始めました。たとえば六点になれば停止が始まる、十五点になれば取り消しだということがドライバーに十分行き渡りまして、したがって、ある程度点数がたまってくるとドライバーが非常に注意をして運転をされるようになる。これが相当大きく影響しているのではなかろうかというふうにも考えております。
 以上でございます。
○片岡委員 建設省のお立場も聞きたいのですが、時間がありません。いまいろいろ聞き出しますと、それぞれてまえみその、我田引水論が多いようでございます。しかし、いずれも総合的に一体になって交通安全の施策を強力に実行しつつある。それからまた、それに応じて民間の交通安全運動も非常に盛んになってきた、学校方面では非常に子供の交通安全ということからもいろいろな施策が講ぜられるようになってきた、そういうことが合わさって大きな成果を得たと思うのでございますが、その中でも、何といっても取り締まりをいわゆる点数制度によってやっておられる。いままでスピード違反でもあるいはその他軽微な違反でも見のがしておったのを、今度反則金制度でどんどん取り上げて、そして注意を喚起していくということが一つの大きな結果を得たものと私は思うのでございまして、私はそれぞれ各官庁側で力を合わせてやっていただきたいと思うのでございます。そのことによって今後ますますこの交通安全の施策が有効に働いて、そしてまた大きな成果を生むものと思うのでございます。
 そこで、私は次に、それについて質問をもうちょっと続けさせていただきたいのでありますが、この法三十一条第一項第一号によりますと、運行の安全を確保するために行なう指導及び講習は、道路運送法第二条第二項に規定する自動車運送事業及び同法第二条第五項に規定する軽車両等運送事業の用に供する自動車の運行管理に限られる、こういうふうになっておる。そしてまた、適性診断を受ける対象者も二つの運送事業内の運転者に限られる、こういうふうになっておりまして、大体営業用のものが主として自動車事故対策センターの対象になっておるのでございます。
 そこで、ちょっと時間がなくなって十分これをきわめることができないのは残念でございますが、結論から申しますと、交通事故その他の状況を見まして、営業用の自動車とそれから自家用の自動車を比べてみましたときに、統計的に調べてみますと、明らかに自動車の数も営業用のものはきわめて少ない。そして自家用車が非常に多い。したがって、事故の件数もそれを比べてみますと、お話にならぬほど差があるわけでございます。そういう意味で、この交通安全対策というものは、この法がねらっておる単に営業用の自動車だけ、あるいはまたその運転者を管理するところの運行管理者の教養、それだけでは非常に片手落ちである。もっと大きな分野を占めておる一般自家用自動車の運転者あるいはそれらに対する対策というものが非常に大きくクローズアップされなければならぬのに、この法律のねらっておるのは、数の比較的少ない営業用の運転者並びに自動車だけを対象にしておるという点に私は非常に疑問を感ずるのであります。それでは私は片手落ちである、かように思うのでございますが、時間がありませんので、ちょっとその点簡単にお答え願いたいと思います。
○小林(正)政府委員 この自動車運送事業者に着目して運行管理の指導を強化する、あるいは適性診断を実施するというようなことにつきましては、これは理由といたしまして、事業用の自動車は御承知のとおり他人の貴重な生命あるいは財産というものを輸送するというようなこと、あるいは運送の実態から見ましても、走行距離、運行時間といったような点から見ましても、自家用車と比べまして交通事故を発生するリスクというものが非常に大きい。あるいは事故の社会的な影響というものも、自家用車と比べてはるかに大きい、こういうようなことを配慮したのが第一点でございます。
 それからもう一つは、適性診断というものが事故防止上きわめて効果的なものであるとすれば、当然自家用車を含めたすべての運転者というものを対象にすべきじゃないかという御意見かと思いますが、御承知のとおり二千数百万人のドライバーがおるわけでございまして、こういった人たちに対して事業用運転者と全く同列に、直ちに診断をするというようなことは、実際上非常に問題があるのではないか。むしろこれは、一つの恩典でございませんで義務を加重していくというような点から考えますと、第一義的には事業用に着目して適性診断を実施したい。なお、自家用を排除するということでは全然ございませんで、自家用自動車の運転者等に対しましても、その要請に応じて適性診断を現在行なっております。運行管理指導センターにおきましても、非常に安全を強化しようとしている会社等、あるいは中には役所におきましても、運転者にこういったものをすすめておるという実例も多々あるわけでございまして、今回のセンターにおきましてもその業務をできないということではございませんで、こういったこともあわせてやりたい。ただ、第一義的には事業用自動車について行なうセンターをつくる。こういうことでございます。
○片岡委員 私はそういうことについてもっと強く申し上げたいのでございます。といいますのは、その自家用自動車運転者、そういうものに対する一般的な教養、あるいは一般的な取り締まり、あるいは一般的な指導というものが、これは運輸省だけではできないのであります。これはいろいろな機関でございます。すでにいま補助をしておられる団体にもいろいろの団体がございます。また、その中でも私は、一般的に非常に大きくこの交通安全の仕事をしておる組織は全日本交通安全協会であると思います。また、それと相提携して、いわゆる技術面の学者の集まりであるところの日本交通科学協議会というのがございます。日本交通科学協議会は、日本のあらゆる交通科学に対する心理学、医学、工学、人間工学といったあらゆる面における学者がみな寄って、毎年それぞれ大きな学会を開きまして、そうしてこの問題について真剣に取り組んでおられます。いまこのセンターがねらっておる適性検査につきましても、この心理学者は非常に大きくこの問題を取り上げて研究をしておられるのであります。先ほどの御説明で、これからこのセンターでも、そういう学者を大いに活用して御協力を願ってやっていきたいということでございますが、私は、この日本交通科学協議会あたりは大いに御活用を願わなければいかぬ。ところが、この学者の集まりである交通科学協議会は、残念ながら資金が非常に乏しい、そしてほとんど仕事ができない、こういう状況でございます。科学技術庁において、ときたまいろいろのテーマをお願いをされて、そうしてその研究をしてもらっておるという実績がだいぶ重なっておるのでございますが、それもきわめて小部分でございまして、もっともっと大きな範囲にわたってこの交通科学協議会が活躍してもらう。そのことによって日本の交通安全運動が非常に推進されるものと思うのでございます。
 言うまでもなく交通安全は三つのEである。すなわちエデュケーション、インフォースメント、それからエンジニアリング、こう言われておるのでございますが、そういう意味からいいましても、エンジニアリングの立場からのこの交通科学協議会の立場というものは非常に大きいし、またエデュケーションの分野を持たれる全日本交通安全協会の立場というものは、非常に大きく大切な地位を占めておる、かように思うのでございます。ことに交通安全協会は、これはやはり何といっても交通安全は、取り締まり一本でもいけませんが、教育一本でもだめなんです。一方においてコーランを持ち片手にやはり剣を持って、剣というとおかしいのですが、そういう取り締まりと指導が相またなければ、人間の弱みというものがそこに出てきて、なかなかうまくいかぬものだと思います。
 そういう意味で、この二つの団体がいままでやっておった功績を大いに認めていただいて、これらのところへこの豊富な資金を相当流していただいて、そして大きくこれを動かすようにしていただくということが必要であるように思うのでございます。その点についてのお考えをお願いしたいと思います。
○小林(正)政府委員 ただいま御指摘の、このセンターだけでなくて、やはり民間にいろいろな公益法人というような法人格で安全施策を推進しておる協会がたくさんある、その一番代表的な例として、ただいま御指摘のとおり全日本交通安全協会があるということでございます。これにつきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、昭和四十五年以来補助金を出しておるわけでございます。なお、その他の協会、日本交通科学協議会でございますとか、そういったものにつきましても、私どもといたしましては、それぞれの事故対策事業というような内容をよく検討をいたしまして、当然補助にふさわしいような事業内容のものについては一般財源の許す範囲内で必要な補助をいたすことについてはやぶさかでございませんで、むしろ積極的に対処をしていきたいと考えております。
○片岡委員 私は最後に一つ、このセンターが取り上げております被害者の遺家族に対する生活資金の援助の問題がございますが、この問題についてお伺いしたいのであります。
 法第三十一条の一項三号、四号によりますと、非常に生活不如意である人に対して生活資金を出す、あるいは遺児の育英資金を出す、こういう問題がございますが、これがいわゆる生活保護法との関係で、生活保護法によると、六十一条、六十三条等で、こういう不時の収入があったときには届け出なければならぬ、あるいはその返還の義務を負わせておるのでございますが、これらの問題はこれとどういうふうに関係するのであるか、せっかくここでこういうように制度ができても、これが四角四面に適用せられて、そしてせっかくの効果がないということであっては非常に残念だと思うのですが、厚生省の方、医務局長か課長おられればちょっとお伺いしたいのですが。
○中野説明員 お答え申し上げます。
 今回の自動車事故対策センターの行なわれます事業につきましては、実は事前に運輸省のほうから私らのほうに御相談がございまして、ただいま先生御指摘のような趣旨で、なるたけこれが、たとえば生活保護法の運用との関係におきまして被害者の方々の世帯の自立、更生に役立つように格段の配慮をしてもらいたい、こういう申し入れを受けているわけでございます。私のほうといたしましては、法の運用上の平等の問題もございますが、それを阻害しない範囲内におきまして運輸省の申し入れの趣旨を生かすように現在鋭意検討中でございまして、できるだけの配慮をいたしたい、かように考えております。
○片岡委員 もう時間がだいぶ過ぎておりますので、これでやめますが、私は最後にお願いいたしたいのは、このセンターの法案に関連しまして、いろいろ先ほどから申し上げた点に必ずしも私は満足すべき点が見出されないのであります。片手落ちであるという点について非常な疑問を持っておるのでありますが、その点で交通安全のためにいままで非常に大きく貢献をしてきた全日本交通安全協会でありますとか、あるいは日本交通科学協議会というようなものがどういうことをやってきたか、またどういうことをやろうとしておるかということあたりを、この交通安全対策特別委員会でひとつ参考人としてお呼びいただいて、そうしてお調べいただくことが今後の交通対策の上に非常に大きく稗益するところがあると存じますので、委員長におかれてその問題についてお考えをいただきたいということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○久保委員長 いまのことは理事会におはかりいたしましてきめます。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
○久保委員長 速記を始めてください。
 井上君。
○井上(泉)委員 運輸大臣は、天下の悪法の国鉄運賃法の審議と違ってここは若干気が楽だと思いますので、よろしくお願いします。
 そこで、いま片岡議員からもあったのですが、この事故対策センターが業務用を対象としておるということは、自動車の所有台数の比率から見ても、それから事故件数から見ても、管理の面から見ても、これはやはり個人の業務用以外のものも対象にすべきではないか。ことにマイカーがふえて、そうしてたとえば高知へも北海道の車が来る、九州の車が来る、こういうふうに県外の車がずいぶん入ってきておりますが、そういうふうな個人の車も対象にすべきじゃないかと思うのですが、その点についての大臣の見解を承りたい。
  〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
○新谷国務大臣 法律の上からいいますと、当然これはやれることになっておりますし、やるべきだと思っております。ただ、自家用車につきましてはまだ捕捉が困難な点があるようでございます。これはつとめて落ちがないようにということで事務当局も努力をしておるようでございますが、御趣旨の方向でさらに努力をさせたいと思います。
○井上(泉)委員 それでは個人の分もこの法律の中に含んでやれる、こういうことですか。
○小林(正)政府委員 そのとおりでございます。
○井上(泉)委員 やれるなら、不備なものをことさらにそのまま置かずに、なぜそれを補わないのかと思います。委員会が適当と認めた場合はこれは修正をして法を整備していかなければならぬ、こういうことになると思います。
 そこで、運輸大臣は捕捉が困難だと言われておるのでありますが、これは週刊新潮に載っておった記事ですけれども「甘いぞ、ダンプ規制」ということで、「大きな惨劇のもとにこの取締り」という記事の中で、ダンプが事故を起こした、それで警察庁の片岡交通局長は「日本の運転免許制度は世界一厳しい」こういう前置きをしておって、「今回の事故車は白トラといって、営業無許可の自家用トラックです。私は運輸省に”白トラをなくせ”と提案している。」ということなどいろいろ言っております。そこで「ダンプを例にとると、総台数約十八万二千台のうち、実に約十六万四千台が、いわゆる白ナンバーの自家用ダンプ――“一匹オオカミ”である。」こういうことですが、これはダンプ規制法というものを四十三年か四年かにつくったわけですが、これがほとんど規制法によって十分取り締まりを受けていないわけですが、これはやはり片岡局長の言われるように運輸省が腰を上げないのですか。運輸大臣、これはどうですか。
