第071回国会 交通安全対策特別委員会 第21号
昭和四十八年九月五日(水曜日)
    午前十時二十三分開議
 出席委員
   委員長 久保 三郎君
   理事 大竹 太郎君 理事 左藤  恵君
   理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君
   理事 井上  泉君 理事 太田 一夫君
      足立 篤郎君    阿部 喜元君
     小此木彦三郎君    加藤 六月君
      片岡 清一君    佐藤 守良君
      野坂 浩賢君    平田 藤吉君
      渡辺 武三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  佐藤 文生君
        運輸大臣官房長 薗村 泰彦君
        運輸省船舶局長 田坂 鋭一君
 委員外の出席者
        運輸大臣官房参
        事官      佐藤 久衛君
        運輸省海運局参
        事官      見角 修二君
        運輸省船員局長 住田 俊一君
        海上保安庁長官 佐原  亨君
        日本国有鉄道常
        務理事     阪田 貞之君
        日本国有鉄道施
        設局長     篠原 良男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 委員派遣承認申請に関する件
 交通安全対策に関する件(海上交通安全対策及
 び日本国有鉄道の事故対策に関する問題)
     ――――◇―――――
○久保委員長 これより会議を開きます。
 交通安全対策に関する件について調査を進めます。
 まず、カーフェリーの事故概要及びモーターボート爆発火災事故について説明を聴取いたします。佐原海上保安庁長官。
○佐原説明員 カーフェリーの事故概要について御報告いたします。
 ことしに入りましてから、一月から現在、八月まででございますが、発生いたしましたおもなカーフェリーの海難事故は全部で二十三件ございます。そのほかに接触等軽微な事故が十二件ございまして、一切がっさい合計いたしますと三十五件でございます。ちなみに四十七年の事故は全体で三十三件になっております。これを海難種別に分けてみますと、衝突が三十一件、乗り上げが一件、機関故障が二件、火災が一件、合計で三十五件でございますが、そのうち十二件が視界不良時の衝突となっているような次第でございます。
 カーフェリーの事故概要は、簡単でございますが以上でございます。
 それからモーターボートの爆発事故でございますが、八月十二日の午後二時ごろ、愛知県の幡豆郡洲崎という港を出港いたしまして沖合いに向かったモーターボートが、出港後約五分経過した二時五分ころ、洲崎の沖合い約千六百メートルの海上におきまして後部機関室付近が爆発、火災となりました。乗っておりましたおとな四名、子供四名のうち、生後八カ月の女の子一人が焼死、おとな二名、子供二名が下半身に全治三週間程度のやけど、残ったおとな二名、子供一名が軽傷を負った、こういう事故がございました。乗船者は付近航行中のヨットあるいはモーターボート等に救助されまして、船体は、やはり付近航行中のモーターボート等により消火をいたしました後、漁船が横抱きして西浦のマリーナに帰っております。
 このモーターボートは愛知県の伊藤進一郎氏の所有でございますが、これに乗っておった二つの家族、所有者の友人でございますけれども、これが借用して使用しておったものでございます。
 なお、操船者は無資格で運航しておりまして、船舶職員法違反ということになりますが、爆発の原因につきましては目下捜査中でございますので、まだ結論に至っておりません。
 以上二件、簡単に御報告いたしました。
○久保委員長 次に、東海道本線鶴見――横浜駅間における貨物列車脱線事故について説明を聴取いたします。阪田日本国有鉄道常務理事。
○阪田説明員 去る八月二十七日、東海道線の鶴見――横浜間におきまして貨物列車の列車脱線事故を起こしまして、非常に多数のお客さま方に御迷惑をかけました点につきまして、心から申しわけなく存じております。
 その概況はもうすでにいろいろと新聞紙上に出ておりますが、本日お配りしております資料の裏の三ページにその脱線の概況が書いてございますので、要点のみ申し上げます。
 この図の左側が東京方、右側が横浜方でございまして、八三六一列車というのが東京寄りから参りまして、二十四キロ百付近におきまして脱線いたし、その後貨車は約六十キロのスピードで走っておりましたので、そのままこのように脱線状況となってとまったわけでございます。この右のほうに「八三六一列車」というのがございまして、そこに712とございますが、脱線いたしましたのは七両目の7、十二両目の12。それからちょうどまん中に「客上り支障」と書いてございますが、十三両目が旅客線を支障いたしました。それからそれの少し右のほうで十四両目が進行右側にやはり転覆、脱線いたしました。十五両目は全軸脱線いたしました。それから少し飛びまして、十八両目と十九両目が右一軸だけ進行右側に脱線いたしております。
 このような事故でございまして、その後現場のいろいろな調査をいたしました結果、下の図に書いてございますように、下のほうに「乗り上がり地点二十四キロ百四メートル」とございますが、この付近を中心にいたしまして、レールの上に右の斜線のような三本の脱線の痕跡がございました。一本は一たん乗り上がりましたが、右のほうに行きまして「約十三メートル」と書いてございますが、そこで一ぺん復線したあとが発見されました。この左側の三本というのは、先ほど申し上げました七両目と十二両目と十三両目と判断しておりまして、この十三両目が特に脱線、転覆いたしましたので、その影響で十四、十五、十八、十九両目が脱線してしまったということでございます。
 そこで原因でございますが、この図に書いてございますように、図の一番左側に「滝坂踏切縁端」と書いてございますが、そこから乗り上がり地点まで約二十メートルでございます。そのちょうどまん中あたりに「平面性狂い区間約十五メートル」、それから「狂い量最大四十九ミリ」というようなことが書いてございますが、この場所は横浜に向かいまして右曲がりの半径八百メートルのカーブでございまして、そこにはカントと申しまして、遠心力で列車が外側に脱線しないように、外側のレールが内側のレールより約四十ミリ上がっておりますが、このときの手直しの作業中の作業に誤りがございまして、四十ミリが八十九ミリ上がっておりましたので、そこで、一部が高いために車の前向きの一番左側の車両がいろいろ、物理的に申し上げますと、浮き上がるようなかっこうになりまして、それに遠心力が働きまして脱線したものと推定しております。本文に書いてございますように、一ページに戻ります、「八月二十七日一時五分から二時四十五分までの間、東海道貨物線軌道強化工事の一環として、滝坂踏切附近の道床厚増加工事を線路高上方式により実施した。本工事は線路閉鎖工事として実施され、監督者の検測確認後、時間内に完結した。」この辺は道床が二十ミリですが、それを二十五ミリに上げることは、道床を非常に強化する工事でございまして、道床を強化していろいろ多くの列車が通っても完全なように、だいじょうぶなようにする工事でございますが、この工事を夜の間に、閉鎖工事と申しまして、その間絶対まわりの列車を通さないという閉鎖工事を行ないまして実施いたしました。そのときは国鉄側からの監督者が出て、すべてこれでよろしいというふうに終わったわけでございます。その後に、列車を朝までに約二十本くらい走らせまして、それで大体線路の落ちつき状況を見ます。一ぺん高上いたしました線路は、何個列車か走りますと、どうしても初めのうちは沈んだり、わずかの狂いを生じやすいものでございますので、そのあとのそういう手直しを朝からやりました。そのときに作業中に誤ってこういう平面性の狂いを生じたものと考えるわけでございます。以下、いろいろ書いてございますが、これは先ほど図面で御説明したとおりでございます。
 たいへん多くの方々に御迷惑をかけまして、たいへん恐縮に存じます。関係列車は幸いにして関係踏切の保安係、あるいは乗務員等の非常に機敏な処置並びにそれに伴う諸種のいろいろ隣線防護をやってまいりました設備が働きまして、ほんとうに不幸中の幸いでございましたが、付帯する事故がなく終わりましたことは不幸中の幸いだと思っております。今後さらにこの事故を教訓にいたしまして十分改善の手段を講じたいと存ずる次第でございます。
○久保委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
○片岡委員 時間があまりありませんので、答えていただくのもきわめて簡潔にお願いいたしたいと思います。
 私は、まず、船員の安全衛生保全のために、船員法八十一条が、船舶所有者に対しまして基本的な義務を課しておるのでありますが、その本法を受けて、船員労働安全衛生規則という運輸省令が出ておりますが、この規則は、船員たちの海上における長い危険な生活を安全にするために、また、生命の尊重の上からも、この安全衛生規則というものはたいへん重大な、基本的な規定であると思うのでありますが、運輸省はこの規則が正しく守られるようにするためにどういう行政指導をいままで行なっておられるか、一般的な問題としてお伺いしたいと思います。
○住田説明員 先ほどごあいさついたしました新しく船員局長を拝命いたしました住田でございます。よろしくお願いいたします。
 ただいま先生の御質問に対しましてお答え申し上げます。