○小林(正)政府委員 ただいまの御指摘の趣旨がちょっとわかりかねますが、運輸省としましては、ダンプについての規制は、一つは営業とするかどうか、こういう点については、営業であるものは当然道路運送法で免許をし運輸省の管轄下に入るわけでございます。それと、一般にダンプを使っておるよくある例は、砂利を販売するとかあるいは採石するというような事業をやっておる方々が、いわゆる自家用車として自分の事業の用に供する車として使っておるわけでございまして、ダンプを使っておる使用の態様に、そういった運送事業として使う場合と、そういうように砂利採取業あるいは販売業といったような自家用で使うというような二つの形態があるわけでございまして、そのいずれに対しましても、事故の観点からは当然警察が取り締まりもいたすわけでございますが、私どもといたしましては、その事業用になっておるダンプについては当然運輸省が監督を強化すべきものと考えております。
○井上(泉)委員 これは白トラと称するものが四十七年度で十六万四千台ある。この事実は警察庁の交通局長の談話の中にあるのですが、間違いないでしょう。これは交通局長、どうですか。いま自動車局長の答弁を聞いて、白トラの取り締まりは一体どこがやらなければいかぬか、ひとつ交通局長の見解を聞きたいのですが……。
○片岡政府委員 白トラというのは俗語でございます。自家用のダンプカーとそれから営業用のダンプカーとの話で、自家用のダンプカーがそれぐらいあるということでございます。
 取り締まりにつきましては、御承知のように私どものほうでやっておりますけれども、これは自分の買った砂利を運んで自分で売るという形をとっておる限り合法でございます。だから、そこに非常に制度的な問題があるのではないか。私自身は、ダンプ問題は発想を転換しない限りだめなんじゃないかという気持ちが強うございます。私が提案いたしておりますのは、大きなトラックに自家用車をなくしていって、すべて営業用車にしていくという方向が一つの方向ではなかろうか、こういう提案を運輸省にいたしておるわけでございます。
○井上(泉)委員 これは時間をとりますので、このことについては、また次の機会にダンプ規制については御質問いたすわけですが、いま保険会社というものはべらぼうにもうけておる。その一つの事例としては、農協の全国共済がやっておる自動車損害保険、これが昭和四十六年度で収入が四百六十六億、これだけ収入があって支出は四百六十三億八千四百万、こういうことになっておるわけですけれども、共済金として支払ったのは八十一億六千万円、それで結局四百六十六億保険金をとっておいて、そこで支払う額は八十一億、あとの金は支払い準備金とかあるいは費用とか、こういうものに充当しておるわけですが、こんなに保険というものがもうけておるかと思ってほんとうにびっくりしたわけですが、これは大蔵省の主計官、一体どうですか、保険会計のこんな状態は。
○安井説明員 保険会社が取り扱っております自動車保険は、任意の自動車保険とそれからいまの自賠責保険と二つ扱っておるわけでございます。あとのほうの自賠責保険はノーロス、ノープロフィットということで、いまは実は赤字になっておりまして、保険会社のほうも赤字の繰り越しのままになっております。任意の保険でございますが、いま先生御指摘の農協共済の数字、ちょっと私手元にございませんが、私どもの手元にございます数字でございますと、四十六年度に自動車保険につきまして保険会社の営業種目中の事業損益を見てみますと、百八十億ばかりの利益をあげております。しかしこれは、実はその前の年は百三十九億、その前の年は三百十五億というように赤字でございまして、昨年度から保険会社の損益の上でも、自動車保険が事故率の減少ということで黒字に変わってきた、やっと変わってきたということでございます。
○井上(泉)委員 それではこの農協共済の自賠責の保険会計というものは、これは異例でしょうか。
○安井説明員 農協共済関係の自賠責の数字、ちょっと手元にございませんので、検討もしておりませんので、お答え申し上げかねるのでございますが、おそらく一般的に申しますれば、その年の保険料収入に対しまして、保険金の支払いというのは先生御承知のように、たとえば後遺障害等の場合でございますと五年くらいかかって払わられるのが多いわけでございます。その関係の調整がついているのかなという感じがいたしますが、どういう形の経理をしているかちょっとわかりませんのでお答え申し上げかねるわけでございます。
○井上(泉)委員 これはずっと歴年の調査があるのですから、これもこの農協共済においてしかりであるわけですが、その他の保険会社保険会社で、いわば上位十社くらいの保険料の収入の内訳、こういうようなものは、昨日資料としてお願いをしてあったのですが、できておればここへ出していただきたいと思います。それに基づいて質問したいのですが、なければその資料を……。
    〔安井説明員、書類を示す〕
 たとえばこの保険会社の中で、千代田火災のごときは大口株主がトヨタの自動車販売会社、保険でもうけて自動車でもうけて、これは一日に三億ももうけてしょうがない、こういう企業の状態の中で保険会社でまた大もうけをしているわけですが、これは運輸大臣、保険料の引き下げということは今日考えられないものかどうか、その点ひとつ運輸大臣。
○新谷国務大臣 これはやはりいろいろの条件がそろわないと引き下げられないと思いますけれども、非常に収益の多い場合には、保険料の改定というものはいろいろな条件から生まれてくるんだと思いますけれども、ただ、おそらく監督官庁でも短期間の計算だけで引き上げたり引き下げたりすることは非常に弊害が起こるということで、非常にその点は自重しながら慎重に考慮しているんだと思いますけれども、あの状態が続けば、改定ということは当然これは考えられるべき問題だと思います。
○井上(泉)委員 こういうセンターの財源が、保険会社が黒字になってきてそれを一部財源として使用するということも、これは一つけっこうなことだと思うわけですけれども、しかし今日五百万円、それから五十万円の傷害保障こういうふうなもので、特に傷害保障の場合なんか五十万で治療が受けられておるかどうか、そういうことを考えた場合に、そういう場合の保険の率の引き上げということは、責任保障額の引き上げということはこれはもう当然なさねばならないことだと思うわけですが、これについて自動車局のほうではどう考えておるか。
○小林(正)政府委員 自賠責保険が黒字になってまいりまして、今年度中にはおそらく累積赤字が消えるというような一応見通しに立っておりますので、当然いま問題になっておりますのは、現在の限度額がきめられましてから相当な期間がたっておりますので、この五百万あるいは重傷の五十万というものが低いんじゃないかという強い各方面の御意見があることを承知しておるわけでございます。そういったものをどの程度まで引き上げられるか、限度額を上げられるか、あるいはその際に保険料というものを、先ほど御指摘のように、黒字になれば当然引き下げるべきではないかという御意見もあるわけでございまして、そういった保険料をたとえば据え置きのままどのくらい引き上げられるか、あるいは保険料を上げてもなおかつ限度額を大幅に上げるべきか、そういった点については、今後関係方面と十分協議をいたしまして検討を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○井上(泉)委員 それは役所で検討すると一年も二年もかかるのが通例ですが、一体どのころを目途としてこういうふうなものをやろうとしておるか。
○新谷国務大臣 先ほどの御質問に対して、私、言いませんで落としました。この問題が今度の提案しております法律案の中で非常に大きな問題になっていると思います。この点については、政府委員からもいままで御説明をしてきたと思いますけれども、とにかくわれわれといたしましても、相当昔といいますか、六年も前にきめたものでございまして、それがいまでもそのままの形で被害者の役に立っておるとは考えてはいないのであります。ただ、保険会計のほうから申しますと、やっとこさで黒字になったというばかりでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、やはりこれは相当先を見通しませんと、簡単に上げたり下げたりということはしてはいけないだろうと思うのでございます。しかし、事故も減ってきておりまして、だんだんこの保険に関係するいろいろな状況というものが安定をしてきておることは確かでございますから、なるべくこれは私も早く改定をしたほうがよろしいと考えておるのでございまして、その点は関係の省ともよく相談をいたしまして、許す限り早くいまおっしゃるような方向に持っていくように努力したいと考えております。この点はひとつそういう意味でもう少し時間をかしていただきたい。なるたけ早くやりますということで御了承いただきたいと思います。
○井上(泉)委員 なるべく早くひとつ処置をしていただきたいと思いますが、運輸省は役所の中で外郭団体が一番多いということがいわれておるわけですが、そこで自動車事故対策センターをつくるわけですが、前に運転従事者に対する適性検査の普及徹底の何か自動車運行管理指導センター、こういうものを自動車局、運輸省が通達でつくっておるわけです。それをここでもまた適性のことをやる事故対策センターを、そういう運行管理指導センターのように、こんなにしてやはり東京にもつくり、大阪にもつくり、広島にもつくり、福岡にもつくるというようにつくっていくつもりですか。
○小林(正)政府委員 従来ございます運行管理指導センターというものは全国に九カ所ございます。これは、今回の法案がお認め願えれば、全部発展的に解消いたしまして新しいセンターに吸収されるわけでございます。したがって、外郭団体と申しますか、公益法人と申しますか、そういったものの数は減るわけでございまして、この新しいセンターで統一的に、むしろ各県に支所を設けましてこの適性診断業務あるいは被害者の保護業務というようなものについて強化をしてまいりたいということでございます。
○井上(泉)委員 それはそういうことにぜひこれをせねば、また事故対策センターを各地域に、それを通達したときには各地に設ける、こういうことが書いてあるので、幾つもの団体をつくるのじゃ、こういうふうに思っておったのであえて質問したわけです。
 そこで、自動車事故というものの対策を立てるについて、やはりメーカーの責任というものももっときびしく追及しなければいかぬじゃないか、こういうように思うのですが、メーカーに対しては、もう自動車のスピードがよけい出ることが、これが一つの自動車の販売の条件のような形で宣伝をされておるわけですが、メーカーの自動車事故対策というようなものは十分行なわれておるというふうにお考えになっておるかどうか、これは自動車局長のほうで御答弁願いたい。
○小林(正)政府委員 自動車のメーカー、生産業務に対しましては通産省の所管でございますが、運輸省といたしましては、でき上がりました車の保安の規制をいたすわけでございます。御承知のとおり、道路運送車両法という法律を設けまして、一番大きな業務といたしましては、保安基準というものを定めまして、これに基づいて車両検査を行なっておるわけでございます。現在までのところでございますと、いわゆる普通自動車というところまでで、軽自動車以下はまだ検査をいたしておらないわけでございます。そういった点で、保険の対象になっておる全部の車が対象にはなっておりませんけれども、自動車については検査制度を設けております。それからもう一つは、整備の問題でございます。これは、運輸省として同じ法律で点検整備を義務づけておるわけでございます。
 こういった面の行政を運輸省としてはやっておるわけでございまして、これがメーカーといいますか、自動車生産の問題と直接関係してくるのではないか、こう思っております。
○井上(泉)委員 これは自動車というわけではないけれども、軽自動車、バイク、こういうふうなもので、原動機つき自転車というのはもう自転車という部類からはずすべきじゃないかと思うわけですけれども、これは何か自転車としなければならない理由があるのかどうか。これはどこが答弁するのですか。
○小林(正)政府委員 私も詳細は承知いたしておりませんけれども、現在車両法で、エンジンの排気量によって自動車あるいは軽自動車、さらにいま御指摘のようなモーターはつけておるけれども排気量の非常に小さいもの、これを原動機つき自転車というふうに区分しておるわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、そのうち軽自動車を除いたいわゆる自動車というものについて、今日まで保安の対策を強化しておるわけでございます。
○井上(泉)委員 そのバイクを一番使っておる郵政省の資材部長がおいでになっておるようですから、お伺いしたいと思いますが、郵政省は一体バイクを各局に何台ぐらい配置をしてあるのか。そしてそれの使用基準、そういうようなものの説明をしていただきたいと思います。
○田所説明員 郵政事業で使用いたしております自動二輪車でありますが、五万九千九百ほどでございます。これの七〇%は郵便で使用しておりまして、貯金、保険に二〇%、それから電報等に一〇%、そういう内訳でございます。もちろん、郵便貯金、保険は外務員が使用するわけでございます。
○井上(泉)委員 これの事故の発生の状態というものは年間を通じて何件ぐらいあるのか、それからこの車をどのくらい乗ったら新しいのにかえるのか、そのことをひとつ……。
○田所説明員 地方郵政局から資料をとるわけでございますが、ただいまわかっておりますものを申し上げますと、四十七年度の上半期におきまして、郵政側が加害者であったものは千九百件ございます。当方が被害者であったものの数は報告がとられておりませんので、ただいまお答えいたしかねます。
 それから、車の更改の基準でございますが、自動二輪車につきましては、排気量五十ccをこえるものにつきましては、走行キロ四万五千キロをこえるもの、ただし、走行キロが四万五千キロに達しない場合でも、経過年数が五年に達するものは更改する。それから五十cc下のものでございますが、これは走行キロ三万五千キロに達した場合に更改いたします。それから三万五千キロに達しない場合でも、経過年数が五年になりますと更改いたします。