 ただいま先生が御指摘になりました船員労働安全衛生規則、これは五十二条に「げん外作業」という規定がございます。この規定は先生御承知のように、船舶の所有者が船体の外板の塗装とかあるいはさび落とし、こういった場合におきまして、安全を期するために次のような措置をとっております。たとえば作業に従事する場合に命綱だとかあるいは救命胴衣、こういうようなものを使用することを義務づけたのが五十二条の規定でございます。これは先生御指摘のように、船員の安全確保のためにきわめて重要な規定でございまして、運輸省といたしましても、従来この励行については十分指導監督を行なっておった次第でございます。
○片岡委員 ちょっとそれを、具体的にどういうふうに指導監督をしておられるか。
○住田説明員 実は先生御承知のように、本年の三月二十三日に英国のリバプール港におきまして、「ていむず丸」という川崎汽船の船でございますが、たまたま不幸にして三等航海士が舷外作業をしたときに海に落ちまして行くえ不明となった、こういう事件がございした。運輸省といたしましてはこの事故の重要性にかんがみまして、昭和四十八年の八月二十四日、船員局長名で次のような通達を出した次第でございます。すなわち、件名といたしまして、「げん外作業に伴う事故の防止について」ということで、いまお話ししました川崎汽船の「ていむず丸」の事故に関連いたしまして、今後この衛生基準に基づく十分な規定の順守について注意するようにという内容のものを出したものでございます。さらに具体的には、作業といたしましてさび落とし作業だとかドラフト計測作業、こういったも一のについて所定の処置を励行することと、あるいは救命浮環あるいはライフボールを順守する、こういうことによって救助体制を確立しなさい、あるいは命綱だとかあるいは救命道具、さらにはそういった各種の道具について、使用前の点検を十分にはかれ、こういうような船員局長の通達を出した次第でございます。今後、こういったことは二度と起こらないように、十分の注意を払っていきたい、かように考えておる次第でございます。
○久保委員長 委員長からちょっと御注意申し上げますが、本日は質問者もたくさんあるし、限られた時間でございますので、答弁者のほうも質問者のほうも要領よくひとつ運んでいただくことをお願いします。
○片岡委員 ただいま一つの事件をつかまえて、その規則が完全に行なわれるように注意喚起されるということは、これは当然なことでありますが、私は平素から、そういう事件が起きない前から、とかくそういう安全規則などというものはないがしろにされて、マンネリズム化して、そしてほったらかされて、あまり実行されないというおそれがありますので、私は、これは平素から十分やはり監督をしていただかなければならぬと思うのであります。それで、もしこの規則に規定された安全衛生に関するいろいろの義務が一つの船において履行されておらなかったという事実が判明した場合に、運輸省はこれに対していかなる措置をとられるのか、これも簡単にお伺いしたいと思います。
○住田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、この種の問題につきまして、運輸省といたしましては、従来講習会、あるいは各海運局に労務官というものがございまして、こういった労務官制度を十分活用いたしまして、この事故の再発をなきように十分注意しておった次第でございますが、今後とも先生御指摘のとおり、この安全規則に基づきまして、この再発を防ぐように一段と努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○片岡委員 これは非常に抽象的なお答えで、私は必ずしも満足いたさないのでございますが、それではさらに、ある船の中で、船長あるいは上級者が明らかにこの規則に定められていることを、やるべきことを怠ったり、あるいはまた故意または過失によって船員の安全がそこなわれた、あるいはまたその結果船員が死に至ったというような事実が起こった場合、これに対して運輸省は具体的にどういう措置をとられるのか教えていただきたいと思います。
○住田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生の御指摘のようなこういった事件が起きた場合の運輸省としての措置いかん、こういうことでございます。それにつきましては、たとえば先ほどの「ていむず丸」の船員労働安全規則の違反事件につきましては、所轄海運局の船員労務官において現在事情聴取しておりまして、その結果によりまして、この規則違反被疑事件といたしまして、検察庁と協力いたしましてこの違反事件について事案を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。こういったようなすべて司法事件につきましては、検察庁と十分な連絡をとって処理をしていきたい、かように考えておる次第でございます。
○片岡委員 ただいまお話しのその事件といいますのは、先ほどお話のありましたとおり、去る三月の二十三日に英国のリバプール港外のライナスポイントというところに仮泊をしておりました川崎汽船の「ていむず丸」の上において起こったところの事案でございます。それは三等航海士の渡辺友信君という人がこの仮泊地において喫水線の測定を命ぜられて、縄ばしごで船尾の、右舷か左舷かよくわかりませんが、その縄ばしごを伝って測定をしておったときに、縄ばしごもろとも海中に落ちたという事案でございます。これについて一応報告書がございますけれども、すなわち中野寅一という「ていむず丸」の船長が四月二十五日、これはおそらく日本へ帰ってきてそして本社の辻海務部長あてに「三等航海士渡辺友信氏海中転落行方不明事故について」という報告書を出しておるのでございます。ところが、この報告書に書かれておることが――この渡辺君の両親が自分の大事な長男むすこがなくなったので非常な大きなショックを受けて、そしてこれがどうしてそんな事故が起きたんだろうということで、いろいろその船に乗っておった人あるいはまた同じような勤務に服しておる他の船の人、そういう人たちを時間かまわずに、もう子供かわいさにあちこちと聞き回って歩いた結果、どうもこの報告書が事実と違うようであり、いろいろの不審の点が多いということで、どうしてもこれが納得ができない。したがって、その後の労務災害に対するいろいろの補償等の問題で、会社側から判を押してくれということを言われておるのですが、自分は金はほしくないんだ、やはり何としてもむすこがこういう殉職をした、そういうことに対してはっきりと原因をつかみ、そうしてほんとうに自分のむすこが、自分の過失によって起こったものか、あるいはその他の方法に何か原因してそういう死に至るような事故を起こしたものか、その点をはっきりしたい、特に会社の人たちが――社葬として丁重なあれを受けたのですが、社葬に付されたのでございますけれども、どうも来た人の態度その他からいろいろ納得いかぬ点がたくさんある、こういうことで非常に不審を持っておる点が多々あるのでございます。
 ことに当時報告書には風力四というふうになっておりまして、わりあいに平穏な状態にあった、こういうふうに書かれておりますが、そのときの状況から、ちょうど弟がドーバー海峡の近くへ航空の勉強のために行っておったのでございます。その関係でその次男坊が自分の兄貴の遭難を聞いて非常に嘆き悲しんで、英国のいろいろの機関及び特に気象関係の役所に行って、そのときの風速それから天候、それらについて照会をしたものが現にあるのでございます。ここにございますが、これによりますと、会社側が言うております、風力四と言うておる状態とおよそ違って、ちょうどそのときの十五時、十六時――十五時半くらいに事件が起きておるようでございますが、十五時、十六時のときは風速は十九ノット、十八ノットというデータがはっきり出ておるのでございます。したがって端的に申しますと相当海上が荒れておった。そういうときには、さっき申しましたその規則によって、局長が指摘されたように、そういうときにはそういう船外作業はやらしちゃいかぬということになっておるにかかわらず、一等航海士の小川という人が渡辺三等航海士に命じて、しかもそれが日記その他によりますと勤務時間外でございます。勤務時間外であるにかかわらず、特にそういう危険な作業を命ぜられた、これが結果こういう事故が起きたのではないかというふうに思われるのでございまして、その点明らかに規則に相当違反をしておる点があるように思いますし、ことに救命ボートをおろすそういう状況についても、平素一つも訓練されておらなかったというようなことがいわれておりまして、船長みずからも、去年の秋日本を出てから船員をなるべく休ませるという意味で一回もボートの訓練はやっておらぬ、規定の上では一カ月に一回やらなければいけないことになっておるにかかわらず、一回もやっておらぬということを言うております。
 そういうありさまでありますから、船員の人たちあるいは士官の人たちも救命具をつけて外へ出るとかいうような着意に欠けておった。これはやはり船長みずからあるいは船の所有者が、当然規則できめられておることを平素から励行していなかったということがどうも大きな原因になっておるのではないかと思われるのでございます。
 なお、その他こまかい点についていろいろ指摘したい点がございますが、これはしかし、すでに一方において本人は死んでしまっております。死人に口なしでございます。この報告書もいろいろ問題点がありますが、自分の都合の悪い点はおそらく不問に付して隠して、そうして都合のいいような点だけを並べて書かれておるように思われる点が相当指摘できるのでございます。