○井上(泉)委員 このバイクは、三万五千キロの走行距離といいましても、郵便の配達をしている人なんかに聞くと、一日に三百回くらいとめたり乗ったりするわけです。それで三万五千キロという距離を走るということはたいへん無理じゃないかと思うのですが、資材部長は車のことはようわかっておりますか。わかっておれば、わかっておるなりに質問したいと思いますけれども……。
○田所説明員 初めに、間違いをいたしましたので訂正いたしますが、先ほど三万五千キロと申しましたのは三万キロの誤りでございました。五十cc以下のものは三万キロの走行キロでございます。
 それから、車の詳細につきましては、私は残念ながら知識を持ち合わせておりません。
○井上(泉)委員 この郵政の関係では、百台も百五十台も配給したところで、車のことをわからない人が運行管理者であったりあるいは安全管理者であったり、そういうふうな状態にあるわけですが、そういうことは好ましいことではないと思うわけです。そうしてまた、バイクだからそういうことが許されるとしても、やはり役所なら、そういう安全管理といういうものはもっと専門者がおってちゃんとやらなければいかぬじゃないかというように思うわけです。そういう行政のあり方は間違いだと思うのですけれども、あなたはどう思いますか。
○田所説明員 整備管理者というものを、法定の義務に従いまして、百二十五cc以上の車十両以上配置の局、これは全国で百六局ございますが、ここに車両整備管理者というものを選任して配置してございます。それから法定の義務はない局につきましても、これに準ずるような局につきましては、自主的に車両整備の管理責任者を選任するように指導いたしておりまして、ただいまのところそういう局が七十九局ございます。
 それから、御指摘のように、こういう責任にある者の知識と技能の問題がございます。これの向上のために、毎年車両技術指導研究会というものを開催いたしております。会場二百余り、受講者の数が四千四百名、こういった状況でございます。
○井上(泉)委員 それは技術者はおらぬでしょう。その整備管理者というのは、ほんとうにバイクのことがわかっておる人が専従でやっておるというわけではないでしょう。何か会計課の主任が兼務したり、いろいろやっておるでしょう。実際にこれに専従しておる人は何人おりますか。
○田所説明員 先ほど申し上げました百六局のうち、部外に委託いたしておりますものが七局ございますので、専任の者といたしましてはこの七名でございます。その他はほかの業務を兼ねて行なっておるわけでございます。
○井上(泉)委員 これは役所の管轄が違うといえばそれまでですけれども、どうですか、総理府の交通安全対策室長にお伺いするわけですけれども、約六万台のバイクを毎日運行しておって、それが、整備のことがわかっておる者が、いまおっしゃられるような、きわめて少ない人員しか配給されない。そうすると局員は、自分で一生懸命車の点検をしたりいろいろ苦労したりしてやらなければならぬ。一日に三百回もとまるものは、同じ五万キロでも、一定の距離を走っていくのと、とまったり進んだりとまったり進んだりするのと、エンジンの寿命にたいへんななにがあるわけです。そういう中で、運行管理者、専任の整備士を置いてないということに不合理を感じないですか。
○須藤政府委員 この問題につきましては、なかなか技術的な問題もあるかと思いますので、私どものほうでさらに検討してまいりたいと思います。
○井上(泉)委員 郵政のほうでは、聞くところによると、バイクは一括して郵政のほうで買うて、そこで各地へ配分をする。そうすると、地方のメーカー、地方の取り扱い店は、もう郵便局の車は上のほうから、いながら、あてがってくる、だからうちのほうではそれを修理をするというても非常に冷たい、こういうふうな話を聞くし、そこでまた実際には修理する場所がない、そういうふうな状態にあるわけですが、これについて資材部長は、そういう矛盾というか、現場の困っておる状態については、どうお考えになるか。
○田所説明員 郵政事業におきましては、車両の整備管理は、要員、施設、技術等の問題がございますので、外部に委託することを原則といたしております。メーカーと覚え書きを結びまして、車両の保守につきまして約束をしておるわけでございまして、各郵便局にそれぞれ保守店というのがございまして、ここで点検整備をやってもらうわけでございます。年二回、自動二輪車につきましては定期点検というものを行なっております。夏季の繁忙期の前、それから年末の繁忙期の前、この二回を定期点検ということで、保守店に点検整備をしてもらっておるわけでございます。
 それから、自動二輪車のメーカーが四つ国内にあるわけでございますが、その四つのものから車両を購入しておる次第でございます。
○井上(泉)委員 あなたに質問しておったら時間がないですけれど、あなた、あんまり現場の、実際乗っている人のことを知らぬですね。自営修理ということばを知っておるのか、そして自営修理に幾らくらい金を出しておるのか、そのことをひとつお答え願いたい。
○田所説明員 一両当たり年間五万円を、これは油代が含まれますけれども、保守料として流しておるわけでございまして、郵政局で、各郵便局の過去の実績、保守料の使用の実績等を勘案いたしまして配分しておるわけでございます。
○井上(泉)委員 一両で五万円というたら相当な金額になるわけですけれど、自営修理というのがあるが、それを御存じですか。
○田所説明員 自営修理ということは存じておりますが、これは職員がみずから修理をするということでございます。
○井上(泉)委員 それに対する報酬は。
○田所説明員 報酬はございません。
○井上(泉)委員 それは自営修理さして報酬を与えないというのはどういうことですか。五万円もあるのにどうしてやらないのですか。大体、苦労して郵便を配達しておる人の気持ちがわからぬから、あなたはそういう態度だ。どうですか、なぜやらぬのですか。
○田所説明員 自営修理と申しますのは比較的軽微な修理でございまして、保守店の実態は、地方におきましては自転車店という場合もあるわけでございますが、五万円の保守料はそういう保守店に支払うわけでございます。
○井上(泉)委員 それは、五万円の修理費も持っておって、油代を含めてそれだけ持っておって、それが肝心の乗っておる者に対しては支給していないというようなことはもってのほかだと思います。そういう金がマル生の資金に流用されたりいろいろしておるといううわさも聞くわけであるし、あるいは局長の交際費に使われておる、こういうふうなうわさもあって、郵政のなにが何かしらじめじめした雰囲気の中にあるわけなので、ひとつその五万円の使い道を、油代が何ぼ要ったか、修理費が何ぼ要ったか、昭和四十六年度の郵政の扱ったバイク並びに軽自動車に要した経費の収支をひとつ出していただきたいと思います。
 そこで、これは運輸大臣、せっかく出ていただいておるのに、運輸大臣への質問がだんだん少なくなってきて恐縮ですけれども、今日の自動車の激増に対して、交通対策というものが後手後手に回って、なるほど警察も一生懸命やりあるいは民間も一生懸命やりあるいは緑のおばさんとかいろいろやっておるわけですが、この交通標識というものは、警察庁がつくるものか、運輸省がつくるのか、これは警察庁が、取り締まりの場合でつくると思いますけれども、あまりにも複雑で、この標識というものがわからぬわけですが、運輸大臣、これはおわかりですか。これはわからぬでしょう。この交通標識はもっと親切に、わかりやすくしてもらわなければいかぬ。駐車禁止という区域にいつでも――それはやはり小学校の先生からも聞かされたことばであるけれども、国民総ぐるみで交通安全の知識というものは持たなければならぬ。持つためには、ドライバーであろうとなかろうと、ここのところは駐車禁止の区域であるとするならば、駐車禁止ということをやはり字句の中に入れなければいかぬじゃないか。こういう繁雑な交通標識に対して、これだけありますから、なかなか専門家でないとわからぬですよ。もっとこれがわかりやすいような交通標識に、これはとてもかえるということはたいへんであろうと思うけれども、それに対して駐車禁止のところは駐車禁止と書く、あるいは自転車は乗ってよろしいという場合には自転車は乗ってよろしい、こういうことをふちへ書くとか、何かそういうふうな心づかいというものがなぜされないものであろうか、こういうふうに思うわけですが、交通局長、どうですか。
○片岡政府委員 標識につきましては、公安委員会とそれから道路管理者と両方で所管いたしております。私どものほうの所管いたしていますものについて御説明いたします。
 これは約十年前に大改正いたしまして、当時非常にわかりにくかったのを現在の形にいたしたわけです。そのときに、世界各国の標識を参考にし、また、国際連合で統一標識もございますので、その標識と大体国際的に合致するような形で整備をしたわけでございます。ただしたがって、いずれの国におきましても、標識につきましては運転者の免許試験では一番重要な項目になっております。したがって、運転者、免許証を持っておる人は十分心得えておると思いますが、御指摘のございましたような歩行者には、確かに無理もございませんので、一般的にはわかりにくいかと思います。ただ、歩行者に重要な横断の禁止だとか通行どめというのは、その表にもございますように文字を入れてございます。自転車の場合に若干そういう問題がございましたので、当初自転車の場合には補助板で文字をつけたのをつけ加えて、わかりやすい仕組みを考えております。欧州でもアメリカでも同じような系統に大体なってまいっておりますので、この線で大体進めていきたいと思いますが、御指摘のような点につきましてはさらに検討を続けたいと思います。
○井上(泉)委員 交通標識及び「幼児交通安全教本」というりっぱな本をつくってくれておるわけですけれども、これは先生用だと思う。それで、やはり子供にわかりやすいように先生が教えるためには、これを先生が理解しなければならぬわけですが、文部省のほうではこの教本というものをどういうふうに現場で生かすようにするつもりなのかどうか、そのことをひとつ文部省にお尋ねします。
○波多江説明員 交通安全教本は主として母親に対する指導の教本としてできておると思いますが、学校のほうにおきまして、幼稚園から高等学校までの教師につきましては、文部省のほうで「交通安全指導の手びき」を作成いたしまして指導いたしております。この教本につきましては、各都道府県及び市町村の教育関係団体のほうへ配付をいたしまして、教本の趣旨をよく理解していただくとともに、文部省のほうで計画をいたしております指導者の講習会におきまして配付をいたしまして、その趣旨を説明し徹底をはかりたいと思っております。
○井上(泉)委員 時間がないので、最後に、自動車事故対策センターというものができるが、やはり事故が起こった場合に、いまの救急医療体制というものは非常に不備なんですが、事故対策センターの中でそういうものについてはどういうふうに厚生省と打ち合わせをされておるのか。あるいは厚生省としてはこの事故対策センターの中で救急医療体制というものをどういうふうに整備をさそうとしておるのか、その点厚生省のほうの見解を承りたい。
○滝沢政府委員 この事故対策センターにつきましては、この法案の趣旨からいきまして、直接医療に関係のあるものではないように思いまして、直接的には、先ほど社会局からお答えしましたような救済的な問題について厚生省とのお話し合いがあったわけでございます。救急医療の問題について関係ある部面といたしましては、運転者の適性という問題について事故対策センターが設けられますことは、医学やあるいは心理学、人間の機能、こういう面から考えてまことに適切な措置であろうというふうに思うわけでございますが、救急医療の面については別途救急医療センターその他を設置するということで直接的な御協議はないわけです。
○井上(泉)委員 救急医療センターをつくるという計画が、いまのおことばではないけれども、厚生省の中にあるのですか。
○滝沢政府委員 三十九年に消防法によりまして災害あるいは救急患者の搬送の問題が定められて、これに対応いたしまして、厚生省では全国にただいま四千七百カ所の救急告示病院あるいは診療所を持っております。これは一般的な救急告示病院でございますが、これでは重症の患者が出た場合、特に脳神経外科等の機能を持つセンターを必要といたしますので、計画的にこれを設置いたしておりまして、ただいま百五十三カ所全国に救急医療センターを設置してございます。したがいまして、百五十三カ所だけではまだ不十分な面がございますが、当初は人口百万に一カ所という計画で百十二カ所用意いたしまして、その後サブセンター的に地域を若干狭めた範囲にも救急医療センターの必要性を生じましたので、第二次計画的にはその面に手をつけてまいりました。ただいま百五十三カ所用意いたしております。
○井上(泉)委員 それでは、法案の中身に戻るわけですけれども、後遺症障害の保険金を一部立てかえをする、こういうことになって、金利を取ってこれは償還を求める、こういうことになっておるわけですけれども、この後遺症のために保険金がくるまで立てかえるという場合の金利とかいうようなものは、別段金利のつく金を借りるわけでもないし、これは金利を取る必要はないのじゃないですか。
○小林(正)政府委員 確かに御指摘のとおり、利息をどうするかということは重大な問題だと思いますが、やはり保険金が出るまでの最小限度の期間というものがございまして、その間やはり少しでもほかの方よりも早くというような方に対して、最低限の金利というようなことで他のいろいろな制度等におきます金利を勘案いたしまして三%ということをきめたわけでございます。そういった点につきましては、たとえば無利息にするというようなことで給付そのものになってしまうというようなこともいかがかということで、最低限度にいたしたという趣旨でございます。
○井上(泉)委員 それでは、事務局の体制というものは大体どういう規模に考えておるのですか。
○小林(正)政府委員 センターの組織につきましては、最終的には法案が通りましてから認可等の措置ではっきりいたすわけでございますが、現在、予算の段階で私どもが案として考えておりますのは、三カ年で全国に支所を約五十カ所置く予定にいたしておりますので、全部完成をいたしました段階で、全体の人数が約三百五十人というふうに予定しております。中央の機構については、どのような部制をとるかあるいは課制をとるかというようなことについては、現在一応の試案程度でございますが、三つないし四つの部、各部に二課程度の組織を考えております。
○井上(泉)委員 この場合における職員はどういう身分の取り扱いを受けるのですか。法人ということでございますが、どういうことであるのですか。
○小林(正)政府委員 このセンターの職員の身分というようなことについては、これは一般の特殊法人の職員と同じことでございまして、何といいますか、国家公務員ではもちろんございません。ただ、国が出資する法人でございますので、その役員あるいは職員というものは、法令上公務に従事しているものと見なして、特別の義務が課せられておるわけでございます。
○井上(泉)委員 この法律では、運輸大臣の権限というものが非常に強く出されておるわけで、結局、運輸大臣の意思でセンターの構成も何でもできるような仕組みになっておるわけですが、これが単に一つの何といいますか、特殊権益的な機構として位置づけられないように、あくまでもこれはそれぞれ自動車保険をかけたいわゆる大衆の金をもとにしてつくったものだという認識のもとに、このセンターの運営というものはやっていただかなくてはならないと思いますが、この点についての運輸大臣の所信を承って、私の質問を終わりたいと思います。
○新谷国務大臣 運用だけではなしに、法律の面にあらわれておりますことを見ましても、運輸大臣の権限に属することが相当広範にわたっております。ただ、全体の条文を見ますと、運輸大臣が独断専行するのはきわめて少なくて、関係省庁と協議の上できめなければならぬという問題が大部分でございまして、この点は関係省庁との協議の場合におきまして、いまおっしゃったようなことは十分考えなければならぬと思いますし、運用面につきましては、これはもうおっしゃるとおりでございまして、やはりセンターをつくるにふさわしい運用をいたしまして、関係者に喜んでもらえるようなものにしなければならぬということは言うまでもございません。いわゆる悪い意味における外郭団体のような形にはしたくはありませんし、そういう運用は絶対に避けなければならぬということを考えておるわけでございます。その点は御安心いただきたいと思っております。
○井上(泉)委員 これで終わります。
○太田委員長代理 平田藤吉君。
○平田委員 自動車事故による死傷者は年々九十万人にのぼっておる。事態は非常に重大だというふうに考えるわけです。自動車事故をなくすことと、被害者の救済のための抜本的な対策は急務だというふうに考えております。そのためにはまず現状と原因を明らかにする必要があると思うのです。そういう立場から幾つかの点についてお尋ねしたいと思います。
 まず第一は、自動車の保有台数ですが、一九六三と七二年の台数は幾らになっているか、何倍に当たるかという点についてお伺いします。
○小林(正)政府委員 一九六二年、昭和三十七年におきます自動車の台数は四百九十二万台でございます。ただいまのは年度末の数字でございますが、それから一九七二年、昭和四十六年度末のそれは二千百二十二万三千台になっております。
○平田委員 それは世界で何番目の台数になるのですか。それから、六三年と七二年の死傷者数をお聞かせいただきたい。
○小林(正)政府委員 世界におきます日本の保有台数はアメリカに次いで第二位になっております。
○平田委員 もう一つ、交通事故死傷者数。
○小林(正)政府委員 交通事故の統計は、これは警察の統計でございますが、それによりますと、昭和四十七年度の事故件数は六十五万九千二百八十三件で、死者は一万五千九百十八人、負傷者八十八万九千百九十八人となっております。
○平田委員 道路の舗装率は七二年度末にはどれくらいになっていますか。舗装率は世界で何番目になっているか。
○小林(正)政府委員 世界の関係ははっきりいたしておりませんが、建設省道路局の調べによりますと、舗装率は全体で二四・二%、それぞれ国道あるいは府県道、市町村道、相当大幅に差はございますが、全部を合計いたしますと二四・二%ということになっております。
○平田委員 田中総理が書いた「日本列島改造論」によりますと、だいぶ違う数字が出ているのですが、その後舗装率はふえているのですかね。田中総理が言っているのによりますと、これは七〇年で出しているのですが一二・七%、世界で五十七位だそうですけれども、これは七〇年は間違いはないんですか。
○浅井説明員 実は手元に七〇年の数字がございませんで、いま時間をいただいて確かめたいと思いますが、たぶん間違いないと思います。調べてみます。
○平田委員 貨物輸送が鉄道とトラック輸送と比べてその比率はどれくらいになっておりますか。六三年と七二年について聞かしていただきたい。
○小林(正)政府委員 いま手元の資料で申し上げますと、輸送の分担比率と申しますか、これで見ますと、昭和四十六年度の実績で申し上げますと、自動車が九〇%、鉄道が四%、それから内航海運が六%、これは輸送のトン数の比率でございます。なお、トンキロで比較いたしますと、自動車がずっと落ちまして四三%、鉄道が一九%、それから内航海運が三八%となっております。
 ちなみに、六二年がちょっとあれでございますが、昭和三十八年の数字で恐縮でございますが、これによりますと、自動車のシェアは、トン数におきましては、九〇%が当時は八二%、それから鉄道が一一%、内航海運が六%。トンキロで申し上げますと、三十八年の時代には自動車は二三%、鉄道が三三%、内航海運が四四%。したがいまして、トンキロ、トン数いずれによりましても、自動車が大幅にシェアが大きくなっているわけでございます。
○平田委員 いまずっと数字を聞かしていただいたわけですけれども、いまの数字でも明らかになっているように、自動車の急増とともに事故並びに被害者が急増しているわけです。こういうふうに私は考えておりますが、ひとつ運輸大臣、この事実をどのように考えられるか、お答え願います。
○新谷国務大臣 最近の数字はまたもう少し変わっていると思います。いま、運輸委員会でいろいろ審議しておりますが、内航のほうはトンキロでいきますともう少しふえているんじゃないか。それから、鉄道のほうが大体一八%ぐらいになっているんじゃないかと思います。しかし、自動車のほうは、あなたもさっきおっしゃったように、トンキロということになりますと、わりあいに長距離の輸送が少ないものですから落ちますけれども、トン数だけでいきますとこれは非常に多いということでございます。したがいまして、道路との関係におきまして自動車が相対的には急激に多くなっているということは事実でありまして、その意味においては、自動車事故がほかの交通機関に比べまして相当多くなっているということは否定し得ない事実であると思います。
○平田委員 いまも言われましたように、自動車の輸送が、他の輸送機関と比べて比重が変わって、急速に増大した。なぜ自動車輸送がそんなにふえたかということについて、大臣どうお考えですか。
○新谷国務大臣 これは、一方では道路が非常によくなったということに基因するかと思いますが、一方からいいますと、いままで自動車と海運とは、大体荷物の種類も違いますし、また、輸送の区間も違うのが通例でございます。最近のカーフェリーなんか少し違いますけれども、大体においてそうだと思います。しかし、陸上交通機関としての比較をしますと、鉄道のほうがやはり設備の関係で非常に立ちおくれておるということが事実でございまして、国鉄がだんだんシェアを自動車に奪われてきたというのも、やはり設備が悪い、それから荷主、つまり一般国民からいいますと確実性がない、あるいは自動車のほうはドア・ツー・ドアでいきますけれども、一方のほうはサービスが悪いものですから、駅から運んでいかなければいかぬというようなことが原因いたしまして、相対的に鉄道との関係におきましては非常な勢いでこれは変わってきたのでございます。これは何といっても事実であります。しかし一方からいいますと、自動車輸送も大体限度になっているのじゃないかという気もするのです。これは道路事情との関係もあるし、それから距離におきましては大体やはり限界点があると考えております。いまは中距離以下の運送が非常に自動車にたくさん食われております。この辺がそろそろ限界ではなかろうかという感じがするわけです。
○平田委員 どうも大臣、運輸大臣だから、鉄道のことと比べてだいぶそっちのほうへ気をとられているようですけれども、私が言いたいのは、そこに問題があるんじゃないのですよ。自動車が急速に量がふえたというのは、自動車だけにふえてほかのほうが絶対的な量が減ったわけじゃないのです、全体として輸送量は増大しているわけですから。ということは、やはり代々の自民党政府がとってきた高度経済成長政策で輸送量も急速に増大したというのが基本だ。その中で、それは鉄道と自動車とのバランスの違いが多少出たりいろいろしていますけれども、やはり基本はそこにあるんだというふうに私は考えるわけです。
 そうして見てきますと、今日の交通事故の急速な増大、つまり道路はよくなっていない、交通安全施設はよくなっていない、いろいろな問題はおくれているのに自動車のほうだけが急速に増大するというようなことで、高度経済成長政策によって今日の交通事故が急増させられているように考えるわけです。しかもこの中で、トヨタとか日産などの生産メーカーは、自民党政府のとってきた高度経済成長政策によって大きな利潤をあげて、この十年余りの間に総資本を十倍から二十倍にしているのですね。非常に大きなもうけをしているわけです。こうしてアメリカ式のモータリゼーションの波をあおり立てて自動車を増大させ、交通事故を増大させていったというふうに私は考えるわけです。
 第二は、高度経済成長政策に基づく道路政策であるというふうに思うのです。自民党政府は、幹線道路を中心にして自動車優先の道路政策を一貫して追い求めてきております。今日もそうですよ。そのために、高速道路の建設、重点国道の改良には力を入れて、惜しげもなく金を使っているわけです。しかし、地方道の改修や舗装は、道路財源の不足のために非常に困難を伴っている。こうしてきわめて大きな立ちおくれを来たしているわけですね。歩行者の安全をはかる歩道や横断橋、交差点の立体化、信号機や街灯などの安全施設は全く不備のままにされてきているといって差しつかえないと思います。それが実は幼児や老人の被害を非常に大きくしているわけです。さらに自動車の交通量を道路の容量に見合ったものにする点でも全く不十分で、そのために市街地での事故を増加させているのです。
 第三には、自動車運転労働者を長時間の重労働で過労に追い込むという歩合給を柱とした賃金制度が強められてきたわけです。これはもう御承知のように、この委員会でもたいへん問題になってきましたけれども、トラックの過積みの問題一つをとってみても、そのことははっきり言えると思うのですね。
    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
 総合的に見て、やはり無理な運転をさせられている、強要されているというこういう事態が強められて、事故の増大にやはり重要な要因をなしているというふうに考えるわけです。
 大きく言うと、これらの三点が事故の大きな原因になっているというように私は考えるわけです。大臣はどうお考えですか。
○新谷国務大臣 おあげになったようなことが総合されて事故が多くなっていることは事実だろうと思います。ただ、お話の中で、一番初めにお話しになった経済成長の結果事故が多くなったんだというふうに原因づけられますことにつきましては、私は異論があるのです。しかし、これはここでそういう問題を議論する段ではありませんからいたしませんけれども、なるほど経済成長によりまして荷物が非常にふえてきた、これはまあ事実だろうと思います。それに対応するあらゆる交通関係の施設を整備をしなければならぬということも、これも事実だろうと思います。それに対しまして、ある部分においては、政府が大いに力を入れてそれに対応する姿勢をとったことも事実でございますけれども、ある部分においては、お話しのように、そういうように道路との関係においてはけ切れないような荷物が、ある地点では殺到して、そのために事故をしげくしたというようなところもないことはないと思います。しかし、経済成長というものがすべて荷物の増加を来たして、どこでもここでもこの原因が三分の一は経済成長だとおっしゃることについては、私は必ずしも同意ができないのであります。
 その他、運転者の過労の問題、これはある程度、昨日も運輸委員会で問題になりましたが、その点はわれわれも注意をしなければならぬと思いまして、この点については、その方向で労働省ともお打ち合わせをしておるところでございまして、大体においておっしゃることはよくわかりますけれども、そういうふうな原因を三つおあげになって、これがすべての自動車事故の原因だとおっしゃることについては、必ずしもそのまま賛成することはできないということだけつけ加えて申し上げておきます。
○平田委員 私は、全部だと言っているんじゃないのです。いろいろな要因が、まだあげればあるのですよ。しかし、主要な要因になっているということだけは事実だと思うのです。高度成長に伴って荷物はどんどんふえる。自動車はどんどん生産される。そしてモータリゼーションであおり立てる。しかし、道路のほうはどうなんだといえば、住民の生活道路や、市街地、地方の道路というものは放置されている。高速道路だけはどんどんつくられている。こういう事態の中で問題が起こってきていることは間違いないんです。だから、私はそこいら辺の問題をまずしっかり踏まえておかないと、違いが出るんじゃないか。運輸大臣自身が、見解の違いがあるというふうにおっしゃったけれども、私は違いがあるからこういう法案が出てきたんだろうというふうに思っています。それで前段をずっとお聞きしたわけです。
 さて、この法案についての提案理由の説明でも、法案要綱でも、いま申し上げたような点がやはり外に置かれておるのですよ。そして、運転者の問題、管理者の問題、それから遺児の問題あるいは被害者に対する貸し付けの問題などが論じられている。自動車事故対策センターという名前がついていますけれども、実際にこれで交通事故をなくすことができるんだろうか、私はまずこの法案を読んでそのことを感ぜざるを得ないわけですよ。事故の大きな要因について検討することを避けて、そうして何かやらなければならないからやっているみたいな印象を私は受けるわけですよ。