 そういう点を私はまだ留保しておきまして、時間の関係できょうはそういうこまかいことに及ぶことができませんので、私はできればここへ船の会社の責任者を呼んでいただいて、そうして参考人として調べたいというような気持ちでおりますので、それらの点について委員長において将来お取り計らいを願いたいということを要望して、この事案について私の質問を留保して、時間が参りましたので、一応これで終わりたいと思います。
○久保委員長 船員局長、何かありますか。――別にない。それでは、片岡委員のただいまの御発言は理事会におはかりいたします。
 次に、太田一夫君。
○太田委員 最初に海上保安庁、それから運輸省のそれぞれの関係者にお尋ねをいたしますが、「カーフェリーの事故概要について」の保安庁の御報告、「カーフェリーの安全対策について」の運輸省の方針、これを拝見をいたしましたが、一番大事な海上保安庁の「カーフェリーの事故概要について」は、新聞記事よりももっと味のない報告でありまして、一体これは何だということなんですね。船名と総トン数と旅客数と発生月日と海難種別と場所とそのときの天気とその概要となると、新聞記事よりもこれはあじけない。ここにはどこに問題点があったかということは一つも書いてない。私は、特にその中で取り上げたいのは、最後の七月一日に出たフェリー「室蘭丸」千二百十五総トン、これがフィリピンの貨物船の「サンターナー号」と衝突したのでありますが、相手の貨物船というのは四千七百三十三トン、四倍に近い大きな船なんでございますね。青森を出た「室蘭丸」がそれにぶつけたというのですが、その当時のニュースによりますと、「室蘭丸」はほかのフェリーとかほかの連絡船とかに気をとられて、この巨大な船が前方を通っているのに気がつかなかったということがいわれているわけです。そういう大事な点を何も書いていないのですが、この報告書、事故概要というのはどういう意味でお出しになったのですか。何かこれは参考になるのですか。
○佐原説明員 おしかりを受けまして、ただただ恐縮しておりますが、あくまでも概要という意味で、二十三件これまでに起こりましたほんとうの概要のつもりで出したので、先生御指摘のような微妙なる点をもし御必要とされるならば、さらに追加して資料は出さしていただきたいと思います。
 当日、ここにも書いてございますように、霧中航行、視界五十メートルでございました。スピードを落とさなかったとかいろいろな問題点が実はあるわけでございます。これらにつきましては、海上保安庁はもとより運輸省各現局と連絡をとりまして、今後の事故絶滅といくかどうかわかりませんけれども、十分遺憾なきを期したい、そのように考えております。もし御必要ならば、この件とこの件とこの件と御指摘いただければ、なお追加して提出いたします。
○久保委員長 保安庁長官に申し上げます。御指摘があるまでもなく全部資料は出してください。取捨選択は委員のほうでやります。
○佐原説明員 承知いたしました。
○太田委員 全く海上保安庁長官に御就任早々のあなたのことですから、前任者の時代のことをまだあなたも十分御研究なさっていらっしゃらぬといえばそれまででございますが、部下には優秀な方が相当いるわけです。もう少し当委員会に対しましても、原因を究明して、その対策が講じられるような、そういう意味の内容、厚みのある報告を出してほしい、こういうことを特に要望しておきます。
 それで、カーフェリーの事故が多くなったということにつきまして運輸省のほうにお尋ねしますが、これは次官――次官は……(「帰ったんだ」と呼ぶ者あり)では、だれでもいいから答弁してください。この「カーフェリーの安全対策について」というのは、非常に事故が多い、「相次いで発生している。このような事態に対処するためには、カーフェリー事業者が安全運航に徹した経営体制を確立することが前提となる」と、ここのところに原因を求めていらっしゃるが、私は、運輸省そのものの免許体制とか監督体制そのものを確立することに問題があると書き変えなければいけないと思う。どうなんですか、カーフェリーの安全対策をやるのに、ここに羅列されたようなことを追加することによって安全になるのですか。いまのように目の前を通っている大きな船が見えない、一体そんな未熟な乗り組み員が巨大な船を運航しながらたくさんの人命を預かっておるということに対して、こんな枝葉末節の対策で生命の安全が守られますか、その辺どうですか。
○見角説明員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の問題点、確かに運輸省の監督体制の不備という点もあろうかと思います。御存じのように地方海運局は、非常に貧弱な体制でいままで指導監督あるいは免許業務等をやっておりまして、その点いわば現場に出かけての監督について不備な点があったのではないかとわれわれは十分反省をいたしております。来年度の予算要求におきましても、地方海運局の増員問題を重点的に取り上げまして財政当局と折衝して、今後先生の御期待に沿いたい、かように考えておるわけでございます。
○太田委員 それは免許行政そのものもずさんであると思う。十分な人材、機材がそろっていないのに、いたずらにカーフェリー時代の波に乗って免許申請が出されてきた、それに対してただ単に形式的に乗ってしまって安易に免許されるということは、非常に危険なことだと思う。同時に、その一番大事な点はだいぶ補強されていいと思いますが、具体的な例がすでに幾つか出ておるでしょう。霧中航行の際の基本がなっておらぬとか、あるいは人命救助の際の施設がなっておらぬとか一ぱい出ておるでしょう。それに対して適確な対策、指導をてきぱきとやってほしいと思うのです。
 一つの例ですが、これはいつごろのことですか、第四管区の海上保安本部が行なったあれがありますね。救助訓練を行なったことがあるのです。それは昨年のことでしたか、四日市港沖で四管本部が大がかりな救助訓練を行なった。そのときに仮装乗客らは空気浮きはしごを使って海上に避難しようということをしたのですが、風が少々吹いていたためはしごがゆれたのか、それが失敗してしまったというのです。そういうことで、すでに一年くらい前にあなたのほうの第一線では明らかになっておる。だから、海上保安庁などでもこの辺のところは十分そういう実験ができておるというならば、形だけのなわばしご、形だけの救命具などということではなくして、実際それが役に立つのかどうか、この点もっとぴしぴしとチェックしてほしいと思うのです。ひとつこの点について運輸省、海上保安庁両方から御意見を承っておきたい。
○佐原説明員 四管区における実験の詳細については、まだ私承知しておりませんけれども、さっそく調査いたしまして、確かに運輸省内の保安庁それから各現局横の連絡が必ずしも十分でなかったことは私ども十分認めます。今後先生御指摘のように十分連絡をはかってまいりたいと考えております。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のような面につきまして、やはり操練というような面に欠ける点がなかったかというような反省もございまして、お手元に差し上げてございます「カーフェリーの安全対策について」の中におきまして、必ず一年に一回は膨張式救命いかだを投下いたしまして、現実にその実地に即した訓練をやるということで、さらにそのあとにもふえんしてございますけれども、官民合同の遭難に備えてのいろいろな訓練というふうなものを必ずやるように、そのために先ほど海運局参事官のほうからも御説明申し上げましたように、地方海運局あるいは海上保安官の陣容を整備いたしまして、実地に即した訓練体制を整備するようにというようなことで、今後指導するようにいたしておるわけでございます。
○太田委員 では参事官に重ねてお尋ねしますが、七月一日の「室蘭丸」の衝突事故に対しましては、あまりにも初歩的過ぎる。しろうとがフェリーを操船しておるとしか思えないような初歩的ミスに対して、巨大なる四千七百三十三トンの「サンターナー号」に衝突したという事件に対し、あとはどういう対策をおとりになりますか、どういうように指導されますか。
○見角説明員 お答えいたします。
 ただいま御指摘の「室蘭丸」を含めまして、あの時期に約五社、五隻が同じような霧中航行における衝突事故を起こしました。これら一連の事故に対しまして、全部の会社に対しまして、それぞれの地方の海運局が特別監査を実施いたしました。その結果に基づきまして所要の訓練命令、警告等を出しております。
 なお、それの一環でございますが、いま御指摘のように非常に霧中事故には初歩的なミスが多うございましたので、第三者、これは主として日本海難防止協会の指導員がおられますが、その指導員にお願いをいたしまして、一時本番の営業をストップをいたしまして、いわゆる訓練航海という名で、その類似航路全部訓練をやらせた、こういう一連の措置をとったわけでございます。
○太田委員 国鉄の問題に入ります。
 東海道線新鶴見操車場――横浜駅間における列車脱線事故の原因についてでありますが、阪田さんは先ほど今後十分改善の手段を講じたい、こういうことを最後締めくくりとしておっしゃいましたが、その今後十分改善の手段、その改善の手段というものの内容は何でございますか。
○阪田説明員 先ほど御説明いたしましたように、こういうむら直し作業というものは、請負、直営を問わず常時行なわれるわけでございますので、そのときにこのようなミスが起こらないように、その技術の向上あるいは訓練、またそれの程度によります他列車への影響等についての処置方を、これはいろいろ線路の状況、運転の状況によってたいへん変わりますので、実地に即した指導を厳密にやってまいりたいということでございます。