 そこで、この交通事故の主要な要因になっている問題をこの法案から避けたという理由が何かあると思うのです。この点をお聞かせいただきたい。
○小林(正)政府委員 交通事故の原因等につきましては、ただいま御指摘のとおり、非常にたくさんの、また複雑な要因があることは御指摘のとおりだと思います。
 そこで、この法案は、確かに法案の題名そのものから見ますと、非常に全般的なものを、しかも統一的にやるというようにお感じとられるかもしれませんけれども、もともと交通事故またはこういった大事な課題は、当然、国全体としまして総理府を中心にいろいろな安全対策を考えておるわけでございますので、すべての交通事故対策というようなものをこの一センターがやるということでは毛頭ないわけでございまして、そういった点については、国の一般会計を中心に各省がそれぞれの施策を推進してきておるわけでございまして、今回の事故対策センターは、その財源でおわかりになりますとおり、自賠責の特別会計、これの運用益の一部を活用いたしまして事故防止対策の一助にしたいということでございまして、これが国全体の事故防止対策のすべてであるというようなことでは毛頭ないわけでございまして、こういった点で、複雑な要因また数々の施策を積み重ねていかなければならぬという現段階におきまして、有力な一つの事故防止対策になるということで、自賠責の資金を活用いたしまして事故防止に当たりたい、こう思っておるわけでございます。
○平田委員 これは提案理由説明の中でこう言っているのですね。「まず、自動車事故の発生そのものを未然に防止することが肝要でありますが、」と言っているのですね。そして「この点につきましては、近年、運行管理指導の強化及びその一環としての運転者に対する適性診断の実施の必要性が強く認識されているところであります。」というふうに言っているわけです。事故防止が肝要だという点をやはり痛感してこれをつくられたということが言われているわけですね。しかし、いま申し上げたように、これでは交通事故の主要な点を押えていくということにはならないんだ、総合的にやっていくんだというふうにおっしゃっております。そういう意味では、この法案で事故を未然に防ぐことができるものではないということは、あなた自身認めているとおりだと思うのですよ。一助になるかもしれない、そういう性質のものだということはあなたは認めておるわけですよ。
 ところで、この三十一条一項の四号のイの項で、交通遺児の問題について触れられているけれども、七一年五月二十日現在の交通事故の遺児は六万三百六十六人と総理府の調査ではされているのですね。今日ではこれは十万人をこえていると言われているわけです。地方自治体の相当数のところで、月一人二千円前後を補助――これらの人々に対して、全部には行き渡ってはいないようですけれども、一定規模の人々に対して、月一人二千円前後の補助を地方自治体が出しているわけです。国ではこういう趣旨のものを何かやっているのでしょうか、補助を出しているのでしょうか。
○小林(正)政府委員 交通遺児の対策につきましては、ただいま御指摘のとおり、一部の都道府県を除きましてかなりの都道府県が月額千円とかあるいは二千円という遺児に対する給付をやっていることは私ども承知しております。これはそれぞれの都道府県がやっておるわけでございます。また、奨学というようなことで、日本育英会あるいは交通遺児育英会というようなところで高校以上の奨学資金の貸し付けをやっておる、いろいろなそういった制度はございます。しかしながら、今回私どもがお願いをしている法案で考えておりますのは、高校生以上の奨学資金ということでなくて、中学までの義務教育の段階でありましても国として高校生以上と同様の貸し付けを行ないたいということでございまして、都道府県が現在やっております給付、渡しきりとはまた別個にこれが上乗せされるわけでございます。先ほどの都道府県も、たしか県によっていろいろ制度がまちまちだと聞いております。
○平田委員 二千円前後の補助を出している。国ではこれまでにそういう補助を出してきたかと私は聞いているのですよ。端的に答えてください。
○小林(正)政府委員 先ほどの都道府県の施策あるいは日本育英会についての所管は運輸省でございませんが、私どもでそれに対しまして関連があると申しますのは、先ほどもちょっと触れましたが、交通遺児育英会に対しましていままでに補助金を出しております。これも今回と同様な自賠責・の会計から補助金を出しておるのが実情でございます。
○平田委員 それはその団体に出しているのでしょう。法案の裏づけとなる資金計画によりますと、十万人からの遺児がいるうちの貸し付けの対象者数は千五百人程度とされていますけれども、十万人のうち千五百人にしぼった根拠を示していただきたいというふうに思います。
○小林(正)政府委員 現在、交通遺児が十万人程度おられるようでございますが、一年間の貸し付けの規模といたしましては、毎年毎年出る交通遺児に対しまして、そのうち生活困窮の程度、たとえば生活保護を受けておる、あるいは準保護世帯というものがございますが、そういった生活困窮者に貸し付けをいたしたい。これは平年度に一年間千五百人というふうに見込んだわけでございます。
○平田委員 そうすると、あなた方が予定している適用すべき遺児というのは十万人のうち千五百人程度というふうに認めて考えておられるわけですね。
○小林(正)政府委員 いままで遺児が出ておりまして、それが全体で約十万人ということかと思いますが、私どもの予算で組みましたのは、そのうち千五百人ずつをこれから毎年補助していく。その見通し等につきましては、先ほどの生活保護世帯というものを対象として一応この程度で予算としてはやっていけるのではないか。もとよりこういった点につきましては、あくまで貸し付け希望というものをとってからやるわけでございますから、千五百人というのは予算の一応の規模でございまして、毎年度実態に合うように予算を編成いたしていくわけでございます。
○平田委員 この法律が効力を発生してから、申請があって足りないということが認められたら、年度内でもふやす予定ですか。
○小林(正)政府委員 この貸し付け申し込みの募集をどういうような方法でやるか、あるいは一定の期間までに申し込んだ者について優先的に選考するか、そういった点については、まだこまかい事務的な手続、方法等については定めておりませんが、私どもといたしましては、申請順に随時貸し付けていって、もうワクがなくなったというようなことが起きないように、たとえば半年ごとに分割して、それごとに貸し付け応募者というような者を調査整理いたして、そして決定をしていく。そしてその予算の使用につきましては、遺児の貸し付けあるいはその他の貸し付けもございますので、そういった中においては重点的に重要度の高いものに振り分けて貸し付けができるわけでございまして、そういった点については実行上十分配慮いたしたいと思います。
○平田委員 文部省の関係にお伺いしたいのですけれども、義務教育課程の遺児は七二年度末どれだけになっているか、また、遺児一人について教育費が年どれぐらい必要か。これは学年などによっても相違があるかと思いますけれども、平均でいいと思うのです。それから交通遺児のうち対象と思われる数をどれくらいと踏んでおられるか、それから高校課程の遺児はどれくらいいるのか、教育費は一人どれくらい必要なのかについてひとつお聞かせいただきたいと思います。
○遠藤説明員 交通遺児の数につきまして文部省として特別の調査をいたしておりませんで、昨年総理府のほうで御調査をいただいた数字が一番新しい数字でございますので、それに基づきましてお答えをいたします。
 義務教育課程の交通遺児が小学校二万三千六百人、中学校が一万七千五百人余り、合計いたしまして四万一千人ほどという調査の結果になっております。それから高等学校につきましては、全日制、定時制合わせまして一万五千人ほどでございます。
 なお、教育費でございます。これは若干調査の時点が古くて恐縮でございますが、昭和四十五年度の調査によりますと、小、中、全日制高等学校、いずれも公立のものを調査対象として抽出調査を行なったものでございまして、小学校につきましては年額二万六千六百五十円が父兄の負担した教育費の額、中学校については三万五千三百七十円、全日制高等学校が六万八千九百十円というのが文部省で調べました父兄の負担した額でございます。
○平田委員 そうすると、文部省のほうは調査していないから、どれくらいの対象があるかなどについては検討はされていないわけですね。
○遠藤説明員 私の所管が大学学術局ということで、日本育英会の関係を担当しているものでございますが、高等学校の生徒に対しましては、特に交通遺児ということには限定はいたしておりませんけれども、日本育英会としてかなりの、一、二三年生合わせまして九万人ほどを貸し付け対象として年々貸し付け事業を行なっておるわけでございますが、それらの状況から推測をいたしますと、単価が低いためであるとか、いろいろ複雑な要素があろうかと思いますけれども、いまのところ九万人程度の貸し付け対象に対しまして、応募者はそれの一・一倍程度の申請でございますので、大体いまのところ需要と供給の関係はバランスがとれているんではなかろうかという推測を持っております。
 なお、小中学校につきましては、ちょっと私、所管からはずれまして勉強しておりませんでした。
○平田委員 これは局長でいいと思うのですけれども、義務教育終了前の遺児貸し付けの育成費月五千円というふうにされておりますけれども、これをきめた根拠は何かありますか。
○小林(正)政府委員 現在考えておりますあれといたしまして、一時金として六万円、それから育成費として毎月五千円ということを予算的には考えておりまして、これの五千円の額の問題でございますが、やはり高校生以上の育英といいますか、主として奨学になると思いますが、そういった際の貸し付け額あるいは先ほど先生御指摘になりました現在各都道府県でやっておる給付、千円とか二千円とか、そういうような点もいろいろ総合勘案いたしまして、とりあえず当初の考え方としましては、毎月五千円という程度が妥当ではないかというふうに考えたわけでございます。
○平田委員 さっきもちょっと触れておられたようですけれども、貸し付けにあたって審査が必要になってくるというふうに言われましたが、これはやられるおつもりのようですが、そのとおりでいいかどうか。それから、どれくらいの期間をおいてやられるのか、年に何回ぐらいになるんだろうかということです。
○小林(正)政府委員 この法案が通りましたら、さっそくそういった手続内容というようなものを明らかにして、たとえば各市町村、それから現在いろいろ交通事故相談所等もございますが、関係の方面にこういった手続等について明確にいたしまして、貸し付けの希望の有無を募集をいたす、当然貸し付け申請といいますか、貸し付けの希望が出てまいりましたものについては早急に処理をいたしたい。そのときも非常にはっきりした基準、父兄の所得の基準あるいは保護世帯であるかどうかというようなことは客観的に明らかになる問題でございますので、たとえば銀行の貸し付け、そういったような意味のむずかしい審査ということは私は要らないと思いますので、こういった点について貸し付けの希望があれば、早急に審査といいますか、所定の手続をきめまして貸し付けをするというふうにいたしたいと思います。
○平田委員 私が心配して聞いていますのは、この種のものがきめられる際に、いまの保険制度のもとで大体一年くらいかかるのですね、手間が。ですから、何としても早くしなければならないというふうに考えるもんですから……。
 先ほどちょっとお話しになった中には、年二回くらい、半年に一回くらいの審査というお話があったと思う。やはり申請がまとまった段階ですみやかに審査をするという体制でないと、緊急の間に間に合わないのじゃないかという点を心配して、お聞きしているわけです。そういう意味では、申請があったらさっそくその申請に基づいて処理できるように、また、申請についての手続、これがまたしろうとじゃどうにも手のつけようがないというような申請じゃ困るわけですね。そこら辺も簡単なものにして、手続を簡素にして、しかもすみやかにできるようにすべきだろうというように考えているわけです。そういう意味で、あなたいまおっしゃっていましたけれども、実際にそういうふうになるのだろうか、依然としてその不安が残るのですが、その点はいま申し上げたようにやれるのですか。
○小林(正)政府委員 先ほどたとえば半年と申し上げましたのが非常に問題だと思いますが、この予算の使い方といたしまして、はっきり御希望の向きは申し出られよ、いつまでに貸し付けができるということを私どものほうが簡単明瞭に明示いたしまして、そうして募集をして、予算を重点的にこちらの遺児のほうに使う必要がある場合には使っていきたい、その方法としてそういったことを申し上げたのでございまして、もちろん理想といたしましては、ある程度貸し付け業務が定着いたしますれば、随時毎日でも貸し付け申し込みを受けて、そうしてさっそく審査をして貸すというような方法もできると思いますが、この辺につきましては、十分手続を定めます際にはっきりさせたいと思います。
 なお、簡単な手続要領というようなものが必要だとおっしゃる点につきましては、たとえば一件一件審査をしなくても、申し込み者が保護世帯であるかあるいは低所得層であるかというような点について、簡単な資料があればわかるようにして、申し込みと申しましても、いわば届け出で済むような形で迅速にやれるような方法を講じたいと思います。
 なお、それのために一つ考えておりますのは、やはり普通にすべての申し込み書が回されて、そうしてまた、役所式にこまかく審査するということになっても非常に手数がかかりますので、適性診断業務も、現在のところ全国で九カ所でございますが、いずれ三カ年計画で各県単位に置くわけでございますので、そういった現地で即刻貸し付けの決定もできるように内部手続等も定めたい。こういうふうに、法案通過後はさっそくそういったこまかい点について整備するように現在も検討しておるわけであります。
○平田委員 次に、自賠責、つまり強制保険ですけれども、黒字は七二年末には幾らになっているか。それから、運用利子はいま幾らになっているのか。七二年でいいですが、お聞かせいただきたいと思います。
○小林(正)政府委員 四十七年度の三月、四十八年三月末でございますが、全体の保険勘定の収支残は五百十一億の黒字が見込まれております。まだ最終の決算には至っておりません。
 それからこのセンターと直接関係のございますのは、いわゆる滞留資金について、その一部が国庫に預託されておるわけでございます。それから出ます利息というのがこの特別会計に入ってきます。これの額が現在四十七年の見込みは約百二億ということでございます。
○平田委員 運用利子が百二億出てくるのですが、強制保険の積立金はおもに何に運用されているのでしょうか。
○小林(正)政府委員 私どものほうの強制保険、いわゆる自賠の特別会計におきましては、保険料収入で保険金を支払う、その間資金が滞留いたしますので、これは国庫に預託するわけでございますが、これは資金運用部で一括して運用されておるかと思います。
○平田委員 強制保険の仕事ですけれども、これはいまもお話に出ましたが、今日段階になってくると、私は、当然国に移して、そうして国が行なうようにすべきじゃなかろうかというように考えているわけです。交通事故による死亡の場合、強制保険をまず国に移して、そして死亡の場合には現行五百万ですね、この保険金を今日の状況ではもう少なくとも千五百万に引き上げるというふうにすべきだと考えております。この点どうお考えか。また、遺族に保険金がおりた場合に、税金その他一切の債務支払いに優先して、遺児の養育、教育、生活、住宅などの費用に充てるように保障する措置をとる必要がある。これは実際深刻なんですね。出てくると借金があったり何かしてみんなもぎ取られていってしまうわけでしょう。それで、実際には生活していく上でとにかく困ってしまうというような、五百万という金額のせいもあるのですけれども、そういう事態が往々にして起こっているわけです。この点はやはり保障する措置をとる必要があるんじゃないか。それから支払いの方法については、遺族の希望に応じて年金方式もとるようにするなどして、やはりできるだけ遺族の皆さんが立ち上がっていけるように、前進できるように配慮してやる必要があるというように思うわけですけれども、この点どうお考えか。
 また、傷害者に対する保険金の限度、これは現在五十万円ですね。これもちょっとした事故ですと、もうどうにもならないのです。私なんかもよく持ち込まれていろいろ手続をするのですけれども、どうにも間に合わないのです。したがって、これを大幅に引き上げる必要がある。そうしませんと、一たん事故が起こりますとにっちもさっちもいかない事態が起こるものですから、そうすべきだというように思うのですけれども、この点どうお考えか、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○小林(正)政府委員 保険金の限度額の引き上げの問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、死亡についての五百万が非常に低いということ、さらに現在の限度額は、傷害のほうがその前から五十万ということになっておりまして、このほうがより死亡の五百万よりかもあるいは現在実際的に問題が多いかと思います。この点については先生御指摘のとおりでございまして、この限度額を引き上げるというような問題につきましては、保険勘定の黒字基調に変わってきたというようなこととも関連いたしまして、今後前向きに検討をしていきたいと思っておるわけです。
 税金等の問題につきましては、私どもとしてはちょっとわかりかねますので、省略させていただきます。
 それから冒頭に、国がすべて国営保険のようにやったらどうかという御指摘がございましたが、現在のいわゆる再保険制度というようなもので、元受け事務、元受け保険、これはすべて保険会社がやっておるわけでございますが、そのうちの六割というものは国の一般会計で再保険という形でやっておるわけでございまして、実態は先生御指摘のように、この保険は国が関与してやっておるという形をとっておるわけでございます。
○平田委員 次に、このセンター法案の裏づけになる資金計画で見ますと、センターの建設や設備、管理、人件費、これに相当な予算がとられてしまうのですね。被害者に対する援護の額よりはるかに多い額になっているわけです。そういう意味で、この被害者援護については、いま私が申し上げたように国に移して、そして社会保障制度を改善して、これとの総合的な結合を持たして、もっと手厚い保護ができるようにすべきではないかというふうに思うわけです。センターをまた別に設けますけれども、結局やる仕事となりますと、援護の面からいえば貸し付けだけになるわけですね。ですから、ほかのことはまたほかのところに行かなければ事が足りない。あっちだこっちだというので、被害を受けた人たちは全く苦労するのです。そういう意味で、一本化して扱えるような道が開けないものだろうかというふうに考えるのですが、その点どうお考えでしょうか。
○小林(正)政府委員 前段の第一点の資金計画において非常に一般管理費的なものが多いのではないかという点の御質問でございますが、包括的に支出の項目を貸し付け金あるいは事業費というような分け方をいたしますと、平年度で貸し付け金が五億に対しまして、事業費全体といたしますと八億六千万と多くなっているわけでございますが、この点は貸し付け業務に伴います人件費と、それから先ほど来申し上げました適性診断、こういったものの業務費が全部入っておるわけでございまして、この事業費というのはいわゆる人件費とか管理費とか、こういうことではございません。
 それから第二点の、このセンターが貸し付け業務をいたします場合に、一般的な事故にあった際のいろいろな事故相談と申しますか、そういった保険以外のいろいろな問題が起こる。こういったものがこのセンターでできないか、こういうことの御質問かと思うわけでございますが、これにつきましては、現在確かにいわゆる窓口というものがいろいろあるわけでございまして、一番公的なものとしましては、各都道府県あるいは市町村、そういった地方公共団体に事故相談所というのがございます。あるいは警察署にも交通事故相談という看板がかかっておるところもございますし、あるいは弁護士協会というようなところでもやっておるわけでございまして、そういった一般的な事故相談というものについては、市町村を中心に窓口が開かれておるわけでございまして、ここではこういう具体的な貸し付け業務ということを行なうわけでございますが、しかし、御指摘のように、このセンターにおきましても、そういった事故相談的なものがあった場合には、当然ここの職員には専門家を配しまして、いろいろ御相談に応ずることができるように配慮したいと思っております。
○平田委員 この法案によりますと、事業用自動車運転者に対する適性診断を行なうことというふうになっておりますが、その中で心理学的、医学的診断を行なうというようにいわれております。だれが診断するのでしょうか。
○小林(正)政府委員 この診断の具体的な方法、内容につきましては、いろいろな適性を診断する測定機器がございまして、その結果、ほとんどのものが機械的に結果が出てくるわけでございます。こういったものを分析、解析いたしまして診断を下すということについては、非常に高度な判断能力が必要だと思うわけでございまして、こういった点について、現在いわば試行的にやっております全国九カ所の運行管理指導センターにおきましては、大学の心理学あるいは生理学の専門家の方に来ていただきまして、そういった方の指導のもとに、助手というような方が立ち会って現実には診断業務をやっておるわけでございます。こういった点についてその道の専門家が診断に当たるように、当然こういった国が肝いりでセンターをやる場合には強化していかなければならぬ、こう思っております。
○平田委員 診断をする人の資格について問題にならないのですか。いま大学の先生などにというふうに言われていますけれども、医学的に診断をするという場合に、機械が大体全部出しますからと言ったって、機械を人間が使うのですからね。ですから、やはり人間をほんとうに診断していこうとすれば、その道の専門家で資格を持った人が当たるというのが私はあたりまえだと思うのです。ここのところを、だれでもいいからちょっと機械が使えればいいのだ、あるいは大学の先生がついていればいいのだというようなことで済まされるべき性質の問題ではないのじゃないかというように思うわけです。
 それから、その診断をする人の選出、選任の基準ですね。何を基準にして、大学の先生ならよろしゅうございます、心理学の先生ならよろしゅうございますという基準でやっていくのかどうなのか。この基準をどこに置くのかについてお聞かせ願いたいと思います。
○小林(正)政府委員 現在までの経験あるいは実績によりますと、やはり全国各地にかなりこういった適性診断の機器の開発も進んできておりますし、あるいは診断方法についても専門的な分野として確立されてきておるわけでございます。そういった方面の専門分野の先生方の指導を受けて現在もやっておるわけでございますが、当然、国がこういったセンターをつくってやる場合には、センターの職員に対して一定期間の研修あるいは訓練というようなものを施すことによりまして、適性診断について専門的な知識、技能を習得させ、職員を各所に配置して実務を行なわせるようにいたしたいと思っております。
○平田委員 いまの御説明ですとやはり納得いかないのです。人の心理状態や医学的な見地から検討するといって、お医者さんが見るわけでもなし、機械が見るのでございますというようなことで、社会的にも重大な仕事を片づけていくというわけにはいかないのです。そういう意味で、私はこのやり方はやはり検討すべきものだというように思うのです。しかも運転者にとってみれば、免許をとる場合はうっちゃっておいて、免許をとってから、今度は事業所につとめたら適性診断をやれ、適性診断をやったらどうも疑問があるからあなたはまずいよというような話になったら、これは話になりませんよ。それならば、免許を与えるときにきちっと総合的な検査をして間違いのないようにしてくれれば、免許更新のときにさらに検査をすればいいわけなんですから。こんな機械を置いて、たいへんな金をこういうところに使って、運転者になってから、つとめ始めてから生活権を奪われるような結果を生むようなことをやっちゃだめだと思うのです。そういう意味で、私はやはりいま申し上げた点は、社会的に重大であると同時に、事業用自動車の運転者の生活権にとっても決して安心できるものじゃない。裏でつながっておったら何とでも結論は出せるのですから。そういうことは起こり得ないと言うかもしれないけれども、いままでわれわれが知っているほかのいろいろな例では、幾らでも裏でつうつうになっていて、首切りの材料をとって首切りをしていったという例があるのですから、そういう意味で、私はやはり運転労働者の死活にかかわってくる重大な問題として検討しなければならないのではないかというように考えます。
 時間もちょっと経過いたしましたから、あともう一つ、救急体制の問題で先ほどもどなたか答えておられましたけれども、先ほどのお答えでは、当面している救急体制を整備することが急務だといわれている情勢に対応することはできないんじゃないかというように思うのです。したがって、この救急体制は今度は自動車事故対策センターとは別なところでこれはまたやるのでございますということになっておりますから、そのほうでまた検討すべきだろうと思うのですけれども、救急体制についてもやはり再検討して、いま要求されているように、一カ所に連れていって救急病院だけれども間に合わないで、次に連れていったそのときにはもうなくなっていた、最初のときに手厚くできればなという話は少なからずあるのですから、そういう立場からやはり救急体制を整える問題は検討すべきだというように思うわけです。
 以上、検討してまいりましたけれども、事故問題のほんの一部の対策しかできないセンターだということは、いままでの経過をずっとたどってみれば明らかだと思います。「日本列島改造論」で、自動車が昭和六十年度には四千万台になる。総理自身がそう言っているのですよ、四千万台になる。これは当然小康状態を保ったとしても、事故の激増ということは避けることができないだろう。いまの道路行政など、道路の建設のしかたなどを見ると、そのことを痛感するわけです。そういう意味で、私は、この事故対策センターで事故がある程度解消できると考えることはたいへんなあやまちをおかす結果になるのじゃないかというように思うのです。あらためてやはり総合的な対策を立てるべきだということ。
 それから、金の問題ですけれども、強制保険の運用利子を運用するというようなやり方でまかなっていこうとするから、さっき申し上げたように金額が少ないんですね。道路だけだって五カ年計画で七兆七千億円もかけようというのですから、金はたくさん使うところには使っているのです。この一部分をさいただけだって充実した、もう少し総合的な事故防止に役立ち、それから遺児や遺族に対して十分な手だてを講じてあげることができるのだ、私はそういう道を開いて、ほんとうに人間を尊重し事故を未然に防いでいくために全力をあげるべきであるというように考えるわけです。
 時間も経過いたしましたから、答弁は望みませんけれども、そういう立場からひとつ検討していただくことを期待して私の質問を終わらせてもらいます。
○久保委員長 この際、発言を求められておりますから、これを許します。建設省浅井企画課長。
○浅井説明員 おくれまして申しわけございませんが、先ほどの「日本列島改造論」の中の道路舗装率の数字は、日本の場合の一二・七%並びに各国とも数字は間違いございません。ただ、世界の順位五十七位というのはちょっと確認できませんが、いずれにしても低いことは間違いございません。
○久保委員長 渡辺武三君。
○渡辺(武)委員 現在の多量な交通事故の発生あるいはその陰で泣いております被害者の実態を見るときに、今回のこの法案に盛られたような処置はむしろおそきに失した感があるともいえる。一日も早くこれが業務が開始できるように努力をしていただくことをまずもってお願いをしておきたいと存じます。