○太田委員 阪田常務理事、あなたのおっしゃることは、直営といえば直轄工事の場合は国鉄の職員でございましょう。それから下請の場合は、これは事業請負契約による業者、そのどちらも、直営であろうが請負であろうがを問わず、そういうことは始終あることだから、技術的な向上だとかあるいは訓練ということを実地に即して指導するというのですけれども、それでは自分のところの職員もまた信頼することあたわず、こういうことでございますね。まして下請の業者は無資格ですか、資格的に若干問題がある、こういうことをお認めになったことでございますか。
○篠原説明員 お答えいたします。
 軌道業者の資格確認というものは非常に厳正にやっております。国鉄ではマル特という確認書を与えておりますが、過去における国鉄工事契約高、それから保有技術力というもので一定の標準点に達したもので、しかも工事指揮者が十名以上おる会社をマル特のAとして認定しております。これは一年ごとに評価をいたしまして業者に指名確認書を渡しております。この保有技術力といいますのは、実務経験が十五年以上のもので、国鉄あるいは私鉄あるいは地下鉄で線路に接近した仕事をやった経験のあるものの中から選んでおります。また、工事指揮者といいますのは、たとえば今回の業者の場合を見ますと、国鉄における施設関係の技術者として十年以上の経験を有して、線路閉鎖工事の監督者としての経歴を持つ者の中から、国鉄の中における運転考査に準じた試験制度によりまして認定いたしまして、個人別に認定書を交付しております。また、講習会を受講しまして知能検査あるいは作業素質検査、聴力視力試験に合格した者だけにしか交付してございません。先ほど阪田常務が申し上げましたが、今後こういう工事指揮者の指導訓練に重点を置くとともに、かような軌道保守作業といえども、ときによっては徐行、あるいは二十ミリあるいは三十ミリ以上上げさせないというような点を指導していきたいい、かよう考えております。
○太田委員 施設局長さんにもう一度お尋ねしますが、この九月四日の報告書によりましても、何ですか作業狂いを手直しをやりました結果を、こういうふうにやっていらっしゃると書いてありますね。「作業中に誤って局部的な平面性の狂いを生じ、」――実にじょうずな書き方だと思いますが、言うならカントのつけ方に大きな間違いを生じた、それが線路の下の道床の厚み、いわゆる道床を強化するためにやった工事が実は工事粗漏であってゆるみがあった。そこへ持ってきてカントが強過ぎたというところから、これは幾何学的に数学的に脱線が生ずるという状態であったわけですね。ですからこの事故というのは、だれが問題があるかというと下請業者の技術に問題があったのじゃないかということと、監督者の責任はどうかということだと思うのです。
 それで、いまおっしゃったように十名の技術者があって、何ですかマル特Aの業者には十分の技術があるとおっしゃった。今度の場合のユニオン土木というのも、このユニオン土木の米島さんという監督者はこう言っておるじゃありませんか。「ムラ直しの工事が終わり、自分が水準器でレールの高低差を確認した。そんな異常に高くなっていたとは考えられない」と朝日新聞の記者に語っておるわけです。そうすると、あなたのほうは外注業者のミスと断定されて発表されておりますが、実はそうじゃないのではないか。ある程度競合脱線かもしれない。そういう点からいいまして、その米島さんという方はどういう経歴があるかというと「昭和十五年に国鉄に入って保線ひと筋。最後は盛岡保線区の軌道作業長兼検査長で、四十四年にユニオン土木入りしたベテラン。」ベテランが水準器によってレールの高低を確認しておる、こう言っておる。それはうそかほんとうかわかりません。うそならこれは手抜きですよ。まさか長年やっていた人が、国鉄を愛するOBでしょう、自分の命をかけてやっておる工事に、水準器を当てないでいいよなんて言うはずがない。施設局長もプロですからその辺はよくおわかりになると思うが、簡単に外注業者のミスだけで片づけられるか。何か、いろいろな工事というものが外注業者なら外注業者にまかせっきり、国鉄知らぬよということでまかせっきりになっておるという体制があったのじゃなかろうかということと、もう一つは、これは実は今度の件に関しては外注業者の、ミスではなく、ほかの問題が幾つか重なっての結果の競合脱線ということも考えられる。きょうの新聞には一斉に外注業者のミスということが出ておるのですが、それはあなたのほうが断定されたのですか。
○篠原説明員 先生の御指摘のとおり、これは平面狂いが原因だと思います。と申しますのは、むら直しといいますのは、この前の晩に閉鎖工事で道床厚増加工事をやっております。これは国鉄の部内規定で線路を一ぺんに五センチ以上上げる場合には閉鎖工事でやれ、こう書いてありまして、助役が監督いたしまして線路を五センチ上げまして、両側に八百倍で取りつけております。それは確認しております。ところが二十列車ぐらい通りますと小さなでこぼこができるわけです。それを直すのをむら直し作業と申しております。これはジャッキで上げましてタンピングするわけです。ところがベテランの元工手長が間違いなかろう、私もそう信じたいわけですが、脱線したあとの結果を静的に測定いたしますと、右のレールと左のレールの間に四十九ミリの水準の狂いがあった、高低の狂いがあった。ということは、おそらくタンピングするときに片側だけジャッキアップしてタンピングしたのではないか。要するに平面性の狂いを確認しなかったのではないか、かように断定せざるを得ないというのが実情でございます。
○太田委員 そうしますと、やっぱり下請業者そのものの能力に問題があるわけです。大事な人命を運ぶ列車を通過させる、その基礎工事である保線作業であるとか改良作業に責任を持ってもらうことのできないようなあやふやな業者を選定されるということは、マル特Aであろうとなかろうと重大問題でありませんか。なぜ直営でおやりにならないのですか。
○篠原説明員 線路をもとのように維持する仕事は直営でやっております。これは鉄道経費といいますか、まくら木が古くなったのを新しいのと取りかえるというようなことは直営でやっておりますが、工事経費の仕事というのは波動がございます。今回の場合は、湘南電車がここを走ることになりますので、今後スピードアップしなければいかぬというので道床を古い砂利から砕石にかえまして、厚さを五センチ上げる、そしてコンクリートまくら木にかえる。こういうような工事経費の仕事というものは従来請負に出しております。そのかわりこの業者についての資格選定を非常にシビアにいたしておるのが実情でございます。
 直営でやればいいじゃないかという先生の御質問でございますが、そういうような波動的な問題があるということと、それから直営が過去において全然事故を起こしておらぬということはございません。したがって、この工事指揮者というものの認定あるいは工事指揮者をもう一人ふやすというような方法をとっていくか、あるいは積算で工事の見張り要員をもう一人増員いたしまして、遠くに見張りをもう一人置いて、そして列車の到着を事前に早く知って、線路のでき上がりをもう一回確認させるというようなことを、今後積算の上でも仕事の上でも義務づけて、かかる事故を撲滅したい、かように考えております。
○太田委員 定員を減らすために工事経費の仕事は下請にする。それが工事経費であろうが、維持経費であろうが、保守経費であろうが、勘定科目で列車の安全、不安全というものが分かれてはたいへんだと思う。いまの場合は工事経費という勘定科目のために、まかすべからざる業者に安易にまかせた結果起きた。どうもあなたの御説明だとそういうことになるわけでありますが、こういうことになると、今後、工事が終わったところを一番最初に通る列車はあぶなくて通れないですね。全部の列車をとめておいて、まず貨物列車を通してみて、うまく通ったら通してみようという初歩的なことをやらないと、あぶなくて通せないでしょう。
 ですから、そういう意味からいくと、あなた方のほうの工事のやり方とかあるいは保線の各種作業についての構造論ですね。どういうやり方でどういうふうにやって、だれが確認をして、そこでよろしいという最終的なチェックをするまでの組織論、構造論というのはもう一回再検討されないと、とてもあぶなくてしょうがない。マル特Aの業者がやっていてこんなことが起こるんだから、請負をさせる場合の仕事はこれからよほど研究してもらわなければいけないわけですね。ですから、私どもは国鉄の合理化という問題がここにからんでいるような気がするが、国鉄の工事は今後こういう下請をお使いになる場合に、やむを得ざる場合があるとして――別に私どもは業者を全然使っちゃいけないというわけではありませんが、こういうことになって、責任はだれのところにあるかということになるとあやふやになってきますから、今後は国鉄職員の厳重なる監督とか確認とか指導とかいうものをきめておいて、その上で下請業者をお使いなさるようにされたらいかがか、そう思うわけですね。もう一度……。
○篠原説明員 先生の御指摘まことにごもっともだと思いますが、現実、国鉄の監督指針では、工事作業内容によって、この仕事は監督をつけなさい、この仕事は巡回の途中でチェックしなさいというように指導してございます。したがいまして、道床交換あるいはまくら木交換のようなものは監督をつけ、徐行をやれというふうに指示してございます。しかしいわゆる軌道のむら直し作業というものは日常茶飯事やっておる仕事でございますが、この仕事につきましては巡回のつど指導、監督しろ、こういうふうに書いてございますけれども、この辺につきましての指導、あるいは先ほど先生のおっしゃいましたようなチェックのしかたについて、これは御意見として伺いまして検討させていただきます。
○太田委員 終わります。
○久保委員長 平田藤吉君。
○平田委員 現場の状況を見ますと今度の事故の重大さを示していると思います。事故の発生があと五秒あるいは六秒おくれるか、ないしは急行列車銀河五二号が五、六秒早く来ていたら、これはもう取り返しのつかない大事故になっていたというふうに考えられます。
 もう一つ大惨事を免れた要因として、脱線の際に貨車によって架線をささえる鉄塔が四基へし曲がって、架線が切れてトランスが二基落ちるというようなことで停電をしております。これがやはり列車の運行全体をとめるという作用をしているわけですよ。さらに警手やそれぞれの列車の機関士、乗務員などが冷静沈着に大事故防止の対策をとった。こうやって大惨事になることを避けることができたわけですけれども、まさに間一髪といわざるを得ないと思います。非常に危険な状態にあったということですね。これは私は非常に重大な問題だと思いますので、幾つかの点にわたって質問したいと思います。
 まず最初にお伺いしておきたい点は、安全対策上の問題ですけれども、第一は、この事故現場付近では昭和三十八年十一月九日にいわゆる鶴見事故として国民の記憶に深く刻み込まれているように、死者百六十一名、負傷者百二十名という痛ましい犠牲者を出した大惨事が起こっているわけです。それから戦後この付近では五回も脱線事故を起こしているんです。こうして事故が繰り返されてきた地点なんだけれども、この付近ではこれまでどんな安全措置がとられてきているか、この問題についてまずお伺いしたい。
○阪田説明員 こういうある一つの線のところに事故が起こりまして、それが隣接するところに影響しますことを私どもは併発事故と称しておりますが、併発事故に関しましては三河島あるいは鶴見、それからさかのぼりましてかつての参宮線、こういうようなきわめて苦い経験を私ども経まして、その後これに対しましてはATSをはじめといたしまして限界支障報知装置あるいは信号炎管、踏切の支障報知装置、安全側線に入ったときの緊急防護装置、列車無線等のいろんな手を今日まで打ってまいりました。
 このたびの事故におきましても、いわゆる出会いがしらの突発の事故を免れましたことは、先ほど御説明したようにほんとに不幸中の幸いであったと思っておりますが、この地点におきまして今回関係列車がとまりましたのは、踏切警手の機敏な処置あるいは関係列車乗務員の信号確認によります機敏な処置、これらによりましてこの程度の事故にとどまりましたけれども、ただ、こういうものというのは、人の力のみならず、人と機械とが両方合わさって事故を防止しなくてはなりません。踏切警報装置にいたしましても……。(平田委員「よけいなことを聞いているんじゃない。簡単に言ってくれ。あそこにどういう安全装置をつけたかと言っているのだ。」と呼ぶ)
○久保委員長 発言を求めて発言してください。
○阪田説明員 踏切警報装置につきましても、鶴見事故が起こってから現地につけたものでございますし、あるいは機関車乗務員がやりました信号炎管にいたしましても、鶴見事故以後、列車その他に設けたものでございます。それから、現地点に限らず、広く、ATSにつきましても、その後に昭和四十一年末までにつけたものでございます。そういうものが総合的に働いたものと考えております。
○久保委員長 御注意申し上げます。質問の要点に答えてください。
○平田委員 こういう事故を防止するために――つまり五回もあそこで起こっているのですからね。あの地帯にどういう安全装置をつけたのかと聞いているのであって、もう一つ加えておきますと、とにかく今度の事故で、ああ難をのがれた、それじゃすぐ、再び起こった場合に対処して安全装置をつけなきゃならぬが、少なくともとりあえず限界支障報知装置くらいはつけておく必要があるというように思っているわけです。ですから、いままであそこにどうしたのか、これからとりあえずでもどういう措置をとろうとしているのかということをお伺いしたい。
○阪田説明員 鶴見事故以降、あそこに滝坂踏切というのがありますが、滝坂踏切から東京寄りのところに四百五十あるいは三百のカーブがあります。その地点に対しましては、防護レールと称しまして、脱線したときに、レールからはずれたときに、それがさらに大きな脱線にならないような装置をつけております。一方、ただいま先生のおっしゃいましたような限界支障報知装置をつけております。このたびのものは、滝坂踏切から横浜寄りでございまして、カーブが八百――在来線のカーブ八百と申しますと、大体ほとんど直線と同じような扱いのところでございますので、この地点につきましては、いままではつけてございませんでした。そこで、今後こういう限界支障報知装置をはじめといたしまして、あるいは広く列車無線とか、先ほど御説明申しましたもろもろのものを、もちろん現地をはじめといたしまして全国的にもう一ぺん、列車回数あるいは曲線の状況、運転条件、線路の条件等をあわせまして、再検討をするようにいたしたいと思っております。
○平田委員 次に、事故原因の問題ですけれども国鉄当局は、レールに事故原因があるというふうに確認しているようですけれども、あらためて幾つかの点についてお伺いしたいと思います。
 八月二十七日の事故当日、午前一時五分から二時四十五分まで線路の工事が行なわれたというわけですけれども、この時間で行なわれた工事区間の距離、つまり滝坂踏切を中心にして、鶴見寄りに何メートル、それから横浜寄りに何メートル、それから、それをどれだけかさ上げをしたのか、また、滝坂踏切それ自身もかさ上げをしたのか、そこのところをお聞かせいただきたい。
○篠原説明員 お答えいたします。
 滝坂踏切で五十ミリかさ上げしております。したがいまして、東京方と大阪方に約五十メートルずつ、このかさ上げした部分を取りつける取りつけ作業をやっております。それは先生御指摘のとおり、当夜閉鎖工事でやっております。したがいまして勾配は千分の一ミリということになります。
○平田委員 そうすると、滝坂踏切を五十ミリ上げて、両方五十メートル上げておるわけですね。夜中の工事ですね。これにはユニオン土木の労働者が何人工事に加わっているか。
○篠原説明員 工事指揮者を入れまして十一名と聞いております。
○平田委員 報告書によると、午前二時四十五分までに工事は完了した、もしそうだとすると、八時五十五分からの工事は列車が通ってでこぼこが生じたので直すのだということになっているわけですね。つまり波を直すという話になっているわけでしょう。波を直すのになぜ四センチ九ミリ、約五センチも一方を上げなければならないのか、これは波直しじゃないんじゃないか。あなた方の発表にごまかしがあるのじゃないかと思うのだけれども、どうなんです。
○篠原説明員 先ほど御説明申しましたとおり、ある個所で五十ミリ上げておりますので、五十メートルでこういうようにやるわけです。その後列車が通りますと、新しく作業をしたところというのはどうしても小さなむらが出ます。これはジャッキで上げまして、タンピングするわけであります。ところが、脱線しましたあと現地を調査しますと、右と左とのレールに差が四十九ミリあるということで、ジャッキのかけ方が間違ったと私ども判断しているわけであります。
○平田委員 そうすると、ジャッキをかけたまま列車を通したということになるわけですね。
○篠原説明員 お答えいたします。
 そういう場合も考えられますが、片側だけタンピングをして、片側タンピングを忘れますと、最後的にそういうむらが出る、局部的なむらが出るという点もあります。したがって、どういう作業の手違いかわかりませんが、結果的に右と左とのレールで四十数ミリの狂いがあったということは事実であります。
○平田委員 むらが生じたのに四十九ミリも持ち上げるなどということは、常識的には考えられないのですよ。四十九ミリ上げるということは大工事ですよ。だから、あなた方が発表しているいまのお話を聞いておっても納得がいかないのですよ。そうじゃなくて、実は工事が完了してなかったのじゃないのか、そして完了してない部分を上げて砕石を詰める作業をしておったのじゃないかということが考えられる。いずれにしましても時間もないことですから、この問題はあらためてまた検討したいと思うのです。
 むら直しで上げる際に、二十ミリから三十ミリ持ち上げているわけですね。大体常識的に言ってレールのかさ上げ工事などで二十ミリから三十ミリ上げる場合には、線路を閉鎖するか、ないしは注意信号を出しておかなければならないはずなんです。あなた方の計画によれば、マヤチャートで二十三ミリの変化がある場合、危険札を立てなければならぬ、徐行札を立てなければならないというきめになっているのですよ。これだけの工事をやるのに閉鎖もしていない、徐行措置すらとってないという、非常にでたらめな仕事がやられているわけですよ。ですから、あなた方はむら直しだと言っているけれども、実はむら直しではなくて、二十ミリから三十ミリ持ち上げる仕事がやられていたんじゃないか。もし二十ミリから三十ミリがむら直しだというふうに主張されるにしても、その場合にやはり徐行措置がきちっととられてやられるべきじゃないかというふうに思うのですが、どうですか。
○篠原説明員 工事の取り扱いの基準によりますと、一度に五十ミリ以上上げる場合には閉鎖工事でやりなさい、そして当方が監督してやる、こういうふうに書いてございます。ところがむら直しといいますのは、五十ミリといっても大体砂利一つなんです。砂利一つをまくら木の下に入れますと、大きな砂利ですと五十ミリぐらい上がってしまいます。むら直しというのは線路の小さなでこぼこを水平に直すのがむら直しでございまして、通常はジャッキで二センチか三センチ上げまして、それをタンピングして取りつけるわけです。大体四百倍以上に取りつければきわめて安全でございます。二百倍のときには徐行しろと書いてございます。二百倍といいますと、二十ミリ上げますと四メートルあればいいのです。したがって、普通の列車の間合いで十分タンピングして取りつけられる普通の作業でございます。したがいまして、これは巡回のつど監督をしなさい、こういふうに指示してございます。