    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
 審議の過程で、確かにこの法案このセンターそのものが持つ役割りというものは、交通事故、自動車事故そのものを減少させるというよりも、むしろ起こったあとの被害者救済にその重点が置かれておる、こういうふうに見るわけでございます。確かにいま事故後の被害者救済ということがたいへんな問題でございまして、何とかその被害者の方々を救済をしていくという措置、これは可及的すみやかに確立をしていかなければならない問題である、こういうふうに考えるわけでございます。
 ところで、先ほど来の討議の中にも出ておりましたように、いまの日本の経済規模の中における物流という点から見れば、自動車が果たしておる役割りというのが非常に大きくなっておることは事実でございます。そのような実態から見て、現実に運輸省が担当しております業務、運輸業務そのものから見て、運輸省の機構、組織そのものがやや適正を欠いておるんではないか、こう思うわけでございます。御承知のように、海のほうは数名の局長がおられますし、鉄道も相当完備した組織でこれが管理運営をはかっておられる。自動車のほうは自動車局長ただ一人で孤軍奮闘をしておられる状態ではないであろうか。そういう中で非常に多くの交通事故が発生をし、物の運行管理のみならず、それに付随する問題が相当多量に発生をしてきておるというふうに私は考えるわけでございます。そういうような関係から見ると、特におくれておる部門が非常に多いわけですから、何とか運輸省の組織体制を一ぺん考えられる必要があるんではないか、こう思うわけでございますが、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
○新谷国務大臣 この交通関係の仕事が運輸省では毎年非常に多くなってきておることは事実でございまして、分量的に足りないということもございますけれども、各局が非常に大きくなってきておりますから、その相互間の連絡調整というようなものが非常におくれておりまして、よくいわれます総合交通体系、そういう中で各部門部門がそれぞれお互いに協力をし、お互いの分野の中で助け合って発展していこうというのにはどうしたらいいかということを考えますと、運輸省の現在の機構を自分で批評するのはおかしいのですけれども、おっしゃるように私は欠ける点があちらにもある、こちらにもあるという気がいたします。これは少し長い目で見ていただきまして、できれば来年度の予算編成の際には、そういったこともある程度加味いたしまして、この体制をいまの交通行政の実態に合うような体制にしたい、私はいまひそかにそう考えておるのでございます。
 とにかくいろいろな法律案を出しておりますし、懸命にみんな各局とも取り組んでおりますから、この際はこれでいく以外にありませんが、将来に対しましてはおっしゃるような意味も考えまして、これは何とか機構を変えてやらないと時代おくれになるのじゃないかなという、これは私の個人的な考えですが、そういう感じを持っておるのでございます。御鞭達をいただきたいと思います。
○渡辺(武)委員 大臣も同じようなお考えのようでございますので、ひとつ早急にそういう組織の整備をはかっていただきたいと存じます。
 ところで、この法案でございますが、自動車事故対策センターそのものの組織は、特殊法人としてそれを一つに限って設立をする、こういうことでございますが、その末端組織は一体どうなるのか、つまり都道府県に置くのかあるいは市町村のほうはどうなるのか、その辺について御説明を願いたいと思います。
○小林(正)政府委員 国が出資いたしますセンターでございますので、このセンターの業務については、統一的に業務を実施するという観点から一を限って設立いたすわけでございますが、業務の性格からいいまして、全国約五十カ所にいわゆる支所として組織をつくりたい、そこでは適性診断業務と貸し付け業務、この両方を行なうように考えております。
○渡辺(武)委員 全国五十カ所と言われますと、置かれない都道府県もできるわけですか。
○小林(正)政府委員 ちょっとあいまに申し上げましたが、各都道府県一カ所を原則として考えております。ただ、北海道のような非常に広域なところにつきましては、現在でも運輸省の出先機関といたしまして陸運事務所が数カ所ございますので、なお、そういった点については最終的にはきめておりませんが、まだ何カ所かふやすように考えております。原則として各都道府県一カ所でございます。
○渡辺(武)委員 府県はきわめてアンバランスがございますね、たとえば自動車の保有台数においても陸運関係そのものの仕事の量においても。したがって、ほんとうに一カ所だけでは業務が麻痺しないだろうかということすら考えられる状態があろうかと思いますが、その辺にはどう対処して
 いかれるのでしょうか。
○小林(正)政府委員 当然のことでございますが、このセンターでやる業務の業務量というのは、確かに御指摘のとおり非常に各県ごとに繁閑があるかと思います。こういった点については、業務量に対応する施設あるいは要員というようなものを実情に合うように配置してまいりたい、現在の段階ではそういうように考えております。
○渡辺(武)委員 その規模の大小によってそれに対処する、こういうことでしょうか。たとえばそういう自動車の多いところ、非常に繁雑な業務がたくさんあるところ等は、そこに設けられるセンター支所の職員の数といいますか、それによって対処する、こういうことでしょうか。
○小林(正)政府委員 大きな県だからといって支所の数を二つとか三つにするということでございませんで、その支所自体の業務量に合った能力を施設の面あるいは要員の面でも適切に配置するように考えたいと思っております。
○渡辺(武)委員 業務の内容を見ますと、いわゆる国民にサービスをするという業務、これが非常に多いわけですね。したがって私は、そういうようなアンバランスがあるにもかかわらず、そういうことで対処しようとしますと、国民に対するサービスそのものがアンバランスになりはしないかという心配、これが実はあるわけです。したがって、これは県といっても、人口そのものから見ても三分の一もないというような県からいろいろあって、アンバランスがあるわけですから、それはそのように対応していかないと、ただ県は県だから一カ所だけだという原則で、職員の数だけでそれに対処しようとすると、本来的に国民に対するサービス業務そのものがきわめてアンバランスを招かないだろうか、こういう心配があるのですが、どうなんでしょうか。
○小林(正)政府委員 確かに一般的には御指摘のとおりかと思いますが、たとえば現在、運輸省でやっております車両検査をやる陸運事務所があるわけでございますが、こういったものにつきましては、当然自動車の数、そういったものが業務量に直ちに比例いたしまして、また、立地的にも一県一カ所という原則がいいかどうか、非常に問題でございますので、県によっては数カ所の支所を設けているというのが実情でございます。しかしながら、このセンターにおきましては、確かに貸し付け対象は相当多くなる県とそれほどでない県とあるいはあるかと思います。また、適性診断を行なう際の対象の運転者の数というようなものもおのずから県によって違うと思いますけれども、適性診断という業務の性格、あるいは貸し付けというような業務の性格から見まして、ほかの、たとえば車両検査のような業務と違いまして、直ちに支所を何カ所も置くというようなことの必要はそれほどはない。理想といたしましては、御指摘のとおり県の大きさによってこういった支所の数も多くするというほうが理想かとは思いますけれども、業務の性格上から一カ所で足りるのではないかというふうに考えております。
○渡辺(武)委員 受ける国民の側から見ればたいへんな違いが実は出てくるわけです。実際にセンターの置かれる都市にたまたま住んでおられる方が適性検査を受ける場合にはたいした交通費は要らないわけですが、県の端っこに住んでおられる方は相当な個人負担がかかってまいりますし、さらに多いところと少ないところとのアンバランス、これは当然出てくるわけですから、もう少し何かいい方法でそれらに対処できないものか。たとえばいまおっしゃっておるように車検場というのがございますが、これはいろいろな支所ができております。たとえば適性検査はそういうところに併設をしてでもできるのではないだろうか。私自身も実は適性検査を受けております。先ほどの質問とは若干観点は違いますが、いわゆる適性検査を受けて、運転に適するか適しないかという適性検査ではないはずですから、いわば運転するために人間の機能に――人体は千差万別ですから、私は若干左のほうを注意しなければいかぬ、左のほうが鈍感だ、この程度の適性ですから、個人に対してあなたは左に曲がるときには注意しなさいよという適切な注意、あるいは左足の運動機能、右足の運動機能、それが運転をしてはいかぬということではなくて、運転をするときに、あなたは若干ここに機能の異常障害があるから、ここには特に注意をしなさいよということで、自分自身がそれを知ることによって運転する場合の注意義務、これを増していくわけですから、ほんとうはそれらを義務づけるべきだとさえ私は思っておるのです。身体上の絶対の欠陥を摘発するには、これは当然医者の手によらなければならないでしょう。しかし、運動機能のその程度の、まあ運転そのものには影響ないけれども、本人が自覚することによって、ある程度そういう右折、左折――いろいろな人体機能が、自分のからだのどこにどういう欠陥があるか、それを知るということはたいへん大切であろうし、また、その程度の試験を私自身も実際に受けてみましたけれども、そうむずかしいものではありませんし、機械的にもちゃんと数値が出てまいりますから、本人も納得ができますし、視力の回復等々、その他いろいろありますが、そういう程度の適性検査であれば車検場の一室でも十分やり得る状態ではなかろうか。そうすればより多くの国民の人々により多くのサービスができるし、近くで受けられるわけですから、より多くの人を適性検査をしようとすれば、なるべく多くの人にやってもらうためには、なるべく多くの個所でやったほうがいいわけなんです。一県一カ所だけで全部ここに来なさいといっておりますと、それが強制義務でも課さない限り、実はなかなかそんなことにはならないと思うのです。そこで先ほど実はくどいくらいにお聞きをしたわけですが、そういう方向で――その原則は原則でけっこうでございますが、そういう運用の面においては、たとえばきょうはこちらの県の半分のところへそれを出張させて、そうしていつ幾日に適性検査をやりますからというような運営をはかっていただく、これが私は非常に大切ではないだろうかというふうに思いますので、運営の面ではそういうふうにやっていただけると思いますが、若干の経費も伴うと思いますけれども、あるいは改造しなくても車検場の一部を使ってでもやれる問題ではないだろうか、こう思うのですがいかがでしょう。
○小林(正)政府委員 先ほど非常に形式的な御答弁を申し上げまして失礼いたしましたが、ただいま御指摘のとおり、適性診断というようなものの性格にかんがみまして、ドライバーの方により自覚をしていただく、こういう性格から、警察のやっている運転免許で可否を決定するということとは性格が違うわけでございますので、ただいま御指摘にありましたように、できれば検診車といいますか、そういったようなものの設備というようなものができますれば、出張をして、そして県庁所在地だけではなくて、この適性診断が普及するように計らうべきかと思うわけでございます。そういった点についてはぜひそういう方向で今後検討していきたいと思います。
○渡辺(武)委員 業務の内容について若干お尋ねをしたいと思うわけですが、実はこの自動車事故対策センターという名前はついておりましても、実際に事故に対処するといいますか、事故を防止するといいますか、それ自身に実際に効力を有するであろうと思われるのは、実は運転者の適性検査だけなんですね。あとは事故者の遺族、年少者に対する生活資金の貸し付けだとか、自賠責保険の支給までの期間の一部立てかえだとか、こういうことだけですし、いわば事故が起こってしまったときの被害者救済というのが実は大部分の業務になっておると思います。そういう意味で、そういう観点で私は質問をしていきたいと思うのですが、せっかくそういうことでおやりになるならば、先ほども問題になっておりましたが、確かに自賠責の保険金の請求手続といいますか、これはなかなかしろうとの方にはむずかしいようでございますので、自賠責保険の請求事務の代行ぐらいはこのセンターでやれるような方向がとれないものかどうかということでございます。
 さらに、もう一つの問題点がございますのは、御承知のように、これが問題になって裁判にかかった場合、裁判の判決の結果、その賠償支払いがかりに決定をいたしたとしましても、実は判決不履行の事件が相当あるわけでございます。こういう方々の救済は一体どうなるであろうか、こう考えるわけでございまして、この業務の内容を見る限り、それらが大体含まれていないように思うわけですが、この辺は一体どのようにお考えでしょうか。
○小林(正)政府委員 最初の保険金の請求の問題につきましても、このセンターが窓口となってサービスできないかという問題でございますが、これにつきましては、法律の第三十一条の業務に、表現といたしましては非常に包括的な広い表現をとっておりますが、三十一条の第一項第五号に、「自賠法による損害賠償の保障制度について周知宣伝を行なうこと。」というふうに書いてございまして、その条文から、このセンターにおきまして、被害者の方々に、保険金の請求でございますれば、保険会社の窓口に行ってこういった手続をとったらいいというようなことも懇切に説明をし、指導できるというふうにしたいと思っております。
 それから第二点の、裁判の結果損害賠償額についての確定判決を得て債務名義を得たというような場合に、加害者が非常に貧困でございましてなかなか弁済が受けられない、こういうような不履行債権があるわけでございますが、これについての、そのために被害者が弁済を受けられないというようなものにつきましては、同じ三十一条の第一項第四号の口にその点を書いてあるわけでございまして、義務教育終了前の児童というものに対する貸し付けと並びまして、ただいま御指摘のような場合の被害者の救済をはかろうという趣旨でございます。