 それから一カ所二十何ミリかあるとすぐ直さなければいかぬという御指摘でございますが、これは一カ所二十何ミリございましても、長い勾配にわたってある場合には大体安全でございます。速度の高い東海道のような場合には大体八百倍くらいで取りつけます。現場も夜は千倍で取りつけております。そして朝方これが勾配が少し変わりますから、これは手直しを命じたものと考えております。
○平田委員 それではこの問題についてもさらに後ほど詳しく聞きたいと思います。
 それからもう一つ。踏切工事というのは従来外注には大部分は出していない。まくら木をずっと入れていく作業とか、あるいは下へコンクリートを入れる作業とかという場合は外注に出しているようですけれども、そのほかはほとんど外注に出していない。非常に複雑な仕事で、危険性を伴う仕事であるから直営でやっているということなんですけれども、最近は全部外注に出すようになっているのですか。この点をひとつお聞かせ願いたいと思う。
 外注をめぐる問題では、国鉄当局が大規模な合理化をやって、保線の分野でも労働者を削減して、そうして仕事を外注に出しているわけです。このやり方をしているわけですけれども、保線で外注に出す限界というのはどこまでを限界に置いているか。つまりいま申し上げたように、踏切のかさ上げ工事はやらせない、それから線路の通り、水準、高低などにかかわる作業は外注はやらせないということになっているはずです。従来はそうなっているはずなんですよ。今度の工事も明らかにかさ上げ工事であり、高低にかかわり合いを持ち、平面にかかわり合いを持ち、通りにかかわり合いを持っている工事なんですね。ですから、これらが全部まるごと外注にゆだねられているということ自体にもわれわれは疑問を持たざるを得ない。この点どうですか。
○篠原説明員 踏切の工事が直営であるべきではないかという御質問でございますが、いなかの作場道のような踏切は、まくら木をガードレールの中に二、三本並べまして、チョックボルトでとめます。これは直営でやっております。しかし都会の踏切というのは、踏切の路面の精度が非常に要求されます。したがいまして、正確な大工に踏切のいわゆる踏み板を製作させまして、そしてガードレールあるいはチャンネルにボルトで取りつけます。こういうような仕事はほとんど外注でございます。しかも特殊な溶接工あるいは大工を伴いますので、ほとんど外注でやっております。また、非常に交通量の多い踏切はコンクリートブロックで踏切の舗装をしております。こういうものもほとんど外注でやっております。アスファルトでまた上を舗装いたしますものも直営でやっておりません。
 それから第二点の御質問の、いわゆる通り、高低、水準に関するような仕事は直営であったのではないかとおっしゃいましたが、これは先ほども太田先生に御説明いたしましたように、新しく財産の増になるような仕事、工事経費のような仕事というものは、従来の定常作業よりもはみ出した仕事でございますので、これは特定の確認業者に請負でやらしておるのが実情でございます。
 たとえば新しく武蔵野線をつくる場合に武蔵野線の軌道の建設工事及びその試運転に伴う保修工事を含めた仕上がり、あるいはここでやっておりましたような軌道強化工事と申しまして道床を二百ミリから二百五十ミリに上げる、しかも砕石工事あるいはコンクリートまくら木にかえるというような工事経費の仕事は、従来も合理化と関係なく請負でやっておりました。しかしその作業の内容によって、これは監督者を常時つけるあるいは閉鎖工事でやる、あるいはこれを巡回のときに監督をするということを、前日打ち合わせをするというように規定されております。こういう場合も、踏切を五十ミリかさ上げする場合につきましては、夜間閉鎖工事で監督者がついてやっております。そのあと二十列車ほど通しまして、小さな出たむらを直すのは、これは常例作業で、ございますので、前の日に業者との打ち合わせで、これは乙側が工事指揮者をしっかりつけてやりなさい、わがほうは巡回のつど監督して指示をする、このように覚え書きで取りかわしてございます。
 以上でございます。
○平田委員 いまの立ち会いがついていないという問題ですけれども、通り、高低にかかわる――波を打っているのですから高低にかかわる問題なんですけれども、この高度な技術を要するものに国鉄当局の監督者がついていないということ自体、これはさっきの協定でついでのとき見るからいいといっているようですけれども、事実上列車を通しておいてやる作業なんですから、これは国鉄当局が責任を持ってちゃんと見るのがあたりまえだと思うのですよ。そういう意味では、契約が取りかわしてあるといったところで、今度の事故を見るととてもそれでは納得できるものじゃないというように思うのです。
 第三に、工事、とりわけ線路工事というのは、列車の安全にとっては非常に重大な問題です。この重大な仕事を外注に出しているわけだけれども、国鉄当局のだれが外注の契約をし、だれがそれに許可を与えているのか、つまり今度の事故を下請業者の責任だというふうに転嫁して、国鉄に責任があたかもないかのような態度をとることは許されないのじゃないかというように考えますので、責任の所在を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
○阪田説明員 結果的にこの工事が外注者の工事であったということでございまして、先ほど太田先生の御質問のようなああいう事態から起こったその結果が、たまたま外注工事だった。外注工事だから国鉄に責任がないというような申し上げ方を私ども部外には一つもしたことはございません。当然この国鉄部内で起こりましたことにつきましては、たとえそれが外注であろうとも、それは私どもの責任でございます。
 また外注者に対しましては、国鉄側が外注者に対して、今度は国鉄対外注者の立場において、私どもは今度は外注者に対してきびしい手段をとるということでございまして、新聞にはいろいろ外注工事と書いてございますが、私どもそういうことを一切言ったことはございません。いろいろ車両速度その他を調べた結果、ここに欠陥があったために起こったんだという事実を言ったことでございまして、今後十分この外注に対しましては、外注責任者をはじめといたしまして、厳密なる処置をとるように考えております。
○平田委員 短い時間で質問したものですから、聞きたいところが一ぱい残っておりますけれども、それは次回に譲ります。
 いずれにいたしましても、今度の事故はやはり徹底して究明する必要がある。非常に危険なもので、重大な問題をはらんでいる。特に国鉄当局の責任にかかわる問題では、非常に重大だというふに考えております。外注をめぐる問題についても検討する必要がありますし、それから仕事を監督する問題についてもやはり検討する必要がありますし、また仕事の受け渡し、完了したものの受け渡しをめぐる問題についても明確にする必要があると思います。それから、何よりもとにかくあれだけ事故が起こって、脱線した場合でも間違いのないような安全装置がついていないということ自体重大な問題であると思いますし、安全装置をつける問題や、それから少々の脱線があっても心配ないような体制について根本的に検討する必要があるというように考えます。きょうは以上で質問を終わります。
○久保委員長 渡辺武三君。
○渡辺(武)委員 最近日本の海が非常に危険度が増しておって、特にカーフェリーの事故が続発をしておる、これは現実でありますが、実は昨年度すでに運輸省の電子航法研究所ですか、ここが発表いたしております資料によりますと、非常に日本の海は危険度が増しておるんだ、こういう資料を実は発表をされておるわけでございます。その資料を見ますと、ほとんど重要港と目されるものは千回船が出入りをすれば二回から五回程度事故が発生をする危険度がある、こういう実は警告をいたしておるわけです。その後の推移を見てみますと、船舶の増加あるいは輸送人員、貨物等の増加量から見れば、今日の海難事故の増加というものはしごく当然ではないか、こういうふうに考えられてくるわけでございます。したがって、もうすでにこのような計数が運輸省自身から発表をされ、諸対策の必要性が説かれておるわけですから、その後ほんとうにこのような運輸省自身が指摘をしております港湾の改善だとかあるいは船舶出入りの航路の分離、つまり入港、出港航路の分離、こういうこともすでに運輸省自身が出しておるわけです。したがって、その後こういう資料に基づいてもろもろの方針を出されておるのですが、ほんとうにその後どのように改善をされていったのでございましょうか。その辺からまずお知らせを願いたい。
○佐原説明員 御指摘のように、最近の事故の事実が先生おっしゃるようなことを物語っておるわけでございます。海上保安庁といたしましても本委員会にたいへんお世話になりまして、海上交通安全法の成立を見たわけでございますが、実施政省令を整備いたしまして、本年の七月一日から完全実施に移っておるわけでございます。航路の分離、交通方法の問題等、目下周知徹底の段階で鋭意つとめておりますけれども、まことに遺憾ながら小船に至りますとまだそのルールすら認識していない、こういった現状でございます。なお一そう努力をいたしまして、そういったルールの徹底を期したい、このように考えております。
 そのほか、運輸省各原局におきましても、一連のフェリー事故を踏まえてカーフェリーの事故対策をまとめ上げておりますので、これにつきましては官房のほうからお答えを申し上げます。
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 港湾施設の改善等につきましては、先生御承知のとおり、今国会におきまして港湾法の一部改正が通過いたしましたので、施設等につきまして、在来のカーフェリー等につきましてはそれぞれの港湾管理者のほうにおいて整備しておったわけでございますけれども、これにつきましては、国におきましてその安全上の施設基準をつくるというふうなことで格段の努力をいたすというようなことに措置しておるわけでございます。と同時に、地方におきますところの航路の整備ということもたいへんなことでございますので、いま申し上げました港湾法の一部改正によりまして地方港湾審議会というものができております。そこにおきましてそれぞれの現地の実情に即した航路の維持というふうなことをやらせるということによりまして、先生御指摘のような船舶交通の安全を確保していく、こういうふうな措置を講じておる次第でございます。
○渡辺(武)委員 そのような危険度が存在するということで、従来のような考え方で港づくりをしていったんではたいへんなんだ。つまり開発優先から安全優先へと転換せしめていかなければいけない。こういうことが、その時点でも指摘をされておったと私は思うのです。たとえばハーバーレーダー等も設ける必要があるのだというような指摘もなされておるわけですが、そういう安全優先へ転換をしていくという方向、それらが具体的にどのようなことになってあらわれておるのだろうか、これについてはいかがですか。
○佐原説明員 ハーバーレーダーにつきましては、なお今後検討さしていただきたいと思いますが、各港の出入り口等につきましては、逐年、管制所と申しますか、信号所と申しますか、そういったものを設けまして、船舶の出会いがしらの衝突を避けるように指導してまいっております。ハーバーレーダーにつきましては、目下釧路と大阪に設置をされておるわけでございます。横浜本牧において一カ所やっておりますが、問題は各船舶に通信施設がございませんと、レーダーで把握いたしましても、これを的確に指示する方途がございません。そういった船舶の通信施設の問題がからんでまいりますので、なお今後検討させていただきたいと思います。
○渡辺(武)委員 たいへんスローモーだと思うのですね。非常に科学的に調査をされ、事故発生の危険度が増加をしておるという資料が片一方で出ておる。そのときに、開発優先から安全優先へと考え方そのものもこれから転換をしていかなければいかぬ。いま私はハーバーレーダーなんかを一つの例として申し上げただけであって、それだけが安全のすべてではないわけですから、したがって、開発優先の考え方から安全優先へと考え方を転換せしめるには、具体的に一体どのようなことをおやりになってきたであろうか、こういう御質問をしたわけですが、どうも御答弁がないようですから、何もやっておられないのだと、こう理解をせざるを得ないわけです。したがって、私は危険度が増しておるという調査だけしておったって無意味なのであって、そのためにはどうアフターケアをしていくか、あと処理をしていくかということがきわめて重要になってくるわけでございます。私は、もっと関係当局が真剣に安全の面について取り組んでいただかなければならぬ。特に問題になっておりますカーフェリーの海難事故等を見てまいりますと、ややもするとそのような港湾整備がおくれているにもかかわらず、業者の営利追求をするという姿勢から、港の整備が非常におくれておるのだけれども、申請ばかりどんどんと出されておる。それがまた一方では安易にその申請が認められていくという傾向があるのではないか。私はこの前、前回のカーフェリーの問題のときにも、たとえば具体的に苫小牧の港はどうなんですか、こういう御質問を申し上げたと思います。一々船が着くところがないからわざわざシフト制をとってやっておるんだ、こういう状態で実はあるわけでございます。実はその苫小牧だけではなくて、まだほかにもたくさんそういう港湾設備が不備なところでカーフェリーの航路が新設をされておるところがある。しかもその港は、私の調査によればまだほかに数社のカーフェリー会社が現在申請を出しておる、実はこういう状況にあるわけです。その申請を許可をされるわけですけれども、その許可基準というものは一体どうなんでしょうか。その港の設備というものは相当重要視して考えられると思うのですけれども、そのような無理な運航を承知の上で許可をされているという傾向がないだろうか。現実に私はあると思うのです。だとするならば、いま起こっておる事故というものは起こり得べくして起こっておる。確かにいろいろの問題がございます。たとえば運航管理規程を一つとってみましても、この各社が出しております運航管理規程、それをまた認めておるわけでございますが、これも同一海域において、たとえば運航を中止する条件というものがございますが、その運航を中止する条件も実は非常にまちまちであるわけです。こんなばかなことはないと思うのです。たとえば同一海域を、片一方の会社は視界五百メートル以下になれば運航を中止します、こう言っておる。片一方のほうの会社は視界三百メートル以下になれば運航を中止します、こう言っておるわけです。それがまたそのまま認められておるということです。そうしますと、片一方の会社は視界が三百メートル以下に落ちたら中止する。ところが片一方は五百メートルですから、片一方が中止しておるにもかかわらず出ていく。こうなりますと、片一方は、商売上向こうが出航するならおれのほうもということにならざるを得ない。さらにその中止条件そのものをよくよく調べていきますと、一体どういうときに中止をするのかが非常にあいまいであるわけです。航路途中にたとえば霧が発生をしておるという予報がなされる。そのときはもう出航自身をやめるのか、その付近まで航行してもいいのか、その辺よく読んでみましてもわかりません。結局いろいろな事故が起こっておる、あとから調べてみますと、霧が発生しておるにもかかわらず徐行もせずに航海をしてしまって衝突をしたという事故が私は相次いでおったと思うのです。そうなりますと、大体の法令に定めるところによっていろいろの省令等がございますけれども、一体その基準そのものがどうなんだろうか。五百メートルでも出航してよろしい、一方が三百メートル以下になっておってもよろしい、こういうような非常にまちまちな状況にあるかと思いますが、その辺はどうなっておるんでございましょうか。
○見角説明員 運行中止条件が各社によってまちまちであるという事実は先生御指摘のとおりでございまして、実はこの運航管理規程を、一つのモデルを運輸省でつくりまして、それにおおむね準拠して各社に運航管理規程をつくらしたわけでございます。同じ航路で同じ船型であれば当然同じ運航中止条件が出てくるということをわれわれは当初期待しておったわけでございますが、出てまいりましたのは非常にばらつきが多いということに実は驚いているようなわけでございます。もちろん航路によりましてあるいは船の大きさによりましてあるいは船の堪航性等性能関係によりまして一がいにきめられませんけれども、同じ船が同じ航路で動いている場合、それが別々の会社によって動かされている場合であっても当然運航中止条件というものは統一しなければならないということでありまして、いま鋭意地方海運局並びに本省と一緒になりまして、この統一化を検討中でございまして、近く御期待に沿えるもの、かように考えております。
○渡辺(武)委員 そういうことはこういう事故がたび重なっていろいろ問題になってからほんとうは検討されるべきものではなくて、最初からそれらのことは当然考えられることですから、机上プランでも見られることですから、最初から厳然とした基準があって、その基準に達するような運航管理規程がつくられていく、こういう行政指導がなされてしかるべきだ。にもかかわらず、現実はそうでなかったということでございますから、これは私は早急にそういう統一化をはかっていただきたい。強く要望をいたしておきたいと思います。
 次に、このカーフェリー等がいろいろ宣伝を行なっておるわけですが、ゆっくりお休みになっているうちに目的地に安全に、正確に、いろいろな広告が出ております。そういたしますと、利用するほうは、もう一たん船に乗ってしまえば、気象条件がいかがであろうとも、指定された時間、きめられておる時間に着くものだ、こういう気持ちを持つ。そこで若干船がおくれますと、船長等が乗客によって詰問をされる。乗り組み員がいろいろ乗客によっておこられる。こういうことが実はいろいろ起こっておるようでございまして、各会社はそれらの事故についてはあまり発表したがらないようでございますが、現実にはいろいろ起こっておる。そうなりますと、ある程度の気象条件の無理を承知でやはり急がざるを得ない。ここにも私は事故の原因がやはりひそんでおるのではないか。そうなると、やはり乗客に対するPR、さらにカーフェーリー会社に対するPRのしかた、船というものは少なくとも気象条件が変わりやすいわけですから、海の上で風、波等いろいろございます。霧の発生もございますから、当然相当なロスが、時間の伸び縮みがあるのだということをあらかじめやはり乗客に知らしておかないと、早く、正確に、お休みになっているうちに、なんということをやるならば、当然やはり乗客は目的を持っておりますから、そういうトラブルが起こってくるのではないだろうか。今回運輸省が出されておりますこの安全対策の中にも若干触れられておるようでございますが、私はそれらが相当重要な項目になっておるのではないか、こう思いますので、ひとつ早急にPRの問題あるいは利用者に対する諸規定の周知徹底といいますか、その辺のこともほんとうに重要視をしていただきたい、こう思うわけでございます。