○渡辺(武)委員 最初の項の、いわゆる「自賠法による損害賠償の保障制度について周知宣伝を行なう」、だから、その窓口で手続方法はこうですよといろいろ教えて宣伝をするのだ、こうおっしゃるわけですが、せっかくそこまでおやりになるなら、そこで申し込むことができるような代行事務がとれないかどうか。つまり、そこでお書きになるわけでしょう、教えるわけでしょう、こう書くのですよと、こういうふうに請求をするのですよと。そうなれば、あと判を一つぽんと押せば窓口に提出するだけの事務が残るわけですから、このセンターがそれらを代行してやることができないだろうか、こういうことなんですが、どうでしょう。
○小林(正)政府委員 請求事務の全般的な代行ではございませんが、同じ業務を定めました三十一条に書いてございますが、その第一項第三号で立てかえ貸し付けをする、こういう際には当然このセンターが保険金の請求事務を代行することになるわけでございます。そして保険金が払われるまでの間立てかえて貸し付けるということになるわけでございます。
○渡辺(武)委員 それはいいのですが、損害賠償を請求する手続があるわけですよ、それとは別に。だから、その間代行支払いをされるならば、この保険業務の請求手続そのものを代行してやったらどうだろうか、そこの窓口で受け付けられるようにしてやったらどうだろうか、こういうことなんです。できますか。
○小林(正)政府委員 そういった点は、この業務の中で周知宣伝というところでどこまで読めるかという、また解釈の問題もあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、非常に積極的に保険金請求事務というようなものについて十分周知徹底させるということの範囲でかなり含めるのではないかということで、積極的に規定しておりますので、受け身でただいま先生おっしゃいましたような代行業務というものはあるいはやれるのではないかと思いますが、なおそういった点については、法制上可能かどうかよく検討いたしたいと思います。
○渡辺(武)委員 法律に明記してなくとも、同じような業務をおやりになるのだから、そこでサービスの範囲内としてやる、こういうことでひとつやってあげていただきいと思うのです。
 それで、いろいろな損害が実際に自賠責によって支払われるまでの間の立てかえ払いだとかいろいろなことが書いてございますが、その冒頭に「次に掲げる被害者であって」――これは三号も四号も一緒ですね、「生活の困窮の程度が運輸省令で定める基準に適合するもの」こういう字句があるわけですが、生活困窮程度というものを運輸省令で定めておるわけですか。
○小林(正)政府委員 貸し付け対象者につきまして、これは生活窮困の程度というもので一応制限をしておるわけでございますけれども、現在考えておりますのは、具体的には生活保護法の要保護者、あるいはこれに準ずる程度の要保護者もございますが、こういった者に優先的に貸し付けをしたい、あるいはさらにこれを広げまして、所得税の免税世帯というものもあるわけでございますので、そこまでを含めるような運輸省令を定める考えでおります。
○渡辺(武)委員 生活困窮者の程度というものを運輸省令で定めるということになりますと、実際上非常にいろいろな問題が出てくると思うのですよ。かってに運輸省が認める生活困窮程度はこれだけだ、いわゆる自動車事故対策センターにかかわる問題に対処する場合の生活困窮者はこれなんですよ、結局こういうことになるわけでしょう、そうじゃないですか。だから、少なくとも生活困窮の程度というものはどういうものかということは、統一的なものを国が出しておかなければいかぬ。国が定めた統一的な生活困窮程度で、そして画一的にやられていくというならばいいのですけれども、各省がまちまちに自分の行政を行なうために、おれの省はこういうものを生活困窮者と認める、こちらの省は、私のほうはこういうものを生活困窮者と認めるというようなことは、いろいろの問題が出てくると思うのですよ。どうなんですか、大臣、少なくともそういう生活困窮者というものは国が定めておくべきではないであろうか、その定められた基準に従って、運輸省がその基準に当てはめておやりになるというならけっこうですよ。
○新谷国務大臣 よく研究してみますが、同じ字を使いましても、各法律の内容によりまして多少意味を異にするような場合もございますから、どの法律でも生活困窮者といえばこういうものだということを包括的にきめておくということは、法制上もいかがかと思いますし、それはなかなかむずかしいことじゃないかと思いますが、しかし、少なくともここでいわれる生活困窮者というのは何だということは、何か統一的な基準を置きまして、このセンター法においていう困窮者というのはこういうものだというようなことは、何かの形で明瞭にしておかないと、それを結局だれかが認定をして裁量にまかしておるということでは不安定だと思います。これは何かやり方を考えてみます。そういう意味で、省令になりますか何になりますかは別といたしまして、何かそういったことについての不安が起こらないように考えてみます。
○渡辺(武)委員 それでは、これを明確にしていただくということで次に移りますが、このセンターの出資金は政府以外のものの出資も見込んでおられるわけですが、政府出資額が今回は四億五千万ですか、政府以外の出資金はどの程度予定をしておられるのですか。
○小林(正)政府委員 予算の段階におきまして、政府出資といたしまして二億五千万、それから民間出資で五千万、三億という出資を考えたわけでございます。そのうち、政府出資の二億五千万につきましては、予算の最終的な査定と申しますか、大蔵省との協議の結果、二億四千万になったわけでございます。
 なお、約三億というような出資の根拠につきましては、これを三カ年間続けるというようなことによりまして、先ほど出ました全国約五十カ所の支所の施設費に充てるという考え方で約三億という予算を計上したわけでございます。
○渡辺(武)委員 そのほかに補助金はどれくらいあるでしょうか。
○小林(正)政府委員 補助金につきましては、このセンターの業務が、貸し付け業務で申しますと、若干の利息収入が入る程度でございまして、一般管理費あるいは人件費というようなものについてはとうてい収支ペイしないわけでございます。したがって、これらに対する補助金ということになるわけでございます。
 また、もう一つの適性診断につきましては、手数料というものも取る予定にしておりますが、それにいたしても、事業の性格から非常に高い手数料では適性診断の普及もいかがかと思いますので、実費程度の手数料である、こういった業務を遂行する上においての不足の分を補助金でまかなうという考え方のもとに、今年度につきましては、法案が通りますればことしの十二月から発足するという予定で、補助金につきましては、初年度一億一千万円という予算が計上されております。
○渡辺(武)委員 運輸省が出しておられます予算の「重要事項の概要」、この中の「自動車事故対策の推進」という項で、四億五千万「自動車損害賠償責任再保険特別会計出資等」こうあるわけですが……。
○小林(正)政府委員 ただいまの四億五千万のお話でございますが、それの内訳が、ただいま申し上げましたように、まず出資が二億四千万でございます。それから補助金が、その次に申し上げました一億一千万円であります。あとの一億が貸し付け金でございます。その合計が全体で四億五千万ということになっております。
○渡辺(武)委員 こういうものを書くときに、その半分に満たないようなものを大部分のように書かずに、もう少しわかりやすく親切に書いてもらわぬとだめですよ。ごまかされてしまいますからね。
 それから先ほども若干御質問があったと思いますが、自賠責の現在の会計は黒字だ、こういう回答であったわけです。黒字か赤字かについては、この前、三年か四年前でしたか、この自賠法を改正するときに、実はだいぶ論争になったのですよ。ところが、実は的確な数字は返ってこなかった。いま、その局長は参議院議員になっておられます。それは単年度で収支計算をすると黒字になります、しかし保険の支払いというものは必ずしもその年に終わるものでなくて、事故が起こったならば、二年後あるいは係争中のものは三年後に支払いができるから、実際にはよくわからないのです、ところが長い目で見ると赤字なんです、実はこういう説明だったんですよ。何回もやりとりをしまして、実はどうしてもはっきりしなかった。確かに総体的に見ていくと、まだまず今年度も単年度で見て黒字が出ても累積赤字は解消しないはずなんです。ことしが終わって大体いままでの累積赤字が解消をするであろう、こういうふうにいわれておるわけですが、私どもの調査によりますと、単年度で見ていくと三年間で大体千五百億くらいの黒字が出てきておる、ところがいままでの累積赤字がありますから、ことしじゅうには大体累積赤字を埋めて百億弱の黒字が見込まれるのではないか、こういうことですが、間違いございませんか。
○小林(正)政府委員 赤字、黒字の問題については、御指摘のとおり、保険経理上単年度だけをとってみてはなかなか的確な見通しを立つことはむずかしいかと思いますが、前提といたしまして、契約年度ごとの単年度の赤字、黒字ということについて見ますと、おおむね四十八年度中には赤字がなくなる、こういう見通しでございます。
○渡辺(武)委員 赤字がなくなるのではなくて、百億弱くらいの黒になるという私どもの調査だけれども、間違いはありませんかと聞いているのです。
○小林(正)政府委員 これは四十八年度が過ぎてみないと的確にわかりませんが、私どもも大体そのような見通しを立てております。
○渡辺(武)委員 赤字が解消後の来年度からは、いまのままの状態が続いていくならば、事故も徐々に減少の傾向で、いまの保険料そのまま維持されたとして、大体どの程度剰余金が出てくるでしょうか。
○小林(正)政府委員 いままでの推移からいたしまして、四十八年度おそらく約七、八百億の黒字になる。そういったことがそのまま推移いたすといたしますれば、四十八年中に累積赤字がなくなって百億近い数字の黒字になるのではないか。したがって、そのままで推移すれば、おおむね七、八百億の黒字がその後出てくるわけでございます。しかし、これはあくまで見通しの問題でございますので、契約年度での推移として、その年度の、四十八年度なり四十九年度の見通しということで申し上げておるわけでございます。いろいろ条件があるかと思いますので、収支の問題からいえばやはり流動的である。したがって、非常にかたく見なければならぬという考え方もあろうかと思います。
○渡辺(武)委員 七、八百億の黒になるのであろうというのは、私はたいへんかたい見方ではないかと思う。ラフに見れば一千億近い黒になるのではないかという試算もできるわけですから。そうだといたしますと、先ほども御質問がございましたが、いまの交通事故における死亡事故の賠償というのは、御承知のように五百万なんです。これは交通事故裁判等々では、御承知のようにもう五百万円では現実問題として人の命は弁償できないのですよ。ほとんどが一千万以上、二千万、多いのは二千万以上というような判決も実はあるわけでございまして、この保険そのものが、せっかく保険には入っておるけれども、もはや死亡事故を起こしてもなかなか弁済できない。したがって、屋上屋を重ねた任意保険をかけなければならぬ。大体いまは二千万か三千万という保険金で任意保険をかけておるわけです。この前の改定のときにも私は申し上げましたが、せっかく保険制度をつくるならば、もっと完備したものにしたらどうか。当時、それは保険財政が赤字だから、そういう方向が好ましいけれども、なかなかむずかしいんですという回答であったわけです。ところが、幸いにしてことしそれが赤字が解消できるという推定が成り立つわけですから、今後はある程度の黒が見込まれる、こういう事態になってまいりますと、当然そこにさかのぼって一ぺん考えてもらわなくてはいけない。屋上屋を重ねて、自賠責で保険に加入して、その上になおかつ任意保険に加入しておかないと実は安心して運転できないというような制度では困るわけですから、せっかくある保険制度を完備させる意味においても、もっと死亡事故に対する賠償金の引き上げ、それに伴う保険制度の完備、こういうことが私は必要になってくると思います。これはヨーロッパ等々と比較をいたしてみましても、日本はあまりにもこれは低過ぎるわけですから、そういうこともあわせて今後考えていかれるかどうか、お聞かせ願いたいと思います。
○小林(正)政府委員 死亡事故の五百万という限度額が非常に低いのではないか、特に保険収支も黒字が予想される、そういうような状況下において、現在の五百万を引き上げるべきだというような御意見は各方面に強くあるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、限度額の引き上げについて、収支の動向を見守りつつ、今後この限度額引き上げ問題に積極的に対処していくということになっておりまして、検討の段階に入っておるわけでございます。
○渡辺(武)委員 最後に大臣にお尋ねをいたしますが、このようないわば外郭的な団体といいますか、特殊法人にいたしましても、できますと、えてしてお役人の天下り人事によってそれらが構成されていくというのが従来の通弊でございまして、実はたいへん評判が悪いわけです。今度のセンターはそういうことはないと思いますが、どうかひとつ、天下り人事によって運輸省のうば捨て山にする組織だ、こういうことのないように十分配慮をいただきたい。最後に大臣からお考え方をお聞きをして、質問を終わりたいと思います。
○新谷国務大臣 もちろんのことだと思います。こういった特殊のものでございますから、非常に専門的な知識も経験もある人が当たってこそうまくいくのだろうと思います。そういう意味におきまして、あらゆる方面から知識経験の豊かな人を集めて、そして公正を期していかなければならぬ、その点はおっしゃるのと同感でございます。
○渡辺(武)委員 終わります。
○太田委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十二分散会