 そこで、時間もございませんが、運輸省自身の安全対策のきめこまかい配慮といいますか、そういうものが私は非常に欠けておるのではないだろうか。一つ一つ見ていきましてもたいへんいろいろな問題を私は含んでおるというふうに思いますものですから、陸上と比べて海の交通安全管理がたいへんおくれておるということは再三指摘をしてきておるところでございますが、本来ならばもっともっと厳格に、もっと迅速にやっていただかなければいけない。毎回毎回の質問、討論に対していつもいつも同じような答えが返ってくるということでは、ほんとうにこの安全管理が厳格に遂行されるかどうか、私は非常に疑問に思わざるを得ないわけですから、ひとつ真剣になって取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
 それから、船舶局長にお願いをしたいわけですが、カーフェリーが最近は非常にふえております。カーフェリーの構造上の問題については安全上特にいろいろな点が指摘をされておるわけでございますが、その辺はどのようにしてチェックをされておるのか、あるいはこの対策の中にも一、二載っておったと思いますが、これからこれこれをしていきたいというようなことを言っておりますが、現実に私は多くの人を乗せ、さらにガソリンを積んだ車を乗せておるわけですから、火災という点もたいへんな問題があろうかと思います。したがって通常の船舶とは大いに異なった構造上の問題点がなければならぬ、こう思うわけですが、いかがでございますか。
○田坂政府委員 先生御指摘のとおりカーフェリーはたいへん危険性をはらんだ船舶でございます。そういうことを私ども十分踏まえまして今日まで対処してきたつもりでございますが、その対処の、従来の対処のあり方といたしましては、カーフェリーが三十六年ごろあらわれだしまして、当時その対策といたしまして、カーフェリーの特殊性を十分に規制するという観点から、自動車渡船構造基準を設けまして、一般旅客船に比較いたしまして、その車両甲板の強度だとか、車両の固縛装置だとかあるいは衝突いたしましたときの区画対策だとか、そういう点につきまして強化をいたしたわけでございますが、その後カーフェリーの大型化あるいは高速化――一般にいわれます高度化に対処いたしますために、昭和四十六年の四月並びに十二月には防火構造あるいは消防設備、救命設備等につきましてさらに安全基準の強化を行なってまいったわけでございます。
 さらに最近カーフェリーの事故が続発いたしましたその中で、私ども特に安全法と申しますか、船舶の構造、設備、その面から重要視しました点は、五月に起こりました瀬戸内海におきますカーフェリーの火災事故でございます。これらの事故によりまして、さらに機関室の火災報知器だとかあるいは救命脱出装置の強化だとかあるいは在来船に遡及して適用されておらなかった事項、たとえば車両区域あるいは機関室の固定式の消火装置の設備強制だとか、そういう面につきまして本年の七月にさらに基準の強化を行なったわけでございます。
 さらに今後の対策といたしまして、安全基準といたしましては、これらの規制によりましておおむね整備はできたというふうに考えておりますが、さらに謙虚に安全基準の見直しを早急にやりたい。来年度も予算要求をいたしまして、基本的な、たとえば火災の伝搬機構だとかあるいは危急時の乗客並びに乗り組み員の脱出の際のいろいろな事項だとか、そういうものにつきまして、基本的な実験を含めまして再検討をいたしまして、さらに安全基準を強化すべき点があれば強化いたしたいということを考えております。
 さらに日常の保守、点検あるいは操船あるいは機器の操作、こういうものにつきまして、先ほど申し上げましたように、最近のカーフェリーは非常に高度化いたしております。これらの高度化いたしました船舶を完全に動かしていくということを乗り組み員にも十分に理解していただきたい、そういうことから点検マニュアルあるいは操船マニュアル、操作マニュアル、そういうものを、十分なれていない船員までわかるようなマニュアルを早急につくって周知いたしたい。さらに定期的な検査で、これらのカーフェリーの施設につきまして基準が守られているかどうかということをチェックいたしておりますが、平生日常の整備状況等につきましては、検査官の増員等を行ないまして随時立ち入り検査を行ないたい。
 さらにこれらの船舶、カーフェリーがつくられます場合に、これらの船舶は最近の事情から申し上げますと、中小の造船業でつくられるというような事情になっておりますので、中小の造船所におきましては技術程度が必ずしも十分ではございませんので、これら十分でない造船所がつくりますときに十分安全な船ができるような設計基準と申しますか、建造基準の詳細なものをつくって、造船所も完全な工事ができるような体制をつくりたい、それらのことを考えておる次第でございます。
○渡辺(武)委員 最後に一つだけお尋ねをしておきたいと思いますが、運輸省が出された対策の中で、救命艇手の制度を充実したいんだ、こういっておられます。実はこの救命艇手制度というものは一、二年前でしたか、中労委からすでに答申が出たか、勧告が出ておるはずでございます。それはどういうことかというと、つまりこの救命艇手そのものを指定する場合に、いろいろな資格要件があってなかなかむずかしいし、最近始めましたカーフェリーでは、全員が救命艇手になることはなかなかむずかしい。そこで、ある程度限定的に救命艇手の問題を考えたらどうか、短い期間で講習を行なって救命艇手の資格を限定的に与えたらどうか、こういう問題があったと思うのです。本来ならもうすでに実施をされていなければならぬと思うわけですが、この問題はその後どうなっておるでございましょうか。
○住田説明員 お答え申し上げます。この救命艇手制度の問題につきましては私どももよく検討しておりまして、すでにこの沿海区域を航行区域とするカーフェリーにも救命艇手を選任するよう、こういうことの義務づけの問題につきまして、省内でも検討しておるわけでございまして、この検討の暁、できる限り早い機会におきまして省令の改正ということにつとめたい、かように考えておる次第でございます。
○渡辺(武)委員 質問に全然答えないのですがね。限定救命艇手という問題が実は問題になっておって、そしてそういう制度で短期間の講習等を行なってそれらをつくっていくべきだということが、もう一、二年前に言われてきたわけでしょう。いまだに運輸省はどういうふうにして講習をしようかということすら考えていないということを私は聞いているわけですが、それはどういうことなんでしょうか。
○住田説明員 お答え申し上げます。
 運輸省といたしましては、従来検討しておりまして、近く省令の改正をやる、こういうふうに考えておる次第でございます。
○渡辺(武)委員 そういうことが指摘され、あるいはいろいろ言われておるにかかわらず、もう一、二年たっているのですよ。いま検討しておるのじゃ、検討しておるうちに事故はどんどん起きていく。実際に事故が起きてしまったときに、乗客を救助する場合の、たとえばゴムボートにしたって、ほんとうに操船をうまくやる人が、知っている人がそこに乗っていなければならぬはずなんです。現実には乗っていないでしょう。だから早く限定的にその資格を取らせよう、こういう方向があったはずなんです。それがいまだにまだ検討されておるのでは、実際はお話にならないということなんですよ。きょう海難事故が起こった、そうした場合に実際どうしますか。これは一日を争う問題なんですから、もっと早く真剣に考えていただきたい。
 それから過密ダイヤの問題についても、各社が出しております航海の概要を見ますと、きわめて余裕時間が見てない。速度と距離を見てみますと、もうぎりぎりに組んである。船を発着するとき、こういう時間すら十分に見られていないというような、現実にそういう過密ダイヤが組まれておるのですよ。だからいまごろ運輸省がそれらのものを再チェックなんということ自身が実際ナンセンスだ。もうきちっと速力はわかっており、距離はわかっておる、何時間で行くということまで出されておるわけですから、そんなことはその時点でもうはっきりわかっておるはずなんです。にもかかわらず実に粗雑な安易な免許が行なわれておる。こういう実態ですから、これから十分に厳重な対策、監督等を急いでいただきたい。私は強く要望いたしまして質問を終わります。
○久保委員長 委員長から念のために特に見角海運局参事官にお尋ねしたいのですが、先ほど視界距離のばらつきの調整にお答えになりました際に、いろいろ堪航性の問題をお話しになったが、堪航性と視界距離の関係はございますか。
○見角説明員 たとえば波の高さの場合に、大きな船なら、その波の高さを越えられる、小さな船なら越えられないということがその意味でございます。
○久保委員長 わかりました。
 以上で質問は終わりました。
     ――――◇―――――
○久保委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。
 カーフェリーの現状等、海上交通安全対策に関する実情調査のため、委員を派遣いたしたいと存じます。つきましては、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、派遣委員の氏名、人数、派遣期間、派遣地その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十一分散会